電子衝撃による原子分子過程と スケーリング則

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電子衝撃による原子分子過程と スケーリング則

2012 年 12 月 12 日 原 子 分 子 データ 応 用 フォーラムセミナー核 融 合 科 学 研 究 所 研 究 I 期 棟 4 階 402 号 室電 子 衝 撃 による 原 子 分 子 過 程 とスケーリング 則上 智 大 学 理 工 学 部物 質 生 命 理 工 学 科 ( 物 理 学 領 域 )星 野正 光


はじめに 低 エネルギー 電 子 分 光 実 験 微 分 散 乱 断 面 積 の 絶 対 値 測 定 加 熱 分 子 ( 振 動 励 起 分 子 )の電 子 分 光 実 験 解 離 性 電 子 付 着 過 程 の 研 究Sophia Univ.Electron / positronAtomMoleculescattered electronpositronPhoton (VUV, soft-X rat)Photon FactorySurfacepositive / negative ion,radical* 超 低 エネルギー 電 子 分 光 実 験(Clod electron collision, 東 工 大 )*VUV 吸 収 スペクトルの 精 密 分 光 実 験⇒ 吸 収 断 面 積 測 定


はじめに 低 エネルギー 電 子 と原 子 ・ 分 子 の 散 乱 過 程入 射 電 子E 0E 0 -⊿Eθ⊿E ΔE = 0: 弾 性 散 乱 過 程 ΔE ≠ 0: 非 弾 性 散 乱 過 程 回 転 励 起 (< meV) 振 動 励 起 (~ meV) 電 子 励 起 (~ eV) 電 離 (~ eV)分 子Y. Itikawa, J. Phys. Chem. Ref. Data, 38, (2009) 1-20


実 験 装 置 と 実 験 条 件AnalyzerMonochromator クロスビーム 法 による 断 面 積 測 定⇒ 入 射 エネルギー1.0eV‐200eV,散 乱 角 度 ‐10°‐150°e ‐E 0 ECollisioniRegionE 0e ‐ Relative Flow 法 による 絶 対 値 化⇒ 絶 対 値 が 既 知 であるHeの 弾 性 散 乱断 面 積 に 規 格 化NozzleResistive coaxialsheath wireσGIGPHe( ) σHe ( )I PHeG


例 )プラズマエッチングにおける 電 子 散 乱 過 程 ドライエッチングプロセス弱 電 離 プラズマ 中 における 電 子 温 度 : 数 eV励 起 A + e → A* + e 電 子 衝 突電 離 A + e → A + + 2eA m +e → A + +2e直 接 電 離累 積 電 離A + B m → A + + B + e ペニング 電 離A m + A m → A + + A +e 準 安 定 原 子 同 士 の 衝 突電 子 付 着 B + e → B ‐解 離再 結 合電 荷 交 換AB + e → A + B + e(AB) + +e → A + + B + e イオン 解 離(AB) + +e → AB + hA + + e → A + h(AB) + +e → A* + B*A + + B ‐ → A + BA + B + → A + + B放 射 再 結 合解 離 再 結 合イオン 再 結 合エッチング(SiF4など)IonRadical保 護 膜 除 去(CF4など)保 護 膜 (ポリマー)エッチングガスにポリマーを 生 成する 添 加 物 を 入 れる(CF2, CF, O2)→イオンアシスト 効 果 により効 率 的 にエッチング数 eVの 電 子 と 原 子 分 子 衝 突 に 関 する 定 量 データが 重 要


講 演 内 容 主 にドライエッチング 工 程 で 必 要 なフッ 素 化 合 物 と 酸 素分 子 の 電 子 散 乱 データについて 紹 介1) フッ 素 化 合 物 の 弾 性 散 乱 過 程 における 微 分 断 面 積例 )BF 3 分 子*ドライエッチングの 際 のドーパントとしての 利 用* 激 しい 反 応 性 と 腐 食 性 から 基 礎 データの 測 定 が 不 足 している2) 電 子 励 起 断 面 積 ( 光 学 的 許 容 遷 移 )のスケーリング 則例 )O 2 分 子* 工 業 的 側 面 だけでなく、 環 境 面 でも 非 常 に 重 要 な 分 子


酸 素 分 子 の 電 子 励 起 過 程 とスケーリング 則酸 素 O 2 分 子 の 例


酸 素 分 子 ( 上 層 大 気 中 における 役 割 )Schumann-Runge continuumと 呼 ばれる 電 子 励 起 過 程により 紫 外 線 (VUV) を 効 率 よく 吸 収hveCross section (cm 2 )10-16VUVO 2Schumann-Rungecontinuum10 -17 H2OhSchumann-Runge10 -18 bandUV-CO 3Hartlay Bands10 -19 100 150 200 250Wavelength (nm)オゾン 形 成O 2 + hv or e - → O 2 * (SR) → O( 1 D)+O( 3 P)O( 3 P) + O 2 → O 3活 性 酸 素N. J. Mason et al., J. Phys. B 29, 3075 (1996). R. Mota et al., Chem. Phys. Lett 416, 152 (2005).


酸 素 分 子 の 電 子 散 乱 断 面 積 のデータセットItikawa によるO 2 の 断 面 積 データセット応 用 で 用 いるために、 広 いエネルギー 範 囲 にわたり、さまざまな 過 程 の 正 確 な 断面 積 の 情 報 が 必 要Exc (B)→ Schumann-RungecontinuumベンチマークデータShyn et al.Y. Itikawa, J. Phys. Chem. Ref. Data, 38, (2009) 1-20


測 定 データの 現 状 (Schumann‐Runge Continuum)Cros ss Sectio on (10 -18 cm 2 )Schumann-Runge140 Born (from Zhu)WakiyaShynTrajmar120Lassettre data (Present Analysis)Zhu data (Present Analysis)Newell data (Present Analysis)100 impact parameter (Laricchiuta)Born-Ochkur (Chung)Hakeimpact parameter (Garrett)80604020010 100 1000Impact Energy (eV)低 エネルギー 側 (15 – 50 eV) 相 違 点 が 多 い低 エネルギーでもBorn 近 似 を 支 持


測 定 データの 現 状現 状 ・・・過 去 に 多 くの 研 究⇒100 eV 以 下 のエネルギー 領 域 において 相 違 点 が 多 い* 相 違 点 の 多 い 15 – 200 eV で 微 分 断 面 積 の 精 密 測 定Schumann-Runge continuumLongest bandSecond band*ベンチマークとなる 積 分 断 面 積 を 導 出* 光 学 的 許 容 遷 移 の 積 分 断 面 積 を 導 出 するBEf-scalingの 検 証


スケーリング 則イオン 化 断 面 積 を 導 出 するBEBモデル(1994 年 にKimにより 提 唱 )Binary-Encounter 理 論 と Born 近 似 を 組 み 合 わせることにより、 精 度 のよい 断 面 積 の 導 出 に 成 功標 的 固 有 の 定 数 と、 振 動 子 強 度 分 布 からイオン 化 断 面 積 を 導 出BEB(Binary-Encounter-Bethe) Model BEBS 1 1 Q 1 2t u 1 2 ttT /B,uU/B,S4a2/0Q N / N,M RN / 2B,iii 1lnt 2 Q 1 t lntt 12N(R/B) ,Q:Born近 似 で 定 義 される 定 数T : 入 射 エネルギー , U : 副 殻 の 運 動 エネルギー , N : 副 殻 の 電 子 数N i0df ( )d d0 -16 cm 2 )TICS (11.41.00.8H1.2 H 20.60.4Rapp et al.BED model0.2Gryzinski classical cross sectioncalassical trajectry Monte Carlo methodSchultz et al.0.010 100 1000Impact Energy (eV)様 々な 標 的 ( 原 子 ・ 分 子 ・イオン)に 対 し、 実 験 値 を 非 常 によく 再 現BEB model を 離 散 状 態 ( 特 に 光 学 的 許 容 遷 移 )へ 拡 張BEf-scaling


スケーリング 則Born 近 似 より 導 出 された 光 学 的 許 容 遷 移 の ICS を 標 的 固 有 の 定 数 で補 正 することにより、 幅 広 いエネルギー 領 域 で 実 験 値 を 再 現BEfBEf: BEf scalingによる ICS, E : 励 起 エネルギー , fPWBaccurTffaccurPWBT B EPWB: PWB近 似 による ICS, T :入 射 エネルギー, B :イオン 化 エネルギー: 光 学 的 振 動 子 強 度 (OOS) の 実 験 値 , f : PWB近 似 の OOSPWB exc120906030Li, 2p 2 PPW, BornBEf-scalingLeep,optCCCこれまでに、 当 研 究 室 では 以 下 の標 的 について 検 証希 ガス He, Ne, Ar, Kr, Xe2 原 子 分 子 H 2 , CO3 原 子 分 子多 原 子 分 子H 2O , CO 2 , N 2OC 6 H 601 10 100 1000Impact Energy (eV)現 在 、N 2 , NOなど 検 証 中Y. -K. Kim, Phys. Rev. A 64, 032713 (2001).


スケーリング 則BEf1TTB E2ffaccurPWBPWBBEf: BEf scaling による ICS, E : 励 起 エネルギー , fPWBaccur: PWB近 似 による ICS, T : 入 射 エネルギー , B : イオン 化 エネルギー: 光 学 的 振 動 子 強 度 (OOS) の 実 験 値 , f : PWB近 似 の OOSPWB1Binary – Encounter 理 論 からくる 補 正 項このScaling 則 の 主 要 項入 射 電 子 の( 核 の 引 力 による) 有 効 運 動 エネルギーを 補 正2Born 近 似 の 絶 対 値 を 補 正 する 項 ( 正 しい 場 合 は 不 要 )正 確 なBorn 近 似 が 必 要 であるため、 振 動 子 強 度 ( 断 面 積 に 比 例 )を 用 いてNormaraize従 来 の 理 論 は 標 的 の 内 部 にのみ 着 目 し、 入 射 エネルギーはfluxの 規 格 化 のみに 用 いられていた標 的 に 関 しては1 次 の 摂 動 (Born) 程 度 で 十 分 として、 入 射 する 電 子 に 着 目 することにより 精 度 良 い 断 面 積 の 導 出 に 成 功Y. -K. Kim, Phys. Rev. A 64, 032713 (2001).


酸 素 分 子 のエネルギー 損 失 スペクトル基 底 電 子 配 置 O 2 : (σ g 1s) 2 (σ u 1s) 2 (σ g 2s) 2 (σ u 2s) 2 (σ g 2p) 2 (π u 2p) 4 (π g 2p) 2X 3 - gExcitation energySchumann Runge continuum7.1 - 9.7 eV 16Longest band9.97 eV14Second band1210.28 eVIonization Potential12.071 1 eVInte ensity108642O 2C 3 gd 1 gB 3 u-Schumann - Rungecontinuum100 eV 5.1 deg0 1 2 3E 3 - uLongest BandJ 3 uSecond Band I.P.F 3 u05 6 7 8 9 10 11 12 13 14Loss energy (eV)Suzuki et al. JCP 134, (2011) 064311


微 分 散 乱 断 面 積 (Schumann Runge)1000Schumann-Runge15eVPresent work WakiyaJohnson Shyng Trajmar Vriens fitting20eV30eV50eVTrajmar 45 eV100DCS(10 -18 cm 2/sr)1010.10 30 60 90 120 1500 30 60 90 120 1500 30 60 90 120 150 0 30 60 90 120 150 180Scattering Angle (deg)


外 挿 方 法GOS (a.u.)0.30 2 2Schumann-RungeVriens fittingk0K EPresent 100 eVF0( K) q()40.25 ContinuumPresent 200 eVk2meLassettre 519 eVF0 ( K ) : 一 般 化 振 動 子 強 度Johnson 100 eV0.20q ( ) : DCSWakiya 500 eVZhu 2.5 keVK:運 動 量 移 行 量0.15k : 0入 射 電 子 の 運 動 量散 乱 電 子 の 運 動 量0.10k :実 験 値 の 外 挿 、OOSの 導 出0.05000 0.0010 -3 10 -2 10 -1 10 0 10 1 10 2積 分 断 面 積 の 導 出K 2 (a.u.)Vriensの 式1n( K) 6 n(1 x) n 0 1 xfx ( K )2f n x B / R ( B E) / R=0=180


光 学 的 振 動 子 強 度 フィッティング 曲 線 のK→0の 極 限 への 外 挿 により、光 学 的 振 動 子 強 度 を 求 めることが 可 能過 去 の 光 吸 収 および、 電 子 散 乱 実 験 と 良 く 一 致


積 分 断 面 積 (Schumann Runge)Cross Se ection (10-18 cm 2 )14012010080604020Schumann-Runge continuumBorn, unscaledBEf-scaledPresent workWki WakiyaShynTrajmarLassettre data (Present Analysis)Newell data (Present Analysis)impact parameter (Laricchiuta)Born-Ochkur (Chung)Swarm analysis (Hake)impact parameter (Garrett)010 100 1000Impact Energy (eV)• BEf-scalingと f 実 験 値 は 誤 差 の 範 囲 でほぼ 一 致• ずれは、Schumann Rungeに 含 まれる 禁 制 遷 移 の 寄 与• Shyn らの 結 果 と15 – 30 eVにおいては 傾 向 は 比 較 的 よく 一 致


積 分 断 面 積 (Longest Band)8cm2)Cro oss Secti ion (10 -115Longest Band14Born13 BEf-scaling12Present work11Trajmar10ShynNewell data (Present Analysis)987654321010 100 1000Impact Energy (eV)50 eV 以 下 の 低 エネルギーでBEf-Scalingと 大 きくずれるLongest band は 特 異 的 な 性 質 を 持 つことが 知 られている


積 分 断 面 積 (2 ndBand)2Cros ss Sectio on (10 -18cm )3.02.520 2.01.51.00.5Second BandBornBEf-scalingPresent workShyn [18]Newell data (Present Analysis)Trajmar0.010 100 1000Impact Energy (eV)BEf-scalingと 実 験 値 は 非 常 によく 一 致


考 察12ial Energy (eV V)Potenti11109E' 3 - uB 3 - uE 3 - uSecond bandLongest bandB-state (Valence)とE-state (Rydberg)でCrossingが が 起 きている非 交 差 則 から 同 じ 対 称 性 を 持 つB-state とE-state は 交 差 回 避 により点 線 で 示 したポテンシャルとなる870.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5oInternuclear Distance (A)O( 3 P)+O( 1 D)Rydberg-Valence のMixingにより、遷 移 モーメントに 影 響 を 与 える 可 能 性を 示 唆B. R. Lewis らによる、Diabatic potential-energy curves の 理 論 計 算交 差 するエネルギーに 近 いLongest band にのみ 影 響→2 nd BandにはBEf‐Scalingは 適 用 可 能B. R. Lewis et al. Phys. Rev. A 63 (2001) 022707


データセットのまとめ Anzai et al. Eur. Phys. J. D 66, (2012)10 2 e - + O 2 v=0-1 Resonance10 1 Total ElaCross section (10 -16 cm 2) Ion10 0 mom diss10 -1 (1 3) B v=0-1 SRrot(1-3) Born a 1 g1 +b g A+A+c LB10 -2001 01 1 10 100 100010 -3 attach SB0.01 0.1 1 10 100 1000Impact energy (eV)


まとめ様 々な 応 用 面 の 基 礎 過 程→ 低 エネルギー 電 子 と 原 子 分 子 の 衝 突 におおける 定 量 測 定フッ 素 化 合 物 の 弾 性 散 乱 過 程→ IAM‐SCARのモデルは 非 常 に 有 効 な 理 論 計 算→ 周 囲 のF 素 原 子 の 数 により 断 面 積 をスケール 可 能(ただし、E 0 > 30 eV) 電 子 励 起 過 程 ( 光 学 的 許 容 遷 移 )→ BEf‐Scaling:Born 近 似 の 使 えない 低 エネルギー 領 域 でgBEBモデルに 次 ぐ 有 効 なスケーリング 則

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