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モンゴルのウラン 鉱 床 と 開 発 の 現 状<br />
北 京 事 務 所 所 長<br />
tsuchiya@jogmec.cn<br />
土 屋 春 明<br />
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ト<br />
はじめに<br />
モンゴルは、アジア 北 東 部 に 位 置 し、ロシアと 中 国 の 間 に 挟 まれた 位 置 にあり、 広 大 な 国 土 ( 日 本 の 4 倍 )を 持<br />
つ 国 である。1989 年 以 降 民 主 化 運 動 が 進 展 し、1992 年 新 憲 法 採 択 、1993 年 直 接 選 挙 による 大 統 領 選 挙 が 実 施 され、<br />
2005 年 以 降 エンクバヤル 政 権 が 続 いてる。 経 済 は 2000 年 以 降 、 鉱 業 、 畜 産 業 に 支 えられ、 比 較 的 順 調 に 推 移 している。<br />
鉱 物 資 源 の 輸 出 は 輸 出 金 額 の 84%を 占 め 同 国 の 重 要 産 業 となっている。 政 府 は、2006 年 に 鉱 業 法 の 改 正 を 行 い、<br />
外 資 導 入 を 促 進 しようとしているが、 同 時 に、 鉱 物 資 源 価 格 高 騰 を 受 け、 超 過 利 得 税 (Windfall Tax)の 導 入 も 決<br />
定 している。 主 要 非 鉄 金 属 プロジェクトとして、Erdenet(エルデネット) 鉱 山 の 銅 ・モリブデンの 生 産 があるが、<br />
2006 年 には 中 国 主 導 で Tumurtiin Ovoo(ツムルティン・オボ) 亜 鉛 鉱 山 の 開 発 が 行 われた。さらに、 世 界 最 大 規<br />
模 の Oyu Tolgoi(オユ・トルゴイ) 銅 鉱 山 の 開 発 (Ivanhoe Mines 社 - Rio Tinto の JV)が 進 められている。<br />
モンゴルのウラン 探 査 は 第 二 次 世 界 大 戦 後 、 旧 ソ 連 とモンゴルの 共 同 調 査 として 開 始 され、1966 年 以 降 の 組 織<br />
的 な 探 査 により、 約 100 か 所 の 鉱 徴 地 、1,500 の 異 常 値 の 存 在 が 確 認 されている。ドルノド(Dornod) 鉱 床 (モン<br />
ゴル 東 部 地 域 )の 一 部 が 1989 年 より 露 天 掘 りで 採 掘 が 開 始 されたが、 同 鉱 山 は 1998 年 にウラン 市 場 の 動 向 や 権 益<br />
を 保 有 している 会 社 の 財 務 状 況 等 からその 後 の 開 発 計 画 を 断 念 した。<br />
モンゴルのウラン 資 源 に 関 しては、これまでの 調 査 で 十 分 なポテンシャルがあることは 確 認 されているが、 既 存<br />
調 査 では 完 全 に 調 査 されている 地 域 は 少 なく、ウラン 鉱 床 として 登 録 されているのは 6 か 所 だけであり、 今 後 は 鉱<br />
徴 が 確 認 されている 地 域 を 重 点 的 に 調 査 することが 重 要 である。 現 在 、ロシア、カナダ、フランスがモンゴル 国 内<br />
で 探 査 を 行 っているほか、カザフスタン、 米 国 、ドイツなども 共 同 探 査 を 提 案 している。モンゴル 政 府 はウラン 鉱<br />
業 に 対 し、 政 府 の 関 与 を 強 める 方 針 で、 産 業 通 商 省 内 にウラン 政 策 WG を 設 置 し、ウランの 政 策 ・ 法 律 について<br />
検 討 を 行 っている。<br />
本 稿 では、2007 年 度 実 施 した「ウラン 投 資 環 境 調 査 モンゴル」(2008 年 3 月 発 行 )をベースにモンゴルのウラン<br />
鉱 床 とその 開 発 の 現 状 について 紹 介 する。<br />
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鉱<br />
床<br />
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開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
1. モンゴルのウラン 探 査 の 歴 史<br />
モンゴル 国 内 のウラン 探 査 は 第 二 次 世 界 大 戦 後 、 他<br />
の 鉱 物 探 査 と 同 様 に 旧 ソ 連 の 地 質 調 査 機 関 の 協 力 で 開<br />
始 された。モンゴルのウラン 探 査 は、 三 つの 段 階 に 大<br />
きく 分 けることができる。<br />
最 初 の 段 階 は 1945 年 から 1969 年 までである。この<br />
段 階 のウラン 探 査 は 主 に 一 般 的 調 査 であり、 旧 ソ 連 の<br />
地 質 省 管 轄 の 東 部 地 質 探 検 隊 によって 実 施 された。こ<br />
の 期 間 中 にモンゴル 国 内 の 数 か 所 において 空 間 復 元 図<br />
による 自 然 放 射 状 態 の 測 量 が 行 われた。これらの 調 査<br />
の 結 果 、 大 規 模 なウラン 鉱 床 が 見 つからなかったが、<br />
ウラン 鉱 徴 地 が 数 多 く 発 見 された。これらは 堆 積 作 用<br />
又 は 熱 水 作 用 によって 形 成 されていることが 今 までの<br />
調 査 で 明 らかになっている。 堆 積 作 用 からなるウラン<br />
鉱 徴 地 は 東 モンゴルにある 石 炭 鉱 山 で 多 数 発 見 されて<br />
いる。<br />
第 二 段 階 は、1971 年 から 1991 年 までである。この<br />
段 階 では、モンゴル 人 民 共 和 国 と 旧 ソ 連 の 政 府 間 で<br />
締 結 された 協 力 協 定 を 基 に、 共 同 探 査 隊 が 特 別 に 組<br />
織 され、いくつかの 地 質 グループを 形 成 し、ウラン<br />
探 査 を 実 施 した。この 期 間 中 にモンゴル 全 土 の 27%<br />
(420,000km 2 )を 占 めるエリアの 縮 尺 1:25,000-1:50,000、<br />
28%(450,000km 2 )のエリアの 縮 尺 1:200,000、モンゴ<br />
ルアルタイ、ハンガイ 山 脈 、ゴビを 含 んだ 地 域 (224,000<br />
km 2 )の 縮 尺 1:1,000,000 の 空 間 γスペクトロメーター<br />
地 図 がそれぞれ 作 成 された。モンゴルと 中 国 の 国 境 を<br />
沿 った 地 域 とモンゴル 中 央 部 の 高 地 などのモンゴル 全<br />
土 の 約 3 割 がこの 調 査 からはずれた。<br />
第 三 段 階 は、1991 年 から 現 在 に 至 るまでである。<br />
モンゴルが 市 場 経 済 に 移 行 したことでウランの 調 査 は<br />
一 時 止 まったが、1993 年 よりモンゴルで 以 前 に 行 わ<br />
れたウラン 研 究 ・ 調 査 の 情 報 や 報 告 書 などを 収 集 する<br />
作 業 を 実 施 した。 具 体 的 には、 以 前 に 確 認 されたウラ<br />
ンの 砂 岩 タイプの 鉱 山 に 関 する 総 合 調 査 を 取 りまとめ<br />
た。さらに、ウラン 公 社 はウランバートル 市 、その 他<br />
人 口 が 集 中 したモンゴルの 大 都 市 、 石 炭 鉱 山 、 放 射 度<br />
の 高 い 地 域 等 を 対 象 に 様 々な 調 査 を 実 施 している。<br />
また、この 時 期 にモンゴルが 民 主 化 と 市 場 経 済 に 移<br />
行 したことにより、ウランや 放 射 性 物 質 の 調 査 に 関 す<br />
る 国 際 交 流 が 活 発 化 した。 国 際 原 子 力 機 関 などの 国 際<br />
機 関 がモンゴルにアドバイスや 支 援 を 積 極 的 に 行 うよ<br />
うになった。<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート<br />
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鉱<br />
床<br />
と<br />
開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
1994 年 にモンゴルで 鉱 物 資 源 法 が 制 定 された。こ<br />
れに 伴 い、この 分 野 で 活 動 する 国 内 外 企 業 が 多 数 新 設<br />
され、 探 鉱 調 査 に 乗 り 出 した。 当 時 、ウランの 分 野 で<br />
活 動 し 始 めた 唯 一 の 会 社 は 1995 年 にモンゴル、ロシ<br />
ア、アメリカが 共 同 で 設 立 したグルワンサイハン 社<br />
である。この 会 社 はドンドゴビ( 中 央 ゴビ)にあるハ<br />
ラート、ハイルハン 地 域 で 調 査 作 業 を 集 中 し、 実 施 し<br />
た。 最 近 の 情 報 によるとこの 会 社 の 70%を Denison<br />
Mines 社 が 保 有 しており、 中 央 ゴビ 地 域 での 調 査 活 動<br />
を 現 在 も 行 っている。<br />
ドルノド 県 に 存 在 するマルダイ 鉱 床 郡 の 一 部 である<br />
ドルノド(Dornod) 鉱 床 の 探 鉱 権 を 1997 年 に「 中 央<br />
アジアウラン」というモンゴル、ロシア、アメリカ<br />
の 合 弁 会 社 が 収 得 した。アメリカ 側 の 参 加 者 である<br />
World Wide Minerals 社 を カ ナ ダ の Khan Resources<br />
社 が 買 収 し、 現 在 、 全 株 の 58%を 保 有 している。ロ<br />
シアとモンゴルの 参 加 者 は 全 株 の 21%をそれぞれ 保<br />
有 している。また、1997 年 に 制 定 された 地 下 資 源 法<br />
に 基 づき、 探 鉱 権 を 基 に 多 数 の 外 国 機 関 ・ 企 業 が 様 々<br />
な 種 類 の 地 下 探 鉱 調 査 活 動 を 行 うようになった。その<br />
中 で、ウランの 分 野 において 探 査 を 始 めたのがモンゴ<br />
ルとフランスの 合 弁 企 業 であるコージェゴビ 社 であ<br />
る。 同 社 はタムサグ、サインシャンド、 東 ゴビ(ドル<br />
ノゴビ)のウラン 鉱 床 地 帯 などの 大 きなエリアで 探 鉱<br />
権 を 取 得 し、 探 鉱 調 査 を 開 始 した。<br />
しかしながら、 当 時 、 鉱 物 資 源 の 世 界 価 格 、なか<br />
でもウランの 価 格 が 大 幅 に 下 落 したことにより、こ<br />
れらの 企 業 の 探 査 活 動 が 一 時 停 滞 した。この 状 態 は<br />
1999 年 から 2003 年 まで 続 いたが、2004 年 からは 上<br />
記 の 企 業 に 加 え て、Adamas Mining 社 が マ ル ダ イ<br />
(Mardai) 鉱 床 と ネ メ ル(Nemer) 鉱 床 地 域 の 採 掘<br />
権 を、また Western Prospector 社 がグルワンブラグ<br />
(Gurvanbulag) 鉱 床 の 採 掘 権 をそれぞれ 取 得 し、ウ<br />
ランの 探 査 活 動 が 再 び 復 活 した。 現 在 では、 上 記 の 企<br />
業 の 他 にエルデネモンゴル、UGL インテルプライズ、<br />
EAM、URG/ モンゴル 3000/、SCR、カメコモンゴル<br />
などの 組 織 ・ 企 業 がウランの 分 野 で 活 動 している。 最<br />
近 新 しく 参 入 した 企 業 が 調 査 対 象 とするエリアのほと<br />
んどが 以 前 に 資 源 が 確 認 されたものではなく、 地 質 構<br />
造 から 見 て 有 望 な 地 域 ばかりである。<br />
2007 年 12 月 29 日 現 在 、ウラン 鉱 区 採 掘 権 は 3 件 、<br />
探 鉱 権 は 130 件 ある。モンゴル 国 内 で 発 見 されたウラ<br />
ン 鉱 床 で 設 定 された 探 鉱 権 、 採 掘 権 の 位 置 を 図 1 に 示<br />
す。<br />
図 1<br />
モンゴル・ウラン 鉱 業 権 位 置 図<br />
2006 年 に 改 正 された 鉱 業 法 で 規 定 された 「 戦 略 的<br />
鉱 床 (strategically important deposits)」 に 関 しては、<br />
国 の 予 算 により 調 査 をしたプロジェクトについては<br />
上 限 50%、それ 以 外 については 上 限 34%まで 国 が 参<br />
入 できる( 第 5 条 )。 戦 略 的 鉱 床 については、「 国 家<br />
安 全 保 障 上 、 経 済 ・ 社 会 開 発 上 インパクトを 与 える<br />
ポテンシャルのあるもの」 と 定 義 されている( 第 4<br />
条 )。 既 に、 戦 略 的 鉱 床 としてオユ・トルゴイ 銅 ・ 金<br />
鉱 床 、ウラン 鉱 床 ではドルノド 鉱 床 、グラバンブラグ<br />
(Gurvanbulag) 鉱 床 、マルダイ 鉱 床 を 含 む 15 鉱 床 が、<br />
また、 戦 略 的 鉱 床 候 補 として 39 鉱 床 がリストアップ<br />
されている。<br />
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(50)<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート
2. モンゴルのウラン 埋 蔵 量<br />
これまでのウラン 調 査 ・ 研 究 で、モンゴルには 6 つ<br />
のウラン 鉱 床 、100 以 上 の 鉱 徴 地 、1,000 以 上 の 放 射<br />
能 異 常 地 があることが 確 認 されている。モンゴルの 東<br />
部 、 東 南 部 や 中 央 部 が 比 較 的 良 く 研 究 されており、お<br />
よそ 140 万 t のウランの 埋 蔵 量 があると 推 定 されている。<br />
調 査 結 果 、 地 域 の 地 質 構 造 などを 基 に、 表 1 にウラ<br />
ンの 埋 蔵 量 を 示 す。<br />
3. モンゴルのウラン 採 掘<br />
旧 ソ 連 とモンゴル 政 府 の 二 国 間 協 力 協 定 により、マ<br />
ルダイ 鉱 床 群 にエルデス 工 場 を 建 設 した。 本 工 場 の 操<br />
業 は 1989 年 から 始 まった。 抽 出 したウランを 鉄 道 で<br />
チタ 州 のカラスノカメンスクまで 運 び、プリアルグン<br />
スクの 化 学 工 場 で 精 製 した。その 後 、 両 国 が 政 治 ・ 経<br />
済 の 過 渡 期 に 入 り、またウランの 世 界 価 格 の 下 落 にも<br />
影 響 され、1995 年 にウラン 採 掘 作 業 が 停 止 された。<br />
採 掘 量 は 表 2 の 通 りである。<br />
工 場 停 止 後 、プリアルグンスク 社 は、2 年 間 で 建 物<br />
や 道 路 建 設 、 電 力 供 給 システムの 整 備 を 図 る 計 画 で<br />
あったが、 世 界 価 格 の 下 落 とともにこの 計 画 をあきら<br />
めた。 結 局 、1999 年 にロシア 側 がすべての 設 備 ・ 技<br />
術 をモンゴル 側 に 引 き 渡 した。 鉄 道 はモンゴル 鉄 道 の<br />
資 産 となり、モンゴル 鉄 道 の 幹 部 はこの 鉄 道 の 解 体 を<br />
決 断 した。これによりすべての 採 掘 活 動 が 停 止 した。<br />
4. モンゴルのウラン 鉱 床<br />
4-1.ドルノド(Dornod) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
表 1 モンゴルの 鉱 床 タイプ 別 ウラン 埋 蔵 量<br />
№ 鉱 山 の 種 類 年 代 埋 蔵 量 ( 千 t)<br />
1 砂 岩 系 K - Q 927<br />
3 火 山 岩 系 J3 - K 183<br />
4 花 崗 岩 系 PR3 - T 100<br />
6 ペグマタイトや 交 代 変 成 岩 系 PZ2 - PZ3 190<br />
総 計 1,400<br />
上 記 より 採 掘 可 能 な 資 源<br />
C1 + C2<br />
表 2 モンゴルのウラン 採 掘 実 績<br />
本 鉱 床 はモンゴルの 首 都 ウランバートルより 北 東 約<br />
800km、ドルノド 県 チョイバルサン 市 より 北 西 130km<br />
離 れたところに 位 置 する。また、 鉱 床 から 北 にロシア<br />
国 境 までの 距 離 は 120km、 中 国 の 国 境 (Khavirgyn<br />
国 境 通 過 点 )までは 130km である。<br />
63.57<br />
年 鉱 石 (t) 含 有 量 (%) ウラン(kg)<br />
1989 79.882 0.117 93.566<br />
1990 91.154 0.098 89.253<br />
1991 100.724 0.1 100.639<br />
1992 98.209 0.118 105.225<br />
1993 52.321 0.104 54.275<br />
1994 63.378 0.114 72.114<br />
1995 13.919 0.145 20.187<br />
合 計 499.587 535.259<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 ( 地 質 ・ 鉱 業<br />
登 記 局 とも 訳 される)が 2008 年 1 月 3 日 に 発 表 した<br />
情 報 によると 本 鉱 床 に 関 して 237A,9282X という 鉱<br />
業 権 が 発 行 されている。9282X という 鉱 業 権 のエリア<br />
で N20342 という 番 号 の 申 し 込 みが 登 録 されている。<br />
マルダイ・エリアの 261ha を 持 つ 第 237A 号 の 採 掘 権<br />
は 1997 年 6 月 12 日 に 中 央 アジアウラン 社 が 取 得 。 現<br />
在 、この 会 社 権 益 の 58%をモンゴル 国 で 登 録 されて<br />
るカナダの Khan Resource 社 が 保 有 、 残 りの 権 益 は<br />
モンゴル 政 府 とロシアの Priar gunsky Mining 社 (ロ<br />
シア)がそれぞれ 21%を 保 有 している。 上 記 の 鉱 業 権<br />
地 域 を 北 、 東 、 南 から 囲 み、243ha の 面 積 を 持 つダシ<br />
バラバル- 1(Dashbalbar - 1)エリアの 第 9282X 号 の<br />
探 鉱 権 も Khan Resources 社 が 保 有 している。この 探<br />
鉱 権 は、2005 年 11 月 2 日 に Emeelt mines 社 から 買 っ<br />
た も の で あ る。Khan Resources 社 が 2007 年 9 月 14<br />
日 に 第 9282X 号 の 探 鉱 権 を 基 に 採 掘 権 を 申 請 してい<br />
る。 鉱 業 権 の 位 置 を 図 2 に 示 す。<br />
図 2 ドルノド 鉱 床 地 域 鉱 区 図<br />
(3) 鉱 床 の 地 質 と 埋 蔵 量<br />
ドルノド 鉱 床 はモンゴル-プリアルグン(Mongolia -<br />
Priargun)ウラン 鉱 床 地 帯 の 北 チョイバルサン(North<br />
Choibalsan) 鉱 床 帯 のドルノド 鉱 床 地 域 に 位 置 する。<br />
ドルノド 鉱 床 地 域 はドルノド 地 塊 構 造 の 火 山 岩 帯 に 入<br />
る。<br />
ドルノド 鉱 床 は 約 20km 2 のエルヘト(Erhet) 地 塊<br />
に 所 属 し、 地 塊 は 鉱 床 より 北 東 と 北 西 に 向 け、 数 々<br />
の 断 層 が 発 達 している。この 鉱 床 は 放 射 能 図 を 作 る 過<br />
程 で 発 見 された。ドルノド 鉱 床 地 域 には 原 生 代 の 変 成<br />
岩 、 下 古 生 代 のモドフダグコンプレックスの 花 崗 岩<br />
( 優 白 質 花 崗 岩 、 黒 雲 母 花 崗 岩 、 閃 緑 岩 )、 上 古 生 代 の<br />
黒 雲 母 花 崗 岩 、 黒 雲 母 角 閃 石 花 崗 岩 、 上 中 生 代 のドル<br />
ノド 累 層 群 の 堆 積 岩 - 火 山 岩 が 主 に 分 布 している。ド<br />
ルノド 累 層 群 堆 積 岩 - 火 山 岩 にウラン 鉱 石 が 含 有 され<br />
ており、ウラーン(Ulaan) 地 塊 の 北 や 北 西 方 向 に 多<br />
数 の 断 層 がある。<br />
ドルノド 鉱 床 地 域 のウラン 鉱 床 の 起 源 は 火 山 岩 と 関<br />
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状<br />
連 するウラン 鉱 化 作 用 であり、フッ 素 -モリブデン-<br />
ウラン 類 である。 鉱 床 には 鉱 石 鉱 物 としてコフィナイ<br />
ト、ナストウラン、ウラノファーンなどの 酸 化 鉱 物 が<br />
含 まれている。またモリブデンが 少 量 含 まれている。<br />
ドルノド 鉱 床 のウラン 鉱 化 作 用 は 30 - 700m 深 さに<br />
全 部 で 13 鉱 体 が 見 つかっており、その 中 の 5 鉱 体 が<br />
詳 しく 研 究 された。 最 大 規 模 の 第 7 鉱 体 についてはイ<br />
ン・シチュ・リーチング(In Situ Leaching)で 採 掘<br />
するための 部 分 的 な 準 備 が 既 になされている。 地 表 に<br />
最 も 近 い 第 2 鉱 体 の 一 部 は 1988 年 から 1995 年 まで 露<br />
天 掘 で 採 掘 された。<br />
ロシアが 行 った 調 査 によるドルノド 鉱 床 のウラン 埋<br />
蔵 量 を 表 3 に 示 す。また、Khan Resources 社 のボー<br />
リング 調 査 結 果 を 基 に、Scott Wilson Roscoe Postle<br />
Assoc.Inc.(SWRPA) 社 が 第 7 鉱 体 と 第 2 鉱 体 の 資 源<br />
量 と 埋 蔵 量 を 表 4、5 に 示 す。SWRPA 社 の 埋 蔵 量 と<br />
資 源 量 の 評 価 はカナダの 鉱 業 研 究 所 鉱 物 資 源 担 当 委 員<br />
会 が 定 めた 基 準 でなされた。<br />
表 3 ロシアの 調 査 によるドルノド 鉱 床 の 埋 蔵 量<br />
DORNOD<br />
DEPOSIT(total)<br />
Balance +<br />
off-balance<br />
Ore<br />
(kt)<br />
U 3 O 8<br />
(%)<br />
U 3 O 8<br />
(t)<br />
11,196.5 7,849.00<br />
Balance C1 3,808.6 0.132 5,040.00<br />
Off-balance C1 5,973.7 0.019 1,128.00<br />
Balance C2 1,202.4 0.122 1,469.00<br />
Balance P1 211.8 0.100 212.00<br />
位 置<br />
Mongolian<br />
category<br />
実 質 的 な<br />
品 位 ―B<br />
実 質 的 な<br />
品 位 ―B<br />
可 能 性 のあ<br />
る 品 位 ―C<br />
可 能 性 のあ<br />
る 品 位 ―C<br />
表 4 第 7、 第 2 鉱 体 のウラン 資 源 量<br />
分 類<br />
鉱 物 資 源 量<br />
( 百 万 t)<br />
酸 化 ウラン<br />
(U 3 O 8 )<br />
(%)<br />
Canadian<br />
category<br />
Indicated<br />
Indicated<br />
Inferred<br />
Probable<br />
酸 化 ウラン<br />
(U 3 O 8 )<br />
( 百 万 £)<br />
第 7 鉱 体 Indicated 14,36 0,154 48,6<br />
第 2 鉱 体 Indicated 10,95 0,065 15,7<br />
総 計 Indicated 25,31 0,116 64,3<br />
第 2 鉱 体 Referred 2,18 0,050 2,4<br />
りである。<br />
・FS の 実 施<br />
・ボーリング 作 業 の 完 成<br />
・ 鉱 床 エリアでの 地 球 物 理 学 的 調 査 の 実 施<br />
・ 鉱 床 の 埋 蔵 量 をモンゴル 国 地 下 資 源 登 録 所 にて 登<br />
録 するための 報 告 書 の 発 行<br />
・Western Prospector 社 と 鉱 山 のインフラを 共 同<br />
で 整 備 ・ 利 用 する 契 約 締 結<br />
現 在 、3 か 所 で 竪 坑 掘 削 、1 か 所 で 地 下 採 掘 作 業 が<br />
行 われ、 以 前 にロシア 側 が 実 施 した 作 業 を 更 新 ・ 復 旧<br />
させ、 生 産 を 行 うための 環 境 を 整 えつつある。このた<br />
め、 新 しい 竪 坑 を 開 削 し、 地 下 調 査 ・ 抽 出 ・ 加 工 作 業<br />
への 新 技 術 の 導 入 を 図 る 具 体 的 な 取 り 組 みがなされて<br />
いる。また、モンゴル 国 内 及 び 地 球 環 境 への 影 響 評 価<br />
がなされる 予 定 である。<br />
FS では、1 日 3,500t の 鉱 石 を 抽 出 し、1 年 に 430 万<br />
ポンドの 酸 化 ウランを 加 工 することが 示 されている。<br />
FS ではマイン・ライフは 15 年 間 である。 作 業 1t 当<br />
りのコストは 49.21US $で、 酸 化 ウラン 1t 当 りのコス<br />
トは 19.99US $と 計 算 されている。 生 産 は 2012 年 か<br />
ら 開 始 する 計 画 で、1,000 人 の 作 業 員 を 直 接 または 間<br />
接 的 な 形 で 雇 用 する。モンゴル 人 労 働 者 の 研 修 には 3<br />
百 万 US $を 使 う 予 定 。 生 産 の 初 期 段 階 の 費 用 は 288<br />
百 万 US $で、 予 算 収 入 は 37.1%、 純 利 益 は 288 百 万<br />
US $と 推 定 。この 試 算 では、モンゴル 国 には 税 金 等<br />
が 約 400 百 万 US $ 入 る 予 定 。 鉱 床 周 辺 を 探 鉱 すれば、<br />
更 に 埋 蔵 量 が 増 える 可 能 性 が 高 い。<br />
4-2.グルワンブラグ(Gurvanbulag) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
モンゴル 国 東 部 ドルノド 県 バヤンドン(Bayandun)<br />
郡 に 位 置 する。グルワンブラグ 鉱 床 は 首 都 ウランバー<br />
トルから 北 東 560km、ドルノド 県 のセンターチョイ<br />
バ ル サ ン 市 か ら 北 西 116km、 ロ シ ア の 国 境 か ら 南<br />
へ 120km、 中 国 の 国 境 (Khavirga 国 境 通 過 点 )から<br />
130km のところに 位 置 する。ドルノド 鉱 床 からは 西<br />
へ 25km 離 れたところに 位 置 する。<br />
位 置<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
表 5 第 7、 第 2 鉱 体 のウラン 埋 蔵 量<br />
分 類<br />
鉱 床 の 採 掘 作 業 はイン・シチュ・リーチング、ある<br />
いは 露 天 採 掘 で 行 う。 第 2 鉱 体 を 最 初 に 露 天 掘 で、 次<br />
にイン・シチュ・リーチングで 採 掘 する 予 定 である。<br />
ウラン 抽 出 法 はウラン 鉱 石 を 硫 酸 で 溶 かして 回 収 する<br />
通 常 の 方 法 で 抽 出 する。<br />
鉱 物 資 源 量<br />
( 百 万 t)<br />
酸 化 ウラン<br />
(U 3 O 8 )<br />
(%)<br />
酸 化 ウラン<br />
(U 3 O 8 )<br />
( 百 万 £)<br />
第 7 鉱 体 Inferred 11,28 0,156 38,9<br />
第 2 鉱 体 Inferred 6,94 0,067 10,2<br />
総 計 Inferred 18,22 0,122 49,1<br />
Khan Resources 社 が 既 に 行 った 作 業 は 以 下 のとお<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年 1<br />
月 3 日 に 発 表 した 情 報 によると、 本 鉱 床 に 採 掘 権 はな<br />
い。 第 4969X 号 と 第 7685X 号 の 探 鉱 権 が 発 行 されて<br />
いる。2002 年 10 月 8 日 に 発 行 されたウラーンヌールー<br />
2(Ulaannuur-2)という 第 4969X 号 ( 面 積 は 6,751ha)<br />
の 探 鉱 権 はドルノド 県 ヘルレン 郡 (Kherlen)に 登 録<br />
された Emeelt Mines 社 が 保 有 している。2004 年 6<br />
月 10 日 に 発 行 されたアルブラグ(Ar bulag)という<br />
第 7685X 号 ( 面 積 は 7,254ha) の 探 鉱 権 は Chognon<br />
Hairhan 社 が 保 有 していたが、 後 にカナダの Western<br />
Prospector 社 の 子 会 社 Western Prospector Mongolia<br />
社 に 移 った。 本 探 鉱 権 の 位 置 を 図 3 に 示 す。<br />
52<br />
(52)<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート
(3) 地 質 と 埋 蔵 量<br />
グルワンブラグ 鉱 床 、ドルノド 鉱 床 、マルダイ 鉱 床<br />
はモンゴル-プリアルグン(Mongolia-Priargun)ウラ<br />
ン 鉱 床 地 帯 の 北 チョイバルサン(North Choibalsan)<br />
鉱 床 帯 のドルノド(Dornod) 鉱 床 地 域 に 位 置 する。<br />
ドルノド 鉱 床 地 域 はドルノド 地 塊 構 造 の 火 山 岩 帯 に 入<br />
る。グルワンブラグ 鉱 床 はドルノド 火 山 岩 帯 の 北 側 に<br />
存 在 するウラーン(Ulaan) 地 塊 に 位 置 する。 本 地 塊<br />
にはいくつかの 大 断 層 が 発 達 している。これらの 内 最<br />
大 の 断 層 であるグルワンブラグ 断 層 のウラン 異 常 を 調<br />
査 し、 本 鉱 床 を 発 見 した。<br />
本 鉱 床 は 1974 年 に 発 見 され、1976 年 から 1981 年<br />
まで 予 備 調 査 がなされ、1981 年 から 1987 年 まで 詳 細<br />
な 探 査 が 行 われた。<br />
グルワンブラグ 鉱 床 でロシア 地 質 調 査 機 関 が 以 前 に<br />
行 った 探 査 結 果 を 表 6 に 示 す。<br />
表 6 ロシアの 調 査 によるグルワンバルグ 鉱 床 探 査 結 果<br />
Gurvanbulag<br />
鉱 床<br />
鉱 石<br />
(kt)<br />
上 記 の 内 、グルワンブラグ 鉱 床 中 央 部 の 探 査 結 果 を<br />
Western Prospector Mongolia 社 の 行 った 調 査 に 基 づ<br />
き 表 7 に 示 す。<br />
U 3 O 8<br />
(%)<br />
U 3 O 8<br />
(t)<br />
29,456.4 22,776.0<br />
Mongolian<br />
category<br />
Canadian<br />
category<br />
Balance C1 4,214.1 0.208 8,761.0 B Indicated<br />
Off-balance<br />
C2<br />
15,971.4 0.023 3,703.0 B Indicated<br />
Balance C2 6,345.9 0.115 7,312.0 C Inferred<br />
Balance P1 2,925.0 0.104 3,000.0 C Prognosticated<br />
Gurvanbulag<br />
Central 鉱 床<br />
Historic<br />
balance C1<br />
Historic<br />
balance C2<br />
表 7 グルワンブラグ 鉱 床 中 央 部 探 査 結 果<br />
鉱 石<br />
(kt)<br />
U 3 O 8<br />
(%)<br />
U 3 O 8<br />
(t)<br />
Mongolian<br />
category<br />
Canadian<br />
category<br />
4,214.1 0.208 8,761.0 B Indicated<br />
3,204.2 0.118 3,788.0 C Inferred<br />
Historic total 7,418.3 12,549.0<br />
WNP<br />
balance C1<br />
WNP<br />
balance C2<br />
図 3<br />
グルバンブラグ 鉱 床 鉱 区 図<br />
2,830.0 0.220 6,189.38 B Indicated<br />
2,670.0 0.150 3,923.47 C Inferred<br />
WNP total 5,500.0 10,112.85<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 をイン・シチュ・リーチングと 露 天 掘 採 掘 で<br />
開 発 する 予 定 である。ウラン 精 鉱 を 硫 酸 で 溶 かして 精<br />
錬 する 方 法 で 行 う。<br />
鉱 業 権 者 により、 本 鉱 床 の 開 発 方 法 、 採 掘 条 件 、 労<br />
働 力 の 需 要 、 期 待 される 結 果 とエンジニアリング 調 査<br />
がなされた。 調 査 の 内 容 テーマは 下 記 のとおりであ<br />
る。<br />
・イン・シチュ・リーチング<br />
・グルワンブラグ 精 錬 工 場<br />
・チョイバルサン 市 から 電 力 供 給<br />
・チョイバルサン 市 と 鉱 山 を 結 ぶ 輸 送 道 路<br />
・ 地 下 坑 口 を 深 めること<br />
・ 必 要 とされる 人 材 について<br />
現 在 、 旧 ソ 連 の 残 した 建 物 などを 復 活 させ、 工 事 作<br />
業 を 実 施 中 。<br />
Western Prospector Mongolia 社 はグルワンブラグ<br />
鉱 床 に 対 し 2007 年 上 半 期 現 在 で 540 百 万 US $の 投 資<br />
をしている。 本 会 社 は 今 後 下 記 の 作 業 を 行 う 予 定 で<br />
ある。<br />
・ 最 初 にグルワンブラグ 鉱 床 の 埋 蔵 量 を 更 新 計 算<br />
し、 報 告 書 をまとめる。その 報 告 書 を 鉱 物 資 源 評<br />
議 会 での 審 議 を 経 てモンゴルの 鉱 物 資 源 総 合 登 録<br />
に 盛 り 込 む。<br />
・ 探 査 権 をもとに、 採 掘 権 を 収 得 する。<br />
・ 戦 略 的 鉱 床 に 関 する 採 掘 許 可 や 資 産 などについて<br />
モンゴル 政 府 と 交 渉 する。<br />
・モンゴル 政 府 と 投 資 契 約 を 締 結 する。<br />
・ 鉱 山 を 立 ち 上 げるための 資 金 源 を 集 める。<br />
・ 鉱 山 と 精 錬 工 場 の 建 設 を 2008 年 の 半 ばごろから、<br />
採 掘 を 2010 年 末 から 開 始 する 目 的 で FS を 実 施<br />
する。<br />
まだ 調 査 されていない 鉱 床 の 一 部 の 探 査 を 継 続 すれ<br />
ば、 埋 蔵 量 が 増 える 可 能 性 が 充 分 にある。 現 在 の 予<br />
定 では、グルワンブラグ 鉱 床 中 央 部 のマインライフ<br />
は 10 年 となっているが、 周 辺 のウラン 鉱 山 から 鉱 石<br />
を 購 入 すれば、マインライフは 延 長 できると 考 えられ<br />
る。<br />
4-3.マルダイゴル(Mardai gol) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
モンゴル 東 部 のドルノド 県 ダシバルバル(Dashbalbar)<br />
郡 に 位 置 。<br />
モンゴル 首 都 のウランバートル 市 から 北 東 575km、<br />
ドルノド 県 チョイバルサン 市 から 西 130km 離 れたと<br />
ころに 位 置 する。 鉱 床 から 北 120km にロシア 国 境 、<br />
130km に 中 国 国 境 がある。マルダイゴル 鉱 床 はグル<br />
ワンブラグ(Gurvanbulag) 鉱 床 から 北 東 23km、ド<br />
ルノド 鉱 床 から 北 西 6km、マルダイ 村 から 北 東 7km<br />
に 位 置 する。<br />
レ<br />
ポ<br />
ー<br />
ト<br />
モ<br />
ン<br />
ゴ<br />
ル<br />
の<br />
ウ<br />
ラ<br />
ン<br />
鉱<br />
床<br />
と<br />
開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート 53<br />
(53)
レ<br />
ポ<br />
ー<br />
ト<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年 1<br />
月 3 日 に 発 表 した 情 報 によると 本 鉱 床 に 採 掘 権 はな<br />
い。 探 鉱 権 は 第 3367X 号 がある。2001 年 6 月 7 日 に<br />
提 出 したエルヘトオボートトルゴイ(Erkhet Ovoot<br />
Tolgoi)という 探 鉱 権 を Adamas mining 社 が 保 有 し<br />
ている。 採 掘 権 地 域 の 面 積 は 39,942ha である。 本 探<br />
鉱 権 の 位 置 を 図 4 に 示 す。<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 をイン・シチュ・リーチングと 露 天 採 掘 で 開<br />
発 する 予 定 である。ウラン 精 鉱 を 硫 酸 で 溶 かす 普 通 の<br />
方 法 を 使 う 予 定 である。 鉱 業 権 者 はグルワンブラグ 鉱<br />
床 、マルダイゴル 鉱 床 、ネメル(Nemer)、ツェベル<br />
(Tsever)、イルレフ(Ilreh)などのウラン 鉱 化 作 用<br />
を 一 つのコンプレックス・プロジェクトとして 探 鉱 を<br />
実 施 している。<br />
モ<br />
ン<br />
ゴ<br />
ル<br />
の<br />
ウ<br />
ラ<br />
ン<br />
鉱<br />
床<br />
と<br />
開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
鉱 業 権 者 はこの 採 掘 権 地 域 を 対 象 にカナダの Western<br />
Prospector 社 と 探 鉱 契 約 を 結 んでおり、 現 在 探<br />
鉱 権 の 7 割 を Western Prospector 社 、3 割 を Adamas<br />
mining 社 が 保 有 。<br />
(3) 地 質 と 埋 蔵 量<br />
グルワンブラグ 鉱 床 、ドルノド 鉱 床 、マルダイゴル 鉱 床<br />
はモンゴル-プリアルグン(Mongolia - Priargun)ウ<br />
ラン 鉱 床 地 帯 の 北 チョイバルサン(North Choibalsan)<br />
鉱 床 帯 のドルノド(Dornod) 鉱 床 地 域 に 位 置 する。<br />
ドルノド 鉱 床 地 域 はドルノド 地 塊 構 造 の 火 山 岩 帯 に 入<br />
る。<br />
図 4<br />
マルダイゴルウラン 鉱 床 地 域 はマルダイ 鉱 床 、ネメ<br />
ル(Nemer)、ツェベル(Tsever)、イルレフ(Ilreh)<br />
鉱 徴 地 などを 含 み、マルダイゴル 地 塊 に 位 置 する。マ<br />
ルダイゴル 鉱 床 は 地 球 物 理 学 的 調 査 とボーリング 調 査<br />
により 発 見 された。<br />
マルダイゴル 鉱 床 鉱 区 図<br />
この 鉱 床 の 鉱 石 体 は 北 東 、 北 、 北 西 方 向 の 断 層 の 交<br />
差 点 にあり、 脈 状 または 網 状 形 で、 鉱 石 体 は 主 に 90<br />
- 420m の 深 さにある。 探 鉱 調 査 の 結 果 マルダイゴル<br />
鉱 床 にいくつかのウラン 鉱 石 帯 があるが、そのうち 埋<br />
蔵 量 の 33%を 占 める 第 1 鉱 化 帯 と 67%を 占 める 第 2 鉱<br />
化 帯 が 詳 しく 調 査 されている。<br />
マルダイゴル 鉱 床 の 鉱 石 はフッ 素 -モリブデニウム-<br />
ウランのナストウラン-コッフィナイトの 鉱 物 タイプ<br />
である。ウランの 主 要 鉱 物 はコフィナイト、ナストウ<br />
ラン、ウラノファンなどである。<br />
マ ル ダ イ ゴ ル 鉱 床 地 域 の<br />
特 別 許 可 書 (ライセンス<br />
の ) 図<br />
Western Prospector 社 が 行 なった 探 鉱 調 査 の 結 果 、<br />
マルダイゴル 鉱 床 のウラン 埋 蔵 量 は 81 万 9 千 t(U 3 O 8<br />
= 0.098%)と 計 算 されている。<br />
4-4.ハラート(Kharaat) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
ハラート 鉱 床 はモンゴル 国 南 部 ドンドゴビ(Dundgobi)<br />
県 バヤンジャルガラン(Bayanjargalan) 郡 と<br />
オンドルシル(Ondorshil) 郡 の 間 に 位 置 する。 本 鉱<br />
床 は 首 都 ウランバートルから 南 271km、ゴビスンベ<br />
ル 県 (Govisumber)の 中 心 都 市 チョイル(Choir) 市<br />
から 南 へ 76km、ウランバートル-ザミーンウード 鉄<br />
道 の 複 線 ポイント No.22 から 62km に 位 置 する。<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年 1<br />
月 3 日 に 発 表 した 情 報 によると、 本 鉱 床 に 採 掘 権 ( 採<br />
掘 権 )はなし。 第 1021X 号 の 探 鉱 権 がある。「チョイ<br />
ル」というこの 探 鉱 権 を 1998 年 2 月 24 日 にグルワン<br />
サイハン 社 が 取 得 。 本 探 鉱 権 の 面 積 は 137,339ha であ<br />
る。 探 鉱 権 の 位 置 を 図 5 に 示 す。<br />
図 5 ハラート 鉱 床 鉱 区 図<br />
グルワンサイハン 社 は 1994 年 1 月 14 日 に 設 立 、モ<br />
ンゴル 国 に 登 録 されている 米 、ロシア、モンゴルの<br />
合 弁 会 社 である。 本 会 社 の 7 割 を 米 のデニソン・マ<br />
インズ(Denison Mines Corp) 社 、15%をモンゴル 政<br />
府 、15%をロシアの「ゲオロギラズヴェヅカ」(Geolog<br />
Razvedka) 社 がそれぞれ 保 有 している。 合 弁 会 社 の<br />
活 動 は 鉱 物 資 源 契 約 に 基 づいて 行 われ、この 契 約 で<br />
は、モンゴル 政 府 がゴビ 地 域 の 5 か 所 において 地 質 探<br />
査 を 行 う 特 別 権 利 を 保 証 している。<br />
54<br />
(54)<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート
(3) 地 質 及 び 埋 蔵 量<br />
ハラート 鉱 床 は 1980 年 代 にチョイル 向 斜 で 実 施 さ<br />
れたモンゴル・ 旧 ソ 連 合 同 地 質 調 査 の 結 果 で 発 見 され<br />
た。チョイル 向 斜 の 長 さは 150km、 幅 は 10 - 20km で<br />
ある。チョイル 向 斜 は 原 生 代 の 頁 岩 、 片 麻 状 岩 、 石 灰<br />
岩 と 古 生 代 の 花 崗 岩 、 二 畳 紀 の 酸 性 火 山 岩 、 中 生 代 の<br />
優 白 花 崗 岩 と 火 山 からなる。 本 鉱 床 は 石 炭 を 含 むズー<br />
ンバヤン(Zuunbayan) 累 層 群 の 堆 積 岩 からできてお<br />
り、 砂 層 と 泥 層 の 繰 替 えになっている。ウラン 鉱 床 は<br />
大 部 分 が 高 酸 性 環 境 、 鉱 液 が 通 って 鉱 石 ができる 環 境<br />
にある 古 川 谷 に 位 置 する。<br />
ハラ-ト 鉱 床 の 鉱 体 はバンドとレンズ 形 で、 谷 の 方<br />
向 に 沿 って 40m の 深 さに 位 置 する。ウランの 鉱 化 は<br />
灰 色 、 或 いは、 赤 色 の 酸 化 した 岩 石 の 層 に 見 られる。<br />
鉱 石 は 主 に 閃 ウラン 鉱 と 少 量 のコフィナイトで、 地 下<br />
水 位 の 下 部 に 存 在 する。<br />
水 文 地 質 学 的 には、チョイルベースンは 鉱 石 化 され<br />
た 溶 液 を 流 さない 閉 ざされたベースンである。このた<br />
め 本 向 斜 には 多 数 の 鉱 徴 地 が 存 在 するが、 鉱 石 の 平 均<br />
含 有 量 は 少 なく、ハラート 鉱 床 の 平 均 ウラン 含 有 量 は<br />
0.02 - 0.05%である。<br />
鉱 業 権 者 は 1994 年 から 物 理 探 査 の 分 光 計 法 、 電 波<br />
法 とボーリングを 行 った。また、ガンマ 線 スペクトロ<br />
メーター 調 査 (52,954m)、 探 査 ボーリング(49,614m)、<br />
水 文 地 質 学 的 ボーリング(1,368m)、イン・シチュ・リー<br />
チング 用 ボーリング(1,536m) 等 の 作 業 が 行 った。<br />
本 鉱 床 は「ハラート 1」と「ハラート 2」からなっ<br />
ており、 ウラン 埋 蔵 量 は 2,500t と 計 算 されている。<br />
チョイル 向 斜 で 探 査 を 継 続 すれば、ウランの 埋 蔵 量 が<br />
6,000t まで 増 える 可 能 性 があると 評 価 されている。<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 はウラン 砂 岩 鉱 床 タイプである。 採 掘 はイン・<br />
シチュ・リーチングで 行 う 予 定 。 鉱 業 権 者 はこの 方 法<br />
を 2007 年 に 実 験 済 み。 実 験 は 地 下 水 位 の 上 下 鉱 石 体<br />
を 対 象 に 行 われた。 実 験 は 硫 酸 を 使 用 し、 開 発 と 同 環<br />
境 で 行 ったが、 小 規 模 であった。 実 験 は、 成 功 し、こ<br />
れから 採 掘 規 模 の 実 験 をする 必 要 があると 判 断 され<br />
た。 実 験 を 行 った 地 域 を 再 生 し、 原 子 力 委 員 会 が 放 射<br />
線 調 査 を 行 い、 異 常 、 放 射 能 汚 染 がないことが 確 認 さ<br />
れた。<br />
4-5.ハイルハン(Khairhan) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
ハ イ ル ハ ン 鉱 床 は モ ン ゴ ル 国 南 部 ド ン ド ゴ ビ<br />
(Dundgobi) 県 ウルジート(Olziit) 郡 に 位 置 する。こ<br />
本 鉱 床 は 首 都 ウランバートルから 南 315km、ドンド<br />
ゴビ(Dundgobi) 県 の 中 心 マンダルゴビ(Mandalgovi)<br />
市 から 南 東 104km、ウランバートル・ザミーンウード<br />
鉄 道 のハルーアイラグ(Khar Airag) 駅 から 182km<br />
離 れたところに 位 置 する。<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年 1<br />
月 3 日 に 発 表 した 情 報 によると、 本 鉱 床 に 採 掘 権 がな<br />
く、 第 1017X 号 の 探 鉱 権 が 発 行 されている。ハイル<br />
ハンという 探 鉱 権 をグルワンサイハン 社 が 1998 年 2<br />
月 24 日 から 保 有 している。 面 積 は 164,351ha である。<br />
この 探 鉱 権 の 位 置 を 図 6 に 示 す。<br />
グルワンサイハン 社 は 1994 年 1 月 14 日 に 設 立 さ<br />
れた 米 ・ロシア・モンゴルの 合 弁 会 社 である。 本 会<br />
社 の 7 割 を 米 のデニソン・マインズ(Denison Mines<br />
Corp) 社 、15%をモンゴル 政 府 、15%をロシアのゲオ<br />
ロギラズヴェヅカ 社 がそれぞれ 保 有 している。 合 弁 会<br />
社 の 活 動 は 鉱 物 資 源 契 約 に 基 づいて 行 われている。こ<br />
の 契 約 で、モンゴル 政 府 がゴビ 地 域 の 5 か 所 において<br />
地 質 探 査 を 行 う 特 別 権 利 を 保 証 している。<br />
図 6 ハイルハン 鉱 床 鉱 区 図<br />
(3) 地 質 及 び 埋 蔵 量<br />
ハイルハン 鉱 床 の 地 質 構 造 はハラート 鉱 床 と 似 てい<br />
る。ハイルハン 向 斜 は 閉 じたベースンで 基 盤 は 花 崗 岩<br />
からなっている。ハラート 鉱 床 と 同 じ 粗 粒 堆 積 岩 は 向<br />
斜 の 端 に 広 がり、 中 心 部 は 湖 - 沼 性 デトリタスと 石 炭<br />
質 層 からなる。ウランのハイルハン 鉱 床 は 向 斜 の 北 西<br />
部 の 砂 、 少 量 の 珪 質 堆 積 物 が 入 る 泥 と 褐 炭 質 物 に 含 ま<br />
れる。ハイルハン 鉱 床 のウラン 含 有 量 は 高 く、 一 部 は<br />
1%に 至 り、 平 均 含 有 量 は 0.07 - 0.09%である。 鉱 化 帯<br />
は 深 くなく、120m までの 深 さに 位 置 している。 鉱 床<br />
の 特 徴 は 地 下 水 位 が 浅 く、 鉱 床 が 地 下 水 位 より 下 に 存<br />
在 することである。<br />
鉱 業 権 者 は 1996 年 から 物 理 探 査 の 分 光 計 法 、 電 波<br />
法 とボーリングを 行 った。ガンマ 線 スペクトロメー<br />
ター 調 査 (66,498m)、 探 査 ボーリング(64,086m)、 水<br />
文 地 質 学 的 ボーリング(1,678m)、イン・シチュ・リー<br />
チング 用 ボーリング(605m)、 水 用 ボーリング(129m)<br />
などが 行 われている。<br />
ハイルハン 鉱 床 は 中 央 部 、 東 部 、 西 部 からなってお<br />
り、ウラン 埋 蔵 量 は 6,200t と 計 算 されている。 探 査 を<br />
継 続 すればウラン 埋 蔵 量 が 増 える 可 能 性 がある。<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 はウラン 砂 岩 鉱 床 タイプである。 採 掘 はイン・<br />
レ<br />
ポ<br />
ー<br />
ト<br />
モ<br />
ン<br />
ゴ<br />
ル<br />
の<br />
ウ<br />
ラ<br />
ン<br />
鉱<br />
床<br />
と<br />
開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート 55<br />
(55)
レ<br />
ポ<br />
ー<br />
ト<br />
モ<br />
ン<br />
ゴ<br />
ル<br />
の<br />
ウ<br />
ラ<br />
ン<br />
鉱<br />
床<br />
と<br />
開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
シチュ・リーチングで 行 う 予 定 である。 鉱 業 権 者 は<br />
1998 年 からイン・シチュ・リーチングを 実 験 している。<br />
実 験 は 小 規 模 であったが、 成 功 し、 今 後 、 採 掘 規 模 の<br />
実 験 をする 必 要 がある。 実 験 の 結 果 は 下 記 のとおりで<br />
ある。<br />
-ウラン 精 鉱 の 抽 出 率 61%<br />
- 硫 酸 の 消 費 22.5kg/t<br />
-ウラン 精 鉱 の 平 均 濃 度 74mg/l<br />
実 験 を 行 った 地 域 を 再 生 し、 原 子 力 委 員 会 が 放 射 線<br />
調 査 を 行 い、 何 らかの 異 常 、 放 射 能 汚 染 がないことが<br />
確 認 された。<br />
4-6.ナルス(Nars) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
ナルス 鉱 床 はモンゴル 国 南 部 ドルノゴビ 県 ウルゴン<br />
(Orgon) 群 に 位 置 する。 本 鉱 床 はウランバートル 市<br />
から 南 東 440km、ドルノゴビ 県 のセンターサインシャ<br />
ンド 市 から 北 東 65km、ウランバートル・ザミーンウー<br />
ド 鉄 道 のサインシャンド 駅 から 65km 離 れたところに<br />
位 置 する。<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年<br />
1 月 3 日 に 発 表 した 情 報 によると、 本 鉱 床 には 採 掘<br />
権 がなし。 第 7921X 号 、 第 12499X 号 の 探 鉱 権 が 存<br />
在 する。2007 年 6 月 13 日 からインゲニー(Ingenii)<br />
と い う 第 12499X 号 の 探 鉱 権 を EAM(East Asia<br />
Minerals exploration) 社 が 保 有 。 面 積 は 104,255ha<br />
である。2004 年 7 月 14 日 からはウルゴンー 1(Orgon-1)という<br />
第 7921X 号 の 探 査 権 をバツマイニング<br />
社 (Batu Mining Co. Ltd)が 保 有 していたが、その 後 、<br />
探 鉱 権 は ザ ラ ヤ ホ リ ヂ ン グ ス 社 (Zaraya holdings<br />
Co. Ltd)に 移 っている。 上 記 の 探 鉱 権 の 位 置 を 図 7<br />
に 示 す。<br />
により 発 見 された。ナルス 鉱 床 はホシュウ(Khoshuu)<br />
部 とインゲン(Ingen) 部 に 分 かられている。 地 質 は<br />
白 亜 紀 のサインシャンド 累 層 群 の 堆 積 岩 からなる。<br />
ホシュウ 部 のウラン 鉱 化 はサインシャンド 累 層 群 の<br />
下 部 になる 灰 色 堆 積 岩 の 層 状 の 酸 性 帯 に 関 係 する。<br />
インゲン 部 のウラン 鉱 化 はサインシャンド 累 層 群 の<br />
上 部 の 砂 岩 と 関 係 し、この 砂 岩 は 変 性 されて 炭 酸 塩 化<br />
変 質 と 赤 鉄 鉱 化 、 黄 鉄 鉱 化 変 質 を 受 けている。<br />
ウラン 鉱 化 は 層 状 の 砂 岩 に 含 まれており、 地 上 にウ<br />
ランを 溶 解 する 製 錬 方 法 で 開 発 する 可 能 性 がある。ホ<br />
シュウ 部 とインゲン 部 からなるナルス 鉱 床 の 長 さは<br />
11km である。ソ 連 の 地 質 調 査 機 関 が 行 った 探 査 では<br />
ナルス 鉱 床 のインゲン 部 の P1 バランス( 予 想 鉱 量 )<br />
埋 蔵 量 は 1,000t(220 万 ポンド)と 計 算 された。 鉱 層<br />
の 厚 さ 3m、ウランカットオフ 品 位 0.02%、 平 均 含 有<br />
量 0.042%で 計 算 すれば 鉱 石 埋 蔵 量 は 240 万 t であると<br />
鉱 業 権 者 は 判 断 している。 探 査 を 継 続 すればウランの<br />
埋 蔵 量 が 増 える 可 能 性 がある。<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 はウラン 砂 岩 鉱 床 タイプである。 鉱 化 作 用 は<br />
30m - 110m の 厚 さで 砂 岩 と 礫 単 層 に 含 まれており、<br />
その 間 に 泥 と 泥 岩 の 単 層 がある。このため、 地 上 でウ<br />
ランを 溶 解 する 製 錬 方 法 で 採 掘 することを 鉱 業 権 者 は<br />
検 討 しているが、ウランの 溶 解 実 験 はまだ 行 っていな<br />
い。<br />
4-7.ウラーン(Ulaan) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
ウラーン 鉱 床 はモンゴル 国 東 部 ドルノド 県 バヤンヅ<br />
ン(Bayandun) 郡 に 位 置 する。 本 鉱 床 はウランバー<br />
トル 市 から 北 東 580km、ドルノド 県 のセンターチョ<br />
イ バ ル サ ン 市 か ら 北 西 120km、 ロ シ ア 国 境 か ら 南<br />
120km、 中 国 国 境 より 130km 離 れたところに 位 置 する。<br />
ウラーン 鉱 床 はウラーン 鉛 ・ 亜 鉛 鉱 床 と 同 じ 場 所 で、<br />
グルワンブラグ 鉱 床 から 北 東 7km、マルダイ 村 から<br />
西 9km 離 れたところに 位 置 する。<br />
図 7 ナルス 鉱 床 鉱 区 図<br />
(3) 地 質 及 び 埋 蔵 量<br />
ナ ル ス 鉱 床 は サ イ ン シ ャ ン ド 谷 の 南 部 、 サ イ ン<br />
ハドーウラーンーサインシャンド(Sainkhad-Ulaan-<br />
Sainshand) 背 斜 の 東 部 に 位 置 する。 本 鉱 床 は 1978 年<br />
に 旧 ソ 連 地 質 調 査 機 関 による 縮 尺 1:100,000 の 地 質<br />
地 図 を 作 成 時 の 特 別 調 査 で 43,100m のボーリング 調 査<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年 1 月<br />
3 日 に 発 表 した 情 報 によると、 本 鉱 床 に 採 掘 権 ( 採 掘<br />
権 )が 一 つある。1997 年 5 月 20 日 から「ウラーン」<br />
(Ulaan)という 第 247A 号 の 採 掘 権 をシンシン 社 が 保<br />
有 している。 鉱 業 権 者 は 100% 中 国 側 出 資 の 会 社 であ<br />
る。 面 積 は 101ha である。 上 記 の 採 掘 権 の 場 所 を 図 8<br />
に 示 す。<br />
56<br />
(56)<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート
月 3 日 に 発 表 した 情 報 によると、 本 鉱 床 には 採 掘 権<br />
がなく、 第 4817X 号 の 探 鉱 権 がある。「ドラーンウー<br />
ル」(Dulaan Uul) 探 鉱 権 を 2002 年 8 月 30 日 からコ<br />
ジェゴビ 社 (Kojegobi Co. Ltd)が 保 有 している。 同<br />
社 は 1996 年 に 設 立 され、フランスのアレバ 社 (Areva<br />
Corp.)が 7 割 、モンゴルのゴビゲオ 社 (Gobigeo Co.)<br />
が 3 割 を 出 資 している。 探 鉱 権 の 面 積 は 38,450ha で<br />
ある。 探 鉱 権 の 位 置 を 図 9 に 示 す。<br />
レ<br />
ポ<br />
ー<br />
ト<br />
図 8 ウラーン 鉱 床 鉱 区 図<br />
(3) 地 質 及 び 埋 蔵 量<br />
ウラーン 鉱 床 とドルノド 鉱 床 、マルダイゴル 鉱 床 は<br />
モンゴル-プリアルグン(Mongolia-Priargun)ウラン<br />
鉱 床 地 帯 の 北 チョイバルサン(North Choibalsan) 鉱<br />
床 帯 のドルノド(Dornod) 鉱 床 地 域 に 位 置 する。こ<br />
の 鉱 床 地 域 は 火 山 岩 帯 に 入 る。<br />
地 質 構 造 はドルノド 鉱 床 地 域 に 位 置 する 他 の 鉱 床 に<br />
似 ているが、 鉱 化 した 岩 石 はドルノド 累 層 群 のビトロ<br />
ガラス 質 凝 灰 岩 、イグニンブライト、 流 紋 岩 からなる。<br />
ウラン 鉱 化 作 用 は 多 金 属 鉱 化 作 用 後 に 北 西 と 南 北 方 向<br />
の 断 層 中 の 火 山 岩 に 及 んだ。ウラーン 鉱 床 には 4 箇 所<br />
の 鉱 体 が 知 られている。 深 さは 30 ~ 40m である。ウ<br />
ラン 鉱 石 はフッ 素 -モリブデン-ウランタイプのナス<br />
トウラン-コフィナイトである。ウランの 主 要 鉱 物 は<br />
コフィナイト、ナストウランと 少 量 のウラノフィー<br />
ンとオテナイトになる。ウラン 平 均 含 有 量 は 0.110 -<br />
0.119%である。 本 鉱 床 の 鉱 業 権 者 はウラーン 多 金 属 鉱<br />
床 を 採 掘 することを 準 備 している。<br />
ウラーン 鉱 床 の 亜 鉛 、 鉛 、ウランの 埋 蔵 量 は 1989<br />
年 11 月 30 日 にモンゴル 国 立 埋 蔵 量 委 員 会 を 通 じて、<br />
鉱 物 資 源 総 合 登 録 に 記 録 された。 登 録 されたウラン 埋<br />
蔵 量 は 270t である。<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 は 坑 内 採 掘 法 と 露 天 掘 り 採 掘 法 で 開 発 する 予<br />
定 である。しかしウラン 鉱 石 の 製 錬 方 法 については 決<br />
定 していない。<br />
4-8.ミャグマル(Myagmar) 鉱 床<br />
(1) 位 置<br />
ミ ャ グ マ ル 鉱 床 は 別 名 ド ラ ー ン ウ ー ル(Dulaan<br />
Uul) 鉱 床 と も 呼 ば れ る。 ミ ャ グ マ ル 鉱 床 は モ<br />
ン ゴ ル 国 南 部 ド ル ノ ゴ ビ 県 ウ ラ ー ン バ ド ラ フ<br />
(Ulaanbadrakh) 郡 に 位 置 する。こ 本 鉱 床 はウランバー<br />
トル 市 から 南 東 590km、ドルノゴビ 県 サインシャン<br />
ド 市 から 南 82km、 鉄 道 のズーンバヤン(Zuunbayan)<br />
駅 から 南 東 37km 離 れたところに 位 置 する。<br />
図 9 ミャグマル 鉱 床 鉱 区 図<br />
(3) 地 質 及 び 埋 蔵 量<br />
ミャグマル 鉱 床 は 2002 年 から 白 亜 紀 のズーンバヤ<br />
ンとウネグテ(Unegt) 向 斜 で 行 われた 探 査 の 結 果 発<br />
見 され、2004 年 9 月 にウラン 鉱 体 が 発 見 された。コジェ<br />
ゴビ 社 の 副 社 長 であったミャグマル 氏 の 記 念 にミャグ<br />
マルという 名 を 付 けた。 以 前 にこの 地 域 はトルゴイと<br />
呼 ばれ、ロシア 地 質 機 関 が 行 った 物 理 探 査 ( 空 中 スペ<br />
クトロメーター 法 )により 発 見 されていた。<br />
本 鉱 床 は 地 質 構 造 的 に 上 部 白 亜 紀 のバヤンシレー<br />
(Bayanshiree) 累 層 群 の 堆 積 岩 に 含 まれており、 堆 積<br />
岩 の 酸 性 帯 の”roll front“ 形 の 鉱 石 化 作 用 に 関 係 する。<br />
現 在 、 探 査 は 完 了 していないため 本 鉱 床 のサイズ<br />
と 形 は 明 確 になっていない。 鉱 業 権 者 は 2002 年 から<br />
2007 年 まで 計 1,008 孔 のボーリング(164,726m のホー<br />
リンク)を 行 った。<br />
ミャグマル 鉱 床 のウラン 埋 蔵 量 は 現 在 10,000t と 計<br />
算 されているが、 探 査 が 完 了 した 時 点 で 推 定 鉱 量 が 明<br />
確 になる。<br />
(4) 採 掘 条 件<br />
本 鉱 床 はウラン 砂 岩 鉱 床 タイプである。 鉱 化 作 用 は<br />
平 均 67m の 厚 さで 砂 岩 と 礫 層 に 含 まれ、その 間 に 泥<br />
と 泥 岩 の 単 層 がある。このためウランを 溶 解 する 製 錬<br />
方 法 を 行 うこと 有 利 であるが、 鉱 業 権 者 はまだ 実 験 を<br />
行 っていない。<br />
今 後 、ウラン 鉱 化 帯 探 査 、 水 文 地 質 学 的 調 査 、 構 造<br />
探 査 及 びイン・シチュ・リーチング 実 験 を 行 う 計 画 で<br />
ある。<br />
(2008.3.28)<br />
モ<br />
ン<br />
ゴ<br />
ル<br />
の<br />
ウ<br />
ラ<br />
ン<br />
鉱<br />
床<br />
と<br />
開<br />
発<br />
の<br />
現<br />
状<br />
(2) 鉱 業 権 者<br />
鉱 物 資 源 石 油 管 理 庁 、 鉱 業 登 記 事 務 所 が 2008 年 1<br />
2008.5 金 属 資 源 レポート 57<br />
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