タイの労働事情と人材管理

タイの 労 働 事 情 と 人 材 管 理
ジェトロバンコクセンタ-
矢 島 洋 一
2008 年 11 月 28 日

タイの 労 働 力
人 口 : 6,651 万 人 ( 労 働 人 口 : 3,837 万 人 )
就 業 者 : 3,789 万 人
失 業 者 : 45 万 人 ( 失 業 率 : 1.2% )
就 業 者 の 業 種 別 労 働 者 :
農 業 関 連 : 1,549 万 人 / 非 農 業 関 連 : 2,240 万 人
出 所 : タイ 情 報 通 信 技 術 省 (ICT) 統 計 局 (2008 年 8 月 公
表 )
2

タイの 就 業 構 造
一 般 就 業 者 の 産 業 別 の 就 業 構 造 (2007 年 )
農 林 水 産 業 が40% 弱 と 依 然 として 大 きな 割 合 を
占 め、 次 いで 製 造 業 (18%)、 卸 小 売 業
(16%)
が 大 きな 割 合 を 占 め、 建 設 業 (6.9%)、ホテ
ル・
飲 食 業 (6.7%) 等 が 続 いている。
農 林 水 産 業 の 割 合 が 減 少 、 製 造 業 、サービス 業
の 割 合 が 増 加 する 傾 向 にある。
3

最 近 の 雇 用 状 況
・ 低 失 業 率 の 状 態 が 安 定 的 に 推 移
2005 年 ~ 2007 年 はそれぞれ1.5%/1.2%/1/3%
・ 農 業 労 働 者 からの 産 業 労 働 者 へと 移 行 が
進 むも 最 近 の 食 料 ( 米 ) 価 格 高 騰 により
農 業 労 働 への 回 帰 が 見 られ、 一 部 の 地 域
では 労 働 者 不 足 が 起 きている。しかし、
極 端 な 労 働 者 不 足 は 起 きていない。
4

周 辺 国 から 流 入 する 外 国 人 労 働 者
2006 年 6 月 現 在 の 外 国 人 労 働 者
約 74 万 人
( 但 し、 各 種 統 計 等 から 類 推 すると200 万 人 以 上
の 外 国 人 労 働 者 がタイで 働 いていると 思 われる。
労 働 者 の 国 籍 は 多 い 順 にミャンマー、ラオス、
カンボジアとなっている。 尚 、 就 労 許 可 証 を
取 得 した 正 規 労 働 者 は、 労 働 省 発 表 によると、
2006 年 6 月 時 点 で 約 15 万 人 となっている。
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短 期 ・ 中 期 の 視 点 から 見 た 労 働 市 場
短 期 的 視 点
・ 米 国 の 金 融 危 機 による 景 気 後 退 がタイの 輸 出
産 業 に 与 える 影 響 ・・・ 労 働 集 約 型 産 業
中 期 的 視 点
政 治 の 不 安 定 が 長 期 化 すると、 海 外 からの 投 資
に 深 刻 な 影 響 を 及 ぼす。
結 果 として 経 済 インフラの 脆 弱 化 が 雇 用 に 影 を
与 えるであろう。
6

タイの 労 働 省 の 見 方
2008 年 から2011 年 の 労 働 市 場 の 動 向 ( 予 測 )
・ 短 期 的 には、 成 長 を 続 ける 経 済 は 増 加 する 労 働
力 を 吸 収 することは 可 能 。
・ 年 間 3,700 万 人 の 労 働 力 を 部 門 別 には、 経 済 成 長
率 が 年 率 4.5%~5.5%を 維 持 できれば、 農 水 産 業
の 雇 用 は 減 少 し、 製 造 業 、サ-ビス 業 の 雇 用 が
増 加 すると 見 ている。
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産 業 の 労 働 力 へのニ-ズ
2007 年 の 国 家 統 計 局 の 調 査 結 果
・ 最 も 労 働 力 を 必 要 とする 産 業
自 動 車 、 電 機 ・ 電 子 、 繊 維 衣 類 の 産 業
・ 労 働 力 が 不 足 している 産 業
(6カ 月 以 上 必 要 とする 労 働 力 の 調 達 が 困 難
な 産 業 )
食 品 加 工 、 繊 維 衣 類 産 業
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タイの 教 育 制 度
幼 稚 園
小 学 校 (6 年 ) < 入 学 : 満 6 歳 >
中 学 校 (3 年 ) < 卒 業 : 満 15 歳 >
専 門 学 校 (3 年 ) 高 等 学 校 (3 年 )
( 簿 記 /コンピューター 等 )
短 期 大 学 (2 年 ) 大 学 *(4 年 )
* 修 士 課 程 は2 年 、 博 士 課 程 は3 年
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タイの 大 学
2007 年 12 月 末 現 在
国 立 大 学 78 校 カッコ 内 は 設 立 された 年
チュラロンコン 大 学 (1917 年 )、タマサ-ト 大 学 (1934 年 )、マヒドン 大 学 (1943 年 )、
カセサ-ト 大 学 (1943 年 )、シ-ラパコン 大 学 (1934 年 )、チェンマイ 大 学 (1964 年 )、
シ-ナカリンビロット 大 学 (1974 年 )、キングモンクット 工 科 大 学 (1959 年 )、
コンケン 大 学 (1964 年 )など
その 他 にオ-プンカレッジと 呼 ばれる、ラムカムヘン 大 学 、スコ-タイ 大 学 がある。
(この2 大 学 は8 年 の 間 に 卒 業 しなければならない。)
私 立 大 学
64 校
バンコク 大 学 (1934 年 )、アサンプション 大 学 (1969 年 )、タイ 商 工 会 議 所 大 学 (1940 年 )
ランシット 大 学 (1985 年 )、 泰 日 工 業 大 学 (2007 年 )などがある。
大 学 までの 就 学 率 は、2005 年 現 在 推 定 で 約 30% 程 度 か。
但 し、 上 記 のオ-プンカレッジの 就 学 生 数 は 除 外 。
出 所 : Ministry of Education 資 料 より
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学 歴 別 の 労 働 力 のニ-ズ
求 める 学 歴 別 労 働 力 のニ-ズ
1 高 卒 (67.3%)
2 大 卒 < 学 部 卒 > (17.4%)
3 高 専 卒 / 短 大 卒 (9.5%)
4 その 他 (5.8%)
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労 働 者 が 抱 く 不 安 要 因
・ 政 治 、 経 済 の 不 安 定 を 要 因 とする 景 気
後 退 による 解 雇 、 廃 業 問 題 、 工 場 移 転
・ 洪 水 や 旱 魃 などの 自 然 災 害 による 生 活
への 脅 威
・ 最 南 部 の 治 安 問 題 (テロ 等 の 行 為 )
ヤラ-、ナラティワ-ト、パタニの3 県
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タイの 労 働 省 は
今 後 をどう 見 ているか
・EPA(FTA)の 進 展 に 伴 って 農 業 、 工 業 、
サ-ビス 部 門 の 分 野 で 企 業 間 競 争 が 激 化
して 行 くであろう。
・ 人 材 の 育 成 は、 競 争 力 の 源 泉 であり、
高 付 加 価 値 産 業 への 構 造 転 換 、 自 由 競 争
からの 生 き 残 りをもたらし、 雇 用 拡 大 の
機 会 増 大 を 享 受 できるであろう。
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タイ 人 の 採 用 について
募 集 の 仕 方
新 卒 の 場 合
・ 大 学 に 直 接 出 向 き、 教 務 課 などに
依 頼 ( 学 生 自 ら 就 職 活 動 をする 場 合
もある)
・ 人 材 紹 介 会 社 に 依 頼 (タイには 日 系
の 人 材 紹 介 会 社 だけで 約 20 社 以 上 )
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タイ 人 の 採 用 について
中 途 採 用 の 場 合
・ 新 聞 広 告 < 英 字 紙 /タイ 字 紙 >
(マネ-ジャ-クラス 募 集 に 最 適 )
・ 業 界 紙 に 掲 載
・ 各 県 の 労 働 事 務 所 に 依 頼 ( 日 本 のハロ-
ワ-クに 相 当 )
・ 人 材 紹 介 会 社 (マネ-ジャ-クラスの
募 集 に 最 適 )
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タイ 人 の 採 用 について
・ 自 社 の 従 業 員 やタイ 人 の 知 人 に 依 頼
*
・ 工 業 団 地 内 に 掲 示 する
・ヘッドハンティング
・ 大 手 の 求 人 サイトへの 掲 載
・ 就 職 情 報 誌 (ワタチャック 等 )に 掲 載
< 最 近 は、 高 架 鉄 道 (BTS)の 駅 構 内 で
見 かけるようになった>
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タイ 人 の 採 用 について
工 員 募 集 の 場 合 は、 自 社 工 場 の 正 門 に 募 集
する 旨 の 横 断 幕 を 出 すか 張 り 紙 で 募 集 実 務
的 には 総 務 担 当 のタイ 人 に 任 せるケ-スが
多 い。
新 卒 の 場 合
・ 大 学 に 直 接 出 向 き、 教 務 課 などに 依 頼
・ 人 材 紹 介 会 社 に 依 頼
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知 っておくべき 採 用 上 の 注 意
・ 満 15 歳 未 満 の 雇 用 の 禁 止
・ 満 15 歳 以 上 満 18 歳 未 満 の 年 少 労 働 者
の22 時 から6 時 までの 就 労 の 禁 止 /
時 間 外 労 働 の 禁 止 / 休 日 労 働 の 禁 止
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知 っておくべき 採 用 上 の 注 意
*
会 社 の 従 業 員 やタイ 人 の 知 人 からの 紹 介 による
いわゆる 縁 故 採 用 は、 信 用 のある 人 からの 紹 介 の
場 合 は 採 用 する 者 の 素 性 が 判 っている 点 で、 長 期
雇 用 が 期 待 される 一 方 で、 社 内 に 派 閥 やグル-プ
を 作 ることになりがちである。
また、 紹 介 して 採 用 された 者 が 退 社 する 場 合 、 一 緒
に 他 社 に 移 ってしまうという 問 題 が 起 こることも
想 定 しておく。
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日 本 人 の 執 務 状 況 ( 態 度 )と
とタイ 人 が 感 じ 取 る 感 情 の 差
日 本 人 の 態 度 タイ 人 の 心 の 反 応 どう 思 ったか
相 手 の 真 意 をどう 読 み 取 るか
日 本 ではこうだ 当 惑 した 表 情 いかにも 高 姿 勢 だな 悪 いのはタイ 人 だ
そうではない すぐ 怒 る/ 怒 鳴 る 信 用 されていないんだな やって 当 たり 前
そんなの 常 識 だ 声 を 荒 げて 非 難 品 格 に 欠 ける 人 だな 日 本 式 の 押 し 付 け
強 い 調 子 でダメだ 顔 が 曇 る/ 浮 かぬ 顔 自 分 でやればいいじゃないか 悪 いのはタイ 人 だ
なぜやらないんだ 困 惑 / 当 惑 前 任 者 とやり 方 が 違 う 俺 のやり 方 が 正 しいのだ
公 私 を 区 別 しろ - -
自 分 に 優 しく、 他 人 に 厳 しい
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2007 年 第 一 四 半 期 の 平 均 月 額 給 与
バ-ツ/ドル 換 算 : T. Baht = ¥2.79
職 種 ・ 業 種 バ-ツ/ 月 邦 貨 換 算
弁 護 士 、マネ-ジャ-クラス 35,755 99,756
事 務 員 10,438 29,122
小 売 業 の 店 員 10,438 29,122
農 業 ・ 漁 業 の 技 能 職 従 事 者 4,176 11,651
製 造 業 従 事 者 6,568 18,325
職 種 ・ 業 種 の2007 年 第 一 四 半 期 の 平 均 7,385 20,604
農 業 ・ 林 業 3,506 9,782
漁 業 9,512 26,538
製 造 業 7,493 20,905
建 設 業 5,771 16,101
ホテル・レストラン 6,334 17,672
運 輸 ・ 倉 庫 ・ 通 信 11,259 31,413
不 動 産 11,694 32,626
外 国 の 組 織 に 従 事 する 者 41,511 115,816
出 所 : National Statistic Office at "The employment of the population survey
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タイ・ベトナム 法 定 最 低 賃 金
( 参 考 : インドの 法 定 最 低 賃 金 )
換 算 : T.Bht = ¥2.79
VND = US$0.000058
T.Bht = ¥34.93
VND = ¥0.00575
US$ =
< 小 数 点 以 下 四 捨 五 入 >
2008 年 6 月 1 日 より 実 施 2009 年 1 月 1 日 より 実 施 予 定
タイの 最 低 賃 金 ( 月 額 )
日 額
ベトナムの 最 低 賃 金 ( 月 額 )
第 1ゾ-ン THB 5,075.00 ( ¥14,159 ) ( US$145 ) 203 第 1 地 域 VND 1,200,000 ( ¥6,900 ) ( US$70 )
第 2ゾ-ン THB 4,500.00 ( ¥12,555 ) ( US$129 ) 180 第 2 地 域 VND 1,080,000 ( ¥6,210 ) ( US$63 )
第 3ゾ-ン THB 4,075.00 ( ¥11,369 ) ( US$117 ) 163 第 3 地 域 VND 950,000 ( ¥5,463 ) ( US$55 )
第 4 地 域 VND 920,000 ( ¥5,290 ) ( US$53 )
2008 年 3 月 時 点 インドの 最 低 賃 金 ( 月 額 ) 2008 年 12 月 まで 適 用 される 地 域 の 区 分
デリ- INR 3,516.00 ( ¥7,201 )( US$74 ) 第 1 地 域 VND 1,000,000 ( ¥5,750 ) ( US$58 )
ムンバイ INR 3,430.00 ( ¥7,025 )( US$72 ) 第 2 地 域 VND 900,000 ( ¥5,175 ) ( US$52 )
バンガロ-ル INR 2,823.20 ( ¥5,782 )( US$59 ) 第 3 地 域 VND 800,000 ( ¥4,600 ) ( US$46 )
チェンナイ INR 3,813.05 ( ¥7,809 )( US$80 )
換 算 : INR= INR 0.021
INR = US$2.048
( 注 )
タイ
1 ゾ-ン 区 分 はBOIによる。
上 記 第 2ゾ-ンはチョンブリ 県 、 第 3ゾ-ンはラヨン 県 のケ-スで 記 載 。
詳 細 は 別 紙 の「 県 別 最 低 賃 金 表 」を 参 照 。
2 最 低 賃 金 は 日 額 で 規 定 しているが、ベトナムとの 比 較 のため1カ 月 を25 日 として 計 算 。
ベトナム
1 上 記 の 月 額 は2009 年 1 月 より 適 用 される。さらに 同 時 に 地 域 区 分 も 変 更 されることに
なっている。( 現 在 の3 地 域 区 分 から4 地 域 区 分 となる)
2 新 区 分 (2009 年 1 月 より 適 用 )は 下 記 のとおり。
第 1 地 域 :
ハノイ 市 内 、ハドン 市 内 、ホ-チミン 市 内
第 2 地 域 :
ハノイ・ホ-チミンの 各 郡 、ダナンの 各 区 及 び 郡 、ハロン 市 等
第 3 地 域 :
ハノイ 市 のその 他 の 郡 、バクニン 省 、ビンズオン 省 などその 他 の 省
第 4 地 域 :
その 他 の 地 域
出 所 :ジェトロバンコク/ハノイ
インド
非 熟 練 工 と 熟 練 工 の 最 低 賃 金 は 異 なるので、 非 熟 練 工 の 賃 金 を 採 用
出 所 : インド 日 本 商 工 会
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タイとベトナムの 税 金 と 税 率
2008 年 11 月 1 日 現 在
項 目 タイ ベトナム
法 人 税 30% 28%
個 人 所 得 税 ( 最 高 税 率 ) 37% 40%
付 加 価 値 税 (VAT) 7% 10%
配 当 送 金 税 10% 0%
社 会 保 険 負 担 ( 雇 用 主 ) 5% 17%
注 : 1 ベトナムの 法 人 税 は、2009 年 1 月 1 日
より25%に 引 き 下 げられる 予 定 。
2 ベトナムの 個 人 所 得 税 は、2009 年 1 月 1 日
より25%に 引 き 下 げられる 予 定 。
出 所 : ジェトロバンコク、ハノイ
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タイの 労 働 組 合 の 組 織
労 働 組 合 の 組 織
から
活 動 内 容 と 現 状
まで
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労 働 組 合 について
日 系 企 業 の 労 働 組 合 に 対 する 意 識
・ 組 合 活 動 は 企 業 内 組 合 として 活 動
してもらいたい。
・ 上 部 団 体 の 組 合 には 加 入 しないように。
・オルグの 介 入 は 絶 対 にお 断 り。
・ 裁 判 沙 汰 は 嫌 いである。
・ 労 使 の 問 題 はあくまでも 話 し 合 いで。
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労 働 組 合 の 結 成
結 成 に 至 るまでの 手 順
(1) 10 名 以 上 の 発 起 人 により 規 約 を 作 成 し 登 録 。
登 録 は、 官 報 に 記 載 される。
登 録 後 組 合 は 法 人 格 となる。
(2) 発 起 人 は、 登 録 日 から120 日 以 内 に 最 初 の 総 会 を
開 催 してその 場 で 委 員 会 を 組 織 し、 委 員 を 選 任
して 活 動 内 容 を 委 任 。
正 式 労 働 組 合 の 誕 生 となる。
組 合 の 権 利 ・ 義 務 については 労 働 関 係 法 第 98 条 に 規 定 。
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タイの 労 働 組 合
タイの 労 働 組 合 の 特 徴
・ 闘 う 労 働 組 合 という 色 合 いは 薄 い。
( 権 利 獲 得 のため 会 社 と 対 決 で 対 峙 する
という 意 識 は 希 薄 )
・ 労 働 者 、 特 に 工 員 レベルは、 一 部 の 煽 動 者
に 唆 されて 組 合 員 となり、 会 社 に 対 し、
待 遇 改 善 や 労 働 環 境 の 整 備 などを 要 求 する
に 留 まるケースが 多 い。
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タイ 労 働 組 合 の 仕 組 みと 組 織 率
組 合 の 上 部 団 体
・ 同 じ 産 業 を 基 盤 とする 複 数 の 組 合 は、
「 連 盟 」(Federation) の 結 成 が 可 能 。
・ 労 働 組 合 や 連 盟 の 数 が15 以 上 になれば、
「 協 議 会 」(Congress) の 結 成 が 可 能 と
なる。
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タイ 労 働 組 合 の 主 要 な 上 部 組 織
組 合 の 組 織 名
結 成 年
組 織 の 状 況
組 合 員 数 加 盟 組 合
1) Labour Congress of Thailand (LCT タイ 労 働 会 議 ) 1978 年 12 万 人 139 組 合
2) Thai Trade Union Congress (TTUC タイ 労 働 組 合 会 議 ) 1983 年 6.5 万 人 190 組 合
3) National Congress of Thai Labour (NCTL タイ 労 働 全 国 会 議 ) 1979 年 3.5 万 人 218 組 合
4) Confederation of Thai Labour (CTL タイ 労 働 連 盟 ) 1993 年 3.5 万 人 62 組 合
5) National Labour Congress (NLC タイ 労 働 会 議 ) 1991 年 2.5 万 人 55 組 合
6) The National Congress of Private Employees of Thailand (NPET タイ 民 間 労 働 者 全 国 会 議 ) 1993 年 2.0 万 人 30 組 合
7) National Free Labour Union Congress (NFLUC タイ 自 由 組 合 会 議 ) 1978 年 1.0 万 人 54 組 合
8) Thailand Council of Industrial Labour (TCIL タイ 産 業 労 働 評 議 会 ) 2001 年 0.5 万 人 30 組 合
( 注 ): 上 記 1)/2)/4)/5)の 組 合 は、ICFTU( 国 際 自 由 労 連 )に 加 盟 、3)/6)は、WCL( 国 際 労 連 )に 加 盟
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組 合 活 動 の 特 徴
・ 低 い 組 織 率 ( 数 パ-セント)
・ 産 業 別 組 織 力 が 弱 く、 同 組 織 主 体 の
活 動 が 行 われにくい。
・ 脆 弱 な 財 政 基 盤 と 事 務 局 の 体 制
( 労 働 者 の 組 織 化 だけが 進 むため
組 織 強 化 に 結 びつきにくい)
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1 組 合 活 動 は
現 在 どうなっているのか
組 合 結 成 の 数 は 増 加 しているが、 実 質 的
に 活 動 している 組 合 は 少 なく、 組 合 活 動
自 体 も 低 迷 している。 但 し、オルグが
入 り 込 み 工 員 などを 煽 動 して、 労 使 紛 争
の 種 を 作 るのが 一 部 地 域 で 最 近 増 加 しつ
つある。
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2 組 合 活 動 は
現 在 どうなっているのか
・ 国 営 企 業 労 働 組 合 : 43
・ 民 間 企 業 の 労 働 組 合 : 1,243
( 前 年 から2 件 増 加 )
・ 労 働 者 組 合 連 合 会 : 16
・ 労 働 者 組 合 連 盟 : 12
2007 年 12 月 現 在 ( 出 所 : 労 働 省 統 計 局 )
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労 使 紛 争 の 現 状
2007 年 の 労 働 争 議 件 数 : 283 件
出 所 : 労 働 省 、Labour report(2007 年 )
過 去 に 発 生 した 労 使 紛 争 の 業 種 と 労 組 の 要 求
・ 発 生 した 業 種 : 78%が 製 造 業 、7%がホテル/
レストラン 等 のサービス 業
・ 労 組 の 要 求 内 容 : 賃 金 、 福 利 厚 生 、 雇 用 条 件 、
労 働 日 / 労 働 時 間 、 解 雇 の
改 善 要 求 、 苦 情 関 係 など
タイ 労 働 省 統 計 より
33

タイの 労 使 紛 争 の 開 始
労 働 争 議 の 定 義
まず 労 働 組 合 より 要 求 書 が 会 社 側 に 提 出 される。
会 社 側 がそれを 受 理 してから3 日 以 内 に 労 使 交 渉 を 始 めな
ければならない。( 要 求 書 は 労 働 者 の15% 以 上 の 署 名 必
要 )
3 日 以 内 に 交 渉 が 開 始 されない 場 合 あるいは、 開 始
しても 合 意 に 達 しないせず、 労 働 組 合 側 が 交 渉 することを
これ 以 上 望 まない 場 合 は、これを 以 って「 労 働 争 議 」の
状 態 に 入 ったとみなす。
( 解 決 のル-ルは 労 働 関 係 法 により“ 調 停 ”を 経 ること)
34

タイ 国 における 労 使 紛 争 の 推 移
250
236
200
150
100
165
175
187
121
183
140
154
110
97
123
労 使 紛 争 ( 件 数 )
ストライキ( 件 数 )
件 数
50
22
0
0
0 0 0 0 0 0 0 1 1
出 典 : 国 家 統 計 局
1994 年
1995 年
1996 年
1997 年
1998 年
1999 年
2000 年
2001 年
2002 年
2003 年
2004 年
35

会 社 側 が 留 意 すべき 事 項
a) 労 働 組 合 の 組 合 員 を 理 由 にした
解 雇 の 禁 止
b) 労 働 組 合 への 入 会 の 妨 害 は、 不 当
労 働 行 為 として 罰 せられる
c) 労 働 組 合 結 成 時 に 中 心 的 な 活 動 を
した 従 業 員 の 解 雇 や 処 遇 の 差 別
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労 働 組 合 の 結 成 に 到 る 要 因
1 労 働 者 の 不 満 が 鬱 積
2 不 満 や 要 求 に 対 して 不 誠 実 な 対 応
3 労 働 者 とのコミュニケーション 欠 如
4 日 本 人 同 士 でかたまる
37

最 後 に
・タイ 人 は「 職 に 就 く」というよりは、
「 人 に 就 く」 傾 向 がある。
・ 外 資 企 業 のトップや 上 司 の 人 事 異 動 の
場 合 には 一 貫 した 方 針 を 保 持 する。
・ 流 動 する 人 材 を 雇 用 し、 事 業 が 継 続 でき
る 方 策 を 考 えて、 企 業 運 営 することが
重 要 。
38

添 付 資 料
1 タイの 県 別 法 定 最 低 賃 金 表
2 JCC( 盤 谷 日 本 人 商 工 会 議 所 )に
よる 日 系 企 業 の 賃 金 実 態 調 査 結 果
(2008 年 4 月 実 施 )
39

ベトナムの 労 働 事 情
< 参 考 >
・ベトナムの 労 働 の 現 況
・ 労 働 市 場 について
・ 労 働 事 情 の 特 徴
・ 失 業 率 の 推 移 (タイとの 比 較 )

ベトナムの 労 働 の 現 況
最 近 の 著 しい 経 済 発 展 に 伴 う 変 化
1 農 林 水 産 業 に 従 事 する 者 の 比 率 が
徐 々に 減 少 する 一 方 で、 工 業 /サ-ビス
部 門 に 従 事 する 者 の 比 率 が 増 加 。
2 国 営 企 業 で 働 く 者 の 比 率 が 下 がり、
私 営 企 業 で 働 く 者 の 比 率 が 徐 々に 上 昇
41

ベトナムの 労 働 の 現 況
3 近 年 、 技 術 労 働 者 の 需 要 増 に 伴 い
その 比 率 が 上 昇 し、 労 働 者 の 質 の
向 上 に 寄 与 。
経 済 成 長 、 雇 用 創 出 が 図 られたにも 拘 らず
ベトナム 経 済 は 発 展 のひずみが 現 れてきて
いる。( 高 インフレなど)
42

労 働 市 場 について
・ 人 口 : 約 8,410 万 人 ( 東 南 アジアで 第 二 位 )
就 労 人 口 は、 約 5,380 万 人 (64%)
< 農 村 地 区 に 居 住 する 者 の 人 口 は、
全 体 の73%、タイは、 同 65%>
出 典 : Statistical data of employment and unemployment in Vietnam
in 2006)
43

労 働 事 情 の 特 徴 (2007 年 )
a) 潜 在 的 若 年 労 働 者 が 多 い。
b) 労 働 者 の 質 は 向 上 しつつあるものの 全 体 と
しては 低 い。
c) 労 働 力 の 分 布 の 不 均 一 性
地 域 、 職 種 毎 の 労 働 力 の 分 布 が 均 一 でない。
労 働 力 の 大 部 分 は、 南 東 部 などの 経 済 発 展
が 著 しい 地 域 に 集 中 。( 約 38%)
44

労 働 事 情 の 特 徴 (2007 年 )
c) 労 働 力 の 分 布 の 不 均 一 性 ( 前 ページの 続 き)
他 方 、 北 西 部 など 開 発 が 遅 れている 地 域
の 労 働 者 は 極 端 に 少 ない。
大 卒 以 上 の 労 働 者 のほとんどは、ハノイ、
ホ-チミン、ダナンなどの 大 都 市 に 集 中 して
いる。
45

失 業 率
2004 年 2005 年 2006 年 2007 年
ベトナム 5.6 % 5.3 % 4.8% 4.6%
(タイ 2.1 % 1.5 % 1.2 % 1.3% )
出 典 : ベトナムは、
Statistical data of employment and unemployment in
Vietnam in 2006)、2007 年 はEast Asia & Pcific Update
タイは、
国 家 統 計 局 (2007 年 )
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矢 島 洋 一
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