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書き込みはベルナルディーノによるもの。端と宣告されることはなかったが、死後その著書は焚書を命じられ、読むことも所持することも禁止された。彼の衣鉢を継ぐ聖霊派の残党は 14 世紀初頭、異端として厳しく弾圧さ 100
れた。オリーヴィの名は、ベルナルディーノが活躍した 15 世紀前半でもなおタブーであり、彼の書を公然と引用することははばかられたのである。他方しかし、オリーヴィに対する異端嫌疑はおもに清貧論(「貧シキ使用」usus pauper)に関わるものであって、彼の経済論がとくに問題とされることはなかった 55。しかも彼の『契約論』は、序章と第1部でもみたとおり、経済分析や商業倫理について数多くの卓見を含んでいる。説教の素材を探し求めるベルナルディーノにとって、貴重な教えにとむ本書を、著者の名の「危険」性ゆえに無視するのは惜しいと思われたのであろう。その結果、名を秘した引用という戦略をとるにいたったと推察されるのである。こうした戦略も一つの「検閲」ということができる。ベルナルディーノは彼の範例説教を読む他の説教師に対し、オリーヴィの経済論のうち説教に有益な部分のみを取り出して教え、それを生み出した異端思想家の痕跡は極力消し去ろうとしている。引用という書物から書物へ、文字から文字への継受の過程におけるこうした検閲は、「声の検閲」と対比して「文字の検閲」と呼ぶことができよう。「文字の検閲」はラテン語を読み書きしスコラの議論を解する人々、すなわち一般の俗人ではなく教会人、とりわけ説教師を対象とした検閲である。声と文字による検閲の機能を説教内容の面から整理してみると、次のようになる(図 5-2 参照)。図 5-2 声の検閲、文字の検閲 A 説教可 B 条件付説教可 C 私的な助言、告解に限る。 D 民衆には知らせるべからず。ただし説教師の知識としては必要。 E 説教師にも知らせるべからず。 101 声の検閲文字の検閲まず二つの検閲をパスして民衆の耳に届くメッセージがある(A、B、C)。ただしこの場合も、内容によっては説教方法に関する注意とか(B)、説教は不可だが助言や告解の場でなら口にしてもよいというような条件が付されることがある(C)。ついで「声の検閲」で説教を禁じられながら、説教師の知識としては必要と認められた内容がある(D)。徴利と損 55 D. Burr, The Persecution of Peter Olivi, Philadelphia, 1976, chap.V-VIII; id., Olivi and Franciscan Poverty. The Origins of the Usus Pauper Controversy, Philadelphia, 1989, p.139.
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嘘と貪欲 ―西欧中世の商
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はじめに――視点・史料
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謳いあげている。本書を
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ノ・ダ・シエナである。15
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根源である。しかるに取
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ものとも「正しい」もの
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らかの「推計」によらざ
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ミス、中世と近代を隔て
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教壇から民衆に語りかけ
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ベルナルディーノからオ
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己意識を探る上で格好の
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で多くの誤りを犯すよう
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第1部スコラ学文献から 23
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第1章徴利禁止の克服をめ
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・・と、両者が一体化し
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何重もの制限を課してい
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のは明らかに投資貸借で
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するものというのが従来
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切り拓くものであったと
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り異なるが、出資者 3/4、
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というのもこうした蓋然
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ボナヴェントゥラによれ
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第3章公正価格と共通善 1
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という形容詞である。 2
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ここでも四回現れる communi
Page 52 and 53: poris 、「共に」communiter 納
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Page 60 and 61: 第4章托鉢修道会と新説教
Page 62 and 63: を合わせたい。13 世紀か
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Page 70 and 71: ラテン語への翻訳、メモ
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Page 82 and 83: 最後の一文は「教訓」moral
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Page 90 and 91: 2 声の説教、文字の説教
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Page 94 and 95: 金の勘定をごまかす奴が
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Page 100 and 101: にはあたらない。しかし
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Page 112 and 113: 1493 年のパヴィアもほぼ同
Page 114 and 115: 金は「信用できる人物」
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Page 120 and 121: ることがわかる。有利子
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Page 128 and 129: 第3部では商人文書から商
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典の教養、これらが一体
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れている。この章の冒頭
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ンスに移しかえ、大きく
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付録1 ピエール・ド・ジャ
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訂版 9 がある。翻訳に際
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りつつ買う者は、売り手
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していかなる不正義が行
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んずるのである。第二に
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しなくなり、また買手や
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第五問第五問― 上記の
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施与する方が[霊の救済に]
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いる。恒等性とはこうい
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また売物の価格や価値を
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きに限られるからである
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人のために利益を生むも
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いる。こうした人は確か
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上述したところより生ず
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付録2 ピエール・ド・ジャ
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この点からさらに進んで
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例とは別である。という
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引用文献 190
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Id., Quaresimale fiorentino 1305-13
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Kirshner, J. and Morrison, K. F., (
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同「文字のかなたに――
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