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医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究

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資 料 シリーズNo.71医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究2012 年 4 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター


資 料 シリーズNo.71医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究2012 年 4 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター


ま え が き障 害 者 職 業 総 合 センターは、「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」に 基 づき、 我 が 国 における 職 業 リハビリテーションの 推 進 とサービスの 質 的 な 向 上 に 貢 献 することをめざして、 職 業 リハビリテーションに 関 する 調 査 ・ 研 究 、 効 果 的 な 職 業 リハビリテーション 技 法 の 開 発 、 職 業 リハビリテーション 施 設 の 運営 ・ 指 導 、 職 業 リハビリテーションに 関 する 人 材 の 育 成 などの 業 務 を 行 っており、 調 査 研 究 の 成 果 は、調 査 研 究 報 告 書 等 の 形 で 取 りまとめ、 関 係 者 に 提 供 しております。本 資 料 シリーズは、 当 センター 研 究 部 門 における 特 別 研 究 15「 就 労 支 援 機 関 等 における 就 職 困 難 性 の高 い 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 の 現 状 と 課 題 に 関 する 調 査 研 究 ( 平 成 23 年 度 ~25 年 度 )」の 1 年 目 の 研究 として 実 施 した「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 」の 成 果 を 取 りまとめたものです。疾 病 性 と 障 害 性 をあわせもつ 精 神 障 害 の 特 性 を 踏 まえ、 精 神 障 害 のある 人 たちが 就 職 し 就 業 を 継 続 するために、 従 来 の 福 祉 と 労 働 の 連 携 の 枠 を 超 えた、 医 療 と 労 働 のより 直 接 的 で 密 接 な 連 携 のあり 方 について、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 の 実 態 調 査 の 結 果 、 及 び、 精 神 科 医 療 機 関 等 において 先 駆 的 に 取 り 組まれてきた 就 労 支 援 事 例 と 有 識 者 の 議 論 を 踏 まえて 明 らかにしました。本 書 が、 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 に 取 り 組 む 地 域 の 就 労 支 援 関 係 機 関 と、 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 の両 立 の 支 援 に 取 り 組 む 医 療 機 関 の 双 方 の 共 通 認 識 の 形 成 、 及 び、 今 後 の 医 療 と 就 労 支 援 の 統 合 的 な 支 援に 向 けた 取 組 に 向 けて、お 役 に 立 てれば 幸 いです。2012 年 4 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター研 究 主 幹 上 村 俊 一


本 調 査 研 究 の 企 画 ・ 運 営 にあたって 専 門 的 助 言 を 得 るため「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 」を 設 置 し、 調 査 の 企 画 等 と 実 施 、 結 果 の 分 析 と 考 察 、 及 び、 第 5 章における 提 言 についての 審 議 を 実 施 した。「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 」【 座 長 】松 為 信 雄神 奈 川 県 立 保 健 福 祉 大 学 社 会 福 祉 学 科 教 授【 委 員 】( 敬 称 略 五 十 音 順 )秋 場 美 紀 子五 十 嵐 良 雄池 淵 恵 美久 保 田 英 幹倉 知 延 章中 原 さとみ那 須 利 久根 本 真 理 子厚 生 労 働 省 障 害 者 雇 用 対 策 課 地 域 就 労 支 援 室 室 長 補 佐メディカルケア 虎 ノ 門 院 長帝 京 大 学 医 学 部 精 神 神 経 科 教 授国 立 病 院 機 構 静 岡 てんかん・ 神 経 医 療 センター 診 療 部 長九 州 産 業 大 学 国 際 文 化 学 部 臨 床 心 理 学 科 教 授桜 ヶ 丘 記 念 病 院 医 療 相 談 室 ・ 地 域 連 携 室 就 労 支 援 担 当障 害 者 職 業 総 合 センター 職 業 リハビリテーション 部 指 導 課 課 長 補 佐障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター アイ-キャリア 所 長( 肩 書 きは、 平 成 23 年 度 のもの)執 筆 担 当春 名 由 一 郎 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 主 任 研 究 員 )東 明 貴 久 子 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員 )第 2 章 ( 共 著 )清 水 和 代 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員 )第 3 章 ( 共 著 )研 究 担 当○ 春 名 由 一 郎亀 田 敦 志鴇 田 陽 子東 明 貴 久 子清 水 和 代障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 主 任 研 究 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 統 括 研 究 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 主 任 研 究 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員


目次概 要 ······················································································ 1第 1 章 目 的 と 方 法 ········································································ 7第 1 節 問 題 意 識 ········································································ 7第 2 節 精 神 障 害 の 特 性 と 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 の 必 要 性 ······························ 7第 3 節 医 療 機 関 における「 就 労 支 援 」の 位 置 づけ ········································· 11第 4 節 本 研 究 の 目 的 ··································································· 14第 5 節 研 究 方 法 の 概 要 ································································· 14第 2 章 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 保 健 医 療 との 統 合 の 重 要 性 ( 海 外 文 献 レビュー) ········· 15第 1 節 はじめに ······································································· 15第 2 節 目 的 ··········································································· 15第 3 節 方 法 ··········································································· 15第 4 節 結 果 ··········································································· 19第 5 節 考 察 ··········································································· 33第 6 節 文 献 ··········································································· 38第 3 章 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 についての 国 内 文 献 レビュー ······················· 39第 1 節 はじめに ······································································· 39第 2 節 目 的 ··········································································· 39第 3 節 方 法 ··········································································· 39第 4 節 結 果 ··········································································· 40第 5 節 考 察 ··········································································· 46第 6 節 文 献 ··········································································· 48第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態 ··································· 49第 1 節 はじめに ······································································· 49第 2 節 方 法 ··········································································· 49第 3 節 調 査 回 収 状 況 と 日 常 的 な 就 労 支 援 実 施 による 機 関 の 群 分 け ··························· 52第 4 節 職 業 上 の 課 題 状 況 と 就 労 支 援 の 関 係 ··············································· 58第 5 節 回 答 者 の 就 労 支 援 への 関 わりの 状 況 とその 効 果 ····································· 62


第 6 節 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 とその 効 果 ········································· 68第 7 節 医 療 機 関 における 局 面 別 の 就 労 支 援 の 取 組 状 況 とその 効 果 ··························· 73第 8 節 疾 患 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況 とその 効 果 ····························· 87第 9 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 の 状 況 とその 効 果 ································· 96第 10 節 自 由 記 載 の 内 容 ······························································· 114第 11 節 考 察 ········································································· 122第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言 ···················································· 127第 1 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の「 連 携 」の 現 状 と 課 題 ································ 127第 2 節 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワークの 拠 点 整 備 の 意 義 と 課 題 ········ 132第 3 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 雇 用 支 援 制 度 の 統 合 的 な 活 用 の 可 能 性 ···························· 136第 4 節 提 言 ·········································································· 139巻 末 資 料 ················································································ 141資 料 1 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるために 医 療 機 関 等 で 実 施 されている 取 組 の 状 況 に関 する 調 査 票 ································································ 141資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容 ······································ 149資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について ············································ 155資 料 4 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 設 置 要 綱 ···· 169資 料 5 調 査 研 究 委 員 会 議 事 内 容 ······················································ 170


概 要概要固 定 した 障 害 ではなく「 疾 病 性 」をもつ 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のあり 方 について、 国 内 外 の 先 行 研 究 等 の文 献 から「 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 」という 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 共 通 目 標 を 明 確 にするとともに、わが 国 の 医 療 機 関 に 対 するアンケート 調 査 によりその 取 組 や 課 題 の 状 況 を 明 らかにし、 今 後 、 労 働 機 関 側 の 取組 と 合 わせ、 精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 を 地 域 全 体 で 支 えるために 必 要 な 体 制 整 備 について、有 識 者 による 議 論 と 提 言 をまとめた。第 1 章 目 的 と 方 法精 神 障 害 は 固 定 した 障 害 ではなく、「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 両 面 が 複 雑 に 相 互 作 用 する。そのため、 精 神障 害 の 就 労 支 援 においては、 労 働 機 関 を 中 心 とした 取 組 と 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 を、それぞれの 専 門 性を 活 かしつつ 効 果 的 に 連 携 させることが 重 要 課 題 となっている。本 研 究 においては、 精 神 障 害 者 の「 就 労 支 援 」について、 労 働 機 関 による 狭 義 の 就 労 支 援 の 範 囲 として 排他 的 に 限 定 するのではなく、むしろ、 医 療 機 関 による 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 、 家 族 支 援 と 一 体 不 可 分 な、 就 労と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 統 合 的 な 支 援 として 捉 えた。精 神 障 害 の 医 療 ・ 生 活 支 援狭 義 の 就 労 支 援生 活 支 援疾 患 自 己 管 理 支 援家 族 支 援精 神 障 害 者 の就 労 と 疾 患 管 理 の両 立 を 支 える 支 援就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援就 労 と 生 活 の 一 体 的 支 援図 1精 神 障 害 者 の 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 支 援精 神 障 害 のある 人 の 就 労 と 生 活 、 疾 患 管 理 等 を、 社 会 全 体 でより 効 果 的 に 支 えるためのあり 方 を 検 討 するため、 近 年 、 医 療 機 関 において 活 発 に 実 施 されている 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 取 組 の 実 態 を 明らかにすることを 本 研 究 の 目 的 とした。そのために、 医 療 機 関 による 就 労 支 援 に 関 する 国 内 外 の 文 献 調 査 、また、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 を 対象 とした 全 国 アンケート 調 査 を 実 施 した。それらの 結 果 を 踏 まえて 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 における 医療 機 関 等 の 役 割 や 労 働 関 係 機 関 との 連 携 等 について、 調 査 研 究 委 員 会 における 有 識 者 の 議 論 と 提 言 をまとめた。-1- - 1 -


概 要第 2 章 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 保 健 医 療 との 統 合 の 重 要 性 ( 海 外 文献 レビュー)米 国 では 1990 年 代 からの 様 々な 研 究 の 積 み 重 ねに 基 づき、 米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依 存 精 神 保 健 サービス 部(SAMHSA)が、 就 労 支 援 に 限 らず、 精 神 障 害 のある 人 への 様 々な 支 援 について Evidence-Based Practices( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 : 以 下 「EBP」という。)を 明 らかにしている。 第 2 章 では、 米 国 を 中 心 とした 近年 の EBP のあり 方 を 確 立 する 基 盤 となった 様 々な 実 証 研 究 を 精 査 し、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 が 実証 されている 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 壁 を 超 えた 取 組 とその 就 労 成 果 について 明 らかにした。各 文 献 で 取 り 上 げられている 就 労 支 援 の 内 容 を、その 名 称 にかかわらず、「 援 助 付 き 雇 用 モデル- 職 業 準 備性 モデル」、「 医 療 支 援 ・ 統 合 強 - 医 療 支 援 ・ 統 合 弱 」の2 軸 によって 機 能 的 に4 類 型 化 し( 図 2)、 就 労 支 援成 果 を 類 型 にしたがって 系 統 的 に 比 較 した。援 助 付 き 雇 用 モデル↑医 療 支 援 ・←統 合 弱2医 療 と 統 合 されていない 援助 付 き 雇 用 モデル4医 療 と 統 合 されていない 職業 準 備 性 モデル↓職 業 準 備 性 モデル図 2 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のタイプの 分 類1医 療 と 統 合 された 援 助 付 き雇 用 モデル3医 療 と 統 合 された 職 業 準 備性 モデル→医 療 支 援 ・統 合 強その 結 果 、 収 集 した 海 外 の 実 証 的 研 究 における、 様 々なタイプの 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 成 果 の 比 較 を 総合 すると、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 類 型 の 就 労 支 援 の 取 組 が、 他 の3 類 型 と 比 較 して 一 貫して 最 も 高 い 就 業 成 果 を 示 しており、さらに、 統 合 される 医 療 側 の 様 々な 取 組 により、より 高 い 就 業 成 果 が認 められていることが 明 らかになった。第 3 章 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 についての 国 内 文 献 レビュー近 年 、わが 国 においても、 精 神 障 害 の 就 労 支 援 への、 医 療 機 関 等 による 取 組 が 多 く 報 告 されている。そのような 取 組 には、EBP への 準 拠 を 謳 うものだけでなく、わが 国 の 医 療 や 生 活 支 援 の 現 場 から 発 展 してきたものもある。そこで、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 から 文 献 等 で 報 告 されている 就 労 支 援 と 医 療 / 生 活 支 援 の 具 体的 内 容 を、EBP 適 合 性 尺 度 項 目 を 活 用 して、 網 羅 的 に 分 類 した。その 結 果 、わが 国 の 医 療 機 関 から 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 として 報 告 されている 具 体 的 内 容 は、デイケアや 作 業 療 法 等 の 医 療 機 関 としての 取 組 の 枠 組 にありながら、 国 際 的 に EBP とされる 取 組 の 要 素 と 一 致 点がみられた。 援 助 付 き 雇 用 モデル 適 合 性 尺 度 に 合 致 する 就 職 前 から 就 職 後 にわたる 就 職 支 援 への 取 組 が 多 く-2- - 2 -


概 要報 告 されるようになっており、また、 職 場 適 応 や 就 業 継 続 への 医 療 の 重 要 性 を 示 す 支 援 内 容 の 報 告 も 多 いことが 明 らかとなった。ただし、 医 療 機 関 として 実 施 可 能 な 範 囲 が 中 心 であり、 外 部 の 就 労 支 援 者 との 密 接 な連 携 、 復 職 支 援 での 産 業 医 との 連 携 の 例 もみられ、これは、 歴 史 的 、 制 度 的 背 景 等 から、 医 療 機 関 に 専 任 の就 労 支 援 者 を 置 くことが 困 難 な 現 状 における、わが 国 での EBP への 取 組 の 特 徴 と 考 えられた。第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態1 アンケート 調 査 の 目 的全 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 における、 就 職 ・ 復 職 等 のニーズへの 対 応 として、 狭 義 の 就 労 支 援 だけでなく、職 業 生 活 を 支 えることに 効 果 のある 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 等 を 含 む 取 組 の 現 状 、その 成 果 や 課 題 、 及 び、 今 後のあり 方 の 意 向 についてのアンケート 調 査 を 実 施 した。2 調 査 方 法多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 特 に 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、 幅 広 い 精 神 科 医 療 機 関等 を 対 象 として、 精 神 病 院 、 精 神 科 クリニック、てんかん 専 門 医 、 保 健 医 療 関 連 センター 等 とし、 各 機 関 において、 精 神 疾 患 等 のある 人 の、 就 職 ・ 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 への 主 担 当 者 、 就 職 ・ 復 職 相 談 等 が特 にない 場 合 には、より 一 般 的 に 生 活 面 の 相 談 や 支 援 の 担 当 者 への 調 査 を 実 施 した。医 療 機 関 の「 就 労 支 援 」についての 調 査 内 容 は、 各 機 関 における 就 労 支 援 や 復 職 支 援 等 の 標 榜 の 有 無 にかかわらず、 第 3 章 で 明 らかとなった、 精 神 障 害 のある 人 の 就 職 や 就 業 継 続 に 効 果 があると 考 えられる 様 々な取 組 を 網 羅 するものとした。3 結 果わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 においては、 診 断 治 療 を 中 心 とした 機 関 だけでなく、 医 療 ・ 生 活 支 援 を 統 合 した取 組 を 実 施 している 機 関 も 多 くあり、 後 者 の 機 関 では、さらに、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的 取 組 も 広 がっている 状 況 が 明 らかになった。そのような「 就 労 支 援 」は、 必 ずしも 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム」の 形 態 ではなく、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 局 面 における 職 業 上 の 課 題 の 解 決 につながる様 々な 取 組 であり、 疾 患 自 己 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 等 との 関 係 も 強 かった。そのような 取 組 は、 医 療 機関 が 自 ら 実 施 する 場 合 だけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 協 力 や 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 によりさらに 効 果 的となる 可 能 性 も 示 された。(1) 調 査 の 回 答 状 況 と、 日 常 的 な 就 労 支 援 の 有 無 別 の 分 析本 調 査 は、757 機 関 から 872 通 の 回 答 を 得 た。 機 関 の 回 収 率 は 19.5%であり、デイケア 等 を 実 施 している機 関 やリワーク 支 援 を 実 施 している 機 関 からの 回 収 率 が 比 較 的 高 く、 一 般 の 精 神 科 診 療 所 では 比 較 的 低 かった。 多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、それ 以 外 の 473機 関 を 分 けて 分 析 した。-3- - 3 -


概 要(2) 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 への 各 機 関 の 認 識医 療 機 関 においては、 就 労 支 援 への 日 常 的 取 組 のない 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 問 題 の 認 識 自 体 必 ずしも 十 分 ではなく、 逆 に、 日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 ほど 課 題 認 識 が 多 かった。ただし、 具 体 的な 取 組 によって、 単 に 課 題 認 識 が 多 くなっているだけでなく、その 問 題 の 解 決 にもつながっていることも 明らかとなった。(3) 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 医 師 、 精 神 保 健 福 祉 士 、 作 業 療 法 士 等 が 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 で 実 施している 場 合 が 多 かった。これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 職 による 就 労 支 援 への 取 組 のための 専 門 的 情 報 源 としては、 図 書 ・ 論 文 等 や 学 会 ・ 研 究 会 等 が 主 となっていた。 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 任 で 就 労 支 援 を 実 施 し、また、就 労 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 等 を 図 書 ・ 論 文 、 学 会 ・ 研 究 会 等 から 得 ている 場 合 が、 最 も 職 業 上 の 課 題 の 解決 につながっていた。(4) 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム」 等 の 実 施 状 況医 療 機 関 等 における 就 職 ・ 復 職 プログラムは、 具 体 的 には 気 分 障 害 の 復 職 支 援 リワーク、 継 続 的 デイケア、就 職 ミーティング 等 であり、 利 用 者 は 年 間 10~30 名 が 多 く、 主 要 な 運 営 資 金 はデイケア 等 の 診 療 報 酬 であった。 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 自 機 関 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職 プログラムによるだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 により 就 労 支 援 の 成 果 をあげている 機 関 も 多 かった。(5) 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する「 就 労 支 援 」の 取 組精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する 様 々な 取 組 という 意 味 での「 就 労 支 援 」の 取 組 状況 については、 日 常 的 な 就 労 支 援 がある 医 療 機 関 等 では、 個 々の 取 組 には 医 療 機 関 と 外 部 機 関 の 役 割 分 担 の特 徴 があるものの、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 就 労 支 援 が 提 供 されていることが 明 らかになった。 一 方 、日 常 的 な 就 労 支 援 の 取 組 のない 機 関 では 取 組 は 少 ないが、それでもほとんどの 取 組 を「 患 者 のためには 必 要であるが 実 施 なし」と 考 えており、「 必 要 なし」とされた 取 組 はほとんどなかった。また、それらの 就 労 支 援 への 効 果 としては、 就 職 活 動 支 援 が 就 職 活 動 の 問 題 解 決 につながるというような直 接 的 な 関 係 だけでなく、 就 職 前 の 取 組 と 就 職 後 の 疾 患 管 理 や 職 場 理 解 との 関 係 のような 様 々な 関 係 が 認 められた。また、 医 療 機 関 が 自 らあるいは 外 部 機 関 と 協 力 して 行 う 場 合 に 効 果 の 高 い 取 組 等 も 明 らかになった。(6) 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況直 接 の「 就 労 支 援 」と 考 えられることは 少 ないものの、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 支 援 として 重 要 と 考 えられる、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 について、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 等 では、 全 般 的 にこれらへの 取 組 も 多 く、 一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、これらの 取 組 が 全 般 的 に 少 ないことが 明 らかとなった。特 に、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」 全 般 、「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」「 地 域 生 活 での 危 機 的 状況 への 対 応 体 制 」「 家 族 向 けのセミナー 等 」は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 において、 就 職 前 から 就職 後 の 様 々な 職 業 的 課 題 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。さらに、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においても、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」「 生 活 支 援 」「 家 族 支 援 」の 取 組 は、 多 くの 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。-4- - 4 -


概 要(7) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組現 在 のわが 国 における、 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組 は、 就労 支 援 を 自 機 関 が 主 に 取 り 組 む 機 関 から、 特 に 就 労 支 援 への 取 組 のない 機 関 まで、また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労支 援 の 連 携 促 進 が 機 能 し、 就 労 支 援 機 関 との 日 常 的 な 職 業 評 価 や 支 援 のケースワークが 実 施 されている 機 関から、 診 断 治 療 専 門 の 機 関 まで 多 様 であった。 現 在 、これらの 連 携 については、 取 組 は 少 なく 課 題 も 多 い 状況 が 確 認 された 一 方 で、 連 携 の 取 組 が 実 施 され 機 能 している 機 関 ほど、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決にもつながっていた。第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言生 活 支 援 や 就 労 支 援 と、 医 療 的 な 疾 患 管 理 が 密 接 に 相 互 関 係 をもつことは、 精 神 障 害 の 大 きな 特 徴 である。これまでも、 精 神 科 医 療 と 福 祉 や 就 労 との 連 携 の 重 要 性 については、 実 践 現 場 からも 行 政 からも 強 調 され、様 々な 取 組 が 行 われてきたところである。その 一 方 で、 医 療 機 関 における 医 療 や 生 活 支 援 の 成 功 のために、就 労 支 援 が 重 要 であるという 認 識 も 広 がっている。しかし、これまで、わが 国 においては、 精 神 障 害 のある 人 への 統 合 された 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 効 果 的に 実 施 するための 地 域 ネットワークの 体 制 は 未 整 備 であり、 各 地 の 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 関 係 者 による 好 事 例 はインフォーマルな 取 組 による 場 合 が 多 い。そのような 精 神 障 害 者 の 特 徴 、 及 び、 地 域 における 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 連 携 のための 課 題 を 踏 まえ、 医療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 地 域 ネットワークに 向 けた 単 なる「 連 携 」の 掛 け 声 を 超 えて、 具 体 的 に 実 施 可 能 な 医療 機 関 と 雇 用 支 援 制 度 を 連 動 させた 共 同 事 業 の 可 能 性 、 及 び、その 実 施 のための 医 療 機 関 側 の 拠 点 整 備 の 必要 性 について、 研 究 委 員 会 の 議 論 と 提 言 をまとめた。1 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の「 連 携 」の 現 状 と 課 題精 神 障 害 者 の 支 援 のために、 従 来 から、 地 域 において 医 療 、 福 祉 、 就 労 支 援 等 の 連 携 の 重 要 性 が 唱 えられてきたにもかかわらず、「 疾 病 」と「 障 害 」が 共 存 している 精 神 障 害 への 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体的 に 応 える 効 果 的 な 支 援 の 実 現 は、 現 状 では 一 部 の 機 関 での 制 度 上 の 限 界 を 超 えたインフォーマルな 支 援 による 場 合 が 多 い。2 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワークの 拠 点 整 備 の 意 義 と 課 題従 来 の、 障 害 者 雇 用 支 援 の 地 域 連 携 体 制 においては、 就 労 支 援 機 関 は 福 祉 機 関 や 教 育 機 関 からの 移 行 や 連携 が 主 に 想 定 されてきた。 現 在 、わが 国 の 地 域 においては、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援 と、 雇 用 支 援 制 度 や 労 働機 関 側 の 就 労 支 援 の 間 の 担 当 者 同 士 の 交 流 は 限 られている。しかし、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 ニーズに 的 確 に対 応 するためには、 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 がより 密 接 に 連 携 することにより、 両 者 の 専 門 性 の 相 乗 効 果 を生 むことが 不 可 欠 である。このような 精 神 障 害 者 の 地 域 連 携 へのニーズは、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害 ではなく 疾 病 性 をもっているこ-5- - 5 -


概 要とによるものであり、そのような 特 徴 が、 地 域 連 携 や 医 療 等 の 制 度 において 十 分 に 反 映 されていないため、現 在 、 十 分 な 成 果 をもたらす 地 域 ネットワークが 確 立 できていない。その 意 味 で、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 には、 地 域 連 携 体 制 の 新 たな 課 題 が 存 在 する。研 究 委 員 会 では、そのような 現 状 の 地 域 連 携 の 課 題 と、 今 回 の 調 査 で 明 らかとなった、 地 域 における 精 神科 医 療 機 関 の 状 況 や、 実 際 にインフォーマルで 実 施 されている 様 々な 地 域 連 携 の 好 事 例 を 踏 まえ、 精 神 障 害者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 を 地 域 で 支 えるネットワークの 中 心 となる 医 療 機 関 と 支 援 者 の 意 義 と、それを 機 能 させるための 具 体 的 な 課 題 について 議 論 した。3 医 療 ・ 生 活 支 援 と 雇 用 支 援 制 度 の 統 合 的 な 活 用 の 可 能 性今 回 の 調 査 結 果 では、 医 療 機 関 等 において、 様 々な 就 労 支 援 の 取 組 の 必 要 性 については 広 く 認 識 されていることが 明 らかになった 一 方 で、 実 際 の 実 施 については「 患 者 にとって 必 要 だができない」とする 機 関 が 多かった。 実 際 の 就 労 支 援 の 様 々な 取 組 については、 医 療 ・ 生 活 支 援 の 意 義 があるとしても、 支 援 の 専 門 性 や利 用 できる 社 会 資 源 の 点 から、 必 ずしも 医 療 機 関 で 実 施 すべきとは 考 えられないものも 多 く、 実 際 の 調 査 結果 でも、 個 々の 取 組 によっては、 自 機 関 を 主 とした 取 組 が 少 なく、 外 部 機 関 との 協 力 や 外 部 機 関 が 主 になった 取 組 が 多 いものもあった。また、 今 回 の 調 査 結 果 によると、 医 療 機 関 において、 精 神 障 害 者 が 活 用 できる雇 用 支 援 制 度 の 認 知 や 活 用 意 向 は 多 い 一 方 で、 実 際 の 活 用 経 験 が 少 なかった。これらの 結 果 を 踏 まえ、 特 に 医 療 機 関 等 が 自 機 関 では 実 施 しにくい 就 労 支 援 の 取 組 、あるいは、 積 極 的 に就 労 支 援 の 専 門 支 援 者 との 協 力 で 実 施 することが 効 果 的 な 取 組 について、 具 体 的 な 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活用 のあり 方 を 明 確 化 し、 積 極 的 に 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 を 促 進 することが 重 要 である。4 提 言統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 ・ 程 度 にかかわらず、 精 神 障 害 のある 人 たちが 地 域 でその人 らしく 生 活 ・ 人 生 を 送 れるようにするためには、 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 に 向 けた 社 会 的 支援 が 不 可 欠 である。しかし、 精 神 障 害 のある 人 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 対 応 できる、 地 域 における支 援 体 制 が 未 整 備 である。その 問 題 解 決 のため、 医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 今 後 共 同 で 実 施 することが 可 能 であり 効 果 が 見 込 まれる 具 体的 な 事 業 内 容 を 明 確 化 しその 確 実 な 実 施 を 促 進 すること、 及 び、その 実 施 のための、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援担 当 者 の 整 備 を 提 言 した。これは、 今 後 の 就 労 支 援 の 成 果 向 上 が 期 待 でき、 医 療 機 関 でも 必 要 性 の 共 通 認 識 やニーズが 高 い 事 項 への支 援 のための、 労 働 行 政 のあり 方 に 絞 ったものであり、 就 労 支 援 機 関 側 から、 医 療 機 関 に 積 極 的 に 働 きかけることにより、 精 神 障 害 のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 ができる 社 会 体 制 の 整 備 を 進 めることを 目 指すものである。-6- - 6 -


第 1 章 目 的 と 方 法第 1 章 目 的 と 方 法第 1 節 問 題 意 識近 年 、 精 神 疾 患 の 患 者 数 が 増 加 しており、かつ 地 域 移 行 が 進 む 中 で、 就 労 意 欲 のある 精 神 障 害 者 が 増 加 している。 実 際 、ハローワークにおいても、 精 神 障 害 者 の 求 職 者 は 年 々 増 加 しており、また、 平 成 18 年 度 から企 業 の 雇 用 率 に 特 例 的 に 算 定 されるようになったことを 受 け、 企 業 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 も 進 みつつあり、 平成 22 年 度 は 約 1 万 人 の 者 が 従 業 員 56 人 以 上 の 規 模 の 企 業 に 雇 用 されている( 平 成 22 年 度 障 害 者 雇 用 状 況報 告 )。精 神 障 害 は 就 職 後 も 治 療 状 況 、 生 活 場 面 や 職 業 場 面 での 環 境 的 状 況 等 により 症 状 変 化 の 可 能 性 があるため、職 業 リハビリテーションでは 特 に 医 療 機 関 との 連 携 が 重 要 である。 従 来 から 労 働 行 政 において「 医 療 機 関 等との 連 携 によるジョブガイダンス 事 業 」を 実 施 するなど 医 療 機 関 との 連 携 に 努 めてきたところである。その 一 方 で、 精 神 障 害 のある 人 の 生 きがいや 生 活 の 質 の 支 援 のためには 就 労 支 援 の 意 義 が 大 きく、 医 療 機関 においても 就 労 支 援 に 力 を 入 れている 機 関 が 増 えてきているものの、その 実 態 は 明 らかになっていない。労 働 機 関 を 中 心 とした 取 組 と 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 を、それぞれの 専 門 性 を 活 かしつつ 効 果 的 に 連 携させることが、 精 神 障 害 のある 人 への 就 労 支 援 における 重 要 な 課 題 となっている。第 2 節 精 神 障 害 の 特 性 と 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 の 必 要 性精 神 障 害 の 就 労 支 援 において 医 療 機 関 との 関 わりが 重 要 となる 根 本 的 な 原 因 は、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害ではなく、「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 両 面 が 複 雑 に 相 互 作 用 する 特 性 があるからである。1 精 神 障 害 の 障 害 構 造 の 特 徴精 神 障 害 は、 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 にかかわらず、 程 度 の 差 はあれ、 慢 性 疾 患 としての 特 徴 がある。そのため、 一 面 では 医 学 的 治 療 を 要 する「 疾 病 性 」があり、 別 の 面 では 生 活 や 人 生 の 問題 への 支 援 を 要 する「 障 害 性 」を 有 している。(1) 慢 性 疾 患 としての 精 神 障 害予 防 医 学 の 予 防 の 概 念 では、カプランのいう 第 1 次 予 防 ( 疾 病 の 予 防 。 健 康 への 啓 発 、 健 康 増 進 、 特 殊 予防 、 例 えば 教 育 、 予 防 接 種 など)、 第 2 次 予 防 ( 重 症 化 の 防 止 や 疾 病 の 早 期 発 見 と 早 期 措 置 、 適 切 な 医 療 と 合併 症 対 策 、 例 えば 健 康 診 断 や 治 療 など)、 第 3 次 予 防 ( 疾 病 の 再 発 防 止 、 例 えばリハビリテーションなど)に分 けられる。このような 概 念 の 元 、 医 療 機 関 で 行 われる 通 常 の 治 療 は 第 2 次 予 防 、そして 医 学 的 リハビリテーションは 第 3 次 予 防 に 位 置 づけられる。 医 療 機 関 が 精 神 障 害 者 に 対 して 生 活 支 援 や 就 労 支 援 を 行 う 場 合 、精 神 科 リハビリテーションという 第 3 次 予 防 と 位 置 づけられてきた( 図 1-1)。ただし、 第 1 次 予 防 、 第 2 次 予 防 、 第 3 次 予 防 の 概 念 は 急 性 疾 患 の 自 然 史 を 背 景 にしたものであり、 疾 患が 完 治 しにくかったり、 再 発 ・ 再 燃 の 可 能 性 が 残 存 する 精 神 疾 患 のような 慢 性 疾 患 ではそれらが 段 階 的 に 推移 することはなく、むしろ 並 行 的 に 実 施 されることが 特 徴 となる。-7- - 7 -


第 1 章 目 的 と 方 法精 神 科 リハビリテーションも 当 初 は、 陰 性 症 状 等 症 状 が 固 定 した 場 合 が 対 象 となることが 多 かった。しかし、 近 年 の 精 神 科 医 療 の 進 歩 により、 疾 病 性 が 固 定 していない 状 況 において 疾 患 管 理 を 継 続 しながら、 生 活面 の 支 援 を 並 行 することが 可 能 となってきた。このような 状 況 は、 従 来 の 急 性 疾 患 の 自 然 史 とは 異 なる、 慢性 疾 患 の 特 徴 を 踏 まえた 支 援 のあり 方 が 必 要 であることを 意 味 する。急 性 疾 患死 亡慢 性 疾 患死 亡感染等潜伏期発症治癒後遺症疾 患 の 慢 性 化予防1 次予 防早期発見2 次予 防診断治療ー リシ ハョ ビン リテ3 次予 防・ 経 過 観 察・ 継 続 的 受 療・ 自 己 管 理・ 環 境 の 整 備・リハビリテーション・ 無 理 のない 仕 事 と 配 慮図 1-1 急 性 疾 患 と 慢 性 疾 患 の 自 然 史 と 医 療 ・リハビリテーションの 関 係 の 模 式 図(2) 精 神 障 害 の「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 障 害 構 造 論統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 は、 医 学 的 な 診 断 や 治 療 の 対 象 となる「 疾 患 」である 一 方 で、 生 活 や人 生 に 影 響 し 支 援 を 必 要 とする「 障 害 」でもある。世 界 保 健 機 関 WHO が 2001 年 に 提 唱 した ICF 国 際 生 活 機 能 分 類 において、 健 康 に 関 しては、 病 因 論 的 な「 疾 病 」の 視 点 と、 健 康 状 態 による 生 命 ・ 生 活 ・ 人 生 への 影 響 としての「 生 活 機 能 / 障 害 」の 視 点 の 両 面 から 捉 えることの 重 要 性 が 示 されている。「 疾 患 」は 医 学 的 な 診 断 や 治 療 の 観 点 、「 障 害 」は 生 活 や 人 生 の 影 響に 対 する 支 援 の 観 点 からの 捉 え 方 である( 図 1-2)。 精 神 障 害 のように、 疾 患 治 療 が 継 続 していたり、 症 状 が変 動 したり、あるいは、 再 発 防 止 のための 自 己 管 理 や 配 慮 が 必 要 であったり 等 、 健 康 状 態 による 生 活 や 人 生への 大 きな 影 響 のある 状 態 についても、 障 害 に 含 まれる。-8- - 8 -


第 1 章 目 的 と 方 法診 断 ・ 治 療 の 対 象健 康 状 態疾 患 性 ( 統 合 失 調 症 、 気分 障 害 、てんかん、 等 )心 身 機 能 ・構 造障 害 性活 動参 加リハビリテーションの 対 象環 境 因 子個 人 因 子図 1-2 ICF 国 際 生 活 機 能 分 類 の 概 念 枠 組 による 精 神 障 害 の「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 整 理2 精 神 障 害 における 医 学 的 治 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 密 接 な 関 係精 神 障 害 の 場 合 、 精 神 病 状 が 必 ずしも 固 定 していないため、 就 労 支 援 の 成 果 が 精 神 症 状 の 再 燃 により 崩 れ去 ることが 起 こりうる。 職 業 生 活 上 の 身 体 的 ・ 精 神 的 負 荷 、 人 間 関 係 、 生 活 上 の 問 題 等 は、 精 神 疾 患 を 悪 化させるリスク 要 因 となる 一 方 で、 適 切 な 仕 事 内 容 や 職 場 配 慮 の 検 討 は、 精 神 症 状 の 安 定 や 疾 患 管 理 の 成 績 に大 きく 影 響 する。したがって、 精 神 障 害 においては、その「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」に 対 する 医 学 的 治 療 、 生活 支 援 、 就 労 支 援 が 密 接 に 関 わることが 大 きな 特 徴 となっている。(1) 治 療 と 就 労 支 援 の 密 接 な 関 係ア 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 の 課 題 がある身 体 障 害 や 知 的 障 害 の 就 労 支 援 と 比 べて、 精 神 障 害 では 疾 患 治 療 や 症 状 管 理 と 一 体 的 に 支 援 する 必 要 があることが 特 徴 である。わが 国 の 精 神 障 害 者 には、 気 分 障 害 による 休 職 者 や、てんかんで 薬 を 飲 んでいれば 状態 が 良 くて 普 通 に 勤 務 できている 人 等 、そこまで 重 い 生 活 障 害 を 伴 わない 場 合 もある。しかし、 疾 病 性 が 非常 に 強 く、 医 療 との 関 わりが 就 労 支 援 において 重 要 である 点 では 共 通 している。 統 合 失 調 症 でも 気 分 障 害 でも、 疾 患 の 治 療 や 本 人 の 疾 患 の 理 解 が 就 業 継 続 に 不 可 欠 であるという 意 味 で 同 様 である。精 神 障 害 の 場 合 、 医 学 的 治 療 で 症 状 が 改 善 されても 就 職 ・ 復 職 後 に 病 状 が 悪 化 する 可 能 性 がある。また、精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 を 進 め 業 務 成 績 の 向 上 を 目 指 してもそれが 精 神 的 ストレスとなるリスクについての 考慮 も 必 要 である。その 意 味 で、 精 神 障 害 者 においては、 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 はどちらか 一 方 を 目 標 とすることには 限 界 があり、その 両 立 を 目 指 すことが 必 要 となる。イ 医 療 的 支 援 が 就 労 支 援 の 一 体 的 実 施以 上 の 特 性 から、 精 神 障 害 のある 人 の 場 合 、ここまでは 医 療 的 な 準 備 でここから 先 が 就 労 支 援 といった 区別 が 難 しい。 職 場 における 理 解 や 配 慮 によって 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 が 大 きく 影 響 される 一 方 で、 医 療 的 な 疾患 管 理 や 生 活 支 援 によって 症 状 を 安 定 させることで 職 場 の 理 解 や 配 慮 も 進 みやすくなるという 一 面 もあり、非 常 に 密 接 な 関 係 がある。てんかんにおいても、 心 理 社 会 的 治 療 は 疾 患 の 自 己 管 理 に 有 効 で、 発 作 の 減 少 にもつながる。てんかん 患者 の 医 学 的 リハビリテーションとして 心 理 社 会 的 治 療 は 就 労 支 援 有 効 である。-9- - 9 -


第 1 章 目 的 と 方 法(2) 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 一 体 性ア 医 療 ・ 生 活 支 援 のための 就 労 支 援 、 就 労 支 援 のための 医 療 ・ 生 活 支 援精 神 障 害 では、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 問 題 が 複 合 している 例 が 多 く、 就 職 後 の 就 業 継 続 には 疾 患 管 理 や 生 活管 理 が 重 要 となる。そのため、 職 業 リハビリテーションのために 医 療 ・ 生 活 支 援 が 重 要 な 役 割 があるだけでなく、 医 療 や 生 活 支 援 を 目 的 とする 医 療 機 関 にとっても、 職 業 場 面 において 心 理 社 会 的 視 点 による「 就 労 支援 」を 行 うことには 重 要 な 意 義 がある。イ 錯 綜 した 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 のニーズを 切 り 分 けていく 支 援 の 重 要 性精 神 障 害 においては、 医 療 、 生 活 、 就 労 等 の 問 題 状 況 が 錯 綜 するケースが 多 いが、 多 職 種 のケースワークにより、 問 題 の 切 り 分 けが 適 正 に 行 えないと、 連 携 もネットワークも 機 能 しない。 例 えば、 強 い 抑 うつ 状 態で 自 殺 の 一 歩 手 前 までいった 事 例 で、 精 神 科 の 訪 問 看 護 師 が 自 宅 での 生 活 状 況 を 把 握 し 情 報 共 有 したことで、治 療 や 就 労 支 援 の 問 題 が 一 気 に 解 決 した 例 がある。医 療 、 生 活 、 就 労 、 家 族 支 援 等 の 複 合 的 ニーズに 対 して、 医 学 リハビリテーションと 職 業 リハビリテーションがかなり 早 い 段 階 からつながってワンストップで 提 供 できることが 重 要 で 理 想 的 な 体 制 である。精 神 障 害 のある 人 の 家 族 は「 保 護 者 」として 当 人 の 面 倒 を 全 面 的 に 看 ることが 当 たり 前 のように 言 われ、それをしないと 悪 い 親 、 精 神 障 害 の 原 因 になっている 親 という 偏 見 に 苦 しんでいる 方 々がたくさんいる。そのような 意 味 で、 家 族 への 支 援 も 重 要 である。(3) 就 職 前 から 就 職 後 までの 一 体 的 支 援 の 重 要 性ア 就 労 支 援 と 医 療 面 の 一 体 的 支 援 の 必 要 性新 規 の 就 職 支 援 の 場 合 、 就 職 はできても、 就 職 後 に 体 調 悪 化 や 休 職 が 続 けば、 退 職 につながる 場 合 がある。したがって、 職 業 生 活 でのリカバリーや 自 己 実 現 、 職 業 発 達 という 側 面 を 最 大 限 に 尊 重 するためには、その一 方 で、 職 業 場 面 での 疾 患 管 理 のリスクや 支 援 ニーズの 増 加 への 対 応 も 必 要 になる。また、 職 業 生 活 への 対 処 能 力 を 本 人 が 身 につけるためには、 予 防 的 なリスク 管 理 だけでなく、 一 定 の 失 敗を 許 容 し、また、 失 敗 の 経 験 を 活 かしていくフォローによって、 職 業 生 活 における 失 敗 の 経 験 を 通 して 学 ぶ機 会 とする 支 援 も 重 要 であるが、そのためには、 失 業 等 の 精 神 的 なショックによる 病 状 悪 化 や 自 殺 等 のリスクへの 医 療 的 なサポートが 重 要 になる。職 業 生 活 への 挑 戦 によるメリットと 失 敗 のリスクの 適 正 なバランスは、 就 職 の 失 敗 に 対 する 本 人 や 企 業 の抵 抗 感 や、 専 門 的 な 支 援 の 有 無 によっても 大 きく 異 なる。 米 国 と 日 本 では 労 働 市 場 の 柔 軟 性 が 大 きく 異 なり、米 国 においては 就 職 の 失 敗 のダメージが 少 なく、 経 験 が 得 られるメリットが 大 きい 面 がある 一 方 、わが 国 では、 仕 事 を 辞 めて 再 就 職 ということが、 本 人 にも 企 業 にもダメージが 大 きく、 抵 抗 感 も 強 い 場 合 がある。イ 就 職 だけに 焦 点 を 合 わせた 支 援 の 限 界知 的 障 害 や 発 達 障 害 の 分 野 における 就 労 支 援 の 発 展 として、 就 職 前 の 訓 練 を 重 視 する(Train-Place)やり方 よりも、 就 職 後 の 実 際 の 職 場 における 訓 練 を 重 視 する(Place-Train)ことが 成 果 を 生 むことが 明 らかになっている。わが 国 においてもジョブコーチ 支 援 事 業 でその 取 組 は 進 められている。精 神 障 害 の 場 合 も、 医 療 機 関 におけるデイケア 等 で 就 職 前 の 職 業 準 備 性 だけを 支 援 の 焦 点 としても、 就 労-10- - -


第 1 章 目 的 と 方 法支 援 の 成 果 に 結 びつきにくいことが 多 い。しかし、その 一 方 で、 精 神 障 害 者 については、 就 職 後 の 体 調 管 理には 医 療 的 支 援 が 不 可 欠 であるため、 単 純 に 医 療 機 関 から 就 労 支 援 機 関 に 支 援 の 中 心 を 移 行 させ、まず 就 職して 職 場 で 訓 練 をする 就 労 支 援 モデルには 限 界 がある。ウ 職 場 定 着 支 援 と 復 職 支 援 の 共 通 性医 療 機 関 において 行 われている 就 労 支 援 としては、 気 分 障 害 の 復 職 支 援 と 統 合 失 調 症 の 就 職 支 援 の 違 い 等 、一 見 して 大 きく 異 なる 取 組 がある。 統 合 失 調 症 者 の 患 者 は 20 歳 前 後 が 多 いため 新 規 就 職 の 支 援 の 課 題 が 大 きい。 一 方 、 気 分 障 害 では 就 職 している 人 の 中 途 発 病 が 多 いため、 復 職 支 援 の 課 題 が 中 心 となる。この 両 者 は大 きく 異 なるように 見 えるが、 就 職 後 の 就 業 継 続 の 課 題 として 実 際 の 職 業 場 面 における 疾 患 管 理 との 統 合 が重 要 である 点 では 共 通 している。就 職 支 援 は、 就 職 前 の 職 業 準 備 と 新 たな 職 探 しから 始 まり、 就 職 後 には 職 場 定 着 ・ 就 業 継 続 のための 密 接な 医 療 と 職 場 との 協 力 が 重 要 である。 一 方 、 復 職 支 援 は、その 前 半 が 不 必 要 ではあるが、 復 職 後 の 事 業 所 内の 仕 事 や 環 境 の 調 整 などに 焦 点 が 置 かれる 支 援 であると 考 えることができる。第 3 節 医 療 機 関 における「 就 労 支 援 」の 位 置 づけ精 神 障 害 者 の「 就 労 支 援 」とは、 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 、 家 族 支 援 と 切 り 離 されたものではなく、むしろ、それらと 一 体 的 な、 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 統 合 的 な 支 援 として 理 解 する 必 要 がある。 本 研 究 においては、 従 来 から 就 労 支 援 を 担 ってきた 労 働 機 関 だけでなく、 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 支 援 を 担 ってきた 医 療機 関 等 も 含 めた「 就 労 支 援 」については、そのような 広 い 意 味 でとらえた( 図 1-3)。精 神 障 害 の 医 療 ・ 生 活 支 援狭 義 の 就 労 支 援疾 患 自 己 管 理 支 援生 活 支 援家 族 支 援精 神 障 害 者 の就 労 と 疾 患 管 理の 両 立 を 支 える支 援就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援就 労 と 生 活 の 一 体 的 支 援図 1-3 精 神 障 害 者 の 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 支 援このような 精 神 障 害 の 特 徴 を 踏 まえることにより、 精 神 科 医 療 機 関 で 実 施 されている「 就 労 支 援 」の 目 的が、 労 働 機 関 による 就 労 支 援 と 決 して 重 複 したり 排 他 的 なものではなく、 相 補 的 であり 今 後 一 層 の 連 携 を 必要 とするものであることが 理 解 できる。1 職 業 生 活 を 前 提 とした 疾 患 治 療 等精 神 障 害 者 は、 就 職 や 復 職 ができても、 就 職 後 に 体 調 悪 化 や 休 職 が 続 くことにより、 退 職 につながる 危 険-11- - -


第 1 章 目 的 と 方 法性 がある。そのような 精 神 障 害 の 性 質 を 踏 まえ、 疾 患 治 療 は 職 業 生 活 の 安 定 を 目 指 している。(1) 職 業 生 活 を 前 提 とした 評 価 や 治 療 の 必 要 性精 神 障 害 の 治 療 は、 職 業 生 活 を 前 提 としなければ、 就 職 ・ 復 職 後 に 症 状 の 再 燃 、 悪 化 につながってしまいやすい。 復 職 支 援 は、 例 えば、 社 会 人 として 活 躍 していた 人 が 気 分 障 害 の 発 病 により 何 回 も 休 職 ・ 復 職 を 繰り 返 して 退 職 寸 前 という 状 況 で 実 施 される 場 合 が 多 い。 復 職 しても 再 休 職 とならないようにする 必 要 があり、そのためには、 疾 患 の 治 療 状 況 や 本 人 の 自 己 管 理 能 力 等 の 見 極 めが 重 要 である。これまで 職 業 生 活 を 制 約 して 治 療 や 生 活 支 援 に 取 り 組 むこともあったが、 職 業 生 活 への 参 入 や 復 帰 例 が 増 加 し、また、その 支 援 が 求 められる 中 、 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 は 職 業 生 活 を 前 提 として 実 施 するニーズが 高 まっている。ただし、そのような 方 針 については、 精 神 科 の 医 学 教 育 の 中 でも 十 分 に 取 り 上 げられておらず、 全 ての 精 神 科 医 が 一 致 しているわけではないという 現 状 もある。(2) 復 職 や 職 場 定 着 の 成 果 を 上 げるための 疾 患 管 理医 療 機 関 におけるリワーク・プログラムは、デイケアという 医 療 的 枠 組 みの 中 で、 仕 事 をしても 再 発 し 再休 職 しないための 医 学 リハビリテーションである。それは、 薬 物 療 法 を 含 む 通 院 治 療 の 延 長 線 上 の、 病 院 や診 療 所 におけるデイケアでの 心 理 社 会 的 技 法 による 支 援 や 評 価 の 場 である。プログラムの 構 成 は、 疾 病 に 焦点 をあて、 養 生 回 復 させることを 目 的 としている。デイケアスタッフ 以 外 に、 主 治 医 が 関 与 した 精 神 疾 患 の治 療 や、 本 人 の 疾 患 の 理 解 がないと、リハビリの 結 果 が 出 ず、 復 帰 しても 再 休 職 してしまう。 例 えば、 気 分障 害 でも、メランコリー 親 和 型 と 他 罰 的 な 型 では 異 なる 治 療 や 支 援 が 必 要 である。また、IPS における 復 職 支 援 では、 新 聞 記 事 要 約 のパソコンでの 作 成 、 簡 単 な 事 務 作 業 、 認 知 機 能 アセスメント 等 は、 心 理 社 会 的 技 法 として 実 施 され、その 一 方 で、 薬 物 療 法 の 服 薬 時 間 の 調 整 、 単 剤 化 や 総 投 与 量の 適 正 化 を 図 り、 副 作 用 を 最 小 限 にしたり、 認 知 機 能 の 改 善 に 効 くものとする 等 についても、カルテを 共 有して、 医 師 と 方 針 を 一 致 させて 取 り 組 んでいる。(3) 治 療 成 果 を 上 げるための 職 場 への 働 きかけ復 職 支 援 において、 企 業 の 人 事 担 当 者 や 産 業 医 が、 診 察 へ 本 人 と 一 緒 に 来 て、 主 治 医 と 話 をする 場 がつくられることが 多 い。それにより、 職 場 での 配 慮 や 留 意 事 項 等 について、 本 人 、 職 場 、 主 治 医 で 意 思 疎 通 を 図ることができる。復 職 支 援 では、 本 人 の 長 所 や 特 技 を 活 かした 仕 事 への 変 更 や 調 整 や、 試 行 的 な 就 労 を 事 業 主 に 提 案 する 場合 もある。また、 職 場 の 同 僚 や 上 司 に 温 かく 迎 えられる 雰 囲 気 づくりに、 本 人 と 一 緒 に 取 り 組 むソーシャルワークも 実 施 される。2 生 活 ・リカバリー 支 援 の 一 環 として精 神 障 害 者 においては、 医 学 的 な 疾 患 治 療 だけではなく、 生 活 ・ 人 生 といった 生 活 機 能 の 総 合 的 な 支 援 が重 要 である。 本 人 が、 精 神 障 害 を 持 ちながらも 自 分 らしく 生 きることができるようにする 生 活 支 援 、「リカバリー」 支 援 においては、 就 労 支 援 はその 不 可 欠 な 一 部 である。 最 近 、わが 国 の 精 神 保 健 福 祉 士 の 国 家 試 験 でも 取 り 上 げられ、 一 般 的 な 認 識 も 高 まってきている。-12- - -


第 1 章 目 的 と 方 法(1) 錯 綜 した 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズの 切 り 分 けと 一 体 的 支 援 の 必 要 性精 神 障 害 者 では、 単 に 治 療 と 日 常 生 活 支 援 だけでは、 退 院 後 に、 生 活 面 での 問 題 から 疾 患 の 悪 化 につながり、 再 入 院 という 事 例 も 多 い。また、 長 期 入 院 による 社 会 生 活 能 力 低 下 等 の「 施 設 病 」を 防 止 し、 社 会 復 帰を 促 進 する 必 要 もある。職 業 生 活 までを 想 定 した 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 総 合 的 な 支 援 を 実 施 することにより、 疾 患 治 療 や 生 活 ・ 人 生の 再 構 築 の 成 果 を 上 げる 必 要 がある。 医 療 、 生 活 、 就 労 、 家 族 支 援 等 の 複 合 的 ニーズに 対 して、 医 学 リハビリテーションと 職 業 リハビリテーションがかなり 早 い 段 階 からつながってワンストップで 提 供 できることが重 要 で 理 想 的 な 体 制 である。(2)リカバリー 支 援 /ストレングスモデル疾 患 治 療 だけでなく、 精 神 障 害 のある 人 が 自 分 らしく 生 きることができるように 支 援 するためには、 本 人の 興 味 や 強 みを 重 視 するストレングスモデルの 視 点 が 不 可 欠 である。これは、 障 害 や 病 気 、できないことに焦 点 を 当 てる 医 学 モデルを 補 完 するものである。個 人 の 興 味 や 強 み、 一 人 ひとりの 職 業 発 達 や 職 業 生 活 を 通 した 自 己 実 現 、キャリア 支 援 等 の 就 労 支 援 は、ストレングスモデルでの 生 活 ・リカバリー 支 援 の 一 環 としての 意 義 が 大 きい。医 療 場 面 において、 疾 患 や 障 害 だけでなく、 本 人 の 興 味 や 強 みについても 早 期 に 評 価 し 関 係 者 で 共 通 認 識をもつことで、 治 療 や 生 活 支 援 、 就 労 支 援 を 最 も 効 果 的 に 連 携 させることができる。それにより、 職 業 生 活と 疾 患 管 理 の 両 立 を 可 能 とし、 疾 患 治 療 の 成 果 にも 寄 与 すると 考 えられる。-13- - -


第 1 章 目 的 と 方 法第 4 節 本 研 究 の 目 的精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 のためには、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 密 接 な 連 携 により 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を支 えることが 必 要 である。 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 と 生 活 、 疾 患 管 理 等 を、 社 会 全 体 でより 効 果 的 に 支 えるためのあり 方 を 検 討 するため、 近 年 、 医 療 機 関 において 活 発 に 実 施 されている 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就労 支 援 の 取 組 の 実 態 を 明 らかにすることを 本 研 究 の 目 的 とした。第 5 節 研 究 方 法 の 概 要そのために、 医 療 機 関 による 就 労 支 援 に 関 する 国 内 外 の 文 献 調 査 、また、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 を 対象 とした 全 国 アンケート 調 査 を 実 施 した。それらの 結 果 を 踏 まえて 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 における 医療 機 関 等 の 役 割 や 労 働 関 係 機 関 との 連 携 等 について、 有 識 者 の 議 論 をまとめた。その 詳 細 は、 当 該 の 各 章 において 述 べる。1 文 献 調 査 ( 第 2 章 : 海 外 、 第 3 章 : 国 内 )精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 への 医 療 機 関 等 の 取 組 についての 国 内 外 の 文 献 により、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 医 療 機 関 における 取 組 の 内 容 やその 意 義 を 整 理 した。2 アンケート 調 査 ( 第 4 章 )全 国 の 医 療 機 関 ( 病 院 、 診 療 所 、 精 神 保 健 福 祉 センター 等 )を 対 象 とするアンケート 調 査 により、 就 労 支援 の 状 況 ( 行 っているか 否 か、デイケア 等 のプログラムを 持 っているか 等 支 援 内 容 、 医 師 以 外 のスタッフの状 況 等 )や 就 職 実 績 等 について 調 査 を 行 った。3 調 査 研 究 委 員 会 ( 第 5 章 )医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 に 知 見 を 有 する 専 門 家 、 支 援 機 関 、 行 政 機 関 等 から 構 成 する 調 査 研 究 委 員 会 を 設 置 し( 委 員 名 簿 は 巻 頭 、 要 綱 は 巻 末 資 料 )、 今 後 のあり 方 の 検 討 を 行 った。• 精 神 科 医 療 の 進 歩 による、 精 神 障 害 者 の 就 労 可 能 性 の 拡 大 の 最 新 の 状 況 及 び 医 療 機 関 が 実 施 している 就 労 に 向 けた 支 援 の 現 状 認 識• 医 療 機 関 等 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 結 果 の 意 義 と 活 用• 企 業 の 産 業 医 との 連 携• 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のための、 医 療 機 関 や 労 働 機 関 等 の 役 割 の 明 確 化 及 び 効 果 的 な 連 携 やチーム支 援 のあり 方-14- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー第 2 章 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 保 健 医 療 との 統 合の 重 要 性 ( 海 外 文 献 レビュー)第 1 節 はじめに米 国 において 1990 年 代 からの 様 々な 研 究 の 積 み 重 ねに 基 づき、 米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依 存 精 神 保 健 サービス 部 (SAMHSA)は、 就 労 支 援 に 限 らず、 精 神 障 害 のある 人 への 様 々な 支 援 について Evidence-BasedPractices( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 : 以 下 「EBP」という。)を 明 らかにし、1995 年 に EPB ツールキットを 出 版 し、その 普 及 を 進 めている。そのうち、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の EBP は「 援 助 付 き 雇 用 」とされている。その 内 容 は、 歴 史 的 には「IPS(Individual Placement and Support)」として 精 神 障 害 リハビリテーション 領 域 で 発 展 してきたものが 基 盤 である。わが 国 においても、IPS は 従 来 から 紹 介 されてきたが、 医 療 機 関 を 中 心 とした 就 労 支 援 の 一 形 態 として 捉えられることが 多 く、より 普 遍 的 な 精 神 障 害 者 への 効 果 的 な 就 労 支 援 のあり 方 としては 必 ずしも 理 解 されていない。そのため、わが 国 の 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 施 策 、ハローワークや 障 害 者 職 業 センター、 障 害 者 就業 ・ 生 活 支 援 センター 等 の 労 働 関 係 機 関 による 精 神 障 害 者 への 支 援 との 関 係 や、わが 国 への 適 用 可 能 性 も 明らかでない。また、SAMHSA がいう「 援 助 付 き 雇 用 」は、 本 来 、 米 国 で 知 的 障 害 者 や 発 達 障 害 者 に 対 して、従 来 の 就 職 前 の 職 業 準 備 性 の 評 価 や 訓 練 を 重 視 する 就 労 支 援 モデルへのアンチテーゼとして 発 展 してきたものである。その 意 味 での「 援 助 付 き 雇 用 」ならば、わが 国 では 既 にジョブコーチ 支 援 事 業 として 導 入 され、知 的 障 害 者 への 就 労 支 援 として 大 きな 効 果 を 上 げてきた。しかし、 精 神 障 害 者 に 対 しては、わが 国 においても 同 様 な 就 労 支 援 では 限 界 があることから、 単 に 同 じであるとは 考 えにくい。したがって、「 援 助 付 き 雇 用 」あるいは「IPS」という 名 称 や 概 略 的 な 理 解 ではなく、 米 国 等 を 中 心 としてEBP として 位 置 付 けられるにあたって、 具 体 的 にどのような 支 援 モデルが 比 較 対 照 され、それにより、 精 神障 害 のある 人 が 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 を 両 立 して 仕 事 に 就 く 前 から 就 いた 後 までに 直 面 する 様 々な 課 題 に 対 して、どのような 効 果 の 違 いがあったのかについて、 様 々な 実 証 研 究 の 成 果 に 立 ち 戻 ることで 理 解 し 直 す 必 要がある。第 2 節 目 的本 章 では、 米 国 を 中 心 とした 近 年 の EBP のあり 方 を 確 立 する 基 盤 となった 様 々な 実 証 研 究 を 精 査 し、 精 神障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 が 実 証 されている 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 壁 を 超 えた 取 組 とその 就 労 成 果について 明 らかにすることを 目 的 とした。第 3 節 方 法精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 は、 歴 史 的 背 景 や、 実 施 主 体 等 により、 様 々な 取 組 がある。 就 労 支 援 のあり 方 の 研究 論 文 においては、 従 来 からある 就 労 支 援 の 取 組 に 対 して、 新 たな 就 労 支 援 の 取 組 の 成 果 を 比 較 しているも-15- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューのが 多 い。ただし、それらの 就 労 支 援 について、 文 献 中 では「 援 助 付 き 雇 用 」「IPS」「 従 来 型 の 職 業 リハビリテーション」 等 、 様 々な 名 称 で 示 され、そのような 名 称 が 就 労 支 援 の 機 能 的 特 徴 を 必 ずしも 示 していない。そこで、 本 研 究 では、 各 文 献 で 取 り 上 げられている 就 労 支 援 の 内 容 を、その 名 称 にかかわらず、「 援 助 付 き雇 用 モデル- 職 業 準 備 性 モデル」、「 医 療 支 援 強 - 医 療 支 援 弱 」の2 軸 によって 機 能 的 に4 類 型 化 し、 就 労 支援 成 果 を 類 型 にしたがって 系 統 的 に 比 較 することとした。1 Evidence-Based Practices(EBP)を 扱 った 文 献 の 収 集EBP に 関 する 実 証 研 究 の 精 査 にあたり、 精 神 障 害 のある 人 のための 就 労 支 援 に 関 する 90 年 代 後 半 から 現在 までの 最 新 資 料 を 対 象 として 収 集 した。(1) 主 要 な EBPEBP は 無 作 為 化 比 較 試 験 (RCT:Randomized Controlled Trial) 等 の 厳 密 な 科 学 的 手 続 きによって、 治療 や 生 活 、 就 労 への 効 果 が 検 証 された 支 援 プログラムなどを 指 す。 精 神 障 害 者 のある 人 たちの 就 労 支 援 に 関する 実 証 研 究 の 収 集 に 際 し、アメリカ 連 邦 保 健 省 SAMHSA が 推 進 している4つの EBP に 着 目 した。 援 助 付き 雇 用 以 外 にも、 就 労 支 援 との 関 係 や 就 労 成 果 を 扱 う 研 究 についても 収 集 し 検 討 した。なお、SAMHSA のツールキットにおいて「 援 助 付 き 雇 用 」と 呼 ばれている 内 容 は、それ 以 前 は IPS と 呼 ばれてきたものであり、 多くの 研 究 論 文 においても IPS として 示 されているものである。• 援 助 付 き 雇 用 (SE:Supported Employment)= IPS(Individual Placement and Support)• 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT:Assertive Community Treatment)• 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR:Illness Management and Recovery)• 家 族 心 理 教 育 (FPE:Family Psycho-Education)(2) 収 集 方 法PubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)と Science Direct(http://www.sciencedirect.com/)を主 に 使 用 し、「supported employment」「 mental illness」「 IPS」「 ACT」「 Illness Management and Recovery」「Family Psycho-Education」「 competitive work」などのキーワードにより 資 料 を 検 索 した。また、それら資 料 が 引 用 している 論 文 や 書 籍 で 重 要 と 思 われるものを 入 手 した。(3) 疾 患 種 類 ・ 程 度EBP においては、 精 神 疾 患 の 種 類 にかかわらず、 重 度 の 精 神 疾 患 (Severe Mental Illness)を 対 象 としているため、 今 回 の 検 討 においても、 統 合 失 調 症 や 気 分 障 害 を 中 心 として、 特 に 区 別 された 研 究 を 除 き、 疾 患種 類 にかかわらないものとした。2 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の4 類 型 化職 業 リハビリテーション 分 野 においては、 就 労 支 援 モデルは 大 きく 分 けて、「 職 業 準 備 性 モデル」と「 援 助付 き 雇 用 モデル」があり、1990 年 代 以 降 、 米 国 でもわが 国 でも「 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 有 効 性 は 広 く 確 認されてきている。 歴 史 的 経 緯 もあり、 援 助 付 き 雇 用 モデルに 対 して、 疾 患 の 治 療 や 機 能 障 害 の 回 復 訓 練 等 を-16- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー重 視 する 取 組 は「 職 業 準 備 性 モデル」として 対 立 的 に 捉 えられやすい。しかし、 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支援 においては、この 両 者 を 対 立 的 にではなく、 両 立 できるようにすることがポイントであることが 明 らかになっている。したがって、 精 神 障 害 のある 人 に 対 して 効 果 的 な 就 労 支 援 のあり 方 の 検 討 においては、「 援 助 付き 雇 用 モデル」「 職 業 準 備 性 モデル」「 医 療 支 援 」 等 の 関 係 をより 厳 密 に 位 置 付 けておくことが、 問 題 の 構 造的 な 理 解 のために 不 可 欠 である。(1) 援 助 付 き 雇 用 モデル援 助 付 き 雇 用 モデルの 本 質 は、 本 人 側 の 条 件 として 疾 患 や 障 害 の 治 療 や 機 能 訓 練 に 焦 点 を 置 き 就 職 前 の 評価 や 訓 練 を 重 視 する 医 学 モデルによるアプローチに 対 する、 現 実 場 面 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活上 の 局 面 における 複 合 的 問 題 解 決 を 重 視 する 社 会 心 理 モデルによるアプローチにある。 歴 史 的 にも、 障 害 のある 人 の 就 職 前 の 評 価 と 訓 練 に 固 執 することにより、かえって 多 くの 重 度 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 のハードルを 作 り 出 してきた、 職 業 準 備 性 モデルへのアンチテーゼとして 登 場 した。わが 国 においても、1990 年 代 以降 の、ジョブコーチ 支 援 の 導 入 だけでなく、 障 害 のある 人 の 就 職 前 から 就 職 後 の 職 業 生 活 上 の 様 々な 課 題 に対 して、 本 人 を 中 心 として 様 々な 専 門 分 野 が 連 携 して 個 別 的 継 続 的 に 支 援 する 様 々な 新 たな 雇 用 支 援 は、 基本 的 に 援 助 付 き 雇 用 モデルに 沿 ったものである。精 神 障 害 のある 人 への 援 助 付 き 雇 用 として 発 展 してきた IPS の 特 徴 は、「IPS の 原 則 」として 端 的 に 示 されている。 表 2-3-1 に、 一 般 的 な 援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 と 比 較 して 示 すとおり、IPS の 基 本 的 な 特 徴 は 一 般 的な 援 助 付 き 雇 用 と 共 通 している。援 助 付 き雇 用 モデルの 基 本的 要 素IPS の 特 徴的 要 素表 2-3-1. 援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 と「IPS の 原 則 」の 比 較援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 「IPS の 原 則 」重 度 障 害 のある 人 を 支 援 対 象 とする一 般 就 業 が 目 標統 合 された 職 場 環 境 (*)継 続 的 支 援就 労 希 望 のある 全 ての 人 が 対 象一 般 就 業 が 目 標本 人 ニーズに 基 づく 決 定迅 速 な 職 探 し継 続 的 支 援( 継 続 的 支 援 ) 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統合給 付 カウンセリングの 実 施(* 援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 である「 統 合 された 職 場 環 境 」という 特 徴 は、IPS の 原 則 では「 本 人 ニーズに 基 づく 決 定 」 及 び「 迅 速 な 職 探 し」とより 詳 細 化 されているが、これは、 統 合 された 職 場 環 境 の 実 現 のために、 本 人 の 就 労 希 望 や 自 己 決 定に 基 づく 職 探 しや 就 職 活 動 の 支 援 の 重 要 性 を 明 確 にしたものである。これは、 最 近 の 援 助 付 き 雇 用 の 取 組 では、より 一 般的 に 他 の 障 害 においても 重 視 されるようになっており、 必 ずしも 精 神 障 害 に 特 徴 的 な 要 素 ではない。)(2) 就 労 支 援 と 医 療 との 統 合その 一 方 で、IPS は 一 般 的 な 援 助 付 き 雇 用 とは 異 なり、 特 徴 的 には「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの統 合 」「 給 付 カウンセリングの 実 施 」として 医 療 ・ 生 活 支 援 分 野 との 密 接 な 関 わりが 必 要 であることを 明 確 にしている。これは、 援 助 付 き 雇 用 の「 継 続 的 支 援 」について、 精 神 障 害 の 特 性 として、 長 期 に 治 療 を 必 要 と-17- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューする 慢 性 疾 患 であることや、 仕 事 内 容 や 職 場 等 の 環 境 状 況 によって 疾 患 の 状 態 が 影 響 されるストレス 脆 弱 性という 性 質 があることから、 実 際 に 職 業 生 活 を 送 るに 当 たって 直 面 する 課 題 として、 疾 患 管 理 や 医 療 の 側 面 、また、 再 発 による 失 業 のリスクに 対 する 経 済 的 セーフティネットの 検 討 は 切 り 離 すことができないことを 反映 したものであると 考 えることができる。これは、 心 理 社 会 モデルによるアプローチにおいても、 医 療 ・ 生活 支 援 との 関 係 が 不 可 欠 であることを 意 味 するものであり、 疾 患 の 治 療 にのみ 固 執 して 本 人 の 生 活 面 の 個 別具 体 的 な 課 題 を 軽 視 するという 意 味 でのいわゆる「 医 学 モデル」と 同 一 視 される「 職 業 準 備 性 モデル」とは異 なるものである。(3)「 援 助 付 き 雇 用 モデル」と「 医 療 支 援 」の2 軸 による4 類 型 化医 療 や 生 活 支 援 の 取 組 を「 職 業 準 備 性 モデル」と 混 同 し、「 援 助 付 き 雇 用 モデル」と 対 立 的 に 捉 えることを避 けるために、 本 研 究 においては、 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 の 内 容 について、「 援 助 付 き 雇 用 モデル vs. 職業 準 備 性 モデル」という 対 立 軸 と、「 医 療 支 援 ・ 統 合 の 強 弱 」という 軸 の2 軸 で 捉 え、 図 2-3-1 に 示 す4 類 型に 分 類 することとした。援 助 付 き 雇 用 モデル↑医 療 支 援 ・←統 合 弱2医 療 と 統 合 されていない 援助 付 き 雇 用 モデル4医 療 と 統 合 されていない 職業 準 備 性 モデル1医 療 と 統 合 された 援 助 付 き雇 用 モデル3医 療 と 統 合 された 職 業 準 備性 モデル→医 療 支 援 ・統 合 強↓職 業 準 備 性 モデル図 2-3-1 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のタイプの 分 類3 就 労 支 援 の 成 果 の 評 価精 神 障 害 者 の 就 労 成 果 については、 就 職 できたとしても 継 続 できないことが 大 きな 就 労 問 題 であるため、単 に 就 職 率 ではなく、 就 労 継 続 を 反 映 した 成 果 による 評 価 が 必 要 である。そのため、 就 労 支 援 としての 成 果については、フォローアップ 期 間 の 一 般 就 業 率 、 労 働 時 間 、 労 働 日 数 、 就 労 継 続 期 間 、 所 得 、 最 初 の 仕 事 に就 くまでの 期 間 などを 判 断 基 準 とした。ここでの 一 般 就 業 の 定 義 は、 以 下 を 満 たす 仕 事 とした。・ 最 低 賃 金 以 上 の 支 払 いがある・ 障 害 者 枠 の 雇 用 ではなく、 誰 もが 応 募 できる・ 地 域 に 統 合 されている-18- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー第 4 節 結 果収 集 した 海 外 の 実 証 的 研 究 においては、 今 回 想 定 した4 類 型 に 該 当 する 精 神 障 害 者 の 様 々なタイプの 就 労支 援 の 成 果 が 比 較 されていた。その 中 で、 他 の3 類 型 と 比 較 して、 一 貫 して 最 も 高 い 就 業 成 果 を 示 していたのは「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 類 型 の 就 労 支 援 の 取 組 であり、さらに、 統 合 される 医 療 側の 様 々な 取 組 により、より 高 い 就 業 成 果 が 示 されていた。1 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 機 能 別 4 類 型 による 分 類様 々な 実 証 研 究 において、 介 入 群 あるいは 比 較 対 照 群 となっている、 様 々な 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 プログラムは、 援 助 付 き 雇 用 への 取 組 の 強 弱 、 及 び、 医 療 との 統 合 の 強 弱 で 特 徴 づけ、 次 の4タイプに 分 類 できた。ただし、 同 一 タイプに 分 類 できた 就 労 支 援 プログラムであっても、その 中 で、 援 助 付 き 雇 用 への 取 組 や 医 療との 統 合 の 強 弱 によって、 就 労 支 援 成 果 が 比 較 され、 就 労 支 援 プログラムとして 詳 細 に 区 別 されている 場 合もあった。また、 研 究 によっては、 比 較 対 象 がこれら4つに 区 別 されず1と3、2と4が 混 合 して 比 較 されている 場 合 もあった。なお、4 類 型 に 分 類 された 具 体 的 な 就 労 支 援 の 取 組 は、 巻 末 資 料 2に 掲 載 した。1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル2 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル3 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル4 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル(1) 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル(1)医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルに 該 当 する 就 労 支 援 タイプは、1990 年 代 から「IPS プログラム」として 新 たに 提 案 され、 比 較 研 究 では、 新 たな 就 労 支 援 プログラムとして 評 価 対 象 となっているものが 大 部 分であった。ただし、その 具 体 的 内 容 には、 援 助 付 き 雇 用 モデルの 取 組 と、 医 療 との 統 合 への 取 組 について、様 々な 違 い・ 変 異 が 認 められた。ア SAMHSA の 援 助 付 き 雇 用 適 合 性 尺 度 又 は IPS 適 合 性 尺 度 を 基 準 とした 定 義「IPS プログラム」の 内 容 は、プログラム 評 価 のための 適 合 性 尺 度 により 具 体 的 に 定 義 されている 場 合 が多 かった。 多 くの 文 献 では、IPS 適 合 性 (フィデリティ) 尺 度 として 示 されているが、より 近 年 の 文 献 では、米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依 存 精 神 保 健 サービス 部 (SAMHSA)の 提 唱 している 呼 び 名 に 従 って、 援 助 付 き 雇 用 適合 性 尺 度 として 示 されていたが、その 内 容 は 同 一 である。適 合 性 尺 度 は、「スタッフ」3 項 目 、「 組 織 」3 項 目 、「サービス」9 項 目 の 計 15 項 目 で 構 成 されており、1 項 目 5 点 の 合 計 75 点 で 評 価 するものである。その 内 容 は、 表 に 示 すように、 援 助 付 き 雇 用 への 取 組 状 況 と、医 療 との 統 合 状 況 の 両 面 を 網 羅 しているものである、 適 合 性 が 十 分 に 高 い 就 労 支 援 プログラムについて、 医療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルであると 見 なすことができる。適 合 性 尺 度 得 点 が 66~75 点 であれば「 適 切 に 実 施 されている」とし、56~65 点 で「まずまず 実 施 されてい る 」、 55 点 以 下 は「 実 施 されていない」とされており、 本 研 究 でもその 基 準 にしたがった。-19- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューEBP ツールキットにおける 援 助 付 き 雇 用 の 適 合 性 尺 度 ( 要 約 )A スタッフA-1 就 労 支 援 者 一 人 あたりの 支 援 当 事 者 数 は 25 名 以 下A-2 専 任 の 就 労 支 援 者 ( 医 療 や 生 活 支 援 と 兼 任 でない)A-3 就 労 支 援 者 はアウトリーチ、アセスメント、 就 職 、フォローアップの 全 てを 担 当B 組 織B-1 精 神 保 健 のケースマネジメントと 就 労 支 援 者 のチームB-2 就 労 支 援 者 のグループ( 情 報 共 有 、スーパービジョン 等 )B-3 就 労 希 望 者 全 員 に 就 労 支 援 を 提 供 ( 除 外 基 準 なし)C サービスC-1 実 際 の 職 場 や 仕 事 内 容 での 職 業 アセスメントC-2 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 活 動 への 迅 速 な 取 組C-3 本 人 の 興 味 、 経 験 、 能 力 、ニーズに 基 づく 個 別 的 な 就 職 活 動 支 援C-4 多 様 な 職 業 の 選 択 肢 の 提 供C-5 常 勤 の 仕 事 の 選 択 肢 の 提 供C-6 退 職 が 適 当 な 場 合 の 退 職 時 の 支 援 と 再 就 職 支 援C-7 就 職 後 も 継 続 する 事 業 主 と 本 人 への 支 援 ( 危 機 介 入 、ジョブコーチ、 相 談 、ミーティング、 交 通 、 服 薬 、 友 人 ・ 家族 等 )C-8 施 設 内 でなく 地 域 の 中 で 全 ての 就 労 支 援 を 行 うC-9 全 ての 患 者 への 就 労 への 働 きかけ、 関 係 作 り、 励 まし出 典 : 城 田 晴 夫 ( 訳 ) 援 助 付 き 雇 用 フィデリティ 尺 度 : 評 価 表 、「 松 為 信 雄 、 西 尾 雅 明 ( 監 訳 ・ 編 ):アメリカ 連 邦 政 府EBP 実 施 ・ 普 及 ツールキットシリーズ4-Ⅰ 第 4 巻 Ⅰ IPS・ 援 助 付 き 雇 用 ツールキット: 本 編 」、p.44-54, 日 本 精 神 障害 者 リハビリテーション 学 会 (2009)この 適 合 性 尺 度 によって 具 体 的 に 就 労 支 援 プログラムの 内 容 が 定 義 されていたものには、 次 があった。• IPS プログラム• ACT( 包 括 型 地 域 生 活 支 援 )を 強 化 した IPS プログラム• 認 知 訓 練 を 強 化 した IPS プログラム• 社 会 技 能 訓 練 を 強 化 した IPS プログラムイ 適 合 性 尺 度 や 基 準 による 定 義 のない 統 合 モデル適 合 性 尺 度 による 評 価 が 実 施 されていない 就 労 支 援 であっても、 具 体 的 な 支 援 内 容 の 記 述 に 従 って、 以 下の 就 労 支 援 プログラムについては、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 プログラムと 見 なした。• 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神 保 健 センターの 密 接 な 連 携• 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神 保 健 センターの 密 接 な 連 携 + 給 付 カウンセリング• ACT を 強 化 した 独 自 の 援 助 付 き 雇 用 プログラム(2) 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル(2)医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 支 援 は、 精 神 障 害 以 外 の 知 的 障 害 や 発 達 障 害 を 対 象 とした 一 般 的 なジョブコーチ 支 援 や、 医 療 機 関 との 密 接 なつながりがない 形 で 地 域 の 職 業 リハビリテーションサービスに 照 会 / 移 行 させるという 場 合 が 多 かった。 実 証 研 究 においては、IPS プログラムとの 比 較 対 照 群として 位 置 付 けられていたものが 多 かった。また、IPS を 意 図 しながら、 十 分 に 就 労 支 援 と 医 療 サービスの-20- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー統 合 が 達 成 されなかったために、 結 果 的 に 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 となっている 場 合 もあった。• 精 神 保 健 サービスは 地 域 保 健 センター 等 が 実 施 、 就 労 支 援 サービスは 職 業 リハビリテーション 機 関( 援 助 付 き 雇 用 モデルが 中 心 )がそれぞれ 役 割 分 担 して 実 施 (ミーティングは 週 2~4 回 以 下 )• IPS を 目 指 し 援 助 付 き 雇 用 全 般 の 適 合 性 は 高 かったが、「 精 神 保 健 のケースマネジメントと 就 労 支 援のチーム」についての 組 織 の 適 合 性 が 低 かったプログラム(3) 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル(3)医 療 と 統 合 されていても、 本 人 の 症 状 の 改 善 や 生 活 自 立 に 焦 点 を 当 て、その 結 果 就 労 成 果 を 期 待 するという 意 味 で「 職 業 準 備 性 モデル」に 該 当 する 支 援 としては、 医 療 的 デイケアや、IPS と 統 合 されていない ACT、FPE、 薬 物 治 療 等 があった。これらは、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 の 新 しい 就 労 支 援 プログラムを 評 価するための 比 較 対 照 群 として 位 置 付 けられている 場 合 が 多 かった。• 地 域 精 神 保 健 福 祉 センターでのケースマネジメントサービス• 地 域 精 神 保 健 福 祉 センターでのデイケアプログラム• 精 神 科 リハビリテーション 機 関 での ACT プログラム• 作 業 療 法 科 における 職 業 準 備 訓 練 中 心 の train-place アプローチ、 本 人 の 自 発 的 職 探 しを 推 奨• 医 療 機 関 内 での 心 理 社 会 的 リハビリテーションやデイケアプログラム( 面 接 スキル、IT スキル、 自 信/ 動 機 の 構 築 の 支 援 等 )• 家 族 心 理 教 育(4) 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル(4)従 来 型 の 職 業 リハビリテーションや 就 労 支 援 の 中 でも、ジョブコーチ 支 援 等 の 援 助 付 き 雇 用 モデルを 導 入していない 就 労 支 援 プログラムは 限 られていたが、 比 較 対 照 群 としての 例 があった。• 地 域 の 一 般 的 な 精 神 障 害 者 向 けのサービスの 利 用• クラブハウスモデル( 施 設 内 で、 支 援 スタッフと 本 人 が 地 域 と 同 等 の 仕 事 に 取 り 組 む)(5)4 類 型 に 分 類 ができない 就 労 支 援文 献 に 報 告 されている 就 労 支 援 について、 研 究 デザイン 上 、 上 記 の4 類 型 に 分 類 できない 場 合 があった。ア 医 療 との 統 合 は 高 い、 援 助 付 き 雇 用 又 は 職 業 準 備 性 モデルの 就 労 支 援 (1 又 は3)Cook ら(2005)は、 就 業 支 援 実 証 事 業 に 参 加 した7 地 域 の 就 労 支 援 プログラムの 介 入 群 と 比 較 対 照 群 について、その 具 体 的 な 医 療 サービスと 就 労 サービスの 統 合 の 程 度 を 独 自 の 評 価 尺 度 により 評 価 し、50% 以 上の 適 合 性 のある 就 労 支 援 と、そうでない 就 労 支 援 とで 区 別 し 比 較 していた。就 業 支 援 実 証 事 業 評 価 尺 度(Employment Intervention Demonstration Program Measure)1. 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービスは、 両 スタッフが 週 に 最 低 3 回 以 上 、 直 接 顔 を 合 わせて一 緒 に 取 り 組 む、 多 領 域 チームによって 提 供 された2. 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービスの 両 スタッフは、 同 一 建 物 内 で 勤 務 していた3. 両 サービスは、 同 一 の 機 関 によって 提 供 された4. 個 人 のすべての 情 報 ( 職 業 評 価 、 治 療 計 画 等 )を1 冊 のファイルに 集 約 して 使 用 していた-21- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューしたがって、この 研 究 の 介 入 プログラムは 医 療 と 就 労 支 援 の 統 合 については 確 認 できるが、その 就 労 支 援の 内 容 について、それが 援 助 付 き 雇 用 モデルによるものか、 職 業 準 備 性 モデルによるものかの 確 認 ができなかった。IPS を 実 施 している 地 域 もあったが、その 支 援 内 容 について 具 体 的 に 確 認 できず、また、 他 の 地 域の 介 入 プログラムについても 同 様 であった。 具 体 的 には、 次 のような 就 労 支 援 が 実 施 されていた。• IPS プログラム• ACT 職 業 モデルプログラム• 独 自 の 援 助 付 き 雇 用 プログラム• 家 族 支 援 による ACT プログラム• 統 合 された 治 療 チームによる 就 労 支 援 プログラムイ 医 療 との 統 合 が 低 い、 援 助 付 き 雇 用 又 は 職 業 準 備 性 モデルの 就 労 支 援 (2 又 は4)一 方 、Bond ら(2008)の 研 究 では、 介 入 群 については 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルであることが 確 認 できるが、 比 較 対 照 群 については、 医 療 との 統 合 が 低 いことに 焦 点 があてられ、それが 援 助 付 き 雇 用モデルによるものか、 職 業 準 備 性 モデルによるものかの 確 認 ができなかった。• 大 学 病 院 での、 一 般 就 業 を 目 的 としない 授 産 施 設 、 当 事 者 運 営 の 店 舗 、 園 芸 プログラム 等 、 地 域 の 就労 支 援 機 関 への 照 会• 生 活 支 援 、 職 業 評 価 ・ 職 業 準 備 訓 練 、 授 産 施 設 。 職 業 準 備 性 が 高 まった 人 への 職 業 サービスへの 紹 介• 職 業 準 備 性 の 評 価 、 支 援 機 関 が 運 営 する 事 業 や 契 約 している 雇 用 主 等 への 幅 広 い 職 業 選 択 のある 就 職支 援• 個 別 ケースマネジメント、 外 部 就 労 支 援 機 関 への 照 会-22- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー2 就 労 支 援 の 機 能 別 4 類 型 の 就 労 成 果 の 比 較様 々な 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 について、 上 述 の1~4の 機 能 別 に4 類 型 に 分 類 することによって、 就 労 成果 への 効 果 を 構 造 的 に 評 価 した。 様 々な 実 証 研 究 における、プログラムによる 成 果 の 比 較 の 構 造 は 次 の5 種類 に 整 理 することができた。• 援 助 付 き 雇 用 モデルの 就 労 支 援 における 医 療 との 統 合 の 有 無 の 比 較 (1vs.2)• 医 療 と 統 合 した 就 労 支 援 における 就 労 支 援 モデル( 援 助 付 き 雇 用 モデル、 職 業 準 備 性 モデル)の 比 較(1vs.3)• 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルにおける、 医 療 との 統 合 の 具 体 的 内 容 の 比 較 (1の 強 化 モデル vs .1)• 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 以 外 の 就 労 支 援 モデル(2、3、4) 間 の 比 較• 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル(1)の 就 業 成 果 を 示 すその 他 の 研 究以 下 に 示 す 通 り、 援 助 付 き 雇 用 モデルに 医 療 ・ 生 活 支 援 を 統 合 した 就 労 支 援 プログラムは、 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 プログラムや、 医 療 と 統 合 されてはいても 援 助 付 き 雇 用 モデルではない 就 労 支 援 プログラムに 比 べて、 多 くの 実 証 研 究 により 一 貫 して 一 般 就 業 率 に 最 も 高 い 成 果 が 示 されていた。 一 方 、 医 療と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルではない、 様 々な 就 労 支 援 あるいは 医 療 ・ 生 活 支 援 プログラムは、 一 般 就業 率 への 効 果 は 総 じて 低 かった。(1) 援 助 付 き 雇 用 モデルの 就 労 支 援 における 医 療 との 統 合 の 有 無 の 比 較 (1vs.2)「 援 助 付 き 雇 用 」モデルとして 共 通 点 のある1と2を 比 較 した 研 究 は2つあった( 表 2-4-1)。「 医 療 と 統合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」は、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 統 合 において、 家 族 心 理 教 育 (FPE)、あるいは、 包括 型 地 域 支 援 (ACT)との 統 合 を 特 徴 としていた。いずれの 場 合 も、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 就 労 支 援 は、 医 療 との 統 合 のない 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 就 労 支 援 よりも、 一 般 就 業 率 が 高 く、 就 業 継続 の 高 さも 示 されていた。著 者 、研 究 年McFarlane ら,2000表 2-4-1 「 援 助 付 き 雇 用 モデル」での 医 療 との 統 合 の 有 無 による 成 果 比 較研 究 就 業 検 証 対 象比 較 対 照統 計 的 検 定方 法 成 果 プログラムプログラム1+FPE2RCT一 般就 業 率 1全 期 間 における 平 均一 般 就 業 率一 般就 業 率 2平 均総 所 得平 均時 給45.9% 18.8% P


第 2 章 海 外 文 献 レビューGold ら,2006RCT就 業 率最 初 の仕 事 までの 期 間(Mdn)一 般 就 業率 21+ACT一 般就 業 1全 就 業一 般就 業 12全 就 業一 般就 業全 就 業63.6% 66.2% 26.0% 72.7% P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー著 者 、研 究 年Baileyら, 1998Beckerら, 2001Furlongら, 2002表 2-4-2 「 医 療 との 統 合 」モデルでの 援 助 付 き 雇 用 モデルの 採 用 の 有 無 の 成 果 比 較研 究検 証 対 象比 較 対 照 統 計 的就 労 成 果比 較 結 果方 法プログラムプログラム 検 定非 ランダム 化比 較 試験準実 験研 究比 較臨 床試 験一 般 就 業 率時 期 問 わずベースライン 時12 ヶ 月 後労 働 時 間 数総 所 得就 業 以 外 の 成 果その 他一 般 就 業 率各 月研 究 期 間 全 体就 業 歴 ありなし平 均 総 労 働 時 間就 業 歴 ありなし平 均 総 所 得就 業 歴 ありなし平 均 労 働 週 間就 業 歴 ありなし症 状 の 変 化 、 自 尊心 、 入 院 率 、 満 足度就 業 率研 究 開 始 時研 究 終 了 時時 期 問 わず74.2%12.9%64.5%1有 意 に 増 加(データなし)有 意 に 増 加(データなし)成 長 率P


第 2 章 海 外 文 献 レビューWong ら,2008RCT週 の平 均 労 働 時 間20.6 時 間 22.3 時 間 N.S.平 均 通 院 日 数 10.27 日 12.90 日 N.S.平 均 入 院 回 数 0.55 回 0.64 回 N.S.一 般 就 業 率時 期 問 わず6 ヶ 月 時12 ヶ 月 時18 ヶ 月 時最 初 の 仕 事 までの 平 均 日 数一 般 就 業平 均獲 得 数総 就 業 日 数170%63%54%43%329%24%27%22%P


第 2 章 海 外 文 献 レビューモデルでの 就 労 支 援 よりは 一 貫 して 高 い 一 般 就 業 率 を 示 した( 図 2-4-3)。図 2-4-3 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 群 と 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル 群 における 一 般 就業 率 (Wong et al., 2008 より 作 図 )(3) 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルにおける、 医 療 との 統 合 の 具 体 的 内 容 の 比 較 (1の 強 化 モデル vs .1)「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 中 で、さらに、 医 療 との 統 合 の 具 体 的 内 容 を 調 べた 研 究 が3つあった( 表 2-4-3)。その 結 果 、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」でも 特 に、 社 会 技 能 訓 練 や 認 知訓 練 が 強 化 された 支 援 では、 単 純 に IPS 適 合 性 尺 度 を 満 たす 就 労 支 援 モデルよりも、 一 般 就 業 率 が 高 くなっていた。 一 方 、 給 付 カウンセリングの 追 加 による 一 般 就 業 率 の 変 化 のデータは 示 されていなかったが、 年 間所 得 の 向 上 に 効 果 が 認 められていた。著 者 、研 究 年Tremblay ら,2006McGurk ら,2007Tsangら, 2008表 2-4-3 「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」モデルにおける 医 療 との 統 合 の 内 容 による 成 果 比 較研 究検 証 対 象比 較 対 照 統 計 的就 業 成 果比 較 結 果方 法プログラムプログラム 検 定1+1給 付 カウンセリング準実 験研 究RCTRCTカウンセリング 前 後2 年 間 の 四 半 期ごとの 平 均 所 得カウンセリング 前464~612ドルカウンセリング 後765~928ドル1+ 認 知 訓 練P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー平 均 就 業 継 続期 間 (21 ヶ 月 時 ) 約 30 週 約 17 週 P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー図 2-4-5 各 フォローアップ 期 間 における 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 強 化 群 と 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 モデル 群 の 一 般 就 業 率 (Tsang et al., 2009 より 作 成 )図 2-4-6 各 フォローアップ 期 間 における 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 強 化 群 と 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 モデル 群 の 就 業 継 続 (Tsang et al., 2009 より 作 図 )図 2-4-7 各 フォローアップ 期 間 における 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 強 化 群 と 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 モデル 群 の 退 職 回 数 (Tsang et al., 2009 より 作 図 )-29- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー(4)「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」 以 外 の 就 労 支 援 モデルの 比 較医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル2と、 医 療 と 統 合 されているが 援 助 付 き 雇 用 モデルを 採 用 していない 就 労 支 援 3では、 就 労 成 果 に 差 が 認 められなかった。また、3において、 家 族 支 援 を 強 化 した 場 合には 再 発 率 の 低 下 は 認 められたが 就 業 率 には 差 が 認 められなかった( 表 2-4-4)。著 者 、研 究 年表 2-4-4 「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」 以 外 の 就 労 支 援 プログラムの 成 果 比 較研 究検 証 対 象 比 較 対 照 統 計 的就 業 成 果方 法プログラム プログラム 検 定3+FPE3比 較 結 果Ran ら,2003クラスターランダム 化比 較 試験再 発 率 16.3% 37.8% P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー著 者 、研 究 年Cook ら,2005Bond ら,2008Sherring ら,2010表 2-4-5 「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」プログラムのその 他 の 成 果 比 較研 究 方検 証 対 象 比 較 対 照 統 計 的 検就 業 成 果法プログラム プログラム 定RCTRCT一 般 統計 との比 較比 較 結 果1と3の 混 合 4 医 療 との 統 合 が一 般 就 業 率 1 58% 21% P


Cook et al., 2005 2-4-8 40 Cook et al., 2005 2-4-9 5070 1030 EBP ACT -32-


第 2 章 海 外 文 献 レビューGoldら(2006)McFarlaneら(2000)Tsangら(2008)McGurkら(2007)Wongら(2008)Baileyら(1998)Beckerら(2001)Furlongら(2009)Howardら(2010)Cookら(2005)Bondら(2008)Sherringら(2010)1+ACT21+FPE21+SST11+Cog11313131+ACT3231+3412+410% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%一 般 就 業 率 ( 研 究 期 間 中 に1 度 でも 一 般 就 業 した 人 の 割 合 )図 2-4-9 精 神 障 害 者 のための 様 々な 就 労 支 援 プログラムにおける 一 般 就 業 率 の 成 果 比 較1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル2 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル3 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル4 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル+ACT : 包 括 型 地 域 生 活 支 援 と 統 合+FPE : 家 族 心 理 教 育 と 統 合+SST : 社 会 技 能 訓 練 と 統 合+Cog : 認 知 訓 練 と 統 合(エラーバーはベイズ 推 計 による 95% 確 信 区 間 )第 5 節 考 察米 国 を 中 心 として「 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 (EBP)」とされる、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 内 容 について、その 根 拠 となる 実 証 的 研 究 を 詳 細 に 検 討 することにより、その 具 体 的 内 容 が、わが 国 の 状 況 とも 共 通 点 のある、 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 密 接 な 連 携 のあり 方 に 関 する 貴 重 な 情 報 とすることができた。重 度 精 神 障 害 者 に 対 して、 医 療 機 関 側 だけの 取 組 だけでもなく、また、 医 療 との 連 携 が 不 十 分 な 就 労 支 援 の取 組 でもなく、 両 者 が 密 接 な 関 係 をもつチームとして 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 統 合 的 に 実 施 する 取 組 が、 一般 就 業 や 職 場 定 着 の 成 果 のためのポイントとなることが 一 貫 して 示 されており、これらの 研 究 成 果 をわが 国においても 有 効 活 用 していくことが 重 要 であろう。-33- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー1 EBP の 対 象 者 = 重 度 精 神 障 害 者 (SMI)多 くの 文 献 では、 支 援 対 象 としての 精 神 障 害 者 は、 重 度 精 神 障 害 者 (SMI:Severe Mental Illness)となっていた。 本 研 究 で 紹 介 した 様 々な 研 究 において、 従 来 型 の 就 労 支 援 による 一 般 就 業 率 ( 研 究 期 間 中 に 一 度 でも 一 般 就 業 できた 人 の 割 合 )は 30% 未 満 でで、10% 未 満 となっている 研 究 もあり、 就 業 上 の 困 難 性 も 高 い 人たちであると 言 える。SMI は 特 定 の 診 断 名 ではなく、 精 神 疾 患 の 診 断 基 準 となる 様 々な 精 神 的 な 機 能 障 害 とそれによる 生 活 面 の障 害 の 程 度 によって 定 義 されている。 米 国 における 代 表 的 な SMI の 定 義 は 次 の 3 つの 条 件 を 満 たすことである( 大 統 領 精 神 保 健 新 自 由 委 員 会 NFCMH, 2003)。(1) 精 神 的 、 行 動 的 、あるいは、 感 情 的 な 失 調 がある。(2) 現 行 の DMS( 精 神 障 害 の 診 断 と 統 計 の 手 引 き)で 特 定 されている 診 断 基 準 を 満 たす 状 態 が 十 分 な 期 間継 続 している。(3)それにより 機 能 障 害 があり、1つ 以 上 の 主 要 な 生 活 活 動 を 妨 げたり 制 限 したりしている。2 重 度 精 神 障 害 者 の 一 般 就 業 の 成 果 をうむ 就 労 支 援 のあり 方精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 効 果 的 あり 方 についての 海 外 の 実 証 研 究 では、 支 援 内 容 の 点 でも、 就 労 成 果 の 点でも、 様 々な 観 点 からの 比 較 対 照 が 行 われてきたことを 確 認 できた。就 労 成 果 の 評 価 は 必 ずしも 一 定 の 基 準 によるものではないが、 多 くの 研 究 では 比 較 対 照 群 と 同 一 基 準 で 比較 し、 異 なる 就 労 支 援 モデルの 成 果 を 比 較 していた。その 結 果 、 一 貫 した 結 果 として、 重 度 精 神 障 害 者 の 一般 就 業 や 職 場 定 着 に 対 して 最 も 効 果 のある 就 労 支 援 モデルが「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルであった。その 具 体 的 内 容 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 個 別 的 で 継 続 的 な 支 援 を 重 視 する「 援 助 付 き 雇 用 モデル」による 支 援 が 効 果 的 であることだけでなく、ジョブコーチ 支 援 等 の 一 般 的 な 就 労 支 援 だけでなく、 医 療 ・ 生活 支 援 と 就 労 支 援 とが 統 合 された 取 組 を 不 可 欠 とするものであった。就 業 成 果 について、 多 くの 研 究 では、 一 般 就 業 率 として「 研 究 期 間 中 に 1 度 でも 一 般 就 業 した 人 の 割 合 」が 示 されており、これについては 他 の 就 労 支 援 モデルでは 10~30%であるのに 対 して、「 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 」モデルでは 50~70%と 顕 著 に 高 くなっていた。 一 方 で、 特 定 時 点 での 一 般 就 業 率 はより 低 く、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルでも 30~60%、その 他 のモデルでは 10~20%であった。このような 結 果 は、 重 度 精 神 障 害 者 の 就 業 継 続 の 困 難 性 を 示 していると 考 えられ、いまだ 一 般 就 業 率 も 職 場 定 着 率も 十 分 な 成 果 とは 言 えないかもしれない。しかし、 他 のモデルでは 研 究 期 間 終 了 後 の 一 般 就 業 率 がほとんど0になっていたのに 対 して、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルでは 20~30%の 一 般 就 業 率 が 維 持 されていたという2つの 研 究 もあり、この 就 労 支 援 モデルが、 他 の 就 労 支 援 モデルに 比 較 して 顕 著 に 成 果 の 大きなものであることは 一 貫 して 示 されていた。-34- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー3 効 果 的 な 就 労 支 援 の 具 体 的 内 容「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルは、 重 度 精 神 障 害 者 に 対 する 効 果 的 な 就 労 支 援 の 条 件 を 明 確 化する 中 で、 比 較 対 照 となる 他 の 就 労 支 援 モデルとの 違 いを 明 確 にするために、 適 合 性 尺 度 が 開 発 され 実 施 基準 となっていた。したがって、 実 証 研 究 において 比 較 対 照 となってきた 様 々な 就 労 支 援 モデルとの 対 比 によって、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルの 特 徴 を 明 確 にすることが 適 当 である。なお、 各 就 労 支 援 モデルに 該 当 する 具 体 的 取 組 は 巻 末 資 料 2に 示 す。(1) 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルの 具 体 的 内 容本 章 で 検 証 した「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルの 実 施 にあたっては、 多 くの 支 援 機 関 が、SAMHSA の EBP ツールキットの「 援 助 付 き 雇 用 」 適 合 性 尺 度 (あるいは、 同 内 容 の IPS 適 合 性 尺 度 )を 実施 基 準 としていた。 適 合 性 尺 度 の 項 目 には「 職 業 準 備 性 モデル」と「 援 助 付 き 雇 用 モデル」を 区 別 する 項 目と、「 医 療 との 統 合 」の 具 体 的 内 容 についての 項 目 として 整 理 でき、この 両 面 に 適 合 性 がないと、 就 業 成 果 が達 成 されていなかった。ア 援 助 付 き 雇 用 モデルを 特 徴 づける 項 目次 のような 内 容 は、 職 業 準 備 性 モデルと 区 別 される、 援 助 付 き 雇 用 モデルの 特 徴 を 明 確 にしたものと 考 えられる。これらは、わが 国 の 知 的 障 害 者 等 のジョブコーチ 支 援 でも 重 視 される 項 目 である。 例 えば、「 就 労 支援 の 職 業 準 備 性 による 除 外 なし(B-3)」や「 一 般 就 業 への 具 体 的 取 組 の 重 視 (C-2)」も、 従 来 、 就 労 を 希 望 しながらも 就 労 支 援 を 受 けられないことが 多 かった 精 神 障 害 者 も 就 労 支 援 の 対 象 とすることを 意 味 している。• 就 労 支 援 担 当 者 による、 就 職 前 から 就 職 後 の 包 括 的 な 就 労 支 援 (A-2,A-3)• 就 労 支 援 者 のグループ( 情 報 共 有 、スーパービジョン 等 )(B-2)• 就 労 支 援 の 職 業 準 備 性 による 除 外 なし(B-3)• 実 際 の 職 業 場 面 でのアセスメント(C-1)• 一 般 就 業 への 具 体 的 取 組 の 重 視 (C-2)• 本 人 の 興 味 ・ 強 み・ニーズに 基 づく 就 職 活 動 支 援 (C-3)• 多 様 な 一 般 就 業 の 選 択 肢 の 提 供 (C-4,C-5)• 職 場 における 支 援 と 事 業 主 支 援 (C-7)、 地 域 での 就 労 支 援 (C-8))、 等イ 就 労 支 援 と 医 療 との 統 合 を 特 徴 づける 項 目EBP の 実 証 研 究 では、 特 に、 医 療 関 係 者 と 就 労 支 援 関 係 者 のコミュニケーションやチームによる 支 援 体 制の 有 無 や 支 援 局 面 としての 非 就 労 者 へのアウトリーチや 就 職 後 の 継 続 的 支 援 が「 医 療 との 統 合 」の 具 体 的 な指 標 となっていた。 具 体 的 には、 次 のような 内 容 が、 医 療 と 統 合 された 就 労 支 援 と、そうでない、 就 労 支 援あるいは 医 療 ・ 生 活 支 援 それぞれの 取 組 、あるいは、 段 階 的 ・ 並 行 的 な 連 携 の 取 組 を 区 別 するための 項 目 と考 えられる。• 精 神 保 健 のケースマネジメントと 就 労 支 援 者 のチーム(B-1)• 就 職 後 も 継 続 する 事 業 主 と 本 人 への 支 援 (C-6)• 全 ての 患 者 への 就 労 への 働 きかけ、 関 係 づくり、 励 まし(C-8)-35- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューさらに、 近 年 の 研 究 では、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルでも、 単 純 にこれらの 組 織 面 や 支 援 局面 の 適 合 性 尺 度 を 満 たす 支 援 よりも、より 具 体 的 な、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)や 家 族 心 理 教 育 (FPE)、あるいは、 認 知 訓 練 、 社 会 生 活 技 能 訓 練 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 との 統 合 による 成 果 の 向 上 が 示 されていた。(2) 比 較 対 照 となっている 様 々な 就 労 支 援 モデル「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデル 以 外 の 就 労 支 援 モデルとしては、 具 体 的 に 次 のようなものがあった。これらは、わが 国 においても、 様 々な 類 似 した 取 組 がみられる。ア 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル重 度 精 神 障 害 者 が 最 も 接 点 をもっているのが 精 神 科 医 療 機 関 であり、 歴 史 的 に 地 域 の 職 業 リハビリテーション 機 関 との 接 点 も 少 ない 中 で、 治 療 と 生 活 支 援 を 中 心 として 職 業 準 備 性 を 高 め、 本 人 が 自 ら 就 職 活 動 ができる 段 階 にまで 支 援 をしていくという 就 労 支 援 モデルである。 職 業 準 備 性 を 高 めるために 動 機 づけ 支 援 、社 会 技 能 訓 練 、 家 族 支 援 等 を 実 施 している 場 合 や、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 の 対 象 となっている 場 合 もあった。実 際 には、 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 的 就 労 支 援 の 対 象 となりにくく、 授 産 施 設 やデイケア 等 の 福 祉 的 就労 の 段 階 が 多 かったり、 就 労 支 援 よりも 生 活 支 援 が 主 要 な 支 援 課 題 となっている 場 合 が 多 い。イ 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル米 国 における 重 度 障 害 者 への 職 業 リハビリテーションは 基 本 的 に「 援 助 付 き 雇 用 」モデルによることから、就 職 前 から 就 職 後 までの 個 別 的 で 継 続 的 な 支 援 が 提 供 される。また、 重 度 精 神 障 害 者 にとって 医 療 との 関 係は 不 可 欠 であるため、 常 に 医 療 的 支 援 は 受 けることになる。しかし、そのような 支 援 を 担 当 する 医 療 機 関 側と、 就 労 支 援 側 の 間 に 十 分 なコミュニケーションがない 場 合 が、この 就 労 支 援 モデルに 該 当 する。したがって、「 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 」モデルは、 実 際 には、 医 療 機 関 側 の 治 療 や 生 活 支 援 と、 地 域 の職 業 リハビリテーションサービスが 十 分 な 連 携 なしに、 段 階 的 あるいは 並 行 的 に 支 援 するタイプの 就 労 支 援である。 実 証 研 究 においては、 週 2~4 日 の 共 同 ミーティングや 情 報 共 有 では、 医 療 と 就 労 支 援 の 統 合 は 低いと 見 なされていた。ウ 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル重 度 精 神 障 害 者 にとって 医 療 との 関 係 は 不 可 欠 であるため、 実 証 研 究 において、 比 較 対 照 としても「 医 療と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル」での 就 労 支 援 は 少 ない。しかし、 近 年 の 精 神 科 医 療 や 生 活 支 援 の 進歩 を 十 分 に 反 映 していない、 一 般 的 な 地 域 の 福 祉 的 就 労 プログラム、 地 域 の 福 祉 サービス 等 しか、 重 度 精 神障 害 者 に 対 して 提 供 されていない 場 合 について、 比 較 対 照 の 従 来 型 の 就 労 支 援 モデルとしている 研 究 もあった。4 わが 国 における 検 討 課 題精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 について、わが 国 においても 従 来 から、 労 働 機 関 側 からは 医 療 や 生 活 支 援 との 連 携の 重 要 性 が 明 らかであったし、 一 方 、 医 療 機 関 側 での 就 労 支 援 への 取 組 も 活 発 になっていた。 重 度 精 神 障 害者 に 対 して、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 取 組 が 重 要 であることは、わが 国 においても、 労 働機 関 側 と 医 療 機 関 側 の 共 通 認 識 として 明 確 にされるべきものであろうが、わが 国 の 状 況 を 踏 まえた 検 討 課 題もある。-36- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー(1) 労 働 機 関 側 への EBP の 理 解 の 促 進 ( 医 療 との 統 合 的 支 援 の 重 要 性 )わが 国 では、EBP としての IPS は 医 療 機 関 側 で 先 に 取 り 組 まれ、 主 に 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 としての紹 介 であったため、 医 療 機 関 における 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 等 の 職 業 準 備 性 モデルによる 就 労 支 援 に 対 して「 職業 準 備 性 モデル vs. 援 助 付 き 雇 用 モデル」という 軸 での 強 調 が 多 い。しかし、IPS について「 迅 速 な 職 探 し」等 の 援 助 付 き 雇 用 の 軸 が 強 調 されるだけでは、 就 職 できたとしても 体 調 を 崩 したり 人 間 関 係 を 悪 化 させて 退職 させることは、 本 人 へのダメージ、 企 業 への 負 担 、さらに、 支 援 者 の 信 頼 性 の 低 下 につながる。 米 国 などでは、 退 職 を 前 向 きな 選 択 としてとらえ、すぐに 次 の 仕 事 を 探 して 就 職 する 傾 向 があるが、わが 国 では 就 業継 続 がより 重 視 される。 労 働 機 関 側 では、 従 来 型 の 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 限 界 の 中 で、 疾 患 管 理 や 生 活 支援 等 の 重 要 性 が 意 識 されるため 共 通 認 識 が 困 難 になりやすかったと 考 えられる。その 意 味 でも、わが 国 においては、 職 場 定 着 の 効 果 も 高 める、 医 療 との 統 合 の 軸 を 含 めて 総 合 的 に 紹 介 することが 必 要 である。 特 に、 既 に 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 就 労 支 援 が 一 般 的 である 労 働 機 関 向 けには、IPSは「 医 療 的 支 援 との 統 合 の 強 vs. 弱 」という 軸 を 強 調 し、 医 療 的 支 援 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 としてその 内容 を 明 確 にすることが 重 要 である。(2) 労 働 と 医 療 の 連 携 のより 一 層 密 接 な 連 携 の 必 要 性重 度 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 においては、 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 統 合 が 成 功 の 重 要 なポイントであることが 一 貫 して 示 されているが、その「 統 合 」の 要 件 は 具 体 的 には、 就 労 支 援 者 と 医 療 ・ 生 活 支 援 者 が 同一 のチームして 密 接 なコミュニケーションによって 支 援 することが 求 められている。これは、 重 度 精 神 障 害者 においては、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 課 題 が 複 合 的 であり 統 合 的 な 支 援 が 不 可 欠 なことを 反 映 している。わが 国 においても、 労 働 機 関 と 医 療 機 関 の 統 合 的 な 支 援 を 可 能 とする 体 制 や、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 具 体 的 な役 割 分 担 のあり 方 についても、 今 後 検 討 が 必 要 である。必 要 とされる 統 合 的 な 支 援 体 制 のためには、 米 国 においては、 医 療 チームが 雇 用 専 門 家 を 雇 う 形 が 歴 史 的に 多 く、わが 国 における IPS も 医 療 機 関 に 就 労 支 援 者 を 置 く 形 での 取 組 が 多 い。しかし、 米 国 でもカスタマイズ 就 業 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №80 参 照 )の 取 組 では、ワンストップセンター(わが国 のハローワークに 相 当 )を 中 核 として 医 療 機 関 との 密 接 なケースワークにより、 効 果 的 な 精 神 障 害 者 への就 労 支 援 を 実 現 している 例 もある。わが 国 においても、チーム 支 援 等 のケースワーク 方 式 で 個 別 的 継 続 的 に多 職 種 が 連 携 する 等 、 様 々な 連 携 の 形 態 が 検 討 される 必 要 があろう。また、EBP として、 就 労 支 援 との 統 合 の 効 果 が 確 認 されている 医 療 ・ 生 活 支 援 は、 疾 患 管 理 については、服 薬 ・ストレス 対 処 を 含 む 本 人 の 自 己 管 理 や 目 標 設 定 を 重 視 した 個 別 的 ・ 継 続 的 な 支 援 となっている。また、生 活 支 援 は、 当 事 者 が 地 域 で 生 活 することを 前 提 とした 他 職 種 チームによる 包 括 的 支 援 であり、 給 付 に 関 する 相 談 も 福 祉 支 援 だけで 実 施 されるのではなく 就 労 支 援 と 一 体 的 に 実 施 することで 高 い 就 業 成 果 に 結 びついている。 家 族 支 援 では 家 族 も 重 要 な 治 療 パートナーとして 取 り 組 むための 教 育 やグループセッションを 重 視している。これらは「 医 療 との 連 携 」における 医 療 側 の 取 組 の 重 要 性 を 示 している。-37- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー第 6 節 文 献デイケアとの 比 較• Becker, DR, Bond, GR, McCarthy, D, Thompson, D, Xie, H, McHugo, GJ, and Drake, RE (2001).Converting day treatment centers to supported employment programs in Rhode Island. PsychiatricServices, 52(3), 351-357.• Baily, EL, Ricketts, SK, Becker, DR, Xie, H, and Drake, RE (2004). Do long-term day treatmentclients benefit from supported employment? Psychiatric Rehab J, 22(1), 24-29.従 来 型 支 援 との 比 較• Bond, GR, Drake, RE, and Becker, DR (2008). An update on randomized controlled trials ofevidence-based supported employment. Psychiatric Rehab J, 31(4), 280-290.• Wong, KK, Chiu, R, Tang, B, Mak, D, Liu, J, and Chiu, SN (2008). A randomized controlled trial of asupported employment program for persons with long-term mental illness in Hong Kong.Psychiatric Services, 59(1), 84-90.• Howard, LM, Heslin, M, Leese, M, McCrone, P, Rice, C, Jarrett, M, Spokes, T, Huxley, P, andThornicroft, G (2010). Supported employment: randomized controlled trial. The British Journal ofPsychiatry, 196, 404-411.医 療 サービスと 就 労 サービスの 統 合• Cook, JA, Lehman, AF, Drake, RE, McFarlane, WR, Gold, PB, Leff, HJ, Blyler, C, Toprac, M G,Razzano, LA, Burke-Miller, JK, Laura Blankertz, L, Shafer, M, Pickett-Schenk, SA, and Grey, DD(2005). Integration of Psychiatric and Vocational Services: A Multisite Randomized, Controlled Trialof Supported Employment. Am J Psychiatry, 162(10), 1948-1956.給 付 カウンセリングと 就 労 支 援 の 統 合• Tremblay,T, Smith, J, Xie, H,and Drake, RE (2006). Effect of benefits counseling services onemployment outcomes for people with psychiatric disabilities, Psychiatric Services, 57, 816-821.ACTと 就 労 支 援 の 統 合• Furlong, M, McCoy, ML, Dincin, J, Clay, R, McClory, K, and Pavick, D (2002). Jobs for people withthe most severe psychiatric disorders: Thresholds bridge north pilot. Psychiatric Rehab J, 26(1), 13-22.• Gold, PB, Meisler, N, Santos, AB, Carnemolla, MA, Williams, OH, and Keleher, J (2006).Randomized trial of supported employment integrated with assertive community treatment forrural adults with severe mental illness. Schizophrenia Bulletin, 32(2), 378-395.SSTと 就 労 支 援 の 統 合• Tsang, HWH, Chan, A, Wong, A, and Liberman, RP (2009). Vocational outcomes of an integratedsupported employment program for individuals with persistent and severe mental illness. Journal ofBehavior Therapy and Experimental Psychiatry, 40, 292-305.認 知 訓 練 と 就 労 支 援 の 統 合• McGurk, SR, Mueser, KT, Feldman, K , Wolfe, R, and Pascaris, A (2007). Cognitive training forsupported employment: 2-3 year outcomes of a randomized controlled trial. Am J Psychiatry, 164(3),437-441.家 族 心 理 教 育 と 就 労 支 援 の 統 合• McFarlane, WR, Dushay, RA, Deakins, SM, Stastny, P, Lukens, EP, Toran, J, and Link, B (2000).Employment outcomes in family-aided assertive community treatment. Am J Psychiatry, 70(2),203-214.• Ran, MS, Xiang, MZ, Chan, CLW, Leff, J, Simpson, P, Huang, MS, Shan, YH, and Li, SG (2000).Effectiveness of psychoeducational intervention for rural Chinese families experiencingschizophrenia. Social Psychiatry Psychiatric Epidemiology, 38, 69-75.-38- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー第 3 章 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 についての国 内 文 献 レビュー第 1 節 はじめに第 2 章 で 概 観 したとおり、 海 外 の 実 証 研 究 の 集 積 により、 重 度 精 神 障 害 のある 人 に 対 して、 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル、あるいは、 医 療 と 統 合 されていても 職 業 準 備 性 モデルでの 就 労 支 援 では、十 分 な 就 労 支 援 成 果 が 上 げられないのに 対 して、 精 神 科 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルは、 一 貫 して高 い 一 般 就 業 と 職 場 定 着 の 成 果 を 示 していることが 明 らかとなった。また、その 具 体 的 な 内 容 について、 適合 性 尺 度 によって、 医 療 関 係 者 と 就 労 支 援 者 の 連 携 、チームとしてのコミュニケーション 体 制 の 要 件 、また、具 体 的 な 支 援 場 面 や 支 援 内 容 等 が 明 確 にされている。このような 医 療 との 統 合 や、 援 助 付 き 雇 用 モデルで 示される 就 職 前 から 就 職 後 までの 個 別 的 継 続 的 支 援 の 重 要 性 は、 精 神 障 害 の 疾 患 や 障 害 の 特 性 からも 合 理 的 に理 解 できるものである。これまでわが 国 では、これに 対 応 するような 実 証 研 究 は 十 分 に 実 施 されていないが、その 一 方 で、 精 神 障害 のある 人 が 仕 事 に 就 き 継 続 するために 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 的 な 就 労 支 援 と 医 療 との 密 接 な 連 携 が重 要 であることは、わが 国 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 においても 十 分 認 識 されてきた。また、 雇 用 支 援 側だけでなく、 医 療 機 関 等 においても、 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 取 組 が 多 く 報 告 されている。そのような 取組 には、EBP への 準 拠 を 謳 うものだけでなく、わが 国 の 医 療 や 生 活 支 援 の 現 場 から 発 展 してきたものも 多 くある。EBP について、 特 定 の 支 援 プログラムとしてではなく、 精 神 障 害 のある 人 の 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 の 両 立 を支 えるための 基 本 的 な 就 労 支 援 モデルを 機 能 的 に 明 らかにしたものとして 捉 えれば、わが 国 の 成 功 している就 労 支 援 の 内 容 と、EBP の 要 素 には 当 然 関 連 性 が 期 待 できる。 逆 に、わが 国 の 医 療 機 関 における 様 々な 就 労支 援 の 取 組 について、EBP として 網 羅 的 に 整 理 されてきた 項 目 によって 整 理 することによって、わが 国 の 医療 機 関 における 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 特 徴 を 明 らかにすることも 期 待 できる。第 2 節 目 的本 章 では、わが 国 の 医 療 機 関 等 において 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 として 効 果 が 報 告 されている 具 体 的な 内 容 を 把 握 し、 国 際 的 に EBP と 認 められている 内 容 との 関 連 を 明 らかにし、わが 国 の 医 療 機 関 における 精神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 特 徴 を 明 らかにすることを 目 的 とした。第 3 節 方 法わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 から 文 献 等 で 報 告 されている 就 労 支 援 と 医 療 / 生 活 支 援 の 具 体 的 内 容 を、EBP 適合 性 尺 度 項 目 を 活 用 して、 網 羅 的 に 分 類 した。-39- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー1「 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 」の 範 囲本 研 究 では、 精 神 障 害 者 ( 統 合 失 調 症 と 気 分 障 害 など)の 就 労 支 援 の 内 容 として、 幅 広 く、 就 職 前 の 準 備から 就 職 までの 支 援 、さらに、 就 業 継 続 の 支 援 、あるいは、 気 分 障 害 等 の 場 合 に 多 い 復 職 支 援 や 就 業 中 の 再発 防 止 の 支 援 を 含 めた。2 就 労 支 援 に 関 連 する 医 療 ・ 生 活 支 援 の 範 囲就 業 成 果 に 関 連 する 主 要 な EBP としては、「 援 助 付 き 雇 用 (SE 又 は IPS)」だけでなく、「 包 括 型 地 域 支援 (ACT)」「 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)」「 家 族 心 理 教 育 (FPE)」を 含 めた。ただし、これらの EBP の 全 体 への 取 組 や、 報 告 における EBP への 言 及 にはかかわらず、それぞれの EBPの 適 合 性 尺 度 に 含 まれる 個 々の 取 組 に 対 応 する 支 援 内 容 を 把 握 した。 適 合 性 尺 度 は、 米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依存 精 神 保 健 サービス 部 (SAMHSA)の EBP ツールキットによった。3 文 献 検 索文 献 検 索 データベース(NDL-OPAC: 国 立 国 会 図 書 館 蔵 書 検 索 システム)により、2005 年 以 降 のわが 国の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 の 文 献 を 検 索 した。 検 索 語 は、「 就 労 支 援 」「 医 療 機 関 」「リワーク」「デイケア」「EBP」「 家 族 療 法 」「 認 知 行 動 療 法 」などの 複 合 とし、 得 られた 文 献 から 該 当 文 献 を 選 択 した。第 4 節 結 果1 抽 出 文 献 の 概 要医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 を 報 告 している 28 文 献 ( 章 末 にリスト 掲 載 )を 抽 出 し、 言 及 されている 支 援内 容 について、 援 助 付 き 雇 用 の 適 合 性 尺 度 項 目 の「スタッフ」に 該 当 するものが 18 文 献 、「 組 織 」が 19 文 献 、「サービス」が 22 文 献 あった。また、 包 括 的 地 域 生 活 支 援 (ACT)の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 する 言 及 は9 文献 、 疾 患 自 己 管 理 支 援 (IMR)は 10 文 献 、 家 族 心 理 教 育 (FPE)が7 文 献 であった。2 医 療 機 関 等 での「 援 助 付 き 雇 用 」への 取 組表 3-4-1、 表 3-4-2 に、 援 助 付 き 雇 用 の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 従 い、わが 国 の 医 療 機 関 等 で 実 施 されている取 組 内 容 を 整 理 したものを 示 す。表 3-4-1 に 示 すように、 医 療 機 関 において 専 任 の 就 労 支 援 スタッフを 置 いているのは、IPS を 実 施 している 機 関 がほとんどであった。 保 健 医 療 と 就 労 支 援 スタッフのチームの 形 態 としては、IPS での 病 院 内 でのチームや 情 報 共 有 以 外 に、 地 域 でのハローワークスタッフ 等 との 密 接 な 連 携 があった。ただし、 医 療 機 関 中 での 就 労 支 援 者 のスーパービジョン 等 のユニットとしての 体 制 の 報 告 はわずかであり、 外 部 就 労 専 門 家 のスーパーバイズを 受 けている 例 もあった。また、 就 労 支 援 対 象 者 の 除 外 基 準 がないと 報 告 していたのは IPS 実 施機 関 以 外 ではなかった。-40- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー表 3-4-1 「 援 助 付 き 雇 用 」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組 (1)A スタッフA-1 専 任 の 就 労 支 援 者1)・ 就 労 支 援 専 門 家 は、 全 就 労 過 程 のジェネラリストであり、 就 労 サービスのみを 提 供・ 院 内 調 整 (スタッフ 増 員 、 従 来 業 務 の 縮 小 ・ 簡 素 化 など)によって、 就 労 支 援 担 当 者 がハローワーク、 事 業 所 を 訪 問2)、3)できる 体 制 を 整 え、 個 別 面 接 、 訪 問 活 動 の 重 視 を 実 現・ 作 業 療 法 士 の「ジョブアドバイザー」が 訓 練 場 面 から 就 労 に 至 るまで 一 貫 した 支 援 を 行 う 4)A-2 包 括 的 な 就 労 支 援 (アウトリーチ、アセスメント、 就 職 支 援 、フォローアップ)・ 職 業 カウンセリング、 職 場 開 拓 、 求 職 活 動 、 継 続 ・ 同 行 支 援 、 関 係 者 ・ 資 源 への 広 報 とネットワーク 構 築 などを 行 う 1)、B 組 織2)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)B-1 精 神 保 健 援 助 とリハビリテーションの 統 合• 同 一 機 関 内 の 多 領 域 チームによる 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービス・ 本 人 が 体 調 を 崩 したり 精 神 症 状 に 変 化 が 見 られたときに、ケースマネージャーが 保 健 医 療 サービスの 量 を 迅 速 に 増やすなど 臨 機 応 変 に 対 応 できたことで、1 年 を 超 える 週 20 時 間 雇 用 の 継 続 に 貢 献 した 1)・ 就 労 支 援 担 当 者 に 加 え、 多 職 種 チームによるサポート( 作 業 療 法 士 : 運 動 、ケアマネ:グループダイナミクス、 看 護師 : 委 託 訓 練 、 医 療 観 察 法 、 健 康 、 心 理 教 育 、 臨 床 心 理 技 術 者 :WRAP、 精 神 保 健 福 祉 士 : 家 族 支 援 )のケースマネジャー 機 能 を 強 化 し、デイケアで、 個 別 就 労 支 援 を 行 っている 3)• 同 一 機 関 内 における、 就 労 支 援 と 医 療 の 共 通 ( 電 子 )カルテ、 密 接 なコミュニケーション・ 就 労 支 援 と 医 療 の 共 通 カルテ(データベース 上 の 日 々の 臨 床 記 録 、シフトマネージャーノート、リカバリープラン、 職 業 関 連 のアセスメントプロフィール 1) 、 就 労 支 援 情 報 が 全 て 記 載 されている 電 子 カルテ 2)、14) など)・ 就 労 支 援 担 当 者 が、チームメンバー( 主 治 医 、デイケアスタッフ、 精 神 保 健 福 祉 士 など)と 就 労 ミーティングやケース会 議 、 日 常 的 コミュニケーション、カルテ 記 載 で、 情 報 共 有 をスムーズにすることにより、 就 労 状 況 に 合 わせたよりよい 薬 物 療 法 が 可 能 となる 2)、14)• 医 療 機 関 と 外 部 機 関 ( 労 働 機 関 等 )との 密 接 な 連 携・ハローワークの 担 当 職 員 と 医 療 機 関 のスタッフ 間 の 密 接 な 連 携 : 毎 年 行 われる 精 神 障 害 者 ジョブガイダンス 事 業 、ハローワーク 専 門 援 助 部 門 との 連 携 ・ 情 報 のやり 取 り( 個 々の 患 者 のハローワーク 利 用 状 況 を 含 む)、 企 業 の 情 報提 供 、 企 業 のクリニック 見 学 ( 訓 練 中 の 患 者 の 様 子 等 )。 5)・ 労 働 機 関 と 医 療 機 関 の 合 同 のケース 会 議 16)・ハローワーク、 職 業 センター、 当 事 者 、 支 援 者 での 調 整 会 議 などによる 連 携 ( 職 業 的 課 題 の 確 認 、 個 別 の 職 場 開拓 、 心 理 サポートによる 後 方 支 援 ) 17)・ 地 域 の 関 係 機 関 とのネットワークの 構 築 ・ 維 持 : 福 祉 施 設 、 企 業 、 障 害 者 就 労 支 援 センター、ハローワーク、 特 別 支援 学 校 、 当 事 者 などによるネットワーク、 研 究 会 、メーリングリスト 等 10)、12)、14) 。• 同 一 機 関 内 において 提 供 される 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービス( 詳 細 不 明 )・ 精 神 保 健 と 就 労 支 援 の 両 サービスを、 同 一 の 機 関 内 で 提 供 5) 、 7) 、 8) 、 9) 、 10) 、 12) 、 14) 、 17) 、 18)・ 通 院 患 者 の 就 労 支 援 や 復 職 支 援 、 作 業 所 や 他 機 関 との 連 携 などに 関 しては、 臨 床 心 理 士 が 心 理 検 査 や 心 理 療 法といった 中 心 となる 業 務 と 連 続 した 支 援 として 位 置 づけ 取 組 んでいる。 16)B-2 就 労 支 援 者 のグループ( 情 報 共 有 、スーパービジョン 等 )・ 就 労 支 援 は、 自 機 関 のスタッフが 主 に 担 当 する 1)、 2) 、 3) 、 4) 、 5) 、 6) 、 7) 、 8) 、 9) 、 10) 、 11) 、 12) 、 13) 、 14) 、 14) 、 16) 、 17) 、 18)・ 就 労 専 門 家 同 士 が 週 1 回 のミーティングで 職 場 開 拓 の 情 報 を 共 有 する 等 して 連 携 を 確 保 1)・ 外 部 の 職 業 リハ 専 門 家 が 毎 月 、 利 用 者 全 員 の 個 別 支 援 の 進 捗 状 況 のスーパーバイズを 実 施 19)B-3 就 労 支 援 対 象 者 の 除 外 基 準 なし・ 就 労 支 援 には 希 望 者 全 員 が 参 加 可 能 で、 職 業 準 備 性 、 職 歴 、 入 院 歴 、 症 状 等 での 除 外 はない 2)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 示 されているもの。)-41- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー表 3-4-2 「 援 助 付 き 雇 用 」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組 (2)C サービスC-1 実 際 の 職 場 や 仕 事 内 容 での 職 業 アセスメント・ジョブコーチ 付 の 就 労 前 実 習 で、 職 場 ・ 担 当 者 ・ 現 場 の 問 題 把 握 と 修 正 2) 、 3 )、 4) 、 7) 、 9 )、 10 )、 14 )、 15 )、 18 )・リワークデイケアの 場 において、 模 擬 的 な 就 労 場 面 での 職 業 評 価 4 )、 20 )、 21 )・「うつ 病 リターンワークコース」: 復 職 支 援 において 事 業 所 支 援 と 一 体 的 に 本 人 の 状 況 を 評 価 22 )C-2 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 活 動 への 迅 速 な 取 組・ 迅 速 な 職 探 し 13) : 本 人 のモチベーション 維 持 ・ 向 上 、 支 援 者 との 信 頼 関 係 の 構 築 に 有 益 2)・ 雇 用 主 とできるだけ 早 くコンタクトをとり、 職 場 見 学 で 具 体 的 な 仕 事 内 容 を 知 り、 通 勤 方 法 、 仕 事 内 容 などについても 具 体 的 に 交 渉 / 支 援 を 開 始 2)・ 履 歴 書 作 成 や 就 職 面 接 等 、 就 労 活 動 中 の 様 々な 課 題 に 対 するきめ 細 かな 支 援 2) 、 12) 、 13 、 18)C-3 本 人 の 興 味 、 経 験 、 能 力 、ニーズに 基 づく 個 別 的 な 就 職 活 動 支 援・ 本 人 の 夢 、 大 切 にしていること、 職 業 上 の 目 標 などを 丁 寧 にすくいあげ 2)、 6) 、 職 場 実 習 において 色 々な 職 種 への適 性 を 明 確 化 7) し、 希 望 の 仕 事 内 容 や 働 くイメージをより 具 体 化 6) 、 7)・ 関 係 作 りも 兼 ね、 本 人 と 自 宅 付 近 で 昼 食 をとるなど 共 通 の 時 間 を 過 ごす 中 で、 友 人 も 多 く、 明 るく 朗 らかで 健 康 的な 本 人 に 触 れ、 開 拓 する 職 場 のイメージかどんどん 膨 らんでいった。 6)・オープン・クローズにかかわらず、 仕 事 内 容 ・ 労 働 環 境 を 本 人 に 合 わせる 14)・ 本 人 、 支 援 者 、ハローワーク、 職 業 センターでの 調 整 会 議 によって 職 歴 と 退 職 理 由 を 検 討 し、 本 人 に 適 合 し 定 着を 視 野 に 入 れた 職 場 条 件 を 検 討 し 職 場 開 拓 17)C-4 多 様 な 職 業 、 常 勤 の 仕 事 の 選 択 肢 の 提 供・ 多 様 な 選 択 肢 を 示 すにあたり、ハローワーク、 求 人 広 告 、フリーペーパー、インターネット、 縁 故 ( 友 人 、 家 族 、 他 就13)労 支 援 者 など)、 街 の 張 り 紙 等 を 活 用・ 支 援 者 が「 当 事 者 ができそうな 仕 事 は 何 か?」と 常 に 意 識 をしながら、 日 常 的 に 求 人 検 索 12)・ 支 援 スタッフが 職 場 開 拓 により 就 職 に 結 び 付 ける 7) 。 人 事 担 当 者 と 顔 見 知 りになり 募 集 の 連 絡 を 入 れてもらう 10) 。 企業 ( 企 業 を 核 とした 支 援 ネットワーク)から 企 業 を 紹 介 してもらうことで 就 職 率 が 上 がる 14)C-5 退 職 が 適 当 な 場 合 の 退 職 時 の 支 援 と 再 就 職 支 援・ 退 職 時 の 話 し 合 いや 退 職 のあいさつの 際 に 職 場 に 同 行 して 心 理 的 にサポート 13)6)、13)、14)・ 退 職 ( 自 己 都 合 含 む)の 気 持 ちの 共 有 ・ 整 理 ・ 振 返 り、 失 敗 と 捉 えず 次 に 活 かす 姿 勢 で 支 援・ 産 業 医 - 主 治 医 の 連 携 が 円 滑 であれば、 失 業 という 喪 失 体 験 からの 再 燃 や 自 殺 へのリスクマネージメント、 本 人 が23)失 業 という 困 難 な 現 実 を 受 容 する 上 でより 適 切 にサポート 可C-6 就 職 後 も 継 続 する 事 業 主 と 本 人 への 支 援2)、14)・ 就 労 の 妨 げとなる 副 作 用 の 少 ない、 就 労 形 態 に 合 わせた 服 薬 しやすい、 処 方 内 容・ 職 場 担 当 者 に 対 して、 順 調 な 職 場 適 応 を 進 めるための 情 報 提 供 や 支 援 5)、12)、15)、16)、18)・ 定 期 的 ・ 随 時 に 患 者 の 職 場 での 不 安 ・ 課 題 や 体 調 の 相 談 にのる 14)・ナイトケア 併 設 のため、 平 日 夜 8 時 まで 就 労 支 援 部 で 就 労 面 談 ができる。 就 職 間 もない 人 は 毎 日 のように 仕 事 帰 りに 相 談 したり、 仲 間 たちと 語 り 合 いリフレッシュして 翌 日 の 仕 事 に 向 かう 人 が 多 い 5)・ 就 職 / 復 職 後 の 体 調 悪 化 への 準 備 として、 職 場 ・ 本 人 ・ 家 族 ・ 関 係 機 関 等 から 連 絡 が 入 る 体 制8)、10)や 迅 速 に 対 応6)、12)できる 連 携 体 制 の 構 築・ 就 労 している 患 者 が 集 まれる 場 として、ナイトケア、 日 曜 日 のデイケア 5) 、「 定 着 支 援 グループ」 17)・ 産 業 医 と 主 治 医 の 連 携 : 復 職 ・ 休 職 の 判 断 、 治 療 中 の 転 職 や 辞 職 の 回 避 、 人 事 労 務 担 当 者 の 負 担 軽 減 、 産 業 医が 病 気 や 服 薬 状 況 による 仕 事 上 のミスや 職 務 制 限 等 への 配 慮 の 検 討 に 資 する 23)・ 就 職 先 の 企 業 とも 緊 密 な 連 携 を 行 っている。 12)24)・EAP 機 関 と 看 護 師 、 人 事 労 務 担 当 と 管 理 職 が 連 携 、 積 極 的 に 予 防 ・ 職 場 ストレスに 対 処-42- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビューC-7 施 設 内 でなく 地 域 をベースに 就 労 支 援 を 行 う・ 訪 問 型 個 別 就 労 支 援 は、インテーク、アセスメント、 支 援 計 画 作 成 まで 施 設 外 での 実 施 が 原 則 11)・ 自 機 関 内 は 相 談 室 のみのため、 企 業 数 社 と 契 約 し 企 業 内 でアセスメントや 模 擬 就 労 、 体 験 実 習 15)C-8 全 ての 患 者 への 就 労 への 働 きかけ、 関 係 作 り、 励 まし・ 就 労 セミナー 等 を 実 施 15 )、 18) し、 就 労 している 先 輩 の 体 験 談 14 ) から 見 通 しを 得 て、グループワークでの 挫 折 体 験 の 修 復 、メンバーからの 職 場 選 択 のアドバイスなどから、 就 労 がより 身 近 なものとなる 8)・ 仕 事 について 相 談 したり、 気 軽 に 話 したりできる 人 間 関 係 の 構 築 14)・ 医 療 機 関 への 就 労 支 援 機 関 からのアウトリーチ 受 入 5 )、 15 ) は、 就 労 希 望 者 だけでなく、「 就 労 は 無 理 」としていた方 々にも、 就 労 を 目 指 すきっかけや、 治 療 や 社 会 復 帰 の 過 程 に 対 してプラスの 影 響 15 )・ 就 労 することに 伴 う 生 活 の 変 化 、 生 活 保 護 や 障 害 年 金 等 の 経 済 的 問 題 について 本 人 と 検 討 11) 、 14) 、 就 労 支 援 担当 者 は、 障 害 年 金 ・ 生 活 保 護 担 当 者 とチームになりながら 経 済 的 相 談 を 提 供 2)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 示 されているもの。)サービス 内 容 ( 表 3-4-2)については、「 実 際 の 職 場 での 職 業 アセスメント」はジョブコーチ 支 援 と 連 携 しての 取 組 の 他 、 復 職 支 援 の 取 組 がみられた。「 就 職 活 動 への 迅 速 な 取 組 」としては 迅 速 に 職 場 とコンタクトすることによる 本 人 のモチベーションや 職 場 の 状 況 の 情 報 収 集 の 意 義 が 報 告 されていた 他 、 履 歴 書 作 成 や 面 接練 習 の 支 援 、 就 職 活 動 中 の 課 題 解 決 支 援 があった。「 本 人 の 興 味 等 に 基 づく 個 別 就 職 活 動 支 援 」では、 医 療 場面 での 疾 患 だけでない 本 人 の 夢 や 希 望 等 の 把 握 や、 本 人 に 合 った 仕 事 内 容 の 検 討 がハローワーク 等 の 共 同 会議 で 検 討 される 例 があった。「 一 般 就 業 への 多 様 な 選 択 肢 の 提 供 」では 医 療 場 面 において 労 働 市 場 の 状 況 を 広く 把 握 し 選 択 肢 を 広 げる 取 組 がみられた。「 退 職 時 の 支 援 」も 心 理 的 に 支 える 取 組 や 失 敗 体 験 による 危 機 的 状況 を 主 治 医 と 産 業 医 の 連 携 で 支 える 例 が 報 告 されていた。また、「 就 職 後 の 継 続 的 な 支 援 」では、 就 職 後 の 体調 悪 化 を 想 定 し、 事 前 準 備 、 連 絡 体 制 、 継 続 的 相 談 等 が 実 施 され、また、 就 労 している 人 の 医 療 機 関 や 相 談の 利 用 をしやすくする 取 組 が 報 告 されていた。さらに、 職 場 への 助 言 等 に 取 り 組 んだり、 産 業 医 と 連 携 した職 場 での 支 援 の 例 も 報 告 されていた。 医 療 機 関 での 支 援 は 施 設 中 心 が 多 いが「 地 域 の 中 での 就 労 支 援 」への取 組 も IPS 実 施 機 関 ではみられた。さらに、 患 者 に 対 して 医 療 機 関 としての「 就 労 への 働 きかけ、 関 係 づくり、 励 まし」につながる 就 労 セミナーや 就 職 した OB との 交 流 の 実 施 や、 労 働 機 関 のアウトリーチを 受 け 入れている 例 もみられた。わが 国 の 医 療 機 関 での 就 労 支 援 として 報 告 されているが、EBP に 該 当 しないものとしては、 職 業 準 備 性 モデルによる 取 組 が 見 られた。2 その 他 の EBP への 取 組 状 況表 3-4-3~5 に、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 、 疾 患 管 理 とリカバリー、 家 族 心 理 教 育 の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 従 い、わが 国 の 医 療 機 関 等 で 実 施 されている 取 組 内 容 を 整 理 したものを 示 す。これらの 報 告 は、EBP を 踏 まえて 取 り 組 まれているものが 多 かったが、それ 以 外 のものがあった。その 中には、 就 労 支 援 と 関 係 した 実 施 の 報 告 も 見 られた。表 3-4-3 に 示 すように、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)は、 多 職 種 チームにより 医 療 ・ 生 活 の 課 題 に 統 合 的に 対 応 でき、また、 本 人 だけでなく 職 場 や 家 族 等 への 働 きかけやネットワークを 重 視 していることから、 就-43- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー労 している 人 の 症 状 悪 化 等 の 危 機 的 状 況 に 総 合 的 対 応 が 可 能 であることや、リスクの 高 い 人 の 就 労 を 支 えることにもつながるとの 報 告 があった。表 3-4-3 「 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)」 の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組D 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)• 精 神 科 医 療 でのチームアプローチ、チームミーティング・ 一 つのチームに 多 職 種 の 専 門 家 が 集 まって、 一 人 の 利 用 者 のアセスメントを 多 角 的 な 視 点 でできるので、 利 用 者の 地 域 生 活 に 関 わっていく 上 で 非 常 に 有 効 であると 実 感 。 19)・ 医 療 的 な 情 報 ( 疾 患 ・ 薬 ・ 対 処 方 法 )が 豊 富 にあり、 医 師 との 連 携 が 容 易 で、リスクが 高 い 状 況 でも 地 域 生 活 の 中で 手 厚 いサポートが 可 能 3)・ 早 期 発 見 ・ 介 入 、 継 続 的 アセスメント、 訪 問 サービス、 双 方 向 的 心 理 教 育 、 非 定 型 中 心 の 薬 物 療 法 、ストレスマネジメント、 認 知 行 動 療 法 、 就 労 支 援 ・ 社 会 参 加 支 援 の 多 職 種 チームによる 支 援 4)• 患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制・ 不 調 時 に 迅 速 に 対 応 できる 体 制 作 りなどの 整 備 12)・ 地 域 生 活 支 援 センターと 訪 問 看 護 ステーションが 24 時 間 体 制 で 必 要 に 応 じて 駆 けつけることが、メンバーや 家族 にとっても 何 よりの 安 心 材 料 である 4)・365 日 24 時 間 体 制 の 当 直 医 が、 少 しでも 病 状 が 悪 くなった 方 に 迅 速 に 対 応 することも 継 続 支 援 につながっている 思 う 14)・1 週 間 に 1~2 回 の 訪 問 により、 急 性 期 の 初 期 状 態 がよくわかり、またそれに 家 族 が 刺 激 されて 反 応 していることもわかり、そこへ 直 接 介 入 することが、 急 性 期 の 回 避 に 役 立 っている。 19)• 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 の 支 援 ネットワークとの 協 力・ 職 業 生 活 を 維 持 するためには、 労 働 条 件 や 医 療 面 、 家 族 の 問 題 など、 本 人 を 取 り 巻 く 環 境 の 調 整 が 必 要 なことも多 く、 事 業 所 やハローワーク、 医 療 機 関 と 連 携 し 改 善 点 を 検 討 することが 大 切 14)・ 就 労 支 援 担 当 者 が、 本 人 、 家 族 、 企 業 スタッフに 対 し、 他 のスタッフとの 協 力 で、 精 神 的 サポート、 対 人 関 係 、 症状 や 薬 の 自 己 管 理 、 生 活 習 慣 、ストレス 対 処 、 元 気 回 復 行 動 プラン、 認 知 機 能 障 害 への 対 処 に 関 する 支 援 を 面接 、 訪 問 、 電 話 対 応 により 行 う 2)• 精 神 科 医 療 チームへの 当 事 者 スタッフの 関 与・ 常 勤 のケースマネージャー11 名 とドクター1 名 、 非 常 勤 で 家 族 支 援 専 門 1 名 とコンシューマー1 名 、 就労 支 援 2 名 と 事 務 2 名 で 対 応 している。 19)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 記 。 数 字 の 網 掛 けは 就 労 支 援 との 関 係 が 明 記 )表 3-4-4 に 示 すように、「 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)」は、 就 職 活 動 や 就 職 後 の 職 業 生 活 を 送 るために不 可 欠 な 疾 患 自 己 管 理 や 再 発 防 止 、 生 活 スキルや 対 処 スキルを 身 につける 専 門 的 支 援 であり、それにより 就労 支 援 とも 関 係 していることが 報 告 されていた。表 3-4-4 「 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組E 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)• 患 者 本 人 による 目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修 正・ 就 労 前 検 査 により、 当 事 者 自 身 の 能 力 の 客 観 的 把 握 、 適 切 な 進 路 選 択 を 支 援 。 12)・「 私 の 注 意 サイン・ 警 告 サインと 対 処 法 」「 夢 ・ 大 切 にしていること」「 私 の 目 標 とそのためにやらなけ-44- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビューればならないこと」「 堂 々とやってよいこと」などを 毎 月 、 本 人 に 直 筆 で 書 いてもらう。 14)・「 気 分 チャート・ 症 状 管 理 シート」- 毎 日 記 入 したものを 主 治 医 、 家 族 、 産 業 医 など 関 係 者 で 情 報 共 有することで 治 療 や 復 職 の 方 向 性 を 決 める 判 断 材 料 になる 25)・「エネルギーの 家 計 簿 」( 双 極 性 障 害 )-1 日 の 行 動 をポイント 化 して 収 支 バランスを 気 分 スコアの 変 化と 合 わせて 分 析 すれば 大 きな 躁 転 を 避 けることができる 25)• 支 援 戦 略 にあたって 本 人 の 動 機 付 けとの 関 係 を 意 識 する・リワークプログラム 参 加 の 本 人 のモチベーションを 維 持 しつつ、 復 職 を 果 たすことが 目 標 。 20)• 認 知 行 動 的 技 法・ 認 知 行 動 療 法 による、 生 活 スキル・ 症 状 自 己 管 理 スキルの 獲 得 ( 強 化 、shaping、モデリング、ロールプレイ、 認知 再 構 築 、リラクゼーション 訓 練 ) 12)、 20)• 対 処 技 能 訓 練・ 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ 5)、 14) 、 20) 、 21) 、 25 )・ 職 場 での 対 人 技 能 や 対 処 技 能 訓 練 ( 対 処 技 能 の 振 返 ・ 修 正 、 技 能 拡 大 、リハーサル) 14)、 17) 、 21)• 再 発 防 止 訓 練・ 再 発 防 止 訓 練 (トリガーの 特 定 、 早 期 の 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント、 継 続 的 モニタリング、 即 座 の 介入 )、 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント 17)、 21)・デイケア 中 にに 再 発 状 況 を 特 定 し、 就 労 後 の 再 発 予 防 の 働 きかけが 可 能 になる。 12)• 薬 物 療 法 のための 行 動 調 整・ 自 分 に 合 った 薬 の 選 び 方 、 正 しい 服 薬 ができるための 行 動 的 支 援 2)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 記 。 数 字 の 網 掛 けは 就 労 支 援 との 関 係 が 明 記 )表 3-4-5 には、「 家 族 心 理 教 育 (FPE)」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組 をまとめた。 精 神 疾 患 のある 人 と 日 常 的 に 接 している 家 族 による 理 解 や 対 処 スキルを 向 上 させることで、 家 族 の負 担 を 軽 減 するとともに、 本 人 の 症 状 の 悪 化 を 予 防 したり 支 援 環 境 を 整 えることにつながることが 示 されていた。表 3-4-5 「 家 族 心 理 教 育 (FPE)」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組F 家 族 心 理 教 育 (FPE)• カリキュラム、 構 造 化 されたグループセッションや 問 題 解 決 技 法・「 患 者 への 接 し 方 についての 学 習 と 理 解 」、「 患 者 と 接 している 家 族 が 抱 える 悩 みや 疑 問 を 軽 減 」などについてのセッションやワークショップの 開 催 2 )、 21) 、 26)・ 家 族 教 室 後 半 に、 正 しい 知 識 を 得 たうえで、 家 族 同 士 が 問 題 を 共 有 ・ 情 報 交 換 21)• 家 族 の 反 応 の 詳 細 化 、 悪 化 要 因 、 前 駆 サイン・ 家 族 と、 就 労 プロセスや 就 労 活 動 中 に 調 子 をくずした 際 の 対 応 を 話 し 合 う 12) 。・ 家 族 が 就 労 への 期 待 が 高 すぎる 場 合 には「 回 復 には 時 間 がかかること、せかさないことが 必 要 」であることを 理 解 してもらう 18)• 積 極 的 な 関 係 作 りとアウトリーチ・ 受 診 者 とその 扶 養 家 族 に 対 する、 電 話 相 談 と 主 要 都 市 での 面 接 相 談 の 実 施 24) 、 家 族 向 けメンタルヘルスガイドブックの 作 成 、ファミリーホットライン(24 時 間 相 談 可 能 ) 28) 、 従 業 員 家 族 への 電 話 相 談 のリーフレットの 送 付 28)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 記 。 数 字 の 網 掛 けは 就 労 支 援 との 関 係 が 明 記 )-45- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー第 5 節 考 察わが 国 の 医 療 機 関 等 において 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 として 効 果 が 報 告 されている 具 体 的 な 内 容 をEBP の 具 体 的 項 目 で 整 理 することにより、わが 国 の 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 内 容 をより総 合 的 かつ 機 能 的 に 把 握 し、EBP の 適 合 性 尺 度 をよりわが 国 の 状 況 を 踏 まえて 具 体 的 に 理 解 することができた。1 EBP 適 合 性 尺 度 項 目 のわが 国 での 意 義 と 限 界EBP の 適 合 性 尺 度 の 各 項 目 は、わが 国 の 医 療 機 関 において 実 施 されている 内 容 や 報 告 されている 成 果 と 対応 させることによって、その 意 義 が 確 認 しやすくなった。これらの 結 果 を 踏 まえ、EBP がわが 国 において 具体 的 にどのような 形 で 実 施 されうるのかを 考 察 した。(1) 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 統 合精 神 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 統 合 の 意 義 としては、 精 神 障 害 者 は 体 調 悪 化 や 精 神 症 状の 変 化 による 就 労 上 の 課 題 のリスクが 継 続 し、それらが 生 活 上 の 課 題 や 家 族 の 課 題 等 と 相 互 作 用 するため、問 題 発 生 時 に 迅 速 に 医 療 ・ 生 活 支 援 を 含 めて 総 合 的 に 対 応 できる 体 制 があることにより、リスクの 高 い 人 も含 めて 就 業 継 続 の 可 能 性 が 高 まり、 一 般 就 業 の 対 象 となる 人 の 範 囲 を 広 げられることがある。そのような 支 援 体 制 は、 医 療 機 関 内 において、 多 職 種 のケースマネジメント 機 能 の 強 化 、ケース 会 議 、 日常 的 コミュニケーション、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 共 通 カルテ 等 により 実 現 されていた。また、 近 年 では、 労 働 機 関 側 でのケースワーク 方 式 の 関 係 機 関 と 連 携 したチーム 支 援 等 の 取 組 があることから、 医 療 機 関とハローワークの 担 当 職 員 の 密 接 な 連 携 、 合 同 のケース 会 議 に 基 づく 役 割 を 分 担 した 支 援 展 開 ( 職 業 的 課 題の 確 認 、 個 別 の 職 場 開 拓 、 心 理 サポート 等 )も 実 施 されていた。(2) 就 労 支 援 者 の 配 置わが 国 では、 医 療 機 関 に 専 任 の 就 労 支 援 者 を 配 置 している 例 はほとんど 報 告 がないが、 医 療 関 係 者 が 生 活支 援 の 一 環 でありながら 就 職 前 から 就 職 後 まで 幅 広 い 就 労 支 援 を 実 施 している 報 告 がみられた。また、 医 療機 関 内 に 就 労 支 援 者 が 複 数 でユニットを 形 成 している 例 もほとんどなく、 就 労 支 援 担 当 者 はいても1 名 のことが 多 かった。そのような 状 況 で、EBP で 求 めらているようなスーパービジョンや 情 報 共 有 は 困 難 であることが 予 想 されるが、 外 部 の 就 労 支 援 機 関 の 就 労 支 援 者 のスーパービジョンの 事 例 が 報 告 されていた。(3) 就 労 支 援 対 象 者従 来 、 医 療 機 関 を 利 用 している 多 くの 精 神 障 害 者 は 就 労 支 援 につながりにくかったが、 医 療 機 関 において積 極 的 に、 就 労 支 援 に 関 する 情 報 提 供 や 就 労 への 働 きかけを 実 施 する 取 組 が 多 く 報 告 されていた。 具 体 的 には、 医 療 機 関 において 就 職 セミナーや OB の 体 験 談 を 聞 く 機 会 を 設 けたり、 就 労 に 関 するグループワークを行 ったりという 取 組 であり、 雇 用 支 援 制 度 の 精 神 障 害 者 ジョブガイダンス 事 業 によりハローワークと 協 力 した 取 組 も 報 告 されていた。就 労 支 援 の 対 象 者 として 除 外 基 準 がないということも、このような 医 療 機 関 における 非 就 労 者 への 情 報 提供 や 就 労 への 働 きかけの 取 組 の 意 義 を 踏 まえて 理 解 することができる。-46- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー(4) 一 般 就 業 に 向 けた 職 場 との 接 触 や 就 職 活 動 の 支 援医 療 機 関 において 単 に 職 業 準 備 性 の 訓 練 を 続 けるのではなく、 実 際 の 職 場 との 接 触 に 積 極 的 に 取 り 組 む 意義 としては、 職 場 見 学 や 職 場 実 習 を 通 して、 具 体 的 な 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 を 踏 まえて 問 題 把 握 と 支 援 に 取り 組 める 意 義 が 報 告 されていた。 就 職 活 動 の 支 援 についても、 実 際 の 就 職 活 動 での 様 々な 課 題 にきめ 細 かく支 援 を 提 供 するためであった。また、うつ 病 の 復 職 支 援 では 職 場 と 一 体 的 に 支 援 を 提 供 することの 重 要 性 もあった。キャリア 支 援 や 職 探 し、 職 場 開 拓 等 、 本 来 はハローワーク 等 の 労 働 機 関 の 支 援 が 適 当 であると 考 えられる支 援 内 容 については、そのような 取 組 によって 医 療 機 関 側 で 就 職 できる 仕 事 のイメージを 支 援 者 がつかみやすくなったり、 本 人 に 選 択 肢 を 示 しやすくなるという 意 義 が 報 告 されていた。また、 医 療 や 生 活 支 援 の 目 的であっても 本 人 中 心 の 支 援 を 実 施 する 際 に、 就 労 希 望 の 理 解 が 重 要 であることも、これらの 取 組 の 理 由 と 考えられる。また、これらの 取 組 を、ハローワーク、 障 害 者 職 業 センター 等 と 調 整 会 議 を 含 めた 連 携 で 実 施 している 例 も 報 告 されていた。(5) 就 職 後 の 継 続 的 支 援医 療 機 関 が 就 職 後 に 継 続 的 支 援 を 実 施 する 意 義 は、 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 を 両 立 させるための、 就 職 後 の 服薬 の 調 整 、 職 場 状 況 の 調 整 、 就 職 後 の 本 人 の 不 安 等 への 対 応 、 危 機 管 理 、 休 職 や 退 職 の 回 避 等 の 目 的 があった。そのために、 受 診 時 や、ナイトケア 等 で 就 職 者 のフォローアップの 取 組 が 報 告 されていた。また、 退 職時 の 喪 失 体 験 からの 病 状 の 悪 化 や 自 殺 のリスクマネジメントや、その 経 験 を 前 向 きに 捉 えられるような 心 理的 サポートの 重 要 性 も 報 告 されていた。(6) 生 活 支 援 、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 家 族 支 援 の 意 義重 度 精 神 障 害 者 の 場 合 、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 課 題 が 密 接 に 相 互 作 用 するため、 包 括 的 地 域 生 活 支 援 の多 職 種 チームでの 迅 速 な 対 応 、 生 活 場 面 での 支 援 、 環 境 要 因 への 働 きかけによって、 就 労 におけるリスクマネジメントが 向 上 し 就 労 可 能 性 を 高 めることにつながると 考 えられる。このような 包 括 的 生 活 支 援 は、ケースマネジメントとしての 取 組 が 多 いが、24 時 間 対 応 や 訪 問 型 の 地 域 支 援 は ACT を 実 施 している 機 関 以 外 では 十 分 な 実 施 はわが 国 では 少 なかった。疾 患 自 己 管 理 支 援 も、 本 人 の 目 標 との 関 連 で、 職 業 生 活 を 前 提 とした 再 発 予 防 や 処 方 の 調 整 、 具 体 的 な 職業 場 面 を 想 定 しての 対 処 技 能 訓 練 、また、 認 知 行 動 的 技 法 の 活 用 によって、 就 労 支 援 との 関 係 が 強 いと 考 えられる。さらに、 家 族 支 援 は、 家 族 心 理 教 育 のプログラムとしての 実 施 は 少 ないが、 家 族 教 室 、 家 族 会 の 交 流 、 家族 への 電 話 相 談 等 の 形 での 実 施 の 報 告 がみられた。これらは、 患 者 の 家 族 の 悩 みの 相 談 への 対 応 以 外 に、 患者 の 身 近 な 環 境 要 因 として、 症 状 の 悪 化 を 防 止 し、むしろよき 理 解 者 、 支 援 者 となってもらうという 意 義 もあった。2 本 研 究 の 限 界本 研 究 は、 近 年 、わが 国 の 医 療 機 関 から 報 告 されている 就 労 支 援 の 事 例 を 分 類 整 理 し、 就 労 支 援 としての-47- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー成 果 が 期 待 される 具 体 的 取 組 の 内 容 を 網 羅 的 に 把 握 したものである。しかし、そのような 報 告 を 行 っている医 療 機 関 は、わが 国 の 一 般 的 状 況 を 代 表 するものではない。 本 研 究 で 把 握 した、わが 国 における 医 療 機 関 の就 労 支 援 の 具 体 的 内 容 にしたがって、 実 際 のわが 国 の 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 状 況 については、 次 章 の調 査 で 明 らかにした。文 献1) 西 尾 : ACT における IPS、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.9」、 p.272-275 (2009)2) 中 原 、 飯 野 / 編 :『IPSハンドブック 精 神 疾 患 があっても「 働 きたい!」「 社 会 で 役 割 を 持 ちたい!」』、p.25-27, 63-68,92-99 クリエイツかもがわ (2010)3) 池 田 :lPS~ 個 別 職 業 紹 介 とサポートモデル~の 導 入 、「デイケア 実 践 研 究 vol.13(2)」、 p.14-20, (2009)4) 佐 久 間 :あさかホスピタルにおけるリハビリテーションの 展 開 と 地 域 統 合 への 試 み、「 精 リハ 誌 vol.14(1)」、p. 58-64, (2010)5) 石 井 :ひだクリニックにおける 就 労 支 援 の 取 組 「 第 18 回 職 リハ 研 究 発 表 会 」、p.280-283, 障 害 者 職 業 センター (2010)6) 津 田 :「 働 きたい」をかなえるために--IPS モデルでの 就 労 支 援 ( 特 集 「 働 きたい」を 支 える OT- 就 労 支援 の 実 際 ) 、「 臨 床 作 業 療 法 vol.5(5)」、 p.386-391, (2008)7) 田 川 : 通 院 者 就 労 調 査 アンケートと NPO 法 人 大 阪 精 神 障 害 者 就 労 支 援 ネットワーク(JSN) 「 精 神 神 経学 雑 誌 vol.111(9)」、 p.1076-1081,(2009)8) 三 家 : 精 神 科 クリニックにおける 就 労 支 援 、「 精 神 神 経 学 雑 誌 vol.111(9)」、 p.1087-1091,(2009)9) 田 川 : 就 労 支 援 1: 精 神 科 診 療 所 から - 企 業 ・ 支 援 機 関 との 連 携 -、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.11」、p.84-87, (2011)10) 伊 藤 、 大 場 :だんだんの 就 業 支 援 の 歩 み:10 年 を 振 り 返 る、「 精 リハ 誌 vol.14(1)」、 p.51-57, (2010)11) 立 石 :「 地 域 精 神 医 療 におけるソーシャルワーク 実 践 IPSを 参 考 にした 訪 問 型 個 別 就 労 支 援 」ミネルヴァ 書 房 / 京 都 (2010)12) 山 崎 , 浅 井 : 精 神 科 デイケア、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.9(2)」、 p.248-252, (2009)13) 池 田 : 就 労 支 援 2:デイケア、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.11」、 p.88-92, (2011)14) 相 澤 他 :ワークショップ( 要 旨 ) 地 域 で 支 える 精 神 障 害 者 の 職 業 リハビリテーション ( 特 集 第 16 回 職 業リハビリテーション 研 究 発 表 会 )、「 職 リハネットワーク vol.64」、 p.55-64, 障 害 者 職 業 センター(2009)15) 根 本 : 就 労 支 援 におけるアウトリーチ 支 援 、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.11」、 p.132-135, (2011)16) 谷 口 他 : 臨 床 心 理 士 による 就 労 支 援 の 利 点 と 課 題 - 総 合 病 院 精 神 科 外 来 における 実 践 を 通 じて-、「 精 リハ 誌 vol.14」、 p.181-186,(2010)17) 大 野 , 寺 村 : 精 神 科 デイケア( 医 療 機 関 )における 就 業 支 援 の 取 り 組 み、「 精 リハ 誌 vol.9(2)」、 p.178-182,(2005)18) 大 山 : 精 神 障 害 者 リハビリテーションにおける 回 復 過 程 と 支 援 のあり 方 -- 精 神 料 デイケアを 利 用 し 就 労した 2 事 例 を 通 しての 考 察 、「 職 業 リハビリテーション vol.20(1)」、 p.23-31, (2006)19) 伊 藤 他 :【 座 談 会 】 日 本 における ACT 導 入 の 課 題 と 展 望 、 「 精 リハ 誌 vol.9(2)」、 p.108-125, (2005)20)うつ 病 リワーク 研 究 会 :「うつ 病 リワークプログラムのはじめ 方 」、 弘 文 堂 (2009)21)うつ 病 リワーク 研 究 会 :「うつ 病 リワークプログラムの 続 け 方 スタッフのために」、 弘 文 堂 (2011)22) 菅 原 : うつ 病 休 職 者 ・ 離 職 者 へのリハビリテーション 「こころの 臨 床 a・la・carte vol.29(4)」、p.527-532,( 2010)23) 産 業 医 科 大 学 精 神 医 学 教 室 / 編 :「 産 業 医 のための 精 神 科 医 との 連 携 ハンドブック 改 訂 新 版 」、 昭 和 堂(2009)24) 井 田 : 伊 藤 ハムグループにおけるメンタルヘルス 対 策 --EAP 機 関 との 連 携 による 効 果 的 推 進 、「 安 全 と健 康 vol.60(9)、 p.859-862,(2009)25)「 職 場 のうつ 新 版 , 復 職 のための 実 践 ガイド 本 人 ・ 家 族 ・ 会 社 の 成 功 体 験 . アエラムック AERA LIFE」、p.20-21, 朝 日 新 聞 出 版 (2009)26) 香 月 : うつ 病 の 複 合 グループ 家 族 心 理 教 育 の 紹 介 - 名 古 屋 市 立 大 学 病 院 こころの 医 療 センターでの 実践 - 「こころの 臨 床 a・la・carte vol.29(4)」、 p.517-521,( 2010)27) 中 込 他 : 認 知 リハビリテーション 「こころの 臨 床 a・la・carte vol.29(4)」、 p.505-510,(2010)28) 労 務 行 政 研 究 所 / 編 :「 人 事 担 当 者 のための 実 践 メンタルヘルス・マネジメント 新 版 」、 p.196,223 労務 行 政 (2010)-48- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における就 労 支 援 の 実 態第 1 節 はじめに精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 とは、 就 職 ・ 復 職 と 就 業 継 続 を 実 質 的 に 支 える 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 支 援 として 捉 える 必 要 がある。 精 神 障 害 のある 人 の 場 合 、 就 職 ・ 復 職 前 の 社 会 との 接 点 としては 医 療 機 関 が 多 い。また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 課 題 が 複 合 していることが 多 い。したがって、 医 療 機 関 における 具 体 的 な「 就労 支 援 」の 取 組 としては、 第 3 章 でみたように、 医 療 機 関 における 就 労 希 望 者 への 情 報 提 供 や 相 談 支 援 、 生活 支 援 や 疾 患 管 理 支 援 の 一 環 としての 仕 事 内 容 や 職 業 生 活 での 支 援 の 検 討 、さらに、 職 場 適 応 や 就 業 継 続 のための 服 薬 ・ 疾 患 管 理 への 当 事 者 支 援 、 包 括 的 生 活 支 援 や 家 族 教 育 を 継 続 させる 取 組 が 含 まれる。 今 後 、 医療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 効 果 的 統 合 に 向 けて、わが 国 の 雇 用 支 援 制 度 やハローワーク、 障 害 者 職 業 センター等 の 労 働 関 係 機 関 の 取 組 のあり 方 を 検 討 するためには、このような 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援への 取 組 状 況 を 踏 まえる 必 要 がある。しかし、その 一 方 で、 第 3 章 にみたような、 論 文 や 書 籍 等 で 報 告 されている 就 労 支 援 は 全 国 的 に 進 んだ 取組 であり、 必 ずしもわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 状 況 を 代 表 するものではない。そこで、 本 章 では、 全 国 の 精 神 ・ 神 経 科 の 医 療 機 関 等 における、 就 職 ・ 復 職 等 のニーズへの 対 応 として、狭 義 の 就 労 支 援 だけでなく、 職 業 生 活 を 支 えることに 効 果 のある 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 等 を 含 む 取 組 の 現 状 、その 成 果 や 課 題 、 及 び、 今 後 のあり 方 の 意 向 について、アンケート 調 査 により 把 握 することを 目 的 とした。第 2 節 方 法1 調 査 対 象(1) 精 神 障 害 の 範 囲統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん、その 他 の 精 神 疾 患 とした。(2) 調 査 対 象 機 関特 に、 就 労 支 援 や 復 職 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 に 限 定 せず、 精 神 障 害 を 対 象 として 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支援 に 取 り 組 んでいる 精 神 病 院 、 精 神 科 クリニック、 保 健 医 療 関 連 センター 等 とした。 公 開 されている 医 療 機関 等 のリストに 基 づき、 該 当 する 3,875 機 関 全 数 を 対 象 とした。 具 体 的 な 機 関 は、 日 本 精 神 科 病 院 協 会 、 日本 精 神 神 経 科 診 療 所 協 会 、 精 神 ・ 神 経 科 のある 大 学 病 院 ・ 国 立 病 院 、うつ 病 リワーク 研 究 会 の 登 録 機 関 、 上記 以 外 の WAM-NET の 精 神 障 害 ・ 精 神 疾 患 医 療 機 関 ( 入 院 、デイケア 等 、 作 業 療 法 等 実 施 )の 精 神 ・ 神 経 科 、てんかん 専 門 医 、 精 神 保 健 福 祉 センター、メンタルヘルス 対 策 支 援 センターとした。(3) 回 答 者回 答 者 は、 各 機 関 において、 精 神 疾 患 等 のある 人 の、 就 職 ・ 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 への 主 担 当 者 、-49- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態就 職 ・ 復 職 相 談 等 が 特 にない 場 合 には、より 一 般 的 に 生 活 面 の 相 談 や 支 援 の 担 当 者 とした。 同 一 機 関 に 担 当部 署 が 複 数 ある 場 合 を 想 定 し、 各 機 関 には2 通 ずつ 調 査 票 を 送 付 し、 必 要 な 場 合 、 最 大 2 部 署 からの 回 答 を得 るものとした。(4) 調 査 機 関平 成 23 年 9 月 ~10 月 とした。2 調 査 内 容医 療 機 関 の「 就 労 支 援 」についての 調 査 内 容 は、 各 機 関 における 就 労 支 援 や 復 職 支 援 等 の 標 榜 の 有 無 にかかわらず、 第 3 章 で 明 らかとなった、 精 神 障 害 のある 人 の 就 職 や 就 業 継 続 に 効 果 があると 考 えられる 様 々な取 組 を 網 羅 するものとした。 具 体 的 には、 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 (EBP)の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 沿 って、援 助 付 き 雇 用 (SE)、 疾 患 自 己 管 理 (IMR)、 生 活 支 援 (ACT)、 家 族 支 援 (FPE) 等 の 取 組 も 含 めた 幅 広 い取 組 内 容 を 明 らかにするものとし、 関 連 内 容 を 含 め、 以 下 の 内 容 を 把 握 できる 調 査 票 を 作 成 した( 調 査 票 は、巻 末 資 料 1のとおり)。(1) 各 機 関 の 就 労 支 援 の 取 組 の 特 徴デイケア 等 での 統 合 失 調 症 の 就 職 支 援 を 中 心 とした 機 関 、 気 分 障 害 の 復 職 支 援 ・リワークを 中 心 とした 機関 、その 他 、 高 齢 入 院 患 者 を 中 心 とした 機 関 等 、 機 関 の 特 徴 を 把 握 できる 調 査 項 目 を 設 けた。(2) 特 別 な 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 有 無 と 運 営 状 況各 機 関 において、 特 に 就 職 ・ 復 職 のためのプログラムの 有 無 、 及 び、ある 場 合 の 運 営 状 況 についてきいた。(3) 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えることに 効 果 のある 取 組 の 実 施 状 況特 別 な 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 有 無 にかかわらず、わが 国 の 医 療 機 関 で 実 施 が 報 告 されている 精 神 障害 者 の 就 職 や 職 場 定 着 に 効 果 のある 様 々な 取 組 を、EBP の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 沿 ってリストアップし、その取 組 状 況 を 聞 いた。1 援 助 付 き 雇 用 (SE)の 取 組専 任 の 就 職 ・ 復 職 支 援 スタッフ、 包 括 的 な 就 職 ・ 復 職 支 援 の 実 施 、 非 就 労 者 へのアウトリーチ、 本 人 と仕 事 の 個 別 的 なマッチングの 支 援 、 職 業 生 活 の 現 場 での 随 時 のアセスメント、 職 場 適 応 ・ 就 業 継 続 ・ 退 職時 の 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 スタッフのユニット、 就 職 ・ 復 職 支 援 と 医 療 スタッフの 密 接 な 関 係2 本 人 の 疾 患 管 理 への 支 援 (IMR)の 取 組目 標 設 定 /モニタリング/ 修 正 、 認 知 行 動 療 法 ・ロールプレイ、 対 人 技 能 や 対 処 技 能 の 習 得 ・ 訓 練 、 再発 防 止 訓 練 、 服 薬 への 行 動 調 整 、 等3 包 括 的 な 地 域 生 活 支 援 (ACT)の 取 組ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 、 医 療 面 と 生 活 面 の 一 体 的 な 相 談 ・ 支 援 、 患 者 の 地 域 生 活での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備 、 患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係 づくり、 本 人 を取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力4 家 族 心 理 教 育 (FPE)の 取 組-50- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 、 家 族 が 患 者 本 人 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法 等 を 学 ぶことができるセミナーやセッション、 複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ、 家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 をつくること(4) 就 職 ・ 復 職 支 援 の 成 果 と 課 題1 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 成 果 : 利 用 条 件 や 利 用 者 数 に 対 する、 就 職 ・ 復 職 者 数 、2 広 義 の 職 業 生活 を 支 える 支 援 の 生 活 と 課 題 : 職 探 し、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 、 就 職 活 動 、 仕 事 の 継 続 、 職 務 遂 行 や危 険 対 処 、 職 場 の 理 解 や 人 間 関 係 、 仕 事 上 の 処 遇(5) 精 神 障 害 のある 人 を 支 える 労 働 施 策 の 活 用 の 現 状 と 今 後 の 意 向 について精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター、 精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 、ジョブガイダンス 事 業 、チーム支 援 、ジョブコーチ、トライアル 雇 用 、リワーク 支 援 等 の 利 用 状 況 や 今 後 の 利 用 の 意 向 。3 分 析医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 現 状 では 実 施 機 関 と 実 施 していない 機 関 が 大 きく 分 かれると 考 えられるため、 回 答 全 体 の 平 均 ではなく、 就 労 支 援 の 実 施 が 活 発 な 機 関 とそれ 以 外 の 機 関 に 分 けて 集 計 することにより、それぞれの 特 徴 を 明 確 にし、それによって、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 の 現 状 についての 総 合 的 な 理 解 を 得 られるようにした。また、 本 調 査 における、 就 労 支 援 の 内 容 については、 文 献 等 から 就 労 成 果 が 期 待 される 取 組 を 網 羅 したものであるが、その 実 際 の 効 果 を 本 調 査 結 果 からも 確 認 するための 分 析 を 行 った。(1) 就 労 支 援 の 実 施 状 況 による 差 の 検 討機 関 による 就 労 支 援 の 実 施 状 況 の 差 については、 調 査 票 の 問 7「 就 職 ・ 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 内 容 」の回 答 により、「1 新 規 就 職 支 援 」「2 退 職 者 への 再 就 職 支 援 」「3 休 職 者 の 復 職 支 援 」「4 就 業 継 続 と 病 状 安 定の 支 援 」のいずれかを「 日 常 的 に 実 施 」している 機 関 と、それ 以 外 の 機 関 ( 就 労 支 援 を「 日 常 的 に 実 施 」はないが、「 時 々 実 施 」している 機 関 を 含 む)に 分 けて、それぞれの 具 体 的 な 就 労 支 援 の 状 況 の 集 計 値 を 比 較 した。日 常 的 な 就 労 支 援 の 有 無 による 機 関 の 比 較 についての 統 計 的 検 定 は、クロス 集 計 については、 回 答 機 関 全体 の 集 計 値 により 求 めた 期 待 値 により、それぞれの 集 計 値 についてカイ 二 乗 検 定 を 行 った 調 整 残 差 により 有意 確 率 5% 水 準 で 行 った。また、 就 職 率 等 の 数 値 の 差 の 検 定 については、t 検 定 を 行 った。(2) 就 労 支 援 状 況 と 職 業 上 の 課 題 の 関 係就 労 支 援 成 果 については、 問 10「 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況 」における7 領 域 (1「 本 人 が 能 力を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」、2「 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと」、3「 仕事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」、4「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対処 」、5「 遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業 」、6「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得ること」、7「 就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足 」)の 課 題 の 未 解 決 率 によって 判 断 した。すなわち、 問 10 の 回 答 により、 未 解 決 率 =「 未 解 決 の 課 題 が 多 くある」/(「 課 題 があるが 解 決 可 能 な 場 合 が-51- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態多 い」+「 未 解 決 の 課 題 が 多 くある」)として、 求 めた。本 調 査 による 様 々な 就 労 支 援 の 取 組 と 就 労 支 援 成 果 の 関 係 については、それぞれの 取 組 の 有 無 別 に 未 解 決率 を 計 算 し、リスク 比 の 95% 信 頼 区 間 を 求 め 評 価 した。リスク 比 (= 取 組 のある 時 の 未 解 決 率 / 取 組 のない時 の 未 解 決 率 )が 統 計 的 はばらつきを 考 慮 しても、1 未 満 である 場 合 には、 当 該 取 組 がある 場 合 に 統 計 的 に有 意 に 課 題 の 未 解 決 率 が 低 い、すなわち、 就 労 支 援 効 果 を 示 唆 する 関 連 があるとみなした。さらに、 就 労 支 援 の 実 施 状 況 については、 実 施 の 有 無 を 見 るだけでなく、 主 に 自 機 関 、 主 に 外 部 機 関 、 自機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 といった、 実 施 機 関 の 状 況 別 にも 集 計 する 等 、 実 施 状 況 の 違 いによる 関 係 性 の 差 も 確認 できるようにした。その 詳 細 は、 第 4 節 において 具 体 例 で 示 す。(3) 疾 患 種 類 の 差 の 検 討就 労 支 援 の 実 施 内 容 等 における、 疾 患 種 類 による 差 を 検 討 するため、 問 4「 各 部 署 における 疾 患 種 類 別 の対 応 状 況 」において、 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかんのそれぞれについて、「 日 常 的 に 対 応 」している 機 関をそれぞれ 集 計 し、 集 計 値 を3 疾 患 で 比 較 した。 結 果 については、 有 意 な 差 があった 場 合 のみ 示 した。第 3 節 調 査 回 収 状 況 と 日 常 的 な 就 労 支 援 実 施 による 機 関 の 群 分 け本 調 査 では、 多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 特 に 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、 幅 広 い 精神 科 医 療 機 関 等 を 対 象 として 調 査 を 実 施 した。 実 際 の 調 査 回 収 では、 就 労 支 援 の 取 組 状 況 により 回 収 率 の 差が 生 じている 可 能 性 があるため、 本 研 究 の 以 下 の 分 析 では、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、それ 以 外 の 473 機 関 を 分 けて 分 析 することとした。1 回 収 率本 調 査 は、757 機 関 から 872 通 の 回 答 を 得 た。 機 関 の 回 収 率 は 19.5%であり、デイケア 等 を 実 施 している機 関 やリワーク 支 援 を 実 施 している 機 関 からの 回 収 率 が 比 較 的 高 く、 一 般 の 精 神 科 診 療 所 では 比 較 的 低 かった。 一 方 、 地 域 別 にみるとほぼ 全 国 から 偏 りなく 回 答 が 得 られた。(1) 機 関 リスト 別 の 回 収 状 況3,874 機 関 に 対 して 各 2 通 の 調 査 票 を 発 送 し、757 機 関 (19.5%)から 872 通 の 回 答 を 得 た。1 機 関 あたり2 通 の 調 査 票 の 発 送 の 理 由 は、 各 機 関 において 就 労 支 援 担 当 部 署 が2か 所 以 上 ある 場 合 に 最 大 2 通 の 回 答 が得 られるようにするためであった。 調 査 対 象 機 関 は、 様 々な 公 開 リストによって 選 んだものであり、それぞれのリスト 別 の 回 収 状 況 を 表 4-3-1 に 示 す。デイケア・ナイトケア・デイナイトケア・ 作 業 療 法 ショートケアの 実 施 機 関 、 精 神 保 健 福 祉 センター、リワーク 研 究 会 からの 回 収 率 が 比 較 的 高 く、 診 療 所 協 会 リストの 機 関 では 比 較 的 低 かった。-52- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態WAM-NET表 4-3-1 発 送 時 の 機 関 リスト 別 の 回 収 状 況機 関 リスト 種 類 発 送 先 機 関 数 回 収 機 関 数 回 収 率 ( 機 関 ) 調 整 残 差デイケア・ナイトケア・デイナイトケア・ 作 業 療 法 ショートケア1,530 384 25.1% 4.47入 院 1,475 300 20.3% -0.71就 労 支 援 実 施 92 20 21.7% 0.17病 院 協 会 リスト 1,165 227 19.5% -1.40診 療 所 協 会 リスト 1,486 240 16.2% -5.21てんかん 専 門 医 399 84 21.1% 0.02大 学 病 院 115 21 18.3% -0.73国 立 病 院 57 8 14.0% -1.30保 健 福 祉 福 祉 センター 68 34 50.0% 5.90メンタルヘルス 推 進 センター 47 9 19.1% -0.31リワーク 研 究 会 104 42 40.4% 4.89(2) 地 域 別 回 収 状 況 ( 表 4-3-2)都 道 府 県 別 の 機 関 回 収 率 では、 群 馬 県 と 愛 媛 県 が 比 較 的 高 く、 兵 庫 県 が 比 較 的 低 かったが、その 他 は 5% 水準 で 誤 差 の 範 囲 にあった。表 4-3-2 都 道 府 県 別 の 回 収 状 況都 道 府 県 発 送 先 機 関 数 回 収 機 関 数 回 収 率 ( 機 関 ) 調 整 残 差北 海 道 211 32 15.2% -1.65青 森 県 41 7 17.1% -0.40岩 手 県 37 7 18.9% -0.10宮 城 県 85 20 23.5% 0.94秋 田 県 36 8 22.2% 0.41山 形 県 32 4 12.5% -1.01福 島 県 78 16 20.5% 0.22東 京 都 358 62 17.3% -1.11神 奈 川 県 244 44 18.0% -0.61埼 玉 県 150 34 22.7% 0.98千 葉 県 129 31 24.0% 1.31茨 城 県 65 10 15.4% -0.85栃 木 県 50 11 22.0% 0.44群 馬 県 52 18 34.6% 2.76山 梨 県 29 8 27.6% 1.10新 潟 県 53 8 15.1% -0.82長 野 県 52 13 25.0% 1.00富 山 県 38 11 28.9% 1.47石 川 県 30 8 26.7% 0.99福 井 県 19 4 21.1% 0.17愛 知 県 164 30 18.3% -0.41岐 阜 県 32 9 28.1% 1.23静 岡 県 115 23 20.0% 0.13三 重 県 31 5 16.1% -0.48大 阪 府 313 59 18.8% -0.32兵 庫 県 207 23 11.1% -3.14京 都 府 71 11 15.5% -0.87滋 賀 県 42 13 31.0% 1.88奈 良 県 32 9 28.1% 1.23和 歌 山 県 35 9 25.7% 0.93鳥 取 県 19 5 26.3% 0.75島 根 県 33 5 15.2% -0.64岡 山 県 65 14 21.5% 0.41広 島 県 117 17 14.5% -1.39山 口 県 56 12 21.4% 0.36徳 島 県 36 11 30.6% 1.67香 川 県 41 6 14.6% -0.80愛 媛 県 44 14 31.8% 2.07高 知 県 34 10 29.4% 1.46福 岡 県 230 48 20.9% 0.52佐 賀 県 31 6 19.4% -0.03長 崎 県 70 9 12.9% -1.42熊 本 県 64 10 15.6% -0.80大 分 県 41 12 29.3% 1.58宮 崎 県 46 8 17.4% -0.37鹿 児 島 県 73 14 19.2% -0.08沖 縄 県 43 9 20.9% 0.23-53- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 就 労 支 援 の 実 施 状 況 による 群 分 け本 調 査 で 回 答 の 得 られた 機 関 には、 日 常 的 に 何 らかの 就 職 ・ 復 職 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、 日 常 的な 実 施 はなく 時 々 実 施 あるいはほとんど 実 施 していない 473 機 関 があった。(1) 就 労 支 援 の 実 施 状 況 ( 問 7)回 答 全 体 では、 日 常 的 に 実 施 している 就 職 ・ 復 職 支 援 の 内 容 として、 復 職 支 援 や 就 業 継 続 支 援 が 比 較 的 多く、 新 規 就 職 支 援 や 再 就 職 支 援 は 日 常 的 な 実 施 は 少 なく 時 々 実 施 や 実 施 なしが 比 較 的 多 かった( 図 4-3-1)。日 常 的 な 支 援 場 所 としては 外 来 の 診 察 場 面 が 比 較 的 多 く、 日 常 的 に 施 設 外 で 実 施 することは 少 なかった。 支援 対 象 としては 日 常 的 には 患 者 が 多 く、 時 々 実 施 する 支 援 としては 企 業 の 担 当 者 や 外 部 の 就 労 支 援 機 関 も 比較 的 多 かった。内 容場 所対 象就 職 支 援再 就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援外 来 の 診 療 場 面施 設 内 ( 診 療 以 外 )施 設 外患 者企 業 の 担 当 者外 部 の 就 労 機 関---------++++++--++++--++++++++++++----++---++--------0% 50% 100%日 常 的 に 実 施 時 々 実 施 患 者 ニーズはあるが 実 施 なし 特 に 患 者 ニーズなし 無 回 答図 4-3-1 回 答 全 体 における 就 労 支 援 の 実 施 状 況 ( 問 7)(n=780)( 他 の 項 目 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態就 職 支 援++------内 容再 就 職 支 援復 職 支 援++++----------就 業 継 続 支 援++------外 来 の 診 療 場 面++------場 所施 設 内 ( 診 療 以 外 )施 設 外++++-------患 者++----対 象企 業 の 担 当 者外 部 の 就 労 機 関++++++-------0% 50% 100%日 常 的 に 実 施 時 々 実 施 患 者 ニーズはあるが 実 施 なし 特 に 患 者 ニーズなし 無 回 答図 4-3-2 就 労 支 援 を「 日 常 的 に 実 施 」している 機 関 における 就 労 支 援 の 実 施 状 況( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態日 常 的 に 対 応 していた( 図 4-3-4)。 逆 に 日 常 的 対 応 が 少 ないのは、 脳 損 傷 による 精 神 障 害 、 認 知 症 、 発 達 障害 、てんかんで 30% 程 度 であったが、 時 々の 対 応 は 多 かった。 日 常 的 な 就 労 支 援 のない 機 関 では、 気 分 障 害 、不 安 障 害 、 人 格 障 害 、 発 達 障 害 、 脳 損 傷 による 精 神 障 害 への「 日 常 的 対 応 」がやや 少 なく「 時 々の 対 応 」が増 えていた( 図 4-3-5)。統 合 失 調 症 (F2)気 分 障 害 (F3)不 安 障 害 等 (F4,F5)人 格 障 害 (F6)発 達 障 害 (F8,F9)知 的 障 害 (F7)認 知 症 等 (F00-05)脳 損 傷 等 による 精 神 障 害 (F06-07)てんかん(G40)+++++++++------------------0% 50% 100%日 常 的 に 対 応 時 々 対 応 ほとんど/ 全 く 対 応 なし 無 回 答図 4-3-4 各 疾 患 への 対 応 状 況 ( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態機 関 では、 休 職 中 、 短 時 間 、フルタイム、 障 害 者 雇 用 での 仕 事 をしている 人 への 対 応 も 比 較 的 多 かった( 図4-3-6、 図 4-3-7)。入 院--++無 職 で 在 宅 で 生 活休 職 中++----福 祉 的 就 労 、 作 業 所 、デイケア短 時 間 の 一 般 の 仕 事++----フルタイムの 一 般 の 仕 事++---障 害 者 雇 用++++-- -- -0% 50% 100%比 較 的 多 い 一 部 事 例 がある ほとんど~ 全 くいない 不 明 無 回 答図 4-3-6 支 援 ・ 治 療 対 象 の 患 者 の 状 態 ( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 4 節 職 業 上 の 課 題 状 況 と 就 労 支 援 の 関 係問 10 で 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 への 各 機 関 の 認 識 をきいた。 医 療 機関 においては、 就 労 支 援 への 日 常 的 取 組 のない 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 問 題 の 認 識 自 体 必 ずしも 十 分 ではなく、 逆 に、 日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 ほど 課 題 認 識 が 多 かった。ただし、 具 体 的 な 取 組 によって、 単 に 課 題 認 識 が 多 くなっているだけでなく、その 問 題 の 解 決 にもつながっていることも 明 らかとなった。様 々な 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 様 々な 課 題 状 況 と、 医 療 機 関 における 様 々な 就 労 支 援 等 の 取 組 の 関 係 の分 析 結 果 は 次 節 以 降 で 示 すが、 本 節 ではそのような 関 係 性 の 分 析 例 を 示 す。1 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 状 況日 常 的 な 就 労 支 援 の 実 施 状 況 にかかわらず、 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 については、「 未 解 決 の 課 題 が 多 くある」とする 機 関 が 多 かったが、 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では、 実 施 していない 機 関 に 比 べて、「 課題 はあっても 解 決 可 能 」とする 割 合 が 高 くなっていた( 図 4-4-1)。 一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、 職 業 生 活 上 の 課 題 について「 不 明 」とする 割 合 も 多 かった( 図 4-4-2)。「 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」や「 遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業 」「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること」 等 、 未 解 決 課 題 が 多 い 項 目 がある 一 方 で、「 仕 事上 のストレス 対 処 や 疾 患 管 理 との 両 立 」や「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 への 対 処 」 等 の 課 題 では、「 課 題 はあるが解 決 可 能 」とした 機 関 が 比 較 的 多 かった。本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと++++-- -- --就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと++---仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処++++-- ---- --遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業+++-----職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること++++- -- --就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足++++----0% 50% 100%課 題 があるが 解 決 可 能 な 場 合 が 多 い 未 解 決 の 課 題 が 多 くある 特 に 課 題 は 多 くない 不 明 無 回 答図 4-4-1 部 署 における 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと----++++就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと--+仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立--++職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処--++遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業---+++職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること----+++就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足----++0% 50% 100%課 題 があるが 解 決 可 能 な 場 合 が 多 い 未 解 決 の 課 題 が 多 くある 特 に 課 題 は 多 くない 不 明 無 回 答図 4-4-2 部 署 における 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 就 労 支 援 の 取 組 と 職 業 上 の 課 題 との 関 係 の 分 析 例前 項 の 職 業 的 課 題 の 状 況 については、 各 医 療 機 関 等 における 様 々な 取 組 の 状 況 との 関 係 が 認 められた。 今回 の 調 査 によっては、 単 に 特 定 の 取 組 の 有 無 による 違 いだけでなく、より 詳 細 な 取 組 主 体 ( 自 機 関 、 外 部 機関 、あるいは 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 ) 等 による 違 いについても 分 析 可 能 である。 次 節 以 降 で 結 果 を 示 す 分析 の 概 要 を 例 によって 示 す。(1) 就 労 課 題 ( 問 10)の 未 解 決 率 と、 就 労 支 援 の 取 組 状 況 との 関 係 の 例先 に 示 した 図 4-4-1 のデータによると、 問 10 の 就 労 課 題 の「 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと」は、 日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 では、「 課 題 はあるが 解 決 可 能 」27.2%、「 未 解 決 課 題 が 多 い」55.2%であった。これにより、 課 題 ある 場 合 のその 課 題 の 未 解 決 率 (「 未 解 決 」/(「 課 題 はあるが 解 決 可 能 」+「 未解 決 」)」は 67.0%である。ただし、これは、 表 4-4-1 に 示 すように、 問 8-2「 就 職 活 動 への 個 別 支 援 」の 個 々の 取 組 の 有 無 別 に 集計 すると、 全 ての 取 組 についてその 有 無 で 統 計 的 に 有 意 な 差 が 認 められた。これらの 取 組 がない 場 合 では、ある 場 合 よりも 未 解 決 率 が 有 意 に 高 かった。表 4-4-1 就 労 課 題 「 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと」の 未 解 決 率 と 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無との 関 係 ( 日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 )就 労 支 援 の 取 組 の 有 無 による リスク 比有 意 確職 業 的 課 題 の 未 解 決 率 (95% 信 頼率就 労 支 援 の 取 組取 組 有 の 場 合 取 組 無 の 場 合 区 間 )本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを 明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する64.7% 80.0% 0.68-0.96 0.03体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件 を 明確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する64.8% 81.0% 0.68-0.95 0.03履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくでき就 職 活 動63.9% 82.0% 0.67-0.91 0.01るように 助 言 や 支 援 をするへの 個 別就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確支 援62.7% 85.5% 0.64-0.85 0.00認 して 対 策 を 検 討 する精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する62.1% 77.1% 0.69-0.94 0.01本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人 情 報 や会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)62.3% 77.1% 0.70-0.94 0.01その 一 方 で、これらの 問 8-2の 取 組 は、 問 10 の 就 労 課 題 「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業生 活 の 両 立 」とは、 有 意 な 関 係 は 少 なく、 唯 一 、「 就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確認 して 対 策 を 検 討 する」 取 組 だけが、その 取 組 がある 場 合 に、 未 解 決 率 が 低 くなっていた( 表 4-4-2)。※「95% 信 頼 区 間 」: 統 計 的 に 95%の 確 からしさで 推 定 できる 値 の 範 囲 。 例 えば、 表 4-4-1 の 最 上 行 では、リスク 比 は 64.7%/80.0%=0.81 だが、それぞれのデータ 数 を 考 慮 すると、その 95% 信 頼 区 間 は 0.68-0.96 となる。その 上 限 が1 未 満 のため、リスク 比 は 統 計 的 に 有 意 に1 未 満 である、すなわち、 統 計 的 に 有 意 に、 取 組有 の 方 が 取 組 無 よりも 未 解 決 率 が 低 いといえる。-60- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-4-2 就 労 課 題 「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」の 未 解 決 率 と 就 労 支 援 の 実 施の 有 無 との 関 係 ( 日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 )就 労 支 援 の 取 組 の 有 無 によるリスク 比職 業 的 課 題 の 未 解 決 率有 意 確(95% 信 頼取 組 有 の 場 取 組 無 の 場 合率区 間 )就 労 支 援 の 取 組合本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを 明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する55.1% 60.4% 0.72-1.16 0.29体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件 を 明 確にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する55.7% 60.0% 0.72-1.19 0.34履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできる就 職 活 動55.4% 60.0% 0.73-1.16 0.30ように 助 言 や 支 援 をするへの 個 別就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確 認支 援52.9% 71.2% 0.61-0.90 0.01して 対 策 を 検 討 する精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する55.6% 57.4% 0.79-1.18 0.42本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人 情 報 や 会社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)55.6% 57.4% 0.79-1.18 0.42(2) 就 労 支 援 の 実 施 方 法 の 違 い( 実 施 機 関 、 実 施 頻 度 、 連 携 方 法 等 )による 影 響また、 上 述 の(1)では 取 組 の 有 無 で 比 較 したが、 本 研 究 の 調 査 の 問 8の 調 査 項 目 では、「 取 組 有 」の 実 施状 況 が3 通 り(「 自 機 関 が 主 に 実 施 」、「 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 による 実 施 」、「 外 部 機 関 が 主 に 実 施 」)ある。図 4-4-3 に 示 すように、 取 組 有 の 場 合 で、さらにその 取 組 状 況 別 に、 職 業 上 の 課 題 「 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」の 未 解 決 率 をみると、「 就 職 ・ 復 職 セミナー 等 」は「 自 機 関 が 主 」と「 自 機関 と 外 部 機 関 の 協 力 」には 差 がなく、いずれも「 外 部 機 関 が 主 」よりも 未 解 決 率 が 低 かった。それに 対 して、「 就 職 や 復 職 前 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 確 認 や 対 策 の 検 討 」は、「 自 機 関 が 主 」が 最 も 未 解 決 率 が 低 くなっていた。また、「OB 交 流 等 」は「 自 機 関 が 主 」の 方 が「 外 部 機 関 が 主 」よりも 未 解 決 率 が 低 くなったいた。就 職 ・ 復 職 に 関 する 案 内 、ミーティングや、セミナー 等 を 実 施 する*同 じ 疾 患 があって 働 いている 人 から 学 んだり、 交 流 したりできる 場 を 設 定 する*就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状況 について 確 認 して 対 策 を 検 討 する*0% 50% 100%職 業 上 の 課 題 「 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」未 解 決 率自 機 関 が 主 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 外 部 機 関 が 主図 4-4-3 部 署 における 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況-61- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 5 節 回 答 者 の 就 労 支 援 への 関 わりの 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 医 師 、 精 神 保 健 福 祉 士 、 作 業 療 法 士 等 が、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 で 実施 されている 場 合 が 多 かった。これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 職 による 就 労 支 援 への 取 組 のための 専 門 的 情 報 源 としては、 図 書 ・ 論 文 等 や 学 会 ・ 研 究 会 等 が 主 となっていた。また、これらの 就 労 支 援 担 当 者 の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 状 況 ( 問 10)との 関 係 を 前 節 と 同 様 に 分 析 したところ、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 任 で 就 労 支 援 を 実 施 し、また、 就 労 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 等 を 図 書 ・ 論 文 等 、 学会 ・ 研 究 会 等 から 得 ている 場 合 が、 最 も 問 題 解 決 率 が 高 かった。1 回 答 者 の 職 種 ( 問 2) 別 の 就 労 支 援 への 関 わり各 機 関 において 就 労 支 援 (ない 場 合 は 生 活 支 援 )に 主 に 担 当 している 回 答 者 全 体 では、その 半 数 は 精 神 保健 福 祉 士 の 資 格 があり、30%が 医 師 、12%が 社 会 福 祉 士 であった。その 他 の、 保 健 師 、 看 護 師 、 作 業 療 法 士 、心 理 療 法 士 等 、 医 療 ソーシャルワーカー、ケースワーカー、ジョブコーチは 10% 未 満 であり、ピア 支 援 員 からの 回 答 はなかった( 図 4-5-1)。日 常 的 就 労 支 援 有++---+日 常 的 就 労 支 援 無--++ +++ +-0% 50% 100%医 師 保 健 師 看 護 師精 神 保 健 福 祉 士 作 業 療 法 士 臨 床 心 理 士 / 心 理 療 法 士医 療 ソーシャルワーカー 社 会 福 祉 士 ケースワーカージョブコーチ ピア 支 援 員 その 他図 4-5-1 回 答 者 の 資 格 等( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態内 容場 所対 象就 職 支 援再 就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援場 所 : 外 来 の 診 療 場 面場 所 : 施 設 内 ( 診 療 以 外 )場 所 : 施 設 外対 象 : 患 者対 象 : 企 業 の 担 当 者対 象 : 外 部 の 就 労 機 関-----++---++--++--++++++++++--+---++--++------ --++++0% 50% 100%日 常 的 に 実 施 時 々 実 施 患 者 ニーズはあるが 実 施 なし 特 に 患 者 ニーズなし 無 回 答図 4-5-2 医 師 による 就 労 支 援 の 状 況( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態満 であった。 就 労 支 援 を 日 常 的 に 実 施 していない 部 署 からの 回 答 では、 就 労 支 援 を 主 に 担 当 している 人 はほとんどおらず、 医 療 ・ 生 活 支 援 を 主 としている 人 が 多 かった。日 常 的 就 労 支 援 有++++ --日 常 的 就 労 支 援 無----++0% 50% 100%就 労 支 援 専 任就 労 支 援 が 主 で 医 療 ・ 生 活 支 援 を 兼 務医 療 ・ 生 活 支 援 が 主 で 就 労 支 援 も 実 施 医 療 ・ 生 活 支 援 専 任図 4-5-4 回 答 者 の 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 専 任 / 兼 務 の 状 況( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態るかにかかわらない)と、 医 療 ・ 生 活 支 援 専 任 の 場 合 の 比 較 で、 職 業 上 の 課 題 状 況 に 最 も 大 きな 差 が 認 められた( 表 4-5-1)。 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、 前 者 では、 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 未 解 決 率 が 有 意 に低 かった。その 他 、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 兼 任 であっても 就 労 支 援 を 主 に 実 施 している 場 合 の 方が、 兼 任 で 医 療 ・ 生 活 支 援 を 主 としている 場 合 よりも、「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の両 立 」「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 」について 問 題 未 解 決 率 が 低 かった。なお、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 において、 就 労 支 援 専 任 の 場 合 や、 兼 任 でも 就 労 支 援 が 主 の 場 合 の 方 が問 題 解 決 率 が 低 いという 結 果 となったが、 精 査 すると、メンタルヘルス 推 進 センターの 事 務 部 門 等 限 られた例 であり、 事 務 職 が 就 労 相 談 を 担 当 している 場 合 等 であった。就 労 支 援 への 専 任 / 兼任表 4-5-1 就 労 支 援 の 専 任 / 兼 務 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就労 支 援 の有 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾患 管 理 と 職 業生 活 の 両 立職 務 遂 行 上 の 遅 刻 や 欠 勤 、 長 職 場 の 理 解 や個 別 課 題 や、 危 期 休 職 、 退 職 の 協 力 、 良 好 な 人険 状 況 の 回 避 ない 安 定 した 就 間 関 係 を 得 るこや 対 処 業と就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬に 関 する 本 人の 満 足【 就 労 専 任 vs 兼任 】【 就 労 専 任 vs 医療 ・ 生 活 専 任 】【 兼 任 vs 医 療 ・生 活 専 任 】日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無1.17-1.34 1.10-1.24 1.00-1.061.00-1.090.74-0.89 0.61-0.78 0.63-0.94 0.70-0.99 0.66-0.810.84-0.97 0.79-0.92 0.75-0.93 0.77-0.90 0.82-0.94 0.83-1.00【 兼 任 で 就 労 主vs 医 療 ・ 生 活主 】日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.42-0.89 0.53-0.96( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 (ただし 斜 体 は 逆 ).**は 1% 水 準 で 有 意 )1.00-1.063 就 職 ・ 復 職 支 援 についての 情 報 源 ( 問 14)の 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 において、 精 神 保 健 福 祉 士 や 医 師 等 が 就 職 ・ 復 職 支 援 に 取 り 組 むための 専 門 的 知 識 等 の 情 報 源としては 図 書 ・ 論 文 等 と 学 会 ・セミナー 等 が 多 く、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 において、 回 答 者 がこれらから 情 報 を 得 ている 場 合 には、 就 職 活 動 や 就 職 後 の 職 業 上 の 問 題 状 況 の 解 決 率 が 高 かった。(1) 就 職 ・ 復 職 支 援 についての 情 報 源 ( 問 14)の 状 況就 労 支 援 の 情 報 源 としては「 図 書 ・ 論 文 等 」と「 学 会 ・セミナー 等 」が 多 く、 一 方 、「 専 門 教 育 や 研 修 」は今 後 利 用 したいとする 場 合 が 多 かった( 図 4-5-6、 図 4-5-7)。 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、 日 常 的 就 労支 援 のある 機 関 よりも、 全 ての 主 要 な 情 報 源 の 活 用 が 少 なかったが、「 図 書 ・ 論 文 等 」と「 学 会 ・セミナー 等 」-65- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態については 今 後 利 用 したいという 回 答 が 25% 近 くと 比 較 的 多 く、 情 報 の 必 要 性 を 感 じないとする 回 答 は 10%未 満 であった。図 書 、 論 文 、 雑 誌 ・ジャーナル 等++----学 会 、 研 究 会 、セミナー++----就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定研 修 等++++--実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助 言 ・ 指 導+++--主 要 な 情 報 源 である利 用 したことはないが 利 用 したい0% 50% 100%利 用 したことがある特 に 必 要 を 感 じない図 4-5-6 回 答 者 の 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 やスキル 向 上 のための 情 報 源 ( 就 労 支 援 に 日常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態や 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 」「 職 場 の 理 解 、 人 間 関 係 」の 未 解 決 課 題 が 少 なかった。また、「 学 会 、 研 究 会 等 」を 情 報 源 としている 場 合 も、 就 職 後 の「 就 業 継 続 」「 職 場 の 理 解 、 人 間 関 係 」の 未 解 決 課 題 が 少 なかった。いずれの 情 報 源 についても、「 利 用 したことがある」だけでなく「 主 要 な 情 報 源 である」とされている 場 合 の 方が、より 問 題 解 決 と 関 連 していた( 表 4-5-2)。一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、「 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定 研 修 等 」「 実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助 言 ・ 指 導 」「 学 会 、 研 究 会 、セミナー」を 情 報 源 にしている 場 合 に「 本人 に 合 った 職 探 し」の 問 題 解 決 が 多 くなっていた。「 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定 研 修 等 」では 就 職 活 動 の 問 題 解 決 とも 関 係 していた。表 4-5-2 就 労 支 援 の 情 報 源 の 利 用 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )就 労 支 援 の 情 報源 の 利 用 状 況図 書 、 論 文 、 雑 誌 ・ジャーナル 等学 会 、 研 究 会 、セミナー就 職 ・ 復 職 支 援 に 関する 専 門 教 育 、 資格 認 定 研 修 等実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助言 ・ 指 導日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.84-0.96 **0.77-0.98就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.66-0.91 ** 0.60-0.90 **( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり: 0.79)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.67-0.96( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり: 0.81)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業0.76-0.99( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり:0.84)0.74-0.96 ** 0.74-0.97 ** 0.79-1.00職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.72-0.94( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり:0.86)0.73-0.96( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり:0.84)0.75-0.99 ** 0.68-0.95 **( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-67- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 6 節 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 とその 効 果今 回 の 調 査 で 回 答 のあった 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 自 機 関 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職プログラムによるだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 により、 就 労 支 援 の 成 果 をあげている 機 関 も多 かった。 医 療 機 関 等 における 就 職 ・ 復 職 プログラムは、 具 体 的 には 気 分 障 害 の 復 職 支 援 リワーク、 継 続 的デイケア、 就 職 ミーティング 等 であり、 利 用 者 は 年 間 10~30 名 が 多 く、 主 要 な 運 営 資 金 はデイケア 等 の 診 療報 酬 であった。1 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 ( 問 6)とその 効 果日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 就 労 希 望 者 への 対 応 として、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 める 場 合 だけでなく、 外 部 就 労 支 援 機 関 に 紹 介 ・ 連 絡 する 場 合 や、 外 部 の 就 労 相 談 機 関 を 案 内 する場 合 に3 分 されていた。ただし、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 める 機関 が「 就 職 活 動 」や「 就 職 後 の 職 場 適 応 」の 効 果 が 最 も 高 かった。また、 他 機 関 を 単 に 案 内 する 機 関 より 同行 ・ 紹 介 する 機 関 の 方 が 就 職 の 問 題 は 解 決 していた。 一 方 、 日 常 的 な 就 労 支 援 のない 機 関 では 自 機 関 で 治 療を 優 先 させようとする 機 関 よりも 他 機 関 を 案 内 ・ 紹 介 する 機 関 の 方 が 職 業 上 の 問 題 の 解 決 は 多 かった。(1) 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 ( 問 6)無 職 や 休 職 中 の 患 者 が「 働 きたい」と 言 った 場 合 には、 就 労 支 援 を 日 常 的 に 実 施 している 部 署 では、 就 労希 望 者 に 対 して、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める、 地 域 関 係 機 関 の 紹 介 、 就 労 相 談 先 の 案 内 に対 応 が3 分 されていた( 図 4-6-1)。 日 常 的 な 就 労 支 援 のない 機 関 では、 自 機 関 での 対 応 が 減 り 外 部 の 就 労 の相 談 先 の 案 内 が 増 えていた。日 常 的 就 労 支 援 有++--日 常 的 就 労 支 援 無--++0% 50% 100%自 機 関 ・ 法 人 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める地 域 で 支 援 が 受 けられるように 関 係 機 関 等 に 紹 介 / 連 絡 / 同 行 する就 労 について 相 談 できる 地 域 の 関 係 機 関 等 を 案 内 する症 状 の 安 定 や 治 療 を 優 先 するように 説 明 する図 4-6-1 無 職 や 休 職 中 の 患 者 の「 働 きたい」への 対 応( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 ( 問 6)と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係就 職 ・ 復 職 希 望 者 に 対 して、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 めるか、 関 係 機 関 に 紹 介 するか、 治 療 を 優先 させるようにするかの 違 いについては、 当 該 機 関 の 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 により、 職 業 上 の 課 題 状 況 との関 係 が 異 なっていた( 表 4-6-1)。日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 就 職 ・ 復 職 希 望 者 に 対 して 他 機 関 への 紹 介 や 案 内 をする 機 関 よりも 自 機関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 める 機 関 の 方 が、「 就 職 活 動 」「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 / 疾 患 管 理 と 職 業 生活 の 両 立 」「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 / 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 」の 未 解 決 率 は 低 かった。ただし、その 場 合 、 他機 関 との 関 わりで、 他 支 援 機 関 に 紹 介 ・ 同 行 する 場 合 の 方 が、 単 に 他 機 関 の 就 労 支 援 を 案 内 するよりも、「 本人 に 合 った 職 探 し」「 就 職 活 動 」「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 」の 未 解 決 課 題 は 少 なかった。一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 については、 治 療 を 優 先 するようにしているよりは、 他 機 関 への 紹 介 や案 内 がある 場 合 に、「 就 職 活 動 」「 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」「 職 務 遂 行 上 の 課 題 対 応 等 」「 就 業 継 続 の 課 題 」「 満 足 度 」について 解 決 可 能 とする 割 合 が 大 きかった。また、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 めるよりも、 他 機 関 に 紹 介 ・ 案 内 した 方 が「 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」「 満 足 度 」の 解 決 につながっていた。表 4-6-1 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )就 職 ・ 復 職 希 望者 への 対 応【 自 機 関 就 労 支援 利 用 vs 他 機関 利 用 】【 他 機 関 利 用 vs治 療 優 先 】【 他 機 関 同 行 vs他 機 関 案 内 】日 常 的 就労 支 援 の有 無日 常 的 就労 支 援 有日 常 的 就労 支 援 無日 常 的 就労 支 援 有日 常 的 就労 支 援 無日 常 的 就労 支 援 有本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.65-0.96 ** 0.54-0.87 ** 0.61-0.93 **遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足1.12-1.43 1.01-1.050.81-0.96 0.74-0.99 0.80-0.96 0.84-0.99 0.95-0.990.74-0.96 ** 0.68-0.97 0.73-1.00日 常 的 就労 支 援 無( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 (ただし 斜 体 は 逆 ).**は 1% 水 準 で 有 意 )2 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 内 容自 機 関 で 実 施 している 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 具 体 的 内 容 としては、 復 職 支 援 デイケアやリワーク、就 労 継 続 支 援 的 なデイケアが 最 も 多 く、その 他 様 々な 就 労 支 援 の 形 態 があった。• 復 職 支 援 デイケア・リワーク 42 機 関• 模 擬 的 職 場 、 継 続 的 デイケア 26 機 関• 就 労 ミーティング、 就 労 セミナー 12 機 関• デイケア 10 機 関-69- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• デイケアの 後 に 外 部 機 関 を 紹 介 7 機 関• ショートケア 2 機 関• IPS 2 機 関• ソーシャルワーカー、MSW による 就 労 相 談 2 機 関• その 他 の 就 労 支 援 プログラム 3 機 関3 機 関 独 自 の 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 内 容問 6において、「 自 機 関 ・ 法 人 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める」とした 135 機 関 について 集 計 した。リワークプログラムやデイケア 等 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムは、 診 療 報 酬 を 主 な 資 金 源 としつつ、それ 以 外 の 機 関 予 算 を 加 えて 一 部 の 医 療 機 関 で 実 施 されていた。 休 職 中 の 気 分 障 害 の 復 職 支 援 を、デイケア等 の 診 療 報 酬 の 枠 内 で 実 施 しているプログラムが 比 較 的 多 かった。 年 間 10~30 名 を 対 象 とし、 就 職 ・ 復 職 率は 15~60%であった。(1)プログラムの 運 営 資 金 源機 関 独 自 の 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムは、デイケア 等 の 診 療 報 酬 が 主 な 資 金 源 であり、 診 療 報 酬 外 の 機 関予 算 も 一 部 使 われていた( 図 4-6-2、 図 4-6-3)。 日 常 的 に 対 応 している 疾 患 種 類 によって、 顕 著 な 差 はなかった。デイケア 等 の 診 療 報 酬++++診 療 報 酬 外 の 機 関 予 算++++職 場 適 応 援 助 者 助 成 金++支 援 対 象 者 が 支 払 うサービス 料 金++その 他 の 資 金 源+++0% 50% 100%主 な 資 金 源 資 金 の 一 部 非 該 当図 4-6-2 就 労 支 援 プログラムの 運 営 の 資 金 源( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態デイケア 等 の 診 療 報 酬----診 療 報 酬 外 の 機 関 予 算----職 場 適 応 援 助 者 助 成 金--支 援 対 象 者 が 支 払 うサービス 料 金その 他 の 資 金 源-----0% 50% 100%主 な 資 金 源 資 金 の 一 部 非 該 当図 4-6-3 就 労 支 援 プログラムの 運 営 の 資 金 源( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• プログラムに 通 所 して 参 加 できること 16 機 関• 主 治 医 の 許 可 があること 16 機 関• 症 状 が 安 定 していること 13 機 関• 事 前 に 同 機 関 のデイケア 等 を 利 用 していたこと 9 機 関その 他 、 疾 病 理 解 ・ 服 薬 管 理 ができていること5 機 関 、 同 一 機 関 で 通 院 治 療 を 受 けていること5 機 関 、 集団 でトラブルを 起 こさないこと5 機 関 、 就 労 可 能 年 齢 であること4 機 関 、 障 害 認 定 のあること4 機 関 、 等 があった。(3) 利 用 者 と 就 職 率就 労 支 援 プログラムの 年 間 利 用 者 数 は、10~30 名 程 度 であり、ほとんどが 利 用 開 始 時 には 無 職 あるいは 休職 中 であった。 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では 就 職 ・ 復 職 率 は 15~60%、 実 施 していない 機 関 では 0~50%であった。ア 利 用 者 数 ( 表 4-6-2)日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では 利 用 者 数 が 非 常 に 多 い 場 合 があり 平 均 値 を 高 くしていたが、 中 央 値 等 で 見ると 年 間 利 用 者 数 は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 でも 10~30 名 程 度 が 大 半 であった。そのうち、 利用 開 始 時 に 仕 事 に 就 いていた 人 は6 名 未 満 が 大 半 であった。日 常 的 就 労 支援 有日 常 的 就 労 支援 無表 4-6-2 日 常 的 就 労 支 援 状 況 別 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 者 数年 間 利 用 者 数利 用 開 始 時 に 無 職 / 休 職 中利 用 開 始 時 に 仕 事 に 就 いていた25%タイル- 中 央 値25%タイル- 中 央 値 -75%平 均 値 ± 標 準 偏 差平 均 値 ± 標 準 偏 差-75%タイルタイル25.7±26.9 10-16.5-30 14.7±56.0 0-1-6101.5±501.3 2-5-12 1.8±4.1 0-0-1イ 就 職 率 ( 表 4-6-3)利 用 者 のうち、 就 職 ・ 復 職 できた 人 は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では 年 間 2~10 名 程 度 で、 就職 ・ 復 職 率 は 15%~60%が 大 半 であった。 一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 での 就 職 ・ 復 職 率 は0~50%が 大 半 であった。日 常 的 就 労 支援 有日 常 的 就 労 支援 無表 4-6-3 日 常 的 就 労 支 援 状 況 別 の 就 労 支 援 プログラムの 就 職 者 数 と 就 職 率就 職 ・ 復 職 者 数就 職 ・ 復 職 率25%タイル- 中 央 値 -75%25%タイル- 中 央 値 -75%平 均 値 ± 標 準 偏 差平 均 値 ± 標 準 偏 差タイルタイル11.4±15.4 2-5-15 24%±29% 17%-33%-59%3.3±5.9 0-1-3 10%±32% 0%-18%-50%-72- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 7 節 医 療 機 関 における 局 面 別 の 就 労 支 援 の 取 組 状 況 とその 効 果問 8においては、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する 様 々な 取 組 ( 非 就 労 者 への 情 報提 供 等 、 就 職 ・ 復 職 支 援 、 職 業 アセスメント、 就 労 者 への 継 続 的 支 援 、 等 )という 意 味 での「 就 労 支 援 」の取 組 状 況 を 聞 いた。これには、 特 に 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム 等 と 位 置 づけられていない 場 合 も 含 む。また、医 療 機 関 が 自 機 関 で 実 施 している 取 組 だけでなく、 利 用 者 に 対 して 外 部 機 関 で 実 施 されている 取 組 、 自 機 関と 外 部 機 関 が 協 力 して 実 施 している 取 組 も 含 めた。その 結 果 、 日 常 的 な 就 労 支 援 がある 医 療 機 関 等 では、 個 々の 取 組 には 医 療 機 関 と 外 部 機 関 の 役 割 分 担 の 特徴 があるものの、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 就 労 支 援 が 提 供 されていることが 明 らかになった。 一 方 、日 常 的 な 就 労 支 援 の 取 組 のない 機 関 では 取 組 は 少 ないが、それでもほとんどの 取 組 を「 患 者 のためには 必 要であるが 実 施 なし」と 考 えており、「 必 要 なし」とされた 取 組 はほとんどなかった。また、それらの 就 労 支 援 への 取 組 と 問 10 の 就 職 前 から 就 職 後 の 課 題 の 問 題 解 決 との 関 係 を 調 べた 結 果 、 就職 活 動 支 援 が 就 職 活 動 の 問 題 解 決 につながるというような 直 接 的 な 関 係 だけでなく、 就 職 前 の 取 組 と 就 職 後の 疾 患 管 理 や 職 場 理 解 との 関 係 のような 様 々な 関 係 が 認 められた。また、 医 療 機 関 が 自 らあるいは 外 部 機 関と 協 力 して 行 う 場 合 に 効 果 の 高 い 取 組 等 も 明 らかになった。1 非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけ( 問 8-1)の 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 における 非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけの 取 組 としては、「 就 労 希 望 を 表 明 しやすくするように 働 きかけること」「 就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生 活 や 経 済 的 問 題 の 検 討 」が 比 較 的 多 く、「 就 職 セミナー」「OB( 同病 で 就 職 している 人 ) 交 流 」は 比 較 的 少 なかった。 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、ない 機 関 と 比 べていずれも 取 組 が 多 かった。 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 を 含 め、これらの 取 組 のない 場 合 は「 患 者 のために 必 要 だが 実 施 なし」とされていることが 多 かった。さらに、これらの 取 組 が 就 職 前 の 職 探 しの 課 題 や 就 職 活 動 の 課題 だけでなく、 就 職 後 の 職 場 適 応 や 職 場 理 解 ・ 人 間 関 係 の 問 題 解 決 につながっていることも 確 認 できた。(1) 非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけ( 問 8-1)の 状 況非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけについては、 自 機 関 では「 就 労 意 欲 の 確 認 」「 就 労 と 生 活 の 一 体 的 相 談 」が 多 く、「 就 職 セミナー」「 OB 交 流 」は、 特 に 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では 外 部 機 関 との 連 携 による 場 合 が多 かった( 図 4-7-1)。 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 は、 実 施 している 機 関 と 比 べると、 全 ての 取組 について 自 機 関 あるいは 外 部 機 関 との 連 携 よる 取 組 が 少 なかったが、「 患 者 のために 必 要 だが 実 施 なし」が多 く、 就 労 支 援 が 不 要 であるとの 回 答 は 少 なかった( 図 4-7-2)。-73- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態就 職 や 復 職 の 希 望 を 表 明 していない 患 者 に 対 して、 希 望 を 表 明 しやすいように 働 きかける++----就 職 ・ 復 職 に 関 する 案 内 、ミーティングや、セミナー 等 を 実 施 する++++----同 じ 疾 患 があって 働 いている 人 から 学 んだり、 交流 したりできる 場 を 設 定 する++++----就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生 活 の 変 化 、 生 活 保 護 や 障 害 年金 の 条 件 の 変 化 等 の 経 済 的 問 題 について 検 討 する++-- ---自 機 関 が 主 に 実 施外 部 機 関 が 主 に 実 施不 要 のため 実 施 なし0% 50% 100%自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし無 回 答図 4-7-1 無 職 / 休 職 中 の 患 者 に 対 する 情 報 提 供 等 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態決 課 題 も 少 なくなっていた。ただし、 非 就 労 者 への 支 援 は「 安 定 した 就 業 継 続 」の 解 決 にはつながっていなかった。また、「 就 職 セミナー 等 」は、 外 部 機 関 が 主 に 実 施 する 場 合 よりも、 自 機 関 が 主 に、あるいは、 自 機 関 と 外部 機 関 が 協 力 して 実 施 する 場 合 の 方 が、「 職 探 し」や「 就 職 活 動 等 の 解 決 」につながっている 場 合 が 多 かった。表 4-7-2 非 就 労 者 への 支 援 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )非 就 労 者 への 支援 状 況就 職 や 復 職 の 希 望を 表 明 していない 患者 に 対 して、 希 望 を表 明 しやすいように働 きかける就 職 ・ 復 職 に 関 する案 内 、ミーティングや、セミナー 等 を 実施 する同 じ 疾 患 があって 働いている 人 から 学 んだり、 交 流 したりできる 場 を 設 定 する日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.75-0.92 ** 0.71-0.99( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.67)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.85-0.99 0.84-1.00 0.75-0.94 **0.76-0.93 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.79) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.80)0.63-0.84 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.67) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.69)( 自 機 関 v 協力 :0.79)( 自 機 関 vs外 部 機 関 :0.75)0.68-0.99( 自 機 関 vs 外 部 機関 : 0.64) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.66)0.83-0.97 ** 0.84-1.00 0.79-0.990.76-0.94 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.82)0.83-0.98( 協 力 vs 外 部 機関 :0.82)0.63-0.85 ** 0.62-0.89 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.61)0.83-1.00( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.75 ) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.80)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.69-0.94 **( 自 機 関 vs 協力 :0.71) ( 自 機 関vs 外 部 機 関 : 0.66)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.72-0.93 **0.80-0.96 **0.75-0.98( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.73)0.74-0.95 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.74)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.85-0.99就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生活 の 変 化 、 生 活 保護 や 障 害 年 金 の 条件 の 変 化 等 の 経 済的 問 題 について 検討 する日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.66-0.93( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.72)0.83-0.98 0.75-0.94 **( 自 機 関 vs 協力 :0.84)0.83-0.99( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.82-0.91( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.84) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.89)2 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 ・ 復 職 支 援 ( 問 8-2)の 状 況 とその 効 果一 般 就 業 に 向 けた 就 職 ・ 復 職 支 援 では、 本 人 に 適 した 仕 事 の 検 討 、 就 職 活 動 ( 履 歴 書 や 面 接 での 説 明 の 支援 ) 支 援 、 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 確 認 と 検 討 については、 医 療 機 関 の 自 機 関 を 主 とした 取 組 が 比 較 的 多 かった。 一 方 、 職 場 実 習 や 求 人 情 報 の 収 集 等 については、 外 部 機 関 との 協 力 による 実 施 が 多 くなっていた。また、自 機 関 でも 外 部 機 関 でも 実 施 されていない 場 合 については、 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず「 患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし」とされている 場 合 が 多 かった。-75- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態これらの 取 組 は、 主 に「 就 職 活 動 」の 問 題 解 決 との 関 係 が 認 められたが、「 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 確 認 と 検討 」「 職 場 実 習 」は「 就 職 後 の 職 場 適 応 」や「 職 場 の 理 解 ・ 協 力 ・ 人 間 関 係 」の 問 題 解 決 との 関 係 も 認 められた。(1) 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 ・ 復 職 支 援 ( 問 8-2)の 状 況日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 では、 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 支 援 のどの 項 目 も 自 機 関 での 取 組 と 外 部 機 関 との連 携 による 取 組 が 全 般 的 に 多 く、「 本 人 に 合 った 職 探 し」「 体 調 に 合 わせた 職 探 し」「 履 歴 書 や 面 接 での 説 明 の支 援 」「 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 事 前 確 認 」については 自 機 関 で 25~30%、 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 を 含 めると 60% 前 後 であった。 一 方 、「 職 場 実 習 」「 仕 事 探 しの 情 報 収 集 等 」は 自 機 関 で 5~10%、 外 部 機 関 との 連 携を 含 めても 30% 未 満 の 実 施 であった( 図 4-7-3)。本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを 明確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する++++----体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件 を明 確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する++++----履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支 援 をする++---就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について確 認 して 対 策 を 検 討 する++++---- --精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する++++---本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人 情報 や 会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)++----0% 50% 100%自 機 関 が 主 に 実 施 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施 外 部 機 関 が 主 に 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし 不 要 のため 実 施 なし 無 回 答図 4-7-3 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する----++体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件を 明 確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する----++履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支 援 をする--+就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確 認 して 対 策 を 検 討 する----++++精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する----+本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人情 報 や 会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)--++自 機 関 が 主 に 実 施外 部 機 関 が 主 に 実 施不 要 のため 実 施 なし0% 50% 100%自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし無 回 答図 4-7-4 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-7-2( 続 き)一 般 就 業 に 向 けた就 職 ・ 復 職 支 援 状況体 調 の 悪 化 や 危 険を 防 止 できる 仕 事 内容 や 職 場 の 条 件 を明 確 にし、 条 件 に合 った 職 探 しを 支 援する履 歴 書 や 就 職 面 接で、 病 状 や 必 要 な 配慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支援 をする就 職 や 復 職 の 前 に実 際 の 仕 事 内 容 や職 場 の 状 況 について確 認 して 対 策 を 検 討する精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための職 場 実 習 等 を 支 援 する本 人 に 合 った 仕 事 を探 すため、 様 々な 手段 を 使 い 求 人 情 報 や会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)日 常 的 就労 支 援 の有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.77-0.95( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.83)就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと0.68-0.95( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.71) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.81)0.81-0.94 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.73)0.67-0.91 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.71) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.76)0.83-0.98( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.80) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.86)0.64-0.85 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.74)仕 事 上 のストレスへの 対 処 、疾 患 管 理 と 職業 生 活 の 両 立0.61-0.90 **( 自 機 関 vs 協力 :0.65)( 自 機 関vs 外 部 機 関 :0.58)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.83-0.98 0.77-0.97 0.83-0.99遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.73-0.95 0.83-0.97( 自 機 関 vs 協 ( 自 機 関 vs 協力 :0.79)( 自 機 関 力 :0.84)vs 外 部 機 関 :0.75)0.69-0.94 ** 0.77-0.99( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.49) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.79)0.70-0.94 **( 協 力 vs 外 部 機関 :0.66)0.83-0.98( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )3 様 々な 職 業 アセスメント( 問 8-3)の 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 で 実 施 されている 職 業 アセスメントとしては、 自 機 関 での「 治 療 場 面 での 症 状 等 を 踏 まえた 評価 」「 本 人 との 課 題 や 支 援 ニーズの 相 談 場 面 での 検 討 」が 多 かった。 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 ではこれらに加 え、「 模 擬 的 職 場 」「 職 場 実 習 やリハビリ 出 勤 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」の 外 部 機 関 との 協 力 による 実施 が 比 較 的 多 かった。日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、「 本 人 との 課 題 や 支 援 ニーズの 相 談 場 面 での 検 討 」「 集 団 場 面 での 評 価 」「 模 擬 的 職 場 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」 等 が 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 解 決 と 関 連していた。(1) 様 々な 職 業 アセスメント( 問 8-3)の 状 況医 療 機 関 等 で 実 施 されている 職 業 アセスメントとしては、 自 機 関 での「 治 療 場 面 での 症 状 等 を 踏 まえた 評価 」「 本 人 との 課 題 や 支 援 ニーズの 相 談 場 面 での 検 討 」が 多 く、「 集 団 場 面 での 評 価 」が 続 き、「 模 擬 的 職 場 」「 職 場 実 習 やリハビリ 出 勤 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」での 職 業 評 価 は 比 較 的 少 なかった( 図 4-7-5、 図4-7-6) 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 ではこれら 全 ての 取 組 が 多 いが、 特 に、「 模 擬 的 職 場 」「 職 場 実 習 やリハビリ 出 勤 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」の 外 部 機 関 との 協 力 による 実 施 が 比 較 的 多 く、 外 部 機 関 が 主 にこれら-78- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態を 実 施 している 場 合 も 多 かった。 自 機 関 でも 外 部 機 関 でも 実 施 されていない 取 組 について、 日 常 的 就 労 支 援の 有 無 にかかわらず 多 くが「 患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし」とされていた。就 職 / 復 職 後 の 実 際 の 職 場 において、 支 援 の 提 供と 並 行 して 情 報 収 集 して 評 価 する実 際 の 職 場 での 実 習 やリハビリ 出 勤 等 において、情 報 収 集 して 評 価 する就 職 後 の 職 業 生 活 場 面 を 想 定 した 模 擬 的 な 場 面 を設 定 して、その 中 で 評 価 する集 団 的 な 生 活 場 面 や 作 業 場 面 を 設 定 して、その 中で 評 価 する++++++++++++++-------- ---- ---- --- --治 療 場 面 における 病 状 等 を 踏 まえて 評 価 する++------相 談 等 で 本 人 と 一 緒 に 課 題 や 支 援 ニーズを 評 価 する++----- --0% 50% 100%自 機 関 が 主 に 実 施自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施外 部 機 関 が 主 に 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし不 要 のため 実 施 なし無 回 答図 4-7-5 患 者 の 就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 (アセスメント)の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態で「 実 際 の 職 場 」での 評 価 は 少 なくなっていた。 一 方 、 診 療 所 では「 模 擬 的 職 場 」での 評 価 が 自 機 関 でできないが 必 要 とする 回 答 が 比 較 的 多 かった。(2) 様 々な 職 業 アセスメント( 問 8-3)の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では、「 相 談 等 での 本 人 と 一 緒 に 行 う 課 題 や 支 援 ニーズの 評 価 」「 集団 的 生 活 場 面 や 作 業 場 面 での 評 価 」「 職 業 生 活 場 面 を 想 定 した 模 擬 的 職 業 場 面 での 評 価 」を 実 施 している 機 関では、 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 未 解 決 課 題 が 少 なかった( 表 4-7-3)。それらは 外 部 機 関 によるよりも 自 機関 が 関 わって 実 施 している 方 が 解 決 率 は 高 かった。また、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では、「 職 場 実習 での 評 価 」や「 実 際 の 職 場 での 評 価 」も 就 職 活 動 から 就 職 後 の 疾 患 管 理 や 人 間 関 係 の 未 解 決 課 題 の 低 下 と関 連 していた。ただし、 就 労 者 の 処 遇 上 の 満 足 の 問 題 の 解 決 に 関 係 する 評 価 はなかった。一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、「 相 談 で 本 人 と 一 緒 に 課 題 や 支 援 ニーズを 評 価 」したり、「 治 療 場 面 での 病 状 を 踏 まえた 評 価 」、「 集 団 的 場 面 での 評 価 」が、 就 職 前 、 就 職 活 動 、また、 就 職 後 のストレス 対 処 や 疾 患 管 理 の 問 題 の 解 決 と 関 連 していた。職 業 評 価 への取 組 状 況就 職 / 復 職 後 の実 際 の 職 場 において、 支 援 の 提 供と 並 行 して 情 報 収集 して 評 価 する実 際 の 職 場 での実 習 やリハビリ 出勤 等 において、 情報 収 集 して 評 価する就 職 後 の 職 業 生活 場 面 を 想 定 した模 擬 的 な 場 面 を設 定 して、その 中で 評 価 する集 団 的 な 生 活 場面 や 作 業 場 面 を設 定 して、その 中で 評 価 する表 4-7-3 職 業 評 価 への 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.70-0.96( 自 機 関 vs 協力 :0.66) ( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.67)0.77-0.95 ** 0.70-0.96 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.63)0.72-0.88 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.82) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.79)0.84-0.98( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.84) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.82)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.66-0.97( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.62)0.70-0.95 0.65-0.95( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.62) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.63)0.57-0.75 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.65)0.81-0.96 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.69) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.82)0.60-0.87 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.64)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.83-0.990.70-0.96( 自 機 関 vs 協力 :0.62) ( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.52)0.56-0.80 ** 0.66-0.90 **( 自 機 関 vs 協力 :0.75)0.76-0.95 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.71)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業0.75-0.96 **( 自 機 関 vs 協力 :0.68) ( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.64)職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.71-0.91 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.67)0.70-0.88 **0.74-0.94 ** 0.71-0.90 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.81)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-80- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-7-3( 続 き)職 業 評 価 への取 組 状 況治 療 場 面 における 病 状 等 を 踏 まえて 評 価 する相 談 等 で 本 人 と一 緒 に 課 題 や 支援 ニーズを 評 価する日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.67-0.98 0.69-0.900.84-0.99( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.83) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.82)0.73-0.90 **( 自 機 関 vs 協力 :0.83)( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.78)0.76-0.95 0.60-0.79 ** 0.61-0.94( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.68)0.83-0.95 ** 0.82-0.95 ** 0.76-0.96 **( 自 機 関 vs 外 部 ( 自 機 関 vs 外 部 ( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.86) ( 協 力 機 関 :0.79) ( 協 力 機 関 :0.82) ( 協 力vs 外 部 機 vs 外 部 機 vs 外 部 機関 :0.89) 関 :0.81) 関 :0.83)0.67-0.99( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.74)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.71-0.91 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.76)0.71-0.93( 自 機 関 vs 協力 :0.84)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足4 就 労 者 への 継 続 的 支 援 ( 問 8-4)の 状 況 とその 効 果精 神 障 害 者 の 就 職 後 の 疾 患 管 理 、 生 活 支 援 、 心 理 的 サポート、 就 労 者 の 受 診 ・ 治 療 等 への 配 慮 等 は、 医 療機 関 等 が 主 体 となって 取 り 組 んでいることが 多 かった。 職 場 側 への、 職 場 改 善 のための 働 きかけ、 職 場 担 当者 への 情 報 提 供 や 助 言 ・ 支 援 は、それらに 比 べると 少 ないが、それでも、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、外 部 機 関 との 連 携 を 含 めると 70% 弱 の 取 組 があった。これらのうち、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 における「 職 場 内 外 での 症 状 悪 化 時 の 対 応 への 本 人 支 援 」「 体 調悪 化 時 の 連 絡 体 制 」「 服 薬 処 方 の 調 整 」、さらに、「 職 場 支 援 の 取 組 」は、「 職 場 適 応 」や「 職 場 の 理 解 」だけでなく、「 就 職 前 の 職 探 し 検 討 」の 課 題 解 決 とも 関 係 していた。(1) 就 労 者 への 継 続 的 支 援 ( 問 8-4)の 状 況就 労 者 への 継 続 的 支 援 については、「 服 薬 処 方 の 調 整 」「 診 療 時 間 の 配 慮 」「 体 調 や 職 業 生 活 への 相 談 」を 医療 機 関 が 自 機 関 で 実 施 している 場 合 が 多 かった。「 就 労 している 患 者 が 集 まれる 場 づくり」は 少 なかったが 患者 ニーズは 認 識 されていた。ま た 、「 職 場 への 支 援 」については 外 部 機 関 を 含 めた 実 施 が 多 かった( 図 4-7-7)。日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においては、 実 施 している 機 関 に 比 べ、 就 労 している 患 者 に 関 する 本 人 支 援 、 受 診 ・ 治 療 等 の 配 慮 、 職 場 支 援 の 全 ての 項 目 で 自 機 関 による 実 施 が 少 なく、 職 場 支 援 については 外 部 機 関 との 協 力 による 支 援 も 少 く、ほとんどの 項 目 で「 患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし」が 比 較 的 多かった( 図 4-7-8)。-81- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態予 防 的 に、 本 人 に 職 場 内 外 での 体 調 悪 化 時 の 対 応 を 助 言 ・ 指導 する++----本 人 支 援就 職 や 復 職 後 の 体 調 悪 化 時 に、 職 場 / 本 人 / 家 族 / 関 係 機 関等 から 連 絡 が 入 るようにする定 期 的 あるいは 随 時 に 患 者 から 職 業 生 活 上 の 不 安 ・ 課 題 や 体調 について 相 談 にのる++++------休 職 や 退 職 を 余 儀 なくされた 際 に、 心 理 的 に 前 向 きに 支 える++----受 診 ・ 治 療 等 の 配 慮就 労 している 人 が 通 院 しやすいように、 診 療 や 相 談 の 時 間 帯や 曜 日 を 配 慮 する外 来 は、 予 約 の 時 間 通 り(1 時 間 以 内 のずれ)で 受 診 できる就 労 の 妨 げになる 副 作 用 が 少 なく、 就 労 形 態 に 合 わせた 服 薬しやすい 処 方 内 容 とする就 労 している 患 者 が 夜 間 や 休 日 等 に 集 まれる 場 を 設 ける+++++++++----- --職 場 支 援患 者 の 職 務 や 職 場 状 況 についての 評 価 や、その 改 善 のための助 言 や 支 援 をする職 場 の 担 当 者 や 支 援 者 に、 職 場 適 応 を 進 めるための 情 報 提 供や 相 談 ・ 支 援 を 行 う+++++++------0% 50% 100%自 機 関 が 主 に 実 施 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施 外 部 機 関 が 主 に 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし 不 要 のため 実 施 なし図 4-7-7 働 いている 患 者 への 疾 患 管 理 の 問 題 等 への 対 応 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態なお、 統 合 失 調 症 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 では、「 予 防 的 な 本 人 の 体 調 悪 化 時 の 助 言 等 」「 体 調 悪 化 時の 連 絡 体 制 」「 継 続 的 相 談 体 制 」「 職 場 担 当 者 等 への 相 談 ・ 支 援 」については 外 部 機 関 との 協 力 によるものが比 較 的 多 く、「 職 務 や 職 場 状 況 への 職 場 への 助 言 や 支 援 」は 外 部 機 関 によるものが 比 較 的 多 かった。「 職 場 への 支 援 」については 外 部 機 関 との 協 力 によるものが 多 かったが、 復 職 支 援 を 実 施 する 機 関 では、 職 場 担 当 者や 産 業 医 等 との 連 携 で 職 場 への 支 援 も 自 機 関 で 行 う 場 合 が 多 かった。(2) 就 労 者 への 継 続 的 支 援 ( 問 8-4)の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 において、「 本 人 への 職 場 内 外 での 体 調 悪 化 時 の 対 応 の 助 言 ・ 指導 」「 就 職 ・ 復 職 後 の 体 調 悪 化 時 等 の 連 絡 体 制 」、さらに「 職 務 や 職 場 状 況 への 職 場 への 助 言 ・ 支 援 」「 職 場 担当 者 への 情 報 提 供 や 相 談 ・ 支 援 」は、「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 人 間 関 係 」 等 の 問 題 解 決 と 関 係 しており、 特 に「 職場 支 援 」は「 本 人 の 処 遇 上 の 満 足 や 本 人 に 合 った 仕 事 探 し( 職 場 配 置 )」の 問 題 の 解 決 とも 関 係 していた( 表4-7-4)。その 一 方 で、「 患 者 からの 職 業 生 活 や 体 調 の 相 談 にのること」「 休 職 ・ 退 職 時 の 心 理 的 サポート」「 通院 しやすい 診 療 ・ 相 談 時 間 の 調 整 」は 特 に 職 業 上 の 課 題 の 解 決 との 関 連 が 認 められなかった。また、「 職 業 生活 に 合 わせた 服 薬 調 整 」は、「 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」「 本 人 の 処 遇 上 の 満 足 」の 問 題 解 決 と 関 連 していた。表 4-7-4 就 職 後 も 継 続 する 継 続 的 支 援 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )仕 事 上 のスト本 人 が 能 力 を 就 職 活 動 ( 応職 務 遂 行 上 の 遅 刻 や 欠 勤 、 職 場 の 理 解 や日 常 的 就レスへの 対発 揮 でき 無 理 募 、 面 接 等 )を個 別 課 題 や、 長 期 休 職 、 退 協 力 、 良 好 な労 支 援 の処 、 疾 患 管 理なくできる 仕 事 スムーズに 行危 険 状 況 の 回 職 のない 安 定 人 間 関 係 を 得有 無と 職 業 生 活 のを 探 すこと うこと避 や 対 処 した 就 業 ること両 立就 職 後 の 継 続 的支 援 状 況予 防 的 に、 本 人 に職 場 内 外 での 体 調悪 化 時 の 対 応 を 助言 ・ 指 導 する就 職 や 復 職 後 の 体調 悪 化 時 に、 職 場/ 本 人 / 家 族 / 関係 機 関 等 から 連 絡が 入 るようにする定 期 的 あるいは 随時 に 患 者 から 職 業生 活 上 の 不 安 ・ 課題 や 体 調 について相 談 にのる休 職 や 退 職 を 余 儀なくされた 際 に、 心理 的 に 前 向 きに 支える就 労 している 人 が通 院 しやすいように、 診 療 や 相 談 の時 間 帯 や 曜 日 を 配慮 する日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.73-0.93( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.80)0.85-0.99 0.82-0.980.85-0.990.67-0.77( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.73) ( 協力 vs 外 部 機関 :0.65)0.63-1.00 0.67-0.84 **0.73-0.91( 自 機 関 vs 協力 :0.85)0.80-0.94( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.83) ( 協力 vs 外 部 機関 :0.86)0.85-0.990.79-0.98就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-83- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-7-4( 続 き)就 職 後 の 継 続 的支 援 状 況外 来 は、 予 約 の 時間 通 り(1 時 間 以 内のずれ)で 受 診 できる就 労 の 妨 げになる副 作 用 が 少 なく、 就労 形 態 に 合 わせた服 薬 しやすい 処 方内 容 とする就 労 している 患 者が 夜 間 や 休 日 等 に集 まれる 場 を 設 ける患 者 の 職 務 や 職 場状 況 についての 評価 や、その 改 善 のための 助 言 や 支 援をする職 場 の 担 当 者 や 支援 者 に、 職 場 適 応を 進 めるための 情報 提 供 や 相 談 ・ 支援 を 行 う日 常 的 就労 支 援 の有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.75-0.97 ** 0.68-0.97 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.65)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.70-1.00( 自 機 関 vs 協力 :0.71)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.48-0.84 0.84-0.92( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.88)日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労 0.76-0.94 ** 0.70-0.90 ** 0.83-0.96支 援 有日 常 的 就 労0.84-0.99 0.79-0.98支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.75-0.92 ** 0.64-0.98( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.75)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )5 記 述 回 答問 8における、 支 援 内 容 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 の 記 述 回 答 には 以 下 の 内 容 があった。(1) 支 援 内 容 の 詳 細ア 非 就 労 者 への 情 報 提 供 等1 就 労 セミナー、ジョブガイダンス、 講 演 会 等 (17 機 関 ; 以 下 同 様 )2 診 療 場 面 や 相 談 場 面 における 就 労 相 談 と 情 報 提 供 (15)3 定 期 的 な 就 労 相 談 を 含 む 面 談 (12)4 自 機 関 ( 連 携 も 含 む)で 生 活 面 の 相 談 支 援 に 対 応 (11)5 就 労 支 援 機 関 や 行 事 の 案 内 (8)6 デイケアの 中 での 相 談 支 援 (6)7 外 部 の 生 活 支 援 機 関 に 紹 介 (5)8 施 設 見 学 (4)イ 一 般 就 業 に 向 けた 支 援1 ハローワークに 紹 介 (6)2 ハローワーク 以 外 の 就 労 支 援 機 関 への 紹 介 (5)3 就 労 支 援 機 関 の 機 能 別 紹 介 (4)4 自 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 による 職 探 し 支 援 (4)5 キャリア 支 援 (4)0.69-0.89 ** 0.83-0.96( 自 機 関 vs 協力 :0.89)-84- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態6 復 職 支 援 のみ(2)7 職 場 見 学 (1)ウ 職 業 能 力 の 評 価1 支 援 場 面 でのシチュエーショナル・アセスメント(7)2 作 業 所 、 自 立 支 援 法 事 業 所 との 連 携 (7)3 職 場 でのシチュエーショナル・アセスメント(6)4 障 害 者 職 業 センター 等 の 就 労 支 援 機 関 の 協 力 による 職 業 評 価 (5)5 治 療 場 面 での 医 師 による 判 断 (4)6 就 労 移 行 チェックリスト(3)7 作 業 所 等 での 作 業 による 判 断 (1)8 模 擬 的 職 場 (1)9 現 在 、 職 業 評 価 に 課 題 あり(5)エ 就 労 者 への 継 続 的 支 援(ア) 疾 患 管 理1 服 薬 の 管 理 (8)2 本 人 への 疾 患 管 理 の 支 援 (6)3 心 理 教 育 プログラム(3)4 心 理 療 法 (3)5 SST、 生 活 技 能 トレーニング(3)6 産 業 医 等 による 疾 患 管 理 (1)(イ) 本 人 支 援 、 個 別 対 応1 診 療 場 面 で 部 分 的 には 就 労 支 援 ニーズに 対 応 できることもある(12)2 個 別 のニーズに 応 じて 対 応 (5)(ウ)フォローアップ 体 制1 デイケア 修 了 者 が 定 期 的 に 集 まれる 場 づくり(8)2 電 話 等 での 随 時 の 相 談 対 応 (4)3 就 職 後 の 外 来 通 院 時 にフォロー(3)4 職 場 訪 問 (1)(エ) 診 療 時 間 の 調 整1 就 労 者 が 受 診 しやすい 時 間 (6)2 本 人 の 意 向 を 聞 いて 診 療 時 間 を 調 整 (3)3 予 約 制 ではない(5)(オ) 職 場 との 調 整 ・ 連 携1 職 場 からの 相 談 への 対 応 (10)2 職 場 の 理 解 ・ 配 慮 への 働 きかけ(10)3 本 人 の 了 解 の 下 で 職 場 と 連 絡 (6)-85- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態4 産 業 医 との 連 携 (3)5 三 者 面 談 (2)6 障 害 者 職 業 センターを 介 した 連 絡 (2)7 職 場 との 連 携 の 課 題 (2)(2) 外 部 機 関 ・ 支 援 者 の 具 体 的 内 容ア 自 治 体 窓 口 、 福 祉 事 務 所 、 社 会 福 祉 協 議 会 、ケースワーカー(24 機 関 ; 以 下 同 様 )1 福 祉 課 、 年 金 課 、 生 活 保 護 課 等 (10)2 ケースワーカー(7)3 社 会 福 祉 協 議 会 (2)4 自 治 体 での 就 労 支 援 窓 口 (1)イ 医 療 機 関 内 の 専 門 職 や 部 門 (22)1 精 神 保 健 福 祉 士 (2)2 訪 問 看 護 ステーション(3)ウ 就 労 支 援 機 関 との 共 同 のケースマネジメント1 日 常 的 な 情 報 交 換 (6)2 医 療 と 就 労 の 総 合 的 な 相 談 ・ 評 価 (4)3 関 係 機 関 の 医 療 情 報 の 共 有 (4)4 地 域 関 係 機 関 のケース 会 議 (3)エ 職 場 、 職 場 担 当 者 (15)オ 外 部 の 作 業 所 、 授 産 施 設 、デイケア(14)カ 自 立 支 援 法 サービス 事 業 所 ( 就 労 移 行 、 継 続 、 相 談 )(13)キ ハローワーク(12)1 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター(2)2 ジョブガイダンス 事 業 (6)ク 若 者 就 職 支 援 (サポートセンター・ステーション、ジョブカフェ 等 )(12)ケ 地 域 活 動 支 援 センター(10)コ 職 業 訓 練 機 関 (9)サ 障 害 者 職 業 センター(8)1 ジョブコーチ 事 業 (2)2 リワーク 事 業 (1)シ 産 業 医 、 産 業 保 健 師 (7)ス 保 健 所 (6)セ 患 者 ・ 家 族 会 (4)ソ 主 治 医 (4)タ 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター(3)チ 就 職 した OB(2)-86- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 8 節 疾 患 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況 とその 効 果直 接 の「 就 労 支 援 」と 考 えられることは 少 ないものの、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 支 援 として 重 要 と 考 えられる、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況 について 問 9できいた。その結 果 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 等 では、 全 般 的 にこれらへの 取 組 も 多 く、 一 方 、 日 常 的 に就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、これらの 取 組 が 全 般 的 に 少 ないことが 明 らかとなった。 多 くの 機 関 では、「 本 人 の 目 標 設 定 やモニタリング」、「 再 発 防 止 訓 練 やストレスマネジメント」、「 服 薬 自 己 管 理 支 援 」、「 医療 と 生 活 の 一 体 的 相 談 ・ 支 援 」、「 患 者 への 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 」、「 家 族 への 相 談 体 制 」が 自 機 関 で 実 施 されていた。その 一 方 で、「 認 知 行 動 療 法 やロールプレイ」、「SST」、「 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 」、「 家族 向 けのセミナーやワークショップ 等 」は 比 較 的 実 施 が 少 なかった。特 に、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 全 般 」、「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」、「 地 域 生 活 での 危 機 的 状況 への 対 応 体 制 」、「 家 族 向 けのセミナー 等 」は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 において、 就 職 前 から就 職 後 の 様 々な 職 業 的 課 題 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。さらに、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においても、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」、「 生 活 支 援 」、「 家 族 支 援 」の 取 組 は、 多 くの 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。1 疾 患 自 己 管 理 支 援 ( 問 9-1)の 状 況 とその 効 果必 ずしも 全 ての 医 療 機 関 等 において 様 々な 疾 患 自 己 管 理 支 援 が 実 施 されているわけではなく、 日 常 的 就 労支 援 の 実 施 のある 機 関 では 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 取 組 も 多 いという 取 組 状 況 の 違 いが 大 きかった。 最 も 多 く 実施 されていたのは「 服 薬 管 理 支 援 」であった 一 方 で、「 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ」「 職 場 を 想 定 したSST」「 認 知 行 動 療 法 」の 経 常 的 な 実 施 は 少 なかった。日 常 的 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、これらの 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 実 施 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 解 決 への 影 響 が 大 きかった。(1) 疾 患 自 己 管 理 支 援 ( 問 9-1)の 状 況日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 経 常 的 に 実 施 されている 医 療 管 理 は、「 服 薬 に 関 する 自 己 管 理 支 援 」が 最も 多 く、「 本 人 による 目 標 設 定 とモニタリング」「 再 発 防 止 の 教 育 ・ 訓 練 」が 続 いた。 一 方 、 実 施 が 少 なかったのは、「 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ」「 職 場 を 想 定 した SST」「 認 知 行 動 療 法 」であった。なお、これらは、 医 師 が 直 接 実 施 するよりも、リワークプログラムやデイケアでの 精 神 保 健 福 祉 士 等 による 実 施 が 多 かった( 図 4-8-1)。一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 全 ての 項 目 で、 経 常 的 な 実 施 が 少 なかったが、「 再 発 防 止 訓 練 、ストレス 対 処 の 支 援 」「 服 薬 自 己 管 理 支 援 」については 例 外 的 な 実 施 が 比 較 的 多 かった( 図4-8-2)。-87- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態患 者 本 人 による 目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修正++----認 知 行 動 療 法++----職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ++----職 場 での 対 人 技 能 や 対 処 技 能 ( 含 .リスク 対 処 )の 教育 ・ 訓 練再 発 防 止 の 教 育 ・ 訓 練 、 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント服 薬 に 関 する、 自 己 管 理 ( 服 薬 忘 れ 防 止 等 )の 方法 や 医 師 への 相 談 の 支 援++++++-------------- --0% 50% 100%経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明 無 回 答図 4-8-1 自 己 管 理 や 社 会 生 活 能 力 の 向 上 のための 支 援 や 治 療 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 疾 患 自 己 管 理 支 援 ( 問 9-1)の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 な 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、 様 々な 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 取 組 がある 機 関 の 方 が、 就 職 前 から 就職 後 の 様 々な 職 業 上 の 課 題 について 未 解 決 課 題 が 少 なくなっていた( 表 4-8-1)。さらに、それらの 取 組 を 時 々実 施 している 機 関 よりも、 経 常 的 に 実 施 している 機 関 の 方 が 問 題 解 決 率 が 高 い 場 合 が 多 く 認 められた。表 4-8-1 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )疾 患 自 己 管 理支 援 の 取 組 状況患 者 本 人 による目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修正日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.76-0.94( 経 常 的 vs時 々:0.85)就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.61-0.81 **( 経 常 的 vs時 々:0.78)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.53-0.74 **( 経 常 的 vs時 々:0.63)0.85-0.99 0.74-0.87 ** 0.67-0.83 **( 経 常 的 vs時 々:0.77)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.58-0.78 **( 経 常 的 vs時 々:0.63)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業0.72-0.93( 経 常 的 vs時 々:0.79)職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.70-0.91 **( 経 常 的 vs時 々:0.73)0.75-0.89 ** 0.81-0.93 ** 0.79-0.95 **就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.82-0.95認 知 行 動 療 法日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.73-0.89 **( 経 常 的 vs時 々:0.79)0.64-0.86 ** 0.58-0.84 ** 0.67-0.93 **0.81-0.97 ** 0.77-0.98( 経 常 的 vs時 々:0.58)( 経 常 的 vs時 々:0.75)0.74-0.94 **( 経 常 的 vs時 々:0.79)0.69-0.88 **( 経 常 的 vs時 々:0.74)職 業 場 面 を 想 定したロールプレイ日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.66-0.83 **( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.51-0.71 ** 0.47-0.70 ** 0.61-0.86 **0.81-0.99 0.69-0.89 ** 0.72-0.96 **( 経 常 的 vs時 々:0.72)( 経 常 的 vs時 々:0.73)0.71-0.91 **( 経 常 的 vs時 々:0.83)0.65-0.84 **( 経 常 的 vs時 々:0.68)0.78-1.000.79-0.94 **職 場 での 対 人 技能 や 対 処 技 能 ( 含 .リスク 対 処 )の 教 育 ・訓 練日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.77-0.95 **( 経 常 的 vs時 々:0.83)0.59-0.79 ** 0.53-0.76 **( 経 常 的 vs時 々:0.71)0.83-0.98 0.71-0.88 ** 0.73-0.94 **( 経 常 的 vs時 々:0.78)0.61-0.84 **( 経 常 的 vs時 々:0.76)0.76-0.96( 経 常 的 vs時 々:0.85)0.68-0.87 **( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.77-0.95 ** 0.81-0.96 ** 0.81-1.000.80-0.93 **再 発 防 止 の 教 育 ・訓 練 、 注 意 サインの特 定 、ストレスマネジメント日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.77-0.95( 経 常 的 vs時 々:0.86)0.84-0.97( 経 常 的 vs時 々:0.92)0.61-0.79 ** 0.58-0.83 ** 0.63-0.87 ** 0.74-0.96 0.71-0.92 ** 0.82-0.93 **0.80-0.94 ** 0.74-0.93 ** 0.76-0.90 ** 0.83-0.96 ** 0.79-0.96 **服 薬 に 関 する、 自己 管 理 ( 服 薬 忘 れ防 止 等 )の 方 法 や医 師 への 相 談 の支 援日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.83-0.91( 経 常 的 vs時 々:0.91)0.60-0.87 0.53-0.99( 経 常 的 vs時 々:0.74)0.82-0.90( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.72-0.92( 経 常 的 vs時 々:0.78)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.58-0.96 0.67-1.00 0.65-0.94( 経 常 的 vs時 々:0.78)0.84-0.920.80-0.97 0.85-0.92 0.95-0.99-89- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 生 活 支 援 と 家 族 支 援 ( 問 9-2)の 状 況 とその 効 果様 々な 生 活 支 援 や 家 族 支 援 は、 必 ずしも 医 療 機 関 等 において 実 施 されているわけではなかった。 日 常 的 就労 支 援 の 実 施 のない 機 関 では、 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 取 組 も 少 なかった。「 患 者 家 族 への 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 」「 家 族 が 相 談 しやすい 体 制 づくり」の 実 施 が 最 も 多 く、その 他 、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では「 医 療 と 生活 の 一 体 的 な 相 談 ・ 支 援 」「 患 者 の 治 療 からの 脱 落 防 止 のための 関 係 づくり」「 患 者 を 取 り 巻 く 家 族 等 との 協力 」の 取 組 も 比 較 的 多 かった。比 較 的 取 組 が 少 なかった「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」「 地 域 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体制 」「 家 族 向 けのセミナーやグループセッション」 等 を 含 め、これらの 取 組 の 実 施 状 況 は、 就 職 前 から 就 職 後までの 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 解 決 と 関 連 していた。(1) 生 活 支 援 と 家 族 支 援 ( 問 9-2)の 状 況日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 実 施 のない 機 関 と 比 べて、 地 域 生 活 支 援 も 家 族 支 援 も「 経 常 的 な 実 施 」が 多 く、「 実 施 なし」が 比 較 的 少 なかった。 特 に、 経 常 的 実 施 の 多 い 生 活 支 援 は「 医 療 と 生 活 面 の 一 体 的 な 相談 ・ 支 援 」「 治 療 からのドロップアウト 防 止 」であり、 次 いで「ケースマネジメントや 多 職 種 チームの 支 援 」「 家 族 等 との 協 力 」も 半 数 以 上 あった。 最 も 経 常 的 対 応 の 少 ない「 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 」も 40%あった。( 図 4-8-3、 図 4-8-4)家 族 支 援 としては、「 家 族 への 説 明 」「 家 族 の 相 談 」の 経 常 的 対 応 が 多 かったが、「 家 族 へのセミナー」「 グループセッションやワークショップ」は 比 較 的 少 なかった。なお、これらの 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 は、 精 神 保 健 福 祉 士 による 実 施 が 多 く、 回 答 者 が 医 師 の 場 合 は 実施 が 少 なかった。ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援++--地 域 生 活 支 援医 療 面 と 生 活 面 ( 住 居 、 就 労 、 薬 物 乱 用 等 )の 一 体 的な 相 談 ・ 支 援患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係 づくり++++++---------患 者 を 取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力++-- ---患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明++----家 族 支 援患 者 家 族 が、 患 者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法 を学 ぶことができるセミナーやセッション複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ++++----家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり++--図 4-8-3 患 者 の 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )0% 50% 100%経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明 無 回 答( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援--地 域 生 活 支 援医 療 面 と 生 活 面 ( 住 居 、 就 労 、 薬 物 乱 用 等 )の 一 体的 な 相 談 ・ 支 援患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係づくり------+++患 者 を 取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力--++ +患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明--++家 族 支 援患 者 家 族 が、 患 者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法を 学 ぶことができるセミナーやセッション複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ----家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり--0% 50% 100%経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明 無 回 答図 4-8-4 患 者 の 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態生 活 支 援 の 取組 状 況ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援医 療 面 と 生 活 面( 住 居 、 就 労 、 薬物 乱 用 等 )の 一 体的 な 相 談 ・ 支 援患 者 の 地 域 生 活での 危 機 的 状 況への 対 応 体 制 の整 備患 者 の 治 療 からのドロップアウト防 止 のための 関係 づくり患 者 を 取 り 巻 く 家族 、 家 主 、 雇 用 主等 との 協 力表 4-8-2 生 活 支 援 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.79-0.98 0.61-0.81 **( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.82-0.96 **( 経 常 的 vs時 々:0.85)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.64-0.93 ** 0.69-0.97 0.70-0.90 **( 経 常 的 vs時 々:0.80)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.81-0.94 **( 経 常 的 vs時 々:0.89)0.75-0.95 0.61-0.99 0.83-0.99( 経 常 的 vs時 々:0.89)0.84-0.97 0.80-0.88 ** 0.75-0.95( 経 常 的 vs時 々:0.80)0.81-0.95( 経 常 的 vs時 々:0.83)0.84-0.96 0.95-0.990.77-0.94 ** 0.65-0.86 ** 0.65-0.94 0.70-0.89 ** 0.82-0.95 **0.82-0.94 ** 0.82-0.96 ** 0.94-0.990.84-0.98 0.84-0.99 0.75-0.94 ** 0.82-0.980.81-0.92 ** 0.84-1.00( 経 常 的 vs時 々:0.91)0.71-0.94( 経 常 的 vs時 々:0.78)0.65-0.90 0.73-1.00 0.82-0.910.77-0.96 0.83-0.99( 経 常 的 vs時 々:0.91)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.82-0.99イ 家 族 支 援日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 特 に「 患 者 家 族 向 けのセミナー」「 複 数 家 族 のグループセッション」が 就職 前 、 就 職 活 動 、 就 職 後 の 職 場 の 理 解 や 人 間 関 係 の 問 題 の 解 決 と 関 係 していた( 表 4-8-3)。一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、「 患 者 家 族 向 けのセミナー」や「 家 族 が 相 談 しやすい 体 制 づくり」が 特 に 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。家 族 支 援 の 取組 状 況患 者 の 家 族 への精 神 疾 患 や 対 処法 の 説 明表 4-8-3 家 族 支 援 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.73-0.98 0.60-0.99 0.84-0.92-92- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-8-3( 続 き)家 族 支 援 の 取組 状 況患 者 家 族 が、 患者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方法 を 学 ぶことができるセミナーやセッション複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ家 族 が 困 った 時にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.66-0.83 ** 0.68-0.93 ** 0.66-0.98 0.69-0.91 **0.80-0.95 ** 0.81-0.98 0.70-0.91 **0.70-0.91 **( 経 常 的 vs時 々:0.84)0.82-0.90 **( 経 常 的 vs時 々:0.91)( 経 常 的 vs時 々:0.77)0.79-0.96 ** 0.83-0.98 ** 0.76-0.95 **0.62-0.90 ** 0.67-0.92 **0.76-0.95 ** 0.74-0.98 **0.81-0.89 **( 経 常 的 vs時 々:0.89)0.71-0.87 **( 経 常 的 vs時 々:0.83)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )( 経 常 的 vs時 々:0.81)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.82-0.98 0.86-0.98 0.95-0.993 記 述 回 答問 9における、 支 援 内 容 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 の 記 述 回 答 には 以 下 の 内 容 があった。これらの 取 組 は、デイケア、 復 職 支 援 、 診 療 場 面 において 実 施 されているとの 記 述 が 多 かった。(1) 疾 患 自 己 管 理 支 援ア 患 者 本 人 による 目 標 設 定 とモニタリング・ 修 正• IPS 支 援 の 基 軸 となる 自 記 式 リカバリーシート「 私 の 目 標 と 計 画 」を 使 用 している。• モニタリング・ 修 正 にケアプランを 作 成 。• 個 人 面 談 による 目 的 の 確 認 。イ 認 知 行 動 療 法• 認 知 行 動 療 法 に 近 い 形 でのSFA( 解 決 志 向 セラピー)やアドラーの 目 的 志 向 的 アプローチ 等 は 使 っているが、 体 系 的 な 形 の 実 施 は 行 っていない。• 臨 床 心 理 士 によりCBGT( 集 団 認 知 行 動 療 法 )を 実 施• デイケア 以 外 でも 集 団 認 知 行 動 療 法 を 定 期 的 に 行 っている。• 認 知 行 動 療 法 的 なカウンセリングを 行 う。• 週 1 回 臨 床 心 理 士 が 認 知 行 動 療 法 講 座 を 行 い、 対 人 スキルやストレス 管 理 の 指 導 を 行 っている。ウ 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ、 社 会 技 能 訓 練 (SST)• 就 労 支 援 プログラムにて 期 間 を 定 め 行 っている• 心 理 教 育 という 形 式 で、 集 団 で 行 うだけでなく 個 別 にも 対 応 する。• デイケアプログラムで 心 理 教 育 プログラムとして 実 施• 場 面 指 定 のロールプレイ、 対 人 コミュニケーション 訓 練 はデイケアで 日 常 的 に 実 施-93- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 認 知 行 動 (SST)などで 病 気 への 気 付 きのチャンスをたくさん 得 たほうが 良 いと 考 えます。 医 師 、 薬剤 師 も 参 加 します。• デイケアプログラムにおいて 症 状 、 服 薬 の 心 理 教 育 、SST、セルフコントロールの 仕 方 の 形 成 を 行 っている。• 臨 床 心 理 士 による SST を 入 院 中 から 行 っている。エ 再 発 防 止 訓 練• 講 習 会 、 相 談 、ピアカウンセリングなどが 設 けられ、 希 望 者 に 実 施 。• 再 発 予 防 プログラムを 入 院 の 患 者 様 対 象 に 定 期 的 に 実 施• 再 発 予 防 や 自 己 管 理 についてプログラムや 個 々の 関 わりを 通 じて 行 ってはいるが、ニーズやリスクの高 いケースを 中 心 に 行 っているというのが 実 状 。オ 服 薬 管 理 支 援• 朝 食 後 、 昼 食 後 の 服 薬 が 可 能 か、 本 人 の 気 持 ちを 確 かめ、 帰 宅 後 の 服 薬 、 就 寝 時 にまとめる 等 の 配 慮を 積 極 的 にしている• 講 習 会 、 相 談 、ピアカウンセリングなどが 設 けられ、 希 望 者 に 実 施 。• 他 部 署 薬 剤 師 による 薬 剤 指 導 などの 導 入• 薬 剤 師 による 服 薬 指 導 を 入 院 中 から 行 っている• 服 薬 管 理 支 援 は 保 健 師 が 対 応• 服 薬 や 医 師 への 相 談 は 看 護 師 が 間 に 入 って 調 整 している。• 医 師 による 薬 の 勉 強 会 も 開 いている。(2) 地 域 生 活 支 援ア ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援• ケアマネジメントを 意 識 しなるべくケア 会 議 を 行 っている• 困 難 ケースには、 関 係 者 、 当 人 含 め 集 まり、ケースマネジメントを 行 う• デイケアにおける 多 職 種 チーム• 外 来 にて、 医 師 、 心 理 士 、PSW、NS で 常 に 検 討 している• ニーズにもとづくアセスメントを OT、PSW、NS 等 で 作 成• ACT 等 の 対 象 者 は 重 度 精 神 障 害 者 に 限 定 。 中 等 症 では 多 職 種 でなくても 対 処 可 能• 患 者 担 当 制 により 継 続 した 支 援 を 行 っている• 退 院 支 援 の 際 、 定 期 的 な 合 同 カンファレンスを 実 施 し、 支 援 を 行 っているイ 医 療 と 生 活 の 一 体 的 支 援• 治 療 がメインであるが、 社 会 生 活 にも 注 目 し 支 援 している• 医 療 を 受 ける 上 、 生 活 面 での 相 談 事 は、 当 院 内 のケースワーカーが 対 応• 地 域 生 活 はデイケアや 主 治 医 と 連 携• デイケアなどへの 精 神 保 健 福 祉 士 の 配 置• 医 療 連 携 室 がなく、どうしても 必 要 な 患 者 のみ 医 師 ・ 看 護 師 にて 対 応• 地 域 支 援 センター、 作 業 所 、 保 健 センター、 精 神 保 健 福 祉 士 との 連 携-94- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ウ 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制• 体 調 管 理 シートがリスクマネージメントにつながっている• 緊 急 時 の 相 談 、 連 絡 ができる 電 話 窓 口 (365 日 、24 時 間 )を 開 設• 24 時 間 緊 急 対 応 が 不 十 分エ 患 者 の 治 療 からの 脱 落 防 止 のための 関 係 づくり• ケースにより 訪 問 看 護• 自 宅 訪 問オ 患 者 をとりまく 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力• 本 人 の 希 望 があった 場 合 、 例 外 的 に 家 族 、 職 場 担 当 者 と 面 談 。• 本 人 をとりまく 環 境 ( 家 族 )への 支 援 も 視 野 にいれて 対 応 している• 地 域 ケア 会 議 、 職 親 会 への 出 席(3) 家 族 支 援ア 患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明• 家 族 の 対 応 は 主 に 主 治 医 が 行 っている• 主 に 臨 床 心 理 士 が 面 接 、 家 族 支 援 etc を 行 っている• 家 族 支 援 は 来 院 があれば 行 っている• 疾 患 別 の 治 療 教 育 プログラム、 講 習 会 、 研 修 会イ 患 者 家 族 が 対 処 方 法 やストレス 軽 減 の 方 法 等 を 学 べるセミナー 等 、 複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ• 院 内 に 家 族 会 があり、 家 族 同 士 が 話 し 合 える 状 況 にある(その 他 、 家 族 会 、 家 族 教 室 等 についての 記載 10 件 以 上 )• 家 族 支 援 はリワークプログラム、 心 理 教 育 プログラムに 含 めて 実 施• 統 合 失 調 症 には、 家 族 心 理 教 育 を 行 っています• 家 族 向 けうつ 病 セミナーで 対 応 年 4コース• うつ 病 、アルコール 依 存 症 などの 家 族 教 室• 発 達 障 害 児 (AD/HD)の 家 族 会 を 年 3~4 回 程 実 施• 一 般 デイケアにおいて 月 1 回 家 族 プログラム 開 催 ( 疾 患 教 育 、CBT、 話 し 合 い)• 自 主 事 業 として 家 族 SST 年 間 2クール 開 催 (1クール5 回 )その 後 もフォロー• 地 域 の 保 健 センターでの 家 族 教 室 ありウ 家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり• 家 庭 で 困 ったこと、 気 づいたことがあれば、いつでも 連 絡 してほしいと 伝 えている• 医 療 相 談 連 携 室 にてPSWが 家 族 ケア 及 び 相 談 を 受 けている• デイケア 等 の 家 族 会 の 参 加 者 は 限 られており、 必 要 に 応 じてPSWの 相 談 や 訪 問 看 護 を 用 いて 対 応 している。-95- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 9 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 の 状 況 とその 効 果現 在 の 我 が 国 における、 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組 は、 機 関 によって状 況 は 様 々であった。 実 際 の 医 療 機 関 の 状 況 は、 就 労 支 援 を 自 機 関 が 主 に 取 り 組 む 機 関 から、 特 に 就 労 支 援への 取 組 のない 機 関 まで、また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 促 進 が 機 能 し、 就 労 支 援 機 関 との 日 常 的 な 職業 評 価 や 支 援 のケースワークが 実 施 されている 機 関 から、 診 断 治 療 専 門 の 機 関 まで 多 様 であった。 現 在 、これらの 連 携 の 取 組 は 少 なく 課 題 も 多 い 状 況 が 確 認 された 一 方 で、 連 携 の 取 組 が 実 施 され 機 能 している 機 関 ほど、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決 にもつながっていることが 今 回 の 調 査 で 確 認 された。1 就 労 支 援 スタッフの 確 保 についての 機 関 方 針 ( 問 11)とその 効 果日 常 的 就 労 支 援 のある 医 療 機 関 等 における、 就 労 支 援 担 当 の 専 門 スタッフ 確 保 の 方 針 は、「 自 機 関 スタッフが 主 担 当 」、「 外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 担 当 」、「 自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 に 連 携 」、「 特 に 方針 なし」がほぼ4 分 されていた。その 中 で、 職 業 上 の 課 題 の 解 決 が 進 んでいたのは、 自 機 関 スタッフ( 医 療 ・生 活 支 援 職 が 多 い)が 主 となって 就 労 支 援 を 担 当 あるいは 外 部 機 関 と 同 等 の 割 合 で 連 携 していた 場 合 であった。(1) 就 労 支 援 スタッフ 確 保 の 機 関 方 針 ( 問 11)の 状 況日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 では、 就 労 支 援 について「 自 機 関 スタッフの 担 当 とする 方 針 」、「 外部 機 関 と 同 程 度 の 役 割 での 自 機 関 の 担 当 とする 方 針 」、「 外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当 とする 方 針 」、「 方 針 なし」がほぼ4 分 されていた( 図 4-9-1)。 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、 就 労 支 援 への 方 針 なしと、 外 部 就労 支 援 機 関 が 主 に 担 当 とする 方 針 が 多 くなっていた。日 常 的 就 労 支 援 有++++----日 常 的 就 労 支 援 無----++++0% 50% 100%自 機 関 スタッフが 主 に 担 当自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で 担 当外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当就 労 支 援 について 特 に 方 針 なし図 4-9-1 就 労 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保 の 機 関 方 針( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態自 機 関 スタッフが 主 に 担 当++++++--自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で担 当+++--外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当-- --+就 労 支 援 について 特 に 方 針 なし-----++就 労 支 援 専 任医 療 ・ 生 活 支 援 が 主 で 就 労 支 援 も 実 施無 回 答0% 50% 100%就 労 支 援 が 主 で 医 療 ・ 生 活 支 援 を 兼 務医 療 ・ 生 活 支 援 専 任図 4-9-2 就 労 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保 の 機 関 方 針 別 ( 問 11)の、 回 答 者 の 就 労 支 援 への専 任 / 兼 任 の 状 況 ( 問 3)( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 問 12)とその 効 果医 療 機 関 等 における 医 療 ・ 生 活 支 援 の 担 当 者 と 就 労 支 援 担 当 者 の 連 携 促 進 のためには、「 医 療 ・ 生 活 支 援 職との 兼 任 で 自 機 関 に 就 労 支 援 担 当 者 を 置 くこと」 以 外 にも、「 外 部 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 を 含 めた 日 常 的 コミュニケーション」や「 共 同 のケース 会 議 等 」の 取 組 が 多 かった。ただし、それらの 連 携 は 機 能 している 場合 だけでなく、 課 題 も 多 い 状 況 であった。その 一 方 で、これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 がある 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 上の 課 題 の 解 決 が 多 いことも 確 認 できた。(1) 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 問 12)医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 を 促 進 する 取 組 として、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、「 自 機 関 の 医 療 スタッフによる 就 労 支 援 の 兼 任 」が 75% 弱 、「それぞれの 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション」が 70% 弱 と 多 く、 連 携 が 機 能 している 機 関 がいずれも 40% 程 度 であった( 図 4-9-3)。「 両 担 当 者 の 合 同のケース 会 議 等 」も 半 数 で 実 施 され、その 半 数 で 機 能 していた。「 共 通 カルテ 等 の 使 用 」は 実 施 なしが 多 かったが、 実 施 し 機 能 している 機 関 も 20% 弱 あった。自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて担 当 すること++----医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常的 コミュニケーション++----医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース会 議 ・カンファレンス 等++--医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用++---0%実 施 しており 機 能 している50%実 施 しているが 課 題 あり100%特 に 実 施 していない無 回 答図 4-9-3 医 療 的 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、 実 施 している 機 関 と 比 べて、 全 ての 取 組 について 機能 している 機 関 が 少 なく、「 医 療 職 と 就 労 支 援 者 の 兼 任 」や、「 両 担 当 者 のコミュニケーション」、「 共 通 カルテ」については 実 施 なしも 多 かった( 図 4-9-4)。なお、 対 応 している 疾 患 種 類 による 取 組 の 差 はあまりなく、 統 合 失 調 症 への 日 常 的 対 応 の 多 い 機 関 で、「 共通 カルテの 使 用 」を 特 に 実 施 していない 機 関 が 比 較 的 多 かったのみであった。-98- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて担 当 すること--++医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常的 コミュニケーション--++医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース会 議 ・カンファレンス 等--医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用--+0% 50% 100%実 施 しており 機 能 している 実 施 しているが 課 題 あり 特 に 実 施 していない 無 回 答図 4-9-4 医 療 的 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて担 当 すること++++----医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常的 コミュニケーション++++----医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース会 議 ・カンファレンス 等++++----医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用+++--0% 50% 100%実 施 しており 機 能 している実 施 しているが 課 題 あり特 に 実 施 していない無 回 答図 4-9-6 医 療 的 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 は 自 機 関 と 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で 担 当 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 問 12)と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 (「 医 療 専 門 職 の 就 労 支 援 兼任 」「 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション」「 両 担 当 者 の 共 同 のケース 会 議 等 」「 共 通 カルテ 等 」)がある 場合 には、 就 職 前 から 就 職 後 の 課 題 解 決 が 多 かった。 回 答 者 が 連 携 が 機 能 しているとした 場 合 だけに 限 ると、より 多 くの 問 題 解 決 と 関 係 していた( 表 4-9-2)。また、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 についても、「 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション」「 両 担 当 者 の 共 同のケース 会 議 等 」が 実 施 されている 機 関 では、 就 職 前 から 就 職 後 の 多 くの 職 業 的 課 題 の 解 決 が 多 かった。表 4-9-2 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95%信 頼 区 間 )医 療 ・ 生 活 支 援と 就 労 支 援 の 連 日 常 的 就 労携 促 進 の 取 組 支 援 の 有 無状 況自 機 関 の 医 療 専門 職 が、 就 職 ・ 復職 支 援 を 併 せて担 当 すること医 療 的 支 援 と、 就職 ・ 復 職 支 援 の 担当 者 間 の 日 常 的コミュニケーション医 療 的 支 援 、 就職 ・ 復 職 支 援 の 担当 者 の 共 同 のケース 会 議 ・カンファレンス等医 療 的 支 援 、 就職 ・ 復 職 支 援 等 を包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使用日 常 的 就 労支 援 有本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.69-0.89 **(0.77-0.95)就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.64-0.91 **(0.70-0.96)日 常 的 就 労支 援 無 (0.82-0.97 ** )日 常 的 就 労支 援 有0.70-0.90 **(0.77-0.95)日 常 的 就 労支 援 無 (0.85-0.99)日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.64-0.88 **(0.74-0.92 ** )日 常 的 就 労支 援 有 (0.76-0.99)日 常 的 就 労支 援 無0.55-0.79 **(0.62-0.83 ** )0.72-1.00(0.83-0.99)0.56-0.86 **(0.69-0.94 ** )0.64-0.94 ** 0.59-0.91 **(0.81-0.98 ** )仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.56-0.85 **(0.64-0.95)0.52-0.81 **(0.59-0.84 ** )職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.61-0.88 ** 0.67-0.89 ** 0.62-0.84 **(0.71-0.90 ** )0.53-0.94 **0.59-0.86 ** 0.66-0.88 **(0.77-1.00)0.63-0.85 **(0.70-0.88 ** )0.54-0.88 **(0.74-0.93 ** ) (0.81-0.96 ** ) (0.85-0.98) (0.81-0.98)0.46-0.78 **(0.65-0.94 ** )0.47-0.84 **(0.73-0.93 ** )0.63-1.00 0.55-0.96 **(0.61-0.95 ** )0.58-0.90 ** 0.66-0.93 ** 0.53-0.79 **(0.67-0.87 ** )0.61-0.95 **(0.78-0.95 ** )0.65-0.99 **(0.80-0.98)0.64-0.96 **(0.68-0.94 ** )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.81-0.980.80-0.98 **(0.85-1.00)0.71-0.92 **( 上 段 は 実 施 して 機 能 しているという 場 合 のみ、 下 段 カッコ 内 は 取 組 の 課 題 が 多 い 場 合 も 含 めた 実 施 の 有 無 での 比 較 。取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )(3) 医 療 的 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 実 施 の 詳 細 や 課 題 )問 12 で 記 載 されていたそれぞれの 取 組 の 詳 細 や 実 施 上 の 課 題 は 次 のようであった。ア 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 担 当 の 兼 任1 実 施 の 詳 細• 医 療 的 支 援 と 就 職 支 援 は 対 象 者 のデイケア 担 当 が 併 せもち、 多 職 種 と 情 報 共 有 していく。• 医 師 が 本 人 への 働 きかけ、 関 係 機 関 の 窓 口 となっている。2 実 施 上 の 課 題 あり• スタッフが 業 務 を 兼 務 し、さらに 外 部 機 関 と 連 携 すると 担 当 者 があいまいになる。• 努 力 はしているが、 診 療 報 酬 で 上 がらず、 担 当 スタッフが 兼 務 でオーバーワーク。• 日 常 業 務 の 中 に 就 職 ・ 復 職 支 援 も 含 まれるが、 他 の 業 務 に 時 間 を 取 られる 事 も 多 く、 専 門 的 かつ 密 接-101- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態に 患 者 と 関 わり、 全 てのニーズに 応 えていくのが 難 しい 状 況 である。• 担 当 者 の 就 職 ・ 復 職 支 援 におけるスキルアップが 課 題 ( 保 健 師 )イ 医 療 ・ 生 活 支 援 担 当 者 と 就 労 支 援 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション1 実 施 の 詳 細• ハローワーク、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターとの 顔 の 見 える 連 携 が 不 可 欠• 関 連 の 福 祉 法 人 の 就 労 支 援 プログラム 担 当 者 と 緊 密 な 連 携• 同 一 法 人 の 就 労 移 行 支 援 事 業 所 の 利 用 者 について、デイケアとの 間 で 情 報 共 有 等 の 協 力• 小 さな 医 療 機 関 内 では 専 門 職 の 連 携 は 機 能 している。2 実 施 上 の 課 題 あり• 医 師 や 病 棟 看 護 師 などリハビリ 部 門 から 遠 いスタッフとの 連 携 には 難 しさを 感 じる。• 診 療 にエネルギーをさかれ、 支 援 チーム( 外 部 もふくめ) 間 の 十 分 な 意 見 疎 通 が 行 いにくい。• 地 域 連 携 の 架 け 橋 として 動 いていると、 担 当 者 間 の 情 報 交 換 が 多 く 間 接 的 情 報 が 増 える。• 外 部 機 関 に 協 力 、 連 携 して 行 う 時 は、 毎 日 連 絡 し 合 うところまでは 手 が 回 らない• 他 院 に 主 治 医 を 持 つ 利 用 者 の 場 合 、 連 絡 がスムーズに 行 われているとは 言 い 難 いウ ケース 会 議 等1 実 施 の 詳 細• 定 期 連 絡 は 電 話 が 多 いが、 重 要 な 内 容 については 本 人 を 含 めたカンファを 行 っている。• 週 1 回 多 職 種 によるカンファレンスを 実 施 。 定 期 的 にケースカンファレンス 実 施• リワーク 担 当 者 と 他 職 種 との 情 報 共 有 する 機 会 を 不 定 期 に 実 施• ケースワーカーと、ケースカンファレンスを 開 き、 相 談 する• 医 師 と 就 労 支 援 担 当 者 の 会 議• 就 労 希 望 、ニーズのある 対 象 者 がいる 際 など、 就 労 移 行 支 援 事 業 所 がケース 会 議 へ 出 席 。• 地 域 の 関 係 機 関 と 月 1 回 話 し 合 いをもっている。2 実 施 上 の 課 題• ケース 会 議 等 は、 即 応 性 という 意 味 での 日 程 調 整 に 難 がある• 医 師 が 多 忙 のため、ケース 会 議 やカンファレンスの 時 間 を 十 分 にはとりにくい• ケース 会 議 の 報 酬 上 の 評 価 を 望 む• 外 部 機 関 主 催 の 会 議 としているが、 参 集 者 の 地 域 的 な 隔 たりがあるエ 共 通 カルテ 等1 実 施 の 詳 細• 医 療 チームと 共 通 の 電 子 カルテに IPS の 職 業 プロフィールを 含 め、ストレングス、 同 行 時 のアセスメント、 職 場 ・ 作 業 所 訪 問 など 実 際 の 作 業 の 様 子 を 記 録 し、フィードバックしている。 本 人 のリカバリー、エンパワメント、アドボケイトにつながっている。2 実 施 上 の 課 題-102- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 共 通 のカルテ 等 はなく、 双 方 が 体 系 的 に 情 報 を 把 握 することに 課 題 がある• 同 じ 法 人 内 であっても 就 労 移 行 施 設 などは 記 録 が 別 になっている( 医 療 と 分 けてある)3 就 職 ・ 復 職 支 援 における 外 部 機 関 との 連 携 状 況 ( 問 13)とその 効 果就 労 支 援 の 具 体 的 な 連 携 先 としては、 就 労 支 援 機 関 だけでなく、 他 機 関 の 主 治 医 等 や 職 場 の 産 業 医 等 、 職場 担 当 者 があった。これらの 機 関 との 連 携 状 況 は 機 関 によるばらつきがあり、 日 常 的 に 就 労 支 援 のある 機 関でも、「 個 別 のケースの 評 価 ・ 支 援 での 比 較 的 密 な 連 携 がある 場 合 」、「 定 期 連 絡 程 度 の 連 携 がある 場 合 」、「 連携 がほとんどない 場 合 」に3 分 されていた。そのような 状 況 で、「 本 人 に 合 った 職 探 し」の 課 題 の 解 決 には、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターや 就 労 移 行支 援 事 業 所 との 連 携 が 関 係 していた。また、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターとの 連 携 、 特 に「 個 別 ケースでの 連 携 」が 多 い 場 合 には、 就 職 活 動 の 未 解 決 課 題 も 低 くなっていた。 就 職 後 の 課 題 に 対 しては、「 他 医 療 機 関の 主 治 医 等 」や「 職 場 担 当 者 」との 連 携 が 関 係 していた。(1) 就 職 ・ 復 職 支 援 における 外 部 機 関 との 連 携 状 況 ( 問 13)「 多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 での 連 携 」に 限 らず 定 期 連 絡 等 を 含 めると、 半 数 以 上 の 機 関 では、ほとんどの 外 部 機 関 との 連 携 があった。しかし、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、ない 機 関 と 比 べると「 多 くの患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 での 連 携 」が 全 ての 外 部 機 関 との 間 で 多 く、25~35%の 機 関 はそのような 密 接 な 連携 があった(ジョブコーチとの 連 携 は 少 なく 15% 程 度 )( 図 4-9-9, 図 4-9-10)。ただし、 各 項 目 について 半数 近 い 機 関 では、 外 部 機 関 との 連 携 がほどんどなかった。ハローワーク++---就 労 支 援 機 関障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ++++++--------就 労 移 行 支 援 事 業 所++---他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等++--その 他産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等++++++--------0% 50% 100%多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携個 別 ケースに 関 する 連 携 は 少 ない( 定 期 連 絡 等 が 中 心 )連 携 はほとんどない~ 全 くない無 回 答図 4-9-9 就 職 ・ 復 職 の 評 価 ・ 支 援 における 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワーク--+就 労 支 援 機 関障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ------++就 労 移 行 支 援 事 業 所--+他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等--その 他産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等------++++0% 50% 100%多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携個 別 ケースに 関 する 連 携 は 少 ない( 定 期 連 絡 等 が 中 心 )連 携 はほとんどない~ 全 くない無 回 答図 4-9-10 就 職 ・ 復 職 の 評 価 ・ 支 援 における 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワーク++--就 労 支 援 機 関障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ就 労 移 行 支 援 事 業 所++--------その 他他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等++++-------0% 50% 100%多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携 個 別 ケースに 関 する 連 携 は 少 ない( 定 期 連 絡 等 が 中 心 )連 携 はほとんどない~ 全 くない無 回 答図 4-9-11 就 職 ・ 復 職 の 評 価 ・ 支 援 における 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況( 就 労 支 援 は 自 機 関 スタッフが 主 に 対 応 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 就 職 ・ 復 職 支 援 における 外 部 機 関 との 連 携 状 況 ( 問 13)と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターや 就 労 移 行 支 援 事 業 所 との 連 携 がある 場合 に 就 職 前 の 課 題 解 決 と 関 連 していた( 表 4-9-3)。 特 に、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターと「 多 くの 患 者 の個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携 」がある 場 合 は、 単 に 定 期 連 絡 等 の 連 携 よりも、 就 職 活 動 の 課 題 解 決 につながっていた。また、 他 機 関 の 主 治 医 等 や 職 場 担 当 者 と 連 携 している 場 合 には、 職 場 の 理 解 や 人 間 関 係 、 職 務 遂 行 上の 個 別 課 題 や 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 の 課 題 解 決 につながっていた。一 方 、ハローワーク、 障 害 者 職 業 センター、ジョブコーチ、 産 業 医 ・ 保 健 職 との 連 携 状 況 は、その 連 携 の仕 方 ( 個 別 ケースでの 支 援 、 定 期 連 絡 )の 違 いも 含 め、 各 医 療 機 関 等 の 職 業 生 活 上 の 問 題 状 況 とは 関 係 が 認められなかった。なお、 統 合 失 調 症 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 に 限 って 分 析 した 結 果 では、ハローワークとの 連 携 ( 特 に個 別 ケースでの 連 携 )が 職 探 しや 就 職 活 動 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。表 4-9-3 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )外 部 機 関 等 との 連 携 状 況ハローワーク障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生活 支 援 センター職 場 適 応 援 助者 /ジョブコーチ就 労 移 行 支 援事 業 所他 機 関 の 主 治医 、 医 療 関 係 者等産 業 医 ・ 産 業 保健 師 ・ 産 業 看 護師日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと日 常 的 就 労 0.80-0.99支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.75-0.92 ** 0.71-0.97(ケースワーク vs 連絡 :0.77)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.82-0.98 0.81-0.980.81-0.970.82-0.98 0.86-1.000.74-0.95 **日 常 的 就 労0.69-0.97 0.73-0.94 **職 場 の 人 事 ・ 労 支 援 有務 担 当 、 上 司 等 日 常 的 就 労支 援 無( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-106- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態4 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 ( 問 15)とその 効 果精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 については、 精 神 保 健 福 祉 士 等 を 中 心 として、 認 知 は 半 数 を 超 えていたが、 実際 の 利 用 経 験 はその 半 数 に 達 していなかった。ただし、 利 用 経 験 がなかったり、 知 らなかった 場 合 でも、 今後 利 用 したいという 意 向 が 多 かった。日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 においては、これらの 雇 用 支 援 制 度 を 活 用 した 場 合 、それぞれの 支 援制 度 の 目 的 と 対 応 する 職 業 上 の 課 題 の 解 決 につながっていることが 多 かった。(1) 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 ( 問 15)日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、「ジョブコーチ 事 業 」、「トライアル 雇 用 」、「リワーク 支 援 」は 60%以 上 の 機 関 で 認 知 されており、 他 の 雇 用 支 援 制 度 も 半 数 以 上 で 認 知 されていた( 図 4-9-14, 図 4-9-15)。 日常 的 就 労 支 援 のある 医 療 機 関 等 では、ない 機 関 に 比 べるとそれらの 制 度 の 実 際 の 活 用 経 験 が 全 ての 制 度 等 で多 かった。ただし、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 雇 用 支 援 制 度 の 利 用 は、 最 も 多 い「リワーク 支 援 」でも 40%であり、「ジョブコーチ 支 援 」、「トライアル 雇 用 」、「 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」、「 精 神 障 害 者 等 ジョブガイダンス 事 業 」も 30% 前 後 であった。「 精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 」、「チーム 支 援 」は、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 でも 20% 弱 の 利 用 経 験 であった。また、 利 用 経 験 のない 雇 用 支 援 制 度 について、 現 在 の 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、また、 現 在 の制 度 の 認 知 の 有 無 にかかわらず、「 今 後 活 用 したい」とする 回 答 が 多 く、「 必 要 ない」とする 回 答 は 少 なかった。ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター++++精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金++++精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業++-ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」++++職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業++--++トライアル 雇 用++--++障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援++---++0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-14 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター--++精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金--++精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業--+ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」--++職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業--++++トライアル 雇 用--++++障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援--+++++0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-15 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター+-精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金+精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」+-職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業トライアル 雇 用障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援+ -0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-16 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 は 自 機 関 スタッフが 主 に 対 応 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター-精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金+- -精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業+--ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」+---職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業++----トライアル 雇 用+- -障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援--0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-18 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 は 外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 対 応 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態援 」「ジョブコーチ 事 業 」「トライアル 雇 用 」が 関 係 していた。「チーム 支 援 」の 活 用 はさらに「 職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること」の 問 題 解 決 とも 関 係 していた。 一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、雇 用 支 援 制 度 の 活 用 状 況 と 職 業 上 の 課 題 解 決 状 況 との 関 係 はほとんど 認 められなかった。「 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」「ステップアップ 雇 用 奨 励 金 」「 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 」の 活 用 経 験 は 職 業 上 の 課 題 の 解 決 状 況 との 関 係 は 認 められなかったが、 特 に 統 合 失 調 症 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 に 限 ると、「 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」や「ステップアップ 雇 用 奨 励 金 」の 活 用 経 験 は「 就 業継 続 」の 問 題 解 決 と 関 係 していた。表 4-9-4 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )雇 用 支 援 制 度の 活 用 状 況ハローワークの精 神 障 害 者 雇 用トータルサポーター精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用奨 励 金精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス事 業ハローワークを 中心 とした「チーム支 援 」職 場 適 応 援 助 者(ジョブコーチ) 事業トライアル 雇 用障 害 者 職 業 センターのリワーク 支援日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.74-0.98 0.62-0.93 **仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.61-0.92 ** 0.54-1.00 0.65-1.000.76-0.99 0.63-0.990.77-0.99 0.61-0.89 ** 0.61-0.95 **0.70-0.98( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足(3) 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 ( 活 用 の 詳 細 や 課 題 、 要 望 )雇 用 支 援 制 度 全 般 あるいは 個 別 の 活 用 状 況 や 課 題 、 要 望 の 記 載 内 容 は 次 のようであった。ア ハローワークの 活 用 状 況A 活 用 の 詳 細• ハローワーク 障 害 者 担 当 と 連 携 があり、いろいろと 教 えてもらうことが 多 く 制 度 がすぐに 活 用 できた-111- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 精 神 障 害 雇 用 トータルサポーター、チーム 支 援 を 現 在 、 活 用 中 。 場 合 によって、ジョブコーチの 利 用につながる 可 能 性 もある。• 就 労 支 援 事 業 所 経 由 でトライアル 雇 用 を 活 用 し、 常 用 雇 用 に 結 びつけた 例 がある。• ジョブガイダンスに 参 加 し、メンバーの 就 労 意 識 が 少 し 高 くなった。 紹 介 のあった 機 関 に 興 味 を 持 ち、就 職 することができたメンバーがいます。• ハローワークのジョブガイダンスは5 年 間 程 利 用 させていただきました/ジョブガイダンスは 年 度で2 年 続 けて 実 施 。 対 象 者 3~5 名 程 度 。• 利 用 者 が 少 ないので、ジョブガイダンスより、むしろハローワークに 行 きます。• ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」はぜひ 活 用 したい。B 活 用 への 要 望 、 課 題• これまで 障 害 者 窓 口 で 求 人 についてのやりとりはあったが、 準 備 プログラム、カウンセリングがあることを 知 らなかった。とりあえず 一 言 、 言 葉 がけをしてほしい。• ハローワークの 窓 口 まで 出 かけるのが 難 しい 患 者 も 多 い/ 病 院 から 同 行 することはないので、ハローワークに 自 分 の 力 で 行 くことのできる 人 は 限 られている。• ハローワークの 専 門 援 助 部 門 を 土 曜 日 も 開 けてほしい/ 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターは 非 常勤 のため、 常 勤 だとありがたい。• トライアル 雇 用 、ステップアップ 雇 用 の 求 人 数 が 少 ない/この 数 年 、ハローワークの 障 害 者 雇 用 への支 援 が 活 発 になっているが、 実 際 は 求 人 がなく、 活 用 不 十 分 。イ 障 害 者 職 業 センターの 活 用 状 況A 活 用 の 詳 細• 職 業 センターの 準 備 支 援 後 、ジョブコーチ、トライアル 雇 用 の 利 用 ケースがある• 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 は 大 変 有 効 で 成 功 率 が 高 いです。さらに 充 実 させてほしいと 希 望しております。/リワーク 支 援 は 大 事 ( 再 発 、 再 休 職 を 防 ぐ)/ 障 害 者 職 業 センターのリワークによって 救 われています。きめこまかい、 優 秀 な 経 験 豊 富 なスタッフがいますので 安 心 です。• セミナー 講 師 として、 障 害 者 職 業 センター 職 員 の 協 力 を 得 て、 毎 年 実 施 している。• 障 害 者 職 業 センターにはいつも 大 変 お 世 話 になっております。B 活 用 の 課 題 、 要 望• 障 害 者 職 業 センターが 県 内 に 一 つしかなく 利 用 者 が 通 いきれない。 距 離 的 な 問 題 で 結 びつかないケースがある/ 遠 いので 定 期 的 に 活 用 しにくい/ 電 車 代 で 断 念 される 方 が 多 い• センターのリワーク 支 援 は 活 用 しやすいが、 病 名 が 限 定 されてしまうのが 難 。• 障 害 者 職 業 センターは 比 較 的 症 状 の 軽 い 方 が 対 象 で、 慢 性 期 の 方 の 受 入 は 難 しい• 職 場 適 応 援 助 者 の 手 続 きが 難 しい。/ジョブコーチが 身 近 になればよい。• リワークプログラムの 確 立 が 必 要 と 思 われる。• リワーク 支 援 の 待 機 期 間 が 長 いためタイムリーにスムーズに 活 用 できない。• リワーク 支 援 は、 当 院 で 復 職 デイケアとして 支 援 を 行 っている。 必 要 なケースがあれば、 利 用 促 進 を行 いたい。/ 当 院 自 体 にリワーク 施 設 が 併 設 されています。-112- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ウ その 他 、 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 の 全 般 的 状 況A 活 用 状 況1 患 者 へのこれらの 制 度 の 案 内 に 止 まっている• 支 援 制 度 は 知 っていても 個 別 支 援 がないので 情 報 提 供 のみとなっている。• 就 職 活 動 は 患 者 自 身 で 行 う。 相 談 時 に、 関 係 機 関 や 支 援 制 度 を 紹 介 することもあるが、 利 用 にまで 至らない。/いつも 紹 介 程 度 / 相 談 支 援 において 情 報 提 供 を 行 った。2 地 域 の 関 係 機 関 を 介 して 利 用 している• 協 力 関 係 がある 職 業 センター、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターを 窓 口 にすることが 多 い。• 地 域 生 活 支 援 センターなどを 通 じて 利 用 するため、 当 方 が 直 接 関 わることはない。B 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 のための 要 望 、 課 題1 雇 用 支 援 制 度 の 具 体 的 内 容 を 分 かりやすく 示 してほしい• 当 機 関 のみでの 支 援 は 難 しいため、 他 機 関 や 制 度 を 積 極 的 に 活 用 したい。しかし、それぞれの 特 徴 や対 象 者 の 条 件 等 が 分 からず 活 用 できない 状 況 にある。• 各 機 関 の 支 援 は 承 知 しており、 紹 介 もするが、 具 体 的 な 内 容 を 十 分 把 握 しておらず、 対 象 者 に 合 っているか、 対 象 者 のニーズに 応 えてもらえるかどうかもわからない。• 公 的 機 関 が 医 療 機 関 に 積 極 的 に 支 援 内 容 をアピールしてほしい。 具 体 的 内 容 を 知 らないので 活 用 するかどうか 決 められない。/ 医 療 機 関 、 医 師 にもっと 周 知 させて 下 さい/ 相 談 支 援 者 向 けのガイダンス、アナウンスが 定 期 的 にあるとよい• 一 般 的 に 知 られていないこともあり、 活 用 にあたって 患 者 が 抵 抗 を 示 したり、 利 用 を 希 望 しないこともある。 一 般 的 に 知 られていれば、もっと 活 用 しやすいように 思 います• 就 労 担 当 者 以 外 の 方 にとって、 制 度 が 複 雑 すぎてわかりづらい。2 利 用 をしやすくする 仕 組 みの 必 要 性• 支 援 制 度 は 情 報 としては 知 っているが、 活 用 のためには、もっとハローワークと 直 接 やりとりする 機会 が 必 要 。 利 用 実 績 を 1 つでも 作 れれば 活 用 しやすくなると 思 うが...• 今 後 の 活 用 に 向 け、 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 事 例 などの 勉 強 会 があれば 参 加 したい。• 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター、 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 を 利 用 した 使 いにくい。 精神 保 健 福 祉 士 がいれば 活 用 できるかもしれないが• 職 場 実 習 がもっと 簡 単 に 使 える 制 度 があるとありがたい。C 今 後 の 活 用 の 意 向• 復 職 支 援 利 用 中 の 退 職 者 に 使 える 支 援 があれば 紹 介 したい。また、 当 院 のリワークプログラムで 困 難な 例 は 紹 介 したい。/あまり 必 要 ありませんが、 復 職 できなかった 方 のために 制 度 をよく 知 り、 御 案内 ( 活 用 )できればと 考 えています。• 現 在 のところ 対 象 者 がいないため、 一 般 就 労 を 前 提 とした 就 労 支 援 の 制 度 は 特 に 必 要 ありませんが、今 後 、 対 象 者 がいれば 職 業 センター 等 、 紹 介 しようと 思 います。-113- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 10 節 自 由 記 載 の 内 容調 査 票 の 最 後 の「 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるあり 方 等 、ご 意 見 等 いただけますと 幸 いです」への 記 載 内 容 は 多 岐 にわたっていた。その 内 容 により「 医 療 機 関 が 就 労 支 援 に 取 り 組 む 意 義 、 地 域 連 携 の 課題 」「 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 課 題 」「 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 取 組 」「 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 限 界 」に 分 け、 内 容 別 に 分 類 し 以 下 に 示 す。1 医 療 機 関 が 就 労 支 援 に 取 り 組 む 意 義 、 地 域 連 携 の 課 題(1) 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 ・ 生 活 支 援 ・ 就 労 支 援 の 一 体 性• 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 は 疾 病 の 管 理 と 生 活 支 援 、 就 労 先 との 関 係 調 整 が 三 位 一 体 となって 進 めていくことが 不 可 欠 です• 個 々の 適 性 を 把 握 し、 職 業 アセスメントも 他 機 関 と 協 力 して 行 えば、 対 処 もでき 就 労 継 続 につながる。専 門 家 同 士 が 連 携 をとって 関 われば、 問 題 ないケースが 多 い• 職 場 体 験 を 通 した 経 験 値 や 話 し 合 いで、 対 人 パターンや 社 会 のルール( 見 えないルール)をしっかりと 検 討 したうえでクローズで 就 職 すれば 長 続 き 可 能 と 考 えています• 医 療 機 関 に 就 労 担 当 者 を 置 くことで、 様 々なニーズ(クローズ 就 労 、 雇 用 率 に 入 らない 短 時 間 就 労 、病 状 が 不 安 定 、 入 院 中 、 認 知 症 等 )に 迅 速 に 応 えることができる。また、 医 療 と 一 体 的 な 相 談 支 援 が可 能 となる。 定 着 ・ 転 職 支 援 の 質 の 高 いサービスが 可 能 になる。リカバリー、エンパワメント、 権 利擁 護 の 支 援 にもなる• 就 労 と 生 活 支 援 を 合 わせた 包 括 的 な 支 援 が 大 切 だと 考 えています。• 医 療 スタッフと 就 労 支 援 ・ 生 活 支 援 スタッフがチームを 組 んで、クライエントのニーズに 応 じて 柔 軟に 動 くことのできる 体 制 作 りが 必 要• ワンストップとして 考 えれば 相 談 機 関 から 定 期 的 に 病 院 に 来 てもらっても 良 い• 本 人 が「 仕 事 に 就 きたい」と 思 っているうちに、うまく 本 人 の 適 性 を 引 き 出 し 就 労 の 機 会 を 得 ることができるように、あらゆる 関 係 機 関 が 連 携 していけるとよい。• 地 域 ワーカーやハローワーク 等 が 中 心 で、 病 院 はサポートという 位 置 づけになるのかもしれない。 主治 医 、 病 院 ワーカーをどんどん 使 ってより 良 い 支 援 につなげてほしい。• ある 程 度 の 治 療 の 効 果 があっても、その 先 の「 生 活 」に 結 びつく 過 程 で 止 まってしまう• ケアプランを 計 画 するコーディネーターの 制 度 化 を 福 祉 の 中 で 取 り 入 れてほしい。• 精 神 障 害 者 の 就 労 、 定 着 には、 本 人 、 家 族 、 様 々な 専 門 家 が 連 携 をしていくことが 不 可 欠 。 障 害 者 職業 センターやハローワーク 障 害 者 窓 口 のスタッフと 連 携 し、 専 門 家 チームが 本 人 、 家 族 、 雇 用 主 のサポートをすることが 本 当 に 大 事 だといつも 痛 感 している• 医 療 機 関 だけで 支 援 するのは 難 しい。ハローワークや 支 援 センター 等 の 機 関 ・ 制 度 の 活 用 や 連 携 が 欠かせない。• 病 院 からは、 地 域 の 就 労 移 行 ・ 継 続 支 援 事 業 所 等 につなげることが 多 く、 一 度 利 用 し 始 めると 長 期 で続 ける 方 が 多 い。その 次 につなげていく 時 に、どこが 中 心 となって 関 わっていくかが 地 域 の 課 題 になっ-114- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ているように 思 う。• 病 状 の 改 善 後 の 職 場 との 連 携 が 最 も 大 変 。 不 当 な 職 場 慣 行 があったり、その 解 釈 に 法 律 家 の 参 加 も 必要 な 場 合 もある。 逆 に 労 組 、 法 律 家 からの 相 談 もある。 職 場 そのもののかかえる 問 題 への 対 処 もお 考え 下 さい。 法 律 家 、 障 害 者 団 体 、 地 域 行 政 とも 連 携 が 必 要(2) 医 療 的 側 面 からの、 職 場 支 援 の 必 要 性• 就 労 前 の 準 備 期 間 も 大 切 ですが、 職 場 への 移 行 ・ 継 続 支 援 が 特 に 重 要 / 就 労 における 準 備 支 援 も 重 要だが、 定 着 支 援 についても 特 に 必 要 性 を 感 じる/ 精 神 疾 患 者 の 就 労 定 着 の 難 しさを 感 じています/ 就職 先 は 見 つかっても 継 続 して 就 労 する 事 が 難 しい 方 が 多 い• 就 職 後 の 定 期 フォローが 安 定 した 就 労 継 続 につながる• 治 療 経 過 を 含 む 患 者 情 報 の 伝 え 方 に 工 夫 が 必 要 。 当 院 では 非 薬 物 療 法 (カウンセリング)を 担 当 した心 理 士 が 就 労 支 援 を 行 い、 必 要 なら 障 害 者 職 業 センターや 企 業 にも 行 く• 患 者 、 企 業 双 方 に 病 気 の 理 解 を 深 める 必 要 があると 考 える。/ 薬 物 や 心 理 ・ 社 会 治 療 をみっちり 行 っても、 職 場 側 との 相 互 理 解 には 数 か 月 単 位 での 時 間 が 必 要 。• 職 場 に 障 害 を 理 解 してもらうのに 時 間 のかかるハンデだと 思 うので、ジョブコーチの 導 入 がもっとできるようになると、 変 わってくるように 感 じています。• 言 葉 にとらわれず、 一 般 企 業 でもジョブコーチが 気 軽 に 利 用 できたりすると 良 いと 感 じる。 医 療 機 関が 一 般 企 業 に 出 向 いて 指 導 ・ 連 携 するシステム、 報 酬 への 反 映 がされるとよりスムーズな 復 職 、 就 労が 可 能 と 感 じる。• 医 療 、 福 祉 と 企 業 等 の 連 携 を 密 にして、 障 害 特 性 を 理 解 してもらうことが 何 より 大 事 であり、これを周 知 徹 底 することで 就 労 への 幅 は 大 きく 広 がるのではないだろうか。• 企 業 と 病 院 の 担 当 者 との 意 見 交 換 ( 会 社 が 医 療 機 関 に 望 む 事 、 医 療 機 関 が 会 社 に 望 むこと)の 場 が 定期 的 にあると、 求 職 者 がスムーズに 復 職 でき 退 職 者 が 少 なくなると 思 う• 医 療 機 関 におけるリワークプログラムは 全 国 的 に 広 がりつつあるが、 今 後 は 地 域 ( 職 域 、 外 部 支 援 機関 など)との 連 携 が 重 要 と 考 えている。• 産 業 医 が 精 神 疾 患 をみることができなければ、 主 治 医 と 連 携 してほしい。• 就 職 先 の 担 当 者 と 医 療 機 関 の 担 当 者 が、 今 までよりも 密 接 に 情 報 交 換 をすべきだと 感 じています。 疾病 の 特 徴 や 個 人 の 持 つ 疾 病 の 傾 向 性 などを 詳 しく 伝 え、 相 談 しあえることで、 担 当 者 の 理 解 と 接 し 方が 向 上 し、 仕 事 もしやすくなることを 感 じています• 就 職 ・ 復 職 後 に 日 常 的 に 仕 事 場 面 でアドバイスする 方 ( 職 場 の 同 僚 ・ 上 司 等 )が 重 要(3) 地 域 の 就 労 支 援 機 関 には 精 神 科 の 専 門 性 が 足 りない• 精 神 障 害 者 の 雇 用 対 策 は 病 気 や 重 症 度 を 考 慮 しないと 効 果 は 上 がらない。 重 症 者 は 素 人 には 簡 単 に 対処 できない/ 障 害 が 重 い 方 の 就 労 支 援 ニーズには 対 応 できていない。• 就 労 支 援 者 や 機 関 に、 精 神 科 領 域 の 対 象 者 を 支 援 する 経 験 やノウハウが 少 ない• 症 状 の 把 握 もなく 医 療 機 関 の 意 向 も 考 慮 せず、 各 支 援 施 設 が 勝 手 に 方 向 づけをしてしまうケースが 多すぎる• 「 精 神 疾 患 」と 一 言 で 説 明 できない 症 状 やパーソナリティがたくさんあり、 支 援 者 がそれを 理 解 でき-115- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ていないと 当 事 者 の 職 業 生 活 は 継 続 しにくい。• 就 労 移 行 支 援 事 業 所 に 今 まで5 人 つなげましたが、 就 労 できた 方 は1 人 です。 定 着 するまでの 支 援 にはやはり 専 門 機 関 が 必 要 だと 思 います。(4) 本 人 中 心 のケースマネジメントによる 連 携 が 必 要• 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、ケースマネジメントの 視 点 が 必 要 / 関 係 機 関 も 多 く、ケアマネジメントを 含 む 相 談 支 援 がさらに 必 要 になると 考 える/ 機 関 間 の 連 携 が 上 手 くいかず、 本 人 ニーズがこぼれてしまっているのが 現 状• 近 年 、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 施 策 や 相 談 窓 口 が 混 在 し、 本 人 はもちろん、 援 助 者 にとっても 相 談 先 も、利 用 できる 制 度 も 戸 惑 うことも 多 い。 一 番 大 事 なのは 障 害 のある 方 にとって、 利 便 性 の 高 く、 分 かりやすいシステムを 構 築 すること/ 各 機 関 の 窓 口 を 明 確 にし、 本 人 同 意 のうえで 連 携 ができたらと 思 う/ 障 害 の 有 無 で 相 談 窓 口 が 変 わることも 企 業 や 支 援 者 側 の 都 合 によるところが 多 い。 求 職 者 中 心 の 支援 体 制 が 構 築 されるとよい• 長 期 的 にクライアントがライフスタイルに 展 望 を 持 てるような 情 報 を 提 供 できるような 体 制 づくりが今 後 できるようになれば 良 いなと 個 人 的 には 考 えます• 雇 用 支 援 制 度 が 充 実 してきたが 活 用 にふみきれない 方 も 多 い( 手 帳 の 取 得 も 含 めて)。 個 々に 寄 りそい、利 用 できる 支 援 について、 患 者 と 支 援 者 共 に 学 びを 要 す/ 各 機 関 の 具 体 的 な 支 援 内 容 や 課 題 をまとめサービスの 狭 間 のないようなしくみ 作 りが 必 要(5) 連 携 のためには 関 係 機 関 の 交 流 による 相 互 理 解 が 必 要• ハローワークなどの 地 域 の 支 援 とどうやって 連 携 をとっていいかわからない• 抱 え 込 む 傾 向 があり 他 の 機 関 を 使 えていない。 情 報 を 集 めることからはじめたい• 病 院 、 診 療 所 と 言 葉 は 同 じでも 中 身 の 体 制 は 千 差 万 別 。 就 労 支 援 機 関 も 同 様 に 個 々で 差 があると 思 います。お 互 いの 役 割 を 明 確 にして 連 携 しないと 難 しい• 就 労 支 援 については 医 療 や 地 域 福 祉 が 担 う 役 割 を 整 理 する 必 要 がある• 企 業 - 患 者 - 支 援 者 の 交 流 の 機 会 がなく、 相 互 に「 知 らない」ことが 多 すぎる。 気 軽 に 交 流 できる 場があれば、 相 互 理 解 を 深 めることができ、 患 者 の 就 労 にも 役 立 つ• 外 部 機 関 との 協 力 や 雇 用 支 援 制 度 の 利 用 時 のイメージがわかず 度 々 悩 む。それぞれの 機 関 での 交 流 の場 を 作 り、 個 々の 強 みを 活 かしてサポートしていける 環 境 を 整 えたい/ 双 方 面 の 関 係 機 関 の 情 報 交 換ができる 場 がもてたらよい。つなぎ 役 の 存 在 も 必 要(6) 診 療 報 酬 の 対 象 とならない 就 労 支 援 活 動 の 存 在• 患 者 の 就 労 支 援 や 生 活 支 援 の 必 要 は 多 いが 診 療 報 酬 に 結 びつきにくく 業 務 が 評 価 されにくい/ 診 療 報酬 評 価 なくして 継 続 発 展 はないと 思 います• 報 酬 上 の 後 ろ 盾 がないと、ニーズは 高 いのにマンパワー 等 の 面 でシステムとして 広 がらない。 人 材 育成 も 難 しさを 感 じている。 例 えば、 現 在 、 診 療 報 酬 等 に 評 価 されない 事 業 主 支 援 、ハローワーク 支 援 、職 業 アセスメント、 職 探 し、ジョブコーチ 支 援 、 定 着 支 援 、 調 整 等 を 労 働 施 策 で 補 完 してほしい• 復 帰 などをサポートするための、 教 材 や 物 品 、 人 材 を 揃 えるために 費 用 がかかる/ 人 材 確 保 や、パソコン 等 物 理 的 な 資 源 の 確 保 の 助 成 があれば、より 支 援 も 行 っていける-116- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 医 療 機 関 が 一 般 企 業 に 出 向 いて 指 導 ・ 連 携 するシステム、 報 酬 への 反 映 がされるとよりスムーズな 復職 、 就 労 が 可 能 と 感 じる• 医 療 の 支 援 が 不 可 欠 ならば 当 院 が 直 面 している 医 師 不 足 等 の 問 題 の 解 消 が 必 要 と 思 います/ 行 政 は 民間 の 精 神 科 病 院 にまかせすぎている。 地 域 で 盛 り 上 げていこうという 事 は 良 く 言 われるが、 行 政 において、それを 全 く 実 感 していない。 理 解 に 乏 しい 方 が 多 い2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 課 題(1) 本 当 に 就 労 支 援 ニーズの 高 い 人 への 支 援 が 不 十 分• 当 院 の 患 者 は 日 雇 労 働 、 生 活 保 護 受 給 者 が 非 常 に 多 く、アルコール・ギャンブル、 統 合 失 調 症 の 診 断も 多 いが、パート/アルバイトでもいいから 働 きたいという 意 見 が 多 い• かなり 意 欲 もあり、 病 状 が 安 定 し 資 格 や 経 験 のある 方 も 就 職 ・ 復 職 するのに 厳 しい 状 況 。10 代 に 精 神疾 患 を 発 症 した 方 の 就 職 は 本 当 に 困 難 。 非 正 規 の 雇 用 ばかり。• 特 に 現 在 は 国 内 の 雇 用 情 勢 の 悪 化 により、ハンデを 持 つ 精 神 障 害 者 なんて 雇 ってもらえないと 活 動 する 前 から 投 げ 出 している• 他 の 人 と 同 じように 働 くことが 難 しくても、 自 分 にできる 範 囲 内 で 働 きたい。 人 の 役 に 立 ちたい。 賃金 を 小 額 でも 得 られると 気 持 ちが 全 く 違 う、と 患 者 さんよりよくうかがう• まず 日 常 生 活 をもう 少 し 楽 に 過 ごすことが 課 題 なので、 就 労 支 援 はもう 少 し 先 の 問 題 だが、 皆 、「 働 きたい」という 気 持 ちがあり、 遠 い 道 のりにゆっくりつきあう 必 要 がある• 就 労 よりも 生 活 や 症 状 の 安 定 が 必 要 な 方 でさえ、 相 談 されることが 多 い(2) 精 神 障 害 を 想 定 した 職 場 の 不 足• 勤 労 の 意 欲 は 患 者 で 多 く 見 受 けられますが、その 受 け 手 はまだ 少 ないように 思 われます• 障 害 者 枠 の 求 人 が 少 なすぎ、 手 帳 を 持 っていることが 必 ずしも 有 利 になっていない• 最 も 大 切 なのは 就 労 場 所 の 確 保 と 紹 介 です。 求 人 待 ちでなく 歩 いて 就 労 企 業 の 確 保 を!• 障 害 者 求 人 には 身 体 障 害 を 想 定 した 募 集 が 多 く、 精 神 障 害 に 対 する 理 解 が 遅 れている 印 象 。 精 神 疾 患に 理 解 のある 職 場 を 増 やしていく 努 力 が 必 要• 少 ない 障 害 者 雇 用 でも 精 神 でもよいという 企 業 が 少 ない/ 精 神 障 害 では 対 応 の 困 難 さや、 生 活 のしづらさがあり、 企 業 の 雇 用 での 遅 れがある• 企 業 側 の 条 件 が 厳 しく、 就 労 困 難 な 患 者 様 が 多 いと 思 います• 当 地 方 ではハローワークの 障 害 者 求 人 がほとんどないため、 障 害 をオープンにしたい 方 がクローズにせざるをえなく 長 続 きしない• 精 神 障 害 の 方 は、 不 安 からくる 疲 労 感 が 強 く、 短 時 間 労 働 からのスタートとなります。 無 理 をせず、一 歩 一 歩 雇 用 の 定 着 を 図 るためにも、 就 労 時 間 について 段 階 的 な 対 応 をしていただけたらと 思 います• 週 に 20 時 間 以 下 の 就 業 時 間 の 仕 事 も 開 拓 が 必 要• 統 合 失 調 症 等 の 場 合 、 既 存 の 会 社 の 勤 務 形 態 での 就 労 は 負 担 が 大 きく、 難 しい 例 が 多 いため、 病 気 や障 害 にあった 仕 事 を 新 たに 創 ることへの 支 援 策 が 必 要 だと 思 います。(3) 企 業 の 精 神 障 害 への 理 解 と 配 慮 の 必 要 性• 医 療 と 支 援 機 関 、 企 業 の 間 で、 目 に 見 えない 症 状 や 対 処 について、いかに 共 通 した 理 解 をするかが 非-117- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態常 に 重 要• 精 神 障 害 者 の 雇 用 をしていても 精 神 障 害 の 理 解 のない 事 業 所 が 見 受 けられます。• 休 職 者 の 復 職 についても 企 業 のハードルが 高 い。• 復 職 後 の 対 応 の 差 が 企 業 間 でちがいすぎる。• 病 状 も 落 ち 着 き、 条 件 の 合 う 職 場 があれば 働 けそうな 方 は 結 構 いらっしゃるので、 一 般 企 業 の 受 け 入れが 柔 軟 になると 助 かるなという 印 象 はあります。• 会 社 や 雇 用 主 がその 人 ( 障 がい 者 )に 合 わせるという 考 え 方 が 広 まれば、もう 少 し 障 がいを 持 った 人が 働 ける 場 が 増 えると 思 うが・・・• 偏 見 が 強 く、 精 神 疾 患 を 開 示 すると 面 接 すら 受 けさせてもらえない 現 状 がある• 各 会 社 に 産 業 医 がいることを 知 らない 人 が 多 すぎる。もっと 産 業 保 健 分 野 を 充 実 させるべく 企 業 は 費やすべきだと 思 う。• 大 量 生 産 、 大 量 消 費 、 変 化 の 早 い 社 会 から、 日 本 も 世 界 も 方 向 転 換 しないといけないと 思 います。こんな 中 で 適 応 に 支 障 をきたす、 就 労 先 をなくす、というのは 個 人 の 努 力 、 支 援 者 の 努 力 、というよりはこれからの 社 会 はどうあったらよいのかという 要 素 にも 目 を 向 ける 必 要 があるでしょう。 人 間 らしいスペース、 障 害 に 配 慮 できる 内 容 の 仕 事 を 作 り 出 すことに 私 たちはもっと 力 を 注 ぐ 必 要 があるのではないでしょうか。3 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 取 組(1) 本 人 の 気 持 ちに 沿 って 就 労 意 欲 を 引 き 出 す• 作 業 所 でも 就 労 体 験 を 得 ると 当 事 者 もモチベーションもあがりよろこびとなると 考 えます。 妄 想 があっても 就 労 プログラムに 入 ると、 現 実 的 な 考 えができることも 多 い。• 精 神 疾 患 の 発 症 による 人 生 の 予 定 外 の「 転 機 」への 支 援 が 主 眼 であり、 本 人 の 意 思 決 定 が 最 大 限 に 尊重 されるべき。 押 し 付 けや 可 能 性 の 否 定 はいけないと 考 えます。• ご 本 人 さんのストレングスやエンパワメントを 支 援 者 が 信 じることから 始 まると 思 います。 本 人 の 状態 を 把 握 し、タイミングを 見 て 支 援 する 必 要 性 があると 感 じています。• 「リカバリー」の 考 え 方 に 沿 って、SST 等 を 中 心 に 常 に 学 びながら、やっています。• 実 際 の 支 援 は 自 己 分 析 に 始 まり 自 己 分 析 に 終 わる。 当 機 関 では 自 己 開 示 と 他 者 からのフィードバックを 受 け 入 れる 事 に 支 援 のポイントを 置 いています。• 利 用 者 の 意 欲 気 力 が 出 るまで 待 つ。 手 取 り、 足 とりで 歩 かせても、 長 くは 続 かず。• 希 望 に 沿 った 機 会 を 作 りたい/ 興 味 のあることを 探 すように 働 きかけも 必 要(2) 再 発 防 止 の 医 療 的 支 援 の 重 要 性• 本 人 の 症 状 自 己 管 理 で、サインや 対 処 法 を 把 握 できる 前 準 備 段 階 がとても 大 切 / 就 職 する 前 のストレスコーピング 等 が 大 切• 復 職 後 のグループサイコセラピーのサポートにて 就 業 継 続 が 成 功 している。このような 支 援 がもっと充 実 できるよう 日 々 励 みたいと 思 っています/うつ 病 では 自 分 のパターン、くせに 気 づかず、 休 職 をくりかえしてしまう 方 が 多 い。 様 々なプログラムによって、 復 職 をはたされた 方 が 多 い• 医 療 機 関 のリワークプログラムは 全 国 的 に 広 がりつつあるが、 今 後 はスタッフへの 育 成 を 通 じてプロ-118- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態グラムの 充 実 をはかることが 重 要 と 考 えている。/ 離 職 防 止 、 復 職 推 進 について 系 統 的 ・ 標 準 化 されたプログラムの 立 案 、 実 施 が 必 要• 自 分 で 対 処 する 力 を 高 めつつ、 困 難 時 には 早 めに 相 談 できる 力 をデイケアで 備 えることで、 就 職 や 職場 定 着 を 乗 り 越 えていけると 考 えて 支 援 をしている• 就 業 継 続 には、 困 った 時 に 相 談 できることや 支 援 者 を 上 手 く 使 えることが 重 要 であり、その 為 の 関 係性 づくりが、 就 労 支 援 として 重 要 。(3) 医 療 機 関 としては 生 活 支 援 がメイン• 医 療 機 関 としては、まずは、 地 域 移 行 ( 住 居 確 保 がメイン)になっている。• 就 労 は 主 に 施 設 支 援 センター、 当 医 療 機 関 は 就 労 まで 至 らない 年 金 でヘルパー 等 のサービスを 使 いつつ 生 活 する 方 が 主 なる 対 象 という 役 割 分 担 になっている• 生 活 や 服 薬 等 の 医 療 的 な 立 場 から 支 援 していきたい/ 症 状 の 改 善 、 日 常 生 活 の 立 て 直 し、 福 祉 サービス 利 用 の 支 援 が 主 / 入 院 中 における 経 済 的 、 生 活 課 題 の 支 援 を 行 っている• デイケアの 生 活 面 のグループワークを 通 して 就 労 の 準 備 性 が 身 につくと 考 えている(4) 患 者 からのニーズに 対 して 外 部 支 援 機 関 の 紹 介 のみ• 患 者 からのニーズは 多 いが、 地 域 支 援 事 業 所 へつなぐことしかできないのが 現 状• 今 のところ、 外 部 支 援 機 関 の 紹 介 をするにとどまっています• 患 者 が 特 に 希 望 があったり、その 必 要 がある 場 合 はPSWがいるクリニックへ 転 院 してもらうが、 支援 センターを 勧 めたりしている• 就 労 については、 情 報 提 供 ( 支 援 センターの 紹 介 ) 等 である• 医 師 1 名 のみのクリニックであり、 就 業 に 関 しては 必 要 時 のみ 他 施 設 に 依 頼 し、あるいは 来 てもらって 個 別 相 談 をするのみ• 作 業 所 へ 紹 介 するケースばかり。 就 業 ・ 生 活 支 援 センターに 頼 っております。• 外 部 支 援 機 関 の 紹 介 で、 自 治 体 の 障 がい 福 祉 課 の 担 当 者 が 対 応 してくれて、 非 常 に 助 かっています。就 労 支 援 への 移 行 を 手 助 けしてくれています。(5) 個 別 の 相 談 対 応• 私 は 小 児 科 医 であるため、 患 者 や 家 族 からの 相 談 には 医 師 として 診 療 行 為 のひとつとして、 外 来 診 療中 にご 相 談 に 乗 るという 形 で 協 力 しています。• 通 常 の 診 療 の 中 での 相 談 や 指 導 は 必 要 を 感 じれば 行 っているが、 限 界 を 感 じている• システムとして 機 能 させられるほど 人 員 をさけない。4 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 限 界(1) 就 労 経 験 のない 人 等 への 職 業 準 備 支 援• 全 く 就 労 経 験 のない 患 者 さんへ 就 労 へ 向 けた 支 援 を 行 う 困 難 さを 感 じることが 多 い• 発 病 前 から 引 きこもっていて、 社 会 経 験 に 乏 しく、 成 長 の 機 会 があまり 無 かったという 利 用 者 がとても 多 い。そういう 方 が 家 から 出 て 成 長 できる 環 境 と、 就 労 に 向 けて 負 荷 をかけていく 環 境 を 同 時 に 持つことが 現 状 の 私 たちでは 難 しい。• 当 院 では、 不 登 校 、ひきこもりの 患 者 さんを 多 数 かかえております。 就 労 はもちろんですが、その 前-119- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態段 階 の 支 援 の 充 実 がはかられれば 大 変 よいと 思 います。• 職 業 人 、 社 会 人 の 自 覚 を 持 って 頂 くための 支 援 の 難 しさを 感 じております。(2) 生 活 保 護 や 障 害 年 金 との 関 係 での 就 労 意 欲 の 低 い 人 の 増 加• 生 活 保 護 受 給 や 障 害 年 金 受 給 を 安 易 に 希 望 したりすすめたりするケースが 非 常 に 多 い• 生 活 保 護 に 逃 げ 込 んで、 就 労 の 必 要 性 を 断 ってしまおうという 意 図 が 強 く 見 える 患 者 も 多 い。そういう 方 は 就 労 は 苦 痛 なもの、というイメージが 強 固 な 方 です。• 実 際 には 就 労 可 能 と 思 われるが、 本 人 の 働 く 意 欲 の 欠 如 により、 就 労 支 援 に 至 らないケースばかり。その 根 底 には 比 較 的 簡 単 に 受 給 できる 生 活 保 護 、 障 害 者 年 金 の 影 響 もある• うつ 病 による 休 職 を 疾 病 利 得 と 考 える 方 ( 患 者 )もおり、 支 援 を 受 ける 側 の 病 識 やモラルについても、指 導 、 助 言 を 要 する 部 分 と 考 えます。• お 金 を 稼 ぐと 生 活 保 護 が 受 けられなくなるから 働 かないと 言 う 人 が 多 数 いる。 働 き 収 入 を 得 ること、社 会 に 貢 献 することの 喜 びや 自 尊 心 を 取 り 戻 して 欲 しい/ 今 年 度 から 障 害 年 金 の 診 断 書 に 会 社 名 や 月収 を 記 入 する 欄 が 登 場 した。「 働 くと 年 金 の 支 給 がストップする。」と 思 う 患 者 も 多 く、 今 後 の 就 労 の考 え 方 が 消 極 的 になるのではないかと 心 配• 就 職 口 を 障 害 者 枠 にひろげるためだけに、わざわざ 精 神 科 を 受 診 し 障 害 者 手 帳 を 申 請 するケースもあると 聞 く。 本 当 の 支 援 が 必 要 なのはどんな 人 なのか 見 極 める 必 要 がある(3) 就 労 可 能 性 の 判 断 のための 体 制 の 限 界• どのタイミングで 社 会 参 加 が 可 能 かの 判 断 がスタッフによってまちまちであり、また 社 会 参 加 や 就 労への 意 識 も 温 度 差 がある/スタッフ 間 で 所 属 が 異 なるとなかなかミーティングがもてず、 認 識 の 温 度差 があるのが 現 実 / 医 療 機 関 という 立 場 でいつも 悩 むのは、「 何 がどれくらいできるようになれば 就 活が 可 能 なのか」ということです。• 就 労 の 可 否 や 内 容 について 医 学 的 意 見 を 求 められることが 多 いが、 質 問 の 意 図 が 不 明 で 活 用 目 的 が 分からない 点 がある。• 何 でも 医 師 の 診 断 書 では 主 に 疾 患 の 治 療 管 理 に 関 わる 身 としてはやり 切 れぬ 思 い。 本 来 は 国 の 障 害 者対 策 に 多 くの 人 材 ( 主 にケースワーカー)を 投 入 し、 教 育 するのがよい• 職 場 担 当 者 が 主 治 医 との 面 接 を 希 望 する 場 合 が 多 いが、 具 体 的 な 相 談 が 可 能 なのは PSW です。 主 治 医から 医 療 面 の 情 報 を 書 面 等 で 得 た 上 で、PSW との 面 接 の 方 が 良 い。(4) 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 へのスタンスの 迷 い• 医 療 機 関 として 何 ができるか、どこまで 支 援 していいのか、いつも 悩 む/ 就 労 支 援 に 医 療 機 関 がどこまで 介 入 できるのか 迷 いがある/ 高 校 卒 時 の 就 活 にも 関 わり、 医 療 機 関 スタッフが 関 わるデメリット( 相 手 に 与 える 印 象 等 )を 感 じ、とまどいます• デイケアで“ 取 り 込 む”と 表 現 されることが 多 くありますが、 行 く 場 所 をデイケアと 選 んでいる 人 も多 くいます。その 中 で 就 労 へ 結 びつけるか、ずっと 課 題 です。• 一 般 就 労 の 方 が 気 分 障 害 等 で 休 職 し、 診 断 書 作 成 を 希 望 するケースが 殆 どで、 再 就 職 などのサポートまで 至 っていないです。• 病 院 のケースワーカーとして 今 後 就 労 分 野 は 必 要 であるが、 特 化 した 部 署 がなく、 実 際 は 主 治 医 と 患-120- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態者 という 状 態 にある。 入 院 中 にかかわりのある 方 であれば 介 入 や 支 援 が 行 いやすいが、 外 来 のみでは関 係 性 もとぼしく 取 組 や 介 入 の 在 り 方 は 今 後 の 課 題• ストレスケア 病 棟 の 入 院 における 復 職 プログラムを 導 入 している。しかし、 気 分 障 害 以 外 に 対 する 就労 ・ 復 職 支 援 は 十 分 に 行 えているとはいいがたい 状 況(5) 外 来 診 療 だけの 機 関 でワーカーがいない• 外 来 業 務 のみでワーカーも 少 なく、 就 労 支 援 の 必 要 性 の 認 識 はあっても、 現 実 的 にマンパワー 不 足 /なかなか 治 療 以 外 に 手 がまわらないのが 現 状 / 医 療 機 関 が 就 労 や 復 職 に 関 して、もっと 努 力 すべきなのは 理 解 しているが、 実 際 は 患 者 の 診 療 だけで 精 一 杯 であり 現 実 と 理 想 とのギャップを 痛 感 している/ 就 労 支 援 の 必 要 性 は 強 く 感 じているが、 小 規 模 のクリニックで 人 員 も 足 らず、PSW の 採 用 も 考 えているが 実 現 には 至 っていない• クリニックだと 対 応 できる 範 囲 が 決 まってしまう/ 小 さい 医 療 機 関 ではできることは 限 られている/医 師 ひとりだけの 診 療 所 で、 医 療 でできる 範 囲 のことしかしていません• 復 職 しても 再 休 職 することがあり、 再 休 職 前 に 何 か 対 応 ができることがなかったかと 考 えるが、2 週 に1 度 といった 頻 度 の 受 診 でできることはあまり 多 くない。• クリニックでそれ 以 外 の 仕 事 が 多 く、どのような 役 割 を 果 たせるのか 悩 んでいる/ 訪 問 看 護 と 外 来 のインテークや 相 談 業 務 に 追 われ 就 労 支 援 にまで 手 が 届 いていないのが 現 状• デイケアスタッフの 人 数 等 の 関 係 上 、なかなか 就 労 支 援 を 行 うことが 困 難 /デイケア 業 務 の 中 で、 就労 にゆっくり 時 間 を 割 けないのが 現 状(6) 就 労 支 援 の 専 門 性 知 識 、 社 会 資 源 情 報 の 不 足• 本 人 さんが、 能 力 、 体 力 、 病 状 の 点 で 難 しい 職 業 を 選 択 することがあります。 病 状 ばかりに 目 がいき、本 人 さんのやりたいことに 対 応 できず 支 援 の 仕 方 はいつも 悩 んでいます。• スタッフ 自 身 の 産 業 領 域 におけるキャリアアップの 必 要 性 を 感 じます。• 医 師 や 医 療 業 界 全 体 への 啓 発 と 教 育 をぜひとりくんでいただきたい。デイケアの 効 果 的 活 用 の 講 師 をしたときに「デイケアって 卒 業 させていいということをはじめて 知 った」というスタッフも 多 くいる現 状 があります。• 就 業 ・ 生 活 支 援 センターの 役 割 が 大 きく、 職 場 実 習 など 単 独 で 受 け 入 れ 先 を 確 保 するのは 困 難 な 状 況 。ケースの 状 況 に 応 じた 連 携 が 図 れると 利 用 者 の 希 望 に 対 応 しやすくなる。(7) 就 労 支 援 の 対 象 外各 医 療 機 関 等 の 対 象 患 者 の 特 徴 から 就 労 支 援 が 実 施 されていない 場 合 は 次 のようであった。ア 認 知 症 病 棟 や 閉 鎖 病 棟 が 主 の 機 関 で 就 労 支 援 以 前 に 地 域 生 活 の 実 現 が 課 題イ デイケアで 就 労 希 望 者 が 少 ないウ スーパー 救 急 病 棟 で 就 労 支 援 への 関 与 はないエ 小 児 科 のためオ 障 害 が 重 度 のため 就 労 支 援 の 対 象 でない-121- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 11 節 考 察以 上 の 調 査 結 果 によるわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 の 実 態 を 踏 まえ、わが 国 の 状 況 に 応 じた、 医 療 ・ 生 活 ・就 労 支 援 の 統 合 に 向 けた 取 組 について 考 察 した。1 調 査 結 果 の 総 括本 調 査 では、 多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 特 に 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、 幅 広 い 精神 科 医 療 機 関 等 を 対 象 として 調 査 を 実 施 した。 実 際 の 調 査 回 収 では、 就 労 支 援 の 取 組 状 況 により 回 収 率 の 差が 生 じている 可 能 性 があるため、 本 研 究 では、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、それ 以 外 の 473機 関 を 分 けて 分 析 した。その 結 果 、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 においては、 診 断 治 療 を 中 心 とした 機 関 だけでなく、 医 療 ・ 生 活 支 援を 統 合 した 取 組 を 実 施 している 機 関 も 多 くあり、 後 者 の 機 関 では、さらに、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的取 組 も 広 がっている 状 況 が 明 らかになった。そのような「 就 労 支 援 」は、 必 ずしも 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援プログラム」の 形 態 ではなく、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 局 面 における 職 業 上 の 課 題 の 解決 につながる 様 々な 取 組 であり、 疾 患 自 己 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 等 との 関 係 も 強 かった。そのような 取組 は、 医 療 機 関 が 自 ら 実 施 する 場 合 だけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 協 力 や 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 によりさらに 効 果 的 となる 可 能 性 も 示 された。(1) 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 への 各 機 関 の 認 識医 療 機 関 においては、 就 労 支 援 への 日 常 的 取 組 のない 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 問 題 の 認 識 自 体 必 ずしも 十 分 ではなく、 逆 に、 日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 ほど 課 題 認 識 が 多 かった。ただし、 具 体 的な 取 組 によって、 単 に 課 題 認 識 が 多 くなっているだけでなく、その 問 題 の 解 決 にもつながっていることも 明らかとなった。(2) 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 医 師 、 精 神 保 健 福 祉 士 、 作 業 療 法 士 等 が、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 で 実施 されている 場 合 が 多 かった。これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 職 による 就 労 支 援 への 取 組 のための 専 門 的 情 報 源 としては、 図 書 ・ 論 文 等 や 学 会 ・ 研 究 会 等 が 主 となっていた。 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 任 で 就 労 支 援 を 実 施 し、また、 就 労 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 等 を 図 書 ・ 論 文 、 学 会 ・ 研 究 会 等 から 得 ている 場 合 が、 最 も 職 業 生 活 上 の課 題 の 解 決 につながっていた。(3) 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム」 等 の 実 施 状 況医 療 機 関 等 における 就 職 ・ 復 職 プログラムは、 具 体 的 には 気 分 障 害 の 復 職 支 援 リワーク、 継 続 的 デイケア、就 職 ミーティング 等 であり、 利 用 者 は 年 間 10~30 名 が 多 く、 主 要 な 運 営 資 金 はデイケア 等 の 診 療 報 酬 であった。 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 自 機 関 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職 プログラムによるだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 により 就 労 支 援 の 成 果 をあげている 機 関 も 多 かった。(4) 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する「 就 労 支 援 」の 取 組精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する 様 々な 取 組 という 意 味 での「 就 労 支 援 」の 取 組 状-122- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態況 については、 日 常 的 な 就 労 支 援 がある 医 療 機 関 等 では、 個 々の 取 組 には 医 療 機 関 と 外 部 機 関 の 役 割 分 担 の特 徴 があるものの、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 就 労 支 援 が 提 供 されていることが 明 らかになった。 一 方 、日 常 的 な 就 労 支 援 の 取 組 のない 機 関 では 取 組 は 少 ないが、それでもほとんどの 取 組 を「 患 者 のためには 必 要であるが 実 施 なし」と 考 えており、「 必 要 なし」とされた 取 組 はほとんどなかった。また、それらの 就 労 支 援 への 効 果 としては、 就 職 活 動 支 援 が 就 職 活 動 の 問 題 解 決 につながるというような直 接 的 な 関 係 だけでなく、 就 職 前 の 取 組 と 就 職 後 の 疾 患 管 理 や 職 場 理 解 との 関 係 のような 様 々な 関 係 が 認 められた。また、 医 療 機 関 が 自 らあるいは 外 部 機 関 と 協 力 して 行 う 場 合 に 効 果 の 高 い 取 組 等 も 明 らかになった。(5) 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況直 接 の「 就 労 支 援 」と 考 えられることは 少 ないものの、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 支 援 として 重 要 と 考 えられる、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 については、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 等 では、 全 般 的 にこれらへの 取 組 も 多 く、 一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、これらの 取 組 が 全 般 的 に 少 ないことが 明 らかとなった。 多 くの 機 関 が 自 機 関 で 実 施 している 取 組 がある 一 方で、「 認 知 行 動 療 法 」「ロールプレイ」「SST」「 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 」「 家 族 向 けのセミナーやワークショップ 等 」は 比 較 的 実 施 が 少 なかった。特 に、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」 全 般 、「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」「 地 域 生 活 での 危 機 的 状況 への 対 応 体 制 」「 家 族 向 けのセミナー 等 」は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 において、 就 職 前 から 就職 後 の 様 々な 職 業 的 課 題 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。さらに、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においても、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」「 生 活 支 援 」「 家 族 支 援 」の 取 組 は、 多 くの 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。(6) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組現 在 のわが 国 における、 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組 は、 就労 支 援 を 自 機 関 が 主 に 取 り 組 む 機 関 から、 特 に 就 労 支 援 への 取 組 のない 機 関 まで、また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労支 援 の 連 携 促 進 が 機 能 し、 就 労 支 援 機 関 との 日 常 的 な 職 業 評 価 や 支 援 のケースワークが 実 施 されている 機 関から、 診 断 治 療 専 門 の 機 関 まで 多 様 であった。 現 在 、これらの 連 携 については、 取 組 は 少 なく 課 題 も 多 い 状況 が 確 認 された 一 方 で、 連 携 の 取 組 が 実 施 され 機 能 している 機 関 ほど、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決にもつながっていることが 今 回 の 調 査 で 確 認 された。2 研 究 の 限 界本 研 究 の 調 査 では、 回 収 率 が 低 かったことや、 医 療 機 関 に 対 するアンケート 調 査 であることによる 限 界 がある。 結 果 の 考 察 や 活 用 においては、これらの 限 界 を 踏 まえる 必 要 がある。(1) 回 収 率 の 低 さ本 調 査 では、3,875 の 機 関 や 専 門 医 に 対 して 調 査 票 を 送 付 し 回 収 は 19.5%(757 機 関 )からにとどまった。医 療 機 関 において 就 労 支 援 部 門 が 明 確 でない 状 況 で、 調 査 票 は 機 関 の 代 表 者 に 送 付 し、そこから 該 当 部 署 に転 送 を 依 頼 するという 流 れであったため、 送 付 した 調 査 票 が 想 定 する 回 答 者 に 至 りきらなかった 可 能 性 があ-123- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態る。また、 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 は 回 答 しやすいが、 就 労 支 援 の 実 施 のない 機 関 では 回 答 されにくかったという 可 能 性 がある。そこで、そのような 回 答 の 偏 りの 可 能 性 を 考 慮 して、 本 研 究 においては、 調査 回 答 を 回 答 結 果 から、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 と、そうでない 機 関 に 分 けて、それぞれの 分 析 結 果 をみることにより、その 両 方 の 傾 向 を 踏 まえた 総 合 的 理 解 となるように 心 がけた。したがって、 本 調 査 の 回 答 では 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 は 45%となっているが、それはわが 国 の 医 療 機 関 全 体 での 割 合 を 示 すものでない。(2) 支 援 状 況 と 職 業 的 課 題 の 解 決 可 能 性 の 自 己 評 価 の 限 界本 調 査 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 を、 医 療 機 関 等 の 支 援 者 が 判 断 して 回 答 している。 就 労支 援 の 取 組 の 成 果 指 標 としてそれを 活 用 するにあたっては、それが 支 援 者 による 自 己 評 価 であることからの限 界 が 考 えられる。つまり、 就 労 支 援 の 取 組 と 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決 との 関 係 が 支 援 者 の「 支 援 を 実 施 しているのだから 課 題 は 解 決 できているはず」という 主 観 的 な 関 係 づけを 反 映 している 可 能 性 が 考 えられる。しかし、 多 くの 支 援 については 課 題 解 決 と 関 係 が 認 められていない 一 方 で、 特 に 関 係 性 が 認 められたものについては、 一 定 の 合 理 的 説 明 が 可 能 であることから、 支 援 効 果 としての 解 釈 には 一 定 の 妥 当 性 があると 考 えた。(3) 疾 患 と 支 援 内 容 を 対 応 させた 調 査 ではない医 療 機 関 においては 様 々な 疾 患 を 対 象 としている 場 合 が 多 く、 本 研 究 において、 対 象 疾 患 の 違 いについて言 及 している 部 分 は、あくまでも 各 疾 患 への 日 常 的 対 応 の 多 少 による 機 関 の 特 徴 の 違 いについて 言 及 したものであることに 注 意 が 必 要 である。3 わが 国 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 への 取 組 の 可 能 性本 調 査 により、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 による 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 への 取 組 の 実 態 の 把 握 、 海 外 でEBP( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 )とされてきた 内 容 についての、わが 国 における 妥 当 性 や 具 体 例 の 確 認 、 効果 的 就 労 支 援 における 医 療 機 関 自 らの 取 組 や、 外 部 就 労 支 援 機 関 との 協 力 の 重 要 性 の 確 認 ができた。これらに 基 づき、わが 国 の 状 況 に 応 じた、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 に 向 けた 取 組 について 検 討 する 必 要 がある。(1) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 への 取 組 の 多 様 性精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 モデルについて、 第 2 章 において 海 外 の 状 況 を 調 べた 結 果 でも、 様 々な 考 え 方 や 取組 があることが 示 されていたが、わが 国 の 医 療 機 関 においても、 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のあり 方 についての 方 針 や 具 体 的 な 取 組 は 大 きく 分 かれていた。わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 就 労 支 援 への 取 組 を 検 討 する 場 合には、 少 なくとも 次 の3つの 類 型 に 大 きく 分 かれることを 想 定 することが 必 要 である。ア 診 断 治 療 に 特 化 している 医 療 機 関 ( 小 規 模 診 療 所 、 専 門 医 等 )多 くの 医 療 機 関 は 小 規 模 で 医 師 中 心 で 診 断 治 療 に 特 化 しており、 疾 患 自 己 管 理 支 援 や 生 活 支 援 等 の 取 組 は少 なく、 患 者 の 就 労 問 題 についても 十 分 に 把 握 されていない 場 合 が 多 い。イ 医 療 ・ 生 活 支 援 に 取 り 組 んでいるが 就 労 支 援 との 統 合 に 課 題 のある 医 療 機 関医 師 以 外 のコメディカルスタッフを 雇 用 し、 退 院 支 援 やデイケア 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 への 取 組 の 一 環 として 就 労 問 題 の 認 識 が 高 まっているが、 就 労 支 援 との 統 合 が 不 十 分 であり 未 解 決 課 題 が 多 くなっている。-124- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ウ 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 統 合 的 支 援 に 取 り 組 んでいる 医 療 機 関医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的 実 施 の 方 針 をもち、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 担 当 者 の 連 携 を 促 進 させる 仕 組 みや、 外 部 の 就 労 支 援 機 関 や 雇 用 支 援 制 度 を 有 効 活 用 ある 医 療 機 関 においては、 精 神 障 害 者 の 職 業 生活 上 の 問 題 解 決 への 成 果 が 見 られ 始 めている。(2)EBP の 普 遍 性 、わが 国 における 適 用 可 能 性本 調 査 では、EBP( 根 拠 に 基 づく 実 践 )の 援 助 付 き 雇 用 、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 地 域 生 活 支 援 、 家 族 支 援 の適 合 性 尺 度 の 項 目 を 網 羅 して、わが 国 の 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 幅 広 い 取 組 を 把 握 した。その 結 果 、これら EBP を 構 成 する 様 々な 取 組 は、わが 国 の 医 療 機 関 においても、 実 際 の 就 労 支 援 の 取 組 の 有無 にかかわらず、 精 神 障 害 者 のために 必 要 であると 認 識 されており、さらに、それらの 取 組 の 実 施 は 精 神 障害 者 の 職 業 生 活 上 の 問 題 解 決 とも 関 連 していることが 明 らかになった。EBP の 各 取 組 のわが 国 の 意 義 については、 既 に 第 3 章 でも 考 察 したが、 本 調 査 結 果 における 様 々な 取 組 と 様 々な 職 業 上 の 問 題 の 関 連 から、EBPの 各 取 組 の 合 理 的 な 意 義 がさらに 明 らかになった。ア 就 職 前 の 職 業 準 備 支 援精 神 障 害 者 において、 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 についての 検 討 は 職 業 準 備 支 援 の 重 要 項 目 であるが、そのためには、 非 就 労 者 への 就 職 セミナーの 実 施 や 就 労 希 望 を 表 明 していない 人 の 就 労 希 望 の 確 認 、OB 交 流 への 取 組 、 特 に 医 療 機 関 での 実 施 が 効 果 的 な 支 援 であった。また、 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 事 前 確 認 と対 策 、 集 団 的 場 面 での 職 業 評 価 、また、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 も 効 果 的 であった。このようなことから、IPS の 原 則 にある「 就 労 希 望 のある 全 ての 人 が 対 象 ( 就 労 支 援 への 除 外 なし)」については、 医 療 機 関 等 で、これまで 全 く 就 労 希 望 を 確 認 されていなかったり、 就 労 支 援 についての 情 報 が 不 足している 人 を 含 めて、 幅 広 く 情 報 提 供 や 働 きかけをしていくことの 重 要 性 として 理 解 できる。また、「 一 般 就業 が 目 標 」「 素 早 い 職 探 し」という 原 則 についても、 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 を 踏 まえて、 医 療 的 側 面 を 含めて 課 題 把 握 や 支 援 を 行 うことの 必 要 性 として 理 解 できる。イ 就 職 活 動 支 援精 神 障 害 者 の 就 職 活 動 では、 適 職 の 検 討 、 職 探 し、 企 業 への 自 己 アピールや 必 要 な 配 慮 等 の 適 切 な 説 明 等が 大 きな 課 題 となるが、そのためには、 医 療 機 関 が 自 ら、あるいは、 外 部 機 関 と 協 力 して 行 う、 就 職 セミナー、OB 交 流 、また、 具 体 的 な 職 探 しや 就 職 活 動 の 様 々な 支 援 、 職 業 場 面 を 想 定 した 職 業 アセスメント、 患 者 同 士が 集 まれる 場 づくり 等 だけでなく、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 が 効 果 的 であった。IPS の 原 則 にある「 一 般 就 業 が 目 標 」「 素 早 い 職 探 し」「 継 続 的 支 援 」 等 は、 就 職 活 動 の 成 功 に 必 要 なこれらの 具 体 的 な 様 々な 取 組 の 重 要 性 として 理 解 することができる。ウ 職 場 適 応 や 就 業 継 続 支 援精 神 障 害 者 の 職 場 適 応 や 就 業 継 続 のためには、 就 職 前 の 就 職 セミナーや OB 交 流 、 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の事 前 確 認 と 対 策 、 実 際 の 職 業 生 活 あるいはそれに 近 い 条 件 での 職 業 アセスメント、 本 人 との 相 談 場 面 での 課題 や 支 援 ニーズの 確 認 、 職 場 への 助 言 等 を、 医 療 機 関 が 自 ら、あるいは、 外 部 機 関 と 協 力 して 実 施 することが 効 果 的 であった。また、 疾 患 自 己 管 理 支 援 が 特 に 効 果 的 であった。-125- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態IPS の 原 則 にある、「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統 合 」「 本 人 ニーズに 基 づく 決 定 」「 継 続 的 支 援 」も、 精 神 障 害 者 が 就 職 ・ 復 職 後 も 直 面 する 疾 患 自 己 管 理 等 の 課 題 への 支 援 の 必 要 性 として 理 解 できる。エ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進また、 上 記 全 てに 関 連 することとして、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 を 促 進 するための、 就 労 支 援 者の 位 置 づけ、 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション、ケース 会 議 等 の 実 施 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 課 題に 対 して 効 果 があった。IPS の 原 則 にある、「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統 合 」については、このような 具 体 的 な 連 携 促 進の 取 組 として 理 解 することができる。(3) 医 療 ・ 生 活 支 援 の 重 要 性今 回 の 調 査 で、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 が、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業的 課 題 に 効 果 があることが 示 された。その 一 方 で、 疾 患 自 己 管 理 支 援 は 必 ずしも 全 ての 精 神 科 医 療 機 関 において 実 施 されていないことも 示 された。また 上 述 のように 医 療 機 関 自 らの 取 組 が 効 果 的 な 就 労 支 援 もあった。これらのことから、 精 神 障 害 者 が 利 用 している 医 療 機 関 が 診 断 治 療 中 心 である 場 合 等 、 効 果 的 な 就 労 支 援を 実 施 するためには、 疾 患 自 己 管 理 支 援 への 取 組 を 含 む、 様 々な 医 療 ・ 生 活 面 の 支 援 機 能 のある 医 療 機 関 との 連 携 も 重 要 となることが 考 えられる。(4) 医 療 機 関 のニーズへの 雇 用 支 援 制 度 等 の 対 応 の 可 能 性精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 のある 様 々な 取 組 について、 医 療 機 関 において「 患 者 にとっては 必 要 だが 実 施 なし」とされている 場 合 が 多 い 取 組 が 多 くあった。また、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 協 力 や 連 携 が効 果 的 な 取 組 について、 医 療 機 関 だけ、あるいは、 就 労 支 援 機 関 だけの 取 組 となっていたり、 連 携 への 取 組に 課 題 があり 十 分 に 機 能 していない 場 合 もあった。一 方 、わが 国 の 労 働 側 の 様 々な 雇 用 支 援 制 度 について、 医 療 機 関 において 精 神 保 健 福 祉 士 等 によりその 存在 は 知 られていても、 実 際 の 活 用 経 験 が 非 常 に 少 ないことも 判 明 した。また、それらの 雇 用 支 援 制 度 について 今 後 活 用 したいとの 意 向 も 強 かった。これらの 雇 用 支 援 制 度 は、これまでの 労 働 分 野 における 医 療 分 野 等 との 連 携 促 進 の 必 要 に 対 応 したものも多 く、 例 えば、「 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」は、まさに 医 療 機 関 における 就 職 セミナー 等 の 非 就労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけのニーズに 対 応 するものであるし、ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」も 地 域 関 係 機 関 のケースワーク 方 式 での 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 支 援 の 取 組 である。 医 療 機 関 側 のニーズに 対 応 できる 雇 用 支 援 制 度 を 明 確 にし、 医 療 機 関 側 の 効 果 的 活 用 や、 効 果 的 連 携 につなげていくことが 重要 であろう。これらの 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活 用 については、 第 5 章 でさらに 議 論 をする。-126- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言生 活 支 援 や 就 労 支 援 と、 医 療 的 な 疾 患 管 理 が 密 接 に 相 互 関 係 をもつことは、 精 神 障 害 の 大 きな 特 徴 である。これまでも、 精 神 科 医 療 と 福 祉 や 就 労 との 連 携 の 重 要 性 については、 実 践 現 場 からも 行 政 からも 強 調 され、様 々な 取 組 が 行 われてきたところである。その 一 方 で、 医 療 機 関 における 医 療 や 生 活 支 援 の 成 功 のために、就 労 支 援 が 重 要 であるという 認 識 も 広 がっている。しかし、これまで、わが 国 においては、 精 神 障 害 のある 人 への 統 合 された 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 効 果 的に 実 施 するための 地 域 ネットワークの 体 制 は 未 整 備 であり、 各 地 の 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 関 係 者 による 好 事 例 はインフォーマルな 取 組 による 場 合 が 多 い。そのような 精 神 障 害 者 の 特 徴 、 及 び、 地 域 における 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 連 携 のための 課 題 を 踏 まえ、 医療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 地 域 ネットワークに 向 けた 単 なる「 連 携 」の 掛 け 声 を 超 えて、 具 体 的 に 実 施 可 能 な 医療 機 関 と 雇 用 支 援 制 度 を 連 動 させた 共 同 事 業 の 可 能 性 、 及 び、その 実 施 のための 医 療 機 関 側 の 拠 点 整 備 の 必要 性 について、 研 究 委 員 会 の 議 論 と 提 言 をまとめた。第 1 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の「 連 携 」の 現 状 と 課 題精 神 障 害 者 の 支 援 のために、 従 来 から、 地 域 において 医 療 、 福 祉 、 就 労 支 援 等 の 連 携 の 重 要 性 が 唱 えられてきたにもかかわらず、「 疾 病 」と「 障 害 」が 共 存 している 精 神 障 害 への 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体的 に 応 える 効 果 的 な 支 援 の 実 現 は、 現 状 では 一 部 の 機 関 での 制 度 上 の 限 界 を 超 えたインフォーマルな 支 援 による 場 合 が 多 い。1 精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 という 本 人 ニーズへの 対 応第 2 章 の 海 外 文 献 レビューで 一 貫 して 示 されている、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 有 効 性 については、わが 国 においても、 精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 を 達 成 するための 両 分 野 の 一 体 的 支援 の 必 要 性 として、その 意 義 は 明 らかである。わが 国 においても、 既 に、 労 働 分 野 、 医 療 分 野 の 双 方 において、そのような 問 題 意 識 による 多 くの 取 組 がある。(1) 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 支 援 の 必 要 性職 業 生 活 は 精 神 障 害 に 対 して、 職 場 での 様 々なストレスや 生 活 変 化 によるストレス 等 による 疾 患 悪 化 へのリスク 要 因 となる 一 方 で、 職 業 生 活 の 成 功 は 自 信 や 生 活 の 質 の 向 上 の 効 果 、さらには 症 状 の 改 善 にもつながるためチャレンジの 意 義 は 大 きい。リスク 管 理 と 就 労 へのチャレンジの 優 先 順 位 の 矛 盾 を 避 けるためには、疾 患 管 理 や 職 業 生 活 に 関 わる 様 々な 支 援 者 が、 本 人 ニーズを 中 心 として 同 じ 方 向 を 向 いて 取 り 組 む 必 要 がある。現 状 では、 主 治 医 の 意 見 書 等 により、 症 状 の 安 定 性 や 就 労 の 可 能 性 について 確 認 が 行 われるが、チャレンジを 優 先 するか、リスク 回 避 を 優 先 するかによって、 実 際 には 大 きな 判 断 の 幅 がある。また、 医 療 側 のリスク 管 理 の 想 定 と、 雇 用 主 側 の 想 定 に 共 通 認 識 がないと、 職 場 での 問 題 状 況 の 予 測 に 大 きなかい 離 が 生 じうる。-127- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言雇 用 しても 職 場 定 着 や 就 業 継 続 ができず、 休 職 や 退 職 に 至 ることによる 企 業 側 のリスクは 大 きい。 精 神 障 害のある 人 と 雇 用 企 業 の 両 面 の 支 援 を 視 野 に 入 れる 職 業 リハビリテーション 関 係 者 は、 雇 用 した 人 の 職 場 での体 調 悪 化 や、 職 業 場 面 での 問 題 発 生 、あるいは 職 場 の 過 大 な 負 担 等 を 避 けるための 様 々な 確 認 を 必 要 とする。主 治 医 の 意 見 書 等 がチャレンジを 優 先 した 場 合 、 企 業 側 のリスク 管 理 が 困 難 となり、 長 期 的 に 見 れば 企 業側 が 精 神 障 害 を 雇 用 するリスクの 見 積 もりを 高 くすることにつながる。 一 方 、リスク 回 避 を 優 先 した 場 合 、多 くの 精 神 障 害 者 の 就 労 は 困 難 となる。いずれの 場 合 も、 精 神 障 害 者 の 雇 用 促 進 にマイナスの 影 響 を 及 ぼす。疾 患 管 理 と 就 労 支 援 を 二 律 背 反 でなく、 両 立 を 可 能 にするためには、 医 療 と 就 労 支 援 における、 職 業 評 価 や支 援 計 画 についてのより 密 接 なすり 合 わせやケースワーク 的 な 対 応 が 不 可 欠 である。(2) 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 統 合 的 実 施 への 取 組 の 実 際精 神 障 害 のある 人 のために 就 労 支 援 が 重 要 であることは 医 療 機 関 において 広 く 認 められており、 就 労 支 援機 関 との 連 携 も 少 なくない。 現 在 、 医 療 機 関 で 実 施 されている 就 労 支 援 の 多 くは、 精 神 障 害 のある 人 の 支 援ニーズに 対 応 するために 制 度 上 の 整 備 を 待 たず 先 駆 的 に 実 施 されている、インフォーマルな 支 援 である。 医療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 多 職 種 の 担 当 者 間 の 共 通 理 解 や、チームとしての 信 頼 関 係 の 醸 成 や 人 材 開 発 は、 専 門教 育 や 制 度 では 十 分 な 取 扱 いのない 状 況 で、このような 実 際 の 支 援 事 例 の 積 み 重 ねの 中 で 行 われていることが 多 い。ア 就 労 支 援 機 関 側 からの 様 々なアプローチ就 労 支 援 機 関 としては、ジョブコーチ 支 援 やトライアル 雇 用 、ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」等 の 就 職 前 から 就 職 後 まで 継 続 的 に 支 える 就 労 支 援 のあり 方 は、 様 々な 障 害 でその 効 果 が 示 されており、 精神 障 害 者 に 対 してもこれらは 重 要 な 支 援 となっている。ただし、 精 神 障 害 の 場 合 は、 職 業 生 活 による 疾 患 への 影 響 の 検 討 や、 就 労 可 能 性 の 見 極 めの 困 難 さ、 就 職後 の 就 業 継 続 が 課 題 になっており、そのような 課 題 を 踏 まえた 様 々なアプローチがある。そのようなものには、「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 のジョブガイダンス 事 業 」による 労 働 機 関 側 からの 精 神 科 医 療 機 関等 との 積 極 的 な 関 係 づくりや 就 労 希 望 者 へのアウトリーチ、「 精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用 」による 段 階的 な 就 労 への 移 行 によって 職 業 能 力 や 支 援 体 制 の 見 極 めができる 体 制 整 備 、また、ハローワークでの 精 神 保健 福 祉 士 等 の 資 格 のある「 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」の 配 置 、 等 がある。イ 医 療 機 関 側 からの 様 々なアプローチ医 療 機 関 自 らが、 就 職 によるリスク 軽 減 、 問 題 予 防 のため、 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 事 例 もあり、 本 人と 仕 事 や 職 場 のマッチングの 精 度 の 向 上 、 職 業 生 活 における 自 己 管 理 能 力 の 向 上 等 の 支 援 の 実 施 例 がある。就 労 セミナー、ソーシャルワークによる 就 労 相 談 、 疾 患 管 理 、 家 族 ・ 地 域 連 携 の 支 援 、 就 業 の 意 思 確 認 等 の、医 療 や 生 活 支 援 としての 意 義 だけでなく、 就 労 支 援 としても 重 要 な 意 義 のあることは、 医 療 機 関 において 実施 率 は 高 い。しかし、 必 ずしも 体 系 的 に 実 施 されているわけではなく、プログラムにもなっていないことが多 い。医 療 専 門 家 と 就 労 支 援 担 当 者 との 連 携 は、 医 療 機 関 内 に 就 労 支 援 者 がいる 場 合 は 機 関 内 で 連 携 する 形 態 もあるが、 外 部 の 就 労 支 援 者 と 連 携 する 場 合 も 多 い。-128- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言わが 国 の IPS に 取 り 組 んでいる 機 関 においては、 連 携 について、 顔 を 合 わせたり、 情 報 共 有 するだけでなく、ケースごとに 医 療 と 福 祉 にまたがった 複 数 機 関 が1つの 援 助 チームを 形 成 することの 重 要 性 が 強 調 されている。このチームには、 主 治 医 ないしはその 代 理 を 果 たすコメディカルが 参 加 する。 例 えば、 職 場 の 人 事異 動 に 伴 い 急 な 職 場 訪 問 の 必 要 性 が 生 じたにもかかわらず、チームの 福 祉 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 が 行 けない場 合 は、 同 じチームの 医 療 機 関 職 員 が 職 場 訪 問 するなど、チーム 内 では 職 種 を 超 えて 対 応 する 場 合 がある。ウ 医 療 機 関 における 復 職 支 援 での 職 場 との 協 力気 分 障 害 等 に 罹 患 して 休 職 した 者 への 復 職 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 の 多 くは、 復 職 後 の 職 場 定 着 を 目指 して 治 療 や 支 援 を 展 開 しているが、その 一 環 として、 職 場 側 とのコミュニケーションも 実 施 されている 場合 がある。精 神 科 医 療 機 関 が 行 っている 医 療 的 管 理 とは、 精 神 科 医 やコメディカルスタッフが 行 う 病 状 の 変 化 の 確 認とその 変 化 に 対 する 適 切 な 対 処 ( 通 院 や 入 院 の 必 要 性 の 判 断 、 薬 物 療 法 の 見 直 し、 環 境 の 評 価 と 環 境 変 化 に対 する 対 応 など)を 行 い、 病 状 の 安 定 化 を 図 ることである。気 分 障 害 においては 場 合 によっては 症 状 の 変 化 が 日 単 位 あるいは 時 間 単 位 で 変 化 することも 決 して 稀 ではなく、 医 療 的 管 理 は 重 要 であり、 精 神 症 状 の 管 理 の 成 否 が 生 活 支 援 や 就 労 支 援 の 成 否 に 大 きな 影 響 がある。そういった 疾 病 の 違 いと 病 状 の 変 化 の 度 合 いによって 医 療 機 関 の 関 与 の 度 合 いも 異 なってくる。2 医 療 機 関 における「 就 労 支 援 」 実 施 の 有 無 の 規 定 要 因近 年 、 医 療 機 関 において 取 り 組 まれている「 就 労 支 援 」は、 精 神 障 害 における 医 療 ・ 生 活 支 援 ・ 就 労 の 一体 的 支 援 ニーズを 背 景 として、 目 的 も 資 金 源 も 医 療 や 生 活 支 援 として 実 施 されており、その 範 囲 は 広 い。その 一 方 で、 医 療 や 生 活 支 援 の 一 環 としてどこまで 就 労 支 援 に 取 り 組 むかについては、 精 神 科 医 療 の 共 通 認 識としては 必 ずしも 確 立 されておらず、また、 医 療 分 野 と 労 働 分 野 等 の 役 割 分 担 も 明 確 でなく、 各 医 療 機 関 の問 題 認 識 や 戦 略 等 、 及 び、 地 域 の 就 労 支 援 の 状 況 によって 大 きく 異 なる。(1)コメディカルチーム 体 制 の 有 無精 神 科 医 療 機 関 は、そもそもの 経 営 方 針 として、 診 断 治 療 に 特 化 した 医 療 機 関 や 専 門 医 と、 継 続 的 な 疾 患管 理 や 再 発 予 防 支 援 を 目 的 としたコメディカルスタッフによるチーム 医 療 体 制 をとる 医 療 機 関 に 分 かれる。前 者 としては、 地 域 の 精 神 科 の 医 療 機 関 には、 診 断 治 療 に 特 化 し 医 師 1 名 で、 他 のスタッフが 少 ない 場 合 も多 い。また、てんかん 専 門 医 が 週 1 回 の 外 来 で 患 者 を 診 ているという 状 況 もある。そのような 多 くの 医 療 機関 においては、マンパワー 上 、 外 来 診 療 以 外 の 生 活 支 援 や 就 労 支 援 は、 実 施 困 難 である。(2) 医 療 、 生 活 、 就 労 支 援 の 一 体 的 支 援 ニーズについての 認 識 の 有 無精 神 障 害 者 に 対 する、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 の 一 体 的 な 支 援 ニーズを 認 識 している 医 療 機 関 においては、治 療 ニーズが 高 い 精 神 障 害 者 に 対 応 するため 就 労 支 援 を 実 施 している 場 合 がある。ア 入 院 中 、 治 療 の 早 期 からの 就 労 支 援入 院 中 、 治 療 中 で 病 状 が 安 定 していない 人 に 対 しても、 早 期 に 就 労 意 欲 を 確 認 し、 就 労 に 関 する 情 報 提 供や 治 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 相 談 を 実 施 することは 意 義 が 高 いが、これは、 医 療 的 な 専 門 性 の 高 い 支 援 であ-129- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言り、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 だけで 実 施 することは 困 難 である。そこで、 入 院 中 から 働 く 意 欲 のある 人 に 地 域 連 携 支 援 室 の 担 当 者 から 面 談 をしに 行 くという 取 組 例 がある。また、 初 回 エピソード 時 点 で 早 期 に 就 労 支 援 を 含 む 介 入 を 行 うことが、 治 療 成 果 にもつながるというエビデンスに 基 づき、 治 療 早 期 からの 就 労 支 援 に 取 り 組 む 例 がある。イ 地 域 就 労 支 援 の 利 用 が 困 難 な 場 合 の 就 労 支 援 ニーズへの 対 応地 域 の 就 労 支 援 機 関 の 利 用 が 困 難 な 場 合 の 就 労 支 援 ニーズに 医 療 機 関 において 対 応 するため、 以 下 のような 取 組 例 がある。• 週 1・2 日 でも 社 会 と 結 びついて 働 きたいという 就 労 意 欲 に 対 して、アルバイト 等 の 職 探 し 支 援 を 実 施• 精 神 疾 患 を 職 場 に 開 示 しない 場 合 に、 無 理 のない 仕 事 内 容 や 就 労 条 件 のチェック、 職 場 での 対 処 スキルの 習 得 、 継 続 的 な 相 談 支 援 の 実 施• 利 用 者 が 自 身 を「 障 害 者 」と 考 えたくないため、「 障 害 者 」を 名 称 に 含 む 支 援 機 関 を 利 用 したくない 場合 の 就 労 支 援• 復 職 希 望 者 に 対 し、 障 害 者 職 業 センターのリワークプログラムの 期 間 と 本 人 の 復 帰 希 望 時 期 に 合 わない場 合 、 医 療 機 関 において 個 別 支 援 計 画 を 立 て、 定 期 的 な 診 療 や 相 談 により 復 職 支 援 を 実 施ウ 就 労 支 援 の 成 果 に 関 連 する 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 等労 働 機 関 に 就 労 支 援 の 主 体 が 移 行 した 後 や、 就 職 後 においても、 疾 患 の 自 己 管 理 、 生 活 面 の 課 題 への 対 処 、家 族 との 関 係 についての 支 援 は、 就 労 支 援 の 成 功 に 不 可 欠 であるため、 特 にデイケア 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 を実 施 できる 医 療 機 関 では 実 施 されている 場 合 がある。(3) 診 療 報 酬 の 対 象 となる 就 労 支 援医 療 機 関 における 就 労 支 援 は、 医 療 や 生 活 支 援 の 一 環 として 実 施 されている。 多 職 種 で 生 活 支 援 を 実 施 するコメディカルスタッフを 雇 用 し、チームとして 動 けるようにする 資 金 源 として 診 療 報 酬 を 活 用 できる 支 援の 形 態 としては、デイケアやリワークプログラム 等 がある。ア デイケア医 療 機 関 においてコメディカルスタッフを 雇 用 して 医 療 と 生 活 の 一 体 的 支 援 が 診 療 報 酬 の 対 象 となるほとんど 唯 一 のプログラムが「デイケア」であるため、 就 労 支 援 はデイケアとして 実 施 されていることが 多 いが、実 際 に 就 労 支 援 として 実 施 される 内 容 は 多 様 である。「 就 労 支 援 」が 医 療 ・ 生 活 支 援 として 位 置 づけられるかどうかは、その 支 援 によって、 精 神 障 害 者 の 治 療や 生 活 の 質 の 成 果 が 確 認 できることが 重 要 である。就 職 や 職 場 定 着 ・ 就 業 継 続 自 体 を 目 的 とした 就 労 支 援 を 医 療 機 関 で 実 施 することについては、わが 国 では、精 神 障 害 の 治 療 や 再 発 予 防 の 成 果 に 対 する、 継 続 的 な 生 活 ・ 就 労 支 援 の 重 要 性 が 十 分 に 認 識 されていないことや、 就 職 や 就 労 支 援 機 関 への 移 行 で 成 果 が 確 認 しにくいことにより、 医 療 として 評 価 されにくいことがある。職 業 準 備 性 の 向 上 を 目 的 とした 治 療 やデイケアは、 就 労 支 援 機 関 への 移 行 等 により、 成 果 が 確 認 しやすい一 方 で、この 成 果 が 実 際 の 就 職 や 職 場 定 着 や 就 業 継 続 の 成 果 と 必 ずしも 関 係 しないことが 問 題 である。-130- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言イ リワークプログラム気 分 障 害 等 の 復 職 支 援 は、 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 の 延 長 線 上 にあり、それが 治 療 や 生 活 の 質 の 成 果 に 結 びつくことが 確 認 しやすい。リワークプログラムは、 医 療 であるという 位 置 づけの 下 で、 診 療 報 酬 を 資 金 源 としてデイケアとして 運 営 されていることが 多 い。(4) 診 療 報 酬 の 対 象 外 の 就 労 支 援 ニーズへの 対 応 可 能 性求 人 情 報 の 収 集 や 職 探 し、 職 場 での 継 続 的 支 援 等 、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 あるいは 企 業 に 出 向 いての 支 援 には、 個 別 給 付 である 診 療 報 酬 は 資 金 源 として 使 えない。 医 療 機 関 においては、 総 合 的 な 支 援 のためにそのような 就 労 支 援 を 実 施 する 必 要 がある 場 合 には、 診 療 報 酬 外 の 資 金 源 により 自 ら 行 っている 場 合 がある。ただし、これらを 自 機 関 で 実 施 するかどうかは、 地 域 における 外 部 リソースの 活 用 可 能 性 も 関 係 する。ア 診 療 報 酬 外 の 資 金 源 の 活 用医 療 機 関 において、 診 療 報 酬 には 位 置 づけられない 就 労 支 援 を 行 う 際 の 資 金 源 は 以 下 のような 例 がある。• リワーク 支 援 において、 復 職 後 の 再 発 防 止 のために 行 う 事 業 と 位 置 付 け、 職 場 や 産 業 医 等 との 連 携 や 就労 支 援 機 関 との 連 携 を、 医 療 機 関 の 事 業 費 として 実 施• 診 療 報 酬 外 の 活 動 を 含 めた 総 合 的 就 労 支 援 による 成 果 により、 就 労 支 援 ニーズのある 人 の 病 院 の 利 用 が増 える 効 果 があると 位 置 づけ、 医 療 機 関 の 事 業 費 として 実 施• 国 等 の 研 究 費 を 活 用 し、 研 究 事 業 の 一 環 として 実 施• 「ボランティア」により 実 施イ 就 労 支 援 機 関 との 連 携 等 の 外 部 リソースの 活 用求 人 情 報 の 収 集 や 職 探 し、 職 場 での 継 続 的 支 援 等 、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 あるいは 企 業 に 出 向 いての 支 援 等外 部 に 出 向 いて 行 う 支 援 については、 外 部 の 就 労 支 援 機 関 と 連 携 し、 役 割 分 担 して 支 援 を 実 施 できている 場合 も 多 い。例 えば、 主 治 医 やコメディカルが 企 業 に 出 向 いて 事 業 主 支 援 を 直 接 行 うことは 診 療 報 酬 上 想 定 されていない。 医 療 スタッフが 職 場 との 情 報 交 換 が 必 要 であると 感 じても 診 療 報 酬 外 になり、 人 的 余 裕 もない。 企 業 側についても、 医 療 機 関 のスタッフを 社 内 に 迎 え 入 れるという 土 壌 や 経 験 も 少 ない。そのため、 医 療 機 関 が 自ら 事 業 主 支 援 を 行 うのではなく、 産 業 医 や、 障 害 者 職 業 センターと 連 携 して 対 応 している 場 合 がある。-131- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 2 節 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワークの 拠 点 整 備 の意 義 と 課 題従 来 の、 障 害 者 雇 用 支 援 の 地 域 連 携 体 制 においては、 就 労 支 援 機 関 は 福 祉 機 関 や 教 育 機 関 からの 移 行 や 連携 が 主 に 想 定 されてきた。 現 在 、わが 国 の 地 域 においては、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援 と、 雇 用 支 援 制 度 や 労 働機 関 側 の 就 労 支 援 の 間 の 担 当 者 同 士 の 交 流 は 限 られている。しかし、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 ニーズに 的 確 に対 応 するためには、 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 がより 密 接 に 連 携 することにより、 両 者 の 専 門 性 の 相 乗 効 果 を生 むことが 不 可 欠 である。このような 精 神 障 害 者 の 地 域 連 携 へのニーズは、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害 ではなく 疾 病 性 をもっていることによるものであり、そのような 特 徴 が、 地 域 連 携 や 医 療 等 の 制 度 において 十 分 に 反 映 されていないため、現 在 、 十 分 な 成 果 をもたらす 地 域 ネットワークが 確 立 できていない。その 意 味 で、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 には、 地 域 連 携 体 制 の 新 たな 課 題 が 存 在 する。研 究 委 員 会 では、そのような 現 状 の 地 域 連 携 の 課 題 と、 今 回 の 調 査 で 明 らかとなった、 地 域 における 精 神科 医 療 機 関 の 状 況 や、 実 際 にインフォーマルで 実 施 されている 様 々な 地 域 連 携 の 好 事 例 を 踏 まえ、 精 神 障 害者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 を 地 域 で 支 えるネットワークの 中 心 となる 医 療 機 関 と 支 援 者 の 意 義 と、それを 機 能 させるための 具 体 的 な 課 題 について 議 論 した。1 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 に 関 する 現 在 の 地 域 連 携 体 制 の 課 題現 在 、 福 祉 や 教 育 から 就 労 への 移 行 支 援 のための 地 域 体 制 の 整 備 は、 就 労 移 行 支 援 事 業 、 障 害 者 就 業 ・ 生活 支 援 センター 事 業 等 、 様 々に 進 んでいる。また、 精 神 保 健 分 野 では 医 療 から 地 域 生 活 支 援 等 の 福 祉 への 移行 も 進 められている。しかし、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 職 場 定 着 までを 支 えるためには、 医 療 と 就 労 支 援 の相 乗 効 果 を 生 む、より 直 接 的 な 連 携 場 面 が 必 要 である。(1) 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 との 連 携 の 課 題現 在 の 地 域 における 障 害 者 の 就 労 支 援 は、 労 働 機 関 だけで 行 うものではなく、 福 祉 や 教 育 分 野 との 連 携 により、 就 職 前 から 就 職 後 まで 継 続 的 に 地 域 全 体 で 支 えていくものとなっている。これまでの 地 域 連 携 の 体 制 づくりは、 就 労 移 行 支 援 事 業 、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター 事 業 等 、これら福 祉 や 教 育 機 関 との 連 携 が 基 盤 となっている。これは、これまで 支 援 対 象 として 多 かった 身 体 障 害 や 知 的 障害 等 の 障 害 特 性 や 支 援 ニーズを 反 映 したものである。一 方 、 精 神 障 害 の 場 合 、 生 活 支 援 や 就 労 支 援 において、 医 療 的 な 疾 患 管 理 が 重 要 な 役 割 をもつことが 大 きな 特 徴 である。しかし、 現 在 の 地 域 の 就 労 支 援 体 制 において、 医 療 機 関 の 役 割 は 十 分 に 位 置 付 けられていない。わが 国 においては、 精 神 障 害 者 の 支 援 については、 医 療 機 関 が 治 療 してある 程 度 症 状 が 安 定 してきた 段 階で、 就 労 継 続 支 援 B 型 等 に 移 行 するという 流 れがある。しかし、こういった 福 祉 施 設 に 支 援 の 中 心 が 移 行 した 後 は、 福 祉 施 設 と 医 療 機 関 の 関 わりは 薄 い。また、 医 療 機 関 から、 直 接 障 害 者 職 業 センターやハローワークを 紹 介 する 例 もあるが、その 後 の 医 療 機 関 の 就 労 支 援 への 関 わりは 後 方 からサポートする 等 に 限 られる 場-132- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言合 が 多 い。(2) 医 療 機 関 と 生 活 支 援 機 関 との 連 携 の 課 題わが 国 の 多 くの 医 療 機 関 にとっては、 医 療 と 就 労 支 援 の 連 携 はおろか、 医 療 と 生 活 支 援 の 連 携 についても、退 院 支 援 、 地 域 生 活 支 援 等 の 枠 組 みで 促 進 が 図 られるようになってきた 段 階 である。また、 地 域 の 障 害 者 自立 支 援 協 議 会 等 への 医 療 機 関 の 参 加 は 少 なく、 地 域 によっては 医 療 機 関 から 生 活 支 援 機 関 や 就 労 支 援 機 関 に働 きかけていくことすら 困 難 な 状 況 である。(3) 医 療 機 関 と 企 業 との 連 携 の 課 題気 分 障 害 等 ストレス 脆 弱 性 がより 強 く、 職 場 での 疾 患 悪 化 のリスクが 高 い 疾 患 では、 就 職 ・ 復 職 後 の 継 続的 支 援 体 制 の 構 築 ができない 場 合 、 症 状 悪 化 による 再 休 職 のリスクが 高 い。しかし、 主 治 医 やコメディカルが 企 業 に 出 向 いて 事 業 主 支 援 を 直 接 行 うことは 診 療 報 酬 上 想 定 されていない。そのような 支 援 ニーズに 産 業医 や 障 害 者 職 業 センターと 連 携 して 対 応 している 機 関 もあるが、 医 療 機 関 だけで 就 労 支 援 ニーズに 対 応 することの 難 しさの 理 由 の 一 つである。2 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 地 域 ネットワークと 人 材 の 必 要 性精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 のための 支 援 ニーズに 対 して、 従 来 の 地 域 ネットワークでは、 労働 機 関 側 と 医 療 機 関 側 の 交 流 や 接 点 が 少 なく、それぞれ 十 分 な 効 果 があげられていない。 労 働 機 関 側 からは、地 域 の 多 くの 精 神 科 医 療 機 関 の 中 でも 特 に 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 実 施 のために 中 心 的 な 役 割 をもつ 医 療機 関 と 医 療 機 関 内 の 就 労 支 援 担 当 者 を 明 確 化 し、 地 域 の 就 労 支 援 ネットワークの 中 に 位 置 づけることが 必 要である。(1) 就 労 支 援 を 積 極 的 に 実 施 する 医 療 機 関 の 位 置 付 け地 域 では、 精 神 疾 患 の 診 断 治 療 に 特 化 した 医 療 機 関 や 専 門 医 が 多 い。そのような 状 況 で、 就 労 支 援 機 関 が地 域 の 医 療 機 関 全 てと 連 携 したり、 医 療 機 関 全 てで 重 度 の 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 に 取 り 組 める 体 制 を 整 備 することは 現 実 的 でない。そこで、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 を 中 心 としたネットワーク整 備 の 方 が 効 果 的 で 現 実 的 であると 考 えられる。ア デイケア 等 を 実 施 している 医 療 機 関 の 中 のモデル 的 機 関精 神 科 デイケア 施 設 や 訪 問 看 護 を 実 施 しているクリニックでは 労 働 機 関 との 協 働 は 十 分 に 可 能 性 がある。また、 入 院 から 外 来 そして 地 域 という 一 連 の 流 れを 作 っている 病 院 では、 地 域 連 携 室 、 精 神 科 デイケアや 作業 療 法 室 などのリハビリ 施 設 などを 備 えており、 適 切 なスタッフ 配 置 があれば 労 働 機 関 との 協 働 に 大 きな 力が 期 待 できる。これらの 取 組 を 実 施 している 全 ての 機 関 で 就 労 支 援 が 一 体 的 に 実 施 されているわけではないで、 地 域 には一 定 数 の、デイケア 等 やリワークプログラム 等 を 実 施 するなど 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 支 援 のためにコメディカルスタッフを 配 置 している 医 療 機 関 が 存 在 する。そこで、このように 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 一 体 的 に 実 施 している 医 療 機 関 から 他 の 機 関 へ、 就 労 支 援 についての 情 報 提 供 等 を 行 うなど、 地 域 のネットワーク 形 成 の 拠 点 となることが 期 待 される。また、 就 労 支 援-133- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言機 関 から、 地 域 の 医 療 機 関 と 連 携 をとる 場 合 も、 様 々な 医 療 機 関 に 対 するのではなく、 拠 点 となる 医 療 機 関と 連 携 することが 効 果 的 であると 考 えられる。イ 診 療 中 心 の 医 療 機 関 を 利 用 している 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 ニーズへの 対 応多 くの 医 療 機 関 は 診 療 を 中 心 としており、コメディカルスタッフも 少 なく、 就 労 支 援 のニーズは 認 識 しても、 実 際 の 支 援 につなげられないことが 多 い。 外 来 診 療 の 診 療 時 間 内 で 就 労 支 援 や 生 活 支 援 への 相 談 を 実 施している 場 合 もあるかもしれないが、それだけでは、 特 に 重 度 の 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 対 応 することは 困 難 である。そのような 医 療 機 関 において、 患 者 の 就 労 支 援 ニーズに 対 応 するためには、デイケア 等 で 本 人 支 援 や 生 活 支 援 ができ、さらに 就 労 支 援 にもつながる 医 療 機 関 との 連 携 が 必 要 である。また、てんかんについては、 精 神 科 以 外 の 専 門 医 が 診 療 を 行 っていることが 多 い 一 方 で、デイケアではてんかん 患 者 の 支 援 に 困 難 を 感 じている 場 合 も 少 なくない。てんかん 発 作 に 関 する 治 療 を 専 門 医 が 分 担 し、デイケアの 医 学 的 管 理 のもと 生 活 ・ 就 労 支 援 を 行 うという 連 携 が 必 要 である。(2) 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 の 明 確 化医 療 機 関 が 自 ら 就 労 支 援 を 行 う 場 合 についても、 自 ら 行 わないが 就 労 支 援 機 関 と 連 携 する 場 合 についても、本 人 、 医 療 専 門 職 、 就 労 支 援 者 の 調 整 を 行 う 医 療 機 関 側 の 担 当 者 が 必 要 である。医 療 機 関 において、 患 者 の 就 労 支 援 ニーズに 対 応 する 担 当 者 が 明 確 であることは、 医 師 や 患 者 にとっても、外 部 の 福 祉 機 関 や 企 業 にとっても 有 効 な 仕 組 みとなり、 精 神 障 害 のある 人 の 職 業 上 の 様 々な 課 題 の 解 決 につながりやすくなる。このような 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 は、 精 神 保 健 福 祉 士 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 でもよいだろう。3 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワーク 構 築 の 課 題精 神 障 害 のある 人 に 必 要 な 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体 的 に 対 応 できる 地 域 体 制 は、その 機 能 や 各機 関 の 役 割 を 明 確 にし、 各 地 域 の 状 況 も 踏 まえつつ、 制 度 的 ・ 財 源 的 な 裏 付 けをもって 支 えることが 必 要 である。(1)ネットワークの 機 能 や 各 機 関 の 役 割 の 明 確 化 の 必 要 性ネットワークの 機 能 や 各 機 関 の 役 割 については、「 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 の 連 携 」といった 漠 然 としたものではなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 や 医 療 機 関 等 の 状 況 も 踏 まえながら、 専 門 性 を 反 映 した 役 割 分 野 や 支 援 内容 を 明 確 化 していくことが 求 められる。ア インフォーマル 支 援 の 制 度 化 の 検 討現 在 のわが 国 の 地 域 の 就 労 支 援 制 度 についても、 制 度 が 未 整 備 であった 時 期 から、 関 係 者 がインフォーマルに 実 施 してきた 取 組 が 制 度 化 されてきたものが 多 い。 精 神 障 害 者 に 必 要 な 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的支 援 については、インフォーマルなものが 多 いが、それらをより 効 果 的 に 実 施 し、 全 国 に 普 及 するためには、それらを 制 度 に 位 置 付 けていくための 検 討 が 必 要 である。インフォーマルな 取 組 は、 精 神 障 害 のある 人 に 必 要 な 支 援 を 地 域 で 実 現 するという 関 係 者 の 共 通 目 標 の 確認 の 下 、 職 種 や 専 門 性 の 枠 を 超 えて 柔 軟 に 実 施 されていることが 多 い。しかし、 職 種 や 専 門 性 の 枠 を 超 えた-134- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言支 援 の 中 には、 本 質 的 に 専 門 性 を 超 えたチームワークが 必 要 な 支 援 だけでなく、 地 域 の 制 度 上 の 整 備 不 足 や、各 機 関 の 人 員 不 足 等 により、 一 人 への 負 担 が 集 中 していることによるものもある。医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 の 連 携 のあり 方 の 検 討 のためには、それぞれの 分 野 での 支 援 の 目 的 、 支 援 者 の 専門 性 、 資 金 源 の 活 用 可 能 性 等 についての 確 認 の 上 で、 共 通 目 標 のすり 合 わせ 等 による 相 乗 効 果 を 発 揮 できる可 能 性 について 検 討 する 必 要 がある。イ 地 域 リソースや 条 件 に 応 じた 柔 軟 な 体 制 構 築現 状 における、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 の 体 制 は、 各 地 域 で 利 用 できる 就 労 支 援 機 関 等 の 社 会 リソースの 違 いや、 各 医 療 機 関 の 経 営 ポリシー 等 、また、 都 市 か 地 方 かによっても 大 きく 異 なる。今 後 の 制 度 構 築 においても、 各 地 域 の 条 件 に 柔 軟 に 対 応 できる 様 々な 選 択 肢 に 対 応 できるものであることが 求 められる。(2) 財 源 的 配 慮医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 は、 医 療 や 生 活 支 援 との 兼 務 でもよいが、 就 労 支 援 の 取 組 や 医 療 機 関 内と 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 連 携 に 取 り 組 むことができるだけの、 人 員 配 置 と 経 済 的 基 盤 が 必 要 である。医 療 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 が、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 の 連 携 会 議 等 に 出 席 すること、 地 域 関 係 機 関 とのケース 会 議 や 連 絡 調 整 の 業 務 を 行 うこと、 就 労 支 援 についてのセミナーや 学 会 、 書 籍 等 による 研 修 についての 費用 は、 医 療 機 関 として 診 療 報 酬 を 財 源 とすることができない。これらを 業 務 と 位 置 付 けるかどうかは 各 機 関の 方 針 により、 必 ずしも 医 療 機 関 の 業 務 として 認 められず 経 費 が 認 められないこともある。医 療 機 関 において 就 労 支 援 を 促 進 するためには、 医 療 機 関 における 就 労 支 援 、 特 に 診 療 報 酬 外 の 支 援 や 連携 を 行 う 際 の 何 らかの 財 政 的 配 慮 が 必 要 ではないか。-135- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 3 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 雇 用 支 援 制 度 の 統 合 的 な 活 用 の 可 能 性今 回 の 調 査 結 果 では、 医 療 機 関 等 において、 様 々な 就 労 支 援 の 取 組 の 必 要 性 については 広 く 認 識 されていることが 明 らかになった 一 方 で、 実 際 の 実 施 については「 患 者 にとって 必 要 だができない」とする 機 関 が 多かった。 実 際 の 就 労 支 援 の 様 々な 取 組 については、 医 療 ・ 生 活 支 援 の 意 義 があるとしても、 支 援 の 専 門 性 や利 用 できる 社 会 資 源 の 点 から、 必 ずしも 医 療 機 関 で 実 施 すべきとは 考 えられないものも 多 く、 実 際 の 調 査 結果 でも、 個 々の 取 組 によっては、 自 機 関 を 主 とした 取 組 が 少 なく、 外 部 機 関 との 協 力 や 外 部 機 関 が 主 になった 取 組 が 多 いものもあった。また、 今 回 の 調 査 結 果 によると、 医 療 機 関 において、 精 神 障 害 者 が 活 用 できる雇 用 支 援 制 度 の 認 知 や 活 用 意 向 は 多 い 一 方 で、 実 際 の 活 用 経 験 が 少 なかった。これらの 結 果 を 踏 まえ、 特 に 医 療 機 関 等 が 自 機 関 では 実 施 しにくい 就 労 支 援 の 取 組 、あるいは、 積 極 的 に就 労 支 援 の 専 門 支 援 者 との 協 力 で 実 施 することが 効 果 的 な 取 組 について、 具 体 的 な 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活用 のあり 方 を 明 確 化 し、 積 極 的 に 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 を 促 進 することが 重 要 である。なお、これらの 雇 用 支 援 制 度 については「 巻 末 資 料 3」で 紹 介 している。1 就 労 支 援 機 関 と 医 療 機 関 の 効 果 的 な 役 割 分 担今 回 の 調 査 で 明 らかになった、 医 療 機 関 による 就 職 支 援 への 取 組 状 況 ( 比 較 的 自 機 関 での 実 施 の 多 い 取 組 、外 部 機 関 との 協 力 が 多 い 取 組 、 外 部 機 関 が 主 となることが 多 い 取 組 )を 踏 まえると、 就 職 支 援 のためにも、医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 効 果 的 に 役 割 分 担 で 取 り 組 める 可 能 性 がある( 表 5-3-1)。このような 機 能 的 役 割 分 担 は、それぞれの 専 門 職 の 専 門 性 、それぞれの 機 関 の 有 する 社 会 資 源 や 権 限 等 の違 いと 関 連 している。就 職 前 の 職 業 準備 支 援就 職 活 動 支 援職 場 適 応 支 援就 業 継 続 支 援表 5-3-1. 医 療 機 関 における 就 労 支 援 と、 労 働 機 関 による 就 労 支 援 の 役 割 分 担 の 例医 療 機 関 における 就 労 支 援労 働 機 関 における 就 労 支 援本 人 の 目 標 に 応 じた「リカバリー」 支 援医 療 と 生 活 の 一 体 的 相 談 ・ 支 援疾 患 や 機 能 障 害 による 職 業 問 題 の 切 り 分 け労 働 安 全 衛 生 についての 医 学 的 検 討仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 確 認心 理 的 サポート疾 患 自 己 管 理 の 支 援生 活 状 況 の 移 行 支 援職 場 の 相 談 対 応定 期 的 通 院 での 相 談 ・ 支 援地 域 での 危 機 対 応 体 制職 業 相 談職 場 実 習 、 職 場 体 験職 業 準 備 支 援 ( 自 立 支 援 カリキュラム)職 業 訓 練 等 の 選 択 肢 の 提 供企 業 への 精 神 障 害 者 雇 用 への 啓 発求 人 情 報 の 提 供個 別 の 職 場 開 拓履 歴 書 作 成 や 企 業 面 接 の 練 習トライアル 雇 用 等事 業 主 支 援助 成 金 等 の 制 度 の 活 用ジョブコーチ 支 援就 職 後 のフォローアップ2 ジョブガイダンス 事 業 ( 医 療 機 関 への 労 働 機 関 からのアウトリーチ)の 有 効 活 用医 療 機 関 においては、 就 労 希 望 者 に 対 して、 十 分 な 就 労 支 援 の 情 報 提 供 や 就 労 支 援 のニーズが 高 いが、 就職 セミナー 等 については 自 機 関 での 実 施 が 比 較 的 少 ない。そのようなニーズに 対 応 する 雇 用 支 援 事 業 として-136- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言は、「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」があり、 全 国 のハローワークで 実 施 されている。従 来 、 病 状 や 生 活 状 況 の 安 定 等 の 職 業 準 備 性 の 基 準 に 達 していない 人 たちが 就 労 支 援 の 対 象 とならないことが 多 かったが、 就 職 セミナー 等 は、 基 本 的 に、 精 神 障 害 のある 人 が 就 職 について 考 えるときの 疑 問 点 や 不安 に 答 えるものなので、ジョブガイダンス 事 業 は、 全 ての 就 労 希 望 者 を 対 象 とできる。デイケアや 入 院 施 設 において、 入 院 中 、 治 療 中 で 病 状 が 安 定 していない 状 態 であっても、 基 本 的 な 就 労 支援 についての 情 報 提 供 や、 就 職 希 望 者 に 対 して 求 人 情 報 、 就 職 活 動 の 進 め 方 等 の 情 報 提 供 、また、 精 神 障 害をもちながら 働 いている 人 と 交 流 できる 機 会 づくりも、 医 療 機 関 からのニーズは 高 い。デイケア 等 のプログラムの 利 用 を 希 望 せず、 外 来 診 療 を 受 けている 人 の 中 にも、 就 労 についての 情 報 を 求めている 人 もいる。そのような 幅 広 い 対 象 者 を 想 定 して、 就 職 セミナーの 会 場 、 時 間 、 案 内 の 仕 方 等 を 工 夫する 必 要 がある。また、てんかんについては、 精 神 科 だけでなく、 脳 外 科 や 神 経 内 科 、 小 児 科 においても 診療 が 行 われていることに 留 意 が 必 要 である。3 ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」の 有 効 活 用本 人 に 合 った 職 探 しや 就 職 支 援 を 効 果 的 に 行 うためには、 就 職 後 の 職 場 適 応 や 就 業 継 続 も 目 指 し、 医 療 ・生 活 支 援 だけでなく、 地 域 の 労 働 市 場 の 情 報 、 職 業 紹 介 、 職 場 開 拓 等 、 現 実 の 仕 事 とのマッチングの 取 組 と連 動 することが 不 可 欠 である。また、 精 神 障 害 者 の 医 療 、 生 活 、 就 労 の 問 題 は 相 互 に 関 連 しあっているため、それぞれの 分 野 だけでの 問 題 認 識 や 支 援 方 針 の 決 定 、またその 実 施 には 限 界 がある。 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機関 の 間 で、 就 労 可 能 性 に 与 える 様 々な 要 因 についての 共 通 理 解 を 深 めることによって、 精 神 障 害 者 の 就 労 可能 性 の 判 断 の 不 一 致 を 解 消 することが 重 要 である。 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 錯 綜 した 問 題 状 況 の 切 り 分けを 行 い、 適 切 な 役 割 分 担 で 統 合 的 な 支 援 を 行 うためには、 多 職 種 によるケースワーク 方 式 の 支 援 体 制 が 必要 である。今 後 、 労 働 機 関 と 医 療 機 関 の 担 当 者 による 個 別 のケースワークや 効 果 的 な 役 割 分 担 による 支 援 体 制 を 構 築するために、 全 国 のハローワークが 中 心 となって 実 施 している「チーム 支 援 」を 有 効 活 用 することができる。4 トライアル 雇 用 等 の 試 行 的 な 就 労 場 面 の 有 効 活 用医 療 機 関 においてはデイケア 等 での 生 活 場 面 での 職 業 評 価 から 進 んで、 支 援 も 含 めた 実 際 の 職 場 状 況 、 実際 の 職 業 生 活 における 評 価 場 面 を 作 ることが 困 難 である。それらのニーズに 対 して、 全 国 のハローワーク 等で 利 用 できる、 次 のような 様 々な 移 行 の 段 階 に 対 応 した、 試 行 的 な 就 労 の 制 度 がある。• トライアル 雇 用• ステップアップ 雇 用また、これらの 実 際 の 職 場 での 就 労 機 会 以 前 の 模 擬 的 な 職 業 場 面 でのアセスメントについても、 活 用 できる 雇 用 支 援 制 度 もある。• 障 害 者 職 業 センターの 職 業 準 備 支 援-137- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言• 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援精 神 障 害 者 の 職 場 定 着 のためには、 医 療 機 関 による 実 際 の 職 業 場 面 での 疾 患 管 理 等 が 不 可 欠 である。しかし、トライアル 雇 用 等 の 就 労 支 援 制 度 は、これまで、これらの 医 療 的 なニーズに 対 応 できるものという 理 解は 十 分 でない。就 労 支 援 者 側 が、 医 療 機 関 のニーズに 対 して 積 極 的 にサポートし、 職 場 における 支 援 や 状 況 把 握 と 医 療 機関 へのフィードバック 等 に 取 り 組 むことが 重 要 である。さらに、 医 療 機 関 による 職 場 への 働 きかけ、 職 業 場面 でのアセスメント、アセスメント 結 果 の 医 療 機 関 へのフィードバックも 担 当 できるように、チーム 支 援 等で 多 機 関 によるケースマネジメント 体 制 を 構 築 できるとよい。5 労 働 関 係 機 関 の 専 門 支 援 者 の 有 効 活 用医 療 機 関 から 職 場 や 地 域 での 支 援 を 実 施 することは 困 難 とされる 場 合 が 多 いが、 就 職 前 から 就 職 後 まで 継続 的 に、 職 場 や 関 係 機 関 をつないで 支 援 できる 雇 用 支 援 制 度 による 担 当 者 としては、ジョブコーチ、 精 神 障害 者 雇 用 トータルサポーター、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターの 支 援 者 等 が 活 用 できる。• ジョブコーチ( 職 場 適 応 援 助 者 )• 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター• 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターこのような 労 働 側 の 制 度 による 専 門 支 援 者 は、 上 述 の 様 々な 連 携 の 局 面 において 支 援 を 提 供 できる。-138- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 4 節 提 言統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 ・ 程 度 にかかわらず、 精 神 障 害 のある 人 たちが 地 域 でその人 らしく 生 活 ・ 人 生 を 送 れるようにするためには、 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 に 向 けた 社 会 的 支援 が 不 可 欠 である。しかし、 精 神 障 害 のある 人 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 対 応 できる、 地 域 における支 援 体 制 が 未 整 備 である。その 問 題 解 決 のため、 医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 今 後 共 同 で 実 施 することが 可 能 であり 効 果 が 見 込 まれる 具 体的 な 事 業 内 容 を 明 確 化 しその 確 実 な 実 施 を 促 進 すること、 及 び、その 実 施 のための、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援担 当 者 の 整 備 を 提 言 する。これは、 今 後 の 就 労 支 援 の 成 果 向 上 が 期 待 でき、 医 療 機 関 でも 必 要 性 の 共 通 認 識 やニーズが 高 い 事 項 への支 援 のための、 労 働 行 政 のあり 方 に 絞 ったものであり、 就 労 支 援 機 関 側 から、 医 療 機 関 に 積 極 的 に 働 きかけることにより、 精 神 障 害 のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 ができる 社 会 体 制 の 整 備 を 進 めることを 目 指すものである。1 既 存 の 雇 用 支 援 制 度 を 活 用 した 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 協 働既 に 本 章 第 3 節 で 指 摘 したように、 既 にある 雇 用 支 援 制 度 について、 医 療 機 関 と 共 同 で 実 施 することによって、 相 乗 効 果 が 期 待 できる 局 面 が 多 くある。ただし、 現 状 では、 多 くの 医 療 機 関 ではそれらの 制 度 の 存 在は 知 っており、 利 用 意 向 があっても、 効 果 的 な 活 用 につながっていない。「 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 の 連 携 」といった 漠 然 としたイニシアチブではなく、 以 下 のような 具 体 的 な 連携 の 局 面 と 内 容 において、 労 働 機 関 側 から 医 療 機 関 側 に 積 極 的 に 働 きかけ、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援 ニーズに対 応 できる 既 存 の 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 を 促 進 する 様 々な 共 同 事 業 を、 地 域 において 展 開 することが 必 要 である。(1) 幅 広 い 就 労 希 望 者 への 就 労 支 援 の 提 供「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」と 医 療 機 関 の 医 療 ・ 生 活 支 援 ・ 相 談 を組 み 合 わせた 事 業 によって、 従 来 、 就 労 支 援 の 対 象 となっていなかった 多 くの 精 神 障 害 者 に 対 して、 就 労 支援 の 情 報 提 供 や、 就 職 セミナー・ 見 学 会 、OB 交 流 、 経 済 的 相 談 等 を 総 合 的 に 実 施 する。また、 就 労 希 望 者 に 対 して、ハローワークのチーム 支 援 の 枠 組 み 等 を 活 用 して、 関 係 者 を 集 めた 医 療 ・ 生活 ・ 就 労 支 援 を 一 体 的 に 検 討 するケース 会 議 を 実 施 する。医 療 機 関 だけで 就 労 移 行 支 援 事 業 所 等 への 移 行 を 決 定 するのではなく、このような 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援のケース 会 議 を 踏 まえて 決 定 することで、より 適 切 な 支 援 を 提 供 できる。(2) 就 職 活 動 の 支 援 のためのケースワーク精 神 障 害 者 の 就 職 活 動 における、キャリア 支 援 、 仕 事 内 容 の 検 討 、 職 探 し、 職 場 開 拓 、 職 場 への 説 明 、 自己 アピール、 職 場 状 況 の 確 認 と 整 備 、 事 業 主 との 交 渉 等 は、それぞれが 密 接 に 関 わっており、 特 に、 医 療 機関 と 就 労 支 援 機 関 の 密 接 なケースワークが 必 要 な 局 面 である。医 療 機 関 は 就 職 前 まで、 就 職 活 動 は 労 働 機 関 にという 役 割 分 担 は 機 能 しない。チーム 支 援 等 により、 職 探-139- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言しから 就 職 活 動 まで、 医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 密 接 に 連 携 する 体 制 が 必 要 である。(3) 職 場 定 着 ・ 就 業 継 続 支 援 のための 医 療 リハビリテーションの 支 援精 神 障 害 は、 就 職 後 も 疾 患 悪 化 や 生 活 状 況 悪 化 のリスクが 継 続 し、それが 就 業 継 続 の 大 きなリスクとなる。実 際 の 職 業 生 活 における 継 続 的 な 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 が 実 施 される 必 要 があるが、 現 実 には、 就 職 後 の 支 援への 医 療 機 関 の 関 与 は 十 分 でない。実 際 の 職 業 生 活 場 面 での 職 業 アセスメント 結 果 を 医 療 機 関 側 にフィードバックし、 継 続 的 な 医 療 管 理 ができるように 支 援 することが 必 要 である。精 神 障 害 は 体 調 悪 化 等 のリスクは 継 続 するために、 就 職 後 のフォローアップ 期 間 は 期 限 が 定 められない。職 場 、 定 期 的 通 院 先 の 主 治 医 等 との 連 絡 体 制 を 構 築 し、 問 題 状 況 に 素 早 く 予 防 的 に 対 応 できるようにすることが 必 要 である。2 モデル 的 な 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 の 配 置1のような、 精 神 障 害 のある 人 の、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体 的 に 対 応 する 共 同 事 業 を 効 果 的 に実 施 するためには、 積 極 的 に 就 労 支 援 を 実 施 する 医 療 機 関 が 中 心 となって、 地 域 の 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関のネットワークを 構 築 していくことが 必 要 である。その 中 心 として 機 能 できる 機 関 における 人 材 の 確 保 と 経済 的 基 盤 の 整 備 が 必 要 である。こういったネットワークの 構 築 により、 診 療 中 心 の 医 療 機 関 が、 就 労 支 援 を 実 施 する 医 療 機 関 につながりやすくなり、また、 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 と 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 連 携 も 実 施 しやすくなり、地 域 全 体 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 のネットワークの 活 性 化 につなげることが 必 要 である。また、 現 在 の 地 域 においては、 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 のネットワーク 整 備 が 中 心 であるが、そのネットワークを 相 互 補 完 するネットワークによって、 地 域 全 体 のネットワークの 発 展 も 期 待 する。これは、いわゆる 箱 ものではなく、 機 能 を 持 たせるという 意 味 で、 現 在 、 地 域 において 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労支 援 の 一 体 的 取 組 を 実 施 している 医 療 機 関 であって、 地 域 の 医 療 - 就 労 ネットワークの 中 核 的 な 存 在 になる機 関 を 選 定 して 行 うことが 良 いと 考 える。この 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 は、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援の 一 体 的 コーディネートを 担 当 するため、 調 査 結 果 でも 多 かった 精 神 保 健 福 祉 士 、 保 健 師 、 看 護 師 、 作 業 療法 士 等 の 医 療 従 事 者 が 適 当 であり、 必 要 に 応 じて 就 労 支 援 の 専 門 研 修 等 を 実 施 する 必 要 もあるだろう。 診 療報 酬 では 専 門 職 の 兼 職 は 認 められないため、 基 準 外 の 人 員 として 配 置 し、その 際 の 財 政 的 支 援 は 人 的 基 準 や支 援 の 内 容 によって 定 めることとするのが 良 いだろう。-140- - -


巻 末 資 料資 料 1 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるために 医 療 機関 等 で 実 施 されている 取 組 の 状 況 に 関 する 調 査 票資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 4 類 型 の 具 体 的 内 容資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について資 料 4 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 設 置 要 綱資 料 5 調 査 研 究 委 員 会 議 事- 149 -


精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるために医 療 機 関 等 で 実 施 されている 取 組 の 状 況 に 関 する 調 査についてのお 願 い● 精 神 疾 患 等 のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 を 支 える 支 援 のあり 方 について、 医 療 機 関 等 の 実 態 とご 意 見 についてお 聞 かせ 下 さい。★ 本 調 査 の 目 的 : 精 神 疾 患 等 ( 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん、 等 )のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生活 の 両 立 を 支 える 地 域 支 援 体 制 を 構 築 するためには、 医 療 機 関 における 主 治 医 や 医 療 ・ 生 活 支 援 スタッフのご 協 力 が 不 可 欠 と 考 えております。 本 調 査 は、 全 国 の 精 神 ・ 神 経 科 の 医 療 機 関 等 における、精 神 疾 患 等 のある 人 の 就 職 ・ 復 職 のニーズに 対 する、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 等 の 現 状 や、 今 後 のあり方 についてのお 考 えをお 聞 きするものです。★ 実 施 主 体 : 独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センターが 実 施 します。● 調 査 結 果 は 今 後 の 厚 生 労 働 施 策 の 検 討 の 資 料 となります。本 調 査 の 結 果 は、 今 後 のわが 国 における、 精 神 疾 患 等 のある 人 の 労 働 側 の 対 策 を 中 心 とした 厚 生労 働 施 策 の 検 討 のための 重 要 な 資 料 となるものです。また、 調 査 結 果 は、 個 人 や 個 別 機 関 が 特 定 されない 形 で 報 告 書 として 公 刊 されるとともに、 論 文 や 学 会 において 発 表 することも 検 討 しております。● 回 答 をお 願 いしたい 方貴 機 関 において、 精 神 疾 患 等 のある 人 の、 就 職 や 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 主 に 担 当 している 方 にご 回 答 をお 願 いいたします。※ 就 職 や 復 職 についての 相 談 等 が 特 にない 場 合 には、より 一 般 的 に 生 活 面 の 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 担 当 している 方 にご 回 答 をお 願 いいたします。※もし、 該 当 しない 部 署 に 送 付 された 場 合 は、 大 変 お 手 数 ですが、この 調 査 の 趣 旨 をお 汲 み 取 りの 上 、 貴機 関 内 の 該 当 部 署 への 転 送 のご 配 慮 をお 願 い 申 し 上 げます。( 同 一 法 人 であっても 別 機 関 には 転 送せず、 貴 機 関 内 での 主 な 担 当 者 のご 回 答 をお 願 いいたします。)● 調 査 データの 管 理○ 障 害 者 職 業 総 合 センターは「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」に 基 づき 設 置 され、 障 害 者 の 雇用 に 関 する 情 報 の 収 集 ・ 分 析 ・ 提 供 、 職 業 リハビリテーションに 関 する 調 査 及 び 研 究 等 の 業 務 を 行 う機 関 です。 調 査 データは、「 独 立 行 政 法 人 等 の 保 有 する 個 人 情 報 の 保 護 に 関 する 法 律 」、 当 機 構 の規 定 等 に 基 づき、 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 部 門 において 厳 重 に 管 理 します。●ご 理 解 とご 協 力 をお 願 いいたします。○ 調 査 の 趣 旨 をご 理 解 の 上 、ご 協 力 をよろしくお 願 いいたします。 調 査 へのご 協 力 は 任 意 です。○ご 希 望 の 方 には 調 査 結 果 を 電 子 メールでお 送 りいたします。( 最 終 ページにアドレスをご 記 入 下 さい。)○ 勝 手 なお 願 いで 申 し 訳 ありませんが、ご 回 答 いただいた 調 査 票 は、お 早 めに 同 封 の 封 筒 でご 返 送 下 さい。 平 成 23 年 10 月 15 日 までを 目 安 にご 返 送 をお 願 いいたします。※ 期 限 を 多 少 過 ぎても 大 丈 夫 です。※ 全 てご 回 答 いただけなくても、ご 回 答 いただけた 部 分 だけのご 返 送 で 結 構 です。○ 調 査 についてのご 質 問 などありましたら、お 手 数 ですが、 下 記 までお 問 い 合 わせ 下 さい。独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門〒261-0014 千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3 担 当 : 春 名 (はるな)、 鴇 田 (ときた)独 立 行 政 法 人高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構Japan Organization for Employment of the Elderly and Persons with Disabilities (JEED)独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター電 話 : 043-297-9075( 月 ~ 金 9:00~17:00)FAX: 043-297-9057電 子 メール: ssdiv@jeed.or.jphttp://www.nivr.jeed.or.jp/(センター)ウェブサイト: http://www.jeed.or.jp/( 機 構 )( 平 成 23 年 10 月 1 日 より 組 織 改 変 により、 機 構 名 は「 独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構 」に 変 更 します。)資 料 11 / 8 ページ匿 名 による 機 関 属 性別 集 計 用 整 理 番 号-141-


本 調 査 では、 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるため 取 組 の 具 体 的 内 容 や 必 要 性 は、ご 回 答 者の 部 署 に 多 い 疾 患 ( 統 合 失 調 症 / 気 分 障 害 /てんかん 等 )、 患 者 ニーズ( 新 規 就 職 / 休 職 者 の 復 職等 ) 等 により 異 なることを 想 定 しています。 以 下 の 質 問 では、ありのままの 状 況 をお 答 え 下 さい。Ⅰ. 貴 部 署 における 主 な 対 象 疾 患 、 支 援 ・ 治 療 の 概 要 について問 1. 回 答 者 の 部 署 名 ・ 職 名( 本 調 査 のご 回 答 は、 就 職 や 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 主 に 担 当 している 方 [ 就 職 や 復 職 の 相 談 等 がない 場 合 には、 一 般 的 に 生 活 面 に 関 する 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 担 当 している 方 ] にお 願 いしています。)部 署 ( 診 療 科 ) 名職 名問 2. 回 答 者 の 資 格 等 ( 当 てはまるもの 全 てに○)1 医 師 2 保 健 師 3 看 護 師 4 精 神 保 健 福 祉 士 5 作 業 療 法 士6 臨 床 心 理 士 / 心 理 療 法 士 7 医 療 ソーシャルワーカー 8 社 会 福 祉 士 9 ケースワーカー10 職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ 11 ピア 支 援 員 12 その 他 ( )問 3. 回 答 者 の、 貴 機 関 における、 就 職 や 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 は、 専 任 と 兼 務 のどちらに 近 いですか。就 職 や 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 専 任 / 兼 務 の 状 況最 も 近 いもの 一 つに○就 職 ・ 復 職 支 援 を 主 に 担 当 し、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 には 直 接 関 わらない 1就 職 ・ 復 職 支 援 を 主 に 担 当 しているが、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 務 している 2治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 を 主 に 担 当 しているが、 就 職 ・ 復 職 の 支 援 も 実 施 している 3治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 の 担 当 であり、 就 職 ・ 復 職 の 直 接 支 援 はほとんど 実 施 しない 4問 4. 貴 部 署 においては、 次 の 疾 患 について、どの 程 度 対 応 していますか。( 重 複 する 疾 患 はそれぞれ 回 答 )疾 患 名 日 常 的 に 対 応 時 々 対 応 ほとんど/ 全 く 対 応 なし1 統 合 失 調 症 (F2) 1 2 32 気 分 [ 感 情 ] 障 害 (F3) 1 2 33 不 安 障 害 、 強 迫 性 障 害 等 (F4, F5) 1 2 34 成 人 の 人 格 及 び 行 動 の 障 害 (F6) 1 2 35 心 理 的 発 達 の 障 害 、 多 動 性 障 害 等 (F8, F9) 1 2 36 知 的 障 害 ( 精 神 遅 滞 )(F7) 1 2 37 認 知 症 等 (F00-F05) 1 2 38 脳 損 傷 等 による 精 神 障 害 等 (F06-F07) 1 2 39てんかん(G40) 1 2 3問 5. 貴 部 署 で 支 援 ・ 治 療 している 患 者 の 状 態 は、 次 の 状 況 にどの 程 度 当 てはまりますか。生 活 ・ 就 労 状 況比 較 的多 い一 部 事 例があるほとんど~全 くいない1 入 院 1 2 3 42 無 職 で 在 宅 で 生 活 している 1 2 3 43 休 職 中 1 2 3 44 日 中 は 福 祉 的 就 労 、 作 業 所 、デイケアを 利 用 している 1 2 3 45 短 時 間 の 一 般 の 仕 事 (アルバイト、パート 等 )に 就 いている 1 2 3 46フルタイムの 一 般 の 仕 事 に 就 いている 1 2 3 47 障 害 者 手 帳 を 所 持 し、 障 害 を 開 示 して 働 いている 1 2 3 4不 明2 / 8 ページ-142-


問 6. 貴 部 署 では、 無 職 や 休 職 中 の 患 者 が「 働 きたい」と 言 った 場 合 、どのように 対 応 することが 多 いですか。就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 の 例最 も 近 いもの 一 つに○自 機 関 ・ 法 人 の 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める 1地 域 で 支 援 が 受 けられるように 関 係 機 関 等 に 紹 介 / 連 絡 / 同 行 する 2就 労 について 相 談 できる 地 域 の 関 係 機 関 等 を 案 内 する 3症 状 の 安 定 や 治 療 を 優 先 するように 説 明 する 4その 他 ( ) 5問 6で「1」にご 回 答 の 場 合 、 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム 等 の 名 称 や 簡 単 な 内 容 説 明 をお 書 き 下 さい。(パンフレットや 配 布 資 料 等 がありましたら 一 部 同 封 いただけますと 幸 いです。)⇒ その 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム 等 の 最 近 の 年 間 利 用 者 はおよそ 何 名 ですか。利 用 開 始 時 に: 1 無 職 / 休 職 中 だった 人 : 約 名 、2 仕 事 に 就 いていた 人 : 約 名⇒ そのプログラム 等 を 利 用 するために、 患 者 の 側 に 何 か 条 件 はありますか。利 用 条 件 は 特 にない 1 患 者 側 の 利 用 条 件 がある 場 合 、その 具 体 的 条 件 :利 用 条 件 がある 2⇒ その 利 用 者 のうち、 新 しく 就 職 や 復 職 ができた 人 はおよそ 何 名 ですか。(「 就 職 」「 復 職 」には 正 社 員 だけでなく、アルバイトやパート 等 の 一 般 的 な 賃 金による 雇 用 を 含 みますが、 作 業 所 、デイケア 等 の 福 祉 的 就 労 は 含 みません。)年 間 約名⇒ プログラム 等 を 運 営 する 資 金 源 は 何 ですか。プログラム 等 の 資 金 源 主 な 資 金 源 資 金 の 一 部 非 該 当1デイケア 等 の 診 療 報 酬 1 2 32 診 療 報 酬 外 の 機 関 予 算 1 2 33 職 場 適 応 援 助 者 助 成 金 1 2 34 支 援 対 象 者 が 支 払 うサービス 料 金 1 2 35その 他 ( ) 1 2 3問 7. 貴 部 署 における、 患 者 の 就 職 や 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 全 般 的 な 実 施 状 況 はいかがですか。就 職 ・ 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 内 容日 常 的 に実 施時 々実 施患 者 ニーズはあるが 実 施 なし特 に 患 者ニーズなし内容場所対象1 就 職 経 験 の 少 ない 人 への 就 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 1 2 3 42 病 気 による 退 職 者 への 再 就 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 1 2 3 43 休 職 中 の 人 への 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 1 2 3 44 就 職 中 の 人 の 就 業 継 続 と 病 状 安 定 の 支 援 ・ 治 療 1 2 3 45 外 来 の 診 療 場 面 ( 就 職 や 復 職 の 相 談 、 助 言 、 治 療 等 ) 1 2 3 46 診 療 以 外 の 施 設 内 ( 訓 練 や 評 価 、 精 神 ・ 心 理 療 法 等 ) 1 2 3 47 施 設 外 ( 求 人 や 職 場 の 確 認 、 就 職 ・ 就 労 継 続 支 援 等 ) 1 2 3 48 患 者 ( 相 談 、 評 価 、 治 療 、 訓 練 、 支 援 等 ) 1 2 3 49 企 業 の 担 当 者 ・ 産 業 医 等 ( 情 報 提 供 や 相 談 ・ 支 援 等 ) 1 2 3 410 外 部 の 就 労 支 援 機 関 ( 情 報 提 供 、 連 絡 調 整 や 会 合 等 ) 1 2 3 4問 7の1~10 全 てのご 回 答 が「4」の 場 合 : ⇒ 最 終 ページにお 進 み 下 さい。※ 問 7の1~10で、1つでも「1」「2」「3」のご 回 答 のあった 場 合 : ⇒ 次 ページの 問 8 以 降 にもお 答 え 下 さい。3 / 8 ページ-143-


Ⅱ. 就 職 ・ 復 職 等 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 現 状 、 及 び、 職 業 上 の 課 題 について問 8. 患 者 の 就 職 ・ 復 職 等 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 に 関 して、 以 下 に 示 した 取 り 組 みは 実 施 されていますか。 外 部 機関 (ハローワーク、 産 業 医 、 職 場 担 当 者 等 : 問 13 参 照 )の 協 力 ・ 実 施 状 況 も 含 めてご 回 答 下 さい。○ 貴 部 署 で 日 常 的 に 接 している 患 者 に 関 して、その 就 職 や 復 職 等 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 状 況 について、 貴 部 署を 含 む 貴 機 関 全 体 や、 外 部 機 関 による 実 施 を 含 め、 回 答 者 がお 分 かりになる 範 囲 でご 回 答 下 さい。○ 現 在 特 に 支 援 がない 場 合 や 状 況 が 不 明 な 場 合 については、それが 患 者 にとって 必 要 かどうかを、 貴 機 関 での実 施 意 向 にかかわらず、 労 働 関 係 機 関 等 が 実 施 すべき 内 容 も 含 めて、 回 答 者 のお 考 えをお 答 え 下 さい。本 問 に 挙 げた 支 援 内 容 は、 対 象 疾 患 ( 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 )、 就 職 支 援 や 復 職 支 援 の 重 点の 置 き 方 等 により、 貴 機 関 での 実 施 や 必 要 性 がないことも 想 定 しています。ありのままをお 答 え 下 さい。問 8-1. 無 職 あるいは 休 職 中 の 患 者 に 対 する 情 報 提 供 等 について無 職 / 休 職 者 に 対 する 情 報 提 供 等 の 内 容1 就 職 や 復 職 の 希 望 を 表 明 していない 患 者 に 対 して、 希望 を 表 明 しやすいように 働 きかける2 就 職 ・ 復 職 に 関 する 案 内 、ミーティングや、セミナー 等を 実 施 する3 同 じ 疾 患 があって 働 いている 人 から 学 んだり、 交 流 したりできる 場 を 設 定 する4 就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生 活 の 変 化 、 生 活 保 護 や 障 害 年 金の 条 件 の 変 化 等 の 経 済 的 問 題 について 検 討 する上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 5問 8-2. 仕 事 とのマッチングや 個 別 のニーズに 対 する 支 援 について仕 事 とのマッチングや 個 別 のニーズに 対 する 支 援 の 内 容1 本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する2 体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条件 を 明 確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する3 履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支 援 をする4 就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確 認 して 対 策 を 検 討 する5 精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する6 本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人情 報 や 会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 54 / 8 ページ-144-


問 8-3. 患 者 の 就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 (アセスメント)について就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 の 方 法1 就 職 / 復 職 後 の 実 際 の 職 場 において、 支 援 の 提 供 と 並行 して 情 報 収 集 して 評 価 する2 実 際 の 職 場 での 実 習 やリハビリ 出 勤 等 において、 情 報収 集 して 評 価 する3 就 職 後 の 職 業 生 活 場 面 を 想 定 した 模 擬 的 な 場 面 を 設定 して、その 中 で 評 価 する4 集 団 的 な 生 活 場 面 や 作 業 場 面 を 設 定 して、その 中 で 評価 する自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 55 治 療 場 面 における 病 状 等 を 踏 まえて 評 価 する 1 2 3 4 56 相 談 等 で 本 人 と 一 緒 に 課 題 や 支 援 ニーズを 評 価 する 1 2 3 4 5上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他本人支援受診や治療等の配慮そもそも、 就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 が 困 難 ・ 不 明 瞭 である、とお 考 えの 方 ⇒□(チェック)問 8-4. 働 いている 患 者 への 疾 患 管 理 の 問 題 等 への 対 応 について働 いている 患 者 の 問 題 等 への 対 応 の 内 容1 予 防 的 に、 本 人 に 職 場 内 外 での 体 調 悪 化 時 の 対応 を 助 言 ・ 指 導 する2 就 職 や 復 職 後 の 体 調 悪 化 時 に、 職 場 / 本 人 / 家族 / 関 係 機 関 等 から 連 絡 が 入 るようにする3 定 期 的 あるいは 随 時 に 患 者 から 職 業 生 活 上 の 不安 ・ 課 題 や 体 調 について 相 談 にのる4 休 職 や 退 職 を 余 儀 なくされた 際 に、 心 理 的 に 前 向きに 支 える5 就 労 している 人 が 通 院 しやすいように、 診 療 や 相談 の 時 間 帯 や 曜 日 を 配 慮 する6 外 来 は、 予 約 の 時 間 通 り(1 時 間 以 内 のずれ)で受 診 できる7 就 労 の 妨 げになる 副 作 用 が 少 なく、 就 労 形 態 に 合わせた 服 薬 しやすい 処 方 内 容 とする8 就 労 している 患 者 が 夜 間 や 休 日 等 に 集 まれる 場を 設 ける職 9 患 者 の 職 務 や 職 場 状 況 についての 評 価 や、その場 改 善 のための 助 言 や 支 援 をする支 10 職 場 の 担 当 者 や 支 援 者 に、 職 場 適 応 を 進 めるた援 めの 情 報 提 供 や 相 談 ・ 支 援 を 行 う上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 55 / 8 ページ-145-


問 9. 広 い 意 味 で 患 者 の 職 業 生 活 を 支 える 可 能 性 のある 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 は、 貴 部 署 を 含 め、 貴 機 関 全 体として、 実 施 されていますか。○ 回 答 者 がお 分 かりになる 範 囲 で、 貴 機 関 での 実 施 状 況 をありのままにご 回 答 下 さい。問 9-1 患 者 の 自 己 管 理 や 社 会 生 活 能 力 の 向 上 のための 支 援 や 治 療 について自 己 管 理 や 社 会 生 活 能 力 の 向 上 の 支 援 や 治 療 の 内 容 経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明1 患 者 本 人 による 目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修 正 1 2 3 42 認 知 行 動 療 法 1 2 3 43 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ 1 2 3 44 職 場 での 対 人 技 能 や 対 処 技 能 ( 含 .リスク 対 処 )の 教 育 ・ 訓 練 1 2 3 45 再 発 防 止 の 教 育 ・ 訓 練 、 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント 1 2 3 46 服 薬 に 関 する、 自 己 管 理 ( 服 薬 忘 れ 防 止 等 )の 方 法 や 医師 への 相 談 の 支 援上 記 の 詳 細 、その 他1 2 3 4問 9-2 患 者 の 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 について地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 内 容経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明1ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 1 2 3 42 医 療 面 と 生 活 面 ( 住 居 、 就 労 、 薬 物 乱 用 等 )の 一 体 的 な 相 談 ・ 支 援 1 2 3 43 患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備 1 2 3 44 患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係 づくり 1 2 3 45 患 者 を 取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力 1 2 3 46 患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 1 2 3 47 患 者 家 族 が、 患 者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法 を 学ぶことができるセミナーやセッション1 2 3 48 複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ 1 2 3 49 家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり 1 2 3 4上 記 の 詳 細 、その 他問 10. 貴 部 署 の 患 者 が 次 のような 職 業 生 活 上 の 課 題 を 抱 えている 場 合 、 解 決 できていますか。課 題 があるが 未 解 決 の 特 に解 決 可 能 な 課 題 が 課 題 は貴 部 署 の 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 内 容場 合 が 多 い 多 くある 多 くない1 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと 1 2 3 42 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと 1 2 3 43 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 1 2 3 44 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 1 2 3 45 遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業 1 2 3 46 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること 1 2 3 47 就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足 1 2 3 4上 記 の 詳 細 、その 他不 明6 / 8 ページ-146-


Ⅲ. 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 効 果 的 な 連 携 について問 11. 貴 機 関 の、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保 の 方 針 について就 職 ・ 復 職 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保最 も 近 いもの 一 つに○自 機 関 スタッフが 主 に 担 当 する 1自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で 担 当 する 2外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当 する 3就 職 ・ 復 職 支 援 について 特 に 方 針 はない 4問 12. 貴 機 関 の、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 ( 医 療 的 支 援 )と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 について連 携 促 進 の 取 組( 就 職 ・ 復 職 支 援 が 外 部 機 関 の 担 当 者 による 場 合 を 含 む)実 施 しており、 機 能している実 施 しているが、課 題 あり1 自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて 担 当 すること 1 2 32 医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常 的 コミュニケーション 1 2 33 医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース 会 議 ・カンファレンス 等 1 2 34 医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用 1 2 3上 記 の 詳 細 、 具 体 的 課 題 、その 他特 に 実施 していない問 13. 貴 機 関 の 患 者 の 就 職 ・ 復 職 に 関 する 評 価 ・ 支 援 を 行 う 際 に、 次 の 外 部 機 関 等 とどの 程 度 連 携 していますか。 (それぞれの 外 部 機 関 等 について、 最 も 近 いもの1つずつに○。)多 くの 患 者 の 個 別 ケースに 関 する 連 携 は個 別 の 評 価 ・ 連 携 は 少 ない ほとんどない連 携 する 外 部 機 関 等支 援 で 連 携 ( 定 期 連 絡 等 が 中 心 ) ~ 全 くない就労支援機関その他1ハローワーク 1 2 32 障 害 者 職 業 センター 1 2 33 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター 1 2 34 職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ 1 2 35 就 労 移 行 支 援 事 業 所 1 2 36 他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等 1 2 37 産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師 1 2 38 職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等 1 2 3上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 連 携 の 内 容 、その 他問 14. 回 答 者 の、 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 やスキル 向 上 のための 情 報 源 は 何 ですか。就 職 ・ 復 職 支 援 の 知 識 やスキルの 情 報 源主 要 な情 報 源 である利 用 したことがある利 用 したことはないが利 用 したい特 に必 要 を感 じない1 図 書 、 論 文 、 雑 誌 ・ジャーナル 等 1 2 3 42 学 会 、 研 究 会 、セミナー 1 2 3 43 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定 研 修 等 1 2 3 44 実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助 言 ・ 指 導 1 2 3 4上 記 の 詳 細 、その 他7 / 8 ページ-147-


Ⅳ. 精 神 疾 患 等 のある 人 を 支 える 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 について問 15. 貴 機 関 における 支 援 ・ 治 療 において、 次 のような 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 はいかがですか。雇 用 支 援 制 度1ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター(カウンセリングや 就 職 準 備 プログラム、 企 業 への 働 きかけ 等 を 実 施 )2 精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金 ( 精 神 障 害 者 を 試 行 的に 雇 用 し、 徐 々に 就 業 時 間 を 伸 ばしていく 企 業 の 奨 励 )3 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 (ハローワークが 医 療 機関 等 を 訪 問 して 利 用 者 に 就 職 活 動 等 をガイダンス)4ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」( 関 係 機 関 の 連 携 による 就 職 から 職 場 定 着 まで 個 別 的 で 一 貫 した 支 援 )5 職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業 ( 職 場 に 出 向 き、 障 害 者への 支 援 、 企 業 側 の 上 司 や 同 僚 等 への 助 言 等 を 実 施 )6トライアル 雇 用 (3ヶ 月 の 試 行 的 雇 用 により、 本 人 と 企 業 側 の 双 方の 不 安 の 軽 減 につなげ 常 用 雇 用 の 移 行 を 目 指 す 企 業 の 奨 励 )7 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 (うつ 病 等 による 休 職 者 の職 場 復 帰 の 支 援 )上 記 の 詳 細 、その 他知 っていた活 用 した 今 後ことが 活 用ある したい特 に必 要ない知 らなかった今 後 特 に活 用 必 要したい ない1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 5自 由 記 述精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるあり 方 等 、ご 意 見 等 いただけますと 幸 いです。訪 問 調 査 の 可 否 ( 本 欄 にご 記 入 された 内 容 は、 訪 問 調 査 についての 問 い 合 わせの 目 的 のためだけに 利 用 します。)本 調 査 結 果 を 踏 まえて、 今 後 のあり 方 の 検 討 に 参 考 となる 取 組 について、 訪 問 調 査 をさせていただきたいと 考 えております。 訪 問 調 査 についてお 問 い 合 わせをしても 差 し 支 えない 場 合 は、 下 の 欄 に、ご 連 絡 先 をご 記 入 下 さい。担 当 者 のお 名 前貴 機 関 名〒電 話 番 号 :調 査 結 果 のご 送 付 ( 本 欄 にご 記 入 された 内 容 は、 調 査 結 果 の 送 付 の 目 的 のためだけに 利 用 します。)本 結 果 の 報 告 を 必 要 とされる 方 には、 電 子 メールにてお 送 りいたしますので、ご 希 望 の 場 合 はアドレスをお 書 き 下 さい。本 調 査 のために 貴 重 なお 時 間 をいただきまして、まことにありがとうございました。ご 回 答 いただけましたら、 本 調 査 票は、 同 封 の 返 信 用 封 筒 ( 切 手 を 貼 る 必 要 はありません)でお 早 めにご 返 送 下 さい。8 / 8 ページ-148-


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容資 料 2第 2 章 において 比 較 検 討 した 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容 は 次 のようであった。第 1 節 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルに 該 当 する 就 労 支 援 タイプは、1990 年 代 から「IPS プログラム」として 新 たに 提 案 され、 比 較 研 究 では、 新 たな 就 労 支 援 プログラムとして 評 価 対 象 となっているものが 大 部 分 であった。ただし、その 具 体 的 内 容 には、 援 助 付 き 雇 用 モデルの 取 組 と、 医 療 との 統 合 への取 組 について、 様 々な 違 い・ 変 異 が 認 められた。プログラムの 種 類IPS プログラム表 A2-1 「1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」( 適 合 性 尺 度 によるもの)尺 度実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究得 点高 得 点( 詳 細 不明 )実 施 12 ヶ月 以 内 に 高い 得 点 を 獲得( 詳 細 不明 )60 と 6669高 得 点( 詳 細 不明 )研 究 期 間中 7 回 測 定した 得 点 の範 囲66~68体 制 :デイケアコーディネーター、デイケア 職 員 、新 規 の 雇 用 専 門 家 の 計 3 名内 容 :デイケア(day treatment)から IPS プログラムへの 移 行 に 伴 い、デイケアコーディネーターニューハンが IPS コーディネーター、デイケア 職 員 が 雇 用プシャー 州専 門 家 へとそれぞれ 役 割 を 変 え、 雇 用 専 門 家 を新 たに 一 人 雇 用 。この IPS ユニットは IPS 専 門家 による 研 修 と 監 督 を 受 け、IPS マニュアルと 適合 性 尺 度 に 従 ってプログラムを 実 施 。体 制 :デイケアカウンセラー、スーパーヴァイザー(IPS 研 修 済 )ロードアイラ内 容 : 対 象 となった 3 箇 所 のセンターのうち 2 センンド 州ターがデイケアから IPS プログラムへ 移 行 。デイケアカウンセラーが 雇 用 専 門 家 へと 役 割 変 更 。体 制 : 雇 用 専 門 家内 容 : 認 知 機 能 訓 練 と 組 み 合 わせず 単 独 実 施体 制 : 作 業 療 法 士内 容 : 精 神 障 害 者 リハビリテーションの 臨 床 経 験が1 年 以 上 ある 作 業 療 法 士 が 雇 用 専 門 家 として機 能 し、 参 加 者 の 医 療 チームに 配 属 。内 容 : 高 い 適 合 性 尺 度 得 点 を 示 した IPS プログラムに 関 する 11 の 研 究 のみレビューの 対 象 。レビューに 採 用 する 研 究 を 決 定 する 際 、 除 外 基 準は、IPS モデルの 発 展 以 前 の 援 助 付 き 雇 用 モデルを 評 価 した 研 究 、IPS と 異 なるモデルあるいは IPS の 適 合 性 尺 度 が 不 明 瞭 なモデルを 評 価した 研 究 、 強 化 された IPS と 強 化 なしの IPS モデルを 比 較 した 研 究 の 3 基 準 。体 制 : 作 業 療 法 士 3 名 、ソーシャルワーカー、 精神 科 医 、リハビリテーションマネージャー、ケースワーカー【ケースロード 1:27】内 容 :IPS 専 門 家 から 1 週 間 (1 日 8 時 間 )の研 修 を 受 けた 作 業 療 法 士 免 許 所 有 者 が 雇 用専 門 家 として 支 援 を 実 施 し、ソーシャルワーカーがケースマネージャーとして 就 労 支 援 以 外 の 支ニューヨーク市(2 箇 所 )香 港11 地 域香 港地 域 精 神 保 健センター地 域 精 神 保 健センター地 域 リハビリテーションセンターKwai Chung病 院 ( 援 助 付 き雇 用 サービスの主 要 センター)地 域 精 神 保 健センター 等Bailey ら(1998)検 証 対 象Becker ら(2001)検 証 対 象McGurk ら(2007)比 較 対 照Wong ら(2008)検 証 対 象Bond ら(2008)検 証 対 象Tsang ら(2009)比 較 対 照-149- - 159 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容ACT を 強化 した IPSプログラム認 知 訓 練 を強 化 したIPS プログラム社 会 技 能訓 練 を 強 化した IPS プログラムそれぞれ68、61、574 年 の 研 究期 間 中 1 年ごとに 測 定した 得 点64、69、72、7260 と 66研 究 期 間中 7 回 測 定した 得 点 の範 囲65~68援 を 担 当 。 精 神 科 医 、リハビリテーションマネージャー、ケースワーカー、ソーシャルワーカーが 集合 し、 対 象 者 の 個 別 治 療 計 画 、 職 場 で 経 験 する 問 題 、 雇 用 専 門 家 が 提 供 する 支 援 について話 し 合 う、 多 領 域 ミーティングを 定 期 的 に 実 施 。体 制 : 作 業 療 法 士 2 名 、 主 治 医 チーム内 容 : 専 属 スタッフを 雇 う 代 わりに、 地 域 のリハビリテーションプログラムで 雇 用 されている 作 業 療法 士 が、 各 対 象 者 の 主 治 医 チームと 地 域 の 3つの 就 労 支 援 プログラムの 仲 介 役 となるセクター間 連 携 (intersectoral link)を 活 用 。体 制 :ACT サブチーム( 精 神 科 医 1 名 、 修 士 レベルの 臨 床 家 1 名 、 学 士 レベルの 正 看 護 師 2 名 、 学士 レベルのケースマネージャー2 名 )、IPS サブチーム(ACT-IPS プログラムを 主 導 する 修 士 レベルのソーシャルワーカー1 名 、 学 士 レベルの 雇 用 専 門 家 2 名 )【ケースロード 1:10】内 容 :ACT サブチームと、IPS サブチームが 毎日 接 触 。 個 別 ニーズに 基 づく 就 業 目 標 重 視 の治 療 計 画 の 作 成 、 個 別 の 就 業 目 標 に 合 わせたサービスの 組 合 せの 選 択 、 対 象 者 ごとに 統 一 した 治 療 記 録 の 更 新 を 実 施 。IPS チームは 就 労支 援 を 担 当 。ACT チームはそれ 以 外 のサービスをすべて 提 供 し、24 時 間 体 制 で 支 援 。体 制 : 雇 用 専 門 家 、 認 知 訓 練 専 門 家内 容 :IPS プログラムに 加 えて、コンピュータソフト(Cogpack, version6.0)を 用 いた、 注 意 、 集 中 、心 理 運 動 速 度 、 学 習 、 記 憶 、 実 行 機 能 等 の 認知 機 能 訓 練 を 12 週 に 渡 り 計 約 24 時 間 実 施 。体 制 : 多 領 域 チーム内 容 :IPS プログラムに 加 えて、 対 人 関 係 の 維 持やトラブルへの 対 応 等 の 仕 事 に 関 する 社 会 技 能訓 練 (WSST:Work-related, social skillstraining)を 強 化 した ISE(Integrated Supported 香 港Employment)プログラム。WSST では、 就 業 継 続や 上 司 ・ 同 僚 との 良 好 な 関 係 の 維 持 などの 個 人スキルと、 対 人 関 係 の 問 題 を 引 き 起 こす 職 場 の 特定 状 況 に 対 処 する 社 会 的 スキルを 教 示 。オーストラリア(3 箇 所 )サウスカロライナ 州ニューヨーク市(2 箇 所 )ニューサウスウェールズ 州 保健 サービス地 域 精 神 保 健センター地 域 リハビリテーションセンターSherring ら(2010)検 証 対 象Gold ら(2006)検 証 対 象McGurk ら(2007)検 証 対 象Tsang ら(2009)検 証 対 象表 A2-2 「1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」(サービス 統 合 尺 度 による)プログラムの実 施 主基 準 値 実 施 内 容 地 域種 類体IPS プログラムACT 職 業 モデルプログラム独 自 の 援 助付 き 雇 用 プログラム50%以 上体 制 : 多 領 域 のプロバイダーチーム内 容 : 最 小 限 の 職 業 前 評 価 、 迅 速 な 職 探 し、 一 般 就業 への 就 職 、 訓 練 、 必 要 な 限 りの 継 続 的 フォローアップに 関 するサービスを 提 供 。メリーランド州 、コネチカット 州 、サウスカロライナ州体 制 : 精 神 科 医 、 看 護 師 、ケースマネージャー、 雇 用専 門 家マサチュー内 容 : 専 門 家 による 可 動 的 チームが 一 般 就 業 への 就 セッツ 州職 、 職 業 訓 練 の 提 供 、 継 続 的 な 就 労 支 援 を 実 施 。内 容 :「 迅 速 に 就 職 させる」 援 助 付 き 雇 用 サービスと、就 業 生 活 を 支 える 良 好 な 対 人 関 係 の 構 築 を 支 援 す テキサス 州る 社 会 的 ネットワークの 促 進 を 組 み 合 わせた 独 自 のプEmploymentInterventionDemonstrationProgram研 究Cook ら(2005)検 証 対 象-150- - 160 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容家 族 支 援 による ACT プログラム統 合 された 治療 チームによる 就 労 支 援 プログラムログラムを 実 施 。 一 方 、 社 会 的 ネットワークを 組 み 合 わせない 同 プログラムも 実 施 。体 制 : 就 労 支 援 担 当 者 、 事 業 主 、 家 族内 容 : 地 域 の 主 要 事 業 の 事 業 主 協 会 と 共 に 就 業 機会 、 職 場 支 援 、 合 理 的 配 慮 の 改 善 に 取 り 組 む、 家 族 メイン 州支 援 による ACT プログラムを 実 施 。 一 方 、 事 業 主 協会 とのつながりのない 同 プログラムも 実 施 。体 制 : 精 神 科 医 、ケースマネージャー、リハビリテーションカウンセラー、 雇 用 専 門 家 、 職 務 開 拓 者 、 給 付専 門 家アリゾナ 州内 容 : 迅 速 な 就 職 、 就 労 継 続 のための 継 続 的 支 援 、キャリアアップを 重 視 したチーム 支 援 を 実 施 。表 A2-3 「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」( 尺 度 による 確 認 がないが 内 容 に 従 って)プログラムの実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究種 類体 制 : 給 付 カウンセラー11 名 、 就 労 支 援 担 当 者給 付 カウンセ内 容 : 職 業 リハビリテーション 局 と 地 域 精 神 保 健 センターに 所 属リングを 強 化する 給 付 カウンセラーが、 社 会 保 障 局 から 障 害 給 付 を 受 給 してTremblay ら職 業 リハビした、 医 療 とバーモント(2006)いる 対 象 者 が 参 加 する 職 業 リハビリテーションプログラムと 援 助リテーション就 労 サービス州付 き 雇 用 サービスにおいて、 各 対 象 者 につき 平 均 約 8 時 間 の局が 統 合 された検 証 対 象給 付 カウンセリングを 実 施 。 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神プログラム保 健 センターが 非 常 に 高 いレベルで 連 携 。医 療 と 就 労サービスが 統合 されたプログラムACT を 強 化した 援 助 付 き雇 用 プログラム家 族 心 理 教育 を 強 化 したIPS プログラム体 制 : 就 労 支 援 担 当 者内 容 : 社 会 保 障 局 から 障 害 給 付 を 受 給 している 対 象 者 が 参 加する 職 業 リハビリテーションプログラムと 援 助 付 き 雇 用 サービスにおいて 給 付 カウンセリングが 実 施 されていないプログラム。 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神 保 健 センターが 非 常 に 高 いレベルで 連 携 。体 制 : 雇 用 専 門 家 、ACT チーム【ケースロード 1:10】内 容 :IPS の 要 素 と 心 理 社 会 的 リハビリテーション 機 関 が 提 供する 職 業 リハビリテーションの 要 素 を 組 み 合 わせた 独 自 の 援 助付 き 雇 用 プログラムを 開 発 。 就 業 目 標 は、 一 般 就 業 に 限 らず、隔 離 的 雇 用 を 含 むあらゆる 就 職 を 対 象 。 雇 用 専 門 家 が ACTチームの 一 員 となり 職 業 サービスの 提 供 を 調 整 。ACT チームは雇 用 専 門 家 に 対 して 対 象 者 に 関 する 情 報 の 提 供 や 対 象 者 の紹 介 をバックアップし、 同 時 に ACT のメンバーである 対 象 者 が地 域 生 活 を 維 持 できるよう 支 援 。体 制 :FACT チーム(ソーシャルワーカー2 名 あるいは 精 神 科 看 護 師 2名 、 雇 用 専 門 家 1 名 の 計 3 名 )、 臨 床 チーム、 精 神 科 医 【ケースロード 1:8】内 容 : 家 族 支 援 による ACT(FACT:Family-aided AssertiveCommunity Treatment)プログラム。1 箇 所 の 雇 用 専 門 家 は 職 業リハビリテーションカウンセラー、もう 一 方 は 職 業 リハビリテーションに 関 して 特 別 な 訓 練 受 け、 経 験 を 積 んだソーシャルワーカーであり、 両 者 は IPS 専 門 家 による 研 修 を 受 講 。 臨 床 チームの 主 任 と 精神 科 医 と 連 携 。 家 族 に 対 するグループ 家 族 心 理 教 育 では、 職 業リハビリテーション、 段 階 的 機 能 改 善 、 早 期 の 危 機 介 入 、 再 発 防止 を 強 調 。 本 人 を 含 む 7~8 家 族 が 1 グループとなり 隔 週 90 分集 合 。 家 族 は 対 象 者 の 就 業 目 標 の 達 成 に 向 けて 協 同 。 臨 床 家の 役 割 はグループ 家 族 心 理 教 育 で 示 された、 特 に 職 探 しや 失 業防 止 に 関 する 解 決 策 の 実 行 であり、 職 業 リハビリテーションの 取組 を 補 助 するものとしてチームと 統 合 的 に 実 施 。バーモント州イリノイ 州ニューヨーク 州(2 箇 所 )職 業 リハビリテーション局精 神 科 リハビリテーション 機 関地 域 精 神保 健 センターTremblay ら(2006)比 較 対 照Furlong ら(2002)検 証 対 象McFarlaneら(2000)検 証 対 象-151- - 161 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容第 2 節 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 支 援 は、 精 神 障 害 以 外 の 知 的 障 害 や 発 達 障 害 を 対 象とした 一 般 的 なジョブコーチ 支 援 や、 医 療 機 関 との 密 接 なつながりがない 形 で 地 域 の 職 業 リハビリテーションサービスに 照 会 / 移 行 させるという 場 合 が 多 かった。 実 証 研 究 においては、IPS プログラムとの比 較 対 照 群 として 位 置 付 けられていたものが 多 かった。また、IPS を 意 図 しながら、 十 分 に 就 労 支 援 と医 療 サービスの 統 合 が 達 成 されなかったために、 結 果 的 に 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 となっている 場 合 もあった。プログラムの種 類就 労 と 医 療サービスが 並行 して 提 供 されるプログラム結 果 的 に 医療 との 統 合 が弱 かった IPSプログラム表 A2-4「2 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル」実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究体 制 : 修 士 レベルの 臨 床 家 【ケースロード 1:13、1:23】内 容 :FACT チームと 同 じ 精 神 保 健 センターに 勤 める 臨 床家 が 支 援 を 実 施 。 就 労 支 援 に 関 しては 州 の 職 業 リハビリテーション 機 関 に 照 会 するのみで 医 療 側 と 就 労 側 に 密 接な 連 携 はなく、グループ 家 族 心 理 教 育 も 実 施 なし。体 制 :ケースマネジメントサービス( 学 士 レベルのケースマネージャー2 名 【ケースロード 1:30 以 下 】)、 就 業 サービス( 高 卒 ~博 士 レベルのフルタイムの 雇 用 専 門 家 10 名 【ケースロード 1:10以 下 】)内 容 : 地 域 保 健 センターによる 精 神 保 健 サービスと 委 託 によるケースマネジメントサービスを、 職 業 リハビリテーション 機関 による 就 業 サービスと 並 行 して 提 供 。 就 業 計 画 の 作 成 、職 業 評 価 を 実 施 。 週 2~4 回 のミーティングを 開 き、 各 対象 者 について 情 報 共 有 。内 容 : 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスを 別 々の 機 関 が提 供 。 就 業 前 のスキルトレーニングを 重 視 。内 容 : 職 業 準 備 訓 練 から 一 般 就 業 を 目 指 す 段 階 的 な 就労 支 援 と 心 理 社 会 的 支 援 とを 組 み 合 わせたプログラムと、州 の 就 労 支 援 サービス( 援 助 付 き 雇 用 、エンクレーブ)をすべて 利 用 できる 条 件 のプログラム。体 制 : 民 間 の 就 労 支 援 機 関 が 提 供 する 地 域 精 神 保 健チーム、ベテランの 雇 用 専 門 家内 容 : 地 域 精 神 保 健 チームと 雇 用 専 門 家 が 連 携 する 形 で統 合 された IPS プログラム。 適 合 性 尺 度 得 点 は 67 と 69だったが、「リハビリテーションと 精 神 科 治 療 の 統 合 」の 組織 に 関 する 次 元 の 得 点 が 低 く、 実 際 には 医 療 との 統 合弱 。ニューヨーク州(2 箇 所 )サウスカロライナ 州ニューハンプシャー 州コネチカット州英 国 - 南 ロンドン(2 箇 所 )職 業 リハビリテーション 機関 、地 域 精 神 保 健センターNPO 法 人 の 職業 リハビリテーション 機 関 、地 域 精 神 保 健センター民 間 就 労 支 援機 関 (NPO 法人 )McFarlaneら(2000)比 較 対 照Gold ら(2006)比 較 対 照Bond ら(2008)比 較 対 照Howard ら(2010)検 証 対 象第 3 節 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル医 療 と 統 合 されていても、 本 人 の 症 状 の 改 善 や 生 活 自 立 に 焦 点 を 当 て、その 結 果 就 労 成 果 を 期 待 するという 意 味 で「 職 業 準 備 性 モデル」に 該 当 する 支 援 としては、 医 療 的 デイケアや、IPS と 統 合 されていない ACT、FPE、 薬 物 治 療 等 があった。これらは、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 の 新 しい 就 労 支 援プログラムを 評 価 するための 比 較 対 照 群 として 位 置 付 けられている 場 合 が 多 かった。-152- - 162 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容プログラムの種 類地 域 支 援 プログラムデイケアプログラムACT プログラム表 A2-5 「3 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル」実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究内 容 : 地 域 支 援 プログラムにおけるケースマネジメントサービス。内 容 : 週 3 日 のデイケアプログラムを 実 施 。 援 助 付 き 雇 用による 支 援 、ボランティアやシェルタード・ワークショップの 仕事 の 獲 得 を 支 援 する 等 の 就 労 支 援 を 提 供 。ニューハンプシャー 州ロードアイランド 州体 制 :【ケースロード 1:10】内 容 :ACT を IPS と 統 合 させずに 単 独 で 実 施 。ACT チーイリノイ 州ムの 全 スタッフが 定 期 的 に 事 務 所 内 で 連 絡 を 取 り 合 い、メンバーである 対 象 者 が 地 域 生 活 を 維 持 できるよう 支 援 。家 族 支 援 によ体 制 : 就 労 支 援 担 当 者 、 家 族る ACT プログ内 容 : 家 族 支 援 による ACT プログラムを 実 施 。ラム段 階 的 職 業 リハビリテーションプログラム通 常 治 療 プログラム家 族 心 理 教育 プログラム体 制 : 病 院 の 作 業 療 法 科内 容 : 模 擬 環 境 での 様 々なグループ 就 労 を 使 った 職 業 準備 訓 練 中 心 の 地 域 における 一 般 就 業 を 目 指 した 段 階 的train-place アプローチ。 参 加 者 が 自 発 的 に 一 般 就 業 で仕 事 を 探 すことも 推 奨 。体 制 : 治 療 チーム、 平 均 7 名 の 就 労 支 援 スタッフ内 容 : 研 究 対 象 の 地 域 で 利 用 可 能 な 33 のサービス。 心理 社 会 的 リハビリテーションやデイケアプログラム 等 。79%のサービスは 治 療 チームからの 照 会 。サービスの 多 くは、 面接 スキルや 履 歴 書 の 書 き 方 等 の 就 職 準 備 支 援 、IT スキル、 自 信 / 動 機 の 構 築 に 関 する 支 援 を 実 施 。メイン 州香 港英 国 - 南 ロンドン体 制 : 精 神 科 医 、 町 医 者内 容 :1 ヶ 月 に 1 度 1.5~3 時 間 の 訓 練 を 受 けた 精 神 科 医と 町 医 者 による 家 族 教 育 が、 対 象 者 本 人 の 参 加 も 推 奨 す中 国 農 村る 形 で 9 ヶ 月 間 実 施 。3 ヶ 月 に 1 度 の 割 合 で 複 数 の 家 族部によるワークショップも 実 施 し、 本 人 ケアの 経 験 を 共 有 。 必要 があれば 危 機 的 介 入 を 実 施 。 介 入 群 は 家 族 心 理 教 育+ 薬 物 治 療 、 比 較 対 照 群 は 薬 物 治 療 のみ。地 域 精 神 保 健センター地 域 精 神 保 健センター精 神 科 リハビリテーション 機 関EmploymentInterventionDemonstrationProgramKwai Chung病 院Bailey ら(1998)比 較 対 照Becker ら(2001)比 較 対 照Furlong ら(2002)比 較 対 照Cook ら(2005)検 証 対 象Wong ら(2008)比 較 対 照Howard ら(2010)比 較 対 照Ran ら(2003)第 4 節 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル従 来 型 の 職 業 リハビリテーションや 就 労 支 援 の 中 でも、ジョブコーチ 支 援 等 の 援 助 付 き 雇 用 モデルを導 入 していない 就 労 支 援 プログラムは 限 られていたが、 比 較 対 照 群 としての 例 があった。プログラムの種 類職 業 リハビリテーションセンターのプログラム心 理 社 会 的 リハビリテーショ表 A2-6 「4 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル」実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究内 容 : 職 業 サービスとしてシェルタード・ワークショップ、クリエイティブ・ワークショップ、 当 事 者 運 営 の 服 飾 店 、 園 芸 プログラム、デイケアセンターが 実 施 する 求 職 スキルトレーニングと 心 理 社 会 的 介 入 等 。いずれのプログラムも 一 般 就 業を 直 接 の 目 標 とせず。 民 間 の 就 労 支 援 機 関 への 照 会 による 一 般 就 業 、 障 害 者 雇 用 も 可 能 だが、 医 療 サービスは 統合 されておらず、 継 続 的 支 援 も 提 供 なし。内 容 : 交 通 や 住 宅 等 の 生 活 支 援 、 職 業 評 価 や 職 業 準 備訓 練 、 対 人 関 係 や 仕 事 への 耐 久 性 等 の 職 場 関 連 のスキカナダメリーランド 州大 学 付 属 病院 の 職 業 リハビリテーションセンター地 域 精 神 保健 センターBond ら(2008)比 較 対 照-153- - 163 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容ンプログラム多 角 的 な 就 職支 援 プログラム早 期 精 神 病 予防 ・ 介 入 センターのプログラム地 域 の 一 般 的サービスクラブハウスモデルルトレーニング、シェルタード・ワークショップ、エンクレーブプロジェクト 等 のプログラム。 職 業 準 備 性 が 高 まった 対 象 者には、 就 職 支 援 の 提 供 や、 市 が 実 施 している 職 業 サービスプログラムへ 照 会 。体 制 : 学 士 レベル 以 上 のスタッフ 約 5 名 のチーム【ケースロード 約 1:13】内 容 : 職 業 準 備 性 の 評 価 等 の 一 般 就 業 への 段 階 的 アプローチを 重 視 。 支 援 機 関 が 運 営 する 事 業 や 機 関 が 地 域 の事 業 主 と 契 約 している 事 業 等 を 含 めた 幅 広 い 職 業 選 択 と迅 速 な 就 職 を 重 視 。体 制 : 早 期 精 神 病 予 防 ・ 介 入 センターのケースマネージャー内 容 : 個 別 ケースマネジメント、 治 療 レビュー、 外 部 の 就 労支 援 機 関 への 照 会 等 を 実 施 。内 容 : 地 域 で 利 用 できるあらゆるサービスを 受 けられる 通 常サービスを 実 施 。内 容 : 地 域 における 就 職 と 同 等 のプログラム 内 の 仕 事 をスタッフと 対 象 者 が 一 緒 に 取 り 組 む 等 、 施 設 ベースのサービスを 実 施 。イリノイ 州オーストラリア精 神 保 健サービスプロバイダー早 期 精 神 病予 防 ・ 介 入 センターアリゾナ 州 、コネチカット 州 、メリーランドEmployment州 、サウスカロ Interventionライナ 州 Demonstration Programマサチューセッツ 州Cook ら(2005)比 較 対 照EmploymentInterventionDemonstrationProgramMeasure:50% 以 下-154- - 164 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について資 料 3第 5 章 における 研 究 委 員 会 の 議 論 は、 現 在 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 を 踏 まえ、 主 に 労 働 行 政 のあり 方に 絞 った 提 言 に 向 けた 議 論 を 中 心 にまとめたものである。これらの 雇 用 支 援 制 度 については、 今 回 のわが 国の 医 療 機 関 の 実 態 調 査 結 果 で 明 らかになったように、 医 療 機 関 における 認 知 は 高 いが 実 際 の 利 用 経 験 は 少 なかった。また、 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 取 組 を 補 完 できる 可 能 性 が 高 い 制 度 も 多 く、 今 後 の 医 療 機 関 での 活 用 意 向 も 大 きなものであった。そこで、 本 資 料 では、 本 書 の 読 者 の 参 考 のため、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 支 援 を 統 合 的 に 実 施 する 必 要 のある具 体 的 な 局 面 別 に、 現 行 の 様 々な 雇 用 支 援 制 度 の 概 要 をまとめた。第 1 節 非 就 労 者 へのアウトリーチ(ジョブガイダンス 事 業 )「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」は、 医 療 機 関 等 を 利 用 している 精 神 障害 者 及 び 発 達 障 害 者 を 対 象 に、ハローワークの 職 員 が 医 療 機 関 等 を 訪 問 して、 就 職 活 動 に 関 する 知 識 や 方 法についてガイダンスを 行 うことにより、 職 業 準 備 性 や 就 職 意 欲 を 高 め、 就 職 に 向 けた 取 組 を 的 確 に 行 えるよう 援 助 を 行 うものであり、 全 国 のハローワークで 実 施 されている。( 資 料 3-1)具 体 的 なジョブガイダンスの 内 容 としては、オリエンテーション、 職 業 講 話 ( 働 く 意 義 、 労 働 市 場 の 動 向等 )、 求 職 活 動 の 方 法 ( 求 人 情 報 の 見 方 、 履 歴 書 の 書 き 方 、 電 話 の 対 応 方 法 、 面 接 の 受 け 方 等 )、 職 場 におけるマナー、 服 薬 管 理 の 重 要 性 等 がある。 就 職 意 欲 の 高 い「 精 神 障 害 者 」と「 発 達 障 害 者 」を 対 象 とし、 就 職に 向 けた 取 組 ( 求 職 活 動 、 職 業 リハビリテーション 等 )への 移 行 の 支 援 でもある。第 2 節 本 人 と 仕 事 のマッチング/ 就 職 活 動 の 支 援 (チーム 支 援 等 )一 般 就 業 に 向 けた 就 職 活 動 の 支 援 は、 特 に 労 働 分 野 の 専 門 性 が 重 要 である。ただし、 精 神 障 害 者 の 場 合 、本 人 と 仕 事 のマッチング/ 就 職 活 動 の 支 援 を、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 切 り 離 して 行 うことには 限 界 があり、 労 働機 関 と 医 療 機 関 等 との 密 接 な 連 携 が 重 要 である。そのために 活 用 できる 雇 用 支 援 制 度 としては、ハローワークの「チーム 支 援 」があり、それにより、 労 働 分 野 の 専 門 性 の 高 い 様 々な 就 労 支 援 の 効 果 的 活 用 も 期 待 できる。1 ハローワークと 中 心 とした「チーム 支 援 」( 地 域 障 害 者 就 労 支 援 事 業 )( 資 料 3-2)「チーム 支 援 」( 地 域 障 害 者 就 労 支 援 事 業 )は、 就 職 を 希 望 する 障 害 者 一 人 ひとりに 対 してケースワーク 方式 で、ハローワーク 職 員 ( 主 担 当 )と 地 域 関 係 機 関 の 職 員 等 がチームを 結 成 し、 就 職 から 職 場 定 着 まで 一 貫した 支 援 を 実 施 するものであり、 全 国 全 てのハローワークで 実 施 されており、 専 門 援 助 ( 障 害 者 ) 部 門 で 登録 する。-155- - 157 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について2 労 働 機 関 で 利 用 できる 一 般 的 な 就 労 支 援 内 容医 療 機 関 において 就 労 支 援 ニーズが 高 いが、 医 療 機 関 での 実 施 が 比 較 的 困 難 な 次 のような 支 援 については、ハローワーク 等 の 就 労 支 援 機 関 による 支 援 として 提 供 されている。(1) 求 人 情 報 の 提 供本 人 に 合 う 仕 事 の 条 件 に 合 う 求 人 情 報 について、 障 害 者 求 人 はもちろん、また、それに 限 らず、また、 短時 間 勤 務 等 であっても、 幅 広 く 職 業 検 索 機 で 探 索 できる。また、 医 療 機 関 や 本 人 に 対 して、FAX やメール 等 でタイムリーに 情 報 を 提 供 している 場 合 もある。(2) 職 業 相 談疾 患 管 理 等 の 側 面 だけでなく、 本 人 の 興 味 や 強 みを 活 かせ 職 業 発 達 につながるキャリア 支 援 の 側 面 や 具 体的 な 仕 事 内 容 や 利 用 できる 制 度 等 の 情 報 提 供 を 含 めた 職 業 相 談 が 実 施 できる。(3) 個 別 の 職 場 開 拓本 人 に 合 う 仕 事 について 求 人 がない 場 合 でも、 個 別 に 職 場 を 訪 問 し、 職 務 の 切 り 出 し 等 による 求 人 開 拓 や雇 用 主 との 交 渉 等 の 支 援 手 法 がある。(4) 職 場 実 習 、 職 場 体 験職 場 実 習 や 職 場 体 験 が 実 施 できる 職 場 の 開 拓 についても、 実 施 されている。障 害 者 職 業 センターの 職 業 準 備 支 援 コースを 受 講 することができる。(5) 履 歴 書 作 成 や 企 業 面 接 の 練 習病 気 の 説 明 、 必 要 な 配 慮 についての 説 明 、 自 己 アピール、 経 歴 の 空 白 期 間 の 説 明 等 、 就 職 活 動 において 直面 する 具 体 的 課 題 について、 適 切 な 助 言 や 練 習 をするサービスも 利 用 できる。必 要 に 応 じて、 支 援 者 が 同 席 して、 職 場 側 への 説 明 の 補 助 を 行 う 場 合 もある。(6) 職 業 訓 練 等 の 選 択 肢 の 提 供希 望 職 種 に 合 った 職 業 訓 練 の 選 択 肢 を 提 供 することができる。また、 経 済 的 理 由 で 就 職 を 焦 っている 場 合でも、 職 業 訓 練 給 付 金 により 生 活 を 安 定 させて、 職 業 訓 練 に 取 り 組 むという 可 能 性 についても 検 討 することができる。(7) 精 神 障 害 者 雇 用 についての 啓 発る。精 神 障 害 者 雇 用 について 企 業 啓 発 の 取 組 、 企 業 への 障 害 者 雇 用 率 達 成 指 導 と 連 動 した 就 職 支 援 の 取 組 もあ-156- - 158 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について第 3 節 職 業 場 面 における 職 業 評 価 / 職 場 定 着 支 援精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 には、 一 般 就 業 に 向 けての 段 階 的 な 就 労 移 行 を 可 能 にしたり、 職 場 適 応 を 支 えるためのものも 多 い。 次 のような 雇 用 支 援 制 度 や 支 援 者 は、 試 行 的 な 雇 用 や 職 場 定 着 支 援 の 機 会 を 提 供 するとともに、 実 際 の 職 業 場 面 に 近 い 条 件 での 職 業 アセスメントの 機 会 ともなるものである。1 職 業 場 面 における 職 業 評 価 / 職 場 定 着 支 援 に 活 用 できる 雇 用 支 援 制 度る。全 国 のハローワーク 等 で 利 用 できる、 次 のような 様 々な 移 行 の 段 階 に 対 応 した、 試 行 的 な 就 労 の 制 度 があ(1)トライアル 雇 用 ( 資 料 3-3)「トライアル 雇 用 」とは、ハローワークの 職 業 紹 介 により3ヵ 月 を 限 度 とした 有 期 雇 用 契 約 を 締 結 した 雇用 事 業 主 へ 奨 励 金 ( 月 40,000 円 )を 支 給 し、 事 業 主 の 障 害 者 雇 用 のきっかけをつくり、 一 般 雇 用 への 雇 用 を促 進 するための 制 度 である。将 来 的 な 継 続 雇 用 を 目 指 す 実 際 の 職 場 において、 試 行 的 に 働 き、 最 長 3ヵ 月 の 試 行 期 間 において、 実 際 の職 業 生 活 への 適 応 や、 仕 事 とのマッチングの 調 整 等 も 含 め、 集 中 的 な 職 業 アセスメントの 機 会 とできるだけななく、 職 場 側 の 状 況 確 認 や 支 援 の 機 会 としても 活 用 できる。(2)ステップアップ 雇 用 ( 資 料 3-4)「 精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用 」とは、1 週 間 の 労 働 時 間 が 10 時 間 以 上 から 3 ヶ 月 ~12 ヶ 月 の 期 間 で段 階 的 に 週 20 時 間 の 常 用 雇 用 に 移 行 するまでの、 雇 用 事 業 主 への 奨 励 金 ( 月 額 25,000 円 ) 支 給 の 制 度 である。トライアル 雇 用 の 利 用 条 件 を 満 たさない 状 況 であっても、より 負 荷 の 低 い 職 業 生 活 から 長 期 的 に、 実 際 の職 業 場 面 での 職 業 評 価 や 支 援 を 実 施 することも 可 能 である。(3) 障 害 者 職 業 センターの 職 業 準 備 支 援 ( 自 立 支 援 )( 資 料 3-5)地 域 障 害 者 職 業 センター 内 での 模 擬 的 職 場 環 境 での 作 業 体 験 (ワークトレーニング 社 等 )、 職 業 準 備 講 習 、社 会 生 活 技 能 訓 練 等 を 行 うことにより、 基 本 的 な 労 働 習 慣 の 体 得 、 作 業 遂 行 力 の 向 上 、コミュニケーション能 力 ・ 対 人 対 応 力 の 向 上 を 図 り、ハローワークにおける 職 業 紹 介 、ジョブコーチ 支 援 等 の 次 の 段 階 に 着 実 に移 行 させるための 支 援 である。2 医 療 機 関 の 支 援 ニーズに 対 応 可 能 な 就 労 支 援 者就 職 前 から 就 職 後 まで 継 続 的 に、 職 場 や 関 係 機 関 をつないで 支 援 できる 担 当 者 としては、ジョブコーチと精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターが 地 域 に 配 置 されている。-157- - 159 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について(1)ジョブコーチ( 職 場 適 応 援 助 者 )( 資 料 3-6)職 場 への 円 滑 な 適 応 を 図 るため、 職 場 にジョブコーチが 出 向 いて、 障 害 者 及 び 事 業 主 双 方 に 対 し、 仕 事 の進 め 方 やコミュニケーションなど 職 場 で 生 じる 様 々な 課 題 や 職 場 の 状 況 に 応 じて、 課 題 の 改 善 を 図 るための支 援 を 実 施 する 専 門 支 援 者 が、 地 域 障 害 者 職 業 センター、 地 域 の 特 定 の 社 会 福 祉 法 人 等 、 事 業 主 に 配 置 されている。(2) 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター( 資 料 3-7)ハローワークの 専 門 援 助 窓 口 に、 精 神 保 健 福 祉 士 等 の 資 格 をもつ「 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」が 配 置 され、 本 人 への 支 援 だけでなく、 関 係 機 関 との 連 携 、 事 業 主 への 働 きかけや 職 場 開 拓 、フォローアップ 等 を 含 め 総 合 的 な 支 援 担 当 者 となっている。3 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 ( 資 料 3-8)障 害 者 職 業 センターで 実 施 される「リワーク 支 援 」は、 雇 用 事 業 主 ・ 主 治 医 と 連 携 した、 職 場 との 連 携 を強 く 意 識 した 職 業 リハビリテーションである。 障 害 者 職 業 センターにおいては、 職 場 におけるストレス 要 因への 個 別 的 な 対 策 として 心 理 社 会 療 法 を 用 いて、 一 定 の 就 業 能 力 を 確 認 し、 職 域 との 橋 渡 しをスタッフが 実施 している。第 4 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 地 域 連 携 拠 点医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 一 体 的 に 実 施 するための 様 々な 取 組 に 対 応 できる 雇 用 支 援 制 度 としては、 障 害 者就 業 ・ 生 活 センター 事 業 がある。( 資 料 3-9)これは 本 来 、 知 的 障 害 者 等 を 支 援 している 福 祉 機 関 が 生 活 と 就 労 を 一 体 的 に 支 えることができるようにする 趣 旨 で 始 まった 事 業 であるが、 現 在 では、 精 神 障 害 者 の 支 援 で 医 療 機 関 との 連 携 による 支 援 も 実 施 している。-158- - 160 -


医 療 機 関 等 との 連 携 による精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業医 療 機 関 等 を 利 用 している 精 神 障 害 者 及 び 発 達 障 害 者 を 対 象 に、ハローワークの 職 員 が 医 療機 関 等 を 訪 問 して、 就 職 活 動 に 関 する 知 識 や 方 法 についてガイダンスを 行 うことにより、 職 業 準備 性 や 就 職 意 欲 を 高 め、 就 職 に 向 けた 取 組 を 的 確 に 行 えるよう 援 助 を 行 います。平 成 21 年 度 実 績 ジョブガイダンス 受 講 人 数 1,552 人 ( 全 国 383カ 所 の 医 療 機 関 等 で 実 施 )連 携 先 機 関ハローワーク○ 精 神 科 病 院○ 精 神 科 診 療 所○ 精 神 保 健 福 祉 センター○ 保 健 所○ 障 害 福 祉 サービス 事 業 者○ 発 達 障 害 者 支 援 センター対 象 者ジョブガイダンス連 携 先 機 関 を 訪 問1 日 2 時 間 で3 日 ~5 日 間【ジョブガイダンスの 内 容 】○オリエンテーション、 職 業 講 話( 働 く 意 義 、 労 働 市 場 の 動 向 等 )○ 求 職 活 動 の 方 法( 求 人 情 報 の 見 方 、 履 歴 書 の書 き 方 、 電 話 の 対 応 方 法 、面 接 の 受 け 方 等 )○ 職 場 におけるマナー○ 服 薬 管 理 の 重 要 性 等就 職 意 欲 の 高 い「 精 神 障 害 者 」と「 発 達 障 害 者 」就 職 に 向 けた 取 組( 求 職 活 動 、 職 業 リハビリテーション 等 )1資 料 3-1-159-


資 料 3-2障 害 者 就 労 に 向 けたハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」○ 福 祉 施 設 等 の 利 用 者 をはじめ、 就 職 を 希 望 する 障 害 者 一 人 ひとりに 対 して、ハローワーク 職 員 ( 主 担 当 )と 福 祉 施 設 等 の 職 員 、 市 町 村 の 職 員 等 がチームを結 成 し、 就 職 から 職 場 定 着 まで 一 貫 した 支 援 を 実 施 ( 平 成 18 年 度 から 実 施 )就 職 を 希 望 している福 祉 施 設 利 用 者 等主 査 :ハローワーク 職 員・ 専 門 援 助 部 門 が 担 当・ 就 労 支 援 コーディネーターを配 置 し、 関 係 機 関 と 調 整副 主 査 : 福 祉 施 設 等 職 員○ 授 産 ・ 更 正 施 設 、 小 規 模 作 業 所○ 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 機 関○ 特 別 支 援 学 校○ 精 神 障 害 者 社 会 適 応 訓 練 事 業の 協 力 事 業 所 等市 町 村 ・ 専 門 機 関 の 職 員○ 障 害 者 団 体 、 障 害 者 支 援 団 体○ 地 域 障 害 者 職 業 センター○ 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター○ 職 業 能 力 開 発 校○ 障 害 者 地 域 生 活 支 援 センター○ 福 祉 事 務 所 等障害者就労支援チーム就 職 に 向 けた 取 り 組 み 就 職就労支援計画の作成して支援を実施チーム構成員が連携企 業フォローアップ職 場 定 着職 業 生 活の 安 定就 労 支 援 ・ 生 活 支 援 職 場 定 着 支 援 ・ 就 業 生 活 支 援【21 年 度 実 績 】支 援 対 象 者 数 13,801 人就 職 者 数 6,354 人就 職 率 46%-160-


資 料 3-3「トライアル 雇 用 」による 障 害 者 雇 用 のきっかけづくり~ 障 害 者 試 行 雇 用 事 業 ~障 害 者 雇 用 の 取 組 が 遅 れている 事 業 所 では、 障 害 者 雇 用 の 経 験 が 乏 しいために、 障 害 者 に 合 った 職 域 開 発 、 雇 用 管 理 等 のノウハウがなく、 障 害 者 雇 用 に 取 り 組 む 意 欲 があっても 雇 い 入 れることに 躊 躇 する 面 もある。また、 障 害 者 の 側 でも、これまでの 雇 用 就 労 経 験 が 乏 しいために、「どのような 職 種 が 向 いているかが 分 からない」、「 仕 事 に 耐えられるだろうか」といった 不 安 がある。このため、 障 害 者 を 短 期 の 試 行 雇 用 (トライアル 雇 用 )の 形 で 受 け 入 れることにより、 事 業 主 の 障 害 者 雇 用 のきっかけをつくり、一 般 雇 用 への 移 行 を 促 進 することを 目 指 す。障 害 に 応 じた 職 場の 配 慮 事 項 が 分 からない障 害 者 への 接 し 方 、雇 用 管 理 が 分 からないどのような 仕 事が 適 職 か 分 からない不 安不 安事 業 主身 体 障 害 者 は 雇 用 しているが、 知 的障 害 者 を 雇 用 するのは 初 めて障 害 者就 職 は 初 めてなので、職 場 での 仕 事 に 耐 えられるのか 不 安どのような 仕 事を 担 当 させればよいか 分 からない訓 練 を 受 けたことが 実 際 に 役 立つか 不 安トライアル 雇 用(3か 月 間 の 有 期 雇 用 )不 安 の 解 消 ・軽 減常用雇用○ 期 間3か 月 間 を 限 度 (ハローワークの 職業 紹 介 により、 事 業 主 と 対 象 障 害者 との 間 で 有 期 雇 用 契 約 を 締 結 )○ 奨 励 金事 業 主 に 対 し、トライアル 雇 用 者1 人 につき、 月 4 万 円 を 支 給○ 対 象 者9,500 人 (20 年 度 )9,500 人 (21 年 度 )9,000 人 (22 年 度 )○ 実 績 (21 年 度 )開 始 者 数 8,545 人常 用 雇 用 移 行 率 84.3%-161-


資 料 3-4「 精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用 」による 常 用 雇 用 への 移 行 の 促 進精 神 障 害 者 等● 心 身 が 疲 れやすい。● 緊 張 しやすい。● 判 断 ・ 責 任 等 の プレッシャーに 弱 いことがある。●コミュニケーション 能力 に 困 難 がある。● 直 ちに 雇 用 率 適 用 となる 週 20 時 間 以 上 働 くことが 困 難 。事 業 所● 精 神 障 害 等 についての 知 識 がない。● 精 神 障 害 者 等 の 受入 れに 不 安 がある。精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用精 神 障 害 者 及 び 発 達 障 害 者 の 障 害 特 性 に 鑑み、 一 定 の 期 間 をかけて、 仕 事 や 職 場 への 適 応状 況 等 をみながら、 徐 々に 就 業 時 間 を 伸 ばしていくことで 常 用 雇 用 への 移 行 を 目 指 します。週 10 時 間〔 奨 励 金 の 支 給 〕週 20 時 間常用雇用◆ 精 神 障 害 者 等 ステップアップ雇 用 奨 励 金○ 期 間 等・ 3ヶ 月 ~12ヶ 月・ 1 週 間 の 労 働 時 間 は10 時 間 以 上・ ハローワークの 職 業 紹 介 により 雇 入 れ・ 事 業 主 と 対 象 精 神 障 害 者 等 との 間 で 有 期雇 用 契 約 を 締 結○ 奨 励 金 の 額事 業 主 に 対 し、ステップアップ 雇 用 者 1 人 につき、 月 2 万 5 千 円 を 支 給 ( 最 長 12ヶ 月 )○ 平 成 21 年 度 実 績 330 人◆ グループ 雇 用 奨 励 加 算 金精 神 障 害 者 等 がお 互 いに 支 え 合 いながら 働 けるグループ 雇 用 は 職 場 適 応 に 効 果 的 であることから、グループでステップアップ 雇 用 を 実 施 する場 合 は、グループ 雇 用 奨 励 金 が 加 算 されます。○ グループ 人 数 2 人 ~5 人 以 下○ グループ 雇 用 奨 励 加 算 金 の 額1グループあたり 月 2 万 5 千 円 を 支 給( 最 長 12ヶ 月 )● 精 神 障 害 者 等 の 常用 雇 用 に 踏 み 切 れない。事 業 所 と 精 神 障 害 者 等 の 相 互 理 解雇 用 経 験 や 知 識 の 取 得 、 不 安 の 除 去障 害 特 性 や 職 場 適 応 の 見 極 め 等○ 平 成 21 年 度 実 績 24グループ-162-


職 業 準 備 支 援 ( 自 立 支 援 カリキュラム)について資 料 3-51.カリキュラムの 目 的 ・スキーム 図自 立 支 援 カリキュラム● 精 神 障 害 の 障 害 特 徴 の 把 握 と 対 処 方 法 の 検 討・SST( 社 会 生 活 技 能 訓 練 )・グループミーティングストレスマネジメント精 神 障 害 の 特 徴 と 体 調 管 理 等障 害 の 開 示 ・ 不 開 示 の 選 択模 擬 的 就 労 場 面 を 活 用 した作 業 支 援● 職 業 適 性 等 の 把 握集 団 作 業 ・ 個 別 作 業グ職 業 準 備 講 習 カリキュラム● 職 業 生 活 に 必 要 な 知 識 獲 得・ 面 接 練 習・ハローワークの 利 用 方 法・ 事 業 所 体 験 実 習 等2. 具 体 的 なテーマ 設 定職 業 準 備 講 習 カリキュラム グループミーティング S S T1 事 業 主 からの 講 話 自 己 紹 介 相 手 をほめる・ほめ 言 葉 を 受 け 入 れる2 余 暇 の 過 ごし 方 職 業 経 験 を 話 そう 勤 務 初 日 の 挨 拶 をする3 社 会 資 源 について 1か 月 の 振 り 返 り/カリキュラムを 修 了 して 身 体 の 不 調 を 伝 え 休 息 や 早 退 を 申 し 出 る4 体 調 管 理 ( 精 神 科 医 の 先 生 より) 悪 化 のサインとその 要 因 指 示 を 受 けて、 分 からないことを 質 問 する5 アロマテラピー 病 気 との 上 手 な 付 き 合 い 方 相 手 の 頼 みごとや 誘 いを 断 る6 雇 用 制 度 ・サービスについて 障 害 の 開 示 / 非 開 示 での 就 労 の 長 短 会 話 を 始 める7 ビジネスマナー ストレスマネジメント 会 話 を 切 り 上 げる・ 終 わらせる8 面 接 で 予 想 される 質 問 対 応 息 長 く 働 くための 求 職 条 件 話 したくない 話 題 を 避 ける9 面 接 の 受 け 方 と 練 習 人 に 頼 みごとをする10 履 歴 書 の 書 き 方 について 報 告 する11 模 擬 面 接 注 意 や 叱 責 に 対 応 する12 修 了 生 からの 話 フリーテーマ( 利 用 者 からの 提 案 )13 施 設 見 学14 ハローワークの 利 用 方 法15 事 業 所 体 験 実 習-163-


資 料 3-6職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ)による 支 援障 害 者 の 職 場 適 応 を 容 易 にするため、 職 場 にジョブコーチを 派 遣 し、・ 障 害 者 に 対 する 業 務 遂 行 力 やコミュニケーション 能 力 の 向 上 支 援・ 事 業 主 や 同 僚 などに 対 する 職 務 や 職 場 環 境 の 改 善 の 助 言 を 実 施◎ 支 援 内 容・ 障 害 特 性 に 配 慮 した 雇 用 管 理 に 関 する 助 言・ 配 置 、 職 務 内 容 の 設 定 に 関 する 助 言・ 業 務 遂 行 力 の 向 上 支 援・ 職 場 内 コミュニケーション 能 力 の 向 上 支 援・ 健 康 管 理 、 生 活 リズムの 構 築 支 援事 業 主( 管 理 監 督 者 ・ 人 事 担 当 者 )障 害 者ジョブコーチ上 司同 僚同 僚・ 障 害 の 理 解 に 係 る 社 内 啓 発・ 障 害 者 との 関 わり 方 に 関 する 助 言・ 指 導 方 法 に 関 する 助 言家 族・ 安 定 した 職 業 生 活 を 送 るための 家 族 の関 わり 方 に 関 する 助 言◎ 標 準 的 な 支 援 の 流 れ集 中 支 援不 適 応 課 題 を 分 析 し、集 中 的 に 改 善 を 図 る週 3~4 日 訪 問移 行 支 援支 援 ノウハウの 伝 授 やキーパーソンの 育 成 により、 支 援 の 主 体を 徐 々に 職 場 に 移 行週 1~2 日 訪 問支 援 期 間 1~7ヵ 月 ( 標 準 2~4ヵ 月 )( 地 域 センターの 場 合 )フォローアップ数 週 間 ~ 数 ヶ 月に 一 度 訪 問◎ジョブコーチ 配 置 数 (23 年 3 月 末 現 在 )計 1,142 人地 域 センターのジョブコーチ 306 人第 1 号 ジョブコーチ( 福 祉 施 設 型 ) 744 人第 2 号 ジョブコーチ( 事 業 所 型 ) 92 人◎ 支 援 実 績 (22 年 度 、 地 域 センター)支 援 対 象 者 数 3,302 人職 場 定 着 率 ( 支 援 終 了 後 6ヶ 月 ) 87.6%( 支 援 終 了 後 6ヵ 月 :21 年 10 月 ~22 年 9 月 までの 支 援 修 了 者 の 実 績 )-164-


資 料 3-7概 要精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターの 設 置 について精 神 障 害 者 に 対 するカウンセリング 等 を 行 うため 精 神 保 健 福 祉 士 等 の 資 格 を 有 する 精 神 障 害 者 就 職 サポーターを 配 置 してきたが、 平 成 23 年 度 から、 従 来 のカウンセリング 等 の 業 務 に 加 え 精 神 障 害 者 に 関 する 企 業 の 意 識 啓 発 、 雇 用 事 例 の 収 集 、 職 場 の 開 拓 、就 職 に 向 けた 準 備 プログラムや 職 場 実 習 の 実 施 、 就 職 後 のフォローアップなどを 行 う 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターとしてハローワークに 配 置 することにより、 精 神 障 害 者 に 対 する 総 合 的 かつ 継 続 的 な 支 援 を 行 う。ハローワーク 専 門 援 助 部 門精 神 障 害 者( 新 規 求 職 者 約 34,000 人 )精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター* 精 神 障 害 に 関 する 専 門 的 知 識 ・カウンセリングスキルを 有 する 者* 企 業 文 化 に 精 通 している 者○ 緊 張 感 や 不 安 感 が 非 常 に 強 い 者○ 生 活 面 での 課 題 がある 者○ 離 転 職 を 繰 り 返 す 者○ 障 害 受 容 や 認 知 が 十 分 でない 者○ 障 害 の 開 示 を 検 討 中 の 者○ 安 定 所 以 外 の 支 援 機 関 の 援 助 が得 られない 者 ( 約 7 割 )職 業 評 価支 援 依 頼従 来 の 就 職 サポーターの 業 務カウンセリング連 携専 門 機関 への誘 導事 業 主企 業 への働 きかけ拡 充 部 分 (H23)準 備 プログラムの実 施先 進 雇 用事 例 の収 集地 域 障 害 者職 業 センター準 備 支 援ジョブコーチ・ 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援センター・ 就 労 移 行 支 援・ 医 療 機 関 等意 識 啓 発求 人 開 拓フォローアップ職 場 実 習-165-


資 料 3-8 -166-


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資 料 3-9障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター就 職 を 希 望 されている 障 害 のある 方 、あるいは 在 職 中 の 障 害 のある 方 が 抱 える 課 題 に 応 じて、 雇 用 及 び 福 祉 の 関 係 機 関 との 連 携の 下 、 就 業 支 援 担 当 者 と 生 活 支 援 担 当 者 が 協 力 して、 就 業 面 及び 生 活 面 の 一 体 的 な 支 援 を 実 施 します。業 務 の 内 容< 就 業 面 での 支 援 >○ 就 業 に 関 する 相 談 支 援・ 就 職 に 向 けた 準 備 支 援 ( 職 業 準 備 訓 練 、職 場 実 習 のあっせん)・ 就 職 活 動 の 支 援・ 職 場 定 着 に 向 けた 支 援ハローワーク地 域 障 害 者職 業 センター事 業 主求 職 活 動 支 援技 術 的 支 援支 援 の 依 頼特 別 支 援 学 校 連 携職 場 適 応 支 援就 業 支 援○ 就 業 に 関 する 相 談 支 援○ 障 害 特 性 を 踏まえた 雇 用 管 理に 関 する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整障 害 のある 方一体的な支援相 談生 活 支 援○ 日 常 生 活 ・地 域 生 活 に 関する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整就 労 移 行 支基 礎 訓 練 の 援 事 業 者 等あっせん対 象 者 の 送り 出 し福 祉 サービス利 用 調 整保 健 サービスの利 用 調 整医 療 面 の 相 談福 祉 事 務 所保 健 所医 療 機 関○ 障 害 のある 方 それぞれの 障 害 特 性 を 踏まえた 雇 用 管 理 についての 事 業 所 に 対 する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整< 生 活 面 での 支 援 >○ 日 常 生 活 ・ 地 域 生 活 に 関 する 助 言・ 生 活 習 慣 の 形 成 、 健 康 管 理 、 金 銭 管 理等 の 日 常 生 活 の 自 己 管 理 に 関 する 助 言・ 住 居 、 年 金 、 余 暇 活 動 など 地 域 生 活 、生 活 設 計 に 関 する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整設 置 箇 所 数20 年 度 205センター21 年 度 265センター自 立 ・ 安 定 した 職 業 生 活 の 実 現※ 平 成 21 年 4 月 現 在 で246センター~ 就 労 支 援 機 関 の 役 割 と 連 携 ~-168-


資 料 4医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての調 査 研 究 委 員 会 設 置 要 綱1 目 的近 年 、 精 神 疾 患 の 患 者 数 が 増 加 しており、かつ 地 域 移 行 が 進 む 中 で、 就 労 意 欲 のある精 神 障 害 者 が 増 加 している。 医 療 機 関 に 対 しては、 従 来 から 労 働 行 政 において「 医 療 機関 等 との 連 携 によるジョブガイダンス 事 業 」を 実 施 するなど 連 携 が 推 進 されてきたところであり、 昨 今 、 就 労 支 援 に 力 を 入 れている 医 療 機 関 が 増 えてきているものの、その 実態 は 明 らかになっていない。このため、 障 害 者 職 業 総 合 センターでは、「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援の 実 態 についての 調 査 研 究 」( 以 下 「 本 研 究 」という。)を 実 施 し、 医 療 機 関 における精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 を 把 握 するとともに、 今 後 のハローワークや 地 域 障 害 者 職業 センター 等 との 連 携 のあり 方 を 検 討 していくこととしている。 本 研 究 の 企 画 ・ 運 営 に関 し 専 門 的 な 助 言 を 得 るため、「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 」( 以 下 「 研 究 委 員 会 」という。)を 設 置 するものとする。2 内 容研 究 委 員 会 は、 次 の 事 項 について 審 議 するものとする。イ 精 神 科 医 療 の 進 歩 による、 精 神 障 害 者 の 就 労 可 能 性 の 拡 大 の 最 新 の 状 況 及 び 医 療機 関 が 実 施 している 就 労 に 向 けた 支 援 の 現 状 認 識 に 関 すること。ロ 医 療 機 関 等 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 の 企 画 と 実 施 に 関 すること。ハ 医 療 機 関 等 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 結 果 の 分 析 や 考 察 に 関すること。ニ 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のための、 医 療 機 関 や 労 働 機 関 等 の 役 割 の 明 確 化 及 び 効 果的 な 連 携 やチーム 支 援 のあり 方 の 提 言 に 関 すること。ホ その 他 、 本 研 究 の 企 画 ・ 運 営 に 関 し 必 要 な 事 項 に 関 すること。3 運 営(1) 研 究 委 員 会 は、 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 に 知 見 を 有 する 専門 家 、 支 援 機 関 、 行 政 機 関 等 から 構 成 し、 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 主 幹 が 委嘱 するものとする。(2) 研 究 委 員 会 の 座 長 は、 構 成 員 の 中 から 互 選 により 選 出 する。(3) 研 究 委 員 会 は、 必 要 に 応 じて 他 の 関 係 者 の 出 席 を 求 めることができる。(4) 研 究 委 員 会 の 事 務 局 は、 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 に 置 く。(5) 研 究 委 員 会 の 議 事 内 容 については、 本 研 究 の 報 告 書 に 反 映 することとし、その 成 果は 障 害 者 職 業 総 合 センターに 帰 属 するものとする。4 設 置 期 間 等委 員 会 の 設 置 期 間 は 平 成 23 年 6 月 から 平 成 24 年 3 月 31 日 までとする。 委 員 の 任 期 も同 様 とする。-169-


資 料 5医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会議 事第 1 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 23 年 6 月 17 日 ( 金 ) 15 時 30 分 ~17 時 30 分 )(1) 研 究 委 員 会 設 置 要 綱 について(2) 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 の 現 状 認 識 について(3) 医 療 機 関 等 での 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 の 枠 組 みについて(4) その 他第 2 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 23 年 7 月 29 日 ( 金 ) 15 時 ~17 時 30 分 )(1) アンケート 調 査 要 綱 ・ 調 査 票 案 について(2) 医 療 機 関 等 のヒアリング 調 査 について(3) その 他第 3 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 24 年 1 月 27 日 ( 金 ) 15 時 ~17 時 30 分 )(1)アンケート 調 査 結 果 概 要 について(2) 報 告 書 の 内 容 について(3)ヒアリング 調 査 について(4) 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のための 地 域 連 携 のあり 方 ( 提 言 )について第 4 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 24 年 3 月 23 日 ( 金 ) 14 時 ~16 時 30 分 )(1) 報 告 書 ( 案 )について1 第 3 回 委 員 会 での「 報 告 書 イメージ」からの 修 正 ・ 追 加 事 項 について2 第 5 章 「 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言 」について3 報 告 書 の 今 後 のとりまとめについて(2)その 他-170-


ホームページについて本 冊 子 のほか、 障 害 者 職 業 総 合 センターの 研 究 成 果 物 については、 一 部 を 除 いて、 下記 のホームページから PDF ファイル 等 によりダウンロードできます。【 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 部 門 ホームページ】http://www.nivr.jeed.or.jp/research/research.html著 作 権 等 について視 覚 障 害 その 他 の 理 由 で 活 字 のままでこの 本 を 利 用 できない 方 のために、 営 利 を 目 的とする 場 合 を 除 き、「 録 音 図 書 」「 点 字 図 書 」「 拡 大 写 本 」 等 を 作 成 することを 認 めます。その 際 は 下 記 までご 連 絡 下 さい。なお、 視 覚 障 害 者 の 方 等 で 本 冊 子 のテキストファイル( 文 章 のみ)を 希 望 されるときも、ご 連 絡 ください。【 連 絡 先 】障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 企 画 部 企 画 調 整 室電 話 043-297-9067FAX 043-297-9057資 料 シリーズ No.71「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 」編 集 ・ 発 行発 行 日印 刷 ・ 製 本独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター〒261-0014千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3電 話 043-297-9067FAX 043-297-90572012 年 4 月株 式 会 社 こくぼ○C2012 障 害 者 職 業 総 合 センター-171-


ISSN 0918-4570

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