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Hindmarsh Prize 2018 Japanese Catalogue

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ハインドマーシュ 賞

2018


ハインドマーシュ 賞 展 示 会

2018 年 10 月 26 日 ~11 月 4 日

富 山 市 ガラス 美 術 館

スポンサー

メインスポンサー

協 賛

デ ザイン:Wendy Dawes

印 刷 :Canprint

© Canberra Glassworks 2018


目 次

ごあいさつ 5

キュレーター 7

入 選 作 品

Brenda L Croft 10

Brendan van Hek 12

Clare Belfrage 14

Harriet Schwarzrock 16

Holly Grace 18

Jeremy Lepisto & Nick Stranks 20

Kate Baker 22

Kate Nixon 24

Kirstie Rea 26

Lisa Cahill 28

Lucy Palmer 30

Madeline Cardone 32

Mel Douglas 34

不 NOT 36

Richard Whiteley 38

Rose-Mary Faulkner 40

Scott Chaseling 42

Yusuke Takemura 44


ごあいさつ

キ ャン ベ ラ・グラ ス ワ ー クス は 、 第 3 回

ハ イ ンドマ ー シュ 賞 を 通 じ て 、オ ー スト

ラリアで 最 も 興 味 深 く 才 能 ある 現 代 ア

ーティストのガラス 作 品 を 紹 介 してい

ます。 同 賞 は 現 代 ガラスアートにおけ

る 傑 出 した 功 績 を 評 価 し、この 分 野 で

最 も 創 造 力 に 富 み、 大 きな 影 響 力 をも

つ 注 目 のアーティストの 作 品 を 称 える

ものです。

当 初 より、 同 展 示 会 は 作 家 に 大 きな 恩

恵 をもたらす 事 を 目 的 として 始 まりま

した。 作 品 に 対 する 賞 は、 大 小 の 美 術

館 や 美 術 愛 好 家 が 作 品 を 収 集 する 重

要 な 機 会 で も あ り ま す 。ハ イ ンド マ ー シ

ュ 賞 は 他 の 美 術 画 廊 の 学 芸 員 や 画 廊

主 などにも 幅 広 く 評 価 されているため、

選 ばれた 作 品 は 洗 練 された 興 味 深 い

も の と な って い ま す 。 本 年 の ハ イ ンドマ

ーシュ 賞 では、オーストラリア 国 外 務

貿 易 省 の 支 援 を 得 て、 最 終 選 考 に 残 っ

たアーティ ストの 作 品 が、 富 山 市 ガラ

ス 美 術 館 においても 展 示 されます。 大

賞 に 選 ばれた 作 家 には10,000ドルの

賞 金 に 加 え、キャンベラ・グラスワーク

スにて4 週 間 の 制 作 期 間 が 提 供 され

ます。

本 年 のハインドマーシュ 賞 に 作 品 を 応

募 してくださった 作 家 の 皆 さまに 感 謝

するとともに、2018 年 の 入 選 作 家 を 称

えます。また、アーティストや 所 属 画 廊

の 現 代 ガラスへの 熱 意 のこもった 取 り

組 みに 心 から 感 謝 申 し 上 げます。なら

びに、2018 年 の 審 査 員 を 務 めた

Eva Czernis-Ryl( 学 芸 員 、 応 用 芸 術 ・ 科 学

博 物 館 )、Aimee Frodsham(アーティス テ

ィッ ク・ディレ クタ ー 、キ ャ ン ベ ラ・グ ラ

ス ワ ー クス )お よ び Nick Mitzevich( オー

ストラリア 国 立 美 術 館 館 長 )にも、 多 く

の 時 間 とご 指 導 をしていただいたこと

に 感 謝 の 意 を 表 します。

ハインドマーシュ 賞 はThe Tall Foundation、

CRE8TIVEおよびKing and Wood Mallesons

によるご 支 援 なくしては 実 現 できなか

っ た ことで しょう 。ま た 、ワ イ ン・ス ポ ン

サーであるLake George Wineryにも 謝 意

を 表 します。

作 品 の 展 示 、 出 版 等 の 責 任 者 である、

Tom Rowney、Aimee Frodshamおよび

Wendy Dawesによる 専 門 チーム、 展 示

に 携 わったキャンベラ・グラスワー クス

のスタッフ 一 同 に 感 謝 致 します。

結 びに、 過 去 3 年 にわたる 展 示 会 と 同

賞 に 対 するJohn Hindmarshの 寛 大 かつ

献 身 的 なご 支 援 に 心 から 感 謝 申 し 上

げます。

Julie Skate

CEO、キ ャ ン ベ ラ・グ ラ ス ワ ー クス

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キュレーター

ガラス 作 品 を 制 作 するにあたり、 私 達

は「 切 る 」、「 焼 く」、と い う 言 葉 を 用 い ま

す。この 言 葉 は 時 に 人 を 傷 つける 表 現

と し て 使 わ れ ま す 。し か し 、キ ャ ン ベ ラ・

グラスワークスで 制 作 を 行 う 作 家 にと

っては 作 品 の 特 徴 を 表 現 する 際 に 不

可 欠 な 言 葉 です。ガラスにはこうした

内 在 する 危 険 な 一 面 があるにも 関 わ

らず、またそれゆえに 魅 了 され 一 瞬 に

し て 心 を 引 き 付 け る 力 が あ り ま す 。で

すが、この 一 瞬 のガラスの 力 を 引 き 出

すには 長 い 経 験 と 卓 越 した 技 術 が 必

要 となります。

私 が90 年 代 初 めにガラス 作 品 の 制 作

を 開 始 した 際 、 価 値 のある 作 品 が 制 作

できるようになるまで10 年 かかると 言

わ れ 、 見 て 、 学 び 、 素 材 に 関 す る 一 定 の

知 識 を 得 るには 膨 大 な 時 間 を 要 しま

した。

ガラス 制 作 は 素 材 を 扱 い、 感 じること

によってのみ 学 ぶことが 可 能 です。しか

し 、 見 て い る だ け で は 、 学 ぶ こ と は で き

ません。こうした 知 識 の 大 半 は 他 の 経

験 豊 富 な 作 家 と 共 に 制 作 を 行 うことで

共 有 でき、 伝 統 的 な 師 弟 関 係 のような

教 師 から 学 生 へと 受 け 継 がれる 過 程

によって 構 築 されるのです。

キャンベラ・グラスワー クスは 誰 もが

自 由 に 利 用 でき、 制 作 可 能 な 施 設 で

す。 専 門 的 なガラスに 関 する 技 術 と 知

識 、さらには 特 殊 な 機 材 を 提 供 してい

ま す 。キ ャ ン ベ ラ・グ ラ ス ワ ー ク ス で 共

有 される 技 術 は、 各 作 家 ・ 職 人 ・デザイ

ナーといった 制 作 者 を 結 びつけ、 今 ま

でにないコミュニティを 育 んでいます。

今 までも、そしてこれからも、 多 くの 優

れたオーストラリアのガラス 作 家 が

キャンベラ・グラスワークスを 拠 点 に

す る と と も に 、ハ イ ンド マ ー シ ュ 賞 は

卓 越 した 制 作 者 の 技 術 の 発 展 に 貢

献 しています。こうした 技 術 が 評 価 さ

れ、2016 年 の 第 1 回 ハインドマーシュ 賞

はMasahiro Asakaが 受 賞 し、2017 年 の 第

2 回 で は 、Scott Chaselingが 受 賞 しまし

た 。こ の 2 人 の ア ー ティスト は 、 卓 越 し た

クオリティと 力 強 いコンセプト、 職 人 技

を 備 えた 作 品 を 世 に 送 り 出 しました。

2018 年 に は 、キ ャ ン ベ ラ で 21 人 のハイ

ンドマーシュ 賞 の 入 選 作 品 を 展 示 する

とともに、 初 めてとなる 海 外 巡 回 展 と

して 富 山 市 ガラス 美 術 館 にて 展 示 会

を 行 います。ハインドマーシュ 賞 は 優 れ

た 作 品 を 発 表 することで、 地 域 、 国 内

外 の 鑑 賞 者 への 知 名 度 を 高 め、 世 界

中 の 作 家 のための 登 竜 門 としての

キャンベラ・グラスワークスの 国 際 的

な 立 場 を 確 立 するでしょう。

Aimee Frodsham

アーティスティック・ディレクター、

キャンベラ・グラスワー クス

7


入 選 作 品


ブレンダ・L・クロフト BRENDA L CROFT

GROUNDED (RED, BLACK, WHITE)

ブレンダ・L・クロフトはビクトリア・リバー 地 域 出 身 です。ノーザンテリトリーのグリン

ジ/マルンギン/ムドゥバラの 女 性 であるとともに、アングロ・オーストラリア/ドイ

ツ/アイルランド/ 中 国 のバックグラウンドももっています。30 年 にわたってアーティ

スト、アート・アドミニストレーター、キュレーター、 研 究 者 およびコンサルタントとし

て、 先 住 民 アートやより 幅 広 い 現 代 アート、 文 化 アートに 関 わっています。

クロフトは、 多 くの 分 野 で 芸 術 活 動 を 行 っています。 最 も 有 名 な 媒 体 は 写 真 ですが、

製 版 や 彫 刻 、ガラス、 音 響 と 映 像 /マルチメディアの 作 品 、パフォーマンスおよびサウ

ンドワークも 制 作 しています。『Grounded (red, black, white)』と 題 す る 鉛 クリス タ ル の ガ

ラ ス 斧 は 、ク ロ フト が 2014 年 6 月 にグリンジの 長 老 やコミュニティのメンバーととも

に 出 身 地 を 訪 問 した 際 にアーティストを 見 つけた(つまり、 素 材 に 見 つけられた)オ

リジナルの 材 料 で 作 られた 文 化 物 にインスピレーションを 受 けて 作 られました。

所 属 ギャラリー:Niagara Galleries, Melbourne.

Brenda L Croft、Grounded (red, black, white)、2018 年 、キルンキャスト、 耐 候 性 鋼 、ステンレス、

電 気 部 品 。 撮 影 :Brenda L Croft

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11


ブレンダン・ヴァン・ヘック BRENDAN VAN HEK

CORRECTED HORIZON

(COBALT BLUE, TURQUOISE)

ブレンダン・ヴァン・ヘックは 権 威 あるニュー ヨ ー クの International Studio & Curatorial

Program (ISCP)のレジデンス・プログラム 受 賞 者 で、 文 化 芸 術 省 ( 西 オーストラリア 州 )

の 研 究 員 としてネオン 制 作 の 新 たな 技 術 を 調 査 しています。『Corrected Horizon (cobalt

blue, turquoise)』は、 色 彩 と 配 置 によって 地 平 線 を 想 起 させる 視 覚 的 な 邂 逅 を 作 り 出

す ネ オ ン 作 品 で す 。『 Corrected Horizon (cobalt blue, turquoise)』では、 地 平 線 は 傾 いてお

り、 修 正 の 必 要 があります。そこで、 地 平 線 を 水 平 にするために、 同 作 品 は 時 計 回 り

に 傾 けられていますが、バランスは 不 安 定 です。 同 作 品 は 哲 学 的 、 環 境 的 、 政 治 的 、

社 会 的 といった 数 多 くの 観 点 から 理 解 される、 現 代 の 存 在 の 不 安 定 性 を 考 察 してい

ます。

所 属 ギャラリー:Sarah Cottier Gallery, Sydney.

Brendan van Hek、Corrected Horizon (cobalt blue, turquoise)、2018 年 、ネ オ ン 。

撮 影 :Consuelo Cavaniglia

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クレア・ベルフレージ CLARE BELFRAGE

QUIET SHIFTING, GREEN AND CORAL

2016 年 にクレア・ベルフレージは 自 身 の『2002 Quiet Shifting』シリーズに 再 解 釈 を 加

えました。 同 シリーズは、 何 年 も 前 にオーストラリア・アルプスで 目 にした 岩 の 形 にイ

ンスピレーションを 受 けたものです。 巨 岩 や 岩 の 塊 に 加 え、 岩 の 表 面 の 地 衣 類 や 苔

の 緩 やかで 時 にはダイナミックな 動 きに 関 心 を 引 き 付 けられました。『Quiet Shifting,

Green and Coral, 2018』において、 太 いストライプや 淡 い 色 合 いが 作 品 の 奥 深 くに 動 き

を 描 いています。 線 画 はより 細 く、 繊 細 で、 力 強 いものですが、 縦 糸 と 横 糸 が 見 て 取

れます。この 作 品 は 技 術 的 発 達 と 風 景 や 自 然 界 のリズムに 関 する 現 在 の 感 性 を 組

み 合 わせています。

所 属 ギャラリー:Sabbia Gallery (Sydney).

Clare Belfrage、Quiet Shifting, Green and Coral、2018 年 、ケーン・ドローイングを 使 った 手 吹 き/

コ ー ル ド ワ ー ク 。 撮 影 :Pippy Mount

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ハリエット・シュワルツ ロック

HARRIET SCHWARZROCK

DEGREES BETWEEN

ハリエット・シュワルツロックは、 世 界 中 のどの 人 とでも6 人 を 介 在 させるとつなが

りができるという 詩 的 な 仮 説 に 魅 せられています。この 作 品 は、こうした 相 互 のつな

がりについての 熟 考 を 継 続 するもので、こうした 不 可 視 なつながりを 可 視 化 するう

えで 運 動 になっています。 手 吹 き/ホットキャストのガラスの 心 臓 は 希 ガスが 充 填 さ

れ、 電 磁 場 を 発 生 させるため、 触 れると 反 応 します。 波 状 で 脈 打 つような 動 きは 封 じ

込 められているものの、 人 が 触 れることによるわずかな 電 気 を 感 知 します。 円 状 の

配 置 は 無 限 のつながりと 動 きを 象 徴 し、 似 てはいるもののわずかに 異 なる 形 状 の 非

対 称 的 で 共 鳴 するネットワークを 称 えています。

所 属 ギャラリー:Suki & Hugh Gallery, Bungendore.

Harriet Schwarzrock、degrees between、2018 年 、 吹 き ガ ラ ス 、ネ オ ン 。 撮 影 :Sam Cooper

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ホリー・グレース HOLLY GRACE

ILLUMINATING TIDBINBILLA

ホリー・グレースの 作 品 は、コシチュシュコとナマジ 地 域 の 歴 史 を 探 求 しています。

ガラスは 自 然 界 の 複 雑 性 を 探 求 するためのレンズになっています。まずカメラで 探

求 してから 材 料 で 探 求 し、 光 を 置 き 換 えるためにガラスを 表 面 に 使 って、 実 際 の 風 景

と 想 像 上 の 風 景 の 荘 厳 さを 作 り 出 しています。

オーストラリア 国 立 図 書 館 とオーストラリア 国 立 公 文 書 館 で 人 々と 場 所 に 関 する 調

査 を 行 い、 自 身 の 写 真 と 風 景 の 記 録 を 通 じてさらに 探 求 しました。この 調 査 期 間 を

経 て、 文 化 的 ・ 物 質 的 風 景 を 探 求 するため、コンテクストとイメージが 層 を 構 成 する

作 品 の 制 作 に 着 手 し、オーストラリアに 特 有 のものに 関 する 詩 的 な 解 釈 を 作 り 出 し

ています。

所 属 ギャラリー:Beaver Galleries, Canberra and Sabbia Gallery, Sydney.

Holly Grace、Illuminating Tidbinbilla、2018 年 、 吹 き ガ ラ ス 。 撮 影 :David McArthur

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ジェレミー・レピスト&ニック・ストランクス

JEREMY LEPISTO & NICK STRANKS

THE FIX

『The Fix』はおそらく、 提 示 する 以 上 の 答 えを 求 める 作 品 です。この 作 品 は 重 く、さび

付 いた 工 具 箱 で、 底 面 には 浸 水 した 農 家 の 像 となくなったスパナの 消 えることのな

いシルエットが 埋 め 込 まれています。 金 属 部 分 の 外 形 および 状 態 とガラス 部 分 の 内

容 が 相 ま っ て 、『 The Fix』が 実 際 には 何 なのかを 示 唆 しています。

ジェレミー・レピストとニック・ストランクスは 制 作 者 であり、 修 理 者 です。この 共 同 作

品 において、それぞれが 個 性 を 残 していることは 明 らかですが、 制 作 者 のポートレー

ト が 明 瞭 で す 。『 The Fix』は 自 身 のストーリーを 物 語 りつつ、 所 有 者 / 制 作 者 の 物 語

も 語 ります。

Jeremy Lepistoの 所 属 ギャラリー:Beaver Galleries, Canberra.

Jeremy Lepisto and Nick Stranks、The Fix、2018 年 、スチールおよびブロンズ、キルンキャスト。

撮 影 :Adam McGrath

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ケイト・ベ ーカー KATE BAKER

LENA ON THE TRAMP

ケイト・ベーカーの 芸 術 に 関 する 調 査 の 主 な 関 心 事 はスタジオでの 制 作 プロセスで

す。この 方 向 性 は 材 料 との 徹 底 的 で 綿 密 な 取 り 組 みとその 結 果 としての 抽 象 化 を 通

じてパラドクス 的 に 非 物 質 的 なコンセプトが 探 求 され、 困 難 ながらも 複 雑 な 調 査 環

境 を 与 え ま す 。

この 作 品 は、 見 る 者 が 視 覚 的 かつ 直 感 的 に 移 送 されることが 可 能 な 感 情 的 かつ 心

理 的 な 環 境 を 作 り 出 すために、 抽 象 化 された 空 間 における 淡 い 姿 とこの 探 求 の 潜

在 性 をめぐる 継 続 中 の 調 査 から 生 まれました。ケイト・ベーカーは 本 作 品 で、 愛 し 愛

されることの 意 味 と 愛 と 充 足 が 実 際 に 存 在 する 場 所 をめぐる 質 問 について 思 いを

巡 らせています。

Kate Baker、Lena on the Tramp、2018 年 、 印 刷 、 鏡 。 撮 影 :Kate Baker

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ケイト・ニクソン KATE NIXON

FOR COLLECTION

ケイト・ニクソンの 作 品 は、 私 たちが 集 める 物 と 後 で 捨 てる 物 を 通 じて 表 現 される 個

人 的 なアイデンティティを 探 求 するものです。ガラスの 変 容 する 性 質 を 利 用 すること

で、 安 っぽいガラクタや 派 手 な 壁 紙 、ゴミ 箱 を 価 値 ある 装 飾 品 に 変 容 させます。

『For collection』は、ゴミ 箱 やリサイクリング 用 の 容 器 を 使 った、ガラスモザイク・シリ

ーズの 一 部 です。ケイト・ニクソンの 作 品 は 常 に 捨 てられた 物 を 扱 い、こうした 物 体

の 価 値 の 変 容 に 焦 点 を 当 てています。ニクソンはこれらの 物 体 の 重 荷 から 自 己 を 解

放 する 行 為 を 称 え、 粗 末 なゴミ 箱 をこうした 人 工 物 を 支 える 物 として 評 価 します。

Kate Nixon、For collection、2018 年 、 鏡 、モザイクガラス。 撮 影 :Adam McGrath

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クリス ティ・リーKIRSTIE REA

CLARITY IN THE UNRESOLVED

『Clarity in the Unresolved』は、 場 所 と 所 有 物 を 理 解 するための 進 行 中 の 深 い 関 心 を

反 映 しています。このテーマは 過 去 30 年 間 に 制 作 されてきた 作 品 に 如 実 にあらわれ

ています。それぞれのガラスパネル 上 の 写 真 はひとつの 画 像 、ひとつのショットであ

り、デジタル 操 作 を 施 されたものではありません。 反 射 であり、ひとつの 画 像 としてド

アのガラスを 通 じた 画 像 です。ガラスのパネルが 一 部 が 開 かれたドアを 反 射 する 角

度 でカットし 配 置 され、まず 撮 影 された 反 射 をとらえます。 開 かれたドアは、 私 たち

の 会 話 の 可 能 性 と 現 状 を 示 唆 し、 植 民 地 化 以 来 の 過 去 の 歴 史 を 認 識 し、 私 たち 全

員 が 参 加 する 必 要 があることを 思 い 起 こさせます。

所 属 ギャラリー:Sabbia Gallery, Sydney and Suki & Hugh Gallery, Bungendore.

Kirstie Rea、Clarity in the Unresolved、2018 年 、デジタル 印 刷 されたガラス、スチール。

撮 影 :David Paterson

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リサ・ケーヒル LISA CAHILL

Beside the Escarpment III

自 然 界 と 都 市 生 活 の 変 動 の 両 方 にインスピレーションを 受 け、リサ・ケーヒルの 夢 の

ようなイメージは 見 る 者 に 自 分 が 覚 えている 風 景 を 連 想 させ、 瞑 想 的 で 感 情 的 な

反 応 を 引 き 起 こします。 母 親 の 祖 国 であるデンマークを 中 心 に 世 界 各 国 で 暮 らした

り、 旅 行 した 経 験 から、ケーヒルのキルンキャスト・ガラスは、 都 市 の 建 築 構 造 、それ

らが 呼 び 起 こす 連 想 と 記 憶 に 加 え、 自 然 の 風 景 に 対 する 生 来 の 尊 敬 の 念 を 結 合 し

ます。 直 接 的 な 再 現 というよりも、 光 と 風 景 に 対 する 自 身 の 解 釈 であり、 静 かな 熟 考

の 場 になっています。アーティストの 技 術 は 絵 画 と 彫 刻 の 両 方 との 類 似 性 をもってい

ます。

所 属 ギャラリー:Sabbia Gallery, Sydney.

Lisa Cahill、Beside the Escarpment III、2018 年 、キルンキャスト/エナメル・ガラス、 撮 影 :Greg Piper

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ルーシー・パーマー LUCY PALMER

INVERSE NOTION

『Inverse Notion』は、 海 と 空 の 間 の 本 質 的 な 遭 遇 の 探 求 であり、 静 けさと 簡 潔 さを 通

じて、 熟 考 の 静 かな 状 態 を 作 り 出 しています。

ルーシー・パーマーはプリズムの 形 状 を 使 って 光 による 色 彩 を 形 成 しています。 細 い

地 平 線 が 光 をとらえて 変 容 させ、 球 面 の 曲 線 が 光 とその 周 囲 を 封 じ 込 めることを 目

指 しています。これらの 形 状 が 地 平 線 に 対 する 水 と 空 の 静 かな 広 がりをめぐる 熟 考

を 表 現 し ま す 。

一 瞥 すると、 心 地 よい 静 けさと 透 明 な 明 瞭 性 を 示 していますが、 体 を 動 かしてみると

すべてが 不 確 かになります。 球 形 のレンズが 錯 覚 効 果 を 生 み 出 し、 見 る 者 に 自 身 の

知 覚 を 疑 わせます。

Lucy Palmer、Inverse Notion、2018 年 、ホットキャスト、コールドワーク。 撮 影 :Sam Cooper

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マデリン・カードン MADELINE CARDONE

SOMETHING ABOUT THE RAIN

『Something About The Rain』は 観 察 の 抽 象 的 な 作 品 で、ガラス 上 の 雨 の 動 きを 追 って

います。マデリン・カードンの 作 品 は、キルンキャスト・ガラスの 潜 在 性 を 探 求 し、それ

に 挑 戦 することで 内 部 と 外 部 の 関 係 を 熟 考 します。 作 品 のイメージはパネル 間 のダ

イアログを 形 成 する 連 続 するラインの 物 語 です。アーティストはシンプルな 線 と 形 状

が 見 る 者 から 感 情 的 な 反 応 を 引 き 出 すうえでどのような 力 をもっているかに 関 心 を

もっています。 形 状 と 材 料 の 間 の 微 妙 な 張 力 と 抵 抗 は、 表 面 下 のあいまいなものの

存 在 を 示 唆 し、 物 体 と 光 の 相 互 作 用 を 引 き 起 こし、 見 る 者 は 触 れてみたい 誘 惑 にか

られます。

Madeline Cardone、Something About The Rain、2018 年 、キルンキャスト。 撮 影 :Annette Liu

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メル・ダグラス MEL DOUGLAS

LIMINAL

線 は 常 にメル・ダグラスの 作 品 における 不 可 欠 な 要 素 であり、 描 画 特 有 の 基 本 的 な

構 成 要 素 です。 物 体 と 描 画 は 多 くの 場 合 、2つの 別 個 の 存 在 と 考 えられます。 作 品 で

は、 形 状 が 単 なる 描 画 の「 土 台 」ではなく、 三 次 元 の 描 画 そのものである、ハイブリッ

ドスペースの 創 造 的 な 可 能 性 を 探 求 し、 混 ぜ 合 わせています。

材 料 独 特 の 性 質 を 使 い、 線 を 三 次 元 の 空 間 を 通 知 ・ 定 義 し、 実 現 するための 手 段 と

して 使 っています。 見 る 者 の 注 意 を 作 品 のバランスと 線 形 の 関 係 に 集 中 させること

を 意 図 しています。 反 復 的 で 時 間 のかかる 刻 印 の 手 法 は 瞑 想 的 なプロセスであるだ

けでなく、 制 作 において 一 つの 瞬 間 とある 場 所 を 示 しています。

所 属 ギャラリー:Beaver Galleries, Canberra, Bilk Gallery, Canberra and Sabbia Gallery, Sydney.

Mel Douglas、liminal、2018 年 、キ ル ン キ ャ スト 、コ ー ル ド ワ ー ク / カット・ガ ラ ス 。

撮 影 :David Paterson

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不 NOT

THE CHINA SYNDROME

この 作 品 は、ペンシルベニア 州 スリーマイル 島 の 原 子 力 発 電 所 事 故 が 起 こる12

日 前 に 公 開 され、 不 気 味 な 予 見 となった1979 年 の ジ ェ ー ム ズ・ブリッ ジ ス の 映 画 「

チャイナ・シンドローム」のタイトルを 使 っています。 映 画 と 同 様 、NOTの『 The China

syndrome』は 火 遊 びの 現 象 論 を 表 現 し、この 彫 刻 の 場 合 、4キ ロ の ホットキャスト・ウ

ランガラスを 人 の 頭 蓋 骨 の 形 にした 後 に、コールドワークで 加 工 しました。

NOTは 現 在 、ホットキャストおよびコールドワークのガラスを 使 った 作 品 を 制 作 して

おり、 共 有 された 物 語 と 歴 史 の 新 たな 理 解 を 育 むことを 追 求 する 現 代 のプロジェク

トの 一 部 として、 記 憶 と 修 復 というテーマを 広 げています。

所 属 ギャラリー:Kronenberg Wirght Artists Projects, Sydney.

不 NOT、The China Syndrome、2018 年 、キルンキャスト/ホットキャスト、 御 影 石 。

撮 影 :Dan Lorrimer

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リチャード・ホワイトリー RICHARD WHITELEY

SOLID FLOW

リチャード・ホワイトリーは、 隙 間 を 主 な 組 成 要 素 として 活 用 し、この 会 話 の 構 造 を

ガラス 独 特 の 材 料 特 性 によって 形 作 り、 形 と 光 をオーバーレイさせています。 空 間 と

固 体 を 組 み 合 わせると、 多 くの 場 合 、シンプルな 形 の 構 造 化 とレイヤリングが 複 雑 に

なります。

ガラスは 流 体 と 固 体 の 特 性 をもつと 定 義 されることが 可 能 で、 折 り 重 なって、 自 身 に

流 れ 込 む 工 業 的 な 構 造 を 視 覚 化 することを 意 図 した 作 品 を 作 り 出 すことで、この 二

重 性 を 表 現 し、 容 器 と 液 体 の 両 方 の 形 状 の 二 重 性 を 模 倣 しています。

所 属 ギャラリー:Sabbia Gallery, Sydney.

Richard Whiteley、Solid Flow、2018 年 、キルンキャスト。 撮 影 :Adam McGrath

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ロ ーズ =マリー・フォークナーROSE-MARY FAULKNER

BARE 2-4

ローズ=マリー・フォークナーの 作 品 は、 独 自 の 主 観 的 な 視 線 で 人 体 を 観 察 してい

ます。フォークナーは 抽 象 化 され 層 状 に 重 ねられた 写 真 を 通 じて 女 性 の 姿 を 描 いて

記 録 し、 形 状 と 表 面 を 分 析 しています。 写 真 をガラスに 写 し 取 り、 複 数 の 画 像 を 層 に

して 表 面 を 操 作 することで、 元 々の 写 真 の 奥 行 きを 発 展 させ、フュージングとコール

ドワークで 成 形 しています。

『Bare 2-4』は 色 彩 、 線 および 形 状 を 強 調 するために 抽 象 化 された、 柔 らかな 姿 を 断

面 に 描 いた8つのディプティックの 一 部 です。

Rose-Mary Faulkner、Bare 2-4、2018 年 、キルンキャスト、デカール。 撮 影 :David Paterson & Wendy

Dawes

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スコット・チェイスリング SCOTT CHASELING

DRAGGING ANCHOR (A SELF PORTRAIT)

『Dragging Anchor』は、 文 字 どおりの 象 徴 化 と 個 人 的 な 象 徴 化 の 両 方 を 織 り 込 んで

います。 旗 とガラスのバケツ、 鏡 という3つの 主 な 構 成 要 素 を 組 み 合 わせることで、 内

省 の 物 語 を 作 り 出 しています。 制 作 者 として、チェイスリングは 常 に 自 身 の 立 場 に 疑

問 を 呈 し、 彼 と 彼 の 彫 刻 に 新 たな 可 能 性 をもたせようとしています。こうした 自 省 は

重 荷 であるとともにインスピレーションでもあり、より 濃 縮 された 作 品 を 実 現 させて

います。

作 品 の 主 な 材 料 としてガラスを 使 い、アートとクラフトの 境 界 をあいまいにし、 技 術

的 なスキルと 概 念 的 基 礎 を 結 合 させて、 示 唆 に 富 む 新 しい 作 品 を 作 り 出 していま

す。

Scott Chaseling、Dragging Anchor (A Self Portrait)、2018 年 、 吹 きガラス、 鏡 、 国 際 信 号 旗 。

撮 影 : 本 人

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竹 村 雄 介 YUSUKE TAKEMURA

CLOSER TO SILENCE

離 れ た と こ ろ か ら 見 る と 、『 Closer to silence』は 抽 象 化 された 人 体 を 思 い 起 こさせます。

近 づいてよく 見 ると、 表 面 は 切 削 や 研 削 、 研 磨 によって 複 雑 になっており、 有 機 的 な

形 状 の 穴 の 開 いた 洗 練 された 外 郭 構 造 が 作 り 出 されています。

鈴 木 大 拙 の 禅 の 哲 学 と 思 索 の 場 である 金 沢 の 鈴 木 大 拙 館 にインスピレーションを

受 け、 精 神 と 身 体 との 間 の 無 限 の 関 係 を 研 究 するための 手 段 として、ガラスを 使 って

います。 隙 間 をガラスで 接 合 し、 神 経 経 路 のネットワークを 通 じて、 意 識 的 ・ 無 意 識 的

な 精 神 の 基 盤 を 模 倣 しています。

竹 村 雄 介 は、ポジティブ/ネガティブスペースのバランスをとるために 一 貫 してコー

ルドワーク 技 術 を 探 求 し、ガラスの 限 界 を 押 し 広 げつつ、 構 造 的 な 一 体 性 を 維 持 し

ています。 彫 刻 的 な 器 からマルチメディア 作 品 への 動 きは 重 要 な 新 たなステップを

意 味 しています。

Yusuke Takemura、Closer to silence、2018 年 、 手 吹 き / コ ー ル ド ワ ー ク、 木 材 、ス チ ー ル 、 水 。

撮 影 :Adam McGrath

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canberraglassworks.com

11 Wentworth Ave, Kingston ACT 2604

電 話 :02 6260 7005

メール:contactus@canberraglassworks.com

ヒンドマーシュ 賞 展 示 会

2018 年 9 月 22 日 ~9 月 30 日

毎 日 午 前 10 時 から 午 後 4 時

キャンベラ・グラスワークス 隣 接 のフィッターズ・ワークショップ

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