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(2)MEMS-半導体横方向配線技術の研究開発

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(2)MEMS- 半 導 体 横 方 向 配 線 技 術 の 研 究 開 発<br />

(2)-1.MEMSー 半 導 体 横 方 向 配 線 技 術 の 研 究 開 発 ( 東 北 大 学 )<br />

1. 研 究 の 概 要<br />

344


2. 成 果 の 詳 細<br />

MEMS と LSI を 高 密 度 に 一 体 化 実 装 する 新 しい 低 温 積 層 高 密 度 一 体 化 実 装 技 術 を 開 発 す<br />

ることを 目 的 として 研 究 開 発 を 行 った。 研 究 開 発 の 内 容 は、1)セルフアセンブリー 機 能 を 利<br />

用 してフレキシブル 配 線 基 板 上 に LSI チップや MEMS チップを 高 精 度 で 一 括 実 装 する 技 術<br />

と、2)フレキシブル 配 線 基 板 上 に 狭 ピッチのマイクロバンプを 高 密 度 に 形 成 する 技 術 、3)<br />

基 板 上 に 搭 載 したチップに 高 密 度 のチップ 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 する 技 術 、4)それらのチップ<br />

上 に 抵 抗 やコンデンサ、インダクタ、コイルなどの 受 動 素 子 を 形 成 する 技 術 、5) 以 上 の 技<br />

術 を 統 合 したテストモジュールの 試 作 、から 成 る。 試 作 するテストモジュールの 構 成 例 を<br />

図 1 に 示 す。このようなテストモジュールを 図 2 に 示 すように、 大 型 基 板 上 で 一 括 作 製 す<br />

る 技 術 を 開 発 する。 以 下 に、それぞれの 技 術 についての 研 究 開 発 内 容 と 成 果 について 報 告<br />

する。<br />

図 1 セルフアセンブリ 技 術 を 用 いた MEMS-LSI<br />

チップの 一 括 実 装<br />

図 2 大 型 基 板 を 用 いた MEMS-LSI<br />

モジュールの 一 括 製 造<br />

2-1. 研 究 開 発 内 容<br />

1)セルフアセンブリー 機 能 を 用 いたMEMS-LSI 一 括 実 装 技 術<br />

液 体 の 表 面 張 力 を 利 用 して、たくさんのMEMSチップやLSIチップをシリコンイン<br />

ターポーザーやフレキシブル 配 線 基 板 表 面 に 高 精 度 一 括 実 装 する 技 術 を 開 発 した。 図 3 に<br />

示 すように、シリコンインターポーザーやフレキシブル 配 線 基 板 に 親 水 性 の 領 域 をたくさ<br />

ん 設 けておき、そこに 裏 面 または 表 面 を 親 水 性 にしたチップを 水 溶 液 や 液 体 有 機 樹 脂 を 介<br />

して 自 己 整 合 的 に 張 り 合 わせる。このようなチップ 一 括 実 装 を 行 うための 装 置 も 開 発 した。<br />

図 4 に 開 発 した 装 置 の 写 真 を 示 す。この 装 置 を 用 いると、 図 5 に 示 すように、 多 数 の 良 品<br />

チップ (KGD: Know Good Die)を 一 括 してピックアップし、 大 まかな 位 置 合 わせを 行 った 後 、<br />

チップリリースすることによって、 高 い 精 度 で 張 り 合 わせすることができる。 図 6 および<br />

図 7 に、2 インチウェーハおよび 8 インチウェーハ 上 でセルフアセンブリーを 行 っている 時<br />

345


の 様 子 を 写 真 で 示 す。 図 6 では、3mm 角 のシリコンチップ 28 個 をピックアッププレートに<br />

より 一 括 ピックアップして、2 インチウェーハ 上 に 形 成 した 接 合 領 域 ( 親 水 性 領 域 )に 高 精<br />

度 で 張 り 合 わせを 行 っている。セルフアセンブリーによるチップ 一 括 位 置 合 わせ 時 間 は 1<br />

秒 以 下 である。 図 7 では、5mm 角 のシリコンチップを 500 個 以 上 同 時 にピックアップして、<br />

8 インチウェーハ 上 に 形 成 した 接 合 領 域 ( 親 水 性 領 域 )に 高 精 度 で 張 り 合 わせている。 図 6<br />

および 図 7 のセルフアセンブリー 実 験 は、 保 持 基 板 としてシリコンウェーハを 用 いている<br />

が、 親 水 性 領 域 、 疎 水 性 領 域 を 形 成 できれば、 図 8 に 示 すように、ポリイミド 基 板 など 他<br />

の 材 料 から 成 る 基 板 上 でもセルフアセンブリーによる 一 括 実 装 は 可 能 である。また、 液 滴<br />

としては 水 溶 液 だけでなく、 図 9 に 示 すように、 有 機 材 料 溶 液 でもセルフアセンブリーが<br />

可 能 である。<br />

セルフアセンブリーによる 一 括 実 装 のチップ・アラインメント 精 度 を 評 価 した 結 果 を 図<br />

10~ 図 12 に 示 す。 図 に 示 すように、アラインメント 精 度 は、チップサイズ、 液 量 、 表 面 粗<br />

さ、 基 板 傾 斜 角 、 初 期 ずれなどに 依 存 するが、 実 験 した 範 囲 では、シリコン 基 板 を 用 いた<br />

場 合 で 0.5~1μm、フレキシブル 基 板 を 用 いた 場 合 で 1~1.5μm のアラインメント 精 度 を 得<br />

た。 図 13 は、シリコン 基 板 を 用 いた 場 合 のチップ・アラインメント 精 度 分 布 の 測 定 結 果 で<br />

ある( 測 定 数 :100)。 図 からわかるように、 平 均 値 で 0.429μm、90% 歩 留 まりで 1μm と<br />

いうアラインメント 精 度 が 得 られた。また、 接 合 強 度 に 関 しても、 図 14 のシェア 強 度 テス<br />

トからわかるように、 評 価 装 置 の 最 大 荷 重 限 界 以 上 の 大 きな 接 合 強 度 が 得 られた。 更 に、<br />

セルフアセンブリーによる MEMS チップの 一 括 実 装 の 可 能 性 を 検 討 するために、 図 15 に 示<br />

すような 平 坦 でない 形 状 を 有 するチップのセルフアセンブリー 実 験 も 行 った。 図 15 のチッ<br />

プは、 高 い Q 値 を 実 現 するために、インダクタ 直 下 のシリコン 基 板 を 除 去 し、 空 洞 (キャビ<br />

ティ)を 形 成 した 構 造 となっている。チップあたりのキャビティの 数 は、1~9 個 まで 変 えて<br />

いる。 図 16 に、アラインメント 精 度 のキャビティ 数 依 存 性 を 示 す。アラインメント 精 度 は<br />

キャビティ 数 (キャビティ・サイズ)によって 若 干 変 化 しているが、キャビティ 付 きチップで<br />

もセルフアセンブリーによる 一 括 実 装 が 可 能 であることが 確 認 できた。 図 17 は、セルフア<br />

センブリー 一 括 実 装 技 術 により、シリコン 基 板 に 張 り 合 わせたキャビティ 付 きチップの 張<br />

り 合 わせ 強 度 の 測 定 結 果 である。 張 り 合 わせ 強 度 をシェア 強 度 で 評 価 しているが、キャビ<br />

ティ 数 (キャビティ・サイズ)によらず、シェア 強 度 はすべて 張 り 合 わせ 強 度 測 定 装 置 の 測 定<br />

限 界 (5000kgf) 以 上 であった。 図 18 に、MEMS チップをセルフアセンブリーによりフレキシ<br />

ブル 配 線 基 板 に 実 装 した 時 の 写 真 を 示 す。MEMS チップとして 厚 さ 約 1mm のフォースセン<br />

サチップを 用 いている。また、セルフアセンブリーには 液 状 有 機 樹 脂 を 用 いた。 図 から、<br />

ガラス 基 板 を 有 する 厚 いフォースセンサチップが、 良 好 な 位 置 合 わせ 精 度 で 基 板 に 張 り 合<br />

わされている 様 子 がわかる。 図 19 は、セルフアセンブリーによりフレキシブル 配 線 基 板 に<br />

実 装 したフォースセンサチップの 特 性 測 定 結 果 である。セルフアセンブリーによる 実 装 後<br />

にも、 良 好 な 特 性 が 維 持 されている。<br />

346


図 3 液 体 の 表 面 張 力 を 利 用 したセルフ<br />

アセンブリーによるチップ 一 括 実 装<br />

図 4 8 インチウェーハ 用 セルフ<br />

アセンブリー 装 置<br />

図 5 セルフアセンブリーによるチップ<br />

一 括 実 装 工 程<br />

図 6 2 インチウェーハを 用 いたセルフ<br />

アセンブリーによるチップ 一 括 実 装<br />

Si 基 板 にセルフアセ<br />

ンブリーしたチップ<br />

ポリイミド 基 板 にセルフ<br />

アセンブリーしたチップ<br />

図 7 8 インチウェーハを 用 いたセルフ<br />

アセンブリーによるチップ 一 括 実 装<br />

図 8 Si 基 板 、ポリイミド 基 板 を 用 いた<br />

セルフアセンブリー<br />

347


図 9 有 機 材 料 溶 液 を 用 いたセルフ<br />

アセンブリーによるチップ 実 装<br />

図 10 アラインメント 精 度 のチップ<br />

サイズ 依 存 性 (Si 基 板 )<br />

図 11 アラインメント 精 度 の 液 量<br />

依 存 性 (Si 基 板 )<br />

図 12 アラインメント 精 度 の 液 量<br />

依 存 性 (ポリイミド 基 板 )<br />

図 13 チップ・アラインメント 精 度 分 布<br />

(Si 基 板 )<br />

図 14 シェア 強 度 の 液 量 依 存 性<br />

(ポリイミド 基 板 )<br />

348


図 15 セルフアセンブリーによる 空 洞<br />

(キャビティ) 付 チップの 一 括 実 装<br />

図 16 アラインメント 精 度 のキャビティ 数<br />

依 存 性 (Si 基 板 )<br />

図 17 シェア 強 度 のキャビティ 数 依 存 性<br />

図 18 セルフアセンブリーによりフレキ<br />

シブル 配 線 基 板 に 実 装 したフォースセン<br />

サチップの 写 真 (フォースセンサチップ<br />

は 立 命 大 学 ・ 杉 山 教 授 からの 供 給 )<br />

図 19 セルフアセンブリーによりフレキシブル 配 線 基 板 に 実 装 したフォースセンサチップ<br />

の 特 性 測 定 結 果<br />

349


2)フレキシブル 配 線 基 板 上 への 高 密 度 マイクロバンプ 形 成 技 術<br />

図 20 に 示 すような 平 坦 化 リフトオフ 法 を 用 いて、フレキシブル 配 線 基 板 上 に 狭 ピッチで<br />

高 密 度 のマイクロバンプを 形 成 した。 平 坦 化 リフトオフ 法 を 用 いると、マイクロバンプを<br />

下 地 の 配 線 や 電 極 と 接 続 するためのビアの 寸 法 と 同 じ 寸 法 のマイクロバンプを 形 成 できる<br />

ので、 狭 ピッチで 高 密 度 のマイクロバンプを 形 成 できる。マイクロバンプ 形 成 のためのホ<br />

トレジスト・パターンを 高 速 に 形 成 するために、 図 21 に 示 すようなインプリント 技 術 も 開<br />

発 した。 図 22 に、 平 坦 化 リフトオフ 法 およびインプリント 技 術 を 用 いて 形 成 したマイクロ<br />

バンプ・パターンの 写 真 を 示 す。バンプ・サイズは 5μm×5μm で、バンプ 間 隔 は、15μ<br />

m, 25μm, 30μm, 50μm である。Al 配 線 パターン 上 に 良 好 にマイクロバンプが 形 成 されて<br />

いることがわかる。このようなマイクロバンプが 形 成 されたチップをセルフアセンブリ 一<br />

括 実 装 により 張 り 合 わせることを 検 討 した。 図 23 に、マイクロバンプが 形 成 されたフレキ<br />

シブル 基 板 に、マイクロバンプ 付 チップをセルフアセンブリーにより 実 装 する 様 子 を 写 真<br />

で 示 す。 図 23 では、フレキシブル 基 板 上 のマイクロバンプとチップ 上 のマイクロバンプが<br />

セルフアセンブリーにより 位 置 あわせされる 様 子 を 観 察 するために、チップは 石 英 チップ<br />

にマイクロバンプを 形 成 したものを 用 いている。 写 真 から、マイクロバンプ 付 チップを 用<br />

いても、セルフアセンブリーにより 位 置 あわせが 可 能 であることがわかる。 図 24 に、マイ<br />

クロバンプが 形 成 されたシリコン 基 板 に、マイクロバンプ 付 シリコンチップをセルフアセ<br />

ンブリーにより 実 装 する 様 子 を 赤 外 顕 微 鏡 により 観 察 した 結 果 を 示 す。 写 真 から、マイク<br />

ロバンプどうしが 約 2μm のアラインメント 精 度 で 位 置 あわせされている 様 子 がわかる。 図<br />

25 に、マイクロバンプが 形 成 されたフレキシブル 基 板 に、マイクロバンプ 付 チップをセル<br />

フアセンブリーにより 実 装 することによって 作 製 したマイクロバンプ・ディジーチェーン<br />

の 電 気 的 特 性 を 示 す。マイクロバンプ・ディジーチェーンは、マイクロバンプどうしをセ<br />

ルフアセンブリーにより 位 置 合 わせを 行 った 後 、 温 度 を 約 230℃まで 上 げて In/Au を 溶 着 す<br />

ることによって 作 製 した。 溶 着 の 際 に 押 し 付 け 機 械 的 圧 力 は 加 えていない。 張 り 合 わせの<br />

後 の 位 置 合 わせずれは 2μm 以 下 となっており、 良 好 な 位 置 合 わせ 精 度 が 得 られている。ま<br />

た、 図 からわかるように、 作 製 したマイクロバンプ・ディジーチェーンで 良 好 な 電 気 的 特<br />

性 が 得 られている。<br />

350


図 20 平 坦 化 リフトオフ 法 による<br />

金 属 マイクロバンプの 形 成 方 法<br />

図 21 インプリント 技 術 によるマイクロ<br />

バンプパターンの 形 成<br />

図 22 作 製 した In/Au マイクロバンプ<br />

・パターンの 顕 微 鏡 写 真<br />

図 23 セルフアセンブリーによるマイクロ<br />

バンプ 付 チップの 張 り 合 わせ<br />

図 24 マイクロバンプ・パターンの<br />

赤 外 顕 微 鏡 写 真<br />

図 25 作 製 したマイクロバンプ・ディジー<br />

チェーンの 電 気 的 特 性<br />

351


3)チップ 乗 り 越 え 配 線 形 成 技 術<br />

セルフアセンブリー 技 術 を 用 いてフレキシブル 配 線 基 板 に 実 装 したMEMSチップやL<br />

SIチップを 乗 り 越 えて 高 密 度 に 横 方 向 配 線 する 技 術 の 開 発 を 行 った。 厚 さ 100μm 以 下 の<br />

チップに 関 しては、セルフアセンブリーにより 一 括 実 装 した 後 、Cu メッキによりチップ 乗<br />

り 越 え 配 線 を 形 成 した。また、 厚 さ 300μm 以 上 の MEMS チップに 関 しては、シリコン 貫<br />

通 配 線 (TSV: Through Silicon Via) 付 きシリコンキャップを MEMS チップに 被 せることに<br />

よって 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 した。 厚 さ 100μm 以 下 のチップに 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 する 場 合<br />

は、 図 26 に 示 すように、セルフアセンブリーによりチップをフレキシブル 配 線 基 板 に 一 括<br />

実 装 した 後 に、 全 面 に 0.2μm~1μm の 厚 さのシリコン 酸 化 膜 を 300℃ 以 下 の 低 温 で 堆 積 す<br />

る。この 場 合 、 厚 さ 100μm のチップの 垂 直 側 面 に 高 い 被 覆 率 で、シリコン 酸 化 膜 やシリコ<br />

ン 窒 化 膜 を 低 温 で 均 一 に 堆 積 することが 重 要 になる。その 後 、Cu メッキによりチップ 乗 り<br />

越 え 配 線 を 形 成 する。セルフアセンブリー 技 術 を 用 いてフレキシブル 基 板 に 実 装 したシリ<br />

コンチップ 上 に 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 した 時 の SEM 観 察 写 真 を 図 27 に 示 す。 図 から、 厚 さ<br />

100μm のチップの 垂 直 側 面 を 乗 り 越 えて Cu 配 線 が 形 成 されている 様 子 がわかる。しかし、<br />

図 の 表 面 写 真 からわかるように、 配 線 幅 が 小 さくなるとチップ 段 差 部 で 配 線 の 細 りが 発 生<br />

して 断 線 が 生 じるため、 最 小 線 幅 を 30μm 以 下 にまで 縮 小 することはできなかった。そこ<br />

で、チップ 段 差 部 にポリイミド 樹 脂 で 傾 斜 部 分 (テーパー)を 形 成 し、チップ 段 差 部 での<br />

配 線 の 細 りを 少 なくすることを 試 みた。 図 28 は、チップ 段 差 部 にポリイミド・テーパー 部<br />

を 有 するチップ 乗 り 越 え 配 線 の SEM 観 察 写 真 である。 図 からわかるように、チップ 段 差 部<br />

にポリイミド・テーパー 部 を 設 けることによって、 配 線 幅 約 10μm の 細 い 乗 り 越 え 配 線 を<br />

形 成 することが 可 能 となった。このような 乗 り 越 え 配 線 の 電 気 的 特 性 を 乗 り 越 え 配 線 抵 抗<br />

測 定 用 TEG チップを 試 作 して 評 価 した。 図 29 に、 試 作 した TEG チップの 写 真 を 示 す。 乗<br />

り 越 え 配 線 抵 抗 測 定 結 果 を 図 30、 図 31 に 示 す。 図 30 は、 乗 り 越 え 配 線 の 配 線 幅 依 存 性 、<br />

図 31 は、それぞれ 違 った 配 線 幅 を 有 する 乗 り 越 え 配 線 の 累 積 分 布 である。 図 の 結 果 から、<br />

良 好 な 特 性 を 有 する 乗 り 越 え 配 線 が 歩 留 まり 良 く 形 成 されていることがわかる。<br />

MEMS チップへの 乗 り 越 え 配 線 は、 図 32 に 示 すようなシリコン 貫 通 配 線 (TSV: Through<br />

Silicon Via) 付 きシリコンキャップを MEMS チップに 被 せることにより 形 成 した。TSV 付 き<br />

シリコンキャップは、TSV 部 分 がキャップ 側 面 に 露 出 するタイプ(Aタイプ)と TSV がシ<br />

リコンキャップ 内 部 に 設 けられたタイプ(Bタイプ)の 2 種 類 作 製 した。シリコンキャッ<br />

プには、MEMS チップを 収 納 するためのキャビティが 設 けられており、MEMS チップのボ<br />

ンディングパッドとシリコンキャップの TSV はビームリード 電 極 で 接 続 される。 図 33 に、<br />

作 製 した TSV 付 きシリコンキャップをフレキシブル 配 線 基 板 に 実 装 した 写 真 を 示 す。<br />

写 真 からわかるように、シリコンキャップには MEMS チップを 収 納 するためのキャビティ<br />

が 形 成 されている。また、キャビティに 張 り 出 すようにビームリード 電 極 が 形 成 されてお<br />

り、このビームリード 電 極 は、シリコンキャップに 設 けられた Cu TSV に 接 続 されている。<br />

この Cu TSV の 裏 面 側 は、フレキシブル 配 線 基 板 に 形 成 された Al パッドおよび Al 配 線 に<br />

352


電 気 的 に 接 続 されている。 作 製 した TSV 付 きシリコンキャップの 厚 さは 約 350μm である<br />

ため、350μm よりも 厚 い MEMS チップに 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 する 場 合 は、この TSV 付 き<br />

シリコンキャップを 複 数 積 層 する。<br />

図 26 乗 り 越 え 配 線 形 成 工 程<br />

図 27 チップ 垂 直 段 差 部 へ 形 成 した<br />

乗 り 越 え 配 線 の SEM 観 察 写 真<br />

図 28 テーパー 付 きチップ 段 差 部 へ 形 成 した<br />

乗 り 越 え 配 線 の SEM 観 察 写 真<br />

図 29 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 した TEG<br />

チップの 写 真<br />

図 30 乗 り 越 え 配 線 の 配 線 幅 依 存 性<br />

図 31 乗 り 越 え 配 線 の 抵 抗 分 布<br />

353


図 32 MEMS チップ 乗 り 越 え 配 線 用 TSV 付 き<br />

シリコンキャップの 構 造<br />

図 33 作 製 した TSV 付 きシリコン<br />

キャップの 写 真<br />

4)チップ 上 への 受 動 素 子 形 成 技 術<br />

フレキシブル 配 線 基 板 にコンデンサ、インダクタ、コイルなどの 受 動 素 子 を 実 装 する 技<br />

術 を 開 発 した。Cu 配 線 間 に、 磁 気 ナノドットを 充 填 したシリコン 酸 化 膜 ( 磁 気 ナノドット<br />

膜 :MND 膜 )を 挿 入 することによって、 自 己 インダクタンスや 相 互 インダクタンスの 値 を<br />

大 きくすることを 試 みた。また、インダクタやコイルを 形 成 する 部 分 のシリコン 基 板 を 除<br />

去 してキャビティ 構 造 とすることにより、インダクタやコイルの 周 波 数 特 性 や Q 値 を 改 善<br />

することを 試 みた。コンデンサは 高 誘 電 率 (High-K) 絶 縁 膜 と 金 属 電 極 を 用 いて 形 成 した。<br />

図 34 に、 磁 気 ナノドット 膜 (MND 膜 )を 有 するインダクタの 作 製 工 程 を 示 す。 図 に 示<br />

すように、インダクタは Cu メッキとダマシン 法 を 用 いて 作 製 した。 磁 気 ナノドット 膜 (MND<br />

膜 )は、 粒 径 4~6nm の Co ナノドットを SiO 2 膜 に 充 填 することによって 形 成 した。ドット<br />

密 度 は 5~10×10 12 cm -2 である。このような 磁 気 ナノドット 膜 (MND 膜 )を 多 層 に 積 層 し<br />

た 絶 縁 膜 の 中 にダマシン 法 を 用 いて Cu インダクタを 形 成 した。 図 35 に、 試 作 したインダ<br />

クタの SEM 断 面 観 察 写 真 を 示 す。 写 真 から、 磁 気 ナノドット 膜 (MND 膜 )を 多 層 に 積 層<br />

した 絶 縁 膜 の 中 にインダクタを 構 成 する Cu 配 線 が 形 成 されている 様 子 がわかる。 図 36 は、<br />

試 作 したインダクタの 周 波 数 特 性 測 定 結 果 である。コイルの 巻 数 を 5.5、9.5、11.5 と 変 化 さ<br />

せている。 比 較 のために、 図 では、ナノドット 膜 (MND 膜 ) 有 り、 無 しの 両 方 の 場 合 の 結<br />

果 を 示 している。 図 からわかるように、Cu 配 線 間 に 磁 気 ナノドット 膜 を 挿 入 することによ<br />

ってインダクタンス 値 を 約 20% 増 加 させることができた。 次 に、インダクタやコイルを 形<br />

成 する 部 分 のシリコン 基 板 にキャビティを 形 成 して、インダクタの 周 波 数 特 性 を 改 善 する<br />

ことを 試 みた。 試 作 したキャビティ 付 きインダクタの 構 造 と 顕 微 鏡 写 真 を 図 37 に 示 す。 図<br />

からわかるように、インダクタが 形 成 されている 部 分 のシリコン 基 板 が 除 去 されてキャビ<br />

ティ 構 造 となっているため、その 部 分 は 透 明 となっている。 図 38、 図 39 に、インダクタン<br />

ス 値 と Q 値 の 周 波 数 特 性 を 示 す。 図 38 からわかるように、インダクタ 下 にキャビティを 形<br />

354


成 することによってインダクタの 周 波 数 特 性 が 大 幅 に 改 善 されている。また、 図 39 から 明<br />

らかなように、キャビティを 形 成 することによって Q 値 も 大 幅 に 増 加 している。 図 40 に、<br />

作 製 したコンデンサの 断 面 構 造 を 示 す。コンデンサは 高 誘 電 率 (High-K) 絶 縁 膜 である<br />

HfON 膜 を 用 いて 作 製 した。 図 41 は 作 製 したコンデンサの 容 量 - 電 圧 特 性 である。 図 では、<br />

パラメータとしてキャパシタ 電 極 の 面 積 を 変 えている。この 結 果 から、Ta-HfON-Al 構 造 の<br />

容 量 値 として 5~6 nF/mm 2 という 値 が 得 られた。また、HfON 膜 の 比 誘 電 率 として 8~10<br />

という 値 が 得 られた。 図 42 は 作 製 したコンデンサの 周 波 数 特 性 である。 図 から、 良 好 な 周<br />

波 数 特 性 が 得 られていることがわかる。<br />

図 34 磁 気 ナノドット 膜 (MND 膜 )を 有 する<br />

インダクタの 作 製 工 程<br />

図 35 磁 気 ナノドット 膜 (MND 膜 )を 有 する<br />

インダクタの 断 面 構 造<br />

図 36 磁 気 ナノドット 膜 (MND 膜 )を 有 する<br />

インダクタの 周 波 数 特 性<br />

図 37 キャビティ 付 きインダクタ<br />

の 構 造 と 顕 微 鏡 写 真<br />

355


図 38 キャビティ 付 きインダクタ<br />

の 周 波 数 特 性<br />

図 39 キャビティ 付 きインダクタの Q 値<br />

の 周 波 数 特 性<br />

図 40 キャ 作 製 したコンデンサの<br />

断 面 構 造<br />

図 41 作 製 したコンデンサの<br />

容 量 - 電 圧 特 性<br />

図 42 作 製 したコンデンサの 容 量 の 周 波 数 特 性<br />

356


5)テストモジュールの 作 製<br />

以 上 の 技 術 を 用 いて、MEMSチップやLSIチップおよび 抵 抗 やコンデンサ、インダ<br />

クタなどの 受 動 素 子 を 搭 載 したテストモジュールを 作 製 した。まず 最 初 に、LSI テストチッ<br />

プとインダクタチップ、コンデンサチップを 搭 載 したテストモジュールを 作 製 した。テス<br />

トモジュールの 全 体 構 成 を 図 43 に 示 す。LSI テストチップには、 新 たに 設 計 した 通 信 用 ASK<br />

変 調 用 チップと ASK 信 号 処 理 チップを 用 いた。 作 製 したテストモジュールの 顕 微 鏡 写 真 を<br />

図 44、 図 45 に 示 す。 写 真 から、セルフアセンブリー 技 術 を 用 いたチップの 一 括 実 装 により、<br />

4 種 類 のテストチップがフレキシブル 配 線 基 板 に 高 い 位 置 合 わせ 精 度 で 張 り 合 わされると<br />

ともに、これらのチップを 乗 り 越 えて 良 好 に 配 線 が 形 成 されている 様 子 がわかる。 図 46 に、<br />

カスケード 接 続 された ASK 変 調 用 チップ、ASK 信 号 処 理 チップからの 出 力 波 形 を 示 す。 良<br />

好 な 出 力 波 形 が 得 られていることから、ASK 変 調 用 チップと ASK 信 号 処 理 チップが 乗 り 越<br />

え 配 線 を 介 して 良 好 に 接 続 されていることが 確 認 できた。 次 に、MEMS チップと LSI テス<br />

トチップ、インダクタチップ、コンデンサチップを 搭 載 したテストモジュールを 作 製 した。<br />

まず、セルフアセンブリー 技 術 を 用 いて LSI テストチップ、インダクタチップ、コンデン<br />

サチップをフレキシブル 配 線 基 板 に 一 括 実 装 して 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 し、その 後 で 基 板 に<br />

MEMS チップを 実 装 した。MEMS チップの 実 装 は、セルフアセンブリー 技 術 を 用 いて MEMS<br />

チップをフレキシブル 配 線 基 板 に 張 り 合 わせた 後 、その 上 に TSV 付 きシリコンキャップを<br />

被 せることによって 行 った。 図 47 に、MEMS チップをセルフアセンブリーによりフレキシ<br />

ブル 配 線 基 板 に 実 装 した 後 の 写 真 を 示 す。MEMS チップとして、チップ 厚 は 約 400μm の 圧<br />

力 センサーチップを 用 いた。 写 真 から 明 らかなように、フレキシブル 配 線 基 板 には、シリ<br />

コンキャップの TSV と 電 気 的 接 続 を 行 うための Al パッドおよび Al 配 線 が 形 成 されている。<br />

図 48 に、フレキシブル 配 線 基 板 に 実 装 した 圧 力 センサーチップに、TSV 付 きシリコンキャ<br />

ップを 被 せた 後 の 顕 微 鏡 写 真 を 示 す。 図 49 は 図 48 の 拡 大 写 真 である。シリコンキャップ<br />

に 設 けられたキャビティから、キャビティ 内 に 収 納 された 圧 力 センサーチップの 表 面 が 覗<br />

き 見 えている。また、シリコンキャップに 設 けられたビームリード 電 極 と 圧 力 センサーチ<br />

ップのボンディングパッドが 接 続 されている 様 子 もわかる。シリコンキャップ 側 面 には、<br />

Cu-TSV の 内 部 側 面 が 露 出 している。このように、TSV 付 きシリコンキャップを 用 いた<br />

MEMS チップの 乗 り 越 え 配 線 では、MEMS チップのボンディングパッド、ビームリード 電<br />

極 、Cu-TSV、 基 板 Al パッド、 基 板 Al 配 線 を 介 して 乗 り 越 え 配 線 が 形 成 されている。この<br />

ような TSV 付 きシリコンキャップを 用 いて 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 した 圧 力 センサーチップの<br />

特 性 測 定 結 果 を 図 50 に 示 す。 図 では、 周 囲 環 境 の 温 度 を 変 化 させることによって、 圧 力 セ<br />

ンサーチップ 内 部 の 圧 力 測 定 用 キャビティの 内 部 圧 力 を 変 化 させている。 図 から、 温 度 を<br />

変 化 させて 内 部 圧 力 を 変 化 させることにより、 出 力 電 圧 が 変 化 していることがわかる。 図<br />

51、 図 52 は、MEMS チップと LSI テストチップ、インダクタチップ、コンデンサチップを<br />

搭 載 したテストモジュールの 全 体 写 真 である。 写 真 から、それぞれのチップが 乗 り 越 え 配<br />

線 で 良 好 に 接 続 されている 様 子 がわかる。なお、チップ 厚 さが 約 400μm 以 上 の MEMS チ<br />

357


ップに 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 する 場 合 は、TSV 付 きシリコンキャップを 複 数 積 層 することに<br />

よって 形 成 する。 図 53 では、 厚 さ 約 1mm のフォースセンサチップに、TSV 付 きシリコン<br />

キャップを3 層 積 層 することによって 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 している。<br />

図 43 テストモジュールの 全 体 構 成<br />

図 44 テストモジュールの 表 面 写 真<br />

図 45 テストモジュールの 鳥 瞰 写 真<br />

図 46 乗 り 越 え 配 線 で 接 続 された ASK チップ<br />

からの 出 力 波 形<br />

図 47 セルフアセンブリーによりフレキシブル<br />

配 線 基 板 に 実 装 した MEMS チップの 顕 微 鏡 写 真<br />

図 48 TSV 付 きシリコンキャップを 被 せた<br />

後 の MEMS チップの 顕 微 鏡 写 真<br />

358


図 49 TSV 付 きシリコンキャップを 被 せた<br />

後 の MEMS チップの 顕 微 鏡 写 真 ( 拡 大 )<br />

図 50 T TSV 付 きシリコンキャップを 有 する<br />

圧 力 センサーチップの 特 性 測 定 結 果<br />

図 51 MEMS チップを 搭 載 したテスト<br />

モジュールの 全 体 写 真<br />

図 52 MEMS チップを 搭 載 したテスト<br />

モジュールの 全 体 写 真<br />

図 53 3 層 積 層 TSV 付 きシリコンキャップを<br />

被 せた 後 の MEMS チップの 顕 微 鏡 写 真<br />

359


2-2. 目 的 に 照 らした 達 成 状 況 ( 共 同 研 究 、 再 委 託 研 究 による 成 果 を 含 む)<br />

本 研 究 では、MEMS と LSI を 高 密 度 に 一 体 化 実 装 する 新 しい 低 温 積 層 高 密 度 一 体 化 実 装<br />

技 術 を 開 発 することを 目 的 として、1)セルフアセンブリー 機 能 を 利 用 してフレキシブル 配<br />

線 基 板 上 に LSI チップや MEMS チップを 高 精 度 で 一 括 実 装 する 技 術 と、2)フレキシブル 配<br />

線 基 板 上 に 狭 ピッチのマイクロバンプを 高 密 度 に 形 成 する 技 術 、3) 基 板 上 に 搭 載 したチッ<br />

プに 高 密 度 のチップ 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 する 技 術 、4)それらのチップ 上 に 抵 抗 やコンデン<br />

サ、インダクタ、コイルなどの 受 動 素 子 を 形 成 する 技 術 の 確 立 を 行 うとともに、これらの<br />

技 術 を 用 いて、5)テストモジュールの 作 製 を 行 うことを 目 指 して 研 究 を 行 ってきた。 以 下<br />

に、それぞれの 検 討 項 目 について、 当 初 の 達 成 目 標 と 達 成 状 況 について 要 約 する。<br />

1)セルフアセンブリー 機 能 を 用 いたMEMS-LSI 一 括 実 装 技 術<br />

達 成 目 標 :2 インチウェーハ、8 インチウェーハを 用 いた MEMS チップおよび LSI チップ<br />

のセルフアセンブリーによる 一 括 実 装 において、±1μmの 位 置 合 わせ、 張 り 合 わせ 精 度<br />

を 達 成 する。また、MEMS チップ、LRC チップのセルフアセンブリーも 実 現 する。<br />

達 成 状 況 :2 インチウェーハ、8 インチウェーハを 用 いて、セルフアセンブリーによる<br />

チップ 位 置 あわせ、 張 り 合 わせ 精 度 のチップサイズ 依 存 性 、 液 体 溶 液 量 依 存 性 、 表 面 状 態<br />

依 存 性 等 を 詳 細 に 検 討 するとともに、 条 件 の 最 適 化 と 装 置 の 改 良 を 行 うことによって、チ<br />

ップの 位 置 合 わせ、 張 り 合 わせ 精 度 ±1μmを 達 成 した。また、MEMs チップ、LRC チップ<br />

のセルフアセンブリー 張 合 せに 関 しても 位 置 合 せ 精 度 ±1μmを 達 成 する 見 通 しを 得 た。<br />

更 に、 当 初 予 定 に 無 かった 12 インチウェーハを 用 いたセルフアセンブリー 装 置 の 基 礎 検<br />

討 も 行 った。 結 果 として、 当 初 の 目 標 を 越 える 達 成 度 を 実 現 。<br />

2)フレキシブル 配 線 基 板 上 への 高 密 度 マイクロバンプ 形 成 技 術<br />

達 成 目 標 :8 インチウェーハ 基 板 上 へ、 寸 法 5μm×5μm、 厚 さ 2μm、 間 隔 10μm の 高<br />

密 度 微 細 マイクロバンプを 形 成 する 技 術 を 確 立 する。<br />

達 成 状 況 :インプリント 技 術 と 平 坦 化 リフトオフ 技 術 を 用 いて、8 インチウェーハ 基 板<br />

上 に、 寸 法 5μm×5μm、 厚 さ 2μm、 間 隔 10μm の 高 密 度 微 細 マイクロバンプを 形 成 する<br />

技 術 を 確 立 した。また、セルフアセンブリー 技 術 を 用 いて、 寸 法 5μm×5μm、 厚 さ 2μm、<br />

間 隔 10μm のマイクロバンプ 付 きチップを 高 精 度 でフレキシブル 配 線 基 板 に 張 り 合 わせ<br />

ることを 可 能 とした。 当 初 の 目 標 を 越 える 達 成 度 を 実 現 。<br />

3)チップ 乗 り 越 え 配 線 形 成 技 術<br />

達 成 目 標 : 厚 さ 100μm のチップと 配 線 基 板 を 電 気 的 に 接 続 するチップ 乗 り 越 え 配 線<br />

( 配 線 幅 : 10μm、 配 線 間 隔 ; 10μm)を 形 成 する 技 術 を 確 立 する。また、TSV 付 シリコン<br />

キャップを 用 いた MEMS チップ(チップ 厚 さ: 400μm 以 上 )への 乗 り 越 え 配 線 形 成 技 術 を<br />

確 立 する。<br />

360


達 成 状 況 :チップ 段 差 部 にポリイミドのテーパー 部 を 設 けることにより、 厚 さ 100μm<br />

のチップと 配 線 基 板 を 電 気 的 に 接 続 するチップ 乗 り 越 え 配 線 ( 配 線 幅 :10μm)を 歩 留 まり<br />

良 く 形 成 することに 成 功 した。また、MEMS チップ( 厚 さ: 400μm 以 上 )への 乗 り 越 え 配 線<br />

形 成 のための TSV 付 Si キャップ 形 成 技 術 も 確 立 した。この 技 術 を 用 いて、 厚 さ 1mm の MEMS<br />

チップに 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 することにも 成 功 した。 当 初 の 目 標 を 越 える 達 成 度 を 実 現 。<br />

4)チップ 上 への 受 動 素 子 形 成 技 術<br />

達 成 目 標 : 透 磁 率 の 大 きな 磁 性 ナノ 粒 子 充 填 シリコン 酸 化 膜 を 用 いたインダクタ、コイ<br />

ルを 形 成 し、30%のインダクタンスの 増 加 を 実 現 する。また、 高 誘 電 率 (High-K) 絶 縁 膜 を<br />

用 いたコンデンサを 作 製 する。<br />

達 成 状 況 : 粒 径 4~6nm、ドット 密 度 5~10×10 12 cm -2 の Co ナノドットを 充 填 した SiO 2<br />

膜 に、ダマシン 法 を 用 いて Cu インダクタを 形 成 することによって、インダクタンス 値 を<br />

約 20% 増 加 させることができることを 確 認 した。 積 層 するナノドット 膜 の 積 層 数 を 増 やす<br />

ことによって 30% 以 上 のインダクタンス 値 の 増 加 も 実 現 できる 見 通 しを 得 た。インダクタ<br />

やコイルを 形 成 する 部 分 のシリコン 基 板 にキャビティを 形 成 することによって、インダク<br />

タの 共 振 周 波 数 、Q 値 を 3 倍 以 上 増 大 できることも 確 認 した。Ta-HfON-Al 構 造 の 容 量 値<br />

として 5~6 nF/mm 2 という 値 が 得 られた。また、 高 誘 電 率 膜 として 比 誘 電 率 8~10 の<br />

HfON 膜 を 用 いて、5~6 nF/mm 2 の 容 量 値 を 得 た。 当 初 の 目 標 通 りの 達 成 度 を 実 現 。<br />

5)テストモジュールの 作 製<br />

達 成 目 標 :MEMS チップと LSI チップ、インダクタチップ、キャパシタチップを 一 体 化<br />

したテストモジュールを 作 製 する。<br />

達 成 状 況 :MEMS チップと LSI チップ、インダクタチップ、キャパシタチップを 搭 載 し<br />

たテストモジュールを 試 作 し、 基 本 特 性 を 測 定 することに 成 功 した。LSI チップには、 新<br />

たに 設 計 した 通 信 用 ASK 変 調 用 チップと ASK 信 号 処 理 チップを 用 いた。また、MEMS チッ<br />

プとしては、 圧 力 センサーチップ、フォースセンサーチップを 用 いた。セルフアセンブリ<br />

ー 技 術 を 用 いて LSI テストチップ、インダクタチップ、コンデンサチップをフレキシブル<br />

配 線 基 板 に 一 括 実 装 して 乗 り 越 え 配 線 を 形 成 し、その 後 で 基 板 に MEMS チップを 実 装 した。<br />

MEMS チップの 実 装 は、セルフアセンブリー 技 術 を 用 いて MEMS チップをフレキシブル 配 線<br />

基 板 に 張 り 合 わせた 後 、その 上 に TSV 付 きシリコンキャップを 被 せることによって 行 っ<br />

た。 当 初 の 目 標 通 りの 達 成 度 を 実 現 。<br />

以 上 のように、 結 果 として、 当 初 の 目 標 通 りかそれ 以 上 の 目 標 達 成 度 を 実 現 できた。セ<br />

ルフアセンブリーを 用 いたチップ 一 括 実 装 技 術 の 確 立 にあたっては、12 インチウェーハ<br />

用 のアセンブリー 装 置 開 発 で 企 業 と 共 同 研 究 を 行 ったことが、 研 究 の 進 捗 を 加 速 した。ま<br />

た、 装 置 の 実 用 化 に 対 する 見 通 しも 得 られた。 実 際 のデバイスへの 乗 り 越 え 配 線 の 適 用 で<br />

も、 企 業 といろいろ 情 報 交 換 を 行 ったことで、 研 究 が 進 捗 した。<br />

361


2-3. 開 発 成 果 のまとめ<br />

研 究 項 目 目 標 成 果 達 成 度<br />

基<br />

本<br />

計<br />

画<br />

セルフアセン 高 密 度 な 低 温 積 層 一 体 化 実 装 技<br />

ブリーを 用 い 術 を 確 立 する<br />

たMEMS-<br />

LSI 一 括 実<br />

装 技 術<br />

ロバンプ 形 成 μm、 間 隔 10μm<br />

2セルフアセンブリーによるマ<br />

1 常 温 で 400μm 厚 、1mm 厚 MEMS<br />

チップの 合 わせ 精 度 ±1μm、<br />

100μm 厚 の 半 導 体 チップで 同<br />

±0.5μm<br />

38 インチウェハ 用 セルフアセ<br />

ンブリー 装 置 開 発<br />

48 インチウェハに 500 個 以 上<br />

のチップを 一 括 接 合 .<br />

高 密 度 マイク 1バンプ 寸 法 :5μm□、 厚 さ 2 1インプリント 技 術 により 8 イ<br />

イクロバンプ 接 合 ( 合 わせ 精 度 ± μm、 間 隔 10μm<br />

1μm)<br />

ンチウェハ 上 にマイクロバン<br />

プを 一 括 形 成 .5μm□、 厚 さ 2<br />

2 合 わせ 精 度 ±1μmで<br />

10,000 対 のマイクロバンプを<br />

一 括 接 合 . 寸 法 5μm×5μm<br />

◎<br />

○<br />

自<br />

主<br />

目<br />

標<br />

チップ 乗 り 越 1 厚 さ 400μm 以 上 の MEMS への 乗 1 TSV 付 Si キャップを 用 いて、<br />

え 配 線 形 成 り 越 え 配 線 形 成<br />

400μm 厚 、1mm 厚 の MEMS チッ<br />

2100μm 厚 の 半 導 体 チップへの プに 乗 越 え 配 線 形 成<br />

乗 り 越 え 配 線 形 成 ( 配 線 幅 : 10<br />

μm、 配 線 間 隔 ; 10μm)<br />

2100μm 厚 の 半 導 体 チップへ<br />

Cu 乗 越 え 配 線 形 成 ( 配 線 幅 : 10<br />

μm、 配 線 間 隔 ; 15μm) .<br />

チップ 上 への 1 磁 性 ナノ 粒 子 充 填 シリコン 酸 1Co 磁 気 ナノドット 膜 と Cu ダ<br />

受 動 素 子 形 成 化 膜 と 埋 め 込 み Cu 配 線 を 用 いた マシン 法 を 用 いてキャビティ<br />

インダクタ 形 成 (インダクタン 付 インダクタ 作 製 .(インダク<br />

ス 値 増 大 : 30%)<br />

タンス 値 増 大 : 約 20%)<br />

2High-K 膜 を 用 いたキャパシタ 2HfO2 膜 を 用 いてキャパシタ<br />

形 成<br />

作 製 形 成 .<br />

テストモジュ MEMS、LSI、インダクタ、キャパ MEMS、LSI、インダクタ、キャ<br />

ール 作 製 シタ 各 チップを 一 体 化 したテス パシタ 各 チップを 搭 載 したテ<br />

トモジュールの 試 作<br />

ストモジュールを 試 作 し、 基 本<br />

特 性 を 確 認 .<br />

△<br />

△<br />

○<br />

達 成 度 ×: 目 標 未 達 成 、△: 条 件 付 で 目 標 達 成 、○: 目 標 達 成 、◎: 目 標 を 大 幅 に 上 回 る 成 果<br />

362


3. 実 用 化 ・ 事 業 化 の 見 通 し<br />

(1) 成 果 の 実 用 化 可 能 性<br />

セルフアセンブリー 技 術 を 用 いて、8インチウェハ 上 へのMEMS-LSI 多 チップ 一 括 接 合<br />

を 実 現 ( 世 界 初 )した。 * 本 研 究 開 発 成 果 であるセルフアセンブリー 装 置 、 乗 り 越 え 配 線<br />

技 術 は 実 用 化 の 可 能 性 が 高 い。また、これらの 技 術 と3 次 元 積 層 化 技 術 を 組 み 合 わせると 更<br />

なる 実 用 化 の 可 能 性 をもった 技 術 の 開 発 が 可 能 となる。<br />

*MRS (Material Research Society, 米 国 )にて Invited Paper Award 受 賞 (2008)<br />

実 用 化 に 向 けた 今 後 の 取 り 組 み<br />

1 設 備 メーカーと 共 同 で 12 インチウェハ 要 セルフアセンブリー 装 置 の 製 品 化 推 進 .<br />

2プロジェクト 参 加 企 業 と 乗 り 越 え 配 線 技 術 の 実 用 化 を 目 指 した 共 同 研 究 開 発 開 始 .<br />

3MEMS- 半 導 体 横 方 向 配 線 技 術 と 3 次 元 積 層 化 技 術 を 組 み 合 わせた 高 密 度 ヘテロイ<br />

ンテグレーション 技 術 の 開 発 .<br />

( 課 題 )<br />

MEMS- 半 導 体 横 方 向 配 線 技 術 を 用 いたマルチチップモジュールの 性 能 改 善 効 果<br />

の 明 確 化 と 応 用 、 用 途 の 探 索 .<br />

( 対 応 )<br />

企 業 との 共 同 研 究 を 進 めると 同 時 に 他 の 大 型 研 究 プロジェクトに 参 加 し、 具 体 的 な 応 用<br />

を 想 定 したマルチチップ・システムモジュールの 開 発 を 目 指 す.<br />

(2) 波 及 効 果<br />

MEMSチップやLSIチップ、 光 デバイス、 受 動 素 子 などの 異 種 デバイス、 電 子 部 品<br />

を 高 密 度 に 一 体 化 する 新 しい 低 温 積 層 高 密 度 一 体 化 実 装 技 術 を 確 立 できた。この 成 果 によ<br />

り、 新 しい 高 付 加 価 値 電 気 ・ 機 械 システムの 実 現 が 可 能 となるため、 環 境 ・ 福 祉 ・ 社 会 産<br />

業 、 情 報 通 信 ・ 情 報 家 電 産 業 、ロボット・ 自 動 車 産 業 等 の 産 業 分 野 への 大 きな 波 及 効 果 が<br />

期 待 できる。<br />

363

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