vcLUp
vcLUp
vcLUp
Create successful ePaper yourself
Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.
敦賀発電所 敷地の地質・地質構造<br />
D-1破砕帯について<br />
平成25年4月24日<br />
日本原子力発電株式会社<br />
敦賀・現調5-2
D-1破砕帯及びK断層の総合評価<br />
D-1破砕帯及びK断層は、後期更新世以降の活動はない。<br />
したがって、耐震設計上考慮すべき活断層ではない。<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
Lカットピット<br />
西側ピット<br />
K断層<br />
B14-2ボーリング<br />
D-1破砕帯<br />
◆ D-1破砕帯(G断層含む)及び K<br />
断層は後期更新世以降に活動してい<br />
ない<br />
(D-1トレンチの追加の年代分析結果)<br />
・D-1破砕帯(G断層含む)及びK断層は、⑤層下<br />
部に覆われる(両者は⑤層下部の地層が堆積<br />
した以降は活動していない)。<br />
・⑤層下部で追加実施した年代分析の結果、⑤<br />
層下部は約12~13万年前頃の地層と判断され<br />
た(美浜テフラが検出された(DMPとは異<br />
なる事,③層中の角閃石は美浜テフラでは無<br />
い事を確認))。<br />
・したがって、⑤層下部に覆われるK断層及びD-<br />
1破砕帯(G断層含む)は、約12~13万年前以<br />
降に活動していない。<br />
◆ K断層はD-1破砕帯ではなく、<br />
2号機原子炉建屋まで延びない<br />
(薄片観察結果)<br />
・K断層はD-1破砕帯(G断層含む)と変位センスが異なる。<br />
K断層:逆断層の変位センス<br />
D-1破砕帯(G断層含む):正断層の変位センス<br />
(追加のLカットピット、西側ピットの地質観察結果)<br />
・K断層は岩盤まで達し、D-1トレンチ内で走向がN-S方向<br />
からNW-SE方向に変化する(基盤内で確認した)ことか<br />
ら、2号機原子炉建屋まで延びないことが示唆される。<br />
(B14-2ボーリングの追加の薄片観察結果)<br />
・D-1トレンチ南方のB14-2ボーリングにおいて、断層ガウ<br />
ジが3箇所で確認されたが、K断層の特徴である逆断層<br />
の変位センスは認められなかった(いずれも正断層の変<br />
位センスである)。<br />
・したがって、K断層は少なくともB14-2ボーリングよりも<br />
南方には延びないと判断される。<br />
◆ G断層はD-1破砕帯である<br />
・走向傾斜が類似している。<br />
(追加の薄片観察結果)<br />
・D-1破砕帯とした破砕部(D-1既往露頭、ボー<br />
リング、D-1トレンチ、2号機背後斜面)につ<br />
いて、薄片観察を追加実施した。<br />
・D-1破砕帯及びG断層とも正断層の変位センス<br />
であることから、G断層はD-1破砕帯である。<br />
G断層<br />
⑤層下部<br />
1<br />
青字は新たなデータ<br />
年代分析
事業者評価と有識者会合の見解<br />
破砕部の確認<br />
・露頭調査、ボーリング調査、試掘坑調査などで確認。<br />
(D-1トレンチではG断層、K断層を確認)<br />
連続性の検討<br />
・走向・傾斜の類似性を基本に一連か否か検討。<br />
・2号機原子炉建屋直下のD-1破砕帯とG断層はN-S走向、K断層は基盤中でN-S走向からNW-SE<br />
走向となる。<br />
連続性の検討結果の妥当性確認<br />
・一連とした破砕帯が妥当であるか否か、最新活動面の変位センスの類似性にも着目。<br />
・D-1破砕帯とG断層は「横ずれを伴う正断層」、K断層は「逆断層」(継続調査中)<br />
活動性評価のための調査地点の選定<br />
・浦底断層による影響を最も受けやすい箇所で、破砕帯が活動していなければ、原子炉施設ではさらに<br />
活動性は落ちるとの考えで、D-1トレンチ位置を決定。<br />
上載地層法による評価<br />
・⑤層下部に美浜テフラ(約12万年前)を確認(継続調査中)<br />
・G断層、K断層は⑤層下部に覆われる。<br />
連続性評価<br />
活動性評価<br />
評 価<br />
D-1破砕帯とG断層と一連であり、K断層は一連でない。<br />
事業者評価 有識者会合の見解<br />
(評価の基本的考え方)<br />
評 価<br />
D-1破砕帯(G断層含む)及びK断層は約12万年前以降に活動しておらず、耐震設計上考慮すべき活断層<br />
ではない。<br />
・一般に、断層は直線的に延びるとは限らず、屈曲<br />
したり、一旦途切れて並走したりする。<br />
・D-1破砕帯、G断層、K断層は一連の構造と考える<br />
のが適当。<br />
K断層は後期更新世以降に堆積した可能性がある<br />
地層にずれを及ぼしていることが確認された。<br />
過去の建設・掘削によって、活動性評価に証拠と<br />
なるデータが存在した可能性の高い地層の多くが失<br />
われ、D-1破砕帯の活動性が高いことを示す決定的<br />
な証拠が得られない。<br />
・最新活動面の構造が認識できない場合もある。<br />
・各調査地点の最新活動が同時期とは限らない。<br />
・美浜テフラ以外のテフラの分析・対比をしていな<br />
い。<br />
・⑤層下部から検出されたテフラの数が少なく、③<br />
層にも少量含まれる、信頼性がかなり低い。<br />
▼<br />
▼<br />
▼<br />
▼<br />
▼<br />
赤字について本日説明<br />
一般に、断層は堆積層中では走向・傾斜がばらつ<br />
くことが多いので、K断層が堆積層中で屈曲していて<br />
も、D-1破砕帯の方向に向かわないとは言えない。<br />
2
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
本文 論点<br />
【主張1に対する有識者会合の見解】<br />
評価書案では、事業者はG断層をD-1破砕帯とした根拠を明<br />
確でないとしている。その理由は以下の通りである。<br />
①有識者会合では、地質学の専門家から以下の指摘がなされ<br />
ている。<br />
・破砕部に残された構造は、断層が何回か活動をしている場<br />
合、それぞれの活動による構造を確実に識別して最新活動に<br />
よる構造を認定することができないこともあるため、薄片試<br />
料観察により、最新活動面の変位センスを断定することは困<br />
難である。<br />
・仮に最新活動面の変位センスを識別できたとしても、それ<br />
は各々の地点において相対的に最も新しい活動面が認定でき<br />
たにすぎず、活動時期を特定できるものではない。このため<br />
、同じ変位センスを持つ、異なる地点の断層の最新活動面が<br />
同時期に活動したことまで立証できるものではない。<br />
このような不確実な、変位センスに基づく検討によってG断<br />
層とD-1破砕帯とが同一のものであるとの主張は、根拠が明<br />
確ではないと考えている。<br />
「日本原電の主張に対する見解」に対する当社の見解(1/5)<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
- - -<br />
1.薄片試料観察では、最新活動面で最<br />
新の変位センスを認定できない<br />
2. G断層とD-1破砕帯とが同一のもの<br />
であるとの主張は、根拠が明確では<br />
ない<br />
(本日の説明要旨)<br />
1. 最新活動面での変位センスの認定について<br />
-断層の変位センスの認定に当たっては、これまで薄片試料観察に基づき行ってき<br />
たが、これらの妥当性を確認するため、D-1破砕帯( 2号機背後斜面)、G断層(<br />
D-1トレンチ)及びK断層(D-1トレンチ)を対象に、最新活動面の認定について<br />
はCT画像解析、変位方向については実体顕微鏡による条線観察を行った。<br />
-その結果、これまでの薄片試料観察で行ってきた最新活動面の認定に問題は無く<br />
、また変位方向についても条線観察によるものと調和的であった。<br />
-以上より、薄片試料観察により、最新活動面の変位センスを断定することは可能<br />
である。<br />
2. D-1破砕帯の連続性について<br />
-G断層の走向・傾斜は、D-1破砕帯(N-S走向、高角度西傾斜)と類似し、最新活<br />
動面の変位センスも正断層で一致していることを確認。<br />
-一方、K断層は逆断層であり、D-1破砕帯とは異なることを確認。<br />
-以上のことから、 G断層がD-1破砕帯であり、K断層はD-1破砕帯ではない。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・同一の変位センスを持つ破砕帯を、敢えて活動時期が異なると判断し、またD-1破<br />
砕帯と一連の可能性のある破砕帯がいくつもあると主張する合理的な根拠を確認し<br />
たい。<br />
10-45<br />
3
4<br />
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
本文 論点<br />
【主張2に対する有識者会合の見解】<br />
評価書案では、K断層は「D-1破砕帯と一連の構<br />
造」としている。その理由は以下の通りである。<br />
①「主張1」の見解に示したようにG断層及びD-1<br />
破砕帯に関して事業者の行った薄片試料観察につ<br />
いて、有識者会合において、以下の通り地質の専<br />
門家が指摘しているところである。<br />
・(省略)<br />
このように不確実な、変位センスの検討によって<br />
、関連がないとの主張は、根拠が明確ではないと<br />
考えている。<br />
主張1の論点と同じ 主張1に対する有識者会合での見解に対する当社の見解と同じ -<br />
②特に、事業者がK断層の走向が途中でNNW-SSE<br />
方向に屈曲している箇所は、主に岩盤より上の堆<br />
積層中で認識したものである。一般に堆積層中の<br />
断層は、走向傾斜が一定せず、局所的に見れば走<br />
向傾斜がばらつくことが多いことから、堆積層中<br />
の断層が屈曲していることをもって、K断層がD-<br />
1破砕帯の方向に向かっていないと断定すること<br />
はできないと考える。<br />
③また、一般的に断層は、直線的に延びるとは限ら<br />
ず、屈曲して方向などが多少変化したり、いった<br />
ん途切れて並走したりし、D-1破砕帯もこのよう<br />
な形態を示すものと考えられる。<br />
1.堆積層中で、K断層が屈曲しているこ<br />
とを確認しているため信頼性がない。<br />
2.屈曲していたとしても、一般的に断層<br />
は屈曲したり、一旦途切れて並走した<br />
りするので、D-1破砕帯がK断層と一<br />
連と考えられる。<br />
(本日の説明要旨)<br />
1.K断層の基盤内での形状について<br />
・これまでの評価会合において、「K断層の岩盤部への延長について追加調査を実施する」旨<br />
を繰り返し表明している。<br />
・D-1破砕帯が必ずしも直線的に延びるとは限らないという指摘を踏まえ、D-1破砕帯の走向<br />
方向に幅広に調査をし、また出来得る限り調査地点を増やすとの考えのもと調査を継続実施<br />
中である。<br />
・D-1トレンチにおけるピット調査によって、K断層は岩盤内でも走向をNW-SE方向に変えて<br />
いることを確認した(速報)。<br />
2.K断層の南方への延長について<br />
-2号機原子炉建屋とD-1トレンチの間で実施したB14-2ボーリング孔より得られた薄片試料観<br />
察結果より、K断層と同じ逆断層センスを有する破砕帯は一切認められなかったことから、<br />
K断層は少なくともB14-2ボーリング孔より南方へは延びない。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・「D-1破砕帯もこのような形態を示すもの」と判断されている根拠を示して頂きたい。<br />
46-60<br />
「日本原電の主張に対する見解」に対する当社の見解(2/5)
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
「日本原電の主張に対する見解」に対する当社の見解(3/5)<br />
本文 論点<br />
【主張3に対する有識者会合の見解】<br />
(1)D-1断層が考慮すべき活断層ではないとする事業者の主張<br />
(省略)<br />
(2)鉱物の分析によるテフラの同定<br />
テフラに含有する鉱物の分析は、候補となる数種のテフラの主<br />
成分等と比較して同定するのが一般的である。しかしながら、<br />
事業者は、特定の12~13万年前のテフラ(事業者は“美浜<br />
テフラ”と称している)としか比較せずに、同テフラであると<br />
断定しており、その同定方法は不十分であると考える。<br />
(3)テフラが堆積した地層の特定<br />
⑤層下部から検出された鉱物(角閃石)の含有率が3000カウ<br />
ントで1個未満という低頻度であり、また鉱物(角閃石)は下<br />
位の③層にも少量ながら含まれることから、⑤層下部を12~<br />
13万年前のテフラが堆積した地層とした事業者の主張は、信<br />
頼性がかなり低いと言える。<br />
テフラが堆積した地層を特定するには目視で火山灰として認識<br />
されることが望ましい。目視では認識できない場合、地層中に<br />
含まれるテフラに含有する鉱物をカウントする手法(今回、事<br />
業者が行った手法)で年代を特定することがある。この場合、<br />
地層に相当量の鉱物が含まれていて、かつ上下層と顕著に有意<br />
な差がない限り、テフラが堆積した地層と特定することは困難<br />
である。<br />
-<br />
• 主成分分析の比較を美浜テフ<br />
ラとしかしていない。<br />
• 鉱物の含有率が低頻度である<br />
。上下層と顕著に有意な差が<br />
ない限りテフラが堆積した地<br />
層と特定できない。<br />
• ③層にも角閃石が含まれてい<br />
る。<br />
当社の見解<br />
(これまでの考え方)<br />
・ 検出量は微量であるが、同一層準に広がりを持って分布すること、基盤を構成する<br />
江若花崗岩類やドレライトには普通角閃石が含まれないことから、テフラ起源の角<br />
閃石であると判断される。<br />
・ この角閃石には多少の再堆積を示す上下方向の検出量の増減の繰り返しが見られる<br />
が、⑤層基底あるいはそれより上位に検出下限が見られることから、検出下限並び<br />
に⑤層基底は、ほぼ降灰時期を示していると判断される。<br />
・ 以上のことから、同定方法に問題はない。<br />
(本日の説明要旨(新たなデータ))<br />
1.D-1トレンチの層序について<br />
⇒⑤層は温暖期、③層は⑤層より寒冷な時期に堆積した。<br />
2.⑤層下部及び③層に含まれる普通角閃石について<br />
⇒砂礫層であることから鉱物の産出は極めて少ないものの、主成分分析の結果、⑤<br />
層下部の普通角閃石と③層のそれとは有意な差が認められた。<br />
⇒⑤層下部の特定層準から産出する普通角閃石は、テフラ起源の角閃石であること<br />
が判明した。<br />
⇒⑤層下部は、③層からの再堆積ではないことが判明した。<br />
3.⑤層下部で確認した普通角閃石の起源<br />
⇒⑤層下部の普通角閃石は、美浜テフラである可能性が非常に高い。<br />
⇒大山蒜山原及びBT37は、いずれも三瓶木次(110-115Ka)より下位に分布し、海<br />
洋酸素同位体ステージ5eに堆積したテフラである。<br />
⇒よって、⑤層下部は、海洋酸素同位体ステージ5eの堆積物であると考えざるを<br />
得ない。<br />
⇒③層は、⑤層下部より下位の寒冷期とすれば、海洋酸素同位体ステージ6、また<br />
は、それ以前の堆積物である。<br />
なお、<br />
・信頼性向上のために、D-1トレンチで測線を増やし、追加の分析を行っている。<br />
・大山蒜山原については、今後主成分の確認をしていく。<br />
・BT37は、試料が入手困難なため確認できないが、既往文献によると127.6kaで<br />
ある。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・ 以上の結果を踏まえても、⑤層下部、③層が、それぞれMIS5e、MIS6ではないとす<br />
る根拠はあるか?<br />
・ 有識者会合は、K断層の変位が及ぶ地層について、現地調査において、③層中のシル<br />
ト層まで及んでいないことを確認している。<br />
本日の<br />
資料番号<br />
-<br />
61-78<br />
5
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合 当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
本文 論点<br />
【主張4に対する有識者会合の見解】<br />
評価書案では、D-1破砕帯は、至近距離にあ<br />
る浦底断層の活動と同時に活動し重要施設に<br />
影響を与えるおそれがあるとしている。<br />
これは、D-1破砕帯と一連の構造であるK断<br />
層が、横ずれを伴う逆断層であり、左横ずれ<br />
を伴う逆断層で活動性が非常に高い浦底断層<br />
と水平距離で20~30mと極めて近接すること<br />
から、浦底断層の活動に誘発されて活動する<br />
可能性が高いとの理由によるものである。<br />
なお、事業者が行った数値解析とは、「食<br />
い違い弾性論」による検討であるが、浦底断<br />
層のように至近距離にある場合、「食い違い<br />
弾性論」を適用して影響を確認することは難<br />
しいということが旧原子力安全・保安院の耐<br />
震バックチェック審査における専門家の意見<br />
であった。有識者会合としても、このスタン<br />
スは承継するものである。<br />
1.D-1破砕帯が浦底断層の<br />
活動に誘発されて活動す<br />
る可能性が高い<br />
2.浦底断層のように至近距<br />
離にある場合、「食い違<br />
い弾性論」を適用して影<br />
響を確認することは難し<br />
いとの旧原子力安全・保<br />
安院バックチェック審議<br />
における専門家の意見を<br />
承継。<br />
(本日の説明要旨(これまでの考え方))<br />
・事業者では、D-1破砕帯と浦底断層の同時活動性について、活動履歴及び数値解析で検討を実施した。<br />
【活動履歴に基づく検討】<br />
-浦底断層の最新活動時期は、約4,000年前以降であり、平均活動間隔は5,000年±2,000年(産総研ほか、2012)であるが、D-1破砕帯は<br />
少なくとも約12万年前以降は活動していない。<br />
-このことから約12万年前以降、浦底断層は十数回~四十回程度活動していたと考えられるが、この期間にD-1破砕帯は一度も活動して<br />
いない。<br />
-また、後期更新世以降に広域応力場が変化したとの見解がないことも踏まえると、今後も浦底断層とD-1破砕帯が同時に活動することは<br />
ないものと判断される。<br />
【数値解析に基づく検討】<br />
-浦底断層の活動に伴うD-1破砕帯を含む地盤の支持性能について数値解析によって評価した。<br />
-数値解析では、最初に地盤を半無限弾性体と仮定した「食い違いの弾性論」による地盤変形解析において、「基本検討」及び「不確か<br />
さを考慮した検討」を行い、原子炉建屋基礎地盤の支持性能評価に対して最も厳しい結果を与える検討条件を抽出した。<br />
-その後、その検討条件に基づき、食い違い弾性論の考慮できない、地形・地盤構造・地盤物性・地盤の非線形特性等を考慮して詳細に<br />
モデル化したFEMモデルによる解析を行い、破砕帯の安定性については、FEM解析結果による局所安全係数に基づき評価した。<br />
-その結果、浦底断層近傍の破砕帯において、せん断破壊や引張応力の発生が見られるが、その範囲は限定的であり、また、建屋近傍に<br />
おける破砕帯の局所安全係数は十分に大きいことから、地盤の支持性能は十分に確保されていると判断した。<br />
・なお、事業者が実施した数値解析については、「浦底断層が活動(変位)した際に生じる地盤内の応力変化によって、原子炉建屋直下<br />
の破砕帯が破壊に至るか否かの判断」を目的としたものであり、いわゆる地盤の安定性評価の観点での検討である。<br />
・なお、本検討の目的は、上述のとおりであり、破砕帯の変位量を求めるものではない。<br />
・こうした地盤の安定性評価手法は、地盤工学では既に広く用いられている。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・事業者としては、以下の経緯でD-1破砕帯と浦底断層との同時活動性について検討を実施しているが、その認識でよいか。<br />
-「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き(平成22年12月20日、原子力安全委員会了承)」においては、地震発生に<br />
伴う断層変位に対する評価に当たっては、その断層変位により建物・構築物が設置されている地盤に生じる変位・変形を数値計算等に<br />
よって評価する必要があるとしている。この指針に従って、浦底断層の活動に伴いD-1破砕帯を含めた周辺の破砕帯にずれが生ずるか否<br />
かを数値解析により検討している。<br />
-平成23年11月11日、旧原子力安全・保安院から「敦賀発電所における活動層の近接箇所の地層変位の評価手法を明らかにし、当該手法<br />
に基づき原子炉建屋等に対する影響評価」を行うよう指示を受け、検討を進めてきた。<br />
-平成24年5月14日、旧原子力安全・保安院の地震・津波に関する意見聴取会において、事業者より敷地内の追加調査計画を説明し、その<br />
中に「上載地層法による評価が困難な場合には、種々の地質調査、数値解析等の結果に基づき総合的に評価する」と説明し、了解を得<br />
ている。<br />
・旧原子力・安全保安院の審議では、食い違いの弾性論については、「適用性については、少し時間を掛けて議論すべき」、「さらに一<br />
歩踏み込んだ検討が必要」としており、より深く検討すべきことを指摘しているものであり、食い違いの弾性論が適用出来ないと指摘<br />
するものではない。<br />
・また、「このスタンスは承継する」としているが、有識者会合及び「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関する規制基準に関する<br />
検討チーム」(以下、基準検討チーム)においては、食い違いの弾性論の適用性などに関する議論は一切なされていない。どのような<br />
議論を経て承継に至ったのか、経緯を明確にしていただきたい。<br />
・D-1破砕帯が浦底断層に誘発されて活動する可能性を指摘しているが、誘発とは具体的にどのようなメカニズムを想定し、その影響範囲<br />
がどの程度かを明らかにされたい。<br />
79-135<br />
6<br />
「日本原電の主張に対する見解」に対する当社の見解(4/5)
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
本文 論点<br />
【主張5に対する有識者会合の見解】<br />
現行の耐震設計指針では耐震設計上考慮する活断層を「後期更新<br />
世以降の活動が否定できないもの。」としており、「活動が認め<br />
られるもの。」とは、規定しておらず、活動性に係るデータが得<br />
られない場合(活動性が無いというデータが得られない場合)は<br />
、考慮対象となる。<br />
今回のように事業者が確度の高いデータを示さない場合は、「耐<br />
震設計上考慮すべき活断層」として判断することになる。<br />
また、立証責任は一義的に事業者側にあるものと考えており、調<br />
査を実施した事業者として、活動性に係るデータ(活動性が無い<br />
というデータ)を示さなければならない。<br />
なお、今後新たな知見が得られた場合、必要があれば、この評価<br />
を見直すこともあり得るが、その際には、事業者は追加調査等に<br />
よって“活断層である可能性を否定する”客観的なデータを揃えるこ<br />
と等が必要である。<br />
「日本原電の主張に対する見解」に対する当社の見解(5/5)<br />
・立証責任は一義的に事業者側<br />
にあるか。<br />
当社の見解<br />
立証責任が一義的に事業者側にあるとする考え方については、法律的観点から見て<br />
適切でない。<br />
一般に規制法においては、規制当局が規制権限を行使するに当たって規制要件への<br />
該当性を証明する責任を負っており、そのために規制当局には、法律上、報告徴収<br />
権・立入調査権が付与されているのである。従って、原子炉等規制法のバックフィ<br />
ット規制に係る本件調査についても、規制当局たる規制委員会(有識者会合)にそ<br />
の最終的な証明責任、説明責任がある。<br />
なお、当社は既に有識者会合に対し、「活動性がない」ことを、調査に基づく確度<br />
の高い客観的事実・データにより示しているのであるから、仮に規制委員会(有識<br />
者会合)がこれを覆すというのであれば、同様に、規制委員会(有識者会合)がこ<br />
れを証拠(データ)に基づき証明・説明する責任があるということである。<br />
本日の<br />
資料番号<br />
136-138<br />
7
「有識者会合の評価」に対する当社の見解(1/2)<br />
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価について(基本的考え方)<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
本文 論点<br />
①敦賀発電所敷地内、1号炉及び2号炉の原子炉建屋の極近傍(約200~<br />
300m)には、極めて活動性の高い浦底断層が存在している。<br />
※12~13万年前以降これまで繰り返し運動し、最新の活動時期は約40<br />
00年前以降これまで繰り返し活動し、最新の活動時期は約4000年前<br />
より新しい時代であることが、平成20年に日本原子力発電から報告され<br />
た。<br />
-<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・浦底断層は耐震設計上考慮する活断層であり、その影響を評価してい<br />
る。<br />
-<br />
②その他にも敷地内には多数の断層が存在し、特に2号炉原子炉建屋直下に<br />
存在するD-1断層の周辺(あるいは延長付近)には、同方向に並走するK断<br />
層、G断層といった複数の断層が存在する。<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
主張1の論点と同じ<br />
主張1に対する有識者会合の見解に対する<br />
当社の見解と同じ<br />
-<br />
③一般に断層は直線に延びるとは限らず、屈曲して方向が多少変化したり、<br />
一旦途切れて並走したりする。このことから、D-1断層、K断層、G断層等<br />
については、一連の構造であるとするのが適当と考える。<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
主張2の論点と同じ<br />
主張2に対する有識者会合の見解に対する<br />
当社の見解と同じ<br />
-<br />
④D-1断層と一連の構造と考えられるK断層は、D-1トレンチにおいて、後期<br />
更新世以降に堆積した可能性がある地層にずれを及ぼしていることが確認<br />
された。このことを踏まえるとD-1断層が活動しないもの(耐震設計上考慮<br />
する必要がないもの)と判断するためには、これらの一連の構造に関して<br />
、相当確度の高いデータに基づき、確実に新しい活動がないと立証される<br />
必要がある。<br />
1.後期更新世以降堆積した可能性の<br />
ある地層が何層か述べていない。<br />
2.ずれを及ぼしている地層が何層な<br />
のか述べていない。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・「後期更新世以降に堆積した可能性がある地層にずれを及ぼしている<br />
」としているが、堆積層と断層との関係、堆積層の年代評価について<br />
一切述べていないが、具体的な根拠を示していただきたい。<br />
-<br />
⑤事業者は、これまでのところいくつかのデータを示しているが、いずれも<br />
D-1断層が活動しないものと判断するに十分な立証ができるようなデータを<br />
示しているとは認められない。<br />
【例:別添資料】<br />
「火山灰砕屑物(テフラ)によるD-1断層の活動年代の特定」<br />
「薄片試料観察による変位センスの特定」 等<br />
-<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・不十分な点があれば、更にデータを追加し、確認すべきであり、評価<br />
会合の有識者は具体的に何が不足しているか明らかにすべきである。<br />
-<br />
⑥また、過去の建設・掘削工事によって、断層の活動性の根拠となるデータ<br />
が存在した可能性の高い地層の多くが失われていることもあり、D-1断層の<br />
活動性が高いことを示す決定的な証拠は得られていないところではある。<br />
しかし、一方で、事業者は、今回の調査でD-1断層と一連の構造であると考<br />
えることに一定の合理性が認められる断層(K断層)が過去に繰り返し活<br />
動したというデータが得られたと説明している。<br />
-<br />
(これまでの考え方)<br />
・D-1トレンチが調査位置として不適切であるとは考えていない。<br />
・理由は、有識者会合も示す通り、調査目的はD-1破砕帯が浦底断層の<br />
活動に伴い、同時に活動するか否かについてであり、浦底断層の影響<br />
を最も受けることから、浦底断層の極近傍で調査をしているためであ<br />
る。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・第3回会合では、Lカットピットにおいて複数の方向の条線が確認され<br />
ていることを示したのみであり、現在の応力場で繰り返し活動したと<br />
いうデータが得られたと説明した事実はない。<br />
-<br />
8
9<br />
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価について(基本的考え方)<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
本文 論点<br />
⑦これらのことから、現時点で入手できるデータ(事業者が3月8日の評<br />
価会合で示したものも含む)から判断する限り、有識者会合としては<br />
、D-1断層は、安全側の判断として、耐震設計上考慮する活断層である<br />
可能性が高く、また至近距離にある浦底断層と同時に活動し、直上の<br />
重要な施設に影響を与えるおそれがあると考えている。<br />
-<br />
(これまでの考え方)<br />
・上記①~⑥の個々の議論に基づけば、D-1破砕帯は耐震設計上考慮す<br />
べき活断層ではないと判断している。<br />
-<br />
⑧なお、今後新たな知見が得られた場合、必要があれば、この評価を見<br />
直すこともあり得るが、その際には、追加調査等によって“活断層であ<br />
る可能性を否定する”客観的なデータを揃えること等が必要である。<br />
-<br />
(これまでの考え方)<br />
・D-1破砕帯の評価については、データを拡充するために、追加調査を<br />
実施中である。<br />
-<br />
【別添】事業者が示した不十分な立証データの例<br />
1.火山灰(テフラ)によるD-1断層の活動年代の主張<br />
(1)D-1断層が考慮すべき活断層ではないとする事業者の主張<br />
(主張2と同じ)<br />
(2)鉱物分析によるテフラの同定<br />
(主張3と同じ)<br />
(3)テフラが堆積した地層の特定<br />
(主張3と同じ)<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
主張2及び3の論点と同じ<br />
左に対する当社の見解と同じ -<br />
(専門家のコメント)<br />
「第四紀テフラ(火山砕屑物)研究の第一人者:首都大学東京 鈴木毅<br />
彦教授」からのメール(抜粋)<br />
詳細が不明なので、あまり正確なコメントにならないと思いますが、<br />
たとえば1mのローム層を10cmごとに連続サンプリングし、ある層<br />
準で3000個数えて斑晶鉱物が100個有り、その上下で30個、さ<br />
らにその上下で10個ということであれば説得力があると思います。<br />
しかし、1mのローム層のうち、ある層準だけに3000個数えて斑<br />
晶鉱物が1個未満でその前後で検出できなければ、信頼性は低いといわ<br />
ざるを得ないと思います。<br />
-<br />
(これまでの考え方)<br />
・検出量は微量であるが、同一層準に広がりを持って分布すること、基<br />
盤を構成する江若花崗岩類やドレライトには、普通角閃石が含まれな<br />
いことから、テフラ起源の角閃石であると判断される。<br />
・この普通角閃石には多少の再堆積を示す上下方向の検出量の増減の繰<br />
り返しが見られるが、⑤層基底あるいはそれより上位に検出下限が見<br />
られることから、検出下限並びに⑤層基底は、ほぼ降灰時期を示して<br />
いると判断される。<br />
・以上のことから、同定方法に問題はない。<br />
-<br />
2.薄片観察による変位センスの特定<br />
(主張1及び2と同じ)<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
主張1及び2と同じ<br />
左に対する当社の見解と同じ -<br />
「有識者会合の評価」に対する当社の見解(2/2)
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
本文 論点<br />
【主張1に対する有識者会合の見解】<br />
評価書案では、事業者はG断層をD-1破砕帯とした根拠を明<br />
確でないとしている。その理由は以下の通りである。<br />
①有識者会合では、地質学の専門家から以下の指摘がなされ<br />
ている。<br />
・破砕部に残された構造は、断層が何回か活動をしている場<br />
合、それぞれの活動による構造を確実に識別して最新活動に<br />
よる構造を認定することができないこともあるため、薄片試<br />
料観察により、最新活動面の変位センスを断定することは困<br />
難である。<br />
・仮に最新活動面の変位センスを識別できたとしても、それ<br />
は各々の地点において相対的に最も新しい活動面が認定でき<br />
たにすぎず、活動時期を特定できるものではない。このため<br />
、同じ変位センスを持つ、異なる地点の断層の最新活動面が<br />
同時期に活動したことまで立証できるものではない。<br />
このような不確実な、変位センスに基づく検討によってG断<br />
層とD-1破砕帯とが同一のものであるとの主張は、根拠が明<br />
確ではないと考えている。<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
- - -<br />
1.薄片試料観察では、最新活動面で最<br />
新の変位センスを認定できない<br />
2. G断層とD-1破砕帯とが同一のもの<br />
であるとの主張は、根拠が明確では<br />
ない<br />
(本日の説明要旨)<br />
1. 最新活動面での変位センスの認定について<br />
-断層の変位センスの認定に当たっては、これまで薄片試料観察に基づき行ってき<br />
たが、これらの妥当性を確認するため、D-1破砕帯( 2号機背後斜面)、G断層(<br />
D-1トレンチ)及びK断層(D-1トレンチ)を対象に、最新活動面の認定について<br />
はCT画像解析、変位方向については実体顕微鏡による条線観察を行った。<br />
-その結果、これまでの薄片試料観察で行ってきた最新活動面の認定に問題は無く<br />
、また変位方向についても条線観察によるものと調和的であった。<br />
-以上より、薄片試料観察により、最新活動面の変位センスを断定することは可能<br />
である。<br />
2. D-1破砕帯の連続性について<br />
-G断層の走向・傾斜は、D-1破砕帯(N-S走向、高角度西傾斜)と類似し、最新活<br />
動面の変位センスも正断層で一致していることを確認。<br />
-一方、K断層は逆断層であり、D-1破砕帯とは異なることを確認。<br />
-以上のことから、 G断層がD-1破砕帯であり、K断層はD-1破砕帯ではない。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・同一の変位センスを持つ破砕帯を、敢えて活動時期が異なると判断し、またD-1破<br />
砕帯と一連の可能性のある破砕帯がいくつもあると主張する合理的な根拠を確認し<br />
たい。<br />
10-45<br />
10
【D-1破砕帯の変位センス】<br />
調査位置:2号機原子炉建屋背後斜面<br />
11
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 調査位置図<br />
H19-No.2<br />
N2W, 72W<br />
H19-No.14<br />
N20E, 81W<br />
D-1既往露頭<br />
N9E, 73W<br />
試掘坑B坑(TP.-15m)<br />
N11W,78W<br />
せん断試験坑底盤<br />
(TP.-15m) N3E,81W<br />
試掘坑C坑(TP.-15m)<br />
N28E,84W<br />
2号機背後斜面剥ぎ取り調査<br />
H20-No.②-1<br />
ボーリング調査②<br />
60°、L=25m<br />
H24-No.B6-5<br />
N7E, 89W<br />
H24-No.B6-1<br />
N3E, 81W<br />
ボーリング調査①<br />
45°、L=100m<br />
D-1破砕帯<br />
T.P.-70m<br />
H24-No.B14-2<br />
N1W, 76W<br />
試掘坑A坑(TP.-15m)<br />
N1E,88W<br />
正断層センスを確認 した位置<br />
現在調査中の位置<br />
D-1トレンチ<br />
N6E, 67W2<br />
浦底断層<br />
T.P.-70m<br />
2号機原子炉建屋背後斜面を剥ぎ取り、D-1破砕帯の連続性のデータ拡充を行った。<br />
12
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 露頭<br />
E← →W<br />
法面剥ぎとり部写真(全景)<br />
褐色及び黒褐色の断層ガウジが直線的に露頭全体を切っている<br />
⇑D-1破砕帯<br />
1m<br />
最新活動面<br />
最新活動面は,露頭全体において,全体を切っていて最も軟質な面の中で最も直線的な面としている。<br />
5cm<br />
褐色を呈する薄く軟質な断層ガウジが直線的に周囲の断層ガウジを切っている<br />
13
最新活動面<br />
E← →W<br />
10cm<br />
褐色を呈する薄い断層ガウジが直線的に全ての構造を切っている<br />
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 研磨片<br />
最新活動面<br />
最新活動面は,ブロックサンプルにおいて,全体を切っていて最も軟質な面の中で最も直線的な面としている。<br />
1cm<br />
褐色を呈する断層ガウジが直線的に全ての構造を切っている<br />
14
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 ブロックサンプル<br />
西 東<br />
主断層面<br />
主断層面に沿って幅約2mmの断層ガウジが観察される。<br />
上<br />
10 mm<br />
15
X線CT による断層岩の内部構造解析を実施<br />
ブロックサンプル(定方位)CT解析(G断層)<br />
16
主断層面<br />
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 CT画像<br />
50 mm<br />
鉛直断面<br />
主断層面(最新面)沿いに断層ガ<br />
ウジが狭長な分布を示す。<br />
17
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 ブロックサンプル主断層面<br />
北<br />
西側から下盤上の主断層面を見る。高角度(75°)の条線が観察される。<br />
75°<br />
18
N<br />
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 ブロックサンプル主断層面<br />
西側から下盤上の主断層面を見る。高角度の条線が観察される。<br />
上<br />
19
上<br />
北 西側から下盤上の主断層面を見る<br />
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 ブロックサンプル主断層面<br />
20
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 薄片観察(条線方向) (複合面構造補助線なし)<br />
最新活動面の条線に沿った薄片観察では,正断層の変位センスが観察される<br />
なる<br />
21
D-1破砕帯 2号機背後斜面剥取 薄片観察(条線方向)(複合面構造補助線あり)<br />
最新活動面の条線に沿った薄片観察では,正断層の変位センスが観察される<br />
なる<br />
22
【G断層の変位センス】<br />
調査位置:D-1トレンチ<br />
23
K断層<br />
G断層<br />
試料採取位置<br />
G断層 D-1トレンチ ブロックサンプル位置<br />
最新活動面の条線に沿った薄片観察では,正断層の変位センスが観察される<br />
24
上<br />
G断層 D-1 トレンチ 北側ピット D-1破砕帯ブロックサンプル<br />
他の変形構造切る連続性の良い断層面が2条観察された。<br />
B面<br />
A面<br />
5cm<br />
西<br />
25
ブロックサンプル(定方位)CT解析(G断層)<br />
26
水平スライス<br />
断面 鉛直断面<br />
鉛直断面<br />
G断層 D-1 トレンチ 北側ピット D-1破砕帯ブロックサンプル CT画像<br />
A面 B面<br />
A面 B面<br />
5 cm<br />
他の変形構造を切る連続性の<br />
良い断層面が2条観察された。<br />
27
N G断層 D-1トレンチ 北側ピット D-1破砕帯ブロックサンプル:A面上の条線<br />
西側から東方を見る。西傾斜の断層面(A面)の下盤側表面の形態。高角<br />
度の条線が認められる。<br />
1 mm<br />
28
N<br />
D-1 トレンチ 北側ピット D-1破砕帯ブロックサンプル:A面上の条線<br />
西側から東方を見る。西傾斜の断層面(A面)の下盤側表面の形態。<br />
高角度の条線,微小な窪みが認められる。<br />
1 mm<br />
29
D‐1 トレンチ 北側ピット D‐1破砕帯ブロックサンプル:B面上の条線<br />
東側から西方を見る。西傾斜の断層面(B面)の上盤側表面の<br />
形態。高角度の条線,微小な窪みが認められる。<br />
1mm<br />
N<br />
30
K断層<br />
G断層<br />
試料採取位置<br />
G断層 D-1トレンチ 露頭<br />
E<br />
上盤側(西側)から,面状カタクレーサイト,断層ガウジ,カタクレーサイトからなる。<br />
断層ガウジは全体を直線的に切っており,その中でも下盤側が直線的に連続している。<br />
最新活動面は,露頭全体において,全体を切っている最も軟質な面の中で最も直線的な面としている。<br />
W<br />
試料採取位置写真<br />
31
W<br />
G断層 D-1トレンチ 研磨片試料<br />
面状カタク<br />
レーサイト 断層ガウジ<br />
カタクレーサイト<br />
上盤側(西側)から,面状カタクレーサイト,断層ガウジ,カタクレーサイトからなる。<br />
断層ガウジは全体を直線的に切っており,その中でも下盤側が上下方向に連続している<br />
最新活動面は,研磨片において,全体を切っていて最も軟質な面の中で最も直線的な面としている。<br />
E<br />
32
D-1トレンチ YZ方向<br />
G断層 D-1トレンチ 薄片観察(上下成分)<br />
D-1トレンチ<br />
33
D-1トレンチ XZ方向<br />
G断層 D-1トレンチ 薄片観察(水平成分)<br />
D-1トレンチ<br />
34
【K断層の変位センス】<br />
調査位置:D-1トレンチLカットピット<br />
35
K断層<br />
Lカットピット<br />
K断層 D-1トレンチLカットピット 露頭<br />
最新活動面は,露頭全体において,全体を切っている最も軟質な面の中で最も直線的な面としている。<br />
36
Lカットピット<br />
←オーガーボーリング位置<br />
K断層<br />
K断層 D-1トレンチLカットピット 試料採取位置<br />
最新活動面<br />
Lカットピット<br />
基盤岩標高21.16m<br />
K断層<br />
オーガーボーリング位置<br />
姿勢が二方向見られる条線が確認されている破砕部⑤は、最新活動面ではない<br />
上盤標高:EL.22.95m<br />
比高:1.79m<br />
オーガーボーリングによる<br />
下盤標高:EL.21.16m<br />
最新活動面<br />
37
K断層 D-1トレンチLカットピット ブロックサンプル<br />
最新面<br />
50 mm<br />
N6W76W<br />
上<br />
38
K断層 D-1トレンチLカットピット CT画像<br />
他の変形構造を切る連続性の良い断層面が観察された。<br />
50 mm<br />
39
N6W<br />
76W 80<br />
N6W<br />
K断層 D-1トレンチLカットピット ブロックサンプル<br />
断層面を西側から撮影<br />
主断層面上に条<br />
線が観察される。<br />
40
N6W<br />
76W 80<br />
N6W<br />
K断層 D-1トレンチLカットピット ブロックサンプル<br />
断層面を西側から撮影<br />
主断層面上に高角度の条線が観察される。<br />
1 mm<br />
41
N6W<br />
76W<br />
Lカットトレンチ K断層 西から東下盤最新面を見る。 1mm<br />
主断層面上に高角度の条線が観察される。<br />
42
N6W<br />
76W<br />
Lカットトレンチ K断層 西から東下盤最新面を見る。<br />
主断層面上に高角度の条線、凹凸が観察される<br />
1mm<br />
43
K断層 D-1トレンチLカットピット 薄片観察(条線方向)(複合面構造補助線なし)<br />
最新活動面の条線に沿った薄片観察では,逆断層の変位センスが観察される<br />
44
K断層 D-1トレンチLカットピット 薄片観察(条線方向)(複合面構造補助線あり)<br />
最新活動面の条線に沿った薄片観察では,逆断層の変位センスが観察される<br />
45
46<br />
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
本文 論点<br />
【主張2に対する有識者会合の見解】<br />
評価書案では、K断層は「D-1破砕帯と一連の構<br />
造」としている。その理由は以下の通りである<br />
。<br />
①「主張1」の見解に示したようにG断層及びD-1<br />
破砕帯に関して事業者の行った薄片試料観察に<br />
ついて、有識者会合において、以下の通り地質<br />
の専門家が指摘しているところである。<br />
・(省略)<br />
このように不確実な、変位センスの検討によっ<br />
て、関連がないとの主張は、根拠が明確ではな<br />
いと考えている。<br />
主張1の論点と同じ 主張1の当社の見解と同じ -<br />
②特に、事業者がK断層の走向が途中でNNW-<br />
SSE方向に屈曲している箇所は、主に岩盤より上<br />
の堆積層中で認識したものである。一般に堆積層<br />
中の断層は、走向傾斜が一定せず、局所的に見れ<br />
ば走向傾斜がばらつくことが多いことから、堆積<br />
層中の断層が屈曲していることをもって、K断層<br />
がD-1破砕帯の方向に向かっていないと断定する<br />
ことはできないと考える。<br />
③また、一般的に断層は、直線的に延びるとは限<br />
らず、屈曲して方向などが多少変化したり、いっ<br />
たん途切れて並走したりし、D-1破砕帯もこのよ<br />
うな形態を示すものと考えられる。<br />
1.堆積層中で、K断層が屈曲していること<br />
を確認しているため信頼性がない。<br />
2.屈曲していたとしても、一般的に断層<br />
は屈曲したり、一旦途切れて並走した<br />
りするので、D-1破砕帯がK断層と一連<br />
と考えられる。<br />
(本日の説明要旨)<br />
1.K断層の基盤内での形状について<br />
・これまでの評価会合において、「K断層の岩盤部への延長について追加調査を実施する」旨<br />
を繰り返し表明している。<br />
・D-1破砕帯が必ずしも直線的に延びるとは限らないという指摘を踏まえ、 D-1破砕帯の走向<br />
方向に幅広に調査をし、また出来得る限り調査地点を増やすとの考えのもと調査を継続実施<br />
中である。<br />
・D-1トレンチにおけるピット調査によって、K断層は岩盤内でも走向をNW-SE方向に変えて<br />
いることを確認した(速報)。<br />
2.K断層の南方への延長について<br />
-2号機原子炉建屋とD-1トレンチの間で実施したB14-2ボーリング孔より得られた薄片試料観<br />
察結果より、K断層と同じ逆断層センスを有する破砕帯は一切認められなかったことから、<br />
K断層は少なくともB14-2ボーリング孔より南方へは延びない。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・「D-1破砕帯もこのような形態を示すもの」と判断されている根拠を示して頂きたい。<br />
46-60
K断層の連続性に関する調査 調査位置図<br />
・D-1トレンチにおいて、K断層の基盤中の性状、走向・傾斜を確認するため、2-1及び1-1ピット調査を実施した。<br />
47
K断層<br />
調査位置<br />
2-1ピット<br />
S N<br />
K断層の連続性に関する調査 2-1ピット<br />
N9E70W<br />
K断層<br />
S N<br />
・D-1トレンチLカットピットの横で2-1ピット掘削を行った結果、基盤中においてもK断層がNS走向を示していることを確認した。<br />
48
西側ピット<br />
北部拡幅部<br />
K断層<br />
K断層の連続性に関する調査 西側ピット北部拡幅部<br />
49
K断層の連続性に関する調査 西側ピット北部拡幅部<br />
・西側ピット北部拡幅部の基盤岩中にN-S走向とNNW-SSE走向の破砕帯が認められる。<br />
・③層を変位・変形させているK断層は、西側ピット内において走向がN-S走向からNNW-SSE走向の断層に屈曲して変化する。<br />
・NS系の破砕帯は、屈曲部から南方では、③層に変位・変形を与えていない。<br />
50
K断層<br />
調査位置<br />
1-1ピット<br />
K断層の連続性に関する調査 1-1ピット(速報)<br />
MN<br />
SSE<br />
K断層<br />
N56W53SW<br />
K断層<br />
・D-1トレンチ西側ピット南方の1-1ピット掘削を行った結果、基盤中においてもK断層がNW-SE走向を示し、2号機原子<br />
炉建屋方向には向いていないことを確認した。 51<br />
NNW<br />
K断層
調査位置<br />
K断層の連続性、G断層の活動性等に関するピット調査等計画<br />
K断層の連続性、G断層の活動性等を更に確認するため、ピット調査等を実施中である。<br />
52
2号機<br />
原子炉建屋<br />
K断層<br />
D-1破砕帯<br />
深度:109.16m<br />
N1W76W<br />
深度:49.27m<br />
深度:28.50m<br />
N34E78W<br />
K断層の南方への延長に関する検討<br />
・ 2号機原子炉建屋とK断層の間を横断するB14-2ボーリングでは、断層ガ<br />
ウジを有する破砕部が3箇所で確認された。<br />
・ いずれの破砕部も、最新活動面の変位センスが、正断層センスを有するこ<br />
とを確認した。<br />
・逆断層センスを有するK断層は、少なくともB14-2ボーリングより南方に延<br />
長しない。<br />
※なお、データ拡充のため、D1-1においてもボーリングを実施中である。<br />
断層面 断層面<br />
場所<br />
B14-2<br />
※1)ボアホールTVによる走向・傾斜の計測ができなかったため、K断層と同様に断層面が高角度傾斜であると仮定<br />
※2)水平・鉛直方向で薄片を作成<br />
Z<br />
X<br />
断層面の法線方向<br />
断層面の法線方向<br />
条線方向 条線方向<br />
B14-2における断層ガウジを有する破砕部の変位センス<br />
破砕帯<br />
名称<br />
変位センス 変位センス<br />
断層ガウジ 断層ガウジ<br />
薄片試料観察面<br />
断層ガウジ 断層ガウジ<br />
すべり角<br />
深度(m) 走向傾斜 条線方向<br />
Y<br />
断層走向 断層走向<br />
断層走向 断層走向<br />
断層ガウジ 断層ガウジ<br />
方位角<br />
傾斜角 傾斜角<br />
北<br />
水平線 水平線<br />
変位センス<br />
(条線方向の薄片観察)<br />
- 28.50 N34E78W 50S 正断層左ずれ<br />
- 49.27 N44E80SE<br />
※1 75S ※1 正断層 ※1<br />
D-1 109.16 N1W76W - 正断層右ずれ ※2<br />
条線方向の薄片試料の座標系<br />
53
2号機<br />
原子炉建屋<br />
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度28.50mの研磨片観察結果(中角度南傾斜成分)<br />
K断層<br />
深度:28.50m<br />
N34E78W<br />
花崗岩中に幅の狭い直線的な断層ガウジが認められる。<br />
54
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度28.50mの薄片観察結果(中角度南傾斜成分)<br />
55
2号機<br />
原子炉建屋<br />
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度49.27mの研磨片観察結果(高角度南傾斜成分)<br />
K断層<br />
深度:49.27m<br />
※)ボアホールTVによる走向・傾斜の計測がで<br />
きなかったため、K断層と同様に断層面が高角<br />
度傾斜であると仮定<br />
・花崗岩中に幅数mmの断層ガウジが認められる。<br />
・断層ガウジは2つに区分され、最新活動面付近には面構造が発達している。<br />
56
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度49.27mの薄片観察結果(高角度南傾斜成分)<br />
※)ボアホールTVによる走向・傾斜の計測がで<br />
きなかったため、K断層と同様に断層面が高角<br />
度傾斜であると仮定<br />
57
2号機<br />
原子炉建屋<br />
K断層<br />
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度109.16mの研磨片観察結果<br />
D-1破砕帯<br />
深度:109.16m<br />
N1W76W<br />
カタクレーサイト中に幅数mmの断層ガウジが認められる<br />
58
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度109.16mの薄片観察結果(上下成分)<br />
59
〔破砕帯の変位センス〕B14-2深度109.16mの薄片観察結果(水平成分)<br />
60
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
本文 論点<br />
【主張3に対する有識者会合の見解】<br />
(1)D-1断層が考慮すべき活断層ではないとする事業者の主張<br />
(省略)<br />
(2)鉱物の分析によるテフラの同定<br />
テフラに含有する鉱物の分析は、候補となる数種のテフラの主<br />
成分等と比較して同定するのが一般的である。しかしながら、<br />
事業者は、特定の12~13万年前のテフラ(事業者は“美浜<br />
テフラ”と称している)としか比較せずに、同テフラであると<br />
断定しており、その同定方法は不十分であると考える。<br />
(3)テフラが堆積した地層の特定<br />
⑤層下部から検出された鉱物(角閃石)の含有率が3000カウ<br />
ントで1個未満という低頻度であり、また鉱物(角閃石)は下<br />
位の③層にも少量ながら含まれることから、⑤層下部を12~<br />
13万年前のテフラが堆積した地層とした事業者の主張は、信<br />
頼性がかなり低いと言える。<br />
テフラが堆積した地層を特定するには目視で火山灰として認識<br />
されることが望ましい。目視では認識できない場合、地層中に<br />
含まれるテフラに含有する鉱物をカウントする手法(今回、事<br />
業者が行った手法)で年代を特定することがある。この場合、<br />
地層に相当量の鉱物が含まれていて、かつ上下層と顕著に有意<br />
な差がない限り、テフラが堆積した地層と特定することは困難<br />
である。<br />
-<br />
• 主成分分析の比較を美浜テフ<br />
ラとしかしていない。<br />
• 鉱物の含有率が低頻度である<br />
。上下層と顕著に有意な差が<br />
ない限りテフラが堆積した地<br />
層と特定できない。<br />
• ③層にも角閃石が含まれてい<br />
る。<br />
当社の見解<br />
(これまでの考え方)<br />
・ 検出量は微量であるが、同一層準に広がりを持って分布すること、基盤を構成する<br />
江若花崗岩類やドレライトには普通角閃石が含まれないことから、テフラ起源の角<br />
閃石であると判断される。<br />
・ この角閃石には多少の再堆積を示す上下方向の検出量の増減の繰り返しが見られる<br />
が、⑤層基底あるいはそれより上位に検出下限が見られることから、検出下限並び<br />
に⑤層基底は、ほぼ降灰時期を示していると判断される。<br />
・ 以上のことから、同定方法に問題はない。<br />
(本日の説明要旨(新たなデータ))<br />
1.D-1トレンチの層序について<br />
⇒⑤層は温暖期、③層は⑤層より寒冷な時期に堆積した。<br />
2.⑤層下部及び③層に含まれる普通角閃石について<br />
⇒砂礫層であることから鉱物の産出は極めて少ないものの、主成分分析の結果、⑤<br />
層下部の普通角閃石と③層のそれとは有意な差が認められた。<br />
⇒⑤層下部の特定層準から産出する普通角閃石は、テフラ起源の角閃石であること<br />
が判明した。<br />
⇒⑤層下部は、③層からの再堆積ではないことが判明した。<br />
3.⑤層下部で確認した普通角閃石の起源<br />
⇒⑤層下部の普通角閃石は、美浜テフラである可能性が非常に高い。<br />
⇒大山蒜山原及びBT37は、いずれも三瓶木次(110-115Ka)より下位に分布し、海<br />
洋酸素同位体ステージ5eに堆積したテフラである。<br />
⇒よって、⑤層下部は、海洋酸素同位体ステージ5eの堆積物であると考えざるを<br />
得ない。<br />
⇒③層は、⑤層下部より下位の寒冷期とすれば、海洋酸素同位体ステージ6、また<br />
は、それ以前の堆積物である。<br />
なお、<br />
・信頼性向上のために、D-1トレンチで測線を増やし、追加の分析を行っている。<br />
・大山蒜山原については、今後主成分の確認をしていく。<br />
・BT37は、試料が入手困難なため確認できないが、既往文献によると127.6kaで<br />
ある。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・ 以上の結果を踏まえても、⑤層下部、③層が、それぞれMIS5e、MIS6ではないとす<br />
る根拠はあるか?<br />
・ 有識者会合は、K断層の変位が及ぶ地層について、現地調査において、③層中のシル<br />
ト層まで及んでいないことを確認している。<br />
本日の<br />
資料番号<br />
-<br />
61-78<br />
61
1.D-1トレンチの層序について<br />
D-1トレンチの地質層序及び堆積年代<br />
トレンチ内における堆積層の調査を実施<br />
・法面の観察より層序を①~⑨層に区分<br />
→⑤層は、③層を大きく削り込んで堆積している。<br />
→③層は⑤層に比べてより粗粒な堆積物から構成されている。<br />
・花粉分析<br />
→②層及び⑤層下部からのみ温暖期の花粉が検出された。③層からは検出されない。<br />
・テフラ分析(法面より10cmピッチで連続サンプリング)<br />
→⑦層からDKP、⑤層上部からK-Tzを確認<br />
→⑤層下部及び③層は、極めて少ないものの普通角閃石を確認<br />
2.⑤層下部及び③層に含まれる普通角閃石について<br />
⑤層下部に確認した普通角閃石の起源について検討<br />
・敦賀発電所敷地内の基盤岩の鉱物組成比を確認<br />
→ 普通角閃石が含まれないことから、基盤岩からの供給はない。<br />
・両層に含まれる普通角閃石の屈折率および主成分を分析<br />
→ ③層の普通角閃石は、⑤層下部の普通角閃石と異なることを確認した。<br />
→ ⑤層下部には、③層で産出する普通角閃石が産出しないことも合わせて確認した。<br />
→ ⑤層下部の普通角閃石は、いずれも同じ範囲に値が集中していることが判明した。<br />
3.⑤層下部で確認した普通角閃石の起源<br />
スケッチ・層序表<br />
花粉分析結果<br />
テフラ分析結果<br />
普通角閃石写真<br />
モード分析結果<br />
主成分分析結果<br />
既往文献に基づき、K-Tzの下位にあり、普通角閃石を含むテフラと対比<br />
・この地域でK-Tzより下位にあるテフラを抽出<br />
ひるぜんばら<br />
→新編 火山灰アトラス: 上位から阿多、三瓶木次、大山蒜山原、大山松江<br />
文献<br />
→その他の文献: 美浜、BT37<br />
・上記うち普通角閃石を供給しうるものを抽出<br />
主成分分析結果<br />
→大山蒜山原、大山松江、美浜、BT37<br />
・大山松江及び美浜と⑤層下部の普通角閃石との主成分組成を比較した結果、美浜と酷似する。<br />
[有識者会合に対する確認事項]<br />
以上の結果を踏まえても、⑤層下部、③層が、それぞれ<br />
MIS5e、MIS6ではないとする根拠はあるか?<br />
⇒ ⑤層は温暖期、③層は⑤層より寒冷な時期に堆積した。<br />
⇒ 砂礫層であることから鉱物の産出は極めて少ないものの、<br />
主成分分析の結果、⑤層下部の普通角閃石と③層のそれ<br />
とは有意な差が認められた。<br />
⇒ ⑤層下部の特定層準から産出する普通角閃石は、テフラ<br />
起源の角閃石であることが判明した。<br />
⇒ ⑤層下部は、③層からの再堆積ではないことが判明した。<br />
⇒ ⑤層下部の普通角閃石は、美浜テフラである可能性が非<br />
常に高い。<br />
⇒ 大山蒜山原及びBT37は、いずれも三瓶木次(110-115Ka)よ<br />
り下位に分布し、海洋酸素同位体ステージ5eに堆積したテ<br />
フラである。<br />
⇒ よって、⑤層下部は、海洋酸素同位体ステージ5eの堆積<br />
物であると考えざるを得ない。<br />
⇒ ③層は、⑤層下部より下位の寒冷期とすれば、海洋酸素同<br />
位体ステージ6、または、それ以前の堆積物である。<br />
なお、<br />
・信頼性向上のために、D-1トレンチで測線を増やし、追加の分析を<br />
行っている。<br />
・大山蒜山原については、今後主成分の確認をしていく。<br />
・BT37は、試料が入手困難なため確認できないが、既往文献によると<br />
127.6kaである。<br />
62
D-1トレンチ(地質平面図)<br />
トレンチ内における堆積層の調査を実施<br />
・法面の観察より層序を①~⑨層に区分<br />
→⑤層は、③層を大きく削り込んで堆積している。<br />
→③層は⑤層に比べてより粗粒な堆積物から構成されている。<br />
63
⑨層<br />
⑧層<br />
⑦層<br />
⑥層<br />
⑤層<br />
③層<br />
②層<br />
①層<br />
地層名<br />
D-1トレンチ地質層序<br />
テフラ 花粉<br />
褐色~にぶい黄褐色 礫混じり砂質シルト。下位層とは平行な不整合面で接する - -<br />
褐色~黄橙色<br />
褐色~褐灰色<br />
灰色~暗灰色<br />
砂礫主体。基質はシルト質砂。部分的に成層構造が見ら<br />
れる。下位層とは平行な不整合面で接する<br />
礫混じり砂質シルト~礫混じりシルト質砂。下位層とは平<br />
行な不整合面で接する<br />
腐植質砂質シルト~シルト質砂。木片を多く含む。下位層<br />
とは平行な不整合面で接する<br />
DKPを含む<br />
U (上部) 灰白色~浅黄橙色 シルト質砂礫主体。腐植質シルトを含む。 K-Tzを含む -<br />
L (下部) 灰白色~浅黄橙色<br />
④:不整合面直下の<br />
③層上限の酸化帯<br />
0 江若花崗岩<br />
シルト質砂礫主体。シルト~シルト質砂層が不連続に層状<br />
を呈する。③層を削剥して不整合で接する。腐植質シルトを<br />
含む<br />
褐色 凹凸する削剥の多い不整合面直下に分布する<br />
浅黄橙色~橙色<br />
にぶい橙色~灰白色<br />
砂礫主体。シルト層~シルト質砂層が不連続に層状~レ<br />
ンズ状を呈する。下位層を削剥した不整合で接する<br />
砂質シルト~シルト質砂。塊状を呈する。くさり礫を多く含<br />
む。腐植質シルトを含む<br />
・ ③層を⑤層が削りこんで堆積している。<br />
・ ③層は粗粒な堆積物からなり,比較的細粒な堆積物にも有機物が含まれない(周囲に植生のない環境が推定される。花粉は検出されない)、<br />
一方⑤層は粗粒な堆積物に加えて,有機物を含む細粒な堆積物からなる(周囲には植生がある環境が推定される。温暖期の花粉を検出)<br />
・ ③層は⑤層に比べて全体に褐色を帯びている、一方 ⑤層は③層に比べて全体に還元色を呈している。<br />
以上のように,③層と⑤層では,同じ斜面の扇状地堆積物であっても堆積環境が異なっている。<br />
-<br />
角閃石を含む 温暖期の花粉を<br />
含む<br />
-<br />
-<br />
比較的温暖期<br />
の花粉を含む<br />
にぶい赤褐色~明黄褐色 砂礫主体。淘汰が悪い。よく締まっている - -<br />
灰白色~褐色<br />
色調<br />
層相<br />
基盤を構成する岩盤。黒雲母花崗岩,花崗斑岩,アプライ<br />
トからなる<br />
角閃石を含む<br />
-<br />
年代指標<br />
-<br />
64
P1<br />
P2<br />
試料採取位置<br />
D-1トレンチ 花粉分析結果(P1,P2分析結果)<br />
P1 P2<br />
木本花粉 Arboreal Pollen<br />
モミ属 Abies - 5<br />
ツガ属 Tsuga 78 17<br />
トウヒ属<br />
マツ属複維管束亜属<br />
Picea<br />
Diploxylon 針葉樹<br />
1<br />
-<br />
3<br />
15<br />
マツ属 不明 Pinus 107 65<br />
スギ属 Cryptomeria - 55<br />
イチイ科―イヌガヤ科―ヒノキ科 T.-C. - 4<br />
ハンノキ属 Alnus 12 6<br />
ブナ属 Fagus 2 3<br />
コナラ属コナラ亜属 Lepidobalanus - 5<br />
コナラ属アカガシ亜属 Cyclobalanopsis - 30<br />
ニレ属-ケヤキ属 Ulmus-Zelkova - 1<br />
モチノキ属 Ilex - 4<br />
ハイノキ属 Symplocos - 3<br />
草本花粉 Nonarboreal Pollen<br />
フウロソウ属 Geranium 1 -<br />
ヨモギ属 Artemisia 1 -<br />
キク亜科<br />
不明花粉<br />
Carduoideae<br />
Unknown Pollen シダ類胞子<br />
5 -<br />
不明花粉 Unknown pollen 1 4<br />
シダ植物胞子 Pteridophyta Spores<br />
他のシダ植物胞子 other Pteridophyta spores 160 221<br />
合 計 T O T A L<br />
木本花粉 Arboreal Pollen 200 216<br />
草本花粉 Nonarboreal Pollen 7 0<br />
不明花粉 Unknown Pollen 1 4<br />
シダ植物胞子 Pteridophyta Spores 160 221<br />
総花粉・胞子(不明を除く)<br />
分析後残渣の観察<br />
Total Number of Pollen & Spores 367 437<br />
有機物残渣量; VA:Very Abundant(非常に多い),A:Abundant(多い),C:<br />
Common(普通),F:Few(少ない),Tr:Trace(痕跡程度(微量))<br />
花粉・胞子化石の産出傾向; VA:Very Abundant(非常に多い),A:<br />
Abundant(多い),C:Common(普通),R:Rare(稀れ),VR:Very Rare(極く稀<br />
れ),N:Non(無化石)<br />
花粉・胞子化石の保存状態; VG:Very Good(非常に良い),G:Good(良い),<br />
M:Moderate(普通),P:Poor(悪い),VP:Very Poor(非常に悪い)<br />
Tr A<br />
R C<br />
VP P<br />
コナラ属<br />
針葉樹 コナラ属<br />
P1:⑤層最上部<br />
産出される花粉は針葉樹とシダ類胞子にほぼ限られ、当時の植生を反映していないため、古気候<br />
は推定できない。<br />
P2:⑤層最下部<br />
針葉樹のマツ属、スギ属、ツガ属の他に広葉樹のコナラ属を含むことから比較的温暖である。<br />
なお、ステージ5においては全国的な特徴としてハリゲヤキ属やサルスベリ属が現れるのが一般的<br />
であるが、本試料では検出されなかった。<br />
65
26-03<br />
18-01<br />
試料採取位置<br />
D1 D1 D1 D1<br />
Po Po Po Po<br />
18-01 26-01 26-02 26-03<br />
木本花粉 Arboreal Pollen<br />
モミ属 Abies 10 - - 4<br />
ツガ属 Tsuga 46 - - 24<br />
トウヒ属 Picea 7 - - 10<br />
ヒマラヤスギ属 Cedrus 7 1 - -<br />
マツ属単維管束亜属 Haploxylon 12 - - 1<br />
マツ属複維管束亜属 Diploxylon 5 - - 6<br />
マツ属 不明 Pinus 77 - - 20<br />
スギ属 Cryptomeria 76 - - 148<br />
イチイ科―イヌガヤ科―ヒノキ科 T.-C. 1 - - -<br />
カバノキ属 Betula 1 - - 2<br />
ハンノキ属 Alnus 4 - - 3<br />
ブナ属 Fagus - - - 3<br />
コナラ属コナラ亜属 Quercus subgen. Lepidobalanus 12 - - 11<br />
コナラ属アカガシ亜属 Quercus subgen. Cyclobalanopsis 1 - - -<br />
ニレ属-ケヤキ属 Ulmus-Zelkova 1 - 1 1<br />
ツゲ属 Buxus - - - 2<br />
ウルシ属 Rhus 1 - - -<br />
カエデ属 Acer 1 - - -<br />
草本花粉 Nonarboreal Pollen<br />
カヤツリグサ科 Cyperaceae 3 - - 1<br />
カラマツソウ属 Thalictrum 1 - - -<br />
キク亜科 Carduoideae 1 - - -<br />
不明花粉 Unknown Pollen<br />
不明花粉 Unknown pollen 1 - - 1<br />
シダ植物胞子 Pteridophyta Spores<br />
他のシダ植物胞子 other Pteridophyta spores 38 - - 20<br />
合 計 T O T A L<br />
木本花粉 Arboreal Pollen 262 1 1 235<br />
草本花粉 Nonarboreal Pollen 5 0 0 1<br />
不明花粉 Unknown Pollen 1 0 0 1<br />
シダ植物胞子 Pteridophyta Spores 38 0 0 20<br />
総花粉・胞子<br />
分析後残渣の観察<br />
Total Number of Pollen & Spores 305 1 1 256<br />
有機物残渣量; VA:Very Abundant(非常に多い),A:Abundant(多い),C:<br />
Common(普通),F:Few(少ない),Tr:Trace(痕跡程度(微量))<br />
有機物形態; am:amorphous主体、mix:混在、wo:woody・coaly・herbaceous主体<br />
花粉・胞子化石の産出傾向; VA:Very Abundant(非常に多い),A:Abundant(多い),<br />
C:Common(普通),R:Rare(稀れ),VR:Very Rare(極く稀れ),N:Non(無化石)<br />
花粉・胞子化石の保存状態; VG:Very Good(非常に良い),G:Good(良い),M:<br />
Moderate(普通),P:Poor(悪い),VP:Very Poor(非常に悪い)<br />
D-1トレンチ 花粉分析結果(18-01,26-03分析結果)<br />
VA Tr Tr VA<br />
wo wo wo wo<br />
A VR VR A<br />
M M M M<br />
18-01、26-03:②層<br />
針葉樹のマツ属、スギ属、ツガ属の他に広葉樹のコナラ属を含むことか<br />
らP2同様に比較的温暖であったと考えられる。<br />
66
D-1トレンチ テフラ分析結果<br />
・テフラ分析(法面より10cmピッチで連続サンプリング)<br />
→⑦層からDKP、⑤層上部からK-Tzを確認<br />
→⑤層下部及び③層は、極めて少ないものの普通角閃石を確認<br />
67
③層に含まれる普通角閃石<br />
③層及び⑤層下部にも、美浜テフラの普通角閃石<br />
と同様、自形の角閃石が含まれる。<br />
偏光顕微鏡写真<br />
0.1mm 0.1mm<br />
⑤層下部に含まれる普通角閃石<br />
美浜テフラの普通角閃石<br />
0.1mm<br />
68
岩石名 試料名 項目<br />
黒雲母花崗岩<br />
花崗斑岩<br />
アプライト<br />
ドレライト<br />
Gr-1<br />
Gr-2<br />
Gp-1<br />
Gp-2<br />
Ap-1<br />
Ap-2<br />
Do-1<br />
Do-2<br />
敷地内の基盤岩中の普通角閃石の有無について<br />
石英 斜長石 カリ長石 単斜輝石 斜方輝石 黒雲母 白雲母 不透明鉱物 スメクタイト 普通角閃石<br />
カウント数 1367 891 1315 - - 12 - - - - 3585<br />
含有量(%) 38.1 24.9 36.7 - - 0.3 - - - - 100<br />
カウント数 906 560 884 - - 28 - 0 - - 2378<br />
含有量(%) 38.1 24.8 36.6 - - 1.2 - 0 - - 100<br />
カウント数 911 500 719 - - 53 - 5 - - 2188<br />
含有量(%) 41.6 22.9 32.9 - - 2.4 - 0.2 - - 100<br />
カウント数 756 546 728 - - 39 - 6 - - 2075<br />
含有量(%) 36.4 26.3 35.1 - - 1.9 - 0.3 - - 100<br />
カウント数 1118 675 1264 - - 24 6 13 - - 3100<br />
含有量(%) 36.1 21.8 40.8 - - 0.8 0.2 0.4 - - 100<br />
カウント数 750 500 707 - - 30 5 8 - - 2000<br />
含有量(%) 37.5 25.0 35.4 - - 1.5 0.3 0.4 - - 100<br />
カウント数 - 1415 - 297 30 - - 149 861 - 2752<br />
含有量(%) - 51.4 - 10.8 1.1 - - 5.4 31.3 - 100<br />
カウント数 - 1182 - 108 32 - - 109 569 - 2000<br />
含有量(%) - 59.1 - 5.4 1.6 - - 5.5 28.5 - 100<br />
・敷地内で採取した試料について、薄片あるいは研磨した岩石スラブを顕微鏡下で観察して鉱物組成比を求めた。<br />
・その他微量成分としては、花崗岩類はジルコン、リン灰石、ドレライトは、方解石、沸石である。<br />
・以上のように、敷地内のいずれの基盤岩も普通角閃石を含んでいない。<br />
鉱物名<br />
計<br />
69
⑤層下部と③層の普通角閃石の主成分分析試料採取位置<br />
表中のDKP、K-Tzのテフラ名の記載は、降灰層準の位置を示す<br />
・③層と⑤層下部の普通角閃石が異なるかを検討するために、それぞれ主成分分析等を実施した<br />
・試料採取位置を赤丸で示す。<br />
70
Si<br />
Ti<br />
Mn<br />
9.00<br />
8.50<br />
8.00<br />
7.50<br />
7.00<br />
6.50<br />
6.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.40<br />
0.35<br />
0.30<br />
0.25<br />
0.20<br />
0.15<br />
0.10<br />
0.05<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.18<br />
0.16<br />
0.14<br />
0.12<br />
0.10<br />
0.08<br />
0.06<br />
0.04<br />
0.02<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
Al<br />
Fe<br />
Mg<br />
2.50<br />
2.00<br />
1.50<br />
1.00<br />
0.50<br />
⑤層下部と③層の普通角閃石の主成分分析結果<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
2.00<br />
1.90<br />
1.80<br />
1.70<br />
1.60<br />
1.50<br />
1.40<br />
1.30<br />
1.20<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
3.70<br />
3.60<br />
3.50<br />
3.40<br />
3.30<br />
3.20<br />
3.10<br />
3.00<br />
2.90<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
Ca<br />
K<br />
2.40<br />
2.20<br />
2.00<br />
1.80<br />
1.60<br />
1.40<br />
1.20<br />
1.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.60<br />
0.50<br />
0.40<br />
0.30<br />
0.20<br />
0.10<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
凡例<br />
■ :⑤層中の角閃石テフラ<br />
◆ :③層中の角閃石テフラ<br />
両層に含まれる普通角閃石の主成分を分析した結果、③層<br />
の普通角閃石は、⑤層下部の普通角閃石と異なることを確認<br />
した。<br />
Na<br />
1.40<br />
1.20<br />
1.00<br />
0.80<br />
0.60<br />
0.40<br />
0.20<br />
⑤層下部と③層の普通角閃石の主成分分析結果<br />
71
⑤層下部の普通角閃石の主成分分析試料採取位置<br />
表中のDKP、K-Tzのテフラ名の記載は、降灰層準の位置を示す<br />
・⑤層下部に確認された普通角閃石の主成分分析の試料採取位置は赤丸のとおり。<br />
72
Si<br />
Ti<br />
Mn<br />
9.00<br />
8.50<br />
8.00<br />
7.50<br />
7.00<br />
6.50<br />
6.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.40<br />
0.35<br />
0.30<br />
0.25<br />
0.20<br />
0.15<br />
0.10<br />
0.05<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.18<br />
0.16<br />
0.14<br />
0.12<br />
0.10<br />
0.08<br />
0.06<br />
0.04<br />
0.02<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
Al<br />
Fe<br />
M g<br />
2.50<br />
2.00<br />
1.50<br />
1.00<br />
0.50<br />
各測線⑤層下部の普通角閃石の主成分分析結果<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
2.00<br />
1.90<br />
1.80<br />
1.70<br />
1.60<br />
1.50<br />
1.40<br />
1.30<br />
1.20<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
3.80<br />
3.70<br />
3.60<br />
3.50<br />
3.40<br />
3.30<br />
3.20<br />
3.10<br />
3.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
Ca<br />
K<br />
2.40<br />
2.20<br />
2.00<br />
1.80<br />
1.60<br />
1.40<br />
1.20<br />
1.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.60<br />
0.50<br />
0.40<br />
0.30<br />
0.20<br />
0.10<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
Na<br />
1.40<br />
1.20<br />
1.00<br />
0.80<br />
0.60<br />
0.40<br />
0.20<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
凡 例<br />
● : D-1B<br />
◆ : D-1C<br />
■ : D-1D<br />
各測線⑤層下部の普通角閃石の主成分分析結果<br />
主成分分析の結果、⑤層下部に含まれる普通角閃石は、<br />
いずれの測線でも、同じ範囲に値が集中していることが<br />
判明した。<br />
73
敷地周辺の火山灰(新編火山灰アトラス)<br />
新編 火山灰アトラスによれば、この地域でK-Tz(鬼界葛原)より下位にあるテフラは、上位から阿多、三瓶木次、大山蒜山<br />
原、大山松江のみである。<br />
その他の文献では、美浜テフラ(Yasuno1991)及びBT37テフラ(Satoguchi et.al.2008,長橋他2004)が記載されている。<br />
(参考文献)<br />
・Yasuno. T、 1991、 Discovery of Molluscan Fossils and a Tephra Layer from the Late Pleistocene Kiyama Formation in West of Fukui Prefecture、 Central Japan、 Bull.Fukui Mus. Nat.Hist.、 No.38:9-14<br />
・Satoguchi. Y、 et.al.、 2008、 The Middle Pleistocene to Holocene tephrostratigraphy of the Takashima-oki core from Lake Biwa、 central Japan、Journal of Geosciences、 Osaka City University、 Vol.51、 Art. 6、 p.47-58<br />
・町田洋、新井房夫、2003、新編火山灰アトラス[日本列島とその周辺]、東京大学出版会<br />
・長橋良隆他、2004、近畿地方および八ヶ岳山麓における過去43万年間の広域テフラの層序と編年 -EDS分析による火山ガラス片の主要成分化学組成-、第四紀研究、43、15-35<br />
74
Si<br />
Ti<br />
Mn<br />
9.00<br />
8.50<br />
8.00<br />
7.50<br />
7.00<br />
6.50<br />
6.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.40<br />
0.35<br />
0.30<br />
0.25<br />
0.20<br />
0.15<br />
0.10<br />
0.05<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.18<br />
0.16<br />
0.14<br />
0.12<br />
0.10<br />
0.08<br />
0.06<br />
0.04<br />
0.02<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
大山松江及び美浜と⑤層下部の普通角閃石の主成分分析及び屈折率<br />
Al<br />
Fe<br />
Mg<br />
2.50<br />
2.00<br />
1.50<br />
1.00<br />
0.50<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
2.00<br />
1.90<br />
1.80<br />
1.70<br />
1.60<br />
1.50<br />
1.40<br />
1.30<br />
1.20<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
3.80<br />
3.70<br />
3.60<br />
3.50<br />
3.40<br />
3.30<br />
3.20<br />
3.10<br />
3.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
大山松江及び美浜と⑤層下部の普通角閃石との主<br />
成分組成を比較した結果、美浜と酷似する。<br />
Ca<br />
K<br />
2.40<br />
2.20<br />
2.00<br />
1.80<br />
1.60<br />
1.40<br />
1.20<br />
1.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
0.60<br />
0.50<br />
0.40<br />
0.30<br />
0.20<br />
0.10<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
Na<br />
1.40<br />
1.20<br />
1.00<br />
0.80<br />
0.60<br />
0.40<br />
0.20<br />
0.00<br />
50.00 60.00 70.00<br />
Mg#<br />
80.00 90.00<br />
凡 例<br />
■ :角閃石テフラ<br />
● :美浜テフラ<br />
✛ :DMP<br />
大山松江及び美浜と⑤層下部の普通角閃石の主成分分析<br />
屈折率<br />
1.685<br />
1.680<br />
1.675<br />
1.670<br />
1.665<br />
1.660<br />
ラ<br />
1.671<br />
D-1トレンチ⑤層<br />
角閃石テフラ<br />
本調査結果<br />
ラ<br />
1.674<br />
美浜テフラ<br />
気山<br />
本調査結果<br />
1)<br />
1.672<br />
美浜テフラ<br />
Yasuno1991<br />
▲ 最頻値<br />
79)<br />
最大・最小<br />
1.673<br />
DMP<br />
新編火山灰アトラス<br />
08)<br />
1.671<br />
BT37<br />
Satoguchi et.al.2008<br />
大山松江及び美浜と⑤層下部の普通角閃石の屈折率<br />
75
D-1トレンチ地質平面図<br />
⑤層下部は、海洋酸素同位体ステージ5eの堆積物である。<br />
③層は、⑤層下部より下位の寒冷期とすれば、海洋酸素同位<br />
体ステージ6、あるいは、これより古い堆積物である。<br />
76
⑨層<br />
⑧層<br />
⑦層<br />
⑥層<br />
⑤層<br />
③層<br />
②層<br />
①層<br />
D-1トレンチ地質層序<br />
テフラ 花粉<br />
褐色~にぶい黄褐色 礫混じり砂質シルト。下位層とは平行な不整合面で接する - -<br />
褐色~黄橙色<br />
褐色~褐灰色<br />
灰色~暗灰色<br />
砂礫主体。基質はシルト質砂。部分的に成層構造が見ら<br />
れる。下位層とは平行な不整合面で接する<br />
礫混じり砂質シルト~礫混じりシルト質砂。下位層とは平<br />
行な不整合面で接する<br />
腐植質砂質シルト~シルト質砂。木片を多く含む。下位層<br />
とは平行な不整合面で接する<br />
DKPを含む<br />
⑤層下部は、海洋酸素同位体ステージ5eの堆積物である。<br />
③層は、⑤層下部より下位の寒冷期とすれば、海洋酸素同位体ステージ6、または、それ以前の堆積物である。<br />
-<br />
- ステージ5b<br />
U (上部) 灰白色~浅黄橙色 シルト質砂礫主体。腐植質シルトを含む。 K-Tzを含む - ステージ5c<br />
L (下部) 灰白色~浅黄橙色<br />
④:不整合面直下の<br />
③層上限の酸化帯<br />
0 江若花崗岩<br />
地層名 色調<br />
シルト質砂礫主体。シルト~シルト質砂層が不連続に層状<br />
を呈する。③層を削剥して不整合で接する。腐植質シルトを<br />
含む<br />
褐色 凹凸する削剥の多い不整合面直下に分布する<br />
浅黄橙色~橙色<br />
にぶい橙色~灰白色<br />
砂礫主体。シルト層~シルト質砂層が不連続に層状~レ<br />
ンズ状を呈する。下位層を削剥した不整合で接する<br />
砂質シルト~シルト質砂。塊状を呈する。くさり礫を多く含<br />
む。腐植質シルトを含む<br />
角閃石(美浜の<br />
可能性が高い)<br />
を含む<br />
-<br />
温暖期の花粉を<br />
含む<br />
比較的温暖期<br />
の花粉を含む<br />
にぶい赤褐色~明黄褐色 砂礫主体。淘汰が悪い。よく締まっている - -<br />
灰白色~褐色<br />
層相<br />
基盤を構成する岩盤。黒雲母花崗岩,花崗斑岩,アプライ<br />
トからなる<br />
-<br />
年代指標<br />
角閃石を含む -<br />
堆積年代<br />
ステージ4以降<br />
ステージ5e<br />
ステージ6<br />
または<br />
ステージ6以前<br />
白亜紀後期~<br />
古第三紀<br />
77
D-1破砕帯(G断層含む)及びK断層の活動性評価に係る調査計画<br />
D-1トレンチ北法面で測線の追加を行い、テフラ分析を行っている。<br />
地層名 色調<br />
層相<br />
年代指標<br />
テフラ 花粉<br />
褐色~にぶい黄褐色 礫混じり砂質シルト。下位層とは平行な不整合面で接する - -<br />
褐色~黄橙色<br />
褐色~褐灰色<br />
信頼性向上のために、D-1トレンチで測線を増やし、追加の分析を行っている。<br />
⑨層<br />
⑧層<br />
⑦層<br />
⑥層<br />
⑤層<br />
③層<br />
②層<br />
①層<br />
灰色~暗灰色<br />
砂礫主体。基質はシルト質砂。部分的に成層構造が見ら<br />
れる。下位層とは平行な不整合面で接する<br />
礫混じり砂質シルト~礫混じりシルト質砂。下位層とは平<br />
行な不整合面で接する<br />
腐植質砂質シルト~シルト質砂。木片を多く含む。下位層<br />
とは平行な不整合面で接する<br />
DKPを含む<br />
-<br />
- ステージ5b<br />
U (上部) 灰白色~浅黄橙色 シルト質砂礫主体。腐植質シルトを含む。 K-Tzを含む - ステージ5c<br />
L (下部) 灰白色~浅黄橙色<br />
④:不整合面直下の<br />
③層上限の酸化帯<br />
0 江若花崗岩<br />
シルト質砂礫主体。シルト~シルト質砂層が不連続に層状<br />
を呈する。③層を削剥して不整合で接する。腐植質シルトを<br />
含む<br />
褐色 凹凸する削剥の多い不整合面直下に分布する<br />
浅黄橙色~橙色<br />
にぶい橙色~灰白色<br />
砂礫主体。シルト層~シルト質砂層が不連続に層状~レ<br />
ンズ状を呈する。下位層を削剥した不整合で接する<br />
砂質シルト~シルト質砂。塊状を呈する。くさり礫を多く含<br />
む。腐植質シルトを含む<br />
角閃石(美浜の<br />
可能性が高い)<br />
を含む<br />
-<br />
温暖期の花粉を<br />
含む<br />
比較的温暖期<br />
の花粉を含む<br />
にぶい赤褐色~明黄褐色 砂礫主体。淘汰が悪い。よく締まっている - -<br />
灰白色~褐色<br />
基盤を構成する岩盤。黒雲母花崗岩,花崗斑岩,アプライ<br />
トからなる<br />
角閃石を含む -<br />
-<br />
堆積年代<br />
ステージ4以降<br />
ステージ5e<br />
ステージ6<br />
または<br />
ステージ6以前<br />
白亜紀後期~<br />
古第三紀<br />
78
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
原子力規制委員会、敦賀発電所破砕帯に関する有識者会合<br />
当社の見解<br />
本日の<br />
資料番号<br />
本文 論点<br />
【主張4に対する有識者会合の見解】<br />
評価書案では、D-1破砕帯は、至近距離<br />
にある浦底断層の活動と同時に活動し重<br />
要施設に影響を与えるおそれがあるとし<br />
ている。<br />
これは、D-1破砕帯と一連の構造である<br />
K断層が、横ずれを伴う逆断層であり、<br />
左横ずれを伴う逆断層で活動性が非常に<br />
高い浦底断層と水平距離で20~30mと極<br />
めて近接することから、浦底断層の活動<br />
に誘発されて活動する可能性が高いとの<br />
理由によるものである。<br />
なお、事業者が行った数値解析とは、<br />
「食い違い弾性論」による検討であるが<br />
、浦底断層のように至近距離にある場合<br />
、「食い違い弾性論」を適用して影響を<br />
確認することは難しいということが旧原<br />
子力安全・保安院の耐震バックチェック<br />
審査における専門家の意見であった。有<br />
識者会合としても、このスタンスは承継<br />
するものである。<br />
1.D-1破砕帯が浦底断層<br />
の活動に誘発されて活<br />
動する可能性が高い<br />
2.浦底断層のように至近<br />
距離にある場合、「食<br />
い違い弾性論」を適用<br />
して影響を確認するこ<br />
とは難しいとの旧原子<br />
力安全・保安院バック<br />
チェック審議における<br />
専門家の意見を承継。<br />
(本日の説明要旨(これまでの考え方))<br />
・事業者では、D-1破砕帯と浦底断層の同時活動性について、活動履歴及び数値解析で検討を実施した。<br />
【活動履歴に基づく検討】<br />
-浦底断層の最新活動時期は、約4,000年前以降であり、平均活動間隔は5,000年±2,000年(産総研ほか、2012)であるが、<br />
D-1破砕帯は少なくとも約12万年前以降は活動していない。<br />
-このことから約12万年前以降、浦底断層は十数回~四十回程度活動していたと考えられるが、この期間にD-1破砕帯は一度<br />
も活動していない。<br />
-また、後期更新世以降に広域応力場が変化したとの見解がないことも踏まえると、今後も浦底断層とD-1破砕帯が同時に活<br />
動することはないものと判断される。<br />
【数値解析に基づく検討】<br />
-浦底断層の活動に伴うD-1破砕帯を含む地盤の支持性能について数値解析によって評価した。<br />
-数値解析では、最初に地盤を半無限弾性体と仮定した「食い違いの弾性論」による地盤変形解析において、「基本検討」<br />
及び「不確かさを考慮した検討」を行い、原子炉建屋基礎地盤の支持性能評価に対して最も厳しい結果を与える検討条件を<br />
抽出した。<br />
-その後、その検討条件に基づき、食い違い弾性論の考慮できない、地形・地盤構造・地盤物性・地盤の非線形特性等を考<br />
慮して詳細にモデル化したFEMモデルによる解析を行い、破砕帯の安定性については、FEM解析結果による局所安全係数<br />
に基づき評価した。<br />
-その結果、浦底断層近傍の破砕帯において、せん断破壊や引張応力の発生が見られるが、その範囲は限定的であり、また<br />
、建屋近傍における破砕帯の局所安全係数は十分に大きいことから、地盤の支持性能は十分に確保されていると判断した。<br />
・なお、事業者が実施した数値解析については、「浦底断層が活動(変位)した際に生じる地盤内の応力変化によって、原子<br />
炉建屋直下の破砕帯が破壊に至るか否かの判断」を目的としたものであり、いわゆる地盤の安定性評価の観点での検討であ<br />
る。<br />
・なお、本検討の目的は、上述のとおりであり、破砕帯の変位量を求めるものではない。<br />
・こうした地盤の安定性評価手法は、地盤工学では既に広く用いられている。<br />
(有識者会合に対する確認事項)<br />
・事業者としては、以下の経緯でD-1破砕帯と浦底断層との同時活動性について検討を実施しているが、その認識でよいか。<br />
-「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き(平成22年12月20日、原子力安全委員会了承)」においては<br />
、地震発生に伴う断層変位に対する評価に当たっては、その断層変位により建物・構築物が設置されている地盤に生じる変<br />
位・変形を数値計算等によって評価する必要があるとしている。この指針に従って、浦底断層の活動に伴いD-1破砕帯を含<br />
めた周辺の破砕帯にずれが生ずるか否かを数値解析により検討している。<br />
-平成23年11月11日、旧原子力安全・保安院から「敦賀発電所における活動層の近接箇所の地層変位の評価手法を明らかに<br />
し、当該手法に基づき原子炉建屋等に対する影響評価」を行うよう指示を受け、検討を進めてきた。<br />
-平成24年5月14日、旧原子力安全・保安院の地震・津波に関する意見聴取会において、事業者より敷地内の追加調査計画を<br />
説明し、その中に「上載地層法による評価が困難な場合には、種々の地質調査、数値解析等の結果に基づき総合的に評価す<br />
る」と説明し、了解を得ている。<br />
・旧原子力・安全保安院の審議では、食い違いの弾性論については、「適用性については、少し時間を掛けて議論すべき」<br />
、「さらに一歩踏み込んだ検討が必要」としており、より深く検討すべきことを指摘しているものであり、食い違いの弾性<br />
論が適用出来ないと指摘するものではない。<br />
・また、「このスタンスは承継する」としているが、有識者会合及び「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関する規制<br />
基準に関する検討チーム」(以下、基準検討チーム)においては、食い違いの弾性論の適用性などに関する議論は一切なさ<br />
れていない。どのような議論を経て承継に至ったのか、経緯を明確にしていただきたい。<br />
・D-1破砕帯が浦底断層に誘発されて活動する可能性を指摘しているが、誘発とは具体的にどのようなメカニズムを想定し、<br />
その影響範囲がどの程度かを明らかにされたい。<br />
79-135<br />
79
活動履歴による検討<br />
80
浦底断層の活動性(上載地層法)<br />
・浦底断層は江若花崗岩(アプライト)と第四系を境する北東側隆起の断層であり,トレンチ調査の<br />
結果等から後期更新世以降に繰り返し活動したものと判断されるとしている。<br />
・一方,破砕帯は少なくとも後期更新世以降には活動していないことから,後期更新世以降に浦<br />
底断層と破砕帯は同時に活動していないものと判断される。<br />
トレンチ調査(B地点)<br />
81
項 目 浦底断層 D-1破砕帯<br />
最新活動時期 約4,000年前以降<br />
後期更新世以降の活動はない<br />
D-1トレンチ<br />
平均活動間隔 5,000年±2,000年 ※ -<br />
約12万年前より<br />
新しい時代の<br />
活動回数<br />
過去の「活動履歴」による連動性(同時活動性)の評価<br />
十数回~四十回程度<br />
12万年÷平均活動間隔<br />
B地点トレンチでは、<br />
約6万年前(DKP降灰)以降に<br />
複数回活動した痕跡あり<br />
※ 沿岸海域における活断層調査 柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯 浦底-柳ヶ瀬山断層帯 成果報告書、平成24年5月、産業技術総合研究所・東海大学、p33<br />
0回<br />
82
数値解析による検討<br />
83
敦賀発電所 断層の活動に伴う地盤の変位・傾斜について<br />
1. はじめに<br />
目 次<br />
2. 浦底-内池見断層の概要<br />
3. 検討の流れ<br />
4. 浦底断層及び施設付近の調査<br />
5. 食い違いの弾性論による検討<br />
6. 鉛直2次元FEMによる検討<br />
7. 水平2次元FEMによる検討<br />
<br />
84
1. はじめに<br />
1. はじめに<br />
・原子力安全・保安院では,「敦賀発電所における活断層の近接箇所の地層変位の評価手法を明らかにし,当該手法に基づき原子炉建屋等に対する<br />
影響評価を行う」旨の指示 * を行った。<br />
* 「平成23 年東北地方太平洋沖地震の知見等を踏まえた原子力施設への地震動及び津波の影響に関する安全性評価の実施について(指示)」,平成23年11月11日,原子力安全・保安院<br />
・これを受け,「浦底-内池見断層」の活動に伴い発生する地盤の変位・変形の評価手法を整理するとともに,原子炉施設に与える影響について検討を<br />
行った。<br />
・地形・地質調査の結果によれば,浦底-内池見断層は走向がNW-SE方向で,傾斜がほぼ鉛直~東側の断層である。<br />
・断層には後期更新世以降の活動が認められることから,耐震設計上考慮すべき活断層とし,その長さを18kmとして評価した。<br />
・断層は海域では敦賀湾内のC層上面(中部更新統上面)の高まりの西縁に位置し,変位センスについては北東側隆起成分を含む左横ずれとした。<br />
・浦底断層と1,2号子炉建屋中心の離隔距離は約250mである。<br />
2.浦底-内池見断層の概要<br />
2.浦底-内池見断層の概要<br />
地形調査<br />
ボーリング調査<br />
トレンチ調査<br />
海上音波探査<br />
・ほぼ鉛直~東傾斜<br />
断層<br />
傾斜角<br />
トレンチ調査<br />
・約4,000年前以降に活動<br />
活動履歴<br />
地表地質調査<br />
海上音波探査<br />
・18km<br />
断層長さ<br />
地形調査<br />
地表地質調査<br />
海上音波探査<br />
・NW-SE<br />
走 向<br />
地形調査<br />
ボーリング調査<br />
トレンチ調査<br />
海上音波探査<br />
主な調査<br />
・北東側隆起成分を含む<br />
左横ずれ断層<br />
変位センス<br />
性 状<br />
項 目<br />
浦<br />
底<br />
―<br />
内<br />
池<br />
見<br />
断<br />
層<br />
う ち<br />
い<br />
け<br />
み<br />
う<br />
ら<br />
そ<br />
こ<br />
約<br />
18<br />
km<br />
NEWSX2-1<br />
・NW~NNW走向,<br />
東側隆起<br />
・60東傾斜~90°<br />
最新活動時期は<br />
約4,000年前以降<br />
(トレンチ調査)<br />
浦底-内池見断層の北端部<br />
海上音波探査結果に基づき,後期更新世以降の地層に変位・変形が<br />
認められない位置で評価するとしている。<br />
浦底-内池見断層の南端部<br />
敦賀断層まで延長した位置(リニアメントも判読さ<br />
れない位置)と評価するとしている。<br />
敦<br />
賀<br />
断<br />
層<br />
浦<br />
底<br />
―<br />
内<br />
池<br />
見<br />
断<br />
層<br />
う ち<br />
い<br />
け<br />
み<br />
う<br />
ら<br />
そ<br />
こ<br />
浦<br />
底<br />
―<br />
内<br />
池<br />
見<br />
断<br />
層<br />
う ち<br />
い<br />
け<br />
み<br />
う<br />
ら<br />
そ<br />
こ<br />
約<br />
18<br />
km<br />
NEWSX2-1<br />
・NW~NNW走向,<br />
東側隆起<br />
・60東傾斜~90°<br />
最新活動時期は<br />
約4,000年前以降<br />
(トレンチ調査)<br />
浦底-内池見断層の北端部<br />
海上音波探査結果に基づき,後期更新世以降の地層に変位・変形が<br />
認められない位置で評価するとしている。<br />
浦底-内池見断層の南端部<br />
敦賀断層まで延長した位置(リニアメントも判読さ<br />
れない位置)と評価するとしている。<br />
敦<br />
賀<br />
断<br />
層<br />
図 浦底-内池見<br />
断層<br />
表 浦底-内池見断層の性状一覧<br />
図 浦底断層と原子炉建屋の位置関係(概念図)<br />
E<br />
90°<br />
約250km<br />
W<br />
原子炉<br />
建屋<br />
浦<br />
底<br />
断<br />
層<br />
E<br />
90°<br />
約250km<br />
W<br />
原子炉<br />
建屋<br />
浦<br />
底<br />
断<br />
層<br />
約250m<br />
85
3.検討の流れ 3.検討の流れ (1) (1)<br />
1.評価項目<br />
・事業者は,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」及び「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」に基づき,「浦底-内池見断層」の活動に伴う断層変位による原子炉建屋<br />
基礎地盤の支持性能の評価について,数値解析に基づき検討した。<br />
・検討では,「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」を参考に,「地盤の鉛直断面内の変位が施設に及ぼす影響」及び「断層変位に横ずれ成分がある場合の水平面内の変形が施設<br />
に及ぼす影響」に関して評価を行った。<br />
2.数値解析手法の選定<br />
・数値解析手法の選定にあたっては,「浦底-内池見断層」の特徴や断層が原子炉施設の近傍に位置している状況などを踏まえて,「食い違いの弾性論」及び「FEM(有限要素法)」を選定した。<br />
活断層評価(浦底-内池見断層)<br />
数値解析による検討<br />
(鉛直断面内の検討)<br />
地盤(破砕帯)の挙動,原子炉建屋基礎の傾斜量<br />
(水平断面内の検討)<br />
地盤(破砕帯)の挙動,原子炉建屋と重要施設との相対変位<br />
原子炉施設への影響評価<br />
・原子炉建屋等の基礎地盤(破砕帯)が安定的であることを確認。<br />
・原子炉建屋基礎の傾斜量が小さいことを確認。<br />
・原子炉建屋と重要施設との相対変位が小さいことを確認。<br />
図 評価項目<br />
項 目<br />
浦底断層 ① の活動に伴<br />
い生じる変位による地盤<br />
の挙動,原子炉建屋等<br />
への影響を把握する。<br />
検討は数値解析 ② で行<br />
うこととする。<br />
検討では,断層の破壊<br />
範囲,すべり,地盤モデ<br />
ルの不確かさを考慮した<br />
ケースを実施する ③ ことと<br />
する。<br />
なお,浦底-内池見断<br />
層が原子炉施設の近傍<br />
に分布 ④ していることにも<br />
留意する。<br />
表 数値解析手法の選定<br />
検討方針,補足等<br />
①浦底断層は少なくとも<br />
後期更新世以降に繰り<br />
返し活動しており,地質<br />
調査で断層の分布が把<br />
握されている。<br />
②地盤の変位・変形に<br />
関して実績,検証事例の<br />
ある解析手法を用いるこ<br />
とが望ましい。<br />
③多数の検討を実施す<br />
るため,比較的容易に実<br />
施出来る解析手法が望<br />
ましい。<br />
④施設近傍の地盤には<br />
大きな変位・変形が生じ<br />
る可能性も勘案し,断層<br />
近傍の地盤については<br />
極力実態を反映する。<br />
数値解析手法の<br />
選択基準<br />
予め設定した断層面<br />
にすべりを与える解析<br />
手法とする。<br />
国土地理院,防災科<br />
研,米国地質調査所な<br />
どの機関で検討実績が<br />
ある解析手法とする。<br />
解析解として短時間<br />
に結果が得られるなど<br />
の解析手法とする。<br />
断層近傍の地形,地<br />
盤の不均質性などを表<br />
現出来る解析手法とす<br />
る。<br />
主な数値解析手法<br />
・食い違いの弾性論<br />
・FEM(有限要素法)<br />
・BEM(境界要素法)<br />
・食い違いの弾性論<br />
・FEM(有限要素法)<br />
・食い違いの弾性論<br />
・FEM(有限要素法)<br />
・検討実績の豊富な食い違いの弾性論を用いることを基本とし,不確かさを考慮した検討を多数実<br />
施する。<br />
・また,断層と原子炉施設が近接していることもあり,断層近傍の地盤の挙動をより詳細に表現可能<br />
なFEM(有限要素法)を併用する。<br />
86
3.検討の流れ 3.検討の流れ (2) (2)<br />
3.数値解析の具体的な流れ<br />
・数値解析を行うにあたり,検討条件を整理し,「食い違いの弾性論」に基づき「基本ケース」及び「不確かさを考慮したケース」の検討をした。<br />
・また,「食い違いの弾性論」の検討で地盤の支持性能評価に対して最も厳しい結果を与える検討ケースについては,FEMによって検討した。<br />
【検討条件の整理】 *基本的なパラメータと不確かさの幅を整理<br />
・断層の幾何学的形状(断層長さ,断層幅,傾斜角,断層上端深さ)<br />
・断層のすべり(すべり角,すべり量)<br />
・地盤モデル(地盤構造,ポアソン比)<br />
食い違いの弾性論<br />
・数値解析では、最初に地盤を半無限弾性体と仮定した「食い違い<br />
の弾性論」による地盤変形解析において、「基本検討」及び「不確<br />
かさを考慮した検討」を行い、原子炉建屋基礎地盤の支持性能評<br />
価に対して最も厳しい結果を与える検討条件を抽出した。<br />
FEM<br />
・食い違いの弾性論に基づく検討結果のうち最も厳しい結果を与える<br />
条件に基づき、食い違いの弾性論で考慮できない、地形・地盤構<br />
造・地盤物性・地盤の非線形特性等を考慮し詳細にモデル化した<br />
FEM解析を行い、破砕帯の安定性について、解析結果による局所<br />
安全係数に基づき評価した。<br />
・食い違いの弾性論から得られるFEM境界位置における変位量をF<br />
EM境界に強制変位として入力した。<br />
・縦ずれ成分に対しては、鉛直断面の2次元FEM、横ずれ成分に対<br />
しては、水平断面の2次元FEMにより検討した。<br />
図 数値解析の具体的な流れ<br />
原子炉施設に対して最も厳しい<br />
検討ケースの抽出<br />
T.P.(m)<br />
-<br />
-<br />
SW<br />
B<br />
図 食い違いの弾性論(鉛直変位分布)<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
D級風化<br />
D級熱水<br />
X= -284.7 X= 330.3<br />
0 50 100m<br />
浦底断層<br />
凡例<br />
CL<br />
CM<br />
CH<br />
MMR<br />
埋土・表土<br />
A<br />
Bp<br />
Bs<br />
Bsm<br />
Cal<br />
Csg<br />
破砕帯<br />
50<br />
m (モデル)<br />
図 鉛直2次元FEM(解析モデル、局所安全係数分布)<br />
△浦底断層<br />
87
4.浦底断層及び施設付近の調査 (1) (1) 調査位置図 調査位置図<br />
2号機<br />
1号機<br />
浦底断層については,試掘坑調査(2号機建設当時),ボーリ<br />
ング調査,トレンチ調査等を実施し,断層の位置や傾斜等につ<br />
いて確認した。<br />
図 敷地の調査位置図(浦底-内池見断層及び施設付近)<br />
88
4.浦底断層及び施設付近の調査 (2) (2) 調査結果 調査結果 ① 水平地質断面図(1,2号機)<br />
図 水平断面図( T.P.-15m )<br />
0 100m 200m<br />
・浦底断層は,NW-SE方向に分布している。<br />
・破砕帯は,N-S~NE-SW方向のものが卓越している。<br />
Bm<br />
アプライト<br />
花崗斑岩 江若花崗岩<br />
黒雲母花崗岩<br />
破砕帯及び破砕帯番号<br />
地質区分凡例<br />
Bm層 :内湾堆積物<br />
(シルト及び細砂,貝殻を含む)<br />
Bsm層:内湾堆積物<br />
(中砂,粗砂,細礫,シルト及び貝殻を含む)<br />
Cal層:低地堆積物<br />
(細砂,中砂及び腐植を多く含む)<br />
Csg層:扇状地堆積物<br />
(礫,粗砂,中砂及び腐植を含むことがある)<br />
第四系<br />
89
4.浦底断層及び施設付近の調査 (2) (2) 調査結果 調査結果 ② 鉛直地質断面図(1号機)<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
Cal Cal層:低地堆積物<br />
更新世<br />
SW (細砂,中砂及び腐植を多く含む)<br />
NE<br />
A<br />
断面位置図<br />
T.P.(m) T.P.(m)<br />
150 150<br />
125 125<br />
100 100<br />
Gp<br />
D-14<br />
D-11<br />
Gp<br />
H-3a<br />
Ap<br />
0 50 100m<br />
No2<br />
f-15-2<br />
No1<br />
Gp<br />
Gp<br />
f-15-1<br />
D-1<br />
f-14-1<br />
f-②-1-1<br />
f-2-3<br />
Gp<br />
f-2-7<br />
D-3<br />
D-20<br />
②-1<br />
D-2<br />
Gp<br />
No4<br />
f-2-8<br />
No3<br />
f-2-10<br />
Gp<br />
Gp<br />
f-2-11<br />
f-12-4<br />
f-2-12<br />
D-4<br />
f-4-3<br />
f-4-5<br />
f-①-9-1<br />
D-5<br />
・浦底断層は,北東側隆起成分を有する断層であり,浅部では岩盤と第四系が接している。<br />
・また傾斜は,浅部では東側に中角度,深部では概ね鉛直である。<br />
・破砕帯は,高角度で西側に傾斜するものが多く,岩種境界(Gp/Ap境界)を変位させている。<br />
bk<br />
A<br />
Bs<br />
No.27<br />
Bsm<br />
Csg<br />
f-12-10<br />
D-6<br />
表土・埋土<br />
A層 :沖積低地堆積物,扇状地堆積物,崖錐堆積物<br />
(砂,礫,シルト,腐植及び植物根を含む場合がある)<br />
Bs層 :三角州堆積物<br />
(粗砂,中砂及び貝殻を含む)<br />
Bsm層:内湾堆積物<br />
(中砂,粗砂,細礫,シルト及び貝殻を含む)<br />
Csg層:扇状地堆積物<br />
(礫,粗砂,中砂及び腐植を含む場合がある)<br />
1号機<br />
原子炉建屋<br />
Ap<br />
D-19<br />
No.28<br />
1号試掘坑<br />
Gp<br />
f-4-9<br />
D-7<br />
f-4-10<br />
No.13<br />
M.M.R.<br />
f-6-2<br />
bk<br />
f-4-12<br />
図 1号機地質断面図 A-A’断面<br />
No.16<br />
Gp<br />
f-6-1<br />
Bs<br />
Ap<br />
地質区分凡例<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
更新世<br />
No7<br />
No5<br />
No6<br />
Gr<br />
Gr<br />
第四系<br />
bk<br />
Bsm<br />
Cal<br />
Csg Cal<br />
Ap<br />
No.8<br />
D-24<br />
Ap<br />
Gp<br />
Gr<br />
f-8-10<br />
f-8-8<br />
f-8-11<br />
アプライト<br />
花崗斑岩<br />
黒雲母花崗岩<br />
H-3a 破砕帯及び破砕帯番号<br />
地質境界線<br />
浦底断層<br />
f-②-2<br />
D-25<br />
A<br />
Csg<br />
f-8-1<br />
No.①<br />
f-8-2<br />
江若花崗岩<br />
ボーリング<br />
f-③-3<br />
No9<br />
No8<br />
Gr<br />
○-△<br />
Gp<br />
f-9-4<br />
A'<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
90
4.浦底断層及び施設付近の調査 (2) (2) 調査結果 調査結果 ③ 鉛直地質断面図(2号機)<br />
地質境界線<br />
分布を確認した破砕帯<br />
SW NE<br />
地質境界線<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
B<br />
f-⑥-7-2<br />
D-23<br />
Gp<br />
Gp<br />
断面位置図<br />
T.P.(m) T.P.(m)<br />
150 150<br />
125 125<br />
100 100<br />
0 50 100m<br />
f-17-2<br />
D-12<br />
D-16<br />
D-17<br />
D-18<br />
D-11<br />
D-13<br />
Ap<br />
D-14<br />
D-15<br />
f-17-13<br />
No17<br />
No16<br />
S-1-6<br />
Gp<br />
Gp<br />
Gp<br />
f-⑥-3-2<br />
f-⑥-3-6<br />
Gp<br />
Gp<br />
・浦底断層は,北東側隆起成分を有する断層であり,浅部では岩盤と第四系が接している。また傾斜は,概ね鉛直である。<br />
・破砕帯は,高角度で西側に傾斜するものが多く,岩種境界(Gp/Ap境界)を変位させている。<br />
Gp<br />
S-2-6<br />
Gp<br />
H-3a<br />
H-3b<br />
Ap<br />
S-3-6<br />
Gp<br />
Ap<br />
S-4-6'<br />
H-3c<br />
bk<br />
A<br />
Bp<br />
Csg<br />
bk<br />
H-4<br />
表土・埋土<br />
A層 :沖積低地堆積物,扇状地堆積物,崖錐堆積物<br />
(砂,礫,シルト,腐植及び植物根を含む場合がある)<br />
Bp層 :沼沢地堆積物<br />
(腐植土及び細砂,一部に粗砂や細礫を含む)<br />
Csg層:扇状地堆積物<br />
(礫,粗砂,中砂及び腐植を含む場合がある)<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
S-1-6 S-2-6'<br />
P-3-6<br />
P-4-6'<br />
Gp<br />
H-5<br />
D-1<br />
H-6c<br />
H-7<br />
P-5-6<br />
MMR<br />
2号調査横坑<br />
Gp<br />
Gp<br />
P-8-6<br />
No18<br />
P-7-6'<br />
P-9-5<br />
D-3<br />
図 2号機地質断面図 B-B’断面<br />
Ap<br />
地質区分凡例<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
更新世<br />
bk<br />
P-10-5 No.15 No.12 No.6 No.10 P-14-5<br />
Bp<br />
Csg<br />
Ap<br />
Ap<br />
第四系<br />
Gp<br />
Gp<br />
A<br />
f-18-2<br />
f-18-3<br />
Ap<br />
f-18-5<br />
f-19-6<br />
Ap<br />
Gp<br />
Gr<br />
Gp<br />
f-18-6<br />
アプライト<br />
花崗斑岩<br />
黒雲母花崗岩<br />
H-3a 破砕帯及び破砕帯番号<br />
f-19-5<br />
No20 No19<br />
浦底断層<br />
江若花崗岩<br />
f-④-2<br />
f-19-1<br />
D-27<br />
D-26<br />
ボーリング<br />
f-20-11<br />
○-△<br />
D-28<br />
Gp<br />
f-④-9<br />
Gr<br />
f-④-12<br />
f-④-13<br />
D-25<br />
B'<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
91
5.食い違いの弾性論による検討 (1) (1) 解析の方針 解析の方針<br />
・浦底-内池見断層の活動に伴い生じる原子炉建屋基礎の鉛直変位や傾斜量,水平面内の変形について,食い違いの弾性論に基づき検討した。<br />
・検討条件については,地質調査の結果や食い違いの弾性論に基づき検討を行っている津波評価 * の考え方を参考に設定した。<br />
・検討では,解析計算で用いる各パラメータの不確かさの幅を検討するとともに,それらを考慮した検討も併せて行った。<br />
*土木学会 原子力土木委員会 津波評価部会(2002)<br />
敦賀発電所<br />
図 モデル化した解析対象断層<br />
浦底-内池見断層<br />
0 5km<br />
92
5.食い違いの弾性論による検討 (2) (2) 検討条件の整理<br />
検討条件の整理<br />
浦底-内池見断層<br />
基<br />
本<br />
不<br />
確<br />
か<br />
さ<br />
を<br />
考<br />
慮<br />
し<br />
た<br />
検<br />
討<br />
基本検討<br />
(検討①)<br />
根 拠<br />
断層長さ<br />
(検討②)<br />
断層幅<br />
(検討③)<br />
傾斜角<br />
(検討④)<br />
すべり量<br />
(検討⑤)<br />
地盤モデル<br />
(検討⑥)<br />
・18km:活断層長さ<br />
・20km:Ss策定上の長さ<br />
断層長さ<br />
18km<br />
(断層幅,すべり量は20km相当)<br />
・14.6km~13.0km (南端固定)<br />
・断層端部の位置の影響を検討。<br />
・敦賀発電所は浦底-内池見断層の北部に位置していることか<br />
ら,南端固定の方が北端固定よりも断層長さ(すべり量)が大きく<br />
なるため,南端を固定し,北端の位置を変化させている。<br />
・変動範囲は,傾斜量及び水平面内の変形量のピークが確認出<br />
来る範囲とした。<br />
・浦底-池河内(25km)<br />
・地震動評価で不確かさの一つとしているため。<br />
18km<br />
18km<br />
18km<br />
18km<br />
断層の幾何学的形状<br />
断層幅<br />
13.3km<br />
地質調査でほぼ鉛直であり,<br />
「原子力発電所の津波評価 地形,走向・傾斜等からも横ず<br />
技術」による れ成分を含む断層と推定され<br />
る。<br />
※2<br />
13.3km<br />
5/6倍<br />
4/6倍<br />
3/6倍<br />
・断層幅の影響について,断<br />
層長さの半分までとして検討<br />
。<br />
13.3km<br />
13.3km<br />
13.3km<br />
・食い違いの弾性論に基づく検討で用いるパラメータについて,以下に整理した。<br />
・各パラメータについては,パラメータの基本となる値と各パラメータの不確かさの幅及びそれぞれの根拠につ<br />
いて整理した。<br />
表 基本検討及び不確かさを考慮した検討の解析の条件<br />
傾斜角<br />
90°<br />
90°<br />
90°<br />
85°E<br />
80°E<br />
75°E<br />
70°E<br />
・地震動評価で傾斜角の不確<br />
かさとして70°Eとしているため<br />
。<br />
90°<br />
90°<br />
断層<br />
上端深さ<br />
0km<br />
地形的に認識される断層であ<br />
り,断層面が地表付近まで達し<br />
ていることを確認。<br />
0km<br />
0km<br />
0km<br />
0km<br />
0km<br />
断層のすべり<br />
広域応力場の圧縮軸の<br />
方向(90°~120°) *1 すべり角<br />
(P軸の向き)<br />
と断<br />
層面の関係から算出<br />
基本検討で最大傾斜量や<br />
断層長さに応じた<br />
水平面内の最大変形量を示<br />
したすべり角<br />
すべり量<br />
基本検討で最大傾斜量や<br />
水平面内の最大変形量を示<br />
したすべり角<br />
基本検討で最大傾斜量や<br />
水平面内の最大変形量を示<br />
したすべり角<br />
各種算定式により<br />
基本検討で最大傾斜量や 算定<br />
水平面内の最大変形量を示<br />
したすべり角<br />
基本検討で最大傾斜量や<br />
水平面内の最大変形量を示<br />
したすべり角<br />
すべり量<br />
1.66m<br />
1.66m<br />
1.66m(85°)<br />
1.64m(80°)<br />
1.61m(75°)<br />
1.56m(70°)<br />
( )内は傾斜角<br />
・地表付近の変位量を推<br />
定する松田式等の算定<br />
式と比較。<br />
1.66m<br />
地盤構造<br />
単層モデル ※3<br />
(均質な<br />
半無限媒質)<br />
基本ケース<br />
基本ケース<br />
基本ケース<br />
基本ケース<br />
多層モデル ※3<br />
地盤モデル<br />
ポアソン比<br />
0.25<br />
「原子力発電所の津波 単層モデルによる<br />
評価技術」による 再現事例がある。<br />
※2<br />
「原子力発電所の津波評価技<br />
地震動の地盤モデルに<br />
術」による 基づく<br />
※2<br />
基本ケース<br />
基本ケース<br />
基本ケース<br />
基本ケース<br />
地震動評価に用いた<br />
地盤モデルで検討<br />
各層の密度ρ,Vs,<br />
Vpに応じた値<br />
地震動評価に用いた断層モデルで検討(上段:基本的な震源要素,下段:断層上端深さの不確かさを考慮)<br />
断層モデル<br />
(検討⑦)<br />
20km 16km 90° 4km 0°<br />
アスペリティ<br />
単層モデル 0.25<br />
20km<br />
17km<br />
90°<br />
3km<br />
(左横ずれ)<br />
考慮<br />
*1 広域応力場の圧縮軸(P軸)の方向については,真北から時計回りの角度で示す。 N<br />
*2 津波評価では初期海面変動量を求める際に初期海底変動量を求めており,本検討では「原子力発電所の津波評価技術(土木学会 原子力<br />
土木委員会 津波評価部会,2002)」の評価の考え方を参考にした。<br />
90°<br />
*3 単層モデルはOkada(1992),多層モデルはWang et al.(2003)による。<br />
圧縮<br />
圧縮 圧縮<br />
圧縮<br />
圧縮 圧縮<br />
P軸90°<br />
120°<br />
P軸120°<br />
93
5.食い違いの弾性論による検討 (3) (3) 傾斜量(基本ケース)の検討 検討① 検討①P軸を変えた検討 P軸を変えた検討<br />
P軸90度<br />
P軸95度<br />
P軸100度<br />
P軸105度<br />
P軸110度<br />
P軸115度 ※1<br />
(P軸120度)<br />
1号原子炉建屋の傾斜量<br />
5.49×10-5 ※2<br />
(1/18,200)<br />
傾斜量 0.0E+00 2.0E-05 4.0E-05 6.0E-05 8.0E-05 1.0E-04<br />
(1/50,000) (1/25,000) (1/10,000)<br />
P軸90度 5.61×10 -5 (1/17,800)<br />
P軸95度<br />
P軸100度<br />
P軸105度<br />
P軸110度<br />
P軸115度<br />
(P軸120度)<br />
※1<br />
2号原子炉建屋の傾斜量<br />
傾斜量 0.0E+00 2.0E-05 4.0E-05 6.0E-05 8.0E-05 1.0E-04<br />
(1/50,000) (1/25,000) (1/10,000)<br />
図 各原子炉建屋の傾斜量<br />
・基本検討においては,広域応力場の圧縮軸(P軸)の向きを変化させた検討を実施し,最も傾斜量が大きくなるP軸の向きを求<br />
めた。<br />
・原子炉建屋に生じる傾斜量については,原子炉建屋四隅の鉛直変位量から図に示す6方向の傾斜量を算出した。<br />
・1号及び2号原子炉建屋ともに,P軸の向きが90°で最大傾斜量を示す。<br />
・後述する不確かさを考慮した検討については,P軸の向きを90°として検討を実施した。<br />
※2<br />
3<br />
δ<br />
3<br />
4<br />
3<br />
4<br />
建 屋<br />
※1 P軸120°のケースについては,P軸115°のケースと<br />
同様,横ずれのみとなる。<br />
※2 最大傾斜方向の傾斜量は1号原子炉建屋で1/18,200,<br />
2号原子炉建屋で1/17,800。<br />
δ4<br />
δ − δ / L<br />
傾斜 i j = i j<br />
i j<br />
δ 2<br />
2<br />
1<br />
2<br />
P. N.<br />
1<br />
1 δ<br />
鉛直変位量はδ 1 ,δ 2 ,δ 3 ,δ 4 の最大値<br />
傾斜量は下式で求めた6方向の最大値<br />
ただしLは2点間の距離<br />
図 建屋の鉛直変位量,傾斜の算出方法<br />
94
5.食い違いの弾性論による検討 (3) (3) 傾斜量(基本ケース)の検討 検討① 検討① 基本検討 基本検討 (P軸90°) (P軸90°)<br />
1号原子炉建屋<br />
鉛直変位量 [m] 傾斜量<br />
-0.55(P軸90°)<br />
5.49×10 -5 (1/18,200)<br />
2号原子炉建屋 -0.55(P軸90°) 5.61×10 -5 (1/17,800)<br />
1<br />
0.8<br />
0.6<br />
0.4<br />
0.2<br />
0<br />
-0.2<br />
-0.4<br />
-0.6<br />
-0.8<br />
-1<br />
1号R/B中心↓<br />
断層位置<br />
0 100 200 300 400<br />
構内座標X(m)<br />
500 600 700<br />
鉛直地盤変位量(m)<br />
3,4号<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
鉛直地盤変位量(m)<br />
1<br />
0.8<br />
0.6<br />
0.4<br />
0.2<br />
0<br />
-0.2<br />
-0.4<br />
-0.6<br />
-0.8<br />
-1<br />
2号R/B中心↓<br />
0 100 200 300 400 500 600 700<br />
構内座標X(m)<br />
1号及び2号原子炉建屋について,最大傾<br />
斜量を示すP軸が90°の場合の鉛直変位量及び<br />
傾斜量を以下に示す。<br />
広域の鉛直変位量 敷地の鉛直変位量 敷地の最大傾斜量<br />
3,4号<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
断層位置<br />
2号<br />
1号<br />
図 敷地の鉛直変位量および最大傾斜量<br />
勾配<br />
1.0E-04<br />
9.0E-05<br />
8.0E-05<br />
7.0E-05<br />
6.0E-05<br />
5.0E-05<br />
4.0E-05<br />
3.0E-05<br />
2.0E-05<br />
1.0E-05<br />
0.0E+00<br />
3,4号<br />
3,4号<br />
1号R/B中心↓<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
断層位置<br />
0 100 200 300 400 500 600 700<br />
構内座標X(m)<br />
2号R/B中心↓<br />
断層位置<br />
1.0E-04<br />
9.0E-05<br />
8.0E-05<br />
7.0E-05<br />
6.0E-05<br />
5.0E-05<br />
4.0E-05<br />
3.0E-05<br />
2.0E-05<br />
1.0E-05<br />
0.0E+00<br />
0 100 200 300 400 500 600 700<br />
構内座標X(m)<br />
鉛直地盤変位量(m)<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
図面はP軸90°の結果を記載<br />
95
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討②~④ 検討②~④ 断層長さ,傾斜角,断層幅(1号原子炉建屋)<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
断層長さ 南端固定14.2km<br />
の 断層長さ<br />
南端固定14.1km<br />
不確かさ の不確か<br />
さ 南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の 傾斜角80°<br />
不確かさ 傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
不確かさ<br />
下端3/6<br />
傾斜量<br />
5.49×10 -5 (1/18,200)<br />
0.E+00 1.E-04 2.E-04 3.E-04 4.E-04 5.E-04<br />
(1/10,000) (1/5,000) (1/2,500) (1/2,000)<br />
※最大傾斜方向の傾斜量は4.76×10 -4 (1/2,100)<br />
4.76×10 -4 (1/2,100) ※<br />
0km<br />
13.3km<br />
図 不確かさを考慮した傾斜量(1号原子炉建屋)<br />
・基本検討で最大傾斜量を示すP軸90°の場合について,断層長さ,傾斜角及び断層幅の<br />
不確かさを考慮した検討を行った。<br />
・その結果,断層長さ(断層北端位置)を原子炉建屋位置付近とした場合の傾斜量が最も大<br />
きくなり,1号原子炉建屋で約1/2,100である。<br />
3,4号<br />
下端3/6<br />
下端4/6<br />
下端5/6<br />
L=18.0km<br />
2号<br />
1号<br />
θ=90°<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
敦賀発電所は浦底-内池見断層の北部に位置することから,断層南<br />
端位置を固定して断層北端位置を変えた方が断層長さ(すべり量)が<br />
大きくなるため,断層南端位置を固定した検討を実施。<br />
断層幅W 13.3km<br />
(基本ケース)<br />
① 5/6 W = 11.1km<br />
② 4/6 W = 8.9km<br />
③ 3/6 W = 6.7km<br />
断層幅 13.3km(基本ケース) 拡大<br />
96
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討②~④ 検討②~④ 断層長さ,傾斜角,断層幅(2号原子炉建屋)<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
断層長さの 南端固定14.2km<br />
不確かさ<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の 傾斜角80°<br />
不確かさ 傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
不確かさ<br />
下端3/6<br />
5.61×10 -5 (1/17,800)<br />
5.61×10 -4 (1/1,800) ※<br />
傾斜量<br />
0.E+00 1.E-04 2.E-04 3.E-04 4.E-04 5.E-04<br />
(1/10,000) (1/5,000) (1/2,500) (1/2,000)<br />
※最大傾斜方向の傾斜量は5.61×10 -4 (1/1,800) 。<br />
0km<br />
13.3km<br />
3,4号<br />
下端3/6<br />
下端4/6<br />
下端5/6<br />
図 不確かさを考慮した傾斜量(2号原子炉建屋)<br />
・基本検討で最大傾斜量を示すP軸90°の場合について,断層長さ,傾斜角及び断層幅の不<br />
確かさを考慮した検討を行った。<br />
・その結果,断層長さ(断層北端位置)を原子炉建屋位置付近とした場合の傾斜量が最も大きく<br />
なり,2号原子炉建屋で約1/1,800である。<br />
L=18.0km<br />
2号<br />
1号<br />
θ=90°<br />
断層幅 13.3km(基本ケース)<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
断層幅W 13.3km<br />
(基本ケース)<br />
① 5/6 W = 11.1km<br />
② 4/6 W = 8.9km<br />
③ 3/6 W = 6.7km<br />
拡大<br />
敦賀発電所は浦底-内池見断層の北部に位置することから,断層南<br />
端位置を固定して断層北端位置を変えた方が断層長さ(すべり量)が<br />
大きくなるため,断層南端位置を固定した検討を実施。<br />
97
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討②~④ 検討②~④ 原子炉建屋傾斜量最大ケース<br />
1号原子炉建屋<br />
【1号R/B最大傾斜ケース】<br />
【2号R/B最大傾斜ケース】<br />
鉛直変位量 [m] 傾斜量<br />
不確かさ<br />
-0.23<br />
4.76×10 -4 (1/2,100)<br />
P軸90°として不確かさを考慮した場合に原子炉建屋が最大傾<br />
斜量を示す場合の鉛直変位量及び傾斜量を以下に示す。<br />
断層長さ 13.3km (P軸90°)<br />
5.61×10-4 2号原子炉建屋 - 0.28 (1/1,800)<br />
断層長さ 13.7km (P軸90°)<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
【1号R/B最大傾斜ケース】 【2号R/B最大傾斜ケース】 【1号R/B最大傾斜ケース】 【2号R/B最大傾斜ケース】<br />
広域の鉛直変位量 敷地の鉛直変位量 敷地の最大傾斜量<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
図 敷地の鉛直変位量および最大傾斜量<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
図面はP軸90°の結果を記載<br />
98
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討⑤ 検討⑤ すべり量の比較<br />
すべり量の比較<br />
佐藤(1989) ※2<br />
地震動評価モデル<br />
20km<br />
20km<br />
表 浦底-内池見断層のすべり量の比較<br />
10.0km<br />
16.0km<br />
・断層のすべり量については,津波評価技術(2002)の考え方に基づき設定することを<br />
基本とした。<br />
・設定したすべり量が妥当であることを確認するため,すべり量に関するその他の提案<br />
式によるすべり量と比較した。<br />
・その結果,津波評価技術(2002)に基づくすべり量が最も大きかった。<br />
・食い違いの弾性論に基づく検討では,鉛直変位量及び傾斜量は与えるすべり量に比<br />
例して大きくなることから,津波評価技術(2002)の考え方に基づきすべり量を設定す<br />
ることはより保守的な結果になっている。<br />
断層長さ 断層幅 傾斜角 すべり量<br />
土木学会津波評価技術(2002) 20km 13.3km 90° 1.66m<br />
D = M<br />
松田(1975) ※1 20km 考慮せず 考慮せず 1.59m<br />
土木学会津波評価技術(2002)<br />
μ : 剛性率<br />
( μ ⋅ S )<br />
D:すべり量<br />
M<br />
0<br />
0<br />
: 地震モーメント<br />
※3<br />
S : 断層面積<br />
武村(1998) ※4 及び<br />
kanamori(1997) ※5<br />
よりM 0を算出<br />
松田(1975)<br />
log L = 0.<br />
6M<br />
− 2.<br />
9<br />
log D = 0.<br />
6M<br />
− 4.<br />
0<br />
D:すべり量(<br />
m)<br />
M:地震の規模(マグニチュードM)<br />
L:断層の長さ(<br />
km)<br />
考慮せず<br />
90°<br />
佐藤(1989)<br />
log L = 0.<br />
5M<br />
−1.<br />
88<br />
log D = 0.<br />
5M<br />
−3.<br />
40<br />
D:すべり量(<br />
m)<br />
L:断層の長さ(<br />
km)<br />
0.509m<br />
(平均すべり量D)<br />
M:地震の規模(マグニチュードM)<br />
0.60m<br />
(参考)<br />
1.022m (アスペリティー)<br />
0.398m(背景領域)<br />
D = M<br />
μ:剛性率<br />
※1 松田時彦(1975):活断層から発生する地震の規模と周期について.地震 第2輯,vol.28,pp.269-283.<br />
※2 佐藤良輔(1989):日本の地震断層パラメター・ハンドブック<br />
※3 津波評価技術(2002)に基づき3.5×10 10 N/m 2 を使用。<br />
※4 武村雅之(1998):日本列島における地殻内地震のスケーリング則-地震断層の影響および地震被害との関連-,地震第2輯,vol.51,pp.211-228<br />
※5 Kanamori,H(1997):The energy release in great earthquakes,Journal of Geophysical Research,Vol.82,No.20,pp.2981-2987<br />
基本ケース<br />
地震動評価モデル<br />
( μ S )<br />
0 ⋅<br />
D:平均すべり量<br />
M 0:地震モーメント<br />
S:断層面積<br />
99
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討⑥ 検討⑥ 地盤モデルを変えた検討<br />
E.L.<br />
(m)<br />
-9<br />
-44<br />
-130<br />
-200<br />
-630<br />
-1400<br />
-4000<br />
表 敦賀発電所の基準地震動策定に用いた地盤モデル<br />
層<br />
1<br />
2<br />
3<br />
3'<br />
4<br />
5<br />
6<br />
層厚<br />
(m)<br />
34<br />
86<br />
70<br />
430<br />
770<br />
2600<br />
-<br />
密度ρ<br />
(t/m 3 )<br />
=<br />
2.6<br />
2.6<br />
2.6<br />
2.6<br />
2.6<br />
2.6<br />
2.7<br />
Vs<br />
(m/s)<br />
1,450<br />
1,760<br />
2,200<br />
2,200<br />
2,800<br />
3,100<br />
3,600<br />
2(<br />
1−<br />
σ )<br />
1−<br />
2σ<br />
Vp<br />
(m/s)<br />
3,700<br />
4,300<br />
4,600<br />
4,600<br />
5,130<br />
5,310<br />
6,270<br />
p s V V σ:ポアソン比<br />
検討ケース<br />
単層モデル(基本ケース)<br />
多層モデル<br />
検討ケース<br />
単層モデル(基本ケース)<br />
多層モデル<br />
ポアソン比<br />
0.41<br />
0.40<br />
0.35<br />
0.35<br />
0.29<br />
0.24<br />
0.25<br />
表 単層モデルと多層モデルによる建屋傾斜の比較(1号)<br />
鉛直変位量 (m)<br />
-0.55<br />
-0.55<br />
表 単層モデルと多層モデルによる建屋傾斜の比較(2号)<br />
鉛直変位量 (m)<br />
-0.55<br />
-0.55<br />
傾斜量<br />
剛性率<br />
(N/m 2 )<br />
5.5×10 9<br />
8.1×10 9<br />
1.3×10 10<br />
1.3×10 10<br />
2.0×10 10<br />
2.5×10 10<br />
3.5×10 10<br />
5.49×10 -5 (1/18,200)<br />
5.65×10 -5 (1/17,700)<br />
傾斜量<br />
5.61×10 -5 (1/17,800)<br />
5.73×10 -5 (1/17,500)<br />
・地盤モデルの不確かさの検討として,基本検討(地盤構造が単層モデル)による結<br />
果と地盤構造を多層モデルとした場合の結果について比較検討を実施した。<br />
・多層モデルの地盤物性値については,地震動評価のうち断層モデルを用いた手法<br />
で使用した解析用地盤構造モデルを適用し,Wang et al. (2003)の食い違いの弾性<br />
論(多層モデル)で計算を行った。<br />
・その結果,単層モデルと多層モデルの結果の違いはほとんどない。<br />
・このため,その他の不確かさを考慮した検討にあたっては,地盤構造を単層モデルと<br />
することを基本にする。<br />
実線:単層モデル<br />
点線:多層モデル<br />
図 単層モデルと多層モデルの鉛直地盤変位量分布の比較<br />
単層モデル:Okada(1992)による。<br />
多層モデル:Wang et al. (2003)による。<br />
100
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討⑦ 検討⑦ 断層モデルを変えた検討(上端深さ4km) その1(1) その1(1)<br />
上端深さ4km<br />
1<br />
★<br />
2<br />
★<br />
0 10km<br />
GL 北<br />
1,2号機 3・2 号機<br />
★<br />
3<br />
断層面基準点<br />
4,5<br />
● ★<br />
※ 傾斜角90°を傾斜角0°として図化している。<br />
16.0km(=1.46km×11) 4km<br />
7.3km(=1.46km×5)<br />
★<br />
1<br />
6<br />
● ★<br />
★<br />
★<br />
断層面基準点<br />
ⅰ)断層配置図<br />
7.7km(=1.54km×5)<br />
★ ★ ★<br />
2 3 4<br />
★<br />
★<br />
★<br />
★<br />
5 6<br />
断層長さL(km)<br />
断層傾斜角(°)<br />
断層上端深さ(km)<br />
断層下端深さ(km)<br />
断層幅W(km)<br />
断層面積S(km 2 )<br />
破壊伝播様式<br />
地震モーメントM 0(Nm)<br />
剛性率(N/m 2 )<br />
平均すべり量D(cm)<br />
平均応力降下量Δσ<br />
(MPa)<br />
破壊伝播速度Vr(km/s)<br />
立ち上がり時間Tr(sec)<br />
高周波限界遮断周波数<br />
fmax(Hz)<br />
短周期レベルA<br />
(Nm/s 2 )<br />
図 敦賀発電所の地震動評価に用いた断層モデルの模式図(上端深さ4km)<br />
★<br />
断層面基準点 断層面基準点<br />
●<br />
●<br />
10.76km(=1.54km×7) 9.24km(=1.54km×6)<br />
ⅱ)断面図<br />
★<br />
★:破壊開始点<br />
南<br />
Q値<br />
断層パラメータ<br />
表 敦賀発電所の地震動評価に用いた断層モデルのパラメータ(上端深さ4km)<br />
パラメータ<br />
20 (18)<br />
90 (90)<br />
4 (0)<br />
20 (13.3)<br />
16 (13.3)<br />
320 (239.4)<br />
同心円状<br />
5.70×10 18<br />
3.5×10 10<br />
50.9<br />
2.4<br />
2.59<br />
0.78<br />
8.3<br />
9.47×10 18<br />
50f 1.1<br />
断層位置を延長して設定<br />
調査結果に基づき設定<br />
微小地震の発生及び地下<br />
構造を参考に規模を確保<br />
するよう設定<br />
同上<br />
断層面より算定<br />
-<br />
M 0={S/(4.24×10 -11 )} 2.0<br />
μ=ρβ 2 、ρ=2.7g/cm 3 、<br />
β=3.6km/s<br />
D=M 0/(μS)<br />
Δσ=(7π 1.5 /16)(M 0/S 1.5 )<br />
Vr=0.72β<br />
・断層モデルの不確かさの検討として,地震動評価の断層モデルを用いた検討を実施した。<br />
・検討に用いた断層モデルについては,地震動評価の考え方と同様に,断層上端深さを4km<br />
(その1)及び3km(その2)とした場合のモデルを用いた。<br />
・検討の結果,鉛直変位量及び傾斜量とも,基本検討の結果よりも小さいとした。<br />
Tr=2.03×10 -9 M 0 1/3<br />
香川他(2003)<br />
A=2.46×10 17 ×M 0 1/3<br />
佐藤他(2007)<br />
設定方法<br />
全<br />
ア<br />
ス<br />
ペ<br />
リ<br />
テ<br />
ィ<br />
背<br />
景<br />
領<br />
域<br />
断層パラメータ<br />
面積S a(km 2 )<br />
平均すべり量D a(cm)<br />
地震モーメントM 0a(Nm)<br />
応力降下量Δσ a(MPa)<br />
面積S b(km 2 )<br />
平均すべり量D b(cm)<br />
地震モーメントM 0b(Nm)<br />
実効応力Δσ b(MPa)<br />
パラメータ<br />
56.71<br />
(未考慮)<br />
102.2 (166)<br />
2.03×10 18<br />
13.7<br />
263.29<br />
(未考慮)<br />
39.8 (166)<br />
3.67×10 18<br />
2.7<br />
Sa=πr 2<br />
r=(7πM 0β 2 )/(4AaR),R=(S/π) 0.5<br />
D a=γ DD、γ D=2.01<br />
M 0a=μS aD a<br />
Δσ a=(S/S a)Δσ<br />
S b=S-S a<br />
D b=M 0b/(μS b)<br />
M 0b=M 0-M 0a<br />
σ b=0.2Δσ a<br />
設定方法<br />
(注)計算にはOkadaの式に基づく単層モデルを用い,地盤物<br />
性は基本ケースと同じとしている。<br />
食い違いの弾性論の計算に用いたパラメータ<br />
()内は食い違いの弾性論の基本検討のパラメータを加筆<br />
101
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討⑦ 検討⑦ 断層モデルを変えた検討(上端深さ4km) その1(2) その1(2)<br />
表 地震動評価モデルによる原子炉建屋の鉛直変位量及び傾斜量(上端深さ4km)<br />
1号原子炉建屋<br />
鉛直変位量 [m] 傾斜量<br />
-0.01<br />
4.41×10 -6 (1/227,000)<br />
2号原子炉建屋 -0.01 5.74×10 -6 (1/174,300)<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
広域の鉛直変位量 敷地の鉛直変位量 敷地の最大傾斜量<br />
図 地震動評価モデルによる原子炉建屋の鉛直変位量及び傾斜量分布(上端深さ4km)<br />
2号<br />
1号<br />
2号<br />
1号<br />
102
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討⑦ 検討⑦ 断層モデルを変えた検討(上端深さ3km) その2(1) その2(1)<br />
上端深さ3km<br />
GL 北<br />
2号機 3・4号機 3,4号炉<br />
1,2号機<br />
17.0km(=1.55km×11) 3km<br />
7.75km(=1.55km×5)<br />
1<br />
★<br />
2<br />
★<br />
0 10km<br />
★<br />
1<br />
★<br />
3<br />
4,5<br />
★●<br />
断層面基準点 ★●<br />
断層面基準点 ★●<br />
断層面基準点 ★●<br />
断層面基準点<br />
※ 傾斜角90°を傾斜角0°として図化している。<br />
★<br />
★<br />
6<br />
★ ●<br />
断層面基準点<br />
ⅰ)断層配置図<br />
★<br />
7.7km(=1.54km×5)<br />
断層面基準点<br />
断層面基準点<br />
● ●<br />
★ ★ ★<br />
2 3 4<br />
★<br />
★<br />
★<br />
5 6<br />
10.76km(=1.54km×7) 9.24km(=1.54km×6)<br />
ⅱ)断面図<br />
断層パラメータ パラメータ 設定方法<br />
断層長さL(km) 20 (18) 断層位置を延長して設定<br />
断層傾斜角(°) 90(90) 調査結果に基づき設定<br />
断層上端深さ(km)<br />
断層下端深さ(km)<br />
3(0)<br />
20(13.3)<br />
断層幅W(km) 17(13.3) 同上<br />
微小地震の発生及び地下構<br />
造を参考に規模を確保する<br />
よう設定<br />
断層面積S(km 2 ) 340(239.4) 断層面より算定<br />
破壊伝播様式 同心円状 -<br />
地震モーメントM 0(Nm) 6.43×10 18 M 0={S/(4.24×10 -11 )} 2.0<br />
剛性率(N/m 2 ) 3.5×10 10 μ=ρβ 2 、ρ=2.7g/cm 3 、<br />
β=3.6km/s<br />
平均すべり量D(cm) 54.0 D=M 0/(μS)<br />
平均応力降下量Δσ<br />
(MPa)<br />
2.5 Δσ=(7π 1.5 /16)(M 0/S 1.5 )<br />
破壊伝播速度Vr(km/s) 2.59 Vr=0.72β<br />
立ち上がり時間Tr(sec) 0.81 Tr=2.03×10 -9 M 0 1/3<br />
高周波限界遮断周波数<br />
fmax(Hz)<br />
短周期レベルA<br />
(Nm/s 2 )<br />
図 敦賀発電所の地震動評価に用いた断層モデルの模式図(上端深さ3km)<br />
★<br />
★<br />
★:破壊開始点<br />
南<br />
8.3 香川他(2003)<br />
9.86×10 18 A=2.46×10 17 ×M 0 1/3<br />
Q値 50f 1.1 佐藤他(2007)<br />
表 敦賀発電所の地震動評価に用いた断層モデルのパラメータ(上端深さ3km)<br />
全<br />
ア<br />
ス<br />
ペ<br />
リ<br />
テ<br />
ィ<br />
背<br />
景<br />
領<br />
域<br />
断層パラメータ パラメータ 設定方法<br />
面積S a(km 2 )<br />
62.73<br />
(未考慮)<br />
Sa=πr 2<br />
r=(7πM 0β 2 )/(4AaR)、R=(S/π) 0.5<br />
平均すべり量D a(cm) 108.6(166) D a=γ DD、γ D=2.01<br />
地震モーメントM 0a(Nm) 2.38×10 18 M 0a=μS aD a<br />
応力降下量Δσ a(MPa) 13.5 Δσ a=(S/S a)Δσ<br />
面積S b(km 2 )<br />
277.27<br />
(未考慮)<br />
S b=S-S a<br />
平均すべり量D b(cm) 41.7(166) D b=M 0b/(μS b)<br />
地震モーメントM 0b(Nm) 4.05×10 18 M 0b=M 0-M 0a<br />
実効応力Δσ b(MPa) 2.7 σ b=0.2Δσ a<br />
(注)計算にはOkadaの式に基づく単層モデルを用い,地盤物<br />
性は基本ケースと同じとしている。<br />
食い違いの弾性論の計算に用いたパラメータ<br />
()内は食い違いの弾性論の基本検討のパラメータを加筆<br />
103
5.食い違いの弾性論による検討 (4) (4) 傾斜量(不確かさ考慮)の検討<br />
検討⑦ 検討⑦ 断層モデルを変えた検討(上端深さ3km) その2(2) その2(2)<br />
表 地震動評価モデルによる原子炉建屋の鉛直変位量及び傾斜量(上端深さ3km)<br />
1号原子炉建屋<br />
鉛直変位量 [m] 傾斜量<br />
-0.01<br />
5.60×10 -6 (1/178,700)<br />
2号原子炉建屋 -0.01 7.59×10 -6 (1/131,800)<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
3,4号<br />
広域の鉛直変位量 敷地の鉛直変位量 敷地の最大傾斜量<br />
図 地震動評価モデルによる原子炉建屋の鉛直変位量及び傾斜量分布(上端深さ3km)<br />
2号<br />
1号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号<br />
104
5.食い違いの弾性論による検討 (5) (5) 水平面内における施設の変形に対する検討(基本ケース)<br />
検討① 検討① 広域応力場の圧縮軸(P軸)を変えた検討<br />
・基本検討においては,広域応力場の圧縮軸(P軸)の向きを変化させた検討を実施し,原子炉建屋基礎の水平面内の変形が最も大きくな<br />
るP軸の向きを求めた。<br />
・なお,ここではせん断ひずみで変形を整理した。<br />
・せん断ひずみについては,原子炉建屋四隅の水平方向の変位量から算出した。<br />
・1号及び2号原子炉建屋ともに,P軸の向きが115°で最大のせん断ひずみを示す。<br />
・後述する不確かさを考慮した検討については,P軸の向きを115°として検討を実施した。<br />
1号炉原子炉建屋の水平せん断ひずみ ※1,2<br />
P軸90度<br />
P軸95度<br />
P軸100度<br />
P軸105度<br />
P軸110度<br />
P軸115度<br />
(P軸120度)<br />
※1<br />
-1.32×10 -4<br />
図 1号及び2号原子炉建屋の水平せん断ひずみ(基本ケース)<br />
2号炉原子炉建屋の水平せん断ひずみ ※1,2<br />
P軸90度<br />
P軸95度<br />
P軸100度<br />
P軸105度<br />
P軸110度<br />
P軸115度<br />
(P軸120度)<br />
-2.0E-04 -1.0E-04 0.0E+00 1.0E-04 -2.0E-04 -1.0E-04 0.0E+00 1.0E-04<br />
※1 P軸120°のケースについては,P軸115°のケースと同様,横ずれのみとなる<br />
※2 原子炉建屋スケール(1号: 約42m×約42m、 2号: 約80m×約75m)で求めた水平せん断ひずみ<br />
※1<br />
-1.39×10 -4<br />
・ 「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審<br />
査の手引き」では,「断層変位に横ずれ成分がある場<br />
合の水平面内の変形が施設に及ぼす影響」について<br />
も評価する必要があるとされている。<br />
・浦底断層は左横ずれ成分を有する断層であることから,<br />
水平面内の変形に対する検討についても併せて実施<br />
した。<br />
水平せん断ひずみは下式により求めた原<br />
子炉建屋四隅のせん断ひずみの最大<br />
∂ u ∂ v<br />
γ γ xy = + = tan tanθθ 1 + tan tanθθ<br />
2<br />
∂ y ∂ x<br />
y<br />
θ 1<br />
θ 2<br />
原子炉建屋<br />
変形後の建屋位置<br />
要素B(実線)<br />
(実線)<br />
変形前の建屋位置<br />
(点線) 要素A(点線)<br />
x<br />
上図のように要素Aが要素Bに変形した場合の符号を正とする。<br />
図 建屋の水平せん断ひずみの算出方法<br />
105
5.食い違いの弾性論による検討 (5) (5) 水平面内における施設の変形に対する検討(基本ケース)<br />
検討① 検討① 基本検討 基本検討 (P軸115°) (P軸115°)<br />
Y方向<br />
1号原子炉建屋<br />
45.286m<br />
変形前<br />
78mm<br />
L 1<br />
78mm<br />
892mm<br />
X方向<br />
変形後<br />
1号タービン建屋<br />
変形前<br />
899mm<br />
L 1 ’<br />
45.286m<br />
変形後<br />
補助建屋<br />
【相対変位のイメージ図】<br />
2号原子炉建屋<br />
変形前<br />
888mm<br />
3,4号<br />
85mm<br />
変形後<br />
浦底断層<br />
変形後<br />
71.529m L 2<br />
83mm L L2 ’ 71.530m<br />
83mm 2 ’ 71.530m<br />
890mm<br />
2号<br />
・1号及び2号原子炉建屋基礎位置の地盤について,最大の水平面内のせん断ひずみを示すP軸が115°の<br />
場合の水平変位量及び水平せん断ひずみを示す。<br />
・最大のせん断ひずみは,1号原子炉建屋で -1.32×10 -4 ,2号原子炉建屋で-1.39×10 -4 である。<br />
・原子炉建屋設置位置及びその周辺地盤は同じ方向に変位しており,変位量もほぼ同程度であることから,建<br />
屋間の相対変位は小さい。(例えば原子炉建屋と補助建屋の中心間の距離の相対変位は1mm程度)<br />
※耐震重要度分類Sクラスの施設同士を比較<br />
1号<br />
水<br />
平<br />
変<br />
位<br />
量<br />
の<br />
絶<br />
対<br />
値<br />
を<br />
示<br />
し<br />
て<br />
い<br />
る<br />
水平変位量は任意の点の変形前と変形後の差を示している<br />
水平せん断ひずみ ※1<br />
1号炉原子炉建屋: -1.32×10 -4<br />
2号炉原子炉建屋: -1.39×10 -4<br />
表 P軸115°のときの水平せん断ひずみ及び相対変位<br />
3,4号<br />
水平変位量 水平せん断ひずみ<br />
図 P軸115°のときの水平変位量及び水平せん断ひずみ分布<br />
各原子炉建屋とタービンあるいは補助建屋の中心間の距<br />
離の相対変位 ※2<br />
浦底断層<br />
-0.2mm(L 1 '-L 1 )<br />
1mm(L 2 '-L 2 )<br />
※1 原子炉建屋スケール(1号: 約42m×約42m、 2号: 約80m×約75m)で求めた水平せん断ひずみ<br />
※2 建屋間が離れる方向を正とする<br />
2号<br />
1号<br />
5m四方から求めた水平せん断ひずみ<br />
1号原子炉建屋<br />
2号原子炉建屋<br />
タービン建屋<br />
補助建屋<br />
屋外重要土木構造物<br />
タービン建屋<br />
106
5.食い違いの弾性論による検討 (6) (6) 水平面内における施設の変形に対する検討(不確かさ考慮)<br />
検討①~③ 検討①~③ 断層長さ,傾斜角,断層幅(1号機原子炉建屋)<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
南端固定14.2km<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角80°<br />
傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
下端4/6<br />
下端3/6<br />
-3.49×10 -4<br />
基本ケース<br />
断層長さの<br />
不確かさ<br />
傾斜角の<br />
不確かさ<br />
断層幅の<br />
不確かさ<br />
-5.0E-04 -2.5E-04 0.0E+00 2.5E-04 5.0E-04<br />
水平面内のせん断ひずみ ※<br />
※ 原子炉建屋スケール( 1号: 約42m×約42m)で求めた水平せん断ひずみ<br />
0km<br />
13.3km<br />
・基本検討で最大のせん断ひずみを示すP軸115°の場合について,断層長さ,傾<br />
斜角及び断層幅の不確かさを考慮した検討を行った。<br />
・その結果,南端固定13.3kmの場合のせん断ひずみが最も大きくなり, 1号原子炉<br />
建屋で-3.49×10 -4 である。<br />
3,4号<br />
2号<br />
敦賀発電所は浦底-内池見断層の北部に位置することから,断層南端を<br />
固定して北端を変えた検討を実施。<br />
下端3/6<br />
下端4/6<br />
下端5/6<br />
図 不確かさを考慮した水平せん断ひずみ(1号機 原子炉建屋)<br />
L=18.0km<br />
1号<br />
θ=90°<br />
断層幅 13.3km(基本ケース)<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
断層幅W 13.3km<br />
(基本ケース)<br />
① 5/6 W = 11.1km<br />
② 4/6 W = 8.9km<br />
③ 3/6 W = 6.7km<br />
107
5.食い違いの弾性論による検討 (6) (6) 水平面内における施設の変形に対する検討(不確かさ考慮)<br />
検討①~③ 検討①~③ 断層長さ,傾斜角,断層幅(2号機原子炉建屋)<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
南端固定14.2km<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角80°<br />
傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
下端4/6<br />
下端3/6<br />
-4.27×10 -4<br />
基本ケース<br />
断層長さの<br />
不確かさ<br />
傾斜角の<br />
不確かさ<br />
断層幅の<br />
不確かさ<br />
-5.0E-04 -2.5E-04 0.0E+00 2.5E-04 5.0E-04<br />
水平面内のせん断ひずみ ※<br />
※ 原子炉建屋スケール( 2号: 約80m×約75m )で求めた水平せん断ひずみ<br />
0km<br />
13.3km<br />
・基本検討で最大のせん断ひずみを示すP軸115°の場合について,断層長さ,傾<br />
斜角及び断層幅の不確かさを考慮した検討を行った。<br />
・その結果,南端固定13.6kmの場合のせん断ひずみが最も大きくなり, 2号原子炉<br />
建屋で-4.27×10 -4 である。<br />
3,4号<br />
2号<br />
敦賀発電所は浦底-内池見断層の北部に位置することから,断層南端を<br />
固定して北端を変えた検討を実施。<br />
下端3/6<br />
下端4/6<br />
下端5/6<br />
図 不確かさを考慮した水平せん断ひずみ(2号機原子炉建屋)<br />
L=18.0km<br />
1号<br />
θ=90°<br />
断層幅 13.3km(基本ケース)<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
断層幅W 13.3km<br />
(基本ケース)<br />
① 5/6 W = 11.1km<br />
② 4/6 W = 8.9km<br />
③ 3/6 W = 6.7km<br />
108
5.食い違いの弾性論による検討 (6) (6) 水平面内における施設の変形に対する検討(不確かさ考慮)<br />
検討②~④ 検討②~④ 断層長さ,傾斜角,断層幅<br />
Y方向<br />
1号原子炉建屋<br />
45.286m<br />
変形前<br />
L 1<br />
277mm<br />
307mm<br />
312mm<br />
X方向<br />
変形後<br />
1号タービン建屋<br />
変形前<br />
278mm<br />
L 1 ’<br />
45.286m<br />
変形後<br />
補助建屋<br />
【相対変位のイメージ図】<br />
2号原子炉建屋<br />
変形前<br />
307mm<br />
71.529m<br />
L 2<br />
300mm<br />
326mm<br />
水<br />
平<br />
変<br />
位<br />
量<br />
の<br />
絶<br />
対<br />
値<br />
を<br />
示<br />
し<br />
て<br />
い<br />
る<br />
275mm<br />
変形後<br />
変形後<br />
L L2 ’ 71.548m<br />
2 ’ 71.548m<br />
・最大のせん断ひずみは,1号原子炉建屋で -3.49×10 -4 ,2号原子炉建屋で-4.27×10 -4 であるとした。<br />
・原子炉建屋設置位置及びその周辺地盤は同じ方向に変位しており、変位量もほぼ同程度であることから、<br />
建屋間の相対変位は小さい。(例えば原子炉建屋と補助建屋の中心間の距離の相対変位は19mm程度)<br />
※耐震重要度分類Sクラスの施設同士を比較<br />
水平せん断ひずみ ※1<br />
1号原子炉建屋:-1.67×10 -4<br />
2号原子炉建屋:-1.59×10 -4<br />
表 水平せん断ひずみの最大値及び相対変位<br />
※1 原子炉建屋スケール(1号: 約42m×約42m、 2号: 約80m×約75m)で求めた水平せん断ひずみ<br />
※2 建屋間が離れる方向を正とする<br />
水<br />
平<br />
変<br />
位<br />
量<br />
の<br />
絶<br />
対<br />
値<br />
を<br />
示<br />
し<br />
て<br />
い<br />
る<br />
3,4号<br />
各原子炉建屋とタービンあるいは補助建屋の中心間の距<br />
離の相対変位 ※2<br />
浦底断層<br />
水平変位量 水平せん断ひずみ<br />
水平変位量は任意の点の変形前と変形後の差を示している<br />
図 各号機の水平せん断ひずみが最大となるケースの水平変位量および水平せん断ひずみの分布<br />
2号<br />
1号<br />
0.1mm(L 1 '-L 1 )<br />
19mm(L 2 '-L 2 )<br />
【1号R/B最大ケース】 【2号R/B最大ケース】 【1号R/B最大ケース】 【2号R/B最大ケース】<br />
3,4号<br />
浦底断層<br />
2号<br />
1号原子炉建屋<br />
1号<br />
5m四方から求めた水平せん断ひずみ<br />
2号原子炉建屋<br />
タービン建屋<br />
補助建屋<br />
屋外重要土木構造物<br />
タービン建屋<br />
109
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (1) (1) 検討の流れ 検討の流れ<br />
【検討内容】<br />
【検討の流れ】<br />
1.解析モデルの作成<br />
2.FEM解析の実施<br />
3.まとめ<br />
解析モデル変更内<br />
容<br />
解析モデルの一体<br />
化<br />
MMR物性の変更<br />
縦ずれに対する検討を詳細に実施するため,原子炉建屋位置の傾斜量が最大となるケースにより鉛直2次元方向のFEMによる解析を実施し,地盤の安定性を検討。<br />
図 検討の流れ<br />
・鉛直2次元FEMモデル<br />
・R/B傾斜最大ケース<br />
変更理由<br />
傾斜量最大ケースは解析モデル断<br />
面内においては浦底断層の活動範<br />
囲外となるため分離型モデルから一<br />
体型モデルに変更する<br />
R/B周辺のMMRは,岩盤よりも弾性<br />
係数が大きいため,保守性を考慮し<br />
てCL級物性に変更する<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
断層長さ 南端固定14.2km<br />
の<br />
不確かさ<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の 傾斜角80°<br />
不確かさ 傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
不確かさ<br />
下端3/6<br />
【1号R/B傾斜最大ケース】<br />
P軸:90度 断層長さ:13.3km<br />
5.49×10 -5 (1/18,200)<br />
【基本】<br />
0.E+00 1.E-04 2.E-04 3.E-04 4.E-04 5.E-04<br />
傾斜量<br />
(1/10,000) (1/5,000) (1/2,500) (1/2,000)<br />
3,4号<br />
2号<br />
1号<br />
【断層北端位置】<br />
4.76×10 -4 (1/2,100)<br />
【R/B傾斜最大】<br />
※建屋傾斜量はR/B四隅の組み合<br />
わせで最大値を表示<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
断層長さの 南端固定14.2km<br />
不確かさ<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の 傾斜角80°<br />
不確かさ 傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
不確かさ<br />
下端3/6<br />
【2号R/B傾斜最大ケース】<br />
P軸:90度 断層長さ:13.7km<br />
5.61×10 -5 (1/17,800)<br />
【基本】<br />
0.E+00 1.E-04 2.E-04 3.E-04 4.E-04 5.E-04<br />
傾斜量<br />
(1/10,000) (1/5,000) (1/2,500) (1/2,000)<br />
【断層北端位置】<br />
図 不確かさを考慮した原子炉建屋の傾斜量(左: 1号原子炉建屋、右:2号原子炉建屋)<br />
3,4号<br />
2号<br />
1号<br />
5.61×10 -4(1/1,800)<br />
【R/B傾斜最大】<br />
※建屋傾斜量はR/B四隅の組み合<br />
わせで最大値を表示<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
110
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (2) (2) 解析条件 解析条件 ① 検討断面位置<br />
検討断面位置<br />
図 検討断面位置<br />
浦底断層にほぼ直交する原子炉建屋直交断面(1号機:A-<br />
A’断面,2号機:B-B’断面)を検討断面とした。<br />
凡 例<br />
:浦底断層(T.P.-15m)<br />
111
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (2) (2) 解析条件 解析条件 ② 鉛直岩盤分類図(1号機断面:A-A’)<br />
125 125<br />
D<br />
D-14<br />
CH<br />
D-11<br />
CH<br />
H-3a<br />
f-15-2<br />
f-15-1<br />
D-1<br />
f-14-1<br />
D<br />
100 CL<br />
100<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
(礫,粗砂,中砂及び腐植を含む場合がある)<br />
SW NE<br />
A<br />
T.P.(m) T.P.(m)<br />
150 150<br />
CM CM<br />
0 50 100m<br />
A A’<br />
断面位置図<br />
No2<br />
No1<br />
CM<br />
CH<br />
f-②-1-1<br />
f-2-3<br />
D<br />
CH<br />
f-2-7<br />
CL<br />
D-3<br />
D-20<br />
②-1<br />
D<br />
CL<br />
CM<br />
D-2<br />
CH<br />
・各断面における地質断面図に基づき解析用岩盤分類図を作成。<br />
・深度方向への岩盤分布は,地表部にD級岩盤、その下にCL級岩盤、さらにその下にCM級以上の堅硬な岩盤から構成される。<br />
No4<br />
f-2-8<br />
No3<br />
f-2-10<br />
f-2-11<br />
f-12-4<br />
CH<br />
CM<br />
f-2-12<br />
D-4<br />
CL<br />
f-4-3<br />
f-4-5<br />
f-①-9-1<br />
CH CH<br />
D-5<br />
No.27<br />
CL<br />
f-12-10<br />
D-6<br />
1号機<br />
原子炉建屋<br />
D-19<br />
No.28<br />
1号試掘坑<br />
CM<br />
CH<br />
f-4-9<br />
CL<br />
D-7<br />
f-4-10<br />
No.13<br />
M.M.R.<br />
f-6-2<br />
CM<br />
bk Bs<br />
D<br />
CL<br />
f-4-12<br />
No.16<br />
図 1号機鉛直岩盤分類図 A-A’断面<br />
bk<br />
表土・埋土<br />
CM<br />
f-6-1<br />
D<br />
CL<br />
No7<br />
No5<br />
No6<br />
Bsm<br />
Cal<br />
CM<br />
岩盤分類凡例<br />
A A層 :沖積低地堆積物,扇状地堆積物,崖錐堆積物<br />
(砂,礫,シルト,腐植及び植物根を含む場合がある)<br />
Bs Bs層 :三角州堆積物<br />
(粗砂,中砂及び貝殻を含む)<br />
Bsm Bsm層:内湾堆積物<br />
(中砂,粗砂,細礫,シルト及び貝殻を含む)<br />
Cal Cal層:低地堆積物<br />
(細砂,中砂及び腐植を多く含む)<br />
Csg Csg層:扇状地堆積物<br />
No.8<br />
bk<br />
Bs<br />
D<br />
Csg<br />
Cal<br />
Csg<br />
D<br />
CL<br />
D-24<br />
f-8-10<br />
CM<br />
f-8-8<br />
f-8-11<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
更新世<br />
完新世<br />
更新世<br />
CM<br />
浦底断層<br />
f-②-2<br />
第四系<br />
D-25<br />
A<br />
CL<br />
No.①<br />
CM<br />
f-8-2<br />
Csg<br />
f-8-1<br />
f-③-3<br />
D<br />
CL<br />
CM<br />
CH<br />
No9<br />
No8<br />
[D]級<br />
[CL]級<br />
[CM]級<br />
[CH]級<br />
CM<br />
f-9-4<br />
花崗岩類<br />
H-3a 破砕帯及び破砕帯番号<br />
ボーリング<br />
○-△<br />
CL<br />
D<br />
CM<br />
A'<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
112
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (2) (2) 解析条件 解析条件 ③ 鉛直岩盤分類図(2号機断面:B-B’)<br />
CL D<br />
100 100<br />
D<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
B<br />
CH<br />
f-⑥-7-2<br />
D-23<br />
B B’<br />
CM<br />
CL<br />
f-17-2<br />
CM<br />
D-12<br />
D-16<br />
D-17<br />
D-18<br />
D-11<br />
D-13<br />
D-14<br />
D-15<br />
f-⑥-3-2<br />
CM CM<br />
CM<br />
f-17-13<br />
No17<br />
No16<br />
S-1-6<br />
S-2-6<br />
f-⑥-3-6<br />
D<br />
CL<br />
H-3a<br />
H-3b<br />
CL<br />
S-3-6<br />
CM<br />
CL<br />
CH<br />
S-4-6'<br />
H-3c<br />
bk<br />
CM<br />
CH<br />
H-4<br />
S-1-6 S-2-6'<br />
P-3-6<br />
P-4-6'<br />
CH<br />
CL<br />
CH<br />
D(熱)<br />
CL<br />
CM<br />
D-1<br />
H-5<br />
H-6c<br />
D(熱)<br />
CH<br />
H-7<br />
P-5-6<br />
CH<br />
CM<br />
CL<br />
P-8-6<br />
No18<br />
P-7-6'<br />
P-9-5<br />
CH<br />
D-3<br />
CM<br />
bk<br />
P-10-5 No.15 No.12 No.6 No.10 P-14-5<br />
Bp<br />
CH<br />
Csg<br />
D<br />
CL<br />
CM<br />
A<br />
f-18-2<br />
f-18-3<br />
CL<br />
f-19-6<br />
f-18-5<br />
CM<br />
f-18-6<br />
f-19-5<br />
CL<br />
浦底断層<br />
No20 No19<br />
f-○:耐震バックチェック関連調査により、単 孔のみで<br />
確認した破砕帯<br />
H-3a 破砕帯及び破砕帯番号<br />
SW NE<br />
断面位置図<br />
T.P.(m) T.P.(m)<br />
150 150<br />
125 125<br />
0 50 100m<br />
・各断面における地質断面図に基づき解析用岩盤分類図を作成。<br />
・深度方向への岩盤分布は,地表部にD級岩盤、その下にCL級岩盤、さらにその下にCM級以上の堅硬な岩盤から構成される。<br />
bk<br />
A<br />
Bp<br />
Csg<br />
表土・埋土<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
A層 :沖積低地堆積物,扇状地堆積物,崖錐堆積物<br />
(砂,礫,シルト,腐植及び植物根を含む場合がある)<br />
Bp層 :沼沢地堆積物<br />
(腐植土及び細砂,一部に粗砂や細礫を含む)<br />
Csg層:扇状地堆積物<br />
(礫,粗砂,中砂及び腐植を含む場合がある)<br />
MMR<br />
図 2号機鉛直岩盤分類図 B-B’断面<br />
岩盤分類凡例<br />
完新世<br />
完新世<br />
完新世<br />
更新世<br />
第四系<br />
CL<br />
D<br />
D<br />
f-19-1<br />
[D]級(風化)<br />
D(熱) [D]級(熱水変質)<br />
CL<br />
CM<br />
CH<br />
[CL]級<br />
[CM]級<br />
[CH]級<br />
CL<br />
f-④-2<br />
D-27<br />
D-26<br />
f-20-11<br />
CM<br />
花崗岩類<br />
D-28<br />
f-④-9<br />
ボーリング<br />
○-△<br />
CM<br />
CL<br />
f-④-12<br />
f-④-13<br />
D-25<br />
B'<br />
75<br />
50<br />
25<br />
0<br />
-25<br />
-50<br />
-75<br />
-100<br />
-125<br />
-150<br />
113
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (2) (2) 解析条件 解析条件 ④ 解析用物性値設定の考え方<br />
区分<br />
花<br />
崗<br />
岩<br />
類<br />
第<br />
四<br />
系<br />
CH級<br />
CM級<br />
CL級<br />
D級(風化)<br />
D級(熱水変質)<br />
破砕帯<br />
A<br />
Bp<br />
Bs<br />
Bsm<br />
Cal<br />
Csg<br />
埋戻土<br />
人工岩盤<br />
(MMR)<br />
項目<br />
物理特性 変形特性<br />
湿潤密度<br />
ρt<br />
(g/cm 3 )<br />
密度試験<br />
弾性係数<br />
E S<br />
(N/mm 2 )<br />
平板載荷試験の割<br />
線弾性係数<br />
三軸圧縮試験の<br />
E50<br />
CL級を代用<br />
表 解析用物性値設定の考え方<br />
静ポアソン比<br />
ν S<br />
一軸圧縮試験<br />
Bs層を代用<br />
三軸圧縮試験<br />
せん断強度<br />
τ 0<br />
(N/mm 2 )<br />
岩盤せん断試験<br />
三軸圧縮試験<br />
強度特性<br />
内部摩擦角<br />
φ<br />
(°)<br />
CM級を代用<br />
岩盤せん断試験<br />
岩盤せん断試験<br />
岩盤せん断試験<br />
注)MMRについては,建屋周囲のみに存在し,奥行き方向は限定的であるため,物性は安全側(主に破砕帯の拘束効果を低減)に考えCL級を代用する。<br />
残留強度<br />
τr<br />
(N/mm 2 )<br />
(考慮しない)<br />
Bs層を代用 (考慮しない)<br />
CL級を代用<br />
(考慮しない)<br />
114
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (2) (2) 解析条件 解析条件 ⑤ 解析用物性値<br />
解析用物性値<br />
区分<br />
花<br />
崗<br />
岩<br />
類<br />
第<br />
四<br />
系<br />
物理特性 変形特性<br />
湿潤密度<br />
ρt<br />
(g/cm 3 )<br />
弾性係数<br />
E S<br />
(N/mm 2 )<br />
表 解析用物性値<br />
静ポアソン比<br />
ν S<br />
せん断強度<br />
τ 0<br />
(N/mm 2 )<br />
注)花崗岩類の物性値は設置許可申請書を基本とする<br />
σは直応力(N/mm 2 )を示す<br />
有効数字は3桁とする(但し,設置許可申請書,文献等の記載が3桁未満の数値はその桁数とする<br />
内部摩擦角<br />
φ<br />
(°)<br />
残留強度<br />
τr<br />
(N/mm 2 )<br />
CH級 2.6 7,160 0.25 0.499 44 1.31σ 0.602<br />
CM級 2.5 1,180 0.27 0.499 44 1.31σ 0.602<br />
CL級 2.4 152 0.30 0.266 36 0.813σ 0.554<br />
D級(風化) 2.06 140 0.35 0.169 36 0.792σ 0.630<br />
D級(熱水変質) 2.0 44 0.35 0.0697 33 0.386σ 0.484<br />
破砕帯<br />
埋戻土<br />
項目<br />
強度特性<br />
2.0 44 0.35 0.0257 32 0<br />
A 1.90 13.1 0.47 0.0113 25.0<br />
Bp 1.82 11.6 0.47 0.0453 23.6<br />
Bs 1.94 23.4 0.47 0.0718 34.2<br />
Bsm 1.97 20.8 0.47 0.0416 29.9<br />
Cal 2.04 41.9 0.48 0.158 31.5<br />
Csg 2.08 31.2 0.47 0.110 34.5<br />
2.07 27.0 0.47 0.156 21.5 0<br />
0<br />
115
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (3) (3) 解析モデル(1号機断面)<br />
-<br />
-<br />
T.P.(m)<br />
SW<br />
A<br />
0 50 100m<br />
A A’<br />
断面位置図<br />
1号機<br />
原子炉建屋<br />
・地盤モデルは,岩盤分類図に基づき作成。(地盤:平面ひずみ要素,破砕帯:ジョイント要素)<br />
・各要素は,発生する応力の状態に応じて剛性を低下させることにより非線形性を考慮。<br />
X= -313.5 X= 375.6<br />
図 解析モデル(1号機断面)<br />
凡例<br />
D級風化<br />
D級熱水<br />
CL<br />
CM<br />
CH<br />
MMR<br />
→CL級<br />
埋土・表土<br />
A<br />
Bp<br />
Bs<br />
Bsm<br />
Cal<br />
Csg<br />
浦底断層<br />
破砕帯<br />
NE<br />
A’<br />
116
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (3) (3) 解析モデル( 解析モデル( 2号機断面) 2号機断面)<br />
T.P.(m)<br />
-<br />
-<br />
SW<br />
B<br />
0 50 100m<br />
B B’<br />
断面位置図<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
・地盤モデルは,岩盤分類図に基づき作成。(地盤:平面ひずみ要素,破砕帯:ジョイント要素)<br />
・各要素は,発生する応力の状態に応じて剛性を低下させることにより非線形性を考慮。<br />
X= -284.7 X= 330.3<br />
図 解析モデル(2号機断面)<br />
凡例<br />
D級風化<br />
D級熱水<br />
CL<br />
CM<br />
CH<br />
MMR<br />
→CL級<br />
埋土・表土<br />
A<br />
Bp<br />
Bs<br />
Bsm<br />
Cal<br />
Csg<br />
浦底断層<br />
破砕帯<br />
NE<br />
B’<br />
117
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (4) (4) 入力変位(1号機断面)<br />
入力変位(1号機断面)<br />
・食い違いの弾性論において原子炉建屋底面の傾斜量が最大となるケースにより解析を実施。<br />
・食い違いの弾性論から解析モデル境界部における変位量を出力し,FEMモデル境界に強制変位として入力。<br />
境界変位<br />
δx=+0.274m<br />
δy=-0.238m<br />
境界変位<br />
δx=+0.279m<br />
δy=-0.228m<br />
1号機<br />
原子炉建屋<br />
Y<br />
X<br />
境界変位<br />
δx=+0.253m<br />
δy=-0.030m<br />
モデルスケール : 50.0 m<br />
変位量スケール : 0.5 m<br />
境界変位<br />
δx=+0.253m<br />
δy=-0.027m<br />
境界変位<br />
δx=+0.176m<br />
δy=+0.098m<br />
浦底断層<br />
図 入力変位(1号機断面)<br />
境界変位<br />
δx=+0.277m<br />
δy=+0.076m<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
断層長さ 南端固定14.2km<br />
の<br />
不確かさ<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の 傾斜角80°<br />
不確かさ 傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
不確かさ<br />
下端3/6<br />
【1号R/B傾斜最大ケース】<br />
P軸:90度 断層長さ:13.3km<br />
5.49×10 -5 (1/18,200)<br />
【基本】<br />
4.76×10 -4 (1/2,100)<br />
0.E+00 1.E-04 2.E-04 3.E-04 4.E-04 5.E-04<br />
傾斜量<br />
(1/10,000) (1/5,000) (1/2,500) (1/2,000)<br />
3,4号<br />
2号<br />
1号<br />
【断層北端位置】<br />
【R/B傾斜最大】<br />
※建屋傾斜量はR/B四隅の組み合わせ<br />
で最大値を表示<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
118
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (4) (4) 入力変位(2号機断面)<br />
入力変位(2号機断面)<br />
境界変位<br />
δx=+0.307m<br />
δy=-0.258m<br />
境界変位<br />
δx=+0.307m<br />
δy=-0.248m<br />
・食い違いの弾性論において原子炉建屋底面の傾斜量が最大となるケースにより解析を実施。<br />
・食い違いの弾性論から解析モデル境界部における変位量を出力し,FEMモデル境界に強制変位として入力。<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
Y<br />
X<br />
モデルスケール : 50.0 m<br />
変位量スケール : 0.5 m<br />
境界変位<br />
δx=+0.356m<br />
δy=-0.022m<br />
境界変位<br />
δx=+0.357m<br />
δy=-0.032m<br />
境界変位<br />
δx=+0.306m<br />
δy=+0.192m<br />
浦底断層<br />
図 入力変位(2号機断面)<br />
境界変位<br />
δx=+0.382m<br />
δy=+0.140m<br />
基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
断層長さの 南端固定14.2km<br />
不確かさ<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の 傾斜角80°<br />
不確かさ 傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
不確かさ<br />
下端3/6<br />
【2号R/B傾斜最大ケース】<br />
P軸:90度 断層長さ:13.7km<br />
5.61×10 -5 (1/17,800)<br />
【基本】<br />
5.61×10 -4(1/1,800)<br />
0.E+00 1.E-04 2.E-04 3.E-04 4.E-04 5.E-04<br />
傾斜量<br />
(1/10,000) (1/5,000) (1/2,500) (1/2,000)<br />
3,4号<br />
2号<br />
1号<br />
【断層北端位置】<br />
【R/B傾斜最大】<br />
※建屋傾斜量はR/B四隅の組み合わせ<br />
で最大値を表示<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
119
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (5) (5) 解析結果 解析結果<br />
① 原子炉建屋の傾斜量(1号機断面)<br />
手法<br />
2次元FEM解析<br />
食い違いの弾性論<br />
・2次元FEM解析による原子炉建屋の最大傾斜量は1/4,400程度。<br />
・食い違いの弾性論と2次元FEM解析による1号原子炉建屋基礎の傾斜量は概ね同程度。<br />
表 原子炉建屋の傾斜量(1号機断面)<br />
【1号R/B傾斜最大ケース】 P軸:90度 断層長さ:13.3km<br />
鉛直相対変位<br />
δ=δA-δB<br />
(cm)<br />
0.956<br />
0.726 ※<br />
傾斜量<br />
1/4,400<br />
1/5,800 ※<br />
A A’<br />
【断面位置図】<br />
※FEM解析のA-A’断面位置における値<br />
120
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (5) (5) 解析結果 解析結果<br />
① 原子炉建屋の傾斜量(2号機断面)<br />
【2号R/B傾斜最大ケース】 P軸:90度 断層長さ:13.7km<br />
手法<br />
2次元FEM解析<br />
食い違いの弾性論<br />
・2次元FEM解析による原子炉建屋の最大傾斜量は1/10,800程度。<br />
・食い違いの弾性論と2次元FEM解析による2号原子炉建屋基礎の傾斜量は同程度。<br />
表 原子炉建屋の傾斜量(2号機断面)<br />
鉛直相対変位<br />
δ=δA-δB<br />
(cm)<br />
0.739<br />
0.786 ※<br />
傾斜量<br />
1/10,800<br />
1/10,200 ※<br />
B B’<br />
【断面位置図】<br />
※FEM解析のB-B’断面位置における値<br />
121
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (5) (5) 解析結果 解析結果<br />
③ 破砕帯の局所安全係数(1号機断面)<br />
破砕帯の局所安全係数分布<br />
SW<br />
A<br />
50<br />
m (モデル)<br />
A A’<br />
断面位置図<br />
浦底断層以外の破砕帯はせん断破壊に至らず、引張破壊している範囲も地表面付近に限定されてお<br />
り,建屋近傍における破砕帯の局所安全係数は十分に大きい。<br />
1号機<br />
原子炉建屋<br />
図 破砕帯の局所安全係数の分布(1号機断面)<br />
【1号R/B傾斜最大ケース】 P軸:90度 断層長さ:13.3km<br />
: 引張応力が発生した要素<br />
: せん断強度に達した要素<br />
: 1.0 ≦ Fs < 2.0<br />
: 2.0 ≦ Fs < 5.0<br />
: 5.0 ≦ Fs<br />
△浦底断層<br />
NE<br />
A’<br />
122
6.鉛直2次元FEM解析による検討 (5) (5) 解析結果 解析結果<br />
③ 破砕帯の局所安全係数(2号機断面)<br />
破砕帯の局所安全係数分布<br />
SW<br />
B<br />
50<br />
m (モデル)<br />
B B’<br />
断面位置図<br />
浦底断層以外の破砕帯はせん断破壊に至らず、引張破壊している範囲も地表面付近に限定されて<br />
おり,建屋近傍における破砕帯の局所安全係数は十分に大きい。<br />
2号機<br />
原子炉建屋<br />
D-1<br />
図 破砕帯の局所安全係数の分布(2号機断面)<br />
【2号R/B傾斜最大ケース】 P軸:90度 断層長さ:13.7km<br />
: 引張応力が発生した要素<br />
: せん断強度に達した要素<br />
: 1.0 ≦ Fs < 2.0<br />
: 2.0 ≦ Fs < 5.0<br />
: 5.0 ≦ Fs<br />
△浦底断層<br />
NE<br />
B’<br />
123
7.水平2次元FEM解析による検討 (1) (1) 検討の流れ 検討の流れ<br />
【検討内容】<br />
横ずれに対する検討を詳細に実施するため,原子炉建屋位置の水平せん断ひずみが最大となるケースにより水平2次元方向のFEMによる解析を実施し,地盤の安定性を検討。<br />
【検討の流れ】<br />
1.解析モデルの作成<br />
2.FEM解析の実施<br />
3.まとめ<br />
図 検討の流れ<br />
・水平2次元FEMモデル<br />
・初期応力解析(簡易3次元モデル)<br />
・R/B水平せん断ひずみ最大ケース<br />
【不確かさを考慮した水平せん断ひずみ(2号機原子炉建屋)】<br />
5.61×10-4 (1/1,800)<br />
-4.27×10-4 基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
南端固定14.2km<br />
【基本】<br />
基本ケース<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
断層長さの<br />
不確かさ<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
【R/B水平せん断ひずみ最大】<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の<br />
傾斜角80°<br />
傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
不確かさ<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
下端3/6<br />
不確かさ<br />
-5.0E-04 -2.5E-04 0.0E+00<br />
水平面内のせん断ひずみ<br />
2.5E-04 5.0E-04<br />
3,4号<br />
2号<br />
1号<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
図 断層北端位置とせん断ひずみの関係<br />
1,2号<br />
拡大<br />
【断層北端位置】<br />
124
7.水平2次元FEM解析による検討 (2) (2) 岩盤分類 岩盤分類<br />
・岩盤物性は,CH級,CM級,CL級,D級に区分。原子炉建屋周辺はCM級が広く分布。<br />
・破砕帯は,N-S~NE-SW方向が卓越。<br />
・発電所のNE側に第四紀層が分布。<br />
【2号機】<br />
【1号機】<br />
図 岩盤分類図( T.P.-15m)<br />
浦底断層<br />
浦底断層<br />
125
7.水平2次元FEM解析による検討 (3) (3) 解析モデル 解析モデル<br />
・モデル化は下盤のみ行い,原子炉建屋周辺の岩級、破砕帯等の影響を考慮するため広範囲に設定。<br />
・破砕帯分布は,鉛直2次元FEMモデルと同様に,地質平面図によりモデル化。<br />
・解析用物性値は,鉛直2次元FEMモデルと同様。<br />
・岩級に基づき物性値を割り当て。(第四紀層は深度方向への分布が限定的であることから,保守性を考慮し岩盤(CL級)にてモデル化)<br />
100<br />
m (モデル)<br />
図 解析モデル<br />
浦底断層<br />
[D]級岩盤<br />
[CL]級岩盤<br />
[CM]級岩盤<br />
[CH]級岩盤<br />
126
7.水平2次元FEM解析による検討 (5) (5) 入力変位 入力変位<br />
・食い違いの弾性論において原子炉建屋位置における地盤の水平せん断ひずみが最大となるケースにより解析を実施。<br />
・食い違いの弾性論から解析モデル境界部における変位量を出力し,FEMモデル境界に強制変位として入力。<br />
・水平せん断ひずみが最大となるケースでは断層北端部周辺に局所的な変位が発生。<br />
δx= 0.230m<br />
δy=-0.290m<br />
δx= 0.219m<br />
δy=-0.377m<br />
【2号R/B水平せん断ひずみ最大ケース】<br />
P軸:115° 断層長さ:13.6km<br />
100<br />
1<br />
m (モデル)<br />
m (変形)<br />
Y<br />
X<br />
浦底断層<br />
δx= 0.160m<br />
δy=-0.064m<br />
δx= 0.159m<br />
δy=-0.633m<br />
【不確かさを考慮した水平せん断ひずみ(2号機原子炉建屋)】<br />
5.61×10-4 (1/1,800)<br />
-4.27×10-4 基本ケース<br />
南端固定14.6km<br />
南端固定14.5km<br />
南端固定14.4km<br />
南端固定14.3km<br />
南端固定14.2km<br />
【基本】<br />
基本ケース<br />
南端固定14.1km<br />
南端固定14.0km<br />
南端固定13.9km<br />
南端固定13.8km<br />
断層長さの<br />
不確かさ<br />
南端固定13.7km<br />
南端固定13.6km<br />
南端固定13.5km<br />
南端固定13.4km<br />
南端固定13.3km<br />
南端固定13.2km<br />
南端固定13.1km<br />
南端固定13.0km<br />
浦底-池河内(25km)<br />
【R/B水平せん断ひずみ最大】<br />
傾斜角85°<br />
傾斜角の<br />
傾斜角80°<br />
傾斜角75°<br />
傾斜角70°<br />
不確かさ<br />
下端5/6<br />
断層幅の<br />
下端4/6<br />
下端3/6<br />
不確かさ<br />
-5.0E-04 -2.5E-04 0.0E+00<br />
水平面内のせん断ひずみ<br />
2.5E-04 5.0E-04<br />
【断層北端位置】<br />
図 入力変位 図 断層北端位置と水平面内せん断ひずみの関係<br />
3,4号<br />
2号<br />
1号<br />
14.6km<br />
14.5km<br />
14.4km<br />
14.3km<br />
14.2km<br />
14.1km<br />
14.0km<br />
13.9km<br />
13.8km<br />
13.7km<br />
13.6km<br />
13.5km<br />
13.4km<br />
13.3km<br />
13.2km<br />
13.1km<br />
13.0km<br />
3,4号<br />
1,2号<br />
拡大<br />
127
7.水平2次元FEM解析による検討 (6) (6) 解析結果 解析結果<br />
① 原子炉建屋と重要施設の相対変位量<br />
Y方向<br />
1号タービン建屋<br />
変形前<br />
1号原子炉建屋<br />
45.286m<br />
変形前<br />
234mm<br />
L 1<br />
245mm<br />
412mm<br />
400mm<br />
X方向<br />
変形後<br />
L 1 ’ 45.274m<br />
変形後<br />
・原子炉建屋と重要施設間の相対変位量は小さい。(例えば2号原子炉建屋と補助建屋の中心間の距離の相対変位 ※ は15mm程度)<br />
※耐震重要度分類Sクラスの施設同士を比較<br />
補助建屋<br />
2号原子炉建屋<br />
319mm<br />
変形前<br />
256mm<br />
71.529m<br />
L 2<br />
270mm<br />
334mm<br />
参考図 相対変位のイメージ図<br />
2号原子炉建屋<br />
タービン建屋<br />
補助建屋<br />
屋外重要土木構造物<br />
1号原子炉建屋<br />
タービン建屋<br />
L L2 ’ 71.544m<br />
2 ’ 71.544m<br />
変形後<br />
1号原子炉建屋-タービン建屋<br />
2号原子炉建屋-補助建屋<br />
表 原子炉建屋と重要施設の相対変位量<br />
建屋 相対変位<br />
-12mm(L 1 '-L 1 )<br />
15mm(L 2 '-L 2 )<br />
※建屋間が離れる方向を正とする<br />
128
7.水平2次元FEM解析による検討 (6) (6) 解析結果 解析結果<br />
③ 破砕帯の局所安全係数<br />
破砕帯の局所安全係数の分布<br />
100<br />
断層北端部における局所的な変位により,浦底断層近傍において部分的に破砕帯の破壊あるいは安全率が<br />
小さくなっているが,その範囲は限定的であり,建屋近傍における破砕帯の安全率は十分に大きい。<br />
【2号機】<br />
【1号機】<br />
m (モデル)<br />
D-1<br />
図 破砕帯の局所安全係数の分布<br />
浦底断層<br />
: 引張応力が発生した要素<br />
: せん断強度に達した要素<br />
: 1.0 ≦ Fs < 2.0<br />
: 2.0 ≦ Fs < 5.0<br />
: 5.0 ≦ Fs<br />
129
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量 (1)基本ケース:P軸90度<br />
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量の計算は,すべり量の鉛直成分を与えた結果とすべり量の水平成分を与えた結果を重ねた結果となる。<br />
+ =<br />
すべり量の鉛直成分を与えた鉛直変位量 すべり量の水平成分を与えた鉛直変位量 両成分を合わせた鉛直変位量<br />
浦底-内池見断層 北部<br />
浦底-内池見断層 南部<br />
すべり角(P軸90°)<br />
39°<br />
64°<br />
図 【参考】浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量(基本ケース:P軸90度)<br />
断層長さ<br />
断層面(上盤)<br />
断層上盤側の<br />
すべり方向<br />
すべり角<br />
断層幅<br />
断層が水平面と成す線<br />
すべり角と断層のずれ方向<br />
0° 左横ずれ<br />
90° 逆断層<br />
180° 右横ずれ<br />
270° 正断層<br />
130
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量 (2)基本ケース:P軸95度<br />
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量の計算は,すべり量の鉛直成分を与えた結果とすべり量の水平成分を与えた結果を重ねた結果となる。<br />
浦底-内池見断層 北部<br />
浦底-内池見断層 南部<br />
+ =<br />
すべり量の鉛直成分を与えた鉛直変位量 すべり量の水平成分を与えた鉛直変位量 両成分を合わせた鉛直変位量<br />
すべり角(P軸95°)<br />
21°<br />
57°<br />
図 【参考】浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量(基本ケース:P軸95度)<br />
断層長さ<br />
断層面(上盤)<br />
断層上盤側の<br />
すべり方向<br />
すべり角<br />
断層幅<br />
断層が水平面と成す線<br />
すべり角と断層のずれ方向<br />
0° 左横ずれ<br />
90° 逆断層<br />
180° 右横ずれ<br />
270° 正断層<br />
131
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量 (3)基本ケース:P軸100度<br />
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量の計算は,すべり量の鉛直成分を与えた結果とすべり量の水平成分を与えた結果を重ねた結果となる。<br />
浦底-内池見断層 北部<br />
浦底-内池見断層 南部<br />
+ =<br />
すべり量の鉛直成分を与えた鉛直変位量 すべり量の水平成分を与えた鉛直変位量 両成分を合わせた鉛直変位量<br />
すべり角(P軸100°)<br />
0°<br />
49°<br />
図 【参考】浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量(基本ケース:P軸100度)<br />
断層長さ<br />
断層面(上盤)<br />
断層上盤側の<br />
すべり方向<br />
すべり角<br />
断層幅<br />
断層が水平面と成す線<br />
すべり角と断層のずれ方向<br />
0° 左横ずれ<br />
90° 逆断層<br />
180° 右横ずれ<br />
270° 正断層<br />
132
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量 (4)基本ケース:P軸105度<br />
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量の計算は,すべり量の鉛直成分を与えた結果とすべり量の水平成分を与えた結果を重ねた結果となる。<br />
浦底-内池見断層 北部<br />
浦底-内池見断層 南部<br />
+ =<br />
すべり量の鉛直成分を与えた鉛直変位量 すべり量の水平成分を与えた鉛直変位量 両成分を合わせた鉛直変位量<br />
すべり角(P軸105°)<br />
0°<br />
38°<br />
図 【参考】浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量(基本ケース:P軸105度)<br />
断層長さ<br />
断層面(上盤)<br />
断層上盤側の<br />
すべり方向<br />
すべり角<br />
断層幅<br />
断層が水平面と成す線<br />
すべり角と断層のずれ方向<br />
0° 左横ずれ<br />
90° 逆断層<br />
180° 右横ずれ<br />
270° 正断層<br />
133
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量 (5)基本ケース:P軸110度<br />
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量の計算は,すべり量の鉛直成分を与えた結果とすべり量の水平成分を与えた結果を重ねた結果となる。<br />
浦底-内池見断層 北部<br />
浦底-内池見断層 南部<br />
+ =<br />
すべり量の鉛直成分を与えた鉛直変位量 すべり量の水平成分を与えた鉛直変位量 両成分を合わせた鉛直変位量<br />
すべり角(P軸110°)<br />
0°<br />
19°<br />
図 【参考】浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量(基本ケース:P軸110度)<br />
断層長さ<br />
断層面(上盤)<br />
断層上盤側の<br />
すべり方向<br />
すべり角<br />
断層幅<br />
断層が水平面と成す線<br />
すべり角と断層のずれ方向<br />
0° 左横ずれ<br />
90° 逆断層<br />
180° 右横ずれ<br />
270° 正断層<br />
134
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量 (6)基本ケース:P軸120度<br />
浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量の計算は,すべり量の鉛直成分を与えた結果とすべり量の水平成分を与えた結果を重ねた結果となる。<br />
浦底-内池見断層 北部<br />
浦底-内池見断層 南部<br />
+ =<br />
すべり量の鉛直成分を与えた鉛直変位量 すべり量の水平成分を与えた鉛直変位量 両成分を合わせた鉛直変位量<br />
すべり角(P軸115°)<br />
0°<br />
0°<br />
図 【参考】浦底-内池見断層の活動に伴う地盤の鉛直変位量(基本ケース:P軸115度)<br />
断層長さ<br />
断層面(上盤)<br />
断層上盤側の<br />
すべり方向<br />
すべり角<br />
断層幅<br />
断層が水平面と成す線<br />
すべり角と断層のずれ方向<br />
0° 左横ずれ<br />
90° 逆断層<br />
180° 右横ずれ<br />
270° 正断層<br />
135
(案)敦賀発電所敷地内断層の評価に係る<br />
日本原電の主張に対する見解<br />
「日本原電の主張に対する見解」に対する当社の見解<br />
本文 論点<br />
【主張5に対する有識者会合の見解】<br />
現行の耐震設計指針では耐震設計上考慮する活断層を「後期<br />
更新世以降の活動が否定できないもの。」としており、「活<br />
動が認められるもの。」とは、規定しておらず、活動性に係<br />
るデータが得られない場合(活動性が無いというデータが得<br />
られない場合)は、考慮対象となる。<br />
今回のように事業者が確度の高いデータを示さない場合は、<br />
「耐震設計上考慮すべき活断層」として判断することになる。<br />
また、立証責任は一義的に事業者側にあるものと考えており、<br />
調査を実施した事業者として、活動性に係るデータ(活動性<br />
が無いというデータ)を示さなければならない。<br />
なお、今後新たな知見が得られた場合、必要があれば、この<br />
評価を見直すこともあり得るが、その際には、事業者は追加<br />
調査等によって“活断層である可能性を否定する”客観的な<br />
データを揃えること等が必要である。<br />
・立証責任は一義的に事業<br />
者側にあるか。<br />
当社の見解<br />
立証責任が一義的に事業者側にあるとする考え方については、法律的観点か<br />
ら見て適切でない。<br />
一般に規制法においては、規制当局が規制権限を行使するに当たって規制要<br />
件への該当性を証明する責任を負っており、そのために規制当局には、法律<br />
上、報告徴収権・立入調査権が付与されているのである。従って、原子炉等<br />
規制法のバックフィット規制に係る本件調査についても、規制当局たる規制<br />
委員会(有識者会合)にその最終的な証明責任、説明責任がある。<br />
なお、当社は既に有識者会合に対し、「活動性がない」ことを、調査に基づ<br />
く確度の高い客観的事実・データにより示しているのであるから、仮に規制<br />
委員会(有識者会合)がこれを覆すというのであれば、同様に、規制委員会<br />
(有識者会合)がこれを証拠(データ)に基づき証明・説明する責任がある<br />
ということである。<br />
本日の<br />
資料番号<br />
136-138<br />
136
行政機関の「説明責任」に関する関係規定<br />
〈行政事件訴訟法第23条の2第1項〉<br />
裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、必要があると認めるときは、次に掲げる処分をすること<br />
ができる。<br />
一 被告である国若しくは公共団体に所属する行政庁又は被告である行政庁に対し、処分又は<br />
裁決の内容、処分又は裁決の根拠となる法令の条項、処分又は裁決の原因となる事実その他<br />
処分又は裁決の理由を明らかにする資料(次項に規定する審査請求に係る事件の記録を除<br />
く。)であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の提出を求めること。<br />
(解 説)<br />
・この制度が設けられた趣旨は、行政には行政処分の適法性について説明すべき責任が<br />
あること(芝池義一『行政法読本(第2版)』289~290頁)。<br />
・行政は、行政処分により国民の権利利益を侵害した場合には、その処分の適法性につ<br />
いて説明する責任がある(芝池・326頁) 。<br />
・23条の2の仕組みを原理的に支えるものとして、行政の「説明責任」がある(櫻井敬<br />
子・橋本博之『行政法〔第3版〕』324頁) 。<br />
137
第1条(目的等) 「行政運営における公正の確保と透明性・・・の向上を図り、 …」<br />
第8条第1項(理由の提示) 「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否す<br />
る処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければな<br />
らない。」<br />
(解 説)<br />
行政庁の判断の公平性を担保して恣意を抑制し(恣意抑制機能)、処<br />
分の相手先が行政不服申立て等を提起して争う場合の便宜となる(争訟<br />
便宜機能)。理由の提示が全くされない処分は無効であり、理由の提示<br />
に不備のある処分は取り消されるべきである(櫻井敬子・橋本博之 『行政法〔第3<br />
版〕』215頁)。<br />
第14条第1項(不利益処分の理由の提示) 「行政庁は、不利益処分をする場合には、<br />
その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。」<br />
最判平成23年6月7日(判例時報2121号38頁)<br />
「行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を<br />
名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課<br />
し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断<br />
の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制する・・・趣旨・・・」<br />
138
日本原子力発電・敦賀原子力発電所敷地内の破砕帯について<br />
2013 年 4 月 23 日<br />
奥村晃史(広島大学大学院文学研究科)<br />
2013 年3月 30 日に日本原子力発電株式会社の協力を得て,敦賀原子力発電所敷地内の断層,<br />
破砕帯,関連する第四系の観察を行い,中間報告書としてとりまとめられているこれまで<br />
の調査結果とあわせて,断層や破砕帯の性質,連続性,活動性について検討した結果を報<br />
告する.破砕帯の微細構造を含む構造地質的な観察に関しては,構造地質学の専門家によ<br />
って詳しい調査を実施して確証を得ることが必要である.<br />
1.D-1 破砕帯の構造と連続性について<br />
[要旨]2号機南側露頭で観察できる D-1 破砕帯は,従来記載されていた D-1 破砕帯に共<br />
通な特徴を示している.断層粘土を伴う主たる剪断面と破砕帯構造の総合的な観察・記載<br />
がこれを支持する.<br />
・2号機南側露頭の D-1 破砕帯における明瞭な断層面は単一の N20°E 走向・高角西傾斜の<br />
剪断面で厚さ 1〜10 mm 程度の白色断層粘土が厚さ 0〜 5 mm 程度の黒色帯を伴っている.<br />
剪断面の両側1m程度の範囲のカタクレーサイトに,NS 走向と N20°E〜N30°E 走向の節理が<br />
数 cm 間隔で発達して破砕帯を構成している.色調・組織を異にする岩体が剪断面で接して<br />
いることから有意な変位が認められる.変位の方向は露頭観察では不明である.<br />
・これまでの調査で D-1 破砕帯として記載さあるいは連続するとみられる剪断面は,NS に<br />
近い走向か N20°E〜N30°E 走向をもつ.この走向は上記露頭で観察された剪断面と節理の走<br />
向に一致する.D-1 破砕帯がほぼ NS に延びることから,NS 走向の剪断面を節理に由来する<br />
N20°E〜N30°E 走向の剪断面がつないでいる構造を推定することができる.<br />
2.G 断層の破砕帯について<br />
[要旨]D1 トレンチ北側ピット底面のG断層の破砕帯と 2 号機南側露頭の D-1 破砕帯は共<br />
通する特徴をもち,同じ環境で同じ断層運動によって形成された可能性が高い.<br />
・D1 トレンチ北側ピット底面のG断層は,単一の NS 走向・高角西傾斜の剪断面で厚さ 1〜<br />
10 mm 程度の黄白色断層粘土が東側に厚さ 5〜 10 mm 程度の黒色帯をを伴っている.剪断面<br />
の両側1m程度の範囲のカタクレーサイトに,NS 走向と N20°E〜N30°E 走向の節理が数 cm<br />
間隔で発達して破砕帯を構成している.色調・組織を異にする岩体が剪断面で接している<br />
ことから有意な変位が認められる.変位の方向は露頭観察では不明であるが,ピット底面<br />
の断層粘土には平面内に引きずり構造が見られることから,この剪断面の動きに水平ずれ<br />
成分があったことがわかる.<br />
・G 断層の断層粘土と黒色帯は 2 号機南側露頭の D-1 破砕帯のものとよく類似している.こ<br />
こでは,NS 走向の主たる剪断面が D-1 破砕帯と同じ N20°E〜N30°E 走向と傾斜をもつ節理系<br />
の中に形成されているが,これもこれまでに観察された D-1 破砕帯と共通な性質である.
・D1 トレンチ北側ピット底面の断層粘土は,黄白色〜橙白色を呈する点が他の D-1 破砕帯<br />
の断層粘土と異なる.これは地下水中の溶存酸素による風化のためである.ここで観察さ<br />
れる断層粘土は中期更新世後期の砂礫層と花崗岩の不整合面直下に位置している.中期更<br />
新世から後期更新世にかけてこの地点は河床直下から 20mあまりの砂礫層の基底に位置し<br />
多量の地下水が流動していた.花崗岩の節理に沿って地下水起源のマンガンが沈殿してい<br />
ることからも地下水の存在は明らかで,酸化的な環境で断層粘土の風化あるいは酸化鉄の<br />
沈殿が進行したものとみられる.<br />
3.D1 トレンチのK断層について.<br />
[要旨]K断層は断層面の形態・特徴からみて,浅い地下で少数回変位を繰り返した断層<br />
とみられる.D-1 破砕帯,G断層に伴う破砕帯とは全く性状が異なっており同時に活動し<br />
た連続する断層とは考えられない.<br />
・2-1 ピットで基盤岩を切るK断層は断層面に沿って 1〜2 mm 以下の断層粘土状の細粒物質<br />
を挟んでいるが,断層面にそって節理の発達や角礫化は認められない.断層粘土・断層面<br />
付近の変形や破砕の程度は D-1 破砕帯,G断層に較べると無いに等しい.また,浦底断層<br />
の破砕帯と較べてもその程度は著しく低い.<br />
・走向が南北に近い部分は G 断層に伴われる節理系に近い走向をもつ割れ目もみられるが,<br />
密度は D-1 破砕帯に較べ著しく低い.走向が南北から南西に変わる部分では,走向の変化<br />
に伴う破壊とみられる割れ目がまばらに存在するが,これらは G 断層に伴われる節理系と<br />
は無関係に形成されている.<br />
・K 断層は堆積物中で分岐・低角化し3層上部に覆われる.低角化は浅い地下で未固結堆積<br />
物を切る逆断層に一般的に見られる現象で,3層堆積中にK断層が最後の活動をしたこと<br />
は明らかである.<br />
・3層を切るK断層上端部では,断層を挟んで砂礫〜シルト層の層厚が変化する.これは<br />
断層変位に横ずれ成分が含まれることを示す.しかし,横ずれ成分は逆断層成分に較べて<br />
小さいことが予想される.その理由として,砂礫〜シルト層はチャネルやポイントバー堆<br />
積物で側方変化が激しいが,断層をはさんで概ね対応し,層厚変化も僅かであることがあ<br />
げられる.また,10 m あまりの区間で逆断層の走向が南北から北西南東まで変化するため<br />
に横ずれ成分が必然的に発生する.横ずれ成分を厳密に検討するためには,今後変位ベク<br />
トルに関する詳細な検討が必要である.<br />
・K断層の走向変化と南西方への不連続は,逆断層+横ずれ変形を造り出す圧縮応力場が<br />
浦底断層沿いに局地的に(10 m オーダー)に分布した可能性を示している.そのような局<br />
地的な応力場形成の原因として浦底断層面の不整形が考えられる.横ずれ成分をもつ浦底<br />
断層の断層面に圧縮性のジョグ,折れ曲がりあるいは,突出部(凸部)など不整形が存在<br />
すると,その不整形の規模に応じた範囲に局地的な圧縮応力場が作られる.この局地的な<br />
応力場は,横ずれ変位の進行とともに位置を変える場合もある.<br />
・節理系や断層角礫を伴わない断層が浅い地下だけで,少数回の活動を繰り返したとの観<br />
察は,浦底断層に沿ってこの地点に一時的に圧縮応力場が発生して消失したと考えると合
理的に説明ができる.3層にみられる変位量(10 cm オーダー)が浦底断層の一回の地震<br />
による変位量より一桁以上小さいことも副次的な派生断層の特徴と一致する.<br />
・弧状に屈曲する逆断層の一部が D-1 破砕帯と一致する走向傾斜をもつ部分もあるが、走<br />
向が西に振れる区間ではK断層と D-1 破砕帯の構造は無関係である.<br />
4.断層・破砕帯の最新活動期と変位センス,応力場<br />
[要旨]以上に述べたように,D-1 破砕帯とK断層は無関係である.D-1 破砕帯が西側隆起<br />
の逆断層として活動した証拠が D-1 破砕帯そのものから提示されない限り,D-1 破砕帯に第<br />
四紀の活動がないと考えることが妥当である.<br />
・浦底断層や周辺の断層の運動状況からみて,敦賀半島周辺は東西圧縮応力場にある.<br />
・この応力場で南北走向・西傾斜の D-1 破砕帯に起きる変位は,西側隆起の逆断層変位以<br />
外にない.圧縮軸が東西から振れているために斜めすべりを発生させる可能性はあるが,<br />
逆断層成分が主で横ずれ成分は僅かであることが予測される.<br />
・しかし,D-1 破砕帯の変形構造からは右横ずれを伴う正断層変位しか検出されていない.<br />
逆断層成分をもつ変位が最近発生していれば,その変位は必ず正断層変位を上書きして記<br />
録される.また,最近右横ずれ変位だけが発生していれば,その動きが記録されるはずで<br />
ある.変形構造の解析からそれらが見いだされていないことは D-1 破砕帯に最近(第四紀<br />
後期)の動きがないことを示す.<br />
5.活動時期と活動性について<br />
・DKP, KTZ の層位をもとに,木質泥炭の厚さを差し引いて推定される堆積速度からみて,<br />
5層基底が最終間氷期に先立つ不整合面であることは確実とみられる.美浜テフラ起源と<br />
みられる角閃石がその上位に存在することは.堆積速度からみた年代推定と調和的である.<br />
その場合,不整合面の形成時期は MIS 6 である.<br />
・前に述べたように,K 断層と D-1 破砕帯が無関係で,D-1 破砕帯に第四紀の活動が認めら<br />
れないことから,過去に浦底断層・K 断層と D-1 破砕帯が同時に活動したことはないことが<br />
推論される.そこで検討すべきことは,将来,浦底断層の動きが D-1 破砕帯等の動きを誘<br />
発しないことである.そのためには過去の地質学的証拠を集めるだけでは不十分で,力学<br />
的・運動論的なシミュレーションから断層変位の可能性を検討する必要がある.バックチ<br />
ェックで行われた弾性食い違いや有限要素法による剪断歪み,応力集中,変形などを定量<br />
的に検討することは重要な課題である.また,浦底断層の動きが施設に影響を与えないこ<br />
との確認も同様の手法で検討しなければならない.バックチェックで行われた最初の試み<br />
には多くの改良すべき点があり,この調査で引き続き検討を加えられることが望ましい.<br />
以 上