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身体心理療法の現状とシステムズ ・ アプローチとしての ... - SGU動画共有

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身 体 心 理 療 法 の 現 状 とシステムズ<strong>・</strong><strong>アプローチとしての</strong> 展 開 ( 葛 西 俊 治 )からの 離 脱 を 目 指 して 社 会 主 義 <strong>・</strong> 共 産 主 義 へと 傾 倒 していったため, 精 神 分 析 の 主 流 から 逸 れ 次第 に 孤 立 していった。ライヒの 弟 子 の 一 人 , 精 神 科 医 の A. ローエン(Alexander Lowen, 1910−2008) 2) は, 呼 吸 に関 わるライヒのボディ <strong>・</strong>ワークを 受 け,あるとき 大 きく 目 を 見 開 いた 瞬 間 に 思 わず 叫 び 声 が 噴 出するという 衝 撃 的 な 体 験 を 報 告 している―。「 私 の 人 格 の 内 部 には, 意 識 から 隠 された(イメージや 情 動 )があり,それらが 出 てくる 必 要 があることを、 その 時 知 ったのだ」。 幼 少 時 のローエンと 父 母 との 関 係 において, 例 えば 父 親 の 叱 責 に 対 する 怒 りやローエンの 泣 き 声 へ 苛 立 つ母 親 への 恐 怖 などが 身 体 的 緊 張 として 内 在 し,それらは 筋 緊 張 解 放 のボディ <strong>・</strong>ワークの 中 でふいに 出 現 することをローエンは 身 をもって 体 験 したといえる。そうした 体 験 に 基 づいてローエンは「 生 体 エネルギー 法 (バイオ <strong>・</strong> エナジェティックスbioenergetics)」と 呼 ぶ 身 体 心 理 療 法 的 アプローチを 展 開 していった。なお, 言 葉 そのものよりも, 姿 勢 や 息 遣 いや 声 の 強 弱 高 低 あるいは 口 調 といった 非 言 語 的 要 素によって 伝 わる 部 分 が 多 いことに 注 目 した 精 神 科 医 F.パールズ(Fritz Perls,1893−1970) 3) は,ゲシュタルト<strong>・</strong>セラピー(Geshtalt therapy)と 呼 ぶアプローチを 創 始 した。これはライヒの 系譜 にはないが, 主 にカウンセリング 場 面 において 語 りの 言 語 的 な 内 容 よりも 非 言 語 的 な 要 素 や身 体 状 態 に 基 づいて 心 理 療 法 を 進 めるべきことを 説 き, 心 理 療 法 の 流 れに 身 体 性 と 下 意 識 の 復権 を 試 みたアプローチであった。 空 いた 椅 子 に 語 り 合 いの 対 象 者 をイメージする「エンプティ <strong>・</strong>チェアempty chair」という 場 面 設 定 や, 夢 の 内 容 を 一 つのドラマとして「いまここでhere andnow」 実 際 に 体 験 していく 手 法 など, 過 去 に 目 を 向 ける 精 神 分 析 とは 異 なり「 現 在 」への 焦 点 化と 同 時 に 身 体 心 理 的 体 験 を 重 視 したゲシュタルト<strong>・</strong>セラピーは, 身 体 心 理 療 法 の 要 素 をもつとともに, 後 に 述 べる 現 代 のスキゾ 的 精 神 性 の 中 にあってあらためてその 有 効 性 を 検 討 する 必 要 があるといえる。さて,ライヒに 始 まる 身 体 心 理 療 法 的 アプローチとしては,ローエンによる 生 体 エネルギー法 や,D.ボアデラ(David Boadella, 1931−)によるバイオシンセシス(biosynthesis),G.ボイエセン(Gerda Boyesen,1922−2005)によるバイオダイナミック<strong>・</strong>サイコロジー(biodynamicpsychology)などが 知 られている。 日 本 国 内 では 主 にローエンの 著 作 が 精 力 的 に 翻 訳 紹 介 されたこともあり,1980 年 代 , 金 沢 を 拠 点 とするバイオエネルギー 研 究 センターによってバイオエネルギー <strong>・</strong>ジャーナルが 発 行 されるなどの 展 開 があった(1983 年 第 1 号 ,1991 年 に10 周 年 記 念 16<strong>・</strong>17号 発 刊 )。こうした 活 動 によって,ライヒの 娘 ,エヴァ <strong>・</strong>ライヒ(Eva Reich, 1924−2008)やボアデラが 来 日 し 各 地 でワークショップの 指 導 を 行 っている( 筆 者 はボアデラによるワークショップの 参 加 経 験 がある)。こうした 身 体 心 理 的 アプローチへの 関 心 の 高 まりの 中 , 池 見 酉 次 郎 (1915−4)1999)は 医 学 的 観 点 から 身 心 連 関 の 重 要 性 を 認 識 して 後 に 日 本 心 身 医 学 会 を 設 立 した。 石 川 中は 池 見 と 共 に 心 療 内 科 を 創 設 して 身 体 心 理 的 アプローチを 推 進 していたが,その 最 中 に 急 逝 するなど 身 体 心 理 療 法 の 発 展 にとっては 不 幸 な 経 緯 もあった。─ 61 ─

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