13.07.2015 Views

医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究

医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究

医療機関における精神障害者の 就労支援の実態についての調査研究

SHOW MORE
SHOW LESS

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

資 料 シリーズNo.71医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究2012 年 4 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター


資 料 シリーズNo.71医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究2012 年 4 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター


ま え が き障 害 者 職 業 総 合 センターは、「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」に 基 づき、 我 が 国 における 職 業 リハビリテーションの 推 進 とサービスの 質 的 な 向 上 に 貢 献 することをめざして、 職 業 リハビリテーションに 関 する 調 査 ・ 研 究 、 効 果 的 な 職 業 リハビリテーション 技 法 の 開 発 、 職 業 リハビリテーション 施 設 の 運営 ・ 指 導 、 職 業 リハビリテーションに 関 する 人 材 の 育 成 などの 業 務 を 行 っており、 調 査 研 究 の 成 果 は、調 査 研 究 報 告 書 等 の 形 で 取 りまとめ、 関 係 者 に 提 供 しております。本 資 料 シリーズは、 当 センター 研 究 部 門 における 特 別 研 究 15「 就 労 支 援 機 関 等 における 就 職 困 難 性 の高 い 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 の 現 状 と 課 題 に 関 する 調 査 研 究 ( 平 成 23 年 度 ~25 年 度 )」の 1 年 目 の 研究 として 実 施 した「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 」の 成 果 を 取 りまとめたものです。疾 病 性 と 障 害 性 をあわせもつ 精 神 障 害 の 特 性 を 踏 まえ、 精 神 障 害 のある 人 たちが 就 職 し 就 業 を 継 続 するために、 従 来 の 福 祉 と 労 働 の 連 携 の 枠 を 超 えた、 医 療 と 労 働 のより 直 接 的 で 密 接 な 連 携 のあり 方 について、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 の 実 態 調 査 の 結 果 、 及 び、 精 神 科 医 療 機 関 等 において 先 駆 的 に 取 り 組まれてきた 就 労 支 援 事 例 と 有 識 者 の 議 論 を 踏 まえて 明 らかにしました。本 書 が、 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 に 取 り 組 む 地 域 の 就 労 支 援 関 係 機 関 と、 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 の両 立 の 支 援 に 取 り 組 む 医 療 機 関 の 双 方 の 共 通 認 識 の 形 成 、 及 び、 今 後 の 医 療 と 就 労 支 援 の 統 合 的 な 支 援に 向 けた 取 組 に 向 けて、お 役 に 立 てれば 幸 いです。2012 年 4 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター研 究 主 幹 上 村 俊 一


本 調 査 研 究 の 企 画 ・ 運 営 にあたって 専 門 的 助 言 を 得 るため「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 」を 設 置 し、 調 査 の 企 画 等 と 実 施 、 結 果 の 分 析 と 考 察 、 及 び、 第 5 章における 提 言 についての 審 議 を 実 施 した。「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 」【 座 長 】松 為 信 雄神 奈 川 県 立 保 健 福 祉 大 学 社 会 福 祉 学 科 教 授【 委 員 】( 敬 称 略 五 十 音 順 )秋 場 美 紀 子五 十 嵐 良 雄池 淵 恵 美久 保 田 英 幹倉 知 延 章中 原 さとみ那 須 利 久根 本 真 理 子厚 生 労 働 省 障 害 者 雇 用 対 策 課 地 域 就 労 支 援 室 室 長 補 佐メディカルケア 虎 ノ 門 院 長帝 京 大 学 医 学 部 精 神 神 経 科 教 授国 立 病 院 機 構 静 岡 てんかん・ 神 経 医 療 センター 診 療 部 長九 州 産 業 大 学 国 際 文 化 学 部 臨 床 心 理 学 科 教 授桜 ヶ 丘 記 念 病 院 医 療 相 談 室 ・ 地 域 連 携 室 就 労 支 援 担 当障 害 者 職 業 総 合 センター 職 業 リハビリテーション 部 指 導 課 課 長 補 佐障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター アイ-キャリア 所 長( 肩 書 きは、 平 成 23 年 度 のもの)執 筆 担 当春 名 由 一 郎 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 主 任 研 究 員 )東 明 貴 久 子 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員 )第 2 章 ( 共 著 )清 水 和 代 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員 )第 3 章 ( 共 著 )研 究 担 当○ 春 名 由 一 郎亀 田 敦 志鴇 田 陽 子東 明 貴 久 子清 水 和 代障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 主 任 研 究 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 統 括 研 究 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 主 任 研 究 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 研 究 協 力 員


目次概 要 ······················································································ 1第 1 章 目 的 と 方 法 ········································································ 7第 1 節 問 題 意 識 ········································································ 7第 2 節 精 神 障 害 の 特 性 と 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 の 必 要 性 ······························ 7第 3 節 医 療 機 関 における「 就 労 支 援 」の 位 置 づけ ········································· 11第 4 節 本 研 究 の 目 的 ··································································· 14第 5 節 研 究 方 法 の 概 要 ································································· 14第 2 章 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 保 健 医 療 との 統 合 の 重 要 性 ( 海 外 文 献 レビュー) ········· 15第 1 節 はじめに ······································································· 15第 2 節 目 的 ··········································································· 15第 3 節 方 法 ··········································································· 15第 4 節 結 果 ··········································································· 19第 5 節 考 察 ··········································································· 33第 6 節 文 献 ··········································································· 38第 3 章 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 についての 国 内 文 献 レビュー ······················· 39第 1 節 はじめに ······································································· 39第 2 節 目 的 ··········································································· 39第 3 節 方 法 ··········································································· 39第 4 節 結 果 ··········································································· 40第 5 節 考 察 ··········································································· 46第 6 節 文 献 ··········································································· 48第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態 ··································· 49第 1 節 はじめに ······································································· 49第 2 節 方 法 ··········································································· 49第 3 節 調 査 回 収 状 況 と 日 常 的 な 就 労 支 援 実 施 による 機 関 の 群 分 け ··························· 52第 4 節 職 業 上 の 課 題 状 況 と 就 労 支 援 の 関 係 ··············································· 58第 5 節 回 答 者 の 就 労 支 援 への 関 わりの 状 況 とその 効 果 ····································· 62


第 6 節 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 とその 効 果 ········································· 68第 7 節 医 療 機 関 における 局 面 別 の 就 労 支 援 の 取 組 状 況 とその 効 果 ··························· 73第 8 節 疾 患 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況 とその 効 果 ····························· 87第 9 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 の 状 況 とその 効 果 ································· 96第 10 節 自 由 記 載 の 内 容 ······························································· 114第 11 節 考 察 ········································································· 122第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言 ···················································· 127第 1 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の「 連 携 」の 現 状 と 課 題 ································ 127第 2 節 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワークの 拠 点 整 備 の 意 義 と 課 題 ········ 132第 3 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 雇 用 支 援 制 度 の 統 合 的 な 活 用 の 可 能 性 ···························· 136第 4 節 提 言 ·········································································· 139巻 末 資 料 ················································································ 141資 料 1 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるために 医 療 機 関 等 で 実 施 されている 取 組 の 状 況 に関 する 調 査 票 ································································ 141資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容 ······································ 149資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について ············································ 155資 料 4 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 設 置 要 綱 ···· 169資 料 5 調 査 研 究 委 員 会 議 事 内 容 ······················································ 170


概 要概要固 定 した 障 害 ではなく「 疾 病 性 」をもつ 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のあり 方 について、 国 内 外 の 先 行 研 究 等 の文 献 から「 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 」という 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 共 通 目 標 を 明 確 にするとともに、わが 国 の 医 療 機 関 に 対 するアンケート 調 査 によりその 取 組 や 課 題 の 状 況 を 明 らかにし、 今 後 、 労 働 機 関 側 の 取組 と 合 わせ、 精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 を 地 域 全 体 で 支 えるために 必 要 な 体 制 整 備 について、有 識 者 による 議 論 と 提 言 をまとめた。第 1 章 目 的 と 方 法精 神 障 害 は 固 定 した 障 害 ではなく、「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 両 面 が 複 雑 に 相 互 作 用 する。そのため、 精 神障 害 の 就 労 支 援 においては、 労 働 機 関 を 中 心 とした 取 組 と 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 を、それぞれの 専 門 性を 活 かしつつ 効 果 的 に 連 携 させることが 重 要 課 題 となっている。本 研 究 においては、 精 神 障 害 者 の「 就 労 支 援 」について、 労 働 機 関 による 狭 義 の 就 労 支 援 の 範 囲 として 排他 的 に 限 定 するのではなく、むしろ、 医 療 機 関 による 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 、 家 族 支 援 と 一 体 不 可 分 な、 就 労と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 統 合 的 な 支 援 として 捉 えた。精 神 障 害 の 医 療 ・ 生 活 支 援狭 義 の 就 労 支 援生 活 支 援疾 患 自 己 管 理 支 援家 族 支 援精 神 障 害 者 の就 労 と 疾 患 管 理 の両 立 を 支 える 支 援就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援就 労 と 生 活 の 一 体 的 支 援図 1精 神 障 害 者 の 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 支 援精 神 障 害 のある 人 の 就 労 と 生 活 、 疾 患 管 理 等 を、 社 会 全 体 でより 効 果 的 に 支 えるためのあり 方 を 検 討 するため、 近 年 、 医 療 機 関 において 活 発 に 実 施 されている 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 取 組 の 実 態 を 明らかにすることを 本 研 究 の 目 的 とした。そのために、 医 療 機 関 による 就 労 支 援 に 関 する 国 内 外 の 文 献 調 査 、また、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 を 対象 とした 全 国 アンケート 調 査 を 実 施 した。それらの 結 果 を 踏 まえて 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 における 医療 機 関 等 の 役 割 や 労 働 関 係 機 関 との 連 携 等 について、 調 査 研 究 委 員 会 における 有 識 者 の 議 論 と 提 言 をまとめた。-1- - 1 -


概 要第 2 章 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 保 健 医 療 との 統 合 の 重 要 性 ( 海 外 文献 レビュー)米 国 では 1990 年 代 からの 様 々な 研 究 の 積 み 重 ねに 基 づき、 米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依 存 精 神 保 健 サービス 部(SAMHSA)が、 就 労 支 援 に 限 らず、 精 神 障 害 のある 人 への 様 々な 支 援 について Evidence-Based Practices( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 : 以 下 「EBP」という。)を 明 らかにしている。 第 2 章 では、 米 国 を 中 心 とした 近年 の EBP のあり 方 を 確 立 する 基 盤 となった 様 々な 実 証 研 究 を 精 査 し、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 が 実証 されている 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 壁 を 超 えた 取 組 とその 就 労 成 果 について 明 らかにした。各 文 献 で 取 り 上 げられている 就 労 支 援 の 内 容 を、その 名 称 にかかわらず、「 援 助 付 き 雇 用 モデル- 職 業 準 備性 モデル」、「 医 療 支 援 ・ 統 合 強 - 医 療 支 援 ・ 統 合 弱 」の2 軸 によって 機 能 的 に4 類 型 化 し( 図 2)、 就 労 支 援成 果 を 類 型 にしたがって 系 統 的 に 比 較 した。援 助 付 き 雇 用 モデル↑医 療 支 援 ・←統 合 弱2医 療 と 統 合 されていない 援助 付 き 雇 用 モデル4医 療 と 統 合 されていない 職業 準 備 性 モデル↓職 業 準 備 性 モデル図 2 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のタイプの 分 類1医 療 と 統 合 された 援 助 付 き雇 用 モデル3医 療 と 統 合 された 職 業 準 備性 モデル→医 療 支 援 ・統 合 強その 結 果 、 収 集 した 海 外 の 実 証 的 研 究 における、 様 々なタイプの 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 成 果 の 比 較 を 総合 すると、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 類 型 の 就 労 支 援 の 取 組 が、 他 の3 類 型 と 比 較 して 一 貫して 最 も 高 い 就 業 成 果 を 示 しており、さらに、 統 合 される 医 療 側 の 様 々な 取 組 により、より 高 い 就 業 成 果 が認 められていることが 明 らかになった。第 3 章 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 についての 国 内 文 献 レビュー近 年 、わが 国 においても、 精 神 障 害 の 就 労 支 援 への、 医 療 機 関 等 による 取 組 が 多 く 報 告 されている。そのような 取 組 には、EBP への 準 拠 を 謳 うものだけでなく、わが 国 の 医 療 や 生 活 支 援 の 現 場 から 発 展 してきたものもある。そこで、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 から 文 献 等 で 報 告 されている 就 労 支 援 と 医 療 / 生 活 支 援 の 具 体的 内 容 を、EBP 適 合 性 尺 度 項 目 を 活 用 して、 網 羅 的 に 分 類 した。その 結 果 、わが 国 の 医 療 機 関 から 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 として 報 告 されている 具 体 的 内 容 は、デイケアや 作 業 療 法 等 の 医 療 機 関 としての 取 組 の 枠 組 にありながら、 国 際 的 に EBP とされる 取 組 の 要 素 と 一 致 点がみられた。 援 助 付 き 雇 用 モデル 適 合 性 尺 度 に 合 致 する 就 職 前 から 就 職 後 にわたる 就 職 支 援 への 取 組 が 多 く-2- - 2 -


概 要報 告 されるようになっており、また、 職 場 適 応 や 就 業 継 続 への 医 療 の 重 要 性 を 示 す 支 援 内 容 の 報 告 も 多 いことが 明 らかとなった。ただし、 医 療 機 関 として 実 施 可 能 な 範 囲 が 中 心 であり、 外 部 の 就 労 支 援 者 との 密 接 な連 携 、 復 職 支 援 での 産 業 医 との 連 携 の 例 もみられ、これは、 歴 史 的 、 制 度 的 背 景 等 から、 医 療 機 関 に 専 任 の就 労 支 援 者 を 置 くことが 困 難 な 現 状 における、わが 国 での EBP への 取 組 の 特 徴 と 考 えられた。第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態1 アンケート 調 査 の 目 的全 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 における、 就 職 ・ 復 職 等 のニーズへの 対 応 として、 狭 義 の 就 労 支 援 だけでなく、職 業 生 活 を 支 えることに 効 果 のある 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 等 を 含 む 取 組 の 現 状 、その 成 果 や 課 題 、 及 び、 今 後のあり 方 の 意 向 についてのアンケート 調 査 を 実 施 した。2 調 査 方 法多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 特 に 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、 幅 広 い 精 神 科 医 療 機 関等 を 対 象 として、 精 神 病 院 、 精 神 科 クリニック、てんかん 専 門 医 、 保 健 医 療 関 連 センター 等 とし、 各 機 関 において、 精 神 疾 患 等 のある 人 の、 就 職 ・ 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 への 主 担 当 者 、 就 職 ・ 復 職 相 談 等 が特 にない 場 合 には、より 一 般 的 に 生 活 面 の 相 談 や 支 援 の 担 当 者 への 調 査 を 実 施 した。医 療 機 関 の「 就 労 支 援 」についての 調 査 内 容 は、 各 機 関 における 就 労 支 援 や 復 職 支 援 等 の 標 榜 の 有 無 にかかわらず、 第 3 章 で 明 らかとなった、 精 神 障 害 のある 人 の 就 職 や 就 業 継 続 に 効 果 があると 考 えられる 様 々な取 組 を 網 羅 するものとした。3 結 果わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 においては、 診 断 治 療 を 中 心 とした 機 関 だけでなく、 医 療 ・ 生 活 支 援 を 統 合 した取 組 を 実 施 している 機 関 も 多 くあり、 後 者 の 機 関 では、さらに、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的 取 組 も 広 がっている 状 況 が 明 らかになった。そのような「 就 労 支 援 」は、 必 ずしも 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム」の 形 態 ではなく、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 局 面 における 職 業 上 の 課 題 の 解 決 につながる様 々な 取 組 であり、 疾 患 自 己 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 等 との 関 係 も 強 かった。そのような 取 組 は、 医 療 機関 が 自 ら 実 施 する 場 合 だけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 協 力 や 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 によりさらに 効 果 的となる 可 能 性 も 示 された。(1) 調 査 の 回 答 状 況 と、 日 常 的 な 就 労 支 援 の 有 無 別 の 分 析本 調 査 は、757 機 関 から 872 通 の 回 答 を 得 た。 機 関 の 回 収 率 は 19.5%であり、デイケア 等 を 実 施 している機 関 やリワーク 支 援 を 実 施 している 機 関 からの 回 収 率 が 比 較 的 高 く、 一 般 の 精 神 科 診 療 所 では 比 較 的 低 かった。 多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、それ 以 外 の 473機 関 を 分 けて 分 析 した。-3- - 3 -


概 要(2) 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 への 各 機 関 の 認 識医 療 機 関 においては、 就 労 支 援 への 日 常 的 取 組 のない 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 問 題 の 認 識 自 体 必 ずしも 十 分 ではなく、 逆 に、 日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 ほど 課 題 認 識 が 多 かった。ただし、 具 体 的な 取 組 によって、 単 に 課 題 認 識 が 多 くなっているだけでなく、その 問 題 の 解 決 にもつながっていることも 明らかとなった。(3) 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 医 師 、 精 神 保 健 福 祉 士 、 作 業 療 法 士 等 が 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 で 実 施している 場 合 が 多 かった。これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 職 による 就 労 支 援 への 取 組 のための 専 門 的 情 報 源 としては、 図 書 ・ 論 文 等 や 学 会 ・ 研 究 会 等 が 主 となっていた。 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 任 で 就 労 支 援 を 実 施 し、また、就 労 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 等 を 図 書 ・ 論 文 、 学 会 ・ 研 究 会 等 から 得 ている 場 合 が、 最 も 職 業 上 の 課 題 の 解決 につながっていた。(4) 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム」 等 の 実 施 状 況医 療 機 関 等 における 就 職 ・ 復 職 プログラムは、 具 体 的 には 気 分 障 害 の 復 職 支 援 リワーク、 継 続 的 デイケア、就 職 ミーティング 等 であり、 利 用 者 は 年 間 10~30 名 が 多 く、 主 要 な 運 営 資 金 はデイケア 等 の 診 療 報 酬 であった。 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 自 機 関 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職 プログラムによるだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 により 就 労 支 援 の 成 果 をあげている 機 関 も 多 かった。(5) 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する「 就 労 支 援 」の 取 組精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する 様 々な 取 組 という 意 味 での「 就 労 支 援 」の 取 組 状況 については、 日 常 的 な 就 労 支 援 がある 医 療 機 関 等 では、 個 々の 取 組 には 医 療 機 関 と 外 部 機 関 の 役 割 分 担 の特 徴 があるものの、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 就 労 支 援 が 提 供 されていることが 明 らかになった。 一 方 、日 常 的 な 就 労 支 援 の 取 組 のない 機 関 では 取 組 は 少 ないが、それでもほとんどの 取 組 を「 患 者 のためには 必 要であるが 実 施 なし」と 考 えており、「 必 要 なし」とされた 取 組 はほとんどなかった。また、それらの 就 労 支 援 への 効 果 としては、 就 職 活 動 支 援 が 就 職 活 動 の 問 題 解 決 につながるというような直 接 的 な 関 係 だけでなく、 就 職 前 の 取 組 と 就 職 後 の 疾 患 管 理 や 職 場 理 解 との 関 係 のような 様 々な 関 係 が 認 められた。また、 医 療 機 関 が 自 らあるいは 外 部 機 関 と 協 力 して 行 う 場 合 に 効 果 の 高 い 取 組 等 も 明 らかになった。(6) 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況直 接 の「 就 労 支 援 」と 考 えられることは 少 ないものの、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 支 援 として 重 要 と 考 えられる、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 について、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 等 では、 全 般 的 にこれらへの 取 組 も 多 く、 一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、これらの 取 組 が 全 般 的 に 少 ないことが 明 らかとなった。特 に、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」 全 般 、「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」「 地 域 生 活 での 危 機 的 状況 への 対 応 体 制 」「 家 族 向 けのセミナー 等 」は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 において、 就 職 前 から 就職 後 の 様 々な 職 業 的 課 題 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。さらに、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においても、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」「 生 活 支 援 」「 家 族 支 援 」の 取 組 は、 多 くの 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。-4- - 4 -


概 要(7) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組現 在 のわが 国 における、 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組 は、 就労 支 援 を 自 機 関 が 主 に 取 り 組 む 機 関 から、 特 に 就 労 支 援 への 取 組 のない 機 関 まで、また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労支 援 の 連 携 促 進 が 機 能 し、 就 労 支 援 機 関 との 日 常 的 な 職 業 評 価 や 支 援 のケースワークが 実 施 されている 機 関から、 診 断 治 療 専 門 の 機 関 まで 多 様 であった。 現 在 、これらの 連 携 については、 取 組 は 少 なく 課 題 も 多 い 状況 が 確 認 された 一 方 で、 連 携 の 取 組 が 実 施 され 機 能 している 機 関 ほど、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決にもつながっていた。第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言生 活 支 援 や 就 労 支 援 と、 医 療 的 な 疾 患 管 理 が 密 接 に 相 互 関 係 をもつことは、 精 神 障 害 の 大 きな 特 徴 である。これまでも、 精 神 科 医 療 と 福 祉 や 就 労 との 連 携 の 重 要 性 については、 実 践 現 場 からも 行 政 からも 強 調 され、様 々な 取 組 が 行 われてきたところである。その 一 方 で、 医 療 機 関 における 医 療 や 生 活 支 援 の 成 功 のために、就 労 支 援 が 重 要 であるという 認 識 も 広 がっている。しかし、これまで、わが 国 においては、 精 神 障 害 のある 人 への 統 合 された 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 効 果 的に 実 施 するための 地 域 ネットワークの 体 制 は 未 整 備 であり、 各 地 の 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 関 係 者 による 好 事 例 はインフォーマルな 取 組 による 場 合 が 多 い。そのような 精 神 障 害 者 の 特 徴 、 及 び、 地 域 における 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 連 携 のための 課 題 を 踏 まえ、 医療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 地 域 ネットワークに 向 けた 単 なる「 連 携 」の 掛 け 声 を 超 えて、 具 体 的 に 実 施 可 能 な 医療 機 関 と 雇 用 支 援 制 度 を 連 動 させた 共 同 事 業 の 可 能 性 、 及 び、その 実 施 のための 医 療 機 関 側 の 拠 点 整 備 の 必要 性 について、 研 究 委 員 会 の 議 論 と 提 言 をまとめた。1 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の「 連 携 」の 現 状 と 課 題精 神 障 害 者 の 支 援 のために、 従 来 から、 地 域 において 医 療 、 福 祉 、 就 労 支 援 等 の 連 携 の 重 要 性 が 唱 えられてきたにもかかわらず、「 疾 病 」と「 障 害 」が 共 存 している 精 神 障 害 への 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体的 に 応 える 効 果 的 な 支 援 の 実 現 は、 現 状 では 一 部 の 機 関 での 制 度 上 の 限 界 を 超 えたインフォーマルな 支 援 による 場 合 が 多 い。2 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワークの 拠 点 整 備 の 意 義 と 課 題従 来 の、 障 害 者 雇 用 支 援 の 地 域 連 携 体 制 においては、 就 労 支 援 機 関 は 福 祉 機 関 や 教 育 機 関 からの 移 行 や 連携 が 主 に 想 定 されてきた。 現 在 、わが 国 の 地 域 においては、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援 と、 雇 用 支 援 制 度 や 労 働機 関 側 の 就 労 支 援 の 間 の 担 当 者 同 士 の 交 流 は 限 られている。しかし、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 ニーズに 的 確 に対 応 するためには、 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 がより 密 接 に 連 携 することにより、 両 者 の 専 門 性 の 相 乗 効 果 を生 むことが 不 可 欠 である。このような 精 神 障 害 者 の 地 域 連 携 へのニーズは、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害 ではなく 疾 病 性 をもっているこ-5- - 5 -


概 要とによるものであり、そのような 特 徴 が、 地 域 連 携 や 医 療 等 の 制 度 において 十 分 に 反 映 されていないため、現 在 、 十 分 な 成 果 をもたらす 地 域 ネットワークが 確 立 できていない。その 意 味 で、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 には、 地 域 連 携 体 制 の 新 たな 課 題 が 存 在 する。研 究 委 員 会 では、そのような 現 状 の 地 域 連 携 の 課 題 と、 今 回 の 調 査 で 明 らかとなった、 地 域 における 精 神科 医 療 機 関 の 状 況 や、 実 際 にインフォーマルで 実 施 されている 様 々な 地 域 連 携 の 好 事 例 を 踏 まえ、 精 神 障 害者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 を 地 域 で 支 えるネットワークの 中 心 となる 医 療 機 関 と 支 援 者 の 意 義 と、それを 機 能 させるための 具 体 的 な 課 題 について 議 論 した。3 医 療 ・ 生 活 支 援 と 雇 用 支 援 制 度 の 統 合 的 な 活 用 の 可 能 性今 回 の 調 査 結 果 では、 医 療 機 関 等 において、 様 々な 就 労 支 援 の 取 組 の 必 要 性 については 広 く 認 識 されていることが 明 らかになった 一 方 で、 実 際 の 実 施 については「 患 者 にとって 必 要 だができない」とする 機 関 が 多かった。 実 際 の 就 労 支 援 の 様 々な 取 組 については、 医 療 ・ 生 活 支 援 の 意 義 があるとしても、 支 援 の 専 門 性 や利 用 できる 社 会 資 源 の 点 から、 必 ずしも 医 療 機 関 で 実 施 すべきとは 考 えられないものも 多 く、 実 際 の 調 査 結果 でも、 個 々の 取 組 によっては、 自 機 関 を 主 とした 取 組 が 少 なく、 外 部 機 関 との 協 力 や 外 部 機 関 が 主 になった 取 組 が 多 いものもあった。また、 今 回 の 調 査 結 果 によると、 医 療 機 関 において、 精 神 障 害 者 が 活 用 できる雇 用 支 援 制 度 の 認 知 や 活 用 意 向 は 多 い 一 方 で、 実 際 の 活 用 経 験 が 少 なかった。これらの 結 果 を 踏 まえ、 特 に 医 療 機 関 等 が 自 機 関 では 実 施 しにくい 就 労 支 援 の 取 組 、あるいは、 積 極 的 に就 労 支 援 の 専 門 支 援 者 との 協 力 で 実 施 することが 効 果 的 な 取 組 について、 具 体 的 な 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活用 のあり 方 を 明 確 化 し、 積 極 的 に 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 を 促 進 することが 重 要 である。4 提 言統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 ・ 程 度 にかかわらず、 精 神 障 害 のある 人 たちが 地 域 でその人 らしく 生 活 ・ 人 生 を 送 れるようにするためには、 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 に 向 けた 社 会 的 支援 が 不 可 欠 である。しかし、 精 神 障 害 のある 人 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 対 応 できる、 地 域 における支 援 体 制 が 未 整 備 である。その 問 題 解 決 のため、 医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 今 後 共 同 で 実 施 することが 可 能 であり 効 果 が 見 込 まれる 具 体的 な 事 業 内 容 を 明 確 化 しその 確 実 な 実 施 を 促 進 すること、 及 び、その 実 施 のための、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援担 当 者 の 整 備 を 提 言 した。これは、 今 後 の 就 労 支 援 の 成 果 向 上 が 期 待 でき、 医 療 機 関 でも 必 要 性 の 共 通 認 識 やニーズが 高 い 事 項 への支 援 のための、 労 働 行 政 のあり 方 に 絞 ったものであり、 就 労 支 援 機 関 側 から、 医 療 機 関 に 積 極 的 に 働 きかけることにより、 精 神 障 害 のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 ができる 社 会 体 制 の 整 備 を 進 めることを 目 指すものである。-6- - 6 -


第 1 章 目 的 と 方 法第 1 章 目 的 と 方 法第 1 節 問 題 意 識近 年 、 精 神 疾 患 の 患 者 数 が 増 加 しており、かつ 地 域 移 行 が 進 む 中 で、 就 労 意 欲 のある 精 神 障 害 者 が 増 加 している。 実 際 、ハローワークにおいても、 精 神 障 害 者 の 求 職 者 は 年 々 増 加 しており、また、 平 成 18 年 度 から企 業 の 雇 用 率 に 特 例 的 に 算 定 されるようになったことを 受 け、 企 業 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 も 進 みつつあり、 平成 22 年 度 は 約 1 万 人 の 者 が 従 業 員 56 人 以 上 の 規 模 の 企 業 に 雇 用 されている( 平 成 22 年 度 障 害 者 雇 用 状 況報 告 )。精 神 障 害 は 就 職 後 も 治 療 状 況 、 生 活 場 面 や 職 業 場 面 での 環 境 的 状 況 等 により 症 状 変 化 の 可 能 性 があるため、職 業 リハビリテーションでは 特 に 医 療 機 関 との 連 携 が 重 要 である。 従 来 から 労 働 行 政 において「 医 療 機 関 等との 連 携 によるジョブガイダンス 事 業 」を 実 施 するなど 医 療 機 関 との 連 携 に 努 めてきたところである。その 一 方 で、 精 神 障 害 のある 人 の 生 きがいや 生 活 の 質 の 支 援 のためには 就 労 支 援 の 意 義 が 大 きく、 医 療 機関 においても 就 労 支 援 に 力 を 入 れている 機 関 が 増 えてきているものの、その 実 態 は 明 らかになっていない。労 働 機 関 を 中 心 とした 取 組 と 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 を、それぞれの 専 門 性 を 活 かしつつ 効 果 的 に 連 携させることが、 精 神 障 害 のある 人 への 就 労 支 援 における 重 要 な 課 題 となっている。第 2 節 精 神 障 害 の 特 性 と 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 の 必 要 性精 神 障 害 の 就 労 支 援 において 医 療 機 関 との 関 わりが 重 要 となる 根 本 的 な 原 因 は、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害ではなく、「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 両 面 が 複 雑 に 相 互 作 用 する 特 性 があるからである。1 精 神 障 害 の 障 害 構 造 の 特 徴精 神 障 害 は、 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 にかかわらず、 程 度 の 差 はあれ、 慢 性 疾 患 としての 特 徴 がある。そのため、 一 面 では 医 学 的 治 療 を 要 する「 疾 病 性 」があり、 別 の 面 では 生 活 や 人 生 の 問題 への 支 援 を 要 する「 障 害 性 」を 有 している。(1) 慢 性 疾 患 としての 精 神 障 害予 防 医 学 の 予 防 の 概 念 では、カプランのいう 第 1 次 予 防 ( 疾 病 の 予 防 。 健 康 への 啓 発 、 健 康 増 進 、 特 殊 予防 、 例 えば 教 育 、 予 防 接 種 など)、 第 2 次 予 防 ( 重 症 化 の 防 止 や 疾 病 の 早 期 発 見 と 早 期 措 置 、 適 切 な 医 療 と 合併 症 対 策 、 例 えば 健 康 診 断 や 治 療 など)、 第 3 次 予 防 ( 疾 病 の 再 発 防 止 、 例 えばリハビリテーションなど)に分 けられる。このような 概 念 の 元 、 医 療 機 関 で 行 われる 通 常 の 治 療 は 第 2 次 予 防 、そして 医 学 的 リハビリテーションは 第 3 次 予 防 に 位 置 づけられる。 医 療 機 関 が 精 神 障 害 者 に 対 して 生 活 支 援 や 就 労 支 援 を 行 う 場 合 、精 神 科 リハビリテーションという 第 3 次 予 防 と 位 置 づけられてきた( 図 1-1)。ただし、 第 1 次 予 防 、 第 2 次 予 防 、 第 3 次 予 防 の 概 念 は 急 性 疾 患 の 自 然 史 を 背 景 にしたものであり、 疾 患が 完 治 しにくかったり、 再 発 ・ 再 燃 の 可 能 性 が 残 存 する 精 神 疾 患 のような 慢 性 疾 患 ではそれらが 段 階 的 に 推移 することはなく、むしろ 並 行 的 に 実 施 されることが 特 徴 となる。-7- - 7 -


第 1 章 目 的 と 方 法精 神 科 リハビリテーションも 当 初 は、 陰 性 症 状 等 症 状 が 固 定 した 場 合 が 対 象 となることが 多 かった。しかし、 近 年 の 精 神 科 医 療 の 進 歩 により、 疾 病 性 が 固 定 していない 状 況 において 疾 患 管 理 を 継 続 しながら、 生 活面 の 支 援 を 並 行 することが 可 能 となってきた。このような 状 況 は、 従 来 の 急 性 疾 患 の 自 然 史 とは 異 なる、 慢性 疾 患 の 特 徴 を 踏 まえた 支 援 のあり 方 が 必 要 であることを 意 味 する。急 性 疾 患死 亡慢 性 疾 患死 亡感染等潜伏期発症治癒後遺症疾 患 の 慢 性 化予防1 次予 防早期発見2 次予 防診断治療ー リシ ハョ ビン リテ3 次予 防・ 経 過 観 察・ 継 続 的 受 療・ 自 己 管 理・ 環 境 の 整 備・リハビリテーション・ 無 理 のない 仕 事 と 配 慮図 1-1 急 性 疾 患 と 慢 性 疾 患 の 自 然 史 と 医 療 ・リハビリテーションの 関 係 の 模 式 図(2) 精 神 障 害 の「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 障 害 構 造 論統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 は、 医 学 的 な 診 断 や 治 療 の 対 象 となる「 疾 患 」である 一 方 で、 生 活 や人 生 に 影 響 し 支 援 を 必 要 とする「 障 害 」でもある。世 界 保 健 機 関 WHO が 2001 年 に 提 唱 した ICF 国 際 生 活 機 能 分 類 において、 健 康 に 関 しては、 病 因 論 的 な「 疾 病 」の 視 点 と、 健 康 状 態 による 生 命 ・ 生 活 ・ 人 生 への 影 響 としての「 生 活 機 能 / 障 害 」の 視 点 の 両 面 から 捉 えることの 重 要 性 が 示 されている。「 疾 患 」は 医 学 的 な 診 断 や 治 療 の 観 点 、「 障 害 」は 生 活 や 人 生 の 影 響に 対 する 支 援 の 観 点 からの 捉 え 方 である( 図 1-2)。 精 神 障 害 のように、 疾 患 治 療 が 継 続 していたり、 症 状 が変 動 したり、あるいは、 再 発 防 止 のための 自 己 管 理 や 配 慮 が 必 要 であったり 等 、 健 康 状 態 による 生 活 や 人 生への 大 きな 影 響 のある 状 態 についても、 障 害 に 含 まれる。-8- - 8 -


第 1 章 目 的 と 方 法診 断 ・ 治 療 の 対 象健 康 状 態疾 患 性 ( 統 合 失 調 症 、 気分 障 害 、てんかん、 等 )心 身 機 能 ・構 造障 害 性活 動参 加リハビリテーションの 対 象環 境 因 子個 人 因 子図 1-2 ICF 国 際 生 活 機 能 分 類 の 概 念 枠 組 による 精 神 障 害 の「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」の 整 理2 精 神 障 害 における 医 学 的 治 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 密 接 な 関 係精 神 障 害 の 場 合 、 精 神 病 状 が 必 ずしも 固 定 していないため、 就 労 支 援 の 成 果 が 精 神 症 状 の 再 燃 により 崩 れ去 ることが 起 こりうる。 職 業 生 活 上 の 身 体 的 ・ 精 神 的 負 荷 、 人 間 関 係 、 生 活 上 の 問 題 等 は、 精 神 疾 患 を 悪 化させるリスク 要 因 となる 一 方 で、 適 切 な 仕 事 内 容 や 職 場 配 慮 の 検 討 は、 精 神 症 状 の 安 定 や 疾 患 管 理 の 成 績 に大 きく 影 響 する。したがって、 精 神 障 害 においては、その「 疾 病 性 」と「 障 害 性 」に 対 する 医 学 的 治 療 、 生活 支 援 、 就 労 支 援 が 密 接 に 関 わることが 大 きな 特 徴 となっている。(1) 治 療 と 就 労 支 援 の 密 接 な 関 係ア 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 の 課 題 がある身 体 障 害 や 知 的 障 害 の 就 労 支 援 と 比 べて、 精 神 障 害 では 疾 患 治 療 や 症 状 管 理 と 一 体 的 に 支 援 する 必 要 があることが 特 徴 である。わが 国 の 精 神 障 害 者 には、 気 分 障 害 による 休 職 者 や、てんかんで 薬 を 飲 んでいれば 状態 が 良 くて 普 通 に 勤 務 できている 人 等 、そこまで 重 い 生 活 障 害 を 伴 わない 場 合 もある。しかし、 疾 病 性 が 非常 に 強 く、 医 療 との 関 わりが 就 労 支 援 において 重 要 である 点 では 共 通 している。 統 合 失 調 症 でも 気 分 障 害 でも、 疾 患 の 治 療 や 本 人 の 疾 患 の 理 解 が 就 業 継 続 に 不 可 欠 であるという 意 味 で 同 様 である。精 神 障 害 の 場 合 、 医 学 的 治 療 で 症 状 が 改 善 されても 就 職 ・ 復 職 後 に 病 状 が 悪 化 する 可 能 性 がある。また、精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 を 進 め 業 務 成 績 の 向 上 を 目 指 してもそれが 精 神 的 ストレスとなるリスクについての 考慮 も 必 要 である。その 意 味 で、 精 神 障 害 者 においては、 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 はどちらか 一 方 を 目 標 とすることには 限 界 があり、その 両 立 を 目 指 すことが 必 要 となる。イ 医 療 的 支 援 が 就 労 支 援 の 一 体 的 実 施以 上 の 特 性 から、 精 神 障 害 のある 人 の 場 合 、ここまでは 医 療 的 な 準 備 でここから 先 が 就 労 支 援 といった 区別 が 難 しい。 職 場 における 理 解 や 配 慮 によって 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 が 大 きく 影 響 される 一 方 で、 医 療 的 な 疾患 管 理 や 生 活 支 援 によって 症 状 を 安 定 させることで 職 場 の 理 解 や 配 慮 も 進 みやすくなるという 一 面 もあり、非 常 に 密 接 な 関 係 がある。てんかんにおいても、 心 理 社 会 的 治 療 は 疾 患 の 自 己 管 理 に 有 効 で、 発 作 の 減 少 にもつながる。てんかん 患者 の 医 学 的 リハビリテーションとして 心 理 社 会 的 治 療 は 就 労 支 援 有 効 である。-9- - 9 -


第 1 章 目 的 と 方 法(2) 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 一 体 性ア 医 療 ・ 生 活 支 援 のための 就 労 支 援 、 就 労 支 援 のための 医 療 ・ 生 活 支 援精 神 障 害 では、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 問 題 が 複 合 している 例 が 多 く、 就 職 後 の 就 業 継 続 には 疾 患 管 理 や 生 活管 理 が 重 要 となる。そのため、 職 業 リハビリテーションのために 医 療 ・ 生 活 支 援 が 重 要 な 役 割 があるだけでなく、 医 療 や 生 活 支 援 を 目 的 とする 医 療 機 関 にとっても、 職 業 場 面 において 心 理 社 会 的 視 点 による「 就 労 支援 」を 行 うことには 重 要 な 意 義 がある。イ 錯 綜 した 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 のニーズを 切 り 分 けていく 支 援 の 重 要 性精 神 障 害 においては、 医 療 、 生 活 、 就 労 等 の 問 題 状 況 が 錯 綜 するケースが 多 いが、 多 職 種 のケースワークにより、 問 題 の 切 り 分 けが 適 正 に 行 えないと、 連 携 もネットワークも 機 能 しない。 例 えば、 強 い 抑 うつ 状 態で 自 殺 の 一 歩 手 前 までいった 事 例 で、 精 神 科 の 訪 問 看 護 師 が 自 宅 での 生 活 状 況 を 把 握 し 情 報 共 有 したことで、治 療 や 就 労 支 援 の 問 題 が 一 気 に 解 決 した 例 がある。医 療 、 生 活 、 就 労 、 家 族 支 援 等 の 複 合 的 ニーズに 対 して、 医 学 リハビリテーションと 職 業 リハビリテーションがかなり 早 い 段 階 からつながってワンストップで 提 供 できることが 重 要 で 理 想 的 な 体 制 である。精 神 障 害 のある 人 の 家 族 は「 保 護 者 」として 当 人 の 面 倒 を 全 面 的 に 看 ることが 当 たり 前 のように 言 われ、それをしないと 悪 い 親 、 精 神 障 害 の 原 因 になっている 親 という 偏 見 に 苦 しんでいる 方 々がたくさんいる。そのような 意 味 で、 家 族 への 支 援 も 重 要 である。(3) 就 職 前 から 就 職 後 までの 一 体 的 支 援 の 重 要 性ア 就 労 支 援 と 医 療 面 の 一 体 的 支 援 の 必 要 性新 規 の 就 職 支 援 の 場 合 、 就 職 はできても、 就 職 後 に 体 調 悪 化 や 休 職 が 続 けば、 退 職 につながる 場 合 がある。したがって、 職 業 生 活 でのリカバリーや 自 己 実 現 、 職 業 発 達 という 側 面 を 最 大 限 に 尊 重 するためには、その一 方 で、 職 業 場 面 での 疾 患 管 理 のリスクや 支 援 ニーズの 増 加 への 対 応 も 必 要 になる。また、 職 業 生 活 への 対 処 能 力 を 本 人 が 身 につけるためには、 予 防 的 なリスク 管 理 だけでなく、 一 定 の 失 敗を 許 容 し、また、 失 敗 の 経 験 を 活 かしていくフォローによって、 職 業 生 活 における 失 敗 の 経 験 を 通 して 学 ぶ機 会 とする 支 援 も 重 要 であるが、そのためには、 失 業 等 の 精 神 的 なショックによる 病 状 悪 化 や 自 殺 等 のリスクへの 医 療 的 なサポートが 重 要 になる。職 業 生 活 への 挑 戦 によるメリットと 失 敗 のリスクの 適 正 なバランスは、 就 職 の 失 敗 に 対 する 本 人 や 企 業 の抵 抗 感 や、 専 門 的 な 支 援 の 有 無 によっても 大 きく 異 なる。 米 国 と 日 本 では 労 働 市 場 の 柔 軟 性 が 大 きく 異 なり、米 国 においては 就 職 の 失 敗 のダメージが 少 なく、 経 験 が 得 られるメリットが 大 きい 面 がある 一 方 、わが 国 では、 仕 事 を 辞 めて 再 就 職 ということが、 本 人 にも 企 業 にもダメージが 大 きく、 抵 抗 感 も 強 い 場 合 がある。イ 就 職 だけに 焦 点 を 合 わせた 支 援 の 限 界知 的 障 害 や 発 達 障 害 の 分 野 における 就 労 支 援 の 発 展 として、 就 職 前 の 訓 練 を 重 視 する(Train-Place)やり方 よりも、 就 職 後 の 実 際 の 職 場 における 訓 練 を 重 視 する(Place-Train)ことが 成 果 を 生 むことが 明 らかになっている。わが 国 においてもジョブコーチ 支 援 事 業 でその 取 組 は 進 められている。精 神 障 害 の 場 合 も、 医 療 機 関 におけるデイケア 等 で 就 職 前 の 職 業 準 備 性 だけを 支 援 の 焦 点 としても、 就 労-10- - -


第 1 章 目 的 と 方 法支 援 の 成 果 に 結 びつきにくいことが 多 い。しかし、その 一 方 で、 精 神 障 害 者 については、 就 職 後 の 体 調 管 理には 医 療 的 支 援 が 不 可 欠 であるため、 単 純 に 医 療 機 関 から 就 労 支 援 機 関 に 支 援 の 中 心 を 移 行 させ、まず 就 職して 職 場 で 訓 練 をする 就 労 支 援 モデルには 限 界 がある。ウ 職 場 定 着 支 援 と 復 職 支 援 の 共 通 性医 療 機 関 において 行 われている 就 労 支 援 としては、 気 分 障 害 の 復 職 支 援 と 統 合 失 調 症 の 就 職 支 援 の 違 い 等 、一 見 して 大 きく 異 なる 取 組 がある。 統 合 失 調 症 者 の 患 者 は 20 歳 前 後 が 多 いため 新 規 就 職 の 支 援 の 課 題 が 大 きい。 一 方 、 気 分 障 害 では 就 職 している 人 の 中 途 発 病 が 多 いため、 復 職 支 援 の 課 題 が 中 心 となる。この 両 者 は大 きく 異 なるように 見 えるが、 就 職 後 の 就 業 継 続 の 課 題 として 実 際 の 職 業 場 面 における 疾 患 管 理 との 統 合 が重 要 である 点 では 共 通 している。就 職 支 援 は、 就 職 前 の 職 業 準 備 と 新 たな 職 探 しから 始 まり、 就 職 後 には 職 場 定 着 ・ 就 業 継 続 のための 密 接な 医 療 と 職 場 との 協 力 が 重 要 である。 一 方 、 復 職 支 援 は、その 前 半 が 不 必 要 ではあるが、 復 職 後 の 事 業 所 内の 仕 事 や 環 境 の 調 整 などに 焦 点 が 置 かれる 支 援 であると 考 えることができる。第 3 節 医 療 機 関 における「 就 労 支 援 」の 位 置 づけ精 神 障 害 者 の「 就 労 支 援 」とは、 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 、 家 族 支 援 と 切 り 離 されたものではなく、むしろ、それらと 一 体 的 な、 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 統 合 的 な 支 援 として 理 解 する 必 要 がある。 本 研 究 においては、 従 来 から 就 労 支 援 を 担 ってきた 労 働 機 関 だけでなく、 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 支 援 を 担 ってきた 医 療機 関 等 も 含 めた「 就 労 支 援 」については、そのような 広 い 意 味 でとらえた( 図 1-3)。精 神 障 害 の 医 療 ・ 生 活 支 援狭 義 の 就 労 支 援疾 患 自 己 管 理 支 援生 活 支 援家 族 支 援精 神 障 害 者 の就 労 と 疾 患 管 理の 両 立 を 支 える支 援就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援就 労 と 生 活 の 一 体 的 支 援図 1-3 精 神 障 害 者 の 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を 支 える 支 援このような 精 神 障 害 の 特 徴 を 踏 まえることにより、 精 神 科 医 療 機 関 で 実 施 されている「 就 労 支 援 」の 目 的が、 労 働 機 関 による 就 労 支 援 と 決 して 重 複 したり 排 他 的 なものではなく、 相 補 的 であり 今 後 一 層 の 連 携 を 必要 とするものであることが 理 解 できる。1 職 業 生 活 を 前 提 とした 疾 患 治 療 等精 神 障 害 者 は、 就 職 や 復 職 ができても、 就 職 後 に 体 調 悪 化 や 休 職 が 続 くことにより、 退 職 につながる 危 険-11- - -


第 1 章 目 的 と 方 法性 がある。そのような 精 神 障 害 の 性 質 を 踏 まえ、 疾 患 治 療 は 職 業 生 活 の 安 定 を 目 指 している。(1) 職 業 生 活 を 前 提 とした 評 価 や 治 療 の 必 要 性精 神 障 害 の 治 療 は、 職 業 生 活 を 前 提 としなければ、 就 職 ・ 復 職 後 に 症 状 の 再 燃 、 悪 化 につながってしまいやすい。 復 職 支 援 は、 例 えば、 社 会 人 として 活 躍 していた 人 が 気 分 障 害 の 発 病 により 何 回 も 休 職 ・ 復 職 を 繰り 返 して 退 職 寸 前 という 状 況 で 実 施 される 場 合 が 多 い。 復 職 しても 再 休 職 とならないようにする 必 要 があり、そのためには、 疾 患 の 治 療 状 況 や 本 人 の 自 己 管 理 能 力 等 の 見 極 めが 重 要 である。これまで 職 業 生 活 を 制 約 して 治 療 や 生 活 支 援 に 取 り 組 むこともあったが、 職 業 生 活 への 参 入 や 復 帰 例 が 増 加 し、また、その 支 援 が 求 められる 中 、 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 は 職 業 生 活 を 前 提 として 実 施 するニーズが 高 まっている。ただし、そのような 方 針 については、 精 神 科 の 医 学 教 育 の 中 でも 十 分 に 取 り 上 げられておらず、 全 ての 精 神 科 医 が 一 致 しているわけではないという 現 状 もある。(2) 復 職 や 職 場 定 着 の 成 果 を 上 げるための 疾 患 管 理医 療 機 関 におけるリワーク・プログラムは、デイケアという 医 療 的 枠 組 みの 中 で、 仕 事 をしても 再 発 し 再休 職 しないための 医 学 リハビリテーションである。それは、 薬 物 療 法 を 含 む 通 院 治 療 の 延 長 線 上 の、 病 院 や診 療 所 におけるデイケアでの 心 理 社 会 的 技 法 による 支 援 や 評 価 の 場 である。プログラムの 構 成 は、 疾 病 に 焦点 をあて、 養 生 回 復 させることを 目 的 としている。デイケアスタッフ 以 外 に、 主 治 医 が 関 与 した 精 神 疾 患 の治 療 や、 本 人 の 疾 患 の 理 解 がないと、リハビリの 結 果 が 出 ず、 復 帰 しても 再 休 職 してしまう。 例 えば、 気 分障 害 でも、メランコリー 親 和 型 と 他 罰 的 な 型 では 異 なる 治 療 や 支 援 が 必 要 である。また、IPS における 復 職 支 援 では、 新 聞 記 事 要 約 のパソコンでの 作 成 、 簡 単 な 事 務 作 業 、 認 知 機 能 アセスメント 等 は、 心 理 社 会 的 技 法 として 実 施 され、その 一 方 で、 薬 物 療 法 の 服 薬 時 間 の 調 整 、 単 剤 化 や 総 投 与 量の 適 正 化 を 図 り、 副 作 用 を 最 小 限 にしたり、 認 知 機 能 の 改 善 に 効 くものとする 等 についても、カルテを 共 有して、 医 師 と 方 針 を 一 致 させて 取 り 組 んでいる。(3) 治 療 成 果 を 上 げるための 職 場 への 働 きかけ復 職 支 援 において、 企 業 の 人 事 担 当 者 や 産 業 医 が、 診 察 へ 本 人 と 一 緒 に 来 て、 主 治 医 と 話 をする 場 がつくられることが 多 い。それにより、 職 場 での 配 慮 や 留 意 事 項 等 について、 本 人 、 職 場 、 主 治 医 で 意 思 疎 通 を 図ることができる。復 職 支 援 では、 本 人 の 長 所 や 特 技 を 活 かした 仕 事 への 変 更 や 調 整 や、 試 行 的 な 就 労 を 事 業 主 に 提 案 する 場合 もある。また、 職 場 の 同 僚 や 上 司 に 温 かく 迎 えられる 雰 囲 気 づくりに、 本 人 と 一 緒 に 取 り 組 むソーシャルワークも 実 施 される。2 生 活 ・リカバリー 支 援 の 一 環 として精 神 障 害 者 においては、 医 学 的 な 疾 患 治 療 だけではなく、 生 活 ・ 人 生 といった 生 活 機 能 の 総 合 的 な 支 援 が重 要 である。 本 人 が、 精 神 障 害 を 持 ちながらも 自 分 らしく 生 きることができるようにする 生 活 支 援 、「リカバリー」 支 援 においては、 就 労 支 援 はその 不 可 欠 な 一 部 である。 最 近 、わが 国 の 精 神 保 健 福 祉 士 の 国 家 試 験 でも 取 り 上 げられ、 一 般 的 な 認 識 も 高 まってきている。-12- - -


第 1 章 目 的 と 方 法(1) 錯 綜 した 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズの 切 り 分 けと 一 体 的 支 援 の 必 要 性精 神 障 害 者 では、 単 に 治 療 と 日 常 生 活 支 援 だけでは、 退 院 後 に、 生 活 面 での 問 題 から 疾 患 の 悪 化 につながり、 再 入 院 という 事 例 も 多 い。また、 長 期 入 院 による 社 会 生 活 能 力 低 下 等 の「 施 設 病 」を 防 止 し、 社 会 復 帰を 促 進 する 必 要 もある。職 業 生 活 までを 想 定 した 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 総 合 的 な 支 援 を 実 施 することにより、 疾 患 治 療 や 生 活 ・ 人 生の 再 構 築 の 成 果 を 上 げる 必 要 がある。 医 療 、 生 活 、 就 労 、 家 族 支 援 等 の 複 合 的 ニーズに 対 して、 医 学 リハビリテーションと 職 業 リハビリテーションがかなり 早 い 段 階 からつながってワンストップで 提 供 できることが重 要 で 理 想 的 な 体 制 である。(2)リカバリー 支 援 /ストレングスモデル疾 患 治 療 だけでなく、 精 神 障 害 のある 人 が 自 分 らしく 生 きることができるように 支 援 するためには、 本 人の 興 味 や 強 みを 重 視 するストレングスモデルの 視 点 が 不 可 欠 である。これは、 障 害 や 病 気 、できないことに焦 点 を 当 てる 医 学 モデルを 補 完 するものである。個 人 の 興 味 や 強 み、 一 人 ひとりの 職 業 発 達 や 職 業 生 活 を 通 した 自 己 実 現 、キャリア 支 援 等 の 就 労 支 援 は、ストレングスモデルでの 生 活 ・リカバリー 支 援 の 一 環 としての 意 義 が 大 きい。医 療 場 面 において、 疾 患 や 障 害 だけでなく、 本 人 の 興 味 や 強 みについても 早 期 に 評 価 し 関 係 者 で 共 通 認 識をもつことで、 治 療 や 生 活 支 援 、 就 労 支 援 を 最 も 効 果 的 に 連 携 させることができる。それにより、 職 業 生 活と 疾 患 管 理 の 両 立 を 可 能 とし、 疾 患 治 療 の 成 果 にも 寄 与 すると 考 えられる。-13- - -


第 1 章 目 的 と 方 法第 4 節 本 研 究 の 目 的精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 のためには、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 密 接 な 連 携 により 就 労 と 疾 患 管 理 の 両 立 を支 えることが 必 要 である。 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 と 生 活 、 疾 患 管 理 等 を、 社 会 全 体 でより 効 果 的 に 支 えるためのあり 方 を 検 討 するため、 近 年 、 医 療 機 関 において 活 発 に 実 施 されている 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就労 支 援 の 取 組 の 実 態 を 明 らかにすることを 本 研 究 の 目 的 とした。第 5 節 研 究 方 法 の 概 要そのために、 医 療 機 関 による 就 労 支 援 に 関 する 国 内 外 の 文 献 調 査 、また、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 を 対象 とした 全 国 アンケート 調 査 を 実 施 した。それらの 結 果 を 踏 まえて 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 における 医療 機 関 等 の 役 割 や 労 働 関 係 機 関 との 連 携 等 について、 有 識 者 の 議 論 をまとめた。その 詳 細 は、 当 該 の 各 章 において 述 べる。1 文 献 調 査 ( 第 2 章 : 海 外 、 第 3 章 : 国 内 )精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 への 医 療 機 関 等 の 取 組 についての 国 内 外 の 文 献 により、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 医 療 機 関 における 取 組 の 内 容 やその 意 義 を 整 理 した。2 アンケート 調 査 ( 第 4 章 )全 国 の 医 療 機 関 ( 病 院 、 診 療 所 、 精 神 保 健 福 祉 センター 等 )を 対 象 とするアンケート 調 査 により、 就 労 支援 の 状 況 ( 行 っているか 否 か、デイケア 等 のプログラムを 持 っているか 等 支 援 内 容 、 医 師 以 外 のスタッフの状 況 等 )や 就 職 実 績 等 について 調 査 を 行 った。3 調 査 研 究 委 員 会 ( 第 5 章 )医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 に 知 見 を 有 する 専 門 家 、 支 援 機 関 、 行 政 機 関 等 から 構 成 する 調 査 研 究 委 員 会 を 設 置 し( 委 員 名 簿 は 巻 頭 、 要 綱 は 巻 末 資 料 )、 今 後 のあり 方 の 検 討 を 行 った。• 精 神 科 医 療 の 進 歩 による、 精 神 障 害 者 の 就 労 可 能 性 の 拡 大 の 最 新 の 状 況 及 び 医 療 機 関 が 実 施 している 就 労 に 向 けた 支 援 の 現 状 認 識• 医 療 機 関 等 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 結 果 の 意 義 と 活 用• 企 業 の 産 業 医 との 連 携• 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のための、 医 療 機 関 や 労 働 機 関 等 の 役 割 の 明 確 化 及 び 効 果 的 な 連 携 やチーム支 援 のあり 方-14- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー第 2 章 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 における 保 健 医 療 との 統 合の 重 要 性 ( 海 外 文 献 レビュー)第 1 節 はじめに米 国 において 1990 年 代 からの 様 々な 研 究 の 積 み 重 ねに 基 づき、 米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依 存 精 神 保 健 サービス 部 (SAMHSA)は、 就 労 支 援 に 限 らず、 精 神 障 害 のある 人 への 様 々な 支 援 について Evidence-BasedPractices( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 : 以 下 「EBP」という。)を 明 らかにし、1995 年 に EPB ツールキットを 出 版 し、その 普 及 を 進 めている。そのうち、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の EBP は「 援 助 付 き 雇 用 」とされている。その 内 容 は、 歴 史 的 には「IPS(Individual Placement and Support)」として 精 神 障 害 リハビリテーション 領 域 で 発 展 してきたものが 基 盤 である。わが 国 においても、IPS は 従 来 から 紹 介 されてきたが、 医 療 機 関 を 中 心 とした 就 労 支 援 の 一 形 態 として 捉えられることが 多 く、より 普 遍 的 な 精 神 障 害 者 への 効 果 的 な 就 労 支 援 のあり 方 としては 必 ずしも 理 解 されていない。そのため、わが 国 の 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 施 策 、ハローワークや 障 害 者 職 業 センター、 障 害 者 就業 ・ 生 活 支 援 センター 等 の 労 働 関 係 機 関 による 精 神 障 害 者 への 支 援 との 関 係 や、わが 国 への 適 用 可 能 性 も 明らかでない。また、SAMHSA がいう「 援 助 付 き 雇 用 」は、 本 来 、 米 国 で 知 的 障 害 者 や 発 達 障 害 者 に 対 して、従 来 の 就 職 前 の 職 業 準 備 性 の 評 価 や 訓 練 を 重 視 する 就 労 支 援 モデルへのアンチテーゼとして 発 展 してきたものである。その 意 味 での「 援 助 付 き 雇 用 」ならば、わが 国 では 既 にジョブコーチ 支 援 事 業 として 導 入 され、知 的 障 害 者 への 就 労 支 援 として 大 きな 効 果 を 上 げてきた。しかし、 精 神 障 害 者 に 対 しては、わが 国 においても 同 様 な 就 労 支 援 では 限 界 があることから、 単 に 同 じであるとは 考 えにくい。したがって、「 援 助 付 き 雇 用 」あるいは「IPS」という 名 称 や 概 略 的 な 理 解 ではなく、 米 国 等 を 中 心 としてEBP として 位 置 付 けられるにあたって、 具 体 的 にどのような 支 援 モデルが 比 較 対 照 され、それにより、 精 神障 害 のある 人 が 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 を 両 立 して 仕 事 に 就 く 前 から 就 いた 後 までに 直 面 する 様 々な 課 題 に 対 して、どのような 効 果 の 違 いがあったのかについて、 様 々な 実 証 研 究 の 成 果 に 立 ち 戻 ることで 理 解 し 直 す 必 要がある。第 2 節 目 的本 章 では、 米 国 を 中 心 とした 近 年 の EBP のあり 方 を 確 立 する 基 盤 となった 様 々な 実 証 研 究 を 精 査 し、 精 神障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 が 実 証 されている 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 壁 を 超 えた 取 組 とその 就 労 成 果について 明 らかにすることを 目 的 とした。第 3 節 方 法精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 は、 歴 史 的 背 景 や、 実 施 主 体 等 により、 様 々な 取 組 がある。 就 労 支 援 のあり 方 の 研究 論 文 においては、 従 来 からある 就 労 支 援 の 取 組 に 対 して、 新 たな 就 労 支 援 の 取 組 の 成 果 を 比 較 しているも-15- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューのが 多 い。ただし、それらの 就 労 支 援 について、 文 献 中 では「 援 助 付 き 雇 用 」「IPS」「 従 来 型 の 職 業 リハビリテーション」 等 、 様 々な 名 称 で 示 され、そのような 名 称 が 就 労 支 援 の 機 能 的 特 徴 を 必 ずしも 示 していない。そこで、 本 研 究 では、 各 文 献 で 取 り 上 げられている 就 労 支 援 の 内 容 を、その 名 称 にかかわらず、「 援 助 付 き雇 用 モデル- 職 業 準 備 性 モデル」、「 医 療 支 援 強 - 医 療 支 援 弱 」の2 軸 によって 機 能 的 に4 類 型 化 し、 就 労 支援 成 果 を 類 型 にしたがって 系 統 的 に 比 較 することとした。1 Evidence-Based Practices(EBP)を 扱 った 文 献 の 収 集EBP に 関 する 実 証 研 究 の 精 査 にあたり、 精 神 障 害 のある 人 のための 就 労 支 援 に 関 する 90 年 代 後 半 から 現在 までの 最 新 資 料 を 対 象 として 収 集 した。(1) 主 要 な EBPEBP は 無 作 為 化 比 較 試 験 (RCT:Randomized Controlled Trial) 等 の 厳 密 な 科 学 的 手 続 きによって、 治療 や 生 活 、 就 労 への 効 果 が 検 証 された 支 援 プログラムなどを 指 す。 精 神 障 害 者 のある 人 たちの 就 労 支 援 に 関する 実 証 研 究 の 収 集 に 際 し、アメリカ 連 邦 保 健 省 SAMHSA が 推 進 している4つの EBP に 着 目 した。 援 助 付き 雇 用 以 外 にも、 就 労 支 援 との 関 係 や 就 労 成 果 を 扱 う 研 究 についても 収 集 し 検 討 した。なお、SAMHSA のツールキットにおいて「 援 助 付 き 雇 用 」と 呼 ばれている 内 容 は、それ 以 前 は IPS と 呼 ばれてきたものであり、 多くの 研 究 論 文 においても IPS として 示 されているものである。• 援 助 付 き 雇 用 (SE:Supported Employment)= IPS(Individual Placement and Support)• 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT:Assertive Community Treatment)• 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR:Illness Management and Recovery)• 家 族 心 理 教 育 (FPE:Family Psycho-Education)(2) 収 集 方 法PubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)と Science Direct(http://www.sciencedirect.com/)を主 に 使 用 し、「supported employment」「 mental illness」「 IPS」「 ACT」「 Illness Management and Recovery」「Family Psycho-Education」「 competitive work」などのキーワードにより 資 料 を 検 索 した。また、それら資 料 が 引 用 している 論 文 や 書 籍 で 重 要 と 思 われるものを 入 手 した。(3) 疾 患 種 類 ・ 程 度EBP においては、 精 神 疾 患 の 種 類 にかかわらず、 重 度 の 精 神 疾 患 (Severe Mental Illness)を 対 象 としているため、 今 回 の 検 討 においても、 統 合 失 調 症 や 気 分 障 害 を 中 心 として、 特 に 区 別 された 研 究 を 除 き、 疾 患種 類 にかかわらないものとした。2 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の4 類 型 化職 業 リハビリテーション 分 野 においては、 就 労 支 援 モデルは 大 きく 分 けて、「 職 業 準 備 性 モデル」と「 援 助付 き 雇 用 モデル」があり、1990 年 代 以 降 、 米 国 でもわが 国 でも「 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 有 効 性 は 広 く 確 認されてきている。 歴 史 的 経 緯 もあり、 援 助 付 き 雇 用 モデルに 対 して、 疾 患 の 治 療 や 機 能 障 害 の 回 復 訓 練 等 を-16- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー重 視 する 取 組 は「 職 業 準 備 性 モデル」として 対 立 的 に 捉 えられやすい。しかし、 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支援 においては、この 両 者 を 対 立 的 にではなく、 両 立 できるようにすることがポイントであることが 明 らかになっている。したがって、 精 神 障 害 のある 人 に 対 して 効 果 的 な 就 労 支 援 のあり 方 の 検 討 においては、「 援 助 付き 雇 用 モデル」「 職 業 準 備 性 モデル」「 医 療 支 援 」 等 の 関 係 をより 厳 密 に 位 置 付 けておくことが、 問 題 の 構 造的 な 理 解 のために 不 可 欠 である。(1) 援 助 付 き 雇 用 モデル援 助 付 き 雇 用 モデルの 本 質 は、 本 人 側 の 条 件 として 疾 患 や 障 害 の 治 療 や 機 能 訓 練 に 焦 点 を 置 き 就 職 前 の 評価 や 訓 練 を 重 視 する 医 学 モデルによるアプローチに 対 する、 現 実 場 面 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活上 の 局 面 における 複 合 的 問 題 解 決 を 重 視 する 社 会 心 理 モデルによるアプローチにある。 歴 史 的 にも、 障 害 のある 人 の 就 職 前 の 評 価 と 訓 練 に 固 執 することにより、かえって 多 くの 重 度 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 のハードルを 作 り 出 してきた、 職 業 準 備 性 モデルへのアンチテーゼとして 登 場 した。わが 国 においても、1990 年 代 以降 の、ジョブコーチ 支 援 の 導 入 だけでなく、 障 害 のある 人 の 就 職 前 から 就 職 後 の 職 業 生 活 上 の 様 々な 課 題 に対 して、 本 人 を 中 心 として 様 々な 専 門 分 野 が 連 携 して 個 別 的 継 続 的 に 支 援 する 様 々な 新 たな 雇 用 支 援 は、 基本 的 に 援 助 付 き 雇 用 モデルに 沿 ったものである。精 神 障 害 のある 人 への 援 助 付 き 雇 用 として 発 展 してきた IPS の 特 徴 は、「IPS の 原 則 」として 端 的 に 示 されている。 表 2-3-1 に、 一 般 的 な 援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 と 比 較 して 示 すとおり、IPS の 基 本 的 な 特 徴 は 一 般 的な 援 助 付 き 雇 用 と 共 通 している。援 助 付 き雇 用 モデルの 基 本的 要 素IPS の 特 徴的 要 素表 2-3-1. 援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 と「IPS の 原 則 」の 比 較援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 「IPS の 原 則 」重 度 障 害 のある 人 を 支 援 対 象 とする一 般 就 業 が 目 標統 合 された 職 場 環 境 (*)継 続 的 支 援就 労 希 望 のある 全 ての 人 が 対 象一 般 就 業 が 目 標本 人 ニーズに 基 づく 決 定迅 速 な 職 探 し継 続 的 支 援( 継 続 的 支 援 ) 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統合給 付 カウンセリングの 実 施(* 援 助 付 き 雇 用 の 特 徴 である「 統 合 された 職 場 環 境 」という 特 徴 は、IPS の 原 則 では「 本 人 ニーズに 基 づく 決 定 」 及 び「 迅 速 な 職 探 し」とより 詳 細 化 されているが、これは、 統 合 された 職 場 環 境 の 実 現 のために、 本 人 の 就 労 希 望 や 自 己 決 定に 基 づく 職 探 しや 就 職 活 動 の 支 援 の 重 要 性 を 明 確 にしたものである。これは、 最 近 の 援 助 付 き 雇 用 の 取 組 では、より 一 般的 に 他 の 障 害 においても 重 視 されるようになっており、 必 ずしも 精 神 障 害 に 特 徴 的 な 要 素 ではない。)(2) 就 労 支 援 と 医 療 との 統 合その 一 方 で、IPS は 一 般 的 な 援 助 付 き 雇 用 とは 異 なり、 特 徴 的 には「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの統 合 」「 給 付 カウンセリングの 実 施 」として 医 療 ・ 生 活 支 援 分 野 との 密 接 な 関 わりが 必 要 であることを 明 確 にしている。これは、 援 助 付 き 雇 用 の「 継 続 的 支 援 」について、 精 神 障 害 の 特 性 として、 長 期 に 治 療 を 必 要 と-17- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューする 慢 性 疾 患 であることや、 仕 事 内 容 や 職 場 等 の 環 境 状 況 によって 疾 患 の 状 態 が 影 響 されるストレス 脆 弱 性という 性 質 があることから、 実 際 に 職 業 生 活 を 送 るに 当 たって 直 面 する 課 題 として、 疾 患 管 理 や 医 療 の 側 面 、また、 再 発 による 失 業 のリスクに 対 する 経 済 的 セーフティネットの 検 討 は 切 り 離 すことができないことを 反映 したものであると 考 えることができる。これは、 心 理 社 会 モデルによるアプローチにおいても、 医 療 ・ 生活 支 援 との 関 係 が 不 可 欠 であることを 意 味 するものであり、 疾 患 の 治 療 にのみ 固 執 して 本 人 の 生 活 面 の 個 別具 体 的 な 課 題 を 軽 視 するという 意 味 でのいわゆる「 医 学 モデル」と 同 一 視 される「 職 業 準 備 性 モデル」とは異 なるものである。(3)「 援 助 付 き 雇 用 モデル」と「 医 療 支 援 」の2 軸 による4 類 型 化医 療 や 生 活 支 援 の 取 組 を「 職 業 準 備 性 モデル」と 混 同 し、「 援 助 付 き 雇 用 モデル」と 対 立 的 に 捉 えることを避 けるために、 本 研 究 においては、 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 の 内 容 について、「 援 助 付 き 雇 用 モデル vs. 職業 準 備 性 モデル」という 対 立 軸 と、「 医 療 支 援 ・ 統 合 の 強 弱 」という 軸 の2 軸 で 捉 え、 図 2-3-1 に 示 す4 類 型に 分 類 することとした。援 助 付 き 雇 用 モデル↑医 療 支 援 ・←統 合 弱2医 療 と 統 合 されていない 援助 付 き 雇 用 モデル4医 療 と 統 合 されていない 職業 準 備 性 モデル1医 療 と 統 合 された 援 助 付 き雇 用 モデル3医 療 と 統 合 された 職 業 準 備性 モデル→医 療 支 援 ・統 合 強↓職 業 準 備 性 モデル図 2-3-1 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のタイプの 分 類3 就 労 支 援 の 成 果 の 評 価精 神 障 害 者 の 就 労 成 果 については、 就 職 できたとしても 継 続 できないことが 大 きな 就 労 問 題 であるため、単 に 就 職 率 ではなく、 就 労 継 続 を 反 映 した 成 果 による 評 価 が 必 要 である。そのため、 就 労 支 援 としての 成 果については、フォローアップ 期 間 の 一 般 就 業 率 、 労 働 時 間 、 労 働 日 数 、 就 労 継 続 期 間 、 所 得 、 最 初 の 仕 事 に就 くまでの 期 間 などを 判 断 基 準 とした。ここでの 一 般 就 業 の 定 義 は、 以 下 を 満 たす 仕 事 とした。・ 最 低 賃 金 以 上 の 支 払 いがある・ 障 害 者 枠 の 雇 用 ではなく、 誰 もが 応 募 できる・ 地 域 に 統 合 されている-18- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー第 4 節 結 果収 集 した 海 外 の 実 証 的 研 究 においては、 今 回 想 定 した4 類 型 に 該 当 する 精 神 障 害 者 の 様 々なタイプの 就 労支 援 の 成 果 が 比 較 されていた。その 中 で、 他 の3 類 型 と 比 較 して、 一 貫 して 最 も 高 い 就 業 成 果 を 示 していたのは「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 類 型 の 就 労 支 援 の 取 組 であり、さらに、 統 合 される 医 療 側の 様 々な 取 組 により、より 高 い 就 業 成 果 が 示 されていた。1 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 機 能 別 4 類 型 による 分 類様 々な 実 証 研 究 において、 介 入 群 あるいは 比 較 対 照 群 となっている、 様 々な 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 プログラムは、 援 助 付 き 雇 用 への 取 組 の 強 弱 、 及 び、 医 療 との 統 合 の 強 弱 で 特 徴 づけ、 次 の4タイプに 分 類 できた。ただし、 同 一 タイプに 分 類 できた 就 労 支 援 プログラムであっても、その 中 で、 援 助 付 き 雇 用 への 取 組 や 医 療との 統 合 の 強 弱 によって、 就 労 支 援 成 果 が 比 較 され、 就 労 支 援 プログラムとして 詳 細 に 区 別 されている 場 合もあった。また、 研 究 によっては、 比 較 対 象 がこれら4つに 区 別 されず1と3、2と4が 混 合 して 比 較 されている 場 合 もあった。なお、4 類 型 に 分 類 された 具 体 的 な 就 労 支 援 の 取 組 は、 巻 末 資 料 2に 掲 載 した。1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル2 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル3 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル4 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル(1) 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル(1)医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルに 該 当 する 就 労 支 援 タイプは、1990 年 代 から「IPS プログラム」として 新 たに 提 案 され、 比 較 研 究 では、 新 たな 就 労 支 援 プログラムとして 評 価 対 象 となっているものが 大 部 分であった。ただし、その 具 体 的 内 容 には、 援 助 付 き 雇 用 モデルの 取 組 と、 医 療 との 統 合 への 取 組 について、様 々な 違 い・ 変 異 が 認 められた。ア SAMHSA の 援 助 付 き 雇 用 適 合 性 尺 度 又 は IPS 適 合 性 尺 度 を 基 準 とした 定 義「IPS プログラム」の 内 容 は、プログラム 評 価 のための 適 合 性 尺 度 により 具 体 的 に 定 義 されている 場 合 が多 かった。 多 くの 文 献 では、IPS 適 合 性 (フィデリティ) 尺 度 として 示 されているが、より 近 年 の 文 献 では、米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依 存 精 神 保 健 サービス 部 (SAMHSA)の 提 唱 している 呼 び 名 に 従 って、 援 助 付 き 雇 用 適合 性 尺 度 として 示 されていたが、その 内 容 は 同 一 である。適 合 性 尺 度 は、「スタッフ」3 項 目 、「 組 織 」3 項 目 、「サービス」9 項 目 の 計 15 項 目 で 構 成 されており、1 項 目 5 点 の 合 計 75 点 で 評 価 するものである。その 内 容 は、 表 に 示 すように、 援 助 付 き 雇 用 への 取 組 状 況 と、医 療 との 統 合 状 況 の 両 面 を 網 羅 しているものである、 適 合 性 が 十 分 に 高 い 就 労 支 援 プログラムについて、 医療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルであると 見 なすことができる。適 合 性 尺 度 得 点 が 66~75 点 であれば「 適 切 に 実 施 されている」とし、56~65 点 で「まずまず 実 施 されてい る 」、 55 点 以 下 は「 実 施 されていない」とされており、 本 研 究 でもその 基 準 にしたがった。-19- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューEBP ツールキットにおける 援 助 付 き 雇 用 の 適 合 性 尺 度 ( 要 約 )A スタッフA-1 就 労 支 援 者 一 人 あたりの 支 援 当 事 者 数 は 25 名 以 下A-2 専 任 の 就 労 支 援 者 ( 医 療 や 生 活 支 援 と 兼 任 でない)A-3 就 労 支 援 者 はアウトリーチ、アセスメント、 就 職 、フォローアップの 全 てを 担 当B 組 織B-1 精 神 保 健 のケースマネジメントと 就 労 支 援 者 のチームB-2 就 労 支 援 者 のグループ( 情 報 共 有 、スーパービジョン 等 )B-3 就 労 希 望 者 全 員 に 就 労 支 援 を 提 供 ( 除 外 基 準 なし)C サービスC-1 実 際 の 職 場 や 仕 事 内 容 での 職 業 アセスメントC-2 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 活 動 への 迅 速 な 取 組C-3 本 人 の 興 味 、 経 験 、 能 力 、ニーズに 基 づく 個 別 的 な 就 職 活 動 支 援C-4 多 様 な 職 業 の 選 択 肢 の 提 供C-5 常 勤 の 仕 事 の 選 択 肢 の 提 供C-6 退 職 が 適 当 な 場 合 の 退 職 時 の 支 援 と 再 就 職 支 援C-7 就 職 後 も 継 続 する 事 業 主 と 本 人 への 支 援 ( 危 機 介 入 、ジョブコーチ、 相 談 、ミーティング、 交 通 、 服 薬 、 友 人 ・ 家族 等 )C-8 施 設 内 でなく 地 域 の 中 で 全 ての 就 労 支 援 を 行 うC-9 全 ての 患 者 への 就 労 への 働 きかけ、 関 係 作 り、 励 まし出 典 : 城 田 晴 夫 ( 訳 ) 援 助 付 き 雇 用 フィデリティ 尺 度 : 評 価 表 、「 松 為 信 雄 、 西 尾 雅 明 ( 監 訳 ・ 編 ):アメリカ 連 邦 政 府EBP 実 施 ・ 普 及 ツールキットシリーズ4-Ⅰ 第 4 巻 Ⅰ IPS・ 援 助 付 き 雇 用 ツールキット: 本 編 」、p.44-54, 日 本 精 神 障害 者 リハビリテーション 学 会 (2009)この 適 合 性 尺 度 によって 具 体 的 に 就 労 支 援 プログラムの 内 容 が 定 義 されていたものには、 次 があった。• IPS プログラム• ACT( 包 括 型 地 域 生 活 支 援 )を 強 化 した IPS プログラム• 認 知 訓 練 を 強 化 した IPS プログラム• 社 会 技 能 訓 練 を 強 化 した IPS プログラムイ 適 合 性 尺 度 や 基 準 による 定 義 のない 統 合 モデル適 合 性 尺 度 による 評 価 が 実 施 されていない 就 労 支 援 であっても、 具 体 的 な 支 援 内 容 の 記 述 に 従 って、 以 下の 就 労 支 援 プログラムについては、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 プログラムと 見 なした。• 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神 保 健 センターの 密 接 な 連 携• 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神 保 健 センターの 密 接 な 連 携 + 給 付 カウンセリング• ACT を 強 化 した 独 自 の 援 助 付 き 雇 用 プログラム(2) 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル(2)医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 支 援 は、 精 神 障 害 以 外 の 知 的 障 害 や 発 達 障 害 を 対 象 とした 一 般 的 なジョブコーチ 支 援 や、 医 療 機 関 との 密 接 なつながりがない 形 で 地 域 の 職 業 リハビリテーションサービスに 照 会 / 移 行 させるという 場 合 が 多 かった。 実 証 研 究 においては、IPS プログラムとの 比 較 対 照 群として 位 置 付 けられていたものが 多 かった。また、IPS を 意 図 しながら、 十 分 に 就 労 支 援 と 医 療 サービスの-20- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー統 合 が 達 成 されなかったために、 結 果 的 に 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 となっている 場 合 もあった。• 精 神 保 健 サービスは 地 域 保 健 センター 等 が 実 施 、 就 労 支 援 サービスは 職 業 リハビリテーション 機 関( 援 助 付 き 雇 用 モデルが 中 心 )がそれぞれ 役 割 分 担 して 実 施 (ミーティングは 週 2~4 回 以 下 )• IPS を 目 指 し 援 助 付 き 雇 用 全 般 の 適 合 性 は 高 かったが、「 精 神 保 健 のケースマネジメントと 就 労 支 援のチーム」についての 組 織 の 適 合 性 が 低 かったプログラム(3) 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル(3)医 療 と 統 合 されていても、 本 人 の 症 状 の 改 善 や 生 活 自 立 に 焦 点 を 当 て、その 結 果 就 労 成 果 を 期 待 するという 意 味 で「 職 業 準 備 性 モデル」に 該 当 する 支 援 としては、 医 療 的 デイケアや、IPS と 統 合 されていない ACT、FPE、 薬 物 治 療 等 があった。これらは、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 の 新 しい 就 労 支 援 プログラムを 評 価するための 比 較 対 照 群 として 位 置 付 けられている 場 合 が 多 かった。• 地 域 精 神 保 健 福 祉 センターでのケースマネジメントサービス• 地 域 精 神 保 健 福 祉 センターでのデイケアプログラム• 精 神 科 リハビリテーション 機 関 での ACT プログラム• 作 業 療 法 科 における 職 業 準 備 訓 練 中 心 の train-place アプローチ、 本 人 の 自 発 的 職 探 しを 推 奨• 医 療 機 関 内 での 心 理 社 会 的 リハビリテーションやデイケアプログラム( 面 接 スキル、IT スキル、 自 信/ 動 機 の 構 築 の 支 援 等 )• 家 族 心 理 教 育(4) 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル(4)従 来 型 の 職 業 リハビリテーションや 就 労 支 援 の 中 でも、ジョブコーチ 支 援 等 の 援 助 付 き 雇 用 モデルを 導 入していない 就 労 支 援 プログラムは 限 られていたが、 比 較 対 照 群 としての 例 があった。• 地 域 の 一 般 的 な 精 神 障 害 者 向 けのサービスの 利 用• クラブハウスモデル( 施 設 内 で、 支 援 スタッフと 本 人 が 地 域 と 同 等 の 仕 事 に 取 り 組 む)(5)4 類 型 に 分 類 ができない 就 労 支 援文 献 に 報 告 されている 就 労 支 援 について、 研 究 デザイン 上 、 上 記 の4 類 型 に 分 類 できない 場 合 があった。ア 医 療 との 統 合 は 高 い、 援 助 付 き 雇 用 又 は 職 業 準 備 性 モデルの 就 労 支 援 (1 又 は3)Cook ら(2005)は、 就 業 支 援 実 証 事 業 に 参 加 した7 地 域 の 就 労 支 援 プログラムの 介 入 群 と 比 較 対 照 群 について、その 具 体 的 な 医 療 サービスと 就 労 サービスの 統 合 の 程 度 を 独 自 の 評 価 尺 度 により 評 価 し、50% 以 上の 適 合 性 のある 就 労 支 援 と、そうでない 就 労 支 援 とで 区 別 し 比 較 していた。就 業 支 援 実 証 事 業 評 価 尺 度(Employment Intervention Demonstration Program Measure)1. 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービスは、 両 スタッフが 週 に 最 低 3 回 以 上 、 直 接 顔 を 合 わせて一 緒 に 取 り 組 む、 多 領 域 チームによって 提 供 された2. 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービスの 両 スタッフは、 同 一 建 物 内 で 勤 務 していた3. 両 サービスは、 同 一 の 機 関 によって 提 供 された4. 個 人 のすべての 情 報 ( 職 業 評 価 、 治 療 計 画 等 )を1 冊 のファイルに 集 約 して 使 用 していた-21- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューしたがって、この 研 究 の 介 入 プログラムは 医 療 と 就 労 支 援 の 統 合 については 確 認 できるが、その 就 労 支 援の 内 容 について、それが 援 助 付 き 雇 用 モデルによるものか、 職 業 準 備 性 モデルによるものかの 確 認 ができなかった。IPS を 実 施 している 地 域 もあったが、その 支 援 内 容 について 具 体 的 に 確 認 できず、また、 他 の 地 域の 介 入 プログラムについても 同 様 であった。 具 体 的 には、 次 のような 就 労 支 援 が 実 施 されていた。• IPS プログラム• ACT 職 業 モデルプログラム• 独 自 の 援 助 付 き 雇 用 プログラム• 家 族 支 援 による ACT プログラム• 統 合 された 治 療 チームによる 就 労 支 援 プログラムイ 医 療 との 統 合 が 低 い、 援 助 付 き 雇 用 又 は 職 業 準 備 性 モデルの 就 労 支 援 (2 又 は4)一 方 、Bond ら(2008)の 研 究 では、 介 入 群 については 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルであることが 確 認 できるが、 比 較 対 照 群 については、 医 療 との 統 合 が 低 いことに 焦 点 があてられ、それが 援 助 付 き 雇 用モデルによるものか、 職 業 準 備 性 モデルによるものかの 確 認 ができなかった。• 大 学 病 院 での、 一 般 就 業 を 目 的 としない 授 産 施 設 、 当 事 者 運 営 の 店 舗 、 園 芸 プログラム 等 、 地 域 の 就労 支 援 機 関 への 照 会• 生 活 支 援 、 職 業 評 価 ・ 職 業 準 備 訓 練 、 授 産 施 設 。 職 業 準 備 性 が 高 まった 人 への 職 業 サービスへの 紹 介• 職 業 準 備 性 の 評 価 、 支 援 機 関 が 運 営 する 事 業 や 契 約 している 雇 用 主 等 への 幅 広 い 職 業 選 択 のある 就 職支 援• 個 別 ケースマネジメント、 外 部 就 労 支 援 機 関 への 照 会-22- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー2 就 労 支 援 の 機 能 別 4 類 型 の 就 労 成 果 の 比 較様 々な 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 について、 上 述 の1~4の 機 能 別 に4 類 型 に 分 類 することによって、 就 労 成果 への 効 果 を 構 造 的 に 評 価 した。 様 々な 実 証 研 究 における、プログラムによる 成 果 の 比 較 の 構 造 は 次 の5 種類 に 整 理 することができた。• 援 助 付 き 雇 用 モデルの 就 労 支 援 における 医 療 との 統 合 の 有 無 の 比 較 (1vs.2)• 医 療 と 統 合 した 就 労 支 援 における 就 労 支 援 モデル( 援 助 付 き 雇 用 モデル、 職 業 準 備 性 モデル)の 比 較(1vs.3)• 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルにおける、 医 療 との 統 合 の 具 体 的 内 容 の 比 較 (1の 強 化 モデル vs .1)• 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 以 外 の 就 労 支 援 モデル(2、3、4) 間 の 比 較• 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル(1)の 就 業 成 果 を 示 すその 他 の 研 究以 下 に 示 す 通 り、 援 助 付 き 雇 用 モデルに 医 療 ・ 生 活 支 援 を 統 合 した 就 労 支 援 プログラムは、 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 プログラムや、 医 療 と 統 合 されてはいても 援 助 付 き 雇 用 モデルではない 就 労 支 援 プログラムに 比 べて、 多 くの 実 証 研 究 により 一 貫 して 一 般 就 業 率 に 最 も 高 い 成 果 が 示 されていた。 一 方 、 医 療と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルではない、 様 々な 就 労 支 援 あるいは 医 療 ・ 生 活 支 援 プログラムは、 一 般 就業 率 への 効 果 は 総 じて 低 かった。(1) 援 助 付 き 雇 用 モデルの 就 労 支 援 における 医 療 との 統 合 の 有 無 の 比 較 (1vs.2)「 援 助 付 き 雇 用 」モデルとして 共 通 点 のある1と2を 比 較 した 研 究 は2つあった( 表 2-4-1)。「 医 療 と 統合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」は、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 統 合 において、 家 族 心 理 教 育 (FPE)、あるいは、 包括 型 地 域 支 援 (ACT)との 統 合 を 特 徴 としていた。いずれの 場 合 も、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 就 労 支 援 は、 医 療 との 統 合 のない 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 就 労 支 援 よりも、 一 般 就 業 率 が 高 く、 就 業 継続 の 高 さも 示 されていた。著 者 、研 究 年McFarlane ら,2000表 2-4-1 「 援 助 付 き 雇 用 モデル」での 医 療 との 統 合 の 有 無 による 成 果 比 較研 究 就 業 検 証 対 象比 較 対 照統 計 的 検 定方 法 成 果 プログラムプログラム1+FPE2RCT一 般就 業 率 1全 期 間 における 平 均一 般 就 業 率一 般就 業 率 2平 均総 所 得平 均時 給45.9% 18.8% P


第 2 章 海 外 文 献 レビューGold ら,2006RCT就 業 率最 初 の仕 事 までの 期 間(Mdn)一 般 就 業率 21+ACT一 般就 業 1全 就 業一 般就 業 12全 就 業一 般就 業全 就 業63.6% 66.2% 26.0% 72.7% P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー著 者 、研 究 年Baileyら, 1998Beckerら, 2001Furlongら, 2002表 2-4-2 「 医 療 との 統 合 」モデルでの 援 助 付 き 雇 用 モデルの 採 用 の 有 無 の 成 果 比 較研 究検 証 対 象比 較 対 照 統 計 的就 労 成 果比 較 結 果方 法プログラムプログラム 検 定非 ランダム 化比 較 試験準実 験研 究比 較臨 床試 験一 般 就 業 率時 期 問 わずベースライン 時12 ヶ 月 後労 働 時 間 数総 所 得就 業 以 外 の 成 果その 他一 般 就 業 率各 月研 究 期 間 全 体就 業 歴 ありなし平 均 総 労 働 時 間就 業 歴 ありなし平 均 総 所 得就 業 歴 ありなし平 均 労 働 週 間就 業 歴 ありなし症 状 の 変 化 、 自 尊心 、 入 院 率 、 満 足度就 業 率研 究 開 始 時研 究 終 了 時時 期 問 わず74.2%12.9%64.5%1有 意 に 増 加(データなし)有 意 に 増 加(データなし)成 長 率P


第 2 章 海 外 文 献 レビューWong ら,2008RCT週 の平 均 労 働 時 間20.6 時 間 22.3 時 間 N.S.平 均 通 院 日 数 10.27 日 12.90 日 N.S.平 均 入 院 回 数 0.55 回 0.64 回 N.S.一 般 就 業 率時 期 問 わず6 ヶ 月 時12 ヶ 月 時18 ヶ 月 時最 初 の 仕 事 までの 平 均 日 数一 般 就 業平 均獲 得 数総 就 業 日 数170%63%54%43%329%24%27%22%P


第 2 章 海 外 文 献 レビューモデルでの 就 労 支 援 よりは 一 貫 して 高 い 一 般 就 業 率 を 示 した( 図 2-4-3)。図 2-4-3 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 群 と 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル 群 における 一 般 就業 率 (Wong et al., 2008 より 作 図 )(3) 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルにおける、 医 療 との 統 合 の 具 体 的 内 容 の 比 較 (1の 強 化 モデル vs .1)「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 中 で、さらに、 医 療 との 統 合 の 具 体 的 内 容 を 調 べた 研 究 が3つあった( 表 2-4-3)。その 結 果 、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」でも 特 に、 社 会 技 能 訓 練 や 認 知訓 練 が 強 化 された 支 援 では、 単 純 に IPS 適 合 性 尺 度 を 満 たす 就 労 支 援 モデルよりも、 一 般 就 業 率 が 高 くなっていた。 一 方 、 給 付 カウンセリングの 追 加 による 一 般 就 業 率 の 変 化 のデータは 示 されていなかったが、 年 間所 得 の 向 上 に 効 果 が 認 められていた。著 者 、研 究 年Tremblay ら,2006McGurk ら,2007Tsangら, 2008表 2-4-3 「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」モデルにおける 医 療 との 統 合 の 内 容 による 成 果 比 較研 究検 証 対 象比 較 対 照 統 計 的就 業 成 果比 較 結 果方 法プログラムプログラム 検 定1+1給 付 カウンセリング準実 験研 究RCTRCTカウンセリング 前 後2 年 間 の 四 半 期ごとの 平 均 所 得カウンセリング 前464~612ドルカウンセリング 後765~928ドル1+ 認 知 訓 練P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー平 均 就 業 継 続期 間 (21 ヶ 月 時 ) 約 30 週 約 17 週 P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー図 2-4-5 各 フォローアップ 期 間 における 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 強 化 群 と 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 モデル 群 の 一 般 就 業 率 (Tsang et al., 2009 より 作 成 )図 2-4-6 各 フォローアップ 期 間 における 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 強 化 群 と 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 モデル 群 の 就 業 継 続 (Tsang et al., 2009 より 作 図 )図 2-4-7 各 フォローアップ 期 間 における 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル 強 化 群 と 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 モデル 群 の 退 職 回 数 (Tsang et al., 2009 より 作 図 )-29- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー(4)「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」 以 外 の 就 労 支 援 モデルの 比 較医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル2と、 医 療 と 統 合 されているが 援 助 付 き 雇 用 モデルを 採 用 していない 就 労 支 援 3では、 就 労 成 果 に 差 が 認 められなかった。また、3において、 家 族 支 援 を 強 化 した 場 合には 再 発 率 の 低 下 は 認 められたが 就 業 率 には 差 が 認 められなかった( 表 2-4-4)。著 者 、研 究 年表 2-4-4 「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」 以 外 の 就 労 支 援 プログラムの 成 果 比 較研 究検 証 対 象 比 較 対 照 統 計 的就 業 成 果方 法プログラム プログラム 検 定3+FPE3比 較 結 果Ran ら,2003クラスターランダム 化比 較 試験再 発 率 16.3% 37.8% P


第 2 章 海 外 文 献 レビュー著 者 、研 究 年Cook ら,2005Bond ら,2008Sherring ら,2010表 2-4-5 「 医 療 と 統 合 した 援 助 付 き 雇 用 」プログラムのその 他 の 成 果 比 較研 究 方検 証 対 象 比 較 対 照 統 計 的 検就 業 成 果法プログラム プログラム 定RCTRCT一 般 統計 との比 較比 較 結 果1と3の 混 合 4 医 療 との 統 合 が一 般 就 業 率 1 58% 21% P


Cook et al., 2005 2-4-8 40 Cook et al., 2005 2-4-9 5070 1030 EBP ACT -32-


第 2 章 海 外 文 献 レビューGoldら(2006)McFarlaneら(2000)Tsangら(2008)McGurkら(2007)Wongら(2008)Baileyら(1998)Beckerら(2001)Furlongら(2009)Howardら(2010)Cookら(2005)Bondら(2008)Sherringら(2010)1+ACT21+FPE21+SST11+Cog11313131+ACT3231+3412+410% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%一 般 就 業 率 ( 研 究 期 間 中 に1 度 でも 一 般 就 業 した 人 の 割 合 )図 2-4-9 精 神 障 害 者 のための 様 々な 就 労 支 援 プログラムにおける 一 般 就 業 率 の 成 果 比 較1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル2 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル3 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル4 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル+ACT : 包 括 型 地 域 生 活 支 援 と 統 合+FPE : 家 族 心 理 教 育 と 統 合+SST : 社 会 技 能 訓 練 と 統 合+Cog : 認 知 訓 練 と 統 合(エラーバーはベイズ 推 計 による 95% 確 信 区 間 )第 5 節 考 察米 国 を 中 心 として「 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 (EBP)」とされる、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 内 容 について、その 根 拠 となる 実 証 的 研 究 を 詳 細 に 検 討 することにより、その 具 体 的 内 容 が、わが 国 の 状 況 とも 共 通 点 のある、 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 密 接 な 連 携 のあり 方 に 関 する 貴 重 な 情 報 とすることができた。重 度 精 神 障 害 者 に 対 して、 医 療 機 関 側 だけの 取 組 だけでもなく、また、 医 療 との 連 携 が 不 十 分 な 就 労 支 援 の取 組 でもなく、 両 者 が 密 接 な 関 係 をもつチームとして 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 統 合 的 に 実 施 する 取 組 が、 一般 就 業 や 職 場 定 着 の 成 果 のためのポイントとなることが 一 貫 して 示 されており、これらの 研 究 成 果 をわが 国においても 有 効 活 用 していくことが 重 要 であろう。-33- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー1 EBP の 対 象 者 = 重 度 精 神 障 害 者 (SMI)多 くの 文 献 では、 支 援 対 象 としての 精 神 障 害 者 は、 重 度 精 神 障 害 者 (SMI:Severe Mental Illness)となっていた。 本 研 究 で 紹 介 した 様 々な 研 究 において、 従 来 型 の 就 労 支 援 による 一 般 就 業 率 ( 研 究 期 間 中 に 一 度 でも 一 般 就 業 できた 人 の 割 合 )は 30% 未 満 でで、10% 未 満 となっている 研 究 もあり、 就 業 上 の 困 難 性 も 高 い 人たちであると 言 える。SMI は 特 定 の 診 断 名 ではなく、 精 神 疾 患 の 診 断 基 準 となる 様 々な 精 神 的 な 機 能 障 害 とそれによる 生 活 面 の障 害 の 程 度 によって 定 義 されている。 米 国 における 代 表 的 な SMI の 定 義 は 次 の 3 つの 条 件 を 満 たすことである( 大 統 領 精 神 保 健 新 自 由 委 員 会 NFCMH, 2003)。(1) 精 神 的 、 行 動 的 、あるいは、 感 情 的 な 失 調 がある。(2) 現 行 の DMS( 精 神 障 害 の 診 断 と 統 計 の 手 引 き)で 特 定 されている 診 断 基 準 を 満 たす 状 態 が 十 分 な 期 間継 続 している。(3)それにより 機 能 障 害 があり、1つ 以 上 の 主 要 な 生 活 活 動 を 妨 げたり 制 限 したりしている。2 重 度 精 神 障 害 者 の 一 般 就 業 の 成 果 をうむ 就 労 支 援 のあり 方精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 効 果 的 あり 方 についての 海 外 の 実 証 研 究 では、 支 援 内 容 の 点 でも、 就 労 成 果 の 点でも、 様 々な 観 点 からの 比 較 対 照 が 行 われてきたことを 確 認 できた。就 労 成 果 の 評 価 は 必 ずしも 一 定 の 基 準 によるものではないが、 多 くの 研 究 では 比 較 対 照 群 と 同 一 基 準 で 比較 し、 異 なる 就 労 支 援 モデルの 成 果 を 比 較 していた。その 結 果 、 一 貫 した 結 果 として、 重 度 精 神 障 害 者 の 一般 就 業 や 職 場 定 着 に 対 して 最 も 効 果 のある 就 労 支 援 モデルが「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルであった。その 具 体 的 内 容 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 個 別 的 で 継 続 的 な 支 援 を 重 視 する「 援 助 付 き 雇 用 モデル」による 支 援 が 効 果 的 であることだけでなく、ジョブコーチ 支 援 等 の 一 般 的 な 就 労 支 援 だけでなく、 医 療 ・ 生活 支 援 と 就 労 支 援 とが 統 合 された 取 組 を 不 可 欠 とするものであった。就 業 成 果 について、 多 くの 研 究 では、 一 般 就 業 率 として「 研 究 期 間 中 に 1 度 でも 一 般 就 業 した 人 の 割 合 」が 示 されており、これについては 他 の 就 労 支 援 モデルでは 10~30%であるのに 対 して、「 医 療 と 統 合 された援 助 付 き 雇 用 」モデルでは 50~70%と 顕 著 に 高 くなっていた。 一 方 で、 特 定 時 点 での 一 般 就 業 率 はより 低 く、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルでも 30~60%、その 他 のモデルでは 10~20%であった。このような 結 果 は、 重 度 精 神 障 害 者 の 就 業 継 続 の 困 難 性 を 示 していると 考 えられ、いまだ 一 般 就 業 率 も 職 場 定 着 率も 十 分 な 成 果 とは 言 えないかもしれない。しかし、 他 のモデルでは 研 究 期 間 終 了 後 の 一 般 就 業 率 がほとんど0になっていたのに 対 して、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルでは 20~30%の 一 般 就 業 率 が 維 持 されていたという2つの 研 究 もあり、この 就 労 支 援 モデルが、 他 の 就 労 支 援 モデルに 比 較 して 顕 著 に 成 果 の 大きなものであることは 一 貫 して 示 されていた。-34- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー3 効 果 的 な 就 労 支 援 の 具 体 的 内 容「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルは、 重 度 精 神 障 害 者 に 対 する 効 果 的 な 就 労 支 援 の 条 件 を 明 確 化する 中 で、 比 較 対 照 となる 他 の 就 労 支 援 モデルとの 違 いを 明 確 にするために、 適 合 性 尺 度 が 開 発 され 実 施 基準 となっていた。したがって、 実 証 研 究 において 比 較 対 照 となってきた 様 々な 就 労 支 援 モデルとの 対 比 によって、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルの 特 徴 を 明 確 にすることが 適 当 である。なお、 各 就 労 支 援 モデルに 該 当 する 具 体 的 取 組 は 巻 末 資 料 2に 示 す。(1) 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルの 具 体 的 内 容本 章 で 検 証 した「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルの 実 施 にあたっては、 多 くの 支 援 機 関 が、SAMHSA の EBP ツールキットの「 援 助 付 き 雇 用 」 適 合 性 尺 度 (あるいは、 同 内 容 の IPS 適 合 性 尺 度 )を 実施 基 準 としていた。 適 合 性 尺 度 の 項 目 には「 職 業 準 備 性 モデル」と「 援 助 付 き 雇 用 モデル」を 区 別 する 項 目と、「 医 療 との 統 合 」の 具 体 的 内 容 についての 項 目 として 整 理 でき、この 両 面 に 適 合 性 がないと、 就 業 成 果 が達 成 されていなかった。ア 援 助 付 き 雇 用 モデルを 特 徴 づける 項 目次 のような 内 容 は、 職 業 準 備 性 モデルと 区 別 される、 援 助 付 き 雇 用 モデルの 特 徴 を 明 確 にしたものと 考 えられる。これらは、わが 国 の 知 的 障 害 者 等 のジョブコーチ 支 援 でも 重 視 される 項 目 である。 例 えば、「 就 労 支援 の 職 業 準 備 性 による 除 外 なし(B-3)」や「 一 般 就 業 への 具 体 的 取 組 の 重 視 (C-2)」も、 従 来 、 就 労 を 希 望 しながらも 就 労 支 援 を 受 けられないことが 多 かった 精 神 障 害 者 も 就 労 支 援 の 対 象 とすることを 意 味 している。• 就 労 支 援 担 当 者 による、 就 職 前 から 就 職 後 の 包 括 的 な 就 労 支 援 (A-2,A-3)• 就 労 支 援 者 のグループ( 情 報 共 有 、スーパービジョン 等 )(B-2)• 就 労 支 援 の 職 業 準 備 性 による 除 外 なし(B-3)• 実 際 の 職 業 場 面 でのアセスメント(C-1)• 一 般 就 業 への 具 体 的 取 組 の 重 視 (C-2)• 本 人 の 興 味 ・ 強 み・ニーズに 基 づく 就 職 活 動 支 援 (C-3)• 多 様 な 一 般 就 業 の 選 択 肢 の 提 供 (C-4,C-5)• 職 場 における 支 援 と 事 業 主 支 援 (C-7)、 地 域 での 就 労 支 援 (C-8))、 等イ 就 労 支 援 と 医 療 との 統 合 を 特 徴 づける 項 目EBP の 実 証 研 究 では、 特 に、 医 療 関 係 者 と 就 労 支 援 関 係 者 のコミュニケーションやチームによる 支 援 体 制の 有 無 や 支 援 局 面 としての 非 就 労 者 へのアウトリーチや 就 職 後 の 継 続 的 支 援 が「 医 療 との 統 合 」の 具 体 的 な指 標 となっていた。 具 体 的 には、 次 のような 内 容 が、 医 療 と 統 合 された 就 労 支 援 と、そうでない、 就 労 支 援あるいは 医 療 ・ 生 活 支 援 それぞれの 取 組 、あるいは、 段 階 的 ・ 並 行 的 な 連 携 の 取 組 を 区 別 するための 項 目 と考 えられる。• 精 神 保 健 のケースマネジメントと 就 労 支 援 者 のチーム(B-1)• 就 職 後 も 継 続 する 事 業 主 と 本 人 への 支 援 (C-6)• 全 ての 患 者 への 就 労 への 働 きかけ、 関 係 づくり、 励 まし(C-8)-35- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビューさらに、 近 年 の 研 究 では、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデルでも、 単 純 にこれらの 組 織 面 や 支 援 局面 の 適 合 性 尺 度 を 満 たす 支 援 よりも、より 具 体 的 な、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)や 家 族 心 理 教 育 (FPE)、あるいは、 認 知 訓 練 、 社 会 生 活 技 能 訓 練 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 との 統 合 による 成 果 の 向 上 が 示 されていた。(2) 比 較 対 照 となっている 様 々な 就 労 支 援 モデル「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 」モデル 以 外 の 就 労 支 援 モデルとしては、 具 体 的 に 次 のようなものがあった。これらは、わが 国 においても、 様 々な 類 似 した 取 組 がみられる。ア 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル重 度 精 神 障 害 者 が 最 も 接 点 をもっているのが 精 神 科 医 療 機 関 であり、 歴 史 的 に 地 域 の 職 業 リハビリテーション 機 関 との 接 点 も 少 ない 中 で、 治 療 と 生 活 支 援 を 中 心 として 職 業 準 備 性 を 高 め、 本 人 が 自 ら 就 職 活 動 ができる 段 階 にまで 支 援 をしていくという 就 労 支 援 モデルである。 職 業 準 備 性 を 高 めるために 動 機 づけ 支 援 、社 会 技 能 訓 練 、 家 族 支 援 等 を 実 施 している 場 合 や、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 の 対 象 となっている 場 合 もあった。実 際 には、 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 的 就 労 支 援 の 対 象 となりにくく、 授 産 施 設 やデイケア 等 の 福 祉 的 就労 の 段 階 が 多 かったり、 就 労 支 援 よりも 生 活 支 援 が 主 要 な 支 援 課 題 となっている 場 合 が 多 い。イ 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル米 国 における 重 度 障 害 者 への 職 業 リハビリテーションは 基 本 的 に「 援 助 付 き 雇 用 」モデルによることから、就 職 前 から 就 職 後 までの 個 別 的 で 継 続 的 な 支 援 が 提 供 される。また、 重 度 精 神 障 害 者 にとって 医 療 との 関 係は 不 可 欠 であるため、 常 に 医 療 的 支 援 は 受 けることになる。しかし、そのような 支 援 を 担 当 する 医 療 機 関 側と、 就 労 支 援 側 の 間 に 十 分 なコミュニケーションがない 場 合 が、この 就 労 支 援 モデルに 該 当 する。したがって、「 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 」モデルは、 実 際 には、 医 療 機 関 側 の 治 療 や 生 活 支 援 と、 地 域 の職 業 リハビリテーションサービスが 十 分 な 連 携 なしに、 段 階 的 あるいは 並 行 的 に 支 援 するタイプの 就 労 支 援である。 実 証 研 究 においては、 週 2~4 日 の 共 同 ミーティングや 情 報 共 有 では、 医 療 と 就 労 支 援 の 統 合 は 低いと 見 なされていた。ウ 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル重 度 精 神 障 害 者 にとって 医 療 との 関 係 は 不 可 欠 であるため、 実 証 研 究 において、 比 較 対 照 としても「 医 療と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル」での 就 労 支 援 は 少 ない。しかし、 近 年 の 精 神 科 医 療 や 生 活 支 援 の 進歩 を 十 分 に 反 映 していない、 一 般 的 な 地 域 の 福 祉 的 就 労 プログラム、 地 域 の 福 祉 サービス 等 しか、 重 度 精 神障 害 者 に 対 して 提 供 されていない 場 合 について、 比 較 対 照 の 従 来 型 の 就 労 支 援 モデルとしている 研 究 もあった。4 わが 国 における 検 討 課 題精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 について、わが 国 においても 従 来 から、 労 働 機 関 側 からは 医 療 や 生 活 支 援 との 連 携の 重 要 性 が 明 らかであったし、 一 方 、 医 療 機 関 側 での 就 労 支 援 への 取 組 も 活 発 になっていた。 重 度 精 神 障 害者 に 対 して、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 取 組 が 重 要 であることは、わが 国 においても、 労 働機 関 側 と 医 療 機 関 側 の 共 通 認 識 として 明 確 にされるべきものであろうが、わが 国 の 状 況 を 踏 まえた 検 討 課 題もある。-36- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー(1) 労 働 機 関 側 への EBP の 理 解 の 促 進 ( 医 療 との 統 合 的 支 援 の 重 要 性 )わが 国 では、EBP としての IPS は 医 療 機 関 側 で 先 に 取 り 組 まれ、 主 に 医 療 機 関 を 中 心 とした 取 組 としての紹 介 であったため、 医 療 機 関 における 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 等 の 職 業 準 備 性 モデルによる 就 労 支 援 に 対 して「 職業 準 備 性 モデル vs. 援 助 付 き 雇 用 モデル」という 軸 での 強 調 が 多 い。しかし、IPS について「 迅 速 な 職 探 し」等 の 援 助 付 き 雇 用 の 軸 が 強 調 されるだけでは、 就 職 できたとしても 体 調 を 崩 したり 人 間 関 係 を 悪 化 させて 退職 させることは、 本 人 へのダメージ、 企 業 への 負 担 、さらに、 支 援 者 の 信 頼 性 の 低 下 につながる。 米 国 などでは、 退 職 を 前 向 きな 選 択 としてとらえ、すぐに 次 の 仕 事 を 探 して 就 職 する 傾 向 があるが、わが 国 では 就 業継 続 がより 重 視 される。 労 働 機 関 側 では、 従 来 型 の 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 限 界 の 中 で、 疾 患 管 理 や 生 活 支援 等 の 重 要 性 が 意 識 されるため 共 通 認 識 が 困 難 になりやすかったと 考 えられる。その 意 味 でも、わが 国 においては、 職 場 定 着 の 効 果 も 高 める、 医 療 との 統 合 の 軸 を 含 めて 総 合 的 に 紹 介 することが 必 要 である。 特 に、 既 に 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 就 労 支 援 が 一 般 的 である 労 働 機 関 向 けには、IPSは「 医 療 的 支 援 との 統 合 の 強 vs. 弱 」という 軸 を 強 調 し、 医 療 的 支 援 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 としてその 内容 を 明 確 にすることが 重 要 である。(2) 労 働 と 医 療 の 連 携 のより 一 層 密 接 な 連 携 の 必 要 性重 度 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 においては、 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 統 合 が 成 功 の 重 要 なポイントであることが 一 貫 して 示 されているが、その「 統 合 」の 要 件 は 具 体 的 には、 就 労 支 援 者 と 医 療 ・ 生 活 支 援 者 が 同一 のチームして 密 接 なコミュニケーションによって 支 援 することが 求 められている。これは、 重 度 精 神 障 害者 においては、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 課 題 が 複 合 的 であり 統 合 的 な 支 援 が 不 可 欠 なことを 反 映 している。わが 国 においても、 労 働 機 関 と 医 療 機 関 の 統 合 的 な 支 援 を 可 能 とする 体 制 や、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 具 体 的 な役 割 分 担 のあり 方 についても、 今 後 検 討 が 必 要 である。必 要 とされる 統 合 的 な 支 援 体 制 のためには、 米 国 においては、 医 療 チームが 雇 用 専 門 家 を 雇 う 形 が 歴 史 的に 多 く、わが 国 における IPS も 医 療 機 関 に 就 労 支 援 者 を 置 く 形 での 取 組 が 多 い。しかし、 米 国 でもカスタマイズ 就 業 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №80 参 照 )の 取 組 では、ワンストップセンター(わが国 のハローワークに 相 当 )を 中 核 として 医 療 機 関 との 密 接 なケースワークにより、 効 果 的 な 精 神 障 害 者 への就 労 支 援 を 実 現 している 例 もある。わが 国 においても、チーム 支 援 等 のケースワーク 方 式 で 個 別 的 継 続 的 に多 職 種 が 連 携 する 等 、 様 々な 連 携 の 形 態 が 検 討 される 必 要 があろう。また、EBP として、 就 労 支 援 との 統 合 の 効 果 が 確 認 されている 医 療 ・ 生 活 支 援 は、 疾 患 管 理 については、服 薬 ・ストレス 対 処 を 含 む 本 人 の 自 己 管 理 や 目 標 設 定 を 重 視 した 個 別 的 ・ 継 続 的 な 支 援 となっている。また、生 活 支 援 は、 当 事 者 が 地 域 で 生 活 することを 前 提 とした 他 職 種 チームによる 包 括 的 支 援 であり、 給 付 に 関 する 相 談 も 福 祉 支 援 だけで 実 施 されるのではなく 就 労 支 援 と 一 体 的 に 実 施 することで 高 い 就 業 成 果 に 結 びついている。 家 族 支 援 では 家 族 も 重 要 な 治 療 パートナーとして 取 り 組 むための 教 育 やグループセッションを 重 視している。これらは「 医 療 との 連 携 」における 医 療 側 の 取 組 の 重 要 性 を 示 している。-37- - -


第 2 章 海 外 文 献 レビュー第 6 節 文 献デイケアとの 比 較• Becker, DR, Bond, GR, McCarthy, D, Thompson, D, Xie, H, McHugo, GJ, and Drake, RE (2001).Converting day treatment centers to supported employment programs in Rhode Island. PsychiatricServices, 52(3), 351-357.• Baily, EL, Ricketts, SK, Becker, DR, Xie, H, and Drake, RE (2004). Do long-term day treatmentclients benefit from supported employment? Psychiatric Rehab J, 22(1), 24-29.従 来 型 支 援 との 比 較• Bond, GR, Drake, RE, and Becker, DR (2008). An update on randomized controlled trials ofevidence-based supported employment. Psychiatric Rehab J, 31(4), 280-290.• Wong, KK, Chiu, R, Tang, B, Mak, D, Liu, J, and Chiu, SN (2008). A randomized controlled trial of asupported employment program for persons with long-term mental illness in Hong Kong.Psychiatric Services, 59(1), 84-90.• Howard, LM, Heslin, M, Leese, M, McCrone, P, Rice, C, Jarrett, M, Spokes, T, Huxley, P, andThornicroft, G (2010). Supported employment: randomized controlled trial. The British Journal ofPsychiatry, 196, 404-411.医 療 サービスと 就 労 サービスの 統 合• Cook, JA, Lehman, AF, Drake, RE, McFarlane, WR, Gold, PB, Leff, HJ, Blyler, C, Toprac, M G,Razzano, LA, Burke-Miller, JK, Laura Blankertz, L, Shafer, M, Pickett-Schenk, SA, and Grey, DD(2005). Integration of Psychiatric and Vocational Services: A Multisite Randomized, Controlled Trialof Supported Employment. Am J Psychiatry, 162(10), 1948-1956.給 付 カウンセリングと 就 労 支 援 の 統 合• Tremblay,T, Smith, J, Xie, H,and Drake, RE (2006). Effect of benefits counseling services onemployment outcomes for people with psychiatric disabilities, Psychiatric Services, 57, 816-821.ACTと 就 労 支 援 の 統 合• Furlong, M, McCoy, ML, Dincin, J, Clay, R, McClory, K, and Pavick, D (2002). Jobs for people withthe most severe psychiatric disorders: Thresholds bridge north pilot. Psychiatric Rehab J, 26(1), 13-22.• Gold, PB, Meisler, N, Santos, AB, Carnemolla, MA, Williams, OH, and Keleher, J (2006).Randomized trial of supported employment integrated with assertive community treatment forrural adults with severe mental illness. Schizophrenia Bulletin, 32(2), 378-395.SSTと 就 労 支 援 の 統 合• Tsang, HWH, Chan, A, Wong, A, and Liberman, RP (2009). Vocational outcomes of an integratedsupported employment program for individuals with persistent and severe mental illness. Journal ofBehavior Therapy and Experimental Psychiatry, 40, 292-305.認 知 訓 練 と 就 労 支 援 の 統 合• McGurk, SR, Mueser, KT, Feldman, K , Wolfe, R, and Pascaris, A (2007). Cognitive training forsupported employment: 2-3 year outcomes of a randomized controlled trial. Am J Psychiatry, 164(3),437-441.家 族 心 理 教 育 と 就 労 支 援 の 統 合• McFarlane, WR, Dushay, RA, Deakins, SM, Stastny, P, Lukens, EP, Toran, J, and Link, B (2000).Employment outcomes in family-aided assertive community treatment. Am J Psychiatry, 70(2),203-214.• Ran, MS, Xiang, MZ, Chan, CLW, Leff, J, Simpson, P, Huang, MS, Shan, YH, and Li, SG (2000).Effectiveness of psychoeducational intervention for rural Chinese families experiencingschizophrenia. Social Psychiatry Psychiatric Epidemiology, 38, 69-75.-38- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー第 3 章 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 についての国 内 文 献 レビュー第 1 節 はじめに第 2 章 で 概 観 したとおり、 海 外 の 実 証 研 究 の 集 積 により、 重 度 精 神 障 害 のある 人 に 対 して、 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル、あるいは、 医 療 と 統 合 されていても 職 業 準 備 性 モデルでの 就 労 支 援 では、十 分 な 就 労 支 援 成 果 が 上 げられないのに 対 して、 精 神 科 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルは、 一 貫 して高 い 一 般 就 業 と 職 場 定 着 の 成 果 を 示 していることが 明 らかとなった。また、その 具 体 的 な 内 容 について、 適合 性 尺 度 によって、 医 療 関 係 者 と 就 労 支 援 者 の 連 携 、チームとしてのコミュニケーション 体 制 の 要 件 、また、具 体 的 な 支 援 場 面 や 支 援 内 容 等 が 明 確 にされている。このような 医 療 との 統 合 や、 援 助 付 き 雇 用 モデルで 示される 就 職 前 から 就 職 後 までの 個 別 的 継 続 的 支 援 の 重 要 性 は、 精 神 障 害 の 疾 患 や 障 害 の 特 性 からも 合 理 的 に理 解 できるものである。これまでわが 国 では、これに 対 応 するような 実 証 研 究 は 十 分 に 実 施 されていないが、その 一 方 で、 精 神 障害 のある 人 が 仕 事 に 就 き 継 続 するために 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 的 な 就 労 支 援 と 医 療 との 密 接 な 連 携 が重 要 であることは、わが 国 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 においても 十 分 認 識 されてきた。また、 雇 用 支 援 側だけでなく、 医 療 機 関 等 においても、 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 取 組 が 多 く 報 告 されている。そのような 取組 には、EBP への 準 拠 を 謳 うものだけでなく、わが 国 の 医 療 や 生 活 支 援 の 現 場 から 発 展 してきたものも 多 くある。EBP について、 特 定 の 支 援 プログラムとしてではなく、 精 神 障 害 のある 人 の 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 の 両 立 を支 えるための 基 本 的 な 就 労 支 援 モデルを 機 能 的 に 明 らかにしたものとして 捉 えれば、わが 国 の 成 功 している就 労 支 援 の 内 容 と、EBP の 要 素 には 当 然 関 連 性 が 期 待 できる。 逆 に、わが 国 の 医 療 機 関 における 様 々な 就 労支 援 の 取 組 について、EBP として 網 羅 的 に 整 理 されてきた 項 目 によって 整 理 することによって、わが 国 の 医療 機 関 における 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 特 徴 を 明 らかにすることも 期 待 できる。第 2 節 目 的本 章 では、わが 国 の 医 療 機 関 等 において 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 として 効 果 が 報 告 されている 具 体 的な 内 容 を 把 握 し、 国 際 的 に EBP と 認 められている 内 容 との 関 連 を 明 らかにし、わが 国 の 医 療 機 関 における 精神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 特 徴 を 明 らかにすることを 目 的 とした。第 3 節 方 法わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 から 文 献 等 で 報 告 されている 就 労 支 援 と 医 療 / 生 活 支 援 の 具 体 的 内 容 を、EBP 適合 性 尺 度 項 目 を 活 用 して、 網 羅 的 に 分 類 した。-39- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー1「 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 」の 範 囲本 研 究 では、 精 神 障 害 者 ( 統 合 失 調 症 と 気 分 障 害 など)の 就 労 支 援 の 内 容 として、 幅 広 く、 就 職 前 の 準 備から 就 職 までの 支 援 、さらに、 就 業 継 続 の 支 援 、あるいは、 気 分 障 害 等 の 場 合 に 多 い 復 職 支 援 や 就 業 中 の 再発 防 止 の 支 援 を 含 めた。2 就 労 支 援 に 関 連 する 医 療 ・ 生 活 支 援 の 範 囲就 業 成 果 に 関 連 する 主 要 な EBP としては、「 援 助 付 き 雇 用 (SE 又 は IPS)」だけでなく、「 包 括 型 地 域 支援 (ACT)」「 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)」「 家 族 心 理 教 育 (FPE)」を 含 めた。ただし、これらの EBP の 全 体 への 取 組 や、 報 告 における EBP への 言 及 にはかかわらず、それぞれの EBPの 適 合 性 尺 度 に 含 まれる 個 々の 取 組 に 対 応 する 支 援 内 容 を 把 握 した。 適 合 性 尺 度 は、 米 国 連 邦 保 健 省 薬 物 依存 精 神 保 健 サービス 部 (SAMHSA)の EBP ツールキットによった。3 文 献 検 索文 献 検 索 データベース(NDL-OPAC: 国 立 国 会 図 書 館 蔵 書 検 索 システム)により、2005 年 以 降 のわが 国の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 の 文 献 を 検 索 した。 検 索 語 は、「 就 労 支 援 」「 医 療 機 関 」「リワーク」「デイケア」「EBP」「 家 族 療 法 」「 認 知 行 動 療 法 」などの 複 合 とし、 得 られた 文 献 から 該 当 文 献 を 選 択 した。第 4 節 結 果1 抽 出 文 献 の 概 要医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 を 報 告 している 28 文 献 ( 章 末 にリスト 掲 載 )を 抽 出 し、 言 及 されている 支 援内 容 について、 援 助 付 き 雇 用 の 適 合 性 尺 度 項 目 の「スタッフ」に 該 当 するものが 18 文 献 、「 組 織 」が 19 文 献 、「サービス」が 22 文 献 あった。また、 包 括 的 地 域 生 活 支 援 (ACT)の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 する 言 及 は9 文献 、 疾 患 自 己 管 理 支 援 (IMR)は 10 文 献 、 家 族 心 理 教 育 (FPE)が7 文 献 であった。2 医 療 機 関 等 での「 援 助 付 き 雇 用 」への 取 組表 3-4-1、 表 3-4-2 に、 援 助 付 き 雇 用 の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 従 い、わが 国 の 医 療 機 関 等 で 実 施 されている取 組 内 容 を 整 理 したものを 示 す。表 3-4-1 に 示 すように、 医 療 機 関 において 専 任 の 就 労 支 援 スタッフを 置 いているのは、IPS を 実 施 している 機 関 がほとんどであった。 保 健 医 療 と 就 労 支 援 スタッフのチームの 形 態 としては、IPS での 病 院 内 でのチームや 情 報 共 有 以 外 に、 地 域 でのハローワークスタッフ 等 との 密 接 な 連 携 があった。ただし、 医 療 機 関 中 での 就 労 支 援 者 のスーパービジョン 等 のユニットとしての 体 制 の 報 告 はわずかであり、 外 部 就 労 専 門 家 のスーパーバイズを 受 けている 例 もあった。また、 就 労 支 援 対 象 者 の 除 外 基 準 がないと 報 告 していたのは IPS 実 施機 関 以 外 ではなかった。-40- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー表 3-4-1 「 援 助 付 き 雇 用 」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組 (1)A スタッフA-1 専 任 の 就 労 支 援 者1)・ 就 労 支 援 専 門 家 は、 全 就 労 過 程 のジェネラリストであり、 就 労 サービスのみを 提 供・ 院 内 調 整 (スタッフ 増 員 、 従 来 業 務 の 縮 小 ・ 簡 素 化 など)によって、 就 労 支 援 担 当 者 がハローワーク、 事 業 所 を 訪 問2)、3)できる 体 制 を 整 え、 個 別 面 接 、 訪 問 活 動 の 重 視 を 実 現・ 作 業 療 法 士 の「ジョブアドバイザー」が 訓 練 場 面 から 就 労 に 至 るまで 一 貫 した 支 援 を 行 う 4)A-2 包 括 的 な 就 労 支 援 (アウトリーチ、アセスメント、 就 職 支 援 、フォローアップ)・ 職 業 カウンセリング、 職 場 開 拓 、 求 職 活 動 、 継 続 ・ 同 行 支 援 、 関 係 者 ・ 資 源 への 広 報 とネットワーク 構 築 などを 行 う 1)、B 組 織2)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)B-1 精 神 保 健 援 助 とリハビリテーションの 統 合• 同 一 機 関 内 の 多 領 域 チームによる 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービス・ 本 人 が 体 調 を 崩 したり 精 神 症 状 に 変 化 が 見 られたときに、ケースマネージャーが 保 健 医 療 サービスの 量 を 迅 速 に 増やすなど 臨 機 応 変 に 対 応 できたことで、1 年 を 超 える 週 20 時 間 雇 用 の 継 続 に 貢 献 した 1)・ 就 労 支 援 担 当 者 に 加 え、 多 職 種 チームによるサポート( 作 業 療 法 士 : 運 動 、ケアマネ:グループダイナミクス、 看 護師 : 委 託 訓 練 、 医 療 観 察 法 、 健 康 、 心 理 教 育 、 臨 床 心 理 技 術 者 :WRAP、 精 神 保 健 福 祉 士 : 家 族 支 援 )のケースマネジャー 機 能 を 強 化 し、デイケアで、 個 別 就 労 支 援 を 行 っている 3)• 同 一 機 関 内 における、 就 労 支 援 と 医 療 の 共 通 ( 電 子 )カルテ、 密 接 なコミュニケーション・ 就 労 支 援 と 医 療 の 共 通 カルテ(データベース 上 の 日 々の 臨 床 記 録 、シフトマネージャーノート、リカバリープラン、 職 業 関 連 のアセスメントプロフィール 1) 、 就 労 支 援 情 報 が 全 て 記 載 されている 電 子 カルテ 2)、14) など)・ 就 労 支 援 担 当 者 が、チームメンバー( 主 治 医 、デイケアスタッフ、 精 神 保 健 福 祉 士 など)と 就 労 ミーティングやケース会 議 、 日 常 的 コミュニケーション、カルテ 記 載 で、 情 報 共 有 をスムーズにすることにより、 就 労 状 況 に 合 わせたよりよい 薬 物 療 法 が 可 能 となる 2)、14)• 医 療 機 関 と 外 部 機 関 ( 労 働 機 関 等 )との 密 接 な 連 携・ハローワークの 担 当 職 員 と 医 療 機 関 のスタッフ 間 の 密 接 な 連 携 : 毎 年 行 われる 精 神 障 害 者 ジョブガイダンス 事 業 、ハローワーク 専 門 援 助 部 門 との 連 携 ・ 情 報 のやり 取 り( 個 々の 患 者 のハローワーク 利 用 状 況 を 含 む)、 企 業 の 情 報提 供 、 企 業 のクリニック 見 学 ( 訓 練 中 の 患 者 の 様 子 等 )。 5)・ 労 働 機 関 と 医 療 機 関 の 合 同 のケース 会 議 16)・ハローワーク、 職 業 センター、 当 事 者 、 支 援 者 での 調 整 会 議 などによる 連 携 ( 職 業 的 課 題 の 確 認 、 個 別 の 職 場 開拓 、 心 理 サポートによる 後 方 支 援 ) 17)・ 地 域 の 関 係 機 関 とのネットワークの 構 築 ・ 維 持 : 福 祉 施 設 、 企 業 、 障 害 者 就 労 支 援 センター、ハローワーク、 特 別 支援 学 校 、 当 事 者 などによるネットワーク、 研 究 会 、メーリングリスト 等 10)、12)、14) 。• 同 一 機 関 内 において 提 供 される 精 神 保 健 サービスと 就 労 サービス( 詳 細 不 明 )・ 精 神 保 健 と 就 労 支 援 の 両 サービスを、 同 一 の 機 関 内 で 提 供 5) 、 7) 、 8) 、 9) 、 10) 、 12) 、 14) 、 17) 、 18)・ 通 院 患 者 の 就 労 支 援 や 復 職 支 援 、 作 業 所 や 他 機 関 との 連 携 などに 関 しては、 臨 床 心 理 士 が 心 理 検 査 や 心 理 療 法といった 中 心 となる 業 務 と 連 続 した 支 援 として 位 置 づけ 取 組 んでいる。 16)B-2 就 労 支 援 者 のグループ( 情 報 共 有 、スーパービジョン 等 )・ 就 労 支 援 は、 自 機 関 のスタッフが 主 に 担 当 する 1)、 2) 、 3) 、 4) 、 5) 、 6) 、 7) 、 8) 、 9) 、 10) 、 11) 、 12) 、 13) 、 14) 、 14) 、 16) 、 17) 、 18)・ 就 労 専 門 家 同 士 が 週 1 回 のミーティングで 職 場 開 拓 の 情 報 を 共 有 する 等 して 連 携 を 確 保 1)・ 外 部 の 職 業 リハ 専 門 家 が 毎 月 、 利 用 者 全 員 の 個 別 支 援 の 進 捗 状 況 のスーパーバイズを 実 施 19)B-3 就 労 支 援 対 象 者 の 除 外 基 準 なし・ 就 労 支 援 には 希 望 者 全 員 が 参 加 可 能 で、 職 業 準 備 性 、 職 歴 、 入 院 歴 、 症 状 等 での 除 外 はない 2)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 示 されているもの。)-41- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー表 3-4-2 「 援 助 付 き 雇 用 」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組 (2)C サービスC-1 実 際 の 職 場 や 仕 事 内 容 での 職 業 アセスメント・ジョブコーチ 付 の 就 労 前 実 習 で、 職 場 ・ 担 当 者 ・ 現 場 の 問 題 把 握 と 修 正 2) 、 3 )、 4) 、 7) 、 9 )、 10 )、 14 )、 15 )、 18 )・リワークデイケアの 場 において、 模 擬 的 な 就 労 場 面 での 職 業 評 価 4 )、 20 )、 21 )・「うつ 病 リターンワークコース」: 復 職 支 援 において 事 業 所 支 援 と 一 体 的 に 本 人 の 状 況 を 評 価 22 )C-2 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 活 動 への 迅 速 な 取 組・ 迅 速 な 職 探 し 13) : 本 人 のモチベーション 維 持 ・ 向 上 、 支 援 者 との 信 頼 関 係 の 構 築 に 有 益 2)・ 雇 用 主 とできるだけ 早 くコンタクトをとり、 職 場 見 学 で 具 体 的 な 仕 事 内 容 を 知 り、 通 勤 方 法 、 仕 事 内 容 などについても 具 体 的 に 交 渉 / 支 援 を 開 始 2)・ 履 歴 書 作 成 や 就 職 面 接 等 、 就 労 活 動 中 の 様 々な 課 題 に 対 するきめ 細 かな 支 援 2) 、 12) 、 13 、 18)C-3 本 人 の 興 味 、 経 験 、 能 力 、ニーズに 基 づく 個 別 的 な 就 職 活 動 支 援・ 本 人 の 夢 、 大 切 にしていること、 職 業 上 の 目 標 などを 丁 寧 にすくいあげ 2)、 6) 、 職 場 実 習 において 色 々な 職 種 への適 性 を 明 確 化 7) し、 希 望 の 仕 事 内 容 や 働 くイメージをより 具 体 化 6) 、 7)・ 関 係 作 りも 兼 ね、 本 人 と 自 宅 付 近 で 昼 食 をとるなど 共 通 の 時 間 を 過 ごす 中 で、 友 人 も 多 く、 明 るく 朗 らかで 健 康 的な 本 人 に 触 れ、 開 拓 する 職 場 のイメージかどんどん 膨 らんでいった。 6)・オープン・クローズにかかわらず、 仕 事 内 容 ・ 労 働 環 境 を 本 人 に 合 わせる 14)・ 本 人 、 支 援 者 、ハローワーク、 職 業 センターでの 調 整 会 議 によって 職 歴 と 退 職 理 由 を 検 討 し、 本 人 に 適 合 し 定 着を 視 野 に 入 れた 職 場 条 件 を 検 討 し 職 場 開 拓 17)C-4 多 様 な 職 業 、 常 勤 の 仕 事 の 選 択 肢 の 提 供・ 多 様 な 選 択 肢 を 示 すにあたり、ハローワーク、 求 人 広 告 、フリーペーパー、インターネット、 縁 故 ( 友 人 、 家 族 、 他 就13)労 支 援 者 など)、 街 の 張 り 紙 等 を 活 用・ 支 援 者 が「 当 事 者 ができそうな 仕 事 は 何 か?」と 常 に 意 識 をしながら、 日 常 的 に 求 人 検 索 12)・ 支 援 スタッフが 職 場 開 拓 により 就 職 に 結 び 付 ける 7) 。 人 事 担 当 者 と 顔 見 知 りになり 募 集 の 連 絡 を 入 れてもらう 10) 。 企業 ( 企 業 を 核 とした 支 援 ネットワーク)から 企 業 を 紹 介 してもらうことで 就 職 率 が 上 がる 14)C-5 退 職 が 適 当 な 場 合 の 退 職 時 の 支 援 と 再 就 職 支 援・ 退 職 時 の 話 し 合 いや 退 職 のあいさつの 際 に 職 場 に 同 行 して 心 理 的 にサポート 13)6)、13)、14)・ 退 職 ( 自 己 都 合 含 む)の 気 持 ちの 共 有 ・ 整 理 ・ 振 返 り、 失 敗 と 捉 えず 次 に 活 かす 姿 勢 で 支 援・ 産 業 医 - 主 治 医 の 連 携 が 円 滑 であれば、 失 業 という 喪 失 体 験 からの 再 燃 や 自 殺 へのリスクマネージメント、 本 人 が23)失 業 という 困 難 な 現 実 を 受 容 する 上 でより 適 切 にサポート 可C-6 就 職 後 も 継 続 する 事 業 主 と 本 人 への 支 援2)、14)・ 就 労 の 妨 げとなる 副 作 用 の 少 ない、 就 労 形 態 に 合 わせた 服 薬 しやすい、 処 方 内 容・ 職 場 担 当 者 に 対 して、 順 調 な 職 場 適 応 を 進 めるための 情 報 提 供 や 支 援 5)、12)、15)、16)、18)・ 定 期 的 ・ 随 時 に 患 者 の 職 場 での 不 安 ・ 課 題 や 体 調 の 相 談 にのる 14)・ナイトケア 併 設 のため、 平 日 夜 8 時 まで 就 労 支 援 部 で 就 労 面 談 ができる。 就 職 間 もない 人 は 毎 日 のように 仕 事 帰 りに 相 談 したり、 仲 間 たちと 語 り 合 いリフレッシュして 翌 日 の 仕 事 に 向 かう 人 が 多 い 5)・ 就 職 / 復 職 後 の 体 調 悪 化 への 準 備 として、 職 場 ・ 本 人 ・ 家 族 ・ 関 係 機 関 等 から 連 絡 が 入 る 体 制8)、10)や 迅 速 に 対 応6)、12)できる 連 携 体 制 の 構 築・ 就 労 している 患 者 が 集 まれる 場 として、ナイトケア、 日 曜 日 のデイケア 5) 、「 定 着 支 援 グループ」 17)・ 産 業 医 と 主 治 医 の 連 携 : 復 職 ・ 休 職 の 判 断 、 治 療 中 の 転 職 や 辞 職 の 回 避 、 人 事 労 務 担 当 者 の 負 担 軽 減 、 産 業 医が 病 気 や 服 薬 状 況 による 仕 事 上 のミスや 職 務 制 限 等 への 配 慮 の 検 討 に 資 する 23)・ 就 職 先 の 企 業 とも 緊 密 な 連 携 を 行 っている。 12)24)・EAP 機 関 と 看 護 師 、 人 事 労 務 担 当 と 管 理 職 が 連 携 、 積 極 的 に 予 防 ・ 職 場 ストレスに 対 処-42- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビューC-7 施 設 内 でなく 地 域 をベースに 就 労 支 援 を 行 う・ 訪 問 型 個 別 就 労 支 援 は、インテーク、アセスメント、 支 援 計 画 作 成 まで 施 設 外 での 実 施 が 原 則 11)・ 自 機 関 内 は 相 談 室 のみのため、 企 業 数 社 と 契 約 し 企 業 内 でアセスメントや 模 擬 就 労 、 体 験 実 習 15)C-8 全 ての 患 者 への 就 労 への 働 きかけ、 関 係 作 り、 励 まし・ 就 労 セミナー 等 を 実 施 15 )、 18) し、 就 労 している 先 輩 の 体 験 談 14 ) から 見 通 しを 得 て、グループワークでの 挫 折 体 験 の 修 復 、メンバーからの 職 場 選 択 のアドバイスなどから、 就 労 がより 身 近 なものとなる 8)・ 仕 事 について 相 談 したり、 気 軽 に 話 したりできる 人 間 関 係 の 構 築 14)・ 医 療 機 関 への 就 労 支 援 機 関 からのアウトリーチ 受 入 5 )、 15 ) は、 就 労 希 望 者 だけでなく、「 就 労 は 無 理 」としていた方 々にも、 就 労 を 目 指 すきっかけや、 治 療 や 社 会 復 帰 の 過 程 に 対 してプラスの 影 響 15 )・ 就 労 することに 伴 う 生 活 の 変 化 、 生 活 保 護 や 障 害 年 金 等 の 経 済 的 問 題 について 本 人 と 検 討 11) 、 14) 、 就 労 支 援 担当 者 は、 障 害 年 金 ・ 生 活 保 護 担 当 者 とチームになりながら 経 済 的 相 談 を 提 供 2)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 示 されているもの。)サービス 内 容 ( 表 3-4-2)については、「 実 際 の 職 場 での 職 業 アセスメント」はジョブコーチ 支 援 と 連 携 しての 取 組 の 他 、 復 職 支 援 の 取 組 がみられた。「 就 職 活 動 への 迅 速 な 取 組 」としては 迅 速 に 職 場 とコンタクトすることによる 本 人 のモチベーションや 職 場 の 状 況 の 情 報 収 集 の 意 義 が 報 告 されていた 他 、 履 歴 書 作 成 や 面 接練 習 の 支 援 、 就 職 活 動 中 の 課 題 解 決 支 援 があった。「 本 人 の 興 味 等 に 基 づく 個 別 就 職 活 動 支 援 」では、 医 療 場面 での 疾 患 だけでない 本 人 の 夢 や 希 望 等 の 把 握 や、 本 人 に 合 った 仕 事 内 容 の 検 討 がハローワーク 等 の 共 同 会議 で 検 討 される 例 があった。「 一 般 就 業 への 多 様 な 選 択 肢 の 提 供 」では 医 療 場 面 において 労 働 市 場 の 状 況 を 広く 把 握 し 選 択 肢 を 広 げる 取 組 がみられた。「 退 職 時 の 支 援 」も 心 理 的 に 支 える 取 組 や 失 敗 体 験 による 危 機 的 状況 を 主 治 医 と 産 業 医 の 連 携 で 支 える 例 が 報 告 されていた。また、「 就 職 後 の 継 続 的 な 支 援 」では、 就 職 後 の 体調 悪 化 を 想 定 し、 事 前 準 備 、 連 絡 体 制 、 継 続 的 相 談 等 が 実 施 され、また、 就 労 している 人 の 医 療 機 関 や 相 談の 利 用 をしやすくする 取 組 が 報 告 されていた。さらに、 職 場 への 助 言 等 に 取 り 組 んだり、 産 業 医 と 連 携 した職 場 での 支 援 の 例 も 報 告 されていた。 医 療 機 関 での 支 援 は 施 設 中 心 が 多 いが「 地 域 の 中 での 就 労 支 援 」への取 組 も IPS 実 施 機 関 ではみられた。さらに、 患 者 に 対 して 医 療 機 関 としての「 就 労 への 働 きかけ、 関 係 づくり、 励 まし」につながる 就 労 セミナーや 就 職 した OB との 交 流 の 実 施 や、 労 働 機 関 のアウトリーチを 受 け 入れている 例 もみられた。わが 国 の 医 療 機 関 での 就 労 支 援 として 報 告 されているが、EBP に 該 当 しないものとしては、 職 業 準 備 性 モデルによる 取 組 が 見 られた。2 その 他 の EBP への 取 組 状 況表 3-4-3~5 に、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 、 疾 患 管 理 とリカバリー、 家 族 心 理 教 育 の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 従 い、わが 国 の 医 療 機 関 等 で 実 施 されている 取 組 内 容 を 整 理 したものを 示 す。これらの 報 告 は、EBP を 踏 まえて 取 り 組 まれているものが 多 かったが、それ 以 外 のものがあった。その 中には、 就 労 支 援 と 関 係 した 実 施 の 報 告 も 見 られた。表 3-4-3 に 示 すように、 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)は、 多 職 種 チームにより 医 療 ・ 生 活 の 課 題 に 統 合 的に 対 応 でき、また、 本 人 だけでなく 職 場 や 家 族 等 への 働 きかけやネットワークを 重 視 していることから、 就-43- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー労 している 人 の 症 状 悪 化 等 の 危 機 的 状 況 に 総 合 的 対 応 が 可 能 であることや、リスクの 高 い 人 の 就 労 を 支 えることにもつながるとの 報 告 があった。表 3-4-3 「 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)」 の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組D 包 括 型 地 域 生 活 支 援 (ACT)• 精 神 科 医 療 でのチームアプローチ、チームミーティング・ 一 つのチームに 多 職 種 の 専 門 家 が 集 まって、 一 人 の 利 用 者 のアセスメントを 多 角 的 な 視 点 でできるので、 利 用 者の 地 域 生 活 に 関 わっていく 上 で 非 常 に 有 効 であると 実 感 。 19)・ 医 療 的 な 情 報 ( 疾 患 ・ 薬 ・ 対 処 方 法 )が 豊 富 にあり、 医 師 との 連 携 が 容 易 で、リスクが 高 い 状 況 でも 地 域 生 活 の 中で 手 厚 いサポートが 可 能 3)・ 早 期 発 見 ・ 介 入 、 継 続 的 アセスメント、 訪 問 サービス、 双 方 向 的 心 理 教 育 、 非 定 型 中 心 の 薬 物 療 法 、ストレスマネジメント、 認 知 行 動 療 法 、 就 労 支 援 ・ 社 会 参 加 支 援 の 多 職 種 チームによる 支 援 4)• 患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制・ 不 調 時 に 迅 速 に 対 応 できる 体 制 作 りなどの 整 備 12)・ 地 域 生 活 支 援 センターと 訪 問 看 護 ステーションが 24 時 間 体 制 で 必 要 に 応 じて 駆 けつけることが、メンバーや 家族 にとっても 何 よりの 安 心 材 料 である 4)・365 日 24 時 間 体 制 の 当 直 医 が、 少 しでも 病 状 が 悪 くなった 方 に 迅 速 に 対 応 することも 継 続 支 援 につながっている 思 う 14)・1 週 間 に 1~2 回 の 訪 問 により、 急 性 期 の 初 期 状 態 がよくわかり、またそれに 家 族 が 刺 激 されて 反 応 していることもわかり、そこへ 直 接 介 入 することが、 急 性 期 の 回 避 に 役 立 っている。 19)• 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 の 支 援 ネットワークとの 協 力・ 職 業 生 活 を 維 持 するためには、 労 働 条 件 や 医 療 面 、 家 族 の 問 題 など、 本 人 を 取 り 巻 く 環 境 の 調 整 が 必 要 なことも多 く、 事 業 所 やハローワーク、 医 療 機 関 と 連 携 し 改 善 点 を 検 討 することが 大 切 14)・ 就 労 支 援 担 当 者 が、 本 人 、 家 族 、 企 業 スタッフに 対 し、 他 のスタッフとの 協 力 で、 精 神 的 サポート、 対 人 関 係 、 症状 や 薬 の 自 己 管 理 、 生 活 習 慣 、ストレス 対 処 、 元 気 回 復 行 動 プラン、 認 知 機 能 障 害 への 対 処 に 関 する 支 援 を 面接 、 訪 問 、 電 話 対 応 により 行 う 2)• 精 神 科 医 療 チームへの 当 事 者 スタッフの 関 与・ 常 勤 のケースマネージャー11 名 とドクター1 名 、 非 常 勤 で 家 族 支 援 専 門 1 名 とコンシューマー1 名 、 就労 支 援 2 名 と 事 務 2 名 で 対 応 している。 19)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 記 。 数 字 の 網 掛 けは 就 労 支 援 との 関 係 が 明 記 )表 3-4-4 に 示 すように、「 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)」は、 就 職 活 動 や 就 職 後 の 職 業 生 活 を 送 るために不 可 欠 な 疾 患 自 己 管 理 や 再 発 防 止 、 生 活 スキルや 対 処 スキルを 身 につける 専 門 的 支 援 であり、それにより 就労 支 援 とも 関 係 していることが 報 告 されていた。表 3-4-4 「 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組E 疾 患 管 理 とリカバリー(IMR)• 患 者 本 人 による 目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修 正・ 就 労 前 検 査 により、 当 事 者 自 身 の 能 力 の 客 観 的 把 握 、 適 切 な 進 路 選 択 を 支 援 。 12)・「 私 の 注 意 サイン・ 警 告 サインと 対 処 法 」「 夢 ・ 大 切 にしていること」「 私 の 目 標 とそのためにやらなけ-44- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビューればならないこと」「 堂 々とやってよいこと」などを 毎 月 、 本 人 に 直 筆 で 書 いてもらう。 14)・「 気 分 チャート・ 症 状 管 理 シート」- 毎 日 記 入 したものを 主 治 医 、 家 族 、 産 業 医 など 関 係 者 で 情 報 共 有することで 治 療 や 復 職 の 方 向 性 を 決 める 判 断 材 料 になる 25)・「エネルギーの 家 計 簿 」( 双 極 性 障 害 )-1 日 の 行 動 をポイント 化 して 収 支 バランスを 気 分 スコアの 変 化と 合 わせて 分 析 すれば 大 きな 躁 転 を 避 けることができる 25)• 支 援 戦 略 にあたって 本 人 の 動 機 付 けとの 関 係 を 意 識 する・リワークプログラム 参 加 の 本 人 のモチベーションを 維 持 しつつ、 復 職 を 果 たすことが 目 標 。 20)• 認 知 行 動 的 技 法・ 認 知 行 動 療 法 による、 生 活 スキル・ 症 状 自 己 管 理 スキルの 獲 得 ( 強 化 、shaping、モデリング、ロールプレイ、 認知 再 構 築 、リラクゼーション 訓 練 ) 12)、 20)• 対 処 技 能 訓 練・ 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ 5)、 14) 、 20) 、 21) 、 25 )・ 職 場 での 対 人 技 能 や 対 処 技 能 訓 練 ( 対 処 技 能 の 振 返 ・ 修 正 、 技 能 拡 大 、リハーサル) 14)、 17) 、 21)• 再 発 防 止 訓 練・ 再 発 防 止 訓 練 (トリガーの 特 定 、 早 期 の 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント、 継 続 的 モニタリング、 即 座 の 介入 )、 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント 17)、 21)・デイケア 中 にに 再 発 状 況 を 特 定 し、 就 労 後 の 再 発 予 防 の 働 きかけが 可 能 になる。 12)• 薬 物 療 法 のための 行 動 調 整・ 自 分 に 合 った 薬 の 選 び 方 、 正 しい 服 薬 ができるための 行 動 的 支 援 2)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 記 。 数 字 の 網 掛 けは 就 労 支 援 との 関 係 が 明 記 )表 3-4-5 には、「 家 族 心 理 教 育 (FPE)」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組 をまとめた。 精 神 疾 患 のある 人 と 日 常 的 に 接 している 家 族 による 理 解 や 対 処 スキルを 向 上 させることで、 家 族 の負 担 を 軽 減 するとともに、 本 人 の 症 状 の 悪 化 を 予 防 したり 支 援 環 境 を 整 えることにつながることが 示 されていた。表 3-4-5 「 家 族 心 理 教 育 (FPE)」の 適 合 性 尺 度 項 目 に 該 当 するわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 取 組F 家 族 心 理 教 育 (FPE)• カリキュラム、 構 造 化 されたグループセッションや 問 題 解 決 技 法・「 患 者 への 接 し 方 についての 学 習 と 理 解 」、「 患 者 と 接 している 家 族 が 抱 える 悩 みや 疑 問 を 軽 減 」などについてのセッションやワークショップの 開 催 2 )、 21) 、 26)・ 家 族 教 室 後 半 に、 正 しい 知 識 を 得 たうえで、 家 族 同 士 が 問 題 を 共 有 ・ 情 報 交 換 21)• 家 族 の 反 応 の 詳 細 化 、 悪 化 要 因 、 前 駆 サイン・ 家 族 と、 就 労 プロセスや 就 労 活 動 中 に 調 子 をくずした 際 の 対 応 を 話 し 合 う 12) 。・ 家 族 が 就 労 への 期 待 が 高 すぎる 場 合 には「 回 復 には 時 間 がかかること、せかさないことが 必 要 」であることを 理 解 してもらう 18)• 積 極 的 な 関 係 作 りとアウトリーチ・ 受 診 者 とその 扶 養 家 族 に 対 する、 電 話 相 談 と 主 要 都 市 での 面 接 相 談 の 実 施 24) 、 家 族 向 けメンタルヘルスガイドブックの 作 成 、ファミリーホットライン(24 時 間 相 談 可 能 ) 28) 、 従 業 員 家 族 への 電 話 相 談 のリーフレットの 送 付 28)( 下 線 番 号 のある 文 献 は EBP としての 取 組 が 明 記 。 数 字 の 網 掛 けは 就 労 支 援 との 関 係 が 明 記 )-45- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー第 5 節 考 察わが 国 の 医 療 機 関 等 において 精 神 障 害 のある 人 の 就 労 支 援 として 効 果 が 報 告 されている 具 体 的 な 内 容 をEBP の 具 体 的 項 目 で 整 理 することにより、わが 国 の 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 の 内 容 をより総 合 的 かつ 機 能 的 に 把 握 し、EBP の 適 合 性 尺 度 をよりわが 国 の 状 況 を 踏 まえて 具 体 的 に 理 解 することができた。1 EBP 適 合 性 尺 度 項 目 のわが 国 での 意 義 と 限 界EBP の 適 合 性 尺 度 の 各 項 目 は、わが 国 の 医 療 機 関 において 実 施 されている 内 容 や 報 告 されている 成 果 と 対応 させることによって、その 意 義 が 確 認 しやすくなった。これらの 結 果 を 踏 まえ、EBP がわが 国 において 具体 的 にどのような 形 で 実 施 されうるのかを 考 察 した。(1) 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 統 合精 神 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 統 合 の 意 義 としては、 精 神 障 害 者 は 体 調 悪 化 や 精 神 症 状の 変 化 による 就 労 上 の 課 題 のリスクが 継 続 し、それらが 生 活 上 の 課 題 や 家 族 の 課 題 等 と 相 互 作 用 するため、問 題 発 生 時 に 迅 速 に 医 療 ・ 生 活 支 援 を 含 めて 総 合 的 に 対 応 できる 体 制 があることにより、リスクの 高 い 人 も含 めて 就 業 継 続 の 可 能 性 が 高 まり、 一 般 就 業 の 対 象 となる 人 の 範 囲 を 広 げられることがある。そのような 支 援 体 制 は、 医 療 機 関 内 において、 多 職 種 のケースマネジメント 機 能 の 強 化 、ケース 会 議 、 日常 的 コミュニケーション、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 共 通 カルテ 等 により 実 現 されていた。また、 近 年 では、 労 働 機 関 側 でのケースワーク 方 式 の 関 係 機 関 と 連 携 したチーム 支 援 等 の 取 組 があることから、 医 療 機 関とハローワークの 担 当 職 員 の 密 接 な 連 携 、 合 同 のケース 会 議 に 基 づく 役 割 を 分 担 した 支 援 展 開 ( 職 業 的 課 題の 確 認 、 個 別 の 職 場 開 拓 、 心 理 サポート 等 )も 実 施 されていた。(2) 就 労 支 援 者 の 配 置わが 国 では、 医 療 機 関 に 専 任 の 就 労 支 援 者 を 配 置 している 例 はほとんど 報 告 がないが、 医 療 関 係 者 が 生 活支 援 の 一 環 でありながら 就 職 前 から 就 職 後 まで 幅 広 い 就 労 支 援 を 実 施 している 報 告 がみられた。また、 医 療機 関 内 に 就 労 支 援 者 が 複 数 でユニットを 形 成 している 例 もほとんどなく、 就 労 支 援 担 当 者 はいても1 名 のことが 多 かった。そのような 状 況 で、EBP で 求 めらているようなスーパービジョンや 情 報 共 有 は 困 難 であることが 予 想 されるが、 外 部 の 就 労 支 援 機 関 の 就 労 支 援 者 のスーパービジョンの 事 例 が 報 告 されていた。(3) 就 労 支 援 対 象 者従 来 、 医 療 機 関 を 利 用 している 多 くの 精 神 障 害 者 は 就 労 支 援 につながりにくかったが、 医 療 機 関 において積 極 的 に、 就 労 支 援 に 関 する 情 報 提 供 や 就 労 への 働 きかけを 実 施 する 取 組 が 多 く 報 告 されていた。 具 体 的 には、 医 療 機 関 において 就 職 セミナーや OB の 体 験 談 を 聞 く 機 会 を 設 けたり、 就 労 に 関 するグループワークを行 ったりという 取 組 であり、 雇 用 支 援 制 度 の 精 神 障 害 者 ジョブガイダンス 事 業 によりハローワークと 協 力 した 取 組 も 報 告 されていた。就 労 支 援 の 対 象 者 として 除 外 基 準 がないということも、このような 医 療 機 関 における 非 就 労 者 への 情 報 提供 や 就 労 への 働 きかけの 取 組 の 意 義 を 踏 まえて 理 解 することができる。-46- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー(4) 一 般 就 業 に 向 けた 職 場 との 接 触 や 就 職 活 動 の 支 援医 療 機 関 において 単 に 職 業 準 備 性 の 訓 練 を 続 けるのではなく、 実 際 の 職 場 との 接 触 に 積 極 的 に 取 り 組 む 意義 としては、 職 場 見 学 や 職 場 実 習 を 通 して、 具 体 的 な 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 を 踏 まえて 問 題 把 握 と 支 援 に 取り 組 める 意 義 が 報 告 されていた。 就 職 活 動 の 支 援 についても、 実 際 の 就 職 活 動 での 様 々な 課 題 にきめ 細 かく支 援 を 提 供 するためであった。また、うつ 病 の 復 職 支 援 では 職 場 と 一 体 的 に 支 援 を 提 供 することの 重 要 性 もあった。キャリア 支 援 や 職 探 し、 職 場 開 拓 等 、 本 来 はハローワーク 等 の 労 働 機 関 の 支 援 が 適 当 であると 考 えられる支 援 内 容 については、そのような 取 組 によって 医 療 機 関 側 で 就 職 できる 仕 事 のイメージを 支 援 者 がつかみやすくなったり、 本 人 に 選 択 肢 を 示 しやすくなるという 意 義 が 報 告 されていた。また、 医 療 や 生 活 支 援 の 目 的であっても 本 人 中 心 の 支 援 を 実 施 する 際 に、 就 労 希 望 の 理 解 が 重 要 であることも、これらの 取 組 の 理 由 と 考えられる。また、これらの 取 組 を、ハローワーク、 障 害 者 職 業 センター 等 と 調 整 会 議 を 含 めた 連 携 で 実 施 している 例 も 報 告 されていた。(5) 就 職 後 の 継 続 的 支 援医 療 機 関 が 就 職 後 に 継 続 的 支 援 を 実 施 する 意 義 は、 職 業 生 活 と 疾 患 管 理 を 両 立 させるための、 就 職 後 の 服薬 の 調 整 、 職 場 状 況 の 調 整 、 就 職 後 の 本 人 の 不 安 等 への 対 応 、 危 機 管 理 、 休 職 や 退 職 の 回 避 等 の 目 的 があった。そのために、 受 診 時 や、ナイトケア 等 で 就 職 者 のフォローアップの 取 組 が 報 告 されていた。また、 退 職時 の 喪 失 体 験 からの 病 状 の 悪 化 や 自 殺 のリスクマネジメントや、その 経 験 を 前 向 きに 捉 えられるような 心 理的 サポートの 重 要 性 も 報 告 されていた。(6) 生 活 支 援 、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 家 族 支 援 の 意 義重 度 精 神 障 害 者 の 場 合 、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 課 題 が 密 接 に 相 互 作 用 するため、 包 括 的 地 域 生 活 支 援 の多 職 種 チームでの 迅 速 な 対 応 、 生 活 場 面 での 支 援 、 環 境 要 因 への 働 きかけによって、 就 労 におけるリスクマネジメントが 向 上 し 就 労 可 能 性 を 高 めることにつながると 考 えられる。このような 包 括 的 生 活 支 援 は、ケースマネジメントとしての 取 組 が 多 いが、24 時 間 対 応 や 訪 問 型 の 地 域 支 援 は ACT を 実 施 している 機 関 以 外 では 十 分 な 実 施 はわが 国 では 少 なかった。疾 患 自 己 管 理 支 援 も、 本 人 の 目 標 との 関 連 で、 職 業 生 活 を 前 提 とした 再 発 予 防 や 処 方 の 調 整 、 具 体 的 な 職業 場 面 を 想 定 しての 対 処 技 能 訓 練 、また、 認 知 行 動 的 技 法 の 活 用 によって、 就 労 支 援 との 関 係 が 強 いと 考 えられる。さらに、 家 族 支 援 は、 家 族 心 理 教 育 のプログラムとしての 実 施 は 少 ないが、 家 族 教 室 、 家 族 会 の 交 流 、 家族 への 電 話 相 談 等 の 形 での 実 施 の 報 告 がみられた。これらは、 患 者 の 家 族 の 悩 みの 相 談 への 対 応 以 外 に、 患者 の 身 近 な 環 境 要 因 として、 症 状 の 悪 化 を 防 止 し、むしろよき 理 解 者 、 支 援 者 となってもらうという 意 義 もあった。2 本 研 究 の 限 界本 研 究 は、 近 年 、わが 国 の 医 療 機 関 から 報 告 されている 就 労 支 援 の 事 例 を 分 類 整 理 し、 就 労 支 援 としての-47- - -


第 3 章 国 内 の 医 療 機 関 等 による 就 労 支 援 : 文 献 レビュー成 果 が 期 待 される 具 体 的 取 組 の 内 容 を 網 羅 的 に 把 握 したものである。しかし、そのような 報 告 を 行 っている医 療 機 関 は、わが 国 の 一 般 的 状 況 を 代 表 するものではない。 本 研 究 で 把 握 した、わが 国 における 医 療 機 関 の就 労 支 援 の 具 体 的 内 容 にしたがって、 実 際 のわが 国 の 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 状 況 については、 次 章 の調 査 で 明 らかにした。文 献1) 西 尾 : ACT における IPS、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.9」、 p.272-275 (2009)2) 中 原 、 飯 野 / 編 :『IPSハンドブック 精 神 疾 患 があっても「 働 きたい!」「 社 会 で 役 割 を 持 ちたい!」』、p.25-27, 63-68,92-99 クリエイツかもがわ (2010)3) 池 田 :lPS~ 個 別 職 業 紹 介 とサポートモデル~の 導 入 、「デイケア 実 践 研 究 vol.13(2)」、 p.14-20, (2009)4) 佐 久 間 :あさかホスピタルにおけるリハビリテーションの 展 開 と 地 域 統 合 への 試 み、「 精 リハ 誌 vol.14(1)」、p. 58-64, (2010)5) 石 井 :ひだクリニックにおける 就 労 支 援 の 取 組 「 第 18 回 職 リハ 研 究 発 表 会 」、p.280-283, 障 害 者 職 業 センター (2010)6) 津 田 :「 働 きたい」をかなえるために--IPS モデルでの 就 労 支 援 ( 特 集 「 働 きたい」を 支 える OT- 就 労 支援 の 実 際 ) 、「 臨 床 作 業 療 法 vol.5(5)」、 p.386-391, (2008)7) 田 川 : 通 院 者 就 労 調 査 アンケートと NPO 法 人 大 阪 精 神 障 害 者 就 労 支 援 ネットワーク(JSN) 「 精 神 神 経学 雑 誌 vol.111(9)」、 p.1076-1081,(2009)8) 三 家 : 精 神 科 クリニックにおける 就 労 支 援 、「 精 神 神 経 学 雑 誌 vol.111(9)」、 p.1087-1091,(2009)9) 田 川 : 就 労 支 援 1: 精 神 科 診 療 所 から - 企 業 ・ 支 援 機 関 との 連 携 -、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.11」、p.84-87, (2011)10) 伊 藤 、 大 場 :だんだんの 就 業 支 援 の 歩 み:10 年 を 振 り 返 る、「 精 リハ 誌 vol.14(1)」、 p.51-57, (2010)11) 立 石 :「 地 域 精 神 医 療 におけるソーシャルワーク 実 践 IPSを 参 考 にした 訪 問 型 個 別 就 労 支 援 」ミネルヴァ 書 房 / 京 都 (2010)12) 山 崎 , 浅 井 : 精 神 科 デイケア、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.9(2)」、 p.248-252, (2009)13) 池 田 : 就 労 支 援 2:デイケア、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.11」、 p.88-92, (2011)14) 相 澤 他 :ワークショップ( 要 旨 ) 地 域 で 支 える 精 神 障 害 者 の 職 業 リハビリテーション ( 特 集 第 16 回 職 業リハビリテーション 研 究 発 表 会 )、「 職 リハネットワーク vol.64」、 p.55-64, 障 害 者 職 業 センター(2009)15) 根 本 : 就 労 支 援 におけるアウトリーチ 支 援 、「 精 神 科 臨 床 サービス vol.11」、 p.132-135, (2011)16) 谷 口 他 : 臨 床 心 理 士 による 就 労 支 援 の 利 点 と 課 題 - 総 合 病 院 精 神 科 外 来 における 実 践 を 通 じて-、「 精 リハ 誌 vol.14」、 p.181-186,(2010)17) 大 野 , 寺 村 : 精 神 科 デイケア( 医 療 機 関 )における 就 業 支 援 の 取 り 組 み、「 精 リハ 誌 vol.9(2)」、 p.178-182,(2005)18) 大 山 : 精 神 障 害 者 リハビリテーションにおける 回 復 過 程 と 支 援 のあり 方 -- 精 神 料 デイケアを 利 用 し 就 労した 2 事 例 を 通 しての 考 察 、「 職 業 リハビリテーション vol.20(1)」、 p.23-31, (2006)19) 伊 藤 他 :【 座 談 会 】 日 本 における ACT 導 入 の 課 題 と 展 望 、 「 精 リハ 誌 vol.9(2)」、 p.108-125, (2005)20)うつ 病 リワーク 研 究 会 :「うつ 病 リワークプログラムのはじめ 方 」、 弘 文 堂 (2009)21)うつ 病 リワーク 研 究 会 :「うつ 病 リワークプログラムの 続 け 方 スタッフのために」、 弘 文 堂 (2011)22) 菅 原 : うつ 病 休 職 者 ・ 離 職 者 へのリハビリテーション 「こころの 臨 床 a・la・carte vol.29(4)」、p.527-532,( 2010)23) 産 業 医 科 大 学 精 神 医 学 教 室 / 編 :「 産 業 医 のための 精 神 科 医 との 連 携 ハンドブック 改 訂 新 版 」、 昭 和 堂(2009)24) 井 田 : 伊 藤 ハムグループにおけるメンタルヘルス 対 策 --EAP 機 関 との 連 携 による 効 果 的 推 進 、「 安 全 と健 康 vol.60(9)、 p.859-862,(2009)25)「 職 場 のうつ 新 版 , 復 職 のための 実 践 ガイド 本 人 ・ 家 族 ・ 会 社 の 成 功 体 験 . アエラムック AERA LIFE」、p.20-21, 朝 日 新 聞 出 版 (2009)26) 香 月 : うつ 病 の 複 合 グループ 家 族 心 理 教 育 の 紹 介 - 名 古 屋 市 立 大 学 病 院 こころの 医 療 センターでの 実践 - 「こころの 臨 床 a・la・carte vol.29(4)」、 p.517-521,( 2010)27) 中 込 他 : 認 知 リハビリテーション 「こころの 臨 床 a・la・carte vol.29(4)」、 p.505-510,(2010)28) 労 務 行 政 研 究 所 / 編 :「 人 事 担 当 者 のための 実 践 メンタルヘルス・マネジメント 新 版 」、 p.196,223 労務 行 政 (2010)-48- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における就 労 支 援 の 実 態第 1 節 はじめに精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 とは、 就 職 ・ 復 職 と 就 業 継 続 を 実 質 的 に 支 える 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 支 援 として 捉 える 必 要 がある。 精 神 障 害 のある 人 の 場 合 、 就 職 ・ 復 職 前 の 社 会 との 接 点 としては 医 療 機 関 が 多 い。また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 課 題 が 複 合 していることが 多 い。したがって、 医 療 機 関 における 具 体 的 な「 就労 支 援 」の 取 組 としては、 第 3 章 でみたように、 医 療 機 関 における 就 労 希 望 者 への 情 報 提 供 や 相 談 支 援 、 生活 支 援 や 疾 患 管 理 支 援 の 一 環 としての 仕 事 内 容 や 職 業 生 活 での 支 援 の 検 討 、さらに、 職 場 適 応 や 就 業 継 続 のための 服 薬 ・ 疾 患 管 理 への 当 事 者 支 援 、 包 括 的 生 活 支 援 や 家 族 教 育 を 継 続 させる 取 組 が 含 まれる。 今 後 、 医療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 効 果 的 統 合 に 向 けて、わが 国 の 雇 用 支 援 制 度 やハローワーク、 障 害 者 職 業 センター等 の 労 働 関 係 機 関 の 取 組 のあり 方 を 検 討 するためには、このような 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援への 取 組 状 況 を 踏 まえる 必 要 がある。しかし、その 一 方 で、 第 3 章 にみたような、 論 文 や 書 籍 等 で 報 告 されている 就 労 支 援 は 全 国 的 に 進 んだ 取組 であり、 必 ずしもわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 状 況 を 代 表 するものではない。そこで、 本 章 では、 全 国 の 精 神 ・ 神 経 科 の 医 療 機 関 等 における、 就 職 ・ 復 職 等 のニーズへの 対 応 として、狭 義 の 就 労 支 援 だけでなく、 職 業 生 活 を 支 えることに 効 果 のある 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 等 を 含 む 取 組 の 現 状 、その 成 果 や 課 題 、 及 び、 今 後 のあり 方 の 意 向 について、アンケート 調 査 により 把 握 することを 目 的 とした。第 2 節 方 法1 調 査 対 象(1) 精 神 障 害 の 範 囲統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん、その 他 の 精 神 疾 患 とした。(2) 調 査 対 象 機 関特 に、 就 労 支 援 や 復 職 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 に 限 定 せず、 精 神 障 害 を 対 象 として 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支援 に 取 り 組 んでいる 精 神 病 院 、 精 神 科 クリニック、 保 健 医 療 関 連 センター 等 とした。 公 開 されている 医 療 機関 等 のリストに 基 づき、 該 当 する 3,875 機 関 全 数 を 対 象 とした。 具 体 的 な 機 関 は、 日 本 精 神 科 病 院 協 会 、 日本 精 神 神 経 科 診 療 所 協 会 、 精 神 ・ 神 経 科 のある 大 学 病 院 ・ 国 立 病 院 、うつ 病 リワーク 研 究 会 の 登 録 機 関 、 上記 以 外 の WAM-NET の 精 神 障 害 ・ 精 神 疾 患 医 療 機 関 ( 入 院 、デイケア 等 、 作 業 療 法 等 実 施 )の 精 神 ・ 神 経 科 、てんかん 専 門 医 、 精 神 保 健 福 祉 センター、メンタルヘルス 対 策 支 援 センターとした。(3) 回 答 者回 答 者 は、 各 機 関 において、 精 神 疾 患 等 のある 人 の、 就 職 ・ 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 への 主 担 当 者 、-49- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態就 職 ・ 復 職 相 談 等 が 特 にない 場 合 には、より 一 般 的 に 生 活 面 の 相 談 や 支 援 の 担 当 者 とした。 同 一 機 関 に 担 当部 署 が 複 数 ある 場 合 を 想 定 し、 各 機 関 には2 通 ずつ 調 査 票 を 送 付 し、 必 要 な 場 合 、 最 大 2 部 署 からの 回 答 を得 るものとした。(4) 調 査 機 関平 成 23 年 9 月 ~10 月 とした。2 調 査 内 容医 療 機 関 の「 就 労 支 援 」についての 調 査 内 容 は、 各 機 関 における 就 労 支 援 や 復 職 支 援 等 の 標 榜 の 有 無 にかかわらず、 第 3 章 で 明 らかとなった、 精 神 障 害 のある 人 の 就 職 や 就 業 継 続 に 効 果 があると 考 えられる 様 々な取 組 を 網 羅 するものとした。 具 体 的 には、 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 (EBP)の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 沿 って、援 助 付 き 雇 用 (SE)、 疾 患 自 己 管 理 (IMR)、 生 活 支 援 (ACT)、 家 族 支 援 (FPE) 等 の 取 組 も 含 めた 幅 広 い取 組 内 容 を 明 らかにするものとし、 関 連 内 容 を 含 め、 以 下 の 内 容 を 把 握 できる 調 査 票 を 作 成 した( 調 査 票 は、巻 末 資 料 1のとおり)。(1) 各 機 関 の 就 労 支 援 の 取 組 の 特 徴デイケア 等 での 統 合 失 調 症 の 就 職 支 援 を 中 心 とした 機 関 、 気 分 障 害 の 復 職 支 援 ・リワークを 中 心 とした 機関 、その 他 、 高 齢 入 院 患 者 を 中 心 とした 機 関 等 、 機 関 の 特 徴 を 把 握 できる 調 査 項 目 を 設 けた。(2) 特 別 な 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 有 無 と 運 営 状 況各 機 関 において、 特 に 就 職 ・ 復 職 のためのプログラムの 有 無 、 及 び、ある 場 合 の 運 営 状 況 についてきいた。(3) 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えることに 効 果 のある 取 組 の 実 施 状 況特 別 な 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 有 無 にかかわらず、わが 国 の 医 療 機 関 で 実 施 が 報 告 されている 精 神 障害 者 の 就 職 や 職 場 定 着 に 効 果 のある 様 々な 取 組 を、EBP の 適 合 性 尺 度 の 項 目 に 沿 ってリストアップし、その取 組 状 況 を 聞 いた。1 援 助 付 き 雇 用 (SE)の 取 組専 任 の 就 職 ・ 復 職 支 援 スタッフ、 包 括 的 な 就 職 ・ 復 職 支 援 の 実 施 、 非 就 労 者 へのアウトリーチ、 本 人 と仕 事 の 個 別 的 なマッチングの 支 援 、 職 業 生 活 の 現 場 での 随 時 のアセスメント、 職 場 適 応 ・ 就 業 継 続 ・ 退 職時 の 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 スタッフのユニット、 就 職 ・ 復 職 支 援 と 医 療 スタッフの 密 接 な 関 係2 本 人 の 疾 患 管 理 への 支 援 (IMR)の 取 組目 標 設 定 /モニタリング/ 修 正 、 認 知 行 動 療 法 ・ロールプレイ、 対 人 技 能 や 対 処 技 能 の 習 得 ・ 訓 練 、 再発 防 止 訓 練 、 服 薬 への 行 動 調 整 、 等3 包 括 的 な 地 域 生 活 支 援 (ACT)の 取 組ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 、 医 療 面 と 生 活 面 の 一 体 的 な 相 談 ・ 支 援 、 患 者 の 地 域 生 活での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備 、 患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係 づくり、 本 人 を取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力4 家 族 心 理 教 育 (FPE)の 取 組-50- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 、 家 族 が 患 者 本 人 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法 等 を 学 ぶことができるセミナーやセッション、 複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ、 家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 をつくること(4) 就 職 ・ 復 職 支 援 の 成 果 と 課 題1 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 成 果 : 利 用 条 件 や 利 用 者 数 に 対 する、 就 職 ・ 復 職 者 数 、2 広 義 の 職 業 生活 を 支 える 支 援 の 生 活 と 課 題 : 職 探 し、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 、 就 職 活 動 、 仕 事 の 継 続 、 職 務 遂 行 や危 険 対 処 、 職 場 の 理 解 や 人 間 関 係 、 仕 事 上 の 処 遇(5) 精 神 障 害 のある 人 を 支 える 労 働 施 策 の 活 用 の 現 状 と 今 後 の 意 向 について精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター、 精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 、ジョブガイダンス 事 業 、チーム支 援 、ジョブコーチ、トライアル 雇 用 、リワーク 支 援 等 の 利 用 状 況 や 今 後 の 利 用 の 意 向 。3 分 析医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 現 状 では 実 施 機 関 と 実 施 していない 機 関 が 大 きく 分 かれると 考 えられるため、 回 答 全 体 の 平 均 ではなく、 就 労 支 援 の 実 施 が 活 発 な 機 関 とそれ 以 外 の 機 関 に 分 けて 集 計 することにより、それぞれの 特 徴 を 明 確 にし、それによって、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 の 現 状 についての 総 合 的 な 理 解 を 得 られるようにした。また、 本 調 査 における、 就 労 支 援 の 内 容 については、 文 献 等 から 就 労 成 果 が 期 待 される 取 組 を 網 羅 したものであるが、その 実 際 の 効 果 を 本 調 査 結 果 からも 確 認 するための 分 析 を 行 った。(1) 就 労 支 援 の 実 施 状 況 による 差 の 検 討機 関 による 就 労 支 援 の 実 施 状 況 の 差 については、 調 査 票 の 問 7「 就 職 ・ 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 内 容 」の回 答 により、「1 新 規 就 職 支 援 」「2 退 職 者 への 再 就 職 支 援 」「3 休 職 者 の 復 職 支 援 」「4 就 業 継 続 と 病 状 安 定の 支 援 」のいずれかを「 日 常 的 に 実 施 」している 機 関 と、それ 以 外 の 機 関 ( 就 労 支 援 を「 日 常 的 に 実 施 」はないが、「 時 々 実 施 」している 機 関 を 含 む)に 分 けて、それぞれの 具 体 的 な 就 労 支 援 の 状 況 の 集 計 値 を 比 較 した。日 常 的 な 就 労 支 援 の 有 無 による 機 関 の 比 較 についての 統 計 的 検 定 は、クロス 集 計 については、 回 答 機 関 全体 の 集 計 値 により 求 めた 期 待 値 により、それぞれの 集 計 値 についてカイ 二 乗 検 定 を 行 った 調 整 残 差 により 有意 確 率 5% 水 準 で 行 った。また、 就 職 率 等 の 数 値 の 差 の 検 定 については、t 検 定 を 行 った。(2) 就 労 支 援 状 況 と 職 業 上 の 課 題 の 関 係就 労 支 援 成 果 については、 問 10「 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況 」における7 領 域 (1「 本 人 が 能 力を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」、2「 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと」、3「 仕事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」、4「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対処 」、5「 遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業 」、6「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得ること」、7「 就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足 」)の 課 題 の 未 解 決 率 によって 判 断 した。すなわち、 問 10 の 回 答 により、 未 解 決 率 =「 未 解 決 の 課 題 が 多 くある」/(「 課 題 があるが 解 決 可 能 な 場 合 が-51- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態多 い」+「 未 解 決 の 課 題 が 多 くある」)として、 求 めた。本 調 査 による 様 々な 就 労 支 援 の 取 組 と 就 労 支 援 成 果 の 関 係 については、それぞれの 取 組 の 有 無 別 に 未 解 決率 を 計 算 し、リスク 比 の 95% 信 頼 区 間 を 求 め 評 価 した。リスク 比 (= 取 組 のある 時 の 未 解 決 率 / 取 組 のない時 の 未 解 決 率 )が 統 計 的 はばらつきを 考 慮 しても、1 未 満 である 場 合 には、 当 該 取 組 がある 場 合 に 統 計 的 に有 意 に 課 題 の 未 解 決 率 が 低 い、すなわち、 就 労 支 援 効 果 を 示 唆 する 関 連 があるとみなした。さらに、 就 労 支 援 の 実 施 状 況 については、 実 施 の 有 無 を 見 るだけでなく、 主 に 自 機 関 、 主 に 外 部 機 関 、 自機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 といった、 実 施 機 関 の 状 況 別 にも 集 計 する 等 、 実 施 状 況 の 違 いによる 関 係 性 の 差 も 確認 できるようにした。その 詳 細 は、 第 4 節 において 具 体 例 で 示 す。(3) 疾 患 種 類 の 差 の 検 討就 労 支 援 の 実 施 内 容 等 における、 疾 患 種 類 による 差 を 検 討 するため、 問 4「 各 部 署 における 疾 患 種 類 別 の対 応 状 況 」において、 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかんのそれぞれについて、「 日 常 的 に 対 応 」している 機 関をそれぞれ 集 計 し、 集 計 値 を3 疾 患 で 比 較 した。 結 果 については、 有 意 な 差 があった 場 合 のみ 示 した。第 3 節 調 査 回 収 状 況 と 日 常 的 な 就 労 支 援 実 施 による 機 関 の 群 分 け本 調 査 では、 多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 特 に 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、 幅 広 い 精神 科 医 療 機 関 等 を 対 象 として 調 査 を 実 施 した。 実 際 の 調 査 回 収 では、 就 労 支 援 の 取 組 状 況 により 回 収 率 の 差が 生 じている 可 能 性 があるため、 本 研 究 の 以 下 の 分 析 では、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、それ 以 外 の 473 機 関 を 分 けて 分 析 することとした。1 回 収 率本 調 査 は、757 機 関 から 872 通 の 回 答 を 得 た。 機 関 の 回 収 率 は 19.5%であり、デイケア 等 を 実 施 している機 関 やリワーク 支 援 を 実 施 している 機 関 からの 回 収 率 が 比 較 的 高 く、 一 般 の 精 神 科 診 療 所 では 比 較 的 低 かった。 一 方 、 地 域 別 にみるとほぼ 全 国 から 偏 りなく 回 答 が 得 られた。(1) 機 関 リスト 別 の 回 収 状 況3,874 機 関 に 対 して 各 2 通 の 調 査 票 を 発 送 し、757 機 関 (19.5%)から 872 通 の 回 答 を 得 た。1 機 関 あたり2 通 の 調 査 票 の 発 送 の 理 由 は、 各 機 関 において 就 労 支 援 担 当 部 署 が2か 所 以 上 ある 場 合 に 最 大 2 通 の 回 答 が得 られるようにするためであった。 調 査 対 象 機 関 は、 様 々な 公 開 リストによって 選 んだものであり、それぞれのリスト 別 の 回 収 状 況 を 表 4-3-1 に 示 す。デイケア・ナイトケア・デイナイトケア・ 作 業 療 法 ショートケアの 実 施 機 関 、 精 神 保 健 福 祉 センター、リワーク 研 究 会 からの 回 収 率 が 比 較 的 高 く、 診 療 所 協 会 リストの 機 関 では 比 較 的 低 かった。-52- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態WAM-NET表 4-3-1 発 送 時 の 機 関 リスト 別 の 回 収 状 況機 関 リスト 種 類 発 送 先 機 関 数 回 収 機 関 数 回 収 率 ( 機 関 ) 調 整 残 差デイケア・ナイトケア・デイナイトケア・ 作 業 療 法 ショートケア1,530 384 25.1% 4.47入 院 1,475 300 20.3% -0.71就 労 支 援 実 施 92 20 21.7% 0.17病 院 協 会 リスト 1,165 227 19.5% -1.40診 療 所 協 会 リスト 1,486 240 16.2% -5.21てんかん 専 門 医 399 84 21.1% 0.02大 学 病 院 115 21 18.3% -0.73国 立 病 院 57 8 14.0% -1.30保 健 福 祉 福 祉 センター 68 34 50.0% 5.90メンタルヘルス 推 進 センター 47 9 19.1% -0.31リワーク 研 究 会 104 42 40.4% 4.89(2) 地 域 別 回 収 状 況 ( 表 4-3-2)都 道 府 県 別 の 機 関 回 収 率 では、 群 馬 県 と 愛 媛 県 が 比 較 的 高 く、 兵 庫 県 が 比 較 的 低 かったが、その 他 は 5% 水準 で 誤 差 の 範 囲 にあった。表 4-3-2 都 道 府 県 別 の 回 収 状 況都 道 府 県 発 送 先 機 関 数 回 収 機 関 数 回 収 率 ( 機 関 ) 調 整 残 差北 海 道 211 32 15.2% -1.65青 森 県 41 7 17.1% -0.40岩 手 県 37 7 18.9% -0.10宮 城 県 85 20 23.5% 0.94秋 田 県 36 8 22.2% 0.41山 形 県 32 4 12.5% -1.01福 島 県 78 16 20.5% 0.22東 京 都 358 62 17.3% -1.11神 奈 川 県 244 44 18.0% -0.61埼 玉 県 150 34 22.7% 0.98千 葉 県 129 31 24.0% 1.31茨 城 県 65 10 15.4% -0.85栃 木 県 50 11 22.0% 0.44群 馬 県 52 18 34.6% 2.76山 梨 県 29 8 27.6% 1.10新 潟 県 53 8 15.1% -0.82長 野 県 52 13 25.0% 1.00富 山 県 38 11 28.9% 1.47石 川 県 30 8 26.7% 0.99福 井 県 19 4 21.1% 0.17愛 知 県 164 30 18.3% -0.41岐 阜 県 32 9 28.1% 1.23静 岡 県 115 23 20.0% 0.13三 重 県 31 5 16.1% -0.48大 阪 府 313 59 18.8% -0.32兵 庫 県 207 23 11.1% -3.14京 都 府 71 11 15.5% -0.87滋 賀 県 42 13 31.0% 1.88奈 良 県 32 9 28.1% 1.23和 歌 山 県 35 9 25.7% 0.93鳥 取 県 19 5 26.3% 0.75島 根 県 33 5 15.2% -0.64岡 山 県 65 14 21.5% 0.41広 島 県 117 17 14.5% -1.39山 口 県 56 12 21.4% 0.36徳 島 県 36 11 30.6% 1.67香 川 県 41 6 14.6% -0.80愛 媛 県 44 14 31.8% 2.07高 知 県 34 10 29.4% 1.46福 岡 県 230 48 20.9% 0.52佐 賀 県 31 6 19.4% -0.03長 崎 県 70 9 12.9% -1.42熊 本 県 64 10 15.6% -0.80大 分 県 41 12 29.3% 1.58宮 崎 県 46 8 17.4% -0.37鹿 児 島 県 73 14 19.2% -0.08沖 縄 県 43 9 20.9% 0.23-53- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 就 労 支 援 の 実 施 状 況 による 群 分 け本 調 査 で 回 答 の 得 られた 機 関 には、 日 常 的 に 何 らかの 就 職 ・ 復 職 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、 日 常 的な 実 施 はなく 時 々 実 施 あるいはほとんど 実 施 していない 473 機 関 があった。(1) 就 労 支 援 の 実 施 状 況 ( 問 7)回 答 全 体 では、 日 常 的 に 実 施 している 就 職 ・ 復 職 支 援 の 内 容 として、 復 職 支 援 や 就 業 継 続 支 援 が 比 較 的 多く、 新 規 就 職 支 援 や 再 就 職 支 援 は 日 常 的 な 実 施 は 少 なく 時 々 実 施 や 実 施 なしが 比 較 的 多 かった( 図 4-3-1)。日 常 的 な 支 援 場 所 としては 外 来 の 診 察 場 面 が 比 較 的 多 く、 日 常 的 に 施 設 外 で 実 施 することは 少 なかった。 支援 対 象 としては 日 常 的 には 患 者 が 多 く、 時 々 実 施 する 支 援 としては 企 業 の 担 当 者 や 外 部 の 就 労 支 援 機 関 も 比較 的 多 かった。内 容場 所対 象就 職 支 援再 就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援外 来 の 診 療 場 面施 設 内 ( 診 療 以 外 )施 設 外患 者企 業 の 担 当 者外 部 の 就 労 機 関---------++++++--++++--++++++++++++----++---++--------0% 50% 100%日 常 的 に 実 施 時 々 実 施 患 者 ニーズはあるが 実 施 なし 特 に 患 者 ニーズなし 無 回 答図 4-3-1 回 答 全 体 における 就 労 支 援 の 実 施 状 況 ( 問 7)(n=780)( 他 の 項 目 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態就 職 支 援++------内 容再 就 職 支 援復 職 支 援++++----------就 業 継 続 支 援++------外 来 の 診 療 場 面++------場 所施 設 内 ( 診 療 以 外 )施 設 外++++-------患 者++----対 象企 業 の 担 当 者外 部 の 就 労 機 関++++++-------0% 50% 100%日 常 的 に 実 施 時 々 実 施 患 者 ニーズはあるが 実 施 なし 特 に 患 者 ニーズなし 無 回 答図 4-3-2 就 労 支 援 を「 日 常 的 に 実 施 」している 機 関 における 就 労 支 援 の 実 施 状 況( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態日 常 的 に 対 応 していた( 図 4-3-4)。 逆 に 日 常 的 対 応 が 少 ないのは、 脳 損 傷 による 精 神 障 害 、 認 知 症 、 発 達 障害 、てんかんで 30% 程 度 であったが、 時 々の 対 応 は 多 かった。 日 常 的 な 就 労 支 援 のない 機 関 では、 気 分 障 害 、不 安 障 害 、 人 格 障 害 、 発 達 障 害 、 脳 損 傷 による 精 神 障 害 への「 日 常 的 対 応 」がやや 少 なく「 時 々の 対 応 」が増 えていた( 図 4-3-5)。統 合 失 調 症 (F2)気 分 障 害 (F3)不 安 障 害 等 (F4,F5)人 格 障 害 (F6)発 達 障 害 (F8,F9)知 的 障 害 (F7)認 知 症 等 (F00-05)脳 損 傷 等 による 精 神 障 害 (F06-07)てんかん(G40)+++++++++------------------0% 50% 100%日 常 的 に 対 応 時 々 対 応 ほとんど/ 全 く 対 応 なし 無 回 答図 4-3-4 各 疾 患 への 対 応 状 況 ( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態機 関 では、 休 職 中 、 短 時 間 、フルタイム、 障 害 者 雇 用 での 仕 事 をしている 人 への 対 応 も 比 較 的 多 かった( 図4-3-6、 図 4-3-7)。入 院--++無 職 で 在 宅 で 生 活休 職 中++----福 祉 的 就 労 、 作 業 所 、デイケア短 時 間 の 一 般 の 仕 事++----フルタイムの 一 般 の 仕 事++---障 害 者 雇 用++++-- -- -0% 50% 100%比 較 的 多 い 一 部 事 例 がある ほとんど~ 全 くいない 不 明 無 回 答図 4-3-6 支 援 ・ 治 療 対 象 の 患 者 の 状 態 ( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 4 節 職 業 上 の 課 題 状 況 と 就 労 支 援 の 関 係問 10 で 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 への 各 機 関 の 認 識 をきいた。 医 療 機関 においては、 就 労 支 援 への 日 常 的 取 組 のない 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 問 題 の 認 識 自 体 必 ずしも 十 分 ではなく、 逆 に、 日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 ほど 課 題 認 識 が 多 かった。ただし、 具 体 的 な 取 組 によって、 単 に 課 題 認 識 が 多 くなっているだけでなく、その 問 題 の 解 決 にもつながっていることも 明 らかとなった。様 々な 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 様 々な 課 題 状 況 と、 医 療 機 関 における 様 々な 就 労 支 援 等 の 取 組 の 関 係 の分 析 結 果 は 次 節 以 降 で 示 すが、 本 節 ではそのような 関 係 性 の 分 析 例 を 示 す。1 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 状 況日 常 的 な 就 労 支 援 の 実 施 状 況 にかかわらず、 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 については、「 未 解 決 の 課 題 が 多 くある」とする 機 関 が 多 かったが、 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では、 実 施 していない 機 関 に 比 べて、「 課題 はあっても 解 決 可 能 」とする 割 合 が 高 くなっていた( 図 4-4-1)。 一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、 職 業 生 活 上 の 課 題 について「 不 明 」とする 割 合 も 多 かった( 図 4-4-2)。「 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」や「 遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業 」「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること」 等 、 未 解 決 課 題 が 多 い 項 目 がある 一 方 で、「 仕 事上 のストレス 対 処 や 疾 患 管 理 との 両 立 」や「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 への 対 処 」 等 の 課 題 では、「 課 題 はあるが解 決 可 能 」とした 機 関 が 比 較 的 多 かった。本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと++++-- -- --就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと++---仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処++++-- ---- --遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業+++-----職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること++++- -- --就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足++++----0% 50% 100%課 題 があるが 解 決 可 能 な 場 合 が 多 い 未 解 決 の 課 題 が 多 くある 特 に 課 題 は 多 くない 不 明 無 回 答図 4-4-1 部 署 における 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと----++++就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと--+仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立--++職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処--++遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業---+++職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること----+++就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足----++0% 50% 100%課 題 があるが 解 決 可 能 な 場 合 が 多 い 未 解 決 の 課 題 が 多 くある 特 に 課 題 は 多 くない 不 明 無 回 答図 4-4-2 部 署 における 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 就 労 支 援 の 取 組 と 職 業 上 の 課 題 との 関 係 の 分 析 例前 項 の 職 業 的 課 題 の 状 況 については、 各 医 療 機 関 等 における 様 々な 取 組 の 状 況 との 関 係 が 認 められた。 今回 の 調 査 によっては、 単 に 特 定 の 取 組 の 有 無 による 違 いだけでなく、より 詳 細 な 取 組 主 体 ( 自 機 関 、 外 部 機関 、あるいは 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 ) 等 による 違 いについても 分 析 可 能 である。 次 節 以 降 で 結 果 を 示 す 分析 の 概 要 を 例 によって 示 す。(1) 就 労 課 題 ( 問 10)の 未 解 決 率 と、 就 労 支 援 の 取 組 状 況 との 関 係 の 例先 に 示 した 図 4-4-1 のデータによると、 問 10 の 就 労 課 題 の「 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと」は、 日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 では、「 課 題 はあるが 解 決 可 能 」27.2%、「 未 解 決 課 題 が 多 い」55.2%であった。これにより、 課 題 ある 場 合 のその 課 題 の 未 解 決 率 (「 未 解 決 」/(「 課 題 はあるが 解 決 可 能 」+「 未解 決 」)」は 67.0%である。ただし、これは、 表 4-4-1 に 示 すように、 問 8-2「 就 職 活 動 への 個 別 支 援 」の 個 々の 取 組 の 有 無 別 に 集計 すると、 全 ての 取 組 についてその 有 無 で 統 計 的 に 有 意 な 差 が 認 められた。これらの 取 組 がない 場 合 では、ある 場 合 よりも 未 解 決 率 が 有 意 に 高 かった。表 4-4-1 就 労 課 題 「 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと」の 未 解 決 率 と 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無との 関 係 ( 日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 )就 労 支 援 の 取 組 の 有 無 による リスク 比有 意 確職 業 的 課 題 の 未 解 決 率 (95% 信 頼率就 労 支 援 の 取 組取 組 有 の 場 合 取 組 無 の 場 合 区 間 )本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを 明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する64.7% 80.0% 0.68-0.96 0.03体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件 を 明確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する64.8% 81.0% 0.68-0.95 0.03履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくでき就 職 活 動63.9% 82.0% 0.67-0.91 0.01るように 助 言 や 支 援 をするへの 個 別就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確支 援62.7% 85.5% 0.64-0.85 0.00認 して 対 策 を 検 討 する精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する62.1% 77.1% 0.69-0.94 0.01本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人 情 報 や会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)62.3% 77.1% 0.70-0.94 0.01その 一 方 で、これらの 問 8-2の 取 組 は、 問 10 の 就 労 課 題 「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業生 活 の 両 立 」とは、 有 意 な 関 係 は 少 なく、 唯 一 、「 就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確認 して 対 策 を 検 討 する」 取 組 だけが、その 取 組 がある 場 合 に、 未 解 決 率 が 低 くなっていた( 表 4-4-2)。※「95% 信 頼 区 間 」: 統 計 的 に 95%の 確 からしさで 推 定 できる 値 の 範 囲 。 例 えば、 表 4-4-1 の 最 上 行 では、リスク 比 は 64.7%/80.0%=0.81 だが、それぞれのデータ 数 を 考 慮 すると、その 95% 信 頼 区 間 は 0.68-0.96 となる。その 上 限 が1 未 満 のため、リスク 比 は 統 計 的 に 有 意 に1 未 満 である、すなわち、 統 計 的 に 有 意 に、 取 組有 の 方 が 取 組 無 よりも 未 解 決 率 が 低 いといえる。-60- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-4-2 就 労 課 題 「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」の 未 解 決 率 と 就 労 支 援 の 実 施の 有 無 との 関 係 ( 日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 )就 労 支 援 の 取 組 の 有 無 によるリスク 比職 業 的 課 題 の 未 解 決 率有 意 確(95% 信 頼取 組 有 の 場 取 組 無 の 場 合率区 間 )就 労 支 援 の 取 組合本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを 明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する55.1% 60.4% 0.72-1.16 0.29体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件 を 明 確にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する55.7% 60.0% 0.72-1.19 0.34履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできる就 職 活 動55.4% 60.0% 0.73-1.16 0.30ように 助 言 や 支 援 をするへの 個 別就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確 認支 援52.9% 71.2% 0.61-0.90 0.01して 対 策 を 検 討 する精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する55.6% 57.4% 0.79-1.18 0.42本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人 情 報 や 会社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)55.6% 57.4% 0.79-1.18 0.42(2) 就 労 支 援 の 実 施 方 法 の 違 い( 実 施 機 関 、 実 施 頻 度 、 連 携 方 法 等 )による 影 響また、 上 述 の(1)では 取 組 の 有 無 で 比 較 したが、 本 研 究 の 調 査 の 問 8の 調 査 項 目 では、「 取 組 有 」の 実 施状 況 が3 通 り(「 自 機 関 が 主 に 実 施 」、「 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 による 実 施 」、「 外 部 機 関 が 主 に 実 施 」)ある。図 4-4-3 に 示 すように、 取 組 有 の 場 合 で、さらにその 取 組 状 況 別 に、 職 業 上 の 課 題 「 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」の 未 解 決 率 をみると、「 就 職 ・ 復 職 セミナー 等 」は「 自 機 関 が 主 」と「 自 機関 と 外 部 機 関 の 協 力 」には 差 がなく、いずれも「 外 部 機 関 が 主 」よりも 未 解 決 率 が 低 かった。それに 対 して、「 就 職 や 復 職 前 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 確 認 や 対 策 の 検 討 」は、「 自 機 関 が 主 」が 最 も 未 解 決 率 が 低 くなっていた。また、「OB 交 流 等 」は「 自 機 関 が 主 」の 方 が「 外 部 機 関 が 主 」よりも 未 解 決 率 が 低 くなったいた。就 職 ・ 復 職 に 関 する 案 内 、ミーティングや、セミナー 等 を 実 施 する*同 じ 疾 患 があって 働 いている 人 から 学 んだり、 交 流 したりできる 場 を 設 定 する*就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状況 について 確 認 して 対 策 を 検 討 する*0% 50% 100%職 業 上 の 課 題 「 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと」未 解 決 率自 機 関 が 主 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 外 部 機 関 が 主図 4-4-3 部 署 における 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 状 況-61- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 5 節 回 答 者 の 就 労 支 援 への 関 わりの 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 医 師 、 精 神 保 健 福 祉 士 、 作 業 療 法 士 等 が、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 で 実施 されている 場 合 が 多 かった。これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 職 による 就 労 支 援 への 取 組 のための 専 門 的 情 報 源 としては、 図 書 ・ 論 文 等 や 学 会 ・ 研 究 会 等 が 主 となっていた。また、これらの 就 労 支 援 担 当 者 の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 状 況 ( 問 10)との 関 係 を 前 節 と 同 様 に 分 析 したところ、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 任 で 就 労 支 援 を 実 施 し、また、 就 労 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 等 を 図 書 ・ 論 文 等 、 学会 ・ 研 究 会 等 から 得 ている 場 合 が、 最 も 問 題 解 決 率 が 高 かった。1 回 答 者 の 職 種 ( 問 2) 別 の 就 労 支 援 への 関 わり各 機 関 において 就 労 支 援 (ない 場 合 は 生 活 支 援 )に 主 に 担 当 している 回 答 者 全 体 では、その 半 数 は 精 神 保健 福 祉 士 の 資 格 があり、30%が 医 師 、12%が 社 会 福 祉 士 であった。その 他 の、 保 健 師 、 看 護 師 、 作 業 療 法 士 、心 理 療 法 士 等 、 医 療 ソーシャルワーカー、ケースワーカー、ジョブコーチは 10% 未 満 であり、ピア 支 援 員 からの 回 答 はなかった( 図 4-5-1)。日 常 的 就 労 支 援 有++---+日 常 的 就 労 支 援 無--++ +++ +-0% 50% 100%医 師 保 健 師 看 護 師精 神 保 健 福 祉 士 作 業 療 法 士 臨 床 心 理 士 / 心 理 療 法 士医 療 ソーシャルワーカー 社 会 福 祉 士 ケースワーカージョブコーチ ピア 支 援 員 その 他図 4-5-1 回 答 者 の 資 格 等( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態内 容場 所対 象就 職 支 援再 就 職 支 援復 職 支 援就 業 継 続 支 援場 所 : 外 来 の 診 療 場 面場 所 : 施 設 内 ( 診 療 以 外 )場 所 : 施 設 外対 象 : 患 者対 象 : 企 業 の 担 当 者対 象 : 外 部 の 就 労 機 関-----++---++--++--++++++++++--+---++--++------ --++++0% 50% 100%日 常 的 に 実 施 時 々 実 施 患 者 ニーズはあるが 実 施 なし 特 に 患 者 ニーズなし 無 回 答図 4-5-2 医 師 による 就 労 支 援 の 状 況( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態満 であった。 就 労 支 援 を 日 常 的 に 実 施 していない 部 署 からの 回 答 では、 就 労 支 援 を 主 に 担 当 している 人 はほとんどおらず、 医 療 ・ 生 活 支 援 を 主 としている 人 が 多 かった。日 常 的 就 労 支 援 有++++ --日 常 的 就 労 支 援 無----++0% 50% 100%就 労 支 援 専 任就 労 支 援 が 主 で 医 療 ・ 生 活 支 援 を 兼 務医 療 ・ 生 活 支 援 が 主 で 就 労 支 援 も 実 施 医 療 ・ 生 活 支 援 専 任図 4-5-4 回 答 者 の 就 労 支 援 と 医 療 ・ 生 活 支 援 の 専 任 / 兼 務 の 状 況( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態るかにかかわらない)と、 医 療 ・ 生 活 支 援 専 任 の 場 合 の 比 較 で、 職 業 上 の 課 題 状 況 に 最 も 大 きな 差 が 認 められた( 表 4-5-1)。 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、 前 者 では、 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 未 解 決 率 が 有 意 に低 かった。その 他 、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 兼 任 であっても 就 労 支 援 を 主 に 実 施 している 場 合 の 方が、 兼 任 で 医 療 ・ 生 活 支 援 を 主 としている 場 合 よりも、「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の両 立 」「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 」について 問 題 未 解 決 率 が 低 かった。なお、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 において、 就 労 支 援 専 任 の 場 合 や、 兼 任 でも 就 労 支 援 が 主 の 場 合 の 方 が問 題 解 決 率 が 低 いという 結 果 となったが、 精 査 すると、メンタルヘルス 推 進 センターの 事 務 部 門 等 限 られた例 であり、 事 務 職 が 就 労 相 談 を 担 当 している 場 合 等 であった。就 労 支 援 への 専 任 / 兼任表 4-5-1 就 労 支 援 の 専 任 / 兼 務 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就労 支 援 の有 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾患 管 理 と 職 業生 活 の 両 立職 務 遂 行 上 の 遅 刻 や 欠 勤 、 長 職 場 の 理 解 や個 別 課 題 や、 危 期 休 職 、 退 職 の 協 力 、 良 好 な 人険 状 況 の 回 避 ない 安 定 した 就 間 関 係 を 得 るこや 対 処 業と就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬に 関 する 本 人の 満 足【 就 労 専 任 vs 兼任 】【 就 労 専 任 vs 医療 ・ 生 活 専 任 】【 兼 任 vs 医 療 ・生 活 専 任 】日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無1.17-1.34 1.10-1.24 1.00-1.061.00-1.090.74-0.89 0.61-0.78 0.63-0.94 0.70-0.99 0.66-0.810.84-0.97 0.79-0.92 0.75-0.93 0.77-0.90 0.82-0.94 0.83-1.00【 兼 任 で 就 労 主vs 医 療 ・ 生 活主 】日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.42-0.89 0.53-0.96( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 (ただし 斜 体 は 逆 ).**は 1% 水 準 で 有 意 )1.00-1.063 就 職 ・ 復 職 支 援 についての 情 報 源 ( 問 14)の 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 において、 精 神 保 健 福 祉 士 や 医 師 等 が 就 職 ・ 復 職 支 援 に 取 り 組 むための 専 門 的 知 識 等 の 情 報 源としては 図 書 ・ 論 文 等 と 学 会 ・セミナー 等 が 多 く、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 において、 回 答 者 がこれらから 情 報 を 得 ている 場 合 には、 就 職 活 動 や 就 職 後 の 職 業 上 の 問 題 状 況 の 解 決 率 が 高 かった。(1) 就 職 ・ 復 職 支 援 についての 情 報 源 ( 問 14)の 状 況就 労 支 援 の 情 報 源 としては「 図 書 ・ 論 文 等 」と「 学 会 ・セミナー 等 」が 多 く、 一 方 、「 専 門 教 育 や 研 修 」は今 後 利 用 したいとする 場 合 が 多 かった( 図 4-5-6、 図 4-5-7)。 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、 日 常 的 就 労支 援 のある 機 関 よりも、 全 ての 主 要 な 情 報 源 の 活 用 が 少 なかったが、「 図 書 ・ 論 文 等 」と「 学 会 ・セミナー 等 」-65- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態については 今 後 利 用 したいという 回 答 が 25% 近 くと 比 較 的 多 く、 情 報 の 必 要 性 を 感 じないとする 回 答 は 10%未 満 であった。図 書 、 論 文 、 雑 誌 ・ジャーナル 等++----学 会 、 研 究 会 、セミナー++----就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定研 修 等++++--実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助 言 ・ 指 導+++--主 要 な 情 報 源 である利 用 したことはないが 利 用 したい0% 50% 100%利 用 したことがある特 に 必 要 を 感 じない図 4-5-6 回 答 者 の 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 やスキル 向 上 のための 情 報 源 ( 就 労 支 援 に 日常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態や 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 」「 職 場 の 理 解 、 人 間 関 係 」の 未 解 決 課 題 が 少 なかった。また、「 学 会 、 研 究 会 等 」を 情 報 源 としている 場 合 も、 就 職 後 の「 就 業 継 続 」「 職 場 の 理 解 、 人 間 関 係 」の 未 解 決 課 題 が 少 なかった。いずれの 情 報 源 についても、「 利 用 したことがある」だけでなく「 主 要 な 情 報 源 である」とされている 場 合 の 方が、より 問 題 解 決 と 関 連 していた( 表 4-5-2)。一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、「 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定 研 修 等 」「 実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助 言 ・ 指 導 」「 学 会 、 研 究 会 、セミナー」を 情 報 源 にしている 場 合 に「 本人 に 合 った 職 探 し」の 問 題 解 決 が 多 くなっていた。「 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定 研 修 等 」では 就 職 活 動 の 問 題 解 決 とも 関 係 していた。表 4-5-2 就 労 支 援 の 情 報 源 の 利 用 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )就 労 支 援 の 情 報源 の 利 用 状 況図 書 、 論 文 、 雑 誌 ・ジャーナル 等学 会 、 研 究 会 、セミナー就 職 ・ 復 職 支 援 に 関する 専 門 教 育 、 資格 認 定 研 修 等実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助言 ・ 指 導日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.84-0.96 **0.77-0.98就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.66-0.91 ** 0.60-0.90 **( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり: 0.79)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.67-0.96( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり: 0.81)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業0.76-0.99( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり:0.84)0.74-0.96 ** 0.74-0.97 ** 0.79-1.00職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.72-0.94( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり:0.86)0.73-0.96( 主 要 情 報 源 vs 利用 あり:0.84)0.75-0.99 ** 0.68-0.95 **( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-67- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 6 節 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 とその 効 果今 回 の 調 査 で 回 答 のあった 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 自 機 関 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職プログラムによるだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 により、 就 労 支 援 の 成 果 をあげている 機 関 も多 かった。 医 療 機 関 等 における 就 職 ・ 復 職 プログラムは、 具 体 的 には 気 分 障 害 の 復 職 支 援 リワーク、 継 続 的デイケア、 就 職 ミーティング 等 であり、 利 用 者 は 年 間 10~30 名 が 多 く、 主 要 な 運 営 資 金 はデイケア 等 の 診 療報 酬 であった。1 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 ( 問 6)とその 効 果日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 就 労 希 望 者 への 対 応 として、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 める 場 合 だけでなく、 外 部 就 労 支 援 機 関 に 紹 介 ・ 連 絡 する 場 合 や、 外 部 の 就 労 相 談 機 関 を 案 内 する場 合 に3 分 されていた。ただし、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 める 機関 が「 就 職 活 動 」や「 就 職 後 の 職 場 適 応 」の 効 果 が 最 も 高 かった。また、 他 機 関 を 単 に 案 内 する 機 関 より 同行 ・ 紹 介 する 機 関 の 方 が 就 職 の 問 題 は 解 決 していた。 一 方 、 日 常 的 な 就 労 支 援 のない 機 関 では 自 機 関 で 治 療を 優 先 させようとする 機 関 よりも 他 機 関 を 案 内 ・ 紹 介 する 機 関 の 方 が 職 業 上 の 問 題 の 解 決 は 多 かった。(1) 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 ( 問 6)無 職 や 休 職 中 の 患 者 が「 働 きたい」と 言 った 場 合 には、 就 労 支 援 を 日 常 的 に 実 施 している 部 署 では、 就 労希 望 者 に 対 して、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める、 地 域 関 係 機 関 の 紹 介 、 就 労 相 談 先 の 案 内 に対 応 が3 分 されていた( 図 4-6-1)。 日 常 的 な 就 労 支 援 のない 機 関 では、 自 機 関 での 対 応 が 減 り 外 部 の 就 労 の相 談 先 の 案 内 が 増 えていた。日 常 的 就 労 支 援 有++--日 常 的 就 労 支 援 無--++0% 50% 100%自 機 関 ・ 法 人 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める地 域 で 支 援 が 受 けられるように 関 係 機 関 等 に 紹 介 / 連 絡 / 同 行 する就 労 について 相 談 できる 地 域 の 関 係 機 関 等 を 案 内 する症 状 の 安 定 や 治 療 を 優 先 するように 説 明 する図 4-6-1 無 職 や 休 職 中 の 患 者 の「 働 きたい」への 対 応( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 状 況 ( 問 6)と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係就 職 ・ 復 職 希 望 者 に 対 して、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 めるか、 関 係 機 関 に 紹 介 するか、 治 療 を 優先 させるようにするかの 違 いについては、 当 該 機 関 の 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 により、 職 業 上 の 課 題 状 況 との関 係 が 異 なっていた( 表 4-6-1)。日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 就 職 ・ 復 職 希 望 者 に 対 して 他 機 関 への 紹 介 や 案 内 をする 機 関 よりも 自 機関 の 就 労 支 援 プログラムを 勧 める 機 関 の 方 が、「 就 職 活 動 」「 仕 事 上 のストレスへの 対 処 / 疾 患 管 理 と 職 業 生活 の 両 立 」「 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 / 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 」の 未 解 決 率 は 低 かった。ただし、その 場 合 、 他機 関 との 関 わりで、 他 支 援 機 関 に 紹 介 ・ 同 行 する 場 合 の 方 が、 単 に 他 機 関 の 就 労 支 援 を 案 内 するよりも、「 本人 に 合 った 職 探 し」「 就 職 活 動 」「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 」の 未 解 決 課 題 は 少 なかった。一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 については、 治 療 を 優 先 するようにしているよりは、 他 機 関 への 紹 介 や案 内 がある 場 合 に、「 就 職 活 動 」「 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」「 職 務 遂 行 上 の 課 題 対 応 等 」「 就 業 継 続 の 課 題 」「 満 足 度 」について 解 決 可 能 とする 割 合 が 大 きかった。また、 自 機 関 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 めるよりも、 他 機 関 に 紹 介 ・ 案 内 した 方 が「 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」「 満 足 度 」の 解 決 につながっていた。表 4-6-1 就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )就 職 ・ 復 職 希 望者 への 対 応【 自 機 関 就 労 支援 利 用 vs 他 機関 利 用 】【 他 機 関 利 用 vs治 療 優 先 】【 他 機 関 同 行 vs他 機 関 案 内 】日 常 的 就労 支 援 の有 無日 常 的 就労 支 援 有日 常 的 就労 支 援 無日 常 的 就労 支 援 有日 常 的 就労 支 援 無日 常 的 就労 支 援 有本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.65-0.96 ** 0.54-0.87 ** 0.61-0.93 **遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足1.12-1.43 1.01-1.050.81-0.96 0.74-0.99 0.80-0.96 0.84-0.99 0.95-0.990.74-0.96 ** 0.68-0.97 0.73-1.00日 常 的 就労 支 援 無( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 (ただし 斜 体 は 逆 ).**は 1% 水 準 で 有 意 )2 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 内 容自 機 関 で 実 施 している 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 具 体 的 内 容 としては、 復 職 支 援 デイケアやリワーク、就 労 継 続 支 援 的 なデイケアが 最 も 多 く、その 他 様 々な 就 労 支 援 の 形 態 があった。• 復 職 支 援 デイケア・リワーク 42 機 関• 模 擬 的 職 場 、 継 続 的 デイケア 26 機 関• 就 労 ミーティング、 就 労 セミナー 12 機 関• デイケア 10 機 関-69- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• デイケアの 後 に 外 部 機 関 を 紹 介 7 機 関• ショートケア 2 機 関• IPS 2 機 関• ソーシャルワーカー、MSW による 就 労 相 談 2 機 関• その 他 の 就 労 支 援 プログラム 3 機 関3 機 関 独 自 の 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 内 容問 6において、「 自 機 関 ・ 法 人 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める」とした 135 機 関 について 集 計 した。リワークプログラムやデイケア 等 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムは、 診 療 報 酬 を 主 な 資 金 源 としつつ、それ 以 外 の 機 関 予 算 を 加 えて 一 部 の 医 療 機 関 で 実 施 されていた。 休 職 中 の 気 分 障 害 の 復 職 支 援 を、デイケア等 の 診 療 報 酬 の 枠 内 で 実 施 しているプログラムが 比 較 的 多 かった。 年 間 10~30 名 を 対 象 とし、 就 職 ・ 復 職 率は 15~60%であった。(1)プログラムの 運 営 資 金 源機 関 独 自 の 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムは、デイケア 等 の 診 療 報 酬 が 主 な 資 金 源 であり、 診 療 報 酬 外 の 機 関予 算 も 一 部 使 われていた( 図 4-6-2、 図 4-6-3)。 日 常 的 に 対 応 している 疾 患 種 類 によって、 顕 著 な 差 はなかった。デイケア 等 の 診 療 報 酬++++診 療 報 酬 外 の 機 関 予 算++++職 場 適 応 援 助 者 助 成 金++支 援 対 象 者 が 支 払 うサービス 料 金++その 他 の 資 金 源+++0% 50% 100%主 な 資 金 源 資 金 の 一 部 非 該 当図 4-6-2 就 労 支 援 プログラムの 運 営 の 資 金 源( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態デイケア 等 の 診 療 報 酬----診 療 報 酬 外 の 機 関 予 算----職 場 適 応 援 助 者 助 成 金--支 援 対 象 者 が 支 払 うサービス 料 金その 他 の 資 金 源-----0% 50% 100%主 な 資 金 源 資 金 の 一 部 非 該 当図 4-6-3 就 労 支 援 プログラムの 運 営 の 資 金 源( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• プログラムに 通 所 して 参 加 できること 16 機 関• 主 治 医 の 許 可 があること 16 機 関• 症 状 が 安 定 していること 13 機 関• 事 前 に 同 機 関 のデイケア 等 を 利 用 していたこと 9 機 関その 他 、 疾 病 理 解 ・ 服 薬 管 理 ができていること5 機 関 、 同 一 機 関 で 通 院 治 療 を 受 けていること5 機 関 、 集団 でトラブルを 起 こさないこと5 機 関 、 就 労 可 能 年 齢 であること4 機 関 、 障 害 認 定 のあること4 機 関 、 等 があった。(3) 利 用 者 と 就 職 率就 労 支 援 プログラムの 年 間 利 用 者 数 は、10~30 名 程 度 であり、ほとんどが 利 用 開 始 時 には 無 職 あるいは 休職 中 であった。 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では 就 職 ・ 復 職 率 は 15~60%、 実 施 していない 機 関 では 0~50%であった。ア 利 用 者 数 ( 表 4-6-2)日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では 利 用 者 数 が 非 常 に 多 い 場 合 があり 平 均 値 を 高 くしていたが、 中 央 値 等 で 見ると 年 間 利 用 者 数 は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 でも 10~30 名 程 度 が 大 半 であった。そのうち、 利用 開 始 時 に 仕 事 に 就 いていた 人 は6 名 未 満 が 大 半 であった。日 常 的 就 労 支援 有日 常 的 就 労 支援 無表 4-6-2 日 常 的 就 労 支 援 状 況 別 の 就 労 支 援 プログラムの 利 用 者 数年 間 利 用 者 数利 用 開 始 時 に 無 職 / 休 職 中利 用 開 始 時 に 仕 事 に 就 いていた25%タイル- 中 央 値25%タイル- 中 央 値 -75%平 均 値 ± 標 準 偏 差平 均 値 ± 標 準 偏 差-75%タイルタイル25.7±26.9 10-16.5-30 14.7±56.0 0-1-6101.5±501.3 2-5-12 1.8±4.1 0-0-1イ 就 職 率 ( 表 4-6-3)利 用 者 のうち、 就 職 ・ 復 職 できた 人 は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では 年 間 2~10 名 程 度 で、 就職 ・ 復 職 率 は 15%~60%が 大 半 であった。 一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 での 就 職 ・ 復 職 率 は0~50%が 大 半 であった。日 常 的 就 労 支援 有日 常 的 就 労 支援 無表 4-6-3 日 常 的 就 労 支 援 状 況 別 の 就 労 支 援 プログラムの 就 職 者 数 と 就 職 率就 職 ・ 復 職 者 数就 職 ・ 復 職 率25%タイル- 中 央 値 -75%25%タイル- 中 央 値 -75%平 均 値 ± 標 準 偏 差平 均 値 ± 標 準 偏 差タイルタイル11.4±15.4 2-5-15 24%±29% 17%-33%-59%3.3±5.9 0-1-3 10%±32% 0%-18%-50%-72- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 7 節 医 療 機 関 における 局 面 別 の 就 労 支 援 の 取 組 状 況 とその 効 果問 8においては、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する 様 々な 取 組 ( 非 就 労 者 への 情 報提 供 等 、 就 職 ・ 復 職 支 援 、 職 業 アセスメント、 就 労 者 への 継 続 的 支 援 、 等 )という 意 味 での「 就 労 支 援 」の取 組 状 況 を 聞 いた。これには、 特 に 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム 等 と 位 置 づけられていない 場 合 も 含 む。また、医 療 機 関 が 自 機 関 で 実 施 している 取 組 だけでなく、 利 用 者 に 対 して 外 部 機 関 で 実 施 されている 取 組 、 自 機 関と 外 部 機 関 が 協 力 して 実 施 している 取 組 も 含 めた。その 結 果 、 日 常 的 な 就 労 支 援 がある 医 療 機 関 等 では、 個 々の 取 組 には 医 療 機 関 と 外 部 機 関 の 役 割 分 担 の 特徴 があるものの、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 就 労 支 援 が 提 供 されていることが 明 らかになった。 一 方 、日 常 的 な 就 労 支 援 の 取 組 のない 機 関 では 取 組 は 少 ないが、それでもほとんどの 取 組 を「 患 者 のためには 必 要であるが 実 施 なし」と 考 えており、「 必 要 なし」とされた 取 組 はほとんどなかった。また、それらの 就 労 支 援 への 取 組 と 問 10 の 就 職 前 から 就 職 後 の 課 題 の 問 題 解 決 との 関 係 を 調 べた 結 果 、 就職 活 動 支 援 が 就 職 活 動 の 問 題 解 決 につながるというような 直 接 的 な 関 係 だけでなく、 就 職 前 の 取 組 と 就 職 後の 疾 患 管 理 や 職 場 理 解 との 関 係 のような 様 々な 関 係 が 認 められた。また、 医 療 機 関 が 自 らあるいは 外 部 機 関と 協 力 して 行 う 場 合 に 効 果 の 高 い 取 組 等 も 明 らかになった。1 非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけ( 問 8-1)の 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 における 非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけの 取 組 としては、「 就 労 希 望 を 表 明 しやすくするように 働 きかけること」「 就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生 活 や 経 済 的 問 題 の 検 討 」が 比 較 的 多 く、「 就 職 セミナー」「OB( 同病 で 就 職 している 人 ) 交 流 」は 比 較 的 少 なかった。 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、ない 機 関 と 比 べていずれも 取 組 が 多 かった。 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 を 含 め、これらの 取 組 のない 場 合 は「 患 者 のために 必 要 だが 実 施 なし」とされていることが 多 かった。さらに、これらの 取 組 が 就 職 前 の 職 探 しの 課 題 や 就 職 活 動 の 課題 だけでなく、 就 職 後 の 職 場 適 応 や 職 場 理 解 ・ 人 間 関 係 の 問 題 解 決 につながっていることも 確 認 できた。(1) 非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけ( 問 8-1)の 状 況非 就 労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけについては、 自 機 関 では「 就 労 意 欲 の 確 認 」「 就 労 と 生 活 の 一 体 的 相 談 」が 多 く、「 就 職 セミナー」「 OB 交 流 」は、 特 に 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では 外 部 機 関 との 連 携 による 場 合 が多 かった( 図 4-7-1)。 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 は、 実 施 している 機 関 と 比 べると、 全 ての 取組 について 自 機 関 あるいは 外 部 機 関 との 連 携 よる 取 組 が 少 なかったが、「 患 者 のために 必 要 だが 実 施 なし」が多 く、 就 労 支 援 が 不 要 であるとの 回 答 は 少 なかった( 図 4-7-2)。-73- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態就 職 や 復 職 の 希 望 を 表 明 していない 患 者 に 対 して、 希 望 を 表 明 しやすいように 働 きかける++----就 職 ・ 復 職 に 関 する 案 内 、ミーティングや、セミナー 等 を 実 施 する++++----同 じ 疾 患 があって 働 いている 人 から 学 んだり、 交流 したりできる 場 を 設 定 する++++----就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生 活 の 変 化 、 生 活 保 護 や 障 害 年金 の 条 件 の 変 化 等 の 経 済 的 問 題 について 検 討 する++-- ---自 機 関 が 主 に 実 施外 部 機 関 が 主 に 実 施不 要 のため 実 施 なし0% 50% 100%自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし無 回 答図 4-7-1 無 職 / 休 職 中 の 患 者 に 対 する 情 報 提 供 等 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態決 課 題 も 少 なくなっていた。ただし、 非 就 労 者 への 支 援 は「 安 定 した 就 業 継 続 」の 解 決 にはつながっていなかった。また、「 就 職 セミナー 等 」は、 外 部 機 関 が 主 に 実 施 する 場 合 よりも、 自 機 関 が 主 に、あるいは、 自 機 関 と 外部 機 関 が 協 力 して 実 施 する 場 合 の 方 が、「 職 探 し」や「 就 職 活 動 等 の 解 決 」につながっている 場 合 が 多 かった。表 4-7-2 非 就 労 者 への 支 援 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )非 就 労 者 への 支援 状 況就 職 や 復 職 の 希 望を 表 明 していない 患者 に 対 して、 希 望 を表 明 しやすいように働 きかける就 職 ・ 復 職 に 関 する案 内 、ミーティングや、セミナー 等 を 実施 する同 じ 疾 患 があって 働いている 人 から 学 んだり、 交 流 したりできる 場 を 設 定 する日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.75-0.92 ** 0.71-0.99( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.67)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.85-0.99 0.84-1.00 0.75-0.94 **0.76-0.93 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.79) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.80)0.63-0.84 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.67) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.69)( 自 機 関 v 協力 :0.79)( 自 機 関 vs外 部 機 関 :0.75)0.68-0.99( 自 機 関 vs 外 部 機関 : 0.64) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.66)0.83-0.97 ** 0.84-1.00 0.79-0.990.76-0.94 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.82)0.83-0.98( 協 力 vs 外 部 機関 :0.82)0.63-0.85 ** 0.62-0.89 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.61)0.83-1.00( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.75 ) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.80)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.69-0.94 **( 自 機 関 vs 協力 :0.71) ( 自 機 関vs 外 部 機 関 : 0.66)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.72-0.93 **0.80-0.96 **0.75-0.98( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.73)0.74-0.95 **( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.74)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.85-0.99就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生活 の 変 化 、 生 活 保護 や 障 害 年 金 の 条件 の 変 化 等 の 経 済的 問 題 について 検討 する日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.66-0.93( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.72)0.83-0.98 0.75-0.94 **( 自 機 関 vs 協力 :0.84)0.83-0.99( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.82-0.91( 自 機 関 vs 外 部 機関 :0.84) ( 協 力 vs 外部 機 関 :0.89)2 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 ・ 復 職 支 援 ( 問 8-2)の 状 況 とその 効 果一 般 就 業 に 向 けた 就 職 ・ 復 職 支 援 では、 本 人 に 適 した 仕 事 の 検 討 、 就 職 活 動 ( 履 歴 書 や 面 接 での 説 明 の 支援 ) 支 援 、 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 確 認 と 検 討 については、 医 療 機 関 の 自 機 関 を 主 とした 取 組 が 比 較 的 多 かった。 一 方 、 職 場 実 習 や 求 人 情 報 の 収 集 等 については、 外 部 機 関 との 協 力 による 実 施 が 多 くなっていた。また、自 機 関 でも 外 部 機 関 でも 実 施 されていない 場 合 については、 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず「 患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし」とされている 場 合 が 多 かった。-75- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態これらの 取 組 は、 主 に「 就 職 活 動 」の 問 題 解 決 との 関 係 が 認 められたが、「 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 確 認 と 検討 」「 職 場 実 習 」は「 就 職 後 の 職 場 適 応 」や「 職 場 の 理 解 ・ 協 力 ・ 人 間 関 係 」の 問 題 解 決 との 関 係 も 認 められた。(1) 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 ・ 復 職 支 援 ( 問 8-2)の 状 況日 常 的 就 労 支 援 がある 機 関 では、 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 支 援 のどの 項 目 も 自 機 関 での 取 組 と 外 部 機 関 との連 携 による 取 組 が 全 般 的 に 多 く、「 本 人 に 合 った 職 探 し」「 体 調 に 合 わせた 職 探 し」「 履 歴 書 や 面 接 での 説 明 の支 援 」「 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 事 前 確 認 」については 自 機 関 で 25~30%、 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 を 含 めると 60% 前 後 であった。 一 方 、「 職 場 実 習 」「 仕 事 探 しの 情 報 収 集 等 」は 自 機 関 で 5~10%、 外 部 機 関 との 連 携を 含 めても 30% 未 満 の 実 施 であった( 図 4-7-3)。本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを 明確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する++++----体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件 を明 確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する++++----履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支 援 をする++---就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について確 認 して 対 策 を 検 討 する++++---- --精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する++++---本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人 情報 や 会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)++----0% 50% 100%自 機 関 が 主 に 実 施 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施 外 部 機 関 が 主 に 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし 不 要 のため 実 施 なし 無 回 答図 4-7-3 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する----++体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条 件を 明 確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する----++履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支 援 をする--+就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確 認 して 対 策 を 検 討 する----++++精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する----+本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人情 報 や 会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)--++自 機 関 が 主 に 実 施外 部 機 関 が 主 に 実 施不 要 のため 実 施 なし0% 50% 100%自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし無 回 答図 4-7-4 一 般 就 業 に 向 けた 就 職 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-7-2( 続 き)一 般 就 業 に 向 けた就 職 ・ 復 職 支 援 状況体 調 の 悪 化 や 危 険を 防 止 できる 仕 事 内容 や 職 場 の 条 件 を明 確 にし、 条 件 に合 った 職 探 しを 支 援する履 歴 書 や 就 職 面 接で、 病 状 や 必 要 な 配慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支援 をする就 職 や 復 職 の 前 に実 際 の 仕 事 内 容 や職 場 の 状 況 について確 認 して 対 策 を 検 討する精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための職 場 実 習 等 を 支 援 する本 人 に 合 った 仕 事 を探 すため、 様 々な 手段 を 使 い 求 人 情 報 や会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)日 常 的 就労 支 援 の有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.77-0.95( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.83)就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと0.68-0.95( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.71) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.81)0.81-0.94 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.73)0.67-0.91 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.71) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.76)0.83-0.98( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.80) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.86)0.64-0.85 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.74)仕 事 上 のストレスへの 対 処 、疾 患 管 理 と 職業 生 活 の 両 立0.61-0.90 **( 自 機 関 vs 協力 :0.65)( 自 機 関vs 外 部 機 関 :0.58)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.83-0.98 0.77-0.97 0.83-0.99遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.73-0.95 0.83-0.97( 自 機 関 vs 協 ( 自 機 関 vs 協力 :0.79)( 自 機 関 力 :0.84)vs 外 部 機 関 :0.75)0.69-0.94 ** 0.77-0.99( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.49) ( 協 力vs 外 部 機 関 :0.79)0.70-0.94 **( 協 力 vs 外 部 機関 :0.66)0.83-0.98( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )3 様 々な 職 業 アセスメント( 問 8-3)の 状 況 とその 効 果医 療 機 関 等 で 実 施 されている 職 業 アセスメントとしては、 自 機 関 での「 治 療 場 面 での 症 状 等 を 踏 まえた 評価 」「 本 人 との 課 題 や 支 援 ニーズの 相 談 場 面 での 検 討 」が 多 かった。 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 ではこれらに加 え、「 模 擬 的 職 場 」「 職 場 実 習 やリハビリ 出 勤 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」の 外 部 機 関 との 協 力 による 実施 が 比 較 的 多 かった。日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、「 本 人 との 課 題 や 支 援 ニーズの 相 談 場 面 での 検 討 」「 集 団 場 面 での 評 価 」「 模 擬 的 職 場 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」 等 が 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 解 決 と 関 連していた。(1) 様 々な 職 業 アセスメント( 問 8-3)の 状 況医 療 機 関 等 で 実 施 されている 職 業 アセスメントとしては、 自 機 関 での「 治 療 場 面 での 症 状 等 を 踏 まえた 評価 」「 本 人 との 課 題 や 支 援 ニーズの 相 談 場 面 での 検 討 」が 多 く、「 集 団 場 面 での 評 価 」が 続 き、「 模 擬 的 職 場 」「 職 場 実 習 やリハビリ 出 勤 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」での 職 業 評 価 は 比 較 的 少 なかった( 図 4-7-5、 図4-7-6) 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 ではこれら 全 ての 取 組 が 多 いが、 特 に、「 模 擬 的 職 場 」「 職 場 実 習 やリハビリ 出 勤 」「 実 際 の 職 場 での 継 続 的 評 価 」の 外 部 機 関 との 協 力 による 実 施 が 比 較 的 多 く、 外 部 機 関 が 主 にこれら-78- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態を 実 施 している 場 合 も 多 かった。 自 機 関 でも 外 部 機 関 でも 実 施 されていない 取 組 について、 日 常 的 就 労 支 援の 有 無 にかかわらず 多 くが「 患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし」とされていた。就 職 / 復 職 後 の 実 際 の 職 場 において、 支 援 の 提 供と 並 行 して 情 報 収 集 して 評 価 する実 際 の 職 場 での 実 習 やリハビリ 出 勤 等 において、情 報 収 集 して 評 価 する就 職 後 の 職 業 生 活 場 面 を 想 定 した 模 擬 的 な 場 面 を設 定 して、その 中 で 評 価 する集 団 的 な 生 活 場 面 や 作 業 場 面 を 設 定 して、その 中で 評 価 する++++++++++++++-------- ---- ---- --- --治 療 場 面 における 病 状 等 を 踏 まえて 評 価 する++------相 談 等 で 本 人 と 一 緒 に 課 題 や 支 援 ニーズを 評 価 する++----- --0% 50% 100%自 機 関 が 主 に 実 施自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施外 部 機 関 が 主 に 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし不 要 のため 実 施 なし無 回 答図 4-7-5 患 者 の 就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 (アセスメント)の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態で「 実 際 の 職 場 」での 評 価 は 少 なくなっていた。 一 方 、 診 療 所 では「 模 擬 的 職 場 」での 評 価 が 自 機 関 でできないが 必 要 とする 回 答 が 比 較 的 多 かった。(2) 様 々な 職 業 アセスメント( 問 8-3)の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では、「 相 談 等 での 本 人 と 一 緒 に 行 う 課 題 や 支 援 ニーズの 評 価 」「 集団 的 生 活 場 面 や 作 業 場 面 での 評 価 」「 職 業 生 活 場 面 を 想 定 した 模 擬 的 職 業 場 面 での 評 価 」を 実 施 している 機 関では、 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 未 解 決 課 題 が 少 なかった( 表 4-7-3)。それらは 外 部 機 関 によるよりも 自 機関 が 関 わって 実 施 している 方 が 解 決 率 は 高 かった。また、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 では、「 職 場 実習 での 評 価 」や「 実 際 の 職 場 での 評 価 」も 就 職 活 動 から 就 職 後 の 疾 患 管 理 や 人 間 関 係 の 未 解 決 課 題 の 低 下 と関 連 していた。ただし、 就 労 者 の 処 遇 上 の 満 足 の 問 題 の 解 決 に 関 係 する 評 価 はなかった。一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、「 相 談 で 本 人 と 一 緒 に 課 題 や 支 援 ニーズを 評 価 」したり、「 治 療 場 面 での 病 状 を 踏 まえた 評 価 」、「 集 団 的 場 面 での 評 価 」が、 就 職 前 、 就 職 活 動 、また、 就 職 後 のストレス 対 処 や 疾 患 管 理 の 問 題 の 解 決 と 関 連 していた。職 業 評 価 への取 組 状 況就 職 / 復 職 後 の実 際 の 職 場 において、 支 援 の 提 供と 並 行 して 情 報 収集 して 評 価 する実 際 の 職 場 での実 習 やリハビリ 出勤 等 において、 情報 収 集 して 評 価する就 職 後 の 職 業 生活 場 面 を 想 定 した模 擬 的 な 場 面 を設 定 して、その 中で 評 価 する集 団 的 な 生 活 場面 や 作 業 場 面 を設 定 して、その 中で 評 価 する表 4-7-3 職 業 評 価 への 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.70-0.96( 自 機 関 vs 協力 :0.66) ( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.67)0.77-0.95 ** 0.70-0.96 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.63)0.72-0.88 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.82) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.79)0.84-0.98( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.84) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.82)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.66-0.97( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.62)0.70-0.95 0.65-0.95( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.62) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.63)0.57-0.75 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.65)0.81-0.96 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.69) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.82)0.60-0.87 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.64)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.83-0.990.70-0.96( 自 機 関 vs 協力 :0.62) ( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.52)0.56-0.80 ** 0.66-0.90 **( 自 機 関 vs 協力 :0.75)0.76-0.95 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.71)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業0.75-0.96 **( 自 機 関 vs 協力 :0.68) ( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.64)職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.71-0.91 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.67)0.70-0.88 **0.74-0.94 ** 0.71-0.90 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.81)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-80- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-7-3( 続 き)職 業 評 価 への取 組 状 況治 療 場 面 における 病 状 等 を 踏 まえて 評 価 する相 談 等 で 本 人 と一 緒 に 課 題 や 支援 ニーズを 評 価する日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.67-0.98 0.69-0.900.84-0.99( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.83) ( 協 力vs 外 部 機関 :0.82)0.73-0.90 **( 自 機 関 vs 協力 :0.83)( 自 機 関vs 外 部 機関 :0.78)0.76-0.95 0.60-0.79 ** 0.61-0.94( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.68)0.83-0.95 ** 0.82-0.95 ** 0.76-0.96 **( 自 機 関 vs 外 部 ( 自 機 関 vs 外 部 ( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.86) ( 協 力 機 関 :0.79) ( 協 力 機 関 :0.82) ( 協 力vs 外 部 機 vs 外 部 機 vs 外 部 機関 :0.89) 関 :0.81) 関 :0.83)0.67-0.99( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.74)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.71-0.91 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.76)0.71-0.93( 自 機 関 vs 協力 :0.84)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足4 就 労 者 への 継 続 的 支 援 ( 問 8-4)の 状 況 とその 効 果精 神 障 害 者 の 就 職 後 の 疾 患 管 理 、 生 活 支 援 、 心 理 的 サポート、 就 労 者 の 受 診 ・ 治 療 等 への 配 慮 等 は、 医 療機 関 等 が 主 体 となって 取 り 組 んでいることが 多 かった。 職 場 側 への、 職 場 改 善 のための 働 きかけ、 職 場 担 当者 への 情 報 提 供 や 助 言 ・ 支 援 は、それらに 比 べると 少 ないが、それでも、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、外 部 機 関 との 連 携 を 含 めると 70% 弱 の 取 組 があった。これらのうち、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 における「 職 場 内 外 での 症 状 悪 化 時 の 対 応 への 本 人 支 援 」「 体 調悪 化 時 の 連 絡 体 制 」「 服 薬 処 方 の 調 整 」、さらに、「 職 場 支 援 の 取 組 」は、「 職 場 適 応 」や「 職 場 の 理 解 」だけでなく、「 就 職 前 の 職 探 し 検 討 」の 課 題 解 決 とも 関 係 していた。(1) 就 労 者 への 継 続 的 支 援 ( 問 8-4)の 状 況就 労 者 への 継 続 的 支 援 については、「 服 薬 処 方 の 調 整 」「 診 療 時 間 の 配 慮 」「 体 調 や 職 業 生 活 への 相 談 」を 医療 機 関 が 自 機 関 で 実 施 している 場 合 が 多 かった。「 就 労 している 患 者 が 集 まれる 場 づくり」は 少 なかったが 患者 ニーズは 認 識 されていた。ま た 、「 職 場 への 支 援 」については 外 部 機 関 を 含 めた 実 施 が 多 かった( 図 4-7-7)。日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においては、 実 施 している 機 関 に 比 べ、 就 労 している 患 者 に 関 する 本 人 支 援 、 受 診 ・ 治 療 等 の 配 慮 、 職 場 支 援 の 全 ての 項 目 で 自 機 関 による 実 施 が 少 なく、 職 場 支 援 については 外 部 機 関 との 協 力 による 支 援 も 少 く、ほとんどの 項 目 で「 患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし」が 比 較 的 多かった( 図 4-7-8)。-81- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態予 防 的 に、 本 人 に 職 場 内 外 での 体 調 悪 化 時 の 対 応 を 助 言 ・ 指導 する++----本 人 支 援就 職 や 復 職 後 の 体 調 悪 化 時 に、 職 場 / 本 人 / 家 族 / 関 係 機 関等 から 連 絡 が 入 るようにする定 期 的 あるいは 随 時 に 患 者 から 職 業 生 活 上 の 不 安 ・ 課 題 や 体調 について 相 談 にのる++++------休 職 や 退 職 を 余 儀 なくされた 際 に、 心 理 的 に 前 向 きに 支 える++----受 診 ・ 治 療 等 の 配 慮就 労 している 人 が 通 院 しやすいように、 診 療 や 相 談 の 時 間 帯や 曜 日 を 配 慮 する外 来 は、 予 約 の 時 間 通 り(1 時 間 以 内 のずれ)で 受 診 できる就 労 の 妨 げになる 副 作 用 が 少 なく、 就 労 形 態 に 合 わせた 服 薬しやすい 処 方 内 容 とする就 労 している 患 者 が 夜 間 や 休 日 等 に 集 まれる 場 を 設 ける+++++++++----- --職 場 支 援患 者 の 職 務 や 職 場 状 況 についての 評 価 や、その 改 善 のための助 言 や 支 援 をする職 場 の 担 当 者 や 支 援 者 に、 職 場 適 応 を 進 めるための 情 報 提 供や 相 談 ・ 支 援 を 行 う+++++++------0% 50% 100%自 機 関 が 主 に 実 施 自 機 関 と 外 部 機 関 の 協 力 により 実 施 外 部 機 関 が 主 に 実 施患 者 のためには 必 要 だが 実 施 なし 不 要 のため 実 施 なし図 4-7-7 働 いている 患 者 への 疾 患 管 理 の 問 題 等 への 対 応 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態なお、 統 合 失 調 症 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 では、「 予 防 的 な 本 人 の 体 調 悪 化 時 の 助 言 等 」「 体 調 悪 化 時の 連 絡 体 制 」「 継 続 的 相 談 体 制 」「 職 場 担 当 者 等 への 相 談 ・ 支 援 」については 外 部 機 関 との 協 力 によるものが比 較 的 多 く、「 職 務 や 職 場 状 況 への 職 場 への 助 言 や 支 援 」は 外 部 機 関 によるものが 比 較 的 多 かった。「 職 場 への 支 援 」については 外 部 機 関 との 協 力 によるものが 多 かったが、 復 職 支 援 を 実 施 する 機 関 では、 職 場 担 当 者や 産 業 医 等 との 連 携 で 職 場 への 支 援 も 自 機 関 で 行 う 場 合 が 多 かった。(2) 就 労 者 への 継 続 的 支 援 ( 問 8-4)の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 において、「 本 人 への 職 場 内 外 での 体 調 悪 化 時 の 対 応 の 助 言 ・ 指導 」「 就 職 ・ 復 職 後 の 体 調 悪 化 時 等 の 連 絡 体 制 」、さらに「 職 務 や 職 場 状 況 への 職 場 への 助 言 ・ 支 援 」「 職 場 担当 者 への 情 報 提 供 や 相 談 ・ 支 援 」は、「 職 場 の 理 解 や 協 力 、 人 間 関 係 」 等 の 問 題 解 決 と 関 係 しており、 特 に「 職場 支 援 」は「 本 人 の 処 遇 上 の 満 足 や 本 人 に 合 った 仕 事 探 し( 職 場 配 置 )」の 問 題 の 解 決 とも 関 係 していた( 表4-7-4)。その 一 方 で、「 患 者 からの 職 業 生 活 や 体 調 の 相 談 にのること」「 休 職 ・ 退 職 時 の 心 理 的 サポート」「 通院 しやすい 診 療 ・ 相 談 時 間 の 調 整 」は 特 に 職 業 上 の 課 題 の 解 決 との 関 連 が 認 められなかった。また、「 職 業 生活 に 合 わせた 服 薬 調 整 」は、「 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 」「 本 人 の 処 遇 上 の 満 足 」の 問 題 解 決 と 関 連 していた。表 4-7-4 就 職 後 も 継 続 する 継 続 的 支 援 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )仕 事 上 のスト本 人 が 能 力 を 就 職 活 動 ( 応職 務 遂 行 上 の 遅 刻 や 欠 勤 、 職 場 の 理 解 や日 常 的 就レスへの 対発 揮 でき 無 理 募 、 面 接 等 )を個 別 課 題 や、 長 期 休 職 、 退 協 力 、 良 好 な労 支 援 の処 、 疾 患 管 理なくできる 仕 事 スムーズに 行危 険 状 況 の 回 職 のない 安 定 人 間 関 係 を 得有 無と 職 業 生 活 のを 探 すこと うこと避 や 対 処 した 就 業 ること両 立就 職 後 の 継 続 的支 援 状 況予 防 的 に、 本 人 に職 場 内 外 での 体 調悪 化 時 の 対 応 を 助言 ・ 指 導 する就 職 や 復 職 後 の 体調 悪 化 時 に、 職 場/ 本 人 / 家 族 / 関係 機 関 等 から 連 絡が 入 るようにする定 期 的 あるいは 随時 に 患 者 から 職 業生 活 上 の 不 安 ・ 課題 や 体 調 について相 談 にのる休 職 や 退 職 を 余 儀なくされた 際 に、 心理 的 に 前 向 きに 支える就 労 している 人 が通 院 しやすいように、 診 療 や 相 談 の時 間 帯 や 曜 日 を 配慮 する日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.73-0.93( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.80)0.85-0.99 0.82-0.980.85-0.990.67-0.77( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.73) ( 協力 vs 外 部 機関 :0.65)0.63-1.00 0.67-0.84 **0.73-0.91( 自 機 関 vs 協力 :0.85)0.80-0.94( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.83) ( 協力 vs 外 部 機関 :0.86)0.85-0.990.79-0.98就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-83- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-7-4( 続 き)就 職 後 の 継 続 的支 援 状 況外 来 は、 予 約 の 時間 通 り(1 時 間 以 内のずれ)で 受 診 できる就 労 の 妨 げになる副 作 用 が 少 なく、 就労 形 態 に 合 わせた服 薬 しやすい 処 方内 容 とする就 労 している 患 者が 夜 間 や 休 日 等 に集 まれる 場 を 設 ける患 者 の 職 務 や 職 場状 況 についての 評価 や、その 改 善 のための 助 言 や 支 援をする職 場 の 担 当 者 や 支援 者 に、 職 場 適 応を 進 めるための 情報 提 供 や 相 談 ・ 支援 を 行 う日 常 的 就労 支 援 の有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.75-0.97 ** 0.68-0.97 **( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.65)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.70-1.00( 自 機 関 vs 協力 :0.71)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.48-0.84 0.84-0.92( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.88)日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労 0.76-0.94 ** 0.70-0.90 ** 0.83-0.96支 援 有日 常 的 就 労0.84-0.99 0.79-0.98支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.75-0.92 ** 0.64-0.98( 自 機 関 vs 外 部機 関 :0.75)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )5 記 述 回 答問 8における、 支 援 内 容 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 の 記 述 回 答 には 以 下 の 内 容 があった。(1) 支 援 内 容 の 詳 細ア 非 就 労 者 への 情 報 提 供 等1 就 労 セミナー、ジョブガイダンス、 講 演 会 等 (17 機 関 ; 以 下 同 様 )2 診 療 場 面 や 相 談 場 面 における 就 労 相 談 と 情 報 提 供 (15)3 定 期 的 な 就 労 相 談 を 含 む 面 談 (12)4 自 機 関 ( 連 携 も 含 む)で 生 活 面 の 相 談 支 援 に 対 応 (11)5 就 労 支 援 機 関 や 行 事 の 案 内 (8)6 デイケアの 中 での 相 談 支 援 (6)7 外 部 の 生 活 支 援 機 関 に 紹 介 (5)8 施 設 見 学 (4)イ 一 般 就 業 に 向 けた 支 援1 ハローワークに 紹 介 (6)2 ハローワーク 以 外 の 就 労 支 援 機 関 への 紹 介 (5)3 就 労 支 援 機 関 の 機 能 別 紹 介 (4)4 自 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 による 職 探 し 支 援 (4)5 キャリア 支 援 (4)0.69-0.89 ** 0.83-0.96( 自 機 関 vs 協力 :0.89)-84- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態6 復 職 支 援 のみ(2)7 職 場 見 学 (1)ウ 職 業 能 力 の 評 価1 支 援 場 面 でのシチュエーショナル・アセスメント(7)2 作 業 所 、 自 立 支 援 法 事 業 所 との 連 携 (7)3 職 場 でのシチュエーショナル・アセスメント(6)4 障 害 者 職 業 センター 等 の 就 労 支 援 機 関 の 協 力 による 職 業 評 価 (5)5 治 療 場 面 での 医 師 による 判 断 (4)6 就 労 移 行 チェックリスト(3)7 作 業 所 等 での 作 業 による 判 断 (1)8 模 擬 的 職 場 (1)9 現 在 、 職 業 評 価 に 課 題 あり(5)エ 就 労 者 への 継 続 的 支 援(ア) 疾 患 管 理1 服 薬 の 管 理 (8)2 本 人 への 疾 患 管 理 の 支 援 (6)3 心 理 教 育 プログラム(3)4 心 理 療 法 (3)5 SST、 生 活 技 能 トレーニング(3)6 産 業 医 等 による 疾 患 管 理 (1)(イ) 本 人 支 援 、 個 別 対 応1 診 療 場 面 で 部 分 的 には 就 労 支 援 ニーズに 対 応 できることもある(12)2 個 別 のニーズに 応 じて 対 応 (5)(ウ)フォローアップ 体 制1 デイケア 修 了 者 が 定 期 的 に 集 まれる 場 づくり(8)2 電 話 等 での 随 時 の 相 談 対 応 (4)3 就 職 後 の 外 来 通 院 時 にフォロー(3)4 職 場 訪 問 (1)(エ) 診 療 時 間 の 調 整1 就 労 者 が 受 診 しやすい 時 間 (6)2 本 人 の 意 向 を 聞 いて 診 療 時 間 を 調 整 (3)3 予 約 制 ではない(5)(オ) 職 場 との 調 整 ・ 連 携1 職 場 からの 相 談 への 対 応 (10)2 職 場 の 理 解 ・ 配 慮 への 働 きかけ(10)3 本 人 の 了 解 の 下 で 職 場 と 連 絡 (6)-85- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態4 産 業 医 との 連 携 (3)5 三 者 面 談 (2)6 障 害 者 職 業 センターを 介 した 連 絡 (2)7 職 場 との 連 携 の 課 題 (2)(2) 外 部 機 関 ・ 支 援 者 の 具 体 的 内 容ア 自 治 体 窓 口 、 福 祉 事 務 所 、 社 会 福 祉 協 議 会 、ケースワーカー(24 機 関 ; 以 下 同 様 )1 福 祉 課 、 年 金 課 、 生 活 保 護 課 等 (10)2 ケースワーカー(7)3 社 会 福 祉 協 議 会 (2)4 自 治 体 での 就 労 支 援 窓 口 (1)イ 医 療 機 関 内 の 専 門 職 や 部 門 (22)1 精 神 保 健 福 祉 士 (2)2 訪 問 看 護 ステーション(3)ウ 就 労 支 援 機 関 との 共 同 のケースマネジメント1 日 常 的 な 情 報 交 換 (6)2 医 療 と 就 労 の 総 合 的 な 相 談 ・ 評 価 (4)3 関 係 機 関 の 医 療 情 報 の 共 有 (4)4 地 域 関 係 機 関 のケース 会 議 (3)エ 職 場 、 職 場 担 当 者 (15)オ 外 部 の 作 業 所 、 授 産 施 設 、デイケア(14)カ 自 立 支 援 法 サービス 事 業 所 ( 就 労 移 行 、 継 続 、 相 談 )(13)キ ハローワーク(12)1 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター(2)2 ジョブガイダンス 事 業 (6)ク 若 者 就 職 支 援 (サポートセンター・ステーション、ジョブカフェ 等 )(12)ケ 地 域 活 動 支 援 センター(10)コ 職 業 訓 練 機 関 (9)サ 障 害 者 職 業 センター(8)1 ジョブコーチ 事 業 (2)2 リワーク 事 業 (1)シ 産 業 医 、 産 業 保 健 師 (7)ス 保 健 所 (6)セ 患 者 ・ 家 族 会 (4)ソ 主 治 医 (4)タ 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター(3)チ 就 職 した OB(2)-86- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 8 節 疾 患 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況 とその 効 果直 接 の「 就 労 支 援 」と 考 えられることは 少 ないものの、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 支 援 として 重 要 と 考 えられる、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況 について 問 9できいた。その結 果 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 等 では、 全 般 的 にこれらへの 取 組 も 多 く、 一 方 、 日 常 的 に就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、これらの 取 組 が 全 般 的 に 少 ないことが 明 らかとなった。 多 くの 機 関 では、「 本 人 の 目 標 設 定 やモニタリング」、「 再 発 防 止 訓 練 やストレスマネジメント」、「 服 薬 自 己 管 理 支 援 」、「 医療 と 生 活 の 一 体 的 相 談 ・ 支 援 」、「 患 者 への 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 」、「 家 族 への 相 談 体 制 」が 自 機 関 で 実 施 されていた。その 一 方 で、「 認 知 行 動 療 法 やロールプレイ」、「SST」、「 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 」、「 家族 向 けのセミナーやワークショップ 等 」は 比 較 的 実 施 が 少 なかった。特 に、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 全 般 」、「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」、「 地 域 生 活 での 危 機 的 状況 への 対 応 体 制 」、「 家 族 向 けのセミナー 等 」は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 において、 就 職 前 から就 職 後 の 様 々な 職 業 的 課 題 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。さらに、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においても、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」、「 生 活 支 援 」、「 家 族 支 援 」の 取 組 は、 多 くの 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。1 疾 患 自 己 管 理 支 援 ( 問 9-1)の 状 況 とその 効 果必 ずしも 全 ての 医 療 機 関 等 において 様 々な 疾 患 自 己 管 理 支 援 が 実 施 されているわけではなく、 日 常 的 就 労支 援 の 実 施 のある 機 関 では 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 取 組 も 多 いという 取 組 状 況 の 違 いが 大 きかった。 最 も 多 く 実施 されていたのは「 服 薬 管 理 支 援 」であった 一 方 で、「 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ」「 職 場 を 想 定 したSST」「 認 知 行 動 療 法 」の 経 常 的 な 実 施 は 少 なかった。日 常 的 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、これらの 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 実 施 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 解 決 への 影 響 が 大 きかった。(1) 疾 患 自 己 管 理 支 援 ( 問 9-1)の 状 況日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 経 常 的 に 実 施 されている 医 療 管 理 は、「 服 薬 に 関 する 自 己 管 理 支 援 」が 最も 多 く、「 本 人 による 目 標 設 定 とモニタリング」「 再 発 防 止 の 教 育 ・ 訓 練 」が 続 いた。 一 方 、 実 施 が 少 なかったのは、「 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ」「 職 場 を 想 定 した SST」「 認 知 行 動 療 法 」であった。なお、これらは、 医 師 が 直 接 実 施 するよりも、リワークプログラムやデイケアでの 精 神 保 健 福 祉 士 等 による 実 施 が 多 かった( 図 4-8-1)。一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 全 ての 項 目 で、 経 常 的 な 実 施 が 少 なかったが、「 再 発 防 止 訓 練 、ストレス 対 処 の 支 援 」「 服 薬 自 己 管 理 支 援 」については 例 外 的 な 実 施 が 比 較 的 多 かった( 図4-8-2)。-87- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態患 者 本 人 による 目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修正++----認 知 行 動 療 法++----職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ++----職 場 での 対 人 技 能 や 対 処 技 能 ( 含 .リスク 対 処 )の 教育 ・ 訓 練再 発 防 止 の 教 育 ・ 訓 練 、 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント服 薬 に 関 する、 自 己 管 理 ( 服 薬 忘 れ 防 止 等 )の 方法 や 医 師 への 相 談 の 支 援++++++-------------- --0% 50% 100%経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明 無 回 答図 4-8-1 自 己 管 理 や 社 会 生 活 能 力 の 向 上 のための 支 援 や 治 療 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 疾 患 自 己 管 理 支 援 ( 問 9-1)の 状 況 と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 な 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、 様 々な 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 取 組 がある 機 関 の 方 が、 就 職 前 から 就職 後 の 様 々な 職 業 上 の 課 題 について 未 解 決 課 題 が 少 なくなっていた( 表 4-8-1)。さらに、それらの 取 組 を 時 々実 施 している 機 関 よりも、 経 常 的 に 実 施 している 機 関 の 方 が 問 題 解 決 率 が 高 い 場 合 が 多 く 認 められた。表 4-8-1 疾 患 自 己 管 理 支 援 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )疾 患 自 己 管 理支 援 の 取 組 状況患 者 本 人 による目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修正日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.76-0.94( 経 常 的 vs時 々:0.85)就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.61-0.81 **( 経 常 的 vs時 々:0.78)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.53-0.74 **( 経 常 的 vs時 々:0.63)0.85-0.99 0.74-0.87 ** 0.67-0.83 **( 経 常 的 vs時 々:0.77)職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処0.58-0.78 **( 経 常 的 vs時 々:0.63)遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業0.72-0.93( 経 常 的 vs時 々:0.79)職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.70-0.91 **( 経 常 的 vs時 々:0.73)0.75-0.89 ** 0.81-0.93 ** 0.79-0.95 **就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.82-0.95認 知 行 動 療 法日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.73-0.89 **( 経 常 的 vs時 々:0.79)0.64-0.86 ** 0.58-0.84 ** 0.67-0.93 **0.81-0.97 ** 0.77-0.98( 経 常 的 vs時 々:0.58)( 経 常 的 vs時 々:0.75)0.74-0.94 **( 経 常 的 vs時 々:0.79)0.69-0.88 **( 経 常 的 vs時 々:0.74)職 業 場 面 を 想 定したロールプレイ日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.66-0.83 **( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.51-0.71 ** 0.47-0.70 ** 0.61-0.86 **0.81-0.99 0.69-0.89 ** 0.72-0.96 **( 経 常 的 vs時 々:0.72)( 経 常 的 vs時 々:0.73)0.71-0.91 **( 経 常 的 vs時 々:0.83)0.65-0.84 **( 経 常 的 vs時 々:0.68)0.78-1.000.79-0.94 **職 場 での 対 人 技能 や 対 処 技 能 ( 含 .リスク 対 処 )の 教 育 ・訓 練日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.77-0.95 **( 経 常 的 vs時 々:0.83)0.59-0.79 ** 0.53-0.76 **( 経 常 的 vs時 々:0.71)0.83-0.98 0.71-0.88 ** 0.73-0.94 **( 経 常 的 vs時 々:0.78)0.61-0.84 **( 経 常 的 vs時 々:0.76)0.76-0.96( 経 常 的 vs時 々:0.85)0.68-0.87 **( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.77-0.95 ** 0.81-0.96 ** 0.81-1.000.80-0.93 **再 発 防 止 の 教 育 ・訓 練 、 注 意 サインの特 定 、ストレスマネジメント日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.77-0.95( 経 常 的 vs時 々:0.86)0.84-0.97( 経 常 的 vs時 々:0.92)0.61-0.79 ** 0.58-0.83 ** 0.63-0.87 ** 0.74-0.96 0.71-0.92 ** 0.82-0.93 **0.80-0.94 ** 0.74-0.93 ** 0.76-0.90 ** 0.83-0.96 ** 0.79-0.96 **服 薬 に 関 する、 自己 管 理 ( 服 薬 忘 れ防 止 等 )の 方 法 や医 師 への 相 談 の支 援日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.83-0.91( 経 常 的 vs時 々:0.91)0.60-0.87 0.53-0.99( 経 常 的 vs時 々:0.74)0.82-0.90( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.72-0.92( 経 常 的 vs時 々:0.78)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.58-0.96 0.67-1.00 0.65-0.94( 経 常 的 vs時 々:0.78)0.84-0.920.80-0.97 0.85-0.92 0.95-0.99-89- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 生 活 支 援 と 家 族 支 援 ( 問 9-2)の 状 況 とその 効 果様 々な 生 活 支 援 や 家 族 支 援 は、 必 ずしも 医 療 機 関 等 において 実 施 されているわけではなかった。 日 常 的 就労 支 援 の 実 施 のない 機 関 では、 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 取 組 も 少 なかった。「 患 者 家 族 への 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 」「 家 族 が 相 談 しやすい 体 制 づくり」の 実 施 が 最 も 多 く、その 他 、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では「 医 療 と 生活 の 一 体 的 な 相 談 ・ 支 援 」「 患 者 の 治 療 からの 脱 落 防 止 のための 関 係 づくり」「 患 者 を 取 り 巻 く 家 族 等 との 協力 」の 取 組 も 比 較 的 多 かった。比 較 的 取 組 が 少 なかった「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」「 地 域 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体制 」「 家 族 向 けのセミナーやグループセッション」 等 を 含 め、これらの 取 組 の 実 施 状 況 は、 就 職 前 から 就 職 後までの 様 々な 職 業 上 の 課 題 の 解 決 と 関 連 していた。(1) 生 活 支 援 と 家 族 支 援 ( 問 9-2)の 状 況日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 実 施 のない 機 関 と 比 べて、 地 域 生 活 支 援 も 家 族 支 援 も「 経 常 的 な 実 施 」が 多 く、「 実 施 なし」が 比 較 的 少 なかった。 特 に、 経 常 的 実 施 の 多 い 生 活 支 援 は「 医 療 と 生 活 面 の 一 体 的 な 相談 ・ 支 援 」「 治 療 からのドロップアウト 防 止 」であり、 次 いで「ケースマネジメントや 多 職 種 チームの 支 援 」「 家 族 等 との 協 力 」も 半 数 以 上 あった。 最 も 経 常 的 対 応 の 少 ない「 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 」も 40%あった。( 図 4-8-3、 図 4-8-4)家 族 支 援 としては、「 家 族 への 説 明 」「 家 族 の 相 談 」の 経 常 的 対 応 が 多 かったが、「 家 族 へのセミナー」「 グループセッションやワークショップ」は 比 較 的 少 なかった。なお、これらの 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 は、 精 神 保 健 福 祉 士 による 実 施 が 多 く、 回 答 者 が 医 師 の 場 合 は 実施 が 少 なかった。ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援++--地 域 生 活 支 援医 療 面 と 生 活 面 ( 住 居 、 就 労 、 薬 物 乱 用 等 )の 一 体 的な 相 談 ・ 支 援患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係 づくり++++++---------患 者 を 取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力++-- ---患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明++----家 族 支 援患 者 家 族 が、 患 者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法 を学 ぶことができるセミナーやセッション複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ++++----家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり++--図 4-8-3 患 者 の 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )0% 50% 100%経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明 無 回 答( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援--地 域 生 活 支 援医 療 面 と 生 活 面 ( 住 居 、 就 労 、 薬 物 乱 用 等 )の 一 体的 な 相 談 ・ 支 援患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係づくり------+++患 者 を 取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力--++ +患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明--++家 族 支 援患 者 家 族 が、 患 者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法を 学 ぶことができるセミナーやセッション複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ----家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり--0% 50% 100%経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明 無 回 答図 4-8-4 患 者 の 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態生 活 支 援 の 取組 状 況ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援医 療 面 と 生 活 面( 住 居 、 就 労 、 薬物 乱 用 等 )の 一 体的 な 相 談 ・ 支 援患 者 の 地 域 生 活での 危 機 的 状 況への 対 応 体 制 の整 備患 者 の 治 療 からのドロップアウト防 止 のための 関係 づくり患 者 を 取 り 巻 く 家族 、 家 主 、 雇 用 主等 との 協 力表 4-8-2 生 活 支 援 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.79-0.98 0.61-0.81 **( 経 常 的 vs時 々:0.82)0.82-0.96 **( 経 常 的 vs時 々:0.85)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.64-0.93 ** 0.69-0.97 0.70-0.90 **( 経 常 的 vs時 々:0.80)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.81-0.94 **( 経 常 的 vs時 々:0.89)0.75-0.95 0.61-0.99 0.83-0.99( 経 常 的 vs時 々:0.89)0.84-0.97 0.80-0.88 ** 0.75-0.95( 経 常 的 vs時 々:0.80)0.81-0.95( 経 常 的 vs時 々:0.83)0.84-0.96 0.95-0.990.77-0.94 ** 0.65-0.86 ** 0.65-0.94 0.70-0.89 ** 0.82-0.95 **0.82-0.94 ** 0.82-0.96 ** 0.94-0.990.84-0.98 0.84-0.99 0.75-0.94 ** 0.82-0.980.81-0.92 ** 0.84-1.00( 経 常 的 vs時 々:0.91)0.71-0.94( 経 常 的 vs時 々:0.78)0.65-0.90 0.73-1.00 0.82-0.910.77-0.96 0.83-0.99( 経 常 的 vs時 々:0.91)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )0.82-0.99イ 家 族 支 援日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 特 に「 患 者 家 族 向 けのセミナー」「 複 数 家 族 のグループセッション」が 就職 前 、 就 職 活 動 、 就 職 後 の 職 場 の 理 解 や 人 間 関 係 の 問 題 の 解 決 と 関 係 していた( 表 4-8-3)。一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、「 患 者 家 族 向 けのセミナー」や「 家 族 が 相 談 しやすい 体 制 づくり」が 特 に 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。家 族 支 援 の 取組 状 況患 者 の 家 族 への精 神 疾 患 や 対 処法 の 説 明表 4-8-3 家 族 支 援 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.73-0.98 0.60-0.99 0.84-0.92-92- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態表 4-8-3( 続 き)家 族 支 援 の 取組 状 況患 者 家 族 が、 患者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方法 を 学 ぶことができるセミナーやセッション複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ家 族 が 困 った 時にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.66-0.83 ** 0.68-0.93 ** 0.66-0.98 0.69-0.91 **0.80-0.95 ** 0.81-0.98 0.70-0.91 **0.70-0.91 **( 経 常 的 vs時 々:0.84)0.82-0.90 **( 経 常 的 vs時 々:0.91)( 経 常 的 vs時 々:0.77)0.79-0.96 ** 0.83-0.98 ** 0.76-0.95 **0.62-0.90 ** 0.67-0.92 **0.76-0.95 ** 0.74-0.98 **0.81-0.89 **( 経 常 的 vs時 々:0.89)0.71-0.87 **( 経 常 的 vs時 々:0.83)( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )( 経 常 的 vs時 々:0.81)就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.82-0.98 0.86-0.98 0.95-0.993 記 述 回 答問 9における、 支 援 内 容 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 の 記 述 回 答 には 以 下 の 内 容 があった。これらの 取 組 は、デイケア、 復 職 支 援 、 診 療 場 面 において 実 施 されているとの 記 述 が 多 かった。(1) 疾 患 自 己 管 理 支 援ア 患 者 本 人 による 目 標 設 定 とモニタリング・ 修 正• IPS 支 援 の 基 軸 となる 自 記 式 リカバリーシート「 私 の 目 標 と 計 画 」を 使 用 している。• モニタリング・ 修 正 にケアプランを 作 成 。• 個 人 面 談 による 目 的 の 確 認 。イ 認 知 行 動 療 法• 認 知 行 動 療 法 に 近 い 形 でのSFA( 解 決 志 向 セラピー)やアドラーの 目 的 志 向 的 アプローチ 等 は 使 っているが、 体 系 的 な 形 の 実 施 は 行 っていない。• 臨 床 心 理 士 によりCBGT( 集 団 認 知 行 動 療 法 )を 実 施• デイケア 以 外 でも 集 団 認 知 行 動 療 法 を 定 期 的 に 行 っている。• 認 知 行 動 療 法 的 なカウンセリングを 行 う。• 週 1 回 臨 床 心 理 士 が 認 知 行 動 療 法 講 座 を 行 い、 対 人 スキルやストレス 管 理 の 指 導 を 行 っている。ウ 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ、 社 会 技 能 訓 練 (SST)• 就 労 支 援 プログラムにて 期 間 を 定 め 行 っている• 心 理 教 育 という 形 式 で、 集 団 で 行 うだけでなく 個 別 にも 対 応 する。• デイケアプログラムで 心 理 教 育 プログラムとして 実 施• 場 面 指 定 のロールプレイ、 対 人 コミュニケーション 訓 練 はデイケアで 日 常 的 に 実 施-93- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 認 知 行 動 (SST)などで 病 気 への 気 付 きのチャンスをたくさん 得 たほうが 良 いと 考 えます。 医 師 、 薬剤 師 も 参 加 します。• デイケアプログラムにおいて 症 状 、 服 薬 の 心 理 教 育 、SST、セルフコントロールの 仕 方 の 形 成 を 行 っている。• 臨 床 心 理 士 による SST を 入 院 中 から 行 っている。エ 再 発 防 止 訓 練• 講 習 会 、 相 談 、ピアカウンセリングなどが 設 けられ、 希 望 者 に 実 施 。• 再 発 予 防 プログラムを 入 院 の 患 者 様 対 象 に 定 期 的 に 実 施• 再 発 予 防 や 自 己 管 理 についてプログラムや 個 々の 関 わりを 通 じて 行 ってはいるが、ニーズやリスクの高 いケースを 中 心 に 行 っているというのが 実 状 。オ 服 薬 管 理 支 援• 朝 食 後 、 昼 食 後 の 服 薬 が 可 能 か、 本 人 の 気 持 ちを 確 かめ、 帰 宅 後 の 服 薬 、 就 寝 時 にまとめる 等 の 配 慮を 積 極 的 にしている• 講 習 会 、 相 談 、ピアカウンセリングなどが 設 けられ、 希 望 者 に 実 施 。• 他 部 署 薬 剤 師 による 薬 剤 指 導 などの 導 入• 薬 剤 師 による 服 薬 指 導 を 入 院 中 から 行 っている• 服 薬 管 理 支 援 は 保 健 師 が 対 応• 服 薬 や 医 師 への 相 談 は 看 護 師 が 間 に 入 って 調 整 している。• 医 師 による 薬 の 勉 強 会 も 開 いている。(2) 地 域 生 活 支 援ア ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援• ケアマネジメントを 意 識 しなるべくケア 会 議 を 行 っている• 困 難 ケースには、 関 係 者 、 当 人 含 め 集 まり、ケースマネジメントを 行 う• デイケアにおける 多 職 種 チーム• 外 来 にて、 医 師 、 心 理 士 、PSW、NS で 常 に 検 討 している• ニーズにもとづくアセスメントを OT、PSW、NS 等 で 作 成• ACT 等 の 対 象 者 は 重 度 精 神 障 害 者 に 限 定 。 中 等 症 では 多 職 種 でなくても 対 処 可 能• 患 者 担 当 制 により 継 続 した 支 援 を 行 っている• 退 院 支 援 の 際 、 定 期 的 な 合 同 カンファレンスを 実 施 し、 支 援 を 行 っているイ 医 療 と 生 活 の 一 体 的 支 援• 治 療 がメインであるが、 社 会 生 活 にも 注 目 し 支 援 している• 医 療 を 受 ける 上 、 生 活 面 での 相 談 事 は、 当 院 内 のケースワーカーが 対 応• 地 域 生 活 はデイケアや 主 治 医 と 連 携• デイケアなどへの 精 神 保 健 福 祉 士 の 配 置• 医 療 連 携 室 がなく、どうしても 必 要 な 患 者 のみ 医 師 ・ 看 護 師 にて 対 応• 地 域 支 援 センター、 作 業 所 、 保 健 センター、 精 神 保 健 福 祉 士 との 連 携-94- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ウ 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制• 体 調 管 理 シートがリスクマネージメントにつながっている• 緊 急 時 の 相 談 、 連 絡 ができる 電 話 窓 口 (365 日 、24 時 間 )を 開 設• 24 時 間 緊 急 対 応 が 不 十 分エ 患 者 の 治 療 からの 脱 落 防 止 のための 関 係 づくり• ケースにより 訪 問 看 護• 自 宅 訪 問オ 患 者 をとりまく 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力• 本 人 の 希 望 があった 場 合 、 例 外 的 に 家 族 、 職 場 担 当 者 と 面 談 。• 本 人 をとりまく 環 境 ( 家 族 )への 支 援 も 視 野 にいれて 対 応 している• 地 域 ケア 会 議 、 職 親 会 への 出 席(3) 家 族 支 援ア 患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明• 家 族 の 対 応 は 主 に 主 治 医 が 行 っている• 主 に 臨 床 心 理 士 が 面 接 、 家 族 支 援 etc を 行 っている• 家 族 支 援 は 来 院 があれば 行 っている• 疾 患 別 の 治 療 教 育 プログラム、 講 習 会 、 研 修 会イ 患 者 家 族 が 対 処 方 法 やストレス 軽 減 の 方 法 等 を 学 べるセミナー 等 、 複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ• 院 内 に 家 族 会 があり、 家 族 同 士 が 話 し 合 える 状 況 にある(その 他 、 家 族 会 、 家 族 教 室 等 についての 記載 10 件 以 上 )• 家 族 支 援 はリワークプログラム、 心 理 教 育 プログラムに 含 めて 実 施• 統 合 失 調 症 には、 家 族 心 理 教 育 を 行 っています• 家 族 向 けうつ 病 セミナーで 対 応 年 4コース• うつ 病 、アルコール 依 存 症 などの 家 族 教 室• 発 達 障 害 児 (AD/HD)の 家 族 会 を 年 3~4 回 程 実 施• 一 般 デイケアにおいて 月 1 回 家 族 プログラム 開 催 ( 疾 患 教 育 、CBT、 話 し 合 い)• 自 主 事 業 として 家 族 SST 年 間 2クール 開 催 (1クール5 回 )その 後 もフォロー• 地 域 の 保 健 センターでの 家 族 教 室 ありウ 家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり• 家 庭 で 困 ったこと、 気 づいたことがあれば、いつでも 連 絡 してほしいと 伝 えている• 医 療 相 談 連 携 室 にてPSWが 家 族 ケア 及 び 相 談 を 受 けている• デイケア 等 の 家 族 会 の 参 加 者 は 限 られており、 必 要 に 応 じてPSWの 相 談 や 訪 問 看 護 を 用 いて 対 応 している。-95- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 9 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 の 状 況 とその 効 果現 在 の 我 が 国 における、 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組 は、 機 関 によって状 況 は 様 々であった。 実 際 の 医 療 機 関 の 状 況 は、 就 労 支 援 を 自 機 関 が 主 に 取 り 組 む 機 関 から、 特 に 就 労 支 援への 取 組 のない 機 関 まで、また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 連 携 促 進 が 機 能 し、 就 労 支 援 機 関 との 日 常 的 な 職業 評 価 や 支 援 のケースワークが 実 施 されている 機 関 から、 診 断 治 療 専 門 の 機 関 まで 多 様 であった。 現 在 、これらの 連 携 の 取 組 は 少 なく 課 題 も 多 い 状 況 が 確 認 された 一 方 で、 連 携 の 取 組 が 実 施 され 機 能 している 機 関 ほど、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決 にもつながっていることが 今 回 の 調 査 で 確 認 された。1 就 労 支 援 スタッフの 確 保 についての 機 関 方 針 ( 問 11)とその 効 果日 常 的 就 労 支 援 のある 医 療 機 関 等 における、 就 労 支 援 担 当 の 専 門 スタッフ 確 保 の 方 針 は、「 自 機 関 スタッフが 主 担 当 」、「 外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 担 当 」、「 自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 に 連 携 」、「 特 に 方針 なし」がほぼ4 分 されていた。その 中 で、 職 業 上 の 課 題 の 解 決 が 進 んでいたのは、 自 機 関 スタッフ( 医 療 ・生 活 支 援 職 が 多 い)が 主 となって 就 労 支 援 を 担 当 あるいは 外 部 機 関 と 同 等 の 割 合 で 連 携 していた 場 合 であった。(1) 就 労 支 援 スタッフ 確 保 の 機 関 方 針 ( 問 11)の 状 況日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 では、 就 労 支 援 について「 自 機 関 スタッフの 担 当 とする 方 針 」、「 外部 機 関 と 同 程 度 の 役 割 での 自 機 関 の 担 当 とする 方 針 」、「 外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当 とする 方 針 」、「 方 針 なし」がほぼ4 分 されていた( 図 4-9-1)。 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、 就 労 支 援 への 方 針 なしと、 外 部 就労 支 援 機 関 が 主 に 担 当 とする 方 針 が 多 くなっていた。日 常 的 就 労 支 援 有++++----日 常 的 就 労 支 援 無----++++0% 50% 100%自 機 関 スタッフが 主 に 担 当自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で 担 当外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当就 労 支 援 について 特 に 方 針 なし図 4-9-1 就 労 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保 の 機 関 方 針( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態自 機 関 スタッフが 主 に 担 当++++++--自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で担 当+++--外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当-- --+就 労 支 援 について 特 に 方 針 なし-----++就 労 支 援 専 任医 療 ・ 生 活 支 援 が 主 で 就 労 支 援 も 実 施無 回 答0% 50% 100%就 労 支 援 が 主 で 医 療 ・ 生 活 支 援 を 兼 務医 療 ・ 生 活 支 援 専 任図 4-9-2 就 労 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保 の 機 関 方 針 別 ( 問 11)の、 回 答 者 の 就 労 支 援 への専 任 / 兼 任 の 状 況 ( 問 3)( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態2 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 問 12)とその 効 果医 療 機 関 等 における 医 療 ・ 生 活 支 援 の 担 当 者 と 就 労 支 援 担 当 者 の 連 携 促 進 のためには、「 医 療 ・ 生 活 支 援 職との 兼 任 で 自 機 関 に 就 労 支 援 担 当 者 を 置 くこと」 以 外 にも、「 外 部 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 を 含 めた 日 常 的 コミュニケーション」や「 共 同 のケース 会 議 等 」の 取 組 が 多 かった。ただし、それらの 連 携 は 機 能 している 場合 だけでなく、 課 題 も 多 い 状 況 であった。その 一 方 で、これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 がある 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 上の 課 題 の 解 決 が 多 いことも 確 認 できた。(1) 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 問 12)医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 を 促 進 する 取 組 として、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、「 自 機 関 の 医 療 スタッフによる 就 労 支 援 の 兼 任 」が 75% 弱 、「それぞれの 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション」が 70% 弱 と 多 く、 連 携 が 機 能 している 機 関 がいずれも 40% 程 度 であった( 図 4-9-3)。「 両 担 当 者 の 合 同のケース 会 議 等 」も 半 数 で 実 施 され、その 半 数 で 機 能 していた。「 共 通 カルテ 等 の 使 用 」は 実 施 なしが 多 かったが、 実 施 し 機 能 している 機 関 も 20% 弱 あった。自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて担 当 すること++----医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常的 コミュニケーション++----医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース会 議 ・カンファレンス 等++--医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用++---0%実 施 しており 機 能 している50%実 施 しているが 課 題 あり100%特 に 実 施 していない無 回 答図 4-9-3 医 療 的 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、 実 施 している 機 関 と 比 べて、 全 ての 取 組 について 機能 している 機 関 が 少 なく、「 医 療 職 と 就 労 支 援 者 の 兼 任 」や、「 両 担 当 者 のコミュニケーション」、「 共 通 カルテ」については 実 施 なしも 多 かった( 図 4-9-4)。なお、 対 応 している 疾 患 種 類 による 取 組 の 差 はあまりなく、 統 合 失 調 症 への 日 常 的 対 応 の 多 い 機 関 で、「 共通 カルテの 使 用 」を 特 に 実 施 していない 機 関 が 比 較 的 多 かったのみであった。-98- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて担 当 すること--++医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常的 コミュニケーション--++医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース会 議 ・カンファレンス 等--医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用--+0% 50% 100%実 施 しており 機 能 している 実 施 しているが 課 題 あり 特 に 実 施 していない 無 回 答図 4-9-4 医 療 的 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて担 当 すること++++----医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常的 コミュニケーション++++----医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース会 議 ・カンファレンス 等++++----医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用+++--0% 50% 100%実 施 しており 機 能 している実 施 しているが 課 題 あり特 に 実 施 していない無 回 答図 4-9-6 医 療 的 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 の 実 施 状 況( 就 労 支 援 は 自 機 関 と 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で 担 当 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 問 12)と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 (「 医 療 専 門 職 の 就 労 支 援 兼任 」「 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション」「 両 担 当 者 の 共 同 のケース 会 議 等 」「 共 通 カルテ 等 」)がある 場合 には、 就 職 前 から 就 職 後 の 課 題 解 決 が 多 かった。 回 答 者 が 連 携 が 機 能 しているとした 場 合 だけに 限 ると、より 多 くの 問 題 解 決 と 関 係 していた( 表 4-9-2)。また、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 についても、「 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション」「 両 担 当 者 の 共 同のケース 会 議 等 」が 実 施 されている 機 関 では、 就 職 前 から 就 職 後 の 多 くの 職 業 的 課 題 の 解 決 が 多 かった。表 4-9-2 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95%信 頼 区 間 )医 療 ・ 生 活 支 援と 就 労 支 援 の 連 日 常 的 就 労携 促 進 の 取 組 支 援 の 有 無状 況自 機 関 の 医 療 専門 職 が、 就 職 ・ 復職 支 援 を 併 せて担 当 すること医 療 的 支 援 と、 就職 ・ 復 職 支 援 の 担当 者 間 の 日 常 的コミュニケーション医 療 的 支 援 、 就職 ・ 復 職 支 援 の 担当 者 の 共 同 のケース 会 議 ・カンファレンス等医 療 的 支 援 、 就職 ・ 復 職 支 援 等 を包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使用日 常 的 就 労支 援 有本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと0.69-0.89 **(0.77-0.95)就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.64-0.91 **(0.70-0.96)日 常 的 就 労支 援 無 (0.82-0.97 ** )日 常 的 就 労支 援 有0.70-0.90 **(0.77-0.95)日 常 的 就 労支 援 無 (0.85-0.99)日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無0.64-0.88 **(0.74-0.92 ** )日 常 的 就 労支 援 有 (0.76-0.99)日 常 的 就 労支 援 無0.55-0.79 **(0.62-0.83 ** )0.72-1.00(0.83-0.99)0.56-0.86 **(0.69-0.94 ** )0.64-0.94 ** 0.59-0.91 **(0.81-0.98 ** )仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立0.56-0.85 **(0.64-0.95)0.52-0.81 **(0.59-0.84 ** )職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.61-0.88 ** 0.67-0.89 ** 0.62-0.84 **(0.71-0.90 ** )0.53-0.94 **0.59-0.86 ** 0.66-0.88 **(0.77-1.00)0.63-0.85 **(0.70-0.88 ** )0.54-0.88 **(0.74-0.93 ** ) (0.81-0.96 ** ) (0.85-0.98) (0.81-0.98)0.46-0.78 **(0.65-0.94 ** )0.47-0.84 **(0.73-0.93 ** )0.63-1.00 0.55-0.96 **(0.61-0.95 ** )0.58-0.90 ** 0.66-0.93 ** 0.53-0.79 **(0.67-0.87 ** )0.61-0.95 **(0.78-0.95 ** )0.65-0.99 **(0.80-0.98)0.64-0.96 **(0.68-0.94 ** )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足0.81-0.980.80-0.98 **(0.85-1.00)0.71-0.92 **( 上 段 は 実 施 して 機 能 しているという 場 合 のみ、 下 段 カッコ 内 は 取 組 の 課 題 が 多 い 場 合 も 含 めた 実 施 の 有 無 での 比 較 。取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )(3) 医 療 的 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進 の 取 組 ( 実 施 の 詳 細 や 課 題 )問 12 で 記 載 されていたそれぞれの 取 組 の 詳 細 や 実 施 上 の 課 題 は 次 のようであった。ア 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 担 当 の 兼 任1 実 施 の 詳 細• 医 療 的 支 援 と 就 職 支 援 は 対 象 者 のデイケア 担 当 が 併 せもち、 多 職 種 と 情 報 共 有 していく。• 医 師 が 本 人 への 働 きかけ、 関 係 機 関 の 窓 口 となっている。2 実 施 上 の 課 題 あり• スタッフが 業 務 を 兼 務 し、さらに 外 部 機 関 と 連 携 すると 担 当 者 があいまいになる。• 努 力 はしているが、 診 療 報 酬 で 上 がらず、 担 当 スタッフが 兼 務 でオーバーワーク。• 日 常 業 務 の 中 に 就 職 ・ 復 職 支 援 も 含 まれるが、 他 の 業 務 に 時 間 を 取 られる 事 も 多 く、 専 門 的 かつ 密 接-101- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態に 患 者 と 関 わり、 全 てのニーズに 応 えていくのが 難 しい 状 況 である。• 担 当 者 の 就 職 ・ 復 職 支 援 におけるスキルアップが 課 題 ( 保 健 師 )イ 医 療 ・ 生 活 支 援 担 当 者 と 就 労 支 援 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション1 実 施 の 詳 細• ハローワーク、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターとの 顔 の 見 える 連 携 が 不 可 欠• 関 連 の 福 祉 法 人 の 就 労 支 援 プログラム 担 当 者 と 緊 密 な 連 携• 同 一 法 人 の 就 労 移 行 支 援 事 業 所 の 利 用 者 について、デイケアとの 間 で 情 報 共 有 等 の 協 力• 小 さな 医 療 機 関 内 では 専 門 職 の 連 携 は 機 能 している。2 実 施 上 の 課 題 あり• 医 師 や 病 棟 看 護 師 などリハビリ 部 門 から 遠 いスタッフとの 連 携 には 難 しさを 感 じる。• 診 療 にエネルギーをさかれ、 支 援 チーム( 外 部 もふくめ) 間 の 十 分 な 意 見 疎 通 が 行 いにくい。• 地 域 連 携 の 架 け 橋 として 動 いていると、 担 当 者 間 の 情 報 交 換 が 多 く 間 接 的 情 報 が 増 える。• 外 部 機 関 に 協 力 、 連 携 して 行 う 時 は、 毎 日 連 絡 し 合 うところまでは 手 が 回 らない• 他 院 に 主 治 医 を 持 つ 利 用 者 の 場 合 、 連 絡 がスムーズに 行 われているとは 言 い 難 いウ ケース 会 議 等1 実 施 の 詳 細• 定 期 連 絡 は 電 話 が 多 いが、 重 要 な 内 容 については 本 人 を 含 めたカンファを 行 っている。• 週 1 回 多 職 種 によるカンファレンスを 実 施 。 定 期 的 にケースカンファレンス 実 施• リワーク 担 当 者 と 他 職 種 との 情 報 共 有 する 機 会 を 不 定 期 に 実 施• ケースワーカーと、ケースカンファレンスを 開 き、 相 談 する• 医 師 と 就 労 支 援 担 当 者 の 会 議• 就 労 希 望 、ニーズのある 対 象 者 がいる 際 など、 就 労 移 行 支 援 事 業 所 がケース 会 議 へ 出 席 。• 地 域 の 関 係 機 関 と 月 1 回 話 し 合 いをもっている。2 実 施 上 の 課 題• ケース 会 議 等 は、 即 応 性 という 意 味 での 日 程 調 整 に 難 がある• 医 師 が 多 忙 のため、ケース 会 議 やカンファレンスの 時 間 を 十 分 にはとりにくい• ケース 会 議 の 報 酬 上 の 評 価 を 望 む• 外 部 機 関 主 催 の 会 議 としているが、 参 集 者 の 地 域 的 な 隔 たりがあるエ 共 通 カルテ 等1 実 施 の 詳 細• 医 療 チームと 共 通 の 電 子 カルテに IPS の 職 業 プロフィールを 含 め、ストレングス、 同 行 時 のアセスメント、 職 場 ・ 作 業 所 訪 問 など 実 際 の 作 業 の 様 子 を 記 録 し、フィードバックしている。 本 人 のリカバリー、エンパワメント、アドボケイトにつながっている。2 実 施 上 の 課 題-102- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 共 通 のカルテ 等 はなく、 双 方 が 体 系 的 に 情 報 を 把 握 することに 課 題 がある• 同 じ 法 人 内 であっても 就 労 移 行 施 設 などは 記 録 が 別 になっている( 医 療 と 分 けてある)3 就 職 ・ 復 職 支 援 における 外 部 機 関 との 連 携 状 況 ( 問 13)とその 効 果就 労 支 援 の 具 体 的 な 連 携 先 としては、 就 労 支 援 機 関 だけでなく、 他 機 関 の 主 治 医 等 や 職 場 の 産 業 医 等 、 職場 担 当 者 があった。これらの 機 関 との 連 携 状 況 は 機 関 によるばらつきがあり、 日 常 的 に 就 労 支 援 のある 機 関でも、「 個 別 のケースの 評 価 ・ 支 援 での 比 較 的 密 な 連 携 がある 場 合 」、「 定 期 連 絡 程 度 の 連 携 がある 場 合 」、「 連携 がほとんどない 場 合 」に3 分 されていた。そのような 状 況 で、「 本 人 に 合 った 職 探 し」の 課 題 の 解 決 には、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターや 就 労 移 行支 援 事 業 所 との 連 携 が 関 係 していた。また、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターとの 連 携 、 特 に「 個 別 ケースでの 連 携 」が 多 い 場 合 には、 就 職 活 動 の 未 解 決 課 題 も 低 くなっていた。 就 職 後 の 課 題 に 対 しては、「 他 医 療 機 関の 主 治 医 等 」や「 職 場 担 当 者 」との 連 携 が 関 係 していた。(1) 就 職 ・ 復 職 支 援 における 外 部 機 関 との 連 携 状 況 ( 問 13)「 多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 での 連 携 」に 限 らず 定 期 連 絡 等 を 含 めると、 半 数 以 上 の 機 関 では、ほとんどの 外 部 機 関 との 連 携 があった。しかし、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、ない 機 関 と 比 べると「 多 くの患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 での 連 携 」が 全 ての 外 部 機 関 との 間 で 多 く、25~35%の 機 関 はそのような 密 接 な 連携 があった(ジョブコーチとの 連 携 は 少 なく 15% 程 度 )( 図 4-9-9, 図 4-9-10)。ただし、 各 項 目 について 半数 近 い 機 関 では、 外 部 機 関 との 連 携 がほどんどなかった。ハローワーク++---就 労 支 援 機 関障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ++++++--------就 労 移 行 支 援 事 業 所++---他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等++--その 他産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等++++++--------0% 50% 100%多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携個 別 ケースに 関 する 連 携 は 少 ない( 定 期 連 絡 等 が 中 心 )連 携 はほとんどない~ 全 くない無 回 答図 4-9-9 就 職 ・ 復 職 の 評 価 ・ 支 援 における 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワーク--+就 労 支 援 機 関障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ------++就 労 移 行 支 援 事 業 所--+他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等--その 他産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等------++++0% 50% 100%多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携個 別 ケースに 関 する 連 携 は 少 ない( 定 期 連 絡 等 が 中 心 )連 携 はほとんどない~ 全 くない無 回 答図 4-9-10 就 職 ・ 復 職 の 評 価 ・ 支 援 における 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワーク++--就 労 支 援 機 関障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ就 労 移 行 支 援 事 業 所++--------その 他他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等++++-------0% 50% 100%多 くの 患 者 の 個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携 個 別 ケースに 関 する 連 携 は 少 ない( 定 期 連 絡 等 が 中 心 )連 携 はほとんどない~ 全 くない無 回 答図 4-9-11 就 職 ・ 復 職 の 評 価 ・ 支 援 における 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況( 就 労 支 援 は 自 機 関 スタッフが 主 に 対 応 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態(2) 就 職 ・ 復 職 支 援 における 外 部 機 関 との 連 携 状 況 ( 問 13)と 職 業 上 の 課 題 ( 問 10)の 関 係日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 では、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターや 就 労 移 行 支 援 事 業 所 との 連 携 がある 場合 に 就 職 前 の 課 題 解 決 と 関 連 していた( 表 4-9-3)。 特 に、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターと「 多 くの 患 者 の個 別 の 評 価 ・ 支 援 で 連 携 」がある 場 合 は、 単 に 定 期 連 絡 等 の 連 携 よりも、 就 職 活 動 の 課 題 解 決 につながっていた。また、 他 機 関 の 主 治 医 等 や 職 場 担 当 者 と 連 携 している 場 合 には、 職 場 の 理 解 や 人 間 関 係 、 職 務 遂 行 上の 個 別 課 題 や 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 の 課 題 解 決 につながっていた。一 方 、ハローワーク、 障 害 者 職 業 センター、ジョブコーチ、 産 業 医 ・ 保 健 職 との 連 携 状 況 は、その 連 携 の仕 方 ( 個 別 ケースでの 支 援 、 定 期 連 絡 )の 違 いも 含 め、 各 医 療 機 関 等 の 職 業 生 活 上 の 問 題 状 況 とは 関 係 が 認められなかった。なお、 統 合 失 調 症 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 に 限 って 分 析 した 結 果 では、ハローワークとの 連 携 ( 特 に個 別 ケースでの 連 携 )が 職 探 しや 就 職 活 動 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。表 4-9-3 外 部 機 関 等 との 連 携 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )外 部 機 関 等 との 連 携 状 況ハローワーク障 害 者 職 業 センター障 害 者 就 業 ・ 生活 支 援 センター職 場 適 応 援 助者 /ジョブコーチ就 労 移 行 支 援事 業 所他 機 関 の 主 治医 、 医 療 関 係 者等産 業 医 ・ 産 業 保健 師 ・ 産 業 看 護師日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと日 常 的 就 労 0.80-0.99支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.75-0.92 ** 0.71-0.97(ケースワーク vs 連絡 :0.77)仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.82-0.98 0.81-0.980.81-0.970.82-0.98 0.86-1.000.74-0.95 **日 常 的 就 労0.69-0.97 0.73-0.94 **職 場 の 人 事 ・ 労 支 援 有務 担 当 、 上 司 等 日 常 的 就 労支 援 無( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足-106- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態4 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 ( 問 15)とその 効 果精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 については、 精 神 保 健 福 祉 士 等 を 中 心 として、 認 知 は 半 数 を 超 えていたが、 実際 の 利 用 経 験 はその 半 数 に 達 していなかった。ただし、 利 用 経 験 がなかったり、 知 らなかった 場 合 でも、 今後 利 用 したいという 意 向 が 多 かった。日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 においては、これらの 雇 用 支 援 制 度 を 活 用 した 場 合 、それぞれの 支 援制 度 の 目 的 と 対 応 する 職 業 上 の 課 題 の 解 決 につながっていることが 多 かった。(1) 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 ( 問 15)日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、「ジョブコーチ 事 業 」、「トライアル 雇 用 」、「リワーク 支 援 」は 60%以 上 の 機 関 で 認 知 されており、 他 の 雇 用 支 援 制 度 も 半 数 以 上 で 認 知 されていた( 図 4-9-14, 図 4-9-15)。 日常 的 就 労 支 援 のある 医 療 機 関 等 では、ない 機 関 に 比 べるとそれらの 制 度 の 実 際 の 活 用 経 験 が 全 ての 制 度 等 で多 かった。ただし、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 雇 用 支 援 制 度 の 利 用 は、 最 も 多 い「リワーク 支 援 」でも 40%であり、「ジョブコーチ 支 援 」、「トライアル 雇 用 」、「 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」、「 精 神 障 害 者 等 ジョブガイダンス 事 業 」も 30% 前 後 であった。「 精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 」、「チーム 支 援 」は、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 でも 20% 弱 の 利 用 経 験 であった。また、 利 用 経 験 のない 雇 用 支 援 制 度 について、 現 在 の 日 常 的 就 労 支 援 の 有 無 にかかわらず、また、 現 在 の制 度 の 認 知 の 有 無 にかかわらず、「 今 後 活 用 したい」とする 回 答 が 多 く、「 必 要 ない」とする 回 答 は 少 なかった。ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター++++精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金++++精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業++-ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」++++職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業++--++トライアル 雇 用++--++障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援++---++0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-14 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター--++精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金--++精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業--+ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」--++職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業--++++トライアル 雇 用--++++障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援--+++++0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-15 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 に 日 常 的 に 対 応 していない 機 関 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター+-精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金+精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」+-職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業トライアル 雇 用障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援+ -0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-16 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 は 自 機 関 スタッフが 主 に 対 応 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター-精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金+- -精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業+--ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」+---職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業++----トライアル 雇 用+- -障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援--0% 50% 100%知 っていた( 活 用 したことがある) 知 っていた( 今 後 活 用 したい) 知 っていた( 特 に 必 要 ない)知 らなかった( 今 後 活 用 したい) 知 らなかった( 特 に 必 要 ない) 無 回 答図 4-9-18 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況( 就 労 支 援 は 外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 対 応 する 医 療 機 関 等 )( 回 答 全 体 と 比 較 して;++:p


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態援 」「ジョブコーチ 事 業 」「トライアル 雇 用 」が 関 係 していた。「チーム 支 援 」の 活 用 はさらに「 職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること」の 問 題 解 決 とも 関 係 していた。 一 方 、 日 常 的 就 労 支 援 のない 機 関 では、雇 用 支 援 制 度 の 活 用 状 況 と 職 業 上 の 課 題 解 決 状 況 との 関 係 はほとんど 認 められなかった。「 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」「ステップアップ 雇 用 奨 励 金 」「 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 」の 活 用 経 験 は 職 業 上 の 課 題 の 解 決 状 況 との 関 係 は 認 められなかったが、 特 に 統 合 失 調 症 に 日 常 的 に 対 応 している 機 関 に 限 ると、「 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」や「ステップアップ 雇 用 奨 励 金 」の 活 用 経 験 は「 就 業継 続 」の 問 題 解 決 と 関 係 していた。表 4-9-4 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 状 況 による 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 へのリスク 比 (95% 信 頼 区 間 )雇 用 支 援 制 度の 活 用 状 況ハローワークの精 神 障 害 者 雇 用トータルサポーター精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用奨 励 金精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス事 業ハローワークを 中心 とした「チーム支 援 」職 場 適 応 援 助 者(ジョブコーチ) 事業トライアル 雇 用障 害 者 職 業 センターのリワーク 支援日 常 的 就 労支 援 の 有 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無日 常 的 就 労支 援 有日 常 的 就 労支 援 無本 人 が 能 力 を発 揮 でき 無 理なくできる 仕 事を 探 すこと就 職 活 動 ( 応募 、 面 接 等 )をスムーズに 行うこと0.74-0.98 0.62-0.93 **仕 事 上 のストレスへの 対処 、 疾 患 管 理と 職 業 生 活 の両 立職 務 遂 行 上 の個 別 課 題 や、危 険 状 況 の 回避 や 対 処遅 刻 や 欠 勤 、長 期 休 職 、 退職 のない 安 定した 就 業職 場 の 理 解 や協 力 、 良 好 な人 間 関 係 を 得ること0.61-0.92 ** 0.54-1.00 0.65-1.000.76-0.99 0.63-0.990.77-0.99 0.61-0.89 ** 0.61-0.95 **0.70-0.98( 取 組 有 の 場 合 に 問 題 発 生 率 が 5% 水 準 で 低 い 場 合 を 記 載 .**は 1% 水 準 で 有 意 )就 労 者 について、 昇 進 や 報酬 に 関 する 本人 の 満 足(3) 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 ( 活 用 の 詳 細 や 課 題 、 要 望 )雇 用 支 援 制 度 全 般 あるいは 個 別 の 活 用 状 況 や 課 題 、 要 望 の 記 載 内 容 は 次 のようであった。ア ハローワークの 活 用 状 況A 活 用 の 詳 細• ハローワーク 障 害 者 担 当 と 連 携 があり、いろいろと 教 えてもらうことが 多 く 制 度 がすぐに 活 用 できた-111- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 精 神 障 害 雇 用 トータルサポーター、チーム 支 援 を 現 在 、 活 用 中 。 場 合 によって、ジョブコーチの 利 用につながる 可 能 性 もある。• 就 労 支 援 事 業 所 経 由 でトライアル 雇 用 を 活 用 し、 常 用 雇 用 に 結 びつけた 例 がある。• ジョブガイダンスに 参 加 し、メンバーの 就 労 意 識 が 少 し 高 くなった。 紹 介 のあった 機 関 に 興 味 を 持 ち、就 職 することができたメンバーがいます。• ハローワークのジョブガイダンスは5 年 間 程 利 用 させていただきました/ジョブガイダンスは 年 度で2 年 続 けて 実 施 。 対 象 者 3~5 名 程 度 。• 利 用 者 が 少 ないので、ジョブガイダンスより、むしろハローワークに 行 きます。• ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」はぜひ 活 用 したい。B 活 用 への 要 望 、 課 題• これまで 障 害 者 窓 口 で 求 人 についてのやりとりはあったが、 準 備 プログラム、カウンセリングがあることを 知 らなかった。とりあえず 一 言 、 言 葉 がけをしてほしい。• ハローワークの 窓 口 まで 出 かけるのが 難 しい 患 者 も 多 い/ 病 院 から 同 行 することはないので、ハローワークに 自 分 の 力 で 行 くことのできる 人 は 限 られている。• ハローワークの 専 門 援 助 部 門 を 土 曜 日 も 開 けてほしい/ 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターは 非 常勤 のため、 常 勤 だとありがたい。• トライアル 雇 用 、ステップアップ 雇 用 の 求 人 数 が 少 ない/この 数 年 、ハローワークの 障 害 者 雇 用 への支 援 が 活 発 になっているが、 実 際 は 求 人 がなく、 活 用 不 十 分 。イ 障 害 者 職 業 センターの 活 用 状 況A 活 用 の 詳 細• 職 業 センターの 準 備 支 援 後 、ジョブコーチ、トライアル 雇 用 の 利 用 ケースがある• 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 は 大 変 有 効 で 成 功 率 が 高 いです。さらに 充 実 させてほしいと 希 望しております。/リワーク 支 援 は 大 事 ( 再 発 、 再 休 職 を 防 ぐ)/ 障 害 者 職 業 センターのリワークによって 救 われています。きめこまかい、 優 秀 な 経 験 豊 富 なスタッフがいますので 安 心 です。• セミナー 講 師 として、 障 害 者 職 業 センター 職 員 の 協 力 を 得 て、 毎 年 実 施 している。• 障 害 者 職 業 センターにはいつも 大 変 お 世 話 になっております。B 活 用 の 課 題 、 要 望• 障 害 者 職 業 センターが 県 内 に 一 つしかなく 利 用 者 が 通 いきれない。 距 離 的 な 問 題 で 結 びつかないケースがある/ 遠 いので 定 期 的 に 活 用 しにくい/ 電 車 代 で 断 念 される 方 が 多 い• センターのリワーク 支 援 は 活 用 しやすいが、 病 名 が 限 定 されてしまうのが 難 。• 障 害 者 職 業 センターは 比 較 的 症 状 の 軽 い 方 が 対 象 で、 慢 性 期 の 方 の 受 入 は 難 しい• 職 場 適 応 援 助 者 の 手 続 きが 難 しい。/ジョブコーチが 身 近 になればよい。• リワークプログラムの 確 立 が 必 要 と 思 われる。• リワーク 支 援 の 待 機 期 間 が 長 いためタイムリーにスムーズに 活 用 できない。• リワーク 支 援 は、 当 院 で 復 職 デイケアとして 支 援 を 行 っている。 必 要 なケースがあれば、 利 用 促 進 を行 いたい。/ 当 院 自 体 にリワーク 施 設 が 併 設 されています。-112- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ウ その 他 、 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 の 全 般 的 状 況A 活 用 状 況1 患 者 へのこれらの 制 度 の 案 内 に 止 まっている• 支 援 制 度 は 知 っていても 個 別 支 援 がないので 情 報 提 供 のみとなっている。• 就 職 活 動 は 患 者 自 身 で 行 う。 相 談 時 に、 関 係 機 関 や 支 援 制 度 を 紹 介 することもあるが、 利 用 にまで 至らない。/いつも 紹 介 程 度 / 相 談 支 援 において 情 報 提 供 を 行 った。2 地 域 の 関 係 機 関 を 介 して 利 用 している• 協 力 関 係 がある 職 業 センター、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターを 窓 口 にすることが 多 い。• 地 域 生 活 支 援 センターなどを 通 じて 利 用 するため、 当 方 が 直 接 関 わることはない。B 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 のための 要 望 、 課 題1 雇 用 支 援 制 度 の 具 体 的 内 容 を 分 かりやすく 示 してほしい• 当 機 関 のみでの 支 援 は 難 しいため、 他 機 関 や 制 度 を 積 極 的 に 活 用 したい。しかし、それぞれの 特 徴 や対 象 者 の 条 件 等 が 分 からず 活 用 できない 状 況 にある。• 各 機 関 の 支 援 は 承 知 しており、 紹 介 もするが、 具 体 的 な 内 容 を 十 分 把 握 しておらず、 対 象 者 に 合 っているか、 対 象 者 のニーズに 応 えてもらえるかどうかもわからない。• 公 的 機 関 が 医 療 機 関 に 積 極 的 に 支 援 内 容 をアピールしてほしい。 具 体 的 内 容 を 知 らないので 活 用 するかどうか 決 められない。/ 医 療 機 関 、 医 師 にもっと 周 知 させて 下 さい/ 相 談 支 援 者 向 けのガイダンス、アナウンスが 定 期 的 にあるとよい• 一 般 的 に 知 られていないこともあり、 活 用 にあたって 患 者 が 抵 抗 を 示 したり、 利 用 を 希 望 しないこともある。 一 般 的 に 知 られていれば、もっと 活 用 しやすいように 思 います• 就 労 担 当 者 以 外 の 方 にとって、 制 度 が 複 雑 すぎてわかりづらい。2 利 用 をしやすくする 仕 組 みの 必 要 性• 支 援 制 度 は 情 報 としては 知 っているが、 活 用 のためには、もっとハローワークと 直 接 やりとりする 機会 が 必 要 。 利 用 実 績 を 1 つでも 作 れれば 活 用 しやすくなると 思 うが...• 今 後 の 活 用 に 向 け、 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 事 例 などの 勉 強 会 があれば 参 加 したい。• 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター、 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 を 利 用 した 使 いにくい。 精神 保 健 福 祉 士 がいれば 活 用 できるかもしれないが• 職 場 実 習 がもっと 簡 単 に 使 える 制 度 があるとありがたい。C 今 後 の 活 用 の 意 向• 復 職 支 援 利 用 中 の 退 職 者 に 使 える 支 援 があれば 紹 介 したい。また、 当 院 のリワークプログラムで 困 難な 例 は 紹 介 したい。/あまり 必 要 ありませんが、 復 職 できなかった 方 のために 制 度 をよく 知 り、 御 案内 ( 活 用 )できればと 考 えています。• 現 在 のところ 対 象 者 がいないため、 一 般 就 労 を 前 提 とした 就 労 支 援 の 制 度 は 特 に 必 要 ありませんが、今 後 、 対 象 者 がいれば 職 業 センター 等 、 紹 介 しようと 思 います。-113- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 10 節 自 由 記 載 の 内 容調 査 票 の 最 後 の「 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるあり 方 等 、ご 意 見 等 いただけますと 幸 いです」への 記 載 内 容 は 多 岐 にわたっていた。その 内 容 により「 医 療 機 関 が 就 労 支 援 に 取 り 組 む 意 義 、 地 域 連 携 の 課題 」「 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 課 題 」「 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 取 組 」「 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 限 界 」に 分 け、 内 容 別 に 分 類 し 以 下 に 示 す。1 医 療 機 関 が 就 労 支 援 に 取 り 組 む 意 義 、 地 域 連 携 の 課 題(1) 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 ・ 生 活 支 援 ・ 就 労 支 援 の 一 体 性• 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 は 疾 病 の 管 理 と 生 活 支 援 、 就 労 先 との 関 係 調 整 が 三 位 一 体 となって 進 めていくことが 不 可 欠 です• 個 々の 適 性 を 把 握 し、 職 業 アセスメントも 他 機 関 と 協 力 して 行 えば、 対 処 もでき 就 労 継 続 につながる。専 門 家 同 士 が 連 携 をとって 関 われば、 問 題 ないケースが 多 い• 職 場 体 験 を 通 した 経 験 値 や 話 し 合 いで、 対 人 パターンや 社 会 のルール( 見 えないルール)をしっかりと 検 討 したうえでクローズで 就 職 すれば 長 続 き 可 能 と 考 えています• 医 療 機 関 に 就 労 担 当 者 を 置 くことで、 様 々なニーズ(クローズ 就 労 、 雇 用 率 に 入 らない 短 時 間 就 労 、病 状 が 不 安 定 、 入 院 中 、 認 知 症 等 )に 迅 速 に 応 えることができる。また、 医 療 と 一 体 的 な 相 談 支 援 が可 能 となる。 定 着 ・ 転 職 支 援 の 質 の 高 いサービスが 可 能 になる。リカバリー、エンパワメント、 権 利擁 護 の 支 援 にもなる• 就 労 と 生 活 支 援 を 合 わせた 包 括 的 な 支 援 が 大 切 だと 考 えています。• 医 療 スタッフと 就 労 支 援 ・ 生 活 支 援 スタッフがチームを 組 んで、クライエントのニーズに 応 じて 柔 軟に 動 くことのできる 体 制 作 りが 必 要• ワンストップとして 考 えれば 相 談 機 関 から 定 期 的 に 病 院 に 来 てもらっても 良 い• 本 人 が「 仕 事 に 就 きたい」と 思 っているうちに、うまく 本 人 の 適 性 を 引 き 出 し 就 労 の 機 会 を 得 ることができるように、あらゆる 関 係 機 関 が 連 携 していけるとよい。• 地 域 ワーカーやハローワーク 等 が 中 心 で、 病 院 はサポートという 位 置 づけになるのかもしれない。 主治 医 、 病 院 ワーカーをどんどん 使 ってより 良 い 支 援 につなげてほしい。• ある 程 度 の 治 療 の 効 果 があっても、その 先 の「 生 活 」に 結 びつく 過 程 で 止 まってしまう• ケアプランを 計 画 するコーディネーターの 制 度 化 を 福 祉 の 中 で 取 り 入 れてほしい。• 精 神 障 害 者 の 就 労 、 定 着 には、 本 人 、 家 族 、 様 々な 専 門 家 が 連 携 をしていくことが 不 可 欠 。 障 害 者 職業 センターやハローワーク 障 害 者 窓 口 のスタッフと 連 携 し、 専 門 家 チームが 本 人 、 家 族 、 雇 用 主 のサポートをすることが 本 当 に 大 事 だといつも 痛 感 している• 医 療 機 関 だけで 支 援 するのは 難 しい。ハローワークや 支 援 センター 等 の 機 関 ・ 制 度 の 活 用 や 連 携 が 欠かせない。• 病 院 からは、 地 域 の 就 労 移 行 ・ 継 続 支 援 事 業 所 等 につなげることが 多 く、 一 度 利 用 し 始 めると 長 期 で続 ける 方 が 多 い。その 次 につなげていく 時 に、どこが 中 心 となって 関 わっていくかが 地 域 の 課 題 になっ-114- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ているように 思 う。• 病 状 の 改 善 後 の 職 場 との 連 携 が 最 も 大 変 。 不 当 な 職 場 慣 行 があったり、その 解 釈 に 法 律 家 の 参 加 も 必要 な 場 合 もある。 逆 に 労 組 、 法 律 家 からの 相 談 もある。 職 場 そのもののかかえる 問 題 への 対 処 もお 考え 下 さい。 法 律 家 、 障 害 者 団 体 、 地 域 行 政 とも 連 携 が 必 要(2) 医 療 的 側 面 からの、 職 場 支 援 の 必 要 性• 就 労 前 の 準 備 期 間 も 大 切 ですが、 職 場 への 移 行 ・ 継 続 支 援 が 特 に 重 要 / 就 労 における 準 備 支 援 も 重 要だが、 定 着 支 援 についても 特 に 必 要 性 を 感 じる/ 精 神 疾 患 者 の 就 労 定 着 の 難 しさを 感 じています/ 就職 先 は 見 つかっても 継 続 して 就 労 する 事 が 難 しい 方 が 多 い• 就 職 後 の 定 期 フォローが 安 定 した 就 労 継 続 につながる• 治 療 経 過 を 含 む 患 者 情 報 の 伝 え 方 に 工 夫 が 必 要 。 当 院 では 非 薬 物 療 法 (カウンセリング)を 担 当 した心 理 士 が 就 労 支 援 を 行 い、 必 要 なら 障 害 者 職 業 センターや 企 業 にも 行 く• 患 者 、 企 業 双 方 に 病 気 の 理 解 を 深 める 必 要 があると 考 える。/ 薬 物 や 心 理 ・ 社 会 治 療 をみっちり 行 っても、 職 場 側 との 相 互 理 解 には 数 か 月 単 位 での 時 間 が 必 要 。• 職 場 に 障 害 を 理 解 してもらうのに 時 間 のかかるハンデだと 思 うので、ジョブコーチの 導 入 がもっとできるようになると、 変 わってくるように 感 じています。• 言 葉 にとらわれず、 一 般 企 業 でもジョブコーチが 気 軽 に 利 用 できたりすると 良 いと 感 じる。 医 療 機 関が 一 般 企 業 に 出 向 いて 指 導 ・ 連 携 するシステム、 報 酬 への 反 映 がされるとよりスムーズな 復 職 、 就 労が 可 能 と 感 じる。• 医 療 、 福 祉 と 企 業 等 の 連 携 を 密 にして、 障 害 特 性 を 理 解 してもらうことが 何 より 大 事 であり、これを周 知 徹 底 することで 就 労 への 幅 は 大 きく 広 がるのではないだろうか。• 企 業 と 病 院 の 担 当 者 との 意 見 交 換 ( 会 社 が 医 療 機 関 に 望 む 事 、 医 療 機 関 が 会 社 に 望 むこと)の 場 が 定期 的 にあると、 求 職 者 がスムーズに 復 職 でき 退 職 者 が 少 なくなると 思 う• 医 療 機 関 におけるリワークプログラムは 全 国 的 に 広 がりつつあるが、 今 後 は 地 域 ( 職 域 、 外 部 支 援 機関 など)との 連 携 が 重 要 と 考 えている。• 産 業 医 が 精 神 疾 患 をみることができなければ、 主 治 医 と 連 携 してほしい。• 就 職 先 の 担 当 者 と 医 療 機 関 の 担 当 者 が、 今 までよりも 密 接 に 情 報 交 換 をすべきだと 感 じています。 疾病 の 特 徴 や 個 人 の 持 つ 疾 病 の 傾 向 性 などを 詳 しく 伝 え、 相 談 しあえることで、 担 当 者 の 理 解 と 接 し 方が 向 上 し、 仕 事 もしやすくなることを 感 じています• 就 職 ・ 復 職 後 に 日 常 的 に 仕 事 場 面 でアドバイスする 方 ( 職 場 の 同 僚 ・ 上 司 等 )が 重 要(3) 地 域 の 就 労 支 援 機 関 には 精 神 科 の 専 門 性 が 足 りない• 精 神 障 害 者 の 雇 用 対 策 は 病 気 や 重 症 度 を 考 慮 しないと 効 果 は 上 がらない。 重 症 者 は 素 人 には 簡 単 に 対処 できない/ 障 害 が 重 い 方 の 就 労 支 援 ニーズには 対 応 できていない。• 就 労 支 援 者 や 機 関 に、 精 神 科 領 域 の 対 象 者 を 支 援 する 経 験 やノウハウが 少 ない• 症 状 の 把 握 もなく 医 療 機 関 の 意 向 も 考 慮 せず、 各 支 援 施 設 が 勝 手 に 方 向 づけをしてしまうケースが 多すぎる• 「 精 神 疾 患 」と 一 言 で 説 明 できない 症 状 やパーソナリティがたくさんあり、 支 援 者 がそれを 理 解 でき-115- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ていないと 当 事 者 の 職 業 生 活 は 継 続 しにくい。• 就 労 移 行 支 援 事 業 所 に 今 まで5 人 つなげましたが、 就 労 できた 方 は1 人 です。 定 着 するまでの 支 援 にはやはり 専 門 機 関 が 必 要 だと 思 います。(4) 本 人 中 心 のケースマネジメントによる 連 携 が 必 要• 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、ケースマネジメントの 視 点 が 必 要 / 関 係 機 関 も 多 く、ケアマネジメントを 含 む 相 談 支 援 がさらに 必 要 になると 考 える/ 機 関 間 の 連 携 が 上 手 くいかず、 本 人 ニーズがこぼれてしまっているのが 現 状• 近 年 、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 施 策 や 相 談 窓 口 が 混 在 し、 本 人 はもちろん、 援 助 者 にとっても 相 談 先 も、利 用 できる 制 度 も 戸 惑 うことも 多 い。 一 番 大 事 なのは 障 害 のある 方 にとって、 利 便 性 の 高 く、 分 かりやすいシステムを 構 築 すること/ 各 機 関 の 窓 口 を 明 確 にし、 本 人 同 意 のうえで 連 携 ができたらと 思 う/ 障 害 の 有 無 で 相 談 窓 口 が 変 わることも 企 業 や 支 援 者 側 の 都 合 によるところが 多 い。 求 職 者 中 心 の 支援 体 制 が 構 築 されるとよい• 長 期 的 にクライアントがライフスタイルに 展 望 を 持 てるような 情 報 を 提 供 できるような 体 制 づくりが今 後 できるようになれば 良 いなと 個 人 的 には 考 えます• 雇 用 支 援 制 度 が 充 実 してきたが 活 用 にふみきれない 方 も 多 い( 手 帳 の 取 得 も 含 めて)。 個 々に 寄 りそい、利 用 できる 支 援 について、 患 者 と 支 援 者 共 に 学 びを 要 す/ 各 機 関 の 具 体 的 な 支 援 内 容 や 課 題 をまとめサービスの 狭 間 のないようなしくみ 作 りが 必 要(5) 連 携 のためには 関 係 機 関 の 交 流 による 相 互 理 解 が 必 要• ハローワークなどの 地 域 の 支 援 とどうやって 連 携 をとっていいかわからない• 抱 え 込 む 傾 向 があり 他 の 機 関 を 使 えていない。 情 報 を 集 めることからはじめたい• 病 院 、 診 療 所 と 言 葉 は 同 じでも 中 身 の 体 制 は 千 差 万 別 。 就 労 支 援 機 関 も 同 様 に 個 々で 差 があると 思 います。お 互 いの 役 割 を 明 確 にして 連 携 しないと 難 しい• 就 労 支 援 については 医 療 や 地 域 福 祉 が 担 う 役 割 を 整 理 する 必 要 がある• 企 業 - 患 者 - 支 援 者 の 交 流 の 機 会 がなく、 相 互 に「 知 らない」ことが 多 すぎる。 気 軽 に 交 流 できる 場があれば、 相 互 理 解 を 深 めることができ、 患 者 の 就 労 にも 役 立 つ• 外 部 機 関 との 協 力 や 雇 用 支 援 制 度 の 利 用 時 のイメージがわかず 度 々 悩 む。それぞれの 機 関 での 交 流 の場 を 作 り、 個 々の 強 みを 活 かしてサポートしていける 環 境 を 整 えたい/ 双 方 面 の 関 係 機 関 の 情 報 交 換ができる 場 がもてたらよい。つなぎ 役 の 存 在 も 必 要(6) 診 療 報 酬 の 対 象 とならない 就 労 支 援 活 動 の 存 在• 患 者 の 就 労 支 援 や 生 活 支 援 の 必 要 は 多 いが 診 療 報 酬 に 結 びつきにくく 業 務 が 評 価 されにくい/ 診 療 報酬 評 価 なくして 継 続 発 展 はないと 思 います• 報 酬 上 の 後 ろ 盾 がないと、ニーズは 高 いのにマンパワー 等 の 面 でシステムとして 広 がらない。 人 材 育成 も 難 しさを 感 じている。 例 えば、 現 在 、 診 療 報 酬 等 に 評 価 されない 事 業 主 支 援 、ハローワーク 支 援 、職 業 アセスメント、 職 探 し、ジョブコーチ 支 援 、 定 着 支 援 、 調 整 等 を 労 働 施 策 で 補 完 してほしい• 復 帰 などをサポートするための、 教 材 や 物 品 、 人 材 を 揃 えるために 費 用 がかかる/ 人 材 確 保 や、パソコン 等 物 理 的 な 資 源 の 確 保 の 助 成 があれば、より 支 援 も 行 っていける-116- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態• 医 療 機 関 が 一 般 企 業 に 出 向 いて 指 導 ・ 連 携 するシステム、 報 酬 への 反 映 がされるとよりスムーズな 復職 、 就 労 が 可 能 と 感 じる• 医 療 の 支 援 が 不 可 欠 ならば 当 院 が 直 面 している 医 師 不 足 等 の 問 題 の 解 消 が 必 要 と 思 います/ 行 政 は 民間 の 精 神 科 病 院 にまかせすぎている。 地 域 で 盛 り 上 げていこうという 事 は 良 く 言 われるが、 行 政 において、それを 全 く 実 感 していない。 理 解 に 乏 しい 方 が 多 い2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 課 題(1) 本 当 に 就 労 支 援 ニーズの 高 い 人 への 支 援 が 不 十 分• 当 院 の 患 者 は 日 雇 労 働 、 生 活 保 護 受 給 者 が 非 常 に 多 く、アルコール・ギャンブル、 統 合 失 調 症 の 診 断も 多 いが、パート/アルバイトでもいいから 働 きたいという 意 見 が 多 い• かなり 意 欲 もあり、 病 状 が 安 定 し 資 格 や 経 験 のある 方 も 就 職 ・ 復 職 するのに 厳 しい 状 況 。10 代 に 精 神疾 患 を 発 症 した 方 の 就 職 は 本 当 に 困 難 。 非 正 規 の 雇 用 ばかり。• 特 に 現 在 は 国 内 の 雇 用 情 勢 の 悪 化 により、ハンデを 持 つ 精 神 障 害 者 なんて 雇 ってもらえないと 活 動 する 前 から 投 げ 出 している• 他 の 人 と 同 じように 働 くことが 難 しくても、 自 分 にできる 範 囲 内 で 働 きたい。 人 の 役 に 立 ちたい。 賃金 を 小 額 でも 得 られると 気 持 ちが 全 く 違 う、と 患 者 さんよりよくうかがう• まず 日 常 生 活 をもう 少 し 楽 に 過 ごすことが 課 題 なので、 就 労 支 援 はもう 少 し 先 の 問 題 だが、 皆 、「 働 きたい」という 気 持 ちがあり、 遠 い 道 のりにゆっくりつきあう 必 要 がある• 就 労 よりも 生 活 や 症 状 の 安 定 が 必 要 な 方 でさえ、 相 談 されることが 多 い(2) 精 神 障 害 を 想 定 した 職 場 の 不 足• 勤 労 の 意 欲 は 患 者 で 多 く 見 受 けられますが、その 受 け 手 はまだ 少 ないように 思 われます• 障 害 者 枠 の 求 人 が 少 なすぎ、 手 帳 を 持 っていることが 必 ずしも 有 利 になっていない• 最 も 大 切 なのは 就 労 場 所 の 確 保 と 紹 介 です。 求 人 待 ちでなく 歩 いて 就 労 企 業 の 確 保 を!• 障 害 者 求 人 には 身 体 障 害 を 想 定 した 募 集 が 多 く、 精 神 障 害 に 対 する 理 解 が 遅 れている 印 象 。 精 神 疾 患に 理 解 のある 職 場 を 増 やしていく 努 力 が 必 要• 少 ない 障 害 者 雇 用 でも 精 神 でもよいという 企 業 が 少 ない/ 精 神 障 害 では 対 応 の 困 難 さや、 生 活 のしづらさがあり、 企 業 の 雇 用 での 遅 れがある• 企 業 側 の 条 件 が 厳 しく、 就 労 困 難 な 患 者 様 が 多 いと 思 います• 当 地 方 ではハローワークの 障 害 者 求 人 がほとんどないため、 障 害 をオープンにしたい 方 がクローズにせざるをえなく 長 続 きしない• 精 神 障 害 の 方 は、 不 安 からくる 疲 労 感 が 強 く、 短 時 間 労 働 からのスタートとなります。 無 理 をせず、一 歩 一 歩 雇 用 の 定 着 を 図 るためにも、 就 労 時 間 について 段 階 的 な 対 応 をしていただけたらと 思 います• 週 に 20 時 間 以 下 の 就 業 時 間 の 仕 事 も 開 拓 が 必 要• 統 合 失 調 症 等 の 場 合 、 既 存 の 会 社 の 勤 務 形 態 での 就 労 は 負 担 が 大 きく、 難 しい 例 が 多 いため、 病 気 や障 害 にあった 仕 事 を 新 たに 創 ることへの 支 援 策 が 必 要 だと 思 います。(3) 企 業 の 精 神 障 害 への 理 解 と 配 慮 の 必 要 性• 医 療 と 支 援 機 関 、 企 業 の 間 で、 目 に 見 えない 症 状 や 対 処 について、いかに 共 通 した 理 解 をするかが 非-117- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態常 に 重 要• 精 神 障 害 者 の 雇 用 をしていても 精 神 障 害 の 理 解 のない 事 業 所 が 見 受 けられます。• 休 職 者 の 復 職 についても 企 業 のハードルが 高 い。• 復 職 後 の 対 応 の 差 が 企 業 間 でちがいすぎる。• 病 状 も 落 ち 着 き、 条 件 の 合 う 職 場 があれば 働 けそうな 方 は 結 構 いらっしゃるので、 一 般 企 業 の 受 け 入れが 柔 軟 になると 助 かるなという 印 象 はあります。• 会 社 や 雇 用 主 がその 人 ( 障 がい 者 )に 合 わせるという 考 え 方 が 広 まれば、もう 少 し 障 がいを 持 った 人が 働 ける 場 が 増 えると 思 うが・・・• 偏 見 が 強 く、 精 神 疾 患 を 開 示 すると 面 接 すら 受 けさせてもらえない 現 状 がある• 各 会 社 に 産 業 医 がいることを 知 らない 人 が 多 すぎる。もっと 産 業 保 健 分 野 を 充 実 させるべく 企 業 は 費やすべきだと 思 う。• 大 量 生 産 、 大 量 消 費 、 変 化 の 早 い 社 会 から、 日 本 も 世 界 も 方 向 転 換 しないといけないと 思 います。こんな 中 で 適 応 に 支 障 をきたす、 就 労 先 をなくす、というのは 個 人 の 努 力 、 支 援 者 の 努 力 、というよりはこれからの 社 会 はどうあったらよいのかという 要 素 にも 目 を 向 ける 必 要 があるでしょう。 人 間 らしいスペース、 障 害 に 配 慮 できる 内 容 の 仕 事 を 作 り 出 すことに 私 たちはもっと 力 を 注 ぐ 必 要 があるのではないでしょうか。3 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 取 組(1) 本 人 の 気 持 ちに 沿 って 就 労 意 欲 を 引 き 出 す• 作 業 所 でも 就 労 体 験 を 得 ると 当 事 者 もモチベーションもあがりよろこびとなると 考 えます。 妄 想 があっても 就 労 プログラムに 入 ると、 現 実 的 な 考 えができることも 多 い。• 精 神 疾 患 の 発 症 による 人 生 の 予 定 外 の「 転 機 」への 支 援 が 主 眼 であり、 本 人 の 意 思 決 定 が 最 大 限 に 尊重 されるべき。 押 し 付 けや 可 能 性 の 否 定 はいけないと 考 えます。• ご 本 人 さんのストレングスやエンパワメントを 支 援 者 が 信 じることから 始 まると 思 います。 本 人 の 状態 を 把 握 し、タイミングを 見 て 支 援 する 必 要 性 があると 感 じています。• 「リカバリー」の 考 え 方 に 沿 って、SST 等 を 中 心 に 常 に 学 びながら、やっています。• 実 際 の 支 援 は 自 己 分 析 に 始 まり 自 己 分 析 に 終 わる。 当 機 関 では 自 己 開 示 と 他 者 からのフィードバックを 受 け 入 れる 事 に 支 援 のポイントを 置 いています。• 利 用 者 の 意 欲 気 力 が 出 るまで 待 つ。 手 取 り、 足 とりで 歩 かせても、 長 くは 続 かず。• 希 望 に 沿 った 機 会 を 作 りたい/ 興 味 のあることを 探 すように 働 きかけも 必 要(2) 再 発 防 止 の 医 療 的 支 援 の 重 要 性• 本 人 の 症 状 自 己 管 理 で、サインや 対 処 法 を 把 握 できる 前 準 備 段 階 がとても 大 切 / 就 職 する 前 のストレスコーピング 等 が 大 切• 復 職 後 のグループサイコセラピーのサポートにて 就 業 継 続 が 成 功 している。このような 支 援 がもっと充 実 できるよう 日 々 励 みたいと 思 っています/うつ 病 では 自 分 のパターン、くせに 気 づかず、 休 職 をくりかえしてしまう 方 が 多 い。 様 々なプログラムによって、 復 職 をはたされた 方 が 多 い• 医 療 機 関 のリワークプログラムは 全 国 的 に 広 がりつつあるが、 今 後 はスタッフへの 育 成 を 通 じてプロ-118- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態グラムの 充 実 をはかることが 重 要 と 考 えている。/ 離 職 防 止 、 復 職 推 進 について 系 統 的 ・ 標 準 化 されたプログラムの 立 案 、 実 施 が 必 要• 自 分 で 対 処 する 力 を 高 めつつ、 困 難 時 には 早 めに 相 談 できる 力 をデイケアで 備 えることで、 就 職 や 職場 定 着 を 乗 り 越 えていけると 考 えて 支 援 をしている• 就 業 継 続 には、 困 った 時 に 相 談 できることや 支 援 者 を 上 手 く 使 えることが 重 要 であり、その 為 の 関 係性 づくりが、 就 労 支 援 として 重 要 。(3) 医 療 機 関 としては 生 活 支 援 がメイン• 医 療 機 関 としては、まずは、 地 域 移 行 ( 住 居 確 保 がメイン)になっている。• 就 労 は 主 に 施 設 支 援 センター、 当 医 療 機 関 は 就 労 まで 至 らない 年 金 でヘルパー 等 のサービスを 使 いつつ 生 活 する 方 が 主 なる 対 象 という 役 割 分 担 になっている• 生 活 や 服 薬 等 の 医 療 的 な 立 場 から 支 援 していきたい/ 症 状 の 改 善 、 日 常 生 活 の 立 て 直 し、 福 祉 サービス 利 用 の 支 援 が 主 / 入 院 中 における 経 済 的 、 生 活 課 題 の 支 援 を 行 っている• デイケアの 生 活 面 のグループワークを 通 して 就 労 の 準 備 性 が 身 につくと 考 えている(4) 患 者 からのニーズに 対 して 外 部 支 援 機 関 の 紹 介 のみ• 患 者 からのニーズは 多 いが、 地 域 支 援 事 業 所 へつなぐことしかできないのが 現 状• 今 のところ、 外 部 支 援 機 関 の 紹 介 をするにとどまっています• 患 者 が 特 に 希 望 があったり、その 必 要 がある 場 合 はPSWがいるクリニックへ 転 院 してもらうが、 支援 センターを 勧 めたりしている• 就 労 については、 情 報 提 供 ( 支 援 センターの 紹 介 ) 等 である• 医 師 1 名 のみのクリニックであり、 就 業 に 関 しては 必 要 時 のみ 他 施 設 に 依 頼 し、あるいは 来 てもらって 個 別 相 談 をするのみ• 作 業 所 へ 紹 介 するケースばかり。 就 業 ・ 生 活 支 援 センターに 頼 っております。• 外 部 支 援 機 関 の 紹 介 で、 自 治 体 の 障 がい 福 祉 課 の 担 当 者 が 対 応 してくれて、 非 常 に 助 かっています。就 労 支 援 への 移 行 を 手 助 けしてくれています。(5) 個 別 の 相 談 対 応• 私 は 小 児 科 医 であるため、 患 者 や 家 族 からの 相 談 には 医 師 として 診 療 行 為 のひとつとして、 外 来 診 療中 にご 相 談 に 乗 るという 形 で 協 力 しています。• 通 常 の 診 療 の 中 での 相 談 や 指 導 は 必 要 を 感 じれば 行 っているが、 限 界 を 感 じている• システムとして 機 能 させられるほど 人 員 をさけない。4 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 の 限 界(1) 就 労 経 験 のない 人 等 への 職 業 準 備 支 援• 全 く 就 労 経 験 のない 患 者 さんへ 就 労 へ 向 けた 支 援 を 行 う 困 難 さを 感 じることが 多 い• 発 病 前 から 引 きこもっていて、 社 会 経 験 に 乏 しく、 成 長 の 機 会 があまり 無 かったという 利 用 者 がとても 多 い。そういう 方 が 家 から 出 て 成 長 できる 環 境 と、 就 労 に 向 けて 負 荷 をかけていく 環 境 を 同 時 に 持つことが 現 状 の 私 たちでは 難 しい。• 当 院 では、 不 登 校 、ひきこもりの 患 者 さんを 多 数 かかえております。 就 労 はもちろんですが、その 前-119- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態段 階 の 支 援 の 充 実 がはかられれば 大 変 よいと 思 います。• 職 業 人 、 社 会 人 の 自 覚 を 持 って 頂 くための 支 援 の 難 しさを 感 じております。(2) 生 活 保 護 や 障 害 年 金 との 関 係 での 就 労 意 欲 の 低 い 人 の 増 加• 生 活 保 護 受 給 や 障 害 年 金 受 給 を 安 易 に 希 望 したりすすめたりするケースが 非 常 に 多 い• 生 活 保 護 に 逃 げ 込 んで、 就 労 の 必 要 性 を 断 ってしまおうという 意 図 が 強 く 見 える 患 者 も 多 い。そういう 方 は 就 労 は 苦 痛 なもの、というイメージが 強 固 な 方 です。• 実 際 には 就 労 可 能 と 思 われるが、 本 人 の 働 く 意 欲 の 欠 如 により、 就 労 支 援 に 至 らないケースばかり。その 根 底 には 比 較 的 簡 単 に 受 給 できる 生 活 保 護 、 障 害 者 年 金 の 影 響 もある• うつ 病 による 休 職 を 疾 病 利 得 と 考 える 方 ( 患 者 )もおり、 支 援 を 受 ける 側 の 病 識 やモラルについても、指 導 、 助 言 を 要 する 部 分 と 考 えます。• お 金 を 稼 ぐと 生 活 保 護 が 受 けられなくなるから 働 かないと 言 う 人 が 多 数 いる。 働 き 収 入 を 得 ること、社 会 に 貢 献 することの 喜 びや 自 尊 心 を 取 り 戻 して 欲 しい/ 今 年 度 から 障 害 年 金 の 診 断 書 に 会 社 名 や 月収 を 記 入 する 欄 が 登 場 した。「 働 くと 年 金 の 支 給 がストップする。」と 思 う 患 者 も 多 く、 今 後 の 就 労 の考 え 方 が 消 極 的 になるのではないかと 心 配• 就 職 口 を 障 害 者 枠 にひろげるためだけに、わざわざ 精 神 科 を 受 診 し 障 害 者 手 帳 を 申 請 するケースもあると 聞 く。 本 当 の 支 援 が 必 要 なのはどんな 人 なのか 見 極 める 必 要 がある(3) 就 労 可 能 性 の 判 断 のための 体 制 の 限 界• どのタイミングで 社 会 参 加 が 可 能 かの 判 断 がスタッフによってまちまちであり、また 社 会 参 加 や 就 労への 意 識 も 温 度 差 がある/スタッフ 間 で 所 属 が 異 なるとなかなかミーティングがもてず、 認 識 の 温 度差 があるのが 現 実 / 医 療 機 関 という 立 場 でいつも 悩 むのは、「 何 がどれくらいできるようになれば 就 活が 可 能 なのか」ということです。• 就 労 の 可 否 や 内 容 について 医 学 的 意 見 を 求 められることが 多 いが、 質 問 の 意 図 が 不 明 で 活 用 目 的 が 分からない 点 がある。• 何 でも 医 師 の 診 断 書 では 主 に 疾 患 の 治 療 管 理 に 関 わる 身 としてはやり 切 れぬ 思 い。 本 来 は 国 の 障 害 者対 策 に 多 くの 人 材 ( 主 にケースワーカー)を 投 入 し、 教 育 するのがよい• 職 場 担 当 者 が 主 治 医 との 面 接 を 希 望 する 場 合 が 多 いが、 具 体 的 な 相 談 が 可 能 なのは PSW です。 主 治 医から 医 療 面 の 情 報 を 書 面 等 で 得 た 上 で、PSW との 面 接 の 方 が 良 い。(4) 医 療 機 関 としての 就 労 支 援 へのスタンスの 迷 い• 医 療 機 関 として 何 ができるか、どこまで 支 援 していいのか、いつも 悩 む/ 就 労 支 援 に 医 療 機 関 がどこまで 介 入 できるのか 迷 いがある/ 高 校 卒 時 の 就 活 にも 関 わり、 医 療 機 関 スタッフが 関 わるデメリット( 相 手 に 与 える 印 象 等 )を 感 じ、とまどいます• デイケアで“ 取 り 込 む”と 表 現 されることが 多 くありますが、 行 く 場 所 をデイケアと 選 んでいる 人 も多 くいます。その 中 で 就 労 へ 結 びつけるか、ずっと 課 題 です。• 一 般 就 労 の 方 が 気 分 障 害 等 で 休 職 し、 診 断 書 作 成 を 希 望 するケースが 殆 どで、 再 就 職 などのサポートまで 至 っていないです。• 病 院 のケースワーカーとして 今 後 就 労 分 野 は 必 要 であるが、 特 化 した 部 署 がなく、 実 際 は 主 治 医 と 患-120- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態者 という 状 態 にある。 入 院 中 にかかわりのある 方 であれば 介 入 や 支 援 が 行 いやすいが、 外 来 のみでは関 係 性 もとぼしく 取 組 や 介 入 の 在 り 方 は 今 後 の 課 題• ストレスケア 病 棟 の 入 院 における 復 職 プログラムを 導 入 している。しかし、 気 分 障 害 以 外 に 対 する 就労 ・ 復 職 支 援 は 十 分 に 行 えているとはいいがたい 状 況(5) 外 来 診 療 だけの 機 関 でワーカーがいない• 外 来 業 務 のみでワーカーも 少 なく、 就 労 支 援 の 必 要 性 の 認 識 はあっても、 現 実 的 にマンパワー 不 足 /なかなか 治 療 以 外 に 手 がまわらないのが 現 状 / 医 療 機 関 が 就 労 や 復 職 に 関 して、もっと 努 力 すべきなのは 理 解 しているが、 実 際 は 患 者 の 診 療 だけで 精 一 杯 であり 現 実 と 理 想 とのギャップを 痛 感 している/ 就 労 支 援 の 必 要 性 は 強 く 感 じているが、 小 規 模 のクリニックで 人 員 も 足 らず、PSW の 採 用 も 考 えているが 実 現 には 至 っていない• クリニックだと 対 応 できる 範 囲 が 決 まってしまう/ 小 さい 医 療 機 関 ではできることは 限 られている/医 師 ひとりだけの 診 療 所 で、 医 療 でできる 範 囲 のことしかしていません• 復 職 しても 再 休 職 することがあり、 再 休 職 前 に 何 か 対 応 ができることがなかったかと 考 えるが、2 週 に1 度 といった 頻 度 の 受 診 でできることはあまり 多 くない。• クリニックでそれ 以 外 の 仕 事 が 多 く、どのような 役 割 を 果 たせるのか 悩 んでいる/ 訪 問 看 護 と 外 来 のインテークや 相 談 業 務 に 追 われ 就 労 支 援 にまで 手 が 届 いていないのが 現 状• デイケアスタッフの 人 数 等 の 関 係 上 、なかなか 就 労 支 援 を 行 うことが 困 難 /デイケア 業 務 の 中 で、 就労 にゆっくり 時 間 を 割 けないのが 現 状(6) 就 労 支 援 の 専 門 性 知 識 、 社 会 資 源 情 報 の 不 足• 本 人 さんが、 能 力 、 体 力 、 病 状 の 点 で 難 しい 職 業 を 選 択 することがあります。 病 状 ばかりに 目 がいき、本 人 さんのやりたいことに 対 応 できず 支 援 の 仕 方 はいつも 悩 んでいます。• スタッフ 自 身 の 産 業 領 域 におけるキャリアアップの 必 要 性 を 感 じます。• 医 師 や 医 療 業 界 全 体 への 啓 発 と 教 育 をぜひとりくんでいただきたい。デイケアの 効 果 的 活 用 の 講 師 をしたときに「デイケアって 卒 業 させていいということをはじめて 知 った」というスタッフも 多 くいる現 状 があります。• 就 業 ・ 生 活 支 援 センターの 役 割 が 大 きく、 職 場 実 習 など 単 独 で 受 け 入 れ 先 を 確 保 するのは 困 難 な 状 況 。ケースの 状 況 に 応 じた 連 携 が 図 れると 利 用 者 の 希 望 に 対 応 しやすくなる。(7) 就 労 支 援 の 対 象 外各 医 療 機 関 等 の 対 象 患 者 の 特 徴 から 就 労 支 援 が 実 施 されていない 場 合 は 次 のようであった。ア 認 知 症 病 棟 や 閉 鎖 病 棟 が 主 の 機 関 で 就 労 支 援 以 前 に 地 域 生 活 の 実 現 が 課 題イ デイケアで 就 労 希 望 者 が 少 ないウ スーパー 救 急 病 棟 で 就 労 支 援 への 関 与 はないエ 小 児 科 のためオ 障 害 が 重 度 のため 就 労 支 援 の 対 象 でない-121- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態第 11 節 考 察以 上 の 調 査 結 果 によるわが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 等 の 実 態 を 踏 まえ、わが 国 の 状 況 に 応 じた、 医 療 ・ 生 活 ・就 労 支 援 の 統 合 に 向 けた 取 組 について 考 察 した。1 調 査 結 果 の 総 括本 調 査 では、 多 様 な 医 療 機 関 の 状 況 を 把 握 するため、 特 に 就 労 支 援 の 実 施 の 有 無 にかかわらず、 幅 広 い 精神 科 医 療 機 関 等 を 対 象 として 調 査 を 実 施 した。 実 際 の 調 査 回 収 では、 就 労 支 援 の 取 組 状 況 により 回 収 率 の 差が 生 じている 可 能 性 があるため、 本 研 究 では、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 386 機 関 と、それ 以 外 の 473機 関 を 分 けて 分 析 した。その 結 果 、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 においては、 診 断 治 療 を 中 心 とした 機 関 だけでなく、 医 療 ・ 生 活 支 援を 統 合 した 取 組 を 実 施 している 機 関 も 多 くあり、 後 者 の 機 関 では、さらに、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的取 組 も 広 がっている 状 況 が 明 らかになった。そのような「 就 労 支 援 」は、 必 ずしも 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援プログラム」の 形 態 ではなく、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 局 面 における 職 業 上 の 課 題 の 解決 につながる 様 々な 取 組 であり、 疾 患 自 己 管 理 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 等 との 関 係 も 強 かった。そのような 取組 は、 医 療 機 関 が 自 ら 実 施 する 場 合 だけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 協 力 や 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 によりさらに 効 果 的 となる 可 能 性 も 示 された。(1) 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 の 様 々な 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 への 各 機 関 の 認 識医 療 機 関 においては、 就 労 支 援 への 日 常 的 取 組 のない 機 関 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 問 題 の 認 識 自 体 必 ずしも 十 分 ではなく、 逆 に、 日 常 的 に 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 機 関 ほど 課 題 認 識 が 多 かった。ただし、 具 体 的な 取 組 によって、 単 に 課 題 認 識 が 多 くなっているだけでなく、その 問 題 の 解 決 にもつながっていることも 明らかとなった。(2) 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 は、 医 師 、 精 神 保 健 福 祉 士 、 作 業 療 法 士 等 が、 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 で 実施 されている 場 合 が 多 かった。これらの 医 療 ・ 生 活 支 援 職 による 就 労 支 援 への 取 組 のための 専 門 的 情 報 源 としては、 図 書 ・ 論 文 等 や 学 会 ・ 研 究 会 等 が 主 となっていた。 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 任 で 就 労 支 援 を 実 施 し、また、 就 労 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 等 を 図 書 ・ 論 文 、 学 会 ・ 研 究 会 等 から 得 ている 場 合 が、 最 も 職 業 生 活 上 の課 題 の 解 決 につながっていた。(3) 特 別 な「 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム」 等 の 実 施 状 況医 療 機 関 等 における 就 職 ・ 復 職 プログラムは、 具 体 的 には 気 分 障 害 の 復 職 支 援 リワーク、 継 続 的 デイケア、就 職 ミーティング 等 であり、 利 用 者 は 年 間 10~30 名 が 多 く、 主 要 な 運 営 資 金 はデイケア 等 の 診 療 報 酬 であった。 日 常 的 な 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 であっても、 自 機 関 の 特 別 な 就 職 ・ 復 職 プログラムによるだけでなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 により 就 労 支 援 の 成 果 をあげている 機 関 も 多 かった。(4) 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する「 就 労 支 援 」の 取 組精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 諸 局 面 の 支 援 ニーズに 対 応 する 様 々な 取 組 という 意 味 での「 就 労 支 援 」の 取 組 状-122- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態況 については、 日 常 的 な 就 労 支 援 がある 医 療 機 関 等 では、 個 々の 取 組 には 医 療 機 関 と 外 部 機 関 の 役 割 分 担 の特 徴 があるものの、 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 就 労 支 援 が 提 供 されていることが 明 らかになった。 一 方 、日 常 的 な 就 労 支 援 の 取 組 のない 機 関 では 取 組 は 少 ないが、それでもほとんどの 取 組 を「 患 者 のためには 必 要であるが 実 施 なし」と 考 えており、「 必 要 なし」とされた 取 組 はほとんどなかった。また、それらの 就 労 支 援 への 効 果 としては、 就 職 活 動 支 援 が 就 職 活 動 の 問 題 解 決 につながるというような直 接 的 な 関 係 だけでなく、 就 職 前 の 取 組 と 就 職 後 の 疾 患 管 理 や 職 場 理 解 との 関 係 のような 様 々な 関 係 が 認 められた。また、 医 療 機 関 が 自 らあるいは 外 部 機 関 と 協 力 して 行 う 場 合 に 効 果 の 高 い 取 組 等 も 明 らかになった。(5) 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 への 取 組 状 況直 接 の「 就 労 支 援 」と 考 えられることは 少 ないものの、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 の 支 援 として 重 要 と 考 えられる、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 については、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 等 では、 全 般 的 にこれらへの 取 組 も 多 く、 一 方 、 日 常 的 に 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 では、これらの 取 組 が 全 般 的 に 少 ないことが 明 らかとなった。 多 くの 機 関 が 自 機 関 で 実 施 している 取 組 がある 一 方で、「 認 知 行 動 療 法 」「ロールプレイ」「SST」「 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 」「 家 族 向 けのセミナーやワークショップ 等 」は 比 較 的 実 施 が 少 なかった。特 に、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」 全 般 、「ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 」「 地 域 生 活 での 危 機 的 状況 への 対 応 体 制 」「 家 族 向 けのセミナー 等 」は、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 している 機 関 において、 就 職 前 から 就職 後 の 様 々な 職 業 的 課 題 の 問 題 解 決 と 関 係 していた。さらに、 日 常 的 就 労 支 援 を 実 施 していない 機 関 においても、「 疾 患 自 己 管 理 支 援 」「 生 活 支 援 」「 家 族 支 援 」の 取 組 は、 多 くの 職 業 生 活 上 の 課 題 の 解 決 と 関 係 していた。(6) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組現 在 のわが 国 における、 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 に 向 けての 取 組 は、 就労 支 援 を 自 機 関 が 主 に 取 り 組 む 機 関 から、 特 に 就 労 支 援 への 取 組 のない 機 関 まで、また、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労支 援 の 連 携 促 進 が 機 能 し、 就 労 支 援 機 関 との 日 常 的 な 職 業 評 価 や 支 援 のケースワークが 実 施 されている 機 関から、 診 断 治 療 専 門 の 機 関 まで 多 様 であった。 現 在 、これらの 連 携 については、 取 組 は 少 なく 課 題 も 多 い 状況 が 確 認 された 一 方 で、 連 携 の 取 組 が 実 施 され 機 能 している 機 関 ほど、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決にもつながっていることが 今 回 の 調 査 で 確 認 された。2 研 究 の 限 界本 研 究 の 調 査 では、 回 収 率 が 低 かったことや、 医 療 機 関 に 対 するアンケート 調 査 であることによる 限 界 がある。 結 果 の 考 察 や 活 用 においては、これらの 限 界 を 踏 まえる 必 要 がある。(1) 回 収 率 の 低 さ本 調 査 では、3,875 の 機 関 や 専 門 医 に 対 して 調 査 票 を 送 付 し 回 収 は 19.5%(757 機 関 )からにとどまった。医 療 機 関 において 就 労 支 援 部 門 が 明 確 でない 状 況 で、 調 査 票 は 機 関 の 代 表 者 に 送 付 し、そこから 該 当 部 署 に転 送 を 依 頼 するという 流 れであったため、 送 付 した 調 査 票 が 想 定 する 回 答 者 に 至 りきらなかった 可 能 性 があ-123- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態る。また、 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 は 回 答 しやすいが、 就 労 支 援 の 実 施 のない 機 関 では 回 答 されにくかったという 可 能 性 がある。そこで、そのような 回 答 の 偏 りの 可 能 性 を 考 慮 して、 本 研 究 においては、 調査 回 答 を 回 答 結 果 から、 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 と、そうでない 機 関 に 分 けて、それぞれの 分 析 結 果 をみることにより、その 両 方 の 傾 向 を 踏 まえた 総 合 的 理 解 となるように 心 がけた。したがって、 本 調 査 の 回 答 では 日 常 的 就 労 支 援 のある 機 関 は 45%となっているが、それはわが 国 の 医 療 機 関 全 体 での 割 合 を 示 すものでない。(2) 支 援 状 況 と 職 業 的 課 題 の 解 決 可 能 性 の 自 己 評 価 の 限 界本 調 査 では、 精 神 障 害 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 状 況 を、 医 療 機 関 等 の 支 援 者 が 判 断 して 回 答 している。 就 労支 援 の 取 組 の 成 果 指 標 としてそれを 活 用 するにあたっては、それが 支 援 者 による 自 己 評 価 であることからの限 界 が 考 えられる。つまり、 就 労 支 援 の 取 組 と 職 業 生 活 上 の 課 題 解 決 との 関 係 が 支 援 者 の「 支 援 を 実 施 しているのだから 課 題 は 解 決 できているはず」という 主 観 的 な 関 係 づけを 反 映 している 可 能 性 が 考 えられる。しかし、 多 くの 支 援 については 課 題 解 決 と 関 係 が 認 められていない 一 方 で、 特 に 関 係 性 が 認 められたものについては、 一 定 の 合 理 的 説 明 が 可 能 であることから、 支 援 効 果 としての 解 釈 には 一 定 の 妥 当 性 があると 考 えた。(3) 疾 患 と 支 援 内 容 を 対 応 させた 調 査 ではない医 療 機 関 においては 様 々な 疾 患 を 対 象 としている 場 合 が 多 く、 本 研 究 において、 対 象 疾 患 の 違 いについて言 及 している 部 分 は、あくまでも 各 疾 患 への 日 常 的 対 応 の 多 少 による 機 関 の 特 徴 の 違 いについて 言 及 したものであることに 注 意 が 必 要 である。3 わが 国 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 への 取 組 の 可 能 性本 調 査 により、わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 による 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 への 取 組 の 実 態 の 把 握 、 海 外 でEBP( 科 学 的 根 拠 に 基 づく 実 践 )とされてきた 内 容 についての、わが 国 における 妥 当 性 や 具 体 例 の 確 認 、 効果 的 就 労 支 援 における 医 療 機 関 自 らの 取 組 や、 外 部 就 労 支 援 機 関 との 協 力 の 重 要 性 の 確 認 ができた。これらに 基 づき、わが 国 の 状 況 に 応 じた、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 統 合 に 向 けた 取 組 について 検 討 する 必 要 がある。(1) 精 神 科 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 への 取 組 の 多 様 性精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 モデルについて、 第 2 章 において 海 外 の 状 況 を 調 べた 結 果 でも、 様 々な 考 え 方 や 取組 があることが 示 されていたが、わが 国 の 医 療 機 関 においても、 精 神 障 害 者 への 就 労 支 援 のあり 方 についての 方 針 や 具 体 的 な 取 組 は 大 きく 分 かれていた。わが 国 の 精 神 科 医 療 機 関 の 就 労 支 援 への 取 組 を 検 討 する 場 合には、 少 なくとも 次 の3つの 類 型 に 大 きく 分 かれることを 想 定 することが 必 要 である。ア 診 断 治 療 に 特 化 している 医 療 機 関 ( 小 規 模 診 療 所 、 専 門 医 等 )多 くの 医 療 機 関 は 小 規 模 で 医 師 中 心 で 診 断 治 療 に 特 化 しており、 疾 患 自 己 管 理 支 援 や 生 活 支 援 等 の 取 組 は少 なく、 患 者 の 就 労 問 題 についても 十 分 に 把 握 されていない 場 合 が 多 い。イ 医 療 ・ 生 活 支 援 に 取 り 組 んでいるが 就 労 支 援 との 統 合 に 課 題 のある 医 療 機 関医 師 以 外 のコメディカルスタッフを 雇 用 し、 退 院 支 援 やデイケア 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 への 取 組 の 一 環 として 就 労 問 題 の 認 識 が 高 まっているが、 就 労 支 援 との 統 合 が 不 十 分 であり 未 解 決 課 題 が 多 くなっている。-124- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態ウ 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 統 合 的 支 援 に 取 り 組 んでいる 医 療 機 関医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的 実 施 の 方 針 をもち、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 担 当 者 の 連 携 を 促 進 させる 仕 組 みや、 外 部 の 就 労 支 援 機 関 や 雇 用 支 援 制 度 を 有 効 活 用 ある 医 療 機 関 においては、 精 神 障 害 者 の 職 業 生活 上 の 問 題 解 決 への 成 果 が 見 られ 始 めている。(2)EBP の 普 遍 性 、わが 国 における 適 用 可 能 性本 調 査 では、EBP( 根 拠 に 基 づく 実 践 )の 援 助 付 き 雇 用 、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 地 域 生 活 支 援 、 家 族 支 援 の適 合 性 尺 度 の 項 目 を 網 羅 して、わが 国 の 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 幅 広 い 取 組 を 把 握 した。その 結 果 、これら EBP を 構 成 する 様 々な 取 組 は、わが 国 の 医 療 機 関 においても、 実 際 の 就 労 支 援 の 取 組 の 有無 にかかわらず、 精 神 障 害 者 のために 必 要 であると 認 識 されており、さらに、それらの 取 組 の 実 施 は 精 神 障害 者 の 職 業 生 活 上 の 問 題 解 決 とも 関 連 していることが 明 らかになった。EBP の 各 取 組 のわが 国 の 意 義 については、 既 に 第 3 章 でも 考 察 したが、 本 調 査 結 果 における 様 々な 取 組 と 様 々な 職 業 上 の 問 題 の 関 連 から、EBPの 各 取 組 の 合 理 的 な 意 義 がさらに 明 らかになった。ア 就 職 前 の 職 業 準 備 支 援精 神 障 害 者 において、 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 についての 検 討 は 職 業 準 備 支 援 の 重 要 項 目 であるが、そのためには、 非 就 労 者 への 就 職 セミナーの 実 施 や 就 労 希 望 を 表 明 していない 人 の 就 労 希 望 の 確 認 、OB 交 流 への 取 組 、 特 に 医 療 機 関 での 実 施 が 効 果 的 な 支 援 であった。また、 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 事 前 確 認 と対 策 、 集 団 的 場 面 での 職 業 評 価 、また、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 も 効 果 的 であった。このようなことから、IPS の 原 則 にある「 就 労 希 望 のある 全 ての 人 が 対 象 ( 就 労 支 援 への 除 外 なし)」については、 医 療 機 関 等 で、これまで 全 く 就 労 希 望 を 確 認 されていなかったり、 就 労 支 援 についての 情 報 が 不 足している 人 を 含 めて、 幅 広 く 情 報 提 供 や 働 きかけをしていくことの 重 要 性 として 理 解 できる。また、「 一 般 就業 が 目 標 」「 素 早 い 職 探 し」という 原 則 についても、 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 を 踏 まえて、 医 療 的 側 面 を 含めて 課 題 把 握 や 支 援 を 行 うことの 必 要 性 として 理 解 できる。イ 就 職 活 動 支 援精 神 障 害 者 の 就 職 活 動 では、 適 職 の 検 討 、 職 探 し、 企 業 への 自 己 アピールや 必 要 な 配 慮 等 の 適 切 な 説 明 等が 大 きな 課 題 となるが、そのためには、 医 療 機 関 が 自 ら、あるいは、 外 部 機 関 と 協 力 して 行 う、 就 職 セミナー、OB 交 流 、また、 具 体 的 な 職 探 しや 就 職 活 動 の 様 々な 支 援 、 職 業 場 面 を 想 定 した 職 業 アセスメント、 患 者 同 士が 集 まれる 場 づくり 等 だけでなく、 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 が 効 果 的 であった。IPS の 原 則 にある「 一 般 就 業 が 目 標 」「 素 早 い 職 探 し」「 継 続 的 支 援 」 等 は、 就 職 活 動 の 成 功 に 必 要 なこれらの 具 体 的 な 様 々な 取 組 の 重 要 性 として 理 解 することができる。ウ 職 場 適 応 や 就 業 継 続 支 援精 神 障 害 者 の 職 場 適 応 や 就 業 継 続 のためには、 就 職 前 の 就 職 セミナーや OB 交 流 、 仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の事 前 確 認 と 対 策 、 実 際 の 職 業 生 活 あるいはそれに 近 い 条 件 での 職 業 アセスメント、 本 人 との 相 談 場 面 での 課題 や 支 援 ニーズの 確 認 、 職 場 への 助 言 等 を、 医 療 機 関 が 自 ら、あるいは、 外 部 機 関 と 協 力 して 実 施 することが 効 果 的 であった。また、 疾 患 自 己 管 理 支 援 が 特 に 効 果 的 であった。-125- - -


第 4 章 わが 国 の 精 神 科 等 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 実 態IPS の 原 則 にある、「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統 合 」「 本 人 ニーズに 基 づく 決 定 」「 継 続 的 支 援 」も、 精 神 障 害 者 が 就 職 ・ 復 職 後 も 直 面 する 疾 患 自 己 管 理 等 の 課 題 への 支 援 の 必 要 性 として 理 解 できる。エ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 促 進また、 上 記 全 てに 関 連 することとして、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 を 促 進 するための、 就 労 支 援 者の 位 置 づけ、 両 担 当 者 の 日 常 的 コミュニケーション、ケース 会 議 等 の 実 施 は、 就 職 前 から 就 職 後 までの 課 題に 対 して 効 果 があった。IPS の 原 則 にある、「 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスの 統 合 」については、このような 具 体 的 な 連 携 促 進の 取 組 として 理 解 することができる。(3) 医 療 ・ 生 活 支 援 の 重 要 性今 回 の 調 査 で、 医 療 機 関 における 疾 患 自 己 管 理 支 援 が、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 就 職 後 までの 様 々な 職 業的 課 題 に 効 果 があることが 示 された。その 一 方 で、 疾 患 自 己 管 理 支 援 は 必 ずしも 全 ての 精 神 科 医 療 機 関 において 実 施 されていないことも 示 された。また 上 述 のように 医 療 機 関 自 らの 取 組 が 効 果 的 な 就 労 支 援 もあった。これらのことから、 精 神 障 害 者 が 利 用 している 医 療 機 関 が 診 断 治 療 中 心 である 場 合 等 、 効 果 的 な 就 労 支 援を 実 施 するためには、 疾 患 自 己 管 理 支 援 への 取 組 を 含 む、 様 々な 医 療 ・ 生 活 面 の 支 援 機 能 のある 医 療 機 関 との 連 携 も 重 要 となることが 考 えられる。(4) 医 療 機 関 のニーズへの 雇 用 支 援 制 度 等 の 対 応 の 可 能 性精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 として 効 果 のある 様 々な 取 組 について、 医 療 機 関 において「 患 者 にとっては 必 要 だが 実 施 なし」とされている 場 合 が 多 い 取 組 が 多 くあった。また、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 協 力 や 連 携 が効 果 的 な 取 組 について、 医 療 機 関 だけ、あるいは、 就 労 支 援 機 関 だけの 取 組 となっていたり、 連 携 への 取 組に 課 題 があり 十 分 に 機 能 していない 場 合 もあった。一 方 、わが 国 の 労 働 側 の 様 々な 雇 用 支 援 制 度 について、 医 療 機 関 において 精 神 保 健 福 祉 士 等 によりその 存在 は 知 られていても、 実 際 の 活 用 経 験 が 非 常 に 少 ないことも 判 明 した。また、それらの 雇 用 支 援 制 度 について 今 後 活 用 したいとの 意 向 も 強 かった。これらの 雇 用 支 援 制 度 は、これまでの 労 働 分 野 における 医 療 分 野 等 との 連 携 促 進 の 必 要 に 対 応 したものも多 く、 例 えば、「 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」は、まさに 医 療 機 関 における 就 職 セミナー 等 の 非 就労 者 への 情 報 提 供 や 働 きかけのニーズに 対 応 するものであるし、ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」も 地 域 関 係 機 関 のケースワーク 方 式 での 就 職 前 から 就 職 後 までの 継 続 支 援 の 取 組 である。 医 療 機 関 側 のニーズに 対 応 できる 雇 用 支 援 制 度 を 明 確 にし、 医 療 機 関 側 の 効 果 的 活 用 や、 効 果 的 連 携 につなげていくことが 重要 であろう。これらの 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活 用 については、 第 5 章 でさらに 議 論 をする。-126- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言生 活 支 援 や 就 労 支 援 と、 医 療 的 な 疾 患 管 理 が 密 接 に 相 互 関 係 をもつことは、 精 神 障 害 の 大 きな 特 徴 である。これまでも、 精 神 科 医 療 と 福 祉 や 就 労 との 連 携 の 重 要 性 については、 実 践 現 場 からも 行 政 からも 強 調 され、様 々な 取 組 が 行 われてきたところである。その 一 方 で、 医 療 機 関 における 医 療 や 生 活 支 援 の 成 功 のために、就 労 支 援 が 重 要 であるという 認 識 も 広 がっている。しかし、これまで、わが 国 においては、 精 神 障 害 のある 人 への 統 合 された 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 効 果 的に 実 施 するための 地 域 ネットワークの 体 制 は 未 整 備 であり、 各 地 の 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 関 係 者 による 好 事 例 はインフォーマルな 取 組 による 場 合 が 多 い。そのような 精 神 障 害 者 の 特 徴 、 及 び、 地 域 における 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 連 携 のための 課 題 を 踏 まえ、 医療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 地 域 ネットワークに 向 けた 単 なる「 連 携 」の 掛 け 声 を 超 えて、 具 体 的 に 実 施 可 能 な 医療 機 関 と 雇 用 支 援 制 度 を 連 動 させた 共 同 事 業 の 可 能 性 、 及 び、その 実 施 のための 医 療 機 関 側 の 拠 点 整 備 の 必要 性 について、 研 究 委 員 会 の 議 論 と 提 言 をまとめた。第 1 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の「 連 携 」の 現 状 と 課 題精 神 障 害 者 の 支 援 のために、 従 来 から、 地 域 において 医 療 、 福 祉 、 就 労 支 援 等 の 連 携 の 重 要 性 が 唱 えられてきたにもかかわらず、「 疾 病 」と「 障 害 」が 共 存 している 精 神 障 害 への 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体的 に 応 える 効 果 的 な 支 援 の 実 現 は、 現 状 では 一 部 の 機 関 での 制 度 上 の 限 界 を 超 えたインフォーマルな 支 援 による 場 合 が 多 い。1 精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 という 本 人 ニーズへの 対 応第 2 章 の 海 外 文 献 レビューで 一 貫 して 示 されている、「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」の 有 効 性 については、わが 国 においても、 精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 を 達 成 するための 両 分 野 の 一 体 的 支援 の 必 要 性 として、その 意 義 は 明 らかである。わが 国 においても、 既 に、 労 働 分 野 、 医 療 分 野 の 双 方 において、そのような 問 題 意 識 による 多 くの 取 組 がある。(1) 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 支 援 の 必 要 性職 業 生 活 は 精 神 障 害 に 対 して、 職 場 での 様 々なストレスや 生 活 変 化 によるストレス 等 による 疾 患 悪 化 へのリスク 要 因 となる 一 方 で、 職 業 生 活 の 成 功 は 自 信 や 生 活 の 質 の 向 上 の 効 果 、さらには 症 状 の 改 善 にもつながるためチャレンジの 意 義 は 大 きい。リスク 管 理 と 就 労 へのチャレンジの 優 先 順 位 の 矛 盾 を 避 けるためには、疾 患 管 理 や 職 業 生 活 に 関 わる 様 々な 支 援 者 が、 本 人 ニーズを 中 心 として 同 じ 方 向 を 向 いて 取 り 組 む 必 要 がある。現 状 では、 主 治 医 の 意 見 書 等 により、 症 状 の 安 定 性 や 就 労 の 可 能 性 について 確 認 が 行 われるが、チャレンジを 優 先 するか、リスク 回 避 を 優 先 するかによって、 実 際 には 大 きな 判 断 の 幅 がある。また、 医 療 側 のリスク 管 理 の 想 定 と、 雇 用 主 側 の 想 定 に 共 通 認 識 がないと、 職 場 での 問 題 状 況 の 予 測 に 大 きなかい 離 が 生 じうる。-127- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言雇 用 しても 職 場 定 着 や 就 業 継 続 ができず、 休 職 や 退 職 に 至 ることによる 企 業 側 のリスクは 大 きい。 精 神 障 害のある 人 と 雇 用 企 業 の 両 面 の 支 援 を 視 野 に 入 れる 職 業 リハビリテーション 関 係 者 は、 雇 用 した 人 の 職 場 での体 調 悪 化 や、 職 業 場 面 での 問 題 発 生 、あるいは 職 場 の 過 大 な 負 担 等 を 避 けるための 様 々な 確 認 を 必 要 とする。主 治 医 の 意 見 書 等 がチャレンジを 優 先 した 場 合 、 企 業 側 のリスク 管 理 が 困 難 となり、 長 期 的 に 見 れば 企 業側 が 精 神 障 害 を 雇 用 するリスクの 見 積 もりを 高 くすることにつながる。 一 方 、リスク 回 避 を 優 先 した 場 合 、多 くの 精 神 障 害 者 の 就 労 は 困 難 となる。いずれの 場 合 も、 精 神 障 害 者 の 雇 用 促 進 にマイナスの 影 響 を 及 ぼす。疾 患 管 理 と 就 労 支 援 を 二 律 背 反 でなく、 両 立 を 可 能 にするためには、 医 療 と 就 労 支 援 における、 職 業 評 価 や支 援 計 画 についてのより 密 接 なすり 合 わせやケースワーク 的 な 対 応 が 不 可 欠 である。(2) 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 統 合 的 実 施 への 取 組 の 実 際精 神 障 害 のある 人 のために 就 労 支 援 が 重 要 であることは 医 療 機 関 において 広 く 認 められており、 就 労 支 援機 関 との 連 携 も 少 なくない。 現 在 、 医 療 機 関 で 実 施 されている 就 労 支 援 の 多 くは、 精 神 障 害 のある 人 の 支 援ニーズに 対 応 するために 制 度 上 の 整 備 を 待 たず 先 駆 的 に 実 施 されている、インフォーマルな 支 援 である。 医療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 多 職 種 の 担 当 者 間 の 共 通 理 解 や、チームとしての 信 頼 関 係 の 醸 成 や 人 材 開 発 は、 専 門教 育 や 制 度 では 十 分 な 取 扱 いのない 状 況 で、このような 実 際 の 支 援 事 例 の 積 み 重 ねの 中 で 行 われていることが 多 い。ア 就 労 支 援 機 関 側 からの 様 々なアプローチ就 労 支 援 機 関 としては、ジョブコーチ 支 援 やトライアル 雇 用 、ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」等 の 就 職 前 から 就 職 後 まで 継 続 的 に 支 える 就 労 支 援 のあり 方 は、 様 々な 障 害 でその 効 果 が 示 されており、 精神 障 害 者 に 対 してもこれらは 重 要 な 支 援 となっている。ただし、 精 神 障 害 の 場 合 は、 職 業 生 活 による 疾 患 への 影 響 の 検 討 や、 就 労 可 能 性 の 見 極 めの 困 難 さ、 就 職後 の 就 業 継 続 が 課 題 になっており、そのような 課 題 を 踏 まえた 様 々なアプローチがある。そのようなものには、「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 のジョブガイダンス 事 業 」による 労 働 機 関 側 からの 精 神 科 医 療 機 関等 との 積 極 的 な 関 係 づくりや 就 労 希 望 者 へのアウトリーチ、「 精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用 」による 段 階的 な 就 労 への 移 行 によって 職 業 能 力 や 支 援 体 制 の 見 極 めができる 体 制 整 備 、また、ハローワークでの 精 神 保健 福 祉 士 等 の 資 格 のある「 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」の 配 置 、 等 がある。イ 医 療 機 関 側 からの 様 々なアプローチ医 療 機 関 自 らが、 就 職 によるリスク 軽 減 、 問 題 予 防 のため、 就 労 支 援 に 取 り 組 んでいる 事 例 もあり、 本 人と 仕 事 や 職 場 のマッチングの 精 度 の 向 上 、 職 業 生 活 における 自 己 管 理 能 力 の 向 上 等 の 支 援 の 実 施 例 がある。就 労 セミナー、ソーシャルワークによる 就 労 相 談 、 疾 患 管 理 、 家 族 ・ 地 域 連 携 の 支 援 、 就 業 の 意 思 確 認 等 の、医 療 や 生 活 支 援 としての 意 義 だけでなく、 就 労 支 援 としても 重 要 な 意 義 のあることは、 医 療 機 関 において 実施 率 は 高 い。しかし、 必 ずしも 体 系 的 に 実 施 されているわけではなく、プログラムにもなっていないことが多 い。医 療 専 門 家 と 就 労 支 援 担 当 者 との 連 携 は、 医 療 機 関 内 に 就 労 支 援 者 がいる 場 合 は 機 関 内 で 連 携 する 形 態 もあるが、 外 部 の 就 労 支 援 者 と 連 携 する 場 合 も 多 い。-128- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言わが 国 の IPS に 取 り 組 んでいる 機 関 においては、 連 携 について、 顔 を 合 わせたり、 情 報 共 有 するだけでなく、ケースごとに 医 療 と 福 祉 にまたがった 複 数 機 関 が1つの 援 助 チームを 形 成 することの 重 要 性 が 強 調 されている。このチームには、 主 治 医 ないしはその 代 理 を 果 たすコメディカルが 参 加 する。 例 えば、 職 場 の 人 事異 動 に 伴 い 急 な 職 場 訪 問 の 必 要 性 が 生 じたにもかかわらず、チームの 福 祉 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 が 行 けない場 合 は、 同 じチームの 医 療 機 関 職 員 が 職 場 訪 問 するなど、チーム 内 では 職 種 を 超 えて 対 応 する 場 合 がある。ウ 医 療 機 関 における 復 職 支 援 での 職 場 との 協 力気 分 障 害 等 に 罹 患 して 休 職 した 者 への 復 職 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 の 多 くは、 復 職 後 の 職 場 定 着 を 目指 して 治 療 や 支 援 を 展 開 しているが、その 一 環 として、 職 場 側 とのコミュニケーションも 実 施 されている 場合 がある。精 神 科 医 療 機 関 が 行 っている 医 療 的 管 理 とは、 精 神 科 医 やコメディカルスタッフが 行 う 病 状 の 変 化 の 確 認とその 変 化 に 対 する 適 切 な 対 処 ( 通 院 や 入 院 の 必 要 性 の 判 断 、 薬 物 療 法 の 見 直 し、 環 境 の 評 価 と 環 境 変 化 に対 する 対 応 など)を 行 い、 病 状 の 安 定 化 を 図 ることである。気 分 障 害 においては 場 合 によっては 症 状 の 変 化 が 日 単 位 あるいは 時 間 単 位 で 変 化 することも 決 して 稀 ではなく、 医 療 的 管 理 は 重 要 であり、 精 神 症 状 の 管 理 の 成 否 が 生 活 支 援 や 就 労 支 援 の 成 否 に 大 きな 影 響 がある。そういった 疾 病 の 違 いと 病 状 の 変 化 の 度 合 いによって 医 療 機 関 の 関 与 の 度 合 いも 異 なってくる。2 医 療 機 関 における「 就 労 支 援 」 実 施 の 有 無 の 規 定 要 因近 年 、 医 療 機 関 において 取 り 組 まれている「 就 労 支 援 」は、 精 神 障 害 における 医 療 ・ 生 活 支 援 ・ 就 労 の 一体 的 支 援 ニーズを 背 景 として、 目 的 も 資 金 源 も 医 療 や 生 活 支 援 として 実 施 されており、その 範 囲 は 広 い。その 一 方 で、 医 療 や 生 活 支 援 の 一 環 としてどこまで 就 労 支 援 に 取 り 組 むかについては、 精 神 科 医 療 の 共 通 認 識としては 必 ずしも 確 立 されておらず、また、 医 療 分 野 と 労 働 分 野 等 の 役 割 分 担 も 明 確 でなく、 各 医 療 機 関 の問 題 認 識 や 戦 略 等 、 及 び、 地 域 の 就 労 支 援 の 状 況 によって 大 きく 異 なる。(1)コメディカルチーム 体 制 の 有 無精 神 科 医 療 機 関 は、そもそもの 経 営 方 針 として、 診 断 治 療 に 特 化 した 医 療 機 関 や 専 門 医 と、 継 続 的 な 疾 患管 理 や 再 発 予 防 支 援 を 目 的 としたコメディカルスタッフによるチーム 医 療 体 制 をとる 医 療 機 関 に 分 かれる。前 者 としては、 地 域 の 精 神 科 の 医 療 機 関 には、 診 断 治 療 に 特 化 し 医 師 1 名 で、 他 のスタッフが 少 ない 場 合 も多 い。また、てんかん 専 門 医 が 週 1 回 の 外 来 で 患 者 を 診 ているという 状 況 もある。そのような 多 くの 医 療 機関 においては、マンパワー 上 、 外 来 診 療 以 外 の 生 活 支 援 や 就 労 支 援 は、 実 施 困 難 である。(2) 医 療 、 生 活 、 就 労 支 援 の 一 体 的 支 援 ニーズについての 認 識 の 有 無精 神 障 害 者 に 対 する、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 の 一 体 的 な 支 援 ニーズを 認 識 している 医 療 機 関 においては、治 療 ニーズが 高 い 精 神 障 害 者 に 対 応 するため 就 労 支 援 を 実 施 している 場 合 がある。ア 入 院 中 、 治 療 の 早 期 からの 就 労 支 援入 院 中 、 治 療 中 で 病 状 が 安 定 していない 人 に 対 しても、 早 期 に 就 労 意 欲 を 確 認 し、 就 労 に 関 する 情 報 提 供や 治 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 相 談 を 実 施 することは 意 義 が 高 いが、これは、 医 療 的 な 専 門 性 の 高 い 支 援 であ-129- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言り、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 だけで 実 施 することは 困 難 である。そこで、 入 院 中 から 働 く 意 欲 のある 人 に 地 域 連 携 支 援 室 の 担 当 者 から 面 談 をしに 行 くという 取 組 例 がある。また、 初 回 エピソード 時 点 で 早 期 に 就 労 支 援 を 含 む 介 入 を 行 うことが、 治 療 成 果 にもつながるというエビデンスに 基 づき、 治 療 早 期 からの 就 労 支 援 に 取 り 組 む 例 がある。イ 地 域 就 労 支 援 の 利 用 が 困 難 な 場 合 の 就 労 支 援 ニーズへの 対 応地 域 の 就 労 支 援 機 関 の 利 用 が 困 難 な 場 合 の 就 労 支 援 ニーズに 医 療 機 関 において 対 応 するため、 以 下 のような 取 組 例 がある。• 週 1・2 日 でも 社 会 と 結 びついて 働 きたいという 就 労 意 欲 に 対 して、アルバイト 等 の 職 探 し 支 援 を 実 施• 精 神 疾 患 を 職 場 に 開 示 しない 場 合 に、 無 理 のない 仕 事 内 容 や 就 労 条 件 のチェック、 職 場 での 対 処 スキルの 習 得 、 継 続 的 な 相 談 支 援 の 実 施• 利 用 者 が 自 身 を「 障 害 者 」と 考 えたくないため、「 障 害 者 」を 名 称 に 含 む 支 援 機 関 を 利 用 したくない 場合 の 就 労 支 援• 復 職 希 望 者 に 対 し、 障 害 者 職 業 センターのリワークプログラムの 期 間 と 本 人 の 復 帰 希 望 時 期 に 合 わない場 合 、 医 療 機 関 において 個 別 支 援 計 画 を 立 て、 定 期 的 な 診 療 や 相 談 により 復 職 支 援 を 実 施ウ 就 労 支 援 の 成 果 に 関 連 する 疾 患 自 己 管 理 支 援 、 生 活 支 援 、 家 族 支 援 等労 働 機 関 に 就 労 支 援 の 主 体 が 移 行 した 後 や、 就 職 後 においても、 疾 患 の 自 己 管 理 、 生 活 面 の 課 題 への 対 処 、家 族 との 関 係 についての 支 援 は、 就 労 支 援 の 成 功 に 不 可 欠 であるため、 特 にデイケア 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 を実 施 できる 医 療 機 関 では 実 施 されている 場 合 がある。(3) 診 療 報 酬 の 対 象 となる 就 労 支 援医 療 機 関 における 就 労 支 援 は、 医 療 や 生 活 支 援 の 一 環 として 実 施 されている。 多 職 種 で 生 活 支 援 を 実 施 するコメディカルスタッフを 雇 用 し、チームとして 動 けるようにする 資 金 源 として 診 療 報 酬 を 活 用 できる 支 援の 形 態 としては、デイケアやリワークプログラム 等 がある。ア デイケア医 療 機 関 においてコメディカルスタッフを 雇 用 して 医 療 と 生 活 の 一 体 的 支 援 が 診 療 報 酬 の 対 象 となるほとんど 唯 一 のプログラムが「デイケア」であるため、 就 労 支 援 はデイケアとして 実 施 されていることが 多 いが、実 際 に 就 労 支 援 として 実 施 される 内 容 は 多 様 である。「 就 労 支 援 」が 医 療 ・ 生 活 支 援 として 位 置 づけられるかどうかは、その 支 援 によって、 精 神 障 害 者 の 治 療や 生 活 の 質 の 成 果 が 確 認 できることが 重 要 である。就 職 や 職 場 定 着 ・ 就 業 継 続 自 体 を 目 的 とした 就 労 支 援 を 医 療 機 関 で 実 施 することについては、わが 国 では、精 神 障 害 の 治 療 や 再 発 予 防 の 成 果 に 対 する、 継 続 的 な 生 活 ・ 就 労 支 援 の 重 要 性 が 十 分 に 認 識 されていないことや、 就 職 や 就 労 支 援 機 関 への 移 行 で 成 果 が 確 認 しにくいことにより、 医 療 として 評 価 されにくいことがある。職 業 準 備 性 の 向 上 を 目 的 とした 治 療 やデイケアは、 就 労 支 援 機 関 への 移 行 等 により、 成 果 が 確 認 しやすい一 方 で、この 成 果 が 実 際 の 就 職 や 職 場 定 着 や 就 業 継 続 の 成 果 と 必 ずしも 関 係 しないことが 問 題 である。-130- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言イ リワークプログラム気 分 障 害 等 の 復 職 支 援 は、 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 の 延 長 線 上 にあり、それが 治 療 や 生 活 の 質 の 成 果 に 結 びつくことが 確 認 しやすい。リワークプログラムは、 医 療 であるという 位 置 づけの 下 で、 診 療 報 酬 を 資 金 源 としてデイケアとして 運 営 されていることが 多 い。(4) 診 療 報 酬 の 対 象 外 の 就 労 支 援 ニーズへの 対 応 可 能 性求 人 情 報 の 収 集 や 職 探 し、 職 場 での 継 続 的 支 援 等 、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 あるいは 企 業 に 出 向 いての 支 援 には、 個 別 給 付 である 診 療 報 酬 は 資 金 源 として 使 えない。 医 療 機 関 においては、 総 合 的 な 支 援 のためにそのような 就 労 支 援 を 実 施 する 必 要 がある 場 合 には、 診 療 報 酬 外 の 資 金 源 により 自 ら 行 っている 場 合 がある。ただし、これらを 自 機 関 で 実 施 するかどうかは、 地 域 における 外 部 リソースの 活 用 可 能 性 も 関 係 する。ア 診 療 報 酬 外 の 資 金 源 の 活 用医 療 機 関 において、 診 療 報 酬 には 位 置 づけられない 就 労 支 援 を 行 う 際 の 資 金 源 は 以 下 のような 例 がある。• リワーク 支 援 において、 復 職 後 の 再 発 防 止 のために 行 う 事 業 と 位 置 付 け、 職 場 や 産 業 医 等 との 連 携 や 就労 支 援 機 関 との 連 携 を、 医 療 機 関 の 事 業 費 として 実 施• 診 療 報 酬 外 の 活 動 を 含 めた 総 合 的 就 労 支 援 による 成 果 により、 就 労 支 援 ニーズのある 人 の 病 院 の 利 用 が増 える 効 果 があると 位 置 づけ、 医 療 機 関 の 事 業 費 として 実 施• 国 等 の 研 究 費 を 活 用 し、 研 究 事 業 の 一 環 として 実 施• 「ボランティア」により 実 施イ 就 労 支 援 機 関 との 連 携 等 の 外 部 リソースの 活 用求 人 情 報 の 収 集 や 職 探 し、 職 場 での 継 続 的 支 援 等 、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 あるいは 企 業 に 出 向 いての 支 援 等外 部 に 出 向 いて 行 う 支 援 については、 外 部 の 就 労 支 援 機 関 と 連 携 し、 役 割 分 担 して 支 援 を 実 施 できている 場合 も 多 い。例 えば、 主 治 医 やコメディカルが 企 業 に 出 向 いて 事 業 主 支 援 を 直 接 行 うことは 診 療 報 酬 上 想 定 されていない。 医 療 スタッフが 職 場 との 情 報 交 換 が 必 要 であると 感 じても 診 療 報 酬 外 になり、 人 的 余 裕 もない。 企 業 側についても、 医 療 機 関 のスタッフを 社 内 に 迎 え 入 れるという 土 壌 や 経 験 も 少 ない。そのため、 医 療 機 関 が 自ら 事 業 主 支 援 を 行 うのではなく、 産 業 医 や、 障 害 者 職 業 センターと 連 携 して 対 応 している 場 合 がある。-131- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 2 節 医 療 機 関 における 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワークの 拠 点 整 備 の意 義 と 課 題従 来 の、 障 害 者 雇 用 支 援 の 地 域 連 携 体 制 においては、 就 労 支 援 機 関 は 福 祉 機 関 や 教 育 機 関 からの 移 行 や 連携 が 主 に 想 定 されてきた。 現 在 、わが 国 の 地 域 においては、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援 と、 雇 用 支 援 制 度 や 労 働機 関 側 の 就 労 支 援 の 間 の 担 当 者 同 士 の 交 流 は 限 られている。しかし、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 ニーズに 的 確 に対 応 するためには、 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 がより 密 接 に 連 携 することにより、 両 者 の 専 門 性 の 相 乗 効 果 を生 むことが 不 可 欠 である。このような 精 神 障 害 者 の 地 域 連 携 へのニーズは、 精 神 障 害 が 固 定 した 障 害 ではなく 疾 病 性 をもっていることによるものであり、そのような 特 徴 が、 地 域 連 携 や 医 療 等 の 制 度 において 十 分 に 反 映 されていないため、現 在 、 十 分 な 成 果 をもたらす 地 域 ネットワークが 確 立 できていない。その 意 味 で、 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 には、 地 域 連 携 体 制 の 新 たな 課 題 が 存 在 する。研 究 委 員 会 では、そのような 現 状 の 地 域 連 携 の 課 題 と、 今 回 の 調 査 で 明 らかとなった、 地 域 における 精 神科 医 療 機 関 の 状 況 や、 実 際 にインフォーマルで 実 施 されている 様 々な 地 域 連 携 の 好 事 例 を 踏 まえ、 精 神 障 害者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 を 地 域 で 支 えるネットワークの 中 心 となる 医 療 機 関 と 支 援 者 の 意 義 と、それを 機 能 させるための 具 体 的 な 課 題 について 議 論 した。1 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 に 関 する 現 在 の 地 域 連 携 体 制 の 課 題現 在 、 福 祉 や 教 育 から 就 労 への 移 行 支 援 のための 地 域 体 制 の 整 備 は、 就 労 移 行 支 援 事 業 、 障 害 者 就 業 ・ 生活 支 援 センター 事 業 等 、 様 々に 進 んでいる。また、 精 神 保 健 分 野 では 医 療 から 地 域 生 活 支 援 等 の 福 祉 への 移行 も 進 められている。しかし、 精 神 障 害 者 の 就 職 前 から 職 場 定 着 までを 支 えるためには、 医 療 と 就 労 支 援 の相 乗 効 果 を 生 む、より 直 接 的 な 連 携 場 面 が 必 要 である。(1) 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 との 連 携 の 課 題現 在 の 地 域 における 障 害 者 の 就 労 支 援 は、 労 働 機 関 だけで 行 うものではなく、 福 祉 や 教 育 分 野 との 連 携 により、 就 職 前 から 就 職 後 まで 継 続 的 に 地 域 全 体 で 支 えていくものとなっている。これまでの 地 域 連 携 の 体 制 づくりは、 就 労 移 行 支 援 事 業 、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター 事 業 等 、これら福 祉 や 教 育 機 関 との 連 携 が 基 盤 となっている。これは、これまで 支 援 対 象 として 多 かった 身 体 障 害 や 知 的 障害 等 の 障 害 特 性 や 支 援 ニーズを 反 映 したものである。一 方 、 精 神 障 害 の 場 合 、 生 活 支 援 や 就 労 支 援 において、 医 療 的 な 疾 患 管 理 が 重 要 な 役 割 をもつことが 大 きな 特 徴 である。しかし、 現 在 の 地 域 の 就 労 支 援 体 制 において、 医 療 機 関 の 役 割 は 十 分 に 位 置 付 けられていない。わが 国 においては、 精 神 障 害 者 の 支 援 については、 医 療 機 関 が 治 療 してある 程 度 症 状 が 安 定 してきた 段 階で、 就 労 継 続 支 援 B 型 等 に 移 行 するという 流 れがある。しかし、こういった 福 祉 施 設 に 支 援 の 中 心 が 移 行 した 後 は、 福 祉 施 設 と 医 療 機 関 の 関 わりは 薄 い。また、 医 療 機 関 から、 直 接 障 害 者 職 業 センターやハローワークを 紹 介 する 例 もあるが、その 後 の 医 療 機 関 の 就 労 支 援 への 関 わりは 後 方 からサポートする 等 に 限 られる 場-132- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言合 が 多 い。(2) 医 療 機 関 と 生 活 支 援 機 関 との 連 携 の 課 題わが 国 の 多 くの 医 療 機 関 にとっては、 医 療 と 就 労 支 援 の 連 携 はおろか、 医 療 と 生 活 支 援 の 連 携 についても、退 院 支 援 、 地 域 生 活 支 援 等 の 枠 組 みで 促 進 が 図 られるようになってきた 段 階 である。また、 地 域 の 障 害 者 自立 支 援 協 議 会 等 への 医 療 機 関 の 参 加 は 少 なく、 地 域 によっては 医 療 機 関 から 生 活 支 援 機 関 や 就 労 支 援 機 関 に働 きかけていくことすら 困 難 な 状 況 である。(3) 医 療 機 関 と 企 業 との 連 携 の 課 題気 分 障 害 等 ストレス 脆 弱 性 がより 強 く、 職 場 での 疾 患 悪 化 のリスクが 高 い 疾 患 では、 就 職 ・ 復 職 後 の 継 続的 支 援 体 制 の 構 築 ができない 場 合 、 症 状 悪 化 による 再 休 職 のリスクが 高 い。しかし、 主 治 医 やコメディカルが 企 業 に 出 向 いて 事 業 主 支 援 を 直 接 行 うことは 診 療 報 酬 上 想 定 されていない。そのような 支 援 ニーズに 産 業医 や 障 害 者 職 業 センターと 連 携 して 対 応 している 機 関 もあるが、 医 療 機 関 だけで 就 労 支 援 ニーズに 対 応 することの 難 しさの 理 由 の 一 つである。2 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 地 域 ネットワークと 人 材 の 必 要 性精 神 障 害 者 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 のための 支 援 ニーズに 対 して、 従 来 の 地 域 ネットワークでは、 労働 機 関 側 と 医 療 機 関 側 の 交 流 や 接 点 が 少 なく、それぞれ 十 分 な 効 果 があげられていない。 労 働 機 関 側 からは、地 域 の 多 くの 精 神 科 医 療 機 関 の 中 でも 特 に 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 実 施 のために 中 心 的 な 役 割 をもつ 医 療機 関 と 医 療 機 関 内 の 就 労 支 援 担 当 者 を 明 確 化 し、 地 域 の 就 労 支 援 ネットワークの 中 に 位 置 づけることが 必 要である。(1) 就 労 支 援 を 積 極 的 に 実 施 する 医 療 機 関 の 位 置 付 け地 域 では、 精 神 疾 患 の 診 断 治 療 に 特 化 した 医 療 機 関 や 専 門 医 が 多 い。そのような 状 況 で、 就 労 支 援 機 関 が地 域 の 医 療 機 関 全 てと 連 携 したり、 医 療 機 関 全 てで 重 度 の 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 に 取 り 組 める 体 制 を 整 備 することは 現 実 的 でない。そこで、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 を 中 心 としたネットワーク整 備 の 方 が 効 果 的 で 現 実 的 であると 考 えられる。ア デイケア 等 を 実 施 している 医 療 機 関 の 中 のモデル 的 機 関精 神 科 デイケア 施 設 や 訪 問 看 護 を 実 施 しているクリニックでは 労 働 機 関 との 協 働 は 十 分 に 可 能 性 がある。また、 入 院 から 外 来 そして 地 域 という 一 連 の 流 れを 作 っている 病 院 では、 地 域 連 携 室 、 精 神 科 デイケアや 作業 療 法 室 などのリハビリ 施 設 などを 備 えており、 適 切 なスタッフ 配 置 があれば 労 働 機 関 との 協 働 に 大 きな 力が 期 待 できる。これらの 取 組 を 実 施 している 全 ての 機 関 で 就 労 支 援 が 一 体 的 に 実 施 されているわけではないで、 地 域 には一 定 数 の、デイケア 等 やリワークプログラム 等 を 実 施 するなど 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 一 体 的 支 援 のためにコメディカルスタッフを 配 置 している 医 療 機 関 が 存 在 する。そこで、このように 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 一 体 的 に 実 施 している 医 療 機 関 から 他 の 機 関 へ、 就 労 支 援 についての 情 報 提 供 等 を 行 うなど、 地 域 のネットワーク 形 成 の 拠 点 となることが 期 待 される。また、 就 労 支 援-133- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言機 関 から、 地 域 の 医 療 機 関 と 連 携 をとる 場 合 も、 様 々な 医 療 機 関 に 対 するのではなく、 拠 点 となる 医 療 機 関と 連 携 することが 効 果 的 であると 考 えられる。イ 診 療 中 心 の 医 療 機 関 を 利 用 している 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 ニーズへの 対 応多 くの 医 療 機 関 は 診 療 を 中 心 としており、コメディカルスタッフも 少 なく、 就 労 支 援 のニーズは 認 識 しても、 実 際 の 支 援 につなげられないことが 多 い。 外 来 診 療 の 診 療 時 間 内 で 就 労 支 援 や 生 活 支 援 への 相 談 を 実 施している 場 合 もあるかもしれないが、それだけでは、 特 に 重 度 の 精 神 障 害 者 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 対 応 することは 困 難 である。そのような 医 療 機 関 において、 患 者 の 就 労 支 援 ニーズに 対 応 するためには、デイケア 等 で 本 人 支 援 や 生 活 支 援 ができ、さらに 就 労 支 援 にもつながる 医 療 機 関 との 連 携 が 必 要 である。また、てんかんについては、 精 神 科 以 外 の 専 門 医 が 診 療 を 行 っていることが 多 い 一 方 で、デイケアではてんかん 患 者 の 支 援 に 困 難 を 感 じている 場 合 も 少 なくない。てんかん 発 作 に 関 する 治 療 を 専 門 医 が 分 担 し、デイケアの 医 学 的 管 理 のもと 生 活 ・ 就 労 支 援 を 行 うという 連 携 が 必 要 である。(2) 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 の 明 確 化医 療 機 関 が 自 ら 就 労 支 援 を 行 う 場 合 についても、 自 ら 行 わないが 就 労 支 援 機 関 と 連 携 する 場 合 についても、本 人 、 医 療 専 門 職 、 就 労 支 援 者 の 調 整 を 行 う 医 療 機 関 側 の 担 当 者 が 必 要 である。医 療 機 関 において、 患 者 の 就 労 支 援 ニーズに 対 応 する 担 当 者 が 明 確 であることは、 医 師 や 患 者 にとっても、外 部 の 福 祉 機 関 や 企 業 にとっても 有 効 な 仕 組 みとなり、 精 神 障 害 のある 人 の 職 業 上 の 様 々な 課 題 の 解 決 につながりやすくなる。このような 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 は、 精 神 保 健 福 祉 士 等 の 医 療 ・ 生 活 支 援 との 兼 務 でもよいだろう。3 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ネットワーク 構 築 の 課 題精 神 障 害 のある 人 に 必 要 な 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体 的 に 対 応 できる 地 域 体 制 は、その 機 能 や 各機 関 の 役 割 を 明 確 にし、 各 地 域 の 状 況 も 踏 まえつつ、 制 度 的 ・ 財 源 的 な 裏 付 けをもって 支 えることが 必 要 である。(1)ネットワークの 機 能 や 各 機 関 の 役 割 の 明 確 化 の 必 要 性ネットワークの 機 能 や 各 機 関 の 役 割 については、「 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 の 連 携 」といった 漠 然 としたものではなく、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 や 医 療 機 関 等 の 状 況 も 踏 まえながら、 専 門 性 を 反 映 した 役 割 分 野 や 支 援 内容 を 明 確 化 していくことが 求 められる。ア インフォーマル 支 援 の 制 度 化 の 検 討現 在 のわが 国 の 地 域 の 就 労 支 援 制 度 についても、 制 度 が 未 整 備 であった 時 期 から、 関 係 者 がインフォーマルに 実 施 してきた 取 組 が 制 度 化 されてきたものが 多 い。 精 神 障 害 者 に 必 要 な 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 の 一 体 的支 援 については、インフォーマルなものが 多 いが、それらをより 効 果 的 に 実 施 し、 全 国 に 普 及 するためには、それらを 制 度 に 位 置 付 けていくための 検 討 が 必 要 である。インフォーマルな 取 組 は、 精 神 障 害 のある 人 に 必 要 な 支 援 を 地 域 で 実 現 するという 関 係 者 の 共 通 目 標 の 確認 の 下 、 職 種 や 専 門 性 の 枠 を 超 えて 柔 軟 に 実 施 されていることが 多 い。しかし、 職 種 や 専 門 性 の 枠 を 超 えた-134- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言支 援 の 中 には、 本 質 的 に 専 門 性 を 超 えたチームワークが 必 要 な 支 援 だけでなく、 地 域 の 制 度 上 の 整 備 不 足 や、各 機 関 の 人 員 不 足 等 により、 一 人 への 負 担 が 集 中 していることによるものもある。医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 の 連 携 のあり 方 の 検 討 のためには、それぞれの 分 野 での 支 援 の 目 的 、 支 援 者 の 専門 性 、 資 金 源 の 活 用 可 能 性 等 についての 確 認 の 上 で、 共 通 目 標 のすり 合 わせ 等 による 相 乗 効 果 を 発 揮 できる可 能 性 について 検 討 する 必 要 がある。イ 地 域 リソースや 条 件 に 応 じた 柔 軟 な 体 制 構 築現 状 における、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 連 携 の 体 制 は、 各 地 域 で 利 用 できる 就 労 支 援 機 関 等 の 社 会 リソースの 違 いや、 各 医 療 機 関 の 経 営 ポリシー 等 、また、 都 市 か 地 方 かによっても 大 きく 異 なる。今 後 の 制 度 構 築 においても、 各 地 域 の 条 件 に 柔 軟 に 対 応 できる 様 々な 選 択 肢 に 対 応 できるものであることが 求 められる。(2) 財 源 的 配 慮医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 は、 医 療 や 生 活 支 援 との 兼 務 でもよいが、 就 労 支 援 の 取 組 や 医 療 機 関 内と 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 連 携 に 取 り 組 むことができるだけの、 人 員 配 置 と 経 済 的 基 盤 が 必 要 である。医 療 機 関 の 就 労 支 援 担 当 者 が、 地 域 の 就 労 支 援 機 関 の 連 携 会 議 等 に 出 席 すること、 地 域 関 係 機 関 とのケース 会 議 や 連 絡 調 整 の 業 務 を 行 うこと、 就 労 支 援 についてのセミナーや 学 会 、 書 籍 等 による 研 修 についての 費用 は、 医 療 機 関 として 診 療 報 酬 を 財 源 とすることができない。これらを 業 務 と 位 置 付 けるかどうかは 各 機 関の 方 針 により、 必 ずしも 医 療 機 関 の 業 務 として 認 められず 経 費 が 認 められないこともある。医 療 機 関 において 就 労 支 援 を 促 進 するためには、 医 療 機 関 における 就 労 支 援 、 特 に 診 療 報 酬 外 の 支 援 や 連携 を 行 う 際 の 何 らかの 財 政 的 配 慮 が 必 要 ではないか。-135- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 3 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 雇 用 支 援 制 度 の 統 合 的 な 活 用 の 可 能 性今 回 の 調 査 結 果 では、 医 療 機 関 等 において、 様 々な 就 労 支 援 の 取 組 の 必 要 性 については 広 く 認 識 されていることが 明 らかになった 一 方 で、 実 際 の 実 施 については「 患 者 にとって 必 要 だができない」とする 機 関 が 多かった。 実 際 の 就 労 支 援 の 様 々な 取 組 については、 医 療 ・ 生 活 支 援 の 意 義 があるとしても、 支 援 の 専 門 性 や利 用 できる 社 会 資 源 の 点 から、 必 ずしも 医 療 機 関 で 実 施 すべきとは 考 えられないものも 多 く、 実 際 の 調 査 結果 でも、 個 々の 取 組 によっては、 自 機 関 を 主 とした 取 組 が 少 なく、 外 部 機 関 との 協 力 や 外 部 機 関 が 主 になった 取 組 が 多 いものもあった。また、 今 回 の 調 査 結 果 によると、 医 療 機 関 において、 精 神 障 害 者 が 活 用 できる雇 用 支 援 制 度 の 認 知 や 活 用 意 向 は 多 い 一 方 で、 実 際 の 活 用 経 験 が 少 なかった。これらの 結 果 を 踏 まえ、 特 に 医 療 機 関 等 が 自 機 関 では 実 施 しにくい 就 労 支 援 の 取 組 、あるいは、 積 極 的 に就 労 支 援 の 専 門 支 援 者 との 協 力 で 実 施 することが 効 果 的 な 取 組 について、 具 体 的 な 雇 用 支 援 制 度 の 効 果 的 活用 のあり 方 を 明 確 化 し、 積 極 的 に 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 を 促 進 することが 重 要 である。なお、これらの 雇 用 支 援 制 度 については「 巻 末 資 料 3」で 紹 介 している。1 就 労 支 援 機 関 と 医 療 機 関 の 効 果 的 な 役 割 分 担今 回 の 調 査 で 明 らかになった、 医 療 機 関 による 就 職 支 援 への 取 組 状 況 ( 比 較 的 自 機 関 での 実 施 の 多 い 取 組 、外 部 機 関 との 協 力 が 多 い 取 組 、 外 部 機 関 が 主 となることが 多 い 取 組 )を 踏 まえると、 就 職 支 援 のためにも、医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 効 果 的 に 役 割 分 担 で 取 り 組 める 可 能 性 がある( 表 5-3-1)。このような 機 能 的 役 割 分 担 は、それぞれの 専 門 職 の 専 門 性 、それぞれの 機 関 の 有 する 社 会 資 源 や 権 限 等 の違 いと 関 連 している。就 職 前 の 職 業 準備 支 援就 職 活 動 支 援職 場 適 応 支 援就 業 継 続 支 援表 5-3-1. 医 療 機 関 における 就 労 支 援 と、 労 働 機 関 による 就 労 支 援 の 役 割 分 担 の 例医 療 機 関 における 就 労 支 援労 働 機 関 における 就 労 支 援本 人 の 目 標 に 応 じた「リカバリー」 支 援医 療 と 生 活 の 一 体 的 相 談 ・ 支 援疾 患 や 機 能 障 害 による 職 業 問 題 の 切 り 分 け労 働 安 全 衛 生 についての 医 学 的 検 討仕 事 内 容 や 職 場 状 況 の 確 認心 理 的 サポート疾 患 自 己 管 理 の 支 援生 活 状 況 の 移 行 支 援職 場 の 相 談 対 応定 期 的 通 院 での 相 談 ・ 支 援地 域 での 危 機 対 応 体 制職 業 相 談職 場 実 習 、 職 場 体 験職 業 準 備 支 援 ( 自 立 支 援 カリキュラム)職 業 訓 練 等 の 選 択 肢 の 提 供企 業 への 精 神 障 害 者 雇 用 への 啓 発求 人 情 報 の 提 供個 別 の 職 場 開 拓履 歴 書 作 成 や 企 業 面 接 の 練 習トライアル 雇 用 等事 業 主 支 援助 成 金 等 の 制 度 の 活 用ジョブコーチ 支 援就 職 後 のフォローアップ2 ジョブガイダンス 事 業 ( 医 療 機 関 への 労 働 機 関 からのアウトリーチ)の 有 効 活 用医 療 機 関 においては、 就 労 希 望 者 に 対 して、 十 分 な 就 労 支 援 の 情 報 提 供 や 就 労 支 援 のニーズが 高 いが、 就職 セミナー 等 については 自 機 関 での 実 施 が 比 較 的 少 ない。そのようなニーズに 対 応 する 雇 用 支 援 事 業 として-136- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言は、「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」があり、 全 国 のハローワークで 実 施 されている。従 来 、 病 状 や 生 活 状 況 の 安 定 等 の 職 業 準 備 性 の 基 準 に 達 していない 人 たちが 就 労 支 援 の 対 象 とならないことが 多 かったが、 就 職 セミナー 等 は、 基 本 的 に、 精 神 障 害 のある 人 が 就 職 について 考 えるときの 疑 問 点 や 不安 に 答 えるものなので、ジョブガイダンス 事 業 は、 全 ての 就 労 希 望 者 を 対 象 とできる。デイケアや 入 院 施 設 において、 入 院 中 、 治 療 中 で 病 状 が 安 定 していない 状 態 であっても、 基 本 的 な 就 労 支援 についての 情 報 提 供 や、 就 職 希 望 者 に 対 して 求 人 情 報 、 就 職 活 動 の 進 め 方 等 の 情 報 提 供 、また、 精 神 障 害をもちながら 働 いている 人 と 交 流 できる 機 会 づくりも、 医 療 機 関 からのニーズは 高 い。デイケア 等 のプログラムの 利 用 を 希 望 せず、 外 来 診 療 を 受 けている 人 の 中 にも、 就 労 についての 情 報 を 求めている 人 もいる。そのような 幅 広 い 対 象 者 を 想 定 して、 就 職 セミナーの 会 場 、 時 間 、 案 内 の 仕 方 等 を 工 夫する 必 要 がある。また、てんかんについては、 精 神 科 だけでなく、 脳 外 科 や 神 経 内 科 、 小 児 科 においても 診療 が 行 われていることに 留 意 が 必 要 である。3 ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」の 有 効 活 用本 人 に 合 った 職 探 しや 就 職 支 援 を 効 果 的 に 行 うためには、 就 職 後 の 職 場 適 応 や 就 業 継 続 も 目 指 し、 医 療 ・生 活 支 援 だけでなく、 地 域 の 労 働 市 場 の 情 報 、 職 業 紹 介 、 職 場 開 拓 等 、 現 実 の 仕 事 とのマッチングの 取 組 と連 動 することが 不 可 欠 である。また、 精 神 障 害 者 の 医 療 、 生 活 、 就 労 の 問 題 は 相 互 に 関 連 しあっているため、それぞれの 分 野 だけでの 問 題 認 識 や 支 援 方 針 の 決 定 、またその 実 施 には 限 界 がある。 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機関 の 間 で、 就 労 可 能 性 に 与 える 様 々な 要 因 についての 共 通 理 解 を 深 めることによって、 精 神 障 害 者 の 就 労 可能 性 の 判 断 の 不 一 致 を 解 消 することが 重 要 である。 医 療 、 生 活 支 援 、 就 労 支 援 の 錯 綜 した 問 題 状 況 の 切 り 分けを 行 い、 適 切 な 役 割 分 担 で 統 合 的 な 支 援 を 行 うためには、 多 職 種 によるケースワーク 方 式 の 支 援 体 制 が 必要 である。今 後 、 労 働 機 関 と 医 療 機 関 の 担 当 者 による 個 別 のケースワークや 効 果 的 な 役 割 分 担 による 支 援 体 制 を 構 築するために、 全 国 のハローワークが 中 心 となって 実 施 している「チーム 支 援 」を 有 効 活 用 することができる。4 トライアル 雇 用 等 の 試 行 的 な 就 労 場 面 の 有 効 活 用医 療 機 関 においてはデイケア 等 での 生 活 場 面 での 職 業 評 価 から 進 んで、 支 援 も 含 めた 実 際 の 職 場 状 況 、 実際 の 職 業 生 活 における 評 価 場 面 を 作 ることが 困 難 である。それらのニーズに 対 して、 全 国 のハローワーク 等で 利 用 できる、 次 のような 様 々な 移 行 の 段 階 に 対 応 した、 試 行 的 な 就 労 の 制 度 がある。• トライアル 雇 用• ステップアップ 雇 用また、これらの 実 際 の 職 場 での 就 労 機 会 以 前 の 模 擬 的 な 職 業 場 面 でのアセスメントについても、 活 用 できる 雇 用 支 援 制 度 もある。• 障 害 者 職 業 センターの 職 業 準 備 支 援-137- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言• 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援精 神 障 害 者 の 職 場 定 着 のためには、 医 療 機 関 による 実 際 の 職 業 場 面 での 疾 患 管 理 等 が 不 可 欠 である。しかし、トライアル 雇 用 等 の 就 労 支 援 制 度 は、これまで、これらの 医 療 的 なニーズに 対 応 できるものという 理 解は 十 分 でない。就 労 支 援 者 側 が、 医 療 機 関 のニーズに 対 して 積 極 的 にサポートし、 職 場 における 支 援 や 状 況 把 握 と 医 療 機関 へのフィードバック 等 に 取 り 組 むことが 重 要 である。さらに、 医 療 機 関 による 職 場 への 働 きかけ、 職 業 場面 でのアセスメント、アセスメント 結 果 の 医 療 機 関 へのフィードバックも 担 当 できるように、チーム 支 援 等で 多 機 関 によるケースマネジメント 体 制 を 構 築 できるとよい。5 労 働 関 係 機 関 の 専 門 支 援 者 の 有 効 活 用医 療 機 関 から 職 場 や 地 域 での 支 援 を 実 施 することは 困 難 とされる 場 合 が 多 いが、 就 職 前 から 就 職 後 まで 継続 的 に、 職 場 や 関 係 機 関 をつないで 支 援 できる 雇 用 支 援 制 度 による 担 当 者 としては、ジョブコーチ、 精 神 障害 者 雇 用 トータルサポーター、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターの 支 援 者 等 が 活 用 できる。• ジョブコーチ( 職 場 適 応 援 助 者 )• 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター• 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターこのような 労 働 側 の 制 度 による 専 門 支 援 者 は、 上 述 の 様 々な 連 携 の 局 面 において 支 援 を 提 供 できる。-138- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言第 4 節 提 言統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 の 疾 患 種 類 ・ 程 度 にかかわらず、 精 神 障 害 のある 人 たちが 地 域 でその人 らしく 生 活 ・ 人 生 を 送 れるようにするためには、 精 神 障 害 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 に 向 けた 社 会 的 支援 が 不 可 欠 である。しかし、 精 神 障 害 のある 人 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 対 応 できる、 地 域 における支 援 体 制 が 未 整 備 である。その 問 題 解 決 のため、 医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 今 後 共 同 で 実 施 することが 可 能 であり 効 果 が 見 込 まれる 具 体的 な 事 業 内 容 を 明 確 化 しその 確 実 な 実 施 を 促 進 すること、 及 び、その 実 施 のための、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援担 当 者 の 整 備 を 提 言 する。これは、 今 後 の 就 労 支 援 の 成 果 向 上 が 期 待 でき、 医 療 機 関 でも 必 要 性 の 共 通 認 識 やニーズが 高 い 事 項 への支 援 のための、 労 働 行 政 のあり 方 に 絞 ったものであり、 就 労 支 援 機 関 側 から、 医 療 機 関 に 積 極 的 に 働 きかけることにより、 精 神 障 害 のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 ができる 社 会 体 制 の 整 備 を 進 めることを 目 指すものである。1 既 存 の 雇 用 支 援 制 度 を 活 用 した 医 療 機 関 と 労 働 機 関 の 協 働既 に 本 章 第 3 節 で 指 摘 したように、 既 にある 雇 用 支 援 制 度 について、 医 療 機 関 と 共 同 で 実 施 することによって、 相 乗 効 果 が 期 待 できる 局 面 が 多 くある。ただし、 現 状 では、 多 くの 医 療 機 関 ではそれらの 制 度 の 存 在は 知 っており、 利 用 意 向 があっても、 効 果 的 な 活 用 につながっていない。「 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関 の 連 携 」といった 漠 然 としたイニシアチブではなく、 以 下 のような 具 体 的 な 連携 の 局 面 と 内 容 において、 労 働 機 関 側 から 医 療 機 関 側 に 積 極 的 に 働 きかけ、 医 療 機 関 側 の 就 労 支 援 ニーズに対 応 できる 既 存 の 雇 用 支 援 制 度 の 活 用 を 促 進 する 様 々な 共 同 事 業 を、 地 域 において 展 開 することが 必 要 である。(1) 幅 広 い 就 労 希 望 者 への 就 労 支 援 の 提 供「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」と 医 療 機 関 の 医 療 ・ 生 活 支 援 ・ 相 談 を組 み 合 わせた 事 業 によって、 従 来 、 就 労 支 援 の 対 象 となっていなかった 多 くの 精 神 障 害 者 に 対 して、 就 労 支援 の 情 報 提 供 や、 就 職 セミナー・ 見 学 会 、OB 交 流 、 経 済 的 相 談 等 を 総 合 的 に 実 施 する。また、 就 労 希 望 者 に 対 して、ハローワークのチーム 支 援 の 枠 組 み 等 を 活 用 して、 関 係 者 を 集 めた 医 療 ・ 生活 ・ 就 労 支 援 を 一 体 的 に 検 討 するケース 会 議 を 実 施 する。医 療 機 関 だけで 就 労 移 行 支 援 事 業 所 等 への 移 行 を 決 定 するのではなく、このような 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援のケース 会 議 を 踏 まえて 決 定 することで、より 適 切 な 支 援 を 提 供 できる。(2) 就 職 活 動 の 支 援 のためのケースワーク精 神 障 害 者 の 就 職 活 動 における、キャリア 支 援 、 仕 事 内 容 の 検 討 、 職 探 し、 職 場 開 拓 、 職 場 への 説 明 、 自己 アピール、 職 場 状 況 の 確 認 と 整 備 、 事 業 主 との 交 渉 等 は、それぞれが 密 接 に 関 わっており、 特 に、 医 療 機関 と 就 労 支 援 機 関 の 密 接 なケースワークが 必 要 な 局 面 である。医 療 機 関 は 就 職 前 まで、 就 職 活 動 は 労 働 機 関 にという 役 割 分 担 は 機 能 しない。チーム 支 援 等 により、 職 探-139- - -


第 5 章 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言しから 就 職 活 動 まで、 医 療 機 関 と 労 働 機 関 が 密 接 に 連 携 する 体 制 が 必 要 である。(3) 職 場 定 着 ・ 就 業 継 続 支 援 のための 医 療 リハビリテーションの 支 援精 神 障 害 は、 就 職 後 も 疾 患 悪 化 や 生 活 状 況 悪 化 のリスクが 継 続 し、それが 就 業 継 続 の 大 きなリスクとなる。実 際 の 職 業 生 活 における 継 続 的 な 疾 患 管 理 や 生 活 支 援 が 実 施 される 必 要 があるが、 現 実 には、 就 職 後 の 支 援への 医 療 機 関 の 関 与 は 十 分 でない。実 際 の 職 業 生 活 場 面 での 職 業 アセスメント 結 果 を 医 療 機 関 側 にフィードバックし、 継 続 的 な 医 療 管 理 ができるように 支 援 することが 必 要 である。精 神 障 害 は 体 調 悪 化 等 のリスクは 継 続 するために、 就 職 後 のフォローアップ 期 間 は 期 限 が 定 められない。職 場 、 定 期 的 通 院 先 の 主 治 医 等 との 連 絡 体 制 を 構 築 し、 問 題 状 況 に 素 早 く 予 防 的 に 対 応 できるようにすることが 必 要 である。2 モデル 的 な 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 の 配 置1のような、 精 神 障 害 のある 人 の、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 ニーズに 一 体 的 に 対 応 する 共 同 事 業 を 効 果 的 に実 施 するためには、 積 極 的 に 就 労 支 援 を 実 施 する 医 療 機 関 が 中 心 となって、 地 域 の 医 療 機 関 と 就 労 支 援 機 関のネットワークを 構 築 していくことが 必 要 である。その 中 心 として 機 能 できる 機 関 における 人 材 の 確 保 と 経済 的 基 盤 の 整 備 が 必 要 である。こういったネットワークの 構 築 により、 診 療 中 心 の 医 療 機 関 が、 就 労 支 援 を 実 施 する 医 療 機 関 につながりやすくなり、また、 就 労 支 援 を 実 施 している 医 療 機 関 と 地 域 の 就 労 支 援 機 関 との 連 携 も 実 施 しやすくなり、地 域 全 体 の 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 のネットワークの 活 性 化 につなげることが 必 要 である。また、 現 在 の 地 域 においては、 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 のネットワーク 整 備 が 中 心 であるが、そのネットワークを 相 互 補 完 するネットワークによって、 地 域 全 体 のネットワークの 発 展 も 期 待 する。これは、いわゆる 箱 ものではなく、 機 能 を 持 たせるという 意 味 で、 現 在 、 地 域 において 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労支 援 の 一 体 的 取 組 を 実 施 している 医 療 機 関 であって、 地 域 の 医 療 - 就 労 ネットワークの 中 核 的 な 存 在 になる機 関 を 選 定 して 行 うことが 良 いと 考 える。この 医 療 機 関 における 就 労 支 援 担 当 者 は、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援の 一 体 的 コーディネートを 担 当 するため、 調 査 結 果 でも 多 かった 精 神 保 健 福 祉 士 、 保 健 師 、 看 護 師 、 作 業 療法 士 等 の 医 療 従 事 者 が 適 当 であり、 必 要 に 応 じて 就 労 支 援 の 専 門 研 修 等 を 実 施 する 必 要 もあるだろう。 診 療報 酬 では 専 門 職 の 兼 職 は 認 められないため、 基 準 外 の 人 員 として 配 置 し、その 際 の 財 政 的 支 援 は 人 的 基 準 や支 援 の 内 容 によって 定 めることとするのが 良 いだろう。-140- - -


巻 末 資 料資 料 1 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるために 医 療 機関 等 で 実 施 されている 取 組 の 状 況 に 関 する 調 査 票資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 4 類 型 の 具 体 的 内 容資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について資 料 4 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 設 置 要 綱資 料 5 調 査 研 究 委 員 会 議 事- 149 -


精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるために医 療 機 関 等 で 実 施 されている 取 組 の 状 況 に 関 する 調 査についてのお 願 い● 精 神 疾 患 等 のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 を 支 える 支 援 のあり 方 について、 医 療 機 関 等 の 実 態 とご 意 見 についてお 聞 かせ 下 さい。★ 本 調 査 の 目 的 : 精 神 疾 患 等 ( 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん、 等 )のある 人 の 疾 患 管 理 と 職 業 生活 の 両 立 を 支 える 地 域 支 援 体 制 を 構 築 するためには、 医 療 機 関 における 主 治 医 や 医 療 ・ 生 活 支 援 スタッフのご 協 力 が 不 可 欠 と 考 えております。 本 調 査 は、 全 国 の 精 神 ・ 神 経 科 の 医 療 機 関 等 における、精 神 疾 患 等 のある 人 の 就 職 ・ 復 職 のニーズに 対 する、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 等 の 現 状 や、 今 後 のあり方 についてのお 考 えをお 聞 きするものです。★ 実 施 主 体 : 独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センターが 実 施 します。● 調 査 結 果 は 今 後 の 厚 生 労 働 施 策 の 検 討 の 資 料 となります。本 調 査 の 結 果 は、 今 後 のわが 国 における、 精 神 疾 患 等 のある 人 の 労 働 側 の 対 策 を 中 心 とした 厚 生労 働 施 策 の 検 討 のための 重 要 な 資 料 となるものです。また、 調 査 結 果 は、 個 人 や 個 別 機 関 が 特 定 されない 形 で 報 告 書 として 公 刊 されるとともに、 論 文 や 学 会 において 発 表 することも 検 討 しております。● 回 答 をお 願 いしたい 方貴 機 関 において、 精 神 疾 患 等 のある 人 の、 就 職 や 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 主 に 担 当 している 方 にご 回 答 をお 願 いいたします。※ 就 職 や 復 職 についての 相 談 等 が 特 にない 場 合 には、より 一 般 的 に 生 活 面 の 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 担 当 している 方 にご 回 答 をお 願 いいたします。※もし、 該 当 しない 部 署 に 送 付 された 場 合 は、 大 変 お 手 数 ですが、この 調 査 の 趣 旨 をお 汲 み 取 りの 上 、 貴機 関 内 の 該 当 部 署 への 転 送 のご 配 慮 をお 願 い 申 し 上 げます。( 同 一 法 人 であっても 別 機 関 には 転 送せず、 貴 機 関 内 での 主 な 担 当 者 のご 回 答 をお 願 いいたします。)● 調 査 データの 管 理○ 障 害 者 職 業 総 合 センターは「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」に 基 づき 設 置 され、 障 害 者 の 雇用 に 関 する 情 報 の 収 集 ・ 分 析 ・ 提 供 、 職 業 リハビリテーションに 関 する 調 査 及 び 研 究 等 の 業 務 を 行 う機 関 です。 調 査 データは、「 独 立 行 政 法 人 等 の 保 有 する 個 人 情 報 の 保 護 に 関 する 法 律 」、 当 機 構 の規 定 等 に 基 づき、 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 部 門 において 厳 重 に 管 理 します。●ご 理 解 とご 協 力 をお 願 いいたします。○ 調 査 の 趣 旨 をご 理 解 の 上 、ご 協 力 をよろしくお 願 いいたします。 調 査 へのご 協 力 は 任 意 です。○ご 希 望 の 方 には 調 査 結 果 を 電 子 メールでお 送 りいたします。( 最 終 ページにアドレスをご 記 入 下 さい。)○ 勝 手 なお 願 いで 申 し 訳 ありませんが、ご 回 答 いただいた 調 査 票 は、お 早 めに 同 封 の 封 筒 でご 返 送 下 さい。 平 成 23 年 10 月 15 日 までを 目 安 にご 返 送 をお 願 いいたします。※ 期 限 を 多 少 過 ぎても 大 丈 夫 です。※ 全 てご 回 答 いただけなくても、ご 回 答 いただけた 部 分 だけのご 返 送 で 結 構 です。○ 調 査 についてのご 質 問 などありましたら、お 手 数 ですが、 下 記 までお 問 い 合 わせ 下 さい。独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門〒261-0014 千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3 担 当 : 春 名 (はるな)、 鴇 田 (ときた)独 立 行 政 法 人高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構Japan Organization for Employment of the Elderly and Persons with Disabilities (JEED)独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター電 話 : 043-297-9075( 月 ~ 金 9:00~17:00)FAX: 043-297-9057電 子 メール: ssdiv@jeed.or.jphttp://www.nivr.jeed.or.jp/(センター)ウェブサイト: http://www.jeed.or.jp/( 機 構 )( 平 成 23 年 10 月 1 日 より 組 織 改 変 により、 機 構 名 は「 独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構 」に 変 更 します。)資 料 11 / 8 ページ匿 名 による 機 関 属 性別 集 計 用 整 理 番 号-141-


本 調 査 では、 精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるため 取 組 の 具 体 的 内 容 や 必 要 性 は、ご 回 答 者の 部 署 に 多 い 疾 患 ( 統 合 失 調 症 / 気 分 障 害 /てんかん 等 )、 患 者 ニーズ( 新 規 就 職 / 休 職 者 の 復 職等 ) 等 により 異 なることを 想 定 しています。 以 下 の 質 問 では、ありのままの 状 況 をお 答 え 下 さい。Ⅰ. 貴 部 署 における 主 な 対 象 疾 患 、 支 援 ・ 治 療 の 概 要 について問 1. 回 答 者 の 部 署 名 ・ 職 名( 本 調 査 のご 回 答 は、 就 職 や 復 職 に 向 けた 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 主 に 担 当 している 方 [ 就 職 や 復 職 の 相 談 等 がない 場 合 には、 一 般 的 に 生 活 面 に 関 する 相 談 や 支 援 ・ 治 療 を 担 当 している 方 ] にお 願 いしています。)部 署 ( 診 療 科 ) 名職 名問 2. 回 答 者 の 資 格 等 ( 当 てはまるもの 全 てに○)1 医 師 2 保 健 師 3 看 護 師 4 精 神 保 健 福 祉 士 5 作 業 療 法 士6 臨 床 心 理 士 / 心 理 療 法 士 7 医 療 ソーシャルワーカー 8 社 会 福 祉 士 9 ケースワーカー10 職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ 11 ピア 支 援 員 12 その 他 ( )問 3. 回 答 者 の、 貴 機 関 における、 就 職 や 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 は、 専 任 と 兼 務 のどちらに 近 いですか。就 職 や 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 専 任 / 兼 務 の 状 況最 も 近 いもの 一 つに○就 職 ・ 復 職 支 援 を 主 に 担 当 し、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 には 直 接 関 わらない 1就 職 ・ 復 職 支 援 を 主 に 担 当 しているが、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 兼 務 している 2治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 を 主 に 担 当 しているが、 就 職 ・ 復 職 の 支 援 も 実 施 している 3治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 の 担 当 であり、 就 職 ・ 復 職 の 直 接 支 援 はほとんど 実 施 しない 4問 4. 貴 部 署 においては、 次 の 疾 患 について、どの 程 度 対 応 していますか。( 重 複 する 疾 患 はそれぞれ 回 答 )疾 患 名 日 常 的 に 対 応 時 々 対 応 ほとんど/ 全 く 対 応 なし1 統 合 失 調 症 (F2) 1 2 32 気 分 [ 感 情 ] 障 害 (F3) 1 2 33 不 安 障 害 、 強 迫 性 障 害 等 (F4, F5) 1 2 34 成 人 の 人 格 及 び 行 動 の 障 害 (F6) 1 2 35 心 理 的 発 達 の 障 害 、 多 動 性 障 害 等 (F8, F9) 1 2 36 知 的 障 害 ( 精 神 遅 滞 )(F7) 1 2 37 認 知 症 等 (F00-F05) 1 2 38 脳 損 傷 等 による 精 神 障 害 等 (F06-F07) 1 2 39てんかん(G40) 1 2 3問 5. 貴 部 署 で 支 援 ・ 治 療 している 患 者 の 状 態 は、 次 の 状 況 にどの 程 度 当 てはまりますか。生 活 ・ 就 労 状 況比 較 的多 い一 部 事 例があるほとんど~全 くいない1 入 院 1 2 3 42 無 職 で 在 宅 で 生 活 している 1 2 3 43 休 職 中 1 2 3 44 日 中 は 福 祉 的 就 労 、 作 業 所 、デイケアを 利 用 している 1 2 3 45 短 時 間 の 一 般 の 仕 事 (アルバイト、パート 等 )に 就 いている 1 2 3 46フルタイムの 一 般 の 仕 事 に 就 いている 1 2 3 47 障 害 者 手 帳 を 所 持 し、 障 害 を 開 示 して 働 いている 1 2 3 4不 明2 / 8 ページ-142-


問 6. 貴 部 署 では、 無 職 や 休 職 中 の 患 者 が「 働 きたい」と 言 った 場 合 、どのように 対 応 することが 多 いですか。就 職 ・ 復 職 希 望 者 への 対 応 の 例最 も 近 いもの 一 つに○自 機 関 ・ 法 人 の 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラムの 利 用 を 勧 める 1地 域 で 支 援 が 受 けられるように 関 係 機 関 等 に 紹 介 / 連 絡 / 同 行 する 2就 労 について 相 談 できる 地 域 の 関 係 機 関 等 を 案 内 する 3症 状 の 安 定 や 治 療 を 優 先 するように 説 明 する 4その 他 ( ) 5問 6で「1」にご 回 答 の 場 合 、 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム 等 の 名 称 や 簡 単 な 内 容 説 明 をお 書 き 下 さい。(パンフレットや 配 布 資 料 等 がありましたら 一 部 同 封 いただけますと 幸 いです。)⇒ その 就 職 ・ 復 職 支 援 プログラム 等 の 最 近 の 年 間 利 用 者 はおよそ 何 名 ですか。利 用 開 始 時 に: 1 無 職 / 休 職 中 だった 人 : 約 名 、2 仕 事 に 就 いていた 人 : 約 名⇒ そのプログラム 等 を 利 用 するために、 患 者 の 側 に 何 か 条 件 はありますか。利 用 条 件 は 特 にない 1 患 者 側 の 利 用 条 件 がある 場 合 、その 具 体 的 条 件 :利 用 条 件 がある 2⇒ その 利 用 者 のうち、 新 しく 就 職 や 復 職 ができた 人 はおよそ 何 名 ですか。(「 就 職 」「 復 職 」には 正 社 員 だけでなく、アルバイトやパート 等 の 一 般 的 な 賃 金による 雇 用 を 含 みますが、 作 業 所 、デイケア 等 の 福 祉 的 就 労 は 含 みません。)年 間 約名⇒ プログラム 等 を 運 営 する 資 金 源 は 何 ですか。プログラム 等 の 資 金 源 主 な 資 金 源 資 金 の 一 部 非 該 当1デイケア 等 の 診 療 報 酬 1 2 32 診 療 報 酬 外 の 機 関 予 算 1 2 33 職 場 適 応 援 助 者 助 成 金 1 2 34 支 援 対 象 者 が 支 払 うサービス 料 金 1 2 35その 他 ( ) 1 2 3問 7. 貴 部 署 における、 患 者 の 就 職 や 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 全 般 的 な 実 施 状 況 はいかがですか。就 職 ・ 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 内 容日 常 的 に実 施時 々実 施患 者 ニーズはあるが 実 施 なし特 に 患 者ニーズなし内容場所対象1 就 職 経 験 の 少 ない 人 への 就 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 1 2 3 42 病 気 による 退 職 者 への 再 就 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 1 2 3 43 休 職 中 の 人 への 復 職 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 1 2 3 44 就 職 中 の 人 の 就 業 継 続 と 病 状 安 定 の 支 援 ・ 治 療 1 2 3 45 外 来 の 診 療 場 面 ( 就 職 や 復 職 の 相 談 、 助 言 、 治 療 等 ) 1 2 3 46 診 療 以 外 の 施 設 内 ( 訓 練 や 評 価 、 精 神 ・ 心 理 療 法 等 ) 1 2 3 47 施 設 外 ( 求 人 や 職 場 の 確 認 、 就 職 ・ 就 労 継 続 支 援 等 ) 1 2 3 48 患 者 ( 相 談 、 評 価 、 治 療 、 訓 練 、 支 援 等 ) 1 2 3 49 企 業 の 担 当 者 ・ 産 業 医 等 ( 情 報 提 供 や 相 談 ・ 支 援 等 ) 1 2 3 410 外 部 の 就 労 支 援 機 関 ( 情 報 提 供 、 連 絡 調 整 や 会 合 等 ) 1 2 3 4問 7の1~10 全 てのご 回 答 が「4」の 場 合 : ⇒ 最 終 ページにお 進 み 下 さい。※ 問 7の1~10で、1つでも「1」「2」「3」のご 回 答 のあった 場 合 : ⇒ 次 ページの 問 8 以 降 にもお 答 え 下 さい。3 / 8 ページ-143-


Ⅱ. 就 職 ・ 復 職 等 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 現 状 、 及 び、 職 業 上 の 課 題 について問 8. 患 者 の 就 職 ・ 復 職 等 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 に 関 して、 以 下 に 示 した 取 り 組 みは 実 施 されていますか。 外 部 機関 (ハローワーク、 産 業 医 、 職 場 担 当 者 等 : 問 13 参 照 )の 協 力 ・ 実 施 状 況 も 含 めてご 回 答 下 さい。○ 貴 部 署 で 日 常 的 に 接 している 患 者 に 関 して、その 就 職 や 復 職 等 に 向 けた 支 援 ・ 治 療 の 状 況 について、 貴 部 署を 含 む 貴 機 関 全 体 や、 外 部 機 関 による 実 施 を 含 め、 回 答 者 がお 分 かりになる 範 囲 でご 回 答 下 さい。○ 現 在 特 に 支 援 がない 場 合 や 状 況 が 不 明 な 場 合 については、それが 患 者 にとって 必 要 かどうかを、 貴 機 関 での実 施 意 向 にかかわらず、 労 働 関 係 機 関 等 が 実 施 すべき 内 容 も 含 めて、 回 答 者 のお 考 えをお 答 え 下 さい。本 問 に 挙 げた 支 援 内 容 は、 対 象 疾 患 ( 統 合 失 調 症 、 気 分 障 害 、てんかん 等 )、 就 職 支 援 や 復 職 支 援 の 重 点の 置 き 方 等 により、 貴 機 関 での 実 施 や 必 要 性 がないことも 想 定 しています。ありのままをお 答 え 下 さい。問 8-1. 無 職 あるいは 休 職 中 の 患 者 に 対 する 情 報 提 供 等 について無 職 / 休 職 者 に 対 する 情 報 提 供 等 の 内 容1 就 職 や 復 職 の 希 望 を 表 明 していない 患 者 に 対 して、 希望 を 表 明 しやすいように 働 きかける2 就 職 ・ 復 職 に 関 する 案 内 、ミーティングや、セミナー 等を 実 施 する3 同 じ 疾 患 があって 働 いている 人 から 学 んだり、 交 流 したりできる 場 を 設 定 する4 就 職 ・ 復 職 に 伴 う 生 活 の 変 化 、 生 活 保 護 や 障 害 年 金の 条 件 の 変 化 等 の 経 済 的 問 題 について 検 討 する上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 5問 8-2. 仕 事 とのマッチングや 個 別 のニーズに 対 する 支 援 について仕 事 とのマッチングや 個 別 のニーズに 対 する 支 援 の 内 容1 本 人 の 生 きがいにつながるよう、 本 人 の 興 味 や 強 みを明 確 にし、それを 活 かせる 職 探 しを 支 援 する2 体 調 の 悪 化 や 危 険 を 防 止 できる 仕 事 内 容 や 職 場 の 条件 を 明 確 にし、 条 件 に 合 った 職 探 しを 支 援 する3 履 歴 書 や 就 職 面 接 で、 病 状 や 必 要 な 配 慮 の 説 明 がうまくできるように 助 言 や 支 援 をする4 就 職 や 復 職 の 前 に 実 際 の 仕 事 内 容 や 職 場 の 状 況 について 確 認 して 対 策 を 検 討 する5 精 神 疾 患 にマッチする 仕 事 の 情 報 を 増 やしたり、 仕 事 のマッチングの 検 討 のための 職 場 実 習 等 を 支 援 する6 本 人 に 合 った 仕 事 を 探 すため、 様 々な 手 段 を 使 い 求 人情 報 や 会 社 情 報 を 収 集 する( 作 業 所 等 は 含 まない)上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 54 / 8 ページ-144-


問 8-3. 患 者 の 就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 (アセスメント)について就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 の 方 法1 就 職 / 復 職 後 の 実 際 の 職 場 において、 支 援 の 提 供 と 並行 して 情 報 収 集 して 評 価 する2 実 際 の 職 場 での 実 習 やリハビリ 出 勤 等 において、 情 報収 集 して 評 価 する3 就 職 後 の 職 業 生 活 場 面 を 想 定 した 模 擬 的 な 場 面 を 設定 して、その 中 で 評 価 する4 集 団 的 な 生 活 場 面 や 作 業 場 面 を 設 定 して、その 中 で 評価 する自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 55 治 療 場 面 における 病 状 等 を 踏 まえて 評 価 する 1 2 3 4 56 相 談 等 で 本 人 と 一 緒 に 課 題 や 支 援 ニーズを 評 価 する 1 2 3 4 5上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他本人支援受診や治療等の配慮そもそも、 就 職 や 復 職 に 向 けた 課 題 等 の 評 価 が 困 難 ・ 不 明 瞭 である、とお 考 えの 方 ⇒□(チェック)問 8-4. 働 いている 患 者 への 疾 患 管 理 の 問 題 等 への 対 応 について働 いている 患 者 の 問 題 等 への 対 応 の 内 容1 予 防 的 に、 本 人 に 職 場 内 外 での 体 調 悪 化 時 の 対応 を 助 言 ・ 指 導 する2 就 職 や 復 職 後 の 体 調 悪 化 時 に、 職 場 / 本 人 / 家族 / 関 係 機 関 等 から 連 絡 が 入 るようにする3 定 期 的 あるいは 随 時 に 患 者 から 職 業 生 活 上 の 不安 ・ 課 題 や 体 調 について 相 談 にのる4 休 職 や 退 職 を 余 儀 なくされた 際 に、 心 理 的 に 前 向きに 支 える5 就 労 している 人 が 通 院 しやすいように、 診 療 や 相談 の 時 間 帯 や 曜 日 を 配 慮 する6 外 来 は、 予 約 の 時 間 通 り(1 時 間 以 内 のずれ)で受 診 できる7 就 労 の 妨 げになる 副 作 用 が 少 なく、 就 労 形 態 に 合わせた 服 薬 しやすい 処 方 内 容 とする8 就 労 している 患 者 が 夜 間 や 休 日 等 に 集 まれる 場を 設 ける職 9 患 者 の 職 務 や 職 場 状 況 についての 評 価 や、その場 改 善 のための 助 言 や 支 援 をする支 10 職 場 の 担 当 者 や 支 援 者 に、 職 場 適 応 を 進 めるた援 めの 情 報 提 供 や 相 談 ・ 支 援 を 行 う上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 外 部 機 関 ・ 支 援 者 、その 他自 機 関が 主 に実 施自 機 関 と外 部 機 関の 協 力 により 実 施外 部 機関 が 主に 実 施患 者 のためには 必要 だが、実 施 なし不 要 のため実 施 なし1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 55 / 8 ページ-145-


問 9. 広 い 意 味 で 患 者 の 職 業 生 活 を 支 える 可 能 性 のある 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 は、 貴 部 署 を 含 め、 貴 機 関 全 体として、 実 施 されていますか。○ 回 答 者 がお 分 かりになる 範 囲 で、 貴 機 関 での 実 施 状 況 をありのままにご 回 答 下 さい。問 9-1 患 者 の 自 己 管 理 や 社 会 生 活 能 力 の 向 上 のための 支 援 や 治 療 について自 己 管 理 や 社 会 生 活 能 力 の 向 上 の 支 援 や 治 療 の 内 容 経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明1 患 者 本 人 による 目 標 設 定 とそのモニタリング・ 修 正 1 2 3 42 認 知 行 動 療 法 1 2 3 43 職 業 場 面 を 想 定 したロールプレイ 1 2 3 44 職 場 での 対 人 技 能 や 対 処 技 能 ( 含 .リスク 対 処 )の 教 育 ・ 訓 練 1 2 3 45 再 発 防 止 の 教 育 ・ 訓 練 、 注 意 サインの 特 定 、ストレスマネジメント 1 2 3 46 服 薬 に 関 する、 自 己 管 理 ( 服 薬 忘 れ 防 止 等 )の 方 法 や 医師 への 相 談 の 支 援上 記 の 詳 細 、その 他1 2 3 4問 9-2 患 者 の 地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 について地 域 生 活 支 援 や 家 族 支 援 の 内 容経 常 的 に 実 施 例 外 的 に 実 施 実 施 なし 不 明1ケースマネジメントや 多 職 種 チームでの 支 援 1 2 3 42 医 療 面 と 生 活 面 ( 住 居 、 就 労 、 薬 物 乱 用 等 )の 一 体 的 な 相 談 ・ 支 援 1 2 3 43 患 者 の 地 域 生 活 での 危 機 的 状 況 への 対 応 体 制 の 整 備 1 2 3 44 患 者 の 治 療 からのドロップアウト 防 止 のための 関 係 づくり 1 2 3 45 患 者 を 取 り 巻 く 家 族 、 家 主 、 雇 用 主 等 との 協 力 1 2 3 46 患 者 の 家 族 への 精 神 疾 患 や 対 処 法 の 説 明 1 2 3 47 患 者 家 族 が、 患 者 への 接 し 方 やストレス 軽 減 の 方 法 を 学ぶことができるセミナーやセッション1 2 3 48 複 数 家 族 のグループセッションやワークショップ 1 2 3 49 家 族 が 困 った 時 にいつでも 相 談 しやすい 体 制 づくり 1 2 3 4上 記 の 詳 細 、その 他問 10. 貴 部 署 の 患 者 が 次 のような 職 業 生 活 上 の 課 題 を 抱 えている 場 合 、 解 決 できていますか。課 題 があるが 未 解 決 の 特 に解 決 可 能 な 課 題 が 課 題 は貴 部 署 の 患 者 の 職 業 生 活 上 の 課 題 の 内 容場 合 が 多 い 多 くある 多 くない1 本 人 が 能 力 を 発 揮 でき 無 理 なくできる 仕 事 を 探 すこと 1 2 3 42 就 職 活 動 ( 応 募 、 面 接 等 )をスムーズに 行 うこと 1 2 3 43 仕 事 上 のストレスへの 対 処 、 疾 患 管 理 と 職 業 生 活 の 両 立 1 2 3 44 職 務 遂 行 上 の 個 別 課 題 や、 危 険 状 況 の 回 避 や 対 処 1 2 3 45 遅 刻 や 欠 勤 、 長 期 休 職 、 退 職 のない 安 定 した 就 業 1 2 3 46 職 場 の 理 解 や 協 力 、 良 好 な 人 間 関 係 を 得 ること 1 2 3 47 就 労 者 について、 昇 進 や 報 酬 に 関 する 本 人 の 満 足 1 2 3 4上 記 の 詳 細 、その 他不 明6 / 8 ページ-146-


Ⅲ. 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 職 ・ 復 職 支 援 の 効 果 的 な 連 携 について問 11. 貴 機 関 の、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保 の 方 針 について就 職 ・ 復 職 支 援 を 担 当 する 専 門 スタッフの 確 保最 も 近 いもの 一 つに○自 機 関 スタッフが 主 に 担 当 する 1自 機 関 スタッフと 外 部 就 労 支 援 機 関 が 同 程 度 の 役 割 で 担 当 する 2外 部 就 労 支 援 機 関 が 主 に 担 当 する 3就 職 ・ 復 職 支 援 について 特 に 方 針 はない 4問 12. 貴 機 関 の、 治 療 ・ 医 療 ・ 生 活 支 援 ( 医 療 的 支 援 )と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 連 携 促 進 のための 取 組 について連 携 促 進 の 取 組( 就 職 ・ 復 職 支 援 が 外 部 機 関 の 担 当 者 による 場 合 を 含 む)実 施 しており、 機 能している実 施 しているが、課 題 あり1 自 機 関 の 医 療 専 門 職 が、 就 職 ・ 復 職 支 援 を 併 せて 担 当 すること 1 2 32 医 療 的 支 援 と、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 間 の 日 常 的 コミュニケーション 1 2 33 医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 の 担 当 者 の 共 同 のケース 会 議 ・カンファレンス 等 1 2 34 医 療 的 支 援 、 就 職 ・ 復 職 支 援 等 を 包 含 する 共 通 カルテ・ 様 式 等 の 使 用 1 2 3上 記 の 詳 細 、 具 体 的 課 題 、その 他特 に 実施 していない問 13. 貴 機 関 の 患 者 の 就 職 ・ 復 職 に 関 する 評 価 ・ 支 援 を 行 う 際 に、 次 の 外 部 機 関 等 とどの 程 度 連 携 していますか。 (それぞれの 外 部 機 関 等 について、 最 も 近 いもの1つずつに○。)多 くの 患 者 の 個 別 ケースに 関 する 連 携 は個 別 の 評 価 ・ 連 携 は 少 ない ほとんどない連 携 する 外 部 機 関 等支 援 で 連 携 ( 定 期 連 絡 等 が 中 心 ) ~ 全 くない就労支援機関その他1ハローワーク 1 2 32 障 害 者 職 業 センター 1 2 33 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター 1 2 34 職 場 適 応 援 助 者 /ジョブコーチ 1 2 35 就 労 移 行 支 援 事 業 所 1 2 36 他 機 関 の 主 治 医 、 医 療 関 係 者 等 1 2 37 産 業 医 ・ 産 業 保 健 師 ・ 産 業 看 護 師 1 2 38 職 場 の 人 事 ・ 労 務 担 当 、 上 司 等 1 2 3上 記 の 詳 細 、 具 体 的 な 連 携 の 内 容 、その 他問 14. 回 答 者 の、 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 的 知 識 やスキル 向 上 のための 情 報 源 は 何 ですか。就 職 ・ 復 職 支 援 の 知 識 やスキルの 情 報 源主 要 な情 報 源 である利 用 したことがある利 用 したことはないが利 用 したい特 に必 要 を感 じない1 図 書 、 論 文 、 雑 誌 ・ジャーナル 等 1 2 3 42 学 会 、 研 究 会 、セミナー 1 2 3 43 就 職 ・ 復 職 支 援 に 関 する 専 門 教 育 、 資 格 認 定 研 修 等 1 2 3 44 実 務 場 面 でのスーパーバイザーの 助 言 ・ 指 導 1 2 3 4上 記 の 詳 細 、その 他7 / 8 ページ-147-


Ⅳ. 精 神 疾 患 等 のある 人 を 支 える 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 について問 15. 貴 機 関 における 支 援 ・ 治 療 において、 次 のような 雇 用 支 援 制 度 の 認 知 ・ 活 用 状 況 はいかがですか。雇 用 支 援 制 度1ハローワークの 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター(カウンセリングや 就 職 準 備 プログラム、 企 業 への 働 きかけ 等 を 実 施 )2 精 神 障 害 者 ステップアップ 雇 用 奨 励 金 ( 精 神 障 害 者 を 試 行 的に 雇 用 し、 徐 々に 就 業 時 間 を 伸 ばしていく 企 業 の 奨 励 )3 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 (ハローワークが 医 療 機関 等 を 訪 問 して 利 用 者 に 就 職 活 動 等 をガイダンス)4ハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」( 関 係 機 関 の 連 携 による 就 職 から 職 場 定 着 まで 個 別 的 で 一 貫 した 支 援 )5 職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ) 事 業 ( 職 場 に 出 向 き、 障 害 者への 支 援 、 企 業 側 の 上 司 や 同 僚 等 への 助 言 等 を 実 施 )6トライアル 雇 用 (3ヶ 月 の 試 行 的 雇 用 により、 本 人 と 企 業 側 の 双 方の 不 安 の 軽 減 につなげ 常 用 雇 用 の 移 行 を 目 指 す 企 業 の 奨 励 )7 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 (うつ 病 等 による 休 職 者 の職 場 復 帰 の 支 援 )上 記 の 詳 細 、その 他知 っていた活 用 した 今 後ことが 活 用ある したい特 に必 要ない知 らなかった今 後 特 に活 用 必 要したい ない1 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 51 2 3 4 5自 由 記 述精 神 疾 患 等 のある 人 の 職 業 生 活 を 支 えるあり 方 等 、ご 意 見 等 いただけますと 幸 いです。訪 問 調 査 の 可 否 ( 本 欄 にご 記 入 された 内 容 は、 訪 問 調 査 についての 問 い 合 わせの 目 的 のためだけに 利 用 します。)本 調 査 結 果 を 踏 まえて、 今 後 のあり 方 の 検 討 に 参 考 となる 取 組 について、 訪 問 調 査 をさせていただきたいと 考 えております。 訪 問 調 査 についてお 問 い 合 わせをしても 差 し 支 えない 場 合 は、 下 の 欄 に、ご 連 絡 先 をご 記 入 下 さい。担 当 者 のお 名 前貴 機 関 名〒電 話 番 号 :調 査 結 果 のご 送 付 ( 本 欄 にご 記 入 された 内 容 は、 調 査 結 果 の 送 付 の 目 的 のためだけに 利 用 します。)本 結 果 の 報 告 を 必 要 とされる 方 には、 電 子 メールにてお 送 りいたしますので、ご 希 望 の 場 合 はアドレスをお 書 き 下 さい。本 調 査 のために 貴 重 なお 時 間 をいただきまして、まことにありがとうございました。ご 回 答 いただけましたら、 本 調 査 票は、 同 封 の 返 信 用 封 筒 ( 切 手 を 貼 る 必 要 はありません)でお 早 めにご 返 送 下 さい。8 / 8 ページ-148-


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容資 料 2第 2 章 において 比 較 検 討 した 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容 は 次 のようであった。第 1 節 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデルに 該 当 する 就 労 支 援 タイプは、1990 年 代 から「IPS プログラム」として 新 たに 提 案 され、 比 較 研 究 では、 新 たな 就 労 支 援 プログラムとして 評 価 対 象 となっているものが 大 部 分 であった。ただし、その 具 体 的 内 容 には、 援 助 付 き 雇 用 モデルの 取 組 と、 医 療 との 統 合 への取 組 について、 様 々な 違 い・ 変 異 が 認 められた。プログラムの 種 類IPS プログラム表 A2-1 「1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」( 適 合 性 尺 度 によるもの)尺 度実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究得 点高 得 点( 詳 細 不明 )実 施 12 ヶ月 以 内 に 高い 得 点 を 獲得( 詳 細 不明 )60 と 6669高 得 点( 詳 細 不明 )研 究 期 間中 7 回 測 定した 得 点 の範 囲66~68体 制 :デイケアコーディネーター、デイケア 職 員 、新 規 の 雇 用 専 門 家 の 計 3 名内 容 :デイケア(day treatment)から IPS プログラムへの 移 行 に 伴 い、デイケアコーディネーターニューハンが IPS コーディネーター、デイケア 職 員 が 雇 用プシャー 州専 門 家 へとそれぞれ 役 割 を 変 え、 雇 用 専 門 家 を新 たに 一 人 雇 用 。この IPS ユニットは IPS 専 門家 による 研 修 と 監 督 を 受 け、IPS マニュアルと 適合 性 尺 度 に 従 ってプログラムを 実 施 。体 制 :デイケアカウンセラー、スーパーヴァイザー(IPS 研 修 済 )ロードアイラ内 容 : 対 象 となった 3 箇 所 のセンターのうち 2 センンド 州ターがデイケアから IPS プログラムへ 移 行 。デイケアカウンセラーが 雇 用 専 門 家 へと 役 割 変 更 。体 制 : 雇 用 専 門 家内 容 : 認 知 機 能 訓 練 と 組 み 合 わせず 単 独 実 施体 制 : 作 業 療 法 士内 容 : 精 神 障 害 者 リハビリテーションの 臨 床 経 験が1 年 以 上 ある 作 業 療 法 士 が 雇 用 専 門 家 として機 能 し、 参 加 者 の 医 療 チームに 配 属 。内 容 : 高 い 適 合 性 尺 度 得 点 を 示 した IPS プログラムに 関 する 11 の 研 究 のみレビューの 対 象 。レビューに 採 用 する 研 究 を 決 定 する 際 、 除 外 基 準は、IPS モデルの 発 展 以 前 の 援 助 付 き 雇 用 モデルを 評 価 した 研 究 、IPS と 異 なるモデルあるいは IPS の 適 合 性 尺 度 が 不 明 瞭 なモデルを 評 価した 研 究 、 強 化 された IPS と 強 化 なしの IPS モデルを 比 較 した 研 究 の 3 基 準 。体 制 : 作 業 療 法 士 3 名 、ソーシャルワーカー、 精神 科 医 、リハビリテーションマネージャー、ケースワーカー【ケースロード 1:27】内 容 :IPS 専 門 家 から 1 週 間 (1 日 8 時 間 )の研 修 を 受 けた 作 業 療 法 士 免 許 所 有 者 が 雇 用専 門 家 として 支 援 を 実 施 し、ソーシャルワーカーがケースマネージャーとして 就 労 支 援 以 外 の 支ニューヨーク市(2 箇 所 )香 港11 地 域香 港地 域 精 神 保 健センター地 域 精 神 保 健センター地 域 リハビリテーションセンターKwai Chung病 院 ( 援 助 付 き雇 用 サービスの主 要 センター)地 域 精 神 保 健センター 等Bailey ら(1998)検 証 対 象Becker ら(2001)検 証 対 象McGurk ら(2007)比 較 対 照Wong ら(2008)検 証 対 象Bond ら(2008)検 証 対 象Tsang ら(2009)比 較 対 照-149- - 159 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容ACT を 強化 した IPSプログラム認 知 訓 練 を強 化 したIPS プログラム社 会 技 能訓 練 を 強 化した IPS プログラムそれぞれ68、61、574 年 の 研 究期 間 中 1 年ごとに 測 定した 得 点64、69、72、7260 と 66研 究 期 間中 7 回 測 定した 得 点 の範 囲65~68援 を 担 当 。 精 神 科 医 、リハビリテーションマネージャー、ケースワーカー、ソーシャルワーカーが 集合 し、 対 象 者 の 個 別 治 療 計 画 、 職 場 で 経 験 する 問 題 、 雇 用 専 門 家 が 提 供 する 支 援 について話 し 合 う、 多 領 域 ミーティングを 定 期 的 に 実 施 。体 制 : 作 業 療 法 士 2 名 、 主 治 医 チーム内 容 : 専 属 スタッフを 雇 う 代 わりに、 地 域 のリハビリテーションプログラムで 雇 用 されている 作 業 療法 士 が、 各 対 象 者 の 主 治 医 チームと 地 域 の 3つの 就 労 支 援 プログラムの 仲 介 役 となるセクター間 連 携 (intersectoral link)を 活 用 。体 制 :ACT サブチーム( 精 神 科 医 1 名 、 修 士 レベルの 臨 床 家 1 名 、 学 士 レベルの 正 看 護 師 2 名 、 学士 レベルのケースマネージャー2 名 )、IPS サブチーム(ACT-IPS プログラムを 主 導 する 修 士 レベルのソーシャルワーカー1 名 、 学 士 レベルの 雇 用 専 門 家 2 名 )【ケースロード 1:10】内 容 :ACT サブチームと、IPS サブチームが 毎日 接 触 。 個 別 ニーズに 基 づく 就 業 目 標 重 視 の治 療 計 画 の 作 成 、 個 別 の 就 業 目 標 に 合 わせたサービスの 組 合 せの 選 択 、 対 象 者 ごとに 統 一 した 治 療 記 録 の 更 新 を 実 施 。IPS チームは 就 労支 援 を 担 当 。ACT チームはそれ 以 外 のサービスをすべて 提 供 し、24 時 間 体 制 で 支 援 。体 制 : 雇 用 専 門 家 、 認 知 訓 練 専 門 家内 容 :IPS プログラムに 加 えて、コンピュータソフト(Cogpack, version6.0)を 用 いた、 注 意 、 集 中 、心 理 運 動 速 度 、 学 習 、 記 憶 、 実 行 機 能 等 の 認知 機 能 訓 練 を 12 週 に 渡 り 計 約 24 時 間 実 施 。体 制 : 多 領 域 チーム内 容 :IPS プログラムに 加 えて、 対 人 関 係 の 維 持やトラブルへの 対 応 等 の 仕 事 に 関 する 社 会 技 能訓 練 (WSST:Work-related, social skillstraining)を 強 化 した ISE(Integrated Supported 香 港Employment)プログラム。WSST では、 就 業 継 続や 上 司 ・ 同 僚 との 良 好 な 関 係 の 維 持 などの 個 人スキルと、 対 人 関 係 の 問 題 を 引 き 起 こす 職 場 の 特定 状 況 に 対 処 する 社 会 的 スキルを 教 示 。オーストラリア(3 箇 所 )サウスカロライナ 州ニューヨーク市(2 箇 所 )ニューサウスウェールズ 州 保健 サービス地 域 精 神 保 健センター地 域 リハビリテーションセンターSherring ら(2010)検 証 対 象Gold ら(2006)検 証 対 象McGurk ら(2007)検 証 対 象Tsang ら(2009)検 証 対 象表 A2-2 「1 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」(サービス 統 合 尺 度 による)プログラムの実 施 主基 準 値 実 施 内 容 地 域種 類体IPS プログラムACT 職 業 モデルプログラム独 自 の 援 助付 き 雇 用 プログラム50%以 上体 制 : 多 領 域 のプロバイダーチーム内 容 : 最 小 限 の 職 業 前 評 価 、 迅 速 な 職 探 し、 一 般 就業 への 就 職 、 訓 練 、 必 要 な 限 りの 継 続 的 フォローアップに 関 するサービスを 提 供 。メリーランド州 、コネチカット 州 、サウスカロライナ州体 制 : 精 神 科 医 、 看 護 師 、ケースマネージャー、 雇 用専 門 家マサチュー内 容 : 専 門 家 による 可 動 的 チームが 一 般 就 業 への 就 セッツ 州職 、 職 業 訓 練 の 提 供 、 継 続 的 な 就 労 支 援 を 実 施 。内 容 :「 迅 速 に 就 職 させる」 援 助 付 き 雇 用 サービスと、就 業 生 活 を 支 える 良 好 な 対 人 関 係 の 構 築 を 支 援 す テキサス 州る 社 会 的 ネットワークの 促 進 を 組 み 合 わせた 独 自 のプEmploymentInterventionDemonstrationProgram研 究Cook ら(2005)検 証 対 象-150- - 160 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容家 族 支 援 による ACT プログラム統 合 された 治療 チームによる 就 労 支 援 プログラムログラムを 実 施 。 一 方 、 社 会 的 ネットワークを 組 み 合 わせない 同 プログラムも 実 施 。体 制 : 就 労 支 援 担 当 者 、 事 業 主 、 家 族内 容 : 地 域 の 主 要 事 業 の 事 業 主 協 会 と 共 に 就 業 機会 、 職 場 支 援 、 合 理 的 配 慮 の 改 善 に 取 り 組 む、 家 族 メイン 州支 援 による ACT プログラムを 実 施 。 一 方 、 事 業 主 協会 とのつながりのない 同 プログラムも 実 施 。体 制 : 精 神 科 医 、ケースマネージャー、リハビリテーションカウンセラー、 雇 用 専 門 家 、 職 務 開 拓 者 、 給 付専 門 家アリゾナ 州内 容 : 迅 速 な 就 職 、 就 労 継 続 のための 継 続 的 支 援 、キャリアアップを 重 視 したチーム 支 援 を 実 施 。表 A2-3 「 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 モデル」( 尺 度 による 確 認 がないが 内 容 に 従 って)プログラムの実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究種 類体 制 : 給 付 カウンセラー11 名 、 就 労 支 援 担 当 者給 付 カウンセ内 容 : 職 業 リハビリテーション 局 と 地 域 精 神 保 健 センターに 所 属リングを 強 化する 給 付 カウンセラーが、 社 会 保 障 局 から 障 害 給 付 を 受 給 してTremblay ら職 業 リハビした、 医 療 とバーモント(2006)いる 対 象 者 が 参 加 する 職 業 リハビリテーションプログラムと 援 助リテーション就 労 サービス州付 き 雇 用 サービスにおいて、 各 対 象 者 につき 平 均 約 8 時 間 の局が 統 合 された検 証 対 象給 付 カウンセリングを 実 施 。 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神プログラム保 健 センターが 非 常 に 高 いレベルで 連 携 。医 療 と 就 労サービスが 統合 されたプログラムACT を 強 化した 援 助 付 き雇 用 プログラム家 族 心 理 教育 を 強 化 したIPS プログラム体 制 : 就 労 支 援 担 当 者内 容 : 社 会 保 障 局 から 障 害 給 付 を 受 給 している 対 象 者 が 参 加する 職 業 リハビリテーションプログラムと 援 助 付 き 雇 用 サービスにおいて 給 付 カウンセリングが 実 施 されていないプログラム。 職 業 リハビリテーションと 地 域 精 神 保 健 センターが 非 常 に 高 いレベルで 連 携 。体 制 : 雇 用 専 門 家 、ACT チーム【ケースロード 1:10】内 容 :IPS の 要 素 と 心 理 社 会 的 リハビリテーション 機 関 が 提 供する 職 業 リハビリテーションの 要 素 を 組 み 合 わせた 独 自 の 援 助付 き 雇 用 プログラムを 開 発 。 就 業 目 標 は、 一 般 就 業 に 限 らず、隔 離 的 雇 用 を 含 むあらゆる 就 職 を 対 象 。 雇 用 専 門 家 が ACTチームの 一 員 となり 職 業 サービスの 提 供 を 調 整 。ACT チームは雇 用 専 門 家 に 対 して 対 象 者 に 関 する 情 報 の 提 供 や 対 象 者 の紹 介 をバックアップし、 同 時 に ACT のメンバーである 対 象 者 が地 域 生 活 を 維 持 できるよう 支 援 。体 制 :FACT チーム(ソーシャルワーカー2 名 あるいは 精 神 科 看 護 師 2名 、 雇 用 専 門 家 1 名 の 計 3 名 )、 臨 床 チーム、 精 神 科 医 【ケースロード 1:8】内 容 : 家 族 支 援 による ACT(FACT:Family-aided AssertiveCommunity Treatment)プログラム。1 箇 所 の 雇 用 専 門 家 は 職 業リハビリテーションカウンセラー、もう 一 方 は 職 業 リハビリテーションに 関 して 特 別 な 訓 練 受 け、 経 験 を 積 んだソーシャルワーカーであり、 両 者 は IPS 専 門 家 による 研 修 を 受 講 。 臨 床 チームの 主 任 と 精神 科 医 と 連 携 。 家 族 に 対 するグループ 家 族 心 理 教 育 では、 職 業リハビリテーション、 段 階 的 機 能 改 善 、 早 期 の 危 機 介 入 、 再 発 防止 を 強 調 。 本 人 を 含 む 7~8 家 族 が 1 グループとなり 隔 週 90 分集 合 。 家 族 は 対 象 者 の 就 業 目 標 の 達 成 に 向 けて 協 同 。 臨 床 家の 役 割 はグループ 家 族 心 理 教 育 で 示 された、 特 に 職 探 しや 失 業防 止 に 関 する 解 決 策 の 実 行 であり、 職 業 リハビリテーションの 取組 を 補 助 するものとしてチームと 統 合 的 に 実 施 。バーモント州イリノイ 州ニューヨーク 州(2 箇 所 )職 業 リハビリテーション局精 神 科 リハビリテーション 機 関地 域 精 神保 健 センターTremblay ら(2006)比 較 対 照Furlong ら(2002)検 証 対 象McFarlaneら(2000)検 証 対 象-151- - 161 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容第 2 節 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデルでの 支 援 は、 精 神 障 害 以 外 の 知 的 障 害 や 発 達 障 害 を 対 象とした 一 般 的 なジョブコーチ 支 援 や、 医 療 機 関 との 密 接 なつながりがない 形 で 地 域 の 職 業 リハビリテーションサービスに 照 会 / 移 行 させるという 場 合 が 多 かった。 実 証 研 究 においては、IPS プログラムとの比 較 対 照 群 として 位 置 付 けられていたものが 多 かった。また、IPS を 意 図 しながら、 十 分 に 就 労 支 援 と医 療 サービスの 統 合 が 達 成 されなかったために、 結 果 的 に 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 となっている 場 合 もあった。プログラムの種 類就 労 と 医 療サービスが 並行 して 提 供 されるプログラム結 果 的 に 医療 との 統 合 が弱 かった IPSプログラム表 A2-4「2 医 療 と 統 合 されていない 援 助 付 き 雇 用 モデル」実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究体 制 : 修 士 レベルの 臨 床 家 【ケースロード 1:13、1:23】内 容 :FACT チームと 同 じ 精 神 保 健 センターに 勤 める 臨 床家 が 支 援 を 実 施 。 就 労 支 援 に 関 しては 州 の 職 業 リハビリテーション 機 関 に 照 会 するのみで 医 療 側 と 就 労 側 に 密 接な 連 携 はなく、グループ 家 族 心 理 教 育 も 実 施 なし。体 制 :ケースマネジメントサービス( 学 士 レベルのケースマネージャー2 名 【ケースロード 1:30 以 下 】)、 就 業 サービス( 高 卒 ~博 士 レベルのフルタイムの 雇 用 専 門 家 10 名 【ケースロード 1:10以 下 】)内 容 : 地 域 保 健 センターによる 精 神 保 健 サービスと 委 託 によるケースマネジメントサービスを、 職 業 リハビリテーション 機関 による 就 業 サービスと 並 行 して 提 供 。 就 業 計 画 の 作 成 、職 業 評 価 を 実 施 。 週 2~4 回 のミーティングを 開 き、 各 対象 者 について 情 報 共 有 。内 容 : 職 業 サービスと 精 神 保 健 サービスを 別 々の 機 関 が提 供 。 就 業 前 のスキルトレーニングを 重 視 。内 容 : 職 業 準 備 訓 練 から 一 般 就 業 を 目 指 す 段 階 的 な 就労 支 援 と 心 理 社 会 的 支 援 とを 組 み 合 わせたプログラムと、州 の 就 労 支 援 サービス( 援 助 付 き 雇 用 、エンクレーブ)をすべて 利 用 できる 条 件 のプログラム。体 制 : 民 間 の 就 労 支 援 機 関 が 提 供 する 地 域 精 神 保 健チーム、ベテランの 雇 用 専 門 家内 容 : 地 域 精 神 保 健 チームと 雇 用 専 門 家 が 連 携 する 形 で統 合 された IPS プログラム。 適 合 性 尺 度 得 点 は 67 と 69だったが、「リハビリテーションと 精 神 科 治 療 の 統 合 」の 組織 に 関 する 次 元 の 得 点 が 低 く、 実 際 には 医 療 との 統 合弱 。ニューヨーク州(2 箇 所 )サウスカロライナ 州ニューハンプシャー 州コネチカット州英 国 - 南 ロンドン(2 箇 所 )職 業 リハビリテーション 機関 、地 域 精 神 保 健センターNPO 法 人 の 職業 リハビリテーション 機 関 、地 域 精 神 保 健センター民 間 就 労 支 援機 関 (NPO 法人 )McFarlaneら(2000)比 較 対 照Gold ら(2006)比 較 対 照Bond ら(2008)比 較 対 照Howard ら(2010)検 証 対 象第 3 節 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル医 療 と 統 合 されていても、 本 人 の 症 状 の 改 善 や 生 活 自 立 に 焦 点 を 当 て、その 結 果 就 労 成 果 を 期 待 するという 意 味 で「 職 業 準 備 性 モデル」に 該 当 する 支 援 としては、 医 療 的 デイケアや、IPS と 統 合 されていない ACT、FPE、 薬 物 治 療 等 があった。これらは、 医 療 と 統 合 された 援 助 付 き 雇 用 の 新 しい 就 労 支 援プログラムを 評 価 するための 比 較 対 照 群 として 位 置 付 けられている 場 合 が 多 かった。-152- - 162 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容プログラムの種 類地 域 支 援 プログラムデイケアプログラムACT プログラム表 A2-5 「3 医 療 と 統 合 された 職 業 準 備 性 モデル」実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究内 容 : 地 域 支 援 プログラムにおけるケースマネジメントサービス。内 容 : 週 3 日 のデイケアプログラムを 実 施 。 援 助 付 き 雇 用による 支 援 、ボランティアやシェルタード・ワークショップの 仕事 の 獲 得 を 支 援 する 等 の 就 労 支 援 を 提 供 。ニューハンプシャー 州ロードアイランド 州体 制 :【ケースロード 1:10】内 容 :ACT を IPS と 統 合 させずに 単 独 で 実 施 。ACT チーイリノイ 州ムの 全 スタッフが 定 期 的 に 事 務 所 内 で 連 絡 を 取 り 合 い、メンバーである 対 象 者 が 地 域 生 活 を 維 持 できるよう 支 援 。家 族 支 援 によ体 制 : 就 労 支 援 担 当 者 、 家 族る ACT プログ内 容 : 家 族 支 援 による ACT プログラムを 実 施 。ラム段 階 的 職 業 リハビリテーションプログラム通 常 治 療 プログラム家 族 心 理 教育 プログラム体 制 : 病 院 の 作 業 療 法 科内 容 : 模 擬 環 境 での 様 々なグループ 就 労 を 使 った 職 業 準備 訓 練 中 心 の 地 域 における 一 般 就 業 を 目 指 した 段 階 的train-place アプローチ。 参 加 者 が 自 発 的 に 一 般 就 業 で仕 事 を 探 すことも 推 奨 。体 制 : 治 療 チーム、 平 均 7 名 の 就 労 支 援 スタッフ内 容 : 研 究 対 象 の 地 域 で 利 用 可 能 な 33 のサービス。 心理 社 会 的 リハビリテーションやデイケアプログラム 等 。79%のサービスは 治 療 チームからの 照 会 。サービスの 多 くは、 面接 スキルや 履 歴 書 の 書 き 方 等 の 就 職 準 備 支 援 、IT スキル、 自 信 / 動 機 の 構 築 に 関 する 支 援 を 実 施 。メイン 州香 港英 国 - 南 ロンドン体 制 : 精 神 科 医 、 町 医 者内 容 :1 ヶ 月 に 1 度 1.5~3 時 間 の 訓 練 を 受 けた 精 神 科 医と 町 医 者 による 家 族 教 育 が、 対 象 者 本 人 の 参 加 も 推 奨 す中 国 農 村る 形 で 9 ヶ 月 間 実 施 。3 ヶ 月 に 1 度 の 割 合 で 複 数 の 家 族部によるワークショップも 実 施 し、 本 人 ケアの 経 験 を 共 有 。 必要 があれば 危 機 的 介 入 を 実 施 。 介 入 群 は 家 族 心 理 教 育+ 薬 物 治 療 、 比 較 対 照 群 は 薬 物 治 療 のみ。地 域 精 神 保 健センター地 域 精 神 保 健センター精 神 科 リハビリテーション 機 関EmploymentInterventionDemonstrationProgramKwai Chung病 院Bailey ら(1998)比 較 対 照Becker ら(2001)比 較 対 照Furlong ら(2002)比 較 対 照Cook ら(2005)検 証 対 象Wong ら(2008)比 較 対 照Howard ら(2010)比 較 対 照Ran ら(2003)第 4 節 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル従 来 型 の 職 業 リハビリテーションや 就 労 支 援 の 中 でも、ジョブコーチ 支 援 等 の 援 助 付 き 雇 用 モデルを導 入 していない 就 労 支 援 プログラムは 限 られていたが、 比 較 対 照 群 としての 例 があった。プログラムの種 類職 業 リハビリテーションセンターのプログラム心 理 社 会 的 リハビリテーショ表 A2-6 「4 医 療 と 統 合 されていない 職 業 準 備 性 モデル」実 施 内 容 地 域 実 施 主 体 研 究内 容 : 職 業 サービスとしてシェルタード・ワークショップ、クリエイティブ・ワークショップ、 当 事 者 運 営 の 服 飾 店 、 園 芸 プログラム、デイケアセンターが 実 施 する 求 職 スキルトレーニングと 心 理 社 会 的 介 入 等 。いずれのプログラムも 一 般 就 業を 直 接 の 目 標 とせず。 民 間 の 就 労 支 援 機 関 への 照 会 による 一 般 就 業 、 障 害 者 雇 用 も 可 能 だが、 医 療 サービスは 統合 されておらず、 継 続 的 支 援 も 提 供 なし。内 容 : 交 通 や 住 宅 等 の 生 活 支 援 、 職 業 評 価 や 職 業 準 備訓 練 、 対 人 関 係 や 仕 事 への 耐 久 性 等 の 職 場 関 連 のスキカナダメリーランド 州大 学 付 属 病院 の 職 業 リハビリテーションセンター地 域 精 神 保健 センターBond ら(2008)比 較 対 照-153- - 163 -


資 料 2 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の4 類 型 の 具 体 的 内 容ンプログラム多 角 的 な 就 職支 援 プログラム早 期 精 神 病 予防 ・ 介 入 センターのプログラム地 域 の 一 般 的サービスクラブハウスモデルルトレーニング、シェルタード・ワークショップ、エンクレーブプロジェクト 等 のプログラム。 職 業 準 備 性 が 高 まった 対 象 者には、 就 職 支 援 の 提 供 や、 市 が 実 施 している 職 業 サービスプログラムへ 照 会 。体 制 : 学 士 レベル 以 上 のスタッフ 約 5 名 のチーム【ケースロード 約 1:13】内 容 : 職 業 準 備 性 の 評 価 等 の 一 般 就 業 への 段 階 的 アプローチを 重 視 。 支 援 機 関 が 運 営 する 事 業 や 機 関 が 地 域 の事 業 主 と 契 約 している 事 業 等 を 含 めた 幅 広 い 職 業 選 択 と迅 速 な 就 職 を 重 視 。体 制 : 早 期 精 神 病 予 防 ・ 介 入 センターのケースマネージャー内 容 : 個 別 ケースマネジメント、 治 療 レビュー、 外 部 の 就 労支 援 機 関 への 照 会 等 を 実 施 。内 容 : 地 域 で 利 用 できるあらゆるサービスを 受 けられる 通 常サービスを 実 施 。内 容 : 地 域 における 就 職 と 同 等 のプログラム 内 の 仕 事 をスタッフと 対 象 者 が 一 緒 に 取 り 組 む 等 、 施 設 ベースのサービスを 実 施 。イリノイ 州オーストラリア精 神 保 健サービスプロバイダー早 期 精 神 病予 防 ・ 介 入 センターアリゾナ 州 、コネチカット 州 、メリーランドEmployment州 、サウスカロ Interventionライナ 州 Demonstration Programマサチューセッツ 州Cook ら(2005)比 較 対 照EmploymentInterventionDemonstrationProgramMeasure:50% 以 下-154- - 164 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について資 料 3第 5 章 における 研 究 委 員 会 の 議 論 は、 現 在 の 精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 を 踏 まえ、 主 に 労 働 行 政 のあり 方に 絞 った 提 言 に 向 けた 議 論 を 中 心 にまとめたものである。これらの 雇 用 支 援 制 度 については、 今 回 のわが 国の 医 療 機 関 の 実 態 調 査 結 果 で 明 らかになったように、 医 療 機 関 における 認 知 は 高 いが 実 際 の 利 用 経 験 は 少 なかった。また、 医 療 機 関 における 就 労 支 援 の 取 組 を 補 完 できる 可 能 性 が 高 い 制 度 も 多 く、 今 後 の 医 療 機 関 での 活 用 意 向 も 大 きなものであった。そこで、 本 資 料 では、 本 書 の 読 者 の 参 考 のため、 医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 の 支 援 を 統 合 的 に 実 施 する 必 要 のある具 体 的 な 局 面 別 に、 現 行 の 様 々な 雇 用 支 援 制 度 の 概 要 をまとめた。第 1 節 非 就 労 者 へのアウトリーチ(ジョブガイダンス 事 業 )「 医 療 機 関 等 の 連 携 による 精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業 」は、 医 療 機 関 等 を 利 用 している 精 神 障害 者 及 び 発 達 障 害 者 を 対 象 に、ハローワークの 職 員 が 医 療 機 関 等 を 訪 問 して、 就 職 活 動 に 関 する 知 識 や 方 法についてガイダンスを 行 うことにより、 職 業 準 備 性 や 就 職 意 欲 を 高 め、 就 職 に 向 けた 取 組 を 的 確 に 行 えるよう 援 助 を 行 うものであり、 全 国 のハローワークで 実 施 されている。( 資 料 3-1)具 体 的 なジョブガイダンスの 内 容 としては、オリエンテーション、 職 業 講 話 ( 働 く 意 義 、 労 働 市 場 の 動 向等 )、 求 職 活 動 の 方 法 ( 求 人 情 報 の 見 方 、 履 歴 書 の 書 き 方 、 電 話 の 対 応 方 法 、 面 接 の 受 け 方 等 )、 職 場 におけるマナー、 服 薬 管 理 の 重 要 性 等 がある。 就 職 意 欲 の 高 い「 精 神 障 害 者 」と「 発 達 障 害 者 」を 対 象 とし、 就 職に 向 けた 取 組 ( 求 職 活 動 、 職 業 リハビリテーション 等 )への 移 行 の 支 援 でもある。第 2 節 本 人 と 仕 事 のマッチング/ 就 職 活 動 の 支 援 (チーム 支 援 等 )一 般 就 業 に 向 けた 就 職 活 動 の 支 援 は、 特 に 労 働 分 野 の 専 門 性 が 重 要 である。ただし、 精 神 障 害 者 の 場 合 、本 人 と 仕 事 のマッチング/ 就 職 活 動 の 支 援 を、 医 療 ・ 生 活 支 援 と 切 り 離 して 行 うことには 限 界 があり、 労 働機 関 と 医 療 機 関 等 との 密 接 な 連 携 が 重 要 である。そのために 活 用 できる 雇 用 支 援 制 度 としては、ハローワークの「チーム 支 援 」があり、それにより、 労 働 分 野 の 専 門 性 の 高 い 様 々な 就 労 支 援 の 効 果 的 活 用 も 期 待 できる。1 ハローワークと 中 心 とした「チーム 支 援 」( 地 域 障 害 者 就 労 支 援 事 業 )( 資 料 3-2)「チーム 支 援 」( 地 域 障 害 者 就 労 支 援 事 業 )は、 就 職 を 希 望 する 障 害 者 一 人 ひとりに 対 してケースワーク 方式 で、ハローワーク 職 員 ( 主 担 当 )と 地 域 関 係 機 関 の 職 員 等 がチームを 結 成 し、 就 職 から 職 場 定 着 まで 一 貫した 支 援 を 実 施 するものであり、 全 国 全 てのハローワークで 実 施 されており、 専 門 援 助 ( 障 害 者 ) 部 門 で 登録 する。-155- - 157 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について2 労 働 機 関 で 利 用 できる 一 般 的 な 就 労 支 援 内 容医 療 機 関 において 就 労 支 援 ニーズが 高 いが、 医 療 機 関 での 実 施 が 比 較 的 困 難 な 次 のような 支 援 については、ハローワーク 等 の 就 労 支 援 機 関 による 支 援 として 提 供 されている。(1) 求 人 情 報 の 提 供本 人 に 合 う 仕 事 の 条 件 に 合 う 求 人 情 報 について、 障 害 者 求 人 はもちろん、また、それに 限 らず、また、 短時 間 勤 務 等 であっても、 幅 広 く 職 業 検 索 機 で 探 索 できる。また、 医 療 機 関 や 本 人 に 対 して、FAX やメール 等 でタイムリーに 情 報 を 提 供 している 場 合 もある。(2) 職 業 相 談疾 患 管 理 等 の 側 面 だけでなく、 本 人 の 興 味 や 強 みを 活 かせ 職 業 発 達 につながるキャリア 支 援 の 側 面 や 具 体的 な 仕 事 内 容 や 利 用 できる 制 度 等 の 情 報 提 供 を 含 めた 職 業 相 談 が 実 施 できる。(3) 個 別 の 職 場 開 拓本 人 に 合 う 仕 事 について 求 人 がない 場 合 でも、 個 別 に 職 場 を 訪 問 し、 職 務 の 切 り 出 し 等 による 求 人 開 拓 や雇 用 主 との 交 渉 等 の 支 援 手 法 がある。(4) 職 場 実 習 、 職 場 体 験職 場 実 習 や 職 場 体 験 が 実 施 できる 職 場 の 開 拓 についても、 実 施 されている。障 害 者 職 業 センターの 職 業 準 備 支 援 コースを 受 講 することができる。(5) 履 歴 書 作 成 や 企 業 面 接 の 練 習病 気 の 説 明 、 必 要 な 配 慮 についての 説 明 、 自 己 アピール、 経 歴 の 空 白 期 間 の 説 明 等 、 就 職 活 動 において 直面 する 具 体 的 課 題 について、 適 切 な 助 言 や 練 習 をするサービスも 利 用 できる。必 要 に 応 じて、 支 援 者 が 同 席 して、 職 場 側 への 説 明 の 補 助 を 行 う 場 合 もある。(6) 職 業 訓 練 等 の 選 択 肢 の 提 供希 望 職 種 に 合 った 職 業 訓 練 の 選 択 肢 を 提 供 することができる。また、 経 済 的 理 由 で 就 職 を 焦 っている 場 合でも、 職 業 訓 練 給 付 金 により 生 活 を 安 定 させて、 職 業 訓 練 に 取 り 組 むという 可 能 性 についても 検 討 することができる。(7) 精 神 障 害 者 雇 用 についての 啓 発る。精 神 障 害 者 雇 用 について 企 業 啓 発 の 取 組 、 企 業 への 障 害 者 雇 用 率 達 成 指 導 と 連 動 した 就 職 支 援 の 取 組 もあ-156- - 158 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について第 3 節 職 業 場 面 における 職 業 評 価 / 職 場 定 着 支 援精 神 障 害 者 の 雇 用 支 援 制 度 には、 一 般 就 業 に 向 けての 段 階 的 な 就 労 移 行 を 可 能 にしたり、 職 場 適 応 を 支 えるためのものも 多 い。 次 のような 雇 用 支 援 制 度 や 支 援 者 は、 試 行 的 な 雇 用 や 職 場 定 着 支 援 の 機 会 を 提 供 するとともに、 実 際 の 職 業 場 面 に 近 い 条 件 での 職 業 アセスメントの 機 会 ともなるものである。1 職 業 場 面 における 職 業 評 価 / 職 場 定 着 支 援 に 活 用 できる 雇 用 支 援 制 度る。全 国 のハローワーク 等 で 利 用 できる、 次 のような 様 々な 移 行 の 段 階 に 対 応 した、 試 行 的 な 就 労 の 制 度 があ(1)トライアル 雇 用 ( 資 料 3-3)「トライアル 雇 用 」とは、ハローワークの 職 業 紹 介 により3ヵ 月 を 限 度 とした 有 期 雇 用 契 約 を 締 結 した 雇用 事 業 主 へ 奨 励 金 ( 月 40,000 円 )を 支 給 し、 事 業 主 の 障 害 者 雇 用 のきっかけをつくり、 一 般 雇 用 への 雇 用 を促 進 するための 制 度 である。将 来 的 な 継 続 雇 用 を 目 指 す 実 際 の 職 場 において、 試 行 的 に 働 き、 最 長 3ヵ 月 の 試 行 期 間 において、 実 際 の職 業 生 活 への 適 応 や、 仕 事 とのマッチングの 調 整 等 も 含 め、 集 中 的 な 職 業 アセスメントの 機 会 とできるだけななく、 職 場 側 の 状 況 確 認 や 支 援 の 機 会 としても 活 用 できる。(2)ステップアップ 雇 用 ( 資 料 3-4)「 精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用 」とは、1 週 間 の 労 働 時 間 が 10 時 間 以 上 から 3 ヶ 月 ~12 ヶ 月 の 期 間 で段 階 的 に 週 20 時 間 の 常 用 雇 用 に 移 行 するまでの、 雇 用 事 業 主 への 奨 励 金 ( 月 額 25,000 円 ) 支 給 の 制 度 である。トライアル 雇 用 の 利 用 条 件 を 満 たさない 状 況 であっても、より 負 荷 の 低 い 職 業 生 活 から 長 期 的 に、 実 際 の職 業 場 面 での 職 業 評 価 や 支 援 を 実 施 することも 可 能 である。(3) 障 害 者 職 業 センターの 職 業 準 備 支 援 ( 自 立 支 援 )( 資 料 3-5)地 域 障 害 者 職 業 センター 内 での 模 擬 的 職 場 環 境 での 作 業 体 験 (ワークトレーニング 社 等 )、 職 業 準 備 講 習 、社 会 生 活 技 能 訓 練 等 を 行 うことにより、 基 本 的 な 労 働 習 慣 の 体 得 、 作 業 遂 行 力 の 向 上 、コミュニケーション能 力 ・ 対 人 対 応 力 の 向 上 を 図 り、ハローワークにおける 職 業 紹 介 、ジョブコーチ 支 援 等 の 次 の 段 階 に 着 実 に移 行 させるための 支 援 である。2 医 療 機 関 の 支 援 ニーズに 対 応 可 能 な 就 労 支 援 者就 職 前 から 就 職 後 まで 継 続 的 に、 職 場 や 関 係 機 関 をつないで 支 援 できる 担 当 者 としては、ジョブコーチと精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターが 地 域 に 配 置 されている。-157- - 159 -


巻 末 資 料 3 精 神 障 害 者 への 雇 用 支 援 制 度 について(1)ジョブコーチ( 職 場 適 応 援 助 者 )( 資 料 3-6)職 場 への 円 滑 な 適 応 を 図 るため、 職 場 にジョブコーチが 出 向 いて、 障 害 者 及 び 事 業 主 双 方 に 対 し、 仕 事 の進 め 方 やコミュニケーションなど 職 場 で 生 じる 様 々な 課 題 や 職 場 の 状 況 に 応 じて、 課 題 の 改 善 を 図 るための支 援 を 実 施 する 専 門 支 援 者 が、 地 域 障 害 者 職 業 センター、 地 域 の 特 定 の 社 会 福 祉 法 人 等 、 事 業 主 に 配 置 されている。(2) 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター( 資 料 3-7)ハローワークの 専 門 援 助 窓 口 に、 精 神 保 健 福 祉 士 等 の 資 格 をもつ「 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター」が 配 置 され、 本 人 への 支 援 だけでなく、 関 係 機 関 との 連 携 、 事 業 主 への 働 きかけや 職 場 開 拓 、フォローアップ 等 を 含 め 総 合 的 な 支 援 担 当 者 となっている。3 障 害 者 職 業 センターのリワーク 支 援 ( 資 料 3-8)障 害 者 職 業 センターで 実 施 される「リワーク 支 援 」は、 雇 用 事 業 主 ・ 主 治 医 と 連 携 した、 職 場 との 連 携 を強 く 意 識 した 職 業 リハビリテーションである。 障 害 者 職 業 センターにおいては、 職 場 におけるストレス 要 因への 個 別 的 な 対 策 として 心 理 社 会 療 法 を 用 いて、 一 定 の 就 業 能 力 を 確 認 し、 職 域 との 橋 渡 しをスタッフが 実施 している。第 4 節 医 療 ・ 生 活 支 援 と 就 労 支 援 の 地 域 連 携 拠 点医 療 ・ 生 活 ・ 就 労 支 援 を 一 体 的 に 実 施 するための 様 々な 取 組 に 対 応 できる 雇 用 支 援 制 度 としては、 障 害 者就 業 ・ 生 活 センター 事 業 がある。( 資 料 3-9)これは 本 来 、 知 的 障 害 者 等 を 支 援 している 福 祉 機 関 が 生 活 と 就 労 を 一 体 的 に 支 えることができるようにする 趣 旨 で 始 まった 事 業 であるが、 現 在 では、 精 神 障 害 者 の 支 援 で 医 療 機 関 との 連 携 による 支 援 も 実 施 している。-158- - 160 -


医 療 機 関 等 との 連 携 による精 神 障 害 者 等 のジョブガイダンス 事 業医 療 機 関 等 を 利 用 している 精 神 障 害 者 及 び 発 達 障 害 者 を 対 象 に、ハローワークの 職 員 が 医 療機 関 等 を 訪 問 して、 就 職 活 動 に 関 する 知 識 や 方 法 についてガイダンスを 行 うことにより、 職 業 準備 性 や 就 職 意 欲 を 高 め、 就 職 に 向 けた 取 組 を 的 確 に 行 えるよう 援 助 を 行 います。平 成 21 年 度 実 績 ジョブガイダンス 受 講 人 数 1,552 人 ( 全 国 383カ 所 の 医 療 機 関 等 で 実 施 )連 携 先 機 関ハローワーク○ 精 神 科 病 院○ 精 神 科 診 療 所○ 精 神 保 健 福 祉 センター○ 保 健 所○ 障 害 福 祉 サービス 事 業 者○ 発 達 障 害 者 支 援 センター対 象 者ジョブガイダンス連 携 先 機 関 を 訪 問1 日 2 時 間 で3 日 ~5 日 間【ジョブガイダンスの 内 容 】○オリエンテーション、 職 業 講 話( 働 く 意 義 、 労 働 市 場 の 動 向 等 )○ 求 職 活 動 の 方 法( 求 人 情 報 の 見 方 、 履 歴 書 の書 き 方 、 電 話 の 対 応 方 法 、面 接 の 受 け 方 等 )○ 職 場 におけるマナー○ 服 薬 管 理 の 重 要 性 等就 職 意 欲 の 高 い「 精 神 障 害 者 」と「 発 達 障 害 者 」就 職 に 向 けた 取 組( 求 職 活 動 、 職 業 リハビリテーション 等 )1資 料 3-1-159-


資 料 3-2障 害 者 就 労 に 向 けたハローワークを 中 心 とした「チーム 支 援 」○ 福 祉 施 設 等 の 利 用 者 をはじめ、 就 職 を 希 望 する 障 害 者 一 人 ひとりに 対 して、ハローワーク 職 員 ( 主 担 当 )と 福 祉 施 設 等 の 職 員 、 市 町 村 の 職 員 等 がチームを結 成 し、 就 職 から 職 場 定 着 まで 一 貫 した 支 援 を 実 施 ( 平 成 18 年 度 から 実 施 )就 職 を 希 望 している福 祉 施 設 利 用 者 等主 査 :ハローワーク 職 員・ 専 門 援 助 部 門 が 担 当・ 就 労 支 援 コーディネーターを配 置 し、 関 係 機 関 と 調 整副 主 査 : 福 祉 施 設 等 職 員○ 授 産 ・ 更 正 施 設 、 小 規 模 作 業 所○ 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 機 関○ 特 別 支 援 学 校○ 精 神 障 害 者 社 会 適 応 訓 練 事 業の 協 力 事 業 所 等市 町 村 ・ 専 門 機 関 の 職 員○ 障 害 者 団 体 、 障 害 者 支 援 団 体○ 地 域 障 害 者 職 業 センター○ 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター○ 職 業 能 力 開 発 校○ 障 害 者 地 域 生 活 支 援 センター○ 福 祉 事 務 所 等障害者就労支援チーム就 職 に 向 けた 取 り 組 み 就 職就労支援計画の作成して支援を実施チーム構成員が連携企 業フォローアップ職 場 定 着職 業 生 活の 安 定就 労 支 援 ・ 生 活 支 援 職 場 定 着 支 援 ・ 就 業 生 活 支 援【21 年 度 実 績 】支 援 対 象 者 数 13,801 人就 職 者 数 6,354 人就 職 率 46%-160-


資 料 3-3「トライアル 雇 用 」による 障 害 者 雇 用 のきっかけづくり~ 障 害 者 試 行 雇 用 事 業 ~障 害 者 雇 用 の 取 組 が 遅 れている 事 業 所 では、 障 害 者 雇 用 の 経 験 が 乏 しいために、 障 害 者 に 合 った 職 域 開 発 、 雇 用 管 理 等 のノウハウがなく、 障 害 者 雇 用 に 取 り 組 む 意 欲 があっても 雇 い 入 れることに 躊 躇 する 面 もある。また、 障 害 者 の 側 でも、これまでの 雇 用 就 労 経 験 が 乏 しいために、「どのような 職 種 が 向 いているかが 分 からない」、「 仕 事 に 耐えられるだろうか」といった 不 安 がある。このため、 障 害 者 を 短 期 の 試 行 雇 用 (トライアル 雇 用 )の 形 で 受 け 入 れることにより、 事 業 主 の 障 害 者 雇 用 のきっかけをつくり、一 般 雇 用 への 移 行 を 促 進 することを 目 指 す。障 害 に 応 じた 職 場の 配 慮 事 項 が 分 からない障 害 者 への 接 し 方 、雇 用 管 理 が 分 からないどのような 仕 事が 適 職 か 分 からない不 安不 安事 業 主身 体 障 害 者 は 雇 用 しているが、 知 的障 害 者 を 雇 用 するのは 初 めて障 害 者就 職 は 初 めてなので、職 場 での 仕 事 に 耐 えられるのか 不 安どのような 仕 事を 担 当 させればよいか 分 からない訓 練 を 受 けたことが 実 際 に 役 立つか 不 安トライアル 雇 用(3か 月 間 の 有 期 雇 用 )不 安 の 解 消 ・軽 減常用雇用○ 期 間3か 月 間 を 限 度 (ハローワークの 職業 紹 介 により、 事 業 主 と 対 象 障 害者 との 間 で 有 期 雇 用 契 約 を 締 結 )○ 奨 励 金事 業 主 に 対 し、トライアル 雇 用 者1 人 につき、 月 4 万 円 を 支 給○ 対 象 者9,500 人 (20 年 度 )9,500 人 (21 年 度 )9,000 人 (22 年 度 )○ 実 績 (21 年 度 )開 始 者 数 8,545 人常 用 雇 用 移 行 率 84.3%-161-


資 料 3-4「 精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用 」による 常 用 雇 用 への 移 行 の 促 進精 神 障 害 者 等● 心 身 が 疲 れやすい。● 緊 張 しやすい。● 判 断 ・ 責 任 等 の プレッシャーに 弱 いことがある。●コミュニケーション 能力 に 困 難 がある。● 直 ちに 雇 用 率 適 用 となる 週 20 時 間 以 上 働 くことが 困 難 。事 業 所● 精 神 障 害 等 についての 知 識 がない。● 精 神 障 害 者 等 の 受入 れに 不 安 がある。精 神 障 害 者 等 ステップアップ 雇 用精 神 障 害 者 及 び 発 達 障 害 者 の 障 害 特 性 に 鑑み、 一 定 の 期 間 をかけて、 仕 事 や 職 場 への 適 応状 況 等 をみながら、 徐 々に 就 業 時 間 を 伸 ばしていくことで 常 用 雇 用 への 移 行 を 目 指 します。週 10 時 間〔 奨 励 金 の 支 給 〕週 20 時 間常用雇用◆ 精 神 障 害 者 等 ステップアップ雇 用 奨 励 金○ 期 間 等・ 3ヶ 月 ~12ヶ 月・ 1 週 間 の 労 働 時 間 は10 時 間 以 上・ ハローワークの 職 業 紹 介 により 雇 入 れ・ 事 業 主 と 対 象 精 神 障 害 者 等 との 間 で 有 期雇 用 契 約 を 締 結○ 奨 励 金 の 額事 業 主 に 対 し、ステップアップ 雇 用 者 1 人 につき、 月 2 万 5 千 円 を 支 給 ( 最 長 12ヶ 月 )○ 平 成 21 年 度 実 績 330 人◆ グループ 雇 用 奨 励 加 算 金精 神 障 害 者 等 がお 互 いに 支 え 合 いながら 働 けるグループ 雇 用 は 職 場 適 応 に 効 果 的 であることから、グループでステップアップ 雇 用 を 実 施 する場 合 は、グループ 雇 用 奨 励 金 が 加 算 されます。○ グループ 人 数 2 人 ~5 人 以 下○ グループ 雇 用 奨 励 加 算 金 の 額1グループあたり 月 2 万 5 千 円 を 支 給( 最 長 12ヶ 月 )● 精 神 障 害 者 等 の 常用 雇 用 に 踏 み 切 れない。事 業 所 と 精 神 障 害 者 等 の 相 互 理 解雇 用 経 験 や 知 識 の 取 得 、 不 安 の 除 去障 害 特 性 や 職 場 適 応 の 見 極 め 等○ 平 成 21 年 度 実 績 24グループ-162-


職 業 準 備 支 援 ( 自 立 支 援 カリキュラム)について資 料 3-51.カリキュラムの 目 的 ・スキーム 図自 立 支 援 カリキュラム● 精 神 障 害 の 障 害 特 徴 の 把 握 と 対 処 方 法 の 検 討・SST( 社 会 生 活 技 能 訓 練 )・グループミーティングストレスマネジメント精 神 障 害 の 特 徴 と 体 調 管 理 等障 害 の 開 示 ・ 不 開 示 の 選 択模 擬 的 就 労 場 面 を 活 用 した作 業 支 援● 職 業 適 性 等 の 把 握集 団 作 業 ・ 個 別 作 業グ職 業 準 備 講 習 カリキュラム● 職 業 生 活 に 必 要 な 知 識 獲 得・ 面 接 練 習・ハローワークの 利 用 方 法・ 事 業 所 体 験 実 習 等2. 具 体 的 なテーマ 設 定職 業 準 備 講 習 カリキュラム グループミーティング S S T1 事 業 主 からの 講 話 自 己 紹 介 相 手 をほめる・ほめ 言 葉 を 受 け 入 れる2 余 暇 の 過 ごし 方 職 業 経 験 を 話 そう 勤 務 初 日 の 挨 拶 をする3 社 会 資 源 について 1か 月 の 振 り 返 り/カリキュラムを 修 了 して 身 体 の 不 調 を 伝 え 休 息 や 早 退 を 申 し 出 る4 体 調 管 理 ( 精 神 科 医 の 先 生 より) 悪 化 のサインとその 要 因 指 示 を 受 けて、 分 からないことを 質 問 する5 アロマテラピー 病 気 との 上 手 な 付 き 合 い 方 相 手 の 頼 みごとや 誘 いを 断 る6 雇 用 制 度 ・サービスについて 障 害 の 開 示 / 非 開 示 での 就 労 の 長 短 会 話 を 始 める7 ビジネスマナー ストレスマネジメント 会 話 を 切 り 上 げる・ 終 わらせる8 面 接 で 予 想 される 質 問 対 応 息 長 く 働 くための 求 職 条 件 話 したくない 話 題 を 避 ける9 面 接 の 受 け 方 と 練 習 人 に 頼 みごとをする10 履 歴 書 の 書 き 方 について 報 告 する11 模 擬 面 接 注 意 や 叱 責 に 対 応 する12 修 了 生 からの 話 フリーテーマ( 利 用 者 からの 提 案 )13 施 設 見 学14 ハローワークの 利 用 方 法15 事 業 所 体 験 実 習-163-


資 料 3-6職 場 適 応 援 助 者 (ジョブコーチ)による 支 援障 害 者 の 職 場 適 応 を 容 易 にするため、 職 場 にジョブコーチを 派 遣 し、・ 障 害 者 に 対 する 業 務 遂 行 力 やコミュニケーション 能 力 の 向 上 支 援・ 事 業 主 や 同 僚 などに 対 する 職 務 や 職 場 環 境 の 改 善 の 助 言 を 実 施◎ 支 援 内 容・ 障 害 特 性 に 配 慮 した 雇 用 管 理 に 関 する 助 言・ 配 置 、 職 務 内 容 の 設 定 に 関 する 助 言・ 業 務 遂 行 力 の 向 上 支 援・ 職 場 内 コミュニケーション 能 力 の 向 上 支 援・ 健 康 管 理 、 生 活 リズムの 構 築 支 援事 業 主( 管 理 監 督 者 ・ 人 事 担 当 者 )障 害 者ジョブコーチ上 司同 僚同 僚・ 障 害 の 理 解 に 係 る 社 内 啓 発・ 障 害 者 との 関 わり 方 に 関 する 助 言・ 指 導 方 法 に 関 する 助 言家 族・ 安 定 した 職 業 生 活 を 送 るための 家 族 の関 わり 方 に 関 する 助 言◎ 標 準 的 な 支 援 の 流 れ集 中 支 援不 適 応 課 題 を 分 析 し、集 中 的 に 改 善 を 図 る週 3~4 日 訪 問移 行 支 援支 援 ノウハウの 伝 授 やキーパーソンの 育 成 により、 支 援 の 主 体を 徐 々に 職 場 に 移 行週 1~2 日 訪 問支 援 期 間 1~7ヵ 月 ( 標 準 2~4ヵ 月 )( 地 域 センターの 場 合 )フォローアップ数 週 間 ~ 数 ヶ 月に 一 度 訪 問◎ジョブコーチ 配 置 数 (23 年 3 月 末 現 在 )計 1,142 人地 域 センターのジョブコーチ 306 人第 1 号 ジョブコーチ( 福 祉 施 設 型 ) 744 人第 2 号 ジョブコーチ( 事 業 所 型 ) 92 人◎ 支 援 実 績 (22 年 度 、 地 域 センター)支 援 対 象 者 数 3,302 人職 場 定 着 率 ( 支 援 終 了 後 6ヶ 月 ) 87.6%( 支 援 終 了 後 6ヵ 月 :21 年 10 月 ~22 年 9 月 までの 支 援 修 了 者 の 実 績 )-164-


資 料 3-7概 要精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターの 設 置 について精 神 障 害 者 に 対 するカウンセリング 等 を 行 うため 精 神 保 健 福 祉 士 等 の 資 格 を 有 する 精 神 障 害 者 就 職 サポーターを 配 置 してきたが、 平 成 23 年 度 から、 従 来 のカウンセリング 等 の 業 務 に 加 え 精 神 障 害 者 に 関 する 企 業 の 意 識 啓 発 、 雇 用 事 例 の 収 集 、 職 場 の 開 拓 、就 職 に 向 けた 準 備 プログラムや 職 場 実 習 の 実 施 、 就 職 後 のフォローアップなどを 行 う 精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーターとしてハローワークに 配 置 することにより、 精 神 障 害 者 に 対 する 総 合 的 かつ 継 続 的 な 支 援 を 行 う。ハローワーク 専 門 援 助 部 門精 神 障 害 者( 新 規 求 職 者 約 34,000 人 )精 神 障 害 者 雇 用 トータルサポーター* 精 神 障 害 に 関 する 専 門 的 知 識 ・カウンセリングスキルを 有 する 者* 企 業 文 化 に 精 通 している 者○ 緊 張 感 や 不 安 感 が 非 常 に 強 い 者○ 生 活 面 での 課 題 がある 者○ 離 転 職 を 繰 り 返 す 者○ 障 害 受 容 や 認 知 が 十 分 でない 者○ 障 害 の 開 示 を 検 討 中 の 者○ 安 定 所 以 外 の 支 援 機 関 の 援 助 が得 られない 者 ( 約 7 割 )職 業 評 価支 援 依 頼従 来 の 就 職 サポーターの 業 務カウンセリング連 携専 門 機関 への誘 導事 業 主企 業 への働 きかけ拡 充 部 分 (H23)準 備 プログラムの実 施先 進 雇 用事 例 の収 集地 域 障 害 者職 業 センター準 備 支 援ジョブコーチ・ 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援センター・ 就 労 移 行 支 援・ 医 療 機 関 等意 識 啓 発求 人 開 拓フォローアップ職 場 実 習-165-


資 料 3-8 -166-


-167-


資 料 3-9障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター就 職 を 希 望 されている 障 害 のある 方 、あるいは 在 職 中 の 障 害 のある 方 が 抱 える 課 題 に 応 じて、 雇 用 及 び 福 祉 の 関 係 機 関 との 連 携の 下 、 就 業 支 援 担 当 者 と 生 活 支 援 担 当 者 が 協 力 して、 就 業 面 及び 生 活 面 の 一 体 的 な 支 援 を 実 施 します。業 務 の 内 容< 就 業 面 での 支 援 >○ 就 業 に 関 する 相 談 支 援・ 就 職 に 向 けた 準 備 支 援 ( 職 業 準 備 訓 練 、職 場 実 習 のあっせん)・ 就 職 活 動 の 支 援・ 職 場 定 着 に 向 けた 支 援ハローワーク地 域 障 害 者職 業 センター事 業 主求 職 活 動 支 援技 術 的 支 援支 援 の 依 頼特 別 支 援 学 校 連 携職 場 適 応 支 援就 業 支 援○ 就 業 に 関 する 相 談 支 援○ 障 害 特 性 を 踏まえた 雇 用 管 理に 関 する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整障 害 のある 方一体的な支援相 談生 活 支 援○ 日 常 生 活 ・地 域 生 活 に 関する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整就 労 移 行 支基 礎 訓 練 の 援 事 業 者 等あっせん対 象 者 の 送り 出 し福 祉 サービス利 用 調 整保 健 サービスの利 用 調 整医 療 面 の 相 談福 祉 事 務 所保 健 所医 療 機 関○ 障 害 のある 方 それぞれの 障 害 特 性 を 踏まえた 雇 用 管 理 についての 事 業 所 に 対 する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整< 生 活 面 での 支 援 >○ 日 常 生 活 ・ 地 域 生 活 に 関 する 助 言・ 生 活 習 慣 の 形 成 、 健 康 管 理 、 金 銭 管 理等 の 日 常 生 活 の 自 己 管 理 に 関 する 助 言・ 住 居 、 年 金 、 余 暇 活 動 など 地 域 生 活 、生 活 設 計 に 関 する 助 言○ 関 係 機 関 との 連 絡 調 整設 置 箇 所 数20 年 度 205センター21 年 度 265センター自 立 ・ 安 定 した 職 業 生 活 の 実 現※ 平 成 21 年 4 月 現 在 で246センター~ 就 労 支 援 機 関 の 役 割 と 連 携 ~-168-


資 料 4医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての調 査 研 究 委 員 会 設 置 要 綱1 目 的近 年 、 精 神 疾 患 の 患 者 数 が 増 加 しており、かつ 地 域 移 行 が 進 む 中 で、 就 労 意 欲 のある精 神 障 害 者 が 増 加 している。 医 療 機 関 に 対 しては、 従 来 から 労 働 行 政 において「 医 療 機関 等 との 連 携 によるジョブガイダンス 事 業 」を 実 施 するなど 連 携 が 推 進 されてきたところであり、 昨 今 、 就 労 支 援 に 力 を 入 れている 医 療 機 関 が 増 えてきているものの、その 実態 は 明 らかになっていない。このため、 障 害 者 職 業 総 合 センターでは、「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援の 実 態 についての 調 査 研 究 」( 以 下 「 本 研 究 」という。)を 実 施 し、 医 療 機 関 における精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 を 把 握 するとともに、 今 後 のハローワークや 地 域 障 害 者 職業 センター 等 との 連 携 のあり 方 を 検 討 していくこととしている。 本 研 究 の 企 画 ・ 運 営 に関 し 専 門 的 な 助 言 を 得 るため、「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会 」( 以 下 「 研 究 委 員 会 」という。)を 設 置 するものとする。2 内 容研 究 委 員 会 は、 次 の 事 項 について 審 議 するものとする。イ 精 神 科 医 療 の 進 歩 による、 精 神 障 害 者 の 就 労 可 能 性 の 拡 大 の 最 新 の 状 況 及 び 医 療機 関 が 実 施 している 就 労 に 向 けた 支 援 の 現 状 認 識 に 関 すること。ロ 医 療 機 関 等 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 の 企 画 と 実 施 に 関 すること。ハ 医 療 機 関 等 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 結 果 の 分 析 や 考 察 に 関すること。ニ 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のための、 医 療 機 関 や 労 働 機 関 等 の 役 割 の 明 確 化 及 び 効 果的 な 連 携 やチーム 支 援 のあり 方 の 提 言 に 関 すること。ホ その 他 、 本 研 究 の 企 画 ・ 運 営 に 関 し 必 要 な 事 項 に 関 すること。3 運 営(1) 研 究 委 員 会 は、 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 に 知 見 を 有 する 専門 家 、 支 援 機 関 、 行 政 機 関 等 から 構 成 し、 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 主 幹 が 委嘱 するものとする。(2) 研 究 委 員 会 の 座 長 は、 構 成 員 の 中 から 互 選 により 選 出 する。(3) 研 究 委 員 会 は、 必 要 に 応 じて 他 の 関 係 者 の 出 席 を 求 めることができる。(4) 研 究 委 員 会 の 事 務 局 は、 障 害 者 職 業 総 合 センター 社 会 的 支 援 部 門 に 置 く。(5) 研 究 委 員 会 の 議 事 内 容 については、 本 研 究 の 報 告 書 に 反 映 することとし、その 成 果は 障 害 者 職 業 総 合 センターに 帰 属 するものとする。4 設 置 期 間 等委 員 会 の 設 置 期 間 は 平 成 23 年 6 月 から 平 成 24 年 3 月 31 日 までとする。 委 員 の 任 期 も同 様 とする。-169-


資 料 5医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 委 員 会議 事第 1 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 23 年 6 月 17 日 ( 金 ) 15 時 30 分 ~17 時 30 分 )(1) 研 究 委 員 会 設 置 要 綱 について(2) 医 療 機 関 等 における 就 労 支 援 の 現 状 認 識 について(3) 医 療 機 関 等 での 就 労 支 援 の 実 態 の 調 査 の 枠 組 みについて(4) その 他第 2 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 23 年 7 月 29 日 ( 金 ) 15 時 ~17 時 30 分 )(1) アンケート 調 査 要 綱 ・ 調 査 票 案 について(2) 医 療 機 関 等 のヒアリング 調 査 について(3) その 他第 3 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 24 年 1 月 27 日 ( 金 ) 15 時 ~17 時 30 分 )(1)アンケート 調 査 結 果 概 要 について(2) 報 告 書 の 内 容 について(3)ヒアリング 調 査 について(4) 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 のための 地 域 連 携 のあり 方 ( 提 言 )について第 4 回 研 究 委 員 会 ( 平 成 24 年 3 月 23 日 ( 金 ) 14 時 ~16 時 30 分 )(1) 報 告 書 ( 案 )について1 第 3 回 委 員 会 での「 報 告 書 イメージ」からの 修 正 ・ 追 加 事 項 について2 第 5 章 「 研 究 委 員 会 における 議 論 ・ 提 言 」について3 報 告 書 の 今 後 のとりまとめについて(2)その 他-170-


ホームページについて本 冊 子 のほか、 障 害 者 職 業 総 合 センターの 研 究 成 果 物 については、 一 部 を 除 いて、 下記 のホームページから PDF ファイル 等 によりダウンロードできます。【 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 部 門 ホームページ】http://www.nivr.jeed.or.jp/research/research.html著 作 権 等 について視 覚 障 害 その 他 の 理 由 で 活 字 のままでこの 本 を 利 用 できない 方 のために、 営 利 を 目 的とする 場 合 を 除 き、「 録 音 図 書 」「 点 字 図 書 」「 拡 大 写 本 」 等 を 作 成 することを 認 めます。その 際 は 下 記 までご 連 絡 下 さい。なお、 視 覚 障 害 者 の 方 等 で 本 冊 子 のテキストファイル( 文 章 のみ)を 希 望 されるときも、ご 連 絡 ください。【 連 絡 先 】障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 企 画 部 企 画 調 整 室電 話 043-297-9067FAX 043-297-9057資 料 シリーズ No.71「 医 療 機 関 における 精 神 障 害 者 の 就 労 支 援 の 実 態 についての 調 査 研 究 」編 集 ・ 発 行発 行 日印 刷 ・ 製 本独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター〒261-0014千 葉 市 美 浜 区 若 葉 3-1-3電 話 043-297-9067FAX 043-297-90572012 年 4 月株 式 会 社 こくぼ○C2012 障 害 者 職 業 総 合 センター-171-


ISSN 0918-4570

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!