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徳島市応神ふれあいバスの試み - 名古屋大学

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加 藤 ・ 福 本 : 第 45 回 土 木 計 画 学 研 究 発 表 会 ( 春 大 会 )<br />

住 民 主 導 型 コミュニティ 交 通 の 立 ち 上 げに<br />

関 する 実 証 研 究<br />

- 徳 島 市 応 神 ふれあいバスの 試 み<br />

加 藤 博 和 1・ 福 本 雅 之 2<br />

1 正 会 員 名 古 屋 大 学 准 教 授 大 学 院 環 境 学 研 究 科 (〒464-8603 名 古 屋 市 千 種 区 不 老 町 C1-2(651))<br />

E-mail:kato@genv.nagoya-u.ac.jp<br />

2 正 会 員 名 古 屋 大 学 大 学 院 環 境 学 研 究 科 (〒464-8603 名 古 屋 市 千 種 区 不 老 町 C1-2(651))<br />

E-mail:fukumoto@nagoya-u.jp<br />

近 年 、 日 本 において 地 域 住 民 が 主 導 してコミュニティ 交 通 を 運 営 する 事 例 が 増 加 している。しかしなが<br />

ら、 地 域 住 民 によってコミュニティ 交 通 の 運 営 が 企 図 されたとしても、 実 際 に 運 営 組 織 を 立 ち 上 げ、 運 行<br />

開 始 に 至 るまでには 様 々な 挫 折 がある。 本 研 究 では、 地 域 住 民 によるコミュニティ 交 通 の 運 行 の 企 画 から<br />

運 行 開 始 まで 約 4 年 の 歳 月 を 要 した、 徳 島 市 応 神 地 区 の 応 神 ふれあいバスの 事 例 を 取 り 上 げ、 住 民 による<br />

運 営 組 織 の 立 ち 上 げの 経 過 について 整 理 し、 運 行 開 始 に 至 るまでの 経 過 やステークホルダーの 行 動 につい<br />

て 検 討 する。その 結 果 、 地 域 住 民 組 織 による 公 共 交 通 運 営 を 実 現 するためは、 地 域 住 民 による 自 発 的 な 活<br />

動 はもちろんだが、 行 政 による 支 援 体 制 が 大 きな 役 割 を 果 たすことが 明 らかとなった。<br />

Key Words : Local Public Transport, Community Bus, Residents’ Participation<br />

1. はじめに<br />

モータリゼーション 進 展 により、 地 方 部 を 中 心 として<br />

地 域 公 共 交 通 の 運 営 を 交 通 事 業 者 が 採 算 確 保 によって 行<br />

うことが 困 難 となっている。このため、 国 や 自 治 体 によ<br />

る 補 助 金 の 充 当 が 行 われているほか、 市 町 村 がコミュニ<br />

ティバスを 運 行 する 事 例 も 多 い。<br />

その 一 方 で、 交 通 事 業 者 や 市 町 村 による 公 共 交 通 供 給<br />

が 不 十 分 な 地 区 においては、 地 域 住 民 による 組 織 が 自 発<br />

的 に 移 動 手 段 を 提 供 する 取 り 組 みが 増 加 している。 多 く<br />

はNPOなどによって 行 われ、 道 路 運 送 法 上 では 利 用 者 を<br />

限 定 した 過 疎 地 ・ 福 祉 有 償 運 送 の 形 を 採 るが、 一 部 の 地<br />

域 においては 利 用 者 を 限 定 しない 一 般 乗 合 旅 客 運 送 事 業<br />

の 形 で 行 われる 場 合 もある。これら、 地 域 住 民 などが 主<br />

体 となる 公 共 交 通 の 運 営 事 例 については、 既 報 1) におい<br />

て「 地 域 参 画 型 公 共 交 通 運 営 方 式 」として 各 地 の 運 行 事<br />

例 を 調 査 し、その 有 効 性 を 示 している。<br />

地 域 参 画 型 公 共 交 通 の 実 現 に 際 しては、 参 画 する 各 主<br />

体 の 合 意 形 成 や 運 行 に 必 要 な 資 金 の 調 達 など、 様 々な 障<br />

壁 が 存 在 する 2) 。これらの 障 壁 は、 運 行 を 目 指 す 取 り 組<br />

みを 進 める 中 で、ステークホルダーの 意 識 ・ 行 動 や、 地<br />

域 および 周 辺 の 状 況 によって 変 化 する。<br />

本 研 究 では、 地 域 住 民 による 公 共 交 通 確 保 の 取 り 組 み<br />

例 として、 徳 島 市 応 神 地 区 で2011 年 12 月 より 運 行 されて<br />

いる「 応 神 ふれあいバス」を 取 り 上 げ、 実 現 に 至 るまで<br />

の 経 過 やその 間 のステークホルダーの 行 動 を 詳 細 に 把 握<br />

することで、その 過 程 に 存 在 した 障 壁 を 明 らかにする。<br />

2. 対 象 事 例 の 概 要<br />

「 応 神 ふれあいバス」の 運 行 路 線 図 を 図 -1に、 運 行 内<br />

容 を 表 -1にそれぞれ 示 す。<br />

徳 島 市 内 では、 公 営 事 業 者 ( 徳 島 市 交 通 局 )・ 民 営 事<br />

業 者 ( 徳 島 バス)の2 者 が 主 に 路 線 バスを 運 行 している。<br />

応 神 地 区 は 市 の 北 部 に 位 置 し、 中 心 部 とは 吉 野 川 によっ<br />

て 隔 てられている。 応 神 地 区 は 吉 野 川 と 今 切 川 に 挟 まれ<br />

た 東 西 に 細 長 い 地 形 であるが、 幹 線 道 路 は 南 北 に 地 域 を<br />

横 断 している。バス 路 線 は 徳 島 市 中 心 部 に 向 かう 路 線 形<br />

態 をとっており、 主 に 幹 線 道 路 を 通 っているため、 地 域<br />

内 、 特 に 東 西 方 向 の 移 動 に 利 用 できる 公 共 交 通 機 関 は 不<br />

十 分 であった。 応 神 地 区 には 大 きなスーパーが 存 在 せず、<br />

周 辺 の 藍 住 町 ・ 北 島 町 のスーパーへの 移 動 ニーズが 存 在<br />

していたが、 路 線 バスはそれに 応 えるものとはなってい<br />

ない 状 況 であった。<br />

そこで、 市 営 バス 運 行 を 要 望 していた 地 域 の 一 部 住 民<br />

が、 活 動 内 容 を 転 換 し、2007 年 12 月 頃 より 地 域 内 から 近<br />

隣 のスーパーへの 買 い 物 の 足 となるコミュニティバスを<br />

自 主 的 に 運 行 する 取 り 組 みを 始 めたのが、「 応 神 ふれあ<br />

1


加 藤 ・ 福 本 : 第 45 回 土 木 計 画 学 研 究 発 表 会 ( 春 大 会 )<br />

マルナカ 成 長 店<br />

<br />

応 神 クリニック 前<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

キョーエイ 北 島 店<br />

ることが 決 まったことなどから、 両 地 区 で 合 同 して 取<br />

り 組 むことが 難 しくなった。<br />

このため、 川 内 地 区 と 応 神 地 区 の 取 り 組 みを 切 り 離<br />

し、 必 要 性 が 高 く 住 民 の 協 力 が 期 待 できる 応 神 地 区 だ<br />

けで 活 動 を 行 うこととなり、 応 神 地 区 コミバス 運 行 協<br />

議 会 ( 現 : 応 神 ふれあい 運 行 協 議 会 、 以 下 「 協 議 会 」<br />

と 記 す)が2010 年 4 月 に 立 ち 上 げられた。<br />

いバス」 運 行 への 取 り 組 みのきっかけである。<br />

3. 取 り 組 みの 経 過<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

(1) 地 域 住 民 による 取 り 組 みの 始 まり<br />

応 神 ふれあいバスが 運 行 に 至 るまでの 取 り 組 みの 経 過<br />

について 表 -2に 示 す。<br />

地 域 主 体 で 運 行 するにあたり、 自 ら 運 行 主 体 となるか、<br />

交 通 事 業 者 に 委 託 するかがまず 議 論 されたが、バス・タ<br />

クシー 事 業 者 が 存 在 していることや、 安 全 確 保 の 観 点 か<br />

ら 後 者 が 選 択 された。 運 行 に 必 要 な 資 金 については、 賛<br />

助 会 員 と 沿 線 企 業 からの 協 賛 金 でまかなうことが 想 定 さ<br />

れ、 取 り 組 みを 行 っていたメンバーが 地 域 内 の 家 庭 を 回<br />

り、 会 員 を 募 集 していった。<br />

当 初 は 応 神 地 区 だけではなく、 東 に 隣 接 する 川 内 地 区<br />

の 住 民 と 共 に 取 り 組 みを 行 っており、 運 行 路 線 も 両 地 区<br />

にまたがるものを 想 定 していた。しかし、 次 第 に 川 内 地<br />

区 に 比 べ、 応 神 地 区 の 方 が 数 多 くの 住 民 を 会 員 とするこ<br />

とができ、 両 地 区 で 取 り 組 みに 対 する 差 が 生 じてきたこ<br />

とや、 川 内 地 区 には 市 営 バス 路 線 再 編 の 一 環 としてのコ<br />

ミュニティバス(2011 年 10 月 1 日 運 行 開 始 )が 運 行 され<br />

藤 田 荘<br />

図 -1 応 神 ふれあいバスの 路 線 図<br />

四 国 大 学 バス 停 前<br />

表 -1 応 神 ふれあいバスの 運 行 内 容<br />

運 営 主 体 応 神 ふれあいバス 運 行 協 議 会<br />

運 行 主 体<br />

( 委 託 先 )<br />

( 有 ) 東 丸 タクシー<br />

運 行 許 可 道 路 運 送 法 4 条 ( 協 議 路 線 )<br />

運 行 時 間<br />

8~15 時 台 ( 火 ・ 金 曜 日 )<br />

9~16 時 台 ( 水 曜 日 )<br />

運 行 本 数<br />

4 往 復<br />

運 行 日<br />

火 ・ 金 曜 日 :マルナカ 成 長 店 ルート<br />

水 曜 日 :キョーエイ 北 島 店 ルート<br />

運 賃 1 乗 車 300 円 ( 一 般 )<br />

(2) 試 験 運 行 の 結 果 と 本 格 運 行 へ 向 けての 動 き<br />

協 議 会 では、 市 に 対 して 補 助 金 の 支 出 など、バス 運<br />

行 に 関 わる 支 援 を 要 請 したが、 当 初 、 積 極 的 な 回 答 を<br />

得 ることができなかった。この 理 由 として、 徳 島 市 の<br />

みならず、 四 国 において 住 民 が 中 心 となる 協 議 会 が 主<br />

体 となるコミュニティバスの 事 例 がなかったことと、<br />

法 人 格 を 持 たないなど 協 議 会 の 事 業 実 施 能 力 が 不 安 視<br />

されていたこと、および 後 述 するような 主 要 メンバー<br />

の 構 成 が 推 測 される。そこで 協 議 会 では、 運 行 実 績 を<br />

作 るために、2010 年 5 月 24 日 ~6 月 11 日 の 平 日 (15 日 間 )<br />

に 試 験 運 行 を 行 った。 費 用 は、 地 域 住 民 や 沿 線 の 企 業<br />

から 協 賛 金 を 集 めてまかない、 運 賃 は 無 料 とした。そ<br />

の 結 果 、 延 べ577 人 (1 便 平 均 4.8 人 )の 利 用 があった<br />

ため、 協 議 会 では、 本 格 運 行 をしても 一 定 の 利 用 が 見<br />

込 まれると 判 断 し、 本 格 運 行 を 目 指 して 活 動 を 継 続 す<br />

ることとなった。また、この 結 果 を 受 けて、 徳 島 市 は<br />

当 該 活 動 に 対 する 支 援 を 決 定 することとなった。その<br />

後 、 市 が 策 定 に 向 け 検 討 を 進 めていた 地 域 公 共 交 通 総<br />

合 連 携 計 画 3) にも 地 域 住 民 によるコミバス 導 入 への 支 援<br />

が 明 記 されることとなり、 補 助 金 支 出 の 可 能 性 が 生 ま<br />

れることとなった。<br />

協 議 会 は 本 格 運 行 を 目 指 すにあたり、 路 線 やダイヤの<br />

見 直 し、 会 員 数 の 拡 大 、 企 業 協 賛 の 確 保 などを 行 った 上<br />

で、 市 の 補 助 金 を 受 け 入 れ、 継 続 した 運 行 を 実 施 できる<br />

体 制 について 検 討 した。2011 年 8 月 23 日 に 市 地 域 公 共 交<br />

通 会 議 において 本 格 運 行 に 関 する 協 議 が 整 い、2011 年 12<br />

月 6 日 より、 名 称 を「 応 神 ふれあいバス」として1 乗 車<br />

100 円 とする 本 格 運 行 を 開 始 した。 運 行 業 務 は 試 験 運 行<br />

時 と 同 じ 有 限 会 社 東 丸 タクシーがジャンボタクシー 車 両<br />

で 行 っている。<br />

(3) 本 格 運 行 後 の 利 用 状 況<br />

図 -2に 本 格 運 行 開 始 後 の 応 神 ふれあいバスの 利 用 者 数<br />

の 推 移 を 示 す。 試 験 運 行 の 結 果 から、1 日 あたり40 人 程<br />

度 の 利 用 者 数 を 見 込 んでいたが、 実 際 には1 日 あたり<br />

23.6 人 程 度 の 利 用 と、 目 標 の 約 半 数 にとどまっている。<br />

応 神 ふれあいバスの 運 営 は、 目 標 利 用 人 数 を 前 提 に 組<br />

み 立 てられていたため、このままでは 運 転 資 金 が 不 足 す<br />

ることから、 現 在 、 協 議 会 では 地 域 住 民 に 対 してチラシ<br />

を 配 布 したり、ダイヤを 改 善 したりして 利 用 を 呼 びかけ<br />

2


加 藤 ・ 福 本 : 第 45 回 土 木 計 画 学 研 究 発 表 会 ( 春 大 会 )<br />

るなどの 活 動 を 行 っている。また、 徳 島 市 は 応 神 ふれあ<br />

いバスを 地 域 内 フィーダー 系 統 として 国 に 補 助 申 請 して<br />

おり、 運 行 を 継 続 できるよう 支 援 している。<br />

4. 運 行 に 至 る 過 程 に 存 在 した 障 壁<br />

応 神 ふれあいバスの 運 行 開 始 に 至 るまでの 経 過 やステ<br />

ークホルダーの 行 動 について 検 討 し、 障 壁 を 整 理 する。<br />

(1) リーダーや 事 務 局 機 能 の 欠 如<br />

まず、 協 議 会 の 立 ち 上 げや 運 営 にあたって 大 きな 問 題<br />

となったのは、コミュニティバスを 必 要 としている 住 民<br />

と、 活 動 を 担 える 住 民 が 異 なる 点 である。 応 神 地 区 にお<br />

いて 公 共 交 通 を 必 要 としている 人 の 多 くは1 人 暮 らしの<br />

高 齢 者 であり、コミュニティバス 運 行 を 切 望 していたた<br />

め、 協 議 会 の 会 員 としての 登 録 や 出 資 は 比 較 的 順 調 に 進<br />

んだ。しかし、 協 議 会 において 市 や 事 業 者 と 運 行 内 容 や<br />

支 援 などについて 交 渉 する 事 務 局 機 能 を 引 き 受 ける 能 力<br />

( 体 力 ・ 時 間 ・ 知 識 などを 含 む)を 持 つ 人 物 が 初 期 のメ<br />

ンバーに 存 在 しなかった。 活 動 が 進 む 中 で、 事 務 局 能 力<br />

を 担 う 人 物 ( 現 在 の 協 議 会 代 表 世 話 人 )が 参 加 し、その<br />

後 はこの 人 物 を 中 心 に 活 動 が 行 われていった。<br />

この 段 階 で 新 たに 問 題 となったのは 会 計 についてであ<br />

る。 運 営 にかかる 会 計 を 個 人 の 責 任 で 引 き 受 けるのは 一<br />

般 市 民 には 負 担 が 大 きく、この 点 を 解 決 するのに 時 間 が<br />

かかった。 特 に、 活 動 の 初 期 においては 運 賃 収 入 見 込 み<br />

や 協 賛 企 業 確 保 、 市 による 支 援 の 有 無 が 不 透 明 で、 事 業<br />

リスクが 高 かったため、メンバーの 中 でも 責 任 者 となる<br />

表 -2 応 神 ふれあいバスの 取 り 組 みの 経 過<br />

時 期<br />

できごと<br />

2007 年 12 月 市 民 の 足 を 守 る 会 による「 市 バスを 考 えるシンポジウム」。コミュニティバス<br />

導 入 の 議 論 開 始 。<br />

2008 年 4 月 18 日 第 1 回 試 乗 会<br />

2008 年 5 月 24 日 川 内 ・ 応 神 地 域 にコミバスを 走 らせる 会 準 備 会 に 向 けた 有 志 の 会 発 足<br />

2008 年 10 月 11 日 川 内 ・ 応 神 地 域 にコミバスを 走 らせる 準 備 会 発 足 。 住 民 180 人 超 参 加<br />

住 民 アンケートの 実 施<br />

2008 年 11 月 25 日 第 2 回 試 乗 会<br />

2009 年 7 月 4 日 川 内 ・ 応 神 地 域 にコミバスを 走 らせる 会 結 成 総 会 。<br />

会 員 拡 大 運 動<br />

2010 年 3 月 5 日 川 内 地 区 ・ 応 神 地 区 の 活 動 を 分 離 することを 決 定 。<br />

2010 年 3 月 徳 島 市 地 域 公 共 交 通 総 合 連 携 計 画 策 定 。 地 域 住 民 主 体 によるバス 路 線 導 入 に 対<br />

する 支 援 が 明 記 される。<br />

2010 年 4 月 15 日 応 神 地 区 コミバス 運 行 協 議 会 立 ち 上 げ。<br />

2010 年 5 月 23 日 応 神 地 域 コミバス 出 発 式<br />

2010 年 5 月 24 日 応 神 コミバス 試 験 運 行 ( 平 日 15 日 間 無 償 )<br />

~6 月 11 日<br />

2011 年 5 月 23 日 徳 島 市 生 活 交 通 ネットワーク 計 画 に 応 神 ふれあいバスを 記 載 することについて<br />

協 議 調 う。<br />

2011 年 8 月 23 日 徳 島 市 地 域 公 共 交 通 会 議 において 応 神 ふれあいバスの 運 行 協 議 調 う。<br />

2011 年 11 月 20 日 応 神 ふれあいバスお 披 露 目 式<br />

2011 年 12 月 3 日 応 神 ふれあいバス 出 発 式<br />

2011 年 12 月 6 日 応 神 ふれあいバス 本 格 運 行 開 始<br />

50<br />

45<br />

40<br />

35<br />

30<br />

25<br />

20<br />

15<br />

10<br />

5<br />

0<br />

火 水 金 火 水 金 火 水 火 水 金 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 火 水 金 水 金 火 水 金<br />

6 7 9 13 14 16 20 21 27 28 30 4 6 10 11 13 17 18 20 24 25 27 31 1 3 7 8 10 14 15 17 21 22 24 28 29 2 6 7 9 13 14 16 21 23 27 28 30<br />

12 1 2 3<br />

4)<br />

図 -2 応 神 ふれあいバスの 利 用 者 数 の 推 移<br />

成 長<br />

北 島<br />

3


加 藤 ・ 福 本 : 第 45 回 土 木 計 画 学 研 究 発 表 会 ( 春 大 会 )<br />

ことには 抵 抗 があったと 考 えられる。<br />

また、 取 り 組 みに 当 初 から 積 極 的 に 活 動 していたメン<br />

バーの1 人 が、 特 定 の 政 党 に 所 属 する 市 議 会 議 員 であっ<br />

たため、 他 政 党 の 市 議 会 議 員 や 自 治 会 役 員 といった 地 域<br />

の 有 力 者 の 理 解 や 協 力 がなかなか 得 られず、 実 務 メンバ<br />

ーの 参 画 への 妨 げとなった。これに 関 しては、 試 験 運 行<br />

を 目 指 す 過 程 の 中 で、 地 域 にとってコミュニティバスの<br />

運 行 が 意 義 深 いものであり、 地 域 住 民 にも 活 動 が 浸 透 し<br />

ていることが 地 域 の 有 力 者 に 理 解 されていくことによっ<br />

て、 他 党 所 属 の 地 元 市 議 会 議 員 も 活 動 に 参 加 するように<br />

なるなど、 協 力 が 得 られるようになっていった。<br />

(2) 資 金 確 保 の 難 航<br />

高 齢 者 と 中 心 とする 地 域 住 民 の 協 賛 は 順 調 に 集 まった<br />

ものの、それだけでは 不 十 分 であり、 企 業 等 の 協 賛 ・ 支<br />

援 や 公 的 補 助 を 得 る 必 要 があったが、なかなか 進 まなか<br />

った。そのためいったん 協 賛 してくれた 住 民 がそれを 引<br />

き 上 げようとする 動 きが 生 じる 懸 念 があった。<br />

協 議 会 の 事 務 局 機 能 の 問 題 は、 資 金 集 めの 際 にも 問 題<br />

となった。 市 による 支 援 がなかなか 決 まらなかった 理 由<br />

の1つとして、 責 任 者 が 定 まっておらず、 責 任 の 所 在 が<br />

曖 昧 であったことが 挙 げられる。 事 務 局 を 引 き 受 けよう<br />

とする 人 物 は、 支 援 制 度 や 資 金 的 な 目 処 が 立 たなければ<br />

現 れない 反 面 、 支 援 制 度 や 資 金 集 めへの 協 力 は 責 任 者 が<br />

明 確 になっていないと 得 られにくいという、ジレンマに<br />

陥 っていた。<br />

これらの 点 は、2010 年 に 行 われた 試 験 運 行 によって、<br />

利 用 者 数 や 協 賛 企 業 がある 程 度 見 込 めることが 把 握 でき<br />

たこと、 試 験 運 行 の 実 績 を 受 けて 市 が 支 援 制 度 を 用 意 し<br />

たこと、などによって 解 消 された。 特 に、 市 が 地 域 公 共<br />

交 通 総 合 連 携 計 画 に 地 域 住 民 による 取 り 組 みの 支 援 を 明<br />

確 に 位 置 づけたことによって、 協 賛 の 拡 大 やニーズの 把<br />

握 といった 活 動 にあたることが 公 認 され、 活 動 の 展 開 促<br />

進 に 大 きく 寄 与 した。<br />

以 上 のことから、 地 域 住 民 による 公 共 交 通 確 保 を 結 実<br />

させるには、 地 域 公 共 交 通 に 取 り 組 む 住 民 に 対 して 市 な<br />

どが 支 援 することで、 運 営 に 関 するリスクを 低 減 させる<br />

ことが 有 効 であると 考 えられる。 公 的 な 機 関 による 支 援<br />

が 行 われることは、 沿 線 企 業 や 地 域 住 民 に 対 して 理 解 や<br />

協 力 を 得 る 場 合 にもある 種 の「お 墨 付 き」として 機 能 す<br />

るため、 活 動 の 広 がりも 期 待 できる。<br />

5. まとめと 今 後 の 課 題<br />

本 研 究 では、 徳 島 市 の 応 神 ふれあいバスの 事 例 につい<br />

て、その 構 想 から 本 格 運 行 までの 経 緯 を 詳 細 に 調 査 する<br />

ことで、その 経 過 とステークホルダーの 行 動 を 把 握 した。<br />

その 結 果 、 地 域 住 民 組 織 による 公 共 交 通 運 営 を 実 現 する<br />

ためは、 地 域 住 民 による 自 発 的 な 活 動 はもちろんだが、<br />

行 政 による 支 援 体 制 がその 促 進 に 大 きな 役 割 を 果 たすこ<br />

とが 示 唆 された。<br />

地 域 参 画 型 公 共 交 通 の 運 営 においては、 運 行 開 始 に 至<br />

ったものの、その 後 継 続 して 運 営 を 続 けていくことが 困<br />

難 となった 事 例 も 存 在 する 5) 。これは、 運 行 を 目 指 す 取<br />

り 組 みの 中 で、 運 行 開 始 が 目 的 となってしまい、それを<br />

達 成 した 時 点 で 取 り 組 みが 尻 すぼみになってしまうこと<br />

によって、 利 用 促 進 や 地 域 住 民 への 協 力 といった 活 動 が<br />

徐 々になされなくなってしまうことが 原 因 として 考 えら<br />

れる。 運 行 開 始 後 も 関 係 するステークホルダーの 意 識 を<br />

高 め、 公 共 交 通 運 営 に 関 して 様 々な 主 体 に 協 力 を 得 るよ<br />

うに 取 り 組 みを 継 続 する 必 要 がある。<br />

応 神 ふれあいバスでは、 運 行 開 始 後 も、 想 定 より 利 用<br />

客 が 少 ないため、 資 金 の 見 通 しが 厳 しくなるという 新 た<br />

な 障 壁 が 生 じている。これに 対 し、 協 議 会 の 主 要 メンバ<br />

ーが 地 域 住 民 に 対 して 地 道 な 広 報 活 動 を 続 けており、 利<br />

用 者 数 も 徐 々に 増 加 しつつある。 今 後 もこういった 活 動<br />

を 継 続 していく 必 要 があるものの、モチベーション 低 下<br />

も 懸 念 される 状 況 にある。この 段 階 でも 行 政 の 後 方 支 援<br />

が 重 要 であるといえる。<br />

【 参 考 文 献 】<br />

1) 福 本 雅 之 , 加 藤 博 和 : 地 区 内 乗 合 バスサービス 運 営 方 式<br />

の 類 型 化 および 適 材 適 所 の 検 討 , 土 木 学 会 論 文 集 D,<br />

Vol.65,No.4,pp.554-567,2009.<br />

2) 福 本 雅 之 , 加 藤 博 和 : 地 域 参 画 型 公 共 交 通 の 形 成 , 持 続<br />

メカニズムに 関 する 研 究 , 土 木 計 画 学 研 究 ・ 講 演 集 ,<br />

Vol.43,CD-ROM(32),2011.<br />

3) 徳 島 市 : 徳 島 市 地 域 公 共 交 通 総 合 連 携 計 画 、2010.<br />

4) 徳 島 市 地 域 交 通 課 資 料<br />

5) 福 本 雅 之 , 加 藤 博 和 , 黒 坂 俊 樹 : 地 域 参 画 型 コミュニテ<br />

ィバス 事 業 の 持 続 性 に 関 する 実 証 的 検 討 - 春 日 井 西 部 コ<br />

ミュニティバスを 例 として-, 土 木 計 画 学 研 究 ・ 講 演 集 ,<br />

Vol.41,CD-ROM(55),2010.<br />

An Empirical Study of Start-up of the Community Transport System by Residents:<br />

A Case Study of Ojin Fureai Bus in Tokushima City<br />

Hirokazu KATO and Masayuki FUKUMOTO<br />

4

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