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新しい単相-三相電力変換器による コンデンサ容量 ... - 長岡技術科学大学

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XX-XX-XX<br />

新 しい 単 相 - 三 相 電 力 変 換 器 による<br />

コンデンサ 容 量 の 低 減 法 とその 基 礎 検 証<br />

大 沼 喜 也<br />

*<br />

伊 東 淳 一 ( 長 岡 技 術 科 学 大 学 )<br />

Basic Investigation and Capacitance Reduction method<br />

of A Novel Single-Phase to Three-Phase Power Converter<br />

Yoshiya Ohnuma * , Jun-ich Itoh, (Nagaoka University of Technology)<br />

This paper proposes a novel single phase to three phase power converter in order to reduce volume the smoothing capacitor in<br />

the DC link part. In case of the single-phase converter, the large smoothing capacitor is required to absorb a power ripple of twice<br />

frequency of a power supply. The proposed method using an indirect matrix converter with an active snubber works in order to<br />

absorb the power ripple. Therefore, the proposed system does not require a reactor and large energy buffer such as smoothing<br />

capacitor. In this paper, the basic operation of the proposed method is confirmed by simulation and experiment.<br />

キーワード: 単 相 三 相 電 力 変 換 器 ,インダイレクトマトリックスコンバータ,コンデンサ 容 量 低 減<br />

(Single-phase to three-phase power converter, Indirect matrix converter, Reduce volume the smoothing capacitor)<br />

1. はじめに<br />

近 年 , 家 電 製 品 の 高 効 率 化 , 小 型 化 の 要 望 が 高 まってお<br />

り,これらの 観 点 から 単 相 モータよりも, 高 効 率 で 小 型 化<br />

が 可 能 な 三 相 モータの 適 用 が 増 加 してきている。しかし,<br />

家 庭 用 電 源 は 単 相 交 流 であるため, 三 相 モータの 駆 動 には<br />

単 相 - 三 相 電 力 変 換 器 が 必 要 となる。 入 力 電 力 は 電 源 周 波 数<br />

の 2 倍 で 脈 動 するため, 単 相 - 三 相 電 力 変 換 器 においては 大<br />

容 量 の 平 滑 コンデンサを 用 いる 必 要 がある。また, 高 調 波<br />

規 格 対 応 の 観 点 から 力 率 改 善 形 回 路 が 必 要 となる。これら<br />

の 要 求 を 満 たすため, 現 在 まで 様 々な 回 路 が 検 討 されてい<br />

るが,いずれも 大 容 量 コンデンサや 昇 圧 用 リアクトルが 必<br />

要 となり, 小 型 化 や 高 効 率 化 の 妨 げとなっている。<br />

一 方 , 電 力 変 換 器 の 小 型 化 , 長 寿 命 化 , 高 効 率 化 を 実 現<br />

可 能 な 直 接 形 電 力 変 換 技 術 が 注 目 され, 単 相 - 三 相 電 力 変 換<br />

回 路 にも 応 用 されている (1) (2) 。これまで, 高 入 力 力 率 制 御 を<br />

行 う 手 法 (1) や, 三 相 - 三 相 マトリックスコンバータの 回 路 を<br />

用 い, 電 力 脈 動 を 補 償 する 手 法 (2) などが 提 案 されている。し<br />

かし, 文 献 (1)では 電 力 脈 動 を 負 荷 の 慣 性 モーメントに 吸 収<br />

させるため, 用 途 が 限 定 される。また, 文 献 (2)の 手 法 では<br />

スイッチ 数 の 増 加 やスナバ 回 路 の 必 要 性 などからコストの<br />

増 加 が 懸 念 される。<br />

本 論 文 では, 直 流 部 にスナバを 付 加 したインダイレクト<br />

マトリックスコンバータ (3) をベースにし,スナバをバッファ<br />

回 路 としてアクティブに 動 作 することで, 単 相 交 流 で 発 生<br />

する 2 倍 周 期 の 電 力 脈 動 を 吸 収 する 回 路 とその 制 御 法 を 提<br />

案 する。 提 案 回 路 の 動 作 原 理 は, 電 力 脈 動 に 対 してコンデ<br />

ンサの 電 圧 を 変 化 させ,コンデンサ 容 量 を 低 減 しており,<br />

考 え 方 は DC アクティブフィルタと 同 様 である (4) 。 従 来 の<br />

DC アクティブフィルタと PWM 整 流 器 のシステムは 下 記 の<br />

特 徴 を 有 する。<br />

(a) バッファは 小 容 量 のフィルムコンデンサを 使 用 可 能<br />

(b) 入 力 電 流 は 力 率 1の 正 弦 波<br />

これに 加 え, 本 論 文 はインダイレクトマトリックスコン<br />

バータをベースにすることにより 以 下 の 特 徴 を 有 する。<br />

(a) 昇 圧 用 リアクトルが 不 要<br />

(b) バッファ 回 路 はゼロ 電 流 スイッチング 動 作 なので 高<br />

効 率 が 期 待 できる。<br />

(c) 整 流 器 部 はダイオード 整 流 器 でよい<br />

(d) DC アクティブフィルタ 部 のスイッチング 素 子 は1<br />

つでよい<br />

ここでは,シミュレーションおよび 実 験 により 提 案 回 路<br />

とその 制 御 法 について, 有 効 性 を 確 認 したので 報 告 する。<br />

1/6


2. 回 路 構 成<br />

〈2・1〉 従 来 回 路<br />

図 1 に 単 相 三 相 電 力 変 換 器 の 代 表 的 な 従 来 回 路 を 示 す。<br />

最 も 簡 単 な 単 相 三 相 変 換 回 路 は, 図 1(a)に 示 すダイオード 整<br />

流 器 と 三 相 電 圧 形 インバータから 成 る 回 路 である。しかし,<br />

図 1(a)では 入 力 電 流 に 多 くの 高 調 波 が 含 まれるため, 高 調 波<br />

規 制 を 満 足 できない。そこで, 図 1(b)のように 力 率 改 善 形 回<br />

路 として 昇 圧 チョッパを 付 加 する 回 路 も 良 く 使 用 される。<br />

この 回 路 では 昇 圧 チョッパを 付 加 したことにより, 入 力 電<br />

流 は 正 弦 波 化 できるが, 装 置 の 大 型 化 や 損 失 の 増 加 が 問 題<br />

となる。どちらの 回 路 も, 直 流 中 間 に 後 述 する 電 力 脈 動 を<br />

吸 収 するため, 大 容 量 の 電 解 コンデンサが 必 要 となる。<br />

〈2・2〉 提 案 回 路<br />

図 2 に 提 案 システムのブロック 図 を 示 す。 提 案 システム<br />

は, 単 相 電 流 形 整 流 器 と 三 相 電 圧 形 インバータの 直 流 部 に,<br />

コンデンサとスイッチによるバッファ 回 路 を 接 続 した 構 成<br />

である。 入 力 部 にスイッチング 周 波 数 の 高 調 波 を 除 去 する<br />

フィルタは 必 要 であるが, 図 1(b)の 昇 圧 リアクトルほど 大 型<br />

化 しない。 提 案 回 路 では,バッファ 回 路 にてアクティブに<br />

脈 動 電 力 を 吸 収 する。 例 えば, 図 1(a)において 単 相 入 力 100<br />

V の 場 合 , 直 流 部 の 電 圧 リプル 率 を 5 % 以 下 に 抑 えるため<br />

のコンデンサ 容 量 と 比 較 すると, 約 1/60 程 度 の 容 量 まで 削<br />

減 できる。<br />

図 3 に 提 案 システムの 主 回 路 図 を 示 す。 多 くの 単 相 用 途<br />

では, 電 力 を 回 生 する 必 要 がないため, 整 流 器 側 はダイオ<br />

ード 整 流 器 で 構 成 することができ, 低 コスト 化 が 可 能 とな<br />

る。また,インダイレクトマトリックスコンバータと 同 様<br />

に,ゼロ 電 圧 期 間 中 にバッファ 回 路 のスイッチ S buf がスイッ<br />

チングするため,S buf はゼロ 電 圧 スイッチングとなり,スイ<br />

ッチング 損 失 が 発 生 しない。また,ダイオード 整 流 器 にお<br />

ける 逆 回 復 損 失 も 発 生 せず, 高 効 率 化 が 望 める。<br />

3. 制 御 原 理<br />

〈3・1〉 電 力 脈 動 の 補 償 原 理<br />

図 4 に 入 力 電 圧 と 電 流 がそれぞれ 正 弦 波 で, 対 称 三 相 負<br />

荷 に 電 力 を 供 給 したときの 入 力 電 力 と 出 力 電 力 ,およびそ<br />

の 差 分 電 力 (=バッファに 出 入 りする 電 力 )の 関 係 図 を 示 す。<br />

入 力 力 率 1 の 条 件 では, 瞬 時 入 力 電 力 p in は(1) 式 で 表 せる。<br />

p = V I sin<br />

2 ωt<br />

in<br />

IN<br />

IN<br />

( )<br />

1 1<br />

= VIN<br />

I<br />

IN<br />

− VIN<br />

I<br />

IN<br />

cos(2ωt)<br />

································(1)<br />

2 2<br />

ただし,V IN は 入 力 電 圧 最 大 値 ,I IN は 入 力 電 流 最 大 値 ,ω<br />

は 電 源 角 周 波 数 である。(1) 式 から 明 らかなように, 入 力 電<br />

力 は 電 源 周 波 数 の 2 倍 で 脈 動 する。 一 方 , 出 力 側 は 三 相 平<br />

衡 負 荷 であれば, 負 荷 電 力 が 一 定 であるから, 入 力 電 力 の<br />

脈 動 を 打 ち 消 すためには,バッファ 瞬 時 電 力 p buf は(2) 式 で 制<br />

御 すればよい。<br />

p<br />

buf<br />

1<br />

= VIN<br />

I<br />

IN<br />

cos( 2ωt<br />

) ··············································(2)<br />

2<br />

Single<br />

phase<br />

Rectifier<br />

Inverter<br />

(a) Diode rectifier & Inverter type.<br />

Rectifier Boost chopper Inverter<br />

(b) Diode rectifier & Boost chopper & Inverter type.<br />

AC/DC<br />

converter<br />

(Current source<br />

rectifier)<br />

図 1 従 来 回 路<br />

Fig. 1. Conventional Circuit.<br />

Energy Flow<br />

Buffer circuit<br />

DC/AC<br />

converter<br />

(Voltage source<br />

inverter)<br />

Energy Flow<br />

図 2 提 案 するシステム 図<br />

Fig. 2. Block diagram of proposed system.<br />

図 3 提 案 回 路<br />

Fig. 3. Proposed circuit with single switch in buffer.<br />

図 4 電 力 脈 動 の 補 償 原 理<br />

Fig. 4. Compensation principle of power ripple.<br />

M<br />

M<br />

M<br />

Three<br />

phase<br />

(2) 式 から 明 らかなように,バッファはエネルギーを 充 放<br />

電 するだけで, 平 均 電 力 はゼロとなるのでバッファにはコ<br />

ンデンサが 使 用 できる。この 結 果 , 瞬 時 出 力 電 力 p out は,(3)<br />

式 となり, 入 力 電 力 の 平 均 値 で 一 定 となる。<br />

p<br />

out<br />

1<br />

= VIN<br />

I<br />

IN<br />

·····························································(3)<br />

2<br />

2/6


〈3・2〉 制 御 方 法<br />

図 5 に 提 案 システムの 等 価 回 路 を 示 す。 提 案 回 路 は S buf<br />

によりインバータの 入 力 電 流 をコンデンサと 整 流 器 に 振 り<br />

分 ける。ただし,ゼロ 電 流 期 間 (インバータのゼロ 電 圧 ベ<br />

クトル 出 力 期 間 )が 存 在 するので, 図 5 のような 等 価 回 路<br />

が 得 られる。i rec は 整 流 した 入 力 電 流 ,i c はコンデンサ 電 流 ,<br />

i z はゼロ 相 電 流 である。 等 価 回 路 のスイッチ S REC ,S C ,S Z の<br />

デューティをそれぞれ d REC , d C , d Z とすると, 電 流 方 程 式 は(4)<br />

式 となる。<br />

⎡irec<br />

⎤ ⎡d<br />

REC ⎤<br />

⎢ ⎥ ⎢ ⎥ ·········································· (4)<br />

⎢<br />

ic<br />

⎥<br />

=<br />

⎢<br />

dC<br />

⎥<br />

⋅ I<br />

dc<br />

⎢<br />

⎣ i ⎥ ⎢<br />

z ⎦ ⎣ d ⎥<br />

Z ⎦<br />

また,I dc は 連 続 電 流 なので(5) 式 が 成 立 する。<br />

d<br />

REC<br />

+ dC<br />

+ d<br />

Z<br />

= 1 ·········································· (5)<br />

入 力 電 流 を 正 弦 波 にするには,i rec は(6) 式 となればよく,<br />

(4) 式 より d REC は(7) 式 で 制 御 すればよい。<br />

i = I sin( ωt)<br />

··········································· (6)<br />

rec<br />

m<br />

I<br />

m<br />

d<br />

REC<br />

= sin( ωt)<br />

······································· (7)<br />

I<br />

dc<br />

一 方 ,d C は,(2) 式 により 生 じる 電 力 脈 動 を 打 ち 消 すよう<br />

に 制 御 する。つまり,コンデンサの 瞬 時 電 力 と 脈 動 電 力 が<br />

一 致 すればよいので,このとき i c は(8) 式 にて 求 められる。<br />

VmI<br />

m<br />

ic<br />

= cos(2ωt)<br />

······································· (8)<br />

2V<br />

C<br />

i c は 正 負 となるが,I dc を 一 方 向 の 直 流 と 仮 定 すると,i c を<br />

負 に 制 御 できない。そこで,i c が 負 の 期 間 は I dc を 逆 方 向 に<br />

流 すようにインバータを 制 御 する。その 結 果 ,スイッチ S c<br />

のデューティは(9) 式 で 制 御 できる。<br />

VmI<br />

m<br />

dC<br />

= cos(2ωt)<br />

····································· (9)<br />

2V<br />

C<br />

I<br />

dc<br />

最 後 に,d Z は,(5) 式 より(10) 式 となる。<br />

d<br />

Z<br />

=1 − dC<br />

− d<br />

REC ········································· (10)<br />

ところで, 電 圧 利 用 率 を 最 大 にするには,ゼロ 電 圧 期 間<br />

が 短 い 方 が 望 ましい。よって,d Z =0 とすれば,(7),(9),(10)<br />

より,(11) 式 が 得 られる。<br />

I<br />

m<br />

2V<br />

C<br />

= ············································ (11)<br />

I<br />

dc 2 VC<br />

+ Vm<br />

電 圧 利 用 率 最 大 の 観 点 から, 最 終 的 に d REC と d C は,(7) 式 ,<br />

(9) 式 および(11) 式 から(12) 式 で 制 御 する。<br />

⎧ 2V<br />

C<br />

⎪dREC<br />

= sin( ωt)<br />

2V<br />

C<br />

+ Vm<br />

⎨<br />

······························· (12)<br />

⎪ Vm<br />

dC<br />

= cos(2ωt)<br />

⎪<br />

⎩ 2V<br />

C<br />

+ Vm<br />

〈3・3〉 電 圧 利 用 率<br />

脈 動 補 償 を 行 った 場 合 , 直 流 中 間 電 圧 Vdc と 直 流 中 間 電 流<br />

Idc は 電 力 一 定 となるので,Vdc は(13) 式 により 求 められる。<br />

1<br />

I<br />

dcVdc<br />

= VmI<br />

m<br />

2<br />

······································ (13)<br />

VC<br />

Vdc<br />

= Vm<br />

2V<br />

+ V<br />

C<br />

m<br />

図 7 に,Vm=141[V]の 場 合 の(13) 式 により 求 めたコンデン<br />

サ 電 圧 と 直 流 電 圧 の 関 係 を 示 す。VC を 無 限 大 にしても 最 大<br />

値 は Vm /2 となり, 電 圧 利 用 率 は 1/2 以 下 となる。<br />

〈3・4〉 パルスの 生 成 法<br />

図 7 に, 各 デューティ 比 に 応 じたパルスを 得 る 方 法 を 示<br />

す。 独 立 変 数 が 二 つあるので 2 つの 指 令 値 が 必 要 である。<br />

三 角 波 比 較 法 により 所 望 のパルスを 得 るには, 指 令 値 は d REC<br />

と(d REC +d Z )とすればよい。 三 角 波 と d REC を 比 較 して 得 られ<br />

たパルス s REC を,(d REC +d Z )と 比 較 して 得 られたパルスを<br />

s RECZ とすれば,d C ,d Z に 対 応 するするパルス s C ,s Z は(14)<br />

式 にて 得 られる。<br />

⎪⎧<br />

sC<br />

= sRECZ<br />

⎨<br />

⎪⎩ sZ<br />

= s ⋅<br />

REC<br />

s<br />

図 5 提 案 システムの 等 価 回 路<br />

Fig. 5. Equivalent circuit of proposed system.<br />

60<br />

40<br />

20<br />

RECZ<br />

·········································· (14)<br />

インバータのゼロ 電 圧 を 確 実 に 発 生 させるため,S Z がオ<br />

ンの 期 間 , 図 7 で 示 すようにインバータのキャリアを1も<br />

しくは 0 に 設 定 する。また, 入 力 電 圧 と,コンデンサ 電 圧<br />

が 異 なるため, 同 じ 出 力 電 圧 を 得 るにはキャリアの 傾 き 電<br />

圧 比 に 応 じて 変 化 させ,パルスの 幅 を 調 節 する。その 結 果 ,<br />

インバータキャリアは 図 7 のような 変 形 した 台 形 波 となる。<br />

一 方 ,インバータの 電 圧 指 令 は 従 来 の 3 相 インバータの<br />

電 圧 指 令 と 同 様 , 三 相 電 圧 の 指 令 値 をキャリアと 比 較 して<br />

得 る。ただし,(9) 式 の i c が 負 の 期 間 に 対 応 するため,i c が 負<br />

の 期 間 のみ,S C がオン 時 にインバータ 指 令 を 反 転 する。<br />

図 3 に 示 す 提 案 回 路 では,バッファのスイッチ S buf とイン<br />

バータのゼロ 電 圧 期 間 S zt を 利 用 し,バッファのスイッチ1<br />

つで 制 御 を 行 う。そのため,コンデンサ 電 圧 は 入 力 電 圧 よ<br />

り 高 く 制 御 する。コンデンサ 電 圧 が 入 力 電 圧 より 高 ければ,<br />

S buf がオン 時 ,i c が 流 れ,S buf がオフ 時 に i rec からインバータ<br />

に 電 流 が 流 入 する。しかし,ゼロ 電 圧 期 間 S Z は,S buf がオン<br />

していてもコンデンサ 電 流 i c は 流 れないので, sbuf<br />

≠ sC<br />

であ<br />

ることに 注 意 が 必 要 である。 以 上 をまとめると,s REC と s C<br />

は s buf の 関 係 は(15) 式 にて 表 される。<br />

Controllable<br />

area<br />

0 141 300 450 600 750<br />

Capacitor voltage V<br />

図 6 コンデンサ 電 圧 と 直 流 電 圧 の 関 係 図<br />

Fig. 6. Relation between capacitor voltage and direct<br />

voltage.<br />

3/6


⎪<br />

⎧sREC<br />

= sbuf<br />

⎨ ················································ (15)<br />

⎪⎩<br />

sC<br />

= sbuf<br />

sz<br />

よって,s buf は(16) 式 で 求 められる。<br />

s<br />

buf<br />

= s REC ················································· (16)<br />

図 8 に 制 御 方 法 をまとめたブロック 図 を 示 す。 制 御 は,<br />

入 力 の 電 源 位 相 と 入 力 電 圧 の 大 きさ V m ,コンデンサ 電 圧 V C<br />

から, 各 デューティ 指 令 をもとめる。その 後 ,キャリアと<br />

比 較 し, 対 応 するスイッチングパルス s REC , s Z ,s C を 得 る。イ<br />

ンバータキャリアは s REC , s Z ,s C の 信 号 に 応 じてカウントダウ<br />

ン, 停 止 ,カウントアップを 行 い, 変 形 台 形 波 を 生 成 する。<br />

また,s buf のパルスは s REC を 反 転 することで 得 られる。<br />

4. コンデンサ 容 量 の 検 討 と 性 能 改 善<br />

〈4・1〉 所 要 コンデンサ 容 量 の 導 出<br />

電 力 脈 動 を 補 償 するために 必 要 なコンデンサの 容 量 は,<br />

補 償 する 電 力 量 とコンデンサの 許 容 可 能 な 変 動 電 圧 分 によ<br />

り 求 められる。 電 力 脈 動 の 補 償 に 必 要 な 電 力 量 W c は, 電 力<br />

脈 動 の 半 周 期 分 あればよいので,(17) 式 より 得 られる。<br />

W<br />

C<br />

= V<br />

I<br />

1<br />

4 f<br />

IN IN<br />

0<br />

VIN<br />

I<br />

IN<br />

Pout<br />

= =<br />

2ω<br />

ω<br />

∫<br />

sin<br />

( 2ωt<br />

)<br />

dt<br />

····························· (17)<br />

また,コンデンサの 電 力 量 はコンデンサの 電 力 と 電 圧 の<br />

関 係 から(18) 式 にて 求 められる。<br />

1<br />

2 1<br />

2<br />

WC<br />

= CVC<br />

max<br />

− CVC<br />

min ························ (18)<br />

2 2<br />

ただし Vc max は 許 容 可 能 な 電 圧 変 動 の 最 高 値 を,Vc min は 最<br />

低 値 を 表 す。(17) 式 と(18) 式 より 必 要 なコンデンサの 容 量 は,<br />

(19) 式 となる。<br />

2W<br />

C<br />

C =<br />

2<br />

2 ······································ (19)<br />

V −V<br />

C max<br />

C min<br />

図 9 に 例 として,Vc max を 400 V,Vc min を 150 V とした 場<br />

合 の 出 力 電 力 とコンデンサ 容 量 の 関 係 を 示 す。これより,1<br />

kW 出 力 の 必 要 コンデンサ 容 量 は 46.3 μF となり, 小 容 量 の<br />

フィルムコンデンサで 電 力 脈 動 を 補 償 可 能 である。<br />

次 に 補 償 時 のコンデンサ 電 圧 を 求 める。コンデンサ 電 力<br />

量 W com は(2) 式 (3) 式 を 積 分 して,(20) 式 より 得 られる。<br />

Pout<br />

Wcom<br />

= Wpri<br />

− sin(2ωt)<br />

································ (20)<br />

2ω<br />

ただし,W pri は 初 期 (t=0)のコンデンサ 電 力 量 であり,コンデ<br />

ンサの 平 均 電 圧 を V buf0 とすれば,(21) 式 となる。<br />

1 2<br />

W<br />

pri<br />

= CV buf 0 ··········································· (21)<br />

2<br />

よって,コンデンサ 電 圧 v buf は,(22) 式 にて 求 められる。<br />

1 2<br />

2<br />

buf<br />

buf 0<br />

−<br />

Cv<br />

2<br />

v<br />

buf<br />

1<br />

= CV<br />

2<br />

Pout<br />

sin(2ωt)<br />

2ω<br />

2 pout<br />

= Vbuf<br />

0<br />

− sin(2ωt)<br />

························· (22)<br />

ωC<br />

+<br />

1<br />

0<br />

1<br />

Vu*<br />

Vv*<br />

Inverter side<br />

carrier<br />

Vw*<br />

0<br />

Inverted commands<br />

Vw*<br />

Vv*<br />

Vu*<br />

Zero voltage<br />

area<br />

Inverted commands<br />

Zero voltage<br />

area<br />

図 7 デューティとインバータキャリア・ 指 令 値 の 関 係<br />

Fig. 7. Relationship of Duty commands and<br />

inverter side carrier and inverter commands.<br />

80<br />

60<br />

40<br />

20<br />

Capacitance of buffer uF100<br />

46.3[uF]<br />

図 8 制 御 ブロック 図<br />

Fig. 8. Control block diagrams.<br />

0 500 1000 1500 2000<br />

Output power W<br />

図 9 必 要 コンデンサ 容 量 と 出 力 電 圧 の 関 係<br />

(Vc max =300 V, Vc min =150 V 時 )<br />

Fig. 9. Relationship between necessary capacitor and output<br />

voltage. When Vc max =300 V and Vc min =150 V.<br />

4/6


〈4・2〉 コンデンサ 電 圧 制 御 による 性 能 改 善<br />

実 際 には 提 案 回 路 はインバータのデッドタイムによりゼ<br />

ロ 電 圧 ベクトルの 長 さが 変 化 し, 十 分 な 補 償 効 果 が 得 られ<br />

ない。 入 力 電 流 を 正 弦 波 と 仮 定 した 場 合 ,コンデンサ 電 圧<br />

が 理 論 値 と 一 致 すればデッドタイムの 影 響 を 除 去 できたこ<br />

とになる。そこで,PI 制 御 を 用 いて, 理 論 式 と 実 際 のコン<br />

デンサ 電 圧 の 偏 差 がゼロになるように 制 御 することで, 制<br />

御 誤 差 による 影 響 を 抑 制 する。<br />

(22) 式 によって 求 めたコンデンサ 電 圧 指 令 値 と, 検 出 した<br />

コンデンサ 電 圧 を 比 較 し,PI 調 節 器 に 入 力 し,(12) 式 にて 求<br />

めた d C に 加 算 する。<br />

5. シミュレーション 結 果<br />

提 案 回 路 の 動 作 を 確 認 するため,シミュレーションによ<br />

る 検 証 を 行 った。 表 1 にシミュレーション 条 件 を 示 す。こ<br />

こで,コンデンサ 容 量 は 50 uF とし,コンデンサ 電 圧 制 御<br />

を 行 った。(22) 式 より,この 条 件 におけるコンデンサの 最 高<br />

値 は 392 V, 最 低 値 は 163 V となる。ただし, 転 流 は 理 想 転<br />

流 とし,デッドタイムは 付 加 していない。<br />

図 10 にシミュレーション 結 果 を 示 す。 波 形 は 上 から 入 力<br />

電 圧 v in ,1 次 の 観 測 用 ローパスフィルタ(LPF)(カットオフ 周<br />

波 数 1kHz)を 介 した 入 力 電 流 i in(LPF) ,コンデンサ 電 圧 v c ,<br />

U-V 間 出 力 線 間 電 圧 v uv ,および LPF を 介 した U-V 間 出 力 線<br />

間 電 圧 v uv(LPF), U 相 出 力 電 流 i u ,である。 結 果 より,コンデン<br />

サ 電 圧 は 理 論 値 通 り 振 動 しており, 良 好 な 制 御 が 行 われて<br />

いることがわかる。また, 入 力 電 流 , 出 力 電 圧 ともに 正 弦<br />

波 状 となり, 電 力 脈 動 を 補 償 できていいることがわかる。<br />

図 11 に 定 常 状 態 における 入 力 電 流 と 出 力 線 間 電 圧 の 高 調<br />

波 解 析 結 果 を 示 す。 結 果 より 1 kHz 以 下 の 総 合 ひずみ 率 は,<br />

入 力 電 流 , 出 力 線 間 電 圧 ともに 2 % 以 下 であり, 理 論 の 妥 当<br />

性 が 確 認 できる。<br />

6. 実 験 結 果<br />

本 論 文 で 提 案 する 回 路 とその 制 御 方 式 を 確 認 するため,<br />

実 際 に 定 格 1 kW の 試 作 機 を 製 作 し 実 験 を 行 った。 実 験 パラ<br />

メータはシミュレーション 同 様 であり, 表 1に 示 したとお<br />

りである。 出 力 には R-L 負 荷 を 接 続 した。ただし, 実 験 で<br />

はインバータ 部 にデッドタイム 3 μs を 付 加 している。<br />

図 12 に, 従 来 回 路 図 1(a)において 直 流 中 間 コンデンサを<br />

小 容 量 の 50 μF とした 場 合 の 実 験 結 果 を 示 す。 波 形 は 上 から<br />

入 力 電 圧 v in , 入 力 電 流 i in ,U-V 間 出 力 線 間 電 圧 v uv ,U 相 出<br />

力 電 流 i u である。 実 験 結 果 より, 入 力 電 圧 がゼロクロス 時<br />

に 出 力 電 圧 , 電 流 波 形 が 大 きく 歪 み, 電 力 脈 動 の 影 響 が 発<br />

生 していることがわかる。<br />

図 13 に, 提 案 回 路 の 基 本 的 な 動 作 の 確 認 のため,バッフ<br />

ァには 直 流 電 源 を 用 い,コンデンサ 電 圧 一 定 の 場 合 の 実 験<br />

を 行 った 際 の 動 作 波 形 を 示 す。 実 験 結 果 より,デッドタイ<br />

ム 誤 差 による 歪 みが 残 るものの,シミュレーションとほぼ<br />

同 等 の 波 形 がえられている。また, 従 来 回 路 で 発 生 してい<br />

た 出 力 波 形 のひずみは,バッファで 補 償 され, 電 力 脈 動 は<br />

vin<br />

V<br />

iin (LPF)<br />

A<br />

vC<br />

V<br />

vuv<br />

V<br />

vuv (LPF)<br />

V<br />

iu<br />

A<br />

100<br />

0<br />

-100<br />

15<br />

0<br />

-15<br />

450<br />

300<br />

150<br />

300<br />

0<br />

-300<br />

75<br />

0<br />

-75<br />

20<br />

0<br />

-20<br />

100%<br />

1%<br />

0.01%<br />

100%<br />

1%<br />

0.01%<br />

0 25 50 75 100<br />

Time ms<br />

図 10 シミュレーション 結 果<br />

Fig. 10. Simulation results.<br />

0 200 400 600 800 1000<br />

Frequency [Hz]<br />

図 11 高 調 波 解 析 結 果<br />

Fig. 11.harmonic analysis results.<br />

表 1 シミュレーション・ 実 験 パラメータ<br />

Table 1. Simulation parameters.<br />

Input voltage<br />

100 V<br />

Input frequency<br />

50 Hz<br />

Output frequency<br />

30 Hz<br />

Output R-load<br />

1 Ω<br />

Output L-load<br />

Output power<br />

Buffer capacitor<br />

1 mH<br />

1 kW<br />

50 μF<br />

発 生 していない。さらに, 入 力 電 流 も 良 好 な 波 形 が 得 られ<br />

ていることから, 制 御 方 式 の 妥 当 性 が 確 認 できる。また,<br />

このときの 入 力 電 流 ひずみ 率 (THD)は 6.7 %, 出 力 電 圧 THD<br />

5/6


図 12 実 験 結 果 ( 従 来 回 路 )<br />

Fig. 12.Experiment results. (Conventional Circuit)<br />

(a) 入 出 力 波 形<br />

図 13 実 験 結 果 (コンデンサ 電 圧 一 定 )<br />

Fig. 13. Experiment results.<br />

(Capacitor voltage constant)<br />

は 18.6 %, 出 力 電 流 THD は 11.8 %となった。<br />

図 14 に,コンデンサ 電 圧 を 変 動 させた 場 合 の 実 験 結 果 を<br />

示 す。コンデンサ 容 量 は 50 μF を 用 いた。 図 14(a)より, 入<br />

力 電 圧 と 入 力 電 流 の 位 相 は,ほぼ 一 致 しており, 力 率 1の<br />

正 弦 波 の 電 流 が 得 られている。また, 出 力 電 圧 波 形 , 出 力<br />

電 流 波 形 は,シミュレーションとほぼ 一 致 し, 電 力 脈 動 が<br />

抑 制 されていることを 確 認 している。 加 えて 図 14(b)より,<br />

コンデンサ 電 圧 は 制 御 範 囲 内 で 振 動 しており, 安 定 して 制<br />

御 が 行 われていることがわかる。<br />

7. まとめ<br />

本 論 文 では, 電 力 脈 動 をアクティブに 吸 収 する 単 相 - 三 相<br />

電 力 変 換 器 を 提 案 した。 提 案 回 路 は, 力 率 改 善 形 回 路 を 付<br />

加 した 従 来 回 路 に 比 べ, 小 型 化 や 高 効 率 化 ,コストの 面 で<br />

有 利 である。その 基 本 動 作 をシミュレーションにより 確 認<br />

した。また, 試 作 機 を 製 作 し 実 験 により 動 作 検 証 を 行 った。<br />

その 結 果 ,1 kW の 電 力 脈 動 を 50 uF のコンデンサで 補 償 で<br />

きることを 確 認 し, 提 案 システムの 有 用 性 を 確 認 した。 今<br />

後 は, 波 形 改 善 のため 電 圧 誤 差 の 補 償 法 や, 動 特 性 , 静 特<br />

性 を 取 得 し, 提 案 回 路 の 特 徴 を 明 らかにしていく。さらに,<br />

従 来 方 式 と 変 換 効 率 や 体 積 の 比 較 を 行 う 予 定 である。<br />

(b) 入 力 波 形 とコンデンサ 電 圧 波 形<br />

図 14 提 案 回 路 の 実 験 結 果<br />

Fig. 14. Experiment results. (Proposed circuit)<br />

文<br />

(1) 芳 賀 ・ 高 橋 ・ 大 石 :「 高 入 力 力 率 を 実 現 する 単 相 - 三 相 マトリックス<br />

コンバータの 一 制 御 法 」 電 学 論 D,Vol.124,No.5,pp.510-516(2004)<br />

(2) 斎 藤 :「 単 相 / 三 相 マトリックスコンバータによる 誘 導 機 のベクトル<br />

制 御 」 平 成 19 年 電 気 学 会 産 業 応 用 部 門 大 会 ,pp.I-103 - I-108(2007)<br />

(3) 加 藤 ・ 伊 東 :「 直 接 形 電 力 変 換 器 を 用 いたマルチ 電 源 連 系 システムの<br />

一 制 御 法 」 半 導 体 電 力 変 換 研 究 会 ,SPC-08-11(2008)<br />

(4) 北 野 ・ 松 井 :「DC アクティブフィルタ 機 能 を 備 えた 単 相 PWM コン<br />

バータのコンデンサ 容 量 低 減 」 平 成 8 年 電 気 学 会 全 国 大 会 ,<br />

No.715,pp4-10(1996)<br />

(5) 伊 東 ・ 佐 藤 ・ 大 口 ・ 佐 藤 ・ 小 高 ・ 江 口 :「キャリア 比 較 方 式 を 用 いた<br />

仮 想 AC/DC/AC 変 換 方 式 によるマトリックスコンバータの 制 御 法 」<br />

電 学 論 D,Vol.124,No.5,pp.457-463(2004)<br />

(6) 小 高 ・ 佐 藤 ・ 大 口 ・ 玉 井 ・ 美 根 ・ 伊 東 :「 仮 想 AC/DC/AC 変 換 方 式<br />

に 基 づいたマトリックスコンバータの PAM 制 御 法 」, 電 学 論 D,<br />

Vol.126,No.9,pp.1185-1192(2006)<br />

(7) Thiwanka Wijekoon, Christian Klumpner, Patric Wheeler: “Improvement<br />

of output voltage capability of a two stage direct power converter under<br />

unbalanced input voltage”, EPE2005, No.597, (2005 )<br />

(8) Lixiang Wei, Thomas A.Lipo: “Investigation of 9-switch Dual-bridge<br />

Matrix Converter Operating under Low Output Power Factor”, IEEE<br />

Industry Applications Society IAS’03,pp.176-181 (2005 )<br />

(9) 大 沼 ・ 伊 東 :「アクティブスナバを 利 用 した 単 相 - 三 相 電 力 変 換 器 の<br />

制 御 法 」 平 成 20 年 電 気 学 会 産 業 応 用 部 門 大 会 ,pp.I-155 -<br />

I-158(2008)<br />

(10) 大 沼 ・ 伊 東 :「アクティブバッファを 用 いた 単 相 三 相 電 力 変 換 回 路 の<br />

簡 単 化 」 平 成 20 年 度 電 気 関 係 学 会 北 陸 支 部 連 合 大 会 ,pp.A-65(2008)<br />

献<br />

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