フローティングチャック フローティングチャックは、100 年 以 上 前 から 存 在 するリーマ 加 工 への 実 用 的 な 問 題 解 決 手 段 です。 現 在 でも 最 新 の 工 作 機 械 で 使 われ 続 けていますが、この 製 品 の 知 名 度 が 高 いとは 言 えない 状 況 です。そこで、フローティングチャックがい かに 役 に 立 つのかを 知 っていただくために、フローティングチャックのメリットを ご 紹 介 します。 フローティングチャックの 歴 史 フローティングチャックが 言 及 されたのは、ペンシルバニア 州 タ ートルクリークのH. J. ワット 氏 の 特 許 が 最 初 です。この 特 許 は 1915 年 11 月 30 日 に「フローティングツールチャック」として 出 願 され、1917 年 9 月 25 日 に 承 認 されています。このシステムがど のように 機 能 したのか、またどのくらい 継 続 して 使 われたのか はよくわかっていません。 フローティングチャックとは? 旋 盤 でリーマを 使 う 際 には、チャックと 下 穴 の 軸 の 誤 差 を 補 正 する 必 要 があります。この 誤 差 は、セルフセンタリング( 自 動 芯 出 し) 機 構 を 持 つフローティングチャックを 使 用 することで 補 正 することができます。フローティングチャックはリーマとワーク 材 の 下 穴 との 軸 を 完 璧 に 合 わせ、リーマ 本 来 の 精 度 での 加 工 を 可 能 にします。 フローティングチャックのメリットは? 優 れたセルフセンタリング 機 構 が 穴 にテーパーがかかる 事 や 穴 径 が 大 きくなることを 防 ぎ、 穴 の 表 面 精 度 も 改 善 することが できます。 フローティングチャックの 技 術 的 な 仕 組 み 平 行 フロート 機 構 は、リーマと 工 作 物 の 下 穴 とのずれを 補 正 し ます。フローティングチャックに 組 み 込 まれた 特 殊 なボールベア リングとアクスルドライブシャフトの 構 造 が、 高 トルクのリーマ 加 工 中 でも 垂 直 、 水 平 両 方 向 のなめらかなフロートを 可 能 にし ます。 半 自 動 旋 盤 、スイス 型 旋 盤 あるいは 中 ぐり 盤 のような 工 作 機 械 では、リーマによる 穴 加 工 の 完 璧 な 表 面 精 度 の 実 現 は 非 常 に 困 難 です。この 難 しさは 半 自 動 旋 盤 の 場 合 、 加 工 中 の 主 軸 の 膨 張 によるもので、スイス 旋 盤 の 場 合 には 一 般 的 に 摩 耗 に 起 因 します。 フローティングチャックによる 課 題 解 決 リーマ 加 工 が 高 速 化 することで、 生 産 性 が 向 上 します。これは 表 面 粗 さと、 穴 の 精 度 向 上 によるものです。また、 加 工 中 にリー マが 均 等 に 摩 耗 するため 工 具 寿 命 が 大 幅 に 延 び、 長 時 間 の 加 工 でも 制 度 を 落 とすことなく 加 工 が 可 能 になります。 2
フローティングチャックが 解 決 する 加 工 時 の 課 題 : ずれの 問 題 // オリジナルの 穴 ( 黒 ) // リーマの 半 径 誤 差 ( 赤 ) // リーマ 加 工 による 半 径 誤 差 ( 青 ) // フローティングホルダを 使 用 したリーマ 加 工 ( 緑 ) 穴 が 大 きくなり 過 ぎる 問 題 // クーラント 液 の 不 足 によるバリの 発 生 // 切 削 角 度 の 不 規 則 性 // 穴 が 小 さすぎ、 摩 擦 耐 性 が 高 くなりすぎる // 工 具 と 下 穴 の 軸 方 向 オフセット 円 錐 穴 ( 穴 の 入 り 口 が 広 がる) 問 題 // 工 具 が 軸 に 対 して 不 安 定 // センター 穴 加 工 が 中 心 からズレている // 工 具 と 下 穴 の 軸 方 向 オフセット // 穴 の 上 側 周 辺 に 切 粉 が 溜 まる 円 錐 穴 ( 穴 の 底 が 広 くなる)の 問 題 // 下 穴 とリーマ 加 工 軸 間 のオフセット // 切 粉 がリーマによって 穴 の 底 面 に 押 し 付 けられる 3
