界面科学 教科書 - 江前敏晴のホームページ
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界 面 科 学<br />
( 月 曜 日 2 限 [10:40-12:10] )<br />
1 号 館 1 階 第 7 講 義 室<br />
江 前 敏 晴 ( 製 紙 科 学 )<br />
12 月 6 日 、13 日 、20 日 、<br />
1 月 7 日 、17 日<br />
教 科 書<br />
界 面 ・コロイド 化 学 の 基 礎<br />
北 原 文 雄 著<br />
講 談 社 サイエンティフィク<br />
講 義 のホームページ( 江 前 分 )<br />
http://psL.fp.a.u-tokyo.ac.jp/hp/enomae/<br />
「 講 義 資 料 」をクリック<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
• 水 ( 又 は 水 溶 液 ) 中 の 固 体 粒 子<br />
9.1 界 面 電 荷 の 発 生<br />
• 固 相 / 気 相 界 面 では 電 子 だが、 固 相 / 水 、 油<br />
/ 水 界 面 では、イオンである<br />
A. 難 溶 性 イオン 結 晶 の 場 合<br />
B. 酸 化 物 (または 水 酸 化 物 )の 場 合<br />
C. 表 面 解 離 基 がある 場 合<br />
D. H + , OH - の 優 先 吸 着 による 場 合<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
• 水 ( 又 は 水 溶 液 ) 中 の 固 体 粒 子<br />
9.1 界 面 電 荷 の 発 生<br />
• 固 相 / 気 相 界 面 では 電 子 だが、 固 相 / 水 、 油<br />
/ 水 界 面 では、イオンである<br />
A. 難 溶 性 イオン 結 晶 の 場 合<br />
• AgI 、BaSO 4 、CaCO 3 など。 結 晶 を 構 成 す<br />
るどちらかのイオン( 電 位 決 定 イオン)が 存<br />
在 すると 表 面 に 析 出 して 界 面 電 荷 を 与 え<br />
る。<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.1 界 面 電 荷 の<br />
発 生<br />
A. 難 溶 性 イオン<br />
結 晶 の 場 合<br />
Ag + とI - の 濃 度 が 等 しいと<br />
き 粒 子 の 電 荷 は0になる。<br />
電 荷 ゼロ 点 (ZPC, zeropoint<br />
of charge)と 呼 ぶ。<br />
正 負 を 自 由 に 制 御 できる。<br />
9.1 界 面 電 荷 の 発 生<br />
B. 酸 化 物 (or 水 酸<br />
化 物 )の 場 合<br />
酸 化 物 は 水 と 接 すると<br />
表 面 が 水 和 してOHに<br />
なる。<br />
OHはH + (プロトン)を 取<br />
り 込 むか 又 は 放 出 する。<br />
界 面 電 荷 が0になるpH<br />
を 等 電 点 (iep、isoelectric<br />
point)という。<br />
酸 性 側<br />
アルカリ 性 側<br />
1
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.1 界 面 電 荷 の 発 生<br />
B. 酸 化 物 (or 水 酸 化 物 )の 場 合<br />
酸 化 物 には 酸 性 、 塩<br />
基 性 がある。<br />
酸 性 酸 化 物 低 いpHで<br />
界 面 電 荷 は 正 から 負<br />
に 変 わる。 塩 基 性 酸<br />
化 物 は 高 いpHで 正 か<br />
ら 負 に 変 わる。<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.1 界 面 電 荷 の 発 生<br />
C. 表 面 解 離 基 がある 場 合<br />
• -COOH、フェノール 性 -OH、-NH 2 基 をもつ 場<br />
合 。 -COOHをもつ 木 綿 、レーヨンなどは 水 中<br />
で 負 の 界 面 電 荷 をもつ。<br />
D. H + , OH - の 優 先 吸 着 による 場 合<br />
• 純 水 中 の 油 滴 、 気 泡 は 負 の 電 荷 をもつ。プロ<br />
トンの 方 が 水 に 対 する 親 和 性 が 大 きいため。<br />
• 以 上 のA.~D.は 一 次 帯 電 。Ζ 電 位 は 二 次 停 電 。<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.2 電 気 二 重 層 の 性 質<br />
• 界 面 電 荷 とブラウン 運 動 する 対 イオンによっ<br />
て 電 気 二 重 層 が 形 成<br />
• 界 面 近 傍 で 濃 度 が 高 く、 遠 ざかるにしたがっ<br />
て 希 薄 となる。<br />
A. 界 面 電 位 ϕ 0 の 変 化<br />
• イオン( 界 面 活 性 剤 イオン、 高 分 子 イオン、<br />
高 原 子 価 イオン、 錯 イオンなど)が 濃 度 に<br />
応 じて 吸 着<br />
9.2 電 気 二 重 層 の 性 質<br />
• 拡 散 二 重 層 ( 電 気 二 重 層 )とゼータ 電 位<br />
• 粒 子 界 面 に 強 固 に 吸 着 した<br />
薄 い 対 イオンの 層 ( 固 定<br />
(Stern) 層 )ができる。 固 定 相<br />
を 超 えると 拡 散 二 重 層 があり、<br />
イオンはかなり 自 由 に 動 く。<br />
• 運 動 する 粒 子 の 表 面 (すべり<br />
面 )の 電 位 がゼータ 電 位 ζで<br />
ありスターン 電 位 ϕ δ より 少 し 外<br />
側 に 位 置 する。<br />
• ゼータ 電 位 ζは、 粘 度 η<br />
の 媒 質 中 を 電 場 Eの<br />
作 用 により 粒 子 が 移 動 すると<br />
きの 速 度 vにより 決 定 できる。<br />
すべり 面 (ずり 面 )<br />
0<br />
+<br />
ϕ<br />
ζ<br />
ϕ δ<br />
ϕ 0<br />
固 定 層<br />
(Stern 層 )<br />
拡 散 二 重 層<br />
+<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
(a) 正 電 荷 を 帯 び<br />
た 粒 子 と 陰 イオ<br />
ン 界 面 活 性 剤<br />
(b) 正 電 荷 を 帯 び<br />
た 粒 子 と 陽 イオ<br />
ン 界 面 活 性 剤<br />
9.2 電 気 二 重 層 の 性 質<br />
B. ϕ (プサイ)の 変 化<br />
ϕ = ϕ exp −κx<br />
0<br />
( )<br />
2<br />
⎛ 2000e<br />
N<br />
Acz<br />
κ =<br />
⎜<br />
⎝ ε<br />
rε<br />
0kT<br />
2<br />
⎞<br />
⎟<br />
⎠<br />
1<br />
2<br />
(9.1)<br />
κ: 電 気 二 重 層<br />
の 厚 さ<br />
e : 電 気 素 量 、 N<br />
−3<br />
: アボガドロ 数 、 c : 電 解 質 濃 度 ( mol dm )、 k : ボルツマン 定 数<br />
z : イオン 価 、 ε : 比 誘 電 率 、 ε : 真 空 の 誘 電 率 ( 8.854×<br />
10<br />
r<br />
A<br />
0<br />
-12<br />
-1 -3 4 2<br />
kg m S A )<br />
2
電 位 ϕ (プサイ)<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
B. 界 面 電 位 ϕの 変 化 ϕ = ϕ0<br />
exp( − κx)<br />
12<br />
10<br />
8<br />
6<br />
4<br />
2<br />
ϕ 0 =10<br />
κ =0.3<br />
界 面 電 位 の 変 化<br />
κ =0.1<br />
κ =0.03<br />
0<br />
0 5 10 15<br />
粒 子 表 面 からの 距 離 x<br />
2<br />
⎛ 2000e<br />
N<br />
Acz<br />
κ =<br />
⎜<br />
⎝ ε<br />
rε<br />
0kT<br />
2<br />
⎞<br />
⎟<br />
⎠<br />
1<br />
2<br />
電 位 ϕ (プサイ)<br />
12<br />
10<br />
8<br />
6<br />
4<br />
2<br />
ϕ 0 =10<br />
κ =0.3<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
B. 界 面 電 位 ϕの 変 化 ( 二 重 層 の 厚 さの 指 標 )<br />
0.37ϕ 0 =ϕ 0 /e<br />
界 面 電 位 の 変 化<br />
κ =0.1<br />
κ =0.03<br />
0<br />
0 5 10 15<br />
粒 子 表 面 からの 距 離 x<br />
〔 問 題 〕ある 電 位 を<br />
もつところまでの 距<br />
離 xを 二 重 層 の 厚 さ<br />
の 定 義 とする。 約<br />
0.37ϕ 0 の 電 位 までと<br />
すると、そのときの<br />
二 重 層 の 厚 さ ( 距 離<br />
x)はどれだけか<br />
式 (9.1) 参 照<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
B. 界 面 電 位 ϕの 変 化 ( 二 重 層 の 厚 さの 指 標 )<br />
定 数 を 入 れると、 次<br />
式 が 得 られる。<br />
1 0.3<br />
= (nm) (9.9)<br />
κ z c<br />
〔 問 題 〕 章 末 の 問 題 2<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.3 界 面 動 電 現 象<br />
• 界 面 を 作 る 粒 子 や 媒 質 液 が 電 位 差 により 動<br />
いたり、 動 くことのより 電 位 差 が 生 じる。<br />
(1) 電 気 泳 動 - 粒 子 が 一 定 速 度 で 移 動<br />
(2) 電 気 浸 透 - 粒 子 を 固 定 ・ 媒 質 液 が 移 動<br />
(3) 流 動 電 位 - 媒 質 液 の 移 動 で 電 位 差<br />
(4) 沈 降 電 位 - 粒 子 の 沈 降 ( 重 力 )で 電 位 差<br />
A. 電 気 二 重 層 のコンデンサモデル<br />
B. 流 動 電 位 の 式<br />
C. ゼータ 電 位 の 測 定<br />
界 面 科 学<br />
( 月 曜 日 2 限 [10:40-12:10] )<br />
江 前 敏 晴 ( 製 紙 科 学 )<br />
12 月 6 日 、13 日 、20 日 、<br />
1 月 7 日 、17 日<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.3 界 面 動 電 現 象<br />
A. 電 気 二 重 層 のコンデンサモデル<br />
• 半 径 aの 粒 子 の 表 面 から1/κの 距 離 に、 対 イ<br />
オンが 集 中 しているとみなす。<br />
• Stokesの 式 から、<br />
QE = 6πηav<br />
• 電 気 泳 動 移 動 度 ( 泳 動 度 )uは、<br />
v<br />
u =<br />
E<br />
(9.12)<br />
Q : 粒 子 の 電 荷 , E : 粒 子 位 置 電 場<br />
η : 媒 質 液 の 粘 度 , v : 泳 動 速 度<br />
u<br />
Q<br />
=<br />
6πηa<br />
3
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.3 界 面 動 電 現 象<br />
A. 電 気 二 重 層 のコンデンサモデル<br />
• ゼータ 電 位 ζは、 半 径 aの 球 面 と 距 離 1/κの 距<br />
離 にある 同 心 球 面 との 電 位 差 である。<br />
Q<br />
Q<br />
Q<br />
ζ = −<br />
=<br />
4πε<br />
rε<br />
a ⎛ 1 ⎞ 4πε<br />
rε<br />
a( 1+<br />
κa)<br />
(9.14)<br />
0<br />
0<br />
4πε<br />
rε<br />
0⎜a<br />
+ ⎟<br />
⎝ κ ⎠<br />
Q ε<br />
rε<br />
0ζ<br />
κa≪1とすると、 ζ = u = Hückelの 式 (9.16)<br />
4πε<br />
ε a 1.5η<br />
κa≫1とすると、<br />
r 0<br />
Q ε<br />
rε<br />
0ζ<br />
= u = Smoluchowskiの 式<br />
4πε<br />
ε a κ η<br />
ζ 2<br />
r 0<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.3 界 面 動 電 現 象<br />
A. 電 気 二 重 層 のコンデンサモデル<br />
κa≪1とκa≫1の 間 とすると、<br />
ε<br />
rε<br />
0ζ<br />
u = f ( κa)<br />
η<br />
f(κa):ヘンリー 関 数<br />
〔 問 題 〕 章 末 の 問 題 1<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.3 界 面 動 電 現 象<br />
B. 流 動 電 位 の 式<br />
C. ゼータ 電 位 の 測 定<br />
• 粒 子 が 安 定 に 分 散 しているなら 電 気 泳 動 法 、<br />
粒 子 が 大 きくて 沈 降 するときは 流 動 電 位 法 。<br />
• ミクロ 電 気 泳 動 法 -レーザー 光 源 のドップラー<br />
効 果 、 高 濃 度 用 に 超 音 波 を 利 用<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
〔 章 末 の 問 題 〕<br />
1. 顕 微 鏡 電 気 泳 動 の 実 験 で、0.1 MのKCl 水<br />
溶 液 中 に 分 散 した 半 径 0.25 μmの 球 状 粒<br />
子 が、25℃で、100 μm 距 離 を 通 過 するのに<br />
平 均 8.0 秒 を 要 した。このとき、 電 極 間 距 離<br />
は5.0 cm。 加 えた 電 圧 は25 Vであった。ζを<br />
mVで 求 めよ。ただし、KCl 水 溶 液 の 比 誘 電<br />
率 は78、 粘 度 は1.00×10 -3 Pa・sである。た<br />
だし、 真 空 の 誘 電 率 ε 0 =8.854×10 −12 である。<br />
式 (9.12)、(9.16)を 使 う。<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
〔 章 末 の 問 題 〕<br />
2. 25℃の0.015 M MgSO 4 水 溶 液 中 で 分 散 し<br />
た 粒 子 の 電 気 二 重 層 の 厚 さはいくらか。た<br />
だし、この 粒 子 に 対 しMg 2+ 、SO 4<br />
2-<br />
は 吸 着 し<br />
ないものとする。<br />
式 (9.9) を 使 う。<br />
1 0.3<br />
= (nm) (9.9)<br />
κ z c<br />
9 界 面 電 気 現 象<br />
9.4 界 面 電 荷 、 界 面 電 気 現 象 の 応 用<br />
A. 浮 遊 選 鉱<br />
• PbO、ZnO 粒 子 のpH 変 化 を 利 用 する。ゲー<br />
タイト(FeOOH)は 等 電 点 iepが6.5。iep 以<br />
下 では 陰 イオン 界 面 活 性 剤 を 吸 着 して 疎<br />
水 化 されるので 気 泡 で 浮 選 できる。iep 以<br />
上 なら 陽 イオン 界 面 活 性 剤 で 浮 選 。<br />
B. 電 気 泳 動 塗 装<br />
• ポリアクリル 酸 のような 高 分 子 電 解 質 を 溶<br />
解 させ 金 属 部 品 ( 正 極 )と 容 器 に 電 圧 をか<br />
けると 正 極 に 析 出 し、 加 熱 処 理 して 塗 装 。<br />
4
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• コロイド 安 定 性 ( 分 散 ・ 凝 集 )を 電 気 二 重 層 で 説 明<br />
10.1 粒 子 間 の 普 遍 的 引 力<br />
• 粒 子 を 構 成 する 分 子 ( 原 子 ) 間 の 引 力 の 総 和 が 粒<br />
子 間 引 力 のポテンシャルエネルギーV A<br />
VA<br />
6<br />
rij<br />
= ∑<br />
ij<br />
(10.1)<br />
β<br />
R ij : 分 子 ij 間 の 距 離<br />
β : 力 の 定 数<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
2 s = 2a+h<br />
V = A ⎧ 2 2 ⎛ s − 4 ⎞⎫<br />
− ⎨ + + ln<br />
⎜<br />
⎟⎬<br />
a: 粒 子 半 径<br />
A 2<br />
2<br />
6 ⎩s<br />
− 4 s ⎝ s<br />
2<br />
⎠⎭<br />
h: 粒 子 の 壁 間 距 離<br />
Aa (a<br />
V ≫hの 場 合 )<br />
A<br />
= − (10.3)<br />
12h<br />
A: 全 ハマカー 定 数<br />
A = ( A ) 2 A 11 : 粒 子 のハマカー 定 数<br />
11<br />
− A22<br />
A 22 : 媒 質 のハマカー 定 数<br />
• 粒 子 間 引 力 は 遠 距 離 力<br />
( 遠 くまで 作 用 が 及 ぶ)<br />
• 分 子 間 力 は 近 距 離 力 ( 近<br />
距 離 で 作 用 )<br />
a<br />
h<br />
a<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
10.2 電 気 二 重 層 間 の 相 互 作 用<br />
• 2 粒 子 の 接 近 で 対 イオンが 重 なり、 濃 度 が 増 加<br />
→ 浸 透 圧 πが 増 加 → 自 由 エネルギーGが 増 加<br />
→ 反 発 エネルギー V R が 増 加 する。<br />
2<br />
(a>>1/κのとき)<br />
V = 2πε<br />
ε aϕ<br />
ln 1+<br />
exp − κh<br />
V<br />
V<br />
R<br />
R<br />
R<br />
r<br />
0<br />
0<br />
{ ( )}<br />
2<br />
( − κh)<br />
= 2πε<br />
rε<br />
0<br />
aϕ0<br />
exp (10.6)<br />
4πε<br />
rε<br />
0aϕ0<br />
= exp<br />
2a<br />
+ h<br />
2<br />
( − κh)<br />
(a≪1/κのとき)<br />
exp(-κh) ≪1とすると、<br />
(10.9)<br />
a<br />
h<br />
a<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
10.2 電 気 二 重 層 間 の 相 互 作 用<br />
• 粒 子 間 距 離 hや 二 重 層 厚 さ<br />
1/κによって 式 が 変 わるが、<br />
基 本 は、<br />
2<br />
0<br />
( − )<br />
V R<br />
∝ ϕ exp κh<br />
• ϕは 近 似 的 にζで 置 き 換 えら<br />
れる。<br />
∝ϕ 2 ≒ζ 2<br />
(10.12)<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
10.3 電 荷 を 持 つ2 粒 子 間 の 全 相 互 作 用 ―DLVO 理 論<br />
A. 全 ポテンシャル 曲 線 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• 全 相 互 作 用 Vは、 V = V R<br />
+ V A<br />
(10.13) 図 10.2 参 照<br />
反<br />
発<br />
Born 反 発<br />
V max の 有<br />
無 が 問 題<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• 最 後 はΜ 1 の 極 小 で 凝 集<br />
(a) V max の 障 壁 で 遅 れ (b) 凝 集 が 促 進 される (c) Μ 2 で 弱 い 凝 集<br />
反<br />
発<br />
緩 慢 凝 集 急 速 凝 集 可 逆 凝 集<br />
接<br />
近<br />
極 小 値 が<br />
必 ずある<br />
接<br />
近<br />
5
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
B. Schulze-Hardyの 法 則 とDLVO 理 論<br />
• 疎 水 コロイドに 電 解 質 を 加 えると 急 速 凝 集 する。こ<br />
の 最 低 濃 度 を( 臨 界 ) 凝 集 濃 度 (cfc)という。<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• 凝 集 濃 度 はイオンの 価 数 のn 乗 に 反 比 例<br />
1 1<br />
1 価 :2 価 :3 価 1: :<br />
n n<br />
2 3<br />
= (Schulze-Hardyの 原 子 価 法 則 )<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
10.4 凝 集 速 度<br />
凝 集 した2 粒 子 を1 個 と 数<br />
え、 不 可 逆 凝 集 とする。<br />
急 速 凝 集 のときの 速<br />
度 定 数 をk' 0 とおくと、<br />
k′<br />
0<br />
= 8πDa<br />
kT<br />
D = (Einstein-Stokesの 式 )<br />
6πηa<br />
半 減 期 t 1/2 は、 (10.19)↓<br />
1 3η<br />
t1/<br />
2<br />
= =<br />
k′<br />
N 4kTN<br />
0<br />
0<br />
dN 2<br />
− = k′<br />
N (10.15)<br />
dt k': 凝 集 速 度 定 数<br />
1 1<br />
積 分<br />
− = k′<br />
t (10.15)'<br />
N N<br />
0<br />
N 0 : 初 期 粒 子 数<br />
(Smoluchowskiの<br />
拡 散 律 速 の 理 論 )<br />
0<br />
4kT<br />
k ′<br />
0<br />
=<br />
3η<br />
(10.18)<br />
〔 問 題 1〕 半 減 期 t 1/2 を、 式<br />
(10.15)‘でΝ=Ν 0 /2とおいて 求 めよ。<br />
〔 問 題 2〕 水 中 、25℃でΝ 0 =10 16<br />
とすると、 t 1/2 は 何 秒 か。<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
10.4 凝 集 速 度<br />
緩 慢 凝 集 の 速 度 を 一<br />
般 にk'とおき、 安 定 度 比<br />
k′<br />
W = 0<br />
Wを 定 義 する。 k’ が 小 k′<br />
さいとWは 大 きくなる。 (10.20)<br />
Wは、 計 算 で 求 めることもできる。<br />
W =<br />
1<br />
exp<br />
2κa<br />
1/(2κa)≒1なので、<br />
V max >15~20kTに<br />
なるとかなり 分 散 性<br />
がよい。<br />
( V kT )<br />
max<br />
急 速 凝 集 の 速 度<br />
定 数 k’ 0 は、 温 度<br />
と 媒 質 の 粘 度 で<br />
決 まる 一 定 値 。<br />
(Reerink-Overbeekによる)<br />
(10.21)<br />
〔 問 題 1〕 半 減 期 t 1/2 及 び 急 速 凝 集 の 半<br />
減 期 (t 1/2 ) 0 を 用 いて 式 (10.20)を 書 け。<br />
〔 問 題 2〕 及 び 急 速 凝 集 の 半 減 期 (t 1/2 ) 0<br />
が1 秒 のときV max =15kTとすると 半 減 期<br />
t 1/2 は 何 秒 か。<br />
10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集 10 微 粒 子 系 での 電 気 二 重 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
10.5 電 解 質 効 果<br />
• 分 散 ・ 凝 集 に 対 する 電 荷 質 の 効 果<br />
1) 無 関 係 塩<br />
吸 着 しない 無 機 イオンはSchulze-Hardyの 法 則 に 従 う。<br />
2) 界 面 活 性 剤 イオン<br />
吸 着 してζ 電 位 を 変 え、V R を 大 きく 変 える。<br />
3) 有 機 イオン、 錯 イオン<br />
吸 着 によりζ 電 位 を 変 える。 表 10.2のCH 3 COOKなど。<br />
4) 電 位 決 定 イオン<br />
強 い 吸 着 によりζを 著 しく 変 える。AgIゾルのAg + など。<br />
10.6ヘテロ 凝 集 、10.7 非 水 系 界 面 電 気 現 象 と 分 散 ・ 凝 集 は 省 略<br />
〔 章 末 の 問 題 〕<br />
1. a)25℃の 水 中 に1 vol%の 単 分 散 粒 子 ( 半<br />
径 0.3 μm)が 分 散 している。この 系 の 急 速<br />
凝 集 速 度 、その 半 減 期 を 求 めよ。<br />
式 (10.18)、(10.19)を 使 う。<br />
b) 上 記 と 同 じ 粒 子 系 で、V max =20kTのときの<br />
緩 慢 凝 集 半 減 期 を 求 めよ。ただし、<br />
κ=1.5×10 8 m -1 とする。 水 の 粘 度 (25℃)は、<br />
0.89×10 Pa・sである。<br />
式 (10.21)を 使 う。<br />
6
界 面 科 学<br />
( 月 曜 日 2 限 [10:40-12:10] )<br />
1 号 館 1 階 第 7 講 義 室<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• 電 気 的 効 果 ( 電 解 質 ) 以 外 に 非 電 気 的 効 果 ( 吸 着 )<br />
• 高 分 子 非 電 解 質 対 象 ( 界 面 活 性 剤 も 同 様 )<br />
11.1 高 分 子 吸 着 層 の 特 徴<br />
• 分 散 ・ 凝 集 では、 厚 さがあり、 不 可 逆 吸 着 が 対 象<br />
江 前 敏 晴 ( 製 紙 科 学 )<br />
12 月 6 日 、13 日 、20 日 、1 月 13 日<br />
1 月 7 日 、17 日<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• ループ 型 吸 着 〔トレイン、ループ、テール〕<br />
• 吸 着 層 厚 さをδとする。 粒 子 半 径 R( 動 的 光 散 乱 法 )<br />
と 裸 の 粒 子 の 半 径 aとの 差 (δ = R - a)<br />
10 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
11.2 吸 着 層 の 分 散 ・ 凝 集 作 用<br />
• 疎 な 吸 着 層 を 持 つ2 粒 子 が 接 近 して 橋 かけ 凝 集<br />
• 高 分 子 量 ほど、 拡 がっている( 良 溶 媒 )ほど 起 こる。<br />
δ<br />
a<br />
R<br />
高 分 子 濃 度 低<br />
吸 着 層 疎<br />
橋 かけ 凝 集<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
11.2 吸 着 層 の 分 散 ・ 凝 集 作 用<br />
• 密 な 吸 着 層 を 持 つ2 粒 子 は 反 発<br />
• 重 なり 部 分 のセグメント 濃 度 増 加 → 浸 透 圧 、 自 由<br />
エネルギー 増 加 → 反 発 作 用<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• 高 分 子 濃 度 と 凝 集 (c 0 以 下 )、 分 散 (c 0 以 上 ) 作 用<br />
• 高 分 子 量 で、<br />
良 溶 媒 ( 拡 がる)<br />
ほど 凝 集 ・ 分 散<br />
作 用 が 大 きい。<br />
• 濃 度 0で 安 定 度<br />
がW 0 、W>W 0 の<br />
とき 分 散 作 用 、<br />
W
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
〔 章 末 の 問 題 〕 p128<br />
2. 図 11.4の 曲 線 は、 安 定 度 比 (W)の 高 分 子 濃<br />
度 依 存 性 を 示 している。 同 じ 系 (ポリスチレン<br />
ラテックスに 対 するPEO)において、PEOの 分<br />
子 量 を90 万 とした 場 合 、この 曲 線 の 形 はどう<br />
変 わるだろうか。 c 0 、 c 1 の 変 化 を 考 慮 して、<br />
900 万 の 場 合 と 比 べて 定 性 的 に 描 いてみよ。<br />
<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
900 万 PEO<br />
90 万 PEO<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集 11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
• 吸 着 層 が 密 のときの<br />
高 分 子 の 作 用<br />
• 全 ポテンシャル<br />
エネルギーVは、<br />
V = V P<br />
+ V A<br />
(11.1)<br />
• 2δが 大 きいと、<br />
V min が 浅 くなって<br />
よく 分 散 → 高 分 子 量 、<br />
吸 着 量 大 、 良 溶 媒 で<br />
厚 くて 密 な 吸 着 層 形 成<br />
分<br />
散<br />
凝<br />
集<br />
吸<br />
転 換 点<br />
11.3 枯 渇 効 果<br />
• 非 吸 着 性 高 分 子 の 場 合<br />
• 拡 がり 平 均 直 径 Dと 粒 子<br />
壁 間 距 離 dが、D>dとなる<br />
と 粒 子 間 で 高 分 子 は 枯 渇<br />
• 浸 透 圧 で 押 され 枯 渇 凝 集<br />
• 吸 着 性 高 分 子 も 吸 着 が 飽<br />
和 すると 枯 渇 凝 集 する<br />
D<br />
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
11.4 吸 着 層 と 電 気 二 重 層 の 共 存 効 果<br />
• 電 気 二 重 層 の 影 響 、 橋 かけ 凝 集 との 共 存<br />
• 橋 かけ 凝 集 が 起 きる:δ >2/κ、δ >h<br />
• 起 きない:δ 2/κ となるとき 橋 かけ 凝 集 が 起 きる。<br />
25℃では、 式 (9.9)が 使 える。<br />
1<br />
=<br />
κ<br />
0.3<br />
(nm) (9.9)<br />
z c<br />
8
11 微 粒 子 系 での 吸 着 層 と 分 散 ・ 凝 集<br />
11.5 粒 子 間 力 、 表 面 間 力 の 直 接 測 定<br />
• 表 面 間 力 ( 大 粒 子 間 の 単 位 面 積<br />
当 たりの 力 ) 測 定 を、カンチレバー、<br />
ピエゾ 素 子 、<br />
レーザーで。<br />
• Fはexp(-h)<br />
に 比 例 (DLVO<br />
理 論 の 証 明 )<br />
dV<br />
F = −<br />
dh<br />
F ∝ exp( −κh)<br />
最 外 分 子 層 の 性 質 が 粒 子 間 力 を 決 める。<br />
界 面 科 学<br />
( 月 曜 日 2 限 [10:40-12:10] )<br />
1 号 館 1 階 第 7 講 義 室<br />
江 前 敏 晴 ( 製 紙 科 学 )<br />
12 月 6 日 、13 日 、20 日 、1 月 13 日<br />
1 月 7 日 、17 日<br />
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
12.1 微 粒 子 の 運 動<br />
• 重 力 による 下 降 運 動 とブラウン 運 動<br />
A. 沈 降<br />
f s<br />
f g<br />
fb<br />
– 密 度 ρ 0 の 媒 質 中 にある、 密 度 ρで 半 径 aの<br />
粒 子 に 作 用 する 力 は、 重 力 f g 、 浮 力 f b と 沈<br />
降 速 度 uに 比 例 する 抵 抗 力 f s である。<br />
f g = 4/3π a 3 ρg, f b = 4/3π a 3 ρ 0 g, f s = fu<br />
ここでfは 摩 擦 係 数 である。<br />
– 粒 子 の 沈 降 速 度 が 一 定 となると、 力 がつり<br />
あうので、<br />
4/3πa 3 ρg= 4/3πa 3 ρ 0 g+ fu<br />
(12.1)<br />
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
• 粘 度 ηの 媒 質 中 を 速 度 vで 沈 降 する 時 に 受 ける 抵<br />
抗 の 摩 擦 係 数 fは、<br />
f = 6πaη (12.3) 〔Stokesの 法 則 〕<br />
代 入 すると、<br />
4/3πa 3 (ρーρ 0 ) g= 6πaηu<br />
u =<br />
2<br />
9<br />
2<br />
a ( ρ - ρ ) g/ η<br />
0<br />
(12.4)<br />
〔Stokesの 式 〕<br />
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
B. ブラウン 運 動<br />
– 不 規 則 な 熱 運 動 であり、 時 間 tでx 軸 方 向 へ 動 く 距 離 の 平<br />
均 xは、Dを 粒 子 の 拡 散 係 数 とすると、<br />
1<br />
kT<br />
x = ( 2Dt<br />
(12.5)<br />
)2<br />
D = (12.6)<br />
f<br />
Einsteinのブラウン 運 動 の 式<br />
式 (12.3)より<br />
kT<br />
D = (12.6)’ k=R/N A を 用 いて、<br />
6πηa<br />
1<br />
Einstein-Stokesの 式 ⎛ RTt<br />
2<br />
3 ⎟ ⎞<br />
x =<br />
⎜<br />
(12.7)<br />
⎝ πηaN A ⎠<br />
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
〔 章 末 の 問 題 〕 p133<br />
1. 25℃の 水 中 で 半 径 1 nmの 球 状 粒 子 が1 秒 間<br />
に 動 く 平 均 距 離 を 求 めよ。<br />
式 (12.7)を 使 う。<br />
⎛ RTt<br />
3 ⎟ ⎞<br />
x =<br />
⎜<br />
⎝ πηaN A ⎠<br />
1<br />
2<br />
(12.7)<br />
9
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
C. ブラウン 運 動 と 沈 降<br />
– 沈 降 するか 拡 散 するかは 粒 子 径 に 依 存<br />
– 粒 子 が 沈 降 したときの 体 積 を 沈 降 体 積 V s という<br />
分 散 系 ではV s 大 凝 集 系 ではV s 小<br />
分 散 系 分 散 系<br />
凝 集 系<br />
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
12.2 光 学 的 性 質<br />
• コロイドに 横 から 光 を 当 てると 光 路 が 見 える 現 象 をティン<br />
ダル(Tyndall) 現 象 といい、その 光 をティンダル 光 という。<br />
• コロイドでは 色 は 物 質 固 有 ではない<br />
I 0 : 入 射 光 の 強 さ、I: 透 過 光 の 強 さ、l :セルの 厚 さ、ε : 吸<br />
収 係 数 、τ : 濁 度 、とすると、<br />
I<br />
0<br />
ln = ( ε +τ )l (12.8)<br />
I<br />
ε<br />
τ<br />
2<br />
= πNa<br />
QA<br />
(12.9)<br />
2<br />
= πNa<br />
QS<br />
(12.10)<br />
τ =0のときLambertの 式 、 ε =0のと<br />
きTyndallの 式 となる。<br />
N :セル 中 の 粒 子 数 、 a: 粒 子 半 径 、<br />
Q A : 吸 収 因 子 、 Q S : 散 乱 因 子<br />
12 微 粒 子 の 運 動 と 光 学 的 性 質<br />
• 粒 子 1 個 当 たりの 吸 収 係 数 および 濁 度 の 粒 子 半 径 ・ 波 長<br />
依 存 性<br />
•(a) 粒 径 小 では、<br />
吸 収 の 波 長 変 化<br />
大 きい→ 色 鮮 やか<br />
散 乱 小 → 透 明<br />
•(b) 粒 径 大 では、<br />
散 乱 が 大 きい→<br />
濁 ってくる。<br />
赤 色<br />
青 色<br />
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
• 液 状 コロイド=ゾル、ゾルが 流 動 性 を 失 ったもの=ゲル<br />
13.1 ゲルの 分 類<br />
A. 含 水 度 からの 分 類 ( 粒 子 間 の 力 の 強 弱 による 分 類 )<br />
1)コアゲル= 微 粒 子 ののり 状 の 沈 殿 状 態<br />
2)ゼリー(ゲル)=ゾル 全 体 が 多 量 の 液 を 含 む 塊 . 豆 腐 、プ<br />
リンのような 弾 性 を 示 す. 狭 義 のゲル.<br />
3)キセロゲル=ゼリーが 乾 燥 した 塊 .かさかさの 寒 天 など.<br />
B. 粒 子 の 種 類 からの 分 類 ( 高 分 子 、ミセル、 微 粒 子 )<br />
1) 高 分 子 ゲル= 筋 肉 、 豆 腐 など.ゲルの 多 くが 属 する.<br />
2)ミセル( 界 面 活 性 剤 ゲル)= 濃 いセッケン 水 が 作 るゲル.<br />
3) 無 機 ゲル=シリカゾル 中 のシリカが 橋 かけ. 弾 性 ゲル.<br />
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
13.2 ゾル-ゲル 変 化 ーゲルの 生 成<br />
A. ずり 力 によるゾル-ゲル 変 化<br />
• 疎 液 媒 質 中 の 濃 厚 分 散 系 は 粒 子 が 凝 集 し 網 目 形 成<br />
• ゲル 化 の 遅 い 系 を 振 とう→ 速 くゲル 化 (レオペクシー)<br />
• ゲルを 激 しく 振 とう<br />
→ 網 目 構 造 破 壊<br />
→ゾル<br />
(チキソトロピー<br />
or ずり 流 動 化 )<br />
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
13.2 ゾル-ゲル 変 化 ーゲルの 生 成<br />
A. ずり 力 によるゾル-ゲル 変 化<br />
• 親 液 媒 質 中 の 濃 厚 分 散 系<br />
にずり 応 力 → 硬 くなる<br />
(ダイラタンシーor<br />
ずり 粘 調 化 )<br />
• ずり 方 向 xの 相 対 速 度 :τ<br />
• 粘 度 :η<br />
τ =<br />
dx<br />
dt<br />
f<br />
η =<br />
τ<br />
低 粘 度 低 粘 度<br />
高 粘 度 高 粘 度<br />
10
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
13.2 ゾル-ゲル 変 化 ーゲルの 生 成<br />
B. 温 度 によるゾル-ゲル 変 化<br />
1)タンパク 質 変 性 =ゆで 卵 .アルブミン 分 子 の 球 状 構 造 が<br />
ほぐれて 糸 状 に 変 わり、 絡 み 合 ってゲル 化 .<br />
2) 糸 状 高 分 子 の 水 素 結 合 =ゼラチン、 寒 天 . 低 温 でゲル、<br />
高 温 でゾルの 可 逆 性 . 分 子 運 動 ⇔ 水 素 結 合 形 成<br />
C. 添 加 剤 によるゾル-ゲル 変 化<br />
• 水 ガラス(ケイ 酸 ナトリウムNa 2 SiO 3 水 溶 液 )+ 酸<br />
→シリカゾル→ 酸 性 で 放 置 →SiOの 橋 かけ 構 造<br />
→ 水 を 含 む 弾 性 ゲル→ 水 洗 乾 燥 →シリカゲル<br />
• 大 豆 タンパクゾル+MgCl 2 → 豆 腐<br />
• ポリスチレン( 線 状 )+ビニルベンゼン→ 共 有 結 合 橋 かけ<br />
→ 溶 媒 膨 潤 → 弾 性 ゲル<br />
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
13.3 ゲルの 構 造 と 物 性<br />
A. ゲルの 構 造<br />
• 網 目 構 造 の 強 さ← 粒 子 形 状 、 粒 子 間 力 、 溶 媒 親 和 性<br />
1) 不 安 定 な 構 造 = 棒 状 、 板 状 粒 子 . 粒 子 間 力 で 作 るゲル.<br />
チキソトロピー. 無 限 膨 潤 . 水 酸 化 アルミニウムなど.<br />
2) 準 安 定 な 構 造 = 粒 子 ( 高 分 子 が 多 い) 間 で 水 素 結 合 .<br />
ゲルは 弾 性 .タンパク 質 、ゼラチンなど.<br />
3) 安 定 な 構 造 = 高 分 子 が 共 有 結 合 . 有 限 膨 潤 . 濃 厚 シリ<br />
カゲル、 橋 かけポリスチレンゲル<br />
• 界 面 活 性 剤 のミセルゲルでは、 棒 状 ミセル、 層 状 ミセルの<br />
液 晶 が、ある 温 度 以 下 でミセルの 運 動 が 低 下 して 絡 み 合<br />
いゲルとなる. 温 度 に 対 し 可 逆 的 .<br />
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
13.3 ゲルの 構 造 と 物 性<br />
A. ゲルの 構 造<br />
• 棒 状 ミセルが 発<br />
達 して、ひも 状<br />
になり、 絡 み 合 っ<br />
てゲルとなる.<br />
13 ゲル 及 びゾル-ゲル 変 化<br />
13.3 ゲルの 構 造 と 物 性<br />
B. 膨 潤 ―キセロゲルからゼリーへ<br />
• キセロゲルが 膨 潤 しゼリー 化 . 有 限 膨 潤 と 無 限 膨 潤 .<br />
13.4 ゲルの 構 造 と 物 性<br />
A. ゾルーゲル 法 によるセラミックスの 製 造<br />
B. 高 分 子 ゲルの 開 発 と 応 用<br />
• 親 水 性 の 橋 かけ3 次 元 高 分 子 は、ヒドロゲルと 呼 ばれる。<br />
界 面 科 学<br />
( 月 曜 日 2 限 [10:40-12:10] )<br />
1 号 館 1 階 第 7 講 義 室<br />
江 前 敏 晴 ( 製 紙 科 学 )<br />
12 月 6 日 、13 日 、20 日 、1 月 13 日<br />
1 月 7 日 、17 日<br />
14 エマルションと 泡<br />
• エマルション= 微 小 液 滴 粒 子 が 液 体 媒 質 中 に 分 散<br />
• 気 泡 分 散 系 ( 泡 )= 微 小 気 泡 粒 子 が 液 体 中 に 分 散<br />
• エマルションは 不 安 定 ⇔マイクロエマルションは 安 定<br />
14.1 エマルションの 生 成<br />
• Water/Oil/ 乳 化 剤 ( 界 面 活 性 剤 )<br />
• W/O(Water in Oil) 型 とO/W(Oil in Water) 型<br />
A. HLB 概 念 とHLB 値<br />
• 乳 化 剤 の 役 割 は 油 / 水 の 界 面 張 力 を 低 下 させること.<br />
• 油 の 種 類 によって 親 和 性 の 高 い 乳 化 剤 を 選 択<br />
• Hydrophil-Lipophil Balance( 親 水 ・ 親 油 バランス、HLB)<br />
11
14 エマルションと 泡<br />
14.1 エマルションの 生 成<br />
A. HLB 概 念 とHLB 値 (0~20)<br />
• ( 例 )グリフィン 法 :HLB 値 =20×( 親 水 部 の 式 量 の 総 和 / 分 子 量 )<br />
HLB 値<br />
1-3<br />
3-6<br />
6-8<br />
8-10<br />
10-13<br />
13-16<br />
16-19<br />
水 に 透 明 に 溶 解 し、 可 溶 化 剤<br />
性 質 と 用 途<br />
水 にほとんど 分 散 せず、 消 泡 剤 など<br />
一 部 が 水 に 分 散 し、W/O 型 エマルションの 乳 化 剤<br />
水 に 分 散 、 W/O 型 エマルションの 乳 化 剤 、 湿 潤 剤<br />
水 に 安 定 に 分 散 、 乳 濁 、 湿 潤 剤 やO/W 型 エマルションの 乳 化 剤<br />
水 に 半 透 明 に 溶 解 し、 O/W 型 エマルションの 乳 化 剤<br />
水 に 透 明 に 溶 解 し、 O/W 型 エマルションの 乳 化 剤 、 洗 浄 剤<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.1 エマルションの 生 成<br />
B. 乳 化 方 式<br />
• 機 械 的 方 法<br />
– 衝 撃 力 又 はずり 力 、 高 圧 ホモジナイザー 0.5 μm 以 下<br />
• 物 理 化 学 的 方 法 ([ 例 ] 転 相 温 度 法 )<br />
– 界 面 活 性 剤 の 曇 り 点 以 下 で 乳 化 (W/O)→ 冷 却<br />
→O/Wエマルションに 変 化 ( 転 相 )して 安 定<br />
– 転 相 =O/W 型 とW/O 型 との 間 を 移 り 変 わる 現 象<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.2 エマルションの 不 安 定 化<br />
A. クリーミング<br />
• O/Wエマルションでは、 密 度 が 油 < 水 であり 油 滴 が 浮 上<br />
• 油 滴 は 水 膜 で 隔 てられているので、かき 混 ぜれば 再 分 散<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.2 エマルションの 不 安 定 化<br />
B. 凝 集<br />
• 固 体 分 散 系 と 同 様<br />
• 凝 集 防 止 → 電 気 二 重 層 or 吸 着 層 間 の 反 発 を 利<br />
用 =ゼータ 電 位 大 ・ 連 続 相 水 溶 液 の 塩 濃 度 小<br />
C. 合 一<br />
• 液 滴 間 の 吸 着 膜 が 離 脱 し、 液 滴 が 付 着 合 一<br />
→ 油 相 と 水 相 に 分 離<br />
(クリーミング、 凝 集 、 合 一 の 関 係 )<br />
( 北 原 文 雄 , 古 沢 邦 夫 , 分 散 ・ 乳 化 系 の 化 学 )<br />
14.2 エマルション<br />
の 不 安 定 化<br />
C. 合 一<br />
• 液 滴 間 の 吸 着<br />
膜 が 離 脱 し、 液<br />
滴 が 付 着 合 一<br />
→ 油 相 と 水 相 に<br />
分 離<br />
14 エマルションと 泡<br />
合 一<br />
ブラウン 運 動 、かきま<br />
ぜなどによる 接 近<br />
凝 集<br />
吸 着 分 子 の 脱 離 や 移 動<br />
による 粒 子 の 直 接 付 着<br />
油 - 水 分 離<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.2 エマルションの 不 安 定 化<br />
凝 集 と 合 一 の 防 止<br />
1) 吸 着 膜 の 溶 媒 和<br />
• 水 和 の 場 合 ( 非 イオン 性 界 面 活 性 剤 の 長 い 親 水 基 への<br />
水 和 など) 特 に 有 効 → O/Wの 安 定 化<br />
2) 吸 着 膜 の 内 分 子 の 吸 着 安 定 化<br />
• 凝 集 液 滴 にずり 力 ・ 圧 縮 力 → 乳 化 剤 分 子 の 脱 離 防 止 →<br />
適 切 なHLB 値<br />
3) 吸 着 膜 への 粘 弾 性 付 与<br />
• 高 分 子 吸 着 膜 は 粘 弾 性 をもつ→HLB 値 の 適 切 な 高 分 子<br />
の 選 択 の 困 難 → 界 面 活 性 剤 との 併 用<br />
• 卵 黄 のアルブミンはマヨネーズの 乳 化 剤<br />
図 14.2 合 一 に 至 るプロセスの 模 式 図<br />
12
14 エマルションと 泡<br />
14.2 エマルションの 不 安 定 化<br />
凝 集 と 合 一 の 防 止<br />
4) 吸 着 膜 or 液 滴 周 辺 に 液 晶 構 造 、ゲル 構 造 形 成<br />
• 界 面 活 性 剤 短 分 子 層 では 合 一 の 防 止 困 難 → 液<br />
晶 構 造 、ゲル 構 造 を 作 ると 防 止 効 果<br />
D. オストワルド 熟 成<br />
• 過 飽 和 溶 液 から 析 出 した 微 粒 子 → 小 粒 子 消 滅 /<br />
大 粒 子 成 長 (オストワルド 熟 成 ) → 油 がわずかでも<br />
水 に 溶 けるとエマルションでも 発 生<br />
• 溶 解 度 小 、 水 相 の 粘 度 大 → 起 きにくい<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.3 解 乳 化<br />
• 解 乳 化 (demulsification)=エマルションを 破 壊 すること<br />
A. 乳 化 剤 の 機 能 低 下<br />
1) 温 度 変 化<br />
• 非 イオン 性 界 面 活 性 剤 の 溶 解 性 低 下<br />
• O/Wエマルションは 転 相 温 度 付 近 で 不 安 定<br />
• 凍 結<br />
2) 塩 添 加<br />
• O/Wエマルションは 一 般 に 電 荷 を 持 つので 凝 集 ・ 合 一<br />
3)HLB 変 化<br />
• HLBの 大 きく 異 なる 界 面 活 性 剤 を 添 加 (HLBの 加 成 性 )<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.3 解 乳 化<br />
B. クリーミング 促 進<br />
1) 遠 心 力 付 与<br />
• 液 滴 と 連 続 層 の 分 離 が 促 進<br />
2) 電 圧 印 加<br />
• 直 流 電 圧 では 液 滴 は 電 気 泳 動 して 電 極 に 付 着<br />
3) 合 一 促 進<br />
• HLBの 大 きく 異 なる 界 面 活 性 剤 を 添 加 (HLBの 加<br />
成 性 )<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.4 多 層 エマルション<br />
• 液 滴 の 中 にさらに 液 滴 (W/O/W、O/W/O)<br />
• 2 段 乳 化 法<br />
– HLBの 低 い( 約 4) 非 イオン 界 面 活 性 剤 で 一 次 乳 化 、 高 い( 約 16)<br />
ものでさらに 二 次 乳 化 →W/O/W<br />
– DDS(Drug Delivery System)の1つ<br />
14.5 泡 の 生 成 と 安 定 性<br />
• 単 一 気 泡 と 泡 沫 系 ( 単 に 泡 ともいう)<br />
• 起 泡 剤 ( 界 面 活 性 剤 )を 使 う.<br />
• 泡 の 安 定 性<br />
– 気 泡 間 の 液 体 は 重 力 によって 流 下 し、 気 泡 が 接 近 → 膜 の 薄 化<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.5 泡 の 生 成 と 安 定 性<br />
• 泡 の 安 定 性<br />
– 膜 の 薄 化 (a)→(b)、 平 面 AB、 A’B’と 曲 面 BC、B’C’<br />
– 3つの 作 用<br />
(1) 重 力 による 液 の 流 下 、(2) AB、 A’B’ 間 の 電 気 二<br />
十 層 間 の 反 発 、(3) プラトー 領 域 Pに 作 用 する 毛 管 圧<br />
→ BC、B’C’は 曲 面 であり、 AB、 A’B’の 平 面 部 分 に<br />
比 べ 減 圧 →P 部 分 へと 流 れる.<br />
– 薄 化 の 促 進 ←(1)+(3)>(2)<br />
– シャボン 玉 の 膜 厚<br />
14 エマルションと 泡<br />
14.5 泡 の 生 成 と 安 定 性<br />
(3) プラトー 領 域 Pに 作 用 する 毛 管 圧<br />
→ BC、B’C’は 曲 面 であり、 AB、<br />
A’B’の 平 面 部 分 に 比 べ 減 圧 →P 部 分<br />
へと 流 れる.<br />
L<br />
表 面 近 傍 の 全 圧 をP G , P L とする<br />
G<br />
r<br />
dr<br />
ΔP= P G - P L<br />
r<br />
P G<br />
P L<br />
ΔP<br />
P G > P L<br />
ΔP=2γ/r (Young-Laplaceの 式 )<br />
13
14 エマルションと 泡<br />
14.6 消 泡 ― 抑 泡 と 破 泡<br />
• 界 面 活 性 剤 水 溶 液 にシリコーン 油 (ケイ 素 樹 脂 )を<br />
入 れると 振 り 混 ぜても 泡 立 たない→ 抑 泡 ( 吸 着 速<br />
度 遅 い)<br />
• 界 面 活 性 剤 水 溶 液 にヘキサノールをたらすと 泡 が<br />
消 える→ 破 泡 ( 吸 着 力 が 強 い)<br />
14 エマルションと 泡<br />
〔 章 末 の 問 題 〕 p149<br />
1. 水 と 油 を 体 積 比 1:0.2の 割 合 で 混 合 し、 油<br />
滴 半 径 1 μmのO/Wエマルションを 作 りた<br />
い。 水 と 油 の 全 量 を100cm 3 とするとき、 乳<br />
化 剤 分 子 が 油 ・ 水 界 面 に 密 な 単 分 子 膜 吸<br />
着 層 を 作 るために 最 低 必 要 な 界 面 活 性 剤<br />
は 何 molか。ただし、 界 面 活 性 剤 の 油 ・ 水<br />
界 面 の 占 有 面 積 は0.20 nm 2 とする。<br />
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