3.災害対策 (1)データバックアップ環境整備 ①概要 本テーマでは ...
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3. 災 害 対 策<br />
(1)データバックアップ 環 境 整 備<br />
1 概 要<br />
本 テーマでは、 自 治 体 拠 点 にある 現 用 システムが 損 傷 しても、 業 務 データが<br />
消 失 することを 防 ぐため、クラウド 基 盤 上 に 構 築 されたバックアップサーバに<br />
定 期 的 に 現 用 システム 及 びデータを 複 製 する 仕 組 みを 提 案 する。<br />
この 仕 組 みにより、 複 製 されたデータが 安 全 に 保 管 されているため、 災 害 等<br />
が 発 生 して 現 用 システムが 損 傷 した 場 合 であっても、システム 及 びデータを 元<br />
の 状 態 に 復 元 することができるため、 行 政 サービスの 長 期 的 な 中 断 を 防 ぎ、 迅<br />
速 な 復 旧 、 事 業 継 続 を 可 能 にするものである。<br />
2 特 徴<br />
a.バックアップ 容 量 の 柔 軟 な 設 定<br />
毎 日 の 業 務 で 取 り 扱 うファイルデータのバックアップから、 住 民 情 報 などの<br />
データベース、システムデータのバックアップに 至 るまで、 自 治 体 の 状 況 に 合<br />
わせたバックアップ 容 量 を 選 択 した 構 成 が 可 能 である。バックアップ 設 定 イメ<br />
ージを 図 4.3.1.1 に 示 す。<br />
図 4.3.1.1 バックアップ 設 定 イメージ<br />
b. 設 備 ・ 運 用 コストの 低 減<br />
通 信 ネットワークを 介 して 重 要 なデータを 自 動 的 にコピーすることにより、<br />
データ 保 全 に 関 する 設 備 ・ 運 用 コストを 低 減 することが 可 能 である。<br />
c. 安 心 ・ 安 全 なデータのバックアップ<br />
セキュリティの 高 いネットワークサービスを 組 み 合 わせて 導 入 し、さらに 遠<br />
隔 地 のデータセンターに 大 切 なデータをバックアップすることにより、 安 心 ・<br />
安 全 に 重 要 データを 保 存 することができる。データバックアップイメージを 図<br />
4.3.1.2 に 示 す。<br />
50
図 4.3.1.2 データバックアップイメージ<br />
3システム 構 成<br />
強 固 なデータセンター 設 備 とデータセンターへアクセスするための 強 靭 なネ<br />
ットワークアクセス 回 線 を 実 装 する。また、 自 治 体 の 運 用 するシステムが、 仮<br />
想 環 境 に 構 築 されている 場 合 には、システム 環 境 を 含 めたデータバックアップ<br />
が 可 能 となる。これは、データバックアップ 先 のデータセンターに 仮 想 環 境 を<br />
復 元 できるサーバを 確 保 することで、バックアップデータから 迅 速 なシステム<br />
復 元 が 可 能 なことを 意 味 する。データバックアップシステムイメージを 図<br />
4.3.1.3 に 示 す。<br />
図 4.3.1.3 データバックアップのシステムイメージ<br />
4 効 果<br />
a. 災 害 時 にもデータ 復 旧 が 可 能<br />
災 害 が 発 生 した 場 合 などに、 自 治 体 庁 舎 等 の 現 用 システムが 損 傷 ・ 消 失 して<br />
もシステム 環 境 を 含 めたデータが、 安 全 にデータセンターで 保 管 されているた<br />
め、 元 の 状 態 に 復 元 が 可 能 となる。<br />
b. 設 備 ・ 運 用 コストの 低 減<br />
自 治 体 において、 大 規 模 な 設 備 投 資 することなく、 民 間 のサービス 化 された<br />
既 設 の 設 備 を 利 用 できるため、データ 保 全 に 関 する 設 備 ・ 運 用 コストを 低 減 す<br />
ることが 可 能 である。<br />
51
5 維 持 管 理 のためのワーク<br />
a.データの 重 要 度 の 選 別<br />
重 複 するデータのバックアップを 極 力 避 け、バックアップするデータの 選 別<br />
や 重 要 度 の 検 討 ・ 見 直 し 等 を 継 続 的 に 行 う。<br />
b.システム 復 旧 の 運 用<br />
有 事 の 際 のシステム 復 旧 について、 復 元 するデータや 行 政 サービス 再 開 に 向<br />
けた 業 務 フローを 検 討 する。<br />
c.システム 復 旧 の 優 先 順 位 と 仮 想 化<br />
災 害 時 に 復 旧 すべきシステムの 優 先 順 位 を 検 討 したうえで、これらシステ<br />
ムが 仮 想 化 されていない 場 合 には、 仮 想 環 境 へ 移 行 を 検 討 する。<br />
6 今 後 の 可 能 性 ・ 応 用 展 開<br />
データバックアップ 環 境 を 構 築 することにより、 大 災 害 が 発 生 した 場 合 、 地<br />
方 公 共 団 体 の 業 務 継 続 を 確 保 するとともに、 地 域 住 民 に 対 して 適 切 かつ 迅 速 な<br />
サービスの 提 供 をすることが 可 能 となる。<br />
さらに、 今 後 の 展 開 としてはデータセンターに 預 けたデータを 遠 隔 地 のバッ<br />
クアップサーバにも 保 管 し、 有 事 の 際 にはこの 遠 隔 地 のバックアップデータを<br />
オンラインで 復 元 させるようにすることで、 長 期 間 にわたって 行 政 の 機 能 を 止<br />
めることなく 事 業 継 続 、もしくは 早 期 サービス 再 開 を 実 現 する。<br />
7システム 導 入 の 際 に 検 討 すべき 課 題<br />
a.データセンターの 堅 牢 性 と 高 い 可 用 性<br />
データセンターの 設 置 場 所 やネットワーク 等 のインフラ 整 備 状 況 、またバッ<br />
クアップサーバの 冗 長 化 等 、データの 安 全 性 について 検 討 する。<br />
8 導 入 事 例<br />
データバックアップ 環 境 の 整 備 ( 宮 城 県 南 三 陸 町 )<br />
~データセンターと 光 ネットワークが 大 切 なシステムをしっかり 守 る~<br />
■ 役 場 業 務 データの 重 要 性 を 再 認 識<br />
東 日 本 大 震 災 で 大 きな 被 害 を 受 けた 南 三 陸 町 。 震 災 後 、 町 の 業 務 を 再 開 するに<br />
あたり 大 きな 問 題 となったのは 役 場 業 務 データの 流 失 である。 戸 籍 抄 本 をはじめ、<br />
役 場 防 災 対 策 本 庁 のサーバに 保 管 していた 各 種 データが 失 われました。<br />
その 後 残 っていたバックアップデータをもとにシステムを 復 旧 し、 行 政 サービ<br />
スの 再 開 にいたりましたが、あらためてデータの 重 要 性 と 事 業 継 続 の 必 要 性 を 再<br />
認 識 しました。<br />
52
■ 事 業 継 続 のためにデータセンターを 利 用<br />
南 三 陸 町 では、 役 場 の 情 報 系 システムを 再 構 築 するにあたり、 庁 舎 内 に 設 置 し<br />
ていたサーバを 堅 牢 なデータセンターに 預 けるという 方 法 を 選 びました。 役 場 と<br />
データセンターの 間 をセキュアな 光 ネットワークで 結 び、 信 頼 性 と 利 便 性 を 両 立<br />
させたシステム 環 境 によって 大 切 なデータをしっかりと 守 り、 災 害 など 有 事 の 際<br />
でも 事 業 継 続 を 可 能 とするための 基 礎 固 めを 実 現 しました。データバックアッ<br />
プ・リストアイメージを 図 4.3.1.4 に 示 す。<br />
図 4.3.1.4 データバックアップ・リストアイメージ<br />
■ 更 なる 事 業 継 続 の 強 化 へ<br />
現 在 、 事 業 継 続 の 更 なる 強 化 に 向 けて、 南 三 陸 町 では「 遠 隔 地 における 重 要 デ<br />
ータお 預 かり 実 証 実 験 」を 行 っています。 今 回 の 実 証 実 験 では、 宮 城 県 内 のデー<br />
タセンターに 預 けたサーバから、オンラインで 遠 隔 地 のデータセンターにバック<br />
アップします。<br />
災 害 など 有 事 の 際 には 遠 隔 地 のデータセンターからオンラインでデータを 復 旧 。<br />
安 心 安 全 なデータバックアップ 環 境 に、 住 民 サービスを 担 う 役 場 職 員 の 期 待 も 集<br />
まります。<br />
53
(2)テレワーク 環 境 整 備<br />
1 概 要<br />
本 テーマでは、 自 治 体 の 職 員 が 自 宅 や 避 難 場 所 に 居 ながらも、 庁 内 のシステ<br />
ムにアクセスして 業 務 の 継 続 ができるテレワークの 仕 組 みを 提 案 する。 市 原 市<br />
は、この 仕 組 みを 整 備 することで、 災 害 対 策 の 強 化 はもちろんのこと、 職 員 の<br />
通 勤 時 間 削 減 等 が 家 族 との 時 間 の 充 実 つながることによるワークライフバラン<br />
スの 向 上 を 図 ることができる。<br />
2 特 徴<br />
a. 多 様 な 働 き 方 の 実 現<br />
自 宅 等 から 庁 内 のシステムやデータにアクセスすることができる。このため、<br />
通 勤 が 困 難 な 者 も 時 間 に 融 通 を 利 かせながら 仕 事 をすることができる。<br />
b. 信 頼 性 と 利 便 性 の 両 立<br />
庁 内 システムへのアクセスは、 不 正 なアクセスを 防 ぐための 認 証 の 仕 組 みや、<br />
データをクライアントのパソコンには 保 存 できない 仕 組 みを 備 えているため、<br />
不 正 なデータの 持 ち 出 し 等 ができない 安 全 なアクセスを 実 現 している。また、<br />
システム 管 理 者 は、 個 々のクライアント 環 境 をサーバ 上 で 一 括 して 管 理 するこ<br />
とができるため、 従 来 までの 端 末 ごとの 設 定 作 業 は 不 要 になる。<br />
3システム 構 成<br />
いつもと 変 わらない 使 い 慣 れたPC 環 境 を、セキュリティを 確 保 しながら 離<br />
れた 場 所 からも 利 用 できる 環 境 を 実 装 する。テレワーク 構 成 イメージを 図<br />
4.3.2.1 に 示 す。<br />
図 4.3.2.1 テレワーク 構 成 イメージ<br />
54
4 効 果<br />
a. 災 害 時 でもシステム 利 用 が 可 能<br />
災 害 やパンデミックにより、 自 治 体 の 職 員 が 登 庁 できない 事 態 に 陥 った 場 合<br />
でも、 自 宅 や 避 難 場 所 にいながら、システムにアクセスすることで 業 務 を 継 続<br />
することができる。<br />
b. 安 全 なデータ 保 護<br />
データ 及 び 端 末 の 環 境 をサーバ 上 で 一 括 監 視 ・ 管 理 することができるため、<br />
セキュリティが 向 上 し、 重 要 データの 保 護 につながる。<br />
5 維 持 管 理 の 為 のワーク<br />
大 量 のリソースを 必 要 とするアプリケーションや、リアルタイム 性 が 求 めら<br />
れるアプリケーションは、サーバへの 負 荷 が 大 きくなるため、 利 用 状 況 を 正 し<br />
く 把 握 し、 適 切 な 対 処 を 検 討 することで 業 務 に 支 障 が 出 ないよう 考 慮 する。<br />
6 今 後 の 可 能 性 ・ 応 用 展 開<br />
テレワークの 今 後 の 展 開 として、マルチデバイス 化 が 考 えられる。 災 害 時 に<br />
クライアント 端 末 の 消 失 や、 機 材 が 十 分 に 揃 わないことも 考 慮 し、 専 用 の 端 末<br />
を 必 要 とせず、その 他 のノートPCやタブレット 端 末 からもサーバの 環 境 にア<br />
クセスしての 利 用 を 実 現 する。<br />
通 常 業 務 においても、サーバ 一 元 管 理 によるネットワーク 統 合 、クライアン<br />
ト 端 末 の 統 合 等 により、コストだけでなく 消 費 電 力 の 削 減 、 省 スペース 化 など<br />
の 効 果 も 期 待 できる。<br />
7システム 導 入 の 際 に 検 討 すべき 課 題<br />
a. 日 常 業 務 の 把 握 ・ 検 討<br />
導 入 にあたり、アプリケーションの 使 用 頻 度 やデータサイズに 応 じてサーバ<br />
のサイジングやストレージのクライアント 1 台 あたりの 割 り 当 て 容 量 を 検 討 す<br />
る 必 要 がある。<br />
b. 特 殊 アプリケーションの 導 入<br />
独 自 開 発 したアプリケーションや、 業 務 に 特 化 した 特 殊 なアプリケーション<br />
を 導 入 する 際 は、 十 分 な 動 作 検 証 や 運 用 を 検 討 する。<br />
55
8 導 入 事 例 (1)<br />
自 治 体 においてテレワーク 導 入 を 成 功 させるポイント ※7<br />
~ 青 森 県 ・ 実 証 実 験 の 事 例 をふまえて ~<br />
自 治 体 においてテレワークの 導 入 を 成 功 させるためのポイントを、 青 森 県 で 行<br />
われた 先 進 的 テレワークモデルシステム 実 証 実 験 の 事 例 をふまえてご 紹 介 します。<br />
1. 青 森 県 ・ 先 進 的 テレワークモデルシステム 実 証 実 験 の 概 要<br />
青 森 県 は、「 人 財 育 成 」、「 環 境 」といった 青 森 らしさを 創 る 資 産 を 戦 略 分 野 と 位<br />
置 づけて 政 策 を 進 めています。それらを 推 進 する 上 で、 特 に 男 女 共 同 参 画 に 視 点<br />
をおいた 調 査 ・ 研 究 を 行 い、 女 性 職 員 の 活 用 はもとより、 男 性 職 員 の 家 事 ・ 育 児<br />
への 積 極 的 な 参 画 ができる 環 境 作 りを 推 進 しています。また、 強 毒 性 の 新 型 イン<br />
フルエンザの 大 流 行 時 には、 青 森 県 職 員 の4 割 程 度 の 欠 勤 が 見 込 まれることを 想<br />
定 され、 現 在 、「 青 森 県 新 型 インフルエンザ 対 策 業 務 継 続 計 画 」の 策 定 に 取 り 組 ん<br />
でいます。<br />
更 に 青 森 県 は 国 内 有 数 の 豪 雪 地 帯 であり、 大 雪 等 の 影 響 により 青 森 市 内 の 職 場<br />
への 通 勤 が 困 難 な 状 態 に 陥 ってしまい、 業 務 に 支 障 をきたす 状 況 が 発 生 していま<br />
す。<br />
そのような 環 境 を 踏 まえ、 青 森 県 職 員 や 民 間 企 業 従 業 員 を 対 象 とするテレワー<br />
クモデルシステム 実 証 実 験 を 青 森 県 をフィールドとして 実 施 し、 自 宅 やサテライ<br />
トオフィスでの 業 務 を 可 能 とするテレワークの 導 入 により、 災 害 等 の 非 常 時 への<br />
対 応 、 住 民 サービスの 安 定 的 な 提 供 といったBCP( 業 務 継 続 計 画 ) 等 への 効 果 、<br />
職 員 や 従 業 員 のワーク・ライフ・バランス 向 上 への 効 果 等 について 検 証 するとと<br />
もに、 地 域 におけるテレワークの 普 及 展 開 や 地 域 活 性 化 などに 資 するテレワーク<br />
の 可 能 性 について 検 証 しました。<br />
本 実 験 では 以 下 の3つのケースを 想 定 したモデル 実 験 を 行 いました。<br />
※7<br />
出 典 : 総 務 省 平 成 21 年 12 月 テレワーク- 地 方 公 共 団 体 導 入 ガイド -<br />
(http://www.soumu.go.jp/main_content/000052117.pdf)<br />
56
●ケース1 BCP 対 応 ( 実 験 対 象 : 青 森 県 職 員 )<br />
「 青 森 県 新 型 インフルエンザ 対 策 業 務 継 続 計 画 」において、 非 常 時 優 先 業 務 と<br />
して 定 められる 予 定 の 業 務 を 所 管 する 部 署 の 職 員 を 中 心 に 実 験 参 加 者 が 集 中 実<br />
施 実 験 を 実 施 することにより、テレワークの 効 果 検 証 を 行 いました。<br />
●ケース2 ワーク・ライフ・バランスの 向 上 ( 実 験 対 象 : 青 森 県 職 員 )<br />
育 児 や 介 護 を 行 っている 職 員 を 中 心 に 半 日 又 は 終 日 の 在 宅 ワークを 実 施 する<br />
ことによりワーク・ライフ・バランスの 向 上 に 関 する 効 果 検 証 及 び 自 治 体 組 織<br />
としての 持 続 可 能 な 運 営 手 法 を 検 討 しました。<br />
●ケース3 サテライトオフィス( 実 験 対 象 : 青 森 県 職 員 、 民 間 企 業 従 業 員 )<br />
豪 雪 や 災 害 による 通 勤 困 難 な 状 況 を 想 定 し、 青 森 県 内 3 箇 所 の 地 域 県 民 局 にサ<br />
テライトオフィ スを 構 築 し、テレワーク 拠 点 とすることで、 青 森 市 外 から 通 勤<br />
する 職 員 や 民 間 企 業 従 業 員 がサテライトオフィスより 業 務 に 従 事 可 能 な 運 営 手<br />
法 を 検 討 しました。<br />
本 実 験 環 境 としては、2つの 環 境 を 準 備 しました。<br />
(1) 青 森 県 職 員 向 けテレワークシステム<br />
自 宅 又 はサテライトオフィスから 青 森 県 内 の 庁 内 ネットワークに 中 継 管<br />
理 サーバを 経 由 して 県 職 員 が 日 常 業 務 で 使 用 しているパソコンへセキュ<br />
アに 接 続 する 事 で 業 務 を 遂 行 する 環 境<br />
一 部 の 県 職 員 には 情 報 伝 達 手 段 として、Web 会 議 サービスを 利 用 する 事<br />
が 可 能<br />
(2) 民 間 企 業 従 業 員 向 けテレワークシステム<br />
自 宅 又 はサテライトオフィス 等 からテレワークサービスを 経 由 して、 民 間<br />
企 業 従 業 員 が 日 常 業 務 で 使 用 しているパソコンへセキュアに 接 続 する 事<br />
で 業 務 を 遂 行 する 環 境<br />
【 実 証 のポイント】<br />
(1) 青 森 県 職 員 向 けテレワークシステム<br />
◆「 青 森 県 新 型 インフルエンザ 対 策 業 務 継 続 計 画 」におけるテレワークシ<br />
ステムの 効 果 検 証<br />
◆テレワークシステムの 利 用 による 青 森 県 職 員 のワーク・ライフ・バラン<br />
スの 向 上 に 関 する 効 果 検 証<br />
◆ 本 システムに 係 わる 参 加 者 の 各 視 点 でのテレワークによる 効 果 検 証 及<br />
び 課 題 の 整 理<br />
(2) 民 間 従 業 員 向 けテレワークシステム<br />
◆ 地 域 経 済 活 性 化 についてテレワークシステムの 可 能 性 の 検 証<br />
57
◆ 共 同 利 用 型 のテレワーク 拠 点 の 効 果 検 証 及 び 課 題 の 整 理<br />
◆ 実 証 実 験 結 果 まとめ<br />
自 治 体 におけるテレワークの 本 格 的 導 入 に 向 けた 今 回 の 実 証 実 験 の 結 果 等 は<br />
以 下 のとおりです。<br />
●インフルエンザ 発 生 時 を 想 定 した「BCP 対 策 」として、 自 治 体 においても<br />
テレワークシステムを 使 って 業 務 遂 行 する 事 が 可 能 であることが 確 認 でき<br />
ました。 青 森 県 では、 今 後 、BCP 対 策 の 手 段 の 一 つとしてテレワークを 組<br />
58
み 込 む 方 向 で、 引 き 続 き 具 体 化 な 利 用 方 法 を 検 討 していく 予 定 です。<br />
●「ワーク・ライフ・バランス 向 上 」の 目 的 においても、テレワークによる 通<br />
勤 時 間 の 削 減 による 負 荷 軽 減 効 果 を 実 感 した 職 員 が 多 く、 削 減 時 間 を 家 族 と<br />
の 時 間 に 充 てることでワーク・ライフ・バランスの 向 上 が 図 れることを 確 認<br />
できました。<br />
● 地 域 経 済 活 性 化 の 面 では、 地 元 民 間 企 業 にテレワークを 試 す 機 会 を 与 えると<br />
いう 点 で 効 果 があったと 考 えられます。 本 実 証 実 験 への 参 加 を 機 に 民 間 企 業<br />
でもテレワークの 導 入 が 進 み、より 業 務 の 効 率 化 や 遠 隔 地 とのコラボレーシ<br />
ョン 作 業 を 推 進 する 事 が 予 測 されます。<br />
● 青 森 県 で 本 格 導 入 する 上 での 今 後 の 主 な 検 討 課 題<br />
・ 実 証 実 験 で 実 施 したセキュリティ 対 策 は 基 本 対 策 として 効 果 がある 事 が 確<br />
認 できました。しかし、 本 格 導 入 時 には、 青 森 県 職 員 に 対 して、セキュリ<br />
ティリスクの 啓 発 及 びテレワークで 実 施 できる 業 務 を 制 限 する 等 の 詳 細<br />
な 技 術 的 対 策 が 必 要 です。<br />
・ 現 状 の 県 庁 業 務 には、 稟 議 手 続 きや 紙 資 料 が 多 い 為 、テレワークで 業 務 を<br />
遂 行 する 際 の 制 約 となる 事 が 分 かりました。テレワークでの 業 務 遂 行 範 囲<br />
を 拡 大 する 場 合 は、 県 庁 内 の 電 子 化 について 検 討 する 必 要 があります。<br />
・ 実 証 実 験 では、 服 務 規 程 や 情 報 セキュリティポリシーの 適 用 を 関 係 部 門 と<br />
調 整 し、 実 施 要 領 を 作 成 して 対 応 しました。 本 格 導 入 時 には、それらの 改<br />
正 も 含 めた 検 討 が 必 要 です。<br />
・BCPにおけるテレワークの 適 用 範 囲 を 明 確 に 定 義 し、 本 格 導 入 時 にはそ<br />
れに 適 したシステム 構 成 を 検 討 する 必 要 があります。<br />
・テレワークという 働 き 方 について、 青 森 県 庁 内 だけでなく 県 民 に 対 しても<br />
その 意 義 を 説 明 し 職 場 や 県 民 の 理 解 を 得 る 事 が 必 要 です。<br />
出 典 : 総 務 省 平 成 21 年 12 月 テレワーク- 地 方 公 共 団 体 導 入 ガイド -<br />
(http://www.soumu.go.jp/main_content/000052117.pdf)<br />
8 導 入 事 例 (2)<br />
シンクライアント 環 境 の 導 入 ( 福 島 県 大 熊 町 )<br />
~システムを 預 けデータを 端 末 に 残 さない、 安 心 と 便 利 を 両 立 ~<br />
■ 行 政 サービスを 提 供 するために 急 務 だった 情 報 システムの 復 旧<br />
東 日 本 大 震 災 の 発 生 直 後 から、 全 住 民 が 避 難 を 余 儀 なくされた 大 熊 町 。 会 津 若<br />
松 市 の 協 力 を 得 て 町 役 場 は 多 くの 町 民 とともに 移 転 、 役 場 機 能 をいち 早 く 再 開 し<br />
ました。 町 民 の 安 否 確 認 をはじめ、 各 種 申 請 書 の 受 付 など 手 作 業 による 膨 大 な 業<br />
務 に 追 われ、 職 員 の 負 担 が 大 きくなっていました。<br />
59
これらの 業 務 負 担 を 減 らし、 住 民 サービスを 提 供 していくためにも、 情 報 シス<br />
テムの 復 旧 が 急 務 となりました。<br />
■データ 集 約 や 端 末 管 理 が 容 易 なシンクライアント 環 境 を 再 構 築<br />
業 務 環 境 の 復 旧 を 目 指 す 大 熊 町 では、シンクライアントシステムの 再 構 築 にあ<br />
たって、データを 集 約 するサーバを 外 部 の 安 全 な 場 所 に 設 置 することを 検 討 しま<br />
した。それにより 町 役 場 にはシンクライアント 端 末 があればよく、システム 運 用<br />
の 手 間 が 省 ける 上 、 大 切 なデータも 守 ることができます。<br />
そこでまず、データが 保 存 されているサーバやシンクライアント 端 末 を 大 熊 町<br />
の 現 地 庁 舎 から 搬 出 しました。シンクライアント 利 用 イメージを 図 4.3.2.2 に 示<br />
す。<br />
図 4.3.2.2 シンクライアント 利 用 イメージ<br />
■ 今 後 の 復 旧 ・ 復 興 に 向 けて<br />
運 び 出 したサーバを 通 信 設 備 ビルに 預 け、 会 津 若 松 出 張 所 やいわき 市 の 連 絡 事<br />
務 所 などのシンクライアント 端 末 からネットワークを 介 してデータやアプリケー<br />
ションにアクセスする 形 で、システムを 復 旧 。 端 末 内 にデータを 保 存 しないシン<br />
クライアントの 仕 組 みは 故 障 も 少 なく、 機 器 の 一 元 管 理 も 図 れるなど、 信 頼 性 と<br />
利 便 性 を 両 立 しました。<br />
町 役 場 と 町 民 の 絆 をつなぐ 先 進 のICTに 高 い 期 待 が 寄 せられています。<br />
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