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「児童虐待防止と住民意識に関する研究」 -臨床心理学的地域援助の ...

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用いることを禁止した。筆者は子どもの権利を保障する上で画期的な条例と思っているが、当の川崎<br />

市でもあるようにB市のような地域ではこのような条例には反発が多いだろう。川崎(2006)は小児<br />

科医の坂井聖二氏の児童虐待の定義を引用し、児童虐待のエッセンスは「子どもが安全でないという<br />

状況判断」であるとしている。つまり、子どもが先生の言うことを聞かないとか、親に逆らったとか、<br />

その子のためとか、愛があるとかそういったこととは無関係に、子どもにとって安全でない、将来、<br />

心に傷が残るといった体罰は虐待なのである。<br />

2,コミュニテイ意識について<br />

1)B市のコミュニテイ意識<br />

B市のコミュニテイ意識であるが、他地域との比較を行っていないため、田中(1978)の1976年の<br />

調査と比較すると当時の関西地方の平均が34.28で今回が34.59と若干B市が上回っている。植村<br />

(1974)は1970年代の地域社会集団の凝集性を著しく失わせているものとしてテレビと電話の施設を<br />

上げ、その理由としてそれらが地域住民の「対面の機会」を著しく奪ったとしている。そのように考<br />

えれば現在はコンビニ、パソコン、携帯電話やメールの普及により、1976年当時に比べてはるかに「対<br />

面の機会」を地域住民から奪い去ってしまったことを考慮すれば、コミュニテイ意識が30年前の関西<br />

地方を若干でも上回ったことは、B市のコミュニテイ意識は高いのかも知れない。<br />

2)コミュニテイ意識の有効性<br />

B市が含まれるA県の統計調査(B市の児童数7725、虐待相談件数21平成16年度、横須賀児童相談<br />

所)からもB市が他の地域よりも児童虐待において、憂慮される状況ということにはなっていない。<br />

むしろ予備調査からも明らかなように、B市の住民は子どもにやさしいとか、面倒見がいいというこ<br />

とで、むしろ児童虐待防止にとって好ましいといった専門職からの感想もあるぐらいである(予備調<br />

査逐語記録より)。このことから、児童虐待防止を考える上で全国どこでも一律に虐待に敏感であれば<br />

よいということにはならないのではないかと筆者は考える。<br />

虐待防止にとって、コミュニテイ意識は有効な住民意識なのかも知れない。<br />

3,仮説の検証結果について<br />

1)仮説の検証意義<br />

統計検定がより信頼性が高まるデータサイズ(LH群53人、LL群61人、HH群67人、HL群55人)に<br />

分け、ァ~ェの行動選択頻度を従属変数にし、4条件(4群)の対応のない1要因分散分析を行った。<br />

2)4行動(ァ、ィ、ゥ、ェ)と4群の関係<br />

① ァの行動選択頻度との関係<br />

分散分析を行った結果、質問紙の26項目の虐待らしき行為を見聞きしたときに「ァ、の直接声をか<br />

けたりあるいは止めに入ったりする」を最も多く選択したのはHH群でつぎにHL群であった。虐待認<br />

識度が高いがコミュニティ意識が低いLH群はァの選択頻度は低くLL群と変わらなかった。つまり、<br />

コミュニテイ意識の高群低群の間に有意差が出た。このことはァの行為選択に関してのみコミュニテ<br />

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