TechnicalNote201305
TechnicalNote201305
TechnicalNote201305
You also want an ePaper? Increase the reach of your titles
YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.
2013-05<br />
主 な 使 用 事 例<br />
回 路 使 用 上 の 注 意<br />
1.ラッシュ 電 流 抑 制 方 法 の 説 明<br />
2.ラッシュ 電 流 の 抑 制 方 法 の 例<br />
3. 急 速 放 電 の 電 流 抑 制<br />
4.OS-CONとアルミ 電 解 コンデンサ 並 列 接 続 時 の 注 意<br />
応 用<br />
1.OS-CONのリプル 電 圧 低 減 能 力<br />
2.OS-CONの 高 速 バックアップ 能 力 ( 負 荷 変 動 用 バックアップコンデンサ)<br />
3.スイッチング 電 源 の 出 力 リプルが 実 際 の 画 像 に 与 える 影 響<br />
4.OS-CONの 等 価 回 路 モデル<br />
5.ローパス・フィルタ 回 路 での 応 用<br />
6.スイッチング 電 源 の 平 滑 コンデンサへの 応 用<br />
コンデンサ 選 定 ヒアリングシート<br />
2<br />
3<br />
4<br />
5<br />
6<br />
7-15<br />
16-18<br />
19<br />
20-22<br />
23-24<br />
25-29<br />
30<br />
ご 使 用 にあたって<br />
■ 本 ノート 記 載 の 内 容 は 定 められた 条 件 下 において、 記 載 製 品 単 体 の 性 能 ・ 特 性 ・ 機 能 などを 規 定 するものであり、お 客 様 の 製 品 ( 機 器 )での 性 能 ・ 特 性 ・<br />
機 能 などを 保 証 するものではありません。 記 載 製 品 単 体 の 評 価 では 予 測 できない 不 具 合 ・ 事 態 を 確 認 するためにも、 納 入 仕 様 書 を 御 請 求 、 確 認 の 上 、お 客<br />
様 の 製 品 で 必 要 とされる 評 価 ・ 試 験 を 必 ず 行 ってください。<br />
■ 本 掲 載 内 容 は、 予 告 なく 変 更 することがあります。<br />
■ 弊 社 の 承 諾 なしに、 本 ノートの 一 部 または 全 部 を、 転 載 または 複 製 することを 禁 止 します。
主 な 使 用 事 例<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
OS-CONの 主 な 使 用 事 例<br />
電 源 回 路 における 平 滑 用 コンデンサ<br />
Vin<br />
Vout<br />
回 路 設 計 におけるラインインピーダンスの 低 減 のた<br />
め、OS-CONを 含 め 各 種 コンデンサは、バック<br />
アップ 用 途 やバイパスコンデンサとして 幅 広 く 利 用<br />
されています。<br />
特 に 超 低 ESRのOS-CONは、 電 解 コンデンサを<br />
より 小 さな 実 装 面 積 で 置 き 換 えることができ、 電 源<br />
回 路 で 主 流 となっているスイッチング 電 源 において<br />
フィルタ 回 路 におけるコンデンサ<br />
リプルノイズを 除 去 する 平 滑 回 路 用 に、また 小 型 ・<br />
デジタル 化 によって 発 生 しやすいノイズを 除 去 する<br />
フィルタ 回 路 用 に、 大 きく 貢 献 しています。<br />
OS-CONは 温 度 特 性 変 化 も 小 さく、 幅 広 い 環 境 の<br />
中 で 安 定 した 機 器 動 作 を 実 現 しています。<br />
バックアップ 用 コンデンサ<br />
バイパスコンデンサ<br />
IC<br />
これらのことからOS-CONはノイズトラブルが<br />
少 なく、 設 計 期 間 短 縮 や 小 型 化 設 計 を 図 ることが<br />
できます。<br />
2
回 路 使 用 上 の 注 意<br />
1. ラッシュ 電 流 抑 制 方 法 の 説 明<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
図 1の 回 路 でOS-CONを 使 用 した 時 、ESRが 極 めて 小 さいため 過 大 なラッシュ 電 流 が 流 れる 可 能 性 があります。ラッシュ 電 流 は10A 以 下 に 抑 制 してください。<br />
OS-CONの 許 容 リプル 電 流 値 の10 倍 が、10Aを 超 える 場 合 は、 許 容 リプル 電 流 の10 倍 以 下 になるようにしてください。<br />
1-1. DC-DCコンバータ 入 力 回 路 の 場 合<br />
(a) 通 常 、DC-DCコンバータ 回 路 は 基 板 ブロックの 形 態 であり 高 性 能<br />
小 型 化 のため 入 力 部 に 低 ESRのコンデンサが 用 いられます。<br />
(b) DC-DCコンバータの 調 整 ・ 検 査 時 に 設 備 から 流 れ 込 むラッシュ<br />
電 流 に 対 する 配 慮 が 必 要 となります。<br />
1-2. 充 電 電 池 で 駆 動 される 回 路 の 場 合<br />
(a) 電 池 ・ 充 電 電 池 を 装 備 した 回 路 の 電 源 ラインに、 高 性 能 化 ・<br />
小 型 化 のためOS-CONのような 極 めて 低 ESRのコンデンサが<br />
用 いられます。<br />
*DC-DCコンバータの 回 路 ブロックの 電 圧 調 整 ・ 検 査 時 に 調 整 ・ 検 査 設 備 から 供 給 される 電 源 の<br />
インピーダンスが 極 めて 低 い 時 、 電 流 リミッタ 等 の 電 流 抑 制 機 能 が 装 備 されている 場 合 でも、<br />
OS-CONに 極 端 に 大 きなラッシュ 電 流 が 流 れる 可 能 性 があります。( 図 1 参 照 )<br />
*DC-DCコンバータの 調 整 ・ 検 査 設 備 においてラッシュ 電 流 抑 制 の 対 応 が 必 要 となります。<br />
(P13 参 照 )<br />
*ニッケル・カドニウム 充 電 電 池 等 の 内 部 抵 抗 の 極 めて 小 さな 電 池 で 駆 動 される 回 路 において、<br />
電 源 ラインに 配 備 される 低 ESRコンデンサには 電 源 ON 時 に 極 端 に 大 きなラッシュ 電 流 が 流 れる<br />
可 能 性 があります。( 図 1 参 照 )<br />
インダクタンス・コイル<br />
逆 起 電 力 吸 収 用 ダイオード<br />
電 流 方 向<br />
* 充 電 電 池 のラッシュ 電 流 の 抑 制 方 法 として、 左 図 のような 保 護 回 路 が 用 いられます。<br />
* 主 な 注 意 点<br />
逆 起 電 力 吸 収 時 のダイオードのピーク 電 流 値 。<br />
1-3. 保 護 抵 抗 が 無 い 場 合 のラッシュ 電 流<br />
図 1においてZ( 保 護 抵 抗 )が 無 い 場 合 で 電 源 がRe≒0Ωの 時 、OS-CONのラッシュ 電 流 は 概 略 次 の 通 りです。<br />
ラッシュ 電 流 (A) = DC 供 給 電 圧 (E)<br />
ESR+Re+Z(Ω)<br />
( 例 )25SEP6R8Mの 場 合<br />
ESR=80mΩ 以 下 /DC 供 給 電 圧 =20Vの 時<br />
20V<br />
=250A 以 上 となる。<br />
0.08Ω 以 下<br />
図 1<br />
Z( 保 護 抵 抗 )<br />
コンデンサ<br />
電 源 内 部<br />
ESR<br />
抵 抗 Re<br />
容 量<br />
電 源 電 圧 E<br />
負 荷 抵 抗<br />
3
回 路 使 用 上 の 注 意<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
2. ラッシュ 電 流 の 抑 制 方 法 の 例<br />
2-1. 抵 抗 方 式<br />
R 電 流 抑 制 用 抵 抗<br />
2-2. 抵 抗 +リレー 方 式<br />
リレー 接 点<br />
コンデンサ<br />
R<br />
コンデンサ<br />
電 源 内 部<br />
抵 抗 Re<br />
電 源 電 圧 E<br />
ESR<br />
容 量<br />
電 源 内 部<br />
抵 抗 Re<br />
電 源 電 圧 E<br />
リレーの<br />
コイル<br />
ESR<br />
容 量<br />
(a) ラッシュ 電 流 は 概 略 下 記 のようになります。<br />
ラッシュ 電 流 (A)=<br />
2-3. 抵 抗 +MOS-FET 方 式<br />
R<br />
E(V)<br />
Re+ESR+R(Ω)<br />
(b) 通 常 、ReとESRは 小 さいのでラッシュ 電 流 は 主 にRで 決 まります。<br />
(c) この 方 式 の 場 合 、 簡 潔 ・ 明 確 に 電 流 抑 制 を 行 えますが 抑 制 用 抵 抗 Rによる<br />
電 圧 降 下 があります。<br />
(a) ラッシュ 電 流 は 抵 抗 方 式 と 全 く 同 じですが、リレーの 接 点 がONになって<br />
からは 抑 制 用 抵 抗 による 電 圧 降 下 はほとんどなくなります。<br />
(b) 注 意 点 はコンデンサが 充 電 し 終 わってから、リレー 接 点 をONさせるように<br />
時 間 、または 電 圧 設 定 が 必 要 な 点 です。<br />
2-4. パワーサーミスタ<br />
パワーサーミスタ<br />
電 源 内 部<br />
抵 抗 Re<br />
電 源 電 圧 E<br />
MOS-FET<br />
コンデンサ<br />
ESR<br />
容 量<br />
電 源 内 部<br />
抵 抗 Re<br />
電 源 電 圧 E<br />
コンデンサ<br />
ESR<br />
容 量<br />
(a) 市 販 のパワーサーミスタの 一 例<br />
では25℃において8Ωですが<br />
130℃では0.62Ωとなります。<br />
(a) 抵 抗 方 式 と 同 様 に 抑 制 抵 抗 Rを 用 いてラッシュ 電 流 を 抑 制 しますが、<br />
MOS-FETがONになってからは、 抑 制 抵 抗 Rによる 電 圧 降 下 はほとんど<br />
なくなります。<br />
(b) 注 意 点 は 抵 抗 +リレー 方 式 と 同 じく、コンデンサが 充 電 し 終 わってから、<br />
MOS-FETをONさせるように 時 間 、または 電 圧 設 定 が 必 要 な 点 です。<br />
(a) パワーサーミスタを 上 図 のように 接 続 するとSWを 投 入 した 時 点 では 大 きな<br />
抵 抗 値 によってラッシュ 電 流 が 抑 制 されます。<br />
その 後 、 出 力 損 失 ( 電 圧 降 下 )を 軽 減 していきます。<br />
(b) パワーサーミスタには 熱 定 数 がありSWを 切 った 瞬 間 に 初 期 状 態 の 大 きな<br />
抵 抗 値 には 戻 りません。<br />
4
回 路 使 用 上 の 注 意<br />
3. 急 速 放 電 の 電 流 抑 制<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
OS-CONはESRが 極 めて 小 さいので、 放 電 時 に 負 荷 のインピーダンスが 極 端 に 小 さいと 瞬 間 的 に 大 きな 放 電 電 流 が 流 れる 可 能 性 があります。<br />
OS-CONに 充 電 された 電 荷 を 短 絡 放 電 すると 極 端 に 大 きな 放 電 電 流 が 流 れる 可 能 性 があります。<br />
保 護 抵 抗<br />
Z1<br />
コンデンサ<br />
ESR<br />
容 量<br />
負 荷<br />
回 路<br />
Z2<br />
* 放 電 の 等 価 回 路 は 左 図 のようになります。<br />
* 放 電 電 流 の 概 算 式 は 次 のようになります。<br />
充 電 電 圧 (V)<br />
放 電 電 流 (A)=<br />
ESR+Z1+Z2(Ω)<br />
( 例 )25SEP6R8Mの 場 合<br />
・ESR=80mΩ 以 下<br />
・ 充 電 電 圧 =20V の 設 定 時<br />
・Z1、Z2=0Ω<br />
放 電 電 流 (A)=<br />
充 電 電 圧 20V<br />
ESR 0.08Ω 以 下<br />
=250A 以 上<br />
OS-CONを 急 速 放 電 動 作 で 使 用 する 場 合 は 上 記 の 概 算 式 を 目 安 にして、 放 電 ピーク 電 流 は10A 以 下 で 回 路 を 構 成 してください。ただし、OS-CONの 許 容 リプル 電 流 値 の10 倍 が<br />
10Aを 超 える 場 合 、 許 容 リプル 電 流 の10 倍 以 下 としてください。<br />
5
回 路 使 用 上 の 注 意<br />
4. OS-CONとアルミ 電 解 コンデンサ 並 列 接 続 時 の 注 意<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
リプル 吸 収 用 コンデンサのスペースファクター 及 びコストパフォーマンス 改 善 策 として、アルミ 電 解 コンデンサとOS-CONを 並 列 接 続 で 使 用 する 場 合 、 下 記 内 容 を 参 考 に<br />
してください。<br />
図 1<br />
lr<br />
(a) 並 列 接 続 された 各 コンデンサに 流 れるリプル 電 流 は 図 1の 基 本<br />
等 価 回 路 の 値 を 入 れて 求 めます。<br />
C1<br />
lr1<br />
lr2<br />
C2<br />
(b)100kHz~ 数 MHzの 周 波 数 を 対 象 として 考 えた 時 、 図 1の 等 価<br />
ESR1<br />
回 路 はおおむね 図 2のように 簡 素 化 できます。<br />
( 但 し、コンデンサの 容 量 値 を10μF 以 上 と 想 定 した 場 合 ) Zc1<br />
ESR2<br />
Zc2<br />
Ir : 総 リプル 電 流<br />
ESR:コンデンサの 等 価 直 列 抵 抗<br />
Zc :コンデンサの 容 量 成 分 の<br />
インピーダンス<br />
図 1の 各 Zcは100kHz 以 上 の 周 波 数 領 域 において10μF 以 上 であればインピーダンスが 極 めて 小 さくなるので 省 略 でき 実 際 に 流 れるリプル 電 流 値 は 図 2のようになります。<br />
図 2<br />
lr=1000mArms<br />
OS-CON100μF<br />
lr1<br />
lr2<br />
AI-E1000μF<br />
(c)このようにOS-CONは 容 量 値 が1/10にもかかわらず 総 リプル 電 流 の73%が<br />
ESR1<br />
30mΩ<br />
ESR2<br />
80mΩ<br />
流 れることになります。<br />
(d)OS-CONとアルミ 電 解 コンデンサの 並 列 接 続 での 使 用 は、OS-CONに<br />
多 くのリプル 電 流 が 流 れますので 定 格 リプル 電 流 に 十 分 余 裕 をもった<br />
OS-CONを 選 定 してください。<br />
リプル 電 流 値 算 出 式<br />
ESR2<br />
Ir1 = Ir×<br />
ESR1+ESR2<br />
= 80mΩ<br />
1000mA×<br />
30mΩ+80mΩ ≒ 727mArms<br />
6
応 用<br />
1. OS-CONのリプル 電 圧 低 減 能 力<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
スイッチング 電 源 は 小 型 化 指 向 ですが、コンデンサは 基 板 内 で 大 きな 面 積 を 占 める 部 品 のひとつです。<br />
しかも、コンデンサは 一 般 的 に 使 用 温 度 によって 特 性 が 大 きく 変 化 するため、 使 用 温 度 範 囲 を 考 慮 した 選 定 が 必 要 です。<br />
そこで、 広 範 囲 な 使 用 温 度 範 囲 でのOS-CONの 高 い 周 波 数 でのリプル 電 圧 低 減 能 力 を 以 下 の 実 験 で 説 明 します。<br />
1-1. 同 等 リプル 電 圧 におけるコンデンサ 員 数 の 違 い<br />
(a) 実 験 内 容<br />
一 般 的 なチョッパ 方 式 スイッチング 電 源 を 用 いて、 周 囲 温 度 が25℃、-20℃、<br />
70℃の 場 合 において、 出 力 側 平 滑 回 路 のコンデンサに、OS-CON・ 低 インピー<br />
ダンスアルミ 電 解 コンデンサ・ 低 ESRタンタルコンデンサを 接 続 し、 出 力 リプル<br />
電 圧 を 比 較 します。<br />
VIN=<br />
5V<br />
SW IC<br />
200kHz<br />
L<br />
VOUT=3.3V, IOUT=3A<br />
+<br />
RL<br />
C<br />
測 定 試 料<br />
オシロスコープ<br />
(1) 上 図 出 力 側 平 滑 コンデンサ(C)にOS-CON・100μF/6.3V(6SVP100M・φ6.3mm×6mm)を 使 用 して、 各 周 囲 温 度 でのリプル 電 圧 を 測 定 。( 表 3 参 照 )<br />
(2)OS-CON・100μF/6.3Vを 使 用 した 時 と 同 等 のリプル 電 圧 となるように、 各 周 囲 温 度 にて、 低 インピーダンスアルミ 電 解 コンデンサ・ 低 ESRタンタルコンデンサを<br />
選 択 し 測 定 。( 表 3 参 照 )<br />
(3)25℃ 時 の 条 件 で 同 等 数 の 出 力 側 平 滑 コンデンサで、-20℃、70℃におけるリプル 電 圧 を 測 定 し、その 変 化 量 から 平 滑 コンデンサのESR 変 化 率 を 算 出 。( 表 2 参 照 )<br />
(b) 実 験 結 果<br />
表 1 各 温 度 におけるコンデンサ 実 装 面 積 比<br />
(リプル 電 圧 を 同 一 レベルとした 時 )<br />
表 2 25℃を 基 準 としたESR 変 化 率 (※)<br />
周 囲 温 度<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
タンタルコンデンサ<br />
周 囲 温 度<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
タンタルコンデンサ<br />
25℃<br />
1<br />
7.15<br />
1.46<br />
25℃<br />
1<br />
1<br />
1<br />
-20℃<br />
1<br />
16.7<br />
1.46<br />
-20℃<br />
1.14<br />
3.03<br />
1.27<br />
70℃<br />
1<br />
4.77<br />
1.46<br />
70℃<br />
0.952<br />
0.587<br />
0.85<br />
※ESR 変 化 率 =<br />
周 囲 温 度 時 のリプル 電 圧 × 周 囲 温 度 時 の 発 振 周 波 数<br />
25℃ 時 のリプル 電 圧 ×25℃ 時 の 発 振 周 波 数 この 結 果 からも、OS-CONがいかに 温 度 特 性 に 優 れているかがわかります。<br />
7
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
表 3 25℃での 各 コンデンサ 測 定 比 較<br />
周 囲 温 度<br />
25℃<br />
コンデンサの 種 類<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
タンタルコンデンサ<br />
容 量 / 電 圧<br />
100μF/6.3V<br />
680μF/6.3V<br />
100μF/10V<br />
サイズ(※1)(mm)<br />
6.6×6.6<br />
10.5×10.5<br />
7.5×4.5<br />
員 数<br />
実 装 面 積 比<br />
1<br />
7.15<br />
1.46<br />
発 振 周 波 数<br />
200kHz<br />
リプル 電 圧<br />
22.8mV<br />
23.8mV<br />
24.8mV<br />
Fig1 Fig2 Fig3<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
22.8mV<br />
23.8mV<br />
24.8mV<br />
Fig<br />
200kHz<br />
200kHz<br />
200kHz<br />
※1 Ta 以 外 は 素 子 径 ではなく 座 板 寸 法 が 最 大 寸 法 。<br />
8
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
表 4 -20℃での 各 コンデンサ 測 定 比 較<br />
周 囲 温 度<br />
-20℃<br />
コンデンサの 種 類<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
タンタルコンデンサ<br />
容 量 / 電 圧<br />
100μF/6.3V<br />
680μF/6.3V<br />
100μF/10V<br />
サイズ(※1)(mm)<br />
6.6×6.6<br />
10.5×10.5<br />
7.5×4.5<br />
員 数<br />
実 装 面 積 比<br />
1<br />
16.7<br />
1.46<br />
発 振 周 波 数<br />
250kHz<br />
リプル 電 圧<br />
20.8mV<br />
24.4mV<br />
25.2mV<br />
Fig4 Fig5 Fig6<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1 = 20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
20.8mV<br />
24.4mV<br />
25.2mV<br />
Fig<br />
250kHz<br />
250kHz<br />
250kHz<br />
※1 Ta 以 外 は 素 子 径 ではなく 座 板 寸 法 が 最 大 寸 法 。<br />
9
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
表 5 70℃での 各 コンデンサ 測 定 比 較<br />
周 囲 温 度<br />
70℃<br />
コンデンサの 種 類<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
タンタルコンデンサ<br />
容 量 / 電 圧<br />
100μF/6.3V<br />
680μF/6.3V<br />
100μF/10V<br />
サイズ(※1)(mm)<br />
6.6×6.6<br />
10.5×10.5<br />
7.5×4.5<br />
員 数<br />
実 装 面 積 比<br />
1<br />
4.77<br />
1.46<br />
発 振 周 波 数<br />
170kHz<br />
リプル 電 圧<br />
25.6mV<br />
24.0mV<br />
24.8mV<br />
Fig7 Fig8 Fig9<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=20mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
25.6mV<br />
24.0mV<br />
24.8mV<br />
Fig<br />
170kHz<br />
170kHz<br />
170kHz<br />
※1 Ta 以 外 は 素 子 径 ではなく 座 板 寸 法 が 最 大 寸 法 。<br />
10
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
1-2. 耐 久 性 試 験 前 後 のリプル 電 圧 の 違 い<br />
(a) 実 験 内 容<br />
チョッパ 方 式 のスイッチング 電 源 を 用 いて、 出 力 側 平 滑 回 路 のコンデンサに、OS-CON・ 低 インピーダンスアルミ 電 解 コンデンサを 接 続 し、それぞれ 耐 久 性 試 験 (125℃×<br />
定 格 電 圧 印 加 ×1,000h) 投 入 前 後 の 出 力 リプル 電 圧 を 比 較 。<br />
リプル 電 圧 測 定 は25℃、0℃、-20℃の 周 囲 温 度 の 中 で 実 施 。<br />
L<br />
VOUT=3.3V, IOUT=1A<br />
オシロスコープ<br />
試 料 :OS-CONは56μF/10V(10SVPD56M・φ6.3mm×L6mm)、 低 インピー<br />
VIN=<br />
12V<br />
SW IC<br />
200kHz<br />
+<br />
C<br />
RL<br />
ダンスアルミ 電 解 コンデンサは、330μF /10V(φ10mm×L10mm)を 使 用 。<br />
それぞれのESRが、OS-CON38mΩ( 実 力 )、 低 インピーダンスアルミ 電 解 コンデン<br />
サ180mΩ( 実 力 )であり、OS-CONと 同 等 のリプル 電 圧 とするために、 低 インピー<br />
ダンスアルミ 電 解 コンデンサを4 個 使 用 。<br />
測 定 試 料<br />
出 力 リプル 電 圧 ( 概 略 )=<br />
コイルに 流 れるリプル 電 流<br />
コンデンサのESR<br />
(1) 試 料 の 規 格<br />
(2) 試 料 のESR 変 化<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
容 量 / 電 圧<br />
56μF/10V<br />
330μF/10V<br />
測 定 時 の 周 囲 温 度 初 期 値 125℃×10V 印 加<br />
初 期 値<br />
125℃×10V 印 加<br />
ESR<br />
45mΩ<br />
300mΩ<br />
×1,000h 後 の 値<br />
×1,000h 後 の 値<br />
カテゴリ 温 度 範 囲<br />
-55℃~+125℃<br />
-40℃~+125℃<br />
25℃<br />
38mΩ<br />
40mΩ<br />
180mΩ<br />
231mΩ<br />
耐 久 性<br />
125℃×2,000h<br />
125℃×2,000h<br />
0℃<br />
39mΩ<br />
41mΩ<br />
369mΩ<br />
663mΩ<br />
-20℃<br />
38mΩ<br />
40mΩ<br />
907mΩ<br />
2,212mΩ<br />
サイズ(mm)<br />
φ6.3×L6<br />
φ10×L10<br />
11
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
(2) 耐 久 性 (125℃×10V 印 加 )<br />
〔ESR〕<br />
ESR (mΩ at 100kHz)<br />
100<br />
10<br />
OS-CON(10SVPD56M)56μF/10V<br />
0 200 500 1000 2000<br />
100000<br />
25℃<br />
0℃<br />
-20℃<br />
-40℃ 10000<br />
アルミ 電 解 コンデンサ 330μF/10V<br />
Time (h)<br />
1000<br />
100<br />
0 200 500 1000 2000<br />
Time (h)<br />
〔 静 電 容 量 〕<br />
Capacitance Change<br />
(% at 120Hz)<br />
20<br />
10<br />
0<br />
-10<br />
-20<br />
-30<br />
OS-CON(10SVPD56M)56μF/10V<br />
-40<br />
0 200 500 1000 2000<br />
Time (h)<br />
25℃<br />
0℃<br />
-20℃<br />
-40℃<br />
20<br />
10<br />
0<br />
-10<br />
-20<br />
-30<br />
アルミ 電 解 コンデンサ 330μF/10V<br />
-40<br />
0 200 500 1000 2000<br />
Time (h)<br />
12
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
(b) 実 験 結 果<br />
(1) 25℃でのリプル 電 圧 波 形 の 比 較<br />
初 期<br />
耐 久 試 験 後 (125℃×10V 印 加 ×1000h)<br />
OS-CON(10SVPD56M)<br />
56μF/10V×1 個<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
31.0mV<br />
→<br />
31.0mV<br />
初 期<br />
耐 久 試 験 後 (125℃×10V 印 加 ×1000h)<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
330μF/10V×4 個<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
42.0mV<br />
51.0mV<br />
→<br />
結 果<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
初 期<br />
31mVp-p<br />
42mVp-p<br />
耐 久 性 試 験 後<br />
31mVp-p<br />
51mVp-p<br />
13
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
(2) 0℃でのリプル 電 圧 波 形 の 比 較<br />
初 期<br />
耐 久 試 験 後 (125℃×10V 印 加 ×1000h)<br />
OS-CON(10SVPD56M)<br />
56μF/10V×1 個<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
30.0mV<br />
→<br />
32.0mV<br />
初 期<br />
耐 久 試 験 後 (125℃×10V 印 加 ×1000h)<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
330μF/10V×4 個<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
128.0mV<br />
78.0mV<br />
→<br />
結 果<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
初 期<br />
30mVp-p<br />
78mVp-p<br />
耐 久 性 試 験 後<br />
32mVp-p<br />
128mVp-p<br />
14
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
(3) -20℃でのリプル 電 圧 波 形 の 比 較<br />
初 期<br />
耐 久 試 験 後 (125℃×10V 印 加 ×1000h)<br />
OS-CON(10SVPD56M)<br />
56μF/10V×1 個<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
30.0mV<br />
→<br />
31.0mV<br />
初 期<br />
耐 久 試 験 後 (125℃×10V 印 加 ×1000h)<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
330μF/10V×4 個<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
167.0mV<br />
CH1=50mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
→<br />
399.0mV<br />
結 果<br />
OS-CON<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
初 期<br />
30mVp-p<br />
167mVp-p<br />
耐 久 性 試 験 後<br />
31mVp-p<br />
399mVp-p<br />
15
応 用<br />
2. OS-CONの 高 速 バックアップ 能 力 ( 負 荷 変 動 用 バックアップコンデンサ)<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
最 近 の 電 子 機 器 に 用 いられるIC、 特 にMPUでは 処 理 スピードの 高 速 化 が 計 られる 一 方 、 使 用 電 圧 を 下 げパターン 間 隔 を 狭 めて 集 積 度 を 高 めています。 低 電 圧 化 にともない<br />
負 荷 電 流 は、 新 しいMPUが 開 発 されるごとに 増 加 しています。<br />
高 速 で 大 きな 負 荷 変 動 に 伴 う 負 荷 電 流 の 急 変 は、 電 源 ラインの 電 圧 変 動 を 引 き 起 こし、MPU 誤 動 作 の 直 接 的 原 因 となります。<br />
高 速 負 荷 変 動 用 には 低 ESRで 大 容 量 のコンデンサが 求 められています。<br />
低 ESRコンデンサの 中 でOS-CONが 最 も 容 量 が 出 せ、この 点 でOS-CONはバックアップ 用 コンデンサとして 最 適 です。<br />
OS-CONの 優 れたバックアップ 能 力 と、 他 のコンデンサとの 比 較 評 価 結 果 を 以 下 に 説 明 します。<br />
2-1. テスト 条 件<br />
テスト 回 路<br />
(a) 電 子 負 荷 スイッチング 波 形<br />
Power<br />
supply<br />
1Ω<br />
SW<br />
バックアップ 波 形<br />
負 荷 変 動 電 流<br />
2Ω V オシロスコープ<br />
全 体 波 形<br />
CH3=2V<br />
AC 10:1<br />
5us/div<br />
立 ち 上 がり 波 形<br />
CH3=2V<br />
AC 10:1<br />
20ns/div<br />
試 料<br />
負 荷 条 件<br />
内 容<br />
負 荷 幅<br />
周 期<br />
立 上 り 時 間<br />
負 荷 変 動 電 流<br />
印 加 電 圧<br />
電 源 インピーダンス<br />
条 件<br />
5μs<br />
12.5μs<br />
20ns<br />
2A<br />
4V<br />
1Ω<br />
2V/div<br />
5μs/div<br />
2V/div<br />
20ns/div<br />
バックアップ 用 のコンデンサは 次 式 で 求 められます。<br />
I× t T- t<br />
V= × + I×ESR<br />
C<br />
T<br />
V:ACノイズ(V)<br />
I: 負 荷 変 動 電 流 (A)<br />
t: 負 荷 幅 (s)<br />
C: 容 量 (F)<br />
ESR: 等 価 直 列 抵 抗 (Ω)<br />
T: 周 期 (s)<br />
16
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
2-2. テスト 結 果<br />
(a) 同 容 量 での 比 較<br />
同 容 量 で 比 較 すると 電 源 ラインの 電 圧 変 動 はOS-CONの104mVに 対 し、 低 インピーダンス 電 解 コンデンサでは548mV(OS-CONの 約 5.3 倍 )、 低 ESRタンタル<br />
コンデンサでは212mV(OS-CONの 約 2 倍 )となります。<br />
OS-CON<br />
16SVP100M,ESR:21mΩ<br />
CH2=200mV<br />
AC 1:1<br />
5us/div<br />
低 Zアルミ 電 解 コンデンサ<br />
10V100μF,ESR:245mΩ<br />
CH2=200mV<br />
AC 1 : 1<br />
5us/div<br />
低 ESRタンタルコンデンサ<br />
10V100μF,ESR:85mΩ<br />
CH2=200mV<br />
AC 1 : 1<br />
5us/div<br />
V=104mV<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
V=548mV<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
V=212mV<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
(b) 同 程 度 の 負 荷 変 動 となるコンデンサの 選 択<br />
16SVP100Mと 同 程 度 の 電 圧 変 動 とするためには、 低 インピーダンス 電 解 コンデンサでは1,500μF 以 上 、 低 ESRタンタルコンデンサでは220μF×2pcs 以 上 が 必 要 です。<br />
OS-CON<br />
16SVP100M<br />
CH2=200mV<br />
AC 1:1<br />
5us/div<br />
低 Zアルミ 電 解 コンデンサ<br />
10V1,500μF<br />
CH2=200mV<br />
AC 1:1<br />
5us/div<br />
低 ESRタンタルコンデンサ<br />
10V220μF×2<br />
CH2=200mV<br />
AC 1:1<br />
5us/div<br />
V=104mV<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
V=128mV<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
V=116mV<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
17
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
(c)(b)のコンデンサを 低 温 (-20℃)で 使 用 した 場 合 の 比 較<br />
低 温 で 比 較 した 場 合 OS-CONは 変 化 がないのに 対 し、 低 インピーダンス 電 解 コンデンサでは 約 3.2 倍 、 低 ESRタンタルコンデンサでは 約 1.2 倍 に 電 圧 変 動 が 増 加 します。<br />
OS-CON<br />
16SVP100M<br />
CH2=200mV<br />
AC 1:1<br />
低 Zアルミ 電 解 コンデンサ<br />
10V1,500μF<br />
5us/div CH2=200mV<br />
5us/div CH2=200mV<br />
AC 1:1<br />
AC 1:1<br />
低 ESRタンタルコンデンサ<br />
10V220μF×2<br />
5us/div<br />
V=104mV 200mV/div<br />
V=404mV 200mV/div<br />
V=144mV<br />
5μs/div<br />
5μs/div<br />
200mV/div<br />
5μs/div<br />
18
応 用<br />
3. 電 源 ラインのノイズが 実 際 の 画 像 に 与 える 影 響<br />
OS-CONの 優 れたノイズ 低 減 効 果 が 画 像 にどのような 影 響 を 与 えるか、つまりデジタルノイズがアナログ 信 号 にいかに 影 響 を 与 えるかを 下 記 に 紹 介 します。<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
(a) 監 視 カメラの 画 像 への 影 響<br />
監 視 カメラの 電 源 ラインのフィルタ 回 路 のコンデンサにOS-CONと 低 インピーダンスアルミ 電 解 コンデンサをそれぞれ 接 続 し、 温 度 を 変 化 させ、 実 際 の<br />
画 像 に 与 える 影 響 を 比 較 しました。 初 期 では 共 に 変 化 しませんでしたので、 耐 久 性 試 験 後 のコンデンサで 比 較 しました。<br />
OS-CON;SVPシリーズ<br />
20V/22μF サイズφ6.3×L6.0mm<br />
初 期 ESR:42 mΩ(25℃)<br />
42 mΩ (ー20℃)<br />
耐 久 試 験 後 ESR:45 mΩ (25℃)<br />
45 mΩ (ー20℃)<br />
耐 久 性 試 験 後 (105℃×16V 印 加 ×2000h) 写 真 の 比 較<br />
→<br />
写 真 1 25℃<br />
写 真 3 -20℃<br />
ガンマ 値 調 整 (3.0)<br />
低 インピーダンスアルミ 電 解 コンデンサ<br />
16V/100μF サイズφ6.3×L6.0mm<br />
初 期 ESR: 303 mΩ(25℃)<br />
1,080 mΩ (ー20℃)<br />
耐 久 試 験 後 ESR: 418 mΩ (25℃)<br />
1,640 mΩ (ー20℃)<br />
→<br />
写 真 2 25℃<br />
写 真 4 -20℃<br />
ガンマ 値 調 整 (3.0)<br />
(b) 結 果<br />
(1) OS-CON 搭 載 の 画 像 :25℃から-20℃まで 画 像 にまったく 異 常 は 見 られませんでした。<br />
(2) 低 インピーダンスアルミ 電 解 コンデンサ 搭 載 の 画 像 :ESRの 影 響 により、ー20℃ 付 近 では 全 体 が 白 くなり、 画 像 に 縦 縞 が 入 っています。 通 常 写 真 では 判 り<br />
づらいので、 写 真 のガンマ 値 を 調 整 したものを 掲 載 しています。 赤 線 枠 内 に 縦 縞 を 見 ることができます。<br />
19
応 用<br />
4. OS-CONの 等 価 回 路 モデル<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
近 年 では、 回 路 設 計 の 短 縮 のために 回 路 シミュレーションを 利 用 される 場 が 増 えてきていますが、 電 圧 精 度 の 厳 しいCPU 等 においては、より 正 確 さを 求 めるため、パターン<br />
の 抵 抗 成 分 やインダクタンス 成 分 も 考 慮 してシミュレーションを 行 っています。その 中 でバックアップアップ 用 のコンデンサについても、 特 性 がより 実 測 に 近 いかたちでの<br />
シミュレーションモデルが 求 められています。<br />
4-1. 従 来 の 等 価 回 路 の 問 題 点<br />
従 来 の 電 源 回 路 のシミュレーションでは、 図 1にあうような 理 想 コンデンサの 等 価 回 路 にてシミュレーションが 行 われていました。リプル 電 圧 やリプル 電 流 を 確 認 する 目 的 では<br />
殆 ど 問 題 にはなりませんが、CPUの 負 荷 変 動 等 、より 精 度 の 高 いシミュレーションを 行 うには 物 足 りなく、 実 回 路 とシミュレーション 結 果 の 差 が 大 きくなることがあります。<br />
これはコンデンサのESRや 容 量 の 周 波 数 特 性 が 反 映 されてないからです。<br />
4-2. より 高 度 なシミュレーションのための 等 価 回 路<br />
当 社 では 等 価 回 路 を 図 2のように 作 成 しました。これによりコンデンサが 測 定 結 果 に 近 い 周 波 数 特 性 をもつようになり、 回 路 の 実 動 作 に 近 いシミュレーションを 行 いたい 場 合<br />
に 利 用 できるようにしました。<br />
図 1 従 来 の 等 価 回 路<br />
図 2 より 高 度 なシミュレーションのための 等 価 回 路<br />
20
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
● 実 測 とシミュレーションの 周 波 数 特 性 の 比 較<br />
lmpedance & ESR[mΩ]<br />
10000<br />
1000<br />
100<br />
10<br />
〔 従 来 の 等 価 回 路 〕 〔より 高 度 なシミュレーションのための 等 価 回 路 〕<br />
Measured Value Z<br />
10000<br />
Measured Value Z<br />
Simulated Value Z<br />
Simulated Value Z<br />
Measured Value ESR<br />
Measured Value ESR<br />
Simulated Value ESR<br />
Simulated Value ESR<br />
→<br />
lmpedance & ESR[mΩ]<br />
1000<br />
100<br />
10<br />
1<br />
1<br />
0.1 1 10 100 1000 10000 100000 0.1 1 10 100 1000 10000 100000<br />
frequency[kHz]<br />
frequency[kHz]<br />
1000<br />
10.0<br />
1000<br />
10.0<br />
C[μF]<br />
ESL[nH]<br />
→<br />
C[μF]<br />
ESL[nH]<br />
Measured Value C<br />
Simulated Value C<br />
Measured Value L<br />
100<br />
Simulated Value L<br />
1.0<br />
0.1 1 10 100 1000 10000 10000<br />
frequency[kHz]<br />
Measured Value C<br />
Simulated Value C<br />
Measured Value L<br />
100<br />
Simulated Value L<br />
1.0<br />
0.1 1 10 100 1000 10000 10000<br />
frequency[kHz]<br />
Model:2SEPC560MW(2.5V-560μF)<br />
21
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
4-3. 容 量 の 周 波 数 特 性<br />
コンデンサの 測 定 において 容 量 の 周 波 数 特 性 は、 共 振 点 付 近 から 正 常 な 値 が 測 定 できません。<br />
これはインピーダンスアナライザやLCRメータ 等 の 測 定 器 が 電 圧 信 号 を 印 加 し、 電 流 との 位 相 差 から 容 量 を 算 出 しているからです。この 位 相 差 は 容 量 のインピーダンスZcと<br />
インダクタンスのインピーダンスZLの 差 分 で 決 まります。 周 波 数 が 低 い 時 には "Zc>>ZL" となり、インダクタンスの 影 響 は 殆 どありませんが、 周 波 数 が 高 くなるにつれて<br />
ZLの 影 響 を 受 けるようになり、 共 振 点 付 近 (Zc≒ZL)から 位 相 差 が 少 なくなったり、 方 向 が 変 わったりして、 容 量 の 測 定 はできなくなります。<br />
しかし、 今 回 作 成 した 等 価 回 路 により 容 量 の 周 波 数 特 性 が 推 測 可 能 となります。つまり、 等 価 回 路 のインダクタンスを 全 て0にして 計 算 すれば、 容 量 の 周 波 数 特 性 を 見 る<br />
ことができます。 図 7はその 計 算 結 果 をグラフ 化 したものです。このコンデンサの 共 振 点 は190kHzで、その1/10の 周 波 数 付 近 からZLの 影 響 を 受 けています。<br />
1000<br />
Model:2SEPC560MW(2.5V-560μF)<br />
インピーダンス 成 分<br />
j<br />
ZL<br />
ESR<br />
R<br />
C[μF]<br />
ZC<br />
ZC<br />
δ<br />
θ<br />
Z<br />
ZL-ZC ZC<br />
[ 真 実 ] [ 測 定 器 ]<br />
-j<br />
ESR = Z × cosθ<br />
ZC = Z × sinθ<br />
Measured Value C<br />
Simulated Value C<br />
100<br />
0.1 1 10 100 1000 10000 10000<br />
frequency[kHz]<br />
22
応 用<br />
5. ローパス・フィルタ 回 路 での 応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
電 源 ラインのノイズを 取 り 除 く 手 段 として、 下 図 のようなローパスフィルタを 用 いることがあります。<br />
近 年 、 電 源 で 主 流 となっているスイッチング 電 源 は、 小 型 ・ 高 効 率 である 反 面 、 大 きなノイズ 源 となっている 場 合 が 少 なくありません。また、デジタル 回 路 はノイズが 発 生<br />
しやすく、ノイズに 弱 いアナログ 回 路 が 混 在 する 装 置 では、ほとんど、アナログ 回 路 の 電 源 ラインに、これらのローパスフィルタを 接 続 し、アナログ 回 路 への 高 周 波 ノイズの<br />
進 入 を 防 いでいます。<br />
図 1 LCフィルタ<br />
図 2 RCフィルタ<br />
(a) フィルタの 減 衰 効 果 は、コンデンサのESRが 低 いほど 理 想 的 な 減 衰 率 に 近 づきます。<br />
(b) コンデンサの 場 合 、 静 電 容 量 とESR 成 分 でゼロ 点 (fz)が 発 生 するため、ゼロ 点 周 波 数 よりも<br />
高 い 周 波 数 では、+20dB/decで 減 衰 効 果 をキャンセルしてしまいます。<br />
(c) LCフィルタの 場 合 :-40dB/decが-20dB/decに。<br />
RCフィルタの 場 合 :-20dB/decが0に。( 減 衰 効 果 なし)<br />
(d) コンデンサの 静 電 容 量 を 増 やしても、ノイズカット 効 果 がでない 現 象 は、このゼロ 現 象 が<br />
影 響 していることが 少 なくありません。<br />
OS-CONはESRが 非 常 に 小 さいため、このローパスフィルタにもっとも 効 果 的 です。<br />
図 3 実 際 の 減 衰 率<br />
0dB<br />
fc<br />
-40dB/dec<br />
fz (ゼロ 点 周 波 数 )<br />
周 波 数<br />
0dB<br />
fc<br />
-20dB/dec<br />
fz (ゼロ 点 周 波 数 )<br />
周 波 数<br />
実 際 の 減 衰 率<br />
実 際 の 減 衰 率<br />
減<br />
衰<br />
率<br />
静 電 容 量 を<br />
増 やした 場 合<br />
-20dB/dec<br />
ESRが 低 い 場 合 の<br />
減 衰 率<br />
減<br />
衰<br />
率<br />
静 電 容 量 を<br />
増 やした 場 合<br />
ESRが 低 い 場 合 の<br />
減 衰 率<br />
理 想 的 な 減 衰 率<br />
理 想 的 な 減 衰 率<br />
(a)LCフィルタ<br />
(b)RCフィルタ<br />
次 頁 で 下 記 のOS-CONとアルミ 電 解 コンデンサを 使 用 して 実 際 の 減 衰 効 果 を 比 較 します。<br />
OS-CON(20SEP33M)<br />
20V/33uF,ESR=37mΩ( 実 測 値 )<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
10V/33uF,ESR=1410mΩ( 実 測 値 )<br />
23
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
5-1. LCフィルタ(L=10uH)<br />
Gain [dB]<br />
OS-CON<br />
80<br />
60<br />
40<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
Gain [dB]<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
80<br />
60<br />
40<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
-80<br />
10 100 1k 10k 100k 1M<br />
Frequency [Hz]<br />
5-2. RCフィルタ(R=5.6Ω)<br />
OS-CON<br />
80<br />
60<br />
40<br />
-80<br />
10 100 1k 10k 100k 1M<br />
Frequency [Hz]<br />
アルミ 電 解 コンデンサ<br />
80<br />
60<br />
40<br />
アルミ 電 解 コンデンサと 比 較 し、OS-CONの 方 が 高 周 波 領 域 まで<br />
どちらも 減 衰 効 果 が 大 きくなっています。<br />
今 回 は 常 温 での 測 定 結 果 ですが、 低 温 下 (0℃ 以 下 )では、アルミ<br />
電 解 コンデンサの 極 端 なESR 増 加 と 比 べ、OS-CONのESRは 変 化 が<br />
少 く、フィルタの 減 衰 効 果 に 影 響 しないので、 効 果 の 差 はさらに 大 きく<br />
なります。<br />
Gain [dB]<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
Gain [dB]<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
-80<br />
10 100 1k 10k 100k 1M<br />
-80<br />
10 100 1k 10k 100k 1M<br />
Frequency [Hz]<br />
Frequency [Hz]<br />
24
応 用<br />
6. スイッチング 電 源 の 平 滑 コンデンサへの 応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
スイッチング 電 源 の 出 力 平 滑 コンデンサには、 出 力 リプル 電 圧 を 抑 えるため、 等 価 直 列 抵 抗 (ESR)の 低 いコンデンサが 求 められています。しかし、ESRが 低 いコンデンサは、<br />
出 力 電 圧 の 異 常 発 振 と 呼 ばれる 現 象 が 発 生 することがあります。<br />
出 力 電 圧 の 異 常 発 振 は、 制 御 方 式 や 降 圧 型 、 昇 圧 型 などのトポロジーによっても 変 わります。 出 力 電 圧 発 振 のメカニズムとその 対 処 方 法 について、 電 圧 制 御 モードで 降 圧 型<br />
スイッチングレギュレータの 例 を 以 下 で 説 明 します。<br />
図 1 スイッチング 電 源 の 概 略 制 御 ブロック<br />
6-1. 出 力 電 圧 の 異 常 発 振<br />
スイッチング 電 源 は、 出 力 電 圧 を 安 定 化 させるために 通 常 負 帰 還 回 路 を 持 っています。<br />
出 力 電 圧 と 基 準 電 圧 Vrefの 誤 差 を 誤 差 増 幅 器 で 増 幅 し、PWMコンパレータでデジタル 信 号 に 変 換 し、スイッチQ1<br />
をオンオフします。<br />
入 力 電 圧 Vinは、スイッチQ1で 矩 形 波 となり、それをコイルLとコンデンサCoutで 平 滑 することで、 直 流 の 出 力 電 圧<br />
Voutを 得 て、LおよびCoutは2 次 のローパスフィルタを 形 成 していることになります。<br />
Zi<br />
Zc<br />
誤 差 増 幅 器<br />
Vin<br />
Cin<br />
Q1<br />
PWMコンパレータ<br />
D<br />
L<br />
Vout<br />
Cout<br />
出 力 LCフィルタの 周 波 数 応 答 性 は 図 2のボード 線 図 で 表 されます。<br />
誤 差 増 幅 器 は 負 帰 還 回 路 であるため、もともと 位 相 が180 度 遅 れています。したがって、 出 力 LCフィルタの 位 相 遅 れ<br />
と 誤 差 増 幅 器 の 位 相 遅 れが 重 なり、360 度 位 相 遅 れが 発 生 すると、 出 力 電 圧 が 発 振 することになります。<br />
Vref<br />
三 角 波 発 生 器<br />
1<br />
LCフィルタの 減 衰 率 は-40dB/dec、カットオフ 周 波 数 は<br />
2π LC<br />
で、 図 2の 点 線 のような 利 得<br />
(Gain)と 位 相 (Phase)になります。 理 想 的 なLCフィルタは 位 相 が180 度 遅 れ、そのままでは<br />
発 振 しますが、 実 際 の 周 波 数 特 性 は 実 線 のように、ある 周 波 数 以 上 でGainが-40dB/decから<br />
-20dB/decの 減 衰 率 に、Phaseが90 度 遅 れとなるまで 進 みます。これは、Coutの 容 量 値 と<br />
1<br />
ESRによって 一 次 進 み 回 路 が 形 成 されているためで、そのゼロ 点 周 波 数 2πCout ESR 以 降 で、<br />
Gain 減 衰 率 が+20dB、+90 度 の 位 相 進 みが 加 わるからです。ところが、ESRが 低 いコンデンサを 使 用<br />
すると、より 高 周 波 数 帯 域 まで 理 想 的 なLCフィルタとなり、Phaseが180 度 近 くまで 遅 れ 発 振 しやすく<br />
なります。<br />
一 般 的 な 負 帰 還 回 路 で 出 力 電 圧 の 発 振 を 防 止 するには、 位 相 余 裕 が30 度 ~40 度 以 上 あることが 必 要<br />
と 考 えられています。 位 相 余 裕 とは、Phaseの 下 限 値 が-180 度 からどれだけ 離 れているかを 示 す<br />
数 値 で、 位 相 余 裕 が 小 さくなればなるほど、 構 成 部 品 の 特 性 バラツキや 温 度 変 化 によって 発 振 する<br />
可 能 性 が 高 いと 言 えます。<br />
Gain [dB]<br />
90<br />
80<br />
70<br />
60<br />
Gain<br />
Phase<br />
180<br />
160<br />
140<br />
120<br />
50<br />
カットオフ 周 波 数<br />
40<br />
30<br />
ゼロ 点 周 波 数<br />
20<br />
10<br />
0<br />
-10<br />
図 2 LCフィルタの 周 波 数 特 性<br />
-20<br />
-30<br />
-40<br />
大<br />
-50<br />
-60<br />
ESR<br />
-70<br />
-80<br />
-90<br />
1 10 100 1000<br />
Frequency [Hz]<br />
100<br />
80<br />
60<br />
40<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
-80<br />
-100<br />
-120<br />
-140<br />
-160<br />
小<br />
-180<br />
10000 100000 1000000<br />
Phase [deg]<br />
25
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
6-2. 発 振 の 防 止 方 法<br />
誤 差 増 幅 器 の 帰 還 回 路 にて 位 相 補 償 を 行 うことで、 出 力 電 圧 の 発 振 を 防 止 することが<br />
できます。<br />
位 相 補 償 回 路 には 様 々な 種 類 がありますが、 電 圧 抑 制 モードのスイッチング 電 源 に<br />
おいて、 下 記 のような 位 相 補 償 回 路 を 用 いるのが 最 も 効 果 的 とされています。<br />
図 3 電 圧 制 御 モードの 位 相 補 償 回 路<br />
Zi<br />
1 2<br />
3<br />
Zc<br />
図 3:2および4で 一 次 進 み 回 路 を 形 成 。1および3で 一 次 遅 れ 回 路 を 形 成 。<br />
4<br />
これらの 定 数 を 調 整 することにより、 出 力 LCフィルタの 周 波 数 特 性 でPhaseが 最 下 限<br />
を 示 す 周 波 数 帯 域 で、 位 相 進 みが 発 生 するような 位 相 補 償 を 行 い、 負 帰 還 回 路 全 体 の<br />
位 相 遅 れを 改 善 します。<br />
Voutから<br />
Vref<br />
誤 差 増 幅 器<br />
PWM<br />
コンパレータへ<br />
図 4: 調 整 例 。 図 2の 出 力 LCフィルタの 位 相 は 約 10kHz 付 近 で 最 下 点 となるため、<br />
その 周 波 数 で 位 相 進 みを 約 30 度 持 たせてあります。このため、 例 えLCフィルタの 位 相<br />
遅 れが180 度 近 くになっても 約 30 度 の 位 相 余 裕 を 確 保 でき、 出 力 電 圧 の 発 振 を 防 止<br />
できます。<br />
Gain[dB]<br />
-10<br />
-20<br />
図 4 位 相 補 償 回 路 の 周 波 数 特 性<br />
90<br />
80<br />
70<br />
Gain<br />
60<br />
Phase<br />
50<br />
40<br />
30<br />
20<br />
10<br />
0<br />
180<br />
160<br />
140<br />
120<br />
100<br />
80<br />
60<br />
40<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-30<br />
-60<br />
-40<br />
-80<br />
-50<br />
-100<br />
-60<br />
-120<br />
-70<br />
-140<br />
-80<br />
-160<br />
-90<br />
-180<br />
1 10 100 1000 10000 100000 1000000<br />
Frequency[Hz]<br />
Phase[deg]<br />
26
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
6-3. 発 振 防 止 の 具 体 的 な 設 計 事 例<br />
図 5 降 圧 型 DC-DCコンバータの 具 体 的 な 設 計 例<br />
Q1<br />
10uH<br />
Zi<br />
Vin<br />
Vout<br />
C in<br />
D<br />
C out<br />
Zc<br />
Vref<br />
-<br />
+<br />
誤 差 増 幅 器<br />
+<br />
-<br />
三 角 波 発 生 器<br />
200kHz<br />
PWMコンパレータ<br />
DV<br />
[ 仕 様 ]<br />
・ 入 力 電 圧 (Vin) :5V<br />
・ 出 力 電 圧 (Vout):3.3V<br />
・ 出 力 電 流 (Iout) :3.2A<br />
・ 出 力 リプル 電 圧 (Vripple):20mVp-p<br />
出 力 リプル 電 圧 を20mVp-pとするために、 必 要 な 出 力 コンデンサのESRを 以 下 で 求 め<br />
ます。<br />
ESR
応 用<br />
6-4. アルミ 電 解 コンデンサ 時 の 設 計 例<br />
アルミ 電 解 コンデンサを 使 用 した 場 合 、 出 力 LC<br />
フィルタの 周 波 数 特 性 ( 図 6)は、 位 相 補 償 を<br />
行 う 必 要 がないほどに 充 分 な 位 相 余 裕 がありま<br />
す。したがって、 位 相 補 償 回 路 は 図 7の 回 路 で<br />
充 分 となります。<br />
Gain[dB]<br />
図 6 AL-E 時 のLCフィルタ 周 波 数 特 性<br />
20<br />
10<br />
0<br />
-10<br />
-20<br />
-30<br />
-40<br />
-50<br />
-60<br />
-70<br />
-80<br />
Gain<br />
Phase<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
-80<br />
-100<br />
-120<br />
-140<br />
-160<br />
-90<br />
-180<br />
10 100 1000 10000 100000<br />
Frequency[Hz]<br />
40<br />
20<br />
0<br />
Phase[deg]<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
図 7 AL-E 時 の 位 相 補 償 回 路<br />
Rin:20kΩ<br />
Rc:33kΩ<br />
Cc:10000pF<br />
Vout<br />
Zi<br />
Rin<br />
Zc<br />
Rc Cc<br />
-<br />
+<br />
誤 差 増 幅 器<br />
Vref<br />
PWM<br />
コンパレータへ<br />
図 7の 位 相 補 償 回 路 ( 正 確 には 位 相 補 償 を 行 って<br />
いない)を 用 いることによって、 図 8のような 総 合<br />
周 波 数 特 性 になり、 充 分 な 位 相 余 裕 があります。<br />
図 8 AL-E 時 の 総 合 周 波 数 特 性<br />
60<br />
50<br />
40<br />
Gain<br />
Phase<br />
180<br />
150<br />
120<br />
図 9 AL-E 時 の 出 力 リプル 電 圧 波 形<br />
CH2=5mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
30<br />
90<br />
Gain[dB]<br />
20<br />
10<br />
0<br />
-10<br />
-20<br />
-30<br />
-40<br />
-50<br />
60<br />
30<br />
0<br />
-30<br />
-60<br />
-90<br />
-120<br />
-150<br />
Phase[deg]<br />
22m Vp-p<br />
-60<br />
-180<br />
100 1000 10000 100000<br />
Frequency[Hz]<br />
28
応 用<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
6-5. OS-CON 時 の 設 計 例<br />
アルミ 電 解 コンデンサを 使 用 した 電 源 回 路 から、 位 相 補 償 回 路 を 変 更 せずにOS-CONに 置 換 えると、 出 力 電 圧 は 発 振 してしまいます( 図 10)。<br />
これは、ESRの 低 いOS-CONに 変 更 したことで、 出 力 LCフィルタの 周 波 数 特 性 が、アルミ 電 解 コンデンサを 使 用 した 図 6から、 図 11のように 変 化 しているにもかかわらず、<br />
位 相 補 償 回 路 を 変 更 しなかったために 位 相 余 裕 がなくなったためです。<br />
図 10 発 振 している 出 力 電 圧 波 形<br />
CH4=100mV<br />
AC 10:1<br />
(20us/div)<br />
Gain[dB]<br />
図 11 OS-CON 時 のLCフィルタ 周 波 数 特 性<br />
20<br />
10<br />
Gain<br />
40<br />
20<br />
0<br />
Phase 0<br />
-10<br />
-20<br />
-20<br />
-40<br />
-30<br />
-60<br />
-40<br />
-80<br />
-50<br />
-100<br />
-60<br />
-120<br />
-70<br />
-140<br />
-80<br />
-160<br />
-90<br />
-180<br />
10 100 1000 10000 100000<br />
Frequency[Hz]<br />
Phase[deg]<br />
図 12 OS-CON 時 の 位 相 補 償 回 路<br />
Rin1:20kΩ<br />
Rin2:680Ω<br />
Vout<br />
Zi<br />
Rin2 Cin<br />
Rin1<br />
Cin:4700pF<br />
Rc:3.3kΩ<br />
Rc<br />
-<br />
+<br />
Vref<br />
Zc<br />
Cc1<br />
Cc1:330pF<br />
Cc2:33000pF<br />
Cc2<br />
PWM<br />
コンパレータへ<br />
誤 差 増 幅 器<br />
図 11のように、LCフィルタの 位 相 余 裕 がほとんどない<br />
場 合 は、 図 12のような 位 相 補 償 回 路 を 用 いることに<br />
より、 適 正 な 位 相 補 正 を 行 うことができます。<br />
これは、 位 相 遅 れが 深 くなった 分 を、 図 12 中 のZi,Zcで<br />
位 相 進 みを 形 成 させて、 位 相 遅 れを 解 消 するためです。<br />
これにより、 総 合 周 波 数 特 性 は 図 13のようになり、 位 相<br />
Gain[dB]<br />
図 13 OS-CON 時 の 総 合 周 波 数 特 性<br />
60<br />
50<br />
40<br />
30<br />
20<br />
10<br />
0<br />
-10<br />
-20<br />
Gain<br />
Phase<br />
180<br />
150<br />
120<br />
90<br />
60<br />
30<br />
0<br />
-30<br />
-60<br />
Phase[deg]<br />
図 14 OS-CON 時 の 出 力 リプル 電 圧 波 形<br />
CH2=5mV<br />
AC 1:1<br />
(2us/div)<br />
19m Vp-p<br />
余 裕 も 充 分 であり、 出 力 リプル 電 圧 波 形 ( 図 14)も<br />
-30<br />
-90<br />
アルミ 電 解 コンデンサの 場 合 とほぼ 同 じになります。<br />
-40<br />
-120<br />
-50<br />
-150<br />
-60<br />
-180<br />
100 1000 10000 100000<br />
Frequency[Hz]<br />
29
コンデンサ 選 定 ヒアリングシート<br />
会 社 名<br />
部 署 名<br />
お 名 前<br />
TEL<br />
FAX<br />
E-mail<br />
導 電 性 高 分 子 アルミ 固 体 電 解 コンデンサ<br />
用 途 電 源 /フィルタ/パスコン/カップリング/<br />
その 他 ( )<br />
装 置 PC/PC 周 辺 /オーディオ/ 通 信 機 / 車 載 /<br />
その 他 ( )<br />
高 さ 制 限 mm 実 装 形 態 リードタイプ 面 実 装<br />
必 須 項 目<br />
Option<br />
項 目 記 号 数 値 単 位<br />
スイッチング 周 波 数<br />
入 力 電 圧<br />
出 力 電 圧<br />
出 力 電 流<br />
リプル 電 圧<br />
使 用 環 境 温 度<br />
一 次 インダクタンス 値<br />
インダクタンス 値<br />
巻 き 数 比<br />
fosc<br />
Vin<br />
Vout<br />
Iout<br />
ΔVripple<br />
Ta<br />
L1<br />
L<br />
n1 : n2 :<br />
kHz<br />
V<br />
V<br />
A<br />
mVp-p<br />
℃<br />
μH<br />
μH<br />
項 目 記 号 数 値 単 位<br />
電 流 変 化<br />
電 圧 降 下<br />
コントロールIC<br />
ΔI<br />
ΔVdrop<br />
A<br />
mV<br />
Iout<br />
Vout<br />
ΔVdrop<br />
ΔI<br />
0A<br />
ΔVripple<br />
0V<br />
◆ 使 用 回 路 を○で 囲 んでください。<br />
1 降 圧 型<br />
Vin>Vout<br />
Vin<br />
Iout<br />
+ +<br />
Vout<br />
fosc<br />
L<br />
2 昇 圧 型<br />
VinVout<br />
Vin<br />
+<br />
fosc<br />
L<br />
+<br />
Iout<br />
Vout<br />
4フォワード 型<br />
L<br />
Iout<br />
5フライバック 型<br />
Iout<br />
Vin<br />
+<br />
fosc<br />
n1<br />
L1<br />
n2<br />
+<br />
Vout<br />
Vin<br />
+<br />
fosc<br />
n1<br />
L1<br />
n2<br />
+<br />
Vout<br />
下 記 WEBから 設 計 支 援 ツールをダウンロードいただけます。<br />
http://industrial.panasonic.com/jp/<br />
30