報告書参照 - JAIF 日本原子力産業協会

jaif.or.jp

報告書参照 - JAIF 日本原子力産業協会

量 子 放 射 線 利 用 普 及 連 絡 協 議 会

活 動 報 告 書 ( 第 3 期 )

平 成 24 年 12 月

一 般 社 団 法 人

日 本 原 子 力 産 業 協 会

量 子 放 射 線 利 用 普 及 連 絡 協 議 会




Ⅰ. 協 議 会 設 置 について ............................................................................1

1. 設 置 趣 旨 .......................................................................................1

2. 構 成 員 ..........................................................................................2

Ⅱ. 活 動 実 績 ...........................................................................................3

1. 活 動 実 績 一 覧 .................................................................................3

2. 活 動 の 概 要 ....................................................................................5

1 第 12 回 会 合 ...................................................................................5

2 第 13 回 会 合 ................................................................................. 13

3 第 14 回 会 合 ................................................................................. 19

4 第 15 回 会 合 ................................................................................. 24

5 第 16 回 会 合 ................................................................................. 29

今 期 の 活 動 を 振 り 返 って...................................................................... 37


Ⅰ. 協 議 会 設 置 について

1. 設 置 趣 旨

量 子 放 射 線 利 用 に 係 る 普 及 活 動 については、 一 般 市 民 、マスメディア、ユーザー 業 界 な

どに 対 する 情 報 提 供 が 量 的 、 質 的 に 不 足 していることが 旧 来 より 指 摘 されており、 国 をはじ

め 関 係 機 関 でその 対 策 が 進 められているにもかかわらず、 依 然 十 分 な 効 果 が 上 がっている

とは 言 い 難 い。 関 係 各 機 関 の 実 施 している 事 業 には、 例 えばシンポジウムやセミナー、ある

いは 技 術 相 談 会 などが 挙 げられるが、 限 られた 予 算 で 小 規 模 にそれぞれ 個 別 に 実 施 され

ており、それらが 国 内 全 体 として 関 係 機 関 の 意 思 疎 通 が 図 られた 上 で 体 系 的 にプログラム

された 状 態 にはない。このことは、 各 機 関 の 活 動 が 類 似 した 同 様 のイベントに 集 中 化 してし

まい、 社 会 全 体 の 大 局 的 な 視 点 で 必 要 と 思 われる 活 動 が 見 逃 されがちな 状 態 を 作 り 出 して

いるといえる。 例 えば 大 規 模 な 資 金 や 組 織 力 を 要 するもの、 定 量 的 な 統 計 データ 調 査 など、

全 体 としては 必 要 性 が 認 識 されているもののなかなか 実 施 に 至 らない、あるいは 実 施 主 体

が 現 れない、といった 活 動 にもっと 目 を 向 けていくことが 肝 要 である。

このため、 関 係 機 関 が 問 題 意 識 を 共 有 し、 協 力 ・ 協 調 して、それぞれが 戦 略 的 に 事 業 に

取 組 み、 限 られた 社 会 的 経 済 資 源 でより 効 果 的 に 普 及 活 動 を 展 開 させることを 目 的 に、

( 社 ) 日 本 原 子 力 産 業 協 会 に「 量 子 放 射 線 利 用 普 及 連 絡 協 議 会 」を 設 置 し、 相 互 の 情 報 交

流 、 連 携 ・ 協 力 を 促 進 することとした。

設 置 期 間 平 成 18 年 8 月 4 日 ~ 平 成 20 年 8 月 31 日 ( 第 1 期 )

平 成 20 年 12 月 1 日 ~ 平 成 22 年 11 月 30 日 ( 第 2 期 )

平 成 22 年 12 月 1 日 ~ 平 成 24 年 11 月 30 日 ( 第 3 期 )

1


1. 構 成 員 ( 敬 称 略 ・ 順 不 同 ( 所 属 は 就 任 時 ))

< 座 長 >

勝 村 庸 介 東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 原 子 力 国 際 専 攻 教 授

< 構 成 員 >

鵜 澤 勝 己 ( 独 ) 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 企 画 部 企 画 課 長

大 嶋 隆 一 郎 ( 社 ) 大 阪 ニュークリアサイエンス 協 会 専 務 理 事

桑 原 政 昭 ( 財 ) 日 本 原 子 力 文 化 振 興 財 団 事 務 局 次 長

高 倉 吉 久 東 北 原 子 力 懇 談 会 技 術 部 長

竹 内 宣 博 ( 株 ) 千 代 田 テクノル 常 務 取 締 役 ・ 営 業 推 進 本 部 長

田 中 隆 一 NPO 法 人 放 射 線 教 育 フォーラム 理 事

田 邉 裕 日 本 原 燃 ( 株 ) 安 全 技 術 室 放 射 線 管 理 部 部 長

東 ヶ 崎 邦 夫 ( 社 ) 日 本 アイソトープ 協 会 理 事

長 島 章 ( 財 ) 放 射 線 利 用 振 興 協 会 高 崎 事 業 所 長

中 村 清 一 放 射 線 照 射 利 用 促 進 協 議 会 協 議 員

南 波 秀 樹 ( 独 ) 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 量 子 ビーム 応 用 研 究 部 門 長

西 村 健 関 西 原 子 力 懇 談 会 副 部 長

野 村 啓 市 北 陸 原 子 力 懇 談 会 技 術 部 部 長

橋 本 武 次 ( 社 ) 茨 城 原 子 力 協 議 会 常 務 理 事 ( 第 12 回 会 合 まで)

山 田 広 次 ( 社 ) 茨 城 原 子 力 協 議 会 常 務 理 事 ( 第 13 回 会 合 から)

早 川 一 精 中 部 原 子 力 懇 談 会 技 術 部 技 術 部 長

武 藤 利 雄 ( 独 ) 東 京 都 立 産 業 技 術 研 究 センター 駒 沢 支 所 上 席 研 究 員

本 林 透 ( 独 ) 理 化 学 研 究 所 仁 科 加 速 器 研 究 センター

RIBF 施 設 共 用 コーディネーター 兼 多 種 粒 子 測 定 装 置 開 発 チーム チームリーダー

渡 辺 宏 ラジエ 工 業 ( 株 ) 常 務 取 締 役

綿 貫 宏 樹 ( 社 ) 日 本 電 機 工 業 会 原 子 力 部

上 野 山 直 樹 ( 財 ) 医 用 原 子 力 技 術 研 究 振 興 財 団 総 務 部 長


浅 田 浄 江 ウィメンズ・エナジー・ネットワーク(WEN) 代 表

中 島 達 雄 読 売 新 聞 東 京 本 社 編 集 局 科 学 部 記 者

中 村 雅 人 内 閣 府 政 策 統 括 官 ( 科 学 技 術 政 策 ・イノベーション 担 当 ) 付 参 事 官 ( 原 子 力 担 当 )

藤 吉 尚 之 文 部 科 学 省 研 究 振 興 局 量 子 放 射 線 研 究 推 進 室 長 ( 第 13 回 会 合 まで)

原 克 彦 文 部 科 学 省 研 究 振 興 局 量 子 放 射 線 研 究 推 進 室 長 ( 第 14 回 会 合 から)

以 上 25 名

事 務 局 :( 社 ) 日 本 原 子 力 産 業 協 会 政 策 推 進 部 リーダー 塩 澤 昭 彦 、 副 主 管 桐 原 正 美

2


Ⅱ. 活 動 実 績

1. 活 動 実 績 一 覧 ( 敬 称 略 )

【 定 例 会 】

1 平 成 22 年 12 月 15 日 ( 水 ) 13:30~16:30 第 12 回 会 合

「 放 射 線 はなぜ 嫌 われるのか~ 食 品 の 例 から 不 安 の 原 因 を 考 える~」

東 京 大 学 名 誉 教 授 ・ 日 本 学 術 会 議 副 会 長

内 閣 府 食 品 安 全 委 員 会 専 門 委 員 唐 木 英 明

「 食 品 照 射 の 過 去 ・ 現 在 ・ 課 題 」

前 ( 独 ) 農 業 ・ 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 理 事 食 品 総 合 研 究 所 長

現 聖 徳 大 学 教 授 林 徹

配 布 資 料 :

(1-1) 放 射 線 はなぜ 嫌 われるのか~ 食 品 の 例 から 不 安 の 原 因 を 考 える~

(1-2)「スパイスへの 放 射 線 照 射 をやめてください」( 照 射 食 品 反 対 連 絡 会 )

(2-1) 食 品 照 射 の 過 去 ・ 現 在 ・ 課 題

(2-2) 食 品 照 射 と 20 余 年 +アルファ

(3) 量 子 放 射 線 利 用 普 及 連 絡 協 議 会 ・ 第 13 回 会 合 ・ 議 事 次 第 ( 案 )

・ 教 職 員 向 け 環 境 ・エネルギー 研 修 会 のご 案 内 ( 東 京 電 力 )

・ 第 20 回 放 射 線 利 用 総 合 シンポジウム・ 開 催 案 内 (ONSA)

・ JAPI ニューズレター(10・12 月 号 )(JAPI)

・ JAPI 平 成 22 年 度 第 2 回 講 演 会 のご 案 内 (JAPI)

・ 環 境 と 健 康 「 高 自 然 放 射 線 地 域 研 究 は 何 のためにするのか」( 菅 原 努 )(JAPI)

・ 第 46 回 RI・ 放 射 線 利 用 促 進 セミナー 開 催 のご 案 内 ( 中 原 懇 )

・ 第 27 回 みんなのくらしと 放 射 線 展 DVD( 第 2 部 放 射 線 教 育 入 門 )

・ 「 放 射 線 作 業 者 の 被 ばくの 一 元 管 理 」シンポジウム 開 催 案 内 ( 主 催 : 日 本 学 術 会 議 )

2 平 成 23 年 6 月 15 日 ( 水 ) 13:30~16:30 第 13 回 会 合

「 放 射 線 の 健 康 影 響 + 胎 児 被 ばくの 影 響 」

京 都 大 学 名 誉 教 授

ICRP( 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 ) 主 委 員 会 委 員 丹 羽 太 貫

「 対 応 を 影 響 量 から 考 える‐ 放 射 線 影 響 を 基 準 としたレベル 区 分 の 提 案 -」

医 療 放 射 線 防 護 連 絡 協 議 会 総 務 理 事

自 治 医 科 大 学 ・ 大 学 RI センター 管 理 主 任 菊 地 透

配 布 資 料 :

(1) 放 射 線 の 健 康 影 響 + 胎 児 被 ばくの 影 響

(2-1) 対 応 を 影 響 量 から 考 える‐ 放 射 線 影 響 を 基 準 としたレベル 区 分 の 提 案 -

(2-2) 原 子 力 災 害 に 伴 う 放 射 線 被 ばくに 関 する 基 本 的 考 え 方 ( 案 )

・ がんのリスク( 国 立 がん 研 究 センター)

・ 「 福 島 放 射 線 量 調 査 に 同 行 」( 毎 日 新 聞 、2011.6.10 朝 刊 記 事 )

3


・ 平 成 23 年 度 ONSA 研 究 会 等 予 定 (ONSA)

・ 平 成 23 年 度 第 1 回 講 演 会 開 催 案 内 、JAPI ニューズレター(4・6 月 号 )、 世 界 の 大 地 放 射

線 (JAPI)

・ 平 成 23 年 度 「エネルギー・ 環 境 研 究 会 」 開 催 案 内 ( 中 原 懇 )

・ 体 にやさしい 粒 子 線 がん 治 療 、 体 にやさしい 究 極 のがん 治 療 、 粒 子 線 治 療 施 設 のご 案 内

( 医 用 財 団 )

・ 小 冊 子 「くらしと 放 射 線 」(WEN)

3 平 成 23 年 11 月 22 日 ( 火 ) 13:00~16:00 第 14 回 会 合

「 最 近 の 量 子 ビーム/ 放 射 線 利 用 研 究 開 発 について-その 動 向 と 成 果 -」

( 独 ) 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 量 子 ビーム 応 用 研 究 部 門 長 南 波 秀 樹

「 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 推 進 方 策 について」

文 部 科 学 省 研 究 振 興 局 量 子 放 射 線 研 究 推 進 室 長 原 克 彦

配 布 資 料 :

(1) 最 近 の 量 子 ビーム/ 放 射 線 利 用 研 究 開 発 について-その 動 向 と 成 果 -

(2) 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 推 進 方 策 について

・ 第 21 回 放 射 線 利 用 総 合 シンポジウム・ 開 催 案 内 (ONSA)

・ 放 射 線 プロセスシンポジウムの 開 催 について(お 知 らせと 協 力 依 頼 )( 放 振 協 )

・ JAPI 平 成 23 年 度 第 2 回 講 演 会 ご 案 内 (JAPI)

・ JAPIニューズレター(10・12 月 号 )(JAPI)

・ 教 職 員 対 象 「 基 礎 から 学 ぶ 放 射 線 セミナー」 実 施 報 告 書 ( 関 原 懇 )

・ 第 14 回 近 畿 大 学 なるほど 原 子 力 展 ( 関 原 懇 )

・ 第 47 回 RI・ 放 射 線 利 用 促 進 セミナー 開 催 のご 案 内 ( 中 原 懇 )

・ WEN「くらしと 放 射 線 」 別 冊 Q&A 完 成 にあたり~ 放 射 線 の 影 響 について 考 えるつどい~

のご 案 内 (WEN)

4 平 成 24 年 5 月 14 日 ( 月 ) 13:30~16:30 第 15 回 会 合

「 福 島 ステークホルダー 調 整 協 議 会 、AFTC の 活 動 と 福 島 からの 思 い」

福 島 ステークホルダー 調 整 協 議 会 事 務 局 長

たむらと 子 どもたちの 未 来 を 考 える 会 (AFTC) 副 代 表 半 谷 輝 己

配 布 資 料 :

・ 家 族 のリスクマネジメント 勉 強 会

・ 原 発 事 故 の 影 響 を 歯 牙 から 調 査

・ 平 成 24 年 度 研 究 会 等 企 画 内 容 (ONSA)

・ 原 子 力 文 化 5 月 号 ( 原 文 振 )

・ 平 成 24 年 度 第 1 回 講 演 会 開 催 案 内 、JAPIニューズレター(12・2・4 月 号 )(JAPI)

・ 平 成 24 年 度 原 子 炉 実 験 ・ 研 修 会 案 内 ( 関 原 懇 )

・ 私 たちのくらしと 放 射 線 ( 北 陸 原 懇 )

・ 放 射 線 ・ 放 射 能 の 基 礎 と 測 定 の 実 際 ( 都 産 技 研 )

4


・ 社 会 に 役 立 つ 加 速 器 ― 未 知 の 世 界 をのぞく 最 前 線 レポート( 電 工 会 )

・ 福 島 とチェルノブイリ~ 虚 構 と 真 実 ~( 原 産 協 会 )

5 平 成 24 年 8 月 21 日 ( 火 ) 13:30~16:30 第 16 回 会 合

「 中 学 校 理 科 における 放 射 線 ・エネルギー 環 境 教 育 について」

全 国 中 学 校 理 科 教 育 研 究 会 会 長

練 馬 区 立 開 進 第 一 中 学 校 校 長 高 畠 勇 二

「 福 島 県 における 放 射 線 教 育 について」

福 島 県 郡 山 市 立 明 健 中 学 校 教 諭 佐 々 木 清

配 布 資 料 :

(1) 中 学 校 理 科 における 放 射 線 ・エネルギー 環 境 教 育 について

(2-1) 福 島 県 における 放 射 線 教 育 について

(2-2) 福 島 発 信 !「 放 射 線 教 育 元 年 」 授 業 実 践 の 歩 みと 2 年 目 を 迎 えて

・ 第 29 回 みんなのくらしと 放 射 線 展 、 第 22 回 放 射 線 利 用 総 合 シンポジウム(ONSA)

・ いま 知 りたい からだと 放 射 線 ( 原 文 振 )

・ JAPIニューズレター(6・8 月 号 )(JAPI)

・ 生 徒 と 一 緒 に 考 える 放 射 線 、そこが 知 りたい 放 射 線 の 正 しい 知 識 DVD

Kan Gen Kon News、( 関 原 懇 )

2. 活 動 の 概 要

1 第 12 回 会 合

【 講 演 概 要 】

(1)「 放 射 線 はなぜ 嫌 われるのか~ 食 品 の 例 から 不 安 の 原 因 を 考 える~」

東 京 大 学 名 誉 教 授 ・ 日 本 学 術 会 議 副 会 長

内 閣 府 食 品 安 全 委 員 会 専 門 委 員 唐 木 英 明 氏

・ 食 品 照 射 に 関 しては、この 後 に 林 先 生 が 話 されるので、 私 からは、「 放 射 線 はなぜ 嫌 わ

れるのか」ということについて、 放 射 線 が 嫌 われる 背 景 と、 食 品 の 残 留 農 薬 や 食 品 添 加

物 が 嫌 われる 背 景 は 同 じと 思 われるので、 食 品 の 例 から 不 安 の 原 因 を 考 えたことについ

て 話 す。

・ 食 品 に 対 する 不 安 の 原 因 をアンケート 調 査 した 際 に、8 割 ~9 割 の 人 が、 食 品 に 対 して

不 安 を 感 じている。アンケート 結 果 によると、 残 留 農 薬 や 食 品 添 加 物 に 不 安 を 感 じてい

る 人 が 約 8 割 と 多 いが、 有 機 食 品 の 市 場 規 模 は、 有 機 JAS 認 定 食 品 の 消 費 市 場 規 模 が

2,895 億 円 と 国 内 食 品 消 費 80 兆 円 のおよそ 0.36%と 小 さい。 食 品 添 加 物 の 表 示 をチェ

ックして 買 い 物 をする 人 は 少 なく、 買 うときに 気 にするのは、 価 格 と 品 質 であった。このよ

うに、アンケート 結 果 と、 実 際 の 行 動 には、ギャップがある。

・ それでは、このアンケート 調 査 は、 何 を 意 味 するのか、ということになる。 実 際 に、アンケ

ート 調 査 となると、 一 般 国 民 は、「これは、 知 識 調 査 」と 思 うようである。よって、このような

5


アンケート 調 査 に 対 して、マスコミ 等 で 報 道 されている 残 留 農 薬 や 食 品 添 加 物 の 危 険 性

について、 知 らないと 思 われたくないため、「 不 安 」と 答 えるのではないかと 推 測 される。

・ よって、 消 費 者 は、 必 ずしも「 強 い 不 安 」を 感 じてはいないが、 確 かに 不 安 はある、という

ことであろう。また、「 不 安 」は、メディアの「 誤 解 を 招 く 情 報 」から 生 まれ、 広 がっていく。

・ 人 間 が 様 々な 場 面 で 何 かの 判 断 をする 際 には、 少 ない 努 力 で 直 感 的 に 結 論 を 求 める

方 法 で 行 う。 様 々な 危 険 を 逃 れるための 判 断 は、 一 瞬 で 行 う 必 要 があり、 直 感 的 な 判 断

(ヒューリスティック)をする。

・ また、カーネマンのプロスペクト 理 論 によると、 人 間 は、「 良 いこと」より「 悪 いこと」に 気 をと

られる。 人 間 の 本 能 的 行 動 パターンとして、1「 良 いこと」には、すぐ 慣 れる、2「 悪 いこ

と」にはひどく 落 ち 込 む、3「ひどく 悪 いこと」には 慣 れる、というパターンがある。

・ 人 間 は、ほとんどの 場 合 、 直 感 で 判 断 し、 行 動 する。 危 険 情 報 や 利 益 情 報 は 重 視 し、 安

全 情 報 は 無 視 する。また、 様 々な 情 報 については、 信 頼 する 人 に 従 う。これは、 進 化 の

中 で 得 た 生 き 残 り 作 戦 であり、 危 険 情 報 と 利 益 情 報 を 無 視 したら 死 ぬが、 安 全 情 報 は 無

視 しても 実 害 はないので、 無 視 してしまう 傾 向 にある。 危 険 情 報 の 本 は、たくさん 売 れる

が、 安 全 情 報 の 本 は、あまり 売 れない。

・ 近 年 、 人 々には、 犯 罪 の 増 加 による 不 安 が 増 大 しているというが、 犯 罪 が 増 加 していると

うい 実 証 データはない。これは、マスコミによって、 一 地 方 の 犯 罪 があっという 間 に 日 本

全 国 に 報 道 されることが、 犯 罪 不 安 の 蔓 延 という 現 象 をもたらしていると 推 測 される。

・ 朝 日 新 聞 が 面 白 い 調 査 をした。これは、 世 論 調 査 を 受 けた 場 合 、「 世 論 調 査 にどのよう

に 答 えるか」についての 調 査 である。 結 果 は、ほとんど(60%)が、 直 感 で 答 え、 情 報 とし

ては、メディアの 報 道 からが 50%、 政 治 家 の 主 張 からが 20%と、 信 頼 する 人 =メディアと

なっている。この 回 答 に 関 しては、「 自 分 は 違 う」と 思 う 人 もいるかもしれないが、 実 際 、

我 々も 自 分 の 専 門 分 野 以 外 のこととなると、ほとんどが、 専 門 家 やメディアの 主 張 をその

まま 受 け 入 れているであろう。

・ 不 安 に 感 じることに 関 するアンケートとして、 電 車 事 故 の 不 安 について 調 査 した 結 果 、ほ

とんどが 不 安 を 感 じていないが、 福 知 山 線 事 故 が 起 こった 際 には、 不 安 と 答 える 人 の 数

が 有 意 に 増 大 した。また、9.11のテロの 際 には、 多 くの 人 が、 飛 行 機 は 怖 いと 思 い、 車

で 移 動 したため、 車 の 交 通 事 故 が 増 大 した。

・ 原 子 力 発 電 所 に 関 する 意 識 の 継 続 調 査 においても、JCO 等 の 事 故 が 起 こってから 数 ヶ

月 の 間 は、 多 くの 人 ( 約 8 割 )が 事 故 についてよく 覚 えているが、 年 々 覚 えている 人 は 激

減 し、 近 年 では 3 割 以 下 の 人 しかよく 覚 えていない。この 現 象 について、(リスクの 専 門

家 である) 中 西 準 子 氏 は、「 日 替 わりリスク」と 呼 んでいる。しかし、チェルノブイリ 事 故 だ

けは、 覚 えている 人 が 多 い。これは、チェルノブイリ 事 故 は、 常 に 何 かの 際 にマスコミに

取 り 上 げられ、 繰 り 返 し 報 道 されているからであろう。

・ 2008 年 に、こんにゃくゼリーによる 窒 息 死 事 故 が 大 きく 取 り 上 げられ、この 事 故 を 受 け、

消 費 者 担 当 相 は、こんにゃくゼリーの 自 主 回 収 を 促 した。しかし、 食 品 による 窒 息 死 は、

年 間 4,000 人 以 上 である。 主 な 原 因 は、もち(168 人 / 年 )、パン(90 人 / 年 )、ご 飯 (89

人 / 年 )、すし(41 人 )、あめ(28 人 )、だんご(23 人 / 年 )、おかゆ(22 人 / 年 )で、 原 因

食 品 は 1,358 件 、こんにゃくゼリーによる 死 亡 者 は、2 人 / 年 のみである(2006 年 調 べ、

厚 生 労 働 科 学 研 究 )。

・ こんにゃくゼリーで 窒 息 死 した、 当 時 1 歳 9 ヶ 月 の 男 児 の 両 親 は、 裁 判 を 起 こし、 製 造 会

社 に 損 害 賠 償 と 製 造 差 し 止 めを 求 めたが、 裁 判 長 は、「 通 常 の 安 全 性 を 備 えている」と

6


して 請 求 を 棄 却 した。この 判 断 、 特 に、この「 通 常 の 安 全 性 を 備 えている」という 言 葉 が、

素 晴 らしいと 思 った。

・ 窒 息 事 故 の 頻 度 (1 億 回 当 り)は、もち(6.8-7.6)、ミニカップゼリー(2.8-5.9)、あめ 類

(1.0-2.7)、こんにゃくゼリー(0.16-0.33)である。こんにゃくゼリーの 販 売 を 禁 止 する

のであれば、こんにゃくゼリー 以 上 のリスクがある、もち、ミニカップゼリー、あめ 類 も 全 て

販 売 禁 止 にしなければならない。 全 ての 食 品 には、リスクがある。「 通 常 の 安 全 =ゼロリ

スク」ではない、ということである。

・ 人 は、 食 品 添 加 物 を 平 均 21.25g/ 日 / 人 、 摂 取 している。これは、 毎 日 大 匙 1.5 杯 であ

る。しかし、 摂 取 量 の 内 訳 として、ビタミン・アミノ 酸 などの 天 然 物 が 19.11g/ 日 / 人 で、

合 成 品 が 2.14g/ 日 / 人 、 更 に 合 成 品 の 内 訳 で、リン 酸 が 2.09g/ 日 / 人 で、リン 酸 以

外 は 0.05g/ 日 / 人 であり、 閾 値 以 下 である。つまり、 食 品 添 加 物 の 大 部 分 は、 天 然 物

とリン 酸 で、 合 成 品 は 極 微 量 で 閾 値 以 下 であるので、( 人 体 に 悪 い 影 響 を 及 ぼすような)

問 題 はない。

・ 保 存 料 については、 安 全 性 に 問 題 はない。 使 わないと、 食 品 がすぐ 腐 り、 食 中 毒 のリス

クが 増 し、 食 品 の 廃 棄 が 増 え、 低 温 貯 蔵 の 経 費 がかかる。 保 存 料 の 使 用 が5% 減 った 場

合 、 年 間 約 189 億 円 の 経 済 損 失 が 発 生 すると 試 算 されている( 近 畿 大 などによる 試 算 )。

これは、5,000 人 分 の 雇 用 に 相 当 する。

・ 健 康 へのリスクが 大 きいのは、 飲 酒 と 喫 煙 。 残 留 農 薬 や 食 品 添 加 物 、 遺 伝 子 組 替 え 食

品 のリスクは 小 さいが、 厳 しい 規 制 で 安 全 が 守 られている。しかし、 飲 酒 や 喫 煙 は、 最 低

限 の 規 制 で、 主 に 個 人 の 注 意 に 任 されている。 残 留 農 薬 等 のリスクの 低 いものに 関 して、

国 民 は 気 にしているが、 飲 酒 や 喫 煙 は、リスクが 大 きいにもかかわらず、あまり 気 にして

いない。

・ このような 誤 解 の 原 因 は、 直 感 的 判 断 にある。 人 間 は、 利 益 がない 危 険 は 避 けるが、 利

益 があれば、 危 険 を 無 視 する 傾 向 にある。

・ 以 前 の 日 本 は、 特 定 の 人 たちが 固 定 した 関 係 を 作 る 排 他 的 集 団 で、 不 確 実 性 や 不 信 が

小 さい「 安 心 社 会 」であったが、 近 年 は、よく 知 らない 人 が 流 動 的 関 係 を 作 る 開 放 型 社 会

で、 不 確 実 性 が 大 きく 不 安 な 社 会 である。このような 社 会 では、 他 者 の 立 場 に 立 ち、 行

動 を 予 測 する 能 力 (= 信 頼 性 の 検 知 能 力 )が 必 要 となり、 信 頼 関 係 の 構 築 が 必 要 な「 信

頼 社 会 」へ 改 変 しつつある。

・ 現 在 、 我 々は、メディア 対 策 の 必 要 性 を 感 じ、メディアとの 勉 強 会 (「 食 の 信 頼 向 上 をめ

ざす 会 」)を 隔 月 で 開 催 し、 不 適 切 な 報 道 の 防 止 に 努 めるリスク 管 理 活 動 を 実 施 し、「 食

品 安 全 情 報 ネットワーク(FSIN)」において、 不 適 切 な 記 事 に 意 見 を 述 べることによる 再

発 防 止 に 努 める 危 機 管 理 活 動 を 行 っている。メディアによる 不 適 切 な 報 道 は、 無 用 の 不

安 ・ 不 信 や 余 分 な 社 会 的 負 担 をもたらす。

・ 食 品 照 射 のは、1 分 解 生 成 物 の2-アルキルシクロブタノン 類 と2 栄 養

成 分 の 破 壊 ・ 細 菌 の 突 然 変 異 、 誘 導 放 射 能 など、である。また、は、1 化 学

物 質 や 加 熱 を 使 用 しないで 同 等 の 効 果 が 得 られることと、2 殺 菌 ・ 殺 虫 ・ 成 熟 遅 延 ・ 発

芽 防 止 ができることである。< 問 題 点 >は、1 誤 解 に 基 づく 危 険 情 報 の 広 がり、2 信 頼

確 保 の 熱 意 と 努 力 の 不 足 、3リスクコミュニケーションの 不 足 、4 政 治 の 関 与 の 欠 如 ( 遺

伝 子 組 み 換 え 作 物 問 題 と 類 似 )である。

・ 政 治 が 安 定 し、 信 頼 されないと、 食 の 安 全 のような 大 きな 問 題 は、( 新 技 術 の 受 け 入 れ

等 の 変 更 が) 受 け 入 れられない。

7


・ 最 後 に、これは、ある 妊 婦 が、 騒 音 による 自 身 と 胎 児 への 悪 影 響 を 訴 えている 記 事 であ

るが、この 妊 婦 は、タバコを 吸 いながら、 騒 音 による 胎 児 への 悪 影 響 を 訴 えている( 笑 )。

人 間 の 判 断 は、 直 感 と 感 情 (= 利 害 ・ 好 み・ 気 分 )に 大 きく 左 右 され、その 背 景 には、 知

識 と 経 験 がある。 正 しい 判 断 をするためには、 豊 かな 知 識 と 経 験 が 必 要 である。

(2)「 食 品 照 射 の 過 去 ・ 現 在 ・ 課 題 」

前 ( 独 ) 農 業 ・ 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 理 事 食 品 総 合 研 究 所 長

現 聖 徳 大 学 教 授 林 徹 氏

・ 実 は、 食 品 総 合 研 究 所 を 退 職 してから、 食 品 照 射 のことについて 講 演 するのは、 今 回 が

初 めてである。 今 まで、 様 々な 縛 りの 中 での 講 演 であったため、なかなか 実 情 を 語 れな

かったが、 本 日 の 講 演 では、 言 いたいことを 言 わせてもらう。

・ 本 来 であれば、 食 品 照 射 の 過 去 ・ 現 在 ・「 未 来 」という 題 にすべきであろうが、あまりにも

「 課 題 」が 多 すぎて、「 未 来 」の 話 ができないので、「 課 題 」とした。

・ 食 品 照 射 は、1967 年 に 原 子 力 委 員 会 が、ナショナルプロジェクトとしての 原 子 力 特 定 総

合 研 究 に 指 定 し、 研 究 開 発 を 開 始 した。 馬 鈴 薯 ( 発 芽 抑 制 )、タマネギ( 発 芽 抑 制 )、 米

( 殺 虫 )、 小 麦 ( 殺 虫 )、ウィンナーソーセージ( 殺 菌 )、 水 産 練 り 製 品 ( 殺 菌 )、ミカン( 表 面

殺 菌 )の 7 品 目 とされ、 健 全 性 、 照 射 効 果 、 照 射 技 術 について 研 究 がなされた。

・ 結 果 は、1972 年 の 照 射 馬 鈴 薯 の 健 全 性 から 始 まり、 食 品 照 射 ナショナルプロジェクトが

終 了 する 1988 年 までに 順 次 原 子 力 委 員 会 に 報 告 された。

・ 1974 年 に 士 幌 で 馬 鈴 薯 照 射 施 設 を 稼 動 開 始 した。しかし、1977 年 2 月 に 照 射 馬 鈴 薯 の

ボイコット 騒 動 が 勃 発 した。 食 品 照 射 という 新 技 術 の 実 用 化 に 際 しては、 充 分 すぎるほど

の 綿 密 な 計 画 と 詳 細 の 検 討 が 行 われていたが、 原 子 力 エネルギー 開 発 に 対 する 反 対

運 動 に 巻 き 込 まれるという 思 いもよらぬ 展 開 となった。 士 幌 の 馬 鈴 薯 照 射 は、 一 般 国 民

が 食 べる 食 品 を 照 射 した 世 界 で 最 初 の 例 であったことから、 日 本 の 国 民 は、 自 分 たちが

実 験 動 物 として 食 べさせられている、ということを 主 張 する 人 もいた。 日 本 政 府 は、このボ

イコット 運 動 に 大 きな 衝 撃 を 受 け、 食 品 照 射 を 推 進 する 機 運 が 急 速 に 後 退 した。

・ その 結 果 、それ 以 降 、 食 品 照 射 ナショナルプロジェクト 研 究 において 健 全 性 が 確 認 され

ているにもかかわらず、タマネギ、 米 、 小 麦 、ウィンナーソーセージ、 水 産 練 り 製 品 、ミカ

ンの 照 射 が 許 可 されることはなかった。( 許 可 されないのは、 毒 性 が 認 められたからでは

ない!)

・ その 後 、1978 年 に「ベビーフード 用 乾 燥 野 菜 の 違 法 照 射 事 件 」が 起 きた。 食 品 衛 生 法

により、 馬 鈴 薯 以 外 の 食 品 照 射 は 禁 止 されており、ベビーフード 用 乾 燥 野 菜 の 照 射 は、

食 品 衛 生 法 違 反 である。この 事 件 の 判 決 で、「 粉 末 野 菜 食 品 等 原 判 示 食 品 に 対 する 放

射 線 照 射 の 安 全 性 は 未 だもつて 確 認 されていない 段 階 にあると 認 めざるを 得 ない」など

という 食 品 照 射 に 対 する 反 対 意 見 を 採 択 した 内 容 が 述 べられたことは、 関 係 者 に 食 品

照 射 の 推 進 の 困 難 さを 認 識 させる 結 果 となり、 食 品 照 射 を 推 進 する 動 きはほとんどなく

なった。

・ 食 品 照 射 研 究 の 進 展 と 国 際 機 関 の 見 解 については、1950 年 に 放 射 線 の 生 物 効 果 が 発

見 され、その 後 、1950 年 ―1970 年 に 実 用 照 射 装 置 の 出 現 による 照 射 効 果 データが 蓄

積 され、1970 年 -1980 年 に 健 全 性 評 価 の 研 究 ( 国 際 プロジェクト(IFIP)が 実 施 され、

1980 年 に FAO/IAEA/WHO 合 同 専 門 家 委 員 会 (JECFI)で 10kGyまでの 照 射 食 品

8


の 健 全 性 が 確 認 され、1983 年 に FAO / WHO 合 同 食 品 規 格 委 員 会 (Codex

commission)で、10kGy 以 下 の 照 射 食 品 の 一 般 規 格 等 を 採 択 した。

・ この 際 に、10kGy 以 下 の 照 射 に 限 ったのは、10kGy 以 上 の 照 射 で 毒 性 が 認 められたか

らではなく、 当 時 10kGy を 超 える 照 射 食 品 の 必 要 性 が 想 定 されておらず、そのような 高

線 量 照 射 した 食 品 の 健 全 性 は 評 価 の 対 象 外 としていたからである。

・ その 後 、 食 品 照 射 の 健 全 性 についての 認 識 が 不 十 分 であったため、 再 度 、1992 年 に

WHO 専 門 家 委 員 会 が、10kGy 以 下 の 健 全 性 を 再 確 認 し、1997 年 には、WHO 専 門 家

委 員 会 は、10kGy 以 上 の 高 線 量 照 射 の 健 全 性 も 宣 言 した。2003 年 には、Codex 照 射 食

品 の 一 般 規 格 等 の 改 訂 が 行 われた。

・ 食 品 照 射 は、 主 たる 国 、 例 えば、 中 国 (146,000 トン: 香 辛 料 、ニンニクなど)、アメリカ

(92,000 トン: 香 辛 料 、 牛 挽 肉 、 食 鶏 肉 、 果 実 など)、ウクライナ(70,000 トン: 小 麦 、 大 麦 )、

ブラジル 23,000 トン: 香 辛 料 など)、ベトナム(14,000 トン: 冷 凍 エビなど)、 日 本 (4,000 ト

ン: 馬 鈴 薯 ) 等 で 実 用 化 されている。しかし、 日 本 以 外 の 各 国 でも 反 対 運 動 があり、EU で

大 々 的 に 食 品 照 射 を 認 めることができず、フランスにおける 照 射 食 品 処 理 量 は、 急 激 に

減 った。

・ 1987 年 モントリオールにおいて、80 ヶ 国 以 上 がオゾン 層 破 壊 の 原 因 物 質 の 使 用 を 禁 止

する 協 定 にサインした。これがモントリオール 議 定 書 と 呼 ばれるものであり、 国 連 環 境 計

画 が 事 務 局 を 務 めている。アメリカでは、 環 境 保 護 庁 が 1992 年 に 臭 化 メチルにオゾン 層

破 壊 能 力 があることを 明 らかにし、1992 年 の 第 4 回 モントリオール 議 定 書 締 約 国 会 合 に

おいて、 臭 化 メチルの 使 用 禁 止 を 提 案 したことにより、オゾン 層 破 壊 物 質 としての 臭 化 メ

チルが 国 際 的 な 課 題 となった。このため、FAO/IAEA は、2つの 国 際 プロジェクトを 実

施 (1992-1995、1998-2002)して、 植 物 防 疫 のための 放 射 線 利 用 技 術 の 開 発 を 行 った。

各 国 で 蓄 積 されたデータに 基 づき、2003 年 4 月 に 植 物 防 疫 基 準 化 暫 定 委 員 会 (ICPM)

は、 放 射 線 照 射 を 植 物 防 疫 処 理 として 利 用 するための 基 準 を 採 択 し、 国 際 植 物 防 疫 条

約 の International Standards for Phytosanitary Measures として 収 録 した。これにより、 放

射 線 照 射 は、 国 際 的 に 認 知 された 植 物 防 疫 処 理 となった。

・ 日 本 は、1985 年 頃 は 食 品 照 射 の 先 進 国 といわれたが、その 後 進 展 はなく、1990 年 半 ば

になると 後 進 国 といわれる 状 況 になった。そこで、 科 学 技 術 庁 、 日 本 原 子 力 産 業 会 議 、

IAEA と 相 談 して、マスコミと 消 費 者 を 対 象 とした 大 討 論 会 を 企 画 した。 熱 気 溢 れた 討 論

を 期 待 したが、 食 品 照 射 に 反 対 する 立 場 のほとんどの 人 が 参 加 したにもかかわらず、フ

ロアからの 意 見 は 出 てこず、 大 討 論 会 とはほど 遠 いものとなってしまった。その 直 後 、 食

品 照 射 の 反 対 の 立 場 を 取 るいくつかの 機 関 紙 にこのセミナーが 危 険 な 動 きの 兆 候 として

紹 介 され、 私 は「けしからぬ 輩 」(「 日 本 農 業 新 聞 にみられるように、 国 内 農 漁 業 を 守 る 立

場 にある 農 林 水 産 省 内 にも 職 務 を 超 えて( 食 品 照 射 の) 推 進 に 加 担 する 言 動 がみられ

たのは 残 念 です。」と 要 望 書 において、 指 摘 された)として、 農 林 水 産 大 臣 、 食 総 研 所 長 、

農 業 研 究 センター 所 長 ( 当 時 の 農 水 省 研 究 機 関 の 代 表 )に 投 書 された。

・ 食 品 照 射 に 反 対 する 一 部 の 消 費 者 は、 様 々な 食 品 照 射 に 関 する 国 際 プロジェクト 等 の

報 告 書 の 記 述 やデータの 一 部 を 抜 き 出 し、 危 険 であることを 主 張 した。 関 係 省 庁 の 役 人

は、それに 対 して 中 途 半 端 な 知 識 で 受 け 答 えをすることにより、 更 に 誤 解 を 招 く 情 報 が

流 れたことも、 推 進 がうまく 行 かなかった 原 因 の 一 つであろう。

・ しかし、 食 品 照 射 から 距 離 をおいてみると、 食 品 照 射 を 客 観 視 できる。 私 が 大 学 の 頃 は、

原 子 力 工 学 科 は 最 難 関 学 科 であったが、 数 年 前 には 学 生 が 集 まらないので、 各 大 学 と

9


もその 看 板 を 降 ろしたが、 石 油 資 源 の 枯 渇 と 価 格 高 騰 、CO 2 削 減 が 国 際 的 な 関 心 事 と

なり、 原 子 力 産 業 は 蘇 った。また、リーマンショック 以 前 、 電 気 自 動 車 は、 効 率 が 悪 く 高

価 格 な 非 現 実 的 な 夢 の 技 術 であったが、リーマンショックによる 大 きなダメージを 受 けた

自 動 車 産 業 は、 成 長 戦 略 の 見 直 しを 余 儀 なくされ、 前 述 の 社 会 情 勢 に 鑑 み、 本 気 で 電

気 自 動 車 の 開 発 を 推 進 し、 効 率 、 価 格 共 にガソリン 車 に 遜 色 レベルに 達 してきている。

・ これらは、 学 者 、 専 門 家 、 役 人 が 議 論 した 結 果 ではなく、 社 会 環 境 ・ 経 済 環 境 の 変 化 が

もたらしたもので、 政 治 、 社 会 、 経 済 のダイナミズムが 突 き 動 かしたものである。「 政 治 、

社 会 、 経 済 のダイナミズムに 敵 うものはない」というのが、20 年 余 り 食 品 照 射 に 携 わって

きた 経 験 の 結 論 である。

【 主 な 質 疑 応 答 】

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 食 品 と 同 様 に 放 射 線 についても、 直 感 や 感 情 よりも 知 識 や 経

験 による 判 断 を 根 付 かせるために、 安 全 だけでなく「リスク」に 関 する 教 育 が 必 要 と 思 う。リスク 認

識 を 重 視 する 食 育 にも 関 わっておられる 立 場 からお 考 えを 聞 かせていただきたい。

A( 唐 木 氏 ):ヒューリスティックによる 判 断 は、 科 学 的 なリスク 判 断 とは 違 う。だから 教 育 は 重 要 だ

が、それだけでは 解 決 しない。 食 品 照 射 に 関 しては、 規 制 当 局 や 政 府 が 国 民 から 信 頼 されるこ

とが 必 要 である。 政 府 が 安 定 していて、 信 頼 され、その 信 頼 された 政 府 が、「 食 品 照 射 は、 国 の

ためにやるのだ」と 主 張 しないと 進 まない。 例 えば、 米 国 産 の 牛 肉 の 輸 入 が 国 民 に 受 け 入 れら

れたのは、 小 泉 政 権 が 安 定 していたからできたことである。 麻 生 政 権 では 無 理 であったであろ

う。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ):「 持 続 可 能 な 社 会 」という 観 点 からも、リスクの 重 要 性 を 教 える

べきと 思 うが、いかがか?

A( 唐 木 氏 ): 経 済 的 なリスクに 関 しては、 国 民 は 理 解 しやすい。しかし、 食 品 のリスクには 受 け 入

れ 反 対 が 強 い。いまだに、 学 校 給 食 においても、PTA の 力 が 強 く、「 食 品 は、 国 産 に 限 る」などと

主 張 されたりすることもある。

A( 林 氏 ):リスクについて 教 えても、それを 受 け 入 れるかが 問 題 である。 一 部 の 消 費 者 団 体 が 強

く 反 対 すると、 官 僚 はビビッてしまい、 推 進 しようとしない。

Q(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ): 反 対 派 は、ナショナルプロジェクトの 結 果 をうまく 使 って、 反 対 運 動 の

根 拠 にしている。 一 方 、 推 進 派 はその 結 果 に 問 題 は 無 いと 主 張 するが、どちらも 専 門 家 ではな

い。これらのナショナルプロジェクトの 結 果 を 現 在 の 進 んだ 科 学 できちんと 再 評 価 すべきであり、

それができるのは、 食 品 安 全 委 員 会 だと 思 う。 食 品 安 全 委 員 会 では「 自 ら 評 価 」の 課 題 として 食

品 照 射 が 2 度 ほど 挙 がったと 聞 いているが、なぜ 審 議 できないのか?

A( 唐 木 氏 ): 食 品 安 全 委 員 会 は、 内 閣 府 にある。 内 閣 府 の 大 臣 がダメと 言 ったら、 審 議 はできな

い。よって、 審 議 がなされていない。

Q( 医 用 財 団 ・ 上 野 山 氏 ): 日 本 で 食 品 照 射 が 進 まないのは、ユーザーである 食 品 会 社 が「ニー

ズがある」と 表 立 って 言 わないことが 大 きな 原 因 のひとつであると 考 えるが、そのような 中 にあっ

て、スパイス 協 会 が、2000 年 に 許 可 申 請 を 出 したことは 意 味 深 いことであった。 原 産 も 申 請 対 応

10


のバックアップに 研 究 者 とともに 協 力 ・ 支 援 した 経 緯 がある。 最 近 の 情 勢 はよく 把 握 していないが、

この 時 期 ( 平 成 22 年 12 月 2 日 )に 反 対 している 組 織 からこのような 文 書 ( 配 布 資 料 1-2、 件 名

「スパイスへの 放 射 線 照 射 をやめてください」)が 提 出 された 背 景 がよくわからない。 実 際 のところ

は、スパイス 協 会 内 部 が 一 枚 岩 ではないといったことや、 申 請 後 あまり 進 展 がみられないままに

業 界 周 辺 の 情 勢 が 変 化 してきていると 考 えられるが、 現 在 のスパイス 協 会 の 状 況 や 取 り 組 み 姿

勢 に 関 して、もし、 何 かわかれば 教 えてほしい。

A( 林 氏 ): 現 在 、スパイス 協 会 がどのような 見 解 を 持 っているかは、 把 握 していない。

Q(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ): 食 品 衛 生 法 では「 食 品 に 放 射 線 を 照 射 してはならない」と 原 則 禁 止

しているが、その 放 射 線 の 定 義 は、 原 子 力 基 本 法 における 放 射 線 の 定 義 を 引 用 している。し

かし、 原 子 力 基 本 法 では1MeV 以 下 の 電 子 線 は 放 射 線 として 定 義 していない。だから 以 前 、

林 先 生 が、「ソフトエレクトロン」と 言 っていた 300keV 程 度 のエネルギーの 電 子 線 で 食 品 照 射

を 行 う 研 究 をされていた 時 、これが 実 用 化 の 突 破 口 になると 思 って 期 待 していたが、その 研 究

は、どうなったのか?

A( 林 氏 ): 特 に、 原 子 力 基 本 法 の「 放 射 線 」の 定 義 から 外 れるからという 理 由 で、そのエネルギ

ー 量 の 放 射 線 の 利 用 を 考 えたわけではなく、たまたま、 食 品 の 表 面 だけに 放 射 線 照 射 をすれ

ばよい 食 品 があったため、そのエネルギー 量 の 放 射 線 利 用 を 考 えた。しかし、 実 用 化 にあたっ

ては、 原 子 力 基 本 法 で「 放 射 線 」と 定 義 されたものではなくても、サーモルミネッセンス 法 で( 照

射 したことが) 検 出 されてしまうし、 企 業 も 説 明 が 面 倒 ということ 等 もあり、 実 用 化 は 進 まなかっ

た。

Q( 都 産 技 研 ・ 武 藤 氏 ): 当 研 究 所 では、 日 常 的 に、 照 射 された 食 品 かどうかを 検 知 している。

キッコーマンのイソフラボンや、マカも 持 ち 込 まれ、 検 知 した。 最 近 は、 検 知 依 頼 が 減 っている

が、それは、 国 際 的 に 照 射 食 品 が 減 っているからか?

A( 林 氏 ):EU では、 照 射 食 品 の 量 が 減 っているが、 中 国 等 を 含 むアジア 地 域 では、 増 えてい

るので、 世 界 的 には、 増 大 しているであろう。 近 年 は、 主 な 食 品 業 界 は、 自 主 検 査 をしている

ので、 検 知 依 頼 の 量 が 減 っているのではないかと 思 われる。

Q( 関 原 懇 ・ 西 村 氏 ): 社 会 科 学 的 ニーズとして、 原 子 力 発 電 同 様 、 食 品 照 射 もニーズがあると

思 う。 原 子 力 発 電 も 反 対 はあるが、 電 力 会 社 の 場 合 、 反 対 派 に 対 する 対 応 する 人 を 専 任 で 確

保 して 推 進 することができるが、 食 品 業 界 の 場 合 、( 小 さな 組 織 なので) 組 織 として 専 任 の 人 を

確 保 して、 反 対 派 に 対 応 することは 不 可 能 であろう。 食 品 業 界 であるスパイス 協 会 だけで 動 く

ことも 困 難 である。どこかバックアップする 組 織 が 必 要 かと 思 うが、いかがか。

A( 唐 木 氏 ): 食 品 照 射 や 遺 伝 子 組 み 換 え 作 物 等 については、 最 終 的 には、 政 治 家 が 決 定 す

る 事 項 。 政 権 の 安 定 性 がないと 進 まない。

A( 林 氏 ): 原 発 や 電 気 自 動 車 も 政 治 、 社 会 、 経 済 のダイナミズムに 突 き 動 かされて、 原 発 も 暗

い 時 代 から 蘇 り、 電 気 自 動 車 も 実 用 化 された。 食 糧 危 機 や 何 か 大 きな 事 件 等 があれば、 一 気

11


に 進 む 可 能 性 はあると 思 うが。

C(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ):「 食 糧 危 機 や 何 らかの 事 件 がないと 動 かない」という 結 論 には 反 論 し

たい。 先 日 、ツィッターを 見 ていたら、ある 食 品 会 社 の 人 が、「 中 国 から 入 ってくる 魚 はおかしい。

本 来 、 成 分 分 析 から 判 断 すれば 腐 りかけているような 魚 でも、 微 生 物 検 査 すると 微 生 物 が 全 く

いない。 放 射 線 照 射 されているんじゃないか。」とつぶやいていた。 多 分 寿 司 ネタとしても、 照

射 されたものが 使 われているのであろう。ただ、 現 状 は 誰 も 分 からない。 中 国 からは、 照 射 され

た 食 品 がたくさん 入 ってきているはずであり、このような 状 況 を 放 置 してよいのか 疑 問 である。

A( 林 氏 ): 寿 司 ネタとして 照 射 食 品 が 使 用 されていることの 良 し 悪 しは 別 であるが、にんにくの

照 射 に 関 しては、 日 本 でもにんにくの 生 産 業 者 が、 日 本 でにんにくの 照 射 ができないので、 芽

が 出 てしまって 売 り 物 にならなくなって 困 っている。 中 国 から、 照 射 にんにくがたくさん 輸 入 され

てしまうと、 日 本 のにんにく 生 産 業 者 は、( 照 射 できないので 不 利 となり) 経 営 的 に 成 り 立 たなく

なる。ケース・バイ・ケースで 対 応 していかないといけないと 思 う。

C( 日 本 原 燃 ・ 田 邉 氏 ): 近 年 、 食 品 照 射 のセミナー 等 を 聞 きに 行 くと、 検 知 技 術 のことばかりで、

後 ろ 向 きの 研 究 ばかりである。 国 の 税 金 をつぎ 込 んで 後 ろ 向 きの 研 究 ばかりするのではなく、

推 進 する 方 向 に 進 めてほしい。

A( 林 氏 ): 食 品 照 射 に 関 しては、 研 究 者 がいない。 推 進 する 予 算 とプロジェクトが 必 要 である。

C( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 本 論 からは 外 れるが、 紹 介 したいことがある。 先 日 、 文 芸 春

秋 に「CT をやるとがんになる」という 記 事 が 掲 載 された。 本 件 について、 原 子 力 学 会 のシニア

ネットワークでは、 文 芸 春 秋 に 抗 議 をすることを 考 えている。メディアの 報 道 にアクティブに 対

応 し、 言 うべきことは 言 っていくことが 重 要 と 思 う。

12


2 第 13 回 会 合

【 講 演 概 要 】

(1)「 放 射 線 の 健 康 影 響 + 胎 児 被 ばくの 影 響 」

京 都 大 学 名 誉 教 授

ICRP( 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 ) 主 委 員 会 委 員 丹 羽 太 貫 氏

・ 私 は、 放 射 線 防 護 学 者 ではなく、 放 射 線 生 物 学 者 である。

・ 19~20 世 紀 の 初 め 頃 の 生 物 学 者 は、 我 々のゲノムは 完 全 なので、それに 突 然 変 異 を 起

こす 放 射 線 は 絶 対 に 良 くないと 考 えていた。しかし、20 世 紀 の 終 わり 頃 に、ヒトゲノムの 全

てが 解 読 され、ゲノムは、( 特 に 放 射 線 を 浴 びなくても) 既 に 多 くの 突 然 変 異 を 持 っている

ことが 明 らかにされた。そのたくさんの 突 然 変 異 を 前 提 にすれば、リスクが 皆 無 というゲノム

の 安 全 神 話 は 成 立 しない。

・ 福 島 原 発 事 故 の 際 に、「 内 部 被 ばくは 危 ない!」と 内 部 被 ばくが 問 題 となった。でも 内 部

被 ばくは、 線 質 が 同 じで、 線 量 も 同 じであれば、 外 部 被 ばくと 影 響 も 同 じである。これは、

簡 単 な 放 射 線 生 物 学 の 基 本 であるが、 不 思 議 なことに 研 究 者 でも 理 解 いただけない 方 が

あり、 困 っている。

・ 講 演 は、 以 下 の 8 点 について、 説 明 する。

1 放 射 線 作 用 の 基 礎 課 程 と 線 量

2 外 部 被 ばくと 内 部 被 ばく、 線 質 と 線 量

3 放 射 線 DNA 損 傷 と 生 物 作 用

4 放 射 線 リスクのタイプと 線 量 のまとめ

5 被 爆 者 疫 学 研 究 と 急 性 被 ばくの 影 響 身 体 的 影 響 : 確 定 的 影 響 と 確 率 的 影 響 遺 伝

的 影 響

6 低 線 量 率 被 ばくの 健 康 影 響

7 胎 児 被 ばくの 影 響

8 最 後 に: 放 射 線 影 響 のサイエンスと 防 護

・ 放 射 線 作 用 の 基 礎 課 程 には、エネルギー 付 与 による 分 子 のイオン 化 がある。

・ 放 射 線 の 線 量 には、「 吸 収 線 量 」、「 等 価 線 量 」、「 実 効 線 量 」があり、1 回 の 電 離 事 象 に 必

要 な 付 与 エネルギーは、40eV である。そのため 吸 収 線 量 は、40eV× 事 象 の 数 / 質 量 で

求 められる。

吸 収 線 量 (Gy)=エネルギー 量 (J)/ 質 量 (kg)

等 価 線 量 (Sv)= 吸 収 線 量 × 線 質 係 数

実 効 線 量 (Sv)= 吸 収 線 量 × 線 質 係 数 × 組 織 荷 重 係 数

・ 内 部 被 ばくと 外 部 被 ばくにおいては、 線 質 との 関 係 において、 電 離 密 度 が 高 いα 線 は、

DNA 損 傷 が 修 復 しにくい 複 雑 なものになるので、 生 物 効 果 が 高 い。しかし、 線 質 が 等 しい

放 射 線 による 外 部 被 ばくと 内 部 被 ばくでは、 総 損 傷 数 は 同 じとなり、リスクも 同 じとなる。よ

って、 内 部 被 ばくの 方 が 危 ないというのは 誤 解 である。

・ 組 織 の 急 性 影 響 の 感 受 性 は、 細 胞 分 裂 速 度 に 依 存 し、 造 血 組 織 、 精 巣 、 卵 巣 、 腸 管 の

組 織 は、 細 胞 分 裂 速 度 がたいへん 速 く、 放 射 線 感 受 性 も 高 い。 神 経 細 胞 や 筋 肉 は、 分 裂

していないので、 放 射 線 感 受 性 は 低 い。

・ 放 射 線 の 健 康 影 響 のタイプと 線 量 には、 以 下 の 3 種 類 がある。

1 確 率 的 影 響 :がん(と 遺 伝 的 影 響 )、 自 然 発 生 度 = 数 %~ 数 10%、がんは 線 量 に 直

線 的 に 増 加 。

2 確 定 的 影 響 : 急 性 組 織 障 害 、 自 然 発 生 =0%、 閾 値 線 量 =0.5Gy

13


3 確 定 的 影 響 : 晩 発 組 織 障 害 、 自 然 発 生 = 数 %~ 数 10%、 閾 値 線 量 =0.5Gy 以 上

・ 放 射 線 の 確 率 的 影 響 を 明 らかにしたいろいろな 研 究 としては、 高 線 量 率 の 急 性 被 ばくの

「 広 島 ・ 長 崎 の 原 爆 被 爆 者 の 疫 学 研 究 」が、 世 界 でもっとも 信 用 度 が 高 く、 放 射 線 リスクの

標 準 データとして 用 いられている。なお、 補 足 的 に、 低 線 量 率 の 慢 性 被 ばくの 原 発 労 働

者 疫 学 研 究 や 高 放 射 線 地 域 疫 学 研 究 ( 自 然 、 人 工 )、 低 線 量 ないしは 高 線 量 の 反 復 被

ばくの 医 療 被 ばく( 診 断 と 治 療 )のデータも 使 われる。

・ 原 爆 被 爆 者 における 全 致 死 がん 頻 度 と 線 量 については、1000mGy でがん 死 亡 の 頻 度 は

10% 増 加 する。 同 じ 線 量 をゆっくり 受 けるとその 効 果 は 半 減 するので、がんの 頻 度 上 昇 は

5%にとどまる。100mGy 以 上 で、 直 線 的 にがん 死 亡 頻 度 が 増 加 するが、100mGy 以 下 で

の 増 加 は、 統 計 的 有 意 性 がない。しかし、 防 護 目 的 には、 線 量 に 対 して 直 線 的 に 増 加 と

想 定 しており、100mGy の 急 性 被 ばくで1%、 遷 延 被 ばくで 0.5%の 増 加 を 想 定 している。

・ 発 がんは、 食 生 活 、 生 活 習 慣 、ウイルス 感 染 、ストレスレベル、 環 境 要 因 ( 紫 外 線 、 他 )

等 々 様 々な 影 響 に 依 存 する。よって、がんの 死 亡 率 の 地 域 変 動 ( 国 内 )の 幅 は 大 きく、

10% 以 上 である。 国 別 変 動 は、さらに 大 きい。

・ がん 以 外 の 疾 患 のリスクは、 長 期 の 追 跡 で 明 らかになってきており、ICRP は、 心 筋 梗 塞 、

白 内 障 、 脳 卒 中 の3 疾 患 に 注 目 おり、 心 筋 梗 塞 については、 今 後 も 注 意 して 調 査 する 必

要 があるという 認 識 である。

・ 発 がんの 相 対 リスクは、 若 年 で 高 く、 経 年 的 に 低 下 する。 生 涯 を 通 じての 絶 対 リスクは、そ

れほど 高 くならない。

・ 遺 伝 的 影 響 に 関 しては、 被 爆 者 2 世 の 調 査 において、これまでの 解 析 では 検 出 されてい

ない。 遺 伝 的 影 響 は「 無 い」とは 言 えないが、7 万 人 の 集 団 の 解 析 で 検 出 されない 程 度 に

低 いと 言 える。

・ 低 線 量 率 被 ばくのリスクで、 急 性 の 確 定 的 影 響 が 出 るのは、 約 100mSv/ 日 である。

10mSv/ 日 くらいであれば、 確 定 的 影 響 は 出 ないようである。

・ 胎 児 期 の 被 ばくの 影 響 に 関 しては、 大 脳 発 達 期 の 被 ばくで 小 頭 症 ・ 精 神 遅 滞 が 増 加 する

が、 小 児 がんの 増 加 は 顕 著 ではない。ICRP は、100mGy 以 下 で 胎 児 影 響 無 しと 結 論 付 け

ている。 胎 児 期 被 ばくでは、 染 色 体 異 常 が 見 られない。マウス 実 験 でも、 胎 児 期 被 ばくは、

高 感 受 性 ではなく、 生 後 の 被 ばくよりもリスクは 低 い。

・ 放 射 線 影 響 のサイエンスと 防 護 の 考 え 方 は 異 なっている。 直 線 閾 値 無 しの 仮 説 は、 防 護

のための 仮 説 である。 集 団 線 量 は、 防 護 のためであり、リスク 予 測 のためではない。

・ ある 程 度 合 意 された 科 学 的 知 見 は、「 線 量 とリスクの 関 係 は、ある 線 量 以 上 で 直 線 性 があ

る」ということである。UNSCEAR( 国 連 科 学 委 員 会 )は、 国 際 連 合 の 下 に 設 置 され、 参 加 国

21 カ 国 、オブザーバー6 カ 国 の 科 学 者 100 余 名 で 科 学 的 知 見 を 報 告 書 にまとめている。

ICRP では、UNSCEAR 報 告 書 の 知 見 に 基 づき、 放 射 線 防 護 基 準 を 勧 告 し、「 防 護 のため」、

低 線 量 でも 直 線 閾 値 無 し 仮 説 でリスク 評 価 を 行 っている。 多 くの 国 では、ICRP の 勧 告 を 尊

重 し、 国 ごとの 放 射 線 防 護 基 準 を 策 定 している。

・ チェルノブイリ 事 故 による 実 際 の 死 者 は、 初 期 消 火 作 業 従 事 者 の 24 万 人 のうち、30 人 で

あり、 小 児 甲 状 腺 がん 発 症 者 6,000 人 のうち 15 人 である。ただ WHO チェルノブィルフォ

ーラムは、 直 線 閾 値 なしの 仮 説 から 将 来 の 死 亡 予 測 を 行 い、 公 衆 ・ 作 業 者 60 万 人 ( 線 量

35mSv)が 将 来 にわたるがん 死 亡 を 4,000 人 と 推 定 し、 公 衆 ・ 作 業 者 680 万 人 ( 線 量 7mSv)

について、9,000 人 の 死 亡 とした。これに 対 して、ECRR( 欧 州 放 射 線 リスク 委 員 会 )による

推 定 値 は、 全 ヨーロッパで 950,000 人 が 死 亡 と 推 定 している。このように 直 線 閾 値 なし 仮 説

を 使 って、 多 くの 死 亡 予 測 推 定 がなされたのに 対 して、 国 連 科 学 委 員 会 と ICRP は、「 集 団

線 量 は、 防 護 のためのもので、 死 亡 数 の 計 算 に 用 いるのは、 科 学 的 でない」と 主 張 してい

る。

14


(2)「 対 応 を 影 響 量 から 考 える‐ 放 射 線 影 響 を 基 準 としたレベル 区 分 の 提 案 -」

医 療 放 射 線 防 護 連 絡 協 議 会 総 務 理 事

自 治 医 科 大 学 ・ 大 学 RI センター 管 理 主 任 菊 地 透 氏

・ 私 は、 主 に 医 療 分 野 における 放 射 線 防 護 を 行 っているが、 風 評 被 害 というものは、 常 に 弱

者 に 被 害 を 及 ぼす。 放 射 線 に 関 することでは、 特 に、 妊 婦 や 今 後 出 産 を 考 えている 人 に

被 害 が 及 んでいる。

・ 放 射 線 の 影 響 については、 様 々な 単 位 や 通 常 の 基 準 の 何 千 倍 等 という 言 葉 で 説 明 がな

されているが、 一 般 市 民 に 冷 静 な 対 応 を 促 すためには、これから 提 案 する 放 射 線 影 響 を

基 準 としたレベル 区 分 で 説 明 することを 提 案 したい。

・ 今 年 の 3 月 に 起 こった 福 島 第 一 原 発 の 事 故 は、レベル 7 の 深 刻 な 大 事 故 で、 放 射 性 物 質

は、 大 気 中 ・ 海 洋 に 77 万 TBq 放 出 された。 国 民 は、 放 出 された 放 射 性 物 質 の 健 康 影 響 に

不 安 を 抱 き、 福 島 だけではなく、 都 民 の 方 々の 中 にも、 関 西 に 引 っ 越 した 人 もいる。

・ しかし、 同 様 のことが 25 年 前 にも 起 こっていた。ソ 連 のチェルノブイリ 原 発 事 故 である。 当

時 、 環 境 中 に 520 万 TBq 放 出 された 放 射 性 物 質 は、 約 8,000km の 距 離 を 経 て 日 本 にも

届 いた。 当 時 、 私 は、 栃 木 県 下 における 環 境 放 射 能 汚 染 の 測 定 を 行 っていた。25 年 前 は、

放 射 能 汚 染 と 言 っても、 極 微 量 の 放 射 能 である 印 象 が 得 られた。それは、 単 位 がキューリ

ー(Ci)であったため、ピコ・キューリーというと、ピコは、10 ‐12 で、1 兆 分 の1のことと 説 明 す

ると、「そんな 少 しの 量 」という 風 に 受 け 止 められた。しかし、 今 は 単 位 がベクレル(Bq)とな

ったので、「 一 兆 」もしくは、「 一 京 」とか 聞 いたこともないような 単 位 が 出 てきて、とてつもな

く 大 きな 数 字 という 印 象 を 受 けるようになり、 放 射 能 の 不 安 が 増 強 した。

・ 茶 葉 に 関 しても 放 射 能 汚 染 が 懸 念 されているが、 茶 葉 はそのまま 食 べるものではないの

で、 摂 取 基 準 を 適 用 するべきではない。コーデックスの 国 際 基 準 は、Cs は 1000Bq/Kg で

あるが、コーデックスには、 注 意 書 きとして、 少 量 しか 食 べないものや、そのまま 摂 取 するも

のではないものは、 摂 取 状 況 を 考 慮 して、 基 準 値 の 10 倍 を 適 用 することが 記 してある。

・ チェルノブイリ 事 故 の 際 には、 風 評 被 害 によりヨーロッパでは 数 万 人 もの 生 まれるべき 命 が、

中 絶 により 失 われた。 今 、 日 本 でも 同 じようなことが、 起 ころうとしている。

・ 原 発 事 故 に 関 する 国 の 説 明 では、 日 常 生 活 にない 用 語 と 基 準 を 用 いた 説 明 で 国 民 を 混

乱 させている。 単 位 も 空 間 線 量 率 は「μSv/h」、 食 品 、 生 茶 、 牧 草 は「Bq/Kg」、 積 算 線

量 や 予 測 線 量 は「mSv」 等 々で、 混 乱 を 招 いている。また、 子 供 の 年 間 被 ばく 線 量 につい

ては、「20mSv」から「1mSv を 目 指 す」と 方 針 が 変 わったりして、 国 も 信 用 できず、 福 島 の 住

民 は、 自 分 たちで 線 量 を 測 定 しようとしている。

・ 国 民 が 心 配 しているのは、 健 康 影 響 である。 放 射 線 による 健 康 影 響 を 繰 り 返 し 伝 えていく

べきである。

・ 医 療 放 射 線 防 護 連 絡 協 議 会 では、3 月 27 日 に「 福 島 原 発 災 害 チャリティー 講 演 会 」を 開

催 した。 開 催 後 、1 ヶ 月 程 度 は、「100mSv 以 下 は、 人 への 影 響 はない。 赤 ちゃんへの 影 響

も 心 配 しなくて 良 い。」と 説 明 し、 国 民 も、「100mSv が 安 全 の 目 安 」という 認 識 が 形 成 されて

いたと 思 う。しかし、 今 は、それが、「1mSv」になってしまっている。 私 自 身 が、この 状 況 に

恐 怖 感 を 抱 いている。

・ 医 療 関 係 者 も 関 西 方 面 に 逃 げていることがうわさになり、 風 評 被 害 が 起 こった。 医 療 関 係

者 でも、 放 射 線 の 健 康 影 響 に 関 しては、あまり 教 育 がなされていないため、このようなこと

が 起 こる。

・ 現 在 の 法 令 が 様 々な 行 為 の 壁 となっている。 緊 急 事 態 に 対 応 できる 法 令 となっていない。

放 射 線 は、 医 療 分 野 において、1920 年 代 から 利 用 され、1930 年 代 には、 放 射 線 を 扱 う 医

15


師 等 に 皮 膚 障 害 が 起 こり、 当 時 は、1 日 2mSv 程 度 、 年 間 で 500-700mSv 程 度 被 ばくして

いた。1950 年 代 になっても、 放 射 線 診 療 に 従 事 する 医 療 関 係 者 に 血 液 や 皮 膚 障 害 が 散

見 された。1960 年 代 に、 法 令 が 整 備 され、 現 在 、 放 射 線 診 療 従 事 者 の 被 ばくは、 平 均 で1

mSv/ 年 程 度 に 減 った。

・ 妊 娠 した 人 からの 問 い 合 わせで、「 妊 娠 に 気 づかずに CT 検 査 を 受 けてしまったが、 大 丈

夫 か?」という 質 問 がくる。 放 射 線 検 査 を 行 う 場 合 は、その 検 査 を 行 う 際 に、 何 のために 必

要 かをきちんと 説 明 することが 重 要 である。 何 の 説 明 もせず、「とりあえず、CT を」という 感

じで 検 査 を 行 うと、 医 療 行 為 に 対 する 不 満 が 募 る。 同 様 なことが、 今 の 行 政 の 対 応 にもあ

るのではないかと 思 う、 放 射 線 量 の 測 定 はしているが、その 評 価 やきちんとした 説 明 がなさ

れていない 点 である。

・ 原 発 事 故 の 恐 怖 、 東 京 電 力 ・ 政 府 に 対 する 不 信 ・ 不 満 、 情 報 、 規 制 値 、 基 準 値 の 混 乱 と

説 明 不 足 により、 信 頼 関 係 が 失 われている。

・ 緊 急 時 作 業 をしている 人 の 身 内 から、 息 子 の 被 ばくに 対 して 不 安 に 思 っている、との 相 談

を 受 けた。 現 在 の 日 本 の 緊 急 時 被 ばくの 対 応 で 従 事 している 緊 急 時 作 業 者 に 対 して、 十

分 な 放 射 線 影 響 を 含 めた 放 射 線 教 育 が 徹 底 されている 状 況 ではない。また、 作 業 の 重 要

性 を 理 解 した 志 願 者 でもないという 状 況 で、 緊 急 時 の 放 射 線 被 ばくの 線 量 限 度 が 適 用 さ

れ、 作 業 を 行 っている。

・ 国 際 宇 宙 ステーションに 長 期 滞 在 をしている 宇 宙 飛 行 士 の 古 川 さんは、1mSv/ 日 も 被 ば

くしているが、 毎 日 ニコニコしている。これは、 自 ら 志 願 して 放 射 線 の 影 響 をきちんと 理 解

しているからである。

・ 福 島 原 発 事 故 により 通 常 より 高 い 被 ばくをしている 住 民 にとって 今 の 状 況 は、 苦 痛 と 被 害

しかない。

・ これまでの 原 爆 被 爆 者 の 健 康 調 査 などから 人 での 放 射 線 影 響 は、100mGy 以 下 で 有 意 な

影 響 が 起 きていない。そのため、 今 回 の 福 島 原 発 事 故 の 緊 急 時 対 応 に 関 する 国 民 への

説 明 には、100mGy(mSv)を 基 準 とした 以 下 のようなレベル 区 分 を 提 案 し、 国 民 の 関 心 が

高 い 健 康 影 響 を 基 準 に 解 り 易 く 説 明 し、 風 評 被 害 を 防 ぐことが 重 要 である。

レベル 区 分 線 量 ・mGy 説 明

4 以 上 400 以 上 健 康 影 響 を 懸 念

3

2.5

300

250

宇 宙 飛 行 士 の 線 量 限 度 等

福 島 原 発 事 故 の 緊 急 作 業 時 の 線 量 限 度

2 200 血 液 の 変 化 が 観 察 できる

1

健 康 影 響 の 基 準

0.5

0.2

0.01

100 健 康 影 響 の 無 しの 上 限 ・ 緊 急 作 業 時 の 線 量 限 度

50

20

1

放 射 線 従 事 者 の 線 量 限 度 の 年 間 最 大 ( 通 常 時 )

放 射 線 従 事 者 の 年 平 均 線 量 ( 通 常 時 )

公 衆 の 線 量 限 度 ( 通 常 時 )

・ 緊 急 時 における 緊 急 作 業 者 の 線 量 の 制 限 に 係 る ICRP の 推 奨 値 は 以 下 の 通 りである。 日

本 では、 緊 急 時 の 線 量 を 250mSv としたが、 私 は、 緊 急 時 を 500mSv として、 救 命 活 動 (( 放

射 線 の 影 響 を) 理 解 した 志 願 者 )を 1,000mSv を 超 えない 値 とすべきではないかと 思 う。

16


【 緊 急 時 における 緊 急 作 業 者 の 線 量 の 制 限 に 係 る 推 奨 値 (ICRP)】

行 為

推 奨 値

救 命 活 動

( 理 解 した 志 願 者 )

緊 急 救 助 活 動 、 壊 滅 的 状 況 の 防 止 活 動

大 規 模 な 集 団 線 量 の 回 避

線 量 制 限 なし

500~1,000mSv

皮 膚 5,000mSv

100mSv

・ 放 射 線 量 の 説 明 として、「 今 の 放 射 線 は、 通 常 の 何 倍 」という 説 明 の 仕 方 は、 混 乱 を 招 く。

よって、 健 康 影 響 を 基 準 に 評 価 すべき。

・ 飲 食 物 摂 取 制 限 に 関 する 指 標 値 としては、 137 Cs を 水 、 牛 乳 、 野 菜 、 穀 物 、 肉 ・ 魚 の 各 5 種

類 から、それぞれ 77 万 Bq を 摂 取 すると5mSv/ 年 となり、これは、 影 響 量 の1/20 である。

・ コーデックスのガイドライン・レベルでは、 137 Cs は、 小 児 も 小 児 以 外 も、1,000Bq/Kg となっ

ている。これを 基 準 としていれば、 現 在 の 福 島 の 飲 食 物 は 問 題 ない。また、「 少 量 摂 取 のも

のは、この 値 の 10 倍 でも 良 い」となっている。

・ JCO 事 故 により 被 ばくした 住 民 は、 全 ての 不 調 に 対 して「 放 射 線 を 浴 びたから」と 考 えてし

まう。 被 ばくした 市 民 のヘルスケアは 重 要 である。 放 射 線 の 健 康 影 響 に 対 する 理 解 をして、

住 民 に 接 する 人 は、 健 康 影 響 に 関 し 正 しく 説 明 できるスキルを 身 につけるべき。スキルを

身 につけるための、 分 かりやすい 放 射 線 の 健 康 影 響 に 関 する 教 材 を、 丹 羽 先 生 に 作 って

いただきたいと 思 っている。

【 主 な 質 疑 応 答 】

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 今 まで、 一 般 公 衆 の 線 量 限 度 は、1mSv としてきた。それを、

10mSv や 20mSv に 上 げるのは、 一 般 市 民 は 納 得 しないと 思 うが、いかがか?

A( 菊 地 氏 ): 様 々な 疫 学 調 査 から、「100mSv 以 下 の 健 康 影 響 はないと 考 えて 問 題 ない」というこ

とを、 繰 り 返 し 説 明 するしかないと 思 う。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 住 民 から、「それでは、1mSv は、 何 のためにあったのか?」と

いう 疑 問 が 生 じると 思 う。よって、 私 は、リスクの 概 念 を 取 り 入 れていかないと 説 明 ができないと 思

っている。 科 学 調 査 の 不 確 実 性 の 概 念 を 入 れていかないといけない。 原 爆 被 爆 者 の 場 合 、100

mSv 以 下 であっても、 原 爆 被 ばく 者 の 認 定 がなされている。

A( 菊 地 氏 ): 医 療 被 ばくの 場 合 は、 放 射 線 の 被 ばくによるデメリットもあるが、 診 断 や 治 療 による

メリットがある。しかし、 現 在 の 原 発 事 故 による 避 難 者 には、 被 害 と 苦 痛 しかない。 健 康 影 響 のレ

ベルまで 理 解 できるかは 問 題 であろう。しかし、 避 難 に 関 しては、トータルのリスクを 考 慮 すべき

である。「 地 元 で 酪 農 をしたい」「ここに 住 み 続 けたい」という 人 を、 無 理 矢 理 避 難 させるのは、お

かしい。 今 の 対 応 は、 民 主 主 義 とは 言 えない。 放 射 線 の 影 響 を 説 明 し、 個 人 個 人 とリスク・コミュ

ニケーションをして 決 めるべき。

C( 関 原 懇 ・ 西 村 氏 ):2 週 間 ほど、 福 島 の 現 地 で 地 元 の 方 と 直 接 話 をしてきた。お 二 人 の 議 論 に

関 しては、 両 者 とも 現 地 の 住 民 の 視 点 が 欠 けていると 思 う。「 現 在 は、20mSv であるが、 将 来

10mSv 程 度 になるよう 最 適 化 の 努 力 する」などと 最 適 化 とか 低 減 努 力 の 説 明 を 最 初 から 示 せば、

17


問 題 にはならなかったと 思 う。リスク・コミュニケーションについては、 今 回 我 々が 住 民 の 家 の 玄

関 や 庭 の 放 射 線 量 の 測 定 をしたが、その 様 子 を 住 民 の 人 は、 非 常 に 興 味 深 く 見 ていた。その 際

に、 放 射 線 の 測 定 について 説 明 したりすることによって、 信 頼 感 が 生 まれる。 専 門 家 や 学 生 が 測

定 しても、 例 えば、「2μSv/h」という 数 値 を 言 うだけの 場 合 が 多 い。 一 人 の 人 が、 同 じ 地 区 を 担

当 して、5-10 年 のスパンで 継 続 して 測 定 、フォローしていくくらいのことをやらないといけないの

ではないかと 思 う。 民 主 主 義 の 件 については、 個 人 個 人 が 勝 手 に 判 断 するのではなく、きちんと

生 活 や 将 来 をケアすることが 必 要 である。

また、 作 業 者 の 被 ばくに 関 しては、 今 後 も 高 い 被 ばくが 数 年 続 くであろう。たとえば 事 故 が 収

束 する 間 の 3 年 間 程 度 に 限 り、 線 量 限 度 のベースの 生 涯 1Sv を 基 に 500-1000mSv の 限 度 に

変 更 しないと、 厳 しいし、 作 業 者 やその 家 族 に 不 安 を 与 える。また、 内 部 被 ばくに 関 しては、 非

常 に 怖 いというイメージがあるが、 事 業 者 や 規 制 当 局 による 非 常 に 厳 しい 規 制 がなされているこ

とも 原 因 である。 実 効 線 量 当 量 が 77 年 勧 告 により 取 り 入 れた 後 も、 内 部 被 ばくはマスクをつける

ことで 防 止 できるということで、 少 しの 内 部 とりこみであっても、 厳 しく 指 導 されており、それが、イ

メージを 悪 くしている。 放 射 線 審 議 会 で 検 討 し、 線 量 限 度 や 内 部 被 ばくに 関 するメッセージを 発

信 してほしい。

C( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 放 射 性 物 質 に 汚 染 された 土 壌 等 については、ベントナイトや

遮 水 シートを 敷 き 詰 めて、 管 理 処 分 するという 方 策 が 専 門 家 のグループから 提 案 されている。し

かし、 住 民 の 被 ばくを1mSv/ 年 にするのは、 簡 単 なことではない。

C(ONSA・ 大 嶋 氏 ):ネットによる 風 評 被 害 を 取 り 締 まることはできないか 思 う。 非 常 に 問 題 である

と 認 識 している。

C( 勝 村 座 長 ):1 短 期 間 でやるべきことと2 長 期 間 かけてやるべきことを 区 分 して、シナリオを 書

く 人 が 必 要 なのではないかと 思 う。

C( 丹 羽 氏 ):( 福 島 県 内 で「 放 射 線 健 康 リスク 管 理 アドバイザー」として 活 動 した 長 崎 大 医 歯 薬 学

総 合 研 究 科 の) 山 下 教 授 が 現 在 、 格 闘 している。チェルノブイリ 事 故 の 影 響 に 関 しては、 経 済 的 、

心 理 的 影 響 が 大 きかった。チェルノブイリ 事 故 に 関 しては、 学 問 的 研 究 はなされたが、 心 理 的 な

影 響 に 関 しては、 積 み 残 されたままである。 今 後 、それを 検 討 すべきであろう。また、1mSv でな

ぜ 危 ないのかについては、 生 のデータで 証 明 できていないのに、おかしいと 思 う。

Q(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ): 日 本 は、 広 島 ・ 長 崎 に 原 爆 を 落 とされた。60 年 間 、データをきちんと 集

めてきた。それが 福 島 の 事 故 の 際 に 生 かされたのかわからない。ICRP が 何 と 言 おうと、 日 本 は

日 本 にこれだけのデータがあり、 広 島 ・ 長 崎 の 原 爆 被 爆 者 のデータでは、100mSv 以 下 の 被 ばく

で 何 も 起 こっていない、ということをきちんと 主 張 すべき。それができていたら、 福 島 の 原 発 事 故

の 対 応 の 際 に、もっと 冷 静 に 対 応 できたのではないかと 思 う。 広 島 ・ 長 崎 の 原 爆 被 爆 者 の 疫 学

調 査 が、 何 も 生 きていないのではないかと 思 うがいかがか?

放 射 線 影 響 に 関 しては、 保 健 物 理 学 会 の HP では、「100mSv で 0.5%のリスク」、 放 射 線 影 響

学 会 の HP では、「100mSv ではがんは 発 生 しない」と 書 いてある。HP でたまたま 見 た 人 は、この

ような 知 識 を 得 るが、 学 会 からきちんとした 見 解 が 出 ているわけではない。また、 両 方 の HP を 見

た 人 は、どっちなのか 分 からなくなる。テレビでも、 放 医 研 の 専 門 家 と 東 大 の 中 川 先 生 では 低 線

量 の 放 射 線 影 響 に 関 して、 異 なる 見 解 が 述 べられ、 最 後 にテレビ 放 送 の 結 びとして、「 低 線 量 の

影 響 は、 専 門 家 の 間 でも 意 見 が 食 い 違 っている」と 終 わっている。 政 府 もダメ、 専 門 家 もダメ。 誰

を 信 用 してよいのか 分 からないのが 現 状 。

18


K 氏 が、 泣 いて1mSv と 言 うと、 市 民 は 動 揺 する。そこで、 現 地 の 人 は、 自 分 たちで 測 ろうとす

る。どこも 信 用 できないから、「 自 分 たちでやろう」となるが、 素 人 はレベルが 分 からない。

このような 状 況 下 では、 政 府 がきちんと 方 針 を 示 さなければ、この 混 乱 は 収 まらないであろう。

菊 地 先 生 のように、100mSv を 基 準 に、 影 響 のレベルから 説 明 するのは、 私 はとても 分 かり 易 く

てよいと 思 うが、 抵 抗 も 大 きいでしょう。

A( 菊 地 氏 ): 広 島 ・ 長 崎 の 疫 学 調 査 研 究 の 重 要 性 は、 今 、 大 きくなっている。 長 崎 大 の 山 下 教

授 が、 放 射 線 の 専 門 家 として 奮 闘 されているが、100mSv 程 度 であれば、 心 配 ないといったら、

山 下 教 授 の 発 言 に 対 し、「 福 島 県 民 を 殺 したいのか」とバッシングがあり、 福 島 医 大 と 福 島 大 学

が K 氏 一 派 と 組 んで、 県 庁 に 嘆 願 書 を 出 した。 費 用 対 効 果 を 考 えた 場 合 、 結 局 、1mSvにこだわ

って 除 染 をした 場 合 、 結 局 は、 東 京 電 力 が 全 ての 費 用 を 負 担 できないから、 税 金 で 実 施 するこ

となり、それは、また、 子 どもたちが 払 うことなる。 本 当 に 泥 沼 化 している。

C( 理 研 ・ 本 林 氏 ): 放 射 線 影 響 の 理 解 やその 扱 いに 関 しては、 以 前 から 様 々な 問 題 がある。 実

は、 今 がそれらの 課 題 を 解 決 するチャンスなのではないか。 放 射 性 廃 棄 物 の 定 義 や、その 放 射

線 レベルと 管 理 法 に 関 しても、 適 切 な 議 論 ができるとよい。これらの 問 題 に 関 して、 現 在 、 専 門

家 の 意 見 が 異 り、 混 乱 しているならば、それも 見 せながらゆくしかない。 実 際 に 避 難 をするなど、

本 当 に 経 験 をした 人 々は、より 深 く 理 解 するのではないか。

C(WEN・ 浅 田 氏 ):5 月 7 日 に、 栄 養 士 が 主 催 する 放 射 線 に 関 する 勉 強 会 に 講 師 の 一 人 として

参 加 する 機 会 があった。タイムリーなテーマで 140 名 以 上 もの 参 加 があった。 関 心 の 高 まってい

るこの 時 期 を 放 射 線 の 基 礎 について 学 ぶきっかけにするとよいのではないか。3 月 になって 春 休

みに 入 ったこともあり、 医 者 の 家 族 が、 関 西 方 面 に 逃 げているということがうわさになった。お 医

者 さんは、 非 常 に 影 響 力 があるので、きちんと 放 射 線 のことを 勉 強 して、 風 評 被 害 が 起 こらない

ような 行 動 をしてほしいと 思 った。

Q( 原 子 力 学 会 SNW・ 斎 藤 氏 ): 菊 地 先 生 の 主 張 された 100mSv、これを 基 準 にしていくのが 大 事

と 思 う。K 氏 の 主 張 している1mSv により、 変 なムードになっている。 何 としても、 平 常 の 姿 に 持 っ

ていかねばならない。ところで、 子 供 と 成 人 とでは、リスクに 差 があり、 子 供 の 方 が 放 射 線 感 受 性

が 高 く、リスクも 高 いという 点 が、 親 が 学 校 の 校 庭 の 放 射 線 量 を 心 配 する 一 番 の 原 因 と 思 うが、ど

の 程 度 の 差 があるのか?

A( 丹 羽 氏 ):1Gy(1,000mGy)の 被 ばくで、 生 涯 リスクの 相 対 リスクで、2 倍 程 度 。100mGy 程 度 の

被 ばくでは、 小 児 も 大 人 もがんの 過 剰 発 生 を 明 確 に 示 した 疫 学 データは、 見 たことがない。

C(JAPI・ 中 村 氏 ) 大 嶋 氏 :ブラジルの 保 養 地 のガラパリは、 自 然 放 射 線 の 高 い 地 域 として 有 名 で

あるが、 今 、そのガラパリが、 福 島 の 避 難 所 よりも 高 い 放 射 線 量 と 言 われ、 観 光 客 が 来 なくなり、

風 評 被 害 にあっている。

3 第 14 回 会 合

【 講 演 概 要 】

(1)「 最 近 の 量 子 ビーム/ 放 射 線 利 用 研 究 開 発 について-その 動 向 と 成 果 -」

( 独 ) 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 量 子 ビーム 応 用 研 究 部 門 長 南 波 秀 樹 氏

19


資 料 に 基 づき、 南 波 氏 から、 以 下 の 項 目 について 講 演 がなされた。

1 日 本 における 放 射 線 利 用 の 経 済 規 模 : 放 射 線 利 用 総 額 4 兆 1 千 億 円 、 原 子 力 エネルギー

利 用 総 額 4 兆 7 千 億 円 。

2 天 然 放 射 線 源 、 人 工 放 射 線 源

3 原 子 力 政 策 における 量 子 ビームテクノロジーの 位 置 づけ

4 原 子 力 機 構 の 量 子 ビーム 施 設

5 量 子 ビームの 使 い 方 : 観 る( 原 子 ・ 分 子 レベルで 観 察 する)、 創 る( 原 子 ・ 分 子 レベルで 加

工 する)、 治 す(がん 等 を 治 療 する)

6 量 子 ビームの 機 能 :

【 観 る】

・ 中 性 子 で 物 質 の 根 源 を 観 る( 世 界 最 大 の 負 の 熱 膨 張 を 示 す 物 質 で 格 子 歪 を 発 見 : 東 大 、

理 研 との 共 同 研 究 )

・ 放 射 光 で 物 質 の 根 源 を 観 る( 温 めると 縮 む 新 材 料 を 発 見 : 東 工 大 、 京 大 、JASRI との 共 同

研 究 )

・ 中 性 子 で 不 思 議 な 氷 を 観 る( 宇 宙 に 強 誘 電 体 の 氷 が 存 在 することを 世 界 で 初 めて 提 唱 し、

赤 外 吸 収 測 定 実 験 で 強 誘 電 体 の 氷 の 識 別 方 法 を 確 立 し、 氷 に「メモリー」があることを 発

見 : 東 京 大 学 との 共 同 研 究 )

・ ガンマ 線 で 核 物 質 を 観 る(ガンマ 線 ビームを 用 いて 隠 れた 同 位 体 の 位 置 と 形 状 を 測 定 : 産

業 技 術 総 合 研 究 所 、 京 都 大 学 との 共 同 研 究 )

・ ガンマ 線 で 爆 発 物 を 見 つける( 金 属 で 厳 重 に 遮 蔽 された 爆 発 物 の 非 破 壊 測 定 法 を 発 明 :

京 都 大 学 との 共 同 研 究 )

・ 原 子 ・ 分 子 レベルで 観 る( 生 命 活 動 の 中 心 を 担 うタンパク 質 の 構 造 を 観 察 する)

・ 中 性 子 によるタンパク 質 構 造 解 析 ( 全 世 界 の 中 性 子 構 造 解 析 の1/3は、 原 子 力 機 構 で

実 施 (2011.10.24 現 在 ))

・ 中 性 子 でタンパク 質 の 構 造 を 観 る( 中 性 子 による HIV-1 プロテアーゼの 全 原 子 構 造 決 定

に 成 功 : 大 阪 大 学 、 京 都 薬 科 大 学 、㈱ 創 晶 との 共 同 研 究 、セリンプロテアーゼのオキシア

ニオンホールの 観 測 に 成 功 : 大 阪 府 立 大 学 との 共 同 研 究 )

・ 中 性 子 でタンパク 質 に 結 合 した 水 を 観 る(タンパク 質 と 水 和 水 の「 構 造 の 揺 らぎ」を 中 性 子

により 観 測 : 奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 との 共 同 研 究 )

・ イオンビームで 体 の 中 の 元 素 を 観 る( 肺 の 中 にあるアスベストの 種 類 を 細 胞 レベルの 元 素

分 布 画 像 から 特 定 : 群 馬 大 学 との 共 同 研 究 )

・ レーザー 軟 X 線 顕 微 鏡 で 細 胞 を 観 る( 初 めて 見 た 生 きた 細 胞 の 超 微 細 構 造 の 観 察 に 成

功 : 奈 良 女 子 大 学 との 共 同 研 究 )

【 創 る・ 観 る】

・ イオンビームでアイソトープを 創 る・ 陽 電 子 で 物 質 の 移 動 を 観 る( 植 物 ポジトロンイメージン

グ 技 術 により 共 生 的 窒 素 固 定 の 観 測 に 成 功 : 新 潟 大 学 との 共 同 研 究 )

・ 電 子 線 ・ガンマ 線 で 燃 料 電 池 膜 を 創 る・ 中 性 子 で 観 る( 家 庭 用 燃 料 電 池 に 最 適 な 高 耐 久

性 電 解 質 膜 の 開 発 に 成 功 、 重 水 素 を 燃 料 とする 高 効 率 燃 料 電 池 開 発 : 茨 城 大 学 との 共

同 研 究 )

・ 極 端 紫 外 レーザーによる「 超 蛍 光 」を 初 めて 観 測 : 理 研 、 分 子 研 、JASRI との 共 同 研 究

【 創 る】

・ イオンビームで 新 しい 花 を 創 る( 新 しい 色 素 を 持 つ 芳 香 シクラメンをイオンビームで 創 成 :

20


埼 玉 県 農 林 総 合 研 究 センター、 農 業 ・ 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 との 共 同 研 究 )

・ 電 子 線 ・ガンマ 線 で 金 属 吸 収 剤 を 創 る( 草 津 温 泉 から 希 少 金 属 の 回 収 に 成 功 : 日 本 カー

リット㈱、㈱アンザイ、㈱ 群 馬 分 析 センター、 群 馬 県 産 業 支 援 機 構 との 共 同 研 究 、 水 系 反

応 による 高 効 率 の 新 しい 放 射 線 加 工 技 術 を 開 発 : 倉 敷 繊 維 ㈱との 共 同 研 究 、 環 境 負 荷

低 減 、コストダウンに 貢 献 できるイオン 交 換 繊 維 の 実 用 化 に 成 功 : 野 村 マイクロ・サイエン

ス㈱、 倉 敷 繊 維 ㈱との 共 同 研 究 )

【 創 る・ 観 る・ 治 す】

・ イオンビームでアイソトープを 創 る、 陽 電 子 でがんを 見 つける( 小 さながんも 見 逃 さない 新

しい RI 薬 剤 を 開 発 : 群 馬 大 学 との 共 同 研 究 )

【 治 す】

・ イオンビームでがんを 治 療 する

【 創 る・ 治 す】

・ がんを 治 すイオンビームをレーザーで 創 る

・ レーザー 駆 動 粒 子 線 加 速 器 → 小 型 がん 診 断 、 治 療 器 を 実 現 し、 全 国 どこでも 切 らずに 治

せるがん 治 療 を 目 指 す

(2)「 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 推 進 方 策 について」

文 部 科 学 省 研 究 振 興 局 量 子 放 射 線 研 究 推 進 室 長 原 克 彦 氏

資 料 に 基 づき、 原 氏 より 以 下 の 3 点 について 説 明 がなされた。

1 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 についての 科 学 技 術 政 策 上 の 位 置 づけについて

・ 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 科 学 技 術 政 策 上 の 位 置 づけには、 科 学 技 術 基 本 計 画 と 原

子 力 政 策 大 綱 の2つの 側 面 がある。3.11 の 東 日 本 大 震 災 の 影 響 で、 当 初 予 定 より 少 し 遅

れて 第 4 期 科 学 技 術 基 本 計 画 が 策 定 されたが、 原 子 力 政 策 大 綱 における 位 置 づけの 検

討 は 今 後 なされる 予 定 。

・ 科 学 技 術 に 関 しては、 社 会 との 接 点 の 中 で 投 資 した 成 果 が 出 ているかという 点 が 問 われ

る。 基 礎 研 究 は、 目 に 見 える 成 果 のみを 生 むものではないが、 産 業 界 には、 製 品 化 したも

のに 関 する 情 報 を 上 げていただき、 国 がこれまでに 投 資 した 資 金 に 見 合 う 活 用 がなされて

いるという 点 について 訴 えていただきたい。

2 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 推 進 に 関 する 平 成 24 年 度 概 算 要 求 について

以 下 の 項 目 について、 資 料 に 基 づき 説 明 がなされた。

・ 大 強 度 陽 子 線 加 速 器 施 設 (J-PARC)の 整 備 ・ 共 用 :21,689 百 万 円

・ 大 型 放 射 光 施 設 (SPring-8)の 共 用 : 9,206 百 万 円

・ X 線 自 由 電 子 レーザー 施 設 (SACLA)の 整 備 ・ 共 用 : 7,806 百 万 円

・ SACLA 重 点 戦 略 課 題 の 推 進 : 1,300 百 万 円

・ 光 ・ 量 子 科 学 技 術 研 究 拠 点 形 成 に 向 けた 基 盤 技 術 開 発 : 1,355 百 万 円

3 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 今 後 の 推 進 方 策 について

・ 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 推 進 方 策 については、 平 成 18 年 1 月 に、 量 子 ビーム 研 究

開 発 ・ 利 用 推 進 検 討 委 員 会 において「 量 子 ビーム 研 究 開 発 ・ 利 用 の 推 進 方 策 について~

知 のフロンティアを 拓 き、 先 端 産 業 をイノベートする 多 彩 なビーム 利 用 の 可 能 性 ~」がまと

21


められ、 平 成 19 年 6 月 には、 科 学 技 術 ・ 学 術 審 議 会 の 量 子 ビーム 研 究 開 発 作 業 部 会 に

て、「 横 断 的 利 用 の 促 進 と 先 端 的 基 盤 研 究 開 発 の 推 進 」がまとめられた。

・ 上 記 検 討 の 結 果 、 産 業 利 用 を 中 心 とした 一 元 的 な 窓 口 ( 量 子 ビーム 利 用 プラットフォー

ム)の 構 築 が 必 要 との 提 言 がなされた。 量 子 ビームに 限 定 せず 研 究 基 盤 全 体 の 最 大 活 用

を 図 る 観 点 から、 平 成 23 年 4 月 に 研 究 振 興 局 に 基 盤 研 究 課 を 立 ち 上 げるとともに、 科 学

技 術 ・ 学 術 審 議 会 に 先 端 研 究 基 盤 部 会 を、さらには 平 成 23 年 6 月 に 先 端 研 究 基 盤 部 会

にプラットフォーム 委 員 会 を 立 ち 上 げたところ。これまで 個 別 に 整 備 ・ 運 用 されてきた 研 究

基 盤 を 全 体 としてとらえ「 研 究 基 盤 政 策 」を 確 立 し、 量 子 ビームを 含 めた 利 用 推 進 ・ 横 断

的 利 活 用 の 促 進 を 推 進 する 方 策 を 検 討 中 である。 検 討 スケジュールとしては、 平 成 24 年

4 月 頃 に 委 員 会 一 次 報 告 ( 案 )について、 審 議 ・ 決 定 される 予 定 。

【 主 な 質 疑 応 答 】

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ):J-PARC の 補 修 費 用 は、 確 保 できているのか?

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 第 3 次 補 正 予 算 で 対 応 している。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 原 子 力 に 関 しては、 今 後 予 算 確 保 が 厳 しいと 思 うが、 放 射 線

利 用 の 方 はどうか?

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 原 子 力 の 分 野 では、 福 島 の 復 興 のために 全 力 を 尽 くすということがまず 求 め

られている。 量 子 ビームやプラットフォーム 構 想 については、 科 学 技 術 全 般 を 支 える 共 通 基 盤 と

いう 観 点 から 考 えることが 必 要 だと 思 っている。

Q( 東 北 原 懇 ・ 高 倉 氏 ): 福 島 の 復 興 に 力 を 入 れなければならないのは 理 解 できるが、 文 部 科 学

省 から、 国 民 に 対 する 広 報 が 不 足 しているように 感 じるが、その 点 はいかがか?

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 放 射 線 に 関 する 基 本 的 な 知 識 については、 副 読 本 を 作 成 したりして、 文 科 省

としても 広 報 はしている。

Q( 関 原 懇 ・ 西 村 氏 ):イノベーションの 観 点 から、 日 本 の 国 としてどうして 行 くのかという 政 策 をき

ちんと 打 ち 出 してほしい。「ものを 作 る」という 視 点 から 産 業 利 用 ということで、 民 間 任 せにならぬ

ようにしてほしい。テクノロジーの 基 本 的 なところは、 日 本 が 国 としてきちんとやっていくべきという

「 国 」としての 政 策 を 持 つべき。 政 策 の 中 で、「 国 」となっているは、 文 科 省 なのか、 広 く 国 民 なの

か、 主 体 性 がよくわからない。 日 本 の「 国 」として、 責 任 を 持 って 主 体 性 のある 文 章 としてほしい。

放 射 線 利 用 に 関 しても、 外 から 予 算 を 取 ってくるように 言 われている 気 がする。

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 科 学 技 術 基 本 計 画 の 文 章 の 中 の「 国 」は、 勿 論 、 広 く 国 民 を 指 しているので

はなく、「 政 府 」である。また、 基 礎 研 究 や 基 礎 研 究 +αの 部 分 に 関 しては、 国 = 政 府 がやるべ

き、としている。

Q(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ): 本 資 料 や 本 説 明 では、 評 価 の 流 れがよくわからない。 第 3 期 までは、

それぞれの 分 野 別 で 行 われており、 第 4 期 からは 総 合 的 にやるのはわかるが、 今 までに、どんな

成 果 が 生 まれて 何 が 生 まれなかったか、どのような 評 価 がなされて、 第 4 期 がこのような 方 針 に

なったのかが、この 資 料 では 理 解 できない。いつか 説 明 してほしい。

22


A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 勿 論 、 第 4 期 の 方 針 を 決 める 前 には、 第 3 期 の 評 価 を 行 っている。それを 全

て 説 明 するととても 時 間 がかかるので、 本 資 料 には 入 れていないが、 今 後 の 課 題 として、また 機

会 をいただければ、 説 明 をさせていただく。

Q(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ):プラットフォーム 構 想 は 良 いと 思 うが、J-PARC における 産 業 利 用 は、

私 はうまく 行 かないと 思 っている。というのは、J-PARC で 計 測 した 試 料 は 放 射 化 の 関 係 で 持 ち

出 し 管 理 が 非 常 に 厳 しいからである。 原 子 力 機 構 における 放 射 線 規 制 は、 非 常 に 厳 しく、 産 業

利 用 は 進 まないのではないかと 危 惧 している。

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 放 射 線 規 制 に 関 しては、 文 科 省 で 行 っているが、いずれにせよそのような 苦

情 は 現 時 点 で 承 知 しておらず、 現 場 から 意 見 を 聞 きながら 必 要 があれば 対 応 していきたい。

Q(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ): 人 材 育 成 に 関 しては、いくら 人 材 育 成 が 重 要 と 言 っても、 面 白 い 研 究

をやらないと 人 材 は 育 成 できない。 原 子 力 エネルギーに 関 しても、もっと 面 白 いことができる 環

境 を 整 えるべき。 原 子 炉 も、 自 分 達 で 設 計 できるのが 望 ましい。 光 ・ 量 子 ビームの 分 野 に 関 して

も、 本 質 的 に 面 白 い 所 にほうり 込 まないと 人 は 育 たない。

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 光 ・ 量 子 ビームの 分 野 に 関 しても、つまらない 研 究 の 所 に 人 材 が 来 ないこと

は 当 然 のことである。 民 間 企 業 も 含 め、 面 白 い 研 究 をやってもらってその 中 に 若 い 人 に 長 期 間

入 ってもらうことで 分 野 を 支 える 人 材 を 育 てるということをやっていきたい。

C(ラジエ 工 業 ・ 渡 辺 氏 ): 面 白 い 研 究 が 何 かを 見 極 めることが 重 要 である。

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 面 白 い 研 究 を 見 極 めるために、 有 識 者 の 方 々に 審 査 をしていただいている。

Q( 勝 村 座 長 ):プラットフォーム 構 想 に 関 しては、 施 設 に 関 して、 最 先 端 の 施 設 のことのみが 取 り

上 げられている 気 がする。 既 存 の 施 設 や 最 先 端 ではないが、 中 程 度 の 施 設 に 関 しても 目 を 向 け

てほしい。 前 のみを 見 るのではなく、これまでのことも、 少 し 振 り 返 りながら 進 めてほしい。

A( 文 科 省 ・ 原 氏 ): 前 のみを 見 るのではなく、 後 ろも 振 り 返 りながら、 取 り 組 んでいきたい。

C( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 量 子 ビームに 関 してであるが、 放 射 線 教 育 の 中 で 量 子 ビーム

や 加 速 器 について 国 民 に 広 く 理 解 されていない。 研 究 開 発 を 担 う 人 材 育 成 を 目 的 とする 教 育 に

限 定 するだけでよいか。

文 科 省 が 最 近 作 成 した 放 射 線 に 関 する 副 読 本 は 社 会 科 的 な 内 容 が 豊 富 であるが、 基 盤 とな

るべき 理 科 的 な 内 容 に 重 きが 置 かれていない。 放 射 線 教 育 30 年 の 空 白 が 影 響 していると 考 え

られるが、これでは 科 学 技 術 立 国 として 相 応 しくない。 理 科 教 育 を 再 構 築 することが 必 要 と 考 え

る。 理 科 学 習 による 客 観 的 な 認 識 の 上 にリスク 認 知 の 判 断 力 を 育 成 するべきである。 現 在 の 文

科 省 で 作 成 した 副 読 本 に 関 しては、これで 完 成 版 とはせず、 臨 時 措 置 的 なテキストと 考 えてい

ただき、 今 後 、より 良 いものを 完 成 していただきたい。

Q( 勝 村 座 長 ): 南 波 さんに 質 問 。 原 子 力 機 構 さんの 研 究 の 多 くの 部 分 が、 共 同 研 究 のように 見

受 けられるが、その 通 りと 理 解 してよろしいか?

A( 原 子 力 機 構 ・ 南 波 氏 ):コアの 技 術 は、 原 子 力 機 構 で、 製 品 化 する 際 の 繋 がりの 部 分 は、 産

23


業 界 となるので、 共 同 研 究 となっている。というのは、 製 品 化 する 際 には、やはり、その 製 品 のこ

とに 関 しては、 産 業 界 の 方 が 多 くの 知 識 がある。そこまでの 人 材 を 原 子 力 機 構 で 全 て 抱 えるとな

ると、 膨 大 な 人 材 を 抱 えることとなり、 現 実 的 でない。

Q(ONSA・ 大 嶋 氏 ): 原 子 力 機 構 との 共 同 研 究 をされている 企 業 に、シンポジウム 等 で 講 演 を 依

頼 するが、 断 られるケースが 多 いが、 何 故 か?

A( 原 子 力 機 構 ・ 南 波 氏 ): 産 業 界 にとって、 放 射 線 の 利 用 は、 他 の 多 くの 技 術 のうちの1つでし

かない。ラジアル・タイヤを 例 にとってみても 分 かるように、 放 射 線 のみが 利 用 されてタイヤがで

きているわけではない。また、 一 般 の 企 業 や 国 民 からすれば、 何 を 使 ってものが 作 られていよう

が、 関 係 ない。 我 々の 技 術 は、 他 の 多 くの 技 術 の 中 で 評 価 されて、 放 射 線 による 加 工 が 最 も 良

いとされた 場 合 に、 採 用 されているだけである。 我 々や ONSA さんからの 見 方 と、その 他 の 産 業

界 や 国 民 からの 見 方 には、 大 きなギャップがあると 思 う。

4 第 15 回 会 合

【 講 演 概 要 】

「 福 島 ステークホルダー 調 整 協 議 会 、AFTC の 活 動 と 福 島 からの 思 い」

福 島 ステークホルダー 調 整 協 議 会 事 務 局 長

たむらと 子 どもたちの 未 来 を 考 える 会 (AFTC) 副 代 表 半 谷 輝 己 氏

講 演 のポイント:

1 「マスコミ」に 関 することでは、 原 子 力 関 係 者 もマスコミと 対 立 するのではなく、マスコミの 人

と 共 に、 福 島 の 復 旧 ・ 復 興 のために 協 力 してほしいと 思 っている。マスコミは 弱 者 側 の 立 場

から 情 報 発 信 していて、 被 害 感 情 の 回 復 の 役 割 を 果 たしている。 私 からは、「がんばろう 福

島 」から、「SAVE 福 島 」、 福 島 を 守 ろう、ということを 訴 えたい。

2 住 民 は、「 官 僚 」に 対 して 不 平 ・ 不 満 をものすごい 勢 いでぶつける。 自 治 体 の 職 員 の 方 々

は、 自 分 の 家 族 の 面 倒 も 見 られずに、 仕 事 に 追 われ、 疲 弊 しきっている。これを 救 わなけ

ればならない。

3 福 島 では、「ボランティア」が 活 躍 できていない。ボランティアは、 福 島 の 人 たちの 役 に 立 ち、

友 達 になりたいと 思 って 来 ているが、 受 け 入 れ 側 では、それが 分 かっておらず、 面 倒 なボラ

ンティアの 受 け 入 れを 拒 んでいる。 福 島 が、「 融 和 と 調 和 」、「ボランティアの 活 躍 」により、

勝 利 の 道 を 辿 ることを 望 む。

4 「お 母 さん」たちとのリスク・コミュニケーションにおける 注 意 事 項 として、 自 分 の 言 いたいこと、

知 っていることは 言 わないで、 言 ってもらいたい 事 を 言 う 様 にしている。つまり 被 災 者 のみ

なさんの 気 持 ちを 代 弁 することが 大 事 である。 福 島 の 人 たちにとって、 原 発 事 故 によって 出

てきた 放 射 線 は、 夫 でも 恋 人 でもない 他 人 からのタバコの 煙 と 同 じ。ゼロにしたいのは 当 然 。

これを 分 かった 上 で 話 をしないと 受 け 入 れられない。

5 「 放 射 線 の 話 」をする 際 に、 放 射 線 の 専 門 家 は、 放 射 線 の 話 ばかりしてつまらない。 住 民 は、

日 常 生 活 の 中 で 放 射 線 とどう 付 き 合 っていけばよいのかを 知 りたいのであって、 放 射 線 に

24


ついて 知 りたいわけではない。そして、ほとんどの 人 は、「 単 位 」が 嫌 いなので、できるだけ

余 計 な 情 報 は 削 って、 数 字 も 出 さないで 説 明 する。 映 像 で 視 覚 に 訴 えることも 効 果 的 。

主 な 講 演 内 容 :

・ NHKが 報 道 したNHK 追 跡 ! 真 相 ファイル「 低 線 量 被 ばく 揺 れる 国 際 基 準 」についての

毎 日 新 聞 の 小 島 さんが 主 催 した 勉 強 会 において、 原 子 力 関 係 者 が「NHKに 謝 罪 させる

方 法 をレクチャーして 欲 しい」と 相 談 した。その 件 について、 参 加 者 から「NHKは、 今 まで

謝 ったことがない。そんなところに「 謝 れっ!」というあなたたちが 間 違 っている。」という 意

見 が 出 された。 私 からは「 原 子 力 関 係 者 は、マスコミと 対 立 するのではなく、マスコミの 人

たちと 一 緒 に 福 島 の 復 旧 ・ 復 興 のために 協 力 してほしい」と 言 った。その 一 件 もあり、 朝

日 新 聞 からは、 日 本 記 者 クラブで 講 演 を 依 頼 された。

・ 伊 達 市 では、リスク・コミュニケーションのアドバイザーをしている。 私 が 講 師 をするリスク・

コミュニケーションを、 職 員 対 象 と 市 民 集 会 あわせて、200 回 開 催 する 予 定 である。 今 後 、

福 島 市 、 南 相 馬 市 、 飯 舘 村 でも 実 施 する 方 向 で 模 索 している。

・ 南 相 馬 市 では、 市 の 職 員 が150 人 も 辞 めた。 南 相 馬 市 は、1 年 1ヶ 月 経 っても、 地 震 と 津

波 の 影 響 を 受 けたまま。 車 もひっくり 返 ったままで 放 置 されている。「 市 の 職 員 がいないと

いうことは、こういうことか」と 思 った。 住 民 は、 自 分 たちの 生 活 に 対 する 不 安 や 不 満 を 市

の 職 員 に 激 しくぶつける。 不 満 のはけ 口 になっている 市 の 職 員 を 救 わなければならな

い。

・ 南 相 馬 市 での 除 染 を 東 大 の 児 玉 龍 彦 先 生 が 実 施 した。 放 射 線 量 は 下 がらなかったが、

住 民 の 方 々は、「こんな 偉 い 先 生 が、 我 々 住 民 と 一 緒 になって、 汗 をかいて、 除 染 をして

くれた。 本 当 に 有 難 い。」と 言 って 感 謝 していた。このよう 場 合 、 除 染 によって、 放 射 線 量

は 下 がらなかったが、 住 民 は 不 満 に 思 うのではなく、 感 謝 している。その 活 動 により、 放

射 線 量 が 下 がった 下 がらないの 問 題 ではなく、 意 義 のある 活 動 であったと 言 えるであろ

う。

・ 賠 償 金 の 問 題 もある。 伊 達 市 の 例 では、ある 家 (Aさん 宅 )では、きれいに 除 染 をして

10mSv/ 年 まで 下 げた。しかし、その 隣 の 家 (Bさん 宅 )は、 除 染 をしなかったので、

30mSv/ 年 である。そうすると、Bさん 宅 では、10 万 円 / 人 の 賠 償 金 が 出 るが、Aさん 宅 で

は、 賠 償 金 が 出 ないため、Aさんは、 怒 っている。 伊 達 市 も、「 内 閣 府 が 決 めたことだか

ら・・・」と 対 応 に 困 っている。このような 努 力 が 報 われない 課 題 が 出 てきている。

・ リスク・コミュニケーションにおける 注 意 事 項 としては、 自 分 の 言 いたいことは 言 わない、

自 分 の 知 識 を 出 さないことが 重 要 。 福 島 県 民 は、しゃべらない。ただ、 待 っているだけ。

よって、 彼 らの 意 見 を 代 弁 して、「こうですよね?」と 言 ってあげることが 大 事 。

・ SPEEDIの 問 題 に 対 して 福 島 県 民 は 激 しい 怒 りを 感 じているが、それ 以 上 に、 原 発 が 爆

発 した 時 に( 原 子 力 安 全 ・) 保 安 院 が、 郡 山 市 に 逃 げたことにも、 激 しいショックと 共 に 怒

りを 感 じている。しかし、あの 状 況 下 で、 文 科 省 は、( 放 射 線 測 定 のために) 原 発 に 向 か

って 突 っ 込 んでいった。あの 文 科 省 の 姿 勢 は、すごいと 思 った。( 原 子 力 安 全 ・) 保 安 院

と 文 科 省 の 対 照 的 なスタンスの 違 いを 感 じた。

・ 私 は、 幼 少 期 を 原 発 から3kmのところで 過 ごした。 午 後 5 時 になるとテレビで 原 発 の 安 全

性 を 説 明 する 放 送 が 流 れ、 放 射 線 について 学 習 する 機 会 もあったので、 放 射 線 に 関 す

る 基 礎 的 な 知 識 はあった。アルファ 線 や、ベータ 線 、ガンマ 線 は 障 害 物 があれば 止 まる

が、 中 性 子 線 は、いろんなものを 突 き 抜 けることを 知 っていたので、 今 回 の 原 発 事 故 の

際 に 中 性 子 線 のことが 気 になった。 自 分 の 家 族 の 体 調 が 優 れなかったりすると、 中 性 子

25


線 の 影 響 じゃないかと 心 配 したが、それを 専 門 家 に 言 ったら、「そんなに 中 性 子 線 が 出

ていたら、 原 発 の 周 りの 松 林 が 全 部 赤 茶 けているはずだよ」と 言 われた。 国 や 東 電 は、

嘘 をつくかもしれないが、「 松 林 は 嘘 をつかない」と 思 って 安 心 した。

・ 私 は、 原 発 事 故 後 の 早 い 時 期 に 放 医 研 に 行 って、 汚 染 検 査 をしてもらった。 特 に 心 配

するような 汚 染 はなく 安 心 した。このような 自 身 のデータを 提 示 しながら、 市 民 の 皆 さんに

説 明 すると 安 心 していただける。

・ お 母 さんたちは、こどもへの 放 射 線 の 影 響 を 非 常 に 心 配 している。「 人 体 からも 放 射 線 が

出 ているのですよ(1.9μSv/ 日 )」と 言 うと、( 赤 ちゃんの 被 ばくを 気 にして) 抱 っこして

いた 赤 ちゃんを 咄 嗟 に 離 して、 下 に 置 いたお 母 さんもいたが、 赤 ちゃんからも 放 射 線 が

出 ているという 私 の 話 を 聴 いて、 安 心 してまた、 抱 っこして 帰 っていった。

・ お 母 さんたちが 最 もナーバスになる 時 期 は、やはり 妊 娠 中 であり、 胎 児 への 放 射 線 影 響

についても、 非 常 に 心 配 している。 胎 児 の 身 体 は、アポトーシスの 機 能 が 高 く、 自 分 で 自

分 の 細 胞 を 修 復 する 能 力 に 優 れていることを 説 明 すると、とても 安 心 する。 子 どものこと

を 心 配 しているお 母 さん 方 の 心 の 除 染 が 必 要 である。

・ 私 のリスク・コミュニケーションは、 専 門 家 から 言 わせると、「リスク・コミュニケーションでは

ない。リスク・コミュニケーションとは、データを 示 して 説 明 し、リスクを 理 解 してもらって 行

うもの」と 言 われるが、 私 は、データや 数 字 を 提 示 して 説 明 するのではなく、 文 化 的 な 方

法 で 安 心 してもらえるような 説 明 を 行 っている。 非 科 学 的 と 批 判 されることもあるが、この

方 法 で 安 心 してくださる 方 も 多 い。 学 会 等 では、 詳 細 なデータを 示 して、 説 明 すべきであ

るが、 住 民 の 方 への 説 明 は、 極 力 、 単 位 や 数 字 、 難 しい 言 葉 を 使 わずに 説 明 するほうが

良 いと 思 っている。

・ 先 日 、「 半 谷 さんは、この( 福 島 事 故 後 の 福 島 の 復 旧 ・ 復 興 のための) 活 動 をするために

生 まれてきたような 方 ね」と 言 われた。 私 の 活 動 について、 批 判 をする 人 もいると 思 うが、

私 は、 様 々な 分 野 の 方 々との 繋 がり、「 融 和 と 調 和 」を 大 事 にして、 今 後 も 福 島 の 復 旧 と

復 興 に 尽 力 していきたい。

【 主 な 質 疑 応 答 】

Q( 原 文 振 ・ 桑 原 氏 ):1 川 内 村 で 放 射 線 の 勉 強 会 等 を 実 施 しているが、 福 島 の 人 が 自 分 から

話 をしないという 印 象 はない。 結 構 、 勉 強 されていて、ベクレルからシーベルトへの 換 算 につい

て 聞 かれたりする。 福 島 の 人 が 自 分 から 話 をしないというのは、 一 概 に 言 えないのではない

か?2 厚 労 省 とは、どの 程 度 繋 がりがあるのか?3 除 染 活 動 についてどのように 考 えている

か?

A( 半 谷 氏 ):1 川 内 村 の 人 が 自 分 から 話 をしたのは、 川 内 村 の 放 射 線 量 が 低 いからであろう。

放 射 線 量 が 低 いところでは、 結 構 、 放 射 線 について 自 分 から 質 問 したりする 人 も 多 い。2 厚 労

省 とは、 歯 牙 のスクリーニングの 件 についての 支 援 等 を 一 緒 に 行 っている。3 除 染 活 動 につ

いては、やはり、 除 染 しないと 住 めないところもあるので、 放 射 線 量 の 高 いところは 除 染 してあ

げないといけないと 思 う。また、 福 島 の 住 民 の 中 に 入 っていく 場 合 は、 保 健 師 さんなどが 入 って

いかないとダメ。 行 政 が 行 くと、いじめられて 帰 ってくるので、 他 の 地 域 の 方 が 支 援 する 場 合 も、

保 健 師 さんと 一 緒 に 活 動 すると 良 いと 思 う。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 理 科 人 間 の 者 には、 大 変 刺 激 的 な 講 演 内 容 であった。 半 谷

さんのように、 綾 小 路 きみまろを 髣 髴 させるような 面 白 いトークによるコミュニケーションは 真 似

できるものではないが、その 上 に 立 ってわれわれのような 普 通 の 理 科 人 間 にも 役 立 つようなア

26


ドバイスを 半 谷 さんのNPO 法 人 (たむらと 子 どもたちの 未 来 を 考 える 会 )のホームページで 公 開

していただけると 有 難 い。

A( 半 谷 氏 ): 福 島 県 庁 除 染 対 策 課 では、 環 境 省 の 除 染 対 策 課 を 利 用 して、 私 のコピーを 作 ろ

うとしている。 厚 労 省 でもそのような 動 きがあった 様 だが、まだはっきりしない。 私 の 活 動 をマニ

ュアル 化 できるかは 分 からないが、マニュアル 化 や 分 析 をしていく 考 えはある。まず 大 切 なこと

は、 福 島 の 方 々に 対 して 善 意 を 持 って 接 する。また、 自 分 の 分 かっていることを 言 わないことが

重 要 。 余 計 な 情 報 を 省 き、やさしい 言 葉 で、ビジュアルも 入 れて 提 示 すると 良 い。 勿 論 、 私 1 人

で 福 島 を 救 えるわけではないので、このような 活 動 を 広 めるためにも、NPO 法 人 (たむらと 子 ど

もたちの 未 来 を 考 える 会 )のホームページに 何 か 公 開 できるスキルがあれば、 公 開 していきた

い。

C( 日 本 原 燃 ・ 田 邊 氏 ): 私 も、 青 森 県 を 中 心 に 住 民 の 方 々への 放 射 線 に 関 する 勉 強 会 を 開 催

し、 多 くの 方 々に 話 をしてきた。 放 射 線 の 専 門 家 は、 放 射 線 の 分 野 だけの 話 をしようとするが、

それでは、 住 民 の 方 々の 心 には、 響 かない。 一 般 の 方 々は、 放 射 線 のことだけではなく、 日 常

生 活 の 全 てのことや、 全 てのリスクについて 関 心 があり、 放 射 線 というのは、それら 多 くの 中 の1

つに 過 ぎない。お 母 さん 方 の 立 場 に 立 って、お 母 さんたちは、 何 に 興 味 があり、 何 を 考 えてい

るのかをよく 考 えて、 話 しかけることによって、 納 得 というか、 同 じ 土 俵 に 立 って 話 ができるのだ

と 思 う。

C( 半 谷 氏 ): 私 は、 塾 の 講 師 をしているが、 塾 の 講 師 というのは、 学 校 の 先 生 と 違 って、 必 ず、

生 徒 の 成 績 を 上 げなければならない。 学 校 の 先 生 は、 父 兄 を 呼 びつけて「この 子 が、こんなこ

とをして 困 ります」と 言 えるが、 塾 の 講 師 は 言 えない。 親 に 言 えないような 生 徒 の 様 々な 悩 みも、

なんとか 解 決 しなければならず、 多 くの 問 題 を 解 決 してきた。そのような 経 験 が、 今 の 私 の 活 動

に 生 かされていると 思 う。また、 地 域 にはその 地 域 の 風 習 や 慣 習 がある。それらを 理 解 しない

で 活 動 すると、 大 変 な 誤 解 を 招 くことにもなりかねない。 福 島 で 活 動 する 場 合 に 気 をつけたほう

が 良 いことや、 様 々な 福 島 における 慣 習 等 についてのアドバイスもできると 思 う。ちなみに、 福

島 に 女 性 が 入 ってくる 場 合 は、スカートと 口 紅 はダメ。 髪 の 毛 もあまり 手 をかけていないような

感 じの 方 が 良 い。

Q( 関 原 懇 ・ 西 村 氏 ): 福 島 のことを 思 って、いかに 生 活 感 のある 説 明 をするかというのは、 簡 単

にマニュアル 化 できるものではないと 感 じている。 昨 年 の6 月 に 伊 達 市 霊 山 町 に 入 って 線 量 測

定 をしていた 時 に、 住 民 の 方 は、その 線 量 測 定 の 様 子 を 興 味 深 く 見 ていた。そして、 話 しかけ

てきたので、 短 い 時 間 ではあったが、 測 定 について 話 をしたりした。 住 民 の 方 は、たぶん、その

ような 測 定 をしている 姿 や、 誠 実 に 対 応 してくれるか 等 の 姿 勢 を 見 ているのではないかと 思 っ

た。 関 西 では、 福 島 のために、 瓦 礫 の 受 け 入 れ 等 では 協 力 ができると 思 うが、その 他 に 何 かで

きることはあるか?

A( 半 谷 氏 ): 私 は、このように 福 島 や 他 の 地 域 でも 勉 強 会 を 開 いて 話 をしているが、 私 が 話 を

するのが 適 さない 方 々もいらっしゃる。 私 は、 女 性 には 受 けがいいが、 男 性 には、 受 けがあまり

良 くない。 男 性 は、 組 織 を 重 視 するので、「 塾 の 講 師 が 何 を 言 っている!」という 感 情 を 持 つこ

とがある。 男 性 の 住 民 の 方 々には、 皆 さんのような 放 射 線 の 専 門 家 から 説 明 されるほうが 良 い

と 思 う。また、 余 談 ではあるが、 今 回 の 原 発 事 故 に 対 する 役 所 の 対 応 を 見 ていて、 面 白 いと 思

った。 文 科 省 は 父 性 的 な 考 えを 持 っており、 転 んだ 子 が 泣 いていたら、「 何 、いつまでも 泣 いて

27


いるんだっ!」と 怒 鳴 るような 印 象 。それに 対 して、 厚 労 省 は、「どうした?」と 言 って、 痛 いとこ

ろを 擦 ってあげるような 組 織 であるという 印 象 を 持 った。

Q(JAPI・ 中 村 氏 ): 大 変 、 刺 激 的 な 講 演 をしていただき、 感 謝 している。 今 まで、 世 界 中 の 自 然

放 射 線 の 高 い 地 域 のデータに 基 づいて、 放 射 線 の 話 をしてきた。 半 谷 先 生 の 講 演 を 聞 いて、

それだけではいけないと 思 いつつも、 我 々にはこれしかない。 何 か、アドバイスはあるか?

A( 半 谷 氏 ): 先 ほどお 話 した 通 り、 男 性 への 説 明 には、そのようなデータを 基 に 話 すほうがよい

のではないかと 思 う。また、 自 治 体 の 職 員 の 方 々への 勉 強 会 の 際 には、 様 々なデータが 必 要

なので、そのような 際 には、 皆 様 のご 協 力 をいただきたい。

C( 都 産 技 研 ・ 武 藤 氏 ): 福 島 の 方 が、 子 どもへの 放 射 線 教 育 に 文 科 省 が 作 った 放 射 線 の 副 読

本 を 用 いたことに 怒 っている、ということを 聞 いた。 私 は、なぜ 怒 っているのか、それでは、どこ

が 作 った 副 読 本 なら 良 いのか?と 怒 っている 理 由 が 理 解 できなかった。しかし、どうやら、 放 射

線 が 安 全 だというようなことが 書 いてあるので、 怒 っているようであった。

A( 半 谷 氏 ):お 母 さんたちにとっては、「 放 射 線 は 危 険 だ」と 言 ってくれる 人 が 味 方 なので、 低

線 量 であっても、 放 射 線 が 安 全 と 言 った 途 端 に、 話 を 聴 いてくれなくなる。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 文 科 省 の 副 読 本 に 関 しては、どのようにお 考 えか?

A( 半 谷 氏 ): 小 学 校 の 先 生 には、 難 しすぎる 内 容 だと 思 う。

Q(WEN・ 浅 田 氏 ): 私 の 孫 が、 綾 小 路 きみまろの 大 ファンである。 半 谷 さんと 同 様 、 綾 小 路 きみ

まろも 弱 者 の 心 をうまく 掴 んでいるところが、 小 学 校 5 年 生 の 孫 にも 受 けているところだと 思 う。

WENでは、「くらしと 放 射 線 」ということで、くらしに 役 立 っている 放 射 線 のことを 紹 介 しながら、

放 射 線 に 対 する 理 解 を 深 めていただくような 活 動 をしている。3.11 以 降 、( 放 射 線 に 関 する) 情

報 が 洪 水 のように 氾 濫 している。 洪 水 のように 氾 濫 しているデータを 整 理 して、セレクトして、

「 安 全 、 安 心 、 大 丈 夫 」という 言 葉 は 使 わずに、 一 般 市 民 の 方 々とお 話 をしていきたいと 思 って

いる。WENでは、 今 まで、 福 島 のことは 専 門 家 や 地 元 の 方 にお 任 せし、 福 島 から 離 れた 地 域

での 活 動 をしてきた。 食 生 活 に 関 しては、バランスよく 食 べていくことが 必 要 と 思 う。 今 後 は、 少

し 踏 み 込 んで、 福 島 の 方 々とも 交 流 をしていきたいと 思 っている。

C( 半 谷 氏 ):バランスの 取 れた 食 事 をし、「 今 まで 通 りの 生 活 をしていていいんだ」と 納 得 しても

らうことが 重 要 と 思 う。よく 専 門 家 の 方 は、さんざん 放 射 線 のことを 説 明 した 後 に、「 決 めるのは、

皆 さんです」と 言 う。そうすると、 聞 いている 人 は 引 いてしまうので、 私 はよく、「( 何 かあったら)

責 任 を 取 ってくれるのか!」と 詰 め 寄 られることがあるが、「 責 任 は 取 ります!」と 言 い 切 ってい

る( 笑 )。

C(ONSA・ 大 嶋 氏 ): 大 阪 府 では、 瓦 礫 の 受 け 入 れ 基 準 として、100ベクレル/kgという 基 準 を

作 った。しかし、 住 民 は 受 け 入 れに 反 対 した。そこで、 私 は「 人 は、だいたい110ベクレル/kg

の 放 射 能 を 持 っている。あなたたちが 死 んだときに、 火 葬 場 で、「「 放 射 能 が( 基 準 を 超 えた110

ベクレル)あるので 受 け 入 れられません!」と 言 われたらどうしますか?」と 言 った。 数 字 を 使 わ

ないで 説 明 する 方 が 良 いというが、ある 程 度 は、 数 字 を 使 わないと 納 得 してもらえないと 思 う。

28


C( 半 谷 氏 ): 田 村 市 小 野 町 での 最 終 処 分 場 の8,000Bq/kg 以 下 の 産 業 廃 棄 物 の 受 け 入 れに

関 する 反 対 運 動 に 対 しても、 解 決 に 向 けた 活 動 をしている。 反 対 運 動 をしている 市 議 会 議 員

にも 話 を 聞 いたが、「( 自 分 も 反 対 運 動 をしていて)さもしい、 心 がすさんでいく」と 言 っていた。

「しかし、 反 対 と 言 わないと、 次 期 当 選 は 無 理 」とこぼしていた。 瓦 礫 の 問 題 は、 日 本 人 全 体 の

問 題 。 一 政 治 家 に 解 決 できる 問 題 ではない。 私 は、 住 民 、 政 治 家 、 自 治 体 、 産 廃 業 者 で 勉 強

会 や 議 論 をし、 国 民 に 対 して 何 が 出 来 て 何 が 出 来 ないかを 明 確 にして 共 同 声 明 を 出 してはど

うかと 提 案 している。このような 共 同 声 明 という 形 は、 初 めての 試 みではないかと 思 う。

C( 勝 村 座 長 ): 住 民 の 半 分 は 女 性 であるので、 女 性 に 理 解 していただくことは 重 要 と 思 う。 男

性 は、 組 織 の 論 理 が 優 先 するし、ロジカルな 面 もある。 地 方 の 自 治 体 の 職 員 が 疲 弊 していて、

疲 れが 出 ているということも、 非 常 に 大 きな 問 題 。このあたりで、スイッチのモードを 入 れ 換 える

必 要 があるように 思 う。 国 を 介 してのアプローチはあまりうまく 行 っていないようにも 見 受 けられ

る。 放 射 線 の 副 読 本 も、 学 者 のみで 議 論 するのは 良 くない。 女 性 にも 参 画 してもらったほうが

良 い。 副 読 本 を 使 う 側 の 人 がチェックしてくれるとよいと 思 う。

C( 半 谷 氏 ): 学 生 への 授 業 で 最 も 盛 り 上 がらないのが、「 単 位 」の 授 業 。 人 は、「 単 位 」が 嫌 い

である。よって、 私 の 放 射 線 の 講 演 では、「 単 位 」の 話 は 一 切 しない。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 今 後 の 福 島 がどのようになっていったらよいと 思 っている

か?

A( 半 谷 氏 ): 今 後 は、「 帰 りたい 人 は、 帰 ろう!」というメッセージを 出 していきたい。 昨 年 の11

月 に 私 の 母 が 原 発 から3kmの 双 葉 町 から、 田 村 市 や 新 潟 市 、 役 場 が 移 転 した 埼 玉 県 と 移 り 住

み、42kgあった 体 重 が 半 分 以 下 の20kgに 減 り、 病 院 で 衰 弱 して 亡 くなった。 無 理 な 避 難 による

ダメージはとても 大 きいと 感 じている。その 時 に、 自 分 が 何 もできなかったという 悔 しい 思 いもあ

り、 今 、このような 活 動 をしている。 今 も、 新 潟 や 米 沢 にまで 避 難 している 人 がたくさんいる。 早

く、 避 難 先 から 福 島 に 戻 ってきてほしいと 思 っている。

5 第 16 回 会 合

【 講 演 概 要 】

(1) 中 学 校 理 科 における 放 射 線 ・エネルギー 環 境 教 育 について

全 国 中 学 校 理 科 教 育 研 究 会 会 長

練 馬 区 立 開 進 第 一 中 学 校 校 長 高 畠 勇 二 氏

・ 全 国 中 学 校 理 科 教 育 研 究 会 ( 全 中 理 )の 所 属 教 員 は、12,000 人 であるが、 実 質 的 に 活

動 している 教 員 は、その 1 割 の 1,000 人 強 程 度 。 東 京 に 研 究 会 の 事 務 局 があり、 全 中 理

の 会 長 と 繋 がっているのは、 都 道 府 県 の 研 究 会 の 会 長 までで、 各 会 員 である 教 員 まで

には 繋 がっていない。それぞれの 理 科 教 員 が 属 しているのは、 各 都 道 府 県 それぞれの

理 科 教 育 研 究 会 である。

・ ( 全 中 理 の) 目 的 は、 理 科 教 育 全 般 を 活 性 化 していくことであり、 予 算 確 保 や 教 材 整 備

の 呼 びかけをする 組 織 で、 実 行 部 隊 ではない。

29


・ 私 自 身 は 放 射 線 に 関 して、10 年 ほど 前 から 興 味 を 持 つこととなった。 以 前 は 放 射 線 とい

うより、 周 波 数 変 動 の 非 常 に 少 ない 日 本 の 電 力 の 質 の 高 さに 関 心 を 持 っていた。

・ 日 本 では、 安 全 と 電 気 と 水 は、あって 当 たり 前 という 認 識 を 国 民 は 持 っていた。 発 電 のベ

ストミックスから、 原 子 力 発 電 や 放 射 線 に 関 心 を 持 つようになった。

・ 東 京 都 の 都 庁 では、 放 射 線 量 の 測 定 がなされているが、これは、 何 を 目 的 としているの

か 疑 問 に 思 っている。 学 校 で 保 護 者 にこの 都 庁 で 測 定 されている 放 射 線 量 の 値 を 示 す

と、「0じゃない」「 数 字 が 出 る」ということに、「おーっ!」という 声 が 上 がる。 今 も、 放 射 線

量 について、 報 道 がなされているが、リアルな 数 値 として 見 られていないであろうし、 数

値 の 意 味 は、 理 解 はされていないと 思 う。

・ 理 科 教 育 については、 文 科 省 は 本 気 でやろうとしている。

・ 全 中 理 では、 放 射 線 教 育 の 特 別 委 員 会 を 発 足 させた。エネルギー 学 習 と 共 に、 放 射 線

についても 組 織 として 活 動 していきたいと 思 い、 全 国 の 指 導 者 にあたる 人 を 育 成 したい。

・ 学 習 指 導 要 領 は、 教 育 のバイブルであり、これに 書 いてあることを 教 える、 逆 に、これに

書 いていないことは 教 科 書 には 記 載 できないことになっている。

・ 理 科 教 育 に 関 しては、 平 成 20 年 改 訂 で、 理 科 で 培 う 資 質 ・ 能 力 の 中 に、 実 社 会 で 生 き

る 資 質 ・ 能 力 、 意 思 決 定 力 ( 判 断 力 )が 入 って、よかった。

・ 放 射 線 については、30 年 ぶりに 学 習 指 導 要 領 に「 放 射 線 の 性 質 と 利 用 にも 触 れること」

と 記 述 が 入 った。しかし、これは 授 業 で「 放 射 線 は( 環 境 中 に)あるんだよ」と 言 えば 最 低

限 よしとされる。しかし、 学 習 指 導 要 領 に 記 述 されなければ、 教 えられないので、30 年 ぶ

りに 記 述 されたことは 重 要 な 点 である。

・ 教 員 に 対 する 放 射 線 の 研 修 が 必 要 と 思 っていたところで、 福 島 第 1 原 発 事 故 が 起 きてし

まった。 学 校 で 教 えられるのは、 中 学 3 年 の 2 月 の 時 期 に 6 時 間 程 度 。 中 3の 2 月 とい

えば、 受 験 の 時 期 。その 時 期 に 新 しいことを 教 えても、なかなか 子 どもたちには 響 かな

い。

・ 福 島 原 発 を 事 故 以 前 に 見 に 行 った。 事 業 者 側 は、「( 原 発 は) 安 全 です! 有 効 です!」

と 言 ったが、 自 分 はあまり 安 全 を 強 調 されると、 逆 に「 本 当 に、 安 全 なのか?」と 疑 心 暗

鬼 になった。しかし、 原 発 に 関 しては、 逆 バイアスがかかった 報 道 が 多 くなされている 状

況 の 中 で、 安 全 と 言 わざるを 得 ない 状 況 ということも 理 解 していた。

・ 放 射 線 の 教 育 に 関 しては、1 存 在 ( 放 射 線 は 自 然 界 に 存 在 している)、2 透 過 性 、3

( 放 射 線 が 様 々な 分 野 で) 利 用 されている、という 程 度 でよいと 思 っていた。はかるくんで

放 射 線 を 測 定 し、 霧 箱 実 験 をし、 放 射 線 の 遮 蔽 実 験 をすればよいと。しかし、3.11の 東

日 本 大 震 災 により、 福 島 原 発 事 故 が 起 き、 事 故 前 のこの 認 識 は 一 変 した。 事 故 後 に、

「 何 故 、 避 難 しなければならないのか」「 何 故 、 窓 を 閉 めなければならないのか」ということ

を 国 民 は 理 解 していなかった。( 放 射 線 から) 自 分 の 身 を 守 るための 知 識 を 身 につけるこ

とも 必 要 と 思 った。

・ 放 射 線 (から 身 を 守 るため)の 知 識 が 人 々に 足 りなかったため、 避 難 する 人 たちは 科 学

的 根 拠 に 基 づく 判 断 、 行 動 がとれなかった。

・ 原 発 事 故 に 関 しては、 犯 人 探 しをするのではなく、きちんと 調 査 し、 事 実 を 伝 えるべき。

・ 原 発 に 対 する 批 判 は、 今 までは、イメージでなされていたところもあったかと 思 うが、 今 は、

現 実 味 を 帯 びている。 更 に、 科 学 者 や 科 学 技 術 に 対 する 不 信 も 高 まっている。

・ 昨 年 の 電 力 不 足 は、 非 常 に 堪 えた。ただそれも、 喉 もと 過 ぎたら 忘 れてしまった。 昨 年 は、

省 エネのために、 学 校 を 閉 鎖 したりしたが、 今 年 はそのようなことはしていない。 電 力 不

30


足 という 意 識 は 薄 れていった。

・ 保 護 者 のお 母 さん 方 からは 批 判 されるが、 家 庭 の 電 気 が 止 まったところで 重 大 な 影 響 は

ないと 思 うが、 経 済 活 動 において、 電 気 が 止 まるということは、とても 大 変 なこと。

・ 特 に、 放 射 線 の 健 康 影 響 に 関 しては、 正 しい 情 報 が 伝 わらないし、 風 評 被 害 も 出 ている。

東 京 都 は 瓦 礫 を 受 け 入 れたが、 瓦 礫 の 受 け 入 れを 拒 む 自 治 体 も 多 い。

・ 福 島 をチェルノブイリにしてはいけない! 日 本 全 体 で 福 島 の、 東 北 の 痛 みを 分 け 合 うべ

き。

・ 原 発 事 故 後 の 教 育 においては、 授 業 実 践 で 除 染 授 業 を 行 った。 放 射 線 について 半 減

期 はこうとか、 放 射 線 の 性 質 を 教 えることにより、 授 業 前 と 比 べて、 生 徒 がむやみに 怖 い

ということが 少 なくなり、 授 業 の 成 果 があったと 考 えている。

・ 放 射 線 教 育 に 関 しては、チェルノブイリ 事 故 から 得 られた 教 訓 を 生 かすべき。チェルノブ

イリ 事 故 後 、 地 域 住 民 の 方 々は、 大 変 な 思 いをされたと 思 う。チェルノブイリ 原 発 からの

30 キロ 圏 内 が 荒 んでいたかというと、そんなことはなかった。 手 付 かずの 自 然 で 溢 れてい

た。しかし、プリピャチは、 放 置 されてしまっていて、 福 島 もこうなってしまってはいけない

と 思 った。

・ 福 島 の 方 々は、 各 地 域 に 戻 られて、 元 の 生 活 に 戻 ることができるように 社 会 全 体 ですべ

き。

・ 原 産 協 チェルノブイリ 調 査 団 の 地 域 情 報 センター 情 報 は、 教 育 の 視 点 から 大 いに 参 考

になった。ウクライナで 同 様 のセンターを 見 学 した。 日 本 で 同 様 のセンターを 設 置 する 場

合 は、 公 民 館 、 科 学 館 、 教 育 センター 等 を 活 用 するのが 良 いのではないかと 思 う。

・ 放 射 線 の 基 礎 知 識 の 習 得 として、 文 科 省 の 副 読 本 をどう 使 うか 検 討 中 。 解 説 書 も 必 要 だ

し、 放 射 線 は 目 に 見 えないので、 霧 箱 実 験 が 有 効 。

・ 住 民 の 自 立 が 大 事 で、 住 民 の 自 立 を 支 援 していく。 教 員 の 研 修 や 首 都 圏 の 親 子 も、 放

射 線 と 共 存 というか、 身 の 周 りにあるということを 知 っていただき、 放 射 線 教 育 には、30 年 、

50 年 、100 年 かかるかもしれないが、 自 分 で 意 思 決 定 ができる 子 に 育 てたい。

・ 授 業 の 流 れ(1お 話 → 放 射 線 を 学 びましょう、2「 放 射 線 」のイメージは?3 基 本 的 なこ

とを 学 びましょう→テキスト 使 用 、4「 放 射 線 」を 見 てみましょう→ 霧 箱 実 験 、5 実 験 室 内

の 放 射 線 量 を 測 ってみましょう→ 放 射 線 測 定 器 、6この 数 値 の 意 味 は?→ 区 の HP「 対

応 基 準 値 」、7 屋 外 の 放 射 線 量 を 測 ってみましょう→ 屋 外 計 測 )については、 私 はよくで

きていると 思 う。 放 射 線 教 育 は、 継 続 的 にやっていくことが 必 要 。

・ 放 射 線 については、 安 全 とか 危 険 とかではなく、「こういうもの」という 放 射 線 の 性 質 を 学

ばせることが 重 要 。

・ 今 後 、50 年 、100 年 と 時 間 はかかるかもしれないが、 放 射 線 教 育 において、 我 々 教 員 は、

放 射 線 の 専 門 家 の 方 々がやりにくいところで、 我 々 教 員 が 補 い 合 うことで 放 射 線 教 育 を

進 めることができると 思 っている。そのために、 教 員 たちには、 研 修 が 必 要 である。

31


(2) 福 島 県 における 放 射 線 教 育 について

福 島 県 郡 山 市 立 明 健 中 学 校 教 諭 佐 々 木 清 氏

・ 福 島 県 には、 他 県 から 多 くの 支 援 を 頂 いている。 放 射 線 教 育 に 関 しても、 様 々な 講 演 を

頂 いている 中 、 福 島 の 教 員 が 一 歩 踏 み 出 さないといけないと 思 い、3.11 以 降 、 放 射 線

の 勉 強 を 始 めた。

・ 今 年 から、 郡 山 市 中 学 校 教 育 研 究 会 ( 中 教 研 )に 放 射 線 教 育 研 究 推 進 委 員 会 が 発 足 し

た。 放 射 線 教 育 の 推 進 は、 一 人 では 何 もできない。 今 年 になって、 大 きく 一 歩 前 進 した。

・ 視 察 前 に 調 べたベラルーシの 地 域 情 報 センターは、 魅 力 的 であった。 地 域 の 方 々と 交

流 しながら、 放 射 線 教 育 がなされている。

・ 福 島 県 内 で 放 射 線 量 の 高 い 地 域 の 小 中 学 校 の 校 庭 表 土 もはがして 除 染 がなされた。し

かし、 政 府 の 原 発 収 束 宣 言 も 出 されたが、 実 際 は、まだまだ 収 束 していない 状 況 。

・ 地 域 の 絆 が、 賠 償 金 の 支 給 の 差 により 崩 された 状 況 。 中 にはパチンコにはまる 人 も 多 く、

一 生 懸 命 働 いている 人 が 損 をするような 状 況 もある。このままでは、 被 災 している 県 民 の

生 活 が 荒 れて、 飲 酒 、 喫 煙 、 暴 力 とかに 陥 ってしまうのではないかと 懸 念 している。

・ 放 射 線 の 副 読 本 に 関 しては、 被 災 地 のこどもたちととそれ 以 外 の 地 域 のこどもたちとで、

違 う 教 材 が 必 要 ではないかと 思 っている。

・ 放 射 線 に 関 しては、 生 徒 たちから、「 先 生 、すぐに 教 えて」という 声 が 多 く、 夏 休 み 課 題 環

境 レポートで「 放 射 線 」についてのレポートが、62%もあった。2 学 期 の 始 めに「 放 射 線 に

ついて 何 を 学 びたいの?」と 聞 くと、 身 を 乗 り 出 して 全 員 が 挙 手 したので、 放 射 線 授 業 づ

くりを 開 始 した。 現 学 習 指 導 要 領 では、 中 学 3 年 生 からの 学 習 となっているが、 中 学 1 年

生 から 各 学 年 毎 の 放 射 線 教 育 を 考 えた。

・ 放 射 線 教 育 で 目 指 す 生 徒 の 姿 は、1 自 ら 放 射 線 量 ( 率 )を 測 定 できる 生 徒 、2 自 らデー

タを 分 析 して 判 断 できる 生 徒 、3 互 いに 助 け 合 って 行 動 する 生 徒 、である。

・ 放 射 線 教 育 で 身 に 付 けたい 力 は、1 空 間 線 量 率 を 正 確 に 測 定 する 力 → 環 境 モニタリン

グ 力 、2 放 射 線 量 の 変 化 に 気 づく 力 → 科 学 的 なデータ 分 析 力 、3 科 学 的 根 拠 に 基 づく

情 報 を 選 択 し、 判 断 する 力 → 科 学 的 な 判 断 力 、4 互 いに 放 射 線 被 ばく 量 を 少 なくする

態 度 →リスク・コミュニケーション、である。

・ 思 考 の 練 り 上 げには、まずは、 一 人 で 考 え(Oneself)、 次 に 二 人 で 考 え(Pair)、 次 にグルー

プ(Group)で 考 え、 最 後 に 全 体 で 考 える(All)、というやり 方 をしている。

・ 生 徒 たちに 放 射 線 について、どんなことを 学 びたいかアンケートを 取 ったところ、「 放 射

線 の 人 体 への 影 響 」についての 学 習 内 容 が、 最 も 多 かった。そこで、 難 しい 課 題 ではあ

るが、 今 年 9 月 14 日 に 本 校 ( 郡 山 市 明 健 中 学 校 )にて、 養 護 の 先 生 と 共 に、「 放 射 能 の

半 減 期 と 放 射 線 による 人 体 への 影 響 の 防 護 」について 授 業 を 実 施 することとした。

・ 放 射 線 教 育 2 年 目 を 迎 えて、 福 島 県 中 教 研 理 科 部 会 主 催 で「 放 射 線 に 関 する 講 習 会 」

を、 今 年 8 月 3 日 に 本 校 ( 郡 山 市 明 健 中 学 校 )にて 開 催 し、 福 島 県 内 外 の 先 生 方 等 78

名 の 参 加 があった。

・ 今 後 も 皆 様 方 には、 放 射 線 計 測 器 や 放 射 線 に 関 する 教 材 について 情 報 提 供 、および

地 域 情 報 センター 設 立 等 への 協 力 をお 願 いしたい。

【 主 な 質 疑 応 答 】

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 福 島 と 福 島 以 外 は、 状 況 が 違 うと 思 うが、 放 射 線 の 専 門 家 の

32


役 割 はどこにあるか。 専 門 家 は、これまでのようにただ 講 義 するだけでは、 先 生 や 生 徒 にそれ

ほど 役 に 立 つとは 思 えない。 教 育 現 場 の 先 生 方 が、 放 射 線 の 専 門 家 をうまく 活 用 して、 放 射 線

教 育 ができればよいと 思 っている。 錯 綜 し 混 乱 したメディア・ネット 情 報 が 溢 れかえる 状 況 では、

生 徒 からの 質 問 に 先 生 方 が 答 えるのは 難 しいことが 多 いと 思 う。 教 員 の 方 々が 実 践 する 授 業

や 実 験 あるいは 生 徒 とのコミュニケーションの 場 面 で 専 門 家 を 活 用 してはどうかと 思 う。

A( 高 畠 氏 ):まず、 専 門 家 は、 聞 かれたら 答 えようとする、しかし、 我 々はそうではなく、 放 射 線

について 生 徒 たちと 一 緒 に 学 んでいこうと 思 っている。 専 門 家 の 方 々の 悩 みは、 専 門 家 の 皆 さ

んの 声 が、 一 般 の 方 々に 通 じていかないことではないかと 思 うが、 教 育 というのは、 聞 かれたこ

とに 答 えるのではなく、 一 緒 に 考 え、 学 んでいくことであり、その 姿 勢 が 専 門 家 の 方 々にも 重 要

ではないかと 思 う。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 放 射 線 の 専 門 家 の 中 には、 福 島 の 先 生 方 の 役 に 立 ちたいと

思 っている 方 々が 多 くいるが、どのような 役 割 があるか。

A( 佐 々 木 氏 ): 福 島 でも 多 くの 放 射 線 の 講 演 会 があるが、できれば、 講 演 のみではなく、 講 演

時 間 の 半 分 でもよいので、 質 問 ができる 時 間 をも 設 けて、 質 問 に 答 えてほしいと 思 う。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 専 門 家 も 上 から 目 線 で 質 問 に 答 えるのではなく、 現 場 の 先

生 方 と 一 緒 に 学 びたいと 思 っている。

Q( 原 文 振 ・ 桑 原 氏 ): 文 科 省 からの 委 託 で 出 前 授 業 や 教 員 対 象 のセミナーを 実 施 しているが、

福 島 の 先 生 方 には、その 情 報 が 届 いているか。

A( 佐 々 木 氏 ): 福 島 の 学 校 にも 出 前 授 業 などに 関 する 情 報 は 届 いている。しかし、 総 合 的 な 学

習 の 時 間 でもいろいろとやるべきことが 放 射 線 教 育 以 外 にもたくさんあり、また、( 出 前 授 業 の

実 施 に 関 しては) 校 長 先 生 の 意 向 にもよる。

A( 高 畠 氏 ): 放 射 線 教 育 に 関 しては、 皆 さんにとっては、 放 射 線 教 育 が 第 一 なのでしょうが、 教

員 からすると、 今 は、イジメの 問 題 とかから、 人 権 教 育 が 大 事 だと 思 ったり、 服 務 事 故 のことから

服 務 研 修 にも 関 心 がある。また、 出 前 授 業 などのお 知 らせは、 教 育 委 員 会 → 自 治 体 の 教 育 委

員 会 → 学 校 → 学 校 長 → 教 員 という 流 れで 届 くが、 各 段 階 において 取 捨 選 択 がなされて、 教 員

まで 全 ての 情 報 が 届 くわけではない。

Q( 原 産 協 会 ・ 佐 藤 常 務 ):1 文 科 省 の 副 読 本 についてどう 思 われているか、2 佐 々 木 先 生 が、

被 災 地 とそれ 以 外 で、 副 読 本 は 違 うべきという 意 見 について、もう 少 し 詳 しく 説 明 してほしい。

A( 高 畠 氏 ): 副 読 本 に 関 して 私 は、1 被 災 地 版 、2 立 地 県 版 、3それ 以 外 の 地 域 版 と 3 種 類

の 味 付 けが 必 要 ではないかと 思 っている。 文 科 省 が 作 成 した 副 読 本 には、 教 育 すべき 最 低 限

の 内 容 は 入 っている。しかし、 味 付 けの 部 分 で、どのように 教 えるかは、 教 員 によって 様 々なこ

だわりがある。そのように 積 極 的 にこだわりを 持 って 放 射 線 教 育 を 実 施 する 意 欲 のある 先 生 方

は、それは 教 員 自 身 に 任 せてもいいと 考 えており、( 全 中 理 の) 組 織 としては、むしろ 放 射 線 教

33


育 にこれから 取 り 組 もうとしている 教 員 を 対 象 に 放 射 線 教 育 の 推 進 を 行 っている。

A( 佐 々 木 氏 ): 文 科 省 が 作 成 した 副 読 本 に 関 しては、( 福 島 ) 県 民 感 情 として、「この 副 読 本 だ

けで、 説 明 できるか!」という 思 いがある。 副 読 本 には、 福 島 原 発 事 故 のことや、 放 射 線 のリス

クの 話 、 人 体 影 響 等 が 扱 われていない。また、 私 は、 会 津 地 方 のように 0.06μSv/h 程 度 の 空

間 線 量 が 低 い 地 域 、 郡 山 のように 少 し 線 量 が 高 い 地 域 、 今 から、 帰 還 する 中 で 線 量 が 高 い 地

域 の 3 種 類 の 副 読 本 が 必 要 と 思 っている。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 放 射 線 教 育 に 関 しては、 我 々はパワーポイントの 資 料 を 作

成 し 公 表 している。パワーポイントの 資 料 は、フレキシブルに 対 応 でき、 先 生 方 が 自 分 の 考 え

を 付 け 加 えることも 可 能 なので、 有 効 かと 思 うが、いかがか。

A( 高 畠 氏 ):パワーポイントのデータの 活 用 は、 有 効 と 思 う。また、データ 集 や、ストーリーのな

いデータも 有 用 。

Q( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ):ぜひ、 活 用 してほしい。

A( 佐 々 木 氏 ): 授 業 において、パワーポイントをあまり 使 いすぎると、 軸 がぶれる 気 がするので、

私 はパワーポイントだけで 説 明 する 授 業 はしていない。

A( 高 畠 氏 ): 同 じ 教 員 で 違 う 意 見 を 言 うと 混 乱 するかもしれないが、 私 は、 軸 が 多 少 ぶれてもい

いから、 放 射 線 教 育 を 多 くの 先 生 方 にやってほしいと 思 っている。

Q( 原 子 力 機 構 ・ 南 波 氏 ):ネットで 検 索 すると 情 報 が 溢 れていて、その 情 報 には、ピンからキリ

まである。そのようなネットでの 情 報 収 集 に 関 しては、 何 か 注 意 すべき 点 等 のアドバイスは 行 っ

ているのか。

A( 高 畠 氏 ):こちらから 検 索 を 限 定 することはできないが、 目 的 意 識 を 持 って、 求 めるものの 方

向 性 を 固 めておいて、データを 収 集 させている。また、 検 索 したデータを 基 にまとめたレポート

等 は、 必 ず、 繰 り 返 し 教 員 と 生 徒 の 間 でやり 取 りをするようしている。また、データ 元 として、 放

射 線 に 関 する 情 報 において、 放 医 研 や RI 協 会 というのは 良 いが、 大 変 申 し 上 げにくいが、 原

産 協 というのは、 何 か 違 う 形 になってしまうような 気 がする。

Q(JAPI・ 中 村 氏 ):このような 説 明 を 福 島 の 方 々に 言 ってよいのか 悪 いのか、 気 になっているこ

とがある。インドのケララでは、40 万 人 近 くの 人 々が、4~5μSv/hくらいの 線 量 のところに 住 ん

でおり、イランのラムサールでは、10μSv/hほどの 線 量 であり、あるお 宅 では、 壁 のところで

130μSv/hのところに 住 んでいる 人 もいるが、このような 話 を 福 島 の 方 々にしたら、 安 心 するの

ではないかと 思 うが、いかがか。

A( 高 畠 氏 ): 私 と 佐 々 木 先 生 でもそのような 話 をしている。しかし、 今 は、 言 えないという 結 論 に

達 した。ゼロ・リスクなどあり 得 ないのだが、 人 々は、100% 安 全 でなければダメと 思 っている。

我 々 教 員 が、( 放 射 線 の) 専 門 家 の 方 々よりも 効 果 的 に 伝 えることができると 思 っているのは、

34


専 門 家 と 一 般 の 方 々の 間 に 立 って、 様 々なもののリスクや 放 射 線 のことについて、 相 手 の 状 況

をよく 理 解 した 上 で 話 していけるという 姿 勢 があるからである。 情 報 は、 出 す 時 期 によって、 伝

わり 方 も 違 う。

A( 佐 々 木 氏 ): 同 じ 情 報 でも、 気 にしていることか、そうでないかによって、 受 け 取 り 方 が 違 う。

放 射 線 に 関 しては、 人 体 への 影 響 の 教 育 について、 養 護 の 先 生 と 一 緒 に、 生 徒 に 教 えたいと

思 っている。 相 手 を 見 ながら 対 応 していきたい。

C(WEN・ 浅 田 氏 ): 高 畠 先 生 や 佐 々 木 先 生 のような 先 生 方 がいらして、 本 当 によかったと 思 っ

ている。WEN としては、これまで、 福 島 の 方 々への 放 射 線 に 関 する 正 確 な 知 識 の 普 及 に 関 し

ては、 専 門 家 にお 任 せしていたが、 今 後 は 福 島 の 方 々とも 関 わりをもっていきたいと 思 ってい

る。JAPI の 中 村 氏 のお 話 で、ケララやラムサールのような 比 較 的 高 い 線 量 の 地 域 で 暮 らしてい

る 方 々の 健 康 に 悪 影 響 がない 話 は、とても 参 考 になるが、しかし、 一 般 の 方 々の 言 い 分 として

は、「それは、 自 然 放 射 線 であって、 長 い 間 、 比 較 的 高 い 線 量 を 浴 び 続 けたことによって、 身

体 の 防 御 システムができているのではないか」と 反 論 する 方 もいたので、 数 値 だけでは 納 得 で

きないようである。また、チェルノブイリと 福 島 事 故 は 違 う、チェルノブイリで 出 た 放 射 性 物 質 の

量 の 何 分 の1などと 言 っても、「チェルノブイリはロシアで 起 きたことであって、 今 回 の 事 故 は、

日 本 の 福 島 で 起 きたことであり、 自 分 たちにとってチェルノブイリよりも 被 害 が 小 さいとは 思 わな

い」と 言 われる。 福 島 の 方 々に 共 感 することが 大 事 だと 思 う。

C( 秋 津 氏 ): 私 は 元 幼 稚 園 の 教 諭 で、 原 子 力 ・ 放 射 線 について 学 び、 福 島 の 小 学 校 で 放 射 線

の 出 前 授 業 を 行 った。 放 射 線 の 教 育 に 関 しては、 中 学 校 3 年 生 まで 教 育 をしないのは、もった

いない。 小 学 校 低 学 年 、できれば、 保 護 者 もともに 幼 稚 園 児 から 教 育 してほしいと 思 う。また、

放 射 線 教 育 に 関 しては、 首 都 圏 の 方 々への 教 育 が 最 も 重 要 と 思 う。 首 都 圏 は、 人 が 多 い。い

ろんな 分 野 においても、 首 都 圏 の 人 々が 注 目 するところが 重 要 な 位 置 を 占 める。 首 都 圏 の

人 々がきちんと 放 射 線 について 理 解 していれば、ゼロベクレルの 会 などは 発 足 しなかったと 思

う。

C( 高 畠 氏 ): 首 都 圏 も、 一 歩 間 違 えば、 避 難 区 域 に 入 ったと 私 は 思 っている。 千 葉 県 には、 流

山 や 柏 などホットスポットがあり、 放 医 研 の 方 々の 力 を 借 りながら、 放 射 線 教 育 をやっていきた

いと 思 っている。 東 京 から 関 東 へ 広 げていきたい。 中 学 校 の 先 生 方 から 始 まり、 小 学 校 の 先 生

方 にも 働 きかけているが、 小 学 校 の 学 習 指 導 要 領 に 放 射 線 教 育 が 入 っていないので、 小 学 校

の 先 生 方 はやりにくい 部 分 がある。しかし、 先 ほどのお 話 では、 幼 稚 園 のこどもたちにも 放 射

線 教 育 が 可 能 ということなので、 今 後 はもっと 小 さいこどもたちにも 放 射 線 教 育 ができるよう 働

きかけていきたいと 思 う。

C(RI 協 会 ・ 東 ヶ 崎 氏 ): 埼 玉 県 の 三 郷 に 住 んでいるが、 近 くの 公 園 等 で「 除 染 済 」という 看 板 が

見 受 けられる。そんな 場 所 で、 広 瀬 隆 が 来 て、 一 人 500 円 の 参 加 費 をとって 講 演 をしていたの

で、 聞 いてみた。そこでは、 自 然 放 射 線 はよいが、「 人 工 放 射 線 は 毒 」と 言 っていた。リスクに

関 しては、きちんと 教 育 をしていかないといけないと 思 う。ここの 領 域 は、 大 丈 夫 とは 言 えない

けど、 一 般 的 に 考 えて、この 程 度 であれば、 大 丈 夫 という 数 字 を 示 さないと 理 解 されないので

はないかと 思 う。また、インドのケララ 等 の 話 だと、 遠 い 異 国 の 地 域 という 感 じで 実 感 が 湧 かな

35


いようだが、 東 京 と 大 阪 の 放 射 線 量 の 差 は、 割 と 理 解 が 得 られるようであった。

C( 高 畠 氏 ): 社 会 状 況 が 変 わり、「ゼロ・リスクは、あり 得 ない」ということを 社 会 や 国 民 も 認 識 す

べき。 海 外 旅 行 に 行 く 際 にも、 危 険 情 報 等 が 出 ているが、 危 険 情 報 が 出 ていないからといって、

安 全 なわけではなく、 絶 対 安 全 などということはあり 得 ない。 日 本 では、 安 全 はただで 保 障 され

ているという 認 識 があるが、 危 険 が 全 くないなんてことはない。リスクに 関 する 教 育 、 子 どもたち

には、 危 険 の 中 で 生 きているということを 教 えたい。 原 子 力 産 業 界 の 方 々も、3.11 以 降 、 原 発

のリスク 等 に 関 して、 本 当 のことが 語 れる 時 がきたのではないかと 思 う。

C( 佐 々 木 氏 ):カナダでは、1コミュニケーション、2 責 任 性 、3 安 全 性 (リスク)の 3 点 につい

て、きちんと 教 育 がなされている。 原 発 は、 収 束 宣 言 がなされたが、 福 島 県 民 にとっては、まだ

まだ 収 束 にはほど 遠 いという 認 識 である。コミュニケーション、 責 任 性 、リスク 等 の 教 育 に 関 して

は、きちんと 理 科 教 育 で 取 り 扱 うべきではないかと 提 案 していきたい。 原 発 事 故 が 起 きたことに

より 後 退 するのではなく、 一 歩 下 がって 二 歩 進 むというくらいの 前 向 きな 気 持 ちで、 様 々なリス

ク 等 も 含 めた 放 射 線 に 関 する 教 育 を 進 めていきたい。

C( 放 射 線 教 育 フォーラム・ 田 中 氏 ): 現 行 の 学 習 指 導 要 領 では「リスク」は 扱 われていない。しかし、

中 教 審 における 審 議 経 過 報 告 には、 科 学 技 術 のリスクがすでに 議 論 されている。 次 の 学 習 指

導 要 領 改 訂 では「リスク」の 扱 いがポイントになると 思 う。

C:( 勝 村 座 長 ): 社 会 全 体 が 認 識 を 変 えるべき 事 態 に 直 面 しているということですね。 本 日 は、

非 常 に 我 々に 参 考 となるお 話 をいただきました。 高 畠 先 生 、 佐 々 木 先 生 、 本 日 はありがとうご

ざいました。

以 上

36


今 期 の 活 動 を 振 り 返 って

昨 年 の 平 成 23 年 3 月 11 日 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 によって 引 き 起 こされた 福 島 原 発 事

故 により、 国 民 の 放 射 線 に 対 する 不 安 と 関 心 が 急 速 に 高 まった。そのため、 今 期 の 活 動 では、

放 射 線 の 正 確 な 知 識 の 普 及 等 に 役 立 つ 情 報 を 中 心 とした 議 題 を 取 り 上 げ、 議 論 した。

事 故 後 初 めての 第 13 回 会 合 では、 放 射 線 の 人 体 影 響 について 取 り 上 げ、 低 線 量 放 射 線

の 影 響 をどう 考 えるか 等 について、 講 師 と 構 成 員 のメンバーとの 活 発 な 議 論 がなされた。

今 年 の 5 月 の 第 15 回 会 合 では、リスク・コミュニケーションについて 取 り 上 げ、 福 島 で 自 らも

被 災 され、 避 難 の 影 響 によりご 家 族 を 亡 くされた 経 験 から 自 ら 放 射 線 について 勉 強 され、 福 島

県 民 等 とのリスク・コミュニケーションの 活 動 を 行 っている 方 に「 福 島 からの 思 い」をお 話 いただ

いた。

今 年 の 8 月 の 第 16 回 会 合 では、 放 射 線 教 育 について 取 り 上 げ、 福 島 で 暮 らしているこども

たちの「( 放 射 線 について) 先 生 、すぐに 教 えて」という 声 に 応 えるために、 学 習 指 導 要 領 では

中 学 3 年 生 から 教 えることとなっている 放 射 線 教 育 を 中 学 1 年 から 教 えている 中 学 校 教 諭 にご

講 演 いただいた。また、 福 島 だけではなく、 首 都 圏 や 全 国 での 放 射 線 教 育 の 重 要 性 を 強 く 認

識 しておられる 全 中 理 ( 全 国 中 学 理 科 教 育 研 究 会 )の 会 長 からの 講 演 では、「こどもたちと 直

に 向 き 合 っている 学 校 の 教 師 だからこそできる 放 射 線 教 育 がある」という 意 気 込 みが 語 られ

た。

今 期 の 活 動 では、 国 民 全 体 に 広 がっている 放 射 線 に 対 する 不 安 を 少 しでも 和 らげるために、

原 子 力 ・ 放 射 線 関 係 者 がどのような 姿 勢 でリスク・コミュニケーションをしていくべきか 等 につい

て、 非 常 に 役 に 立 つ 情 報 の 共 有 とその 情 報 を 皆 で 共 有 した 上 での 有 意 義 な 議 論 ができた。

国 民 の 放 射 線 に 対 する 理 解 を 深 めることは、 福 島 復 興 再 生 特 別 措 置 法 第 34 条 で 求 められ

ていることであり、 国 及 び 関 係 者 にとっては、 必 須 の 活 動 である。したがって、 本 協 議 会 のよう

な 活 動 の 重 要 性 は、ますます 高 まっており、 今 後 とも 継 続 して 積 極 的 に 活 動 していくことが 望 ま

れている。

37

More magazines by this user
Similar magazines