Education at a Glance 2010: OECD Indicators - nifty

Education at a Glance 2010: OECD Indicators
URL:http://www.oecd.org/edu/eag2010
本 書 は 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD)から 毎 年 刊 行 される 報 告 書 である。
本 書 の 構 成 は、 次 のとおり。
Chapter A: The Output of Educational Institutions and the Impact of Learning
Chapter B: Financial and Human Resources Invested in Education
Chapter C: Access to Education, Participation and Progression
Chapter D: The Learning Environment and Organisation of Schools
以 下 においては、「Chapter C: Access to Education, Participation and Progression」のうち、 学 生 の
国 際 的 な 流 動 性 に 関 する 箇 所 である「Indicator C2: Who studies abroad and where?」の 項 について、
参 考 となると 思 われる 点 を 取 り 上 げた。なお、 以 下 の 記 述 は 報 告 書 の 内 容 の 一 部 を 筆 者 が 選 択 的 に 取 り
上 げたものである 点 、 予 め 承 知 いただきたい。
注 : 報 告 書 にはロシア 等 「partner」 国 家 として OECD 未 加 盟 国 を 含 めた 記 載 があるが、 以 下 の 記 述
においては、 特 にその 旨 明 記 はしていない。
○ 主 な 実 績 ・ハイライト
本 章 の 冒 頭 で 示 された 主 な 実 績 及 びハイライトは 以 下 のとおりである。
・OECD 諸 国 の 高 等 教 育 機 関 における 外 国 人 学 生 の 比 率 は 国 により 1 パーセントから 20 パーセントと
幅 がある。オーストラリア、オーストリア、ニュージーランド、スイス、 英 国 においては 外 国 人 学 生 の
比 率 が 高 い。
・2008 年 には、330 万 人 以 上 の 学 生 が 市 民 権 を 持 つ 国 以 外 において 高 等 教 育 機 関 に 在 籍 した。これは 前
年 度 から 10.7 パーセントの 伸 びである。
・ 学 生 の 受 入 れ 国 としては、オーストラリア、フランス、ドイツ、 英 国 、 米 国 における 受 入 れが 全 体 の
50 パーセント 以 上 を 占 めている。OECD 諸 国 の 中 での 送 り 出 し 国 としては、フランス、ドイツ、 日 本 、
韓 国 、トルコが 多 い。なお、OECD 以 外 を 含 めると、 中 国 とインド 出 身 の 学 生 数 が 多 い。
・オーストラリア、オーストリア、ニュージーランド、スイス、 英 国 においては 高 等 教 育 機 関 在 籍 者 に
おける 外 国 人 学 生 の 比 率 が 10 パーセント 以 上 である。また、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、
カナダ、ニュージーランド、スイス、 英 国 、 米 国 においては 上 級 研 究 課 程 の 20 パーセント 以 上 を 外 国 人
が 占 める。
・カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、スウェーデン、スイス、 米 国 、スロヴェニアにおいて
は、 外 国 人 学 生 の 30 パーセント 以 上 は 化 学 、 農 学 、 工 学 の 課 程 に 在 籍 している。
○ 外 国 人 学 生 数 の 傾 向
報 告 書 に 示 された 外 国 人 学 生 の 数 についての 内 容 の 主 な 点 は 以 下 のとおりである。
・2008 年 の 市 民 権 を 持 つ 国 以 外 の 高 等 教 育 機 関 に 在 籍 する 学 生 の 数 は 330 万 人 であるが、うち、270 万
人 が(79.1 パーセント)が OECD 加 盟 国 の 機 関 に 在 籍 している。
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・2000 年 に 比 べると、オーストラリア、チリ、チェコ 共 和 国 、フィンランド、ギリシア、アイスランド、
イタリア、 韓 国 、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、スロバキア 共 和 国 、スペイン、エストニ
ア、ロシア、スロヴェニアにおいて 在 籍 する 外 国 人 学 生 の 数 が 倍 増 している。
・UNESCO 統 計 と 併 せて 見 ると、 過 去 30 年 間 において 外 国 人 学 生 の 数 は 大 きく 増 大 し、1975 年 には
80 万 人 だった 数 が 2008 年 には 330 万 人 となっているが、この 要 因 としては、ここ 30 年 間 の 初 期 にお
いてはヨーロッパ 諸 国 及 び 米 国 に 見 られた 学 術 、 文 化 、 社 会 、 政 治 面 の 交 流 促 進 という 政 策 の 影 響 が 大
きいが、その 後 の 1980 年 代 、1990 年 代 は、 旅 費 の 低 額 化 、 新 たな 技 術 の 発 展 、 高 速 で 安 価 なコミュニ
ケーションの 発 展 、 国 家 間 の 経 済 的 社 会 的 相 互 依 存 の 高 まりを 背 景 としている。 特 に、 国 際 的 な 労 働 市
場 におけるハイテク 技 能 者 の 需 要 の 拡 大 と 情 報 コミュニケーション 技 術 の 発 展 の 影 響 は 大 きい。
○ 受 入 れ 国
報 告 書 に 示 された 2008 年 の 国 別 の 受 入 れ 数 の 比 率 は 以 下 のとおりである( 上 位 10 か 国 )。
米 国 18.7% カナダ 5.5%
英 国 10.0% ロシア 連 邦 4.3%
ドイツ 7.3% 日 本 3.8%
フランス 7.3% イタリア 2.0%
オーストラリア 6.9% スペイン 1.9%
・ 過 去 8 年 間 の 変 化 としては、 米 国 の 比 率 は 26.1%から 18.%に 下 落 している。また、ドイツは 9.5%か
ら 7.3%に 下 落 している。これらに 対 してオーストラリアは 5.4%から 6.9%へ、 韓 国 は 0.2%から 1.2%へ、
ニュージーランドは 0.4%から 1.8%に 上 昇 している。
○ 学 生 の 留 学 先 の 国 を 選 択 する 要 因
・ 報 告 書 に 記 載 された 各 国 の 高 等 教 育 機 関 において 教 育 に 用 いられる 言 語 は 以 下 のとおりである。
全 てあるいはほとんど 全 てのプログラムが 英 語 で オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージ
提 供 されている 国
ーランド、 英 国 、 米 国
多 くのプログラムが 英 語 で 提 供 されている 国 デンマーク、フィンランド、オランダ、スウェーデ
ン、
いくつかのプログラムが 英 語 で 提 供 されている 国 ベルギー(フラマン 語 圏 )、チェコ 共 和 国 、フラン
ス、ドイツ、ハンガリー、アイスランド、 日 本 、 韓
国 、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバ
キア 共 和 国 、スイス、トルコ
英 語 のプログラムが 全 くあるいはほとんど 提 供 さ オーストリア、ベルギー(フランス 語 圏 )、ブラジ
れていない 国
ル、チリ、ギリシア、イスラエル、イタリア、ルク
センブルグ、メキシコ、ポルトガル、ロシア 連 邦 、
スペイン
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・ 報 告 書 に 記 載 された 外 国 人 学 生 の 行 き 先 における 授 業 料 及 び 生 活 費 の 影 響 に 関 する 内 容 の 概 略 は 以 下
のとおりである。
・EU 諸 国 においては、 他 の EU 諸 国 からの 外 国 人 学 生 に 対 する 授 業 料 は、 国 内 の 学 生 と 同 様 の 扱 いと
なる( 無 料 の 場 合 を 含 む。アイルランドは 過 去 5 年 のうち、3 年 間 在 学 することが 要 件 となっている。
また、フィンランド、ドイツ、イタリアにおいては、EU 以 外 の 国 からの 外 国 人 学 生 に 対 しても 国 内 の 学
生 と 同 様 の 扱 いとなっている。)
・アイスランド、 日 本 、 韓 国 、ノルウェー、 米 国 、ロシア 連 邦 においては、 国 内 の 学 生 も 外 国 人 学 生 も
同 じ 授 業 料 の 扱 いとなっている( 米 国 は 州 立 大 学 において 例 外 あり)。 日 本 においては 国 内 ・ 海 外 の 全 学
生 に 対 し 授 業 料 を 課 すが、 国 費 留 学 生 は 授 業 料 が 免 除 され、また、 私 費 留 学 生 も 多 くの 奨 学 金 を 受 ける
機 会 がある。 韓 国 においては 外 国 人 学 生 に 対 する 授 業 料 の 扱 いや 資 金 援 助 は、 出 身 校 や 韓 国 での 在 籍 大
学 により 異 なるが、 一 般 に 国 内 学 生 よりも 支 払 い 額 は 低 額 である。
( 併 せて 一 覧 には、 外 国 人 学 生 (EU の 場 合 、EU 域 外 の 学 生 )から 国 内 の 学 生 より 高 額 の 授 業 料 を 課 す
国 として、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ 共 和 国 、デンマーク、エストニ
ア、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、ロシア 連 邦 、トルコ、 英 国 、 米 国 、の 名 前 が 挙 げら
れている。)
・ 外 国 人 学 生 に 授 業 料 全 額 を 課 す 国 には、 大 きな 貿 易 収 入 を 得 ている 国 がある。アジア 太 平 洋 地 域 の 国
は 外 国 人 学 生 の 獲 得 を 国 の 経 済 戦 略 に 組 み 込 んでおり、オーストラリアとニュージーランドにおいては
外 国 人 学 生 の 授 業 料 を 高 額 化 することに 成 功 した。 日 本 と 韓 国 は 国 内 ・ 海 外 の 学 生 に 対 する 授 業 料 の 額
は 同 額 であるが、200~2008 年 に 外 国 人 学 生 の 数 は 増 加 している。これらの 例 は 必 ずしも 授 業 料 の 徴 収
が 外 国 人 学 生 の 留 学 意 欲 を 削 ぐものではないことを 示 している。ただし、 英 国 が 微 増 であったことや 米
国 のシェアが 減 少 したことに 対 しては 高 額 な 授 業 料 が 影 響 したことも 考 えられる。
○ 高 等 教 育 における 学 生 の 流 動 性 の 範 囲
報 告 書 に 記 載 された 内 容 の 概 略 は 以 下 のとおりである。
・ 統 計 が 存 在 する 国 の 中 で 高 等 教 育 機 関 在 籍 学 生 の 占 める 外 国 人 学 生 の 比 率 が 高 い 国 は、オーストラリ
ア(20.6%)、オーストリア(15.5%)、ニュージーランド(12.9%)、スイス(14.1%)、 英 国 (14.7%)
である。
・ 在 籍 する 高 等 教 育 機 関 の 種 類 については、デンマーク、 日 本 、ニュージーランド、ポルトガル、スペ
インはタイプ B( 大 学 等 以 外 )の 高 等 教 育 機 関 に 在 籍 する 外 国 人 学 生 が 多 いが、 他 の 国 においてはタイ
プ A( 大 学 等 )の 高 等 教 育 機 関 に 在 籍 する 者 が 多 い。
○ 異 なる 行 き 先 における 外 国 人 学 生 のプロフィール
・ 報 告 書 に 記 載 された 主 な 出 身 地 域 の 内 容 の 概 略 は 以 下 のとおりである。
・ 受 入 れ 先 国 の 統 計 による 外 国 人 学 生 の 出 身 地 域 は、アジアが 49.9%、ヨーロッパが 24.5%、アフリカ
10.1%、 北 米 3.7%、 南 米 5.3%である。
作 成 日 :2010 年 10 月 14 日
作 成 者 : 東 京 工 業 大 学 大 学 マネジメントセンター 遠 藤 悟
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