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資 料 5
教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書
中 間 報 告 書 案
( 総 合 情 報 化 計 画 の 一 環 としての
校 務 情 報 化 に 関 するガイドライン 案 )
全 国 地 域 情 報 化 推 進 協 会
アプリケーション 委 員 会
教 育 ワーキンググループ
2007 年 10 月
本 書 の 目 的
全 国 地 域 情 報 化 推 進 協 会 では 自 治 体 と 民 間 企 業 が 協 力 の 上 、 地 域 の 情 報 化 を 推 進 する
ための 各 種 活 動 を 行 っています。
その 中 で 防 災 ・ 医 療 ・ 教 育 等 の 各 種 アプリケーションのあり 方 に 関 する 検 討 は、 多 様 化 す
る 住 民 ニーズに 応 えるための 具 体 的 解 決 手 段 として 急 速 に 期 待 が 高 まっています。
本 書 は、「 教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書 第 2 版 」の 中 間 報 告 として、 校 務 情 報 化 のガ
イドライン 案 を 提 供 するものです。
校 務 情 報 化 は、 学 校 事 務 に 加 え、 教 育 委 員 会 事 務 や 学 校 と 教 育 委 員 会 間 のコミュニケー
ション 等 の 広 い 範 囲 をカバーする 内 容 であり、 校 務 情 報 化 により、 教 育 現 場 での 教 職 員 の 負
担 軽 減 および 学 校 ・ 教 育 委 員 会 の 経 営 力 向 上 に 加 え、 児 童 ・ 生 徒 の 情 報 を 正 確 かつ 迅 速 に
処 理 ・ 管 理 することにより 教 育 活 動 の 質 的 改 善 、 保 護 者 を 中 心 とした 住 民 サービス 向 上 が 可
能 となります。
また、 地 域 住 民 に 対 し 学 校 および 教 育 委 員 会 が 積 極 的 に 情 報 発 信 することにより、 学 校 を
核 とした 地 域 コミュニティの 活 性 化 が 実 現 できると 考 えます。
本 ガイドラインでは、 校 務 情 報 化 推 進 に 必 要 なインフラ 整 備 、 運 用 サポート 体 制 、セキュリ
ティ、 校 務 アプリケーション 等 について、アンケートによる 現 状 調 査 と 先 進 事 例 等 からパター
ン 化 して 整 理 し、 整 備 計 画 立 案 にご 利 用 いただけることを 目 指 します。
本 書 を 活 用 いただきたい 対 象 と 活 用 用 途 は 以 下 の 通 りです。
【 対 象 】
・ 総 合 情 報 化 計 画 策 定 部 門 および 教 育 委 員 会
( 主 に 自 治 体 の 首 長 部 局 企 画 部 門 および 教 育 委 員 会 )
【 活 用 用 途 】
・ 総 合 情 報 化 計 画 策 定 にあたっての 校 務 情 報 化 の 取 り 扱 いについて
校 務 の 情 報 化 による 学 校 の 変 革 を 実 現 するために 必 要 な、 教 員 一 人 一 台 P
Cや 校 務 用 ネットワーク 等 のインフラ 整 備 、 運 用 サポート 体 制 、セキュリ
ティ、 校 務 アプリケーション 等 につき、 整 備 コンセプト・ 具 体 的 な 事 例 お
よび 効 果 を 参 考 にすることにより、 情 報 化 整 備 計 画 の 立 案 ・ 予 算 化 ・ 調 達
の 一 助 として 活 用 。
総 合 情 報 化 計 画 策 定 にあたっての 校 務 情 報 化 の 取 り 扱 いに 関 し、ご 意 見 ・ 情 報 追 加 要 望
がありましたら、 下 記 までご 連 絡 下 さい。
財 団 法 人 全 国 地 域 情 報 化 推 進 協 会 教 育 WG 事 務 局 担 当 TEL:03-5251 -0311FAX :03-5251 -0317
e-mail l:info@applic.or.jp
( 注 ) 電 子 メールでのお 問 合 せの 際 には、 件 名 欄 に「 教 育 WG 中 間 報
告 書 に 関 する●●」(●●は 用 件 )とご 記 入 ください。
1
なお、 本 書 の 作 成 にあたっては、
国 立 大 学 法 人 鳴 門 教 育 大 学 大 学 院 総 合 学 習 開 発 講 座 准 教 授 藤 村 裕 一 様
千 葉 県 柏 市 立 土 南 部 小 学 校 教 諭 西 田 光 昭 様
特 定 非 営 利 法 人 上 越 地 域 学 校 教 育 支 援 センター 事 務 局 長 曽 田 耕 一 様
のご 協 力 を 得 ています。
2
【 目 次 】
1. 先 行 研 究 の 内 容 検 討
1.1 JAPET 校 務 情 報 化 研 究 4
1.2 全 国 アンケート 調 査 結 果 6
1.3 先 進 事 例 調 査 8
1.4 中 長 期 ビジョン 11
2.APPLIC 会 員 自 治 体 へのアンケート
2.1 現 状 のネットワーク 整 備 状 況 について 14
2.2 教 職 員 の 情 報 セキュリティについて 22
2.3 ネットワーク 利 用 の 校 務 アプリケーションについて 27
2.4 アンケート 結 果 についてのまとめ 30
3.インフラ 整 備 のガイドライン
3.1 教 員 用 コンピュータの 整 備 32
3.2 教 育 情 報 ネットワークの 整 備 36
3.3 ネットワーク 運 営 体 制 および 利 用 者 サポート 体 制 の 整 備 について 46
4.セキュリティについてのガイドライン
4.1セキュリティの 概 念 49
4.2 学 校 情 報 セキュリティ 50
(4.3 学 校 情 報 セキュリティの 事 例 )
5. 校 務 アプリケーションについての 将 来 像 検 討
5.1 校 務 アプリケーションの 種 類 53
( 校 務 アプリケーションの 利 用 者 と 利 用 情 報 )
5.2 校 務 アプリケーションの 考 え 方 と 効 果 54
5.3 校 務 アプリケーションに 求 められる 条 件 59
(5.4 校 務 アプリケーションの 事 例 )
( 括 弧 内 は 今 後 追 加 予 定 の 項 目 です。)
3
1. 先 行 研 究 の 内 容 検 討
1.1 JAPET 校 務 情 報 化 研 究
平 成 18 年 1 月 の「IT 新 改 革 戦 略 」では、
教 員 一 人 一 台 のコンピュータ 及 びネットワーク 環 境 の 整 備 並 びにIT 基 盤 のサポー
ト 体 制 の 整 備 等 を 通 じ、 学 校 のIT 化 を 行 う。
を 目 的 とし、 具 体 的 な 目 標 年 度 として2010 年 が 設 定 されている。
2010 年 までに 全 ての 公 立 小 中 高 等 学 校 等 の 教 員 に 一 人 一 台 のコンピュータを 配
備 し、 学 校 と 家 庭 や 教 育 委 員 会 との 情 報 交 換 の 手 段 としてのITの 効 果 的 な 活 用 そ
の 他 様 々な 校 務 のIT 化 を 積 極 的 に 推 進 する。
年 度 の 具 体 的 なアクションプランである「 重 点 計 画 -2006」( 平 成 18 年 7 月 )で
は、 教 員 のIT 活 用 環 境 の 整 備 の 具 体 的 施 策 として、 以 下 が 提 示 されている。
2010 年 度 までに、 公 立 小 中 高 等 学 校 等 の 全 ての 教 員 に 対 しコンピュータを 配 備
し、 校 務 の 情 報 化 を 促 進 するため、2006 年 度 中 に 校 務 処 理 における 効 果 的 なI
Tの 活 用 方 策 等 、 校 務 の 情 報 化 の 在 り 方 等 について 調 査 研 究 を 実 施 し、その 推 進 方
策 を 検 討 する。
上 記 に 基 づき、 平 成 18 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 である「 校 務 情 報 化 の 現 状 と 今 後 の
在 り 方 に 関 する 研 究 」が、 社 団 法 人 日 本 教 育 工 学 振 興 会 (JAPET)にて 行 われた。
( 以 降 、「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」)
JAPET 校 務 情 報 化 研 究 の 特 徴 としては、ともすれば 従 来 、 学 校 内 部 だけの 問 題 と
して 捉 えられていた 校 務 を、 校 務 の 情 報 化 推 進 の 観 点 から、
・ 教 育 委 員 会 が 中 長 期 のビジョンを 示 し 学 校 と 協 議 しながら 進 めるという、 教 育
委 員 会 のリーダーシップが 強 調 されている 点 。
・ 児 童 生 徒 情 報 管 理 の 観 点 から、 首 長 部 局 の 扱 う 住 民 記 録 システムと 連 携 した 学
籍 情 報 の 活 用 に 言 及 している 点 。
・ 押 印 を 義 務 づける 法 令 的 な 規 定 のある 公 文 書 は 一 部 であり、ほとんどの 文 書 類
は 電 子 化 が 可 能 であることに 言 及 している 点 。
があげられる。( 図 1.1)
4
教 育 委 員 会
教 育 委 員 会 連 携
教 育 委 員 会
首 長 部 局 との 連 携
教 育 委 員 会 の
業 務
企 画 管 理 室
保 健 体 育 課
○○ 課
教 育 総 務 課
教 育 施 設 課
学 校
・ 学 校 間 情 報 共 有
・コミュニケーション
首 長 部 局
指 導 課
学 務 課
学 校 と
教 育 委 員 会 の
連 携 業 務
授 業 以 外 の
校 内 の 業 務
校 長 ・ 教 頭
事 務 職 員
財 務 管 理 、 施 設 管 理
転 入 出 手 続 、 作 業 報 告 、・・・
栄 養 士
学 校
学 校 運 営 ・ 管 理
通 知 、 調 査
学 校 経 営 の
改 善 ・ 効 率 化
・ 給 食 指 導
・ 献 立 の 作 成 、 食 数 管 理
・ 献 立 公 開 、 ・・・
報 告 、 問 合 せ、
申 請 、・・・
教 員
・ 校 内 情 報 共 有
・コミュニケーション
教 職 員 の 校 務 の
軽 減 化 ・ 効 率 化
養 護 教 諭
健 康 診 断 、 保 健 指 導 、
保 健 室 管 理 、・・・
学 校
児 童 生 徒 に 対 する
教 育 効 果 の 向 上
・ 児 童 ・ 生 徒 学 習 情 報 蓄 積 、 共 有
→ 児 童 ・ 生 徒 指 導
学 校 間 の
連 携 業 務
・ 指 導 要 録 、 通 知 表 作 成
・ 成 績 処 理 、 成 績 管 理 、 進 路 指 導
・ 出 欠 、 時 数 管 理 、 週 案 作 成 家 庭 ( 保 護 者 )
・ 体 育 測 定
・ 校 内 文 書 、 名 簿 作 成 、 各 種 調 査 報 告
・ 就 学 援 助 申 請 窓 口 、・・・
地 域 への 情 報 公 開
・ 教 師 間 情 報 共 有
・ 説 明 責 任
情 報 セキュリティ
の 確 保
保 護 者 との 情 報 共
有 の 促 進
児 童 生 徒 ・ 地 域 の
安 全 ・ 安 心
図 1.1
校 務 情 報 化 のあるべき 姿 ( 平 成 18 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 『 校 務 情 報 化 の 現 状 と 今 後 の
在 り 方 に 関 する 研 究 報 告 書 』 日 本 教 育 工 学 振 興 会 ))
5
1.2 全 国 アンケート 調 査 結 果
JAPET 校 務 情 報 化 研 究 では、 教 育 委 員 会 344カ 所 , 学 校 5,846 校 のア
ンケート 調 査 を 行 っている。この 調 査 では、 学 校 ・ 教 育 委 員 会 ともに、 校 務 の 情
報 化 を 進 めようとする 姿 勢 があきらかであること、 学 校 , 教 育 委 員 会 ともに 校 務
情 報 化 の 必 要 性 についての 認 識 は 高 く,「 是 非 必 要 である」「 必 要 である」の 回 答
合 計 は,それぞれ83%,95%であったことが 記 されている。( 図 1.2a,b)
どちらとも
いえない
7%
必 要 でない
0%
無 回 答
10%
是 非 必 要
37%
どちらとも
いえない
4%
必 要
49%
無 回 答
1%
是 非 必 要
46%
必 要
46%
図 1.2a 校 務 情 報 化 の 必 要 性 ( 学 校 ) 図 1.2b 校 務 情 報 化 の 必 要 性 ( 教 育 委 員 会 )
( 平 成 18 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 『 校 務 情 報 化 の 現 状 と 今 後 の 在 り 方 に 関 する 研 究 報 告 書 』
日 本 教 育 工 学 振 興 会 より)
・ 学 校 , 教 育 委 員 会 ともに, 校 務 情 報 化 を 推 進 する 課 題 について 認 識 されている。
・ 機 器 整 備 等 については, 学 校 , 教 育 委 員 会 ともに 進 められつつあるとの 認 識 である。
・ただ、 校 務 情 報 化 の 発 展 段 階 としては, 初 期 段 階 であるものが 多 い。
・ 発 展 段 階 が 初 期 段 階 であることと 関 係 があることと 関 係 があると 思 われるが、 校 務 情 報 化 の 効
果 については, 情 報 の 再 利 用 など 直 接 的 に 効 率 化 が 図 れる 部 分 を 評 価 する 向 きが 多 い。
特 筆 すべき 点 として、 以 下 の 分 析 がされている。
「 校 務 情 報 化 の 効 果 」ということでは, 学 校 , 教 育 委 員 会 とも「 校 務 における 情 報 再 利 用 」な
ど, 電 子 化 自 体 に 伴 う 効 果 については 肯 定 的 にとらえていたが,「 教 職 員 間 のコミュニケーショ
ン」「 保 護 者 との 情 報 共 有 」「 地 域 との 情 報 共 有 」など, 校 務 情 報 化 のより 高 度 な 部 分 の 効 果 につ
いては, 肯 定 的 にとらえられているとは 言 えなかった。
しかし, 実 際 に 校 務 を 情 報 化 しているかどうかによって, 効 果 のとらえ 方 には 差 があり, 校 務
情 報 化 の 副 次 的 な 効 果 「 本 質 的 な 仕 事 への 時 間 が 増 加 する」「 児 童 ・ 生 徒 に 直 接 関 わる 時 間 がふえ
る」などは, 校 務 情 報 化 を 実 施 しているところでは, 肯 定 的 評 価 が 79.8%,84.0%であるのに,
実 施 していないところでは,49.7%,43.3%であった。( 図 1.2c)
これは,「 校 務 情 報 化 を 実 際 に 実 施 」することによって, 校 務 情 報 化 による 直 接 的 な 効 果 だけで
はなく,そのことによって 生 まれる 間 接 的 な 効 果 を 実 感 できることを 示 しており, 今 後 校 務 情 報
化 を 進 める 上 で 重 要 な 示 唆 となろう。
6
情 報 の 再 利 用 により、 転 記 作 業 が 少 なくなる
情 報 の 一 元 的 蓄 積 により、 情 報 を 探 す 時 間 が 減 り、 情 報
を 活 かす 時 間 が 増 える
情 報 の 再 利 用 により、 通 知 表 や 指 導 要 録 の 作 業 時 間 が
減 少 する
情 報 の 再 利 用 により、 転 記 ミスなどが 減 少 し、 正 確 な 資
料 が 作 成 できるようになる
資 料 の 電 子 化 により、 手 書 きによる 資 料 作 成 が 少 なくな
り、 情 報 の 再 利 用 が 可 能 になる
児 童 ・ 生 徒 の 情 報 を 一 元 的 に 蓄 積 することができ、 学 習
指 導 に 活 かすことができる
情 報 の 共 有 化 により、 意 思 決 定 をするための 材 料 が 得 ら
れやすくなる
教 育 委 員 会 との 情 報 共 有 がスムーズとなり、 学 校 と 教 育
委 員 会 の 連 携 が 促 進 される
他 校 との 情 報 共 有 がスムーズとなり、 学 校 間 の 連 携 が 促
進 される
点 検 作 業 など 本 来 ならば 時 間 をかけたくないと 作 業 時 間
が 減 少 し、 本 質 的 な 仕 事 への 時 間 が 増 加 する
効 率 化 により、 授 業 や 学 級 を 充 実 するための 時 間 が 増 え
る
効 率 化 により、 児 童 ・ 生 徒 に 直 接 関 わる 時 間 が 増 える
地 域 との 情 報 共 有 がスムーズとなり、 学 校 と 地 域 の 連 携
が 促 進 される
教 職 員 間 のコミュニケーションが 円 滑 かつ 迅 速 になる
保 護 者 との 情 報 共 有 がスムーズとなり、 学 校 と 家 庭 の 連
携 が 促 進 される
ペーパレス 化 が 進 み、 資 料 収 納 スペースや 学 校 予 算 の
有 効 活 用 ができる
実 施 している
実 施 していない
0 20 40 60 80 100 %
図 1.2c
校 務 情 報 化 の 効 果 ( 平 成 18 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 『 校 務 情 報 化 の 現 状 と 今 後 の
在 り 方 に 関 する 研 究 報 告 書 』 日 本 教 育 工 学 振 興 会 )
校 務 IT 化 に 関 する 主 な 課 題 としては、 以 下 の3 点 があげられている。
・ 学 校 長 や 教 育 委 員 会 のリーダーシップ
・ 教 育 委 員 会 と 学 校 の 連 絡 手 段 , 制 度 と 規 定
・ 機 器 ・ 環 境 の 整 備
これらの 課 題 に 関 して、「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」では、 以 下 のとおり 提 言 して
いる。
校 務 情 報 化 推 進 のためには, 教 育 委 員 会 がリーダシップを 発 揮 しながら 機 器 や 環 境 の 整 備 を 進 め, 校
務 情 報 化 を 阻 害 するような 制 度 ・ 規 定 の 見 直 しをはかることが 必 要 である。
さらに, 教 育 委 員 会 と 学 校 はコミュニケーションを 密 にして 共 通 認 識 を 持 った 上 で, 学 校 長 は 校 務 情
報 化 の 効 果 を 正 しく 認 識 して, 校 務 情 報 化 推 進 の 音 頭 を 取 ることが 重 要 である。
そして, 校 務 情 報 化 は「 本 質 的 な 仕 事 への 時 間 が 増 加 する」「 児 童 ・ 生 徒 に 直 接 関 わる 時 間 がふえる」
など, 教 育 本 来 の 目 的 の 達 成 に 大 きく 寄 与 できることを 公 知 することが 重 要 であろう。
7
1.3 先 進 事 例 調 査
「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」では、 国 内 先 進 事 例 として、 小 学 校 2 校 ・ 中 学 校 2
校 ・ 高 等 学 校 2 校 ・ 教 育 委 員 会 6 地 域 の 訪 問 実 地 調 査 を 行 っており、 以 下 3 点 にま
とめ 考 察 している。
1. 校 務 情 報 化 の 目 的 及 び 効 果
~ 児 童 生 徒 に 対 する 教 育 活 動 の 質 的 改 善 を 中 心 に~
国 内 先 進 事 例 の 校 務 情 報 化 の 目 的 と 効 果 を 見 ると, 従 来 一 般 的 に 言 われてきた「 教 員 の 学 校 事
務 の 軽 減 化 ・ 効 率 化 」のみでなく, 電 子 化 ・ 共 有 化 することによる「 児 童 生 徒 に 対 する 教 育 活 動
を 質 的 に 改 善 する」という 点 に 力 点 が 置 かれていることが 明 らかになった。
その 一 例 は, 下 記 の 通 りである。
・ 児 童 生 徒 に 教 員 が 接 する 時 間 の 増 加
・ 教 材 等 の 共 有 による 授 業 の 充 実
・ 教 員 の 情 報 共 有 による 資 質 ・ 能 力 の 向 上
・ 児 童 生 徒 情 報 の 共 有 による 複 数 教 員 による 指 導 の 充 実
・ 学 校 Web ページの 充 実 による 保 護 者 ・ 地 域 住 民 の 理 解 促 進 ・ 協 力 体 制 確 保
・ 不 審 者 情 報 の 携 帯 メールへの 配 信 など, 児 童 生 徒 の 安 全 ・ 安 心 の 確 保
・ 高 セキュリティ 下 における 児 童 生 徒 の 個 人 情 報 保 護
・コミュニケーションの 向 上 による 学 校 運 営 の 改 善
これらのことから, 校 務 情 報 化 は, 単 に「 教 員 の 学 校 事 務 の 軽 減 化 ・ 効 率 化 」 以 上 に,「 児 童 生
徒 に 対 する 教 育 活 動 を 質 的 に 改 善 」する 効 果 の 方 が 大 きく, 児 童 生 徒 の 学 力 向 上 , 人 間 力 の 育
成 が 求 められている 現 在 , 後 者 を 校 務 情 報 化 の 第 一 の 目 的 とすることが,より 効 果 的 な 校 務 情 報
化 に 結 びつくと 推 測 される。
2 予 算 確 保 の 方 策
~ 定 量 的 効 果 の 蓄 積 と 共 有 を~
また, 複 数 の 先 進 実 践 地 区 からは, 首 長 部 局 財 政 担 当 と 予 算 折 衝 する 際 ,「 教 職 員 の 負 担 軽 減 を
目 的 としては 理 解 を 得 られず, 教 育 の 質 的 向 上 を 目 的 とすると 理 解 を 得 られやすい」との 報 告 も
あり, 上 記 の 目 的 設 定 の 仕 方 の 効 果 が 有 効 であると 考 えられる。また, 経 費 節 減 等 については,
具 体 的 な 数 値 を 示 すことが 予 算 獲 得 のために 必 須 であるとの 報 告 があり,これらの 定 量 的 効 果 を
共 有 することが 今 後 必 要 である。
8
3 校 務 情 報 化 の 推 進 方 法
~キーマンを 中 心 に 既 存 組 織 の 活 用 や 新 規 組 織 の 立 ち 上 げで~
校 務 情 報 化 を 推 進 するに 当 たっては,キーマンとなる 人 材 ( 指 導 主 事 , 行 政 職 , 教 員 , 管 理
職 , 事 務 職 員 など, 地 域 によって 多 様 )を 中 心 に, 既 存 の 研 究 ・ 業 務 推 進 のための 組 織 (○○
部 会 など)を 活 用 し,そこで 研 究 や 協 議 を 行 うことが, 効 果 的 であるとの 報 告 があった。
また, 既 存 の 組 織 を 活 用 するだけでなく, 校 務 情 報 化 のために, 指 導 主 事 , 行 政 職 , 教 員 ,
事 務 職 員 , 養 護 教 諭 , 栄 養 職 員 ,コンピュータに 詳 しい 者 ・ 詳 しくない 者 などを 意 図 的 に 混 在
させた 委 員 会 を 組 織 し,そこでビジョン 策 定 や 仕 様 の 検 討 を 行 っている 地 域 もあった。
これにより,より 専 門 的 な 見 地 からビジョンや 仕 様 について 検 討 することができるようにな
ると 共 に, 使 い 勝 手 のいいシステムや 各 システム 間 のデータ 連 係 の 在 り 方 についても 具 体 的 に
検 討 でき, 効 果 的 であるとの 報 告 もあった。
これらの 調 査 結 果 は、「 教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書 」にて 訪 問 調 査 を 行 っ
た3 自 治 体 の 校 務 情 報 化 の 取 り 組 みに 重 なる 部 分 が 多 い。
以 下 、「 教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書 」の 先 進 事 例 のヒアリング 調 査 のまと
め 部 分 から。
業 務 面 では、さまざまな 教 育 委 員 会 業 務 、 学 校 業 務 のなかでも、ICT 化 の 目 的 がわかりやすい 業
務 から 優 先 順 位 をつけて 着 手 し、 教 職 員 にとって 無 理 のない 導 入 を 推 進 している。
ICTインフラ 面 では、 校 内 LANや 校 務 用 のイントラネット が 整 備 されている。また、 詳 細 な 技 術 検
討 によって 情 報 セキュリティを 確 保 している。しかし、 個 人 情 報 保 護 を 含 めたセキュリティポリシーの
策 定 に 関 しては、 行 政 と 学 校 現 場 の 業 務 環 境 のギャップを 踏 まえた 慎 重 な 検 討 を 行 っている。
組 織 ・ 制 度 面 では、 行 政 と 教 育 委 員 会 の 双 方 の 視 点 をもつキーマンが 行 政 、 教 育 委 員 会 のトップ
の 理 解 、バックアップを 得 ながらICT 化 を 推 進 している。
これらの 自 治 体 は、キーマンの 主 導 的 な 推 進 のもと、 複 合 的 な 対 応 策 を 見 出 し、 校 務 のICT 化 を
行 政 の 総 合 的 な 施 策 の 一 環 として 実 践 と 見 直 しを 継 続 しながら 取 り 組 んでいる。また、 住 民 サービ
スの 向 上 のためには、 行 政 サービスと 教 育 サービスとを 結 びつけることが 重 要 であるということを 常
に 念 頭 において 推 進 している。
9
更 に、 海 外 先 進 事 例 として、 韓 国 および 英 国 の 校 務 情 報 化 の 状 況 調 査 を 行 って
いる。
・ 韓 国 : 全 国 共 通 システムの 導 入 (トップダウンによる 校 務 情 報 化 )-セキュリティ 確 保 と 教 職 員
の 業 務 のしやすさへの 配 慮
・ 英 国 : 学 校 単 位 での 校 務 情 報 化 (ボトムアップによる 校 務 情 報 化 )-ICT 利 用 限 定 の 予 算 措 置
とシステム 間 のデータ 連 携
10
1.4 中 長 期 ビジョン
「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」では、 以 上 の 調 査 を 元 に、 校 務 情 報 化 の「 中 長 期
ビジョン」として 以 下 2 点 を 提 言 している。
1
校 務 情 報 化 の 目 的
1) 教 職 員 の 校 務 の 軽 減 化 ・ 効 率 化
2) 情 報 セキュリティの 確 保
3) 児 童 生 徒 に 対 する 教 育 効 果 の 向 上
・ 児 童 生 徒 に 教 員 が 接 する 時 間 の 増 加
・ 教 材 等 の 共 有 による 授 業 の 充 実
・ 学 習 者 情 報 の 共 有 による 複 数 の 教 師 の 目 による 指 導 の 充 実
・ 教 師 間 の 情 報 共 有 による 教 師 の 力 量 形 成
4) 児 童 生 徒 ・ 地 域 の 安 全 安 心
5) 学 校 経 営 の 改 善 ・ 効 率 化
・グループウェアによる 共 通 理 解 の 促 進 と 効 率 化
・ 教 育 委 員 会 との 連 携 による 学 校 運 営 ・ 教 育 委 員 会 事 務 の 効 率 化
・ 電 子 決 裁 システムによる 管 理 職 業 務 の 効 率 化 と 教 職 員 の 対 話 促 進
6) 保 護 者 との 情 報 共 有 の 促 進
7) 地 域 への 情 報 公 開 ・ 説 明 責 任
2 校 務 情 報 化 の 推 進 方 策
・ 教 育 委 員 会 のビジョンと 学 校 現 場 からの 要 望 を 止 揚 したシステム 導 入
・ 校 務 情 報 化 推 進 の 動 機 づけ
・ 校 務 情 報 化 の 推 進 と 実 効 性 のある 運 用 体 制
・ 教 員 のICTリテラシイの 向 上
・ 個 別 システムの 連 携 動 作 またはデータ 連 携
・ 学 校 情 報 セキュリティの 確 保
・ 校 務 情 報 化 に 合 わせた 制 度 と 規 定 の 見 直 し
11
また、 校 務 情 報 化 の 課 題 ( 校 務 情 報 化 に 関 する 学 校 と 教 育 委 員 会 の 実 態 )に 対 応 し
て, 各 教 育 委 員 会 や 学 校 が 校 務 情 報 化 推 進 のための 中 長 期 的 ビジョンの 策 定 や 整 備 計
画 の 策 定 の 参 考 にできるよう,「 目 的 別 のモデルケース」,「 整 備 主 体 別 モデルケー
ス」,「 環 境 整 備 状 況 別 モデルケース」の3つの 観 点 のモデルケースを 示 している。
( 図 1.4)
校 務 情 報 化 のあるべき 姿
発 展 のビジョン
3つの 観 点 からの
モデルケース
目 的 別 モデルケース
● 教 育 の 質 的 改 善
・ 教 育 効 果 の 向 上
・ 学 校 経 営 の 改 善
● 保 護 者 や 地 域 との 連 携
●セキュリティの 確 保 、 等
整 備 主 体 別 モデルケース
● 教 育 委 員 会 主 導 ( 推 奨 )
● 学 校 主 導
環 境 整 備 状 況 別 モデルケース
● 校 内 ネットワーク 整 備
実 施 済 / 未 整 備
● 外 部 ネットワーク 整 備
・ 教 育 委 員 会 イントラネット
・ 自 治 体 のネットワークシステム
・ 民 間 プロバイダー 接 続
図 1.4
校 務 情 報 化 モデルケースイメージ( 平 成 18 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 『 校 務 情 報 化 の
現 状 と 今 後 の 在 り 方 に 関 する 研 究 報 告 書 』 日 本 教 育 工 学 振 興 会 )
「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」の 本 内 容 は、「 教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書 」に
て、「 業 務 面 の 問 題 」「ICTインフラに 関 する 問 題 」「 組 織 ・ 制 度 における 問 題 」に
区 分 し、 分 析 した 内 容 と 重 なる 部 分 が 多 い。
更 に、「 教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書 」では、 複 合 的 な 課 題 に 対 応 するため、
情 報 化 推 進 計 画 立 案 の 必 要 性 を 述 べている。
12
1
PCおよびネットワークインフラ 整 備 計 画
• 教 職 員 1 人 1 台 のPC 整 備
• 学 校 と 市 町 村 教 育 委 員 会 を 結 ぶセキュアなネットワーク 構 築
• 学 校 と 地 域 ・ 家 庭 を 結 ぶネットワークの 構 築
• 学 校 内 LANのセキュリティ 確 保
• ネットワークセンタおよび 運 用 の 検 討
2
セキュリティポリシーの 構 築 計 画
• 学 校 での 校 務 利 用 と 教 育 利 用 を 含 めたセキュリティポリシーの 作 成
• 教 職 員 に 対 するセキュリティポリシーの 普 及 施 策 の 検 討
3
校 務 システムの 設 計 と 構 築 計 画
• 教 育 委 員 会 における 校 務 システムの 設 計 と 構 築
• 学 校 における 校 務 システムの 設 計 と 構 築
4
校 長 等 の 幹 部 へのICT 活 用 の 徹 底 計 画
• ICT 化 による 教 育 の 質 的 改 善
• ICT 化 による 教 職 員 の 業 務 効 率 化
• ICT 化 による 教 職 員 の 資 質 向 上
• 地 域 ・ 家 庭 への 情 報 発 信 によるコミュニケーション の 強 化
「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」および、「 教 育 アプリケーション 基 本 提 案 書 」を 踏
まえ、 教 育 WGでは、APPLIC 会 員 自 治 体 へのアンケートや 先 進 事 例 の 検 討 を
通 じ、 教 育 一 人 一 台 PCや 校 務 用 ネットワークなどのインフラ 整 備 、 運 用 サポート
体 制 、セキュリティ、 校 務 アプリケーションに 関 し、 校 務 情 報 化 に 関 するガイドラ
インとして 提 言 を 行 う。
13
2.APPLIC 会 員 自 治 体 へのアンケート
本 調 査 では、 文 部 科 学 省 ・( 社 ) 日 本 教 育 工 学 振 興 会 ・( 財 )コンピュータ 教 育 開 発 セン
ターが 過 去 に 実 施 した 調 査 結 果 を 参 考 にした 上 で、 校 務 ICT 化 の 更 なる 推 進 を 目 指 し、
以 下 の 観 点 による 調 査 を 実 施 した。
1 現 状 のネットワーク 整 備 状 態 に 関 する 調 査
⇒ 過 去 の 調 査 より 具 体 的 な 整 備 状 態 を 調 査
2 教 職 員 の 情 報 セキュリティに 関 する 調 査
⇒ 過 去 の 調 査 より 具 体 的 な 運 用 実 態 を 調 査
3 ネットワーク 利 用 の 校 務 アプリケーションに 関 する 調 査
⇒ 過 去 の 調 査 で 実 施 していない 観 点 での 調 査
【アンケート 対 象 団 体 】
全 体 :257 団 体 、 都 道 府 県 :47 団 体 、 市 区 町 村 :210 団 体
【 回 答 団 体 】 全 体 :123 団 体 、 都 道 府 県 :30 団 体 、 市 区 町 村 : 93 団 体
2.1 現 状 のネットワーク 整 備 状 況 について
教 育 情 報 ネットワークに 関 し、 学 校 間 ネットワークの 有 無 、 設 置 主 体 、スピード、セ
キュリティ、 認 証 、 首 長 部 局 ネットワークとの 連 携 、インターネット 利 用 と 校 務 利 用 、
運 営 、 利 用 者 サポートについて 調 査 を 行 った。
(★は「 学 校 間 ネットワーク 有 り」の 内 数 )
(1) 学 校 間 ネットワークの 整 備 状 況
無 し
17%
有 り
83%
無 し
42%
有 り
58%
図 2.1(1)a 都 道 府 県
図 2.1(1)b 市 区 町 村
学 校 間 ネットワークは、 都 道 府 県 では83%、 市 区 町 村 では58%が 整 備 済 であり、
教 育 情 報 ネットワークの 多 くが 学 校 間 ネットワークで 構 成 されている。
尚 、 市 区 町 村 の 明 細 は 以 下 のとおり。( 図 2.1(1)a,b)
14
政 令 市 特 別 区 中 核 市 特 例 市 市 町 村 計
有 り 8 1 10 5 21 9 54
無 し 2 7 1 3 17 9 39
計 10 8 11 8 38 18 93
(2) 学 校 間 ネットワークの 回 線 種 別 ★
CATV
VPN
ISDN
専 用 線
ATM
イーサネット
衛 星 回 線
ダークファイハ
自 営 ・ 無 線
自 営 ・ 光
0%
0%
4%
8%
8%
12%
16%
32%
40%
40%
CATV
VPN
ISDN 4%
専 用 線
ATM0%
イーサネット
衛 星 回 線
ダークファイハ
自 営 ・ 無 線
自 営 ・ 光
0%
4%
9%
7%
20%
20%
24%
54%
0% 10% 20% 30% 40% 50%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
図 2.1(2)a 都 道 府 県
図 2.1(2)b 市 区 町 村
都 道 府 県 では、イーサネット・ 専 用 線 ・ 光 ファイバーの 採 用 が 多 く、 一 部 にはダーク
ファイバーやATMが 利 用 されている。( 図 2.1(2)a)
市 区 町 村 では、 自 営 の 光 ファイバー・イーサネット・ 専 用 線 ・CATVの 利 用 が 多 い。
特 に 自 営 の 光 ファイバーの 採 用 が5 割 を 超 えており、 地 域 イントラネットの 普 及 施 策 に
よるものと 考 えられる。( 図 2.1(2)b)
注 :
自 営 ・ 光 : 自 治 体 が 自 らの 設 備 として 光 ファイバーを 敷 設 。
自 営 ・ 無 線 : 自 治 体 が 自 らの 設 備 として 無 線 設 備 を 設 置 。
ダークファイハ ゙ー: 通 信 事 業 者 等 の 光 ファイバの 空 き 心 線 を 借 り、 自 営 の 光 ファイバと 同 様 に 利 用 するこ
と。 提 供 されるのは 一 般 的 に 光 ファイバのみであり、 自 治 体 側 で 光 ファイバ 接 続 用 の
機 器 を 購 入 する 必 要 がある。 光 ファイバの 利 用 心 数 及 び 敷 設 距 離 に 応 じて 利 用 料 金 ( 経
常 費 用 )が 決 定 される。
衛 星 回 線 : 通 信 事 業 者 等 から 衛 星 通 信 回 線 を 借 上 げ。 半 自 営 。
以 下 は 通 信 事 業 者 ネットワークの 通 信 サービスを 利 用 するもの。
イーサネット: 広 域 イーサネットサービス。 通 信 事 業 者 が 提 供 する 10BASE-T/100BASE-TX 等 のLA
Nインタフェースで 地 域 内 の 庁 舎 や 学 校 、 各 種 施 設 を 接 続 し、あたかも 1 つのLAN
(スイッチHUB)のように 接 続 するサービス。イーサネットサービス(レイヤ2サ
ービス)であるため TCP/IP 以 外 の 一 般 的 なLANプロトコルも 通 信 できるのが 特 徴 。
ATM : 送 信 情 報 を ATM セルと 呼 ばれるブロックに 分 割 し、 高 速 伝 送 を 実 現 する 方 式 。 通 信 速
度 としては、155Mbps、622Mbps が 提 供 されている。
専 用 線 : 特 定 の 2 点 間 を 結 ぶ 回 線 。スループットが 保 証 され、 第 三 者 が 割 り 込 むことは 困 難 で
回 線 のセキュリティーも 高 い。 品 質 保 持 や 保 守 サービスに 重 点 が 置 かれているため、
安 全 性 セキュリティは 高 いがその 分 費 用 が 掛 かるサービスである。
ISDN :Integrated Services Digital Network の 略 。 総 合 サービスデジタル 通 信 網 。 各 種 デー
タ 通 信 や 電 話 、FAX、 画 像 などの 通 信 を 国 際 標 準 化 されたインターフェースを 介 して
行 うデジタル 統 合 網 。NTT のサービスでは、INS ネット 64、INS ネット 1500、パケ
ット 交 換 サービスの INS-P などがある。
15
注 :
VPN
CATV
: 公 衆 回 線 の 中 に、 安 全 の 確 保 された 経 路 を 作 り、あたかも 専 用 線 のように 利 用 できる
サービス。トンネル 技 術 と 呼 ばれる 暗 号 方 式 を 利 用 して 安 全 を 確 保 している。 普 通 に
専 用 線 をひく 場 合 は、 距 離 と 回 線 速 度 によりコストが 高 くなるが、VPN の 場 合 は、サ
ービス・プロバイダの 利 用 料 金 とアクセス 回 線 費 用 だけで 済 む、というメリットがあ
る。また、 通 常 の 専 用 線 では、 接 続 先 を 簡 単 に 変 えることができないが、VPN の 場 合
は、 提 供 業 者 の 設 定 を 変 えるだけで 接 続 先 を 柔 軟 に 変 えることができる、というメリ
ットもある。
:CATVのアナログ 網 を 利 用 してデータ 通 信 を 行 うための、ケーブルモデム、センタ
ーモデム 等 から 成 る、ケーブルモデムを 集 約 してデータ 通 信 を 行 うためのセンター 装
置 により 構 築 するネットワーク。
(3) 教 育 情 報 ネットワークのスピード★
1Gbps 以 上
12%
1Gbps 以 上
7%
1Gbps
24%
1Gbps
19%
1Gbps 以 下
8%
1Gbps 以 下
2%
100Mbps
36%
100Mbps
41%
100Mbps 以 下
12%
100 Mbps 以 下
22%
0% 10% 20% 30% 40%
0% 10% 20% 30% 40% 50%
図 2.1(3)a 都 道 府 県
図 2.1(3)b 市 区 町 村
都 道 府 県 ・ 市 区 町 村 ともに、 幹 線 については100Mbpsが 主 流 であるが、1Gb
psも 多 くなっている。( 図 2.1(3)a,b)
(4) ネットワーク 利 用 時 のセキュリティ 技 術 ★
その 他
8%
その 他
6%
VPN
利 用
無 し
52%
VPN
利 用
40%
検 討 中
0%
VPN 利
用 無 し
39%
検 討 中
11%
VPN
利 用
44%
図 2.1(4)a 都 道 府 県
図 2.1(4)b 市 区 町 村
VPN 利 用 は 検 討 中 を 含 め、 都 道 府 県 で40%、 市 区 町 村 で55%と 利 用 が 進 んでお
り、 暗 号 化 技 術 の 採 用 により、 安 全 な 利 用 が 可 能 となっていると 評 価 できる。
16
(5) 教 員 用 認 証 ★
利 用
無 し
52%
端 末
認 証
利 用
36%
利 用
無 し
37%
端 末 認
証 利 用
54%
検 討 中
12%
検 討 中
9%
図 2.1(5)a 都 道 府 県
図 2.1(5)b 市 区 町 村
端 末 認 証 の 利 用 は 検 討 中 を 含 め、 都 道 府 県 で48%、 市 区 町 村 で63%である。( 図
2.1(5)a.b)
市 区 町 村 で 端 末 認 証 の 利 用 が 進 んでいる 点 は、 情 報 セキュリティ 上 好 ましい 状 況 であ
ると 評 価 できる。
(6) 個 人 認 証 ★
利 用
無 し
56%
ID/
パスワート ゙
44%
USBキー
7%
利 用 無 し
28%
ID/
パスワート ゙
52%
図 2.1(6)a 都 道 府 県
図 2.1(6)b 市 区 町 村
都 道 府 県 での 個 人 認 証 には ID/パスワードが 利 用 されているが、 個 人 認 証 が 利 用 され
ていない 場 合 も 多 く、 本 格 的 な 校 務 利 用 時 には 検 討 が 必 要 である。( 図 2.1(6)a)
市 区 町 村 では ID/パスワードに 加 え、IC カード・USB キーなどが 使 われており、セ
キュリティの 強 化 と 利 用 者 の 負 荷 軽 減 の 試 みがされていると 評 価 できる。( 図
2.1(6)b)
ICカード
9% IDカード
指 紋 認 証
2%
2%
17
(7) 首 長 部 局 ネットワークと 教 育 情 報 ネットワークの 連 携 ★
その 他
4%
その 他
2%
一 部 連
携
36% 完 全 に
分 離
60%
一 部
連 携
44%
完 全 に
分 離
54%
図 2.1(7)a 都 道 府 県
図 2.1(7)b 市 区 町 村
首 長 部 局 ネットワークと 教 育 情 報 ネットワークが 完 全 に 分 離 が、 都 道 府 県 で60%、
市 区 町 村 で54%と 多 く 見 受 けられる。( 図 2.1(7)a,b)
(8) インターネット 利 用 ネットワークと 校 務 利 用 ネットワーク★
その 他
8%
その 他
2%
物 理 的
に 別
28%
物 理 的
に 別
22%
同 一
64%
同 一
76%
図 2.1(8)a 都 道 府 県
図 2.1(8)b 市 区 町 村
都 道 府 県 ・ 市 区 町 村 共 に、インターネット 利 用 と 校 務 利 用 が 同 一 ネットワーク
の 場 合 が 多 い。( 図 2.1(8)a,b)
インターネットと 校 務 を 同 一 ネットワーク 上 での 利 用 している 場 合 、 校 務 処 理
で 個 人 情 報 等 を 扱 う 場 合 には、V-LAN 等 の 技 術 によりネットワーク 回 線 自 体
のセキュリティを 高 めることや、 情 報 自 体 に 暗 号 化 を 施 す 必 要 がある。
18
(9) インターネット 利 用 と 校 務 利 用 の 端 末 ★
その 他
8%
別 端 末
利 用
15%
別 端 末
利 用
20%
同 一 端
末 利 用
77%
同 一 端
末 利 用
80%
図 2.1(9)a 都 道 府 県
図 2.1(9)b 市 区 町 村
都 道 府 県 ・ 市 区 町 村 ともに、 同 一 端 末 でインターネット 利 用 ・ 校 務 利 用 ができるが、
一 部 で 端 末 を 分 離 している 場 合 がある。( 図 2.1(9)a,b)
先 進 的 な 事 例 では、シン・クライアントを 利 用 したり、 校 務 利 用 時 と 教 育 利 用 時 の
PC 環 境 を 切 り 換 える 工 夫 をしている 場 合 がある。
(10) 学 校 間 ネットワークの 運 営 主 体 ★
教 育 委 員 会
教 育 センター
首 長 部 局 4%
その 他 0%
52%
52%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
図 2.1(10)a 都 道 府 県
教 育 委 員 会
教 育 センター
首 長 部 局
その 他
7%
20%
26%
48%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
図 2.1(10)b 市 区 町 村
都 道 府 県 では、 教 育 委 員 会 と 教 育 センターが 学 校 間 ネットワークの 運 用 主 体 になる 場
合 が 多 い。( 複 数 回 答 の 自 治 体 あり。)
市 区 町 村 では、 教 育 委 員 会 ・ 首 長 部 局 が 学 校 間 ネットワークの 運 営 主 体 になる 場 合 が
多 い。 教 育 センター( 教 育 研 究 所 )を 持 つ 市 区 町 村 は28 団 体 であり、このうち11 団
体 が 運 用 主 体 となっている。「その 他 」の 中 には、 都 道 府 県 が 運 営 主 体 となっている 事 例
があった。
19
(11) 具 体 的 な 運 営 体 制 ★
職 員
外 部 常 駐 者
第 三 セクター
民 間
その 他
4%
12%
24%
32%
32%
0% 10% 20% 30% 40%
図 2.1(11)a 都 道 府 県
職 員
外 部 常 駐 者
第 三 セクター
民 間
その 他
4%
4%
7%
41%
44%
0% 10% 20% 30% 40% 50%
図 2.1(11)b 市 区 町 村
都 道 府 県 ・ 市 区 町 村 ともに 外 部 委 託 が50%を 超 えている。( 図 2.1(11)a,b)
都 道 府 県 では 民 間 委 託 に 次 いで、 外 部 常 駐 者 への 委 託 が 多 い。
(12) 利 用 者 サポート 体 制 の 有 無 ★
無 し
4%
未 回
答
無 し
4%
11%
有 り
96%
有 り
85%
図 2.1(12)a 都 道 府 県
図 2.1(12)b 市 区 町 村
都 道 府 県 ・ 市 区 町 村 ともに、 利 用 者 サポート 体 制 をとっている。
20
(13) 利 用 者 サポートの 具 体 的 な 運 営 体 制 (「 利 用 者 サポート 有 り」の 内 数 )
職 員
29%
外 部 常 駐 者
第 三 セクター
25%
25%
民 間
17%
0% 10% 20% 30% 40%
図 2.1(13)a 都 道 府 県
職 員
外 部 常 駐 者
第 三 セクター
民 間
2%
26%
24%
52%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
図 2.1(13)b 市 区 町 村
利 用 者 サポートについては、 職 員 による 運 営 もいまだ 多 く、 今 後 、 教 員 一 人 一 台 PC
が 本 格 的 に 推 進 される 場 合 は、 体 制 の 検 討 が 必 要 である。( 図 2.1(13)a,b)
利 用 者 サポートの 内 容 は、 機 器 ・ネットワークやアプリケーションソフトウェアの 不
具 合 に 対 する 保 守 や 質 問 に 関 するインフラサポートと、 業 務 運 営 上 のサポートの2 種 類
がある。
インフラサポートについては、 機 器 やシステムの 導 入 時 の 契 約 内 容 にサポート 内 容 を
規 定 することで、 条 件 を 明 示 して 外 部 委 託 する 場 合 が 多 い。
業 務 運 営 上 のサポートは、 業 務 内 容 のマニュアル 化 や 業 務 運 営 主 体 との 役 割 分 担 の 明
確 化 を 行 うことにより、 外 部 委 託 する 事 例 もある。
21
2.2 教 職 員 の 情 報 セキュリティについて
(1) 校 長 を 責 任 者 としたセキュリティ 確 保 のための 組 織 の 設 置
市 区 町 村
4 7 %
3 7 %
3 %
13 %
は い
3 %
検 討 中
都 道 府 県
7 7 %
1 7 %
い い え
3 %
そ の 他
0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %
図 2.2(1)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
市 区 町 村 ・ 無
36%
44%
13%
8%
市 区 町 村 ・ 有
56%
31% 13%
都 道 府 県 ・ 無
60%
20% 20%
都 道 府 県 ・ 有
80%
16%
4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい
検 討 中
いいえ
その 他
図 2.2(1)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
セキュリティ 確 保 の 組 織 設 置 は 都 道 府 県 では77%と 進 んでいるが、 市 区 町 村 の
場 合 は47%に 止 まっている。( 図 2.2(1)a)
更 に、 学 校 間 ネットワークの 有 無 で 見 ると 差 が 大 きく、 無 しの 場 合 、 組 織 だった
運 用 がされず、 学 校 に 任 せられている 場 合 もある。( 図 2.2(1)b)
(2) 学 校 等 の 情 報 資 産 の 洗 い 出 しと 管 理
市 区 町 村
31%
47%
18% 3%
はい
検 討 中
都 道 府 県
63%
17%
20%
いいえ
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(2)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
22
市 区 町 村 ・ 無
26%
49%
18% 8%
市 区 町 村 ・ 有
35%
46%
19%
はい
都 道 府 県 ・ 無
40%
40%
20%
検 討 中
いいえ
都 道 府 県 ・ 有
68%
12%
20%
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(2)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
都 道 府 県 では63%、 市 区 町 村 では31%と 差 が 最 も 大 きい 項 目 であり、 学 校 間 ネ
ットワークの 有 無 による 差 も 大 きい。( 図 2.2(2)a,b)
学 校 間 ネットワークの 整 備 にあわせ、 情 報 資 産 の 洗 い 出 しを 行 う 必 要 が 高 い。
(3) 同 意 書 への 署 名 や 罰 則 等 、 教 職 員 のセキュリティ 確 保 の 手 だて
市 区 町 村
31%
43%
23%
3%
はい
検 討 中
都 道 府 県
50%
17%
30%
3%
いいえ
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(3)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
市 区 町 村 ・ 無
18%
49%
26%
8%
市 区 町 村 ・ 有
41%
39%
20%
はい
都 道 府 県 ・ 無
40%
20%
20%
20%
検 討 中
いいえ
都 道 府 県 ・ 有
52%
16%
32%
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(3)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
都 道 府 県 で50%、 市 区 町 村 で31%と、 情 報 セキュリティの7 項 目 の 中 で 実 施
済 みの 割 合 が 最 も 低 い 項 目 である。
実 施 していないという 答 えが 最 も 多 い 項 目 でもあり、 今 後 の 重 要 課 題 である。
23
(4) ハードウェアや 環 境 のセキュリティの 整 備
市 区 町 村
74%
17%
5%
3%
はい
検 討 中
都 道 府 県
73%
17%
10%
いいえ
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(4)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
市 区 町 村 ・ 無
64%
21%
8% 8%
市 区 町 村 ・ 有
81%
15%
4%
はい
都 道 府 県 ・ 無
60%
20%
20%
検 討 中
いいえ
都 道 府 県 ・ 有
76%
16%
8%
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(4)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
都 道 府 県 で73%、 市 区 町 村 で74%と、 市 区 町 村 での 実 施 割 合 の 最 も 高 い 項 目
である。( 図 2.2(4)a,b)
市 区 町 村 が 学 校 間 ネットワーク 整 備 時 に、 最 も 留 意 した 点 と 考 えられる。
(5) ネットワークやソフトウェアの 運 用 管 理
市 区 町 村
66%
23%
9% 3%
は い
検 討 中
都 道 府 県
80%
17%
3%
いいえ
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(5)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
市 区 町 村 ・ 無
51%
28%
13% 8%
市 区 町 村 ・ 有
76%
19%
6%
は い
都 道 府 県 ・ 無
60%
20%
20%
検 討 中
い い え
都 道 府 県 ・ 有
84%
16%
そ の 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(5)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
24
都 道 府 県 で80%、 市 区 町 村 で66%と、 都 道 府 県 での 実 施 割 合 の 高 い 項 目 であり、 学
校 間 ネットワークの 有 る 都 道 府 県 での 実 施 割 合 も 高 い。( 図 2.2(5)a,b)
(6) アクセス 制 御 の 管 理
市 区 町 村
67%
15%
15% 3%
はい
検 討 中
都 道 府 県
70%
20%
10%
いいえ
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(6)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
市 区 町 村 ・ 無
49%
21%
23% 8%
市 区 町 村 ・ 有
80%
11%
9%
はい
都 道 府 県 ・ 無
60%
20%
20%
検 討 中
いいえ
都 道 府 県 ・ 有
72%
20%
8%
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(6)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
都 道 府 県 で70%、 市 区 町 村 で67%とほぼ 同 様 の 実 施 割 合 である。( 図 2.2(6)a,b)
(7) 法 令 の 遵 守 に 関 する 指 針 の 設 定 と 実 施
市 区 町 村
51%
31%
15%
3%
はい
検 討 中
都 道 府 県
80%
13%
3% 3%
いいえ
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(7)a 都 道 府 県 / 市 区 町 村
25
市 区 町 村 ・ 無
49%
26%
18%
8%
市 区 町 村 ・ 有
52%
35%
13%
はい
都 道 府 県 ・ 無
60%
20%
20%
検 討 中
いいえ
都 道 府 県 ・ 有
84%
12%
4%
その 他
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.2(7)b 学 校 間 ネットワークの 有 無
都 道 府 県 80%、 市 区 町 村 51%と、 差 が 大 きな 項 目 である。( 図 2.2(7)a)
また、 学 校 間 ネットワークの 有 無 でも 差 が 大 きい。( 図 2.2(7)b)
26
2.3 ネットワーク 利 用 の 校 務 アプリケーションについて
(1) 利 用 の 範 囲
教 育 委 員 会 内
12%
11%
8%
学 校 内
教 委 ・ 学 校 連 携
20%
44%
60%
36%
52%
50%
都 道 府 県 ・ 有
都 道 府 県 ・ 無
市 区 町 村 ・ 有
市 区 町 村 ・ 無
首 長 部 局 連 携
10%
33%
40%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%
図 2.3(1) 利 用 の 範 囲
校 務 アプリケーションは 学 校 内 だけではなく、 教 育 委 員 会 ・ 学 校 連 携 や 首 長 部 局
連 携 でも 利 用 されている。( 図 2.3(1))
学 校 間 ネットワークを 整 備 している 自 治 体 では、 教 育 委 員 会 ・ 学 校 連 携 や 首 長 部
局 連 携 の 活 用 が 多 く、 学 校 間 ネットワークが 整 備 されていない 自 治 体 では 学 校 内 で
閉 じた 校 務 の 利 用 が 多 い。
(2) 利 用 者 の 範 囲
教 育 委 職 員
8%
48%
41%
学 校 管 理 職
学 校 行 政 職
教 員
20%
13%
20%
13%
35%
31%
36%
60%
60%
56%
60%
80%
都 道 府 県 ・ 有
都 道 府 県 ・ 無
市 区 町 村 ・ 有
市 区 町 村 ・ 無
非 常 勤 職 員
12%
9%
8%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%
図 2.3(2) 利 用 者 の 範 囲
利 用 者 の 範 囲 については、 学 校 間 ネットワークが 整 備 されている 場 合 には 複 数 の
利 用 者 が 活 用 している 場 合 が 多 い。
27
(3) 教 育 委 員 会 事 務 関 連
その 他
福 利 厚 生
物 品 調 達
給 与
人 事
財 務 会 計
学 納 金
電 子 決 裁
保 健 情 報
就 学 援 助
学 籍
6%
7%
1%
7%
3%
17%
6%
4%
17%
3%
7%
3%
13%
6%
7%
4%
3%
4%
10%
23%
31%
37%
市 区 町 村
都 道 府 県
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%
図 2.3(3) 教 育 委 員 会 事 務 関 連
都 道 府 県 では、 財 務 会 計 ・ 給 与 管 理 ・ 人 事 管 理 ・ 物 品 調 達 などが 多 く、 市 区 町 村 で
は、 財 務 会 計 の 利 用 が 多 い。( 図 2.3(3))
現 状 では、 特 に 市 区 町 村 で、 教 育 委 員 会 の 情 報 システムは、 財 務 会 計 などの 最 低 必
要 限 のもの 以 外 は、ネットワーク 化 されておらず、 住 民 サービスの 向 上 ・ 行 政 の 効 率
化 の 観 点 から、より 一 層 のシステム 化 が 求 められる。
(4) コミュニケーション 関 連
その 他
登 下 校
学 校 連 絡 網
3%
0%
2%
3%
4%
3%
ホームページ
アンケート
23%
14%
27%
50%
市 区 町 村
都 道 府 県
掲 示 板
24%
40%
グループウェア
40%
60%
メール
51%
77%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
図 2.3(4) コミュニケーション 関 連
28
都 道 府 県 では、メール・グループウェアの 利 用 が6 割 を 超 え、またホームページの
運 用 管 理 システムの 利 用 が5 割 である。
市 区 町 村 では、メールの 利 用 が5 割 強 、ホームページの 運 用 管 理 システムの 利 用 が
1/4 以 下 である。( 図 2.3(4))
(5) 学 校 事 務 関 連 ( 学 校 内 の 校 務 )
その 他
8%
10%
成 績 管 理
11%
23%
電 子 決 裁
10%
13%
市 区 町 村
保 健 管 理
10%
13%
都 道 府 県
時 数 管 理
5%
20%
出 欠 管 理
9%
20%
0% 10% 20% 30%
図 2.3(5) 学 校 事 務 関 連
都 道 府 県 では、 成 績 管 理 23%・ 出 欠 管 理 20%・ 時 数 管 理 20%が 多 く 利 用 されて
いる。
市 区 町 村 では、 保 健 管 理 13%・ 成 績 管 理 11%・ 電 子 決 裁 10%・ 出 欠 管 理 9%が
利 用 されているが、 総 じて 学 校 事 務 関 連 のアプリケーションの 整 備 は 遅 れている。
( 図 2.3(5))
29
2.4 アンケート 結 果 についてのまとめ
中 学 校
高 等 学 校
特
殊
教
育
諸
学
校
文 部 科 学 省 の「 平 成 18 年 度
学 校 種
小 学 校
中 等 教 育 学 校
盲 学 校
聾 学 校
養 護 学 校
小
合
計
計
学 校 における 教 育 の 情 報 化 の 実 態 等 に 関 する 調 査 結 果
[ 速 報 値 ]( 平 成 19 年 3 月 現 在 )」によれば、 教 員 の 校 務 用 コンピュータ 整 備 率 は、 平
成 18 年 3 月 の33.4%から 平 成 19 年 3 月 の43.0%へ1 年 間 に 約 8 万 4 千 台 の
校 務 用 コンピュータが 整 備 されている。
然 し、 整 備 率 第 1 位 の 鳥 取 県 (87.2%)と 第 47 位 の 大 阪 府 (26.2%)では
地 域 差 が 多 い。
また、 昨 年 度 の 同 調 査 によると、 教 員 全 員 に 電 子 メールアドレスを 付 与 している 学 校
は 全 体 の31%にすぎない。( 図 2-4)
( 平 成 18 年 3 月 31 日 現 在 )
インターネット ホームページのある 学 校
電 子 メールアドレスの 付 与 状 況 ( 重 複 有 り)
接 続 学 校 数
学 校 用 アドレス 教 員 用 アドレス 児 童 生 徒 用 アド
( 再 掲 )(A)
学 校 数 (B) 割 合 (B/A) を 持 つ 学 校 を 持 つ 学 校 レスを 持 つ 学 校
校 校 % 校 校 校
(22,691) (15,818) (69.7%) 6,006 1,026
22,44016,337 72.8%21,948 4,557 2,250
(10,244) (7,031)(68.6%) 2,688 542
10,1617,367 72.5% 9,910 2,414 946
(4,076) (3,967)(97.3%) 2,311 696
4,044 3,978 98.4% 3,961 1,280 533
(7) (7) (100.0%) 3 0
8 8 100.0% 8 3 1
(68) (66) (97.1%) 36 16
68 68 100.0% 66 24 22
(104) (99) (95.2%) 58 12
103 102 99.0% 101 32 27
(761) (719)(94.5%) 361 90
769 738 96.0% 761 267 179
(933) (884)(94.7%) 455 118
940 908 96.6% 928 323 228
(37,951) (27,707) (73.0%) 11,4632,382
37,59328,59876.1%36,7558,5773,958
注 1)「 電 子 メールアドレス 付 与 状 況 」 欄 の 上 段 の 数 値 は、 全 員 に 付 与 している 場 合 の 数 値 を 表 し、 下 段 の 数 値 は 一 部 付 与 している 場 合
の 数 値 を 表 す。
図 2-4 ホームページ、 電 子 メールの 状 況 ( 文 部 科 学 省 調 査 資 料 より)
上 記 のパソコン 等 の 機 器 のインフラ 整 備 の 必 要 性 に 加 え、 今 回 の 調 査 から、 学 校 間 ネ
ットワークの 整 備 が、 教 職 員 の 情 報 セキュリティや 校 務 アプリケーションの 整 備 に 大 き
く 影 響 していることが 推 察 できる。
(1) 現 状 のネットワーク 整 備 状 況
教 育 情 報 ネットワークに 関 し、 都 道 府 県 で83%、 市 区 町 村 で58%が 学 校 間 ネ
ットワークの 整 備 を 行 っている。
特 に、 市 区 町 村 では 自 営 の 光 ファイバーによる 整 備 が 多 い。
個 人 認 証 にはID/パスワードの 利 用 が 多 いが、 市 区 町 村 では、ICカードやU
30
SBキーの 利 用 も 広 がっている。
首 長 部 局 ネットワークと 教 育 情 報 ネットワークは、 完 全 に 分 離 されている 場 合 が
多 く、 学 校 での 校 長 や 行 政 職 の 端 末 の 運 用 の 複 雑 化 の 原 因 になっていると 考 えられ
る。
学 校 間 のネットワークの 運 用 に 関 しては、 利 用 者 サポート 等 を 含 め、アウトソー
シングの 事 例 も 多 いが、 職 員 自 らが 運 営 やサポートを 行 っている 場 合 も 多 く、 今 後
はより 一 層 の 外 部 委 託 等 による 効 率 化 が 必 要 と 考 えられる。
(2) 教 職 員 の 情 報 セキュリティ
情 報 セキュリティの 実 施 度 は、ハードウェア 整 備 ・ネットワーク/ソフトウェア 運
用 管 理 ・アクセス 制 御 などのインフラ 系 の 実 施 度 は 高 いが、 同 意 書 への 署 名 ・ 情 報
資 産 の 洗 い 出 し・ 組 織 の 設 置 などの 人 間 系 の 対 応 は 実 施 度 が 相 対 的 に 低 い。
但 し、 全 体 的 には 検 討 中 を 加 えると 殆 どの 自 治 体 で 情 報 セキュリティの 実 施 が 必
要 であると 考 えている。
また、 学 校 間 ネットワークが 整 備 されている 自 治 体 では、 実 施 度 は 高 い。
情 報 セキュリティを 確 保 するための 取 組 みとして、 全 ての 教 職 員 が 意 識 を 持 ち、
情 報 資 産 の 洗 い 出 しを 行 い、 運 用 ・ 管 理 していくための 仕 組 み 作 りを 行 うことが、
現 在 では、 機 器 による 情 報 化 の 有 無 にかかわらず 必 要 となっている。
(3) 校 務 アプリケーション
ネットワークを 利 用 した 校 務 アプリケーションの 利 用 組 織 および 利 用 者 は、 学
校 間 ネットワークの 有 る 場 合 が、 利 用 組 織 の 範 囲 ・ 利 用 者 の 範 囲 は 広 く、 効 率 化
の 範 囲 が 広 くなると 考 えられる。
教 育 委 員 会 事 務 関 連 では、 財 務 会 計 が 突 出 して 多 い。 都 道 府 県 では、 給 与 ・ 人
事 ・ 調 達 ・ 電 子 決 裁 などの 内 部 情 報 系 業 務 一 部 利 用 されている。 市 区 町 村 では、
内 部 情 報 系 業 務 での 利 用 も 少 なく、 住 民 サービス 系 も 一 部 に 止 まっている。
コミュニケーション 関 連 業 務 については、メール・グループウェアが 多 く 利 用
されている。 但 し、 文 部 科 学 省 のメールアドレス 付 与 の 調 査 と 合 わせて 考 えると、
「 一 部 」の 教 職 員 の 利 用 の 可 能 性 も 高 い。
また、ホームページの 運 用 管 理 は 都 道 府 県 の50%に 比 較 して、 市 区 町 村 は2
3%であり、 今 後 、 市 区 町 村 での 積 極 的 な 導 入 促 進 が 求 められる。
学 校 内 で 利 用 される 校 務 である、 学 校 事 務 関 連 のアプリケーションは、 都 道 府
県 の10~20%に 比 較 し、 市 区 町 村 では10% 以 下 の 導 入 状 況 であり、まだ、
初 期 段 階 であると 考 える。
31
3.インフラ 整 備 のガイドライン
学 校 においては、 従 来 、 児 童 生 徒 の 学 習 用 のコンピュータ、ネットワーク 等 の 整 備 が
進 められてきたが、「IT 新 改 革 戦 略 」や 重 点 計 画 において 校 務 ICT 化 推 進 が 掲 げられ、
そのためのインフラ 整 備 が 課 題 となっている。
3.1 教 員 用 コンピュータの 整 備
教 員 用 コンピュータ 整 備 に 関 する 国 の 施 策 は、 平 成 17 年 10 月 の 第 33 回 IT 戦
略 本 部 の「IT 新 改 革 戦 略 」に 関 する 議 論 の 中 で 始 まる。
「すべての 教 員 がITを 使 えるリテラシーを 定 着 するという 目 的 」( 一 橋 大 ) 伊 丹 教
授 )、「 教 員 までとなると 自 治 体 では 限 界 があり、 国 の 方 針 の 明 確 化 が 大 いに 支 援 にな
る」( 三 鷹 市 ) 清 原 市 長 )、「2030 年 を 担 う 子 どもたちの 教 育 がきちんとできている
かが 課 題 」( 慶 應 大 ) 村 井 教 授 )、との 発 言 が 議 事 録 に 掲 載 されている。
平 成 18 年 1 月 の「IT 新 改 革 戦 略 」では、 現 状 と 課 題 として、「 教 員 用 コンピュ
ータ 整 備 の 不 足 、 校 務 のIT 化 の 遅 れ、・・・・ 学 校 現 場 のIT 化 による 改 革 が 十 分 に
進 んでいない」ことを 取 り 上 げ、「 教 員 一 人 一 台 のコンピュータ 及 びネットワーク 環 境
の 整 備 並 びにIT 基 盤 のサポート 体 制 の 整 備 等 を 通 じ、 学 校 のIT 化 を 行 う」ことを
目 標 とし、 実 現 に 向 けた 方 策 として、「2010 年 までに 全 ての 公 立 小 中 高 等 学 校 等 の
教 員 に 一 人 一 台 のコンピュータを 配 備 し、 学 校 と 家 庭 や 教 育 委 員 会 との 情 報 交 換 の 手
段 としてのITの 効 果 的 な 活 用 その 他 様 々な 校 務 のIT 化 を 積 極 的 に 推 進 する。」を 掲
げ、 評 価 指 標 として「 教 員 へのコンピュータ 整 備 率 」があげられている。
平 成 18 年 7 月 の「 重 点 計 画 -2006」にて、 具 体 的 施 策 として、「 教 員 のIT 活
用 環 境 の 整 備 ( 文 部 科 学 省 )」にて、「2010 年 度 までに、 公 立 小 中 高 等 学 校 等 の 全
ての 教 員 に 対 しコンピュータを 配 備 し、 校 務 の 情 報 化 を 促 進 するため、2006 年 度
中 に 校 務 処 理 における 効 果 的 なITの 活 用 方 策 等 、 校 務 の 情 報 化 の 在 り 方 等 について
調 査 研 究 を 実 施 し、その 推 進 方 策 を 検 討 する。」としている。
平 成 19 年 1 月 には、 文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 参 事 官 名 で、「 平 成 19 年 度 の 教 育
情 報 化 のための 環 境 整 備 に 必 要 な 経 費 に 係 る 地 方 財 政 措 置 の 予 定 について( 通 知 )」が
発 信 されている。このなかで、 地 方 財 政 措 置 ( 地 方 交 付 税 措 置 )の 対 象 として、「 校 務
用 ( 教 員 用 )コンピュータ【 新 規 】」が 記 載 されている。
平 成 19 年 7 月 の「 重 点 計 画 -2007」では、「2010 年 度 までに、 公 立 小 中 高
等 学 校 等 の 全 ての 教 員 の 対 しコンピュータを 配 備 できるようにし、2007 年 度 中 に、
校 務 の 情 報 化 に 関 する 効 果 的 かつ 先 導 的 な 実 践 研 究 を 実 施 し、その 効 果 を 検 証 する。」
としている。
32
文 部 科 学 省 が 毎 年 実 施 している「 学 校 における 教 育 の 情 報 化 の 実 態 等 に 関 する 調
査 」( 以 下 、「 教 育 の 情 報 化 実 態 調 査 」)によると、 公 立 学 校 の 教 員 用 コンピュータの
整 備 率 は 平 成 19 年 3 月 末 時 点 で43.0%、 平 成 18 年 3 月 末 の33.4%から
1 年 間 で9.6% 増 加 している。
ただし、 都 道 府 県 別 では 整 備 率 第 1 位 の 鳥 取 県 (87.2%)から 第 47 位 の 大
阪 府 (26.2%)まで 地 域 間 格 差 は 大 きい。( 図 3.1a)
3. 都 道 府 県 別 のICT 環 境 の 整 備 状 況 (4)
4 教 員 の 校 務 用 コンピュータ 整 備 率
100%
90%
80%
87.2%
H19.3
全 国 平 均 43.0%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
26.2%
0% 北 青 岩 宮 秋 山 福 茨 栃 群 埼 千 東 神 新 富 石 福 山 長 岐 静 愛 三 滋 京 大 兵 奈 和 鳥 島 岡 広 山 徳 香 愛 高 福 佐 長 熊 大 宮 鹿 沖
海 森 手 城 田 形 島 城 木 馬 玉 葉 京 奈 潟 山 川 井 梨 野 阜 岡 知 重 賀 都 阪 庫 良 歌 取 根 山 島 口 島 川 媛 知 岡 賀 崎 本 分 崎 児 縄
道 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 都 川 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 府 府 県 県 山 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 島 県
図 3.1a
教 員 の 校 務 用 コンピュータ 整 備 率 ( 都 道 府 県 別 , 文 部 科 学 省 調 査 資 料 より)
教 員 用 コ ン ピ ュ
ータ 台 数
教 員 用 コンピュー
タが 配 備 されてい
る 教 員 の 割 合
教 員 用 コンピュ
ータの1 校 当 り
の 平 均 台 数
小 学 校 108,262 26.9% 4.8
中 学 校 62,940 27.8% 6.2
高 等 学 校 107,404 56.9% 26.5
中 等 教 育 学 校 111 55.8% 13.9
特 別 支 援 学 校 14, 074 23.6% 15.0
合 計 292,791 33.4% 7.8
表 3.1 b
教 員 用 コンピュータの 整 備 状 況 ( 平 成 18 年 3 月 末 現 在 , 文 部 科 学 省 調 査 資 料 より)
平 成 18 年 3 月 末 時 点 の 教 員 用 コンピュータ 整 備 率 における 校 種 の 差 を 見 ると、 市 区 町
村 が 主 な 整 備 主 体 となる 小 中 学 校 では 概 ね 教 員 4 人 に1 台 程 度 であるのに 対 し、 高 等 学 校
では 教 員 2 人 に1 台 以 上 のコンピュータが 整 備 されている。( 図 3.1b)
33
「 校 務 情 報 化 の 現 状 と 今 後 の 在 り 方 に 関 する 研 究 」( 以 下 、「 校 務 情 報 化 調 査 」、 平
成 19 年 3 月
文 部 科 学 省 )から 学 校 におけるコンピュータ 整 備 状 況 の 詳 細 を 見 る
と、 教 員 校 務 用 コンピュータは 職 員 室 で 共 用 が 小 中 学 校 で60% 超 ( 小 学 校 65.
7%、 中 学 校 61.1%、 全 体 63.8%)となっているが、 教 員 個 人 単 位 での 配
備 は20%に 達 していない( 小 学 校 19.0%、 中 学 校 16.5%、 高 等 学 校 1
8.0%)。 小 中 学 校 と 高 等 学 校 の 整 備 率 の 違 いは、 管 理 職 、 養 護 教 諭 用 コンピュー
タが 小 中 学 校 の40% 強 、 高 校 の 約 2/3で 配 備 されていることが 理 由 の 一 つと 考
えられる。
また、 整 備 状 況 の 影 の 部 分 である 個 人 所 有 コンピュータの 持 ち 込 みに 関 しては、
平 成 18 年 3 月 の 時 点 では、53.2%の 教 員 が 該 当 していると 報 告 している。
中 学 校 が63.6%と 多 く、また、 個 人 所 有 コンピュータを 学 校 のネットワーク
に 接 続 する 場 合 は 平 均 で26.7%、 中 学 校 では36.3%ある。
校 内 のネットワークに 接 続 する 場 合 にも、 学 校 間 ネットワークに 接 続 する 場 合 に
も、コンピュータウィルスによる 被 害 や 情 報 流 出 の 危 険 が 考 えられる。
(6) 個 人 所 有 のコンピュータについて
学 校 種
小 学 校
中 学 校
高 等 学 校
中 等 教 育 学 校
教
員 数
仕 事 上 必 要 なた
め 学 校 で 使 うこ
とがある 教 員 数
割 合
学 校 のネット
ワークに 接 続 し
て 使 っている
教 員 数
仕 事 上 必 要 なため 学 校 で 使 うことがある 教 員 数
(A) (B) (B/A) (C) (C/A) (D) (D/A)
人 人 % 人 % 人 %
402,033222,52755.4%94,04023.4%128,48732.0%
226,214143,96463.6%82,03536.3%61,92927.4%
188,62367,85636.0%41,75422.1%26,10213.8%
199 69 34.7% 38 19.1% 31 15.6%
割
合
スタンドアロン
で 使 っている
教 員 数
割 合
盲 学 校
特
殊
教 聾 学 校
育
諸
養 護 学 校
学
校
小 計
3,117 1,896 60.8% 1,155 37.1% 741 23.8%
4,684 2,051 43.8% 1,169 25.0% 882 18.8%
51,84527,71653.5%13,79626.6%13,92026.8%
59,64631,66353.1%16,12027.0%15,54326.1%
合
計
876,715 466,07953.2%233,98726.7%232,09226.5%
表 3.1c 個 人 所 有 のコンピュータについて( 平 成 18 年 3 月 現 在 , 文 部 科 学 省 資 料 より)
ちなみに、 総 務 省 自 治 行 政 局 地 域 情 報 政 策 室 の「 地 方 自 治 情 報 管 理 概 要 [ 地 方 公
共 団 体 における 行 政 情 報 化 の 推 進 状 況 調 査 ( 平 成 19 年 4 月 1 日 現 在 ) 等 の 取 りまと
め 結 果 ]」によれば、 本 庁 知 事 ・ 市 長 部 局 での 一 人 一 台 パソコン 整 備 団 体 数 とパソコ
ンの 設 置 状 況 は 以 下 のとおり。
34
0% 整 備 済 み
未 整 備
13%
整 備 済 み
未 整 備
合 計
47
100%
合 計
1,827
100%
100%
87%
図 3.1d 本 庁 知 事 ・ 市 長 部 局 における 一 人 一 台 パソコンの 整 備 状 況
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
都 道 府 県
市 区 町 村
743,912
1,045,759
924,915
1,153,410
1,102,608
1,173,767
600,000
561,721
449,064 450,597 456,501
400,000
278,592
387,370
319,915
426,692
383,435
466,729
200,000
201,607 263,791
228,912
145,093
105,527 169,354
1,37417,081 53,189 133,417
102,222
0
49,649
415 12,453
58.463.45.4 8.4 9.4 10.411.412.413.414.415.416.417.418.419.4
図 3.1e パソコン 設 置 状 況 の 変 遷
「IT 新 改 革 戦 略 」において 計 画 されている2010 年 までの 教 員 一 人 一 台 パソ
コンの 配 備 100% 達 成 には、 今 後 約 50 万 台 の 追 加 配 備 が 必 要 であり、 計 画 的 に
整 備 を 進 めていく 必 要 がある。
35
3.2 教 育 情 報 ネットワークの 整 備
3.2.1 教 育 情 報 ネットワークの 種 類
教 育 情 報 ネットワークとしては、 大 きく1) 児 童 生 徒 の 学 習 利 用 を 目 的 とした 教 育
用 ネットワーク、2) 教 職 員 の 校 務 処 理 などを 目 的 とした 教 員 用 ネットワーク、3)
自 治 体 職 員 共 通 の 処 理 を 目 的 とした 事 務 用 ネットワーク、がある。
(1) 教 育 用 ネットワーク
教 育 用 ネットワークは 児 童 ・ 生 徒 がコンピュータで 学 習 を 行 う 等 、 授 業 用 途 で 使 わ
れるネットワークであり、 教 員 の 講 義 準 備 等 にも 利 用 されている。 既 にほぼ 全 ての 学
校 はインターネット 接 続 されており、 接 続 回 線 速 度 400kbps 以 上 の 高 速 インターネッ
ト 接 続 も 全 国 平 均 で89.1%( 平 成 19 年 3 月 31 日 現 在 、「 教 育 の 情 報 化 実 態 調 査 」)
となっているが、 学 校 においてインターネット 接 続 が 利 用 可 能 なのは 教 育 用 ネットワ
ークである。 学 校 のインターネット 接 続 先 は 民 間 プロバイダー37%、 自 治 体 ネット
ワークセンタ26%、 教 育 センタ 等 37% 等 となっている。なお、IT 新 改 革 戦 略 に
おいては、 光 ファイバによる 超 高 速 インターネット 接 続 概 ね100%( 現 状 55%)、
普 通 教 室 への 校 内 LAN 整 備 100%( 現 状 56%)を 平 成 22 年 度 までに 実 現 する
ことを 目 指 している。
(2) 教 員 用 ネットワーク
教 員 用 ネットワークは 成 績 処 理 、 報 告 書 作 成 、 保 護 者 への 対 応 等 、 教 職 員 固 有 の 業
務 を 行 うことを 目 的 として 整 備 が 進 められている(「 校 務 情 報 化 調 査 」)。「 教 育 の 情 報
化 実 態 調 査 」の 結 果 においては、 校 務 専 用 の 校 内 ネットワークが 整 備 されているのは
約 半 数 ( 小 学 校 46.6%、 中 学 校 51.5%、 高 等 学 校 60.7%、 全 体 49.6%)
であり、 教 育 委 員 会 や 他 校 と 連 携 した 教 員 用 ネットワークシステムを 導 入 しているの
は42.2%に 過 ぎない。 教 員 用 ネットワークでは 個 人 情 報 保 護 の 観 点 からセキュリ
ティに 関 して 万 全 の 対 策 を 施 す 必 要 があり、 今 回 の 調 査 においても、 一 部 の 自 治 体 で
は 成 績 処 理 など 重 要 な 個 人 情 報 を 扱 うネットワークシステムを 個 別 に 構 築 している 例
が 見 受 けられた。
(3) 事 務 用 ネットワーク
各 学 校 の 事 務 職 員 は 文 書 管 理 、 転 校 や 就 学 援 助 、 教 員 の 出 張 等 の 手 続 事 務 、 財 産 ・
備 品 等 の 管 理 、 会 計 、 契 約 等 の 業 務 を 学 校 の 実 態 に 合 わせて 行 っている。これらの 一
部 は 自 治 体 の 業 務 を 委 任 されて 行 うものであるため、 教 員 用 ネットワークとは 別 の 事
務 用 ネットワークが 自 治 体 ( 教 育 委 員 会 )・ 学 校 間 で 整 備 されている 自 治 体 がある。
更 に、 大 阪 府 では、 市 町 村 の 学 校 に 端 末 を 設 置 し、 従 来 各 学 校 で 手 書 き 帳 票 で 処
理 していた 給 与 関 係 の 処 理 を、 端 末 入 力 できるようにしている。
36
3.2.2 自 治 体 でのネットワーク 整 備 状 況
今 回 行 ったアンケートの 結 果 、 町 村 、 特 別 区 などでは 学 校 間 ネットワークがなくイン
ターネット 接 続 のみ 実 現 している 傾 向 が 見 受 けられた。
これらの 自 治 体 では 教 育 用 ネットワークのみで 教 員 用 ネットワークは 整 備 が 進 んで
いないと 推 測 される。
学 校 間 ネットワークを 構 築 済 みの 市 区 町 村 のうち、インターネットと 校 務 利 用 とを 物
理 的 に 分 けているのは22%、 同 一 ネットワークを 利 用 しているのは76%であり、5
5%の 市 区 町 村 ではVPNを 利 用 中 あるいは 利 用 を 検 討 している。 首 長 部 局 ネットワー
クと 学 校 間 ネットワークを 完 全 に 分 離 している 市 区 町 村 は60%であり、インターネッ
ト 接 続 先 が 公 的 機 関 となっている 学 校 の 中 で 教 育 センタに 接 続 している 比 率 (「 教 育 の
情 報 化 実 態 調 査 」 文 部 科 学 省 )とほぼ 同 様 の 値 となっている。
都 道 府 県 では83%で 学 校 間 ネットワークが 整 備 されている。 学 校 間 ネットワークで
は 自 営 光 やイーサネット、 専 用 線 で 整 備 された 情 報 ハイウェイが 活 用 されていると 考 え
られ、インターネット 接 続 は36%が 物 理 的 に 分 けられている。 首 長 部 局 ネットワーク
との 関 係 を 見 ると、60%が 完 全 に 分 離 と 回 答 している。
一 方 、 校 内 ネットワークについては「 校 務 情 報 化 調 査 」 結 果 から、 校 務 用 途 と 授 業 ( 教
育 ) 用 途 の 校 内 ネットワークを 物 理 的 に 独 立 している(34.9%)、IP アドレスによ
るアクセス 制 限 や 認 証 によって 双 方 の 分 離 をはかっている(50%)と 多 くの 学 校 にお
いて 何 らかの 形 で 分 離 されていることがわかる。
3.2.3 ネットワーク 整 備 の 方 向 性
教 員 が 校 務 処 理 、 授 業 内 容 の 検 討 などを 行 う 場 所 は 職 員 室 、 担 当 クラス、 自 宅 などさ
まざまであると 考 えられ、 効 率 面 からはどこでも 処 理 可 能 なのが 望 ましいが、 校 務 処 理
においては 重 要 な 個 人 情 報 等 を 扱 うことから 児 童 や 生 徒 が 簡 単 にアクセスできるよう
なネットワークでは 行 うことはできない。
一 方 、 講 義 のための 情 報 収 集 などはインターネットを 活 用 しつつ 職 員 室 でも 普 通 教 室
でも 行 える 必 要 がある。このため、 教 員 用 ネットワークと 教 育 用 ネットワークを 物 理 的
に 分 け、 教 員 用 ネットワークを 職 員 室 のみで 利 用 できるようにする 等 のセキュリティ 対
策 を 取 っている 例 もある。
しかし、 教 員 の 使 い 勝 手 および 整 備 コストの 観 点 からは 両 方 のネットワークに 同 一 コ
ンピュータから 接 続 でき、なおかつ 校 務 はセキュアなネットワーク 上 で 実 施 可 能 とする
のが 望 ましいと 考 えられる。
また、 現 状 紙 ベースで 行 われている 出 張 等 の 伝 票 処 理 を 電 子 化 していくためには、 事
務 ネットワークと 教 員 用 ネットワークを 同 一 コンピュータからシームレスに 利 用 でき
ることが 望 ましい。
授 業 では 大 容 量 の 動 画 像 なども 活 用 されており、 同 一 自 治 体 の 学 校 においては 年 間
37
の 講 義 計 画 がほぼ 共 通 のため、ネットワークへの 負 荷 が 集 中 する 可 能 性 がある。
このため、 利 用 頻 度 の 高 い 教 育 用 コンテンツについては 学 校 のサーバに 格 納 したり、
マルチキャストでネットワーク 負 荷 を 軽 減 したりする 必 要 がある。
特 に 今 後 、デジタルテレビへの 切 り 替 えが 進 むに 連 れて、 教 室 内 でのテレビもデジ
タル 放 送 対 応 のため、ネットワーク 利 用 に 移 行 していくものと 考 えられ、ネットワー
ク 負 荷 の 分 散 対 策 が 必 要 となる。
また、 有 害 サイトへのアクセス 制 限 、 情 報 へのフィルタリング 等 、 教 育 上 好 ましく
ない 情 報 の 制 御 についても 配 慮 しなければならない。
このように、 教 員 用 ネットワークの 整 備 は、 利 用 者 の 使 い 勝 手 や 整 備 コストに 加 え
て、 教 育 用 、 事 務 用 ネットワークとの 関 係 を 考 慮 しながら 進 めていく 必 要 がある。
3.2.4 学 校 間 ネットワークモデル
(1) 学 校 間 ネットワークのモデル 化
教 員 用 ネットワークの 整 備 を 推 進 する 際 の 参 考 として、 学 校 間 のネットワーク 形 態 に
ついて 大 胆 にモデル 化 を 図 ってみる。
前 述 のとおり、 学 校 間 ネットワークは 基 本 的 には 教 育 用 、 教 員 用 、 事 務 用 の3 種 類 か
ら 構 成 されるが、 事 務 用 ネットワークについては 利 用 場 所 が 事 務 室 中 心 と 考 えられ、 利
用 者 も 主 として 事 務 職 員 であると 考 えられることからまず 教 員 がアクセスするネットワ
ークについて 検 討 する。
学 校 間 ネットワークは 物 理 的 な 配 線 形 態 としては1 教 育 用 / 教 員 用 ネットワークと 首
長 部 局 ネットワークとを 同 一 で 利 用 ( 重 畳 )しているケース、2 教 員 用 ネットワークの
みを 首 長 部 局 ネットワークに 重 畳 するケース、3 教 育 用 と 教 員 用 を 重 畳 し、 首 長 部 局 ネ
ットワークと 別 個 に 整 備 するケース、4それぞれを 別 個 に 整 備 するケースの4パターン
が 考 えられる。
ネットワークモデル 1 2 3 4 備 考
物 理 的 首 長 部 局 NW ベース ベース 非 重 畳 非 重 畳 整 備 順 が 早 いと 思 われるものを
重 畳 の 教 員 用 NW 重 畳 重 畳 重 畳 非 重 畳 ベースと 表 現 する
有 無 教 育 用 NW 重 畳 非 重 畳 ベース 非 重 畳
セ キ ュ
リティ
不 正 アクセスの 可
能 性
○ ○ △ ○ 重 畳 時 は VLAN で 論 理 的 に 分
割 する
運 用 性 運 用 の 共 通 化 ◎ ○ ○ △
業 務 の 安 定 処 理 △ ○ ○ - 突 発 的 な 大 容 量 通 信 の 影 響 度
コスト ネットワーク 整 備 低 廉 大 低 廉 最 大
コンピュータ 整 備 低 廉 大 小 大
表 3.2.4(1) 教 員 用 ネットワークモデルの 傾 向 比 較
38
不 正 アクセスの 可 能 性 は、 通 常 強 固 なセキュリティでガードされている 首 長 部 局
ネットワークおよび 個 人 情 報 を 多 く 含 む 教 員 用 ネットワークへの 不 正 アクセスに 対
する 物 理 的 、 論 理 的 な 技 術 手 段 を 講 じることを 前 提 としている。
業 務 の 安 定 処 理 については、ベースとするネットワーク 上 で 行 われている 業 務 処
理 への 影 響 度 合 いである。コストについても 個 々の 自 治 体 におけるネットワークや
教 員 用 コンピュータの 整 備 状 況 によって 様 々であり、 必 ずしもすべて 当 てはまるわ
けではないが、 概 ねの 傾 向 を 読 み 取 れる。
物 理 的 な 配 線 形 態 から 検 討 していくと、 整 備 コストとセキュリティはトレードオ
フの 関 係 にあると 考 えられる。
また、セキュリティレベルと 運 用 や 使 い 勝 手 についてもいかにバランスをとるか、
現 実 的 な 対 策 を 講 じつつ、 水 準 を 向 上 する 方 策 を 考 える 必 要 がある。
以 下 、それぞれのケースで 考 えられるメリット、デメリットをまとめる。
1 教 員 用 ネットワーク/ 教 育 用 ネットワークを 首 長 部 局 ネットワークに 物 理 的 に 重 畳
教 員 用 ・ 教 育 用 ネットワークを 首 長 部 局 ネットワークに 物 理 的 に 重 畳 しつつ、 論 理 的
に 後 述 の VLAN を 用 いて 分 ける。インターネットへの 接 続 は 教 育 用 のVLAN 接 続
コンピュータのみから 可 能 とする。( 図 3.2.4(1)1)
『 教 員 用 ネットワーク』と『 教 育 用 ネットワーク』を 首 長 部 局 ネットワークに 重 畳
インターネット ISP
L2/L3スイッチ
教 育 委 員 会
・ 教 育 センタ
首 長 部 局 NW
L2/L3スイッチ
自 治 体
教 育 用 ネットワーク
教 員 用 ネットワーク
事 務 用 ネットワーク
学 校
L2/L3スイッチ
学 校
L2/L3スイッチ
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
図 3.2.4(1) 1 教 員 用 / 教 育 用 を 首 長 部 局 NWに 重 畳
メリット
39
ネットワーク 構 築 コストが 低 廉 。
ネットワークの 管 理 運 用 を 首 長 部 局 と 共 通 化 でき、 教 育 委 員 会 ・ 学 校 の 運 用 負
担 が 軽 減 。
同 一 コンピュータで 教 員 用 、 教 育 用 の 双 方 にアクセスする 設 定 が 容 易 であり、
教 員 用 パソコンの 整 備 コストも 抑 制 可 能 。
デメリット
利 用 者 のアクセス 制 限 等 、セキュリティ 設 定 を 適 切 に 行 わないと 情 報 漏 洩 等 の
危 険 性 がある。
物 理 的 なネットワークを 共 用 するため、 教 育 用 ネットワークで 映 像 配 信 等 、 大
量 の 通 信 が 発 生 した 場 合 、 他 の 首 長 部 局 等 の 業 務 処 理 に 影 響 をもたらすことが
ある。
2
教 員 用 ネットワークを 首 長 部 局 ネットワークに 重 畳 、 教 育 用 ネットワークと 別 個
教 員 用 ネットワークを 首 長 部 局 ネットワークに 物 理 的 に 重 畳 しつつ、 論 理 的 に 後 述
の VLAN を 用 いて 分 ける。 児 童 ・ 生 徒 も 利 用 する 教 育 用 ネットワークは 物 理 的 に 分
離 し、 教 育 センタ 等 を 経 由 してインターネットにも 接 続 する。( 図 3.2.4(1)2)
『 教 員 用 ネットワーク』を 首 長 部 局 ネットワークに 重 畳
『 教 育 用 ネットワーク』を 個 別 に
インターネット
ISP
教 育 委 員 会
・ 教 育 センタ
自 治 体
独 自 NW
首 長 部 局 NW
教 育 用 ネットワーク
事 務 用 ネットワーク
教 員 用 ネットワーク
学 校
学 校
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
メリット
図 3.2.4( 1)2 教 員 用 を 首 長 部 局 NWに 重 畳 、 教 育 用 NWは 個 別
新 規 に 教 員 用 ネットワークの 整 備 を 行 う 場 合 、 整 備 ・ 運 用 コストを 抑 制 可 能 。
ネットワークの 管 理 運 用 を 首 長 部 局 と 共 通 化 でき、 教 育 委 員 会 ・ 学 校 の 導 入 ・
40
運 用 負 担 が 軽 減 。
首 長 部 局 と 同 等 のセキュリティ 技 術 で 個 人 情 報 等 を 保 護 できる。
デメリット
同 一 コンピュータで 教 育 用 、 教 員 用 ネットワーク 両 方 にアクセス 可 能 とする
ためにはネットワークカード(NIC)を2 枚 用 意 する 必 要 がある。この 場 合 、
教 育 用 ネットワーク 側 から 教 員 用 ネットワークへの 不 正 アクセスのルートが
できてしまうため、セキュリティ 上 好 ましくない。
同 一 コンピュータでの 利 用 を 行 わない 場 合 には、 教 員 用 パソコンの 整 備 コス
トが 増 大 する。
3
教 員 用 ネットワークを 教 育 用 ネットワークと 重 畳 、 首 長 部 局 ネットワークと 別
教 員 用 ネットワークと 教 育 用 ネットワークを 物 理 的 に 重 畳 し、 首 長 部 局 ネットワー
クとは 別 に 整 備 する。 教 員 用 ネットワークと 教 育 用 ネットワークは 論 理 的 に 後 述 の
VLAN を 用 いて 分 ける。 児 童 ・ 生 徒 も 利 用 する 教 育 用 ネットワークからのみ 教 育 セ
ンタ 等 を 経 由 してインターネットにも 接 続 可 能 とする。
『 教 員 用 ネットワーク』と『 教 育 用 ネットワーク』を 重 畳 し、 個 別 にNWを 作 成
首 長 部 局 ネットワークとは 分 離
インターネット
ISP
教 育 委 員 会
・ 教 育 センタ
自 治 体
独 自 NW
首 長 部 局 NW
教 育 用 ネットワーク
教 員 用 ネットワーク
事 務 用 ネットワーク
学 校
学 校
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
メリット
デメリット
図 3.2.4(1) 3 教 員 用 を 教 育 用 NWに 重 畳 、 首 長 部 局 NWは 個 別
既 に 整 備 済 みの 教 育 用 ネットワークをハード・ 配 線 等 で 活 用 するため、 新 規
のネットワーク 整 備 コストは 抑 制 可 能 。
利 用 者 のアクセス 制 限 等 、セキュリティ 設 定 を 適 切 に 行 わないと 情 報 漏 洩 等
41
の 危 険 性 がある。
教 員 用 ネットワークでは 教 育 用 と 比 べてアクセス 権 限 設 定 が 複 雑 で、 毎 年 見
直 しが 必 要 なため、ネットワーク 運 用 コストは 増 大 。
同 一 コンピュータでの 利 用 を 行 わない 場 合 には、 教 員 用 パソコンの 整 備 コス
トが 増 大 する。
4
教 員 用 ネットワーク、 教 育 用 ネットワーク、 首 長 部 局 ネットワークを 物 理 的
に 分 離 して 整 備
教 員 用 ネットワーク、 教 育 用 ネットワーク、 首 長 部 局 ネットワークをそれぞれ
物 理 的 に 分 け 個 別 に 整 備 する。( 図 3.2.4(1)4)
『 教 員 用 ネットワーク』と『 教 育 用 ネットワーク』と 首 長 部 局 ネットワークと 全 て 分 離
インターネット ISP
教 育 委 員 会
・ 教 育 センタ
自 治 体
独 自 NW1
独 自 NW2
首 長 部 局 NW
教 育 用 ネットワーク
教 員 用 ネットワーク
事 務 用 ネットワーク
学 校
学 校
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
教 育 用
ネットワーク
教 員 用
ネットワーク
事 務 用
ネットワーク
メリット
デメリット
図 3.2.4(1) 4 教 員 用 / 教 育 用 / 首 長 部 局 NWは 物 理 的 に 分 離
ネットワーク 構 成 としては 不 正 アクセスの 可 能 性 は 低 い
ネットワークの 整 備 コストは 最 大
同 一 コンピュータで 利 用 する 場 合 はネットワークカードを 複 数 用 意 する 必 要
がある。 同 一 コンピュータでの 利 用 を 行 わない 場 合 には、 教 員 用 パソコンの
整 備 コストが 増 大
42
(2) 事 務 用 ネットワークの 位 置 づけ
事 務 用 ネットワークは、 首 長 部 局 ネットワークの 張 り 出 しと 考 えることが 可 能 で
あるため、 上 記 1、2のケースではユーザのアクセス 権 限 設 定 で 対 応 可 能 と 考 えら
れる。 教 員 用 ネットワークを 首 長 部 局 ネットワークと 別 に 構 築 ・ 運 用 する 場 合 ( 上
記 3、4)では、 事 務 用 ネットワークを 別 途 設 ける 必 要 がある。
3.2.5 ネットワークセキュリティ 対 策
(1) WANのネットワークセキュリティ 対 策 (VPN)
学 校 間 ネットワークはまだ 整 備 途 上 であり、 全 国 で3 万 校 を 超 える 小 中 高 等 学 校
と 自 治 体 との 間 をネットワーク 化 するためには、セキュリティを 保 ちつつ 安 価 にネ
ットワークを 整 備 する 技 術 や 運 用 の 検 討 が 必 要 不 可 欠 である。
学 校 間 のネットワークではレイヤ3レベルのVPN(Virtual Private Network)と
いうサービスを 活 用 して、 特 定 の IP アドレス 以 外 からはアクセスさせないように
することができる。VPNでは 以 下 のような 種 類 があり、その 特 徴 を 理 解 して 導 入
することが 重 要 である。
・ IP-VPN
IP-VPN は 複 数 のユーザが 利 用 する 中 継 ネットワークにイーサネット 等 の 専 用 線
で 接 続 し、 仮 想 的 に 他 のユーザと 分 離 した 私 設 網 を 形 成 する 方 法 である。 重 要 な 通
信 を 優 先 して 確 保 するなどQoS(サービス 品 質 )の 設 定 が 容 易 という 特 徴 がある。
・ エントリーVPN
NTT 東 西 のBフレッツなど、ベストエフォート 型 のブロードバンド・アクセス
と 専 用 ネットワークを 組 み 合 わせて 提 供 されているサービス。 専 用 線 を 利 用 するよ
りも 安 価 であり、なおかつインターネットを 経 由 しないのでセキュアに VPN ネッ
トワークを 構 築 することが 可 能 となる。
・ インターネットVPN
IP-VPN やエントリーVPN は 中 継 網 を 通 信 キャリアが 提 供 しているが、インター
ネット VPN では 文 字 通 り、 中 継 網 にインターネットを 利 用 する。 中 継 網 のコスト
が 通 常 のプロバイダー 利 用 料 金 のみでよいため、ランニングコストが 低 廉 である。
・ IPsec-VPN/SSL-VPN
インターネット VPN のセキュリティレベルを 高 めるため、IPsec、SSL 等 の 認 証 ・
暗 号 技 術 を 用 いたものがそれぞれ IPsec-VPN、SSL-VPN である。
43
(2) WANのネットワークセキュリティ 対 策 (IPv6 )
IPv6 に 準 拠 したアドレス 体 系 で 全 てのネットワークを 構 成 することもセキュリ
ティ 対 策 として 有 効 である。
NTT 東 日 本 のフレッツ.net 等 の IPv6 サービスを 利 用 し、ネットワークに 接 続 さ
れる 全 ての 機 器 が IPv6 に 対 応 していれば、それぞれに 固 有 のアドレスを 付 与 して
適 切 なアクセス 権 限 を 付 与 することが 容 易 となる。
従 来 のインターネット 接 続 機 器 (IPv4)ではルータ 配 下 の 機 器 に 割 り 振 った IP
アドレスを NAT と 呼 ばれる 機 能 で 変 換 を 行 うため、それらの 機 器 に 別 々のアクセ
ス 権 限 を 付 与 することは 困 難 だった。
(3) 校 内 LANのセキュリティ 対 策
校 内 LANにおいては、VLAN 技 術 を 活 用 することで、ネットワークセキュリ
ティを 高 めることが 可 能 である。
VLAN は 物 理 的 に 一 つのネットワークをスイッチ 間 で 論 理 的 に 分 割 することに
より、ネットワークを 分 ける 技 術 である。
VLAN にはポート VLAN、ポリシーVLAN、 認 証 VLAN の 3 種 類 がある。
ポリシーVLAN ではネットワークプロトコル 毎 に VLAN を 分 けるが、 現 状 では
TCP/IP プロトコルが 一 般 的 なため、この 方 式 を 採 るのは 現 実 的 とは 言 えない。
以 下 、ポート VLAN と 認 証 VLAN について 述 べるが、 校 内 LANのセキュリテ
ィ 技 術 については、 総 務 省 が 発 行 している「 校 内 LAN 導 入 の 手 引 き」に 詳 しい 解
説 が 行 われているので、そちらも 参 考 にされたい。。
・ ポートVLAN
ポート VLAN はハブのポート 単 位 でどの VLANに 属 するかを 分 ける 方 法 である。
教 育 用 ネットワークに 接 続 する 際 と 教 員 用 ネットワークに 接 続 する 際 で、ケーブル
を 差 し 込 むポートを 変 える 必 要 がある。
また、 教 育 現 場 では 島 ハブと 言 われる VLAN をサポートしない 安 価 なハブが 数 多
く 利 用 されており、セキュリティを 保 つ 上 では Web 認 証 等 と 組 み 合 わせる 必 要 があ
る。
・ 認 証 VLAN(タグVLAN)
接 続 時 、ログオン 時 の 認 証 結 果 によって 利 用 ( 所 属 )する VLAN を 特 定 する 技 術
である。
ActiveDirectory や LDAP 等 の 認 証 ツールと 連 携 させることも 可 能 で、アクセス
権 限 と 利 用 ネットワークまで 付 与 することができる。
データに 利 用 者 グループのタグを 付 けて 相 手 先 に 伝 送 するため、 同 じ 利 用 者 グル
44
ープに 属 していないとデータを 受 け 取 ることができない。
児 童 ・ 生 徒 が 教 員 用 のデータを 見 ようとしても、 教 員 グループとしてログオンし
ていない 場 合 には 見 ることは 不 可 能 となる。
(4) ログオン 認 証 時 のセキュリティ 対 策
ログオン 認 証 時 にはユーザ ID、パスワードを 入 れる 形 が 一 般 的 であるが、 今 回 行
ったアンケートでも 市 区 町 村 等 の 一 部 の 学 校 では 生 体 認 証 や USB キー 等 を 利 用 す
ることでセキュリティを 高 めている。
これらの 認 証 ツールにより、 不 可 視 の 長 いユーザ ID、パスワードを 暗 号 化 して 認
証 サーバに 送 信 することが 可 能 となり、セキュリティレベルを 高 め、 不 正 アクセス
を 防 ぐことが 容 易 となる。
また、Windows ログオン 時 の ID、パスワードによってユーザが 利 用 できるプロ
グラムやデータを 制 限 したり、Active Directory によりユーザ 認 証 を 行 うことでネ
ットワーク 上 のファイルへのアクセス 権 限 を 制 御 したりすることも 可 能 である。
45
3.3ネットワーク 運 営 体 制 および 利 用 者 サポート 体 制 の 整 備 について
本 格 的 なインフラ 整 備 に 伴 い、 必 要 な 時 にシステムを 利 用 できるようにするには、
ネットワーク 運 用 体 制 および 利 用 者 サポート 体 制 が 重 要 である。
特 に、ネットワークを 活 用 し、サーバーを 集 約 して 個 人 情 報 を 守 る 体 制 をとる 場 合 、
ネットワークや 機 器 が 必 要 時 に 利 用 できなければ、 業 務 が 滞 ってしまうため、より 一
層 、 運 用 体 制 およびサポート 体 制 の 重 要 度 が 増 加 する。
利 用 者 サポート 体 制 に 関 しては、 機 器 等 の 障 害 対 応 等 の 保 守 サポートと、 業 務 内 容
そのものに 係 わる 業 務 サポートの2 種 類 が 必 要 となる。
(1) ネットワーク 運 営 体 制
会 員 自 治 体 アンケートからは、 市 区 町 村 の 学 校 間 ネットワークの 運 営 主 体 は、 教 育
委 員 会 または 教 育 センターが68%を 占 めるが、 具 体 的 な 運 営 を 職 員 自 ら 行 っている
場 合 が44%となっている。
校 務 アプリケーションの 本 格 的 な 利 用 を 進 めるためには、 高 度 なネットワーク 運 用
技 術 が 必 要 となるとともに、 業 務 内 容 によっては365 日 24 時 間 の 運 用 管 理 が 必 要
となる。
これに 対 応 するためには、ネットワークの 運 用 管 理 について、 民 間 等 へのアウトソ
ーシングを 行 うことも 検 討 の 対 象 になる。
(2) 利 用 者 サポート 体 制
会 員 自 治 体 アンケートの 結 果 からは、ほとんどの 自 治 体 が 利 用 者 サポート 体 制 を 有
していると 回 答 している。
ただし、 具 体 的 な 運 営 体 制 をみると、 都 道 府 県 で29%、 市 区 町 村 で26%が 職 員
自 らが 運 用 していると 回 答 している。
利 用 者 サポート 体 制 には、 機 器 やネットワークや 導 入 アプリケーション 自 体 に 関 す
る 保 守 サポートの 必 要 があるとともに、 業 務 内 容 に 関 する 業 務 サポートの 必 要 がある。
官 庁 や 民 間 企 業 の 事 例 では、 一 般 的 なインフラに 関 する 保 守 サポートについてはア
ウトソーシングし、 業 務 サポートについては 内 部 で 行 う 事 例 が 多 い。
「 大 阪 府 総 務 サービス・センター」の 事 例 では、 業 務 サポートについても、 業 務 内
容 の 標 準 化 を 通 じ、 窓 口 業 務 のアウトソーシングを 行 っている。
(http://www.pref.osaka.jp/somuservice/ssc/index.html)
46
(3) サポート 体 制 の 事 例
1 NPO 法 人 上 越 地 域 学 校 教 育 支 援 センター(JSiRC)
理 事 長 : 加 藤 淳 一 ( 前 上 越 市 教 育 委 員 会 教 育 長 )
設 立 : 平 成 14 年 3 月 、 認 証 : 平 成 14 年 7 月 ( 新 潟 県 )
事 業 概 要
組 織
・ 学 校 教 育 を 支 援 するボランティアの 育 成 および 連 絡 調 整 ・ 派 遣
・ 学 校 の 教 育 活 動 を 支 援 する 学 習 情 報 の 提 供 および 学 習 教 材 作 成 の 支 援
・ 特 別 な 支 援 を 必 要 とする 児 童 生 徒 の 学 習 環 境 を 構 築 する 支 援
・ 学 校 教 育 を 地 域 に 理 解 してもらうための 広 報 活 動
・ボランティア 支 援 センター
・ 学 習 支 援 センター
・ 特 別 支 援 教 育 サポートセンター
・ 企 画 広 報 センター
学 習 支 援 センターのICT 関 連 の 活 動 内 容
上 越 市 の 学 校 数 ( 小 学 校 55 校 、 中 学 校 23 校 )
1. 上 越 教 育 ネットワーク( 通 称 :JoRNE)の 運 用 サポート・ 企 画
2. 市 教 育 委 員 会 情 報 教 育 センター 内 に 常 駐 (9:00~16:00)スタッフ(3 名 )
3. コールセンターを 常 設 し、 土 日 祝 祭 日 を 含 め 8:00~20:00 の 間 、 電 話 にて
対 応
4. 市 教 育 委 員 会 への 校 内 ICT 環 境 整 備 計 画 へのアドバイスや 調 査 研 究 支 援 、
情 報 リファレンス 業 務
5. 市 教 委 学 習 情 報 指 導 員 および 学 校 図 書 館 補 助 員 への 研 修 および 日 常 活 動 の
サポート
6. 校 務 情 報 化 への 企 画 ・コーディネート 業 務
7. 地 元 ICT 企 業 等 のスタッフへのスキルアップ 研 修 (JSIRC 認 定 技 術 者 研 修
平 成 19 年 度 認 定 技 術 者 19 名 )
8. 教 育 ネットワーク・ 校 内 ネットワーク 整 備 へのアドバイスおよび 業 者 への
作 業 指 導
10. 他 業 務 への ICT 活 用 アドバイス( 学 校 運 営 全 般 、 国 際 教 育 、キャリア 教 育 、
食 育 、 特 別 支 援 教 育 など)
11. 教 職 員 ICT 関 連 研 修 への 講 師 ・ 研 修 スタッフ 派 遣
12. ICT 活 用 セミナーの 開 催
その 他
地 域 内 情 報 インフラ 構 築 のプラン 作 成 とこの 実 現 を 外 部 に 働 きかけ 実 現 し
ている。たとえば、JSIRC 側 で Ge-PON による Giga ネットワークの 構 築 を
地 元 企 業 に 提 案 し、 実 現 した 上 で これを 上 越 市 教 委 が 利 用 している。 現 在
80 箇 所 中 46 箇 所 が Ge-PON を 利 用 。 他 にも 他 の NPO・ 企 業 と 連 携 して
WIMAX をはじめとする 屋 外 無 線 LAN 環 境 などの 実 証 実 験 などを 将 来 の 利 用
の 可 能 性 を 見 据 えながら、すすめている。
47
2 京 都 府 京 田 辺 市 の 事 例
(JAPET 主 催 、 情 報 教 育 対 応 教 員 研 修 全 国 セミナー 講 演 より)
・ 学 校 数 : 小 学 校 9 校 、 中 学 校 3 校
・パソコン 設 置 台 数 :デスクトップ 352 台 、ノート 543 台
・LANの 敷 設 状 況 : 約 95%
・ 教 員 一 人 一 台 PC 貸 与
【サポート 体 制 ( 情 報 教 育 推 進 室 )】
・サポーターを3 名 配 置 (9:00~18:00 勤 務 )
・ 週 4 日 、 午 後 から 学 校 へ 派 遣
・ 夏 休 み 期 間 に 研 修 を20 日 間 実 施
【 費 用 】
・ 年 間 の 運 用 費 用 の20% 強 をサポート 体 制 に 使 用 。
3 株 式 会 社
内 田 洋 行 の 提 案 例
内 田 洋 行 では、「ウチダヘルプデスク」を 中 心 に、 納 入 時 のSE 対 応 ・ 障 害 時 の
CE 対 応 に 加 え、 教 育 センター 等 へのSE 常 駐 派 遣 や 情 報 教 育 アドバイザーの 支 援
業 務 等 を 組 み 合 わせたサポート&サービスを 提 案 し、 複 数 の 教 育 委 員 会 で 採 用 され
ている。
「ウチダヘルプデスク」は、 学 校 のIT 化 に 関 するワンストップサービスの 中 心
となり、お 客 様 からの 連 絡 に 対 し、 保 守 ・ 運 用 ・ 支 援 等 を 統 合 的 に 管 理 している。
サービス&サポート 体 制 イメージ 図
教 育 委 員 会 ・ 教 育 センター
センター
各 学 校
操 作 / 授 業 支 援
情 報 教 育 支 援
情 報 教 育 アドバイザー
指 示 ・ 支 援
問 題 解 決
センター 常 駐 SE SE
依 頼
問 合 せご 回 答
指 示 ・ 支 援
システム 保 守
障 害 保 守
ウチダエスコ
営 業 部
教 育 / 管 理 / 作 業 指 示
内 田 洋 行
・スケジュール、 進 捗 の 報 告
・ 学 校 要 望 の 報 告
・ 労 務 報 告
・ 各 種 情 報 の 提 供
ウチダヘルプデスク
・アドバイザー 教 育 ・ 講 習 会
・ 定 期 訪 問
・ 各 種 情 報 提 供
・SE 教 育
・アドバイザーヘルプデスク 窓 口
・スケジュール 管 理
・ 進 捗 状 況 の 管 理
・ 学 校 への 連 絡 、 要 望 の 整 理
・ 労 務 管 理
サービス&サポート
サービス&サポート
部
教 育 / 管 理 / 作 業 指 示
内 田 洋 行
・ 人 材 教 育
・アドバイザー 教 育 支 援
・SE 教 育 支 援
・システムサポート
図 3.3(3) 株 式 会 社 内 田 洋 行 の 提 案 例
48
4.セキュリティについてのガイドライン
教 育 現 場 においては, 近 年 の 情 報 流 出 事 故 を 受 け, 情 報 セキュリティの 重 要 性 について
認 識 されるようになりつつあるものの,「2.2 教 職 員 のセキュリティ」でも 述 べたとおり,
十 分 な 対 策 が 取 られているとは 言 えない。 特 に,セキュリティポリシーなどの 規 則 やガイ
ドラインについては, 図 4.1 のとおり18.1%が 定 めておらず, 早 急 な 策 定 が 望 まれる。
また, 策 定 済 みとする58%もそのレベルが 様 々であると 共 に, 現 場 の 教 職 員 に 十 分 浸 透
せず 実 効 性 が 確 保 できていないケースも 見 られる。したがって, 校 務 情 報 化 の 推 進 に 当 た
っては,セキュリティに 十 分 配 慮 したハードウェア・ソフトウェアの 整 備 とともに, 実 効
性 のあるセキュリティポリシーの 策 定 ・ 運 用 を 行 うことが 急 務 である。
教 育 委 員 会 で 明 確 な 規 則 ・ガイドラインを 設 けている
34.6
教 育 委 員 会 の 案 を 基 に 各 学 校 で 明 確 な 規 則 ・ガイドラインを 設 けている
各 学 校 独 自 で 明 確 な 規 則 ・ガイドラインを 設 けている
明 確 な 規 則 ・ガイドラインは 設 けず, 教 員 の 各 々の 判 断 で 行 っている
11.3
12.2
13.7
県 / 市 教 育 委 員 会 や 文 部 科 学 省 等 の 上 位 組 織 からの 提 示 を 待 っている
4.4
「 地 方 公 共 団 体 における 情 報 セキュリティポリシー に 関 するガイドライン」を 参 考 にしている
その 他
9.9
10.8
無 回 答
3.2
0 5 10 15 20 25 30 35 40
図 4.1 教 育 現 場 の 情 報 セキュリティ 対 策 の 現 状
( 平 成 18 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 『 校 務 情 報 化 の 現 状 と 今 後 の 在 り 方 に 関 する 研 究 報 告 書 』 日 本 教 育 工 学 振 興 会 )
4.1 セキュリティの 概 念
情 報 セキュリティとは,「 情 報 の 機 密 性 , 完 全 性 及 び 可 用 性 を 維 持 すること。さらに, 真
正 性 , 責 任 追 跡 性 , 否 認 防 止 及 び 信 頼 性 のような 特 性 を 維 持 することを 含 めてもよい。」
(JIS Q 27002:2006)とされている。
これら, 情 報 セキュリティの6 大 要 素 (ISO/IEC TR13335 Guidelines for the
Management of IT Security)は,それぞれわかりやすく 整 理 すると 以 下 の 通 りである。
機 密 性
(Confidentiality)
完 全 性
(Integrity)
可 用 性
(Availability)
真 正 性
(Authenticity)
責 任 追 跡 性
(Accountability)
信 頼 性
(Reliability)
アクセスを 許 可 された 者 だけが, 情 報 にアクセスできること
情 報 及 び 処 理 方 法 が 正 確 で 完 全 であること, 及 び 完 全 であること
を 保 護 すること
許 可 された 利 用 者 が, 必 要 なときに 情 報 にアクセスできること
利 用 者 ,システムによる 振 る 舞 いが 明 確 であること。なりすまし
や 偽 の 情 報 でないことが 証 明 できること
ユーザーIDなどで, 利 用 者 やサービスの 行 動 , 責 任 が 説 明 でき
ること(ログの 記 録 等 )。また, 否 認 を 防 止 すること
システムやプロセスが 矛 盾 無 く 動 作 すること, 一 貫 して 動 作 する
こと
(%)
49
情 報 セキュリティの6 大 要 素 ごとの 対 策 例 としては, 以 下 のようなものが 考 えられる。
6 大 要 素 具 体 的 リスク 対 応 策 例
機 密 性 アクセス 制 御 ,パスワード 認 証 ,ハードウェア 認 証 , 生 体 認 証 , 暗 号 化 , 入 退
室 管 理
完 全 性 デジタル 署 名 ,メッセージダイジェスト( 与 えられた 原 文 から 固 定 長 の 疑 似 乱
数 を 生 成 する 演 算 によって, 改 変 を 察 知 する 技 術 )による 改 ざん 防 止
可 用 性 ネットワークやシステムの 二 重 化 ,ホットスタンバイ( 主 系 と 同 じ 動 作 をしな
がら 待 機 させておくこと), 無 停 電 装 置 , 負 荷 分 散 装 置 ,クラスタリング 構 成
真 正 性 デジタル 署 名 ,パスワード 認 証 ,ハードウェア 認 証 , 生 体 認 証
責 任 追 跡 性
アクセスログの 記 録 ,デジタル 署 名 による 否 認 防 止
信 頼 性
ネットワークやシステムの 二 重 化 ,サーバルーム 環 境 による 安 定 稼 働 , 負 荷 に
耐 えられる 設 計
(『 最 新 情 報 セキュリティの 基 本 と 仕 組 み』 秀 和 システムに 加 筆 , 修 正 )
校 務 情 報 化 を 推 進 するに 当 たり,これまで 述 べたハードウェアシステムやソフトウェア
システムに 関 するリスク 対 策 を 実 施 することは, 予 算 措 置 を 伴 うものとなるが,これらに
関 する 対 策 を 確 実 に 行 うことが, 事 故 発 生 によって 教 育 現 場 及 び 教 育 行 政 に 対 して 信 頼 を
失 わせることや, 訴 訟 等 による 損 害 賠 償 額 の 大 きさ( 判 例 上 は 一 人 15,000 円 ~35,000 円 )
を 考 えれば,このようなセキュリティ 確 保 のための 先 行 投 資 は 十 分 見 合 うものである。
今 回 調 査 した 会 員 自 治 体 でも, 学 校 現 場 に 生 体 認 証 ・ハードウェア 認 証 と 校 務 利 用 時 に
教 職 員 に 支 給 した 端 末 をソフトウェアでシンクライアント 化 し,USBメモリやハードディ
スク 等 への 情 報 コピーを 不 可 能 とするとともに,VPNによって 校 内 だけでなく 家 庭 からも
校 務 用 サーバにアクセスできるセキュアなシステムを 導 入 するなどの 先 進 的 な 取 り 組 みが
見 られた。
4.2 学 校 情 報 セキュリティ
これまで 述 べたハードウェアシステム・ソフトウェアシステムに 関 するリスク 対 応 策 は,
自 治 体 や 企 業 と 同 様 であるが, 人 的 システムに 関 するリスク 対 応 策 ( 情 報 セキュリティポ
リシーなどの 規 則 等 )は, 自 治 体 や 企 業 と 学 校 とは 大 きく 異 なり, 学 校 に 特 化 した 情 報 セ
キュリティ 対 応 策 をとる 必 要 がある。
(1) 学 校 の 情 報 セキュリティに 関 する 特 性
学 校 での 参 与 観 察 , 教 育 委 員 会 ・ 管 理 職 ・ 表 4.1 学 校 の 自 治 体 ・ 企 業 と 異 なる 特 性
一 般 教 員 へのヒアリング 調 査 により, 学 校
項
学 校 の 特 性
には 表 4.1 の5つの 特 性 があることが 明 ら 1 指 揮 ・ 命 令 機 能 が 弱 い
かになった。
2 能 力 ・ 意 識 差 が 大 きい
3 専 門 家 が 不 在 である
これらの 特 性 のうち,1の「 指 揮 ・ 命 令
4 私 物 PCの 持 ち 込 み・ 業 務 利 用 が 一 般 的
機 能 が 弱 い」というのが, 自 治 体 や 企 業 と 5 ネットワーク,システム 管 理 権 限 がない
50
決 定 的 に 異 なり, 最 大 の 欠 点 でもある。したがって, 指 揮 ・ 命 令 によるガバメント 的 対 策
である 教 育 委 員 会 等 が 関 与 する「トップダウンアプローチ」だけではなく, 自 主 的 ・ 主 体
的 なガバナンス 的 対 策 である「ボトムアップアプローチ」をも 組 み 込 むことが 重 要 である。
(2) 学 校 の 特 性 に 対 応 した「ASSURE 」 Method
これら 表 1の1~5の 学 校 の 特 性 に 対 応 し,それに 適 した 対 策 を 具 体 化 する 情 報 セキュ
リティの 実 効 性 確 保 策 の 指 針 が「ASSURE
」である。 Method
A…Attention ( 注 意 喚 起 ・ 問 題 意 識 の 高 揚 表 4.2ASSURE の4 Method 視 点
1の「 指 揮 ・ 命 令 機 能 が 弱 い」( 管 理 職 か
らの 指 示 を 絶 対 的 に 守 るわけではない)と
いう 学 校 文 化 と2の 情 報 セキュリティに
関 する「 意 識 差 が 大 きい」ということに 対
応 するため, 情 報 セキュリティ 対 策 の 第 一
歩 は, 教 員 の 注 意 喚 起 を 図 り, 問 題 意 識 を
共 有 するため, 実 際 に 起 こった 問 題 事 例 を 紹 介 することが 効 果 的 である。
SS…Small Step (マニュアルレベルの training 具 体 的 ・ 実 技 的 な 研 修 )
2の「 能 力 差 の 大 きさ」と「 専 門 家 が 不 在 である」という 特 性 に 対 応 するため,「 具 体 的
にどのソフトのどこをどのように 操 作 すれば, 個 人 情 報 ファイルにパスワード 設 定 ができ
るのか」など,PC が 苦 手 な 教 師 も, 個 人 所 有 パソコンも 含 め, 具 体 的 にどうすればよい
のかが 分 かるよう Small Step で 提 示 し,さらにこれを 実 技 研 修 で 実 際 に 行 うことが 直 ち
に 教 職 員 の 情 報 セキュリティを 大 きく 高 めることにつながる。
U…Unify
Knowledge
( 教 育 委 員 会 からの 提 示 + 教 職 員 の 参 与 ・ワープショップ 型 研 修 )
学 校 現 場 には, 自 治 体 首 長 部 局 や 教 育 委 員 会 から, 情 報 セキュリティポリシーやガイド
ラインが 通 知 されているところが 約 半 数 ある。しかし, 現 地 調 査 を 行 うとただ 配 布 された
のみで, 内 容 が 全 教 職 員 に 周 知 徹 底 されているどころか,その 存 在 すら 知 らないという 者
も 多 い。また, 情 報 セキュリティと 仕 事 のしやすさはトレードオフ( 二 律 背 反 )の 関 係 に
あることから, 上 から 押 しつけられり, 一 部 の 担 当 者 のみが 作 成 したりした 情 報 セキュリ
ティポリシー 等 は 無 視 し, 仕 事 のしやすさを 優 先 させている 事 例 も 数 多 く 見 られる。
そこで, 情 報 セキュリティ 対 策 の 必 要 性 を 認 識 するとともに,「 自 ら 決 めた 規 則 なので 守
らなければ」という 意 識 をもたせるために, 教 育 委 員 会 等 から 示 された 基 本 方 針 ・ 対 策 基
準 ( 後 述 )を 基 に, 各 学 校 の 実 態 に 応 じたセキュリティポリシー・ 実 施 手 順 書 を 策 定 する
ことが 効 果 的 である。
そのために, 情 報 資 産 の 洗 い 出 し,ランク 付 け, 脅 威 ・リスク 分 析 等 の 作 業 を, 教 職 員
全 員 参 加 のワークショップ 型 校 内 研 修 で 行 うことが 極 めて 効 果 的 であるとの 報 告 が 相 次 い
でいる。 校 内 研 修 で 行 うことで, 作 業 に 対 する 時 間 的 保 障 も 行 うことができる。
また,これらの 結 果 をフィードバックすることにより,5のネットワーク,システム 管
理 権 限 をもつ 教 育 委 員 会 が, 学 校 の 現 状 を 踏 まえつつバランス 感 覚 に 優 れた 教 育 委 員 会 レ
ベルの 情 報 セキュリティポリシーを 策 定 できることも 分 かった。
A…Attention ( 注 意 喚 起 ・ 問 題 意 識 の 高 揚 )
SS…Small Step training
(マニュアルレベルの 具 体
的 ・ 実 技 的 な 研 修 )
U…Unify knowledge
( 知 の 共 有 ・ワークショップ 型 研
修 )
RE…Reporting ( 実 施 状 況 報 告 の 導 入 )
51
RE…Reporting ( 実 施 状 況 報 告 の 導 入 )
124の 特 性 に 対 応 するためには, 札 幌 市 教 育 委 員 会 の 事 例 調 査 により, 図 4.2の 個 人
情 報 ファイルやパソコン 起 動 時 のパスワード 設 定 が 大 幅 増 (「 新 設 」 部 分 )となった 通 り,
Small Step 後 の training
実 施 状 況 報 告 ( 全 教 職 員 の 記 名
式 アンケートと, 校 長 名 での 校 内 実 施 率 の 教 育 委 員 会 への
報 告 )が 極 めて 有 効 であることが 分 かった。
また, 従 来 情 報 セキュリティポリシーやガイドラインが
策 定 されたあと,そのままになっているケースが 多 かった。
これでは, 実 施 状 況 が 不 明 であるとともに, 実 情 に 合 わ
ない 部 分 があっても 放 置 され,その 結 果 規 程 が 守 られない
という 状 況 につながってしまう。
そこで,PDCA(Plan -Do-Check -Action) サイクルを 回
学 校 情 報 セキュリティポリシー
文 書 体 系
セキュリティポリシー
図 4.2 札 幌 市 における 研 修
すようにして, 情 報 セキュリティポリシーやガイドライン 実 施 後 の PC・ 個 人 情 報 ファイ
等 の 見 直 し・ 改 善 を 進 め,より 実 効 性 を 高 めていくことが ルへのパスワード 設 定 の 増 加
必 要 である。
(3) 学 校 情 報 セキュリティポリシー 策 定 の 必 要 性 と 支 援 サイト
以 上 のように, 学 校 には, 自 治 体 首 長 部 局 等 と 異 なる 情 報 セキュリティポリシーの 策 定
が 必 要 である。 従 来 , 紙 媒 体 の 公 文 書 の 取 り 扱 いを 定 めた「 文 書 管 理 規 定 」があったが,
これらを 電 子 媒 体 に 広 げるだけでは, 事 故 が 多 発 している 非 公 式 データである 通 知 表 の 所
見 下 書 きデータやテストの 集 計 表 などの 情 報 資 産 へ 対 応 できず, 電 子 媒 体 ならではのリス
クにも 対 応 できない。したがって,これらも 踏 まえ, 事 故 対 応 マニュアルをも 含 めた「 学
校 情 報 セキュリティポリシー」を 策 定 していくことが 早 急 に 必 要 である。
その 支 援 として,コンピュータ 教 育 開 発 センター(CEC )は「 学 校 情 報 セキュリティライ
ブラリ」にて 各 種 支 援 を 提 供 している。
(http://www.cec.or.jp/seculib/h
aifu/18gjhaifu.html
)ここでは,「 学 校 情 報 セキュリ
ティポリシー」を 策 定 するために 参 考 になる『 学 校 情 報 セキュリティハンドブック 改 訂 版 』
を 送 料 のみで 無 償 提 供 しているほか,ワークショップ 研 修 用 のプレゼンテーション 資 料 ,
情 報 資 産 の 洗 い 出 しやリスク 分 析 等 のための 諸 帳 票 などを 提 供 している。
PC 未 使
用 等
32.4%
PC+
なし
ファイル
6.3%
新 設
32%
ファイル
のみ
PCのみ 2.6%
10.7%
PC+
ファイル
既 設
16.2%
セキュリティポリシー
学 校 の
基 本 方 針
学 校 の
対 策 基 準
学 校 の 実 施 手 順 書
( 学 校 に 特 化 した 形 で)
基 本 方 針
学 校 のセキュリティ 対 策 の 目 的 や 原 則 を 定 めた
憲 法 のようなもの
対 策 基 準
学 校 にある 情 報 を 脅 威 から 守 るための 具 体 的 な
対 策 を 示 したもの
実 施 手 順
セキュリティ 対 策 を 実 行 するために, 教 職 員 一 人
一 人 や 情 報 担 当 者 が 行 動 する 手 順 を 示 したもの
教 育 委 員 会 による 策 定 を 推 奨
ハンドブック 掲 載 のひな 形 を 基 に
各 学 校 で 策 定 することを 推 奨
52
5. 校 務 アプリケーションについての 将 来 像 検 討
5.1 校 務 アプリケーションの 種 類
(1) 教 育 委 員 会 事 務 関 連
教 育 委 員 会 事 務 には、 財 務 会 計 ・ 人 事 給 与 ・ 文 書 管 理 等 の 自 治 体 に 共 通 の 業 務 に 加 え、
学 籍 管 理 ・ 就 学 援 助 ・ 学 納 金 管 理 ・ 給 食 管 理 などの 教 育 委 員 会 に 特 有 な 業 務 が 有 る。
学 校 間 ネットワークの 有 る 市 区 町 村 のアンケート 結 果 からは、 財 務 会 計 (43%)・ 給 与
(11%)・ 保 健 情 報 (9%)・ 就 学 援 助 ・ 人 事 ( 各 7%)と、 財 務 会 計 以 外 はまだ 整 備 が
進 んでいない。
自 治 体 共 通 業 務 のシステム 化 には、 首 長 部 局 ネットワーク 等 との 連 携 が 必 要 と 成 る 場 合
が 多 い。
学 籍 管 理 ・ 就 学 援 助 等 の 業 務 のシステム 化 は、 教 育 委 員 会 内 部 の 事 務 の 効 率 化 という 側
面 に 加 え、 保 護 者 を 対 象 とした 住 民 サービス 向 上 につながるため、 今 後 、 整 備 が 期 待 され
ている。
(2) コミュニケーション 関 連
コミュニケーション 関 連 のシステムのアンケートをみると、 市 区 町 村 では、メール(5
1%)、グループウェア(40%)、 掲 示 板 (24%)、ホームページ 運 用 管 理 (23%)と
他 分 野 に 比 較 して、 普 及 度 は 高 い。
自 治 体 によっては、 自 治 体 職 員 用 のグループウェアと 教 員 用 のグループウェアが 別 に 整
備 されている 場 合 があるが、 利 用 者 によっては、 両 方 の 情 報 が 必 要 となる 場 合 がある。
また、 地 域 への 情 報 提 供 基 盤 としてホームページの 重 要 性 が 増 しており、ホームページ
運 用 管 理 システムの 一 層 の 充 実 が 望 まれる。
(3) 学 校 事 務 関 連
学 校 事 務 関 連 では、 市 区 町 村 での 利 用 は、 保 健 管 理 (13%)・ 成 績 管 理 (11%)・ 電
子 決 裁 (10%)・ 出 欠 管 理 (9%)となっている。
小 中 学 校 での 出 欠 管 理 は 健 康 調 査 票 などを 利 用 して 行 われており、 児 童 生 徒 情 報 管 理 の
基 礎 情 報 としてニーズの 高 い 業 務 と 考 えられる。また、 教 育 委 員 会 事 務 での 保 健 情 報 のシ
ステムと 連 動 して 運 用 されていると 考 えられる。
53
5.2 校 務 アプリケーションの 考 え 方 と 効 果
教 員 一 人 一 台 PCの 整 備 およびネットワークの 整 備 に 合 わせ、 校 務 アプリケーションを
整 備 することにより、 業 務 の 効 率 化 が 期 待 できる。
校 務 の 情 報 化 に 当 たっては、 業 務 自 体 のプロセスの 見 直 しを 行 うことに 留 意 する 必 要 が
ある。 現 行 の 業 務 をそのままシステムに 置 き 換 えても 効 果 は 少 なく、 場 合 によっては 負 荷
が 増 える。
また、 目 的 を 明 確 にすることが 重 要 である。 情 報 化 の 目 的 が 効 率 化 なのか、 質 の 向 上 な
のかを 明 確 にすることにより、どの 業 務 が 情 報 化 に 適 しているか、どの 業 務 から 情 報 化 を
行 う 必 要 があるかがわかる。
校 務 情 報 化 の 目 的 については「JAPET 校 務 情 報 化 研 究 」に7 項 目 が 示 されている。
• 教 職 員 の 校 務 の 軽 減 化 ・ 効 率 化
• 情 報 セキュリティの 確 保
• 児 童 生 徒 に 対 する 教 育 効 果 の 向 上
• 児 童 生 徒 ・ 地 域 の 安 全 ・ 安 心
• 学 校 経 営 の 改 善 ・ 効 率 化
• 保 護 者 との 情 報 共 有 の 促 進
• 地 域 への 情 報 公 開 ・ 説 明 責 任
例 えば、 通 知 表 作 成 業 務 で 多 くは、 印 刷 された 通 知 表 フォーマットにゴム 印 で 成 績 を 押
印 し、 所 見 欄 に 手 書 きで 所 見 を 記 入 している。
これを 情 報 化 する 場 合 の 目 的 は、
• ゴム 印 での 押 印 の 手 間 と 誤 りを 少 なくする。( 校 務 の 軽 減 化 ・ 効 率 化 )
だけではなく、
• 評 価 自 体 の 正 確 さの 検 討 を 深 める( 学 校 経 営 の 改 善 ・ 効 率 化 )
• 所 見 欄 の 基 になる 情 報 を 複 数 の 教 職 員 で 共 有 する「よいとこみつけ」を 実 現 する( 児
童 生 徒 に 対 する 教 育 効 果 の 向 上 )
• 所 見 情 報 を 保 護 者 と 情 報 共 有 し、 家 庭 教 育 力 の 向 上 を 図 る( 保 護 者 との 情 報 共 有 の
促 進 )
などが 考 えられる。
また、 文 書 収 受 業 務 の 場 合 、メールや 配 達 便 で 送 って 来 た 文 書 の 内 容 を 記 帳 しているが、
以 下 の 改 善 が 図 られる。
• 発 信 者 が 定 型 の 内 容 を 文 書 収 受 システムに 登 録 し、 各 学 校 での 記 帳 を 不 要 にする( 校
務 の 軽 減 化 ・ 効 率 化 )
• 電 子 化 された 情 報 はセンターサーバーに 登 録 し、 各 学 校 から 必 要 時 に 参 照 し、デー
タ 容 量 の 拡 大 を 防 ぐ( 改 善 ・ 効 率 化 )
• ファイリング 基 準 を 全 校 で 統 一 し、 書 類 の 削 減 整 理 を 行 う( 改 善 ・ 効 率 化 )
54
この 場 合 には、 文 書 収 受 の 分 掌 を、 教 員 ではなく、 対 外 的 な 事 務 の 責 任 者 である 教 頭 や
事 務 職 員 が 担 当 とする 場 合 がある。
このように、 情 報 化 の 目 的 を 明 確 化 することにより、 業 務 のプロセスの 変 更 や 業 務 内 容
自 体 の 要 不 要 ・ 正 誤 の 検 討 が 求 められる。
また、 情 報 セキュリティ 面 から、 文 書 管 理 規 定 の 整 備 ・ 不 要 な 文 書 の 廃 棄 ・ 各 自 のPC
内 部 や 可 搬 媒 体 に 保 管 された 情 報 のセンターサーバーでの 一 括 管 理 と 運 用 などを 検 討 する
必 要 がある。
以 下 に 教 育 委 員 会 事 務 関 連 の 具 体 的 な 活 用 事 例 を 示 す。
1 活 用 事 例 (1)
近 年 、 教 育 委 員 会 と 学 校 を 結 ぶグループウェアが 導 入 されており、 電 子 メールや 掲 示 板
が 活 用 されているが、アンケート 機 能 も 有 効 活 用 されている。
校 長 会 の 案 内 などはアンケート 機 能 で 出 欠 を 確 認 している。 教 育 委 員 会 側 で 最 も 有 効 で
あったと 考 えるものは 予 算 関 係 の 処 理 である。 例 えば、 特 別 支 援 教 育 で 必 要 な 備 品 と 予 算
をアンケート 機 能 で 各 学 校 に 問 えば、 回 答 は 自 動 的 に 集 計 され 必 要 品 目 のリストと 予 算 額
が 出 る。 転 記 のミスなどもなく、 事 務 効 率 は 大 幅 に 改 善 する。 また、 期 日 内 に 回 答 して
いない 学 校 も 把 握 できるため、 督 促 も 容 易 となっている。
2 活 用 事 例 (2)
教 育 委 員 会 から 毎 日 各 学 校 に 配 布 される 資 料 は、 膨 大 な 量 になる。 配 下 に 多 くの 学 校 を
抱 える 教 育 委 員 会 では、コピーの 量 が 多 いだけではなく、 職 員 の 作 業 時 間 も 負 担 となって
いる。
最 近 は、 電 子 化 して 学 校 に 送 付 する 教 育 委 員 会 も 徐 々に 増 えている。これを 確 実 に 実 行
すると、 紙 の 消 費 量 は 大 幅 に 削 減 できる。80 校 余 りを 抱 えるK 市 では 年 間 で200 万 枚
以 上 の 紙 が 削 減 できている。 紙 だけではなく、それを 各 学 校 に 配 布 する 人 、 配 達 する 車 が
不 要 となる。 紙 は1 枚 1 円 としても 年 間 200 万 円 程 度 の 削 減 だけかもしれないが、 人 件
費 の 削 減 は 非 常 に 大 きなものとなる。これまで 職 員 が、コピー、 帳 合 、 配 布 にかけていた
時 間 と 労 力 が、 他 の 本 来 の 業 務 に 向 けられることは 望 ましいことである。
また、 学 校 側 の 事 務 職 員 も 配 布 された 文 書 の 台 帳 への 登 録 も 容 易 となる。 文 書 台 帳 も 同
時 に 電 子 化 すればより 大 きな 効 果 が 望 める。
3 活 用 事 例 (3)
電 子 掲 示 板 の 利 用 は、 管 理 職 向 けや 教 育 委 員 会 からのお 知 らせなどで 利 用 されるケース
55
が 多 い。 活 用 が 進 んでいる 地 域 では、 各 教 科 の 研 究 会 ごとの 掲 示 板 や、クラブ 活 動 でも 利
用 されている。ある 程 度 の 規 模 の 自 治 体 では、 競 技 ごとの 掲 示 板 などで、 練 習 試 合 の 相 手
を 探 したりもされている。
特 に 小 学 校 では、 小 動 物 が 飼 育 されているが、 増 えすぎたり、 死 んでしまったりした 場
合 に、 掲 示 板 を 活 用 して 市 内 の 学 校 間 で 融 通 しあっている 地 域 もある。このようなことか
ら 活 用 が 広 がっている。
4 活 用 事 例 (4)
グループウェアのスケジュール 管 理 を、 機 材 の 貸 出 管 理 に 活 用 する 地 域 が 多 くある。プ
ロジェクターや 大 判 プリンターなど、 地 域 で 融 通 するために 使 われている。 本 来 、すべて
の 学 校 に 十 分 な 設 備 があれば、 不 要 なのであろうが、 現 状 では 必 要 な 処 置 である。 特 に 公
開 授 業 や 研 究 授 業 などのイベントがある 場 合 には 有 効 な 手 段 となる。
5 活 用 事 例 (5)
グループウェアのスケジュール 機 能 の 活 用 では、 教 職 員 の 出 張 や 研 修 、 休 暇 といった 内
容 の 確 認 も 有 効 である。 校 長 印 が 必 要 な 事 務 処 理 を 行 なう 場 合 、 校 長 印 を 管 理 する 管 理 職
の 所 在 は 重 要 な 意 味 を 持 つ。 校 長 が 校 長 印 を 管 理 している 学 校 の 場 合 、 校 長 のスケジュー
ルを 教 職 員 が 把 握 できることは 重 要 である。
6 活 用 事 例 (6)
給 食 の 献 立 は、 児 童 生 徒 に 毎 月 配 布 されるところが 多 い。 給 食 管 理 システムが 導 入 され
ると、 配 布 される 献 立 だけではなく、 栄 養 価 のレーダーチャートやレシピの 提 供 が 可 能 と
なる。もちろんWebでの 公 開 が 基 本 であるが、アトピーや 蕎 麦 アレルギーなどを 持 つ 子
どもの 保 護 者 にとっては 有 効 である。 最 近 は、 食 材 の 産 地 などの 公 開 も 試 み 始 められてい
る。「 食 育 」「 地 産 地 消 」が 広 がっている 昨 今 、 給 食 管 理 システムを 検 討 する 自 治 体 が 増 え
ている。また、 従 来 、 各 学 校 の 給 食 調 理 室 で 行 なっていたものを、 給 食 センターを 作 り、
そこから 近 隣 の 学 校 に 配 送 するシステムを 検 討 する 自 治 体 も 増 えている。 給 食 センターは
経 費 削 減 の 効 果 が 大 きいと 考 えられる。
給 食 システムを 導 入 している 地 域 では、 新 たな 交 流 も 生 まれている。 給 食 献 立 、 盛 り 付
け 配 膳 をすべての 学 校 で 毎 日 Web 上 に 公 開 している 地 域 がある。 当 初 、 担 当 の 栄 養 士 さ
んたちから 負 担 増 の 不 満 が 多 く 出 たが、しばらくすると、 保 護 者 から「 会 社 から 毎 日 見 て
いる」「 夕 食 のメニューと 重 ならないようにしている」「 子 どもがおいしかったというメニ
ューを 参 考 にしている」 等 のメールが 学 校 に 届 き 始 め、 見 てくれる 保 護 者 がいるというこ
とで 栄 養 士 さんたちの 意 識 が 変 わった。 給 食 で 不 足 した 栄 養 素 を 補 う 夕 食 のメニューを 提
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供 しようという 企 画 も 持 ち 上 がっているとのことである。この 市 の 基 本 は 市 内 統 一 メニュ
ーだが、 週 に1 日 各 校 ( 地 域 給 食 センター) 独 自 献 立 の 日 がある。 各 校 のメニューが 公 開
されるため、 担 当 の 栄 養 士 さんたちの 間 での 良 い 競 争 ( 季 節 や 地 元 の 食 材 を 工 夫 するなど)
も 始 まっているとのことである。
7 活 用 事 例 (7)
就 学 援 助 システムの 導 入 は、 首 長 部 局 との 連 携 で 効 果 がある。 通 常 、 就 学 援 助 を 受 ける
には、 申 請 者 側 に 所 得 証 明 などの 準 備 を 自 治 体 側 が 要 求 している。しかしながら、 税 や 福
祉 の 情 報 は 首 長 部 局 が 本 来 持 っているものである。 首 長 部 局 のシステムと 教 育 委 員 会 側 の
システムの 連 携 がとれると、 申 請 者 の 負 担 も 減 り、 学 校 側 が 児 童 生 徒 、 保 護 者 の 個 人 情 報
に 触 れることもなく 認 定 の 期 間 も 短 縮 でき 効 果 が 高 い。
また、 機 械 的 に 判 定 するとすくわれない 人 もでるということで、 最 終 判 定 に 民 生 委 員 が
参 加 している 自 治 体 もある。
8 活 用 事 例 (8)
就 学 援 助 システムとあわせて、 幼 稚 園 就 園 奨 励 のシステムを 導 入 する 自 治 体 が 増 えてい
る。 幼 稚 園 就 園 奨 励 も、 申 請 の 時 期 が 集 中 するため 幼 稚 園 就 園 奨 励 システムが 導 入 される
と、 少 子 化 対 策 の 一 環 として 幼 稚 園 就 園 奨 励 を 拡 充 する 自 治 体 もあり、システムの 重 要 性
が 増 している。
近 年 、 自 治 体 の 合 併 が 進 んだが、 合 併 にともなう 事 務 の 混 乱 が 予 想 されるなか、 幼 稚 園
就 園 奨 励 のシステムを 導 入 で、 住 民 サービスの 向 上 を 図 った 教 育 委 員 会 もある。
9 活 用 事 例 (9)
学 校 間 交 流 などでテレビ 会 議 システムは 良 く 用 いられるが、 教 育 委 員 会 の 事 務 に 用 いら
れることは 殆 ど 聞 かない。テレビ 会 議 システムを、 学 校 の 授 業 ではなく 教 育 委 員 の 会 議 に
利 用 した 自 治 体 がある。 教 育 委 員 は 一 般 に 年 齢 が 高 く、ICTに 触 れる 機 会 の 少 ない 方 が
多 いが、 体 験 いただくことで 理 解 いただける。さらに 出 張 先 や 自 宅 近 くの 学 校 から 会 議 に
参 加 することで 有 効 性 が 理 解 できる。これは、 委 員 だけではなく、 事 務 局 側 の 意 識 も 変 わ
る。
10 活 用 事 例 (10)
学 校 は、 地 震 や 台 風 などの 災 害 が 発 生 した 場 合 、 地 域 の 避 難 所 になる。 防 災 の 拠 点 とな
るのである。それをうまく 利 用 している 自 治 体 がある。その 市 では、 避 難 所 の 状 況 を 確 認
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するために 各 学 校 に 監 視 カメラを 設 置 している。そのカメラは 災 害 のないときは、 不 審 者
の 侵 入 を 監 視 するカメラともなり、 向 ける 方 向 を 変 えれば、 川 の 水 量 の 確 認 や 波 の 高 さな
ども 確 認 できる。また、 災 害 対 策 用 に、セットワークに 接 続 した 雨 量 計 、 風 速 計 を 学 校 に
整 備 しており、これも、 普 段 は 授 業 で 活 用 できるようになっている。
11 活 用 事 例 (11)
図 書 館 システムは 独 立 して 運 用 されることが 多 かったが、 学 校 のネットワークと 連 携 を
とり、 効 果 を 上 げている 自 治 体 がある。 学 校 で 児 童 生 徒 が、 授 業 の 過 程 で 調 べたいことが
あると 図 書 館 に 質 問 できる。 司 書 はその 質 問 に 適 した 書 籍 、 関 連 した 書 物 を 紹 介 したり、
巡 回 サービスの 車 で 学 校 に 届 けてくれる。インターネットだけの 調 べ 学 習 ではなく、 本 に
触 れる 機 会 も 増 えることになる。 学 校 図 書 の 不 足 を 補 うだけではなく、 公 立 図 書 館 の 司 書
の 意 識 を 変 え、 子 どもたちの 質 問 は、 蔵 書 を 充 実 させるときの 参 考 にもなる。
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5.3 校 務 アプリケーションに 求 められる 条 件
校 務 アプリケーションは 様 々な 情 報 をベースに 運 用 される。
教 育 委 員 会 事 務 の 学 籍 管 理 や 就 学 援 助 等 のシステムでは、 住 民 基 本 台 帳 などをベースに、
児 童 生 徒 の 情 報 や 保 護 者 の 情 報 が 中 心 となり、 転 入 転 出 に 伴 う 情 報 の 異 動 が 行 われる。 人
事 ・ 給 与 管 理 システムでは、 教 職 員 の 情 報 を 中 心 に 運 用 され、 財 務 会 計 や 学 納 金 システム
では、 予 算 と 資 金 の 流 れの 情 報 が 中 心 に 運 用 される。
メールやグループウェアなどのコミュニケーションシステムでは、 利 用 者 情 報 として、
教 職 員 情 報 が 必 要 となる。また、 不 審 者 情 報 通 知 などの 内 容 は、 警 察 など 他 組 織 から 提 供
されるものを、 学 校 ・ 保 護 者 ・ 地 域 に 発 信 する 必 要 がある。
学 校 事 務 システムでは、 学 籍 管 理 システムの 児 童 生 徒 情 報 や 人 事 システムの 教 職 員 情 報
から 必 要 な 情 報 を 連 携 することで、 手 入 力 作 業 を 省 き、 常 に 最 新 の 情 報 を 活 用 することが
できる。
先 進 的 な 事 例 では、 児 童 生 徒 の 保 健 管 理 情 報 ・ 出 欠 状 況 から 統 計 データを 作 成 し、イン
フルエンザ 流 行 情 報 をホームページで 公 開 し、 感 染 予 防 対 策 に 効 果 をあげている 事 例 や、
給 食 の 献 立 を 公 開 することにより、 家 庭 の 献 立 の 参 考 にするなど、 地 域 の 食 育 推 進 に 効 果
をあげている 事 例 などがある。
このように、 各 分 野 毎 のシステム 間 の 情 報 連 携 を 設 計 する 必 要 性 があることに 加 え、 分
野 間 の 情 報 の 受 渡 しの 検 討 も 必 要 になる。
更 には 外 部 の 組 織 ・ 外 部 のシステムとの 情 報 連 携 が 可 能 なように 配 慮 することが 望 まし
い。
校 務 アプリケーションの 情 報 間 連 携 のイメージ
住 民 基 本 台 帳 等
就 学 予 定 者 情 報
世 帯 情 報 等
学 籍 管 理
予 算 情 報
税 システム 等
予 算 情 報
財 務 会 計
実 績 情 報
税 情 報 等
地
域
情
報
プ
ラ
ッ
ト
フ
ォ
ー
ム
(*
児 童 生 徒 学 籍 情 報
就 学 援 助
電 子 決 裁
物 品 調 達
時 数 管 理
学 納 金 管 理
実 績 情 報
児 童 生 徒 名 簿 情 報
通 知 表
児 童 生 徒
成 績 等 情 報
指 導 要 録
成 績 管 理
出 欠 管 理
保 健 管 理
スポーツテスト
給 与 管 理
)
メール
福 利 厚 生
教 職 員 情 報
教 職 員 アカウント 情 報
グループウェア
掲 示 板
人 事 管 理
*: 地 域 情 報 プラットフォーム(http://www.applic.or.jp/pf/)
図 5.3 校 務 アプリケーションの 情 報 間 連 携 のイメージ
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