気晴らしに対する認知と抑うつとの関連について(PDF)

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一方で、「否定的効果」という大ラベルからは、有効性認知とは異なる多くの認知があるということが示唆された。「問題解決が遅れるもの」「切り替えそびれるもの」など、有効性認知の反転項目のような記述もあるが、「辛いもの」「不安になるもの」「危ないもの」「罪悪感を感じるもの」「現実逃避」など、多彩な否定的感情を伴った認知、すなわち有効性認知とは異なる認知の存在が示唆された。また、「必要以上にしてしまう」「自分をコントロールできなくなる」など、依存状態に関する記述も多くみられた。このことから、先行研究(及川,2004など)と同様に、本研究で対象とした大学生においても気晴らしへの依存という状態があるということが示唆された。加えて、「集中状態」という大ラベルからは、気晴らし実行中の注意状態について「次にやらなくてはいけないことに追われている」「不安なことが忘れられない」などの記述が得られた。先述のように、気晴らし時の注意状態に関しての先行研究では、気晴らし課題の遂行時に自分の内面や失敗経験に注意が向くことがあり、気晴らし実行中に注意が拡散すること、また、逆に没頭しすぎることは、共に気晴らしの効果を低減させることが分かっている(坂本,1993、及川,2002、Carver&Scheier,1981、 Hull&Young,1983)本研究においても、先行研究と同様、注意集中や切り替えを調節するための注意制御機能についての記述が得られた。本研究では、気晴らしに対する認知を探索的に見つけ出すことを目的としているため、対象者の認知以外の要因は取りあげていないが、それ以外の記述も得られたため、ここで考察を加えておきたい。「他者を介した気晴らし」という大ラベルからは、大学生を取り巻く環境の一部としての他者の存在が示唆されている。「もっとしたら良いのにと言われた」「大事だと言われた」「気晴らしをさせてくれる」などの記述から分かるように、気晴らしを積極的に促進する他者がいる一方で、「弱い、怠けていると言われた」「現実逃避だと言われた」「他者(友達・教師・後輩・先輩)は気晴らしを戒める」「気晴らしをさせてくれない」など、気晴らしを否定的に捉え、気晴らし行動を抑制しようとする他者の存在も示唆された。気晴らしを抑制しようとする他者の言動は、本人の気晴らし行動へ影響を及ぼしている可能性も否定できないだろう。 (2)予備調査2 ①尺度構成と基本統計量各因子の基本統計量を検討したところ、極端な偏り等の問題は見られなかった。気晴らしへのためらい、依存状態、有効性認知については、各項目の評定値の合計得点を尺度得点とした。尺度の基本統計量とα係数の値については既に示した通りである。共通性(0.16)、負荷量(.30以上)を基準とし、 α係数は、.814から.899と概ね高い値が得られ、内的整合性の高い尺度が得られたと言える。 ②尺度得点相関の検討尺度得点相関の結果は表5で示した。まず、気晴らしへのためらいと依存状態の間に比較的強い正の相関が見られた(r=.562 , p
また、気晴らしへのためらいと有効性認知の間に負の相関が見られた(r=-.380 , p
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