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UNICHOR<br />
デュッセルドルフ ハインリヒ ・ハイネ 大 学 合 唱 団<br />
指 揮 :ジルケ ・レーア<br />
<br />
<br />
エルガー / キャメロン<br />
バッハ / コルネリウス<br />
バーバー<br />
ムソルグスキー / ギース<br />
シューマン / ゴットヴァルト<br />
メンデルスゾーン / ホーフマン<br />
マーラー / ゴットヴァルト<br />
ラヴェル / ホーフマン<br />
ルックス ・エテルナ<br />
3つの 詩 篇<br />
アニュス ・デイ<br />
展 覧 会 の 絵 より4 曲 初 演<br />
詩 人 の 恋 より / 月 夜<br />
交 響 曲 第 5 番 宗 教 改 革 第 3 楽 章 初 演<br />
原 光<br />
ボレロ 初 演
2<br />
トーンハレ、2017 年 2 月<br />
Impressum ( 著 作 者 情 報 )<br />
UNICHOR Düsseldorf e. V.<br />
Universitätsstraße 1<br />
40225 Düsseldorf<br />
unichor@hhu.de<br />
www.unichor.hhu.de<br />
www.facebook.com/unichor.duesseldorf/<br />
編 集 : Corinna Halmer<br />
表 紙 : Ivo Görlach<br />
翻 訳 : 香 中 美 穂
ご 来 場 の 皆 様 へ<br />
3<br />
本 日 はUNICHORが 皆 様 を 特 別 な 音 の 体 験 にお 誘 いいたします。「 歌 声 のシ<br />
ンフォニー」と 銘 打 ち、もともと 楽 曲 として 作 曲 された 作 品 で 後 に 無 伴 奏 合<br />
唱 のために 編 曲 された 作 品 を 演 奏 します。<br />
単 調 なリズムが 延 々と 続 く - これがトレードマークの、 今 日 ではオーケス<br />
トラ 曲 として 演 奏 されるラヴェルの『ボレロ』は 本 来 バレエ 音 楽 として 作 曲<br />
されたもので す。 本 日 のコン サ ートではドロテア・ホーフマン 教 授 の 編 曲 に<br />
よる 合 唱 版 『ボレロ』の 初 演 をお 楽 しみください。<br />
このほかにもいくつか 初 演 作 品 があります。ムソルグスキーの『 展 覧 会 の<br />
絵 』の「プロムナード」が、 皆 様 を 色 々な 時 代 と 様 式 への 散 策 にお 連 れい<br />
たします。 趣 きのある 散 策 (プロムナード)と 散 策 の 間 にはデュッセルドル<br />
フとデュッセルドルフ 大 学 にゆかりのある 作 品 、また 宗 教 改 革 500 周 年 を<br />
記 念 する「マルティン・ルター2017」にちなんだ 作 品 を 演 奏 します。<br />
皆 様 、どうぞコン サ ートを お 楽 し みください 。<br />
ニーナ・ヘーンリヒ<br />
ごあいさつ<br />
デュッセルドルフ 大 学 合 唱 団 U NICHOR 一 同
4<br />
開 演<br />
ヘンリー・パーセル(1659-1695):<br />
アンセム:「 主 よ、わたしの 祈 りをお 聞 きください」( 詩 篇 102:1)<br />
第 1 部 : 宗 教 音 楽 の 編 曲 作 品<br />
エドワード・エルガー(1857-193 4):<br />
『ルックス・エテルナ』エニグマ 変 奏 曲 第 9 変 奏 「ニムロッド」のジョン・<br />
キャメロンによる 合 唱 用 編 曲<br />
プログラム<br />
ペ ーター・コルネリウス (1824-1874):<br />
『3つの 詩 篇 』 作 品 13(1872 年 作 )<br />
1. 「 悔 悛 の 歌 」( 歌 詞 : 詩 篇 88 篇 より)ヨハン・セバ スチャン・バ ッハ フ<br />
ランス 組 曲 第 1 番 (BWV812)より「サラバ ンド 」の 編 曲<br />
2 . 「 バビロン の 川 の ほ とりに 」( 歌 詞 : 詩 篇 137 篇 より)ヨ ハ ン・セ バス<br />
チ ャン・バッハ イギリス 組 曲 第 3 番 ( B W V 8 0 8 )より「サ ラバンド 」の 編 曲<br />
3. 「エルサレム」( 歌 詞 : 詩 篇 122 篇 より) ヨハン・セバ スチャン・バ ッ<br />
ハ パ ルティータ 第 1 番 (BWV825)より「メヌエット2」の 編 曲<br />
フェリックス・メン デルスゾ ーン・バルトル ディ( 1 8 1 1 - 1 8 4 7 ):<br />
『 交 響 曲 第 5 番 宗 教 改 革 』(1829-30 年 作 ) 第 3 楽 章<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め にドロ テ ア・ホ ーフ マン( 1 9 6 1 - )がマル<br />
ティン・ルター 訳 の 詩 篇 18 篇 :2−3を 歌 詞 に 無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲<br />
サ ミュ エ ル・バ ー バ ー( 1 9 1 0 - 1 9 8 1 ):<br />
『 アニ ュ ス・デイ』( 1 9 6 7 年 作 )<br />
バ ー バ ー の『 弦 楽 の た め の アダ ー ジョ』の 自 身 に よる 編 曲<br />
− 休 憩 −
第 2 部 : 世 俗 音 楽 の 編 曲 作 品<br />
5<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「 第 1プロ ムナ ード 」 U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た<br />
め に オリバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲 ( 初 演 )<br />
ロベ ルト・シューマン(1810-1856):<br />
ハインリヒ・ハイネの 詩 を 歌 詞 にした『 詩 人 の 恋 』とヨーゼフ・フォン・ア<br />
イヒェンドルフの 詩 を 歌 詞 にした『リーダークライス』より( 原 曲 :1840<br />
年 )クリュトゥス・ゴットヴァルト( 1 9 2 5 - ) に よる 無 伴 奏 合 唱 の た め の 編 曲<br />
(2009 年 作 )<br />
1.『 美 しい 五 月 には』 作 品 48 第 1 番<br />
2.『ば らや、ゆりや、はと』 作 品 48 第 3 番<br />
3 .『 月 夜 』 作 品 39 第 5 番<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「 第 2プロ ムナ ード 」U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め<br />
に オリバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲 ( 初 演 )<br />
グ スタフ・マーラー (1860-1911):<br />
『 交 響 曲 第 2 番 復 活 』 第 4 楽 章 「 原 光 」クリュトゥス・ゴ ットヴ ァルト<br />
(1925-)による 無 伴 奏 合 唱 のための 編 曲 (2008 年 作 )<br />
プログラム<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「 第 3プロ ムナ ード 」U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め<br />
に オリバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲 ( 初 演 )<br />
モーリス・ラヴ ェル(1875-1937):<br />
『 ボレ ロ』( 1 8 2 8 年 作 )U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め にドロ テ ア・ホ ー<br />
フマン(1961-)が 無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲 ( 初 演 )<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「キエフの 大 門 」UNICHORデ ュッセルド ルフのためにオ<br />
リバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲 ( 初 演 )
6<br />
歌 声 のシンフォニー<br />
エドワード・<br />
エルガー<br />
(1903 年 頃 )<br />
作 品 について<br />
< 歌 声 のシンフォニー>という 表 現 は 一 見 矛 盾 しているように 見<br />
えます。シンフォニー、すなわち 交 響 曲 は、 楽 器 演 奏 のための 作<br />
品 で、 一 般 的 に 管 弦 楽 音 楽 の 極 致 と 考 えられています。 交 響 曲<br />
を 合 唱 作 品 として 演 奏 する 今 回 のプログラムは、 音 楽 の 進 化 を<br />
逆 戻 りすることになり 不 適 当 ではないか、と 思 われる 向 きもある<br />
のではないでしょうか。 確 かに、 音 楽 の 歴 史 の 中 で、 器 楽 は 息 を<br />
呑 むような 技 術 的 進 歩 を 遂 げているのに 対 して、 人 間 の 声 はこ<br />
れ 以 上 進 化 の 余 地 はありません。その 反 面 、 人 間 の 声 ほど 自 在<br />
に 表 情 豊 かな 表 現 ができる 楽 器 はありません。 人 間 の 声 は、そ<br />
の 響 きの 多 様 さと、 言 葉 を 使 うことで、 音 楽 パフォーマンスに 一 層 の 深 み<br />
を 与 えることができるのです。<br />
今 回 のプログラムはこの 対 峙 的 な 関 係 をテーマにしています。 演 奏 曲 目 は<br />
すべてもともと 楽 曲 として 作 曲 されたもの、または 伴 奏 付 きの 歌 唱 曲 です<br />
が、 無 伴 奏 合 唱 のために 新 たに 編 曲 された 作 品 です。 歌 詞 が 付 いていな<br />
かった 曲 に 作 曲 家 自 身 が 歌 詞 を 付 したものや、 後 世 になって 歌 詞 が 付 さ<br />
れたものもあります。 演 奏 曲 目 のいくつかはUNICHORデュッセルドルフのた<br />
めにカスタマイズして 編 曲 されました。 純 粋 な 楽 曲 に 歌 詞 をつけて 合 唱 用<br />
に 編 曲 した 作 品 は、とりわけその 新 しい 解 釈 には、 編 曲 の 裏 にある 原 曲 に<br />
対 する 理 解 が 不 可 欠 です。 音 楽 作 品 の 構 想 の 全 体 像 をさらに 展 開 するた<br />
めに 編 曲 する 過 程 で、 多 くの 作 曲 家 が 宗 教 性 にたどり 着 いたというのは、<br />
偶 然 でしょうか。<br />
エドワード・エルガーは『エニグマ 変 奏 曲 』で 広 くその 名 を 知 られるように<br />
なりました。その 第 9 変 奏 曲 の「ニムロッド」は、エルガーの 友 人 で 後 援 者<br />
でもあった、デュッセルドルフ 出 身 の 音 楽 批 評 家 アウグストゥス・イェーガ<br />
ーとの 音 楽 についての 対 話 を 描 こうとしたものです。この 題 名 には 宗 教 的<br />
な 要 素 があり 謎 めいてきこえます。ニムロッド(ニムロド)は 旧 約 聖 書 創 世<br />
記 の10 章 9 節 に 登 場 する 狩 人 の 英 雄 ですが、ここではアウグストゥス・イ<br />
ェーガー(イェーガーとはドイツ 語 で 狩 人 を 意 味 する)の 暗 号 名 になって<br />
います。 導 入 部 の 旋 律 は 意 図 的 にベートーベンのピアノソナタ 第 8 番 『 悲<br />
愴 』を 思 い 起 こさせる 作 風 になっていますが、それは『 悲 愴 』についての<br />
対 話 がこの 変 奏 曲 の 主 題 だからです。 後 年 、ジョン・キャメロンが「ニムロ<br />
ッド」を 編 曲 し、『ルックス・エテルナ』となりました。その 歌 詞 に 使 われた<br />
カトリック 教 会 の 死 者 のためのミサの 典 礼 レクイエムは、『 悲 愴 』の 持 つ<br />
瞑 想 的 な 雰 囲 気 を 一 段 と 深 めています。 本 来 の 楽 曲 としての 複 合 的 な 配<br />
置 と 和 声 によって、レクイエムの 持 つ、 多 層 的 な 神 との 関 わりが 巧 妙 に 映<br />
し 出 されています。
ペーター・コルネリウスは『3つの 詩 篇 』 作 品 13 で、これとは 別<br />
の 音 楽 解 釈 を 示 しています。コルネリウスは、 作 曲 家 の 任 務<br />
は 受 容 と 批 判 であるとする 新 ドイツ 楽 派 の 一 人 に 数 えら<br />
れており、 自 分 自 身 を「 詩 人 作 曲 家 」と 称 しています。<br />
コルネリウスは、 先 達 の 作 品 に 新 しい 解 釈 を 与 える<br />
ことが、 新 しい 時 代 に 、 作 品 表 現 を するために 不 可<br />
欠 であると 考 えていました。『3つの 詩 篇 』はヨハ<br />
ン・セバスチャン・バッハの 作 品 フランス 組 曲 第 1 番<br />
(BWV812)から「サラバンド」を 編 曲 し 詩 篇 88 篇 をも<br />
とにした「 悔 悛 の 歌 」と、イギリス 組 曲 第 3 番 (BWV808)<br />
か ら「サ ラバンド 」を 編 曲 し 詩 篇 137 篇 をもとにし た「 バ<br />
ビロンの 川 のほとりに」、そしてパルティータ 第 1 番 (BWV825)<br />
から「メヌエット2」を 編 曲 し 詩 篇 122 篇 をもとにした「エル サレム」<br />
で 構 成 されています。<br />
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディの 第 5 交 響 曲 「 宗 教 改 革 」<br />
( 作 品 107)は 今 日 では 高 く 評 価 されていますが、 本 人 が 作 品 の 出 来 に 満<br />
足 していなかったため、その 死 後 初 めて 発 表 されました。 敬 虔 なプロテス<br />
タント 信 者 であったメンデルスゾーンは、この 曲 をアウグスブルクの 宗 教<br />
和 議 の300 周 年 記 念 祭 のために 作 曲 しました。そのため、 単 なる 当 時 の<br />
同 時 代 的 な 交 響 曲 ではなく、バッハの 受 難 曲 等 の 音 楽 的 理 想 や、マルティ<br />
ン・ルターの 歌 といったプロテスタント 主 義 な 流 れを 引 き 継 ぐものでなく<br />
てはなりませんでした。そういった 特 徴 は 第 4 楽 章 に 顕 著 です。ルターが<br />
詩 篇 18 篇 をもとに 教 会 唱 歌 にした「 神 はわがやぐら」は、その 後 バッハ<br />
の 作 品 を 経 て、 今 回 のコンサートでは 合 唱 曲 として 演 奏 いたします。ドロテ<br />
ア・ホーフマン 氏 が2017 年 にUNICHORデュッセルドルフのために 編 曲 し、<br />
今 般 初 演 となったものです。 宗 教 改 革 500 周 年 を 記 念 する「ルター201<br />
7」にちなんで、デュッセルドルフの 音 楽 総 監 督 でもあったメンデルスゾー<br />
ンの 宗 教 改 革 交 響 曲 をアレンジし、 歌 唱 と 原 曲 の 楽 曲 の 調 べとを 見 事 に<br />
融 和 させています。オープニングは 擬 音 による 演 奏 ですが、 次 第 に 詩 篇<br />
が 歌 詞 として 前 面 に 出 てきます。 最 後 は、すべてが 内 なる 信 仰 への 誓 いへ<br />
と 一 つにまとまっていきます。<br />
サミュエル・バーバーは 今 回 のプログラムの 中 では、 自 分 自 身 の 楽 曲 を 合<br />
唱 曲 に 編 曲 した 唯 一 の 作 曲 家 です。バーバーの 作 品 の 中 で、『 弦 楽 のため<br />
のアダージョ』は 映 画 やテレビ、ラジオなどを 通 して 最 も 知 られています<br />
が、 作 品 発 表 から30 年 たって、バーバー 自 身 が10 声 部 構 成 にもなる 合<br />
唱 曲 に 編 曲 しました。キリスト 典 礼 の 中 心 的 柱 の 一 つである『アニュス・デ<br />
イ』と 題 したこの 作 品 は、 洗 礼 者 ヨハネの 呼 び 声 「 見 よ、 世 の 罪 を 取 り 除<br />
く 神 の 小 羊 」(ヨハネによる 福 音 書 1:29)を 土 台 にしており、 無 伴 奏 合<br />
ペーター・<br />
コルネリウス<br />
7<br />
作 品 について
8<br />
唱 曲 とし て の 編 曲 で は 作 品 の 性 格 が 変 わ っ て い ま す 。「 アダ ー ジ ョ」<br />
はロマンチックで 哀 愁 を 帯 びた 作 品 であるのに 対 し、「アニュス・デ<br />
イ」では 宗 教 的 な 色 合 いが 明 白 です。 人 間 の 理 解 を 超 えた、 罪 から<br />
の 救 済 という 奇 跡 との 対 峙 がこの 作 品 に 表 現 されています。 作 品 全<br />
体 を 通 してほぼすべての 声 区 をカバーし、 高 音 部 は 無 重 力 的 といえ<br />
るほど 高 音 域 まで 上 昇 し、 低 音 部 は 人 間 の 声 の 到 達 可 能 な 限 りの<br />
低 音 域 に 向 かいます。「アニュス・デイ」が 詠 う< 神 の 平 安 >と< 罪<br />
のあがない>を 見 事 に 表 現 しています。<br />
フェリックス・<br />
メンデルスゾーン・<br />
バルトルディ<br />
音 楽 の 散 歩<br />
作 品 について<br />
ロベルト・<br />
シューマン<br />
交 響 楽 は 音 楽 を 通 じて 語 ることのできる 美 学 的 な 洞 察 を 内 包 しています。<br />
交 響 曲 に 歌 詞 を 付 して 編 曲 するときは、 本 来 交 響 曲 の 意 図 するところを<br />
失 わずに、 歌 詞 が 作 品 の 幅 を 広 げるものであるべきなのですが、これは<br />
たやすいことではありません。 音 楽 を 聴 いてわたしたちは 心 を 動 かされま<br />
すが、 視 覚 的 な 印 象 はたいてい 残 りません。それに 対 して、 言 葉 は 具 体 的<br />
で、わかりやすく、それでいて 感 情 を 表 現 するときには 自 由 が 利 くものなの<br />
です。ですから、 両 方 の 分 野 に 橋 かけとなる、 管 弦 楽 曲 からの 合 唱 曲 への<br />
良 質 な 編 曲 は、 標 題 音 楽 の 分 野 に 数 多 く 見 られます。 標 題 音 楽 の 持 つ 情<br />
景 描 写 の 強 みに 勝 るものはあるでしょうか。コンサートの 第 2 部 では、 皆<br />
様 を、 音 楽 を 通 じて 描 かれる 風 景 ・ 情 景 への「 散 歩 」へとお 誘 いします。そ<br />
れぞれの 作 品 の「 音 楽 の 風 景 」をご 堪 能 下 さい。<br />
モデスト・ムソルグスキーの『 展 覧 会 の 絵 』は 表 題 音 楽 として 最 も 知 られ<br />
ている 作 品 の 一 つです。 絵 画 展 にインスピレーションを 得 て、 一 つ<br />
一 つの 絵 を 描 写 するだけでなく、 展 覧 会 場 での 一 つの 絵 から 次 の<br />
絵 へのそぞろ 歩 き(プロムナード)も、 鑑 賞 した 絵 の 思 い 出 に 重<br />
ねて 表 現 するという 画 期 的 な 作 品 になっています。<br />
最 初 はピ アノ 組 曲 でし た が 、モ ーリス・ラヴェ ル が 管 弦 楽 曲 に 編<br />
曲 しました。UNICHORデュッセルドルフのためにオリバー・ギー<br />
ス 氏 が 無 伴 奏 合 唱 のために 編 曲 したものが、 今 回 初 演 となりま<br />
した。ギース 氏 による「プロムナード」の 編 曲 は、ムソルグスキーの<br />
「プロムナード」 同 様 、 変 化 に 富 んだそぞろ 歩 きの 様 子 を 表 現 してお<br />
り、 皆 様 を、 無 伴 奏 合 唱 のプログラムの 演 奏 曲 から 次 の 演 奏 曲 へとご 案 内<br />
します。プログラムが 進 んでいくなかで、「プロムナード」はバリエーション<br />
豊 かに 歌 声 の 響 きが 効 果 的 に 使 われています。<br />
デュッセルドルフに 在 住 したことのあるロベルト・シューマンがハインリ<br />
ヒ・ハ イネ の 詩 をもとに『 詩 人 の 恋 』、ヨー ゼフ・フォン・アイヒェンドルフ
の 詩 をもとに『リーダークライス』の 歌 曲 集 を 発 表 した 頃 には、 詩 作 を 音<br />
楽 の 一 部 にすることはロマン 派 の 作 曲 方 法 として 定 着 していまし<br />
た。クリュトゥス・ゴットヴァルトによる 編 曲 は10 部 合 唱 もあり、ハ<br />
イネとアイヒェンドルフの 叙 情 詩 とシューマンの 歌 唱 芸 術 を、 挿 話<br />
風 な 多 声 の 小 作 品 に 仕 上 げています。シューマンのロマン 派 の 時 代<br />
精 神 は 一 人 の 歌 声 でしか 表 現 できないと 思 われていますが、 合 唱 曲<br />
に 編 曲 されたものは 感 情 を 共 有 する 作 品 になっています。この< 音<br />
楽 の 散 歩 >の 中 で、「 素 晴 らしく 美 しい 五 月 に」(『 詩 人 の 恋 』 作 品<br />
48 第 1 番 )「ばらや、ゆりや、はとや」(『 詩 人 の 恋 』 作 品 48 第 3<br />
番 )と「 月 夜 」(『リーダークライス』 作 品 39 第 5 番 )はロマン 派 の<br />
詩 と 歌 のコーナーを 形 作 っています。<br />
グスタフ・マーラーの『 原 光 』の 作 曲 の 経 緯 は、 本 プログラムのテ<br />
ーマに 照 らし 合 わせて 興 味 深 いものがあります。マーラーは 最 初 、フラン<br />
ツ・ブレンターノとアッヒム・フォン・アルニムが 出 版 した 民 謡 詩 集 『 少 年<br />
の 魔 法 の 角 笛 』から12の 詩 を 選 んで 歌 唱 曲 を 作 曲 しました。その 中 の 一<br />
つ、「 原 光 」にわずかばかりの 修 正 を 加 え、 当 時 長 い 時 間 をかけて 作 曲 し<br />
ていた 第 2 交 響 曲 の 第 4 楽 章 に 組 み 入 れたのです。アルトのソロによる 歌<br />
唱 部 分 はマーラーの 擬 音 的 な 作 品 様 式 を 補 い、 有 機 的 に 一 体 化 し、 神 を<br />
求 める 人 間 の 辛 苦 と 悩 みを 表 現 する 作 品 になりました。クリュトゥス・ゴッ<br />
トヴァルトによる 無 伴 奏 合 唱 のための 編 曲 は、マーラーが 生 み 出 した 叙 事<br />
詩 的 な 特 徴 をさらにもう 一 歩 展 開 しています。もともと 合 唱 音 楽 的 な 雰 囲<br />
気 を 持 ったこの 交 響 曲 は、 多 声 構 成 により 質 の 高 い 合 唱 曲 となり、 主 旋 律<br />
ばかりでなく、ハープや 鐘 の 音 といった 教 会 音 楽 的 な 響 きも、 人 の 声 が 再<br />
現 しています。<br />
モーリス・ラヴェルの『ボレロ』は 世 界 的 に 最 も 頻 繁 に 演 奏 される 管 弦 楽<br />
の 一 つで す。この 作 品 の 特 徴 は 、とりわ け、ス ネアドラムのリズムと、 徐 々<br />
に 徐 々にと 進 行 するクレッシェンド、そこに 入 れ 代 わり 立 ち 代 り 加 わる 楽<br />
器 の 演 奏 です。ラヴェルは 後 に「 私 が 作 曲 した 名 作 は 唯 一 ボレロだけだ。<br />
そして 残 念 なことに、『ボレロ』には 音 楽 がない。」と 言 っています。 確 か<br />
に、 音 色 を 極 端 に 削 ったこの 作 品 は、 人 間 の 声 ならではの 微 妙 な 色 合 い<br />
が 効 果 的 に 出 せないのではないかという 点 で、 合 唱 のための 編 曲 には 適<br />
して い な いように 思 わ れま す。そ の 意 味 で、 今 回 初 演 となったド ロテア・ホ<br />
ーフマン 氏 によるUNICHORデュッセルドルフのための 編 曲 は 興 味 深 い 作 品<br />
で す。そ の 他 の 編 曲 作 品 と 異 な り、『 ボレ ロ 』に は 歌 詞 を 付 せ ず、 擬 音 に<br />
よる 演 奏 になっています。ラヴェル 自 身 が 認 めた『ボレロ』の「 非 音 楽 性 」<br />
は、この 合 唱 用 編 曲 のなかで、リズムが 生 み 出 す 複 合 性 と、 大 真 面 目 であ<br />
るばかりに 生 まれる 滑 稽 さとの 大 きなコントラストに 現 れていると 言 える<br />
でしょう。<br />
モーリス・<br />
ラヴェル<br />
9<br />
作 品 について
10 モデスト・ムソルグスキーの『 展 覧 会 の 絵 』は「キエフの 大 門 」でク<br />
モデスト・<br />
ムソルグスキー<br />
作 品 について<br />
ライマックスを 迎 えます。 他 の 組 曲 同 様 、「キエフの 大 門 」も 絵 画 展<br />
の 訪 問 者 が 鑑 賞 する 絵 を 描 写 する 標 題 音 楽 です。もともとのピアノ<br />
組 曲 がもつ 壮 大 さはモーリス・ラヴェルの 管 弦 楽 への 編 曲 にも 現<br />
れています。 仰 々しいほど 荘 厳 に 描 かれる「 英 雄 の 門 」には2つの<br />
特 徴 があります。ひとつには、なにげなく 現 実 をほのめかす、 理 想<br />
的 な 時 がこの 作 品 の 下 敷 きになっています。この「 英 雄 の 門 」は 下<br />
絵 ・ 設 計 のままで、 実 際 に 建 てられることはなかったのです。もうひ<br />
とつには、 世 俗 的 な 荘 厳 さを 誇 示 する 一 方 で、 宗 教 的 な 響 きが 常<br />
につきまとうということです。 今 回 初 演 となった、オリバー・ギース<br />
氏 によるUNICHORデュッセルドルフのための 無 伴 奏 合 唱 編 曲 作 品<br />
は、この2つの 特 徴 をとらえた 作 品 になっています。あらゆるものを 圧 倒 す<br />
るようなこの 曲 は、16 部 合 唱 曲 として、ロシアの 賛 美 歌 の 歌 詞 をそえるこ<br />
とによって、 宗 教 的 性 格 を 帯 び、 楽 曲 のややもすれば 浅 薄 なイメージを 払<br />
拭 しています。ここでロシア 正 教 の 典 礼 に 接 するわけですが、ロシア 正 教<br />
の 無 伴 奏 合 唱 の 伝 統 は、 楽 器 の 演 奏 を 禁 ずる 教 えに 始 まっています。 人<br />
の 声 のみで、 心 の 奥 深 くにある 神 への 愛 を 表 現 するのです。この 曲 は、 私<br />
たちのコンサートのプログラムのテーマを 内 なる 自 分 へと 導 いてくれるも<br />
のではないでしょうか。<br />
アリョーシャ・ベルヴェ
ヘンリー・パーセル(1659-1695):<br />
アンセム:「 主 よ、わたしの 祈 りをお 聞 きください」( 詩 篇 102 篇 :1)<br />
11<br />
Hear my prayer, O Lord,<br />
and let my crying come unto thee.<br />
主 よ、わたしの 祈 りをお 聞 きください。<br />
わたしの 叫 びをみ 前 に 至 らせてください。<br />
第 1 部 宗 教 音 楽 の 編 曲 作 品<br />
「 世 捨 て 人 」<br />
フランツィシェク・<br />
エイスモンド (1881 年 作 )<br />
エド ワ ード・エ ル ガ ー( 1 8 5 7 - 1 9 3 4 ):<br />
『ルックス・エテルナ』エニグマ 変 奏 曲 第 9 変 奏 「ニムロッド」<br />
ジョン・キャメロンによる 合 唱 用 編 曲<br />
歌 詞<br />
Lux aeterna luceat eis, Domine:<br />
Cum Sanctis tuis in aeternum: quia pius es.<br />
Requiem aeternam dona eis, Domine: et lux perpetua luceat eis.<br />
Cum Sanctis tuis in aeternum: quia pius es.<br />
永 遠 の 光 が、 彼 らに 輝 きますように 、 主 よ 。<br />
あなたの 聖 人 たちとともに 永 遠 に。なぜならあなたは 慈 愛 深 い 方 ですから。<br />
主 よ、 彼 らに 永 遠 の 安 息 を 与 えてください。<br />
そして 永 遠 の 光 が、 彼 らに 輝 きますように 。<br />
あなたの 聖 人 たちとともに 永 遠 に。なぜならあなたは 慈 愛 深 い 方 ですから。
12 ペ ーター・コルネリウス (1824-1874):<br />
『3つの 詩 篇 』 作 品 13(1872 年 作 )<br />
1.「 悔 悛 の 歌 」( 歌 詞 :ペーター・コルネリウス 詩 篇 88 篇 より)<br />
ヨ ハ ン・セ バス ティア ン・バッハ フ ラン ス 組 曲 第 1 番 ( B W V 8 1 2 )より「 サ ラバンド 」<br />
の 編 曲<br />
Warum verbirgst du vor mir dein Antlitz,<br />
Warum hast du meine Seele verstoßen?<br />
Mein Gott, mein Heiland, wie hab‘ ich Tag und Nacht<br />
Die heißesten Tränen der Reue vergossen!<br />
Mich hält wie gefangen mein Leid, mein Klagen,<br />
Kein Stern erlösend im Dunkel will tagen.<br />
ヨハン・<br />
セバスチャン・<br />
バッハ<br />
主 よ、なぜ、わたしにみ 顔 を 隠 されるのですか。<br />
なぜ、あなたはわたしを 捨 てられるのですか。<br />
わが 神 、 主 よ、わたしは 昼 となく、 夜 となく、<br />
どれだけ、この 上 もなく 熱 い 悔 いの 涙 を 流 したことでしょう。<br />
わたしの 魂 は 悩 みと 苦 しみに 満 ち、<br />
救 いの 星 のひとつも 暗 闇 には 輝 かないのです。<br />
Öde, dem Grab gleich, umgibt das Herz mir,<br />
Ein Schmerzensabgrund, der kalt mich umschauert;<br />
Wie zu den Toten hast, Herr, du mich hingelegt,<br />
Daß hoffenslos, trostlos die Seele mir trauert.<br />
Wenn du, Herr, mir schweigest, welch‘ schaurig Schweigen!<br />
Wann meinem Flehen wirst, o Gott, du dich neigen?<br />
わたしの 心 は、まるで 墓 所 のように 絶 望 的 な、<br />
わたしを 冷 たく 見 つめる 苦 痛 の 深 い 淵 につつまれています。<br />
主 よ、あなたはわたしを 死 人 のうちに 捨 てられた 者 のように 置 かれました。<br />
そして 魂 は 望 みもなく、 慰 めもなく、 嘆 き 悲 しむのです。<br />
主 よ、あなたがわたしに 沈 黙 するとき、なんという 沈 黙 なのでしょう。<br />
神 よ、あなたはい つわたし の 祈 りに 耳 を 傾 けてくださるのでしょう。
2. 「バ ビ ロンの 川 のほとりに」( 歌 詞 :ペーター・コルネリウス 詩 篇 137<br />
篇 より)<br />
ヨ ハ ン・セ バスティア ン・バッハ イギリス 組 曲 第 3 番 ( B W V 8 0 8 )より「サ ラ<br />
バンド 」の 編 曲<br />
13<br />
Stromflut dahin rauscht durch Babels Gefilde:<br />
Herzblut, so brichst du in Tränen hervor!<br />
Zion, du strahlst hell in qualvolle Träume,<br />
Da doch dein Volk dich auf ewig verlor!<br />
Dir grünt der Oelbaum, kühl weht dir die Palme noch,<br />
Uns brach das Herz, blühet niemehr empor.<br />
Schmachvoll bedrängt uns der Ruf unsres Feindes:<br />
‚Singt uns von Zion!‘ so heischt sein Gebot;<br />
Doch Weh, mein Volk, dir unendlich Wehe,<br />
Sängst du des Herrn Lied dem feind, der dir droht!<br />
Einmal zuletzt nur beim Heimgang ertön‘ einst,<br />
Zion, O Zion, dein Lied noch im Tod.<br />
バビロンの 川 のほとりに 水 の 音 を 聞 きながら、<br />
熱 い 想 いに 涙 を 流 す。<br />
苦 悩 に 満 ちた 夢 の 中 にまぶしく 輝 くシオンよ。<br />
あなたの 民 は、あなたをを 永 遠 に 失 った。<br />
オリーブの 木 は 緑 に 茂 り、やしの 葉 が 涼 しく 風 にそよぐ。<br />
わたしたちの 心 は 砕 かれ、 二 度 と 気 高 く 花 開 くことはない。<br />
敵 はわたしたちを 恥 じらしめ、「われらのためにシオンの 歌 を 歌 えよ」と、<br />
定 めのとおりにわたしたちに 歌 を 求 めるのだ。<br />
ああ、しかし、わが 民 よ、 限 りない 苦 しみよ、<br />
わたしたちを 苦 しめる 者 に、 一 体 どうして 主 の 歌 を 歌 い 聞 かせることができよう。<br />
最 後 にただ 一 度 だけ、 帰 郷 のときにだけ、<br />
シオンよ、あなたの 歌 を 響 かせたまえ。 死 にゆくときに。<br />
歌 詞
14 3. 「エルサレム」( 歌 詞 :ペーター・コルネリウス 詩 篇 122 篇 より)<br />
ヨハン・セバ スティアン・バ ッハ パ ルティータ 第 1 番 (BWV825)より「メヌエット<br />
2」の 編 曲<br />
Heil und Freude ward mir verheißen,<br />
Eingehn werd‘ ich zum Haus des Herrn;<br />
Deine Schwelle soll ich begrüßen,<br />
Deinen Tempel, Jerusalem!<br />
「エルサレム」<br />
マテウス・<br />
メーリアン( 父 )<br />
歌 詞<br />
Hoch und herrlich bist du erbauet,<br />
Alle Völker wandern zu dir;<br />
Gottes Namen hörst du verkünden,<br />
Hörst ihn preisen, Jerusalem!<br />
高 々と 壮 大 にそびえ 立 つエルサレムよ、<br />
もろもろの 民 が、あなたの 許 にくるのです。<br />
みなが 神 のみ 名 をたたえるのを<br />
エルサレムよ、ききたまえ!<br />
わたしに 平 安 と 喜 びが 約 束 され、<br />
わたしは 主 の 家 に 入 るのです。<br />
わたしはあなたの 門 のうちにいます。<br />
あ なたの 神 殿 、エ ル サレムよ!<br />
Frieden herrsche in deinen Mauern.<br />
Heil den Hütten, den Hallen Heil!<br />
Heil den Herzen, die, voll von Liebe,<br />
Treu dir schlagen, Jerusalem!<br />
あなたの 家 が 平 和 で 満 たされますように。<br />
城 壁 の 内 には 平 和 あれ、<br />
もろもろの 家 を、そして 神 殿 を 守 りたまえ。<br />
あなたを 愛 する 心 に、あなたに 忠 実 な 心 に、<br />
エルサレムよ、 栄 えをあたえたまえ!
フェリックス・メン デルスゾ ーン・バルトル ディ( 1 8 1 1 - 1 8 4 7 ):<br />
『 交 響 曲 第 5 番 宗 教 改 革 』(1829-30 年 作 ) 第 3 楽 章<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フ の た め にドロ テ ア・ホ ーフ マン( 1 9 6 1 - )が無 伴 奏 合 唱 用<br />
に 編 曲 ( 歌 詞 :マルティン・ルター 訳 の 詩 篇 18 篇 :2−3)<br />
15<br />
Jahwe, Du mein Hort, meine Burg und mein Retter!<br />
Du mein Gott, mein Fels, auf den ich mich flüchte.<br />
Du mein Schild, und Horn meines Heiles.<br />
Du meine Burg, die hoch zu preisen. Du meine Burg.<br />
主 よ、わがすみか、わが 城 、わたしを 救 う 者 !<br />
わが 神 、わが 寄 り 頼 む 岩 。<br />
わが 盾 、わが 救 いの 角 笛 。<br />
あなたはわが 城 、ほめまつるべき、わが 城 。<br />
Groß ist sein Ruhm durch die Kraft deiner Hilfe.<br />
Du hast geschmückt mit Hoheit und Kraft.<br />
Groß ist sein Ruhm durch die Kraft, mit Hoheit und mit Pracht geschmückt<br />
mit Hoheit.<br />
主 のほまれは 救 いの 力 をもって 偉 大 なり。<br />
威 厳 と 大 いなる 力 をたずさえている。<br />
主 のほまれは 救 いの 力 をもって 偉 大 なり、 栄 光 と 大 いなる 力 をたずさえて。<br />
歌 詞<br />
Jahwe, du mein Hort. du meine Burg, du meine Stärke, du, mein Hort. Ich<br />
will dich lieben, Jahwe, meine Stärke, ich will dich lieben, du, mein Hort.<br />
Jahwe, meine Stärke, Jahwe, du, mein Hort, meine Stärke. Du, mein Hort.<br />
主 よ、わがすみか、わが 城 、わが 力 、あなたは わたし の すみか 。<br />
わたしはあなたを 愛 す、 主 よ、わが 力 よ、わたしはあなたを 愛 す、わがすみか 。<br />
主 よ、わが 力 、 主 よ、わがすみか、わが 力 、わがすみか 。
16<br />
サ ミュ エ ル・バ ー バ ー( 1 9 1 0 - 1 9 8 1 ):<br />
『 アニ ュ ス・デイ』( 1 9 6 7 年 作 )<br />
バ ー バ ー の『 弦 楽 の た め の アダ ー ジョ』の 自 身 に よる 編 曲<br />
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, miserere nobis.<br />
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, miserere nobis.<br />
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, dona nobis pacem.<br />
世 の 罪 を 除 きくださる 神 の 子 羊 、われらをあわれみ 給 え。<br />
世 の 罪 を 除 きくださる 神 の 子 羊 、われらをあわれみ 給 え。<br />
世 の 罪 を 除 きくださる 神 の 子 羊 、われらに 平 安 を 与 え 給 え。<br />
第 2 部 世 俗 音 楽 の 編 曲 作 品<br />
歌 詞<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「 第 1プロ ムナ ード 」<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め に オ リバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - ) が無 伴 奏 合 唱 用 に 編 曲<br />
( 初 演 )<br />
ロベ ルト・シューマン(1810-1856):<br />
1. 「 美 しい 五 月 には」<br />
『 詩 人 の 恋 』 作 品 48より 第 1 番 (1840 年 作 歌 詞 :ハインリヒ・ハイネ)<br />
クリュトゥス・ゴ ットヴ ァルト(1925-) による 無 伴 奏 合 唱 のための 編 曲<br />
(2009 年 作 )<br />
ハインリヒ・ハイネ<br />
Im wunderschönen Monat Mai,<br />
Als alle Knospen sprangen,<br />
Da ist in meinem Herzen<br />
Die Liebe aufgegangen.<br />
素 晴 らしく 美 しい 五 月 、<br />
すべてのつぼみがはじける 頃<br />
ぼくの 心 のなかに<br />
その 愛 が 生 まれた。<br />
Im wunderschönen Monat Mai,<br />
Als alle Vögel sangen,<br />
Da hab‘ ich ihr gestanden<br />
Mein Sehnen und Verlangen.<br />
素 晴 らしく 美 しい 五 月 、<br />
あらゆる 鳥 がさえずる 頃<br />
焦 がれる 熱 い 想 いを<br />
ぼくは 彼 女 に 告 白 した。
2. 「ば らや、ゆりや、はと」<br />
『 詩 人 の 恋 』 作 品 48より 第 3 番 (1840 年 作 、 歌 詞 :ハインリヒ・ハイネ)<br />
クリュトゥス・ゴットヴァルト( 1 9 2 5 - )に よる 無 伴 奏 合 唱 の た め の 編 曲 ( 2 0 0 9 年<br />
作 )<br />
17<br />
Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne,<br />
Die liebt‘ ich einst alle in Liebeswonne.<br />
Ich lieb‘ sie nicht mehr, ich liebe alleine<br />
Die Kleine, die Feine, die Reine, die Eine;<br />
Sie selber, aller Liebe Wonne,<br />
Ist Rose und Lilie und Taube und Sonne.<br />
Ich liebe alleine<br />
Die Kleine, die Feine, die Reine, die Eine.<br />
ばらや、ゆりや、はとや、 太 陽 を<br />
それらをぼくはかつて 夢 中 で 愛 していた。<br />
ぼくはもうそのどれも 愛 していない。ただ 一 人 、<br />
小 さな、 素 敵 な、 清 らかな、その 人 だけを 愛 している。<br />
彼 女 こそが、 愛 の 喜 び のすべてで、<br />
まさにばらや、ゆりや、はとや 太 陽 なのだ。<br />
ぼくはただ 一 人 、 小 さな、 素 敵 な、 清 らかな、<br />
その 人 だけを 愛 している。<br />
ヨーゼフ・フォン・<br />
アイヒェンドルフ<br />
歌 詞<br />
3. 「 月 夜 」<br />
『リーダ ークライス』 作 品 39より 第 5 番 (1840 年 作 、 歌 詞 :ヨーゼフ・フォン・アイ<br />
ヒェンドルフ)<br />
クリュトゥス・ゴットヴァルト( 1 9 2 5 - )に よる 無 伴 奏 合 唱 の た め の 編 曲 ( 2 0 0 9 年<br />
作 )<br />
Es war, als hätt‘ der Himmel,<br />
Die Erde still geküsst,<br />
Daß sie im Blütenschimmer<br />
Von ihm nur träumen müsst.<br />
それはまるで 空 が 大 地 に 静 かに<br />
接 吻 をしているようで、<br />
ほのかに 花 が 光 る 中 で<br />
大 地 が 空 の 夢 を 見 ているようだった。
18 Die Luft ging durch die Felder,<br />
Die Ähren wogten sacht,<br />
Es rauschten leis die Wälder,<br />
So sternklar war die Nacht.<br />
そよ 風 は 野 原 をわたり、<br />
穂 が 優 しく 揺 れていて、<br />
森 が 密 かにささやきかける、<br />
星 が 輝 く 透 き 通 った 夜 だった 。<br />
Und meine Seele spannte<br />
Weit ihre Flügel aus,<br />
Flog durch die stillen Lande,<br />
Als flöge sie nach Haus.<br />
わたしの 魂 は<br />
大 きく 翼 を 広 げ、<br />
故 郷 をめざすかのように、<br />
静 かな 大 地 を 飛 んでいった。<br />
歌 詞<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「 第 2プロ ムナ ード 」<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め に オ リバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に<br />
編 曲 ( 初 演 )<br />
グ スタフ・マーラー (1860-1911):<br />
「 原 光 」『 交 響 曲 第 2 番 復 活 』 第 4 楽 章<br />
クリュトゥス・ゴ ットヴ ァルト(1925-)による 無 伴 奏 合 唱 のための 編 曲<br />
(2008 年 作 )<br />
O Röschen rot,<br />
Selig sind, die Trauer leiden,<br />
Und ihr Brot mit Tränen tränken!<br />
おお、 赤 い 小 さなばらよ、<br />
嘆 き 悲 しむ 者 は、<br />
その 糧 を 涙 に 浸 す 者 は 幸 いである。<br />
グスタフ・マーラー<br />
Der Mensch liegt in größter Not,<br />
Der Mensch liegt in größter Pein,<br />
Je lieber möcht‘ ich im Himmel sein.<br />
人 は 大 きな 苦 難 の 中 にいる。<br />
人 は 大 きな 苦 悩 の 中 にいる。<br />
それよりもわたしは 天 国 にいたいと 思 う。
Da kam ich auf einem breiten Weg,<br />
Da kam ein Engelein und wollt‘ mich abweisen.<br />
Ach nein, ich ließ mich nicht abweisen!<br />
Ich bin von Gott und will wieder zu Gott,<br />
Der liebe Gott wird mir ein Lichtchen geben,<br />
Wird leuchten mir bis an das ewig selig‘ Leben!<br />
19<br />
わたしは 一 本 の 広 い 道 にたどり 着 いた。<br />
そこに 一 人 の 天 使 が 現 れて、わたしを 退 けようとした。<br />
いい や、わたしはそうはさせなか った 。<br />
わたしは 神 から 生 まれ、 神 の 許 へ 帰 るのだ。<br />
愛 する 神 はわたしに 一 筋 の 光 を 与 えるだろう。<br />
永 遠 に 幸 福 な 命 に 至 るまでわたしを 照 らしてくれるだろう。<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「 第 3プロ ムナ ード 」<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フの た め に オ リバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に<br />
編 曲 ( 初 演 )<br />
歌 詞<br />
モーリス・ラヴ ェル(1875-1937):<br />
『 ボレ ロ 』( 1 8 2 8 年 作 )<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フ の た め にドロ テ ア・ホ ーフ マン( 1 9 6 1 - )が無 伴 奏 合 唱 用<br />
に 編 曲 ( 初 演 )<br />
モ デスト・ムソル グスキ ー( 1 8 3 9 - 1 8 8 1 ):<br />
『 展 覧 会 の 絵 』より「キエフの 大 門 」<br />
U N I C H O R デュッ セ ルドル フ の た め に オ リバ ー・ギ ース( 1 9 7 3 - )が無 伴 奏 合 唱 用 に 編<br />
曲 ( 初 演 )<br />
Тя благодарим днесь,<br />
Господи, Боже, Царю Небесный.<br />
今 日 わたしたちは、 主 よ、 神 よ、<br />
天 国 の 王 よ、あなたに 感 謝 します。<br />
Слава в вышних Богу,<br />
и на земли мир,<br />
в человецех благоволение.<br />
天 上 の 神 に 栄 光 あれ、 地 に 平 和 あれ。<br />
人 は 善 き 者 でありたいと 望 むのです。
20 Тя благодарим днесь,<br />
Господи, Боже, Царю Небесный.<br />
今 日 わたしたちは、 主 よ、 神 よ、<br />
天 国 の 王 よ、あなたに 感 謝 します。<br />
Богородице Дево, радуйся,<br />
благодатная Марие,<br />
Господь с тобою.<br />
神 の 命 を 生 んだ 処 女 よ、よろこび なさい、<br />
神 の 愛 にみたされたマリア 様 よ、<br />
神 があなたと 共 にありますように。<br />
Аллилуйиа<br />
Тя благодарим днесь,<br />
Господи, Боже, Царю Небесный.<br />
主 をほめたたえよ。<br />
今 日 わたしたちは、 主 よ、 神 よ、<br />
天 国 の 王 よ、あなたに 感 謝 します。<br />
Тя благодарим днесь,<br />
Слава в вышних Богу,<br />
и на земли мир<br />
Аллилуйиа<br />
今 日 わたしたちはあなたに 感 謝 します。<br />
天 上 の 神 に 栄 光 あれ、<br />
地 に 平 和 あれ。<br />
主 をほめたたえよ。<br />
歌 詞<br />
Жизнодавца рождшая,<br />
Богородице Дево, радуйся,<br />
благодатная Марие,<br />
Аз рех, аз рех:<br />
к Тебе прибегох.<br />
исцели душу мою.<br />
あなたは 命 を 与 える 者 を 生 んだのです。<br />
よろこび なさい、 神 の 命 を 生 んだ 処 女 、<br />
神 の 愛 にみたされたマリア 様 よ。<br />
わたしは 言 います、<br />
わたしたちはあなたに 祈 りをささげますと。<br />
わたしの 魂 をいやしてください。<br />
яко у Тебе источник живота,<br />
во свете Твоем узрим свет.<br />
Прибaви милость<br />
Твою ведущим Тя,<br />
к Тебе прбегох.<br />
Свят еси Господи Будь Господи,<br />
милость Твоя ан нас,<br />
Господи, к Тебе прбегох.<br />
なぜなら、あなたは 命 の 泉 を 持 っていて、<br />
あなたの 光 は 真 実 の 光 であることを<br />
わたしたちは 知 っているから。<br />
あなたを 知 る 者 に、<br />
あなたに 祈 る 者 に 御 慈 悲 をお 与 えください。<br />
聖 なる 主 よ、 神 よ、あなたの 御 慈 悲 が<br />
わたしたちの 上 にありますように。<br />
神 よ、わたしたちはそう 祈 るのです。<br />
Аллилуя.<br />
主 をほめたたえよ。<br />
Тя благодарим днесь,<br />
Господи, Боже, Царю Небесный.<br />
Слава в вышних Богу,<br />
今 日 わたしたちは、 主 よ、 神 よ、<br />
天 国 の 王 よ、あなたに 感 謝 します。<br />
天 上 の 神 に 栄 光 あれ、
и на земли мир.<br />
地 に 平 和 あれ。<br />
21<br />
Слава Отцу и Сыну и Святому Духу.<br />
Слава Отцу и Сыну<br />
父 と 子 と<br />
精 霊 に 栄 光 あれ、<br />
и ныне, и присно, и во веки веков.<br />
Тя благодарим днесь.<br />
Аминь<br />
現 在 も、いつの 時 も、そして 永 遠 に。<br />
今 日 わたしたちはあなたに 感 謝 します。<br />
アーメン<br />
歌 詞<br />
建 築 家 ビクトル・ハルトマン(1834-1873)の 下 絵 「キエフの 大 門 」<br />
鐘 楼 とチャペルのある 市 街 門 。この 門 は 建 てられることはなかった。
22<br />
写 真 : ジーグリ<br />
ット・ホーフシュテ<br />
ッター<br />
Dorothea Hofmann(ドロテア・ホーフマン)はミュンヘン、ザル<br />
ツブルクとアウグスブルクで 合 唱 指 揮 、ピアノ 演 奏 、 哲 学 と 音 楽<br />
学 を 学 び、 現 在 ミュンヘン 音 楽 ・ 演 劇 大 学 で 音 楽 学 の 教 授 とし<br />
て 教 鞭 をとっています。 最 初 はピアニストとして 成 功 を 収 めまし<br />
たが(1993 年 にロッテルダムの 国 際 ガウデアムス・コンクール 受<br />
賞 )、 現 在 は 作 曲 が 芸 術 活 動 の 中 心 となって います。 作 品 カタロ<br />
グは 管 弦 楽 曲 から、 様 々な 楽 器 構 成 の 室 内 管 弦 楽 曲 、 数 多 くの<br />
歌 唱 曲 、 合 唱 ・ソロ 曲 、そして 人 形 劇 用 音 楽 までは 広 範 囲 にわた<br />
ります。<br />
名 だたる 団 体 や 音 楽 グループの 依 頼 による 作 曲 (ミュンヘン 放 送 管 弦<br />
楽 団 、カトリック 教 会 のミュンヘン・フライジング 教 区 、EUの 文 化 財 団<br />
EUROPAMUSICALE )のほか、ブラジル、エクアドル、アイスランド、イタリア、<br />
日 本 、メキシコ、オ ーストリア、ポーランド、ル ーマニア、スイス、スロベ ニ<br />
ア、セルビア、チェコといった 国 の 音 楽 祭 でも 作 品 が 演 奏 されます。 詳 細 は<br />
www.hofmannmusic.de をご 覧 下 さい。<br />
作 曲 者 紹 介<br />
写 真 :スヴェン・<br />
ジント<br />
Oliver Gies (オリバー・ギース)(1972 年 生 まれ)はニーダーサクセン 州<br />
ローテンブルク (ヴュンメ)で 幼 少 年 期 を 過 ごし、 高 校 卒 業 後 、ハノーフ<br />
ァー の 大 学 で 数 学 と 歌 唱 に 重 点 を お いた 音 楽 教 育 を 専 攻 しました 。そ の<br />
後 、エッセン で ジャズ/ロック/ ポップの 作 曲 ・ 編 曲 を 主 専 攻 しました 。1 9 9 8<br />
年 からフリーランスの 音 楽 家 として 活 動 しています。ヴォーカル・ワークシ<br />
ョップ、アニメ 映 画 の 吹 き 替 え、 合 唱 団 の 指 揮 、ラジオCMのナレーション、<br />
演 劇 音 楽 の 作 曲 をといった 活 動 のほか、 自 身 が 所 有 するスタジオでの 製<br />
作 、 作 曲 もして います。アカペラグル ープ“ M a y b e b o p ”の 創 始 メンバ ーであ<br />
り 、グ ル ー プ の 創 作 リ ー ダ ー で も あ り ま す 。“ M a y b e b o p ”の 演 奏 作<br />
品 は 主 にギース 氏 の 作 品 ( 作 詞 作 曲 ・ 編 曲 )で、ドイツ 全 国 でコン<br />
サートを 行 っています。<br />
ヴォルフェンビュッテルに 所 在 する 連 邦 文 化 教 育 アカデミーでは<br />
2008 年 に「ジャズ・ポップコーラス 指 揮 コースB」が 設 けられ、 高 い<br />
評 価 を 受 け て いま す が 、ギ ース 氏 はここで5 年 間 教 鞭 をとり、コ<br />
ース 課 程 の 形 作 りに 大 きな 影 響 を 与 えました。2012 年 にはニーダ<br />
ーザクセン 州 青 少 年 合 唱 団 の 指 揮 者 を 務 めました。 多 くの 合 唱<br />
用 の 編 曲 作 品 はコーラス 界 での 人 気 を 集 めています。ギース 氏 が<br />
アレンジしたラムシュタインの“Angel”の 合 唱 のための 編 曲 作 品<br />
は、2010 年 のドイツ 合 唱 コンクールのジャズ/ポップ 部 門 の 必 須 曲 目 に 選<br />
ばれました。
合 唱 団 UNICHORは 歌 うことに 情 熱 あふれる 若 者 たちのグループで、デュッ<br />
セルドルフ・ハインリヒ・ハイネ 大 学 のあらゆる 学 部 の 学 生 と 大 学 スタッフ<br />
で 構 成 されています。” 金 切 り 声 を 上 げるひとにぎりの 学 生 たち”( 練 習 用<br />
講 堂 の 管 理 人 談 )が1989 年 に 活 動 を 始 め、 設 立 当 初 から 現 在 までわず<br />
かな 休 止 期 間 を 除 きほぼ 連 続 して、 当 大 学 の 学 術 音 楽 監 督 のジルケ・レ<br />
ーアが 指 揮 者 を 務 めています。<br />
UNICHORは 現 在 では100 名 を 超 える 団 員 を 擁 する 合 唱 団 になりました。 時<br />
折 大 学 オーケストラとの 共 同 演 奏 も 行 います。 学 期 毎 に 演 奏 プログラムを<br />
選 択 し、 学 期 末 の 演 奏 会 に 向 けて 練 習 し、 仕 上 げていきます。 長 年 にわた<br />
る 演 奏 活 動 を 通 して、 幅 広 く 多 様 なレパートリーを 持 つに 至 っています。レ<br />
パートリーの 例 としては、フォーレ、ドボルザークそしてブラームスのレク<br />
イエム、バッハやサン=サーンスのクリスマス・オラトリオ、カール・オルフ<br />
の『カルミナ・ブラーナ』、プッチーニのミサ 曲 、レオシュ・ヤナーチェク<br />
の『 我 らの 歌 』、バーンスタインの『チチェスター 詩 篇 』 等 の 作 品 を 挙 げ<br />
ることができます。 無 伴 奏 合 唱 のレパートリーにはバッハ、バード、ダウラ<br />
ンド、ヤナチェク、モンテヴェルディ、プーランク、ピルキントン、ウィールク<br />
ス、ラフマニノフ 等 々の 作 品 があります。<br />
定 例 の 学 期 末 演 奏 会 を 重 ねることで、UNICHORはデュッセルドルフ 市 のカ<br />
ルチャー・シーンだけでなく、デュッセルドルフが 州 都 であるノルトライン<br />
=ヴェストファーレン 州 の 合 唱 界 においても 確 固 たる 地 位 を 築 き 上 げまし<br />
た。<br />
これまでに 欧 州 各 国 (イギリス、ポーランド、チェコ、フランス、スイス、オ<br />
ランダ)でも 演 奏 会 を 行 ってきました。2008 年 には 初 めて 欧 州 を 離 れブラ<br />
ジルで、2014 年 にはカナダで 演 奏 会 を 行 いました。2017 年 9 月 に 韓 国 と 日<br />
本 での 演 奏 旅 行 に 遠 征 します。<br />
23<br />
UNICHORについて<br />
2016 年 7 月 ミッケルン 城 でのコンサート 風 景
Carolin<br />
Mieczkowski<br />
Naemi<br />
Christel Werth Lioba Görtz Melina Dederichs<br />
Nina L'Hoest<br />
Rheinländer<br />
Silvia Navarro<br />
Sina Herrmann<br />
Ursula<br />
Guinaldo<br />
Wiebke Vogt<br />
Anna<br />
Seber-Bäumer<br />
Diana<br />
Rodriguez<br />
Dorothea Uhle<br />
Elisabeth Ricken<br />
Jeanne<br />
Beckmann<br />
Kasia Dudo Lisa Arnold Luise Weigert<br />
Noemi Morocho<br />
Susanne Krack<br />
Carla Reuter<br />
Christiane Tietz<br />
Eva Gatzlik<br />
Katharina<br />
Tiemann<br />
Magdalena Berg<br />
Maike Beier<br />
Marie-Theres<br />
Jackelen<br />
Nina Lennhof<br />
Petra Kurepkath-Schiebel<br />
Theresa<br />
Scheler<br />
Agnes Lipka<br />
Anna Karin<br />
San Torcuato<br />
Carina Wagner Christine Laturnus Evelyn Rasper Mareike Focken
Nina Henrich<br />
Miho<br />
Kanaka-Röhrig<br />
Monika Marreck<br />
Nadine<br />
Minderjahn<br />
Andreas Kluth<br />
Dennis Walter<br />
Fan Wu<br />
Matthias<br />
Lutterbeck<br />
Michael<br />
Scheller<br />
Otto Lin<br />
Philipp<br />
Krauledat<br />
Robin Laumeyer<br />
Julian Görtz<br />
Malte Rüping<br />
Masato Kanzaki<br />
Mathias<br />
Cuypers<br />
Max Lühl<br />
Philipp Sprinc<br />
Christoph<br />
Janetzko<br />
Dirk Weiser<br />
Johannes Dröge<br />
Johannes Tosta<br />
Michael<br />
Koslowski<br />
Thomas<br />
Böttinger<br />
Tomoki<br />
Piekenbrock<br />
Vinzent Broens<br />
Bernhard Eurich<br />
Fabian<br />
Klingbeil<br />
Helmut Maassen<br />
Ivo Görlach<br />
Moon Doh<br />
Ralf Kirschke<br />
Tim Weitz<br />
Thomas Krüger
26 Silke Löhr(ジルケ・レーア)(1966 年 ベルリン 生 まれ)はデュッセルドル<br />
フ、ハインリヒ・ハイネ 大 学 の 学 術 音 楽 監 督 、そして 大 学 の<br />
オーケストラと 合 唱 団 UNICHORの 指 揮 者 です。ケルン 大 学<br />
で 数 学 と 音 楽 教 育 を 学 んだ 後 、オランダのユトレヒトで 管<br />
弦 楽 の 指 揮 を 学 び、 演 奏 家 国 家 試 験 を 優 秀 な 成 績 でおさ<br />
めました 。さらに 数 多 くの マスタークラス(ヘ ルムート・リリ<br />
ング、エリック・エリクソン、クルト・マズール、ペーテル・エト<br />
ヴェシュ、ヨルマ・パヌラ、ユーリ・アロノヴィチ)を 修 めたり、<br />
サイモン・ラトル の 指 南 を 受 けるなどして、オ ーケストラと<br />
合 唱 の 指 揮 法 をより 深 め、ドイツ 音 楽 審 議 会 の 指 揮 者 フォ<br />
ーラムから 助 成 金 を 受 けました。<br />
1996 年 から1999 年 までエッセン 大 学 の 合 唱 団 とオーケスト<br />
ラの 指 揮 者 を 務 め、1999 年 にノルトライン・ウェストファー<br />
レン 州 より 音 楽 後 援 賞 を 受 賞 しました。1999/2000 年 のシー<br />
ズンには 管 弦 楽 アカデミーの 奨 学 生 として、ベルギッシュ 交 響 楽 団 の 数 多<br />
くのコンサートを 指 揮 しました。2003 年 から2005 年 の 間 はオランダ、ヒルフ<br />
ェルスムのオランダ 放 送 協 会 の 運 営 するオランダ 放 送 フィルハーモニー 管<br />
弦 楽 団 でアシスタントを 務 めました。<br />
指 揮 者 としては、ベルリン・コーミッシェ・オーパー(『ラ・ボエーム』)、オ<br />
ルデンブルク 国 立 オペラ 座 (『 後 宮 からの 誘 拐 』)、ツェレ・ 宮 殿 コンサー<br />
ト(『 皇 帝 ティートの 慈 悲 』)、コンサート 専 門 合 唱 団 ケルナー・クレンデ、<br />
デュッセルドルフ 交 響 楽 団 、ベルギッシェ 交 響 楽 団 、ケルンWDR 交 響 楽 団 ,<br />
ラジオ・カーメル 管 弦 楽 団 、オランダ 放 送 フィルアーモニー 管 弦 楽 団 、ライ<br />
ン 州 立 フィルハーモニー 管 弦 楽 団 等 、 数 々の 実 績 を 積 んでいます。 西 ドイ<br />
ツ 放 送 局 (WDR)のためにF. シェンカーとR. クワーデの2 作 品 の 初 演 も<br />
行 って います。また、 指 揮 活 動 のほ か 、オ ーケストラ・ 合 唱 コンクール の 審<br />
査 員 も 務 めています。<br />
1987 年 に 学 生 たちと 共 にデュッセルドルフ 大 学 のオーケストラを 創 設 し、<br />
その 直 後 に 大 学 合 唱 団 UNICHORの 指 揮 を 引 き 受 けるとになります。それ 以<br />
来 、デュッセルドルフ 大 学 の 音 楽 環 境 の 整 備 と 音 楽 活 動 の 質 の 向 上 に 努<br />
めてきました。オーケストラのレパートリーは 幅 広 く、ベートーベンの 第 九 、<br />
ブルックナー、ショスタコーヴィチ、ドボルザーク、チャイコフスキー、メン<br />
デルスゾーンの 有 名 な 交 響 曲 や、UNICHORとの 共 同 演 奏 による、ブラーム<br />
ス、ヴェルディやドボルザークのレクイエム 等 ばかりでなく、バロック 音 楽<br />
や、アーノルド、マックスウェル・デイヴィス、ベリオ、コープランドといった<br />
現 代 音 楽 まで 網 羅 します。<br />
指 揮 者 紹 介
後 援 会 について<br />
デュッセルドルフ、ハインリヒ・ハイネ 大 学 オーケストラ・ 合 唱 団 後 援 会<br />
は、この 二 つの 音 楽 団 体 が、 地 域 においても 国 際 的 にも 多 くの 観 客 の 前 で<br />
演 奏 する 機 会 を 利 用 し、 国 内 だけでなく、 国 境 を 越 えてデュッセルドルフ<br />
大 学 を 代 表 出 来 るようにと、その 活 動 を 長 年 にわたり 支 援 しています。 支<br />
援 のための 寄 付 や 新 会 員 希 望 はよろこんでお 受 けいたします。 会 員 には<br />
大 学 オーケストラとUNICHORの 活 動 についての 情 報 を 定 期 的 にお 知 らせし<br />
ています。<br />
27<br />
第 1 委 員 長 : Dr. Ingo Plag 教 授<br />
第 2 委 員 長 : Dr. Fritz Boege 教 授<br />
会 計 : Thilo Franke<br />
書 記 : Ulrich Koppitz<br />
住 所 :<br />
Institutsbibliothek für Geschichte der Medizin Universitätsklinikum<br />
Düsseldorf<br />
Postfach 10 10 07<br />
40001 Düsseldorf<br />
Tel.: 0211 8113945, Fax: 0211 8113949<br />
BibGeschMed@uni–duesseldorf.de<br />
銀 行 口 座 :<br />
Deutsche Bank PGK Düsseldorf<br />
BLZ 300 700 24<br />
Konto-Nr. 23 00 317<br />
IBAN DE74 3007 0024 0230 0317 00<br />
BIC DEUTDEDBDUE<br />
後 援 会 について 及 び 謝 辞<br />
感 謝 のことば<br />
ハインリヒ・ハイネ 大 学 後 援 友 の 会 が2017 年 も 合 唱 団 とオーケストラの<br />
活 動 に 惜 しみない 支 援 をくださることに 感 謝 の 意 を 表 します。とりわけ 会<br />
長 のエドアルド・デレンベルク 氏 個 人 の 大 きなお 力 添 には 深 く 感 謝 いたし<br />
ます。