PVLA 誘導体の保湿・保水性について - セラジックス

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PVLA 誘導体の保湿・保水性について

有限会社セラジックス

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1.保湿性について

ヒアルロン酸に代表される天然多糖やコラーゲンに代表される天然タンパク質は、保湿

力に優れ、皮膚にうるおいや弾力性を与えると共に、キメを整え、張りを与える効果があ

るため、皮膚を美しく維持することが出来ることから、これらの成分を配合する保湿性の

高い化粧品が数多く開発されている。

しかしながら、ヒアルロン酸は、粘性の高い天然多糖であり、皮膚吸収が悪く、また、

水分や汗などで容易に皮膚から剥離するため、長時間の保湿性能には問題があった。

一方、糖を側鎖に有しスチレンを主鎖に有するポリ(N-p-ビニルベンジル-D-ラ

クトンアミド)(以下、PVLAという)が合成され、この高分子を基質として細胞培養に

用いた例や、培養容器のコーティング剤に用いた例、抗血栓性材料に用いた例や、薬剤を

PVLAで包接してDDSとして用いた例、化粧料に用いた例などがある。これらはその

いずれもがPVLAをホモポリマーとして用いてきた。

他方、この糖鎖含有スチレン誘導体と他のモノマーとの共重合体として、メタクリロイ

ル基をN末端に有するリジンオリゴマーとの共重合体を用いて薬物を特定細胞に取り込ま

せる方法や、4-ビニルベンジルヘキサデカンアミドとの共重合体を抗血栓性材料として

用いる例などがある。

これらの糖側鎖含有重合体を用いた研究は、糖側鎖が細胞培養において特異的に効果を

有するものであること、また糖側鎖を細胞が認識することなどを利用したものであるが、

これらの共重合体の保湿剤としての用途は、未だ知られていなかった。

我々は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、糖鎖含有スチレン誘導体と

この糖鎖含有スチレン誘導体と共重合可能なモノマーとからなる共重合体が非常に高い保

湿性能を有すること、そして上記共重合体及び上記ヒアルロン酸を配合した溶液は、さら

に効果的な保水性、保湿性を有することを見いだした。

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2.PVLA 誘導体とヒアルロン酸について

本研究の共重合体は、糖鎖を疎水性ポリマーに結合させた基本骨格を有しているため、

皮膚表面からの水分蒸発を防ぐとともに、皮膚内部の水分を保持する作用があり、皮膚に

対する保湿効果が極めて高い。特に、皮膚浸透性のコラーゲンペプチドあるいはヒアルロ

ン酸との併用においては、両者の複合的作用により、皮膚表面および皮膚内部の保湿効果

が優れているとともに、皮膚の皺形成阻止に非常に効果があることが判った。

以下に、その効果を示す実験と結果を示す。

3.接触角試験

ポリスチレンシャーレ(Falcon1008シャーレ:表面処理なし)に各試験溶液

をそれぞれ1ml添加し、1 時間放置することによってシャーレ表面をコーティングした。

所定時間後、各シャーレを蒸留水3mlで3回洗浄し、シャーレを一旦乾燥させた。乾燥

させたシャーレを用いて接触角測定装置でシャーレに滴下した水滴の接触角を測定した。

【表1】

Table 各溶液をコーティングしたシャーレ表面の接触角

サンプル No. 接触角

① 0.1% ヒアルロン酸溶液 87.4

② 0.1% コンドロイチン溶液 89.6

③ 0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1 溶液 56.6

④ 0.1% ヒアルロン酸および 0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1 混合溶液 36

⑤ 0.1% コンドロイチンおよび 0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1 混合溶液 61.1

⑥ コントロール(水のみ) 83.6

⑦ 0.1% PVLA 50.7

⑧ 0.1% P(VLA-co-VAL)9:1 溶液 59.4

⑨ 0.1% ヒアルロン酸および 0.1% P(VLA-co-VAL)9:1 混合溶液 58.8

⑩ 0.1% コンドロイチンおよび 0.1% P(VLA-co-VAL)9:1 混合溶液 67

⑪ 0.1% ヒアルロン酸および 0.1% PVLA 混合溶液 62.7

⑫ 0.1% コンドロイチンおよび 0.1% PVLA 混合溶液 65.1

上記表に記載のとおり、コントロール(水のみ)では83.6度と高い撥水性を示した。

ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸のみを添加した溶液では、接触角は、それぞれ87.

4、89.6とより撥水性に傾いており、ポリスチレン表面の親水化には向いていないこ

とが判った。

一方、各合成糖鎖ポリマーを含有した溶液は、水の系よりも親水的な表面を提供できる

ことが判った。さらに、今回の特徴であるPVLAに疎水性残基を共重合させた化合物を

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ヒアルロン酸と組み合わせた系では、P(VLA-co-VBCH)9:1とヒアルロン

酸の系で36度、ヒアルロン酸および0.1% P(VLA-co-VAL)9:1混合

溶液の系で58.8度と非常に大きな親水化度を示すことが判った。コンドロイチン硫酸

との組み合わせは、ヒアルロン酸よりも効果が落ちるものの、同様に良好な親水化が見ら

れた。

従って、この結果から、PVLA誘導体の疎水性残基によるアンカリング効果とヒアル

ロン酸等の多糖成分の固定効果により、非常に親水化した表面を提供できることが明らか

となった。

4.ヒアルロン酸保水性試験

ヒアルロン酸およびPVLA誘導体による保水力保持試験を行った。

各サンプルをサンプル瓶(5mlマルエムスクリュー瓶)に1mlずつ分注した。これ

をサンプル瓶蓋ごと重量測定した。密閉容器中で、10gの塩化カルシウムを入れたサン

プル瓶を中心に各サンプルを配置して蓋を取り、放置した。その後、定時に各重量を測定

した。これにより、乾燥行程における乾燥防止効果が確認でき、これを保水性効果とした。

結果を下記に示す。

【表2】

サンプル 20日目の重量(g) 水を0

0.1% ヒアルロン酸溶液 974.8 49.4

0.1% コンドロイチン溶液 977.4 52.0

0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1溶液 (Lot.070613-2) 985.0 59.6

0.1% ヒアルロン酸溶液および0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1混合溶液 998.2 72.8

0.1% コンドロイチン溶液および0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1混合溶液 984.8 59.4

コントロール(水のみ) 925.4 -0.1

0.1% PVLA溶液(Lot.050721) 933.0 7.5

0.1% P(VLA-co-VAL)9:1溶液 (Lot.なし) 938.2 12.8

0.1% ヒアルロン酸溶液および0.1% P(VLA-co-VAL)9:1混合溶液 945.6 20.1

0.1% コンドロイチン溶液および0.1% P(VLA-co-VAL)9:1混合溶液 934.3 8.9

この結果、コントロールである水が20日で保持する水分量よりも各サンプルは水分を

保持していることがわかった。この効果は、糖鎖高分子のみでも顕著であるが、糖鎖高分

子と多糖類を組み合わせることで、さらに顕著になっていることが判った。

さらに、糖鎖高分子に疎水性共重合体を導入した場合、その効果はさらに増大していた。

このことは、糖鎖高分子と多糖類の相互作用に疎水性共重合体が重要な役割を果たしてい

ることを示している。特に、シクロヘキサン環を導入した糖鎖高分子は、その効果がさら

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に顕著であり、糖鎖高分子-多糖類-水の間に強固なクラスター構造を取ることで、水の

蒸発を防ぎ、効果的に保水していると考えられた。

5.肌水分保持試験

ボランティアの腕の水分量を市販の肌水分量測定器を用いて測定した。各水溶液を10

0μl ずつ各測定した肌表面にアプライし、コットンで所定時間カバーした。所定時間後、

コットンを取り去り、各試験部の肌水分量を測定した。30分後の水分量測定結果を下記

に示す。数値は、処理前後の肌水分量の差を、水を塗布したときの水分量の差を0として

表した。

表3

個人 A 個人 B 個人 C 個人 D 個人 E

0.1% ヒアルロン酸溶液 -1.6 7.2 2.4 4.5 0.3

0.1% コンドロイチン溶液 -0.4 -0.5 6.6 2.2 -0.8

0.1% P(VLA-co-VBCH)9:1 溶液 0 -3 0.5 3.2 1.3

0.1% ヒアルロン酸および

P(VLA-co-VBCH)9:1 混合溶液

0.1%

15.5 11.2 10.6 5.1 3.5

0.1% コンドロイチンおよび 0.1%

P(VLA-co-VBCH)9:1 混合溶液

14.4 -0.1 13.4 4.9 1.7

コントロール(水のみ) 0 0 0 0 0

0.1% PVLA -1.2 2.2 -1.4 3.3 0.2

0.1% P(VLA-co-VAL)9:1 溶液 0.6 2.4 5.6 4 0.3

0.1% ヒアルロン酸および

P(VLA-co-VAL)9:1 混合溶液

0.1%

2.5 4.1 19.6 3.4 2.1

0.1% コンドロイチンおよび 0.1%

P(VLA-co-VAL)9:1 混合溶液

13 0.4 10 0.1 -0.1

0.1% ヒアルロン酸および 0.1% PVLA

混合溶液

0.8 11.5 22.1 3.2 1.9

0.1% コンドロイチンおよび 0.1% PVLA

混合溶液

2.2 -1.8 12 2.4 -3.5

全体を比較した結果、糖鎖含有ポリマーのみでも水分を保持する効果が見られた。さら

に、糖鎖高分子にヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などの多糖類を組み合わせた系では、

飛躍的な水分保湿効果が得られた。この効果は、糖鎖高分子に疎水性残基を導入した系ほ

ど、効果的であった。従って、糖鎖高分子に疎水性共重合体を導入することは、肌との相

互作用を高め、肌にアンカリングすることにより、多糖類を安定に肌上に留めることが出

来るためだと考えられる。この効果は、1 時間後でも認められた。

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6.豚皮膚水分浸透試験

各上記ポリマー水溶液に、トリパンブルー溶液をごく少量加えて試験液とした。豚皮を

準備し、3cm角にカットしておいた。上記水溶液を30μl ずつ豚皮表面にアプライし、

所定時間放置した。所定時間後、各試験部をデジタルカメラにて撮影比較した。各時間後

の測定結果を図2、3に示す。

水を塗布したときの図と比較しても、各溶液は、皮膚となじみやすい傾向が見られた。

特に、糖鎖含有ポリマーのみでも皮膚に浸透しやすい傾向が見られたが、疎水性部を導入

したポリマーは、その効果が顕著であった。

さらに、糖鎖高分子にヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などの多糖類を組み合わせた

系では、飛躍的な皮膚浸透性が得られた。この効果は、糖鎖高分子に疎水性残基を導入し

た系ほど、効果的であった。従って、糖鎖高分子に疎水性共重合体を導入することは、肌

との相互作用を高め、肌にアンカリングすることにより、多糖類を安定に肌上に留めるこ

とが出来るためだと考えられる。

この効果は、1 時間後でも認められた。また、水のみの系は 1 時間でも皮膚浸透が遅く、

水分が浮き上がっており、これら糖鎖ポリマーの水分皮膚浸透作用は非常に効果的であっ

た。

15分後

1 2 3 4 5 6

7 8 9 10 11 12

1 : 0.1%ヒアルロン酸溶液

2 : 0.1%コンドロイチン溶液

3 : 0.1% P(VLA-co-VBCH) 9:1 溶液

4 : 0.1%ヒアルロン酸および

0.1% P(VLA-co-VBCH) 9:1混合溶液

5 : 0.1%コンドロイチンおよび

0.1% P(VLA-co-VBCH) 9:1混合溶液

6 : コントロール(水のみ)

図-1 豚皮上での皮膚浸透・水分保持試験 15分後

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7 : 0.1% PVLA

8 : 0.1% P(VLA-co-VAL) 9:1 溶液

9 : 0.1%ヒアルロン酸および

0.1% P(VLA-co-VAL) 9:1混合溶液

10 : 0.1%コンドロイチンおよび

0.1% P(VLA-co-VAL) 9:1混合溶液

11 : 0.1% PVLA および

0.1%ヒアルロン酸混合溶液

12 : 0.1% PVLA および

0.1%コンドロイチン混合溶液


30分後

1 2 3 4 5 6

7 8 9 10 11 12

1 : 0.1%ヒアルロン酸溶液

2 : 0.1%コンドロイチン溶液

3 : 0.1% P(VLA-co-VBCH) 9:1 溶液

4 : 0.1%ヒアルロン酸および

0.1% P(VLA-co-VBCH) 9:1混合溶液

5 : 0.1%コンドロイチンおよび

0.1% P(VLA-co-VBCH) 9:1混合溶液

6 : コントロール(水のみ)

図-2 豚皮上での皮膚浸透・水分保持試験 30分後

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7 : 0.1% PVLA

8 : 0.1% P(VLA-co-VAL) 9:1 溶液

9 : 0.1%ヒアルロン酸および

0.1% P(VLA-co-VAL) 9:1混合溶液

10 : 0.1%コンドロイチンおよび

0.1% P(VLA-co-VAL) 9:1混合溶液

11 : 0.1% PVLA および

0.1%ヒアルロン酸混合溶液

12 : 0.1% PVLA および

0.1%コンドロイチン混合溶液

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