平成24年度外部研究評価報告書[pdf] - 労働安全衛生総合研究所

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平成24年度外部研究評価報告書[pdf] - 労働安全衛生総合研究所

平 成 24 年 度 外 部 研 究 評 価 報 告 書

平 成 25 年 3 月

独 立 行 政 法 人 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所


目 次

Ⅰ はじめに .............................................................................................................................................. 1

Ⅱ 独 立 行 政 法 人 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所 外 部 評 価 規 程 ................................................................... 2

Ⅲ 外 部 評 価 委 員 名 簿 .............................................................................................................................. 6

Ⅳ 外 部 評 価 委 員 会 .................................................................................................................................. 7

Ⅴ 研 究 課 題 一 覧 ...................................................................................................................................... 9

Ⅵ 評 価 対 象 課 題 の 研 究 概 要 及 び 評 価 結 果 ......................................................................................... 12

1 新 規 課 題 ........................................................................................................................................ 12

1.1 労 働 災 害 防 止 のための 中 小 規 模 事 業 場 向 けリスク 管 理 支 援 方 策 の 開 発 ・ 普 及 ............... 12

1.2 介 護 職 場 における 総 合 的 な 労 働 安 全 衛 生 研 究 ................................................................ 19

1.3 ナノマテリアル 等 の 高 機 能 化 工 業 材 料 を 使 用 する 作 業 環 境 中 粒 子 状 物 質 の 捕

集 ・ 分 析 方 法 ....................................................................................................................... 27

2 終 了 課 題 ........................................................................................................................................ 33

2.1 災 害 復 旧 建 設 工 事 における 労 働 災 害 の 防 止 に 関 する 総 合 的 研 究 ................................ 33

2.2 多 軸 全 身 ・ 多 軸 手 腕 振 動 ばく 露 の 人 体 への 心 理 ・ 生 理 影 響 の 評 価 方 法 に 関 する

研 究 ....................................................................................................................................... 43

2.3 メンタルヘルス 対 策 のための 健 康 職 場 モデルに 関 する 研 究 ........................................ 51

2.4 蓄 積 性 化 学 物 質 のばく 露 による 健 康 影 響 に 関 する 研 究 ................................................ 57

2.5 健 康 障 害 が 懸 念 される 産 業 化 学 物 質 の 毒 性 評 価 に 関 する 研 究 .................................... 63

Ⅶ 総 合 討 論 ............................................................................................................................................ 71


Ⅰ はじめに

研 究 課 題 について 第 三 者 による 評 価 を 実 施 し、その 結 果 を 研 究 業 務 に 反 映 すること

を 目 的 に、 平 成 24 年 度 の 外 部 評 価 委 員 会 を、7 人 の 外 部 評 価 委 員 ( 以 下 「 委 員 」とい

う。)の 御 出 席 の 下 、 平 成 24 年 11 月 28 日 に 開 催 した。 評 価 いただいた 課 題 は、 平 成 25

年 度 を 初 年 度 とする 新 規 プロジェクト 研 究 3 課 題 ( 事 前 評 価 )、ならびに、 平 成 23 年 度 を

最 終 年 度 とするプロジェクト 研 究 4 課 題 とイノベーション25 研 究 ( 政 府 の 長 期 戦 略 指 針

「イノベーション25」に 基 づく 研 究 )1 課 題 ( 事 後 評 価 )の 計 8 課 題 であった。

評 価 の 方 法 については、 例 年 と 同 様 、 研 究 課 題 に 関 する 資 料 を 事 前 に 委 員 に 送 付

して 一 読 していただいた 後 、 評 価 委 員 会 当 日 、 研 究 代 表 者 によるパワーポイント 資 料 に

基 づくプレゼンテーション 及 び 質 疑 応 答 を 行 った 上 で、 後 日 改 めて 資 料 を 精 査 いただき

採 点 及 びコメントを 提 出 いただいた。このうち、 事 後 評 価 の 対 象 である 5 課 題 について

は、 各 研 究 課 題 の 成 果 を 一 冊 にまとめた「 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所 特 別 研 究 報 告 」

(JNIOSH-SRR-No.42)を 基 礎 資 料 として 評 価 いただいたが、 紙 面 の 都 合 から、 本 報 告

書 には 各 研 究 課 題 の 概 要 部 分 のみを 掲 載 している。JNIOSH-SRR-No.42 の 全 文 は 当

研 究 所 のホームページにて 公 表 しているので、 御 関 心 のある 方 におかれては、 各 課 題

の 成 果 の 詳 細 についても 御 一 読 いただければ 幸 いである。

一 方 、 各 研 究 課 題 に 対 する 評 価 については、 採 点 結 果 とともに、 委 員 より 頂 いた 指

摘 事 項 のすべてとそれらに 対 する 研 究 担 当 者 の 対 応 を 示 している。 特 に、 事 前 評 価 の

対 象 となった 新 規 プロジェクト 研 究 3 課 題 については、 必 要 に 応 じて 研 究 計 画 に 修 正

を 加 えるとともに、 当 研 究 所 の 内 部 評 価 委 員 会 で 更 に 精 査 し、ブラッシュアップを 図 った

ところである。 本 報 告 書 ではこれらのプロセスの 全 部 を 詳 細 にご 紹 介 はできないが、 当

研 究 所 ではこのような 流 れで 研 究 計 画 の 検 証 と 進 捗 管 理 を 行 っていることに 対 し、ご 理

解 をいただければ 幸 いである。

評 価 対 象 課 題 が 多 く、また、その 研 究 分 野 も 多 岐 にわたることから、 委 員 の 先 生 方 に

は、 大 変 なご 苦 労 をおかけしたが、「 国 の 研 究 開 発 に 関 する 大 綱 的 指 針 」( 平 成 20 年

10 月 3 日 内 閣 総 理 大 臣 決 定 )において 評 価 者 の 責 務 とされている「 公 平 ・ 公 正 で 厳 正

な 評 価 」 及 び「 適 切 な 助 言 」を 十 二 分 に 果 たしていただいた。この 場 を 借 りて 改 めて 御

礼 申 し 上 げるとともに、 御 指 摘 や 御 助 言 を 踏 まえて 調 査 研 究 の 前 進 や 質 の 向 上 に 活 か

していくなど、 研 究 主 体 としての 責 務 を 果 たしていくことで、 御 恩 に 報 いたいと 考 えている。

平 成 25 年 3 月

独 立 行 政 法 人 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所

理 事 長 前 田 豊

1


Ⅱ 独 立 行 政 法 人 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所 外 部 評 価 規 程

( 総 則 )

第 1 条 独 立 行 政 法 人 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所 ( 以 下 「 研 究 所 」という。)は、 社 会 的 ・ 行 政 的 ニーズ 等 に

対 応 した 労 働 安 全 衛 生 研 究 活 動 の 効 率 化 及 び 活 性 化 を 図 り、 研 究 所 の 研 究 能 力 を 最 大 限 に 発

揮 して 優 れた 研 究 成 果 を 創 出 するため、 研 究 課 題 等 に 係 る 研 究 所 役 職 員 による 評 価 ( 以 下 「 内 部

評 価 」という。) の 客 観 性 、 公 正 性 及 び 信 頼 性 の 確 保 及 び 評 価 の 透 明 性 と 有 効 性 を 高 めることを

目 的 とする 第 三 者 による 評 価 ( 以 下 「 外 部 評 価 」という。)を 実 施 する。

2 外 部 評 価 は、「 国 の 研 究 開 発 評 価 に 関 する 大 綱 的 指 針 」( 平 成 20 年 10 月 31 日 内 閣 総 理 大 臣 決

定 )に 沿 って 行 うものとする。

( 外 部 評 価 委 員 会 )

第 2 条 外 部 評 価 は、 研 究 所 の 各 研 究 グループの 研 究 分 野 における 有 識 者 等 15 人 以 下 で 構 成 される 外

部 評 価 委 員 会 ( 以 下 「 委 員 会 」という。) において 実 施 する。

2 委 員 会 の 委 員 は、 研 究 所 理 事 長 ( 以 下 「 理 事 長 」という。) が 委 嘱 する。

3 委 員 の 任 期 は2 年 とする。

4 委 員 会 に 委 員 長 をおく。 委 員 長 は、 委 員 の 互 選 により 選 任 する。

( 委 員 会 の 会 議 の 開 催 )

第 3 条 理 事 長 は、 研 究 課 題 評 価 を 行 うため、 原 則 として 年 度 ごとに1 回 以 上 委 員 会 の 会 議 ( 以 下 「 会 議 」

という。))を 開 催 する。ただし、 次 条 第 1 項 の「 理 事 長 が 特 に 必 要 と 認 めた 場 合 」については、 別 途

書 面 のみによる 評 価 を 求 めることできる。

2 理 事 長 は、 会 議 の 開 催 に 当 たり 必 要 と 認 める 者 の 出 席 を 求 めることができる。

3 委 員 長 は、 会 議 の 議 長 を 務 める。ただし、 評 価 の 対 象 となる 研 究 課 題 に 応 じ、 委 員 長 があらかじ

め 指 名 する 者 に 議 長 の 職 務 を 行 わせることができる。

( 研 究 課 題 評 価 )

第 4 条 研 究 課 題 評 価 は、プロジェクト 研 究 (GOHNET 研 究 を 含 む。)について 事 前 評 価 、 事 後 評 価 及

び 中 間 評 価 ( 実 施 期 間 が5 年 以 上 の 研 究 の 場 合 に 限 り3 年 目 を 目 途 に 中 間 評 価 を 実 施 する)を 行 う。

2 理 事 長 が 特 に 必 要 と 認 めた 場 合 は、プロジェクト 研 究 について 追 跡 評 価 ( 研 究 終 了 時 から 一 定

期 間 経 過 後 に、 研 究 の 直 接 の 成 果 (アウトプット) 及 びアウトプットから 生 み 出 された 直 接 的 な 効 果

(アウトカム)、アウトプットによりもたらされた 間 接 的 な 社 会 経 済 的 波 及 効 果 について 評 価 するも

の)を 行 うことができる。

3 理 事 長 が 特 に 必 要 と 認 めた 場 合 は、 基 盤 的 研 究 について 評 価 を 行 うことができる。

4 理 事 長 は、 研 究 課 題 評 価 の 対 象 となる 研 究 の 課 題 ごとに 研 究 の 計 画 及 び 成 果 の 概 要 に 係 る 資

料 を 作 成 し、 委 員 会 に 提 出 する。 資 料 の 書 式 については 別 に 定 める。

5 研 究 課 題 評 価 は、 別 表 に 掲 げる 項 目 について 実 施 する。

( 評 価 結 果 の 公 表 )

第 5 条 委 員 会 における 研 究 課 題 評 価 の 結 果 は、 報 告 書 としてとりまとめ、 公 表 する。

2


( 事 務 局 )

第 6 条

( 補 則 )

第 7 条

委 員 会 の 事 務 局 は、 研 究 企 画 調 整 部 におく。

この 規 程 に 定 めるもののほか、 外 部 評 価 の 実 施 に 関 し 必 要 な 事 項 は、 理 事 長 が 定 める。

附 則

附 則

附 則

附 則

この 規 程 は、 平 成 20 年 2 月 26 日 から 施 行 する。

この 規 程 は、 平 成 21 年 11 月 1 日 から 施 行 する。

この 規 程 は、 平 成 22 年 4 月 1 日 から 施 行 する。

この 規 程 は、 平 成 23 年 12 月 1 日 から 施 行 する。

3


別 表

1. 事 前 評 価

下 表 の 各 項 目 について、 次 に 示 す5 段 階 評 価 により 評 価 する。5 点 ( 優 れている)、4 点 (やや 優 れている)、

3 点 ( 水 準 ( 妥 当 な)レベル)、2 点 (やや 劣 っている)、1 点 ( 劣 っている)

評 価 項 目

評 価 内 容

1 目 標 設 定 労 働 現 場 ニーズ、 行 政 ニーズを 踏 まえ、 労 働 災 害 、 職 業 性 疾 病 の

予 防 等 に 貢 献 する 目 標 設 定 となっているか。 具 体 的 かつ 明 確 に 達

成 目 標 が 示 されているか。(プロジェクト 研 究 にあっては 中 期 計 画 と

の 整 合 性 がとれているか。)

2 研 究 計 画 研 究 目 標 が 達 成 できる 適 切 な 計 画 (スケジュール、 人 員 体 制 、 予 算 )

となっているか。 当 研 究 所 で 研 究 を 実 施 する 必 要 性 ・ 意 義 が 認 めら

れるか。( 他 の 研 究 機 関 、 大 学 等 との 重 複 がないか。)

3 研 究 成 果 の 活 用 ・ 公 表 行 政 施 策 、 労 働 安 全 衛 生 関 係 法 令 ・ 規 格 、ガイドライン、 特 許 等 に

反 映 させる 等 、 得 られた 研 究 成 果 を 社 会 へ 還 元 する 計 画 があるか、

又 は 可 能 性 があるか。 学 術 誌 、 研 究 所 刊 行 物 ・ 国 内 外 の 学 術 会 議

等 における 公 表 ・ 研 究 所 のホームページ 等 情 報 メディアによる 公 表

を 行 う 計 画 は 適 切 か。

4 学 術 的 視 点 独 創 性 、 新 規 性 があるか。 学 術 的 に 意 義 のある 成 果 が 達 成 される 可

能 性 があるか。

5 その 他 の 評 価 上 記 1~4 以 外 の 評 価 内 容 ( 学 際 的 視 点 、 費 用 対 効 果 、 研 究 テーマ

のチャレンジ 性 、 期 待 されるアウトカム、 波 及 効 果 など)について 評

価 する。

2. 中 間 評 価 及 び 事 後 評 価

下 表 の 各 項 目 について、 次 に 示 す5 段 階 評 価 により 評 価 する。5 点 ( 優 れている)、4 点 (やや 優 れている)、

3 点 ( 水 準 ( 妥 当 な)レベル)、2 点 (やや 劣 っている)、1 点 ( 劣 っている)

評 価 項 目

評 価 内 容

1 目 標 達 成 度 研 究 目 標 が 計 画 どおりに 達 成 されているか。 研 究 経 費 が 適 切 に 執

行 されているか。

2 行 政 的 ・ 社 会 的 貢 献 度 労 働 災 害 、 職 業 性 疾 病 の 予 防 等 に 貢 献 する 成 果 が 得 られ、 行 政 施

策 、 労 働 安 全 衛 生 関 係 法 令 ・ 規 格 、ガイドライン、 特 許 ・ 実 用 新 案 等

に 反 映 されたか、 又 はその 予 定 ・ 可 能 性 はあるか。

3 研 究 成 果 の 公 表 学 術 誌 、 研 究 所 刊 行 物 ・ 国 内 外 の 学 術 会 議 での 公 表 、 研 究 所 の

ホームページ 等 情 報 メディアによる 公 表 を 適 切 に 行 っているか。

4 学 術 的 貢 献 度 独 創 性 ・ 新 規 性 ・ 新 技 術 創 出 の 観 点 からみて、 研 究 成 果 の 学 術 的

意 義 が 認 められるか。

5 その 他 の 評 価 上 記 1~4 以 外 の 評 価 内 容 ( 学 際 的 視 点 、 費 用 対 効 果 、 研 究 テーマ

のチャレンジ 性 、 期 待 されるアウトカム、 波 及 効 果 など)について 評

価 する。

4


3. 備 考

基 盤 的 研 究 について 評 価 を 行 うときは、 評 価 項 目 の「その 他 の 評 価 」の 評 価 内 容 としてプロジェクト 研 究 へ

の 発 展 性 についても 考 慮 するものとする。

5


Ⅲ 外 部 評 価 委 員 名 簿

委 員 長 中 村 昌 允 東 京 農 工 大 学 工 学 府 産 業 技 術 専 攻 教 授

委 員 安 達 洋 日 本 大 学 理 工 学 部 海 洋 建 築 学 科 特 任 教 授

委 員 上 野 満 雄 全 日 本 自 治 団 体 労 働 組 合 安 全 衛 生 対 策 室 顧 問 医

委 員 岡 野 一 雄 職 業 能 力 開 発 総 合 大 学 校 電 気 システム 工 学 科 教 授

委 員 川 上 憲 人 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 教 授

委 員 小 泉 昭 夫 京 都 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 教 授

委 員 佐 藤 研 二 東 邦 大 学 理 学 部 生 命 圏 環 境 科 学 科 教 授

委 員 栃 原 裕 九 州 大 学 大 学 院 芸 術 工 学 院 教 授

委 員 藤 田 俊 弘 IDEC 株 式 会 社 常 務 執 行 役 員 技 術 戦 略 本 部 長

委 員 保 利 一 産 業 医 科 大 学 産 業 保 健 学 部 教 授

委 員 松 原 雅 昭 群 馬 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 教 授

委 員 眞 野 芳 樹 早 稲 田 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科 教 授

委 員 横 山 和 仁 順 天 堂 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 教 授

6


Ⅳ 外 部 評 価 委 員 会

1 日 時 : 平 成 24 年 11 月 28 日 ( 水 ) 13:00~16:30

2 場 所 : 女 性 就 業 支 援 センター・ 第 1 セミナー 室

3 出 席 者

(1) 外 部 評 価 委 員 ( 出 席 及 び 審 査 :7 名 、 書 面 審 査 :6 名 )

(2) 研 究 所

前 田 理 事 長 、 小 川 理 事 、 高 橋 理 事

浅 田 監 事 (オブザーバー)

黒 谷 研 究 企 画 調 整 部 長 、 甲 田 研 究 企 画 調 整 部 首 席

豊 澤 安 全 研 究 領 域 長 、 宮 川 健 康 研 究 領 域 長 、 管 野 環 境 研 究 領 域 長

(3) 厚 生 労 働 省

安 全 衛 生 部 計 画 課 徳 田 調 査 官 (オブザーバー)

(4) 事 務 局

齋 藤 ( 剛 ) 主 任 、 外 山 上 席 、 中 島 企 画 専 門 員 ( 書 記 )

4 議 事

(1) 開 会

(2) 理 事 長 挨 拶

(3) 委 員 長 の 選 任

(4) 研 究 課 題 評 価

ア) 事 前 評 価

事 前 -1 労 働 災 害 防 止 のための 中 小 規 模 事 業 場 向 けリスク 管 理 支 援 方 策 の 開 発 ・ 普 及

( 高 木 )

事 前 -2 介 護 職 場 における 総 合 的 な 労 働 安 全 衛 生 研 究

( 岩 切 )

事 前 -3 ナノマテリアル 等 の 高 機 能 化 工 業 材 料 を 使 用 する 作 業 環 境 中 粒 子 状 物 質 の 捕 集 ・ 分 析 方 法

の 研 究

( 鷹 屋 )

イ) 事 後 評 価

事 後 -1 災 害 復 旧 建 設 工 事 における 労 働 災 害 の 防 止 に 関 する 総 合 的 研 究

( 高 梨 )

事 後 -2 多 軸 全 身 ・ 多 軸 手 腕 振 動 ばく 露 の 人 体 への 心 理 ・ 生 理 影 響 の 評 価 方 法 に 関 する 研 究

( 柴 田 )

事 後 -3 メンタルヘルス 対 策 のための 健 康 職 場 モデルに 関 する 研 究

( 原 谷 )

事 後 -4

蓄 積 性 化 学 物 質 のばく 露 による 健 康 影 響 に 関 する 研 究

( 高 橋 )

7


事 後 -5 健 康 障 害 が 懸 念 される 産 業 化 学 物 質 の 毒 性 評 価 に 関 する 研 究

ウ) 総 合 討 論

(5) 閉 会

( 王 )

8


Ⅴ 研 究 課 題 一 覧

1 プロジェクト 研 究

研 究 期 間

課 題 開 始 終 了

番 号 年 度 年 度

新 規 課 題

研 究 課 題 名 代 表 者 分 担 ・ 共 同 研 究 者

P-1 25 28 労 働 災 害 防 止 のための 中 小 規

模 事 業 場 向 けリスク 管 理 支 援 方

策 の 開 発 ・ 普 及

P-2 25 27 介 護 職 場 における 総 合 的 な 労

働 安 全 衛 生 研 究

P-3 25 27 ナノマテリアル 等 の 高 機 能 化 工

業 材 料 を 使 用 する 作 業 環 境 中

粒 子 状 物 質 の 捕 集 ・ 分 析 方 法

の 研 究

継 続 課 題

P-4 20 24 第 三 次 産 業 で 使 用 される 機 械

設 備 の 基 本 安 全 技 術 に 関 する

研 究

P-5 22 24 初 期 放 電 の 検 出 による 静 電 気

火 災 ・ 災 害 の 予 防 技 術 に 関 する

研 究

P-6 22 24 勤 務 時 間 制 の 多 様 化 等 の 健 康

影 響 に 関 する 研 究

P-7 22 24 オフィス 環 境 に 存 在 する 化 学 物

質 等 の 有 害 性 因 子 の 健 康 影 響

評 価 に 関 する 研 究

P-8 23 25 従 来 材 及 び 新 素 材 クレーン 用 ワ

イヤロープの 経 年 損 傷 評 価 と 廃

棄 基 準 合 理 化 への 応 用

P-9 23 26 貯 槽 の 保 守 ,ガス 溶 断 による 解

体 等 の 作 業 での 爆 発 ・ 火 災 ・ 中

毒 災 害 の 防 止 に 関 する 研 究

P-10 23 25 非 電 離 放 射 線 等 による 有 害 作

業 の 抽 出 及 びその 評 価 とばく 露

防 止 に 関 する 研 究

高 木 元 也

岩 切 一 幸

島 田 行 恭 , 板 垣 晴 彦 , 大 塚 輝 人 , 藤 本

康 弘 , 大 西 明 宏 , 高 橋 明 子 , 梅 崎 重

夫 , 清 水 尚 憲 , 伊 藤 和 也 , 土 屋 正 雄

高 橋 正 也 , 外 山 みどり, 劉 欣 欣 , 甲 田

茂 樹 , 岡 部 康 平 , 芳 司 俊 郎 , 齋 藤 剛 ,

池 田 博 康

鷹 屋 光 俊 篠 原 也 寸 志 , 小 野 真 理 子 , 中 村 憲 司 ,

山 田 丸

梅 崎 重 夫

冨 田 一

池 田 博 康 , 清 水 尚 憲 , 齋 藤 剛 , 濱 島 京

子 , 岡 部 康 平 , 呂 健

山 隈 瑞 樹 , 大 澤 敦 , 崔 光 石 , 市 川 紀 充

( 工 学 院 大 ), 最 上 智 史 ( 春 日 電 機 ),

鈴 木 輝 夫 ( 春 日 電 機 )

高 橋 正 也 久 保 智 英 , 劉 欣 欣 , 東 郷 史 治 ( 東 大 ),

田 中 克 俊 ( 北 里 大 ), 島 津 明 人 ( 東

大 ), 久 保 善 子 ( 東 京 慈 恵 会 医 科 大

学 )

澤 田 晋 一

本 田 尚

板 垣 晴 彦

奥 野 勉

齊 藤 宏 之 , 萩 原 正 義 , 岡 龍 雄 , 安 田

彰 典 , 田 井 鉄 男 , 時 澤 健 , 加 部 勇 ,

幸 地 勇 ( 古 河 電 気 工 業 ), 佐 藤 裕 司 ,

瀧 上 知 恵 子 , 土 肥 紘 子 ( 富 士 通 ), 長

埜 康 子 , 村 上 朋 子 , 門 田 美 子 ( 日 本

HP 株 式 会 社 )

佐 々 木 哲 也 , 山 際 謙 太 , 山 口 篤 志

八 島 正 明 , 大 塚 輝 人 , 水 谷 高 彰 , 木 村

新 太 , 菅 野 誠 一 郎 , 鷹 屋 光 俊 , 小 野 真

理 子 , 齊 藤 宏 之

山 口 さち 子 , 原 谷 隆 史 , 井 澤 修 平 , 大

平 明 弘 ( 島 根 大 ), 小 島 正 美 ( 金 沢 医

大 ), 蔵 崎 正 明 ( 北 大 ), 中 西 孝 子 ( 昭

和 大 ), 今 井 信 也 ( 藤 井 寺 市 民 病 院 ),

中 井 敏 晴 ( 国 立 長 寿 医 療 センター),

関 野 正 樹 ( 東 大 )

9


研 究 期 間

課 題 開 始 終 了

番 号 年 度 年 度

研 究 課 題 名 代 表 者 分 担 ・ 共 同 研 究 者

P-11 23 25 発 がん 性 物 質 の 作 業 環 境 管 理

の 低 濃 度 化 に 対 応 可 能 な 分 析

法 の 開 発 に 関 する 研 究

P-12 23 27 建 設 業 における 職 業 コホートの

設 定 と 労 働 者 の 健 康 障 害 に 関

する 追 跡 調 査 研 究

P-13 24 26 建 設 機 械 の 転 倒 及 び 接 触 災 害

の 防 止 に 関 する 研 究

P-14 24 27 墜 落 防 止 対 策 が 困 難 な 箇 所 に

おける 安 全 対 策 に 関 する 研 究

P-15 24 26 労 働 者 の 心 理 社 会 的 ストレスと

抑 うつ 症 状 との 関 連 及 び 対 策 に

関 する 研 究

小 野 真 理 子

佐 々 木 毅

玉 手 聡

日 野 泰 道

原 谷 隆 史

菅 野 誠 一 郎 , 古 瀬 三 也 , 萩 原 正 義

久 保 田 均 , 甲 田 茂 樹 , 柴 田 延 幸 , 中 村

憲 司 , 久 永 直 見 ( 愛 知 教 育 大 ), 柴 田

英 治 ( 愛 知 医 大 ), 毛 利 一 平 ( 労 研 )

吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 清 水 尚

憲 , 梅 崎 重 夫

大 幢 勝 利 , 高 梨 成 次 , 伊 藤 和 也 , 高 橋

弘 樹 , 豊 澤 康 男

倉 林 るみい, 井 澤 修 平 , 土 屋 政 雄

P-16 24 26 金 属 酸 化 物 粒 子 の 健 康 影 響 に

関 する 研 究

終 了 課 題

P-17 21 23 災 害 復 旧 建 設 工 事 における 労

働 災 害 の 防 止 に 関 する 総 合 的

研 究

P-18 21 23 蓄 積 性 化 学 物 質 のばく 露 による

健 康 影 響 に 関 する 研 究

P-19 21 23 メンタルヘルス 対 策 のための 健

康 職 場 モデルに 関 する 研 究

P-20 21 23 健 康 障 害 が 懸 念 される 化 学 物

質 の 毒 性 評 価 に 関 する 研 究

宮 川 宗 之

高 梨 成 次

高 橋 正 也

原 谷 隆 史

王 瑞 生

王 瑞 生 , 須 田 恵 , 三 浦 伸 彦 , 柳 場 由

絵 , 鈴 木 哲 矢 , 小 林 健 一 , 久 保 田 久

代 , 北 條 理 恵 子 , 長 谷 川 也 須 子

伊 藤 和 也 , 大 幢 勝 利 , 日 野 泰 道 , 玉 手

聡 , 高 橋 弘 樹 , 豊 澤 康 男 , 堀 智 仁 , 吉

川 直 孝

王 瑞 生 , 齊 藤 宏 之 , 翁 祖 銓 , 三 浦 伸

彦 , 大 谷 勝 己 , 小 川 康 恭 , 牧 祥 ( 大 阪

大 谷 大 ), 伊 藤 弘 明 ( 順 天 堂 大 ), 牛 僑

( 中 国 ・ 山 西 医 大 ), 千 田 大 ( 国 立 国 際

医 療 センター)

倉 林 るみい, 井 澤 修 平 , 土 屋 政 雄 , 廣

尚 典 ( 産 医 大 ), 池 田 智 子 ( 産 業 医 科

大 ), 島 津 明 人 ( 東 大 ), 北 村 尚 人 ( 帝

京 平 成 大 ), 高 橋 信 雄 (JFE スチー

ル), 福 井 城 次 ( 富 士 通 )

須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 翁 祖 銓 , 北 條 理 恵

子 , 柳 場 由 絵 , Lei GUO

(NCTR/USA), 那 須 民 江 ( 名 大 ), 李

卿 ( 日 本 医 大 )

10


2 旧 イノベーション25 研 究 ( 最 終 年 度 は 基 盤 的 研 究 )

研 究 期 間

課 題 開 始 終 了

番 号 年 度 年 度

終 了 課 題

研 究 課 題 名 代 表 者 分 担 ・ 共 同 研 究 者

I-1 19 23 多 軸 全 身 ・ 多 軸 手 腕 振 動 ばく

露 の 人 体 への 心 理 ・ 生 理 影 響

の 評 価 方 法 に 関 する 研 究

柴 田 延 幸 石 松 一 真 ( 滋 慶 医 療 科 学 大 学 院 大 )

3 GOHNET 研 究

研 究 期 間

課 題 開 始 終 了

番 号 年 度 年 度

継 続 課 題

研 究 課 題 名 代 表 者 分 担 ・ 共 同 研 究 者

G-1 19 24 作 業 温 熱 ストレスの 労 働 生 理

学 的 評 価 と 予 防 対 策 技 術 の 研


G-2 20 24 ヘルスケアワーカー 及 びその

他 の 労 働 者 の 職 業 性 健 康 障 害

澤 田 晋 一 上 野 哲 , 田 井 鉄 男 , 岡 龍 雄 , 安 田 彰

典 , 呂 健 , 時 澤 健 , 井 田 浩 文 ( 東 京

電 力 ), 中 山 和 美 ( 東 京 電 力 ), 下 田

朋 彦 ( 東 京 電 力 ) 三 宅 康 史 ( 昭 和

大 ), 神 田 潤 ( 昭 和 大 ), 萩 原 祥 弘

( 昭 和 大 ), 樫 村 洋 次 郎 ( 昭 和 大 )

高 橋 正 也 岩 切 一 幸 , 久 保 智 英 ,Derek R.

Smith (オーストラリア・ニュー

キャッスル 大 学 )

11


Ⅵ 評 価 対 象 課 題 の 研 究 概 要 及 び 評 価 結 果

1 新 規 課 題

1.1 労 働 災 害 防 止 のための 中 小 規 模 事 業 場 向 けリスク 管 理 支 援 方 策 の 開 発 ・ 普 及

( 平 成 25 年 度 ~ 平 成 28 年 度 )

(1) 研 究 の 背 景 等

ア. 社 会 的 背 景 ・ 行 政 的 要 請

本 研 究 の 社 会 的 背 景 として、 中 小 規 模 事 業 場 の 労 働 災 害 が 頻 発 している 点 が 挙 げられる。 休 業 4 日 以

上 の 死 傷 者 数 ( 平 成 22 年 、 全 産 業 )をみると、 労 働 者 数 50 人 未 満 の 事 業 場 で 全 体 の 3 分 の 2 近 くの 災 害

が 発 生 し、 労 働 者 数 1~9 人 規 模 の 事 業 場 の 死 傷 災 害 年 千 人 率 は 300 人 以 上 の 規 模 の 事 業 場 の 1.57 倍

にも 及 んでいる( 製 造 業 では 5 倍 強 )。また、 研 究 代 表 者 が 行 った 中 小 企 業 を 対 象 とした 安 全 活 動 実 態 調

査 では、 化 学 プロセス 産 業 、 小 売 業 等 では、 中 災 防 等 災 害 防 止 団 体 から 労 働 災 害 防 止 関 連 情 報 を 収 集 す

る 割 合 は 低 い、 加 盟 している 業 界 団 体 の 多 くは 労 働 災 害 防 止 支 援 活 動 を 行 っていないなど、 外 部 からの 情

報 収 集 が 極 めて 少 ない。リスクアセスメントについても、 中 小 規 模 事 業 場 では「どのように 進 めればよいのか

分 からない」、「 時 間 的 、コスト 的 にも 余 裕 が 無 い」などの 理 由 から 実 効 性 のあるリスクアセスメントが 実 施 され

ているとは 言 い 難 いところも 数 多 く 見 受 けられる。

一 方 、 中 小 規 模 事 業 場 の 安 全 確 保 は、 厚 生 労 働 省 「 第 11 次 労 働 災 害 防 止 計 画 」において、リスクアセス

メント 推 進 、 安 全 衛 生 管 理 対 策 強 化 等 の 面 で 重 要 とされ、また、 今 後 10 年 のわが 国 労 働 安 全 衛 生 分 野 の

優 先 研 究 課 題 を 示 した 労 働 安 全 衛 生 重 点 研 究 推 進 協 議 会 「 労 働 安 全 衛 生 研 究 重 点 領 域 ・ 優 先 課 題 」にお

いても「 中 小 企 業 ・ 自 営 業 におけるリスク 管 理 の 推 進 」が 掲 げられているなど、 行 政 的 要 請 が 極 めて 高 い 研

究 テーマである。

イ.テーマに 関 連 した 研 究 の 現 状

中 小 規 模 事 業 場 の 労 働 災 害 防 止 に 関 する 取 組 は、これまで 災 害 防 止 団 体 で 主 体 的 に 行 われ 多 くの 成

果 が 見 受 けられるものの、 未 だ 多 くの 課 題 が 残 されている。 例 えば、 中 小 規 模 事 業 場 に 対 し、 実 効 性 のある

リスクアセスメント 手 法 、 労 働 安 全 衛 生 マネジメントシステムの 普 及 、 高 年 齢 労 働 者 の 安 全 確 保 策 、ヒューマ

ンエラー 対 策 、 職 長 ・ 作 業 者 の 安 全 水 準 ・ 安 全 意 識 向 上 方 策 等 においては、 更 なる 幅 広 い 支 援 方 策 が 必

要 である。 当 研 究 所 は、 実 験 等 により 独 自 に 研 究 開 発 できる 強 みを 最 大 限 活 かし、 産 業 界 等 との 連 携 を 強

化 し、 主 体 的 かつ 総 合 的 に 研 究 を 推 進 することが 求 められている。

また、 労 働 局 、 労 働 基 準 監 督 署 では、 中 小 規 模 事 業 場 に 対 し 効 果 的 な 指 導 ができるような 情 報 提 供 を 求

めていることから、これら 行 政 機 関 との 連 携 を 一 層 強 化 し、 現 場 最 前 線 の 真 のニーズに 基 づく 研 究 成 果 を 出

すことも 重 要 であり、このことは 行 政 ミッション 型 である 当 研 究 所 にとって 非 常 に 意 義 の 高 いものである。

既 往 の 類 似 研 究 について、 中 小 規 模 事 業 場 の 安 全 確 保 を 主 対 象 とした 研 究 は 少 なく、さらに、 本 研 究 で

は 現 場 ニーズの 把 握 、 研 究 成 果 の 検 証 ・ 改 良 、 研 究 成 果 の 普 及 促 進 等 を 目 的 に、 中 小 企 業 データベース

の 整 備 等 により 中 小 企 業 から 研 究 協 力 を 受 けられる 体 制 を 構 築 して 進 める。このような 研 究 方 法 は 他 に 見

受 けられない。

12


ウ. 当 該 研 究 の 基 となる 代 表 者 及 び 共 同 研 究 者 の 主 要 な 成 果

【 査 読 論 文 】

1) 高 木 : 中 小 建 設 業 者 のリスク 適 正 評 価 支 援 のための 各 種 作 業 等 別 労 働 災 害 データ 分 析 , 労 働

安 全 衛 生 研 究 ,Vol.3,No.1 (2010),pp17-25,2010 年

2) 島 田 他 :Reference Model for Safety Conscious Production Management in Chemical Processes,

13th International Symposium on Loss Prevention and Safety Promotion in the Process Industries,

2010 年

3) 大 西 他 : 階 段 を 降 りる 時 の 踵 軌 跡 の 特 徴 にもとづいた 安 全 な 階 段 寸 法 の 評 価 , 設 計 工 学 ,

47(7),316-320,2012 年

【 著 書 】

1) 高 木 : 建 設 現 場 のリスク 適 正 評 価 ガイド【 重 篤 度 評 価 編 】, 労 働 調 査 会 ,2009 年

2) 梅 崎 , 清 水 , 濱 島 , 高 木 , 島 田 他 ,よくわかる! 管 理 ・ 監 督 者 のための 安 全 管 理 技 術 ― 管

理 と 技 術 のココがポイント―( 実 践 編 ), 日 科 技 漣 ,2011 年

【 研 究 報 告 書 等 】

1) 島 田 : 生 産 業 務 と 安 全 管 理 業 務 との 協 調 による 労 働 安 全 衛 生 マネジメントの 推 進 , 労 働 安 全

衛 生 総 合 研 究 所 技 術 資 料 ,JNIOSH-TD-No.1,2011 年

2) 高 木 , 島 田 他 : 災 害 多 発 分 野 におけるリスクマネジメント 技 術 の 高 度 化 と 実 用 化 に 関 する

研 究 , 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所 特 別 研 究 報 告 ,JNIOSH-SRR-No.41,2011 年

3) 大 西 他 : 厚 生 労 働 科 学 研 究 費 補 助 金 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 事 業 , 加 齢 に 伴 う 心 身 機 能 の 変

化 と 労 働 災 害 リスクに 関 する 研 究 平 成 21~22 年 度 総 合 研 究 報 告 書 ,2011 年

(2) 研 究 の 概 要 等

ア. 研 究 期 間 内 で 行 う 研 究 の 概 要

中 小 規 模 事 業 場 の 労 働 災 害 防 止 を 研 究 テーマに、これまでの 当 研 究 所 での 研 究 成 果 の 蓄 積 を 十 分 活

用 できる 建 設 業 、 化 学 プロセス 産 業 、 小 売 業 を 対 象 に 労 働 災 害 防 止 促 進 方 策 の 開 発 ・ 普 及 を 行 う( 中 小 企

業 研 究 協 力 体 制 の 構 築 、 産 業 横 断 的 研 究 の 推 進 )。

研 究 の 推 進 に 当 たり、 労 働 局 ・ 労 働 基 準 監 督 署 との 連 携 を 強 化 し 事 業 場 指 導 ニーズ 等 を 把 握 する。また、

中 小 企 業 から 研 究 協 力 を 受 けられる 体 制 を 構 築 し、 中 小 規 模 事 業 場 のニーズを 把 握 するとともに、 研 究 成

果 の 検 証 ・ 改 良 及 び 普 及 促 進 等 を 行 う。 構 築 方 法 は 信 用 調 査 会 社 保 有 のデータベース 等 を 活 用 し、 建 設

産 業 は 一 般 土 木 建 築 5000 社 ( 当 該 業 種 全 体 の 約 3%)、 工 務 店 5000 社 ( 同 約 9%)、 化 学 プロセス 産 業

約 5000 社 ( 同 約 60%)、 小 売 業 約 2500 社 ( 同 約 50%)を 対 象 に、 研 究 協 力 を 受 けられる 中 小 企 業 のデー

タベース 整 備 等 を 行 う。また、 業 界 団 体 、 学 会 との 連 携 、さらに、 建 設 産 業 では 公 共 工 事 発 注 者 との 連 携 も

図 る。

この 他 、 高 年 齢 労 働 者 の 安 全 確 保 策 の 研 究 等 、これら 3 つの 産 業 の 横 断 的 研 究 を 推 進 する。

【サブテーマの 詳 細 】

サブテーマ1: 頻 発 労 働 災 害 防 止 のための 中 小 建 設 業 者 支 援 方 策 の 開 発 ・ 普 及

これまで、 建 設 現 場 のリスク 適 正 評 価 支 援 策 、 作 業 者 教 育 ツール 等 を 構 築 してきたが、これらの 研 究 成 果

等 を 基 に、 建 設 現 場 で 繰 り 返 し 発 生 する 労 働 災 害 を 防 止 するための 中 小 建 設 業 者 支 援 方 策 の 開 発 を 行 う。

具 体 的 には、これまでの 調 査 で 中 小 建 設 業 者 のニーズが 非 常 に 高 かった 作 業 者 等 の 教 育 を 取 り 上 げ、 雇

入 時 教 育 、 職 長 教 育 、 危 険 予 知 訓 練 等 を 候 補 に、IT 技 術 や 映 像 等 を 活 用 した 安 全 教 材 (Web 教 育 等 )、

安 全 教 育 システムを 開 発 する。 工 学 的 な 対 策 を 講 じることが 難 しい 作 業 状 況 下 では、 作 業 者 に 安 全 ルール

等 を 遵 守 させる 必 要 があるが、そのために 教 育 ・ 訓 練 による 能 力 向 上 を 図 るとともに、 安 全 意 識 向 上 に 係 る

13


態 度 変 容 を 促 す 教 材 の 開 発 を 目 指 す。 開 発 に 当 たっては、 建 設 産 業 団 体 、 公 共 工 事 発 注 者 等 との 連 携 に

より、 実 効 性 の 高 いものを 生 み 出 すとともに、その 普 及 促 進 を 図 る。

サブテーマ2: 化 学 プロセス 産 業 の 中 小 規 模 事 業 場 におけるリスク 管 理 方 策 の 普 及 のための 研 究

平 成 18 年 に 施 行 された 労 働 安 全 衛 生 法 ではリスクアセスメントの 実 施 を 推 奨 しているが、 特 に 中 小 規 模

事 業 場 では、ほとんど 実 施 されていないのが 現 状 である。 本 研 究 では、 中 小 規 模 化 学 プロセス 産 業 を 対 象

として、まず、リスク 管 理 の 実 施 を 阻 害 している 要 因 について、 災 害 調 査 事 例 分 析 や 現 場 担 当 者 との 意 見 交

換 などを 通 じてリスクアセスメントを 実 施 する 現 場 の 視 点 で 実 態 を 調 査 する。 実 態 調 査 を 基 に、リスク 管 理 手

法 の 提 案 や、リスクアセスメントを 支 援 するツールや 情 報 提 供 などの 環 境 を 整 備 する。さらに、 現 場 の 安 全 管

理 活 動 を 推 進 するための 方 策 について 検 討 する。 成 果 はガイドラインや 指 針 などで 公 表 するだけでなく、 研

修 会 やセミナーなどを 通 して 現 場 の 作 業 者 にも 直 接 理 解 してもらえる 方 法 を 提 供 する。 加 えて、 実 際 の 作 業

現 場 でリスクアセスメントの 実 施 を 一 緒 に 検 討 できるような、 中 小 規 模 事 業 場 でのサポート 環 境 の 構 築 を 検

討 する。

サブテーマ3: 小 売 業 における 転 倒 災 害 防 止 支 援 策 の 検 討 と 普 及

平 成 17 年 から 現 在 に 至 るまで 転 倒 災 害 はワースト 災 害 のままであり、 労 働 災 害 全 体 に 占 める 割 合 は 増

加 の 一 途 である。 特 徴 の 一 つとして 小 売 業 等 、 第 三 次 産 業 で 多 発 していることが 報 告 されている。そこで 本

研 究 では、 小 売 業 を 対 象 に、 産 業 特 性 を 考 慮 した 作 業 方 法 ・ 環 境 のあり 方 、 転 倒 リスクの 低 減 が 期 待 できる

方 策 ( 適 した 耐 滑 性 を 有 する 作 業 靴 使 用 の 推 奨 等 )について 検 討 する。 具 体 的 には 中 小 事 業 場 を 対 象 とし

た 現 場 調 査 により 転 倒 防 止 に 役 立 つ 好 事 例 、 問 題 点 を 反 映 する 転 倒 防 止 に 特 化 したチェックリストを 作 成

する。また、 滑 りによる 転 倒 災 害 に 効 果 的 な 耐 滑 靴 の 使 用 実 態 を 調 査 し、その 上 で 作 業 内 容 に 対 応 した 耐

滑 性 能 を 有 する 作 業 靴 選 定 ツールを 作 成 する。これらについてはサブテーマ1、2と 連 携 しながら 現 場 適 用

の 検 証 を 重 ね、リーフレットや 映 像 教 材 として 取 りまとめ、 業 界 団 体 や 事 業 場 等 に 向 けて 情 報 発 信 する。

【 年 度 ごとの 研 究 費 ( 概 算 )】

1 年 目 25,600 千 円

2 年 目 24,100 千 円

3 年 目 30,000 千 円

4 年 目 26,250 千 円

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【 研 究 期 間 全 体 を 通 してのフローチャート】

H25 年 度 H26 年 度 H27 年 度 H28 年 度

全 体

( 中 小 企 業 研 究 協 力 体

制 構 築 ・ 活 用 、 産 業 横

断 的 研 究 )

労 働 基 準 監 督 署 等 に 対 する 指 導 ニーズ 調 査 、 研 究 成 果 の 情 報 提 供

中 小 企 業 研 究 協 力 体 制 構 築

研 究 成 果 の 検 証 、 改 良 、 普 及

高 年 齢 労 働 者 の 安 全 確 保 策 に 関 する 産 業 横 断 的 研 究

サブテーマ1

( 建 設 産 業 )

サブテーマ2

( 化 学 プロセス 産 業 )

サブテーマ3

( 小 売 業 )











調


IT 技 術 ・ 映 像 等 活 用 による 安 全

教 材 ・ 安 全 教 育 システム 開 発

・リスクアセスメントの 進 め 方

・SQDC 工 程 管 理 表 の 作 成 ・ 活 用

・ 転 倒 リスクチェックリスト

・ 作 業 靴 選 定 ツール 開 発

開 発 物 の 検 証 ・ 改 良 ・ 普 及

・ 手 法 、ツール 応 用 展 開 ・ 普 及

・ 工 程 管 理 表 の 事 例 検 証 と 普 及

・ツール 有 効 性 の 現 場 検 証

・ 映 像 教 材 リーフレット 作 成

イ. 期 待 される 研 究 成 果

1) 労 働 局 、 労 働 基 準 監 督 署 への 中 小 規 模 事 業 場 指 導 に 資 する 情 報 提 供

2) 中 小 建 設 業 者 に 対 する 作 業 者 等 の 安 全 教 材 、 安 全 教 育 システムの 提 供 ・ 普 及

3) 化 学 プロセス 産 業 におけるリスク 管 理 のガイドラインの 提 供 ・ 普 及

4) 小 売 業 における 転 倒 防 止 対 策 用 チェックリスト・ 教 材 の 提 供 ・ 普 及

(3) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 設 定

3.69

研 究 計 画

3.23

研 究 成 果 の 活 用 ・ 公 表

3.62

学 術 的 視 点

3.08

その 他 の 評 価

総 合 ( 平 均 )

3.23

3.37

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) 目 標 が 明 解 で 成 果 が 期 待 できる。しかし、 計 画 がいまだ 不 明 瞭 な 点 が 多 く、それに 伴 い 予 算 立

ても 少 しずさんさが 感 じられる。

(B 委 員 ) 期 待 される 成 果 が「 情 報 の 提 供 」や「 普 及 」となっていますが、 具 体 的 な 内 容 が 読 み 取 れません。

期 待 される 研 究 成 果 は、この 研 究 の 目 的 の 意 義 になるわけですから、 具 体 的 に 記 述 することを 検 討 し

15


て 下 さい。

(C 委 員 ) サブテーマ 1 の 教 育 用 コンテンツ 作 成 の 際 に、 何 らかの 新 たな 統 一 的 な 方 針 、 視 点 などを 意 識

的 に 組 み 入 れなければ 内 容 が 単 にこれまでの 各 種 教 育 用 試 料 の 寄 せ 集 め、 焼 き 直 しで 終 わってしまう

懸 念 がある。ニーズの 調 査 の 段 階 で 従 来 の 各 種 教 材 において 不 足 していたと 思 える 要 素 を 十 分 抽 出 、

分 析 してその 後 の 研 究 を 進 めていただきたい。

(D 委 員 ) 1リスクアセスメントは、 中 小 企 業 だけでなく、 大 企 業 でもうまく 進 展 していないのが 実 情 である。

中 小 企 業 とすれば、ターゲットが 広 くなりすぎて、 研 究 が 散 漫 になる。 2 第 3 次 産 業 は、ターゲットを

絞 った 方 がよい。 3 間 口 を 広 くするよりも、ターゲットを 絞 って、 企 業 が 使 うガイドラインとなるものを 期

待 。 企 業 が 困 っているのは、 危 険 源 の 見 出 しとリスクの 受 入 評 価 である。

(E 委 員 ) 研 究 課 題 に「 普 及 」という 文 字 が 掲 げられている 以 上 、 何 らかの 形 で 具 体 的 な 普 及 が 図 られねば

研 究 目 標 を 達 成 したことにはならないということを 強 く 認 識 して 研 究 を 進 めて 欲 しい。

(F 委 員 ) 重 要 な 研 究 課 題 である。しかしサブテーマ 1 については 教 育 が 主 体 となっており、 従 来 の 手 法 に

比 べて 飛 躍 的 な 展 開 が 見 込 めるとは 思 われない。サブテーマ 2 は 実 態 調 査 から 開 始 という 計 画 であり

具 体 策 は 現 時 点 ではない。サブテーマ 3 は 靴 に 注 目 しており、その 対 策 は 限 定 的 である。 全 体 として、

中 小 規 模 事 業 場 の 労 働 災 害 防 止 にどの 程 度 役 立 つか 不 透 明 である。

(G 委 員 ) 焦 点 が 定 まらず 総 花 的 。 外 部 委 託 の 費 用 が 多 く、 外 部 への 依 存 度 が 高 い。 民 間 のシンクタンクと

の 違 いが 出 てきていない。 是 非 、1) 行 政 施 への 貢 献 、2)National Center としての 質 の 高 い 研 究 を 目

指 してほしい。

(H 委 員 ) より 具 体 的 な 提 案 が 必 要 となろう。

(I 委 員 ) 1 中 小 規 模 事 業 場 の 労 働 災 害 が 多 いのは 事 実 であり、 中 小 規 模 事 業 者 向 けのリスク 管 理 支 援 は

重 要 であると 考 えられるが、この 研 究 の 対 象 になっている 事 業 場 はどこまでの 規 模 を 対 象 とするのか?

スライドの 2 枚 目 には 50 人 未 満 の 事 業 場 の 労 働 災 害 が 全 体 の 2/3 近 く 発 生 とあるので、50 人 未 満 を

対 象 としているように 思 われるが、 補 足 資 料 p.6 のスライド 12 では、 化 学 工 業 (100~299 人 )、 化 学 工

業 (1~99 人 )の 災 害 を 25% 削 減 となっており、300 人 規 模 までを 対 象 としているようでもある。 産 業 医

や 安 全 管 理 者 等 の 選 任 義 務 があるのは 50 人 以 上 であり、50 人 以 上 と 未 満 で 安 全 衛 生 管 理 体 制 が 異

なるので、リスク 管 理 支 援 方 策 の 開 発 ・ 普 及 に 当 たっては、 単 に 中 小 規 模 事 業 場 という 括 りだけではな

く、 事 業 規 模 による 管 理 体 制 の 違 いも 考 慮 して 検 討 する 必 要 があると 考 える。 2「 中 小 企 業 」、「 労 働

災 害 防 止 」をキーワードにするのであれば、 特 に 化 学 物 質 を 扱 う 事 業 場 では 安 全 だけではなく、 労 働

衛 生 も 重 要 であると 考 えられるが、この 研 究 では 衛 生 面 についての 取 組 は 考 えていないのか? 3 総

額 1 億 円 を 超 える 高 額 の 研 究 費 となっているので、それにふさわしい 成 果 を 上 げていただきたい。

(J 委 員 ) 労 働 現 場 ・ 行 政 ニーズの 根 拠 をもう 少 し 詳 しく 示 していただきたい。 研 究 対 象 と 方 法 の 根 拠 である。

また、 経 済 的 効 果 (Cost-Benefit)の 分 析 を 加 えるべきであろう。サブテーマ 間 の 関 連 が 不 明 。

(K 委 員 ) 中 小 規 模 事 業 場 の 作 業 者 安 全 教 育 に 展 開 できるシステムの 構 築 に 期 待 する。

(L 委 員 ) 現 場 の 安 全 確 保 に 効 果 があるとして 法 制 化 が 順 次 進 められている、リスクアセスメントについても

中 小 企 業 への 普 及 は、いまだ 緒 についた 所 で、 今 後 が 重 要 な 時 期 と 感 じられる。 長 期 に 渡 るテーマの

場 合 、 今 後 は 最 終 年 度 で 明 確 な 効 果 測 定 まで 持 っていけるようにテーマ 設 定 し、より 効 果 的 に 普 及 促

進 に 役 立 つものに 推 進 して 頂 きたい。

(M 委 員 ) 前 回 の 研 究 を 更 に 発 展 させた 研 究 である。 日 本 経 済 における 中 小 企 業 の 役 割 の 大 きさの 割 に、

労 働 安 全 への 取 り 組 みが 十 分 になされていない 現 状 を 少 しでも 改 善 する 研 究 であり、 国 の 研 究 機 関 で

行 う 価 値 がある。

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(4) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

御 多 忙 の 中 、 本 研 究 を 評 価 いただき 厚 く 御 礼 申 し 上 げます。

多 くの 委 員 の 先 生 方 からは、 目 標 が 明 確 で 期 待 できる(A 委 員 )、 重 要 な 研 究 課 題 である(F 委 員 )、 日 本

経 済 における 中 小 企 業 の 役 割 の 大 きさの 割 に 労 働 安 全 への 取 組 が 十 分 になされていない 現 状 を 改 善 する

研 究 であり、 国 の 研 究 機 関 で 行 う 価 値 がある(M 委 員 )など、 本 研 究 を 高 く 評 価 いただきました。

一 方 、 研 究 計 画 等 について 課 題 も 指 摘 されました。 予 算 面 では、 精 査 が 十 分 でない(A 委 員 )、 外 部 委 託

費 が 多 い(G 委 員 ) 等 の 指 摘 がありました。この 指 摘 を 受 け、 初 年 度 の 研 究 予 算 は 見 直 しを 行 い 約 15% 縮

減 しました。また、 外 部 委 託 費 は、 中 小 企 業 データベース 整 備 の 対 象 企 業 数 が 17、500 社 と 非 常 に 多 いた

め 膨 らんでしまっています。ただ、 対 象 企 業 数 は、 減 らすと 研 究 に 支 障 をきたすおそれがあるためこのままと

し、 委 託 業 者 選 定 の 段 階 で、 競 争 入 札 の 採 用 等 により 可 能 な 限 りコストダウンに 努 めます。

研 究 成 果 の 具 体 性 が 十 分 でないとの 指 摘 がありましたが(B 委 員 、I 委 員 、H 委 員 )、サブテーマ 1 の 研

究 成 果 は、IT 技 術 を 活 用 した 作 業 者 教 育 システム(タブレット PC 等 を 用 いた 危 険 要 因 知 覚 教 育 システム、

映 像 等 の 教 材 を 用 いた Web 教 育 システム 等 )、サブテーマ 2 は、 中 小 企 業 でも 容 易 に 実 施 できるリスクア

セスメント 手 法 及 びそれを 生 産 と 一 体 化 した 安 全 管 理 活 動 に 組 み 入 れた 仕 組 み、サブテーマ 3 は、 小 売 業

を 対 象 とした 転 倒 防 止 用 チェックリスト 及 び 耐 滑 性 能 を 有 する 作 業 靴 選 定 ツール 等 で、 具 体 的 事 項 に 踏 み

込 んだものと 考 えております。

また、 労 働 現 場 、 行 政 ニーズの 根 拠 が 十 分 でないとの 指 摘 がありましたが(J 委 員 )、 中 小 規 模 事 業 場 の

安 全 対 策 が 十 分 でないことは、 厚 生 労 働 省 の 労 働 災 害 防 止 計 画 等 でも 示 されています。 一 方 、サブテーマ

ごとの 労 働 現 場 等 のニーズについては、サブテーマ 1 は、 独 自 に 行 った 中 小 建 設 業 者 を 対 象 としたアン

ケート 調 査 において、 安 全 上 の 課 題 として 最 も 回 答 が 多 かったのが「 作 業 者 教 育 」であり、ニーズは 高 いとい

えます。サブテーマ 2 は、 中 小 企 業 では 導 入 が 十 分 に 進 んでいないリスクアセスメントですが、 建 設 業 など

と 比 べ、 装 置 型 産 業 の 化 学 プロセス 産 業 は 導 入 を 進 めやすく、 中 小 企 業 でも 容 易 に 実 施 できるものを 構 築

することにより、 導 入 が 飛 躍 的 に 進 む 可 能 性 があります。 一 方 、サブテーマ 3 は、 事 前 に 小 売 業 の 労 働 災 害

データ 分 析 を 行 いましたが、 最 頻 発 災 害 がすべりによる 転 倒 災 害 であり、これらの 労 働 災 害 防 止 ニーズは

高 いと 考 えております。

研 究 成 果 の 経 済 効 果 の 分 析 の 必 要 性 が 指 摘 されましたが(J 委 員 )、 本 研 究 成 果 を 普 及 させることにより、

中 小 企 業 が 個 別 に 進 めるよりも、 効 果 的 ・ 効 率 的 に 事 業 場 の 労 働 災 害 防 止 活 動 を 推 進 できると 考 えます。

また、サブテーマ 間 の 関 連 が 明 確 ではないとの 指 摘 がありましたが(J 委 員 )、サブテーマは 産 業 特 性 に

応 じて 選 定 しているため 関 連 が 薄 くなってしまっています。ただ、 研 究 の 序 盤 で、 本 研 究 に 携 わる 研 究 員 全

員 が 3 つの 産 業 の 中 小 企 業 の 安 全 活 動 実 態 調 査 等 を 担 うことにより、そこでの 議 論 を 通 じ、ある 産 業 の 優

れた 点 を 別 の 産 業 で 採 り 入 れることにより、 産 業 横 断 的 な 研 究 の 促 進 が 期 待 できると 考 えております。

そのほか、 研 究 成 果 の 普 及 活 動 を 積 極 的 に 行 うことも 指 摘 されていますが(E 委 員 、L 委 員 )、 研 究 を 進

める 段 階 で、 産 業 団 体 、 学 会 、 地 方 自 治 体 ( 建 設 工 事 発 注 者 ) 等 、 外 部 機 関 との 連 携 を 図 り、 研 究 成 果 の 効

果 的 な 普 及 促 進 を 図 ります。

I 委 員 からは、 対 象 事 業 場 の 規 模 が 明 確 ではないとの 指 摘 を 受 けましたが、 本 研 究 では、 原 則 50 人 未

満 の 事 業 場 を 対 象 にします。ただし、サブテーマ 2 で 対 象 とする 化 学 プロセス 産 業 では、リスクアセスメント

は 中 小 企 業 だけでなく 大 企 業 でもうまく 進 展 しておらず、 中 小 企 業 に 限 定 する 必 要 がないという D 委 員 の

指 摘 などもあり、300 人 未 満 の 中 小 規 模 事 業 場 を 対 象 とします。また、 労 働 衛 生 分 野 の 研 究 を 実 施 するかど

うかの 質 問 もありましたが、 中 小 規 模 事 業 場 は、 安 全 分 野 だけでも 非 常 に 多 くの 課 題 があるため、 今 回 は 研

17


究 対 象 を 安 全 分 野 に 絞 り 込 むこととしております。

個 別 のサブテーマの 内 容 等 についても 指 摘 がありました。サブテーマ 1 では、 中 小 規 模 事 業 場 の 作 業 者

安 全 教 育 に 展 開 できるシステム 構 築 への 期 待 が 寄 せられましたが(K 委 員 )、 一 方 で、 研 究 テーマが 教 育 で

あると、 従 来 の 手 法 との 差 別 化 、 独 創 性 が 必 要 であるとの 指 摘 がありました(C 委 員 、F 委 員 ) 。この 点 につ

いては、 単 に 教 育 手 法 を 提 案 するのではなく、 教 育 効 果 の 計 測 により、より 高 い 効 果 の 見 込 まれるものを 開

発 すること、 教 育 による 知 識 の 習 得 だけにとどまらず 安 全 意 識 の 向 上 につながるものの 開 発 を 目 指 すこと、

さらには、 大 規 模 な 中 小 企 業 データベースの 整 備 等 により、これまであまり 教 育 を 受 けていなかった 作 業 者

( 所 属 する 企 業 が 労 働 災 害 防 止 団 体 、 業 界 団 体 に 属 していない 等 )も 対 象 に 含 め 教 育 を 行 い、その 教 育 効

果 をみることなど、 独 創 的 な 研 究 を 行 います。

サブテーマ 2 では、リスクアセスメントは 中 小 企 業 に 限 定 する 理 由 が 明 確 でないとの 指 摘 がありましたが

(D 委 員 )、リスクアセスメント 手 法 そのものについては、 大 企 業 、 中 小 企 業 を 問 わず、 実 施 すべき 内 容 は 基

本 的 に 同 じであり、 問 題 は 大 企 業 における 担 当 部 署 制 や 中 小 企 業 に 多 い 請 負 関 係 などによる 業 務 分 担 に

より、 机 上 でのリスクアセスメントとリスク 低 減 措 置 の 検 討 により 得 られたリスク 管 理 情 報 が、 現 場 の 作 業 員 に

伝 わらない 点 であると 考 えます。 本 研 究 では 危 険 源 摘 出 に 漏 れがなく、 危 険 源 の 発 生 確 率 及 び 影 響 を 正 し

く 評 価 できるリスクアセスメント 手 法 と、リスクアセスメントの 結 果 に 基 づく 労 働 災 害 防 止 及 びプロセス 災 害 (プ

ラント 事 故 ) 防 止 のためのリスク 低 減 措 置 の 検 討 方 法 をまとめるとともに、 上 記 リスク 管 理 情 報 共 有 に 関 する

課 題 を 解 決 する 手 法 について 検 討 します。

また、 実 態 調 査 から 始 めるという 研 究 計 画 は 適 切 とはいえないとの 指 摘 もありましたが(F 委 員 )、 既 に 中

堅 化 学 工 場 の 見 学 、 事 業 場 の 安 全 管 理 担 当 者 との 意 見 交 換 などを 通 じて、 化 学 プロセス 産 業 の 現 場 での

課 題 を 整 理 し、 今 回 の 検 討 課 題 としています。これを 基 に、 初 年 度 から、これまでに 明 らかになった 課 題 に

ついて 議 論 を 行 うとともに、その 他 の 様 々な 業 態 の 実 態 調 査 も 行 い、より 現 実 に 即 した 手 法 の 提 案 を 目 指 し

ます。

一 方 、サブテーマ 3 では、 第 3 次 産 業 は 広 範 すぎるのでターゲットを 絞 った 方 がよいとの 指 摘 がありまし

たが(D 委 員 )、ここでは 小 売 業 に 対 象 を 絞 り 研 究 を 行 います。また、すべりによる 転 倒 災 害 だけでは 限 定 的

すぎるとの 指 摘 もありましたが(F 委 員 )、 小 売 業 ではすべりによる 転 倒 災 害 が 最 も 頻 発 しているため、 優 先

順 位 が 最 も 高 いと 考 え、 研 究 対 象 を 絞 り 込 んでいます。

18


1.2 介 護 職 場 における 総 合 的 な 労 働 安 全 衛 生 研 究

( 平 成 25 年 度 ~ 平 成 27 年 度 )

(1) 研 究 の 背 景 等

ア. 社 会 的 背 景 ・ 行 政 的 要 請

超 高 齢 社 会 に 突 入 したわが 国 では、 急 速 な 高 齢 化 に 伴 い 介 護 を 必 要 とする 者 ( 要 介 護 者 )の 数 が 急 増 し

ている。 厚 生 労 働 省 の「 介 護 労 働 者 の 確 保 ・ 定 着 等 に 関 する 研 究 会 」 資 料 (2008)によると、 要 介 護 者 数 は

2014 年 に 約 600 万 人 ~640 万 人 になると 予 想 され、その 介 護 に 従 事 する 介 護 労 働 者 ( 介 護 者 ) 数 は 約 138

万 人 ~156 万 人 必 要 になると 推 定 されている。 最 新 の 厚 生 労 働 省 資 料 ( 介 護 サービス 施 設 ・ 事 業 所 調 査 、

介 護 保 険 事 業 状 況 報 告 )によると、2010 年 の 要 介 護 者 数 は 505.9 万 人 、 介 護 者 数 は 133.4 万 人 となってい

る( 下 図 )。 要 介 護 者 数 は 年 間 約 20 万 人 近 く 増 えているが、 介 護 者 数 は 伸 び 悩 んでおり、2010 年 にはつい

に 減 少 に 転 じた。 介 護 職 場 では、 現 時 点 でさえ 十 分 な 介 護 者 数 を 確 保 できていない。これらのことから、 今

後 、 介 護 者 不 足 が 更 に 深 刻 化 していくと 思 われる。

図 要 介 護 者 数 と 介 護 者 数 の 推 移

財 団 法 人 介 護 労 働 安 定 センターの 調 査 (2007)によると、 介 護 者 の 1 年 間 の 離 職 率 は 約 20%(2011 年 :

17.8%)に 達 し、そのうち 勤 務 年 数 が 3 年 未 満 の 者 は 約 80%を 占 めていた。また、 厚 生 労 働 省 の「 社 会 福

祉 事 業 に 従 事 する 者 の 確 保 を 図 るための 措 置 に 関 する 基 本 的 な 指 針 」(2007)によると、2005 年 までに 介

護 福 祉 士 の 資 格 を 取 得 した 約 47 万 人 のうち、 全 体 の 約 43%に 相 当 する 約 20 万 人 が 介 護 労 働 に 従 事 して

いない。つまり、 介 護 職 場 ではなかなか 人 員 を 確 保 できない 上 に、 介 護 者 が 職 に 就 いてはすぐに 辞 め、そ

の 後 介 護 職 に 戻 って 来 ない 状 況 になっている。

この 原 因 には、 作 業 負 担 の 大 きさや 労 働 環 境 の 不 備 などがあげられる。 厚 生 労 働 省 の「 職 場 における 腰

痛 発 生 状 況 の 分 析 について」(2008)によると、 特 別 養 護 老 人 ホームなどを 含 む 社 会 福 祉 施 設 では、 腰 痛 発

生 件 数 が 多 く、その 数 は 腰 痛 多 発 業 種 である 保 健 衛 生 業 の 中 でも 697 件 中 407 件 を 占 めていた。また、 介

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護 者 を 対 象 にした 種 々の 調 査 研 究 においても、 介 護 労 働 における 腰 痛 の 有 訴 率 は 高 いことが 報 告 されて

いる(Fujimura,1995; 住 田 ,2001; 大 阪 府 立 公 衆 衛 生 研 究 所 ,2002; 冨 岡 と 松 永 ,2007; 他 多 数 )。

これらの 対 策 としては、 厚 生 労 働 省 の「 職 場 における 腰 痛 予 防 対 策 指 針 」(1994)が 基 本 に 考 えられる。こ

の 指 針 は、 具 体 的 な 対 策 がわかりにくい 点 はあるが、 腰 痛 予 防 対 策 を 考 える 上 で 有 用 な 資 料 となる。しかし、

我 々の 調 査 (2007)によると、 同 指 針 の 内 容 を 知 っている 高 齢 者 介 護 施 設 の 管 理 者 (n=50)は 28.0%、 介 護

者 (n=1146)は 4.7% のみであった。また、 労 働 基 準 法 や 労 働 安 全 衛 生 法 を 知 る 者 も 少 なく、 介 護 職 場 では、

労 働 安 全 衛 生 に 対 する 組 織 的 な 取 組 や 作 業 負 担 の 少 ない 介 護 方 法 なども 適 切 に 整 備 されていない。この

ようなことから、 介 護 者 及 び 管 理 者 に 安 全 衛 生 活 動 を 周 知 ・ 徹 底 させることが、 介 護 者 にとって 働 きやすい

環 境 をつくり、 介 護 者 の 確 保 にもつながると 考 えられる。

また、 介 護 者 の 作 業 負 担 を 軽 減 する 具 体 的 な 対 策 としては、 介 護 福 祉 機 器 の 活 用 が 挙 げられる。 近 年 、

わが 国 でも 介 護 福 祉 機 器 の 普 及 が 進 められているが、 機 器 使 用 に 伴 う 災 害 が 発 生 しており、これらの 安 全

性 や 利 便 性 を 考 慮 する 必 要 がある。

以 上 のことから、 本 研 究 では、 労 働 安 全 衛 生 に 係 るリスクを 減 らし、 専 門 性 を 持 った 人 材 が 働 き 続 けられ

る 労 働 環 境 を 実 現 すべく、 高 齢 者 介 護 施 設 での 安 全 衛 生 の 活 動 や 管 理 状 況 、 機 器 の 安 全 性 などを 調 査 し、

安 全 衛 生 活 動 と 介 護 者 の 作 業 負 担 や 満 足 度 などとの 関 係 を 明 らかにする。その 結 果 をもとに、 各 職 場 にお

いて 安 全 衛 生 活 動 の 改 善 点 を 明 確 にするためのチェックリスト 形 式 の 評 価 表 を 作 成 し、それに 基 づく 改 善

対 策 を 職 場 に 提 案 していく。また、 介 護 福 祉 機 器 の 使 用 に 伴 う 災 害 の 防 止 対 策 を 検 討 し、 技 術 指 針 原 案 な

どを 提 案 する。そして、 介 護 職 場 への 介 入 により、これらの 提 案 が 安 全 衛 生 活 動 などに 及 ぼす 影 響 につい

て 検 証 していく。

イ. テーマに 関 連 した 研 究 の 現 状

本 研 究 は、 二 つのテーマ(サブテーマ1、2)から 構 成 する。サブテーマ1は、 介 護 施 設 における 安 全 衛 生

活 動 の 評 価 と 改 善 策 の 提 案 、サブテーマ2は、 入 浴 介 助 機 器 のリスク 分 析 に 基 づく 安 全 防 護 の 適 用 とする。

各 テーマの 詳 細 を 以 下 に 記 す。

1. 介 護 施 設 における 安 全 衛 生 活 動 の 評 価 と 改 善 策 の 提 案

労 働 安 全 衛 生 に 関 する 介 護 作 業 の 改 善 マニュアルやチェックリストは、これまでにいくつか 出 されている。

厚 生 労 働 省 ・ 中 央 労 働 災 害 防 止 協 会 の「 介 護 作 業 者 の 腰 痛 対 策 チェックリスト」(2008)は、リスクアセスメン

トの 手 法 を 踏 まえて、 腰 痛 を 発 生 させる 直 接 的 又 は 間 接 的 なリスクを 見 つけ 出 すことを 目 的 に 作 成 された。

さらに、 同 チェックリストではリスク 低 減 対 策 のための 優 先 度 を 決 定 し、 対 策 例 をもとに 改 善 策 を 考 えていくよ

うになっている。また、 同 省 ・ 同 協 会 の「 社 会 福 祉 施 設 における 安 全 衛 生 対 策 マニュアル」(2009)は、 高 齢

者 介 護 施 設 、 障 害 者 施 設 、 保 育 施 設 を 対 象 に、 施 設 における 安 全 衛 生 水 準 の 向 上 と 労 働 災 害 の 減 少 を 図

るために、 腰 痛 対 策 と 危 険 予 知 活 動 の 実 施 促 進 に 必 要 な 資 料 として 作 成 された。さらに、 同 省 ・ 同 協 会 の

「 介 護 業 務 で 働 く 人 のための 腰 痛 予 防 のポイントとエクササイズ」(2010)は、 腰 痛 を 引 き 起 こす 具 体 的 な 作

業 態 様 に 着 目 し、 種 々の 観 点 からの 腰 痛 対 策 ポイントと 職 場 で 簡 単 にできるストレッチングや 運 動 を 紹 介 し

ている。2008 年 のチェックリストの 作 成 には 研 究 代 表 者 の 岩 切 が、2009 年 のマニュアルと 2010 年 の 腰 痛 予

防 ポイント&エクササイズの 作 成 には 岩 切 と 協 同 研 究 者 である 甲 田 が 委 員 として 参 加 している。

この 他 、 財 団 法 人 テクノエイド 協 会 の「リフトリーダー 養 成 研 修 テキスト」(2009)は、 腰 痛 予 防 に 有 用 な 介

護 福 祉 機 器 の 導 入 ・ 使 用 を 促 進 する 責 任 者 を 養 成 することを 目 的 に 作 成 されている。 当 研 究 所 の「 介 護 者

のための 腰 痛 予 防 マニュアル~ 安 全 な 移 乗 のために~」(2007)は、 介 護 福 祉 機 器 の 使 用 と 勤 務 体 制 の 見

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直 しを 中 心 とした 腰 痛 予 防 対 策 の 資 料 として 作 成 されている。

これらのマニュアルやチェックリストは、 労 働 安 全 衛 生 に 関 する 個 々の 対 策 として 有 用 である。しかし、 高

齢 者 介 護 施 設 では、 要 介 護 者 の 要 介 護 度 、 認 知 症 の 程 度 、 麻 痺 の 有 無 、 介 護 者 の 人 数 、 技 術 、 意 識 、 介

護 機 器 の 有 無 、 施 設 の 広 さや 間 取 りなどが 多 様 なことから、 各 施 設 で 抱 える 労 働 安 全 衛 生 上 の 問 題 は 大 き

く 異 なる。さらに、 介 護 者 及 び 管 理 者 の 労 働 安 全 衛 生 に 関 する 知 識 や 改 善 意 識 は 低 い。このようなことから、

個 々の 対 策 があっても、 自 分 たちの 職 場 では 何 が 問 題 で、どのような 対 策 を 講 じなければならないのか 十 分

に 整 理 できていない。

日 本 産 業 衛 生 学 会 では、 産 業 保 健 活 動 状 況 を 事 業 場 単 位 で 評 価 し、 改 善 の 行 動 を 起 こす 契 機 にするた

めの「 産 業 保 健 活 動 評 価 表 」(2003)を 作 成 している。この 評 価 表 では、 産 業 保 健 活 動 に 関 する 50 項 目 に

ついて「 改 善 が 必 要 」、「 改 善 余 地 あり」、「 改 善 は 不 要 」、「 該 当 せず」にチェックし、 事 業 場 にて 不 足 ・ 欠 落 し

ている 活 動 を 明 確 にする。さらに、 明 らかになった 問 題 点 は 優 先 項 目 を 決 め、 具 体 的 な 改 善 策 を 検 討 して

いくことになっている。このような 点 から、 産 業 保 健 活 動 評 価 表 は 安 全 衛 生 活 動 を 評 価 するのに 有 用 と 思 わ

れる。しかし、 汎 用 性 を 考 慮 して 作 成 されているためか、 介 護 作 業 にはそのまま 使 用 しづらい。また、 介 護 作

業 では、 重 点 的 に 取 り 組 むべき 安 全 衛 生 活 動 が、 一 般 的 な 作 業 と 異 なる 可 能 性 もある。

以 上 のことから、 本 研 究 では、 高 齢 者 介 護 施 設 における 労 働 衛 生 活 動 の 実 態 と 介 護 労 働 者 の 負 担 ・ 満 足

度 などとの 関 係 を 明 らかにすることを 目 的 に、 適 正 なサンプリングに 基 づいた 全 国 規 模 のアンケート 調 査 を

実 施 する。そして、アンケート 調 査 及 び 介 入 研 究 の 結 果 を 基 に、 安 全 衛 生 活 動 の 改 善 点 を 明 確 にするため

の 評 価 表 と 改 善 策 を 提 案 する。

2. 入 浴 介 助 機 器 のリスク 分 析 に 基 づく 安 全 防 護 の 適 用

現 在 、 介 護 職 場 では「 職 場 における 腰 痛 予 防 対 策 指 針 」(1994)などに 従 って、 介 護 作 業 の 自 動 化 、 省 力

化 や 適 切 な 補 助 機 器 等 の 導 入 が 推 奨 されている。 特 に、 浴 室 の 介 護 作 業 は、 車 いすやストレッチャーから

の 移 乗 や 浴 槽 内 の 入 出 浴 などの 負 荷 の 高 い 作 業 を 高 温 多 湿 の 環 境 下 で 実 施 しなくてはならないため、 介

助 福 祉 機 器 の 導 入 が 他 の 介 護 作 業 環 境 よりは 比 較 的 進 んでいる。 例 えば、 浴 槽 内 入 出 浴 は 専 用 いすや 専

用 ストレッチャーに 要 介 護 者 を 乗 せたまま 行 うため、 人 力 だけでは 困 難 な 作 業 であり、 動 力 付 きの 昇 降 ある

いは 移 動 機 構 が 導 入 されている。しかし、これらの 機 器 の 高 出 力 化 ・ 自 動 化 が 進 展 する 一 方 、 要 介 護 者 の

みならず 機 器 操 作 者 である 介 護 者 にとっても 危 険 性 は 高 まることになり、 実 際 に 使 用 されているこれらの 機

器 に 挟 まれたり 巻 き 込 まれたりする 災 害 が 懸 念 される。さらに、 浴 室 という 環 境 であるため、 滑 りによる 転 倒 や

衝 突 、 感 電 等 の 危 険 性 も 考 慮 しなくてはならず、 入 浴 介 助 機 器 自 体 とその 使 用 によって 生 じるリスクを 把 握 、

分 析 した 上 で、 最 適 な 安 全 防 護 が 施 される 必 要 がある。

このような 入 浴 介 助 機 器 に 関 する 安 全 規 格 や 基 準 は 現 在 制 定 されておらず、 機 器 メーカーが 独 自 あるい

は 他 社 仕 様 を 参 考 にして 機 器 の 安 全 設 計 を 行 っている 状 況 にある。そこで、 入 浴 介 助 機 器 であっても、 一

般 の 機 械 設 備 と 同 様 に、リスクアセスメントを 実 施 して 合 理 的 で 効 果 的 な 安 全 設 計 を 実 施 すべきであり、 特

に、 人 間 を 扱 うという 機 械 である 以 上 、 一 般 の 産 業 用 機 械 よりも 慎 重 に 検 討 されねばならない。 当 研 究 所 で

は、 一 般 工 作 機 械 等 のリスクアセスメントとリスク 低 減 方 策 の 研 究 を 実 施 した 経 験 があり、その 知 見 に 基 づけ

ば、 現 状 の 入 浴 介 助 機 器 は 安 全 防 護 の 点 で 必 ずしも 十 分 な 対 策 がとられているとは 言 えない。また、これら

の 機 器 の 中 には、ロボットアームに 類 似 した 機 構 を 有 する 機 器 もあるため、 人 間 と 共 存 する 柵 で 囲 われない

ロボットとみなすこともでき、 従 来 の 産 業 用 ロボット 以 上 の 安 全 性 を 確 保 しなければならない。このような 機 器

に 対 する 方 策 は、 現 在 、 当 研 究 所 が 独 立 行 政 法 人 新 エネルギー・ 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 (NEDO)から 受

諾 して 実 施 している「 生 活 支 援 ロボットの 安 全 性 評 価 手 法 の 開 発 に 関 する 研 究 」(2009~2013)などの 成 果 も

21


活 用 できると 考 えられる。

以 上 の 点 を 踏 まえ、 本 研 究 では、 浴 室 で 使 用 する 入 浴 介 助 機 器 を 対 象 として、これらの 機 器 による 挟 ま

れ・ 巻 き 込 まれ 等 の 災 害 を 防 止 するため、リスクアセスメントとその 結 果 に 基 づく 安 全 防 護 の 適 用 を 図 ることと

する。

(2) 研 究 の 概 要 等

ア. 研 究 期 間 内 で 行 う 研 究 の 概 要

【サブテーマの 詳 細 】

サブテーマ1: 介 護 施 設 における 安 全 衛 生 活 動 の 評 価 と 改 善 策 の 提 案

サブテーマ1では、(1) 高 齢 者 介 護 施 設 の 安 全 衛 生 活 動 調 査 、(2) 安 全 衛 生 活 動 の 評 価 項 目 ・ 改 善 策 の

検 討 、 評 価 票 ・ 改 善 策 案 の 作 成 、(3) 介 入 研 究 による 評 価 ・ 検 証 、(4) 安 全 衛 生 活 動 評 価 票 と 改 善 策 の 提 案

を 実 施 する。

(1) 高 齢 者 介 護 施 設 の 安 全 衛 生 活 動 調 査 (1~2 年 目 )

初 年 度 は、 全 国 の 高 齢 者 介 護 施 設 から 無 作 為 抽 出 した 1000 施 設 (×5 名 )、 介 護 者 約 5000 名 を 対 象

にしたアンケート 調 査 を 実 施 する。 調 査 票 は、 施 設 用 と 介 護 者 用 を 作 成 する。 施 設 用 調 査 票 では 安 全 衛

生 活 動 、 施 設 規 模 、 休 業 ・ 離 職 者 数 などを 調 査 し、 介 護 者 用 調 査 票 では 参 加 している 安 全 衛 生 活 動 、 作

業 負 担 、 満 足 度 などを 調 査 する。 得 られた 調 査 結 果 からは、 安 全 衛 生 活 動 と 介 護 者 の 作 業 負 担 や 満 足

度 などとの 関 係 を 明 らかにする。 調 査 票 の 回 収 率 が 低 い 場 合 には、 二 年 目 前 半 に 追 加 調 査 をする。

(2) 安 全 衛 生 活 動 の 評 価 項 目 ・ 改 善 策 の 検 討 、 評 価 表 ・ 改 善 策 案 の 作 成 (2 年 目 )

2 年 目 前 半 には、 調 査 結 果 より、 介 護 者 の 負 担 軽 減 に 有 用 な 安 全 衛 生 活 動 を 明 らかにし、 改 善 策 を 検

討 する。そして、チェックリスト 形 式 の 評 価 票 案 と 具 体 的 な 改 善 策 案 を 作 成 する。

(3) 介 入 研 究 による 評 価 ・ 検 証 (2~3 年 目 )

2 年 目 の 後 半 から 最 終 年 度 にかけては、 介 入 研 究 を 実 施 して、 評 価 表 ・ 改 善 策 案 の 妥 当 性 を 評 価 ・ 検

証 する。 介 入 研 究 の 対 象 施 設 は、 非 介 入 施 設 と 比 較 検 討 する。

(4) 安 全 衛 生 活 動 評 価 票 と 改 善 策 の 提 案 (3 年 目 )

以 上 の 結 果 をもとに、 評 価 表 ・ 改 善 策 案 を 加 筆 ・ 修 正 し、 最 終 的 な 安 全 衛 生 活 動 評 価 票 と 改 善 策 を 提

案 する。

サブテーマ2: 入 浴 介 助 機 器 のリスク 分 析 に 基 づく 安 全 防 護 の 適 用

(1) 入 浴 介 助 機 器 のリスク 分 析 と 作 業 分 析 (1 年 目 )

介 護 施 設 で 使 用 されている 入 浴 介 助 機 器 の 仕 様 を 現 場 調 査 し、 機 器 の 危 険 部 位 やリスクを 分 析 して、

安 全 性 を 評 価 する。この 評 価 は、サブテーマ 1 の 調 査 結 果 から 主 にヒューマンエラーに 関 する 要 因 等 を

取 得 して 行 う。その 評 価 結 果 をもとに、 適 用 可 能 な 安 全 装 置 の 選 定 と 安 全 要 件 を 検 討 する。

(2) 入 浴 介 助 機 器 の 安 全 防 護 物 の 開 発 (2 年 目 )

初 年 度 に 選 定 した 安 全 装 置 を 入 浴 介 助 機 器 に 装 備 するための 詳 細 仕 様 を 検 討 し、 新 規 開 発 あるいは

既 存 保 護 装 置 等 の 改 良 を 行 う。ここでは、リスクが 特 に 高 いと 想 定 される 挟 まれや 巻 き 込 まれの 危 険 源 に

対 処 するための 方 策 を 主 な 検 証 対 象 とし、 実 用 的 な 人 体 の 接 触 検 知 手 段 を 開 発 してその 性 能 を 検 証 す

る。また、その 開 発 手 段 に 基 づくインタロック 機 能 の 基 本 的 な 性 能 も 検 討 する。

(3) 実 機 検 証 と 技 術 指 針 原 案 等 の 提 案 (3 年 目 )

開 発 した 安 全 装 置 を 介 護 施 設 の 入 浴 介 助 機 器 又 は 代 替 品 に 実 装 し、 安 全 性 能 や 耐 久 性 等 を 確 認 す

22


るとともに、サブテーマ 1 の 解 析 結 果 を 参 考 にして 有 用 性 の 改 善 を 行 う。 得 られた 結 果 から 必 要 な 安 全 要

件 を 確 立 し、この 内 容 をさらに 他 の 類 似 機 器 への 水 平 展 開 を 図 ることで、 入 浴 介 助 機 器 を 中 心 とした 介 助

機 器 に 対 する 工 学 的 な 災 害 防 止 対 策 などに 関 する 技 術 指 針 原 案 又 は 工 業 標 準 規 格 原 案 を 提 案 する。

【 年 度 ごとの 研 究 費 ( 概 算 )】

1 年 目 14,300 千 円

2 年 目 10,000 千 円

3 年 目 6,300 千 円

【 研 究 期 間 全 体 を 通 してのフローチャート】

1 年 目 2 年 目 3 年 目

1. 介 護 施 設 における 安 全 衛 生 活 動 の 評 価 と 改 善 策 の 提 案 (サブテーマ1)

高 齢 者 介 護 施 設 の 安 全 衛 生 活 動 調 査

< 調 査 項 目 >

・ 安 全 衛 生 活 動

・ 作 業 負 担 , 満 足 度

・ 作 業 環 境 , 介 護 機 器 ,など

調 査 データの 解 析

安 全 衛 生 活 動 の 現 状 を 分 析

し,その 活 動 と 作 業 負 担 等 との

関 連 性 を 検 討

安 全 衛 生 活

動 の 評 価 項

目 と 改 善 策

の 検 討

評 価 票 ・

改 善 策 案

の 作 成

介 入 研 究 による 評 価 票 ・

改 善 策 案 の 評 価 ・ 検 証

結 果 の 解 析 と 評 価

票 ・ 改 善 策 案 の 修 正

安 全 衛 生 活 動 評 価

票 ・ 改 善 策 の 提 案

2. 入 浴 介 助 機 器 のリスク 分 析 に 基 づく 安 全 防 護 の 適 用 (サブテーマ2)

入 浴 介 助 機 器 の

リスク 分 析 と 作 業 分 析

入 浴 介 助 機 器 の

安 全 防 護 物 の 開 発

実 機 検 証

技 術 指 針 原

案 等 の 提 案

イ. 期 待 される 研 究 成 果

介 護 職 場 の 安 全 衛 生 活 動 と 介 護 者 の 作 業 負 担 ・ 不 満 との 関 係 を 明 らかにすることで、 高 齢 者 介 護 施 設 に

て 優 先 的 に 進 めるべき 安 全 衛 生 活 動 が 明 確 になる。これにより、 労 働 条 件 や 労 働 環 境 が 改 善 され、 作 業 負

担 や 不 満 の 軽 減 につながり、さらには 離 職 率 の 低 下 につながると 考 えられる。また、 入 浴 介 助 機 器 を 中 心 と

した 介 護 福 祉 機 器 の 安 全 性 に 関 する 技 術 指 針 等 の 原 案 を 提 案 することで、これらの 機 器 の 安 全 設 計 が 容

易 になり、 機 器 の 安 全 性 が 向 上 することが 期 待 される。さらに、 安 全 な 機 器 の 普 及 促 進 に 伴 って 機 器 誤 使 用

などの 危 険 な 使 用 の 改 善 が 期 待 でき、 安 全 な 作 業 環 境 の 構 築 につながっていくと 考 えられる。

23


(3) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 設 定

3.92

研 究 計 画

研 究 成 果 の 活 用 ・ 公 表

3.69

3.69

学 術 的 視 点

3.31

その 他 の 評 価

3.46

総 合 ( 平 均 )

3.62

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) 介 護 という 現 代 社 会 で 最 も 重 要 な 課 題 に 取 り 組 む 姿 勢 に 多 いに 共 感 する。 介 護 職 員 の 労 働 安

全 は 今 後 最 も 大 切 な 課 題 となる。 有 用 な 対 策 を 構 築 することがポイントとなろう。

(B 委 員 ) 介 護 に 関 する 職 場 は、これから 増 加 すると 考 えられます。このような 職 場 では、 緊 急 事 態 等 の 発

生 が 予 測 されますので、 安 全 衛 生 に 関 する 配 慮 が 不 十 分 になりがちです。この 研 究 の 成 果 に 期 待 しま

す。

(C 委 員 ) アンケートでは 介 護 者 と 管 理 者 の 労 働 安 全 衛 生 に 関 する 知 識 、 改 善 意 識 が 低 い 要 因 、 背 景 を 把

握 することも 重 要 と 考 えられる。

(D 委 員 ) 1 介 護 の 現 場 は 人 手 不 足 となっており、 安 全 衛 生 活 動 に 時 間 をさけていない。これを 改 善 する

には、 本 研 究 のように 設 備 面 からの 労 力 軽 減 措 置 が 必 要 である。 介 護 機 器 の 改 良 のニーズは 高 い。

2 介 護 者 の 労 働 安 全 は、 介 護 者 本 人 の 意 識 に 期 待 されている 部 分 が 大 きいが、 給 料 ・ 処 遇 等 のモチ

ベーションが 必 要 である。この 研 究 とは 直 接 関 係 しないが、 間 接 的 には、この 意 識 を 考 慮 しておく 必 要

がある。

(E 委 員 ) 本 研 究 は 介 護 福 祉 機 器 メーカーと 密 接 に 連 携 して 研 究 成 果 が 今 後 の 機 器 開 発 に 反 映 されるよう

に 進 めて 欲 しい。

(F 委 員 ) 労 働 安 全 衛 生 上 見 落 とされがちなハイリスク 職 場 である 介 護 施 設 をとりあげて、 衛 生 、 安 全 両 面

から 総 合 的 にアプローチする 視 点 は 評 価 できる。サブテーマ1のチェックリストの 開 発 は、 全 国 実 態 調

査 とどうつながるのか 明 確 でない 点 が 不 安 材 料 である。

(G 委 員 ) そもそも、 介 護 に 人 材 離 れが 起 こる 原 因 は、3K と 待 遇 が 悪 い 点 が 指 摘 されて 久 しい。その 課 題

に、 正 面 から 取 り 組 まず、マイナーな 安 全 性 や 腰 痛 防 止 に 取 り 組 むのはいかがなものか。 演 者 が 指 摘

したように、 介 護 現 場 では、コスト 削 減 で、 介 護 者 の 労 働 安 全 が 不 十 分 であるなら、その 点 を 社 会 科 学

的 な 視 点 も 入 れて、 介 護 費 用 に 労 働 安 全 のコストも 盛 り 込 むことで、 一 時 的 には 介 護 費 用 は 高 くつくが、

介 護 における 長 期 的 なコスト-パフォーマンスは 向 上 することを 示 すべきである。 現 状 をあまりにも 追

認 する 研 究 で、 行 政 施 策 への 貢 献 が 見 えない。

(H 委 員 ) 現 在 、 対 策 が 求 められている 重 要 な 研 究 分 野 であり、 人 間 工 学 的 な 成 果 が 求 められる。

(I 委 員 ) 1 安 全 と 衛 生 の 両 面 から 介 護 職 場 における 問 題 点 、 改 善 すべき 点 を 提 案 する 課 題 であり、 介 護

職 場 の 現 状 を 考 えると 重 要 なテーマであると 考 えられる。サブテーマ1と2に 分 かれており、 主 に1では

衛 生 面 、2では 安 全 面 が 中 心 であるが、 相 互 の 連 携 を 十 分 にとって 研 究 を 進 めていただきたい。たとえ

ばサブテーマ2の 1 年 目 にヒューマンエラー 分 析 がある。これについては、「サブテーマ1の 調 査 結 果

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より」となっているので、サブテーマ1のアンケート 調 査 結 果 が 出 るまでこの 部 分 の 研 究 は 開 始 できない

ことになるが、サブテーマ1のアンケート 調 査 は 1 年 目 全 体 にかかっているので、タイムスケジュールを

考 えて 円 滑 に 進 むような 計 画 を 立 てる 必 要 があると 考 える。 25000 名 対 象 のアンケート 調 査 ということ

で、これに 多 くの 費 用 がかかるのはわかるが、アンケート 調 査 に 2 年 間 で 1500 万 円 の 費 用 が 本 当 に

必 要 なのか。

(J 委 員 ) 現 場 及 び 行 政 ニーズの 呈 示 が 不 十 分 。すなわち、 研 究 対 象 と 方 法 の 根 拠 である。サブテーマ 間

の 関 連 が 不 明 。

(K 委 員 ) 介 護 職 場 の 総 合 的 安 全 衛 生 対 策 の 情 報 発 信 に 期 待 する。

(L 委 員 ) 高 齢 化 社 会 が 益 々 進 展 する 日 本 にとって、 喫 緊 のテーマであると 思 います。 介 護 をより 安 全 にす

ることは、 介 護 者 と 被 介 護 者 双 方 にとって、 重 要 なテーマであり、 最 近 では、 介 護 用 ロボットの 開 発 も 進

んでいるようなので、 課 題 等 を 共 有 化 し 有 効 なロボットが 開 発 できれば、なお 良 いと 考 えます。

(M 委 員 ) 将 来 の 日 本 の 産 業 構 造 を 支 える 5 つの 柱 の 一 つが、この 医 療 介 護 の 分 野 である、そこで 働 く

人 々の 労 働 安 全 衛 生 に 資 する 研 究 である。

(4) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

本 研 究 を 御 評 価 いただきましたことを 感 謝 申 し 上 げます。 多 くの 委 員 の 先 生 方 には、 本 研 究 の 趣 旨 をご

理 解 いただき、おおむね 高 い 評 価 点 や 肯 定 的 なコメントをいただきました(A 委 員 、B 委 員 、C 委 員 、D 委

員 、H 委 員 、K 委 員 、L 委 員 、M 委 員 )。 本 研 究 のサブテーマ 1 では、 介 護 職 場 において 大 きな 健 康 問 題

となっている 腰 痛 に 着 目 し、 高 齢 者 介 護 施 設 を 対 象 とした 全 国 規 模 の 安 全 衛 生 活 動 調 査 において、 腰 痛

予 防 に 有 用 な 安 全 衛 生 活 動 、 知 識 、 改 善 意 識 やモチベーションなどを 把 握 するとともに、その 背 景 も 探 って

いきたいと 考 えております(C 委 員 、D 委 員 )。また、 全 国 規 模 の 安 全 衛 生 活 動 調 査 結 果 をもとに、 介 護 職 場

で 有 用 な 安 全 衛 生 活 動 を 整 理 し、その 活 動 に 導 くための 現 状 確 認 ・ 改 善 チェックリストを 作 成 し、 具 体 的 な

改 善 方 法 を 提 案 していく 予 定 です(F 委 員 )。

サブテーマ 2 では、 腰 痛 予 防 対 策 として 最 も 有 用 で、 推 進 すべき 安 全 衛 生 活 動 である 介 護 福 祉 機 器 に

着 目 し、 機 器 に 潜 在 する 安 全 上 の 問 題 を 明 らかにするとともに、その 解 決 策 を 提 案 していきたいと 考 えてお

ります(J 委 員 )。また、サブテーマ 1 と 2 では、 相 互 に 連 携 して 調 査 や 開 発 を 進 めていく 予 定 です。 具 体 的

には、サブテーマ 2 では 1 年 目 から 特 定 の 介 護 施 設 において、ヒヤリ・ハットや 事 故 を 把 握 するためのヒアリ

ングや 動 画 撮 影 などの 実 態 調 査 を 行 うとともに、サブテーマ 1 の 安 全 衛 生 活 動 調 査 において 全 体 的 な 実 態

把 握 にも 努 めていきます(I 委 員 、J 委 員 )。サブテーマ 2 で 得 られた 結 果 は、 介 護 福 祉 機 器 メーカーと 連 携

を 図 り、 既 存 保 護 装 置 を 改 良 し、その 装 置 の 安 全 性 能 や 耐 久 性 などの 評 価 を 経 て、 必 要 な 安 全 要 件 を 確

立 したいと 考 えております(E 委 員 )。その 内 容 は、 他 の 類 似 機 械 にも 展 開 できる 技 術 指 針 の 原 案 としてもま

とめていく 予 定 です。また、 介 護 作 業 をサポートする 新 しい 技 術 の 動 向 についても 調 査 し、 必 要 に 応 じて 開

発 メーカーと 技 術 課 題 などの 情 報 共 有 を 図 っていきたいと 考 えております(L 委 員 )。

調 査 費 用 が 多 額 ではないかというご 指 摘 (I 委 員 )については、 調 査 票 の 回 収 率 を 上 げるための 謝 礼 も 含

めて、 複 数 の 業 者 からの 見 積 額 をもとに 今 回 の 予 算 額 を 作 成 しております。 二 年 目 の 追 加 調 査 と 介 入 研 究

の 調 査 規 模 によっては、 予 算 額 が 変 動 する 可 能 性 がありますので、 適 宜 対 応 したいと 考 えております。

現 場 及 び 行 政 ニーズの 呈 示 が 不 十 分 というご 指 摘 (J 委 員 )については、 以 下 の 説 明 を 加 えさせていただ

きます。 現 在 、 介 護 現 場 では、 介 護 者 による 要 介 護 者 の 抱 え 上 げや、 前 傾 ・ 中 腰 などの 不 適 切 な 作 業 姿 勢

が 強 いられることから、 腰 痛 をはじめとした 筋 骨 格 系 障 害 の 訴 えが 多 くなっています。 厚 生 労 働 省 の 業 務 上

疾 病 発 生 状 況 等 調 査 によると、 休 業 4 日 以 上 を 伴 う 主 要 業 種 別 の 業 務 上 腰 痛 発 生 件 数 ( 災 害 性 腰 痛 と 非

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災 害 性 腰 痛 )は、 介 護 者 を 含 む 保 健 衛 生 業 が 最 も 多 く、2011 年 度 は 1338 件 ( 約 6 割 が 介 護 士 、 約 3 割 が

看 護 師 )となっています。これは、2000 年 度 の 521 件 から 考 えると、 約 2.6 倍 の 増 加 になります。 介 護 者 の

労 働 人 口 はこの 期 間 に 約 2.5 倍 増 えており、 腰 痛 が 多 発 する 介 護 職 場 が、 十 分 な 対 策 も 講 じずに 数 を 増 や

しているものと 思 われます。この 問 題 を 厚 生 労 働 省 も 重 く 受 け 止 め、 第 12 次 労 働 災 害 防 止 計 画 に 介 護 者

の 腰 痛 予 防 対 策 の 必 要 性 を 盛 り 込 んでおります。このようなことから、 本 研 究 では 厚 生 労 働 省 と 連 携 し、 介

護 者 の 具 体 的 な 腰 痛 予 防 対 策 を 提 案 していく 予 定 です。

介 護 費 用 に 安 全 衛 生 のコストを 盛 り 込 むことにつながるような 研 究 にすべきとのご 指 摘 (G 委 員 )について

は、 今 回 の 研 究 期 間 内 で 検 証 することは 難 しいと 考 えております。 現 状 追 随 ではなく、 作 業 負 担 の 軽 減 や

危 険 の 予 防 などの 労 働 安 全 衛 生 の 観 点 から 合 理 的 かつ 現 実 的 な 予 防 対 策 を 現 場 に 導 入 し、かかるコストと

もたらされる 安 全 衛 生 上 のエフェクティブネスを 検 証 し、 今 後 の 更 なる 大 規 模 かつ 包 括 的 な 研 究 につなげて

いければと 考 えております。また、 本 研 究 で 得 られた 結 果 は、 厚 生 労 働 省 の「 職 場 における 腰 痛 予 防 対 策

指 針 」 及 び「 重 量 規 制 」の 改 定 に 随 時 反 映 し、 行 政 施 策 へ 貢 献 していく 予 定 です。

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1.3 ナノマテリアル 等 の 高 機 能 化 工 業 材 料 を 使 用 する 作 業 環 境 中 粒 子 状 物 質 の 捕 集 ・ 分 析 方

法 の 研 究 ( 平 成 25 年 度 ~ 平 成 27 年 度 )

(1) 研 究 の 背 景 等

ア. 社 会 的 背 景 ・ 行 政 的 要 請

我 国 の 産 業 競 争 力 を 維 持 するために、 各 種 の 新 規 素 材 の 開 発 ・ 利 用 がますます 重 要 となっている。これ

らの 新 規 素 材 は 生 体 影 響 が 不 明 であるため、 取 り 扱 う 際 に、 予 防 的 に 労 働 者 へのばく 露 防 止 対 策 を 十 分 に

とる 必 要 がある。 工 業 用 ナノマテリアルについては、 厚 生 労 働 省 は、 平 成 20 年 2 月 と 21 年 3 月 の 2 回 に

わたり、 予 防 的 にナノマテリアルに 対 するばく 露 防 止 対 策 をとることを 求 めている(「ナノマテリアル 製 造 ・ 取

扱 い 作 業 現 場 における 当 面 のばく 露 防 止 のための 予 防 的 対 応 について」( 平 成 20 年 基 発 第 0207004 号 )

「ナノマテリアルに 対 するばく 露 防 止 等 のための 予 防 的 対 応 について」( 平 成 21 年 基 発 第 0331013 号 ))。

新 規 材 料 は、ばく 露 防 止 の 基 礎 となる 作 業 環 境 濃 度 の 把 握 方 法 が 確 立 されていない 場 合 が 多 いが、 組 成

は 既 存 材 料 と 同 じでも 原 子 配 置 や 粒 子 サイズを 制 御 して 新 規 機 能 を 持 たせているナノマテリアルは、 特 に

既 存 の 方 法 論 での 対 応 が 難 しい。

現 状 の 自 主 管 理 の 場 においても、 既 存 の 粒 子 状 物 質 の 測 定 ・ 分 析 法 を 用 いることが 多 いため、 十 分 な 安

全 率 を 確 保 するために、 場 合 によっては 過 剰 ともいえる 対 策 を 取 らざるを 得 ない 場 合 もあり、 生 産 コストの 増

大 や 極 端 な 場 合 はナノ 材 料 の 使 用 の 回 避 ・ 生 産 の 撤 退 まで 行 われているのが 現 状 である。したがって、ナ

ノマテリアル 由 来 の 気 中 粒 子 測 定 ・ 捕 集 及 び 分 析 法 を 開 発 することは 焦 眉 の 急 である。

イ.テーマに 関 連 した 研 究 の 現 状

【 今 まで 行 った 関 連 する 研 究 の 結 果 】

平 成 19 年 度 から 3 年 間 、 当 研 究 所 において「 先 端 産 業 における 材 料 ナノ 粒 子 のリスク 評 価 に 関 する 研 究

(P19-01)」( 以 下 「P19-01」という。)を 行 い、ナノ 材 料 の 使 用 の 実 態 やばく 露 の 可 能 性 の 高 い 作 業 などにつ

いて 研 究 を 行 った。さらに、1 年 間 、 厚 生 労 働 省 より 受 託 した 受 託 研 究 「ナノマテリアルの 作 業 環 境 中 におけ

る 挙 動 等 の 調 査 事 業 」( 以 下 受 託 研 究 という。)により、 二 酸 化 チタン、シリカ、カーボンナノチューブについ

て、 現 場 調 査 と 模 擬 的 な 作 業 により、ナノマテリアル 粉 体 取 り 扱 い 作 業 におけるナノマテリアル 由 来 気 中 粒

子 の 挙 動 を 解 析 した。

その 結 果 、リアルタイム 性 がある 簡 便 な 装 置 で 実 行 可 能 な 粒 子 濃 度 計 測 を 行 い、 作 業 と 関 連 付 けて、 濃

度 変 化 が 観 測 できる 場 合 は、 作 業 工 程 の 改 善 などに 有 用 な 情 報 をもたらすが、 空 気 中 に 存 在 するバックグ

ラウンド( 以 下 「BG」という。)ナノ 粒 子 による 妨 害 が 問 題 となることが 明 らかになった。 諸 外 国 の 他 機 関 の 研

究 でも、 我 々の 研 究 結 果 とほぼ 同 様 であり、OECD のばく 露 リスクアセスメントのガイドラインでも、 粒 子 濃 度

測 定 は 予 備 的 調 査 と 位 置 付 けられており、ばく 露 リスク 確 定 のためには、 成 分 分 析 が 重 要 視 されている。 但

し、 粒 子 濃 度 測 定 が 持 つ 簡 便 、すぐに 結 果 がわかる 等 の 特 長 は、 実 務 面 では 非 常 に 有 用 であるため、 粒 子

測 定 を 用 いたばく 露 リスク 管 理 を 行 う 手 法 の 開 発 に 関 する 期 待 は 大 きく、 装 置 の 改 良 や 異 なる 測 定 原 理 の

導 入 などの 研 究 を 更 に 行 う 必 要 性 は 高 い。

粒 子 測 定 とともにナノマテリアルのリスク 評 価 に 重 要 な 方 法 である 成 分 分 析 については、ナノ 材 料 を 単 独

で 粉 体 として 取 り 扱 うような 場 合 に 対 応 できる 方 法 については、 我 々 及 び 他 の 研 究 機 関 においてもある 程 度

研 究 が 行 われている。しかし、 二 酸 化 チタンのように、 同 じ 成 分 でありながら、 有 害 性 が 高 いとされる 小 粒 径

粒 子 と 比 較 的 有 害 性 が 低 いとされる 大 粒 径 粒 子 が 作 業 環 境 中 の 空 気 に 混 在 している 場 合 、カーボンナノ

チューブ 等 のナノ 材 料 を 含 む 複 合 材 料 の 加 工 時 に 発 生 する 粒 子 中 のナノマテリアルの 分 析 方 法 について

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は 更 なる 研 究 ・ 開 発 を 行 う 必 要 がある。

【 当 研 究 所 が 行 う 理 由 】

本 研 究 の 元 として P19-01 及 び 受 託 研 究 で 行 った 現 場 の 実 態 把 握 並 びに 特 にナノ 材 料 取 り 扱 い 職 場 で

の 現 場 調 査 のノウハウがある。ナノ 材 料 に 関 しては、 対 象 材 料 ・ 工 程 の 種 類 の 双 方 で、 当 研 究 所 の 現 場 調

査 の 経 験 量 は 国 内 ではトップ 水 準 にあり、 世 界 的 に 見 ても 有 数 のものである。3 年 間 の P19-01 及 びそれに

続 く 受 託 研 究 での 実 態 把 握 をベースとすることにより、 実 験 室 実 験 、 特 に 試 験 粒 子 の 発 生 について、 現 場 と

の 乖 離 を 防 ぐととともに、 研 究 の 進 捗 状 況 により 現 場 調 査 が 必 要 となった 場 合 、P19-01 で 得 たノウハウおよ

び 機 材 を 利 用 できるため、 本 研 究 の 遂 行 は 当 研 究 所 が 行 うのがもっとも 合 理 的 である。

(2) 研 究 の 概 要 等

ア. 研 究 期 間 内 で 行 う 研 究 の 概 要

【 研 究 の 全 体 】

本 研 究 では、 実 際 の 工 業 用 ナノマテリアルを 用 い、 研 究 所 にあるナノマテリアル 取 り 扱 い 作 業 が 可 能 ( 吸

排 気 とも HEPA フィルター 装 備 )な2つの 粉 じんチャンバー( 容 積 15m 3 および 27m 3 ) 内 で 模 擬 的 に 試 料 を

発 生 させ、 各 種 測 定 装 置 及 び 分 析 方 法 の 検 証 を 行 う。 本 研 究 を 遂 行 する 際 に 基 礎 となる、 試 験 粒 子 の 発 生

については、 現 在 基 盤 研 究 として 行 っている 研 究 成 果 を 基 に 行 う。また、 分 析 結 果 の 検 証 に 必 要 な 被 験 材

料 のキャラクタリゼーション( 透 過 電 子 顕 微 鏡 による 観 察 、X 線 回 折 パターンの 解 読 、 炭 素 材 料 の 分 析 など)

は、 石 綿 および 代 替 繊 維 の 分 析 等 に 関 する 研 究 所 のノウハウの 蓄 積 を 基 に 行 う。

対 象 物 質

本 研 究 が 対 象 とするナノマテリアルは、 二 酸 化 チタン(チタニア)とカーボンナノチューブ(CNT)であり、 研

究 の 進 捗 状 況 に 応 じて、 二 酸 化 ケイ 素 (シリカ)、カーボンブラック(CB)などの 材 料 への 応 用 も 検 討 する。

これらの 材 料 は、 以 下 の 理 由 により 選 定 した。

・ 生 産 量 ・ 使 用 量 が 多 く、 関 連 する 労 働 者 数 も 多 い(チタニア、シリカ、CB)。

・ 粒 子 径 による 有 害 性 の 違 いの 可 能 性 が 指 摘 さており、 粒 子 径 別 の 評 価 が 重 要 である(チタニア)。

・ ナノ 材 料 として 将 来 性 が 期 待 されており、 産 業 での 重 要 性 が 非 常 に 高 い(CNT)。

・ 使 用 形 態 として、 様 々な 表 面 加 工 、 添 加 剤 の 共 存 などがあり 得 る。

粒 子 測 定 によるナノ 材 料 由 来 粒 子 の 分 析 に 関 する 研 究

空 気 中 の 粒 子 を 光 散 乱 や、 静 電 気 量 測 定 で 計 数 する 粒 子 測 定 は、 測 定 装 置 の 取 り 扱 いそのものは 簡 便

であるとこと、 結 果 がすぐわかるリアルタイム 性 等 のメリットがある 反 面 、ナノマテリアルで 問 題 となる 100nm

以 下 の 粒 子 については、 作 業 由 来 外 気 由 来 の 粒 子 との 区 別 を 如 何 に 行 うかという 問 題 があり、クリーンルー

ム 内 など 限 られた 状 況 以 外 では 用 いることができない。 本 研 究 では、 外 気 と 作 業 由 来 では、 粒 子 の 発 生 要

因 及 び 粒 子 の 成 分 が 異 なることから、 粒 子 の 大 きさ( 粒 径 分 布 )や 粒 子 の 密 度 分 布 が 異 なるという 仮 説 に 基

づき、

・ 走 査 粒 子 移 動 度 粒 子 サイザー(SMPS)、 光 散 乱 粒 子 サイザー(OPS)を 2 組 用 い、 微 分 型 粒 径 分 布 を

作 業 近 傍 と 外 気 取 り 入 れ 口 で 同 時 に 測 定 することにより、 外 気 由 来 の 粒 子 のバックグラウンド 粒 子 の 影

響 を 除 去 し、 作 業 由 来 の 粒 子 発 生 を 測 定 する 方 法

・ エアロゾル 質 量 分 析 計 (APM)と SMPS 又 は OPS を 組 み 合 わせて 測 定 することにより、 粒 子 の 密 度 分

布 を 求 めナノマテリアル 由 来 の 粒 子 濃 度 を 知 る 方 法

の 2 つの 方 法 の 実 現 可 能 性 を 模 擬 試 料 により 検 証 する。APM ではこれまでリアルタイムで 情 報 が 得 られな

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かった 質 量 濃 度 の 測 定 が 可 能 となり、また、SMPS も APM も、 最 近 になって、 現 場 に 持 ち 込 める 小 型 の 装

置 が 実 用 化 されたため、これらの 装 置 の 労 働 環 境 管 理 への 適 用 可 能 性 の 評 価 を 行 うこととなる。

これらに 加 え、より 安 価 で 普 及 している 光 粒 子 カウンターでの 1 次 管 理 (スクリーニング)の 可 能 性 を

SMPS、APM 測 定 結 果 と 比 較 して 検 証 する。

無 機 材 料 ( 金 属 化 合 物 ) 由 来 の 気 中 微 小 粒 子 の 分 析 に 関 する 研 究

無 機 材 料 の 分 析 については、 蛍 光 X 線 分 析 (XRF)、レーザー 気 化 誘 導 結 合 プラズマ 質 量 分 析 (LA-

ICP-MS) 及 び 粉 末 X 線 回 折 (XRD)を 用 いたナノマテリアル 由 来 粒 子 の 分 析 方 法 を 検 討 する。

XRF 及 び LA-ICP-MS はいずれも、 試 料 を 固 体 のまま 測 定 できるという 特 長 を 持 つ。ナノマテリアルのう

ち、 金 属 化 合 物 については、 粒 子 を 捕 集 した 後 、 酸 などで 分 解 ( 溶 解 )し、 水 溶 液 試 料 とした 後 、 高 感 度 金

属 分 析 法 である 誘 導 結 合 プラズマ 発 光 / 質 量 分 析 法 (ICP-AES/MS)による 分 析 を 行 う。しかし、ナノマテリ

アルには、 油 への 分 散 性 や 樹 脂 材 料 などとの 親 和 性 を 向 上 させるために 表 面 を 疎 水 性 加 工 したものがある。

また、 既 に 油 や 樹 脂 と 混 合 した 材 料 の 加 工 時 にナノマテリアル 由 来 の 粒 子 が 労 働 環 境 中 に 放 出 される 可 能

性 もある。これら 水 溶 液 化 が 困 難 な 粒 子 の 分 析 に XRF、 LA-ICP-MS の 応 用 を 検 討 する。これらの 方 法 は

水 溶 液 化 が 不 要 である 反 面 、フィルター 上 に 均 質 に 粒 子 が 捕 集 されない 場 合 など 測 定 誤 差 をもたらす 可 能

性 がある。そこで、 模 擬 試 料 を 用 いて、 既 存 の 分 析 法 や、SMPS、 APM 測 定 の 結 果 と 比 較 しながら、XRF

及 びおよび LA-ICP-MS 法 の 分 析 条 件 ・ 試 料 の 捕 集 条 件 の 双 方 について 最 適 化 を 図 る。

CNT( 複 合 材 料 も 含 む)の 分 析 法 の 開 発

CNT については、フィルター 上 に 捕 集 した 粒 子 の 炭 素 成 分 を、 酸 素 濃 度 および 昇 温 条 件 を 制 御 した 条

件 で 加 熱 し、 酸 素 の 有 無 及 び 燃 焼 した 温 度 で 炭 素 成 分 を 分 析 する 有 機 炭 素 / 元 素 状 炭 素 モニター( 炭 素

モニター)による 分 析 の 最 適 化 を 検 討 する。 炭 素 モニターによる 炭 素 分 析 は、 当 研 究 所 では 10 年 ほど 前 よ

り 継 続 的 に 行 っており、CNT についても CNT 単 独 で 取 り 扱 う 職 場 において、CNT と 外 気 由 来 の 炭 素 ( 主 に

ディーゼル 排 ガスなど)を、 分 離 する 条 件 を 得 ている。 本 研 究 では、CNT を 樹 脂 や 繊 維 に 混 ぜて 使 う 際 に

共 存 する 界 面 活 性 剤 などの 添 加 剤 や、 樹 脂 ・ 繊 維 が 共 存 する 条 件 での 分 析 条 件 の 検 討 を 行 う。 具 体 的 に

は、 炭 素 モニターの 昇 温 条 件 の 最 適 化 、 作 業 によりもっとも CNT 含 有 粒 子 が 多 くなると 考 えられる 粒 子 径

の 粒 子 を 捕 集 し、BG 粒 子 由 来 の 炭 素 の 影 響 を 低 減 する 捕 集 方 法 の 最 適 化 を 検 討 する。

現 場 での 検 証

実 験 室 内 で 開 発 した 方 法 を 実 際 の 現 場 での 測 定 を 行 い 検 証 する 必 要 がある。3 年 計 画 のうち、2 年 目 後

半 にそれまでの 研 究 成 果 を 基 に 一 度 現 場 の 測 定 を 行 い、そこで 出 た 問 題 点 を 基 に、 方 法 の 改 善 を 行 いた

いと 考 えている。ただし、ナノマテリアルは、 最 先 端 の 技 術 であるため、 現 場 に 入 ることが 大 変 難 しいため、

予 定 通 り 現 場 調 査 が 行 えるかどうかは 未 定 である。

結 果 の 体 系 化 および 結 果 の 利 用

ナノマテリアルは 材 料 の 種 類 も 多 く、 作 業 も 多 岐 にわたるため、それらを 網 羅 的 にカバーするマニュアル

を 作 成 するのは 困 難 であり、 材 料 (ナノ 材 料 単 独 か 複 合 材 料 か 等 )、 作 業 ( 粉 体 としての 取 り 扱 いか、ナノ 含

有 材 料 の 二 次 加 工 か 等 )、 環 境 (クリーンルームか 否 か 等 )によって、 測 定 ・ 分 析 方 法 を 使 い 分 ける 必 要 があ

る。

本 研 究 で 研 究 する 測 定 法 ・ 分 析 法 についても、ある 程 度 、 材 料 ・ 作 業 に 依 存 ( 特 化 )したものにならざるを

得 ないが、それらの 結 果 をまとめ、 整 理 することにより、 材 料 、 作 業 、 環 境 に 応 じた 測 定 ・ 分 析 方 法 の 方 針 を

示 すフローチャートのようなものを 作 成 し、それをホームページなどに 公 開 することを 目 指 す。

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【 年 度 ごとの 研 究 費 ( 概 算 )】

1 年 目 20,200 千 円

2 年 目 11,500 千 円

3 年 目 7,000 千 円

【 研 究 期 間 全 体 を 通 してのフローチャート】

外 気 と 作 業 場 所 の 同 時 測 定

イ. 期 待 される 研 究 成 果

本 研 究 を 遂 行 して、ばく 露 アセスメントの 方 法 を 提 供 できれば、 労 働 基 準 局 長 通 達 ( 平 成 21 年 基 発 第

0331013 号 )で 要 請 されている 予 防 的 措 置 をより 実 効 性 のあるものにすることができる。

また、 今 後 ますます 増 える、ハイテク 系 新 素 材 の 労 働 環 境 管 理 、ばく 露 防 止 にも 本 研 究 の 研 究 成 果 は 適

用 可 能 であると 考 える。

(3) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 設 定

3.77

研 究 計 画

3.46

研 究 成 果 の 活 用 ・ 公 表

3.31

学 術 的 視 点

3.46

その 他 の 評 価

3.31

総 合 ( 平 均 )

3.46

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

30


イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) ナノ 材 料 に 関 する 当 研 究 所 の 現 場 調 査 のノウハウは 世 界 のトップクラスであるとの 自 負 はおおい

に 期 待 できる 点 であろう。 現 在 日 本 で 最 も 困 難 な 問 題 は 原 子 力 発 電 所 事 故 に 伴 う 放 射 能 の 問 題 であ

る。 本 研 究 所 のナノ 材 料 に 関 するノウハウを 放 射 能 除 染 の 問 題 に 適 用 できないものか、 問 題 の 提 起 を

したい。

(B 委 員 ) 期 待 される 研 究 成 果 の 部 分 で、「ばく 露 アセスメントの 方 法 を 提 供 できれば」となっていますが、こ

の 部 分 が 仮 定 なのですか。もし 仮 定 であるとすると、「 期 待 される 研 究 成 果 」が 曖 昧 になります。「 期 待 さ

れる 研 究 成 果 」を 明 確 にする 必 要 があると 思 います。

(C 委 員 ) 研 究 項 目 を 具 体 的 に 詳 しく 設 定 している 点 は 評 価 されるが、 研 究 期 間 を 考 えると 項 目 を 絞 っても

よいと 思 われる。 研 究 成 果 をまとめるにあたっては、 個 々の 測 定 方 法 の 実 用 性 を 判 断 する 上 で 重 要 と

なると 考 えられる、 測 定 技 術 の 難 易 度 、 手 間 、 費 用 の 見 込 みなどの 情 報 の 充 実 も 望 みたい。

(D 委 員 ) ニーズ 並 びに 期 待 が 大 きい。しかし、ターゲットを 明 確 に、どこまでを 実 施 するかを 決 めておく 必

要 がある。

(E 委 員 ) ナノマテリアルを 使 用 する 労 働 環 境 で 予 測 される 健 康 被 害 を 低 減 するという 観 点 から、 研 究 成 果

の 情 報 発 信 方 法 を 工 夫 して 欲 しい。

(F 委 員 ) 複 雑 なナノマテリアルの 新 しい 測 定 手 法 の 開 発 を 行 うためか、 研 究 計 画 の 達 成 目 標 やそのため

の 手 順 がやや 自 信 なさげに 見 える。 予 備 実 験 などを 行 ってからの 研 究 プロジェクト 申 請 をすることが 適

切 ではなかったか。また 行 政 施 策 や 現 場 での 有 用 性 についても 不 透 明 である。

(G 委 員 ) 研 究 計 画 や 目 標 が 明 確 。しかし、その 一 方 で、 既 に 多 くの 研 究 がなされていると 思 います。

(H 委 員 ) 新 しい 労 働 環 境 への 対 策 として、 研 究 成 果 が 期 待 される。

(I 委 員 ) 環 境 気 中 のナノ 粒 子 の 捕 集 、 分 析 法 について 検 討 する 研 究 である。 特 に 作 業 由 来 の 粒 子 をバッ

クグラウンド 粒 子 と 分 けて 分 離 測 定 する 方 法 を 検 討 するということで、バックグラウンドの 影 響 を 除 去 し、

質 量 濃 度 で 計 測 できるようになれば、リアルタイムモニタリングの 信 頼 性 が 増 すので、 作 業 環 境 管 理 上

有 用 な 成 果 が 得 られることが 期 待 される。 外 気 由 来 と 作 業 由 来 で 粒 径 が 異 なることを 利 用 して 分 離 する

ということであるが、ナノ 粒 子 には 凝 集 性 があることや、 粒 子 の 種 類 によって 特 性 が 異 なることが 考 えら

れるので、これらを 考 慮 した 上 で、 信 頼 性 が 高 く 効 果 的 な 測 定 法 の 開 発 を 期 待 する。また、 計 測 の 精 度

が 良 くてもコストが 高 ければなかなか 普 及 しにくいと 思 われるので、 最 終 的 には 経 済 的 な 観 点 を 踏 まえ

た 検 討 も 必 要 と 考 える。

(J 委 員 ) 生 体 影 響 と 関 連 付 けて 研 究 を 行 ってこそ、「 労 働 安 全 衛 生 研 究 所 」の 価 値 がある。

(K 委 員 ) 重 要 な 研 究 課 題 であり、 測 定 技 術 の 向 上 に 期 待 する。

(L 委 員 ) ナノテクノロジーは、 日 本 が 先 進 主 導 できうる 技 術 分 野 であり、 今 後 カーボンナノチューブ 等 有 望

な 成 長 分 野 として 期 待 されている。 一 方 、 欧 州 では、「ナノ」という 単 語 自 体 が、 即 「 危 険 」というイメージ

に 結 びつき、 決 してハイテクイメージで 推 進 される 状 況 ではないところである。したがって、ナノマテリア

ルの 工 業 化 推 進 に 伴 い、 生 産 現 場 での 安 全 性 も 必 要 不 可 欠 の 課 題 となってくることからも、 早 急 に 問

題 点 の 把 握 ・ 改 善 を 推 進 する 必 要 がある。

(M 委 員 ) 工 業 材 料 は 多 種 に 及 ぶので、この 研 究 が 目 指 す 中 粒 子 の 材 料 の 範 囲 を 明 確 にすることがよい。

この 研 究 では 扱 えなった 材 料 においても、なにがしかの 示 唆 を 与 えられれば 研 究 成 果 の 範 囲 が 広 がる

と 考 えられる。

31


(4) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

御 多 忙 のところ 先 生 方 には 本 課 題 について 評 価 していただきましてありがとうございました。 先 生 方 よりい

ただいた 御 意 見 を 元 に、 当 該 研 究 計 画 をさらにブラッシュアップしてまいります。

A 委 員 御 指 摘 の 放 射 能 対 策 への 応 用 ですが、 事 故 当 初 の 放 射 性 物 質 の 挙 動 に 関 しては、 既 に 大 気 環

境 のナノ 粒 子 に 関 する 研 究 者 による 多 数 の 研 究 があると 考 えられます。 関 連 して 除 染 作 業 時 の 労 働 者 防 護 、

特 に 内 部 被 ばく 防 止 について、 当 研 究 所 では 別 課 題 として 取 り 組 んでおります。その 研 究 結 果 によれば、

現 在 の 現 場 の 状 況 は、ナノ 粒 子 というより 従 来 の 有 害 物 質 ばく 露 防 止 に 関 する 知 見 が 有 用 だと 考 えておりま

す。

B 委 員 、D 委 員 、M 委 員 より 目 標 が 不 明 瞭 である。また、C 委 員 より 研 究 項 目 が 多 すぎるとの 御 指 摘 をい

ただきました。これらの 御 指 摘 を 受 け、 目 標 としてまず、 金 属 系 と 炭 素 系 それぞれ 1 材 料 ( 二 酸 化 チタンと

MWCNT を 予 定 )の 分 析 方 法 の 作 成 を 目 指 すと、 最 初 の 目 標 を 明 確 化 いたしました。F 委 員 より 予 備 的 検

討 が 不 足 しているのではないか、 逆 に、G 委 員 よりすでにやり 尽 くされているのではないかとの 御 指 摘 もい

ただいております。ナノ 粒 子 に 関 しては 平 成 19 年 度 より 3 年 間 プロジェクト 研 究 を 行 い、その 後 も 基 盤 的 研

究 等 で、 情 報 収 集 および 実 験 的 検 討 を 継 続 しております。その 間 にナノマテリアルの 使 用 例 が 増 え、 使 用

形 態 も 多 岐 にわたるようになり、 既 存 の 方 法 だけではナノマテリアル 取 り 扱 い 職 場 の 環 境 管 理 をカバーしき

れないため、ナノマテリアル 取 り 扱 い 職 場 の 環 境 管 理 方 法 を 改 めて、プロジェクト 研 究 として 実 行 する 必 要

があると 考 えております。 外 部 評 価 委 員 会 ではその 部 分 の 説 明 が 不 足 しており、 申 し 訳 ございません。J 委

員 の 生 体 影 響 との 関 連 についての 御 意 見 ですが、 研 究 所 の 別 のグループがナノマテリアルの 生 体 影 響 の

研 究 を 行 っております。 逐 次 情 報 を 交 換 して 研 究 にフィードバックさせてまいります。

H 委 員 、I 委 員 、K 委 員 L 委 員 よりいただきました、ナノテクノロジーの 日 本 の 産 業 における 重 要 性 に 鑑

みしっかり 研 究 を 進 めるようにとの 御 意 見 は、 肝 に 銘 じて 参 ります。その 際 、 分 析 法 ができてもコストが 高 すぎ

てはいけない(I 委 員 )、 情 報 発 信 方 法 を 適 切 に(E 委 員 )との 御 指 摘 も 踏 まえて 研 究 を 行 います。

M 委 員 からの 研 究 対 象 以 外 のナノマテリアルへの 応 用 もできるような 成 果 を、との 御 指 摘 についてですが、

分 析 方 法 は 材 料 に 依 存 する 面 が 大 きいので 難 しい 面 がありますが、 粒 子 計 測 については、 粒 径 ・ 比 重 ・ 屈

折 率 などといった 物 性 データを 基 に 研 究 対 象 のデータを 整 理 することにより、 他 の 材 料 についても 応 用 可 能

な 知 見 が 得 られる 可 能 性 があると 予 想 しています。

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2 終 了 課 題

2.1 災 害 復 旧 建 設 工 事 における 労 働 災 害 の 防 止 に 関 する 総 合 的 研 究

( 平 成 21 年 度 ~ 平 成 23 年 度 )

(1) 研 究 概 要

我 が 国 は、 世 界 有 数 の 地 震 多 発 国 であり、 過 去 には 幾 度 も 巨 大 地 震 による 被 害 を 受 けており、 今 後 も 更

なる 巨 大 地 震 の 発 生 が 危 惧 されている。また、 大 型 台 風 も 毎 年 のように 発 生 しており、 建 築 物 の 被 害 や 土 砂

災 害 が 発 生 している。 更 には、 近 年 の 異 常 気 象 に 伴 ってゲリラ 豪 雨 や 巨 大 竜 巻 の 発 生 も 多 発 している。そ

れら 自 然 災 害 等 が 発 生 した 後 には、 建 築 物 や 崩 壊 した 斜 面 等 の 復 旧 工 事 が 必 要 になることが 多 い。これら

の 復 旧 工 事 では 迅 速 性 が 要 求 されるため、 安 全 のための 十 分 な 調 査 が 行 われずに 開 始 されることが 多 く、

復 旧 工 事 を 行 う 作 業 員 は 不 安 全 な 状 況 下 で 作 業 を 強 いられることが 懸 念 されている。このため、 本 研 究 で

は 二 次 災 害 が 発 生 しやすい 状 況 下 での 災 害 復 旧 工 事 について、その 危 険 性 を 明 らかにし、 現 場 への 労 働

災 害 防 止 対 策 の 提 案 を 行 うことを 目 的 とする。

ア. はじめに

我 が 国 は、 自 然 環 境 において 極 めて 特 異 な 国 であるといえる。 世 界 有 数 の 地 震 多 発 国 であり、 過 去 には

幾 度 も 巨 大 地 震 によって 建 築 物 等 が 倒 壊 するなどの 甚 大 な 被 害 を 受 けており、 現 在 も 東 海 、 東 南 海 地 震 及

び 関 東 地 方 を 中 心 とした 首 都 圏 直 下 型 地 震 等 の 発 生 が 危 惧 されている。 地 震 のみならず、 大 型 台 風 も 毎

年 のように 日 本 列 島 に 上 陸 しており、その 都 度 日 本 列 島 各 地 で 建 築 物 の 屋 根 が 飛 ばされる、 飛 来 物 によっ

て 壁 面 が 破 壊 される 等 の 被 害 が 発 生 している。また、 集 中 豪 雨 による 地 すべり、 崖 崩 れ、 落 石 等 の 土 砂 崩

壊 災 害 も 多 発 しており、 崩 壊 した 土 砂 が 民 家 を 押 し 潰 す 被 害 の 他 、 河 道 閉 塞 、 橋 梁 の 倒 壊 等 による 交 通 網

やライフラインが 寸 断 する 被 害 も 発 生 している。 更 には、 近 年 の 異 常 気 象 に 伴 ってゲリラ 豪 雨 や 巨 大 竜 巻 の

発 生 も 多 発 している。それらの 自 然 災 害 を 予 知 し、 被 害 を 未 然 に 防 ぐことは 現 在 の 科 学 技 術 をもってしても

困 難 である。そのため、それらの 災 害 が 発 生 した 後 には、 建 築 物 の 解 体 ・ 撤 去 工 事 や 補 修 工 事 、 崩 壊 した

土 砂 の 除 去 、 交 通 網 の 復 旧 工 事 が 必 要 になる。 復 旧 工 事 においては、 崩 れやすい 斜 面 下 における 土 砂 の

撤 去 に 伴 う 二 次 災 害 の 防 止 、 被 害 を 受 け 不 安 定 になった 半 壊 状 態 の 建 築 物 の 余 震 による 倒 壊 に 伴 う 二 次

災 害 の 防 止 、 被 害 者 救 助 のための 建 物 内 の 緊 急 工 事 に 伴 う 二 次 災 害 の 防 止 、 物 資 供 給 のための 交 通 網

の 早 期 復 旧 等 が 求 められているため、 迅 速 性 が 必 要 とされる。そのため 復 旧 工 事 では、 通 常 の 建 設 工 事 で

設 置 される 仮 設 足 場 等 が 設 置 できない 場 合 も 多 く、 作 業 員 は 劣 悪 な 環 境 下 での 作 業 や、 安 全 性 に 関 する

調 査 が 不 十 分 な 状 況 下 での 作 業 が 強 いられることが 多 い。そこで 本 研 究 では、 災 害 復 旧 工 事 の 危 険 性 を

明 らかにし、 作 業 員 が 二 次 災 害 に 巻 き 込 まれるおそれを 回 避 させるための 労 働 災 害 防 止 対 策 の 提 案 を 行 う

ことを 目 的 とする。

イ. 研 究 の 全 体 像

本 研 究 は、はじめに 平 成 16 年 新 潟 県 中 越 地 震 、 平 成 19 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 における 労 働 災 害 の 発

生 状 況 について 調 査 を 行 い、 災 害 復 旧 工 事 における 労 働 災 害 の 特 徴 を 検 討 した。その 結 果 を 踏 まえて、 被

災 した 斜 面 の 崩 壊 メカニズムや 損 傷 を 受 けた 建 築 物 の 耐 力 等 を 実 験 と 解 析 によって 解 明 し、それらの 損 傷

程 度 による 危 険 度 の 評 価 指 標 に 基 づいて、 労 働 者 や 建 設 機 械 等 の 立 入 制 限 、 作 業 制 限 等 の 検 討 を 行 うと

ともに、 作 業 方 法 の 提 案 や 現 場 で 利 用 可 能 な 保 護 器 具 等 の 開 発 を 行 った。

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これらを 実 現 するために、 本 研 究 は、 次 の 3 つのサブテーマに 分 けて 実 施 することにした。 以 下 にそれぞ

れのサブテーマの 概 要 について 述 べる。

(1) 地 盤 災 害 の 復 旧 工 事 における 労 働 災 害 防 止 に 関 する 研 究

災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 の 発 生 状 況 やその 傾 向 について、 新 潟 県 中 越 地 震 と 新 潟 県 中 越 沖 地 震 に

よる 復 旧 工 事 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 を 実 施 した。これらの 地 震 は、ほぼ 同 じ 地 域 で 発 生 したが、 地

震 の 特 性 が 異 なったため、 被 害 状 況 も 異 なるものとなった。そのため、 必 要 とされた 災 害 復 旧 工 事 にも 違 い

が 発 生 した。これらを 考 慮 して 工 事 種 別 の 違 いによる 労 働 災 害 リスクの 予 測 の 可 能 性 について 検 討 を 行 っ

た。

土 砂 災 害 の 復 旧 工 事 における 崩 壊 危 険 性 の 解 明 を 試 みた。 労 働 安 全 衛 生 規 則 では、 崩 壊 しやすい 状

態 の 地 山 に 係 る 掘 削 勾 配 の 基 準 をそうでない 場 合 より 厳 しく 設 定 している。しかしながら、 崩 壊 しやすいか

否 かについては、 工 学 的 に 未 解 明 な 点 が 残 されている。それにもかかわらず、 土 砂 災 害 の 復 旧 工 事 の 安 全

性 評 価 は、 事 業 者 に 委 ねられているのが 現 状 である。そこで、 土 砂 災 害 の 復 旧 工 事 における 崩 壊 危 険 性 に

ついて、 動 的 遠 心 模 型 実 験 、 数 値 解 析 等 から 崩 壊 土 砂 の 堆 積 形 状 を 推 定 し、それを 実 大 モデルに 再 現 し

て、 崩 壊 土 砂 を 撤 去 する 復 旧 工 事 の 模 擬 実 験 を 実 施 し、 工 学 的 知 見 の 蓄 積 を 図 った。 同 時 に、 実 際 の 砂

防 堰 堤 工 事 現 場 で 土 の 移 動 量 を 測 定 するための 計 測 機 器 を 設 置 し、 施 工 中 の 計 測 監 視 を 実 施 し、 断 続 的

な 変 形 等 のデータの 取 得 を 試 みた。

さらに、 地 盤 災 害 の 復 旧 工 事 に 利 用 可 能 な 保 護 器 具 や 警 報 システムの 開 発 を 行 った。 土 砂 崩 壊 により、

生 き 埋 めや 下 敷 きとなった 被 災 者 の 救 出 活 動 では、 救 出 作 業 者 が 二 次 災 害 に 巻 き 込 まれる 可 能 性 がある。

そのため、 土 砂 の 表 層 部 の 微 少 な 変 化 を 観 測 することによって、 土 砂 斜 面 の 崩 壊 危 険 性 を 知 らせる 警 報 シ

ステムを 開 発 した。さらに、 崩 壊 発 生 時 に 人 命 を 保 護 する 器 具 の 使 用 などの 工 事 現 場 で 利 用 可 能 な 労 働 災

害 防 止 対 策 を 検 討 した。

(2) 損 傷 を 受 けた 構 造 物 の 倒 壊 危 険 要 因 の 検 討

地 震 によって 半 壊 状 態 になった 建 築 物 に 閉 じ 込 められた 住 民 の 救 出 作 業 、あるいは、その 建 築 物 の 改

修 ・ 解 体 作 業 中 に 余 震 が 発 生 すると、その 建 築 物 が 倒 壊 する 危 険 性 が 非 常 に 高 くなる。そのため、それらに

従 事 している 作 業 者 が 二 次 災 害 に 巻 き 込 まれることが 危 惧 されている。そこで、 地 震 によって 被 害 を 受 けた

建 築 物 の 余 震 による 倒 壊 危 険 性 を 実 験 及 び 解 析 的 に 検 討 した。 検 討 対 象 とした 建 築 物 は 昭 和 56 年 に 施

行 された 新 耐 震 設 計 法 が 施 行 される 以 前 に 設 計 ・ 施 工 された、 比 較 的 強 度 が 低 く、 現 存 棟 数 が 多 い 木 造 建

築 物 とした。 建 築 物 が 倒 壊 する 危 険 性 は、その 建 築 物 が 地 震 によって 最 大 耐 力 を 発 生 する 時 の 変 形 以 上

の 変 形 を 経 験 しているか 否 かに 左 右 される。これまでの 研 究 では、 建 築 物 の 変 形 角 と 外 壁 、 内 壁 の 損 傷 状

況 の 関 係 が 定 性 的 に 示 されているに 留 まり、それらに 精 通 している 研 究 者 であっても、 損 傷 状 況 から 当 該 建

築 物 が 最 大 耐 力 を 経 験 しているか 否 かの 判 断 は 困 難 であった。そこで、 代 表 的 な 二 種 類 の 外 壁 を 選 定 し、

それらの 被 害 状 況 から、 当 該 建 築 物 が 最 大 耐 力 を 発 生 する 時 の 変 形 以 上 の 変 形 を 経 験 しているか 否 かの

判 断 ができる 定 量 的 な 指 標 を 示 すための 実 験 的 検 討 を 試 みた。また、 本 震 で 受 けた 被 害 状 況 と 余 震 の 大 き

さをパラメータとした 解 析 的 検 討 を 行 い、 余 震 による 建 築 物 の 倒 壊 危 険 性 に 関 する 検 討 を 行 った。さらに、

余 震 による 倒 壊 危 険 性 が 高 い 建 築 物 の 復 旧 工 事 を 安 全 に 行 うための、 簡 易 な 補 強 あるいは 倒 壊 防 止 のた

めの 対 策 工 の 検 討 を 行 った。

(3) 損 傷 を 受 けた 構 造 物 の 改 修 ・ 解 体 工 事 における 安 全 対 策

台 風 、 竜 巻 等 の 強 風 により、 屋 根 の 損 傷 が 毎 年 発 生 している。 近 年 の 異 常 気 象 により、その 発 生 件 数 は

増 加 することが 予 想 される。このような 被 害 の 多 くは、スレート 屋 根 で 発 生 しており、 多 くの 場 合 、 雨 を 伴 う 強

風 に 起 因 することから、 迅 速 な 復 旧 工 事 が 要 求 される。そのため、 十 分 な 準 備 が 整 う 前 に 作 業 に 移 行 するこ

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ともある。そこで、 復 旧 工 事 における 被 災 構 造 物 の 改 修 時 の 問 題 点 について 文 献 調 査 や 現 場 調 査 を 実 施 し、

特 に 踏 抜 きの 危 険 性 が 高 い 箇 所 や、その 典 型 的 な 踏 抜 き 事 故 の 発 生 メカニズム 等 について 検 討 を 行 った。

さらに 災 害 復 旧 工 事 では、 自 然 災 害 や 経 年 劣 化 等 に 起 因 して 屋 根 材 が 損 傷 している 場 合 があるため、 作

業 箇 所 への 移 動 中 の 踏 抜 き 事 故 も 多 く 発 生 している。 以 上 を 踏 まえ、スレート 屋 根 部 材 が 損 傷 した 状 態 を

前 提 とした 安 全 対 策 について 検 討 を 行 った。

具 体 的 には、 人 体 ダミーを 用 いた 実 験 で、スレート 屋 根 の 踏 抜 きに 関 する 危 険 性 を 調 べた。さらに、ス

レートを 踏 み 抜 いた 場 合 においても 作 業 員 を 墜 落 させないための 対 策 を 検 討 した。 墜 落 防 止 対 策 には、 安

全 ネットや 安 全 ネットを 改 良 したシートの 他 、 簡 易 に 親 綱 を 設 置 する 方 法 についても 検 討 を 行 った。これらを

通 じて、 新 たな 安 全 で 簡 便 なスレート 屋 根 補 修 工 法 及 びその 保 護 器 具 を 提 案 した。

ウ. 今 後 の 展 望

本 研 究 では 時 間 及 び 人 員 の 制 約 から、 一 部 の 土 質 の 限 定 的 な 傾 斜 角 の 斜 面 、あるいは 一 部 の 建 築 物 の

壁 材 料 、 屋 根 材 料 に 対 する 検 討 しか 行 えなかった。 今 後 は 研 究 対 象 を 更 に 広 げて、データの 蓄 積 を 図 り、

現 在 危 惧 されている、 東 海 地 震 、 東 南 海 地 震 、 関 東 都 市 直 下 型 地 震 等 において 想 定 されている 災 害 復 旧

工 事 の 安 全 水 準 の 向 上 に 寄 与 していきたいと 考 えている。

エ. 年 度 ごとの 研 究 費

1 年 目 30,699 千 円

2 年 目 30,541 千 円

3 年 目 26,888 千 円

オ. 研 究 業 績 リスト

平 成 24 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

伊 藤 和 也 , 笹 原 克 夫 , 芳 賀 博 文 , 土 佐 信 一 , 南 雲 政 博 , 内 村 太 郎 , 王 林 , 矢 野 真 妃 (2012) 施 工 中

の 斜 面 崩 壊 による 労 働 災 害 防 止 のためのモニタリングに 関 する 実 地 観 測 . 砂 防 学 会 , 平 成 24 年 度

砂 防 学 会 研 究 発 表 会 ,No.66,pp.472-473.

2 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 林 豪 人 , 小 浪 岳 治 , 平 原 直 征 , 丸 山 憲 治 (2012) 遠 心 場 掘 削 シミュ

レータを 使 用 した 簡 易 な 斜 面 補 強 工 法 の 斜 面 安 定 効 果 に 関 する 遠 心 模 型 実 験 . 第 47 回 地 盤 工 学

研 究 発 表 会 , 講 演 予 稿 集 ,pp.779-780.

3 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 片 田 敏 行 (2012) 実 大 規 模 実 験 によ

る 斜 面 の 浅 いせん 断 ひずみと 崩 壊 予 兆 の 解 析 . 第 47 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 講 演 予 稿 集 ,

pp.1833-1834.

4 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 片 田 敏 行 , 玉 手 聡 , 堀 智 仁 (2012) 震 災 後 斜 面 における 土 砂 撤 去 の 実 験 的

モデル 化 と 崩 壊 計 測 . 第 47 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 講 演 予 稿 集 ,pp.1647-1648.

5 林 豪 人 , 小 浪 岳 治 , 平 原 直 征 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 丸 山 憲 治 (2012) 簡 易 な 斜 面 補 強

工 法 の 労 働 災 害 発 生 リスクの 低 減 効 果 に 関 する 遠 心 力 載 荷 模 型 実 験 . 第 47 回 地 盤 工 学 研 究 発 表

会 , 講 演 予 稿 集 ,pp.781-782.

6 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 三 國 智 温 , 山 本 希 (2012) 胴 体 模 型 を 用 いた 土 砂 埋 没 時 の 作 用 圧 力 の 実 験 的 計

測 . 安 全 工 学 シンポジウム2012, 講 演 予 稿 集 ,pp.510-513.

7 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 (2012) 木 造 住 宅 の 倒 壊 危 険 性 の 判 定 基 準 に 関 する 研 究 . 安 全 工

学 シンポジウム2012, 講 演 予 稿 集 ,pp.528-529.

8 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 片 田 敏 行 (2012) 表 層 に 亀 裂 を 有 す

る 実 大 斜 面 の 切 土 掘 削 による 崩 壊 実 験 . 平 成 24 年 度 土 木 学 会 全 国 大 会 , 第 67 回 年 次 学 術 講 演

会 , 講 演 概 要 集 ,pp.61-62.

9 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 片 田 敏 行 , 玉 手 聡 , 堀 智 仁 (2012) 地 震 後 の 斜 面 劣 化 に 関 する 実 験 的 考 察 .

平 成 24 年 度 土 木 学 会 全 国 大 会 , 第 67 回 年 次 学 術 講 演 会 , 講 演 概 要 集 ,pp.621-622.

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10 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 (2012)FRP 検 査 路 の 手 すり 耐 力 に 関 する 実 験 的 研 究 . 平 成 24 年

度 土 木 学 会 全 国 大 会 , 第 67 回 年 次 学 術 講 演 会 , 講 演 概 要 集 ,pp.931-932.

11 坂 槇 義 夫 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 道 場 信 義 , 小 野 寺 元 , 加 川 啓 介 , 大 橋 好 光 (2012) 旧

基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その12 動 的 実 験 と 静 的 実 験 結 果 の

比 較 ). 2012 年 度 日 本 建 築 学 会 大 会 , 学 術 講 演 梗 概 集 ,pp.387-388.

12 小 野 寺 元 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 坂 槇 義 夫 , 道 場 信 義 , 大 橋 好 光 (2012) 旧 基 準 で 建 て

られた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その13 ひび 割 れ 幅 と 残 留 変 形 ). 2012 年 度 日 本

建 築 学 会 大 会 , 学 術 講 演 梗 概 集 ,pp.389-390.

13 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 坂 槇 義 夫 , 道 場 信 義 , 大 橋 好 光 (2012) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造

住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その15 本 震 による 損 傷 度 と 余 震 の 大 きさをパラメータとした

地 震 応 答 解 析 ). 2012 年 度 日 本 建 築 学 会 大 会 , 学 術 講 演 梗 概 集 ,pp.391-392.

14 高 橋 弘 樹 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 加 川 啓 介 , 道 場 信 義 (2012) 仮 設 構 造 物 による 損 傷 を 受 けた 木 造

住 宅 の 倒 壊 に 対 する 補 強 に 関 する 研 究 その1 実 験 概 要 . 2012 年 度 日 本 建 築 学 会 大 会 , 学 術 講 演

梗 概 集 , 材 料 施 工 ,pp.143-144.

15 加 川 啓 介 , 高 橋 弘 樹 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 道 場 信 義 (2012) 仮 設 構 造 物 による 損 傷 を 受 けた 木 造

住 宅 の 倒 壊 に 対 する 補 強 に 関 する 研 究 その2 足 場 の 組 み 方 の 検 討 . 2012 年 度 日 本 建 築 学 会 大

会 , 学 術 講 演 梗 概 集 , 材 料 施 工 ,pp.145-146.

16 道 場 信 義 , 高 橋 弘 樹 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 加 川 啓 介 (2012) 仮 設 構 造 物 による 損 傷 を 受 けた 木 造

住 宅 の 倒 壊 に 対 する 補 強 に 関 する 研 究 その3 床 の 耐 荷 重 . 2012 年 度 日 本 建 築 学 会 大 会 , 学 術

講 演 梗 概 集 , 材 料 施 工 ,pp.147-148.

平 成 23 年 度

1 原 著 論 文 伊 藤 和 也 , 野 田 昌 志 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 , 豊 澤 康 男 , 末 政 直 晃 (2011) 新 潟 県 中 越 地 震 ・

新 潟 県 中 越 沖 地 震 における 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 土 木 学 会 論 文 集 F6

( 安 全 問 題 ),Vol.67,No.1,pp.27-40.

2 豊 澤 康 男 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 (2011) 災 害 復 旧 工 事 の 労 働 安 全 衛 生 上 の 問 題 点 と 対 策 につい

て. 土 木 学 会 論 文 集 F6( 安 全 問 題 ),Vol.67,No.2,pp.I_155-I_160.

3 伊 藤 和 也 , 豊 澤 康 男 , 高 梨 成 次 (2011) 建 設 業 における 震 災 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 の 防 止 . 安 全

工 学 協 会 , 安 全 工 学 ,Vol.50,No.6,pp.450-457.

4 研 究 所 出 版 物 伊 藤 和 也 (2011) 土 砂 災 害 はどのようにして 発 生 するのか. 平 成 23 年 度 安 全 衛 生 技 術 講 演 会 , 平

成 23 年 度 安 全 衛 生 技 術 講 演 会 講 演 概 要 集 ,pp.1-11.

5 伊 藤 和 也 (2011) 東 日 本 大 震 災 の 復 旧 ・ 復 興 工 事 における 労 働 災 害 の 現 状 . 平 成 23 年 度 労 働 安 全

衛 生 重 点 研 究 推 進 協 議 会 シンポジウム,pp.1-8.

6 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Kazuya Itoh,Naotaka Kikkawa,YasuoToyosawa,Naoaki Suemasa,Toshiyuki Katada(2011)

Failure mechanism of anchored retaining wall due to the anchor head itself being broken.

International Symposium on Backwards Problem in Geotechnical Engineering and Monitoring of

Geo-Construction,Proceedings of the TC302 Symposium in Osaka 2011,pp.13-18.

7 Yasuo Toyosawa,Kazuya Itoh,Katsutoshi Ohdoh,Yasumichi Hino(2011)An Analysis of Labor

Accidents Occurring in Disaster Recovery Activities Following Some Major Earthquakes in Japan.

Asia Pacific Symposiumon Safety 2011,pp.190-193.

8 Yasumichi Hino(2011)Labor accidents due to disaster relief work at construction site in JAPAN.

Asia pacific symposium on safety 2011,pp.188-189.

9 Yasumichi Hino(2011)Fundamental Experiments on Head Impact Load due to Falling from Height.

International Conference on slips,trips & falls,International Conference on slips,trips & falls,CD-

ROM,Buxton,United Kingdom,HSL.

10 伊 藤 和 也 (2011) 地 盤 に 関 連 した 労 働 災 害 の 現 状 と 対 策 について. シンポジウム 暮 らしの 安 全 と 地

域 再 生 への 挑 戦 地 盤 の 災 害 を 考 える,pp.25-33.

11 豊 澤 康 男 , 大 幢 勝 利 , 高 梨 成 次 , 日 野 泰 道 , 高 橋 弘 樹 (2011) 建 設 工 事 の 労 働 安 全 衛 生 管 理 につ

いて- 国 際 比 較 調 査 を 通 じて-. 安 全 工 学 シンポジウム2011, 講 演 予 稿 集 ,pp.403-404.

12 大 幢 勝 利 (2011) 東 日 本 大 震 災 における 安 全 問 題 とBCP- 土 木 学 会 安 全 問 題 研 究 委 員 会 の 取 り 組

み-. 安 全 工 学 シンポジウム2011, 講 演 予 稿 集 ,pp.150-151.

13 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 (2011) 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 性 の 研 究 . 安 全 工 学 シンポ

ジウム, 講 演 予 稿 集 ,pp.363-366.

14 日 野 泰 道 (2011) 墜 落 に 起 因 する 頭 部 衝 撃 力 に 関 する 基 礎 的 研 究 . 安 全 工 学 シンポジウム2011,

講 演 予 稿 集 ,pp.371-372.

36


15 伊 藤 和 也 , 野 田 昌 志 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 , 豊 澤 康 男 , 末 政 直 晃 (2011) 新 潟 県 中 越 地 震 ・

新 潟 県 中 越 沖 地 震 による 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 安 全 工 学 シンポジウム

2011, 講 演 予 稿 集 ,pp.387-390.

16 大 幢 勝 利 , 高 梨 成 次 , 高 橋 弘 樹 , 加 川 啓 介 , 小 野 寺 元 , 千 葉 博 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2011) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その9 構 面 実 験 概 要 ). 日

本 建 築 学 会 2011 年 度 大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.165-166.

17 大 幢 勝 利 (2011) 東 日 本 大 震 災 における 安 全 問 題 とBCP- 安 全 問 題 研 究 委 員 会 の 取 り 組 み. 土 木

学 会 平 成 23 年 度 全 国 大 会 , 研 究 討 論 会 研 -27BCP( 事 業 継 続 計 画 )を 巡 る 課 題 と 動 向 - 安 全 ・ 安

心 ・ 安 定 な 社 会 作 りへのアプローチ-,CD-ROM.

18 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 豊 澤 康 男 (2011) 手 すり 先 行 工 法 など 新 たな 墜 落 防 止 機 材 導 入 時 の 問 題 点

に 関 するアンケート 調 査 . 平 成 23 年 度 土 木 学 会 全 国 大 会 ( 愛 媛 ), 第 66 回 年 次 学 術 講 演 会 講 演 梗

概 集 Ⅵ,pp.209-210.

19 島 田 雅 也 , 道 場 信 義 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光 (2011) 旧 基 準 で 建 て

られた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その6 簡 易 補 強 実 験 ). 日 本 建 築 学 会 2011 年 度

大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.159-160.

20 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光 (2011) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造

住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その7 地 震 応 答 解 析 のための 解 析 モデル). 日 本 建 築 学 会

2011 年 度 大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.161-162.

21 道 場 信 義 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光 (2011) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造

住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その8 地 震 応 答 解 析 の 結 果 と 評 価 ). 日 本 建 築 学 会 2011 年

度 大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.163-164.

22 大 幢 勝 利 , 高 梨 成 次 , 高 橋 弘 樹 , 加 川 啓 介 , 小 野 寺 元 , 千 葉 博 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2011) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その9 構 面 実 験 概 要 ). 日

本 建 築 学 会 2011 年 度 大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.165-166.

23 小 野 寺 元 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 千 葉 博 , 加 川 啓 介 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2011) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その10 乾 式 工 法 試 験 体

の 損 傷 状 況 ). 日 本 建 築 学 会 2011 年 度 大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.167-168.

24 加 川 啓 介 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 小 野 寺 元 , 千 葉 博 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2011) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その11 現 場 調 合 湿 式 試

験 体 の 損 傷 状 況 ). 日 本 建 築 学 会 2011 年 度 大 会 ( 関 東 ), 学 術 講 演 梗 概 集 C-1,pp.169-170.

25 玉 手 聡 , 堀 智 仁 (2011) 載 荷 速 度 の 違 いが 支 持 力 計 測 に 与 える 影 響 . 地 盤 工 学 会 , 第 46 回 地 盤 工

学 研 究 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,pp.159-160.

26 野 田 昌 志 , 末 政 直 晃 , 吉 川 直 孝 , 伊 藤 和 也 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 (2011) 新 潟 県 中 越 ・ 中 越 沖 地 震 によ

る 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 第 46 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,

pp.1731-1732.

27 野 々 山 栄 人 , 沢 田 和 秀 , 森 口 周 二 , 八 嶋 厚 , 伊 藤 和 也 (2011)SPH 法 を 用 いた 実 大 規 模 斜 面 掘 削

実 験 の 再 現 解 析 . 第 46 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,Vol.46,pp.817-818.

28 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 片 田 敏 行 , 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 (2011) 崩 壊 後 斜 面 の 不

安 定 性 に 関 する 実 験 的 考 察 . 第 46 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,pp.1613-1614.

29 豊 澤 康 男 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 (2011) 災 害 復 旧 工 事 におけるリスクアセスメントについて. 第 44 回

安 全 工 学 研 究 発 表 会 , 安 全 工 学 研 究 発 表 会 講 演 予 稿 集 ,pp.109-113.

30 野 田 昌 志 , 末 政 直 晃 , 吉 川 直 孝 , 伊 藤 和 也 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 (2011) 新 潟 県 中 越 地 震 ・ 新 潟 県 中 越

沖 地 震 による 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 第 66 回 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会

講 演 集 ,pp.201-202.

31 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 (2011) 地 震 による 斜 面 の 不 安 定 化 に

関 する 実 験 的 考 察 . 土 木 学 会 第 66 回 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 ( 平 成 23 年 度 ), 発 表 講 演 集 ,

pp.583-584.

32 野 田 昌 志 , 吉 川 直 孝 , 伊 藤 和 也 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 , 末 政 直 晃 , 片 田 敏 行 (2011) 新 潟 県 中 越 ・ 中 越

沖 地 震 による 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 第 8 回 地 盤 工 学 会 関 東 支 部 発 表

会 , 発 表 講 演 集 ,Vol.8,pp.324-326.

33 山 本 希 , 末 政 直 晃 , 三 國 智 温 , 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 (2011) 崩 壊 土 砂 により 人 体

が 受 ける 荷 重 の 実 験 的 計 測 . 第 8 回 地 盤 工 学 会 関 東 支 部 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,pp.246-249.

34 豊 澤 康 男 (2011) 震 災 復 興 工 事 に 向 けたリスクアセスメント- 一 日 も 早 い 復 興 を 安 全 に 成 し 遂 げるに

は!-. 建 設 業 労 働 災 害 防 止 協 会 , 第 48 回 全 国 建 設 業 労 働 災 害 防 止 大 会 資 料 集 ,pp.90-95.

37


35 玉 手 聡 (2011) 移 動 式 クレーン 等 の 現 場 内 自 走 における 転 倒 防 止 のための 安 全 要 件 について. 日 本

クレーン 協 会 , 発 表 講 クレーン,Vol.49,No.11,pp.4-14.

36 野 々 山 栄 人 , 沢 田 和 秀 , 森 口 周 二 , 八 嶋 厚 , 伊 藤 和 也 (2011)SPH 法 による 実 大 規 模 斜 面 掘 削 実

験 の 再 現 解 析 . 第 16 回 計 算 工 学 講 演 会 , 計 算 工 学 講 演 会 論 文 集 ,Vol.16,D-3-2.

37 その 他 の 専 門 家

向 け 出 版 物

伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 , 豊 澤 康 男 (2011) 災 害 復 旧 建 設 工 事 における 労 働 災 害 の

防 止 に 関 する 総 合 的 研 究 ~ 新 潟 県 中 越 地 震 ・ 新 潟 県 中 越 沖 地 震 による 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災

害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 ~. 建 設 業 労 働 災 害 防 止 協 会 , 平 成 23 年 版 建 設 業 安 全 衛 生 年 鑑 ,p.39.

38 玉 手 聡 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 (2011) 災 害 復 旧 建 設 工 事 における 労 働 災 害 の 防 止 に 関 す

る 総 合 的 研 究 ~ 地 震 により 崩 壊 した 斜 面 の 不 安 定 性 に 関 する 実 験 的 考 察 ~. 建 設 業 労 働 災 害 防

止 協 会 , 平 成 23 年 版 建 設 業 安 全 衛 生 年 鑑 ,p.40

39 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 (2011) 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 性 の 研 究 . 建 設 業 労 働 災 害

防 止 協 会 , 平 成 23 年 版 建 設 業 安 全 衛 生 年 鑑 ,p.41.

40 日 野 泰 道 (2011) 損 傷 を 受 けた 構 造 物 の 改 修 ・ 解 体 工 事 における 安 全 対 策 (スレート 屋 根 における

親 綱 取 付 設 備 の 検 討 ). 建 設 業 労 働 災 害 防 止 協 会 , 平 成 23 年 版 建 設 業 安 全 衛 生 年 鑑 ,p.42.

41 豊 澤 康 男 (2012) 安 全 への 提 言 「 大 惨 事 から 学 ぶこと- 安 全 工 学 者 の 役 割 -」. 安 全 工 学 会 , 安 全 工

学 2 月 号 ,Vol.51,No.1(2012),p.1.

42 豊 澤 康 男 (2011) 建 築 安 全 技 術 の 歴 史 とリスクアセスメントの 動 向 ・ 展 望 . ( 社 ) 日 本 労 働 安 全 衛 生 コ

ンサルタント 会 , 安 全 衛 生 コンサルタント,Vol.31,No.100,pp.54-60.

43 豊 澤 康 男 (2011) 巻 頭 言 「 震 災 復 興 ・ 復 興 工 事 とリスクアセスメント」. 仮 設 工 業 会 , 仮 設 機 材 マンス

リー11 月 号 ,No.326,p.1.

44 日 野 泰 道 (2011) 過 去 に 発 生 した 災 害 復 旧 工 事 における 労 働 災 害 の 分 析 . 企 業 通 信 社 , 労 働 安 全

衛 生 広 報 ,Vol.43,pp.29-35.

45 日 野 泰 道 (2011) 先 進 諸 国 における 建 設 現 場 の 労 働 安 全 . 全 国 土 木 施 工 管 理 技 士 会 連 合 会 ,

JCMマンスリーレポート,Vol.20,No.3,pp.6-9.

46 須 田 義 大 , 中 野 公 彦 , 井 上 秀 明 , 清 水 忠 , 渡 辺 顕 , 福 戸 淳 司 , 日 野 泰 道 (2011) 自 動 車 , 鉄 道 , 航

空 機 , 船 舶 における 安 全 技 術 . 日 本 機 械 学 会 会 誌 ,Vol.114,No.1106,pp.36-39.

47 伊 藤 和 也 (2012) 技 術 情 報 土 砂 崩 壊 による 労 働 災 害 とその 対 策 について. ( 社 ) 日 本 安 全 衛 生 コン

サルタント 会 , 安 全 衛 生 コンサルタント,No.101,pp.26-33.

平 成 22 年 度

1 原 著 論 文 伊 藤 和 也 , 日 下 部 澄 音 , 小 板 橋 拓 馬 , 豊 澤 康 男 , 末 政 直 晃 (2010) 斜 面 下 部 の 掘 削 による 斜 面 崩

壊 の 崩 壊 形 態 および 前 兆 現 象 に 関 する 遠 心 模 型 実 験 . 土 木 学 会 論 文 集 C,Vol.66,No.2,pp.250-

263.

2 野 田 昌 志 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 , 末 政 直 晃 (2010) 新 潟 県 中 越 地 震 ・ 新 潟 県 中 越

沖 地 震 による 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 土 木 学 会 安 全 問 題 研 究 論 文 集 ,

Vol.5,pp.181-186.

3 日 野 泰 道 (2010) 建 設 業 の 災 害 復 旧 工 事 における 労 働 災 害 の 分 析 . 労 働 安 全 衛 生 研 究 ,Vol.3,

No.2,pp.137-142.

4 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Kazuya Itoh,Yasuo Toyosawa,Sahapol Timpong,Naoaki Suemasa(2010)Physical modelling of

slope failure during slope cutting work,Proceedings of 7th International Conference on Physical

Modeling in Geotechnics,Vol.2,pp.1119-1123.

5 Satoshi Tamate,Naoaki Suemasa,Toshiyuki Katada(2010)Simulating shallow failure in slopes due

to heavy precipitation,Proceedings of 7th International Conference on Physical Modeling in

Geotechnics,Vol.2,pp.1143-1149.

6 Yasumichi Hino(2010)Fudamental Experments on Prevention of Head in Injuries Due to Falling

from Heights,International Conference on Slips,Trips and Falls 2011,CD-ROM.

7 豊 澤 康 男 , 伊 藤 和 也 , 日 下 部 治 , 竹 村 次 朗 , 玉 手 聡 , 高 木 元 也 (2010) 斜 面 崩 壊 による 労 働 災 害 防

止 対 策 について. 安 全 工 学 シンポジウム2010, 講 演 予 稿 集 ,pp.458-461.

8 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 (2010)ALCパネルにおける 足 場 用 壁 つなぎ 材 アンカーの 強 度 に

関 する 研 究 . 安 全 工 学 シンポジウム2010, 講 演 予 稿 集 ,pp.454-457.

9 野 田 昌 志 , 末 政 直 晃 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 伊 藤 和 也 , 玉 手 聡 (2010) 近 年 の 主 な 地 震 における 災 害

復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,Vol.45,No.2,

pp.1573-1574.

38


10 伊 藤 和 也 , 豊 澤 康 男 , 堀 井 宣 幸 , 三 田 地 利 之 , 武 田 仁 志 (2010) 斜 面 下 部 の 掘 削 による 斜 面 崩 壊 メ

カニズムに 関 する 遠 心 模 型 実 験 . 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 , 発 表 講 演 集 ,Vol.45,No.2,pp.1843-

1844.

11 豊 澤 康 男 , 大 幢 勝 利 , 伊 藤 和 也 (2010) 建 設 工 事 の 安 全 管 理 -リスクアセスメント 努 力 義 務 化 への

対 応 -. 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 , 講 演 概 要 集 ,Vol.65,VI-409,pp.817-818.

12 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 日 野 泰 道 , 高 橋 弘 樹 (2010) 荷 役 作 業 時 におけるトラックからの 墜 落 防 止 設

備 の 開 発 . 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 , 講 演 概 要 集 ,Vol.65,VI-507,pp.1005-1006.

13 野 田 昌 志 , 吉 川 直 孝 , 伊 藤 和 也 , 末 政 直 晃 (2010) 近 年 の 地 震 における 災 害 復 旧 工 事 中 の 労 働 災

害 に 関 する 調 査 ・ 分 析 . 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 , 講 演 概 要 集 ,Vol.65,VI-097,pp.193-194.

14 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 大 橋 好 光 (2010) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する

安 全 限 界 の 研 究 (その1 試 験 体 および 実 験 方 法 の 概 要 ). 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 C-1

構 造 3,pp.469-470.

15 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 大 橋 好 光 (2010) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する

安 全 限 界 の 研 究 (その2 損 傷 状 況 と 耐 力 の 関 係 ). 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 C-1 構 造

3,pp.471-472.

16 対 馬 幸 久 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 千 葉 博 , 小 野 寺 元 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2010) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その3 終 局 時 耐 力 の 分

析 ). 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 C-1 構 造 3,pp.473-474.

17 小 野 寺 元 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 千 葉 博 , 対 馬 幸 久 , 道 場 信 義 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2010) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その4 耐 力 評 価 ). 日 本 建

築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 C-1 構 造 3,pp.475-476.

18 千 葉 博 , 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 , 小 野 寺 元 , 道 場 信 義 , 対 馬 幸 久 , 坂 槇 義 夫 , 大 橋 好 光

(2010) 旧 基 準 で 建 てられた 木 造 住 宅 の 倒 壊 に 対 する 安 全 限 界 の 研 究 (その5 サイディングの 挙

動 ). 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 C-1 構 造 3,pp.477-478.

19 日 野 泰 道 (2010) 建 築 構 造 物 の 災 害 復 旧 工 事 における 主 要 な 労 働 災 害 . 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術

講 演 梗 概 集 ,pp.127-128.

20 日 野 泰 道 (2010) 高 所 からの 墜 落 により 生 ずる 頭 部 衝 撃 荷 重 に 関 する 基 礎 的 実 験 . 日 本 機 械 学 会

2010 年 度 年 次 大 会 , 講 演 論 文 集 ,Vol.6,pp.203-204.

21 日 野 泰 道 (2010)「 足 場 作 業 の 安 全 」- 足 場 からの 墜 落 災 害 事 例 と 防 止 対 策 -. 第 45 回 新 潟 県 建 設 業

労 働 災 害 防 止 大 会 ( 講 演 ).

22 野 田 昌 志 , 伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 堀 智 仁 , 玉 手 聡 , 末 政 直 晃 (2010) 近 年 の 主 な 地 震 における 災 害

復 旧 工 事 中 の 労 働 災 害 に 関 する 研 究 . 第 7 回 地 盤 工 学 会 関 東 支 部 発 表 会 (Geo-kanto2010), 発 表

講 演 集 ,pp.332-333.

23 堀 智 仁 , 吉 川 直 孝 , 沖 田 毅 瑠 , 三 田 地 利 之 (2010)ベンダーエレメント 試 験 によるS 波 およびP 波 速

度 計 測 の 試 み. 第 7 回 地 盤 工 学 会 関 東 支 部 発 表 会 (Geo-kanto2010), 発 表 講 演 集 ,pp.44-45.

24 三 國 智 温 , 末 政 直 晃 , 玉 手 聡 , 堀 智 仁 (2010) 斜 面 崩 壊 の 簡 易 なモニタリング 装 置 に 関 する 実 験 的

検 討 . 第 7 回 地 盤 工 学 会 関 東 支 部 発 表 会 (Geo-kanto2010), 発 表 講 演 集 ,pp.382-383.

25 総 説 ほか( 査 読 有

無 を 問 わず)

伊 藤 和 也 , 吉 川 直 孝 , 武 山 峰 典 , 村 山 盛 行 (2010)レーザーと 光 センサーを 利 用 した2 次 元 変 位 計

測 システムの 開 発 . 第 21 回 非 開 削 技 術 研 究 発 表 会 論 文 集 ,Vol.21,pp.109-117.

26 伊 藤 和 也 (2010) 第 45 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 総 括 「 斜 面 評 価 と 対 策 」. 地 盤 工 学 会 誌 ,2010 年 12

月 号 ,p.33.

平 成 21 年 度

1 原 著 論 文 伊 藤 和 也 , 豊 澤 康 男 ,Timpong S(2009) 隅 角 部 が 存 在 する 溝 掘 削 工 事 の 安 全 性 に 関 する 研 究 .

労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 ,Vol.2,No.2,pp.99-105.

2 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Satoshi Tamate,Kazuya Itoh(2009)Monitoring of shear strain in the shallow section of slopes to

detect increased risk of slope failure,Proceedings of the 17th International Conference on Soil

Mechanics and Geotechnical Engineering,Vol.3,pp.2143-2146.

3 Kazuya Itoh,Yasuo Toyosawa,Timpong S,Tamrakar S.B.,Naoaki Suemasa(2009)Physical

modeling of slope failure during slope cutting work,Vol.3,pp.522-525.

4 Seiji Takanashi,Katsutoshi Ohdo(2009)The performance of bridge girder reinforcements against

construction load,Asia Pacific Symposium on Safety 2009,pp.150-153.

5 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 玉 澤 朊 彦 , 北 條 哲 男 (2009) 送 出 し 架 設 工 法 における 橋 桁 の 偏 心 載 荷 の 影

響 に 関 する 研 究 . 第 64 回 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 ,VI-115.

39


6 伊 藤 和 也 , 豊 澤 康 男 , 武 山 峰 典 , 村 山 盛 行 (2009)レーザーと 光 センサーを 利 用 した2 次 元 変 位 計

測 システムの 開 発 . 第 64 回 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 ,2Ⅲ-072.

7 高 梨 成 次 , 大 幢 勝 利 , 高 橋 弘 樹 (2009)ALCパネルにおける 足 場 用 壁 つなぎ 材 アンカーの 引 き 抜 き

強 度 に 関 する 研 究 . 日 本 建 築 学 会 年 次 大 会 , 材 料 施 工 ,pp.997-998.

8 玉 手 聡 (2009) 斜 面 工 事 における 被 災 防 止 のための 崩 壊 モニタリングについて. 2009 年 度 安 全 性 研

究 会 , 電 子 情 報 通 信 学 会 ,pp.21-24.

9 高 梨 成 次 (2009) 建 設 用 タワークレーンの 耐 震 性 能 に 関 する 研 究 . 第 30 回 全 国 クレーン 安 全 大 会 .

10 伊 藤 和 也 , 玉 手 聡 , 野 田 昌 志 , 末 政 直 晃 (2009) 災 害 復 旧 工 事 における 労 働 災 害 に 関 する 調 査 ・

分 析 ~ 新 潟 中 越 地 震 ・ 新 潟 県 中 越 沖 地 震 の 傾 向 について~. 第 6 回 地 盤 工 学 会 関 東 支 部 発 表

(Geo-Kanto2009), 発 表 講 演 集 ,GK-126.

11 総 説 ほか( 査 読 有

無 を 問 わず)

玉 手 聡 (2009) 斜 面 工 事 における 被 災 防 止 のための 崩 壊 モニタリングについて. 信 学 技 報 IEICE

Technical Report, 電 子 情 報 通 信 学 会 ,Vol.109,No.250,pp.21-24.

12 伊 藤 和 也 (2009) 第 44 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 7. 地 盤 防 災 (7) 斜 面 調 査 ・ 観 測 【 斜 面 の 調 査 と 試

験 】 総 括 .Vol.57,No.12,p.32.

13 著 書 ・ 単 行 本 伊 藤 和 也 (2009)1 昭 和 47 年 7 月 豪 雨 での 高 知 県 繁 藤 地 区 斜 面 崩 壊 災 害 , 家 族 を 守 る 斜 面 の 知 識

-あなたの 家 は 大 丈 夫 ?-. 土 木 学 会 ,pp.26-27( 分 担 執 筆 ).

14 伊 藤 和 也 (2009)コラム 土 砂 災 害 による 労 働 災 害 , 家 族 を 守 る 斜 面 の 知 識 -あなたの 家 は 大 丈

夫 ?-. 土 木 学 会 ,p.80( 分 担 執 筆 ).

15 その 他 の 専 門 家

向 け 出 版 物

玉 手 聡 (2009) 斜 面 工 事 における 被 災 防 止 のための 簡 易 な 崩 壊 モニタリングの 検 討 .( 社 ) 全 国 地 質

事 業 共 同 連 合 会 , 地 質 と 調 査 ,Vol.4,No.122,pp.15-21.

16 特 許 の 出 願 取 得 豊 澤 康 男 , 伊 藤 和 也 (2009) 斜 面 保 護 擁 壁 の 施 工 法 . 2004-239418.

17 伊 藤 和 也 , 豊 澤 康 男 (2009) 斜 面 保 護 擁 壁 の 施 工 法 及 び 擁 壁 築 造 ユニット. 2004-150714.

(2) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 達 成 度

行 政 的 ・ 社 会 的 貢 献 度

3.69

3.77

研 究 成 果 の 公 表

3.46

学 術 的 貢 献 度

その 他 の 評 価

3.23

3.31

総 合 ( 平 均 )

3.49

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) 災 害 復 旧 時 の 労 働 災 害 という 新 規 な 切 り 口 からの 研 究 で、 多 くの 成 果 を 挙 げたものと 評 価 できる。

自 然 災 害 が 多 発 している 今 世 紀 の 日 本 にとって 重 要 な 課 題 と 考 えられる。 今 後 とも 研 究 の 深 化 を 期 待 す

る。

(B 委 員 )この 研 究 の 成 果 が、 実 社 会 に 広 く 活 用 されることを 期 待 します。

(C 委 員 ) 研 究 で 得 られた 工 学 的 な 知 見 を 工 事 現 場 の 監 督 者 、 作 業 者 、 関 係 する 機 器 メーカーの 開 発 者 に

わかりやすい 形 で 確 実 に 普 及 させる 努 力 を 関 係 機 関 と 協 力 して 進 めていただきたい。

(D 委 員 )この 研 究 は 今 後 も 継 続 する 必 要 がある。その 場 合 、 今 後 、どのように 研 究 していくかが 必 要 である。

予 算 の 関 係 で 実 施 できなかった 研 究 があると 感 じる。そのことを 記 載 してほしい。

(E 委 員 ) 昨 年 の 3.11 以 降 防 災 対 策 の 充 実 に 向 けた 施 策 の 検 討 が 積 極 的 に 行 われているが、 被 災 後 に 焦

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点 を 当 てたこのような 研 究 は 少 ないと 感 じる。 震 災 復 興 という 国 の 大 きな 課 題 に 沿 った 研 究 と 考 えられる

ので 今 後 とも 適 切 な 情 報 発 信 を 行 って 欲 しい。 研 究 期 間 中 に 東 日 本 大 震 災 というケーススタディを 行 う

べき 事 例 が 発 生 していたので、これを 積 極 的 に 取 り 込 むようなフィールドワークの 展 開 が 図 られてもよ

かったのではないかと 思 う。

(F 委 員 ) 多 数 の 研 究 業 績 をあげ、 精 力 的 な 研 究 である。 災 害 復 旧 建 設 工 事 の 労 働 災 害 防 止 という 目 的 か

らはやや 斜 面 での 土 木 工 事 に 対 象 が 限 定 されており、これ 以 外 の 解 体 やがれき 整 備 などの 問 題 につい

て 焦 点 があてられていない。また 公 表 原 著 論 文 数 も 限 られている。

(G 委 員 ) 研 究 内 容 がどのように 利 用 されるのか 不 明 。 特 許 を 申 請 して 終 わりではだめで、どのような 働 きか

けをしているのか、 厚 生 労 働 行 政 への 貢 献 についてどのようにするのかも 明 らかにしてほしい。 特 に 国 土

交 通 省 や、 関 連 する 環 境 省 、 復 興 省 などの 調 整 についても、National Center としての 指 導 力 と 推 進 力 で

不 満 が 残 る。

(H 委 員 ) 国 土 交 通 省 の 研 究 機 関 との 連 携 も 必 要 なのでは。

(I 委 員 ) 震 災 等 の 災 害 復 旧 現 場 において、 土 砂 崩 壊 、 木 造 建 築 物 の 改 修 、 屋 根 からの 墜 落 災 害 の 面 から

労 働 災 害 防 止 の 方 策 について 検 討 した 研 究 である。 大 規 模 な 自 然 災 害 が 増 加 しているので、このような

研 究 は 重 要 である。サブテーマ 1 で、 土 砂 崩 壊 については 大 規 模 な 実 験 を 行 っているが、 土 の 種 類 や

地 盤 の 状 態 によって 崩 壊 の 状 況 は 大 きく 異 なると 考 えられるので、 基 礎 研 究 としてはよいが、 社 会 への 還

元 を 考 えると、この 実 験 結 果 が 一 般 性 があるのかについてさらに 検 討 が 必 要 であると 考 えられる。

(J 委 員 ) 行 政 ・ 社 会 的 貢 献 について 具 体 的 かつ 明 確 に 呈 示 すべき。

(K 委 員 ) 研 究 成 果 の 情 報 発 信 、 現 場 安 全 教 育 に 役 立 てて 頂 きたい。

(L 委 員 ) 今 後 、 発 生 が 近 いと 想 定 される 東 南 海 地 震 や、 中 央 道 トンネル 天 井 落 下 事 故 に 見 られるインフラ

施 設 の 老 朽 化 事 故 が 益 々これからも 増 加 することが 予 測 される。 災 害 復 旧 での 二 次 災 害 は、 絶 対 に 避

けなければならないテーマでもあり、 本 研 究 で 得 られた 成 果 は、 積 極 的 に 発 信 願 いたい。

(M 委 員 ) 地 盤 、 構 造 物 、 屋 根 についての 研 究 。 具 体 的 な 提 案 がなされていて 研 究 成 果 として 明 確 。これ

らの 研 究 成 果 をどのように 広 めていくかが 課 題 。

(3) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

本 研 究 に 関 して 御 指 摘 いただき 感 謝 申 し 上 げます。 本 研 究 テーマは、 近 年 懸 念 されている 大 地 震 等 の

自 然 災 害 が 発 生 した 後 の 復 旧 工 事 に 焦 点 を 当 てた 研 究 ですが、テーマの 選 定 に 関 しては、 肯 定 的 な 御 意

見 (A 委 員 、I 委 員 ) を 頂 きました。

研 究 内 容 としては、 多 くの 成 果 があるとの 評 価 (A 委 員 、F 委 員 、M 委 員 ) を 頂 きました。しかしながら、I

委 員 が 御 指 摘 されているように、 全 ての 研 究 成 果 が 一 般 性 を 持 ち、あらゆる 場 面 に 適 用 できるものではない

と 考 えておりますので、 御 指 摘 (A 委 員 、D 委 員 )に 従 い、 今 後 も 研 究 の 深 化 に 努 めたいと 考 えております。

さらに、D 委 員 が 御 指 摘 されているように、2 年 目 の 研 究 予 算 が 当 初 計 画 よりも 60% 程 度 減 額 されました。

そのため、 実 現 場 における 斜 面 崩 壊 実 験 及 び 斜 面 崩 壊 予 知 に 関 する 実 験 の 中 止 や 木 造 家 屋 試 験 体 の 種

類 を 減 らす 等 の 実 験 規 模 を 縮 小 する 対 応 を 取 らざるを 得 なくなりました。これに 対 して、 今 後 は 基 盤 的 研 究

等 として 継 続 し、I 委 員 が 懸 念 されている 実 験 データの 一 般 性 を 高 める 努 力 を 続 けていきたいと 考 えており

ます。

また、 研 究 成 果 の 公 表 に 関 しては、 多 数 の 研 究 業 績 を 挙 げたことは 評 価 (A 委 員 、F 委 員 )いただきまし

たが、 原 著 論 文 数 が 限 定 的 であるとの 御 指 摘 (F 委 員 )を 受 けました。この 他 、 研 究 成 果 を 広 く 知 らしめる 努

力 を 期 待 するとの 御 意 見 (B 委 員 、C 委 員 、E 委 員 、K 委 員 、L 委 員 、M 委 員 )を 多 数 頂 きました。これらの

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御 意 見 に 関 しましては、 公 表 が 不 十 分 であるとの 叱 責 であると 同 時 に、 本 研 究 内 容 の 有 用 性 を 認 めていた

だいたものと 理 解 しており、 今 後 は 行 政 機 関 等 と 連 携 しつつ、 論 文 のみならず 現 場 での 安 全 教 育 等 にも 利

用 していただける 情 報 を、 積 極 的 かつ 継 続 的 に 発 信 していきたいと 考 えております。

研 究 内 容 で 不 十 分 な 点 として、 研 究 期 間 中 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 におけるフィールドワークの 展 開 を

図 るべきであったと 御 意 見 (E 委 員 )がありました。また、 解 体 やがれき 整 備 などの 問 題 について 焦 点 があて

られていないとの 御 指 摘 (F 委 員 )がありました。これらに 関 しては、 東 日 本 大 震 災 特 有 な 状 況 があることから、

現 地 調 査 を 行 うとともに 厚 生 労 働 省 労 働 基 準 局 安 全 衛 生 部 ( 以 下 「 安 衛 部 」という。)と 調 整 して「がれき 処 理

作 業 、 解 体 工 事 における 労 働 災 害 の 分 析 と 対 策 の 検 討 」と「 補 修 工 事 における 屋 根 、 建 物 からの 墜 落 災 害

防 止 に 関 する 研 究 」の 基 盤 的 研 究 2 課 題 を 平 成 23 年 9 月 から 開 始 することで 対 応 をしました。また、この

研 究 成 果 をリーフレット 等 にまとめ、 安 衛 部 と 連 携 して 被 災 地 に 1 万 枚 配 布 することなどを 行 いました。 東 日

本 大 震 災 の 復 旧 ・ 復 興 工 事 における 災 害 分 析 は 継 続 する 必 要 がありますし、また 解 体 工 事 の 安 全 化 などの

調 査 研 究 はまだ 不 十 分 ですので、 今 後 、これらの 問 題 に 関 する 調 査 研 究 を 継 続 し、 随 時 公 表 していきたい

と 考 えております。

研 究 内 容 の 行 政 貢 献 ・ 社 会 的 貢 献 について 明 確 にすべきであり(G 委 員 、J 委 員 )、 国 土 交 通 省 、 環 境 省 、

復 興 庁 等 との 連 携 が 不 足 しているとの 御 指 摘 (G 委 員 、H 委 員 )を 頂 きました。これらに 関 しましては、 東 日

本 大 震 災 発 生 後 に、 安 衛 部 と 情 報 を 共 有 し、 安 衛 部 から 発 出 された 通 達 などに 研 究 成 果 の 一 部 が 引 用 さ

れました。しかしながら、 他 省 庁 及 び 他 の 研 究 機 関 との 連 携 に 関 しましては、 研 究 所 レベルでの 対 応 には 限

界 がありますので、 厚 生 労 働 省 を 通 じ、 他 省 庁 等 との 情 報 の 共 有 化 を 図 るなどにより、G 委 員 のご 指 摘 のよ

うに National Center としての 役 割 を 果 たすべく 努 力 していきたいと 考 えております。

42


2.2 多 軸 全 身 ・ 多 軸 手 腕 振 動 ばく 露 の 人 体 への 心 理 ・ 生 理 影 響 の 評 価 方 法 に 関 する 研 究 ( 平

成 19 年 度 ~ 平 成 23 年 度 )

(1) 研 究 概 要

平 成 21 年 、 欧 州 各 国 で 導 入 されている 手 腕 振 動 ばく 露 作 業 の 作 業 管 理 方 法 にならう 形 で、 我 が 国 も 一

日 当 たり(8 時 間 相 当 ) 等 価 振 動 ばく 露 量 の 考 え 方 に 基 づいて 手 腕 振 動 ばく 露 作 業 の 作 業 管 理 を 行 う 方 式

に 移 行 した。 一 方 、 全 身 振 動 ばく 露 に 関 しては、 通 達 等 で 座 位 姿 勢 における 過 度 の 全 身 振 動 ばく 露 の 有 害

性 及 び 同 振 動 ばく 露 低 減 のための 対 策 とその 推 進 について 定 性 的 な 指 導 が 行 われているにすぎない。 将

来 的 には、 欧 州 諸 国 にならって 全 身 振 動 ばく 露 作 業 従 事 者 の 作 業 ・ 健 康 管 理 を 全 身 振 動 ばく 露 量 に 基 づ

いて 行 う 可 能 性 が 考 えられるが、 手 腕 ・ 全 身 振 動 いずれのばく 露 評 価 の 場 合 もその 根 拠 となる 周 波 数 補 正

曲 線 自 体 の 問 題 点 が 指 摘 されており、これらを 規 定 している 国 際 規 格 の 改 正 が 検 討 されている。

本 研 究 では、 我 が 国 がこれらの 振 動 ばく 露 評 価 法 を 参 照 しながら 振 動 ばく 露 作 業 従 事 者 の 振 動 ばく 露 量

のモニター 及 び 作 業 管 理 をしていく 上 での 注 意 すべき 問 題 点 を 明 らかにした。また、この 問 題 点 を 克 服 する

ための 方 法 の 一 つとして、 手 腕 振 動 ばく 露 の 評 価 に 対 して 人 体 が 吸 収 する 振 動 エネルギーにもとづいた 影

響 係 数 曲 線 を 提 案 した。

ア. はじめに

欧 米 各 国 では、 全 身 及 び 手 腕 振 動 ばく 露 による 健 康 影 響 評 価 を 考 える 上 で、 一 日 当 たりの 等 価 振 動 ばく

露 量 という 考 え 方 に 基 づいて 定 量 的 に 振 動 ばく 露 量 を 評 価 し、 振 動 ばく 露 作 業 従 事 者 の 健 康 ・ 作 業 管 理 を

行 うという 考 え 方 が 主 流 である。これに 対 してわが 国 では、 平 成 21 年 に 一 日 当 たり(8 時 間 相 当 ) 等 価 振 動

ばく 露 量 を 用 いた 手 腕 振 動 ばく 露 作 業 の 作 業 管 理 方 法 が 導 入 された。 現 在 、 手 腕 振 動 障 害 の 新 規 認 定 患

者 数 は 毎 年 250 人 程 度 で 推 移 しており、それらの 50% 以 上 が 建 設 作 業 従 事 者 である。 一 日 当 たり(8 時 間

相 当 ) 等 価 振 動 ばく 露 量 を 用 いた 手 腕 振 動 ばく 露 作 業 の 作 業 管 理 方 法 の 導 入 により、 長 期 的 な 視 野 の 下 、

手 腕 振 動 障 害 の 新 規 認 定 患 者 数 の 減 少 が 期 待 されるところである。このような 状 況 において、この 新 しい 振

動 ばく 露 評 価 並 びに 作 業 管 理 方 法 を 用 いる 上 での 問 題 点 及 び 留 意 点 を 把 握 し、かつ 可 能 な 範 囲 で 改 善 を

図 っていくことは 重 要 である。

一 方 、 全 身 振 動 ばく 露 作 業 に 対 する 健 康 ・ 作 業 管 理 では、 平 成 6 年 基 発 第 547 号 「 職 場 における 腰 痛

予 防 対 策 の 推 進 について」 及 び 平 成 19 年 基 安 安 発 第 0731004 号 「 機 械 の 包 括 的 な 安 全 基 準 に 関 する 指

針 の 解 説 等 について」 等 の 通 達 で 座 位 姿 勢 における 過 度 の 全 身 振 動 ばく 露 の 有 害 性 及 び 同 振 動 ばく 露 低

減 のための 対 策 とその 推 進 について 定 性 的 な 指 導 が 行 われているにすぎない。 今 後 、 国 際 協 調 の 下 、 我

が 国 も 将 来 的 には 全 身 振 動 ばく 露 量 に 基 づいた 全 身 振 動 ばく 露 作 業 従 事 者 の 作 業 ・ 健 康 管 理 へ 向 かって

いく 可 能 性 があるが、この 新 しい 振 動 ばく 露 評 価 及 び 作 業 管 理 方 法 を 用 いる 上 での 問 題 点 及 び 留 意 点 を

把 握 し、かつ 可 能 な 範 囲 で 改 善 を 図 っていくことは 重 要 である。

イ. 手 腕 振 動 ばく 露 評 価 における 問 題 点 とその 改 善

一 日 当 たり(8 時 間 相 当 ) 等 価 振 動 ばく 露 量 を 用 いた 手 腕 振 動 ばく 露 作 業 の 作 業 管 理 方 法 の 持 つ 問 題

点 として、 以 前 の 疫 学 研 究 によれば 周 波 数 成 分 の 人 体 への 影 響 の 程 度 と 合 致 しないこと、 振 動 ばく 露 の 方

向 依 存 性 が 考 慮 されていないこと、 手 腕 姿 勢 の 影 響 が 考 慮 されていないこと 等 が 指 摘 されていた。これらの

問 題 点 は、 同 評 価 方 法 を 用 いて 作 業 者 の 手 腕 振 動 ばく 露 量 を 推 定 し、 健 康 影 響 を 評 価 する 上 での 大 きな

誤 差 要 因 となり 得 る。 本 研 究 ではこれらの 誤 差 要 因 を 改 善 するために、エネルギー 吸 収 法 による 手 腕 振 動

43


ばく 露 に 対 する 人 体 影 響 係 数 を 用 いた 評 価 方 法 を 提 案 するとともに、 実 験 結 果 をもとに 上 述 の 問 題 点 に 関

して 議 論 した。

実 験 用 ハンドルを 用 いた 3 方 向 同 時 加 振 実 験 により、 各 方 向 における 手 腕 振 動 の 人 体 影 響 係 数 曲 線 が

得 られた。この 人 体 影 響 係 数 曲 線 によれば、 以 下 のことが 明 らかになった。 振 動 ばく 露 の 方 向 依 存 性 は 存

在 し、 人 体 影 響 係 数 は、ほぼすべての 周 波 数 帯 域 で 従 来 の 周 波 数 補 正 係 数 よりも 高 い 値 を 示 した。 前 後

(z) 方 向 からの 手 腕 振 動 ばく 露 に 対 する 人 体 影 響 係 数 は、 従 来 の 周 波 数 補 正 係 数 にほぼ 一 致 する 値 を 得

た。 手 腕 姿 勢 の 影 響 に 関 しては、 前 腕 姿 勢 の 変 化 ( 回 内 : 前 腕 を 内 側 にひねり、 掌 が 後 ろ 又 は 下 に 向 く 姿 勢

及 び 回 外 : 前 腕 を 外 側 にひねり、 掌 が 前 又 は 上 に 向 く 姿 勢 )による 人 体 影 響 係 数 の 差 は 有 意 ではなく、 肘 姿

勢 の 変 化 ( 伸 展 及 び 90° 屈 曲 )により 人 体 影 響 係 数 に 有 意 差 が 認 められた。 肘 屈 曲 位 とすることにより、 上 下

(x) 及 び 左 右 (y) 方 向 からの 手 腕 振 動 ばく 露 に 対 する 人 体 影 響 係 数 は、ほぼすべての 周 波 数 帯 域 で 従 来 の

周 波 数 補 正 係 数 よりも 高 い 値 を 示 した。 肘 伸 展 位 における 人 体 影 響 係 数 は、 従 来 の 周 波 数 補 正 係 数 よりも

ほぼすべての 周 波 数 帯 域 で 低 い 値 を 示 した。

これらの 結 果 をもとに、 実 際 の 手 持 ち 振 動 工 具 の 中 から 使 用 時 の 手 腕 姿 勢 の 自 由 度 が 高 くなりやすい 小

型 ・ 軽 量 の 振 動 工 具 5 種 類 を 選 び、 実 作 業 時 の 振 動 波 形 を 測 定 して 人 体 影 響 係 数 及 び 従 来 の 周 波 数 補

正 係 数 による 補 正 加 速 度 実 効 値 の 比 較 並 びに 振 動 ばく 露 作 業 限 界 時 間 の 比 較 を 行 った。その 結 果 、 肘 伸

展 位 を 除 いて 人 体 影 響 係 数 に 基 づいた 補 正 加 速 度 実 効 値 の 方 が 従 来 の 補 正 加 速 度 実 効 値 よりも 大 きな

値 を 示 し、それに 応 じて 一 日 当 たりの 振 動 ばく 露 限 界 時 間 も 0.5 倍 から 0.7 倍 程 度 に 短 くなることが 示 され

た。

ウ. 全 身 振 動 ばく 露 評 価 における 問 題 点 とその 改 善

現 在 わが 国 では、 座 位 姿 勢 における 全 身 振 動 ばく 露 作 業 について、 同 一 姿 勢 による 長 時 間 ばく 露 の 有

害 性 及 び 振 動 ばく 露 低 減 のための 対 策 とその 推 進 についての 定 性 的 な 指 導 にとどまっている。しかしなが

ら、 手 持 ち 振 動 工 具 の 取 扱 いにおける 一 日 当 たりの 等 価 振 動 ばく 露 量 にもとづいた 手 腕 振 動 ばく 露 の 評 価

と 作 業 管 理 の 導 入 に 伴 い、 同 様 の 評 価 方 法 が 全 身 振 動 ばく 露 を 伴 う 作 業 に 対 しても 導 入 される 可 能 性 があ

る。 本 研 究 では、 同 方 法 が 抱 える 問 題 点 である 性 差 、 振 動 ばく 露 の 方 向 依 存 性 、 着 座 時 の 背 もたれ 角 度 等

の 影 響 について 調 べた。

心 理 的 主 観 応 答 の 観 点 から 性 差 及 び 振 動 ばく 露 の 方 向 依 存 性 及 び 姿 勢 ( 着 座 ・ 立 位 )の 影 響 を 調 べた

結 果 、 有 意 な 性 差 が 認 められた。 具 体 的 には、 立 位 姿 勢 の 場 合 、 女 性 は 方 向 に 依 存 せずに 中 程 度 の 振 動

ばく 露 までは 男 性 よりも 寛 容 であり、 座 位 姿 勢 の 場 合 、 女 性 は 前 後 ・ 左 右 方 向 の 振 動 ばく 露 に 対 して 男 性 よ

りも 寛 容 であり、 鉛 直 方 向 の 振 動 に 対 しては 強 い 振 動 に 対 してのみ 鋭 敏 であった。 振 動 ばく 露 の 方 向 依 存

性 についても 有 意 差 が 認 められ、 性 別 に 関 係 なく 立 位 姿 勢 の 場 合 には 鉛 直 方 向 の 振 動 ばく 露 に 対 して 敏

感 であり、 座 位 姿 勢 の 場 合 には 前 後 方 向 の 振 動 ばく 露 に 対 して 敏 感 であった。また、 全 身 振 動 ばく 露 の 典

型 である 座 位 姿 勢 に 特 化 して、 動 力 学 的 応 答 の 観 点 から 座 席 背 もたれ 角 度 の 影 響 を 調 べた。その 結 果 、 人

体 に 吸 収 される 振 動 パワーにもとづいた 評 価 によると、 座 席 背 もたれ 角 度 が 10° 以 上 30° 未 満 の 範 囲 が 腰

痛 等 防 止 の 観 点 から 望 ましいことが 示 された。

また、ばく 露 する 振 動 スペクトルの 周 波 数 幅 が 広 い 場 合 、 座 席 背 もたれ 角 度 を 上 記 の 範 囲 内 に 設 定 した

時 に、 吸 収 される 振 動 パワーをより 効 果 的 に 減 少 させる 可 能 性 があることが 示 された。このことから、 全 身 振

動 ばく 露 の 原 因 となる 車 両 の 振 動 スペクトルの 周 波 数 幅 によって、 座 席 背 もたれ 角 度 を 変 化 させたことによ

る 脊 柱 及 び 脊 柱 周 辺 筋 肉 への 動 的 負 荷 の 軽 減 の 程 度 に 差 が 生 じることが 示 唆 された。

44


エ. 年 度 ごとの 研 究 費

1 年 目 1,800 千 円

2 年 目 2,640 千 円

3 年 目 7,514 千 円

4 年 目 2,500 千 円

5 年 目 3,200 千 円

オ. 研 究 業 績 リスト

平 成 23 年 度

1 原 著 論 文 Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu,Setsuo Maeda(2011)Posture-related change in frequency

weightings derived from vibration power absorption of the hand-arm system. Canadian Acoustics,

39(2),p.98-99.

2 Nobuyuki Shibata , Kazuma Ishimatsu , Setsuo Maeda ( 2012 ) Gender difference in subjective

response to whole-body vibration under standing posture. Int. Arch. Occup. Environ. Health.,85(2),

p.171-179.

3 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

William Baker,Neil Mansfield,Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2011)

Activity Interference during exposure to whole-body vibration: seated and standing individuals.

Proceedings of International Conference on Ergonomics & Human Factors 2011,CD-ROM.

4 Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu,Setsuo Maeda(2011)Posture-related change in frequency

weightings derived from vibration power absorption of hand-arm system. Proceedings of 12th

International Conference on Hand-arm Vibration,CD-ROM.

5 Nobuyuki Shibata(2011) VPA-based evaluation of vibration attenuation performance of gloves.

Proceedings of 19th Japan Conference on human Response to Vibration,p.9-14.

6 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2011)Does hand-arm vibration influence a

sense of time? Proceedings of 19th Japan Conference on human Response to Vibration,p.1-8.

7 Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu,Setsuo Maeda(2011)Effect of direction and arm posture on

frequency weightings derived from power absorption of hand exposed to tri-axial random vibration.

Proceedings of the 40th International Congress and Exposition on Noise Control Engineering

(Internoise2011),CD-ROM.

8 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2011)Audio-visual stimulation mitigates

discomfort from whole-body vibration. Proceedings of the 40th International Congress and

Exposition on Noise Control Engineering(Internoise2011),CD-ROM.

平 成 22 年 度

1 原 著 論 文 Nobuyuki Shibata,Setuo Maeda(2010) Determination of backrest inclination based on biodynamic

response study for prevention of low back pain. Med Eng & Phys 32,p.577-583.

2 Santosh Mandapuram,Subhash Rakheja,Paul-Emile Boileau,Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata

(2010)Apparent mass and seat-to-head transmissibility responses of seated occupants under single

and dual axis horizontal vibration. Ind. Health 48,p.698-714.

3 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Nobuyuki Shibata , Kazuma Ishimatsu , Setsuo Maeda ( 2010 ) Gender difference of subjective

responses to whole-body vibration under standing posture. Proceedings of 3rd American Conference

on Human Vibration,p.82-83.

4 Neil J. Mansfield,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu,Setsuo Maeda(2010)Effect of gripping in

a trigger posture on apparent mass of the hand-arm system. Proceedings of 3rd American Conference

on Human Vibration,p.43-44.

5 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2010)Effects of whole-body vibration on the

perceived duration of a visual stimulus presentation. Proceedings of 3rd American Conference on

Human Vibration,p.84-85.

6 Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu,Setsuo Maeda(2010)Effect of high frequency content on

biodynamic responses to vertical whole-body vibration exposure. Proceedings of the 18th Japan

Conference on Human Response to Vibration,p.128-135.

45


7 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2010)Effects of whole-body vibration on

duration judgment of empty interval. Proceedings of the 18th Japan Conference on Human Response

to Vibration,p.111-118.

8 Kazuma Ishimatsu,Yumiko Sakamoto,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2010)Effect of audiovisual

stimulation on whole-body vibration perception: A pilot study on multi-modal sensation.

Proceedings of the 18th Japan Conference on Human Response to Vibration,p.143-148.

9 柴 田 延 幸 , 石 松 一 真 , 前 田 節 雄 (2010) 有 限 要 素 法 による 動 的 荷 重 に 対 する 指 先 の 力 学 的 応 答 解

析 . 日 本 機 械 学 会 山 梨 講 演 会 講 演 論 文 集 ,p.72-73.

10 直 井 朋 美 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 , 大 石 久 己 (2010) 全 身 振 動 曝 露 における 不 快 適 性 主 観 評 価 に 性

別 差 が 及 ぼす 影 響 . 日 本 機 械 学 会 関 東 支 部 第 16 期 総 会 講 演 会 講 演 論 文 集 ,p.243-244.

平 成 21 年 度

1 原 著 論 文 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2009)Effects of whole-body vibration on

visual information processing. Japanese Journal of Psychonomic Science 28,p.179-180.

2 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda,Kazuma Ishimatsu(2009)Determination of seat back angle based

on biodynamic response study for prevention of low back pain. Proceedings of 4th International

Conference on Whole-Body Vibration Injuries,p.39-40.

3 Nobuyuki Shibata,Masahito Hara,Setsuo Maeda,Kazuma Ishimatsu(2009)Acute effects of wholebody

vibration exposure on center of gravity agitation. Proceedings of 17th Japan Conference on

Human Response to Vibration,p.96-100.

4 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu(2009)Minimization of temporary threshhold

shifts(TTS) at assembly line hand-held tool work using Queuing theory. Proceedings of 17th Japan

Conference on Human Response to Vibration,p.78-86.

5 Yumiko Sakamoto,Mark Allman-Ward,Poger Williams,Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,

Setsuo Maeda(2009)Reproduction of multi-modal sensation on 6-degree-of-freedom vibrator and

NVH simulator. Proceedings of 17th Japan Conference on Human Response to Vibration,p.116-119.

6 Santosh Mandapuram,Subhash Rakheja,Paul-É. Boileau,Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata(2009)

Apparent mass and seat-to-head transmissibility responses of seated occupant to single and dual-axis

horizontal vibration. Proceedings of 4th International Conference on Whole-Body Vibration Injuries,

p.33-34.

7 Masahito Hara,Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu(2009)Effects of whole-body

vibration exposure from vehicle seats on center of gravity agitation. Proceedings of 4th International

Conference on Whole-Body Vibration Injuries,p.83-84.

8 Yumiko Sakamoto,Masakazu Ozaki,Allman-Ward,Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo

Maeda(2009)Multi-modal simulator at JNIOSH. Proceedings of 4th International Conference on

Whole-Body Vibration Injuries,p.91-92.

9 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu(2009)Psychovibration studies on assessment

of time-variant whole-body vibration exposure. Proceedings of 4th International Conference on

Whole-Body Vibration Injuries,p.115-116.

10 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2009)Effects of exposure to whole-body

vibration on psychological time. Proceedings of 4th International Conference on Whole Body

Vibration Injuries,p.13-14.

11 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2009)Subjective judgment of duration and

discomfort ratings during exposure to whole-body vibration. Proceedings of 17th Japan Conference

on Human Response to Vibration,p.101-106.

12 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2009)Time perception during exposure to

whole-body vibration. Proceedings of 44th United Kingdom Conference on Human Responses to

Vibration,p.179-187.

13 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 , 石 松 一 真 (2009) 多 軸 振 動 下 における 手 腕 -ハンドル 系 の 周 波 数 応 答 解 析

- 前 腕 回 内 外 の 影 響 -. Dynamics and Design Confrence 2009 アブストラクト 集 ,p.223.

14 石 松 一 真 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 (2009) 全 身 振 動 への 曝 露 が 心 理 的 時 間 に 及 ぼす 影 響 . 日 本 基

礎 心 理 学 会 第 28 回 大 会 , 大 会 プログラム,p.31.

15 石 松 一 真 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 (2009) 全 身 振 動 曝 露 環 境 下 における 時 間 知 覚 . 関 西 心 理 学 会 第

121 回 大 会 , 発 表 論 文 集 ,p.52.

46


16 坂 本 優 美 子 ,Mark Allman-Ward,Roger Williams, 石 松 一 真 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 (2009)NVH シ

ミュレータによるマルチモーダル 評 価 環 境 の 実 現 . 自 動 車 技 術 会 学 術 講 演 会 前 刷 集 No.100-09,

p.5-8.

17 石 松 一 真 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 (2009) 全 身 振 動 が 標 的 色 弁 別 パフォーマンスに 及 ぼす 影 響 .

Technical Report on Attention and Cognition,No.3,p.1-2.

18 その 他 ( 表 彰 / 報

道 等 )

平 成 20 年 度

石 松 一 真 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 : 日 本 基 礎 心 理 学 会 第 27 回 大 会 優 秀 発 表 賞 . 全 身 振 動 への 曝

露 が 視 覚 情 報 処 理 パフォーマンスに 及 ぼす 影 響 ,2009 年 1 月 .

1 原 著 論 文 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata(2008)Subjective scaling of hand-arm vibration. Ind Health 46,

p.118-124.

2 Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2008)Effect of tool handle diameter on temporary threshold

shift(TTS) of vibrotactile perception. International Journal of Industrial Ergonomics 38,p.697-702.

3 Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2008)Vibration-isolating performance of cotton work gloves

based on newly issued JIS T8114. Industrial Health 46,p.477-483.

4 Nobuyuki Shibata , Setsuo Maeda ( 2008 ) Establisment of hand-arm vibration system and its

application to biodynamic response measurement for Japanese subjects. Industrial Health 46,p.629-

634.

5 Setsuo Maeda,Neil J. Mansfield,Nobuyuki Shibata(2008)Evaluation of subjective responses to

whole-body vibration exposure: Effect of frequency content. International Journal of Inddustrial

Ergonomics 38,p.509-515.

6 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata(2008)Temporary threshold shifts(TTS) of fingertip vibrotactile

perception thresholds from hand-held tool vibration exposures at working surface. International

Journal of Industrial Ergonomics 38,p.693-696.

7 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2008)Comparison between biodynamic response parameters of

the same subject obtained from two different vibration systems. Proceedings of 2nd American

Conference of Human Vibration,p.95-97.

8 Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2008)Effect of forearm supination or pronation on biodynamic

response of human hand. Proceedings of 15th International Congress on Sound and Vibration,in CD-

ROM.

9 Nobuyuki Shibata,Setsuo maeda(2008)Acute effect of hand-arm vibration on sensory nerve

conduction velocity in hand - forearm rotation -. Proceedings of 16th Japan Conference on Human

Response to Vibration,p.43-50.

10 Nobuyuki Shibata,Setsuo maeda(2008)Effect of forearm rotation on biodynamic response to human

hand. Proceedings of 16th Japan Conference on Human Response to Vibration,p.51-58.

11 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu(2008)Comparison of vibrotactile perception

threshold between ISO 6954 and stationary spectrum whole-body vibration according to the

frequency-weighted curve Wm. Proceedings of 16th Japan Conference on Human Response to

Vibration,p.59-66.

12 Kazuma Ishimatsu,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2008)Target detection and discrimination

under whole-body vibration. Proceedings of 16th Japan Conference on Human Response to

Vibration,p.101-105.

13 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu(2008)Ride comfort evaluation using vibration

greatness method. Proceedings of 16th Japan Conference on Human Vibration,p.117-125.

14 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Kazuma Ishimatsu(2008)12 Axes vibration data on the different

kinds of vehicle seats based on ISO2631-1. Proceedings of 16th Japan Conference on Human

Vibration,p.154-159.

15 Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2008)Formulation and measurement of biodymamic responses at

hand under tri-axial vibration. Proceedings of 43rd UK Conference on Human Response to

Vibration,p.278-286.

16 Kazuma Ishinmatsu , Nobuyuki Shibata , Setsuo Maeda ( 2008 ) Does cognitive performance

deteriorate after exposure to whole-body vibration?. Proceedings of 43rd UK Conference on Human

Response to Vibration,p.109-116.

17 石 松 一 真 , 柴 田 延 幸 , 前 田 節 雄 (2008) 全 身 振 動 への 曝 露 が 視 覚 情 報 処 理 パフォーマンスに 及 ぼ

す 影 響 . 日 本 基 礎 心 理 学 会 第 27 回 大 会 , 大 会 プログラム,p.70.

47


平 成 19 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2007)Acute effect of exposure to hand-arm vibration on sensory

nerve conduction velocity in digit. Proceedings of 11th International Conference on Hand-Arm

vibration,p.251-258.

2 Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda(2007)Gender difference in psychological evaluation of subjective

responses to different-axis whole-body vibration. Proceedings of 3rd National Conference on Human

Vibration,p.425-431.

3 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata,Daniel E. Welcome,Ren G. Dong(2007)Effect of coupling action

on temporary threshold shift(TTS) of vibrotactile perception. Proceedings of 11th International

Conference on Hand-Arm vibration,p.287-294.

4 Yoko Aiba , Setsuo Maeda , Nobuyuki Shibata , Kazuhiro Ikeda ( 2007 ) Evaluation of gender

difference in subjective responses to hand-arm vibration by category judgment method. Proceedings

of 11th International Conference on Hand-Arm vibration,p.295-302.

5 Tony Keller,Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata(2007)Hand-arm vibration test bench. Proceedings of

11th International Conference on Hand-Arm vibration,p.335-340.

6 Kazuhiro Ikeda,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda,Yoko Aiba(2007)Pitfalls of frequency weighting

meyhods to evaluate the human response to hand-arm vibration. Proceedings of 11th International

Conference on Hand-Arm vibration,p.433-439.

7 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata(2007)Subjective scaling of hand-arm vibration. Proceedings of

15th Japan Conference on Human Response to Vibration,p.87-94.

8 Yoko Aiba , Setsuo Maeda , Nobuyuki Shibata , Kazuhiro Ikeda ( 2007 ) Evaluation of gender

difference in subjective responses to hand-arm vibration by category judgment method. Proceedings

of 15th Japan Conference on Human Response to Vibration,p.95-102.

9 Setsuo maeda,Nobuyuki Shibata(2007)Example of problem of hand-held tool vibration evaluation.

Proceedings of 15th Japan Conference on Human Response to Vibration,p.113-118.

10 Kazuhiro Ikeda,Nobuyuki Shibata,Setsuo Maeda,Yoko Aiba(2007)Evaluation of subjective

responses to hand-arm vibration exposure: effect of frequency content. Proceedings of 15th Japan

Conference on Human Response to Vibration,p.119-124.

11 Setsuo maeda,Nobuyuki Shibata(2007)Problems of A(8) evaluation. Proceedings of 15th Japan

Conference on Human Response to Vibration,p.158-164.

12 Setsuo Maeda,Nobuyuki Shibata(2007)Subjective scaling of human responses to multi-axis wholebody

vibration. Proceedings of 36th International Congress & Exhibition on Noise Control

Engineering(Internoise2007),in 07_344 in CD-ROM.

(2) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 達 成 度

3.23

行 政 的 ・ 社 会 的 貢 献 度

3.38

研 究 成 果 の 公 表

3.62

学 術 的 貢 献 度

その 他 の 評 価

3.08

3.08

総 合 ( 平 均 )

3.28

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) 地 道 な 研 究 で、 一 定 の 知 見 が 得 られているものと 評 価 できる。 手 腕 振 動 ・ 全 身 振 動 それぞれに 得

られた 成 果 を 振 動 ばく 露 作 業 の 管 理 に 有 効 に 利 用 する 事 が 期 待 される。

48


(B 委 員 ) 内 容 が 学 術 的 な 部 分 に 偏 っているような 気 がします。この 研 究 の 成 果 がどのように 活 用 されるのか

が 疑 問 です。

(C 委 員 ) 振 動 ばく 露 実 験 を 丹 念 に 実 施 することによって、 振 動 ばく 露 量 の 評 価 規 格 の 評 価 基 準 の 改 善 に

資 する 結 果 が 得 られたと 考 えられる。 研 究 成 果 が 国 内 外 の 規 格 、 作 業 管 理 の 改 定 ・ 導 入 に 着 実 に 結 び

つくようにフォローしていただきたい。

(D 委 員 ) 得 られた 成 果 を、 法 令 ・ 指 針 等 に 反 映 してほしい。

(E 委 員 ) 研 究 成 果 を 規 格 改 定 等 に 反 映 させるのであれば、 従 来 のものとの 比 較 だけではなく 具 体 的 に 改

定 提 案 する 内 容 も 明 示 して 研 究 成 果 を 強 調 すべきです。

(F 委 員 ) 当 初 の 研 究 目 的 に 比 して、こぶりな 研 究 になってしまっている。 研 究 成 果 がどの 程 度 現 場 に 役 立

つか 不 明 確 である。

(G 委 員 ) 全 身 振 動 についての 我 が 国 の 基 準 を、 国 際 的 な 動 向 へ Harmonization するための 課 題 を 掘 り 起

こす 研 究 と 考 えるが、 問 題 点 も 列 挙 ばかりで、 解 決 策 が 提 示 されていない。 国 際 基 準 への 追 従 に 課 題 を

矮 小 化 しているように 見 える。また 非 常 に 限 定 的 な 結 果 に 基 づき、 予 防 のための 介 入 研 究 を 行 うとしてい

るが、アカデミアの 研 究 としては 成 り 立 つかもしれないが、National Center としては 不 十 分 。 全 体 的 に、

現 行 規 制 と 国 際 的 な 規 制 の Harmonization の 調 整 を 行 い、 国 際 的 にも 我 が 国 発 の 提 案 で 面 目 を 示 して

ほしい。

(H 委 員 )ISO への 我 が 国 からのより 積 極 的 な 関 与 が 求 められる。

(I 委 員 ) 全 身 ・ 手 腕 振 動 の 定 量 的 評 価 法 の 研 究 である。 手 腕 振 動 について、 新 評 価 法 (VPA)が 旧 評 価 法

(ISO)よりも 低 くなり、 過 小 評 価 している 可 能 性 があるということは 重 要 な 知 見 であり、そうであれば、 現 在

の 評 価 法 は 危 険 側 となり、 規 格 等 の 見 直 しの 提 言 をする 必 要 がある。 全 身 振 動 の 主 観 応 答 について 性

差 があることが 示 されたが、これを 規 制 等 にどのように 取 り 入 れていくのかの 検 討 が 必 要 であると 考 えられ

る。

(J 委 員 ) 健 康 影 響 が 主 観 的 尺 度 のみでは 不 十 分 。

(K 委 員 ) 研 究 成 果 を 作 業 現 場 の 改 善 に 情 報 発 信 して 欲 しい。

(L 委 員 ) 研 究 成 果 の 外 部 発 表 を 積 極 的 に 行 っているように 見 受 けられる。また ISO への 提 案 ・ 発 表 も 行 わ

れており、 日 本 の 提 案 が 取 り 入 れられる 様 にフォローすべきである。

(M 委 員 ) 多 軸 振 動 ばく 露 についての 科 学 的 知 見 を 得 たことは 有 益 である。この 成 果 に 基 づいて 作 業 姿 勢

をどのようにすべきかについて、 実 際 の 作 業 との 関 連 性 が 欲 しかった。

(3) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

御 多 忙 の 中 、 本 研 究 に 関 して 御 指 摘 いただき 感 謝 申 し 上 げます。 当 初 の 研 究 目 的 に 対 して 課 題 が 矮 小

化 した 感 があるとの 御 指 摘 (F 委 員 、G 委 員 )がありましたが、 所 内 における 討 議 等 で、より 具 体 性 のある 目

標 を 絞 った 取 り 組 みを 進 めるべき 旨 の 指 摘 を 受 け、 研 究 代 表 者 の 交 代 を 機 に 対 応 を 進 めたものであります。

健 康 影 響 の 評 価 が 主 観 的 尺 度 のみでは 不 十 分 (J 委 員 )との 御 指 摘 についてはごもっともと 思 います。こ

の 点 につきましては、 本 研 究 の 目 的 が 旧 評 価 法 の 欠 点 を 克 服 した 新 評 価 法 の 提 案 でしたので、 今 後 振 動

ばく 露 に 関 連 した 職 業 性 疾 病 の 発 症 リスクと 新 評 価 法 との 対 応 の 構 築 を 進 め、 振 動 ばく 露 作 業 の 管 理 に 有

効 に 利 用 できるようにしていく 所 存 です。 現 在 、 手 腕 振 動 については 現 場 調 査 等 をもとに 得 た 各 種 振 動 工

具 の 振 動 加 速 度 データ、 作 業 姿 勢 、ばく 露 年 数 及 び 作 業 者 自 覚 症 状 等 の 情 報 を 継 続 的 に 蓄 積 してデータ

ベース 化 しており、このデータに 対 して 新 評 価 法 を 適 用 することにより、 新 評 価 法 の 検 証 はもとより 実 際 の 振

動 ばく 露 作 業 の 管 理 に 利 用 していくことが 可 能 になると 考 えております。また、 全 身 振 動 についても 同 様 の

49


取 り 組 みができるよう 努 力 していく 予 定 です。

多 軸 振 動 ばく 露 についての 科 学 的 知 見 を 得 た 等 (A 委 員 、C 委 員 、I 委 員 、M 委 員 )、 一 定 の 評 価 をい

ただいた 一 方 で、 内 容 がアカデミック・ 学 術 的 な 部 分 に 偏 っているように 見 える 等 の 御 指 摘 (B 委 員 、G 委

員 )もいただきました。この 点 につきましては、 発 表 時 間 の 制 約 などもあり、 得 られた 知 見 をどのように 実 際 の

作 業 現 場 に 活 用 させるか 或 いは 実 際 の 作 業 姿 勢 との 関 連 性 についての 具 体 的 方 策 について 十 分 な 説 明

をすることができませんでした。 現 在 、 各 国 関 係 者 とも 連 携 を 取 りつつ、 御 指 摘 にもありますように 法 令 ・ 指 針

等 への 反 映 (D 委 員 )、 国 内 外 の 規 格 、 作 業 管 理 の 改 定 ・ 導 入 (C 委 員 、E 委 員 、G 委 員 、H 委 員 、K 委 員 、

L 委 員 )を 念 頭 に 活 動 しており、 研 究 成 果 の 社 会 への 還 元 を 意 識 して 今 後 もフォローしていく 予 定 です。

50


2.3 メンタルヘルス 対 策 のための 健 康 職 場 モデルに 関 する 研 究

( 平 成 21 年 度 ~ 平 成 23 年 度 )

(1) 研 究 概 要

平 成 10 年 から 全 国 の 被 雇 用 者 の 自 殺 者 数 が 8 千 人 を 超 える 状 態 が 続 き、 平 成 23 年 度 の 精 神 障 害 等

の 労 災 認 定 件 数 は 過 去 最 高 となり、 厳 しい 経 済 状 況 に 対 応 して 職 場 のメンタルヘルス 対 策 を 推 進 すること

が 強 く 求 められている。 本 研 究 では、 労 働 者 のメンタルヘルスに 関 わる 健 康 障 害 を 予 防 する 観 点 から、 労 働

者 の 健 康 と 労 働 効 率 の 向 上 を 目 指 した 健 康 職 場 の 構 築 方 法 を 提 言 することを 目 的 として、 企 業 のメンタル

ヘルス 対 策 に 関 する 全 国 調 査 、 健 康 職 場 指 標 に 関 する 労 働 者 の 全 国 調 査 、 健 康 職 場 構 築 のためのマニュ

アル 作 成 を 行 った。

従 業 員 100 人 以 上 の 企 業 1782 社 に 全 国 調 査 を 実 施 し、 職 場 のメンタルヘルスの 実 態 、 対 策 、 効 果 、 組

織 特 性 との 関 連 を 示 した。メンタルヘルス 対 策 に 取 り 組 まない 主 要 な 理 由 は 専 門 スタッフがいないことで

あった。メンタルヘルス 対 策 の 必 要 性 は 企 業 の 社 会 的 責 任 として 半 数 の 企 業 で 認 められ、 最 も 期 待 する 効

果 は 一 次 予 防 が 多 かった。 過 去 1 年 間 のセクハラによる 処 分 、セクハラ 以 外 のハラスメントによる 処 分 、 飲 酒

による 処 分 の 割 合 は 0.02~0.03%、メンタルヘルス 上 の 理 由 による 退 職 者 は 0.2%、 連 続 1 カ 月 以 上 の 休

職 者 は 0.4%であり、 組 織 風 土 や 人 事 労 務 管 理 による 有 意 差 が 認 められた。 労 働 者 のメンタルヘルスの 問

題 だけではなく、 組 織 特 性 を 含 めて 職 場 環 境 を 改 善 することが 望 まれる。

健 康 職 場 を 構 築 するためには 仕 事 の 能 率 が 上 がるような 環 境 を 目 指 す 必 要 がある。そこで 全 国 の 20 歳

から 65 歳 での 週 40 時 間 以 上 働 いている 昼 間 勤 務 の 有 職 者 2000 名 を 対 象 に 郵 送 による 横 断 調 査 を 行 い、

職 場 健 康 度 のアウトカムとして 疾 病 休 業 と 仕 事 の 成 果 について、 基 本 属 性 及 び 職 業 性 ストレス 要 因 の 程 度

による 分 布 を 示 した。メンタルヘルス 対 策 における 職 場 環 境 改 善 等 において、 職 場 健 康 度 アウトカムと 関 連

するコントロールやサポートといった 職 業 性 ストレス 要 因 に 着 目 することで、 仕 事 の 生 産 性 損 失 を 防 ぐことに

つながる 可 能 性 を 示 した。 職 場 環 境 改 善 を 進 めるためには 組 織 レベルの 対 策 が 重 要 である。

健 康 職 場 を 構 築 するためのツールとして、 専 門 スタッフがいない 企 業 のメンタルヘルス 対 策 への 取 組 を 促

すマニュアルを 作 成 した。マニュアルには、 上 述 の、 企 業 がメンタルヘルス 対 策 に 取 り 組 まない 理 由 や、 労

働 者 が 求 めるメンタルヘルス 情 報 についても 掲 載 した。 対 策 に 取 り 組 まない 理 由 を 踏 まえて、 専 門 スタッフ

がいない 場 合 でも 比 較 的 簡 単 に 取 り 組 める 対 策 を 示 した。 巻 末 には 内 容 別 のメンタルヘルス 関 連 リーフレッ

ト 等 のリストを「お 役 立 ち 情 報 」として 掲 載 し、 現 場 の 利 用 者 の 便 宜 を 図 った。

ア. 企 業 のメンタルヘルス 対 策 に 関 する 全 国 調 査

職 場 のメンタルヘルスの 実 態 、 対 策 、 効 果 、 組 織 特 性 との 関 連 を 明 らかにすることを 目 的 として、 企 業 を

対 象 に 職 場 のメンタルヘルス 対 策 に 関 する 調 査 票 を 用 いて 全 国 調 査 を 実 施 した。 企 業 データベースから 従

業 員 100 人 以 上 の 全 国 の 企 業 から 企 業 規 模 別 に 8000 社 を 抽 出 し、2011 年 11 月 に 郵 送 調 査 を 実 施 し、

有 効 回 答 1782 社 ( 有 効 回 答 率 22.3%)を 解 析 した。メンタルヘルス 対 策 に 取 り 組 んでいる 企 業 は 57.8%

であり、 取 り 組 む 予 定 がない 企 業 は 10.5%であった。 専 門 スタッフがいないことが 取 り 組 まない 主 要 な 理 由

であり、 経 費 の 問 題 は 比 較 的 少 なかった。メンタルヘルス 対 策 の 必 要 性 が 企 業 の 社 会 的 責 任 として 半 数 の

企 業 で 認 められていた。 期 待 する 効 果 は、メンタルヘルス 不 調 の 早 期 発 見 、 発 生 予 防 、 心 の 健 康 増 進 、 人

間 関 係 の 改 善 、 職 場 復 帰 と 幅 広 かった。 最 も 重 要 な 期 待 する 効 果 は、 一 次 予 防 が 多 かった。 今 後 、 職 場 の

メンタルヘルス 対 策 を 更 に 推 進 するためには、 専 門 スタッフがいない 中 小 企 業 が 一 次 予 防 を 含 むメンタル

ヘルス 対 策 に 取 り 組 めるように 支 援 することが 重 要 と 考 えられる。

51


過 去 1 年 間 に、セクハラによる 処 分 は 0.022%、セクハラ 以 外 のハラスメントによる 処 分 は 0.026%、 飲 酒

による 処 分 は 0.029%、メンタルヘルス 上 の 理 由 による 退 職 者 は 0.22%、 連 続 1 ヶ 月 以 上 の 休 職 者 は

0.39%であった。 厚 生 労 働 省 の 労 働 者 健 康 状 況 調 査 の 退 職 者 0.1%、 連 続 1 ヶ 月 以 上 の 休 業 者 0.3%より

多 かった。 職 場 のメンタルヘルス 指 標 は 様 々な 組 織 風 土 や 人 事 労 務 管 理 による 有 意 差 が 認 められ、 組 織 特

性 がメンタルヘルスに 影 響 する 可 能 性 が 示 唆 された。 職 場 のメンタルヘルス 対 策 は、 労 働 者 のメンタルヘル

スの 問 題 だけではなく、 組 織 特 性 を 含 めて 職 場 の 心 理 社 会 的 環 境 を 改 善 し、 健 康 職 場 を 構 築 することが 望

まれる。

イ. 健 康 職 場 指 標 としてのアウトカムと 関 連 要 因 : 疾 病 休 業 と 仕 事 の 成 果 に 注 目 して

健 康 職 場 を 構 築 するためには、 安 全 で 安 心 でき、かつ 仕 事 の 能 率 が 上 がる 環 境 を 構 築 する 必 要 がある。

本 研 究 は、 日 本 全 国 を 対 象 にした 労 働 者 に 対 する 調 査 を 行 い、 職 場 健 康 度 のアウトカムとして 疾 病 休 業 と

仕 事 の 成 果 といった 仕 事 の 生 産 性 について、 基 本 ・ 仕 事 属 性 、および 職 場 ストレス 要 因 の 程 度 による 分 布 を

示 すことを 目 的 とした。

全 国 の 20 歳 から 65 歳 の 週 40 時 間 以 上 働 いている 昼 間 勤 務 の 有 職 者 2000 名 を 対 象 に 郵 送 による 横

断 調 査 を 行 った。 生 産 性 として 過 去 1 年 の 疾 病 休 業 の 経 験 (1 週 間 以 上 )、 過 去 1 年 の 仕 事 の 成 果 の 自 己

評 価 をたずねた。 職 場 ストレス 要 因 は 職 業 性 ストレス 簡 易 調 査 票 の 項 目 を 用 いた。

返 送 があった 1340 名 のうち、1172 名 が 解 析 対 象 となった。 疾 病 休 業 は 男 性 のみ 同 僚 サポートの 低 い 群

で 割 合 が 高 く、コントロールが 高 い 群 で 低 い 割 合 で 見 られた。 仕 事 の 成 果 について、 男 性 はコントロール 及

び 上 司 ・ 同 僚 サポート、 女 性 はコントロール、ストレイン 及 び 上 司 ・ 同 僚 サポートにおいて 有 意 差 がみられ、

職 場 ストレス 要 因 のよい 得 点 の 者 は 他 の 者 と 比 べて 仕 事 の 成 果 得 点 は 高 かった。 一 方 、 疾 病 休 業 及 び 仕

事 の 成 果 は、 基 本 ・ 仕 事 属 性 との 有 意 な 関 連 は 見 られなかった。

仕 事 の 生 産 性 の 側 面 からみた 職 場 健 康 度 アウトカムは、コントロールやサポートといった 職 場 ストレス 要 因

と 特 に 関 連 していた。 従 来 のメンタルヘルス 対 策 での 職 場 環 境 改 善 の 枠 組 みが 仕 事 の 生 産 性 向 上 につい

ても 有 用 な 可 能 性 がある。

本 研 究 により、 我 が 国 において 広 く 使 われている 職 業 性 ストレス 簡 易 調 査 票 を 用 いて、 健 康 職 場 の 一 側

面 を 検 討 できる 可 能 性 が 示 され、そのための 基 準 値 となる 情 報 が 示 された。

ウ. 健 康 職 場 構 築 のためのメンタルヘルス 対 策 マニュアルの 作 成

従 業 員 100 人 以 上 の 企 業 1782 社 を 対 象 とした 全 国 調 査 を 行 ったところ、 対 象 企 業 全 体 では 7 割 がメン

タルヘルス 対 策 に 取 り 組 んでいるものの、 従 業 員 100~299 人 規 模 では、 取 り 組 んでいる 企 業 は 5 割 にす

ぎず、 取 り 組 む 予 定 もない 企 業 が 13%もあることがわかった。 取 り 組 まない 最 大 の 理 由 は「 専 門 スタッフがい

ない」、 次 いで「 取 り 組 み 方 がわからない」であった。これらを 踏 まえ、 人 事 労 務 担 当 者 を 対 象 として、 専 門 ス

タッフがいない 企 業 が、メンタルヘルス 対 策 の 第 一 歩 を 踏 み 出 す 際 の 道 案 内 をするマニュアルを 作 成 した。

マニュアルには、 現 在 、 企 業 で 行 われているメンタルヘルス 対 策 の 状 況 のほか、 企 業 規 模 別 のメンタルヘル

ス 不 調 者 の 割 合 、メンタルヘルス 対 策 への 取 組 の 有 無 とメンタルヘルス 不 調 者 割 合 との 関 係 、 労 働 者 が 求

めているメンタルヘルス 情 報 内 容 とその 入 手 先 など、 人 事 労 務 担 当 者 の 関 心 が 深 いと 思 われる 情 報 を 入 れ

た 上 、 専 門 家 でなくても 予 算 が 少 なくても 簡 単 に 取 り 組 めるメンタルヘルス 対 策 を 紹 介 した。マニュアルは、

図 を 多 くして、 読 みやすくなるよう 配 慮 した。

本 マニュアルの 特 徴 としては、まず、 人 事 労 務 担 当 者 が、 職 場 でメンタルヘルス 対 策 を 始 めるに 当 たって

最 低 限 必 要 と 思 われる 知 識 や、 第 一 歩 を 踏 み 出 すための 手 がかりが 集 約 されている 点 が 挙 げられる。さら

52


に 巻 末 には、 対 策 を 始 めるときぜひ 目 を 通 してほしい 既 存 のマニュアル・パンフレット 類 (インターネットで 入

手 可 能 なもの)を 冒 頭 に 掲 載 し、 次 に、 各 企 業 での 関 心 に 応 じて 必 要 な 詳 細 情 報 が 得 られるよう、 分 野 別 に

主 な 情 報 を 掲 載 した。このように、 利 用 者 の 便 宜 を 図 った 点 も 特 色 である。

エ. 年 度 ごとの 研 究 費

1 年 目 8,199 千 円

2 年 目 6,413 千 円

3 年 目 4,923 千 円

オ. 研 究 業 績 リスト

平 成 24 年 度

1 原 著 論 文 井 澤 修 平 , 中 村 菜 々 子 , 山 田 陽 代 , 山 田 クリス 孝 介 , 原 谷 隆 史 .ストレスの 過 小 評 価 の 信 念 を 測 定

する 尺 度 の 作 成 . 心 理 学 研 究 ( 掲 載 決 定 ).

2 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

原 谷 隆 史 , 倉 林 るみい, 井 澤 修 平 , 土 屋 政 雄 (2012) 職 場 のメンタルヘルスと 組 織 特 性 との 関 連 .

第 85 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 名 古 屋 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 ,54(Suppl),505.

3 原 谷 隆 史 , 倉 林 るみい, 井 澤 修 平 , 土 屋 政 雄 (2012) 全 国 調 査 による 企 業 のメンタルヘルス 対 策 の

現 状 . 第 19 回 日 本 産 業 精 神 保 健 学 会 , 大 阪 , 産 業 精 神 保 健 ,20( 増 刊 ),112.

4 原 谷 隆 史 , 井 澤 修 平 , 土 屋 政 雄 (2012) 職 場 のハラスメントと 組 織 特 性 との 関 連 . 日 本 心 理 学 会 第

76 回 大 会 , 川 崎 , 日 本 心 理 学 会 第 76 回 大 会 発 表 論 文 集 (CD-ROM 版 ).

5 倉 林 るみい, 土 屋 政 雄 , 井 澤 修 平 , 北 村 尚 人 , 原 谷 隆 史 (2012)ストレス 自 覚 症 状 と、 疾 病 休 業 、 仕

事 の 成 果 、 職 場 / 家 庭 満 足 度 との 関 連 :ストレスチェックリスト9 項 目 および 職 業 性 ストレス 簡 易 調 査 票

29 項 目 との 比 較 . 第 85 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 ,Web 版 講 演 集 (CD-ROM),500.

6 倉 林 るみい, 阿 部 裕 (2012) 医 療 通 訳 者 のストレス. 第 19 回 多 文 化 間 精 神 医 学 会 , 抄 録 集 ,81.

7 土 屋 政 雄 , 倉 林 るみい, 井 澤 修 平 , 原 谷 隆 史 (2012) 労 働 者 における 紙 媒 体 のメンタルヘルス 情 報

の 入 手 経 験 とその 関 連 要 因 の 検 討 :インターネット 調 査 より. 第 19 回 日 本 産 業 精 神 保 健 学 会 , 産 業

精 神 保 健 , 第 20 巻 増 刊 号 ,118.

8 Masao Tsuchiya, Shuhei Izawa, Lumie Kurabayashi, Takashi Haratani, Associations between

psychosocial factors, stress symptoms and work performance: mediation analysis.(2012)The 3rd

Asia Pacific Expert Workshop on Psychosocial Factors at Work, 2012, August 2&3, Tokyo, Japan,

p47.

9 土 屋 政 雄 , 井 澤 修 平 , 原 谷 隆 史 (2012) 職 場 の 心 理 社 会 的 ストレス 要 因 およびストレス 症 状 と 業 務

上 事 故 との 関 連 : 媒 介 分 析 による 検 討 . 日 本 心 理 学 会 第 76 回 大 会 発 表 論 文 集 CD-ROM,1EVA36.

10 土 屋 政 雄 , 倉 林 るみい, 井 澤 修 平 , 原 谷 隆 史 (2012) 労 働 者 はどのようなセルフケア 情 報 を 求 めて

いるか?: 潜 在 クラス 分 析 によるニーズの 分 類 . 日 本 行 動 療 法 学 会 第 38 回 大 会 発 表 論 文 集 ,192-

193.

11 総 説 ほか( 査 読 有

無 問 わず)

原 谷 隆 史 (2012) 外 部 相 談 機 関 等 による 職 場 支 援 . 保 健 の 科 学 54(4),252-256.

平 成 23 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

原 谷 隆 史 (2011) 職 場 のハラスメント: 企 業 の 責 任 と 労 働 衛 生 対 策 . 第 33 回 職 業 性 ストレス 研 究 会 .

2 倉 林 るみい(2011) 女 性 労 働 者 とうつ 病 .シンポジウム: 新 しい 労 働 科 学 - 何 をどのように 取 り 組 む

か. 労 働 科 学 研 究 所 創 立 90 周 年 記 念 特 別 企 画 シンポジウム.

3 倉 林 るみい(2011) 職 場 不 適 応 症 と30 代 の 勤 労 者 . シンポジウム: 現 代 日 本 の 若 者 の 精 神 病 理 の 特

徴 , 第 18 回 多 文 化 間 精 神 医 学 会 , 抄 録 集 p.51.

4 Lumie Kurabayashi, Shuhei Izawa, Masao Tsuchiya, Takashi Haratani(2012)Depression and suicide

of Japanese working women: healthy workplace in consideration for female specific stressors. Panel

Discussion:Female suicide. The 3rd World Congress of Cultural Psychiatry, London. Abstract book

71-72.

53


5 Lumie Kurabayashi, Masao Tsuchiya, Shuhei Izawa, Takashi Haratani(2012)Psychosocial factors

for fatigue, anxiety and depression among Japanese young male employees. The 30th Congress of the

International Commission on Occupational Health,Cancun. CD 版 抄 録 集 .

6 土 屋 政 雄 , 倉 林 るみい, 北 村 尚 人 , 原 谷 隆 史 (2011) 労 働 者 のストレスに 関 連 する 症 状 ・ 不 調 と 職 場

の 心 理 社 会 的 要 因 の 関 連 :1 企 業 全 体 での 検 証 . 第 18 回 日 本 産 業 精 神 保 健 学 会 , 産 業 精 神 保 健 ,

Vol.19 増 刊 号 ,p.77.

7 土 屋 政 雄 , 原 谷 隆 史 (2011) 職 場 の 心 理 社 会 的 要 因 と 事 故 , 休 業 , 仕 事 の 成 果 との 関 連 : 正 規 ・ 非

正 規 雇 用 別 の 解 析 . 第 70 回 日 本 公 衆 衛 生 学 会 総 会 , 日 本 公 衆 衛 生 雑 誌 ,Vol.58,No.10 特 別 附

録 ,p.497.

8 土 屋 政 雄 , 井 澤 修 平 , 倉 林 るみい, 北 村 尚 人 , 原 谷 隆 史 (2011) 職 場 の 心 理 社 会 的 ストレッサーが

ストレス 症 状 に 及 ぼす 影 響 :マルチレベル 分 析 による 一 企 業 全 体 における 部 署 レベル 変 数 の 検 討 .

日 本 行 動 療 法 学 会 第 37 回 大 会 , 発 表 論 文 集 ,p.190-191.

9 総 説 ほか( 査 読 有

無 問 わず)

平 成 22 年 度

原 谷 隆 史 (2011) 職 場 のいじめに 関 する 裁 判 例 . 産 業 医 学 ジャーナル,Vol.34,No.5,p.9-16.

1 原 著 論 文 Akiomi Inoue,Norito Kawakami,Masao Tsuchiya,Keiko Sakurai and Hideki Hashimoto(2010)

Association of occupation,employment contract,and company size with mental health in a national

representative sample of employees in Japan. J Occup Health;52(4):227-40.

2 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

原 谷 隆 史 (2010) 職 場 におけるハラスメントの 現 状 ~ 国 内 外 の 動 向 と 課 題 .シンポジウム「 職 場 におけ

るハラスメントの 現 状 とその 対 策 」, 日 本 産 業 衛 生 学 会 関 東 地 方 会 第 249 回 例 会 ( 共 催 : 東 京 都 医

師 会 ・ 東 京 医 大 医 師 会 ).

3 原 谷 隆 史 , 井 澤 修 平 (2010) 職 場 のメンタルヘルスに 関 する 文 献 調 査 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 .

4 原 谷 隆 史 (2010) 職 場 環 境 等 の 評 価 と 改 善 . 日 本 心 理 学 会 第 74 回 大 会 ワークショップ「 職 場 のストレ

スとメンタルヘルス- 第 一 次 予 防 の 普 及 に 向 けて-」.

5 倉 林 るみい, 阿 部 裕 (2010) 外 国 人 労 働 者 や 家 族 が 母 国 語 で 相 談 可 能 な 専 門 家 相 談 会 におけるメ

ンタルヘルス 相 談 の 意 義 と 課 題 . 第 106 回 日 本 精 神 神 経 学 会 , 抄 録 集 332p.

6 山 田 陽 代 , 井 澤 修 平 , 中 村 菜 々 子 , 山 田 クリス 孝 介 (2010)ストレス 管 理 に 関 わる 信 念 の 尺 度 作 成 .

日 本 健 康 心 理 学 会 第 23 回 大 会 ,58.

7 山 田 クリス 孝 介 , 井 澤 修 平 , 中 村 菜 々 子 , 山 田 陽 代 (2010)ストレス 管 理 に 関 わる 信 念 と 職 場 ストレス

との 関 連 . 日 本 健 康 心 理 学 会 第 23 回 大 会 ,24.

8 中 村 菜 々 子 , 井 澤 修 平 , 山 田 陽 代 , 山 田 クリス 孝 介 (2010)ストレス 管 理 に 関 わる 信 念 と 実 際 の 行 動

意 図 との 関 連 . 日 本 健 康 心 理 学 会 第 23 回 大 会 ,140.

9 島 津 明 人 , 土 屋 政 雄 , 井 上 彰 臣 , 島 田 恭 子 , 馬 ノ 段 梨 乃 , 秋 山 美 紀 , 川 上 憲 人 (2010) 組 織 活 力 調

査 票 (ACTIVE)の 開 発 (3): 仕 事 の 資 源 尺 度 の 性 別 ・ 年 代 別 の 検 討 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 ,

福 井 ,CD-ROM.

10 土 屋 政 雄 , 島 津 明 人 , 井 上 彰 臣 , 島 田 恭 子 , 馬 ノ 段 梨 乃 , 秋 山 美 紀 , 川 上 憲 人 (2010) 組 織 活 力 調

査 票 (ACTIVE)の 開 発 (4):パフォーマンス 尺 度 の 性 別 ・ 年 代 別 の 検 討 , 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学

会 , 福 井 ,CD-ROM.

11 総 説 ほか( 査 読 有

無 問 わず)

原 谷 隆 史 (2010)メンタルヘルス 対 策 に 資 料 する 各 種 ツールの 活 用 . 心 とからだのオアシス,4(1):3-

5.

12 原 谷 隆 史 (2011) 多 様 な 職 業 性 ストレス 調 査 票 の 効 果 と 限 界 . 精 神 科 治 療 学 ,26(1).

13 倉 林 るみい(2010)メンタルヘルス 事 例 紹 介 . こころの 耳 ( 厚 生 労 働 省 働 く 人 のメンタルヘルス・

ポータルサイト- 心 の 健 康 確 保 と 自 殺 や 過 労 死 などの 予 防 -) 産 業 医 学 振 興 財 団 .

平 成 21 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

原 谷 隆 史 (2009) 健 康 職 場 に 関 する 最 近 の 動 向 . ワークショップ 職 場 のストレスとメンタルヘルス-

組 織 と 個 人 の 活 性 化 に 向 けて-, 日 本 心 理 学 会 第 73 回 大 会 .

2 著 書 ・ 単 行 本 原 谷 隆 史 (2009) 従 業 員 支 援 とカウンセリング. George Fink 編 ,ストレス 百 科 事 典 翻 訳 刊 行 委 員 会

訳 ,ストレス 百 科 事 典 . 東 京 , 丸 善 .

3 原 谷 隆 史 (2009) 心 理 社 会 的 労 働 ストレッサーの 健 康 影 響 . George Fink 編 ,ストレス 百 科 事 典 翻 訳

刊 行 委 員 会 訳 ,ストレス 百 科 事 典 . 東 京 , 丸 善

54


(2) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 達 成 度

3.23

行 政 的 ・ 社 会 的 貢 献 度

3.38

研 究 成 果 の 公 表

3.08

学 術 的 貢 献 度

その 他 の 評 価

2.85

2.92

総 合 ( 平 均 )

3.09

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) 少 子 高 齢 化 社 会 における 労 働 者 の 社 会 的 状 況 の 変 化 の 中 で、メンタルヘルス 対 策 は 昔 の 企 業 環

境 とは 異 なるものとして 検 討 しなければならない。 本 研 究 で 得 られた 最 新 の 職 場 におけるメンタルヘルス

の 実 態 を 踏 まえ、 今 後 の 対 策 に 役 立 たせることが 多 いに 期 待 される。

(B 委 員 )マニュアルが 完 成 したことは、 一 定 の 評 価 に 値 すると 思 います。

(C 委 員 ) 専 門 スタッフがいない 企 業 向 けのマニュアル(メンタルヘルス 対 策 はじめの 一 歩 )が 多 くの 情 報 を

含 んで 作 成 されたことを 評 価 したい。メンタルヘルス 対 策 導 入 に 関 して 様 々な 形 の 困 難 を 感 じている 企

業 を 困 難 のタイプ 別 ごとによりきめ 細 かく 支 援 できるような 記 述 をもっと 盛 り 込 むとよかったと 思 われる。

(D 委 員 )1アンケートを 実 施 したまとめでは、 研 究 として 弱 い。ここで 得 たアンケート 結 果 を 基 に、 日 本 のメ

ンタルヘルスを 改 善 していくような 内 容 を 期 待 する。 2メンタルヘルスの 問 題 は、 企 業 の 経 営 トップに 理

解 されていないため、 専 門 スタッフ 確 保 のための 経 営 資 源 が 配 分 されないことが 根 本 である。この 現 状 を

打 開 できるように、 参 考 資 料 の URL 紹 介 ではなく、 要 点 をまとめた 冊 子 にしてほしかった。

(E 委 員 ) 本 研 究 成 果 は 雇 用 のミスマッチ 防 止 にも 活 用 できるので、 成 果 公 表 の 方 法 を 工 夫 して 欲 しい。

(F 委 員 ) 研 究 成 果 の 質 が 低 い。 企 業 のメンタルヘルス 実 施 状 況 に 関 する 調 査 は、この 種 の 調 査 の 御 多 分

にもれず 25% 以 下 の 回 収 率 で、 記 述 的 な 分 析 にとどまっている。 企 業 風 土 とメンタルヘルスの 関 連 を 納

得 させるだけの 調 査 方 法 や 解 析 方 法 になっていない。インターネットによる 職 場 ストレスと 生 産 性 との 関

連 の 研 究 も 特 に 新 規 性 はない。 作 成 されたマニュアルは、サイト「 心 の 耳 」でも 紹 介 されている 程 度 の 情

報 を 盛 り 込 んだものであり、 特 別 な 工 夫 はない。こうしたマニュアルをどうやって 普 及 させるかという 視 点

が 欠 如 している。 高 額 の 研 究 費 を 出 す 必 要 性 を 感 じない。 研 究 成 果 も 必 ずしも 本 プロジェクトと 関 連 のな

いものが 多 い。

(G 委 員 )マニュアルが 調 査 報 告 書 になっている。 委 託 研 究 費 が 多 く、 民 間 シンクタンクの 調 査 研 究 との 差

が 見 えにくい。National Center としての Initiative が 物 足 りない。

(H 委 員 ) 学 術 誌 に 投 稿 して 評 価 を 受 けることが、より 一 層 求 められる。

(I 委 員 )1 企 業 規 模 が 大 きくなるほどメンタルヘルス 対 策 に 取 り 組 んでいることは 容 易 に 予 測 できるので、

中 小 規 模 の 事 業 場 がメンタルヘルスの 問 題 は 大 きいと 思 われる。この 研 究 におけるアンケート 調 査 の 調

査 対 象 は 従 業 員 100 人 以 上 の 企 業 であるが、 産 業 医 の 選 任 義 務 のない 50 人 未 満 の 事 業 場 の 実 態 に

ついても 実 態 調 査 が 必 要 と 考 える。 2 人 事 労 務 担 当 者 、 健 康 管 理 スタッフのためのマニュアルを 作 成 し

ているが、アンケートに 基 づく 現 状 の 紹 介 と、 相 談 窓 口 等 のウェブサイトの 紹 介 に 終 わっており、JNIOSH

としての 主 張 が 感 じられない。マニュアルの 内 容 については 更 なる 改 善 を 望 む。 3マニュアルの 中 に 誤

55


植 があるので 訂 正 されたい(p.5 の 6. 長 時 間 労 働 と 疲 労 の 蓄 積 の 次 の 行 : 産 業 生 態 化 学 研 究 所 ではな

く 産 業 生 態 科 学 研 究 所 )。

(J 委 員 )これまでの 種 々の 調 査 ・ 研 究 に 対 する 優 位 性 が 不 明 。

(K 委 員 ) 研 究 成 果 の 多 様 な 情 報 発 信 に 期 待 します。

(L 委 員 )メンタルヘルス 対 策 は、 企 業 にとって 放 置 することは 看 過 できない 状 況 であり、そのためにも、 調 査

対 象 が 100 名 以 上 の 企 業 規 模 になっているが、もっと 規 模 の 小 さい 中 小 零 細 企 業 の 方 が、 昨 今 の 不 況

下 では、 過 酷 な 職 場 環 境 に 置 かれている 事 が 想 像 できる。 中 小 零 細 企 業 の 実 情 をもっと 反 映 させること

も 重 要 と 思 われる。

(M 委 員 )メンタルヘルスのためのマニュアルがつくられたことは、この 研 究 成 果 が 世 の 中 の 関 心 を 集 める 一

助 になると 思 われる。 気 づきのヒントなどにもう 一 段 の 工 夫 が 欲 しかった。

(3) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

本 研 究 に 関 して 貴 重 なご 意 見 を 賜 り 心 より 感 謝 申 し 上 げます。

マニュアルの 作 成 を 評 価 (B 委 員 、C 委 員 、M 委 員 )していただきありがとうございます。マニュアルの 誤

植 (I 委 員 )を 御 指 摘 いただきました。 原 稿 の 確 認 が 不 十 分 で 大 変 申 し 訳 ございません。 誤 植 を 修 正 し、 今

後 このようなミスがないように 気 をつけます。マニュアルの 内 容 の 改 善 (I 委 員 )、 気 づきのヒントなどに 工 夫

(M 委 員 )、メンタルヘルス 対 策 導 入 に 関 して 様 々な 形 の 困 難 を 感 じている 企 業 を 困 難 のタイプ 別 ごとにより

きめ 細 かく 支 援 できるような 記 述 (C 委 員 )、 企 業 の 経 営 トップに 理 解 されるように 要 点 をまとめた 冊 子 (D 委

員 )との 御 要 望 もいただきました。 本 研 究 でマニュアルを 作 成 しましたが、 更 にこのようなマニュアル 等 の 改

善 や 工 夫 を 加 えていきたいと 存 じます。

少 子 高 齢 化 社 会 における、 労 働 者 の 社 会 的 状 況 の 変 化 の 中 で、メンタルヘルス 対 策 は 昔 の 企 業 環 境 と

は 異 なるものとして 検 討 (A 委 員 )、 雇 用 のミスマッチ 防 止 にも 活 用 できるので 成 果 公 表 の 方 法 を 工 夫 (E 委

員 )、 研 究 の 多 数 の 問 題 点 (F 委 員 )、 民 間 シンクタンクの 調 査 研 究 との 差 が 見 えにくい(G 委 員 )、これまで

の 種 々の 調 査 ・ 研 究 に 対 する 優 位 性 が 不 明 (J 委 員 )、 学 術 誌 に 投 稿 (H 委 員 )、JNIOSH としての 主 張 (I 委

員 )、National Center としての Initiative(G 委 員 )、との 御 意 見 をいただきました。 今 後 の 研 究 では 問 題 点 を

できるだけ 改 善 し、 社 会 的 状 況 の 変 化 や 雇 用 のミスマッチ 防 止 を 考 慮 して、JNIOSH として 有 用 な 成 果 を 公

表 できるように 努 めます。 産 業 医 の 選 任 義 務 のない 50 人 未 満 の 事 業 場 の 実 態 調 査 が 必 要 (I 委 員 )、 中 小

零 細 企 業 の 実 情 を 反 映 (L 委 員 )との 御 意 見 をいただきました。 今 後 の 研 究 では、 産 業 医 の 選 任 義 務 のな

い 事 業 場 や 中 小 零 細 企 業 を 含 めた 研 究 を 実 施 したいと 存 じます。

本 研 究 で 得 られた 最 新 の 職 場 におけるメンタルヘルスの 実 態 を 踏 まえ、 今 後 の 対 策 に 役 立 たせる(A 委

員 )、ここで 得 たアンケート 結 果 を 基 に、 日 本 のメンタルヘルスを 改 善 していくような 内 容 (D 委 員 )、 研 究 成

果 の 多 様 な 情 報 発 信 (K 委 員 )を 期 待 する 御 意 見 をいただきました。できるだけ 研 究 成 果 の 情 報 発 信 を 行

い、メンタルヘルス 対 策 やメンタルヘルスの 改 善 に 資 するようにいたします。

56


2.4 蓄 積 性 化 学 物 質 のばく 露 による 健 康 影 響 に 関 する 研 究

( 平 成 21 年 度 ~ 平 成 23 年 度 )

(1) 研 究 概 要

慢 性 ばく 露 による 蓄 積 が 懸 念 される 有 害 物 質 の 中 でレアメタルは 産 業 における 先 端 素 材 の 必 須 の 原 料 と

なっており、 今 後 も 長 期 的 に 相 当 量 使 用 されていくことは 確 実 である。 一 方 、レアメタルの 大 部 分 を 使 用 して

いる 鉄 鋼 産 業 において、ばく 露 を 受 けている 多 くの 労 働 者 は 交 代 勤 務 で 働 いている。そこで、レアメタルの

ばく 露 による 健 康 影 響 を 評 価 するためにはその 作 業 態 様 も 考 慮 する 必 要 がある。 本 研 究 において、 疫 学 調

査 では 交 代 勤 務 に 伴 うばく 露 の 時 間 帯 の 違 いによる 影 響 を 検 討 し、 動 物 実 験 では 交 代 勤 務 を 模 したばく 露

実 験 を 行 い、ヒトの 健 康 影 響 の 背 景 を 検 証 した。 製 鉄 工 場 の 交 代 勤 務 者 に 対 する 追 跡 調 査 では、 勤 務 の 時

間 帯 (シフト)によって、シフト 後 のニッケルおよびクロムの 尿 中 排 泄 量 に 差 が 認 められた。より 多 人 数 の 横 断

調 査 では、 尿 中 金 属 排 泄 量 に 交 代 勤 務 による 差 は 必 ずしもなかったが、ばく 露 群 においては 交 代 勤 務 群 の

ほうが 日 勤 群 より、いくつかの 気 分 の 得 点 が 悪 化 していた。 動 物 実 験 では、 明 暗 シフト 条 件 ( 交 代 勤 務 モデ

ル)では 通 常 明 暗 条 件 より、クロムの 肝 臓 中 蓄 積 量 は 有 意 に 増 加 することが 確 かめられた。 以 上 より、 何 時

に 働 くか、すなわち 何 時 に 有 害 金 属 にばく 露 するかということは、 金 属 ばく 露 の 健 康 影 響 を 評 価 する 上 で 重

要 な 条 件 の 一 つになる 可 能 性 が 考 えられた。 今 後 、 同 様 の 調 査 研 究 が 進 めば、 日 々の 労 働 衛 生 管 理 をは

じめ、ばく 露 基 準 の 策 定 に 際 しても、 時 間 毒 性 学 的 (chrono-toxicologic)な 特 性 を 考 慮 することで、より 健 康

で 安 全 な 労 働 環 境 の 整 備 につながるかもしれない。

ア. はじめに

生 体 蓄 積 性 のある 化 学 物 質 として、これまで 鉛 やカドミウムなどの 毒 性 は 詳 細 に 調 べられてきた。 一 方 、

レアメタルと 呼 ばれる 非 鉄 金 属 グループの 一 群 は、 鉄 鋼 はもとより、 携 帯 電 話 、パソコン、 医 療 機 器 など 我 々

の 生 活 に 不 可 欠 な 製 品 の 素 材 となっている。とりわけ、ニッケル、クロム、コバルト、マンガンなどの 数 種 は 産

業 にとって 不 可 欠 な 原 料 として 国 家 備 蓄 されている( 石 油 天 然 ガス・ 金 属 鉱 物 資 源 機 構 ,レアメタルシリーズ

2009)。これらの 金 属 が 今 後 長 期 にわたって 利 用 され 続 けることは、それに 伴 って 職 業 性 ばく 露 の 機 会 が 長

期 的 になることを 意 味 し、 長 期 慢 性 ばく 露 による 影 響 を 考 慮 する 必 要 がある。

図 1 に 示 すように、レアメタルのなかでも、ニッケル、クロム、マンガンは 供 給 量 が 多 く、 大 半 は 製 鋼 に 用

いられている( 資 源 エネルギー 庁 ,レアメタルの 需 給 について< 備 蓄 対 象 7 鉱 種 >,2006)。 生 物 学 的 半 減

期 は 第 2 相 以 降 を 考 えるとニッケルとマンガンが 120 日 程 度 、クロムが 1 ヶ 月 程 度 とされている(Patty's

Toxicology,5th Edition,2001)。これらの 特 性 とともに、 調 査 対 象 の 事 業 所 で 使 用 されている 主 要 なレアメタ

ルがニッケルとクロムであることを 考 慮 して、 本 研 究 では 蓄 積 性 化 学 物 質 として 両 金 属 に 着 目 した。

製 造 業 は 夜 勤 ・ 交 代 勤 務 が 広 く 採 用 されている 業 種 である。 鉄 鋼 業 においては 夜 勤 を 含 む 交 代 勤 務 を

採 用 する 企 業 の 割 合 が 7 割 に 達 しつつあり(64.3%: 厚 生 労 働 省 , 平 成 17 年 就 労 条 件 総 合 調 査 )、とくにレ

アメタルにばく 露 する 可 能 性 が 高 い 製 造 ラインの 労 働 者 はほとんどが 交 代 勤 務 に 就 いている。ヒトの 心 身 の

機 能 には 約 一 日 を 周 期 として 変 動 するリズム( 概 日 リズム)が 存 在 する。この 概 日 リズムによって、 体 内 の 動

態 は 昼 間 と 夜 間 で 大 きく 異 なる。したがって、 一 日 の 中 で 何 時 に 有 害 物 質 にばく 露 するかによって、その 健

康 影 響 は 異 なることが 予 想 される。 実 際 、 交 代 勤 務 で 働 く 労 働 者 では、 日 勤 時 より 夜 勤 時 のばく 露 のほうが、

体 内 動 態 が 異 なることから 有 害 物 質 に 対 して 脆 弱 になり、 健 康 影 響 が 強 く 現 れると 懸 念 されている

(Rutenfranz et al.,1989)。そこで 長 期 慢 性 ばく 露 の 影 響 を 考 えた 場 合 、 交 絡 もしくは 交 互 作 用 要 因 として 交

代 勤 務 の 影 響 を 無 視 することはできない。

57


職 場 で 扱 われる 有 害 物 質 の 健 康 影 響 は、 昼 間 ( 日 勤

時 )のばく 露 に 関 して 評 価 されるのが 通 例 である。 日 勤 で

働 く 労 働 者 だけであれば、それでよいのかもしれない。だ

が、わが 国 では 27.3%の 労 働 者 が 夜 勤 ・ 交 代 制 で 働 いて

いて、しかも 10 年 前 より 1.4 倍 に 増 加 している( 厚 生 労 働

省 、 平 成 19 年 労 働 者 健 康 状 況 調 査 )。このようなばく 露

状 況 に 関 して、 労 働 衛 生 管 理 のために 参 照 できる 実 証 デ

ータはきわめて 限 られている(IARC Technical Publication,

2010)。ばく 露 の 時 刻 、すなわち 労 働 の 時 刻 によって、ば

く 露 の 影 響 が 変 わるかどうかを 検 証 することは、レアメタル

の 健 康 障 害 予 防 に 限 らず 一 般 の 有 害 物 質 を 扱 う 産 業 分

野 で 今 後 も 増 えると 見 込 まれる 夜 勤 ・ 交 代 勤 務 者 の 健 康

を 確 保 する 上 で 重 要 であると 考 えられる。

本 研 究 では、レアメタル 取 扱 い 工 場 の 労 働 者 を 対 象 に、

有 害 金 属 ばく 露 と 勤 務 時 間 帯 のような 作 業 態 様 との 交 互

作 用 を 検 討 した。また、 動 物 実 験 でもこの 交 互 作 用 を 検

証 した。

供 1,000


量 750

(

千 500


ン 250

)

0






(

%

)

100

80

60

40

20

0

図 1 主 要 なレアメタルの 供 給 量 と

製 鋼 用 消 費 の 割 合

イ. 疫 学 調 査

レアメタルの 長 期 慢 性 ばく 露 による 健 康 影 響 を 評 価 するために、ステンレス 製 造 工 場 の 労 働 者 を 対 象 とし

て 調 査 を 行 った。ばく 露 の 可 能 性 の 高 い 集 団 に 交 代 勤 務 者 が 多 数 いることからばく 露 の 時 刻 を 考 慮 するこ

とが 重 要 と 考 え、まず 交 代 勤 務 者 を 対 象 に、 各 シフト 時 の 尿 中 金 属 排 泄 量 の 変 化 を 検 討 した。 中 国 山 西 省

のステンレス 製 造 工 場 において 交 代 勤 務 者 (ばく 露 あり 56 名 、ばく 露 なし 40 名 )から 日 勤 ・ 夕 勤 ・ 夜 勤 の 各

シフトの 前 後 ( 非 ばく 露 群 では 日 勤 と 夜 勤 の 前 後 )で 採 尿 し、 尿 中 ニッケル、クロム 濃 度 を 測 定 、クレアチニ

ン 濃 度 で 補 正 して 各 シフトの 前 後 で 比 較 した。ばく 露 群 におけるシフト 前 後 の 尿 中 金 属 排 泄 量 の 増 加 はシ

フトごとに 異 なっており、 日 ・ 夜 勤 では 明 瞭 な 中 央 値 の 増 加 が 認 められたのに 対 して、 夕 勤 ではほとんど 認

められなかった。 勤 務 時 間 帯 によって 尿 中 金 属 の 排 泄 されやすさが 異 なり、 特 に 夕 勤 で 金 属 の 排 泄 が 抑 制

される 可 能 性 が 示 唆 された。

次 に、 同 じ 事 業 場 におけるニッケル・クロムへのばく 露 状 況 とそれによる 健 康 影 響 を 評 価 する 目 的 で、ア

ンケート 調 査 、POMS( 気 分 プロフィール 検 査 ) 並 びに 尿 中 金 属 濃 度 、 尿 中 8-OHdG 濃 度 測 定 を 約 400 名

の 労 働 者 を 対 象 に 実 施 した。 尿 中 ニッケル・ 金 属 濃 度 についてはばく 露 によって 有 意 に 高 かったが、 交 代

勤 務 による 有 意 な 差 は 見 られず、8-OHdG についてはばく 露 ・ 交 代 勤 務 のいずれとの 関 連 も 見 られなかった。

自 覚 症 状 に 関 しては 幾 つかの 項 目 でばく 露 群 の 方 が 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 られたほか、POMS に 関 しては

ばく 露 ならびに 交 代 勤 務 による 影 響 が 見 られた。

夜 勤 を 含 む 交 代 勤 務 に 伴 う 健 康 障 害 の 一 つとして 骨 粗 鬆 症 性 骨 折 リスクの 上 昇 が 知 られているが、レア

メタルの 長 期 慢 性 ばく 露 の 影 響 がこれをどう 修 飾 するか 評 価 するためにはその 背 景 要 因 を 検 討 しておく 必

要 がある。そこで、 主 となる 要 因 の 一 つであるビタミン D との 関 係 を 検 討 するために、 交 代 勤 務 者 の 25-OH

ビタミン D(25OHD) 濃 度 を 測 定 し、 常 日 勤 者 のそれと 比 較 検 討 した。 交 代 勤 務 は 夜 勤 の 有 無 で 二 群 に 分

けた。 三 群 間 の 25OHD 濃 度 に 有 意 差 はなく(p=0.98)、 勤 務 時 間 帯 の 違 いによる 差 違 は 観 察 されなかった。

したがって、 夜 勤 のためにビタミン D 不 足 になるという 仮 説 は 本 研 究 では 支 持 されなかった。

58


ウ. 動 物 実 験

交 代 勤 務 に 伴 う 夜 間 の 光 ばく 露 は、 生 体 の 日 内 リズムを 乱 し、 種 々の 健 康 障 害 につながると 考 えられて

いる。ばく 露 物 質 の 取 り 込 み・ 排 泄 に 関 わる 生 体 因 子 の 発 現 も 日 内 リズムを 示 す。 交 代 勤 務 がこれら 生 体 因

子 の 発 現 リズムを 撹 乱 するのであれば、ばく 露 物 質 の 臓 器 蓄 積 量 の 変 動 を 引 き 起 こす 可 能 性 がある。 我 々

はこのような 時 間 毒 性 学 (chronotoxicology) 的 視 点 からの 検 討 が 必 要 と 考 えている。 本 研 究 ではクロムの 肝

臓 中 蓄 積 量 が、 明 暗 シフト( 交 代 勤 務 モデル)によって 通 常 明 暗 条 件 よりも 有 意 に 増 加 することを、マウスを

用 いた 実 験 で 見 い 出 し、また 他 の 金 属 化 合 物 (カドミウム)でも 同 様 に 体 内 蓄 積 量 が 増 加 することを 確 認 した。

これらの 知 見 は 交 代 勤 務 が 蓄 積 性 金 属 の 体 内 蓄 積 量 を 増 加 させる 危 険 性 を 示 唆 する。 一 方 、 交 代 勤 務 者

は 昼 夜 を 問 わず 職 場 有 害 因 子 にばく 露 されることから、ばく 露 時 間 帯 と 毒 性 発 現 強 度 についても 調 べ、 金

属 化 合 物 への 感 受 性 に 日 内 変 動 が 存 在 することを 見 い 出 した。 本 研 究 により 得 られた 結 果 は、 精 度 の 高 い

リスクマネージメントに 結 びつく 可 能 性 がある。

エ. おわりに

レアメタルを 取 り 扱 う 製 造 現 場 では 交 代 勤 務 が 広 く 行 われているため、このことを 踏 まえて 金 属 ばく 露 の 健

康 影 響 を 評 価 することが 必 要 である。 本 研 究 では、 勤 務 の 時 間 帯 (シフト)によって、シフト 後 の 尿 中 金 属 排

泄 量 に 差 が 認 められた。また、より 多 人 数 の 労 働 者 を 対 象 にした 横 断 調 査 では、ばく 露 群 、 非 ばく 露 群 とも、

尿 中 金 属 排 泄 量 に 交 代 勤 務 による 差 は 必 ずしもなかったが、ばく 露 群 のなかでは 交 代 勤 務 群 のほうが 日 勤

群 より、いくつかの 気 分 の 得 点 について 悪 化 が 認 められた。 動 物 実 験 からは、 明 暗 シフト 条 件 ( 交 代 勤 務 モ

デル)では 通 常 明 暗 条 件 より、クロムの 肝 臓 中 蓄 積 量 は 有 意 に 増 加 することが 確 かめられた。

以 上 のデータに 基 づくと、 何 時 に 働 くか、すなわち 何 時 にレアメタル 等 の 有 害 金 属 にばく 露 するかというこ

とは、 金 属 ばく 露 の 健 康 影 響 を 評 価 する 上 で 重 要 な 条 件 の 一 つになる 可 能 性 が 考 えられる。 今 後 、 同 様 の

調 査 研 究 が 進 めば、 日 々の 労 働 衛 生 管 理 をはじめ、ばく 露 基 準 の 策 定 に 際 しても、 時 間 毒 性 学 的

(chronotoxicologic)な 特 性 を 考 慮 することで、より 健 康 で 安 全 な 労 働 環 境 の 整 備 につながるかもしれない。

オ. 年 度 ごとの 研 究 費

1 年 目 23,816 千 円

2 年 目 10,000 千 円

3 年 目 8,595 千 円

カ. 研 究 業 績 リスト

平 成 23 年 度

1 原 著 論 文 Hiroaki Itoh , Zuquan Weng , Hiroyuki Saito , Yasutaka Ogawa , Kunio Nakayama , Masako

Hasegawa-Ohira,Kanehisa Morimoto,Syou Maki,Masaya Takahashi(2011)Association between

night-shift work and serum 25-hydroxyvitamin D levels in Japanese male indoor workers: a crosssectional

study. Ind Health 49(5),pp.658-662.

2 Nobuhiko Miura,Yukie Yanagiba,Katsumi Ohtani,Masaharu Mita,Masako Togawa, Tatsuya

Hasegawa(2012)Diurnal variation of cadmium-induced mortality in mice. J Toxicol Sci 37(1),

p.191-196.

3 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

伊 藤 弘 明 , 牧 祥 , 翁 祖 銓 , 王 瑞 生 , 牛 僑 , 齊 藤 宏 之 , 三 浦 伸 彦 , 小 川 康 恭 , 高 橋 正 也 (2011) 勤 務

時 間 帯 の 違 いが 尿 中 クロム・ニッケル 排 泄 量 に 及 ぼす 影 響 の 検 討 . 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 ,

産 業 衛 生 学 雑 誌 53(Suppl),p.395.

4 三 浦 伸 彦 , 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 , 三 田 征 治 , 外 川 雅 子 , 長 谷 川 達 也 (2011) 金 属 化 合 物 の 投 与 時

刻 がマウス 致 死 毒 性 に 与 える 影 響 . 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 53(Suppl),

p.408.

59


5 三 浦 伸 彦 , 柳 場 由 絵 , 大 谷 勝 己 , 外 川 雅 子 , 長 谷 川 達 也 (2011) 六 価 クロム 及 びカドミウムの 投 与 時

刻 とマウス 致 死 毒 性 . 第 84 回 日 本 生 化 学 会 大 会 , 京 都 ,2P-0500,CD-ROM.

6 大 谷 勝 己 , 三 浦 伸 彦 , 柳 場 由 絵 , 外 川 雅 子 , 長 谷 川 達 也 (2011)カドミウムの 投 与 時 刻 とマウス 雄 性

生 殖 毒 性 . 第 84 回 日 本 生 化 学 会 大 会 , 京 都 ,2P-0501,CD-ROM.

7 三 浦 伸 彦 , 柳 場 由 絵 , 大 谷 勝 己 , 外 川 雅 子 , 長 谷 川 達 也 (2011) 金 属 毒 性 発 現 の 時 刻 依 存 性 .

フォーラム 2011: 衛 生 薬 学 ・ 環 境 トキシコロジー, 金 沢 , 講 演 要 旨 集 ,p.197.

8 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 , 三 浦 伸 彦 , 外 川 雅 子 , 長 谷 川 達 也 (2011)カドミウムの 投 与 時 刻 とマウス 精 巣

毒 性 . フォーラム 2011: 衛 生 薬 学 ・ 環 境 トキシコロジー, 金 沢 , 講 演 要 旨 集 ,p.205.

9 三 浦 伸 彦 , 柳 場 由 絵 , 大 谷 勝 己 , 外 川 雅 子 , 長 谷 川 達 也 (2011)クロム 及 びカドミウムの 投 与 時 刻 と

マウス 致 死 毒 性 . 第 8 回 メタロチオネインおよびメタルバイオサイエンス 研 究 会 , 名 古 屋 , 講 演 要 旨

集 ,p.62.

10 Nobuhiko Miura,Yukie Yanagiba,Katsumi Ohtani,Masako Togawa,Tatsuya Hasegawa (2012)

Diurnal susceptibility to cadmium tosicity. Society of Toxicology,San Francisco,The Toxicologist

2012,126(1),p.535.

11 三 浦 伸 彦 , 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 , 長 谷 川 達 也 , 外 川 雅 子 , 平 尾 彰 子 , 柴 田 重 信 (2012) 体 内 時 計

の 生 理 学 的 意 味 を 他 の 研 究 分 野 から 問 う: 毒 性 学 の 立 場 から- 体 内 時 計 と 重 金 属 毒 性 -. 第 89

回 日 本 生 理 学 会 シンポジウム, 長 野 , 講 演 要 旨 集 (J Physiol Sci,vol.62 (1),2012),p.S19.

12 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 , 三 浦 伸 彦 (2011) 第 16 回 安 衛 研 ・ 産 医 大 産 生 研 研 究 交 流 会 「カドミウムの 投

与 時 刻 と 精 巣 毒 性 の 変 化 」, 産 業 医 科 大 学 産 業 生 態 科 学 研 究 所 4 階 大 講 義 室 ,2011 年 11 月 18

日 .

平 成 22 年 度

1 総 説 ほか( 査 読 有

無 問 わず)

2 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

翁 祖 銓 , 小 川 康 恭 (2010)コメットアッセイ: 遺 伝 毒 性 を 検 出 するための 強 力 な 解 析 法 . 労 働 安 全 衛

生 研 究 3(1),pp.79-82.

伊 藤 弘 明 , 翁 祖 銓 , 齊 藤 宏 之 , 小 川 康 恭 , 中 山 邦 夫 , 森 本 兼 曩 , 牧 祥 , 高 橋 正 也 (2010) 夜 勤 ・ 交

代 勤 務 と 血 清 中 25-OH ビタミン D 濃 度 の 関 係 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 52

(Suppl),p.407.

3 三 浦 伸 彦 (2010)レアメタル 化 合 物 が 時 計 遺 伝 子 発 現 に 与 える 影 響 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 ,

産 業 衛 生 学 雑 誌 52(Suppl),p.620.

4 三 浦 伸 彦 (2010)カドミウムが 時 計 遺 伝 子 発 現 に 与 える 影 響 解 析 . 第 17 回 日 本 時 間 生 物 学 会 , 講

演 要 旨 集 ,p.86.

5 Nobuhiko Miura(2010)Rare metals affect the expression levels of clock genes. 第 47 回 欧 州 トキシ

コロジー 学 会 ,Toxicol Lett,Vol.196(Suppl),p.S311

平 成 21 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

三 浦 伸 彦 (2009)カドミウムが 時 計 遺 伝 子 Period の 発 現 に 与 える 影 響 . メタロチオネインおよびメタ

ルバイオサイエンス 研 究 会 2009, 講 演 要 旨 集 ,p.57.

(2) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 達 成 度

行 政 的 ・ 社 会 的 貢 献 度

研 究 成 果 の 公 表

学 術 的 貢 献 度

その 他 の 評 価

総 合 ( 平 均 )

3.23

3.31

3.23

3.23

3.15

3.23

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

60


イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 員 )「 蓄 積 性 化 学 物 質 (レアメタル)のばく 露 による 健 康 影 響 」というよりも 交 代 勤 務 に 伴 う、ばく 露 の 影 響

を 調 べたものではないか。 研 究 タイトルを 内 容 に 合 わせたものとすべきである。

(B 委 員 )「 研 究 全 体 のまとめ」の 部 分 が 抽 象 的 であり、もう 少 し 明 確 にまとめるべきと 考 えます。

(C 委 員 ) 研 究 対 象 となる 事 象 の 複 雑 さからか 明 瞭 な 定 量 的 結 果 が 十 分 得 られたとは 必 ずしもいえないと 思

えるが、 有 害 な 物 質 の 蓄 積 の 健 康 影 響 に 関 する 基 本 的 知 見 の 充 実 は 重 要 テーマであり 続 けると 考 えら

れるので、 本 研 究 の 調 査 、 分 析 結 果 をいかした 精 緻 な 研 究 が 今 後 さまざまな 角 度 から 進 展 することを 期

待 したい。

(D 委 員 )1 有 意 義 な 研 究 である。この 内 容 の 普 遍 化 ・ 一 般 化 を 期 待 する。2 研 究 課 題 テーマが 広 すぎる。

もう 少 し、 絞 っても 良 いのではないか?

(E 委 員 ) 時 間 毒 性 学 という 概 念 そのものが 部 外 者 にとっては 初 めて 知 ることで、 一 般 の 人 にも 理 解 は 浸 透

していないと 思 います。この 点 に 注 意 を 払 って 今 後 成 果 公 表 をして 下 さい。

(F 委 員 ) 時 間 毒 性 学 を 踏 まえた 職 場 での 毒 性 物 質 の 管 理 に 迫 る 研 究 課 題 は 重 要 かつ 科 学 的 に 見 ても 魅

力 的 であるが、 研 究 成 果 は 必 ずしも 明 確 なものでなく、やや 残 念 である。 今 後 この 領 域 の 研 究 をどう 発 展

させるかについて、よく 検 討 する 必 要 がある。

(G 委 員 )まず、 規 制 省 に 所 属 する 研 究 機 関 として、 大 学 や 民 間 機 関 が 行 いにくい 現 場 労 働 者 の 健 康 影 響

へのエビデンスを 蓄 積 し、それに 基 づき 行 政 施 策 に 反 映 させることが 貴 研 究 機 関 に 期 待 するところであ

る。この 点 から 見 ると、この 研 究 は 十 分 なヒトでのエビデンスがなく、 管 理 濃 度 等 への 貢 献 は 不 明 であると

言 わざる 負 えない。また、 学 問 的 にも 種 々の 問 題 点 が 存 在 する。 例 えばレアメタルとして Cd や Cr を 挙

げているがこれらはレアメタルか?また、 中 国 でのフィールド 調 査 では 労 働 者 の 研 究 では 曝 露 が 測 定 さ

れていない、Cd と 他 の 金 属 を 同 列 に 扱 っている(Cd の 動 態 はキャリアーであるメタロチオネインによるこ

とは 十 分 確 立 されている)、ヒトへの 外 挿 が 不 明 など Toxicology として 未 熟 である。

(H 委 員 ) 今 後 に、より 詳 細 な 研 究 を 行 う 必 要 があろう。

(I 委 員 ) 曝 露 の 状 況 がよくわからないが、 勤 務 のシフトによって 尿 中 のクロム、ニッケルの 排 泄 量 が 異 なると

いうのは 興 味 深 い 結 果 である。ヒトの 結 果 では、 夕 勤 では 排 泄 量 が 増 加 せず、 日 勤 、 夜 勤 で 増 加 がみら

れているが、これは 動 物 実 験 とは 整 合 性 が 取 れているのか、さらに 精 査 が 必 要 である。 中 国 のステンレス

製 造 工 場 労 働 者 の 曝 露 区 分 を 非 曝 露 を 含 め 5 段 階 に 分 けているが、 測 定 に 基 づくものではなく 定 性 的

なので、このように 細 分 化 する 必 要 があるのか 疑 問 である。 各 群 のバランスの 問 題 もあるが、 曝 露 なし(0)、

低 曝 露 (±、+)、 高 曝 露 (++、+++)の 3 段 階 でよいのではないか。

(J 委 員 )レアメタル 以 前 に、 健 康 上 重 要 な「 蓄 積 性 化 学 物 質 」が 種 々あるが、 何 故 とりあげないのか。Cd は

レアメタル?

(K 委 員 ) 研 究 成 果 の 現 場 労 働 衛 生 管 理 への 活 用 に 期 待 したい。

(L 委 員 )レアメタルは、 中 国 の 独 占 市 場 から 生 産 国 の 多 角 化 に 向 けて 日 本 としても 積 極 的 に 動 いている。

本 研 究 の 成 果 が、 多 くの 生 産 現 場 員 のいる 中 国 はもとより、 多 角 化 した 他 の 国 での 生 産 現 場 員 の 健 康 維

持 に 貢 献 できることを、 期 待 しています。

(M 委 員 ) 交 代 勤 務 により 化 学 物 質 の 暴 露 が 影 響 を 受 けるとの 示 唆 は、 労 働 環 境 に 大 変 な 影 響 を 与 える 可

能 性 がある。

(3) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

本 研 究 に 関 して 貴 重 な 御 指 摘 をいただき 感 謝 申 し 上 げます。 本 研 究 の 課 題 名 と 内 容 との 関 連 性 が 弱 い

61


のではないか(A 委 員 、G 委 員 )、またレアメタル 以 前 に、 健 康 上 重 要 な「 蓄 積 性 化 学 物 質 」が 種 々あるので

はないか(J 委 員 )という 御 指 摘 はそのとおりです。しかしながら 本 研 究 では、1レアメタルが 鉄 鋼 製 品 に 不

可 欠 な 素 材 で 今 後 も 使 われ 続 けること、2レアメタルには 重 金 属 としての 蓄 積 性 があること、その 上 に3 鉄

鋼 業 の 現 場 では 夜 勤 を 含 む 交 代 勤 務 が 常 態 化 していること 等 、 物 質 の 蓄 積 性 だけではなく 日 本 における 労

働 衛 生 事 情 をも 考 慮 して 研 究 を 計 画 しました。その 際 、3に 関 連 して、ばく 露 (= 労 働 )の 時 間 帯 によって 毒

性 の 現 れ 方 が 異 なる 可 能 性 を 検 証 するという 時 間 毒 性 学 の 視 点 を 取 り 入 れました。そして 蓄 積 性 のある 化

学 物 質 の 健 康 影 響 を 評 価 する 際 に 交 代 勤 務 という 労 働 条 件 をどのように 考 慮 すべきかを 検 証 するという 観

点 から、 疫 学 調 査 と 動 物 実 験 を 実 施 いたしました。 研 究 テーマが 大 き 過 ぎるのではないか(D 委 員 2、F 委

員 、H 委 員 )との 御 指 摘 もありましたが、より 焦 点 を 絞 った 成 果 を 求 めるべきであったことは 否 めません。

今 回 の 疫 学 調 査 から 得 られたデータはまだ 十 分 ではなく、 本 研 究 で 得 られた 結 果 からだけでは 動 物 実 験

データのヒトへの 外 挿 や 行 政 施 策 への 反 映 (G 委 員 )も 難 しいと 考 えております。 今 回 の 動 物 実 験 の 成 果 は

現 在 実 施 中 の 基 盤 的 研 究 に 引 き 継 がれておりますので、その 研 究 を 進 めることにより 現 行 の 管 理 濃 度 を 再

考 するための 基 礎 的 な 知 見 につながる 可 能 性 はあるように 思 います。

レアメタルの 定 義 (G 委 員 、J 委 員 )について、クロムはレアアースではありませんが、レアメタルの 一 つで

す。 一 方 、カドミウムはレアメタルではありませんが、 本 研 究 の 動 物 実 験 では 陽 性 対 照 物 質 として 用 いました。

交 代 勤 務 を 模 した 実 験 系 においてレアメタルのばく 露 影 響 に 関 する 既 存 データが 乏 しかったことから、この

ような 使 用 は 妥 当 と 考 えました。その 過 程 で 生 体 リズム 撹 乱 時 にカドミウムの 体 内 蓄 積 量 が 増 加 することを 見

出 しました。メタロチオネイン 関 与 の 有 無 および 明 暗 シフトによるメタロチオネイン 量 の 変 動 などの 検 討 が 新

たに 必 要 と 分 かり、 今 後 の 研 究 展 開 に 活 用 したいと 考 えております。

個 人 および 環 境 ばく 露 の 評 価 は 重 要 (G 委 員 、I 委 員 )であり、 説 明 時 点 では 解 析 結 果 はお 示 しできませ

んでしたが、 環 境 測 定 データは 入 手 しておりますので、 今 後 の 発 表 の 際 にはそれらを 活 用 したいと 思 います。

ばく 露 状 況 の 分 類 は 五 段 階 が 良 いか、 三 段 階 が 適 切 か(I 委 員 )についても、 比 較 検 討 いたします。

本 研 究 の 視 点 及 び 多 くの 限 界 がある 中 で、 蓄 積 又 は 排 泄 にばく 露 時 間 帯 が 影 響 している 可 能 性 を 示 す

データを 提 示 できたことに 対 して 好 評 価 を 与 えてくださり(C 委 員 、D 委 員 1、I 委 員 、K 委 員 、L 委 員 、M

委 員 )、 誠 に 幸 甚 です。なお、 時 間 毒 性 学 という 概 念 はまだ 十 分 に 浸 透 していない(B 委 員 、E 委 員 )ので、

その 背 景 事 情 をよく 考 慮 して、 今 後 成 果 を 公 表 するようにいたします。

62


2.5 健 康 障 害 が 懸 念 される 産 業 化 学 物 質 の 毒 性 評 価 に 関 する 研 究

( 平 成 21 年 度 ~ 平 成 23 年 度 )

(1) 研 究 概 要

エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)はバイオ 燃 料 として 平 成 22 年 から 本 格 的 に 導 入 された。

ETBE に 対 する 先 行 の 毒 性 研 究 では、マウスやラットの 種 々の 組 織 や 機 能 に 対 する 毒 性 が 弱 いことが 示 唆

された。しかし、ETBE の 生 体 影 響 についての 研 究 は 必 ずしも 十 分 ではない。 本 プロジェクト 研 究 では、 今

まで 検 討 されていない 生 体 の 遺 伝 子 損 傷 、 免 疫 系 異 常 等 を 中 心 に ETBE 吸 入 ばく 露 後 の 健 康 に 及 ぼす

影 響 について 検 討 し、さらに 生 体 側 の 種 々の 因 子 、 例 えば、 性 差 、 加 齢 、 代 謝 酵 素 の 欠 損 などによる

ETBE の 健 康 障 害 に 対 する 修 飾 作 用 についても 検 討 した。

9 又 は 13 週 間 ETBE ばく 露 後 、 野 生 型 マウスの 5000 ppm 群 において 肝 臓 小 葉 中 心 性 細 胞 肥 大 や 肝

細 胞 DNA 損 傷 などが 検 出 されたが、アルデヒド 脱 水 素 酵 素 ALDH2 欠 損 マウス(KO)では 200 ppm の 低

い 濃 度 においても DNA 損 傷 などが 認 められた。しかし、 雄 性 マウスで 観 察 された 上 記 の 影 響 は 雌 マウスで

は 5000 ppm の 高 濃 度 群 しか 認 められなかった。 老 齢 マウスでは DNA 損 傷 のベースラインが 高 かったが、

ETBE ばく 露 による 損 傷 度 の 上 昇 は 若 齢 マウスとほとんど 同 じであった。ETBE の 体 内 代 謝 に 関 与 している

もう 一 つの 酵 素 CYP2E1 の 欠 損 マウスでは、ETBE の 影 響 は 野 生 型 マウスと 比 べて 特 に 違 いはなかった。

遺 伝 子 損 傷 について 更 に 検 討 した 結 果 、ETBE ばく 露 後 、 生 体 内 の DNA 酸 化 損 傷 度 の 上 昇 、8-OHdG 数

の 増 加 などが 観 察 され、 少 なくとも 酸 化 ストレスが ETBE の 生 体 影 響 に 寄 与 していることが 示 唆 された。

ETBE の 体 内 代 謝 についても 検 討 し、その 結 果 、ALDH2 欠 損 マウスでは ETBE ばく 露 後 体 内 にアセトアル

デヒドなどの 代 謝 物 質 が 滞 留 したことが 判 明 し、ETBE による 遺 伝 損 傷 などに 中 間 代 謝 物 アルデヒド 類 の 代

謝 低 下 が 関 わっていることが 示 唆 された。ETBE ばく 露 による 生 体 影 響 として、 膵 臓 における T 細 胞 の 選 択

的 減 少 、 雄 性 マウスにおける 精 子 運 動 能 の 低 下 、 行 動 への 影 響 なども 観 察 され、 性 差 又 は ALDH2 欠 損 に

よる 影 響 も 認 められた。このように 野 生 型 マウスでは 最 大 無 毒 性 用 量 は 500 ppm であるが、ALDH2 欠 損 個

体 では 50 ppm と 推 定 でき、ETBE の 毒 性 に 対 する 感 受 性 が 高 くなることが 示 唆 された。また、ETBE ばく 露

による 種 々の 損 傷 の 中 に 性 差 が 明 確 に 認 められた。これらの 結 果 から ETBE の 有 害 性 評 価 や 作 業 場 のば

く 露 限 界 値 設 定 の 根 拠 となる 有 益 な 情 報 を 提 供 できるものと 考 えられる。

ア. はじめに

職 場 で 使 用 されている 化 学 物 質 には、 生 体 影 響 が 必 ずしも 明 確 になっていないものも 多 い。また、 毎 年

新 たな 化 学 物 質 が 産 業 現 場 に 入 ってくる。 化 学 物 質 の 毒 性 は 物 質 の 物 理 化 学 特 性 に 大 きく 関 係 している

が、 一 方 で、 性 差 、 加 齢 、 体 質 等 の 人 体 の 生 理 機 能 によっても 左 右 される。 現 在 ではこのような 生 体 機 能 の

違 いを 考 慮 した 毒 性 評 価 は 検 討 がなされていない。しかしながら、 近 年 、 労 働 現 場 の 状 況 は 急 速 に 変 わり

つつある。 労 働 者 においてその 数 や 職 域 の 拡 大 に 伴 い、 女 性 も、 男 性 と 同 様 に 産 業 有 害 因 子 にばく 露 され

る 機 会 が 増 えてきている。 女 性 は、 生 理 学 ・ 生 化 学 的 に 男 性 と 異 なっている 機 能 も 多 くある。また、 労 働 現 場

でのもう 一 つの 変 化 は 高 年 齢 労 働 者 の 割 合 が 高 くなってきたことである。 加 齢 に 伴 い、 種 々の 生 体 機 能 の

変 化 も 見 られ、 化 学 物 質 に 対 する 感 受 性 が 変 化 することが 推 測 される。 産 業 有 害 因 子 などの 外 部 因 子 に 対

して 男 女 や 違 年 齢 層 がそれぞれ 示 す 反 応 は 違 うと 思 われているが、 不 明 な 部 分 は 依 然 として 多 い。 労 働 者

の 多 様 性 を 考 慮 する 際 、もう 一 つ 重 要 な 因 子 は 体 質 の 個 体 差 といえる。 近 年 、ヒトゲノム 研 究 や 関 連 する 分

子 生 物 ・ 医 学 研 究 の 結 果 、 種 々の 遺 伝 子 塩 基 配 列 の 多 型 や 遺 伝 子 発 現 の 違 いなどが 報 告 され、 外 部 因 子

に 対 する 感 受 性 の 個 体 差 との 関 連 が 明 らかになりつつある。 今 後 、 産 業 化 学 物 質 の 有 害 性 やリスク 評 価 の

63


時 には、 種 々の 生 体 因 子 を 考 慮 に 入 れ 行 う 必 要 がある。

ETBE の 導 入 は、 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 削 減 や 石 油 依 存 度 の 低 減 に 貢 献 できる。ETBE はバイオエタ

ノールと 石 油 の 副 製 品 であるイソブテンから 合 成 された 物 質 で、 日 本 は 輸 入 だけではなく、 国 内 の 工 場 でも

生 産 されている。このように 今 後 ETBE の 使 用 と 生 産 の 増 加 とともに、そのばく 露 者 数 も 増 えると 思 われる。

ETBE に 対 する 先 行 の 毒 性 研 究 では、マウスやラットの 種 々の 組 織 や 機 能 に 対 する 毒 性 が 弱 いことが 示 唆

された。 高 濃 度 ETBE の 慢 性 ばく 露 後 、 動 物 肝 臓 の 重 量 増 加 や 肝 細 胞 肥 大 が 観 察 されたが、 遺 伝 毒 性 、

生 殖 発 生 毒 性 などはなく、それ 以 外 の 影 響 についての 報 告 はなかった。これらの 動 物 実 験 の 結 果 から、

ETBE の 最 大 無 毒 性 量 (NOAEL)は 500 ppm と 推 定 された 1, 2) 。 平 成 22 年 には「ETBE 発 がん 性 試 験 事

業 報 告 書 」の 概 要 も 公 表 され、ヒトへの 外 挿 が 否 定 できない 発 がんプロモーション 作 用 はあるものの、 発 がん

性 は 弱 いと 報 告 された 3) 。 日 本 のほか、 欧 州 の 国 でも 使 用 されているが、オーストラリアや 米 国 のいくつの 州

では ETBE のヒトの 健 康 影 響 への 懸 念 からその 使 用 は 禁 止 されている。

一 方 では、 体 内 で ETBE からアセトアルデヒドなどのアルデヒド 類 が 代 謝 される( 図 1)。これらの 中 間 代

謝 物 は 毒 性 を 示 す 可 能 性 があり、 特 にアセトアルデヒドは 動 物 試 験 では 発 がん 性 を 有 することが 分 かってお

り、 国 際 がん 研 究 機 構 (IARC)ではグループ2B(おそらくヒトに 対 する 発 がん 性 がある 物 質 )に 分 類 されて

いる 4) 。また、 東 アジア 人 の 約 4 割 はアルデヒドを 解 毒 する 酵 素 (アルデヒド 脱 水 素 酵 素 2.ALDH2)の 活 性 が

著 しく 低 い 5) 。このような 個 体 では ETBE から 生 成 されるアセトアルデヒドなどのアルデヒド 類 は 代 謝 されにく

く、 体 内 に 比 較 的 高 濃 度 で 滞 留 する 可 能 性 があり、そのため 種 々の 生 体 損 傷 を 誘 発 する 可 能 性 が 高 い。ま

た、ETBE の 代 謝 に 加 えて、ばく 露 時 の 吸 収 や 排 泄 、 損 傷 修 復 に 対 する 性 ホルモンや 加 齢 などの 影 響 も 有

り 得 るので、 最 終 的 にはこれらの 生 体 因 子 の 修 飾 作 用 によって ETBE ばく 露 の 健 康 影 響 は 変 わってくるこ

ととなる。

ETBE ばく 露 後 、 報 告 された 生 体 影 響 以 外 に 影 響 がないか、 特 に 重 大 な 関 心 である 遺 伝 子 損 傷 、 免 疫

系 損 傷 などに 問 題 がないか、 性 差 、 加 齢 、 体 質 による 差 がないか、 生 体 影 響 の 発 生 機 構 は 何 か、などを 解

明 するため、 一 連 の 実 験 を 行 い、 有 用 な 情 報 を 得 た。

図 1 ETBE の 代 謝 経 路

アセトアルデヒドなどのアルデヒド 類 物 質 が 生 成 されるが、それを 代 謝 する 酵 素 である ALDH2 が 欠 損 する 場 合 、 代 謝

および 毒 性 発 現 はどう 変 わるか、 解 明 する 必 要 がある。

64


イ. 課 題 へのアプローチ

(1) ETBE の 有 害 性 評 価

ETBE が 有 害 性 を 示 すばく 露 濃 度 について、 先 行 の 研 究 を 参 考 にして 比 較 的 に 高 濃 度 のばく 露 実 験 を

行 い、その 結 果 を 踏 まえて 更 に 低 い 濃 度 領 域 で 検 討 した。 有 害 性 の 評 価 指 標 として、 一 般 毒 性 に 加 えて、

早 期 遺 伝 子 損 傷 の 指 標 であるコメットアッセイ 法 による DNA 損 傷 度 の 測 定 、 遺 伝 子 損 傷 蓄 積 の 指 標 であ

る 外 周 血 小 核 頻 度 の 解 析 、 免 疫 細 胞 への 影 響 解 析 、 雄 性 動 物 の 生 殖 系 への 影 響 、 神 経 行 動 学 的 解 析 な

ど、 今 まで 十 分 に 検 討 されていないエンドポイントを 中 心 に 実 施 した。

(2) ALDH2 欠 損 マウスを 用 いての 検 討

ETBE の 代 謝 経 路 およびアルデヒド 類 の 有 害 性 情 報 から ALDH2 酵 素 は ETBE の 毒 性 発 現 に 一 つの

カギになっていると 予 想 される。そのため、ヒトの ALDH2 欠 損 モデルとして、この 酵 素 の 遺 伝 子 欠 損 マウス

(ホモおよびヘテロ 欠 損 )を 用 いて、ETBE ばく 露 による 生 体 影 響 の 評 価 を 行 った。ここから 得 るエビデンス

に 基 づいて、この 場 合 の NOAEL を 推 測 し、 野 生 型 個 体 との 比 較 を 行 った。

(3) 性 差 、 加 齢 、 代 謝 酵 素 CYP 欠 損 などによる ETBE 生 体 影 響 への 修 飾 作 用 の 検 討

ETBE ばく 露 実 験 時 には、 雄 性 と 雌 性 マウス、 若 齢 と 老 齢 マウス、CYP2e1 野 生 型 とその 遺 伝 子 ノックア

ウトマウスを 使 用 することにより、これらの 個 体 因 子 による ETBE の 毒 性 発 現 への 修 飾 作 用 を 検 討 した。

(4) ETBE 代 謝 についての 検 討

ETBE の 吸 入 ばく 露 実 験 を 行 い、ばく 露 期 間 中 およびばく 露 終 了 後 、ETBE およびその 数 種 類 の 代 謝

物 の 血 中 や 組 織 における 濃 度 の 経 時 変 化 を 解 析 した。またこの 変 化 に 対 応 する 性 差 や 代 謝 酵 素 欠 損 との

関 連 から ETBE の 代 謝 と 生 体 影 響 発 生 メカニズムを 検 討 し、 有 用 なばく 露 および 生 体 影 響 のバイオマー

カーの 選 定 を 試 みた。

ウ. 研 究 成 果

個 々の 実 験 の 詳 細 な 結 果 については、それぞれの 報 告 文 を 参 照 されたい。ここで 本 プロジェクト 研 究 から

得 られた 主 な 成 果 を 述 べる。

ETBE 吸 入 ばく 露 実 験 の 結 果 、 肝 細 胞 の 肥 大 、 肝 細 胞 および 白 血 球 の DNA 損 傷 、 染 色 体 の 異 常 ( 小

核 )、 脾 臓 における T 細 胞 の 選 択 的 減 少 、 精 子 の 運 動 能 低 下 、 運 動 機 能 の 抑 制 などが 認 められた。 肝 障 害

や DNA 損 傷 などの 結 果 から 推 測 した ETBE の NOAEL は 500 ppm であり、 文 献 報 告 と 一 致 している 1, 2) 。

しかし、ALDH2 欠 損 マウスの 場 合 、200 ppm の 低 濃 度 においても DNA 損 傷 度 の 上 昇 があったため、こ

のような 個 体 では NOAEL は 50 ppm となった。

雄 性 と 雌 性 マウスの 間 、ETBE ばく 露 による 生 体 影 響 は 明 らかな 性 差 が 存 在 した。 雄 の 野 生 型 マウスで

は 肝 障 害 や DNA 損 傷 は 5000 ppm において 検 出 され、ALDH2 欠 損 マウスでは 200 ppm においても 検

出 されたが、 雌 マウスは 野 生 型 では 検 出 されず、 欠 損 マウスでも 最 高 濃 度 でしか 認 められなかった。この 性

差 は 10 倍 以 上 があることが 判 明 した。

老 齢 マウスにおいては DNA 損 傷 などのバックグランド 値 は 若 齢 より 高 かったが、ETBE ばく 露 後 、 損 傷

の 上 昇 分 は 両 週 齢 マウスの 間 に 有 意 な 差 がなく、 加 齢 による ETBE の 生 体 影 響 に 対 する 修 飾 作 用 がない

ことが 示 唆 された。

アルデヒドの 代 謝 酵 素 である ALDH2 の 欠 損 によって ETBE の 生 体 影 響 は 多 くの 指 標 に 大 きな 変 化 が

65


現 れているように、ETBE の 毒 性 に 対 する 感 受 性 の 増 大 が 判 明 した。しかし、ETBE 代 謝 に 関 与 している

CYP2E1 の 欠 損 は ETBE の 毒 性 発 現 に 大 きな 影 響 を 与 えなかった。この 酵 素 は ETBE の 最 初 の 分 解 に

触 媒 しているが、CYP2A6 も 関 与 しているので、 作 用 が 互 いに 代 替 されているのかも 知 れない。

ETBE の 急 性 吸 入 ばく 露 の 期 間 中 及 びその 後 、 血 液 や 組 織 中 におけるアセトアルデヒド、ターシャリブチ

ルアルコールなどの 代 謝 物 質 濃 度 は ALDH2 欠 損 マウスでは 野 生 型 より 高 く、また 雌 雄 の 間 にも 差 がある

ことが 判 明 した。この 代 謝 過 程 の 差 は ETBE の 生 体 影 響 に 現 れた 差 異 の 原 因 の 一 部 と 思 われる。

エ. おわりに

ETBE は 基 本 的 には 毒 性 の 弱 い 物 質 であるが、その 生 体 影 響 はよく 検 討 されていた 肝 臓 以 外 の 他 の 組

織 や 臓 器 でも 検 出 された。 特 に 早 期 の 遺 伝 損 傷 の 指 標 を 用 いての 解 析 では 多 くの 組 織 に 影 響 が 認 められ

た。ETBE の 生 体 影 響 はその 吸 入 ばく 露 時 の 濃 度 と 関 係 していることは 言 うまでもないが、 生 体 側 の 種 々の

因 子 ( 性 別 、 加 齢 、 代 謝 酵 素 の 遺 伝 的 差 異 など)によって 大 きく 影 響 されることもあり、その 差 の 程 度 は 10

倍 以 上 にも 達 した。この 差 異 は 体 内 での 代 謝 と 密 接 に 関 係 している。

以 上 の 結 果 は、ETBE の 有 害 性 を 評 価 する 時 に、 早 期 ・ 軽 微 な 生 体 影 響 を 検 出 できる 指 標 の 使 用 が 重

要 であること、また 生 体 側 の 因 子 を 考 慮 に 入 れる 必 要 があることを 示 唆 した。これらのデータを 考 慮 して 作 業

環 境 などにおける ETBE のばく 露 限 界 設 定 を 検 討 することで、 労 働 衛 生 管 理 がより 適 切 なものとなるので

はないかと 思 われる。

参 考 文 献

1) 財 団 法 人 石 油 産 業 活 性 化 センター. 平 成 19 年 度 非 化 石 エネルギー 導 入 促 進 対 策 調 査 等 (バイオマス 由 来 燃 料 導 入

調 査 研 究 )に 関 する 報 告 書 . 財 団 法 人 石 油 産 業 活 性 化 センター;2008.

2) McGregor D. Ethyl tertiary-butyl ether: a toxicological review. Crit. Rev. Toxicol. 2007; 37:287-312.

3) 財 団 法 人 石 油 産 業 活 性 化 センター. 平 成 21 年 度 ETBE 発 がん 性 試 験 事 業 報 告 書 概 要 . 財 団 法 人 石 油 産 業 活 性

化 センター;2011. http://www.pecj.or.jp/english/news/pdf/H220513_e tbe02.pdf

4) International Agency for Research on Cancer (1999). Re-evaluation of Some Organic Chemicals, Hydrazine and Hydrogen

Peroxide. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. 71.

5) Hamajima N, Takezaki T, Tajima K. Allele Frequencies of 25 polymorphisms pertaining to cancer risk for Japanese,

Koreans and Chinese. Asian Pac. J. Cancer Prev. 2002; 3: 197-206.

オ. 年 度 ごとの 研 究 費

1 年 目 18,726 千 円

2 年 目 14,000 千 円

3 年 目 10,985 千 円

カ. 研 究 業 績 リスト

平 成 24 年 度

1 原 著 論 文 ZuquanWeng,Megumi Suda,Katsumi Ohtani,Nan Mei,Toshihiro Kawamoto,Tamie Nakajima,

Rui-Sheng Wang(2012)Differential genotoxic effects of subchronic exposure to ethyl tertiary butyl

ether in the livers of Aldh2 knockout and wild-type mice. Arch Toxicol 86:675-682.

2 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Rui-Sheng Wang,Katsumi Ohtani,Zuquan Weng,Yukie Yanagiba and Megumi Suda(2012)

Enhanced Reproductive Effects of Exposure to ETBE in Aldh2 Knockout Mice. The 48th Congress of

the European Societies of Toxicology,Toxicology Letters 211S,S183.

3 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 翁 祖 銓 , 柳 場 由 絵 , 王 瑞 生 (2010)ETBE 亜 慢 性 曝 露 後 のマウス 肝 におけ

る ETBE 代 謝 の 雌 雄 差 . 第 85 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 54(Suppl.),394.

66


4 王 瑞 生 , 翁 祖 銓 , 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 (2012)ETBE の 低 濃 度 ばく 露 後 のマウス 肝 臓

における 遺 伝 損 傷 について. 第 85 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 54(Suppl.),464.

5 王 瑞 生 , 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 , 須 田 恵 (2012)ターシャリーブチルアルコール 投 与 後 のマウスに

おける 毒 性 発 現 . 第 59 回 日 本 実 験 動 物 学 会 総 会 , 講 演 要 旨 集 ,p283.

平 成 23 年 度

1 原 著 論 文 Zuquan Weng,Megumi Suda,Katsumi Ohtani,Nan Mei,Toshihiro Kawamoto,Tamie Nakajima,

Rui-Sheng Wang(2011)Aldh2 knockout mice were sensitive to DNA damage in leukocyte due to

ethyl tertiary butyl ether exposure. Ind Health 49(3) 396-399.

2 Qing Li,Maiko Kobayashi,Hirofumi Inagaki,Yukiyo Hirata,Kimiko Hirata,Takako Shimizu,

Rui-Sheng Wang,Megumi Suda,Toshihiro Kawamoto,Tamie Nakajima and Tomoyuki Kawada

(2011)Effects of subchronic inhalation exposure to ethyl tertiary butyl ether on splenocytes in mice.

Int J Immunopathol Pharmacol 24(4) 837-47.

3 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Rui-Sheng Wang,Katsumi Ohtani,Zuquan Weng,Megumi Suda(2011)Reproductive effects of

exposure to ethyl tertiary butyl ether as modified by aging in male Aldh2 knockout mice. The 47th

Congress of EuroTox Abstracts,Toxicology Letters vol.205S,p S255.

4 Rui-Sheng Wang,Katsumi Ohtani,Zuquan Weng,and Megumi Suda(2012)Effects of Exposure to

Ethyl Tertiary Butyl Ether at Low Concentrations in Aldh2 Knockout Mice. The 51st Annual Meeting

of the Society of Toxicology,p59.

5 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 翁 祖 銓 , 柳 場 由 絵 , 王 瑞 生 (2011)ETBE 慢 性 曝 露 後 のマウス 肝 における

アセトアルデヒドの 代 謝 および Aldh2 遺 伝 子 多 型 の 影 響 . 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学

雑 誌 53(Suppl.),p400.

6 北 條 理 恵 子 , 久 保 田 久 代 , 須 田 恵 , 柳 場 由 絵 , 王 瑞 生 (2011)ETBE 慢 性 曝 露 によるマウスの 行

動 変 化 および 脳 内 c-fos 活 性 変 化 について. 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 53

(Suppl.),p12.

7 翁 祖 銓 , 柳 場 由 絵 , 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 王 瑞 生 (2011)Cyp2e1 ノックアウトマウスにおける

ETBE 吸 入 曝 露 の 白 血 球 遺 伝 毒 性 について. 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 東 京 , 産 業 衛 生 学 雑 誌

53(Suppl.),p402.

8 王 瑞 生 , 柳 場 由 絵 , 大 谷 勝 己 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 (2011)Cyp2e1 ノックアウトマウスにおける ETBE

吸 入 曝 露 の 生 殖 毒 性 について. 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 講 演 集 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 53

(Suppl.),p401.

9 大 谷 勝 己 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 , 柳 場 由 絵 , 王 瑞 生 (2011)ETBE 吸 入 曝 露 後 の 雄 マウス 生 殖 系 の

障 害 および 加 齢 の 影 響 について. 第 84 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 講 演 集 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 53

(Suppl.),p400.

10 王 瑞 生 , 大 谷 勝 己 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 (2011)マウスにおける ETBE ばく 露 の 生 殖 系 への 影 響 お

よび 加 齢 の 修 飾 作 用 . 第 38 回 日 本 トキシコロジー 学 会 ,The journal of Toxicological Sciences,

vol.36 supplement,p S152.

11 王 瑞 生 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 , 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 (2011)ETBE ばく 露 によるマウスの 遺 伝 損 傷

について. 第 39 回 産 業 中 毒 ・ 生 物 学 的 モニタリング 研 究 会 , 発 表 講 演 集 .

12 王 瑞 生 , 大 谷 勝 己 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 (2011)ETBE の 低 濃 度 ばく 露 によるマウスの 生 殖 系 への

影 響 について. フォーラム 2011 衛 生 薬 学 環 境 トキシコロジー, 発 表 講 演 集 ,p294.

13 翁 祖 銓 , 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 王 瑞 生 (2011)ETBE ばく 露 によるマウスの 白 血 球 における 遺 伝

および 加 齢 と ALDH2 遺 伝 子 改 変 の 影 響 について. フォーラム 2011 衛 生 薬 学 環 境 トキシコロ

ジー, 発 表 講 演 集 ,p170.

平 成 22 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

Megumi Suda,Zuquan Weng,Katsumi Ohtani,Rui-Sheng Wang(2010)Toxicokinetics of ethyl

tertiary butyl ether metabolites in blood and tissues in Aldh2 knockout and wild type mice. The XII

International Congress of Toxicology(IUTOX),Toxicol Lett 196S,S107.

2 Rui-Sheng Wang,Katsumi Ohtani,Megumi Suda,Zuquan Weng(2010)Toxic effects of ethyl

tertiary butyl ether exposure as modified by Aldh2 genotypes in mice. The XII International Congress

of Toxicology(IUTOX),Toxicol Lett 196S,S75.

3 Zuquan Weng , Megumi Suda , Katsumi Ohtani , Rui-Sheng Wang ( 2010 ) Difference in the

genotoxicity of chronic inhalation exposure to ethyl tertiary butyl ether in sperm between Aldh2 wild

type and Aldh2 knockout mice. The XII International Congress of Toxicology(IUTOX),Toxicol Lett

196S,S72.

67


4 Rieko Hojo,Hisayo Kubota,Megumi Suda,Yukie Yanagiba,Rui-Sheng Wang(2011)Effects of 12-

week-inhalation exposure to Ethyl tert-butyl ether(ETBE) on behavior and brain in C57BL/6J and

Aldh2(-/-) mice. The 50th annual meeting of the Society of Toxicology,p320.

5 Rui-Sheng Wang,Yukie Yanagiba,Katsumi Ohtani,Megumi Suda,Zuquan Weng,Tamie Nakajima

(2011)Toxic effects of ethyl tertiary butyl ether exposure in CYP2E1 knockout mice. The 50th

annual meeting of the Society of Toxicology,p110.

6 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 翁 祖 銓 , 王 瑞 生 (2010)ALDH2 遺 伝 子 ノックアウトマウスにおける ETBE

血 液 および 組 織 中 代 謝 物 の 経 時 変 動 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 52

(Suppl.),616.

7 李 卿 , 稲 垣 弘 文 , 平 田 幸 代 , 川 田 智 之 , 須 田 恵 , 王 瑞 生 (2010)13 週 間 ETBE 慢 性 吸 入 ばく

露 によるマウス 脾 臓 細 胞 への 影 響 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 52(Suppl.),

477.

8 王 瑞 生 , 大 谷 勝 己 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 (2010)13 週 間 ETBE 慢 性 吸 入 ばく 露 によるマウス 生 殖

系 への 影 響 . 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 52(Suppl.),615.

9 翁 祖 銓 , 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 王 瑞 生 (2010)13 週 間 ETBE 慢 性 吸 入 ばく 露 によるマウスの 白

血 球 DNA 損 傷 について. 第 83 回 日 本 産 業 衛 生 学 会 , 産 業 衛 生 学 雑 誌 52(Suppl.),615.

10 翁 祖 銓 , 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 王 瑞 生 (2010)ETBE 慢 性 吸 入 ばく 露 による ALDH2 遺 伝 子 ノック

アウトマウスの 肝 臓 DNA 損 傷 について. 第 37 回 日 本 トキシコロジー 学 会 ,J Toxicol Sci v35

(Suppl),S191.

11 王 瑞 生 , 大 谷 勝 己 , 須 田 恵 , 翁 祖 銓 (2010)ETBE 慢 性 吸 入 ばく 露 による ALDH2 遺 伝 子 ノック

アウトマウスの 生 殖 系 への 影 響 について. 第 37 回 日 本 トキシコロジー 学 会 ,J Toxicol Sci v35

(Suppl),S225.

12 北 條 理 恵 子 , 久 保 田 久 代 , 須 田 恵 , 柳 場 由 絵 , 王 瑞 生 (2010)ETBE 慢 性 ばく 露 によるマウスの

行 動 変 化 について. 第 38 回 有 機 溶 剤 中 毒 研 究 会 .

13 王 瑞 生 , 翁 祖 銓 , 須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 柳 場 由 絵 (2010)ETBE 慢 性 ばく 露 によるマウス 遺 伝 物

質 の 損 傷 について. 第 38 回 有 機 溶 剤 中 毒 研 究 会 .

平 成 21 年 度

1 国 内 外 の 研 究 集

会 発 表

須 田 恵 , 大 谷 勝 己 , 翁 祖 銓 , 王 瑞 生 (2009) 遺 伝 子 多 型 によるETBE 代 謝 物 の 体 内 濃 度 への

影 響 . 日 本 産 業 衛 生 学 会 第 37 回 有 機 溶 剤 中 毒 研 究 会 第 42 回 生 物 学 的 モニタリング・バイオマー

カー 研 究 会 , 抄 録 集 (ページ 無 し).

(2) 評 価 結 果

ア. 評 価 点

目 標 達 成 度

3.38

行 政 的 ・ 社 会 的 貢 献 度

3.15

研 究 成 果 の 公 表

学 術 的 貢 献 度

3.31

3.38

その 他 の 評 価

総 合 ( 平 均 )

3.15

3.28

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

イ. 評 価 委 員 のコメント

(A 委 員 ) 目 的 も 明 確 で、ETBE 曝 露 試 験 によって 得 られた 知 見 もはっきりとしている。リスク 評 価 値 の 基 準

への 有 効 な 成 果 が 得 られている。

(B 委 員 ) 本 研 究 のまとめの 部 分 が、「 示 唆 した」、「かもしれない」、「 一 部 と 思 われる」 等 の 曖 昧 な 表 現 に

なっていることが 残 念 である。

68


(C 委 員 ) 動 物 実 験 で 明 らかにされたいくつかの 因 子 の 影 響 を 作 業 環 境 基 準 値 などにどのように 反 映 させる

べきか、 今 後 十 分 な 検 討 が 必 要 と 思 われる。

(D 委 員 )UFs の 考 え 方 をもっと 整 理 できないか?

(E 委 員 ) 本 研 究 成 果 を 具 体 的 にどのように 労 働 安 全 衛 生 に 活 かしていくのかを 明 確 にしてほしい。

(F 委 員 )ETBE の 毒 性 、 代 謝 経 路 、 修 飾 要 因 を 解 明 したことは 意 義 がある。

(G 委 員 )なぜ 標 記 の 研 究 課 題 で、 我 が 国 における 生 産 量 も 労 働 者 の 曝 露 人 口 の 推 定 もなく ETBE の 研 究

を 行 うのか 理 解 に 苦 しむ。ALDH2 の KO マウスと CYP2A6 の KO を 既 に 保 有 していることから 本 研 究

課 題 に 取 り 組 んだとしているが、この 課 題 の 成 果 が 一 般 化 できるのか 非 常 に 不 透 明 である。 我 が 国 にお

いて ALDH2 の mutant allele のキャリアーは 多 いが、その 場 合 、 通 常 広 く 消 費 されているエチルアル

コールでも 本 酵 素 が 主 たる 代 謝 酵 素 であり、 飲 酒 における 健 康 影 響 をまず 考 慮 すべきであろう。 毒 性 評

価 の 点 で、この 点 が 考 量 されておらず、ヒトへの 外 挿 は 非 常 に 困 難 である。さらに、 本 研 究 を 通 じて 他 の

化 学 物 質 へ 一 般 化 できるのか、この 点 も 不 透 明 である。National Center としての 矜 持 と 高 い 志 が 欠 如 し

ているように 感 じる。

(H 委 員 ) 国 際 学 術 誌 への 投 稿 が 一 層 求 められる。

(I 委 員 )ETBE の 毒 性 評 価 を、 遺 伝 子 損 傷 、 代 謝 、 神 経 行 動 など 多 方 面 にわたって 検 討 した 研 究 であり、こ

の 物 質 の 生 体 影 響 についての 成 果 は 得 られていると 考 える。ただし、 研 究 課 題 名 は「 健 康 障 害 が 懸 念 さ

れる 産 業 化 学 物 質 の 毒 性 評 価 」になっているが、 実 際 に 行 われたのは ETBE のみであり、 課 題 名 が 研

究 内 容 を 適 切 に 表 しているとはいえない。 研 究 計 画 時 から ETBE に 絞 っていたのであれば、それに 適 し

た 課 題 名 にすべきだったのではないか。 健 康 障 害 が 懸 念 される 産 業 化 学 物 質 は 他 にも 数 多 く 存 在 する

ので、 今 後 、ETBE 以 外 の 物 質 についてもさらに 研 究 を 行 っていただきたい。

(J 委 員 )この 研 究 の 社 会 的 意 義 が 明 確 でない。 何 故 、ETBE なのか?

(K 委 員 ) 研 究 成 果 が 現 場 の 労 働 衛 生 管 理 に 結 びつくことに 期 待 したい。

(L 委 員 ) 生 体 の 遺 伝 子 損 傷 や 免 疫 系 異 常 等 、ETBE に 関 しての 健 康 影 響 は 専 門 分 野 ではないのでコメン

トしにくいが、 産 業 化 学 物 質 の 毒 性 研 究 は 重 要 テーマであり、 今 後 の 着 実 な 進 展 を 期 待 します。

(M 委 員 )KO マウスを 使 った 研 究 として 示 唆 に 富 む 研 究 成 果 であると 思 う。この 研 究 成 果 をどのように 現 場

に 役 立 たせるかの 方 向 性 が 欲 しい。

(3) 評 価 委 員 の 指 摘 に 対 する 措 置 ・ 対 応 等

本 研 究 に 関 して 御 指 摘 いただき 感 謝 申 し 上 げます。 本 研 究 では ETBE の 生 体 影 響 及 び 種 々の 影 響 因

子 について 検 討 し、 多 くの 知 見 が 得 られました。これについて 多 くの 委 員 から 肯 定 的 な 評 価 を 頂 きました(A

委 員 、F 委 員 、I 委 員 、L 委 員 、M 委 員 )。ETBE を 研 究 対 象 とした 背 景 を 説 明 すべきである(G 委 員 、J 委

員 )とのご 指 摘 につきましては、ETBE は 平 成 22 年 度 から 全 国 で 本 格 的 に 導 入 されたバイオ 燃 料 に 含 まれ、

その 使 用 量 は 84 万 キロリットル( 平 成 22 年 )で、 生 産 現 場 でばく 露 を 受 ける 労 働 者 数 は 現 状 では 多 くありま

せん。しかし、 今 後 その 使 用 ・ 生 産 拡 大 に 伴 って 増 大 することが 予 想 されます。また、この 物 質 の 有 害 性 に

ついては、 石 油 連 盟 のもとで 標 準 的 な 毒 性 試 験 ガイドラインに 準 拠 した 方 法 で 検 討 されてきましたが、 以 下

に 述 べる ETBE 代 謝 の 特 徴 から、その 東 アジア 人 における 健 康 影 響 が 懸 念 され、 詳 細 に 検 討 する 必 要 が

あると 考 えました。このような 考 慮 から ETBE を 対 象 物 質 として 検 討 しました。 確 かに 健 康 障 害 が 懸 念 される

産 業 化 学 物 質 はほかにも 多 数 あります(I 委 員 )が、 研 究 期 間 や 予 算 の 関 係 で 今 回 は ETBE だけに 集 中 し

て 研 究 を 実 施 しました。

体 内 における ETBE の 代 謝 に ALDH2 酵 素 が 関 与 していることがすでに 判 明 されております。 一 方 で、

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日 本 人 を 含 む 東 アジア 人 では、この 酵 素 活 性 のない、または 低 い 人 が 約 4 割 も 達 しており、この 体 質 による

ETBE の 代 謝 と 毒 性 への 修 飾 作 用 を 研 究 する 必 要 があると 思 いました。 数 多 くの 産 業 化 学 物 質 が ETBE の

ように 体 内 の 代 謝 過 程 でアルコールやアルデヒドと 変 化 し、ALDH2 酵 素 がその 後 の 代 謝 や 毒 性 発 現 に 関

与 すると 推 測 されますが、この 酵 素 の 活 性 の 違 いによる 修 飾 作 用 についてはほとんど 研 究 されておりません。

今 回 の 研 究 は、 日 本 などの 東 アジア 人 労 働 者 を 対 象 として 産 業 化 学 物 質 の 有 害 性 を 評 価 する 際 に、

ALDH2 酵 素 遺 伝 子 のノックアウトマウスを 使 用 することで 有 用 なデータを 提 供 できることを 示 した 例 になっ

たと 思 います。その 成 果 および 意 義 について F 委 員 と M 委 員 から 肯 定 的 な 評 価 を 頂 きました。 飲 酒 の 健 康

影 響 と ALDH2 酵 素 の 遺 伝 差 異 との 関 連 性 について 研 究 の 重 要 性 は G 委 員 の 御 指 摘 のとおりです。 確 か

に、 公 衆 衛 生 学 的 観 点 から 日 本 人 の 飲 酒 による 健 康 問 題 を 考 える 場 合 、ALDH2 の 多 型 は 非 常 に 重 要 な

要 因 になるものと 思 います。 産 業 現 場 に 限 ればアルコール 系 の 溶 剤 へのはく 露 も 問 題 になると 考 えられま

す。 今 回 は ETBE の 本 格 的 導 入 時 期 と 研 究 開 始 時 期 が 近 かったことから ETBE を 対 象 物 質 といたしました

が、 今 後 はエーテル 類 やアルコール 類 全 体 を 視 野 に 対 応 を 考 えたいと 思 慮 いたします。なお、 同 様 の 代 謝

を 受 けることから ETBE ばく 露 と 飲 酒 の 相 互 作 用 などへと 研 究 を 拡 げることも 重 要 かもしれません。 研 究 室

に ALDH2 や CYP2E1 の 遺 伝 子 ノックアウトマウスを 保 有 している 利 点 を 生 かした 研 究 を 実 施 したもので、

御 理 解 を 賜 りたいと 思 います。

本 研 究 で 明 らかになった ETBE の 遺 伝 毒 性 、ALDH2 活 性 の 違 いや 性 差 などによる 修 飾 作 用 は、 今 まで

の 毒 性 評 価 で 示 されていなかった 新 しい 知 見 です。しかし、これは 動 物 実 験 からの 結 果 であり、そのままで

は 産 業 現 場 に 応 用 することが 困 難 であるのは 事 実 です。 今 回 の 研 究 では、アルデヒドを 経 て 代 謝 される 産

業 化 学 物 質 の 毒 性 については 東 アジア 人 の 特 性 を 考 慮 する 必 要 があるという 原 則 的 なことが 確 認 できまし

た。 多 くの 委 員 の 方 (C 委 員 、E 委 員 、J 委 員 、K 委 員 )から 本 研 究 成 果 がどのように 実 際 の 労 働 衛 生 や 法

規 制 に 活 用 されていくのかという 御 指 摘 を 頂 きましたが、まずは 今 回 の 研 究 によって 得 られた 研 究 成 果 及 び

その 応 用 可 能 性 を 知 ってもらうために 労 働 安 全 衛 生 関 連 の 国 内 外 雑 誌 に 発 表 するよう、 努 力 したいと 考 え

ております(H 委 員 )。また、そのような 研 究 成 果 の 普 及 を 踏 まえて、 実 際 の 労 働 現 場 での 活 用 や 化 学 物 質

の 規 制 への 反 映 などについて 議 論 していければと 考 えております。なお、 成 果 の 公 表 時 には、リスクを 評 価

する 際 の 不 確 実 係 数 (UFs)が 作 業 環 境 と 一 般 環 境 では 考 え 方 が 異 なることなどを 忘 れずに 対 応 したいと 考

えしております(D 委 員 )。

今 回 の 報 告 書 のまとめの 部 分 に「 示 唆 した」、「かもしれない」などが 出 ておりましたが、 今 後 の 発 表 の 時

には 明 確 な 情 報 を 発 信 できるようにいたします(B 委 員 )。

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Ⅶ 総 合 討 論

事 前 評 価 3 課 題 及 び 事 後 評 価 5 課 題 に 対 する 個 別 の 研 究 評 価 の 後 、これまでの 研 究 発 表 や 質 疑 応 答 を

踏 まえて、 総 合 討 論 を 行 っていただいた。その 中 で、 労 働 安 全 衛 生 総 合 研 究 所 が 現 在 実 施 している 研 究 課

題 又 は 当 研 究 所 の 研 究 に 取 り 組 む 姿 勢 などに 対 して 貴 重 な 御 指 摘 ・ 御 助 言 をいただいた。それらのうち、 特

に 当 研 究 所 の 研 究 計 画 の 策 定 や 進 捗 管 理 に 関 するものの 要 旨 をまとめて 以 下 に 示 す。

• 研 究 課 題 の 目 的 に 対 してサブテーマ 同 士 が 不 足 部 分 を 補 い 合 うようにするなど、サブテーマが 有 機 的 に

連 携 し、また、それが 容 易 に 理 解 できるように 研 究 計 画 の 策 定 の 際 に 十 分 検 討 されたい。

• 短 期 的 な 社 会 貢 献 ではなく、 長 期 的 に 社 会 に 役 立 つテーマ、あるいは、 企 業 では 難 しいが 独 立 行 政 法 人

こそ 実 施 できるテーマに 取 り 組 んでいただきたい。

• 研 究 成 果 については、 法 令 や 規 則 などへ 反 映 するアクションを 是 非 取 るようにしていただきたい。

• 厚 生 労 働 省 所 管 の 独 立 行 政 法 人 である 研 究 機 関 という 認 識 を 持 って 研 究 を 行 っていくことが 重 要 である。

民 間 の 所 究 所 とは 違 った 立 場 、 営 利 関 係 がないというスタンスを 踏 まえて、 研 究 を 計 画 ・ 実 施 すべきである。

• 研 究 成 果 については、 専 門 家 に 知 らしめることはもちろん 大 事 であるが、 専 門 家 ではないが 当 該 危 険 にさ

らされている 人 達 にいち 早 く 周 知 し、その 危 険 を 回 避 できるようにすることも 重 要 である。 成 果 は 国 民 に 対

して 発 表 するということを 念 頭 に 置 き、 研 究 を 実 施 していただきたい。

• 可 能 であれば、 我 が 国 の 現 在 の 重 大 な 課 題 である 放 射 線 を 対 象 にした 研 究 を 行 い、 国 民 により 貢 献 して

いただきたい。

当 研 究 所 では、これらの 御 意 見 を 真 摯 に 受 け 止 め、 内 部 評 価 委 員 会 などの 場 面 を 通 じて、 調 査 研 究 の 質

の 向 上 に 確 実 に 反 映 させ、 研 究 主 体 としての 責 務 を 一 層 果 たしていく 所 存 である。

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