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慢 性 的 な 胃 食 道 逆 流 症 患 者 における 食 道 用 カ<br />

プセル 内 視 鏡 と 一 般 の 内 視 鏡 のバレット 食 道<br />

診 断 に 対 する 有 用 性 の 盲 検 下 での 比 較 検 討<br />

Blinded comparison of esophageal capsule endoscopy versus<br />

conventional endoscopy for a diagnosis of Barrett's esophagus in<br />

patients with chronic gastroesophageal reflux<br />

LIN OS, ET AL.<br />

Gastrointest Endosc. 2007; 65: 577-583<br />

◆サマリー◆<br />

食 道 用 のカプセル 内 視 鏡 の 臨 床 使 用 が 始 まり、バレット 食 道 の 診<br />

断 における 有 用 性 が 報 告 されている。ところが 盲 検 下 でのカプセル<br />

内 視 鏡 と 一 般 の 内 視 鏡 の 有 用 性 について 十 分 な 比 較 検 討 は 行 われて<br />

いない。そこで 本 論 文 の 著 者 らは、 盲 検 下 で 前 向 きの 検 討 を 行 って<br />

いる。 対 象 には、 慢 性 胃 食 道 逆 流 症 で 内 視 鏡 スクリーニングを 受 け<br />

る 患 者 と、バレット 食 道 を 有 し 定 期 的 な 内 視 鏡 サーベイランスを 受<br />

けている 患 者 を 用 いている。96 例 が 参 加 し、これらの 例 には、ま<br />

ず 臥 位 にて 1 秒 間 に 14 フレームの 写 真 をとることができるカプセ<br />

ルの 両 端 にレンズを 有 する 食 道 用 カプセル 内 視 鏡 を 内 服 させてい<br />

る。その 後 引 き 続 いて、 一 般 の 上 部 消 化 管 の 内 視 鏡 検 査 を 行 ってい<br />

る。バレット 食 道 の 診 断 は、 一 般 の 内 視 鏡 検 査 結 果 と 食 道 粘 膜 の 生<br />

検 による 腸 上 皮 化 生 の 存 在 によって 行 い、これを 対 照 としてカプセ<br />

ル 内 視 鏡 検 査 の 有 用 性 を 検 討 している。まず 参 加 した 96 例 のうち<br />

評 価 可 能 であったのは 90 例 で、 残 りはカプセル 内 視 鏡 の 嚥 下 困 難 、<br />

食 道 内 停 滞 等 で 評 価 ができなかった。 評 価 可 能 であった 例 では、 真<br />

のバレット 上 皮 21 例 のうち 14 例 ( 感 度 67%)がカプセル 内 視 鏡<br />

で 診 断 可 能 であった。 一 方 、バレット 食 道 のない69 例 のうち58 例 ( 特<br />

異 度 84%)で、バレット 食 道 はないと 診 断 できた。バレット 食 道<br />

を 3cm 以 上 の 長 さを 有 する LSBE と 3cm 以 下 の SSBE に 分 けても、<br />

それぞれのグループでのカプセル 内 視 鏡 による 診 断 感 度 は 67%で<br />

差 がなかった。カプセル 内 視 鏡 で 正 しく 診 断 されたバレット 食 道 を<br />

有 する 例 のうち 79%では、カプセル 内 視 鏡 検 査 で 少 なくとも 1 フ<br />

レームの 写 真 は 食 道 胃 接 合 部 の 全 周 が 撮 影 されていた。 一 方 、 正 し<br />

く 診 断 できなかったバレット 食 道 例 のうち、 食 道 胃 接 合 部 の 全 周 写<br />

真 が 撮 影 されたのは 14%しかなかった。 食 道 内 のカプセル 内 視 鏡<br />

の 通 過 時 間 は、バレット 食 道 が 正 しく 診 断 された 例 でも 見 落 とされ<br />

た 例 でも 4 分 台 で 差 はなかった。これらの 成 績 より、 本 論 文 の 著 者<br />

らは 従 来 の 方 法 と 比 較 して、 最 新 のカプセル 内 視 鏡 検 査 によるバレッ<br />

ト 食 道 の 診 断 における 感 度 はそれほど 高 くはなく、バレット 食 道 の<br />

スクリーニングにおけるカプセル 内 視 鏡 の 役 割 は、 一 般 の 内 視 鏡 の<br />

検 査 を 行 えない 例 や 拒 否 例 においてのみあるだろうと 結 論 してい<br />

る。<br />

◆コメント◆<br />

カプセル 内 視 鏡 は、 小 腸 病 変 を 検 索 するための 有 用 性 が 高 い 検<br />

査 法 として 広 く 使 用 されるようになってきている。また 欧 米 にお<br />

いては、バレット 食 道 から 発 症 する 食 道 の 腺 癌 の 増 加 が 著 しく、<br />

バレット 食 道 の 有 無 のスクリーニングをどのようにするか、また<br />

バレット 食 道 を 有 し 食 道 腺 癌 のリスクが 高 いと 判 定 された 例 の、<br />

癌 発 生 の 定 期 的 なサーベイランスをどのように 行 っていくかが 大<br />

きな 問 題 となっている。 食 道 用 に 改 良 されたカプセル 内 視 鏡 は、<br />

低 侵 襲 で 安 全 であることは 明 らかであるが、その 有 効 性 について<br />

の 検 討 は 不 十 分 であった。 本 論 文 では blind 化 された 検 討 結 果 が 報<br />

告 されている。 本 研 究 では、カプセル 内 視 鏡 のバレット 食 道 の 診<br />

断 に 対 する 感 度 は 高 くはなく、67%とほどほどである。すなわち、<br />

カプセル 内 視 鏡 は 逆 流 症 例 全 例 をバレット 食 道 の 有 無 を 考 えてス<br />

クリーニングする 方 法 としては、 感 度 が 十 分 でないことが 示 され<br />

たことになる。カプセル 内 視 鏡 検 査 の 感 度 が 十 分 でない 理 由 とし<br />

て、 胃 食 道 接 合 部 が 必 ずしも 全 周 にわたって 撮 影 されていないこ<br />

とが 挙 げられている。カプセル 内 視 鏡 装 置 の 改 良 がまだ 必 要 であ<br />

るのかもしれない。<br />

サマリー&コメント: 木 下 芳 一<br />

結 腸 直 腸 癌 の 治 療 のためのセツキシマブ<br />

Cetuximab for the treatment of colorectal cancer<br />

JONKER DJ, ET AL.<br />

N Engl J Med. 2007; 357: 2040-2048<br />

◆サマリー◆<br />

上 皮 成 長 因 子 受 容 体 (epidermal growth factor receptor; EGFR)<br />

に 対 する IgG1 キメラモノクローナル 抗 体 であるセツキシマブ<br />

(cetuximab)は、EGFR を 発 現 する 結 腸 直 腸 癌 に 対 して 抗 腫 瘍<br />

活 性 を 示 す。 本 研 究 の 対 象 は、2003 年 12 月 〜 2005 年 8 月 の<br />

間 に、 免 疫 組 織 化 学 的 に EGFR を 発 現 し、かつフルオロピリ<br />

ミジン(fluoropyrimidine)、イリノテカン(irinotecan)、オキサ<br />

リプラチン(oxaliplatin)による 治 療 歴 があるか、あるいはこれ<br />

らの 薬 剤 での 治 療 が 禁 忌 である 結 腸 直 腸 癌 の 患 者 572 例 であっ<br />

た。 患 者 を、セツキシマブ 400mg/m 2 ( 体 表 面 積 )を 初 回 投 与<br />

し、その 後 250mg/m 2 を 週 1 回 投 与 + 対 症 療 法 (best supportive<br />

care; BSC)を 行 うセツキシマブ 群 (287 例 )と BSC 単 独 群 (285<br />

例 )のいずれかに 無 作 為 に 割 り 付 けた。 一 次 的 なエンドポイン<br />

トは、 全 生 存 期 間 とした。BSC 単 独 群 と 比 較 して、セツキシマ<br />

ブ 群 は、 全 生 存 期 間 [ 死 亡 のハザード 比 =0.77、95% 信 頼 区 間<br />

(CI)0.64 〜 0.92、p = 0.005]、および 進 行 のない 生 存 期 間 ( 進<br />

行 または 死 亡 のハザード 比 =0.68、95% CI=0.57 〜 0.80、p <<br />

0.001)の 有 意 な 改 善 と 関 連 した。これらの 恩 恵 は、 多 変 量 Cox<br />

比 例 ハザードモデルで 補 正 後 も 認 められた。 全 生 存 期 間 の 中 央<br />

値 は、セツキシマブ 群 で 6.1 ヵ 月 、BSC 単 独 群 で 4.6 ヵ 月 であっ<br />

た。 部 分 寛 解 は、セツキシマブ 群 の 23 例 (8.0%)で 見 られたが、<br />

BSC 単 独 群 では 見 られなかった(p < 0.001)。 疾 患 は、セツキ<br />

シマブ 群 の 31.4%、BSC 単 独 群 の 10.9%で 安 定 していた(p <<br />

0.001)。セツキシマブ 群 では、QOL がより 良 く 維 持 され、 身 体<br />

機 能 や 全 般 的 健 康 状 態 スコアの 低 下 がより 少 なかった(ともに<br />

p < 0.05)。セツキシマブ 治 療 は 特 徴 的 な 皮 疹 と 関 連 しており、<br />

グレード 2 以 上 の 皮 疹 は 生 存 期 間 の 改 善 と 強 く 関 連 していた( 死<br />

亡 のハザード 比 =0.33、95% CI=0.22 〜 0.50、p < 0.001)。グ<br />

レード 3 以 上 の 有 害 事 象 の 発 生 率 は、セツキシマブ 群 で 78.5%、<br />

BSC 単 独 群 で 59.1%であった(p < 0.001)。 以 上 の 結 果 より、<br />

その 他 の 治 療 が 奏 効 しなかった 結 腸 直 腸 癌 患 者 において、セツ<br />

キシマブ 治 療 により 全 生 存 期 間 と 進 行 のない 生 存 期 間 が 改 善 し<br />

QOL が 維 持 される、と 結 論 された。<br />

◆コメント◆<br />

全 世 界 で、 年 間 917,000 例 の 患 者 が 結 腸 直 腸 癌 に 罹 患 すると 推<br />

定 されており、 欧 米 では 癌 関 連 死 因 の 第 2 位 である。イリノテ<br />

カン、オキサリプラチン、フルオロピリミジンといった 腫 瘍 傷<br />

害 性 薬 物 や 血 管 内 皮 増 殖 因 子 に 対 する 抗 体 であるベバシズマブ<br />

(bevacizumab)は、 進 行 大 腸 癌 患 者 の 平 均 生 存 期 間 を 改 善 する<br />

が、ほとんどの 患 者 で 治 癒 には 至 らない。 近 年 、 大 腸 癌 で 発 現 が<br />

増 強 する EGFR などに 対 するモノクローナル 抗 体 、すなわち 腫<br />

瘍 の 持 つ 特 性 を 利 用 してその 増 殖 を 特 異 的 に 抑 制 する 薬 物 が 開 発<br />

されている。セツキシマブは、EGFR の 細 胞 外 ドメインに 結 合 す<br />

る IgG1 キメラモノクローナル 抗 体 であり、 受 容 体 シグナルをブ<br />

ロックし、 腫 瘍 増 殖 をコントロールする。セツキシマブは 大 腸 癌<br />

に 対 して 抗 腫 瘍 活 性 を 有 するとともに、イリノテカンと 同 時 に 投<br />

与 された 場 合 には 薬 物 耐 性 を 消 失 させる。 本 研 究 では、 他 の 化 学<br />

療 法 のレジメンが 奏 効 しなかった 大 腸 癌 患 者 において、セツキシ<br />

マブの 投 与 により、 生 存 期 間 が 有 意 に 延 長 し QOL が 維 持 するこ<br />

とが 示 されており、 今 後 はこの 薬 剤 を 含 む 複 数 の 化 学 療 法 レジメ<br />

ンの 治 験 が 進 行 すると 思 われる。 今 のところ、 大 腸 癌 化 学 療 法 の<br />

臨 床 研 究 は 欧 米 の 研 究 者 の 独 壇 場 といった 感 があるが、5-FU な<br />

どの 有 効 な 抗 癌 薬 が 開 発 された 本 邦 での 研 究 成 果 を 期 待 したい。<br />

サマリー&コメント: 平 石 秀 幸<br />

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