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発達障害者の企業における就労・定着支援の現状と課題に関する基礎的 ...

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調 査 研 究 報 告 書No.101発 達 障 害 者 の 企 業 における就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題 に 関 する基 礎 的 研 究2011 年 3 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター


調 査 研 究 報 告 書No.101発 達 障 害 者 の 企 業 における就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題に 関 する 基 礎 的 研 究2011 年 3 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター


ま え が き障 害 者 職 業 総 合 センターでは、「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」に 基 づき、わが 国 における職 業 リハビリテーション・サービス 機 関 の 中 核 として、 職 業 リハビリテーションに 関 する 調 査 ・ 研 究 をはじめとして、さまざまな 業 務 に 取 り 組 んでいます。この 報 告 書 は、 当 センターの 研 究 部 門 が 実 施 した「 発 達 障 害 者 の 企 業 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状と 課 題 に 関 する 基 礎 的 研 究 」の 結 果 を 取 りまとめたものです。ここでは、コミュニケーションとビジネスマナーに 焦 点 をあて、 特 例 子 会 社 並 びに 一 般 企 業 を 対 象 として 実 施 した 調 査 結 果 に 基 づき、 企 業 における 支 援 や 配 慮 の 現 状 と 課 題 について 検 討 しました。また、ヒアリング 調 査 に 基 づき、 発 達 障 害 者 支 援の 可 能 性 と 課 題 について 検 討 しました。この 研 究 を 進 めるに 際 しては、いろいろな 方 から 多 大 なご 協 力 を 賜 りました。 特 に、 本 研 究 において調 査 にご 協 力 くださった 企 業 のみなさま、 並 びにヒアリング 調 査 にご 協 力 いただきました 特 例 子 会 社 のみなさまに、 深 く 感 謝 申 し 上 げます。この 報 告 書 が 多 くの 関 係 者 の 方 々に 活 用 され、わが 国 における 職 業 リハビリテーションをさらに 前 進させるための 一 助 になれば 幸 いです。2011 年 3 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター研 究 主 幹上 村俊 一


執 筆 担 当 :( 執 筆 順 )望 月 葉 子 障 害 者 職 業 総 合 センター 主 任 研 究 員 概 要 ・ 序 章第 1 部 第 1 章 第 1 節 ・第 2 節 1・ 第 4 節第 2 部 第 1 章 第 1 節 ・ 第 2 節 ・第 4 節 ・ 第 2 章 第 1 節 ・ 第 3 節総 括知 名 青 子 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 員 第 1 部 第 1 章 第 2 節 2・ 第 2 章向 後 礼 子 近 畿 大 学 教 職 教 育 部 講 師 第 1 部 第 1 章 第 3 節第 2 部 第 1 章 第 3 節 ・ 第 2 章 第 2 節謝辞多 くの 方 々のご 協 力 をいただき、 実 態 調 査 とヒアリングを 実 施 することができました。皆 様 に 心 からの 御 礼 を 申 し 上 げます。付記本 研 究 を 進 めるうえでは、 下 記 の 外 部 委 員 ( 敬 称 略 ・アルファベット 順 )の 協 力 を 得 て、 平 成度 に 4 回 、 22 年 度 に 3 回 の 検 討 会 を 開 催 し、 調 査 票 の 設 計 等 の 他 、 企 業 ヒアリングを 企 画 ・ 実 施 した。21年藤 尾 健 二 NPO 法 人 ワークス 未 来 千 葉 障 害 者 就 業 支 援 キャリアセンター センター 長秦 政 特 定 非 営 利 活 動 法 人 障 がい 者 就 業 ・ 雇 用 支 援 センター 理 事 長向 後 礼 子 近 畿 大 学 教 職 教 育 部 講 師松 本 巌 千 葉 県 総 合 教 育 センター 研 究 指 導 主 事 ( 平 成 21 年 度 )千 葉 県 立 我 孫 子 特 別 支 援 学 校 教 諭 ( 平 成 22 年 度 )


目次概 要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1序 章 発 達 障 害 者 の 就 労 ・ 定 着 支 援 に 関 する 検 討 課 題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4第 1 節 これまでの 研 究 の 到 達 点 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4第 2 節 企 業 が 重 視 する 採 用 基 準 からみた 検 討 課 題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6第 3 節 本 研 究 の 課 題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17第 1 部 特 別 な 支 援 を 前 提 とした 就 労 ・ 定 着 支 援 における 発 達 障 害 者 支 援 の 課 題第 1 章 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 21第 1 節 調 査 の 概 要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 21第 2 節 調 査 結 果 : 障 害 者 雇 用 の 現 状 について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 231. 障 害 者 雇 用 の 概 要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 232. 採 用 ・ 配 置 に 関 する 配 慮 と 支 援 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 28第 3 節 調 査 結 果 : 職 場 のルールの 指 導 について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 37第 4 節 まとめ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 53第 2 章第 1 節第 2 節第 3 節第 4 節特 例 子 会 社 における 配 慮 の 現 状 と 課 題―― 企 業 ヒアリングが 示 唆 すること ―― ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 57調 査 の 概 要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 57特 例 子 会 社 における 支 援 体 制 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 59発 達 障 害 のある 従 業 員 における 職 場 適 応 上 の 課 題 と 支 援 の 事 例 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 69まとめ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 80第 2 部第 1 章第 1 節第 2 節第 3 節第 4 節第 2 章第 1 節企 業 の 就 労 ・ 定 着 支 援 における 発 達 障 害 者 支 援 の 課 題企 業 における 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 83調 査 の 概 要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 83調 査 結 果 :コミュニケーションとビジネスマナーについて ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 91調 査 結 果 : 職 場 のルールの 理 解 について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥117調 査 結 果 が 示 唆 すること ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥129発 達 障 害 の 特 性 への 配 慮 の 可 能 性 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥139障 害 特 性 からみた 調 査 結 果 の 検 討 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥139


第 2 節第 3 節職 場 のルールに 対 する 支 援 の 課 題―― 特 例 子 会 社 調 査 と 企 業 調 査 の 結 果 から ―― ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥159まとめ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥172総括‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥175資料‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥185YES プログラム調 査 票


概要発 達 障 害 者 の 就 労 ・ 定 着 支 援 における 課 題 を 明 らかにするためには、 職 場 における 支 援 の 基 本 的 な 考え 方 や 職 場 適 応 のための 支 援 を 具 体 的 に 検 討 することが 必 要 となる。しかし、 一 般 企 業 では 、「 発 達 障 害 について 知 識 や 理 解 がない 」、あるいは「 発 達 障 害 を 開 示 せずに 就労 している 者 について、 企 業 は 把 握 できない」 等 々で、 雇 用 されている 発 達 障 害 者 に 関 する 実 態 把 握 は困 難 な 状 況 がある。 現 実 に、 本 研 究 で 実 施 した 一 般 企 業 対 象 調 査 ( 分 析 対 象 企 業 : 602 社 )では、「 発達 障 害 者 」を 把 握 していた 企 業 は、 障 害 者 雇 用 で 5 社 ( 0.8 %)、 一 般 扱 いの 雇 用 ( 障 害 者 手 帳 を 所 持 していない)では 4 社 ( 0.7 %)であった。本 報 告 書 は 2 部 で 構 成 されている。 第 1 部 では 、「 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」の 結 果 をとりまとめた。ここでは、アンケート 結 果 ( 第 1 章 )とヒアリング( 第 2 章 )に 基 づき、 特 別 な 支 援 を 前 提 とした 就 労 ・ 定 着 支 援 における 発 達 障 害 者 支 援 の 課 題 の 検 討 を 行 った。また、 第2 部 では 、「 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 」の 結 果 をとりまとめた。ここでは、アンケート結 果 の 概 要 ( 第 1 章 )とその 分 析 ( 第 2 章 )に 基 づき、 一 般 企 業 における 職 場 適 応 ・ 定 着 の 課 題 の 検 討を 行 った。 最 後 に、 第 1 部 と 第 2 部 の 結 果 から 総 括 を 行 った。1. 特 例 子 会 社 における 支 援 体 制 について(1) 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 障 害 ( 身 体 障 害 ・ 知 的 障 害 ・ 精 神 障 害 )への 対 応 の 現 状身 体 障 害 者 への 対 応 では 、「 施 設 のバリアフリー 化 」が 最 も 多 く、 次 いで 、「 確 実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示の 出 し 方 )」、「 健 康 管 理 」であった。「 確 実 な 伝 達 」については、 伝 達 手 段 の 工 夫 があげられていた。また、 知 的 障 害 者 への 対 応 では 、「 確 実 な 伝 達 ( 曖 昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」が 最 も 多 く、 次 いで「 指 導 員の 配 置 」、「 作 業 種 や 作 業 速 度 の 限 定 」であった。また、「チームの 編 成 」については、 人 間 関 係 で 衝 突の 多 い 従 業 員 を 別 のチームに 配 置 するなど、 障 害 特 性 に 即 した 対 応 となっていた。さらに、 精 神 障 害 者への 対 応 では 、「 作 業 種 ・ 作 業 速 度 の 限 定 」 が 最 も 多 く 、 次 いで 「 健 康 管 理 」 であった 。「 確 実 な 伝 達 ( 曖昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」と「 周 囲 の 配 慮 ・ 指 導 員 の 配 置 」では、 知 的 障 害 者 への 対 応 と 共 通 した 問 題が 指 摘 されていた。障 害 種 別 によって 多 少 の 相 違 点 はあるものの、 雇 用 管 理 のノウハウは 基 本 的 な 考 え 方 において 共 通 していた。 具 体 的 には、 障 害 者 を 安 定 的 に 雇 用 するための 方 策 ( 職 務 選 択 ・ 設 計 、 採 用 、グループ 編 成 、トラブル 防 止 、 研 修 ・ 指 導 体 制 等 )の 確 立 のもと、 就 労 可 能 な 業 務 が 安 定 して 確 保 され、 外 部 支 援 機 関との 連 携 や 経 営 者 はもとより 職 場 の 十 分 な 理 解 と 支 援 体 制 が 構 築 されていた。(2) 企 業 における「 考 え 方 」が 異 なるルールについて就 労 支 援 に 際 しては、 円 滑 な 職 務 遂 行 や 対 人 関 係 を 維 持 するために、 職 場 に 存 在 するさまざまなルー-1-


ルを 具 体 的 な 指 導 の 対 象 とすることが 求 められる。このために、 職 場 において 適 切 とされる 行 動 や 考 え方 について、 基 本 的 な 場 面 (11 場 面 )を 設 定 し、 各 場 面 において 望 ましいと 考 える 企 業 の 考 え 方 について 尋 ねた 。 企 業 の 見 解 を 検 討 した 結 果 からは 、 考 え 方 は 企 業 によって 必 ずしも 一 致 しないこと、 しかし、障 害 特 性 への 対 応 を 前 提 としていることが 明 らかとなった。(3) 発 達 障 害 への 対 応 の 現 状105 社 のうち、 手 帳 の 種 別 とは 別 に 発 達 障 害 を 把 握 している 企 業 は 39 社 ( 37% )であった。 発 達 障 害については 圧 倒 的 に 自 閉 症 圏 の 障 害 ( 広 汎 性 発 達 障 害 ・ 自 閉 症 ・ 高 機 能 自 閉 症 ・アスペルガー 症 候 群 )が 多 く、 学 習 障 害 や 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 は 少 なかった。また、 療 育 手 帳 による 雇 用 が181 人 であるのに対 し、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 による 雇 用 は22人 であり、 知 的 障 害 としての 雇 用 が 多 い 現 状 がある。発 達 障 害 があることを 把 握 した 従 業 員 に 対 しては、 個 別 ・ 具 体 的 な 対 応 が 成 されており、 特 性 の 把 握により、 知 的 障 害 者 や 精 神 障 害 者 への 雇 用 経 験 を 通 して 蓄 積 されたノウハウに 基 づき、 職 場 適 応 支 援 が行 われていた。2. 一 般 企 業 対 象 調 査 における 若 者 の 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題……コミュニケーションとビジネスマナー 等 に 関 する 考 え 方 ……(1) 企 業 が 求 める 要 件 について職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」を 構 成 する 内 容 について、 標 準 化 された妥 当 な 領 域 や 項 目 が 設 定 されているわけではない。このため、 若 年 者 の 就 職 に 際 して 必 要 となる「 若 年者 就 職 基 礎 能 力 」 の 習 得 により 採 用 可 能 性 を 高 めるための 事 業 ( Youth Employability Support-Program: YES プログラム)において 定 義 された 内 容 のうち 、「コミュニケーション 能 力 」「 職 業 人 意 識 」「ビジネスマナー」の 評 価 項 目 を 具 体 的 な 行 動 レベルで 再 構 成 し、 本 研 究 において 調 査 する 領 域 と 項 目 を 選 定した(コミュニケーションについては 7 領 域 31 項 目 、ビジネスマナー 等 については 5 領 域 28 項 目 )。コミュニケーションやビジネスマナー 等 の 領 域 ・ 項 目 に 関 し、 企 業 が 若 者 の 新 規 採 用 に 際 して 重 視 する 水 準 や 達 成 を 期 待 する 時 期 についての 回 答 を 求 めたものであるが 、「 重 視 しない」とされた 領 域 ・ 項目 は 見 出 されなかった。したがって、 発 達 障 害 があっても 開 示 せずに“ 一 般 扱 い”で 採 用 され、 初 任 者研 修 や OJT・Off-JTの 期 間 を 経 て 適 応 ・ 定 着 の 見 通 しを 持 つことができるかどうかについては、 重 視 する 水 準 と 期 待 される 達 成 時 期 によって「 職 業 準 備 の 視 点 から 優 先 性 が 高 い」とされた 項 目 の 検 討 が 必 要である。(2) 企 業 における「 考 え 方 」が 異 なるルールについて職 場 において 適 切 とされる 行 動 や 考 え 方 について 基 本 的 な 場 面 (11 場 面 )を 設 定 し、 特 例 子 会 社 対 象調 査 と 同 形 式 で 考 え 方 に 対 する 見 解 を 求 めた。 企 業 の 見 解 を 検 討 した 結 果 からは、 考 え 方 が 企 業 によっ-2-


て 異 なる 場 面 があること、 職 種 によっても 異 なる 場 面 があること、 言 い 換 えると、 暗 黙 のルールであるかどうかを 確 認 したうえで 対 処 方 法 を 検 討 する 必 要 があること、こうした 場 面 が 必 ずしも 企 業 内 での 研修 等 において 位 置 づけられているわけではないこと、が 明 らかとなった。その 他 に、 新 規 採 用 かどうかによっても 考 え 方 が 異 なる 場 合 があることについての 指 摘 があった。(3) 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、ルールを 行 動 化 するための 支 援 が 重 要 であるが、 場 面 によって 企業 と 特 例 子 会 社 のルールに 関 する 期 待 ( 理 解 と 対 応 )に 違 いがあることが 明 らかとなった。こうした 違いは、 主 として、 障 害 特 性 への 対 応 を 前 提 としていることによっていた。一 般 企 業 において 障 害 が 開 示 された 場 合 に 同 様 の 対 応 を 期 待 できるのか、また、そのためにはどのような 人 的 ・ 物 理 的 環 境 が 用 意 される 必 要 があるのかなどについては、 検 討 課 題 として 残 された。また、 障 害 を 非 開 示 とした 場 合 には、 企 業 が 期 待 する 行 動 を 前 提 としており、それらの 課 題 にどの 程度 応 えられるのかが、 職 場 適 応 を 左 右 する 要 因 となることが 予 想 される。ルールを 適 切 に 行 動 化 できていない 従 業 員 に 対 する 対 応 の 違 いもまた、 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 によって 異 なっており、 期 待 できる 支 援の 範 囲 の 違 いとして 捉 えることが、 発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 において 重 要 であるといえる。3. 総 括2つの 調 査 は、 雇 用 管 理 のノウハウの 伝 達 の 重 要 性 や 可 能 性 もさることながら、 障 害 特 性 に 即 した 支援 を 実 施 する「 人 的 体 制 」と 職 業 能 力 向 上 のための「 研 修 」のそれぞれについて、 質 的 並 びに 量 的 な 問題 へのアプローチが 重 要 であることを 指 摘 していた。特 例 子 会 社 の 支 援 においては、 日 常 的 な 対 応 や 適 時 に 行 われるカウンセリングと、それに 従 事 する 従業 員 の 資 質 を 確 保 する 支 援 体 制 が 重 要 であることが 示 された 。 企 業 が 障 害 者 雇 用 の 促 進 を 図 る 場 合 には、特 性 に 配 慮 した 仕 事 の 確 保 や 職 場 環 境 の 整 備 、 障 害 者 の 職 業 能 力 開 発 や 定 着 のための 支 援 体 制 整 備 、 障害 者 の 受 け 入 れのための 設 備 投 資 の 集 中 化 、 労 働 条 件 や 雇 用 管 理 の 弾 力 化 、 専 任 の 指 導 員 の 配 置 等 々が検 討 すべき 課 題 となる。発 達 障 害 者 が 一 般 企 業 で 適 応 ・ 定 着 するために、1 企 業 において「できる 仕 事 」に 配 置 され、 担 当業 務 や 作 業 工 程 が 特 性 を 考 慮 されること、2 障 害 特 性 に 対 する 個 別 ・ 具 体 的 な 支 援 が 行 われること、3 支 援 機 関 等 から 支 援 があること、などの 要 件 が 示 唆 された。ただし、 障 害 者 手 帳 を 取 得 していない者 については、 必 ずしも 障 害 者 雇 用 における 雇 用 管 理 や 配 慮 の 経 験 が 活 用 されるとは 限 らない。 当 事 者が 障 害 に 気 づいていない 場 合 だけでなく、 気 づいてはいても 障 害 を 受 け 入 れていない 等 の 理 由 で 障 害 開示 をしない 場 合 には、 周 囲 の 理 解 や 配 慮 のための 調 整 は 成 立 し 難 い 可 能 性 が 高 い。一 方 、 障 害 を 開 示 せずに“ 一 般 扱 いの 雇 用 ”を 希 望 する 発 達 障 害 者 の 支 援 に 際 しては、1 企 業 の 対応 の 可 能 性 と 範 囲 、2 就 業 前 支 援 の 可 能 性 と 効 果 、3 ルールの 明 示 化 、 等 についての 検 討 が 必 要 であることが 示 された。-3-


序 章発 達 障 害 者 の 就 労 ・ 定 着 支 援 に 関 する 検 討 課 題第 1 節これまでの 研 究 の 到 達 点障 害 者 職 業 総 合 センターにおけるこれまでの 発 達 障 害 関 係 の 一 連 の 研 究 では、 発 達 障 害 者 の 障 害 特 性( 社 会 性 ・コミュニケーション・こだわりの 問 題 )が 就 労 の 実 現 や 定 着 を 左 右 する 要 因 となっていること、 障 害 者 雇 用 による 就 労 継 続 事 例 においては 企 業 が 職 場 適 応 のための 配 慮 を 行 い、このような 障 害 特性 に 具 体 的 に 対 応 していること、を 明 らかにしてきた。1. 就 労 の 実 現 のための 視 点発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 にあたっては 、 特 定 の 作 業 における 作 業 遂 行 力 の 向 上 のための 評 価 だけでなく、円 滑 な 職 務 遂 行 や 対 人 関 係 を 維 持 するために 職 場 のルールの 学 習 を 支 援 することが 重 要 となる。また、就 業 規 則 等 には 明 文 化 されていないが、 多 くの 人 がそのルールに 従 って 行 動 することを 前 提 とする 暗 黙のルールに 関 しても、 具 体 的 な 指 導 の 対 象 とすることが 求 められる。 特 に 、「 学 校 から 職 業 へ」あるいは「 福 祉 から 雇 用 へ」と 場 面 が 変 わることによって、 新 たに 獲 得 することが 必 要 とされるルールについて、これらのルールをどのように 学 習 していくのか、という 課 題 は 就 労 支 援 において 重 要 である。特 に、 通 常 教 育 を 卒 業 した 発 達 障 害 者 の 場 合 、 職 場 の 規 則 や 暗 黙 のルールに 関 して、 学 習 した 経 験 が少 ない。 加 えて、なぜ、そのような 規 則 やルールがあるのか、それらを 破 るとどのような 事 態 が 生 じるのか、について、その 理 由 を 明 確 に 理 解 していないことも 少 なくない。これらは、 職 場 適 応 を 困 難 とする 背 景 要 因 の1つといえる。こうした 発 達 障 害 者 の 職 業 上 の 課 題 への 対 応 については、 職 場 の 基 本 的 なルールに 関 する 知 識 ・ 理 解 の 獲 得 並 びに 行 動 化 ( 獲 得 された 知 識 の 適 切 な 利 用 )が 重 要 である( 障 害 者職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №83, 2008) 。「 軽 度 発 達 障 害 者 のための 就 労 支 援 プログラムに 関 する 研 究 ……ワーク・チャレンジ・プログラム)( 試 案 )の 開 発 ……」( 調 査 研 究 報 告 書 №83) では 、「 職 場 における 最 も 基 本 的 なルールのうちのいく注 ) 「 軽 度 発 達 障 害 」という 用 語 については、 通 常 教 育 に 在 籍 する 特 別 な 教 育 的 支 援 を 要 する 者 並 びに 福 祉 施 策 の 狭 間 に 存 在 する者 への 支 援 を 検 討 する 中 、 発 達 障 害 者 支 援 法 の 対 象 を 想 定 して 使 われてきた。 現 実 には 、「 小 児 保 健 の 視 点 では 注 意 欠 陥 多 動 性障 害 、 学 習 障 害 、 高 機 能 広 汎 性 発 達 障 害 、 軽 度 精 神 遅 滞 の4つを 軽 度 発 達 障 害 と 定 義 することとした 」( 厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 ・児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課 ,「 軽 度 発 達 障 害 児 に 対 する 気 づきと 支 援 マニュアル」 2007.1. )など、 使 用 に 際 しては 定 義 を 必 要 とする 一 方 で 、「その 意 味 と 範 囲 が 必 ずしも 明 確 でない 等 の 理 由 から、 今 後 当 課 ( 筆 者 注 : 文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 特 別 支 援 教 育課 )においては 原 則 として 使 用 しない 」( 文 部 科 学 省 ,「 発 達 障 害 の 用 語 使 用 について 」,2009.3.15. )との 判 断 もあった。 文 科省 の 判 断 の 背 景 には、 学 校 教 育 法 の 一 部 を 改 正 ( 文 部 科 学 省 , 2007.6.27)し、 従 来 の 特 殊 教 育 を 特 別 支 援 教 育 に 改 めることとし、 特 別 支 援 教 育 の 対 象 を 通 常 教 育 のみならず 特 殊 教 育 を 含 む 範 囲 に 拡 大 したことにより、 知 的 障 害 等 についても 特 別 支 援 教育 の 対 象 と 位 置 づけたことと 関 連 している。調 査 研 究 報 告 書 №83 でいう「 軽 度 発 達 障 害 」は「 知 的 障 害 を 伴 わない 発 達 障 害 並 びに 軽 度 知 的 障 害 を 伴 う 発 達 障 害 」をさしており 、「 軽 度 」については 支 援 の 程 度 を 示 すものではない。-4-


つかをとりあげ、 明 文 化 した 上 で、それらのルールを 学 習 するための 教 材 を 用 い、 併 せて、 発 達 障 害 者が 誤 った 理 解 をしている 背 景 にはどのような 考 えがあるのかなどについての 検 討 が 可 能 なプログラム」として、ワーク・チャレンジ・プログラム( 試 案 )を 提 案 した。プログラムでは、 職 場 において 必 要 とされる 基 本 的 なルールに 関 する 評 価 を 行 った 後 、それぞれの 場 面 についての 学 習 を 行 った。プログラムで 学 習 対 象 としたルールについては、すでに 獲 得 された 既 知 の 知 識 を 多 く 含 むこと、しかし、 場 面 に 適切 な 行 動 を 選 択 できるわけではないこと、すなわち、 知 識 としてルールを「 知 っていること」と「できること(ルールに 従 って 行 動 する )」が 必 ずしも 一 致 しないことを 明 らかにした。 加 えて、 一 般 的 ではない 独 自 のルールを 持 っていても 顕 在 化 していない 場 合 もあり、ルールに 関 する 知 識 と 行 動 化 のための学 習 場 面 が 必 要 であること、そのためには、 職 場 において 適 切 とされる 行 動 や 考 え 方 について 企 業 を 対象 とした 実 態 調 査 が 急 務 であること、あわせて、 企 業 内 での 研 修 等 でどのような 対 応 が 成 されているのかについての 把 握 が 必 要 であること、を 明 らかにした。2. 就 労 の 継 続 のための 視 点発 達 障 害 のある 者 に 限 らず、 安 定 した 職 業 生 活 を 継 続 するためには、 担 当 する 作 業 において 求 められる 水 準 で 遂 行 できることに 加 えて、 企 業 文 化 に 適 応 することが 求 められる。このため、 発 達 障 害 に 起 因する 行 動 上 の 問 題 が 作 業 遂 行 面 に 現 れる 場 合 、 そうした 問 題 について 解 消 の 目 処 が 立 つのか、 あるいは、障 害 特 性 に 即 して 職 場 適 応 ・ 定 着 までの 配 慮 を 確 保 できるのか、が 重 要 となる。発 達 障 害 の 特 性 から、 特 に、 職 場 での 基 本 的 な 行 動 様 式 の 理 解 や 学 習 については、 企 業 内 で 用 意 されている 一 般 研 修 やOJT 等 だけでは 十 分 な 習 得 が 見 込 めない 可 能 性 があり 、「 職 場 のルールの 理 解 と 行 動化 」「コミュニケ-ションの 課 題 改 善 」「 対 人 態 度 の 課 題 改 善 」 等 の 対 応 が 支 援 の 課 題 として 重 視 されていることが 指 摘 されている( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №88, 2009) 。また 、「 発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究 」( 調 査 研 究 報 告 書 №88)の 事 例 研 究 では、 初 職継 続 の 事 例 に 共 通 する 点 として 、 特 性 を 勘 案 し、「 できる 仕 事 」 を 選 択 していることがあげられている。そのうえで、 早 期 診 断 、 障 害 者 雇 用 に 関 する 情 報 提 供 、 職 業 準 備 教 育 、 本 人 の 意 思 決 定 支 援 、 企 業 の 的確 な 障 害 理 解 などの 重 要 性 が 示 された。 一 方 、 仕 事 を 継 続 できなかった 事 例 では、 採 用 後 の 研 修 もしくは 職 場 での 経 験 を 通 して、 職 場 における 望 ましい 作 業 遂 行 並 びに 職 場 で 求 められる 行 動 を 身 につけることに 困 難 があった。そして、 職 場 での 失 敗 や 挫 折 が 大 きな 衝 撃 となり、 場 合 によっては 精 神 的 不 安 定 を引 き 起 こすことにつながっていた。 離 職 の 理 由 には 、「 仕 事 が 覚 えられない 」「 職 場 の 労 働 条 件 や 役 割 に対 応 できない 」「 指 示 が 入 らない 」「 指 示 に 違 反 した 」「 不 適 切 な 問 題 行 動 」 等 、いずれも 作 業 遂 行 上 の問 題 を 指 摘 されていた。また、 特 性 理 解 を 踏 まえた 仕 事 の 選 択 が 行 われていなかった 点 、 並 びに、 職 場不 適 応 の 衝 撃 が 大 きかった 点 で 共 通 していた。雇 用 の 安 定 のためには、 作 業 遂 行 上 の 問 題 が 解 消 されること、 障 害 特 性 に 即 して 適 職 選 択 の 基 準 を 明らかにして 方 針 転 換 をはかること、 支 援 を 利 用 して 適 応 ・ 定 着 までの 配 慮 を 確 保 することなどが 求 められる。しかし、 学 校 教 育 を 卒 業 後 、まずは 障 害 を 開 示 せずに 一 般 扱 いの 求 職 活 動 を 試 みる 場 合 、 受 け 入-5-


れ 側 の 企 業 における 採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 等 での 対 応 について、また、 問 題 となる「 職 場 のルールの 理 解 と行 動 化 」「コミュニケ-ションの 課 題 改 善 」「 対 人 態 度 の 課 題 改 善 」 等 の 問 題 への 対 応 や 考 え 方 についての 把 握 が 必 要 となる。 そのうえで 、 企 業 内 の 配 慮 の 可 能 性 や 妥 当 性 についての 検 討 が 必 要 となるのだが、いずれも 残 された 検 討 課 題 である。第 2 節企 業 が 重 視 する 採 用 基 準 からみた 検 討 課 題障 害 特 性 に 応 じた「 合 理 的 」 配 慮 を 求 めるうえでは、まず、 障 害 の 開 示 が 前 提 となる。そのうえで、人 間 関 係 を 含 めた 環 境 の 調 整 をしていくことになる。 障 害 者 手 帳 を 取 得 して 雇 用 される 場 合 、その 障 害者 手 帳 に 該 当 する 困 難 に 関 しては、 雇 用 管 理 のノウハウや 配 慮 のための 調 整 について、これまでに 一 定の 経 験 の 蓄 積 がある。したがって、この 場 合 は、 発 達 障 害 の 理 解 や 特 性 に 応 じた 配 慮 の 内 容 が 調 整 の 中心 的 な 課 題 となる。 一 方 、 障 害 者 手 帳 を 取 得 していない 場 合 、 必 ずしも 障 害 者 雇 用 における 雇 用 管 理 や配 慮 の 経 験 が 活 用 されるとは 限 らない。こうした 状 況 において 発 達 障 害 を 開 示 することについては、 発達 障 害 を 理 解 することのみならず、 配 慮 することそれ 自 体 にも 調 整 が 必 要 となる 場 合 、 調 整 の 成 否 は 不確 実 性 が 高 いといえる。 言 うまでもないが、 障 害 に 気 づいていない 場 合 だけでなく、 気 づいてはいても障 害 を 受 け 入 れていない 等 で 障 害 開 示 をしない 場 合 には、 周 囲 の 理 解 や 配 慮 のための 調 整 は 成 立 し 難 いことになる。どのような 配 慮 が 必 要 なのかを 検 討 する 際 には、 発 達 障 害 の 現 れ 方 が 極 めて 多 様 であること、また、仕 事 の 種 類 や 職 場 の 環 境 によって 大 きく 異 なること、 障 害 者 手 帳 取 得 の 有 無 によっても 異 なること 等 を踏 まえておく 必 要 がある。 加 えて、 合 理 的 かつ 妥 当 な 配 慮 が 成 立 する 条 件 に 関 する 検 討 が 必 要 となる。しかし、 雇 用 関 係 の 中 で 配 慮 の 範 囲 や 内 容 、 配 慮 が 成 立 する 条 件 について、 検 討 の 蓄 積 が 十 分 であるとは 言 い 難 い 状 況 がある。 一 方 で、 障 害 を 開 示 せずに 一 般 扱 いの 雇 用 関 係 に 入 る 場 合 や 障 害 に 気 づかずに職 場 不 適 応 を 発 生 させる、もしくはメンタルヘルス 不 全 により 休 職 に 至 るなどの 場 合 もある。こうした問 題 を 検 討 する 上 では、まずは、 企 業 が 採 用 に 際 して 求 める 要 件 の 検 討 を 欠 くことができない。1. 若 者 に 期 待 される 要 件……コミュニケーション 能 力 とビジネスマナーへの 着 目 ……企 業 が 新 卒 採 用 に 際 して 重 視 すること、 学 生 が 行 う 就 職 活 動 に 対 して 求 めること、 若 者 の 採 用 可 能 性を 高 めるための 就 職 能 力 向 上 について 企 業 が 重 視 すること 等 、 就 職 のための 支 援 の 課 題 を 把 握 するための 調 査 は 数 多 く 行 われている。こうした 調 査 はそれぞれの 調 査 毎 に 対 象 も 内 容 も 様 々であるが、 現 代 の我 が 国 において 若 者 に 期 待 される 要 件 について、 共 通 した 結 果 を 示 している。 以 下 ではその 調 査 結 果 を概 観 しておく。-6-


(1) 新 卒 採 用 で 重 視 すること企 業 における 大 学 等 新 卒 者 の 採 用 活 動 の 経 過 と 最 新 の 動 向 に 関 しては、 日 本 経 済 団 体 連 合 会 が1997年 度 より 各 年3 月 卒 業 者 に 関 して 実 施 しているアンケート 調 査 結 果 に 明 らかである。2009 年 度 ( 2010 年 3 月 卒 業 ) の 調 査 は 日 本 経 済 団 体 連 合 会 企 業 会 員 1,283 社 を 対 象 として 実 施 され、425 社 ( 回 答 率 33.1 %)からの 回 答 として 報 告 された( 日 本 経 済 団 体 連 合 会 , 2010) 。 回 答 企 業 の 従 業員 規 模 については、 1000 人 以 上 が 70.8 %、 1000 人 未 満 が 28.0 %であった。なお、 2010 年 卒 採 用 の 実 施 企 業 割 合 は 91.1 %と 昨 年 度 より 4.7 ポイント 減 少 し、 調 査 開 始 以 来 、 初の2 年 連 続 減 となった。なお 、「 実 施 しない」と 回 答 した 企 業 のうち、 昨 年 度 は 新 卒 採 用 を 実 施 していた 企 業 は52.8 %であった。新 卒 採 用 市 場 に 関 する 設 問 では、 2004 年 度 調 査 ( 2005 年 卒 )から 5 年 間 続 いていた「 売 り 手 市 場 」評 価 が 逆 転 し、 64.1 %の 企 業 が「 買 い 手 市 場 」であったと 回 答 した。 企 業 が 選 考 にあたって 重 視 した 点について、 図 1 に 上 位 6 位 までの 要 件 に 関 する 年 次 推 移 を、また、 図 2 には 25 要 件 の 全 てについて 前年 との 比 較 を 示 した。90 % コミュニケーション 能 力8075.0 75.181.779.576.681.67068.3主 体 性60504050.360.358.860.650.948.438.932.9協 調 性チャレンジ 精 神誠 実 性責 任 感3002001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 年 卒資 料 : 日 本 経 団 連 「 新 卒 採 用 に 関 するアンケート 調 査 」( 当 該 設 問 は2000 年 度 (01 年 卒 採 用 )から 調 査 開 始 )※ 選 考 にあたって 特 に 重 視 した 点 を25 項 目 より5つ 回 答 。 全 回 答 企 業 のうち、その 項 目 を 選 択 した 割 合 を 示 している。図 1採 用 時 に 重 視 する 要 件 の 年 次 推 移企 業 が 選 考 にあたって 重 視 した 点 を 25 項 目 から 5 つ 回 答 する 設 問 では 、「コミュニケーション 能 力 」が7 年 連 続 で 第 1 位 となり、 2004 年 以 降 、 他 を 大 きく 引 き 離 して 1 位 を 維 持 している。また 、「コミュニケーション 能 力 」を 選 択 した 企 業 割 合 は 81.6 %と 昨 年 度 より 5 ポイント 上 昇 した。上 位 5 位 までの 項 目 は 例 年 同 様 であったが 、 順 位 では 「 主 体 性 」 が 2008 年 度 第 2 位 の 「 協 調 性 」 に 10.3-7-


ポイントの 差 をつけて 逆 転 した。また 、「 専 門 性 」が 昨 年 と 比 べ 8.9 ポイント 上 昇 し 14 位 から 9 位 へ 浮上 、「 一 般 常 識 」 も 6.6 ポイント 上 昇 した ( 図 2 の 数 字 は 2010 年 3 月 卒 )。 2009 年 度 の 傾 向 としては 、「 主体 性 」「 専 門 性 」「 一 般 常 識 」の 注 目 度 が 高 まっているといえる。コミュニケーション 能 力主 体 性協 調 性チャレンジ 精 神誠 実 性責 任 感潜 在 的 可 能 性論 理 性専 門 性職 業 観 ・ 就 労 意 識リーダーシップ柔 軟 性創 造 性信 頼 性一 般 常 識学 業 成 績倫 理 観出 身 校語 学 力感 受 性所 属 ゼミ・ 研 究 室クラブ 活 動 ・ボランティア 活 動 歴保 有 資 格インターンシップ 受 講 歴4.13.92.01.00.80.80.50.05.425.621.219.216.616.315.814.513.713.538.932.950.948.460.681.62010.3 年 卒 3 月 卒2009.3 年 卒 3 月 卒0 10 20 30 40 50 60 70 80 90%図 2 採 用 時 に 重 視 する 要 件 (2010 年 3 月 卒 と2009 年 3 月 卒 の 比 較 )(2) 就 職 活 動 に 求 めること企 業 における 人 材 採 用 ・ 育 成 に 関 する 考 え 方 を 把 握 したうえで、 学 校 や 本 人 の 就 職 支 援 に 活 用 するために 提 供 された 基 礎 情 報 としては、 矢 野 経 済 研 究 所 が 実 施 したアンケート 調 査 結 果 が 参 考 となる。2009 年 度 新 人 採 用 に 関 する 意 識 調 査 は 全 国 の 上 場 企 業 4,240 社 を 対 象 として 実 施 され、 145 社 ( 回 答率 3.4 %) からの 回 答 として 報 告 された ( 矢 野 経 済 研 究 所 , 2009)。 回 答 企 業 の 従 業 員 規 模 については、1000人 以 上 が 42.0 %、 300 ~ 999 人 が 30.0 %、 300 人 未 満 が 28.0 %であった。 日 本 経 団 連 の 上 記 調 査 に 比べると、 分 析 対 象 企 業 の 数 は 少 ないが、 従 業 員 規 模 においては 1000 人 未 満 の 規 模 が 58.0 %を 占 めており、より 規 模 の 多 様 性 を 反 映 しているとみることができる。この 調 査 では、 2009年 卒 採 用 の 実 施 企 業割 合 は図90.0 %であった。3 に「 入 社 する 学 生 として 備 えておいてほしい 点 ・ 求 められる 点 」( 複 数 回 答 ) 並 びに「 就 職 活 動中 の 学 生 に 足 りないもの 」( 複 数 回 答 )について 示 す。なお 、「 求 める 点 ・ 備 えておく 点 」について 選 択-8-


した 企 業 の 多 い 順 に 並 べ 替 えを 行 った。46.5コミュニケーション 力63.450.7積 極 性 ・ 意 欲51.0社 会 人 としてのマナー52.129.7素 直 さ6.322.0ストレス 耐 性21.648.6基 礎 学 力 ・ 知 識26.418.121.4責 任 感19.313.2明 るさ17.917.4適 応 力 ・ 柔 軟 性17.9旺 盛 な 好 奇 心29.217.2自 立 心34.715.2問 題 発 見 力27.113.8言 葉 遣 い27.16.913.1体 力9.0思 考 力16.79.0革 新 性20.11.47.6真 面 目 さ6.9フットワークの 軽 さ12.56.2専 門 知 識8.34.8業 界 の 知 識19.44.8語 学 力7.64.1仕 事 に 対 する 知 識14.6就 職 活 動 中 の 学 生 に 足 りないもの1.43.4(N=144)従 順 性2.1入 社 する 学 生 として 備 えておいてほ集 中 力11.11.4ほしい 点 点 ・ 求 ・ 求 められる 点 点 (N=145)慎 重 さ0.00.0包 容 力4.20.0その 他4.20.70 10 20 30 40 50 60 70 80 90%%図 3学 生 に 求 める 点 ・ 就 職 活 動 で 不 足 している 点( 矢 野 経 済 研 究 所 ,2009より 作 成 )求 める 点 の 第 1 位 は 、「コミュニケーション 力 」で 63.4 %を 占 めた。 次 いで「 積 極 性 ・ 意 欲 」「 社 会人 としてのマナー 」「 素 直 さ 」「ストレス 耐 性 」「 基 礎 学 力 」であった。 一 方 、 就 職 活 動 中 の 学 生 に 足 りないものの 第 1 位 は「 社 会 人 としてのマナー」で 52.1 %を 占 めた。 次 いで 、「 積 極 性 ・ 意 欲 」「ストレス 耐 性 」「コミュニケーション 力 」「 自 立 心 」であった。 就 職 活 動 中 の 学 生 に 不 足 しているものとしてあげられた 各 要 件 の 水 準 は、 多 くの 要 件 で 入 社 のために 求 める 点 の 水 準 を 上 回 っている 中 で 、「コミュニケーション 力 」は 圧 倒 的 に 高 い 水 準 を 示 している。(3) 企 業 が 求 める 人 材 に 応 える 就 職 支 援 の 課 題若 年 者 の 就 職 能 力 に 関 する 実 態 調 査 は 、 若 年 者 就 職 能 力 支 援 事 業 ( 厚 生 労 働 省 能 力 開 発 局 能 力 評 価 課 ,2009)の 開 発 を 目 的 とし、 2003 年 に 無 作 為 に 抽 出 した 11,255 社 を 対 象 として 実 施 され、 1,472 社 ( 回答 率 13.1 %) からの 回 答 として 報 告 された ( 厚 生 労 働 省 , 2004)。 回 答 企 業 の 従 業 員 規 模 については、300人 以 上 が 28.7 %、 100 ~ 299 人 が 36.5 %、 99 人 以 下 が 34.8 %であった。 ただし 、 該 当 の 職 種 を 限 定 し、事 務 系 ・ 営 業 系 職 種 の 採 用 に 際 して 重 視 している 能 力 を 把 握 するものである。-9-


図 4 に、 企 業 が 若 年 者 に 対 して 求 めている 能 力 を 示 す。重 視 する 能 力 の 第 1 位 は 、「コミュニケーション 能 力 」で 85.7 %を 占 めた。 次 いで「 基 礎 学 力 」「 責任 感 」「 積 極 性 ・ 外 向 性 」「 資 格 取 得 」「 行 動 力 ・ 実 行 力 」「ビジネスマナー」の 順 で 半 数 を 越 えていた。ここでも「コミュニケーション 能 力 」は 圧 倒 的 に 高 い 水 準 を 示 している。なお、 重 視 される 能 力 に 関 して 企 業 が 若 年 者 に 感 じる 習 熟 実 感 (「 満 足 」/「 不 満 」)については、 全ての 項 目 で「 不 満 」が「 満 足 」を 上 回 り、とりわけ 半 数 以 上 が 重 視 する 項 目 についてみると 、「 不 満 」が 大 きい 順 に「 資 格 取 得 」「ビジネスマナー」「コミュニケーション 能 力 」「 行 動 力 ・ 実 行 力 」「 積 極 性 ・外 向 性 」「 責 任 感 」「 基 礎 学 力 」となっていた。コミュニケーション 能 力基 礎 学 力責 任 感積 極 性 ・ 外 向 性資 格 取 得行 動 力 ・ 実 行 力ビジネスマナー向 上 心 ・ 探 求 心プレゼンテーション 能 力職 業 意 識 ・ 勤 労 観柔 軟 性 ・ 環 境 適 応 力専 攻 した 専 門 的 知 識体 力ストレス 耐 性問 題 発 見 力クラブ・サークル 活 動情 報 収 集 力アルバイト 体 験ボランティア 等 社 会 活 動その 他3.82.233.832.328.323.621.919.814.810.09.342.240.264.359.556.354.851.770.885.70 10 20 30 40 50 60 70 80 90%図 4事 務 系 ・ 営 業 系 職 種 において 採 用 時 に 重 視 する 能 力さらに 、「コミュニケーション 能 力 」「 職 業 人 意 識 」「 基 礎 学 力 」「ビジネスマナー」「 資 格 取 得 」を 若年 者 が 就 職 に 際 して 必 要 となる「 若 年 者 就 職 基 礎 能 力 」と 定 義 し、 訓 練 によって 向 上 可 能 であると 位 置づけた。こうした 能 力 の 習 得 により 採 用 可 能 性 を 高 めるための 事 業 (Youth EmployabilitySupport-Program: YES プログラム)において 定 義 された 領 域 ( 資 格 取 得 を 除 く)を 表 1に 示 す。なお、 こうした 領 域 の 細 目 は 調 査 結 果 に 基 づいて 支 援 事 業 を 開 発 する 過 程 で 定 義 されたものである ( 詳細 については 巻 末 資 料 を 参 照 )。-10-


表 1YESプログラムの 対 象 となる 領 域 と 細 目コミュニケーション 能 力傾 聴 する 姿 勢 / 双 方 向 の 円 滑 なコミュニケーション/ 意 見 集 約 /情 報 伝 達 / 意 見 の 主 張 / 相 手 の 尊 重 / 組 織 ・ 人 間 関 係 /明 確 な 説 明 / 図 表 を 用 いた 表 現職 業 人 意 識社 会 人 ・ 職 業 人 としての 社 会 的 役 割 と 責 任 / 組 織 秩 序 の 維 持 /主 体 性 / 達 成 志 向 / 目 標 設 定 / 職 業 観 ・プロ 意 識基 礎 学 力 ( 読 み 書 き)ビジネス 文 書 の 作 成 /ビジネス 文 書 の 読 解基 礎 学 力 ( 計 算 ・ 計 数 ・ 数 学 的 思 考 力 )計 算 ・ 数 学 的 思 考 力基 礎 学 力 ( 社 会 人 常 識 )社 会 人 として 必 要 な 知 識ビジネスマナー挨 拶 と 話 し 方 / 電 話 のマナー/ 訪 問 の 方 法 / 来 客 の 対 応 /話 し 方 の 基 本 ( 言 葉 遣 い/ 話 の 聴 き 方 / 指 示 の 受 け 方 )(4) 若 者 に 求 める 要 件 をめぐる 背 景二 村 ( 2004)は、 企 業 を 取 り 巻 く 経 営 環 境 の 変 化 に 伴 って、 企 業 が 求 める 人 材 の 特 性 も 変 化 してきたことについて 、「 従 来 は 仕 事 の 目 標 がはっきりしており、 上 司 から 与 えられた 課 題 にまっしぐらに 突 き進 むことが 求 められていた」 が 、「 最 近 は 目 標 が 多 様 な 価 値 を 同 時 に 追 求 するバランスの 上 に 設 定 され、あいまいで 複 雑 なことが 多 い」と 指 摘 する。そして、 新 入 社 員 など 若 手 社 員 の 職 務 ・ 職 場 環 境 の 変 化 を整 理 したものとして、 表 2を 示 している。二 村 ( 前 掲 , 2004)は、 新 入 社 員 に 求 められる 要 素 として、1 意 欲 ・パワー、2 知 的 能 力 ・スキル、3 自 律 ・ 自 己 動 機 づけ、4 協 働 ・コミュニケーション 能 力 の4 点 をあげるが、 特 にコミュニケーションについては、 経 営 環 境 の 変 化 にあわせて 求 められる 実 践 的 な 行 動 能 力 への 期 待 であり、 課 題 解 決 の 原 点であると 位 置 づける。表 2若 手 社 員 の 職 場 環 境 の 変 化従 来現 在仕 事 の 目 標 明 解 ・シンプル 複 雑 ・ 多 様 ・あいまい仕 事 の 進 め 方 マニュアルに 沿 って 頑 張 る 知 恵 や 専 門 性 で 頑 張 る指 導 のされ 方 先 輩 ・ 上 司 の 密 着 指 導 自 身 の 学 習 が 必 須評 価 の 指 標 長 期 の 貢 献 ・ 努 力 や 経 験 短 期 の 成 果 や 貢 献 度職 場 の 人 間 関 係 家 族 集 団 的 人 間 関 係 機 能 分 担 的 連 携( 二 村 ,2004)また、 鍋 田 ( 2010)は、 若 い 人 たちが 社 会 に 出 る 前 に 対 面 でのコミュニケーション・スキルを 身 につける 機 会 が 減 ったこと(メールなどのバーチャルな 世 界 でのコミュニケーションが 増 えた/ 年 齢 や 教 育-11-


環 境 の 似 たもの 同 士 の 範 囲 を 超 えた 交 流 を 好 まない 等 )に 加 え、 入 社 してからも OJTで 対 面 コミュニケーションの 作 法 やスキルを 学 ぶ 経 験 が 不 足 しがちとなる 傾 向 が 強 いことを 背 景 として、コミュニケーション・スキルの 習 得 が 採 用 前 ・ 採 用 後 の 課 題 となっている 状 況 があることを 指 摘 する。2. 発 達 障 害 のある 若 者 の 特 性 と 支 援 の 課 題(1) 職 場 での 評 価 : 仕 事 で 問 題 になること大 杉 ( 2009)は、 知 的 障 害 を 伴 わないアスペルガー 症 候 群 の 若 者 が 職 場 において 周 囲 から 評 価 された事 柄 についてまとめている( 表 3-1 ~ 3-2) 。表 3-1職 場 での 評 価( 大 杉 ,2009より 再 構 成 )会 議 やミーティング( 一 人 対 多 数 ) 報 告 ・ 連 ・ 相 談 ・ 指 示 ( 一 対 一 )・しばしば, 流 れについて 行 けていない。・ 適 切 なタイミングで「 報 ・ 連 ・ 相 」をしない。・ 発 言 者 の 意 図 や 会 議 の 主 旨 をしばしば 読 み 間 違 う。 ・ 自 分 が 体 験 したことは,その 場 にいない 人 も 知 って・ 会 議 の 要 約 ができない。 いると 感 じる。・ 参 加 者 間 で 合 意 された 意 思 を,たびたび 本 人 だけが ・ 相 手 の 地 位 に 応 じた 対 応 が 不 得 手 。わかっていない。・ 伝 言 や 取 次 ぎ 時 に, 相 手 が 言 った 言 い 方 を 言 い 換 えず・ 自 分 の 関 心 事 以 外 のことには 集 中 していない。 そのまま 上 司 にしてしまう。・ 会 議 やミーティングを 重 要 だとは 感 じず, 自 分 の 仕 事 ・ 報 告 内 容 がビデオの 再 生 的 でこと 細 かくなり, 要 旨 がを 優 先 したがる。見 えない。会 話 ・ 電 話 ( 一 対 一 ) 営 業 ・・ 調 整 ( 主 に 一 対 一 )・ 議 論 が 堂 々めぐりになり, 相 手 は 何 を 議 論 していたの ・ 相 手 を 怒 らせるので 営 業 や 相 談 窓 口 をさせられない。か 分 らなくなる。・ 折 衝 や 駆 け 引 きが 不 得 手 。( 例 : 業 者 から 見 積 もりを・ 電 話 で 相 手 の 怒 りを 買 うことが 多 い。 とる 際 に 予 算 を 相 手 に 言 う)・ 会 話 が 弾 むことがなく, 聞 くか 話 すか 一 方 的 になりや ・ 相 手 の 言 いたいことを 読 み 違 える。すい。・ 調 整 役 をやらせると 強 権 的 になるか, 調 整 不 能 になる。・ 言 葉 を 字 句 どおりに 解 釈 する。 行 間 やニュアンスを 読めていない。・ 本 人 の 言 動 が 言 い 訳 や 他 人 のせいにしているように 聞こえる。振 る 舞 い( 一 )・「 どうした? 」, 「 最 近 どう?」などの 曖 昧 な 問 いかけに 答 えられない。・ 他 人 の 弱 点 や 失 策 については 激 しく 非 難 する。その 割・ 意 外 なまでに 話 し 言 葉 を 理 解 していないことがある。 に, ささいな 不 便 が 生 じたり , 誤 解 されたりすると 怒 り,図 解 すると 理 解 する。周 囲 には,それに 動 じないで 自 分 を 理 解 してくれることを 望 む。業 務 理 ( 一 人 )・ 周 囲 が 配 慮 していても, 感 謝 しているようには 見 えない。・ 手 馴 れた 業 務 , ルーチン 化 された 業 務 をやるのが 早 く,・ 他 人 にどう 見 られているかには 神 経 質 だが, 他 人 の 感手 を 抜 かない。情 には 無 神 経 に 見 える。・ 複 数 の 仕 事 が 重 なるとパニックになったり, 優 先 順 位 ・みんな 忙 しくしているのに ,「 手 伝 いましょう」 がない。が 適 切 でない。・ヒマな 時 の 振 る 舞 いが 適 切 でない 。( 好 きにしていてい・ 臨 機 応 変 を 要 求 される 業 務 が 不 得 手 。 いよと 言 われて, 他 の 人 が 懸 命 に 働 いているにもかかわ・ 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 。 らず,マンガを 堂 々と 見 る)・ 未 経 験 のことは, 何 から 手 をつけたら 良 いかが 思 い 浮 ・ 自 分 の 困 り 具 合 をわかるように 説 明 しない。 表 情 からかばず, 真 っ 白 になった 自 分 に 固 まる。内 面 を 読 み 取 りにくい。・ 連 携 しながらやる 仕 事 よりも, 自 分 だけで 完 結 する 仕 ・ 自 分 がどうにもならないと 突 然 , 断 定 的 に 言 うので 周事 を 好 む。 囲 が 驚 く。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと動 かない。・ 不 安 からか, 具 体 的 で 細 かい 明 確 な 指 示 を 要 求 する。・ 単 純 ミスを 繰 り 返 す。 間 違 って 進 めていても 途 中 で 気付 かない。-12-


ついての 回 答 ( 自 由 記 述 )を 図 6 に 示 す。 複 数 回 答 ではない 点 に 注 意 が 必 要 であるが、 障 害 者 本 人 に 求める 行 動 様 式 という 点 でみると 、「 素 直 、 忍 耐 力 」が 最 も 多 く、 次 いで「 積 極 性 ・ 協 調 性 ・ 礼 儀 」「 向 上心 ・ 社 内 規 則 を 守 る 」「 指 示 通 りの 作 業 」となっていた。素 直 ・ 忍 耐 力31.7積 極 性 ・ 協 調 性 ・ 礼 儀向 上 心 ・ 社 内 規 則 を 守 る指 示 通 りの 確 実 な 作 業欠 勤 がないやる 気コミュニケーション安 定 したペースを 守 る・ 手 を 抜 かない協 調 性一 人 の 社 員 として 業 務 に 責 任 を 持 つ意 志 表 現14.612.29.87.34.94.94.92.42.42.4清 潔 感 2.4%0 20 40 60 80図 6 職 場 定 着 に 最 も 必 要 なこと (N=41)障 害 者 の 職 場 定 着 に 対 して 職 場 に 最 も 必 要 と 考 えている 点 についての 回 答 ( 自 由 記 述 : N=42) では、「 本 人 が 仕 事 をしやすい 環 境 づくり」が 最 も 多 く、 31.1 %であった。 次 いで「コミュニケーション」と「 協 調 性 ・ 礼 儀 」が 23.8 %、「 時 間 をかけて 忍 耐 強 く 指 導 すること」が 9.5 %であり、その 他 に「 包 容力 」「 適 切 な 評 価 」「 適 正 配 置 」 等 々があげられており、コミュニケーションや 協 調 性 については 周 囲 の課 題 となっていた。図 7 に 仕 事 面 に 関 する 配 慮 についての 回 答 を 示 す 。「 安 全 性 」が 最 も 多 く、 58.8 %を 占 めた。 次 いで「 作 業 の 指 示 」「 意 思 の 疎 通 」の 順 で 多 かった。 人 間 関 係 や 作 業 指 示 の 伝 達 は 周 囲 の 配 慮 事 項 となっていた。安 全 性58.8作 業 手 順 の 指 示45.6人 間 関 係 ( 意 思 の 疎 通 )33.8作 業 の 配 置労 働 意 欲作 業 能 率17.614.719.1作 業 の 質 10.3%0 20 40 60 80図 7 仕 事 面 での 配 慮 ( 複 数 回 答 N=68)-15-


3. 発 達 障 害 のある 若 者 が 企 業 社 会 に 適 応 するために 解 明 すべき 課 題(1) 障 害 者 雇 用 支 援 の 利 用 に 即 して 企 業 が 求 める 課 題 を 解 明 する障 害 者 手 帳 を 取 得 した 発 達 障 害 のある 者 の 場 合 は 法 定 雇 用 率 制 度 や 職 業 リハビリテーションの 対 象 として、 取 得 しない(あるいはできない) 場 合 は 法 定 雇 用 率 制 度 の 対 象 ではないが 職 業 リハビリテーションの 対 象 として、それぞれ 入 職 並 びに 職 場 適 応 の 支 援 が 展 開 されてきた。 企 業 もまたこうした 支 援 の 枠組 に 即 して 雇 用 管 理 を 行 う。 一 方 で、 障 害 者 雇 用 支 援 を 利 用 せずに 一 般 扱 いの 雇 用 の 対 象 として 入 職 並びに 職 場 適 応 を 志 向 する 者 もある。この 場 合 、 企 業 の 雇 用 管 理 は 特 性 に 即 したものではない。発 達 障 害 のある 若 者 が 企 業 社 会 に 適 応 することを 支 援 するうえでは、 障 害 者 雇 用 支 援 の 有 無 において企 業 の 対 応 を 検 討 することが 求 められる。すなわち、 障 害 を 開 示 する 群 ( 療 育 手 帳 もしくは 精 神 障 害 者保 健 福 祉 手 帳 を 取 得 して 障 害 者 雇 用 の 支 援 を 利 用 する 群 と 手 帳 を 取 得 せずに 職 業 リハビリテーションの支 援 を 利 用 する 群 )と 障 害 を 開 示 しない 群 ( 障 害 者 雇 用 支 援 も 職 業 リハビリテーションの 支 援 も 利 用 しない 群 )について、 企 業 の 対 応 を 明 らかにすることが 求 められる。企 業 が 障 害 者 手 帳 を 取 得 した 者 を 雇 用 する 場 合 、 雇 用 管 理 のノウハウや 配 慮 のための 調 整 について、これまでに 一 定 の 経 験 の 蓄 積 がなされてきた。 企 業 における 発 達 障 害 の 理 解 や 特 性 に 応 じた 配 慮 の 内 容についての 議 論 を 深 めていくうえでは、こうした 経 験 の 数 々を 分 析 することが 求 められる。一 方 で、 障 害 者 手 帳 を 取 得 していない 者 については、 必 ずしも 障 害 者 雇 用 における 雇 用 管 理 や 配 慮 の経 験 が 活 用 されるとは 限 らない。 当 事 者 が 障 害 に 気 づいていない 場 合 だけでなく、 気 づいてはいても 障害 を 受 け 入 れていない 等 で 障 害 開 示 をしない 場 合 には、 周 囲 の 理 解 や 配 慮 のための 調 整 は 成 立 し 難 い。こうした 検 討 課 題 については、まずは 新 卒 等 の 若 者 を 雇 用 する 際 の 企 業 の 採 用 活 動 並 びに 研 修 体 制 を 検討 するところから 始 める 必 要 がある。 雇 用 継 続 のための 支 援 の 課 題 は 多 岐 にわたる。 個 別 の 特 性 に 対 してどのような 支 援 や 配 慮 が 必 要 となるのか、 職 場 において 合 理 的 かつ 妥 当 な 支 援 や 配 慮 が 成 立 する 条 件は 何 か、 何 よりも 雇 用 に 至 る 条 件 が 整 っているか、 等 々が 検 討 されなければならない。(2)コミュニケーションとビジネスマナー 等 に 関 する 支 援 の 課 題 を 解 明 する発 達 障 害 の 特 性 からは、 作 業 遂 行 やコミュニケ-ション、 対 人 態 度 等 への 対 応 が 就 労 支 援 や 雇 用 管 理の 課 題 として 重 視 されてきた。そして、 雇 用 に 至 る 過 程 や 雇 用 後 の 適 応 ・ 定 着 において、 支 援 の 困 難 さが 指 摘 されている。こうした 現 状 を 踏 まえ、 企 業 における 雇 用 管 理 の 基 本 的 な 考 え 方 や 雇 用 継 続 のために 必 要 な 指 導 課 題 を 明 らかにすることを 通 して、 障 害 特 性 に 配 慮 した 環 境 整 備 や 適 応 ・ 定 着 支 援 等 のあり 方 など、 支 援 の 方 策 について 検 討 することが 求 められる。障 害 者 雇 用 の 経 験 に 即 して 支 援 や 配 慮 を 問 う 場 合 であっても、 多 様 な 障 害 者 を 多 数 雇 用 している 企 業でなければ、 発 達 障 害 の 特 性 の 理 解 の 現 状 や 現 行 の 支 援 や 配 慮 に 即 した 回 答 は 期 待 できない。コミュニケーションやビジネスマナー 等 を 重 視 する 企 業 とコミュニケーションやビジネスマナー 等 に 支 援 が 必 要-16-


な 発 達 障 害 のある 若 者 の 特 性 とを 関 連 づけて 企 業 に 問 うことは 無 理 が 大 きい。 企 業 はすでに 雇 用 している 者 、もしくはこれから 雇 用 する 者 でコミュニケーションやビジネスマナー 等 に 課 題 が 大 きい 発 達 障 害のない 者 と 開 示 していないが 発 達 障 害 のある 者 の 課 題 を 区 別 して 回 答 できる 状 況 にはないからである。そこで、 企 業 が 必 要 と 考 える「コミュニケーションの 能 力 」「ビジネスマナー」 等 について、その 詳細 を 定 義 したうえで、 採 用 時 の 必 要 性 や 不 足 の 場 合 の 達 成 の 目 処 、 研 修 の 現 状 等 を 把 握 したうえで 行 動特 性 対 応 づけて 検 討 するという 方 法 が 課 題 となる。第 3 節本 研 究 の 課 題1. 問 題 の 所 在これまでの 研 究 からは 、「 職 場 のルールの 理 解 と 行 動 化 」「コミュニケ-ションの 課 題 改 善 」「 対 人 態度 の 課 題 改 善 」 等 への 対 応 について、 発 達 障 害 者 本 人 や 関 係 者 の 就 労 支 援 ニーズも 高 く、ニーズへの 対応 が 緊 要 であるという 結 論 を 得 た。 発 達 障 害 者 への 就 労 支 援 の 取 り 組 みは 始 まっているものの、 企 業 における 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 基 本 的 な 考 え 方 や 指 導 等 の 実 態 については 十 分 に 把 握 されていない。さらに、 障 害 特 性 からみて、 発 達 障 害 者 本 人 が 就 労 後 の 企 業 内 で 行 われる 研 修 や OJT 等 で 指 導 課 題 を 自 ら解 決 ・ 体 得 するうえでの 困 難 が 大 きいと 考 えられることから、 特 性 に 配 慮 した 就 労 支 援 が 必 要 とされている。就 労 ・ 定 着 支 援 における 課 題 を 明 らかにするうえで、 職 場 における 支 援 の 基 本 的 な 考 え 方 や 指 導 等 、職 場 適 応 のための 支 援 に 焦 点 をあて、 指 導 課 題 を 明 確 にすることは 喫 緊 の 課 題 である。したがって、 一般 企 業 における 発 達 障 害 者 の 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 可 能 性 と 限 界 を 検 討 する 上 では、 発 達 障 害 を 特 定 した 検 討 が 必 要 となる。しかし、 発 達 障 害 について 知 識 ・ 理 解 がない、あるいは、 発 達 障 害 を 開 示 せずに就 労 している 場 合 には 企 業 が 把 握 していないと 考 えられる、 等 々の 状 況 にあっては、 一 般 企 業 において発 達 障 害 を 特 定 したアプローチが 困 難 な 状 況 もある。こうした 現 状 認 識 にたち、 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題 を 明 らかにしたうえで 企 業 における 環 境 調 整 の条 件 を 探 ることが 求 められている。2. 課 題 解 明 の 方 法企 業 における 「 合 理 的 配 慮 」 を 考 える 前 に 、 発 達 障 害 者 が 職 場 でどんな 問 題 行 動 を 起 こしているのか、また、 それに 対 して 企 業 はどのように 対 応 しているのか、 を 的 確 に 把 握 することが 重 要 である。 しかし、就 労 並 びに 定 着 のための 指 導 課 題 については、 発 達 障 害 のみならず 障 害 者 雇 用 全 般 に 共 通 した 課 題 でも-17-


ある。そこで、 身 体 障 害 、 知 的 障 害 、 精 神 障 害 等 の 多 様 な 障 害 者 への 支 援 の 実 績 の 豊 富 な 特 例 子 会 社 において 蓄 積 されたノウハウに 基 づき、 就 職 並 びに 職 場 適 応 を 目 指 す 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 の 課題 を 整 理 することを 目 的 として 、「 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・実 施 することとした。次 いで 、 新 入 社 員 に 焦 点 をあて 、 発 達 障 害 のある 者 が 職 場 で 支 援 を 要 すると 考 えられる 項 目 について、企 業 の 採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 の 現 状 から 見 て、 職 場 適 応 上 の 問 題 の 検 討 を 行 うというアプローチをとることで 研 究 課 題 の 達 成 をめざすこととして「 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・ 実 施 することとした。(1) 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査採 用 ・ 研 修 で 指 導 上 留 意 する 事 項 、 職 場 適 応 ・ 職 場 定 着 のための 指 導 課 題 並 びに 指 導 事 項 ・ 対 応 の 困難 等 の 実 態 把 握 を 行 う。1 調 査 対 象 : 特 例 子 会 社 ( 第 三 セクターを 含 む) 250 社( 調 査 実 施 時 点 において 設 立 から 6 ヶ 月 以 上 経 過 した 全 企 業 )2 調 査 時 期 : 平 成 21 年 7 月 ~ 8 月3 調 査 内 容 : 障 害 者 の 採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 において 重 視 すること障 害 者 を 指 導 する 職 員 の 研 修 の 概 要職 場 のルールの 指 導障 害 者 雇 用 の 概 要 と 発 達 障 害 の 把 握 の 状 況等(2) 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査企 業 における 配 慮 の 現 状 や 限 界 、 障 害 者 雇 用 における 合 理 的 な 配 慮 の 範 囲 についての 課 題 を 整 理 するうえで、 新 入 社 員 の 採 用 に 際 して 重 視 する 事 項 のうち、 特 に、 発 達 障 害 のある 者 について 課 題 が 指 摘 される「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」に 焦 点 をあて、 入 職 並 びに 適 応 までの 現 状 について把 握 する。1 調 査 対 象 : 企 業 データベースに 基 づき 業 種 ・ 規 模 を 勘 案 して 抽 出 する2 調 査 時 期 : 平 成 22 年 5 月 ~ 6 月3 調 査 内 容 : 採 用 に 際 して 重 視 する 項 目 ・ 課 題 と 採 用 後 の 達 成採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 の 体 制職 場 のルールの 指 導企 業 の 概 要 と 障 害 者 支 援 に 関 する 意 識 等4500 社-18-


(3) 企 業 ヒアリング 調 査上 記 調 査 において、ヒアリングへの 同 意 が 得 られた 企 業 に 協 力 依 頼 を 行 い、 発 達 障 害 のある 社 員 に 関する 聞 き 取 り 調 査 を 実 施 する。なお 、 本 研 究 を 進 めるうえでは 、 下 記 の 外 部 委 員 ( 敬 称 略 ・アルファベット 順 ) の 協 力 を 得 て 、 平 成 21年 度 に 4 回 、 22 年 度 に 3 回 の 検 討 会 を 開 催 し、 調 査 票 の 設 計 等 の 他 、 企 業 ヒアリングを 企 画 ・ 実 施 した。藤 尾 健 二 ( NPO 法 人 ワークス 未 来 千 葉 障 害 者 就 業 支 援 キャリアセンター センター 長 )秦 政 ( 特 定 非 営 利 活 動 法 人 障 がい 者 就 業 ・ 雇 用 支 援 センター 理 事 長 )向 後 礼 子 ( 近 畿 大 学 教 職 教 育 部 講 師 )松 本 巌 ( 千 葉 県 総 合 教 育 センター 研 究 指 導 主 事 ( 平 成 21 年 度 )千 葉 県 立 我 孫 子 特 別 支 援 学 校 教 諭 ( 平 成 22 年 度 )本 報 告 書 は2 部 で 構 成 されている。第 1 部 では 、「 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」の 結 果 をとりまとめる。ここでは、アンケート 結 果 ( 第 1 章 )とヒアリング( 第 2 章 )に 基 づき、 特 別 な 支 援 を 前 提 とした 就 労 ・定 着 支 援 における 発 達 障 害 者 支 援 の 課 題 の 検 討 を 行 う。第 2 部 は 「 企 業 における 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 」 の 結 果 をとりまとまる。 ここでは、アンケート 結 果 ( 第 1 章 )とその 分 析 ( 第 2 章 )に 基 づき、 企 業 の 就 労 ・ 定 着 支 援 における 発 達 障 害 者支 援 の 課 題 の 検 討 を 行 う。最 後 に、 第 1 部 と 第 2 部 の 結 果 をまとめて 総 括 を 行 う。【 文 献 】厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 ・ 児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課「 軽 度 発 達 障 害 児 に 対 する 気 づきと 支 援 マニュアル」2007.1.厚 生 労 働 省 職 業 能 力 開 発 局 能 力 評 価 課若 年 者 の 就 職 能 力 に 関 する 実 態 調 査 結 果2004.1.29.厚 生 労 働 省 職 業 能 力 開 発 局 能 力 評 価 課若 年 者 の 就 職 能 力 支 援 事 業 について2009.4.文 部 科 学 省 「 学 校 教 育 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 について」2007.6.27.文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 特 別 支 援 教 育 課 「 発 達 障 害 の 用 語 使 用 について 」,2009.3.15.鍋 田 周 一 コミュニケーション 能 力 向 上 研 修 の 実 際 労 政 時 報 第 3774 号 6-58 2010長 崎 能 力 開 発 センター 第 19 回 修 了 生 実 態 調 査 の 結 果 報 告 2008日 本 経 済 団 体 連 合 会 新 卒 採 用 ( 2010 年 3 月 卒 業 者 )に 関 するアンケート 調 査 結 果 の 概 要 2010二 村 英 幸 企 業 が 求 める 人 材 この 十 年 で 変 わった 点 、 変 わらない 点 教 育 と 医 学 第 52 巻 第 11 号38-47 2004-19-


大 杉 健 特 集 自 閉 症 スペクトラムの 人 々の 就 労 問 題 「 一 般 企 業 職 場 での 雇 用 」 精 神 療 法 第 35 巻第 3 号 332-337 2009障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №83 「 軽 度 発 達 障 害 者 のための 就 労 支 援 プログラムに 関する 研 究 …… ワーク・チャレンジ・プログラム( 試 案 )の 開 発 ……」2008障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №88 「 発 達 障 害 者 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究 」 2009矢 野 経 済 研 究 所 企 業 における 09 年 度 新 人 採 用 に 関 する 意 識 調 査 ~アンケート 調 査 報 告 書 ~ 2009米 田 衆 介 特 集 自 閉 症 スペクトラムの 人 々の 就 労 問 題 「 自 閉 症 スペクトラムの 人 の 就 労 に 向 けた SST」精 神 療 法 第 35 巻 第 3 号 318-324 2009-20-


第 1 部特 別 な 支 援 を 前 提 とした就 労 ・ 定 着 支 援 における 発 達 障 害 者 支 援 の 課 題


第 1 章特 例 子 会 社 における就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査第 1 節調 査 の 概 要1. 調 査 票 設 計 の 考 え 方発 達 障 害 については、 障 害 者 手 帳 を 取 得 した 場 合 は 法 定 雇 用 率 制 度 や 職 業 リハビリテーションの 対 象として、 取 得 しない(あるいはできない) 場 合 は 法 定 雇 用 率 制 度 の 対 象 ではないが 職 業 リハビリテーションの 対 象 として、それぞれ 入 職 並 びに 職 場 適 応 の 支 援 が 展 開 されてきた。しかし、 発 達 障 害 の 特 性 から、 企 業 内 で 用 意 されている 一 般 研 修 やOJTだけでは 円 滑 な 適 応 ・ 定 着に 至 らない 事 例 への 対 応 が 求 められている( 例 えば、 障 害 者 職 業 総 合 センター, 2009; 大 杉 , 2009; 米田 , 2009) 。 職 場 における 支 援 の 基 本 的 な 考 え 方 や 指 導 等 、 職 場 適 応 のための 支 援 に 焦 点 をあて、 指 導課 題 を 明 確 にすることは 喫 緊 の 課 題 である。 一 方 で、 企 業 に 雇 用 されている 発 達 障 害 者 の 全 体 像 を 開 示・ 非 開 示 を 含 めて 把 握 することは 極 めて 困 難 な 状 況 にあり、 発 達 障 害 を 開 示 した 事 例 に 基 づく 検 討 が 中心 となっている。このため、 発 達 障 害 者 の 雇 用 管 理 や 支 援 における 問 題 を 明 確 にするうえで、 企 業 を 対象 とした 実 態 調 査 を 実 施 することは 現 実 的 ではない。ただし、 就 労 並 びに 定 着 のための 指 導 課 題 については、 発 達 障 害 の 有 無 にかかわらず、 障 害 者 雇 用 に共 通 した 課 題 でもある。そこで、 多 様 な 障 害 者 への 支 援 実 績 が 豊 富 な 特 例 子 会 社 において、 蓄 積 されてきた 支 援 ノウハウに 基 づき、 就 職 並 びに 職 場 適 応 をめざす 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 の 課 題 を 整 理することを 目 的 とし 、「 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・ 実 施 した。なお、 調 査 票 では、 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 ( 身 体 障 害 ・ 知 的 障 害 ・ 精 神 障 害 )となっている 従 業 員に 関 し 、 特 例 子 会 社 における 雇 用 管 理 全 般 ( 採 用 方 法 、 採 用 ・ 配 置 ・ 研 修 の 考 え 方 、 指 導 上 の 考 え 方 等 )について 現 状 を 把 握 すること、 並 びに、 発 達 障 害 を 開 示 して 雇 用 されている 従 業 員 の 現 状 を 把 握 することとした。2. 方 法(1) 調 査 対 象 : 特 例 子 会 社 ( 第 三 セクターを 含 む) 250 社 ( 回 収 率 42 %: 105 社 )( 調 査 実 施 時 点 において 設 立 から 6 ヶ 月 以 上 経 過 した 全 企 業 )(2) 調 査 時 期 : 平 成 21 年 7 月 ~ 8 月(3) 調 査 内 容 :1 障 害 者 雇 用 の 概 要 と 発 達 障 害 の 把 握 の 状 況 等2障 害 者 の 採 用 方 法-21-


採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 で 重 視 すること34障 害 者 を 指 導 する 職 員 の 研 修 の 概 要職 場 のルールの 指 導(4) 調 査 方 法 : 郵 送 により 送 付 ・ 回 収3. 分 析 対 象 企 業 の 概 要図 1-1-1 に 分 析 対 象 の 特 例 子 会 社 と 親 会 社 の 業 種 を、 図 1-1-2 に 企 業 規 模 を、 図 1-1-3 に 設 立 からの 年数 を 示 す。会社数60504030343254302010020建設業製造業11111853552200電金13気融・・熱 ガ供 ス給 ・水道・運輸情報通信卸(商社)飲食・宿泊不 保動 険産 ・サービス業親 会 社その他・不明複数回答子 会 社図 1-1-1 事 業 内 容 ( 業 種 )200 名 以 上1%150 以 上 200 名未 満 5%100 以 上 150 名未 満 10%不 明11%10 名 未 満5%10 以 上 20 名未 満 10%20 年 以 上14%不 明10%2 年 未 満5%2 年 以 上 ~5 年 未 満25%50 以 上 100 名未 満 21%1-1-2 (105 )図 1-1-2 企 業 規 模 の 概 要 (105 社 )20 以 上 50 名未 満 37%15 年 以 上 ~5 年 以 上 ~20 年 未 満10 年 以 上 ~10 年 未 満15%15 年 未 満19%12%図 1-1-3 設 立 からの 経 過 年 (105 図 1-1-3 設 立 からの 経 過 年 数 (105 社 )特 例 子 会 社 の 事 業 はサービス 業 と 製 造 業 に 集 中 している。これは、 親 会 社 の 事 業 とは 別 に 事 業 を 営 んでいるわけではなく、 親 会 社 の 事 業 の「 切 り 出 し」や「 一 部 請 負 ・ 派 遣 」などで 構 成 された 事 業 ( 事 務補 助 ・ 清 掃 ・ 物 流 ・ 人 材 派 遣 ・ 請 負 等 )がサービス 業 として 回 答 され、 集 計 されたことに 依 っている。-22-


事 業 の「 切 り 出 し」や「 一 部 請 負 ・ 派 遣 」の 範 囲 や 内 容 によって 親 会 社 の 事 業 との 異 同 が 判 断 されたものも 含 まれるとみることができるが、その 判 断 は 回 答 者 に 依 っている。一 方 、 企 業 規 模 では 20 ~ 50 名 未 満 が 37 %で 最 も 多 く 、 次 いで、 50 ~ 100 名 未 満 が 21 %であった。50名 未 満 の 規 模 で 52 %を 占 める 一 方 、 100 名 以 上 の 規 模 も 16 %あった。設 立 からの 経 過 年 数 をみると、 5 年 未満 が 30 %を 占 める 一 方 で 10 年 以 上 が41 %あり、そのうち 20 年 以 上 という 企業 が14 %であった。図 1-1-4 に 雇 用 者 に 占 める 障 害 者 の 構成 比 率 を 示 す 60 ~ 80 % 未 満 が 35 %で最 も 多 く、 次 いで 80 % 以 上 が 23 %であった。不 明14%20%~40% 未 満10%40%~60% 未 満18%60%~80% 未 満80% 以 上35%23%図 1-1-4 特 例 子 会 社 における 障 障 害 害 者 の 者 構 の 成 構 比 成 率 比 の 率 概 の 要 概 要(105 社 ) )第 2 節調 査 結 果 : 障 害 者 雇 用 の 現 状 について1. 障 害 者 雇 用 の 概 要(1) 障 害 者 雇 用 の 現 状表 1-2-1 に 障 害 別 手 帳 所 持 者 の 内 訳 を 示 す。身 体 障 害 者 手 帳 所 持 者 を 雇 用 している 企 業 は 84 社( 80 %)、 療 育 手 帳 所 持 者 を 雇 用 している 企 業 は 89社 ( 85 %)であった。これに 対 し、 障 害 者 雇 用 率 制度 では 見 なし 雇 用 に 算 定 されている 精 神 障 害 者 保 健福 祉 手 帳 所 持 者 を 雇 用 している 企 業 は 42 社 ( 40 %)であった。雇 用 障 害 者 数 でみると、 身 体 障 害 では 重 度 障 害 者が 1109 人 に 対 し、 重 度 以 外 は 442 人 であり、 短 時 間就 労 の 重 度 障 害 者 を 含 め 、 重 度 障 害 者 の 比 率 が 高 い。これに 対 し、 知 的 障 害 では 重 度 障 害 者 が727人 に 対し、 重 度 以 外 が 1048 人 であり、 短 時 間 就 労 の 重 度 障害 者 を 含 めても 重 度 以 外 の 者 の 比 率 が 高 い。 一 方 、精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 所 持 者 は時 間 就 労 の 者 を 含 めても165198 人 であった。人 であり、 短表 1-2-1雇 用 されている 障 害 者 の 概 要身 体 障 害 者 手 帳 所 持 者 の 人 内 数 訳 内 訳事 業 所 数障 害 者 数 ( 人 )(84 社 中 )総 数 最 大 最 小重 度 80 1109 90 1重 度 ( 短 時 間 ) 14 19 3 1重 度 以 外 68 442 34 1療 知 育 的 手 障 帳 害 所 者 持 枠 者 療 の 育 人 手 数 帳 内 所 訳 持 者 の 人 数 内 訳事 業 所 数障 害 者 数 ( 人 )(89 社 中 )総 数 最 大 最 小重 度 71 727 56 1重 度 ( 短 時 間 ) 6 23 8 1重 度 以 外 84 1048 60 1精 神 障 害 保 健 福 祉 手 帳 所 持 者 の 人 数 内 訳事 業 所 数障 害 者 数 ( 人 )(42 社 中 )総 数 最 大 最 小1 週 30 時 間 以 上 39 165 65 1短 時 間 11 33 13 1複 数 の 手 帳 所 持 者 の 人 数事 業 所 数障 害 者 数 ( 人 )総 数 最 大 最 小複 数 複 の 数 手 の 帳 手 帳 21 50 6 1-23-


身 体 障 害 者 では、 障 害 程 度 に 関 わりなく「 経 理 事 務 ・ 一 般 事 務 」が 最 も 多 く、 次 いで 、「データ 入 力 ・PC 作 業 」、 「 専 門 的 技 能 を 活 用 した 製 造 工 程 や CAD 解 析 等 」となっていた。また、 知 的 障 害 者 の 労 務管 理 や 指 導 を 任 されているなど、 特 例 子 会 社 ならではの 配 置 もあった。 一 方 、 知 的 障 害 者 では、 障 害 程度 に 関 わりなく「 軽 作 業 」と「 施 設 管 理 ・ 清 掃 」に 集 中 しており、その 他 にメールの 集 配 等 があげられていた。また、 精 神 障 害 者 では、 30 時 間 以 上 の 勤 務 では「 軽 作 業 」が 最 も 多 く、 次 いで「 経 理 事 務 ・一 般 事 務 」となっていた。表 1-2-3 に 雇 用 されている 障 害 者 に 対 する 配 慮 の 内 容 ( 自 由 記 述 を 再 構 成 )を 示 す。表 1-2-3障 害 者 に 対 して 実 施 している 配 慮 の 概 要障 害 者 雇 用 の身 体 障 害 (N=84) 知 的 障 害 (N=89) 障 害 者 雇 用 の精 神 障 害 (N=42)対 応件 件 数 数 % % 件 件 数 数 % % 対 応件 件 数 数 % %重 度 4 4.8 4 4.5 1 週 30 時 間 以 上 0 0.0安 全 ( 制 限 速 度 の 遵 守重 度 ( 短 時 間 ) 1 1.2 1 1.1 短 時 間や 保 護 具 着 用 )0 0.0重 度 以 外 0 0.0 2 2.2重 度 3 3.6 0 0.0 1 週 30 時 間 以 上 1 2.4無 理 をさせない重 度 ( 短 時 間 ) 3 3.6 0 0.0 短 時 間 0 0.0重 度 以 外 5 6.0 0 0.0重 度 1 1.2 1 1.1 1 週 30 時 間 以 上 0 0.0スキルアップ 研 修重 度 ( 短 時 間 ) 1 1.2 0 0.0 短 時 間 0 0.0重 度 以 外 1 1.2 1 1.1確 実 な 伝 達 ( 手 話 や指重 度 16 19.0 13 14.6 1 週 30 時 間 以 上 3 7.1示 指 の 示 出 の し 出 方 し 、 方 曖 、 昧 曖 な 昧 指 な重 度 ( 短 時 間 ) 1 1.2 0 0.0 短 時 間 1 2.4示 指 を 示 出 を さない 出 さない 等 ) 等 )重 度 以 外 7 8.3 16 18.0重 度 2 2.4 3 3.4 1 週 30 時 間 以 上 1 2.4正 確 性 ・ 補 助 具 の 開 発重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 1 1.1 短 時 間 0 0.0重 度 以 外 1 1.2 4 4.5重 度 17 20.2 0 0.0 1 週 30 時 間 以 上 0 0.0施 設 のバリアフリー重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 0 0.0 短 時 間 0 0.0重 度 以 外 3 3.6 1 1.1重 度 10 11.9 5 5.6 1 週 30 時 間 以 上 6 14.3健 康 管 理 ・ 休 憩 ・ 通 院重 度 ( 短 時 間 ) 1 1.2 0 0.0 短 時 間 5 11.9重 度 以 外 1 1.2 5 5.6重 度 6 7.1 9 10.1 1 週 30 時 間 以 上 8 19.0作 業 種 ・ 作 業 速 度重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 1 1.1 短 時 間を 限 定0 0.0重 度 以 外 4 4.8 10 11.2重 度 1 1.2 0 0.0 1 週 30 時 間 以 上 0 0.0リーダーへの 登 用重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 0 0.0 短 時 間 0 0.0重 度 以 外 0 0.0 0 0.0重 度 1 1.2 2 2.2 1 週 30 時 間 以 上 0 0.0報 告 連 絡 相 談 の 徹 底重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 0 0.0 短 時 間 0 0.0重 度 以 外 0 0.0 3 3.4重 度 6 7.1 2 2.2 1 週 30 時 間 以 上 2 4.8勤 務 時 間 ・ 通 勤 時 間重 度 ( 短 時 間 ) 1 1.2 0 0.0 短 時 間 1 2.4重 度 以 外 2 2.4 4 4.5重 度 1 1.2 1 1.1 1 週 30 時 間 以 上 0 0.0チームで 苦 手 を 補 完 ・重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 0 0.0 短 時 間衝 突 を 避 ける 配 置0 0.0重 度 以 外 1 1.2 4 4.5重 度 3 3.6 9 10.1 1 週 30 時 間 以 上 3 7.1周 囲 に 配 慮 を 促 す・重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 1 1.1 短 時 間指 導 員 を 配 置1 2.4重 度 以 外 2 2.4 9 10.1重 度 0 0.0 2 2.2 1 週 30 時 間 以 上 0 0家 族 や 支 援 機 関 と連携重 度 ( 短 時 間 ) 0 0.0 0 0.0 短 時 間連 携1 2.4重 度 以 外 0 0.0 3 3.4-25-


身 体 障 害 者 では、 特 に 重 度 障 害 者 に 対 して「 施 設 のバリアフリー」が 最 も 多 く、 次 いで 、「 確 実 な 伝達 ( 手 話 や 指 示 の 出 し 方 )」、「 健 康 管 理 」となっていた。「 確 実 な 伝 達 」については、 伝 達 手 段 の 工 夫 が多 くあげられていた。また、 数 は 少 ないが、スキルアップやリーダーへの 登 用 、 互 いの 障 害 を 補 完 するような 配 置 ( 身 体 障 害 者 と 知 的 障 害 者 によるチーム 編 成 など )、 勤 務 時 間 の 弾 力 的 な 運 用 、 等 もあった。一 方 、 知 的 障 害 者 では、 障 害 程 度 に 関 わりなく「 確 実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示 の 出 し 方 ・ 曖 昧 な 指 示 を 出さない 等 )」が 最 も 多 く、 次 いで「 指 導 員 の 配 置 」と「 作 業 種 や 作 業 速 度 の 限 定 」であった。「 確 実 な 伝達 」については、 伝 達 手 段 ではなく、 指 示 内 容 の 明 確 化 の 必 要 性 の 問 題 があること 、「チームの 編 成 」については、 人 間 関 係 で 衝 突 の 多 い 従 業 員 を 別 のチームに 配 置 するなどで 身 体 障 害 とは 異 なる 問 題 があること、が 指 摘 された。また、 身 体 障 害 では 通 院 等 への 配 慮 が 必 要 となっていたが、 知 的 障 害 では 家 族や 支 援 機 関 との 連 携 、 指 導 員 の 配 置 等 、 継 続 的 に 支 援 する 体 制 整 備 が 必 要 な 配 慮 事 項 であった。精 神 障 害 者 では、 30時 間 以 上 の 勤 務 では「 作 業 種 ・ 作 業 速 度 の 限 定 」が 最 も 多 く、 次 いで「 健 康 管理 」であった。さらに、「 確 実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示 の 出 し 方 ・ 曖 昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」と「 周 囲 の 配慮 ・ 指 導 員 の 配 置 」では、 知 的 障 害 と 共 通 した 問 題 が 指 摘 されていた。(2) 特 例 子 会 社 における 発 達 障 害 者 雇 用 の 現 状105 社 の 内 、 従 業 員 について、 手 帳 の 種 別 とは 別 に 発 達 障 害 があることを 把 握 している 企 業 は 39社( 37% )であった。 表 1-2-4 ~ 1-2-5 に 発 達 障 害 と 把 握 されている 者 を 示 す。 障 害 種 別 にみると、 圧 倒 的に 自 閉 症 圏 の 障 害 ( 広 汎 性 発 達 障 害 ・ 自 閉 症 ・ 高 機 能 自 閉 症 ・アスペルガー 症 候 群 )が 多 い。 学 習 障 害や 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 は 少 なかった。表 表 1-2-4 知 知 的 的 障 害 枠 で 発 達 障 害 として 把 握 されている 者 の 人 数事 業 所 数 障 害 者 数 最 大 値 最 小 値35 16 広 汎 性 発 達 障 害 8 35 16 126 102 12 自 閉 症 26 102 12 1高 機 能 自 閉 症 2 4 3 1アスペルガー 13 アスペルガー 症 候 群 8 13 3 117 学 習 障 害 7 17 9 110 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 6 10 5 1その その 他 の 発 達 障 害 - - - -表 1-2-5 精 神 障 害 枠 で 発 達 障 として されている 表 1-2-5 精 神 障 害 枠 で 発 達 障 害 として 把 握 されている 者 の 人 数事 業 所 数 障 害 者 数 最 大 値 最 小 値広 汎 性 発 達 障 害 事 業 4所 数 障 害 5者 数 最 2大 値 最 1小 値自 広 閉 汎 症 性 発 達 障 害 14 15 12 1高 自 機 閉 能 症 自 閉 症 31 31 1 1アスペルガー 高 機 能 自 閉 症 候 群 11 3 12 3 21 1学 アスペルガー 習 障 害 症 候 群 11 - 12 - -2 -1注 学 意 習 欠 障 陥 害 多 動 性 障 害 - - - -その 注 意 他 欠 の 陥 発 多 達 動 障 性 害 障 害 1- 1- 1- 1-その 他 の 発 達 障 害 1 1 1 1-26-


また、 療 育 手 帳 による 雇 用 が 181 人 であるのに 対 し、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 による 雇 用 は 22 人 であり、 知 的 障 害 枠 での 雇 用 が 多 い 現 状 がある。ただし、 特 例 子 会 社 では 手 帳 の 確 認 をすることで 障 害 者 雇 用 の 対 象 者 を 確 認 していることから、 診 断名 をあえて 聞 き 取 る 必 要 はない。そこで、 発 達 障 害 の 確 認 方 法 について 聞 いたところ 、「 支 援 機 関 からの 情 報 による」 が 24 社 ( 62 %) で 最 も 多 く 、「 家 族 から」 が 8 社 ( 21% )、「 学 校 から」 が 7 社 ( 18 %)、「 本 人 から」が 6社 ( 15% )、 「 医 師 の 診 断 書 による」が 3社 ( 8%)であり、 重 複 もあった。 本 人 からの 開 示 は 少 なく、 採 用 に 際 して 職 場 実 習 やトライアル 雇 用 等 、 支 援 機 関 を 利 用 する、もしくは 学 校 経 由で 紹 介 される 際 に、 緊 密 な 連 携 関 係 のもと、 雇 用 への 移 行 が 進 められたとみることができる。従 事 する 業 務 については 、 企 業 内 に 用 意 された 作 業 の 中 から「 できる 仕 事 」 を 特 定 して 配 置 している。障 害 者 雇 用 のために 設 立 された 企 業 ならではの 配 置 であるといえる。 発 達 障 害 を 特 定 した 業 務 の 切 り 出しは 見 出 されなかった。また、 発 達 障 害 があることを 把 握 した 従 業 員 に 対 しては、 以 下 のような 個 別 ・ 具 体 的 な 対 応 が 成 されていた。表 1-2-6発 達 障 害 のある 者 への 配 慮作 業 遂 行 面 での 配 慮作 業 指 示 の 工 夫業 務 工 程 の 細 分 化単 独 作 業 や 繰 り 返 し 作 業 等 へ 適 正 配 置自 分 のペースで 仕 事 が 進 められるように 配 慮必 ず 点 検 が 必 要マメな 声 かけと 支 援 機 関 との 連 携指 導 、 伝 達 事 項 を 統 一等口 頭 指 示 ではなく、 視 覚 化 し、 分 りやすく 指 示 をする毎 日 のミーティングにより、 作 業 予 定 を 確 認 し 安 心 させるマンツーマンのきめ 細 かい 指 導指 示 は 簡 潔 明 確 に、あいまいな 表 現 は 避 ける 等特 性 理 解 にもとづく 指 導突 然 の 指 示 変 更 など 行 わない環 境 の 変 化 については 事 前 に 情 報 を 与 える等精 神 的 ・ 身 体 的 な安 定 への 配 慮日 々の 健 康 状 態障 害 発 生 時 の 観 察 と 休 養 等 の 対 応疲 れた 様 子 の 時 は 随 時 休 憩 を 取 らせる等その 他 に 、「 支 援 機 関 との 連 携 」「 教 育 機 関 との 連 携 」「 家 族 との 連 携 」「 本 人 との 面 談 」など、 作 業 遂行 を 支 える 側 面 的 支 援 もあげられていたが 、「 就 労 当 初 はジョブコーチの 助 言 で 指 導 員 がはりつく 時 間も 多 かったが、ルーチン 化 した 作 業 をマスターしてからは、ほぼ 完 全 に 仕 事 を 遂 行 できる」など、 順 調に 定 着 していく 経 過 もあげられていた。こうしたことからは、 特 性 が 理 解 されれば、 知 的 障 害 者 や 精 神 障 害 者 への 雇 用 経 験 の 中 で、 職 場 適 応支 援 が 行 われていく 可 能 性 が 示 唆 されている。-27-


2. 採 用 ・ 配 置 に 関 する 配 慮 と 支 援(1) 採 用 方 法 の 概 要採 用 方 法 の 実 施 状 況 について 図1-2-2 に 概 要 を 示 した。「 面 接 」は「 必 ず 実 施 する」とした 企 業 が 身 体 障 害 ・ 知 的 障 害 ・ 精 神 障 害 で 90 %を 超 えており、 他 の採 用 方 法 に 比 して 実 施 率 が 高 いことがわかる。その 他 に「 職 業 評 価 」「 職 場 実 習 ・ 職 場 適 応 訓 練 ・ 委 託訓 練 」「トライアル 雇 用 ・ステップアップ 雇 用 」 等 、 特 性 評 価 のみならず 雇 用 への 段 階 的 な 移 行 を 経 て雇 用 に 至 る 方 法 もとられていた 。「 職 業 評 価 」については 障 害 種 別 での 実 施 率 に 大 きな 違 いは 見 られないが 、「 職 場 実 習 ・ 職 場 適 応 訓 練 ・ 委 託 訓 練 」については、 知 的 障 害 における 実 施 率 の 高 さが 目 立 つ。必 ず 実 施 する 実 施 することが 多 い 実 施 しないことが 多 い 実 施 しない 無 回 答面接0%50%100%1.2%身 体 障 害 (n=84)90.5%8.3%1.1%3.4%知 的 障 害 (n=89)93.3%2.2%2.4%精 神 障 害 (n=42) (n95.2%2.4%職業評価身 体 障 害 (n=84)知 的 障 害 (n=89)精 神 障 害 (n=42) (n38.1%46.1%40.5%9.5%14.3%12.4%9.5%7.1%11.2%22.6%31.0%23.6%15.5%6.7%11.9%身 体 障 害 (n=84)委適職託応場知 的 障 害 (n=89)訓訓実練練習精 神 障 害 (n=42) (n29.8%60.7%50.0%22.6%19.0%21.4%20.2%17.9%10.7%11.2%4.5%3.4%9.5%11.9%7.1%トラ雇イ用アル身 体 障 害 (n=84)知 的 障 害 (n=89)精 神 障 害 (n=42) (n35.7%48.3%50.0%22.6%11.9%24.7%26.2%21.4%10.1%8.3%14.6%2.2%2.4%19.0%2.4%図 1-2-2 図 1-2-2 障 害 障 種 害 別 種 にみた 別 採 用 方 法 の 実 施 状 況その 他 に 実 施 されている 採 用 方 法 について 表 1-2-7 に 示 した。表 1-2-7その 他 の 採 用 方 法身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害学 力 試 験 等支 援 機 関 との 連 携その 他算 数適 性 テスト筆 記 試 験数 値 理 解 度基 本 的 なペーパー 試 験心 の 発 達 評 価数 値 理 解 度学 科 試 験 ( 国 語 ・ 算 数 )筆 記 試 験作 文障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターの 推 薦医 療 機 関支 援 機 関支 援 機 関支 援 体 制就 労 前 支 援 会 議パソコンテスト・ 保 護 者 面 接-28-


身 体 障 害 と 知 的 障 害 においては「 学 力 試 験 」として 算 数 、 国 語 、 作 文 等 の 筆 記 試 験 を 実 施 する 企 業 もあった。また、 知 的 障 害 、 精 神 障 害 においては 採 用 後 の 関 係 機 関 との 連 携 を 見 越 した 上 で 、「 支 援 機 関の 連 携 」を 要 件 とする 企 業 も 見 られた。その 他 、 障 害 種 別 に 関 わらず「 保 護 者 面 接 」や「パソコンテスト」を 実 施 する 企 業 もあった。(2) 採 用 時 に 重 視 すること「 採 用 にあたって 重 視 する 内 容 」について『とても 重 視 している』から『 全 く 重 視 していない』までの 5 段 階 で 評 価 を 求 めた 結 果 を 図 1-2-3 に 示 す。55 段 階 :とても :とても 重 視 重 している 視 している4 段 階 4 段 階 3 段 階 3 段 2 段 階 21 段 階 : 全 く 重 1 視 段 しない 階 : 全 く 重 無 視 回 しない 答 無 回 答作業速度正作確業さの指理示解の0%50%100%1.2%身 体 障 害 (n=80)4.8%26.2%52.4%8.3%8.3%知 的 障 害 (n=88)5.6%16.9%48.3%22.5%5.6% 1.1% 1.1%精 神 障 害 (n=44)身 体 障 害 (n=80)知 的 障 害 (n=88)精 神 障 害 (m=44)身 体 障 害 (n=80)知 的 障 害 (n=88)精 神 障 害 (n=44)2.4%23.8%50.0%16.7%7.1%1.2%27.4%38.1%26.2%8.3%2.2%23.6%24.7%39.3%9.0% 2.2%1.1%2.4%2.4%16.7%35.7%35.7%7.1%1.2%34.5%34.5%22.6%8.3%1.1%19.1%31.5%37.1%10.1%2.4%1.1%23.8%40.5%26.2%7.1%身 体 障 害 (n=80)労の基働確本知 的 障 害 (n=87)習立的慣精 神 障 害 (n=44)35.7%34.8%40.5%32.1%32.6%33.3%25.0%27.0%19.0%8.3%1.1%2.2%2.2%7.1%労働意欲人間関係身 体 障 害 (n=81)知 的 障 害 (n=88)精 神 障 害 (n=44)身 体 障 害 (n=79)知 的 障 害 (n=87)精 神 障 害 (n=43)31.0%27.0%21.4%64.3%65.2%61.9%28.6%36.9%34.8%31.0%23.8%25.8%23.8%21.4%31.5%6.0%7.1%1.1%6.7%1.1%7.1%7.1%2.4%9.5%3.4%1.1%2.2%9.5%9.5%就業態度身 体 障 害 (n=81)知 的 障 害 (n=87)精 神 障 害 (n=44)50.0%42.7%50.0%31.0%41.6%26.2%13.1%7.1%1.1%12.4% 2.2% 2.2%2.4%14.3%7.1%図図1-2-31-2-3採採用 に 際 してして重 視 することすること「 採 用 にあたって 重 視 する 内 容 」における 重 視 の 5 段 階 については『とても 重 視 している』から『 全く 重 視 していない』までのそれぞれに 5点 ~ 1 点 を 与 えて 得 点 化 した 結 果 、 障 害 種 別 による 大 きな 違 いは 見 出 されなかった。なお、 重 視 する 程 度 については、 全 体 として 身 体 障 害 に 対 する 得 点 が 最 も 高 い 傾向 にあり 、 障 害 間 では 「 指 示 の 理 解 」 と 「 作 業 の 正 確 さ」 において 、 有 意 な 差 が 認 められた ( 表 1-2-8)。-29-


表 1-2-8 採 用 にあたって 重 視 すること表 1-2-8採 用 にあたって 重 視 すること事 項身 体 障 害知 的 障 害精 神 障 害N 平 均 SD 順 位 N 平 均 SD 順 位 N 平 均 SD 順 位障 害 間 差労 働 意 欲 81 4.63 0.601 1 88 4.56 0.725 1 44 4.55 0.663 1就 業 態 度 81 4.40 0.719 2 87 4.28 0.773 2 44 4.32 0.829 2基 本 的 労 働 習 慣 80 4.13 0.802 3 87 3.99 0.946 3 44 4.20 0.795 3人 間 関 係 79 4.05 0.815 3 87 3.85 0.909 3 43 3.72 0.934 3指 示 の 理 解 80 4.09 0.814 3 88 3.58 0.956 4 44 3.91 0.858 3 身 体 > 知 的作 業 の 正 確 さ 80 3.96 0.818 3 88 3.59 1.024 4 44 3.61 0.945 4 身 体 > 知 的作 業 速 度 80 3.26 0.759 4 88 2.94 0.927 5 44 3.09 0.830 5採 用 に 際 して 重 視 する「その 他 」の 内 容 を 表1-2-9 に 示 した 。『 障 害 の 安 定 度 』『 通 勤 できること』については、 全 ての 障 害 種 別 に 共 通 してみられた 。『 職 場 のマナー 』『 支 援 機 関 ・ 家 族 との 連 携 』については、 特 に 知 的 障 害 で 重 視 されていた。障 害 の 安 定 度通 勤 できること職 場 のマナー支 援 機 関 ・ 家 庭 との 連 携その 他表 1-2-9 表 1-2-9 採 用 に 際 して 重 視 すること「その 他 」 他 」身 体 障 害知 的 障 害精 神 障 害健 康健 康 であること体 力体 力体 力日 常 生 活日 常 生 活障 害 の 進 行 状 況 ・ 後 遺 症健 康 状 態健 康 状 態障 害 の 進 行 状 況 ・ 後 遺 症自 力 通 勤自 力 通 勤通 勤 時 間自 力 通 勤通 勤 時 間あいさつ挨 拶 ・ 職 場 報 告のマナー職 場 のマナー社 会 人 としてのマナー家 庭 環 境前 職 歴手 話 力障 害 受 容職 務 への 適 正手 先 の 器 用 さ支 援 機 関 の 有 無保 護 者 のバックアップ家 庭 環 境成 長 の 可 能 性精 神 的 行 動 の 安 定家 庭 環 境障 害 受 容障 害 受 容職 務 への 適 正手 先 の 器 用 さ性 格※5 点 または4 点 と 評 価 されたその 他 の 項 目 に 限 定 した(3) 採 用 後 の 研 修1 初 任 者 研 修 の 実 施 状 況図 1-2-4 に 採 用 後 の 研 修 期 間 の 概 要 を 示 した。 初 任 者 研 修 の 実 施 は『 1 日 未 満 』~『 3 日 以 上 1 週 間未 満 』までが 6 割 と、 短 期 間 であることが 多 い。不 明 ・ 無 回 答26%1 日 未 満30%研 修 なし5%1ヶ 月 以 上3%1 週 間 以 上1ヶ 月 未 満7%3 日 以 上1 週 間 未 満13%1 日 以 上3 日 未 満16%図 1-2-4 採 用 後 の 研 修 期 間 (n=105)-30-


表 1-2-10 には 実 習 日 数 別 に 見 た 初 任 者 研 修 の 内 容 について 概 要 を 示 した。 研 修 期 間 が 1 週 間 未 満 と短 期 の 場 合 は 、「 就 業 規 則 /ビジネスマナー/ 安 全 教 育 等 」といった 内 容 が 主 となっている。 1週 間 以上 の 場 合 は「 業 務 ・ 作 業 工 程 ・ 技 術 の 習 得 」が 中 心 となっている。 研 修 なしの 場 合 であっても 。『 実 作業 を 通 して 研 修 』『 特 に 研 修 期 間 を 設 定 せず OJT で 取 得 させる』 等 の 取 り 組 みが 行 われていた。研 修 日 数表 1-2-10 実 施 日 数 別 にみた 初 任 者 研 修 の 内 容主 な 研 修 の 内 容1 日 未 満就 業 規 則 、 安 全 衛 生 教 育 、 会 社 概 要 、 会 社 ルール、ビジネスマナー、 施 設 見 学 、 個 人 情 報 取 扱 等 等1 日 以 上 3 日 未 満 就 業 規 則 、 安 全 教 育 、 会 社 概 要 、 会 社 ルール、ビジネスマナー、 配 属 先 の 部 署 ・ 業 務 説 明3 日 以 上 1 週 間 未 満 就 業 規 則 、ビジネスマナー、 配 属 先 業 務 の 習 得 、 安 全 教 育 等 等1 週 間 以 上 1ヶ 月 未 満 業 務 、 作 業 、 技 術 習 得 等 等表 1-2-10 実 施 日 数 別 にみた 初 任 者 研 修 の 内 容1ヶ 1 ヶ 月 以 上 上業 務 工 程 の 習 得 等等研 修 なし な し実 作 業 を 通 して 研 修 、 特 に 研 修 期 間 を 設 定 せずOJTで 習 得 させる 等 等2OJT の 実 施 状 況採 用 後 の OJT の 実 施 期 間 について 図 1-2-5 に 概 要 を 示 した。 実 施 期 間 は『 1 ヶ 月 未 満 』までが 4 割 程であり 、『 3 ヶ 月 以 上 』は 1 割 であった。しかし 、『 OJT は 特 に 期 間 を 設 けずに 実 施 する』とした 企 業 が最 も 多 かった。不 明 ・ 無 回 答22%1 週 間 未 満5%1 日 以 上3 日 未 満16%3 日 以 上1 週 間 未 満13%特 に 期 間 を設 けず 実 施30%3ヶ 月 以 上9%図 1-2-5 採 用 後 のOJT 期 間 (n=105)1 週 間 以 上1ヶ 月 未 満7%表 1-2-11 には 実 施 日 数 別 に 見 た OJT の 内 容 を 示 した。OJT 日 数表 表 1-2-11 実 施 日 数 別 にみたOJTの 内 容主 なOJTの 内 容1 週 間 未 満練 習 ・ 講 習 、 配 属 先 業 務 の 習 得 、 用 具 の 使 い 方 、 作 業 手 順 、1 週 間 以 上 2 週 間 未 満 指 導 員 や 先 輩 社 員 による 指 導 、 配 属 先 での 担 当 業 務2 週 間 以 上 1ヶ 月 未 満 スタッフによる 指 導 、 各 作 業 の 習 得 、 業 務 工 程 の 習 得 等 等1ヶ 月 以 上 3ヶ 月 未 満 業 務 ・ 工 程 習 得 、 作 業 ・ 勤 務 習 慣 化 、 適 確 認 、 習 熟 度 評 価 等 等3ヶ 月 以 上その 都 度 ・ 必 要 に 応 じて・ 特 に期間 期 を 間 設 を 設 けずにOJTを 実 施 実 施実 際 業 務 の 遂 行 、 業 務 工 程 の 習 得 、 先 輩 からマンツーマン 教 育 を 受 ける、 礼 儀 作 法 、ビジネスマナー、 業 業 務 務 全 全 般 般 等人 材 により 内 容 ・ 期 間 は 変 わる、 毎 日 が 教 育 ・ 研 修 である、 実 習 を 経 ているので 即 仕 事 、ほぼ 、 一 人 で 作 業 できるまで ほぼ 等 一 人 で 作 業 できるまで 等-31-


実 施 日 数 の 長 短 に 関 わらず「 配 属 先 の 業 務 習 得 」が OJT の 中 心 課 題 となっている。 1 ヶ 月 未 満 の 場 合は「 練 習 ・ 講 習 、 作 業 手 順 、 他 の 社 員 による 指 導 」、 1 ヶ 月 以 上 の 場 合 は「 作 業 ・ 勤 務 習 慣 化 」「 実 際 業務 の 遂 行 」と 実 施 期 間 が 長 期 化 するにつれ 難 易 度 が 高 まる。また、 実 施 期 間 を 特 に 定 めていない 場 合 の研 修 内 容 は、 従 業 員 個 別 の 状 況 に 対 応 していた。3 その 他 の 研 修初 任 者 研 修 や OJT 以 外 で 実 施 している 研 修 の 内 容 について 概 要 を 示 した( 表 1-2-12) 。「 PC の 研 修 」「 業 務 に 関 する 技 術 ・ 知 識 」「 印 刷 機 オペレーション 技 能 」「 技 能 認 定 試 験 に 向 けた 研 修 」など、 業 務 に 必 要 となる 知 識 や 技 術 の 育 成 を 目 的 として「 外 部 研 修 ・ 認 定 試 験 」を 利 用 している 企 業 も見 られた。また 、「 人 権 」「 安 全 」「 個 人 情 報 」「EMS(Electronics Manufacturing Service)」 等 、テーマを 決 めて年 に 数 回 研 修 を 実 施 する 企 業 も 見 られた。表 表 1-2-12 障 害 障 のある 害 のある 職 職 員 採 用 後 の 研 修 の 期 間 と 日 数 ・ 内 容 「その 他 」 」内 内 容 容外 部 研 修 ・ 認 定 試 験テーマを 決 めたテーマを めた年 数 回 の 研 修その 他その 職 業 リハビリセンターにおいてPCの 在 籍 研 修 ( 希 望 者 )リハビリセンターにおいてPCの 在 籍 研 修 ( )通 信 教 育 および 外 部 講 師 による 技 術 ・ 知 識 に 関 する 研 修 会および による 術 ・ 知 識 に 関 する 研 修 会個 人 別 、 職 種 別 に 外 部 研 修 も 行 う 場 合 あり( 印 刷 機 オペレーション 技 能 など)場 合 あり( オペレーション 技 能 など)1 年 毎 にある 技 能 認 定 試 験 合 格 目 標 に 向 けて、 圧 着 (2 週 ~1ヶ 月 )、にある 標 に 向 けて、 圧 着 (2 週 ~1ヶ 月 )、ネジ 締 め(2 週 ~1ヶ 月 )、はんだ(1ヶ 月 ~ 長 期 ) 技 能 認 定 取 得 まで 実 施ネジ め(2 ~1ヶ )、ハンダ(1ヶ 月 ~ 長 期 ) 技 能 認 定 取 得 まで 実 施 。知 識 : 品 質 、 生 産 管 理 、 商 品 知 識 、5S、 環 境 などの 各 項 目 4ランクに 分 け 教 育 を 実 施、5S、 環 境 などの 各 項 目 4ランクに 分 け 教 育 を 実 施 。技 能 :はんだ 付 、 検 査 については 技 能 認 定 制 度 で 運 用:はんだ については 技 能 認 定 制 度 で 運 用人 権 をテーマとした 入 社 時 及 び 年 1 回 の 全 体 研 修をテーマとした 1 回 の 全 体 研 修年 2 回 ( 各 1 日 )、 会 社 方 針 の 説 明 を 受 ける)、 明 を 受 ける役 割 、 成 果 の 把 握 と 自 発 的 チャレンジを 促 すプログラムチャレンジを 促 すプログラム階 層 (リーダー、サブリーダー、 中 堅 、 入 社 3 年 目 ) 別 に 随 時 1~2 日 の 研 修 を 実 施(リーダー、サブリーダー、 中 堅 、 入 社 3 年 目 ) 別 に 随 時 1~2 日 の 研 修 を 実 施毎 月 の 安 全 部 会 、 安 全 大 会 参 加個 人 情 報 の 管 理 に 関 する 研 修 を 毎 年 1 回 以 上 実 施する 年 1 回 以 上 実 施EMSに 関 する 研 修 を 毎 年 1 回 以 上 実 施EMSに する 実 施ヒヤリハット 体 験 の 共 有 化 ( 毎 月 1 回 )ヒヤリハット 1 回 )定 時 間 内 、 仕 事 のできる 体 力 ( 心 身 )づくり( 必 要 に 応 じて)のできる ( )づくり( じて)働 く 上 で 必 要 なコミュニケーションの 習 得なコミュニケーションの 習 得自 社 で 働 く 社 員 の 抱 える 障 がいを 理 解 するえる がいを 理 解 する安 全 に 作 業 を 行 うための 基 本 的 動 作 を 体 験 ( 不 定 期 )うための 作 を 体 験 ( 不 定 期 )(4) 採 用 後 の 研 修 で 留 意 している 内 容研 修 で 留 意 していることとして 設 けた9 項 目 に 対 する 自 由 記 述 の 回 答 について、 内 容 趣 旨 ごとに 分 類し、 件 数 の 多 かったカテゴリー 第 3 位 までを 示 した( 表 1-2-13) 。「 作 業 速 度 」と「 作 業 の 正 確 さ」に 分 けて 回 答 を 求 めたが 、『 速 度 は 求 めず 本 人 のペース 重 視 』『 速 度より 正 確 ・ 丁 寧 さを 重 視 』『 正 確 さを 優 先 的 な 目 標 として 達 成 させる』 等 、 作 業 速 度 よりも 本 人 のペー-32-


スや 作 業 の 正 確 さを 重 視 する 意 見 が 多 い。「 作 業 の 正 確 さ 」「 安 全 な 作 業 遂 行 」「 指 示 の 理 解 」の 留 意 項 目 においては 、『 検 品 ・ 確 認 の 工 程 を 作る 』『 手 順 等 のマニュアルの 徹 底 を 図 る 』『 作 業 ルール・ 手 順 ・ 用 具 の 使 用 方 法 などの 遵 守 』『 作 業 工 程の 単 純 化 』 等 、 作 業 のルール 遵 守 や 作 業 工 程 の 工 夫 が 共 通 して 見 られた。「 情 報 管 理 」「 人 間 関 係 」「 就 業 態 度 」「 労 働 意 欲 」は、 注 意 ・ 声 かけ・ 面 談 ・OJT・ 訓 練 ・ 勉 強 会 ・ミーティング 等 を 通 して 指 導 が 行 われていた。また 、「 基 本 的 労 働 習 慣 の 確 立 」「 人 間 関 係 」においては普 段 のコミュニケーションを 通 した 指 導 も 見 られた 。「 労 働 意 欲 」を 高 めるため『 業 務 評 価 』を 行 う 場合 もあった。表 1-2-13 表 1-2-13 研 修 研 で 留 修 意 で 留 していること 意 していること(n=105)留 意 項 目留 意 している 内 容 ( 件 数 )件 数作 業 速 度作 業 の 正 確 さ( 品 質 のばらつき)指 示 の 理 解安 全 な作 業 遂 行情 報 管 理基 本 的 労 働 習 慣 の 確 立労 働 意 欲人 間 関 係就 業 態 度速 度 は 求 めず 本 人 のペース 重 視 23速 度 より 正 確 ・ 丁 寧 さを 重 視 20速 度 の 目 標 を 時 間 ・ 納 期 で 設 定 16正 確 さを 優 先 的 な 目 標 として 達 成 させる 43検 品 ・ 確 認 の 工 程 を 作 る 16手 順 等 マニュアルの 徹 底 を 図 る 12本 人 に 復 唱 や 説 明 を 求 め、 指 示 の 理 解 度 を 判 断 する 28本 人 の 理 解 を 得 るまで 繰 り 返 し 説 明 ・ 指 示 ・ 指 導 する 21指 示 方 法 や 理 解 方 法 の 工 夫 、 作 業 工 程 の 単 純 化 19作 業 ルール・ 手 順 ・ 用 具 の 使 用 方 法 などの 遵 守 19OJTや 安 全 教 育 の 実 施 による 注 意 喚 起 18職 場 環 境 の 整 備 ・バリアフリー 化 12情 報 管 理 ルールを 設 け 遵 守 させる 33OJT・ 訓 練 ・ 連 絡 会 ・ 勉 強 会 による 指 導 9本 人 と 会 社 間 の 連 絡 の 徹 底 8時 間 やスケジュール( 業 務 時 間 ・ 遅 刻 ・ 休 暇 )の 管 理 の 重 視 18生 活 リズム・ 健 康 管 理 の 重 視 15あいさつ、コミュニケーション、 報 ・ 連 ・ 相 の 重 視 10働 く 意 識 ( 責 任 ・ 積 極 性 ・ 働 く 目 的 ・ 就 業 態 度 )の 重 視 22作 業 態 度 ・ 意 欲 ・ 業 務 評 価 による 意 欲 喚 起 19意 欲 を 高 めるため 面 談 ・ミーティング 等 を 行 う 9連 絡 ・ 相 談 ・ 話 し 合 い・ミーティング・ 面 談 等 で 人 間 関 係 を 指 導 、 問 題 を 共 有 する 20あいさつ・ 声 かけ・コミュニケーションの 重 視 19社 員 との 関 係 を 重 視 13職 場 ルール( 就 業 規 則 ・ 規 律 ・ 時 間 ・マナー)の 重 視 21重 視 する 勤 務 態 度 ・ 意 欲 ・ 特 性 17注 意 ・ 声 かけ・ 面 談 ・ 勉 強 会 による 就 業 態 度 の 指 導 12その 他 アビリンピックへの 参 加 、スポーツ 大 会 への 参 加 、 月 別 目 標 、 面 談 、セクシャルハラスメント 6(5) 研 修 後 、 職 場 に 配 置 する 際 に 留 意 する 点研 修 後 、 職 場 に 配 置 する 際 に 留 意 している 9 項 目 の 自 由 記 述 の 回 答 について、 内 容 趣 旨 ごとに 分 類 、件 数 の 多 かったカテゴリー 第 3 位 までを 示 した( 表 1-2-14) 。 件 数 が 最 も 多 かったカテゴリーについてみることとする。「 服 装 ・ 身 だしなみ」では『 場 面 ・ 作 業 にふさわしい 服 装 、 適 切 な 着 用 』『 清 潔 さ』が 、「 話 を 聞 くと-33-


きの 態 度 」では『 姿 勢 や 相 槌 』『 話 を 聞 く 態 度 』が 重 視 されていた。また 、「あいさつ」「 返 事 」においては『 元 気 よく・ 明 確 に』 等 の 留 意 点 が 共 通 している 。「 丁 寧 な 言 葉 づかい」では『 場 面 や 相 手 に 応 じた 言 葉 づかい 』、「 遅 刻 や 休 暇 の 連 絡 」では『 速 やかで 確 実 な 連 絡 』、 「 共 用 物 品 の 取 扱 い」では『 丁 寧 ・大 切 ・ 安 全 ・ 清 潔 な 取 扱 い』など、 一 般 的 な 職 場 のルールが 留 意 点 にあげられている。「 指 示 の 理 解 の 確 認 」では『 復 唱 ・ 反 復 での 内 容 確 認 、 繰 り 返 しの 指 示 』が 挙 げられているが、 実 際の 指 導 のためには、 指 導 従 業 員 の 配 置 が 条 件 となるといえる。これらの 留 意 事 項 に 関 しては、 OJT や 研 修 等 による 指 導 が 行 われることが 多 かった。表 1-2-14表 1-2-14研 修研後修、 職後場、 職に 配場置に 配する置際する、 留際意、 留する意点する 点(n=105)留 意 項 目留 意 している 内 容件 数服 装 ・ 身 だしなみ話 を 聞 くときの 態 度あいさつ返 事丁 寧 な 言 葉 づかい遅 刻 や 休 暇 の 連 絡指 示 の 理 解 の 確 認共 用 物 品 の 取 扱 い個 人 情 報 の 管 理 やパスワードの取 扱 いについて場 面 ・ 作 業 にふさわしい 服 装 ・ 適 切 な 着 用 31清 潔 さの 重 視 24研 修 /OJT 等 による 身 だしなみの 指 導 10視 線 ・ 話 し 手 の 方 向 を 見 る 姿 勢 ・ 相 槌 等 の 重 視 23話 を 最 後 まで 聞 く・ 集 中 ・ 理 解 しようとする 態 度 の 重 視 19OJT・ 研 修 等 で 注 意 または 指 導 する 13元 気 で 大 きな 声 で 挨 拶 することの 重 視 24人 間 関 係 ・マナー・ 業 務 において 挨 拶 を 重 視 22適 切 な 場 所 、タイミングでの 挨 拶 の 重 視 12元 気 よく・ 明 確 に 返 事 することの 重 視 23職 場 でのコミュニケーションの 基 本 として 重 視 する 18返 事 は、 指 示 を 理 解 したかどうかの 判 断 材 料 としている 15場 面 や 相 手 に 応 じた 言 葉 遣 づかい( 敬 語 敬 、 語 丁 、 寧 丁 語 寧 )の 語 )の 重 視 重 視 35OJT・ 研 修 ・その 他 の 機 会 によって、 丁 寧 な 言 葉 遣 づかいを 指 導 指 導 している 10人 間 関 係 を 良 くしたり、コミュニケーションをとる 上 で 言 葉 遣 づかいを 重 視 重 視 7本 人 の 主 体 的 で、 速 やか・ 確 実 な 連 絡 を 重 視 している 27社 会 人 として、 仕 事 上 必 須 の 基 本 的 事 項 の 重 視 19OJT・ 研 修 ・ 面 接 等 による 指 導 を 行 っている 7わからないことは 聞 く・ 復 唱 ・ 反 復 で 内 容 確 認 する・ 繰 り 返 しの 指 示 することで 指 示 を 理 解 させる 35仕 事 の 基 本 的 事 項 として 重 視 している 11上 司 や 他 のスタッフの 協 力 を 重 視 している 6丁 寧 ・ 大 切 ・ 安 全 ・ 清 潔 な 取 扱 いを 重 視 する 19使 った 共 用 物 品 の 整 理 整 頓 、 定 位 置 に 戻 すことを 重 視 16仕 事 ・ 業 務 上 の 基 本 的 事 項 として 重 視 している 7個 人 情 報 に 関 するルールを 設 定 している 24個 人 情 報 の 管 理 に 関 わる 勉 強 会 ・ 社 内 教 育 システム・マニュアル 等 により 指 導 をおこなっている 11ツール・マニュアル 等 を 活 用 して 情 報 管 理 している 9これら 9 つの 項 目 について 留 意 する 順 位 を 尋 ねた。 これらの 順 位 における 偏 りの 有 無 を 検 討 するため、2Friedman 検 定 を 行 った 結 果 、 有 意 差 が 認 められた (χ =219.8, df=8, p < .001)。さらに scheffe の 多 重 比較 を 行 ったところ、 次 の 項 目 間 で 有 意 差 が 確 認 された( 表 1-2-15) 。-34-


表 1-2-15 表 1-2-15 項 目 間 項 の 目 平 間 均 の 順 平 位 均 の 順 差 位 の (N=67) 差 (N=67)注 ) 数 値 注 は ) 絶 数 対 値 は 表 絶 記 対 値 表 記あいさつ あいさつ 返 事 返 事話 を 聞 く遅 刻 遅 や 刻 休 や 暇 休 服 装 ・身指 示 の 理 解 丁 寧 な 言 個 人 情 報ときの 話 を 聞 く 丁 寧 な 個 人 情 報 のの 連 暇 絡 の 連 絡 身 だしなみ 解 の 確 認葉 づかい の 管 理態 度 ときの 態 度 言 葉 づかい 管 理返 事 返 事 1.30 1.30遅 刻 や 遅 休 刻 暇 や の 休 連 暇 絡 の 連 絡 1.67 1.67 0.37 0.37服 装 ・ 服 身 装 だしなみ ・ 身 だしなみ2.61 *** 2.61 *** 1.31 1.31 0.94 0.94指 示 の 指 理 示 解 の 理 確 解 認 の 確 認2.64 *** 2.64 *** 1.34 1.34 0.97 0.97 0.03 0.03話 を 聞 話 くときの を 聞 くときの 態 度 態 度2.46 *** 2.46 *** 1.10 1.10 0.73 0.73 0.21 0.21 0.24 0.24丁 寧 な 丁 言 寧 葉 な づかい 言 葉 づかい4.22 *** 4.22 *** 2.93 2.93 *** 2.55 2.55 *** 1.61 1.61 1.58 1.58 1.82 1.82 * 個 人 情 個 報 人 の 情 管 報 理 の 管 理4.79 *** 4.79 *** 3.49 3.49 *** 3.12 3.12 *** 2.18 2.18 ** 2.15 2.15 * 2.39 2.39 ** 0.57 0.57共 用 物 共 品 用 の 物 取 品 り の 扱 取 いり 扱 い5.72 *** 5.72 *** 3.97 3.97 *** 3.60 3.60 *** 2.66 2.66 *** 2.63 2.63 *** 2.87 2.87 *** 1.04 1.04 0.48 0.48※ 有 意 確 ※ 率 有 意 * p


実 施 していない26%無 回 答7%実 施 している67%図 1-2-7 研 修 の 実 施 状 況 (105 社 )次 に 、『 企 業 が 実 施 している 研 修 の 具 体 的 な 内 容 』を 整 理 した 上 で 概 要 を 示 した( 表 1-2-16)。 表 の 左列 は「 研 修 の 実 施 方 法 」、 右 列 は「 研 修 内 容 」を 示 している。研社修内・会勉議強へ会の・参講加演・見学・体験教使材用の表 1-2-16 表 研 1-2-16 修 の 実 施 研 方 修 法 の 及 実 び 施 内 方 容 法 及 び 内 容(n=71)研 修 の 実 施 方 法件 数研 修 内 容件 数障 害 者 職 業 生 活 相 談 員 資 格 講 習 への 参 加 24 障 害 特 性 15支 援 機 関 実 施 の 研 修 に 参 加 21 指 導 ・ 支 援 方 法 9社 内 勉 強 会 ・ 会 議 ・ 意 見 交 換 14 労 働 契 約 ・ 人 事 制 度 ・ 就 業 規 則 5当 事 者 ・ 関 係 団 体 による 講 習 ・ 勉 強 会 への 参 加 11 就 労 支 援 の 方 法 ・ 情 勢 4ジョブコーチ 研 修 への 参 加 11 手 話 4OJT 10 障 害 者 雇 用 促 進 法 3企 業 ・ 関 係 機 関 との 会 議 4 経 営 方 針 ・ 会 社 概 要 3研就 労 支 援 に 関 する 講 演 会 参 加 3 社 内 ルール・ビジネスマナー 修2障 害 者 雇 用 推 進 者 の 講 習 への 参 加 2 テー テ仕 事 における 役 割 の 理 解 2特 別 支 援 学 校 による 研 修 ・ 講 演 への 参 加 2 マ商 品 知 識 ・ 品 質 管 理 ・ 生 産 管 理 2障 害 者 雇 用 に 関 わる 企 業 での 研 修 2 ノーマライゼーションの 理 念 1障 害 社 員 からの 教 授 2 人 権 1サービス 介 助 士 資 格 認 定 講 習 1 情 報 管 理 1企 業 内 業 務 体 験 10 安 全 衛 生 1企 業 見 学 9 メンタルヘルス 1福 祉 施 設 見 学 5 振 り 返 りと 気 づき 1支 援 機 関 見 学 2 コミュニケーション 1ボランティア 活 動 1 IE、PC 研 修 2実ハンディキャップ 体 験 ( 目 隠 し 歩 行 、 車 椅 子 ) 1 はんだ 付 け・ビス 締 め践1就 労 支 援 関 連 ビデオの 利 用 3 軽 作 業 1就 労 支 援 関 係 の 書 物 3指 導 マニュアルの 作 成 と 使 用 1障 害 のある 従 業 員 に 関 する 知 識 ・ 理 解 のための 研 修 は 、「 研 修 ・ 勉 強 会 ・ 講 演 ・ 社 内 会 議 への 参 加 」を 通 して 行 われることが 多 く、 中 でも『 障 害 者 職 業 生 活 相 談 員 資 格 講 習 への 参 加 』は 最 も 多 い。また、『 支 援 機 関 実 施 の 研 修 に 参 加 』、『 当 事 者 ・ 関 係 団 体 による 講 習 ・ 勉 強 会 への 参 加 』『ジョブコーチ 研 修への 参 加 』を 推 奨 する 企 業 も 多 数 見 られた 。『 社 内 勉 強 会 ・ 会 議 ・ 意 見 交 換 』など、 企 業 内 での 業 務 や活 動 を 通 して 知 識 ・ 理 解 を 深 める 企 業 もあった。また 、「 見 学 ・ 体 験 」として、 自 社 での『 企 業 内 業 務体 験 』、『 企 業 見 学 』『 福 祉 施 設 見 学 』『 支 援 機 関 見 学 』を 行 う 企 業 も 見 られた 。『ボランティア 活 動 』『ハンディキャップ 体 験 』など、 体 験 型 の 研 修 も 一 部 行 われていた。研 修 のテーマは 多 様 であったが、 数 が 多 かったのは『 障 害 特 性 』『 指 導 ・ 支 援 方 法 』 等 の 直 接 指 導 に関 わる 内 容 であった。 実 践 的 研 修 としては 、『はんだ 付 け・ビス 締 め』や『 IE, PC 研 修 』など、 業 務 に直 接 関 わる 内 容 がみられた。-36-


第 3 節調 査 結 果 : 職 場 のルールの 指 導 について1. 場 面 に 適 切 とされる 行 動 の 考 え 方 について: 調 査 項 目 の 概 要本 調 査 では 、 職 場 において 「 場 面 に 適 切 ではない 行 動 」 がおこりがちな 11 の 場 面 を 設 定 した。 また、これらの 各 場 面 が 提 示 された 時 の 「 考 え 方 」 を4 通 り 用 意 し 、 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 「 考え 方 」を 選 択 するよう 求 めた。ただし、 選 択 肢 に 適 切 な 考 え 方 がない 場 合 は、5 番 目 の 選 択 肢 として、具 体 的 にどのような 対 応 を 考 えるかについて 記 入 を 求 めた。また、 11場 面 以 外 にも 指 導 が 必 要 となった 場 面 がある 場 合 には、その 場 面 と 必 要 となった 対 応 についての 記 入 を 求 めた。以 下 の 場 面 1~11に 新 入 社 員 の A さんに 関 するエピソードを 記 述 した。場 面 1 : 備 品 の 私 的 利 用場 面 2 : 始 業 時 間 に 関 する 理 解場 面 3 : 遅 刻 の 連 絡場 面 4 : 毎 日 のあいさつ場 面 5 : 作 業 中 の 返 事場 面 6 : 指 示 に 従 う場 面 7 : 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事場 面 8 : 作 業 終 了 の 報 告場 面 9 :ミスの 報 告場 面 10:わからないときの 質 問場 面 11: 共 用 備 品 の 管 理特 例 子 会 社 を 対 象 とした 調 査 結 果 のとりまとめに 際 しては、まず、 11場 面 に 適 切 とされる 行 動 の 考え 方 について、 企 業 に 共 通 するルールがあるのかについて 検 討 する。もし、 企 業 に 共 通 したルールがあるのであれば、 就 労 前 の 支 援 において、あらかじめルールに 基 づく 行 動 を 指 導 することが 可 能 であると考 えられるからである。また、 特 例 子 会 社 において 実 際 に 指 導 が 必 要 となった 場 面 について 整 理 すると共 に、どのように 対 応 したのか、その 具 体 例 についてまとめる。2. 選 択 された 回 答 の 一 致 率 について(1) 一 致 率 が 90 %を 越 える 場 面11場 面 のうち、あらかじめ 用 意 された4つの 選 択 肢 の 回 答 が 多 く、また、その 回 答 の 一 致 率 (4つのうち 特 定 の1つの 選 択 肢 が 選 択 された 割 合 : 表 中 網 掛 けにより 示 す)がであった。 以 下 にその 場 面 と 選 択 肢 について 示 す。90%を 越 える 場 面 は5 場 面なお、4つの 選 択 肢 から1つを 選 択 し、 同 時 に5の 欄 に 回 答 が 記 述 されていた 場 合 は、 選 択 肢 としてはそのまま 回 答 率 に 合 算 した 上 で、 記 述 された 内 容 については、 自 由 記 述 のまとめに 反 映 した。また、-37-


回 答 の 全 体 像 を 明 らかにするため、1~4に 関 する 回 答 の 重 複 については 欄 外 に 示 した( 以 下 の 分 析 においても 同 様 )。場 面 は 、「 備 品 の 私 的 利 用 」「 ・ 共 用 備 品 の 管 理 」「 ・ 始 業 時 間 に 関 する 理 解 」「 ・ 遅 刻 の 連 絡 」「 ・ ミスの報 告 」 の5つであった。 従 って、これらの5 場 面 ならびにこれに 類 するルール、 例 えば、 昼 休 み 時 間 や休 憩 時 間 に 関 する 理 解 、 早 退 の 連 絡 等 については、 同 様 にいずれの 企 業 においても 共 通 するルールであり、 考 え 方 についての 見 解 が 一 致 していると 考 えられる。【 場 面 1: 備 品 の 私 的 利 用 】机 の 上 には、Aさんの 仕 事 に 必 要 な「ボールペン、 鉛 筆 、はさみ、ホチキス、セロハンテープ」が 置 かれていました。先 輩 職 員 の B係 長 は、「これらの 文 房 具 は、 Aさんが 使 って 良 いものです」と 説 明 しました。A さんは、 自 宅 のセロハンテープが 残 り 少 なくなっていることを 思 い 出 しました。帰 りに、「Aさんが 使 っても 良 い」と 言 われた 文 房 具 の 中 から、セロハンテープを 持 って 帰 りました。考 え 方( 有 効 回 答103社 )%1「 Aさんが 使 っても 良 い」と 言 われたものだから、 特 に 問 題 はない。2 会 社 で 使 うものなので、 持 って 帰 るのは 良 くない。3 セロハンテープは 使 えばなくなるものだから、また、 新 しいセロハンテープをもらえばいい。4 持 って 帰 るのは 良 くないかもしれないが、「 持 って 帰 ってはいけない」と 言 われていないから特 に 問 題 はない。5 その 他 ( )1.090.50.01.94.8「その 他 」に 記 述 (7 社 )いずれも「 係 長 の 説 明 の 仕 方 に 問 題 があった」との 認 識 のもと、 説 明 が 不 足 していた 部 分 (Aさんが「 職場 で 使 って 良 いものである」)を 補 うことに 触 れられていた。また、 説 明 の 不 足 を 伝 えるだけでなく、 持って 帰 ったテープを 職 場 に 戻 すように 指 示 するという 回 答 もみられた。【 場 面 2: 始 業 時 間 に 関 する 理 解】甲 株 式 会 社 の 始 業 時 間 は 10時 00分 です。 Aさんは、 毎 日 、だいたい 10時 頃 に 職 場 に 着 きます。どんなに 遅 くても 10 時 10分 までには 会 社 に 着 きます。それから、 作 業 着 に 着 替 えて、トイレに 行 き、 仕 事 を 始 めるのは 10 時 30分 頃 になります。考 え 方( 有 効 回 答104社 )%1 仕 事 は 10 10時 からだから、 少 し 遅 れた 分 は、 残 業 すればいい。2 だいたい 10 10時 くらいに 会 社 に 着 いているのは 良 いけれど、 仕 事 を 始 める 時 間 が 少 し 遅 い。3 仕 事 は 10 10 時 からだから、 10 10時 に 仕 事 を 始 めなければいけない。4 だいたい 10 10時 に 着 いているし、 仕 事 の 前 にトイレに 行 っておくなど、 準 備 を 整 えてから作 業 に 取 りかかるのは 良 い 考 えだ。5 その 他 ( ))0.01.993.31.03.8「その 他 」に 記 述 (6 社 )以 下 の1、2に 代 表 されるように、「 何 時 に」「 何 をするか」について 具 体 的 に 伝 えるという 回 答 であった。1「 仕 事 は10 時 からだから、9 時 45 分 に 会 社 へ 来 なさいとはっきりした 時 間 を 指 導 する」などのように 出 社 時 間 を 明 示 する2「 始 業 時 間 を“ 仕 事 を 始 める 時 間 ”」として 明 示 的 に 伝 える-38-


【 場 面 3: 遅 刻 の 連 絡 】甲 株 式 会 社 の 始 業 時 間 は 10 時 00分 です。A さんは 自 宅 からの 最 寄 り 駅 で 電 車 を 待 っていますが、いつも 乗 る 電 車 が 遅 れていて、まだ、 来 ません。そのため、 10 時 00分 には、どうしても 間 に 合 いそうにありません。でも、 10 時 30分 には 着 けそうです。A さんは、 携 帯 電 話 を 持 っていますが、 連 絡 をしているともっと 遅 れそうなので、とにかく 急 いで 会 社 に 行 き、 会 社 に 着 いてから「 電 車 が 遅 れた」ことを 説 明 しようと 思 いました。考 え 方( 有 効 回 答104社 )%1 報 告 よりも、まず、 会 社 に「 急 いで 来 た」というのは 良 い 判 断 だ。2 先 に 連 絡 した 方 が 良 かったとは 思 うけど、 30 30分 くらいの 遅 刻 だし、 遅 れた 原 因 は Aさんではないから 仕 方 ない。3 遅 れた 原 因 は Aさんではないのに、いろいろ 説 明 しなくてはいけなくて 大 変 だ。4会 社 に 着 くのはさらに 遅 れるかもしれないけど、とりあえず、 遅 れた 理 由 と 何 時 に 会 社 に着 くかを 先 に 連 絡 しておいた 方 がよい。5 その 他( )0.03.80.090.54.8「その 他 」に 記 述 (5 社 )「 電 車 のダイヤ 乱 れがあるとその 時 点 で 会 社 への 連 絡 (TEL)するルールになっている( 実 際 に 守 られている)」など、 遅 刻 しそうな 場 合 の 連 絡 をルール 化 しているという 回 答 が 多 かった。また、このような 遅 刻 に 関 する 連 絡 は 企 業 としてあまりに 当 然 すぎるので、 設 問 そのものに 困 惑 したとの 回 答 も 見 られた。【 場 面 9 :ミスの 報 告】Aさんは、 作 業 に 必 要 な 分 の 材 料 ( 青 色 封 筒 100枚 、 宛 名 用 ラベル 100枚 )を 総 務 部 に 申 請 するように 指 示 されていました。 Aさんは、 申 請 書 に “100枚 ”と 書 くところ、 誤 って “1000枚 ”と 書 いてしまいました。 今 朝 、 DM事 業 部 には、 青 色 封 筒 1000枚 と 宛 先 用 のラベル 1000枚 が 届 きました。Aさんは、 間 違 いに 気 づいたのですが、 封 筒 もラベルも「いつかは 使 うだろう」と 思 い、 丁 寧 に 箱にしまって、 自 分 の 机 の 下 に 置 きました。考 え 方( 有 効 回 答104社 )%1ミスをしたのに 報 告 しないのは、 良 くない。2封 筒 やラベルを 丁 寧 に 箱 にしまい、 備 品 を 大 切 に 取 り 扱 っているのは、いいことだ。3ミスはミスだが、 足 りないというわけではないので、 特 に 報 告 する 必 要 はない。4箱 にしまって 机 の 下 に 置 いたままにするのは、 忘 れてしまうことがあるので 良 くない。5 その 他( )重 複 回 答 1と4:1社「その 他 」に 記 述 (8 社 )「 通 常 申 請 には、 上 司 の 承 認 が 必 要 。その 上 司 の 責 任 であり、 上 記 間 違 いもどうすれば 良 かったか 指導 する」などのように 実 際 の 仕 事 上 の 手 続 きに 基 づいた 回 答 と「どのように 小 さいミスであっても、報 告 ・ 相 談 が 必 要 である」という 回 答 に 分 かれた。93.30.00.00.04.8ただし、これら 5 場 面 においても「 誤 解 のないように“ 場 面 を 限 定 して 説 明 をする ”」、 「 何 時 に 何 をするか“ 具 体 的 に 明 示 する ”」、「 起 こりうる 場 面 を 想 定 して“ルールとして 明 示 する ”」など、 障 害 特 性に 配 慮 する 考 え 方 があった 点 には 留 意 する 必 要 がある。こうした 配 慮 に 関 しては、 障 害 がある 従 業 員 に対 する 対 応 と 考 えられ、 一 般 企 業 において、 障 害 を 開 示 していない 場 合 に 同 様 の 配 慮 が 得 られるか、また、 求 めることが 妥 当 かについては 検 討 する 必 要 がある。-39-


【 場 面 11 : 共 用 備 品 の 管 理】Aさんは、 机 の 上 の 細 かなゴミをとるために、 卓 上 掃 除 機 が 必 要 になりました。 卓 上 掃 除 機 は、みんなで 利 用 する 共 用 の 備 品 です。Aさんは、 備 品 置 き 場 から 卓 上 掃 除 機 を 借 りてきて 掃 除 を 終 わらせました。A さんは 忙 しかったので、 卓 上 掃 除 機 をそのまま 自 分 の 机 に 置 いておきました。終 業 時 間 になってから、 卓 上 掃 除 機 を 備 品 置 き 場 に 戻 して 帰 りました。考 え 方( 有 効 回 答 104 104社 )%1 AAさんの 帰 宅 時 間 が 遅 くなってしまうので、 終 業 時 間 の 前 に 返 しに 行 くべきである。 0.0 0.02共 用 ではなく、 個 人 用 の 卓 上 掃 除 機 があればいい。0.0 0.03共 用 の 備 品 だが、 今 日 は 仕 事 も 忙 しかったことだし、 一 日 くらいなら、 自 分 の 机 に 置 いて 1.9 1.9も 問 題 ない。4共 用 の 備 品 なのだから、すぐに 返 さないといけない。94.35 その 他( ) 2.9 2.9「その 他 」に 記 述 (5 社 )仕 事 の 忙 しさや 内 容 にもよるためケースバイケースとする 回 答 の 他 に、「すぐに 返 せないケースがあるのなら、 所 在 がわかるようなルールを 作 る」とした 回 答 がみられた。(2) 一 致 率 が 80 % 以 上 90 % 未 満 の 場 面回 答 の 一 致 率 が、 80 % 以 上 90 % 未 満 の 場 面 ( 表 中 網 掛 けにより 示 す)は、 11 場 面 中 3 場 面 (「毎 日のあいさつ」「 ・ 作 業 終 了 の 報 告 」「 ・ わからないときの 質 問 」)であった。 以 下 に 各 場 面 毎 の 選 択 肢 の 一致 率 を 示 す。【 場 面 4 : 毎 日 のあいさつ】A さんは、 朝 、 会 社 に 出 社 すると、 自 分 から 誰 にでも「おはようございます」と 元 気 よくあいさつをします。 時 には、 相 手 からあいさつが 返 ってこない 場 合 もあります。でも、 相 手 からあいさつが 返 っても、 返 ってこなくても、 毎 日 、 同 じように 挨 拶 をします。考 え 方( 有 効 回 答 104 104社 )%1 あいさつができるAAさんは、コミュニケーションの 基 本 がわかっている。83.82あいさつは 必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない。3.8 3.83 AAさんに、 毎 日 、 毎 日 、あいさつされている 人 は、うるさいだろう。0.0 0.04あいさつの 返 ってこない 人 にまで、あいさつするなど、ムダなことだ。0.0 0.05 その 他( )11.4「その 他 」に 記 述 (12 社 )「 自 分 からするのは 基 本 として、 状 況 をわきまえたあいさつをする 事 が 必 要 」という 回 答 に 見 られるように、あいさつをすることに 関 する「 暗 黙 のルール」についての 記 述 が 見 られた。ア 遠 い 距 離 ですれ 違 う 人 にまではしなくて 良 い。イ あいさつが 返 ってくるまで 同 じ 人 に 何 回 も 言 わない。ウ 話 し 中 であれば、 挨 拶 が 返 ってこないこともある。また、ウについては、「 挨 拶 が 返 ってこない」 時 について、 話 し 中 ではなかったか、 必 要 以 上 に 大 声 をだしていなかったか、などを 一 緒 に 振 り 返 るとした 回 答 もあった。上 記 の 回 答 に 加 え、5 社 については、「 生 育 歴 の 中 で 養 った 一 つの 習 慣 としてあいさつをする。 時 と 場 合に 声 のトーンは 注 意 するが、あいさつはコミュニケーションの 始 まりなのでムダなどとは 一 切 思 わない」という 回 答 に 代 表 される 様 に、あいさつを 毎 日 することはとても 大 切 だと 回 答 している。一 方 で、「あいさつができなくても、 仕 事 の 指 示 、 理 解 などが 大 切 で 無 理 をさせることもない」という 回答 もあった。-40-


【 場 面 8: 作 業 終 了 の 報 告 】Aさんは、 会 議 に 必 要 な 資 料 を 11時 15分 までに 100枚 コピーするように 上 司 に 命 じられました。コピーは 11 時 00分 に 終 わりました。Aさんは、 席 に 戻 って 休 み、 11時 15分 になってから 上 司 にコピーができたことを 報 告 し、 100枚 の資 料 を 届 けました。考 え 方( 有 効 回 答103社 )%1本 当 なら 仕 事 が 終 わったことをすぐに 報 告 しなくてはいけないが、 指 示 された 時 間 は守 っているのだから、 問 題 ない。2 時 間 通 りに 資 料 を 届 けるということは、まじめな 態 度 だ。3頼 まれた 時 間 よりも 早 く 仕 事 を 終 えて 休 憩 できるのは、うらやましい。411時 に 終 わったら、すぐに 届 ける 方 がよい。5 その 他( )6.70.00.086.74.8重 複 回 答 1と4:1社「その 他 」に 記 述 (8 社 )「 指 示 を 出 す 時 に、 時 間 よりも 早 めに 出 来 た 場 合 、 遅 れそうな 場 合 について 説 明 しておく」などのように、 上 司 の 指 示 の 出 し 方 に 工 夫 が 必 要 との 回 答 が 多 く 見 られた。また、 休 みたいのであれば、 作 業 の 終 了 を「 報 告 後 」に 休 むことが 必 要 であるとの 回 答 もあった。【 場 面 10:わからないときの 質 問】上 司 が 作 業 の 手 順 について 説 明 をしました。 他 の 人 は 説 明 を 聞 き、すぐに 作 業 に 取 りかかりました。A さんも 作 業 を 始 めたのですが、 途 中 でどのようにやるのか、 作 業 の 手 順 がわからなくなってしまいました。とりあえず、 他 の 人 がやっているところを 見 てから、 自 分 でもやってみようと 思 い、 黙 って他 の 人 の 作 業 を 見 ていました。少 ししてからAさんも 作 業 を 始 めましたが、 通 りかかった 上 司 から 作 業 手 順 について 注 意 を 受 けました。考 え 方( 有 効 回 答103社 )%1質 問 した 方 がよかったとは 思 うが、 作 業 手 順 が 分 からなかったのは 上 司 の 説 明 のせいなのだから、 注 意 されるのはかわいそうだ。2注 意 はされたけど、 人 の 力 を 借 りないで、 自 分 で 何 とかしようとしたことは、よいことだ。3分 からなくなったら、すぐに 上 司 に 質 問 すればいい。4 難 しい 作 業 を 頼 まれたのだから、 Aさんは 大 変 だ。5 その 他( )3.83.883.81.03.8重 複 回 答 1と3: 1 社 2と3: 2社「その 他 」に 記 述 (5 社 )Aさんに 作 業 手 順 が 十 分 に 伝 わっていないことに 対 しては、 原 則 として 上 司 が 適 切 に 説 明 すべきという回 答 が 多 かった。 具 体 的 には、「 要 素 作 業 を 順 番 にわかるところまで 反 復 させる」「 上 司 がAさんの 理 解度 を 確 認 し、 様 子 をみる 方 がよい」などである。また、「 作 業 手 順 がわからなくなった 原 因 ( 当 人 の 能 力 、 説 明 のスピード 声 のトーン、 一 度 にいくつの 説 明 をしたか)などを 検 証 」し、 本 人 に 合 う 方 法 を 模 索 するなどの 回 答 は、「 上 司 が 説 明 するだけではなく、 実 際 に 作 業 が 指 示 通 りにできているのかを 確 認 することが 必 要 」との 回 答 といえる。回 答 の 一 致 率 が、 80% 以 上 であるということは、これらの 場 面 については、 多 くの 企 業 に 共 通 したルールがあると 考 えて 良 いだろう。なお 、「その 他 」の 回 答 に 注 目 してみると、 場 面 4の「 挨 拶 」に 関 しては、 挨 拶 することに 関 する 一-41-


連 の 暗 黙 のルール( 状 況 にあった 行 動 )が 求 められる 場 合 があることがわかる。また、 場 面 8の「 作 業終 了 の 報 告 」、 場 面 10 の「わからないときの 質 問 」に 関 しては、 上 司 があらかじめ 特 性 を 把 握 した 上 で対 応 すべきという 回 答 が 多 くみられた。こうした 配 慮 に 関 しては、 障 害 がある 従 業 員 に 対 する 対 応 と 考えられ、 一 般 企 業 において、 障 害 を 開 示 していない 場 合 に 同 様 の 配 慮 が 得 られるか、また、 求 めることが 妥 当 かについては 検 討 する 必 要 がある。(3) 一 致 率 が 70 % 未 満 の 場 面11 場 面 中 3 場 面 (「 作 業 中 の 返 事 」「 ・ 作 業 指 示 に 従 う」「 ・ 指 示 以 外 の 仕 事 」)に 関 しては、 最 も 一 致率 の 高 い「 考 え 方 」でも70% 未 満 ( 表 中 網 掛 けにより 示 す)であった。したがって、これらの 場 面 に関 しては、どのような 行 動 が 望 ましいと 考 えるかについては、 企 業 毎 に 考 え 方 が 異 なるといえる。 以 下に 各 場 面 毎 の 選 択 肢 の 一 致 率 を 示 す。【 場 面 5: 作 業 中 の 返 事】A さんは 今 、データの 入 力 中 です。データを 入 力 している 途 中 で 上 司 に 名 前 を 呼 ばれました。A さんはデータを 入 力 している 途 中 だったので、 区 切 りの 良 いところまで 入 力 してから、「はい」と 返 事 をしました。考 え 方( 有 効 回 答102社 )%1Aさんは、 仕 事 に 集 中 しているのだから、やむを 得 ない。2 Aさんがデータを 入 力 中 なことは 見 ればわかるのだから、 上 司 は Aさんの 様 子 を 見 て声 をかければいい。3 名 前 を 呼 ばれたのには、 何 か 理 由 があるのだろうから、Aさんはすぐに 返 事 をした 方 がいい。4 名 前 を 呼 ばれたら、すぐに 返 事 をしないといけないが、Aさんはデータの 入 力 中 だったし、区 切 りの 良 いところで 返 事 をしているのだから 問 題 はない。5 その 他( )2.913.358.15.76.9重 複 回 答 2+3 10 社 ( 9.8 %)/1+2 1社「その 他 」に 記 述 (9 社 ):「こうした 場 面 がない」と 回 答 した1 社 を 除 き、 以 下 の2つに 回 答 が 分 かれた、ア:「 区 切 りの 良 いところで 返 事 ではなく、 呼 ばれた 時 に 返 事 をし、「 今 ・・・・ 中 なので、区 切 りの 良 いところまで 待 ってください」と 返 事 をする」など、 対 応 の 仕 方 を 指 導 する(5 社 )イ:「 可 能 な 限 り 返 事 はするべきだが、Aさんの 特 性 (こだわりが 強 いなど)によっては、 上 司 が“ 待 つ”ことが 障 害 への 配 慮 であると 思 われる」など、Aさんの 特 性 に 配 慮 する(3 社 )作 業 中 の 返 事 に 関 しては 、「 名 前 を 呼 ばれたらすぐに 返 事 をすること」を 58.1 %の 企 業 で 求 めているが、 上 司 がAさんの 作 業 の 様 子 をみて 、「 声 かけをすべきだ」という 意 見 も 13.3 %と 一 定 程 度 ある。また 、「やむを 得 ない 」、あるいは、「すぐに 返 事 をしなくても(この 場 面 に 関 しては) 問 題 はない」とする 意 見 は 合 計 で 8.6 %となった。また、 重 複 回 答 (2+3)からも 分 かるように、 上 司 、 部 下 、それぞれに 望 ましい 行 動 を 求 めている 企 業 も 9.8 %となり、 望 ましい 行 動 について、 全 体 的 な 傾 向 はあるものの、 企 業 毎 の 考 え 方 には 差 が 認 められた。-42-


【 場 面 6: 指 示 通 りの 作 業 】Aさんは 上 司 から、「DM(ダイレクト・メール)の 宛 名 を 貼 る」 仕 事 を 命 じられました。作 業 は 指 示 書 にしたがって 行 うように 指 示 されました。しかし、Aさんは、 指 示 書 にしたがわず、自 分 がやりたいと 思 った 方 法 で 作 業 を 進 めました。いままでのところ、 特 に 失 敗 はないのですが、 上 司 はAさんのやり 方 をみて、 指 示 書 通 りにやるようにと 再 度 、 指 示 をしました。しかし、Aさんは 今 まで 失 敗 はなかったので、 自 分 なりのやり 方 でやり 続 けました。考 え 方( 有 効 回 答104社 )%1Aさんが 自 分 なりに 工 夫 しているのは、いいことだ。4.82 今 まで 特 に 失 敗 がないのだから、 指 示 書 の 通 りにやれという 上 司 の 方 がおかしい。0.03 上 司 の 指 示 通 りにやらないのは 良 くない。67.64 上 司 の 指 示 通 りにした 方 がいいが、 失 敗 してないから、Aさんのやり 方 でもかまわない。4.85( 5 その 他 ( ))20.0重 複 回 答 1+3 2 社 ( 1.9%)「その 他 」に 記 述 :26 社場 面 6( 指 示 に 従 う)に 関 しては 、「その 他 」への 回 答 が 20 %と 高 かった。また、 自 由 記 述 への 記 入も 多 かった( 計た。26社 )ため 回 答 内 容 に 関 して 再 分 類 を 行 った 結 果 、 概 ね 以 下 の3つの 意 見 に 集 約 されア: 基 本 は3( 指 示 書 通 りにやらないのは 良 くない)が、 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとれば良 い( 10 社 )イ: 工 夫 は 歓 迎 するが、 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとることが 必 要 (7 社 )ウ: 基 本 3だが、 上 司 に 説 明 責 任 がある( 上 司 は 指 示 した 方 法 がどのような 点 で 良 いのかを 事 前 に 説明 すべき、あるいは 理 由 の 説 明 をして 納 得 させる など )( 6 社 )以 上 の 回 答 からは 、「 指 示 書 通 りにやることを 基 本 」としつつも、 必 要 に 応 じて 上 司 と 相 談 し、その了 解 を 得 れば、 指 示 以 外 の 方 法 であっても 良 いとする 企 業 が 一 定 の 割 合 であることが 分 かる。また 、「なぜ、 指 示 書 通 りでなくはならないのか 」「 指 示 書 以 外 の 方 法 ではいけないのか」について、上 司 が 説 明 をすることが 必 要 であると 回 答 した 企 業 では 、「 指 示 書 通 りの 作 業 を 行 うことの 意 味 について 理 解 してもらうこと」が 重 要 であると 考 えているといえる。場 面 7( 指 示 以 外 の 仕 事 )に 関 しては 、「その 他 」への 回 答 が 12.4 %と 高 かった。また、 自 由 記 述 への 記 入 も 多 かった( 計集 約 された。18社 )ため、 回 答 内 容 に 関 して 再 分 類 を 検 討 した。 意 見 は 概 ね、 以 下 の4つにア: 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる( 3 社 )イ: 基 本 2( 指 示 された 以 外 の 仕 事 はするのは 良 くない)が、 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとればよい( 2 社 )ウ: 納 期 内 で 作 業 が 済 む( 優 先 順 位 が 守 られている)のであればよい( 6 社 )-43-


エ: 作 業 の 合 理 性 や 妥 当 性 についての 判 断 が 必 要 ( 3 社 )【 場 面 7: 指 示 以 外 の 作 業 】Aさんの 会 社 には、DM(ダイレクト・メール)の 宛 先 となる 会 社 の 住 所 をインターネットで 検 索 するという 仕 事 があります。 A さんは、 100社 分 の 会 社 の 住 所 を 検 索 するように 指 示 されました。作 業 をしているうちに、Aさんは、 自 分 が 住 所 を 調 べている 会 社 がどんな 会 社 なのかに 興 味 をもちました。そこで、 住 所 を 検 索 する 以 外 に、どのような 仕 事 をしているかについても 検 索 して 資 料 を 作 りました。考 え 方( 有 効 回 答103社 )%1 指 示 された 以 外 の 仕 事 をしているが、 後 で 会 社 の 役 に 立 つこともあるかもしれないので、7.6いいことだ。2 指 示 された 以 外 の 仕 事 をするのは 良 くない。65.73 指 示 された 作 業 だけでなく、 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのは、いいことだ。11.44 自 分 が 仕 事 ができることをアピールしているのはいいことだ。0.05 その 他( )12.4重 複 回 答 2+3 1 社 ( 1.0%)「その 他 」の 回 答 :18 社上 記 以 外 では 、「 基 本 的 に 指 示 された 仕 事 以 外 の 仕 事 をしても 良 いが、 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了承 をとることが 必 要 」「 納 期 だけでなく、 仕 事 の 合 理 性 ・ 妥 当 性 の 判 断 が 必 要 」「 業 務 の 繁 閑 や 立 場 によって 一 概 には 判 断 できない」などの 回 答 が 見 られた。自 由 記 述 に 見 られた 回 答 並 びに、1、3への 回 答 率 ( 計19%)からは、 一 定 の 割 合 で「 指 示 された作 業 以 外 の 仕 事 」を 行 うことに 理 解 のある 企 業 があることがわかる。ただし、 指 示 以 外 の 仕 事 をやるにあたっては、1 上 司 の 了 解 、2 納 期 ( 仕 事 の 優 先 順 位 )の 遵 守 、3 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 に 合 理 性や 妥 当 性 の 判 断 、が 必 要 といえる。一 致 率 が 70 % 未 満 の 場 面 ( 11 場 面 中 3 場 面 )については、より 多 くの 企 業 が 一 致 して 求 める 行 動 はあるものの、 企 業 によって 異 なった 考 え 方 があることがわかる。また、 自 由 記 述 の 内 容 からは、 上 司 とのコミュニケーション( 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 )が 重 要 であるといえる。なお、こうした 点 に 関 しては、 就労 以 前 の 段 階 、 例 えば、 在 学 中 からであっても 指 導 が 可 能 な 課 題 といえよう。 併 せて、 指 示 の 理 解 や 指示 の 遵 守 に 関 しては、 企 業 側 ( 上 司 など)の 問 題 と 捉 え、 指 示 書 通 りに 作 業 ができなかったり、 指 示 以外 の 作 業 をしてしまうことに 関 して、 障 害 特 性 に 配 慮 した 指 示 が 十 分 にできていないことが 問 題 であると 考 えている 企 業 があることが 明 らかとなった。ただし、こうした 配 慮 に 関 しては、 障 害 がある 従 業 員に 対 する 対 応 と 考 えられ、 一 般 企 業 において、 障 害 を 開 示 していない 場 合 に 同 様 の 配 慮 が 得 られるか、また、 求 めることが 妥 当 かについては 検 討 する 必 要 がある。3. 職 場 におけるルールの 指 導 についてルールについては、 就 労 時 点 までに 学 んでいることが 求 められる 一 方 で、 就 職 後 に 職 場 において 指 導-44-


が 必 要 となるケースも 少 なくない。そのため、 11場 面 に 関 して、 指 導 の 必 要 性 の 有 無 並 びに 指 導 が 必要 だった 場 合 の 指 導 方 法 や 指 導 体 制 について 検 討 した 結 果 についてまとめる。具 体 的 には、1 指 導 が 必 要 となった 社 員 がいた 場 合 、どのように 指 導 されたのかについて、a:なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b: 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc: 方 法 が 見 つからなかったd:その 他の4つの 選 択 肢 から 選 択 するよう 求 めた( 重 複 回 答 )。また、 実 際 に 誰 が 指 導 したのかについては、1社 内 の 役 職 員 、2 外 部 の 支 援 者 、3その 他 ( 具 体 的 に)の3つの 選 択 肢 から 選 択 するよう 求 めた( 重 複回 答 )。(1) 指 導 を 必 要 とする 従 業 員 の 有 無 と 指 導 の 方 法 について指 導 を 必 要 とする 従 業 員 の 有 無 について、 図1-3-1 に 示 した( 「 指 導 する 従 業 員 がいる」と 回 答 した割 合 の 高 い 順 に 並 べ 替 えた )。 特 例 子 会 社 において、 最 も 指 導 の 必 要 性 が 高 い 場 面 は 、「わからないときに 質 問 する」で、 61.8 %で 指 導 が 実 施 されていた。また 、「 毎 日 のあいさつ( 59.2 %)」「 指 示 通 りの 作業 ( 58.7 %)」「ミスの 報 告 ( 53.5 %)」の3 場 面 に 関 しては、いずれも 50 %を 越 え、 2 社 に 1 社 の 割 合で、 指 導 が 必 要 な 従 業 員 がいることが 明 らかとなった。 一 方 、 最 も 指 導 の 必 要 性 が 低 い 場 面 は 、「 備 品の 私 的 利 用 」であったが、 21.9 %と 5人 に 1人 が 指 導 の 対 象 となっており、いずれの 場 面 においても 就労 後 に 指 導 が 必 要 であるといえる。とするわからないときに 質 問 する毎 日 、あいさつする指 示 通 りに 作 業 をする を 遂 行 すするミスはすぐに 報 告 する1 61.8 59.2 58.73 53.5 作 業 すするが 終 了 したら、すぐに 報 告 するするとする遅 刻 するときは 連 絡 業 のをる務 の 開 始 時 間 を 守 る1 44.11 44.13 37.9の共 用 備 品 の 使 い 方指 の 示 以 外 の 作 業 をを 勝 手 にしない 作 業 すをする中 に 呼 ばれたら、すぐに 返 事 を備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない1 29.11 29.1 26.71 21.90 20 40 60 80%図 1-3-1指 導 を 必 要 とする 従 業 員 の 有 無また、 指 導 が 必 要 な 従 業 員 への 指 導 方 法 について 尋 ねた 結 果 を 図1-3-2 に 示 した。 図 からは 、「 理 由-45-


(なぜ、そのようにしなくてはならないか:ルールの 考 え 方 )」と「 適 切 な 行 動 の 仕 方 」を 組 み 合 わせて 指 導 すると 回 答 した 割 合 が 高 いことが 分 かる。 一 方 、「 適 切 な 行 動 の 仕 方 」のみを 指 導 するという 意見 は「わからないときに 質 問 する」を 除 き、いずれの 場 面 でも 最 も 少 ない 指 導 方 法 であった。なお、これらの11場 面 に 関 して、 指 導 をしているが、なかなか 適 切 な 指 導 方 法 が 見 つからないと 回答 した 特 例 子 会 社 は、その 他 の 記 述 において 2場 面 ( 指 示 に 従 う・わからないときの 質 問 )に 1社 ずつと 極 めて 少 なく、 対 処 方 法 については、 一 定 のノウハウを 有 していると 考 えられる。理 由 と 行 動 行 動 理 由理 由 と 行 動 行 動 理 由わからないときに 質 問 する(63 社 )毎 日 、あいさつする(59 社 )指 示 通 りに 作 業 を 遂 行 する(57 社 )ミスはすぐに 報 告 する(53 社 )遅 刻 するときは 連 絡 する(43 社 )作 業 が 終 了 したら、すぐに 報 告 する(44 社 )業 務 の 開 始 時 間 を 守 る(37 社 )共 用 備 品 の 使 い 方 (28 社 )指 示 以 外 の 作 業 を 勝 手 にしない(28 社 )作 業 中 に 呼 ばれたら、すぐに 返 事 をする(27 社 )備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない(23 社 )0% 20% 40% 60% 80% 100%図 1-3-2指 導 が 必 要 となった 従 業 員 への 指 導 方 法(2) 指 導 者 について「 誰 が 指 導 を 担 当 したのか」について 図 1-3-3 にまとめた。なお、 図 では 社 内 の 役 職 員 が 指 導 したと回 答 した 割 合 の 高 い 順 に 並 べ 替 えた。11 場 面 中 4 場 面 に 関 しては、 90 % 以 上 が 社 内 の 役 職 員 と 回 答 した。したがって、これらの 場 面 に 関しては、 指 導 が 必 要 な 場 合 であっても、 概 ね 社 内 のみでの 対 応 が 可 能 といえよう。また、 4 場 面 中 「ミスの 報 告 」 以 外 の 3 場 面 に 関 しては、 指 導 の 必 要 性 がいずれも 30 % 未 満 で、 他 の 場 面 と 比 較 して、もともと 指 導 の 必 要 性 が 低 い 場 面 といえる。次 に 指 導 の 75 %~ 90 % 未 満 が 社 内 の 役 職 員 と 回 答 した 6 場 面 についてみると、 外 部 の 支 援 者 と 共 に指 導 に 当 たったとする 回 答 に 加 えて「その 他 」と 回 答 した 企 業 の 割 合 が 増 しているのがわかる。なお、「その 他 」に 挙 げられたのは 、「 指 導 員 」が 多 く、それ 以 外 では 人 材 育 成 室 などが 挙 げられた。こうした 回 答 からは、 社 内 外 に 相 談 先 が 用 意 されていることがわかる。これらの 10 場 面 に 対 し 、「 業 務 の 開 始 時 間 を 守 る」 に 関 しては 、 社 内 の 役 職 員 だけでは 対 応 が 難 しく、外 部 の 支 援 者 と 連 携 して 指 導 にあたっていると 回 答 した 割 合 が 高 い ( 25.6 %)。 外 部 の 支 援 者 としては、「 就 労 支 援 センタ- 」「 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター」「ジョブコーチ 」「 教 育 機 関 ( 卒 業 校 の 教 員 )」などが 挙 げられた 。「 業 務 の 開 始 時 間 を 守 る= 遅 刻 をしない」ためには、 家 を 出 る 時 間 や 通 勤 時 の 行 動-46-


など、 出 勤 する 前 ( 職 場 以 外 )の 指 導 が 必 要 となることから、 外 部 との 連 携 が 必 要 であったと 考 えられる。なお、 外 部 の 支 援 者 のみが 対 応 したという 回 答 は、 11 場 面 のいずれにおいてもみられなかった。作 業 作 中 業 に 中 呼 に ばれたらすぐに 呼 返 事 返 をする(25.7%: 事 27 社 27)社 )ミスは、すぐに 報 告 する(51.4%: 53 社 )共 用 備 品 の 使 い 方 (28.6%:28 社 )指 示 以 外 の 作 業 を 勝 手 しない(28.6%:30 社 )92.690.790.090.0作 業 が 終 了 したら、すぐに 報 告 する(42.9%:45 社 )毎 日 、あいさつする (58.1%: 61 社 )遅 刻 するときは、 連 絡 をする(42.9%: 45 社 )わからないときは 質 問 する (60.0%: 63 社 )備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない(21.9%:23 社 )指 示 通 りに 作 業 を 遂 行 する(58.1%:61 社 )82.282.080.079.478.375.4業 務 の 開 始 時 間 を 守 る (37.1%: 39 社 )64.125.60 20 40 60 80 100%社 内 の 役 職 員図 1-3-3指 導 が 必 要 となった 従 業 員 の 指 導 者社 内 + 外 部 の 支 援 者その 他(3) 指 導 における 工 夫11 場 面 のいずれの 指 導 に 関 しても、 共 通 する 点 として、 以 下 の3 点 が 挙 げられた。1「 事 例 は 報 告 書 にまとめて 全 リーダーで 共 有 する 」「 上 司 への 報 告 ・チーム 内 での 情 報 共 有 」「 朝 礼や 月 毎 のミーティングなどでの 情 報 の 共 有 」などのように、どのような 問 題 が 起 こったか、また、どのように 指 導 ( 対 処 )をしたかに 関 して、 職 場 全 体 で 共 通 理 解 をはかること2 指 導 に 際 しては、 本 人 の 特 性 を 把 握 した 上 で 、「 本 人 がわかること 」「 本 人 が 納 得 できるように 具 体的 に 話 すこと」を 重 視 していること3 繰 り 返 しの 指 導 が 大 切 であることまた、 場 面 毎 に 見 られる 個 別 指 導 の 工 夫 については、 表 1-3-1 ~ 1-3-3 に 整 理 した。-47-


表 1-3-1適 切 な 行 動 に 関 する 考 え 方 の 一 致 率 が90%を 越 える 場 面 の 工 夫場 面 1( 備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない)主 な 指 導 としては、 以 下 の2つが 挙 げられた。1 理 由 を 説 明 した。2 障 害 特 性 に 配 慮 した 説 明 の 仕 方 に 変 えた。また 、「 会 社 の 備 品 はまとめて 箱 に 入 れ、ロッカーから 箱 ごと 出 し 入 れするようにした」など、 備 品 の 使 い方 そのものを 工 夫 したケースもあった。さらに 、「 本 人 がどのような 行 動 をしたのか 、 本 人 の 口 から 説 明 させ 、 出 来 事 を 振 り 返 る 。 振 り 返 る 事 により、改 めて 自 分 の 行 動 が 正 しいか、 間 違 っていたかを 認 識 してもらう。 本 人 が 理 解 したのを 確 認 し、「その 場 合 は○○ですよ」とアドバイスする」などの 記 述 に 見 られるように「 自 分 で 気 づかせる」ことを 重 視 しているケースもあった。場 面 2( 始 業 時 間 )主 な 指 導 としては、 以 下 の3つが 挙 げられた。1 始 業 時 間 を 守 らないとどのような 不 都 合 が 会 社 にあるかについて 説 明 した。2 会 社 のルールを 説 明 した。3 「 始 業 時 間 に 間 に 合 うためにはどうしたら 良 いのか」について、 時 間 管 理 の 視 点 から 具 体 的 な 行 動 のスケジュールを 提 示 した。3については、 例 えば 、「 家 を 出 る 時 間 、 電 車 に 乗 る 時 間 、タイムカードを 押 す 時 間 などについて 細 かく 時間 を 設 定 した 」「 起 床 から 出 社 時 間 までの 行 動 を 聞 きとり、 改 善 策 を 一 緒 に 考 えた 」、 「 目 覚 ましを○ 時 ○ 分 にセットする。 就 寝 時 間 を 守 る。 家 を 出 る 時 間 、 電 車 の 時 間 を 本 人 に 書 かせて 毎 日 職 場 指 導 員 もチェックする繰 り 返 しの 指 導 を 行 った」などである。また、 家 庭 の 協 力 を 求 めるとした 回 答 も 見 られたが 、「 家 庭 との 連 携 」に 際 しては、 直 接 的 に 家 庭 に 協 力 を求 めるケースだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 センター 等 と 連 携 をとるなどのケースがあった。場 面 3( 遅 刻 の 連 絡 )主 な 指 導 としては、 遅 刻 をして 連 絡 がないとどうして 困 るか( 何 かあったのではないかと 心 配 する・ 来 るか来 ないか 分 からないと 仕 事 の 段 取 りができなくて 困 る、など)を 本 人 にわかりやすいように 説 明 することがあげられた。また 、「 安 全 ポケットブックの 作 製 と 携 帯 。その 一 部 として“ 遅 刻 しそうになったら ”“ 出 勤 したら”などの場 合 の 取 るべき 行 動 手 順 や Tel 番 号 を 明 記 している 」「 電 話 をする 時 間 や 場 所 、 言 い 方 など 細 かくルールを作 っ た」など、 遅 刻 の 際 の 連 絡 の 仕 方 についてルールを 明 確 化 し、 従 業 員 に 指 導 しているとしたケースもあった。なお 、「 遅 刻 をしそうであれば、 先 に 会 社 に 連 絡 を 入 れる 方 が 好 ましいが、 電 話 が 出 来 ない 状 態 であれば、出 来 る 状 態 になった 時 に 連 絡 をすればよいと 説 明 する」としたケースでは 、「 本 人 を 焦 らせない、 不 安 感 をもたせない」ことをその 理 由 としている。場 面 9(ミスの 報 告 )ミスの 報 告 に 関 する 主 な 指 導 としては、 以 下 の2つが 挙 げられた。1 なぜ、ミスをすぐに 報 告 しなくてはならないか( 「 会 社 全 体 の 損 失 となる 」「 対 処 方 法 を 教 えたり、 一緒 に 考 えることができない 」)を 伝 えたうえで、 適 切 な 方 法 を 指 導 する。2 ミスの 報 告 を 促 す( 「 報 告 しやすい 雰 囲 気 をつくる 」「ミスしたことそのものについては 責 めない: 報告 したことを 評 価 する 」) 。ただし、2については、ミスをして 良 いということではなく、ミスを 報 告 しなくなる= 対 応 が 遅 れて、 会社 の 不 利 益 が 大 きくなることを 危 惧 した 結 果 と 見 ることができる。場 面 11( 共 同 備 品 の 使 い 方 )指 導 の 必 要 な 対 象 者 は28.6%と11 場 面 の 中 では 少 ない。共 同 備 品 の 使 い 方 に 関 する 主 な 指 導 としては「その 都 度 、ルールを 徹 底 して 指 導 すること」が 挙 げられた。また、 必 要 に 応 じて「 私 が 使 おう 思 ったのに 無 かった(ので 困 った)」などの 理 由 を 挙 げて 説 明 することが挙 げられた。-48-


表 1-3-2適 切 な 行 動 に 関 する 考 え 方 の 一 致 率 が80% 以 上 90% 未 満 の 場 面 の 工 夫場 面 4( 毎 日 の 挨 拶 )主 な 指 導 としては、 以 下 の2つが 挙 げられた。1 「 毎 日 の 挨 拶 の 仕 方 」に 関 する 指 導2 挨 拶 ができていないことに 対 する 指 導1に 関 しては 、「 近 い 距 離 で 大 きな 声 のあいさつでは 相 手 が 驚 くので 声 を 小 さくあいさつする 」「 遠 い 距 離 ですれ 違 う 人 にはあいさつしなくてもよい 」「 誰 にあいさつをしたらよいか 判 断 できない 時 は 、“ 全 体 を 見 渡 せる位 置 で 大 きな 声 で 一 度 だけ 言 う ”」など 具 体 的 な 指 導 例 が 挙 げられた。1に 関 しては、 主 な 対 応 として 、「 繰 り 返 しの 指 導 」と「 挨 拶 は 社 会 人 の 基 本 、コミュニケーションの 基 本であることを 説 明 する」ことなどが 挙 げられた。ただし 、「 繰 り 返 しの 指 導 」に 際 しては、 本 人 の 特 性 に 配 慮 し、先 に 挨 拶 することで 挨 拶 を 促 すケース、 挨 拶 するまで 待 つ( 挨 拶 しない 場 合 は、 呼 び 戻 しても 挨 拶 させる)とするケースに 分 かれた。場 面 8( 作 業 の 報 告 )作 業 の 報 告 に 関 する 主 な 指 導 としては 、「ほう・れん・そう( 報 告 、 相 談 、 連 絡 )の 重 要 性 について 繰 り 返 し 伝えること」が 挙 げられた。また 、「すぐに 報 告 すること」が 大 切 な 理 由 としては「 自 分 の 与 えられた 業 務 をできるだけ 早 く 行 うことにより 次 の 業 務 や 他 の 人 の 助 けも 行 える。これが 会 社 全 体 の 利 益 にもつながり、 自 分が 困 っている 時 に 助 けてもらえる 良 いことだと 指 導 した 」「 他 の 人 の 仕 事 が 忙 しい 時 など、 手 伝 っていただくこともあるし、 仕 事 はチームワークが 大 切 だということを 理 解 してもらうよう 話 をする」などが 挙 げられた。一 方 、11:15までの 指 示 の 仕 方 に 工 夫 が 必 要 。 例 )「 出 来 るだけ 早 く」「 枚 数 再 確 認 し 出 来 たらすぐに」とするなど 指 示 を 工 夫 すること、あるいは 、「 上 司 は 指 示 した 業 務 をどの 様 に 実 行 しているか、 途 中 の 進 捗 状 況を 確 認 しておく 必 要 があり、 状 況 に 応 じて 再 度 指 示 を 出 す」などのように 指 導 者 側 の 行 動 を 変 えることが 必要 であるとの 指 摘 もあった。場 面 10( 分 からないときの 質 問 )指 導 の 必 要 な 対 象 者 は60.0%と11 場 面 中 最 も 多 い。分 からないときの 質 問 に 関 する 主 な 指 導 としては 、「 分 からなかったら 聞 くこと」というルールの 徹 底 が 挙 げられた。 また 、 分 からないことについては 、 何 度 でも 質 問 するように 指 導 すると 回 答 したケースがある 一 方 で、「 分 からない 事 をすぐ 質 問 すれば「ほめられる」と 思 うタイプにはまず 最 初 の 説 明 をしっかり 聞 き、わからない時 はメモを 取 り、それでも 分 からなければ 聞 きなさいと 説 明 する」と 指 導 したケースもあった。なお、この 場 面 に 関 しては、 特 に、 指 導 者 側 が 配 慮 すべきだとする 回 答 が 多 かった。具 体 的 には、1 質 問 できる、 質 問 しやすい 雰 囲 気 を 作 ること、2 指 導 者 が 観 察 していて 適 切 に 指 導 ( 作 業 を始 めなかったり、 手 が 止 まっていれば 声 かけする、など)が 必 要 、といった 対 応 が 挙 げられた。表 1-3-3適 切 な 行 動 に 関 する 考 え 方 の 一 致 率 が70% 未 満 の 場 面 の 工 夫場 面 5( 作 業 中 の 返 事 )作 業 中 の 返 事 に 関 する 主 な 指 導 としては、 以 下 の2つが 挙 げられた。1 指 導 者 側 で 声 掛 けをするタイミングに 配 慮 する。2 すぐに 対 応 できないときのルール( 「 少 々、お 待 ち 下 さい」という)を 指 導 する。なお、 声 かけに 関 しては、 緊 急 を 要 する 場 合 ( 今 、している 作 業 の 変 更 を 伝 えたいなど)もあるため、 必 ず、手 を 止 めて 返 事 をすることを 指 導 しているとしたケースや 返 事 をしない 行 動 の 背 景 要 因 (プライドの 問 題 など)を 話 し 合 いから 明 らかにしたケースもあった。場 面 6( 指 示 通 りの 作 業 )指 示 通 りの 作 業 に 関 する 主 な 指 導 としては、 以 下 の2つが 挙 げられた。1 なぜ、 指 示 通 りでなくてはならないか( 自 分 勝 手 な 解 釈 をして 仕 事 を 進 めると 大 きなミスにつながる 可能 性 もあるなど)を 伝 えたうえで、 指 示 通 りの 作 業 遂 行 への 徹 底 を 図 る。2 自 分 のやり 方 でやって 良 いか、 上 司 に 相 談 する、 指 示 通 りの 作 業 を 上 司 が 実 際 にやってみせる、ことが 挙 げられた。-49-


また、2に 関 しては 、「 勝 手 な 判 断 で 作 業 遂 行 してしまうことと 自 分 の 判 断 で 作 業 を 進 めることが 出 来 る、という 事 に 対 して、その 時 のケースによって 評 価 が 正 反 対 になってしまうため、その 境 目 の 判 断 が 難 しい」という 理 由 により 、「まずは 作 業 チーフに 確 認 してから 何 ごとも 進 めるように 伝 えている」としたケースがあった。一 方 、 他 の 場 面 と 異 なり、 指 導 が 困 難 であったケースが 挙 げられた。 具 体 的 には、 本 人 が 納 得 しない 限 り手 順 を 変 更 できないため、やむなくその 作 業 から 抜 けてもらった 」「 自 分 が 悪 かったと 思 わない(ことば 上ではなく 心 の 中 で )」ため、 指 導 しても 良 くならなかった 」「 本 人 なりのプライドがあり、 自 ら 直 そうとの気 持 にはなかなかならない。 自 分 なりのやり 方 があるのならば 意 見 や 提 案 として 伝 えるよう 指 導 するが、 改 善されなかった。 前 職 や 過 去 の 経 験 から 新 しい 方 法 を 受 け 入 れられず、 理 解 してもらうにはかなりの 時 間 を 必 要とする」が 挙 げられた。場 面 7( 指 示 以 外 の 仕 事 )指 示 以 外 の 仕 事 をすることに 関 しては、 主 として 、「 指 示 が 理 解 できていない」と 捉 えた 意 見 となった。そのため、 指 示 の 仕 方 や 注 意 の 仕 方 を 工 夫 するとした 回 答 が 多 く 見 られた。なお、 指 示 以 外 の 仕 事 をするなどが 仕 事 への「やる 気 」であるなら、その 気 持 ちそのものは 大 切 にするという意 見 (ただし、 指 示 通 りにやることは 大 切 )もあった。場 面 に 共 通 する 指 導 の 考 え 方 、 並 びに 個 別 場 面 の 指 導 例 からは、 障 害 特 性 への 配 慮 が 見 てとれる。なお、それぞれの 場 面 において 具 体 的 に 挙 げられた 理 由 (なぜ、ルールを 守 らなくてはならないか)については、 就 労 以 前 から 指 導 することが 望 ましいといえる。ただし、 適 切 な 行 動 に 関 する 考 え 方 について、 企 業 によって 基 本 的 な 考 え 方 が 分 かれる 場 面 ( 場 面 5・ 場 面 6・ 場 面 7)だけでなく、 基 本 的 な 考 え 方 についての 一 致 率 が 高 い 場 面 においても、 状 況 にあった 行 動 が 求 められる 場 面 ( 場 面 4 )、 新 しいルールを 設 定 するといった 企 業 の 工 夫 が 見 出 された 場 面 ( 場面 2・ 場 面 3)など、 指 導 上 の 留 意 事 項 も 見 出 された。4.11 場 面 以 外 で 指 導 が 必 要 な 場 面「 11 場 面 以 外 に、 職 場 のルールについて 指 導 や 対 応 が 必 要 になった 場 面 」について、 自 由 記 述 の 形式 で 回 答 を 求 めた。なお、 回 答 内 容 に 基 づき、 以 下 の6つに 分 類 した。1 身 だしなみに 関 すること・ 身 だしなみを 整 える(ひげの 剃 り 残 しが 多 いなど)・ 会 社 に 来 る 服 装 (よごれたズボンやTシャツで 来 ないなど)・ 臭 いなどにも 気 を 配 ること2 生 活 習 慣 に 関 すること・ 過 食 ( 健 康 管 理 上 に 課 題 あり)の 社 員 ( 特 に 知 的 障 がい 者 )が 多 かった→ 家 族 の 者 も 含 め、 話 し 合 いの 場 をもち、 健 康 意 識 高 揚 を 図 った・ 帰 宅 について( 会 社 帰 りも 仕 事 の 延 長 である。むやみに 寄 り 道 せず、まずはまっすぐ 帰 宅 すること)・ 規 則 正 しい 生 活 を 心 掛 けるように 声 かけをしている( 睡 眠 時 間 が 遅 いため、 業 務 中 にあくびばかりして 業 務 に 集 中 できず、ミスが 多 発 していたため)・ 携 帯 電 話 、メールの 制 限 ( 使 用 は 夜 9 時 まで、 仕 事 の 日 の 朝 は 使 用 しない、 業 務 中 は 勿 論 禁 止 である)-50-


3 欠 勤 に 関 すること・ 毎 月 、 月 の 半 分 以 上 を 欠 勤 する 社 員 への 対 応→ 就 労 支 援 センターと 連 絡 を 取 り、 家 庭 や 本 人 に 対 しくり 返 し 指 導 し、 改 善 を 図 った・ 無 断 欠 勤 の 多 い 社 員 への 対 応→ 家 族 の 者 も 含 め、 話 し 合 いの 場 をもち、 改 善 を 図 った4 休 憩 の 仕 方 並 びに 休 憩 時 間 の 活 用 に 関 すること・ 勤 務 時 間 中 に 何 も 言 わず、 休 憩 用 ベッドで 寝 てしまう 人 がいた( 入 社 直 後 に 先 輩 社 員 から「 休 憩 は 許 可を 取 らなくて 良 い。 自 由 と 聞 いたから、 何 も 言 わずに 休 んだと 本 人 は 言 っていた。 先 輩 社 員 はトイレ 休 憩等 について 言 っていたので、ずれてしまった )。→ 体 調 が 悪 く 休 みたい 時 は、 必 ず 上 司 に 報 告 し、 判 断 をしてもらう 事 が 必 要 だと 説 明・ 作 業 途 中 でのトイレに 行 くとき、 作 業 指 示 者 や 周 囲 の 同 じ 作 業 をしている 人 に 声 掛 けを 行 なうこと・ 休 憩 時 間 の 活 用 について5 作 業 遂 行 並 びに 作 業 態 度 に 関 すること・ 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 徹 底 ( 報 ・ 連 ・ 相 の 重 要 性 を 強 調 )・ 指 示 したことにより、 先 の 作 業 を 勝 手 に 行 い、ミスが 発 生→ まず、 指 示 された 事 が 終 了 したら 報 告 し、 次 の 指 示 を 受 けてから 行 なうこと・ 周 りをキョロキョロ 見 ている 社 員 に、 仕 事 に 集 中 するよう 指 導・ 話 を 聞 く 態 度 (リーダー( 指 導 員 )の 話 を 良 く 聞 きなさい。 話 を 聞 く 時 は 顔 ( 目 )を 見 なさい)・チームで 仕 事 をしている 時 は、 自 分 の 仕 事 が 終 わったら 他 の 人 の 状 況 を 見 て 手 伝 う 気 配 りをすること・うそを 言 わない( 信 頼 関 係 ができないのできびしく 指 導 )・.わからなくてもハイという 返 事 がある→ ハイと 言 ったらもう 一 度 、 復 唱 させる・リスクアセスメントについて(ドアノックの 実 践 、お 客 様 優 先 の 実 践 、 出 合 い 頭 での 対 応 など )、実 際 の 作 業 現 場 で 教 えながら 体 験 させた6 人 間 関 係 について・ 女 子 社 員 間 のトラブル・ 人 のいやがることをしたり、 言 ったりしない( 情 緒 不 安 定 になったケースもあったため)・いじめとかセクハラ、パワハラについては 社 内 環 境 を 悪 化 させるため、 朝 礼 、 終 礼 で 注 意 したり、ポスター 提 示 等 をしている・ことばづかい( 会 社 の 同 僚 と 上 司 の 使 い 分 け)( 職 場 では 節 度 ある 距 離 を 意 識 する。 例 えば、 社 内 では 姓 に“さん”づけで 呼 ぶ。 名 に“ちゃん”づけだと 公 私 、 遊 び、 仕 事 の 境 がくずれて 上 司 の 作 業 指 示 に 従 えなくなったり、ふざけたり、 就 業 中の 緊 張 感 が 保 てなくなることがある)・ 職 場 で 嫌 いな 人 にぶつかった 時 に 謝 らない→ 絵 で「 人 と 人 がぶつかった 後 、お 互 いに 謝 っている 様 子 」を 見 せ、 職 場 では 気 持 よくみんなで仕 事 をしようと 指 導・ 人 間 関 係 の 悩 みや 業 務 上 の 行 き 詰 まりから 会 社 を 休 んだり、 悩 みを 抱 えたりするため、メンタル 的 なサポートが 必 要→ 支 援 機 関 と 連 携 しながら 面 談 等 で 解 消-51-


・ 他 部 署 の 従 業 員 のルール 違 反 ( 例 えばゴミの 分 別 廃 棄 の 仕 方 )を( 廃 棄 物 置 場 ) 付 近 の 人 に、 直 接 苦 情 を言 うことがあり、 苦 情 を 受 けた 人 により「 当 該 違 反 者 ではない、ルールの 説 明 がない」 等 の 逆 の 苦 情 が発 生 した→ 指 導 『 直 接 他 部 署 の 人 苦 情 を 言 わないこと、 上 司 に 伝 え、 上 司 より 対 応 してもらうこと』・3 障 がいの 人 を 集 中 雇 用 している 部 署 で、ある 時 期 、 障 がい 種 別 が 異 なる 者 どうしが、 人 間 関 係 でギクシャクした 事 があった。チームワークの 大 切 さを、 協 調 性 、 思 いやりなど、 人 間 としての 本 当 に大 切 な 本 質 の 部 分 を 繰 り 返 し 教 え、 聞 かせて、 乗 り 切 った 事 がある上 記 以 外 で 個 別 指 導 ・ 対 応 を 必 要 としたケースとしては 、「 申 請 した 通 勤 経 路 、 通 勤 方 法 を 守 る( 何故 決 められたルート、 方 法 で 通 勤 しなければならないか 説 明 し、 理 解 を 図 った )」 「 障 害 に 必 要 なケアを行 うために 就 業 時 間 を 一 部 変 更 して 対 応 した」が 挙 げられた。なお、 指 導 に 関 する 記 述 には、 個 別 指 導 ・ 対 応 に 関 する 記 述 以 外 にも「 共 有 化 すべきことは 朝 礼 などで 事 例 紹 介 し、 全 員 で 確 認 」や「 職 場 のとり 決 め 事 項 を 設 定 し、 毎 朝 全 員 で 唱 和 」、( 「 コンプライアンスについて) 個 人 として 守 るべきことを 分 かり 易 いマニュアルを 用 いて 指 導 」などのように 全 体 を 対 象とした 指 導 について 記 述 したケースがあった。その 他 、「 御 意 見 ボックスを 設 置 し、 無 記 名 にて 投 函 。 週 1回 、 指 導 員 をリーダーとして 全 員 で 話 し合 う」などのように、 指 導 だけでなく「 話 し 合 う」ことで、 課 題 解 決 を 図 ることなども 挙 げられた。以 上 、 11 場 面 以 外 に 指 導 を 必 要 とする 場 面 についてみると、 1 身 だしなみ、 2 生 活 習 慣 、 3 欠 勤 等 、などの 課 題 に 関 しては、 家 族 の 支 援 を 期 待 しているケースが 少 なくないことが 分 かる。また、4 食 事 や帰 宅 の 仕 方 、 帰 宅 後 の 行 動 についてまで 、 指 導 対 象 と 回 答 している 点 は 特 例 子 会 社 ならではといえよう。また、5 作 業 遂 行 並 びに 作 業 態 度 に 関 すること、6 人 間 関 係 に 関 する 内 容 については、 障 害 の 有 無 にかかわらず 職 場 での 対 応 が 必 要 な 課 題 (「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 徹 底 」「いじめ、セクハラ、パワハラについての 対 応 」)が 含 まれているが、 話 を 聞 く 態 度 や 言 葉 づかいに 関 する 細 かい 指 導 内 容 からは、 障 害 特 性に 配 慮 した 指 導 を 用 意 していることがわかる。特 例 子 会 社 では 、「 個 人 によって 指 導 法 は 全 くかわるため、そんなやり 方 もあると 参 考 程 度 にしかならない 場 合 もある」あるいは「 障 害 者 として 特 別 扱 いをしないことを 基 本 とする」としながらも 、「 業務 の 内 容 で 個 人 の 特 性 にあわせられるものは 合 わせ、 指 導 内 容 については 報 告 書 で 共 有 しています」という 記 述 に 見 られるように、ノウハウの 積 み 上 げがある。一 般 企 業 において、 障 害 者 雇 用 を 検 討 するには、こうしたノウハウは 重 要 な 情 報 といえるが、どこまでが 一 般 企 業 における 合 理 的 な 配 慮 の 範 囲 に 含 まれるかという 点 については、 検 討 が 必 要 である。-52-


第 4 節まとめ1. 特 例 子 会 社 における 支 援 体 制 について(1) 採 用採 用 方 法 として 、「 面 接 」は“ 必 ず 実 施 する”とした 企 業 が 身 体 障 害 ・ 知 的 障 害 ・ 精 神 障 害 で 90 %を超 えており、 他 の 採 用 方 法 に 比 して 実 施 率 が 高 い。その 他 に「 職 業 評 価 」「 職 場 実 習 ・ 職 場 適 応 訓 練 ・委 託 訓 練 」「トライアル 雇 用 ・ステップアップ 雇 用 」 等 、 特 性 評 価 のみならず 雇 用 への 段 階 的 な 移 行 を経 て 雇 用 に 至 る 方 法 がとられていた。また 、「 職 場 実 習 ・ 職 場 適 応 訓 練 ・ 委 託 訓 練 」については、 知 的障 害 の 採 用 で 実 施 されていることの 多 い 支 援 方 法 であった。(2) 研 修採 用 後 の 研 修 は、 概 して 短 期 間 で 実 施 されており 、「 実 作 業 を 通 して 研 修 」「 特 に 研 修 期 間 を 設 定 せずOJTで 取 得 」 等 の 取 り 組 みが 行 われていた。また、 採 用 後 のOJTについては「 特 に 期 間 を 設 けずに 実施 する」とした 企 業 が 最 も 多 く、 特 性 に 即 した 研 修 が 想 定 されていた。こうした 研 修 体 制 についての 考 え 方 は 、「 速 度 は 求 めず 本 人 のペース 重 視 」「 速 度 より 正 確 ・ 丁 寧 さを重 視 」「 正 確 さを 優 先 的 な 目 標 として 達 成 させる」 等 が 研 修 の 留 意 事 項 としてあげられていることと 対応 している。また、 正 確 な 作 業 遂 行 のために 、「 検 品 ・ 確 認 の 工 程 を 作 る 」「 手 順 等 のマニュアルの 徹 底 を 図 る」が重 視 されており、 安 全 な 作 業 遂 行 における「 作 業 ルール・ 手 順 ・ 用 具 の 使 用 方 法 などの 遵 守 」や 指 示 の理 解 支 援 における「 指 示 方 法 や 理 解 方 法 の 工 夫 、 作 業 工 程 の 単 純 化 」と「 作 業 のルール 遵 守 ・ 工 程 の 工夫 」とも 共 通 していた。(3) 配 置研 修 後 、 職 場 に 配 置 する 際 の 留 意 事 項 としては「あいさつ」が 最 も 重 視 されており 、「 返 事 」「 遅 刻 や休 暇 の 連 絡 等 」「 服 装 や 身 だしなみ」 等 の 他 、「 指 示 の 理 解 の 確 認 」や「 話 を 聞 く 態 度 」「 場 面 や 相 手 に応 じた 言 葉 遣 い 」「 共 用 物 品 の 取 扱 い」など、 一 般 的 な 職 場 のルールがあげられている。これらの 留 意 事 項 に 関 しては、 OJT や 研 修 等 による 指 導 が 行 われることが 多 かった。(4) 支 援 の 実 際 : 職 場 のルールについてア. 場 面 に 適 切 とされる 行 動 の 考 え 方 について職 場 において「 場 面 に 適 切 でない 行 動 」がおこりがちな11場 面 における 行 動 の 考 え 方 について、 特例 子 会 社 の 回 答 が 一 致 するかどうかについての 検 討 を 行 った。一 致 率 が 70 % 未 満 の 場 面 ( 11 場 面 中 3 場 面 )については、より 多 くの 企 業 が 一 致 して 求 める 行 動 はあるものの、 企 業 によって 異 なった 考 え 方 があることが 明 らかとなった。ただし、 上 司 とのコミュニケ-53-


ーション( 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 )が 重 要 であること、 指 示 の 理 解 や 指 示 の 遵 守 に 関 しては、 企 業 側 ( 上 司など) の 問 題 と 捉 え 、 指 示 書 通 りに 作 業 ができなかったり 、 指 示 以 外 の 作 業 をしてしまうことに 関 して、障 害 特 性 に 配 慮 した 指 示 が 十 分 にできていないことが 問 題 であると 考 えている 企 業 があること、など、特 例 子 会 社 ならではの 考 え 方 で 支 援 を 実 施 していることが 明 らかとなった。また、こうした 配 慮 に 関 しては、 一 般 企 業 において 障 害 を 開 示 せずに 雇 用 される 場 合 に、 同 様 に 配 慮を 求 めることが 可 能 か、また 妥 当 か、が 検 討 課 題 として 残 された。イ. 指 導 の 考 え 方 について指 導 の 考 え 方 や 個 別 場 面 の 指 導 例 からは 、 障 害 特 性 への 配 慮 を 前 提 にしていることが 明 らかとなった。それぞれの 場 面 においては、 理 由 (なぜ、ルールを 守 らなくてはならないか)と 行 動 (どのように 行 動することが 望 ましいか)について、 具 体 的 な 指 導 が 行 われていた。ただし、 適 切 な 行 動 に 関 する 考 え 方 について、 企 業 によって 基 本 的 な 考 え 方 がわかれる 場 面 だけでなく、 基 本 的 な 考 え 方 についての 一 致 率 が 高 い 場 面 においても、 状 況 にあった 行 動 が 求 められる 場 面 や 新しいルールを 設 定 するといった 企 業 の 工 夫 が 見 出 された 場 面 など、 支 援 ノウハウを 有 している 特 例 子 会社 においても、 指 導 上 の 工 夫 が 必 要 となる 場 面 があることが 明 らかとなった 。「 個 人 によって 指 導 法 は全 く 異 なるため、そんなやり 方 もあると 参 考 程 度 にしかならない 場 合 もある」としながらも、 個 人 の 特性 にあわせたノウハウを 積 み 上 げながら 対 応 を 進 めていく 状 況 にある。ここでも、 一 般 企 業 において、 障 害 者 雇 用 を 検 討 する 際 に、こうしたノウハウのどこまでが 適 用 可 能か、また、 一 般 企 業 に 求 められる 合 理 的 な 配 慮 の 範 囲 にどこまでが 含 まれるか、について 検 討 が 必 要 である。2. 対 象 障 害 別 にみた 対 応 の 現 状 について(1) 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 障 害 ( 身 体 障 害 ・ 知 的 障 害 ・ 精 神 障 害 )への 対 応 の 現 状身 体 障 害 者 では 、「 施 設 のバリアフリー 」 が 最 も 多 く 、 次 いで 、「 確 実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示 の 出 し 方 )」、「 健 康 管 理 」であった。「 確 実 な 伝 達 」については、 伝 達 手 段 の 工 夫 があげられていた。また、 数 は 少ないが、スキルアップやリーダーへの 登 用 、 互 いの 障 害 を 補 完 するような 配 置 ( 身 体 障 害 者 と 知 的 障 害者 によるチーム 編 成 など )、 勤 務 時 間 の 弾 力 的 な 運 用 、 等 もあった。一 方 、 知 的 障 害 者 では 、「 確 実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示 の 出 し 方 ・ 曖 昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」 が 最 も 多 く、次 いで「 指 導 員 の 配 置 」、「 作 業 種 や 作 業 速 度 の 限 定 」であった。「 確 実 な 伝 達 」については、 伝 達 手 段ではなく、 指 示 内 容 の 明 確 化 の 必 要 性 の 問 題 があること 、「チームの 編 成 」については、 人 間 関 係 で 衝突 の 多 い 従 業 員 を 別 のチームに 配 置 するなど、 障 害 特 性 に 即 した 対 応 となっていた。また、 身 体 障 害 では「 通 院 等 への 配 慮 」が 必 要 となっていたが、 知 的 障 害 では「 家 族 や 支 援 機 関 との 連 携 」、 「 指 導 員 の 配置 」 等 、 継 続 的 に 支 援 する 体 制 整 備 が 必 要 な 配 慮 事 項 であった。-54-


精 神 障 害 者 では 、「 作 業 種 ・ 作 業 速 度 の 限 定 」 が 最 も 多 く 、 次 いで 「 健 康 管 理 」 であった。 さらに 、「 確実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示 の 出 し 方 ・ 曖 昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」と「 周 囲 の 配 慮 ・ 指 導 員 の 配 置 」では、知 的 障 害 と 共 通 した 問 題 が 指 摘 されていた。(2) 発 達 障 害 への 対 応 の 現 状105 社 の 内 、 従 業 員 について、 手 帳 の 種 別 とは 別 に 発 達 障 害 があることを 把 握 している 企 業 は 39社( 37% )であった。 障 害 種 別 にみると、 圧 倒 的 に 自 閉 症 圏 の 障 害 ( 広 汎 性 発 達 障 害 ・ 自 閉 症 ・ 高 機 能 自 閉症 ・アスペルガー 症 候 群 )が 多 い。 学 習 障 害 や 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 は 少 なかった。また、 療 育 手 帳 による 雇 用 が 181 人 であるのに 対 し、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 による 雇 用 は 22 人 であり、 知 的 障 害 枠 での 雇 用 が 多 い 現 状 にある。発 達 障 害 があることを 把 握 した 従 業 員 に 対 しては 、 以 下 のような 個 別 ・ 具 体 的 な 対 応 が 成 されていた。表 1-4-1 発 達 障 害 のある 者 への 配 慮 ( 再 掲 )作 業 遂 行 面 での 配 慮作 業 指 示 の 工 夫業 務 工 程 の 細 分 化単 独 作 業 や 繰 り 返 し 作 業 等 へ 適 正 配 置自 分 のペースで 仕 事 が 進 められるように 配 慮必 ず 点 検 が 必 要マメな 声 かけと 支 援 機 関 との 連 携指 導 、 伝 達 事 項 を 統 一等口 頭 指 示 ではなく、 視 覚 化 し、 分 りやすく 指 示 をする毎 日 のミーティングにより、 作 業 予 定 を 確 認 し 安 心 させるマンツーマンのきめ 細 かい 指 導指 示 は 簡 潔 明 確 に、あいまいな 表 現 は 避 ける 等特 性 理 解 にもとづく 指 導突 然 の 指 示 変 更 など 行 わない環 境 の 変 化 については 事 前 に 情 報 を 与 える等精 神 的 ・ 身 体 的 な安 定 への 配 慮日 々の 健 康 状 態障 害 発 生 時 の 観 察 と 休 養 等 の 対 応疲 れた 様 子 の 時 は 随 時 休 憩 を 取 らせる等その 他 に 、「 支 援 機 関 との 連 携 」「 教 育 機 関 との 連 携 」「 家 族 との 連 携 」「 本 人 との 面 談 」など、 作 業 遂行 を 支 える 側 面 的 支 援 もあげられていたが、 特 性 の 把 握 により、 知 的 障 害 者 や 精 神 障 害 者 への 雇 用 経 験の 中 で、 適 応 支 援 が 行 われていた。3. 事 例 検 討 のために特 例 子 会 社 の 事 業 は 、「サービス 業 」と「 製 造 業 」に 集 中 していた。しかし、 親 会 社 の 事 業 とは 別 に事 業 を 営 んでいるわけではなく、 親 会 社 の 事 業 の「 切 り 出 し」や「 一 部 請 負 ・ 派 遣 」などで 構 成 された事 業 ( 事 務 補 助 ・ 清 掃 ・ 物 流 ・ 人 材 派 遣 ・ 請 負 等 )がサービス 業 として 回 答 されていた。-55-


企 業 規 模 は「 20 ~ 50 名 未 満 」 が 37 %で 最 も 多 く 、 次 いで、「 50 ~ 100 名 未 満 」 が 21 %であった。「50名 未 満 」の 規 模 で 52 %を 占 める 一 方 で、「 100 名 以 上 」の 規 模 も 16 %あった。こうした 企 業 の 雇 用 者に 占 める 障 害 者 の 構 成 比 率 は「 60 ~ 80 % 未 満 」が 35 %で 最 も 多 く、 次 いで「 80 % 以 上 」が 23 %であった。 障 害 者 の 構 成 比 率 の 高 さは、 特 例 子 会 社 において 障 害 者 雇 用 を 支 える 雇 用 者 の 役 割 について 注 目すべきであることを 示 していると 言 って 過 言 ではない。一 般 企 業 における 支 援 や 指 導 体 制 の 可 能 性 と 限 界 を 検 討 するうえで、まずは、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 並びに 親 会 社 の 従 業 員 の 関 わり 方 を 把 握 し、 特 例 子 会 社 の 役 割 や 現 状 に 基 づく 分 析 をすることが 重 要 となろう 。「 親 会 社 に 派 遣 されて 仕 事 をする 特 例 子 会 社 の 障 害 者 」、 「 業 務 中 に 関 わる 他 者 ( 特 例 子 会 社 従 業員 以 外 )の 存 在 と 対 応 」、「 障 害 のある 従 業 員 に 対 する 親 会 社 従 業 員 の 支 援 の 状 況 」、 「 親 会 社 の 従 業 員 に対 する 特 例 子 会 社 指 導 員 の 支 援 」 等 を 整 理 しておくことが 必 要 となる。さらには、 特 例 子 会 社 における支 援 体 制 やノウハウが 親 会 社 に 伝 達 されて 普 及 していく 可 能 性 と 限 界 についても 検 討 が 必 要 となる。そこで、 第 2 章 では 特 例 子 会 社 と 親 会 社 との 関 係 並 びに 特 例 子 会 社 における 発 達 障 害 者 支 援 の 状 況 に焦 点 をあて、 障 害 特 性 に 即 した 支 援 の 概 要 について、 事 例 に 基 づく 詳 細 な 検 討 を 進 めることとした。-56-


第 2 章特 例 子 会 社 における 配 慮 の 現 状 と 課 題…… 企 業 ヒアリングが 示 唆 すること……第 1 節調 査 の 概 要1. 調 査 の 考 え 方障 害 者 雇 用 における 発 達 障 害 者 の 職 場 適 応 上 の 指 導 課 題 を 明 確 にするため、 身 体 障 害 、 知 的 障 害 、 精神 障 害 等 の 多 様 な 障 害 者 の 雇 用 経 験 と 支 援 実 績 を 有 する 特 例 子 会 社 に 対 して「 特 例 子 会 社 における 就 労・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 ( 第 1 章 参 照 )」を 実 施 した。 調 査 の 結 果 、 39 社 ( 37% )の 企 業 が 手 帳の 種 別 とは 別 に 従 業 員 の 発 達 障 害 を 把 握 していることや、 発 達 障 害 者 を「できる 仕 事 」に 特 定 して 配 置していること、 個 別 ・ 具 体 的 に「 作 業 遂 行 面 での 配 慮 」「 作 業 指 示 の 工 夫 」「 特 性 理 解 にもとづく 指 導 」「 精 神 的 ・ 身 体 的 な 安 定 への 配 慮 」があること 等 が 明 らかとなった。しかし、 企 業 はこれらの 配 慮 を 提供 するために、どのような 支 援 体 制 をとっているのか、また、 配 慮 が 必 要 となる 発 達 障 害 者 の 職 場 適 応上 の 課 題 とは 具 体 的 にどのようなものか 等 、 個 別 の 対 応 については 調 査 で 把 握 することはできなかった。そこで 、 特 例 子 会 社 で 雇 用 されている 障 害 者 について 、 第 1に 企 業 の 支 援 体 制 を 詳 細 に 把 握 すること、第 2に 発 達 障 害 者 の 職 場 適 応 上 の 課 題 や 配 慮 の 現 状 を 明 らかにすることを 目 的 として、 企 業 にヒアリング 調 査 を 実 施 することとした。2. 方 法(1) 調 査 対 象 :「特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」において、 手 帳 の 種 別 とは 別 に 発 達 障 害 のある 従 業 員 を 把 握 していると 回 答 した 39 社 ( 37 %)のうち、ヒアリング 調 査 への 協 力 に 承 諾 が 得 られた 企 業 。ここでは、 療 育 手 帳 または 精 神 障 害 者 保健 福 祉 手 帳 を 所 持 する 発 達 障 害 者 を 複 数 名 雇 用 している 企 業 にヒアリングへの 協 力 を依 頼 した。 分 析 対 象 企 業 は 9 社 。(2) 調 査 時 期 : 平 成 21 年 8 月 ~ 平 成 22 年 11 月(3) 調 査 方 法 :ヒアリングの 基 本 的 な 枠 組 と 内 容 を 以 下 に 示 す。発 達 障 害 のある 従 業 員 の 基 本 的 情 報( 勤 続 年 数 、 配 属 部 署 、 雇 用 形 態 、 勤 務 形 態 、 従 事 業 務 の 内 容 )職 場 適 応 上 の 問 題( 入 社 後 の 職 場 適 応 上 の 問 題 、 社 会 性 ・コミュニケーション 障 害 による 問 題 )-57-


支 援 の 実 際( 支 援 ・ 介 入 のタイミング、 支 援 期 間 、 支 援 方 法 、 配 慮 事 項 )その 他 : 異 動 ( 異 動 の 背 景 ・ 理 由 、 異 動 前 後 の 仕 事 内 容 、 支 援 内 容 )従 業 員 の 関 係 性 ( 同 僚 や 上 司 と 発 達 障 害 のある 従 業 員 間 の 関 係 性 )グループ・チーム( 障 害 や 個 人 の 個 性 に 応 じたチームの 組 み 合 わせの 工 夫 )マニュアルや 教 材 (マニュアルや 教 材 の 活 用 有 無 )上 記 の 基 本 的 枠 組 に 沿 って 半 構 造 化 面 接 によるヒアリング 調 査 を 行 った。3. 分 析 対 象 企 業 の 概 要9社 の 事 業 内 容 をみると、 親 会 社 とは 別 に 単 独 で 事 業 を 営 む 企 業 と、 親 会 社 からの 受 託 業 務 を 事 業 内容 としている 企 業 がある。 また 、 雇 用 されている 障 害 者 の 職 場 が 「 特 例 子 会 社 内 」 の 場 合 もあれば 、「 親会 社 内 」の 場 合 もある。 事 業 内 容 や 職 場 が 異 なれば、それによって 支 援 方 法 や 支 援 体 制 も 異 なる 可 能 性が 示 唆 される。このため、 配 慮 の 現 状 や 支 援 体 制 のあり 方 を 検 討 するにあたっては、 特 例 子 会 社 と 親 会社 ・ 関 連 会 社 の 関 係 性 に 着 目 し、 以 下 では 9 社 の 特 徴 に 即 して 記 述 することとした。表 2-1-1 に A 社 ~ I 社 の 概 要 を 示 す。表 2-1-1分 析 対 象 企 業 の 概 要業 種 / 職 種業 種 / 職 種表 2-1-1分 析 対 象 企 業 の 概 要 特 例 子 会 社 と親 会 社 との 関 係 性特 例 子 会 社 の 独 立 性 強親 会 社 との 関 係 性 強特 例 子 会 社 の 独 立 性 強A 社 B 社 C 社 D 社特 例 子 会 社 とE 社 親 会 社 との 関 係 性 F 社G 社親 会 社 との 関 係 性 強H 社 I 社A 社 B 社 C 社 D 社E 社 F 社G 社H 社 I 社サービス 業 / サービス 業 /製 造 ・ 小 売サービス 業 / 事 務 製 造 業 / 園 芸 ・ 事 務 サービス 業 / 事 務 サービス 業 / 事 務サービス 業 / サービス 業 /サービス 業 / サービス 業 /サービス 業 / サービス 業 /製 造 ・ 小 売 事 務 事 務 ・ 清 掃 サービス 業 / 事 務 製 造 業 / 園 芸 ・ 事 務 サービス 業 / 事 務 サービス 業 / 事 務事 務 農 園 芸 ・ 事 務事 務 事 務 ・ 清 掃事 務 農 園 芸 ・ 事 務障 害 のある 従 業 員 の人 数50 人 未 満 50 人 未 満 50 人 未 満 50 人 未 満100 人 以 上 100 人 以 上50 人 未 満50 人 未 満50 50 人 以 上100 人 未 満障 害 のある 従 業 員 の勤 務 場 所親 会 社親 会 社特 例 子 会 社 特 例 子 会 社 特 例 子 会 社特 例 子 会 社特 例 子 会 社( 派 遣 )近 接 事 務 所親 会 社( 常 駐 )特 例 子 会 社親 会 社( 常 駐 )特 例 子 会 社親 会 社( 常 駐 )特 例 子 会 社親 会 社 本 社 ・ 支 社( 親 会 社 近 設 ) ( 常 駐 )人 材 サービス、名 刺 作 成 、 HP 作 成 、書 類 封 入 ・総伝 票 ・ 名 刺 ・データ 入 力 、 サーバー 人 務 材 人 サービス、 事 、メール 業 務 、食 品 製 造印 刷 ・HP 運 営 、 発 送 、 花 卉 栽 培 ・ メール 名 刺 作 成 、 HP 作 成 、データ 入 力 、主 な 事 業 内 容文 書 作 成 、清 掃書 類 封 入 ・ダイレクト 管 理 、 総 合 務 経 人 理 事 、 データ 処 理 、パントリー文 書 作 成 、 メール 業 務 業 、 務 、・ 販 売 伝 票 ・ 名 刺 ・ デジタル 化印 刷 メール壇 保 守 サービス データ 入 力 、 サーバー 業 支 援 印 刷 データ 入 力 、 事 務 補 助 、食 品 製 造 書 類 封 入 発 送 印 刷 ・HP 運 営 、 発 送 、 花 卉 栽 培 ・ メール メール 発 送 保 険 代 理 店 総 合 経 理 、 データ 処 理 、 書 類 封 ・ 発 送 パントリー 業 務 、主 な 事 業 内 容文 書 作 成 、清 掃サービス各 種 コンサルPCセットアップ・ 販 売デジタル 化印 刷 メール 花 壇 保 守 サービス 障 ダイレクト 害 者 委 託 訓 練 業 管 務 理 、文 書 作 成 、書 類 封 入 発 送メール 発 送 、 保 険 代 理 店 ティング 業 務 支 援 、 印 刷事 務 補 助 、書 類 封 入 ・ 発 送サービス各 種 コンサルPCセットアップ障 害 者 委 託 訓 練 業 務ティング親 会 社 からの 受 託 業 務 なし あり あり ありあり ありありあり あり適 親 正 会 配 社 置 からの のための 受 託 評 業 務 なし あり ありありありありありあり ありなし なし なし なしあり なしなしなし なし価 ・ 支 援 の 定 型 化新 適 入 正 社 配 員 置 研 のための 修 ・ 社 員 教育 のためのプログラムなし なし なし なし なし あり なし あり なし あり なし なし なし なし なし なし なし あり なし なし評 価 ・ 支 援 の 定 型 化設 定業 新 務 入 中 社 に 員 関 研 わる 修 ・ 他 社 者 員 教親 会 社親 会 社親 会 社親 会 社親 会 社 親 会 社 親 会 社( 特 例 子 会 社 社 員 以 顧 客 なし なしなしなしなしなし社 員社 員社 員社 員社 員 社 員社 員外 育 ) のためのプログラム なし なし なし なし あり あり なし なし なし なし なし なし あり なし設 定障 害 のある 従 業 員支 援に 業 対 務 する 中 に 親 関 会 わる 社 社 他 員 者 のなし なし なし なしなしなし親 会 社親 会 社親 会 社親 会 社親 あり 会 社 親 会 社 親 会 社直 ( 特 接 例 支 子 援 会 社 従 業 員 以 外 ) 顧 客 なし なしなしなしなしなし従 業 員従 業 員従 業 員従 業 員従 業 員 従 業 員 従 業 員親 会 社 の 障 害 のある従 業 員 を 特 例 子 会 社あり あり なし なし なし なし なし障 害 のある 従 業 員指 導 員 が 支 援に 対 する 親 会 社 従 業 員なしなしなしなしあり なし なしの 直 接 支 援親 会 社 の 障 害 のある従 業 員 を 特 例 子 会 社指 導 員 が 支 援ありありなしなしなしなしなし-58-


具 体 的 には 、「 親 会 社 に 派 遣 される 障 害 従 業 員 」、「 親 会 社 からの 受 託 業 務 」、「 業 務 中 に 関 わる 他 者 ( 特例 子 会 社 従 業 員 以 外 )」、「 障 害 のある 従 業 員 に 対 する 親 会 社 従 業 員 の 直 接 支 援 」、 「 親 会 社 従 業 員 に 対 する 特 例 子 会 社 指 導 員 の 支 援 」 等 を、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 との 関 係 性 を 表 す 要 件 として 整 理 し、 共 通 した枠 組 みで 記 述 することを 試 みた。表 2-1-1 は 、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 における 関 係 性 の 強 弱 を 軸 にして 配 置 したものである。 すなわち、A社 ・ B 社 は「 特 例 子 会 社 の 独 立 性 が 強 い」グループであり、 障 害 のある 従 業 員 の 勤 務 場 所 が 特 例 子 会 社本 社 内 に 限 定 されていること 、 支 援 体 制 においても 特 例 子 会 社 の 独 立 性 が 強 いこと、 などの 特 徴 がある。また、 C 社 ~ G 社 については、 障 害 のある 従 業 員 の 勤 務 場 所 が「 特 例 子 会 社 内 」と「 親 会 社 内 ・ 親 会社 近 接 」のいずれかになっており、 親 会 社 との 関 係 性 については、 操 作 的 に「 独 立 性 が 強 い←→ 関 係 性が 強 い」の 順 に 並 べたものである。さらに、 H 社 ・ I 社 は「 親 会 社 との 関 係 性 が 強 い」グループであり、 障 害 のある 従 業 員 の 勤 務 場 所 が親 会 社 内 (または 親 会 社 に 近 接 した 場 所 )に 設 置 されていること、 事 業 内 容 においても 支 援 体 制 のあり方 においても 親 会 社 との 関 係 性 に 拠 るところが 大 きいこと、などの 特 徴 がある。こうしたことから、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 との 関 係 性 を“ 特 例 子 会 社 の 独 立 性 強 グループ ”、 “ 2 種 類 の職 場 があるグループ ”、 “ 親 会 社 との 関 係 性 強 グループ”の 3 群 に 分 け、それぞれのグループごとの 特 徴を 記 述 するとともに、 各 グループの 企 業 の 支 援 体 制 における 特 徴 を 記 述 した。なお、 B・C・D・F・G・H・I の 7 社 は「サービス 業 」、 A・E の 2 社 は「 製 造 業 」である。 職 種 では、 A 社を 除 く 全 ての 企 業 が 事 業 内 容 に「 事 務 」を 設 けている。ただし 、「 事 務 」の 具 体 的 な 内 容 は 親 会 社 ・ 関連 会 社 からの 受 託 業 務 によって 異 なっている。その 他 、 A 社 は「 製 造 ・ 販 売 ・ 物 流 」、 E・ I 社 では「 農園 芸 」 が 行 われている 。 従 業 員 数 の 規 模 は、 A・B・C・D・G・H の 6 社 が 「 50 人 未 満 」、 I 社 が 「 50 人 以 上 100人 未 満 」、 E・F の 2 社 は「 100 人 以 上 」であった。第 2 節特 例 子 会 社 における 支 援 体 制1. 特 例 子 会 社 の 独 立 性 が 強 い 企 業 における 支 援 体 制 ( A 社 ・ B社 )A 社 、 B 社 はともに 親 会 社 から 独 立 して 特 例 子 会 社 の 運 営 がなされる 点 で 共 通 している 企 業 である。表 2-2-1 にその 概 要 を 示 す。いずれも 50 人 未 満 の 規 模 の 企 業 である。また、 採 用 時 の 考 え 方 に 大 きな違 いはなく、 生 活 面 における 自 立 を 重 視 している。A 社 においては 障 害 のある 従 業 員 が 製 造 ・ 販 売 ・ 接 客 等 の 勤 務 中 に「 顧 客 ( 一 般 の 人 )」と 触 れる 機会 がある。 一 方 、 B 社 では 勤 務 中 に 特 例 子 会 社 の 従 業 員 以 外 の 人 と 接 する 機 会 はない。 障 害 者 の 勤 務 場所 は 特 例 子 会 社 内 であっても、 事 業 内 容 の 特 性 上 業 務 中 に 関 わる 他 者 の 有 無 という 点 で A 社 と B 社 は異 なっている。 以 下 、 各 社 の 支 援 体 制 の 実 際 を 示 す。-59-


企 業業 種 / 職 種障 害 のある 従 業 員 数採 用 経 路採 用 基 準採 用 前 実 習 等表 2-2-1特 例 子 会 社 の 独 立 性 が 強 い 企 業 の 概 要AB製 造 業 ・ 小 売 / 製 造 ・ 販 売 ・ 物 流サービス 業 / 事 務50 人 未 満 50 人 未 満ハローワークを 通 した 採 用・ハローワークを 通 じて 求 人 を 募 集 。・ 面 接 2 回 で 採 用 選 考 。・ 意 欲 ・ 意 志 がある・ 自 力 通 勤・ 通 勤 ができる・ 食 事 ・トイレなど 身 の 回 りのことが 一 人 でできる・ 身 の 回 りのことができるトライアル 雇 用初 任 者 研 修 特 にない採 用 後 研 修マニュアルは 特 にないが、 現 場 に 入 って 日 々OJTOJTを 実 施・できることから 担 当 させる研 修 後 の 配 置 で・ 作 業 は 得 意 な 工 程 を 切 り 出 して 担 当 させる留 意 していること・チームで 一 つの 仕 事 を 行 う指 導 員 の 研 修研 修 は 実 施 していない・ 採 用 時 の1 週 間 : 就 業 規 則 、 社 会 人 としての 基 本 的ビジネスマナー、コンプライアンスの 説 明 を 行 う。 う・ 年 2 回 : 会 社 自 作 のマナーやルールに 関 しての 理 解度 テストを 行 う。 う実 務 を3ヶ 月 程 掛 けて 教 える。 最 初 は 障 害 のない 従業 員 が 指 導 するが、 後 は 先 輩 の 障 害 者 のある 従 業 員 が指 導 する。・ 外 部 研 修 の「 障 害 者 職 業 生 活 相 談 員 資 格 認 定 講 習 」( 社 長 以 下 社 員 が 資 格 保 有 )、 )・「サービス 介 助 士 2 2 級 資 格 認 定 講 習 」を 受 講 。A 社 : 障 害 のある 従 業 員 の 勤 務 場 所 は 店 舗 となっており、 事 業 内 容 は 製 造 ・ 販 売 ・ 物 流 である。製 造 はオープンスペースで 行 われるため、 顧 客 からの 目 が 集 中 する 環 境 にある。 販 売 では 接 客を 行 う。 物 流 はピッキング 作 業 ・ 梱 包 等 である。【 指 導 の 考 え 方 】現 場 ではスタッフが 日 々のOJTにより 障 害 のある 従 業 員 に 指 導 を 行 うが、マニュアル 等 は 特 にない。スタッフも 同 じ 特 例 子 会 社 の 従 業 員 として 業 務 に 当 たっており、 指 導 の 専 門 家 ではないため、 彼 らの 行 動全 てに 目 が 行 き 届 くわけではない。 基 本 的 な 指 導 の 考 え 方 として、まずはできることからやらせ、できないことは 言 葉 かけを 繰 り 返 し、 一 から 教 えることとしている。 適 応 が 困 難 な 場 合 には 他 の 作 業 を 見 つけ、本 人 が 得 意 な 分 野 を 与 えるようにする。また、チーム 作 業 を 行 い 個 人 に 責 任 を 持 たせている。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】不 適 切 な 行 動 が 出 る 時 や、ミスの 指 摘 ついて 理 解 が 得 られない 時 は、 給 与 にたとえて 説 明 することもある。ルールが 守 れない 時 には 、「これがルールだから、 守 れないと 働 けない、 守 れなければ 会 社 にこなくていい」と 説 明 し、 時 には 帰 ってもらうこともある。 家 庭 と 連 携 をとって、 入 社 後 に 問 題 があれば 指 導 をお 願 いしている。【 指 導 員 の 研 修 】特 別 な 研 修 は 実 施 していない。B 社 : 障 害 のある 従 業 員 は 全 員 が 特 例 子 会 社 内 の 事 務 所 に 勤 務 している。 事 業 内 容 は、 書 類 ・ 名 刺 ・伝 票 の 作 成 ・ 顧 客 登 録 等 の PC 作 業 、 書 類 封 入 ・ 発 送 である。 全 ての 業 務 は 親 会 社 からの 受 託 業務 である。-60-


【 指 導 の 考 え 方 】指 導 員 は 親 会 社 出 身 で、 障 害 者 職 業 生 活 相 談 員 の 資 格 を 有 している。 職 場 では 障 害 者 ができることとできないことを 区 別 し、できないことを 補 い 合 えるようにしている。 分 からない 場 合 には 何 度 でも 聞 いてよいと 伝 えており、 三 つほめて 直 すというように 心 がけている。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】会 社 のルールを 守 ることを 重 視 しているが、 説 明 の 際 は 理 解 しやすいように 具 体 的 に 噛 み 砕 いた 形 で 説明 する。また、 新 入 社 員 指 導 の 折 や、 従 業 員 同 士 の 食 い 違 いによるトラブルの 際 の 心 がけとして、 注 意 はしても 否 定 的 な 言 葉 は 禁 句 とし 、“ 怒 る”ということは 絶 対 にしない。実 事 例 を 基 に 「 ○ × 形 式 」 のテストを 作 って 勉 強 会 を 継 続 しており 、 年 2 回 程 度 のテストを 実 施 する。実 務 指 導 は3ヶ 月 程 行 うが、 指 導 員 がつきっきりで 教 えることは 不 可 能 なので、 先 輩 従 業 員 が 指 導 を 担 うこともある。【 指 導 員 の 研 修 】「 障 害 者 職 業 生 活 相 談 員 資 格 認 定 講 習 」は 社 員 全 員 が 受 講 。その 他 に「サービス 介 助 士 資 格 認 定 講 習 」2. 特 例 子 会 社 と 親 会 社 の 2 種 類 の 職 場 における 支 援 体 制 ( C社 ・ D社 ・ E社 ・ F社 ・ G社 )C・D・E・F・G の 5 社 は、 特 例 子 会 社 の 他 に 親 会 社 ・ 関 連 会 社 内 に 職 場 が 設 置 されている。 C 社 は 特 例子 会 社 内 の 業 務 を 担 当 する 者 と 特 例 子 会 社 から 親 会 社 に 派 遣 される 形 態 で 親 会 社 内 の 清 掃 業 務 の 一 部 を請 け 負 っている 者 とがいる。また、 D 社 は 親 会 社 に 近 接 しており、 特 例 会 社 内 の 業 務 を 担 当 する 者 と 親会 社 内 に 出 向 いてメールサービスを 担 当 する 者 とがいる。これに 対 し、 E 社 ・ F 社 ・ G 社 は 特 例 子 会 社内 の 業 務 を 担 当 する 者 と 親 会 社 に 常 駐 する 者 とがいる。このような 職 場 の 設 置 の 状 況 は、 親 会 社 からの受 託 業 務 の 内 容 と 関 係 しているとみることができる。ここでは、 各 社 の 支 援 体 制 に 注 目 し、その 特 徴 をまとめる。(1) 親 会 社 や 関 連 会 社 に 雇 用 されている 障 害 者 の 支 援 を 行 っている 企 業 ( C社 ・ D社 )障 害 者 の 勤 務 場 所 が 特 例 子 会 社 内 であれ 親 会 社 であれ、 基 本 的 な 指 導 は 特 例 子 会 社 の 指 導 スタッフが担 当 しており、 親 会 社 従 業 員 による 指 導 はない。むしろ、 特 例 子 会 社 の 指 導 範 囲 は、 親 会 社 や 関 連 会 社に 雇 用 されている 指 導 困 難 な 障 害 者 にまで 及 んでいた。こうした 支 援 の 実 際 は、 特 例 子 会 社 という 限 定された 場 面 での 支 援 ノウハウが 、 親 会 社 本 体 の 障 害 者 雇 用 にも 効 果 を 持 つ 可 能 性 を 示 唆 している。 また、特 例 子 会 社 の 支 援 ノウハウがなければ、 親 会 社 における 指 導 困 難 な 事 例 の 雇 用 継 続 は 困 難 となる 可 能 性も 指 摘 されるだろう。表 2-2-2-1 に C 社 と D 社 の 概 要 を 示 す。いずれも 50 人 未 満 の 規 模 の 企 業 である。ただし、 C 社 は 採用 前 の 実 習 を 重 視 して 採 用 を 決 定 するのに 対 し、 D 社 は 障 害 受 容 や 働 く 意 味 の 理 解 、 自 立 的 行 動 、 向 上心 、 体 力 等 について 重 視 している。-61-


企 業 企 業業 種 / 職 種業 種 / 職 種障 害 のある 従 業 員 数表 2-2-2-1特 例 子 会 社 と 親 会 社 に 職 場 を 有 する 企 業 の 概 要 (その1)C CDDサービス 業 / 事 務 ・ 清 掃サービス 業 / 事 務サービス 業 / 事 務 ・ 清 掃サービス 業 / 事 務50 人 未 満 50 人 未 満障 害 のある 従 業 員 数50 人 未 満 50 人 未 満採 用 経 路・ 社 会 適 応 訓 練 生・タイミングがあえば 合 同 面 接・ 実 習 生 引 き 受 け・ハローワーク 経 由 での 面 接・ 社 会 適 応 訓 練 生・タイミングがあえば 合 同 面 接採 用 経 路・ 実 習 生 引 き 受 け・・ハローワーク 障 害 受 容 経 由 での 面 接・ 働 く 意 味 の 理 解採 用 基 準・ 家 庭 で 生 活 基 礎 ができている・・ 向 障 上 害 心 受 がある 容・スポーツの ・ 働 く 意 味 の 経 理 験 解 がある採 用 基 準・ 家 庭 で 生 活 基 礎 ができている採 用 前 実 習 等実 習 /トライアル 雇 用 / 社 会 適 応 訓 練・ 向 上 心 がある・スポーツの 経 験 がある実 習 /トライアル 雇 用 /・ 採 用 時 の1 週 間 とし、 会 社 の 方 針 や 社 内 のルールに採 用 前 実 習 等 採 用 後 の2~3 社 会 適 応 日 訓 間 練 ; 会 社 概 要 説 明 や 配 属 先 業 務 工 関 する 内 容 について 指 導 部 署 が 実 施初 任 者 研 修程 の 習 得 等 を 行 う・その 他 、 仕 事 にあわせて 適 時 、ビジネススキルアッ採 用 後 研 修プの ・ 採 研 用 修 時 を1~2 の1 週 間 とし、 時 間 かけて 会 社 の 実 方 施 針 や 社 内 のルー採 用 後 の2~3 日 間 ; 会 社 概 要 説 明 や 配 属 先 ルに 関 する 内 容 について 指 導 部 署 が 実 施 。初 任 者 研 修業 務 工 程 の 習 得 等 を 行 う・・その本 人 ・チームがスキルアップしたい他 、 仕 事 にあわせて 適 時 、ビジネススキ項 目 に 基 いてカOJT 必 要 な 期 間 、OJTを 実 施 。リキュラムを 作 成採 用 後 研 修ルアップの を1~2 時 間 かけて 実 施 。・ 指 導 部 署 が 研 修 を 実 施・ 本 人 ・チームがスキルアップしたい 項 目 に 基研 修 後 の 配 置 で留 意 していることOJT 配 置 は 適 材 必 適 要 所 な で 期 行 間 う。できること、できないこと、OJTを 実 施 。の 把 握 と 得 意 の 組 み 合 わせの 重 視いてカリキュラムを 作 成 。・ 指 導 部 署 が 研 修 を 実 施 。研 修 後 の 配 置 で 留 意 してい 配 置 は 適 材 適 所 で 行 う。できること、できな 労 働 契 約 の 内 容 確 認 、 社 内 のルール、 会 社 の 経 営 方ること・ 月 一 回 のいことの職 場 定 着把推握進と会得議意などで、の 組 み 合部わせの署 のリーダー重 視 。指 導 員 の 研 修針 、 役 割 について 基 本 的 な 研 修 を 実 施 する。が 参 加 し 共 通 理 解 を 図 るその 他 1 社 員 ミーティング、2アサーショントレー・ 手 話 通 訳 士 の 育 成ニング、3 労 働 契 約 社 の 内 セミナーを 容 確 認 、 社 実 内 施 のルール、 している。 会 社 の・ 月 一 回 の 職 場 定 着 推 進 会 議 などで、 部 署 の 経 営 方 針 、 役 割 について 基 本 的 な 研 修 を 実 施 す指 導 員 の 研 修リーダーが 参 加 し 共 通 理 解 を 図 る・ 手 話 通 訳 士 の 育 成る。その 他 1 社 員 ミーティング、2アサーショントレーニング、3 社 内 セミナーを 実 施 している。C 社 :勤 務 場 所 は 基 本 的 に 特 例 子 会 社 であるが、 親 会 社 に 派 遣 される 従 業 員 もいる。 主 たる 事 業 内 容は 親 会 社 等 の 受 託 業 務 による 印 刷 ・デジタル 化 業 務 などである。 親 会 社 への 派 遣 業 務 は 清 掃 作業 であるが、 本 来 、 清 掃 作 業 は 知 的 障 害 者 のために 切 り 出 された 業 務 である。【 指 導 の 考 え 方 】特 例 子 会 社 では 聴 覚 障 害 者 のための 手 話 通 訳 士 が 指 導 スタッフとして 配 置 されているが、 経 験 やスキルのある 障 害 者 は 指 導 的 役 割 を 担 っている。手 話 通 訳 士 は 本 来 的 役 割 である 聴 覚 障 害 者 支 援 以 外 に、 知 的 障 害 者 の 職 業 コンサルタントとして、 教 材・ 作 業 過 程 の 見 直 し、マニュアルの 作 成 等 を 行 っている。 親 会 社 に 派 遣 される 障 害 者 に 現 地 指 導 を 行 い、親 会 社 従 業 員 に 対 する 説 明 や 連 絡 も 併 せて 行 う。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】手 話 通 訳 士 は、 関 連 会 社 の 雇 用 支 援 のコンサルタントとして 親 会 社 で 雇 用 される 発 達 障 害 者 支 援 も 行 っている。 具 体 的 には、 本 人 ・ 本 人 と 一 番 関 わる 人 との 相 談 、 本 人 が 所 属 する 部 署 に 対 する 障 害 特 性 や 配 慮の 方 法 、についてアドバイスを 行 っている。【 指 導 員 の 研 修 】社 内 で 職 場 定 着 推 進 会 議 を 持 つとともに、 手 話 通 訳 士 の 育 成 を 行 っている。D 社 : 勤 務 場 所 は 特 例 子 会 社 と 親 会 社 に 近 接 の 事 務 所 である。 特 例 子 会 社 では HP 運 営 、 印 刷 業 務 等が 行 われている。また、 近 接 の 事 務 所 では 書 類 封 入 ・ 発 送 ・メールサービス 等 が 行 われている。いずれも 親 会 社 からの 受 託 業 務 を 中 心 とした 事 業 である。-62-


【 指 導 の 考 え 方 】専 門 的 な 支 援 を 行 うため 管 理 職 と 障 害 のない 従 業 員 による 指 導 部 署 を 設 けている。 指 導 部 署 の 従 業 員 が指 導 員 となって 障 害 者 の 日 頃 の 支 援 にあたる。また、 障 害 者 の 育 成 のため 指 導 部 署 が 中 心 となって、 新 入従 業 員 教 育 ・スキルアップ 研 修 ・ 採 用 後 研 修 などのカリキュラムを 作 成 ・ 実 施 に 努 めている。 他 にも、 従業 員 教 育 や 従 業 員 セミナーなどに、 障 害 者 の 個 々のスキルが 向 上 する 取 り 組 みを 充 実 させている。メンタルヘルス 不 全 を 防 止 するためのカウンセリングを 実 施 しているが、 指 導 員 自 身 も 指 導 に 悩 むこともあり、カウンセリングの 対 象 となる。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】定 期 的 に 面 談 を 実 施 し、 会 食 やバーベキューなどのイベントを 催 すことで、 従 業 員 だけでなく 家 族 ・ 学校 、グループ 会 社 の 従 業 員 、 関 係 機 関 の 支 援 者 との 友 好 を 深 める 取 り 組 みも 行 っている。【 指 導 員 の 研 修 】社 内 のルール、 会 社 の 経 営 方 針 、 役 割 についての 基 本 的 な 研 修 を 実 施 する。その 他 に 社 員 ミーティングやアサーショントレーニング、 社 内 セミナーを 実 施 している。(2) 特 例 子 会 社 の 指 導 スタッフが 指 導 を 担 当 する 企 業 ( E 社 ・ F 社 )表 2-2-2-2 に E 社 と F 社 の 概 要 を 示 す。表 2-2-2-2特 例 子 会 社 と 親 会 社 に 職 場 を 有 する 企 業 の 概 要 (その2)企 業 企 業業 種 / 業 職 種 / 職 種E E製 造 業 / 製 事 造 務 業 ・/ 園 事 芸 務 ・ 園 芸F Fサービス 業 / 業 事 / 務 事 務障 害 のある 障 害 のある 従 業 員 従 数 業 員 数100 人 以 100 上 人 以 上 100 100 人 以 人 上 以 上採 用 経 採 路 用 経 路採 用 基 採 準 用 基 準・ 採 用 選 考 会 ・ の 採 実 用 施 選 考 会 の 実 施・ 職 種 での 求 ・ 人 職 募 種 集 での 求 人 募 集・ 実 習 生 引 き ・ 受 実 け習 生 引 き 受 け・ 体 力 がある・ 体 力 がある・もくもくと ・もくもくと 作 業 ができる作 業 ができる・チームプレイが ・チームプレイが 出 来 る 出 来 る・ 字 の 違 いがわかる/ ・ 字 の 違 いがわかる・ 字 が 読 める字 が 読 める・ハローワークを した での 求 人・ハローワークを 通 した 具 体 的 な 職 種 での 求 人 募 集募 集・ 合 同 面 接 会・ 合 同 面 接 ・・ 生 生 活 リズム、 挨 拶・アドバイスを 受 け 入 れる 素 直 さ・・ 会 会 社 に 対 する 理 解・・ 生 生 涯 にわたって 活 躍 したいか・・ 向 向 上 心 、 自 他 の 尊 重・・ 新 新 鮮 な 初 心 の 維 持・・ 臨 臨 機 応 変 さ・PCスキル採 用 前 採 実 用 習 前 等 実 習 等実 習実 習実 実 習 習 /トライアル 雇 用 3ヶ 月 / 嘱 託 職 員 3 年半 年 以 内 に 二 半 日 年 程 以 度 内 : に 会 二 社 日 概 程 要 度 :、 会 親 社 会 概 社 要 についての 、 親 会 社 につ初 任 者 初 研 任 修 者 教 研 育 修 、 障 害 者 いての 雇 用 について、ビジネスマナー、 教 育 、 障 害 者 雇 用 について、ビジネスマ 就 業 規則ナー、 就 業 規 則採 用 後 採 研 用 修 後 研 修採 採 用 後 の1 週 間 :エクセル 課 題 を 実 施OJTOJT基 本 的 なことは えるが、あとはOJTで 基 本 的 なことは 教 えるが、あとはOJTで 先 輩 から 指 導から 指 導研 修 後・ 人 間 関 係 を 考 慮 してチーム 編 成 を 考 える。研 の 修 配 後 置 の で・ 人 間 関 係 を 考 慮 してチーム 編 成 を 考 える。配 置 で 留 意 しているこ・ 複 数 の 作 業 ・ を1、2 複 数 の 作 回 業 実 を1、2 施 し、 回 各 実 人 施 のスキルを し、 各 人 のスキル 把 握留 意 していることとしたうえで 作 を 業 把 にあたらせる。握 したうえで 作 業 にあたらせる。指 導 員 指 の 導 研 員 修 の 研 修・ 職 場 適 応 援 ・ 助 職 者 場 養 適 成 応 研 援 修 助 者 養 成 研 修・ 社 員 の 持 病 ・ 社 障 員 害 の に 持 関 病 する ・ 障 勉 害 強 に 関 会 する 勉 強 会・ 支 援 団 体 の ・ 開 支 催 援 する 団 体 研 の 究 開 会 催 等 する への 研 究 参 会 加 等 への 参 加ピア・サポート により、 のあるピア・サポート 的 な 方 法 により、 障 害 のある 管 理 職管 理 職 がその 他 の 障 害 のある 人 を 管 理 ・サポーがその 他 の 障 害 のある 人 を 管 理 ・サポートすることで、トすることで、 無 理 のない 納 期 設 定 が 行 われて無 理 のない 納 期 設 定 が 行 われている。いる。-63-


勤 務 場 所 が 特 例 子 会 社 内 であれ 親 会 社 であれ、 指 導 は 基 本 的 に 特 例 子 会 社 の 指 導 スタッフが 担 当 しており、 親 会 社 従 業 員 による 指 導 はない。 親 会 社 従 業 員 が 観 察 した 行 動 を 特 例 子 会 社 の 指 導 スタッフに 伝えるという 範 囲 での 関 わりである。いずれも100 人 以 上 の 規 模 の 企 業 であり、 実 習 等 の 評 価 により 採 用 を 決 定 している。 評 価 の 基 準 として、 E 社 は 作 業 態 度 や 体 力 の 他 に 集 団 での 作 業 可 能 性 を 重 視 しており、 F 社 は 向 上 心 や 臨 機 応 変 さ、 PCスキル 等 も 求 めているなど、 業 務 に 応 じた 作 業 遂 行 の 可 能 性 を 評 価 して 採 用 している。E 社 : 勤 務 場 所 は 特 例 子 会 社 本 社 と 親 会 社 内 事 務 所 の 2 箇 所 である。 特 例 子 会 社 本 社 では 関 連 会 社 や外 部 からの 受 託 業 務 で 花 卉 栽 培 、 花 壇 保 守 が 行 われている。 一 方 、 親 会 社 内 の 事 務 所 には 障 害のある 従 業 員 が 常 駐 して、メールサービス・ 販 売 等 の 親 会 社 からの 受 託 業 務 に 従 事 している。【 指 導 の 考 え 方 】障 害 者 の 障 害 特 性 や 職 業 スキルに 合 わせた 配 置 を 検 討 するため、 入 社 後 は 特 例 子 会 社 や 親 会 社 部 署 の 様々な 仕 事 を 経 験 させる。また、 障 害 者 の 仕 事 のマッチングのため、 障 害 特 性 等 のアセスメントや 作 業 手 順・ 職 場 環 境 などの 調 整 を 定 型 化 している。 従 業 員 の 業 務 スキルが 向 上 することで、 作 業 の 難 易 度 を 高 めるといったことや、リーダーに 昇 格 させることもある。 従 業 員 のスキルアップや 職 場 適 応 の 状 況 から 部 署 内のリーダー 育 成 候 補 を 選 定 し、 特 別 に 指 導 している。 日 頃 の 体 調 管 理 はチェック 表 などのツールを 用 いて実 施 している。【 指 導 員 の 研 修 】アセスメントや 指 導 を 専 門 的 に 行 うため、 特 例 子 会 社 の 指 導 員 は 職 場 適 応 援 助 者 資 格 を 取 得 し、 研 修 等に 積 極 的 に 参 加 している。F 社 : 勤 務 場 所 は 特 例 子 会 社 本 社 と 親 会 社 内 事 務 所 の 2 箇 所 である。 特 例 子 会 社 本 社 では 名 刺 作 成 、データ 入 力 、ダイレクトメール 発 送 、 障 害 者 委 託 訓 練 などが 行 われている。 親 会 社 ではオフィスに 障 害 者 が 常 駐 しており、 HP作 成 、サーバー 管 理 、 保 険 代 理 店 業 務 など、 親 会 社 からの 受 託業 務 や 外 部 からの 受 注 業 務 が 遂 行 されている。【 指 導 の 考 え 方 】配 置 は、 個 人 の 特 性 ・ 個 性 、 得 意 不 得 意 に 応 じて 行 われている。 実 務 においては、 障 害 者 が 窓 口 となって 業 務 を 受 託 し、 他 の 障 害 者 に 分 担 して 納 期 を 決 めるといったことや、 身 体 障 害 の 従 業 員 が 発 達 障 害 のある 従 業 員 の 雇 用 管 理 を 行 う、といったような 障 害 者 による 管 理 が 可 能 なチーム 体 制 をとっている。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】コミュニケーションがうまくいかないときや 意 思 疎 通 ができないときに 不 安 定 になる 従 業 員 がいるが、専 任 のカウンセラーが 会 社 を 巡 回 しながら 適 宜 カウンセリングを 実 施 している。カウンセリングは 予 約 制で 自 由 に 受 けることができる。メンタルヘルス 不 全 を 防 ぐための 支 援 体 制 の 構 築 が 重 視 されている。【 指 導 員 の 研 修 】ピア・サポート 的 な 方 法 により、 障 害 のある 管 理 職 がその 他 の 障 害 のある 人 を 管 理 ・サポートすることで、 無 理 のない 納 期 設 定 が 行 われるように 配 慮 している。-64-


(3) 親 会 社 従 業 員 も 指 導 を 担 当 する 支 援 体 制 ( G 社 )勤 務 場 所 が 特 例 子 会 社 内 であれ 親 会 社 であれ、 指 導 は 基 本 的 に 特 例 子 会 社 の 指 導 スタッフが 担 当 している。しかし、 親 会 社 内 に 配 置 された 障 害 者 の 中 に、 PCにおけるデータ 入 力 のスキルが 安 定 した 段 階では 親 会 社 従 業 員 の 業 務 管 理 の 下 で 業 務 を 担 当 する 事 例 もある。表 2-2-2-3 に G 社 の 概 要 を 示 す 。 50 人 未 満 の 規 模 の 企 業 である 。 実 習 を 重 視 して 採 用 を 決 定 しており、意 欲 やチームワークを 重 視 している。G 社 : 勤 務 場 所 は、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 の 2 箇 所 である。 特 例 子 会 社 では、 人 材 サービス、 総 合 人事 、 総 合 経 理 、 業 務 支 援 、 各 種 コンサルティングなど 親 会 社 からの 受 託 業 務 が 行 われている。親 会 社 部 署 には 障 害 のある 従 業 員 が 常 駐 しており、データ 処 理 や 印 刷 業 務 などを 行 っている。企 業表 2-2-2-3企 業特 例 子 会 社 と 親 会 社 に 職 場 を 有 する 企 業 の 概 要 (その3)G G業 種 / 職 業 種 / 職 種障 害 のある 障 害 従 のある 業 員 数 従 業 員 数採 用 経 路 採 用 経 路採 用 基 準 採 用 基 準採 用 前 実 採 習 用 等 前 実 習 等サービス 業 / 業 事 / 務 事 務50 人 50 未 人 満 未 満・ハローワーク 主 催 主 の 催 合 の 同 合 面 同 接 面 会 接 会・ハローワーク 紹 介 紹 / 介 実 / 習 実 引 習 き 引 受 き け受 け・ 職 ・ 業 職 業 センター 紹 介 紹 介・ 就 ・ 労 就 支 労 援 支 援 センター 紹 介 紹 介・ 意 ・ 欲 意 がある 欲 がある・あいさつができる・チームワークを 大 切 大 にする 切 にする・お ・お 互 互 いをカバーしあえる2 週 間 の 実 習 /トライアル 雇 用 3ヶ 月 /ステップアッ2 週 間 の 実 習 /トライアル 雇 用 3ヶ 月 /ステップアップ 訓 練プ 訓 練トライアル 雇 用 期 間 の3ヶ 月 間 として、 各 部 署 での初 任 者 初 研 任 修 者 研 修 トライアル 雇 用 期 間 の3ヶ 月 間 として、 各 部 署 での 適 応 性 を 見 る適 応 性 を 見 る採 用 後 研 採 修 用 後 研 修トライアル 終 了 終 後 了 の6ヶ 後 の6ヶ 月 間 月 間 として、 配 属 配 先 属 での 先 での 先 輩 先 からマンOJT OJTツーマン 輩 からマンツーマン 教 育 を 受 ける 教 育 を 受 ける研 修 後 の 研 配 修 置 後 で の 留 配 意 置 してい でること 留 意 していること指 導 員 の 指 研 導 修 員 の 研 修・ 業 ・ 務 業 の 務 内 の 容 内 と 容 障 と 害 障 特 害 性 特 を 性 見 を 極 見 めて 極 めて 振 り 振 分 り ける 分 ける・ 採 ・ 用 採 後 用 、 後 徐 、 々に 徐 々に 仕 事 仕 を 事 難 を 難 しくし、 負 荷 負 を 荷 高 を める。 高 特 別 特 な 別 研 な 修 研 修 はなく、 今 回 今 初 回 めて2 初 めて2 号 職 号 場 職 適 場 応 適 援 応 助 援 者 助 の 者 講 習 を 受け、 の 支 講 援 習 体 を 制 受 の け、 強 化 支 に 援 取 体 り 制 組 の んでいる。 強 化 に 取 り 組 んでいる【 指 導 の 考 え 方 】障 害 のある 従 業 員 に 対 しては、ビジネスマナー 集 を 利 用 したルールの 指 導 や、 人 前 での 意 見 表 明 ができるように 経 験 を 積 むための1 分 間 スピーチ、 文 字 の 練 習 、 日 々の 生 活 やリズムについての 日 報 等 を 実 施 している。また、 適 正 配 置 のために 時 間 をかけて 作 業 をさせ、 職 業 上 の 能 力 や 特 性 を 判 断 している。障 害 者 同 士 での 衝 突 を 避 けるための 配 置 についても 配 慮 している。また、 特 例 子 会 社 に 在 籍 しながら 親会 社 部 署 に 常 駐 する 発 達 障 害 者 に 対 しては、 親 会 社 の 従 業 員 が 直 接 業 務 管 理 に 携 わっている。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】会 社 と 家 庭 の 指 導 の 方 向 性 を 合 わせるため、 半 年 ごとに 親 と 面 談 を 実 施 し、 従 業 員 の 会 社 での 様 子 や 対応 、 指 導 の 方 向 性 を 伝 えている。-65-


3. 親 会 社 との 関 係 性 が 強 い 企 業 ( H 社 ・ I社 )H 社 並 びに I 社 は、 障 害 者 の 働 く 場 がそれぞれ 親 会 社 に 近 接 、あるいは 親 会 社 内 に 設 置 されている。事 業 内 容 は 親 会 社 からの 受 託 業 務 である 点 で 共 通 している。 親 会 社 内 での 勤 務 形 態 に 着 目 すると、 H 社では 基 本 的 に 従 業 員 は 特 例 子 会 社 内 業 務 に 従 事 しているが、 業 務 上 の 必 要 のため 親 会 社 に 度 々 派 遣 されている。 一 方 、I 社 では、 親 会 社 本 社 並 びに 支 社 に 特 例 子 会 社 の 従 業 員 が 常 駐 して 受 託 業 務 に 従 事 している。表 2-2-3 にH 社 とI 社 の 概 要 を 示 す。いずれも、 50 人 未 満 の 規 模 の 企 業 である。 実 習 を 行 ったうえで採 用 を 決 定 しており、いずれも「 職 業 人 としての 態 度 」を 重 視 しているが、 加 えてH 社 では 既 に 雇 用 している 障 害 者 との 人 間 関 係 、 I 社 では 本 人 の 障 害 理 解 を 重 視 している。企 業 企 業業 種 業 / 種 職 / 種 職 種障 害 障 のある 害 のある 従 業 従 員 業 数 員 数採 用 採 経 用 路 経 路表 2-2-3親 会 社 との 関 係 性 が 強 い 企 業 の 概 要HI Iサービス 業 / 事 務サービス 業 / 業 事 / 務 事 ・ 務 農 ・ 園 農 芸 園 芸50 50 人 未 満 50 50 人 以 人 上 以 100 上 100 人 未 満 人 未 満職 業 職 センター/ 業 支 援 支 機 援 関 機 関 // 特 別 支 援 学 校 /ハローワーク通 した 職 種 での 募 集/ 障 / 害 障 者 害 合 者 同 合 面 同 接 面 接 会 会ハローワークを 通 した 職 種 での 募 集採 用 採 基 用 準 基 準採 用 採 前 用 実 前 習 実 等 習 等・ 身 ・ 辺 身 の 辺 自 の 立 自 立・ 就 ・ 労 就 の 労 意 の 義 意 を 義 理 を 理 解 解 ・ 意 欲 がある・ 地 ・ 域 地 の 域 就 の 労 就 支 労 援 支 援 機 機 関 に 所 属・ 現 ・ 場 現 実 場 習 実 を 習 経 を 験 経 験 する・ 既 ・ 存 既 メンバーとのバランス存 ・ 現 ・ 在 現 の 在 職 の 場 職 で 場 働 で 働 くことができるか2~3 2~3 週 間 実 施 する・ 言 葉 遣 遣 いい・ 態 度 がきちんとしている・ 社 会 性 性 がある・ 障 害 認 認 知 が 知 出 が 来 出 ている 来 ている・ 差 別 意 意 識 識 がない・ 身 だしなみが 良 い良 い2 週 2 間 週 の 間 実 の 習 実 / 習 委 / 託 委 訓 練 託 訓 練定 例 ・ 研 定 修 例 : 研 業 修 務 : スケジュール・ビジネスマナー・ 業 務 社内初 任 者 研内修ルール・ 検 討 管 理 等採 用 後 後 の1ヶ 月 月 として、ジョブコーチが1 対 1で 対 応 1で 対初 任 者 研 修個 別 ・ 研 個 修 別 : 研 定 修 例 : 研 定 例 修 研 の 修 補 の 足 補 ・ 足 確 ・ 認 確 、 認 空 、 空 き 時 間 で 個 々 々の している 応 している採 用 採 後 用 研 後 修 研 修の 課 題 や 目 標 、 特 性 に 合 わせた 個 別 別 研 研 修 修OJT OJT半 年 半 ~1 年 ~1 年 :ビジネスマナー・ 業 務 全 般 、 研 研 修 などで 修 で 学 んだことを 実 際 の 業 務 の 中 で 個 個 別 別 指 導 指 として 導 として 行 う。 行 う実 習 段 階 で、 入 社 をイメージ。アセスメント研 修 研 後 修 の 後 配 の 置 配 で置 で 留 意 して 実 習 段 階 で、 入 社 後 の 配 置 に 特 性 や 業 務 合 わトに 基 き、 入 社 後 に 当 事 者 の 障 害 特 性 や 業 務 スキルに留 意 していること合 わせて 配 置 を を 行 行 う。 う障 害 のある 従 業 従 員 業 に 員 対 に する 対 する 指 導 スタッフの 指 導 スタッフの 指 導 態 指 度 導 態 度指 導 指 員 導 の 員 研 の 修 研 修研 修 研 は 修 実 は 施 実 しておらず、 施 共 に 行 動 して 覚 えて 感 じるこことが 重 要 としている。指 導 員 員 は は 職 場 職 適 場 応 適 援 応 助 援 者 助 の 者 資 の 格 を 資 持 格 っている を 持 っているH 社 : 障 害 者 の 勤 務 場 所 は 親 会 社 に 近 接 する 特 例 子 会 社 である。 事 業 内 容 はデータ 入 力 、 文 書 作 成 、書 類 封 入 、 発 送 等 で 親 会 社 やその 他 の 企 業 からの 受 託 業 務 で、 IT を 介 したサービス 業 が 中 心 。【 指 導 の 考 え 方 】実 習 やトライアル 雇 用 を 通 して 細 かなアセスメントを 行 うことに 加 えて、 入 社 後 に 障 害 特 性 ・ 性 格 ・ 得意 不 得 意 の 理 解 に 努 めている。このため、 支 援 機 関 とはケース 会 議 を 半 年 に1 度 行 い、 家 庭 での 状 況 もできるだけ 把 握 するようにしている。障 害 種 別 や 障 害 程 度 に 関 わらず、 基 本 的 に 業 務 は 固 定 せず 複 数 の 業 務 に 従 事 させる。 業 務 の 実 績 をデータで 個 人 ごとに 管 理 し、 業 務 の 偏 りを 防 止 し、 生 産 性 や 稼 動 状 況 を 把 握 しながら 支 援 する。-66-


【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】想 定 外 の 状 況 への 対 応 が 苦 手 な 障 害 者 に 対 して、 意 図 的 に 仕 事 を 変 更 させ 反 応 等 を 見 ている。 親 会 社 への 派 遣 が 想 定 される 従 業 員 については 「 報 ・ 連 ・ 相 」「 会 社 のルール 」 等 を 徹 底 して 半 年 ほどの 指 導 を 行 う。覚 えた 仕 事 や 作 業 方 法 を 他 の 従 業 員 に 伝 える 機 会 を 作 っている。 基 本 的 には 言 語 指 示 だが、 否 定 的 ・ 抽 象的 な 表 現 は 避 け、できるだけ 肯 定 的 で 簡 潔 な 表 現 を 使 う。ミスを 隠 した 場 合 は 強 く 叱 っている。【 指 導 員 の 研 修 】人 材 育 成 としてコンプライアンスの 研 修 、ロールプレイング 研 修 、 個 々の 能 力 に 合 わせた 個 別 研 修 を 実施 している。I社 :障 害 のある 従 業 員 は 親 会 社 本 社 または 親 会 社 支 社 内 に 勤 務 している。 事 業 内 容 は 親 会 社 からの受 託 業 務 からなっており 、 経 理 業 務 、 契 約 書 受 付 業 務 、 PC 入 力 、 メール 業 務 、 パントリー 業 務 、文 具 リサイクル 等 がある。【 指 導 の 考 え 方 】職 場 適 応 援 助 者 の 資 格 を 所 持 する 指 導 従 業 員 が1 名 と、3~4 人 の 障 害 者 が 一 つのグループとなり、 親会 社 内 の 部 門 に 入 って 業 務 を 行 っている。 指 導 スタッフは、 障 害 のある 従 業 員 と1ヶ 月 に1 度 必 ず 面 談 を行 い、 悩 み、 困 っていること、 今 月 できなかったこと、 来 月 の 目 標 等 を 話 し 合 う 機 会 を 持 っている。 支 社の 状 況 については、 親 会 社 本 社 に 駐 在 する 管 理 職 の 者 が 把 握 するようにしており、 地 域 の 支 援 機 関 の 協 力を 得 ることもある。 各 支 所 における 業 務 は、 個 々のオフィスで 完 結 する 状 態 である。配 置 については、 障 害 特 性 だけでなく 障 害 者 同 士 の 組 み 合 わせを 意 識 して 業 務 を 担 当 させている。障 害 のある 従 業 員 が 親 会 社 内 で 勤 務 するにあたっての 行 動 面 での 問 題 に 対 しては、 個 別 指 導 を 実 施 するだけでなく、 親 会 社 従 業 員 に 対 して 障 害 特 性 を 伝 えるなどして 理 解 を 求 めている。どうしても 必 要 な 場 合は、 障 害 のある 従 業 員 の 家 族 や 支 援 機 関 と 相 談 ・ 連 携 して、 長 期 的 に 指 導 を 行 うこともあるが、 基 本 的 に会 社 は 家 庭 には 介 入 しない。【 指 導 が 必 要 な 場 面 と 対 応 】指 導 スタッフによる 指 導 場 面 が 親 会 社 従 業 員 の 目 に 触 れる 機 会 が 多 く、 指 導 態 度 について 注 意 を 受 けることもあるため、 親 会 社 の 中 での 指 導 従 業 員 の 指 導 態 度 や 口 調 などに 気 をつけている。4. 各 企 業 における 支 援 体 制 のまとめここでは、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 の 関 係 性 によって 分 類 したグループごとに 支 援 体 制 を 比 較 し、それぞれの 特 徴 について 検 討 する。まず 、“ 特 例 子 会 社 の 独 立 性 が 強 いグループ”である 特 例 子 会 社 A 社 、 B 社 の 支 援 体 制 をまとめておくことにする。A 社 では 特 例 子 会 社 の 指 導 スタッフがマニュアルや 定 型 的 なプログラムに 頼 らずOJTにより 指 導 を実 施 していた。スタッフも 障 害 のある 従 業 員 と 同 じ 業 務 に 従 事 していることから、 問 題 があればその 都-67-


度 対 応 するという 支 援 が 中 心 であった。 B 社 では 指 導 スタッフが 会 社 のルールの 説 明 や 作 業 工 程 に 工 夫をしていた。 指 導 の 際 も 否 定 や“ 怒 る”は 避 け、 本 人 が 理 解 できるように 具 体 的 に 説 明 するといった 配慮 を 重 視 する。 A 社 の「 指 導 上 必 要 ならば 従 業 員 を 家 に 帰 すこともある 厳 しい 指 導 」と、 B 社 の「 失 敗してもゆっくり 成 長 を 見 守 る 指 導 」において、 2社 は 対 極 の 立 場 にあるようだが、いずれも 日 常 的 ・ 長期 的 な 支 援 ・ 指 導 を 心 がけており、そのためには 特 性 に 即 した 指 導 を 行 う“ 指 導 スタッフの 存 在 ”が 大きい。次 に 、“ 2種 類 の 職 場 があるグループ” の 特 例 子 会 社 C 社 ~ G 社 の 支 援 体 制 について 検 討 する。この 5社 には 特 例 子 会 社 と 親 会 社 の2 種 類 の 職 場 があり、 支 援 体 制 は 企 業 によって 特 徴 が 異 なる。ここでは 指導 従 業 員 の 役 割 については、 以 下 のようにまとめることができる。C 社 ・D 社 は 特 例 子 会 社 と 親 会 社 ( 派 遣 )の 障 害 のある 従 業 員 に 加 えて、 関 連 会 社 ( 一 般 企 業 )に 在籍 する 障 害 のある 従 業 員 に 対 する 支 援 も 行 っていた。 特 例 子 会 社 で 培 われたノウハウが 一 般 企 業 の 支 援に 活 用 されている 点 が 特 徴 的 であった。E 社 ・ F社 では、 親 会 社 内 に 常 駐 する 障 害 のある 従 業 員 に 対 して 相 談 を 行 い、メンタルヘルス 不 全 の 防 止 に 取 り 組 んでいた。F 社 では 指 導 員 がカウンセリングの 専 門家 であり、 精 神 不 安 定 に 対 する 支 援 により 特 化 している 点 が 特 徴 的 であった。 G 社 では 親 会 社 に 常 駐 する 障 害 者 の 指 導 の 一 端 を、 特 例 子 会 社 のバックアップのもと 親 会 社 の 従 業 員 が 担 うという 点 が 特 徴 的 であった。このグループでは、 親 会 社 との 関 連 で 指 導 従 業 員 が 担 う 役 割 の 多 様 な 可 能 性 が 示 されたといえるだろう。次 に 、“ 親 会 社 との 関 係 性 が 強 いグループ”の 特 例 子 会 社 H 社 と I 社 についてまとめる。 H 社 では 従業 員 教 育 やプログラムの 充 実 、 入 社 後 の 社 員 の 育 成 を 重 視 した 支 援 体 制 が、 I社 では 親 会 社 本 社 並 びに支 社 で 指 導 員 と 障 害 のある 従 業 員 数 名 のグループが 形 成 され、 小 集 団 で 活 動 がなされている 点 が 特 徴 的である。この2 社 の 特 例 子 会 社 は、 親 会 社 の 一 部 署 として 位 置 づけられていることから、 設 置 ・ 勤 務 場所 という 点 において 親 会 社 との 関 係 性 が 強 いと 見 ることができるだろう。 一 方 で、 親 会 社 従 業 員 の 直 接支 援 はなく、 特 例 子 会 社 指 導 員 のみの 指 導 であるため、 支 援 体 制 という 点 においては 親 会 社 と 特 例 子 会社 との 関 係 性 は 必 ずしも 強 いとは 言 えない。各 企 業 における 支 援 体 制 を 総 括 すると、 特 例 子 会 社 においては、 詳 細 なアセスメントや 適 正 配 置 、 作業 工 程 の 工 夫 や 育 成 プログラム 等 、 手 厚 い 支 援 体 制 が 築 かれており、これによって 職 場 適 応 が 達 成 されていた。 一 方 、 親 会 社 ・ 関 連 会 社 に“ 派 遣 される”または“ 常 駐 している” 障 害 のある 従 業 員 においても、 特 例 子 会 社 の 手 厚 い 支 援 により 職 場 適 応 が 達 成 されることになるのだが、 企 業 によっては 親 会 社 の従 業 員 の 支 援 を 得 る 場 合 や 指 導 体 制 が 築 かれる 場 合 もあった。ただし、 特 例 子 会 社 内 業 務 に 従 事 する 障害 者 と 同 様 に、 親 会 社 ・ 関 連 会 社 内 業 務 に 従 事 する 場 合 も 特 例 子 会 社 による 支 援 ・ 助 言 が 必 須 であることが 明 らかとなった。-68-


第 3 節発 達 障 害 のある 従 業 員 における 職 場 適 応 上 の 課 題 と 支 援 の 事 例第 2 節 では、 企 業 の 概 要 を 親 会 社 並 びに 親 会 社 の 従 業 員 との 関 係 性 による 違 いに 焦 点 をあてて 整 理 した。 関 係 性 に 着 目 した 背 景 には、 一 般 企 業 における 指 導 体 制 の 可 能 性 と 限 界 を 検 討 するうえで、 親 会 社並 びに 親 会 社 の 従 業 員 の 関 わり 方 を 把 握 することが 重 要 であると 考 えたことがあげられる。しかし、 特例 子 会 社 における 支 援 体 制 やノウハウは、 関 係 性 の 強 弱 にかかわらず 独 立 的 であり、 伝 達 ・ 普 及 していく 可 能 性 は1 社 において 示 されたのみであった。そこで、 第 3 節 では 各 企 業 の 発 達 障 害 者 支 援 の 状 況 について、 取 得 している 障 害 者 手 帳 の 種 別 の 違 い焦 点 をあて、 障 害 特 性 に 即 した 支 援 の 概 要 を 見 ておくことにする。1. 発 達 障 害 のある 従 業 員 の 概 要 と 分 析 の 視 点ヒアリング 調 査 対 象 である 特 例 子 会 社 9 社 では、 自 閉 症 ・アスペルガー 症 候 群 ・ 高 機 能 自 閉 症 ・ 広 汎性 発 達 障 害 ・ 学 習 障 害 ・ 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 ・その 他 の 発 達 障 害 が 単 独 で、もしくは 重 複 して 把 握 された( 表 2-3-1) 。そこで 本 節 では、 ヒアリング 調 査 によって 得 られた 各 企 業 における 発 達 障 害 者 の 個 別 事 例 の 情 報 から、職 場 適 応 上 の 課 題 ( 入 社 後 の 職 場 適 応 上 の 問 題 、 社 会 性 ・コミュニケーション 障 害 による 問 題 )や、これらに 対 する 支 援 の 実 際 ( 支 援 や 介 入 のタイミング、 支 援 期 間 、 支 援 方 法 、 配 慮 事 項 )を 中 心 に 報 告 を行 う。障害者手帳把握している障害名表 2-3-1分 析 対 象 企 業 に 雇 用 されている 発 達 障 害 者 の 概 要企 業発 達 障 害 者 の 人 数A B C D E F G H I2 7 3 4 2 4 5 17 16療 育 手 帳 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○精 神 障 害 者 保 保 健 福 健 祉 福 手 祉 帳 手 帳 ○ ○ ○ ○ ○ ○知 的 障 害 判 定 定自 閉 症○○○○○アスペルガー 症 候 症 群 候 群 ○ ○ ○ ○ ○高 機 能 自 閉 症 症 ○ ○広 汎 性 発 達 障 障 害 害 ○ ○ ○学 習 障 害注 意 欠 陥 多 動 動 性 障 性 害 障 害その 他 の 発 達 達 障 害 障 害○○○○2. 手 帳 種 別 による 職 場 適 応 上 の 課 題 と 支 援 の 特 徴 (その1)…… 療 育 手 帳 所 持 者 ( 知 的 障 害 判 定 を 含 む)における 支 援 の 課 題 と 企 業 での 対 応 ……-69-


表 2-3-2 に 療 育 手 帳 所 持 または 知 的 障 害 判 定 のある 発 達 障 害 者 の 職 場 的 適 応 上 の 課 題 と 対 応 について 概 要 を 示 す。 支 援 の 課 題 は「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」「 人 間 関 係 」「 職 場 のルール 」「その 他 」に 集約 された。「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」に 対 しては、 指 導 スタッフが「 作 業 切 り 替 え 時 の 確 認 」をその 都 度 行 っているほか 、「 作 業 工 程 の 工 夫 」「 特 性 に 応 じた 業 務 の 切 り 出 し」など 作 業 そのものが 本 人 に 適 した 形 となるよう 調 整 が 行 われていた 。「 人 間 関 係 」に 課 題 がある 従 業 員 に 対 しては 、「 異 動 」「 配 置の 工 夫 」など、 問 題 となった 者 同 士 が 職 場 で 顔 を 合 わせないための 配 慮 が 行 われていた 。「 職 場 のルール」 に 課 題 がある 従 業 員 に 対 しては 、「 事 前 の 説 明 」「 ルールの 説 明 」「 職 場 の 行 動 様 式 の 説 明 」など 適 切 な 行 動 についての 具 体 的 な 説 明 がなされているほか、 行 動 が 正 しくなされているかの 確認 が 随 時 行 われていた。また 、「その 他 」の 感 覚 過 敏 や 固 執 の 問 題 については 、「 座 席 の 変 更 」によって 職 場 環 境 を 工 夫 する 場 合 や 、「 明 確 な 言 語 による 指 示 」「 具 体 的 な 説 明 」など、 適 切 な 行 動を 促 すための 指 示 方 法 に 配 慮 がなされていた。以 下 では、 支 援 の 課 題 別 にとりまとめを 行 った。 企 業 は 大 文 字 のアルファベットで、また 事 例は 小 文 字 のアルファベットで 対 応 させて 記 述 している。表 2-3-2 支 援 ・ 対 応 の 概 要 ( 療 育 手 帳 の 事 例 )支 援 ・ 対 応 の 例企 業 事 例 発 達 発 障 達 害 障 名 害 ・ 名 手 帳発 達 障 害 者 の 支 援 課 題企 業 での 対 応作業課遂題行上の人間問関題係の職場のルー ルルその他工 程 変 更 に 対 応 できない 作 業 切 り 替 えの 時 の 確 認 A a1 a1 自 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育作 曖 業 昧 工 な 程 作 が 業 曖 工 昧 程 だと に 対 対 応 応 できない 作 業 工 程 の 工 夫 D d2 d1 自 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育曖 昧 な 表 指 現 示 が に 理 対 解 応 できない 明 確 な 言 語 による 指 示 と 行 動 確 認 H h1 h1 広 自 汎 閉 性 症 発 ・ 達 療 障 育 害計 算 ができない. 国 語 が 苦 手特 性 に 応 じた 業 務 の 切 り 出 しと、g1 学 習 障 害 ・ 療 育作 業 工 程 の 工 夫G g1 学 習 障 害発 達 障 害 者 同 士 、 距 離 がうまくとれない 所 属 変 更 のための 異 動 C c1 c1 自 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育発 達 障 害 者 同 士 、 距 離 がうまくとれない 所 属 変 更 のための 異 動 E e1 e1 知 的 障 自 害 閉 / 症 広 ・ 汎 療 性 育 発 達 障 害発 達 障 害 者 同 士 、 距 離 がうまくとれない 配 置 の 工 夫 G g2 g2 広 汎 広 性 汎 発 性 達 発 障 達 害 障 ・ 害 療 育挨 拶 ができない事 前 の 説 明 と 賞 賛B b1 b1 自 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育情 報 管 理 ができない ルールの 説 明 と 行 動 確 認 B b2 b2 知 的 知 障 的 害 障 / 害 自 / 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育職 場 のマナーを 守 れない 職 場 の 行 動 様 式 の 説 明 と 行 動 確 認 I i1 i1 自 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育職 場 のマナーを 守 れない 職 場 の 行 動 様 式 の 説 明 と 行 動 確 認 I i2 i2 アスペルガー 自 閉 症 ・ 療 症 育 候 群感 覚 過 敏 がある座 席 の 変 更D d1 d2 自 閉 症 ( 母 親 主 訴 )・ ・ 判 判 定 定 )固 執 行 動具 体 的 な 説 明 と 行 動 確 認A a2 a2 自 閉 自 症 閉 ・ 症 療 育-70-


(1) 作 業 遂 行 上 の 課 題ア. 工 程 変 更 に 対 応 できない a1( A 社 )さん: 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】a1さんは 作 業 を 途 中 で 変 更 することに 抵 抗 が 強 い。このため、バックヤードで 洗 い 物 作 業 を 担 当 していると、それを 継 続 することに 固 執 する 場 合 がある。しかし、 業 務 の 繁 閑 ではホールでの 作 業 も 担 当しなくてはならなくなる。【 対 応 と 経 過 】指 導 スタッフは 特 性 を 理 解 して 対 応 することが 重 要 と 考 え、 仕 事 の 切 り 替 えに 気 を 使 うようにしている。 例 えば、どうしても 接 客 に 回 らなければならないとき、 洗 い 物 からホールへの 切 り 替 えが 必 要 なときは、 来 客 の 様 子 に 応 じて 指 導 スタッフがホールに 出 るように 直 接 指 示 を 行 うことが 必 要 となる。a1さんが 自 分 自 身 でタイミングを 見 計 らって 切 り 替 えることは 難 しく、 声 をかけることが 必 要 である。 作 業 変 更 に 拒 否 を 示 すときには 、「 給 料 をもらうためには 指 示 に 従 わなければならない」ことを 理解 してもらうために、 帰 宅 させることもあった。 継 続 を 支 えたのは「 働 きたい」というa1さんの 意 思による。 採 用 後 7 年 が 経 過 しているが、 声 かけがあれば 自 立 的 に 行 動 できるようになっている。イ. 曖 昧 な 作 業 工 程 に 対 応 できない d1(D 社 )さん: 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】d1 さんはダイレクトメールの 封 入 ・ 発 送 作 業 を 担 当 しているが 、 口 頭 指 示 では 作 業 工 程 がつかめず、混 乱 することが 続 いた。【 対 応 と 経 過 】作 業 工 程 を 明 確 化 し、 担 当 工 程 において 自 己 完 結 できるように 配 慮 している。 具 体 的 には、 封 入 作 業について、1サンプルセットを 作 成 する、2 同 じ 組 み 合 わせを 確 実 に 作 る、3 封 入 する、4 数 を 確 認 する、5 複 数 による 枚 数 確 認 、もしくは 重 さ 測 定 による 枚 数 確 認 をする 等 、 作 業 順 序 を 明 確 に 指 示 するによって、 自 信 を 持 って 取 り 組 むことができるようになった。また、 定 型 的 な 業 務 の 把 握 や 進 捗 状 況 はスケジュールボードで 確 認 させている。また、 作 業 量 を 記 入しながら 記 録 を 確 認 させ、 業 務 が 習 熟 している。ウ. 曖 昧 な 指 示 に 対 応 できない h1(H 社 )さん: 広 汎 性 発 達 障 害【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】様 々なスキルと 応 用 力 を 身 につけるために 、 業 務 を 固 定 せずに 複 数 の 業 務 に 対 応 させることにしたが、指 示 が 曖 昧 であったり、 具 体 的 でなかったため、ミスが 発 生 した。【 対 応 と 経 過 】指 示 は 基 本 的 に 言 語 のみによるが、 業 務 がうまく 進 められない 場 合 は、 答 えをはじめから 出 さず、 一緒 に 考 えることとしている。 初 めての 業 務 は、 一 つの 工 程 ごとに 確 認 し、 正 しくできるまでフォローす-71-


る。 不 明 時 は 指 導 従 業 員 に 確 認 するよう 指 導 している。 業 務 の 区 切 りやミスをした 時 には、 必 ず 報 告 か確 認 をさせる 。 一 度 覚 えた 仕 事 は 、 他 の 従 業 員 とノウハウを 共 有 できるよう 図 解 マニュアルを 作 成 させ、研 修 やOJT で 伝 える 機 会 を 作 っている。もし 失 敗 しても、その 原 因 を 一 緒 に 考 えて 本 人 の 理 解 を 促 すこととし、 理 解 が 遅 くても 同 じことを 繰り 返 し 指 導 している。支 援 機 関 とはケース 会 議 を 半 年 に1 回 は 必 ず 行 う。 支 援 機 関 が 家 族 と 会 社 に 連 絡 をしてくれる。 基 本的 には 会 社 の 外 については 関 与 する 範 疇 ではないと 考 えている。 会 社 外 のことについては、 家 庭 にやってもらう。エ. 計 算 と 国 語 が 苦 手 の g1(G 社 )さん: 学 習 障 害【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】「 複 雑 な 計 算 や、 国 語 が 苦 手 」という 支 援 機 関 からの 事 前 情 報 により、 当 初 は 伝 票 整 理 などの 補 助 業務 を 中 心 に 担 当 させていた 。 業 務 になれた 頃 に 少 しずつ 難 易 度 をあげることにしたが、 ミスが 多 かった。【 対 応 と 経 過 】本 来 のマニュアルをg1さんのために 分 かりやすく 編 集 した。 集 計 、 照 合 の 業 務 は 一 度 に 大 量 に 行 わず、 小 分 けにしてチェックを 行 うことでミスの 防 止 をしている。現 在 は 親 会 社2 支 店 の 請 求 書 作 成 ・ 発 送 をこなしている。また、 入 社 時 の 自 己 紹 介 の 際 に 自 身 の 障 害特 性 について 説 明 してもらい、 周 囲 の 従 業 員 に 認 識 させるようにした。 座 席 をチームリーダーの 隣 に 置き、リーダーがそれとなく 本 人 の 様 子 に 気 を 配 っている(リーダーは 親 会 社 の 社 員 である。 特 例 子 会 社の 社 員 が 一 定 の 習 熟 と 休 憩 のとり 方 などについて 指 導 したうえで、 配 置 )。(2) 人 間 関 係 と 作 業 工 程 への 配 慮 の 課 題ア. 安 定 した 業 務 遂 行 のために 人 間 関 係 を 調 整 した c1( C 社 )さん: 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】清 掃 業 務 に 従 事 する 同 僚 が 清 掃 中 に 舌 打 ちのような 音 を 出 すことから、これを 耳 障 りに 感 じたc1さんが 同 僚 のズボンのポケットをカッターで 切 るという 問 題 行 動 を 起 こした。 音 への 対 応 として 耳 栓 を 使用 させたが 精 神 的 不 安 定 は 収 まらず、 不 適 応 が 続 いた。【 対 応 と 経 過 】c1さんがパソコンへの 興 味 とスキルを 持 っていたこと、デジタル 作 業 の 部 署 において 業 務 量 が 増 加していたことなどから 、 試 行 として c1 さんにデジタル 作 業 を 担 当 させた 。 作 業 に 適 応 できたために、c1さんは 清 掃 作 業 からデジタル 部 署 へ 異 動 となった。その 後 、 デジタル 部 署 のリーダーが 作 業 マニュアルをつくり 、 作 業 指 導 は 先 輩 の 従 業 員 が 行 っている。確 認 作 業 というルーチン 化 業 務 の 一 部 を 担 うこととなり、 適 応 している。 担 当 作 業 が 終 わり、 次 の 指 示までに 時 間 があくと 不 安 な 状 況 になることはあるが、 対 人 関 係 で 問 題 行 動 が 起 こることはなく、シュレ-72-


ッダー 作 業 を 担 当 させるなどして 対 応 している。イ. 同 僚 の 言 動 により 不 安 定 になる e1(E 社 )さん: 知 的 障 害 ・ 広 汎 性 発 達 障 害【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】入 社 当 初 は 商 品 包 装 作 業 ( 知 的 障 害 者 で 重 度 の 人 が 多 い 部 署 )を 担 当 していたが、 同 僚 の 障 害 者 に 干渉 されると 感 じ、パニックが 月 に1 回 程 度 発 生 した。 同 僚 とe1さんの 作 業 場 を 離 し、 指 導 を 担 当 した従 業 員 が 生 活 や 職 場 での 不 満 を 聞 くなどして7 年 半 対 応 していたが、 結 果 的 には 異 動 を 検 討 することとなった。【 対 応 と 経 過 】e1さんは 手 先 は 器 用 だが 体 力 がないことから、 園 芸 の 部 署 には 向 かないと 判 断 され、 現 在 の 親 会 社内 のメールサービスへ 異 動 した 。 漢 字 を 読 むことを 苦 手 としていないことも、 この 異 動 の 要 件 であった。しかし、 異 動 後 は 指 導 する 従 業 員 が 固 定 されていないこと、 他 者 とのチームプレイが 要 求 されること、時 間 帯 ごとに 仕 事 の 内 容 が 変 化 すること、また、 職 場 環 境 はオープンスペースのため 周 囲 の 騒 音 や 人 の出 入 りが 気 になること、などから、 不 安 定 になり 欠 勤 が 増 えた。そこで、 e1さんにはジョブコーチによる 専 門 的 ・ 集 中 的 支 援 を 開 始 した。 不 安 定 の 要 因 分 析 などを 通 して、 対 応 を 検 討 し、まず 職 場 にはパニック・イライラがおこった 時 に 落 ち 着 くための 専 用 の 部 屋 を 作 った。また、 本 人 の 状 況 を 日 頃 から 把握 するため 、 朝 一 番 の 面 談 を5 分 間 実 施 した 。 面 談 によって 体 調 を 確 認 し、 その 日 の 仕 事 の 配 分 を 決 め、安 心 感 を 得 られるようなった。これによって、 欠 勤 が 著 しく 減 少 した。ウ. 同 じ 障 害 をもつ 後 輩 の 従 業 員 を 過 剰 に 意 識 する g2 さん(G 社 ): 広 汎 性 発 達 障 害【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】後 輩 の 入 社 時 に 指 導 しなければならないという 意 識 が 強 すぎて、 業 務 マニュアルを 作 成 中 に 自 分 自 身がパニックをおこすことが 続 いた 。 同 じ 障 害 を 持 つ 人 があるということで、 さらに 緊 張 が 増 していった。【 対 応 と 経 過 】後 輩 と 同 じ 業 務 は 避 け、デスクの 配 置 も 引 き 離 すなど 配 慮 した。また、 同 僚 を 意 識 することがないように 業 務 内 容 を 一 人 で 完 結 できるように 変 更 した。また、 自 分 自 身 でチェックを 行 えるよう 指 導 することとした。 簡 単 な 業 務 マニュアルは 会 社 が 作 成 し、 業 者 対 応 などの 業 務 に 慣 れない 頃 は 指 導 スタッフが慣 れるまで1 年 程 は 同 席 をした。パニックが 生 じても 回 りの 者 が 状 況 を 聞 き 取 り 問 題 がないことを 伝 えると 落 ち 着 くことができるようになった。手 があいた 場 合 は、 仕 事 を 持 して 他 の 部 署 などを 回 ったりする 習 慣 があるが、このような 行 動 のきっかけは 同 じ 部 署 のジョブコーチ 的 な 従 業 員 から 指 導 を 受 けた 結 果 である。 現 在 も、 時 々 仕 事 上 のミスやトラブルは 発 生 するものの 、 他 の 従 業 員 がフォローしながらこなしている 。 会 社 側 は、 ミスについては、対 策 を 講 じればよいと 考 えている。-73-


(3) 職 場 のルールア. 挨 拶 がうまくできない b1 さん(B 社 ): 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】挨 拶 や 電 話 など 対 人 でのやり 取 りが 苦 手 で、 会 社 のインターホンが 鳴 っても 自 ら 出 て 対 応 することができなかった。【 対 応 と 経 過 】来 客 予 定 のある 日 に、 直 前 に 社 長 が 従 業 員 に 対 して「 元 気 な 挨 拶 をすればお 客 様 は 喜 ぶでしょうね」と 話 したところ、 来 客 時 にb1 さん 自 ら「いらっしゃいませ」と 言 うことができた。客 が 帰 った 直 後 に 社 長 がb1さんの 挨 拶 をほめたところ、 本 人 は「 社 長 がほめてくれた」と 周 囲 に 伝えるほど 嬉 しい 様 子 を 見 せた。その 後 、 b1さんに 少 しずつ 変 化 が 生 じ、 自 ら 挨 拶 をすることができるようになってきた。 現 在 は、お 茶 出 し 等 も 行 うことができ 積 極 性 が 増 している。イ. 会 社 の 情 報 管 理 やルールの 理 解 に 指 導 が 必 要 になった b2 さん(B 社 ): 知 的 障 害 ・ 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】会 社 を 休 んではいけないという 意 識 が 強 く、 体 調 が 悪 くても 無 理 して 出 社 してしまう 場 合 がある。また、 社 内 で 知 り 得 た 情 報 を 社 外 で 思 わず 口 に 出 してしまうなど、 就 業 規 則 や 会 社 の 情 報 管 理 について 理解 できないことがある。【 対 応 と 経 過 】新 入 従 業 員 研 修 では 休 暇 の 取 り 方 を 説 明 し、 適 切 な 休 暇 のとり 方 を 理 解 させた。また、 会 社 の 情 報 管理 についてはコンプライアンス 研 修 で「 会 社 での 出 来 事 を 電 車 やバスの 中 で 話 してはいけない」 等 の 具体 的 事 例 を 挙 げながら、 本 人 が 理 解 できるように 噛 み 砕 いた 言 葉 で 説 明 するようにした。 失 敗 したりトラブルがあった 時 にはその 都 度 注 意 していた 。 実 事 例 を 基 にした○× 形 式 の “ 職 場 のルール” を 作 成 し、勉 強 会 をするとともに、テストを 年 2 回 実 施 することで、 適 切 な 行 動 の 確 認 と 理 解 を 促 している。 感 情的 に“ 怒 る”ことは 避 けるようにしている。ウ. 業 務 中 に 適 切 な 行 動 がとれず、 職 場 のマナーが 守 れない i1 さん(I 社 ): 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】エレベーターの 乗 降 が 苦 手 である。 鏡 張 りの 扉 の 正 面 に 立 ち、 親 会 社 の 従 業 員 を 驚 かせてしまう、 独り 言 を 言 う、 他 の 従 業 員 の 背 後 に 立 つなど、エレベーター 内 での 問 題 行 動 が 目 立 った。メールの 回 収 中 に 図 書 館 に 立 ち 寄 り、 新 聞 に 夢 中 になると 何 度 注 意 しても 聞 かないことがあった。また、 作 業 中 に 態 度 が 乱 暴 になることもあった。【 対 応 と 経 過 】エレベーターでの 問 題 行 動 を 改 善 するため 1 ヶ 月 ほど 指 導 担 当 の 従 業 員 が 個 別 指 導 を 行 った。 その 間 、i1 さんの 不 審 な 行 動 の 原 因 について 理 解 を 得 るため、 彼 の 性 格 や 特 性 を 親 会 社 従 業 員 に 伝 えた。-74-


図 書 館 での 問 題 行 動 の 際 は、メールの 回 収 を 1 週 間 禁 じることにした。 本 人 は 自 身 の 仕 事 がなくなることが 辛 く、 毎 日 「いつからできるか」と 問 い 合 わせてくるようになったため、 通 常 の 業 務 に 戻 すと 立ち 読 みは 止 み、それ 以 降 は 我 慢 ができるようになった。作 業 中 の 乱 暴 な 態 度 に 対 しては 、「 仕 事 はお 金 をもらってやっている、 そのような 態 度 ではいけない」と 説 明 をした。トラブルがある 度 に 寮 の 指 導 員 と 調 整 をしながら、 必 要 に 応 じて 注 意 することを 繰 り 返している。エ. 業 務 中 に 適 切 な 行 動 がとれず、 職 場 のマナーが 守 れない i2 さん(I 社 ):アスペルガー 症 候 群【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】社 内 で400 通 程 のメール 便 の 誤 配 が 出 た。 原 因 は、 他 の 従 業 員 が 社 内 で 褒 められていることが 羨 ましく、 自 分 自 身 も 褒 めて 欲 しいため、いい 加 減 に 速 くメールを 仕 分 けたことによっていた。また、 他 の 従業 員 に 意 図 的 に 誤 配 をしていたこともあった。 業 務 中 の 私 語 で 業 務 に 集 中 できないこともあった。【 対 応 と 経 過 】職 業 センターと 指 導 担 当 の 従 業 員 、 親 との3 者 でミーティングを 開 き、 行 動 が 改 善 されない 場 合 には雇 用 は 継 続 できないことを 伝 えた。 親 の 理 解 と 協 力 を 得 て、 職 業 センターにおいてを 実 施 してもらった。 本 人 は 反 省 し、 現 在 は 仕 事 ができている。1 週 間 の 訓 練 と 指 導また、 仕 事 に 集 中 していない 時 には、 必 要 以 上 に 話 すことはせず「 一 言 で 良 い」と 注 意 している。 職業 センターのカウンセラーからの 協 力 を 得 て 、「 迷 惑 だと 思 った」 人 がサインを 出 すことを 決 め、サインを 見 ると 適 切 な 行 動 が 取 れるように 努 めている。(4)その 他 ( 感 覚 過 敏 ・ 固 執 )ア. 業 務 に 集 中 できない d2 さん(D 社 ): 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】経 理 チームでの 照 合 作 業 の 際 、「 背 後 に 人 が 座 っている」 気 配 が 気 になると 集 中 できない 状 況 が 発 生した。【 対 応 と 経 過 】作 業 が 一 人 で 完 結 できるよう、 作 業 工 程 を 組 み 替 える 対 応 を 行 った。また、ロッカーの 横 へ 席 を 移 動した。 席 を 変 更 しても 人 が 歩 くのが 気 になったため、 安 心 して 確 実 に 作 業 ができる 座 席 の 確 保 が 必 要 となった。そこで 改 めて、 別 の 場 所 へ 席 を 移 動 し、 照 合 担 当 者 だけのミーティング 実 施 などの 配 慮 が 行 われたことで、 本 人 は 安 心 感 を 得 た。また、 実 務 責 任 者 がダブルチェックを 行 い、 間 違 い 箇 所 を 話 し 合 うことでミスの 減 少 につながっている。 現 在 、ファイリングの 日 をスケジュールで 決 めており、 自 律 的 に行 動 することができている。また、 問 い 合 わせに 対 して 伝 票 を 確 認 し、 対 応 することができるようになっている。-75-


イ. 業 務 中 に 固 執 行 動 が 生 じる a2 さん(A 社 ): 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】手 を 洗 った 後 に 拭 くことに 執 着 し、 設 置 されているペーパータオルを 一 袋 全 て 使 い 切 ってしまうという 行 動 が 続 いた。ゴミ 箱 にはペーパータオルが 山 積 みになって 捨 てられているという 状 況 から 問 題 が 明らかとなった。【 対 応 と 経 過 】同 じ 行 動 は 家 庭 でもおこっていた 。“ 給 料 ”の 話 に 加 えて、「ペーパータオルを 大 量 に 使 うということは、お 金 を 捨 てていることと 同 じである」と 説 明 し、 指 導 を 続 けた。すぐに 行 動 が 修 正 されず、 同 じ 問題 を 起 こす 度 に 注 意 と 説 明 を 要 しており、 現 在 も 引 き 続 き 指 導 を 行 っている。3. 手 帳 種 別 による 職 場 適 応 上 の 課 題 と 支 援 の 特 徴 (その2)…… 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 における 支 援 の 課 題 と 企 業 での 対 応 ……表 2-3-3 に 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 を 所 持 する 発 達 障 害 者 の 職 場 的 適 応 上 の 課 題 と 対 応 について概 要 を 示 す。 支 援 の 課 題 は「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」「 精 神 不 安 定 の 問 題 」に 集 約 された。「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」に 対 しては 、「 本 人 の 障 害 特 性 に 即 した 支 援 ・ 指 導 を 企 業 に 促 す 」「 具 体的 な 作 業 指 示 」など、 発 達 障 害 の 特 性 を 理 解 した 上 での 指 導 が 行 われていた。「 精 神 的 不 安 定 の 問 題 」に 対 しては 、「カウンセリング」「 説 明 」など、メンタルヘルス 不 全 を防 止 するための 取 り 組 みが 見 られた。表 2-3-3 支 援 ・ 対 応 の 概 要 ( 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 の 事 例 )作の 業課 遂題 行上不精問 安神題 定的の支 援 支 ・ 援 対 ・ 応 対 の 応 例 の 例企 業 事 例 発 達 障 害 名 ・ 手 帳発 達 障 害 者 の 支 援 課 題企 業 での 対 応企 業 事 例 発 達 障 害 名発 達 障 害 者 の 支 援 課 題企 業 での 対 応作本 人 の 障 害 特 性 に 即 した 支 援 ・ 指 導 との 業 一 般 の 研 修 や 配 置 では 作 業 困 難配 置 の 考 え 方 を 企 業 に 促 す C c2 高 機 能 自 閉 症 ・ 精 神課 遂本 人 の 障 害 特 性 に 即 した 支 援 ・ 指 導 と題 一 行 般 の 研 修 や 配 置 では 作 業 困 難情 報 の 取 りまとめができない 具 体 的 な 作 業 指 示 E C e2 c2高 機 能 自 閉 症アスペルガー 症 候 群 ・ 精 神上配 置 の 考 え 方 を 企 業 に 促 す不問 安神題 定的の情 精 報 の 取 りまとめができない精 神 不 安 定 になる 具 体 カウンセリング 的 な 作 業 指 示F f1 アスペルガー 症 候 群 ・ 精 神E e2 アスペルガー 症 候 群精 神 不 安 定 になる 説 明 とカウンセリング F f2 発 達 障 害 ( 詳 細 不 明 )・ 精 神精 神 不 安 定 になるカウンセリングF f1 アスペルガー 症 候 群精 神 不 安 定 になる説 明 とカウンセリングF f2発 達 障 害 ( 詳 細 不 明 )(1) 作 業 遂 行 上 の 問 題ア. 一 般 の 研 修 や 配 置 に 適 応 できない c2 さん(C 社 / 関 連 会 社 勤 務 ): 高 機 能 自 閉 症【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】本 人 も 会 社 も 障 害 の 存 在 を 知 らないまま 一 般 枠 でC 社 の 関 連 会 社 に 入 社 したが 、「 指 示 に 対 応 できな-76-


い 」「やらない」などの 問 題 が 出 現 した。 当 初 、 会 社 は c2 さんを 障 害 のない 従 業 員 として 理 解 し、 一 般従 業 員 におけるステップアップのための 指 導 や 研 修 が 行 っていたが、うまくいかない 状 況 が 続 いた。 会社 も 本 人 もなぜうまくいかないのか、 理 解 できなかった。【 対 応 と 経 過 】就 職 後 の 不 適 応 により 高 機 能 自 閉 症 の 診 断 があり、 会 社 に 開 示 された 段 階 で、 関 連 会 社 側 から 特 例 子会 社 のC 社 への 相 談 が 行 われた。C 社 では「 一 般 扱 いのステップアップを 前 提 とするのではなく、60の 定 年 まで 今 と 同 じ 仕 事 をしていてもかまわないと 考 えること、ただし、 本 人 がどこかで 必 ずステップアップしたいと 思 うはずで、 その 時 にステップアップの 機 会 を 与 えられるようなしくみを 考 えてほしい」と、 本 人 の 状 況 に 即 した 指 導 ・ 支 援 の 重 要 性 と 雇 用 管 理 の 考 え 方 をアドバイスした。 発 達 障 害 を 会 社 側に 開 示 した 後 、 本 人 からの 申 し 出 により、 親 会 社 内 で 同 僚 への 周 知 に 至 った。イ. 情 報 の 取 りまとめが 苦 手 な e2 さん(E 社 ): 統 合 失 調 症 ・アスペルガー 症 候 群 の 傾 向【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】ビジネスマナーが 獲 得 されておらず、 身 だしなみの 整 え 方 も 適 切 ではなかった。また 、「 空 気 を 読 めない」などりより、 情 報 を 取 りまとめて 報 告 することが 苦 手 であった。【 対 応 と 経 過 】行 動 様 式 の 修 正 は 難 しいと 判 断 し、 e2さんをおもしろいキャラクターの 人 として 社 内 で 認 識 してもらうようにしたところ、 周 囲 が「 馬 鹿 にする」ことはなくなっていった。また、 自 己 理 解 を 促 すため、変 わったことが 起 きる 度 に「このような 特 性 はアスペルガー 的 」と 指 摘 している。まとめて 報 告 することは 難 しいが、 特 定 の 内 容 の 検 索 やリストアップといった 補 助 的 作 業 は 得 意 であるため、 得 意 な 作 業 を 切 り 出 すことで、 場 面 を 限 定 することにより 情 報 検 索 業 務 を 担 当 している。(2) 精 神 的 不 安 定 の 問 題ア.コミュニケーションがうまくいかず 精 神 不 安 定 になる【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】f1 さん(F 社 ):アスペルガー 症 候 群親 会 社 のサーバーの 管 理 をしながら、 電 話 による 伝 言 を 聴 覚 障 害 のある 従 業 員 に 筆 談 で 伝 えるなど、連 絡 係 として 同 部 署 の 聴 覚 障 害 の 従 業 員 への 役 割 分 担 を 行 っている。しかし、 仕 事 においてコミュニケーションが 取 りづらく、お 互 いの 意 思 疎 通 ができない 時 などはイライラして 不 安 定 になることがある。【 対 応 と 経 過 】精 神 的 不 安 定 に 対 しては、カウンセリングによって 対 応 している。 聴 覚 障 害 者 にとって、 連 絡 を 担 う存 在 の 重 要 性 は 認 識 しておりピアサポートがカウンセリングによって 安 定 すると 相 互 の 役 割 が 円 滑 に 機能 するようになる。 世 話 好 きな 一 面 もあることから 高 い 能 力 を 発 揮 している。-77-


イ. 資 格 取 得 への 強 迫 観 念 により 精 神 不 安 定 になる f2 さん(F 社 ): 発 達 障 害 詳 細 不 明【 支 援 が 必 要 になった 課 題 】生 命 保 険 、 損 害 保 険 の 代 理 店 業 務 に 従 事 しており、 PCに 関 する 上 位 の 資 格 にチャレンジしたいと 希望 している。このため、 高 額 な 教 材 を 買 ってしまったり、 多 忙 であるにも 関 わらずパソコンスクールに申 し 込 むなど「 資 格 を 取 らねばならない」という 強 迫 観 念 で 自 分 を 追 い 込 んでしまう。【 対 応 と 経 過 】以 前 、リストラされた 経 験 があることから、 資 格 があればリストラされなかったという 思 い 込 みが 強い。 精 神 的 に 不 安 定 となる 原 因 である 可 能 性 については、カウンセラーが 資 格 にこだわらなくてもよいと 伝 え、 現 在 の 業 務 を 評 価 することで 安 定 を 図 った。4. 発 達 障 害 者 における 職 場 適 応 上 の 支 援 課 題 と 対 応 のまとめ発 達 障 害 者 支 援 の 現 状 について、 取 得 している 障 害 者 手 帳 の 種 類 別 に、 障 害 特 性 に 即 した 支 援の 実 際 をみてきた。 最 後 に、 支 援 課 題 が 生 じた 背 景 と 有 効 な 対 応 について 検 討 しながら 全 体 を 総括 する。(1) 療 育 手 帳 所 持 者 の 支 援 課 題 における 有 効 な 対 応療 育 手 帳 を 所 持 する 発 達 障 害 者 の 支 援 課 題 は 、「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」「 人 間 関 係 の 問 題 」「 職 場 のルール 」「その 他 」に 集 約 された。「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」においては、 作 業 工 程 に 突 然 の 変 更 が 生 じる、 工 程 ・ 手 順 が 曖 昧 、といった 場 合 に、 作 業 を 適 切 に 行 えない、ミスが 発 生 するといった 現 状 がみられた。 自 閉 症 の 障 害 特性 として、 突 然 の 変 化 や 不 明 瞭 な 状 況 への 対 応 の 困 難 さが、この 課 題 の 背 景 にあるといえる。 企業 では、 声 かけによって 作 業 の 変 更 を 伝 える、 作 業 工 程 を 工 夫 する、 明 確 な 言 語 で 指 示 する、といったように、 障 害 特 性 によって 生 じる 困 難 に 対 して 効 果 的 な 対 応 が 行 われていた。また、 学 習障 害 の 特 性 により 事 務 作 業 にミスが 生 じる 場 合 の 対 応 として、 処 理 が 可 能 な 業 務 量 の 設 定 と 休 憩を 入 れることで 、 作 業 時 間 を 適 切 に 調 整 することが 行 われていた。 このような 作 業 工 程 の 工 夫 は、数 字 や 漢 字 の 処 理 における 負 荷 を 軽 減 させる 点 で 効 果 があったといえる。「 人 間 関 係 」においては、 同 僚 や 後 輩 との 関 係 が 中 心 課 題 となっていた。 例 えば、 同 僚 の 動 作 が 気 になりパニックが 生 じて 攻 撃 的 な 行 動 に 出 てしまう、 同 僚 から 頻 繁 に 干 渉 されパニックが 生 じ 不 安 定 になる、 後 輩 ( 発 達 障 害 )に 対 する 過 度 な 意 識 と 責 任 感 から 自 らパニックになってしまう 等 である。これらの 背 景 には、 音 への 過 敏 性 、 作 業 の 中 断 への 強 いストレス、 考 え 方 の 固 執 といった 自 閉 症 の 障 害 特 性 がある。 加 えて、このような 状 況 に 適 切 な 言 葉 で 応 対 できない、 適 切 な 態 度 や 距 離 感 が 取 れないことも、不 適 応 を 起 こす 要 因 と 考 えられる。しかし、 言 葉 や 態 度 、 距 離 のとり 方 を 本 人 の 課 題 として 指 導 するよ-78-


りも、パニックの 原 因 となるものを 除 くことが 優 先 され、 異 動 などの 対 応 がとられていた。ただし、 異動 した 後 、 新 たな 業 務 に 適 応 させるためには、 いずれの 企 業 においても 『 指 導 従 業 員 による 相 談 、 指 導 』『マニュアルの 作 成 』などの 個 別 の 支 援 が 欠 かせなかった。「 職 場 のルール」においては、 挨 拶 がうまくできない、エレベーターで 不 審 な 行 動 をとってしまう、会 社 の 情 報 を 社 外 で 話 題 にしてしまう、といったように、 会 社 での 適 切 な 行 動 がわからない、 身 についていないといった 状 況 で 問 題 行 動 が 発 生 していた。この 場 合 には、タイミングを 見 ての 説 明 、 指 導 従 業員 が 付 いた 上 での 直 接 指 導 、ルールの 明 確 な 提 示 と 説 明 によって、 適 切 な 行 動 の 習 得 が 図 られていた。一 方 、メールを 仕 分 けることに 問 題 のあった 例 については、 厳 重 な 注 意 と、 反 省 が 見 られない 場 合 の 雇用 継 続 の 困 難 が 伝 えられるとともに、 家 族 や 支 援 機 関 との 連 携 による 特 別 な 指 導 によって 反 省 が 促 されていた。 問 題 行 動 の 背 景 に 本 人 に 不 適 切 な 考 え 方 がある 場 合 には、そうでない 場 合 に 比 して 厳 しい 対 処がとられていた。「その 他 」では、 周 囲 の 騒 音 が 気 になるといった 感 覚 過 敏 があること、ペーパータオルで 手 を 拭 くことにこだわるといった 固 執 行 動 など、 障 害 特 性 が 直 接 的 に 業 務 遂 行 を 阻 害 するといった 状 況 があった。前 者 については 、 座 席 を 変 更 し 職 場 環 境 を 調 整 することで 対 応 が 図 られていた 。 一 方 、 固 執 行 動 は、“ 給 料 ”の 話 に 例 えた 具 体 的 な 説 明 により 従 業 員 への 指 導 が 続 けられていた。いずれにしても、 障 害 特性 を 理 解 した 上 での 対 応 がとられていた。(2) 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 所 持 者 の 支 援 の 課 題 と 有 効 な 対 応「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」に 着 目 すると、 一 般 の 枠 組 みによる 研 修 や 配 置 のもとでは 職 場 に 適 応 することができないといった 例 や、 様 々な 情 報 を 取 りまとめることが 難 しいといった 例 があげられた。前 者 の 事 例 は、 本 人 も 企 業 も 障 害 の 存 在 を 知 らなかったため、 障 害 特 性 に 応 じた 配 慮 が 全 く 用 意 されない 状 態 で 不 適 応 が 起 こった 事 例 である。 企 業 から 特 例 子 会 社 に 相 談 があったことを 契 機 として、 配 置や 指 導 方 法 について 助 言 がなされるに 至 っている。 障 害 のある 従 業 員 が 担 当 可 能 な 業 務 に 配 置 され、 特例 子 会 社 の 助 言 と 指 導 等 の 配 慮 を 得 ることで、 職 場 適 応 が 図 られていた。後 者 の 例 については、 本 人 の 適 性 を 判 断 し、 遂 行 可 能 な 業 務 を 適 宜 与 えること、 具 体 的 な 作 業 指 示 を行 うこと 等 の 対 応 がなされた。一 般 企 業 と 特 例 子 会 社 のいずれにおいても、 作 業 遂 行 上 の 課 題 に 対 しては、 指 導 従 業 員 による 指 導 、配 置 や 業 務 内 容 ・ 作 業 工 程 への 配 慮 が 必 須 となることが 示 された。この 点 に 関 しては、 療 育 手 帳 所 持 者における 作 業 遂 行 上 の 課 題 への 対 応 と 共 通 している。「 精 神 的 不 安 定 の 問 題 」においては、コミュニケーションがうまくいかないことによって 精 神 不 安 定が 喚 起 されるといったことや、 過 去 にリストラされた 経 験 から 資 格 取 得 に 強 迫 的 になってしまうといった、2 次 障 害 としてのメンタルヘルス 不 全 の 課 題 があげられていた。いずれの 例 においても、カウンセリングによって 精 神 的 不 安 定 への 対 応 がなされていた。また、カウンセリング 体 制 が 整 備 されていることによって 問 題 が 深 刻 化 する 前 に、 相 談 するという 行 動 様 式 を 作 っていた。-79-


第 4 節まとめ1.ヒアリング 対 象 企 業 の 採 用 から 配 置 、 支 援 体 制 について(1) 従 業 員 の 概 要発 達 障 害 のある 従 業 員 数 は 10 人 未 満 が A・B・C・D・E・F・G の 7 社 、 10 名 以 上 が H・I の 2 社 であった。障 害 者 手 帳 別 にみると、 療 育 手 帳 所 持 者 のみを 雇 用 するのは B・C・D の 3 社 、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手帳 所 持 者 のみを 雇 用 するのは F 社 、 療 育 手 帳 もしくは 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 所 持 者 を 雇 用 するのは A・E・G・H の 4社 (うち H社 は 知 的 障 害 判 定 を 含 む)であった。(2) 採 用 経 路 と 採 用 基 準採 用 経 路 はハローワークを 通 した 募 集 ・ 面 接 であった。採 用 基 準 において 、「 身 辺 自 立 」「 通 勤 ができる」などの 基 本 的 生 活 習 慣 を 重 視 したのは A・B・H の 3社 、「 挨 拶 ができる 」「 意 欲 がある 」「 向 上 心 がある」といった 労 働 意 欲 を 重 視 したのは A・D・F・G・Hの5社 、「 チームワーク 」「 既 に 雇 用 している 障 害 者 の 対 人 スキル 」 等 の 協 調 性 を 重 視 したのは E・G・H・Iの4社 、「 障 害 受 容 」「 差 別 意 識 がない」 等 の 障 害 に 対 する 理 解 を 重 視 したのは、 D・Iの2社 であった。(3) 実 習 並 びに 研 修 の 期 間 と 内 容採 用 前 の 実 習 は、ほとんどの 企 業 が 実 習 やトライアル 雇 用 を 実 施 していた。その 他 、 G 社 はステップアップ 雇 用 、 I社 は 委 託 訓 練 、 C社 は 社 会 適 応 訓 練 などを 実 施 していた。採 用 後 の 研 修 として 、 A 社 を 除 く 8社 が 初 任 者 研 修 を 実 施 していた 。 研 修 内 容 を 期 間 別 にみると 2~3日 から 1 週 間 程 度 の 場 合 は「 就 業 規 則 」「ビジネスマナー」「 会 社 概 要 」「 社 内 ルール」の 研 修 、 1 ヶ 月~ 3 ヶ 月 の 場 合 は 配 属 先 業 務 の 習 得 が 主 であった。トライアル 雇 用 期 間 を 初 任 者 研 修 と 位 置 づける 企 業もあった。OJT については 、「 現 場 に 入 って 日 々 OJT」 「 必 要 な 期 間 OJT を 実 施 」「 先 輩 からマンツーマン 指 導 」など、ほとんどの 企 業 で 時 間 をかけた 個 別 指 導 が 行 われていた。 研 修 後 の 配 置 で 留 意 していることとして、 A 社 「できることから 担 当 させる 」、 C 社 「 適 材 適 所 」、 E 社 「 人 間 関 係 を 考 慮 したチーム 編 成 」、H社 「 業 務 スキルに 合 わせた 配 置 」 等 、 個 人 の 状 況 ・ 特 性 に 対 する 配 慮 が 目 立 った。指 導 員 の 研 修 では、 特 に 実 施 していない 企 業 が A・H の 2 社 であり、 H 社 は「ともに 行 動 して 覚 えて感 じることが 重 要 」と、 指 導 者 の 経 験 の 重 要 性 を 上 げた。 一 方 、 B・C・D・E・F・G・I の 7 社 は 社 内 研 修 の実 施 や 外 部 講 習 の 受 講 を 推 奨 するなどしていた。 具 体 的 には、 職 場 適 応 援 助 者 養 成 研 修 、 障 害 者 職 業 生活 相 談 員 資 格 認 定 講 習 ・サービス 介 助 士 2 級 資 格 認 定 講 習 の 受 講 である。また、 C 社 では 手 話 通 訳 士 の育 成 も 行 われていた。 社 内 研 修 を 充 実 させているニング、 社 内 セミナー 等 を 実 施 していた。D社 では、 社 員 ミーティング、アサーショントレー-80-


2. 一 般 企 業 で 発 達 障 害 者 が 適 応 ・ 定 着 する 要 件 について第 1 節 では、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 並 びに 親 会 社 の 従 業 員 の 関 わり 方 の 把 握 と 特 例 子 会 社 の 役 割 や 現 状に 基 く 分 析 を 行 った。また、 第 2 節 では 各 社 の 発 達 障 害 者 支 援 の 状 況 について、 取 得 している 障 害 者 手帳 の 種 別 の 違 いに 焦 点 をあてて、 障 害 特 性 に 即 した 支 援 の 概 要 を 示 した。これらの 結 果 をもとに、 特 例子 会 社 における 支 援 体 制 やノウハウが 親 会 社 に 伝 達 ・ 普 及 される 可 能 性 や 限 界 、 並 びに 一 般 企 業 における 支 援 や 指 導 体 制 の 可 能 性 と 限 界 について 検 討 することとする。まず、 特 例 子 会 社 と 親 会 社 の 関 係 性 による3つのグループ( 「 特 例 子 会 社 の 独 立 性 が 強 い 企 業 」「 特 例子 会 社 と 親 会 社 の2 種 類 の 職 場 がある 企 業 」「 親 会 社 との 関 係 性 が 強 い 企 業 」)に 分 け、 支 援 体 制 を 比 較し、それぞれの 特 徴 を 示 した。 特 例 子 会 社 においては、 詳 細 なアセスメントや 適 正 配 置 、 作 業 工 程 の 工夫 や 育 成 プログラム 等 、 各 企 業 独 自 の 支 援 体 制 が 築 かれており、これによって 障 害 特 性 に 応 じた 支 援 が可 能 となっていた。また、 親 会 社 ・ 関 連 会 社 に 派 遣 される、または 常 駐 している 障 害 のある 従 業 員 においても、 特 例 子 会 社 の 手 厚 い 支 援 により 職 場 適 応 が 達 成 されており、 企 業 によっては 親 会 社 の 従 業 員 の支 援 を 得 る 場 合 や 指 導 体 制 が 築 かれる 場 合 もあった。ただし、いずれの 企 業 においても 主 たる 支 援 の 担い 手 は 特 例 子 会 社 であり、 指 導 困 難 事 例 が 発 生 した 場 合 、 親 会 社 単 独 では 雇 用 継 続 が 困 難 となる 可 能 性が 高 いことが 示 された。この 現 状 からは、 一 般 企 業 で 発 達 障 害 者 を 雇 用 するための 要 件 として、 障 害 者の 支 援 ノウハウを 持 つ 特 例 子 会 社 等 からの 支 援 が 必 須 であること、 加 えて 支 援 体 制 を 社 内 に 整 備 することの 重 要 性 が 示 唆 された。次 に、 特 例 子 会 社 における 支 援 ノウハウが、どのように 親 会 社 に 伝 達 ・ 普 及 されていたかという 点 を整 理 し、 一 般 企 業 における 発 達 障 害 者 の 適 応 ・ 定 着 の 要 件 を 検 討 する。ここでは、 各 企 業 における 発 達障 害 者 への 支 援 課 題 と 対 応 がヒントとなる。療 育 手 帳 所 持 者 においては「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」「 人 間 関 係 の 問 題 」「 職 場 のルール 」「その 他 」といった 支 援 課 題 が、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 所 持 者 においては「 作 業 遂 行 上 の 課 題 」「 精 神 的 不 安 定 の 問題 」といったような 支 援 課 題 がみられた。これらの 支 援 課 題 は、いずれも 障 害 特 性 から 生 じる 課 題 であるが、 特 例 子 会 社 に 限 らず 親 会 社 に 在 籍 する 発 達 障 害 者 においても 確 認 された。このことは、 一 般 企 業に 在 籍 する 発 達 障 害 者 にも 同 様 の 課 題 が 発 生 する 可 能 性 を 示 している。発 達 障 害 者 の 支 援 課 題 に 対 する 特 例 子 会 社 の 対 応 には 共 通 点 が 見 られた。それは、 発 達 障 害 者 を「できる 仕 事 」へ 配 置 すること、 個 別 ・ 具 体 的 に 配 慮 を 行 う 指 導 担 当 の 従 業 員 を 配 置 すること、 企 業 で 長 年培 ってきた 知 的 障 害 者 や 精 神 障 害 者 に 対 する 支 援 ノウハウを 活 用 すること、である。 親 会 社 に 在 籍 する発 達 障 害 者 への 支 援 に 際 しても 、 特 例 子 会 社 の 同 様 の 対 応 によって 、 支 援 体 制 が 構 築 されていた。 また、親 会 社 従 業 員 が 発 達 障 害 者 の 指 導 を 一 部 担 当 する 場 合 には、 具 体 的 な 支 援 ノウハウが 特 例 子 会 社 から 伝えられていた。このような 特 例 子 会 社 や 親 会 社 においてみられた 支 援 体 制 は、 一 般 企 業 における 発 達 障 害 者 の 支 援 に-81-


も 同 様 に 必 要 となるだろう。しかし、 多 くの 一 般 企 業 では、 特 例 子 会 社 の 設 置 はなく、 障 害 者 雇 用 の 経験 のない 企 業 では 就 労 支 援 ノウハウも 乏 しい。 専 任 の 指 導 従 業 員 の 配 置 も 同 様 に 難 しい 課 題 である。すなわち、 一 般 企 業 のみの 資 源 で 特 例 子 会 社 ・ 親 会 社 と 同 等 の 支 援 体 制 を 持 つことは 困 難 である 可 能 性 もある。 これらのことから 、 一 般 企 業 で 発 達 障 害 者 が 適 応 ・ 定 着 するための 要 件 は 、「 支 援 体 制 の 構 築 」「 支援 ノウハウをどのように 得 るか」といった 基 本 的 な 課 題 をどうクリアするか、であるといえる。では、これら 課 題 の 達 成 は 期 待 できるだろうか 。「 支 援 ノウハウをどのように 得 るか」ということについては、 支 援 機 関 、 指 導 経 験 の 豊 富 な 特 例 子 会 社 、 障 害 者 雇 用 の 経 験 がある 一 般 企 業 等 から 情 報 を 得ることが 期 待 されるだろう。 支 援 ノウハウの 適 用 の 具 体 的 な 適 用 可 能 性 としては、 特 例 子 会 社 において蓄 積 されてきた「できる 仕 事 」の 切 り 出 し 方 や 配 置 の 方 法 、 配 置 後 の 障 害 特 性 に 応 じた 個 別 ・ 具 体 的 配慮 の 方 法 がある。ただし、これらの 配 慮 の 前 提 には 障 害 特 性 や 適 性 についての 情 報 が 必 要 となり、その情 報 を 企 業 が 得 るためには、 指 導 的 立 場 の 従 業 員 の 配 置 があることでノウハウの 伝 達 ・ 普 及 が 可 能 となるが、 そもそも 指 導 する 従 業 員 を 配 置 することに 限 界 があれば 、 伝 達 それ 自 体 が 困 難 となる。 このため、「 支 援 ノウハウ」を 実 際 に 活 用 するためには、 同 時 に「 支 援 体 制 を 構 築 」することもまた 必 須 要 件 となる。本 章 の 結 論 として、 一 般 企 業 で 指 導 が 困 難 な 発 達 障 害 者 が 適 応 ・ 定 着 するための 要 件 をまとめると、1 企 業 において 発 達 障 害 者 が「できる 仕 事 」に 配 置 され、 担 当 業 務 や 作 業 工 程 が 本 人 の 特 性 を 考 慮 したものとなっていること、2 発 達 障 害 者 に 対 する 個 別 ・ 具 体 的 な 支 援 が 専 任 の 従 業 員 によって 行 われること、3 支 援 機 関 や 特 例 子 会 社 等 から 支 援 と 助 言 を 得 ること、の3 点 に 集 約 される。だが、 一 般 企業 単 独 でこれらの 対 応 に 至 るまでの 体 制 を 整 備 するための 課 題 は 多 い。 一 般 企 業 がいかにして、 発 達 障害 者 の 雇 用 を 可 能 とするための 支 援 体 制 を 整 備 していくかという 点 については、 今 後 の 検 討 課 題 としたい。-82-


第 2 部企 業 の 就 労 ・ 定 着 支 援 における発 達 障 害 者 支 援 の 課 題


第 1 章企 業 における 新 入 社 員 の職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査第 1 節調 査 の 概 要1. 調 査 票 設 計 の 考 え 方(1) 一 般 扱 いの 雇 用 における 現 状 把 握 の 対 象発 達 障 害 については、 障 害 者 手 帳 を 取 得 した 場 合 は 法 定 雇 用 率 制 度 や 職 業 リハビリテーションの 対 象として、 取 得 しない(あるいはできない) 場 合 は 法 定 雇 用 率 制 度 の 対 象 ではないが 職 業 リハビリテーションの 対 象 として、それぞれ 入 職 並 びに 職 場 適 応 の 支 援 が 展 開 されてきた。しかし、 発 達 障 害 の 特 性 から、 企 業 内 で 用 意 されている 一 般 研 修 やOJTだけでは 円 滑 な 適 応 ・ 定 着に 至 らない 事 例 への 対 応 が 求 められている( 例 えば、 障 害 者 職 業 総 合 センター, 2009; 大 杉 , 2009; 米田 , 2009) 。 職 場 における 支 援 の 基 本 的 な 考 え 方 や 指 導 等 、 職 場 適 応 のための 支 援 に 焦 点 をあて、 指 導課 題 を 明 確 にすることは 喫 緊 の 課 題 である。 一 方 で、 企 業 に 雇 用 されている 発 達 障 害 者 の 全 体 像 を 開 示・ 非 開 示 を 含 めて 把 握 することは 極 めて 困 難 な 状 況 にあり、 発 達 障 害 を 開 示 した 事 例 に 基 づく 検 討 が 中心 となっている。このため、 発 達 障 害 者 の 雇 用 管 理 や 支 援 における 問 題 を 明 確 にするうえで、 企 業 を 対象 とした 実 態 調 査 を 実 施 することは 現 実 的 ではない。そこで、 第 1 部 では、 多 様 な 障 害 者 への 支 援 実 績 が 豊 富 な 特 例 子 会 社 において、 蓄 積 されてきた 支 援ノウハウに 基 づき、 就 職 並 びに 職 場 適 応 をめざす 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 の 課 題 を 整 理 することを 目 的 として 調 査 を 行 った。さらに 第 2 部 では、 企 業 が 重 視 する 採 用 要 件 であり、かつ、 発 達 障 害 のある 者 にとって 支 援 の 課 題 となる「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」に 焦 点 をあて、 新 入 社 員を 対 象 とした 企 業 の 雇 用 管 理 について 現 状 を 把 握 することとした( 序 章 参 照 )。したがって、「 企 業 における 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 」において 想 定 する 対 象 は、 新 規 採 用 の 若 者 であって 発 達障 害 のある 従 業 員 ではない。ただし、 発 達 障 害 を 開 示 して 雇 用 されている 従 業 員 の 現 状 については、 障害 者 雇 用 の 現 状 とともに 把 握 することした( 発 達 障 害 の 有 無 が 不 明 ながら 職 場 不 適 応 やメンタルヘルス不 全 といった 状 況 で 支 援 が 必 要 になっている 従 業 員 については 現 状 把 握 の 対 象 に 含 まれていない )。(2) 調 査 の 枠 組図1-1-1は、 調 査 設 計 の 概 要 である。 環 境 要 因 と 個 体 要 因 との 相 互 作 用 の 結 果 、 職 場 適 応 ・ 定 着 の 課題 が 発 生 し、 支 援 が 必 要 になる 状 況 を 理 解 する 枠 組 となっている。図 の 中 段 に 示 す「 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題 」は、さまざまな 職 場 適 応 ・ 定 着 の 問 題 の 現 れ 方 への 対応 を 説 明 するためのものである。その 問 題 意 識 は 以 下 のようにまとめられる。-83-


1 企 業 は 採 用 に 際 し 、「コミュニケーション」「ビジネスマナー」について、どのような 基 準を 持 っているかまた、それぞれの 領 域 の 項 目 において、 優 先 順 位 はつけられるだろうかこうした 基 準 は、 企 業 によって 異 なるだろうか2 企 業 が 期 待 する 基 準 と、 現 実 的 な 達 成 時 期 の 関 係 はどのようになっているか3 企 業 が 持 っている 研 修 体 制 は 、「コミュニケーション」「ビジネスマナー」を、どのように 位置 づけているか4 企 業 が 求 める 要 件 と 発 達 障 害 の 行 動 特 性 との 関 係 はどのようになっているか5 発 達 障 害 の 職 場 適 応 ・ 定 着 のための 支 援 を 考 える 際 に 重 視 すべきことは 何 か環 境 要 因 【 企 業 が 求 める 要 件 】企 業 が 求 める 行 動 レベルは 何 か求 める 行 動 の 達 成 時 期 はいつ 頃 か企 業 はどのような 考 えを 持 ち、 指 導 しているか職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題個 人 の 支 援 の 選 択 によってどのように 問 題 は 異 なるか障 害 者 雇 用 支 援 を 利 用 して、 就 労 する 場 合開 示 して 一 般 扱 いで、 就 労 する 場 合開 示 せずに 一 般 扱 いで 就 労 する 場 合障 害 特 性 からみた 本 人 支 援 の 課 題 は 何 か環 境 調 整 の 課 題 は 何 か個 体 要 因 【 発 達 障 害 のある 者 の 特 性 】障 害 特 性 からみて 課 題 となることは 何 か個 人 はどのような 考 えを 持 ち、 職 業 選 択 に 臨 むか図 1-1-1調 査 の 枠 組 と 検 討 事 項 の 関 連(3) 調 査 項 目 の 選 定職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」について、 標 準 化 された 妥 当 な 項 目 が 設定 されているわけではない。 何 を「コミュニケーション 」「ビジネスマナー」の 項 目 として 選 定 するのかについては 様 々な 見 解 がある。 一 方 、 若 年 者 の 就 職 に 際 して 必 要 となる「 若 年 者 就 職 基 礎 能 力 」については、 訓 練 によって 向 上 可 能 であると 位 置 づけられ、こうした 能 力 の 習 得 により 採 用 可 能 性 を 高 める-84-


ための 事 業 ( Youth Employability Support-Program: YES プログラム)が 開 始 されている( 厚 生 労働 省 , 2009) 。この 事 業 は 実 施 に 先 立 って 企 画 された 企 業 調 査 の 結 果 に 基 づいて 開 発 されたプログラムであることから 、 企 業 の 要 請 を 理 解 していく 上 で、 YES プログラムにおいて 定 義 された 領 域 のうち、「コミュニケーション 能 力 」「 職 業 人 意 識 」「ビジネスマナー」の 評 価 項 目 を 再 構 成 し、 場 面 や 状 況 を 極 力 限定 し 、 具 体 的 な 行 動 レベルで 把 握 することとし 、 以 下 の 表 1-1-1 ~ 1-1-2 に 示 す 領 域 と 項 目 を 選 定 した。表 1-1-1コミュニケーションについて 設 定 した 領 域 と 項 目情 報 の 理 解(1) 相 手 の 主 張 ( 言 葉 )を 正 しく 理 解 できる(2) 言 葉 の 意 味 だけでなく 言 外 にこめた 意 味 を 理 解 し、 相 手 の 意 図 を 正 しく 理 解 できる(3) 正 しい 理 解 のために 的 確 な 質 問 ができる情 報 の 伝 達(4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる(5) 伝 える 内 容 をまとめて 説 明 できる(6) 与 えられた 時 間 内 に 主 張 をまとめて 説 明 できる(7) 相 手 の 理 解 の 度 合 いを 考 慮 しながら 説 明 に 工 夫 を 加 えることができる(8) 説 明 に 必 要 なレジメなどを 作 成 できる(9) レジメなどを 活 用 して 要 点 を 押 さえた 説 明 ができる(10) レジメなどを 活 用 し、 相 手 に 自 分 の 意 見 を 適 切 に 伝 えられる報 告 ・ 連 絡 ・相 談(11) タイミングを 外 さず 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 ができる(12) 必 要 な 情 報 を 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 場 面 で、 簡 潔 に 伝 えられる(13) 場 面 に 応 じて、 適 切 に 口 頭 ・ 電 話 ・メールなどの 手 段 の 使 い 分 けができる(14) 困 ったときに 相 談 ができる意 思 の 表 明 (15)「いつ」「どこで」「だれが」「なぜ」「どのように」( 5W1H)を 明 確 にして 説 明 できる(16) 場 面 ( TPO)に 応 じて、 振 る 舞 い 方 を 適 切 に 変 えて 意 見 を 主 張 できる(17) 他 者 にわかりやすい 表 現 で 意 見 を 主 張 できる相 手 の 意 見の 尊 重(18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる(19) 自 分 の 価 値 観 と 異 なる 意 見 ・ 考 え 方 を 否 定 しない(20) 苦 手 な 相 手 に 対 しても 不 必 要 な 衝 突 や 排 他 的 な 行 動 をせずにつきあえる(21) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどをすばやく 理 解 することができる(22) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどを 理 解 し、その 場 の 状 況 にあった 適 切 な 対 応 ができる意 見 集 約 ・交 換(23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる(24) 複 数 の 他 者 の 異 なる 意 見 を 分 類 ・ 整 理 したうえで 要 約 できる(25) 複 数 の 他 者 との 意 見 交 換 が 円 滑 に 行 える組 織 内 外 の行 動(26) 仕 事 で 接 する 他 者 の 名 前 や 顔 などを 覚 える(27) 相 手 の 言 動 を 意 識 した 行 動 ができる(28) グループや 集 団 での 作 業 ・ 行 動 ができる(29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる(31) 感 情 のコントロールができる( 怒 りや 嫌 悪 などを 不 必 要 に 表 現 しない)-85-


表 1-1-2ビジネスマナー 等 について 設 定 した 領 域 と 項 目挨 拶 等 の 基 本(1) 勤 務 中 の 挨 拶 、お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる(2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける(3) 相 手 から 好 感 の 持 たれる 話 し 方 ・ 聴 き 方 ができる電 話 の 使 い 方の 基 本(4) 電 話 が 適 切 に 受 けられる(5) 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる(6) 電 話 を 取 り 次 げないときの 対 応 ができる(7) 電 話 の 内 容 について 適 切 なメモを 作 ることができる(8) 電 話 をかける 時 に 適 切 な 言 い 方 ができる(9) マナーをわきまえて、 携 帯 電 話 を 使 うことができる訪 問 ・ 来 客 対 応の 基 本(10) アポイントを 的 確 に 取 ることができる(11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている(12) 名 刺 の 受 け 方 ・ 渡 し 方 が 適 切 にできる(13) 適 切 に 自 己 紹 介 ができる(14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている(15) 来 客 の 取 り 次 ぎができる(16) 来 客 を 取 り 次 げない 時 の 対 応 ができる社 会 人 としての 役 割 や 責 任(17) 指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる(18) 指 示 内 容 について、 相 手 に 正 確 に 伝 えることができる(19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができる(20) 他 者 ・ 同 僚 に 迷 惑 をかけないように 行 動 できる(21) 組 織 における 自 らの 職 務 や 立 場 を 理 解 している職 業 観(22) 服 務 規 律 を 守 る(23) 決 められた 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる(24) 自 分 に 与 えられた 業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 くことがきる(25) 組 織 目 標 を 意 識 し、 目 標 達 成 に 向 けて 自 らも 目 標 を 立 てて 職 務 に 臨 んでいる(26) 指 示 通 りの 成 果 があげられなかった 場 合 、あるいはミスなどをした 場 合 、 上 司 や同 僚 に 対 して 適 切 に 状 況 説 明 ができる(27) 担 当 職 務 に 求 められる 知 識 ・ 技 能 の 習 得 のため、 自 ら 進 んで 勉 強 する 意 欲 がある(28) 指 示 された 事 柄 だけでなく、 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えて 職 務 に 臨 んでいる発 達 障 害 のある 者 の 行 動 上 の 問 題 を 把 握 する 行 動 チェックリスト( 例 えば AQ; PARS など)が 開 発されているが、 日 常 生 活 面 で 行 動 観 察 を 行 い、 特 性 の 現 れ 方 を 把 握 することを 目 的 としており、 職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」の 具 体 的 項 目 と 対 応 しているわけではない。しかし、 企 業 が 求 める 行 動 レベルに 行 動 チェックリスト 等 の 内 容 を 対 応 させることで 問 題 の 検 討 は 可 能 であると 考 えた。その 他 、 特 例 子 会 社 調 査 で 実 施 した「 職 場 のルールについての 考 え 方 と 指 導 」についての 項 目 は、 共通 調 査 項 目 として 比 較 検 討 することとした。-86-


2. 方 法( 1 ) 調 査 対 象 : 企 業 データベースに 基 づき 、 以 下 の 方 法 で 抽 出 した 4500 社 ( 回 収 率 13.4 %: 602 社 )1 都 道 府 県 ( 47 都 道 府 県 )2 業 種 ( 16 区 分 )1) 鉱 業 , 2) 建 設 業 , 3) 製 造 業 , 4) 電 気 ・ガス・ 熱 供 給 ・ 水 道 業 , 5) 情 報 通 信 業 , 6) 運 輸 業 ,7) 卸 売 ・ 小 売 業 , 8) 金 融 ・ 保 険 業 , 9) 不 動 産 業 ・ 物 品 賃 貸 業 , 10) 学 術 研 究 、 専 門 ・ 技 術サービス 業 , 11) 飲 食 店 ・ 宿 泊 業 , 12) 生 活 関 連 サービス 業 、 娯 楽 業 , 13) 教 育 ・ 学 習 支 援 業 ,14) 医 療 ・ 福 祉 業 , 15) 複 合 サービス 事 業 , 16) サービス 業 ( 他 に 分 類 されないもの)※ 農 ・ 林 ・ 漁 業 、 公 務 、 分 類 不 能 の 産 業 は 除 く。3 企 業 規 模 ( 4 区 分 :イ) 55 人 以 下 ,ロ) 56 人 ~ 299 人 ,ハ) 300 人 ~ 999 人 ,ニ) 1000 人 以 上 )4 1×2について、 企 業 規 模 で 各1125 社 選 定 するなお、 特 例 子 会 社 については 対 象 外 とした(2) 調 査 時 期 : 平 成 22 年 5 月 ~ 6 月(3) 調 査 内 容 :1 企 業 の 概 要 と 障 害 者 支 援 に 関 する 意 識2 新 卒 採 用 の 概 要 と 障 害 者 雇 用 の 状 況 等3採 用 に 際 して 重 視 する 項 目 ・ 課 題 と 採 用 後 の 達 成採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 の 体 制4職 場 のルールの 指 導(4) 調 査 方 法 : 郵 送 により 送 付 ・ 回 収3. 分 析 対 象 企 業 の 概 要(1) 企 業 の 概 要表 1-1-3 ~ 表 1-1-4 に 企 業 規 模 別 、 業 種 ・ 職 種 について 示 す。 企 業 規 模 不 明 の 2 社 については 表 から除 外 してある。また、いずれも 複 数 回 答 した 企 業 があった。業 種 でみると、 製 造 業 ( 24.5 %)、 卸 売 ・ 小 売 業 ( 19.7 %)、 建 設 業 ( 13.3 %)の 順 になっていた。 業種 別 の 検 討 を 行 うために 、 複 数 の 業 種 を 回 答 した 企 業 を 除 外 して 業 種 を4 群 に 再 構 成 した ( 表 1-1-3-2)結 果 、 製 造 業 ( 24.7 %)、 サービス 業 ( 32.9 %)、 卸 売 ・ 小 売 業 ( 19.6 %)、 非 製 造 ・ 非 サービス 業 ( 22.8%)、であった。 企 業 規 模 との 関 係 でみると、 1000 人 以 上 の 規 模 では 製 造 業 の 比 率 が 高 く、 300 ~ 999人 規 模 ではサービス 業 の 比 率 が 高 く、またいう 結 果 であった。55人 以 下 の 規 模 では 非 製 造 ・ 非 サービス 業 の 比 率 が 高 いと結 果 の 分 析 において、 基 本 的 には 企 業 規 模 別 の 検 討 を 行 い、 必 要 に 応 じて 業 種 についても 検 討 するこ-87-


ととする。なお、 企 業 規 模 については 4 群 ( 55 人 以 下 / 56 人 ~ 299 人 / 300 人 ~ 999 人 / 1000 人 以上 )で、また、 業 種 については4 群 ( 製 造 業 /サービス 業 / 卸 売 ・ 小 売 業 / 非 製 造 ・ 非 サービス 業 )で検 討 することとする。表 1-1-3-1 分 析 対 象 企 業 の 概 要 ( 企 業 規 模 別 業 種 )業 種 業 別 種 別abcdefghijklmnop................農鉱建製電情運卸金不学飲生教医複林業設造気報輸売融動術食活育療合漁業業・通業・・産研店関・・ サー サ業ガ信小保・究 、・連学福ス業売険物宿 サー サ習祉ビ・業 業品専泊支業ス熱賃門業ビ援事供貸・ス業業給業技業 、・術水サー サ娯道楽業ビ業ス業q.サー サビス業sr.そ不の明他55 人 以 下 24114330410231055 人 以 下0.36.82.30.55.00.71.70.30.51.756 人 ~299 人 25 30 1 5 7 32 3 5 1 3 5 9 5 6 1556 人 ~299 人4.2 5.0 0.2 0.8 1.2 5.3 0.5 0.8 0.2 0.5 0.8 1.5 0.8 1.0 2.5300 ~999 1 1 6 43 6 12 24 7 2 1 3 6 12 20 2 8 13 1300 人 ~999 人0.2 0.2 1.0 7.2 1.0 2.0 4.0 1.2 0.3 0.2 0.5 1.0 2.0 3.3 0.3 1.3 2.2 0.21000 人 以 上 8 60 11 10 32 6 2 3 3 3 9 10 2 11 121000 人 以 上1.3 10.0 1.8 1.7 5.3 1.0 0.3 0.5 0.5 0.5 1.5 1.7 0.3 1.8 2.0合 計 1 3 80 147 1 22 32 118 20 19 4 7 12 26 39 11 28 50 1合 計0.2 0.5 13.3 24.5 0.2 3.7 5.3 19.7 3.3 3.2 0.7 1.2 2.0 4.3 6.5 1.8 4.7 8.3 0.2上 段 : 数 / 下 段 :%表 1-1-3-2 分 析 対 象 企 業 の 概 要 ( 企 業 規 模 別 業 種 再 構 成 )55 人 以 下業 種 再 構 成製 造 製 業 造 業 サービス 業非 製 造 ・ ・合 計卸 売 ・ 小 売 業非 サービス14 20 28 51 11312.4 17.7 24.8 45.1 100.030 45 31 40 14656 人 ~299 人20.5 30.8 21.2 27.4 100.041 67 23 21 152300 人 ~999 人27.0 44.1 15.1 13.8 100.058 58 31 20 1671000 人 以 上34.7 34.7 18.6 12.0 100.0143 190 113 132 578合 計24.7 32.9 19.6 22.8 100.0上 段 : 数 / 下 段 :%職 種 でみると 、 営 業 ( 40.7 %)、 総 務 ・ 広 報 ( 38.5 %)、 生 産 ・ 技 術 ( 34.7 %)、 経 理 ・ 財 務 ( 34.2 %)となっており 、 商 品 企 画 ・ 市 場 調 査 ( 17.3 %)、 研 究 開 発 ( 15.3 %)、 店 頭 販 売 ( 6.8 %) は 少 なかった。-88-


表 1-1-4 分 析 対 象 企 業 の 概 要 ( 企 業 規 模 別 職 種 )職 種 別abcdefgh........生研商総経営店そ不産究品務理業頭の明・開企・・販他技発画広財売術・報務市場調査55 人 以 下 35 3 4 25 25 25 34 34 3 3 22 22 14 1455 人 以 下5.8 0.5 0.7 4.2 4.2 5.7 5.7 0.5 0.5 3.7 3.7 2.3 2.356 ~299 48 10 16 60 50 50 56 56 3 3 43 43 11 1156 人 ~299 人8.0 1.7 2.7 10.0 8.3 9.3 9.3 0.5 0.5 7.2 7.2 1.8 1.8300 ~999 52 23 28 66 54 54 67 67 7 7 56 56 13 13300 人 ~999 人8.7 3.8 4.7 11.0 9.0 11.2 1.2 1.2 9.3 9.3 2.2 2.21000 73 56 56 80 76 76 87 87 28 28 36 36 13 131000 人 以 上12.2 9.3 9.3 13.3 12.7 14.5 4.7 4.7 6.0 6.0 2.2 2.2合 計 208 92 104 231 205 244 41 41 157 157 51 51合 計34.7 15.3 17.3 38.5 34.2 40.7 6.8 6.8 26.2 26.2 8.5 8.5上 段 : 数 / 下 段 :%(2) 平 成 22 年 度 の 採 用 について図 1-1-2 に 平 成 22 年 度 の 新 規 採 用 並 びに 中 途 採 用 の 状 況 を、 表 1-1-5 に 1 人 以 上 の 採 用 があった 企業 の 比 率 を 示 す。1000 人 以 上 (N=172)44 4445 4526 2612100018 1000 人 以 人 上 以 27(N=172)12 18上27(N=172)52 5262 6230 3013 137878300 人 ~999 人 (N=165)56 人 ~299 人 (N=150)62 6260 6050 5052 5230025300 人 ~999 人 (N=165)人14~999 8人 6(N=165)14 8 656 人 56 ~299 人 人 (N=150)31~299 人5(N=150)31 52270 7074 7451 5157 5722 22 5 10 5 10 7 71 116 16 2 255 人 以 下 (N=113)54 5453553人 55 以 人 下 以 (N=113) 下 (N=113) 6 652 5254 54770% 0% 20% 20% 40% 40% 60% 60% 80% 80% 100% 100% 0% 0% 20% 20% 40% 40% 60% 60% 80% 80% 100% 100%平 成 平 22 成 22 年 度 年 新 度 規 新 高 規 卒 高 採 卒 用 採 用平 成 平 22 成 22 年 度 年 新 度 規 新 専 規 修 専 学 修 校 学 卒 校 採 卒 用 採 用1000 人 以 上 (N=172) 13 1399811 8 1133 33981000 981000 人 以 人 上 以 (N=172) 上 (N=172)51 5138 3831 3114 14131325 25300 人 ~999 人 (N=165) 10 1018無 回 18 無 答 回 ・ 答 不 ・ 明 不 46明 46 採 用 採 なし 用 38 なし38300 300 人 1~5 38 ~999 人 1~5 38 ~999 人人 (N=165)15 (N=165) 156~10 6~10 人 人 11~20 11~20 人 人 21 人 21 以 人 上 以 上 1 156 人 ~299 人 (N=150) 24 24 38 3868 68 56 人 56 ~299 人 ~299 人 17 (N=150) 人 17 (N=150) 2 260 60 26 26 44 44 8 813131414採 用 採 なし 用 なし 1~5 1~5 人 人 6~10 6~10 人 人 11~20 11~20 人 人 21 人 21 以 人 上 以 上54 5446 4639 39 4 6461155 人 以 下 (N=113)36 3653 531 155 人 55 以 人 22 下 以 (N=113) 22 下 (N=113) 1 138 3845 4528 28220% 0% 20% 20% 40% 40% 60% 60% 80% 80% 100% 100% 0% 0% 20% 20% 40% 40% 60% 60% 80% 80% 100% 100%無 回 無 答 回 ・ 答 不 ・ 明 不 明 採 用 採 なし 用 なし 1~5 1~5 人 人6~10 6~10 人 人 11~20 11~20 人 人 21 人 21 以 人 上 以 上平 成 平 22 成 22 年 度 年 新 度 規 新 大 規 卒 大 採 卒 用 採 用無 回 無 答 回 ・ 答 不 ・ 明 不 明 採 用 採 なし 用 なし 1~5 1~5 人 人6~10 6~10 人 人 11~20 11~20 人 人 21 人 21 以 人 上 以 上平 成 平 22 成 22 年 度 年 中 度 途 中 採 途 用 採 用図 図 1-1-2 1-1-2 平 平 成 成 22 22 年 年 度 度 の の 採 採 用 用 状 状 況 況-89-


図 1-1-2では、いずれの 採 用 においても「 採 用 なし」が 多 いだけではなく、 同 等 もしくはそれ 以 上 に「 不 明 ・ 無 回 答 」が 多 くなっている。 数 の 記 載 のないことで「 不 明 ・ 無 回 答 」として 集 計 されているわけであるが、 実 質 的 には「 採 用 なし」であるとみることができる。こうしたことからは、 採 用 行 動 そのものが 極 めて 低 調 であることが 明 らかである。表 1-1-5 に、 1 人 以 上 の 採 用 を 行 った 企 業 の 比 率 を 示 す。表 1-1-5新 規 高 卒 採 用平 成 22 年 度 に1 人 以 上 の 採 用 を 行 った 企 業新 規 大 卒 採 用新 規 専 修 学 校卒 採 用中 途 採 用( 単 位 :%)障 害 者 雇 用身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害55 人 以 下 (N=113) 5.3 21.2 6.2 26.5 1.8 0.9 0.956 人 ~299 人 (N=150) 25.3 58.7 12.7 33.3 2.7 0.0 1.3300 人 ~999 人 (N=165) 32.1 83.0 26.7 47.9 9.1 3.0 0.61000 人 以 上 (N=172) 48.3 87.2 33.7 48.3 27.9 20.3 6.4製 造 業 (N=143) 62.9 73.8 23.1 39.2 12.6 10.5 2.8サービス 業 (N=190) 24.7 71.6 34.7 47.9 14.2 8.4 3.7卸 売 ・ 小 売 業 (N=113) 15.9 64.6 10.6 32.7 8.8 7.1 2.7非 製 造 ・ 非 サービス(N=132) 18.2 50.8 12.9 37.9 8.3 1.5 0.8全 体 30.0 66.5 21.3 40.3 11.5 6.8 2.5一 般 雇 用 全 体 では「 新 規 大 卒 採 用 」が 最 も 多 く、 次 いで「 中 途 採 用 」、「 新 規 高 卒 採 用 」、 「 新 規 専 修 学校 卒 採 用 」の 順 となっていた。これを 企 業 規 模 についてみると、すべての 採 用 対 象 で 規 模 が 大 きいほど採 用 が 多 く、 55 人 以 下 では 採 用 自 体 が 少 ない。ただし、 55 人 以 下 の 規 模 では、 中 途 採 用 が 最 も 多 く、 4社 に1 社 が 中 途 採 用 を 行 っていた。これを 、 業 種 別 でみると 、「 新 規 高 卒 採 用 」「 新 規 大 卒 採 用 」 においては 製 造 業 で 採 用 企 業 が 最 も 多 く、次 いで、サービス 業 、 卸 売 ・ 小 売 業 、 非 製 造 ・ 非 サービス 業 の 順 であった。また 、「 新 規 専 修 学 校 卒 採用 」「 中 途 採 用 」においてはサービス 業 で 最 も 多 く、 次 いで、 製 造 業 、 非 製 造 ・ 非 サービス 業 、 卸 売 ・小 売 業 の 順 であった。ただし 、「 新 規 高 卒 採 用 」「 新 規 専 修 学 校 卒 採 用 」で 卸 売 ・ 小 売 業 と 非 製 造 ・ 非サービス 業 に 採 用 企 業 が 少 ない 傾 向 があった。また、 障 害 者 雇 用 についてはさらに 厳 しい 状 況 であったが 、「 身 体 障 害 」「 知 的 障 害 」「 精 神 障 害 」の順 に 採 用 企 業 が 多 かった。 企 業 規 模 では 障 害 種 別 にかかわらず1000人 以 上 の 規 模 に 集 中 していた。 一方 、 業 種 では 身 体 障 害 についてはサービス 業 、 製 造 業 の 順 で、また、 知 的 障 害 については 製 造 業 、サービス 業 の 順 で 多 かった。 精 神 障 害 については 全 体 的 に 少 なかった。帝 国 データバンクが 実 施 した「 2010 年 度 の 雇 用 動 向 に 関 する 企 業 の 意 識 調 査 」( 2010)は 21,750 社を 対 象 とし、 有 効 回 答 10,624 社 ( 回 収 率 48.8 %)の 結 果 を 分 析 している。その 結 果 によると 正 社 員 雇用 において「 採 用 予 定 なし」は 47.5 %( 5, 050 社 )、 非 正 社 員 雇 用 における「 採 用 予 定 なし」は 57.0 %( 6,056 社 )に 及 ぶ。こうした 傾 向 は 昨 年 の 調 査 結 果 ( 正 社 員 雇 用 の 採 用 予 定 なし: 45.9 %)に 続 く 水準 で 連 続 していると 報 告 されている。 本 研 究 で「 新 入 社 員 」を 対 象 とした 調 査 については 、「 採 用 計 画がない 以 上 、 回 答 しがたい」 と 考 える 企 業 が 多 く、 それが 回 収 率 にも 反 映 していたとみることができる。-90-


こうした 背 景 を 踏 まえると、 採 用 を 行 った 企 業 の 構 成 比 率 は、 雇 用 動 向 調 査 から 推 計 される 企 業 全 体 の構 成 に 比 して 高 いことがわかる。なお 、 調 査 協 力 の 依 頼 に 対 して 、 問 い 合 わせの 電 話 連 絡 をいただいた 内 容 について 付 記 しておきたい。主 として 、「 最 近 は 新 卒 採 用 がなく、 今 後 も 予 定 がない 状 態 が 続 いており、 回 答 を 遠 慮 したい」が 寄 せられた。その 他 、「 高 齢 者 のみで 構 成 されている 会 社 である 」「 関 連 企 業 から 管 理 職 が 出 向 して 企 業 体 を構 成 しているために 、 採 用 も 研 修 も 出 向 元 企 業 で 実 施 済 である 」 等 の 理 由 により 「 新 規 採 用 がない 」「 若年 の 社 員 がいない」という 事 態 があり、 全 体 を 推 計 するデータを 持 ち 合 わせないながら 無 視 できない 数として 発 生 している 可 能 性 が 伺 われた。 若 年 雇 用 情 勢 が 厳 しいだけでなく、 企 業 体 の 構 成 の 点 でも 若 年の 雇 用 環 境 は 厳 しくなっており、 発 達 障 害 があることで 力 不 足 や 準 備 不 足 がありながら、 特 性 に 気 づかず、あるいは 気 づいていてもとりあえず 一 般 扱 いをめざすといった 就 職 活 動 のリスクはますます 大 きくなっている 可 能 性 が 推 察 された。第 2 節調 査 結 果 :コミュニケーションとビジネスマナーについて1. 採 用 ・ 配 置 に 関 する 配 慮 と 支 援(1) 採 用 の 方 法新 入 社 員 を 採 用 する 場 合 の 採 用 方 法 として、 面 接 、 採 用 のための 試 験 ( 職 業 評 価 )、インターンシップ・ 職 場 実 習 、 トライアル 雇 用 、 その 他 ( 自 由 記 述 ) について 、「 必 ず 実 施 する 」「 実 施 することが 多 い」「 実 施 しないことが 多 い 」「 実 施 しない」のいずれかの 回 答 を 求 めた。 図 1-2-1 に、 採 用 方 法 を 回 答 した 企 業 において「 必 ず 実 施 する」と 回 答 した 企 業 の 割 合 を 示 す。100%806097.293.392.891.094.2 94.8 6.291.076.771.469.454.0高 卒 採 用大 卒 等 採 用専 修 学 校 卒 等 採 用専 修 学 校 卒 等 採 用中 途 採 用中 途 採 用障 害 者 雇 用 身 体 障 害障 害 者 雇 用 知 的 障 害障 害 者 雇 用 精 神 障 害4039.631.234.42006.45.96.08.08.26.98.36.73.03.03.24.41.9面 接 採 用 試 験 インターンシップ・ 職 業 実 習 トライアル 雇 用図 1-2-1採 用 方 法 を 回 答 した 企 業 における「 必 ず 実 施 する」の 選 択 率-91-


採 用 方 法 では「 面 接 」が 最 も 多 く、いずれの 採 用 対 象 においても 90 %を 超 えていた。 次 いで 、「 採 用のための 試 験 ( 職 業 評 価 )」が 多 いが、 新 卒 採 用 において 70 % 前 後 、 中 途 採 用 では 54 %、 障 害 者 雇 用では30 % 代 と、 採 用 対 象 によって 異 なっていた 。「 採 用 試 験 」については、 新 卒 対 象 を 中 心 とした 方 法として 実 施 されているといえる 。「インターンシップ・ 職 場 実 習 」「トライアル 雇 用 」については、「 必ず 実 施 する」という 回 答 はいずれも 少 ない。 障 害 者 雇 用 では 新 規 学 卒 採 用 や 中 途 採 用 より 多 い 傾 向 を 読み 取 ることができるが、 際 だって 効 果 的 に 実 施 されている 方 法 であるとは 言 い 難 い 結 果 であった。その 他 の 自 由 記 述 では 、 全 体 で 33 件 が 回 答 された。 その 内 、 最 も 多 かったのが 「 適 性 検 査 」 の 12 件 、次 いで「 論 文 」の 6 件 、「 筆 記 試 験 」の 5 件 であり、 配 属 先 予 定 訪 問 やエントリーシート 等 書 類 審 査 もあげられていた。採 用 方 法 の 選 択 においては 、「 採 用 試 験 ( 職 業 評 価 )」 以 外 では 企 業 規 模 別 、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった 。「 採 用 試 験 」の 実 施 については、 新 規 学 卒 採 用 及 び 中 途 採 用 で 企 業 規 模 が 大 きいほど「 必 ず実 施 」とする 企 業 が 多 かった 。( 表 1-2-1)。表 1-2-1採 用 試 験 を「 必 ず 実 施 する」と 回 答 した 企 業 の 割 合採用試験55 人 以 下56 人 ~299 人300 人 ~999 人1000 人 以 上製 造 業サービス 業卸 売 ・ 小 売 業非 製 造 ・非 サービス全 体高 卒 採 用専 修 学 校 卒障 害 者 雇 用大 卒 等 採 用中 途 採 用等 採 用身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害23 31 20 23 6 5 546.0 46.3 40.8 29.9 35.3 29.4 31.356 98 56 58 24 14 1468.3 77.2 68.3 49.2 36.9 28.6 31.174 119 78 81 33 19 2075.5 79.3 74.3 60.0 32.7 26.0 28.294 140 93 95 59 36 3981.0 86.4 77.5 65.1 47.2 36.7 41.188 100 71 72 42 22 2470.0 82.6 78.0 62.1 48.8 31.9 37.570 126 82 77 30 17 1971.4 75.9 68.9 51.0 28.8 21.8 24.137 74 42 46 24 18 1871.2 81.3 73.7 54.1 42.1 40.0 43.950 73 50 51 24 16 1664.9 67.0 58.8 47.7 48.0 41.0 41.0247 388 247 257 122 74 7871.4 76.7 69.4 54.0 39.6 31.2 34.4上 段 : 数下 段 :%(2) 採 用 配 置 ・ 採 用 時 に 求 める 能 力 ・ 採 用 後 の 指 導 体 制初 任 者 の 採 用 ・ 配 置 の 考 え 方 については 、「 配 属 先 部 署 や 職 種 を 特 定 せずに 採 用 している 」「 職 種 別 採用 や 事 業 部 門 別 に 採 用 している 」「その 他 ( 自 由 記 述 )」で 回 答 を 求 めた。また、 採 用 時 に 求 める 能 力 については 、「 基 礎 的 な 職 務 遂 行 能 力 がある 」「 職 種 に 適 した 基 礎 能 力 がある 」「 職 種 を 限 定 せず 得 意 分 野 がある 」「 汎 用 性 の 高 い 能 力 がある」「 コミュニケーション 能 力 がある」「その 他 ( 自 由 記 述 )」で 回 答 を 求 めた。さらに、 新 入 社 員 が 初 任 者 研 修 の 後 で 配 置 された 職 場 における 個 別 の 指 導 体 制 については 、「マンツーマンの 指 導 担 当 者 をおく 」「 職 場 の 上 司 が 指 導 する 」「 人 事 ・ 総 務 課 等 で 新 入 社 員 の 適 応 を 把 握 しており、 個 別 指 導 体 制 はない 」「その 他 ( 自 由 記 述 )」で 回 答 を 求 めた。図 1-2-2 ~ 1-2-3 に 規 模 別 ・ 業 種 別 の 結 果 を 示 した(いずれも 複 数 選 択 )。-92-


100%88006600440022000052.95 50.338.084.1771.5665.364.0661.91.956.4553.3882.0 78.881.4669.9666.76.757.069.2114.2 10.9114.04.09.3 9.3 9.969.96 .7 .76.2 6.2 7.3 7.35.3 5.3配属先部署や職種を特定せず採用55 55 人 以 下 (N (N=113) = 556 6 人 ~299 人 ((N=150) N = 300 人 ~999 ~ 人 ((N=165) N 1000 人 以 上 (N (N=172) = 職種別採用や事業部門別採用を行う基礎的職務を遂行できる能力職種に適した基礎能力446.06.0332.733.1226.0223.0職種を限定せず得意分野を持つ汎用性の高い能力660.7コミュニケーション能力42.026.550.359.3マンツーマンの指導担当者をおいている73.560.7558.2662.2直属の上司が指導している人事・総務課個等別で指新導卒体社制員はのな適い応を把握し、採 用 の 考 え 方採 用 に 求 めめる る 能 力職 場 の 指 導 体 制図 1-2-2 採 用 配 置 の 考 え 方 ・ 採 用 に 求 める 能 力 ・ 職 場 の 指 導 体 制 ( 複 数 回 答 : 企 業 規 模 別 )100%88006600440022000077.3775 5 .5 .572.773.565.070.566.860.0554 4 .0 .053.166.86 66 .4 .458.4 5 8 .443.742.024.2配属先部署や職種を特定せず採用非 製 造 ・・ 非 サ サービス(N=132) ー ビ ス ( N 製 造 業 ((N=143) N サ ー ビビス ス 業 ((N=190) N 卸 売 ・・ 小 売 業 ((N=113)N 職種別採用や事業部門別採用を行う基礎的職務を遂行できる能力職種に適した基礎能力38.5 3 8 .5228 8 .3 .320.514.7 1 4 .725.888.499 .7 .766 .1 .1職種を限定せず得意分野を持つ76.2 7 6 .2554 4 .5 .577.9667 7 .9 .968.9 6 8 .962.1 6 2 .161.96 1 .955.9449 9 .5 .546.0 4 6 .0 59.437.1 3 7 .1採 用 の 考 え 方採 用 に 求 めめる る 能 力職 場 の 指 導 体 制図 1-2-3 採 用 配 置 の 考 え 方 ・ 採 用 に 求 める 能 力 ・ 職 場 の 指 導 体 制 ( 複 数 回 答 : 業 種 別 )汎用性の高い能力コミュニケーション能力マンツーマンの指導担当者をおいている直属の上司が指導している99 .8 .8 88 .99.99 .7 .744 .2 .2人事・総務課個等別で指新導卒体社制員はのな適い応を把握し、-93-


1 採 用 ・ 配 置 の 考 え 方「 配 属 先 部 署 や 職 種 を 特 定 しない 採 用 」と「 職 種 別 採 用 や 事 業 部 門 別 採 用 」の 選 択 は、 企 業 規 模 で 採用 傾 向 が 分 かれていた。 規 模 が 小 さいほど「 職 種 別 採 用 や 事 業 部 門 別 採 用 」が 多 く 、「 配 属 先 部 署 や 職種 を 特 定 しない 採 用 」は 少 ない。これを 業 種 別 にみると 、「 職 種 別 採 用 や 事 業 部 門 別 採 用 」は 非 製 造 ・非 サービス 業 に 最 も 多 く 、 次 いで 、 製 造 業 、 サービス 業 となり 、 卸 売 ・ 小 売 業 が 最 も 少 ない 。 一 方 、「 部署 や 職 種 を 特 定 しない 採 用 」は 非 製 造 ・ 非 サービス 業 に 最 も 少 なく、 次 いで、 製 造 業 、サービス 業 となり、 卸 売 ・ 小 売 業 が 最 も 多 い。「その 他 」は 19 件 あげられていた 。「 初 任 者 採 用 がない 」「 補 充 が 必 要 になったときに 採 用 する 」「ケース 別 」など、そもそも 採 用 ・ 配 置 に 関 する 基 本 的 な 考 え 方 を 必 要 としていないといった 意 見 があげられていた 他 に 、「 配 属 先 は 特 定 せずに、 職 種 は 特 定 して 採 用 」「 新 卒 は 配 属 先 部 署 や 職 種 を 特 定 しない 採用 / 中 途 採 用 は 職 種 別 採 用 や 事 業 部 門 別 採 用 」などがあった。また、「 障 害 者 雇 用 の 場 合 、 各 事 業 所 の採 用 割 当 にて 職 務 開 発 を 実 施 」など、 一 般 扱 いの 雇 用 とは 別 の 考 え 方 としてあげられていた。「 職 種 を 特 定 しない 採 用 」は 適 性 能 の 開 発 に 時 間 的 猶 予 がある 一 方 で、 可 能 性 とともに 柔 軟 性 や 融 通性 、 適 応 性 を 前 提 としている 場 合 、この 曖 昧 さに 対 応 可 能 であるかどうかが 鍵 となる。2 採 用 時 に 求 める 能 力採 用 時 に 求 める 能 力 としては 、「コミュニケーション 能 力 」が 最 も 多 く、 次 いで 、「 基 礎 的 な 職 務 遂 行能 力 」、「 職 種 に 適 した 基 礎 能 力 」 となっている 。「 職 種 を 限 定 せず 得 意 分 野 がある 」「 汎 用 性 の 高 い 能 力 」について、 採 用 時 の 能 力 として 期 待 している 企 業 は 少 ない。 期 待 水 準 については、いずれの 能 力 についても 1000 人 以 上 規 模 で 最 も 高 く、 規 模 が 小 さいほど 低 い 傾 向 があった。 図 1-2-4 に、 55 人 以 下 と 1000人 以 上 の 規 模 を 取 り 出 してその 違 いを 示 す。基 礎 的 職 務 を 遂 行 できる 能 力1001 0 0 0 人 以 上( N= 1 7 2 )コミュニケーション 能 力806040200職 種 に 適 した 基 礎 能 力5 5 人 以 下 ( N= 1 1 3 )汎 用 性 の 高 い 能 力職 種 を 限 定 せず得 意 分 野 を 持 つ図 1-2-4 採 用 時 に 求 める 能 力 ( 複 数 回 答 : 企 業 規 模 2 群 比 較 )55 人 以 下 の 規 模 では 、「 職 種 に 適 した 基 礎 能 力 」を 最 も 求 めており、 1000 人 以 上 の 規 模 の 水 準 と 同 等-94-


であるが 、「 基 礎 的 職 務 を 遂 行 できる 能 力 」の 水 準 は 1000 人 以 上 の 規 模 のおよそ 3 / 4、「コミュニケーション 能 力 」の 水 準 は 1000 人 以 上 の 規 模 のおよそ 1 / 2 である 点 が 特 徴 的 である。なお 、「コミュニケーション 能 力 」に 着 目 して 業 種 による 違 いをみると、 製 造 業 、 卸 売 ・ 小 売 業 、サービス 業 のいずれにおいても 高 い 水 準 である。しかし、 全 体 的 には 業 種 による 違 いは 見 出 されない。「その 他 」については14 件 あげられていたが 、「 集 中 力 」「フットワーク」「 協 調 性 」「 即 戦 力 」「 人 間性 」「 大 学 の 理 解 度 ・ 理 解 力 ・ 判 断 力 ・ 表 現 力 ・ 明 るさ・ 健 康 ・ 資 質 ( 使 命 感 ・ 知 識 など )」「 専 門 性 」「 ストレス 耐 性 」「 企 業 風 土 や 求 める 人 材 像 に 合 致 」など、 個 別 で 極 めて 多 様 であった。その 他 に 、「 職 種 に適 した 資 格 取 得 者 : 海 上 職 員 の 採 用 は、 海 技 資 格 / 教 育 職 については 専 門 性 を 重 視 など )」、 「 新 卒 は 基礎 的 な 職 務 遂 行 能 力 、 中 途 採 用 は 職 種 に 適 した 基 礎 能 力 」など、 具 体 的 な 能 力 の 記 載 もあった。3 配 置 後 の 指 導 体 制初 任 者 研 修 の 後 で 配 置 された 職 場 での 指 導 体 制 としては 、「 直 属 の 上 司 が 指 導 」 が 60 % 前 後 であった。その 他 に「マンツーマンの 指 導 担 当 者 」が 選 択 されていた 。「 人 事 ・ 総 務 課 等 で 新 入 社 員 の 適 応 を 把 握しており、 個 別 指 導 体 制 はない」は 少 なかった。「マンツーマンの 指 導 担 当 者 」については 企 業 規 模 の 違 いが 明 らかであり、 規 模 が 小 さいほど「マンツーマンの 指 導 担 当 者 」は 少 ない。 業 種 では 非 製 造 ・ 非 サービス 業 で 少 なかった。「その 他 」については51件 あげられていたが、 最 も 多 かったのは「 配 属 先 でグループ 指 導 ・メンター 指 導 」が 21 件 であり、 次 いで「 OJT で 指 導 」の 12 件 、「 研 修 」 12 件 、その 他 に「 職 場 に 任 せる」 2件 や「 自 身 で 学 ぶ」もあげられていた。数 は 多 くないが、グループ 指 導 やOJTについては、 指 示 等 の 伝 達 系 統 や 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 窓 口 が複 線 化 するという 点 で 個 別 指 導 と 異 なっている 点 に 注 意 を 要 するといえるだろう。2.コミュニケーションとビジネスマナーに 関 する 配 慮 と 支 援調 査 票 では、コミュニケーションについて 、「 情 報 の 理 解 」( 3項 目 )、「 情 報 の 伝 達 」( 7項 目 )、 「 報 告・ 連 絡 ・ 相 談 」( 4 項 目 )、「 意 思 の 表 明 」( 3 項 目 )、「 相 手 の 意 見 の 尊 重 」( 5 項 目 )、 「 意 見 集 約 ・ 交 換 」( 3 項 目 )、「 組 織 内 外 の 行 動 」( 6 項 目 )の 7 領 域 31 項 目 を 設 定 した。また、ビジネスマナー 等 については 、「 挨 拶 等 の 基 本 」( 3項 目 )、「 電 話 の 使 い 方 の 基 本 」( 6項 目 )、「 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 」( 7項 目 )、「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」( 5 項 目 )、「 職 業 観 」( 7 項 目 )の 5 領 域 28 項 目 を 設 定 した。これらの 項 目 について、1 採 用 時 の 期 待 ( 新 規 採 用 に 際 し、 採 用 時 にどの 程 度 重 視 するか )、2 達成 時 期 ( 就 職 を 目 指 す 場 合 に、いつまでに 達 成 していくことが 望 ましいか )、3 達 成 の 指 導 ( 期 待 に 応えられない 場 合 の 指 導 の 考 え 方 )、について 回 答 を 求 めた。 各 項 目 を 表 す 文 章 が 長 いことから、 以 下 の分 析 では 本 文 中 並 びに 図 表 において 表1-2-2 に 示 す 省 略 形 で 表 記 することとする。-95-


表 1-2-2設 定 した 項 目 と 文 中 表 記 ( 省 略 形 )の 対 応コミュニケーションについて 設 定 した 項 目 表 記 ( 省 略 形 )情 (1) 相 手 の 主 張 ( 言 葉 )を 正 しく 理 解 できる (1) 相 手 の 主 張 を 理 解 できる報の (2) 言 葉 の 意 味 だけでなく 言 外 にこめた 意 味 を 理 解 し、 相 手 の (2) 言 外 の 意 味 を 理 解 できる理 意 図 を 正 しく 理 解 できる解(3) 正 しい 理 解 のために 的 確 な 質 問 ができる(3) 正 しい 理 解 のために 質 問 できる情 (4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる (4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる報の (5) 伝 える 内 容 をまとめて 説 明 できる (5) 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる伝達 (6) 与 えられた 時 間 内 に 主 張 をまとめて 説 明 できる (6) 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる(7) 相 手 の 理 解 の 度 合 いを 考 慮 しながら 説 明 に 工 夫 を 加 える (7) 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できることができる(8) 説 明 に 必 要 なレジメなどを 作 成 できる(8) 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる(9) レジメなどを 活 用 して 要 点 を 押 さえた 説 明 ができる (9) レジメを 活 用 して 説 明 できる(10) レジメなどを 活 用 し、 相 手 に 自 分 の 意 見 を 適 切 に 伝 えられる (10) レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる報 (11) タイミングを 外 さず 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 ができる (11) 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる告・ (12) 必 要 な 情 報 を 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 場 面 で、 簡 潔 に 伝 えら (12) 必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられる連 れる絡・ (13) 場 面 に 応 じて、 適 切 に 口 頭 ・ 電 話 ・メールなどの 手 段 の (13) 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる相 使 い 分 けができる談(14) 困 ったときに 相 談 ができる(14) 困 ったときに 相 談 ができる意 (15)「いつ」「どこで」「だれが」「なぜ」「どのように」( 5W1H )を (15) 5W1H を 明 確 にして 説 明 できる思 明 確 にして 説 明 できるの表 (16) 場 面 ( TPO )に 応 じて、 振 る 舞 い 方 を 適 切 に 変 えて 意 見 を (16) TPO に 応 じて、 意 見 を 主 張 できる明 主 張 できる(17) 他 者 にわかりやすい 表 現 で 意 見 を 主 張 できる(17) わかりやすく 意 見 を 主 張 できる相 (18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる (18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる手の (19) 自 分 の 価 値 観 と 異 なる 意 見 ・ 考 え 方 を 否 定 しない (19) 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない意見 (20) 苦 手 な 相 手 に 対 しても 不 必 要 な 衝 突 や 排 他 的 な 行 動 を (20) 苦 手 な 相 手 とでもつきあえるの せずにつきあえる尊重 (21) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどをすばやく 理 解 することが (21) 立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できるできる(22) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどを 理 解 し、その 場 の 状 況 に (22) 立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できるあった 適 切 な 対 応 ができる意 (23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる (23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる見集 (24) 複 数 の 他 者 の 異 なる 意 見 を 分 類 ・ 整 理 したうえで 要 約 できる (24) 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる約・交 (25) 複 数 の 他 者 との 意 見 交 換 が 円 滑 に 行 える (25) 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える換組 (26) 仕 事 で 接 する 他 者 の 名 前 や 顔 などを 覚 える (26) 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える織内 (27) 相 手 の 言 動 を 意 識 した 行 動 ができる (27) 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる外の (28) グループや 集 団 での 作 業 ・ 行 動 ができる (28) グループや 集 団 で 行 動 できる行動 (29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる (29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる(31) 感 情 のコントロールができる(31) 感 情 のコントロールができる( 怒 りや 嫌 悪 などを 不 必 要 に 表 現 しない)-96-


表 1-2-2設 定 した 項 目 と 文 中 表 記 ( 省 略 形 )の 対 応( 続 き)ビジネスマナー 等 について 設 定 した 項 目 表 記 ( 省 略 形 )挨 (1) 勤 務 中 の 挨 拶 、お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる (1) 挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる拶等 (2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける (2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 けるの基 (3) 相 手 から 好 感 の 持 たれる 話 し 方 ・ 聴 き 方 ができる (3) 好 感 を 持 たれる 応 答 ができる本電 (4) 電 話 が 適 切 に 受 けられる (4) 電 話 が 適 切 に 受 けられる話の (5) 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる (5) 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる使い (6) 電 話 を 取 り 次 げないときの 対 応 ができる (6) 取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる方の (7) 電 話 の 内 容 について 適 切 なメモを 作 ることができる (7) 電 話 のメモを 作 ることができる基本 (8) 電 話 をかける 時 に 適 切 な 言 い 方 ができる (8) 電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる(9) マナーをわきまえて、 携 帯 電 話 を 使 うことができる (9) マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える訪 (10) アポイントを 的 確 に 取 ることができる (10) アポイントを 的 確 に 取 れる問・ (11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている (11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている来客 (12) 名 刺 の 受 け 方 ・ 渡 し 方 が 適 切 にできる (12) 名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる対応 (13) 適 切 に 自 己 紹 介 ができる (13) 適 切 に 自 己 紹 介 ができるの基 (14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている (14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている本(15) 来 客 の 取 り 次 ぎができる(15) 来 客 の 取 り 次 ぎができる(16) 来 客 を 取 り 次 げない 時 の 対 応 ができる(16) 取 り 次 げない 来 客 の 対 応 ができる社 (17) 指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる (17) 指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる会人 (18) 指 示 内 容 について、 相 手 に 正 確 に 伝 えることができる (18) 指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられるとして (19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができる (19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができるの役 (20) 他 者 ・ 同 僚 に 迷 惑 をかけないように 行 動 できる (20) 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる割や責 (21) 組 織 における 自 らの 職 務 や 立 場 を 理 解 している (21) 組 織 における 立 場 を 理 解 している任(22) 服 務 規 律 を 守 る(22) 服 務 規 律 を 守 る職業 (23) 決 められた 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる (23) 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる観(24) 自 分 に 与 えられた 業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 くことがきる (24) 業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 ける(25) 組 織 目 標 を 意 識 し、 目 標 達 成 に 向 けて 自 らも 目 標 を 立 てて (25) 組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 立 てる職 務 に 臨 んでいる(26) 指 示 通 りの 成 果 があげられなかった 場 合 、あるいはミスな (26) ミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できるどをした 場 合 、 上 司 や 同 僚 に 対 して 適 切 に 状 況 説 明 ができる(27) 担 当 職 務 に 求 められる 知 識 ・ 技 能 の 習 得 のため、 自 ら 進 ん (27) 知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 するで 勉 強 する 意 欲 がある(28) 指 示 された 事 柄 だけでなく、 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えて (28) 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている職 務 に 臨 んでいる-97-


(1) 採 用 時 の 期 待採 用 時 の 期 待 ( 新 規 採 用 に 際 し 、 採 用 時 にどの 程 度 重 視 するか) について、「 とても 重 視 している 」「 重視 している 」「あまり 重 視 していない 」「 全 く 重 視 していない」の4 段 階 で 評 価 を 求 めた。分 析 に 際 しては 、「とても 重 視 している( 3点 )」から「 全 く 重 視 していない( 0点 )」までを 得 点 化 しし、 それぞれの 項 目 が 重 視 されている 程 度 を 得 点 で 示 し 、 重 視 される 順 に 配 列 した ( 表 1-2-3 ~ 1-2-4)。1 採 用 時 の 期 待 が 高 い 領 域 について【コミュニケーションについて】「 重 視 している( 平 均 値 が 2.0 以 上 )」とされたのは、 31 項 目 中 22 項 目 であった。 領 域 でみると「 情報 の 理 解 」「 意 思 の 表 明 」「 相 手 の 意 見 の 尊 重 」については、 領 域 内 のすべての 項 目 について「 重 視 している」という 結 果 であった 。「 情 報 の 理 解 」「 相 手 の 意 見 の 尊 重 」「 意 思 の 表 明 」についてはコミュニケーションの 中 でも 領 域 として 重 視 されているとみることができる。また 、「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 」「 組 織 内 外 の 行 動 」については 領 域 内 の 1 項 目 を 除 く 項 目 のすべてについて「 重 視 している」という 結 果 であった。 一 方 、「 情 報 の 伝 達 」については“ 正 しく 情 報 を 伝 えられること ”“ 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できること ”“ 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できること”については 重 視 されているが、 レジメの 作 成 や 活 用 、 説 明 等 は 相 対 的 に 重 視 度 が 低 かった。 これに 対 し 、「 意 見 集 約 ・ 交 換 」については 領 域 内 のすべての 項 目 について「 重 視 している( 平 均 値 がいない( 平 均 値 が 1.0 以 上 2.0 未 満 )」の 間 で 評 価 された。2.0 以 上 )」と「あまり 重 視 してなお 、「 重 視 していない( 平 均 値 が 1.0 未 満 )」という 評 価 は 31 項 目 中 で 1 項 目 もなかった。重 視 度 の 高 い 項 目 についてみると 、“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる ”“ 正 しく 情 報 を 伝 えられる ”“ 組 織 の規 則 に 則 った 行 動 ができる”については、 多 くの 企 業 が 重 視 している 項 目 であるといえる。【ビジネスマナー 等 について】「 重 視 している( 平 均 値 が 2.0 以 上 )」とされたのは、 28 項 目 中 17 項 目 であった。 領 域 でみると「 挨拶 等 の 基 本 」「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」「 職 業 観 」については、 領 域 内 のすべての 項 目 について「 重視 している」という 結 果 であった 。「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」「 挨 拶 等 の 基 本 」「 職 業 観 」についてはビジネスマナー 等 の 中 でも 領 域 として 重 視 されているとみることができる。また 、「 電 話 の 使 い 方 の基 本 」「 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 」については 領 域 内 の 1項 目 を 除 く 項 目 のすべてについて「 重 視 している」と「あまり 重 視 していない」の 間 で 評 価 された。中 でなお、ビジネスマナー 等 についても 、「 重 視 していない( 平 均 値 が 1.0 未 満 )」という 評 価 は 28 項 目1 項 目 もなかった。重 視 度 の 高 い 項 目 についてみると 、“ 時 間 、 期 限 を 守 ることができる ”“ 服 務 規 律 を 守 る ”“ 挨 拶 やお詫 び、お 礼 が 適 切 にできる”については、 多 くの 企 業 が 重 視 している 項 目 であるといえる。以 上 のことから、コミュニケーションとビジネスマナー 等 について、それぞれ 基 本 となる 行 動 様 式 に関 する 企 業 の 意 見 の 概 要 を 整 理 することができたといえるだろう。-98-


表 1-2-3採 用 に 対 する 期 待 (コミュニケーション)全 く あまり 重 視 している とても重 視 していない 重 視 していない 重 視 している情 報 の 理 解相 手 の 主 張 を 理 解 できる正 しい 理 解 のために 質 問 できる言 外 の 意 味 を 理 解 できる2.55 (.546)2.26 (.603)2.15 (.640)情 報 の 伝 達 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる 1.94 (.549) 正 しく 情 報 を 伝 えられる2.50 (.549)レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる 1.73 (.789) 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる 2.25 (.613)レジメを 活 用 して 説 明 できる1.72 (.784) 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる 2.05 (.657)説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる 1.70 (.774)報 告 ・ 連 絡 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる 1.90 (.775) 困 ったときに 相 談 ができる2.23 (.741)・ 相 談 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる 2.22 (.767)必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられる 2.11 (.733)意 思 の 表 明5W1H を 明 確 にして 説 明 できる 2.16 (.675)わかりやすく 意 見 を 主 張 できる 2.14 (.649)TPO に 応 じて、 意 見 を 主 張 できる 2.00 (.694)相 手 の 意 見の 尊 重相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる苦 手 な 相 手 とでもつきあえる自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できる2.27 (.626)2.17 (.646)2.12 (.644)2.04 (.663)2.03 (.671)意 見 集 約 ・交 換複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる1.98 (.698)1.97 (.674)1.82 (.717)組 織 内 外 の 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える 1.96 (.771) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる 2.43 (.609)行 動グループや 集 団 で 行 動 できる2.40 (.611)感 情 のコントロールができる2.31 (.610)職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる 2.20 (.664)相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる 2.11 (.643)表 1-2-4 採 用 に 対 する 期 待 (ビジネスマナー 等 )全 く あまり 重 視 している とても重 視 していない 重 視 していない 重 視 している挨 拶 等 の基 本挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる好 感 を 持 たれる 応 答 ができる敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける2.43 (.581)2.21 (.602)2.12 (.617)電 話 の 電 話 が 適 切 に 受 けられる 1.93 (.796) マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える 2.02 (.722)使 い 方 の電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる1.91 (.747)基 本電 話 のメモを 作 ることができる 1.88 (.802)電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる 1.88 (.810)取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる 1.83 (.803)訪 問 ・ 来 客 訪 問 時 のマナーをわきまえている 1.86 (.775) 適 切 に 自 己 紹 介 ができる2.03 (.672)対 応 の 基 本来 客 対 応 のマナーをわきまえている 1.78 (.808)アポイントを 的 確 に 取 れる1.72 (.812)来 客 の 取 り 次 ぎができる1.68 (.826)取 り 次 げない 来 客 の 対 応 ができる 1.66 (.830)名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる 1.59 (.871)社 会 人 としての 役 割や 責 任時 間 、 期 限 を 守 ることができる他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる組 織 における 立 場 を 理 解 している指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる2.51 (.573)2.35 (.618)2.05 (.711)2.04 (.641)2.04 (.641)職 業 観服 務 規 律 を 守 る業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 ける知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 でき組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 立 てる次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えているミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できる2.44 (.616)2.30 (.615)2.27 (.619)2.17 (.657)2.11 (.697)2.10 (.681)2.06 (.696)数 値 は 平 均 値 ( 標 準 偏 差 )-99-


2 各 領 域 の 項 目 における 重 視 度 の 違 いについて図 1-2-5 ~ 1-2-6 に、コミュニケーションとビジネスマナー 等 の 領 域 別 に 項 目 間 比 較 を 行 った 結 果 に基 づいて 項 目 の 関 係 を 図 示 することを 試 みた( 重 視 度 に 関 しては、 一 元 配 置 の 分 散 分 析 により 有 意 差 の検 討 を 行 った )。情 報 の 理 解言 外 の 意 味 を 理 解 でき 正 しい 理 解 のために 質 相 手 の 主 張 を 理 解 できるる( 2.15) 問 できる( 2.26) ( 2.55)情 報 の 伝 達レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる 正 しく 情 報 を 伝 えられる( 1.73) できる( 1.94) ( 2.25) ( 2.50)レジメを 活 用 して 説 明 できる( 1.72) 与 えられた 時 間 内 に 説 明 で説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる きる( 1.70) ( 2.05)報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 け 困 ったときに 相 談 ができるができる( 1.93) ( 2.23)適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談できる( 2.22)必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられる( 2.11)意 思 の 表 明TPO に 応 じて、 意 見 を 主 5W1H を 明 確 にして 説 明 でき張 できる( 2.00) る( 2.16)わかりやすく 意 見 を 主 張 できる( 2.14)相 手 の 意 見 の 尊 重立 場 の 違 いを 理 解 し相 手 の 意 見 を 受 け 入 れて 対 応 できる( 2.03) られる( 2.27)立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる( 2.04) 苦 手 な 相 手 とでもつきあえる( 2.17)自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない( 2.12)意 見 集 約 ・ 交 換異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行( 1.82) える( 1.98)相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる( 1.97)組 織 内 外 の 行 動組 織 の 規 則 に 従 った 行動 ができる( 2.43)仕 事 で 接 する 者 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 グループや 集 団 で 行 動の 名 前 や 顔 を 覚 できる( 2.11) できる( 2.40)える( 1.96)感 情 のコントロールができる( 2.31)職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる( 2.20)( ) 内 は 平 均 値あまり 重 視 しない重 視 する図 1-2-5コミュニケーションの 下 位 領 域 における 各 項 目 の 関 係 図-100-


挨 拶 等 の 基 本敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 け 好 感 を 持 たれる 応 答 ができ 挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 がる( 2.12) る( 2.21) 適 切 にできる( 2.43)電 話 の 使 い 方 の 基 本取 り 次 げない 電 話 の 対 マナーに 則 して 携 帯 電 話 を応 ができる( 1.83) 使 える( 2.02)電 話 が 適 切 に 受 けられる( 1.93)電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる( 1.91)電 話 のメモを 作 ることができる( 1.88)電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる( 1.88)訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本名 刺 の 受 け 渡 し 来 客 の 取 り 適 切 に 自 己 紹 介 がでが 適 切 にできる 次 ぎができる きる( 2.03)( 1.59) ( 1.68)取 り 次 げない 来 客 の 対 応 ができる 訪 問 時 のマナーをわきまえている( 1.66) ( 1.86)来 客 対 応 のマナーをわきまえている( 1.78)アポイントを 的 確 に 取 れる( 1.72)社 会 人 としての 役 割 や 責 任組 織 における 立 場 を 理 解 して 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 時 間 、 期 限 を 守 るこいる( 2.05) できる( 2.35) とができる( 2.51)指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる( 2.04)指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる( 2.04)職 業 観組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する 服 務 規 律 を 守 る( 2.44)立 てる( 2.11) ( 2.27)次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている( 2.10)ミ ス な ど の 状 況 を 適 切 に 説 業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 ける( 2.30)明 できる( 2.06)指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる( 2.17)( ) 内 は 平 均 値あまり 重 視 しない重 視 する図 1-2-6ビジネスマナー 等 の 下 位 領 域 における 各 項 目 の 関 係 図図 1-2-5 ~ 6 にはコミュニケーションとビジネスマナー 等 の 各 領 域 における 構 造 が 示 されている。なお、 領 域 内 において 実 線 で 区 分 されたグループ 間 の 項 目 は、 企 業 の 重 視 度 に 有 意 差 があることを 示す。これに 対 し、 点 線 で 区 分 された 項 目 は、 複 数 のグループに 属 する 項 目 であり、グループ 間 に 位 置 する 項 目 であることを 示 す。 重 視 度 を 平 均 値 で 示 してあるが、 同 じグループ 内 の 項 目 については、 重 視 度に 有 意 差 が 見 出 されない。また、 図 中 で 右 に 配 置 された 項 目 ほど、 領 域 内 での 重 視 度 が 大 きいことを 示している。-101-


採 用 までの 個 人 の 特 性 に 即 した 効 率 的 ・ 効 果 的 な 支 援 目 標 設 定 については、コミュニケーションとビジネスマナー 等 の「どの 領 域 のどの 項 目 をどのように 達 成 していくことが 望 ましいのか」に 関 して 企 業の 採 用 時 における 重 視 度 から 示 唆 を 得 ることができる。領 域 内 の 項 目 は、 重 視 度 の 違 いによってグルーピングされており、グループ 間 の 違 いは 領 域 内 の 重 視度 の 質 的 な 違 いを 示 している。 例 えば、コミュニケーションの「 情 報 の 理 解 」については、 全 体 として重 視 度 の 高 い 領 域 であるが、その 中 でも“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる”を 最 も 重 視 しており、 次 いで“ 正しい 理 解 のために 質 問 できる”を 重 視 していた 。“ 言 外 の 意 味 を 理 解 できる”は「 情 報 の 理 解 」の 3項目 の 中 では 最 も 重 視 度 が 低 かった。一 方 、「 情 報 の 伝 達 」 については 、 重 視 度 が 異 なる 4 段 階 のグループによって 構 成 される 領 域 であり、“ 正 しく 情 報 を 伝 えられる”は 領 域 内 で 最 も 重 視 度 が 高 いばかりでなく、コミュニケーション 項 目 全 体の 中 でも 重 視 度 の 高 い 項 目 である。 一 方 で 、“レジメを 利 用 して 意 見 を 伝 えられる ”“レジメを 活 用 して説 明 できる ”“ 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる”は 領 域 内 で 最 も 重 視 度 が 低 いばかりでなく、コミュニケーション 項 目 全 体 の 中 でも 重 視 度 の 低 い 項 目 群 である。中 には 2 ~ 3 のグループに 属 する 項 目 もあるが、 基 本 的 には 領 域 内 の 項 目 の 重 み 付 けが 確 認 できる。ここには、 表1-2-2の 領 域 別 の 項 目 の 関 係 が 示 されており、 重 視 度 とその 並 び 順 については、 具 体 的 な支 援 目 標 の 選 択 に 際 しての 目 安 となろう。ただし、こうした 重 視 度 の 違 いは、 採 用 時 に 期 待 する 程 度 に 高 低 があること、しかし、 採 用 後 には 身につけていくことが 期 待 される 項 目 であることを 示 していることに 注 意 が 必 要 である。3 企 業 属 性 による 違 いについて表 1-2-5 に 企 業 規 模 別 、 業 種 別 の 違 いの 有 無 ( 一 元 配 置 の 分 散 分 析 による (** : < .01;*: < .05))を示 した。コミュニケーションにおける 規 模 別 の 違 いは 、【 企 業 規 模 が 大 きいほどに 重 視 する 傾 向 】を 示 しているのに 対 し、ビジネスマナー 等 における 規 模 別 の 違 いは【 企 業 規 模 が 小 さいほどに 重 視 する 傾 向 】を 示していた。すなわち 、“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる ”“ 言 外 の 意 味 を 理 解 できる ”“ 正 しく 情 報 を 伝 えられる ”“ 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる ”“ 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる ”“ 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定しない ”“グループや 集 団 で 行 動 できる”については、 規 模 が 大 きい 企 業 で 重 視 する 程 度 が 大 きいのに対 し 、“ 電 話 が 適 切 に 受 けられる ”“ 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる ”“マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える ”“ 訪 問 時 のマナーをわきまえている ”“ 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる”については、 規 模 が 小 さい 企 業 で 重 視 する 程 度 が 大 きかった。業 種 別 の 違 いについてはコミュニケーションにのみ 見 出 されており 、“ 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる ”“ 困 ったときに 相 談 ができる ”“ 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる ”“ 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や顔 を 覚 える ”“グループや 集 団 で 行 動 できる”のいずれも、 卸 売 ・ 小 売 業 で 最 も 重 視 する 程 度 が 大 きく、製 造 業 で 小 さかった。-102-


コミュニケーションについて情 報 の 理 解情 報 の 伝 達報 告 ・ 連 絡 ・相 談表 1-2-5 採 用 に 対 する 期 待 ( 規 模 別 ・ 業 種 別 )規 業 ビジネスマナー 等 について規 業模 種 模 種**(1) 相 手 の 主 張 を 理 解 できる挨 拶 等 の (1) 挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる(2) 言 外 の 意 味 を 理 解 できる* 基 本 (2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける(3) 正 しい 理 解 のために 質 問 できる(3) 好 感 を 持 たれる 応 答 ができる(4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる(4)(5) 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる(5)** 電 話 の 電 話 が 適 切 に 受 けられる** 使 い 方 の 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる *(6) 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる ** 基 本 (6) 取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる(7) 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる(7) 電 話 のメモを 作 ることができる(8) 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる(8) 電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる(9) レジメを 活 用 して 説 明 できる(9) マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える(10) レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる訪 問 ・ (10) アポイントを 的 確 に 取 れる(11) 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる来 客 対 応 (11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている(12) 必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられるの 基 本 (12) 名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる(13) 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる(13) 適 切 に 自 己 紹 介 ができる**(14) 困 ったときに 相 談 ができる(14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている意 思 の 表 明 (15) 5W1H を 明 確 にして 説 明 できる(15) 来 客 の 取 り 次 ぎができる相 手 の 意 見の 尊 重(16) TPO に 応 じて、 意 見 を 主 張 できる(16) 取 り 次 げない 来 客 の 対 応 ができる(17) わかりやすく 意 見 を 主 張 できる社 会 人 (17) 指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる(18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられるとしての (18) 指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる**(19) 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない役 割 や 責 任 (19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができる(20) 苦 手 な 相 手 とでもつきあえる(20) 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる(21) 立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる(21) 組 織 における 立 場 を 理 解 している(22) 立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できる職 業 観 (22) 服 務 規 律 を 守 る意 見 集 約 (23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる(23) 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる・ 交 換 (24) 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる(24) 業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 ける*(25) 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える(25) 組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 立 てる組 織 内 外 の (26) 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える(26) ミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できる行 動 (27) 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる(27) 知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する**(28) グループや 集 団 で 行 動 できる(28) 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている(29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる*(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる ( **:1% 水 準 , *:5% 水 準 )(31) 感 情 のコントロールができる***(2) 達 成 を 期 待 する 時 期1 達 成 時 期 の 把 握 について達 成 を 期 待 する 時 期 ( 就 職 をめざす 者 はいつまでに 課 題 を 達 成 していくことが 望 ましいか) について、「 就 職 時 」「 就 職 後 3ヶ 月 」「 就 職 後 6ヶ 月 」「 就 職 後 1年 」「 就 職 後 3年 以 上 」 の5 段 階 で 評 価 を 求 めた。分 析 に 際 しては、 達 成 の 目 処 を 把 握 するために、 回 答 に 対 して 月 数 に 換 算 して 平 均 と95% 信 頼 の 上限 ・ 下 限 を 算 出 した( 不 明 ・ 無 回 答 をのぞく: 操 作 的 にカテゴリーを 読 み 替 えたものであり、 数 値 で 回答 を 求 めて 平 均 値 を 算 出 したものではないことに 注 意 が 必 要 である 。) 。 図 1-2-7 は、コミュニケーションにおける 達 成 時 期 の 期 待 について 平 均 的 な 月 数 の 範 囲 を、また 図達 成 時 期 の 期 待 について 平 均 的 な 月 数 の 範 囲 を、それぞれ 示 した。1-2-8はビジネスマナー 等 におけるなお、 各 領 域 の 項 目 については、 項 目 が 重 視 されている 程 度 を 得 点 化 した 結 果 に 基 づき、 重 視 される順 に 配 列 した( 表 1-2-3 ~ 1-2-4 の 並 び 順 に 準 拠 )。-103-


18月数16.916.414.814.413.414.01211.110.910.311.610.568.55.39.27.95.98.17.26.55.37.28.56.49.07.64.9 5.54.6 4.9 5.57.25.95.96.00相正言手し外のいの主理意張解味をのを理た理解め解でにでき質きる問るできる正伝与相レレ説し達え手ジジ明く内らのメメに情容れ理をを必報をた解活活要をま時に用用な伝と間あししレえめ内わててジらてにせ意説メれ説説て見明をる明明説をで作でで明伝き成ききでえるでるるきらきるれるる困っ適必適切要切たななにと時情伝き期報達ににを手相報簡段談告潔のが・に使で連伝いき絡え分る・らけ相れが談るででききるる5わTWかP1りOやHすにをく応明じ意確て見 、にをし主意て張見説でを明き主でる張きでるきる相苦自立立手手分場場のなとのの意相異違違見手ないいをとるをを受で考す理けもえば解入つ方やしれきをくてらあ否理対れえ定解応るるしででなききいるる複相異数手なののる他意意者見見とのを意整整見理、理交し換要てが約要行が約えででるききるる組グ感職相仕織 ルー ル情場手事のののので規プコ慣言接則やン例動すに集ト・をる従っ団 ロー ロ慣意者で行識のた行ルにし名行動が対て前動でで応行やがききで動顔でるるきでをきるき覚るるえる情 報 の 理 解 情 報 の 伝 達 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 意 思 の 表 明 相 手 の 意 見 の 尊 重 意 見 集 約 ・ 交 換 組 織 内 外 の 行 動図 1-2-7コミュニケーションの 各 項 目 に 期 待 される 平 均 的 な 達 成 時 期【コミュニケーションについて】「 半 年 程 度 ( 平 均 値 が 3.0 ~ 6.0)」までの 達 成 を 期 待 されたのは、 31 項 目 中 8 項 目 であった。 領 域 でみると「 情 報 の 理 解 」「 情 報 の 伝 達 」「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 」については、それぞれの 領 域 内 で 最 も 重 視 される1 項 目 (“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる ”“ 正 しく 情 報 を 伝 えられる ”“ 困 ったときに 相 談 できる ”)ずつがあげられた。 一 方 、「 組 織 内 外 の 行 動 」については 1 項 目 (“ 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる ”) 以外 の 項 目 で 早 い 時 期 の 達 成 を 期 待 されていた。これに 対 し 、「 1 年 以 上 ( 平 均 値 が 12.0 以 上 )」の 達 成 を 期 待 されたのは 31 項 目 中 6 項 目 であった。領 域 でみると「 情 報 の 伝 達 」の 4 項 目 (“ 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる ”“レジメを 活 用 して 意 見 を伝 えられる”“ レジメを 活 用 して 説 明 できる ”“ 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる ”)、「 意 見 集 約 ・ 交 換 」の2 項 目 (“ 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 ができる ”“ 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる ”)であり、これらの項 目 では 比 較 的 ゆっくりとした 達 成 を 期 待 されていた。-104-


18月数1212.910.48.266.03.34.64.24.34.64.53.64.85.96.15.0 4.95.35.14.43.13.66.15.95.77.36.44.92.70挨好敬拶感語・をのお詫び持種た類れややる表お応現礼答をがが使適切にできるできるい分けるマ電電電電取ナー ナ話話話話りがのので次に適取メ適げ則切りモ切なしに次をないて受ぎ作言電携けがるい話帯ら適こ方の電れ切とが対話るにがで応をでできが使えるきるきるるできる適訪来ア来取名切問客ポ客り刺に時対イの次の自の応ン取げ受己マのトりなけ紹 ナー ナマを次い渡介がをナー ナ的確ぎ来が客しがでわをにでの適ききわ取き対切るまきれる応にえまるがでているえているできるきる時他組指指間者織示示、にに内内期迷お容容限惑けをのををる正要守か立確点るけ場にをこずを伝整とに理え理が行解らでで動しれききるできるているるる服業知指組次ミ務務識示織なス規指・系目るな律示技統標課どをを能に達題の守最を沿成の状っる後進の発況まんてた見をでで業めを適や習務に考切り得を目えに抜す遂標て説ける行をい明るで立るできるてるきる挨 拶 等 の 基 本 電 話 の 使 い 方 の 基 本 訪 問 ・・ 来 客 対 応 の 基 本 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 職 業 観図 1-2-8ビジネスマナー 等 の 各 項 目 に 期 待 される 平 均 的 な 達 成 時 期その 他 の 17 項 目 については、 半 年 から 1 年 までの 達 成 を 期 待 されていた。また、こうした 時 期 の 目安 は、 採 用 の 際 の 重 視 度 と 関 係 していることが 示 唆 された。【ビジネスマナー 等 について】「 職 業 観 」の 5 項 目 を 除 いた 全 ての 項 目 が 概 ね「 半 年 程 度 ( 平 均 値 が 3.0 ~ 6.0) 」の 達 成 を 期 待 されており 、「 職 業 観 」の“ 服 務 規 律 を 守 る”については 3 ヶ 月 未 満 の 達 成 を 期 待 されていた。コミュニケーションの 項 目 と 比 べると、 就 職 後 の 比 較 的 早 い 時 期 に 達 成 することが 期 待 されている。2 各 領 域 の 項 目 における 重 視 度 からみた 達 成 時 期 について図 1-2-9 と 1-2-10 に 採 用 の 際 に「とても 重 視 する」と「あまり 重 視 しない」のそれぞれを 選 択 した 企業 において 期 待 する 達 成 時 期 の 違 いを 示 す。コミュニケーションにおいてもビジネスマナー 等 においても 、「とても 重 視 する」を 選 択 した 企 業 の全 てが 必 ずしも「 就 職 時 」の 達 成 を 期 待 しているわけではない。 一 方 で 、「あまり 重 視 しない」を 選 択した 企 業 においても「 就 職 時 」の 達 成 を 期 待 している 項 目 があることがわかる。-105-


相 手 の 主 張 を 理 解 できる(N=341)相 手 の 主 張 を 理 解 できる(N=341)言 外 の 意 味 を 理 解 できる(N=171)言 外 の 意 味 を 理 解 できる(N=171)正 しい 理 解 のために 質 問 できる(N=202)正 しい 理 解 のために 質 問 できる(N=202)(N=15)(N=15)(N=75)(N=75)(N=44)(N=44)正 しく 情 報 を 伝 えられる(N=311)正 しく 情 報 を 伝 えられる(N=311)伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる(N=199)伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる(N=199)与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる(N=142)与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる(N=142)相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる(N=120)の 理 解 にあわせて 説 明 できる(N=120)説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる(N=84)必 要 なレジメを 作 成 できる(N=84)レジメを 活 用 して 説 明 できる(N=89)レジメを 活 用 して 説 明 できる(N=89)レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる(N=91)レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる(N=91)(N=15)(N=15)(N=50)(N=50)(N=106)(N=106)(N=140)(N=140)(N=198)(N=198)(N=190)(N=190)(N=186)(N=186)適 切 な 時 期 に に 報 報 告 ・ 告 連 ・ 絡 連 ・ 相 絡 談 ・ 相 できる(N=240)談 できる(N=240)必 要 な 情 報 報 を 簡 を 潔 簡 に 潔 伝 に えられる(N=183)伝 えられる(N=183)適 切 に 伝 達 手 段 段 の 使 の い 使 分 い けができる(N=128)分 けができる(N=128)困 ったときに 相 談 相 ができる(N=231)談 ができる(N=231)(N=87)(N=87)(N=99)(N=99)(N=144) (N=144)(N=71)5W1Hを 明 明 確 にして 確 にして 説 明 説 明 できる(N=183)TPOに 応 じて、 意 見 意 を 見 主 を 張 主 張 できる(N=132)わかりやすく 意 見 意 を 見 主 を 張 主 張 できる(N=163)(N=73)(N=116)(N=68)相 手 の 意 意 見 を 見 受 を け 受 入 け 入 れられる(N=214)自 分 と 異 なる 考 え 考 方 え を 方 否 を 定 否 定 しない(N=157)苦 手 な 相 相 手 手 とでもつきあえる(N=176)立 場 の 違 いをすばやく 理 解 理 解 できる(N=140)立 場 の 違 いを いを 理 解 理 して 解 して 対 応 対 できる(N=136)応 できる(N=136)(N=45)(N=72)(N=70)(N=108)(N=102)の 整 理 、 要 約 ができる(N=111)相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる(N=111)なる 見 を 整 理 して 要 約 できる(N=92)異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる(N=92)他 者 と 意 見 交 換 が 行 える(N=125)複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える(N=125)(N=105)(N=165)(N=114)する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える(N=150)仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える(N=150)(N=145)(N=145)動 を 意 識 して 行 動 できる(N=151)相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる(N=151)(N=79)(N=79)グループや 集 団 で 行 動 できる(N=272)(N=33)グループや 集 団 で 行 動 できる(N=272)(N=33)の 規 則 に 従 った 行 動 ができる(N=289)(N=31)組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる(N=289)(N=31)職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる(N=194)(N=68)職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる(N=194)(N=68)感 情 のコントロールができる(N=227)(N=44)感 情 のコントロールができる(N=227)(N=44)0% 20% 40% 60% 80% 100%0% 20% 40% 60% 80% 100%0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100%就 職 時 就 職 後 3ヶ 月 就 職 後 半 年 就 職 後 1 年 就 職 後 3 年 以 上 不 明 ・ 無 回 答採 用 時 の 期 待 (とても 重 視 ) 企 業 が 求 める 達 成 時 期採 用 時 の 期 待 (あまり 重 視 しない) 企 業 が 求 める 達 成 時 期就 職 時 就 職 後 3ヶ 月 就 職 後 半 年 就 職 後 1 年 就 職 後 3 年 以 上 不 明 ・ 無 回 答採 用 時 の 期 待 (とても 重 視 ) 企 業 が 求 める 達 成 時 期採 用 時 の 期 待 (あまり 重 視 しない) 企 業 が 求 める 達 成 時 期図 1-2-9 コミュニケーションの 各 項 目 に 期 待 される 達 成 時 期 ( 採 用 の 重 視 度 による 違 い)図 1-2-9 コミュニケーションの 各 項 目 に 期 待 される 達 成 時 期 ( 採 用 の 重 視 度 による 違 い)-106-


挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が が 適 適 切 切 にできる(N=278)敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける(N=149)や 表 現 を 使 い 分 ける(N=149)好 感 を 持 たれる 応 答 ができる(N=178)好 感 を 持 たれる 応 答 ができる(N=178)(N=24)(N=74)(N=74)(N=55)(N=55)電 話 が 適 切 に 受 けられる(N=143)電 話 が 適 切 に 受 けられる(N=143)電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる(N=128)取 り 電 次 話 げない の 取 り 次 電 ぎが 話 の 適 対 切 にできる(N=128)応 ができる(N=116)取 電 り 話 次 のメモを げない 電 話 作 の ることができる(N=126)対 応 ができる(N=116)電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる(N=120)電 話 のメモを 作 ることができる(N=126)マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える(N=144)電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる(N=120)(N=141)(N=141)(N=150)(N=150) (N=158)(N=158) (N=138)(N=134)(N=138)(N=101)(N=134)マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える(N=144)アポイントを 的 確 に 取 れる(N=94)訪 問 時 のマナーをわきまえている(N=119)名 刺 アポイントを の 受 け 渡 しが 的 確 適 に 切 取 にできる(N=86)れる(N=94)訪 問 時 のマナーをわきまえている(N=119)適 切 に 自 己 紹 介 ができる(N=130)来 客 対 応 のマナーをわきまえている(N=105)名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる(N=86)来 客 の 取 り 次 ぎができる(N=89)適 切 に 自 己 紹 介 ができる(N=130)取 り 次 げない 来 客 の 対 応 ができる(N=89)来 客 対 応 のマナーをわきまえている(N=105)(N=101)(N=182)(N=156)(N=182) (N=196)(N=156) (N=91)(N=161)(N=196)(N=186)(N=91)(N=193)(N=161)来 客 取 り 次 ぎができる(N=89)指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる(N=124)取 り 指 次 示 げない 内 容 を 来 客 正 の 確 対 に 応 伝 ができる(N=89)えられる(N=125)時 間 、 期 限 を 守 ることができる(N=323)他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる(N=250)指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる(N=124)組 織 における 立 場 を 理 解 している(N=152)指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる(N=125)(N=186)(N=88)(N=193) (N=92)(N=23)(N=42)(N=88)(N=98)(N=92)時 間 、 期 限 を 守 ることができる(N=323)服 務 規 律 を 守 る(N=290)他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる(N=250)指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる(N=175)組 業 織 務 における 指 示 を 立 最 場 後 を までやり 理 解 している(N=152)抜 ける(N=222)組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 立 てる(N=169)(N=23)(N=27)(N=42)(N=62)(N=98) (N=40)(N=90)ミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できる(N=154)服 務 規 律 を 守 る(N=290)(N=104)(N=27)知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する(N=211)(N=48)指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる(N=175)(N=62)次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている(N=157)(N=83)業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 ける(N=222)(N=40)0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100%組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 立 てる(N=169)(N=90)就 職 時 就 職 後 3ヶ 月 就 職 後 半 年 就 職 後 1 年 就 職 後 3 年 以 上 不 明 ・ 無 回 答ミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できる(N=154)(N=104)採 用 時 の 期 待 (とても 重 視 ) 企 業 が 求 める 達 成 時 期採 用 時 の 期 待 (あまり 重 視 しない) 企 業 が 求 める 達 成 時 期知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する(N=211)(N=48)図 1-2-10 ビジネスマナー 等 の 各 項 目 に 期 待 される 達 成 時 期 ( 採 用 の 重 視 度 による 違 い)次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている(N=157)(N=83)0% 20% 40% 60% 80% 100%0% 20% 40% 60% 80% 100%就 職 時 就 職 後 3ヶ 月 就 職 後 半 年 就 職 後 1 年 就 職 後 3 年 以 上 不 明 ・ 無 回 答採 用 時 の 期 待 (とても 重 視 ) 企 業 が 求 める 達 成 時 期採 用 時 の 期 待 (あまり 重 視 しない) 企 業 が 求 める 達 成 時 期図 1-2-10 ビジネスマナー 等 の 各 項 目 に 期 待 される 達 成 時 期 ( 採 用 の 重 視 度 による 違 い)-107-


また、コミュニケーションの 項 目 においては「とても 重 視 する」と「あまり 重 視 しない」の 期 待 に、概 ね 3 ヶ 月 から 6 ヶ 月 くらいの 時 間 差 があり 、「とても 重 視 する」 企 業 の 方 が 期 待 している 達 成 時 期 が 早い。これに 対 し、ビジネスマナー 等 では「 挨 拶 等 の 基 本 」 以 外 の 4 領 域 で、 就 職 後 3 ヶ 月 時 点 に 着 目 すると 、「とても 重 視 する」 企 業 でも「あまり 重 視 しない」 企 業 でも 達 成 の 期 待 が 重 なっていることがわかる 。「とても 重 視 する」 企 業 では 就 職 時 の 達 成 を 期 待 する 企 業 が 多 いものの 、「あまり 重 視 しない」 企 業においても、 3 ヶ 月 までに 達 成 することを 求 めており、この 時 点 で 違 いがなくなっている。3 企 業 属 性 による 違 いについて表 1-2-6 に 企 業 規 模 別 、 業 種 別 の 違 いの 有 無 (χ 2検 定 による( **: < .01;*: < .05))を 示 した。コミュニケーションについて情 報 の 理 解情 報 の 伝 達報 告 ・ 連 絡 ・相 談表 1-2-6 期 待 する 達 成 時 期 ( 規 模 別 ・ 業 種 別 )規 業 ビジネスマナー 等 について規 業模 種 模 種**(1) 相 手 の 主 張 を 理 解 できる挨 拶 等 の (1) 挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる(2) 言 外 の 意 味 を 理 解 できる基 本 (2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける(3) 正 しい 理 解 のために 質 問 できる(3) 好 感 を 持 たれる 応 答 ができる(4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる電 話 の (4) 電 話 が 適 切 に 受 けられる(5) 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる使 い 方 の (5) 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる(6) 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる基 本 (6) 取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる(7) 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる(7) 電 話 のメモを 作 ることができる(8) 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる(8) 電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる(9) レジメを 活 用 して 説 明 できる(9) マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える(10) レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる訪 問 ・ (10) アポイントを 的 確 に 取 れる(11) 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる来 客 対 応 (11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている(12) 必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられるの 基 本 (12) 名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる(13) 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる(13) 適 切 に 自 己 紹 介 ができる(14) 困 ったときに 相 談 ができる(14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている意 思 の 表 明 (15) 5W1H を 明 確 にして 説 明 できる(15) 来 客 の 取 り 次 ぎができる相 手 の 意 見の 尊 重(16) TPO に 応 じて、 意 見 を 主 張 できる(16) 取 り 次 げない 来 客 の 対 応 ができる(17) わかりやすく 意 見 を 主 張 できる社 会 人 (17) 指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる(18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられるとしての (18) 指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる(19) 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない役 割 や 責 任 (19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができる(20) 苦 手 な 相 手 とでもつきあえる(20)他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる(21) 立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる(21) 組 織 における 立 場 を 理 解 している(22) 立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できる職 業 観 (22) 服 務 規 律 を 守 る意 見 集 約 (23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる(23) 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる*・ 交 換 (24) 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる(24) 業 務 指 示 を 最 後 までやり 抜 ける(25) 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える(25) 組 織 目 標 達 成 のために 目 標 を 立 てる組 織 内 外 の (26) 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える(26) ミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できる****行 動 (27) 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる(27) 知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する(28) グループや 集 団 で 行 動 できる(28) 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている(29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる ( **:1% 水 準 , *:5% 水 準 )(31) 感 情 のコントロールができる ****-108-


コミュニケーションにおける 規 模 別 の 違 いとしては 、“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる ”“ 相 手 の 言 動 を 意 識して 行 動 できる” の 2 項 目 で 【 企 業 規 模 が 大 きいほどに 早 い 時 期 の 達 成 を 期 待 する 傾 向 】 を 示 していた。その 他 に、 5 % 水 準 で 有 意 差 が 認 められた 4 項 目 については、 規 模 の 小 さい 企 業 において「 不 明 ・ 無 回答 」が 多 いことで 違 いが 生 じていた。ビジネスマナー 等 における 規 模 別 の 違 いでも 、“ 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる ”“ 時 間 、 期 限 を 守ることができる”については 、【 企 業 規 模 が 大 きいほどに 早 い 時 期 の 達 成 を 期 待 する 傾 向 】を 示 していた。なお、コミュニケーションにおいてもビジネスマナー 等 においても、 達 成 を 期 待 する 時 期 に 業 種 別 の違 いは 見 出 されなかった。(3) 達 成 のための 指 導1 達 成 のための 指 導 の 概 要 について達 成 の 指 導 ( 期 待 に 十 分 応 えられない 場 合 、どのように 指 導 するか)について 、「 原 則 として 個 別 指導 はしない 」「 状 況 を 見 ながら、 適 宜 、 指 導 する 」「 気 づいた 際 に、その 都 度 指 導 する」の 3 段 階 で 評 価を 求 めた。図1-2-11に 達 成 の 指 導 の 考 え 方 について、それぞれの 項 目 が 採 用 に 際 して 重 視 されている 順 に 領 域別 に 配 列 して 示 した。「 原 則 として 個 別 指 導 はしない」は、いずれの 領 域 ・ 項 目 でも 少 なかった。 達 成 を 期 待 されている 項目 については 、 未 達 成 の 場 合 、「 状 況 を 見 ながら 、 適 宜 、 指 導 する 」「 気 づいた 際 に、 その 都 度 指 導 する」のいずれかにより、 頻 度 と 形 態 ( 個 別 か 集 合 か 等 )が 異 なる 可 能 性 があるが、 何 らかの 指 導 が 行 われている 現 状 が 明 らかとなった。コミュニケーションの 各 領 域 の 項 目 については 、「 気 づいた 際 に、その 都 度 指 導 する」は「 状 況 を 見ながら、 適 宜 、 指 導 する」よりも 少 ない。 一 方 、ビジネスマナー 等 については 、「 気 づいた 際 に、その都 度 指 導 する」が「 状 況 を 見 ながら、 適 宜 、 指 導 する」を 上 回 る 課 題 がある。 具 体 的 には 、「 挨 拶 等 の基 本 」における“ 挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる ”“ 敬 語 の 種 類 他 表 現 を 使 い 分 ける ”、 「 電 話 の 使い 方 の 基 本 」におけるすべての 項 目 (“ マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える ”“ 電 話 が 適 切 に 受 けられる”“ 電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる ”“ 電 話 のメモを 作 ることができる ”“ 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる”“ 取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる ”)、 「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」における“ 時 間 、 期 限 を 守 ることができる ”“ 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる” 並 びに「 職 業 観 」における“ 服 務 規 律 を 守 る”の5領 域11 項 目 であった。こうした 項 目 については、その 場 の 指 導 によって 適 切 な 行 動 への 修 正 が 求 められるといった 対 応 を 考えている 企 業 が 概 ね 半 数 を 占 めているといえる。-109-


達 成 成 の 指 の 導 指 :コミュニケ-ション 導 :コミュニケ-ション達 成 達 の 指 成 導 の :ビジネスマナー 指 導 :ビジネスマナー相 手 相 の 手 主 の 主 張 を 理 解 できる できる34.734.757.857.84.74.7挨 拶 ・お ・お 詫 詫 びやお びやお 礼 が 礼 適 が 切 適 にできる 切 にできる55.055.035.735.73.33.3正 しい 正 理 しい 解 理 のために 解 のために 質 問 できる できる言 外 言 の 外 意 の 意 味 を 理 解 できる できる32.632.627.427.460.660.665.165.14.04.04.74.7好 感 を 持 たれる たれる 応 応 答 ができる 答 ができる敬 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 を い 使 分 い ける 分 ける40.540.550.050.048.248.240.740.75.63.35.63.3正 しく 正 しく 情 情 報 を 伝 えられる伝 達 伝 内 達 容 内 をまとめて 容 をまとめて 説 明 できる できる与 えられた 与 えられた 時 間 時 間 内 に 説 明 できる できる相 手 の 相 理 手 の 解 理 にあわせて 解 にあわせて 説 明 できる できるレジメを レジメを 活 用 活 して 用 して 意 意 見 を 伝 えられるレジメを レジメを 活 用 活 用 して して 説 明 できる できる説 明 に 説 必 明 に 要 必 なレジメを 要 なレジメを 作 成 できる できる38.938.933.733.728.128.124.324.323.823.825.125.125.125.154.254.259.359.363.663.666.466.465.965.966.366.366.866.83.33.33.23.24.54.55.55.55.85.84.74.74.34.3マナーに マナーに 則 して 則 して 携 帯 携 電 帯 話 電 を 話 使 える を 使 える電 話 が 適 切 に に 受 けられる 受 けられる電 話 で 適 切 な 言 い い 方 ができる 方 ができる電 話 のメモを 作 ることができる ることができる電 電 話 の 取 り 次 ぎが ぎが 適 適 切 にできる 切 にできる取 り り 次 次 げない げない 電 話 電 の 話 対 の 応 対 ができる 応 ができる50.050.051.351.348.348.349.349.350.850.850.050.037.537.538.538.541.541.541.241.238.738.740.040.06.16.13.33.33.83.83.03.03.83.83.33.3困 ったときに 困 ったときに 相 談 ができる適 切 適 切 な な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる できる必 要 な 必 要 情 な 報 情 を 報 簡 を 簡 潔 に 伝 えられる適 切 適 切 に に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる けができる40.740.746.246.241.441.436.936.953.853.850.050.054.554.557.657.62.72.71.31.31.51.52.82.8適 切 に 自 己 紹 紹 介 ができる 介 ができる訪 問 時 時 のマナーをわきまえているのマナーをわきまえている来 客 対 応 応 のマナーをわきまえているのマナーをわきまえているアポイントを 的 的 確 に 確 取 に れる 取 れる来 客 の 取 り り 次 次 ぎができる ぎができる40.940.943.943.944.444.440.440.443.743.750.550.549.549.548.748.752.852.849.249.25.55.53.23.23.83.83.53.53.33.35W1Hを 5W1Hを 明 確 明 にして 確 にして 説 明 できるわかりやすく わかりやすく 意 意 見 を 主 張 できる37.937.929.729.755.155.163.163.14.24.24.54.5取 り り 次 次 げない げない 来 客 来 の 客 対 の 応 対 ができる 応 ができる名 名 刺 の 受 け 渡 しが しが 適 適 切 にできる 切 にできる43.243.244.244.250.550.548.748.73.03.83.03.8TPOに TPOに 応 じて、 応 じて、 意 意 見 を 主 張 できる31.631.660.860.84.84.8時 間 、 期 限 を 守 ることができる ることができる54.354.338.038.04.74.7相 手 相 の 手 意 の 見 意 を 見 受 を け 入 れられる30.430.459.659.67.07.0他 者 に に 迷 迷 惑 をかけずに 惑 をかけずに 行 動 行 できる 動 できる47.547.543.043.06.16.1苦 手 苦 な 手 相 な 手 相 とでもつきあえる手 自 分 と 自 異 分 なる と 異 なる 考 え 考 え 方 を 否 定 しない立 場 の 立 場 違 の いをすばやく 違 いをすばやく 理 解 できる できる立 場 の 立 違 場 の いを 違 いを 理 解 理 解 して して 対 応 できる できる30.630.630.730.728.728.729.929.960.860.860.660.662.562.562.662.66.06.05.85.86.16.14.84.8組 織 における における 立 場 立 を 場 理 を 解 理 している 解 している指 示 内 容 の 要 点 点 を 整 を 理 整 できる 理 できる指 示 内 容 を 正 確 に に 伝 えられる 伝 えられる35.935.936.936.938.238.256.156.156.556.555.355.35.03.23.25.03.23.2複 数 の 複 数 他 の 者 他 と 者 意 と 意 見 見 交 換 が 行 える える 26.726.762.562.5相 手 の 相 意 手 の 見 意 の 見 整 の 理 整 理 、、 要 約 ができる28.428.461.861.8異 なる 異 意 なる 見 意 を 見 整 を 理 整 理 して して 要 約 できる できる 27.127.163.063.0組 織 の 組 規 織 の 則 規 に 則 従 に った 従 った 行 動 ができる43.443.448.348.3グループや グループや 集 集 団 で 行 動 できる できる 36.436.453.553.5感 情 感 のコントロールができる情 35.435.451.751.7職 場 の 職 場 慣 の 例 慣 ・ 例 慣 ・ 慣 行 に 対 応 できる できる37.037.053.753.7相 手 の 相 言 手 の 動 言 を 動 意 を 識 意 識 して して 行 動 できる できる 31.231.256.056.0仕 事 で 仕 接 事 する で 接 する 者 の 者 名 の 名 前 や 顔 を 覚 える える 32.132.150.850.87.87.86.66.67.07.04.84.86.66.69.39.36.06.09.19.113.313.30% 0% 20% 20% 40% 40% 60% 60% 80% 80% 100% 100%服 務 務 規 律 規 を 律 守 を る守 る54.254.237.737.74.74.7業 務 務 指 指 示 を 示 最 を 後 最 までやり 後 までやり 抜 ける抜 ける 38.438.454.854.83.33.3知 識 ・ 技 能 を 進 んで んで 習 得 習 する 得 する 32.132.156.556.58.08.0指 示 系 統 統 に 沿 に って 沿 って 業 務 業 を 務 遂 を 行 遂 できる 行 できる 45.845.847.747.73.03.0組 織 目 標 標 達 達 成 のために 成 のために 目 標 目 を 標 立 てる を 立 てる 32.632.661.361.32.72.7次 なる なる 課 課 題 の 題 発 の 見 発 を 見 考 を えている 考 えている 30.730.759.359.36.06.0ミスなどの ミスなどの 状 況 状 を 況 適 を 切 適 に 切 説 に 明 説 できる 明 できる 41.541.552.752.72.02.00% 0% 20% 20% 40% 40% 60% 60% 80% 80% 100% 100%気 付 いたときにその いたときにその 都 度 都 指 度 導 指 する 導 する 状 況 をみながら 状 況 をみながら 適 宜 指 導 適 する宜 指 導 する原 則 として 個 個 別 別 指 導 指 はしない 導 はしない不 明 ・ 無 不 回 明 答 ・ 無 回 答図 1-2-11コミュニケーションとビジネスマナー 等 の 各 項 目 に 対 する 指 導2 企 業 属 性 による 違 いについて表 1-2-7 に 企 業 規 模 別 、 業 種 別 の 違 いの 有 無 (χ 2検 定 による( **: < .01;*: < .05))を 示 した。コミュニケーションについては、 企 業 規 模 別 の 違 いが 見 出 されている。 2 種 類 の 回 答 傾 向 が 見 出 されており 、「 原 則 として 個 別 指 導 をしない」の 比 率 が「 55 人 以 下 」の 規 模 で 高 い 項 目 と 、「 300 ~ 999 人 」の 規 模 で 高 い 項 目 に 大 別 された。-110-


「 原 則 として 個 別 指 導 をしない」の 比 率 が「 55 人 以 下 」の 規 模 で 高 い 項 目 としては 、「 意 思 の 表 明 」の“ TPO に 応 じて 意 見 を 主 張 できる ”“わかりやすく 意 見 を 主 張 できる”の 2 項 目 、「 相 手 の 意 見 の 尊重 」の“ 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない ”“ 立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる ”“ 立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できる”の3 項 目 であった。一 方 、「 原 則 として 個 別 指 導 をしない」の 比 率 が「 300 ~ 999 人 」の 規 模 で 高 い 項 目 としては 、「 報 告・ 連 絡 ・ 相 談 」の“ 困 ったときに 相 談 ができる ”“ 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる ”“ 必 要 な 情 報を 簡 潔 に 伝 えられる ”“ 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる”の 4 項 目 、「 意 思 の 表 明 」の“ 5W1H を 明確 にして 説 明 できる”の1 項 目 であった。ただし 、「 原 則 として 個 別 指 導 をしない」については、 全 体 としては 多 く 選 択 されているわけではない 点 に 注 意 が 必 要 である。コミュニケーションについては、 業 種 別 の 違 いが 見 出 されなかった。また、ビジネスマナー 等 については、 規 模 別 ・ 業 種 別 の 違 いが 見 出 されなかった。表 1-2-7 個 別 指 導 の 実 施 ( 規 模 別 ・ 業 種 別 )情 報 の 理 解情 報 の 伝 達報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談意 思 の 表 明相 手 の 意 見 の尊 重意 見 集 約 ・ 交 換組 織 内 外 の 行 動コミュニケーションについて(1) 相 手 の 主 張 を 理 解 できる(2) 言 外 の 意 味 を 理 解 できる(3) 正 しい 理 解 のために 質 問 できる(4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる(5) 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる(6) 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる(7) 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる(8) 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる(9) レジメを 活 用 して 説 明 できる(10) レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる(11) 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる(12) 必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられる(13) 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる(14) 困 ったときに 相 談 ができる(15) 5W1H を 明 確 にして 説 明 できる(16) TPO に 応 じて、 意 見 を 主 張 できる(17) わかりやすく 意 見 を 主 張 できる(18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる(19) 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない(20) 苦 手 な 相 手 とでもつきあえる(21) 立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる(22) 立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できる(23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる(24) 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる(25) 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える(26) 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える(27) 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる(28) グループや 集 団 で 行 動 できる(29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる(31) 感 情 のコントロールができる規 模*************達 成 指 導業 種( **:1% 水 準 , *:5% 水 準 )-111-


(4) 研 修 体 制1 研 修 内 容 との 対 応 についてコミュニケーションの 7領 域 とビジネスマナー 等 の 5 領 域 について、 初 任 者 研 修 においては「 集 合 研修 」「 OJT( 実 際 の 仕 事 の 場 で 行 う 人 材 育 成 )」「 Off-JT( 仕 事 を 離 れて 行 う 人 材 育 成 )」といった 研 修 形 態の 内 容 として 位 置 づけられているか、その 他 に「 自 己 啓 発 」で 行 うこととして 位 置 づけられているかについて、 該 当 する 研 修 体 制 を 複 数 回 答 で 求 めた。なお、 領 域 毎 の 回 答 に 際 しては、 本 調 査 で 定 義 した 各 領 域 の 下 位 項 目 を 参 考 とした 判 断 を 求 めることとした。図 1-2-12 にそれぞれの 領 域 に 関 する 企 業 の 研 修 形 態 毎 の 回 答 を 示 す。 集 合 研 修 、 OJT の 個 別 対 応 については、いずれの 領 域 においても 30 % 前 後 の 企 業 において 実 施 されていた。 Off-JT や 自 己 啓 発 は 比較 すると 相 対 的 に 実 施 する 企 業 が 少 ないものの、いずれの 領 域 においても25% 前 後 の 企 業 において 実施 されていた。こうした 傾 向 について、 企 業 規 模 並 びに 業 種 による 違 いは 見 出 されなかった。40%%コミュニケーション40%ビジネスマナー 等ビジネスマナー 3030202010100情報の理解情報の伝達報告・連絡・相談意思の表明相手の意見の尊重意見集約・交換集 合 研 修 OJTで 個 別 実 施 Off-JTで 個 別 実 施 自 己 啓 発組織内外の行動0挨拶等の基本電話の使い方の基本訪問・来客対応の基本社会人としての役割や責任職業観図 1-2-12コミュニケーションとビジネスマナー 等 の 各 項 目 の 研 修 について2 研 修 形 態 の 組 み 合 わせについて「 集 合 研 修 」「 OJT の 個 別 対 応 」「 Off-JT の 個 別 対 応 」の 組 み 合 わせに 基 づき、 現 実 の 研 修 体 制 について 再 構 成 し 、「 自 己 啓 発 のみ」を 算 出 して 表 示 した 結 果 を 図 1-2-13 ~ 14 に 示 す。集 合 研 修 を 実 施 している 企 業 ( 図 中 「 集 合 研 修 +α 」)についてみると、「 集 合 研 修 のみで 対 応 」が 最も 多 く 、 20 % 前 後 の 企 業 で 実 施 されていた 。 次 いで 、「 集 合 研 修 と OJT の 個 別 対 応 の 組 み 合 わせ」が 10% 弱 、「 集 合 研 修 と Off-JT の 個 別 対 応 の 組 み 合 わせ」 が 3 % 弱 であった 。「 集 合 研 修 」「 OJT の 個 別 対 応 」「 Off-JT の 個 別 対 応 」のすべてを 組 み 合 わせて 研 修 体 制 を 組 んでいる 企 業 は 2 % 程 度 であった。これに 対 して、 集 合 研 修 を 実 施 していない 企 業 ( 図 中 「 個 別 対 応 のみ 」)についてみると、「OJT の 個別 対 応 と Off-JT の 個 別 対 応 の 組 み 合 わせ」は 5 % 前 後 であった。これに 対 し 、「 OJT の 個 別 対 応 のみで-112-


実 施 」「 Off-JT のみで 実 施 」がそれぞれ 15 %~ 17 % 程 度 であった。50% 50(4040303016.416.415.415.418.118.117.317.316.616.614.614.615.615.62020% )OJT・OffJT OJT OffJT 集 合 研 修 のみ18.3 19.418.3 19.420.120.118.118.120.920.919.819.820.920.910100019.617.819.615.416.816.415.317.815.416.815.916.415.33.03.32.32.53.32.515.92.03.02.33.02.02.03.02.010.5 7.58.513.37.87.39.310.5 7.58.59.510.113.36.810.610.57.87.36.39.39.510.16.810.6 6.510.56.34.24.36.53.34.21.5 4.31.31.83.04.25.14.81.23.31.51.31.83.01.0 4.21.7 5.11.0 4.81.21.01.71.0集 個 自 集 個 自 集 個 自 集 個 自 集 個 自 集 個 自 集 個 自集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみα み み α み み α み み α み み α み み α み み α み み情 報 の 理 解 情 報 の 伝 達 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 意 思 の 表 明 相 手 の 意 見 の 尊 重 意 見 集 約 ・ 交 換 組 織 内 外 の 行 動情 報 の 理 解 情 報 の 伝 達 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 意 思 の 表 明 相 手 の 意 見 の 尊 重 意 見 集 約 ・ 交 換 組 織 内 外 の 行 動OJT・OffJT OJT OffJT 集 合 研 修 のみ図 1-2-131-2-13コミュニケーションの 領 域 に 関 する 研 修 体 制 の 現 状 についてコミュニケーションの する について50% 50(40403030202018.818.8% )OJT・OffJT OJT OffJT 集 合 研 修 のみ15.115.118.918.911.611.619.419.414.614.618.318.310.810.820.420.413.813.810100015.311.817.11.51.015.311.817.11.01.5 10.113.82.210.13.72.33.7 13.82.215.3 8.52.39.315.3 8.513.5 12.8 9.37.512.013.5 7.8 12.87.113.37.512.07.8 7.113.37.35.36.57.35.33.74.76.53.74.73.24.21.71.23.21.5 4.21.71.21.5集 個 自 集 個 自 集 個 自 集 個 自 集 個 自集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己 集 合 個 別 自 己合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓 合 研 別 対 己 啓研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発 研 修 対 応 啓 発修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の 修 + 応 の 発 の+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみ+αのみのみα み み α み み α み み α み み α み み挨 拶 等 の 基 本 電 話 の 使 い 方 の 基 本 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 職 業 観挨 拶 等 の 基 本 電 話 の 使 い 方 の 基 本 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 職 業 観OJT・OffJT OJT OffJT 集 合 研 修 のみ図 1-2-141-2-14ビジネスマナー 等 の 領 域 に 関 する 研 修 体 制 の 現 状 についてビジネスマナー する について研 修 体 制 についてみると、いずれの 領 域 においても「 集 合 研 修 のみ」と「 OJT のみ」が 第 1 順 位 もし-113-


くは 第 2 順 位 を 占 めており、 第 3 順 位 は「 Off-JT のみ」とあわせて 単 一 の 研 修 形 態 で 研 修 を 実 施 する 企業 が 概 ね 半 数 強 を 占 めていた。コミュニケーションの 領 域 に 関 する 項 目 について 、「 集 合 研 修 のみ」 もしくは 「 集 合 研 修 + 個 別 対 応 」といった 集 合 研 修 での 研 修 体 制 を 持 つ 企 業 は 、「 個 別 対 応 のみ」 企 業 よりも 多 いのに 対 し、ビジネスマナー 等 の 領 域 に 関 する 項 目 については 、「 電 話 の 使 い 方 の 基 本 」「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」「 職 業 観 」の 領 域 では 、 集 合 研 修 を 実 施 する 企 業 は 個 別 対 応 のみの 企 業 との 比 較 において 同 等 もしくは 少 なかった。集 合 研 修 と 個 別 研 修 のいずれにも 回 答 のなかった 企 業 のうち、 項 目 の 課 題 達 成 を「 自 己 啓 発 」に 位 置づけている 企 業 ( 図 中 「 自 己 啓 発 のみ 」)については、 組 織 的 な 研 修 ではなく 達 成 を 個 人 に 任 せているとみることができる。こうした 企 業 はコミュニケーションにおいてては、 13 ~ 15 %であった。10% 強 、ビジネスマナー 等 においただし、 集 合 研 修 と 個 別 研 修 のいずれにも 回 答 のなかった 企 業 の 中 には、 自 己 啓 発 についても 回 答 がない、もしくは 研 修 体 制 そのものが 明 確 でない 企 業 もあり、こうした 企 業 の 割 合 はいずれの 領 域 においても20 %を 超 えていた。以 上 の 全 体 的 な 回 答 傾 向 については、 企 業 規 模 、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった。(5) 配 慮 の 現 状 と 課 題1 指 導 により 問 題 解 決 が 図 られた 事 例 について( 自 由 記 述 )表 1-2-8 にコミュニケーションにおける 問 題 への 対 応 例 としてあげられた 内 容 を 示 す。表 1-2-8会 話 を 増 やすために業 務 内 の 様 々な 機 会 を 利 用 する( 25 件 47 %)研 修 以 外 の 指 導 を 実 施 する( 20 件 38 %)指 導 側 と 問 題 の 当 事 者 に 研 修( 11 件 21 %)コミュニケーションにおける 問 題 対 応 の 例報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 徹 底日 報 作 成 の 習 慣 化グループミーティングの 実 施会 議 における 発 言 や 提 案 の 促 進メールや 電 話 を 会 話 に 変 更本 音 ミーティングの 励 行 等メンター 制 度 の 導 入個 別 相 談 指 導 の 継 続マンツーマンのきめ 細 かい 指 導指 示 の 確 認 を 行 い、 自 ら 考 える 習 慣 の 重 視指 導 する 社 員 にコーチング 研 修 の 導 入教 わり 方 の 指 導 等等問 題 を 指 摘 して 自 己 修 正 を 自 己 中 心 的 な 価 値 観 の 是 正図 らせる ( 8 件 15 %)自 己 の 客 観 視 と 周 囲 への 影 響 を 理 解 する 行 動 の 指 示 等業 務 外 でも 人 間 関 係 を 作 る( 4 件 8%)仕 事 を 離 れた 場 で 本 音 で 会 話 する 機 会 の 設 定歓 迎 会 や 懇 親 会 などの 場 の 活 用 等代 替 手 段 の 活 用 により 理 解 を 文 書 による 報 告 を 提 案深 める ( 2件 4%)日 報 による 報 告 に 対 するコメント 記 入 等-114-


コミュニケーションに 関 しては、 問 題 への 対 応 が 図 られて 改 善 につながった 事 例 として 53件 の 回 答があった( 対 人 対 応 のない 部 署 への 異 動 による 問 題 対 応1 例 を 含 む )。 代 替 手 段 の 活 用 でコミュニケーションの 問 題 を 補 完 するという 対 応 は 少 なく、 実 地 に 機 会 を 捉 えて 会 話 を 重 ねる 方 法 により 問 題 解 決 に至 っていることがわかる。そのために、 個 別 面 談 ばかりでなく、メンター 制 度 やグループによる 指 導 が行 われていたが、 基 本 的 には 個 人 の 気 づきと 自 覚 を 促 すことによる 自 己 修 正 が 期 待 されてとみることができる。 中 には、 周 囲 の 社 員 教 育 により 指 導 効 果 を 高 めることを 期 待 するなど、 問 題 解 決 が 容 易 ではない 実 態 も 推 察 される。なお、 53件 の 回 答 の 他 に「コミュニケーションに 問 題 のある 社 員 は 採 用 していない」という 記 述 が3 件 あったことを 付 記 しておく。表 1-2-9 にビジネスマナー 等 における 問 題 への 対 応 例 としてあげられた 内 容 を 示 す。ビジネスマナー 等 に 関 しては、 問 題 への 対 応 が 図 られて 改 善 につながった 事 例 として43件 の 回 答 があった。 問 題 対 応 のために、モデルを 示 すなど、コミュニケーションよりもさらに 個 別 具 体 的 な 指 導 が実 施 されていた。そのために、 社 内 のみならず 外 部 講 師 の 導 入 も 行 われていた。さらには、 個 別 面 談 ばかりでなく、メンター 制 度 やグループによる 指 導 が 行 われていたが、 特 徴 的 であったのは、 独 自 のルール 集 ・マナー 集 や 市 販 の 書 籍 、ビデオ 等 を 活 用 するなどがあげられている 点 である。なお、 43件 の 回答 の 他 に、ここでも「ビジネスマナーに 問 題 のある 社 員 は 採 用 していない」という 記 述 がとを 付 記 しておく。2 件 あったこ表 1-2-9個 別 に 具 体 的 に 対 応 する( 26 件 60 %)ビジネスマナー 等 における 問 題 対 応 の 例徹 底 のために、 少 人 数 毎 のチェック 体 制 を 導 入メンター 制 度 の 導 入社 会 人 としての 心 構 えを 面 談 によって 確 認 等マナー 教 育 を 徹 底 する( 10 件 23 %)教 材 を 活 用 する( 8 件 19 %)職 員 をインストラクターとして 教 育外 部 講 師 によるロールプレイの 導 入独 自 のルール 集 ・マナー 集 を 作 成ビデオ 教 材 やクイズ 形 式 の 教 材 の 活 用等等2 問 題 解 決 が 困 難 となった 事 例 について( 自 由 記 述 )コミュニケーションの 問 題 で 雇 用 継 続 が 困 難 となった 例 を 表 1-2-10 に 示 す。行 動 上 の 問 題 、 対 人 態 度 の 問 題 に 加 えて 、 本 人 の 役 割 理 解 の 問 題 が 指 摘 されていた 。 行 動 上 の 問 題 は、主 として 職 場 で 求 められる 行 動 様 式 や 規 律 に 違 反 する 等 、 社 会 的 ・ 組 織 的 な 行 動 をとることができなかったことを 背 景 としており、 上 司 の 指 導 等 で 改 善 されなかったという 点 でコミュニケーションの 問 題 として 認 識 されていた。また、 対 人 態 度 の 問 題 としては、 他 者 への 情 報 発 信 や 働 きかけ、 自 らの 立 場 の 理解 等 、いわゆる 本 人 のコミュニケーション・スキルの 問 題 があげられていた。さらには、 役 割 理 解 の 問題 としては、 字 義 通 りに 指 示 や 説 明 を 受 けとめた 結 果 、 適 切 でない 行 動 に 結 びついた 例 としてあげられていた。-115-


表 1-2-10行 動 上 の 問 題 ( 規 律 違 反 )コミュニケーションの 問 題 による 雇 用 継 続 困 難 の 例備 品 の 私 的 流 用 をくり 返 した( 注 意 を 促 しても) 身 上 書 が 提 出 されない虚 偽 の 欠 勤 報 告 / 虚 偽 の 報 告 ( 業 務 )組 織 の 規 則 ・ 慣 行 に 従 った 行 動 ができない等対 人 態 度 の 問 題自 己 主 張 のみ 一 方 的 に 伝 達 しようとする( 自 分 の 考 えが 唯 一 と 信 じている)自 分 の 立 場 の 説 明 に 終 始 し、 自 分 の 置 かれている 位 置 を客 観 視 できない自 身 が 不 快 に 思 うことに 過 剰 にこだわり、 原 因 となる人 物 に 対 して 暴 力 をふるう 素 振 りや 暴 言 を 吐 く身 近 な 先 輩 との 相 性 があわない自 分 から 周 囲 に 関 わろうとする 姿 勢 が 全 くない自 ら 話 しかけるのが 苦 手 で 表 現 ができない役 割 理 解 の 問 題自 分 の 役 割 を 果 たすために、 休 日 も 業 務 するなど、精 神 的 にも、 肉 体 的 にも 疲 弊 した新 入 社 員 研 修 で「やる 気 のない 人 は、 会 社 にとっても本 人 にとっても 不 幸 だ」と 先 輩 が 話 したら、 次 の 日 に会 社 を 辞 めてしまったこうした 問 題 に 対 し 、 企 業 は 「 本 人 より 話 があった 時 は 、 既 に 遅 い 。 説 得 しても 無 理 と 判 断 している」など、 早 めの 対 応 を 検 討 している 一 方 で、コミュニケーションの 問 題 だけではなく、 期 待 される 水 準 で作 業 遂 行 できないなどの 問 題 で 雇 用 継 続 不 可 能 になった 例 があるという 回 答 もあった。ビジネスマナー 等 については、 雇 用 継 続 困 難 の 事 例 は 少 なかった。 行 動 上 の 問 題 としては 、「 公 私 混同 による 顧 客 とのつきあい。 情 報 ( 社 内 機 密 ) 漏 洩 」があげられていた。また、 対 人 態 度 の 問 題 としては 、「 自 身 が 不 快 に 思 うことに 過 剰 にこだわり、 原 因 となる 人 物 に 対 して 暴 力 をふるう 素 振 りや 暴 言 を吐 く」について、コミュニケーション・スキルの 問 題 だけでなくビジネスマナーの 問 題 としてもあげられていた。ここでも、ビジネスマナーの 問 題 だけではなく、 作 業 遂 行 などの 問 題 で 雇 用 継 続 不 可 能 になった 例 があるという 回 答 があった。-116-


第 3 節調 査 結 果 : 職 場 のルールの 理 解 について1. 職 場 におけるルールを 検 討 する 視 点 : 企 業 就 労企 業 におけるルールが、 職 種 や 企 業 規 模 を 問 わずに 共 通 するのか、あるいは、 職 種 や 企 業 規 模 によって 異 なるのかを 明 らかにする。 ただし、 ここで 検 討 される 場 面 は 、 特 例 子 会 社 における 調 査 で 用 いた 「 場面 に 適 切 ではない 行 動 」がおこりがちな11 の 場 面 に 関 してである。調 査 は、 特 例 子 会 社 対 象 調 査 と 同 様 の 形 式 で 行 われた。すなわち、 11 場 面 について「 考 え 方 」を4通 り 用 意 し、 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる「 考 え 方 」を 選 択 するよう 求 めた。ただし、 選 択 肢に 適 切 な 考 え 方 がない 場 合 は、5 番 目 の 選 択 肢 として、 具 体 的 にどのような 対 応 を 考 えるかについて 記入 するよう 求 めた。また、それぞれの 場 面 に 関 する 望 ましい 行 動 について、 初 任 者 研 修 において 対 象 としたかどうかについて 尋 ねた。以 下 の 場 面 1 ~ 11 に 関 する 新 入 社 員 の A さんのエピソードを 記 述 した。場 面 1 : 備 品 の 私 的 利 用場 面 2 : 始 業 時 間 に 関 する 理 解場 面 3 : 遅 刻 の 連 絡場 面 4 : 毎 日 のあいさつ場 面 5 : 作 業 中 の 返 事場 面 6 : 指 示 に 従 う場 面 7 : 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事場 面 8 : 作 業 終 了 の 報 告場 面 9 :ミスの 報 告場 面 10:わからないときの 質 問場 面 11: 共 用 備 品 の 管 理企 業 を 対 象 とした 調 査 結 果 のとりまとめに 際 しては、まず、 11場 面 に 適 切 とされる 行 動 の 考 え 方 について、1 職 種 に 共 通 するルールがあるのかを 明 らかにする。ついで、2 企 業 規 模 によって 求 められるルールが 異 なるのかについて 検 討 する。もし、 職 種 、 企 業 規 模 を 問 わずに 共 通 したルールがあるのであれば、 就 労 前 の 支 援 において、あらかじめルールに 基 づく 行 動 を 指 導 することが 可 能 であると 考 えられるからである。また、311場 面 に 関 する 行 動 について 初 任 者 研 修 の 対 象 としているのかについても 検討 する。なぜなら、 初 任 者 研 修 の 対 象 とならないルールの 獲 得 に 関 しては、 就 労 前 の 支 援 がより 重 要 と考 えられるからである。2. 職 種 に 関 する 検 討 : 回 答 の 一 致 率 について「 全 職 種 に 共 通 しているか」を 尋 ねると 共 に、 職 種 によって 異 なる 場 合 には「 事 務 職 」「 現 業 職 」「 営業 職 」「その 他 」のいずれかに 回 答 し、それぞれの 職 種 毎 に 求 められる 望 ましい 考 え 方 を 個 別 に 回 答 するよう 求 めた( 場 面 毎 の 回 答 について 表 1-3-1 に 示 す )。-117-


その 結 果 、 11 場 面 中 、 場 面 7( 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 )を 除 く、 10 場 面 に 関 しては「ルールは全 職 種 に 共 通 である」 との 回 答 が 90 %を 越 えた。 また 、 場 面 7に 関 しても 、 90 %を 下 回 ったとはいえ、88.2%と 高 かった。したがって、これらの 11 場 面 に 関 しては、 職 種 を 問 わず、 企 業 において 守 るべきルールが 共 通 しているといえる。表 1-3-1 ルールについての 考 え 方 ( 職 種 に 関 する 検 討 )場 面 全 職 種 に 共 通 職 種 で 異 なる 不 明 ・ 無 回 答 場 面 全 職 種 に 共 通 職 種 で 異 なる 不 明 ・ 無 回 答1 96.7 % 0.2 % 3.2 % 7 88.2 % 7.1 % 4.5 %2 95.8 % 1.0 % 3.2 % 8 96.0 % 0.7 % 3.3 %3 96.3 % 0.3 % 3.3 % 9 95.7 % 1.0 % 3.3 %4 96.2 % 0.5 % 3.3 % 10 94.9 % 1.7 % 3.5 %5 95.5 % 1.0 % 3.3 % 11 96.2 % 0.5 % 3.3 %6 92.5 % 3.7 % 3.8 % ( N = 602 社 )そこで、まず、 全 職 種 に 共 通 する「 企 業 が 望 ましいと 考 える“ 考 え 方 ”」を 明 らかにし、ついで、 場面 7に 関 して、 職 種 で 異 なるとされた 内 容 ( 回 答 率 、 7.1 %)について 分 析 する。なお 、 各 場 面 において、 いずれの 項 目 (「 全 職 種 に 共 通 」、 職 種 によって 異 なる 場 合 には 「 事 務 職 」「 現業 職 」「 営 業 職 」「その 他 」)についても 回 答 がなかった 企 業 に 関 しては 欠 損 値 として 分 析 から 除 外 した( 以 下 の 分 析 においても 同 様 )。(1) 一 致 率 が 90 %を 越 える 場 面 : 全 職 種 共 通11 場 面 のうち、 あらかじめ 用 意 された4つの 選 択 肢 からの 回 答 が 多 く、 また、 その 回 答 の 一 致 率 ( 4つのうち 特 定 の1つの 選 択 肢 が 選 択 された 割 合 : 表 中 網 掛 けにより 示 す)が90%を 越 える 場 面 は8 場面 ( 備 品 の 私 的 利 用 ・ 始 業 時 間 に 関 する 理 解 ・ 遅 刻 の 連 絡 ・ 毎 日 のあいさつ・ 作 業 中 の 返 事 ・ 作 業 終 了の 報 告 ・ミスの 報 告 ・ 共 用 備 品 の 管 理 )であった。【 場 面 1: 備 品 の 私 的 利 用 】係 長 から、「これらの 文 房 具 は、 AAさんが 使 って 良 いものです」と 説 明 をうけ、 自 宅 用 に 持 って 帰 った。考 え 方( 有 効 回 答 582 582社 )%1「 AAさんが 使 っても 良 い」と 言 われたものだから、 特 に 問 題 はない。0.52 会 社 で 使 うものなので、 持 って 帰 るのは 良 くない。96.93 セロハンテープは 使 えばなくなるものだから、また、 新 しいセロハンテープをもらえばいい。 0.74 持 って 帰 るのは 良 くないかもしれないが、「 持 って 帰 ってはいけない」と 言 われていないから 0.2特 に 問 題 はない。5 その 他 ( )1.2「その 他 」に 」に 記 述 (8 (8 社 )8 社 の 内 訳 としては、・ 私 物 の 私 的 利 用 に 関 しては、 処 罰 の 対 象 (2 (2 社 )・ 会 社 の 備 品 は 会 社 内 で 利 用 する( 持 って って 帰 ってはいけない)(3 社 )・ 会 社 の 備 品 を 持 ち 帰 ってはいけないが 伝 えていない(1 社 )・ 一 概 には には 言 えない(1 社 )-118-


【 場 面 2: 始 業 時 間 に 関 する 理 解】始 業 時 間 は 10時 。しかし、Aさんは 10時 頃 に 会 社 に 着 き、 用 意 をして、 仕 事 を 始 めるのは 10 10時 時 30 30 分 分 頃 頃 。。考 え 方( 有 効 回 答577社 )%1 1 仕 事 仕 は 事 は 10 10 時 時 からだから、 少 し 少 遅 し れた 遅 れた 分 は、 分 は、 残 業 残 業 すればいい。22 だいたい 10 10 時 時 くらいに 会 社 会 に 社 着 に 着 いているのは 良 良 いけれど、 仕 事 仕 を 事 始 を める 始 める 時 間 時 が 間 少 が し 少 遅 し い。 遅 い。3 3 仕 事 仕 は 事 は 10 10 時 時 からだから、 10 10 時 に 時 仕 に 事 仕 を 事 始 を 始 めなければいけない。44 だいたい 10 10 時 に 時 着 に 着 いているし、 仕 事 仕 の 事 前 の 前 にトイレに 行 行 っておくなど、 準 備 準 を 備 整 を 整 えてから作 業 作 に 業 取 に 取 りかかるのは 良 い 良 考 い えだ。 考 えだ。55その その 他 ( 他 ( )「その 他 」に 記 述 (19 社 )19 社 の 内 訳 としては・5 分 (もしくは10 分 前 )に 着 くことを 指 導 するなど(7 社 )・10 時 に 作 業 を 開 始 するので、 早 めに 準 備 をしなくてはならないなど(8 社 )( 下 記 は1 社 ずつ)・10 時 頃 に 会 社 に 到 着 していれば 良 いが、 遅 刻 は 避 けるべき。・10 時 までに 会 社 に 到 着 しなければならない。・ 一 概 に、 言 えない。・ 始 まる30 分 前 に 会 社 着 ミーティングして 仕 事 。 始 業 が 遅 れる 場 合 には 上 司 に 許 可 を 得 る。0.01.093.41.93.5【 場 面 3: 3: 遅 刻 の 連 絡】始 業 時 間 は1010時0000分 。 電 車 が 遅れてれて 到 着 時 刻 は1010時3030分 頃 の 予 定 。連 絡はせず、はせず、 急いでいで 会 社 に 向かうかう考 え 方( 有 効 回 答580580社 )%1 報 告よりも、まず、よりも、まず、 会 社に「に「 急いでいで 来た」というのはた」というのは 良 い 判 断だ。だ。0.0 0.02 先 に 連 絡したした 方 が 良かったとはかったとは 思うけど、うけど、3030分くらいのくらいの 遅 刻だし、だし、 遅れたれた 原 因 は 0.3 0.3AAさんはないからさんはないから 仕 方ない。ない。3 遅れたれた 原 因 はAAさんではないのに、いろいろさんではないのに、いろいろ 説 明しなくてはいけなくてしなくてはいけなくて 大 変だ。だ。 0.0 0.04会 社 に 着くのはさらにくのはさらに 遅れるかもしれないけど、とりあえず、れるかもしれないけど、とりあえず、 遅れたれた 理 由 と 何 時 97.1 97.1にに会会社社にに着着くかをくかを先先にに連連絡絡しておいたしておいた方方がよい。がよい。5そのその他他 ( ) 2.1 2.1「その「その他他」に」に記記述述(1(1社社))決決められためられた時時刻刻3030分分前前迄迄にに上上司司にに連連絡絡。。【 場 面 4 : 毎 日 のあいさつ 】【 場 面 4 : 毎 日 のあいさつ 】挨 拶 が 返 ってこないこともあるが、 A さんは、 自 分 から 誰 にでも、 毎 日 「おはようございます」と元 挨 気 拶 よくあいさつをする。が 返 ってこないこともあるが、 A さんは、 自 分 から 誰 にでも、 毎 日 「おはようございます」と元 気 よくあいさつをする。考 え 方 ( 有 効 回 答 579 社 )%考 え 方 ( 有 効 回 答 579 社 ) %1 あいさつができる A さんは、コミュニケーションの 基 本 がわかっている。98.61 あいさつができる A さんは、コミュニケーションの 基 本 がわかっている。98.62 あいさつは 必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない。0.32 あいさつは 必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない。0.33 A さんに、 毎 日 、 毎 日 、あいさつされている 人 は、うるさいだろう。0.03 A さんに、 毎 日 、 毎 日 、あいさつされている 人 は、うるさいだろう。0.04 あいさつの 返 ってこない 人 にまで、あいさつするなど、ムダなことだ。0.04 あいさつの 返 ってこない 人 にまで、あいさつするなど、ムダなことだ。0.05 その 他 ( ) 0.95 その 他 ( ) 0.9「その 他 」に 記 述 (6 社 : 各 1 社 ずつ)「その・「 他 」に 朝 のあいさつ 記 述 (6 社 笑 : 顔 各 ですれば 1 社 ずつ) 和 となし 利 を 生 む」 会 社 の 信 念 です。・「 ・ 常 朝 識 のあいさつ 。 笑 顔 ですれば 和 となし 利 を 生 む」 会 社 の 信 念 です。・ 常 挨 識 拶 。 が 返 ってこなくても 続 ける 方 がよい。・ 挨 一 拶 概 が に、 返 ってこなくても 言 えない。 続 ける 方 がよい。・ 一 状 概 況 に、 をわきまえ、あいさつをする。言 えない。・ 状 会 況 社 をわきまえ、あいさつをする。でのあいさつの 統 一 徹 底 が 必 要 。・ 会 社 でのあいさつの 統 一 徹 底 が 必 要 。-119-


【 場 面 5: 作 業 中 の 返 事】データの 入 力 中 に 上 司 に 名 前 を 呼 ばれましたが、 区 切 りの 良 いところまで 入 力 してから、 返 事 をした。考 え 方( 有 効 回 答 575社 )%1 AA さんは、 仕 事 仕 に 事 集 に 中 集 中 しているのだから、やむを 得 ない。 得 ない。0.72 AA さんがデータを 入 力 入 中 力 中 なことは 見 見 ればわかるのだから、 上 司 上 は司 Aは さんの A さんの 様 子 様 を 子 見 を て見 て 2.8声 をかければいい。3 名 前 名 を 前 呼 を 呼 ばれたのには、 何 何 か か 理 理 由 由 があるのだろうから、A Aさんはすぐに 返 事 をした 方 がいい。 91.74 名 前 名 を 前 呼 を 呼 ばれたら、すぐに 返 事 返 事 をしないといけないが、A Aさんはデータの 入 力 入 中 力 中 だったし、 1.7区 切 りの 良 いところで 返 事 をしているのだから 問 題 はない。5その 5 その 他 他 (「その 「その 他 」に 」に 記 述 (13 (13 社 ): )13 13 社 社 の の 内 内 訳 訳 としては、・すぐに ・すぐに 返 事 返 事 +「 +「 少 し 待 って って 下 さい」と 伝 える、もしくは 状 況 を 説 明 する。(8 社 )・ 状 ・ 況 状 による( 況 による( 一 概 一 に 概 言 に 言 えない)(2 社 ) 社 )・すぐに ・すぐに 返 事 返 をし、 事 をし、 区 切 区 りの 切 りの 良 良 いところで 対 応 対 。(1 応 。(1 社 ) 社 )・すぐに ・すぐに 動 動 けなくても 返 事 返 事 はすべき。(1 社 ) 社 )・ 作 ・ 業 作 の 業 中 の 断 中 の 断 為 の の 為 安 の 全 安 確 全 保 確 を 保 優 を 先 優 先 すべき。(1 社 ) 社 )) 2.113 社 13 中 社 10 中 社 10 は、その 社 は、その 後 の 後 対 の 応 対 等 応 への 等 への 回 答 回 は 答 異 は 異 なるが、「すぐに 返 事 返 事 をする」ことについては 共 通 共 。 通 。【 場 面 8: 作 業 終 了 の 報 告 】11時 15分 までにコピーをしておくように 上 司 に 命 じられたAさんは、 11時 00分 に 作 業 を 終 えたが、その 後 、 席 に 戻 って 休 み、 11 時 15分 になってから 上 司 にコピーができたことを 報 告 した。考 え 方( 有 効 回 答 578社 )%1本 当 なら なら 仕 事 が 終 わったことをすぐに 報 告 しなくてはいけないが、 指 示 された 時 間 は4.7 4.7守 っているのだから、 問 題 ない。2 時 間 通 りに りに 資 料 を 届 けるということは、まじめな 態 度 だ。 だ。0.5 0.53頼 まれた 時 間 よりも 早 く 仕 事 を 終 えて えて 休 憩 できるのは、うらやましい。0.7 0.74 11 11時 に 終 わったら、すぐに 届 ける ける 方 がよい。91.9 91.95 その その 他 他 (「その 「その 他 」に 他 」に 記 述 記 (12 述 (12 社 ) 社 )12 社 12 の 社 内 の 訳 内 としては、 訳 としては、・ 作 ・ 業 作 が 業 終 が 了 終 した 了 した 時 点 時 で 点 上 で 司 上 に 司 報 に 告 報 告 すべきだった(2 社 ) 社 )・ 作 ・ 業 作 終 業 了 終 後 了 、 後 時 、 間 時 があるなら 間 があるなら 再 チェックをして 再 チェックをして 上 司 上 に 司 届 に ける(2 届 ける(2 社 ) 社 )・ 終 ・ 了 終 した 了 した 時 点 時 で 点 報 で 告 報 し、 告 し、 他 に 他 手 に 伝 手 伝 えることがないか 確 認 確 する(2 認 する(2 社 ) 社 )・(11 ・(11 時 15 時 分 15 より 分 より 前 なら) 前 なら) 上 司 上 の 司 状 の 況 状 を 況 見 を て 見 判 て 断 判 (3 断 (3 社 ) 社 )( 下 ( 記 下 は1 記 社 は1 ずつ) 社 ずつ)・ 休 ・ みはまず 休 みはまず 作 業 作 が 業 終 が った 終 った 後 。 後 。) 2.1 2.1・ 早 ・ く 早 終 く わったのなら 終 わったのなら 早 く 早 届 く けるべき。 届 けるべき。 次 工 次 程 工 や、 程 や、 他 の 他 仕 の 事 仕 事 がスムーズになる。 但 し、 但 し、 個 人 個 の 人 裁 の 量 裁 の量 の範 囲 範 によって、この 囲 によって、この 限 りではない。限 りではない。11 【 場 面 11 : 共 用 備 品 の 管 理 】さんは、 したが、 しかったのでそのまま においておき、A さんは、 共 用 備 品 を 利 用 したが、 忙 しかったのでそのまま 自 分 の 机 においておき、になってから した。終 業 時 間 になってから 返 却 した。567 %考 え 方 ( 有 効 回 答 567 社 )%1 A さんの 帰 宅 時 間 が 遅 くなってしまうので、 終 業 時 間 の 前 に 返 しに 行 くべきである。 0.01 A さんの 帰 宅 時 間 が 遅 くなってしまうので、 終 業 時 間 の 前 に 返 しに 行 くべきである。 0.02 共 用 ではなく、 個 人 用 の 卓 上 掃 除 機 があればいい。0.02 共 用 ではなく、 個 人 用 の 卓 上 掃 除 機 があればいい。0.03 共 用 の 備 品 だが、 今 日 は 仕 事 も 忙 しかったことだし、 一 日 くらいなら、 自 分 の 机 に 置 いて 1.23 共 用 の 備 品 だが、 今 日 は 仕 事 も 忙 しかったことだし、 一 日 くらいなら、 自 分 の 机 に 置 いて 1.2も 問 題 ない。も 問 題 ない。4 共 用 の 備 品 なのだから、すぐに 返 さないといけない。97.94 共 用 の 備 品 なのだから、すぐに 返 さないといけない。97.95 その 他0.55 その 他 ( ) 0.5「その 他 」に 記 述 (2 社 )「その 他 」に 記 述 (2 社 )・ 返 却 時 間 があればそれを 守 るべき。・ 返 却 時 間 があればそれを 守 るべき。・ 一 概 に、 言 えない。・ 一 概 に、 言 えない。-120-


【 場 面 9 :ミスの 報 告】Aさんは、 作 業 に 必 要 な 分 の 材 料 ( 青 色 封 筒 100枚 、 宛 名 用 ラベル 100枚 )を 総 務 部 に 申 請 するように 指 示 されてい。 されていた。 A さんは、 A さんは、 申 請 申 書 請 に 書 “100 に “100 枚 ” 枚 と ” 書 と 書 くところ、 誤 って 誤 って “1000 “1000 枚 ” 枚 と ” 書 と 書 いてしまい、 青 色 青封 色 筒 封 1000 筒 1000 枚 と 枚 宛 と 先 宛 用 先 のラベル 用 のラベル 1000 1000 枚 が 枚 届 が いた。 届 いた。封 筒 もラベルも「いつかは 使 うだろう」と 思 い、 丁 寧 に 箱 にしまって、 自 分 の 机 の 下 に 置 いた。考 え 方( 有 効 回 答 576社 )%%1ミスをしたのに 報 告 しないのは、 良 くない。96.0 96.02封 筒 やラベルを 丁 寧 に 箱 にしまい、 備 品 を 大 切 に 取 り 扱 っているのは、いいことだ。 0.2 0.23ミスはミスだが、 足 りないというわけではないので、 特 に 報 告 する 必 要 はない。 0.0 0.04箱 にしまって 机 の 下 に 置 いたままにするのは、 忘 れてしまうことがあるので 良 くない。 1.4 1.45 その 他 ( ) 1.9 1.9「その 他 他 」に 」に 記 記 述 述 (12 (12 社 社 ))12 12 社 の 内 訳 としては、・ミスを ・ミスを 報 告 報 し、 告 し、 余 分 余 は 分 返 は 却 返 する(4 却 する(4 社 ) 社 )・ミスを ・ミスを 報 告 報 し、 告 し、 対 応 対 につき 応 につき 上 司 上 の 司 指 の 示 指 を 示 仰 を ぐ( 仰 ぐ( 対 応 対 策 応 を 策 考 を える)(2 考 える)(2 社 ) 社 )・ミスについては 必 ず 必 報 ず 告 報 が 告 必 が 要 必 (2 要 (2 社 ) 社 )(( 下 下 記 記 は1 は1 社 社 ずつ)・ 良 くないが、 ・ 良 くないが、 別 の 用 別 途 の にも 用 途 使 にも えるよう 使 えるよう 情 報 の 情 共 報 有 の を 共 行 有 うべき。 を 行 うべき。・ 誰 ・ 誰 でもミスはある。ミスを 報 告 しづらい 報 告 しづらい 環 境 の 環 職 境 場 の 職 場 だとしたら、それも 改 めるべき。 改 めるべき。・ミスは ・ミスは 仕 方 ないが、 仕 方 ないが、 報 告 しないのは 報 告 しないのは 良 くない。 良 くない。・ 一 概 ・ に、 一 概 言 に、 えない。 言 えない。上 記 、8 場 面 ならびにこれに 類 する 場 面 での 行 動 に 関 しては、いずれの 企 業 においても 同 様 に 共 通 する 考 え 方 があると 考 えられる。(2) 一 致 率 が 80 % 以 上 90 % 未 満 の 場 面回 答 の 一 致 率 が、 80 % 以 上 90 % 未 満 の 場 面 ( 表 中 網 掛 けにより 示 す)は、 11 場 面 中 1 場 面 ( 分 からないときの 質 問 : 89.1 %)であった。 以 下 に 選 択 肢 の 一 致 率 を 示 す。【 場 面 10:わからないときの 質 問】上 司 から 作 業 の 手 順 について 説 明 を 受 けたものの、Aさんは 途 中 でどのようにやるのか、 作 業 の 手 順 がわからなくなってしまった。そのため、 他 の 人 の 行 動 を 観 察 してから、 作 業 を 始 めたが、 通 りかかった上 司 から 作 業 手 順 について 注 意 を 受 けた。考 え 方( 有 効 回 答 571社 )%1質 問 した 方 がよかったとは 思 うが、 作 業 手 順 が 分 からなかったのは 上 司 の 説 明 のせいなの 0.4.だから、 注 意 されるのはかわいそうだ。2注 意 はされたけど。 はされたけど、 人 の 力 を 借 りないで。 りないで、 自 自 分 分 で で 何 何 とかしようとしたことは、よいことだ。 2.6 2.63分 からなくなったら、すぐに 上 司 に 質 問 すればいい。89.14 難 しい 作 業 を 頼 まれたのだから、 Aさんは 大 変 だ。0.2 0.25 その 他 ( ) 6.0 6.0なお、 場 面 10 に 関 しては 、「その 他 の 考 え 方 」を 選 択 した 企 業 の 割 合 が 6.0 %と、 一 定 の 回 答 数 があることから、 以 下 に 内 容 をまとめた。-121-


【 場 面 10:その 他 の 回 答 】一 番 、 多 かった 回 答 は 、「 上 司 または 同 僚 に 尋 ねる」であったが、1 誰 に 尋 ねるのか、また、2 尋ねる 順 序 などについて、 回 答 が 分 かれた。1 誰 に 尋 ねるかを 明 記「 上 司 」3 社「 同 僚 ( 上 司 でなくとも 良 い )」5 社「 上 司 または 同 僚 のいずれか」2 社「その 他 ( 誰 に 尋 ねるかについては 不 明 )」2 社2 尋 ねる 順 序「 同 僚 に 質 問 して 分 からなければ、 上 司 に 再 度 質 問 する」3 社「 自 分 で 考 えた 上 で、 上 司 に 質 問 する」7 社また 、「 分 からなければ、 説 明 を 求 めることになるが、 最 初 の 説 明 時 、もしくは、 再 度 説 明 を 受 けたときにメモをとることが 必 要 である」という 趣 旨 の 回 答 が6 社 、「 仕 事 の 内 容 にもよるので 一 概 に 言 えない」という 趣 旨 の 回 答 が6 社 で 見 られた。さらに、 自 力 解 決 と 作 業 効 率 との 関 係 を 考 慮 すべきとする意 見 ( 自 分 の 力 で 解 決 しようとすることは 大 事 だが、 そのために 作 業 時 間 が 大 幅 に 遅 れるようであれば、質 問 すべきだ)や「 同 じ 説 明 を 受 け、 出 来 ないのが A さんだけなのは A さんに 問 題 がある」とする 意見 が 各 1 社 から 挙 げられた。回 答 の 一 致 率 が、 89.1 %であったということは、 多 くの 企 業 において 共 通 した 考 え 方 であるといえるが、その 他 の 記 述 に 見 られたように、 誰 に 尋 ねるのか、また、 尋 ねるにしても 、「まず、 同 僚 に 尋 ねてから」あるいは 、「 自 分 で 考 えてから」などのように、それぞれの 企 業 において 望 まれる 適 切 な 行 動 が異 なることが 明 らかとなった。なお、 質 問 をする 前 に(あるいは 同 様 の 質 問 を 繰 り 返 さなくても 良 いように)メモをとることに 関 しては、 選 択 肢 に 含 まれていないが、 新 入 社 員 に 求 められるスキルであるといえる。(3) 一 致 率 が 70 % 未 満 の 場 面11 場 面 中 「 指 示 通 りの 作 業 」に 関 しては、 最 も 一 致 率 の 高 い「 考 え 方 」でも 68.0%( 表 中 網 掛 けにより 示 す)であった。また 、「 指 示 以 外 の 仕 事 」に 関 しては、 最 も 一 致 率 の 高 い「 考 え 方 」で 33.1 %と極 めて 一 致 率 の 低 い 結 果 となった。したがって、これらの 場 面 に 関 して、 特 に「 指 示 以 外 の 仕 事 」に 関しては、 企 業 毎 に「 考 え 方 」が 異 なると 考 えられる。なお、 場 面 6、 場 面 7に 関 しては 、「その 他 」への 回 答 率 がいずれも 20 %を 越 えて 高 いこと、また、自 由 記 述 への 記 入 も 多 かったことから、 回 答 内 容 に 関 してそれぞれ 再 分 類 を 行 った。-122-


【 場 面 6: 指 示 通 りの 作 業 】Aさんは 上 司 から、「DM(ダイレクト・メール)の 宛 名 を 貼 る」 仕 事 で、 指 示 書 にしたがって 行 うように 指 示 されたが、 指 示 書 にしたがわず、 自 分 がやりたいと 思 った 方 法 で 作 業 を 進 めた。特 に 失 敗 はないが、 上 司 はAさんのやり 方 をみて、 指 示 書 通 りにやるようにと 再 度 、 指 示 をした。しかし、Aさんは 自 分 なりのやり 方 でやり 続 けた。考 え 方( 有 効 回 答 557社 )%11AAさんが 自 自 分 分 なりに 工 工 夫 夫 しているのは、いいことだ。2.02 2 今 今 まで まで 特 特 に に 失 失 敗 敗 がないのだから、 指 指 示 示 書 書 の の 通 通 りにやれという 上 上 司 司 の の 方 方 がおかしい。0.53 3 上 上 司 司 の の 指 指 示 示 通 通 りにやらないのは 良 良 くない。68.04 4 上 上 司 司 の の 指 指 示 示 通 通 りにした 方 方 がいいが、 失 失 敗 敗 してないから、 AAさんのやり 方 方 でもかまわない。 5.455 その その 他 他 (( )21.7表 1-3-2 場 面 6( 指 示 に 従 う)における「その 他 」の 回 答 の 内 訳 (126 社 )企 業 の 意 見上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる基 本 は3( 指 示 書 通 りにやらないのは 良 くない)が、上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとれば 良 い工 夫 は 歓 迎 だが、 併 せて 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる上 司 が 理 由 の 確 認 をするこの 程 度 の 作 業 であれば、 自 己 判 断 で 変 更 しても 良 いAさんからの 質 問 を 求 める回 答 企 業 数73323210653場 面 6 に 関 しては 、 表 1-3-2 にまとめた 以 外 にも 、「 基 本 は3 ( 指 示 書 通 りにやらないのは 良 くない)が、 上 司 にも 説 明 責 任 がある 」「 仕 事 の 内 容 、リスクにより 変 わるが、 指 示 通 り 行 うべきである」などの 意 見 に 加 えて 、「 指 示 書 の 内 容 と、やりたいと 思 った 方 法 の 内 容 による」など、 一 概 に 言 えないとする 回 答 もみられた。以 上 の 回 答 からは 、「 必 要 に 応 じて 上 司 と 相 談 し、その 了 解 を 得 れば、 指 示 以 外 の 方 法 であっても 良い」 とする 企 業 が 一 定 の 割 合 であることが 分 かる。 ただし 、「 指 示 書 通 りにやらないのは 良 くないが ……」という 意 見 にみられるように、 基 本 的 には 指 示 書 に 従 うべきだとする 意 見 がある 一 方 で、 上 司 の 了 解 は必 要 だが、 工 夫 そのものは 歓 迎 するという 意 見 も 見 られた。このように 作 業 指 示 書 に 従 わないことに 関して 、「 作 業 指 示 書 に 従 えない」のではなく 、「 業 務 改 善 」を 目 指 す 行 為 については、 企 業 からは 一 定 の評 価 が 得 られるといえる。また 、「この 程 度 の 作 業 であれば、 自 己 判 断 で 変 更 しても 良 い」という 意 見にみられるように、 作 業 内 容 によっては「 自 己 判 断 」が 求 められる(すべてにおいて 上 司 の 判 断 を 求 めない) 場 合 もあるといえる。ただし 、「この 程 度 の 作 業 」についての 判 断 が 適 切 かどうかについては、判 断 基 準 が 企 業 によって 異 なる 可 能 性 が 高 い。場 面 7に 関 しては 、「 指 示 された 仕 事 以 外 の 仕 事 をするのは 良 くない」が、 最 も 一 致 率 の 高 い 選 択 肢であったが、それでも33.1%と 他 の 場 面 の 一 致 率 と 比 較 すると 極 めて 低 い 数 値 となった。 一 方 で、 指示 された 以 外 の 仕 事 をしていることについて 、「1 後 で 会 社 の 役 に 立 つこともあるかもしれないので、-123-


いいことだ」 あるいは「 3 ( 指 示 以 外 に ) 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのはいいことだ」を 合 計 すると 40.1%となり、 指 示 された 以 外 の 仕 事 をすることに 関 して、 企 業 は 肯 定 的 な 評 価 をしていることがわかる。【 場 面 7: 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 】AA さんは、 企 業 の 住 所 を 検 索 する 仕 事 を 指 示 されたが、それぞれの 会 社 の 概 要 にも 興 味 をもち、住 所 以 外 の 情 報 についても 検 索 して 資 料 を 作 成 した。考 え 方( 有 効 回 答 531社 )%1 指 示 指 示 された 以 外 以 の 外 仕 の 事 仕 事 をしているが、 後 で 後 会 で 社 会 の 社 役 の に 役 立 に 立 つこともあるかもしれないので、いいことだ。2 指 示 指 示 された 以 外 以 の 外 仕 の 事 仕 事 をするのは 良 良 くない。3 指 示 指 示 された 作 業 作 業 だけでなく、 自 分 自 で 分 新 で しい 新 しい 作 業 作 を 業 見 を 見 つけるのは、いいことだ。4 自 分 自 が 分 仕 が 事 仕 事 ができることをアピールしているのはいいことだ。5 その その 他 ( 他 ( )21.133.119.00.023.5また、「その 他 」の 回 答 については 表1-3-3に 示 すように、 前 提 ( 基 本 は2、あるいは1・3など)が 異 なったとしても、 原 則 として「 “ 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 始 める 前 に ” 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認・ 了 承 をとる 必 要 がある( 自 己 判 断 で 進 めてよいわけではない )」との 回 答 が 全 体 の 48.2 %を 占 めた。なお、 他 の 回 答 からは 、「 作 業 の 合 理 性 や 妥 当 性 の 判 断 」 及 び「 納 期 の 遵 守 」がキーワードであることが 分 かる。 表 中 、 二 重 線 よりも 下 に 関 しては 、「 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる」ことが 必 ずしも 前提 となっていないため、 例 えば 、「 作 業 の 合 理 性 や 妥 当 性 の 判 断 」が 誰 によって 行 われるかという 点 が曖 昧 となっているが、 少 なくとも「 納 期 を 守 ること( 指 示 された 仕 事 を 終 えてから 指 示 された 作 業 以 外の 仕 事 に 取 り 組 むなど )」が 重 要 と 考 えられていることがわかる。表 1-3-3 場 面 7( 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 )における「その 他 」の 回 答 の 内 訳 (137 社 )企 業 の 意 見指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 始 める 前 に、 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる必 要 がある基 本 は2であるが、 加 えて、 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 始 める 前 に 上 司 に提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる 必 要 がある基 本 1もしくは3であるが、 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 始 める 前 に 上 司 に提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる 必 要 がある納 期 内 で 作 業 が 済 むかについて 検 討 が 必 要 である(まずは、 指 示 された 作 業を 報 告 することが 必 要 )作 業 の 合 理 性 や 妥 当 性 についての 判 断 が 必 要 である納 期 に 間 に 合 うという 前 提 で 作 業 の 合 理 性 ・ 妥 当 性 についての 判 断 が 必 要 である業 務 の 繁 閑 や 立 場 によって 一 概 には 判 断 できないその 他回 答 企 業 数4545111110103434217781-124-


(4) 職 種 毎 に 回 答 が 異 なる 場 合(1)~(3)では、 全 職 種 に 共 通 する 場 合 の 回 答 について 見 てきたが、 場 面 7に 関 しては、 職 種 毎に 異 なるという 回 答 が 7.1 %と 高 かったため、 職 種 毎 に 回 答 傾 向 を 検 討 した( 他 の 10 場 面 に 関 しては 、「 全 職 種 に 共 通 する」という 回 答 が 90 %を 越 えており、 分 析 対 象 外 とした )。表 1-3-4 並 びに 図 1-3-1 に 示 すように、 現 業 においては 、「 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 」を 勝 手 に 行 うことに 関 する 評 価 は 厳 しく、 指 示 通 りに 作 業 を 行 うことが 重 要 であると 考 えられていることが 分 かる。一 方 、 営 業 に 関 しては、 指 示 にだけ 従 って 作 業 をするのでは 十 分 ではないと 考 えられていることが 分 かる。 特 に 、「 後 でなにかの 役 に 立 つかもしれない」という 観 点 から、 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 についても 自 分 で 探 していく 姿 勢 が 求 められているといえる。また、こうした 傾 向 は、 事 務 においても 営 業 ほど 明 確 ではないが 、 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 に 取 り 組 むことに 一 定 の 評 価 が 与 えられることが 分 かる。表 1-3-4場 面 7( 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 )における 職 種 別 の 回 答職 種 事 務 現 業 営 業 その 他選 択 肢 ( 39 社 ) ( 33 社 ) ( 28 社 ) ( 2 社 )115 2 18 1211 29 0 039 1 8 140 0 0 05【 参 考 】4 1 2 01 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 をしているが、 後 で 会 社 の 役 に 立 つこともあるかもしれないので、いいことだ。2 指 示 された 以 外 の 仕 事 をするのは 良 くない。3 指 示 された 作 業 だけでなく、 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのは、いいことだ。4 自 分 が 仕 事 ができることをアピールしているのはいいことだ。5 その 他100 100 %87.9 87.9指 示 以 外 の 作 業 は 良 くない後 で 役 に 立 つことがあるかもしれないのでよい新 しい 作 業 を 見 つけるのはよい808064.3 64.360604020402038.5 38.528.2 28.223.1 23.128.6 28.634.2 34.221.8 21.8 19.6 19.6006.1 6.13.0 3.00.0 0.0事 務 事 (n=35) 務 (n=35) 現 業 現 (n=32) 業 (n=32) 営 業 営 (n=26) 業 (n=26) 全 職 種 に 共 通 (n=531)図 1-3-1職 種 別 の 回 答-125-


3. 企 業 規 模 に 関 する 検 討 : 回 答 の 一 致 率 について職 種 に 関 する 検 討 において「ルールは 全 職 種 に 共 通 である」とした 回 答 率 は、 最 も 低 い 場 面 でも88.2%であったことから、 企 業 規 模 別 の 検 討 は「 全 職 種 に 共 通 」と 回 答 された 選 択 肢 に 基 づいて 行 った。なお、 企 業 規 模 は、1 55 人 以 下 、2 56 人 ~ 299 人 、3 300 人 ~ 999 人 、4 1000 人 以 上 の4 群 とした。2企 業 規 模 によって 回 答 傾 向 が 異 なるかについて、 Pearson のχ 検 定 を 行 った 結 果 、 11 場 面 中 4 場 面 において、 回 答 傾 向 に 有 意 差 が 認 められた( 図 1-3-2 :** < .01,* < .05))。ただし、「 毎 日 のあいさつ」に 関 しては、 規 模 に 関 わらず「 考 え 方 1」への 回 答 率 が 高 いこと、また 、「わからないときの 質 問 」「 指示 通 りの 作 業 」「 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 」の 3 場 面 に 関 しては、 主 として「その 他 ( 自 由 記 述 )」に対 する 回 答 率 が 有 意 差 に 寄 与 していると 考 えられる(その 他 の 意 見 については、 別 途 、 場 面 毎 に 分 析 した )。したがって、 企 業 規 模 別 の 分 析 は 回 答 数 の 分 散 からみても 重 要 性 が 高 いとは 言 えない。また、11場 面 に 関 して、あらかじめ 設 定 された1~4の 選 択 肢 に 関 する 企 業 規 模 別 の 回 答 傾 向 においては、 大 きな 違 いは 見 いだされなかったという 結 果 と 併 せ、 以 後 の 規 模 別 分 析 は 行 わないこととした。1000 80% 55 人 以 下 2 56 人 ~299 人 300 人 ~999 人 1000人 以 上**0 600 40200考え方1**考え方2その他*考え方1考え方2考え方3* * *考え方4*その他の毎 日 のあいさつのわからないときの 質 問100100% 2 300 100055 人 以 下 56 人 ~299 人 300 人 ~999 人 1000 人 以 上080060040202000考え方1考え方2****考え方3**考え方4****** * * ** * *その他考え方1****考え方2考え方3その他指 示 通 りの 業指 示 通 りの 作 業1-3-2図 1-3-2指 示 業 の 事指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事企 業 規 模 別 の 検 討 の 考 え 方-126-


4. 職 場 におけるルールの 指 導 についてルールについては、 就 職 時 点 までに 学 んでいることが 求 められる 一 方 で、 就 職 後 に 職 場 における 研 修などで 改 めて 指 導 されるケースも 少 なくない。そのため、 11場 面 に 関 して、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達しているかどうかについて 尋 ねた。(1) 初 任 者 研 修 での 指 導 及 び 伝 達 について場 面 毎 に 初 任 者 研 修 で 指 導 及 び 伝 達 が 行 われているかについて 、 表 1-3-5 にまとめた。 なお 、 表 では、初 任 者 研 修 で 指 導 並 びに 伝 達 が 行 われている 割 合 の 高 い 順 に 並 べた。その 結 果 、「 業 務 の 開 始 時 間 を 守 る」については、 90% 以 上 の 企 業 で 初 任 者 研 修 において 指 導 の 対 象となっていた。また、 開 始 時 間 を 守 るという 課 題 と 関 連 の 深 い「 遅 刻 するときは、 連 絡 をする」についても 79.5 %の 企 業 で 指 導 の 対 象 となっていた。なお、 80 % 以 上 の 企 業 が 初 任 者 研 修 で 採 り 上 げるとしたのは 、「 毎 日 のあいさつ 」「ミスの 報 告 」「 分 からないときの 質 問 」であった。 一 方 、 50% 以 下 であったのは 、「 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 勝 手 にしない」 のみであった。 ただし、 このルールに 関 しては、関 連 する「 指 示 通 りに 作 業 する」を 76.3 %の 企 業 が 採 り 上 げていた。表 1-3-5初 任 者 研 修 での 指 導 の 有 無場面初 任 者 研 修 で指 導 する初 任 者 研 修 で指 導 しない業 務 の 開 始 時 間 を 守 る 573 社 90.4 % 9.6 %毎 日 、あいさつする 571 社 87.2 % 12.8 %ミスは、すぐに 報 告 する 565 社 85.3 % 14.7 %わからないときは 質 問 する 561 社 81.8 % 18.2 %遅 刻 するときは、 連 絡 をする 570 社 79.5 % 20.5 %指 示 通 りに 作 業 を 遂 行 する 561 社 76.3 % 23.7 %作 業 が 終 了 したら、すぐに 報 告 する 569 社 66.6 % 33.4 %備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない 573 社 56.9 % 43.1 %共 用 備 品 の 使 い 方 570 社 56.0 % 44.0 %作 業 中 に 呼 ばれたらすぐに 返 事 をする 568 社 50.5 % 49.5 %指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 勝 手 にしない 559 社 48.7 % 51.3 %(2) 企 業 規 模 別 の 分 析研 修 体 制 に 関 しては、 企 業 規 模 によって 異 なる 可 能 性 があることから、χ2検 定 により、 企 業 規 模 別に 初 任 者 研 修 での 指 導 の 有 無 について 検 討 したところ、 11場 面 中 9 場 面 において 企 業 規 模 による 差 が認 められた。なお、 有 意 差 が 認 められなかったのは、いずれも 備 品 の 取 り 扱 いに 関 するルールであった(「 備 品 の 私 的 利 用 」「 共 用 備 品 の 管 理 」) 。有 意 差 が 認 められた9 場 面 に 関 して、 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 多 い( 70% 以 上 ) 場 面 と、 少ない 場 面 ( 70 % 未 満 )に 分 け、 有 意 差 の 認 められなかった2 場 面 とともに 図 1-3-3 に 示 した。-127-


業 務 の 開 始 時 間 を 守 る (90.4%)毎 日 、あいさつする (87.2%)****** ***ミスは、すぐに 報 告 する(85.3%)わからないときは 質 問 する (81.8%)** *****遅 刻 するときは、 連 絡 をする(79.5%)**指 示 通 りに 作 業 を 遂 行 する(76.3%)**作 業 が 終 了 したら、すぐに 報 告 する(66.6%)作 業 中 に 呼 ばれたらすぐに 返 事 をする(50.5%)指 示 以 外 の 作 業 を 勝 手 しない(48.7%)*********備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない(56.9%)共 用 備 品 の 使 い 方 (56.0%)%0 20 40 60 80 1001000 人 以 上300~999 人56~299 人図 1-3-3 初 任 者 研 修 で 採 り 上 げるルール( 企 業 規 模 別 )55 人 以 下初 任 者 研 修 での 指 導 の 有 無 は、ルールの 確 認 に 支 援 が 必 要 な 者 にとって、 合 理 的 な 仕 組 みであるといえよう。 企 業 規 模 によって 研 修 体 制 に 違 いが 見 出 された理 」を 除 く)については、 以 下 のような 結 果 であった。9 場 面 (「備 品 の 私 的 利 用 」と「 共 用 備 品 の 管1 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 多 い ( 70 % 以 上 ) 6 場 面 でも 、 少 ない 3 場 面 ( 70 % 未 満 ) でも、55人 以 下 の 規 模 の 企 業 において、 初 任 者 研 修 での 指 導 が 有 意 に 少 ない 点 で 共 通 していた。2 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 多 い( 70 % 以 上 ) 6 場 面 では 、「 毎 日 のあいさつ」を 除 き、 56 人以 上 の 企 業 間 の 差 は 認 められなかった。3 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 少 ない 3 場 面 ( 70 % 未 満 )では、 1000 人 以 上 の 規 模 の 企 業 における 指 導 が 有 意 に 多 かった。4 初 任 者 研 修 における 指 導 実 施 に 関 する 限 り、 企 業 規 模 間 の 差 の 見 られた 9 場 面 で 1000 人 以 上 の 規模 で 多 く、 55 人 以 下 で 少 なかった。-128-


第 4 節調 査 結 果 が 示 唆 すること1. 調 査 対 象 企 業 について(1) 調 査 対 象 について企 業 データベースに 基 づき 、 都 道 府 県 ( 47 都 道 府 県 )・ 業 種 ( 14 区 分 ) の 分 布 に 即 して 企 業 規 模 ( 4区 分 )において 各 1125 社 を 抽 出 した 全 4500 社 ( 回 収 率 13.4 %: 602 社 表 1-4-1) 。表 1-4-1 分 析 対 象 企 業 の 概 要 ( 企 業 規 模 別 業 種 再 構 成 )業 種 再 構 成製 造 製 業 造 業・非 製 造 ・合 計サービス 業 卸 売 ・ 小 売 業非 サービス55 人 以 下14 20 28 51 11312.4 17.7 24.8 45.1 100.056 人 ~299 人30 45 31 40 14620.5 30.8 21.2 27.4 100.0300 人 ~999 人41 67 23 21 15227.0 44.1 15.1 13.8 100.01000 人 以 上58 58 31 20 16734.7 34.7 18.6 12.0 100.0143 190 113 132 578合 計上 24.7 32.9 19.6 22.8 100.0 段 上 : 段 数 :/ 数 下 / 段 下 :% 段 :%(2) 平 成 22 年 度 の 採 用 実 績 について一 般 雇 用 全 体 では「 新 規 大 卒 採 用 」が 67 %で 最 も 多 く、 次 いで「 中 途 採 用 」( 40 %)、「 新 規 高 卒 採用 」( 30 %)、「 新 規 専 修 学 校 卒 採 用 」( 21 %)の 順 となっていた。これを 企 業 規 模 についてみると、すべての 採 用 対 象 で 規 模 が 大 きいほど 採 用 企 業 が 多 く 、 55 人 以 下 では 採 用 自 体 が 少 なかった。 ただし、55人 以 下 の 規 模 では、 中 途 採 用 が 最 も 多 く、 4 社 に 1 社 が 中 途 採 用 を 行 っていた( 表 1-4-2) 。表 1-4-2平 成 22 年 度 に1 人 以 上 の 採 用 を 行 った 企 業( 単 位 :%)新 規 高 卒 採 用 新 規 大 卒 採 用新 規 専 修 学 校障 害 者 雇 用中 途 採 用卒 採 用身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害55 人 以 下 (N=113) 5.3 21.2 6.2 26.5 1.8 0.9 0.956 人 ~299 人 (N=150) 25.3 58.7 12.7 33.3 2.7 0.0 1.3300 人 ~999 人 (N=165) 32.1 83.0 26.7 47.9 9.1 3.0 0.61000 人 以 上 (N=172) 48.3 87.2 33.7 48.3 27.9 20.3 6.4全 体 30.0 66.5 21.3 40.3 11.5 6.8 2.5平 成 22 年 度 の 障 害 者 雇 用 については 、「 身 体 障 害 」「 知 的 障 害 」「 精 神 障 害 」の 順 に 採 用 企 業 が 多 かった。 企 業 規 模 では 障 害 種 別 にかかわらず 1000 人 以 上 の 規 模 に 集 中 していた。(3) 障 害 者 雇 用 の 現 状 について調 査 対 象 企 業 における 障 害 者 雇 用 の 現 状 を 表 1-4-3 に 示 す。障 害 者 雇 用 においては 「 身 体 障 害 」 全 体 で 8411 名 、「 知 的 障 害 」 全 体 で 1448 名 、「 精 神 障 害 」 全 体 で 340名 であった。-129-


表 1-4-3障 害 者 雇 用 の 現 状身 体 障 害重 度 重 度 ( 短 時 間 ) 重 度 以 外障 害 者 数 雇 用 企 業 数 障 害 者 数 雇 用 企 業 数 障 害 者 数 雇 用 企 業 数55 人 以 下 134 6 1 1 27 656 人 ~299 人 152 41 6 5 108 61300 人 ~999 人 478 131 17 14 456 1351000 人 以 上 3089 159 127 45 4155 159合 計 3544 338 151 65 4746 362知 的 障 害重 度 重 度 ( 短 時 間 ) 重 度 以 外障 害 者 数 雇 用 企 業 数 障 害 者 数 雇 用 企 業 数 障 害 者 数 雇 用 企 業 数55 人 以 下 7 2 0 0 24 456 人 ~299 人 5 4 2 2 11 9300 人 ~999 人 26 13 1 1 85 361000 人 以 上 302 45 32 11 953 81合 計 340 64 35 14 1073 130精 神 障 害1 週 30 時 間 以 上( 短 時 間 )障 害 者 数 雇 用 企 業 数 障 害 者 数 雇 用 企 業 数55 人 以 下 16 21 2 156 人 ~299 人 9 6 3 3300 人 ~999 人 33 25 11 81000 人 以 上 194 73 72 26合 計 252 106 88 38その 他 の 障 害障 害 者 雇 用 で 開 示手 帳 を 持 っていないが 開 示障 害 者 数 雇 用 企 業 数 障 害 者 数 雇 用 企 業 数発 達 障 害 8 5 7 4高 次 脳 機 能 障 害 6 5 1 1難 病 4 3 4 3その 他 の 障 害 0 0 0 0合 計 18 13 12 8その 他 の 障 害 について、 障 害 者 雇 用 で 手 帳 を 持 っており、かつ「 発 達 障 害 」を 開 示 して 雇 用 されている 者 が 5 社 において 8 名 把 握 されていた。また、 手 帳 を 持 っていないが「 発 達 障 害 」を 開 示 して 雇 用 されている 者 が 4 社 において 7 名 把 握 されていた。 一 般 扱 いの 雇 用 に 限 定 すると、 602 社 中 4 社 で 把 握 されているにとどまっていた。なお、 発 達 障 害 を 把 握 している 企 業 には、 雇 用 管 理 の 現 状 と 課 題 についての 記 述 を 求 めたが、 無 記 入 であったために 詳 細 は 不 明 である。2.コミュニケーションとビジネスマナーに 関 する 検 討(1) 採 用 に 際 して 企 業 が 期 待 する 基 準 と 優 先 順 位【コミュニケーションについて】「 重 視 している( 平 均 値 が 2.0 以 上 )」とされたのは、 31 項 目 中 22 項 目 であった。これに 対 し 、「 重視 していない( 平 均 値 が 1.0 以 下 )」という 評 価 は 1 項 目 もなかった。規 模 別 の 違 いは 、【 企 業 規 模 が 大 きいほどに 重 視 する 傾 向 】 を 示 しており 、“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる”“ 言 外 の 意 味 を 理 解 できる ”“ 正 しく 情 報 を 伝 えられる ”“ 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる ”“ 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる ”“ 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない ”“グループや 集 団 で 行 動 できる”については、 規 模 が 大 きい 企 業 で 重 視 度 が 大 きかった。業 種 別 の 違 いについては 、“ 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる ”“ 困 ったときに 相 談 ができる ”“ 異なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる ”“ 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 を 覚 える”“ グループや 集 団 で 行 動 できる”-130-


のいずれも、 卸 売 ・ 小 売 業 で 最 も 重 視 度 が 大 きく、 製 造 業 で 小 さかった。領 域 別 の 重 視 度 は 以 下 の 通 り。1「 情 報 の 理 解 」「 相 手 の 意 見 の 尊 重 」「 意 思 の 表 明 」の 領 域 では 全 ての 項 目 が 重 視 されていた。2「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 」「 組 織 内 外 の 行 動 」の 領 域 では 1 項 目 を 除 く 全 ての 項 目 が 重 視 されていた。3「 情 報 の 伝 達 」については 重 視 される 項 目 と 重 視 度 が 相 対 的 に 低 い 項 目 が 混 在 していた。4「 意 見 集 約 ・ 交 換 」については 領 域 内 の 全 ての 項 目 で 重 視 度 が 相 対 的 に 低 かった。【ビジネスマナー 等 について】「 重 視 している( 平 均 値 が 2.0 以 上 )」とされたのは、 28 項 目 中 17 項 目 であった。これに 対 し 、「 重視 していない( 平 均 値 が 1.0 以 下 )」という 評 価 は 1 項 目 もなかった。規 模 別 の 違 いは 、【 企 業 規 模 が 小 さいほどに 重 視 する 傾 向 】 を 示 しており 、“ 電 話 が 適 切 に 受 けられる”“ 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる ”“マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える ”“ 訪 問 時 のマナーをわきまえている ”“ 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる”については、 規 模 が 小 さい 企 業 で 重 視 度 が 大 きかった。ただし、 業 種 別 の 違 いについては 見 出 されなかった。領 域 別 の 重 視 度 は 以 下 の 通 り。1「 挨 拶 等 の 基 本 」「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」「 職 業 観 」の 領 域 では 全 ての 項 目 が 重 視 されていた。2「 電 話 の 使 い 方 の 基 本 」「 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 」の 領 域 では 1 項 目 を 除 く 全 ての 項 目 について 相対 的 に 重 視 度 が 低 かった。(2) 企 業 が 期 待 する 達 成 時 期【コミュニケーションについて】「 半 年 程 度 ( 平 均 値 が 3.0 ~ 6.0 ヶ 月 )」までの 達 成 を 期 待 されたのは、 31 項 目 中 8 項 目 であった。また 、「 半 年 から 1 年 」 までの 達 成 を 期 待 されたのは 、 17 項 目 であった 。 一 方 、「 1 年 以 上 ( 平 均 値 が 12.0ヶ 月 以 上 )」の 達 成 を 期 待 されたのは 6項 目 であった。こうした 時 期 の 目 安 は、 採 用 の 際 の 重 視 度 と 関係 していることが 示 唆 された。領 域 別 の 達 成 時 期 の 重 視 度 は 以 下 の 通 り。1「 組 織 内 外 の 行 動 」の 領 域 では 1 項 目 を 除 く 全 ての 項 目 で、 6 ヶ 月 までの 達 成 を 期 待 されていた。2「 情 報 の 理 解 」「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 」の 領 域 では 1 項 目 を 除 く 全 ての 項 目 で、 6 ヶ 月 ~ 1 年 までの達 成 を 期 待 されていた。3「 意 思 の 表 明 」「 相 手 の 意 思 の 尊 重 」の 領 域 では 全 ての 項 目 で、 6 ヶ 月 ~ 1 年 までの 達 成 を 期 待 されていた。4「 情 報 の 伝 達 」「 意 見 集 約 ・ 交 換 」については、 6 ヶ 月 ~ 1 年 までの 達 成 を 期 待 される 項 目 と 1 年以 上 の 達 成 を 期 待 される 項 目 とが 混 在 していた。規 模 別 の 違 いは 、“ 相 手 の 主 張 を 理 解 できる ”“ 相 手 の 言 動 を 意 識 して 行 動 できる”について 、【 企 業-131-


規 模 が 大 きいほどに 早 い 時 期 の 達 成 を 期 待 する 傾 向 】が 見 出 された。ただし、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった。【ビジネスマナー 等 について】「 半 年 程 度 ( 平 均 値 が 3.0 ~ 6.0 ヶ 月 )」までの 達 成 を 期 待 されたのは、 28 項 目 中 21 項 目 であった。また 、「 半 年 から 1 年 」 までの 達 成 を 期 待 されたのは 、 6 項 目 であった 。 一 方 、「 1 年 以 上 ( 平 均 値 が 12.0ヶ 月 以 上 )」の 達 成 を 期 待 されたのは 1 項 目 であった。規 模 別 の 違 いでは 、“ 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる ”“ 時 間 、 期 限 を 守 ることができる”については 、【 企 業 規 模 が 大 きいほどに 早 い 時 期 の 達 成 を 期 待 する 傾 向 】が 見 出 された。ただし、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった。領 域 別 の 達 成 時 期 の 重 視 度 は 以 下 の 通 り。1「 挨 拶 等 の 基 本 」「 電 話 の 使 い 方 の 基 本 」の 領 域 では、 全 ての 項 目 で 6 ヶ 月 までの 達 成 を 期 待 されていた。2「 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 」「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」の 領 域 では、 1 項 目 を 除 く 全 ての 項 目 で 6ヶ 月 までの 達 成 を 期 待 されていた。3「 職 業 観 」では、“ 服 務 規 律 を 守 る”については 3 ヶ 月 未 満 の 達 成 を 、“ 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂行 できる”については 半 年 程 度 の 達 成 を 、“ 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 えている”については、 1年 以上 での 達 成 を 期 待 されていた。その 他 の 4項 目 は 6 ヶ 月 ~ 1 年 までの 達 成 を 期 待 されており、 項 目の 達 成 時 期 は 広 く 分 布 していた。(3) 達 成 のための 指 導「 原 則 として 個 別 指 導 はしない」は、いずれの 領 域 ・ 項 目 でも 少 なかった。 未 達 成 の 場 合 、「 状 況 を見 ながら、 適 宜 、 指 導 する 」「 気 づいた 際 に、その 都 度 指 導 する」のいずれかにより、 頻 度 と 形 態 ( 個別 か 集 合 か 等 )が 異 なる 可 能 性 があるが、 何 らかの 指 導 が 行 われている 現 状 が 明 らかとなった。【コミュニケーションについて】「 気 づいた 際 に、その 都 度 指 導 する」は「 状 況 を 見 ながら、 適 宜 、 指 導 する」よりも 少 なかった。企 業 規 模 別 の 違 いについては 、「 原 則 として 個 別 指 導 をしない」の 比 率 が「 55人 以 下 」の 規 模 で 高 い項 目 が 5 項 目 (“ TPO に 応 じて 意 見 を 主 張 できる ”“わかりやすく 意 見 を 主 張 できる ”“ 自 分 と 異 なる 考え 方 を 否 定 しない ”“ 立 場 の 違 いをすばやく 理 解 できる ”“ 立 場 の 違 いを 理 解 して 対 応 できる ”)、 「300~ 999 人 」の 規 模 で 高 い 項 目 が 5 項 目 (“ 困 ったときに 相 談 ができる ”“ 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談できる ”“ 必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられる ”“ 適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる ”“5W1Hを 明 確 にして 説 明 できる ”)であった。ただし、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった。【ビジネスマナー 等 について】「 気 づいた 際 に、その 都 度 指 導 する」が「 状 況 を 見 ながら、 適 宜 、 指 導 する」を 上 回 った 項 目 は、5-132-


領 域 11項 目 であった。こうした 項 目 については、その 場 の 指 導 によって 適 切 な 行 動 への 修 正 が 求 められているといえる。企 業 規 模 別 ・ 業 種 別 の 違 いが 見 出 されなかった。(4) 研 修 体 制研 修 体 制 についてみると、いずれの 領 域 においても「 集 合 研 修 のみ」と「 OJT のみ」が 第 1 順 位 もしくは 第 2 順 位 を 占 めており、 第 3 順 位 は「 Off-JT のみ」とあわせて 単 一 の 研 修 形 態 で 研 修 を 実 施 する 企業 が 概 ね 半 数 強 を 占 めていた。集 合 研 修 と 個 別 研 修 のいずれにも 回 答 のなかった 企 業 のうち、 項 目 の 課 題 達 成 を「 自 己 啓 発 」に 位 置づけている 企 業 (「 自 己 啓 発 のみ 」)については、 組 織 的 な 研 修 ではなく 達 成 を 個 人 に 任 せているとみることができる。 こうした 企 業 はコミュニケーションにおいて 10 % 強 、 ビジネスマナー 等 においては、13~ 15 %であった。以 上 の 全 体 的 な 回 答 傾 向 については、 企 業 規 模 、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった。(5) 指 導 により 問 題 解 決 が 図 られた 事 例問 題 が 解 決 の 事 例 は、 企 業 の 対 応 の 範 囲 を 示 している。【コミュニケーションについて】問 題 への 対 応 が 図 られて 改 善 につながった 事 例 として53件 の 回 答 があった( 対 人 対 応 のない 部 署 への 異 動 による 問 題 対 応 1 例 を 含 む )。 53 件 の 他 に「コミュニケーションに 問 題 のある 社 員 は 採 用 していない」という 記 述 が3 件 あった。代 替 手 段 の 活 用 でコミュニケーションの 問 題 を 補 完 するという 対 応 は 少 なく、 実 地 に 機 会 を 捉 えて 会話 を 重 ねる 方 法 により 問 題 解 決 に 至 っていた。そのために、 個 別 面 談 ばかりでなく、メンター 制 度 やグループによる 指 導 が 行 われていたが、 基 本 的 には 個 人 の 気 づきと 自 覚 を 促 すことによる 自 己 修 正 が 期 待されているとみることができる。【ビジネスマナー 等 について】問 題 への 対 応 が 図 られて 改 善 につながった 事 例 として 43 件 の 回 答 があった。 43 件 の 他 に 、「ビジネスマナーに 問 題 のある 社 員 は 採 用 していない」という 記 述 が 2 件 あった。問 題 対 応 のために、モデルを 示 すなど、コミュニケーションよりもさらに 個 別 具 体 的 な 指 導 が 実 施 されていた。そのために、 社 内 のみならず 外 部 講 師 の 導 入 も 行 われていた。さらには、 個 別 面 談 ばかりでなく、メンター 制 度 やグループによる 指 導 が 行 われていたが、 特 徴 的 であったのは、 独 自 のルール 集 ・マナー 集 や 市 販 の 書 籍 、ビデオ 等 を 活 用 するなどがあげられている 点 である。-133-


3. 職 場 のルールの 理 解 に 関 する 検 討(1) 職 種 に 関 する 検 討 : 回 答 の 一 致 率 について「 場 面 に 適 切 ではない 行 動 」がおこりがちな 11 の 場 面 に 関 する 考 え 方 について 、「 全 職 種 に 共 通 しているか 」「 職 種 によって 異 なるか( 「 事 務 職 」「 現 業 職 」「 営 業 職 」「その 他 」) 」について 回 答 を 求 めた。新 入 社 員 の A さんのエピソードを 記 述 し、 場 面 にふさわしい行 動 に 関 する 考 え 方 について、 回 答 を 求 めた。場 面 1 : 備 品 の 私 的 利 用場 面 2 : 始 業 時 間 に 関 する 理 解場 面 3 : 遅 刻 の 連 絡場 面 4 : 毎 日 のあいさつ場 面 5 : 作 業 中 の 返 事場 面 6 : 指 示 に 従 う場 面 7 : 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事場 面 8 : 作 業 終 了 の 報 告場 面 9 :ミスの 報 告場 面 10:わからないときの 質 問場 面 11: 共 用 備 品 の 管 理11 場 面 中 、 場 面 7( 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 )を 除 く 10 の 場 面 に 関 しては「ルールは 全 職 種 に 共通 である」という 回 答 が 90 %を 越 えた(ただし、 場 面 7は 88.2 %)。したがって、これらの 11 場 面 に関 し、 職 種 を 問 わず、 企 業 によって 守 るべき 考 え 方 が 特 定 されていると 結 論 した。(2) 回 答 の 一 致 率 に 関 する 検 討 ( 全 職 種 共 通 )【 回 答 の 一 致 率 が 90 % 以 上 】一 致 率 が 90 % 以 上 を 越 える 場 面 は8 場 面 ( 備 品 の 私 的 利 用 ・ 始 業 時 間 に 関 する 理 解 ・ 遅 刻 の 連 絡 ・毎 日 のあいさつ・ 作 業 中 の 返 事 ・ 作 業 終 了 の 報 告 ・ミスの 報 告 ・ 共 用 備 品 の 管 理 )であった。これらの8 場 面 並 びにこれに 類 する 場 面 での 行 動 に 関 しては、いずれの 企 業 においても 同 様 に 共 通 する 考 え 方 があると 考 えられる。【 回 答 の 一 致 率 が 89 %】「わからないときの 質 問 」に 関 しては、 一 致 率 は89 %と 高 かったが 、「その 他 」の 記 述 に 見 られたように、 誰 に 尋 ねるのか、また、 尋 ねるにしても 、「まず、 同 僚 に 尋 ねてから」あるいは 、「 自 分 で 考 えてから」などのように、それぞれの 企 業 において 望 まれる 適 切 な 行 動 が 異 なることが 明 らかとなった。また、 質 問 する 前 に(あるいは 同 様 の 質 問 を 繰 り 返 さなくても 良 いように )「メモをとる」は 新 入 社 員 に求 められるスキルであることが 示 された。【 回 答 の 一 致 率 が 70 % 未 満 】11 場 面 中 「 作 業 指 示 に 従 う」に 関 しては、 最 も 一 致 率 の 高 い「 考 え 方 」でも 68 %であった。また、-134-


「 指 示 以 外 の 仕 事 」に 関 しては、 最 も 一 致 率 の 高 い「 考 え 方 」でも 33 %であった。したがって、これらの 場 面 に 関 して、 特 に「 指 示 以 外 の 仕 事 」に 関 しては、 企 業 毎 に 考 え 方 が 異 なると 考 えられる。「 作 業 指 示 に 従 う」 場 面 では 、「 必 要 に 応 じて 上 司 と 相 談 し、その 了 解 を 得 れば、 指 示 以 外 の 方 法 であっても 良 い」とする 企 業 が 一 定 の 割 合 を 占 めた。ただし、 基 本 的 には 指 示 書 に 従 うべきだとする 意 見もあった。すなわち、 上 司 の 了 解 は 必 要 だが、 工 夫 そのものは 歓 迎 するという 意 見 であった。このように 作 業 指 示 書 に 従 わないことに 関 して 、「 作 業 指 示 書 に 従 えない」のではなく 、「 業 務 改 善 」を 目 指 す 行為 については、 企 業 からは 一 定 の 評 価 が 得 られるといえる。また 、「この 程 度 の 作 業 であれば、 自 己 判断 で 変 更 しても 良 い」 という 意 見 に 見 られるように 、 作 業 内 容 によっては 「 自 己 判 断 」 が 求 められる(すべてにおいて 上 司 の 判 断 を 求 めない) 場 合 もあるといえる。ただし 、「この 程 度 の 作 業 」についての 判断 が 適 切 かどうかについては、 判 断 基 準 が 企 業 によって 異 なる 可 能 性 が 高 い。また 、「 指 示 以 外 の 仕 事 をする」 場 面 では 、「 指 示 された 仕 事 以 外 の 作 業 をするのは 良 くない」が 一致 率 の 高 い 回 答 であったが、 他 の 場 面 の 一 致 率 と 比 較 すると 極 めて 低 い 数 値 ( 33%)となった。 一 方で、 指 示 された 以 外 の 仕 事 をしていることについて 、「1 後 で 会 社 の 役 に 立 つこともあるかもしれないので、いいことだ」あるいは「3( 指 示 以 外 に) 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのはいいことだ」を 合 計すると40%となり、 指 示 された 以 外 の 仕 事 をすることに 関 して、 企 業 は 肯 定 的 な 評 価 をしていることがわかる。「その 他 」の 回 答 については 前 提 が 異 なったとしても、 原 則 として「 “指 示 された 作 業 以 外の 仕 事 を 始 める 前 に”上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる 必 要 がある( 自 己 判 断 で 進 めてよいわけではない )」との 回 答 が 全 体 の 48 %を 占 めた。 他 方 、「 作 業 の 合 理 性 や 妥 当 性 の 判 断 」 及 び「 納 期 の 遵 守 」もまた、キーワードであることが 明 らかとなった。(3) 職 種 による 違 いに 関 する 検 討 ( 全 職 種 共 通 )場 面 7( 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 )に 関 しては、 職 種 毎 に 異 なるという 回 答 が 7.1 %と 高 かったため、 職 種 毎 に 回 答 傾 向 を 検 討 した( 他 の 10 場 面 では「 全 職 種 に 共 通 する」という 回 答 が 90 %を 越 えており、 分 析 対 象 外 とした )。図1-4-1 に 示 すように、 現 業 においては 、「 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 」を 勝 手 に 行 うことに 関 する評 価 は 厳 しく、 指 示 通 りに 作 業 を 行 うことが 重 要 であると 考 えられていることが 分 かる。 一 方 、 営 業 に関 しては 、 指 示 にだけ 従 って 作 業 をするのでは 十 分 ではないと 考 えられていることが 分 かる 。 特 に 、「 後でなにかの 役 に 立 つかもしれない」という 観 点 から、 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 についても 自 分 で 探 していく 姿 勢 が 求 められているといえる。また、こうした 傾 向 は、 事 務 においても 営 業 ほど 明 確 ではないが、 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 に 取 り 組 むことに 一 定 の 評 価 が 与 えられることが 分 かる。-135-


%100 10080 8087.9 87.9指 示 以 外 の 作 業 は 良 くない後 で 役 に 立 つことがあるかもしれないのでよい新 しい 作 業 を 見 つけるのはよい60 6064.3 64.340 4020 2038.5 38.528.2 28.223.1 23.128.6 28.634.2 34.221.8 21.819.6 19.6006.1 6.13.0 3.00.0 0.0事 務 事 (n=35) 務 (n=35) 現 業 現 (n=32) 業 (n=32) 営 業 営 (n=26) 業 (n=26) 全 職 種 に に 共 共 通 通 (n=531)図 1-4-1場 面 7( 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 )における 職 種 別 の 回 答(4) 初 任 者 研 修 における 指 導「 業 務 の 開 始 時 間 を 守 る」については、 90 % 以 上 の 企 業 で 初 任 者 研 修 において 指 導 の 対 象 となっていた。また、 開 始 時 間 を 守 るという 課 題 と 関 連 の 深 い「 遅 刻 するときは、 連 絡 をする」についても80%の 企 業 で 指 導 の 対 象 となっていた。 なお 、 80 % 以 上 の 企 業 が 初 任 者 研 修 で 採 り 上 げるとしたのは 、「 毎日 のあいさつ 」「ミスの 報 告 」「 分 からないときの 質 問 」であった。一 方 、 50 % 以 下 であったのは 、「 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 勝 手 にしない」 のみであった。 ただし、このルールに 関 しては、 関 連 する「 指 示 通 りに 作 業 を 遂 行 する」を76.3%の 企 業 が 採 り 上 げていた。表 1-4-4初 任 者 研 修 での 指 導 の 有 無場 面 初 任 者 研 修 で 実 施業 務 の 開 始 時 間 を 守 る 90.4 %毎 日 、あいさつする 87.2 %ミスは、すぐに 報 告 する 85.3 %わからないときは 質 問 する 81.8 %遅 刻 するときは、 連 絡 をする 79.5 %指 示 通 りに 作 業 を 遂 行 する 76.3 %作 業 が 終 了 したら、すぐに 報 告 する 66.6 %備 品 ・ 消 耗 品 を 私 的 に 利 用 しない 56.9 %共 用 備 品 の 使 い 方 56.0 %作 業 中 に 呼 ばれたらすぐに 返 事 をする 50.5 %指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 を 勝 手 にしない 48.7 %初 任 者 研 修 での 指 導 の 有 無 は、ルールの 確 認 に 支 援 が 必 要 な 者 にとって、 合 理 的 な 仕 組 みであるといえよう。 企 業 規 模 によって 研 修 体 制 に 違 いが 見 出 された9 場 面 (「備 品 の 私 的 利 用 」と「 共 用 備 品 の 管-136-


理 」を 除 く)については、 以 下 のような 結 果 であった。1 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 多 い ( 70 % 以 上 ) 6 場 面 でも 、 少 ない 3 場 面 ( 70 % 未 満 ) でも、55人 以 下 の 規 模 の 企 業 において、 初 任 者 研 修 での 指 導 が 有 意 に 少 ない 点 で 共 通 していた。2 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 多 い( 70 % 以 上 ) 6 場 面 では 、「 毎 日 のあいさつ」を 除 き、 56 人以 上 の 企 業 間 の 差 は 認 められなかった。3 初 任 者 研 修 で 指 導 されることが 少 ない 3 場 面 ( 70 % 未 満 )では、 1000 人 以 上 の 規 模 の 企 業 における 指 導 が 有 意 に 多 かった。4 初 任 者 研 修 における 指 導 実 施 に 関 する 限 り、 企 業 規 模 間 の 差 の 見 られた 9 場 面 で 1000 人 以 上 の 規模 で 多 く、 55 人 以 下 で 少 なかった。4. 企 業 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 課 題(1) 企 業 が 求 める 要 件 に 関 する 検 討 課 題職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」について、 標 準 化 された 妥 当 な 項 目 が 設定 されているわけではない。このため、 若 年 者 の 就 職 に 際 して 必 要 となる「 若 年 者 就 職 基 礎 能 力 」の 習得 により 採 用 可 能 性 を 高 めるための 事 業 ( Youth Employability Support-Program: YES プログラム)において 定 義 された 領 域 のうち 、「コミュニケーション 能 力 」「 職 業 人 意 識 」「ビジネスマナー」の 評 価項 目 を 具 体 的 な 行 動 レベルで 再 構 成 し、 領 域 と 項 目 を 選 定 した。コミュニケーションについては 7 領 域 31 項 目 、 ビジネスマナー 等 については 5 領 域 28 項 目 について、企 業 が 求 める 重 要 度 や 達 成 時 期 に 対 する 期 待 から 達 成 に 関 する 優 先 性 を 導 くことができると 考 えられる。 言 い 換 えると、 就 業 前 にあっては 若 者 の 採 用 可 能 性 を 高 めるための 段 階 的 支 援 目 標 の 設 定 に、また就 業 後 にあっては 適 応 ・ 定 着 可 能 性 を 高 めるために 役 立 つものである。就 業 前 の 支 援 については、 教 育 や 職 業 能 力 開 発 といった 企 業 外 の 支 援 者 が 担 当 することになる。こうした 課 題 には、 期 待 水 準 が 高 く、また、 予 期 される 達 成 時 期 が 早 い 項 目 が 重 点 課 題 として 該 当 する。これに 対 し、 就 業 後 の 支 援 については、 企 業 内 で 企 画 ・ 実 施 される 研 修 において、 企 業 内 の 部 署 ( 者 )が担 当 することになる。こうした 課 題 には、 期 待 水 準 は 高 いものの 達 成 時 期 においては 比 較 的 ゆとりを 持たせている 項 目 が 重 点 課 題 として 該 当 する。そこで、 第 2 部 第 2 章 第 1 節 では、 就 業 前 の 支 援 の 課 題 に 焦 点 をあて、 発 達 障 害 の 特 性 と 対 応 させて検 討 することとする。(2) 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題就 労 支 援 に 際 しては、 円 滑 な 職 務 遂 行 や 対 人 関 係 を 維 持 するために、 職 場 に 存 在 するさまざまなルールを 具 体 的 な 指 導 の 対 象 とすることが 求 められる。こうしたルールには、 就 業 規 則 等 には 明 文 化 されていないが 、 多 くの 人 がそのルールにしたがって 行 動 することを 前 提 としている 暗 黙 のルールも 含 まれる。-137-


特 に、 職 場 の 規 則 や 暗 黙 のルールを 学 習 した 経 験 が 少 ない 者 にとっては、 規 則 やルールの 理 由 や 背 景を 明 確 に 理 解 することが 重 要 となる。ここでは、 職 場 において 適 切 とされる 行 動 や 考 え 方 について、 基 本 的 な 場 面 を 設 定 し、 企 業 の 見 解 を明 らかにした。あわせて、 企 業 内 での 研 修 等 での 対 応 についても 明 らかにした。そこで、 第 2 部 第 2 章 第 2 節 では、 発 達 障 害 者 の 就 労 ・ 定 着 のための 支 援 について、 特 例 子 会 社 における 調 査 結 果 ( 第 1 部 第 1 章 第 3 節 )と 企 業 における 調 査 結 果 ( 第 2 部 第 1 章 第 2 節 )を 比 較 検 討 することを 通 し、 特 別 な 支 援 の 範 囲 と 可 能 性 の 検 討 を 行 う。-138-


第 2 章発 達 障 害 の 特 性 への 配 慮 の 可 能 性第 1 節障 害 特 性 からみた 調 査 結 果 の 検 討1. 調 査 項 目 と 障 害 特 性 との 関 係 について……コミュニケーションとビジネスマナー 等 に 関 する 調 査 項 目 を 分 析 する 視 点 ……(1) 一 般 扱 いの 雇 用 における 調 査 結 果 に 対 する 発 達 障 害 の 特 性 からの 検 討企 業 に 雇 用 されている 発 達 障 害 者 の 全 体 像 を 開 示 ・ 非 開 示 を 含 めて 把 握 することは 極 めて 困 難 な 状 況にあり、 発 達 障 害 を 開 示 した 事 例 に 基 づく 検 討 が 中 心 となっている。このため、 発 達 障 害 者 の 雇 用 管 理や 支 援 における 問 題 を 明 確 にするうえで 、 企 業 を 対 象 とした 実 態 調 査 を 実 施 することは 現 実 的 ではない。こうしたことから、まずは、 企 業 が 重 視 する 採 用 要 件 であり、かつ、 発 達 障 害 のある 者 にとって 支 援の 課 題 となる「コミュニケーション」と「ビジネスマナー 等 」に 焦 点 をあて、 新 入 社 員 を 対 象 とした 企業 の 雇 用 管 理 について 現 状 を 把 握 した( 第 2 部 第 1 章 )。そのうえで、 発 達 障 害 のある 従 業 員 の 適 応 ・定 着 の 課 題 について、 一 般 扱 いの 雇 用 の 現 状 と 発 達 障 害 の 特 性 とを 対 応 させることで 検 討 することとした。図 2-1-1 は、 第 1 章 で 呈 示 した 調 査 設 計 の 概 要 である。 環 境 要 因 と 個 体 要 因 との 相 互 作 用 の 結 果 、 職場 適 応 ・ 定 着 の 課 題 が 発 生 し、 支 援 が 必 要 になる 状 況 を 理 解 する 枠 組 となっている。環 境 要 因 【 企 業 が 求 める 要 件 : 第 2部 第 1章 】企 業 が 求 める 行 動 レベルは 何 か求 める 行 動 の 達 成 時 期 はいつ 頃 か企 業 はどのような 考 えを 持 ち、 指 導 しているか職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題 【 第 2部 第 2章 第 1節】個 人 の 支 援 の 選 択 によってどのように 問 題 は 異 なるか障 害 者 雇 用 支 援 を 利 用 して、 就 労 する 場 合開 示 して 一 般 扱 いで、 就 労 する 場 合開 示 せずに 一 般 扱 いで 就 労 する 場 合障 害 特 性 からみた 本 人 支 援 の 課 題 は 何 か個 体 要 因 【 発 達 障 害 のある 者 の 特 性 :第 2部 第 2章 第 1節 】障 害 特 性 からみて 課 題 となることは 何 か個 人 はどのような 考 えを 持 ち、 職 業 選 択 に 臨 むか図 2-1-1調 査 の 枠 組 と 検 討 事 項 の 関 連-139-


図 の 上 段 については、 第 2部 第 1章 でとりまとめを 行 った。ここでは、 図 の 下 段 に 示 す「 発 達 障 害 の特 性 」と 調 査 項 目 の 対 応 を 想 定 したうえで、 図 の 中 段 に 示 す「 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題 」について 検討 することとする。すなわち、 企 業 が 求 める 要 件 にとって 発 達 障 害 の 行 動 特 性 が 問 題 となる 可 能 性 が 想定 される 場 合 、 発 達 障 害 者 の 職 場 適 応 ・ 定 着 のための 支 援 を 考 える 際 に 重 視 すべきことは 何 か、について 分 析 を 進 めていく。(2) 検 討 の 方 法 …… 調 査 結 果 と 障 害 特 性 の 対 応 ……職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」について 、「 若 年 者 就 職 基 礎 能 力 」の 習得 により 採 用 可 能 性 を 高 めるための 事 業 ( Youth Employability Support-Program: YES プログラム,厚 生 労 働 省 , 2009 )において 定 義 された 領 域 のうち 、「コミュニケーション 能 力 」「 職 業 人 意 識 」「ビジネスマナー」の 評 価 項 目 を 再 構 成 し、 場 面 や 状 況 を 極 力 限 定 し、 具 体 的 な 行 動 レベルで 把 握 することとし、コミュニケーションについて 7 領 域 31 項 目 、ビジネスマナー 等 について 5 領 域 28 項 目 を 選 定 した( 第 1 部 第 1 章 参 照 )。一 方 、 発 達 障 害 のある 者 の 社 会 的 行 動 上 の 問 題 を 把 握 する 行 動 チェックリスト( 例 えば AQ;PARSなど)が 開 発 されているが、 日 常 生 活 面 で 行 動 観 察 を 行 い、 特 性 の 現 れ 方 を 把 握 することを 目 的 としており、 職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー 等 」の 具 体 的 項 目 と 対 応 しているわけではない。そこで、 企 業 が 求 める 行 動 レベルと 操 作 的 に 関 連 づけることで、 支 援 のタイミングと 課 題 の優 先 性 についての 検 討 を 進 めることを 試 みることとした。具 体 的 には、 障 害 特 性 の 記 述 について、 発 達 障 害 のある 者 の 社 会 的 行 動 上 の 問 題 を 把 握 する 行 動 チェックリスト ( AQ; PARS) や 先 行 研 究 の 成 果 ( 大 杉 , 2009; 米 田 , 2009; 障 害 者 職 業 総 合 センター , 2009)等 で 職 業 生 活 上 の 困 難 に 関 連 することが 想 定 される 記 述 を 行 動 上 の 特 徴 として 選 択 することとした。したがって、こうした 障 害 特 性 については、 詳 細 な 検 証 によるものとしてコミュニケーションやビジネスマナー 等 の 項 目 の 達 成 困 難 と 対 応 させている 訳 ではなく、 項 目 に 示 された 行 動 の 達 成 に 支 援 が 必 要 となる 可 能 性 について 検 討 する 際 の 資 料 ( 案 )であることに 注 意 が 必 要 である。2. 障 害 特 性 からみた 検 討 課 題(1)コミュニケーションについてア .「 情 報 の 理 解 」と「 情 報 の 伝 達 」図2-1-2に「 情 報 の 理 解 」と「 情 報 の 伝 達 」について、 項 目 別 に 期 待 する 水 準 ( 平 均 値 : 棒 グラフ/単 位 : 点 数 ( 右 軸 )) と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 : 月 数 ( 左 軸 ))を 示 した。 平 均 得 点 について 有 意 差 が 認 められない 項 目 については 括 弧 でその 範 囲 を 示 した。また、 表 2-1-1 ~ 2-1-2 に 求 められる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害 特 性 を 示 した。以 下 では 、「 期 待 する 水 準 が 高 く 、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」、「 期 待 する 水 準 は 高 いが、-140-


期 待 する 達 成 時 期 にはゆとりがある( 12 ヶ 月 未 満 )」、 「 期 待 する 水 準 も 達 成 時 期 もゆとりがある( 12 ヶ月 以 上 )」に 分 けて 項 目 の 検 討 をしていくことにする。【 期 待 する 水 準 が 2点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 6 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 極 めて 優 先 性 が 高 いとみることができる 項 目 としては 、「 相 手 の 主 張 を 理 解 できる」 並 びに「 正 しく 情 報 を 伝 えられる」が 該 当 する。情 報 の 理 解 については、 他 者 の 意 図 の 理 解 が 苦 手 であったり、 相 手 が 意 図 しないことにとらわれるといった 行 動 特 徴 がある 場 合 に 、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。また、 情 報 の 伝 達 については、 他 者 に 誤 解 なく 伝 達 することが 苦 手 であったり、 思 いこみやその 場 しのぎの 傾 向 が 強 かったり、 代 償 手 段 がうまく 使 えない 場 合 に、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。【 期 待 する 水 準 が 2 点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い 項 目 としては 、「 正 しい 理 解 のために 質 問 できる 」「 言 外 の意 味 を 理 解 できる」 並 びに「 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる 」「 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる」が 該当 する。18月数12情 報 の 理 解2.55 点2.26 点2.15 点3点数218月数12情 報 の 伝 達2.50 点2.25 点14.82.05 点1.94 点11.116.916.43点数14.421.73 点 1.72 点 1.70 点8.5 8.59.27.965.3 5.3165.910相正言0 0正伝与 相レ レ 説 0手し外し達え 手ジ ジ 明のいのく内ら のメ メ に主理意情容れ 理 意 を を 必張解味報をた 解 見 活 活 要説作をのををま時 に を 用 用 な明成理た理伝と間 あ 伝 し し レ解め解えででめ内 わ え て て ジききでにでらてに せ ら 説るるメき質きれ説説 て れ 明 をる問るる明明る ででででききききるるるる図 2-1-2 情 報 の 理 解 と 情 報 の 伝 達 ( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 )-141-


表 2-1-1 情 報 の 理 解 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(1) 相 手 の 主 張 ( 言 葉 )を ・ 他 の 人 の 考 え( 意 図 など)を 理 解 することは 苦 手 だ。正 しく 理 解 できる・ 相 手 の 言 いたいことを 読 み 違 える。・ 意 外 なまでに 話 し 言 葉 を 理 解 していないことがある。・ちょっとした 本 人 の 行 動 への 批 判 を 人 格 全 部 の 否 定 と 感 じてしまう。(2) 言 葉 の 意 味 だけでなく言 外 にこめた 意 味 を 理 解 し、相 手 の 意 図 を 正 しく 理 解 できる・ 人 の 気 持 ちや 意 図 がわからない。・ 言 葉 を 字 句 どおりに 解 釈 する。 行 間 やニュアンスを 読 めていない。・ 誰 かと 話 をしているときに, 相 手 の 話 の ‘ 言 外 の 意 味 ’ を 容 易 に 理 解 することができる。・ 発 言 者 の 意 図 や 会 議 の 主 旨 をしばしば 読 み 間 違 う。(3) 正 しい 理 解 のために 的 確 な ・ 同 じ 質 問 をしつこくする。質 問 ができる ・ほかの 人 は 気 がつかないような 細 部 に 注 意 を 向 けることが 多 い。・ 会 話 をどのように 続 けたらいいのか,わからなくなってしまうことがよくある。・ 議 論 が 堂 々めぐりになり, 相 手 は 何 を 議 論 していたのか 分 らなくなる。・ 会 話 が 弾 むことがなく, 聞 くか 話 すか 一 方 的 になりやすい。表 2-1-2 情 報 の 伝 達 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる・ 注 意 メモを 自 ら 作 っていても 必 要 な 場 面 でメモがあることに 気 付 かない。・ 難 しい 言 葉 を 使 うが、その 意 味 をよくわかっていない。・ 不 鮮 明 な 記 憶 を 想 像 で 補 う 癖 がある 場 合 があり,それが 嘘 つきに 見 える。(5) 伝 える 内 容 をまとめて説 明 できる・ 会 議 の 要 約 ができない。・ 報 告 内 容 がビデオの 再 生 的 でこと 細 かくなり, 要 旨 が 見 えない。・ 自 分 がどうにもならないと, 突 然 , 断 定 的 に 言 うので 周 囲 が 驚 く。(6) 与 えられた 時 間 内 に 主 張 をまとめて 説 明 できる・ 周 囲 に 遠 慮 せずに 自 分 中 心 の 行 動 をする。・ 具 体 的 なルールはきちんと 守 るが, 暗 黙 の 自 明 なルールを 理 解 できていない。(7) 相 手 の 理 解 の 度 合 いを考 慮 しながら 説 明 に 工 夫 を加 えることができる・ 親 しい 人 が 何 人 もいる 場 面 などで,いろいろな( 複 数 の) 人 との 会 話 を 簡 単 に続 けることができる。・ 自 分 が 話 をしているときには,なかなか 他 の 人 に 横 から 口 をはさませない。・ 相 手 を 怒 らせるので 営 業 や 相 談 窓 口 をさせられない。・ 自 分 がどうにもならないと 突 然 , 断 定 的 に 言 うので 周 囲 が 驚 く。(8) 説 明 に 必 要 なレジメなどを ・ 整 理 やファイリングの 分 類 が 独 特 。作 成 できる ・ 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 。(9) レジメなどを 活 用 して要 点 を 押 さえた 説 明 ができる・ 自 分 が 体 験 したことは,その 場 にいない 人 も 知 っていると 感 じる。・ 注 意 メモを 自 ら 作 っていても 必 要 な 場 面 でメモがあることに 気 付 かない。(10) レジメなどを 活 用 し、相 手 に 自 分 の 意 見 を 適 切 に伝 えられる・ 周 囲 に 遠 慮 せずに 自 分 中 心 の 行 動 をする。・ 細 かい 決 まりやルールにこだわる。その 割 には 自 分 勝 手 に 見 える。・ 注 意 メモを 自 ら 作 っていても 必 要 な 場 面 でメモがあることに 気 付 かない。・ 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 。情 報 の 理 解 については、 会 話 を 継 続 することが 苦 手 であったり、 議 論 がかみ 合 わない、 字 句 通 りに 解釈 する、 言 外 の 意 味 にまで 理 解 が 及 ばないなどの 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。また、 情 報の 伝 達 については、 要 約 することが 苦 手 であったり、 与 えられた 時 間 よりも 伝 えたいことを 優 先 すると-142-


いった 行 動 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。【 期 待 する 水 準 が 2 点 以 下 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 以 上 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 時 間 的 な 猶 予 がある 項 目 としては、 情 報 の 伝 達 の「 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる 」「レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる 」「レジメを 活 用 して 説 明 できる 」「 説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる」が 該 当 する。情 報 の 伝 達 に 際 しては、 他 者 の 存 在 を 意 識 し、 相 手 の 理 解 を 考 えながら 伝 達 することが 苦 手 であったり、 相 手 を 怒 らせるなどの 話 し 方 をする、 報 告 文 書 の 作 成 や 文 書 の 活 用 などのスキルについて 十 分 に 習得 できていないなどの 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 やOJTのみならず、 自 己 研 修 等 を 活 用 して 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。イ .「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 」と「 意 思 の 表 明 」図2-1-3に「 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 」と「 意 思 の 表 明 」について 項 目 別 に 期 待 する 水 準 ( 平 均 値 : 棒 グラフ/ 単 位 : 点 数 ( 右 軸 )) と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 : 月 数 ( 左軸 ))を 示 した。 平 均 得 点 について 有 意 の 差 が 認 められない 項 目 については 括 弧 でその 範 囲 を 示 した。また、 表 2-1-3 ~ 2-1-4 に 求 められる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害 特 性 を 示 した。18月数報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談3点数18月数意 思 の 表 明3点数122.23 点 2.22 点2.11 点1.99 点2122.16 点 2.14 点10.92.00 点210.365.36.57.28.1167.210 困 適 必適0 05 わT0っ 報 切 要切W かPた 告 な なに1 りO使と ・ 時 情伝H や意 にき 連 期 報い達を す見 応分説に 絡 に を手明 くを じ相 ・ 簡け明段確 意主 て談 相 潔がでのに 見張が 談でき、にし をできるで で 伝て 主きるき き え張るる る らでれきるる図 2-1-3 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 と 意 思 の 表 明 ( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 )-143-


以 下 では 、「 期 待 する 水 準 が 高 く 、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」、「 期 待 する 水 準 は 高 いが、期 待 する 達 成 時 期 にはゆとりがある( 12 ヶ 月 未 満 )」に 分 けて、 項 目 の 検 討 をしていくことにする。【 期 待 する 水 準 が 2点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 6 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 極 めて 優 先 性 が 高 いとみることができる 項 目 としては 、「 困 ったときに 相 談 ができる」が 該 当 する。困 ったことがあっても 困 り 具 合 を 説 明 できなかったり、 集 中 しすぎて 帰 って 体 調 を 壊 してしまう、 被害 的 あるいは 猜 疑 的 、 攻 撃 的 になりやすい、といった 行 動 特 徴 がある 場 合 に、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。【 期 待 する 水 準 が 概 ね 2 点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い 項 目 としては 、「タイミングを 外 さず 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 ができる 」「 必 要 な 情 報 を 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 場 面 で、 簡 潔 に 伝 えられる 」「 場 面 に 応 じて、 適 切 に 口 頭 ・ 電 話・メールなどの 手 段 の 使 い 分 けができる」 並 びに「 5W1H を 明 確 にして 説 明 できる 」「 他 者 にわかりやすい 表 現 で 意 見 を 主 張 できる 」「 場 面 ( TPO)に 応 じて、 振 る 舞 い 方 を 適 切 に 変 えて 意 見 を 主 張 できる」が 該 当 する。表 2-1-3 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(11) タイミングを 外 さず報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 ができる・ 自 分 が 話 をしているときには,なかなか 他 の 人 に 横 から 口 をはさませない。・しばしば, 会 議 の 流 れについて 行 けていない。・ 会 話 が 弾 むことがなく, 聞 くか 話 すか 一 方 的 になりやすい。(12) 必 要 な 情 報 を 報 告 ・ 連 絡 ・ 報 告 内 容 がビデオの 再 生 的 でこと 細 かくなり, 要 旨 が 見 えない。・ 相 談 の 場 面 で、 簡 潔 に ・ 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 。伝 えられる ・ほかの 人 は 気 がつかないような 細 部 に 注 意 を 向 けることが 多 い。・ 伝 言 や 取 次 ぎ 時 に, 相 手 が 言 った 言 い 方 を 言 い 換 えずそのまま 上 司 にしてしまう。・ 言 葉 を 字 句 どおりに 解 釈 する。 行 間 やニュアンスを 読 めていない。(13) 場 面 に 応 じて、 適 切 に ・ 臨 機 応 変 を 要 求 される 業 務 が 不 得 手 。口 頭 ・ 電 話 ・メールなどの ・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。手 段 の 使 い 分 けができる ・ 同 じことや 同 じやりかたを, 何 度 もくりかえすことが 好 きだ。(14) 困 ったときに 相 談 ができる・ 被 害 的 あるいは 猜 疑 的 , 攻 撃 的 になりやすい。・ 自 分 の 困 り 具 合 をわかるように 説 明 しない。・ 過 集 中 しやすく, 疲 労 を 感 じ 取 れず, 体 調 を 崩 す。報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 に 際 しては、 字 義 通 りの 解 釈 や 行 間 を 読 み 取 れず、 報 告 の 要 旨 が 明 確 でない 話 し 方 をしたり、 重 要 でないことに 並 々ならぬ 注 意 を 払 うなど、 前 項 の「 情 報 の 理 解 」と「 情 報 の 伝 達 」においても 比 較 的 優 先 性 が 高 いとされた「 正 しい 理 解 のために 質 問 できる 」「 言 外 の 意 味 を 理 解 できる」 並 びに「 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる 」「 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる」と 重 複 するスキルについて、十 分 に 習 得 できていないなどの 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 やOJTのみならず、 自 己 研 修 等を 活 用 して 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。-144-


表 2-1-4 意 思 の 表 明 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(15)「いつ」「どこで」「だれが」 ・どのように,なぜ,といった 説 明 ができない。「なぜ」「どのように」( 5W1H)・しばしば, 会 議 の 流 れについて 行 けていない。を 明 確 にして 説 明 できる ・ 議 論 が 堂 々めぐりになり, 相 手 は 何 を 議 論 していたのか 分 らなくなる。(16) 場 面 ( TPO)に 応 じて、 ・ 人 から 関 わられたときの 対 応 が 場 にあっていない。振 る 舞 い 方 を 適 切 に 変 えて ・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。意 見 を 主 張 できる ・ 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 。(17) 他 者 にわかりやすい 表 現で 意 見 を 主 張 できる・ 難 しい 言 葉 を 使 うが、その 意 味 をよくわかっていない。・ 相 手 を 怒 らせるので 営 業 や 相 談 窓 口 をさせられない。・ 自 分 がどうにもならないと 突 然 , 断 定 的 に 言 うので 周 囲 が 驚 く。・ 本 人 の 言 動 が 言 い 訳 や 他 人 のせいにしているように 聞 こえる。また、 意 思 の 表 明 に 際 しては、 意 味 がわからないままに 難 しい 言 葉 を 使 う、 相 手 を 怒 らせてしまう、話 の 流 れがわからない、など、 話 し 方 のスキルについて 十 分 に 習 得 できていないといった 特 徴 がある 場合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 やOJTのみならず、 自 己 研 修 等 を 活 用 して 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。ウ .「 相 手 の 意 見 の 尊 重 」と「 意 見 集 約 ・ 交 換 」図 2-1-4 に「 相 手 の 意 見 の 尊 重 」と「 意 見 集 約 ・ 交 換 」について、 項 目 別 に 期 待 する 水 準 ( 平 均 値 :棒 グラフ/ 単 位 : 点 数 ( 右 軸 ))と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 :月 数 ( 左 軸 ))を 示 した。 平 均 得 点 について 有 意 の 差 が 認 められない 項 目 については 括 弧 でその 範 囲 を示 した。また、 表 2-1-5 ~ 2-1-6 に 求 められる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害 特 性 を 示 した。以 下 では 、「 期 待 する 水 準 は 高 いが、 期 待 する 達 成 時 期 にはゆとりがある( 12 ヶ 月 未 満 )」、 「 期 待 する 水 準 も 達 成 時 期 もゆとりがある( 12 ヶ 月 以 上 )」に 分 けて、 項 目 の 検 討 をしていくことにする。【 期 待 する 水 準 が 概 ね 2 点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い 項 目 としては 、「 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる 」「 自 分 の 価値 観 と 異 なる 意 見 ・ 考 え 方 を 否 定 しない 」「 苦 手 な 相 手 に 対 しても 不 必 要 な 衝 突 や 排 他 的 な 行 動 をせずにつきあえる 」「 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどをすばやく 理 解 することができる 」「 相 手 と 自 分 の 立 場 の違 いなどを 理 解 し、その 場 の 状 況 にあった 適 切 な 対 応 ができる」 並 びに「 複 数 の 他 者 の 異 なる 意 見 を 分類 ・ 整 理 したうえで 要 約 できる」が 該 当 する。相 手 の 意 見 の 尊 重 や 意 見 集 約 ・ 交 換 に 際 しては、 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 を 踏 まえて 行 動 できる、 発 言 者 の 意 図 や 会 議 の 主 旨 を 的 確 に 捉 える、 被 害 的 あるいは 猜 疑 的 、 攻 撃 的 にならない、 他 人 の弱 点 や 失 策 に 動 じない、 といった 行 動 が 難 しい 場 合 に 、 雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。-145-


18月数相 手 の 意 見 の 尊 重3点数18月数意 見 集 約 ・ 交 換3点数2.27 点2.17 点2.12 点 2.04 点2.03 点13.414.01211.62121.98 点1.97 点 1.82 点28.57.69.010.566.41610相手の意見を受け入れられる苦手な相手とでもつきあえる自分と異なる考え方を否定しない立場の違いをすばやく理解できる立場の違いを理解して対応できる00 複 相異 0数 手なの のる他 意意者 見見と のを意 整整見 理理交 、し換 要てが 約要行 が約え ででる ききるる図 2-1-4 相 手 の 意 見 の 尊 重 と 意 見 集 約 ・ 交 換 ( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 )(18)られる表 2-1-5 相 手 の 意 見 の 尊 重 ( 障 害 特 性 との 対 応 )相 手 の 意 見 を 受 け 入 れ ・ 発 言 者 の 意 図 や 会 議 の 主 旨 をしばしば 読 み 間 違 う。・ 本 人 の 言 動 が 言 い 訳 や 他 人 のせいにしているように 聞 こえる。・ 問 題 を 指 摘 されると, 不 安 になったり,パニックになったりし, 表 情 が 消 える。・ 自 尊 心 が 傷 つきやすく, 引 きこもったり, 反 対 に 攻 撃 的 言 動 で 自 衛 しようとする。(19) 自 分 の 価 値 観 と 異 なる意 見 ・ 考 え 方 を 否 定 しない・ 被 害 的 あるいは 猜 疑 的 , 攻 撃 的 になりやすい。・ 周 囲 に 遠 慮 せずに 自 分 中 心 の 行 動 をする。(20) 苦 手 な 相 手 に 対 しても ・ 相 手 が 嫌 がることをわざと 執 拗 に 繰 り 返 す。不 必 要 な 衝 突 や 排 他 的 な ・ 本 人 の 言 動 が 言 い 訳 や 他 人 のせいにしているように 聞 こえる。行 動 をせずにつきあえる ・ 他 人 の 弱 点 や 失 策 については 激 しく 非 難 する。その 割 に,ささいな 不 便 が 生 じたり,誤 解 されたりすると 怒 り, 周 囲 には,それに 動 じないで 自 分 を 理 解 してくれることを望 む。・ 細 かい 決 まりやルールにこだわる。その 割 には 自 分 勝 手 に 見 える。(21) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 い ・ 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 (その 場 での 自 分 の 立 場 や 状 態 )がすぐにわかる。などをすばやく 理 解 する ( 状 況 に 応 じた 行 動 ができる)ことができる ・ 相 手 の 地 位 に 応 じた 対 応 が 不 得 手 。(22) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどを 理 解 し、その 場 の状 況 にあった 適 切 な 対 応 ができる・ 自 分 が 話 をしているときには,なかなか 他 の 人 に 横 から 口 をはさませない。・ 人 から 関 わられたときの 対 応 が 場 にあっていない。・ 本 人 がていねいに 話 したつもりでも, 話 し 方 などが 失 礼 だと 周 囲 の 人 から 言 われることがよくある。・みんな 忙 しくしているのに ,「 手 伝 いましょう」がない。-146-


【 期 待 する 水 準 が 2 点 以 下 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 以 上 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 時 間 的 な 猶 予 がある 項 目 としては、 意 見 集 約 ・ 交 換 の「 複 数 の 他 者 の 異なる 意 見 を 分 類 ・ 整 理 したうえで 要 約 できる 」「 複 数 の 他 者 との 意 見 交 換 が 円 滑 に 行 える」 が 該 当 する。意 見 集 約 ・ 交 換 に 際 しては、 会 話 をどのように 続 けたらいいのか,わからなくなってしまう、 言 われたことを 場 面 に 応 じて 理 解 するのが 難 しい、 言 葉 を 字 句 どおりに 解 釈 する、などの 行 動 特 徴 がある 場 合に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 や OJT のみならず、 自 己 研 修 等 を 活 用 して 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。表 2-1-6 意 見 集 約 ・ 交 換 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約ができる・ 言 われたことを 場 面 に 応 じて 理 解 するのが 難 しい。・ 会 議 の 要 約 ができない。・ 報 告 内 容 がビデオの 再 生 的 でこと 細 かくなり, 要 旨 が 見 えない。・ 言 葉 を 字 句 どおりに 解 釈 する。 行 間 やニュアンスを 読 めていない。(24) 複 数 の 他 者 の 異 なる 意 見 ・ 大 勢 の 会 話 では, 誰 が 誰 に 話 しているのかがわからない。を 分 類 ・ 整 理 したうえで ・しばしば, 会 議 の 流 れについて 行 けていない。要 約 できる ・ 発 言 者 の 意 図 や 会 議 の 主 旨 をしばしば 読 み 間 違 う。・ 調 整 役 をやらせると 強 権 的 になるか, 調 整 不 能 になる。(25)が 円 滑 に 行 える複 数 の 他 者 との 意 見 交 換 ・ 雑 談 や,ちょっとしたおしゃべりを 人 とすることが 得 意 だ。・ 会 話 が 弾 むことがなく, 聞 くか 話 すか 一 方 的 になりやすい。・ 要 求 があるときだけ 自 分 から 人 に 関 わる。・ 会 話 をどのように 続 けたらいいのか,わからなくなってしまうことがよくある。エ .「 組 織 内 外 の 行 動 」図 2-1-5 に 「 組 織 内 外 の 行 動 」 について 、 項 目 別 に 期 待 する 水 準 ( 平 均 値 : 棒 グラフ/ 単 位 : 点 数 ( 右軸 ))と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 : 月 数 ( 左 軸 ))を 示 した。 平均 得 点 について 有 意 の 差 が 認 められない 項 目 については 括 弧 でその 範 囲 を 示 した。また、 表2-1-7 に 求 められる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害 特 性 を 示 した。以 下 では 、「 期 待 する 水 準 が 高 く 、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」、「 期 待 する 水 準 は 高 いが、期 待 する 達 成 時 期 にはゆとりがある( 12 ヶ 月 未 満 )」に 分 けて、 項 目 の 検 討 をしていくことにする。【 期 待 する 水 準 が 2点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 6 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 極 めて 優 先 性 が 高 いとみることができる 項 目 としては 、「 組 織 の 規 則 に 従 った行 動 ができる 」「グループや 集 団 で 行 動 ができる 」「 感 情 のコントロールができる 」「 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行に 対 応 できる」が 該 当 する。ルールを 守 ることができなかったり、 暗 黙 のルールを 理 解 できない、 気 分 の 波 が 激 しい、 被 害 的 あるいは 猜 疑 的 、 攻 撃 的 になりやすい、 積 極 的 な 対 人 態 度 をとることが 苦 手 であるといった 行 動 特 徴 がある場 合 に、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。-147-


【 期 待 する 水 準 が 概 ね 2 点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い 項 目 としては 、「 相 手 の 言 動 を 意 識 した 行 動 ができる」が該 当 する。また 、「 仕 事 で 接 する 他 者 の 名 前 や 顔 などを 覚 える」については、 期 待 する 水 準 が 2点 に 満たないものの、 概 ね6 ヶ 月 の 達 成 を 期 待 されている 点 で 優 先 性 が 高 いとみることにした。参 加 者 間 で 合 意 された 意 思 を 踏 まえて 行 動 することが 苦 手 である、 他 人 の 感 情 には 無 神 経 に 見 える、毎 日 接 する 人 の 名 前 や 顔 を 覚 えられないといった 日 常 生 活 面 での 行 動 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要になる。18月数組 織 内 外 の 行 動2.43 点 2.40 点3点数2.31 点2.20 点2.11 点121.96 点27.264.64.95.55.96.010組 グ 感 職相 名 仕0織 ル 情 場手 前 事の ー の のの や で規 プ コ 慣言 顔 接行 則 や ン 例動 を す行動 に 集 ト・を 覚 る動が 従 団 ロ 慣意 え 者でで っ で ー 行識 る のきき た 行 ル にしるる 動 が 対てで で 応き き でる る きる図 2-1-5 組 織 内 外 の 行 動 ( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 )表 2-1-7 組 織 内 外 の 行 動 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(26) 仕 事 で 接 する 他 者 の 名 前 ・ 長 く 職 場 にいても, 人 の 名 前 を 憶 えていない。エレベータで 会 っても 会 釈 がない。や 顔 などを 覚 える ・ 一 緒 に 作 業 している 人 や 部 屋 を 出 入 りする 人 の 方 を 見 る, 話 しかけた 人 の 方 を 見 る,適 切 なコミュニケーションをはかるなど, 他 の 人 を 意 識 し 適 切 に 反 応 できる。(27) 相 手 の 言 動 を 意 識 した行 動 ができる・ 自 分 の 話 を 聞 いている 相 手 が 退 屈 しているときには,どのように 話 をすればいいかわかっている。・ 相 手 の 顔 を 見 るだけで,その 人 が 考 えていることや 感 じていることがわかる。・ 参 加 者 間 で 合 意 された 意 思 を,たびたび 本 人 だけがわかっていない。・ 他 人 にどう 見 られているかには 神 経 質 だが, 他 人 の 感 情 には 無 神 経 に 見 える。-148-


(28) グループや 集 団 での 作 業 ・ 指 導 員 やクラスメイト, 一 緒 に 作 業 している 人 など, 親 しい 人 に 対 して, 積 極 的 な・ 行 動 ができる 対 人 行 動 をとれない。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。・ 連 携 しながらやる 仕 事 よりも, 自 分 だけで 完 結 する 仕 事 を 好 む。・ 他 人 の 弱 点 や 失 策 については 激 しく 非 難 する。その 割 に,ささいな 不 便 が 生 じたり,誤 解 されたりすると 怒 り, 周 囲 には,それに 動 じないで 自 分 を 理 解 してくれることを望 む。・ 周 囲 が 配 慮 していても, 感 謝 しているようには 見 えない。・ヒマな 時 の 振 る 舞 いが 適 切 でない。・ 義 理 を 理 解 していない。・ 折 衝 や 駆 け 引 きが 不 得 手 。・ 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 。(29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動ができる・ 具 体 的 なルールはきちんと 守 るが, 暗 黙 の 自 明 なルールを 理 解 できていない。・ルールに 書 かれていないことは,してもよいことと 勝 手 に 判 断 する。・ 共 用 そのものを 嫌 がる。 共 用 は 不 得 手 。・ 共 用 物 をやがて 自 分 用 に 変 えてしまう。・ 他 人 が 触 ると 邪 魔 されたと 感 じてしまう。・ 汎 化 して 記 憶 しない。 類 似 性 を 感 じ 取 れない。そのため, 応 用 が 利 かない。(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応できる・ 具 体 的 なルールはきちんと 守 るが, 暗 黙 の 自 明 なルールを 理 解 できていない。・ルールに 書 かれていないことは,してもよいことと 勝 手 に 判 断 する。(31) 感 情 のコントロールができる( 怒 りや 嫌 悪 などを不 必 要 に 表 現 しない)・ 不 快 感 を 引 きずる。・ 自 尊 心 が 傷 つきやすく, 引 きこもったり, 反 対 に 攻 撃 的 言 動 で 自 衛 しようとする。・ 被 害 的 あるいは 猜 疑 的 , 攻 撃 的 になりやすい。・ 気 分 の 波 が 激 しく, 落 ち 込 みと 興 奮 を 繰 り 返 す。(2)ビジネスマナー 等 についてア .「 挨 拶 等 の 基 本 」と「 電 話 の 使 い 方 の 基 本 」図 2-1-6 に「 挨 拶 等 の 基 本 」と「 電 話 の 使 い 方 の 基 本 」について、 項 目 別 に 期 待 する 水 準 ( 平 均 値 :棒 グラフ/ 単 位 : 点 数 ( 右 軸 ))と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 :月 数 ( 左 軸 ))を 示 した。 平 均 得 点 について 有 意 の 差 が 認 められない 項 目 については 括 弧 でその 範 囲 を示 した。また、 表 2-1-8 ~ 2-1-9 に 求 められる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害 特 性 を 示 した。以 下 では、 全 ての 項 目 について 、「 期 待 する 水 準 が 高 く、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」として 検 討 をしていくことにする 。「 電 話 の 応 対 」に 関 する 5 項 目 については、 期 待 する 水 準 が 2 点 に 満たないものの、 6 ヶ 月 未 満 の 達 成 を 期 待 されている 点 で 優 先 性 が 高 いとみることにした。職 業 準 備 の 視 点 からは 極 めて 優 先 性 が 高 いとみることができる 項 目 として 、「 挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が適 切 にできる 」「 好 感 を 持 たれる 応 答 ができる 」「 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける 」「マナーに 則 して 携帯 電 話 を 使 える 」「 電 話 が 適 切 に 受 けられる 」「 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる 」「 電 話 のメモを 作 ることができる 」「 電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる 」「 取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる」が 該 当 する 。「 好 感を 持 たれる 応 答 ができる」については 概 ね 研 修 後 の 配 置 までといった 達 成 を 求 められているものの、 他の 8 項 目 については 早 期 の 達 成 が 求 められており、 職 場 における 日 常 的 な 行 動 様 式 として 入 社 早 々から-149-


適 切 に 行 動 できることが 期 待 されている 行 動 であるとみることができる。挨 拶 や 電 話 の 応 対 、 話 し 方 の 基 本 的 なマナーについて、 苦 手 であるといった 行 動 特 徴 がある 場 合 に、開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。18月数挨 拶 等 の 基 本2.43 点3点数18月数電 話 の 使 い 方 の 基 本3点数 点数2.21 点 2.12 点122122.02 点 1.93 点 1.91 点1.88 点 1.88 点1.83 点266.01613.34.63.64.2 4.3 4.54.64.80 挨好敬 0拶感語・をのお持種適詫た使 類切びれい やにやる分 表でお応け 現き礼答る をるがができる0 マ電取 0ナ話りーの次携 に帯 則電 し話 てを使える電話が適切に受けられる取適 り切 次に ぎで がきる電話のメモを作ることができる電話で適切な言い方ができるげ対 な応 いが 電で 話き のる図 2-1-6 挨 拶 等 の 基 本 と 電 話 の 使 い 方 の 基 本 ( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 )表 2-1-8 挨 拶 等 の 基 本 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(1) 勤 務 中 の 挨 拶 、お 詫 びやお礼 が 適 切 にできる(2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分ける・ 長 く 職 場 にいても, 人 の 名 前 を 憶 えていない。エレベータで 会 っても 会 釈 がない。・ 来 客 や 街 で 出 会 った 人 など, 見 知 らぬ 人 に 対 して, 適 切 な 方 法 で 好 ましい 対 人 行 動 をとれる。・ 知 らない 人 になれなれしくしすぎたり, 不 適 切 な 行 動 をして 迷 惑 をかけたりすることが時 々ある。または, 時 々しかあいさつしない。・ 本 人 がていねいに 話 したつもりでも, 話 し 方 などが 失 礼 だと 周 囲 の 人 から 言 われることがよくある。・ 伝 言 や 取 次 ぎ 時 に, 相 手 が 言 った 言 い 方 を 言 い 換 えずそのまま 上 司 にしてしまう。(3) 相 手 から 好 感 の 持 たれる 話 ・ 冗 談 や 皮 肉 がわからず、 文 字 通 り 受 け 取 る 。し 方 ・ 聴 き 方 ができる ・ 同 じことを 何 度 も 繰 り 返 していると, 周 囲 の 人 によく 言 われる。・「 どうした? 」, 「 最 近 どう?」などの 曖 昧 な 問 いかけに 答 えられない。・ 自 分 が 話 をしているときには,なかなか 他 の 人 に 横 から 口 をはさませない。-150-


表 2-1-9 電 話 の 使 い 方 の 基 本 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(4) 電 話 が 適 切 に 受 けられる ・ 電 話 で 相 手 の 怒 りを 買 うことが 多 い。・ 相 手 の 地 位 に 応 じた 対 応 が 不 得 手 。(5) 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる・ 伝 言 や 取 次 ぎ 時 に, 相 手 が 言 った 言 い 方 を 言 い 換 えずそのまま 上 司 にしてしまう。(6) 電 話 を 取 り 次 げないときの ・ 電 話 で 相 手 の 怒 りを 買 うことが 多 い。対 応 ができる ・ 相 手 の 地 位 に 応 じた 対 応 が 不 得 手 。・ 注 意 メモを 自 ら 作 っていても 必 要 な 場 面 でメモがあることに 気 付 かない。(7) 電 話 の 内 容 について 適 切 なメモを 作 ることができる・ 相 手 の 言 いたいことを 読 み 違 える。・ 意 外 なまでに 話 し 言 葉 を 理 解 していないことがある。(8) 電 話 をかける 時 に 適 切 な 言 ・ 臨 機 応 変 を 要 求 される 業 務 が 不 得 手 。い 方 ができる ・ 折 衝 や 駆 け 引 きが 不 得 手 。・ 電 話 で 話 をしているとき, 自 分 が 話 をするタイミングがわからないことがある。(9) マナーをわきまえて、 携 帯電 話 を 使 うことができる・ 具 体 的 なルールはきちんと 守 るが, 暗 黙 の 自 明 なルールを 理 解 できていない。イ .「 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 」と「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」図2-1-7に「 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 」と「 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 」について、 項 目 別 に 期 待 する水 準 ( 平 均 値 : 棒 グラフ/ 単 位 : 点 数 ( 右 軸 ))と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 : 月 数 ( 左 軸 ))を 示 した。 平 均 得 点 について 有 意 の 差 が 認 められない 項 目 については 括弧 でその 範 囲 を 示 した。また、 表 2-1-10 ~ 2-1-11 に 求 められる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害特 性 を 示 した。以 下 では 、「 期 待 する 水 準 が 高 く、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」、 「 期 待 する 水 準 は 相 対 的に 高 いといったレベルであるが、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」に 分 けて、 項 目 の 検 討 をしていくことにする。【 期 待 する 水 準 が 2点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 6 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 から 極 めて 優 先 性 が 高 いとみることができる 項 目 としては 、「 時 間 ・ 期 限 を 守 ることができる 」「 他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる 」「 指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる 」「 指 示 内 容 の 要 点 を 整理 できる 」「 適 切 に 自 己 紹 介 ができる 」「 組 織 における 立 場 を 理 解 している」が 該 当 する 。「 組 織 における 立 場 を 理 解 している」については 期 待 される 達 成 時 期 が 6.1 ヶ 月 であったが、 得 点 を 勘 案 して 優 先 性が 高 いとみることにした。時 間 や 期 限 を 守 ることができなかったり、 周 囲 と 協 調 して 行 動 できない、 自 分 のおかれている 状 況 に応 じて 行 動 できないなどの 行 動 特 徴 がある 場 合 に、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。-151-


18月数訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本3点数18月数社 会 人 としての 役 割 や 責 任2.51 点3点数2.36 点122.03 点1.86 点 1.78 点 1.72 点2122.05 点 2.04 点2.04 点21.68 点 1.66 点 1.59 点64.45.96.1 6.115.0 4.95.35.163.13.66.1 5.95.710適訪来 ア来 取名0切問客 ポ客 り刺に時対 イの 次の自の応わわン取 げ受己きマの トり 対 なけき紹ナマ を次 応 い渡まま介ーナ 的ぎ が 来しええがをー 確が で 客がててでを にで き の適きいい取き る切るるるれるにるできる0時0間守 、期る限こをとができる他者に迷行惑動をでかきけるずに組織にお理け解るし立て場いをる指示内容を正確に伝えられる指示内容の要点を整理できる図 2-1-7 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 と 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 ( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 )表 2-1-10 訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(10) アポイントを 的 確 に 取 ることができる(11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている(12) 名 刺 の 受 け 方 ・ 渡 し 方 が適 切 にできる・ 折 衝 や 駆 け 引 きが 不 得 手 である。 段 取 りや 準 備 が 不 得 手 である。・ 相 手 の 言 いたいことを 読 み 違 える。・ 本 人 がていねいに 話 したつもりでも, 話 し 方 などが 失 礼 だと 周 囲 の 人 から 言 われることがよくある。・ 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 (その 場 での 自 分 の 立 場 や 状 態 )がすぐにわかる。( 状 況 に 応 じた 行 動 ができる)・ 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 (その 場 での 自 分 の 立 場 や 状 態 )がすぐにわかる。( 状 況 に 応 じた 行 動 ができる)(13)適 切 に 自 己 紹 介 ができる・ 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 (その 場 での 自 分 の 立 場 や 状 態 )がすぐにわかる。( 状 況 に 応 じた 行 動 ができる)・ 新 しい 場 面 ( 状 況 )では 不 安 を 感 じやすい。(14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている・ 新 しい 場 面 ( 状 況 )では 不 安 を 感 じやすい。・ 相 手 を 怒 らせるので 営 業 や 相 談 窓 口 をさせられない。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。(15)来 客 の 取 り 次 ぎができる・ 伝 言 や 取 次 ぎ 時 に 相 手 が 言 った 言 い 方 を 言 い 換 えず、そのまま 上 司 にしてしまう。・ 相 手 の 地 位 に 応 じた 対 応 が 不 得 手 である。(16) 来 客 を 取 り 次 げない 時 の対 応 ができる・ 具 体 的 なルールはきちんと 守 るが, 暗 黙 の 自 明 なルールを 理 解 できていない。・ 相 手 の 地 位 に 応 じた 対 応 が 不 得 手 である。・ 注 意 メモを 自 ら 作 っていても 必 要 な 場 面 でメモがあることに 気 付 かない。-152-


【 期 待 する 水 準 が 概 ね 2点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 6ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い 項 目 として 、「 訪 問 時 のマナーをわきまえている 」「 来 客 対応 のマナーをわきまえている 」「アポイントを 的 確 に 取 れる 」「 来 客 の 取 り 次 ぎができる 」「 取 り 次 げないときの 対 応 ができる 」「 名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる」が 該 当 する。定 型 的 な 行 動 でありながら、 場 面 に 即 応 した 対 応 が 求 められる 場 合 にも 適 切 に 行 動 できるなど、 職 場での 日 常 的 な 行 動 様 式 については、 早 い 時 期 の 達 成 を 期 待 されており、 対 人 対 応 で 応 用 がきかないなどの 行 動 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。表 2-1-11 社 会 人 としての 役 割 や 責 任 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(17) 指 示 内 容 の 要 点 を整 理 できる・ 言 われたことを 場 面 に 応 じて 理 解 するのが 難 しい。・ 同 じことを 何 度 も 繰 り 返 していると, 周 囲 の 人 によく 言 われる。・ 意 外 なまでに 話 し 言 葉 を 理 解 していないことがある。 図 解 すると 理 解 する。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。・ 単 純 ミスを 繰 り 返 す。 間 違 って 進 めていても 途 中 で 気 付 かない。(18) 指 示 内 容 について、 相 手に 正 確 に 伝 えることができる・ 自 分 が 体 験 したことは,その 場 にいない 人 も 知 っていると 感 じる。・ 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 (その 場 での 自 分 の 立 場 や 状 態 )がすぐにわかる。( 状 況 に 応 じた 行 動 ができる)(19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができる・ 自 分 がすることは, 何 でも 注 意 深 く 計 画 する 傾 向 がある。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。・ 何 かをしているときに,じゃまが 入 っても,すぐにそれまでやっていたことに 戻 ることができる。(20) 他 者 ・ 同 僚 に 迷 惑 をかけないように 行 動 できる・ 周 囲 が 配 慮 していても, 感 謝 しているようには 見 えない。・ 自 尊 心 が 傷 つきやすく, 引 きこもったり, 反 対 に 攻 撃 的 言 動 で 自 衛 しようとする。・ 自 分 がおかれている 社 会 的 な 状 況 (その 場 での 自 分 の 立 場 や 状 態 )がすぐにわかる。( 状 況 に 応 じた 行 動 ができる)・ 他 人 の 弱 点 や 失 策 については 激 しく 非 難 する。その 割 に,ささいな 不 便 が 生 じたり,誤 解 されたりすると 怒 り, 周 囲 には,それに 動 じないで 自 分 を 理 解 してくれることを望 む。(21) 組 織 における 自 らの 職 務 ・ 会 議 やミーティングを 重 要 だとは 感 じず, 自 分 の 仕 事 を 優 先 したがる。や 立 場 を 理 解 している ・ 連 携 しながらやる 仕 事 よりも, 自 分 だけで 完 結 する 仕 事 を 好 む。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。・ 汎 化 して 記 憶 しない。 類 似 性 を 感 じ 取 れない。そのため, 応 用 が 利 かない。ウ .「 職 業 観 」図 2-1-8 に「 職 業 観 」について、 項 目 別 に 期 待 する 水 準 ( 平 均 値 : 棒 グラフ/ 単 位 : 点 数 ( 右 軸 )と 期 待 する 達 成 時 期 ( 入 社 からの 平 均 月 数 の 範 囲 :チャート/ 単 位 : 月 数 ( 左 軸 ))を 示 した。 平 均 得点 について 有 意 の 差 が 認 められない 項 目 については 括 弧 でその 範 囲 を 示 した。また、 表られる 行 動 と 関 連 することが 想 定 される 障 害 特 性 を 示 した。2-1-12に 求 め以 下 では 、「 期 待 する 水 準 が 高 く 、 期 待 する 達 成 時 期 が 早 い( 6 ヶ 月 未 満 )」、「 期 待 する 水 準 は 高 いが、期 待 する 達 成 時 期 にはゆとりがある( 12 ヶ 月 未 満 )」、 「 期 待 する 水 準 は 高 いが 達 成 時 期 にゆとりがある-153-


( 12 ヶ 月 以 上 )」に 分 けて 項 目 の 検 討 をしていくことにする。18 18月数職 業 観33点数12 122.44 2.44 点2.30 2.30 点2.20 2.20 点2.17 2.17 点2.11 2.11 点2.10 2.10 点2.0612.92.06 点12.92210.4 10.4666.4 6.47.3 7.38.2 8.2114.9 4.92.7 2.7000服業知指組 次 ミ最適務務識業 示織 な ス後進切規指・務 系目 目 る なまん考律示技を 統標 標 課にどをでをでえ 説能遂 にを 達 題 の守や習を行 沿立 成て 明の 状り得るいで抜すって の 発で況る きき てる た 見 をけるるるめ をるに図 2-1-8 職 業 観 (( 採 用 に 対 する 期 待 × 達 成 時 期 ))【 期 待 する 水 準 が 2点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 6 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 から 極 めて 優 先 性 が 高 いとみることができる 項 目 としては 、「 服 務 規 律 を 守 る」 並 びに「 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる」が 該 当 する。職 場 のルールやマナーよりも 自 分 の 関 心 事 を 優 先 したり、 様 々なことが 起 こると 指 示 どおりに 作 業 を遂 行 することができなくなるなどの 行 動 特 徴 がある 場 合 に、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのかといった 検 討 が 必 要 になる。【 期 待 する 水 準 が 2 点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 未 満 】職 業 準 備 の 視 点 から 比 較 的 優 先 性 が 高 い 項 目 としては 、「 業 務 指 示 を 最 後 までやり 遂 げる 」「 知 識 ・ 技能 を 進 んで 習 得 する 」「 組 織 目 標 の 達 成 のために 目 標 を 立 てる」 並 びに「ミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明できる」が 該 当 する。業 務 指 示 や 組 織 目 標 よりも 自 分 の 関 心 事 を 優 先 したり、 新 しいことに 後 込 みして 知 識 ・ 技 能 の 習 得 に積 極 的 になれない 、 優 先 順 位 を 決 められない、 ミスの 報 告 が 適 切 でない、 などの 行 動 特 徴 がある 場 合 に、雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。-154-


表 2-1-12 職 業 観 ( 障 害 特 性 との 対 応 )(22)服 務 規 律 を 守 る・ 自 分 の 関 心 事 以 外 のことには 集 中 していない。・ 不 注 意 さがひどく, 場 に 応 じた 行 動 ができない。・ 汎 化 して 記 憶 しない。 類 似 性 を 感 じ 取 れない。そのため, 応 用 が 利 かない。(23) 決 められた 指 示 系 統 に沿 って 業 務 を 遂 行 できる・ 何 かをしているときに,じゃまが 入 っても,すぐにそれまでやっていたことに 戻 ることができる。・ 未 経 験 のことは, 何 から 手 をつけたら 良 いかが 思 い 浮 かばず, 真 っ 白 になった 自 分 に固 まる。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。・ 単 純 ミスを 繰 り 返 す。 間 違 って 進 めていても 途 中 で 気 付 かない。(24) 自 分 に 与 えられた 業 務 指示 を 最 後 までやり 抜 くことがきる・ 自 分 の 関 心 事 以 外 のことには 集 中 していない。・ 複 数 の 仕 事 が 重 なるとパニックになったり, 優 先 順 位 が 適 切 でない。(25) 組 織 目 標 を 意 識 し、 目 標達 成 に 向 けて 自 らも 目 標 を立 てて 職 務 に 臨 んでいる・ 新 しい 場 面 ( 状 況 )では 不 安 を 感 じやすい。・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。・ 会 議 やミーティングを 重 要 だとは 感 じず, 自 分 の 仕 事 を 優 先 したがる。(26) 指 示 通 りの 成 果 があげら ・どのように,なぜ,といった 説 明 ができない。れなかった 場 合 、あるいは ・ 自 分 がどうにもならないと 突 然 , 断 定 的 に 言 うので 周 囲 が 驚 く。ミスなどをした 場 合 、 上 司 ・ 本 人 の 言 動 が 言 い 訳 や 他 人 のせいにしているように 聞 こえる。や 同 僚 に 対 して 適 切 に 状 況説 明 ができる(27) 担 当 職 務 に 求 められる 知識 ・ 技 能 の 習 得 のため、 自ら 進 んで 勉 強 する 意 欲 がある・ 自 分 から 進 んで( 自 発 的 に) 何 かをすることを 楽 しんでいる。・ 同 じことを 何 度 も 繰 り 返 していると, 周 囲 の 人 によく 言 われる。(28) 指 示 された 事 柄 だけでな ・ 新 しい 場 面 ( 状 況 )では 不 安 を 感 じやすい。く、 次 なる 課 題 の 発 見 を 考 ・ 指 示 されたことはちゃんとやる 割 には, 指 示 がないと 動 かない。えて 職 務 に 臨 んでいる ・ 複 数 の 仕 事 が 重 なるとパニックになったり, 優 先 順 位 が 適 切 でない。・ 未 経 験 のことは, 何 から 手 をつけたら 良 いかが 思 い 浮 かばず, 真 っ 白 になった 自 分 に 固まる。【 期 待 する 水 準 が 2 点 以 上 ・ 期 待 する 達 成 時 期 が 12 ヶ 月 以 上 】職 業 準 備 の 視 点 から 比 較 的 時 間 的 な 猶 予 がある 項 目 としては 、「 指 示 されたことだけでなく、 次 なる課 題 の 発 見 を 考 えている」が 該 当 する。慣 れた 仕 事 であれば 対 応 できるが、 新 しい 状 況 では 不 安 を 感 じやすい、 複 数 の 仕 事 が 重 なると 対 応 できない、 未 経 験 のことには 積 極 的 になれないなどの 特 徴 がある 場 合 に、 雇 用 後 の 一 般 研 修 やOJTのみならず、 自 己 研 修 等 を 活 用 して 達 成 が 見 込 めるのか、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる。3. 支 援 のタイミングと 課 題コミュニケーションの 7 領 域 31 項 目 とビジネスマナー 等 の 5 領 域 28 項 目 について、 就 業 前 に 支 援 を-155-


実 施 する 際 の 段 階 的 な 目 標 設 定 は、 個 人 の 特 性 並 びに 各 領 域 における 各 項 目 の 行 動 化 の 達 成 状 況 によって 異 なっている。ここでは、 企 業 が 求 める 水 準 と 期 待 する 達 成 時 期 によって、 項 目 の 優 先 性 を 検 討 しておくことにしたい( 表 2-1-13 ~ 2-1-14) 。(1)コミュニケーションについて求 める 得 点 が 高 く( 2 点 以 上 )、 期 待 する 達 成 時 期 が 就 職 後 6 ヶ 月 未 満 という 項 目 については 、「 職 業準 備 の 視 点 からは 極 めて 優 先 性 が 高 い」とした。 現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援 が 必 要 であると 考 える場 合 、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるかどうか、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、についての 検 討 が 必 要 になる。 企 業 調 査 の 結 果 については、 発 達 障 害 があっても 開 示 をせずに“ 一 般 扱 い”で 採 用 され、 初 任 者 研 修 や OJT・Off-JTの 期 間 を 経 て 適 応 ・ 定 着 の 見 通 しを 持 つ 場 合 を 前 提 として 活 用 することになる。こうした 意 味 において 、「6ヶ 月 」という 期 間 を 考 えるべきであろう。一 方 、 求 める 得 点 は 高 い( 2 点 以 上 )が、 期 待 する 達 成 時 期 が 就 職 後 12 ヶ 月 未 満 という 項 目 については 、「 職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い」とした。 現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援 が 必 要 であると 考 える 場 合 、 雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、もしくは 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検討 が 必 要 になる 。「12ヶ 月 」という 期 間 は、 次 年 度 の 採 用 者 が 職 場 に 配 置 されるまでの 間 という 意 味 を持 つ。 習 得 すべき 課 題 への 対 処 は、この 期 間 に 求 められていると 考 えるべき 項 目 といえる。さらに、 求 める 得 点 が 高 くなく( 2 点 未 満 )、 期 待 する 達 成 時 期 が 就 職 後 12 ヶ 月 以 上 という 項 目 については 、「 職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 時 間 的 な 猶 予 がある」とした。 現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援が 必 要 であると 考 える 場 合 、 雇 用 後 の 一 般 研 修 やOJTのみならず、 自 己 研 修 等 を 活 用 して 達 成 が 見 込めるのか 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、もしくは 開 示 して 理 解 と配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった 検 討 が 必 要 になる 。「12ヶ 月 以 上 」という 期 間 は、 職 場 配 置 後に 必 要 に 応 じて 習 得 すべき 課 題 と 位 置 づけられていると 考 えるべき 項 目 といえる。なお、 表 2-1-13 の 項 目 に 付 した「 **」「 *」は、 企 業 規 模 が 大 きいほどに 重 視 する 程 度 が 大 きい 項 目△△ △であることを 示 す。また 、「」「 」は、 卸 ・ 小 売 業 で 重 視 する 程 度 が 大 きく、 製 造 業 で 小 さい 項 目 であることを 示 す。 希 望 する 就 業 先 に 即 して 支 援 の 課 題 を 検 討 する 際 には、 留 意 すべき 事 項 となろう。(2)ビジネスマナー 等ビジネスマナー 等 の 項 目 については、コミュニケーションの 項 目 とは 異 なる 見 解 が 示 された。すなわち、 達 成 時 期 はきわめて 早 期 に 期 待 されていた。このため、 項 目 の 特 徴 については、 達 成 時 期 を 主 軸 として 記 述 することとした。 表2-1-13 と 表 頭 区 分 が 異 なるのはこのためである。-156-


表 2-1-13 コミュニケーションの 課 題 の 支 援 ( 規 模 別 ・ 業 種 別 )期 待 水 準 が 2点 以 下 期 待 水 準 が 2点 以 上12 ヶ 月 以 上 6 ~ 12 ヶ 月 未 満 6 ヶ 月 未 満情 報 の 理 解 正 しい 理 解 のために 質 問 できる 相 手 の 主 張 を 理 解 できる**言 外 の 意 味 を 理 解 できる*情 報 の 伝 達 相 手 の 理 解 にあわせて 説 明 できる 伝 達 内 容 をまとめて 説 明 できる * 正 しく 情 報 を 伝 えられる**レジメを 活 用 して 意 見 を 伝 えられる 与 えられた 時 間 内 に 説 明 できる**レジメを 活 用 して 説 明 できる説 明 に 必 要 なレジメを 作 成 できる報 告 ・ 連 絡 ・ 適 切 な 時 期 に 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 できる 困 ったときに 相 談 ができる相 談必 要 な 情 報 を 簡 潔 に 伝 えられる適 切 に 伝 達 手 段 の 使 い 分 けができる△△意 思 の 表 明5W1H を 明 確 にして 説 明 できるわかりやすく 意 見 を 主 張 できるTPO に 応 じて 意 見 を 主 張 できる相 手 の 意 見相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられるの 尊 重 自 分 と 異 なる 考 え 方 を 否 定 しない**苦 手 な 相 手 ともつきあえる立 場 の 違 いを 理 解 できる立 場 の 違 いなどを 理 解 して 対 応 できる△意 見 集 約 ・ 異 なる 意 見 を 整 理 して 要 約 できる 相 手 の 意 見 の 整 理 ・ 要 約 ができる交 換 複 数 の 他 者 と 意 見 交 換 が 行 える組 織 内 外 の 相 手 の 言 動 を 意 識 した 行 動 ができる 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる△△行 動 仕 事 で 接 する 者 の 名 前 や 顔 などを 覚 える グループや 集 団 で 行 動 ができる*感 情 のコントロールができる職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる( 規 模 間 差 **:1% 水 準 , *:5% 水 準 / 業 種 間 差 △△ :1% 水 準 , △:5% 水 準 )表 2-1-14 ビジネスマナー 等 の 課 題 の 支 援 ( 規 模 別 ・ 業 種 別 )達 成 時 期 は 概 ね 12 ヶ 月 未 満 達 成 時 期 は 6 ヶ 月 未 満期 待 水 準 が 2点 以 上 期 待 水 準 が 2点 以 下 期 待 水 準 が 2点 以 上挨 拶 等 の基 本挨 拶 ・お 詫 びやお 礼 が 適 切 にできる好 感 を 持 たれる 応 答 ができる敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける電 話 の 好 感 を 持 たれる 応 答 ができる 電 話 が 適 切 に 受 けられる* マナーに 則 して 携 帯 電 話 を 使 える*使 い 方 の 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる*基 本電 話 のメモを 作 ることができる電 話 で 適 切 な 言 い 方 ができる取 り 次 げない 電 話 の 対 応 ができる訪 問 ・ 来 客 訪 問 時 のマナーをわきまえている 適 切 に 自 己 紹 介 ができる対 応 の 基 本来 客 対 応 のマナーをわきまえているアポイントを 的 確 に 取 れる来 客 の 取 り 次 ぎができる取 り 次 げないときの 対 応 ができる名 刺 の 受 け 渡 しが 適 切 にできる*としての他 者 に 迷 惑 をかけずに 行 動 できる *社 会 人 時 間 ・ 期 限 を 守 ることができる役 割 や 責 任指 示 内 容 を 正 確 に 伝 えられる指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる組 織 における 立 場 を 理 解 している職 業 観 業 務 指 示 を 最 後 までやり 遂 げる 服 務 規 律 を 守 る知 識 ・ 技 能 を 進 んで 習 得 する指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 遂 行 できる組 織 目 標 の 達 成 のために 目 標 を 立 てるミスなどの 状 況 を 適 切 に 説 明 できる指 示 されたことだけでなく、 次 なる 課題 の 発 見 を 考 えている( 規 模 間 差 *:5% 水 準 )-157-


求 める 得 点 が 高 く( 2 点 以 上 )、 期 待 する 達 成 時 期 が 就 職 後 6 ヶ 月 未 満 という 項 目 については 、「 職 業準 備 の 視 点 からは 極 めて 優 先 性 が 高 い」とした。 現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援 が 必 要 であると 考 える場 合 、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるかどうか、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、についての 検 討 が 必 要 になる。 企 業 調 査 の 結 果 については、 発 達 障 害 があっても 開 示 をせずに“ 一 般 扱 い”で 採 用 され、 初 任 者 研 修 や OJT・Off-JTの 期 間 を 経 て 適 応 ・ 定 着 の 見 通 しを 持 つ 場 合 を 前 提 として 活 用 することになる。こうした 意 味 において 、「6ヶ 月 」という 期 間 を 考 えるべきであろう。一 方 、 求 める 得 点 が 高 くはない( 2 点 未 満 )が、 期 待 する 達 成 時 期 が 就 職 後 6 ヶ 月 未 満 という 項 目 については 、「 職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い」とした。 現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援 が 必要 であると 考 える 場 合 も、 上 記 の 得 点 の 高 い 項 目 と 同 様 、 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるかどうか、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、についての 検 討 が 必 要 になる 。「 6 ヶ 月 」という 期 間 での 達 成 を 考 えるとき、 通 常 は 初 任 者 研 修 や OJT・Off-JTの 期 間 によって 獲得 するスキルである 点 に 注 意 が 必 要 であろう。さらに、 求 める 得 点 が 高 い( 2 点 以 上 )が、 期 待 する 達 成 時 期 が 就 職 後 12 ヶ 月 未 満 という 項 目 についても 、「 職 業 準 備 の 視 点 からは 比 較 的 優 先 性 が 高 い」とした。 現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援 が 必 要であると 考 える 場 合 、 雇 用 後 の 一 般 研 修 期 間 等 で 達 成 が 見 込 めるのか、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、もしくは 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか、といった検 討 が 必 要 になる 。「12ヶ 月 」という 期 間 は、 次 年 度 の 採 用 者 が 職 場 に 配 置 されるまでの 間 という 意 味を 持 つ。 習 得 すべき 課 題 への 対 処 は、この 期 間 に 求 められていると 考 えるべき 項 目 といえる。なお、 表2-1-14 の 項 目 に 付 した「 *」は、 企 業 規 模 が 小 さいほどに 重 視 する 程 度 が 大 きい 項 目 であることを 示 す。また、 業 種 別 の 違 いは 見 出 されなかった。 希 望 する 就 業 先 に 即 して 支 援 の 課 題 を 検 討 する際 には、 留 意 すべき 事 項 となろう。(3) 支 援 の 場 面 設 定 について就 業 前 の 支 援 を 考 えるとき、 行 動 様 式 に 関 する 知 識 ・ 理 解 の 学 習 に 加 えて、 体 験 的 な 学 習 が 必 要 である 場 合 、さらには、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 するための 学 習 が 必 要 となる 場 合 には、その 場 面 設 定 についても 配 慮 が 必 要 である。 職 場 のルールやマナー、 行 動 様 式 の 学 習 においては、 模 擬 的 な 就 労 場 面 での 学 習 や 職 場 実 習 等 、 具 体 的 ・ 体 験 的 な 場 面 設 定 が 効 果 的 である。特 に、 未 経 験 の 課 題 を 学 習 することに 配 慮 が 必 要 である 場 合 、その 場 面 設 定 は 慎 重 である 必 要 があるといえるだろう。ただし、こうした 就 業 前 の 支 援 の 成 果 を 就 業 後 の 研 修 等 で 適 応 ・ 定 着 につなげていくことができるかどうかについては、それぞれの 発 達 障 害 者 の 行 動 上 の 課 題 の 質 と 量 にかかっている。-158-


第 2 節職 場 のルールに 対 する 支 援 の 課 題…… 特 例 子 会 社 調 査 と 企 業 調 査 の 結 果 から ……1. 職 場 におけるルールを 支 援 する 際 の 視 点発 達 障 害 児 は、 一 般 の 人 々が 自 然 に 行 っている 個 々の 事 象 に 対 する 注 意 の 焦 点 化 と 切 り 替 えの 機 能 が十 分 ではなく、 その 結 果 、 自 然 な 社 会 生 活 場 面 で 他 者 の 行 動 を 観 察 し 模 倣 する 経 験 が 圧 倒 的 に 少 ない ( 佐竹 , 2006)という 指 摘 がある。そのため、 特 別 な 教 育 的 介 入 が 必 要 であり、こうした 積 極 的 な 介 入 が 行われない 場 合 には 十 分 なスキルの 獲 得 には 困 難 が 伴 うことになる。 実 際 、 発 達 障 害 児 の 学 校 生 活 等 における 対 人 的 なスキル 向 上 のための 考 え 方 やプログラムについて 解 説 した 書 籍 は 多 い ( 小 貫 ・ 名 越 ・ 三 和 ,2004: 上 野 ・ 花 熊 , 2006: 長 崎 ・ 宮 崎 ・ 佐 竹 ・ 関 戸 ・ 仲 村 , 2006) 。これは、 発 達 障 害 児 がスキルの 獲得 において 困 難 があるという 実 情 を 反 映 したものといえるだろう。また、 発 達 障 害 児 の 場 合 、 学 校 生 活 で 用 いられるさまざまな 暗 黙 のルールについて、 独 力 では「 学 びにくい」 ことに 加 えて、「 ルールの 存 在 そのものは 知 っていても、 なぜ、 そのようなルールがあるのか、そのルールを 破 るとどのような 事 態 が 生 じるのかについては 明 確 な 理 由 を 理 解 していない」などにより適 切 な 行 動 がとれないこともある。 例 えば、 小 貫 ( 2004)は、 LD( 学 習 障 害 )、 ADHD( 注 意 欠 陥 多 動性 障 害 )の 不 適 応 行 動 の1つとして「ルールが 守 れない」ことがよく 問 題 となると 指 摘 しながら、それ以 前 に、「 ルールを 理 解 していなかった」 ということがあると 指 摘 する 。 一 方 、 PDD( 広 汎 性 発 達 障 害 )の 子 どもは、 他 者 の 反 応 や 場 の 雰 囲 気 を 読 み 取 って 行 動 することが 苦 手 であり、 潜 在 カリキュラム( 暗黙 のうちに 決 まっているルールや 規 範 )を 理 解 できないことがあるため 、「ルールの 明 確 化 」が 必 要 である( 岡 田 , 2006)という 指 摘 も 重 要 である。 岡 田 ( 2006)はまた、 知 的 に 平 均 かそれ 以 上 の 高 機 能 広汎 性 発 達 障 害 やアスペルガー 障 害 の 場 合 には、まずは 認 知 的 に「 頭 で」 理 解 することが 重 要 であると 指摘 する。つまり、なぜ、このルールを 守 らないといけないのか、このルールを 守 らないとどのようなことが 起 きるのか( 守 った 場 合 は、 守 らなかった 場 合 と 比 べてどのようなメリットがあるのか)などの 理由 についても 明 確 になっている 必 要 があるといえる。こうした 傾 向 は、 発 達 障 害 児 のみならず、 発 達 障 害 者 に 関 しても 同 様 であろう。なぜなら、 積 極 的 な介 入 が 行 われずに 学 校 を 卒 業 して 就 職 する 場 合 はもちろんのこと、 介 入 が 適 切 に 行 われたとしても 学 校生 活 から 職 業 生 活 に 場 面 が 変 わることによって、 新 たに 獲 得 を 必 要 とするルールが 増 えていくからである。そのため、 職 業 生 活 への 移 行 を 円 滑 に 行 うためには、 学 校 在 学 中 に、あるいは 就 労 支 援 の 準 備 段 階で、さまざまなルールについて 学 ぶ 機 会 が 設 けられることが 期 待 される。しかし、ルールの 獲 得 を 支 援 するに 際 しては、まず 獲 得 させたいと 支 援 者 が 考 えるルールが 企 業 に 共通 するルールなのか、そして、そのルールが 対 象 者 の 障 害 の 有 無 によって 異 なるのかについて 明 らかにされなければならない。これは、 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 の 問 題 とも 関 連 が 深 い。なぜなら、 障 害 の 開 示 ・-159-


非 開 示 によって 得 られる 支 援 の 範 囲 がどのように 異 なるかが 明 確 になるからである。本 研 究 では、この 点 に 関 して、 特 例 子 会 社 並 びに 企 業 を 対 象 に 行 った 調 査 ( 職 場 において「 場 面 に 適切 ではない 行 動 」がおこりがちな11の 場 面 に 関 する「 考 え 方 」)の 結 果 を 比 較 することを 通 して 発 達 障害 者 の 就 労 に 関 する 配 慮 について 考 察 する。なお、 以 下 の 分 析 においては、 重 複 回 答 ( 調 査 票 では、 回 答 は1つのみを 選 択 することを 指 示 ) 並 びに 欠 損 値 を 削 除 し、 再 分 析 をおこなったため、 第 1 部 第 1 章 第 3 節 ( 特 例 子 会 社 対 象 調 査 ) 並 びに 第 2部 第 1 章 第 3 節 ( 企 業 対 象 調 査 )での 分 析 と 異 なった 回 答 率 となっている。2. 選 択 された 回 答 の 一 致 率 の 比 較(1) 一 致 率 の 差 が 10 % 未 満 で 回 答 傾 向 に 有 意 差 が 認 められなかった 場 面 について11場 面 に 関 する 回 答 において、 特 例 子 会 社 と 企 業 のそれぞれ 最 も 一 致 率 の 高 かった 選 択 肢 の 差 を 比較 し、その 差 が 10 % 未 満 だった 場 面 は 11 場 面 中 8 場 面 であった。そのうち、 両 群 の 回 答 傾 向 の 差 について、 Pearson2のχ 検 定 を 行 い、 有 意 差 が 認 められなかった 場 面 は4 場 面 (「 ミスの 報 告 」「 始 業 時 間 に関 する 理 解 」「 作 業 終 了 の 報 告 」「 指 示 通 りの 作 業 」)であった。これらの 場 面 に 関 しては、 企 業 においても 特 例 子 会 社 においても、 基 本 的 に 類 似 したルールを 原 則 としていると 考 えられる。 以 下 では、4 場面 に 関 して 企 業 の 回 答 の 一 致 率 が 高 い 順 に 分 析 した( 最 も 一 致 率 の 高 かった 選 択 肢 は 表 中 波 線 枠 で 囲 まれた 選 択 肢 )。1)ミスの 報 告【 場 面 9:ミスの 報 告 】 ( 一 致 率 の 差 1.4 %) 企 業 特 例子 会 社1ミスをしたのに 報 告 しないのは、 良 くない。96.5 95.12 封 筒 やラベルを 丁 寧 に 箱 にしまい、 備 品 を 大 切 に 取 り 扱 っているのは、いいことだ。3 ミスはミスだが、 足 りないというわけではないので、 特 に報 告 する 必 要 はない。4 箱 にしまって 机 の 下 に 置 いたままにするのは、 忘 れてしまうことがあるので 良 くない。5 その 他0.2 0.00.0 0.01.4 0.01.9 4.9「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :「その 他 」 記 述 に 関 しては、 特 例 子 会 社 では 、「ア. 通 常 申 請 には、 上 司 の 承 認 が 必 要 。その 上 司 の責 任 であり、 間 違 いもどうすれば 良 かったか 指 導 する」などのように 実 際 の 仕 事 上 の 手 続 きに 基 づいた回 答 と「イ.どのように 小 さいミスであっても、 報 告 ・ 相 談 が 必 要 である」という 回 答 に 分 かれた。 企業 においても、イについては 同 様 であったが、アに 関 しては、 類 似 した 回 答 (「上 司 の 責 任 」を 問 うなど)は 認 められなかった。ただし、 企 業 の 回 答 においても、ミス 後 の 対 応 についての 記 述 ( 余 分 の 返 却-160-


・ 上 司 と 相 談 )は 認 められた。なお、イの 自 由 記 述 に 関 しては、 両 群 において 一 致 率 の 最 も 高 かった 選 択 肢 「1ミスをしたのに 報 告しないのは、 良 くない」を 補 強 する 回 答 であり、 両 群 の 一 致 率 の 高 さ(いずれも 95 % 以 上 )を 含 め、雇 用 主 側 の 期 待 する 行 動 に 関 して、 両 者 の 差 は 少 ないといえる。2) 始 業 時 間 に 関 する 理 解【 場 面 2: 始 業 時 間 に 関 する 理 解 】 ( 一 致 率 の 差 0.3 %)企 業 特 例子 会 社1 仕 事 は 10 時 からだから、 少 し 遅 れた 分 は、 残 業 すればいい。 0.0 0.02 だいたい 10 時 くらいに 会 社 に 着 いているのは 良 いけれど、 1.0 1.9仕 事 を 始 める 時 間 が 少 し 遅 い。3 仕 事 は 10 時 からだから、 10 時 に 仕 事 を 始 めなければいけない。 93.6 93.34 だいたい 10 時 に 着 いているし、 仕 事 の 前 にトイレに 行 っておく 1.9 1.0など、 準 備 を 整 えてから 作 業 に 取 りかかるのは 良 い 考 えだ。5 その 他3.5 3.8「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :「その 他 」 記 述 に 関 して、 特 例 子 会 社 では 、「 仕 事 は 10 時 からだから、 9 時 45 分 に 会 社 へ 来 なさいとはっきりした 時 間 を 指 導 する」などのように 出 社 時 間 を 明 示 する、もしくは 、「 始 業 時 間 を “仕 事 を始 める 時 間 ”」として 明 示 的 に 伝 える、の 2 点 が 挙 げられていたが、 企 業 でも 同 様 に 、「5 分 (もしくは 10 分 前 )に 着 くことを 指 導 する」あるいは「 10 時 に 作 業 を 開 始 するので、 早 めに 準 備 をしなくてはならない」など、 時 間 を 明 示 した 回 答 が 挙 げられていた。また、これらの 記 述 は、 一 致 率 の 最 も 高 かった 選 択 肢 (いずれも 93 % 以 上 )である「3 仕 事 は 10 時からだから、 10時 に 仕 事 を 始 めなければいけない」を 守 るために 必 要 な 行 動 についての 指 導 と 考 えられる。したがって、 始 業 時 間 に 関 する 理 解 に 関 しては、 両 者 の 差 は 少 ないといえる。3) 作 業 終 了 の 報 告【 場 面 8: 作 業 終 了 の 報 告 】 ( 一 致 率 の 差 3.7 %) 企 業 特 例子 会 社1 本 当 なら 仕 事 が 終 わったことをすぐに 報 告 しなくてはいけないが、 指 示 された 時 間 は 守 っているのだから、 問 題 ない。2 時 間 通 りに 資 料 を 届 けるということは、まじめな 態 度 だ。3 頼 まれた 時 間 よりも 早 く 仕 事 を 終 えて 休 憩 できるのは、うらやましい。4.7 6.80.5 0.00.7 0.0411 時 に 終 わったら、すぐに 届 ける 方 がよい。92.0 88.35 その 他2.1 4.9-161-


「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :特 例 子 会 社 では 、「 指 示 を 出 す 時 に、 時 間 よりも 早 めに 出 来 た 場 合 、 遅 れそうな 場 合 について 説 明 しておく」などのように、 上 司 の 指 示 の 出 し 方 に 工 夫 が 必 要 との 回 答 が 多 く 見 られた。これに 対 し、 企 業では、「 ア . 作 業 終 了 後 、 時 間 があるなら 再 チェックをして 上 司 に 届 ける」「 イ . 終 了 した 時 点 で 報 告 し、他 に 手 伝 えることがないか 確 認 する 」「ウ .( 11 時 15 分 より 前 なら) 上 司 の 状 況 を 見 て 判 断 」、などに回 答 が 分 かれた。 有 効 な 時 間 の 使 い 方 (ア)や 状 況 判 断 を 求 める(ウ)などの 点 で、 異 なった 期 待 があると 考 えられる。また、 両 群 において 一 致 率 の 最 も 高 かった 選 択 肢 「411 時 に 終 わったら、すぐに 届 ける 方 がよい」に加 えて、 10%には 満 たないが、 一 定 数 の 企 業 並 びに 特 例 子 会 社 が「1 本 当 なら 仕 事 が 終 わったことをすぐに 報 告 しなくてはいけないが 、 指 示 された 時 間 は 守 っているのだから 、 問 題 ない」 としている 点 は、支 援 者 が 留 意 すべき 点 といえる。4) 指 示 通 りの 作 業【 場 面 6: 指 示 通 りの 作 業 】 ( 一 致 率 の 差 0.1 %) 企 業 特 例子 会 社1A さんが 自 分 なりに 工 夫 しているのは、いいことだ。2.0 4.92 今 まで 特 に 失 敗 がないのだから、 指 示 書 の 通 りにやれという上 司 の 方 がおかしい。3 上 司 の 指 示 通 りにやらないのは 良 くない。0.6 0.069.7 69.64 上 司 の 指 示 通 りにした 方 がいいが、 失 敗 してないから、 A さん 5.5 4.9のやり 方 でもかまわない。5 その 他22.2 20.6「 指 示 通 りの 作 業 」に 関 しては、 一 致 率 の 最 も 高 かった 選 択 肢 であっても 70 % 未 満 となった。 選 択 肢の 一 致 率 は、 他 の3 場 面 と 比 較 して 高 いとは 言 えない。しかしながら、 両 群 共 に、5「その 他 」への 記述 が 20 %を 越 えており、 全 体 的 な 両 者 の 回 答 傾 向 に 有 意 差 は 認 められなかった。ただし 、「その 他 」の主 な 記 述 に 関 して、 再 分 類 した 結 果 、 両 者 の 回 答 には 違 いがあることが 明 らかとなった。まず、 特 例 子 会 社 では、 基 本 として3「 指 示 通 りに 行 うべき」とした 回 答 ( 表 中 網 掛 け 部 分 )の 割 合が 多 いことに 加 えて、 上 司 に 説 明 責 任 がある( 上 司 は 指 示 した 方 法 がどのような 点 で 良 いのかを 事 前 に説 明 すべき、 あるいは 理 由 の 説 明 をして 納 得 させる、 など) とする 回 答 が 多 い。 これに 対 し 、 企 業 では、類 似 した 回 答 として「 指 示 書 を 守 ることのメリット・デメリットを 説 明 する」という 回 答 がげられたが、ここでも 基 本 を3とするという 記 述 は 見 られなかった。1 社 から 挙また、 企 業 において 回 答 の 多 かった「 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 解 をとる」に 関 しては、 作 業 指 示書 に 従 わないことを 、「 作 業 指 示 書 に 従 えない」のではなく 、「 業 務 改 善 」を 目 指 す 行 為 として、 上 司 の許 可 のもとに 了 解 されている 行 為 と 捉 えることができる。なお、より 積 極 的 な 表 現 として「 工 夫 は 歓 迎だが、 併 せて 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる」に 関 しては、 企 業 でも、 特 例 子 会 社 でも 一 定 の 回-162-


答 数 が 見 られた。また、 特 例 子 会 社 で「1 Aさんが 自 分 なりに 工 夫 しているのは、いいことだ」への回 答 が 、 企 業 と 比 較 して 多 いことを 含 め 、 特 例 子 会 社 においても 一 定 の 了 解 があるといえる 。 一 方 、「 上司 が 理 由 の 確 認 をする 」「Aさんからの 質 問 を 求 める 」「この 程 度 の 作 業 であれば、 自 己 判 断 で 変 更 しても 良 い」に 関 しては、 特 例 子 会 社 では、 類 似 した 回 答 は 認 められなかった。表 2-2-1場 面 6( 指 示 通 りの 作 業 )における「その 他 」の 主 な 回 答 の 内 訳企 業 の 意 見 企 業 特 例 子 会 社( 129 / 134 社 ) ( 23 / 26 社 )基 本 は3( 指 示 書 通 りにやらないのは 良 くない)が、上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとれば 良 い基 本 3だが、 上 司 に 説 明 責 任 がある( 上 司 は 指 示 した 方 法 がどのような 点 で 良 いのかを 事 前 に 説 明 すべき、あるいは 理 由 の説 明 をして 納 得 させるなど)上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる3273106工 夫 は 歓 迎 だが、 併 せて 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる上 司 が 理 由 の 確 認 をするAさんからの 質 問 を 求 めるこの 程 度 の 作 業 であれば、 自 己 判 断 で 変 更 しても 良 い10 7635(2) 一 致 率 の 差 が 10 % 未 満 であったが 回 答 傾 向 に 有 意 差 が 認 められた 場 面 について11場 面 に 関 する 回 答 において、 特 例 子 会 社 と 企 業 のそれぞれ 最 も 一 致 率 の 高 かった 選 択 肢 の 差 を 比2較 し、その 差 が 10 % 未 満 だった 場 面 のうち、 両 群 の 回 答 傾 向 の 差 について、 Pearson のχ 検 定 を 行 った 結 果 、 有 意 差 が 認 められ 場 面 は4 場 面 (「 共 用 備 品 の 管 理 」「 備 品 の 私 的 利 用 」「わからないときの 質問 」「 遅 刻 の 連 絡 」)であった。なお、 両 群 の 回 答 傾 向 の 差 については、 Pearson2のχ 検 定 後 、 残 差 分 析による 検 討 を 行 った( 残 差 分 析 による 差 が 認 められた 選 択 肢 に 関 しては、 表 中 、 網 掛 けで 示 した )。以 下 では、4 場 面 に 関 して、 企 業 の 回 答 の 一 致 率 が 高 い 順 に 分 析 した( 最 も 一 致 率 の 高 かった 選 択 肢 は表 中 波 線 枠 で 囲 まれた 選 択 肢 )。1) 共 用 備 品 の 管 理2「 共 用 備 品 の 管 理 」に 関 しては、χ 検 定 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められた(χ2=6.014, df=2, p < .05)。また、 残 差 分 析 の 結 果 、 選 択 肢 のうち4に 関 しては 企 業 の、5に 関 しては 特 例 子 会 社 の 回 答 が5% 水 準 で有 意 に 多 かった。「その 他 」 記 述 を 含 めた 考 察 :残 差 分 析 では、 選 択 肢 4において 有 意 に 企 業 の 回 答 が 多 かったが、 特 例 子 会 社 においても 95.2 %が同 様 に4を 選 択 しており 、「 共 用 備 品 の 管 理 」について、 雇 用 主 側 の 期 待 する 行 動 は 一 致 していると 考えられる。-163-


また 、「その 他 」の 記 述 に 関 しても、 残 差 分 析 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められたが、 具 体 的 な 内 容 について 記 述 した 特 例 子 会 社 、 企 業 は 少 なく、 特 例 子 会 社 で5 社 、 企 業 で2 社 であった。 具 体 的 には、 特 例 子会 社 では 、「ア. 仕 事 の 忙 しさや 内 容 にもよるためケースバイケース」とする 回 答 の 他 に 、「イ.すぐに返 せないケースがあるのなら、 所 在 がわかるようなルールを 作 る」とした 回 答 がみられた。 企 業 においても、アに 該 当 する「 一 概 に 言 えない」 及 びイのルールに 関 する「 返 却 時 間 があればそれを 守 るべき」が 挙 げられており、 両 者 の 差 は 少 ないといえる。【 場 面 11: 共 用 備 品 の 管 理 】 ( 一 致 率 の 差 3.1 %) 企 業 特 例子 会 社1 A さんの 帰 宅 時 間 が 遅 くなってしまうので、 終 業 時 間 の 前 に 0.0 0.0返 しに 行 くべきである。2 共 用 ではなく、 個 人 用 の 卓 上 掃 除 機 があればいい。3 共 用 の 備 品 だが、 今 日 は 仕 事 も 忙 しかったことだし、 一 日 くらいなら、 自 分 の 机 に 置 いても 問 題 ない。0.0 0.01.2 1.94 共 用 の 備 品 なのだから、すぐに 返 さないといけない。 98.3 95.25 その 他 0.5 2.9*** 残 差 分 析 において5% 水 準 で 有 意2) 遅 刻 の 連 絡2「 遅 刻 の 連 絡 」に 関 しては、χ 検 定 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められた(χ2=15.229, df=2, p < .01)。また、残 差 分 析 の 結 果 、 選 択 肢 のうち2に 関 しては、 特 例 子 会 社 の 回 答 が、また、 選 択 肢 の4に 関 しては 企 業の 回 答 が、いずれも1% 水 準 で 有 意 に 多 かった。【 場 面 3: 遅 刻 の 連 絡 】 ( 一 致 率 の 差 6.2 %) 企 業 特 例子 会 社1 報 告 よりも、まず、 会 社 に「 急 いで 来 た」というのは 良 い判 断 だ。0.0 0.02 先 に 連 絡 した 方 が 良 かったとは 思 うけど、 30 分 くらいの 0.3 3.8遅 刻 だし、 遅 れた 原 因 は A さんではないから 仕 方 ない。**3 遅 れた 原 因 は A さんではないのに、いろいろ 説 明 しなくて 0.0 0.0はいけなくて 大 変 だ。4 会 社 に 着 くのはさらに 遅 れるかもしれないけど、とりあえ 97.6 91.3ず、 遅 れた 理 由 と 何 時 に 会 社 に 着 くかを 先 に 連 絡 しておいた方 がよい。**5 その 他2.1 4.8** 残 差 分 析 において1% 水 準 で 有 意「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :残 差 分 析 の 結 果 からは、 企 業 は 特 例 子 会 社 と 比 較 して、 遅 刻 の 連 絡 に 関 してより 厳 しくルール( 遅 れる 場 合 は、 遅 刻 の 理 由 、 遅 刻 する 時 間 の 多 少 に 関 わらず、まず、 連 絡 をする)に 従 うことを 求 めていると 考 えられる。-164-


なお、「 その 他 」 の 記 述 に 関 しては 、 特 例 子 会 社 で 5社 、 企 業 で 1 社 と 少 なかった 。 内 容 に 関 しては、共 に 、「 電 車 のダイヤ 乱 れがあるとその 時 点 で 会 社 への 連 絡 ( TEL) をするルールになっている」 など、遅 刻 しそうな 場 合 の 連 絡 をルール 化 しているとの 回 答 が 挙 げられた。したがって、この 点 に 関 しては、両 群 の 差 は 少 ないといえる。3) 備 品 の 私 的 利 用2「 備 品 の 私 的 利 用 」に 関 しては、χ 検 定 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められた(χ2=14.085, df=4, p


【 場 面 10: 分 からないときの 質 問 】 ( 一 致 率 の 差 3.6 %) 企 業 特 例子 会 社1 質 問 した 方 がよかったとは 思 うが、 作 業 手 順 が 分 からなかっ 0.4 4.0たのは 上 司 の 説 明 のせいなのだから、 注 意 されるのはかわいそうだ。**2 注 意 はされたけど、 人 の 力 を 借 りないで、 自 分 で 何 とかしようとしたことは、よいことだ。2.7 4.03分 からなくなったら、すぐに 上 司 に 質 問 すればいい。90.7 87.14 難 しい 作 業 を 頼 まれたのだから、 A さんは 大 変 だ。0.2 1.05 その 他「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :6.1 4.0** 残 差 分 析 において1% 水 準 で 有 意「その 他 」の 記 述 に 関 しては、 特 例 子 会 社 で 5 社 と 回 答 が 少 なかったのに 対 し、 企 業 では 34 社 から回 答 が 得 られた。特 例 子 会 社 の 回 答 に 関 しては、 A さんに 作 業 手 順 が 十 分 に 伝 わっていないことに 対 して、 原 則 として上 司 が 適 切 に 説 明 すべきという 回 答 が 多 かった。 具 体 的 には 、「 要 素 作 業 を 順 番 にわかるところまで 反復 させる 」「 上 司 が A さんの 理 解 度 を 確 認 し、 様 子 をみる 方 がよい」などである。つまり、 上 司 には、説 明 だけではなく、 実 際 に 作 業 が 指 示 通 りにできているのかを 確 認 することが 必 要 との 回 答 といえる。また、 残 差 分 析 の 結 果 からも、 特 例 子 会 社 では、1の 選 択 肢 が 企 業 よりも 有 意 に 多 く 選 択 されており、「 上 司 の 説 明 責 任 」が 問 われているといえる。一 方 、 企 業 では、 一 番 多 かった 回 答 は 、「 上 司 または 同 僚 に 尋 ねる」であったが、1 誰 に 尋 ねるのか( 上 司 ・ 同 僚 ( 上 司 でなくとも 良 い) ・ 上 司 または 同 僚 のいずれか )、また、2 尋 ねる 順 序 ( 同 僚 に 質 問して 分 からなければ、 上 司 に 再 度 質 問 する・ 自 分 で 考 えた 上 で、 上 司 に 質 問 する)について 回 答 が 分 かれた。また 、「 分 からなければ、 説 明 を 求 めることになるが、 最 初 の 説 明 時 、もしくは、 再 度 説 明 を 受 けたときにメモをとることが 必 要 である」 という 趣 旨 の 回 答 が6 社 からあった。 さらに、 1 社 のみだが 、「 同じ 説 明 を 受 け、 出 来 ないのが A さんだけなのは A さんに 問 題 がある」とする 意 見 が 見 られた。ここからは 、「 分 からない」という 状 況 に 関 して、 特 例 子 会 社 と 企 業 ではとらえ 方 や 対 応 に 差 があることがわかる。(3) 一 致 率 の 差 が 10 % 以 上 で 回 答 傾 向 に 有 意 差 が 認 められた 場 面 について11場 面 に 関 する 回 答 において、 特 例 子 会 社 と 企 業 のそれぞれ 最 も 一 致 率 の 高 かった 選 択 肢 の 差 を 比2較 し、その 差 が 10 % 以 上 だった 場 面 のうち、 両 群 の 回 答 傾 向 の 差 について、 Pearson のχ 検 定 を 行 った 結 果 、 有 意 差 が 認 められた 場 面 は3 場 面 (「 毎 日 のあいさつ 」「 作 業 中 の 返 事 」「 指 示 以 外 の 仕 事 」)で2あった。 なお 、 両 群 の 回 答 傾 向 の 差 については、 Pearson のχ 検 定 後 、 残 差 分 析 による 検 討 を 行 った ( 残差 分 析 による 差 が 認 められた 選 択 肢 に 関 しては、 表 中 、 薄 い 網 掛 けで 示 した )。-166-


以 下 では、3 場 面 に 関 して、 企 業 の 回 答 の 一 致 率 が 高 い 順 に 分 析 した( 最 も 一 致 率 の 高 かった 選 択 肢は 表 中 波 線 枠 で 囲 まれた 選 択 肢 )。1) 毎 日 のあいさつ2「 毎 日 のあいさつ」に 関 しては、χ 検 定 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められた(χ2=54.389, df=2, p < .01)。また、 残 差 分 析 の 結 果 、 選 択 肢 のうち1に 関 しては「 企 業 の 回 答 」が、また、 選 択 肢 の2、5に 関 しては「 特 例 子 会 社 の 回 答 」が、いずれも1% 水 準 で 有 意 に 多 かった。【 場 面 4: 毎 日 のあいさつ 】 ( 一 致 率 の 差 14.2 %) 企 業 特 例子 会 社1 あいさつができる A さんは、コミュニケーションの 基 本 が 98.8 84.6わかっている。2 あいさつは 必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない。 0.3 3.8****3 A さんに、 毎 日 、 毎 日 、あいさつされている 人 は、うるさい 0.0 0.04だろう。あいさつの 返 ってこない 人 にまで、あいさつするなど、ムダなことだ。0.0 0.05 その 他 0.9 11.5**** 残 差 分 析 において1% 水 準 で 有 意企 業企 業特 例 子 会 社特 例 子 会 社11223344550 20 40 60 80 1000 20 40 60 80 100%図 2-2-1場 面 4: 毎 日 のあいさつ「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :「 毎 日 のあいさつ」に 関 しては、 残 差 分 析 の 結 果 からも 明 らかなように、 両 群 の 回 答 傾 向 に 明 確 な 差 が認 められた 。 具 体 的 には、 1「 あいさつができる A さんは、 コミュニケーションの 基 本 がわかっている」について 企 業 の 回 答 が 98.8 %であったのに 対 し、 特 例 子 会 社 では 84.6 %であったこと、2「あいさつは必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない」に 関 して、 企 業 では0.3%であったのに 対 し、 特 例 子 会 社 では3.8%であったことなど、 毎 日 のあいさつに 関 して、 企 業 の 期 待 する 行 動 は 特 例 子 会 社 よりも 一 貫 しているといえる。また 、「その 他 」に 記 述 された 内 容 について 比 較 すると、 特 例 子 会 社 では 、「 自 分 からするのは 基 本 として 、 状 況 をわきまえたあいさつをする 事 が 必 要 」 という 回 答 が 多 くみられた 。 加 えて 、 状 況 に 関 して、「ア. 遠 い 距 離 ですれ 違 う 人 にまではしなくて 良 い 」「イ.あいさつが 返 ってくるまで 同 じ 人 に 何 回 も 言わない 」「ウ. 話 し 中 であれば、 挨 拶 が 返 ってこないこともある」など 具 体 的 に 指 導 している 様 子 がうか-167-


がえた。 特 にウについては 、「 挨 拶 が 返 ってこない」 時 について、 話 し 中 ではなかったか、 必 要 以 上 に 大声 をだしていなかったか、などを 一 緒 に 振 り 返 るとした 回 答 もあった。 一 方 で 、「あいさつができなくても、 仕 事 の 指 示 、 理 解 などが 大 切 で 無 理 をさせることもない」という 回 答 もあった。なお 、「 状 況 をわきまえたあいさつをする 事 が 必 要 」という 記 述 は、 企 業 においても 6 社 中 1 社 にみられたが、 状 況 の 詳 細について 記 述 されていなかった。以 上 から、 企 業 の 方 が「 毎 日 のあいさつ」に 関 して 適 切 に 行 うことを 期 待 していること、また、 特 例子 会 社 では、 適 切 ではない 行 動 が 生 じたときに、その 背 景 となる 要 因 (なぜ、あいさつが 適 切 にできないのか)についての 検 討 があり、 指 導 側 が 留 意 すべき 点 として 捉 えていることが 特 徴 といえる。2) 作 業 中 の 返 事2「 作 業 中 の 返 事 」 に 関 しては、 χ 検 定 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められた( χ2=65.792, df=4, p < .01)。 また、残 差 分 析 の 結 果 、 選 択 肢 のうち3に 関 しては「 企 業 の 回 答 」が、3 以 外 の 選 択 肢 では 、「 特 例 子 会 社 の回 答 」が、いずれも 有 意 に 多 かった。【 場 面 5: 作 業 中 の 返 事 】 ( 一 致 率 の 差 28.4 %) 企 業 特 例子 会 社1A さんは、 仕 事 に 集 中 しているのだから、やむを 得 ない。 0.7 3.22上 司 はA さんがデータを 入 力 中 なことは 見 ればわかるのだから、 2.8 14.7A さんの 様 子 を 見 て 声 をかければいい。***3 名 前 を 呼 ばれたのには、 何 か 理 由 があるのだろうから、 92.6 64.2A さんはすぐに 返 事 をした 方 がいい。**4 名 前 を 呼 ばれたら、すぐに 返 事 をしないといけないが、A さんはデータの 入 力 中 だったし、 区 切 りの 良 いところで 1.8 6.3返 事 をしているのだから 問 題 はない。5 その 他 2.1 11.6***** 残 差 分 析 において5% 水 準 / ** 残 差 分 析 において1% 水 準 で 有 意「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :「 作 業 中 の 返 事 」に 関 しては、 残 差 分 析 の 結 果 からも 明 らかなように、 両 群 の 回 答 傾 向 に 明 確 な 差 が 認められた。 具 体 的 には、3「 名 前 を 呼 ばれたのには、 何 か 理 由 があるのだろうから、 Aさんはすぐに 返事 をした 方 がいい」について 企 業 の 回 答 が 92.6 %であったのに 対 し、 特 例 子 会 社 では 64.2 %と 両 群 間には28.4 %の 差 が 認 められた。したがって 、「 作 業 中 の 返 事 」に 関 して、 企 業 の 期 待 する 行 動 は 特 例 子会 社 よりも 一 貫 しているといえる。なお、この 差 は、 選 択 肢 2 及 び4における 特 例 子 会 社 の 回 答 率 の 高さと 関 連 がある。 特 例 子 会 社 では 、「 声 を 掛 ける 側 が 配 慮 する( 選 択 肢 2 )」、もしくは、「すぐに 返 事 をしない 場 合 でも、 作 業 中 であれば 仕 方 がないと 考 える( 選 択 肢 4 )」 割 合 が 企 業 と 比 較 して 高 い。こうした 差 については 、「その 他 」に 記 述 された 内 容 においても 同 様 であり、 特 例 子 会 社 では、 可 能な 限 り 返 事 はするべきだが、Aさんの 特 性 (こだわりが 強 いなど)によっては、 上 司 が“ 待 つ”ことが-168-


障 害 への 配 慮 であると 思 われる、など、 障 害 特 性 に 配 慮 した 回 答 が 見 られた。 一 方 、 企 業 では 、「その他 」に 回 答 した 13 社 中 10 社 において、 返 事 後 の 対 応 等 への 回 答 は 異 なるが 、「すぐに 返 事 をする」ことについては 共 通 していた。 また 、 両 群 共 に「 すぐに 返 事 」 に 加 えて 、「 少 し 待 って 下 さい」 と 伝 える、もしくは 状 況 を 説 明 するなどの 回 答 が 見 られた。以 上 から 、 企 業 では 、「 作 業 中 であっても 返 事 をすること」 が 期 待 されるのに 対 し 、 特 例 子 会 社 では、作 業 中 の 返 事 を「 作 業 の 中 断 」とみなし、 対 象 者 の 特 性 を 考 慮 した 上 での 対 応 (もしくは 理 解 )をすべきと 考 えている 点 が 特 徴 といえる。3) 指 示 された 以 外 の 仕 事2「 指 示 された 以 外 の 仕 事 」 に 関 しては、 χ 検 定 の 結 果 、 有 意 差 が 認 められた( χ2=40.352, df=3, p < .01)。また、 残 差 分 析 の 結 果 、 選 択 肢 のうち1、5に 関 しては「 企 業 の 回 答 」が、2の 選 択 肢 では「 特 例 子 会社 の 回 答 」が、いずれも 有 意 に 多 かった。【 場 面 7: 指 示 された 以 外 の 仕 事 】 ( 一 致 率 の 差 33.4 %) 企 業 特 例子 会 社1 指 示 された 以 外 の 仕 事 をしているが、 後 で 会 社 の 役 に 立 つ 21.8 7.8こともあるかもしれないので、いいことだ。2 指 示 された 以 外 の 仕 事 をするのは 良 くない。 34.2 67.6****3 指 示 された 作 業 だけでなく、 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのは、いいことだ。4 自 分 が 仕 事 ができることをアピールしているのは、いいことだ。19.6 11.80.0 0.05 その 他 24.3 12.7** 残 差 分 析 において5% 水 準 / ** 残 差 分 析 において1% 水 準 で 有 意「その 他 」の 記 述 を 含 めた 考 察 :「 指 示 された 作 業 以 外 の 仕 事 」 に 関 しては 、 一 致 率 の 最 も 高 かった 選 択 肢 ( 2)であっても 企 業 で 34.2%、 特 例 子 会 社 で 67.6 %と 低 かった。したがって、この 場 面 における 行 動 に 関 しては、 企 業 毎 に 異 なった 見 解 を 有 していると 考 えられる。また、 残 差 分 析 の 結 果 、 両 群 では、 選 択 肢 125に 関 して 回 答 傾向 に 明 確 な 差 が 認 められた。企 業 企 業特 例 子 会 社112233445500 20 40 60 80 10020 40 60 80図 2-2-2 場 面 7: 指 示 以 外 の 仕 事100図 2-2-2 場 面 7: 指 示 以 外 の 仕 事%-169-


なお 、 選 択 肢 1 及 び3に 関 しては 、 理 由 は 異 なるものの 「 指 示 以 外 の 仕 事 をしたこと」 に 関 して、「いいことだ」と 評 価 しており、その 割 合 は 企 業 で 41.4 %と 高 く、 特 例 子 会 社 ( 19.6 %)の 約 2 倍 であった。また、 企 業 においては、5「その 他 」への 記 述 が20%を 越 えていたことから、 主 な 記 述 に 関 して再 分 類 し 、 併 せて 特 例 子 会 社 の 回 答 と 比 較 した 。 特 例 子 会 社 の 回 答 数 は 18 社 と 少 ないが 、 比 較 の 結 果 、両 者 の 回 答 には 共 通 した 傾 向 が 認 められた ( 表 2-2-2)。 すなわち 、 指 示 以 外 の 仕 事 をやるにあたっては、1 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとること、2 納 期 ( 仕 事 の 優 先 順 位 )を 遵 守 すること、3 指 示 以 外 の仕 事 を 行 う 合 理 性 や 妥 当 性 について 判 断 すること、が 求 められている。したがって 、 両 群 の 差 は 主 として 「 指 示 された 以 外 の 仕 事 」 を 行 うことに 関 する 評 価 の 差 といえよう。すなわち、 企 業 では、 特 例 子 会 社 と 比 較 してより 自 発 的 に 仕 事 を 探 して 企 業 に 貢 献 することが 求 められていると 考 えられる。表 2-2-2場 面 7( 指 示 以 外 の 作 業 )における「その 他 」の 回 答 の 比 較企 業 特 例意 見( 137 社 )( 18 社 )指 示 以 外 の 作 業 を 始 める 前 に、 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる 必 要 がある45 3基 本 は2であるが、 加 えて、 指 示 以 外 の 作 業 を 始 める 前 に 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・確 認 ・ 了 承 をとる 必 要 がある112基 本 1もしくは3であるが、 指 示 以 外 の 作 業 を 始 める 前 に 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・確 認 ・ 了 承 をとる 必 要 がある納 期 内 で 作 業 が 済 むかについて 検 討 が 必 要 である(まずは、 指 示 された 作 業 を報 告 することが 必 要 )作 業 の 合 理 性 や 妥 当 性 についての 判 断 が 必 要 である納 期 に 間 に 合 うという 前 提 で 作 業 の 合 理 性 ・ 妥 当 性 についての 判 断 が 必 要 である業 務 の 繁 閑 や 立 場 によって 一 概 には 判 断 できないその 他10 134 621 67 18 11 13. 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 と 支 援 のあり 方発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、ルール 獲 得 のための 支 援 が 重 要 であるが、11 場 面 に 関 する 検 討 からは、 場 面 によって 企 業 と 特 例 子 会 社 のルールに 関 する 期 待 ( 理 解 と 対 応 )に 違 いがあることが 明 らかとなった。ただし、11 場 面 中 「ミスの 報 告 」「 始 業 時 間 に 関 する 理 解 」の2 場 面 については 、「その 他 」の 記 述 内容 も 含 め、 両 群 の 回 答 に 大 きな 違 いは 認 められなかった。したがって、 企 業 においても 特 例 子 会 社 においても 同 様 の 行 動 が 期 待 されると 考 えられる。しかしながら、この 両 場 面 に 関 して、 特 例 子 会 社 において 指 導 が 必 要 な 対 象 者 の 存 在 が 報 告 (「 ミスの 報 告 」では 51.4 %、「 始 業 時 間 に 関 する 理 解 」では 37.1%)されており、 現 時 点 では 入 社 後 に 対 応 している 実 態 がある。とりわけ 、「 始 業 時 間 に 関 する 理 解 」に 関 しては、 特 例 子 会 社 の 役 職 員 だけでは 対 応 が 難 しく、 外 部 の 支 援 者 と 連 携 して 指 導 にあたっている-170-


と 回 答 されている( 第 1 部 第 1 章 第 3 節 参 照 )。なお、こうした 対 応 については、 企 業 に 期 待 することは 難 しいと 考 えられることから、 獲 得 されるルールが 明 確 になったとしても、その 実 現 をどのように 支援 するかが 課 題 といえる。また、 他 の 9場 面 に 関 する 回 答 からは、 両 群 の 違 いとして、 次 の 3点 が 指 摘 できる。1 企 業 の 回 答 の 一 致 率 は、 特 例 子 会 社 の 一 致 率 よりも 高 いこと「 共 用 備 品 の 管 理 」「 備 品 の 私 的 利 用 」「 遅 刻 の 連 絡 」「 毎 日 のあいさつ 」「 作 業 中 の 返 事 」の5 場面 では、 特 例 子 会 社 よりも 企 業 の 回 答 の 一 致 率 が 有 意 に 高 かった。このことは、 企 業 においては、高 率 で 選 択 される( 期 待 される) 行 動 があることを 示 唆 している。これに 対 し、 特 例 子 会 社 では、例 えば 、「 作 業 中 の 返 事 」に 関 しては 、「 声 を 掛 ける 側 が 配 慮 する 」、もしくは、「すぐに 返 事 をしない 場 合 でも、 作 業 中 であれば 仕 方 がないと 考 える」を 選 択 した 割 合 が 企 業 と 比 較 して 有 意 に 高 く、また 、「 遅 刻 の 連 絡 」に 関 しても 、「 先 に 連 絡 した 方 が 良 かったとは 思 うけど、 30分 くらいの 遅 刻だし、 遅 れた 原 因 はAさんではないから 仕 方 ない」を 選 択 した 割 合 が 高 いなど、 了 解 される 行 動の 範 囲 が 広 い 傾 向 が 認 められた。また 、「 毎 日 のあいさつ」に 関 しては 、「その 他 」の 記 述 においても 残 差 分 析 による 有 意 差 が 認 められたが、 特 例 子 会 社 では 、「 自 分 からするのは 基 本 として、 状 況 をわきまえたあいさつをする 事が 必 要 」という 回 答 が 多 く 見 られた。 併 せて、 状 況 をわきまえたあいさつに 関 して、 状 況 毎 に 細 かく 指 導 している 様 子 がうかがえる 記 述 が 多 く 見 られた。2 問 題 が 生 起 した 際 の 行 動 の 理 解 ( 対 応 )に 差 が 認 められること特 例 子 会 社 においては、 問 題 が 発 生 するのは「 上 司 の 説 明 が 適 切 ではない( 具 体 性 に 欠 ける、もしくは、 相 手 の 理 解 を 確 認 していない )」ことを 背 景 要 因 と 考 えて 対 応 するという 回 答 がより 多 く認 められた。 例 えば 、「わからないときの 質 問 」に 関 しては 、「 質 問 した 方 がよかったとは 思 うが、作 業 手 順 が 分 からなかったのは 上 司 の 説 明 のせいなのだから、 注 意 されるのはかわいそうだ」とした 回 答 が、また 、「 備 品 の 私 的 利 用 」に 関 しては 、「 持 って 帰 るのは 良 くないかもしれないが 、「 持って 帰 ってはいけない」と 言 われていないから 特 に 問 題 はない」とした 回 答 が 企 業 と 比 較 して 有意 に 高 かった。また、 同 様 に 傾 向 は 、「 作 業 終 了 の 報 告 」「 指 示 通 りの 作 業 」などの「その 他 」の 記 述 においても認 められた。3 期 待 される 行 動 に 差 が 認 められること「 指 示 通 りの 作 業 」「 指 示 された 以 外 の 作 業 」に 関 しては 、「その 他 」を 選 択 した 企 業 、 特 例 子 会社 の 割 合 が 多 く 、 記 述 に 関 する 再 分 析 を 行 った。 その 結 果 、 期 待 される 行 動 について 企 業 では 、「 上司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる」ことを 前 提 としつつも、 業 務 改 善 や 企 業 の 利 益 につながる 作 業に 関 して 積 極 的 に 評 価 する 傾 向 にあることが 明 らかとなった。 同 様 の 傾 向 は、 特 例 子 会 社 においても 認 められるが、 一 方 で、 特 例 子 会 社 では「 指 示 通 りの 作 業 」を 行 えないことに 関 して 、「 上 司 の-171-


説 明 責 任 」に 言 及 する 記 述 が 認 められるなど、 期 待 される 行 動 について 差 があるといえよう。以 上 の 結 果 から、 特 例 子 会 社 では、 障 害 に 配 慮 した 行 動 の 理 解 と 対 応 がなされていることが 確 認 されたが、こうした 対 応 に 関 して、 例 えば、 企 業 において 障 害 が 開 示 された 場 合 に 同 様 の 対 応 を 期 待 できるのか、また、そのためにはどのような 人 的 ・ 物 理 的 環 境 が 用 意 される 必 要 があるのかなどについては、今 後 、 検 討 課 題 として 残 された。また、 障 害 を 非 開 示 とした 場 合 には、 企 業 が 期 待 する 行 動 を 前 提 としており、 それらの 課 題 にどの 程 度 応 えられるのかが 、 職 場 適 応 を 左 右 する 要 因 となることが 予 想 される。また、 職 場 の 基 本 的 なルールの 理 解 に 関 しては、 知 識 ・ 理 解 の 獲 得 に 加 えて、 行 動 化 ( 獲 得 された 知識 の 適 切 な 利 用 ) が 重 要 であることが 指 摘 されている ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №83,2008)。したがって、どのようなルールが 期 待 されるかという 差 に 加 えて、 第 1 部 第 1 章 第 3 節 で 検 討した、ルールを 適 切 に 行 動 化 できていない 従 業 員 に 対 する 対 応 の 違 いもまた、 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 によって 得 られる 支 援 の 範 囲 の 違 いとして 捉 えることが、 発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 において 重 要 であるといえよう。第 3 節まとめ1. 企 業 が 求 める 要 件 からみた 支 援 の 課 題 についてコミュニケーションやビジネスマナー 等 の 項 目 について、 企 業 が 採 用 の 際 に 重 視 する 水 準 や 達 成 を 期待 する 時 期 に 関 する 調 査 結 果 は、 発 達 障 害 があっても 開 示 せずに“ 一 般 扱 い”で 採 用 され、 初 任 者 研 修や OJT・Off-JTの 期 間 を 経 て 適 応 ・ 定 着 の 見 通 しを 持 つ 場 合 を 前 提 としている。 こうした 前 提 において、コミュニケーションにおいてもビジネスマナーにおいても 、「 重 視 しない」とされた 項 目 は 見 出 されなかった。したがって 、 検 討 すべきは 、「 職 業 準 備 の 視 点 から 優 先 性 が 高 い」 とされた 項 目 のそれぞれについて、現 在 の 行 動 特 徴 にてらして 支 援 が 必 要 であるかどうか、であろう。そして、 支 援 が 必 要 である 場 合 、 雇用 後 の 一 般 研 修 やOJTのみならず、 自 己 研 修 等 を 活 用 して 達 成 が 見 込 めるのか、 一 般 研 修 期 間 等 で 達成 が 見 込 めるのか、 専 門 的 支 援 のもとに 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 できるのか、 企 業 に 障 害 を 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるかどうか、についての 検 討 が 必 要 になる。さらに、 支 援 の 課 題 によって 支 援 目 標 とタイミングをはかっていくわけであるが、その 際 に、 企 業 が 重視 する 水 準 と 達 成 を 期 待 する 時 期 を 目 安 として 検 討 することになろう。また、 就 業 前 の 支 援 を 考 えるとき、 行 動 様 式 に 関 する 知 識 ・ 理 解 の 学 習 に 加 えて、 体 験 的 な 学 習 が 必要 である 場 合 、さらには、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 するための 学 習 が 必要 となる 場 合 には、その 場 面 設 定 についても 配 慮 が 必 要 となるだろう。-172-


2. 支 援 のあり 方 について発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、ルール 獲 得 のための 支 援 が 重 要 であるが、11 場 面 に 関 する 検 討 からは、 場 面 によって 企 業 と 特 例 子 会 社 のルールに 関 する 期 待 ( 理 解 と 対 応 )に 違 いがあることが 明 らかとなった。1 企 業 の 回 答 の 一 致 率 は、 特 例 子 会 社 の 一 致 率 よりも 高 い企 業 であれ 特 例 子 会 社 であれ、 高 率 で 選 択 される( 期 待 される) 行 動 があることが 示 唆 された。ただし、 特 例 子 会 社 では、 当 然 のことながら 障 害 者 雇 用 を 前 提 としており、 了 解 される 行 動 の 範 囲が 広 い 傾 向 が 認 められた。また、 状 況 毎 に 細 かく 指 導 している 様 子 がうかがえる 記 述 が 多 く 見 られた。2 問 題 が 生 起 した 際 の 行 動 の 理 解 ( 対 応 )に 差 が 認 められた特 例 子 会 社 においては、 問 題 が 発 生 するのは「 上 司 の 説 明 が 適 切 ではない( 具 体 性 に 欠 ける、もしくは、 相 手 の 理 解 を 確 認 していない )」ことを 背 景 要 因 と 考 えて 対 応 するという 回 答 がより 多 く認 められた。3 期 待 される 行 動 に 差 が 認 められた期 待 される 行 動 について、 企 業 では「 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる」ことを 前 提 としつつも 、 業 務 改 善 や 企 業 の 利 益 につながる 作 業 に 関 して 積 極 的 に 評 価 する 傾 向 にあった 。 同 様 の 傾 向 は、特 例 子 会 社 においても 認 められるが 、 一 方 で 、 特 例 子 会 社 では 「 指 示 通 りの 作 業 」 を 行 うためには、「 上 司 の 説 明 責 任 」が 必 要 であると 考 えるなど、 期 待 される 行 動 について 差 が 認 められている。以 上 の 結 果 から、 特 例 子 会 社 では、 障 害 に 配 慮 した 行 動 の 理 解 と 対 応 がなされていることが 確 認 されたが、こうした 対 応 に 関 して、 例 えば、 企 業 において 障 害 が 開 示 された 場 合 に 同 様 の 対 応 を 期 待 できるのか、また、そのためにはどのような 人 的 ・ 物 理 的 環 境 が 用 意 される 必 要 があるのかなどについては、今 後 、 検 討 課 題 として 残 された。また、 障 害 を 非 開 示 とした 場 合 には、 企 業 が 期 待 する 行 動 を 前 提 としており、それらの 課 題 にどの 程度 応 えられるのかが、 職 場 適 応 を 左 右 する 要 因 となることが 予 想 される。ルールを 適 切 に 行 動 化 できていない 従 業 員 に 対 する 考 え 方 や 対 応 の 違 いもまた、 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 によって 得 られる 支 援 の 範 囲 の違 いとして 捉 えることが 重 要 であるといえる。【 文 献 】神 尾 陽 子 ・ 行 廣 隆 次 ・ 安 達 潤 ・ 市 川 宏 伸 ・ 井 上 雅 彦 ・ 内 山 登 紀 夫 ・ 栗 田 広 ・ 杉 山 登 志 郎 ・ 辻 井 正 次思 春 期 から成 人 期 における 広 汎 性 発 達 障 害 の 行 動 チェックリスト日 本 自 閉 症 協 会 版 広 汎 性 発 達 障 害 評 定 尺 度-173-


( PARS)の 信 頼 性 ・ 妥 当 性 についての 検 討 精 神 医 学 第 48 巻 第 5 号 495-505 2006神 尾 陽 子 ・ 辻 井 弘 美 ・ 稲 田 尚 子 ・ 井 口 英 子 ・ 黒 田 美 保 ・ 小 山 智 典 ・ 宇 野 洋 太 ・ 奥 寺 崇 ・ 市 川 宏 伸 ・ 高 木 晶 子対人 応 答 性 尺 度 ( Social Resonsiveness Scale; SRS) 日 本 語 版 の 妥 当 性 検 証 広 汎 性 発 達 障 害 日 本 自 閉 症協 会 評 定 尺 度 ( PDD-Autism Sosiety Japan Rating Scle: PARS)との 比 較 精 神 医 学 第 51 巻 第 11号1101-1109 2009厚 生 労 働 省 職 業 能 力 開 発 局 能 力 評 価 課若 年 者 の 就 職 能 力 に 関 する 実 態 調 査 結 果2004.1.29.厚 生 労 働 省 職 業 能 力 開 発 局 能 力 評 価 課若 年 者 の 就 職 能 力 支 援 事 業 について2009.4.鍋 田 周 一 コミュニケーション 能 力 向 上 研 修 の 実 際 労 政 時 報 第 3774 号 6-58 2010長 崎 勤 ・ 宮 崎 眞 ・ 佐 竹 真 次 ・ 関 戸 英 紀 ・ 仲 村 晋 ( 編 著 ) スクリプトによる 社 会 的 スキル 発 達 支 援 川島 書 店2006日 本 経 済 団 体 連 合 会 新 卒 採 用 ( 2010 年 3 月 卒 業 者 )に 関 するアンケート 調 査 結 果 の 概 要 2010二 村 英 幸 企 業 が 求 める 人 材 この 十 年 で 変 わった 点 、 変 わらない 点 教 育 と 医 学 第 52 巻 第 11 号38-47 2004岡 田 智 対 人 関 係 に 困 難 のある 子 どもの 指 導 軽 度 発 達 障 害 の 教 育 日 本 文 化 科 学 社2006小 貫 悟 ・ 名 越 斉 子 ・ 三 和 彩 LD・ADHD へのソーシャルスキルトレーニング 日 本 文 化 科 学 社 2004大 杉 健 特 集 自 閉 症 スペクトラムの 人 々の 就 労 問 題 「 一 般 企 業 職 場 での 雇 用 」 精 神 療 法 第 35 巻第 3 号 332-337 2009佐 竹 真 次 スクリプトによる 社 会 的 スキル 発 達 支 援 川 島 書 店25-35 2006障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №83 軽 度 発 達 障 害 者 のための 就 労 支 援 プログラムに 関 する 研 究……ワーク・チャレンジ・プログラム( 試 案 )の 開 発 ……2008障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №88 「 発 達 障 害 者 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究 」 2009帝 国 データバンク 産 業 調 査 部 TDK 景 気 動 向 調 査 2010 年 2 月 特 別 企 画 「 2010 年 度 の 雇 用 動 向 に関 する 企 業 の 意 識 調 査 」http://www.tdb-di.com/ 2010上 野 一 彦 ・ 花 熊 暁 軽 度 発 達 障 害 の 教 育 日 本 文 化 科 学 社2006矢 野 経 済 研 究 所 企 業 における 09 年 度 新 人 採 用 に 関 する 意 識 調 査 ~アンケート 調 査 報 告 書 ~ 2009米 田 衆 介 特 集 自 閉 症 スペクトラムの 人 々の 就 労 問 題 「 自 閉 症 スペクトラムの 人 の 就 労 に 向 けた SST」精 神 療 法 第 35 巻 第 3 号 318-324 2009若 林 明 雄 自 閉 症 スペクトラム 指 数 ( AQ ) 日 本 語 版 の 標 準 化 …… 高 機 能 臨 床 群 と 健 常 成 人 による 検 討…… The Japanese Journal of Psychology Vol.78 №1 78-84 2004-174-


総括


障 害 者 手 帳 を 取 得 した 発 達 障 害 者 は、 法 定 雇 用 率 制 度 並 びに 職 業 リハビリテーションの 対 象 となる。また、 取 得 しない(あるいはできない) 者 は、 法 定 雇 用 率 制 度 の 対 象 ではないが 職 業 リハビリテーションの 対 象 となる。 両 者 が 利 用 できる 支 援 の 範 囲 は 異 なるものの、 範 囲 に 即 した 入 職 並 びに 職 場 適 応 の 支援 が 展 開 されてきた。 企 業 もまたこうした 対 象 者 が 利 用 する 支 援 の 枠 組 にそって 雇 用 管 理 を 行 う。 一 方で、 障 害 者 雇 用 支 援 を 利 用 せずに 一 般 扱 いの 雇 用 の 対 象 として 入 職 並 びに 職 場 適 応 を 志 向 する 発 達 障 害者 もある。この 場 合 、 企 業 は 一 般 扱 いの 雇 用 管 理 を 行 うことになる。 発 達 障 害 者 の 就 労 ・ 定 着 支 援 における 課 題 を 明 らかにするためには、 職 場 における 支 援 の 基 本 的 な 考 え 方 や 職 場 適 応 のための 支 援 を 具 体的 に 検 討 することが 必 要 となる。しかし、 一 般 企 業 では 、「 発 達 障 害 について 知 識 や 理 解 がない 」、あるいは「 発 達 障 害 を 開 示 せずに 就労 している 者 について、 企 業 は 把 握 できない」 等 々で、 雇 用 されている 発 達 障 害 者 に 関 する 実 態 把 握 は困 難 な 状 況 がある。 現 実 に、 本 研 究 で 実 施 した 一 般 企 業 対 象 調 査 ( 分 析 対 象 企 業 : 602 社 )では、「 発達 障 害 者 」を 把 握 していた 企 業 は、 障 害 者 雇 用 で 5 社 ( 0.8 %)、 一 般 扱 いの 雇 用 ( 障 害 者 手 帳 を 所 持 していない)では 4 社 ( 0.7 %)であった。そこで、まず、 多 様 な 障 害 者 への 支 援 実 績 を 有 する 特 例 子 会 社 を 対 象 に、 就 職 並 びに 職 場 適 応 を 目 指す 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 の 課 題 を 整 理 することを 目 的 として 、「 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・ 実 施 した。次 いで、 企 業 の 新 入 社 員 に 対 する 採 用 ・ 研 修 ・ 配 置 の 現 状 把 握 を 通 して、 発 達 障 害 者 の 適 応 上 の 課 題を 検 討 することを 目 的 として 、「 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・ 実 施 した。ここでは、 2つの 調 査 が 示 唆 する 現 状 を 踏 まえ、 発 達 障 害 者 の 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題 を 明 らかにしたうえで、 企 業 における 環 境 調 整 の 課 題 に 焦 点 をあてて 総 括 する( 調 査 結 果 の 詳 細 については、 各 部各 章 最 終 節 のまとめを 参 照 されたい )。1. 特 例 子 会 社 対 象 調 査 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題…… 障 害 者 雇 用 支 援 からみた 課 題 解 明 の 到 達 点 ……(1) 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 障 害 ( 身 体 障 害 ・ 知 的 障 害 ・ 精 神 障 害 )への 対 応 の 現 状身 体 障 害 者 への 対 応 では 、「 施 設 のバリアフリー 化 」が 最 も 多 く、 次 いで 、「 確 実 な 伝 達 ( 手 話 や 指 示の 出 し 方 )」、 「 健 康 管 理 」であった。「 確 実 な 伝 達 」については、 伝 達 手 段 の 工 夫 があげられていた。また、 数 は 少 ないが、スキルアップやリーダーへの 登 用 、 互 いの 障 害 を 補 完 するような 配 置 ( 身 体 障 害 者と 知 的 障 害 者 によるチーム 編 成 など )、 勤 務 時 間 の 弾 力 的 な 運 用 、 等 もあった。一 方 、 知 的 障 害 者 への 対 応 では 、「 確 実 な 伝 達 ( 曖 昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」が 最 も 多 く、 次 いで「 指導 員 の 配 置 」、 「 作 業 種 や 作 業 速 度 の 限 定 」であった。「 確 実 な 伝 達 」については、 伝 達 手 段 ではなく、-175-


指 示 内 容 の 明 確 化 の 必 要 性 の 問 題 があること 、「チームの 編 成 」については、 人 間 関 係 で 衝 突 の 多 い 従業 員 を 別 のチームに 配 置 するなど、 障 害 特 性 に 即 した 対 応 となっていた。また、 身 体 障 害 者 への 対 応 では 「 通 院 等 への 配 慮 」 が 必 要 となっていたが 、 知 的 障 害 者 への 対 応 では 「 家 族 や 支 援 機 関 との 連 携 」、「 指導 員 の 配 置 」 等 、 継 続 的 に 支 援 する 体 制 整 備 が 必 要 な 配 慮 事 項 であった。精 神 障 害 者 への 対 応 では 、「 作 業 種 ・ 作 業 速 度 の 限 定 」が 最 も 多 く、 次 いで「 健 康 管 理 」であった。さらに 、「 確 実 な 伝 達 ( 曖 昧 な 指 示 を 出 さない 等 )」と「 周 囲 の 配 慮 ・ 指 導 員 の 配 置 」では、 知 的 障 害 者への 対 応 と 共 通 した 問 題 が 指 摘 されていた。障 害 種 別 によって 多 少 の 相 違 点 はあるものの 、 雇 用 ノウハウは 基 本 的 な 考 え 方 において 共 通 している。具 体 的 には、 障 害 者 を 安 定 的 に 雇 用 するための 方 策 ( 職 務 選 択 ・ 設 計 、 採 用 、グループ 編 成 、トラブル防 止 、 研 修 ・ 指 導 体 制 等 )の 確 立 のもと、 就 労 可 能 な 業 務 が 安 定 して 確 保 され、 外 部 支 援 機 関 との 連 携や 経 営 者 はもとより 職 場 の 十 分 な 理 解 と 支 援 体 制 が 構 築 されていた。(2) 企 業 における「 考 え 方 」が 異 なるルールについて就 労 支 援 に 際 しては、 円 滑 な 職 務 遂 行 や 対 人 関 係 を 維 持 するために、 職 場 に 存 在 するさまざまなルールを 具 体 的 な 指 導 の 対 象 とすることが 求 められる。このために、 職 場 において 適 切 とされる 行 動 や 考 え方 について、 基 本 的 な 場 面 (11 場 面 )を 設 定 し、 各 場 面 において 望 ましいと 考 える 企 業 の 考 え 方 について 尋 ねた。11 場 面 中 8場 面 においては、 企 業 が 求 める 行 動 ・ 考 え 方 は 概 ね 一 致 していたが、 適 切 とされる 行 動の 一 致 率 が 70 % 未 満 の 場 面 ( 11 場 面 中 3 場 面 )については、より 多 くの 企 業 が 一 致 して 求 める 行 動 はあるものの、 企 業 によって 異 なった 考 え 方 があることが 明 らかとなった。ただし、 上 司 とのコミュニケーション( 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 )が 重 要 であるという 点 については 一 致 していた。なお、 指 示 書 通 りに 作業 ができなかったり、 指 示 以 外 の 作 業 をしてしまうことに 関 しては、 障 害 特 性 に 配 慮 した 指 示 が 十 分 にできていない、すなわち、 企 業 側 ( 上 司 など)の 問 題 であると 考 えている 企 業 がある、など、 特 例 子 会社 ならではの 考 え 方 で 支 援 を 実 施 していることが 明 らかとなった。(3) 発 達 障 害 への 対 応 の 現 状105 社 の 内 、 手 帳 の 種 別 の 他 に 発 達 障 害 があることを 把 握 している 企 業 は 39 社 ( 37% )であった。 発達 障 害 については 圧 倒 的 に 自 閉 症 圏 の 障 害 ( 広 汎 性 発 達 障 害 ・ 自 閉 症 ・ 高 機 能 自 閉 症 ・アスペルガー 症候 群 )が 多 く、 学 習 障 害 や 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 は 少 なかった。また、 療 育 手 帳 による 雇 用 が 181 人 であるのに 対 し、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 による 雇 用 は 22 人 であり、 知 的 障 害 としての 雇 用 が 多 い 現 状 がある。発 達 障 害 があることを 把 握 した 従 業 員 に 対 しては、 次 のような 個 別 ・ 具 体 的 な 対 応 が 成 されていた。-176-


作 業 遂 行 面 での 配 慮作 業 指 示 の 工 夫特 性 理 解 にもとづく 指 導業 務 工 程 の 細 分 化単 独 作 業 や 繰 り 返 し 作 業 等 へ 適 性 配 置自 分 のペースで 仕 事 が 進 められるように 配 慮必 ず 点 検 が 必 要マメな 声 かけと 支 援 機 関 との 連 携指 導 、 伝 達 事 項 を 統 一等口 頭 指 示 ではなく、 視 覚 化 し、 分 りやすく 指 示 をする毎 日 のミーティングにより、 作 業 予 定 を 確 認 し 安 心 させるマンツーマンのきめ 細 かい 指 導 と 確 認指 示 は 簡 潔 明 確 に、あいまいな 表 現 は 避 ける 等突 然 の 指 示 変 更 など 行 わない環 境 の 変 化 については 事 前 に 情 報 を 与 える具 体 的 な 理 由 の 説 明 と 行 動 確 認等精 神 的 ・ 身 体 的 な安 定 への 配 慮日 々の 健 康 状 態 の 把 握 とカウンセリング障 害 発 生 時 の 観 察 と 休 養 等 の 対 応仕 事 に 集 中 できる 環 境 の 整 備疲 れた 様 子 の 時 は 随 時 休 憩 を 取 らせる等その 他 に 、「 支 援 機 関 との 連 携 」「 教 育 機 関 との 連 携 」「 家 族 との 連 携 」「 本 人 との 面 談 」など、 作 業 遂行 に 対 する 支 援 もあげられていたが、 特 性 の 把 握 により、 知 的 障 害 者 や 精 神 障 害 者 への 雇 用 経 験 を 通 して 蓄 積 されたノウハウに 基 づき、 適 応 支 援 が 行 われていた。(4) 雇 用 ノウハウを 共 有 する 可 能 性 について特 例 子 会 社 では、 独 自 の 工 夫 (ノウハウ)や 体 制 整 備 によって、 多 数 の 障 害 者 の 継 続 雇 用 が 行 われていた。ただし、 特 例 子 会 社 の 場 合 、 会 社 設 立 の 目 的 や 存 在 意 義 が「 障 害 者 の 雇 用 促 進 」にあるために、障 害 者 を 安 定 的 に 雇 用 するための 方 策 ( 職 務 選 択 ・ 設 計 、 採 用 、グループ 編 成 、トラブル 防 止 、 研 修 ・指 導 体 制 等 )が 経 営 方 針 に 掲 げられている 点 で、 一 般 企 業 と 異 なっている。しかしながら、 企 業 が 障 害者 雇 用 に 重 点 を 置 いて 雇 用 促 進 を 図 る 場 合 には、 特 性 に 配 慮 した 仕 事 の 確 保 や 職 場 環 境 の 整 備 、 障 害 者の 能 力 開 発 や 定 着 のための 支 援 体 制 整 備 、 障 害 者 の 受 け 入 れのための 設 備 投 資 の 集 中 化 、 労 働 条 件 や 雇用 管 理 の 弾 力 化 、 専 任 の 指 導 員 の 配 置 等 々が 検 討 すべき 課 題 となることは 共 通 している。特 例 子 会 社 と 親 会 社 並 びに 親 会 社 の 従 業 員 の 関 わり 方 に 焦 点 をあて、 特 例 子 会 社 の 役 割 や 現 状 に 基 づいて 分 析 した 結 果 ( 第 1部 第 2章 )からは、 雇 用 ノウハウもさることながら、 日 常 的 な 対 応 や 適 時 に 行われるカウンセリングと、それに 従 事 する 従 業 員 の 資 質 を 確 保 する 支 援 体 制 が 重 要 であることが 示 された。したがって、 一 般 企 業 における 支 援 や 指 導 体 制 の 可 能 性 と 限 界 を 検 討 するうえでは、 社 内 の 支 援 体制 の 整 備 に 加 え、 必 要 に 応 じて 外 部 支 援 機 関 と 連 携 する 体 制 の 整 備 の 具 体 化 が 求 められる。指 導 が 困 難 な 発 達 障 害 者 が 一 般 企 業 で 適 応 ・ 定 着 するための 要 件 は、 1 企 業 において「 できる 仕 事 」に 配 置 され、 担 当 業 務 や 作 業 工 程 が 本 人 の 特 性 を 考 慮 されていること、2 個 別 ・ 具 体 的 な 支 援 が 行 われること、3 支 援 機 関 や 特 例 子 会 社 等 から 支 援 と 助 言 を 得 ること、の3点 に 集 約 される。ただし、 障-177-


害 者 手 帳 を 取 得 していない 者 については、 必 ずしも 障 害 者 雇 用 における 雇 用 管 理 や 配 慮 の 経 験 が 活 用 されるとは 限 らない。 当 事 者 が 障 害 に 気 づいていない 場 合 だけでなく、 気 づいてはいても 障 害 を 受 け 入 れていない 等 で 障 害 開 示 をしない 場 合 には、 周 囲 の 理 解 や 配 慮 のための 調 整 は 成 立 し 難 い 可 能 性 が 高 い。2. 一 般 企 業 対 象 調 査 における 若 者 の 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題……コミュニケーションとビジネスマナー 等 に 関 する 期 待 からみた 課 題 解 明 の 到 達 点 ……(1) 企 業 が 求 める 要 件 に 関 する 検 討職 場 における「コミュニケーション」と「ビジネスマナー」を 構 成 する 内 容 について、 標 準 化 された妥 当 な 領 域 や 項 目 が 設 定 されているわけではない。このため、 若 年 者 の 就 職 に 際 して 必 要 となる「 若 年者 就 職 基 礎 能 力 」 の 習 得 により 採 用 可 能 性 を 高 めるための 事 業 ( Youth Employability Support-Program: YES プログラム)において 定 義 された 内 容 のうち 、「コミュニケーション 能 力 」「 職 業 人 意 識 」「ビジネスマナー」の 評 価 項 目 を 具 体 的 な 行 動 レベルで 再 構 成 し、 本 研 究 において 調 査 する 領 域 と 項 目 を 選 定した(コミュニケーションについては 7 領 域 31 項 目 、ビジネスマナー 等 については 5 領 域 28 項 目 )。コミュニケーションやビジネスマナー 等 の 領 域 ・ 項 目 に 関 し、 企 業 が 若 者 の 新 規 採 用 に 際 して 重 視 する 水 準 や 達 成 を 期 待 する 時 期 についての 回 答 を 求 めたものであるが 、「 重 視 しない」とされた 領 域 ・ 項目 は 見 出 されなかった。 発 達 障 害 があっても 開 示 せずに 一 般 扱 い で 採 用 され、 初 任 者 研 修 や OJT・Off-JT の 期 間 を 経 て 適 応 ・ 定 着 の 見 通 しを 持 つことができるかどうかについては、 重 視 する 水 準 と 期 待される 達 成 時 期 によって「 職 業 準 備 の 視 点 から 優 先 性 が 高 い」とされた 項 目 のそれぞれについて、 障 害特 性 にてらした 検 討 が 必 要 である。また、 就 業 前 の 支 援 を 実 施 する 際 には 、「 雇 用 後 の 一 般 研 修 や OJT、 自 己 研 修 等 を 活 用 するなど、 一般 研 修 期 間 等 での 達 成 が 見 込 めるのか 」、 「 専 門 的 支 援 のもとに 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解消 もしくは 軽 減 できるのか 」、 「 企 業 に 障 害 を 開 示 して 理 解 と 配 慮 を 求 める 必 要 があるのか」 等 についての 検 討 を 行 う 必 要 がある。さらに、 支 援 の 課 題 によって 支 援 目 標 を 具 体 化 していくわけであるが、その際 には、 企 業 が 重 視 する 水 準 と 期 待 される 達 成 時 期 を 目 安 として 検 討 することになる。就 業 前 の 支 援 において、コミュニケーションやビジネスマナー 等 の 行 動 様 式 に 関 する 知 識 ・ 理 解 の 学習 に 加 えて、 体 験 的 な 学 習 が 必 要 である 場 合 、さらには、 代 償 手 段 や 補 完 行 動 を 獲 得 して 問 題 を 解 消 もしくは 軽 減 するための 学 習 が 必 要 となる 場 合 には、 就 業 後 の 研 修 やが 必 要 になる。OJTにつながる 段 階 的 な 場 面 設 定(2) 企 業 における「 考 え 方 」が 異 なるルールについて就 労 支 援 に 際 しては、 円 滑 な 職 務 遂 行 や 対 人 関 係 を 維 持 するために、 職 場 に 存 在 するさまざまなルールを 具 体 的 な 指 導 の 対 象 とすることが 求 められる。こうしたルールには、 就 業 規 則 等 には 明 文 化 されて-178-


いないが 、 多 くの 人 がそのルールにしたがって 行 動 することを 前 提 としている 暗 黙 のルールも 含 まれる。特 に、 職 場 の 規 則 や 暗 黙 のルールを 学 習 した 経 験 が 少 ない 者 にとっては、 規 則 やルールの 理 由 や 背 景 を明 確 に 理 解 することが 重 要 となる。ただし、 職 場 において 適 切 とされる 行 動 や 考 え 方 について、 基 本 的 な 場 面 (11 場 面 )を 設 定 し、 企 業の 見 解 を 検 討 した 結 果 ( 第 2部 第 1章 第 3 節 )からは、 考 え 方 が 企 業 によって 異 なる 場 面 があること、職 種 によっても 異 なる 場 面 があること、 言 い 換 えると、 暗 黙 のルールであるかどうかを 確 認 したうえで対 処 方 法 を 検 討 する 必 要 があること、こうした 場 面 が 必 ずしも 企 業 内 での 研 修 等 において 位 置 づけられているわけではないこと、に 注 意 が 必 要 である。その 他 に、 新 規 採 用 かどうかによっても 考 え 方 が 異 なる 場 合 があることについての 指 摘 があった。(3) 職 場 適 応 ・ 定 着 支 援 の 課 題発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、ルールを 行 動 化 するための 支 援 が 重 要 であるが、 設 定 した11 場 面に 関 する 検 討 からは、 場 面 によって 企 業 と 特 例 子 会 社 のルールに 関 する 期 待 ( 理 解 と 対 応 )に 違 いがあることが 明 らかとなった。1 企 業 の 回 答 の 一 致 率 は、 特 例 子 会 社 の 一 致 率 よりも 高 い企 業 であれ 特 例 子 会 社 であれ、 高 率 で 選 択 される( 期 待 される) 行 動 があることが 示 唆 された。ただし、 特 例 子 会 社 では 当 然 のことながら 障 害 者 雇 用 を 前 提 としており、 了 解 される 行 動 の 範 囲 が広 い 傾 向 が 認 められた。 また 、 状 況 毎 に 細 かく 指 導 している 様 子 がうかがえる 記 述 が 多 く 見 られた。2 問 題 が 生 起 した 際 の 行 動 の 理 解 ( 対 応 )に 差 が 認 められた特 例 子 会 社 においては、 問 題 が 発 生 するのは「 上 司 の 説 明 が 適 切 ではない( 具 体 性 に 欠 ける、もしくは、 相 手 の 理 解 を 確 認 していない )」ことを 背 景 要 因 と 考 えて 対 応 するという 回 答 が 企 業 よりも 多 く 認 められた。3 期 待 される 行 動 に 差 が 認 められた期 待 される 行 動 について 企 業 では 、「 上 司 に 提 案 ・ 相 談 ・ 確 認 ・ 了 承 をとる」 ことを 前 提 としつつも、業 務 改 善 や 企 業 の 利 益 につながる 作 業 に 関 して 積 極 的 に 評 価 する 傾 向 にあった。 同 様 の 傾 向 は、 特例 子 会 社 においても 認 められるが 、 一 方 で 、 特 例 子 会 社 では 「 指 示 通 りの 作 業 」 を 行 うことは 、「 上司 の 説 明 責 任 」によっているなど、 期 待 される 行 動 について 差 が 認 められた。以 上 の 結 果 から、 特 例 子 会 社 では 障 害 に 配 慮 した 行 動 の 理 解 と 対 応 がなされていることが 確 認 されたが、 企 業 において 障 害 が 開 示 された 場 合 に 同 様 の 対 応 を 期 待 できるのか、また、そのためにはどのような 人 的 ・ 物 理 的 環 境 が 用 意 される 必 要 があるのかなどについては、 検 討 課 題 として 残 された。また、 障 害 を 非 開 示 とした 場 合 には、 企 業 が 期 待 する 行 動 を 前 提 としており、それらの 課 題 にどの 程度 応 えられるのかが、 職 場 適 応 を 左 右 する 要 因 となることが 予 想 される。ルールを 適 切 に 行 動 化 できて-179-


いない 従 業 員 に 対 する 対 応 の 違 いもまた、 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 によって 得 られる 支 援 の 範 囲 の 違 いとして 捉 えることが 重 要 であるといえる。3. 一 般 企 業 における 人 材 育 成 の 現 状2つの 調 査 を 通 して、 雇 用 ノウハウの 伝 達 の 重 要 性 や 可 能 性 もさることながら、 障 害 特 性 に 即 した 支援 を 実 施 する「 人 的 体 制 」と 能 力 向 上 のための「 研 修 」のそれぞれについて、 質 的 並 びに 量 的 な 問 題 へのアプローチが 重 要 であることが 明 らかとなった。特 例 子 会 社 が 適 応 ・ 定 着 支 援 のために 実 施 する 人 的 体 制 ( 研 修 体 制 を 含 む)について、 一 般 企 業 においても 同 様 に 整 備 できるのであれば、 複 数 の 多 様 な 人 材 を 継 続 的 に 雇 用 することが 可 能 になることは 言うまでもない。 特 例 子 会 社 が 企 業 における 障 害 者 雇 用 促 進 のための 試 行 的 な 場 であるとするならば、こうした 議 論 が 成 立 するかもしれない。 事 実 、 分 析 対 象 となった 特 例 子 会 社 の 中 には、 親 会 社 のみならず地 域 の 一 般 企 業 における 障 害 者 雇 用 促 進 のために、 企 業 に 対 する 支 援 を 行 っている 会 社 が 存 在 していた( 第 1 部 第 2 章 C 社 ・D 社 参 照 )。 確 かに、 親 会 社 や 一 般 企 業 に 対 する「 支 援 組 織 としての 特 例 子 会 社の 役 割 」については 特 筆 すべき 事 例 であるに 違 いない。しかし、もともと、 親 会 社 もしくはグループ 企業 における 雇 用 率 算 定 のために 特 例 子 会 社 が 設 立 されていることからは、こうした 役 割 を 前 提 とした 議論 は 成 立 しがたいと 言 うべきであろう。段 階 的 ・ 個 別 的 な 研 修 過 程 を 長 期 に 渡 って 実 施 することで 特 例 子 会 社 における 雇 用 継 続 が 実 現 していること、ただし、 雇 用 継 続 に 至 らない 事 例 も 現 実 に 存 在 すること、などを 念 頭 において 検 討 することが必 要 である。 一 般 に、 障 害 者 雇 用 では、 企 業 における 雇 用 支 援 体 制 等 がとられている。これに 対 し、 障害 を 開 示 せずに 一 般 扱 いの 雇 用 を 希 望 する 場 合 、 適 応 ・ 定 着 の 見 通 しを 持 つことができるのは、 企業 が 一 般 扱 いの 雇 用 において 期 待 する 達 成 水 準 を、 企 業 が 期 待 する 達 成 時 期 に、もしくは、 企 業 が用 意 する 研 修 内 容 や 研 修 時 期 に、 獲 得 できる 人 材 に 限 られる。ここでは、 一 般 扱 いの 雇 用 における 若 年 就 業 の 現 状 並 びに 人 材 育 成 の 現 状 からみたとき、 発 達 障害 者 に 対 する 就 業 前 後 の 支 援 の 課 題 をまとめておくことにする。(1) 人 材 育 成 としての OJT の 現 状 と 課 題長 期 不 況 の 中 で 正 社 員 になれない 若 年 ( 非 正 社 員 )が 増 加 したことで、 職 業 能 力 の 形 成 における 機 会不 均 等 の 問 題 が 発 生 していることが 指 摘 されている。これは、 企 業 における 訓 練 の 基 軸 が、 正 規 雇 用 における 仕 事 をしながらの 訓 練 ( OJT)にあることを 前 提 にした 指 摘 であり、 労 働 市 場 の 情 勢 で 就 職 が 決まらないという 問 題 と、 就 職 しても 短 期 間 に 会 社 を 辞 めるという 問 題 のいずれか、もしくは 両 方 によって、 職 業 能 力 形 成 の 機 会 が 失 われていくことを 指 している( 太 田 , 2010) 。すなわち、こうした 問 題 の背 景 としては、 学 卒 後 、 就 業 前 に 想 定 される「 適 職 探 し」の 期 間 があり、その 時 期 に 若 年 失 業 が 発 生 し-180-


ていること、それは 外 的 な 環 境 要 因 と 内 的 な 自 己 選 択 の 要 因 とによっているという 指 摘 である。太 田 ( 2010 )は、 学 校 を 出 たばかりの 新 卒 者 について 、「 会 社 で 直 ちに 役 立 つスキルはほとんど 持 っていない 」「そうしたスキルは 会 社 に 入 った 後 に 学 んでいかなければならない」という 側 面 から、 企 業における 教 育 と 訓 練 の 役 割 を 次 のように 指 摘 する。…… 企 業 が OJT を 基 軸 とした 従 業 員 の 育 成 を 最 も 効 率 的 に 達 成 しようと 考 えているならば、それは 採 用 候 補 者 を訓 練 コストの 低 い 順 に 並 べて、 先 頭 から、 一 定 人 数 採 用 するかたちになる。したがって、 労 働 者 は 自 らの 訓 練 コストが 低 い、あるいは、 訓 練 受 容 性 が 高 いことをアピールする 必 要 が 生 じる。……太 田 ( 2010)は、また、 企 業 が 若 年 正 社 員 の 離 職 によって、 投 下 した 訓 練 費 用 の 損 失 や、 欠 員 補 充 のための 費 用 などのコストに 対 し、できるだけ 早 期 の 離 職 を 防 ぎたいと 考 えているとして、 採 用 後 の 支 援を 重 視 している 点 を 次 のように 指 摘 する。…… 若 年 者 が 就 職 する 前 にイメージしている 仕 事 内 容 や 職 場 の 雰 囲 気 と、 就 職 してから 直 面 する 現 実 とのギャップを 縮 小 させるような 取 り 組 みは、 入 社 前 情 報 不 足 によるミスマッチを 抑 制 する 方 向 に 作 用 するであろう。 採 用 前 に職 種 や 仕 事 内 容 を 明 示 することや、 綿 密 な 企 業 見 学 や 体 験 入 社 の 実 施 などを 具 体 例 として 挙 げることができる。また、 若 年 者 が 悩 みなどを 相 談 しやすいように、メンター 制 度 を 導 入 したり、 上 司 によるフォローアップを 実 施したりすることも、 重 要 な 離 職 防 止 対 策 となる。 ……しかし、こうした 職 場 の 人 材 育 成 が 揺 らいでいる 現 状 があること、 職 場 におけるメンタルヘルス 不 全の 状 況 に 現 れること、 したがって 、 職 場 における 教 育 のあり 方 が 問 われる 時 代 であるとして 、 荒 井 ( 2008)は OJT の 利 点 と 欠 点 を 次 のように 指 摘 する。【 OJT の 利 点 】・ 目 的 が 明 確 であるため、モチベーションのアップにつながる・ 指 導 者 自 身 のレベルアップにつながる・ 仕 事 を 習 うことと 慣 れることが 必 要 。 個 人 の 成 長 と 業 務 のスピードアップにつながる・ トレーニングを 通 して 上 司 の 部 下 のコミュニケーションの 円 滑 化 が 期 待 される【 OJT の 欠 点 】・ 教 える 側 のレベルにばらつきがあると、 教 わる 側 にもばらつきが 生 ずる・ ひとつの 仕 事 を 完 璧 に 教 える 方 法 では、 変 化 の 多 い 仕 事 やスピードアップが 求 められる 職 場 であればあるほど 対 応 できない・ 指 導 者 も 仕 事 を 抱 えているので 教 えるだけの 時 間 がなく、ひいては 精 神 的 な 負 担 増 につながる・ 若 い 人 たちは、 人 間 関 係 を 築 くことを 苦 手 としている 例 が 少 なくない。 新 入 社 員 が 精 神 的 に 参 ってしまう可 能 性 があるこれは 、「 個 人 の 資 質 が 高 くても、 当 人 の 所 属 する 組 織 的 風 土 にそれが 適 合 しなければ、 現 場 における 学 習 が 駆 動 するとは 限 らない 」、したがって、「 業 務 能 力 向 上 にとって 少 なくない 影 響 を 与 えているものは 、 職 場 の 社 会 関 係 資 本 、 換 言 するならば 、 他 者 との 関 係 、 他 者 とのつながりである 」( 中 原 , 2010)という 指 摘 とも 対 応 するものである。-181-


(2)コミュニケーション 研 修 の 現 状 と 課 題序 章 で 述 べたように、 採 用 時 に 重 視 する 要 件 としても、 学 生 に 求 める 点 としても、 企 業 がコミュニケーションに 対 して 求 める 期 待 はきわめて 高 い。これはとりもなおさず、コミュニケーションの 基 本 的 なルールやマナー、スキルが 体 得 されないままに 入 社 する 者 が 増 える 一 方 で、 入 社 時 研 修 やその 後 の OJTで 学 ぶ 機 会 が 不 足 する 傾 向 があることを 意 味 している。鍋 田 ( 2010)は、 OJT での 対 面 コミュニケーション・スキル 育 成 の 機 会 が 減 った 理 由 として、 次 のような 背 景 を 挙 げる。1 企 業 内 でも IT を 活 用 したコミュニケーションが 増 え、 対 面 で 非 言 語 の 情 報 を 含 めた 発 信 ・ 応 答の 機 会 が 減 った2 バブル 崩 壊 後 のいわゆる「 失 われた 10 年 」では、 各 社 とも 新 規 採 用 を 抑 制 したため、それ 以 前に 入 社 した 中 堅 社 員 や 初 級 管 理 職 が、 対 面 で 後 輩 ・ 部 下 を 育 成 ・ 指 導 した 経 験 が 少 ない3 「 失 われた 10 年 」の 後 に 入 社 してきた 若 い 世 代 は、この 間 の 急 速 な IT 環 境 の 発 達 の 下 で、それ 以 前 とは 明 らかに 異 なるコミュニケーション 文 化 を 持 っており ( 例 えば 、 過 度 のメール 依 存 )、伝 統 的 な 対 面 コミュニケーションの 作 法 やスキルが 十 分 に 訓 練 されていない4 社 員 の 業 務 量 が 増 え、しかも 個 人 完 結 型 でチームワークを 意 識 する 機 会 の 少 ない 業 務 が 増 えたため、 OJT でコミュニケーション・スキルを 後 輩 に 指 導 する 余 裕 または 機 会 が 減 った5 職 場 内 で 増 加 する 非 正 規 社 員 は、 正 社 員 とは 異 なる 就 労 意 識 を 持 っており、 正 社 員 間 での 暗 黙知 の 共 有 を 前 提 としたコミュニケーションが 成 立 しにくい6 テレワークやシフト 勤 務 、 育 児 ・ 介 護 短 時 間 勤 務 者 が 増 加 し、 社 員 同 士 が 職 務 上 で 時 間 と 空 間を 共 有 する 場 面 が 減 ったこうした 事 情 を 背 景 として、コミュニケーション・スキルの 習 得 や 向 上 を 現 場 のけでなく、 Off-JT で 補 強 する 試 みがとり 上 げられている( 鍋 田 , 2010) 。OJTにゆだねるだ現 実 に、 一 般 企 業 対 象 調 査 でもコミュニケーションに 支 援 が 必 要 になった 事 例 に 対 し、 企 業 が 実 施 した 対 応 例 として、 以 下 のような 試 みが 回 答 された( 第 2部 第 1 章 第 2 節 )。会 話 を 増 やすために業 務 内 の 様 々な 機 会 を 利 用 する報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 徹 底日 報 作 成 の 習 慣 化グループミーティングの 実 施会 議 における 発 言 や 提 案 の 促 進メールや 電 話 を 会 話 に 変 更本 音 ミーティングの 励 行等研 修 以 外 の 指 導 を 実 施 する指 導 側 と 問 題 の 当 事 者 に 研 修メンター 制 度 の 導 入個 別 相 談 指 導 の 継 続マンツーマンのきめ 細 かい 指 導指 示 の 確 認 を 行 い、 自 ら 考 える 習 慣 の 重 視指 導 する 社 員 にコーチング 研 修 の 導 入教 わり 方 の 指 導等等-182-


問 題 を 指 摘 して 自 己 修 正 を 図 らせる業 務 外 でも 人 間 関 係 を 作 る自 己 中 心 的 な 価 値 観 の 是 正自 己 の 客 観 視 と 周 囲 への 影 響 を 理 解 する 行 動 の 指 示仕 事 を 離 れた 場 で 本 音 で 会 話 する 機 会 の 設 定歓 迎 会 や 懇 親 会 などの 場 の 活 用 等等代 替 手 段 の 活 用 により 理 解 を 深 める文 書 による 報 告 を 提 案日 報 による 報 告 に 対 するコメント 記 入等一 方 で、 雇 用 継 続 困 難 の 例 として、 以 下 のような 問 題 が 回 答 された( 第 2 部 第 1 章 第 2 節 )。行 動 上 の 問 題 ( 規 律 違 反 )備 品 の 私 的 流 用 をくり 返 した( 注 意 を 促 しても)虚 偽 の 欠 勤 報 告 / 虚 偽 の 報 告 ( 業 務 )組 織 の 規 則 ・ 慣 行 に 従 った 行 動 ができない等対 人 態 度 の 問 題役 割 理 解 の 問 題自 己 主 張 のみ 一 方 的 に 伝 達 しようとする( 自 分 の 考 えが 唯 一 と 信 じている)自 分 の 立 場 の 説 明 に 終 始 し、 自 分 の 置 かれている 位 置 を客 観 視 できない自 身 が 不 快 に 思 うことに 過 剰 にこだわり、 原 因 となる人 物 に 対 して 暴 力 をふるう 素 振 りや 暴 言 を 吐 く身 近 な 先 輩 との 相 性 があわない自 分 から 周 囲 に 関 わろうとする 姿 勢 が 全 くない自 ら 話 しかけるのが 苦 手 で 表 現 ができない自 分 の 役 割 を 果 たすために、 休 日 も 業 務 するなど、精 神 的 にも、 肉 体 的 にも 疲 弊 した新 入 社 員 研 修 で「やる 気 のない 人 は、 会 社 にとっても本 人 にとっても 不 幸 だ」と 先 輩 が 話 したら、 次 の 日 に会 社 を 辞 めてしまったこうした 問 題 に 対 し 、 企 業 は 「 本 人 より 話 があった 時 は 、 既 に 遅 い 。 説 得 しても 無 理 と 判 断 している」など、 早 めの 対 応 を 検 討 している 一 方 で、コミュニケーションの 問 題 だけではなく、 期 待 される 水 準 で作 業 が 遂 行 できないなどの 問 題 で 雇 用 継 続 不 可 能 になった 例 があるという 回 答 もあった。ただし、 雇 用している 発 達 障 害 者 についての 回 答 ではなく、あくまでも 一 般 扱 い で 雇 用 した 若 者 への 対 応 の 問 題である 点 には 注 意 が 必 要 である。4. 残 された 課 題(1) 企 業 の 対 応 の 可 能 性 と 範 囲 について発 達 障 害 の 特 性 からは、 作 業 遂 行 やコミュニケ-ション、 対 人 態 度 等 への 対 応 が 就 労 支 援 や 雇 用 管 理の 課 題 として 重 視 されてきた。そして、 雇 用 に 至 る 過 程 や 雇 用 後 の 適 応 ・ 定 着 において、 支 援 の 困 難 さが 指 摘 されてきた。しかし、コミュニケーションやビジネスマナー 等 を 重 視 する 企 業 にとって、 企 業 が求 めるコミュニケーションやビジネスマナー 等 を 達 成 するために 支 援 が 必 要 であったとしても、 発 達 障-183-


害 を 開 示 しない 若 者 の 特 性 について、 合 理 的 な 配 慮 の 範 囲 を 問 うことは 無 理 が 大 きいと 言 わざるを 得 ない。確 かに、 特 例 子 会 社 では、 障 害 に 配 慮 した 行 動 の 理 解 と 対 応 がなされていることが 確 認 された。しかし、 こうした 対 応 に 関 して 、 障 害 が 開 示 された 場 合 に 、 一 般 企 業 において 同 様 の 対 応 を 期 待 できるのか、また、 可 能 であるのか、さらには、どのような 人 的 ・ 物 理 的 環 境 の 整 備 が 期 待 できるのか、また、 可 能であるのか、などは 今 後 の 課 題 として 残 された。(2) 就 業 前 支 援 の 可 能 性 と 効 果 について障 害 を 開 示 しない 者 については、 企 業 が 期 待 する 行 動 に 対 して 応 えられるのかどうかが 職 場 適 応 を 左右 する 要 因 となる。ルールを 適 切 に 行 動 化 できていない 従 業 員 に 対 する 対 応 の 違 いもまた、 障 害 の 開 示・ 非 開 示 によって 得 られる 支 援 の 範 囲 の 違 いとして 捉 えることが 重 要 である。そうした 場 合 、 ルールを 適 切 に 行 動 化 できるために 就 業 前 支 援 が 用 意 できるか、どのように 効 果 を上 げられるか、もまた 今 後 の 課 題 である。(3)ルールの 明 示 化 についてルールを 適 切 に 行 動 化 できるための 支 援 については、 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 にかかわらず、 発 達 障 害 者にとって 重 要 な 支 援 となる。ただし、 本 研 究 で 場 面 設 定 した 基 本 的 な11場 面 の 中 でさえ、 一 意 の 理 由が 設 定 できない 場 面 があることが 明 らかとなった。このように、 暗 黙 のルールについては、 年 齢 によって 、 職 種 、 職 位 によって、 また 、 職 場 の 人 間 関 係 によって、 さらには 、 企 業 によって 異 なる 場 合 がある。基 本 的 な11場 面 の 他 、 多 様 な 場 面 について 理 由 を 明 示 した 学 習 課 題 が 必 要 となる。しかし、その 場合 にルールの 明 示 化 は 可 能 か、 就 業 場 面 での 支 援 は 可 能 か、など、 暗 黙 のルールについての 質 的 分 析 が必 要 となっている。【 文 献 】荒 井 千 暁 人 を 育 てる 時 代 は 終 わったか PHP 研 究 所 2008鍋 田 周 一 コミュニケーション 能 力 向 上 研 修 の 実 際 労 政 時 報 第 3774 号 6-58 2010中 原 淳 職 場 学 習 論 東 京 大 学 出 版 会2010太 田 聰 一 若 年 者 就 業 の 経 済 学 日 本 経 済 新 聞 出 版 社2010-184-


資料1.YESプログラムの 認 定 基 準2. 調 査 票「 特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査 」「 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査 」


YES-プログラムの 対 象 となる 職 業 能 力 試 験 の 認 定 基 準( 出 題 範 囲 部 分 )領 域 コミュニケーション 能 力意 識 又 は 能 力意 識 又 は 能 力 の 内 容の 細 目 基 礎 レベル( 高 校 卒 業 程 度 )応 用 レベル( 大 学 卒 業 程 度 )相 手 の 言 動 をよく 観 察 することができる。 相 手 の 言 動 をよく 観 察 することができる。相 手 の 主 張 を 正 確 に 聴 き 取 ることができる。 相 手 の 主 張 を 正 確 に 聴 き 取 ることができる。傾 聴 する 姿 勢相 手 の 立 場 に 立 って 真 意 を 聴 き 取 ることができる。 相 手 の 立 場 に 立 って 真 意 を 聴 き 取 った 上 で、 的 確な 質 問 により 更 に 話 を 聞 き 出 すことがことができる。相 手 の 意 見 を 受 け 入 れることができる。相 手 の 意 見 を 受 け 入 れることができる。双 方 向 の 円 滑 な 自 分 の 価 値 観 と 異 なる 意 見 ・ 考 え 方 を 否 定 しない。 自 分 の 価 値 観 と 異 なる 意 見 ・ 考 え 方 を 否 定 しない。コミュニケーション相 手 の 考 え 方 を 総 合 的 に 理 解 した 上 で、 意 見 交 換相 手 との 意 見 交 換 を 円 滑 に 行 うことができる。を 円 滑 に 行 うことができる。相 手 の 意 見 を 自 分 なりに 分 類 したり、 要 旨 を 整 理 相 手 の 意 見 や 複 数 の 異 なる 意 見 を 分 類 ・ 整 理 した意 見 集 約できる。上 で、 要 旨 を 整 理 し 要 約 ができる。タイミングを 外 すことなく、 情 報 を 正 確 に 伝 える タイミングを 外 すことなく、 相 手 にとって 必 要 なことができる。情 報 を 正 確 に 伝 えることができる。情 報 伝 達場 面 に 応 じて、 適 切 に 伝 達 手 段 ( 口 頭 、 電 話 、email等 )を 使 い 分 けることができる。mail 等 )を 使 い 分 けることができる。場 面 に 応 じて、 適 切 に 伝 達 手 段 ( 口 頭 、 電 話 、e-発 言 の 筋 道 が 明 確 で 論 理 的 な 主 張 ができる。 発 言 の 筋 道 が 明 確 で 論 理 的 な 主 張 ができる。意 見 の 主 張場 面 に 応 じて、 適 切 かつ 明 瞭 な 表 現 方 法 で 主 張 が適 切 かつ 明 瞭 な 表 現 方 法 で 主 張 ができる。できる。相 手 の 立 場 や 自 分 との 位 置 関 係 を 理 解 することが 立 場 の 異 なる 相 手 の 社 会 的 立 場 や 自 分 との 位 置 関できる。係 、その 場 の 状 況 を 把 握 し、 両 者 の 調 整 を 行 う 等相 手 の 尊 重適 切 な 対 応 ができる。グループ・ 集 団 での 作 業 ・ 行 動 をすることができる。 グループ・ 集 団 での 作 業 ・ 行 動 をすることができる。円 滑 な 人 間 関 係 に 努 めながら、 組 織 にとけ 込 むこ 組 織 状 況 を 理 解 し、 円 滑 な 人 間 関 係 に 努 めながらとできる。組 織 にとけ 込 むことができる。組 織 ・ 人 間 関 係 組 織 のルールに 沿 った 行 動 がとれる。組 織 のルールに 沿 った 行 動 がとれる。苦 手 な 他 者 に 対 して 不 必 要 な 衝 突 や 排 他 的 な 行 動 苦 手 な 他 者 に 対 して 調 和 志 向 のつき 合 いができる。をせずにつき 合 うことができる。筋 道 の 通 った 分 かりやすい 表 現 で 自 己 表 現 できる。 筋 道 の 通 った 分 かりやすい 表 現 で 自 己 表 現 できる。伝 えようとする 事 項 について、 要 所 を 外 さずに 正 伝 えようとする 事 項 について、 相 手 の 理 解 の 度 合確 に 表 現 できる。を 考 慮 しながら 説 明 に 工 夫 を 加 えることができる。明 確 な 説 明レジメ 等 を 活 用 してポイントを 押 さえた 説 明 がで レジメ 等 を 活 用 して 相 手 に 説 得 力 がある 説 明 ができる。きる。与 えられた 時 間 内 に 主 張 をまとめて 説 明 できる。 与 えられた 時 間 内 に 主 張 をまとめて 説 明 できる。資 料 作 成 の 準 備 をきちんとできる。資 料 作 成 の 準 備 をきちんとできる。図 表 等 を 用 いた表 現図 表 等 の 基 本 的 な 使 い 方 を 理 解 している。文 章 のみならず、 図 表 等 を 活 用 して 説 明 することができる。図 表 等 の 特 長 を 踏 まえ、 適 切 な 使 い 方 ができる。文 章 のみならず、 図 表 等 を 活 用 して 訴 求 力 のある説 明 することができる。-185-


領 域 職 業 人 意 識意 識 又 は 能 力の 細 目社 会 人 ・ 職 業 人としての 社 会 的役 割 と 責 任組 織 秩 序 の 維 持主 体 性達 成 志 向目 標 設 定職 業 観 ・プロ 意 識基 礎 レベル( 高 校 卒 業 程 度 )約 束 の 時 間 、 期 限 を 守 ることができる。他 者 ・ 同 僚 に 迷 惑 をかけない 意 識 を 持 っている。服 務 規 律 を 守 り、 自 分 に 与 えられた 業 務 指 示 を 最後 までやり 抜 く 意 識 を 持 っている。組 織 における 自 らの 職 務 や 立 場 を 理 解 している。決 められた 指 示 系 統 に 沿 って、 業 務 を 遂 行 する 意識 を 持 っている。上 司 や 同 僚 に 対 して 報 告 、 連 絡 、 相 談 等 を 適 切 なタイミングで 行 うことができる。組 織 目 標 を 理 解 するよう 心 がけている。与 えられた 仕 事 を 自 らのものとして 捉 えることができる。自 ら 行 動 を 起 こしている。与 えられた 仕 事 について 課 題 意 識 を 持 ち、また、課 題 発 見 に 努 めている。担 当 職 務 に 求 められる 知 識 ・ 技 術 の 修 得 のため、自 ら 勉 強 する 意 欲 を 持 っている。与 えられた 目 標 達 成 に 向 け 努 力 ができる。職 業 選 択 や 働 くことについて、 自 らの 問 題 として捉 えている。働 くことの 意 義 や 目 的 を 理 解 し、プロになるという 意 識 を 持 っている。職 業 生 活 について 真 剣 に 考 えている。法 律 や 社 会 のルール、 組 織 規 則 等 を 守 る 意 識 を持 っている。意 識 又 は 能 力 の 内 容応 用 レベル( 大 学 卒 業 程 度 )約 束 の 時 間 、 期 限 を 守 ることができる。他 者 ・ 同 僚 に 迷 惑 をかけない 意 識 を 持 っている。服 務 規 律 を 守 り、 組 織 における 自 らの 職 務 や 立 場を 理 解 した 上 で 業 務 を 遂 行 する 意 識 を 持 っている。組 織 における 自 らの 職 務 や 立 場 を 理 解 している。決 められた 指 示 系 統 に 沿 って、 業 務 を 遂 行 する 意識 を 持 っている。上 司 や 同 僚 に 対 して 報 告 、 連 絡 、 相 談 等 を 適 切 なタイミングで 行 うことができる。組 織 目 標 を 常 に 意 識 し、 目 標 達 成 に 向 けて 自 らも目 標 を 立 てて 職 務 に 臨 むよう 心 がけている。与 えられた 仕 事 を 自 らのものとして 捉 え、 問 題 発見 に 努 めている。自 ら 行 動 を 起 こしている。また、 他 者 に 対 して 必要 な 働 きかけを 行 うことができる。指 示 された 事 柄 だけでなく、 次 なる 発 展 的 な 課 題に 備 えることができる。与 えられた 仕 事 について、 自 ら 進 んで 課 題 を 発 見し、それを 解 決 する 姿 勢 を 持 っている。職 務 遂 行 に 求 められる 知 識 ・ 技 術 向 上 のため、 社内 外 での 教 育 訓 練 を 進 んで 受 けるなどの 勉 強 をする 意 欲 を 持 っている。より 高 い 目 標 達 成 に 向 けて 継 続 的 に 努 力 することができる。自 らの 価 値 観 を 加 味 した 上 で 職 業 選 択 や 働 くことについて、 自 らの 問 題 として 捉 えている。自 己 実 現 のステージとして 職 業 を 捉 え、プロになるという 意 識 を 持 っている。職 業 生 活 について 真 剣 に 考 えている。法 律 や 社 会 のルール、 組 織 規 則 等 を 守 る 意 識 を持 っている。仕 事 を 通 して 社 会 的 責 任 を 果 たすことの 意 義 を 理解 している。-186-


領 域 基 礎 学 力 ( 読 み 書 き)意 識 又 は 能 力の 細 目ビジネス 文 書 の作 成ビジネス 文 書 の読 解基 礎 レベル( 高 校 卒 業 程 度 )意 識 又 は 能 力 の 内 容応 用 レベル( 大 学 卒 業 程 度 )ビジネス 文 書 の 基 本 的 な 約 束 事 を 理 解 している。 ビジネス 文 書 の 基 本 的 な 約 束 事 や 役 割 を 理 解 している。誤 字 ・ 脱 字 のチェックを 行 い、 適 切 な 修 正 ができる。 誤 字 ・ 脱 字 に 加 え、 文 章 表 現 の 妥 当 性 についてチェックし、 適 切 な 修 正 ができる。相 手 先 に 応 じて 基 本 的 な 文 書 の 作 成 ができる。 相 手 先 に 応 じてきめ 細 かい 配 慮 を 行 い、 文 書 作 成ができる。定 型 的 な 文 書 ( 日 報 等 の 日 常 の 業 務 報 告 書 )を 正 不 定 型 の 文 書 ( 企 画 書 等 )を 論 理 立 てよく 作 成 で確 に 作 成 できる。きる。新 聞 の 社 説 程 度 の 文 書 の 読 解 ができる。背 景 事 情 なども 踏 まえて 長 文 読 解 し、 適 切 な 要 約ができる。いわゆる5W1H( 誰 が、 何 を、いつ、どこで、なぜ いわゆる5W1Hの 理 解 に 加 えてWhom( 誰 を)やHow(どのような 目 的 で)、どうやって)が 理 解 できる。 much(コスト 意 識 )の 感 覚 を 持 っている。領 域 基 礎 学 力 ( 計 算 ・ 計 数 ・ 数 学 的 思 考 力 )意 識 又 は 能 力の 細 目計 算 、 計 数数 学 的 思 考 力意 識 又 は 能 力 の 内 容基 礎 レベル( 高 校 卒 業 程 度 )応 用 レベル( 大 学 卒 業 程 度 )3 桁 程 度 の 四 則 演 算 ( 分 数 、 小 数 を 含 む)が 正 確 に 3 桁 程 度 の 四 則 演 算 ( 分 数 、 小 数 を 含 む)が 正 確できる。にできる。数 学 的 ・ 論 理 的 に 順 序 立 てて 考 えることができる。 演 繹 的 ・ 帰 納 的 な 手 法 を 用 いて 数 学 的 ・ 論 理 的 に順 序 立 てて 考 えることができる。領 域 基 礎 学 力 ( 社 会 人 常 識 )意 識 又 は 能 力の 細 目社 会 人 として必 要 な 常 識基 礎 レベル( 高 校 卒 業 程 度 )高 校 卒 業 程 度 の 一 般 教 養 的 な 知 識 ( 政 治 ・ 社 会 ・経 済 ・ 文 化 ・ 歴 史 等 )を 持 っている。新 聞 やテレビなどを 情 報 源 として 主 要 な 社 会 経 済や 時 事 問 題 について 把 握 している。意 識 又 は 能 力 の 内 容応 用 レベル( 大 学 卒 業 程 度 )大 学 卒 業 程 度 の- 般 教 養 的 な 知 識 ( 政 治 ・ 社 会 ・経 済 ・ 文 化 ・ 歴 史 等 )を 持 っている。新 聞 やテレビを 始 め 様 々なチャンネルを 用 いて 社会 経 済 の 動 向 や 時 事 問 題 に 対 し、 常 に 情 報 収 集 に努 め、 自 ら 意 見 を 表 明 できるレベルまで 把 握 している。-187-


領 域 ビジネスマナー意 識 又 は 能 力の 細 目あいさつと話 し 方電 話 のマナー訪 問 の 方 法来 客 の 対 応話 し 方 の 基 本言 葉 遣 い話 の 聞 き 方指 示 の 受 け 方基 礎 レベル( 高 校 卒 業 程 度 )意 識 又 は 能 力 の 内 容応 用 レベル( 大 学 卒 業 程 度 )勤 務 中 のあいさつ、お 詫 び・お 礼 の 言 い 方 、おじ 勤 務 中 の 適 切 なあいさつ、お 詫 び・お 礼 の 言 いぎの 仕 方 を 知 っている。方 、おじぎができる。敬 語 の 種 類 、 使 い 方 、 自 他 の 敬 語 表 現 を 知 っている。 敬 語 の 種 類 、 自 他 の 敬 語 表 現 を 使 い 分 けることができる。話 し 方 ・ 聞 き 方 のコツをつかみ、 相 手 から 好 感 の 話 し 方 ・ 聞 き 方 のコツをつかみ、 相 手 から 好 感 のもたれる 対 応 法 を 知 っている。もたれる 対 応 ができる。電 話 の 受 け 方 を 知 っている。適 切 な 電 話 の 受 け 方 ができる。電 話 の 取 り 次 ぎ 方 を 知 っている。適 切 な 電 話 の 取 り 次 ぎができる。電 話 の 取 り 次 ぎができないときの 対 応 を 知 っている。 電 話 の 取 り 次 ぎができないときの 適 切 な 対 応 ができる。伝 言 メモの 書 き 方 を 知 っている。適 切 な 伝 言 メモを 書 くことができる。電 話 のかけ 方 のポイントを 知 っている。適 切 に 電 話 をかけることができる。電 話 をかけるときの 慣 用 句 を 知 っている。 電 話 をかけるときの 適 切 な 慣 用 的 な 言 い 回 しができる。携 帯 電 話 のマナーを 知 っている。適 切 な 携 帯 電 話 のマナーをわきまえている。アポイントメントのとり 方 を 知 っている。 アポイントメントを 的 確 にとることができる。訪 問 時 のマナーを 知 っている。訪 問 のマナーをわきまえている。名 刺 の 受 け 方 ・ 渡 し 方 を 知 っている。名 刺 の 受 け 方 ・ 渡 し 方 が 適 切 にできる。自 己 紹 介 の 仕 方 を 知 っている。自 己 紹 介 の 仕 方 が 適 切 にできる。来 客 対 応 のマナーを 知 っている。適 切 な 来 客 対 応 のマナーをわきまえている。来 客 の 取 り 次 ぎ 方 を 知 っている。適 切 な 来 客 の 取 り 次 ぎができる。来 客 を 取 り 次 げないときの 対 応 を 知 っている。 来 客 を 取 り 次 げないときの 適 切 な 対 応 ができる。指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる。指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる。指 示 内 容 について 相 手 に 正 確 に 伝 えることができる。 指 示 内 容 について 相 手 に 正 確 に 伝 えることができる。-188-


特 例 子 会 社 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 実 態 に 関 する 調 査独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センターでは 、「 発 達 障 害 者 の 企 業 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題 に 関 する 基 礎 的 研 究 」 を 行 っています。 この 調 査 研 究 では 、「 発達 障 害 者 の 障 害 特 性 ( 社 会 性 ・コミュニケーション・こだわりの 問 題 )が 就 労 の 実 現 や 定 着 支 援を 左 右 する 要 因 となっている」といった 問 題 への 対 応 についての 検 討 が 求 められています。発 達 障 害 者 の 場 合 、その 障 害 特 性 から 特 に、 職 場 での 基 本 的 な 行 動 様 式 の 理 解 や 学 習 については、 企 業 内 で 用 意 されている 一 般 研 修 や OJT 等 だけでは 十 分 な 習 得 が 見 込 めない 可 能 性 があります。そのため、 職 場 における 支 援 の 基 本 的 な 考 え 方 や 指 導 等 、 職 場 適 応 のための 支 援 に 焦 点 をあて、 指 導 課 題 を 明 確 にすることが 必 要 となっています。しかし、こうした 指 導 課 題 については、発 達 障 害 の 有 無 にかかわらず、 障 害 者 雇 用 に 共 通 した 課 題 でもあります。そこで、 知 的 障 害 を 含め、 発 達 障 害 のある 者 のみならず、 多 様 な 障 害 者 への 支 援 の 実 績 の 豊 富 な 特 例 子 会 社 が 蓄 積 されてこられたノウハウをお 伺 いしつつ、 就 職 並 びに 職 場 適 応 を 目 指 す 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支援 の 課 題 を 整 理 したいと 考 えました。御 社 が 障 害 者 の 採 用 から 定 着 に 至 る 過 程 で 配 慮 されていることなどについて、 現 状 に 即 してご回 答 くださいますようお 願 いいたします。ご 回 答 いただきました 内 容 は、 数 値 化 して 量 的 に 処 理いたしますので、 個 々の 情 報 が 開 示 されることはありません。また、 本 調 査 以 外 の 目 的 に 使 用 することはありませんので、 忌 憚 のないご 意 見 をお 聞 かせいただけますようお 願 いいたします。【 回 答 に 際 してのお 願 い】調 査 のお 願 い 並 びに 調 査 票 の 返 送 方 法 等 につきましては、「 ご 協 力 のお 願 い」 をご 参 照 ください。この 調 査 では、 発 達 障 害 のある 職 員 についてお 伺 いする 項 目 を 最 後 のページに 設 けてありますが、1~4については 御 社 の 雇 用 管 理 一 般 に 即 してご 回 答 くださいますようお 願 いいたします。発 達 障 害 とは、 発 達 障 害 者 支 援 法 により「1 自 閉 症 ・アスペルガー 症 候 群 などの 広 汎 性 発 達 障害 」「 2 学 習 障 害 」「 3 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 」「 4その 他 の 発 達 障 害 ( 運 動 協 調 障 害 ・ 言 語 障 害 等 )」とされております。 発 達 障 害 は 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 となっていませんが、 発 達 障 害 のある 方が 療 育 手 帳 や 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 を 取 得 し、 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 として 雇 用 されている場 合 があります。また、 障 害 者 雇 用 率 制 度 の 対 象 とならないこと 等 から、 発 達 障 害 のある 方 が 障害 を 開 示 していない 場 合 もあります。なお、1の 広 汎 性 発 達 障 害 につきましては、 当 機 構 発 行 のリーフレットを 同 封 いたしました。問 い 合 せ 先 :独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センター所 在 地 :〒 261-0014 千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3主 任 研 究 員 望 月 葉 子 043( 297) 9031( 直 通 )研 究 員 知 名 青 子 043( 297) 9068( 直 通 )平 成 21年 6月 1日 現 在 の 状 況 によってお 答 えください平 成 21年 8月 31日 までにご 返 送 いただきますようお 願 いいたします。-189-


1. 御 社 において、 障 害 のある 職 員 を 採 用 する 際 に 重 視 していること( 重 視 してきたこと)について、お 伺 いします。 身 体 障 害 者 手 帳 所 持 者 ・ 療 育 手 帳 所 持 者 ・ 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 所 持 者 のそれぞれについて 該 当 する 記 号 に○をつけてください。(1) 御 社 で 実 施 している1から4の 採 用 方 法 について、 a ~ d の 中 から 選 んで 記 号 を 記 入 してください。1~4 以 外 の 方 法 については、5その 他 の( ) 内 に 具 体 的 にお 書 きください。また、 該 当 する 障 害 者 を 雇 用 していない 場 合 には、 斜 線 を 引 いてください。a: 必 ず 実 施 する b:実 施 することが 多 い c: 実 施 しないことが 多 い d: 実 施 しない身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害1 面 接2 職 業 評 価3 職 場 実 習4トライアル 雇 用5その 他 ( )( )( )(2) 御 社 が 採 用 に 際 して 重 視 する 内 容 について、 重 視 する 程 度 を5~1で 評 価 し、あてはまる 数 字に○をつけてください。1~7 以 外 の 内 容 については、8その 他 の( ) 内 に 具 体 的 にお 書 きください。また、 該 当 する 障 害 者 を 雇 用 していない 場 合 には、 斜 線 を 引 いてください。5 4 3 2 1(とても 重 視 している)( 全 く 重 視 していない)身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害1 作 業 速 度 5- 4 - 3 - 2-1 5- 4 - 3 - 2 -1 5 - 4- 3- 2-12 作 業 の 正 確 さ 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -13 指 示 の 理 解 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -14 基 本 的 労 働 習 慣 の 確 立 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -15 労 働 意 欲 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -16 人 間 関 係 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -17 就 業 態 度 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -18その 他 ( ) 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -1( ) 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -1( ) 5- 4 - 3 - 2-1 5 - 4- 3- 2-1 5 - 4- 3 - 2 -1-190-


2. 障 害 のある 職 員 の 採 用 後 の 研 修 について、お 伺 いします。(1) 作 業 に 従 事 するまでの 御 社 の 研 修 の 期 間 と 日 数 ・ 内 容 についてお 聞 かせください期 間 日 数 内 容( 記 入 例 ) 採 用 時 の 1 週 間 5 日配 属 先 業 務 の 工 程 の 習 得初 任 者 研 修OJT( )の 研 修( )の 研 修( )の 研 修(2) 採 用 後 の 研 修 で、 御 社 で 留 意 している 内 容 をお 伺 いします。1~10について、 具 体 的 にお 書 きください。1 作 業 速 度2 作 業 の 正 確 さ( 品 質 のばらつき)3 指 示 の 理 解4 安 全 な 作 業 遂 行5 情 報 管 理6 基 本 的 労 働 習 慣 の 確 立7 労 働 意 欲8 人 間 関 係9 就 業 態 度10その 他( )( )( )-191-


(3) 研 修 後 、 職 場 に 配 置 する 際 に、 留 意 している 点 をお 伺 いします。留 意 している 順 に( ) 内 に 1~9 の 順 位 を 付 けて 内 容 を 具 体 的 にお 答 えください。( ) 服 装 ・ 身 だしなみ( ) 話 を 聞 くときの 態 度( )あいさつ( ) 返 事( ) 丁 寧 な 言 葉 づかい( ) 遅 刻 や 休 暇 の 連 絡 /報 告 ・ 質 問 ・ 連 絡 ・ 相 談( ) 指 示 の 理 解 の 確 認( ) 共 用 物 品 の 取 り 扱 い( ) 個 人 情 報 の 管 理 やパスワードの 取 り 扱 い( )その 他( )その 他3. 障 害 者 を 指 導 する 職 員 の 研 修 について、お 伺 いします。御 社 では、 障 害 者 を 指 導 する、もしくは 同 僚 となる 職 員 のために、 研 修 をしておられますか。研 修 を 実 施 している ・ 研 修 は 実 施 していない( 4に 進 んでください)どのような 研 修 を 実 施 しておられるのかについて、 具 体 的 にお 書 きください。知 識 ・ 理 解 研 修 について実 践 的 ・ 体 験 的 研 修 についてその 他 について-192-


4. 職 場 のルールの 指 導 について、お 伺 いします。職 場 において 場 面 に 適 切 ではない 行 動 がおこりがちな11の 場 面 を 設 定 しました。そのうえで、それぞれの 場 面 を 提 示 された 方 が 場 面 に 対 してとる「 考 え 方 」を4 通 り 用 意 しました。御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる「 考 え 方 」の 記 号 を1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。1から4には 適 切 な 考 え 方 がない 場 合 、5に 具 体 的 にご 記 入 ください。また、 指 導 が 必 要 となった 社 員 がいた 場 合 、どのように 指 導 されたのかについて、 a:なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)/ b: 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えた/ c: 方 法 が 見 つからなかった/d:その 他 の 中 から 選 んで○をつけてください。また、 誰 が 指 導 したのかについて、x:社 内 の 職 員 、 y: 外 部 の 支 援 者 、 z:その 他 の 中 から 選 んで 具 体 的 にお 答 えください。なお、 以 下 の 場 面 1~11については、 A さん( 職 員 )の 体 験 エピソードが 書 かれています。場 面 1机 の 上 には、Aさんの 仕 事 に 必 要 な「ボールペン、 鉛 筆 、はさみ、ホチキス、セロハン テープ」が置 かれていました。先 輩 職 員 のB 係 長 は 、「これらの 文 房 具 は、Aさんが 使 って 良 いものです」と 説 明 しました。Aさんは、 自 宅 のセロハンテープが 残 り 少 なくなっていることを 思 い 出 しました。帰 りに 、「Aさんが 使 っても 良 い」と 言 われた 文 房 具 の 中 から、セロハンテープを 持 って 帰 りました。【1-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。1 「Aさんが 使 っても 良 い」と 言 われたものだから、 特 に 問 題 はない。2 会 社 で 使 うものなので、 持 って 帰 るのは 良 くない。3 セロハンテープは 使 えばなくなるものだから、また、 新 しいセロハンテープをもらえばいい。4 持 って 帰 るのは 良 くないかもしれないが 、「 持 って 帰 ってはいけない」と 言 われていないから5特 に 問 題 はない。( )【1-2】 御 社 には 、「 備 品 の 管 理 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 2に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。-193-


場 面 2甲 株 式 会 社 の 始 業 時 間 は10 時 00 分 です。Aさんは、 毎 日 、だいたい10 時 頃 に 職 場 に 着 きます。どんなに 遅 くても10 時 10 分 までには 会 社 に 着 きます。それから、 作 業 着 に 着 替 えて、トイレに 行 き、 仕 事 を 始 めるのは10 時 30 分 頃 になります。【2-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。1 仕 事 は10 時 からだから、 少 し 遅 れた 分 は、 残 業 すればいい。2 だいたい10 時 くらいに 会 社 に 着 いているのは 良 いけれど、 仕 事 を 始 める 時 間 が 少 し 遅 い。3 仕 事 は10 時 からだから、10 時 に 仕 事 を 始 めなければいけない。4 だいたい10 時 に 着 いているし、 仕 事 の 前 にトイレに 行 っておくなど、 準 備 を 整 えてから 作 業 に5取 りかかるのは 良 い 考 えだ。( )【2-2】 御 社 には 、「 業 務 の 開 始 時 間 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 3に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 3甲 株 式 会 社 の 始 業 時 間 は10 時 00 分 です。Aさんは 自 宅 からの 最 寄 り 駅 で 電 車 を 待 っていますが、いつも 乗 る 電 車 が 遅 れていて、まだ、 来 ません。そのため、10 時 00 分 には、どうしても 間 に 合 いそうにありません。でも、10 時 30 分 には 着 けそうです。Aさんは、 携 帯 電 話 を 持 っていますが、 連 絡 をしているともっと 遅 れそうなので、とにかく 急 いで 会 社 に 行 き、 会 社 に 着 いてから「 電 車 が 遅 れた」ことを 説 明 しようと 思 いました。【3-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。1 報 告 よりも、まず、 会 社 に「 急 いで 来 た」というのは 良 い 判 断 だ。2 先 に 連 絡 した 方 が 良 かったとは 思 うけど、30 分 くらいの 遅 刻 だし、 遅 れた 原 因 はAさんではないから 仕 方 ない。3 遅 れた 原 因 はAさんではないのに、いろいろ 説 明 しなくてはいけなくて 大 変 だ。4 会 社 に 着 くのはさらに 遅 れるかもしれないけど、とりあえず、 遅 れた 理 由 と 何 時 に 会 社 に5着 くかを 先 に 連 絡 しておいた 方 がよい。( )-194-


【3-2】 御 社 には 、「 遅 刻 の 連 絡 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 4に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 4Aさんは、 朝 、 会 社 に 出 社 すると、 自 分 から 誰 にでも「おはようございます」と 元 気 よくあいさつをします。 時 には、 相 手 からあいさつが 返 ってこない 場 合 もあります。でも、 相 手 からあいさつが 返 っても、 返 ってこなくても、 毎 日 、 同 じように 挨 拶 をします。【4-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。12345あいさつができるAさんは、コミュニケーションの 基 本 がわかっている。あいさつは 必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない。Aさんに、 毎 日 、 毎 日 、あいさつされている 人 は、うるさいだろう。あいさつの 返 ってこない 人 にまで、あいさつするなど、ムダなことだ。( )【4-2】 御 社 には 、「あいさつ」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 5に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。-195-


場 面 5Aさんは 今 、データの 入 力 中 です。データを 入 力 している 途 中 で 上 司 に 名 前 を 呼 ばれました。Aさんはデータを 入 力 している 途 中 だったので、 区 切 りの 良 いところまで 入 力 してから、「はい」と 返 事 をしました。【5-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。12345Aさんは、 仕 事 に 集 中 しているのだから、やむを 得 ない。Aさんがデータを 入 力 中 なことは 見 ればわかるのだから、 上 司 はAさんの 様 子 を 見 て 声 をかければいい。名 前 を 呼 ばれたのには、 何 か 理 由 があるのだろうから、Aさんはすぐに 返 事 をした 方 がいい。名 前 を 呼 ばれたら、すぐに 返 事 をしないといけないが、Aさんはデータの 入 力 中 だったし、区 切 りの 良 いところで 返 事 をしているのだから 問 題 はない。( )【5-2】 御 社 には 、「 作 業 中 の 返 事 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 6に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 6Aさんは 上 司 から、「DM(ダイレクト・メール)の 宛 名 を 貼 る」 仕 事 を 命 じられました。作 業 は 指 示 書 にしたがって 行 うように 指 示 されました。しかし、Aさんは、 指 示 書 にしたがわず、自 分 がやりたいと 思 った 方 法 で 作 業 を 進 めました。いままでのところ、 特 に 失 敗 はないのですが、 上 司 はAさんのやり 方 をみて 、「 指 示 書 通 りにやるように」と 再 度 、 指 示 をしました。しかし、Aさんは 今 まで 失 敗 はなかったので、 自 分 なりのやり 方 でやり 続 けました。【6-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。12345Aさんが 自 分 なりに 工 夫 しているのは、いいことだ。今 まで 特 に 失 敗 がないのだから、 指 示 書 の 通 りにやれという 上 司 の 方 がおかしい。上 司 の 指 示 通 りにやらないのは 良 くない。上 司 の 指 示 通 りにした 方 がいいが、 失 敗 してないから、Aさんのやり 方 でもかまわない。( )【6-2】 御 社 には 、「 指 示 通 りの 作 業 遂 行 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。-196-


いる ・ いない(→ 場 面 7に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 7Aさんの 会 社 には、DM(ダイレクト・メール)の 宛 先 となる 会 社 の 住 所 をインターネットで 検 索 するという 仕 事 があります。Aさんは、100 社 分 の 会 社 の 住 所 を 検 索 するように 指 示 されました。作 業 をしているうちに、Aさんは、 自 分 が 住 所 を 調 べている 会 社 がどんな 会 社 なのかに 興 味 をもちました。そこで、 住 所 を 検 索 する 以 外 に、どのような 仕 事 をしているかについても 検 索 して 資 料 を 作 りました。【7-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。12345指 示 された 以 外 の 仕 事 をしているが、 後 で 会 社 の 役 に 立 つこともあるかもしれないので、いいことだ。指 示 された 以 外 の 仕 事 をするのは 良 くない。指 示 された 作 業 だけでなく、 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのは、いいことだ。自 分 が 仕 事 ができることをアピールしているのはいいことだ。( )【7-2】 御 社 には 、「 指 示 以 外 の 作 業 遂 行 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 8に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。-197-


場 面 8Aさんは、 会 議 に 必 要 な 資 料 を11 時 15 分 までに100 枚 コピーするように 上 司 に 命 じられました。コピーは11 時 00 分 に 終 わりました。Aさんは、 席 に 戻 って 休 み、11 時 15 分 になってから 上 司 にコピーができたことを 報 告 し、100 枚 の資 料 を 届 けました。【8-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。1 本 当 なら 仕 事 が 終 わったことをすぐに 報 告 しなくてはいけないが、 指 示 された 時 間 は 守 っているのだから、 問 題 ない。2 時 間 通 りに 資 料 を 届 けるということは、まじめな 態 度 だ。3 頼 まれた 時 間 よりも 早 く 仕 事 を 終 えて 休 憩 できるのは、うらやましい。4511 時 に 終 わったら、すぐに 届 ける 方 がよい。( )【8-2】 御 社 には 、「 作 業 の 報 告 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 9に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 9Aさんは 作 業 に 必 要 な 分 の 材 料 ( 青 色 封 筒 100 枚 、 宛 名 用 ラベル100 枚 )を 総 務 部 に 申 請 するように指 示 されていました。Aさんは、 申 請 書 に“100 枚 ”と 書 くところ、 誤 って“1000 枚 ”と 書 いてしまいました。今 朝 、DM 事 業 部 には、 青 色 封 筒 1000 枚 と 宛 先 用 のラベル1000 枚 が 届 きました。Aさんは、 間 違 いに 気 づいたのですが、 封 筒 もラベルも「いつかは 使 うだろう」と 思 い、 丁 寧 に 箱 にしまって、 自 分 の 机 の 下 に 置 きました。【9-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。12345ミスをしたのに 報 告 しないのは、 良 くない。封 筒 やラベルを 丁 寧 に 箱 にしまい、 備 品 を 大 切 に 取 り 扱 っているのは、いいことだ。ミスはミスだが、 足 りないというわけではないので、 特 に 報 告 する 必 要 はない。箱 にしまって 机 の 下 に 置 いたままにするのは、 忘 れてしまうことがあるので 良 くない。( )【9-2】 御 社 には 、「ミスの 報 告 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。-198-


いる ・ いない(→ 場 面 10に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 10上 司 が 作 業 の 手 順 について 説 明 をしました。 他 の 人 は 説 明 を 聞 き、すぐに 作 業 に 取 りかかりました。Aさんも 作 業 を 始 めたのですが、 途 中 でどのようにやるのか、 作 業 の 手 順 がわからなくなってしまいました。とりあえず、 他 の 人 がやっているところを 見 てから、 自 分 でもやってみようと 思 い、 黙 って他 の 人 の 作 業 を 見 ていました。少 ししてから、Aさんも 作 業 を 始 めましたが、 通 りかかった 上 司 から 作 業 手 順 について 注 意 を 受 けました。【10-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。1 質 問 した 方 がよかったとは 思 うが、 作 業 手 順 が 分 からなかったのは 上 司 の 説 明 のせいなのだから、注 意 されるのはかわいそうだ。2 注 意 はされたけど 人 の 力 を 借 りないで 自 分 で 何 とかしようとしたことは、よいことだ。3 分 からなくなったら、すぐに 上 司 に 質 問 すればいい。45難 しい 作 業 を 頼 まれたのだから、Aさんは 大 変 だ。( )【10-2】 御 社 には 、「 質 問 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→ 場 面 11に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。-199-


場 面 11Aさんは、 机 の 上 の 細 かなゴミをとるために、 卓 上 掃 除 機 が 必 要 になりました。卓 上 掃 除 機 は、みんなで 利 用 する 共 用 の 備 品 です。Aさんは、 備 品 置 き 場 から 卓 上 掃 除 機 を 借 りてきて 掃 除 を 終 わらせました。Aさんは 忙 しかったので、 卓 上 掃 除 機 をそのまま 自 分 の 机 に 置 いておきました。終 業 時 間 になってから、 卓 上 掃 除 機 を 備 品 置 き 場 に 戻 して 帰 りました。【11-1】 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる 考 え 方 を、1~4の 中 から 選 んで○をつけてください。それ 以 外 の 考 え 方 がありましたら、5に 具 体 的 に 書 いてください。12345Aさんの 帰 宅 時 間 が 遅 くなってしまうので、 終 業 時 間 の 前 に 返 しに 行 くべきである。共 用 ではなく、 個 人 用 の 卓 上 掃 除 機 があればいい。共 用 の 備 品 だが、 今 日 は 仕 事 も 忙 しかったことだし、 一 日 くらいなら、 自 分 の 机 に 置 いても 問 題 ない。共 用 の 備 品 なのだから、すぐに 返 さないといけない。( )【11-2】 御 社 には 、「 共 用 備 品 の 使 い 方 」について 指 導 が 必 要 となった 職 員 がいます(いました)か。「いる」「いない」のどちらかを○で 囲 んで 回 答 してください。いる ・ いない(→5に 進 んでください)↓問 題 の 行 動 が 改 善 されるまで、 指 導 上 の 困 難 の 大 きかった( 大 きい) 職 員 を 一 人 思 い 浮 かべてください。(1)どのように 指 導 したかについて、a~d のあてはまるもの 全 てに○をつけてください。a なぜそうしなくてはならないのか(ルールの 考 え 方 を 教 えた)b 適 切 な 行 動 の 仕 方 を 教 えたc 方 法 が 見 つからなかったd その 他 ( )(2) 誰 が 指 導 したか について、x~z のあてはまるもの 全 て○をつけ、 具 体 的 に 書 いてください。x 社 内 の 役 職 員 ( )y 外 部 の 支 援 者 ( )z その 他 ( )(3) 指 導 した 時 に( 上 司 や 同 僚 として) 感 じたこと、 指 示 の 仕 方 などで 工 夫 をしたこと、 上 記 の 指 導 場 面について 他 の 役 職 員 とノウハウの 共 有 をすることになったかなど、 具 体 的 に 書 いてください。場 面 1~11 以 外 に。 職 場 のルールについて、 御 社 で 指 導 や 対 応 が 必 要 になったことがありましたらお 書 きください。-200-


5. 御 社 について 伺 います。【1】 会 社 の 概 要 について(1) 御 社 の 事 業 内 容 を 右 枠 から 選 択 し、 番 号 を 記 入 してください。親 会 社 特 例 子 会 社 事 1. 農 林 漁 業 2. 建 設 業 3. 製 造 業 4. 電 気 ・ガス・ 水 道 ・ 熱 供 給 5. 運 輸 情 報 通 信 業業6. 卸 ( 商 社 含 む)・ 小 売 業内7. 飲 食 店 ・ 宿 泊 業 8. 金 融 ・ 保 険 ・ 不 動 産 業 9. 医 療 ・ 福 祉 業容 10. 教 育 支 援 事 業 11.サービス 業 12.その 他 ( )(2) 特 例 子 会 社 の 設 立 ・ 認 可 年 月 日設 立 昭 ・ 平 年月 日 認 可 昭 ・ 平 年月日【2】 雇 用 率 対 象 障 害 およびその 他 の 従 業 員 について(1) 雇 用 率 対 象 障 害 者 とその 他 の 職 員 の 人 数 、 従 事 する 業 務 について 伺 います。「 人 数 」: 障 害 者 手 帳 別 の 人 数 内 訳 と、その 他 の 職 員 の 人 数 をご 記 入 ください。「 従 事 業 務 の 内 容 」: 職 員 の 方 の 主 な 業 務 や 作 業 内 容 の 概 要 をご 記 入 ください。「 業 務 上 の 配 慮 事 項 」: 職 員 の 方 の 従 事 業 務 に 対 して 配 慮 事 項 がございましたら、ご 記 入 ください。人 数従 事 業 務 の 内 容業 務 上 の 配 慮 事 項重 度身 体 障 害 者手 帳重 度( 短 時 間 )人人重 度 以 外人重 度障害者手帳療 育 手 帳( 知 的 障 害 )重 度( 短 時 間 )人人精 神 障 害 者保 健 福 祉 手 帳重 度 以 外1 週30 時 間以 上短 時 間人人人複 数 の 手 帳人その 他 の 従 業 員人-201-


( 2 ) 御 社 が 職 員 の 障 害 名 を 把 握 しておられる 方 の 中 に 「 発 達 障 害 」 のある 方 がおられましたら、 ご 記 入 ください。「 障 害 者 手 帳 」: 発 達 障 害 があると 把 握 しておられる 方 について、 手 帳 別 に 人 数 をご 記 入 ください。「 発 達 障 害 の 把 握 方 法 」: 発 達 障 害 をどのように 把 握 されたのかを 具 体 的 に 記 入 してください( 例 : 本 人 からの 開 示 、 支 援 機 関 等 からの 説 明 等 。)「 従 事 業 務 の 内 容 」: 発 達 障 害 のある 方 の 主 な 従 事 業 務 や 作 業 内 容 について 具 体 的 にご 記 入 ください。「 業 務 上 の 配 慮 事 項 」: 発 達 障 害 のある 方 の 従 事 業 務 に 対 して 配 慮 事 項 がございましたら、 ご 記 入 ください。障 害 者 手 帳 別 人 数身 療 精 複「 発 達 障 害 」として 体 育 保 神 数 発 達 障 害 の 従 事 業 務 の 内 容 業 務 上 の 配 慮 事 項把 握 しておられる 障 手 健 障 の 把 握 方 法障 害 の 種 類 害 帳 福 害 手者 祉 者 帳手 手帳 帳広 汎 性 発 達 障 害自 閉 症高 機 能 自 閉 症アスペルガー 症 候 群学 習 障 害 ( LD)注 意 欠 陥 多 動 性 障 害( ADHD)その 他 の 発 達 障 害(3) 職 員 の 対 人 関 係 やコミュニケーション、こだわりなどの 問 題 について、 親 会 社 や 社 外 からの 雇 用 管 理 上 の問 い 合 わせや 支 援 を 要 請 されたご 経 験 がありましたら、その 内 容 をお 聞 かせください。どこから……どのような……この 調 査 結 果 は、 平 成 23 年 3 月 に 発 行 する 調 査 研 究 報 告 書 で 報 告 する 予 定 です(ホームページからダウンロードできます )。 報 告 書 では、 平 成 22 年 に 実 施 予 定 の 事 業 所 調 査 やヒアリング 結 果 等 の 報 告 もあわせて 行 います。 報 告 書 の 送 付 をご 希 望 される 場 合 には、 下 記 に 送 付 先 をご 記 入 ください。御 社 名ご 住 所〒発 達 障 害 者 のための 就 労 支 援 の 課 題 を 明 らかにするために、 後 日 、 適 応 指 導 のご 担 当 者 さまに 直 接 お目 にかかってお 話 を 伺 えればありがたく 存 じます。ご 協 力 いただけます 場 合 には、あらためて 連 絡 させていただきたく 思 います。ご 連 絡 先 をお 教 えくださいますよう、お 願 いいたします。ご 担 当 者 さまの 職 とお 名 前ご 連 絡 先 お 電 話 番 号 ( )◇◆◇ ◆◇◆ ご 協 力 ありがとうございました ◇◆◇ ◆◇◆-202-


企 業 における 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センターでは 、「 発 達 障 害 者 の 企 業 における 就労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題 に 関 する 基 礎 的 研 究 」を 行 っています。この 調 査 研 究 では 、「 発 達 障 害 者 の 障害 特 性 ( 社 会 性 ・コミュニケーション・こだわりの 問 題 )が 就 労 の 実 現 や 定 着 支 援 を 左 右 する 要 因 となっている」ことへの 対 応 を 検 討 しています。発 達 障 害 は 、「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」において、 現 時 点 では 雇 用 義 務 制 度 等 の 対 象 とはなっていません。このため、 新 規 学 卒 採 用 で 就 職 している 者 がいる 一 方 で、 現 行 の 障 害 者 手 帳 ( 療 育 手 帳 や精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 ) の 取 得 により 障 害 者 雇 用 で 就 職 している 者 もいます。 また 、 発 達 障 害 については、企 業 をはじめとして 社 会 の 理 解 についても 形 成 途 上 の 段 階 にあります。こうしたことから、まずは、 新 入 社 員 を 対 象 とした 企 業 内 外 の 研 修 において、 職 場 適 応 ・ 定 着 のための研 修 体 制 並 びに 新 入 社 員 の 研 修 課 題 達 成 状 況 等 をお 伺 いすることを 通 して 、 企 業 における 配 慮 の 現 状 や 限 界 、障 害 者 雇 用 における 合 理 的 な 配 慮 の 範 囲 についての 課 題 を 整 理 したいと 考 えました。ここでは 障 害 の 有 無 にかかわらず、また、 今 年 度 の 新 規 採 用 の 有 無 にかかわらず、 御 社 が 従 業 員 の 採 用・ 配 置 から 定 着 に 至 る 過 程 で 配 慮 されていることなどについて、 現 状 に 即 してご 回 答 くださいますようお願 いいたします。ご 回 答 いただきました 内 容 は、 数 値 化 して 量 的 に 処 理 いたしますので、 個 々の 情 報 が 開示 されることはありません。また、 本 調 査 以 外 の 目 的 に 使 用 することはありませんので、 忌 憚 のないご 意見 をお 聞 かせいただけますようお 願 いいたします。なお、この 調 査 票 は 企 業 データベースから 業 種 ・ 規 模 による 抽 出 をして 作 成 した 名 簿 に 基 づいてご 協 力をお 願 いしているものです。【 回 答 に 際 してのお 願 い】調 査 のお 願 い 並 びに 調 査 票 の 返 送 方 法 等 につきましては 、「ご 協 力 のお 願 い」をご 参 照 ください。この 調 査 では、 障 害 者 雇 用 についてお 伺 いする 項 目 を 最 後 のページに 設 けてありますが、Ⅰ~Ⅳについては 御 社 の 雇 用 管 理 一 般 に 即 してご 回 答 くださいますようお 願 いいたします。問 い 合 せ 先 :独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センター所 在 地 :〒 261-0014 千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3主 任 研 究 員 望 月 葉 子 043( 297) 9031( 直 通 )研 究 員 知 名 青 子 043( 297) 9068( 直 通 ) 成 22 年 6 月 1 現 在 の 状 況 によってお 答 えください。 成 22 年 月 15 までに 同 封 の 返 信 用 封 筒 にてご 返 送 いただきますようお 願 いいたします。-203-


Ⅰ. 御 社 について 伺 います1. 従 業 員 数 ( 常 用 労 働 者 )について、 該 当 する 箇 所 に○をつけてください。a: 55 人 以 下 , b: 56 ~ 99 人 , c: 100 ~ 299 人 , d: 300 ~ 499 人 , e: 500 ~ 999 人 , f: 1000 人 以 上2. 業 種 について、 該 当 する 箇 所 に○をつけてください。a: 農 林 漁 業 , b: 鉱 業 , c: 建 設 業 , d: 製 造 業 , e: 電 機 ・ガス・ 熱 供 給 ・ 水 道 業 , f: 情 報 通 信 業 ,g: 運 輸 業 , h: 卸 売 ・ 小 売 業 , i: 金 融 ・ 保 険 ・ 不 動 産 業 , j: 飲 食 店 ・ 宿 泊 業 , k: 医 療 ・ 福 祉 ,l: 教 育 ・ 学 習 支 援 業 , m: 複 合 サービス 業 , n: サービス 業 , o: その 他 ( )3. 職 種 について、 該 当 する 箇 所 に○をつけてください。a: 生 産 ・ 技 術 , b: 研 究 開 発 , c: 商 品 企 画 ・ 市 場 調 査 , d: 総 務 ・ 広 報 , e: 経 理 ・ 財 務 ,f: 営 業 , g: 店 頭 販 売 , h: その 他 ( )4. 平 成 22 年 度 の 新 規 採 用 ( 障 害 者 は 新 規 採 用 )について、 該 当 する 箇 所 に 人 数 をご 記 入 ください。高 卒 採 用 大 学 卒 等 採 用 専 修 学 校 卒 等 採 用 中 途 採 用障 害 者 採 用身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害人 人 人 人 人 人 人Ⅱ. 御 社 が 新 入 社 員 を 採 用 する 場 合 の 採 用 方 法 ・ 採 用 後 の 研 修 体 制 ・ 配 置 の 考 え 方 について 伺 います1. 御 社 で 実 施 している1から4の 採 用 方 法 について、 a ~ d の 中 から 選 んで 記 号 を 記 入 してください。1~4 以 外 の 方 法 については、5その 他 の( ) 内 に 具 体 的 にお 書 きください。また、 該 当 する 採 用 を 行 っていない 場 合 には、 斜 線 を 引 いてください。a: 実 b:実 c: 実 d: 実 高 卒 大 学 卒 専 修 学 校 中 途障 害 者 採 用採 用 等 採 用 等 採 用 採 用 身 体 障 害 知 的 障 害 精 神 障 害 その 他1234面 接採 用 のための 試 験 ( 職 業 評 価 )インターンシップ・ 職 場 実 習トライアル 雇 用5 その 他 ()2. 初 任 者 の 採 用 並 びに 配 置 の 考 え 方 について 伺 います(1) 配 置 を 想 定 した 採 用 について 該 当 する 項 目 すべてに○をつけてください。a: 配 属 先 部 署 や 職 種 を 特 定 せずに 採 用 している b: 職 種 別 採 用 や 事 業 部 門 別 採 用 を 行 っているc:その 他 ( )(2) 採 用 時 に 求 める 能 力 について 該 当 する 項 目 すべてに○をつけてください。a: 基 礎 的 な 職 務 を 遂 行 できる 能 力 を 求 めて 採 用 を 行 う b: 職 種 に 適 した 基 礎 能 力 を 求 めて 採 用 を 行 うc: 職 種 を 限 定 せず、 得 意 分 野 を 持 つ 者 を 採 用 する d: 汎 用 性 の 高 い 能 力 を 求 めて 採 用 を 行 うe:コミュニケーション 能 力 を 重 視 して 採 用 するf:その 他 ( )3. 新 卒 の 社 員 が 初 任 者 研 修 の 後 で 配 置 された 職 場 における 個 別 の 指 導 体 制 について 伺 います。該 当 する 項 目 すべてに○をつけてください。a:マンツーマンの 指 導 担 当 者 をおいているb: 直 属 の 上 司 が 指 導 しているc: 人 事 ・ 総 務 課 等 で 新 卒 社 員 の 適 応 を 把 握 しているが、 個 別 指 導 体 制 はないd:その 他 ( )-204-


Ⅲ. 御 社 における「 採 用 時 の 期 待 」「 達 成 を 期 待 する 時 期 」「 達 成 のための 指 導 」について 伺 います。あてはまる 数 字 を 一 つ 選 んで○をつけてください。1. 新 入 社 員 に 求 めるコミュニケーションの 能 力 について 伺 います。1 採 用 時 の 期 待 : 御 社 が 新 規 採 用 に 際 して 採 用 時 に 重 視 する 内 容 について 重 視 する 程 度 を5~1で 評 価 し、回 答 欄 のあてはまる 数 字 に○をつけてください。 1(とて (ま (くしている) ( している) していない していない)2 達 成 の 時 期 : 御 社 に 就 職 をめざす 者 は,これらの 課 題 をいつまでに 達 成 していくことが 望 ましいとお 考 えですか。 回 答 欄 のあてはまるところに○をつけてください。5 1( 3 上 ) ( 1 ) () ( 3 ) ( 時 )3 達 成 の 指 導 : 御 社 の 期 待 に 十 分 応 えられない 場 合 に、 個 別 に 指 導 する 際 の 考 え 方 について 伺 います。回 答 欄 のあてはまるところに○をつけてください。 1( いた、 の 度 指 導 る) ( を 見 ながら 、 適 、 指 導 る) ( として、 指 導 しない)コミュニケーションについて1 採 用 時 の 期 待 2 達 成 の 時 期 3 達 成 の 指 導( 例 ) 上 司 の 地 位 ・ 役 割 がわかる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1情 (1) 相 手 の 主 張 ( 言 葉 )を 正 しく 理 解 できる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1報の (2) 言 葉 の 意 味 だけでなく 言 外 にこめた 意 味 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1理 を 理 解 し、 相 手 の 意 図 を 正 しく 理 解 できる解(3) 正 しい 理 解 のために 的 確 な 質 問 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1情 (4) 正 しく 情 報 を 伝 えられる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1報の (5) 伝 える 内 容 をまとめて 説 明 できる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1伝達 (6) 与 えられた 時 間 内 に 主 張 をまとめて 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1説 明 できる(7) 相 手 の 理 解 の 度 合 いを 考 慮 しながら 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1説 明 に 工 夫 を 加 えることができる(8) 説 明 に 必 要 なレジメなどを 作 成 できる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1(9) レジメなどを 活 用 して 要 点 を 押 さえた 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1説 明 ができる(10) レジメなどを 活 用 し、 相 手 に 自 分 の 意 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1見 を 適 切 に 伝 えられる。-205-


コミュニケーションについて1 採 用 時 の 期 待 2 達 成 の 時 期 3 達 成 の 指 導報 (11) タイミングを 外 さず 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1告 ができる・連 (12) 必 要 な 情 報 を 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 の 場 面 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1絡 で、 簡 潔 に 伝 えられる・相 (13) 場 面 に 応 じて、 適 切 に 口 頭 ・ 電 話 ・ 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1談 メールなどの 手 段 の 使 い 分 けができる(14) 困 ったときに 相 談 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1意 (15)「 いつ」「どこで」「だれが」「なぜ」「どのよ 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1思 うに」( 5W1H)を 明 確 にして 説 明 できるの表 (16) 場 面 ( TPO)に 応 じて、 振 る 舞 い 方 を 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1明 適 切 に 変 えて 意 見 を 主 張 できる。(17) 他 者 にわかりやすい 表 現 で 意 見 を 主 張 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1できる相 (18) 相 手 の 意 見 を 受 け 入 れられる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1手の (19) 自 分 の 価 値 観 と 異 なる 意 見 ・ 考 え 方 を 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1意 否 定 しない見の (20) 苦 手 な 相 手 に 対 しても 不 必 要 な 衝 突 や 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1尊 排 他 的 な 行 動 をせずにつきあえる重(21) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどを 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1すばやく 理 解 することができる(22) 相 手 と 自 分 の 立 場 の 違 いなどを 理 解 し、 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1その 場 の 状 況 にあった 適 切 な 対 応 ができる意 (23) 相 手 の 意 見 の 整 理 、 要 約 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1見集 (24) 複 数 の 他 者 の 異 なる 意 見 を 分 類 ・ 整 理 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1約 したうえで 要 約 できる・交 (25) 複 数 の 他 者 との 意 見 交 換 が 円 滑 に 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1換 行 える組 (26) 仕 事 で 接 する 他 者 の 名 前 や 顔 などを 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1織 覚 える内外 (27) 相 手 の 言 動 を 意 識 した 行 動 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1の行 (28) グループや 集 団 での 作 業 ・ 行 動 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1動(29) 組 織 の 規 則 に 従 った 行 動 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1(30) 職 場 の 慣 例 ・ 慣 行 に 対 応 できる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1(31) 感 情 のコントロールができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1( 怒 りや 嫌 悪 などを 不 必 要 に 表 現 しない)そ (32) その 他 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1の他( )( ) 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1-206-


2. 新 入 社 員 に 求 めるビジネスマナー 等 の 能 力 について 伺 います。1 採 用 時 の 期 待 : 御 社 が 新 規 採 用 に 際 して 採 用 時 に 重 視 する 内 容 について 重 視 する 程 度 を5~1で 評 価 し、回 答 欄 のあてはまる 数 字 に○をつけてください。 2 1とて まり している している していない していない2 達 成 の 時 期 : 御 社 に 就 職 をめざす 者 は,これらの 課 題 をいつまでに 達 成 していくことが 望 ましいとお 考 えですか。 回 答 欄 のあてはまるところに○をつけてください。5 2 1 3 1 3 時 3 達 成 の 指 導 : 御 社 の 期 待 に 十 分 応 えられない 場 合 に、 個 別 に 指 導 する 際 の 考 え 方 について 伺 います。回 答 欄 のあてはまるところに○をつけてください。 2 1 いた、 の 指 導 る をながら 、 適 、 指 導 る として、 指 導 しないビジネスマナー 等 について1 採 用 時 の 期 待 2 達 成 の 時 期 3 達 成 の 指 導( 例 ) 勤 務 中 の 挨 拶 、お 詫 びやお 礼 の 言 い 方 、 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1お 辞 儀 の 仕 方 を 知 っている挨 (1) 勤 務 中 の 挨 拶 、お 詫 びやお 礼 が 適 切 に 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1拶 できる等の (2) 敬 語 の 種 類 や 表 現 を 使 い 分 ける 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1基本 (3) 相 手 から 好 感 の 持 たれる 話 し 方 ・ 聴 き 方 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1ができる電 (4) 電 話 が 適 切 に 受 けられる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1話の (5) 電 話 の 取 り 次 ぎが 適 切 にできる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1使い (6) 電 話 を 取 り 次 げないときの 対 応 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1方の (7) 電 話 の 内 容 について 適 切 なメモを 作 る 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1基 ことができる本(8) 電 話 をかける 時 に 適 切 な 言 い 方 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1(9) マナーをわきまえて、 携 帯 電 話 を 使 う 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1ことができる-207-


ビジネスマナー 等 について1 採 用 時 の 期 待 2 達 成 の 時 期 3 達 成 の 指 導訪 (10) アポイントを 的 確 に 取 ることができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1問・ (11) 訪 問 時 のマナーをわきまえている 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1来客 (12) 名 刺 の 受 け 方 ・ 渡 し 方 が 適 切 にできる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1対応 (13) 適 切 に 自 己 紹 介 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1の基 (14) 来 客 対 応 のマナーをわきまえている 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1本(15) 来 客 の 取 り 次 ぎができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1(16) 来 客 を 取 り 次 げない 時 の 対 応 ができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1社 (17) 指 示 内 容 の 要 点 を 整 理 できる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1会人 (18) 指 示 内 容 について、 相 手 に 正 確 に 伝 える 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1と ことができるして (19) 時 間 、 期 限 を 守 ることができる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1の役 (20) 他 者 ・ 同 僚 に 迷 惑 をかけないように 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1割 行 動 できるや責 (21) 組 織 における 自 らの 職 務 や 立 場 を 理 解 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1任 している(22) 服 務 規 律 を 守 る 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1職業 (23) 決 められた 指 示 系 統 に 沿 って 業 務 を 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1観 遂 行 できる(24) 自 分 に 与 えられた 業 務 指 示 を 最 後 まで 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1やり 抜 くことがきる(25) 組 織 目 標 を 意 識 し、 目 標 達 成 に 向 けて 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1自 らも 目 標 を 立 てて 職 務 に 臨 んでいる(26) 指 示 通 りの 成 果 があげられなかった 場 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1合 、あるいはミスなどをした 場 合 、 上 司や 同 僚 に 対 して 適 切 に 状 況 説 明 ができる(27) 担 当 職 務 に 求 められる 知 識 ・ 技 能 の 習 得 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1のため、 自 ら 進 んで 勉 強 する 意 欲 がある(28) 指 示 された 事 柄 だけでなく、 次 なる 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3 - 2-1課 題 の 発 見 を 考 えて 職 務 に 臨 んでいるそ (29) その 他 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1の他( )( ) 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1( ) 4 - 3- 2-1 5- 4 - 3- 2-1 3- 2-1-208-


3.コミュニケーション 並 びにビジネスマナーに 関 する 研 修 体 制 について 伺 います。御 社 で 初 任 者 研 修 として 実 施 している 科 目 について 伺 います。 集 合 研 修 、 OJT( 実 際 の 仕 事 の 場 で 行 う人 材 育 成 )、 Off-JT( 仕 事 を 離 れて 行 う 人 材 育 成 ) 等 の 研 修 科 目 として 該 当 する 項 目 に○をつけてください。また、 自 己 啓 発 で 行 うこととしている 場 合 には、その 欄 に○をつけてください。1コミュニケーションについて(Ⅲの1でお 伺 いした 下 位 項 目 を 想 定 してお 答 えください)情 報 の 理 解 について情 報 の 伝 達 について報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 について意 思 の 表 明 について相 手 の 意 見 の 尊 重 について意 見 集 約 ・ 意 見 交 換 について組 織 内 外 の 行 動 についてその 他 について( )集 合 研 修 で 実 施 OJT で 個 別 実 施 Off-JT で 個 別 実 施 自 己 啓 発2ビジネスマナー 等 について(Ⅲの2でお 伺 いした 下 位 項 目 を 想 定 してお 答 えください)集 合 研 修 で 実 施 OJT で 個 別 実 施 Off-JT で 個 別 実 施 自 己 啓 発挨 拶 等 の 基 本 について電 話 の 使 い 方 の 基 本 について訪 問 ・ 来 客 対 応 の 基 本 について社 会 人 としての 役 割 や 責 任 について職 業 観 についてその 他 について( )4. 個 別 の 課 題 達 成 のための 指 導 を 実 施 した 社 員 についてのご 経 験 を 伺 います。どのような 問 題 に 対 してどのような 対 応 をされたか、 指 導 の 成 功 例 と 雇 用 継 続 が 困 難 になった 例 がありましたら、 具 体 的 にお 聞 かせください。コミュニケーションについて ( 指 導 の 成 功 例 ) コミュニケーションについて( 雇 用 継 続 が 困 難 になった 例 )問 題 と 対 応問 題 と 対 応ビジネスマナー 等 について ( 指 導 の 成 功 例 ) ビジネスマナー 等 について ( 雇 用 継 続 が 困 難 になった 例 )問 題 と 対 応問 題 と 対 応-209-


Ⅳ. 職 場 のルールについての 考 え 方 と 指 導 について、お 伺 いします。職 場 において 場 面 に 適 切 ではない 行 動 がおこりがちな11の 場 面 を 設 定 しました。そのうえで、それぞれの 場 面 を 提 示 された 方 が 場 面 に 対 してとる「 考 え 方 」を4 通 り 用 意 しました。(1) 御 社 にとって 最 も 適 切 な 行 動 につながると 思 われる「 考 え 方 」の 記 号 を1~4の 中 から1つ 選 んで○をつけてください 。 場 面 によっては 、 考 え 方 が 1 つに 定 まることもあれば 、 意 見 が 分 かれることもあると 思 います。また、 職 種 によって 異 なることもあるかもしれません。 全 職 種 に 共 通 している 場 合 には「 全 職 種 に 共 通 」の欄 に○を、 職 種 によって 異 なる 場 合 には「 事 務 職 」「 現 業 職 」「 営 業 職 」「その 他 」のそれぞれの 欄 に○をつけてください。また、1~4に 適 切 な 考 え 方 がない 場 合 には、5に 具 体 的 にご 記 入 ください。(2) (1)の 御 社 の 考 え 方 について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 しているかどうか、お 伺 いします。 指 導 ・ 伝 達 している 場 合 に「はい 」、 指 示 ・ 伝 達 はしていない 場 合 に「いいえ」に○をつけてください。なお、 以 下 の 場 面 1~11については、 新 入 社 員 の A さんに 関 するエピソードが 書 かれています。場 面 1: 備 品 の 利 用 について机 の 上 には、 A さんの 仕 事 に 必 要 な「ボールペン、 鉛 筆 、はさみ、ホチキス、セロハンテープ」が 置 かれていました。 先 輩 職 員 の B 係 長 は 、「これらの 文 房 具 は、 A さんが 使 って 良 いものです」と 説 明 しました。A さんは、 自 宅 のセロハンテープが 残 り 少 なくなっていることを 思 い 出 しました。帰 りに 、「A さんが 使 っても 良 い」と 言 われた 文 房 具 の 中 から、セロハンテープを 持 って 帰 りました。(1) 1 「 A さんが 使 っても 良 い」と 言 われたものだから、 特 に 問 題 はない。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考え方2 会 社 で 使 うものなので、 持 って 帰 るのは 良 くない。3 セロハンテープは 使 えばなくなるものだから、また、 新 しいセロハンテープをもらえばいい。4 持 って 帰 るのは 良 くないかもしれないが 、「持 って 帰 ってはいけない」と 言 われていないから、 特 に 問 題 はない。5その 他 ()(2)「 備 品 の 利 用 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)場 面2: 始 業 時 間 について甲 株 式 会 社 の 始 業 時 間 は 10 時 00 分 です。 A さんは、 毎 日 、だいたい 10 時 頃 に 職 場 に 着 きます。どんなに 遅 くても 10 時 10 分 までには 会 社 に 着 きます。それから、 作 業 着 に 着 替 えてトイレに 行 き、 仕 事 を始 めるのは 10 時 30 分 頃 になります。(1) 1 仕 事 は 10 時 からだから、 少 し 遅 れた 分 は、 残 業 すればいい全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考 2 だいたい 10 時 くらいに 会 社 に 着 いているのは 良 いけれど、 仕 事 をえ方3始 める 時 間 が 少 し 遅 い。仕 事 は 10 時 からだから、 10 時 に 仕 事 を 始 めなければいけない。4 だいたい 10 時 に 着 いているし、 仕 事 の 前 にトイレに 行 っておくなど、 準 備 を 整 えてから 作 業 に 取 りかかるのは 良 い 考 えだ。5その 他 ()(2)「 始 業 時 間 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか(はい・いいえ)-210-


場 面3: 遅 刻 の 連 絡 について甲 株 式 会 社 の 始 業 時 間 は 10 時 00 分 です。A さんは 自 宅 からの 最 寄 り 駅 で 電 車 を 待 っていますが、いつも 乗 る 電 車 が 遅 れていて、まだ、 来 ません。そのため、 10 時 00 分 には、どうしても 間 に 合 いそうにありません。でも、 10 時 30 分 には 着 けそうです。A さんは 、 携 帯 電 話 を 持 っていますが 、 連 絡 をしているともっと 遅 れそうなので、とにかく 急 いで 会 社 に 行 き、会 社 に 着 いてから「 電 車 が 遅 れた」ことを 説 明 しようと 思 いました。(1)1 報 告 よりも、まず、 会 社 に「 急 いで 来 た」というのは 良 い 判 断 だ。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考 2 先 に 連 絡 した 方 が 良 かったとは 思 うけど、 30 分 くらいの 遅 刻 だし、え 遅 れた 原 因 は A さんではないから 仕 方 ない。方3 遅 れた 原 因 は A さんではないのに、いろいろ 説 明 しなくてはいけなくて 大 変 だ。4 会 社 に 着 くのはさらに 遅 れるかもしれないけど、とりあえず、 遅 れた理 由 と 何 時 に 会 社 に 着 くかを 先 に 連 絡 しておいた 方 がよい。5その 他 ()(2)「 遅 刻 の 連 絡 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)場 面4: 毎 日 の 挨 拶 についてA さんは、 朝 、 会 社 に 出 社 すると、 自 分 から 誰 にでも「おはようございます」と 元 気 よくあいさつをします。時 には、 相 手 からあいさつが 返 ってこない 場 合 もあります。でも、 相 手 からあいさつが 返 っても、 返 ってこなくても、 毎 日 、 同 じように 挨 拶 をします。(1) 1 あいさつができる A さんはコミュニケーションの 基 本 がわかっている。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考え方2 あいさつは 必 要 だが、 毎 日 誰 にでもすることもない。3 A さんに、 毎 日 、 毎 日 、あいさつされている 人 は、うるさいだろう。4 あいさつの 返 ってこない 人 にまで、あいさつするなどムダなことだ。5その 他 ()(2)「 毎 日 の 挨 拶 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)場 面5: 作 業 中 の 返 事 についてA さんは 今 、データの 入 力 中 です。データを 入 力 している 途 中 で 上 司 に 名 前 を 呼 ばれました。 A さんはデータを 入 力 している 途 中 だったので、 区 切 りの 良 いところまで 入 力 してから 、「はい」と 返 事 をしました。(1) 1 A さんは、 仕 事 に 集 中 しているのだから、やむを 得 ない。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考え方2 A さんがデータを 入 力 中 なことは 見 ればわかるのだから、 上 司 は A さんの 様 子 を 見 て 声 をかければいい。3 名 前 を 呼 ばれたのには、 何 か 理 由 があるのだろうから、 A さんはすぐに 返 事 をした 方 がいい。4 名 前 を 呼 ばれたらすぐに 返 事 をしないといけないが、 A さんはデータの 入 力 中 だったし、 区 切 りの 良 いところで 返 事 をしているのだから 問 題 はない。5その 他 ()(2)「 作 業 中 の 返 事 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)-211-


場 面6: 指 示 に 従 うことについてA さんは 上 司 から、「DM(ダイレクト・メール)の 宛 名 を 貼 る」 仕 事 を 命 じられました。作 業 は 指 示 書 にしたがって 行 うように 指 示 されました。しかし、 A さんは、 指 示 書 にしたがわず、自 分 がやりたいと 思 った 方 法 で 作 業 を 進 めました。いままでのところ、 特 に 失 敗 はないのですが、 上 司 は A さんのやり 方 をみて 、「 指 示 書 通 りにやるように」と再 度 、 指 示 をしました。しかし、 A さんは 今 まで 失 敗 はなかったので、 自 分 なりのやり 方 でやり 続 けました。(1) 1 A さんが 自 分 なりに 工 夫 しているのは、いいことだ。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考え方2 今 まで 特 に 失 敗 がないのだから、 指 示 書 の 通 りにやれという 上 司 の方 がおかしい。3 上 司 の 指 示 通 りにやらないのは 良 くない。4 上 司 の 指 示 通 りにした 方 がいいが、 失 敗 してないから、 A さんのやり 方 でもかまわない。5その 他 ()(2)「 指 示 に 従 う」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)場 面7: 指 示 以 外 の 仕 事 についてA さんの 会 社 には、DM(ダイレクト・メール)の 宛 先 となる 会 社 の 住 所 をインターネットで 検 索 するという 仕 事 があります。 A さんは、 100 社 分 の 会 社 の 住 所 を 検 索 するように 指 示 されました。作 業 をしているうちに、 A さんは、 自 分 が 住 所 を 調 べている 会 社 がどんな 会 社 なのかに 興 味 をもちました。そこで、 住 所 を 検 索 する 以 外 に、どのような 仕 事 をしているかについても 検 索 して 資 料 を 作 りました。(1)考え方1 指 示 された 以 外 の 仕 事 をしているが、 後 で 会 社 の 役 に 立 つこともあるかもしれないので、いいことだ。2 指 示 された 以 外 の 仕 事 をするのは 良 くない。3 指 示 された 作 業 だけでなく、 自 分 で 新 しい 作 業 を 見 つけるのは、いいことだ。4 自 分 が 仕 事 ができることをアピールしているのはいいことだ。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )5その 他 ()(2)「 指 示 以 外 の 仕 事 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)場 面 8: 作 業 終 了 の 報 告 についてA さんは、 会 議 に 必 要 な 資 料 を 11 時 15 分 までに 100 枚 コピーするように 上 司 に 命 じられました。コピーは 11 時 00 分 に 終 わりました。 A さんは、 席 に 戻 って 休 み、 11 時 15 分 になってから 上 司 にコピーができたことを 報 告 し、 100 枚 の 資 料 を 届 けました。(1)考え方1 本 当 なら 仕 事 が 終 わったことをすぐに 報 告 しなくてはいけないが、指 示 された 時 間 は 守 っているのだから、 問 題 ない。2 時 間 通 りに 資 料 を 届 けるということは、まじめな 態 度 だ。3 頼 まれた 時 間 よりも 早 く 仕 事 を 終 えて 休 憩 できるのはうらやましい。411 時 に 終 わったら、すぐに 届 ける 方 がよい。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )5その 他 ()(2)「 作 業 終 了 の 報 告 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)-212-


場 面 9:ミスの 報 告A さんは 作 業 に 必 要 な 分 の 材 料 ( 青 色 封 筒 100 枚 、 宛 名 用 ラベル 100 枚 )を 総 務 部 に 申 請 するように 指 示 されていました。 A さんは、 申 請 書 に “100 枚 ” と 書 くところ、 誤 って “1000 枚 ” と 書 いてしまいました。今 朝 、 DM 事 業 部 には、 青 色 封 筒 1000 枚 と 宛 先 用 のラベル 1000 枚 が 届 きました。 A さんは、 間 違 いに 気 づいたのですが 、 封 筒 もラベルも「いつかは 使 うだろう」と 思 い 、 丁 寧 に 箱 にしまって 、 自 分 の 机 の 下 に 置 きました。(1)1 ミスをしたのに 報 告 しないのは、 良 くない。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )考 2 封 筒 やラベルを 丁 寧 に 箱 にしまい 、 備 品 を 大 切 に 取 り 扱 っているのは、え いいことだ。方3 ミスはミスだが、 足 りないというわけではないので、 特 に 報 告 する必 要 はない。4 箱 にしまって 机 の 下 に 置 いたままにするのは、 忘 れてしまうことがあるので 良 くない。5その 他 ()(2)「ミスの 報 告 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか (はい・いいえ)場 面 10: 質 問 について上 司 が 作 業 の 手 順 について 説 明 をしました。 他 の 人 は 説 明 を 聞 き、すぐに 作 業 に 取 りかかりました。A さんも 作 業 を 始 めたのですが、 途 中 でどのようにやるのか、 作 業 の 手 順 がわからなくなってしまいました。とりあえず、 他 の 人 がやっているところを 見 てから、 自 分 でもやってみようと 思 い、 黙 って 他 の 人 の 作 業 を 見ていました 。 少 しして A さんも 作 業 を 始 めましたが 、 通 りかかった 上 司 から 作 業 手 順 について 注 意 を 受 けました。(1)考え方1 質 問 した 方 がよかったとは 思 うが、 作 業 手 順 が 分 からなかったのは 上司 の 説 明 のせいなのだから、 注 意 されるのはかわいそうだ。2 注 意 はされたけど。 人 の 力 を 借 りないで。 自 分 で 何 とかしようとしたことは、よいことだ。3 分 からなくなったら、すぐに 上 司 に 質 問 すればいい。4 難 しい 作 業 を 頼 まれたのだから、 A さんは 大 変 だ。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )5その 他 ()(2)「 質 問 」について、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか(はい・いいえ)場 面 11: 共 用 備 品 の 管 理 についてA さんは、 机 の 上 の 細 かなゴミをとるために、 卓 上 掃 除 機 が 必 要 になりました。卓 上 掃 除 機 は、みんなで 利 用 する 共 用 の 備 品 です。 A さんは、 備 品 置 き 場 から 卓 上 掃 除 機 を 借 りてきて 掃 除を 終 わらせました。 A さんは 忙 しかったので、 卓 上 掃 除 機 をそのまま 自 分 の 机 に 置 いておきました。終 業 時 間 になってから、 卓 上 掃 除 機 を 備 品 置 き 場 に 戻 して 帰 りました。(1) 1 A さんの 帰 宅 時 間 が 遅 くなってしまうので、 終 業 時 間 の 前 に 返 しに行 くべきである考え 2 共 用 ではなく、 個 人 用 の 卓 上 掃 除 機 があればいい。方3 共 用 の 備 品 だが 、 今 日 は 仕 事 も 忙 しかったことだし 、 一 日 くらいなら、自 分 の 机 に 置 いても 問 題 ない。全 職 種 事 現 営 その 他に 共 通 務 業 業 ( )4 共 用 の 備 品 なのだから、すぐに 返 さないといけない。5その 他 ()(2)「共 用 備 品 の 管 理 」 について 、 初 任 者 研 修 で 指 導 ・ 伝 達 をしておられますか ( はい・いいえ)-213-


Ⅴ. 御 社 の 障 害 者 雇 用 について 伺 います1. 障 害 者 雇 用 について、 2010 年 6 月 1 日 時 点 の 状 況 を 実 人 数 でご 記 入 ください。身 体 障 害 者 の 実 人 数 知 的 障 害 者 の 実 人 数 精 神 障 害 者 の 実 人 数雇 用 障 害 者重 度 重 度 重 度 以 外 重 度 重 度 重 度 以 外 精 神 障 害 短 時 間合 計 数 ( 短 時 間 ) ( 短 時 間 )人 人 人 人 人 人 人 人 人2. その 他 、 以 下 に 該 当 する 従 業 員 についてご 記 入 ください( 1) 障 害 者 手 帳 を 所 持 していることを 届 け 出 ているが、 手 帳 の 種 別 とは 異 なる 障 害 であることを 開 示 した 従 業 員 がいる 場 合 、 開 示 された 障 害 名 に○をつけて、 人 数 をご 記 入 くださいa: 発 達 障 害 ( 人 ), b: 高 次 脳 機 能 障 害 ( 人 ), c: 難 病 ( 人 ),d: その 他 ( )( 人 )( 2) 障 害 者 手 帳 は 所 持 していないが、 障 害 があることを 開 示 して 就 業 する 従 業 員 がいる 場 合 、開 示 された 障 害 名 に○をつけて、 人 数 をご 記 入 くださいa: 発 達 障 害 ( 人 ), b: 高 次 脳 機 能 障 害 ( 人 ), c: 難 病 ( 人 ),d: その 他 ( )( 人 )( 3) 上 記 ( 1)( 2)の 場 合 に、 御 社 として 何 か 配 慮 をされていますか?a: している ( 具 体 的 に),b: していない, c その 他 ( )( 4) 上 記 ( 1)( 2)の 場 合 に、 外 部 の 支 援 機 関 を 利 用 されていますか?a: している ( 具 体 的 に),b: していない, c その 他 ( )この 調 査 結 果 は、 平 成 23 年 3 月 に 発 行 する 調 査 研 究 報 告 書 で 報 告 する 予 定 です(ホームページからダウンロードできます )。 報 告 書 では、 平 成 21 年 に 実 施 した 特 例 子 会 社 調 査 やヒアリング 結 果 等 の 報 告 もあわせて 行 います。 報 告 書 の 送 付 をご 希 望 される 場 合 には、 下 記 に 送 付 先 をご 記 入 ください。御 社 名ご 住 所〒発 達 障 害 者 のための 就 労 支 援 の 課 題 を 明 らかにするために、 後 日 、 適 応 指 導 のご 担 当 者 さまに 直 接 お 目 にかかってお 話 を 伺 えればありがたく 存 じます。ご 協 力 いただけます 場 合 には、あらためてご 連 絡 させていただきたく 思 います。ご 連 絡 先 をお 教 えくださいますよう、お 願 いいたします。ご 担 当 者 さまの 職 とお 名 前ご 連 絡 先 お 電 話 番 号 ( )◇◆◇ ◆◇◆ ご 協 力 ありがとうございました ◇◆◇ ◆◇◆-214-


ホームページについて本 冊 子 のほか、 障 害 者 職 業 総 合 センターの 研 究 成 果 物 については、 一 部 を 除 いて、下 記 のホームページから PDF ファイル 等 によりダウンロードできます。【 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 部 門 ホームページ】http://www.nivr.jeed.or.jp/research/research.html著 作 権 等 について視 覚 障 害 その 他 の 理 由 で 活 字 のままでこの 本 を 利 用 できない 方 のために、 営 利 を 目 的とする 場 合 を 除 き、「 録 音 図 書 」「 点 字 図 書 」「 拡 大 写 本 」 等 を 作 成 することを 認 めます。その 際 は 下 記 までご 連 絡 下 さい。なお、 視 覚 障 害 者 の 方 等 で 本 冊 子 のテキストファイル( 文 章 のみ)を 希 望 されるときも、ご 連 絡 ください。【 連 絡 先 】障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 企 画 部 企 画 調 整 室電 話FAX043-297-9067043-297-9057調 査 研 究 報 告 書 № 101発 達 障 害 者 の 企 業 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状 と 課 題 に 関 する 基 礎 的 研 究編 著 ・ 発 行独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター〒 261-0014 千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3電 話043-297-9067FAX 043-297-9057発 行 日 2011 年 3 月印 刷 ・ 製 本株 式 会 社 こくぼ○C 2011障 害 者 職 業 総 合 センター


ISSN 1340-5527

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