誘導機の V/f 駆動システムにおける 外乱オブザーバ ... - 長岡技術科学大学
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論銺 文 ,D<br />
誘釴 導 機 の V/f 駆 動 システムにおける<br />
外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いた 電 圧 誤 差 補 償 法<br />
*<br />
学 生急 員 星怞 野 哲 馬<br />
正怢 員 伊 東 淳 一<br />
*<br />
A Voltage Error Correction Method for V/f Controlled Induction Motor with Disturbance Observers<br />
Tetsuma Hoshino * , Student Member, Jun-ichi Itoh * , Member<br />
This paper proposes a voltage error compensation method with a parallel disturbance observer and a current controller in the<br />
d-q rotational frame for V/f control. The parallel disturbance observer consists of a fast speed observer and a low speed observer<br />
to separate the back electromotive force (EMF) from the estimated disturbance voltage. As a result, the voltage error is corrected<br />
using the proposed method. The proposed method is validated based on the experimental results. This method can improve the<br />
current distortion to less than 1/9 that of the conventional method.<br />
キーワード: 誘釴 導 電 動 機 ,V/f 制怖 御 , 外 乱鈮 オブザーバ,デッドタイム<br />
Keywords:induction motor, V/f control, disturbance observer, dead-time<br />
1. はじめに<br />
近 年 ,インバータはさまざまな 分 野 に 適 用鈏 されてきた。 特<br />
に 一 般 産 業 機 器 としてインバータは 誘釴 導 機 と 組悓 合 せ,ファ<br />
ン・ポンプなどの 大 幅 な 省 エネルギー 化 に 貢 献 している。<br />
インバータを 用鈏 いた 誘釴 導 機 のさまざまな 制怖 御 方 式 が 開 発<br />
されているが,インバータのデッドタイムをはじめとす<br />
る 出 力鉫 電 圧 の 誤 差 は 制怖 御 性怚 能 を 劣銐 化 させる。 例鉿 えば, 誘釴 導<br />
機 の 制怖 御 に 最 もよく 用鈏 いられている V/f 制怖 御 はオープンルー<br />
プ 制怖 御 であるため, 出 力鉫 電 圧 誤 差 の 影 響 が 特 に 大 きく, 回<br />
転 ムラやトルクリプルが 増 加 する。 一 方 , 電 圧 と 電 流鉊 から<br />
モータ 磁 束 や 速 度 を 推忳 定 するセンサレスベクトル 制怖 御 でも<br />
低 速 での 制怖 御 性怚 能 は 出 力鉫 電 圧 の 精性 度 に 大 きく 依 存 する。ま<br />
た, 出 力鉫 電 圧 誤 差 がきわめて 小 さければ, 出 力鉫 電 圧 を 検 出<br />
しなくても, 高 性怚 能 の 制怖 御 を 実 現 できる。<br />
現 在 まで,それぞれの 特 性怚 を 改 善恼 するため 多 くの 出 力鉫 電<br />
圧 誤 差 補 償 法 が 提 案 されている (1)~(7) 。 出 力鉫 電 圧 誤 差 は, 主 に<br />
インバータのデッドタイムと 素悒 子 のオン 電 圧 降 下 に 依 存 す<br />
る。デッドタイム 電 圧 誤 差 の 補 償 は 負 荷 電 流鉊 極 性怚 を 判 別 し,<br />
あらかじめデッドタイム 時 間 ,スイッチング 周 波 数怃 と 直 流鉊<br />
電 圧 , 素悒 子 のオン 電 圧 特 性怚 から 演 算 した 電 圧 誤 差 分 を<br />
フィードフォワード 補 償 する 方 式 が 一 般 的 である (8) 。しか<br />
し, 特 に 低 速 の 領鉪 域 では 出 力鉫 電 圧 が 小 さく, 出 力鉫 電 圧 誤 差<br />
*<br />
長 岡 技 術 科 学 大 学<br />
〒940-2188 新忆 潟 県 長 岡 市 上 富 岡 町 1603-1<br />
Nagaoka University of Technology<br />
1603-1, Kamitomioka, Nagaoka 940-2188, Japan<br />
の 影 響 が 特 に 大 きくなるので, 従 来鈦 の 一 般 的 なフィード<br />
フォワード 補 償 では, 電 圧 誤 差 が 残 存 し, 電 流鉊 がゼロ 付 近<br />
に 停 滞 する。また, 電 流鉊 がゼロ 付 近 では,デッドタイム 期<br />
間 中 にスイッチング 素悒 子 のコレクタ-エミッタ 間 の 静怲 電 容鈄<br />
量鉨 により 中 間 電 位 が 発 生急 し, 電 流鉊 極 性怚 ,デッドタイム 時 間 ,<br />
直 流鉊 電 圧 とスイッチング 周 波 数怃 だけに 依 存 しない 電 圧 誤 差<br />
が 発 生急 する。この 電 圧 誤 差 の 変 化 に 対 応 するため, 負 荷 電<br />
流鉊 値 に 対 する 電 圧 誤 差 のマップをオフラインで 測 定 し,<br />
フィードフォワード 補 償 を 行 う 方 式 も 提 案 されている (9) 。こ<br />
の 方 式 は,フィードフォワード 補 償 する 電 圧 誤 差 を 厳 密 に<br />
設恌 定 することで, 補 償 精性 度 を 高 めているが, 補 償 量鉨 はデバ<br />
イスの 特 性怚 のばらつきや 電 流鉊 値 により 変 化 するので, 調 整思<br />
が 煩 雑 になると 思 われる。<br />
一 方 , 外 乱鈮 オブザーバを 適 用鈏 し,オンラインで 電 圧 誤 差<br />
の 補 償 を 行 う 方 法 が 提 案 されている (10)~(11) 。これは,モータ<br />
モデルを 用鈏 いて 電 流鉊 からモータ 端 子 電 圧 を 推忳 定 し, 電 圧 指<br />
令鉽 との 差 によりデッドタイムなどの 電 圧 誤 差 を 補 正怢 す<br />
る。 外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いた 電 圧 誤 差 補 償 法 は, 次 に 示 す<br />
多 くの 利鈶 点 を 有釫 する。<br />
・ 他 方 式 に 比 べパラメータの 設恌 定 が 平 易<br />
・デバイスの 飽 和銼 電 圧 も 同 時 に 補 償 が 可 能<br />
・ 常 にオンラインでの 補 償 が 可 能<br />
参 考 文 献 (10)~(11)において, 外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いた 補 償<br />
法 は, 速 度 センサレスベクトル 制怖 御 またはセンサ 付 ベクト<br />
ル 制怖 御 に 適 用鈏 されているが,V/f 制怖 御 について 適 用鈏 された 例鉿<br />
1/10
は, 著 者 らの 知 る 限 りない。V/f 制怖 御 は 速 度 センサが 不 要鈕 で<br />
あり, 比 較 的 少 ない 演 算 量鉨 で 制怖 御 できるため 低 コストなイ<br />
ンバータに 適 用鈏 され, 一 般 産 業 で 広 く 普 及 している。しか<br />
し, 速 度 および 磁 束 位 置 を 推忳 定 しないため, 外 乱鈮 オブザー<br />
バを 用鈏 いた 出 力鉫 電 圧 誤 差 補 償 を 文 献 (10)~(11)と 同 様鈋 に 行 う<br />
と 以 下 の 課 題 があることがわかった。<br />
(1) 磁 束 軸 成怛 分 ,トルク 軸 成怛 分 に 電 流鉊 を 分 離鉁 できないため,<br />
電 圧 誤 差 のモデルが 複 雑 になる。<br />
(2) 電 流鉊 制怖 御 系 から 見 ると 速 度 起 電 力鉫 も 外 乱鈮 となるので, 電<br />
圧 誤 差 と 一 緒 に 補 償 すると 過 励銁 磁 となり 中 高 速 で 運 転 でき<br />
ない。<br />
本 論銺 文 では, 回 転 座 標 上 に 構 成怛 した V/f 制怖 御 系 に 従 来鈦 の<br />
フィードフォワードによる 電 圧 誤 差 補 償 方 式 に 加 え,さら<br />
に 外 乱鈮 オブザーバと 電 流鉊 制怖 御 器 を 付 加 して 電 圧 誤 差 補 償 を<br />
行 う 方 法 を 提 案 し,その 有釫 用鈏 性怚 を 検 証 する。V/f 制怖 御 系 は 回<br />
転 座 標 系 (dq 軸 )にて 構 成怛 し,q 軸 の 出 力鉫 電 圧 指 令鉽 値 を 周<br />
波 数怃 指 令鉽 に 比 例鉿 した 値 (V/f 比 一 定 )とする。 提 案 法 は 課 題 (1)<br />
を 解 決 するために,d 軸 に 電 流鉊 制怖 御 を 適 用鈏 し,q 軸 には 外 乱鈮<br />
オブザーバを 用鈏 いる。d 軸 の 電 流鉊 制怖 御 器 は 一 定 の 励銁 磁 電 流鉊 を<br />
確 保 するとともに, 電 圧 誤 差 の 影 響 を q 軸 側 に 集 約釓 する。q<br />
軸 のみに 外 乱鈮 オブザーバを 設恌 置 することで 制怖 御 器 のモデル<br />
を 簡 略鉈 化 できる。 本 論銺 文 で 提 案 する 構 成怛 は,V/f 制怖 御 に 新忆 た<br />
な 電 流鉊 センサを 必 要鈕 とするが, 比 較 的 簡 単 な 制怖 御 で 極 低 速<br />
におけるトルク 特 性怚 を 著 しく 改 善恼 でき,パラメータ 変 動 に<br />
も 強 い。また,V/f 制怖 御 でも 過 電 流鉊 保 護 などの 理鈻 由釱 で 実 際 の<br />
製怪 品 には 電 流鉊 センサが 付 加 されている 場 合 もあり, 本 制怖 御<br />
法 はこれを 利鈶 用鈏 することで,V/f 制怖 御 の 利鈶 点 を 損 なうことは<br />
ないと 考 える。なお, 本 制怖 御 は 瞬 時 トルクを 制怖 御 すること<br />
を 対 象 にしておらず, 負 荷 に 応 じてすべりが 発 生急 し,それ<br />
に 伴 いトルクを 発 生急 している。よって, 本 制怖 御 法 は V/f 制怖 御<br />
の 延 長 線恫 上 にある。<br />
また, 課 題 (2)を 解 決 するために, 提 案 する 補 償 器 では,<br />
電 圧 誤 差 と 速 度 起 電 力鉫 のそれぞれの 周 波 数怃 帯 が 異 なること<br />
に 注 目 し, 外 乱鈮 オブザーバの 動 作 周 波 数怃 帯 を 低 速 と 高 速 の 2<br />
つに 分 離鉁 して 並 列銏 動 作 させる。 本 稿 ではシミュレーション<br />
と 実 験 により 本 方 式 の 有釫 効 性怚 を 確 認 したので 報 告 する。<br />
2. 原 理<br />
〈2・1〉インバータの 電 圧 誤 差 の 発 生<br />
図忭 1(a)にインバータ 1 レグの 回 路銣 を 示 し, 図忭 1(b)に 出 力鉫 電<br />
圧 とデッドタイム 期 間 中 に 発 生急 する 電 圧 誤 差 を 示 す。イン<br />
バータで 発 生急 する 出 力鉫 電 圧 誤 差 は 主 にデッドタイムにより<br />
発 生急 する 誤 差 と,パワーデバイスのオン 電 圧 降 下 により 発<br />
生急 する 誤 差 があるが, 前恻 者 の 方 が 支 配 的 なので, 以 後 , 出<br />
力鉫 電 圧 誤 差 は デ ッ ド タ イ ム 電 圧 誤 差 を 中 心 に 議 論銺 す<br />
る。デッドタイムは 上 アーム u p , 下 アーム u n のゲートパル<br />
スに 挿悩 入 し, 上 下 アーム 間 の 短 絡鈫 を 防 止 する。 図忭 1(b)におい<br />
て T d はデッドタイム 期 間 を 示 している。<br />
デッドタイム 期 間 中 に 発 生急 する 電 圧 誤 差 は, 出 力鉫 電 流鉊 i u<br />
の 方 向 に 依 存 する。 例鉿 えば 出 力鉫 電 流鉊 i u が 正怢 の 場 合 は 下 アー<br />
ム u n の 還 流鉊 ダイオード(FWD)が 導 通 し,−V dc /2 が 出 力鉫 され<br />
る。 対 して 出 力鉫 電 流鉊 i u が 負 の 場 合 は 上 アーム u p の FWD が<br />
導 通 し,V dc /2 が 出 力鉫 される。 結 果 として,キャリア 1 周 期<br />
中 のデッドタイムによる 平 均 電 圧 誤 差 ∆V は(1) 式 で 表 せる。<br />
∆ V = − f V T ⋅sign<br />
i .................................................(1)<br />
s<br />
dc<br />
d<br />
( )<br />
u<br />
ここで,f s :スイッチング 周 波 数怃 ,V dc :DC リンク 電 圧 ,<br />
T d :デッドタイム 時 間 ,i u : 出 力鉫 電 流鉊 である。<br />
y = sign(x)は x の 符 号 関 数怃 であり x>0 において y=1,x
れる。<br />
**<br />
{ V ( s)<br />
− ( R + R + sL ) I ( )}<br />
1<br />
∆ Vˆ(<br />
s)<br />
=<br />
1q<br />
1C<br />
2C<br />
σC<br />
1q<br />
s ........ (4)<br />
1+<br />
sT<br />
ただしサフィックス C はコントローラのパラメータを 示<br />
し,T: 外 乱鈮 オブザーバの 帰 還 フィルタの 時 定 数怃 ,V 1q ** :<br />
外 乱鈮 オ ブ ザ ー バ に よ る 補 償 後 の q 軸 電 圧 指 令鉽 値 で<br />
ある。また s はラプラス 演 算 子 である。<br />
なお,V/f 制怖 御 では 二 次 磁 束 のベクトルが 不 明 であるため,<br />
dq 軸 は 任 意 の 座 標 系 であり,(4) 式 だけでは 補 償 できない。そ<br />
こで,d 軸 に 電 流鉊 制怖 御 系 を 付 加 し, 励銁 磁 電 流鉊 は d 軸 にて 確 保<br />
し,d 軸 に 発 生急 する 電 圧 誤 差 および 軸 ずれに 伴 う 電 圧 誤 差 の<br />
干 渉 成怛 分 を 補 償 する。また,〈3・5〉 節恎 にて 後 述 するが,d 軸<br />
の 電 流鉊 制怖 御 器 は 制怖 御 系 の 安 定 化 の 役釒 割 を 果 たしている。<br />
図忭 3 に 提 案 する 外 乱鈮 オブザーバの 構 成怛 を 示 す。 速 度 起 電<br />
力鉫 は 外 乱鈮 オブザーバからみると 外 乱鈮 と 見 なせるため, 推忳 定<br />
した 外 乱鈮 を 全恿 て 補 償 すると 過 補 償 となる。そこで, 速 度 起<br />
電 力鉫 と 電 流鉊 の 応 答 速 度 の 違 いに 着 目 し, 応 答 速 度 の 異 なる 2<br />
つの 外 乱鈮 オブザーバで 出 力鉫 電 圧 誤 差 と 速 度 起 電 力鉫 を 分 離鉁 す<br />
る。 外 乱鈮 オブザーバの 応 答 速 度 は(4) 式 中 の 時 定 数怃 T により<br />
設恌 計 でき, 速 い 外 乱鈮 オブザーバでは 短 い 時 定 数怃 T f を 用鈏 いて<br />
(3) 式 の 全恿 ての 項 を 推忳 定 し, 遅 い 外 乱鈮 オブザーバでは 長 い 時<br />
定 数怃 T s を 用鈏 いて(3) 式 の 第 2 項 , 第 3 項 を 推忳 定 する。そして,<br />
2 つの 外 乱鈮 オブザーバの 出 力鉫 を 演 算 し, 電 圧 誤 差 推忳 定 値 ∆Vˆ<br />
を 得 る。<br />
(a) Inverter leg<br />
(b) Relationship between<br />
reference pulse and voltage error<br />
図忭 1 デッドタイムと 電 圧 誤 差 の 関 係<br />
Fig. 1. Relations between reference pulse and voltage error.<br />
図忭 2 誘釴 導 電 動 機 の 等 価 回 路銣<br />
Fig. 2. An equivalent circuit of an induction motor.<br />
3. 提 案 システムの 解 析<br />
V/f 制怖 御 の 利鈶 点 として,モータパラメータによらず 簡 単 に<br />
モータを 駆 動 できることが 挙 げられる。 一 方 提 案 法 はとく<br />
に 低 速 域 におけるトルク 特 性怚 を 著 しく 改 善恼 できるがモータ<br />
パラメータを 必 要鈕 とする。しかし,パラメータ 感 度 が 低 け<br />
れば 従 来鈦 の V/f 制怖 御 の 利鈶 点 を 損 なうことはない。ここでは 図忭<br />
3 に 示 す 提 案 システムの 伝 達 関 数怃 から, 外 乱鈮 オブザーバに 設恌<br />
定 するモータパラメータの 感 度 について 解 析怼 を 行 う。<br />
〈3・1〉システムの 伝 達 関 数 導 出<br />
解 析怼 に 先恕 立鉅 って, 並 列銏 に 接恉 続 されている 外 乱鈮 オブザーバ<br />
を 整思 理鈻 すると,(5) 式 の 帰 還 フィルタ G(s)が 得 られる。<br />
1 1 s( Ts<br />
− Tf<br />
)<br />
G(<br />
s)<br />
= − =<br />
.........(5)<br />
2<br />
1+<br />
sT 1+<br />
sT 1+<br />
s T + T + s T T<br />
f<br />
s<br />
(<br />
s f<br />
)<br />
s f<br />
図忭 3 と(5) 式 を 用鈏 いて 電 圧 誤 差 ΔV に 対 する 出 力鉫 電 圧 V 1q<br />
の 伝 達 関 数怃 を 求 めると(6) 式 が 得 られる。 同 様鈋 に 電 圧 指 令鉽 値<br />
V 1q *に 対 する 出 力鉫 電 圧 V 1q の 伝 達 関 数怃 を 求 めると(7) 式 とな<br />
る。<br />
V1<br />
q<br />
= −<br />
∆V<br />
1+<br />
G<br />
( s)<br />
1−<br />
G<br />
⎛ R 1+<br />
sT<br />
( ) ⎜<br />
C eC<br />
s<br />
−1<br />
⎟ ⎝ R 1+<br />
sTe<br />
⎠<br />
⎞<br />
...............................(6)<br />
V1q<br />
1<br />
=<br />
.................................(7)<br />
*<br />
V<br />
⎛ + ⎞<br />
1q<br />
RC<br />
1 sTeC<br />
1 + G(<br />
s)<br />
⎜<br />
⎟<br />
−1<br />
⎝ R 1 + sTe<br />
⎠<br />
ただし R=R 1 +R 2 ,R C =R 1C +R 2C ,T e =L σ /R:モータの 電 気 時 定 数怃 ,<br />
T eC =L σC /R C :コントローラの 電 気 時 定 数怃 ,<br />
∆Vˆ<br />
T f : 速 い 外 乱鈮 オブザーバの 時 定 数怃 ,<br />
T s : 遅 い 外 乱鈮 オブザーバの 時 定 数怃 ,<br />
G(s):(5) 式 に 示 す 帰 還 フィルタの 伝 達 関 数怃 である。<br />
〈3・2〉パラメータ 整 合 時 の 周 波 数 特 性<br />
図忭 4(a)に(6) 式 の, 図忭 4(b)に(7) 式 の 周 波 数怃 特 性怚 をボード 線恫<br />
図忭 に 示 す。 計 算 には 表 1 に 示 すパラメータを 使 用鈏 した。 図忭<br />
4(a)においては Magnitude が 低 いほど 外 乱鈮 抑鈜 圧 性怚 能 が 高 いこ<br />
とを 意 味 する。 図忭 4(b)においては Magnitude が 0 dB に 近 い<br />
ほどコントローラが 電 圧 指 令鉽 値 V 1q *どおりの 電 圧 をモータ<br />
に 出 力鉫 できることを 意 味 する。<br />
VˆEMF<br />
図忭 3 並 列銏 の 外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いた<br />
電 圧 誤 差 補 償 システム<br />
Fig. 3. A voltage error correction system<br />
with a parallel-connected disturbance observer.<br />
3/10
図忭 4 中 の 実 線恫 はコントローラとモータのパラメータが 整思<br />
合 している 時 の R C =R,L σC =L σ における 周 波 数怃 応 答 である。ま<br />
た,それ 以 外 の 線恫 はパラメータ 不 整思 合 時 を 模 擬 したときの,<br />
R C ,L σC のパラメータをそれぞれ 2 倍 ,1/2 に 設恌 定 した 場 合<br />
の 周 波 数怃 応 答 である。この 節恎 では, 実 線恫 で 示 すパラメータ<br />
整思 合 時 の 周 波 数怃 応 答 について 議 論銺 し,パラメータ 不 整思 合 時<br />
の 周 波 数怃 応 答 については〈3・3〉 節恎 で 議 論銺 する。<br />
(8) 式 にパラメータ 誤 差 の 無 い R C =R,L σC = L σ の 状 態 におけ<br />
る 端 子 電 圧 V 1q に 対 する 電 圧 誤 差 ∆V の 伝 達 関 数怃 を 示 す。こ<br />
の 場 合 , 周 波 数怃 応 答 はノッチフィルタと 同 様鈋 となり,ノッ<br />
チの 中 心 周 波 数怃 f 0 は(9) 式 で 与釽 えられる。<br />
2<br />
V1<br />
q<br />
1+<br />
s( 2T<br />
f<br />
) + s TfTs<br />
=<br />
.......................................(8)<br />
2<br />
∆V<br />
1+<br />
s( Tf<br />
+ Ts<br />
) + s TfTs<br />
f = 1<br />
2π T T .............................................................(9)<br />
0<br />
s f<br />
補 償 器 の 周 波 数怃 特 性怚 を 評 価 するため, 電 圧 誤 差 に 注 目 し<br />
た 周 波 数怃 帯 の 定 義 を 行 う。 運 転 周 波 数怃 に 基 づき, 電 圧 誤 差<br />
の 発 生急 する 周 波 数怃 帯 を 3 つに 定 義 する。 次 に, 各 周 波 数怃 帯<br />
の 定 義 と 要鈕 求 される 特 性怚 を 述 べる。<br />
(1) 中 間 周 波 数怃 帯<br />
通 常 運 転 における, 電 圧 誤 差 の 周 波 数怃 範 囲 にあわせて 定<br />
義 する。 中 間 周 波 数怃 帯 では 電 圧 誤 差 から 出 力鉫 電 圧 までの 伝<br />
達 関 数怃 のゲインが 低 く, 外 乱鈮 を 抑鈜 圧 できることを 意 味 す<br />
る。よって, 回 転 座 標 上 でインバータ 出 力鉫 周 波 数怃 の 6 倍 の<br />
周 波 数怃 を 持 つ 電 圧 誤 差 を 効 果 的 に 補 償 するためには, 誘釴 導<br />
機 の 制怖 御 対 象 速 度 領鉪 域 がこの 周 波 数怃 帯 になるように 外 乱鈮 オ<br />
ブザーバの 時 定 数怃 を 設恌 計 する。たとえば, 表 1 のモータの<br />
速 度 を 0.1ω rate から 1.0ω rate の 範 囲 で 運 転 する 場 合 , 一 次 側 周<br />
波 数怃 は 50Hz~5Hz となるため, 回 転 座 標 上 では 電 圧 誤 差 の 周<br />
波 数怃 は 300~30Hz となる。この 領鉪 域 に(9) 式 のノッチの 中 心 周<br />
波 数怃 を 設恌 けることが 望 ましい。<br />
(2) 高 周 波 数怃 帯<br />
中 間 周 波 数怃 帯 より 高 い 周 波 数怃 帯 を 高 周 波 数怃 帯 と 定 義 す<br />
る。この 場 合 は 300Hz より 高 い 周 波 数怃 が 高 周 波 数怃 帯 とな<br />
る。この 周 波 数怃 帯 には 電 圧 誤 差 の 基 本 波 は 含 まれないが,<br />
高 調 波 は 含 まれている。そのため,この 周 波 数怃 帯 まで 補 償<br />
範 囲 を 広 げることが 望 ましい。しかし, 高 周 波 帯 では 外 乱鈮<br />
オブザーバの 応 答 に 限 界 があるため, 外 乱鈮 オブザーバのみ<br />
では 補 償 できなくなる。 従 って, 電 圧 誤 差 は 外 乱鈮 オブザー<br />
バのみで 補 償 するのではなく, 従 来鈦 のフィードフォワード<br />
補 償 と 併 用鈏 する。 従 来鈦 のフィードフォワード 補 償 で, 電 流鉊<br />
値 がゼロの 近 傍 で 停 滞 するなどの 問 題 が 生急 じる 領鉪 域 は 主 に<br />
低 周 波 数怃 帯 であるため, 提 案 する 外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いた<br />
補 償 法 を 低 周 波 数怃 帯 の 補 償 に 併 用鈏 することで 補 償 性怚 能 を 向<br />
上 できる。<br />
(3) 低 周 波 数怃 帯<br />
中 間 周 波 数怃 帯 より 低 い 周 波 数怃 帯 を 低 周 波 数怃 帯 と 定 義 す<br />
る。この 場 合 は 30Hz より 低 い 周 波 数怃 帯 が 低 周 波 数怃 帯 とな<br />
る。 定 常 運 転 時 の 速 度 起 電 力鉫 , 干 渉 項 の 電 圧 が 外 乱鈮 として<br />
この 周 波 数怃 帯 に 含 まれる。そのため,この 領鉪 域 でこれらを<br />
Magnitude (dB)<br />
(a)Disturbance to output voltage transmission characteristics<br />
(b) Output voltage command to output voltage transmission characteristics<br />
図忭 4 並 列銏 の 外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いたシステムの 周 波 数怃 特 性怚<br />
Fig. 4. Frequency response of parallel connected<br />
disturbance observer system.<br />
表 1 解 析怼 条 件<br />
Table 1. Analysis conditions.<br />
Parameters Values Parameters Values<br />
Rated power 750W Rated current I n 3.6A<br />
Poles 4 Rated exciting current I 0 2.0A<br />
Rated voltage V n 200V Primary resistance R 1 2.78Ω<br />
Rated frequency ω n 50Hz Secondary resistance R 2 2.44Ω<br />
Rated speed ω rate 1420r/min Leakage inductance L σ 11.0mH<br />
Moment of Inertia 0.0025kg·m 2<br />
Fast observer<br />
time constant T f<br />
1ms<br />
Slow observer<br />
time constant T s<br />
500ms<br />
補 償 すると, 過 励銁 磁 となる。よって, 補 償 ゲインは 0dB で<br />
あることが 望 ましい。ただし, 通 常 運 転 より 低 速 で 運 転 す<br />
る 場 合 には, 低 周 波 数怃 帯 まで 補 償 することが 望 ましい。 低<br />
速 における 補 償 法 については,〈3・4〉 節恎 でも 詳 細 に 述 べる。<br />
〈3・3〉モータのパラメータ 変 動 の 影 響<br />
図忭 4 における 点 線恫 は R C ,L σC のパラメータをそれぞれ 2<br />
4/10
(a)6 roots placement<br />
32<br />
30<br />
28<br />
26<br />
24<br />
22<br />
20<br />
18<br />
図忭 5 根 配 置 と 軌 跡恄<br />
Imaginary<br />
0.5T s<br />
0.5T f<br />
2.0K ACR 2.0T s<br />
Real<br />
0.5K ACR<br />
2.0T f<br />
-2 -1 0 1 2<br />
(b) Trackings of most vibratile root No.5<br />
Fig. 5. Placement and tracking of roots. ○ shows no parameter variations. △shows twice of and ▽shows half of its actual parameter.<br />
Each dashed line, solid line and dash-dot line means K ACR ACR gain, T f and T s observer time-constant variations.<br />
倍 ,1/2 に 設恌 定 した 場 合 の 周 波 数怃 応 答 である。R C ,L σC のそ<br />
れぞれのパラメータに 分 けて,モータパラメータの 変 動 が<br />
生急 じた 場 合 の 影 響 を 考 察 する。<br />
(1)R C の 影 響<br />
中 間 周 波 数怃 帯 はモータの 抵 抗 R C の 誤 差 により 外 乱鈮 抑鈜 圧 性怚<br />
能 が 変 化 するので 注 意 が 必 要鈕 である。 図忭 4 から 明 らかなよ<br />
うに 外 乱鈮 抑鈜 圧 性怚 能 は R C R では 向 上 す<br />
る。また, 出 力鉫 電 圧 は,R C >R のときに 減 少 し,R C L σ では 減 少 し,<br />
L σC
ある。 各 パラメータは 安 定 性怚 解 析怼 と 同 じ 値 を 用鈏 い,d 軸 電 流鉊<br />
制怖 御 系 の 比 例鉿 ゲインを 2 倍 に 変 化 させた。その 結 果 ,2.0~4.0s<br />
において,ω 1 を 0.65pu から 0.70pu へとステップ 的 に 変 化 さ<br />
せたときの, 負 荷 に 対 する dq 軸 電 流鉊 と q 軸 補 償 電 圧 の 振必 動<br />
を 比 較 し, 振必 動 が 抑鈜 制怖 できることを 確 認 した。なお,シミュ<br />
レーションの 制怖 御 構 成怛 は, 後 述 する 実 験 システム( 図忭 7)と<br />
同 様鈋 である。<br />
図忭 6(a)に d 軸 電 流鉊 制怖 御 器 の 比 例鉿 ゲイン K ACR を 変 化 する 前恻<br />
の 結 果 を 示 す。 電 流鉊 も 補 償 電 圧 も 振必 動 しており,ほとんど<br />
減 衰忹 していない。 図忭 6(b)は d 軸 電 流鉊 制怖 御 器 の 比 例鉿 ゲイン K ACR<br />
を 2 倍 した 場 合 の 結 果 である。この 場 合 は 1.5s 程 度 で 振必 動<br />
が 収 束 し,より 安 定 な 応 答 が 得 られている。<br />
4. 実 験 結 果<br />
図忭 7 に 実 験 で 用鈏 いた 誘釴 導 機 駆 動 システムを 示 す。 本 シス<br />
テムは 200V, 750W の 汎 用鈏 誘釴 導 機 と 電 圧 形 インバータにより<br />
構 成怛 する。インバータは 回 転 座 標 上 で V/f 制怖 御 を 行 っており,<br />
コントローラには 外 部 から 一 次 周 波 数怃 指 令鉽 ω 1 *を 与釽 える。q<br />
軸 の 電 圧 指 令鉽 は ω 1 * に 比 例鉿 する 定 数怃 (V/f 比 一 定 )を 乗 じ,<br />
(10) 式 で 示 す, 一 次 抵 抗 による 電 圧 降 下 を 補 正怢 するブー<br />
スト 電 圧 を 加 算 することで 得 る。<br />
v<br />
⎛ ω ⎞<br />
R i q<br />
⎜ ⎟<br />
− 1<br />
1 1 1 .................................................(10)<br />
⎝ ω ⎠<br />
boost =<br />
n<br />
また d 軸 には 電 流鉊 制怖 御 器 を 構 成怛 し, 指 令鉽 値 i 1d *に 対 して 無<br />
負 荷 励銁 磁 電 流鉊 I 0 を 与釽 え 励銁 磁 電 流鉊 を 確 保 する。 図忭 3 に 示 した<br />
外 乱鈮 オブザーバを 適 用鈏 し, 電 圧 誤 差 補 償 の 特 性怚 を 検 証 す<br />
る。 表 2 にインバータと 汎 用鈏 誘釴 導 機 のパラメータを 示 す。な<br />
お, 遅 い 外 乱鈮 オブザーバは〈3・4〉 節恎 の 解 析怼 結 果 より, 低 速<br />
域 でゲインをゼロとして 補 償 を 行 わないように 設恌 定 してい<br />
る。これにより, 低 周 波 数怃 帯 においてシステムの 外 乱鈮 抑鈜 圧<br />
ゲインが 0dB に 収 束 せず, 低 速 運 転 時 に 電 圧 誤 差 が 補 償 さ<br />
れる。<br />
〈4・1〉 従 来 法 と 提 案 法 の 出 力 電 流 ひずみによる 比 較<br />
図忭 8 に 出 力鉫 周 波 数怃 1Hz, 無 負 荷 にて 誘釴 導 機 を 駆 動 した 結 果<br />
を 示 す。 図忭 8(a)は 従 来鈦 法 のみの 場 合 , 図忭 8(b)には 従 来鈦 法 に 提<br />
案 法 を 併 用鈏 した 場 合 の 誘釴 導 機 の 電 流鉊 波 形 である。 従 来鈦 法 は<br />
電 流鉊 極 性怚 を 利鈶 用鈏 した 電 圧 誤 差 フィードフォワードを 用鈏 い<br />
た。<br />
図忭 8(a)ではデッドタイム 時 間 , 直 流鉊 電 圧 とスイッチング 周<br />
波 数怃 に 応 じて 補 償 量鉨 を 設恌 定 して 補 償 を 行 っているにもかか<br />
わらず, 電 流鉊 波 形 にはリプルが 生急 じ,また 電 流鉊 振必 幅 も 小 さ<br />
くなっている。これは, 従 来鈦 法 が 電 流鉊 極 性怚 の 情 報 しか 使 用鈏<br />
しないため, 電 流鉊 がゼロで 停 滞 すると 補 償 が 困 難 になるた<br />
めである。<br />
図忭 8(b)ではリプルがほとんどなく 良鉥 好 な 波 形 が 得 られ<br />
る。このとき 外 乱鈮 オブザーバは 電 流鉊 を 連銜 続 的 に 流鉊 す 役釒 割 を<br />
果 たし, 電 流鉊 のゼロでの 停 滞 を 解 消 する。その 結 果 , 従 来鈦<br />
法 による 補 償 が 容鈄 易 となり, 波 形 の 改 善恼 につながる。また,<br />
従 来鈦 法 を 併 用鈏 することで, 電 圧 誤 差 をフィードフォワード<br />
∆Vˆ<br />
(a) d-axis ACR gain set to K ACR =0.5<br />
1.0<br />
I d<br />
0.2pu/div.<br />
0<br />
0.8<br />
I q<br />
0.2pu/div. 0<br />
-0.4<br />
0.2<br />
∆Vˆ<br />
0<br />
0.1pu/div.<br />
-0.2<br />
0.0 2.0<br />
Time [sec]<br />
4.0 6.0<br />
(b) d-axis ACR gain set to K ACR =1.0<br />
図忭 6 パラメータチューニングによる 振必 動 の 抑鈜 制怖<br />
Fig. 6. Damping result with parameter tuning .<br />
表 2 実 験 条 件<br />
Table 2. Experimental conditions.<br />
Parameters Values Parameters Values<br />
Rated power 750W Rated current I n 3.6A<br />
Poles 4 Rated exciting current I 0 2.0A<br />
Rated voltage V n 200V Primary resistance R 1 2.78Ω<br />
Rated frequency ω n 50Hz Secondary resistance R 2 2.44Ω<br />
Rated speed ω rate 1420r/min Leakage inductance L σ 11.0mH<br />
Moment of Inertia 0.0025kg·m 2<br />
Switching frequency f s 20kHz Dead-time period T d 3µs<br />
d-axis ACR gain K ACR 2.0 Boost voltage 10.0V<br />
DC bus voltage V dc<br />
Fast observer<br />
time constant T f<br />
Command value of<br />
d-axis current i 1d *<br />
300V<br />
(Typ.)<br />
1ms<br />
I 0<br />
(2.0A)<br />
Feed forward<br />
compensation voltage<br />
Slow observer<br />
time constant T s<br />
0.06V dc<br />
18V (Typ.)<br />
10ms<br />
補 償 できるので, 外 乱鈮 オブザーバの 応 答 改 善恼 がはかれる。<br />
図忭 8(a), (b)それぞれ 誘釴 導 機 の u 相悵 電 流鉊 からひずみ 率鉄 を 計 算<br />
し, 比 較 を 行 った。ひずみ 率鉄 は 従 来鈦 法 の 8.91%に 対 し 提 案<br />
法 を 併 用鈏 した 場 合 は 0.98%と 7.93 ポイント 改 善恼 し, 従 来鈦 法<br />
の 1/9 以 下 に 高 調 波 成怛 分 を 低 減 した。この 結 果 , 良鉥 好 な 補 償<br />
結 果 が 得 られた。 図忭 8(c)には 従 来鈦 法 のみの 場 合 と, 従 来鈦 法 に<br />
提 案 法 を 併 用鈏 した 場 合 における,u 相悵 電 流鉊 に 含 まれる 高 調 波<br />
成怛 分 を 示 す。ここでは 提 案 法 を 併 用鈏 した 場 合 における u 相悵<br />
電 流鉊 の 基 本 波 成怛 分 を 100%として 表 示 している。 提 案 法 に<br />
よって 2, 5, 7 次 の 主 要鈕 な 高 調 波 ひずみが 低 減 している。こ<br />
6/10
1<br />
s<br />
図忭 7 実 験 システム 構 成怛<br />
Fig. 7. Constraints of the experiment system.<br />
の 大 幅 な 低 減 は 提 案 法 にて 電 流鉊 のゼロでの 停 滞 が 解 消 され<br />
たためと 考 える。<br />
〈4・2〉 従 来 法 と 提 案 法 の 低 速 域 での 負 荷 特 性 による 比 較<br />
図忭 9 に 提 案 法 による 電 圧 誤 差 補 償 を 行 ったうえ, 定 格 す<br />
べり 周 波 数怃 2.67Hz で 駆 動 中 , 負 荷 トルクを 加 えたときの 回<br />
転 数怃 の 変 動 を 示 す。<br />
従 来鈦 法 の 静怲 止 時 における 出 力鉫 トルクは 20%であったが,<br />
提 案 法 を 併 用鈏 した 場 合 は,V/f 制怖 御 でも 119%と 約釓 6 倍 のト<br />
ルクを 確 認 した。 図忭 8 の 結 果 からも 明 らかなように, 従 来鈦<br />
法 だけでは 電 流鉊 がゼロに 停 滞 し 振必 幅 が 不 足 するためトルク<br />
を 発 生急 できない。そこで 提 案 法 を 用鈏 いることにより 電 流鉊 波<br />
形 が 改 善恼 され, 低 速 域 でもより 大 きなトルクを 発 生急 でき<br />
る。なお,トルクが 理鈻 想悦 直 線恫 より 増 加 している 理鈻 由釱 は 一 次<br />
抵 抗 による 電 圧 降 下 を 補 正怢 するブースト 電 圧 が 若 干 過 補 償<br />
となり,その 結 果 過 励銁 磁 になっているためと 考 える。<br />
〈4・3〉 負 荷 ステップおよび 加 減 速 特 性 評 価<br />
図忭 10 に, 供 試 誘釴 導 機 を 一 次 周 波 数怃 5Hz で 駆 動 中 ,ステッ<br />
プ 状 の 定 格 負 荷 トルクを 加 えた 波 形 を 示 す。 図忭 10(a)は 従 来鈦<br />
法 のみの 場 合 , 図忭 10(b)には 従 来鈦 法 に 提 案 法 を 併 用鈏 した 場 合<br />
における 波 形 を 示 す。<br />
従 来鈦 法 では 理鈻 論銺 値 に 従 って 誤 差 補 償 を 行 ったにもかかわ<br />
らず,ステップ 負 荷 に 対 しストールを 起 こし, 逆 転 してい<br />
る。これは, 電 流鉊 のゼロクロス 付 近 の 極 性怚 判 別 や, 電 流鉊 ゼ<br />
ロ 付 近 でのスイッチング 特 性怚 の 変 化 に 伴 う 電 圧 誤 差 の 変 化<br />
に 起 因 する。 一 方 で 提 案 法 は,ステップ 負 荷 に 対 してもス<br />
トールせず, 定 格 すべり 周 波 数怃 である 0.053pu より 少 ない<br />
0.041pu のすべりを 発 生急 しながら 回 転 していることがわか<br />
る。これは 図忭 9 の 結 果 で 明 らかなように, 低 速 域 での 出 力鉫<br />
トルクが 改 善恼 された 結 果 ,ステップ 負 荷 に 対 する 応 答 が 改<br />
善恼 されたためである。この 結 果 より, 提 案 法 は 過 渡 状 態 で<br />
も 安 定 して 動 作 することを 確 認 した。なお, 提 案 法 にて 定<br />
格 すべりより 少 ないすべりで 定 格 トルクを 出 力鉫 している 理鈻<br />
由釱 は 一 次 抵 抗 による 電 圧 降 下 を 補 正怢 するブースト 電 圧 が 過<br />
補 償 となり,その 結 果 過 励銁 磁 になっているためと 考 える。ま<br />
た, 提 案 法 を 適 用鈏 した 結 果 ,d 軸 ACR によって d 軸 電 流鉊 i d<br />
を 制怖 御 することで 励銁 磁 電 流鉊 が 確 保 され,q 軸 電 流鉊 の 増 加 が 抑鈜<br />
えられた。<br />
図忭 11 に 停 止 状 態 から 定 格 回 転 数怃 までの 加 速 と, 定 格 回 転<br />
数怃 から 停 止 状 態 までの 減 速 を 行 った 場 合 の 波 形 を 示 す。な<br />
お 加 減 速 の 時 間 はともに 0.5 秒 に 設恌 定 し, 負 荷 条 件 は 無 負 荷<br />
である。 図忭 11(a)は 従 来鈦 法 のみの 場 合 , 図忭 11(b)には 従 来鈦 法 に<br />
提 案 法 を 併 用鈏 した 場 合 における 波 形 を 示 す。<br />
従 来鈦 法 による 補 償 を 用鈏 いて 加 速 を 行 う 際 には, 低 速 域 で<br />
トルクが 不 足 するため 電 流鉊 値 が 急 激 に 増 加 する。 一 方 で 提<br />
案 法 は 加 減 速 を 行 っても 電 流鉊 値 に 異 常 な 増 加 が 無 く, 過 渡<br />
状 態 でも 安 定 して 動 作 する。これは 速 い 外 乱鈮 オブザーバが<br />
外 乱鈮 として 推忳 定 する 速 度 起 電 力鉫 を 遅 い 外 乱鈮 オブザーバが 打<br />
ち 消 すため, 過 補 償 を 回 避 できるからである。<br />
〈4・4〉 提 案 法 のパラメータ 誤 差 による 影 響 の 検 証<br />
図忭 12 に 図忭 8(b)と 同 一 の 条 件 のもと, 外 乱鈮 オブザーバに 設恌<br />
定 する 抵 抗 R C またはインダクタンス L σC を 変 化 させた 場 合<br />
の 電 流鉊 ひずみ 率鉄 が 変 化 する 様鈋 子 を 示 す。 電 流鉊 ひずみ 率鉄 は 電<br />
圧 誤 差 によって 増 加 するので, 外 乱鈮 抑鈜 圧 特 性怚 が 悪 化 すると,<br />
増 加 する。<br />
〈3・3〉 節恎 において, 抵 抗 R C のパラメータ 不 整思 合 によっ<br />
て 生急 じる 現 象 は, 実 際 のモータの R よりも 大 きいとき 外 乱鈮<br />
抑鈜 圧 性怚 能 が 向 上 し, 逆 に 実 際 の R より 小 さいとき 外 乱鈮 抑鈜 圧<br />
性怚 能 が 悪 化 することと 結 論銺 付 けられている。またインダク<br />
タンス L σC のパラメータ 不 整思 合 による 影 響 は,R C による 影<br />
響 よりも 小 さいが, 実 際 のモータの L σ よりも 大 きいときに<br />
外 乱鈮 抑鈜 圧 性怚 能 が 向 上 し, 逆 に 実 際 の L σ より 小 さいとき 外 乱鈮<br />
抑鈜 圧 性怚 能 が 悪 化 することと 結 論銺 付 けられている。この 考 察<br />
は 図忭 12 に 示 す 電 流鉊 ひずみ 率鉄 の 増 減 とよく 一 致 し, 解 析怼 の 有釫<br />
効 性怚 が 確 認 できた。<br />
7/10
5. まとめ<br />
d 軸 に 設恌 けた 電 流鉊 制怖 御 器 と,q 軸 に 設恌 けた 外 乱鈮 オブザーバ<br />
による 電 圧 誤 差 補 償 手 法 を 提 案 し, 誘釴 導 機 の V/f 制怖 御 駆 動 に<br />
用鈏 いて 制怖 御 性怚 能 の 改 善恼 を 行 った。 解 析怼 の 結 果 , 提 案 法 は 速<br />
度 起 電 力鉫 を 除 いた 電 圧 誤 差 だけをキャンセルできることを<br />
確 認 した。 解 析怼 の 結 果 , 提 案 法 は 速 度 起 電 力鉫 を 除 いた 電 圧<br />
誤 差 だけをキャンセルできることを 確 認 した。<br />
実 験 の 結 果 ,コントローラのパラメータ 誤 差 がない 場 合 ,<br />
出 力鉫 周 波 数怃 1Hz で 無 負 荷 の 条 件 において 電 流鉊 ひずみ 率鉄 は<br />
0.98%と 従 来鈦 に 比 べ 1/9 以 下 に 改 善恼 できることを 確 認 し<br />
た。 低 速 域 における 負 荷 に 対 する 特 性怚 は, 提 案 法 で 119%と<br />
従 来鈦 に 比 べ 約釓 6 倍 の 起 動 トルクを 確 認 した。ステップ 負 荷 ・<br />
定 格 回 転 数怃 までの 加 減 速 に 対 してもストールせず, 提 案 法<br />
が 過 渡 状 態 でも 安 定 なことを 確 認 した。なお, 本 研 究 の 一<br />
部 は 平 成怛 17 年 度 産 業 技 術 研 究 助 成怛 事 業 の 支 援 を 受 けてお<br />
り, 関 係 各 位 に 感 謝 の 意 を 表 します。<br />
( 平 成怛 × 年 × 月 × 日 受 付 , 平 成怛 × 年 × 月 × 日 再 受 付 )<br />
星 野 哲 馬<br />
伊 東 淳 一<br />
( 学 生急 員 ) 1983 年 11 月 20 日 生急 。2008 年 3 月<br />
長 岡 技 術 科 学 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 修 士 課 程<br />
修 了鉗 。 同 年 4 月 同 大 学 院 工 学 研 究 科 博 士 後 期 課<br />
程 入 学 。 現 在 , 主 として 電 動 機 制怖 御 に 関 する 研<br />
究 に 従 事 。<br />
( 正怢 員 ) 1972 年 1 月 6 日 生急 。1996 年 3 月 長 岡<br />
技 術 科 学 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 修 士 課 程 修<br />
了鉗 。 同 年 4 月 , 富 士 電 機 ( 株 ) 入 社 。2004 年<br />
4 月 長 岡 技 術 科 学 大 学 電 気 系 准 教 授 。 現 在 に 至<br />
る。 主 に 電 力鉫 変 換 回 路銣 , 電 動 機 制怖 御 の 研 究 に 従<br />
事 。 博 士 ( 工 学 )( 長 岡 技 術 科 学 大 学 )。2007 年<br />
第 63 回 電 気 学 術 振必 興 賞 進忙 歩 賞 受 賞 。IEEE<br />
Member。<br />
文<br />
(1) T. Sukegawa, K. Kamiyama, K. Mizuno, T. Matsui, and T. Okuyama, :<br />
“Fully digital vector-controlled PWM VSI fed ac drives with an inverter<br />
dead-time compensation strategy,” IEEE Transaction on Industry.<br />
Application., vol. 27, no. 3, pp. 552–559, (May/Jun. 1991).<br />
(2) J. W. Choi and S. K. Sul, : “Inverter output voltage synthesis using novel<br />
dead time compensation,” IEEE Transaction on Power Electronics, vol.<br />
11, no. 2, pp. 221–227, (Mar. 1996).<br />
(3) A. R. Munoz and T. A. Lipo, : “On-line dead-time compensation<br />
technique for open-loop PWM-VSI drive,” IEEE Transaction on Power<br />
Electronics , vol. 14, no. 4, pp. 683–689, (Jul. 1999).<br />
(4) S.-G. Jeong and M.-H. Park, “The analysis and compensation of deadtime<br />
effects in PWM inverters,” IEEE Transaction on Industry. Electronics.,<br />
vol. 38, no. 2, pp. 108–114, Apr. 1991.<br />
(5) A. Muñoz-Garcia and T. A. Lipo, “On-line dead-time compensation<br />
technique for open-loop PWM-VSI drive,” IEEE Transaction on Power<br />
Electronics, vol. 14, no. 4, pp. 683–689, Jul. 1999.<br />
(6) H. Zhao, Q. M. J. Wu, and A. Kawamura, “An accurate approach of nonlinearity<br />
compensation for VSI inverter output voltage,” IEEE Transaction<br />
on Power Electronics., vol. 19, no. 4, pp. 1029–1035, Jul. 2004<br />
(7) A. Cichowski, J. Nieznanski, “Self-Tuning Dead-Time Compensation<br />
Method for Voltage-Source Inverters” IEEE Power Electronics Letters,<br />
vol. 3, no. 2, June 2005<br />
(8) 杉怈 本 英 彦 ・ 小 山 正怢 人応 ・ 玉 井 伸 三 : 「AC サーボシステムの 理鈻 論銺 と 設恌<br />
計 の 実 際 ‐ 基 礎悎 からソフトウェアサーボまで‐」, 総悸 合 電 子 出 版 社<br />
(9) 柿 崎 , 伊 藤 , 福 本 , 濱 根 , 林鉯 「 誘釴 導 電 動 機 のパラメータ 測 定 とデッ<br />
ドタイムによる 誤 差 電 圧 の 自 動 測 定 」 平 成怛 19 年 電 気 学 会 全恿 国 大<br />
会 ,4-143<br />
(10) H. S. Kim, H. T. Moon, and M. J. Youn, : “On-line dead-time<br />
compensation method using disturbance observer,” IEEE Transaction on<br />
Power. Electronics., vol. 18, no. 6, pp. 1136–1345, (Nov. 2003).<br />
(11) N. Urasaki, T. Senjyu, K. Uezato, T. Funabashi, : “An Adaptive<br />
Dead-Time Compensation Strategy for Voltage Source Inverter Fed<br />
Motor Drives” IEEE Transactions on Power Electronics, Vol. 20, No. 5,<br />
(Sep. 2005).<br />
(12) 星怞 野 哲 馬 ・ 伊 東 淳 一 :「 電 圧 外 乱鈮 オブザーバを 用鈏 いた 誘釴 導 機 駆 動 シ<br />
ステムの 加 減 速 性怚 能 の 改 善恼 」, 電 気 関 係 学 会 北 陸鉂 支 部 連銜 合 大 会 ,<br />
(2007.9)<br />
献<br />
8/10
図忭 9 提 案 法 による 負 荷 特 性怚 の 改 善恼<br />
Fig. 9. Improvement of characteristics under load condition<br />
with the proposed compensation method.<br />
(a) Without proposed method<br />
(Output frequency 1Hz, no load, 750W induction motor)<br />
m<br />
Rated load<br />
No load<br />
m : 0.02pu/div.<br />
T * : 1.0pu/div.<br />
i q , i d : 0.2pu/div.<br />
i q<br />
i d<br />
i u<br />
i u : 2A/div.<br />
(b) With proposed method<br />
(Output frequency 1Hz, no load, 750W induction motor)<br />
(a) Without proposed method<br />
(500ms/div.)<br />
(c) Comparison of the harmonic component<br />
i q<br />
m<br />
Rated load<br />
No load<br />
m : 0.02pu/div.<br />
T * : 1.0pu/div.<br />
i q , i d : 0.2pu/div.<br />
図忭 8 1Hz, 無 負 荷 時 における 電 流鉊 波 形 と 高 調 波 成怛 分<br />
Fig. 8. Current waveforms at 1Hz under the no-load condition.<br />
i d<br />
i u<br />
i u : 2A/div.<br />
(500ms/div.)<br />
(b) With proposed method<br />
図忭 10 ステップ 負 荷 に 対 する 特 性怚<br />
Fig. 10. Characteristics against step-shape load torque.<br />
9/10
図忭 12 パラメータ 誤 差 による 電 流鉊 ひずみ 率鉄 の 変 化<br />
Fig. 12. THD variations of the parameter mismatching.<br />
(a) Without proposed method<br />
Acceleration<br />
Deceleration<br />
m : 0.2pu/div.<br />
m<br />
i q , i d : 0.2pu/div.<br />
i d<br />
i q<br />
i u<br />
i u : 2A/div.<br />
(200ms/div.)<br />
(b) With proposed method<br />
図忭 11 加 減 速 特 性怚<br />
Fig. 11. Characteristics against acceleration and deceleration.<br />
10/10