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教 授 田中 速 - 東京成徳大学

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<strong>教</strong> 育 研 究 業 績<br />

平 成 24 年 6 月 18 日<br />

氏 名 田 中 <strong>速</strong><br />

学 位 : 医 学 士<br />

研 究 分 野 研 究 内 容 の キ ー ワ ー ド<br />

公 衆 衛 生 学 ・ 健 康 科 学 、 精 神 神 経 科 学<br />

司 法 精 神 医 学 、 医 療 観 察 法 、 精 神 保 健 福 祉 法 、 薬 物 乱 用<br />

に 関 する 実 務<br />

医 学 一 般 、 医 学 知 識 、 福 祉 医 学 II、 精 神 医 学 A、 精 神 医 学 B、 犯 罪 心 理 学 、 卒 業 研 究 、 卒 業 論 文<br />

主 要 担 当 <strong>授</strong> 業 科 目<br />

<strong>教</strong> 育 上 の 能 力 に 関 す る 事 項<br />

事 項 年 月 日 概 要<br />

1 <strong>教</strong> 育 方 法 の 実 践 例<br />

1EBM に 基 づく 医 学 概 論 <strong>教</strong> 育 平 成 24 年 4<br />

月 ~ 現 在<br />

2 作 成 した <strong>教</strong> 科 書 ・ <strong>教</strong> 材<br />

1 司 法 精 神 医 学 と 精 神 鑑 定<br />

2 臨 床 心 理 学 辞 典<br />

3 司 法 精 神 医 学 3 犯 罪 と 犯 罪 者<br />

の 精 神 医 学<br />

3 当 該 <strong>教</strong> 員 の <strong>教</strong> 育 上 の 実 績 に 関 す<br />

る 大 学 等 の 評 価<br />

4 実 務 の 経 験 を 有 する 者 について<br />

の 特 記 事 項<br />

5 その 他<br />

平 成 8 年 4 月<br />

平 成 10 年 8<br />

月<br />

平 成 17 年 1<br />

2 月<br />

最 新 で 最 良 の 医 療 を 実 践 するために 体 系 的 に 文 献 を 取 捨 選 択 す<br />

る 方 法 論 である EBM; Evidence Based Medicine 実 証 的 根 拠 に 基<br />

づく 医 学 の 概 念 は 今 日 の 医 療 で 広 く 用 いられている。 将 来 、 心<br />

理 臨 床 や 福 祉 に 従 事 する 学 生 に 対 しても、 現 在 最 新 の 知 識 を <strong>教</strong><br />

えるだけではなく、どのようにすれば 最 新 で 最 良 の 医 学 的 知 識<br />

を 獲 得 できるのか、 文 献 検 索 の 方 法 やエビデンスレベルによっ<br />

て 信 頼 できる 研 究 を 選 択 する 方 法 を <strong>教</strong> 育 している。<br />

「 器 質 性 精 神 障 害 」の 項 目 を 分 担 執 筆 した。 器 質 性 精 神 障 害 の<br />

存 在 が 争 点 となった 精 神 鑑 定 事 例 の 自 験 例 を 紹 介 し、 刑 事 責 任<br />

能 力 評 価 との 関 係 を 解 説 した。 同 書 は 司 法 精 神 医 学 についてわ<br />

かりやすく 解 説 した 入 門 書 である。<br />

「 精 神 鑑 定 」の 項 目 を 分 担 執 筆 した。 刑 事 責 任 能 力 判 定 のため<br />

の 精 神 鑑 定 と 禁 治 産 者 宣 告 ( 当 時 )のための 精 神 鑑 定 について<br />

解 説 した。 同 書 は 臨 床 心 理 学 領 域 の 全 分 野 を 網 羅 的 に 解 説 した<br />

総 合 事 典 である。<br />

「インターネット 犯 罪 」の 項 目 を 分 担 執 筆 した。 社 会 的 孤 立 や<br />

精 神 病 理 学 上 の 問 題 が PIU; Pathological Internet Use のリス<br />

クファクターとなること、インターネット 上 のある 種 の 愉 快 犯<br />

は 広 義 の 間 接 自 殺 と 理 解 されうると 指 摘 した。 同 書 は 司 法 精 神<br />

医 学 の 諸 領 域 を 網 羅 的 に 解 説 した <strong>教</strong> 科 書 である。<br />

職 務 上 の 実 績 に 関 す る 事 項<br />

事 項 年 月 日 概 要<br />

1. 資 格 、 免 許 平 成 3 年 6 月 医 師 免 許<br />

2. 特 許<br />

- 1 -


3. 実 務 の 経 験 を 有 する 者 についての<br />

特 記 事 項<br />

1 水 戸 地 方 裁 判 所 精 神 保 健 審 判 員<br />

4.その 他<br />

平 成 17 年 4 月<br />

~ 現 在<br />

水 戸 地 方 裁 判 所 において、 心 神 喪 失 者 等 医 療 観 察 法 による 触 法 精 神 障 害<br />

者 への 医 療 の 開 始 や 終 了 に 関 する 審 判 と 鑑 定 を 行 なっている。<br />

著 書 、 学 術 論 文 等 の 名 称<br />

単 著<br />

共 著<br />

の 別<br />

発 行 又 は<br />

発 表 の 年 月<br />

発 行 所 、 発 表 雑 誌 等 又 は<br />

発 表 学 会 等 の 名 称<br />

概<br />

要<br />

( 著 書 )<br />

1) 司 法 精 神 医 学 と 精 神 鑑 定<br />

( 再 掲 )<br />

共 著<br />

平 成 8 年 4 月<br />

医 学 書 院<br />

共 著 : 小 田 晋 、 中 谷 陽 二 、 田 中 <strong>速</strong> ほか3<br />

3 名 。<br />

「 器 質 性 精 神 障 害 」の 項 目 を 分 担 執 筆 し<br />

た。 器 質 性 精 神 障 害 の 存 在 が 争 点 となっ<br />

た 精 神 鑑 定 事 例 の 自 験 例 を 紹 介 し、 刑 事<br />

責 任 能 力 評 価 との 関 係 を 解 説 した。 同 書<br />

は 司 法 精 神 医 学 についてわかりやすく 解<br />

説 した 入 門 書 である。<br />

執 筆 pp.147-150<br />

2) 臨 床 心 理 学 辞 典 ( 再 掲 )<br />

共 著<br />

平 成 10 年 8<br />

月<br />

八 千 代 出 版<br />

共 著 : 恩 田 彰 、 伊 藤 隆 二 、 田 中 <strong>速</strong> ほか4<br />

9 名 。<br />

「 精 神 鑑 定 」の 項 目 を 分 担 執 筆 した。 刑<br />

事 責 任 能 力 判 定 のための 精 神 鑑 定 と 禁 治<br />

産 者 宣 告 ( 当 時 )のための 精 神 鑑 定 につ<br />

いて 解 説 した。 同 書 は 臨 床 心 理 学 領 域 の<br />

全 分 野 を 網 羅 的 に 解 説 した 総 合 事 典 であ<br />

る。<br />

執 筆 pp.296<br />

3) 司 法 精 神 医 学 3 犯 罪 と<br />

犯 罪 者 の 精 神 医 学 ( 再 掲 )<br />

共 著<br />

平 成 17 年 1<br />

2 月<br />

中 山 書 店<br />

共 著 : 小 田 晋 、 中 谷 陽 二 、 田 中 <strong>速</strong> ほか2<br />

9 名 。<br />

「インターネット 犯 罪 」の 項 目 を 分 担 執<br />

筆 した。 社 会 的 孤 立 や 精 神 病 理 学 上 の 問<br />

題 が PIU; Pathological Internet Use<br />

のリスクファクターとなること、インタ<br />

ーネット 上 のある 種 の 愉 快 犯 は 広 義 の 間<br />

接 自 殺 と 理 解 されうると 指 摘 した。 同 書<br />

は 司 法 精 神 医 学 の 諸 領 域 を 網 羅 的 に 解 説<br />

した <strong>教</strong> 科 書 である。<br />

執 筆 pp.122-132<br />

( 学 術 論 文 )<br />

1) 摂 食 障 害 の Binge<br />

Eating に Mazindol が 奏 功<br />

した2 例<br />

2) 最 近 話 題 の 精 神 神 経 症<br />

候 群 ストックホルム 症 候<br />

群<br />

共 著<br />

共 著<br />

平 成 5 年 9 月<br />

平 成 9 年 3 月<br />

精 神 科 治 療 学 8 巻 9 号<br />

pp.1071-1081<br />

臨 床 精 神 医 学 26 巻 3<br />

号 pp.301-306<br />

共 著 : 酒 井 和 夫 、 田 中 <strong>速</strong> 、 小 田 晋<br />

摂 食 障 害 の 過 食 期 に Binge Eating(いわ<br />

ゆるむちゃ 食 い)が 出 現 することがあり、<br />

精 神 療 法 でコントロール 困 難 な 症 状 であ<br />

るが、 中 枢 性 食 欲 抑 制 剤 である Mazindol<br />

を 使 用 を 試 みたところ、Binge Eating は<br />

抑 制 され、 有 害 事 象 も 発 生 しなかったの<br />

で 報 告 した( 考 察 に 若 干 修 正 を 加 えられ<br />

た 他 はほとんど 自 分 で 執 筆 した)。<br />

共 著 : 佐 藤 親 次 、 小 畠 秀 悟 、 田 中 <strong>速</strong><br />

監 禁 被 害 者 が 加 害 者 に 対 して 次 第 に 同 情<br />

的 となり、 後 の 裁 判 では 自 分 は 被 害 を 受<br />

けていなかった、と 申 告 する 特 異 な 現 象<br />

がありストックホルム 症 候 群 と 呼 ばれて<br />

いるが、 精 神 病 理 学 的 にこれが 出 現 する<br />

機 制 を 説 明 することを 試 みた。 海 外 で 開<br />

発 された 評 価 尺 度 を 紹 介 し、 日 本 語 版 の<br />

試 案 を 提 案 した( 執 筆 担 当 部 分 は、 協 議<br />

- 2 -


して 執 筆 したため 特 定 できない)。<br />

3)ストーカー 行 為 を 契 機<br />

に 初 めて 自 閉 症 と 診 断 され<br />

た1 女 子 例<br />

共 著<br />

平 成 15 年 8<br />

月<br />

精 神 科 治 療 学 32 巻 8<br />

号 pp.981-988<br />

共 著 : 斎 藤 由 美 子 、 小 林 純 、 田 中 <strong>速</strong> 、 清<br />

水 文 雄<br />

特 定 の 男 子 同 級 生 に 執 拗 なつきまとい 行<br />

為 をして 高 校 より 謹 慎 処 分 をうけた 女 子<br />

生 徒 を 診 察 したところ、 軽 度 知 的 障 害 を<br />

合 併 する 自 閉 症 と 診 断 された。 自 閉 症 な<br />

どの 広 汎 性 発 達 障 害 と 青 年 期 の 行 動 上 の<br />

問 題 の 関 連 について 文 献 を 検 討 した。こ<br />

の 症 例 でのつきまとい 行 為 は 恋 愛 感 情 に<br />

よるものではなく、 自 閉 症 の 常 同 行 為 や<br />

こだわりであると 考 えられた。 本 人 に 対<br />

しては 障 害 の 受 容 と 併 せ、 相 手 の 気 持 を<br />

理 解 することの 訓 練 を 実 施 し、 両 親 に 対<br />

しても 広 汎 性 発 達 障 害 に 関 する 障 害 <strong>教</strong> 育<br />

を 行 った( 執 筆 担 当 部 分 は、 協 議 して 執<br />

筆 したため 特 定 できない)。<br />

4) 後 見 申 立 は 適 切 にされ<br />

ているか<br />

単 著<br />

平 成 16 年 9<br />

月<br />

臨 床 精 神 医 学 33 巻 9<br />

号 pp.1253-1257<br />

法 定 後 見 の 類 型 には 後 見 、 保 佐 、 補 助 の<br />

3 つがあるが 司 法 統 計 上 は 最 も 重 度 の 障<br />

害 に 対 応 する 後 見 の 申 立 がほとんどであ<br />

り、これは 医 学 上 の 知 的 障 害 や 認 知 症 の<br />

有 病 率 分 布 とは 異 なる。 軽 度 の 障 害 者 に<br />

後 見 申 立 が 安 易 にされている 可 能 性 とそ<br />

の 要 因 について 考 察 した。<br />

5) 茨 城 県 立 友 部 病 院 にお<br />

ける 精 神 科 救 急 に 関 する 経<br />

過 報 告<br />

共 著<br />

平 成 17 年 1<br />

2 月<br />

茨 城 県 立 病 院 医 学 雑 誌<br />

23 巻 5 号 pp.83-88<br />

共 著 : 橋 本 幸 紀 、 田 中 <strong>速</strong> 、 大 谷 洋 一 、 朝<br />

田 隆<br />

茨 城 県 で 行 われている 精 神 科 救 急 システ<br />

ムの 概 観 を 紹 介 した。これまでに 精 神 科<br />

救 急 を 受 診 した 患 者 の 特 徴 を 診 療 録 から<br />

後 方 視 的 に 検 討 し、 他 の 都 道 府 県 での 精<br />

神 科 救 急 でのそれと 比 較 した。おおむね<br />

同 様 の 病 状 や 背 景 を 有 する 患 者 が 受 診 し<br />

ていたので、 茨 城 県 における 精 神 科 救 急<br />

システムの 制 度 は 妥 当 であると 考 えられ<br />

た( 執 筆 担 当 部 分 は、 協 議 して 執 筆 した<br />

ため 特 定 できない)。<br />

6)オンラインゲームと 嗜<br />

癖<br />

単 著<br />

平 成 18 年 1<br />

2 月<br />

精 神 科 治 療 学 21 巻 1<br />

2 号 pp.1303-1307<br />

オンラインゲームの 歴 史 について 概 観<br />

し、 嗜 癖 的 な 没 頭 事 例 について 検 討 した。<br />

社 会 的 孤 立 や 抑 うつと PIU;<br />

Pathological Internet Use の 相 互 作 用<br />

により、オンラインゲームへの 没 頭 が 深<br />

まるものと 考 えられた。<br />

7) 医 療 観 察 法 審 判 におけ<br />

る 修 復 的 司 法 の 可 能 性 につ<br />

いて<br />

共 著<br />

平 成 19 年 9<br />

月<br />

臨 床 精 神 医 学 36 巻 9<br />

号 pp.1101-1105<br />

共 著 : 田 中 <strong>速</strong> 、 広 幡 小 百 合 、 森 田 展 彰 、<br />

中 谷 陽 二<br />

精 神 障 害 者 の 暴 力 行 為 は 家 庭 内 でなされ<br />

ることが 多 く、 家 族 は 保 護 者 かつ 被 害 者<br />

という 困 難 な 立 場 にたたされる。 障 害 者<br />

の 社 会 復 帰 と 被 害 者 保 護 の 双 方 を 実 現 す<br />

るためには 修 復 的 司 法 の 概 念 を 医 療 観 察<br />

法 審 判 に 導 入 して 被 害 者 加 害 者 対 話<br />

Victim Offender Mediation を 行 うこと<br />

が 有 益 であると 考 えられた( 自 分 でほと<br />

んどを 執 筆 した)。<br />

8) 補 助 ・ 任 意 後 見 等 の 軽<br />

症 者 に 関 する 問 題<br />

単 著<br />

平 成 19 年 3<br />

月<br />

法 と 精 神 医 療 22 号<br />

pp.59-69<br />

現 行 の 成 年 後 見 制 度 では、 判 断 能 力 の 障<br />

害 の 程 度 と 制 限 される 行 為 能 力 に 比 例 関<br />

係 が 求 められているが、 軽 度 の 障 害 者 の<br />

方 が 悪 徳 商 法 などの 被 害 を 被 る 機 会 が 多<br />

く、 被 害 回 復 も 困 難 であることから、 軽<br />

度 の 障 害 者 であっても 強 い 法 的 支 援 が 可<br />

能 となる 後 見 類 型 が 必 要 となりうること<br />

を 指 摘 した。<br />

- 3 -


(その 他 )<br />

総 説<br />

1)インターネットと 犯 罪<br />

心 理<br />

単 著<br />

平 成 17 年 8<br />

月<br />

犯 罪 学 雑 誌 71 巻 4 号<br />

pp.115-124<br />

インターネット 犯 罪 に 関 する 文 献 を 概 観<br />

した。 逸 脱 的 なインターネット 利 用 態 様<br />

とその 要 因 に 関 する 諸 説 を 紹 介 した。<br />

学 会 抄 録<br />

1) 鑑 定 例 にみる 茨 城 県 下<br />

の 老 人 犯 罪<br />

平 成 5 年 9 月<br />

茨 城 県 臨 床 医 学 雑 誌 2<br />

8 号 pp.56<br />

軽 度 の 血 管 性 認 知 症 者 による 殺 人 事 件 の<br />

精 神 鑑 定 自 験 例 を 報 告 した。 前 頭 葉 に 低<br />

吸 収 域 が 散 発 しており、 脳 梗 塞 による 人<br />

格 変 化 と 犯 行 の 関 連 について 考 察 した。<br />

2) 脳 梗 塞 老 人 による 殺 人<br />

例 近 郊 農 村 の 社 会 病 理 と<br />

老 年 精 神 病 理<br />

平 成 5 年 12<br />

月<br />

東 京 精 神 医 学 雑 誌 10<br />

巻 1 号 pp.57<br />

脳 梗 塞 から 認 知 症 となり 殺 人 事 件 をおこ<br />

した 被 告 人 の 精 神 鑑 定 自 験 例 を 報 告 し<br />

た。 当 時 はバブル 経 済 による 地 価 高 騰 の<br />

ため、 都 市 近 郊 で 農 業 を 営 んでいた 高 齢<br />

者 が 公 共 事 業 による 用 地 買 収 のため 突 然<br />

に 多 額 の 現 金 を 取 得 することがあった<br />

が、これにつけこみ 美 人 局 行 為 をして 金<br />

銭 を 脅 し 取 ろうとした 暴 力 団 関 係 者 が 人<br />

格 の 先 鋭 化 をきたした 認 知 症 者 に 刺 殺 さ<br />

れた 事 件 であった。 単 身 生 活 の 高 齢 者 の<br />

心 性 を 考 慮 して 事 件 の 背 景 を 理 解 するこ<br />

とを 提 案 した。<br />

3) 精 神 分 裂 病 者 が 公 判 で<br />

精 神 分 裂 病 を「 詐 病 」した<br />

事 例<br />

平 成 6 年 6 月<br />

犯 罪 学 雑 誌 60 巻 3 号<br />

pp.128<br />

真 に 統 合 失 調 症 に 罹 患 している 者 が、 真<br />

性 の 妄 想 に 基 づき、 虚 偽 の 症 状 を 意 図 的<br />

に 産 出 し、 裁 判 では「 詐 病 」と 認 定 され<br />

服 役 した 者 が 出 所 後 再 犯 し 精 神 鑑 定 とな<br />

った 自 験 例 を 報 告 した。 疾 病 利 得 を 求 め<br />

て 意 図 的 に 虚 偽 の 症 状 を 産 出 しているの<br />

で DSM の 定 義 によれば 詐 病 と 診 断 される<br />

が、 真 に 統 合 失 調 症 に 罹 患 していること<br />

も 認 められた。 統 合 失 調 症 と 詐 病 が 排 反<br />

関 係 にはないことを 指 摘 した。<br />

4)「 胎 生 期 のアンドロゲン<br />

曝 露 による 超 男 性 化 」が 争<br />

点 となった 精 神 鑑 定 の 一 例<br />

について<br />

平 成 8 年 12<br />

月<br />

精 神 神 経 学 雑 誌 98 巻<br />

12 号 pp.1078<br />

1970 年 代 には 切 迫 流 産 の 治 療 にプロ<br />

ゲステロン 製 剤 が 用 いられていたが、 動<br />

物 実 験 では 胎 生 期 にプロゲステロン 製 剤<br />

を 投 与 されると 攻 撃 性 や 性 衝 動 が 亢 進 す<br />

るという 報 告 が 存 在 する。 胎 生 期 にプロ<br />

ゲステロン 製 剤 を 投 与 された 既 往 のある<br />

男 性 が 複 数 人 を 殺 害 、 強 姦 した 事 件 の 精<br />

神 鑑 定 を 経 験 したが、 同 事 例 では 血 中 の<br />

アンドロゲン 濃 度 に 異 常 はなく、 心 理 学<br />

的 検 査 や 精 神 医 学 的 問 診 においても 攻 撃<br />

性 や 性 衝 動 の 病 的 な 亢 進 は 認 められなか<br />

った。 内 外 の 文 献 も 調 査 したが、 人 間 に<br />

おいては 胎 生 期 のプロゲステロン 製 剤 曝<br />

露 によって 攻 撃 性 や 性 衝 動 の 亢 進 がおき<br />

るという 根 拠 はないと 述 べた。<br />

5)「 微 細 な 脳 の 障 害 」が 争<br />

点 となった 精 神 鑑 定 例 につ<br />

いて<br />

平 成 9 年 6 月<br />

犯 罪 学 雑 誌 63 巻 3 号<br />

pp.102<br />

頭 部 MRI 画 像 において 軽 度 の 側 脳 室 拡 大<br />

や 脳 波 検 査 で 後 頭 部 三 角 波 など、 微 細 な<br />

神 経 発 達 障 害 を 疑 う 検 査 所 見 が 認 められ<br />

た 精 神 鑑 定 自 験 例 を 紹 介 した。 心 理 検 査<br />

や 精 神 医 学 的 問 診 において 器 質 性 疾 患 の<br />

存 在 は 認 められなかったが、ごく 軽 い 注<br />

意 欠 陥 多 動 性 がみられた。しかしそれは<br />

法 的 な 刑 事 責 任 能 力 に 影 響 を 及 ぼす 程 度<br />

には 至 っていないと 述 べた。<br />

- 4 -


6) 茨 城 県 における 薬 物 依<br />

存 システム 茨 城 方 式 とそ<br />

の 特 徴<br />

平 成 13 年 7<br />

月<br />

日 本 社 会 精 神 医 学 雑 誌<br />

10 巻 1 号 pp.104-105<br />

アルコール 依 存 症 に 対 する 久 里 浜 方 式 治<br />

療 プログラムをそのまま 薬 物 依 存 症 者 に<br />

適 応 しても 治 療 脱 落 が 多 いことは 知 られ<br />

ている。 急 性 覚 せい 剤 中 毒 の 解 毒 治 療 の<br />

みを 精 神 科 病 院 で 行 い、 依 存 症 そのもの<br />

に 対 する <strong>教</strong> 育 やリハビリテーションは<br />

DARC などの 自 助 グループと 連 携 して 行<br />

う 手 法 を 開 発 し、 好 成 績 を 得 たので 報 告<br />

した。 筆 者 らの 提 案 した 茨 城 方 式 治 療 プ<br />

ログラムは 今 日 では 国 内 各 地 で 広 く 行 わ<br />

れている。<br />

7) 拘 禁 環 境 下 での 虚 偽 性<br />

障 害 類 似 事 例 について<br />

平 成 16 年 4<br />

月<br />

臨 床 精 神 病 理 25 巻 1<br />

号 pp.72-73<br />

某 新 興 宗 <strong>教</strong> 信 者 に 逮 捕 後 、 拘 置 所 で 自 分<br />

の 大 便 を 食 べるなどの 奇 異 行 為 が 出 現 し<br />

たために 精 神 障 害 の 存 在 が 疑 われ 精 神 鑑<br />

定 が 行 われた 自 験 例 を 報 告 した。 鑑 定 入<br />

院 中 の 観 察 や 精 神 医 学 的 問 診 では 精 神 病<br />

性 障 害 の 存 在 は 認 められなかったが、 外<br />

的 な 疾 病 利 得 を 意 図 した 症 状 産 出 ではな<br />

かったので 詐 病 ではなかった。 公 権 力 に<br />

敵 対 的 な <strong>教</strong> 団 の 立 場 を 演 ずる 目 的 で 症 状<br />

を 産 出 した 虚 偽 性 障 害 であると 診 断 し、<br />

詐 病 と 虚 偽 性 障 害 の 概 念 の 歴 史 、 異 同 を<br />

考 察 した。<br />

8) 日 本 における Tarasoff<br />

事 件 類 似 事 例 について<br />

平 成 16 年 1<br />

2 月<br />

法 と 精 神 科 臨 床 6 巻<br />

pp.125-126<br />

アメリカでは 通 院 中 の 精 神 障 害 者 が 第 三<br />

者 に 加 害 行 為 を 行 うおそれが 切 迫 してい<br />

る 場 合 には、 治 療 者 は 守 秘 義 務 を 破 るべ<br />

きであるとする Tarasoff 原 則 が 確 立 し<br />

ているが、この 判 例 のもととなった<br />

Tarasoff 事 件 に 類 似 する 状 況 で 発 生 し<br />

た 事 件 の 精 神 鑑 定 自 験 例 を 報 告 した。 日<br />

本 での 守 秘 義 務 と 第 三 者 加 害 防 止 の 関 係<br />

について 考 察 した。<br />

10) 医 療 観 察 法 鑑 定 にお<br />

ける folie a deux(folie<br />

induite)の 一 事 例<br />

平 成 19 年 3<br />

月<br />

司 法 精 神 医 学 2 巻 1 号<br />

pp.94<br />

家 族 など 親 密 な 関 係 の 中 では、 発 端 とな<br />

った 精 神 病 者 の 妄 想 を 健 常 であった 者 が<br />

受 け 入 れ、 妄 想 を 共 有 する 現 象 がまれに<br />

あることが 知 られており、 二 人 組 精 神 病<br />

folie a deux と 呼 ばれているが、 医 療 観<br />

察 法 での 精 神 鑑 定 自 験 例 でそのような 事<br />

例 を 診 断 したので 報 告 した。この 事 例 で<br />

は 続 発 者 のみが 触 法 行 為 に 関 与 し 医 療 観<br />

察 法 の 審 判 手 続 の 対 象 となっていたが、<br />

発 端 者 は 強 制 的 な 治 療 の 対 象 とならない<br />

ことは 若 干 不 合 理 であるように 思 われた<br />

のでその 旨 問 題 提 起 をした。<br />

11) 非 拘 禁 状 況 で 発 症 し<br />

たガンゼル 症 候 群 の1 例<br />

平 成 21 年 3<br />

月<br />

茨 城 県 臨 床 医 学 雑 誌 4<br />

4 号 pp.23<br />

ガンゼル 症 候 群 は 典 型 的 な 拘 禁 反 応 とし<br />

て 古 くから 有 名 であるが、 物 理 的 には 拘<br />

禁 されていなかったものの 近 日 の 逮 捕 予<br />

定 が 報 道 されていた 者 がガンゼル 症 候 群<br />

を 呈 して 入 院 となった 事 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 した。 物 理 的 な 拘 禁 環 境 ばかりで<br />

はなく、 将 来 刑 罰 を 科 せられることへの<br />

恐 怖 によってもガンゼル 症 候 群 を 発 症 す<br />

ることはありえるものと 考 えられた。<br />

- 5 -

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