12.07.2015 Views

地上デジタル放送受信用簡易アダプティブアンテナの開発 - 放送文化基金

地上デジタル放送受信用簡易アダプティブアンテナの開発 - 放送文化基金

地上デジタル放送受信用簡易アダプティブアンテナの開発 - 放送文化基金

SHOW MORE
SHOW LESS
  • No tags were found...

Create successful ePaper yourself

Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.

放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )地 上 デジタル 放 送 受 信 用 簡 易 アダプティブアンテナの 開 発代 表 研 究 者 桑 原 義 彦 静 岡 大 学 工 学 部 教 授目 的携 帯 電 話 やカーナビなど 移 動 する 状 況 で 地 上 デジタル 放 送 を 受 信 しても 受 信 が 途 切 れにくい 小 型 ・ 低 コスト・ 低 消 費 電 力 受 信 機 を 開 発 する。キーとなる 技 術 はアダプティブアンテナであるが, 従 来 の 技 術 ではアンテナ 数 だけ 受 信 系 が 必 要 で,ハードウェア 規 模 ・ 消 費電 力 が 大 きかった。 本 研 究 では 受 信 系 が 1 のアダプティブアンテナを 開 発 し,フィールド評 価 によってその 有 効 性 を 確 認 する。1. はじめに地 上 デジタル 放 送 を 移 動 体 で 視 聴 する 場 合 ,フェージングにより 受 信 電 界 が 激 しく 変 化する[1].このため, 自 動 車 に 搭 載 されるチューナーにはダイバーシチ 受 信 が 必 須 であり,特 にハイビジョン 放 送 受 信 のチューナーでは 高 い CNR を 確 保 するため,デジタルビームフォーミング(DBF)による 位 相 合 成 ダイバーシチが 用 いられている.DBF による 位 相 合 成 ダイバーシチでは 受 信 器 がアンテナの 数 だけ 必 要 となるため, 自 動車 用 のチューナーは 家 庭 用 のチューナーと 比 較 すると 3〜4 倍 の 価 格 で 市 販 されている.また,ノート PC などモバイル 機 器 に DBF を 搭 載 する 場 合 , 消 費 電 力 が 大 きくなって 視 聴 時間 が 短 くなる 問 題 がある.さらに, 位 相 合 成 ダイバーシチではガードインターバル(GI)を 超える 遅 延 波 が 入 射 すると 受 信 率 が 著 しく 劣 化 する.研 究 代 表 者 は 受 信 系 統 が 1 つで 済 む, 負 荷 反 射 電 流 制 御 型 アダプティブアンテナを 提 案 し[2],これを 移 動 体 での FM 多 重 放 送 受 信 に 適 用 して 走 行 実 験 を 行 い, 受 信 品 質 の 飛 躍 的 な向 上 を 確 認 した[3]. 負 荷 反 射 電 流 制 御 型 アダプティブアンテナでは 方 向 性 結 合 器 により 反射 電 流 を 取 り 出 しているため 狭 帯 域 である.このため 比 帯 域 が 50% 近 い 地 上 デジタル 放 送の 受 信 にそのまま 適 用 することは 困 難 である.そこで,470〜890MHz の 広 帯 域 移 相 器 が 市 販 されている[4]ことに 着 目 し,アナログ 位 相制 御 のフェーズドアレーでアンテナハードウェアを 構 成 する. 位 相 制 御 の 規 範 は 位 相 合 成ダイバーシチとして GI 区 間 の 平 均 受 信 電 力 ,マルチパス 除 去 として GI と GI のコピー 元との 相 関 [5]を 利 用 する.フェーズドアレーでは 各 放 射 素 子 での 受 信 信 号 を 個 々に 観 測 することはできないので, 適 応 ビーム 形 成 のための 位 相 設 定 はシンプレックス 法 などのブラインドアルゴリズム[6]を 用 いる.本 報 告 では 最 初 にシステムの 動 作 原 理 を 簡 単 に 説 明 する. 続 いて 移 動 通 信 環 境 モデルを 設定 し,アナログ 位 相 制 御 の 3 素 子 円 形 配 列 フェーズドアレーアンテナのダイバーシチ 利 得を 計 算 機 シミュレーションによって 検 証 する.そして, 広 帯 域 移 相 器 を 使 った 給 電 回 路 ,1チャネル 受 信 機 および PC のオフライン 制 御 から 成 る 試 作 システムを 紹 介 し, 電 波 暗 室 とフィールドでの 定 点 測 定 結 果 について 紹 介 する.2. アナログ 位 相 制 御 フェーズドアレー2.1 構 成図 1 に 提 案 のアダプティブアンテナの 構 成 を 示 す.アンテナで 受 信 された 信 号 は LNA で増 幅 され,アナログ 移 相 器 で 位 相 制 御 され, 演 算 増 幅 器 を 用 いた 合 成 器 で 合 成 される.フェージング 環 境 では 各 アンテナで 受 信 される 信 号 レベルが 刻 々 変 化 するため, 通 常 のウィルキンソン 型 合 成 器 は 使 用 できないからである. 合 成 器 の 出 力 は 受 信 機 で 復 調 され 次 節 で述 べる 評 価 関 数 を 最 適 化 する 移 相 器 の 制 御 電 圧 を 移 相 器 に 出 力 する.1


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )として 使 用 した 時 の 適 用 効 果 を 計 算 機 シミュレーションによって 評 価 した.3.1 シミュレーション 条 件シミュレーション 条 件 をまとめて 表 1 に 示 す. 各 アンテナには 独 立 したフェージングパターンで 信 号 が 到 来 するものとする.フレーム 構 成 は 計 算 時 間 を 短 縮 するためモード 1 としている. 最 適 化 アルゴリズムはシンプレックス 法 を 使 用 し, 評 価 関 数 を 10 回 使 った 時 点 で更 新 を 打 ち 切 り 初 期 化 する.また, 評 価 を 簡 単 にするため 誤 り 訂 正 は 行 っていない.3.2 シミュレーション図 3 は 2 ブランチダイバーシチの CN 比 対 BER 特 性 のシミュレーション 結 果 である. 評価 関 数 は GI 区 間 の 平 均 電 力 である. 位 相 制 御 はチャネルの 変 動 なるため,GI 区 間 で 位 相設 定 をしている. 比 較 のため 単 素 子 のアンテナ, 切 り 替 えダイバーシチのアンテナの 評 価結 果 も 併 せて 示 す.BER=10 -2 でのダイバーシチ 利 得 は, 提 案 の 位 相 合 成 ダイバーシチアンテナは 切 り 替 えダイバーシチアンテナと 比 較 し,fD=25Hz で 4dB,fD=50Hz で 3dB 改 善 する.表 1 シミュレーション 条 件図 3 2 ダイバーシチの BER図 4 は 3 ブランチダイバーシチの CN 比 対 BER 特 性 である.BER=10 -2 でのダイバーシチ 利 得 は, 提 案 の 位 相 合 成 ダイバーシチアンテナは 切 り 替 えダイバーシチアンテナと 比 較3


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )し,fD=25Hz,50Hz とも 5dB 改 善 する.図 5 は 2 ダイバーシチの 合 成 受 信 レベルで 横 軸 は 時 間 , 縦 軸 は 受 信 電 圧 である. 提 案 の位 相 合 成 ダイバーシチの 受 信 レベルは 平 均 的 にみると 選 択 ダイバーシチの 受 信 レベルより高 いことが 分 かる.シンプレックス 法 を 動 的 環 境 で 用 いるために 10 シンボルごとにシンプレックスを 初 期 化 している.シンプレックスの 次 元 は 2 ダイバーシチの 場 合 3 で, 初 期 化時 には 3 つのシンプレックスの 頂 点 での 評 価 関 数 の 値 を 求 める 必 要 がある.このため 実 際の 最 適 化 のための 繰 り 返 し 数 は 7 である.ときどきレベルが 落 ち 込 んでいるが,これは 最適 化 が 失 敗 したときである.図 4 3 ダイバーシチの BER2.521.5受 信 レベル10.5チャンネル1チャンネル2切 り 替 えダイバーシチアンテナ 効 果提 案 ダイバーシチアンテナ 効 果00.01 0.015 0.02 0.025 0.03 0.035時 間 (sec)図 5 2 ダイバーシチの 合 成 受 信 レベル図 6 は 平 均 電 力 の 算 出 に 用 いる 区 間 の 長 さを 変 えた 時 の 2 ダイバーシチの BER 特 性 である. 算 出 区 間 を GI の 1/2(64 サンプル),1/4(32 サンプル)としても BER はほとんど 変 化 しない.このことは,1 つの GI 区 間 で 移 相 器 を 複 数 回 設 定 できることを 示 唆 している.4


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )10 0 CN 比ダイバーシチを 行 わないアンテナ切 り 替 えダイバーシチアンテナ提 案 ダイバーシチアンテナ10 -1BER10 -210 -30 5 10 15 20 25 30図 6 平 均 電 力 算 出 区 間図 7 データ 区 間 で 位 相 器 を 制 御 した 時 の BER図 7 はデータ 区 間 で 移 相 器 を 制 御 したときの 2 ダイバーシチの BER 特 性 である.この 場合 , 提 案 方 式 では 改 善 が 認 められない. 地 上 デジタル 放 送 ではデータ 区 間 に 設 けたスキャタードパイロットシンボルによってチャネル 推 定 を 行 っているが, 移 相 器 の 制 御 によりチャネル 推 定 中 にチャネルの 不 連 続 が 発 生 する.このため,チャネル 推 定 が 正 常 に 行 われず、BER 特 性 が 劣 化 したと 考 えられる.4. フィールドにおける 受 信 状 況 の 測 定4.1 フィールド 受 信 状 況 測 定 システム地 上 デジタル 放 送 の 受 信 品 質 の 評 価 指 標 として 受 信 電 界 強 度 ,BER,MER がある. 現 在の 市 販 の 測 定 器 では, 受 信 電 界 強 度 は 比 較 的 短 時 間 (2,3 秒 )で 測 定 できるが,BER,MERは 計 測 に 数 10 秒 有 し, 車 両 に 搭 載 して 移 動 しながら 評 価 することは 困 難 である.これまで移 動 体 での 受 信 率 の 評 価 は, 車 載 モニターを 時 間 刻 印 しながら 録 画 し,GPS の 時 間 , 位 置情 報 と 照 合 して 手 動 で 解 析 しており, 非 常 に 手 間 がかかっていた.地 上 デジタル 放 送 では 受 信 状 況 が 劣 化 すると 画 面 フリーズするとともに 音 声 もストップする.そこで 音 声 の SNR を 検 出 し, 観 測 時 間 T のうち 一 定 SNR 以 上 の 音 声 が 存 在 する 時間 t を 測 定 し,tR = (4)Tを 受 信 率 R とする.われわれは, 受 信 電 界 強 度 , 受 信 率 R とともに GPS の 位 置 情 報 を 地図 にプロットする 図 8 の 測 定 システムを 構 築 した.図 8 フィールド 受 信 状 況 測 定 システム5


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )チューナーの 音 声 出 力 を PCMCIA の AD カードに 入 力 して AD 変 換 して PC にて 受 信 率 を測 定 する.レベルメータで 受 信 電 界 強 度 を 測 定 しその 結 果 を PC にシリアルケーブルを 介 し伝 送 する.さらに,GPS の 緯 度 , 経 度 データを PC に 伝 送 する.PC ではこれらのデータを統 合 し, 地 図 ソフトを 使 って 測 定 結 果 を 表 示 する.われわれの 興 味 は 不 感 地 域 の 発 生 の 原 因 である. 電 界 強 度 が 強 いにもかかわらず 受 信 率 が低 い 場 合 ,GI を 超 えるマルチパスが 発 生 しており,アダプティブアンテナが 必 要 な 状 況 となる.4.2 フィールドにおける 受 信 状 況 測 定受 信 しにくいといわれている 神 奈 川 県 の 相 模 原 市 橋 本 を 起 点 とし,R16, R246 を 走 行 して 東 京 日 本 橋 まで 受 信 状 況 を 測 定 した. 図 9 は 相 模 原 駅 付 近 での 測 定 結 果 の 例 である. 駅入 り 口 から 東 側 で 受 信 電 界 が 40dBμV を 超 え,フルセグメントの 受 信 が 可 能 となる. 駅 入り 口 で 遅 延 プロファイルを 取 得 した.GI を 超 える 遅 延 波 も 存 在 するが,レベルは 非 常 に 小さい.この 地 域 の 受 信 状 況 が 良 好 でないのはマルチパスの 影 響 ではなく 受 信 電 界 が 低 いことが 原 因 である.R246 走 行 中 しばしば 受 信 率 が 悪 化 したが 受 信 率 の 悪 化 は 受 信 電 界 強 度 の 低 下 によるものがすべてであった.このルートでの GI をこえるマルチパスによる 受 信 率 の 劣 化 は 認 められなかった.このほか, 浜 松 市 内 でも 測 定 を 行 ったが GI をこえるマルチパスによる 受 信 率の 劣 化 は 認 められていない. 引 き 続 きいろいろな 地 域 で 調 査 する 計 画 であるが,これまでの 結 果 から GI をこえるマルチパスによる 受 信 率 の 劣 化 が 発 生 する 確 率 は 小 さいと 予 想 される.受 信 電 界 (dBμV)受 信 率 (フルセグメント)遅 延 プロファイル図 9 フィールドにおける 受 信 状 況6


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )5. 試 作 ・ 評 価5.1 試 作 システム電 波 暗 室 での 適 応 ビーム 形 成 ,フィールドでの 定 点 測 定 を 目 的 とした 評 価 用 フェーズドアレーを 試 作 した. 図 10 にその 系 統 を 示 す.アンテナは 図 11(a)に 示 すように 直 径 1m のアルミ 円 盤 の 上 に 市 販 の LNA 付 き 車 載 アンテナを 3 素 子 半 径 300mm の 円 周 上 に 等 間 隔 に 配 置 した.また,フィールド 評 価 では 図 11(b)に 示 すように, 市 販 の LNA 付 きフィルムアンテナをフロントガラスの 四 隅 に 貼 って 使 用 した.図 10 試 作 システム 系 統 図(a) 円 形 アレー(b) フィルムアンテナ図 11 アンテナ 素 子図 12 移 相 器7


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )図 13 電 力 合 成 器図 14 受 信 機移 相 器 は 市 販 の 電 圧 可 変 移 相 器 を 縦 属 接 続 して 作 成 した. 図 12 にその 外 観 と 電 圧 位 相 特性 の 一 例 を 示 す.470-770MHz にわたって 位 相 が 360° 連 続 可 変 できる.図 13 は 電 力 合 成 器 の 外 観 である. 各 素 子 で 受 信 するレベルの 異 なる 信 号 をベクトル 合 成 するため 高 速 オペアンプを 使 った 加 算 回 路 としている.図 14 はシングルスーパーヘテロダイン 方 式 の 受 信 機 で IQ 復 調 信 号 を 出 力 する. 制 御 機は PCI の AD/DA ボードを 実 装 した PC である.5.2 適 応 ビーム 形 成電 波 暗 室 で 図 11(a)のアンテナを 用 い 適 応 ビーム 形 成 を 行 った. 図 15(a)に 実 験 系 統 を 示 す.2 台 の SG を 同 期 させ, 同 一 の 動 画 データをタイミングを GI 長 だけずらし, 同 一 レベルで異 なった 方 向 から 送 信 する. 信 号 の 到 来 角 差 は 30°〜180°まで 30°おきに 設 定 する. 受 信 信号 を 3 分 岐 してチューナーで 映 像 をモニターするとともに,レベルメータで MER,BER,遅 延 プロファイルを 測 定 する.さらに,5.1 節 の 試 作 システムで 適 応 ビームを 形 成 させる.図 16 に 到 来 角 差 30°の 適 応 ビームパターンを 示 す. 測 定 周 波 数 は 473MHz(13ch),617(37ch),767MHz (62ch )である.いずれの 周 波 数 でも 一 方 の 到 来 方 向 に 明 瞭 なヌルが 形成 されている.いずれの 到 来 角 差 , 周 波 数 についても 明 瞭 なヌルが 形 成 されていることを確 認 した.(a) 実 験 系 統(b)アンテナ 配 置図 15 適 応 ビーム 形 成 実 験5.3 フィールド 測 定浜 松 市 内 で 定 点 評 価 を 行 った. 図 17(a)はその 様 子 である.この 地 点 では 図 17(b)に 示 すように GI 内 ではあるが 大 きなマルチパス(DUR=4.5dB)が 発 生 している.5.1 節 の 試 作 システ8


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )図 16 適 応 ビーム 測 定 結 果(a) 実 験 風 景適 応 ビーム 形 成 前 適 応 ビーム 形 成 後(b) 遅 延 プロファイル図 17 フィールドでの 定 点 測 定ムを 使 って 適 応 ビームを 形 成 させる.アンテナはフロントガラスに 張 り 付 けたフィルムアンテナである. 適 応 ビーム 形 成 により DUR が 16.9dB まで 向 上 した.図 18 は 最 適 化 アルゴリズムを 変 更 したときの 収 束 の 様 子 である.グラフの 上 は 移 相 器 の設 定 電 圧 , 下 は 評 価 関 数 値 である.シンプレックス 法 は 直 接 探 索 法 やパウエル 法 に 比 較 し,収 束 が 早 く,ロバストであることがわかる.9


放 送 文 化 基 金 『 研 究 報 告 』 平 成 18 年 度 助 成 ・ 援 助 分 ( 技 術 開 発 )6. 結 言アナログ 移 相 器 と 高 速 演 算 増 幅 器 で 給 電 回 路 を 構 成 したフェーズドアレーを 地 上 デジタル 放 送 受 信 のスマートアンテナに 適 用 した. 適 応 ビーム 形 成 はシンプレックス 法 を 用 いたブラインドアルゴリズムを 使 用 した. 評 価 関 数 を 変 えることで 位 相 合 成 ダイバーシチと 遅延 波 を 除 去 するアダプティブアンテナが 実 現 できる. 位 相 合 成 ダイバーシチのシミュレーションによれば,レイリーフェージング 環 境 で 切 り 替 えダイバーシチに 比 較 し,3〜5dB 高いダイバーシチ 利 得 が 得 られる.この 場 合 の 評 価 関 数 の 使 用 上 限 は 10 で 高 速 移 動 環 境 でも十 分 使 用 できる.移 動 しながら 地 上 デジタル 放 送 の 受 信 状 況 を 測 定 できる 測 定 システムを 構 築 し,フィールド 測 定 を 行 った. 今 のところ GI を 超 えるマルチパスの 発 生 による 受 信 障 害 は 観 測 されていない.提 案 システムを 試 作 し, 適 応 ビーム 形 成 ,フィールドでのマルチパス 除 去 効 果 を 確 認 した.今 後 , 走 行 実 験 に 耐 えられるリアルタイム 処 理 可 能 な 試 作 機 を 開 発 し, 評 価 していく 所 存である.参 考 文 献1) 奥 村 善 久 , 進 士 昌 明 ,“ 移 動 通 信 の 基 礎 ,” 電 子 情 報 通 信 学 会 ,1986.2) Y. Kuwahara, “The adaptive Antenna Using the Wave Reflected by the ReactanceLoad,” Proc. of IEEE 2007APS, pp.5869-5872, June 2007.3) 桑 原 義 彦 , 鈴 木 雄 将 , 浦 健 二 ,“FM 多 重 VICS 放 送 受 信 用 簡 易 型 アダプティブアンテナの 開 発 ,” 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 ,Vol.J91-B, No.1, pp.79-87, 2008.4) http://www.mkt-taisei.co.jp/pdf/microwave/02008-vvp_std.pdf.5) 浦 健 二 , 桑 原 義 彦 , 田 内 正 治 , 高 橋 昌 幸 , 今 村 豊 , 山 口 真 功 ,“ISDB 受 信 用 アナログ 位 相 制 御 型 アダプティブアンテナ,” 信 学 総 大 ,B-1-235, 2008.6) W. H. Press, “Numerical Recipes in C,” 技 術 評 論 社 1993.7) 島 村 徹 也 ,“デジタル 通 信 システムのための MATLAB プログラム 事 例 解 説 集 ,”トリケップス,2000.研 究 発 表1) 浦 健 二 , 桑 原 義 彦 , 田 内 正 治 , 高 橋 昌 幸 , 今 村 豊 , 山 口 真 功 ,“ISDB 受 信 用 アナログ 位 相 制 御 型 アダプティブアンテナ,” 信 学 総 大 ,B-1-235, 2008.2) 浦 健 二 , 高 橋 洋 文 , 桑 原 義 彦 , 田 内 正 治 , 高 橋 昌 幸 , 今 村 豊 , 山 口 真 功 ,“ISDB 受信 用 アナログ 位 相 制 御 型 アダプティブアンテナの 開 発 ,” 信 学 技 報 (submitted) Sep.2008.連 絡 先〒432-8561 浜 松 市 中 区 城 北 3-5-1静 岡 大 学 工 学 部 電 気 電 子 工 学 科桑 原 義 彦053-478-1613(TEL/FAX)e-mail tykuwab@ipc.shizuoka.ac.jp11

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!