テキスト - 江前敏晴のホームページ

COOHR CH CH CH R’C 16 H 33 CH C OCH 2 CHH C C OO C C OC 16 H 33OAbietic acid Alkylketene dimer (AKD) Alkylkenyl succinicanhydride (ASA)+[ C (CH 2 ) 4 C NH (CH 2 ) 2 N (CH 2 ) 2 NH ] nOOところで、 図 書 の 保 存 の 問 題 がクローズアップされているが、これは 従 来 のサイズ 剤 がロジン-アラム 系 であったため、 長 時 間 の 図 書 の 保 存 中 に 硫 酸 アルミニウムやpH 制 御 を 目 的 に 添 加 される 硫 酸 の 酸 性 によりセルロース、ヘミセルロースが 加 水 分 解 して 高 分 子 材 料 としての 強 度 が 低下 していく( 劣 化 )ためと 考 えられている。 一 方 、 中 性 サイズ 剤 と 呼 ばれるAKD-カチオンポリマー 系 ではこの 劣 化 作 用 は 小 さい。 本 実 験 では、AKD-カチオン 性 高 分 子 の 中 性 手 抄 きシートを 調 製 する。Al 2 (SO 4 ) 3 +H 2 O→Al(OH) 3 ( 解 離 度 が 低 い)+H 2 SO 4 ( 解 離 度 が 高 い)1-4 抄 紙 、プレス、 乾 燥標 準 手 抄 き 装 置 を 用 いて 面 積 200 cm 2 、 坪 量 (1 m 2 当 りの 絶 乾 重 量 を g で 表 わしたもの) 約 60g/m 2( 本 実 験 の 場 合 は 填 料 の 重 量 を 含 まない)の 手 抄 きシートを 調 製 する。プレスによる 脱 水 はコーチロール、 油 圧 プレスを 用 い、 吸 水 紙 に 水 分 を 吸 収 させる。 乾 燥 はドラム 式 乾 燥 機 を 用 いる。2. 実 験 (シート 調 製 のフローシート 参 照 )試 料 : 市 販 広 葉 樹 漂 白 クラフトパルプ、 及 び 針 葉 樹 漂 白 クラフトパルプ試 薬 : AKD 系 サイズ 剤 -ハーサイズ-720( 固 形 分 21.1%)助 剤 カチオンポリマー( PAE 樹 脂 )-ハーマイドPY-525( 固 形 分 25%)(PAE=ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン 樹 脂 )装 置 : 標 準 離 解 機 、PFIミル、ろ 水 度 測 定 器 、 標 準 手 抄 き 装 置 、 油 圧 プレス 機器 具 :ポリエチレン 製 メスシリンダー (2L,500mL,100mL)、ふるい( 目 開 き90μm)、ポリエチレン 製 バケツ(1L,2L)、ポリエチレン 製 注 射 器 (10mL)、はかり、 厚 手 ろ紙 、 薄 手 ろ 紙OHPolyamineamide-epichlorohydrin resin (PAE)2

試 薬 調 製 操 作 :(1) 1%AKDエマルジョンは、AKDエマルション 原 液 を 約 1g 秤 り 取 り、 約 21 倍 に 希 釈 して調 製 。1%カチオン 性 高 分 子 溶 液 はPAE 原 液 約 1g 秤 り 取 り、25 倍 に 希 釈 して 調 製 。離 解 操 作 :(1) ( 風 乾 質 量 で)27g( 絶 乾 24g 相 当 )のパルプに 水 を 加 え 少 なくとも3 時 間 は 浸 漬 しておく。(できれば 前 日 から 準 備 ) ( 通 常 10% 程 度 吸 湿 しているため27 gを 秤 りとる。また 叩 解 や 網 を 使 った 脱 水 などの 作 業 中 に2~3% 程 度 は 回 収 しきれないと 考 え、 多 めによってよい。) 未 叩 解 分 は19.8g( 絶 乾 24g 相 当 )、 針 葉 樹 パルプ23.6g( 絶 乾 21g 相 当 )も 別 に、 同 様 に 準 備 する。(2) この 水 膨 潤 パルプに 更 に 水 を 加 え、 全 量 で 1.6Lとする。(3) 広 葉 樹 パルプは5 分 間 離 解 し、 針 葉 樹 パルプは10 分 間 離 解 する。叩 解 操 作 :(1) 離 解 パルプをふるいにあけ、 手 で 水 を 絞 って 全 量 を 240 gにする(パルプ 濃 度 10%)。(2) 上 記 のパルプをミルハウスに 入 れ、その 内 壁 に 手 でパルプを 万 遍 無 く 押 し 付 ける。(3) ロールをミルハウス 内 に 降 ろし、カバーを 取 り 付 ける。(4) まずミルハウスを 回 転 させ、 次 にロールを 回 転 させる。ストップハンドルを 倒 し、ロールを 加 圧 状 態 にすると 同 時 に カウンターのリセットボタンを 押 して 回 転 数 をカウントさせる。 回 転 数 は 実 際 の1/10の 値 が 表 示 される。(5) 回 転 数 は5000(カウントでは500)とする。(6) カウント 数 が 予 定 数 に 達 したら、ストップハンドルを 戻 し て 無 加 圧 にし、スイッチを切 る。注 意 !PFIミル 使 用 中 はロールとミルハウスが 大 きな 慣 性 で 回 転 しており、 非 常 に 危 険 なので、 使 用 中 は 近 寄 らないようにすること。(7) カバーをはずし、ロールを 上 げ、ミルハウスからパルプを 取 り 出 し 標 準 離 解 機 の 容 器に 入 れる。その 約 30gはろ 水 度 測 定 のために 取 り 出 し、プラスチック 製 秤 量 皿 に 入 れておく。さらに 繊 維 長 測 定 用 に 約 30g 程 度 を 取 り 分 けて 冷 蔵 庫 で 保 管 する。(8) ロールとミルハウス 内 に 付 着 したパルプを 洗 い 流 し、 洗 浄 しておく。(9) 叩 解 した 残 りのパルプは、 水 を 加 えて1.6 Lとし、 標 準 離 解 機 で 離 解 を 行 って 凝 集 物をなくす。添 加 剤 の 添 加 操 作 :(1) 離 解 した 叩 解 パルプを 大 きいポリバケツに 入 れ、 水 を 加 えて 14 Lとする。(2) よく 撹 はんしてから、そのうち3.2 L( 絶 乾 パルプ4.8 gを 含 む)を 小 さいポリバケツに 分 け 取 る。サイズ 剤 無 添 加 シートの 調 製 にはこのパルプ 懸 濁 液 を 用 いる。(3) 叩 解 無 添 加 シート3 枚 (A 系 列 )を 後 述 の 抄 紙 操 作 により 調 製 する。(4) 大 きいポリバケツから 別 に3.2 L( 絶 乾 パルプ4.8 gを 含 む)を 小 さいポリバケツに 分け 取 る。パルプ 懸 濁 液 を 撹 はんしながら1%AKDエマルジョン1.0mLをマイクロピペットで測 り 取 って 加 える。 約 1 分 後 、1%カチオン 性 高 分 子 (PAE) 溶 液 0.5mLを 同 様 にして 添 加 し、シート3 枚 (B 系 列 )を 調 製 する。(5) 更 に 未 叩 解 サイズ 剤 添 加 シート(C 系 列 )、 針 葉 樹 パルプ 叩 解 無 添 加 シート(AS 系 列 )も 同 様 にそれぞれ3 枚 ずつ 調 製 する。抄 紙 操 作 : 抄 紙 機 を 用 いて 行 う。(1) 別 紙 フローチャートを 参 照 しながら、まず 広 葉 樹 パルプを 用 いて 叩 解 無 添 加 シート(A系 列 )、 叩 解 サイズ 剤 添 加 シート(B 系 列 )、 未 叩 解 無 添 加 シート(C 系 列 )をそれぞれ3 枚 ずつ 調 製 する。 次 に、 針 葉 樹 パルプの 叩 解 無 添 加 シート(AS 系 列 )を3 枚 調 製 する。(2) 絶 乾 重 量 4.8gのパルプを 含 む 懸 濁 液 (それぞれ3.2Lで、 濃 度 0.15%)から、 取 っ 手 付ま ん べ ん3

き1L 容 ポリ 容 器 でよく 撹 はんし、パルプを 十 分 に 分 散 させる。 次 の 手 順 で、 叩 解 無 添加 シート3 枚 を 調 製 する。さらに、サイズ 剤 添 加 シート3 枚 、 未 叩 解 無 添 加 シート3 枚 、針 葉 樹 パルプ 未 叩 解 サイズ 剤 添 加 シート3 枚 も 順 次 調 製 する。(3) 坪 量 約 60g/m 2 となるように 手 抄 きシートを 作 るが、1 枚 の 網 の 面 積 が200cm 2 なので、1枚 当 りの 絶 乾 パルプ 重 量 は1.2gである。パルプ 懸 濁 液 の 濃 度 が0.15%であるから1 枚 当り800mLの 懸 濁 液 をとればよい。(4) 手 抄 きシート 装 置 の 排 水 コックを 閉 じ、 注 水 コックを 開 ける。 網 面 を 洗 ってからシリンダーを 立 てて 留 める。(6) シリンダー 内 に 高 さ 数 cmの 水 を 網 から 湧 き 出 させ、メスシリンダーのパルプ 懸 濁 液 (800mL)をシリンダー 内 に 注 ぎいれる。(7) シリンダー 内 部 の 刻 線 ( 網 から35cm)まで 水 が 満 ちたら 注 水 を 止 める。(8) 多 孔 板 を 上 下 に6 往 復 (2 秒 / 往 復 )し、 最 後 に 引 き 上 げる 時 はゆっくり 上 げる。(9) 10 秒 待 って 排 水 コックを 開 けて 排 水 し、 排 水 音 が 消 えたらシリンダーを 倒 す。(10) 手 抄 きシートとほぼ 同 じ 大 きさのろ 紙 を、 網 の 上 のシートにきちんと 重 ねる。(11) その 上 に 厚 い 吸 水 ろ 紙 2 枚 を 重 ね、その 上 にクーチ 板 ( 金 属 板 )をのせる。(12) 金 属 製 の 重 いクーチロールを 静 かにクーチ 板 上 に 置 き、 前 後 に5 往 復 する。(13) 吸 水 ろ 紙 を 除 き、 薄 いろ 紙 のついたままのシートを 金 網 から 注 意 深 くはがし、 乾 燥プレート( 金 属 板 )にシートの 金 網 面 を 張 り 付 ける。(14) 薄 いろ 紙 上 に 吸 水 ろ 紙 2 枚 を 敷 く。(15) 以 下 (1)に 戻 り、 繰 り 返 しシートを 作 り、 乾 燥 プレート、シート、 薄 いろ 紙 、 吸 水 ろ紙 2 枚 の 組 み 合 わせで、 積 み 重 ねる。 全 部 で12 枚 のシートができる。(16) 上 記 の 積 み 重 ねをプレス 器 に 置 く。 手 回 しハンドルを 回 して 加 圧 が 始 まるところまでプレートを 押 し 付 ける。ゲ-ジの 針 が 動 き 始 めたら、 油 圧 シリンダーのハンドルで 加 圧 を 続 け、410 kPa(4.18 kg/cm 2 )の 圧 で5 分 間 保 つ。 油 圧 を0まで 下 げてから 手回 しハンドルを 回 して 加 圧 装 置 を 上 げておく( 自 動 装 置 の 場 合 は 圧 力 、 時 間 をセットしてから 開 始 するだけでよい)。(17) シート 類 の 重 ね 合 わせた 物 を 取 り 出 す。(18) 薄 いろ 紙 が 手 すきシートに 付 いた 状 態 で 乾 燥 プレートから2 枚 いっしょにはがす。(19) A-1, A-2, A-3, B-1, …, AS-3まで、シートの 端 に 試 料 名 を 鉛 筆 で 小 さく 書 く。3. 考 察★ 離 解 と 叩 解 の 違 い★AKD 及 びカチオン 性 高 分 子 の 添 加 量 ( 乾 燥 パルプ 質 量 に 対 し 何 %か)と 化 学 構 造★AKD 及 びカチオン 性 高 分 子 の 役 割4

紙 料 調 成 ・ 抄 紙 フ ロ ー シ ー ト広 葉 樹 パルプの 秤 量 ( 絶 乾 24 g[ 風 乾 27 g] 採 取 )広 葉 樹 パルプの 秤 量 ( 絶 乾 18 g[ 風 乾 19.8 g] 採 取 )離 解 (1.6L にして5 分 間 )ふるいにあけ、 全 量 240 g に 搾 る。この 時 のパルプ 濃 度 は10%離 解 (1.6L にして 5 分 間 )ろ 水 度 測 定 用 270 mL 分 取10 L に 希 釈 ( 絶 乾 15g)叩 解 (PFI ミルで5000 回 、カウンターで 500)離 解 (1.6 Lで1 分 間 )14L に 希 釈 ( 絶 乾 21g)ろ 水 度 測 定 用 30 g 分 取離 解 (1L 弱 で 1 分 間 )( 水 を 加 1L)ろ 水 度 測 定針 葉 樹 パルプの 秤 量 ( 絶乾 21 g[ 風 乾 23.6g] 採 取 )離 解ふるい3.2 L 分 取 ( 同 4.8g) 3.2 L 分 取 残り各 々3.2 Lのうはち、0.8 L×3を使 い3 枚 調 製最後に捨中 性 抄 紙 系てAKD1.0mL 添 加る1 分 撹 拌3.2 L 分 取中 性 抄 紙 系AKD1.0mL 添 加1 分 撹 拌叩 解離 解14 L に 希 釈3.2 L 分 取PAE 0.5mL 添 加1 分 撹 拌PAE 0.5mL 添 加1 分 撹 拌800 mL 採 取 800 mL 採 取800 mL 採 取800 mL 採 取抄 紙抄 紙抄 紙抄 紙3 回 繰 り 返 し 3 回 繰 り 返 し3 回 繰 り 返 し3 回 繰 り 返 し叩 解 無 添 加3 枚 (A 系 列 )叩 解 サイズ 剤添 加 3 枚 (B 系 列 )未 叩 解 サイズ 剤添 加 3 枚 (C 系 列 )叩 解 無 添 加3 枚 (AS 系 列 )プレス(0.34 MPa = 3.5 kg/cm 2 で5 分 間 )リングに 挟 んで 緊 張 乾 燥第 2 日 に 物 性 試 験 を 行 う*AKD、PAE は 各 1% 溶 液 で 添 加 する。 手 抄 きシート1 枚 は、 絶 乾 パルプ 重 量 で 1.2 g、 面 積 は200 cm 2 なので 坪 量 は 60 g/m 2 が 目 安 となる。5