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タイムテーブル 第 1 日目 5 月30日(水) - 株式会社コングレ

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目 次<br />

第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 の 開 催 にあたって……………………………… 3<br />

開 催 概 要 ……………………………………………………………………………………… 4<br />

会 場 への 交 通 案 内 図 ………………………………………………………………………… 5<br />

施 設 配 置 図 …………………………………………………………………………………… 6<br />

参 加 者 へのお 知 らせとお 願 い……………………………………………………………… 8<br />

発 表 者 へのお 願 い…………………………………………………………………………… 10<br />

司 会 ・ 座 長 へのお 願 い……………………………………………………………………… 14<br />

日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 高 度 技 能 専 門 医 制 度 クレジットについて………………………… 15<br />

会 議 ・ 委 員 会 等 のご 案 内 …………………………………………………………………… 16<br />

タイムテーブル( 日 程 表 )… ………………………………………………………………… 18<br />

ポスターセッション タイムテーブル… …………………………………………………… 24<br />

プログラム<br />

International…Session…Keynote…Lecture… ……………………………………………… 27<br />

理 事 長 講 演 ………………………………………………………………………………… 28<br />

会 長 講 演 …………………………………………………………………………………… 28<br />

プレナリーセッション…………………………………………………………………… 28<br />

教 育 セミナー……………………………………………………………………………… 28<br />

特 別 企 画 1-1<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 肝 ~」…………………………………………… 29<br />

特 別 企 画 1-2<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 胆 ~」…………………………………………… 30<br />

特 別 企 画 1-3<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 膵 ~」…………………………………………… 30<br />

特 別 企 画 2<br />

「 …International…Collaboration…Project…Meeting…<br />

~Joint…with…Korea…as…our…first…step…of…JHBPS~」………………………………… 30<br />

特 別 企 画 3<br />

「 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー」…………………………………………………… 31<br />

国 際 ビデオシンポジウム………………………………………………………………… 34<br />

シンポジウム……………………………………………………………………………… 36<br />

パネルディスカッション………………………………………………………………… 38<br />

ワークショップ…………………………………………………………………………… 42<br />

ビデオワークショップ…………………………………………………………………… 44<br />

リサーチワークショップ………………………………………………………………… 46<br />

クリニカルワークショップ……………………………………………………………… 46<br />

ミニシンポジウム………………………………………………………………………… 47<br />

第 3 回 高 度 技 能 専 門 医 修 練 者 ビデオクリニック……………………………………… 54<br />

ミニビデオワークショップ……………………………………………………………… 54<br />

ポスターセッション……………………………………………………………………… 61<br />

ランチョンセミナー…………………………………………………………………… 122<br />

抄 録 集<br />

海 外 招 聘 者 ……………………………………………………………………………… 125<br />

理 事 長 講 演 ……………………………………………………………………………… 137<br />

会 長 講 演 ………………………………………………………………………………… 141<br />

プレナリーセッション………………………………………………………………… 145<br />

教 育 セミナー…………………………………………………………………………… 149<br />

特 別 企 画 1-1<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 肝 ~」………………………………………… 155<br />

特 別 企 画 1-2<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 胆 ~」………………………………………… 158<br />

特 別 企 画 1-3<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 膵 ~」………………………………………… 159<br />

特 別 企 画 2<br />

「 …International…Collaboration…Project…Meeting…<br />

~Joint…with…Korea…as…our…first…step…of…JHBPS~」……………………………… 161<br />

特 別 企 画 3<br />

「 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー」………………………………………………… 165<br />

International…Session…Keynote…Lecture… …………………………………………… 177<br />

国 際 ビデオシンポジウム……………………………………………………………… 185<br />

シンポジウム…………………………………………………………………………… 193<br />

パネルディスカッション……………………………………………………………… 203<br />

ワークショップ………………………………………………………………………… 217<br />

ビデオワークショップ………………………………………………………………… 227<br />

リサーチワークショップ……………………………………………………………… 237<br />

クリニカルワークショップ…………………………………………………………… 241<br />

ミニシンポジウム……………………………………………………………………… 247<br />

第 3 回 高 度 技 能 専 門 医 修 練 者 ビデオクリニック…………………………………… 277<br />

ミニビデオワークショップ…………………………………………………………… 281<br />

ポスターセッション…………………………………………………………………… 307<br />

索 引<br />

司 会 ・ 座 長 ・ 特 別 発 言 ・ディスカッサント 索 引 ………………………………… 546<br />

筆 頭 演 者 索 引 ………………………………………………………………………… 549<br />

協 賛 一 覧 …………………………………………………………………………………… 558


第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 の 開 催 にあたって<br />

第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会<br />

会 長 藤 元 治 朗<br />

( 兵 庫 医 科 大 学 外 科 学 講 座 教 授 )<br />

この 度 、 第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 ( 平 成 24 年 5 月 30 日 ~ 6 月 1 日 、 於 大 阪 国 際 会 議 場 ・リー<br />

ガロイヤルホテル)の 会 長 を 拝 命 し、その 重 責 に 身 が 引 き 締 まる 思 いであります。この 名 誉 と 伝 統 ある 学 術<br />

集 会 を 開 催 することは 兵 庫 医 科 大 学 外 科 学 講 座 にとりこの 上 なく 光 栄 で 名 誉 なことであり、 高 田 忠 敬 理 事 長<br />

はじめ 本 学 会 の 諸 先 輩 方 に 心 より 感 謝 いたす 次 第 であります。<br />

肝 胆 膵 外 科 領 域 は 一 般 消 化 器 外 科 の 範 疇 の 中 でも 最 も 高 度 な 技 術 ・ 経 験 ・ 知 識 が 要 求 される 専 門 性 の 非 常<br />

に 高 い 外 科 領 域 であります。 今 回 の 学 会 のテーマは「 肝 胆 膵 外 科 あるべき 姿 をもとめて」とさせていただ<br />

きました。 私 たちは 日 常 の 多 忙 な 診 療 の 中 でついいろんなことと 妥 協 しがちではありますが、せめて 学 術 集<br />

会 の 学 問 の 場 では 妥 協 せず、 折 り 合 いをつけず、 肝 胆 膵 外 科 のあるべき 姿 を 求 めて 真 摯 な 学 術 的 な 議 論 を 交<br />

わしたいと 考 えております。<br />

今 回 は 昨 年 度 に 本 学 会 の 高 度 技 能 専 門 医 が 誕 生 してから 初 めての 学 会 となります。 本 学 会 によるその 手 術<br />

書 の 刊 行 の 内 容 を 特 別 企 画 にとりあげました。また、 今 回 のプログラムの 特 徴 といたしましては 会 場 は 基 本<br />

的 に 4 会 場 に 限 り、それぞれ 肝 ・ 胆 ・ 膵 ・ 統 合 領 域 ( 内 視 鏡 外 科 )の 縦 4 列 で 進 行 としております。また、<br />

たとえばシンポの 時 間 帯 はどの 会 場 でもシンポ、ビデオもパネルも 横 一 列 のプログラムを 企 画 いたしました。<br />

分 散 せずに 十 分 に 討 論 し、しっかりと 勉 強 をしたいと 考 えております。<br />

またビデオシンポジウムは 海 外 の 演 者 を 含 んだ 国 際 シンポとし、 発 表 ・ 討 論 すべて 英 語 といたしました。<br />

これからの 若 い 人 たちにはどんどんと 英 語 で 発 表 ・ 執 筆 していただきたいと 思 うからであります。また 今 後<br />

の 国 際 的 な 共 同 企 画 ・プロジェクト 発 展 を 考 え、まずは 隣 国 であります 韓 国 および 台 湾 との 日 韓 共 同 セミ<br />

ナー・ 日 台 協 同 会 議 も 組 み 入 れさせていただきました。さらに 肝 胆 膵 外 科 領 域 には 内 視 鏡 外 科 が 必 須 であり、<br />

今 後 もさらに 発 展 していく 領 域 でありますので、 肝 臓 内 視 鏡 外 科 研 究 会 ・ 膵 臓 内 視 鏡 外 科 研 究 会 のご 協 力 を<br />

いただき、 最 終 日 の 午 後 は 肝 胆 膵 の 内 視 鏡 外 科 に 特 化 したプログラムとさせていただきました。<br />

おかげさまをもちまして、1,375 演 題 と 過 去 最 高 の 演 題 登 録 をいただきました。<br />

プログラムの 運 営 方 法 、いくつかの 新 たな 企 画 など、 新 しい 試 みによる 学 術 集 会 で 不 安 な 点 もありますが、<br />

すべては「あるべき 姿 を 求 めて」のコンセプトのもとに 教 室 員 一 同 万 全 の 準 備 をしてお 待 ちしたく 存 じてお<br />

ります。 新 緑 の 候 、 大 阪 の 地 で 皆 様 にお 会 いできることを 楽 しみにいたしております。…<br />

-3-


開 催 概 要<br />

テ ー マ 肝 胆 膵 外 科 あるべき 姿 を 求 めて…<br />

会 期 2012 年 5 月 30 日 ( 水 )~ 6 月 1 日 ( 金 )…<br />

会 場 大 阪 国 際 会 議 場<br />

〒530-0005 大 阪 市 北 区 中 之 島 5 丁 目 3 番 51 号<br />

TEL…:06-4803-5555<br />

FAX…:06-4803-5620<br />

会 長 藤 元 治 朗 ( 兵 庫 医 科 大 学 外 科 学 講 座 教 授 )…<br />

事 務 局 〒663-8501 西 宮 市 武 庫 川 町 1-1<br />

兵 庫 医 科 大 学 外 科 学 講 座 内<br />

TEL:0798-45-6582 FAX:0798-45-6581<br />

E-mail:surg-1@hyo-med.ac.jp<br />

運 営 事 務 局 〒541-0047 大 阪 市 中 央 区 淡 路 町 3-6-13<br />

株 式 会 社 コングレ 内<br />

TEL:06-6229-2555 FAX:06-6229-2556<br />

E-mail:jshbps@congre.co.jp<br />

ホームページ http://www.congre.co.jp/jshbps24/<br />

第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 市 民 公 開 講 座<br />

◆ 1 . 膵 臓 がん<br />

PanCAN パープルリボンキャラバン2012 in 大 阪 「 膵 臓 がんに 光 をあてる」<br />

日 時 :2012 年 5 月 26 日 ( 土 ) 開 演 13:00( 開 場 12:30)<br />

共 催 :Pan…CAN…Japan<br />

会 場 : 大 阪 国 際 会 議 場 グランキューブ 10 階 会 議 室 1004~7<br />

◆ 2 . 肝 臓 がん<br />

日 時 :2012 年 6 月 1 日 ( 金 ) 開 演 14:30<br />

会 場 : 大 阪 国 際 会 議 場 グランキューブ 12 階 会 議 室 1202( 第 5 会 場 )<br />

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会 場 への 交 通 案 内 図<br />

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施 設 配 置 図<br />

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参 加 者 へのお 知 らせとお 願 い<br />

1. 参 加 受 付<br />

参 加 費 として15,000 円 を 参 加 受 付 で 納 め、 参 加 証 と 教 育 プログラム 受 講 証 明 書 をお 受 け 取 りください。<br />

*… 研 修 医 ( 平 成 22 年 3 月 卒 業 以 降 )の 参 加 費 は、5,000 円 となります。 参 加 受 付 にて「 研 修 医 参 加 申 込 書 」<br />

をご 記 入 のうえ、ご 提 出 ください。<br />

*… 期 間 中 は、 下 記 の 参 加 受 付 にてお 手 続 きをお 願 いいたします。また、 紛 失 した 場 合 でも 参 加 証 の 再 発 行<br />

はいたしませんのでご 了 承 ください。<br />

日 程 受 付 時 間 受 付 場 所<br />

5 月 30 日 ( 水 ) 10:00~18:00<br />

5 月 31 日 ( 木 ) 6:45~18:00 大 阪 国 際 会 議 場 5 階 メインホワイエ<br />

6 月 1 日 ( 金 ) 7:00~16:00<br />

*… 参 加 費 のお 支 払 いは 現 金 のみとさせていただきます。クレジットカードはご 利 用 できません。<br />

*… 演 者 ならびに 共 同 演 者 は 本 学 会 員 に 限 ります。 未 入 会 の 方 は、 入 会 手 続 きをお 取 りください。お 申 し 込<br />

みは 下 記 の 学 会 事 務 局 にてお 申 込 みください。<br />

なお、 会 期 中 は 総 合 受 付 ( 5 階 メインホワイエ)に「 新 入 会 ・ 年 会 費 受 付 」を 設 置 いたします。<br />

【 学 会 事 務 局 】<br />

一 般 社 団 法 人 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会<br />

〒162-0065 新 宿 区 住 吉 町 1-15 四 ツ 谷 TTビル 3 階<br />

( 都 営 新 宿 線 曙 橋 駅 徒 歩 1 分 )<br />

TEL:03-6380-4341 FAX:03-3356-4381<br />

E-mail:info@jshbps.jp<br />

学 会 ホームページ:http://www.jshbps.jp/<br />

2.ランチョンセミナー<br />

5 月 31 日 ( 木 )および 6 月 1 日 ( 金 ) 開 催 のランチョンセミナーは 事 前 チケット 制 といたします。<br />

配 布 場 所 、 配 布 時 間 は 下 記 の 通 りです。<br />

配 布 場 所 : 大 阪 国 際 会 議 場<br />

5 階 メインホワイエ<br />

配 布 時 間 : 5 月 31 日 ( 木 )6:45~11:50( 当 日 開 催 分 のみ 受 付 、 予 定 数 に 達 し 次 第 終 了 )<br />

6 月 1 日 ( 金 )7:00~12:15<br />

*…セミナーチケットは 当 該 セミナー 開 始 時 より 無 効 となります。<br />

セミナー 開 始 後 は 先 着 順 でのご 入 場 となりますので、あらかじめご 了 承 ください。<br />

-8-


3. 休 憩 コーナー<br />

5 階 機 器 展 示 会 場 付 近 に 休 憩 コーナーを 設 けております。<br />

お 手 持 ちのPCでインターネットをご 利 用 いただけます。<br />

4.クローク<br />

5 階 メインホワイエに 設 けております。ご 利 用 可 能 時 間 は 以 下 のとおりです。<br />

5 月 30 日 ( 水 ) 10:00~20:00<br />

5 月 31 日 ( 木 ) 6:45~19:30<br />

6 月 1 日 ( 金 ) 7:00~16:30<br />

※ 貴 重 品 はお 預 かりできませんので 予 めご 了 承 ください。<br />

5.その 他 のご 注 意<br />

… 会 期 中 は 原 則 として、 電 話 のお 取 次 ぎ、 会 場 内 でのお 呼 び 出 し 放 送 は 行 いません。お 呼 び 出 しをご 希 望 の<br />

場 合 は 5 階 の 総 合 受 付 にお 申 し 出 ください。メッセージボードに 掲 示 いたします。<br />

… 会 場 内 では、マナーモードなどを 使 用 して 携 帯 電 話 のお 呼 び 出 し 音 を 出 さないようにご 注 意 願 います。<br />

6. 会 期 中 のお 問 合 せ 先<br />

第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 運 営 本 部<br />

5 階 会 議 室 502<br />

TEL:06(4803)5555( 左 記 代 表 より「 第 24 回 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 学 会 本 部 」 呼 び 出 し)<br />

-9-


発 表 者 へのお 願 い<br />

1. 講 演 発 表<br />

1 ) 発 表 形 式 について<br />

◦すべての 講 演 発 表 (ビデオでの 発 表 含 む)はPCプレゼンテーションのみとなります。<br />

…スライドおよびVHS/S-VHSビデオテープ 用 ビデオデッキは 使 用 できませんのでご 注 意 ください。<br />

◦…PCプレゼンテーションでは、PC 本 体 持 込 またはメディア(USBフラッシュメモリー、CD-R) 持 込<br />

による 発 表 が 可 能 です。<br />

…トラブル 回 避 のため、 必 ずバックアップメディアをご 用 意 ください。なおMO,…FD,…ZIP、DVDな<br />

ど 他 のメディアでは 受 付 できません。<br />

…CD-R 書 き 込 みはISO9660フォーマットをご 持 参 ください。パケットライトなど 特 殊 な 機 能 は 読 め<br />

ない 原 因 になることがありますのでご 注 意 ください。<br />

◦… 発 表 データのファイル 名 は「 発 表 日 _ 演 題 番 号 _ 氏 名 ( 漢 字 )」としてください。<br />

例 )0530_シンポジウム1-1_ 兵 庫 太 郎<br />

◦ 演 題 発 表 は 演 題 上 のマウスを 使 用 し、 演 者 ご 自 身 で 操 作 していただきます。<br />

【ビデオ 発 表 での 注 意 点 】<br />

本 学 術 集 会 でのビデオ 発 表 については、PCの 動 画 ( 音 声 出 力 可 能 )を 用 いての 発 表 に 限 定 させ<br />

ていただきます。<br />

会 場 内 ではビデオテープおよびDVDの 再 生 機 材 は 用 意 しておりませんのでご 注 意 ください。<br />

なお、PCの 動 画 を 用 いてのご 発 表 に 関 しては、「 4 )PC 本 体 持 込 の 注 意 点 」および「 5 )メディ<br />

ア 持 込 の 注 意 点 」をご 参 照 ください。<br />

2 )PCデータ 受 付 について<br />

◦…5 階 メインホワイエにPCデータ 受 付 を 設 置 いたします。<br />

◦…PCデータ 受 付 にて 発 表 30 分 前 までに 受 付 を 済 ませ、データのチェック、 登 録 を 行 ってください。<br />

PC 本 体 持 込 の 場 合 は 出 力 確 認 をお 願 いいたします。<br />

◦…メディア(USBフラッシュメモリー、CD-R)を 持 込 みの 場 合 、オペレーターがデータを 受 け 取 り、サー<br />

バーへコピーいたします。データは 会 期 終 了 後 、 主 催 者 側 で 責 任 を 持 って 消 去 いたします。<br />

◦… 朝 早 いセッションのご 発 表 データは、できるだけ 前 日 までに 受 付 をお 済 ませください。<br />

3 )PC 発 表 について<br />

◦… 発 表 データは、PCまたはメディア(USBフラッシュメモリー、CD-R)にてお 持 ちください。<br />

MacintoshはPC 本 体 持 込 のみとなりますのでご 注 意 ください。ご 発 表 データに 動 画 ファイルを 添 付<br />

されている 場 合 はPC 本 体 持 込 を 推 奨 いたします。 使 用 するアプリケーションはPowerPointのみと<br />

させていただきます。<br />

◦… 発 表 時 間 を 厳 守 してください。<br />

-10-


◦… 各 セッションにより 進 行 が 異 なりますので、 司 会 ・ 座 長 の 指 示 に 従 ってください。<br />

◦…スクリーンは 1 画 映 写 となります。<br />

◦… 発 表 用 液 晶 プロジェクターの 解 像 度 は1024×768(XGA)まで 対 応 可 能 です。<br />

4 )PC 本 体 持 込 の 注 意 点<br />

◦… 当 日 発 表 されるデータ( 完 成 版 )は、デスクトップ 画 面 上 に 保 存 してください。 使 用 するアプリケー<br />

ションはPowerPointのみとさせていただきます。<br />

◦…あらかじめPC 本 体 のパスワード、スクリーンセイバー、 省 電 力 設 定 の 解 除 をしておいてください。<br />

◦… 出 力 コネクターとの 接 続 は「MiniD-sub15ピン」を 用 意 しております。それ 以 外 のコネクター 形 状<br />

をお 持 ちの 方 は、 変 換 コード」をご 用 意 ください。また、PCのACアダプターは 必 ずご 持 参 ください。<br />

◦…PC 本 体 持 込 の 場 合 にもメディアでのバックアップ 用 データをご 用 意 ください。<br />

◦…PCデータ 受 付 での 試 写 後 、 発 表 会 場 左 手 前 方 のPCオペレーター 席 までPC 本 体 をご 持 参 ください。<br />

◦… 発 表 終 了 後 、PCの 引 き 取 りは、 同 PCオペレーター 席 にてお 願 いします。<br />

5 )メディア 持 込 の 注 意 点<br />

◦… 当 日 設 置 される 機 材 のOSは、Windows 7 です。MacintoshはPC 本 体 持 込 のみとなりますのでご 注<br />

意 ください。<br />

◦…アプリケーションソフトはWindows…PowerPoint2003/2007/2010に 限 定 させていただきます。 持<br />

ち 込 まれるメディアには 当 日 発 表 されるデータ( 完 全 版 ) 以 外 のデータを 入 れないようにしてくだ<br />

さい。<br />

◦…フォントは 文 字 化 けを 防 ぐため 下 記 のフォントに 限 定 して 使 用 してください。<br />

MSゴシック、MSPゴシック、MS 明 朝 、MSP 明 朝<br />

Arial、Arial…Black、Arial…Narrow、Century、Century…Gothic、Times…New…Roman<br />

◦… 動 画 データは、Windows…Media…Player11の 初 期 状 態 に 含 まれるコーデックで 再 生 可 能 のものに 限<br />

定 させていただきます。<br />

◦… 事 前 に 発 表 データを 作 成 されたPC 以 外 の 機 体 で 動 作 確 認 をおこなってください。<br />

-11-


6 ) 発 表 ・ 討 論 時 間 について<br />

セッション 名<br />

略 号<br />

発 表 討 論<br />

時 間 時 間<br />

備 考<br />

基 調 講 演 ( 国 際 ビデオシンポジウムの 招 聘 者 ) KL 20 分 5 分<br />

理 事 長 講 演 - 30 分 -<br />

会 長 講 演 - 30 分 -<br />

プレナリーセッション PS 8 分 8 分<br />

特 別 企 画 1( 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 肝 ・ 胆 ・ 膵 ) SL1 15 分 3 分<br />

特 別 企 画 3 - 1( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 1 ) SL3-1 10 分 5 分<br />

特 別 企 画 3 - 2( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 2 ) SL3-2 10 分 5 分<br />

特 別 企 画 3 - 3( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 3 ) SL3-3 7 分 0 分 総 合 討 論 あり<br />

特 別 企 画 3 - 4( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 4 ) SL3-4 7 分 0 分 総 合 討 論 あり<br />

特 別 企 画 3 - 5( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 5 ) SL3-5 10 分 5 分<br />

特 別 企 画 3 - 6( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 6 ) SL3-6 7 分 3 分<br />

特 別 企 画 3 - 7( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 7 ) SL3-7 5 分 3 分<br />

特 別 企 画 3 - 8( 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 8 ) SL3-8 7 分 3 分<br />

国 際 ビデオシンポジウム 1( 肝 ) VS1 7 分 3 分 指 定 演 者 、 一 般 演 者 共 通<br />

国 際 ビデオシンポジウム 2( 胆 ) VS2 10 分 5 分 指 定 演 者 、 一 般 演 者 共 通<br />

国 際 ビデオシンポジウム 3( 膵 )<br />

VS3<br />

10 分 5 分 指 定 演 者<br />

7 分 3 分 一 般 演 者<br />

国 際 ビデオシンポジウム 4( 内 視 鏡 外 科 )<br />

VS4<br />

10 分 5 分 指 定 演 者<br />

6 分 2 分 一 般 演 者<br />

シンポジウム 1( 肝 ) SY1 6 分 0 分 総 合 討 論 あり<br />

シンポジウム 2( 胆 ) SY2 10 分 4 分<br />

シンポジウム 3( 膵 ) SY3 8 分 5 分<br />

シンポジウム 4( 内 視 鏡 外 科 ) SY4 7 分 3 分<br />

パネルディスカッション 1( 肝 ) PD1 6 分 2 分<br />

パネルディスカッション 2( 胆 ) PD2 7 分 2 分 総 合 討 論 あり<br />

パネルディスカッション 3( 膵 ) PD3 6 分 1 分 総 合 討 論 あり<br />

パネルディスカッション 4( 総 合 ) PD4 8 分 4 分<br />

パネルディスカッション 5(この 症 例 をどうするか 肝 ) PD5 12 分 18 分<br />

パネルディスカッション 6(この 症 例 をどうするか 胆 ) PD6 6 分 14 分<br />

パネルディスカッション 7(この 症 例 をどうするか 膵 ) PD7 6 分 14 分<br />

パネルディスカッション 8(この 症 例 をどうするか 内 視 鏡 外 科 ) PD8 8 分 12 分<br />

ワークショップ 1( 肝 ) WS1 6 分 0 分 総 合 討 論 あり<br />

ワークショップ 2( 胆 ) WS2 6 分 3 分<br />

ワークショップ 3( 膵 ) WS3 5 分 2 分<br />

ワークショップ 4( 内 視 鏡 外 科 ) WS4 6 分 3 分<br />

ビデオワークショップ 1( 肝 ) VW1 5 分 2 分<br />

ビデオワークショップ 2( 胆 ) VW2 5 分 2 分<br />

ビデオワークショップ 3( 膵 ) VW3 6 分 2 分<br />

ビデオワークショップ 4(その 他 ) VW4 5 分 3 分<br />

リサーチワークショップ RW 4 分 2 分<br />

クリニカルワークショップ CW 4 分 2 分<br />

ミニシンポジウム MSY 4 分 2 分<br />

第 3 回 高 度 技 能 医 修 練 者 ビデオクリニック VC 10 分 10 分<br />

ミニビデオワークショップ MVW 4 分 2 分<br />

ポスターセッション P 3 分 2 分<br />

-12-


7 ) 次 演 者 席<br />

◦… 各 会 場 内 左 手 前 方 (PCオペレーター 席 付 近 )が 次 演 者 席 になります。ご 自 身 の 発 表 開 始 15 分 前 ま<br />

でに 次 演 者 席 にお 着 きください。<br />

◦… 演 者 は 発 表 終 了 後 も、できるだけセッション 終 了 まで 会 場 内 にて 待 機 ください。<br />

2.ポスター 発 表<br />

1 )ポスター 貼 付 ・ 撤 去 について<br />

…ポスター 受 付 は 設 置 いたしません。ポスター 貼 付 用 ピンと 演 者 リボンは 各 ポスターパネルに 設 置 して<br />

おりますので、ご 自 身 の 演 題 番 号 の 掲 示 場 所 までお 進 みください。<br />

…ポスター 貼 付 ・ 撤 去 については、 所 定 の 時 間 内 に 行 っていただきますようお 願 いいたします。<br />

… 撤 去 時 間 を 過 ぎても 掲 示 してあるポスターは 事 務 局 にて 処 分 いたします。<br />

日 程 貼 付 発 表 撤 去<br />

5 月 30 日 ( 水 ) 10:00~11:30 14:15~15:00 17:30~18:30<br />

5 月 31 日 ( 木 ) 7:00~ 9:30 13:10~13:55 17:30~18:30<br />

6 月 1 日 ( 金 ) 7:00~ 9:30 11:40~12:40 16:00~17:00<br />

2 ) 発 表 形 式 ・ 時 間<br />

口 頭 発 表 と 討 論 は、 座 長 の 指 示 のもと、ご 自 身 のポスターの 前 で 行 います。<br />

…プログラムでセッション 開 始 時 刻 をご 確 認 のうえ、15 分 前 までにはご 自 身 のパネル 前 にお 越 しくださ<br />

い。 演 者 リボンは 発 表 時 、 目 につきやすい 場 所 につけてください。<br />

発 表 時 間 3 分 ・ 討 論 時 間 2 分<br />

3 )ポスター 作 成 要 領<br />

… 演 題 番 号 は 運 営 事 務 局 にて 用 意 いたします。 右 図 のパ<br />

ネルの 規 格 に 従 って、 演 題 タイトル、 所 属 名 、 発 表 内<br />

容 のポスターをご 用 意 ください。<br />

4 ) 優 秀 ポスターの 表 彰 について<br />

… 毎 日 のセッション 終 了 後 、 優 秀 ポスターを 選 考 し、 表<br />

▲ ▲<br />

◀<br />

◀<br />

90cm<br />

70cm<br />

20cm P1-1 演 題 タイトル・ 所 属 名<br />

▼<br />

▲<br />

▶<br />

▶<br />

彰 いたします。パネルに 受 賞 リボンの 付 いた 演 者 の 先<br />

生 は、 必 ずご 出 席 願 います。<br />

◦5/30( 水 )・5/31( 木 )の 表 彰 式 …… 社 員 総 会 で 表 彰<br />

【5/31( 木 )17:05~19:05<br />

大 阪 国 際 会 議 場 5F メインホール( 第 1 会 場 )】<br />

◦6/1( 金 )の 表 彰 式 …… 閉 会 式 にて 表 彰<br />

210cm<br />

190cm<br />

発 表 内 容<br />

ポスター 貼 面 有 効 サイズ<br />

横 90cm× 縦 190cm<br />

【6/1( 金 )16:50~ 第 1 会 場 】<br />

▼<br />

▼<br />

-13-


司 会 ・ 座 長 へのお 願 い<br />

1. 講 演 発 表<br />

◦…セッション 開 始 15 分 前 までに 会 場 内 右 手 前 方 の 次 座 長 席 にお 越 しください。<br />

◦… 発 表 ・ 討 論 については 前 出 の 一 覧 表 をご 参 照 ください。<br />

2.ポスター 発 表<br />

…セッション 開 始 15 分 前 までに 各 ポスター 会 場 の 座 長 受 付 にお 越 しください。 座 長 リボンなどをお 渡 しい<br />

たします。セッション 開 始 5 分 前 には、 発 表 順 が 1 番 目 のポスター 前 に 待 機 してください。<br />

○ 所 属 の 記 載 について<br />

… 大 学 院 重 点 化 、 独 立 行 政 法 人 化 などに 伴 い、ご 所 属 機 関 名 の 記 載 に 混 乱 が 見 られ、 同 一 施 設 の 演 者 間 でも<br />

統 一 されてない 例 が 多 くございます。 本 プログラム・ 抄 録 集 はご 登 録 いただいたデータをそのまま 使 用 し<br />

ておりますため、 記 載 形 式 の 不 統 一 など、 見 苦 しい 点 があるかと 存 じますが、ご 了 承 くださいますようお<br />

願 いいたします。<br />

-14-


日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 クレジットについて<br />

… 本 学 術 集 会 では 下 記 の 要 領 により 肝 胆 膵 外 科 高 度 技 能 専 門 医 と 高 度 技 能 指 導 医 の 認 定 ・ 更 新 時 、および<br />

評 議 員 認 定 ・ 更 新 時 に 必 要 なクレジットが 取 得 できます。 評 議 員 新 規 申 請 は 平 成 26 年 度 、 評 議 員 更 新 申 請<br />

は 平 成 28 年 度 からクレジットが 必 要 になります。<br />

※ 学 術 集 会 出 席 : 1 点 ( 学 術 集 会 参 加 証 により 付 与 )<br />

※ 教 育 プログラム 受 講 : 1 講 座 受 講 につき 3 点 ( 受 講 証 明 書 により 付 与 )<br />

1. 学 術 集 会 出 席 クレジット<br />

学 術 集 会 出 席 クレジットは 学 術 集 会 参 加 証 により 付 与 されます。<br />

参 加 証 の 再 発 行 はいたしませんので 大 切 に 保 管 してください。<br />

2. 教 育 プログラム 受 講 クレジット<br />

◦… 受 付 時 に「 教 育 プログラム 受 講 証 明 書 」を 3 セミナー 分 として 3 枚 をお 渡 しします。<br />

◦… 教 育 プログラム 受 講 後 に 必 要 事 項 を 記 入 の 上 、 会 場 出 口 にて「 教 育 プログラム 受 講 証 明 書 」に 受 講 印<br />

の 押 印 を 受 けてください。 受 講 証 は 再 発 行 いたしませんので、ご 自 身 で 大 切 に 保 管 してください。<br />

…また、 受 講 印 がない 場 合 は 受 講 を 認 めません。<br />

◦… 教 育 プログラム 開 始 15 分 を 過 ぎての 入 場 はクレジットの 取 得 は 認 めません。<br />

◦… 教 育 プログラムを 途 中 退 席 された 場 合 、いかなる 理 由 であってもクレジットの 取 得 は 認 めません。<br />

【 教 育 プログラムー 覧 】<br />

セミナー 名 日 程 時 間 会 場<br />

教 育 セミナー 1<br />

「 医 の 倫 理 」・「 肝 胆 膵 癌 の 手 術 を 取 り 巻 く 集 学 的 治 療 」 5 月 30 日 ( 水 ) 12:30~14:00 第 1 会 場<br />

教 育 セミナー 2<br />

「 肝 切 除 をめぐって」<br />

5 月 31 日 ( 木 ) 7 :15~ 8 :45 第 1 会 場<br />

教 育 セミナー 3<br />

「 胆 膵 領 域 の 発 生 からみた 局 所 解 剖 ・ 合 理 的 手 術 」<br />

6 月 1 日 ( 金 ) 7 :30~ 9 :00 第 1 会 場<br />

※… 本 学 術 集 会 においては、 学 術 集 会 参 加 ( 1 点 )、 教 育 プログラム 受 講 ( 計 9 点 )で 最 大 10 点 のクレジットを 取 得 で<br />

きます。<br />

○ 教 育 プログラム 受 講 証 明 書 について<br />

「 教 育 プログラム 受 講 証 明 書 」にはお 名 前 の 記 入 が 必 要 となります。<br />

必 ず 押 印 を 受 ける 前 にご 記 名 いただきますようお 願 いいたします。<br />

-15-


会 議 ・ 委 員 会 等 のご 案 内<br />

【 理 事 会 】<br />

2012 年 5 月 30 日 ( 水 ) 8 :30~11:00<br />

大 阪 国 際 会 議 場 7 階 会 議 室 701<br />

【 高 度 技 能 専 門 医 認 証 式 / 社 員 総 会 】<br />

2012 年 5 月 31 日 ( 木 )17:05~19:05<br />

大 阪 国 際 会 議 場 5 階 メインホール〈 第 1 会 場 〉<br />

【 各 種 委 員 会 】<br />

2012 年 5 月 29 日 ( 火 )<br />

委 員 会 名 時 間 会 場<br />

高 度 技 能 専 門 医 制 度 委 員 会 … 11:00-12:00 会 議 室 803<br />

倫 理 委 員 会 11:00-12:00 会 議 室 805<br />

保 険 診 療 委 員 会 12:00-13:00 会 議 室 803<br />

利 益 相 反 委 員 会 12:00-13:00 会 議 室 805<br />

Editorial…Board…Meeting 13:00-15:00 会 議 室 1202<br />

評 議 員 選 考 委 員 会 15:00-16:00 会 議 室 803<br />

胆 道 癌 取 扱 い 規 約 委 員 会 16:00-17:00 会 議 室 801<br />

教 育 プログラム 立 案 小 委 員 会 16:00-17:00 会 議 室 804<br />

肝 臓 プロジェクトワーキンググループ 17:00-18:00 会 議 室 803<br />

胆 道 プロジェクトワーキンググループ 17:00-18:00 会 議 室 805<br />

膵 臓 プロジェクトワーキンググループ 18:00-19:00 会 議 室 803<br />

内 視 鏡 外 科 関 連 委 員 会 18:00-19:00 会 議 室 804<br />

データベース 委 員 会 18:00-19:00 会 議 室 805<br />

2012 年 5 月 30 日 ( 水 )<br />

委 員 会 名 時 間 会 場<br />

Scientific…Committee…Meeting 7:00-8:30 会 議 室 803<br />

【The…First…Japan-Taiwan…International…Collaboration…Project…Meeting】<br />

(Sponsored…by…SHIONOGI…&…CO.,…LTD.)<br />

共 催 : 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社<br />

2012 年 5 月 31 日 ( 木 )11:20~12:10<br />

大 阪 国 際 会 議 場 12 階 会 議 室 1201<br />

-16-


【 市 民 公 開 講 座 】<br />

◆ 1 . 膵 臓 がん<br />

PanCAN…パープルリボンキャラバン2012…in… 大 阪 「 膵 臓 がんに 光 をあてる」<br />

日 時 :2012 年 5 月 26 日 ( 土 ) 開 演 13:00( 開 場 12:30)<br />

会 場 : 大 阪 国 際 会 議 場 グランキューブ 10 階 会 議 室 1004~7<br />

共 催 :Pan…CAN…Japan<br />

◆ 2 . 肝 臓 がん<br />

日 時 :2012 年 6 月 1 日 ( 金 ) 開 演 14:30<br />

会 場 : 大 阪 国 際 会 議 場 グランキューブ 12 階 会 議 室 1202( 第 5 会 場 )<br />

【 全 員 懇 親 会 】<br />

2012 年 5 月 31 日 ( 木 )19:30~21:30<br />

リーガロイヤルホテル 本 館 2 階 山 楽 の 間<br />

【 閉 会 式 】※ 3 日 目 の 優 秀 ポスター 表 彰 式 を 実 施<br />

2012 年 6 月 1 日 ( 金 )16:50~17:00<br />

大 阪 国 際 会 議 場 5 階 メインホール〈 第 1 会 場 〉<br />

-17-


タイムテーブル 第 1 日 目 5 月 30 日 ( 水 )<br />

7:3 0<br />

第 1 会 場 第 2 会 場 第 3 会 場 第 4 会 場 第 5 会 場 第 6 会 場<br />

5F<br />

10F<br />

10F<br />

12F<br />

12F<br />

10F<br />

メインホール<br />

会 議 室 1001+1002<br />

会 議 室 1003<br />

特 別 会 議 場<br />

会 議 室 1202<br />

会 議 室 1008<br />

8:0 0<br />

9:0 0<br />

10:0 0<br />

11:0 0<br />

12:0 0<br />

13:0 0<br />

14:0 0<br />

12:25~12:30 開 会 式<br />

12:30~14:00<br />

教 育 セミナー1<br />

「 医 の 倫 理 」・「 」、「 肝 胆 膵 癌 の<br />

癌 の 手 術 を 取 り 巻 く く<br />

集 学 的 治 療 」<br />

司 会 : 青 木 達 哉<br />

跡 見<br />

裕<br />

11:30~12:20<br />

ランチョンセミナー1<br />

大 腸 癌 肝 転 移 の 外 科 治 療 <br />

~ 化 学 ・ 分 子 標 的 治 療 の 光 と 影 ~<br />

司 会 : 渡 邊 昌 彦<br />

演 者 : 別 府 透<br />

共 催 :㈱ヤクルト 本 社<br />

11:30~12:20<br />

11:30~12:20<br />

ランチョンセミナー2<br />

新 しい 肝 門 部 胆 管 癌 規 約 の 提 唱<br />

司 会 : 高 田 忠 敬<br />

司 会 : 跡 見<br />

演 者 : 梛 野 正 人<br />

共 催 : 大 鵬 薬 品 工 業 ㈱<br />

ランチョンセミナー3<br />

膵 ・ 胆 道 癌 の 集 学 的 治 療 の 最 新 の 知 見<br />

裕<br />

演 者 : 上 坂 克 彦<br />

共 催 : 日 本 イーライリリー㈱<br />

15:0 0<br />

16:0 0<br />

17:0 0<br />

18:0 0<br />

15:00~16:00<br />

ビデオワークショップ1 肝<br />

HangingManeuver 適 応 とその 応 用<br />

司 会 : 内 山 和 久<br />

古 川 博 之<br />

特 別 発 言 : 後 藤 満 一<br />

16:00~17:00<br />

ワークショップ1 肝<br />

転 移 性 肝 癌 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 安 全 性<br />

司 会 : 別 府 透<br />

中 島 祥 介<br />

総 括 : 山 本 順 司<br />

17:00~18:20<br />

17:00~18:20<br />

特 別 企 画 1-1<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術<br />

の 実 際 ~ 肝 ~」<br />

司 会 : 幕 内 雅 敏<br />

島 田 光 生<br />

15:00~16:00<br />

ビデオワークショップ2 胆<br />

解 剖 学 的 変 異 や 特 殊 な 症 例 の 胆 管 癌 に 対 する 手 術<br />

司 会 : 宮 崎 耕 治<br />

藤 井 秀 樹<br />

特 別 発 言 : 竜 崇 正<br />

16:00~17:00<br />

ワークショップ2 胆<br />

PVEの 適 応 と 限 界<br />

司 会 : 窪 田 敬 一<br />

武 冨 紹 信<br />

総 括 : 山 本 雄 造<br />

特 別 企 画 1-2<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術<br />

の 実 際 ~ 胆 ~」<br />

司 会 : 門 田 守 人<br />

宮 川 秀 一<br />

15:00~16:00<br />

ビデオワークショップ3 膵<br />

膵 空 腸 吻 合 法<br />

司 会 : 杉 山 政 則<br />

鈴 木 康 之<br />

特 別 発 言 : 細 谷 亮<br />

16:00~17:00<br />

16:00~17:00<br />

ワークショップ3 膵 ワークショップ4<br />

膵 尾 側 切 除 における 膵 切 離 法 とその 成 績<br />

司 会 : 中 郡 聡 夫<br />

竹 山 宜 典<br />

総 括 : 永 井 秀 雄<br />

17:00~18:20<br />

特 別 企 画 1-3<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術<br />

の 実 際 ~ 膵 ~」<br />

司 会 : 今 泉 俊 秀<br />

木 下 壽 文<br />

15:00~16:00<br />

ビデオワークショップ4<br />

生 体 肝 移 植 における 手 術 手 技 の 工 夫<br />

司 会 : 高 田 泰 次<br />

菅 原 寧 彦<br />

特 別 発 言 : 猪 股 裕 紀 洋<br />

内 視 鏡 外 科<br />

Lap-cにおける 術 中 胆 道 損 傷 ( 術 中 の 対 処 と 術 後 の 対 処 も 含 めて)<br />

司 会 : 山 下 裕 一<br />

徳 村 弘 実<br />

総 括 : 木 村 泰 三<br />

15:00~16:00 【Eng】<br />

ミニビデオワークショップ1<br />

肝 1<br />

HepatobiliarySurgery<br />

司 会 :Miin-FuChen<br />

木 内 哲 也 <br />

16:00~17:00<br />

ミニシンポジウム1<br />

膵 1<br />

膵 癌 1<br />

司 会 : 里 井 壯 平<br />

島 村 弘 宗<br />

15:00~16:00 【Eng】<br />

ミニビデオワークショップ2<br />

膵 1<br />

PancreaticSurgery<br />

司 会 :DongWookChoi<br />

江 川 新 一 <br />

16:00~17:00<br />

ミニシンポジウム2<br />

肝 1<br />

肝 癌<br />

司 会 : 大 河 内 信 弘<br />

大 段 秀 樹<br />

19:0 0<br />

18:20~19:40 【Eng】<br />

特 別 企 画 2<br />

International<br />

CollaborationProject<br />

Meeting<br />

司 会 : 高 田 忠 敬<br />

DongWookChoi<br />

共 催 : 大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

20:0 0<br />

【Eng】…… 英 語 セッション<br />

-18-


第 7 会 場 第 8 会 場 第 9 会 場 ポスター 会 場 1 ポスター 会 場 2 ポスター 会 場 3<br />

11F<br />

8F<br />

8F<br />

5F<br />

10F<br />

12F<br />

会 議 室 1101+2<br />

会 議 室 801<br />

会 議 室 802<br />

小 ホール<br />

会 議 室 1004~7+1009<br />

ホワイエ<br />

10:00~11:30<br />

ポスター 貼 付<br />

14:15~15:00<br />

ポスターセッション<br />

P1~P14<br />

14:15~15:00<br />

ポスターセッション<br />

P15~P32<br />

14:15~15:00<br />

ポスターセッション<br />

P33~P37<br />

15:00~16:00<br />

ミニビデオワークショップ3<br />

膵 2<br />

膵 空 腸 吻 合<br />

司 会 : 萱 原 正 都<br />

竹 田 伸<br />

16:00~17:00<br />

ミニシンポジウム3<br />

胆 1<br />

肝 門 部 胆 管 癌<br />

司 会 : 斎 浦 明 夫<br />

力 山 敏 樹<br />

15:00~16:00<br />

15:00~16:00<br />

ミニビデオワークショップ4<br />

胆 1<br />

解 剖 学 的 変 異 症 例<br />

司 会 : 田 端 正 己<br />

七 島 篤 志<br />

16:00~17:00<br />

ミニシンポジウム4<br />

鏡 視 下 1<br />

鏡 視 下 手 術<br />

司 会 : 杉 岡 篤<br />

三 澤 健 之<br />

ミニビデオワークショップ5<br />

肝 2<br />

HangingManeuver<br />

司 会 : 谷 合 信 彦<br />

山 田 晃 正<br />

16:00~17:00<br />

ミニシンポジウム5<br />

胆 2<br />

胆 嚢 癌 ・ 術 中 損 傷<br />

司 会 : 新 井 田 達 雄<br />

土 田 明 彦<br />

17:30~18:30<br />

ポスター 撤 去<br />

-19-


タイムテーブル 第 2 日 目 5 月 31 日 ( 木 )<br />

7:3 0<br />

8:0 0<br />

第 1 会 場 第 2 会 場 第 3 会 場 第 4 会 場 第 5 会 場 第 6 会 場<br />

5F<br />

メインホール<br />

7:15~ 8:45<br />

教 育 セミナー2<br />

「 肝 切 除 をめぐって」<br />

司 会 : 矢 永 勝 彦<br />

兼 松 隆 之<br />

10F<br />

会 議 室 1001+1002<br />

10F<br />

会 議 室 1003<br />

12F<br />

特 別 会 議 場<br />

12F<br />

会 議 室 1202<br />

10F<br />

会 議 室 1008<br />

9:0 0<br />

10:0 0<br />

8:50~10:20<br />

シンポジウム1<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除<br />

術 : 系 統 的 切 除 か<br />

部 分 切 除 か<br />

司 会 : 具 英 成<br />

川 崎 誠 治<br />

特 別 発 言 : 嶋 田 紘<br />

8:50~10:20<br />

シンポジウム2<br />

肝 門 部 胆 管 癌 の 切 除 方<br />

法 : 脈 管 合 併 切 除 と<br />

アプローチ<br />

司 会 : 塚 田 一 博<br />

海 野 倫 明<br />

特 別 発 言 : 二 村 雄 次<br />

8:50~10:20<br />

シンポジウム3<br />

“Borderlineresectable”<br />

膵 癌 をどうするか<br />

(neoadjuvant,adjuvant,<br />

one-stepsurgery)<br />

司 会 : 伊 佐 地 秀 司<br />

太 田 哲 生<br />

特 別 発 言 : 永 川 宅 和<br />

8:50~10:20<br />

シンポジウム4<br />

内 視 鏡 外 科 の 進 展 ・<br />

ロボット 手 術<br />

司 会 : 金 子 弘 真<br />

橋 爪 誠<br />

特 別 発 言 : 加 納 宣 康<br />

11:0 0<br />

12:0 0<br />

10:20~11:10<br />

プレナリーセッション<br />

司 会 : 窪 田 敬 一<br />

山 上 裕 機<br />

ディスカッサント: 田 中 真 二<br />

北 川 裕 久<br />

大 東 弘 明<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム6<br />

この 症 例 をどうするか1<br />

肝 ・ 胆<br />

司 会 : 林 道 廣<br />

松 田 政 徳<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム7<br />

この 症 例 をどうするか2<br />

胆 ・ 膵<br />

司 会 : 大 塚 将 之<br />

谷 眞 至<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム8<br />

膵 2<br />

膵 尾 側 切 除<br />

司 会 : 小 山 勇<br />

武 田 和 憲<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム9<br />

肝 2<br />

転 移 性 肝 癌<br />

司 会 : 田 中 邦 哉<br />

山 口 真 彦<br />

11:10~12:10<br />

クリニカル<br />

ワークショップ<br />

司 会 : 花 崎 和 弘<br />

宮 澤 光 男<br />

11:10~12:10<br />

リサーチ<br />

ワークショップ<br />

司 会 : 嶋 田 裕<br />

藤 原 俊 義<br />

13:0 0<br />

12:20~13:10<br />

12:20~13:10<br />

ランチョンセミナー4<br />

肝 切 除 支 援 ナビゲーションの 最 先 端<br />

司 会 : 幕 内 雅 敏<br />

演 者 : 高 本 健 史 、 花 岡 潤<br />

共 催 : 富 士 フイルムメディカル㈱<br />

ランチョンセミナー5<br />

肝 切 除 手 技 の 工 夫 と 安 全 性 の 追 求<br />

司 会 : 門 田 守 人<br />

演 者 : 武 冨 紹 信<br />

共 催 :CSLベーリング㈱<br />

12:20~13:10<br />

ランチョンセミナー6<br />

膵 液 瘻 、 胆 汁 瘻 と 真 正 面 から 向 き 合 って<br />

いく ~ 術 中 pits&fallsと 周 術 期 管 理 ~<br />

司 会 : 千 々 岩 一 男<br />

演 者 : 元 井 冬 彦 、 久 保 正 二<br />

共 催 :ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱<br />

12:20~13:10<br />

特 別 企 画 ランチョンセミナー7<br />

新 しく 改 訂 された 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎<br />

の 診 療 ガイドライン2013について<br />

司 会 : 炭 山 嘉 伸<br />

演 者 : 高 田 忠 敬<br />

共 催 : 塩 野 義 製 薬 ㈱<br />

12:20~13:10<br />

12:20~13:10<br />

ランチョンセミナー8<br />

再 発 を 見 据 えた 長 期 戦 略 にもとづく 肝 切 除<br />

司 会 : 高 山 忠 利<br />

演 者 : 長 谷 川 潔<br />

共 催 : 科 研 製 薬 ㈱<br />

ランチョンセミナー9<br />

肝 移 植 の 周 術 期 管 理 の 重 要 性<br />

司 会 : 上 本 伸 二<br />

演 者 : 吉 田 龍 一 、 田 邉 稔<br />

共 催 : 大 塚 製 薬 ㈱<br />

14:0 0<br />

15:0 0<br />

14:00~15:40<br />

国 際 ビデオシンポジウム1<br />

各 領 域 高 難 度 手 術 の<br />

StateoftheArt 「 肝 」<br />

司 会 : 上 本 伸 二<br />

國 土 典 宏<br />

基 調 講 演 1:<br />

JacquesBelghiti<br />

【Eng】 14:00~15:40<br />

国 際 ビデオシンポジウム2<br />

各 領 域 高 難 度 手 術 の<br />

StateoftheArt 「 胆 」<br />

司 会 : 宮 崎 勝<br />

梛 野 正 人<br />

基 調 講 演 2:<br />

Sung-GyuLee<br />

【Eng】 14:00~15:40<br />

国 際 ビデオシンポジウム3<br />

各 領 域 高 難 度 手 術 の<br />

StateoftheArt 「 膵 」<br />

司 会 : 田 中 雅 夫<br />

川 原 田 嘉 文<br />

基 調 講 演 3:<br />

L.WilliamTraverso<br />

基 調 講 演 4:<br />

Sun-WheKim<br />

【Eng】 14:00~15:40<br />

【Eng】<br />

国 際 ビデオシンポジウム4<br />

各 領 域 高 難 度 手 術 の<br />

StateoftheArt <br />

「 内 視 鏡 外 科 」<br />

司 会 : 浅 野 武 秀<br />

若 林 剛<br />

基 調 講 演 5:<br />

DanielCherqui<br />

基 調 講 演 6:<br />

JiahongDong<br />

16:0 0<br />

17:0 0<br />

16:05~16:35<br />

会 長 講 演<br />

司 会 : 岡 本 英 三<br />

16:35~17:05<br />

理 事 長 講 演<br />

司 会 : 齋 藤 洋 一<br />

17:05~19:05<br />

15:50~16:05 名 誉 会 員 授 与 式<br />

18:0 0<br />

高 度 技 能 専 門 医 認 定 式<br />

社 員 総 会<br />

19:0 0<br />

20:0 0<br />

【Eng】…… 英 語 セッション<br />

-20-


第 7 会 場 第 8 会 場 第 9 会 場 ポスター 会 場 1 ポスター 会 場 2 ポスター 会 場 3<br />

11F<br />

8F<br />

8F<br />

5F<br />

10F<br />

12F<br />

会 議 室 1101+2<br />

会 議 室 801<br />

会 議 室 802<br />

小 ホール<br />

会 議 室 1004~7+1009<br />

ホワイエ<br />

7:0 0 ~ 9:3 0<br />

ポスター 貼 付<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム10<br />

肝 3<br />

肝 予 備 能<br />

司 会 : 海 道 利 実<br />

田 中 真 二<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム11<br />

胆 3<br />

PVE<br />

司 会 : 江 口 晋<br />

神 山 俊 哉<br />

11:10~12:10<br />

ミニシンポジウム12<br />

膵 3<br />

膵 嚢 胞 腫 瘍<br />

司 会 : 内 田 英 二<br />

平 井 一 郎<br />

13:10~13:55<br />

ポスターセッション<br />

P38~P51<br />

13:10~13:55<br />

ポスターセッション<br />

P52~P69<br />

13:10~13:55<br />

ポスターセッション<br />

P70~P75<br />

17:30~18:30<br />

ポスター 撤 去<br />

-21-


タイムテーブル 第 3 日 目 6 月 1 日 ( 金 )<br />

7:3 0<br />

8:0 0<br />

第 1 会 場 第 2 会 場 第 3 会 場 第 4 会 場 第 5 会 場 第 6 会 場<br />

5F<br />

メインホール<br />

7:30~ 9:00<br />

教 育 セミナー3<br />

「 胆 膵 領 域 の 発 生 からみ<br />

た 局 所 解 剖 ・ 合 理 的 手 術 」<br />

司 会 : 安 藤 久 實<br />

平 田 公 一<br />

10F<br />

会 議 室 1001+1002<br />

10F<br />

会 議 室 1003<br />

12F<br />

特 別 会 議 場<br />

12F<br />

会 議 室 1202<br />

10F<br />

会 議 室 1008<br />

9:0 0<br />

10:0 0<br />

11:0 0<br />

9:05~10:35<br />

パネルディスカッション1<br />

肝<br />

肝 切 除 における 残 肝 体 積<br />

と 予 備 能 のコンセンサス<br />

再 考<br />

司 会 : 有 井 滋 樹<br />

權 雅 憲<br />

特 別 発 言 : 高 崎 健<br />

10:35~11:35<br />

パネルディスカッション5<br />

この 症 例 をどうするか 「 肝 」<br />

司 会 : 佐 々 木 洋<br />

佐 野 圭 二<br />

ディスカッサント: 永 野 浩 昭<br />

神 山 俊 哉<br />

9:05~10:35<br />

パネルディスカッション2<br />

胆<br />

症 例 からみた 胆 嚢 癌 術 式<br />

選 択<br />

司 会 : 島 津 元 秀<br />

千 々 岩 一 男<br />

特 別 発 言 : 中 山 和 道<br />

10:35~11:35<br />

パネルディスカッション6<br />

この 症 例 をどうするか 「 胆 」<br />

司 会 : 堀 口 明 彦<br />

袴 田 健 一<br />

ディスカッサント: 寺 嶋 宏 明<br />

味 木 徹 夫<br />

9:05~10:35<br />

パネルディスカッション3<br />

膵<br />

膵 嚢 胞 性 腫 瘍 の 治 療 戦 略<br />

司 会 : 木 村 理<br />

山 口 幸 二<br />

特 別 発 言 : 岡 正 朗<br />

10:35~11:35<br />

パネルディスカッション7<br />

この 症 例 をどうするか 「 膵 」<br />

司 会 : 村 上 義 昭<br />

土 井 隆 一 郎<br />

ディスカッサント: 江 川 新 一<br />

松 井 淳 一<br />

9:05~10:35<br />

パネルディスカッション4<br />

術 中 の 想 定 外 の 血 管 ・ 胆<br />

管 損 傷 にどう 対 処 するか<br />

司 会 : 野 浪 敏 明<br />

久 保 正 二<br />

特 別 発 言 : 山 中 若 樹<br />

10:35~11:35<br />

第 3 回 高 度 技 能 専 門 医 修 練 者 ビデオクリニック<br />

司 会 : 宮 川 眞 一<br />

大 東 弘 明<br />

ディスカッサント: 佐 藤 好 信<br />

島 田 和 明<br />

田 邉 稔<br />

10:35~11:35<br />

パネルディスカッション8<br />

この 症 例 をどうするか 「 内 視 鏡 外 科 」<br />

司 会 : 中 村 雅 史<br />

針 原 康<br />

ディスカッサント: 本 田 五 郎<br />

新 田 浩 幸<br />

12:0 0<br />

13:0 0<br />

14:0 0<br />

15:0 0<br />

16:0 0<br />

17:0 0<br />

12:45~13:35<br />

ランチョンセミナー10<br />

外 科 の 視 点 からの 膵 癌 化 学 療 法 <br />

~GS 療 法 に 焦 点 を 当 てて~<br />

司 会 : 田 中 雅 夫<br />

演 者 : 柳 本 泰 明<br />

共 催 : 大 鵬 薬 品 工 業 ㈱<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ6<br />

膵 3 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

司 会 : 伊 藤 壽 記 、 山 崎 将 人<br />

14:25~15:35<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科<br />

重 点 セミナー1<br />

「 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 学 ぶ」<br />

司 会 : 大 坪 毅 人<br />

金 子 弘 真<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ7<br />

肝 3 肝 切 除 1<br />

司 会 : 調 憲 、 波 多 野 悦 朗<br />

14:25~15:10<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー3<br />

「 膵 切 除 debate 開 腹 vs 腹 腔 鏡 」<br />

司 会 : 高 尾 尊 身 、 佐 田 尚 宏<br />

15:40~16:50<br />

15:40~16:25<br />

特 別 企 画 3<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー4<br />

「 肝 切 除 debate 開 腹 vs 腹 腔 鏡 」<br />

重 点 セミナー2 司 会 : 針 原 康 、 猪 飼 伊 和 夫<br />

「 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 を 学 ぶ」<br />

司 会 : 浅 野 武 秀<br />

吉 田 寛<br />

16:50~17:00 閉 会 式<br />

12:45~13:35<br />

ランチョンセミナー11<br />

肝 胆 膵 癌 治 療 の 新 しい 展 開<br />

司 会 : 伊 佐 地 秀 司<br />

演 者 : 海 野 倫 明<br />

共 催 : 中 外 製 薬 ㈱<br />

12:45~13:35<br />

ランチョンセミナー12<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 ~ 安 全 な 普 及 を 目 指 して~<br />

司 会 : 矢 永 勝 彦<br />

演 者 : 若 林 剛 、 金 子 真 弘<br />

共 催 :ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ8<br />

肝 4 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

司 会 : 串 畑 史 樹 、 高 原 武 志<br />

14:25~16:50<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科<br />

重 点 セミナー5<br />

「 肝 膵 内 視 鏡<br />

外 科 手 術 のコツ」<br />

司 会 : 若 林 剛<br />

高 折 恭 一<br />

12:45~13:35<br />

ランチョンセミナー13<br />

肝 切 除 術 の 工 夫<br />

司 会 : 宮 崎 勝<br />

演 者 : 山 本 雅 一 、 國 土 典 宏<br />

共 催 :コヴィディエン ジャパン㈱<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ9<br />

膵 4 膵 切 除<br />

司 会 : 初 瀬 一 夫 、 三 浦 文 彦<br />

14:25~15:05<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー6<br />

「 胆 嚢 と 総 胆 管 の 内 視 鏡 外 科 1」<br />

司 会 : 徳 村 弘 実 、 野 家 環<br />

15:05~15:55<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー7<br />

「 胆 嚢 と 総 胆 管 の 内 視 鏡 外 科 2」<br />

司 会 : 大 橋 秀 一 、 片 山 寛 次<br />

15:55~16:50<br />

特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー8<br />

「 胆 嚢 と 総 胆 管 の 内 視 鏡 外 科 3」<br />

司 会 : 谷 口 英 治 、 森 俊 幸<br />

12:45~13:35<br />

12:45~13:35<br />

ランチョンセミナー14<br />

大 腸 癌 肝 転 移 治 療 におけるパラダイムシフト<br />

司 会 : 前 原 喜 彦<br />

演 者 : 齋 浦 明 夫<br />

共 催 :メルクセローノ㈱/ブリストル・マイヤーズ㈱<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ10<br />

肝 5 肝 移 植<br />

司 会 : 江 川 裕 人 、 安 田 是 和<br />

14:30~16:20<br />

市 民 公 開 講 座<br />

肝 臓 がん<br />

ランチョンセミナー15<br />

NewLeader 達 はこう 考 える~ 安 全 ・ 標<br />

準 化 を 目 指 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ~<br />

司 会 : 太 田 哲 生<br />

演 者 : 中 村 慶 春 、 倉 田 昌 直<br />

共 催 :ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ11<br />

肝 6 肝 切 除 2<br />

司 会 : 近 藤 千 博 、 八 木 孝 仁<br />

18:0 0<br />

19:0 0<br />

20:0 0<br />

-22-


第 7 会 場 第 8 会 場 第 9 会 場 ポスター 会 場 1 ポスター 会 場 2 ポスター 会 場 3<br />

11F<br />

8F<br />

8F<br />

5F<br />

10F<br />

12F<br />

会 議 室 1101+2<br />

会 議 室 801<br />

会 議 室 802<br />

小 ホール<br />

会 議 室 1004~7+1009<br />

ホワイエ<br />

7:0 0 ~ 9:3 0<br />

ポスター 貼 付<br />

11:40~12:40<br />

ポスターセッション<br />

P76~P90<br />

11:40~12:40<br />

ポスターセッション<br />

P91~P108<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ12<br />

総 合 1 肝 胆 膵 手 術<br />

司 会 : 太 田 岳 洋 、 海 堀 昌 樹<br />

13:45~14:25<br />

13:45~14:25<br />

ミニビデオワークショップ13<br />

胆 2 胆 石 ・ 胆 嚢 炎 1<br />

司 会 : 上 田 順 彦 、 高 畑 俊 一<br />

ミニビデオワークショップ14<br />

胆 3 胆 石 ・ 胆 嚢 炎 2<br />

司 会 : 塚 本 忠 司 、 吉 田 雅 博<br />

16:00~17:00<br />

ポスター 撤 去<br />

-23-


ポスターセッション<br />

タイムテーブル<br />

第 1 日 目<br />

5 月 30 日 ( 水 ) 発 表 14:15-15:00<br />

会 場 NO セッション 名 座 長<br />

ポ<br />

ス<br />

タ<br />

ー<br />

会<br />

場<br />

1<br />

(<br />

5<br />

F<br />

)<br />

ポ<br />

ス<br />

タ<br />

ー<br />

会<br />

場<br />

2<br />

(<br />

10F<br />

)<br />

P1 肝 臓 肝 癌 切 除 1 木 戸 正 浩 神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

P2 肝 臓 肝 癌 症 例 1 遠 山 洋 一 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 柏 病 院 外 科<br />

P3 肝 臓 肝 癌 肝 外 転 移 飯 田 洋 也 明 和 病 院 外 科<br />

P4 肝 臓 肝 予 備 能 落 合 登 志 哉 京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

P5 肝 臓 術 後 合 併 症 1 今 村 宏 順 天 堂 大 学 医 学 部 肝 胆 膵 外 科<br />

P6 肝 臓 術 後 合 併 症 2 田 浦 康 二 朗 京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

P7 肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 1 高 済 峯 奈 良 県 立 奈 良 病 院 外 科<br />

P8 肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 2 守 瀬 善 一 藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 会 病 院 外 科<br />

P9 肝 臓 転 移 性 肝 癌 補 助 療 法 森 本 芳 和 大 阪 厚 生 年 金 病 院 外 科<br />

P10 肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 1 山 田 靖 哉 大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科<br />

P11 肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 2 富 永 正 寛 兵 庫 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

P12 肝 臓 外 傷 ・ 門 脈 来 見 良 誠 滋 賀 医 科 大 学 総 合 外 科 学<br />

P13 胆 道 癌 補 助 療 法 柳 澤 暁 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 柏 病 院 外 科<br />

P14 胆 道 胆 嚢 癌 1 櫻 井 直 樹 山 形 県 立 中 央 病 院 外 科<br />

P15 胆 道 胆 嚢 癌 2 田 中 宏 医 療 法 人 橘 会 … 東 住 吉 森 本 病 院 外 科<br />

P16 胆 道 乳 頭 部 癌 ・NET 澤 田 鉄 二 大 阪 掖 済 会 病 院 消 化 器 外 科<br />

P17 胆 道 胆 管 良 性 山 内 靖 福 岡 大 学 消 化 器 外 科 学<br />

P18 胆 道 良 性 板 倉 淳 山 梨 大 学 附 属 病 院 消 化 器 外 科<br />

P19 膵 臓 膵 癌 補 助 療 法 1 高 森 啓 史 社 会 福 祉 法 人 … 恩 賜 財 団 … 済 生 会 熊 本 病 院<br />

P20 膵 臓 膵 癌 補 助 療 法 2 種 村 匡 弘 国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター・ 中 国 がんセンター 外 科<br />

P21 膵 臓 膵 癌 補 助 療 法 3 江 口 英 利 大 阪 大 学 消 化 器 外 科<br />

P22 膵 臓 手 術 と 膵 機 能 金 光 敬 一 郎 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 … 熊 本 南 病 院<br />

P23 膵 臓 膵 手 術 再 建 1 松 本 逸 平 神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

P24 膵 臓 膵 手 術 再 建 2 蓮 池 康 徳 西 宮 渡 辺 病 院 外 科<br />

P25 膵 臓 膵 手 術 合 併 症 1 髙 橋 秀 典 大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

P26 膵 臓 膵 手 術 合 併 症 2 永 川 裕 一 東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 三 講 座<br />

P27 膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 1 鳥 正 幸 大 阪 警 察 病 院 外 科<br />

P28 膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 2 粕 谷 和 彦 東 京 医 科 大 学 病 院 消 化 器 外 科<br />

P29 膵 臓 その 他 の 腫 瘍 小 澤 文 明 埼 玉 医 科 大 学 総 合 医 療 センター<br />

P30 膵 臓 合 併 症 と 膵 手 術 1 下 田 貢 獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

P31 膵 臓 合 併 症 と 膵 手 術 2 隈 元 雄 介 北 里 大 学 医 学 部 外 科<br />

P32 膵 臓 高 齢 者 に 対 する 膵 手 術 廣 野 誠 子 和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科<br />

ポ<br />

ス P33 膵 臓 膵 炎 1 安 田 武 生 近 畿 大 学 医 学 部 外 科<br />

タ<br />

ー P34 膵 ・ 十 二 指 腸 症 例 藤 本 康 二 医 療 法 人 社 団 … 神 鋼 会 … 神 鋼 病 院<br />

会<br />

場 P35 脾 ・ 血 管 症 例 川 中 博 文 福 岡 市 民 病 院<br />

3<br />

(<br />

P36 鏡 視 下 手 術 胆 道 合 併 症 山 崎 将 人 帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター<br />

12F<br />

) P37 鏡 視 下 手 術 胆 嚢 炎 その 他 金 丸 太 一 セコム 医 療 システム 株 式 会 社<br />

-24-


第 2 日 目<br />

5 月 31 日 ( 木 ) 発 表 13:10-13:55<br />

会 場 NO セッション 名 座 長<br />

ポ<br />

ス<br />

タ<br />

ー<br />

会<br />

場<br />

1<br />

(<br />

5<br />

F<br />

)<br />

ポ<br />

ス<br />

タ<br />

ー<br />

会<br />

場<br />

2<br />

(<br />

10F<br />

)<br />

P38 肝 臓 肝 癌 切 除 2 宇 都 宮 徹 徳 島 大 学 消 化 器 ・ 移 植 外 科 学<br />

P39 肝 臓 肝 癌 診 断 堂 野 恵 三 市 立 豊 中 病 院<br />

P40 肝 臓 肝 癌 症 例 2 堀 内 彦 之 久 留 米 大 学 医 学 部 外 科<br />

P41 肝 臓 肝 癌 化 学 療 法 水 口 徹 札 幌 医 科 大 学 外 科 学 第 1 講 座<br />

P42 肝 臓 肝 癌 周 術 期 管 理 高 村 博 之 金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科<br />

P43 肝 臓 肝 腫 瘍 脈 管 侵 襲 吉 留 博 之 千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科<br />

P44 肝 臓 ICC 切 除 成 績 上 野 真 一 鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 ・ 消 化 器 外 科<br />

P45 肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 3 金 沢 景 繁 大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

P46 肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 4 春 日 井 尚 昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

P47 肝 臓 転 移 性 肝 癌 1 伊 藤 博 深 谷 赤 十 字 病 院<br />

P48 肝 臓 転 移 性 肝 癌 2 塩 見 尚 礼 滋 賀 医 科 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 一 般 外 科<br />

P49 肝 臓 転 移 性 肝 癌 3 清 水 康 一 富 山 県 立 中 央 病 院<br />

P50 肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 3 貝 沼 修 千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

P51 肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 4 新 田 隆 士 藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科<br />

P52 肝 臓 その 他 1 石 原 慎 藤 田 保 健 衛 生 大 学 統 合 外 科<br />

P53 肝 臓 その 他 2 髙 見 裕 子 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

P54 肝 胆 膵 研 究 打 波 宇 秋 田 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科<br />

P55 胆 道 胆 管 癌 1 岡 本 友 好 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 第 三 病 院 外 科<br />

P56 胆 道 胆 管 癌 2 黒 崎 功 新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

P57 胆 道 胆 管 癌 3 塩 澤 俊 一 東 京 女 子 医 科 大 学 東 医 療 センター<br />

P58 胆 道 胆 嚢 癌 3 ・ 胆 嚢 炎 山 本 為 義 市 立 堺 病 院 外 科<br />

P59 胆 道 乳 頭 部 癌 北 順 二 獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

P60 胆 道 粘 液 産 生 腫 瘍 1 近 藤 匡<br />

筑 波 大 学 附 属 病 院 水 戸 地 域 医 療 教 育 センター・<br />

水 戸 協 同 病 院 総 合 診 療 部 消 化 器 科<br />

P61 胆 道 胆 嚢 良 性 山 﨑 純 也 宝 塚 市 立 病 院 外 科<br />

P62 胆 道 炎 症 ・その 他 星 野 高 伸 メディカルコート 八 戸 西 病 院<br />

P63 膵 臓 膵 手 術 DP-CAR 元 井 冬 彦 東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

P64 膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 3 小 西 大 国 立 がん 研 究 センター 東 病 院<br />

P65 膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 4 上 村 健 一 郎 広 島 大 学 病 態 制 御 外 科<br />

P66 膵 臓 NET 1 小 山 田 尚 国 立 病 院 機 構 水 戸 医 療 センター 外 科<br />

P67 膵 臓 NET 2 安 保 義 恭 手 稲 渓 仁 会 病 院 … 外 科<br />

P68 膵 臓 鏡 視 下 手 術 橋 本 雅 司 虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科<br />

P69 膵 臓 膵 炎 2 松 本 譲 北 海 道 大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 学 分 野 …II<br />

ポ<br />

ス P70 膵 臓 手 術 合 併 症 1 新 地 洋 之 鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野<br />

12F P74 膵 臓 症 例 2 中 村 隆 司 東 北 厚 生 年 金 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

)<br />

P75 内 視 鏡 外 科 胆 嚢 ・ 総 胆 管 内 田 信 治 久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科<br />

ー<br />

タ<br />

P71 膵 臓 手 術 合 併 症 2 黒 木 保 外 科<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器<br />

会<br />

場<br />

P72 膵 臓 手 術 合 併 症 3 岡 野 圭 一 香 川 大 学 消 化 器 外 科<br />

3<br />

( P73 膵 臓 症 例 1 浅 井 浩 司 東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 外 科<br />

-25-


第 3 日 目<br />

6 月 1 日 ( 金 ) 発 表 11:40-12:40<br />

会 場 NO セッション 名 座 長<br />

ポ<br />

ス<br />

タ<br />

ー<br />

会<br />

場<br />

1<br />

(<br />

5<br />

F<br />

)<br />

ポ<br />

ス<br />

タ<br />

ー<br />

会<br />

場<br />

2<br />

(<br />

10F<br />

)<br />

P76 肝 臓 肝 癌 予 後 因 子 上 西 崇 弘 石 切 生 喜 病 院 外 科 / 消 化 器 外 科<br />

P77 肝 臓 肝 癌 高 齢 ・ 若 年 相 原 司 明 和 病 院 外 科<br />

P78 肝 臓 肝 良 性 腫 瘍 中 居 卓 也 近 畿 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

P79 肝 臓 肝 癌 再 発 治 療 有 泉 俊 一 東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

P80 肝 臓 巨 大 肝 癌 ・ 破 裂 山 崎 修 十 三 市 民 病 院 外 科<br />

P81 肝 臓 ICC 症 例 佐 藤 四 三 姫 路 赤 十 字 病 院 外 科<br />

P82 肝 臓 転 移 性 肝 癌 4 藪 下 和 久 高 岡 市 民 病 院 外 科<br />

P83 肝 臓 転 移 性 肝 癌 5 松 井 陽 一 関 西 医 科 大 学 附 属 枚 方 病 院 … 消 化 器 外 科<br />

P84 肝 臓 転 移 性 肝 癌 ・その 他 岡 本 好 司 北 九 州 市 立 八 幡 病 院 消 化 器 ・ 肝 臓 病 センター 外 科<br />

P85 肝 臓 移 植 1 貝 原 聡 神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院<br />

P86 肝 臓 移 植 2 田 代 裕 尊 広 島 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科<br />

P87 胆 道 胆 嚢 癌 4 妙 中 直 之 住 友 病 院 外 科<br />

P88 胆 道 粘 液 産 生 腫 瘍 2 池 松 禎 人 浜 松 医 療 センター 外 科<br />

P89 胆 道 胆 管 炎 ・その 他 滝 吉 郎 関 西 電 力 病 院 外 科<br />

P90 胆 道 診 断 その 他 森 本 修 邦 市 立 池 田 病 院 外 科<br />

P91 胆 道 手 術 合 併 症 ・その 他 高 槻 光 寿 長 崎 大 学 移 植 ・ 消 化 器 外 科<br />

P92 膵 臓 膵 癌 術 前 治 療 庄 雅 之 奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

P93 膵 臓 膵 癌 早 期 膵 癌 その 他 北 川 透 医 療 法 人 協 和 会 協 立 病 院<br />

P94 膵 臓 膵 癌 診 断 飛 田 浩 輔 東 海 大 学 八 王 子 病 院 外 科<br />

P95 膵 臓 特 殊 な 膵 癌 川 口 義 弥 京 都 大 学 iPS 細 胞 研 究 所 臨 床 応 用 研 究 部 門<br />

P96 膵 臓 膵 癌 全 般 石 川 原 近 畿 大 学 医 学 部 付 属 病 院 外 科<br />

P97 膵 臓 NET 3 相 本 隆 幸 日 本 医 科 大 学 外 科<br />

P98 膵 臓 低 侵 襲 手 術 武 田 裕 関 西 労 災 病 院 外 科<br />

P99 膵 臓 外 傷 前 川 博 順 天 堂 大 学 静 岡 病 院<br />

P100 膵 臓 手 術 術 後 出 血 和 田 慶 太 帝 京 大 学 外 科<br />

P101 膵 臓 手 術 尾 側 膵 切 除 長 田 真 二 岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科<br />

P102 膵 臓 手 術 ・ 管 理 ・パス 柳 本 泰 明 関 西 医 科 大 学 附 属 枚 方 病 院 外 科<br />

P103 膵 臓 手 術 ・ 症 例 木 村 康 利 札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

P104 膵 臓 症 例 3 小 野 山 裕 彦 音 羽 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

P105 肝 胆 膵 教 育 ・ 安 全 藤 川 貴 久 小 倉 記 念 病 院 外 科<br />

P106 内 視 鏡 外 科 胆 嚢 ・ 単 孔 式 飯 田 敦 福 井 大 学 第 一 外 科<br />

P107 内 視 鏡 外 科 胆 嚢 ・ 総 胆 管 ・その 他 梅 澤 昭 子 四 谷 メディカルキューブ<br />

P108 内 視 鏡 外 科 胆 嚢 その 他 豊 田 真 之 帝 京 大 学 外 科<br />

-26-


プログラム<br />

■Keynote Lecture<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40 [ 第 1 会 場 ]<br />

KL1 Liver Resection for Tumors<br />

Jacques…Belghiti…(University…Denis…Diderot)<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40 [ 第 2 会 場 ]<br />

KL2 Left Hepatic Trisectionectomy with Simultaneous Resection of Portal vein and Hepatic Artery<br />

for Advanced Perihilar Cholangiocarcinoma<br />

Sung-Gyu…Lee…(Hepato-Biliary…Surgery…and…Liver…Transplantation,…Asan…Medical…Center,…Ulsan…University,…Seoul,…Korea)<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40 [ 第 3 会 場 ]<br />

KL3 Assessing the Quality of Pancreaticoduodenectomy with Global Metrics – An International<br />

Consensus for Cooperative Commitment<br />

KL4 Current Status of Pancreatic Surgery in Korea<br />

L.…William…Traverso…(St…Luke’s…Center…for…Pancreatic…Disease,…Boise,…Idaho,…USA)<br />

Sun-Whe…Kim…(Department…of…Surgery,…Seoul…National…University…College…of…Medicine,…Seoul,…Korea)<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40[ 第 4 会 場 ]<br />

KL5 Laparoscopic liver surgery<br />

Daniel…Cherqui…(New…York…Presbyterian…Hospital-Weill…Cornell…Medical…Center,…USA)<br />

KL6 Robotic radical resection for hilar cholangiocarcinoma<br />

Jiahong…Dong…(Hospital…&…Institute…of…Hepatobiliary…Surgery,…Chinese…PLA…General…Hospital,…Beijing,…China)<br />

-27-


■ 理 事 長 講 演<br />

5 月 31 日 ( 木 )16:35~17:05[ 第 1 会 場 ]<br />

理 事 長 講 演<br />

司 会 : 齋 藤 洋 一 (… 大 阪 府 済 生 会 中 津 医 療 福 祉 センター)<br />

PA-1<br />

日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 の 歩 みと 将 来 像<br />

帝 京 大 学 医 学 部 名 誉 教 授<br />

高 田 忠 敬<br />

■ 会 長 講 演<br />

5 月 31 日 ( 木 )16:05~16:35[ 第 1 会 場 ]<br />

会 長 講 演<br />

司 会 : 岡 本 英 三 (… 尼 崎 中 央 病 院 )<br />

PL-1<br />

Liver Surgery Through Verification of Hypothesis<br />

Department…of…Surgery,…Hyogo…College…of…Medicine<br />

Jiro…Fujimoto<br />

■プレナリーセッション<br />

5 月 31 日 ( 木 )10:20~11:10[ 第 1 会 場 ]<br />

プレナリーセッション<br />

司 会 : 窪 田 敬 一 (… 獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

山 上 裕 機 (… 和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

ディスカッサント: 田 中 真 二 (… 東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 )<br />

北 川 裕 久 (… 金 沢 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

大 東 弘 明 (… 大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 )<br />

PS-1 大 腸 癌 肝 転 移 における 治 療 戦 略 - 遺 伝 子 変 異 情 報 を 基 盤 とした 治 療 戦 略 構 築 の 可 能 性 -<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 … 消 化 器 外 科<br />

楳 田 祐 三 ほか<br />

PS-2<br />

膵 管 ロストステントの 体 内 動 態 についての 検 討<br />

帝 京 大 学 外 科 門 脇 晋 ほか<br />

PS-3<br />

Full-dose Gemcitabine/Radiationによる 膵 癌 術 前 治 療 が 臨 床 経 過 に 及 ぼす 影 響<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 庄 雅 之 ほか<br />

■ 教 育 セミナー<br />

教 育 セミナー 1<br />

5 月 30 日 ( 水 )12:30~14:00[ 第 1 会 場 ]<br />

「 医 の 倫 理 」・「 肝 胆 膵 癌 の 手 術 を 取 り 巻 く 集 学 的 治 療 」<br />

司 会 : 青 木 達 哉 (… 東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 三 講 座 )<br />

跡 見 裕 (… 杏 林 大 学 )<br />

ES1-1-1<br />

医 の 倫 理<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 金 沢 医 療 センター 外 科 萱 原 正 都<br />

ES1-2-1<br />

肝 ・ 胆 道 ・ 膵 癌 の 化 学 療 法 ・ 分 子 標 的 治 療<br />

杏 林 大 学 腫 瘍 内 科 古 瀬 純 司<br />

ES1-2-2<br />

肝 癌 および 膵 癌 に 対 する 重 粒 子 線 の 現 状 と 展 望<br />

放 射 線 医 学 総 合 研 究 序 重 粒 子 医 科 学 センター 病 院 山 田 滋 ほか<br />

ES1-2-3<br />

膵 臓 がんの 集 学 的 治 療<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院<br />

小 菅 智 男<br />

-28-


教 育 セミナー 2<br />

5 月 31 日 ( 木 )7:15~8:45[ 第 1 会 場 ]<br />

「 肝 切 除 をめぐって」<br />

司 会 : 矢 永 勝 彦 (… 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 )<br />

兼 松 隆 之 (… 長 崎 市 病 院 局 病 院 事 業 管 理 者 )<br />

ES2-1<br />

ES2-2<br />

歴 史 と 術 式 の 開 拓 ・ 変 遷<br />

硬 変 肝 の 切 除 と 肝 再 生<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 山 本 雅 一<br />

兵 庫 医 科 大 学 外 科 ・ 肝 胆 膵 外 科 飯 室 勇 二<br />

ES2-3 肝 門 板 の 局 所 解 剖 に 基 づく 肝 切 除<br />

教 育 セミナー 3<br />

6 月 1 日 ( 金 )7:30~9:00[ 第 1 会 場 ]<br />

「 胆 膵 領 域 の 発 生 からみた 局 所 解 剖 ・ 合 理 的 手 術 」<br />

司 会 : 安 藤 久 實 (… 名 古 屋 大 学 小 児 外 科 )<br />

平 田 公 一 (… 札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 )<br />

信 州 大 学 外 科 宮 川 眞 一<br />

ES3-1<br />

発 生 学 に 基 づいた 膵 ・ 胆 道 癌 の 進 展 経 路<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 太 田 哲 生<br />

ES3-2 局 所 解 剖 ・ 進 展 様 式 からみた 合 理 的 手 術 ( 膵 )<br />

山 形 大 学 医 学 部 外 科 学 第 一 講 座 ( 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 ・ 一 般 外 科 ) 木 村<br />

理<br />

ES3-3 局 所 解 剖 ・ 癌 進 展 様 式 からみた 合 理 的 手 術 ( 胆 道 )<br />

名 古 屋 大 学 外 科 梛 野 正 人<br />

■ 特 別 企 画<br />

特 別 企 画 1 - 1<br />

5 月 30 日 ( 水 )17:00~18:20 [ 第 1 会 場 ]<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 肝 ~」<br />

~ 英 語 版 「 肝 胆 膵 高 難 度 外 科 手 術 」 執 筆 者 によるビデオ 解 説 ~<br />

司 会 : 幕 内 雅 敏 (… 日 本 赤 十 字 社 医 療 センター)<br />

島 田 光 生 (… 徳 島 大 学 消 化 器 ・ 移 植 外 科 )<br />

SL1-1-1<br />

SL1-1-2<br />

前 方 アプローチによる 右 肝 切 除<br />

肝 区 域 切 除 術<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 学 片 桐 聡 ほか<br />

兵 庫 医 科 大 学 外 科 学 肝 胆 膵 外 科 山 中 潤 一 ほか<br />

SL1-1-3<br />

肝 中 央 2 区 域 切 除<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

矢 永 勝 彦<br />

SL1-1-4<br />

肝 尾 状 葉 切 除<br />

日 本 大 学 消 化 器 外 科 高 山 忠 利<br />

-29-


特 別 企 画 1 - 2<br />

5 月 30 日 ( 水 )17:00~18:20 [ 第 2 会 場 ]<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 胆 ~」<br />

~ 英 語 版 「 肝 胆 膵 高 難 度 外 科 手 術 」 執 筆 者 によるビデオ 解 説 ~<br />

司 会 : 門 田 守 人 (…がん 研 有 明 病 院 )<br />

宮 川 秀 一 (… 藤 田 保 健 衛 生 大 学 消 化 器 第 2 外 科 ( 胆 膵 外 科 ))<br />

SL1-2-1<br />

SL1-2-2<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 尾 状 葉 切 除 ・ 肝 外 胆 管 切 除 を 伴 う 左 側 肝 切 除<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 遠 藤 格<br />

Right-sided hepatectomy for perihilar cholangiocarcinoma<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 上 坂 克 彦<br />

SL1-2-3<br />

胆 嚢 癌 に 対 する 肝 S4aS5 切 除<br />

千 葉 大 学 大 学 院 臓 器 制 御 外 科 学<br />

清 水 宏 明 ほか<br />

SL1-2-4<br />

特 別 企 画 1 - 3<br />

胆 道 再 建<br />

5 月 30 日 ( 水 )17:00~18:20 [ 第 3 会 場 ]<br />

「 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際 ~ 膵 ~」<br />

~ 英 語 版 「 肝 胆 膵 高 難 度 外 科 手 術 」 執 筆 者 によるビデオ 解 説 ~<br />

司 会 : 今 泉 俊 秀 (… 東 海 大 学 医 学 部 付 属 東 京 病 院 外 科 )<br />

木 下 壽 文 (… 久 留 米 大 学 外 科 )<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 Ⅱ<br />

田 中 栄 一<br />

SL1-3-1<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 標 準 的 アプローチ 法<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 外 科 学 第 2 講 座<br />

山 上 裕 機<br />

SL1-3-2<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 時 の 消 化 管 再 建<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 羽 鳥 隆<br />

SL1-3-3<br />

血 管 浸 潤 例 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

帝 京 大 学 外 科<br />

天 野 穂 高 ほか<br />

SL1-3-4<br />

特 別 企 画 2<br />

膵 体 尾 部 切 除 術<br />

5 月 30 日 ( 水 )18:20~19:40[ 第 3 会 場 ]<br />

InternationalCollaborationProjectMeeting<br />

~JointwithKoreaasourfirststepofJHBPS~<br />

Chairpersons:…Tadahiro…Takada(…Japan…HBP…Surgery…Society)<br />

…<br />

Dong…Wook…Choi(…Korea…HBP…Surgery…Associasion(Samsung…Medical…Center))<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

江 川 新 一 ほか<br />

SL2-1<br />

SL2-2<br />

The current status and future direction of the research project by the Japanese Society<br />

of HBP Surgery<br />

Wakayama…Medical…University Hiroki…Yamaue<br />

Hepatic surgery projects by the Japanese Society of HBP Surgery<br />

Tokyo…Women’s…Medical…University Masakazu…Yamamoto<br />

SL2-3<br />

Biliary Surgery projects by the Japanese Society of HBP Surgery<br />

Toyota…Regional…Medical…Center<br />

Shuichi…Miyakawa<br />

-30-


SL2-4<br />

SL2-5<br />

Pancreatic Surgery Project by the Japanese Society of HBP Surgery<br />

Wakayama…Medical…University<br />

RCT in Korea in HBP field<br />

Department…of…Surgery…Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

Hiroki…Yamaue<br />

Sun-Whe…Kim<br />

SL2-6<br />

SL2-7<br />

SL2-8<br />

Research of IPMN in Korea<br />

Department…of…Surgery…Division…of…Hepatobiliary…and…Pancreatic…Surgery…Seoul…National…University…Hospital…<br />

Seoul…National…University…College…of…Medicine Jin-Young…Jang<br />

Future perspective of the collaboration project of Japanese and Korean Society of HBP<br />

Surgery<br />

Wakayama…Medical…University Hiroki…Yamaue<br />

Korea-Japan Collaboration Project of HBP Surgery Field (Opinion from Korea)<br />

Department…of…Surgery,…Ajou…University…School…of…Medicine,…Suwon,…Korea Hee…Jung…Wang<br />

Sponsored…by…TAIHO…PHARMACEUTICAL…CO.,…LTD.…<br />

共 催 : 大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 1<br />

6 月 1 日 ( 金 )14:25~15:35[ 第 1 会 場 ]<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 学 ぶ<br />

司 会 : 大 坪 毅 人 (… 聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 )<br />

金 子 弘 真 (… 東 邦 大 学 一 般 消 化 器 外 科 )<br />

SL3-1-1<br />

肝 解 剖<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科 趙 明 浩 ほか<br />

SL3-1-2 肝 エネルギーデバイス( 自 動 縫 合 器 の 使 用 法 も 含 む)<br />

九 州 大 学<br />

消 化 器 ・ 総 合 外 科 ( 第 二 外 科 ) 池 田 哲 夫 ほか<br />

SL3-1-3<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 基 本 的 手 技 とトラブルシューティング<br />

東 邦 大 学 外 科 大 塚 由 一 郎 ほか<br />

SL3-1-4 肝 教 育 ( 術 式 の 定 型 化 を 含 む)<br />

特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 2<br />

6 月 1 日 ( 金 )15:40~16:50[ 第 1 会 場 ]<br />

腹 腔 鏡 下 膵 切 除 を 学 ぶ<br />

司 会 : 浅 野 武 秀 (… 国 立 病 院 機 構 千 葉 東 病 院 )<br />

吉 田 寛 (… 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 消 化 器 外 科 )<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 佐 々 木 章 ほか<br />

SL3-2-1<br />

膵 解 剖<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 木 村 康 利 ほか<br />

SL3-2-2 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 における 自 動 縫 合 器 の 使 用 法 (エネルギーデバイスも 含 む)<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 三 澤 健 之 ほか<br />

SL3-2-3<br />

腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 手 術 手 技 : 開 腹 術 と 同 様 に 安 心 して 行 える 手 技 を 目 指 して<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 ( 消 化 器 外 科 ) 中 村 慶 春 ほか<br />

SL3-2-4 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 実 際 - 定 型 化 に 向 けて-<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター 田 中 淳 一 ほか<br />

-31-


特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 3<br />

6 月 1 日 ( 金 )14:25~15:10[ 第 2 会 場 ]<br />

膵 切 除 debate: 開 腹 vs 腹 腔 鏡<br />

司 会 : 高 尾 尊 身 (… 鹿 児 島 大 学 フロンティアサイエンス 研 究 推 進 センター 先 端 医 療 開 発 分 野 )<br />

佐 田 尚 宏 (… 自 治 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 )<br />

SL3-3-1<br />

SL3-3-2<br />

膵 切 除 における 腹 腔 鏡 下 手 術 と 開 腹 手 術 の 適 応<br />

ロボット 支 援 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 センター<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 胆 膵 外 科<br />

中 森 正 二 ほか<br />

堀 口 明 彦<br />

SL3-3-3<br />

開 腹 下 膵 切 除 の 現 状<br />

名 古 屋 大 学 消 化 器 外 科 竹 田 伸 ほか<br />

SL3-3-4 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 は 標 準 術 式 となるか<br />

特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 4<br />

6 月 1 日 ( 金 )15:40~16:25[ 第 2 会 場 ]<br />

肝 切 除 debate: 開 腹 vs 腹 腔 鏡<br />

司 会 : 針 原 康 (…NTT 東 日 本 関 東 病 院 外 科 )<br />

猪 飼 伊 和 夫 (… 国 立 病 院 機 構 京 都 医 療 センター 外 科 )<br />

川 崎 医 科 大 学<br />

中 村 雅 史 ほか<br />

SL3-4-1<br />

開 腹 肝 切 除 術 と 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 適 応 について<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 学 田 中 真 二 ほか<br />

SL3-4-2<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 會 病 院 一 般 消 化 器 外 科 学 講 座 守 瀬 善 一<br />

SL3-4-3<br />

開 腹 下 肝 切 除 の 立 場 から<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

長 谷 川 潔 ほか<br />

SL3-4-4 当 科 における 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 の 手 術 成 績<br />

特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 5<br />

6 月 1 日 ( 金 )14:25~16:50[ 第 3 会 場 ]<br />

肝 膵 内 視 鏡 外 科 手 術 のコツ<br />

司 会 : 若 林 剛 (… 岩 手 医 科 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 )<br />

高 折 恭 一 (… 京 都 大 学 外 科 )<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 新 田 浩 幸 ほか<br />

SL3-5-1<br />

Minimally Invasive Major Hepatectomy<br />

New…York…Presbyterian…Hospital-Weill…Cornell…Medical…Center,…USA<br />

Daniel…Cherqui<br />

SL3-5-2<br />

脾 臓 温 存 を 含 む 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 の 手 技<br />

大 分 大 学 第 一 外 科 太 田 正 之 ほか<br />

SL3-5-3<br />

内 視 鏡 下 肝 切 除 「minor hepatectomy」の 手 術 手 技 とコツ<br />

熊 本 大 学 消 化 器 癌 集 学 的 治 療 学 別 府 透 ほか<br />

SL3-5-4<br />

SL3-5-5<br />

Minor pancreatectomy<br />

lateral sectionectomy<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 松 本 逸 平<br />

慶 應 義 塾 大 学 外 科 板 野 理 ほか<br />

-32-


SL3-5-6<br />

Lap-PD<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科 趙 明 浩 ほか<br />

SL3-5-7<br />

Robotic-assistant laparascopic precision liver resection<br />

Hospital…&…Institute…of…Hepatobiliary…Surgery,…Chinese…PLA…General…Hospital<br />

Jiahong…Dong ほか<br />

SL3-5-8<br />

da Vinci PDのコツと 有 用 性 について<br />

特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 6<br />

6 月 1 日 ( 金 )14:25~15:05[ 第 4 会 場 ]<br />

胆 嚢 と 総 胆 管 の 内 視 鏡 外 科 1<br />

Lap-C:StateoftheArt 私 の 手 術 手 技 と 方 針<br />

司 会 : 徳 村 弘 実 (… 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 東 北 労 災 病 院 外 科 )<br />

野 家 環 (…NTT 東 日 本 関 東 病 院 外 科 )<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 消 化 器 外 科 伊 東 昌 広 ほか<br />

SL3-6-1<br />

SL3-6-2<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 安 全 に 施 行 するための 手 術 手 技<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 外 科 渡 邉 学 ほか<br />

SL3-6-3<br />

当 科 における 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 のう 摘 出 術 の 術 式 の 変 遷<br />

KKR 斗 南 病 院 外 科 北 城 秀 司 ほか<br />

SL3-6-4<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 術 式 の 工 夫 と 適 応 拡 大<br />

特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 7<br />

6 月 1 日 ( 金 )15:05~15:55[ 第 4 会 場 ]<br />

胆 嚢 と 総 胆 管 の 内 視 鏡 外 科 2<br />

Lap-Cのpitfallと 対 策<br />

司 会 : 大 橋 秀 一 (… 大 阪 中 央 病 院 外 科 )<br />

片 山 寛 次 (… 福 井 大 学 医 学 部 附 属 病 院 がん 診 療 推 進 センター)<br />

長 野 市 民 病 院 外 科 林 賢<br />

SL3-7-1<br />

当 院 におけるLap-Cの 術 中 胆 道 損 傷 の 経 験 と 教 訓<br />

川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科 浦 上 淳 ほか<br />

SL3-7-2<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 LCにおける 胆 道 損 傷 - 新 潟 内 視 鏡 外 科 研 究 会 による 多 施 設 実 態 調 査 成 績 と 単 施 設<br />

追 跡 調 査 -<br />

新 潟 市 民 病 院 消 化 器 外 科 横 山 直 行 ほか<br />

SL3-7-3<br />

SL3-7-4<br />

SL3-7-5<br />

Lap-Cにおける 術 中 胆 道 損 傷 症 例 の 検 討<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 時 の 胆 管 損 傷 の 検 討<br />

Lap-C 胆 道 損 傷 に 対 する 二 期 的 胆 道 再 建 症 例 の 検 討<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 谷 澤 武 久 ほか<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科 小 山 善 久 ほか<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学 高 屋 敷 吏 ほか<br />

SL3-7-6<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 中 胆 道 損 傷 例 の 特 徴 とその 対 処 に 関 する 検 討<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 上 野 公 彦 ほか<br />

最 新 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 -Needlescopic cholecystectomy & Single-incision laparoscopic<br />

cholecystectomy-<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科 多 賀 谷 信 美<br />

-33-


特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 8<br />

6 月 1 日 ( 金 )15:55~16:50[ 第 4 会 場 ]<br />

胆 嚢 と 総 胆 管 の 内 視 鏡 外 科 3<br />

鏡 視 下 総 胆 管 手 術<br />

司 会 : 谷 口 英 治 (… 健 保 連 大 阪 中 央 病 院 外 科 )<br />

森 俊 幸 (… 杏 林 大 学 外 科 )<br />

SL3-8-1<br />

総 胆 管 結 石 の 鏡 視 下 手 術<br />

市 立 函 館 病 院 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科 倉 内 宣 明 ほか<br />

SL3-8-2<br />

胆 嚢 総 胆 管 結 石 に 対 する 標 準 治 療 としての 腹 腔 鏡 下 総 胆 管 切 開 切 石 術 の 妥 当 性<br />

健 保 連 大 阪 中 央 病 院 外 科 谷 口 英 治<br />

SL3-8-3<br />

SL3-8-4<br />

Mirizzi 症 候 群 に 対 する 鏡 視 下 手 術 : 特 に 総 胆 管 の 対 処<br />

先 天 性 胆 道 拡 張 症 に 対 する 鏡 視 下 手 術<br />

京 都 大 学 大 学 院 消 化 管 外 科 川 田 洋 憲 ほか<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 水 口 義 昭 ほか<br />

SL3-8-5<br />

根 治 切 除 不 能 な 膵 頭 部 癌 ・ 十 二 指 腸 閉 塞 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 胆 管 空 腸 吻 合 術 ・ 胃 空 腸 吻 合 術<br />

滋 賀 県 立 成 人 病 センター 外 科 山 本 道 宏 ほか<br />

■ 国 際 ビデオシンポジウム<br />

International Video Symposium 1<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40[ 第 1 会 場 ]<br />

Highlyadvancedsurgeryinthehepatobiliaryandpancreaticfield(LiverSection)<br />

…Chairpersons:…Shinji…Uemoto(…Kyoto…University)<br />

…<br />

Norihiro…Kokudo(…Tokyo…University)<br />

…<br />

Jacques…Belghiti(…University…Denis…Diderot)<br />

KL1<br />

Liver Resection for Tumors<br />

Jacques…Belghiti…(University…Denis…Diderot)<br />

VS1-1<br />

Hepatectomy applying modified liver hanging maneuver<br />

Atsushi…Nanashima(Nagasaki…University)<br />

VS1-2<br />

VS1-3<br />

VS1-4<br />

VS1-5<br />

VS1-6<br />

Complete extrahepatic glissonean pedicle approach for isolated total caudate lobectomy<br />

Atsushi…Sugioka(Fujita…Health…University)<br />

Liver resection for advanced HCC with Vp4 PVTT using back flow perfusion (BFP)<br />

technique<br />

Takumi…Fukumoto(Kobe…University)<br />

Conversion surgical therapy combined with hepatic arterial infusion chemotherapy for<br />

initially unresectable advanced hepatocellular carcinoma with tumor thrombus in the<br />

inferior vena cava<br />

Etsuro…Hatano(Kyoto…University)<br />

Hybrid procedure of laparoscopic-assisted open liver resection through short upper<br />

midline laparotomy can be applied for all type of hepatectomy.<br />

Susumu…Eguchi(Nagasaki…University)<br />

Attempts to reduce incision length in living donor lateral segmentectomy and left<br />

hepatectomy for living donor liver transplantation<br />

Masahiro…Shinoda(Keio…University)<br />

Overall Summary: Masatoshi…Makuuchi(Japanese…Red…Cross…Medical…Center)<br />

-34-


International Video Symposium 2<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40[ 第 2 会 場 ]<br />

Highlyadvancedsurgeryinthehepatobiliaryandpancreaticfield(BiliarySection)<br />

…Chairpersons:…Masaru…Miyazaki(…Chiba…University)<br />

…<br />

Masato…Nagino(…Nagoya…University)<br />

…<br />

Sung…Gyu…Lee(…Hepato-Biliary…Surgery…and…Liver…Transplantation,…Asan…Medical…Center,…Ulsan…University,…Seoul,…<br />

Korea)<br />

KL2<br />

VS2-1<br />

VS2-2<br />

VS2-3<br />

VS2-4<br />

VS2-5<br />

Left Hepatic Trisectionectomy with Simultaneous Resection of Portal vein and Hepatic<br />

Artery for Advanced Perihilar Cholangiocarcinoma<br />

Sung-Gyu…Lee…(Hepato-Biliary…Surgery…and…Liver…Transplantation,…Asan…Medical…Center,…Ulsan…University,…Seoul,…Korea)<br />

Left hepatic trisectionectomy for hilar cholangiocarcinoma of the left-side predominance<br />

Hiroaki…Shimizu(Chiba…University)<br />

Left Trisectionectomy with Concomitant Vascular Resectionfor Perihilar<br />

Cholangiocarcinoma<br />

Tomoki…Ebata(Nagoya…University)<br />

Operative procedures for hilar cholangiocarcinoma:notable techniques for complete and<br />

safe resection<br />

Yu…Katayose(Tohoku…University)<br />

Hepatectomy with Arterial Resection and Reconstruction for Hilar Cholangiocarcinoma<br />

Hiroaki…Nagano(Osaka…University)<br />

No-touch and en bloc resection of hilar biliary malignancy in right-sided hepatectomy<br />

with preemptive portal reconstruction<br />

Joe…Matsumoto(Hokkaido…University)<br />

Overall Summary:…Yuji…Nimura(Aichi…Cancer…Center)<br />

International Video Symposium 3<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40[ 第 3 会 場 ]<br />

Highlyadvancedsurgeryinthehepatobiliaryandpancreaticfield(PancreasSection)<br />

…Chairpersons:…Masao…Tanaka(…Kyushu…University)<br />

…<br />

Yoshifumi…Kawarada(…Sawayaka…Clinic)<br />

…<br />

L.…William…Traverso(…St.Luke’s…Center…for…Pancreatic…Disease,…Boise,…Idaho,…USA)<br />

KL3<br />

KL4<br />

VS3-1<br />

VS3-2<br />

Assessing the Quality of Pancreaticoduodenectomy with Global Metrics – An<br />

International Consensus for Cooperative Commitment<br />

L.…William…Traverso…(St…Luke’s…Center…for…Pancreatic…Disease,…Boise,…Idaho,…USA)<br />

Current Status of Pancreatic Surgery in Korea<br />

Sun-Whe…Kim…(Department…of…Surgery,…Seoul…National…University…College…of…Medicine,…Seoul,…Korea)<br />

Pancreaticogastrostomy: a pancreas-transfixing method with duct-to-mucosa<br />

anastomisis<br />

Kosei…Maemura(Kagoshima…University)<br />

Complete total mesopancreatic excision including superior mesenteric artery and vein<br />

for locally advanced pancreatic head carcinomas<br />

Hirohisa…Kitagawa(Kanazawa…University)<br />

-35-


VS3-3<br />

VS3-4<br />

Mesenteric approach in the isolated pancreatoduodenectomy<br />

Akimasa…Nakao(Nagoya…Central…Hospital)<br />

Distal pancreatectomy with en bloc celiac axis resection (DP-CAR) for locally advanced<br />

pancreatic body cancer: Tips for achieving negative surgical margins<br />

Satoshi…Hirano(Hokkaido…University)<br />

Overall Summary:…Yoshifumi…Kawarada(Sawayaka…Clinic)<br />

International Video Symposium 4<br />

5 月 31 日 ( 木 )14:00~15:40[ 第 4 会 場 ]<br />

Highlyadvancedsurgeryinthehepatobiliaryandpancreaticfield(EndoscopicSurgery)<br />

…Chairpersons:…Takehide…Asano(…National…Hospital…Organization…Chiba-East-Hospital)<br />

…<br />

Go…Wakabayashi(…Iwate…Medical…University)<br />

KL5<br />

KL6<br />

VS4-1<br />

VS4-2<br />

Laparoscopic liver surgery<br />

Daniel…Cherqui…(New…York…Presbyterian…Hospital-Weill…Cornell…Medical…Center,…USA)<br />

Robotic radical resection for hilar cholangiocarcinoma<br />

Jiahong…Dong…(Hospital…&…Institute…of…Hepatobiliary…Surgery,…Chinese…PLA…General…Hospital,…Beijing,…China)<br />

Totally laparoscopic anatomical hepatectomy<br />

Goro…Honda(Tokyo…Metropolitan…Cancer…and…Infectious…diseases…Center…Komagome…Hospital)<br />

Robotic liver resection using da Vinci Surgical System-Fujita experience with 18 cases<br />

Yutaro…Kato(Fujita…health…University)<br />

VS4-3<br />

Laparoscopic major hepato-biliary-pancreatic surgery<br />

Akihiro…Cho(Chiba…Cancer…Center)<br />

VS4-4<br />

VS4-5<br />

Laparoscopic pancreatic resections: evolution of techniques for standardization<br />

Yoshiharu…Nakamura(Nippon…Medical…School)<br />

Surgical anatomy for advanced pancreatic resections by open, laparoscopic, and robotic<br />

approaches.<br />

Kyoichi…Takaori(Kyoto…University)<br />

■シンポジウム<br />

シンポジウム 1<br />

5 月 31 日 ( 木 )8:50~10:20[ 第 1 会 場 ]<br />

「 肝 胆 膵 領 域 の 外 科 治 療 :これまでの 到 達 点 、これからの 課 題 」<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 : 系 統 的 切 除 か 部 分 切 除 か<br />

司 会 : 具 英 成 (… 神 戸 大 学 大 学 院 肝 胆 膵 外 科 学 )<br />

川 崎 誠 治 (… 順 天 堂 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 嶋 田 紘 (… 労 働 者 健 康 福 祉 本 部 / 春 江 病 院 )<br />

SY1-1<br />

SY1-2<br />

小 型 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 術 の 術 後 長 期 成 績 の 検 討<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 分 野 I 武 冨 紹 信 ほか<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 切 除 vs 部 分 切 除 ― 再 発 部 位 からの 検 討 ―<br />

宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 近 藤 千 博 ほか<br />

SY1-3<br />

当 教 室 における 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 の 意 義<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 北 順 二 ほか<br />

-36-


SY1-4<br />

SY1-5<br />

当 科 における5cm 以 下 単 発 肝 細 胞 癌 の 切 除 成 績<br />

小 型 単 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 の 有 用 性<br />

広 島 赤 十 字 ・ 原 爆 病 院 外 科 辻 田 英 司 ほか<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 和 田 浩 志 ほか<br />

SY1-6<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 : 系 統 切 除 か 部 分 切 除 か― 術 後 再 発 形 式 からみた 術 式 の 選 択<br />

埼 玉 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科 網 倉 克 己 ほか<br />

SY1-7<br />

シンポジウム 2<br />

5cm 以 下 単 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 部 分 切 除 と 肝 亜 区 域 切 除<br />

5 月 31 日 ( 木 )8:50~10:20 [ 第 2 会 場 ]<br />

「 肝 胆 膵 領 域 の 外 科 治 療 :これまでの 到 達 点 、これからの 課 題 」<br />

肝 門 部 胆 管 癌 の 切 除 方 法 : 脈 管 合 併 切 除 とアプローチ<br />

司 会 : 塚 田 一 博 (… 富 山 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科 )<br />

海 野 倫 明 (… 東 北 大 学 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 )<br />

特 別 発 言 : 二 村 雄 次 (… 愛 知 県 がんセンター 消 化 器 外 科 )<br />

広 島 大 学 病 院 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 小 林 剛 ほか<br />

SY2-1<br />

SY2-2<br />

SY2-3<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 動 脈 合 併 切 除 ・ 再 建 術 の 術 式 と 成 績<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 上 坂 克 彦 ほか<br />

肝 門 部 胆 管 癌 症 例 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 意 義 と 手 術 治 療 成 績<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 吉 田 寛 ほか<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 意 義 と 限 界<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科 江 崎 稔 ほか<br />

SY2-4<br />

SY2-5<br />

肝 門 部 胆 管 癌 門 脈 合 併 切 除 例 の 検 討<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 脈 管 合 併 切 除 の 意 義<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 味 木 徹 夫 ほか<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 土 屋 貴 男 ほか<br />

SY2-6<br />

シンポジウム 3<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 左 三 区 域 切 除 における 右 門 脈 前 枝 の 処 理 : 肝 離 断 先 行 による 肝 内 アプローチの<br />

有 用 性<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科 江 畑 智 希 ほか<br />

5 月 31 日 ( 木 )8:50~10:20[ 第 3 会 場 ]<br />

「 肝 胆 膵 領 域 の 外 科 治 療 :これまでの 到 達 点 、これからの 課 題 」<br />

“Borderlineresectable” 膵 癌 をどうするか(neoadjuvant,adjuvant,one-stepsurgery)<br />

司 会 : 伊 佐 地 秀 司 (… 三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 )<br />

太 田 哲 生 (… 金 沢 大 学 医 学 部 第 2 外 科 がん 局 所 制 御 学 分 野 )<br />

特 別 発 言 : 永 川 宅 和 (… 小 池 病 院 )<br />

SY3-1<br />

動 脈 浸 潤 の 疑 われるBorderline resectable 膵 癌 の 治 療 成 績<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科 中 郡 聡 夫 ほか<br />

SY3-2<br />

SY3-3<br />

Borderline Resectable 膵 癌 に 対 する 新 たな 治 療 戦 略<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 山 田 豪 ほか<br />

Borderline resectable 膵 癌 に 対 する 治 療 戦 略 : 腫 瘍 マーカーの 正 常 化 を 指 標 とした 術 前 治 療 の 検 証<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 元 井 冬 彦 ほか<br />

-37-


SY3-4<br />

SY3-5<br />

borderline resectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 試 み<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 羽 鳥 隆 ほか<br />

局 所 進 行 膵 癌 に 対 する 化 学 放 射 線 療 法 先 行 による 治 療 戦 略 -NCCNガイドラインによるresectability<br />

からの 検 討<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 岸 和 田 昌 之 ほか<br />

SY3-6<br />

シンポジウム 4<br />

”Borderline resectable”および”Resectable” 膵 癌 に 対 するgemcitabine 併 用 術 前 化 学 放 射 線 療 法<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 高 橋 秀 典 ほか<br />

5 月 31 日 ( 木 )8:50~10:20[ 第 4 会 場 ]<br />

「 肝 胆 膵 領 域 の 外 科 治 療 :これまでの 到 達 点 、これからの 課 題 」<br />

内 視 鏡 外 科 の 進 展 ・ロボット 手 術<br />

司 会 : 金 子 弘 真 (… 東 邦 大 学 一 般 消 化 器 外 科 )<br />

橋 爪 誠 (… 九 州 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院 先 端 医 療 医 学 講 座 )<br />

特 別 発 言 : 加 納 宣 康 (… 亀 田 総 合 病 院 外 科 )<br />

SY4-1<br />

SY4-2<br />

SY4-3<br />

SY4-4<br />

肝 硬 変 を 背 景 として 繰 り 返 し 発 生 する 肝 細 胞 癌 患 者 の 長 期 生 存 を 目 指 す 治 療 体 系 の 中 の 完 全 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 会 病 院 外 科 守 瀬 善 一 ほか<br />

腹 腔 鏡 下 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 当 院 における 標 準 手 技<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科 本 田 五 郎 ほか<br />

単 孔 式 内 視 鏡 手 術 における 新 規 開 発 プラットフォームEZ Access 楕 円 型 と 多 自 由 度 鉗 子 Radiusの 有<br />

用 性<br />

産 業 医 科 大 学 第 1 外 科 柴 尾 和 徳 ほか<br />

SY4-5<br />

ロボット 支 援 による 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 の 現 況<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 胆 膵 外 科 堀 口 明 彦 ほか<br />

SY4-6<br />

SY4-7<br />

蛍 光 ナビゲーションを 応 用 した 鏡 視 下 肝 胆 膵 手 術 の 開 発<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科 石 沢 武 彰 ほか<br />

手 術 ナビゲーションシステム 導 入 による 安 全 かつ 確 実 な 鏡 視 下 肝 ・ 膵 手 術<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 青 木 武 士 ほか<br />

■パネルディスカッション<br />

パネルディスカッション 1 肝<br />

6 月 1 日 ( 金 )9:05~10:35[ 第 1 会 場 ]<br />

肝 切 除 における 残 肝 体 積 と 予 備 能 のコンセンサス 再 考<br />

司 会 : 有 井 滋 樹 (… 東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 )<br />

權 雅 憲 (… 関 西 医 科 大 学 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 高 崎 健 (… 牛 久 愛 和 総 合 病 院 )<br />

PD1-1<br />

PD1-2<br />

ICGR 15 10% 以 上 に 対 する 右 肝 切 除<br />

肝 切 除 の 適 応 拡 大 と 合 併 症 に 関 する 検 討<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 有 泉 俊 一 ほか<br />

秋 田 大 学 消 化 器 外 科 渡 辺 剛 ほか<br />

Da Vinci S Systemによる 肝 切 除 の 現 状 とこれからの 展 望 - 当 科 で 経 験 した 肝 切 除 18 例 より-<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 ・ 脾 外 科 所 隆 昌 ほか<br />

-38-


PD1-3<br />

術 前 残 肝 予 備 能 評 価 における 残 肝 ICGKの 有 用 性 についての 検 討<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科 横 山 幸 浩 ほか<br />

PD1-4<br />

肝 切 除 における 術 前 肝 機 能 評 価 と 肝 不 全 予 測 因 子 の 検 討<br />

川 崎 市 立 井 田 病 院 外 科 千 葉 斉 一 ほか<br />

PD1-5<br />

Perfusion CTが 分 肝 機 能 の 評 価 を 可 能 にする ~ 門 脈 血 流 量 からみた 肝 機 能 評 価 ~<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 青 木 修 一 ほか<br />

PD1-6<br />

教 室 における 肝 切 除 の 適 応 拡 大 とその 成 績<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 榎 並 延 太 ほか<br />

PD1-7<br />

PD1-8<br />

GSA-SPECTとICGクリアランスを 用 いた 術 前 残 肝 機 能 評 価 法 の 有 効 性 の 検 討<br />

神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 貝 原 聡 ほか<br />

SPECT-CT fusion systemを 用 いた 機 能 的 肝 切 除 率 の 有 用 性<br />

熊 本 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 岡 部 弘 尚 ほか<br />

PD1-9<br />

肝 切 除 術 における 術 前 アシアロ 推 定 残 存 肝 機 能 評 価 の 有 用 性<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 海 堀 昌 樹 ほか<br />

PD1-10 肝 細 胞 癌 における 術 式 選 択 ; 幕 内 基 準 を 超 えて<br />

パネルディスカッション 2 胆<br />

6 月 1 日 ( 金 )9:05~10:35[ 第 2 会 場 ]<br />

症 例 からみた 胆 嚢 癌 術 式 選 択<br />

司 会 : 島 津 元 秀 (… 東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 )<br />

千 々 岩 一 男 (… 宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 )<br />

特 別 発 言 : 中 山 和 道 (… 聖 マリア 学 院 大 学 )<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 福 本 巧 ほか<br />

PD2-1<br />

Stage3 以 上 の 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 手 術 術 式 の 検 討<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 林 洋 毅 ほか<br />

PD2-2<br />

pT3,pT4 胆 嚢 癌 の 治 療 戦 略 と 術 式 選 択<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 甲 斐 真 弘 ほか<br />

PD2-3<br />

5 年 生 存 例 からみた 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 至 適 手 術 とその 因 子<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 田 中 真 之 ほか<br />

PD2-4<br />

PD2-5<br />

PD2-6<br />

高 度 局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 肝 膵 同 時 切 除 の 治 療 成 績<br />

進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 門 脈 合 併 切 除 の 意 義<br />

高 度 局 所 進 行 胆 嚢 癌 の 治 療 戦 略<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科 奥 野 正 隆 ほか<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 伊 神 剛 ほか<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 樋 口 亮 太 ほか<br />

PD2-7<br />

T4 胆 嚢 癌 に 対 する 外 科 切 除 成 績 と 術 前 術 後 化 学 療 法 の 意 義<br />

千 葉 大 学 大 学 院 臓 器 制 御 外 科 学 大 塚 将 之 ほか<br />

-39-


パネルディスカッション 3 膵<br />

6 月 1 日 ( 金 )9:05~10:35[ 第 3 会 場 ]<br />

膵 嚢 胞 性 腫 瘍 の 治 療 戦 略<br />

司 会 : 木 村 理 (… 山 形 大 学 医 学 部 外 科 学 第 一 講 座 ( 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 ・ 一 般 外 科 学 ))<br />

山 口 幸 二 (… 産 業 医 科 大 学 第 一 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 岡 正 朗 (… 山 口 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 )<br />

PD3-1<br />

IPMNの 治 療 戦 略 ― 分 枝 型 IPMNに 対 する 手 術 適 応 と 主 膵 管 型 IPMNに 対 する 膵 全 摘 の 要 否 についてー<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 清 水 泰 博 ほか<br />

PD3-2<br />

分 枝 型 IPMNの 縮 小 手 術 の 適 応 とその 治 療 成 績<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 II 高 橋 亮 ほか<br />

PD3-3<br />

PD3-4<br />

PD3-5<br />

PD3-6<br />

混 合 型 IPMNの 位 置 付 けの 再 検 討 と 当 教 室 におけるIPMNの 治 療 方 針<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 藤 井 努 ほか<br />

膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)の 悪 性 予 測 因 子 解 析 に 基 づいた 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の 適 応 と 手 術 手<br />

技 の 実 際<br />

九 州 大 学 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科 大 塚 隆 生 ほか<br />

IPMNの 予 後 因 子 および 悪 性 予 測 因 子 からみた 治 療 戦 略<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 廣 野 誠 子 ほか<br />

膵 頭 部 IPMNに 対 するPPPD 今 永 法 と 術 後 残 膵 の 内 視 鏡 追 跡 検 査<br />

東 京 歯 科 大 学 市 川 総 合 病 院 外 科 松 井 淳 一 ほか<br />

PD3-7<br />

PD3-8<br />

IPMNに 対 する 外 科 治 療 戦 略<br />

IPMN 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 羽 鳥 隆 ほか<br />

久 留 米 大 学 外 科 久 下 亨 ほか<br />

PD3-9 IPMNの 手 術 治 療 方 針 : 特 に 腫 瘍 本 体 の 性 状 ・ 膵 断 端 の 所 見 と 残 膵 局 所 再 発 との 関 連 について<br />

東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外 科 岡 田 恭 穂 ほか<br />

パネルディスカッション 4<br />

6 月 1 日 ( 金 )9:05~10:35[ 第 4 会 場 ]<br />

術 中 の 想 定 外 の 血 管 ・ 胆 管 損 傷 にどう 対 処 するか<br />

司 会 : 野 浪 敏 明 (… 愛 知 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

久 保 正 二 (… 大 阪 市 立 大 学 大 学 院 肝 胆 膵 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 山 中 若 樹 (… 明 和 病 院 )<br />

PD4-1<br />

再 発 肝 細 胞 癌 再 肝 切 除 における 術 中 胆 管 損 傷 の 修 復 と 術 後 胆 汁 漏 の 予 防<br />

広 島 大 学<br />

田 代 裕 尊 ほか<br />

PD4-2<br />

PD4-3<br />

大 血 管 ( 中 、 左 肝 静 脈 )に 接 した 高 度 肝 障 害 を 有 する 肝 細 胞 癌 に 対 する 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科 宮 澤 光 男 ほか<br />

肝 切 除 中 の 想 定 外 の 血 管 トラブル:なぜ 発 生 し、どう 対 処 する<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科 関 崇 ほか<br />

PD4-4<br />

術 中 偶 発 的 に 発 生 した 肝 動 脈 損 傷 に 対 する 血 行 再 建 症 例 の 検 討<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター… 肝 胆 膵 外 科<br />

木 原 康 宏 ほか<br />

PD4-5<br />

胆 道 癌 に 対 する 肝 動 脈 合 併 切 除 ・ 門 脈 部 分 動 脈 化 の 短 期 および 長 期 成 績 : 肝 動 脈 損 傷 時 における 応 用 可<br />

能 性<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 II 山 吹 匠 ほか<br />

-40-


PD4-6<br />

動 脈 再 建 困 難 な 生 体 肝 移 植 における 非 解 剖 学 的 動 脈 再 建 の 有 用 性<br />

九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 森 田 和 豊 ほか<br />

PD4-7 肝 胆 膵 外 科 領 域 における 体 外 循 環 、 門 脈 置 換 グラフトの 有 用 性<br />

旭 川 医 科 大 学 第 二 外 科 谷 口 雅 彦 ほか<br />

パネルディスカッション 5<br />

6 月 1 日 ( 金 )10:35~11:35[ 第 1 会 場 ]<br />

この 症 例 をどうするか 「 肝 」<br />

司 会 : 佐 々 木 洋 (… 八 尾 市 立 病 院 )<br />

佐 野 圭 二 (… 帝 京 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 )<br />

ディスカッサント: 永 野 浩 昭 (… 大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 )<br />

神 山 俊 哉 (… 北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 Ⅰ)<br />

PD5-1<br />

Vp4 進 行 肝 細 胞 癌 に 対 しsorafenib+CDDP 肝 動 注 療 法 施 行 後 、 肝 切 除 を 施 行 し 得 た1 症 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 石 崎 守 彦 ほか<br />

PD5-2 大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 のタイミングに 苦 慮 した1 例<br />

公 益 財 団 法 人 田 附 興 風 会 医 学 研 究 所 北 野 病 院 消 化 器 センター 消 化 器 外 科<br />

パネルディスカッション 6<br />

6 月 1 日 ( 金 )10:35~11:35[ 第 2 会 場 ]<br />

この 症 例 をどうするか 「 胆 」<br />

司 会 : 堀 口 明 彦 (… 藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

袴 田 健 一 (… 弘 前 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

ディスカッサント: 寺 嶋 宏 明 (… 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科 )<br />

味 木 徹 夫 (… 神 戸 大 学 大 学 院 肝 胆 膵 外 科 学 )<br />

井 上 善 景 ほか<br />

PD6-1<br />

PD6-2<br />

興 味 ある 病 態 および 治 療 経 過 を 示 した 高 ビリルビン 血 症 の1 例<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 童 仁 ほか<br />

左 右 門 脈 分 岐 部 狭 窄 を 伴 う 肝 門 部 型 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 症 例<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 小 野 嘉 大 ほか<br />

PD6-3 腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 を 伴 う 中 下 部 胆 管 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

公 立 昭 和 病 院 外 科 ・ 消 化 器 外 科 秦 正 二 郎 ほか<br />

パネルディスカッション 7<br />

6 月 1 日 ( 金 )10:35~11:35[ 第 3 会 場 ]<br />

この 症 例 をどうするか 「 膵 」<br />

司 会 : 村 上 義 昭 (… 広 島 大 学 大 学 院 病 態 制 御 外 科 学 )<br />

土 井 隆 一 郎 (… 大 津 赤 十 字 病 院 外 科 )<br />

ディスカッサント: 江 川 新 一 (… 東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

松 井 淳 一 (… 東 京 歯 科 大 学 市 川 総 合 病 院 外 科 )<br />

PD7-1<br />

PD7-2<br />

PD7-3<br />

膵 切 除 術 後 動 脈 出 血 に 対 する 集 学 的 治 療 -IVR 動 脈 塞 栓 術 + 開 腹 血 行 再 建 術 により 救 命 しえた1 例<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 医 科 学 講 座 外 科 首 藤 毅 ほか<br />

動 脈 硬 化 により 閉 塞 した 上 腸 間 膜 動 脈 を 脾 動 脈 にて 再 建 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 したIPMNの 一 例<br />

松 山 赤 十 字 病 院 外 科 砂 川 秀 樹 ほか<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 術 後 に 広 範 な 上 腸 間 膜 血 栓 症 のため 緊 急 手 術 を 行 った1 例<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科 安 藤 公 隆 ほか<br />

-41-


パネルディスカッション 8<br />

6 月 1 日 ( 金 )10:35~11:35[ 第 5 会 場 ]<br />

この 症 例 をどうするか 「 内 視 鏡 外 科 」<br />

司 会 : 中 村 雅 史 (… 川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

針 原 康 (…NTT 東 日 本 関 東 病 院 外 科 )<br />

ディスカッサント: 本 田 五 郎 (… 都 立 駒 込 病 院 外 科 ( 肝 胆 膵 ))<br />

新 田 浩 幸 (… 岩 手 医 科 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 )<br />

PD8-1<br />

巨 大 膵 粘 液 性 嚢 胞 性 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 中 村 慶 春 ほか<br />

PD8-2<br />

破 裂 性 、 胆 汁 交 通 性 肝 嚢 胞 に 対 し 腹 腔 鏡 下 手 術 を 施 行 した1 例<br />

独 立 行 政 法 人 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 香 川 労 災 病 院<br />

國 土 泰 孝 ほか<br />

PD8-3<br />

肝 右 葉 前 区 背 側 域 および 後 区 域 の 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 : 半 腹 臥 位 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 の 有 用 性 の 検 討<br />

九 州 大 学 消 化 器 総 合 外 科 ( 第 二 外 科 ) 池 田 哲 夫 ほか<br />

■ワークショップ<br />

ワークショップ 1 肝<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 1 会 場 ]<br />

転 移 性 肝 癌 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 安 全 性<br />

司 会 : 別 府 透 (… 熊 本 大 学 医 学 部 附 属 病 院 消 化 器 癌 集 学 的 治 療 学 )<br />

中 島 祥 介 (… 奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 )<br />

総 括 : 山 本 順 司 (… 防 衛 医 科 大 学 校 外 科 )<br />

WS1-1<br />

WS1-2<br />

WS1-3<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 前 全 身 化 学 療 法 の 影 響<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科 工 藤 大 輔 ほか<br />

WS1-4<br />

WS1-5<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 分 子 標 的 薬 による 術 前 化 学 療 法 および 待 機 肝 切 除 による 外 科 治 療 成 績 向 上<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 海 堀 昌 樹 ほか<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 術 前 FOLFOX/XELOX 療 法 におけるBevacizumab 併 用 の 意 義<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 今 井 克 憲 ほか<br />

WS1-6 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 分 子 標 的 治 療 薬 を 用 いた 術 前 治 療 の 効 果 と 安 全 性 の 検 討<br />

東 北 大 学 大 学 院 統 合 がん 治 療 外 科 片 寄 友 ほか<br />

ワークショップ 2 胆<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 2 会 場 ]<br />

PVEの 適 応 と 限 界<br />

司 会 : 窪 田 敬 一 (… 獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

武 冨 紹 信 (… 北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 I)<br />

総 括 : 山 本 雄 造 (… 秋 田 大 学 医 学 研 究 系 研 究 科 消 化 器 外 科 )<br />

WS2-1<br />

門 脈 塞 栓 術 299 例 における 適 応 と 限 界 の 検 討<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科 井 上 陽 介 ほか<br />

WS2-2<br />

当 科 における 門 脈 塞 栓 術 の 現 状 と 残 肝 容 積 率 増 大 因 子 の 検 討<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

深 瀬 耕 二 ほか<br />

大 腸 癌 肝 転 移 切 除 におけるこれまでの 術 前 治 療 の 意 義 -survival benefitの 観 点 から-<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科 大 場 大 ほか<br />

肝 因 子 による 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 成 績 と 安 全 性<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 水 野 隆 史 ほか<br />

-42-


WS2-3<br />

門 脈 塞 栓 術 後 短 期 成 績 の 評 価<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科 岸 庸 二 ほか<br />

WS2-4<br />

胆 道 癌 に 対 する 無 水 エタノールを 用 いた 術 前 門 脈 枝 塞 栓 術 の 安 全 性 と 有 効 性<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 伊 神 剛 ほか<br />

WS2-5<br />

胆 道 癌 に 対 する 門 脈 枝 塞 栓 術 の 治 療 成 績<br />

信 州 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 中 田 岳 成 ほか<br />

WS2-6 胆 道 癌 肝 切 除 症 例 に 対 するPVEの 適 応 と 限 界 当 院 の 成 績<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 樋 口 亮 太 ほか<br />

ワークショップ 3 膵<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 3 会 場 ]<br />

膵 尾 側 切 除 における 膵 切 離 法 とその 成 績<br />

司 会 : 中 郡 聡 夫 (… 東 海 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

竹 山 宜 典 (… 近 畿 大 学 医 学 部 外 科 )<br />

総 括 : 永 井 秀 雄 (… 茨 城 県 立 中 央 病 院 )<br />

WS3-1<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 における 膵 切 離 法 別 術 後 成 績 の 比 較 検 討<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 木 下 正 一 ほか<br />

WS3-2<br />

腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 における 自 動 縫 合 器 を 用 いた 膵 切 離 法<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 中 村 慶 春 ほか<br />

WS3-3 自 動 縫 合 器 による 膵 切 離 その 適 応 と 限 界<br />

九 州 大 学 …… 臨 床 腫 瘍 外 科<br />

高 畑 俊 一 ほか<br />

WS3-4<br />

WS3-5<br />

WS3-6<br />

WS3-7 膵 切 離 法 と 切 離 部 位 からみた 尾 側 膵 切 除 の 手 術 成 績<br />

ワークショップ 4 内 視 鏡 外 科<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 4 会 場 ]<br />

Lap-cにおける 術 中 胆 道 損 傷 ( 術 中 の 対 処 と 術 後 の 対 処 も 含 めて)<br />

司 会 : 山 下 裕 一 (… 福 岡 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 )<br />

徳 村 弘 実 (… 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 東 北 労 災 病 院 外 科 )<br />

総 括 : 木 村 泰 三 (… 富 士 宮 市 立 病 院 …)<br />

東 京 女 子 医 科 大 学<br />

大 島 奈 々 ほか<br />

WS4-1<br />

Lap-Cにおける 術 中 胆 道 造 影 の 有 用 性<br />

東 京 都 立 多 摩 総 合 医 療 センター 外 科 松 本 潤 ほか<br />

WS4-2<br />

WS4-3<br />

WS4-4<br />

胆 管 ・ 胆 嚢 管 の 合 流 形 態 異 常 を 伴 う 症 例 に 対 する 術 前 ENBD 挿 入 は 術 中 胆 道 損 傷 の 危 険 性 を 減 少 させる<br />

北 海 道 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 II 野 路 武 寛 ほか<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 胆 管 損 傷 の 回 避 と 対 策 ― 術 中 胆 道 精 査 の 意 義<br />

虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 橋 本 雅 司 ほか<br />

腹 腔 鏡 下 胆 のう 摘 出 術 胆 管 損 傷 症 例 におけるピットフォールと 対 策 。 特 に 総 胆 管 完 全 断 裂 例 について。<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 水 口 義 昭 ほか<br />

当 院 における 血 行 , 組 織 損 傷 を 重 視 した 膵 断 端 処 理 法 = 膵 断 端 非 閉 鎖 法 =<br />

四 国 がんセンター 消 化 器 外 科 大 田 耕 司 ほか<br />

尾 側 膵 切 除 術 における 膵 液 瘻 予 防 - 膵 断 端 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 -<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 医 科 学 講 座 外 科 首 藤 毅 ほか<br />

最 も 安 全 な 膵 切 断 方 法 の 検 討 - 完 全 鏡 視 下 膵 体 尾 部 切 除 症 例 と 動 物 実 験 から-<br />

九 州 大 学 消 化 器 総 合 外 科 ( 第 二 外 科 ) 池 田 哲 夫 ほか<br />

-43-


WS4-5<br />

胆 管 損 傷 を 回 避 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 工 夫<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科 寺 田 卓 郎 ほか<br />

WS4-6<br />

LapC 術 後 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 する 治 療 戦 略<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 腫 瘍 外 科 菅 原 元 ほか<br />

■ビデオワークショップ<br />

ビデオワークショップ 1 肝<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 1 会 場 ]<br />

Hangingmaneuver 適 応 とその 応 用<br />

司 会 : 内 山 和 久 (… 大 阪 医 科 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

古 川 博 之 (… 旭 川 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 後 藤 満 一 (… 福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 学 講 座 )<br />

VW1-1<br />

VW1-2<br />

Liver hanging maneuverを 行 う 際 の 安 全 なテーピングの 工 夫<br />

奈 良 県 立 三 室 病 院 外 科 池 田 直 也 ほか<br />

Liver hanging maneuver (LHM)の 安 全 性 と 有 用 性<br />

大 阪 医 科 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 廣 川 文 鋭 ほか<br />

VW1-3<br />

Hanging techniqueを 用 いた 腹 腔 鏡 補 助 ( 小 開 腹 ) 下 の 肝 切 除<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 新 田 浩 幸 ほか<br />

VW1-4<br />

Hanging maneuverの 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 肝 切 除 への 応 用<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 金 沢 景 繁 ほか<br />

VW1-5<br />

Liver hanging maneuverと 中 肝 静 脈 肝 外 剥 離 を 併 用 した 肝 左 葉 切 除 術<br />

杏 林 大 学<br />

横 山 政 明 ほか<br />

VW1-6<br />

全 尾 状 葉 と 後 区 域 の 一 括 切 除 におけるHanging maneuverの 有 用 性<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 田 中 邦 哉 ほか<br />

VW1-7 肝 門 部 胆 管 癌 におけるHanging Maneuverを 用 いた 肝 左 3 区 域 切 除 、 胆 管 切 除 術<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学 加 藤 厚 ほか<br />

ビデオワークショップ 2 胆<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 2 会 場 ]<br />

解 剖 学 的 変 異 や 特 殊 な 症 例 の 胆 管 癌 に 対 する 手 術<br />

司 会 : 宮 崎 耕 治 (… 佐 賀 大 学 医 学 部 附 属 病 院 長 )<br />

藤 井 秀 樹 (… 山 梨 大 学 医 学 部 第 一 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 竜 崇 正 (… 浦 安 ふじみクリニック)<br />

VW2-1<br />

肝 門 部 胆 管 癌 における 門 脈 分 岐 変 異 時 の 胆 管 形 態 と 術 式 選 択<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 力 山 敏 樹 ほか<br />

VW2-2<br />

正 中 弓 状 靱 帯 による 腹 腔 動 脈 起 始 部 圧 迫 症 候 群 を 伴 う 症 例 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学 久 保 木 知 ほか<br />

VW2-3<br />

左 外 側 後 枝 (B2)が 上 部 胆 管 に 独 立 して 合 流 する 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 手 術<br />

成 田 赤 十 字 病 院<br />

清 水 善 明 ほか<br />

VW2-4<br />

BismuthIIIa 型 肝 門 部 胆 管 癌 にMDCTで 肝 門 部 胆 管 の 破 格 を 診 断 し 肝 右 傍 正 中 領 域 + 尾 状 葉 切 除 で 治 癒<br />

切 除 した1 例<br />

国 保 直 営 総 合 病 院 君 津 中 央 病 院 新 村 兼 康 ほか<br />

VW2-5<br />

門 脈 左 右 分 岐 部 欠 損 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 胆 管 癌 の1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 太 田 岳 洋 ほか<br />

-44-


VW2-6<br />

右 側 肝 円 索 に 胆 道 系 変 異 を 伴 った 肝 尾 状 葉 原 発 胆 管 内 乳 頭 状 腺 癌 の1 切 除 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 黒 崎 功 ほか<br />

VW2-7 右 側 門 脈 臍 部 症 例 における 肝 内 門 脈 枝 ・ 胆 管 枝 解 剖<br />

ビデオワークショップ 3 膵<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 3 会 場 ]<br />

膵 空 腸 吻 合 法<br />

司 会 : 杉 山 政 則 (… 杏 林 大 学 外 科 学 教 室 )<br />

鈴 木 康 之 (… 香 川 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 学 )<br />

特 別 発 言 : 細 谷 亮 (… 神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 外 科 )<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科 前 田 敦 行 ほか<br />

VW3-1<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 安 全 ・ 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 手 術 手 技<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 後 藤 直 大 ほか<br />

VW3-2 安 全 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 ―CUSAを 用 いた 膵 切 離 と 膵 空 腸 密 着 縫 合 ―<br />

聖 隷 三 方 原 病 院 外 科 藤 田 博 文 ほか<br />

VW3-3<br />

VW3-4<br />

VW3-5<br />

no stent 法 による 膵 空 腸 吻 合 の 実 際<br />

安 全 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫 :ステント 留 置 の 功 罪<br />

当 科 における 膵 液 漏 予 防 の 取 り 組 み<br />

東 京 女 子 医 大 消 化 器 外 科 君 島 映 ほか<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 石 田 晶 玄 ほか<br />

産 業 医 科 大 学 医 学 部 第 一 外 科 皆 川 紀 剛 ほか<br />

VW3-6 膵 空 腸 吻 合 法 ― 膵 の 状 態 に 応 じた 手 技 の 工 夫<br />

ビデオワークショップ 4<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 4 会 場 ]<br />

生 体 肝 移 植 における 手 術 手 技 の 工 夫<br />

司 会 : 高 田 泰 次 (… 愛 媛 大 学 医 学 部 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 )<br />

菅 原 寧 彦 (… 東 京 大 学 医 学 部 人 工 臓 器 ・ 移 植 外 科 )<br />

特 別 発 言 : 猪 股 裕 紀 洋 (… 熊 本 大 学 大 学 院 生 命 科 学 研 究 部 小 児 外 科 学 分 野 )<br />

岩 手 県 立 中 央 病 院 消 化 器 外 科 望 月 泉 ほか<br />

VW4-1<br />

小 児 生 体 肝 移 植 若 年 ドナーに 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 の 検 討<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科 笹 沼 英 紀 ほか<br />

VW4-2<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 肝 ドナー 手 術 の 工 夫 と 成 績<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 丸 橋 繁 ほか<br />

VW4-3<br />

生 体 肝 移 植 ドナーにおける 上 腹 部 正 中 切 開 によるHALSハイブリッド 手 術<br />

長 崎<br />

高 槻 光 寿 ほか<br />

VW4-4<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 生 体 肝 ドナー 手 術<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 高 橋 正 浩 ほか<br />

VW4-5<br />

Hilar plateを 温 存 した 生 体 部 分 肝 移 植 における 胆 道 再 建 法<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

金 子 順 一 ほか<br />

VW4-6<br />

高 度 の 脾 腎 シャントを 有 する 生 体 肝 移 植 におけるシャント 処 理 法 と 成 績<br />

岡 山 大 学 … 消 化 器 外 科 貞 森 裕 ほか<br />

-45-


■リサーチワークショップ<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10 [ 第 6 会 場 ]<br />

司 会 : 嶋 田 裕 (… 富 山 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科 )<br />

藤 原 俊 義 (… 岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 消 化 器 外 科 学 )<br />

RW-1<br />

3 次 元 脱 細 胞 化 スキャフォールドと 幹 細 胞 技 術 を 用 いた 肝 臓 微 細 構 造 の 再 生<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科<br />

門 多 由 恵 ほか<br />

RW-2<br />

生 体 肝 移 植 において 術 前 脾 容 量 とグラフト 重 量 が 再 還 流 後 の 門 脈 圧 を 反 映 する。<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 尭 天 一 亨 ほか<br />

RW-3<br />

RFAに 対 するHSPの 臓 器 、 細 胞 保 護 作 用 についての 検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科 学 講 座 川 嶋 裕 資 ほか<br />

RW-4<br />

Aquaporin-5の 発 現 は 胆 嚢 癌 細 胞 株 における 薬 剤 感 受 性 に 影 響 を 及 ぼす<br />

富 山 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科 関 根 慎 一 ほか<br />

RW-5 胆 道 癌 に 対 する 自 家 蛍 光 観 察 - 病 理 組 織 像 との 比 較 -<br />

久 留 米 大 学 外 科 野 北 英 史 ほか<br />

RW-6<br />

膵 癌 組 織 内 における 炎 症 性 サイトカインの 役 割 :マクロファージ 遊 走 阻 止 因 子 は 予 後 に 影 響 している<br />

か<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 高 野 可 赴 ほか<br />

RW-7<br />

RW-8<br />

インスリノーマは 果 たして 低 悪 性 度 腫 瘍 なのか<br />

膵 消 化 管 神 経 内 分 泌 腫 瘍 のMalignant potential 評 価<br />

川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科 堤 宏 介 ほか<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 工 藤 篤 ほか<br />

■クリニカルワークショップ<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10 [ 第 5 会 場 ]<br />

司 会 : 花 崎 和 弘 (… 高 知 大 学 医 学 部 第 一 外 科 )<br />

宮 澤 光 男 (… 埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科 )<br />

CW-1<br />

CW-2<br />

CW-3<br />

胃 内 容 排 出 遅 延 (Delayed Gastric Emptying:DGE)が 無 縁 になった2010 年 代 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 小 田 竜 也 ほか<br />

GEM+S1 併 用 療 法 に 不 応 となった 切 除 不 能 進 行 ・ 再 発 胆 道 癌 に 対 するGEM+CDDP 併 用 療 法 の 有 用 性<br />

の 検 討<br />

横 浜 市 立 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 松 山 隆 生 ほか<br />

肝 細 胞 癌 治 癒 切 除 後 5 年 以 上 無 再 発 生 存 のための 臨 床 病 理 学 的 因 子<br />

国 立 病 院 機 構 … 長 崎 医 療 センター 外 科 藤 岡 ひかる ほか<br />

CW-4<br />

肝 細 胞 癌 治 癒 切 除 後 の 再 発 形 式 による 予 後 解 析 ―BTRの 臨 床 意 義<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

中 村 幸 雄 ほか<br />

CW-5<br />

血 小 板 減 少 症 を 伴 う 肝 細 胞 癌 治 療 における 脾 摘 の 有 用 性<br />

国 立 病 院 機 構 長 崎 医 療 センター… 外 科 蒲 原 行 雄 ほか<br />

CW-6<br />

肝 右 葉 切 除 における 臍 静 脈 を 用 いた 術 中 門 脈 圧 測 定 の 有 用 性<br />

明 和 病 院 外 科<br />

飯 田 洋 也 ほか<br />

CW-7<br />

Real-time echo guide 下 肝 切 除 ( 簡 易 な 術 中 ナビゲーション)<br />

東 京 都 立 多 摩 総 合 医 療 センター 外 科<br />

森 田 泰 弘 ほか<br />

-46-


CW-8<br />

肝 外 側 区 域 の 肝 細 胞 癌 における 解 剖 学 的 切 除 vs 非 解 剖 学 的 切 除<br />

虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 佐 々 木 一 成 ほか<br />

CW-9<br />

腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 における 切 離 手 技 についての 検 討<br />

神 戸 市 立 医 療 センター 西 市 民 病 院 外 科<br />

仲 本 嘉 彦<br />

■ミニシンポジウム<br />

ミニシンポジウム 1<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 5 会 場 ]<br />

膵 1<br />

膵 癌<br />

司 会 : 里 井 壯 平 (… 関 西 医 科 大 学 外 科 )<br />

島 村 弘 宗 (… 国 立 病 院 機 構 仙 台 医 療 センター 外 科 )<br />

MSY1-1<br />

borderline resectable 膵 癌 への 治 療 戦 略<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 長 田 真 二 ほか<br />

MSY1-2<br />

術 後 病 理 組 織 の 解 析 からみたBorderline resectable 膵 癌 の 治 療 戦 略<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 高 森 啓 史 ほか<br />

MSY1-3<br />

Borderline resectable 膵 癌 切 除 例 の 検 討 と 今 後 の 展 望<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

田 中 正 樹 ほか<br />

MSY1-4<br />

局 所 進 行 Borderline resectable(LABR) 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 療 法 の 効 果<br />

広 島 大 学 大 学 院 病 態 制 御 外 科<br />

村 上 義 昭 ほか<br />

MSY1-5<br />

MSY1-6<br />

MSY1-7<br />

MSY1-8<br />

Borderline resectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 治 療 後 切 除 術 の 治 療 効 果<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 里 井 壯 平 ほか<br />

当 院 におけるBorderline resectableな 局 所 進 行 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 検 討<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 北 郷 実 ほか<br />

膵 癌 Borderline resectable 症 例 に 対 するR0 切 除 を 企 図 した 術 前 化 学 放 射 線 療 法<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 谷 眞 至 ほか<br />

Borderline resectable 膵 癌 に 対 するTS-1 併 用 化 学 放 射 線 療 法 を 基 盤 とした 新 しい 治 療 戦 略<br />

鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 新 地 洋 之 ほか<br />

MSY1-9<br />

ミニシンポジウム 2<br />

術 後 補 助 療 法 を 中 心 としたBorderline resectable 膵 癌 に 対 する 手 術 成 績 と 限 界<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 古 賀 倫 太 郎 ほか<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 6 会 場 ]<br />

肝 1<br />

肝 癌<br />

司 会 : 大 河 内 信 弘 (… 筑 波 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

大 段 秀 樹 (… 広 島 大 学 大 学 院 医 歯 薬 保 健 学 研 究 科 消 化 器 ・ 移 植 外 科 学 )<br />

MSY2-1<br />

C 型 肝 炎 関 連 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 および 非 系 統 的 肝 切 除 の 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 海 堀 昌 樹 ほか<br />

MSY2-2<br />

肝 細 胞 癌 における 系 統 的 切 除 の 意 義 と 問 題 点<br />

鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 ・ 消 化 器 外 科 上 野 真 一 ほか<br />

MSY2-3<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 およびSurgical Marginの 意 義 と 術 中 造 影 超 音 波 検 査 の 有 効 性<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 田 中 真 二 ほか<br />

-47-


MSY2-4<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 ~ 系 統 的 切 除 と 部 分 切 除 の 治 療 成 績<br />

長 崎<br />

七 島 篤 志 ほか<br />

MSY2-5<br />

MSY2-6<br />

系 統 的 肝 切 除 による 肝 細 胞 癌 治 療 成 績 の 検 討<br />

初 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 亜 区 域 切 除 の 意 義 と 限 界<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 落 合 登 志 哉 ほか<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科 古 澤 徳 彦 ほか<br />

MSY2-7<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 長 期 成 績 からみた 系 統 的 肝 切 除 の 意 義<br />

九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 調 憲 ほか<br />

MSY2-8<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除<br />

山 口 大 学<br />

爲 佐 卓 夫 ほか<br />

MSY2-9<br />

ミニシンポジウム 3<br />

病 変 が3 個 以 内 かつ3cm 未 満 の 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 の 有 用 性 に 関 する 検 討<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 7 会 場 ]<br />

胆 1<br />

肝 門 部 胆 管 癌<br />

司 会 : 斎 浦 明 夫 (…がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 )<br />

力 山 敏 樹 (… 自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

岡 村 行 泰 ほか<br />

MSY3-1<br />

当 科 における 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 症 例 の 検 討<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 礒 幸 博 ほか<br />

MSY3-2<br />

MSY3-3<br />

肝 門 部 胆 管 癌 の 手 技 の 定 型 化 と 成 績 : 右 側 アプローチによる 尾 状 葉 Spiegel 葉 切 除<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 斎 浦 明 夫 ほか<br />

臨 床 病 理 学 的 検 討 からみた 肝 門 部 胆 管 癌 における 脈 管 合 併 切 除 再 建 の 意 義<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 小 林 省 吾 ほか<br />

MSY3-4<br />

MSY3-5<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 意 義<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 行 再 建 術 の 意 義<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 田 端 正 己 ほか<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科 金 岡 祐 次 ほか<br />

MSY3-6<br />

肝 門 部 胆 管 癌 手 術 における 肝 動 脈 ・ 門 脈 合 併 切 除 再 建 術 の 成 績<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 松 山 隆 生 ほか<br />

MSY3-7<br />

広 義 の 肝 門 部 胆 管 がん 外 科 切 除 における 血 管 合 併 切 除 の 意 義<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

阪 本 良 弘 ほか<br />

MSY3-8<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 管 合 併 切 除 ‐その 意 義 と 限 界 -<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科 小 林 聡 ほか<br />

MSY3-9<br />

肝 門 部 胆 管 癌 手 術 における 機 能 的 肝 容 積 からみた 門 脈 塞 栓 術 の 有 用 性 と 治 療 成 績<br />

長 崎 大 学 腫 瘍 外 科 学 七 島 篤 志 ほか<br />

-48-


ミニシンポジウム 4<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 8 会 場 ]<br />

鏡 視 下 1<br />

鏡 視 下 手 術<br />

司 会 : 杉 岡 篤 (… 藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 ・ 脾 外 科 )<br />

三 澤 健 之 (… 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 )<br />

MSY4-1 通 常 型 膵 癌 への 腹 腔 鏡 下 手 術 の 適 応 拡 大 を 目 指 して- 手 術 手 技 、 術 後 成 績 を 中 心 に-<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科 朴 成 進 ほか<br />

MSY4-2 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 難 易 度 に 影 響 を 及 ぼす 因 子 の 検 討 ~ 開 腹 術 との 比 較 ~<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 足 立 智 彦 ほか<br />

MSY4-3<br />

オリジナルドライモデルとミニブタのアニマルモデルを 利 用 した 内 視 鏡 下 膵 胃 吻 合 手 術 訓 練 システム<br />

と 技 術 開 発<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 前 村 公 成 ほか<br />

MSY4-4<br />

Robotic assisted major hepatectomy<br />

University…of…California…San…Diego,…Department…of…Surgery<br />

合 川 公 康 ほか<br />

MSY4-5<br />

MSY4-6<br />

次 世 代 へ 向 けた 内 視 鏡 外 科 の 新 たな 展 開 : 肝 切 除 、 膵 切 除 、 高 難 度 胆 摘 への 単 孔 のbreakthrough<br />

平 塚 市 民 病 院 外 科 赤 津 知 孝 ほか<br />

腹 腔 鏡 下 手 術 におけるEndoGrab, Flexible Port および 屈 曲 型 鉗 子 の 使 用 経 験<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科 多 賀 谷 信 美 ほか<br />

MSY4-7<br />

ミニシンポジウム 5<br />

マイクロ 波 手 術 デバイスによる 新 しい 内 視 鏡 外 科 手 術<br />

5 月 30 日 ( 水 )16:00~17:00[ 第 9 会 場 ]<br />

胆 2<br />

胆 嚢 癌 ・ 術 中 損 傷<br />

司 会 : 新 井 田 達 雄 (… 東 京 女 子 医 科 大 学 八 千 代 医 療 センター 消 化 器 外 科 )<br />

土 田 明 彦 (… 東 京 医 科 大 学 第 三 外 科 )<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 仲 成 幸 ほか<br />

MSY5-1<br />

局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 肝 門 ・ 肝 床 浸 潤 部 の 一 括 切 除 術 式<br />

琉 球 大 学 医 学 部 … 第 一 外 科<br />

白 石 祐 之 ほか<br />

MSY5-2<br />

当 科 における 高 度 局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 手 術 成 績 と 治 療 戦 略<br />

横 浜 市 立 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 森 隆 太 郎 ほか<br />

MSY5-3<br />

高 度 進 行 胆 嚢 癌 の 集 学 的 治 療 戦 略<br />

富 山 大 学 第 2 外 科<br />

澤 田 成 朗 ほか<br />

MSY5-4<br />

T3,4 胆 嚢 癌 の 至 適 術 式 の 検 討<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 長 谷 川 康 ほか<br />

MSY5-5<br />

肝 切 除 術 中 出 血 多 量 時 の 対 応 と 輸 血 判 断 におけるビジリオモニタリングの 有 用 性 の 検 証<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 目 黒 誠 ほか<br />

MSY5-6<br />

胆 道 癌 大 量 肝 切 除 時 の 動 脈 再 建 困 難 例 における 門 脈 部 分 動 脈 化<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科 前 田 敦 行 ほか<br />

MSY5-7<br />

肝 切 除 術 中 のIVC 損 傷 による 想 定 外 大 量 出 血 に 対 するタココンブの 有 用 性<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 谷 合 信 彦 ほか<br />

-49-


MSY5-8<br />

肝 切 除 術 中 の 想 定 外 の 静 脈 性 出 血 ・ 鬱 血 に 対 する 対 処 法 について<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 石 崎 守 彦 ほか<br />

MSY5-9<br />

ミニシンポジウム 6<br />

術 中 の 膵 内 胆 管 損 傷 に 対 する 対 策<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 1 会 場 ]<br />

この 症 例 をどうするか 1<br />

肝 ・ 胆<br />

司 会 : 林 道 廣 (… 大 阪 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

松 田 政 徳 (… 山 梨 大 学 第 一 外 科 )<br />

久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科 内 田 信 治 ほか<br />

MSY6-1<br />

転 移 性 肝 癌 と 鑑 別 困 難 であった 限 局 性 類 洞 拡 張 障 害 の 一 例<br />

徳 島 大 学 外 科 荒 川 悠 佑 ほか<br />

MSY6-2<br />

高 度 静 脈 浸 襲 像 を 示 し 右 心 房 内 へ 伸 展 した 再 発 肝 細 胞 癌 下 大 静 脈 腫 瘍 栓 の 一 切 除 例<br />

東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 高 野 公 徳 ほか<br />

MSY6-3<br />

治 療 に 難 渋 した 肝 切 除 術 後 離 断 型 胆 汁 漏 の1 症 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 中 竹 利 知 ほか<br />

MSY6-4 長 期 にわたる 化 学 療 法 により 高 度 の 脂 肪 肝 をきたした 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 方 針 。<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 学 飯 野 聡 ほか<br />

MSY6-5<br />

肝 門 を 圧 排 する 進 行 肝 細 胞 癌 の2 例<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 高 原 武 志 ほか<br />

MSY6-6<br />

MSY6-7<br />

肝 内 胆 管 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 の1 手 術 例<br />

山 田 赤 十 字 病 院 外 科 藤 井 幸 治 ほか<br />

肺 転 移 ならびに 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 が 疑 われた 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 の1 例<br />

ベルランド 総 合 病 院 外 科 堀 井 勝 彦 ほか<br />

MSY6-8<br />

異 時 性 三 重 複 胆 道 癌 に 対 する 外 科 治 療<br />

徳 島 大 学 外 科 淺 野 間 理 仁 ほか<br />

MSY6-9<br />

胆 嚢 管 高 位 合 流 を 伴 う 胆 嚢 癌 に 対 して 肝 中 央 2 区 域 ・ 尾 状 葉 切 除 術 を 行 った1 症 例<br />

三 菱 京 都 病 院 消 化 器 外 科 尾 池 文 隆 ほか<br />

MSY6-10<br />

ミニシンポジウム 7<br />

胆 嚢 癌 術 後 1 年 7ヶ 月 で 見 つかった 膵 頭 部 領 域 異 時 性 重 複 癌 の 一 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 2 会 場 ]<br />

この 症 例 をどうするか 2<br />

胆 ・ 膵<br />

司 会 : 大 塚 将 之 (… 千 葉 大 学 大 学 院 臓 器 制 御 外 科 学 )<br />

谷 眞 至 (… 和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

梶 山 英 樹 ほか<br />

MSY7-1<br />

MSY7-2<br />

MSY7-3<br />

胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 再 発 に 対 する 治 療 : 抗 癌 剤 無 効 例 に 対 する 切 除 療 法 はどこまで 追 及 されるべきか<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 高 野 可 赴 ほか<br />

膵 管 胆 管 合 流 異 常 を 伴 わない 胆 管 拡 張 症 に 併 発 した 胆 管 内 乳 頭 状 腺 癌 stageIVBの1 例<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 大 和 田 洋 平 ほか<br />

肝 門 部 胆 管 癌 術 後 Bacterial translocationを 合 併 し、 肝 不 全 に 至 り 死 亡 した1 例<br />

福 山 市 民 病 院 外 科 日 置 勝 義 ほか<br />

-50-


MSY7-4<br />

CT 所 見 とERC/IDUS 所 見 の 乖 離 により 診 断 に 難 渋 した 進 行 胆 嚢 癌 疑 いの1 例<br />

神 戸 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 外 科 学 講 座 肝 胆 膵 外 科 学 分 野<br />

篠 崎 健 太 ほか<br />

MSY7-5<br />

十 二 指 腸 癌 の 網 嚢 内 穿 孔 による 腹 腔 内 膿 瘍 に 対 し 経 胃 的 ドレナージを 施 行 したのち 根 治 術 を 施 行 した<br />

一 例<br />

田 附 興 風 会 北 野 病 院 外 科 門 野 賢 太 郎 ほか<br />

MSY7-6<br />

診 断 、 治 療 方 針 に 苦 慮 した 膵 内 分 泌 腫 瘍 肝 転 移 の 症 例<br />

神 戸 赤 十 字 病 院 外 科 門 脇 嘉 彦 ほか<br />

MSY7-7<br />

当 科 におけるSolid-pseudopapillary tumor 切 除 例 の 検 討<br />

旭 川 医 科 大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 病 態 外 科 学 分 野 永 生 高 広 ほか<br />

MSY7-8<br />

膵 体 尾 部 IPMNに 併 存 した 膵 体 部 癌 の1 例<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 部 二 宮 豪 ほか<br />

MSY7-9<br />

特 発 性 慢 性 膵 炎 膵 石 症 に 発 生 したIPMN 由 来 浸 潤 癌 と 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 し 膵 全 摘 を 施 行 した1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 君 島 映 ほか<br />

MSY7-10<br />

ミニシンポジウム 8<br />

膵 臓 移 植 時 における、 大 動 脈 - 膵 グラフト 動 脈 吻 合 時 の 注 意 点<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 川 本 弘 一 ほか<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 3 会 場 ]<br />

膵 2<br />

膵 尾 側 切 除<br />

司 会 : 小 山 勇 (… 埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科 )<br />

中 森 正 二 (… 国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 センター)<br />

MSY8-1<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 後 膵 液 瘻 における 危 険 因 子 の 検 討 と 対 策<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 杉 本 元 一 ほか<br />

MSY8-2<br />

尾 側 膵 切 除 における 膵 液 漏 の 検 討<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科 東 垂 水 久 美 子 ほか<br />

MSY8-3<br />

MSY8-4<br />

MSY8-5<br />

当 センターにおける 尾 側 膵 切 除 術 後 合 併 症 についての 検 討<br />

栃 木 県 立 がんセンター 外 科 白 川 博 文 ほか<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 後 膵 液 漏 の 重 篤 化 要 因 の 検 討<br />

横 浜 市 立 大 学 附 属 市 民 総 合 医 療 センター 消 化 器 病 センター 上 田 倫 夫 ほか<br />

尾 側 膵 切 除 における 断 端 処 理 法 別 の 膵 液 瘻 発 生 の 検 討<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 橘 高 弘 忠 ほか<br />

MSY8-6<br />

当 院 における 尾 側 膵 切 除 術 からみた 最 適 なデバイス 選 択<br />

北 海 道 消 化 器 科 病 院 外 科 岡 村 圭 祐 ほか<br />

MSY8-7<br />

自 動 縫 合 器 を 用 いた 当 科 での 膵 体 尾 部 切 除 術 における 検 討 と 手 術 手 技<br />

北 里 大 学 医 学 部 外 科 田 島 弘 ほか<br />

MSY8-8<br />

尾 側 膵 切 除 術 における 膵 切 離 法 の 検 討<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 天 野 良 亮 ほか<br />

MSY8-9<br />

術 後 膵 液 瘻 発 生 率 から 見 た 自 動 縫 合 器 による 膵 断 端 処 理 法 の 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 三 澤 健 之 ほか<br />

-51-


ミニシンポジウム 9<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 4 会 場 ]<br />

肝 2<br />

転 移 性 肝 癌<br />

司 会 : 田 中 邦 哉 (… 横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 )<br />

山 口 真 彦 (… 獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 二 外 科 )<br />

MSY9-1<br />

MSY9-2<br />

MSY9-3<br />

MSY9-4<br />

MSY9-5<br />

MSY9-6<br />

MSY9-7<br />

MSY9-8<br />

術 前 化 学 療 法 を 行 なった 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 の 治 療 成 績<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 大 澤 高 陽 ほか<br />

大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 例 の 検 討<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 小 寺 由 人 ほか<br />

当 科 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 における 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 成 績 と 安 全 性 の 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 柏 病 院 外 科 遠 山 洋 一 ほか<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 切 除 の 成 績 と 安 全 性<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 田 島 秀 浩 ほか<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 するconversion therapyの 安 全 性 と 予 後 因 子 の 検 討<br />

近 畿 大 学 外 科 中 居 卓 也 ほか<br />

大 腸 癌 肝 転 移 のconversion、salvage 手 術 における 術 前 化 学 療 法 の 違 いによる 術 後 治 療 成 績 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 和 田 幸 之 ほか<br />

新 規 抗 癌 剤 と 分 子 標 的 薬 の 併 用 による 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 例 に 対 するConversion therapyの 有 用<br />

性 と 問 題 点<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 吉 留 博 之 ほか<br />

大 腸 癌 化 学 療 法 関 連 肝 障 害 : 脾 容 積 、AST/ 血 小 板 比 による 肝 切 時 chemotherapy-naive patientの 予<br />

測<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 中 野 浩 ほか<br />

MSY9-9<br />

切 除 不 能 肝 転 移 に 対 する 計 画 的 二 期 的 切 除 術 の 妥 当 性<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 田 中 邦 哉 ほか<br />

ミニシンポジウム10<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 7 会 場 ]<br />

肝 3<br />

肝 予 備 能<br />

司 会 : 海 道 利 実 (… 京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科 )<br />

田 中 真 二 (… 東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 )<br />

MSY10-1<br />

低 肝 機 能 かつ 進 行 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 戦 略<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 工 藤 篤 ほか<br />

MSY10-2<br />

MSY10-3<br />

MSY10-4<br />

MSY10-5<br />

術 前 肝 予 備 能 評 価 におけるICG、ガラクトース 負 荷 試 験 と 残 肝 容 積 の 意 義<br />

国 保 直 営 総 合 病 院 君 津 中 央 病 院 海 保 隆 ほか<br />

限 界 肝 切 除 症 例 における 術 中 門 脈 圧 測 定 の 有 用 性<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 小 泉 哲 ほか<br />

アシアロシンチによる 肝 機 能 評 価 と 肝 切 除 範 囲 の 決 定<br />

山 口 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 坂 本 和 彦 ほか<br />

アシアロ 肝 シンチLHL15 値 を 加 えた 新 肝 切 除 選 択 基 準 の 妥 当 性<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 曽 山 明 彦 ほか<br />

-52-


MSY10-6<br />

残 肝 ICG 消 失 率 による 胆 道 癌 術 前 肝 予 備 能 の 評 価<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 大 塚 英 郎 ほか<br />

MSY10-7<br />

肝 門 部 胆 管 癌 における 手 術 成 績 の 検 討 - 当 科 の 治 療 方 針 の 評 価 と 今 後 の 課 題 -<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科 木 村 憲 央 ほか<br />

MSY10-8<br />

EOB-MRIによるOne stop shopping 肝 予 備 能 検 査<br />

徳 島 大 学 外 科<br />

森 根 裕 二 ほか<br />

MSY10-9<br />

ミニシンポジウム11<br />

術 前 ヒアルロン 酸 値 と 残 肝 体 積 割 合 を 用 いた 肝 細 胞 癌 に 対 するHr2 以 上 の 肝 切 除 術 後 合 併 症 予 測<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 8 会 場 ]<br />

胆 3<br />

PVE<br />

司 会 : 江 口 晋 (… 長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

神 山 俊 哉 (… 北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 Ⅰ)<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 医 学 部 第 二 外 科 上 野 昌 樹 ほか<br />

MSY11-1<br />

MSY11-2<br />

門 脈 塞 栓 術 の 効 果 判 定 における 肝 アシアロシンチを 用 いた 分 肝 機 能 測 定 の 有 用 性<br />

長 崎 大 学 腫 瘍 外 科 阿 保 貴 章 ほか<br />

当 科 における 大 量 肝 切 除 に 対 する 術 前 門 脈 塞 栓 術 の 適 応 と 限 界<br />

日 本 医 科 大 学 附 属 病 院 外 科 川 野 陽 一 ほか<br />

MSY11-3<br />

当 科 における 門 脈 塞 栓 術 施 行 症 例 の 検 討<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 林 泰 寛 ほか<br />

MSY11-4<br />

PTPEの 残 肝 体 積 増 大 率 予 測 に 有 用 なパラメータの 抽 出<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 速 水 晋 也 ほか<br />

MSY11-5<br />

門 脈 塞 栓 術 併 用 肝 切 除 における 肝 再 生 の 検 討<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科 中 川 茂 樹 ほか<br />

MSY11-6<br />

MSY11-7<br />

MSY11-8<br />

肝 切 除 前 門 脈 塞 栓 の 意 義 ― 適 応 とその 限 界 、 当 科 の 症 例 を 顧 みて―<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科 豊 木 嘉 一 ほか<br />

門 脈 枝 塞 栓 術 後 の 予 定 残 肝 機 能 評 価 と 拡 大 肝 切 除 後 の 肝 不 全 危 険 因 子 についての 検 討<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 藤 井 義 郎 ほか<br />

無 水 エタノールを 用 いた 門 脈 塞 栓 における 背 景 肝 による 残 肝 増 大 率 の 検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科 緒 方 俊 郎 ほか<br />

MSY11-9<br />

術 前 門 脈 塞 栓 術 (PVE) 後 代 償 性 肝 再 生 に 関 与 する 臨 床 的 因 子 の 解 析 とPVE 適 応 の 再 検 討<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 穴 澤 貴 行 ほか<br />

ミニシンポジウム12<br />

5 月 31 日 ( 木 )11:10~12:10[ 第 9 会 場 ]<br />

膵 3<br />

膵 嚢 胞 性 腫 瘍<br />

司 会 : 内 田 英 二 (… 日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

平 井 一 郎 (… 山 形 大 学 第 1 外 科 )<br />

MSY12-1 IPMNの 治 療 戦 略 ~ 適 切 な 手 術 およびフォローアップの 方 法 は~<br />

群 馬 大 学 大 学 院 病 態 総 合 外 科 佐 々 木 滋 ほか<br />

MSY12-2<br />

当 院 におけるIPMN 治 療 選 択 の 検 討<br />

八 王 子 消 化 器 病 院 外 科<br />

鈴 木 修 司 ほか<br />

-53-


MSY12-3<br />

IPMNの 治 療 戦 略 ‐ 手 術 適 応 および 術 式 選 択 と 至 適 郭 清 範 囲 について<br />

杏 林 大 学 外 科 鈴 木 裕 ほか<br />

MSY12-4<br />

MSY12-5<br />

切 除 例 の 解 析 からみたIPMNの 治 療 戦 略<br />

当 院 におけるIPMNの 治 療 戦 略<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 外 山 博 近 ほか<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 北 郷 実 ほか<br />

MSY12-6 分 枝 型 膵 IPMNの 外 科 治 療 戦 略 -FDG-PETを 応 用 した 手 術 適 応 決 定 は 妥 当 か -<br />

国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター・ 中 国 がんセンター<br />

種 村 匡 弘 ほか<br />

MSY12-7 分 枝 型 IPMNの 手 術 適 応 ” 分 子 生 物 学 的 指 標 による 評 価 ”<br />

徳 島 大 学 外 科 学<br />

杉 本 光 司 ほか<br />

MSY12-8<br />

MSY12-9<br />

膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)における 非 浸 潤 型 から 浸 潤 癌 へ 移 行 する 因 子 について<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 木 村 健 二 郎 ほか<br />

膵 IPMN( 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 )の 病 理 組 織 学 検 討 と 治 療 方 針 の 検 討<br />

長 崎 大 学 腫 瘍 外 科 阿 保 貴 章 ほか<br />

■ 第 3 回 高 度 技 能 専 門 医 修 練 者 ビデオクリニック<br />

6 月 1 日 ( 金 )10:35~11:35 [ 第 4 会 場 ]<br />

司 会 : 宮 川 眞 一 (… 信 州 大 学 外 科 学 )<br />

大 東 弘 明 (… 大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 )<br />

ディスカッサント: 佐 藤 好 信 (… 新 潟 大 学 第 一 外 科 )<br />

島 田 和 明 (… 国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科 )<br />

田 邉 稔 (… 慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 一 般 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

VC-1 肝 臓 の 高 難 度 手 術 ( 肝 右 葉 切 除 術 )<br />

姫 路 赤 十 字 病 院<br />

遠 藤 芳 克 ほか<br />

VC-2<br />

高 度 技 能 医 修 練 者 による 肝 門 部 胆 管 癌 手 術<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

水 野 隆 史 ほか<br />

VC-3<br />

当 教 室 での 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

弘 前 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 石 戸 圭 之 輔 ほか<br />

■ミニビデオワークショップ<br />

ミニビデオワークショップ 1<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 5 会 場 ]<br />

肝 1<br />

Hepato-biliarySurgery[EnlglishSession]<br />

Chairpersons:…Miin-Fu…Chen(…Chang…Gung…Memorial…Hospital,…Chang…Gung…University,…Taiwan)<br />

…<br />

Sung…Gyu…Lee(…Hepato-Biliary…Surgery…and…Liver…Transplantation,…Asan…Medical…Center,…Ulsan…University,…Seoul,…<br />

Korea)<br />

…<br />

Tetsuya…Kiuchi(…Nagoya…University)<br />

MVW1-1<br />

Surgical resection for HCC with IVC thrombosis<br />

Department…of…Surgery,…Ajou…University…School…of…Medicine,…Suwon,…Korea<br />

Hee…Jung…Wang<br />

MVW1-2<br />

The living donor hepatectomy procedures to prevent biliary complications<br />

Kyushu…University Toru…Ikegami<br />

-54-


MVW1-3<br />

MVW1-4<br />

MVW1-5<br />

Living Donor Liver Transplantation with Portal Vein Thrombus; Portal Vein<br />

Reconstruction Technique using Left Gastric Vein<br />

Kobe…University Kaori…Kuramitsu<br />

A simple noninvasive approach to the intra-thoracic inferior vena cava through the<br />

abdominal cavity by cutting the diaphragm vertically for total hepatic vascular exclusion<br />

Mie…University Shugo…Mizuno<br />

Novel hepatic inflow control method enlarge indication of laparoscopic liver resseciton<br />

Sapporo…Medical…University Toru…Mizuguchi<br />

MVW1-6 Laparoendoscopic single-site (LESS) fenestration for liver cyst<br />

University…of…Occupational…and…Environmental…Health Toshihisa…Tamura<br />

ミニビデオワークショップ 2<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 6 会 場 ]<br />

膵 1<br />

PancreaticSurgery[EnlglishSession]<br />

Chairpersons:…Dong…Wook…Choi(…Samsung…Medical…Center,…Sungkyunkwan…University…School…of…Medicine,…Korea)<br />

…<br />

Shinichi…Egawa(…Tohoku…University)<br />

…<br />

Sun-Whe…Kim(…Department…of…Surgery…Seoul…National…University…College…of…Medicine)<br />

MVW2-1<br />

Laparoscopic excision of choledochal cysts<br />

Department…of…Surgery,…Seoul…National…University…College…of…Medicine,…Seoul,…Korea<br />

Jin-Young…Jang<br />

MVW2-2<br />

Distal Pancreatectomy<br />

Tohoku…University<br />

Shinichi…Egawa<br />

MVW2-3<br />

MVW2-4<br />

Modified DPPHR (Duodenum-Preserving Resection of the Head of the Pancreas) for the<br />

benign or low grade malignant lesion in the pancreas head<br />

Hokkaido…University Takahiro…Tsuchikawa<br />

Safe and sure gastropancreatostomy with large invagination of the pancreatic stump as<br />

educational approach to pancreaticoduodenectomy<br />

Osaka…Police…Hospital Masayuki…Tori<br />

MVW2-5<br />

Pylorus-preserving pancreaticoduodenectomy<br />

ミニビデオワークショップ 3<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 7 会 場 ]<br />

膵 2<br />

膵 空 腸 吻 合<br />

司 会 : 萱 原 正 都 (… 金 沢 医 療 センター 外 科 )<br />

竹 田 伸 (… 名 古 屋 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

Kobe…University<br />

Ippei…Matsumoto<br />

MVW3-1 当 院 での 膵 管 空 腸 吻 合 - 安 全 確 実 な 吻 合 法 を 目 指 して<br />

北 九 州 市 立 医 療 センター 外 科 西 原 一 善 ほか<br />

MVW3-2 PPPD 今 永 法 における 膵 空 腸 吻 合 ― 我 々の 工 夫 ―<br />

栃 木 県 立 がんセンター 外 科 富 川 盛 啓 ほか<br />

MVW3-3<br />

MVW3-4<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 膵 空 腸 吻 合 における 工 夫<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科 前 田 徹 也 ほか<br />

当 科 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫 とその 成 績<br />

日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科 横 山 正 ほか<br />

-55-


MVW3-5<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 確 実 で 安 全 な 膵 管 空 腸 吻 合<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 外 科 名 取 健<br />

MVW3-6<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 におけるno stent 膵 腸 粘 膜 吻 合 の 効 果<br />

八 王 子 消 化 器 病 院 外 科<br />

鈴 木 修 司 ほか<br />

MVW3-7<br />

MVW3-8<br />

PDにおける 膵 管 no stentによる 膵 空 腸 連 続 吻 合 (invagination anastomosis)の 有 用 性<br />

順 天 堂 大 学 練 馬 病 院 総 合 外 科 藤 澤 稔 ほか<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 膵 液 瘻 防 止 への 取 り 組 み~soft pancreas 症 例 への 陥 入 法 の 導 入 ~<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 千 田 嘉 毅 ほか<br />

MVW3-9<br />

当 科 における 膵 空 腸 吻 合 術 手 技 と 組 織 補 強 剤 使 用 の 効 果 について<br />

ミニビデオワークショップ 4<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 8 会 場 ]<br />

胆 1<br />

解 剖 学 的 変 異 症 例<br />

司 会 : 田 端 正 己 (… 三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 )<br />

七 島 篤 志 (… 長 崎 大 学 腫 瘍 外 科 学 )<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科 児 島 亨 ほか<br />

MVW4-1<br />

尾 状 葉 欠 損 肝 に 発 生 した 肝 内 胆 管 癌 の 一 切 除 例<br />

川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科 中 島 洋 ほか<br />

MVW4-2<br />

MVW4-3<br />

MVW4-4<br />

MVW4-5<br />

MVW4-6<br />

右 肝 動 脈 閉 塞 を 伴 うS3 肝 内 胆 管 癌 に 対 し 左 肝 動 脈 塞 栓 後 に 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 II 野 路 武 寛 ほか<br />

術 前 にSMAより 分 岐 した 右 肝 動 脈 をコイリングし、 安 全 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 できた 下 部 胆 管 癌<br />

の 一 例<br />

済 生 会 熊 本 病 院 外 科 杉 山 眞 一 ほか<br />

腹 腔 動 脈 起 始 部 狭 窄 を 伴 う 膵 頭 部 領 域 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 工 夫<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 後 藤 邦 仁 ほか<br />

右 側 肝 円 索 を 伴 った 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 肝 左 3 区 域 切 除<br />

秋 田 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 打 波 宇 ほか<br />

右 側 肝 円 索 からの 肝 内 門 脈 分 岐 異 常 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 の 一 切 除 例 : 盲 点 と 反 省 点 を 振 り 返 る<br />

田 附 興 風 会 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科 寺 嶋 宏 明 ほか<br />

MVW4-7<br />

右 側 肝 円 索 を 伴 った 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 切 除 術 2 例<br />

名 古 屋 大 学 … 腫 瘍 外 科 高 橋 祐 ほか<br />

MVW4-8<br />

心 嚢 膜 部 の 横 隔 膜 浸 潤 をきたした 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 後 残 肝 再 発 に 対 する 肝 切 除<br />

奈 良 県 立 奈 良 病 院 外 科 高 済 峯 ほか<br />

ミニビデオワークショップ 5<br />

5 月 30 日 ( 水 )15:00~16:00[ 第 9 会 場 ]<br />

肝 2<br />

HangingManeuver<br />

司 会 : 谷 合 信 彦 (… 日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

山 田 晃 正 (… 東 大 阪 市 立 総 合 病 院 外 科 )<br />

MVW5-1<br />

Hanging maneuverを 安 全 に 行 うための 工 夫 とその 応 用<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 近 本 亮 ほか<br />

-56-


MVW5-2<br />

安 全 なLiver Hanging Maneuverを 行 うための 当 科 での 工 夫<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 松 井 康 輔 ほか<br />

MVW5-3<br />

MVW5-4<br />

Hanging maneuverを 用 いた 肝 切 除 の 適 応<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 福 山 医 療 センター 外 科 稲 垣 優 ほか<br />

当 施 設 におけるmodified Hanging Maneuverを 用 いた 肝 葉 切 除 の 工 夫<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 木 戸 正 浩 ほか<br />

MVW5-5<br />

当 科 におけるHanging maneuverの 工 夫<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 皆 川 昌 広 ほか<br />

MVW5-6<br />

MVW5-7<br />

MVW5-8<br />

中 肝 静 脈 合 併 切 除 の 左 側 肝 切 除 におけるHanging maneuverの 有 用 性<br />

東 京 都 立 墨 東 病 院 外 科 松 田 真 輝 ほか<br />

肝 右 葉 切 除 におけるHanging maneuver:その 目 的 に 沿 った 適 応 と 変 法<br />

東 住 吉 森 本 病 院 外 科 田 中 宏 ほか<br />

Spiegel 部 の 大 型 腫 瘍 に 対 する Hanging maneuverを 応 用 した 左 側 尾 状 葉 切 除 の 工 夫<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科 山 本 尚 樹 ほか<br />

MVW5-9<br />

Liver hanging maneuverをより 安 全 に 行 うための 当 院 の 工 夫<br />

ミニビデオワークショップ 6<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 1 会 場 ]<br />

膵 3<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

司 会 : 伊 藤 壽 記 (… 大 阪 大 学 大 学 院 生 体 機 能 補 完 医 学 講 座 )<br />

山 崎 将 人 (… 帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 外 科 )<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 高 橋 豊 ほか<br />

MVW6-1<br />

MVW6-2<br />

MVW6-3<br />

MVW6-4<br />

MVW6-5<br />

動 脈 先 行 処 理 による 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)における 出 血 量 の 軽 減<br />

順 天 堂 大 学 医 学 部 肝 胆 膵 外 科 石 崎 陽 一 ほか<br />

当 科 で 行 っている 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 のポイントー 教 育 的 見 地 よりー<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 又 木 雄 弘 ほか<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 におけるSMA 神 経 叢 右 半 周 郭 清 : 右 側 アプローチによるSMA 根 部 の 先 行 郭 清 とテー<br />

ピング<br />

広 島 赤 十 字 ・ 原 爆 病 院 外 科 山 下 洋 市 ほか<br />

The Mayo Clinic Approach for Total Laparoscopic Pancreatoduodenectomy<br />

Division…of…Gastroenterologic…and…General…Surgery,…Mayo…Clinic 近 藤 成 ほか<br />

MVW6-6<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 経 験<br />

金 沢 大 学 心 肺 ・ 総 合 外 科 川 口 雅 彦<br />

膵 鉤 部 周 囲 のSurgical margin 確 保 を 目 指 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 -Modified mesenteric<br />

approach-<br />

東 京 医 科 大 学 病 院 松 土 尊 映 ほか<br />

-57-


ミニビデオワークショップ 7<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 2 会 場 ]<br />

肝 3<br />

肝 切 除 1<br />

司 会 : 調 憲 (… 九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 )<br />

波 多 野 悦 朗 (… 京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 )<br />

MVW7-1<br />

肝 細 胞 癌 に 対 するグリソン 一 括 先 行 処 理 による 肝 S8 亜 区 域 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 ・ 脾 外 科 所 隆 昌 ほか<br />

MVW7-2<br />

安 全 な 肝 亜 区 域 切 除 術 を 目 指 した 当 科 での 工 夫<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 石 崎 守 彦 ほか<br />

MVW7-3<br />

術 中 所 見 により 肝 S5+S6 切 除 術 からS5+S6+S7 切 除 術 に 術 式 変 更 した 一 例 : 手 術 手 技 のポイントと<br />

工 夫<br />

北 野 病 院 … 消 化 器 センター 外 科 飯 田 拓 ほか<br />

MVW7-4<br />

グリソン 一 括 先 行 処 理 による 尾 状 葉 単 独 全 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 臓 脾 臓 外 科 香 川 幹 ほか<br />

MVW7-5<br />

術 前 門 脈 塞 栓 術 により 肝 右 三 区 域 切 除 術 を 施 行 し 得 た 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

小 田 原 市 立 病 院 外 科 西 野 仁 惠 ほか<br />

MVW7-6<br />

低 分 化 肝 細 胞 癌 に 対 する 下 大 静 脈 合 併 高 位 背 方 切 除<br />

ミニビデオワークショップ 8<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 3 会 場 ]<br />

肝 4<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

司 会 : 串 畑 史 樹 (… 愛 媛 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 )<br />

高 原 武 志 (… 岩 手 医 科 大 学 外 科 )<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科 仁 熊 健 文 ほか<br />

MVW8-1<br />

MVW8-2<br />

腹 腔 鏡 下 肝 尾 状 葉 切 除 術<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 における 工 夫<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 塚 本 忠 司 ほか<br />

関 西 労 災 病 院 外 科 武 田 裕 ほか<br />

MVW8-3 完 全 鏡 視 下 における 肝 切 除 術 -その 安 全 性 と 治 療 適 応 -<br />

久 留 米 大 学 外 科 安 永 昌 史 ほか<br />

MVW8-4<br />

MVW8-5<br />

当 科 における 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 の 検 討 - 低 電 圧 凝 固 システムの 止 血 操 作 に 対 する 有 用 性 を 中 心 に-<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 病 センター 外 科 岡 田 克 也 ほか<br />

胆 嚢 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 S4a+S5 切 除 術 の 有 用 性 についての 検 討<br />

徳 島 大 学 外 科 学 山 田 眞 一 郎 ほか<br />

MVW8-6<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 検 討<br />

大 阪 医 科 大 学 医 学 部 一 般 消 化 器 外 科 米 田 浩 二 ほか<br />

-58-


ミニビデオワークショップ 9<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 4 会 場 ]<br />

膵 4<br />

膵 切 除<br />

司 会 : 初 瀬 一 夫 (… 防 衛 医 科 大 学 校 肝 ・ 胆 ・ 膵 外 科 )<br />

三 浦 文 彦 (… 帝 京 大 学 外 科 )<br />

MVW9-1<br />

MVW9-2<br />

膵 体 部 病 変 に 対 する 膵 中 央 切 除 ・ 尾 側 膵 再 建 術 ~ 手 術 手 技 と 治 療 成 績<br />

静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 金 本 秀 行 ほか<br />

膵 中 央 切 除 術 における 自 動 縫 合 器 の 使 用 と 安 全 確 実 な 膵 胃 密 着 縫 合 法<br />

鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 新 地 洋 之 ほか<br />

MVW9-3<br />

腹 腔 鏡 下 膵 尾 側 切 除 術 の 手 術 手 技 について<br />

日 本 医 科 大 学 付 属 病 院 外 科 吉 岡 正 人 ほか<br />

MVW9-4<br />

吸 収 性 組 織 補 強 材 と 自 動 縫 合 器 を 使 用 した 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科<br />

横 山 隆 秀 ほか<br />

MVW9-5<br />

単 孔 式 脾 臓 温 存 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切 除 術 の 経 験<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 三 澤 健 之 ほか<br />

MVW9-6<br />

脳 死 下 膵 腎 同 時 移 植 における 血 行 再 建 術<br />

ミニビデオワークショップ10<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 5 会 場 ]<br />

肝 5<br />

肝 移 植<br />

司 会 : 江 川 裕 人 (… 東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

安 田 是 和 (… 自 治 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 )<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 浅 利 貞 毅 ほか<br />

MVW10-1<br />

3D 画 像 解 析 システムを 活 用 した 肝 門 部 胆 管 血 流 、 肝 動 脈 交 通 枝 、 肝 尾 状 葉 動 脈 の 関 連 性 の 検 討<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 学 分 野 大 城 幸 雄 ほか<br />

MVW10-2<br />

生 体 部 分 肝 移 植 における 手 術 手 技 の 工 夫 ― 門 脈 血 栓 摘 出 術<br />

東 京 女 子 医 大 消 化 器 外 科<br />

加 藤 孝 章 ほか<br />

MVW10-3<br />

生 体 肝 移 植 ドナー 手 術 における 非 吸 収 糸 による 胆 管 断 端 縫 合 閉 鎖 の 有 用 性<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科<br />

河 地 茂 行 ほか<br />

MVW10-4<br />

生 体 肝 移 植 ドナーおよびレシピエント 手 術 手 技 の 工 夫<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科 加 藤 悠 太 郎 ほか<br />

MVW10-5<br />

内 頚 静 脈 を 用 いた 生 体 肝 移 植 右 葉 グラフトの 中 肝 静 脈 分 枝 再 建<br />

九 州 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

ミニビデオワークショップ11<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 6 会 場 ]<br />

肝 6<br />

肝 切 除 2<br />

司 会 : 近 藤 千 博 (… 宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 )<br />

八 木 孝 仁 (… 岡 山 大 学 病 院 肝 ・ 胆 ・ 膵 外 科 )<br />

宮 田 辰 徳 ほか<br />

MVW11-1<br />

Rex-Cantlie lineを 跨 いだ 肝 癌 に 対 する 切 除<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 学 片 桐 聡 ほか<br />

-59-


MVW11-2<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 尾 状 葉 全 摘 を 伴 う 中 央 二 区 域 切 除 術<br />

京 都 府 立 与 謝 の 海 病 院 外 科 石 井 博 道 ほか<br />

MVW11-3<br />

Bismuth-CorletteIV 型 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 右 葉 ・ 尾 状 葉 切 除 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 、 門 脈 切 除 再 建 術<br />

小 田 原 市 立 病 院 外 科 亀 高 尚 ほか<br />

MVW11-4<br />

MVW11-5<br />

拡 大 左 葉 切 除 後 中 肝 静 脈 の 再 建 を 行 った 肝 内 胆 管 癌 の 一 例<br />

神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 外 科<br />

下 大 静 脈 合 併 肝 切 除 にて 切 除 したSpieghel 葉 全 体 を 占 める 大 腸 癌 肝 転 移 の1 例<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科<br />

日 下 部 治 郎 ほか<br />

木 村 暁 史 ほか<br />

MVW11-6<br />

多 発 肝 転 移 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 二 段 階 肝 切 除 術<br />

ミニビデオワークショップ12<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 7 会 場 ]<br />

総 合 1<br />

肝 胆 膵 手 術<br />

司 会 : 太 田 岳 洋 (… 東 京 都 保 健 医 療 公 社 荏 原 病 院 外 科 )<br />

海 堀 昌 樹 (… 関 西 医 科 大 学 外 科 )<br />

岐 阜 中 央 病 院 稲 垣 均<br />

MVW12-1 当 院 における 術 中 ビデオ 撮 影 の 工 夫 ( 肝 胆 膵 高 度 技 能 専 門 医 申 請 対 策 )<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 小 泉 哲 ほか<br />

MVW12-2<br />

MVW12-3<br />

MVW12-4<br />

MVW12-5<br />

体 尾 部 膵 癌 に 対 するRadical antegrade distal pancreatectomy<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 皆 川 昌 広 ほか<br />

HyperEye Medical Syste(HEMS)を 使 用 した 肝 腫 瘍 性 病 変 の 局 在 診 断 の 有 用 性 についての 検 討<br />

国 際 医 療 福 祉 大 学 三 田 病 院 外 科 ・ 消 化 器 センター 小 島 正 之 ほか<br />

右 心 房 内 腫 瘍 栓 を 有 する 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 (Vv3)に 対 する 人 工 心 肺 を 用 いた 肝 切 除 術<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 高 台 真 太 郎 ほか<br />

局 所 進 行 肝 内 胆 管 癌 に 対 してR0をめざした 下 大 静 脈 合 併 切 除 グラフト 再 建<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 I 横 尾 英 樹 ほか<br />

MVW12-6<br />

腹 腔 鏡 下 ラジオ 波 焼 灼 術 におけるNon Trocar Techniqueの 有 用 性<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 土 田 忍 ほか<br />

ミニビデオワークショップ13<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 8 会 場 ]<br />

胆 2<br />

胆 石 ・ 胆 嚢 炎 1<br />

司 会 : 上 田 順 彦 (… 金 沢 医 科 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

高 畑 俊 一 (… 九 州 大 学 大 学 院 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科 )<br />

MVW13-1<br />

胆 嚢 管 合 流 異 常 を 伴 う 胆 石 症 に 対 する 安 全 な 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

市 立 四 日 市 病 院 外 科 鹿 野 敏 雄 ほか<br />

MVW13-2<br />

MVW13-3<br />

当 院 における 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 炎 手 術 の 治 療 成 績<br />

当 院 における 急 性 胆 嚢 炎 手 術 の 現 状 と 課 題<br />

市 立 池 田 病 院 外 科 森 本 修 邦 ほか<br />

国 立 病 院 機 構 金 沢 医 療 センター 外 科 大 西 一 朗 ほか<br />

MVW13-4<br />

当 科 における 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

市 立 豊 中 病 院 外 科 野 田 剛 広 ほか<br />

-60-


MVW13-5<br />

急 性 胆 嚢 炎 に 対 する、 早 期 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 有 用 性<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科 福 島 健 太 郎 ほか<br />

MVW13-6<br />

急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 - 補 助 器 具 を 用 いない 当 科 の 術 式 と 手 術 成 績 -<br />

ミニビデオワークショップ14<br />

6 月 1 日 ( 金 )13:45~14:25[ 第 9 会 場 ]<br />

胆 3<br />

胆 石 ・ 胆 嚢 炎 2<br />

司 会 : 塚 本 忠 司 (… 大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 )<br />

吉 田 雅 博 (… 化 学 療 法 研 究 所 附 属 病 院 人 工 透 析 ・ 一 般 外 科 )<br />

キッコーマン 総 合 病 院 外 科 川 口 米 栄 ほか<br />

MVW14-1<br />

MVW14-2<br />

MVW14-3<br />

MVW14-4<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 安 全 な 適 応 拡 大 - 慢 性 胆 嚢 炎 を 中 心 に-<br />

長 野 市 民 病 院 外 科 林 賢 ほか<br />

当 院 における 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 基 本 手 技 と 定 型 化<br />

千 葉 市 立 青 葉 病 院 外 科 清 水 康 仁 ほか<br />

胆 嚢 炎 症 例 における 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 適 応 と 限 界<br />

群 馬 大 学 病 態 総 合 外 科 学 新 木 健 一 郎 ほか<br />

V 字 鉤 を 用 いた 腹 壁 全 層 吊 り 上 げ 式 腹 腔 鏡 下 総 胆 管 切 石 術<br />

市 立 函 館 病 院 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科 倉 内 宣 明 ほか<br />

MVW14-5 胆 道 完 全 外 瘻 を 胃 へ 内 瘻 化 する 新 しい 方 法 ‐ 肝 分 割 による 瘻 管 転 位 術 ‐<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科 菅 野 将 史 ほか<br />

■ポスターセッション<br />

ポスターセッションP 1<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 肝 癌 切 除 1<br />

座 長 : 木 戸 正 浩 (… 神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P1-1 門 脈 灌 流 領 域 および 肝 静 脈 ドレナージ 領 域 の 詳 細 な 解 析 に 基 づく 合 理 的 な 拡 大 肝 前 区 域 切 除 術<br />

徳 島 大 学 外 科 学 宇 都 宮 徹 ほか<br />

P1-2 肝 門 部 前 後 区 境 界 領 域 に 存 在 する 肝 障 害 度 Bの 肝 細 胞 癌 症 例 に 対 する 非 系 統 的 肝 切 除 術<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 高 台 真 太 郎 ほか<br />

P1-3 2 step hanging maneuverを 用 いた 肝 細 胞 癌 に 対 する 尾 状 葉 切 除 術<br />

福 岡 市 民 病 院 外 科 内 山 秀 昭 ほか<br />

P1-4 安 全 にこれでもできるHanging maneuver の 工 夫<br />

P1-5 ステロイド 長 期 投 与 患 者 の 肝 切 除 術 の 検 討<br />

札 幌 医 科 大 学 外 科 第 一 講 座 水 口 徹 ほか<br />

獨 協 医 科 大 学 病 院 第 二 外 科 蜂 谷 裕 之 ほか<br />

P1-6 当 科 における 小 児 症 例 に 対 する 肝 切 除 の 検 討<br />

熊 本 大 学 附 属 病 院 小 児 外 科 ・ 移 植 外 科 武 市 卒 之 ほか<br />

P1-7 肝 実 質 切 離 におけるLigasure Small Jawの 応 用<br />

国 立 国 際 医 療 研 究 センター 病 院 外 科 枝 元 良 広 ほか<br />

-61-


P1-8 肝 門 部 解 剖 破 格 を 術 前 MDCTより 把 握 し、 術 式 を 工 夫 することにより 治 癒 切 除 できた 肝 動 注 後 Vp3 肝 細<br />

胞 癌 の 一 例<br />

東 北 大 学 病 院 … 移 植 再 建 内 視 鏡 外 科 福 島 大 造 ほか<br />

P1-9 脾 機 能 亢 進 と 肝 硬 変 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 して 用 手 補 助 腹 腔 鏡 下 (HALS) 脾 摘 後 一 期 的 に 右 肝 切 除 を 施 行<br />

した1 例<br />

社 会 保 険 大 宮 総 合 病 院 外 科 青 笹 季 文 ほか<br />

ポスターセッションP 2<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 肝 癌 症 例 1<br />

座 長 : 遠 山 洋 一 (… 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 柏 病 院 外 科 )<br />

P2-1 術 前 にヘパリン 起 因 性 血 小 板 減 少 症 (HIT)をきたした 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

帝 京 大 学 医 学 部 附 属 溝 口 病 院<br />

細 川 勇 一 ほか<br />

P2-2 S 状 結 腸 癌 術 後 、NASHに 合 併 した 多 発 HCCの1 例<br />

静 岡 医 療 センター 外 科 宮 原 利 行 ほか<br />

P2-3 Dubin-Johnson 症 候 群 合 併 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 術 を 施 行 し, 術 後 ビリルビン 吸 着 療 法 を 要 した1<br />

例<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 出 口 真 彰 ほか<br />

P2-4 病 理 組 織 学 的 に2mmと 診 断 された 肝 細 胞 癌 の 一 切 除 例<br />

日 本 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科<br />

吉 川 大 太 郎 ほか<br />

P2-5 進 行 胃 癌 の 術 後 経 過 観 察 中 に 発 症 、 切 除 した 肝 細 胞 癌 の2 例<br />

国 立 病 院 機 構 水 戸 医 療 センター 外 科 小 山 田 尚 ほか<br />

P2-6 早 期 胃 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 下 幽 門 側 胃 切 除 後 早 期 に 発 症 したVp3 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

姫 路 聖 マリア 病 院<br />

横 山 伸 二 ほか<br />

P2-7 右 胃 大 網 動 脈 を 用 いた 冠 動 脈 バイパス 術 後 の 肝 細 胞 癌 症 例 に 対 する 肝 左 葉 切 除 術 の 経 験<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 今 井 寿 ほか<br />

P2-8 肝 切 除 後 早 期 に 胃 浸 潤 を 伴 い 肝 外 発 育 性 の 再 発 をきたした 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

千 葉 労 災 病 院 外 科 飯 田 文 子 ほか<br />

P2-9 当 院 で 経 験 した 細 胆 管 癌 の 臨 床 像<br />

ポスターセッションP 3<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 1]<br />

公 立 八 女 総 合 病 院 外 科 平 城 守 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 癌 肝 外 転 移<br />

座 長 : 飯 田 洋 也 (… 明 和 病 院 外 科 )<br />

P3-1 回 盲 部 の 孤 立 性 播 種 巣 切 除 後 に 広 範 な 腹 膜 播 種 を 急 速 に 来 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

社 会 保 険 徳 山 中 央 病 院 外 科 久 保 秀 文<br />

P3-2 肝 細 胞 癌 腹 膜 播 種 再 発 に 対 し3 度 の 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

佐 々 木 研 究 所 附 属 杏 雲 堂 病 院 消 化 器 外 科 三 浦 世 樹 ほか<br />

P3-3 初 回 手 術 時 に 同 時 性 リンパ 節 転 移 を 伴 った 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

P3-4 孤 立 性 縦 隔 リンパ 節 転 移 を 切 除 した 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

横 浜 労 災 病 院 外 科 篠 藤 浩 一 ほか<br />

福 井 赤 十 字 病 院 外 科 土 居 幸 司 ほか<br />

-62-


P3-5 早 期 肝 細 胞 癌 にリンパ 節 転 移 を 伴 った1 切 除 例<br />

P3-6 切 除 後 3 年 で 腹 直 筋 転 移 を 認 めた 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 四 方 田 隆 任 ほか<br />

亀 岡 市 立 病 院 外 科 天 池 寿<br />

P3-7 鎖 骨 骨 折 で 発 症 した 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

船 橋 市 立 医 療 センター<br />

山 本 悠 司 ほか<br />

P3-8 神 経 内 分 泌 系 細 胞 への 分 化 を 伴 った 肝 細 胞 癌 が 小 腸 転 移 を 来 した1 切 除 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 室 屋 大 輔 ほか<br />

P3-9 肝 細 胞 癌 人 工 肛 門 転 移 の1 例<br />

ポスターセッションP 4<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 1]<br />

大 同 病 院 外 科 宇 野 雄 祐 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 予 備 能<br />

座 長 : 落 合 登 志 哉 (… 京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

P4-1 近 赤 外 線 イメージングを 用 いた 肝 予 備 能 評 価 法 の 開 発<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 2 楢 崎 肇 ほか<br />

P4-2 肝 切 除 前 後 でのKICGおよび 肝 アシアロシンチLHL15の 推 移 について<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 大 澤 一 郎 ほか<br />

P4-3 99mTc-GSAシンチグラフィとindocyanine green 負 荷 試 験 での 予 測 肝 機 能 における 乖 離 症 例 の 検 討<br />

高 知 医 療 センター 消 化 器 外 科 石 川 忠 則 ほか<br />

P4-4 肝 切 除 後 の 肝 体 積 ・ 機 能 の 変 化 と, 残 肝 予 備 能 から 見 た 再 肝 切 除 の 安 全 性 の 検 討<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 蘆 田 良 ほか<br />

P4-5 肝 切 除 術 における 基 準 逸 脱 例 と 残 肝 体 積 計 測 による 肝 再 生 能 の 評 価<br />

札 幌 医 科 大 学 附 属 病 院<br />

原 田 耕 平 ほか<br />

P4-6 門 脈 塞 栓 術 の 新 たな 適 応 と 限 界 を 探 る<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 林 洋 光 ほか<br />

P4-7 生 体 肝 移 植 ドナーにおける 残 肝 内 鬱 血 領 域 の 肝 機 能 に 関 する 検 討<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科 佐 藤 彰 一 ほか<br />

ポスターセッションP 5<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 術 後 合 併 症 1<br />

座 長 : 今 村 宏 (… 順 天 堂 大 学 医 学 部 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P5-1 肝 細 胞 癌 切 除 例 における 術 後 合 併 症 の 危 険 因 子 に 関 する 検 討<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科 清 水 明 ほか<br />

P5-2 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 359 例 における 胆 汁 漏 およびorgan/space SSI 危 険 因 子 の 解 析<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 消 化 器 外 科 杉 原 正 大 ほか<br />

P5-3 肝 管 空 腸 吻 合 を 伴 う 肝 切 除 後 胆 汁 漏 、 腹 腔 内 膿 瘍 対 策 :ヂュープルドレーンvs. Blake ドレーン<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 谷 合 信 彦 ほか<br />

P5-4 胆 汁 漏 予 防 を 目 的 とした 尾 状 葉 を 割 らない 肝 切 除 術 の 検 討 - 第 3 報<br />

大 阪 労 災 病 院 外 科 清 水 潤 三 ほか<br />

-63-


P5-5 肝 切 除 後 創 感 染 の 危 険 因 子 についての 検 討<br />

P5-6 肝 実 質 切 離 deviceの 選 択 による 術 後 SSI 発 生 への 影 響<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 迫 田 雅 彦 ほか<br />

大 阪 警 察 病 院 外 科 上 島 成 幸 ほか<br />

P5-7 肝 臓 外 科 領 域 におけるSSI 対 策 とサーベイランス 効 果<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 檜 垣 栄 治 ほか<br />

P5-8 Bacterail traslocationによる 敗 血 症 の 可 能 性 が 示 唆 された1 肝 切 除 例<br />

福 山 医 療 センター<br />

ポスターセッションP 6<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

北 田 浩 二 ほか<br />

肝 臓 術 後 合 併 症 2<br />

座 長 : 田 浦 康 二 朗 (… 京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 )<br />

P6-1 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 切 除 後 の 胆 汁 漏 の 評 価 について<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 佐 野 力 ほか<br />

P6-2 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 患 者 における 肝 切 除 術 後 難 治 性 腹 水 発 症 の 検 討<br />

福 岡 市 立 病 院 機 構 福 岡 市 民 病 院 外 科 伊 藤 心 二 ほか<br />

P6-3 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 後 腹 水 発 症 の 危 険 因 子 の 検 討<br />

広 島 赤 十 字 ・ 原 爆 病 院 外 科 武 石 一 樹 ほか<br />

P6-4 肝 切 除 術 後 の 大 量 腹 水 の 予 測 因 子<br />

順 天 堂 大 学 肝 胆 膵 外 科 須 郷 広 之 ほか<br />

P6-5 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 切 除 後 の 難 治 性 肝 リンパ 漏 の 治 療 に 止 血 用 サージセルが 有 効 であった1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 病 院 小 竹 将 ほか<br />

P6-6 肝 切 除 および 結 腸 切 除 後 に 十 二 指 腸 穿 孔 をきたした 一 例<br />

P6-7 肝 右 葉 切 除 術 後 に 胆 道 出 血 をきたした 一 例<br />

東 邦 大 学 石 井 淳 ほか<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 浅 井 竜 一 ほか<br />

P6-8 肝 左 葉 切 除 後 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 して 磁 石 圧 迫 法 を 施 行 した1 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科 丸 口 塁 ほか<br />

ポスターセッションP 7<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 1<br />

座 長 : 高 済 峯 (… 奈 良 県 立 奈 良 病 院 外 科 )<br />

P7-1 吊 り 上 げ 式 内 鏡 視 下 手 術 の 工 夫 と 器 具 開 発<br />

埼 玉 医 科 大 学 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 ・ 児 外 科<br />

石 田 隆 志 ほか<br />

P7-2 S7 領 域 肝 細 胞 癌 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 三 講 座 宮 原 光 興 ほか<br />

P7-3 EnSeal®を 用 いたクリップレス 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

P7-4 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 における 肝 実 質 切 離<br />

東 邦 大 学<br />

一 般 ・ 消 化 器 外 科 ( 大 森 ) 大 塚 由 一 郎 ほか<br />

奈 良 県 立 奈 良 病 院 外 科 高 済 峯 ほか<br />

-64-


P7-5 ハイリスク 症 例 への 低 侵 襲 かつ 安 全 な 手 技 を 目 指 した 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除<br />

小 倉 記 念 病 院 外 科 藤 川 貴 久 ほか<br />

P7-6 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 術<br />

大 阪 赤 十 字 病 院 肝 胆 膵 外 科 有 本 明 ほか<br />

P7-7 追 加 ニードル 無 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 検 討<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科 宮 澤 光 男 ほか<br />

P7-8 左 側 臥 位 肝 非 脱 転 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 後 区 域 切 除 術 の1 例 - 尾 側 アプローチ 肝 後 区 域 切 除 術 -<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 会 病 院 外 科 川 瀬 仁 ほか<br />

P7-9 HCV 併 発 血 友 病 A 患 者 において 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 施 行 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

ポスターセッションP 8<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 2<br />

座 長 : 守 瀬 善 一 (… 藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 会 病 院 外 科 )<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 向 井 亮 太 ほか<br />

P8-1 3D-CTシミュレーションが 有 用 であった 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 S2 亜 区 域 切 除 の1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 高 橋 豊 ほか<br />

P8-2 同 時 腹 腔 鏡 肝 切 除 ・ 胃 切 除 術 後 にBacterial translocationを 発 症 し 重 症 化 したC 型 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 戸 田 孝 祐 ほか<br />

P8-3 糖 原 病 に 合 併 した 肝 細 胞 癌 切 除 後 、 再 発 肝 細 胞 癌 と 下 行 結 腸 癌 に 対 し 肝 部 分 切 除 、 下 行 結 腸 切 除 を 施 行<br />

した1 例<br />

山 口 県 立 総 合 医 療 センター 日 高 匡 章 ほか<br />

P8-4 EZアクセスポートを 用 いた 単 孔 式 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 部 分 切 除 術 の1 例<br />

山 口 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

徳 光 幸 生 ほか<br />

P8-5 肝 癌 と 鑑 別 困 難 であった 肝 膿 瘍 に 対 し 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 中 竹 利 知 ほか<br />

P8-6 肝 細 胞 癌 に 対 し 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した1 例<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科 板 橋 英 教 ほか<br />

P8-7 腹 腔 鏡 下 大 腸 肝 同 時 切 除 の 検 討<br />

順 天 堂 大 学 付 属 浦 安 病 院 外 科<br />

飯 田 義 人 ほか<br />

P8-8 当 センターにおける 転 移 性 肝 腫 瘍 に 対 する 鏡 視 下 肝 切 除<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

ポスターセッションP 9<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

出 口 義 雄 ほか<br />

肝 臓<br />

転 移 性 肝 癌 補 助 療 法<br />

座 長 : 森 本 芳 和 (… 大 阪 厚 生 年 金 病 院 外 科 )<br />

P9-1 転 移 性 肝 癌 におけるBevacizumabを 併 用 したFOLFOX/XELOX 後 肝 切 除 の 検 討<br />

成 田 赤 十 字 病 院 外 科 伊 藤 勝 彦 ほか<br />

P9-2 ベバシズマブ 併 用 化 学 療 法 に 肝 切 除 を 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の 検 討<br />

東 住 吉 森 本 病 院 外 科 木 下 正 彦 ほか<br />

-65-


P9-3 XELOX+bevacizumab 療 法 でPD 後 ,FOLFIRI+PanitumumabでPRとなり 肝 切 除 を 施 行 し 得 た 直 腸<br />

癌 多 発 肝 転 移 の1 例<br />

高 崎 総 合 医 療 センター 外 科 清 水 尚 ほか<br />

P9-4 初 回 切 除 不 能 S 状 結 腸 癌 同 時 性 多 発 肝 転 移 に 対 しFOLFOX+セツキシマブ 療 法 と 門 脈 塞 栓 術 を 併 用 し 治<br />

療 した 一 例<br />

都 立 広 尾 病 院 外 科 小 林 隆 ほか<br />

P9-5 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 するPanitumumabの 使 用 経 験<br />

岐 北 厚 生 病 院 外 科 徳 山 泰 治 ほか<br />

P9-6 大 腸 癌 同 時 性 両 葉 多 発 肝 転 移 に 対 し 化 学 療 法 後 に 待 機 的 肝 切 除 を 施 行 した2 例 。<br />

千 葉 市 立 海 浜 病 院 外 科 片 岡 雅 章 ほか<br />

P9-7 肝 転 移 巣 切 除 後 の 補 助 化 学 療 法 としてのFOLFOX4 療 法 変 法<br />

三 井 記 念 病 院 消 化 器 外 科 南 村 圭 亮 ほか<br />

P9-8 同 時 性 H3 大 腸 癌 に 対 する 段 階 的 手 術 後 に 残 肝 再 発 を 繰 り 返 し 集 学 的 治 療 で 長 期 生 存 を 得 た1 例<br />

石 巻 赤 十 字 病 院 外 科 内 山 哲 之 ほか<br />

ポスターセッションP10<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 1<br />

座 長 : 山 田 靖 哉 (… 大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 )<br />

P10-1 肝 細 胞 癌 の 手 術 を 契 機 に 自 然 経 過 を 観 察 しえた 遺 残 肝 類 上 皮 血 管 内 皮 腫 の1 例<br />

清 水 厚 生 病 院 外 科 成 島 道 樹 ほか<br />

P10-2 術 後 10 年 目 に 肝 転 移 再 発 した 大 腿 部 平 滑 筋 肉 腫 の1 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 消 化 器 外 科 小 林 恵 子 ほか<br />

P10-3 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 一 例<br />

福 山 市 民 病 院 外 科 野 島 洋 樹 ほか<br />

P10-4 術 前 診 断 が 困 難 であった 原 発 性 肝 カルチノイドの1 症 例<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

五 十 嵐 佑 子 ほか<br />

P10-5 肝 原 発 NETの1 例<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科<br />

鬼 頭 祥 悟 ほか<br />

P10-6 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 の 一 例<br />

国 立 病 院 機 構 災 害 医 療 センター 消 化 器 乳 腺 外 科 大 森 敬 太 ほか<br />

P10-7 肝 切 除 により 診 断 した 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 の 一 例<br />

川 口 市 立 医 療 センター 外 科 関 根 速 子 ほか<br />

P10-8 門 脈 狭 窄 を 認 めた 小 児 肝 限 局 性 結 節 性 過 形 成 の1 切 除 例<br />

ポスターセッションP11<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 2<br />

座 長 : 富 永 正 寛 (… 兵 庫 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科 )<br />

刈 谷 豊 田 総 合 病 院<br />

田 中 守 嗣 ほか<br />

P11-1 biliary cystic neoplasmとの 鑑 別 が 困 難 であったcomplicated liver cystの 一 例<br />

社 会 福 祉 法 人 … 京 都 社 会 事 業 財 団 … 京 都 桂 病 院<br />

西 躰 隆 太 ほか<br />

-66-


P11-2 肝 原 発 mucosa-associated lymphoid tissueリンパ 腫 の1 切 除 例<br />

飯 塚 病 院 外 科 永 田 茂 行 ほか<br />

P11-3 下 大 静 脈 合 併 切 除 を 要 した 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 の 一 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 門 田 和 之 ほか<br />

P11-4 転 移 性 肝 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であったIgG4 関 連 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 松 島 英 之 ほか<br />

P11-5 術 前 診 断 が 困 難 であった 高 齢 発 症 の 成 人 肝 未 分 化 肉 腫 の 一 例<br />

伊 勢 崎 市 民 病 院 外 科 和 田 渉 ほか<br />

P11-6 CT&99mTc-GSAシンチグラフィのフュージョン 像 を 用 いた 腫 瘍 周 囲 肝 実 質 機 能 変 化 の 検 討<br />

高 知 県 ・ 高 知 市 病 院 企 業 団 立 高 知 医 療 センター 住 吉 辰 朗 ほか<br />

P11-7 肝 細 胞 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 肝 内 脾 症 の1 例<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 長 崎 医 療 センター 外 科 釘 山 統 太 ほか<br />

P11-8 大 腸 癌 肝 転 移 との 鑑 別 が 困 難 であった 肝 結 核 腫 の 一 例<br />

ポスターセッションP12<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 1]<br />

徳 島 市 民 病 院<br />

金 村 普 史 ほか<br />

肝 臓<br />

外 傷 ・ 門 脈<br />

座 長 : 来 見 良 誠 (… 滋 賀 医 科 大 学 総 合 外 科 学 )<br />

P12-1 当 院 における 肝 外 傷 症 例 の 検 討<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 外 科<br />

大 森 一 郎 ほか<br />

P12-2 Damage Control Surgeryを 施 行 した 肝 損 傷 の3 例<br />

社 会 保 険 栗 林 病 院 外 科 竹 内 聖 ほか<br />

P12-3 Damage control surgery 後 ,Resectional debridementにより 救 命 しえたIIIb 型 肝 損 傷 の1 例<br />

独 立 行 政 法 人 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 香 川 労 災 病 院 外 科 渡 辺 信 之 ほか<br />

P12-4 IIIb 型 外 傷 性 肝 損 傷 における 難 治 性 胆 汁 漏 の 治 療 経 験 : 内 視 鏡 的 胆 道 ステント 留 置 術 の 有 用 性<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 渡 邊 淳 一 郎 ほか<br />

P12-5 腹 壁 静 脈 結 紮 による 臍 静 脈 シャント 閉 鎖 術 が 有 効 であった 肝 性 脳 症 の1 例<br />

明 和 病 院 外 科 萩 原 清 貴 ほか<br />

P12-6 プロテインS 欠 損 症 による 門 脈 血 栓 症 を 合 併 した 胆 石 性 胆 嚢 炎 の 一 切 除 例<br />

市 立 豊 中 病 院 外 科 益 池 靖 典 ほか<br />

P12-7 特 発 性 門 脈 圧 亢 進 症 に 対 する 脾 摘 の 効 果<br />

P12-8 当 科 で 経 験 した 肝 内 門 脈 大 循 環 短 絡 の2 例<br />

ポスターセッションP13<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

久 留 米 大 学 外 科 平 川 雄 介 ほか<br />

横 浜 掖 済 会 病 院 外 科 中 山 岳 龍 ほか<br />

胆 道<br />

癌 補 助 療 法<br />

座 長 : 柳 澤 暁 (… 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 柏 病 院 外 科 )<br />

P13-1 StageII 胆 管 癌 への 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 意 義<br />

東 北 大 学 大 学 院 統 合 癌 治 療 外 科 ( 東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外 科 ) 中 川 圭 ほか<br />

-67-


P13-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 ったStage III/IV 中 下 部 胆 管 癌 における 補 助 化 学 療 法 の 意 義<br />

P13-3 ヒト 由 来 胆 道 癌 細 胞 を 用 いたphotodynamic therapyと 抗 癌 剤 の 併 用 効 果 の 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 豊 川 秀 吉 ほか<br />

長 崎 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 野 中 良 和 ほか<br />

P13-4 進 行 胆 管 癌 のhENT1 発 現 とgemcitabineを 用 いた 術 後 補 助 化 学 療 法 による 治 療 効 果 の 相 関 について<br />

の 検 討<br />

広 島 大 学 大 学 院 病 態 制 御 医 科 学 講 座 外 科 学 小 林 弘 典 ほか<br />

P13-5 切 除 断 端 陽 性 胆 管 癌 に 対 する 術 後 放 射 線 治 療 の 有 用 性<br />

聖 隷 三 方 原 病 院 外 科 松 田 武 ほか<br />

P13-6 進 行 再 発 胆 道 癌 gemcitabine 治 療 症 例 におけるhENT1 発 現 の 検 討<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科 村 田 哲 洋 ほか<br />

ポスターセッションP14<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 1]<br />

胆 道 胆 嚢 癌 1<br />

座 長 : 櫻 井 直 樹 (… 山 形 県 立 中 央 病 院 外 科 )<br />

P14-1 進 行 胆 嚢 癌 の 浸 潤 先 端 部 におけるチオレドキシン 核 発 現 と 予 後 の 検 討<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 永 野 元 章 ほか<br />

P14-2 当 院 における 胆 嚢 癌 症 例 の 検 討<br />

P14-3 再 発 形 式 からみた 胆 嚢 癌 至 適 切 除 術 式<br />

P14-4 pT2 胆 嚢 癌 のリンパ 節 転 移 と 郭 清 に 関 する 考 察<br />

公 立 置 賜 総 合 病 院 外 科 横 山 森 良 ほか<br />

山 形 県 立 中 央 病 院 外 科 櫻 井 直 樹 ほか<br />

熊 本 赤 十 字 病 院 外 科 横 溝 博 ほか<br />

P14-5 当 科 における 胆 嚢 管 癌 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

P14-6 原 発 性 胆 嚢 管 癌 の2 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 第 三 病 院 外 科<br />

浦 添 総 合 病 院<br />

恩 田 真 二 ほか<br />

伊 志 嶺 朝 成 ほか<br />

P14-7 転 移 性 胆 嚢 癌 切 除 例 の 検 討<br />

ポスターセッションP15<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

兵 庫 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科 藤 野 泰 宏 ほか<br />

胆 道 胆 嚢 癌 2<br />

座 長 : 田 中 宏 (… 医 療 法 人 橘 会 … 東 住 吉 森 本 病 院 外 科 )<br />

P15-1 巨 大 腫 瘤 を 形 成 し 広 範 な 脈 管 の 狭 小 化 を 呈 した 胆 嚢 充 実 腺 癌 の1 切 除 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 2 桑 谷 俊 彦 ほか<br />

P15-2 急 速 な 進 行 を 認 めた 胆 嚢 腫 瘍 ・ 総 胆 管 腫 瘍 の1 例<br />

健 康 保 険 諫 早 総 合 病 院 外 科 田 渕 聡 ほか<br />

P15-3 膵 頭 部 IMPN 診 断 が 契 機 となりR0 手 術 を 成 し 得 た 進 行 胆 嚢 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科 安 藤 文 彦 ほか<br />

-68-


P15-4 胆 嚢 癌 と 胆 嚢 原 発 MALTリンパ 腫 の 衝 突 を 認 めた1 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 酒 井 健 司 ほか<br />

P15-5 胆 嚢 高 分 化 型 粘 液 癌 の1 例<br />

P15-6 中 下 部 胆 管 癌 と 胆 嚢 癌 の 同 時 性 重 複 癌 の1 例<br />

P15-7 胆 嚢 原 発 腺 内 分 泌 細 胞 癌 の1 例<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科 河 野 史 穂 ほか<br />

島 根 県 立 中 央 病 院 外 科 久 保 田 豊 成 ほか<br />

市 立 堺 病 院 外 科 山 本 為 義 ほか<br />

P15-8 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 症 に 合 併 した 胆 嚢 原 発 腺 内 分 泌 細 胞 癌 の1 例<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科 佐 野 周 生 ほか<br />

ポスターセッションP16<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

胆 道<br />

乳 頭 部 癌 ・NET<br />

座 長 : 澤 田 鉄 二 (… 大 阪 掖 済 会 病 院 消 化 器 外 科 )<br />

P16-1 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 して 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した24 例 の 臨 床 病 理 的 検 討<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 落 合 高 徳 ほか<br />

P16-2 閉 塞 性 黄 疸 を 来 した 巨 大 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の1 切 除 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座 肝 胆 膵 外 科 鈴 木 文 武 ほか<br />

P16-3 胆 石 を 契 機 に 診 断 し 得 た 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の 一 例<br />

P16-4 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の1 例<br />

産 業 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

山 形 県 立 中 央 病 院 外 科<br />

厚 井 志 郎 ほか<br />

山 本 久 仁 治 ほか<br />

P16-5 内 視 鏡 的 乳 頭 切 除 術 による 完 全 切 除 後 に 局 所 再 発 を 来 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 粘 膜 癌 の 一 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 泉 谷 康 仁 ほか<br />

P16-6 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 乳 頭 切 除 術<br />

P16-7 当 科 で 経 験 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の3 例<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 塩 見 尚 礼 ほか<br />

富 山 県 立 中 央 病 院 外 科 金 本 斐 子 ほか<br />

P16-8 多 発 リンパ 節 転 移 を 伴 い 術 前 診 断 に 苦 慮 した 十 二 指 腸 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の1 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 古 川 健 太 ほか<br />

P16-9 多 発 性 肝 転 移 を 有 するも 緩 徐 な 経 過 をたどった 十 二 指 腸 乳 頭 部 カルチノイドの 一 例<br />

中 津 市 立 中 津 市 民 病 院 外 科 岸 原 文 明 ほか<br />

ポスターセッションP17<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

胆 道<br />

胆 管 良 性<br />

座 長 : 山 内 靖 (… 福 岡 大 学 消 化 器 外 科 学 )<br />

P17-1 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 良 性 胆 道 狭 窄 に 対 する 治 療 と 転 帰<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院<br />

大 黒 聖 二 ほか<br />

P17-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 虚 血 性 胆 管 閉 塞 の1 例<br />

岐 阜 大 学 高 度 先 進 外 科 村 瀬 勝 俊 ほか<br />

-69-


P17-3 治 療 に 難 渋 した 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 の 胆 道 狭 窄 にともなう 総 胆 管 結 石 ・ 肝 内 結 石 症 の1 例<br />

自 衛 隊 中 央 病 院 外 科 村 山 道 典 ほか<br />

P17-4 治 療 に 難 渋 した 再 発 肝 内 胆 管 結 石 症 例<br />

P17-5 80 年 間 無 症 状 で 経 過 した、 重 複 総 胆 管 ( 中 隔 形 成 型 )の 一 例<br />

西 宮 市 立 中 央 病 院 外 科 林 伸 泰 ほか<br />

田 岡 病 院 外 科 荒 川 悠 佑 ほか<br />

P17-6 閉 塞 性 胆 管 炎 を 来 たしたCholedococeleの1 例<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 … 消 化 器 病 センター 野 村 聡 ほか<br />

P17-7 胆 管 嚢 胞 腺 癌 ・ 腺 腫 と 診 断 された7 例 の 再 検 討<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科 米 内 山 真 之 介 ほか<br />

P17-8 胆 管 との 交 通 を 認 めた 胆 管 嚢 胞 腺 腫 の 一 例<br />

P17-9 早 期 胃 癌 に 合 併 した 胆 管 腺 線 維 腫 の1 例<br />

ポスターセッションP18<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 立 川 病 院 外 科 谷 紀 幸 ほか<br />

久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科 高 橋 健 二 郎 ほか<br />

胆 道<br />

良 性<br />

座 長 : 板 倉 淳 (… 山 梨 大 学 附 属 病 院 消 化 器 外 科 )<br />

P18-1 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 について<br />

P18-2 膵 胆 管 合 流 異 常 症 例 の 検 討<br />

山 形 大 学 第 1 外 科 平 井 一 郎 ほか<br />

板 橋 区 医 師 会 病 院 外 科 栗 藤 克 己 ほか<br />

P18-3 胆 管 非 拡 張 型 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 の 治 療 戦 略<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

竹 下 信 啓 ほか<br />

P18-4 胆 嚢 腺 筋 腫 症 における 胆 嚢 内 胆 汁 の 高 アミラーゼ 値 と 機 能 的 膵 胆 管 合 流 異 常 現 象 について<br />

京 都 桂 病 院 消 化 器 センター 外 科 間 中 大 ほか<br />

P18-5 当 科 での 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 症 の 術 後 長 期 予 後 の 検 討<br />

東 京 医 科 大 学 病 院 外 科 学 第 三 講 座 許 文 聰 ほか<br />

P18-6 先 天 性 胆 管 拡 張 症 への 分 流 手 術 後 に 発 症 した 胆 管 癌 の3 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 分 野 大 橋 拓 ほか<br />

P18-7 小 児 期 に 嚢 腫 空 腸 吻 合 術 を 受 け、 肝 門 部 胆 管 癌 を 発 症 した 先 天 性 総 胆 管 拡 張 症 の40 代 の1 例<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 一 般 消 化 器 外 科 三 原 良 孝 ほか<br />

P18-8 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 に 対 する 総 胆 管 空 腸 吻 合 術 後 の 胆 道 狭 窄 に 対 してPpPDを 施 行 した 一 例<br />

さいたま 赤 十 字 病 院 外 科 横 山 元 昭 ほか<br />

P18-9 当 科 で 治 療 を 行 った 胆 道 閉 鎖 症 例 に 関 する 検 討<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 見 城 朗 ほか<br />

-70-


ポスターセッションP19<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 膵 癌 補 助 療 法 1<br />

座 長 : 高 森 啓 史 (… 社 会 福 祉 法 人 … 恩 賜 財 団 … 済 生 会 熊 本 病 院 )<br />

P19-1 膵 頭 部 癌 切 除 例 に 対 する 放 射 線 化 学 療 法<br />

山 梨 大 学 医 学 部 第 一 外 科 細 村 直 弘 ほか<br />

P19-2 術 後 補 助 化 学 療 法 の 用 量 強 度 から 進 行 膵 癌 の 治 療 法 選 択 を 再 考 する<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 木 村 康 利 ほか<br />

P19-3 膵 癌 周 術 期 因 子 が 術 後 補 助 療 法 完 遂 に 及 ぼす 影 響 の 検 討<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 総 合 外 科 赤 堀 宇 広 ほか<br />

P19-4 当 院 におけるS-1による 膵 癌 術 後 補 助 化 学 療 法 の 経 験<br />

国 立 病 院 機 構 別 府 医 療 センター 内 田 博 喜 ほか<br />

P19-5 【 演 題 取 下 】<br />

P19-6 膵 癌 切 除 例 の 術 後 ・ 再 発 後 化 療 内 容 別 検 討<br />

国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 東 海 病 院 外 科 山 本 英 夫 ほか<br />

P19-7 StageIV 膵 癌 長 期 生 存 例 と 塩 酸 ゲムシタビンの 効 果 についての 検 討<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 伊 藤 直 子 ほか<br />

ポスターセッションP20<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 膵 癌 補 助 療 法 2<br />

座 長 : 種 村 匡 弘 (… 国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター・ 中 国 がんセンター 外 科 )<br />

P20-1 膵 頭 部 浸 潤 性 膵 管 癌 の 外 科 的 治 療 成 績 と 予 後 因 子 の 検 討<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科<br />

矢 澤 直 樹 ほか<br />

P20-2 切 除 可 能 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 療 法 の 意 義<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 相 本 隆 幸 ほか<br />

P20-3 局 所 進 行 膵 癌 に 対 するGemcitabine+S-1を 用 いた 術 前 化 学 療 法<br />

佐 賀 大 学 医 学 部 一 般 ・ 消 化 器 外 科 井 手 貴 雄 ほか<br />

P20-4 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 後 切 除 可 能 となった 切 除 不 能 局 所 進 行 膵 癌 の 経 験<br />

関 西 医 科 大 学 附 属 枚 方 病 院 外 科 柳 本 泰 明 ほか<br />

P20-5 GS 療 法 による 術 前 化 学 療 法 施 行 後 、R0 手 術 を 施 行 したborderline resectable 膵 頭 部 癌 の1 例<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 松 下 晃 ほか<br />

P20-6 化 学 療 法 施 行 後 根 治 切 除 しえた16 番 リンパ 節 転 移 陽 性 膵 癌 の 一 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 医 歯 学 総 合 研 究 科 腫 瘍 学 講 座 腫 瘍 制 御 学 出 先 亮 介 ほか<br />

P20-7 化 学 療 法 および 化 学 放 射 線 療 法 によりダウンステージを 得 て 切 除 可 能 となった3 例<br />

広 島 市 立 安 佐 市 民 病 院 外 科 佐 伯 修 二 ほか<br />

P20-8 CPT11で 門 脈 系 浸 潤 が 縮 小 し 門 脈 系 合 併 切 除 pPPDを 行 い 得 た 膵 芽 腫 長 期 生 存 の1 例<br />

八 尾 徳 洲 会 総 合 病 院 肝 臓 外 科 、 小 児 外 科 木 村 拓 也<br />

-71-


ポスターセッションP21<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 膵 癌 補 助 療 法 3<br />

座 長 : 江 口 英 利 (… 大 阪 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

P21-1 Borderline resectable 膵 癌 症 例 に 対 するGemcitabine+S-1 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 治 療 成 績 と 傾 向<br />

東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 阿 部 雄 太 ほか<br />

P21-2 Borderline resectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 の 有 用 性<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 谷 口 浩 一 ほか<br />

P21-3 当 院 におけるBorderline resectable 症 例 の 検 討<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 清 水 貞 利 ほか<br />

P21-4 広 範 膵 外 神 経 叢 浸 潤 で 切 除 不 能 と 診 断 した 局 所 進 行 膵 頭 部 癌 に 対 し 化 学 放 射 線 療 法 後 に 根 治 切 除 を 施<br />

行 した1 例<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 II 新 田 健 雄 ほか<br />

P21-5 局 所 進 行 切 除 不 能 膵 癌 に 対 して、 化 学 放 射 線 療 法 が 奏 功 し 切 除 しえた1 例<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 病 院 胆 膵 外 科 越 智 隆 之 ほか<br />

P21-6 膵 臓 癌 、 腹 膜 播 種 の 診 断 で 手 術 、 化 学 療 法 後 、 長 期 生 存 がえられている1 症 例<br />

健 康 保 険 人 吉 総 合 病 院<br />

田 浦 尚 宏 ほか<br />

P21-7 術 後 再 発 しながらも6 年 3ヶ 月 生 存 している 膵 体 尾 部 癌 の1 例<br />

姫 路 聖 マリア 病 院 外 科 三 浦 奈 緒 子 ほか<br />

P21-8 3 回 の 根 治 的 膵 切 除 が 可 能 であった 浸 潤 性 膵 管 癌 の1 例<br />

ポスターセッションP22<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

昭 和 伊 南 総 合 病 院 外 科<br />

宮 川 雄 輔 ほか<br />

膵 臓<br />

手 術 と 膵 機 能<br />

座 長 : 金 光 敬 一 郎 (… 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 … 熊 本 南 病 院 )<br />

P22-1 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 胃 吻 合 , 膵 空 腸 吻 合 の 術 後 長 期 栄 養 評 価<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 3 講 座<br />

高 橋 恒 輔 ほか<br />

P22-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 胃 吻 合 後 の 栄 養 状 態 の 評 価<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 生 駒 久 視 ほか<br />

P22-3 PD 術 後 の 脂 肪 肝 発 生 についての 検 討<br />

四 国 中 央 病 院 外 科 石 川 正 志 ほか<br />

P22-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 脂 肪 肝 にエレンタール 投 与 が 効 果 的 であった1 例<br />

遠 賀 中 間 医 師 会 おんが 病 院 皆 川 亮 介 ほか<br />

P22-5 膵 癌 に 対 する 膵 全 摘 術 後 管 理<br />

P22-6 膵 全 摘 後 ,NST 外 来 支 援 の 有 効 性<br />

朝 日 大 学 村 上 記 念 病 院 外 科 森 章 ほか<br />

秋 田 赤 十 字 病 院 総 合 診 療 科 古 屋 智 規 ほか<br />

P22-7 本 学 で 施 行 した 自 家 膵 島 移 植 の3 例<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

坂 田 直 昭 ほか<br />

-72-


P22-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 膵 体 積 と 膵 機 能 の 検 討<br />

宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 講 座<br />

矢 野 公 一 ほか<br />

P22-9 緊 急 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 膵 癌 の2 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 ・ 消 化 器 外 科 石 井 剛 弘 ほか<br />

ポスターセッションP23<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 膵 手 術 再 建 1<br />

座 長 : 松 本 逸 平 (… 神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P23-1 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 術 後 膵 液 瘻 の 危 険 因 子 についての 検 討<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科<br />

旭 吉 雅 秀 ほか<br />

P23-2 正 常 膵 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 膵 液 瘻 発 生 予 測 因 子 の 検 討<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 外 科 眞 次 康 弘 ほか<br />

P23-3 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD) 時 の 膵 液 瘻 現 状 およびHigh risk 患 者 への 対 応 を 含 めた 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 朝 倉 武 士 ほか<br />

P23-4 主 膵 管 非 拡 張 症 例 における 胃 膵 吻 合 法 (IVB-2 Delcore 法 )の 有 用 性<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 一 般 消 化 器 外 科 戸 部 直 孝 ほか<br />

P23-5 当 科 における 膵 切 離 ・ 吻 合 法 (PPPD-IIIa 再 建 )の 工 夫<br />

P23-6 嵌 入 法 による 膵 空 腸 端 側 1 層 吻 合 法<br />

P23-7 当 院 における 膵 腸 吻 合 の 工 夫 と 短 期 成 績<br />

ポスターセッションP24<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

山 口 大 学 消 化 器 腫 瘍 外 科 鈴 木 伸 明 ほか<br />

札 幌 道 都 病 院 外 科 秦 史 壯 ほか<br />

京 都 桂 病 院 外 科 西 躰 隆 太 ほか<br />

膵 臓 膵 手 術 再 建 2<br />

座 長 : 蓮 池 康 徳 (… 西 宮 渡 辺 病 院 外 科 )<br />

P24-1 細 経 膵 管 に 対 するParachute techniqueを 用 いた 膵 空 腸 全 層 吻 合<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科 岡 本 光 順 ほか<br />

P24-2 当 センターおける 膵 腸 吻 合 手 技<br />

P24-3 当 教 室 での 膵 空 腸 密 着 吻 合 法 の 変 遷 と 成 績<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター 木 田 裕 之 ほか<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 橋 本 真 治 ほか<br />

P24-4 在 院 期 間 短 縮 を 目 指 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 膵 空 腸 吻 合 の 手 技 の 工 夫<br />

横 浜 市 立 大 学 附 属 市 民 総 合 医 療 センター 消 化 器 病 センター 外 科 杉 田 光 隆 ほか<br />

P24-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫<br />

済 生 会 横 浜 市 東 部 病 院<br />

伊 藤 康 博<br />

P24-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 難 治 性 膵 液 瘻 に 対 しIVR 下 に 経 皮 経 腸 膵 管 ドレナージ 造 設 術 を 行 った1 例<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 川 合 亮 佑 ほか<br />

P24-7 幽 門 輪 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 器 械 吻 合 による 消 化 管 再 建 の 検 討<br />

産 業 医 科 大 学 医 学 部 第 一 外 科 矢 吹 慶 ほか<br />

-73-


P24-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 , 輸 入 脚 の 悪 性 狭 窄 に 対 し 金 属 ステント 留 置 を 行 った1 例<br />

ポスターセッションP25<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 膵 手 術 合 併 症 1<br />

座 長 : 髙 橋 秀 典 (… 大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 )<br />

坂 出 市 立 病 院 外 科 近 藤 昭 宏 ほか<br />

P25-1 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 胃 排 出 能 遅 延 に 関 連 する 因 子 の 検 討<br />

宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 今 村 直 哉 ほか<br />

P25-2 全 胃 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 胃 内 容 停 滞 における 膵 腸 吻 合 部 の 位 置 と 術 後 膵 炎 の 関 連 に 関<br />

する 検 討<br />

八 王 子 消 化 器 病 病 院 梶 理 史 ほか<br />

P25-3 周 術 期 および 遠 隔 期 成 績 から 見 た 膵 胃 吻 合 法 の 評 価<br />

P25-4 膵 胃 吻 合 における 吻 合 部 潰 瘍 の 検 討<br />

鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 新 地 洋 之 ほか<br />

社 会 保 険 横 浜 中 央 病 院 外 科 吹 野 信 忠 ほか<br />

P25-5 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 , 慢 性 期 における 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 部 潰 瘍 の 検 討<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 仲 野 哲 矢 ほか<br />

P25-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 晩 期 合 併 症 に 対 する 外 科 的 治 療<br />

京 都 桂 病 院 外 科<br />

坂 元 克 考 ほか<br />

P25-7 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ・Child 変 法 再 建 後 の 挙 上 空 腸 に 潰 瘍 形 成 を 来 した2 例<br />

一 宮 市 立 市 民 病 院 外 科 阪 井 満 ほか<br />

ポスターセッションP26<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 膵 手 術 合 併 症 2<br />

座 長 : 永 川 裕 一 (… 東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 三 講 座 )<br />

P26-1 尾 側 膵 切 除 における 膵 断 端 処 理 の 工 夫 と 膵 液 瘻 低 減 に 関 する 検 討<br />

徳 島 大 学 外 科 池 本 哲 也 ほか<br />

P26-2 術 後 成 績 から 見 た 膵 断 端 閉 鎖 を 行 わない 尾 側 膵 切 除 の 評 価<br />

新 潟 県 立 中 央 病 院 外 科 青 野 高 志 ほか<br />

P26-3 Soft Pancreasに 対 する 自 動 縫 合 器 による 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 発 生 に 関 する 検 討 とドレナージの 工<br />

夫 について<br />

社 会 保 険 栗 林 病 院 外 科 森 誠 治 ほか<br />

P26-4 尾 側 膵 切 除 後 膵 瘻 に 対 する 治 療 の 工 夫 ~ドレーン 留 置 固 定 と 内 視 鏡 的 膵 管 ステントの 有 効 性 ~<br />

杏 林 大 学 外 科 ( 消 化 器 ・ 一 般 ) 中 里 徹 矢 ほか<br />

P26-5 膵 体 尾 部 切 除 後 膵 液 漏 の 防 止 の 工 夫 ~ネオベール 被 覆 とFibrin-glue 塗 布 の 有 用 性<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 伴 大 輔 ほか<br />

P26-6 膵 断 端 非 閉 鎖 法 とネオベールとボルヒールによる 断 端 被 覆 法 を 併 用 した 尾 側 膵 切 除 症 例 の 検 討<br />

岐 阜 市 民 病 院 外 科 松 井 聡 ほか<br />

P26-7 尾 側 膵 切 除 術 における 頭 側 膵 断 端 胃 密 着 縫 合<br />

明 和 病 院 外 科<br />

生 田 真 一 ほか<br />

-74-


P26-8 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 断 端 空 腸 吻 合 術 の 経 験<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

岡 田 健 一 ほか<br />

P26-9 膵 体 尾 部 切 除 術 における 膵 胃 吻 合 の 臨 床 的 効 果<br />

ポスターセッションP27<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 柳 本 泰 明 ほか<br />

膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 1<br />

座 長 : 鳥 正 幸 (… 大 阪 警 察 病 院 外 科 )<br />

P27-1 当 院 における 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN) 手 術 症 例 の 検 討<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科 神 藤 修 ほか<br />

P27-2 膵 IPMN 切 除 例 における 膵 切 除 断 端 陽 性 の 臨 床 的 意 義 に 関 する 検 討<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 牧 野 勇 ほか<br />

P27-3 当 院 における 通 常 型 膵 癌 とIPMN 由 来 浸 潤 癌 の 検 討<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 石 本 武 史 ほか<br />

P27-4 当 科 におけるIPMN 手 術 症 例 の 検 討 と 膵 尾 部 末 端 IPMNの 手 術 適 応<br />

山 梨 大 学 第 一 外 科<br />

P27-5 IPMN 治 療 における 国 際 ガイドラインの 妥 当 性 とPET 検 査 の 有 用 性<br />

九 州 がんセンター<br />

川 井 田 博 充 ほか<br />

前 原 伸 一 郎 ほか<br />

P27-6 膵 IPMN( 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 )の 治 療 戦 略 としてのFDG-PETの 意 義<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 谷 田 司 ほか<br />

P27-7 幽 門 輪 温 存 脾 温 存 膵 全 摘 術 (PPSPTP)を 施 行 したIPMN 症 例 の 検 討<br />

富 山 大 学 消 化 器 腫 瘍 総 合 外 科 吉 岡 伊 作 ほか<br />

P27-8 術 前 画 像 で 分 枝 膵 管 との 交 通 を 認 めた 膵 MCNの1 切 除 例<br />

医 療 法 人 清 田 病 院 外 科 矢 野 智 之 ほか<br />

P27-9 FDG-PET/CTで 術 前 にmucinous cystadenocarcinomaと 診 断 可 能 であった 一 切 除 例<br />

埼 玉 医 科 大 学 徳 永 裕 貴 ほか<br />

ポスターセッションP28<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 2<br />

座 長 : 粕 谷 和 彦 (… 東 京 医 科 大 学 病 院 消 化 器 外 科 )<br />

P28-1 膵 体 部 癌 と 合 併 した 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 にて 膵 体 尾 部 切 除 後 , 異 時 性 多 発 膵 癌 を 認 めた1 例<br />

製 鉄 記 念 室 蘭 病 院 外 科 高 橋 瑞 奈 ほか<br />

P28-2 胆 管 および 膵 管 狭 窄 を 伴 った 膵 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

富 山 市 民 病 院 外 科 天 谷 公 司 ほか<br />

P28-3 症 状 発 現 の 原 因 が 特 異 的 であった 膵 Solid-pseudopapillary tumorの1 例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 八 幡 和 憲 ほか<br />

P28-4 肝 転 移 を 認 めた 膵 Solid-Pseudopapillary tumorの1 切 除 例<br />

静 岡 県 立 総 合 病 院 外 科 野 村 明 芳 ほか<br />

-75-


P28-5 超 音 波 内 視 鏡 下 生 検 でのimplantationが 原 因 と 思 われる 膵 solid-pseudopapillary neoplasm 再 発 の<br />

1 切 除 例<br />

小 牧 市 民 病 院 … 外 科 高 見 秀 樹 ほか<br />

P28-6 術 後 7 年 経 過 して 発 症 したSolid-pseudopapillary neoplasm 肝 転 移 の1 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 坂 本 照 尚 ほか<br />

P28-7 当 科 で 経 験 した 膵 soild-peudopapillary tumor (SPT) 切 除 症 例 の 検 討<br />

市 立 札 幌 病 院 外 科 大 島 隆 宏 ほか<br />

P28-8 高 齢 女 性 のSolid-Pseudopapillary neoplasmの1 例<br />

JA 静 岡 厚 生 連 遠 州 病 院 外 科 田 畑 光 紀 ほか<br />

P28-9 術 前 診 断 に 超 音 波 ガイド 下 生 検 を 要 した 膵 Solid Pseudopapillary Tumor(SPC)の1 例<br />

横 浜 栄 共 済 病 院 渡 邊 透 ほか<br />

ポスターセッションP29<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

その 他 の 腫 瘍<br />

座 長 : 小 澤 文 明 (… 埼 玉 医 科 大 学 総 合 医 療 センター)<br />

P29-1 小 児 に 発 生 した 膵 腺 房 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

福 井 大 学 第 一 外 科 森 川 充 洋 ほか<br />

P29-2 進 行 胃 癌 と 進 行 膵 癌 の 重 複 癌 と 考 えられた2 切 除 例<br />

春 日 井 市 民 病 院<br />

宮 田 雅 弘 ほか<br />

P29-3 肺 腺 扁 平 上 皮 癌 と 膵 頭 部 癌 の 同 時 性 重 複 癌 の1 例<br />

P29-4 膵 癌 肺 転 移 の2 切 除 例<br />

岐 阜 大 学 医 学 部 高 度 先 進 外 科 関 野 誠 史 郎 ほか<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科 米 川 佳 彦 ほか<br />

P29-5 Pancreatic Groove Carcinoma(PGC)は 特 殊 な 膵 癌 か<br />

日 立 総 合 病 院<br />

上 田 和 光 ほか<br />

P29-6 Groove pancreatitisとの 鑑 別 に 苦 慮 したVater 乳 頭 部 癌 の1 切 除 例<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 黒 川 友 博 ほか<br />

P29-7 膵 癌 根 治 手 術 時 に 乳 癌 腹 腔 内 リンパ 節 転 移 が 判 明 した1 例<br />

福 岡 新 水 巻 病 院 外 科 上 野 陽 介 ほか<br />

P29-8 腸 閉 塞 にて 発 症 し、 腸 管 減 圧 の 後 に 手 術 施 行 した 結 腸 浸 潤 膵 尾 部 癌 の 一 例<br />

三 豊 総 合 病 院 外 科 遠 藤 出 ほか<br />

P29-9 結 腸 浸 潤 による 閉 塞 性 イレウスで 発 見 され、 穿 孔 性 腹 膜 炎 ・ 敗 血 症 性 ショックを 呈 した 膵 尾 部 癌 の1 例<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 北 村 謙 太 ほか<br />

ポスターセッションP30<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 合 併 症 と 膵 手 術 1<br />

座 長 : 下 田 貢 (… 獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

P30-1 IPMNに 対 し 大 動 脈 弁 置 換 術 を 先 行 させ 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 慢 性 腎 不 全 血 液 透 析 患 者 の1 例<br />

大 阪 厚 生 年 金 病 院 外 科 谷 口 嘉 毅 ほか<br />

-76-


P30-2 高 度 の 低 アルブミン 血 症 を 伴 ったIPMCに 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 良 田 大 典 ほか<br />

P30-3 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 にビタミンA 欠 乏 による 夜 盲 症 の1 例<br />

龍 ヶ 崎 済 生 会 病 院<br />

松 尾 亮 太 ほか<br />

P30-4 術 前 急 性 膵 炎 を 起 こし 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 筒 井 信 浩 ほか<br />

P30-5 食 道 癌 根 治 術 後 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 一 例<br />

市 立 豊 中 病 院<br />

北 原 知 洋 ほか<br />

P30-6 幽 門 側 胃 切 除 既 往 症 例 に 対 する 尾 側 膵 切 除 術 の 経 験<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 今 村 将 史 ほか<br />

P30-7 食 道 癌 術 後 に 発 症 した 膵 頭 部 癌 に 対 して 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

P30-8 胃 癌 術 後 再 発 に 対 し 化 学 療 法 が 著 効 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

名 古 屋 大 学 消 化 器 外 科 2 猪 川 祥 邦 ほか<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 廣 岡 智 ほか<br />

P30-9 生 活 習 慣 改 善 プログラムを 行 い 安 全 に 切 除 し 得 た 高 度 肥 満 を 伴 う 膵 頭 部 IPMNの1 例<br />

ポスターセッションP31<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 合 併 症 と 膵 手 術 2<br />

座 長 : 隈 元 雄 介 (… 北 里 大 学 医 学 部 外 科 )<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 豊 川 秀 吉 ほか<br />

P31-1 lipomatous pseudohypertrophy of the pancreas(LPP)を 伴 った 乳 頭 部 癌 にPpPDを 施 行 した1<br />

例<br />

島 根 大 学 医 学 部 附 属 病 院 消 化 器 ・ 総 合 外 科 高 井 清 江 ほか<br />

P31-2 胃 癌 手 術 治 療 後 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の2 例 の 経 験<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 大 阪 南 医 療 センター 外 科 庄 野 嘉 治 ほか<br />

P31-3 高 度 肝 機 能 障 害 を 有 する 肝 硬 変 合 併 症 例 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 経 験<br />

袋 井 市 立 袋 井 市 民 病 院 外 科 京 兼 隆 典<br />

P31-4 食 道 癌 切 除 ・ 胃 管 再 建 後 に 発 生 した 膵 管 内 乳 頭 状 粘 液 性 腫 瘍 に 対 する 胃 管 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科 島 田 和 明 ほか<br />

P31-5 直 腸 癌 異 時 性 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

P31-6 腎 癌 異 時 性 多 発 性 膵 転 移 に 対 し 膵 全 摘 を 施 行 した 二 例<br />

倉 敷 中 央 病 院 外 科 河 合 隆 之 ほか<br />

川 崎 社 会 保 険 病 院 外 科 土 屋 勝 ほか<br />

P31-7 腎 細 胞 癌 膵 転 移 に 対 する 膵 切 除 の 治 療 成 績<br />

P31-8 後 腹 膜 原 発 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

新 潟 大 学 … 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

福 島 県 立 医 科 大 学<br />

森 本 悠 太 ほか<br />

芳 賀 淳 一 郎 ほか<br />

-77-


ポスターセッションP32<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

高 齢 者 に 対 する 膵 手 術<br />

座 長 : 廣 野 誠 子 (… 和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 )<br />

P32-1 高 齢 者 における 膵 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 検 討<br />

九 州 大 学 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科 上 田 純 二 ほか<br />

P32-2 当 院 における80 歳 以 上 の 高 齢 者 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 検 討<br />

済 生 会 熊 本 病 院 外 科 センター 井 上 耕 太 郎 ほか<br />

P32-3 当 院 における 高 齢 者 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 成 績<br />

町 田 市 民 病 院 外 科 薄 葉 輝 之 ほか<br />

P32-4 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した 術 後 再 発 膵 癌 の1 例<br />

福 岡 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 新 屋 智 志 ほか<br />

P32-5 膵 癌 術 後 5 年 目 に 出 現 した 超 高 齢 者 の 残 膵 癌 に 対 し、 粒 子 線 治 療 を 施 行 した 一 例<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 山 下 博 成 ほか<br />

P32-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 肝 硬 変 の2 症 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 …… 肝 胆 膵 外 科<br />

二 川 康 郎 ほか<br />

P32-7 膵 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であった 総 肝 動 脈 周 囲 神 経 叢 由 来 の 後 腹 膜 神 経 鞘 腫 の 一 例<br />

厚 生 連 JA 広 島 総 合 病 院 外 科 佐 々 木 秀 ほか<br />

P32-8 後 腹 膜 ganglioneuromaの1 切 除 例<br />

ポスターセッションP33<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 3]<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 柴 浩 明 ほか<br />

膵 臓 膵 炎 1<br />

座 長 : 安 田 武 生 (… 近 畿 大 学 医 学 部 外 科 )<br />

P33-1 経 口 内 視 鏡 を 使 用 し、 後 腹 膜 アプローチにてネクロセクトミーを 施 行 した 急 性 重 症 膵 炎 の1 例<br />

名 古 屋 共 立 病 院 外 科 寺 下 幸 夫<br />

P33-2 重 症 膵 炎 後 膵 頭 部 嚢 胞 内 出 血 を 来 たし 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

関 西 医 科 大 学 枚 方 病 院 外 科 津 田 匠 ほか<br />

P33-3 特 異 な 画 像 所 見 を 呈 した 限 局 性 膵 炎 の 一 例<br />

山 口 大 学<br />

飯 田 通 久 ほか<br />

P33-4 待 機 的 に 手 術 を 行 った 膵 仮 性 嚢 胞 の 一 例<br />

P33-5 特 異 な 経 過 を 示 した 膵 体 尾 部 仮 性 嚢 胞 内 出 血 の1 例<br />

鹿 児 島 市 医 師 会 病 院 外 科 川 村 秀 尚 ほか<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 由 井 倫 太 郎 ほか<br />

P33-6 慢 性 膵 炎 、 脾 動 脈 瘤 、 膵 仮 性 嚢 胞 に 対 し 門 脈 バイパスを 併 用 した1 手 術 例<br />

佐 久 総 合 病 院 外 科 大 久 保 浩 毅 ほか<br />

P33-7 異 時 性 に 腹 腔 内 出 血 と 消 化 管 出 血 を 合 併 した 膵 仮 性 嚢 胞 の 一 例<br />

せんぽ 東 京 高 輪 病 院 外 科 坂 田 宏 樹 ほか<br />

P33-8 下 血 で 発 症 した 膵 仮 性 嚢 胞 内 出 血 によるhemosuccus pancreaticusの1 切 除 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 循 環 器 ・ 呼 吸 器 ・ 消 化 器 疾 患 制 御 学 吉 川 弘 太 ほか<br />

-78-


ポスターセッションP34<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00[ポスター 会 場 3]<br />

膵 ・ 十 二 指 腸 症 例<br />

座 長 : 藤 本 康 二 (… 医 療 法 人 社 団 … 神 鋼 会 … 神 鋼 病 院 )<br />

P34-1 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例 ー 慢 性 腎 不 全 下 の 集 学 的 治 療 ー<br />

江 東 病 院 消 化 器 センター 外 科 加 藤 博 久 ほか<br />

P34-2 動 脈 塞 栓 術 が 有 効 であった 膵 動 静 脈 奇 形 の 一 例<br />

P34-3 胃 十 二 指 腸 潰 瘍 を 繰 り 返 し 発 症 した 膵 頭 部 動 静 脈 奇 形 の1 例<br />

順 天 堂 医 院 肝 胆 膵 外 科 佐 藤 剛 ほか<br />

九 州 労 災 病 院 外 科 西 岡 泰 信 ほか<br />

P34-4 十 二 指 腸 動 静 脈 奇 形 による 十 二 指 腸 出 血 に 対 し 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

新 潟 県 立 中 央 病 院 外 科 鈴 木 晋 ほか<br />

P34-5 十 二 指 腸 GISTに 対 する 手 術 治 療 成 績 の 検 討<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科<br />

藤 崎 洋 人 ほか<br />

P34-6 大 腸 癌 十 二 指 腸 転 移 の 一 切 除 例<br />

旭 川 医 科 大 学 … 外 科 学 講 座 … 消 化 器 病 態 外 科 学 分 野<br />

今 井 浩 二 ほか<br />

P34-7 十 二 指 腸 原 発 横 紋 筋 肉 腫 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 後 , 膵 胃 吻 合 部 再 発 に 対 し 追 加 切 除 を 施 行 した<br />

1 例<br />

虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 佐 藤 朝 日 ほか<br />

P34-8 胆 膵 悪 性 腫 瘍 を 含 む 消 化 器 系 多 重 癌 :3-8 重 複 癌 を 切 除 しえた4 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

島 田 哲 也 ほか<br />

P34-9 十 二 指 腸 憇 室 出 血 に 対 しIVRにて 救 命 しえた1 例<br />

ポスターセッションP35<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 3]<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 有 馬 浩 太 ほか<br />

脾 ・ 血 管 症 例<br />

座 長 : 川 中 博 文 (… 福 岡 市 民 病 院 )<br />

P35-1 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 および 脾 摘 を 施 行 した 結 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 および 脾 リンパ 管 腫 の1 例<br />

永 寿 総 合 病 院 内 視 鏡 手 術 センター 大 島 剛 ほか<br />

P35-2 肝 硬 変 、 巨 脾 に 伴 う 進 行 性 の 血 小 板 減 少 症 に 対 し 脾 摘 を 行 った1 例<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科 伊 藤 孝 ほか<br />

P35-3 IVRにて 治 療 困 難 であり、 腹 腔 鏡 下 脾 臓 摘 出 術 を 施 行 した 脾 動 脈 瘤 の 一 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 山 木 壮 ほか<br />

P35-4 手 術 治 療 を 余 儀 なくされた、 脾 動 脈 起 始 部 動 脈 瘤 の2 例<br />

P35-5 脾 巨 大 動 脈 瘤 破 裂 に 対 し、 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した1 例<br />

米 沢 市 立 病 院 外 科 菊 池 智 宏 ほか<br />

大 阪 警 察 病 院 外 科 新 野 直 樹 ほか<br />

P35-6 動 脈 塞 栓 後 に 用 手 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 温 存 脾 臓 摘 出 を 施 行 した 脾 動 静 脈 瘻 の1 例<br />

岐 阜 大 学 高 度 先 進 外 科<br />

木 村 真 樹 ほか<br />

-79-


P35-7 血 行 再 建 を 行 った 固 有 肝 動 脈 瘤 の1 例<br />

静 岡 医 療 センター<br />

佐 藤 琢 爾 ほか<br />

P35-8 胆 管 メタリックステント 過 長 による 十 二 指 腸 潰 瘍 に 対 して 内 視 鏡 下 ステント 切 断 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 東 京 病 院 趙 斌 ほか<br />

P35-9 S 状 結 腸 軸 捻 転 症 と 肝 左 葉 形 成 不 全 との 関 連 性 についての 検 討<br />

ポスターセッションP36<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 3]<br />

亀 田 総 合 病 院 外 科 林 賢 ほか<br />

鏡 視 下 手 術 胆 道 合 併 症<br />

座 長 : 山 崎 将 人 (… 帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター)<br />

P36-1 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 前 3D DIC-CT1485 例 の 検 討<br />

労 働 者 健 康 福 祉 機 構 東 北 労 災 病 院 外 科 野 村 良 平 ほか<br />

P36-2 当 院 における 内 視 鏡 的 胆 道 手 術 後 の 胆 道 系 合 併 症 に 関 する 検 討<br />

富 士 宮 市 立 病 院 外 科 奥 村 拓 也 ほか<br />

P36-3 当 院 におけるLap-C 術 中 胆 道 損 傷 症 例 の 検 討<br />

広 島 市 立 広 島 市 民 病 院 外 科 香 川 哲 也 ほか<br />

P36-4 安 全 にLap-Cを 行 うための 手 技 の 標 準 化 ならびに 困 難 症 例 に 対 する 対 処 法<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科 倉 田 昌 直 ほか<br />

P36-5 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Lap-C)における 術 中 胆 管 損 傷 例 の 当 科 での 対 応<br />

帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター<br />

山 崎 将 人 ほか<br />

P36-6 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 胆 管 損 傷 防 止 のメルクマール ‐ 肝 十 二 指 腸 間 膜 におけるUラインとSラ<br />

イン<br />

三 菱 京 都 病 院 消 化 器 外 科 尾 池 文 隆 ほか<br />

P36-7 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 による 胆 管 損 傷 の 経 験 と 教 訓<br />

ポスターセッションP37<br />

5 月 30 日 ( 水 )14:15~15:00 [ポスター 会 場 3]<br />

慶 應 義 塾 大 学 外 科 板 野 理 ほか<br />

鏡 視 下 手 術 胆 嚢 炎 その 他<br />

座 長 : 金 丸 太 一 (…セコム 医 療 システム 株 式 会 社 )<br />

P37-1 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 緊 急 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

P37-2 当 院 での 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科 多 賀 谷 信 美 ほか<br />

岡 山 赤 十 字 病 院 外 科 山 野 寿 久 ほか<br />

P37-3 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 早 期 腹 腔 鏡 手 術 症 例 の 検 討<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

高 柳 大 輔 ほか<br />

P37-4 当 院 における 急 性 胆 嚢 炎 早 期 手 術 の 検 討<br />

JA 広 島 総 合 病 院 外 科 垰 越 宏 幸 ほか<br />

P37-5 急 性 胆 嚢 炎 ガイドラインの 検 証 ― 重 症 急 性 胆 嚢 炎 に 早 期 腹 腔 鏡 下 手 術 は 適 応 となるか―<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 外 科 浅 井 浩 司 ほか<br />

-80-


P37-6 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 安 全 性 向 上 を 目 指 した 術 中 ドップラー 血 流 計 による 血 管 同 定<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 前 村 公 成 ほか<br />

P37-7 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 前 臍 部 処 置 の 意 義<br />

江 東 病 院 消 化 器 センター 外 科 清 水 喜 徳 ほか<br />

P37-8 臍 部 ジグザグ 切 開 による 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 の 試 み<br />

独 立 行 政 法 人 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 長 崎 労 災 病 院 外 科 川 下 雄 丈 ほか<br />

ポスターセッションP38<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 肝 癌 切 除 2<br />

座 長 : 宇 都 宮 徹 (… 徳 島 大 学 消 化 器 ・ 移 植 外 科 学 )<br />

P38-1 術 前 3D-CTに 基 づいた 右 肝 静 脈 灌 流 域 切 除 の 安 全 性 と 有 用 性 の 検 討<br />

九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 増 田 稔 郎 ほか<br />

P38-2 肝 静 脈 のドレナージ 領 域 を 指 標 とした 選 択 的 肝 区 域 切 除 (VDGH)~ 一 般 市 中 病 院 での 経 験<br />

王 子 総 合 病 院 外 科 狭 間 一 明 ほか<br />

P38-3 2 個 肝 癌 に 対 する 系 統 切 除 の 意 義<br />

P38-4 肝 切 除 術 前 経 皮 経 肝 門 脈 塞 栓 術 (PTPE) 施 行 症 例 の 検 討<br />

日 本 大 学 消 化 器 外 科 中 山 壽 之 ほか<br />

鳥 取 大 学 医 学 部 … 第 一 外 科 遠 藤 財 範 ほか<br />

P38-5 ソフト 凝 固 を 駆 使 したGlisson 一 括 処 理 による 系 統 的 肝 S7 亜 区 域 切 除<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 病 センター 外 科 岡 田 克 也 ほか<br />

P38-6 当 科 での 安 全 丁 寧 な 拡 大 肝 切 除 術 を 目 指 した 工 夫<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 松 井 康 輔 ほか<br />

P38-7 術 前 ・ 術 中 ナビゲーションを 用 いた 肝 葉 切 除 術<br />

大 阪 医 科 大 学 附 属 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科 井 上 善 博 ほか<br />

P38-8 One-way 方 式 による 肝 中 央 2 区 域 切 除 術<br />

P38-9 安 全 な 肝 中 央 二 区 域 切 除 をめざして<br />

ポスターセッションP39<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科 棚 橋 義 直 ほか<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 迫 田 雅 彦 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 癌 診 断<br />

座 長 : 堂 野 恵 三 (… 市 立 豊 中 病 院 )<br />

P39-1 ICG 蛍 光 法 による 肝 細 胞 癌 同 定<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 森 田 剛 文 ほか<br />

P39-2 ICG 蛍 光 法 と 色 素 注 入 法 の 併 用 による 担 癌 門 脈 支 配 領 域 の 同 定 、 肝 部 分 切 除 術 の 工 夫<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科 余 語 覚 匡 ほか<br />

P39-3 術 中 ICG 蛍 光 法 による 手 術 ナビゲーションが 有 用 であった 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 坂 口 達 馬 ほか<br />

P39-4 ICG- 赤 外 観 察 カメラシステム(PDE)を 用 いた 肝 細 胞 癌 肝 外 病 変 の 同 定<br />

浜 松 医 科 大 学 第 二 外 科 鈴 木 淳 司 ほか<br />

-81-


P39-5 マルチモダリティ 画 像 のFusion Imaging 技 術 を 利 用 した 早 期 肝 癌 切 除 の 試 み<br />

高 松 赤 十 字 病 院 消 化 器 外 科 山 岡 竜 也 ほか<br />

P39-6 造 影 CT 検 査 と 磁 気 センサーを 用 いた 超 音 波 検 査 との 統 合 画 像 を 肝 切 除 における 術 中 超 音 波 検 査 に 応 用<br />

した 経 験<br />

日 本 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 加 茂 知 久 ほか<br />

P39-7 低 管 電 圧 CTを 用 いた3D 画 像 シュミレーション(Synapse Vincent:SV)の 経 験<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 清 水 崇 行 ほか<br />

P39-8 肝 細 胞 癌 肝 切 除 例 における 術 中 門 脈 圧 測 定 と 術 前 造 影 超 音 波 検 査 による 肝 静 脈 到 達 時 間 測 定 の 有 用 性<br />

明 和 病 院 外 科 相 原 司 ほか<br />

P39-9 術 中 造 影 超 音 波 検 査 が 同 定 ・ 切 除 に 有 用 であったC 型 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

公 立 岩 瀬 病 院 外 科 佐 藤 佳 宏 ほか<br />

ポスターセッションP40<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 肝 癌 症 例 2<br />

座 長 : 堀 内 彦 之 (… 久 留 米 大 学 医 学 部 外 科 )<br />

P40-1 左 側 胆 嚢 を 伴 ったC 型 肝 硬 変 、 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 柴 浩 明 ほか<br />

P40-2 自 然 退 縮 を 示 した 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 濱 田 剛 臣 ほか<br />

P40-3 完 全 内 臓 逆 位 症 を 伴 った 肝 細 胞 癌 に 対 する1 切 除 例<br />

福 岡 市 民 病 院 外 科 東 貴 寛 ほか<br />

P40-4 種 々の 解 剖 学 的 変 異 を 伴 った 完 全 内 臓 逆 位 を 伴 う 非 B 非 C 肝 細 胞 癌 切 除<br />

山 梨 大 学 1 外 科 松 田 政 徳 ほか<br />

P40-5 門 脈 分 岐 異 常 による 左 側 胆 嚢 症 例 に 対 して 肝 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 大 森 亜 紀 子 ほか<br />

P40-6 下 右 肝 静 脈 温 存 、 上 右 肝 静 脈 とそのドレナージ 領 域 を 含 む 合 理 的 拡 大 肝 S8 切 除 術 の1 例<br />

徳 島 大 学 外 科 学 花 岡 潤 ほか<br />

P40-7 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 施 行 後 に 肝 梗 塞 ・ 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 となったが 救 命 し 右 3 区 域 切 除 し 得 た 巨 大 肝 細 胞<br />

癌 の1 例<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科 新 田 英 利 ほか<br />

P40-8 診 断 に 難 渋 した 肝 細 胞 腺 腫 の 腹 腔 鏡 を 用 いた 一 切 除 例<br />

ポスターセッションP41<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 1]<br />

済 生 会 八 幡 総 合 病 院<br />

柿 本 忠 俊 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 癌 化 学 療 法<br />

座 長 : 水 口 徹 (… 札 幌 医 科 大 学 外 科 学 第 1 講 座 )<br />

P41-1 ソラフェニブ 使 用 経 験 からみたTACEとソラフェニブ 投 与 の 位 置 づけ<br />

兵 庫 県 立 がんセンター<br />

前 田 裕 巳 ほか<br />

P41-2 肝 切 除 術 後 の 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 するsorafenib 治 療 の 検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科 浦 江 憲 吾 ほか<br />

-82-


P41-3 肝 静 脈 侵 襲 および 遠 隔 転 移 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 し、 放 射 線 照 射 とSorafenib 療 法 が 有 効 であった1 例<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 肝 胆 膵 外 科 学 西 岡 孝 芳 ほか<br />

P41-4 ソラフェニブを 含 む 各 種 治 療 が 著 効 した 切 除 不 能 進 行 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

慶 應 義 塾 大 学 外 科 永 滋 教 ほか<br />

P41-5 術 後 急 速 に 再 発 進 行 したVv3 肉 腫 様 肝 細 胞 癌 にソラフェニブを 投 与 した 一 例<br />

大 分 赤 十 字 病 院 外 科 實 藤 健 作 ほか<br />

P41-6 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 肝 切 除 術 とゲムシタビンによる 抗 がん 剤 治 療 の 成 績<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 谷 合 信 彦 ほか<br />

P41-7 GEM+CDDP 療 法 が 奏 功 し 切 除 が 可 能 となった 局 所 進 行 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科 石 田 誠 ほか<br />

P41-8 GEM/TS-1を 先 行 した 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

ポスターセッションP42<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 1]<br />

中 国 労 災 病 院 外 科 太 田 浩 志 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 癌 周 術 期 管 理<br />

座 長 : 高 村 博 之 (… 金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 )<br />

P42-1 一 週 間 で 帰 る 肝 切 除 パス-ERAS 概 念 の 導 入 とその 成 果 -<br />

都 立 墨 東 病 院 肝 胆 膵 外 科 脊 山 泰 治 ほか<br />

P42-2 教 室 における 肝 切 除 クリニカルパスの 現 状<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

古 賀 睦 人 ほか<br />

P42-3 当 院 での 肝 切 除 クリニカルパスの 検 討<br />

鹿 児 島 市 医 師 会 病 院 外 科 門 野 潤 ほか<br />

P42-4 肝 細 胞 癌 手 術 治 療 における 分 枝 鎖 アミノ 酸 補 充 療 法 の 有 用 性 の 検 討<br />

弘 前 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学<br />

石 戸 圭 之 輔 ほか<br />

P42-5 拡 大 肝 葉 切 除 における 免 疫 増 強 栄 養 剤 の 有 用 性<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 門 田 一 晃 ほか<br />

P42-6 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 のストレスの 少 ない 麻 酔 の 効 果 について<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 朴 景 華 ほか<br />

P42-8 肝 臓 手 術 における 周 術 期 酸 化 ストレス 測 定 の 意 義<br />

ポスターセッションP43<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 木 下 綾 華 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 腫 瘍 脈 管 侵 襲<br />

座 長 : 吉 留 博 之 (… 千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 )<br />

P43-1 胆 管 侵 襲 を 伴 う 肝 細 胞 癌 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 中 村 典 明 ほか<br />

P43-2 胆 管 腫 瘍 栓 で 診 断 された 腫 瘍 本 体 の 局 在 が 不 明 な 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

高 松 市 民 病 院 外 科 小 笠 原 卓 ほか<br />

P43-3 胆 管 内 腫 瘍 栓 にて 閉 塞 性 黄 疸 を 来 たした 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

社 会 保 険 船 橋 中 央 病 院 外 科 野 村 悟 ほか<br />

-83-


P43-4 CABGの 既 往 があり 右 心 房 内 腫 瘍 栓 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 し 高 度 低 体 温 / 人 工 心 肺 下 に 拡 大 肝 左 葉 切 除 術<br />

を 行 った1 例<br />

仙 台 厚 生 病 院 消 化 器 外 科 中 村 啓 之 ほか<br />

P43-5 肝 内 静 脈 シャントを 認 めた 中 肝 静 脈 浸 潤 を 伴 う 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

株 式 会 社 日 立 製 作 所 日 立 総 合 病 院 外 科 酒 向 晃 弘 ほか<br />

P43-6 下 大 静 脈 合 併 切 除 にて 根 治 切 除 が 可 能 であった 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 分 野 II<br />

溝 田 知 子 ほか<br />

P43-7 下 大 静 脈 を 合 併 切 除 した 肝 内 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

P43-8 巨 大 副 腎 皮 質 癌 の1 切 除 例<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 外 科 栗 原 知 多 流 ほか<br />

JA 長 野 厚 生 連 北 信 総 合 病 院 外 科 藤 森 芳 郎 ほか<br />

P43-9 VP4 肝 細 胞 癌 切 除 後 1 年 半 後 に 胃 癌 切 除 術 を 行 った 一 例<br />

ポスターセッションP44<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 1]<br />

宇 部 興 産 中 央 病 院 外 科 平 木 桜 夫 ほか<br />

肝 臓 ICC 切 除 成 績<br />

座 長 : 上 野 真 一 (… 鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

P44-1 末 梢 型 および 肝 門 浸 潤 型 肝 内 胆 管 癌 の 特 徴 と 予 後 の 相 違<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 大 谷 和 広 ほか<br />

P44-2 リンパ 節 転 移 陰 性 腫 瘤 形 成 型 肝 内 胆 管 癌 における 予 後 因 子 の 検 討<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 肝 胆 膵 外 科 上 西 崇 弘 ほか<br />

P44-3 腫 瘤 形 成 型 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 切 除 成 績 の 検 討<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 山 田 晃 正 ほか<br />

P44-4 肝 内 胆 管 癌 の 切 除 成 績 と 所 属 リンパ 節 郭 清 意 義 についての 検 討<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 II<br />

村 上 慶 洋 ほか<br />

P44-5 肝 内 胆 管 癌 切 除 例 の 予 後 因 子 の 検 討<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 山 本 有 祐 ほか<br />

P44-6 当 院 における 肝 内 胆 管 癌 の 治 療 成 績 および 予 後 因 子 の 検 討<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 肝 移 植 外 科 平 谷 清 吾 ほか<br />

ポスターセッションP45<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 3<br />

座 長 : 金 沢 景 繁 (… 大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P45-1 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 工 夫 と 治 療 成 績<br />

P45-2 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 治 療 成 績<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 臼 井 正 信 ほか<br />

近 畿 大 学 医 学 部 付 属 病 院 外 科 石 川 原 ほか<br />

P45-3 これまで 経 験 した 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 術 の 治 療 成 績 と 合 併 症<br />

JA 広 島 総 合 病 院 肝 胆 膵 外 科 大 下 彰 彦 ほか<br />

-84-


P45-4 当 院 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 導 入<br />

福 井 県 立 病 院 … 外 科<br />

前 田 一 也 ほか<br />

P45-5 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 手 技 と 成 績<br />

P45-6 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

P45-7 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 現 況 と 工 夫<br />

P45-8 当 科 における 鏡 視 下 肝 切 除 術 での 様 々な 工 夫<br />

P45-9 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 の 導 入<br />

ポスターセッションP46<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

埼 玉 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科 小 倉 俊 郎 ほか<br />

群 馬 大 学 臓 器 病 態 外 科 須 納 瀬 豊 ほか<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 石 崎 守 彦 ほか<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 川 野 陽 一 ほか<br />

大 阪 労 災 病 院 外 科 金 よう 国 ほか<br />

肝 臓 鏡 視 下 肝 切 除 4<br />

座 長 : 春 日 井<br />

尚 (… 昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター)<br />

P46-1 当 センターでの 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 現 況 と 課 題<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

春 日 井 尚 ほか<br />

P46-2 市 中 病 院 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 導 入 ー 補 助 下 部 分 切 除 から 完 全 鏡 視 下 右 葉 切 除 まで<br />

国 立 病 院 機 構 埼 玉 病 院 外 科 早 津 成 夫 ほか<br />

P46-3 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 治 療 成 績 と 適 応 拡 大 への 取 り 組 み<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

野 尻 和 典 ほか<br />

P46-4 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 : 系 統 的 切 除 への 適 応 拡 大<br />

東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター<br />

高 野 公 徳 ほか<br />

P46-5 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 における 肝 切 離 の 工 夫 と 成 績<br />

済 生 会 福 岡 総 合 病 院<br />

副 島 雄 二 ほか<br />

P46-6 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 技 術 的 困 難 症 例 への 対 応<br />

P46-7 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 導 入 と 現 況<br />

P46-8 肝 細 胞 癌 に 対 する 集 学 的 鏡 視 下 手 術<br />

ポスターセッションP47<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科 舩 渡 治 ほか<br />

岡 山 赤 十 字 病 院 外 科 平 井 隆 二 ほか<br />

佐 賀 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 三 好 篤 ほか<br />

肝 臓 転 移 性 肝 癌 1<br />

座 長 : 伊 藤 博 (… 深 谷 赤 十 字 病 院 )<br />

P47-1 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 初 回 肝 切 除 術 の 検 討<br />

P47-2 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 例 の 検 討<br />

大 阪 医 科 大 学 附 属 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科 井 上 善 博 ほか<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 外 科 小 橋 俊 彦 ほか<br />

-85-


P47-3 当 院 における 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 症 例 の 検 討<br />

東 住 吉 森 本 病 院<br />

清 田 誠 志 ほか<br />

P47-4 大 腸 癌 両 葉 多 発 肝 転 移 に 対 するアシアロシンチGSA-Rmaxを 指 標 とした 門 脈 塞 栓 術 による 治 療 戦 略<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 海 堀 昌 樹 ほか<br />

P47-5 大 腸 癌 異 時 性 肝 転 移 と 腹 膜 播 種 再 発 に 対 し 切 除 を 施 行 した2 例 の 検 討<br />

自 治 医 大 さいたま 医 療 センター 外 科 加 藤 高 晴 ほか<br />

P47-6 肝 外 病 変 のコントロールが 可 能 であったために 肝 切 除 を 実 施 した 進 行 大 腸 癌 肝 転 移 の3 例<br />

帝 京 大 学 溝 口 病 院 外 科 杉 山 保 幸 ほか<br />

P47-7 化 学 療 法 が 不 応 となった 大 腸 癌 多 発 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 北 東 大 督 ほか<br />

P47-8 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 術 における 胆 汁 漏 の 予 測 因 子 に 関 する 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科 春 木 孝 一 郎 ほか<br />

P47-9 右 肝 円 索 を 伴 う 大 腸 癌 多 発 肝 転 移 に 対 して、 肝 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

岐 阜 赤 十 字 病 院 外 科 栃 井 航 也 ほか<br />

ポスターセッションP48<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 転 移 性 肝 癌 2<br />

座 長 : 塩 見 尚 礼 (… 滋 賀 医 科 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 一 般 外 科 )<br />

P48-1 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 成 績 と 安 全 性<br />

鳥 取 市 立 病 院 外 科 瀬 下 賢 ほか<br />

P48-2 転 移 性 肝 癌 に 対 する 多 剤 併 用 化 学 療 法 (FOLFOX,FOLFILI,XELOX, 分 子 標 的 薬 など)+ 肝 切 除 の 成 績 と<br />

安 全 性<br />

香 川 県 立 中 央 病 院 消 化 器 ・ 一 般 外 科 泉 貞 ほか<br />

P48-3 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 する 新 規 化 学 療 法 後 肝 切 除 例 の 検 討<br />

広 島 市 立 広 島 市 民 病 院 外 科 塩 崎 滋 弘 ほか<br />

P48-4 新 規 化 学 療 法 導 入 以 降 における 化 学 療 法 後 に 肝 切 除 を 行 った 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 症 例 の 検 討<br />

JA 広 島 総 合 病 院 外 科 中 村 浩 之 ほか<br />

P48-5 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 する 肝 切 除 前 化 学 療 法<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 生 駒 久 視 ほか<br />

P48-6 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 における 肝 切 除 前 化 学 療 法 の 安 全 性 と 効 果<br />

国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 センター 外 科 宮 本 敦 史 ほか<br />

P48-7 大 腸 癌 の 転 移 性 肝 癌 に 対 する 化 学 療 法 および 肝 切 除 のタイミング<br />

群 馬 大 学 病 態 総 合 外 科 学 鈴 木 秀 樹 ほか<br />

P48-8 術 前 化 学 療 法 を 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 術 前 門 脈 塞 栓 術 は 安 全 に 施 行 可 能 か<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 佐 々 木 義 之 ほか<br />

P48-9 集 学 的 治 療 により 長 期 無 再 発 生 存 が 得 られた 胃 癌 多 発 肝 転 移 の 一 例<br />

福 岡 東 医 療 センター 外 科 前 田 貴 司 ほか<br />

-86-


ポスターセッションP49<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 転 移 性 肝 癌 3<br />

座 長 : 清 水 康 一 (… 富 山 県 立 中 央 病 院 )<br />

P49-1 肝 切 除 前 化 学 療 法 が 非 癌 肝 組 織 と 術 後 経 過 に 与 える 影 響 に 関 する 検 討<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科 西 山 潔 ほか<br />

P49-2 転 移 性 肝 癌 に 対 する 肝 葉 切 除 における 術 前 化 学 療 法 の 影 響<br />

順 天 堂 大 学 肝 胆 膵 外 科 伊 古 田 正 憲 ほか<br />

P49-3 根 治 切 除 不 能 大 腸 癌 に 対 して 全 身 化 学 療 法 後 に 肝 切 除 を 行 った 大 腸 癌 肝 転 移 の5 例<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 ・ 乳 腺 外 科 大 石 幸 一 ほか<br />

P49-4 分 子 標 的 治 療 薬 併 用 化 学 療 法 を 行 い 切 除 可 能 となったGrade B, C 転 移 性 肝 癌 の5 例<br />

大 分 赤 十 字 病 院 外 科 岩 城 堅 太 郎 ほか<br />

P49-5 結 腸 GISTの 多 発 肝 転 移 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した1 例<br />

P49-6 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 後 の 補 助 化 学 療 法 の 検 討<br />

愛 媛 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 伊 藤 英 太 郎 ほか<br />

北 九 州 市 立 医 療 センター 外 科 阿 部 祐 治 ほか<br />

P49-7 肝 障 害 を 伴 い 急 速 進 展 した 大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 残 肝 再 発 例 に 対 しCetuximabが 奏 効 した1 例<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 消 化 器 センター 外 科 久 保 田 喜 久 ほか<br />

P49-8 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 不 能 例 における 外 科 的 治 療 戦 略<br />

田 附 興 風 会 医 学 研 究 所 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科 川 本 浩 史 ほか<br />

ポスターセッションP50<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 3<br />

座 長 : 貝 沼 修 (… 千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科 )<br />

P50-1 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 にて 診 断 しえた、 興 味 深 い 画 像 を 呈 したFNHの1 例<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 名 古 屋 医 療 センター<br />

田 中 晴 祥 ほか<br />

P50-2 肝 reactive lymphoid hyperplasiaの1 例<br />

P50-3 肝 原 発 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

宇 部 興 産 中 央 病 院 外 科 河 岡 徹 ほか<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 四 講 座 竹 村 晃 ほか<br />

P50-4 結 腸 浸 潤 を 伴 った 肝 原 発 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

国 立 国 際 医 療 研 究 センター 国 府 台 病 院 外 科 池 田 真 美 ほか<br />

P50-5 肝 原 発 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

東 京 女 子 医 大 藤 田 泉 ほか<br />

P50-6 術 前 診 断 し 得 なかった 巨 大 肝 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

東 京 都 保 健 医 療 公 社 多 摩 南 部 地 域 病 院 外 科 出 雲 渉 ほか<br />

P50-7 術 前 診 断 が 困 難 であった 肝 原 発 MALTリンパ 腫 の1 切 除 例<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 東 横 病 院 消 化 器 病 センター 星 野 博 之 ほか<br />

P50-8 術 前 HCCと 診 断 した 肝 原 発 MALTリンパ 腫 の1 切 除 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 橋 口 真 征 ほか<br />

-87-


ポスターセッションP51<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 その 他 の 肝 腫 瘍 4<br />

座 長 : 新 田 隆 士 (… 藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科 )<br />

P51-1 成 人 発 症 肝 未 分 化 肉 腫 の 切 除 例<br />

鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 学 南 幸 次 ほか<br />

P51-2 右 肺 ・ 上 大 静 脈 ・ 横 隔 膜 浸 潤 を 来 した 肝 原 発 癌 肉 腫 の 一 切 除 例<br />

P51-3 肉 腫 成 分 を 含 む 肝 内 胆 管 癌 および 混 合 型 肝 癌 の2 例<br />

石 切 生 喜 病 院 外 科 山 本 隆 嗣 ほか<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 浦 出 剛 史 ほか<br />

P51-4 肝 細 胞 癌 と 鑑 別 を 要 した 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の 一 切 除 例<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

田 口 昌 延 ほか<br />

P51-5 造 影 超 音 波 検 査 が 診 断 に 有 用 であった 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の 一 例<br />

りんくう 総 合 医 療 センター… 外 科 藤 井 仁 ほか<br />

P51-6 原 発 性 小 腸 癌 及 び 肝 転 移 に 併 発 した 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の1 手 術 例<br />

埼 玉 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科 二 宮 理 貴 ほか<br />

P51-7 肝 原 発 pseudolymphomaの 一 例<br />

倉 敷 中 央 病 院<br />

安 近 健 太 郎 ほか<br />

P51-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 14 年 後 に 生 じた 肉 芽 腫 性 肝 膿 瘍 の1 例 : 長 期 follow-upにおける 盲 点<br />

新 潟 大 学 … 消 化 器 ・ 一 般 外 科 森 本 悠 太 ほか<br />

P51-9 直 腸 消 化 管 間 質 腫 瘍 術 後 に 合 併 し, 肝 転 移 との 鑑 別 に 苦 慮 した 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 の1 例<br />

名 古 屋 市 立 大 学 消 化 器 外 科<br />

ポスターセッションP52<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

松 尾 洋 一 ほか<br />

肝 臓 その 他 1<br />

座 長 : 石 原 慎 (… 藤 田 保 健 衛 生 大 学 統 合 外 科 )<br />

P52-1 腹 腔 鏡 下 に 切 除 した 肝 副 葉 の 一 例<br />

P52-2 肝 Mucinous cystic neoplasm(MCN)の1 例<br />

P52-3 消 化 器 癌 術 後 の 原 発 性 肝 放 線 菌 症 の1 例<br />

P52-4 腹 腔 鏡 補 助 下 に 切 除 した 肝 内 胆 管 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

P52-5 胆 道 疾 患 の 既 往 のない 若 年 性 肝 内 結 石 症 の1 切 除 例<br />

三 田 市 民 病 院 外 科 松 本 拓 ほか<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科 安 井 和 也 ほか<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科 三 村 太 亮 ほか<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 学 講 座 武 田 大 樹 ほか<br />

横 浜 労 災 病 院 外 科 松 村 聡 ほか<br />

P52-6 先 天 性 胆 道 拡 張 症 に 対 する 分 流 手 術 後 の 肝 内 結 石 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した3 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 付 属 柏 病 院 外 科<br />

斉 藤 良 太 ほか<br />

P52-7 魚 骨 穿 通 による 肝 膿 瘍 の1 例<br />

鹿 児 島 厚 生 連 病 院 外 科 小 倉 芳 人 ほか<br />

-88-


P52-8 側 副 血 行 路 に 発 生 し 開 腹 手 術 により 治 療 し 得 た 肝 動 脈 瘤 の1 例<br />

ポスターセッションP53<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 2]<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 坂 口 達 馬 ほか<br />

肝 臓 その 他 2<br />

座 長 : 髙 見 裕 子 (… 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P53-1 胆 管 と 交 通 を 有 した 単 純 性 肝 嚢 胞 に 対 し 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 にて 治 癒 し 得 た1 例<br />

板 橋 中 央 総 合 病 院 松 本 浩 次 ほか<br />

P53-2 φ3cm 大 の 小 さな 孤 立 性 肝 嚢 胞 により 進 行 性 の 肝 内 胆 管 拡 張 像 を 呈 した 一 例<br />

医 療 法 人 明 和 病 院 岡 本 亮 ほか<br />

P53-3 アメーバ 性 肝 膿 瘍 の 一 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター<br />

柿 澤 奈 緒 ほか<br />

P53-4 術 前 診 断 に 苦 慮 した 肝 エキノコックス 症 の 一 例<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 保 田 智 彦 ほか<br />

P53-5 右 肝 円 索 ( 右 側 門 脈 臍 部 )の 術 前 診 断 が 術 式 選 択 に 影 響 した 肝 内 結 石 合 併 肝 膿 瘍 の1 切 除 例<br />

大 同 病 院 鈴 木 和 志 ほか<br />

P53-6 Infliximab 投 与 下 Crohn 病 患 者 における 難 治 性 MRSA 肝 膿 瘍 に 対 する 肝 S8 切 除 の1 例<br />

東 京 大 学 医 学 部 …… 肝 胆 膵 、 人 工 臓 器 移 植 外 科 冨 樫 順 一 ほか<br />

P53-7 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 腺 内 分 泌 癌 の 一 切 除 例<br />

市 立 函 館 病 院 外 科 田 原 宗 徳 ほか<br />

P53-8 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 が 示 唆 された1 例<br />

福 岡 大 学 病 院 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科<br />

石 井 文 規 ほか<br />

P53-9 胆 石 発 作 精 査 で 偶 然 認 められた 肝 嚢 胞 腺 癌 の1 切 除 例<br />

ポスターセッションP54<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

済 生 会 八 幡 総 合 病 院 外 科 植 田 茂 ほか<br />

肝 胆 膵 研 究<br />

座 長 : 打 波 宇 (… 秋 田 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 )<br />

P54-1 肝 細 胞 癌 症 例 における 血 清 抗 体 の 検 出<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

久 保 田 喜 久 ほか<br />

P54-2 ラット 肝 虚 血 再 灌 流 障 害 モデルにおけるαリポ 酸 誘 導 体 の 効 果 とそのメカニズムについて<br />

大 分 大 学 医 学 部 第 一 外 科 増 田 崇 ほか<br />

P54-3 肝 温 虚 血 再 還 流 障 害 における 脾 臓 由 来 のIL-17Aは 肝 臓 への 好 中 球 遊 走 を 促 進 し、 臓 器 障 害 に 関 与 する。<br />

山 梨 大 学 第 1 外 科 河 野 寛 ほか<br />

P54-4 Gd-EOB MRIの 肝 細 胞 相 で 高 信 号 を 呈 し、OATP-1B 蛋 白 の 発 現 がみられた 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

明 和 病 院 外 科 友 松 宗 史 ほか<br />

P54-5 肝 細 胞 癌 におけるEOB、ICGの 取 り 込 みメカニズム<br />

浜 松 医 科 大 学 第 二 外 科 柴 崎 泰 ほか<br />

P54-6 ヒト 膵 癌 におけるPCA-1/ALKBH3 発 現 の 意 義 と 新 規 治 療 への 展 望<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 山 戸 一 郎 ほか<br />

-89-


P54-7 ヒト 膵 癌 におけるSTAT5の 発 現 、 活 性 化 の 意 義<br />

P54-8 膵 癌 に 対 する 分 子 標 的 治 療 の 現 状<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 松 下 晃 ほか<br />

群 馬 大 学 大 学 院 病 態 総 合 外 科 学 久 保 憲 生 ほか<br />

P54-9 膵 癌 の”invasion process”に 関 与 する 遺 伝 子 の 同 定 -MUC16とmesothelin<br />

和 歌 山 医 大 第 二 外 科 清 水 敦 史 ほか<br />

ポスターセッションP55<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

胆 道 胆 管 癌 1<br />

座 長 : 岡 本 友 好 (… 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 第 三 病 院 外 科 )<br />

P55-1 再 発 形 式 からみた 胆 管 癌 治 療 戦 略<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 … 消 化 器 外 科 学 I 敦 賀 陽 介 ほか<br />

P55-2 肝 門 部 胆 管 癌 と 肝 門 浸 潤 を 伴 う 肝 内 胆 管 癌 の 比 較<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 加 藤 祐 一 郎 ほか<br />

P55-3 血 管 合 併 切 除 を 伴 う 肝 門 部 領 域 胆 道 系 癌 に 対 する 手 術 アプローチ<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

蒲 池 浩 文 ほか<br />

P55-4 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 するグリソン 鞘 アプローチを 用 いた 門 脈 ・ 肝 動 脈 合 併 切 除 を 伴 う 肝 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科 加 藤 悠 太 郎 ほか<br />

P55-5 当 科 における 門 脈 塞 栓 術 症 例 の 検 討<br />

山 口 大 学<br />

前 田 祥 成 ほか<br />

P55-6 当 科 における 中 下 部 胆 管 癌 の 治 療 成 績<br />

国 立 病 院 機 構 仙 台 医 療 センター 外 科 島 村 弘 宗 ほか<br />

P55-7 中 下 部 胆 管 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 術 後 成 績 からみた 予 後 因 子 の 検 討<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 木 内 亮 太 ほか<br />

P55-8 肝 外 胆 管 癌 におけるリンパ 節 転 移 分 類 法 の 検 討<br />

ポスターセッションP56<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 坂 田 純 ほか<br />

胆 道 胆 管 癌 2<br />

座 長 : 黒 崎 功 (… 新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 )<br />

P56-1 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 を 伴 わない20 代 の 肝 門 部 胆 管 癌 の 一 切 除 例<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 村 上 冴 ほか<br />

P56-2 良 性 胆 道 疾 患 に 対 する 分 流 手 術 後 の 遺 残 胆 管 癌 の3 例<br />

弘 前 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 … 消 化 器 外 科 学 講 座<br />

大 橋 大 成 ほか<br />

P56-3 膵 胆 管 合 流 異 常 症 に 合 併 した 若 年 発 症 した 胆 管 癌 の1 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 消 化 器 外 科 武 藤 雄 太 ほか<br />

P56-4 肝 門 部 胆 管 癌 における 南 回 りB3の1 例<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学 細 川 勇 ほか<br />

P56-5 正 中 弓 状 靱 帯 による 腹 腔 動 脈 圧 迫 症 候 群 を 伴 った 下 部 胆 管 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

大 分 大 学 消 化 器 外 科 矢 田 一 宏 ほか<br />

-90-


P56-6 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 起 源 の 総 肝 動 脈 が 膵 頭 部 を 貫 通 していた 中 下 部 胆 管 癌 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行<br />

した1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 酒 井 久 宗 ほか<br />

P56-7 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 由 来 の 総 肝 動 脈 が 膵 内 を 走 行 していた 胆 管 腺 内 分 泌 細 胞 癌 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行<br />

した1 例<br />

前 橋 赤 十 字 病 院 消 化 器 病 センター 荒 川 和 久 ほか<br />

P56-8 門 脈 後 区 域 枝 独 立 分 岐 型 における 後 区 域 胆 管 の 走 行 部 位 と 臨 床 的 意 義 に 関 する 検 討<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科 奥 田 雄 紀 浩 ほか<br />

P56-9 上 腸 間 脈 脈 動 脈 から 分 岐 する 総 肝 動 脈 を 温 存 して 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

市 立 札 幌 病 院 外 科 三 澤 一 仁 ほか<br />

ポスターセッションP57<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 2]<br />

胆 道 胆 管 癌 3<br />

座 長 : 塩 澤 俊 一 (… 東 京 女 子 医 科 大 学 東 医 療 センター)<br />

P57-1 胆 管 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

P57-2 胆 管 腺 扁 平 上 皮 癌 の 一 手 術 例<br />

P57-3 術 後 急 速 な 転 帰 をたどった 胆 管 充 実 腺 癌 の 一 例<br />

P57-4 長 期 無 再 発 後 10 年 目 に 肝 転 移 を 認 めた 胆 管 癌 の1 例<br />

三 次 中 央 病 院 外 科 桑 田 亜 希 ほか<br />

菊 名 記 念 病 院 外 科 太 田 篤 ほか<br />

友 愛 会 豊 見 城 中 央 病 院 外 科 大 田 守 仁<br />

北 里 大 学 外 科 河 野 蓉 子 ほか<br />

P57-5 同 時 多 発 性 に 広 範 囲 胆 管 癌 および 胆 嚢 癌 を 合 併 した1 例<br />

島 根 大 学 医 学 部 消 化 器 総 合 外 科 藤 井 雄 介 ほか<br />

P57-6 胆 管 小 細 胞 癌 の1 例<br />

P57-7 胆 管 原 発 非 機 能 性 神 経 内 分 泌 癌 ( 小 細 胞 癌 )の1 例<br />

宇 都 宮 社 会 保 険 病 院 外 科 谷 口 理 丈 ほか<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科 小 平 佳 典 ほか<br />

P57-8 下 部 胆 管 原 発 小 細 胞 癌 の 一 例<br />

国 立 病 院 機 構 福 山 医 療 センター 消 化 器 外 科 木 村 裕 司 ほか<br />

P57-9 下 部 胆 管 癌 と 膵 管 内 粘 液 腺 癌 の 同 時 性 重 複 癌 に 対 する 一 切 除 例<br />

ポスターセッションP58<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

大 分 県 立 病 院 … 外 科<br />

梅 田 健 二 ほか<br />

胆 道<br />

胆 嚢 癌 3・ 胆 嚢 炎<br />

座 長 : 山 本 為 義 (… 市 立 堺 病 院 外 科 )<br />

P58-1 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 との 鑑 別 が 困 難 だった 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

呉 共 済 病 院 外 科 長 谷 諭 ほか<br />

P58-2 胆 嚢 癌 と 診 断 され 外 科 切 除 が 行 われた 胆 嚢 良 性 疾 患 13 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 … 肝 胆 膵 外 科<br />

堀 周 太 郎 ほか<br />

-91-


P58-3 胆 嚢 癌 を 否 定 しえなかった 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の1 切 除 例<br />

名 古 屋 第 一 赤 十 字 病 院 一 般 消 化 器 外 科 服 部 正 興 ほか<br />

P58-4 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 膿 瘍 形 成 性 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の1 例<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 一 般 消 化 器 外 科 諏 訪 敏 之 ほか<br />

P58-5 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の1 例<br />

P58-6 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 慢 性 胆 嚢 炎 の 一 切 除 例<br />

豊 橋 医 療 センター 外 科 野 村 尚 弘 ほか<br />

製 鉄 記 念 八 幡 病 院 金 城 直 ほか<br />

P58-7 胆 嚢 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の5 例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 医 学 部 附 属 病 院 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 中 尾 圭 介 ほか<br />

ポスターセッションP59<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

胆 道<br />

乳 頭 部 癌<br />

座 長 : 北 順 二 (… 獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 )<br />

P59-1 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 46 症 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

P59-2 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

北 九 州 市 立 医 療 センター 外 科<br />

春 日 井 市 民 病 院 外 科<br />

松 永 浩 明 ほか<br />

馬 場 泰 輔 ほか<br />

P59-3 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 切 除 例 の 予 後 予 測 因 子 の 検 討 と 治 療 方 針<br />

名 古 屋 大 学 医 学 部 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 末 永 雅 也 ほか<br />

P59-4 膵 頭 部 領 域 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 長 期 成 績<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科 秦 正 二 郎 ほか<br />

P59-5 当 院 における 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 の 治 療 成 績<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 大 平 正 典 ほか<br />

P59-6 十 二 腸 乳 頭 部 癌 の 再 発 因 子 および 再 発 形 式 についての 検 討<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 金 森 淳 ほか<br />

P59-7 当 センターにおける 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 する 外 科 切 除 の 長 期 成 績<br />

栃 木 県 立 がんセンター 外 科 齋 藤 智 明 ほか<br />

P59-8 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の 術 後 再 発 危 険 因 子 を 考 慮 した 治 療 戦 略<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター 中 国 がんセンター 伊 禮 俊 充 ほか<br />

P59-9 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 十 二 指 乳 頭 部 癌 、 十 二 指 腸 癌 40 例 の 検 討<br />

仙 台 オープン 病 院 消 化 器 外 科 佐 藤 龍 一 郎 ほか<br />

ポスターセッションP60<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

胆 道 粘 液 産 生 腫 瘍 1<br />

座 長 : 近 藤 匡 (… 筑 波 大 学 附 属 病 院 水 戸 地 域 医 療 教 育 センター・ 水 戸 協 同 病 院 総 合 診 療 部 消 化 器 科 )<br />

P60-1 Intraductal papillary neoplasm of the bile duct (IPNB) 切 除 例 の 検 討<br />

山 口 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 橋 本 憲 輝 ほか<br />

P60-2 当 院 で 経 験 した 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB)の2 切 除 例<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科 大 島 稔 ほか<br />

-92-


P60-3 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 の1 例<br />

P60-4 粘 液 産 生 性 肝 内 胆 管 乳 頭 状 腺 腫 の 一 例<br />

東 京 医 科 大 学 病 院 消 化 器 ・ 小 児 外 科 土 方 陽 介 ほか<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科 山 田 圭 吾 ほか<br />

P60-5 出 血 性 肝 嚢 胞 と 鑑 別 を 要 した 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB) の1 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 …I 柿 坂 達 彦 ほか<br />

P60-6 7 年 間 経 過 を 追 えた 肝 内 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB)の1 切 除 例<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 平 出 貴 乗 ほか<br />

P60-7 肺 転 移 をきたした 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 の1 例<br />

尾 道 市 立 市 民 病 院 外 科 村 田 年 弘 ほか<br />

P60-8 左 肝 管 に 発 生 したIntraductal papillary neoplasm of the bile duct (IPNB)の 一 切 除 例<br />

田 附 興 風 会 医 学 研 究 所 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科 戸 田 怜 ほか<br />

P60-9 胆 管 内 乳 頭 腫 瘍 (IPNB)の1 例<br />

ポスターセッションP61<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 2]<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

土 屋 朗 之 ほか<br />

胆 道<br />

胆 嚢 良 性<br />

座 長 : 山 﨑 純 也 (… 宝 塚 市 立 病 院 外 科 )<br />

P61-1 診 断 に 苦 慮 した 胆 嚢 腫 瘍 の 1 例<br />

NTT 西 日 本 大 阪 病 院 外 科 金 致 完 ほか<br />

P61-2 胆 嚢 漿 膜 下 層 に 発 生 した 線 毛 性 前 腸 性 嚢 胞 の1 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

宮 前 眞 人 ほか<br />

P61-3 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 胆 嚢 線 維 性 ポリープの1 例<br />

P61-4 20mm 大 の 胆 嚢 コレステロールポリープの1 例<br />

鹿 児 島 市 立 病 院 外 科 槐 島 健 太 郎 ほか<br />

芳 賀 赤 十 字 病 院 高 木 徹 ほか<br />

P61-5 胆 嚢 動 静 脈 奇 形 の 一 切 除 例<br />

P61-6 術 前 診 断 しえた 胆 嚢 動 脈 瘤 の1 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 前 田 栄 ほか<br />

流 山 中 央 病 院 外 科 猪 瀬 悟 史 ほか<br />

P61-7 胆 嚢 摘 出 後 のtraumatic neuromaの1 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 ・ 消 化 器 外 科 福 井 太 郎 ほか<br />

P61-8 保 存 的 に 治 癒 した 腹 部 鈍 的 外 傷 による 胆 嚢 壁 内 血 腫 の1 例<br />

東 京 北 社 会 保 険 病 院 消 化 器 センター 外 科 岡 村 淳 ほか<br />

ポスターセッションP62<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

胆 道<br />

炎 症 ・その 他<br />

座 長 : 星 野 高 伸 (…メディカルコート 八 戸 西 病 院 )<br />

P62-1 胆 道 再 々 建 術 施 行 例 の 背 景 疾 患 と 手 術 成 績 の 検 討<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 吉 田 優 子 ほか<br />

-93-


P62-2 術 前 診 断 が 困 難 であった 肝 被 膜 下 腫 瘤 の 一 例<br />

横 須 賀 共 済 病 院 外 科 三 宅 謙 太 郎 ほか<br />

P62-3 胆 嚢 炎 による 胆 嚢 穿 孔 の 特 徴 と 予 後<br />

飯 塚 病 院<br />

播 本 憲 史 ほか<br />

P62-4 非 穿 孔 性 胆 嚢 炎 により 発 症 した 漏 出 性 胆 汁 性 腹 膜 炎 の1 例<br />

JA 岐 阜 揖 斐 厚 生 病 院 外 科 小 森 充 嗣 ほか<br />

P62-5 胆 嚢 総 肝 管 瘻 、 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 同 時 に 伴 うMirizzi 症 候 群 の1 例<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター 村 木 輝 ほか<br />

P62-6 急 性 胆 嚢 炎 から 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 形 成 し 胆 石 性 イレウスを 発 症 した 一 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科 学 講 座 千 田 峻 ほか<br />

P62-7 当 院 における 後 期 高 齢 者 、 超 高 齢 者 に 対 する 急 性 胆 管 炎 治 療 の 現 状<br />

イムス 富 士 見 総 合 病 院 外 科 福 田 千 文<br />

P62-8 心 血 管 疾 患 合 併 患 者 の 胆 嚢 摘 出 術 例 の 検 討<br />

ポスターセッションP63<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 2]<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 大 坪 出 ほか<br />

膵 臓<br />

膵 手 術 DP-CAR<br />

座 長 : 元 井 冬 彦 (… 東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P63-1 静 岡 県 立 静 岡 がんセンターにおけるDP-CARの 手 術 成 績<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

杉 浦 禎 一 ほか<br />

P63-2 当 科 における 腹 腔 動 脈 合 併 尾 側 膵 切 除 (DP-CAR)の 手 術 成 績<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 II 岡 村 国 茂 ほか<br />

P63-3 当 院 における 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 するDP-CARの 治 療 成 績 と 合 併 症<br />

大 分 赤 十 字 病 院 外 科 福 澤 謙 吾 ほか<br />

P63-4 膵 頭 部 アーケードの 解 剖 学 的 バリエーションにより 術 後 虚 血 性 多 発 胃 潰 瘍 を 発 症 したDP-CARの1 例<br />

市 立 函 館 病 院 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科 倉 内 宣 明 ほか<br />

P63-5 DP-CAR 合 併 症 および 術 前 化 学 療 法 との 関 連 性 に 関 する 検 討<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 乙 供 茂 ほか<br />

P63-6 術 前 GEM+S1 併 用 療 法 が 奏 功 し 腹 腔 動 脈 合 併 尾 側 膵 切 除 (DP-CAR)を 施 行 した1 例<br />

帝 京 大 学 外 科 和 田 慶 太 ほか<br />

P63-7 膵 体 部 癌 に 対 する 左 胃 動 脈 を 温 存 したDP-CAR 手 術 (modified DP-CAR)<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 竹 村 信 行 ほか<br />

P63-8 胆 膵 悪 性 腫 瘍 に 対 する 姑 息 的 バイパス 術 施 行 症 例 の 検 討<br />

東 住 吉 森 本 病 院 外 科 酒 部 克 ほか<br />

P63-9 切 除 不 能 膵 頭 部 癌 に 対 する 姑 息 的 手 術 症 例 の 検 討<br />

熊 本 市 民 病 院 外 科<br />

杉 田 裕 樹 ほか<br />

-94-


ポスターセッションP64<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 3<br />

座 長 : 小 西 大 (… 国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 )<br />

P64-1 当 科 における 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)に 対 する 手 術 成 績 の 検 討<br />

慶 応 義 塾 大 学 医 学 部 一 般 消 化 器 外 科 香 月 優 亮 ほか<br />

P64-2 膵 頭 部 ・ 尾 部 の 同 時 性 多 発 腫 瘍 に 対 しMiddle-preserving pancreatectomyを 施 行 した4 例<br />

新 潟 大 学 医 歯 学 総 合 病 院 消 化 器 ・ 一 般 外 科 佐 藤 大 輔 ほか<br />

P64-3 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 破 裂 の1 例<br />

済 生 会 富 山 病 院 外 科 坂 東 正 ほか<br />

P64-4 爪 楊 枝 の 十 二 指 腸 穿 通 が 契 機 となって 発 見 された 膵 頭 部 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 腫 の1 切 除 例<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 学 講 座 赤 堀 浩 也 ほか<br />

P64-5 IPMC, 胃 癌 , 大 腸 癌 の 同 時 性 早 期 3 重 複 癌 の1 例<br />

西 美 濃 厚 生 病 院 外 科 水 谷 憲 威 ほか<br />

P64-6 直 腸 癌 術 後 、IPMCに 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 、 早 期 胃 癌 に 対 して 幽 門 側 胃 切 除 を 行 った3 重 複<br />

癌 の1 例<br />

岐 阜 大 学 第 1 外 科 関 野 考 史 ほか<br />

P64-7 間 質 の 硝 子 化 を 伴 ったIPMNの 一 切 除 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 北 口 和 彦 ほか<br />

P64-8 間 質 にinvasive high-grade spindle cell carcinomaを 呈 したIPMNの 一 例<br />

相 模 原 協 同 病 院 外 科 篠 美 和 ほか<br />

ポスターセッションP65<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 嚢 胞 性 腫 瘍 4<br />

座 長 : 上 村 健 一 郎 (… 広 島 大 学 病 態 制 御 外 科 )<br />

P65-1 当 院 における 膵 IPMN 手 術 症 例 の 検 討<br />

愛 媛 県 立 中 央 病 院 一 般 消 化 器 外 科 西 正 暁 ほか<br />

P65-2 当 院 で 経 験 したIPMN(Intraductal papillary mucinous neoplasm)の1 例<br />

飯 塚 市 立 病 院 外 科 吉 田 純 ほか<br />

P65-3 急 性 膵 炎 を 契 機 に 発 見 された、 非 浸 潤 性 膵 管 内 乳 頭 粘 液 腺 癌 の1 切 除 例<br />

東 住 吉 森 本 病 院 外 科 岡 井 主 ほか<br />

P65-4 高 齢 者 における 再 発 膵 管 内 乳 頭 状 粘 液 腺 癌 (IPMC): 残 膵 全 摘 の 適 応 をどう 判 断 するか<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 仲 野 哲 矢 ほか<br />

P65-5 IPMC 術 後 残 膵 癌 に 対 し、 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した2 例<br />

財 団 法 人 仙 台 市 医 療 センター 仙 台 オープン 病 院 … 外 科<br />

深 瀬 正 彦 ほか<br />

P65-6 仮 性 膵 嚢 胞 と 鑑 別 を 要 した 巨 大 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 の 一 切 除 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 長 谷 川 慎 一 郎 ほか<br />

P65-7 10 年 間 のフォローアップ 後 に 切 除 した 膵 粘 液 性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

釧 路 労 災 病 院 外 科<br />

砂 原 正 男 ほか<br />

-95-


P65-8 膵 管 内 管 状 腺 腫 の1 切 除 例<br />

JA 長 野 厚 生 連 篠 ノ 井 総 合 病 院 外 科 坂 口 博 美 ほか<br />

P65-9 膵 管 内 管 状 腺 腫 (intraductal tubular adenoma)の1 切 除 例<br />

JA 北 海 道 厚 生 連 札 幌 厚 生 病 院 外 科 谷 岡 利 朗 ほか<br />

ポスターセッションP66<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 NET 1<br />

座 長 : 小 山 田 尚 (… 国 立 病 院 機 構 水 戸 医 療 センター 外 科 )<br />

P66-1 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 におけるmTOR、IGF-1R 発 現 についての 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

大 分 大 学 第 一 外 科<br />

小 森 陽 子 ほか<br />

P66-2 膵 消 化 管 内 分 泌 腫 瘍 (GEP-NETs)の 集 学 的 治 療 における 外 科 的 意 義<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 勝 田 絵 里 子 ほか<br />

P66-3 外 科 的 治 療 を 施 行 した 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の4 例<br />

P66-4 門 脈 内 腫 瘍 塞 栓 を 伴 った 非 機 能 性 膵 内 分 泌 癌 の1 例<br />

別 府 医 療 センター 消 化 器 外 科 平 下 禎 二 郎 ほか<br />

社 会 保 険 宮 崎 江 南 病 院 外 科 立 野 太 郎 ほか<br />

P66-5 膵 Mixed ductal-endocrine carcinomaの1 切 除 例<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 病 センター 渡 邉 幸 博 ほか<br />

P66-6 集 学 的 治 療 により 長 期 生 存 が 得 られている 同 時 性 多 発 肝 転 移 を 伴 う 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 一 例<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 中 村 広 太 ほか<br />

P66-7 インスリノーマ 初 回 切 除 後 19 年 を 経 過 し 治 療 抵 抗 性 となった 症 例 に 対 してスニチニブが 奏 効 した1 例<br />

東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 吉 松 軍 平 ほか<br />

P66-8 膵 ・ 十 二 指 腸 同 時 多 発 性 NET との 鑑 別 が 困 難 であった 遠 隔 転 移 を 伴 う 十 二 指 腸 NET の1 例<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 ・ 地 域 がんセンター 外 科 北 條 大 輔 ほか<br />

P66-9 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 に 苦 慮 した 肝 転 移 ・リンパ 節 転 移 を 伴 った 十 二 指 腸 カルチノイドの 一 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 山 中 千 尋 ほか<br />

ポスターセッションP67<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 NET 2<br />

座 長 : 安 保 義 恭 (… 手 稲 渓 仁 会 病 院 … 外 科 )<br />

P67-1 SASI testで 手 術 適 応 と 術 式 が 決 定 できた 非 インスリノーマ 膵 原 性 低 血 糖 症 の2 例<br />

関 西 電 力 病 院 外 科 細 田 洋 平 ほか<br />

P67-2 異 所 性 ガストリノーマの1 切 除 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座<br />

篠 原 万 里 枝 ほか<br />

P67-3 胃 潰 瘍 治 療 経 過 中 に 発 見 され 腫 瘍 核 出 術 を 施 行 し 得 た 膵 鈎 部 ガストリノーマの1 例<br />

山 陰 労 災 病 院 外 科 山 根 祥 晃 ほか<br />

P67-4 膵 内 に 多 発 する 膵 ガストリノーマに 対 し 膵 全 摘 術 を 行 った 一 例<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 又 木 雄 弘 ほか<br />

P67-5 膵 尾 部 内 分 泌 腫 瘍 に 対 して 施 行 した 腹 腔 鏡 補 助 下 脾 温 存 膵 尾 側 切 除 術<br />

群 馬 大 学 病 態 総 合 外 科 学 渡 辺 亮 ほか<br />

-96-


P67-6 完 全 腹 腔 鏡 下 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 核 出 術 の 経 験<br />

P67-7 巨 大 嚢 胞 を 伴 った 非 機 能 性 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の1 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 三 澤 健 之 ほか<br />

大 分 大 学 第 一 外 科 江 口 英 利 ほか<br />

P67-8 7cmの 膵 頭 部 嚢 胞 性 腫 瘍 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

中 頭 病 院 外 科 砂 川 宏 樹 ほか<br />

P67-9 嚢 胞 変 性 した 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 施 行 した 脾 摘 を 伴 う 完 全 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

四 日 市 社 会 保 険 病 院<br />

ポスターセッションP68<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

湯 澤 浩 之 ほか<br />

膵 臓<br />

鏡 視 下 手 術<br />

座 長 : 橋 本 雅 司 (… 虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 )<br />

P68-1 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 検 討<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター 星 野 有 哉 ほか<br />

P68-2 安 全 な 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 うための 膵 切 離 と 再 建 術 の 工 夫<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 清 水 哲 也 ほか<br />

P68-3 膵 腫 瘍 に 対 する 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 術<br />

P68-4 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 におけるpitfallについて<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 新 関 亮 ほか<br />

虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 松 田 正 道 ほか<br />

P68-5 鏡 視 下 膵 体 尾 部 切 除 術 における 視 野 展 開 , 郭 清 の 標 準 化 への 試 み<br />

長 野 市 民 病 院<br />

成 本 壮 一 ほか<br />

P68-6 鏡 視 下 に 脾 温 存 膵 切 除 し 得 た2 例<br />

社 会 医 療 法 人 共 愛 会 戸 畑 共 立 病 院 外 科 新 田 智 之 ほか<br />

P68-7 膵 内 副 脾 に 発 生 した 膵 類 表 皮 嚢 胞 に 対 して、 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切 除 ( 脾 温 存 )を 施 行 した1 例<br />

九 州 大 学 病 院 別 府 病 院 柴 田 浩 平<br />

P68-8 膵 Solid pseudopapillary neoplasmに 対 し 腹 腔 鏡 補 助 下 脾 温 存 膵 体 尾 部 部 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

大 分 大 学 消 化 器 外 科 川 崎 貴 秀 ほか<br />

P68-9 腹 腔 鏡 下 脾 動 静 脈 脾 温 存 尾 側 膵 切 除 術 の1 例<br />

ポスターセッションP69<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 2]<br />

福 井 県 立 病 院 外 科 西 田 洋 児 ほか<br />

膵 臓 膵 炎 2<br />

座 長 : 松 本<br />

譲 (… 北 海 道 大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 学 分 野 …II)<br />

P69-1 慢 性 膵 炎 に 対 する 外 科 的 治 療 (Frey 手 術 / 膵 切 除 )<br />

P69-2 当 科 における 慢 性 膵 炎 手 術 症 例 の 臨 床 的 検 討<br />

社 会 医 療 法 人 千 代 田 病 院 外 科 緒 方 賢 司 ほか<br />

飯 塚 病 院 外 科 梶 山 潔 ほか<br />

P69-3 慢 性 膵 炎 に 対 する 膵 管 ドレナージ 手 術 の 治 療 成 績 と 術 後 膵 機 能 の 検 討<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 医 科 学 外 科<br />

中 川 直 哉 ほか<br />

-97-


P69-4 膵 石 症 に 併 発 した 仮 性 嚢 胞 が 後 腹 膜 腔 へ 穿 破 した1 例<br />

石 切 生 喜 病 院 外 科 田 中 肖 吾 ほか<br />

P69-5 膵 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 腫 瘤 形 成 性 膵 炎 の 一 例<br />

田 附 興 風 会 北 野 病 院 消 化 器 外 科 吉 冨 摩 美 ほか<br />

P69-6 早 期 膵 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 慢 性 膵 炎 の1 切 除 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

岩 瀬 亮 太 ほか<br />

P69-7 硬 化 性 胆 管 炎 を 合 併 したIgG4 関 連 自 己 免 疫 性 膵 炎 の 一 例<br />

市 立 藤 井 寺 市 民 病 院 外 科 浦 田 順 久 ほか<br />

P69-8 悪 性 疾 患 を 疑 い 外 科 的 切 除 を 施 行 した 自 己 免 疫 性 膵 炎 の2 例<br />

鹿 児 島 市 医 師 会 病 院 外 科<br />

ポスターセッションP70<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 3]<br />

井 上 真 岐 ほか<br />

膵 臓 手 術 合 併 症 1<br />

座 長 : 新 地 洋 之 (… 鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 )<br />

P70-1 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 、Roux-en-Y 再 建 はDGEを 減 少 させるか<br />

京 都 第 2 赤 十 字 病 院 外 科 森 村 玲 ほか<br />

P70-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 消 化 管 吻 合 部 狭 窄 の 臨 床 的 問 題 点<br />

福 井 大 学 第 一 外 科 村 上 真 ほか<br />

P70-3 術 後 逆 行 性 胆 管 炎 予 防 を 目 的 とした, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ・ 膵 胃 吻 合 後 の 消 化 管 再 建 の 工 夫<br />

霧 島 市 立 医 師 会 医 療 センター 外 科 風 呂 井 彰 ほか<br />

P70-4 膵 切 除 術 における 周 術 期 感 染 対 策<br />

新 潟 県 立 がんセンター 新 潟 病 院 外 科 野 村 達 也 ほか<br />

P70-5 膵 頭 切 除 例 での 予 防 的 抗 菌 薬 と 感 染 性 合 併 症 、 分 離 菌 との 関 係 ―FMOX 数 日 投 与 とCEZ1 日 投 与 の 比<br />

較 ―<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科 古 川 大 輔 ほか<br />

P70-6 標 準 予 防 策 が 消 化 器 外 科 手 術 患 者 における 新 規 MRSA 検 出 率 に 与 える 効 果<br />

新 潟 大 学 第 一 外 科 石 川 博 補 ほか<br />

P70-7 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 時 の 真 皮 縫 合 による 創 閉 鎖 の 検 討<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 加 藤 正 人 ほか<br />

P70-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 におけるSSI 発 生 に 関 する 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 センター 外 科 武 岡 奉 均 ほか<br />

ポスターセッションP71<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 3]<br />

膵 臓 手 術 合 併 症 2<br />

座 長 : 黒 木 保 (… 長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

P71-1 膵 線 維 化 の 定 量 指 標 としての 術 前 MRIの 有 用 性<br />

P71-2 膵 空 腸 吻 合 ステントなしを 前 提 とした 術 後 膵 液 瘻 発 生 予 測<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 田 中 香 織 ほか<br />

秀 和 綜 合 病 院 外 科 馬 場 裕 之 ほか<br />

-98-


P71-3 膵 液 瘻 ゼロを 目 指 して<br />

がん 感 染 症 センター 都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科 小 林 信 ほか<br />

P71-4 柿 田 式 密 着 吻 合 とロストステントを 用 いる 膵 空 腸 吻 合<br />

上 尾 中 央 総 合 病 院 外 科 陳 孟 鳳 ほか<br />

P71-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 膵 空 腸 吻 合 部 Internal stentは 膵 液 漏 を 減 らすか<br />

山 形 大 学 医 学 部 第 一 外 科<br />

森 谷 敏 幸 ほか<br />

P71-6 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PpPD) 後 膵 管 空 腸 吻 合 部 ロストステントの 残 膵 内 迷 入 による 難 治 性 膵<br />

炎 の1 例<br />

板 橋 中 央 総 合 病 院 外 科 畑 中 正 行 ほか<br />

P71-7 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 11 年 目 に 膵 管 チューブの 遺 残 と 陥 頓 膵 石 により 膵 炎 を 発 生 した1 例<br />

豊 橋 市 民 病 院 一 般 外 科 平 松 和 洋 ほか<br />

P71-8 PPPD 後 の 膵 液 漏 由 来 難 治 性 腹 腔 内 出 血 に 対 し 起 死 回 生 の 処 置 で 助 かった 症 例<br />

盛 岡 赤 十 字 病 院 外 科 川 村 英 伸<br />

P71-9 膵 空 腸 吻 合 における 新 たな 工 夫 (Polyethylene Glycolic Acid Feltの 有 用 性 の 検 討 )<br />

健 康 保 険 八 代 総 合 病 院 外 科 倉 本 正 文 ほか<br />

ポスターセッションP72<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 3]<br />

膵 臓 手 術 合 併 症 3<br />

座 長 : 岡 野 圭 一 (… 香 川 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

P72-1 尾 側 膵 切 除 における 膵 液 漏 はゼロにできるのか<br />

佐 賀 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 中 村 淳 ほか<br />

P72-2 膵 尾 側 切 除 術 後 膵 液 瘻 の 臨 床 的 検 討<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 災 害 医 療 センター 消 化 器 ・ 乳 腺 外 科 真 崎 純 一 ほか<br />

P72-3 尾 側 膵 切 除 術 における 膵 液 瘻 の 発 生 要 因 とその 対 策<br />

鳥 取 大 学 病 態 制 御 外 科 学 奈 賀 卓 司 ほか<br />

P72-4 尾 側 膵 切 除 における 合 併 症 と 膵 切 離 管 理 の 工 夫<br />

八 王 子 消 化 器 病 院 外 科<br />

鈴 木 修 司 ほか<br />

P72-5 膵 尾 側 切 除 術 における 至 適 切 離 法 の 検 討 ~120 例 のretrospective study~<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 森 川 孝 則 ほか<br />

P72-6 当 院 での 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 対 策<br />

P72-7 当 院 における 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 に 関 する 検 討<br />

P72-8 尾 側 膵 切 除 の 膵 切 離 法 とその 成 績 : 過 去 5 年 間<br />

勤 医 協 中 央 病 院 外 科 吉 田 信 ほか<br />

九 州 中 央 病 院 外 科 濱 津 隆 之 ほか<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 消 化 器 外 科 伊 東 昌 広 ほか<br />

-99-


ポスターセッションP73<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 3]<br />

膵 臓 症 例 1<br />

座 長 : 浅 井 浩 司 (… 東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 外 科 )<br />

P73-1 血 小 板 無 力 症 を 合 併 した 膵 嚢 胞 性 病 変 に 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 桂 宜 輝 ほか<br />

P73-2 腹 腔 鏡 補 助 下 脾 合 併 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した 膵 原 発 Lymphoepithelial cystの1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 柳 本 泰 明 ほか<br />

P73-3 膵 管 が 嚢 胞 様 拡 張 を 認 めIPMNと 術 前 診 断 したretention cystの1 例<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科 天 神 和 美 ほか<br />

P73-4 胃 癌 及 び 肝 門 部 胆 管 癌 術 後 に 発 生 した 膵 原 発 MPNSTの1 例<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科 前 島 理 ほか<br />

P73-5 原 発 性 膵 腫 瘍 と 鑑 別 が 困 難 であった 脾 静 脈 腫 瘍 栓 を 伴 った 食 道 胃 接 合 部 癌 術 後 脾 門 部 リンパ 節 再 発 の<br />

一 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 越 智 史 明 ほか<br />

P73-6 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であった 膵 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

東 京 歯 科 大 学 市 川 総 合 病 院 外 科 星 本 相 淳 ほか<br />

P73-7 “ 超 ” 微 小 膵 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

P73-8 主 膵 管 狭 窄 を 伴 った 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の 一 例<br />

P73-9 膵 全 摘 を 行 ったIPMNとSCNの 合 併 例<br />

ポスターセッションP74<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55[ポスター 会 場 3]<br />

愛 知 県 厚 生 連 豊 田 厚 生 病 院 外 科 高 木 健 司 ほか<br />

愛 知 医 科 大 学 消 化 器 外 科 安 田 顕 ほか<br />

木 沢 記 念 病 院 外 科 寺 澤 耕 祐 ほか<br />

膵 臓 症 例 2<br />

座 長 : 中 村 隆 司 (… 東 北 厚 生 年 金 病 院 消 化 器 センター 外 科 )<br />

P74-1 膵 solid-pseudopapillary tumorの1 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科<br />

中 島 慎 介 ほか<br />

P74-2 自 然 経 過 で 腫 瘍 が 縮 小 し 臓 器 機 能 温 存 手 術 にて 切 除 しえた 膵 Solid-pseudopapillary neoplasmの1<br />

例<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 消 化 器 外 科 学 信 岡 大 輔 ほか<br />

P74-3 膵 頭 部 巨 大 動 脈 瘤 の1 切 除 例<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科 上 村 淳 ほか<br />

P74-4 術 前 診 断 に 難 渋 し 治 療 方 法 の 選 択 に 苦 慮 した 膵 腫 瘍 ・ 多 発 肝 転 移 の 症 例<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学<br />

奥 村 徳 夫 ほか<br />

P74-5 腎 癌 術 後 膵 転 移 の3 切 除 例<br />

P74-6 肺 癌 術 後 孤 立 性 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

順 天 堂 大 学 医 学 部 附 属 順 天 堂 医 院 肝 胆 膵 外 科 中 山 昇 ほか<br />

天 理 よろづ 相 談 所 病 院 腹 部 一 般 外 科 藤 浩 明 ほか<br />

-100-


P74-7 術 前 診 断 し 得 た 子 宮 原 発 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

北 里 研 究 所 病 院 外 科 鈴 木 慶 一 ほか<br />

P74-8 腎 細 胞 癌 術 後 3 年 目 に 再 発 し 切 除 した 膵 転 移 の1 例<br />

ポスターセッションP75<br />

5 月 31 日 ( 木 )13:10~13:55 [ポスター 会 場 3]<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 柴 浩 明 ほか<br />

内 視 鏡 外 科 胆 嚢 ・ 総 胆 管<br />

座 長 : 内 田 信 治 (… 久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科 )<br />

P75-1 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (4ポ-トによる)と 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 比 較 ・ 検 討<br />

産 業 医 科 大 学 第 一 外 科 秋 山 泰 樹 ほか<br />

P75-3 急 性 期 病 院 における 単 項 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 適 応<br />

医 誠 会 病 院 消 化 器 外 科 谷 川 隆 彦 ほか<br />

P75-4 高 齢 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 検 討<br />

岡 谷 市 民 病 院 … 外 科<br />

荒 居 琢 磨 ほか<br />

P75-5 80 才 以 上 の 高 齢 者 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 当 科 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 施 行 例 の 検 討<br />

白 根 健 生 病 院 外 科 角 南 栄 二 ほか<br />

P75-6 当 院 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 開 腹 移 行 症 例 の 検 討<br />

国 立 水 戸 医 療 センター<br />

小 崎 浩 一 ほか<br />

P75-7 困 難 症 例 に 対 する 腹 壁 吊 り 上 げ 法 による 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 部 分 切 除 術<br />

地 方 独 立 行 政 法 人 筑 後 市 立 病 院 外 科 吉 田 正 ほか<br />

P75-8 吊 り 上 げ 式 腹 腔 鏡 下 胆 摘 における 経 胆 嚢 管 的 総 胆 管 結 石 除 去 の 有 用 性<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 茨 城 県 地 域 がんセンター 工 藤 宏 樹 ほか<br />

P75-9 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 中 に 行 った 胆 道 造 影 検 査 で 確 認 された 総 胆 管 結 石 に 対 する 治 療 法 の 検 討<br />

箕 面 市 立 病 院 大 島 聡 ほか<br />

ポスターセッションP76<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓<br />

肝 癌 予 後 因 子<br />

座 長 : 上 西 崇 弘 (… 石 切 生 喜 病 院 外 科 / 消 化 器 外 科 )<br />

P76-1 肝 細 胞 癌 切 除 後 の 全 生 存 率 、 無 再 発 生 存 率 、2 年 以 内 再 発 率 の 危 険 因 子 は<br />

鳥 取 市 立 病 院 外 科 大 石 正 博 ほか<br />

P76-2 当 院 における 肝 細 胞 癌 手 術 症 例 の 検 討<br />

住 友 別 子 病 院<br />

小 林 一 泰<br />

P76-3 肝 切 除 術 後 CRPピーク 値 による 肝 細 胞 癌 の 予 後 予 測<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 柴 浩 明 ほか<br />

P76-4 肝 細 胞 癌 患 者 における 術 後 早 期 肝 不 全 と 再 発 に 関 する 検 討<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 井 口 公 太 ほか<br />

P75-2 2 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Double Incision Laparoscopic Cholecystectomy)-プラス1port の 有<br />

用 性 について-<br />

八 尾 市 立 病 院 外 科 橋 本 和 彦 ほか<br />

-101-


P76-5 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 疾 患 における 肝 細 胞 癌 に 対 する 外 科 治 療 の 遠 隔 成 績<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 分 野<br />

若 井 俊 文 ほか<br />

P76-6 肝 細 胞 癌 再 発 は 系 統 切 除 によってどのくらい 防 げるか<br />

都 立 墨 東 病 院<br />

宮 田 陽 一 ほか<br />

P76-7 系 統 的 肝 切 除 か 非 系 統 的 肝 切 除 かは 肝 細 胞 癌 の 生 命 予 後 に 寄 与 しない<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 高 村 博 之 ほか<br />

P76-8 肝 細 胞 癌 に 対 する 尾 状 葉 切 除 の 成 績<br />

P76-9 破 裂 肝 細 胞 癌 切 除 後 の 長 期 予 後 の 検 討<br />

P76-10 肝 細 胞 癌 術 後 の 長 期 無 再 発 症 例 の 検 討<br />

ポスターセッションP77<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 村 山 梓 ほか<br />

大 阪 市 立 大 学 肝 胆 膵 外 科 学 野 沢 彰 紀 ほか<br />

旭 中 央 病 院 外 科 三 瀬 祥 弘 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 癌 高 齢 ・ 若 年<br />

座 長 : 相 原 司 (… 明 和 病 院 外 科 )<br />

P77-1 高 齢 者 肝 細 胞 癌 に 対 する 手 術 適 応 と 遠 隔 成 績<br />

八 尾 徳 洲 会 総 合 病 院 肝 臓 センター 肝 臓 外 科 木 村 拓 也 ほか<br />

P77-2 高 齢 者 肝 細 胞 癌 に 対 する 鏡 視 下 ラジオ 波 凝 固 療 法 の 治 療 効 果 と 安 全 性 の 解 析<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

土 居 浩 一 ほか<br />

P77-3 80 歳 以 上 の 高 齢 者 の 肝 癌 手 術 の 実 際<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科 藤 信 明 ほか<br />

P77-4 ウイルス 肝 炎 治 療 中 に 発 生 した 若 年 者 ( 未 成 年 者 ) 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

国 立 病 院 機 構 仙 台 医 療 センター 外 科 成 島 陽 一 ほか<br />

P77-5 術 前 診 断 に 難 渋 した 若 年 者 非 B 非 C 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

北 里 大 学 東 病 院 外 科<br />

鎌 田 弘 樹 ほか<br />

P77-6 Budd-Chiari 症 候 群 を 背 景 に 若 年 発 症 した 多 血 性 肝 腫 瘍 の 一 例<br />

愛 知 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

藤 崎 宏 之 ほか<br />

P77-7 正 常 肝 に 生 じた 肝 細 胞 癌 切 除 症 例 の 検 討<br />

兵 庫 県 立 がんセンター<br />

千 堂 宏 義 ほか<br />

P77-8 自 己 免 疫 性 肝 炎 、 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 overlap syndromeに 合 併 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

府 中 病 院 外 科 岩 内 武 彦 ほか<br />

P77-9 自 己 免 疫 性 肝 炎 を 合 併 した 肝 細 胞 癌 切 除 後 8 年 目 に 再 発 し 急 速 な 増 大 を 示 した1 例<br />

日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科 上 田 純 志 ほか<br />

P77-10 自 己 免 疫 性 肝 炎 に 合 併 した 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 を 施 行 した3 例<br />

大 阪 労 災 病 院 外 科 松 浦 雄 祐 ほか<br />

P77-11 大 腸 癌 術 後 の 転 移 性 肝 癌 の 診 断 で 紹 介 された 非 B 非 C 型 肝 細 胞 癌 の2 例<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 龍 知 記 ほか<br />

-102-


ポスターセッションP78<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓<br />

肝 良 性 腫 瘍<br />

座 長 : 中 居 卓 也 (… 近 畿 大 学 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P78-1 当 科 で 施 行 した 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 13 例 の 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 坂 口 達 馬 ほか<br />

P78-2 当 科 における 巨 大 肝 嚢 胞 に 対 する 腹 腔 鏡 手 術<br />

東 京 医 科 大 学<br />

高 野 公 徳 ほか<br />

P78-3 著 明 な 腹 部 膨 満 を 伴 う 多 発 性 肝 嚢 胞 症 例 をどう 扱 うか LigaSure を 用 いた 可 及 的 嚢 胞 開 窓 術 の 有 用<br />

性 について<br />

京 都 大 学 … 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 秦 浩 一 郎 ほか<br />

P78-4 本 邦 における 多 発 肝 嚢 胞 症 に 対 する 外 科 的 治 療 の 実 態<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科<br />

小 川 光 一 ほか<br />

P78-5 胆 管 内 粘 液 貯 留 に 伴 う 肝 機 能 障 害 を 契 機 に 発 見 された 胆 管 交 通 性 肝 嚢 胞 の1 例<br />

春 日 部 中 央 総 合 病 院 外 科 馬 場 健 ほか<br />

P78-6 肝 嚢 胞 腺 癌 との 鑑 別 に 難 渋 した 血 管 腫 様 成 分 を 伴 った 巨 大 肝 嚢 胞 の1 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科 西 村 真 澄 ほか<br />

P78-7 Kasabach-Merritt 症 候 群 への 移 行 が 危 惧 された 再 発 肝 巨 大 血 管 腫 の1 切 徐 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 循 環 器 ・ 呼 吸 器 ・ 消 化 器 制 御 学 基 俊 介 ほか<br />

P78-8 嚢 胞 形 成 を 伴 う 肝 海 綿 状 血 管 腫 の1 切 除 例<br />

P78-9 巨 大 肝 血 管 腫 に 対 する 肝 切 除<br />

順 天 堂 大 学 医 学 部 附 属 練 馬 病 院 外 科 石 山 隼 ほか<br />

日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科 平 方 敦 史 ほか<br />

P78-10 増 大 傾 向 が 否 定 し 得 ず, 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した 症 候 性 肝 血 管 腫 の1 例<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 東 京 医 療 センター 外 科<br />

浦 上 秀 次 郎 ほか<br />

P78-11 肝 巨 大 血 管 腫 の 手 術 経 験<br />

ポスターセッションP79<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 1]<br />

土 浦 協 同 病 院 外 科 伊 東 浩 次 ほか<br />

肝 臓<br />

肝 癌 再 発 治 療<br />

座 長 : 有 泉 俊 一 (… 東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 )<br />

P79-1 肝 細 胞 癌 術 後 再 発 に 対 するCOX-2 阻 害 剤 Meloxicam 投 与 162 例 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 龍 知 記 ほか<br />

P79-2 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 選 択 の 検 討<br />

P79-3 肝 細 胞 癌 術 後 の 残 肝 再 発 に 対 する 治 療 成 績<br />

富 山 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科 松 井 恒 志 ほか<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 稲 葉 圭 介 ほか<br />

P79-4 肝 細 胞 癌 根 治 切 除 後 の 早 期 再 発 高 危 険 群 の 同 定 及 びTACEによる 治 療 効 果 の 検 証<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

野 見 武 男 ほか<br />

-103-


P79-5 肝 切 除 後 の 再 発 に 対 する 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 (TACE)の 予 後 予 測 因 子<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 筒 井 りな ほか<br />

P79-6 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 再 肝 切 除 術 の 治 療 成 績<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

熊 本 宜 文 ほか<br />

P79-7 RFA 施 行 後 の 肝 細 胞 癌 再 発 症 例 の 検 討<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 山 口 俊 介 ほか<br />

P79-8 HCV 関 連 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 におけるインターフェロン 治 療 の 意 義 とその 治 療 成 績 の 検 討<br />

製 鉄 記 念 八 幡 病 院 外 科 杉 町 圭 史 ほか<br />

P79-9 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 術 をおこなった2 例<br />

愛 知 医 科 大 学 有 川 卓 ほか<br />

P79-10 5 回 の 切 除 により 腫 瘍 制 御 中 のHCCの1 例<br />

横 浜 労 災 病 院 外 科 田 崎 健 太 郎 ほか<br />

P79-11 重 粒 子 線 治 療 後 の 肝 細 胞 癌 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 武 内 祥 子 ほか<br />

ポスターセッションP80<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓<br />

巨 大 肝 癌 ・ 破 裂<br />

座 長 : 山 崎 修 (… 十 三 市 民 病 院 )<br />

P80-1 当 科 における 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 成 績 と 術 前 TACEの 意 義<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座 肝 胆 膵 外 科 脇 山 茂 樹 ほか<br />

P80-2 当 科 における10cm 以 上 の 巨 大 肝 細 胞 癌 切 除 例 の 検 討<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 入 江 工 ほか<br />

P80-3 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 切 除 の 工 夫<br />

遠 賀 中 間 医 師 会 おんが 病 院 救 急 総 合 診 療 科 末 廣 剛 敏 ほか<br />

P80-4 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 切 除 におけるhanging maneuverの 有 用 性 について<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 目 黒 誠 ほか<br />

P80-5 長 径 15cm 大 のVp2 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 右 二 区 域 切 除 術<br />

国 立 病 院 機 構 岡 山 医 療 センター 外 科 太 田 徹 哉 ほか<br />

P80-6 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 右 三 区 域 切 除<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学 竹 内 男 ほか<br />

P80-7 当 院 での 巨 大 肝 腫 瘍 3 切 除 例<br />

川 口 市 立 医 療 センター 外 科<br />

水 谷 貴 久 ほか<br />

P80-8 IVCを 圧 排 する 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 し,TAEおよびTIPE 後 に 右 肝 切 除 した1 例<br />

山 梨 大 学 第 一 外 科 雨 宮 秀 武 ほか<br />

P80-9 エリスロポイエチン 産 生 による 多 血 症 を 伴 った 巨 大 肝 細 胞 癌 の1 切 除 経 験<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 学 講 座 佐 藤 直 哉 ほか<br />

P80-10 ゴルフの 練 習 を 契 機 に 広 範 な 被 膜 下 血 腫 をきたした 肝 細 胞 癌 破 裂 の1 例<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科 嘉 山 貴 文 ほか<br />

P80-11 肝 内 破 裂 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科 八 島 玲 ほか<br />

-104-


ポスターセッションP81<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 ICC 症 例<br />

座 長 : 佐 藤 四 三 (… 姫 路 赤 十 字 病 院 外 科 )<br />

P81-1 多 発 肝 膿 瘍 に 対 して 術 前 エンドトキシン 吸 着 療 法 を 施 行 した 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 皆 川 昌 広 ほか<br />

P81-2 術 前 胆 汁 細 胞 診 で 扁 平 上 皮 癌 細 胞 が 検 出 された、 肝 内 胆 管 癌 ( 腺 扁 平 上 皮 癌 )の1 切 除 例<br />

大 阪 府 済 生 会 吹 田 病 院 岩 崎 寿 光 ほか<br />

P81-3 PSCの 経 過 中 に 肝 門 部 胆 管 癌 と 術 前 診 断 し 手 術 を 施 行 した1 例<br />

香 川 労 災 病 院 外 科 桑 田 和 也 ほか<br />

P81-4 肝 吸 虫 症 に 合 併 した 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科 松 林 潤 ほか<br />

P81-5 病 理 組 織 学 的 に 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 が 問 題 となった 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

名 古 屋 第 二 赤 十 字 病 院 外 科 永 井 英 雅 ほか<br />

P81-6 転 移 性 肝 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 肝 内 胆 管 癌 の 一 例<br />

済 生 会 唐 津 病 院 外 科<br />

力 丸 竜 也 ほか<br />

P81-7 肝 血 管 腫 との 鑑 別 が 困 難 でフォローされた、 肝 内 胆 管 癌 の2 症 例<br />

P81-8 根 治 術 後 , 急 速 な 進 行 を 認 めたAFP 高 値 の 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

琉 球 大 学 第 一 外 科 赤 松 道 成 ほか<br />

北 里 大 学 外 科 牛 久 秀 樹 ほか<br />

P81-9 間 質 性 肺 炎 加 療 中 にみつかった 細 胆 管 細 胞 癌 の1 例<br />

那 覇 市 立 病 院<br />

友 利 寛 文 ほか<br />

P81-10 胆 嚢 出 血 と 胆 管 炎 を 伴 う 胆 管 細 胞 癌 の 肝 切 除 後 に 生 検 部 胸 壁 再 発 を 切 除 し 得 えた 一 例<br />

千 葉 市 立 海 浜 病 院 外 科<br />

宮 澤 康 太 郎 ほか<br />

P81-11 末 梢 胆 管 から 発 生 した 胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

ポスターセッションP82<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科 山 田 美 鈴 ほか<br />

肝 臓 転 移 性 肝 癌 4<br />

座 長 : 藪 下 和 久 (… 高 岡 市 民 病 院 外 科 )<br />

P82-1 胆 管 内 腫 瘍 栓 を 伴 い 肝 内 胆 管 癌 との 鑑 別 を 要 した 異 時 性 大 腸 癌 肝 転 移 の1 切 除 例<br />

徳 島 市 民 病 院 外 科 小 林 愛 貴 美 ほか<br />

P82-2 総 肝 管 まで 伸 展 する 胆 管 内 腫 瘍 栓 を 伴 い 肝 両 葉 に 巨 大 転 移 巣 を 形 成 した 転 移 性 肝 癌 の1 切 除 例<br />

稲 沢 市 民 病 院 外 科 久 納 孝 夫 ほか<br />

P82-3 肝 内 胆 管 癌 と 術 前 診 断 した 胆 管 内 発 育 を 伴 う 大 腸 癌 転 移 性 肝 癌 の1 例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 加 藤 順 子 ほか<br />

P82-4 肝 実 質 転 移 を 伴 わないS 状 結 腸 癌 肝 転 移 の 一 切 除 例<br />

函 館 厚 生 院 函 館 中 央 病 院 外 科 三 井 潤 ほか<br />

P82-5 大 腸 癌 術 後 肝 肺 転 移 再 発 にたいする 集 学 的 治 療 による 長 期 生 存 の1 例<br />

福 島 労 災 病 院 外 科 宮 澤 正 紹 ほか<br />

-105-


P82-6 門 脈 本 幹 腫 瘍 栓 を 合 併 した 大 腸 がん 肝 転 移 の1 例<br />

P82-7 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 大 腸 癌 肝 転 移 の1 例<br />

鎌 ケ 谷 総 合 病 院 外 科 山 本 穰 司<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科 石 毛 文 隆 ほか<br />

P82-8 当 科 における 大 腸 癌 肝 転 移 再 発 に 対 する2 回 目 肝 切 除 の 成 績<br />

P82-9 右 開 胸 開 腹 切 開 で3 回 再 肝 切 除 を 施 行 しえた 大 腸 癌 肝 転 移<br />

P82-10 胃 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除<br />

ポスターセッションP83<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 高 橋 道 郎 ほか<br />

西 宮 渡 辺 病 院 外 科 蓮 池 康 徳 ほか<br />

横 浜 掖 済 会 病 院 外 科 森 岡 大 介 ほか<br />

肝 臓 転 移 性 肝 癌 5<br />

座 長 : 松 井 陽 一 (… 関 西 医 科 大 学 附 属 枚 方 病 院 … 消 化 器 外 科 )<br />

P83-1 当 科 における 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の 予 後 因 子 に 関 する 検 討<br />

札 幌 医 科 大 学 第 1 外 科 川 本 雅 樹 ほか<br />

P83-2 大 腸 癌 肝 転 移 術 後 再 発 危 険 因 子 の 同 定 とその 対 策<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 山 戸 一 郎 ほか<br />

P83-3 3-D CT 画 像 による 術 前 肝 切 除 シュミレーションが 有 用 であった 転 移 性 肝 腫 瘍 の1 例<br />

明 和 病 院 外 科 別 府 直 仁 ほか<br />

P83-4 肝 薄 切 検 体 を 用 いた 大 腸 癌 肝 微 小 転 移 の 検 索 , 術 前 画 像 EOB-MRIとの 対 比<br />

東 京 医 科 大 学 病 院 消 化 器 外 科<br />

粕 谷 和 彦 ほか<br />

P83-5 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 における 腫 瘍 周 囲 微 小 癌 病 変 の 局 在 に 関 する 検 討<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 翁 傑 鋒 ほか<br />

P83-6 大 腸 癌 異 時 性 肝 転 移 (H3・GradeC)に 対 し、 肝 中 央 2 区 域 切 除 ・ 肝 S2/3 部 分 切 除 術 施 行 後 3 年 無 再 発 生<br />

存 を 得 た1 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 海 藤 章 郎 ほか<br />

P83-7 切 除 困 難 な 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 無 遺 残 を 目 指 した 肝 切 除 と 経 皮 的 ラジオ 波 焼 灼 療 法 (RFA)の 併 用 の<br />

検 討<br />

岐 阜 市 民 病 院 … 外 科 足 立 尊 仁 ほか<br />

P83-8 腹 腔 鏡 下 ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 の1 例<br />

市 立 吹 田 市 民 病 院 外 科 村 上 昌 裕<br />

P83-9 子 宮 平 滑 筋 肉 腫 術 後 肝 転 移 に 対 するラジオ 波 ・ 化 学 療 法 後 の 局 所 再 発 例 にSalvage Surgeryを 行 った1<br />

例<br />

佐 々 木 研 究 所 附 属 杏 雲 堂 病 院 外 科 川 本 潤 ほか<br />

ポスターセッションP84<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓<br />

転 移 性 肝 癌 ・その 他<br />

座 長 : 岡 本 好 司 (… 北 九 州 市 立 八 幡 病 院 消 化 器 ・ 肝 臓 病 センター 外 科 )<br />

P84-1 【 演 題 取 下 】<br />

-106-


P84-2 機 能 性 膵 ガストリノーマと 多 発 肝 転 移 を 同 時 切 除 した1 例<br />

昭 和 大 学 藤 が 丘 病 院 消 化 器 外 科 水 上 博 喜 ほか<br />

P84-3 急 速 に 進 行 した 消 化 管 内 分 泌 細 胞 癌 肝 破 裂 の1 例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 伊 藤 浩 光 ほか<br />

P84-4 多 発 肝 転 移 をきたした 後 腹 膜 原 発 カルチノイド 腫 瘍 の 一 例<br />

成 田 赤 十 字 病 院 外 科 代 市 拓 也 ほか<br />

P84-5 腺 様 嚢 胞 癌 肝 転 移 に 対 して 肝 切 除 術 を 施 行 した2 例<br />

佐 世 保 市 立 総 合 病 院<br />

飛 永 修 一 ほか<br />

P84-6 胆 道 癌 術 後 肝 転 移 再 発 症 例 に 対 する 外 科 切 除 と 予 後 因 子 の 検 討<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 本 多 正 幸 ほか<br />

P84-7 下 部 胆 管 癌 術 後 、 結 腸 転 移 術 後 、 肝 S6 転 移 に 対 し 腹 腔 鏡 下 肝 部 分 切 除 を 施 行 し 得 た1 例<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科 板 橋 英 教 ほか<br />

P84-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 7 年 後 に 再 発 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 肝 転 移 の 一 切 除 例<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科 前 田 典 克 ほか<br />

P84-9 中 咽 頭 癌 肝 転 移 の1 切 除 例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 山 田 敦 子 ほか<br />

P84-10 根 治 手 術 後 早 期 に 骨 転 移 をきたした 肝 転 移 を 伴 う 小 腸 GIST 再 々 発 の 一 例<br />

ポスターセッションP85<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 移 植 1<br />

座 長 : 貝 原 聡 (… 神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 )<br />

住 友 重 機 械 健 康 保 険 組 合 … 浦 賀 病 院 外 科 前 田 慎 太 郎 ほか<br />

P85-1 PBCに 対 する 生 体 部 分 肝 移 植 術 後 の 再 発 、 長 期 予 後 についての 検 討<br />

岡 山 大 学 肝 胆 膵 外 科 内 海 方 嗣 ほか<br />

P85-2 当 施 設 における 小 児 ABO 血 液 型 不 適 合 肝 移 植 の 成 績 とrituximab 投 与 法 の 変 遷<br />

自 治 医 科 大 学 移 植 外 科 岡 田 憲 樹 ほか<br />

P85-3 当 施 設 における 体 重 6kg 以 下 の 低 体 重 児 に 対 する 生 体 肝 移 植 の 検 討<br />

自 治 医 科 大 学 移 植 外 科 山 田 直 也 ほか<br />

P85-4 ドナー 年 齢 、レシピエントの 危 険 因 子 を 組 み 合 わせたD-MELDスコアが 生 体 肝 移 植 術 後 成 績 に 及 ぼす 影<br />

響 について<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 種 村 彰 洋 ほか<br />

P85-5 Stroke volume variation (SVV)を 用 いた 肝 移 植 直 後 の 循 環 血 液 量 の 評 価 の 有 用 性<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 武 田 和 永 ほか<br />

P85-6 当 科 における 生 体 肝 移 植 後 肝 静 脈 狭 窄 症 例 の 検 討<br />

岡 山 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 講 座<br />

吉 田 龍 一 ほか<br />

P85-7 臓 器 移 植 法 改 正 後 、 脳 死 肝 移 植 医 療 はどう 変 わったか<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科 海 道 利 実 ほか<br />

-107-


ポスターセッションP86<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

肝 臓 移 植 2<br />

座 長 : 田 代 裕 尊 (… 広 島 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 )<br />

P86-1 肝 癌 治 療 における 肝 移 植 の 意 義<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科 海 道 利 実 ほか<br />

P86-2 肝 移 植 の 動 脈 再 建 に 難 渋 した 動 脈 奇 形 合 併 成 人 アラジール 症 候 群 の1 例<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 八 木 真 太 郎 ほか<br />

P86-3 レシピエント 肝 内 門 脈 、 臍 静 脈 による、 生 体 肝 移 植 右 葉 グラフトV5V8の 血 管 再 建 の 工 夫<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科 中 村 育 夫 ほか<br />

P86-4 敗 血 症 を 呈 した 亜 急 性 型 劇 症 肝 炎 に 対 する 脳 死 肝 移 植 の 経 験<br />

新 潟 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 一 般 外 科 三 浦 宏 平 ほか<br />

P86-5 肝 細 胞 癌 における 肝 移 植 の 現 状 と 課 題 - 非 脳 死 移 植 施 設 の 苦 悩<br />

弘 前 大 学 先 進 移 植 再 生 医 学 講 座 鳴 海 俊 治 ほか<br />

P86-6 Hepatoblastomaに 対 する 治 療 戦 略 ー 肝 移 植 の 適 応 とタイミング<br />

弘 前 大 学 小 児 外 科 梅 原 実 ほか<br />

ポスターセッションP87<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

胆 道 胆 嚢 癌 4<br />

座 長 : 妙 中 直 之 (… 住 友 病 院 外 科 )<br />

P87-1 発 熱 および 白 血 球 増 多 を 呈 した 胆 嚢 癌 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 岩 国 医 療 センター 外 科 金 谷 信 彦 ほか<br />

P87-2 左 胃 動 脈 を 用 いて 左 肝 動 脈 再 建 を 行 った 胆 嚢 癌 に 対 する 肝 膵 切 除 の1 例<br />

滋 賀 県 立 成 人 病 センター 外 科 中 村 直 彦 ほか<br />

P87-3 巨 大 リンパ 節 転 移 郭 清 のための 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 と 術 後 補 助 化 学 療 法 にて6 年 超 無 再 発 生 存 中 の 進 行 胆<br />

嚢 癌 の1 例<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 外 科 立 石 昌 樹 ほか<br />

P87-4 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 消 化 器 外 科<br />

北 村 博 顕 ほか<br />

P87-5 急 速 な 進 行 を 来 した 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例<br />

国 立 病 院 機 構 嬉 野 医 療 センター 外 科 柴 崎 信 一 ほか<br />

P87-6 胆 嚢 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例<br />

P87-7 胆 嚢 多 型 癌 の1 切 除 例<br />

P87-8 AFP 産 生 胆 道 癌 の1 剖 検 例<br />

P87-9 胆 嚢 carciosarcomaの1 切 除 例<br />

東 京 都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科 柳 嘉 典 ほか<br />

富 山 県 済 生 会 高 岡 病 院 外 科 島 田 雅 也<br />

佐 世 保 中 央 病 院 外 科 重 政 有 ほか<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 和 田 幸 之 ほか<br />

-108-


P87-10 術 前 診 断 が 困 難 であった 平 坦 浸 潤 型 胆 嚢 癌 の 一 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 白 井 祥 睦 ほか<br />

P87-11 胆 嚢 原 発 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

ポスターセッションP88<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 1]<br />

国 保 直 営 総 合 病 院 君 津 中 央 病 院 外 科 小 林 壮 一 ほか<br />

胆 道 粘 液 産 生 腫 瘍 2<br />

座 長 : 池 松 禎 人 (… 浜 松 医 療 センター 外 科 )<br />

P88-1 膵 粘 液 性 腫 瘍 のカウンターパートとしての 胆 管 嚢 胞 性 腫 瘍 の 検 討 :IPNBならびにMCN<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 ・ 甲 状 腺 外 科 学 安 藤 慶 ほか<br />

P88-2 右 肝 管 内 粘 液 産 生 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

P88-3 下 部 胆 管 癌 術 後 に 発 生 した 肝 粘 液 癌 の1 例<br />

P88-4 粘 液 産 生 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

P88-5 粘 液 産 生 胆 管 癌 術 後 腹 膜 播 腫 切 除 の1 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 … 器 官 制 御 外 科 岡 田 良 ほか<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 病 院 消 化 器 外 科 植 村 修 一 郎 ほか<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 東 医 療 センター 外 科 碓 井 健 文 ほか<br />

道 東 勤 医 協 釧 路 協 立 病 院 外 科 原 隆 志<br />

P88-6 IPNBの 術 前 診 断 にて 治 癒 切 除 された 胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆 管 細 胞 癌 の1 例<br />

鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 消 化 器 外 科 学<br />

肥 後 直 倫 ほか<br />

P88-7 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の3 切 除 例<br />

藤 沢 市 民 病 院 外 科 松 尾 憲 一 ほか<br />

P88-8 粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 との 鑑 別 を 要 した 孤 立 性 肝 内 胆 管 拡 張 症 の1 例<br />

岩 国 医 療 センター 外 科 青 木 秀 樹 ほか<br />

P88-9 肝 門 部 胆 管 に 発 生 した 粘 液 産 生 性 隆 起 性 病 変 の1 手 術 例<br />

P88-10 肝 膿 瘍 と 鑑 別 を 要 した 肝 粘 液 癌 の1 切 除 例<br />

ポスターセッションP89<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科 坂 木 桃 子 ほか<br />

沖 縄 赤 十 字 病 院 外 科 豊 見 山 健 ほか<br />

胆 道<br />

胆 管 炎 ・その 他<br />

座 長 : 滝 吉 郎 (… 関 西 電 力 病 院 外 科 )<br />

P89-1 胆 嚢 摘 出 後 に 発 症 した 上 部 胆 管 癌 と 鑑 別 困 難 であった 良 性 胆 管 狭 窄 の1 例<br />

岐 阜 市 民 病 院 外 科 田 島 ジェシー 雄 ほか<br />

P89-2 自 己 免 疫 性 膵 炎 を 伴 わない 中 下 部 胆 管 潰 瘍 を 来 たしたIgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 の1 例<br />

兵 庫 県 立 尼 崎 病 院 … 外 科<br />

吉 川 潤 一 ほか<br />

P89-3 肝 内 胆 管 癌 の 術 前 診 断 にて 肝 切 除 術 を 施 行 したIgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 の1 例<br />

中 津 市 立 中 津 市 民 病 院 外 科 北 川 大 ほか<br />

P89-4 術 前 診 断 に 難 渋 したIgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 の1 例<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター 水 谷 聡 ほか<br />

-109-


P89-5 肝 門 部 胆 管 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 限 局 性 良 性 肝 門 部 胆 管 狭 窄 の1 例<br />

国 民 健 康 保 険 坂 下 病 院 外 科 近 藤 眞 治 ほか<br />

P89-6 肝 門 部 胆 管 癌 と 鑑 別 困 難 であったFollicular cholangitisの1 例<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 疫 学 ・ 衛 生 学 分 野 井 筒 将 斗 ほか<br />

P89-7 十 二 指 腸 下 行 脚 穿 孔 例 に 対 する 術 式 の 工 夫 -Lemmel 症 候 群 に 対 する 術 式 の 応 用 -<br />

藤 崎 病 院 外 科 藤 崎 滋 ほか<br />

P89-8 術 前 診 断 に 難 渋 した 巨 大 十 二 指 腸 Brunner 腺 腫 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 福 山 医 療 センター 外 科 徳 永 尚 之 ほか<br />

P89-9 乳 頭 形 成 術 の 検 討<br />

P89-10 十 二 指 腸 副 乳 頭 カルチノイドの1 例<br />

山 形 大 学 第 一 外 科 竹 下 明 子 ほか<br />

豊 田 厚 生 病 院 外 科 深 見 保 之 ほか<br />

P89-11 胃 全 摘 術 後 8 年 目 に 腹 腔 内 腫 瘤 を 契 機 に 診 断 された 憩 室 内 結 石 を 伴 う 十 二 指 腸 傍 乳 頭 憩 室 の1 例<br />

日 本 赤 十 字 社 和 歌 山 医 療 センター 外 科 横 山 智 至 ほか<br />

ポスターセッションP90<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 1]<br />

胆 道<br />

診 断 その 他<br />

座 長 : 森 本 修 邦 (… 市 立 池 田 病 院 外 科 )<br />

P90-1 MRCP 欠 損 像 の 偽 病 変 について: 特 に 総 胆 管 の 欠 損 像 を 中 心 に<br />

社 会 保 険 桜 ヶ 丘 総 合 病 院 … 外 科<br />

石 田 航 太 ほか<br />

P90-2 術 中 蛍 光 胆 道 造 影 にて 副 肝 管 を 同 定 し 得 た、 胆 嚢 結 石 症 の1 例<br />

新 潟 県 厚 生 連 糸 魚 川 総 合 病 院 外 科 田 澤 賢 一 ほか<br />

P90-3 胆 管 空 腸 吻 合 術 後 の 胆 管 合 併 症 に 対 するダブルバルーン 内 視 鏡 の 有 用 性<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 松 永 浩 子 ほか<br />

P90-4 肝 胆 道 シンチグラフィにより 描 出 しえた 胆 道 気 管 支 瘻 の1 例<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科 清 水 敦 ほか<br />

P90-5 当 院 における 総 胆 管 結 石 症 に 合 併 した 急 性 胆 管 炎 症 例 に 対 するERCPの 検 討<br />

福 岡 徳 洲 会 病 院 消 化 器 内 科 山 下 兼 史 ほか<br />

P90-6 十 二 指 腸 憩 室 内 乳 頭 開 口 症 例 について<br />

日 本 歯 科 大 学 外 科 富 田 凉 一 ほか<br />

P90-7 生 体 吸 収 性 素 材 を 用 いた 胆 管 再 生 療 法<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター<br />

合 川 公 康 ほか<br />

P90-8 磁 石 圧 迫 吻 合 により 閉 塞 解 除 を 行 った 胆 管 空 腸 吻 合 術 後 吻 合 部 狭 窄 の1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 丸 山 祐 一 郎 ほか<br />

P90-9 術 後 胆 道 狭 窄 に 対 するステント 留 置 の 有 用 性 について<br />

NTT 西 日 本 大 阪 病 院 外 科 東 野 健 ほか<br />

P90-10 後 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 瘤 塞 栓 術 後 に 発 生 した 虚 血 性 胆 管 狭 窄 の 一 例<br />

新 松 田 会 愛 宕 病 院 ( 高 知 ) 外 科 大 海 研 二 郎<br />

P90-11 Lynch 症 候 群 (HNPCC)の 異 時 性 多 発 胆 管 癌 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 岩 国 医 療 センター<br />

森 廣 俊 昭 ほか<br />

-110-


ポスターセッションP91<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

胆 道<br />

手 術 合 併 症 ・その 他<br />

座 長 : 高 槻 光 寿 (… 長 崎 大 学 移 植 ・ 消 化 器 外 科 )<br />

P91-1 肝 切 除 後 の 難 治 性 胆 汁 漏 に 対 しエタノールによる biliary ablationが 有 効 であった 一 例<br />

日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科 清 水 哲 也 ほか<br />

P91-2 胆 道 手 術 後 のduodenogastric reflux(DGR)とDGRの 食 道 への 影 響<br />

近 畿 大 学 医 学 部 外 科<br />

橋 本 直 樹<br />

P91-3 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 合 併 したMirizzi 症 候 群 の1 切 除 例<br />

山 口 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 新 藤 芳 太 郎 ほか<br />

P91-4 胆 嚢 結 腸 瘻 を 併 発 した 胆 嚢 肝 管 の1 例<br />

神 戸 労 災 病 院<br />

椋 棒 英 世 ほか<br />

P91-5 術 前 に 診 断 し 得 た 特 発 性 胆 嚢 穿 孔 による 胆 汁 性 腹 膜 炎 の1 例<br />

足 利 赤 十 字 病 院 外 科 岸 田 憲 弘 ほか<br />

P91-6 肝 門 部 郭 清 後 に 生 じた 胆 管 壊 死 に 対 し 二 期 的 再 建 術 を 施 行 した1 例<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 福 本 和 彦 ほか<br />

P91-7 胆 嚢 癌 術 後 の 良 性 門 脈 閉 塞 と 難 治 性 胆 道 感 染 に 対 して、IVR 及 び 手 術 にて 治 療 し 得 た1 症 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 八 千 代 医 療 センター…… 消 化 器 外 科 濱 野 美 枝 ほか<br />

P91-8 胆 管 癌 に 対 するPpPD 術 後 4 年 目 に 膵 管 ロストステントが 胆 管 空 腸 吻 合 部 に 嵌 入 し 肝 膿 瘍 をきたした1<br />

例<br />

福 山 市 民 病 院 外 科 大 村 泰 之 ほか<br />

ポスターセッションP92<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

膵 癌 術 前 治 療<br />

座 長 : 庄 雅 之 (… 奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 )<br />

P92-1 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 治 療 の 導 入 と 臨 床 および 組 織 学 的 効 果<br />

国 立 病 院 機 構 災 害 医 療 センター 消 化 器 乳 腺 外 科 伊 藤 豊 ほか<br />

P92-2 動 脈 浸 潤 Borderline resectable 膵 癌 に 対 する 術 前 治 療 と 手 術 時 期 に 関 する 検 討<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科 貝 沼 修 ほか<br />

P92-3 Borderline Resectable 膵 癌 に 対 する 長 期 集 学 的 術 前 治 療 法 の 意 義 の 検 討<br />

大 阪 大 学 消 化 器 外 科 江 口 英 利 ほか<br />

P92-4 Borderline resectable 膵 癌 に 対 する 術 前 S-1 併 用 放 射 線 療 法 ・ 臨 床 試 験 における 課 題<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 肝 胆 膵 外 科 高 橋 進 一 郎 ほか<br />

P92-5 当 科 における 切 除 不 能 局 所 進 行 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 治 療 の 検 討<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 木 下 正 一 ほか<br />

P92-6 当 院 における 膵 頭 部 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 後 の 切 除 成 績<br />

静 岡 県 立 総 合 病 院 外 科<br />

京 田 有 介 ほか<br />

P92-7 術 前 化 学 放 射 線 療 法 を 施 行 した 切 除 可 能 局 所 進 行 膵 体 尾 部 癌 の1 例<br />

金 沢 医 科 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 上 田 順 彦 ほか<br />

-111-


P92-8 切 除 不 能 の 局 所 進 行 膵 癌 に 対 して 化 学 放 射 線 療 法 を 行 い、ダウンステージと 診 断 され、 術 後 2 年 が 経 過 し<br />

た1 例<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 検 診 部 消 化 器 検 診 科 井 岡 達 也 ほか<br />

P92-9 膵 頭 部 領 域 癌 に 対 する 上 腸 間 膜 動 脈 周 囲 リンパ 節 郭 清 の 問 題 点<br />

近 畿 大 学 医 学 部 外 科<br />

橋 本 直 樹<br />

P92-10 術 前 放 射 線 化 学 療 法 後 切 除 し 病 理 学 的 CRであった 膵 扁 平 上 皮 癌 の 一 例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 医 学 部 付 属 病 院 肝 胆 膵 総 合 外 科 三 浦 智 也 ほか<br />

ポスターセッションP93<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

膵 癌 早 期 膵 癌 その 他<br />

座 長 : 北 川 透 (… 医 療 法 人 協 和 会 協 立 病 院 )<br />

P93-1 病 理 学 的 ts1 膵 癌 20 例 の 検 討<br />

静 岡 県 立 総 合 病 院 … 消 化 器 外 科<br />

宮 川 亨 平 ほか<br />

P93-2 Stage I 膵 癌 7 切 除 例 の 病 理 学 的 検 討<br />

P93-3 Stage I 膵 癌 切 除 症 例 に 関 する 検 討<br />

P93-4 Stage 0-II 膵 癌 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

P93-5 1cm 以 下 小 膵 癌 の2 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 赤 須 玄 ほか<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 兼 田 裕 司 ほか<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科 落 合 秀 人 ほか<br />

足 利 赤 十 字 病 院 外 科 瀧 川 穣 ほか<br />

P93-6 膵 管 狭 窄 の7 年 にわたる 経 過 観 察 後 に 膵 癌 を 認 めpTisにて 切 除 しえた1 例<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 佐 々 木 一 樹 ほか<br />

P93-7 主 膵 管 、 分 枝 膵 管 にPanIN 病 変 を 伴 う 限 局 性 主 膵 管 狭 窄 の1 例<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科 西 川 誠 ほか<br />

P93-8 膵 炎 後 に 発 症 した 局 所 進 行 膵 癌 の1 例<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 氷 室 佑 季 子 ほか<br />

P93-9 肝 移 植 後 の 膵 癌 発 癌 例 の 検 討<br />

ポスターセッションP94<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

黒 木 秀 幸 ほか<br />

膵 臓<br />

膵 癌 診 断<br />

座 長 : 飛 田 浩 輔 (… 東 海 大 学 八 王 子 病 院 外 科 )<br />

P94-1 膵 癌 診 療 ガイドラインの 検 証<br />

神 戸 市 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 外 科 水 本 雅 己 ほか<br />

P94-2 局 所 進 行 膵 癌 の 手 術 適 応 に 関 する 考 察 borderline respectable 切 除 非 切 除 を 誰 がどうやって 判 断 す<br />

べきか<br />

東 海 大 学 八 王 子 病 院 外 科 飛 田 浩 輔 ほか<br />

P94-3 術 前 MDCTに 基 づいて 診 断 した“Borderline resectable” 膵 癌 の 検 討<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 奈 良 聡 ほか<br />

-112-


P94-4 EOB-MRIの 膵 癌 術 前 診 断 における 有 用 性<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 山 本 立 真 ほか<br />

P94-5 術 前 のFDG-PET(SUV 値 )は 浸 潤 性 膵 管 癌 の 予 後 および 再 発 を 予 測 するマーカーとなり 得 る<br />

久 留 米 大 学 医 学 部 外 科 北 里 雄 平 ほか<br />

P94-6 膵 癌 患 者 における 末 梢 血 制 御 性 T 細 胞 の 予 後 因 子 としての 可 能 性 の 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 廣 岡 智 ほか<br />

P94-7 切 除 可 能 膵 癌 における 腹 膜 洗 浄 細 胞 診 の 位 置 付 け<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 吉 岡 龍 二 ほか<br />

P94-8 腹 腔 鏡 検 査 におけるδ-ALAを 用 いた 光 線 力 学 的 検 索 併 用 - 微 小 腹 膜 播 種 検 出 における 有 用 性 -<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科 富 原 英 生 ほか<br />

P94-9 膵 頭 部 癌 切 除 症 例 における 病 理 学 的 門 脈 浸 潤 陽 性 例 の 検 討<br />

P94-10 再 発 形 式 から 見 た 膵 癌 神 経 廓 清 の 意 義<br />

ポスターセッションP95<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 II<br />

島 根 県 立 中 央 病 院<br />

寺 村 紘 一 ほか<br />

増 井 俊 彦 ほか<br />

膵 臓<br />

特 殊 な 膵 癌<br />

座 長 : 川 口 義 弥 (… 京 都 大 学 iPS 細 胞 研 究 所 臨 床 応 用 研 究 部 門 )<br />

P95-1 肝 MCAおよび 膵 MCC 切 除 例 の 経 験 : 胎 生 期 原 始 生 殖 細 胞 の 移 動 ルートからみた 発 生 部 位 の 推 定<br />

東 北 厚 生 年 金 病 院 消 化 器 センター 外 科 中 村 隆 司 ほか<br />

P95-2 術 前 診 断 に 難 渋 した 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

P95-3 急 激 な 転 帰 を 来 たした 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 切 除 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 川 原 隆 一 ほか<br />

長 岡 中 央 綜 合 病 院 外 科 北 見 智 恵<br />

P95-4 GEM/S-1 併 用 療 法 が 奏 功 しPRとなりPPPDを 施 行 し 得 た 破 骨 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科 室 谷 隆 裕 ほか<br />

P95-5 多 形 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

岩 手 県 立 磐 井 病 院 中 西 史<br />

P95-6 退 形 成 性 膵 癌 の1 切 除 例<br />

盛 岡 市 立 病 院 … 外 科<br />

藤 田 倫 寛 ほか<br />

P95-7 免 疫 組 織 染 色 にて 確 定 診 断 された 膵 腺 房 細 胞 癌 症 例 の 検 討<br />

国 保 君 津 中 央 病 院 外 科 外 川 明 ほか<br />

P95-8 多 彩 な 組 織 像 を 呈 した 膵 癌 の1 例<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 吉 田 有 徳 ほか<br />

P95-9 周 囲 臓 器 および 皮 下 組 織 に 浸 潤 した 膵 癌 に 対 し 根 治 切 除 が 可 能 であった1 例<br />

関 西 電 力 病 院 外 科 江 嵜 秀 和 ほか<br />

P95-10 自 己 免 疫 性 膵 炎 の 経 過 中 に 発 症 した 膵 頭 部 癌 の1 例<br />

P95-11 sister mary Joseph’s noduleを 呈 した 進 行 膵 体 部 癌 の1 例<br />

市 立 宇 和 島 病 院 外 科 岡 田 倫 明 ほか<br />

久 留 米 大 学 外 科 赤 司 昌 謙 ほか<br />

-113-


ポスターセッションP96<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

膵 癌 全 般<br />

座 長 : 石 川 原 (… 近 畿 大 学 医 学 部 付 属 病 院 外 科 )<br />

P96-1 膵 縮 小 手 術 についての 検 討<br />

P96-2 SSPPDとPPPDの 比 較<br />

P96-3 膵 癌 の 化 学 療 法 および 予 後 に 対 する 喫 煙 の 影 響<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科 生 田 義 明 ほか<br />

熊 本 赤 十 字 病 院 外 科 木 村 有 ほか<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 川 口 千 尋 ほか<br />

P96-4 切 除 不 能 膵 癌 に 対 するメシル 酸 ナファモスタット 併 用 塩 酸 ゲムシタビン 療 法 における 予 後 因 子 の 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科 古 川 賢 英 ほか<br />

P96-5 非 切 除 膵 癌 に 対 する 消 化 管 バイパス 術 の 検 討<br />

島 根 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 総 合 外 科 西 健 ほか<br />

P96-6 膵 体 尾 部 切 除 術 後 の 膵 内 再 発 に 対 し、 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した1 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 大 久 保 恵 太 ほか<br />

P96-7 残 膵 再 発 し 切 除 したmixed acinar-ductal carcinomaの1 例<br />

JA 厚 生 連 旭 川 厚 生 病 院 外 科 庄 中 達 也 ほか<br />

P96-8 腹 腔 内 を 移 動 する 腫 瘤 として 発 見 された 膵 粘 液 癌 の1 例<br />

足 利 赤 十 字 病 院 外 科 松 田 圭 央 ほか<br />

P96-9 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 閉 塞 性 膵 炎 に 対 して 再 手 術 を 施 行 した1 例<br />

国 立 病 院 機 構 別 府 医 療 センター 外 科 松 本 敏 文 ほか<br />

ポスターセッションP97<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓 NET 3<br />

座 長 : 相 本 隆 幸 (… 日 本 医 科 大 学 外 科 )<br />

P97-1 1 型 多 発 性 内 分 泌 腫 瘍 患 者 の 多 発 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 対 する 手 術<br />

沖 縄 県 立 中 部 病 院 外 科<br />

村 上 隆 啓<br />

P97-2 術 前 診 断 に 難 渋 した 膵 腫 瘍 を 伴 う 多 発 性 内 分 泌 腫 瘍 症 (MEN)1 型 の1 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 ・ 消 化 器 外 科 福 井 太 郎 ほか<br />

P97-3 膵 頭 部 MCNと 診 断 したneuroendocrine tumorの 一 例<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科 宮 本 篤 ほか<br />

P97-4 IPMAと 非 機 能 性 膵 内 分 泌 癌 の 重 複 例<br />

P97-5 結 腸 浸 潤 を 伴 う 十 二 指 腸 内 分 泌 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

伊 南 行 政 組 合 昭 和 伊 南 総 合 病 院 外 科 唐 澤 幸 彦 ほか<br />

八 尾 市 立 病 院 外 科 横 山 茂 和 ほか<br />

P97-6 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した 径 6cmの 膵 内 分 泌 癌 の 一 例<br />

高 島 平 中 央 総 合 病 院<br />

江 下 恒 統<br />

P97-7 主 膵 管 途 絶 を 来 したセロトニン 陽 性 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

浜 松 医 療 センター 外 科 田 村 浩 章 ほか<br />

-114-


P97-8 主 膵 管 完 全 閉 塞 のためERCP 時 にガイドワイヤーが 膵 管 から 逸 脱 した 小 型 膵 頭 部 内 分 泌 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科 小 林 利 行 ほか<br />

P97-9 約 4 年 の 経 過 で 緩 徐 に 主 膵 管 拡 張 を 来 たした 膵 頭 部 非 機 能 性 神 経 内 分 泌 癌 の1 例<br />

新 潟 県 立 がんセンター 新 潟 病 院 外 科 小 海 秀 央 ほか<br />

ポスターセッションP98<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

低 侵 襲 手 術<br />

座 長 : 武 田 裕 (… 関 西 労 災 病 院 外 科 )<br />

P98-1 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 切 除 術 における 手 術 侵 襲 に 関 する 検 討<br />

P98-2 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 の 手 技 とその 成 績<br />

P98-3 仮 想 内 視 鏡 による 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除<br />

大 阪 大 学 消 化 器 外 科 岸 本 朋 也 ほか<br />

大 分 大 学 第 一 外 科 太 田 正 之 ほか<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 藤 森 聰 ほか<br />

P98-4 23cm 大 の 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 3 講 座 菊 池 哲 ほか<br />

P98-5 30 代 女 性 の 膵 Solid Pseudopapillary Neoplasm(SPN)に 対 し 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した2<br />

例<br />

三 井 記 念 病 院 消 化 器 外 科 阿 部 勇 人 ほか<br />

P98-6 腹 腔 鏡 下 膵 中 央 切 除 術 (Lap-CP)の 手 術 手 技 について<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 山 初 和 也 ほか<br />

P98-7 若 年 女 性 に 発 生 した 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 中 央 切 除 術 (Lap-CP)を 施 行 した1 例<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 高 和 英 ほか<br />

P98-8 膵 腫 瘍 核 手 術 : 手 技 の 工 夫 と 術 後 膵 機 能<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 白 川 幸 代 ほか<br />

P98-9 嚢 胞 性 膵 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 腫 瘍 核 出 術 の 有 用 性<br />

ポスターセッションP99<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

昭 和 大 学<br />

古 泉 友 丈 ほか<br />

膵 臓<br />

外 傷<br />

座 長 : 前 川 博 (… 順 天 堂 大 学 静 岡 病 院 )<br />

P99-1 外 傷 性 膵 損 傷 に 対 する 手 術 治 療 例 37 例 の 検 討 - 術 後 経 過 に 寄 与 する 因 子 の 考 察<br />

旭 中 央 病 院 外 科 三 瀬 祥 弘 ほか<br />

P99-2 単 施 設 における 外 傷 性 膵 損 傷 の 検 討<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科 鏡 哲 ほか<br />

P99-3 当 院 における 外 傷 性 膵 損 傷 症 例 の 検 討<br />

P99-4 当 院 における 外 傷 性 膵 損 傷 (3b 型 )4 例 の 検 討<br />

都 立 広 尾 病 院 外 科 原 義 明 ほか<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科 中 村 直 人 ほか<br />

-115-


P99-5 3b 型 鈍 的 膵 損 傷 の2 例<br />

P99-6 当 科 で 経 験 した3b 型 膵 外 傷 の2 例<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 外 科 沖 本 将 ほか<br />

公 立 置 賜 総 合 病 院 外 科 長 谷 川 繁 生 ほか<br />

P99-7 術 中 膵 管 ステントおよび 腹 腔 ドレナージ 術 により 膵 切 除 を 回 避 し 得 た3b 型 外 傷 性 膵 損 傷 の1 例<br />

健 康 保 険 人 吉 総 合 病 院 外 科 水 元 孝 郎 ほか<br />

P99-8 若 年 性 外 傷 性 膵 損 傷 の2 例<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科 村 上 智 洋 ほか<br />

P99-9 早 期 膵 胃 吻 合 術 により 膵 温 存 と 早 期 退 院 し 得 た 肝 挫 傷 合 併 膵 断 裂 の1 例<br />

茨 城 西 南 医 療 センター 病 院 外 科 伊 藤 博 道<br />

ポスターセッションP100<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

手 術 術 後 出 血<br />

座 長 : 和 田 慶 太 (… 帝 京 大 学 外 科 )<br />

P100-1 当 院 における 膵 切 除 後 出 血 症 例 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 名 古 屋 医 療 センター<br />

長 谷 川 和 也 ほか<br />

P100-2 膵 切 術 後 の 腹 腔 内 動 脈 出 血 の 検 討<br />

名 古 屋 市 立 大 学 消 化 器 外 科 岡 田 祐 二 ほか<br />

P100-3 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 に 下 血 を 主 訴 に 繰 り 返 し 発 症 した 仮 性 肝 動 脈 瘤 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 山 本 智 久 ほか<br />

P100-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 仮 性 動 脈 瘤 破 裂 の 検 討<br />

中 国 労 災 病 院 外 科 福 田 三 郎 ほか<br />

P100-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 肝 動 脈 仮 性 動 脈 瘤 に 対 する 血 管 内 治 療 :Stent-supported Coil<br />

Embolizationの 有 用 性<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 仲 野 哲 矢 ほか<br />

P100-6 尾 側 膵 切 除 後 の 腹 腔 内 出 血 に 対 する 診 断 と 治 療 法 ー 造 影 CTとIVR 治 療 の 有 用 性 についてー<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 栗 山 直 久 ほか<br />

P100-7 膵 切 除 後 動 脈 出 血 に 対 するIVRを 応 用 した 治 療 成 績<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 外 科 中 島 亨 ほか<br />

P100-8 動 脈 血 行 再 建 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 術 後 出 血 に 対 しカバードステントで 止 血 し 救 命 できた1 例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 古 山 貴 基 ほか<br />

P100-9 血 管 内 ステント 留 置 が 有 効 であった 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 門 脈 血 流 低 下 を 伴 うGDA 出 血 の1 例<br />

東 京 女 子 医 大 病 院 消 化 器 病 センター 外 科 小 貫 建 一 郎 ほか<br />

P100-10 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 に 生 じた 仮 性 動 脈 瘤 に 対 しステント 留 置 にて 止 血 しえた1 例<br />

国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター・ 中 国 がんセンター 外 科 井 上 雅 史 ほか<br />

-116-


ポスターセッションP101<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

手 術 尾 側 膵 切 除<br />

座 長 : 長 田 真 二 (… 岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 )<br />

P101-1 当 科 における 膵 体 尾 側 切 除 術 の 成 績<br />

P101-2 当 院 における 尾 側 膵 切 除 における 膵 液 瘻 症 例 に 関 する 検 討<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科 下 田 貢 ほか<br />

山 形 県 立 中 央 病 院 外 科 盛 直 生 ほか<br />

P101-3 超 音 波 エラストグラフィを 用 いた 膵 硬 度 測 定 と 術 後 膵 液 瘻 との 関 連 性 の 検 討<br />

愛 媛 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 羽 田 野 雅 英 ほか<br />

P101-4 膵 臓 癌 切 除 症 例 における 術 後 膵 液 漏 予 測 因 子 のスコア 化<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

藤 原 佑 樹 ほか<br />

P101-5 尾 側 膵 切 除 における 当 院 のコンベンショナルな 膵 断 端 処 理 法 とその 成 績<br />

高 知 医 療 センター 消 化 器 外 科 志 摩 泰 生 ほか<br />

P101-6 教 室 における 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 術 の 膵 切 離 法 と 手 術 成 績 の 検 討<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 教 室<br />

小 池 礼 子 ほか<br />

P101-7 尾 側 膵 切 除 術 における 自 動 縫 合 器 切 離 法 の 有 用 性<br />

川 崎 市 立 川 崎 病 院 外 科 市 東 昌 也 ほか<br />

P101-8 自 動 縫 合 器 を 用 いた 尾 側 膵 切 除 の 成 績 と 膵 液 瘻 発 生 要 因 の 検 討<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科 岡 野 圭 一 ほか<br />

P101-9 膵 の 厚 みに 応 じた 切 離 法 での 膵 液 漏 予 防 と 術 後 CT 所 見 による 膵 液 漏 予 測<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 小 林 慎 二 郎 ほか<br />

P101-10 吸 収 性 縫 合 補 強 材 と 自 動 縫 合 器 を 用 いた 膵 体 尾 部 切 除 における 膵 切 離 の 工 夫<br />

岡 谷 市 民 病 院 外 科 三 輪 史 郎 ほか<br />

P101-11 自 動 縫 合 器 による 膵 尾 側 切 除 術 における 膵 切 離 位 置 と 術 後 膵 液 漏 との 関 係 に 関 する 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 消 化 器 外 科 北 村 博 顕 ほか<br />

ポスターセッションP102<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

膵 臓<br />

手 術 ・ 管 理 ・パス<br />

座 長 : 柳 本 泰 明 (… 関 西 医 科 大 学 附 属 枚 方 病 院 外 科 )<br />

P102-1 高 度 技 能 医 を 目 指 した 外 科 医 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 症 例 の 検 討<br />

兵 庫 県 立 がんセンター<br />

千 堂 宏 義 ほか<br />

P102-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 教 育 のための 上 腸 間 膜 動 脈 周 囲 処 理 に 関 するテクニック<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院<br />

石 橋 一 慶 ほか<br />

P102-3 門 脈 分 岐 形 態 からみた 膵 頭 部 領 域 の 安 全 な 静 脈 アプローチ 法<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科 宮 澤 基 樹 ほか<br />

P102-4 当 院 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 ドレーン 管 理 の 検 討<br />

松 下 記 念 病 院 外 科 伊 藤 忠 雄<br />

P102-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 術 後 ドレーン 早 期 抜 去 基 準 の 検 討<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 外 科<br />

上 村 健 一 郎 ほか<br />

-117-


P102-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 クリニカルパスの 有 用 性<br />

横 須 賀 共 済 病 院 外 科 南 裕 太 ほか<br />

P102-9 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 周 術 期 管 理 の 変 遷 と 術 後 合 併 症<br />

ポスターセッションP103<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 山 本 智 久 ほか<br />

膵 臓<br />

手 術 ・ 症 例<br />

座 長 : 木 村 康 利 (… 札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 )<br />

P103-1 地 方 一 線 大 病 院 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 現 状 と 今 後 の 課 題<br />

日 本 赤 十 字 社 和 歌 山 医 療 センター 外 科 横 山 智 至 ほか<br />

P103-2 初 心 者 にも 容 易 な 膵 空 腸 吻 合 を 目 指 して<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 坂 口 孝 宣 ほか<br />

P103-3 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 空 腸 貫 通 密 着 吻 合 法 - 手 技 の 定 型 化 を 加 えた 吻 合 難 易 度 軽 減 の 工 夫 ‐<br />

広 島 市 立 広 島 市 民 病 院 外 科 松 川 啓 義 ほか<br />

P103-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 連 続 縫 合 による 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 横 浜 医 療 センター 外 科 関 戸 仁 ほか<br />

P103-5 Ductile Penetrating Methodにおけるディスポーザブル 型 吻 合 補 助 器 の 開 発<br />

山 口 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 上 野 富 雄 ほか<br />

P103-6 術 式 選 択 に 苦 慮 した 高 齢 者 の 一 例 ~ 尾 部 にIPMNを 合 併 した 近 位 膵 体 部 癌<br />

兵 庫 県 立 西 宮 病 院 外 科 柏 崎 正 樹 ほか<br />

P103-7 術 前 ENPD 挿 入 を 行 った 膵 体 尾 部 切 除 術 の2 例<br />

名 古 屋 市 立 大 大 学 院 ・ 消 化 器 外 科 学 高 山 悟 ほか<br />

P103-8 膵 管 癒 合 不 全 を 合 併 した 膵 尾 部 癌 に 対 する 尾 側 膵 切 除 後 膵 液 漏 に 対 し, 膵 管 ステント 留 置 が 有 用 であっ<br />

た1 例<br />

旭 川 厚 生 病 院 外 科 折 茂 達 也 ほか<br />

P103-9 経 乳 頭 的 膵 管 ドレナージにて 早 期 に 治 癒 し 得 た 膵 体 尾 部 切 除 後 難 治 性 膵 液 瘻<br />

淀 川 キリスト 教 病 院<br />

ポスターセッションP104<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

武 部 敦 志 ほか<br />

膵 臓 症 例 3<br />

座 長 : 小 野 山 裕 彦 (… 音 羽 病 院 肝 胆 膵 外 科 )<br />

P104-1 診 断 に 苦 慮 した 膵 原 発 hamartomaの1 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 医 歯 学 総 合 研 究 科 腫 瘍 学 講 座 消 化 器 外 科 松 下 大 輔 ほか<br />

P104-2 Beckwith-Wiedemann 症 候 群 、インスリノーマに 対 し 十 二 指 腸 温 存 膵 頭 切 除 、 体 尾 部 腫 瘍 核 出 術 を 施<br />

行 した1 例<br />

帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 外 科 今 井 健 一 郎 ほか<br />

P102-7 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 クリニカルパスの 導 入 後 のアウトカム 達 成 率 の 時 期 的 変 遷 - 過 去 7 年 間 の 経 験 -<br />

関 西 医 科 大 学 山 木 壮 ほか<br />

P102-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 術 前 減 黄 方 法 の 功 罪 - 術 後 合 併 症 の 観 点 から-<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科 北 畑 裕 司 ほか<br />

-118-


P104-3 膵 原 発 炎 症 性 筋 繊 維 芽 細 胞 性 腫 瘍 ( 炎 症 性 偽 腫 瘍 )の 一 例<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院<br />

丸 山 昌 伸 ほか<br />

P104-4 膵 頭 部 癌 に 合 併 した 膵 尾 部 炎 症 性 偽 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 中 島 隆 善 ほか<br />

P104-5 MRI 拡 散 強 調 画 像 とFDG-PETで 悪 性 も 示 唆 された、リンパ 管 拡 張 を 伴 った 膵 の 限 局 性 炎 症 性 変 化 の1<br />

例<br />

名 古 屋 第 一 赤 十 字 病 院 三 宅 秀 夫 ほか<br />

P104-6 急 性 腹 症 で 発 症 し 嚢 胞 性 膵 疾 患 との 鑑 別 が 必 要 であったが 腹 腔 鏡 下 手 術 が 奏 効 したlymphangiomaの<br />

一 例<br />

神 戸 赤 十 字 病 院 外 科 石 堂 展 宏 ほか<br />

P104-7 膵 リンパ 上 皮 嚢 胞 の1 例<br />

大 分 県 立 病 院 外 科 小 川 聡 ほか<br />

P104-8 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した 膵 内 副 脾 発 生 epithelial cystの 一 例<br />

JA 尾 道 総 合 病 院 外 科 福 田 敏 勝 ほか<br />

P104-9 術 前 診 断 可 能 であった 膵 内 副 脾 に 発 生 したepidermoid cystの1 例<br />

山 梨 大 学 第 一 外 科 大 菊 正 人 ほか<br />

P104-10 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 症 例 の 経 験<br />

ポスターセッションP105<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40 [ポスター 会 場 2]<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科 平 良 薫 ほか<br />

肝 胆 膵 教 育 ・ 安 全<br />

座 長 : 藤 川 貴 久 (… 小 倉 記 念 病 院 外 科 )<br />

P105-1 高 度 技 能 専 門 医 制 度 下 における 高 度 技 能 医 修 練 施 設 と 外 科 修 練 者<br />

九 州 がんセンター 消 化 器 外 科 池 田 泰 治 ほか<br />

P105-2 肝 臓 外 科 における 肝 胆 膵 高 度 技 能 医 の 教 育 と 評 価 における 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 松 井 康 輔 ほか<br />

P105-3 実 験 用 ミニブタを 用 いた 臓 器 移 植 技 術 トレーニング<br />

P105-4 フィンランドの 肝 胆 膵 外 科 医 トレーニング<br />

自 治 医 科 大 学 移 植 外 科 眞 田 幸 弘 ほか<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科 橋 本 大 輔 ほか<br />

P105-5 新 規 開 発 した 手 術 用 マイクロ 波 凝 固 切 開 装 置 (MWCX)の 肝 胆 膵 外 科 領 域 への 応 用<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 塩 見 尚 礼 ほか<br />

P105-6 肝 切 除 術 および 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 におけるハーモニックFOCUSの 有 用 性 について<br />

尾 道 市 立 市 民 病 院 外 科 中 井 肇 ほか<br />

P105-7 肝 胆 膵 領 域 悪 性 腫 瘍 術 後 の 静 脈 血 栓 塞 栓 症 予 防 に 対 する 低 分 子 ヘパリンの 安 全 性 に 関 する 検 討<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 岩 上 佳 史 ほか<br />

P105-8 肝 胆 膵 手 術 周 術 期 における 中 心 静 脈 カテーテル 由 来 血 流 感 染 の 危 険 因 子<br />

東 北 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 水 間 正 道 ほか<br />

P105-9 肝 胆 膵 手 術 におけるプロカルシトニンの 有 用 性 の 検 討<br />

山 形 大 学 消 化 器 一 般 外 科 福 元 剛 ほか<br />

-119-


P105-10 地 域 連 携 を 活 用 し 術 中 迅 速 診 断 を 可 能 にした 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

新 潟 臨 港 病 院 外 科 渡 辺 隆 興 ほか<br />

ポスターセッションP106<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

内 視 鏡 外 科 胆 嚢 ・ 単 孔 式<br />

座 長 : 飯 田 敦 (… 福 井 大 学 第 一 外 科 )<br />

P106-1 当 科 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 成 績<br />

P106-2 当 院 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 検 討<br />

P106-3 パラレル 法 による 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 工 夫<br />

立 川 綜 合 病 院 外 科 小 林 隆<br />

横 須 賀 共 済 病 院 外 科 小 西 隆 行 ほか<br />

日 本 バプテスト 病 院 外 科 多 田 正 晴 ほか<br />

P106-4 低 コストで 導 入 可 能 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

佐 野 病 院 消 化 器 センター<br />

生 本 太 郎 ほか<br />

P106-5 従 来 法 からのスムースな 導 入 を 目 指 した、SILSポート®を 用 いた 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

米 沢 市 立 病 院 外 科 菅 野 博 隆 ほか<br />

P106-6 Retro and normograde methodによる 低 コストで 安 全 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

三 菱 京 都 病 院 消 化 器 外 科 瀬 尾 智 ほか<br />

P106-7 最 新 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 デバイス SPIDER SURGICAL SYSTEM<br />

東 邦 大 学 大 森 病 院 消 化 器 センター 外 科 片 桐 敏 雄 ほか<br />

P106-8 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 単 孔 Lap-C)の 教 育 における 当 院 の 工 夫<br />

亀 田 総 合 病 院 外 科 高 賢 樹 ほか<br />

P106-9 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 の 急 性 炎 症 反 応 についての 検 討<br />

国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 福 井 雄 大 ほか<br />

P106-10 有 石 胆 嚢 合 併 総 胆 管 結 石 症 に 対 する 経 乳 頭 的 採 石 術 後 の「 単 孔 式 」 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 位 置 付 け<br />

帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 外 科 今 井 健 一 郎 ほか<br />

P106-11 急 性 胆 嚢 炎 に 対 するPTGBD、PTGBA 後 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 経 験<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科 多 賀 谷 信 美 ほか<br />

ポスターセッションP107<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

内 視 鏡 外 科 胆 嚢 ・ 総 胆 管 ・その 他<br />

座 長 : 梅 澤 昭 子 (… 四 谷 メディカルキューブ)<br />

P107-1 脳 室 - 腹 腔 シャント 留 置 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 経 験<br />

産 業 医 科 大 学 第 一 外 科 荒 瀬 光 一 ほか<br />

P107-2 DIC-CTにて 胆 嚢 管 の 合 流 異 常 を 同 定 できたLap-Cの2 例 ~ 開 腹 移 行 症 例 と 完 遂 症 例<br />

仙 台 徳 洲 会 病 院 外 科 神 賀 貴 大 ほか<br />

P107-3 胃 瘻 造 設 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 経 験<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 伊 藤 隆 介 ほか<br />

P107-4 治 療 に 難 渋 した 胆 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 、 胆 汁 瘻 の1 例<br />

社 会 保 険 横 浜 中 央 病 院 外 科 加 納 久 雄 ほか<br />

-120-


P107-5 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 早 期 にクリップによる 良 性 胆 管 狭 窄 を 来 した 一 例<br />

慈 恵 医 大 葛 飾 医 療 センター 外 科 飯 田 智 憲 ほか<br />

P107-6 腹 腔 鏡 器 具 の 微 小 部 品 を 腹 腔 内 に 紛 失 し 腹 腔 鏡 下 で 摘 出 し 得 た 一 例<br />

関 西 労 災 病 院 消 化 器 外 科 向 井 洋 介 ほか<br />

P107-7 当 科 における 先 天 性 胆 道 拡 張 症 の 腹 腔 鏡 下 手 術<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 清 水 哲 也 ほか<br />

P107-8 腹 腔 内 ドレーンルートより 誘 導 したカテーテルを 対 外 へ 誘 導 しPTCD 施 行 できた1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科 吉 富 宗 宏 ほか<br />

P107-9 腹 部 CT/ 超 音 波 検 査 で 診 断 し 腹 腔 鏡 下 副 脾 摘 出 術 を 行 った 副 脾 茎 捻 転 による 急 性 腹 症 の 一 例<br />

京 都 大 学 … 肝 胆 膵 移 植 外 科 内 田 洋 一 朗 ほか<br />

ポスターセッションP108<br />

6 月 1 日 ( 金 )11:40~12:40[ポスター 会 場 2]<br />

内 視 鏡 外 科 胆 嚢 その 他<br />

座 長 : 豊 田 真 之 (… 帝 京 大 学 外 科 )<br />

P108-1 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 に 診 断 された 胆 嚢 癌 症 例 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 名 古 屋 医 療 センター 外 科 木 下 満 ほか<br />

P108-2 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 胆 嚢 癌 に 対 し 右 肝 動 脈 塞 栓 後 に 追 加 切 除 施 行 した 一 例<br />

労 働 者 健 康 福 祉 機 構 千 葉 労 災 病 院 外 科 中 台 英 里 ほか<br />

P108-3 ソフト 凝 固 を 用 いた 早 期 胆 嚢 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 全 層 切 除 術<br />

NTT 西 日 本 九 州 病 院 外 科 富 安 真 二 朗 ほか<br />

P108-4 完 全 内 臓 逆 位 を 伴 った 胆 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 経 験<br />

東 住 吉 森 本 病 院<br />

伊 藤 得 路 ほか<br />

P108-5 腹 腔 鏡 で 初 めて 気 づいた 左 側 胆 嚢 に 対 し、 吊 り 上 げ 式 腹 腔 鏡 下 胆 摘 を 施 行 した1 例<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 ・ 地 域 がんセンター 外 科 小 田 有 哉 ほか<br />

P108-6 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した 重 複 胆 嚢 の1 例<br />

岐 阜 県 総 合 医 療 センター 外 科 前 田 健 一 ほか<br />

P108-7 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 施 行 中 に 偶 然 診 断 した 右 側 肝 円 索 ・ 左 側 胆 嚢 の1 例<br />

大 分 大 学 医 学 部 第 1 外 科 川 野 雄 一 郎 ほか<br />

P108-8 胆 嚢 捻 転 症 の1 例<br />

関 西 労 災 病 院<br />

浜 中 美 千 子 ほか<br />

P108-9 Express LDステントの 一 期 的 挿 入 - 肝 胆 膵 外 科 医 による 経 皮 経 肝 胆 道 ステント 挿 入<br />

埼 玉 医 大 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 赤 松 延 久 ほか<br />

-121-


■ランチョンセミナー<br />

ランチョンセミナー 1<br />

5 月 30 日 ( 水 )11:30~12:20 [ 第 2 会 場 ]<br />

司 会 : 渡 邊 昌 彦 (… 北 里 大 学 医 学 部 外 科 学 )<br />

大 腸 癌 肝 転 移 の 外 科 治 療 ~ 化 学 ・ 分 子 標 的 治 療 の 光 と 影 ~<br />

熊 本 大 学 医 学 部 附 属 病 院 消 化 器 癌 集 学 的 治 療 学 別 府 透<br />

共 催 : 株 式 会 社 ヤクルト 本 社<br />

ランチョンセミナー 2<br />

5 月 30 日 ( 水 )11:30~12:20[ 第 3 会 場 ]<br />

司 会 : 高 田 忠 敬 (… 帝 京 大 学 名 誉 教 授 )<br />

新 しい 肝 門 部 胆 管 癌 規 約 の 提 唱<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 腫 瘍 外 科 学 梛 野 正 人<br />

共 催 : 大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー 3<br />

5 月 30 日 ( 水 )11:30~12:20[ 第 4 会 場 ]<br />

司 会 : 跡 見 裕 (… 杏 林 大 学 )<br />

膵 ・ 胆 道 癌 の 集 学 的 治 療 の 最 新 の 知 見<br />

共 催 : 日 本 イーライリリー 株 式 会 社 オンコロジー 事 業 部<br />

ランチョンセミナー 4<br />

5 月 31 日 ( 木 )12:20~13:10[ 第 1 会 場 ]<br />

司 会 : 幕 内 雅 敏 (… 日 本 赤 十 字 社 医 療 センター)<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター<br />

上 坂 克 彦<br />

肝 切 除 支 援 ナビゲーションの 最 先 端<br />

日 本 赤 十 字 社 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 高 本 健 史<br />

徳 島 市 民 病 院 外 科 花 岡 潤<br />

共 催 : 富 士 フイルムメディカル 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー 5<br />

5 月 31 日 ( 木 )12:20~13:10[ 第 2 会 場 ]<br />

司 会 : 門 田 守 人 (…がん 研 有 明 病 院 )<br />

肝 切 除 手 技 の 工 夫 と 安 全 性 の 追 求<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 学 分 野 Ⅰ 武 冨 紹 信<br />

共 催 :CSLベーリング 株 式 会 社<br />

-122-


ランチョンセミナー 6<br />

5 月 31 日 ( 木 )12:20~13:10 [ 第 3 会 場 ]<br />

司 会 : 千 々 岩 一 男 (… 宮 崎 大 学 医 学 部 附 属 病 院 )<br />

膵 液 瘻 、 胆 汁 瘻 と 真 正 面 から 向 き 合 っていく ~ 術 中 pits&fallsと 周 術 期 管 理 ~<br />

共 催 :ジョンソン・エンド・ジョンソン 株 式 会 社<br />

特 別 企 画 ランチョンセミナー 7<br />

5 月 31 日 ( 木 )12:20~13:10 [ 第 4 会 場 ]<br />

司 会 : 炭 山 嘉 伸 (… 東 邦 大 学 理 事 長 )<br />

新 しく 改 訂 された 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎 の 診 療 ガイドライン2013について<br />

共 催 : 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー 8<br />

5 月 31 日 ( 木 )12:20~13:10 [ 第 5 会 場 ]<br />

司 会 : 高 山 忠 利 (… 日 本 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 )<br />

東 北 大 学 医 学 部 附 属 病 院 元 井 冬 彦<br />

大 阪 市 立 大 学 医 学 部 附 属 病 院 久 保 正 二<br />

帝 京 大 学 名 誉 教 授 高 田 忠 敬<br />

再 発 を 見 据 えた 長 期 戦 略 にもとづく 肝 切 除<br />

東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 肝 胆 膵 外 科 長 谷 川 潔<br />

共 催 : 科 研 製 薬 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー 9<br />

5 月 31 日 ( 木 )12:20~13:10[ 第 6 会 場 ]<br />

司 会 : 上 本 伸 二 (… 京 都 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 学 )<br />

肝 移 植 の 周 術 期 管 理 の 重 要 性<br />

共 催 : 大 塚 製 薬 株 式 会 社<br />

岡 山 大 学 病 院 低 侵 襲 治 療 センター 吉 田 龍 一<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科 学 ( 一 般 ・ 消 化 器 外 科 ) 田 邉 稔<br />

ランチョンセミナー10<br />

6 月 1 日 ( 金 )12:45~13:35[ 第 1 会 場 ]<br />

司 会 : 田 中 雅 夫 (… 九 州 大 学 大 学 院 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科 )<br />

外 科 の 視 点 からの 膵 癌 化 学 療 法 ~GS 療 法 に 焦 点 を 当 てて~<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 学 講 座 柳 本 泰 明<br />

共 催 : 大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー11<br />

6 月 1 日 ( 金 )12:45~13:35[ 第 2 会 場 ]<br />

司 会 : 伊 佐 地 秀 司 (… 三 重 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 学 )<br />

肝 胆 膵 癌 治 療 の 新 しい 展 開<br />

東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 海 野 倫 明<br />

共 催 : 中 外 製 薬 株 式 会 社<br />

-123-


ランチョンセミナー12<br />

6 月 1 日 ( 金 )12:45~13:35[ 第 3 会 場 ]<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 ~ 安 全 な 普 及 を 目 指 して~<br />

司 会 : 矢 永 勝 彦 (… 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 医 学 部 医 学 科 外 科 学 講 座 ( 消 化 器 外 科 分 野 ))<br />

誰 もが 安 全 に! ~ 外 側 区 域 切 除 を 定 型 化 する~<br />

岩 手 医 科 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 若 林 剛<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 ~ 保 険 収 載 までの 道 程 と 今 後 の 課 題 ~<br />

東 邦 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 一 般 消 化 器 外 科 金 子 真 弘<br />

共 催 :ジョンソン・エンド・ジョンソン 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー13<br />

6 月 1 日 ( 金 )12:45~13:35[ 第 4 会 場 ]<br />

司 会 : 宮 崎 勝 (… 千 葉 大 学 医 学 部 附 属 病 院 )<br />

肝 切 除 術 の 工 夫<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科 山 本 雅 一<br />

東 京 大 学 医 学 部 附 属 病 院 肝 胆 膵 外 科 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科 國 土 典 宏<br />

共 催 :コヴィディエン…ジャパン 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー14<br />

6 月 1 日 ( 金 )12:45~13:35 [ 第 5 会 場 ]<br />

司 会 : 前 原 喜 彦 (… 九 州 大 学 大 学 院 医 学 部 消 化 器 ・ 総 合 外 科 学 分 野 )<br />

大 腸 癌 肝 転 移 治 療 におけるパラダイムシフト<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 センター 消 化 器 外 科 齋 浦 明 夫<br />

共 催 :メルクセローノ 株 式 会 社 /ブリストル・マイヤーズ 株 式 会 社<br />

ランチョンセミナー15<br />

6 月 1 日 ( 金 )12:45~13:35 [ 第 6 会 場 ]<br />

司 会 : 太 田 哲 生 (… 金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科 )<br />

New Leader 達 はこう 考 える ~ 安 全 ・ 標 準 化 を 目 指 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ~<br />

日 本 医 科 大 学 第 一 外 科 中 村 慶 春<br />

がん・ 感 染 症 センター 都 立 駒 込 病 院 外 科 倉 田 昌 直<br />

共 催 :ジョンソン・エンド・ジョンソン 株 式 会 社<br />

-124-


海 外 招 聘 者


Jacques Belghiti<br />

Professor…and…Chairman<br />

Department…of…HepatoBilioPancreatic…Surgery…and…Transplantation<br />

University…Denis…Diderot…–…Paris…7<br />

Beaujon…Hospital,…Clichy,…France<br />

Jacques…Belghiti…studied…medicine…in…the…University…in…Paris.…He…became…chief…resident…in…1979…in…the…<br />

hospital… Beaujon… in… Clichy… where… he… was… nominated… Professor… in… 1988.… He… became… Chief… of… the…<br />

department…on…1994…and…is…currently…Chairman…of…the…Department…of…HepatoBilioPancreatic…Surgery…and…<br />

Transplantation…–…University…Paris…7.<br />

Professor…Belghiti…has…published…over…584…original…articles…(PUB-Med)…devoted…to…the…HPB…surgery…and…<br />

liver…transplantation…and…several…chapters…in…textbooks…including…the…co-edition…of…the…4th…and…5th…Edition…<br />

of…the…Blumgart.…<br />

He…is…serving…as…an…Associate…Editor…or…Editorial…Board…Member…of…many…high…scientific…level…journals…<br />

(Liver…Transplantation,…Journal…of…Clinical…Oncology,…Annals…of…Surgical…Oncology,…Surgery,…British…Journal…<br />

of…Surgery,…and…Journal…of…HBP…Surgery).<br />

He… is… a… recipient… of… multiple… national… and… international… honors… and… awards,… Chevalier… de… la… Légion…<br />

d’Honneur…and…Officier…de…l’Ordre…du…Mérite.<br />

He… is… often… invited… in… international… congresses… and… is… an… active… member… of… several… national… and…<br />

international…societies.…Since…1998,…he…organized…with…Masatoshi…Makuuchi,…every…two…years…the…“HCC…<br />

meeting…Eastern-Western”.…Past…president…of…the…International…Liver…Transplantation…Society…(ILTS)…and…<br />

of…the…European…HepatoPancreatoBiliary…Association…(EHPBA);…he…was…organizer…of…the…International…<br />

Congress…of…ILTS…in…Paris…(9-13…July…2008)…and…will…be…the…President…and…organizer…of…the…World…congress…<br />

of…the…International…HepatoPancreatoBiliary…Association…(IHPBA)…in…Paris…on…July…1-5,…2012.<br />

(プログラム)<br />

◦ 国 際 ビデオシンポジウム 1 VS1 基 調 講 演 (KL1)<br />

-127-


Sung-Gyu Lee<br />

Professor,…Director…of…Organ…Transplantation,…Department…of…Surgery,…<br />

Chief…of…Division…of…Hepato-Biliary…Surgery…and…Liver…Transplantation,…<br />

Asan…Medical…Center,…Ulsan…University…Medical…School,…Seoul,…Korea<br />

Education<br />

3/1967~2/1969…<br />

3/1969~2/1973…<br />

3/1982~7/1986…<br />

…Pre-medical… Course,… Seoul… National… University… College… of… Liberal… Arts… &Sciences,…<br />

Seoul,…Korea<br />

M.D.,…Seoul…National…University…School…of…Medicine,…Seoul,…Korea…………<br />

Ph.D.,…Seoul…National…University…School…of…Medicine,…Seoul,…Korea………<br />

Professional Appointments<br />

5/1978~7/1983… Chief…Surgeon,…Shin…Young…Surgical…Hospital,…Seoul,…Korea<br />

8/1983~2/1989… Instructor,…Assistant…Professor,…Associate…Professor,…Department…of…Surgery,…<br />

… … Korea…University…Medical…School,…Seoul,…Korea<br />

3/1989~5/1996… …Associate… Professor,… Professor,… Department… of… Surgery,… Chief… of… Division… of…<br />

HepatoBiliary-Pancreatic… Surgery,… Asan… Medical… Center,… Ulsan… University… Medical…<br />

School,…Seoul,…Korea<br />

6/1996~8/2002… …Professor…and…Chairman,…Department…of…Surgery,…Chief…of…Division…of…Hepato-Biliary…<br />

Surgery…and…Liver…Transplantation,……Asan…Medical…Center,Ulsan…University…Medical…<br />

School,…Seoul,…Korea<br />

9/2002~Present… …Professor,…Director…of…Organ…Transplantation,…Department…of…Surgery,…Chief…of…Division…<br />

of… Hepato-Biliary… Surgery… and… Liver… Transplantation,… Asan… Medical… Center,… Ulsan…<br />

University…Medical…School,…Seoul,…Korea<br />

3/2011~Present… Director…of…Liver…Center,…Asan…Medical…Center<br />

(プログラム)<br />

◦ 国 際 ビデオシンポジウム 2 VS2 基 調 講 演 (KL2)<br />

-128-


L. William Traverso<br />

Director,…Center…for…Pancreatic…Disease<br />

Pancreaticobiliary…Surgery<br />

St.…Lukes…Boise…Regional…Medical…Center<br />

Boise,…USA<br />

EDUCATION<br />

Sparks…High…School,…Sparks,…Nevada…<br />

1960…-…1964<br />

University…of…Nevada,…Reno,…Nevada<br />

… B.S.,…Biology… 1964…-…1968<br />

… Graduate…TA… 1968…-…1969<br />

University…of…North…Dakota…School…of…Medicine<br />

Grand…Forks,…North…Dakota<br />

… B.S.,…Medicine… 1969…-…1971<br />

UCLA…School…of…Medicine,…Los…Angeles,…CA<br />

… M.D.… 1971…-…1973<br />

HOSPITAL APPOINTMENTS<br />

UCLA…Hospital,…Los…Angeles,…CA…<br />

San…Bernardino…County…Hospital,…San…Bernardino,…CA…<br />

Letterman…Army…Medical…Center,…San…Francisco,…CA…<br />

Alameda…County…Highland…Hospital,…Oakland,…CA…<br />

Swedish…Hospital,…Seattle,…WA…<br />

Virginia…Mason…Hospital,…Seattle,…WA…<br />

1978…-…1979<br />

1979…-…1981<br />

1979…-…1984<br />

1982…-…1984<br />

1991…-…1993<br />

1984…-…2010<br />

RESEARCH INTERESTS<br />

Hepatobiliary…and…Pancreatic…Surgery<br />

Acute…and…Chronic…Pancreatitis<br />

Laparoscopic…Endosurgery<br />

Cost…and…Outcome…Analysis<br />

Global…Database…Registries<br />

(プログラム)<br />

◦ 国 際 ビデオシンポジウム 3 VS3 基 調 講 演 (KL3)<br />

-129-


Sun-Whe Kim<br />

Professor…and…Chairman<br />

Department…of…Surgery<br />

Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

Seoul…National…University…Hospital,…Seoul,…KOREA<br />

EDUCATION / TRAINING and EXPERIENCE<br />

March…1972…-…Feb.…1978……… Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

March…1978…-…Feb.…1983…………Intern…&…Resident…(Surgery)<br />

…<br />

Seoul…National…University…Hospital<br />

March…1981…-…Feb.…1989……… Postgraduate…School,…Seoul…National…University<br />

Feb.…26,…1989……………………………… Ph.D.…in…Surgery<br />

June…1986…-…March…1989…………Instructor,…Department…of…Surgery<br />

………………………………………………………………… Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

Jan.…1989…-…Jan.…1991……………… Visiting…Scientist,…<br />

…<br />

The…University…of…Texas…Medical…Branch<br />

……………………………………………………………… Galveston,…Texas,…U.S.A.<br />

April…1989…-…March…1994………Assistant…Professor,…Department…of…Surgery<br />

……………………………………………………………… Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

April…1994…-…March…1999… Associate…Professor,…Department…of…Surgery<br />

………………………………………………………………… Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

April…1999…-……<br />

Professor,…Department…of…Surgery<br />

………………………………………………………… Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

July…2006…–…<br />

Professor…and…Chairman<br />

…<br />

Department…of…Surgery<br />

…<br />

…Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

MEMBERSHIP and ACTIVITY IN ACADEMIC SOCIETY<br />

President,…The…Korean…Association…of…Hepato-Biliary-Pancreatic…Surgery…(2009-2011)<br />

President,…The…Korean…Society…of…Gastroenterology…(2009-2011)<br />

Director…of…Education…Committee,…The…Korean…Surgical…Society…(2008-2010)<br />

Director…of…Scientific…Committee,…The…Korean…Surgical…Society…(2010-2012)<br />

Director…of…Planning,…The…Korean…Academy…of…Medical…Science…(2009-2012)<br />

Editor-in…Chief…of…Korean…Journal…of…Hepato-Biliary-Pancreatic…Surgery…(2001-2007)<br />

Past…President,…Korean…Pancreas…Surgery…Club…(2006…-2008)<br />

(プログラム)<br />

◦ 国 際 ビデオシンポジウム 3 VS3 基 調 講 演 (KL4)<br />

◦International Collaboration Project Meeting ~Joint with Korea as our first step of JHBPS~ 演 者 (SL2-5)<br />

-130-


Daniel Cherqui<br />

Professor…of…Surgery<br />

Chief…of…Hepatobiliary…Surgery…and…Liver…Transplantation<br />

New…York…Presbyterian…Hospital…–…Weill…Cornell…Medical…Center,…USA<br />

PREVIOUS POSITION<br />

Professor…of…Surgery<br />

Chief…of…Service<br />

Gastrointestinal…Surgery,…Hepatobiliary…Surgery…and…Liver…Transplantation<br />

Assistance…Publique…–…Hopitaux…de…Paris<br />

Hôpital…Henri…Mondor-University…Paris…12,…Créteil,…France<br />

MEDICAL EDUCATION AND SURGICAL TRAINING<br />

-…Medical…school:…University…of…Paris…1974-1980<br />

-…Residency…in…General…Surgery:…Assistance…Publique-Hôpitaux…de…Paris…1981-1986<br />

-…French…Board…Certification…in…General…Surgery:…1988<br />

-…ECFMG…certification,…1988…(USA)<br />

-…Fellowships:…<br />

1986-1987:…Hepatobiliary…Center,…Villejuif,…Prof.…Henri…Bismuth<br />

1987-1988:…Liver…transplant…Unit,…University…of…Chicago,…Prof.…Christoph…Broelsh<br />

AREAS OF EXPERTISE<br />

Liver…transplantation,… Living…donor…liver…transplantation,… Open…and…laparoscopic…liver…resection,…Liver…<br />

cancer,…Hepatocellular…carcinoma,…Colorectal…and…non-colorectal…liver…metastases,…Biliary…tract…cancer,…<br />

Benign…liver…tumors,…Cirrhosis,…Portal…hypertension,<br />

Pancreatic…surgery,…Complex…biliary…surgery<br />

(プログラム)<br />

◦ 国 際 ビデオシンポジウム 4 VS4 基 調 講 演 (KL5)<br />

◦ 特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 5 演 者 (SL3-5-1)<br />

TITLES<br />

Assistant…Professor…of…Surgery…–…University…of…Paris:…1988-1992<br />

Associate…Professor…of…Surgery…–…University…of…Paris:…1992-1996<br />

Professor…of…Surgery…–…University…of…Paris:…1996-2006<br />

First…Class…Professor…of…Surgery…–…University…of…Paris:…2006-<br />

Professor…of…Surgery…–…Weill…Cornell…Medical…College:…2010-<br />

Adjunct…Professor…of…Surgery…–…Columbia…University:…2010-<br />

-131-


Jiahong Dong<br />

Head…&…Professor<br />

Hospital…&…Institute…of…Hepatobiliary…Surgery<br />

Chinese…PLA…General…Hospital<br />

Chinese…PLA…Medical…postgraduate…School,…China<br />

Education<br />

1977-1982:…<br />

1983-1985:…<br />

1989-1992:…<br />

Jiangsu…Medical…College,…Jiangsu…Province,…P.R.…China,…Degree:…B.M.<br />

…Department… of… Surgery,… Third… Military… Medical… University,… Chongqing,… Degree:… M.D.…<br />

Thesis:…Changes…levels…of…prostaglandin…Es…and…cyclic…nucleotides…in…tissue…under…low-flow…<br />

state<br />

…Department… of… Surgery,… Third… Military… Medical… University,… Chongqing,… Degree:… Ph.D.…<br />

Thesis:… Hepatic… metabolic… response… and… the… altered… control… mechanism… following…<br />

experimental…biliary…sepsis<br />

Professional Experience<br />

1982-1983:… Intern,…First…Teaching…Hospital,…Xuzhou…Medical…College,…Jiangsu…Province<br />

1983-1987:… Resident,…Southwest…Hospital,…Third…Military…Medical…University,…Chongqing<br />

1987-1988:… …Chief…Resident,…Hepatobiliary…Surgery…Center,…Southwest…Hospital,…Third…Military…Medical…<br />

University,…Chongqing<br />

1989-1993:… …Attending… Surgeon,… Hepatobiliary… Surgery… Center,… Southwest… Hospital,… Lecturer… of…<br />

Surgery,…Third…Military…Medical…University,…Chongqing<br />

1994-1995:… …Attending…Surgeon,…Hepatobiliary…Surgery…Center,…Southwest…Hospital,…Associate…Professor…<br />

of…Surgery,…Third…Military…Medical…University,…Chongqing<br />

1996-Present:……Surgeon-in-Chief,…Hepatobiliary…Surgery…Center,…Southwest…Hospital,…Professor…of…Surgery,…<br />

Third…Military…Medical…University,…Chongqing<br />

1999-2006:… …Head…&…Professor,…Southwest…Hospital…&…Institute…of…Hepatobiliary…Surgery,…Third…Military…<br />

Medical…University,…Southwest…Hospital,…Chongqing<br />

2006-Present:……Head…&…Professor,…Hospital…&…Institute…of…Hepatobiliary…Surgery,…Chinese…PLA…General…<br />

Hospital,…Chinese…PLA…Medical…postgraduate…School<br />

(プログラム)<br />

◦ 国 際 ビデオシンポジウム 4 VS4 基 調 講 演 (KL6)<br />

◦ 特 別 企 画 3 肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー 5 演 者 (SL3-5-7)<br />

-132-


Dong Wook Choi<br />

Professor…and…Chairman,…<br />

Department…of…Surgery,<br />

Samsung…Medical…Center,<br />

Sungkyunkwan…University…School…of…Medicine,…Korea<br />

EDUCATION<br />

1974.3-1980.2…:……<br />

1981.3-1982.2…:……<br />

1983.3-1990.2…:……<br />

MD…degree,…College…of…Medicine,…Seoul…National…University…<br />

Master’s…degree,…College…of…Medicine,…Seoul…National…University…<br />

Ph.D.…degree,…College…of…Medicine,…Seoul…National…University…<br />

CAREER<br />

1981.3-1985.2…:…… Residency…of…General…Surgery…at…SNUH<br />

1985.5-1988.4…:…… Director…of…General…Surgery,…Yusung…Sun…Hospital…<br />

1988.5-2005.4…:…… Chief…for…HBP…surgery…section,…Korea…Caner…Center…Hospital<br />

1991.8-1992.2…:…… Visiting…fellow…at…Pittsburgh…University…<br />

1995.10-1995.11…:……Visiting…fellow…at…Kyoto…University,…Kyoto,…Japan<br />

2002.11-2008.11…:……Member…for…scientific…committee…of…Korean…Surgical…Society<br />

2003.5-2009.3…:…… Member…for…board…of…the…Korean…Association…of…HBP…Surgery…<br />

2005.5-:…… Professor…of…surgery,…Samsung…Medical…Center,…<br />

…<br />

Sungkyunkwan…University…School…of…Medicine<br />

2005.9-:…… Director…for…pancreatobiliary…cancer…center…of…SMCCC<br />

2007.5-2009.4:…… Chairman…of…scientific…committee,…<br />

…<br />

Korean…Association…of…HBP…Surgery…<br />

2008.3-2010.3:…… President…for…Korean…Pancreas…Surgery…Club<br />

2009.5-2010.3:…… Vice…president…for…Korean…Association…of…HBP…Surgery<br />

2010.3-2011.4:…… President…Elect…for…Korean…Association…of…HBP…Surgery<br />

2010.11-:…… Chairman…for…Training…Committee…of……Korean…Surgical…Society<br />

2011.4-:…… President…for…Korean…Association…of…HBP…Surgery<br />

(プログラム)<br />

◦International Collaboration Project Meeting ~Joint with Korea as our first step of JHBPS~ 司 会 (SL2)<br />

◦ミニビデオワークショップ 2 司 会 (MVW2)<br />

-133-


Jin-Young Jang<br />

Associate…Professor,<br />

Department…of…Surgery,…<br />

Seoul…National…University…College…of…Medicine<br />

Current Position:<br />

2008…–…present……<br />

2009…–…present…<br />

…<br />

2010…–…present……<br />

2009…–…present……<br />

2009…–…2011…<br />

2008,…Mar…–…2009,…Feb……<br />

Education:<br />

1987,…Mar.…–…1994,…Feb.…<br />

1997,…Mar.…–…1999,…Feb.…<br />

1999,…Mar.…–…2001,…Aug.…<br />

…Associate…Professor,…Department…of…Surgery,…Seoul…National…University…College…<br />

of…Medicine<br />

Member…of…international…guideline…for…pancreas…cystic…neoplasm…<br />

(International…Association…of…Pancreatology)<br />

Secretary,…Scientific…Committee,…The…Korean…Surgical…Society…<br />

Member,…Scientific…Committee,…The…Korean…Society…of…Gastroenterology<br />

Secretary…General,…Korean…Association…of…Hepato-biliary-pancreas…Surgery…<br />

…Visiting… Assistant… Professor,… M.D.… Anderson… Cancer… Center,… University… of…<br />

Texas,<br />

M.D.……Seoul…National…University…College…of…Medicine,…Seoul,…KOREA<br />

M.S.…Seoul…National…University…College…of…Medicine,…Seoul,…KOREA<br />

Ph.D.…Seoul…National…University…College…of…Medicine,…Seoul,…KOREA<br />

Postdoctoral Training:<br />

1994,…Mar.…–…1995,…Feb.… Internship…in…Seoul…National…University…Hospital,…Seoul,…KOREA<br />

1995,…Mar.…–…1999,…Feb.… …Residency… in… General… Surgery,… Seoul… National… University… Hospital,… Seoul,…<br />

KOREA<br />

1999,…Mar.…–…2001,…Feb… …Fellowship… in… Biliary… tract… &… pancreas… Surgery,… Seoul… National… University…<br />

Hospital,…Seoul,…KOREA<br />

Research Training:<br />

2000,…Mar.…–…2001,…April…… …Researcher…in…Cancer…Research…Institute,…Seoul…National…University…College…of…<br />

Medicine,…Seoul,…KOREA<br />

2001,…April…–…2002,…Mar… Guest…Researcher…and…Visiting…scientist<br />

……<br />

…Genetic…division,…National…Cancer…Center,…Tokyo,…Japan<br />

(プログラム)<br />

◦International Collaboration Project Meeting ~Joint with Korea as our first step of JHBPS~ 演 者 (SL2-6)<br />

◦ミニビデオワークショップ 2 発 表 (MVW2-1)<br />

-134-


Hee Jung Wang<br />

Professor…and…Chair…<br />

Department…of…Sugery…<br />

Ajou…University…and…Hospital,…Suwon,…Korea<br />

Professor…Wang…obtained…his…medical…degree…from…the…Yonsei…University…College…of…Medicine…in…1981.…He…<br />

then…undertook…studies…at…Inje…University…Seoul…Paik…Hospital,…achieving…cerification…of…surgeon…specialist…<br />

in…1986,…followed…by…a…Master’s…degree…at…Inje…University…in…1992…and…a…PhD…at…the…same…in…1999.…In…1995,…<br />

he…won…the…Travel…Grant…from…Japanese…Surgical…Society…for…his…research…into…the…role…of…eicosanoids…for…<br />

postreperfusion…injury…in…canine…orthotopic…liver…transplantation.…<br />

On…the…other…hands,…he…experienced…a…training…of…liver…transplantation…at…Pittsburgh…Liver…transplantation…<br />

center…in… 1993.… He… moved…to… Ajou…University…Hospital…in… 1994,… and… started…‘liver…surgery…and…liver…<br />

tansplantation… program’… in… 1995.… He… has… annually… performed… 150… hepatectomy… and… 30-40… liver…<br />

transplantation…at…the…same…hospital.…He…has…been…chair…of…Korean…Cancer…Biomarker…Consortium…since…<br />

2009,…and…his…interesting…field…is…the…development…of…novel…prognostic…gene…signature…after…liver…surgery…<br />

for…HCC.…He…has…more…than…145…scientific…papers,…including…36…SCI…papers,…and…12…book…chapters.<br />

Professional Appointments<br />

1.…Professor…and…Chair,…Department…of…Surgery,…Ajou…University…School…of…Medicine…<br />

2.…President,…The…Korean…Liver…Cancer…Study…Group…(2010.…7.…–…2011.…6.)<br />

3.…President-elect,…The…Association…of…Korean…Hepato-Biliary-Pancreatic…Surgery…(2011.…3.…–…2013.…2.)<br />

4.…Chair,…The…Korean…Cancer…Biomarker…Consortium<br />

(プログラム)<br />

◦International Collaboration Project Meeting ~Joint with Korea as our first step of JHBPS~ 演 者 (SL2-8)<br />

◦ミニビデオワークショップ1 発 表 (MVW1-1)<br />

-135-


Miin-Fu Chen<br />

Professor…and…Chairman,…<br />

Chang…Gung…Memorial…Hospital,…<br />

Chang…Gung…University,…<br />

Taoyuan,…Taiwan<br />

Professor… Miin-Fu… Chen… was… born… in… 1942,… in… Taichung… Taiwan.……Graduated… from… National… Taiwan…<br />

University…Medical…School…Taipei,…Taiwan…in…1967.…Received…surgical…residency…training…in…Department…of…<br />

Surgery,…National…Taiwan…University…Hospital…from…1968…to…1972.……Joined…the…Department…of…Surgery,…<br />

Chang…Gung…Memorial…Hospital…at…Lin-kou…since…1977…till…now.……Served…as…the…chairman,…Department…of…<br />

Surgery…from…1979…to…1993.…Now…is…the…Professor…of…Surgery,…Chang…Gung…University…Medical…College.…<br />

Served…as…the…superintendent…and…director…of…Chang…Gung…Memorial…Hospital…at…Lin-kou…from…2003…to…<br />

2009.…Now…is…the…superintendent…Emeritus…of…Chang…Gung…Memorial…Hospital…since…March…2009…and…the…<br />

distinguished…professor…of…Chang…Gung…University…since…January…2012.…Had…postgraduated…training…in…<br />

Montreal…General…Hospital,…McGill…University…in…1981.……Had…the…Fellow…of…American…College…of…Surgeon…in…<br />

1983,…member…of…Society…for…Surgery…of…Alimentary…Tract…(U.S.A.)…in…1998…and…active…member…of…IHPBA…<br />

in…2000.…Served…as…President…of…Taiwan…Surgical…Association…from…2004…to…2006.<br />

Primary…interesting…and…subspeciality…is…hepoto-biliary…and…pancreatic…surgery.……Had…published…more…than…<br />

400…scientific…papers…including…original…and…reviewed…articles.…Elected…as…an…honorary…member…of…Asian…<br />

Surgical…association…in…2009…and…Japanese…Society…of…Hepato-Biliary-Pancreatic…Surgery…in…2010.<br />

(プログラム)<br />

◦The First Japan-Taiwan International Collaboration Project Meeting<br />

◦ミニビデオワークショップ 1 司 会 (MVW1)<br />

-136-


理 事 長 講 演


PA-1 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 の 歩 みと 将 来 像<br />

帝 京 大 学 医 学 部 名 誉 教 授<br />

○… 高 田 忠 敬<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

1989 年 日 本 肝 胆 膵 外 科 フォーラムとして 発 足 、1993 年 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 と 名 称 が 変 更 され, 2005<br />

年 に 日 本 胆 道 外 科 研 究 会 と 合 併 し、2011 年 4 月 からは、 一 般 社 団 法 人 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 となった。<br />

私 は、1989 年 以 来 、 創 設 から 学 会 運 営 を 一 貫 して 行 ってきました。ここに、 本 学 会 が 幹 として 行 っている<br />

事 業 の 概 略 とともに、 将 来 に 向 けてのメッセージを 述 べたい。<br />

基 本 的 理 念 は、 日 本 における 肝 臓 胆 道 膵 臓 外 科 を 世 界 に 冠 たるものにしたいということと、 魅 力 ある 学 会<br />

にしたいということです。 以 下 の 事 業 が、 本 幹 です。<br />

1 . 高 度 技 能 専 門 医 制 度 の 確 立 と 普 及 :2011 年 度 に 初 めての 高 度 技 能 専 門 医 が 誕 生 しました。<br />

2 .…Official…Journal:…Journal…of…Hepato-Biliary-Pancreatic…Sciences……<br />

(2011 年 Impact…Factor…1.963)の 出 版<br />

3 . 肝 胆 膵 外 科 領 域 における 共 同 プロジェクト 研 究<br />

4 . 日 本 ー 韓 国 共 同 プロジェクト 研 究 、 日 本 ー 台 湾 共 同 プロジェクト 研 究<br />

5 . 肝 門 部 ( 領 域 ) 胆 管 癌 規 約 の 作 成 と 出 版<br />

6 . 胆 道 癌 の 取 り 扱 い 規 約 の 改 訂 出 版<br />

7 . 胆 道 癌 診 療 ガイドラインの 改 訂 出 版<br />

8 . 胆 道 癌 登 録<br />

9 .データベースの 取 り 組 み<br />

10. 学 術 会 議 の 国 際 化 への 道<br />

-139-


会 長 講 演


PL-1 Liver Surgery Through Verification of Hypothesis<br />

Department of Surgery, Hyogo College of Medicine<br />

○…Jiro…Fujimoto<br />

Although…HBP…surgeon…are…very…busy…without…exception…and…daily…surgical…clinical…work…urged…us…to…<br />

concentrate… to… operation… and… patients,… I… believe… we… have… to… evolve… a… new… theory,… a… new… treatment…<br />

method,… a… new… concept… in… our… surgical… field.……To… achieve… evolution,… the… best… way… is… to… construct… a…<br />

hypothesis…and…verify…the…hypothesis.……Hypothesis…comes…to…us…by…surveying…and…studying…published…<br />

articles… throughout,… or… by… learning… from… experience… of… daily… clinic.… If… the… steps… of… verifying… of… the…<br />

hypothesis…are…faithful…and…accurate,…we…can…make…a…milestone…though…it…might…be…tiny,…in…surgery…in…spite…<br />

of…the…results…of…the…hypothesis.……I…will…present…a…couple…of…my…favorite…works…of…hypothesis…in…liver…<br />

surgery…fields.……The…first…is,…“Liver…volume…can…be…calculated…based…on…portal…circulation…and…the…volume…<br />

estimated…is…approximate…to…actual…resected…liver…volume.”……A…novel…3D…hepatectomy…simulation…software…<br />

was…established…(Patent…No:…283191)…and…it…reliably…predicted…an…accurate…liver…resection…volume,…cancerfree…<br />

margin,… and… drainage… volume… of… hepatic… branches.……This… information… has… changed… operative…<br />

procedures…in…liver…surgery…(1).……Second,…we…hypothesized…“Liver…cirrhosis…is…not…the…irreversible…end…<br />

result…of…chronic…liver…disease…but…can…be…reversible…by…adequate…strategies.”……In…a…rat…model…of…lethal…liver…<br />

cirrhosis…produced…by…liver-toxin,…gene…delivery…of…hepatocyte…growth…factor…rescued…the…rats…and…liver…<br />

fibrosis…was… completely… diminished…(2).……Moreover,… induction…of… collagenase…or… blockage… of… TGF-β…<br />

signaling…also…treated…liver…fibrosis.…Thus,…liver…cirrhosis…is…not…an…irreversible…disease…and…can…be…treated…<br />

by…novel…approaches.……The…third…is,…“Adhesion…formation…after…abdominal…surgery…is…depend…on…both…<br />

inflammatory…and…blood…coagulation,…and…immunological…mechanism…plays…a…key…role…for…adhesion.”……We…<br />

established…an…abdominal…adhesion…mice…model…and…analyzed…molecular…mechanisms.……As…results,…IFN-γ…<br />

produced…from…NKT…cells…plays…a…pivotal…role…for…adhesion…formation…through…differential…regulation…of…<br />

PAI-1…and…tPA…(3).……This…mechanism…is…also…proven…hepatic…resection…model,…thus…might…be…a…ubiquitous…<br />

mechanism… of… adhesion… formation… after… surgery.……I… hope… we… can… diminish… liver… fibrosis,… we… can… do…<br />

operation… without… adhesion… formation,… and… it… contributes…a… lot… to… liver… surgery… field.……I… do… continue…<br />

construction…of…hypothesis…and…verification…of…the…hypothesis.<br />

…<br />

(1)……Saito… S,… Yamanaka… J,… Miura… K,… Nakao… N,… Nagao… T,… Sugimoto… T,… Hirano… T,… Kuroda… N,… Iimuro… Y,…<br />

Fujimoto…J.……A…novel…3D…hepatectomy…simulation…based…on…liver…circulation:…Application…to…liver…<br />

resection…and…Transplantation.…Hepatology…2005;6:…1297-1304<br />

(2)……Ueki… T,… Kaneda… Y,… Tsutsui… H,… Nakanishi… K,… Sawa… Y,… Morishita… R,… Matsumoto… K,… Nakamura… T,…<br />

Takahashi…H,…Okamoto…E,…Fujimoto…J.……Hepatocyte…growth…factor…gene…therapy…of…liver…cirrhosis…in…<br />

rats.……Nature Med…1999;5:…226-230……<br />

(3)……Kosaka… H,… Yoshimoto… T,… Yoshimoto… T,… Fujimoto… J,… Nakanishi… K.……Interferon-g… is… a… therapeutic…<br />

molecule…for…prevention…of…postoperative…adhesion…formation.…Nature Med 2008;…14:…437-441<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-143-


プレナリーセッション


PS-1<br />

大 腸 癌 肝 転 移 における 治 療 戦 略 - 遺 伝 子 変 異 情 報 を 基 盤<br />

とした 治 療 戦 略 構 築 の 可 能 性 -<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 消 化 器 外 科<br />

○… 楳 田 祐 三 , 永 坂 岳 司 , 貞 森 裕 , 母 里 淑 子 , 篠 浦 先 ,<br />

吉 田 龍 一 , 佐 藤 太 祐 , 信 岡 大 輔 , 内 海 方 嗣 , 吉 田 一 博 ,<br />

八 木 孝 仁 , 藤 原 俊 義<br />

【 緒 言 】 近 年 ,… 大 腸 癌 は 遺 伝 子 変 異 情 報 に 基 づいて 予 後 が 選 別 されつ<br />

つある. 大 腸 癌 肝 転 移 についても 治 療 成 績 の 向 上 にはPredictive/<br />

Prognostic…Biomarkerの 確 立 や 術 前 ・ 術 後 化 学 療 法 の 適 応 選 別 といっ<br />

た 治 療 法 の 個 別 化 が 課 題 であり,そのための 遺 伝 子 背 景 の 把 握 は 肝 要<br />

と 思 われる.<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 標 本 の 遺 伝 子 解 析 を 行 い,… 遺 伝 子 変 異 情 報<br />

を 基 盤 とした 大 腸 癌 肝 転 移 の 治 療 戦 略 構 築 の 可 能 性 を 検 討 する.<br />

【 対 象 、 方 法 】 対 象 は 肝 転 移 切 除 126 例 ,… 切 除 病 巣 固 定 標 本 より 遺 伝 子<br />

抽 出 ・ 解 析 可 能 であった100 例 ( 検 出 率 79%). 遺 伝 子 変 異 について<br />

Microsatelite…instability(MSI)をMultiplex…PCR 法 ,KRAS/BRAF 変 異<br />

をDirect…sequence 法 にて 解 析 した.<br />

【 結 果 】 肝 転 移 全 例 がNon-MSIを 示 しMSI 癌 は 皆 無 、 両 野 生 型 70<br />

例 ,KRAS 変 異 27 例 ,BRAF 変 異 3 例 であった. 年 齢 , 性 別 , 原 発 巣 進 行 度 , 治<br />

療 法 に 遺 伝 子 背 景 による 有 意 差 なし、KRAS/BRAF 変 異 は 原 発 巣 右<br />

側 癌 に 多 い 傾 向 を 認 めた. 術 前 に 根 治 切 除 困 難 と 判 断 された33 例 に 術<br />

前 化 学 療 法 ,… 術 後 85 例 に 補 助 化 学 療 法 施 行 、 観 察 期 間 中 の 分 子 標 的 治<br />

療 薬 使 用 は7 例 . 予 後 解 析 において,… 無 再 発 生 存 率 (1/3/5 年 )は 両 野 生 型<br />

63/31/22%,…KRAS 変 異 53/37/37%,…BRAF 変 異 0/0/0%で,…BRAF 変 異<br />

は 両 野 生 型 ・KRAS 変 異 に 比 して 予 後 不 良 であった.… 生 存 率 (1/3/5 年 )<br />

は,… 両 野 生 型 94/77/65%,…KRAS 変 異 85/54/43%,…BRAF 変 異 33/0/0%で,…<br />

BRAF/KRAS 変 異 は 両 野 生 型 に 比 して 有 意 に 予 後 不 良 であった.…【 考<br />

察 】MSI 大 腸 癌 は 転 移 を 起 こしにくく,… 肝 転 移 はNon-MSI 癌 を 原 発 母<br />

地 とする. 肝 転 移 において,…KRAS 変 異 は 野 生 型 に 比 し 予 後 不 良 であり,…<br />

抗 EGFR 抗 体 使 用 の 制 約 があることを 加 味 すると,… 補 助 化 学 療 法 含 め<br />

積 極 的 治 療 方 針 を 検 討 すべき 群 と 推 測 される.Non-MSI/BRAF 変 異 肝<br />

転 移 は,… 少 数 ながら 予 後 不 良 であり,… 注 目 す べ きPoor…prognostic…<br />

biomarkerとして 症 例 集 積 と 検 討 を 要 する. 従 来 の 臨 床 学 的 予 後 不 良 因<br />

子 に 加 え,… 遺 伝 子 変 異 情 報 を 踏 まえた 治 療 戦 略 構 築 は,… 次 世 代 の 革 新<br />

的 な 大 腸 癌 肝 転 移 治 療 法 確 立 への 可 能 性 を 秘 めている.<br />

PS-2<br />

膵 管 ロストステントの 体 内 動 態 についての 検 討<br />

1<br />

帝 京 大 学 外 科 、 2 富 岡 総 合 病 院 外 科<br />

○… 門 脇 晋 1<br />

, 三 浦 文 彦 1<br />

, 天 野 穂 高 1<br />

, 豊 田 真 之 1<br />

, 和 田 慶 太 1<br />

,<br />

渋 谷 誠 1<br />

, 前 野 佐 和 子 1<br />

, 高 田 忠 敬 1 1<br />

, 佐 野 圭 二<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 空 腸 粘 膜 吻 合 部 にロストステ<br />

ントを 留 置 した 症 例 をretrospectiveに 検 討 し、ロストステントの 体 内<br />

動 態 と 続 発 症 について 検 討 したので、 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した637 例 中 、ロストステントを 留 置 し1 年 以 上<br />

経 過 観 察 が 可 能 だった50 例 を 対 象 とした。ステントは5-0モノフィラ<br />

メント 吸 収 糸 で 吻 合 部 に 固 定 した。ステントの 位 置 確 認 は、 単 純 レン<br />

トゲン、CTで 行 った。ステントの 体 内 停 滞 の 危 険 因 子 、 続 発 症 につ<br />

いて 検 討 した。【 結 果 】 最 終 確 認 の 時 点 で 体 外 排 出 が 確 認 されたのは<br />

35 例 、 排 出 までの 期 間 は0.7~51.1か 月 で、 平 均 13.3±13.7か 月 だった。<br />

術 後 1 年 以 内 に 体 外 排 出 を 確 認 できた 排 出 群 21 例 と、 術 後 1 年 の 時 点 で<br />

体 内 に 滞 留 していた 滞 留 群 29 例 を 比 較 検 討 した。 滞 留 群 では、14 例 で<br />

術 後 1 年 以 降 にステントが 体 外 に 排 出 されたが、 最 終 確 認 部 位 は 膵 管<br />

が8 例 、 胆 管 が4 例 、 拳 上 空 腸 が3 例 だった。 膵 管 内 停 留 の2 例 に 膵 炎 が、<br />

胆 管 内 迷 入 の 各 1 例 に 胆 管 炎 、 肝 膿 瘍 が 発 症 した。 単 変 量 解 析 では、<br />

年 齢 75 歳 以 上 、 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 5 針 以 上 、ステント 径 5Fr 以 上 が 有<br />

意 に 滞 留 群 に 多 かった。 性 別 、 糖 尿 病 の 有 無 、 開 腹 手 術 歴 の 有 無 、 幽<br />

門 温 存 の 有 無 、 血 管 合 併 切 除 の 有 無 、 出 血 量 、 膵 実 質 空 腸 漿 膜 筋 層 縫<br />

合 法 、 主 膵 管 径 、ステントの 種 類 ( 節 の 有 無 )、ステントの 長 さ、 膵 管<br />

径 、ステント 径 / 膵 管 径 、GradeB 以 上 の 膵 液 漏 の 有 無 、 胆 管 ステント<br />

の 有 無 、 術 後 在 院 日 数 、 術 後 の 排 便 回 数 は 両 群 に 差 がなかった。 多 変<br />

量 解 析 では、ステント 径 5Fr 以 上 が 体 内 停 滞 の 唯 一 の 独 立 した 危 険 因<br />

子 だった。【 結 論 】 膵 管 ロストステントは、 術 後 1 年 後 に 半 数 以 上 が 体<br />

内 に 滞 留 していた。ステントの 滞 留 ・ 迷 入 により 膵 炎 、 胆 管 炎 、 肝 膿<br />

瘍 を 発 症 した 症 例 を 認 めた。ステント 体 内 停 留 の 危 険 因 子 はステント<br />

径 5Fr 以 上 だった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

PS-3<br />

Full-doseGemcitabine/Radiationによる 膵 癌 術 前 治<br />

療 が 臨 床 経 過 に 及 ぼす 影 響<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 庄 雅 之 , 赤 堀 宇 広 , 野 見 武 男 , 山 戸 一 郎 , 童 仁 ,<br />

北 東 大 督 , 川 口 千 尋 , 安 田 里 司 , 木 下 正 一 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【 目 的 】 膵 癌 予 後 向 上 に 向 けて 術 前 治 療 が 注 目 されている. 特 に 術 前<br />

化 学 放 射 線 治 療 NACRTの 有 効 性 を 示 唆 する 報 告 が 散 見 されるが, 安<br />

全 面 からの 検 証 は 十 分 ではない. 今 回 Full-dose…Gemcitabine(GEM)/<br />

体 外 照 射 併 用 NACRTの 安 全 性 および 有 用 性 について, 栄 養 指 標 , 術<br />

後 合 併 症 , 補 助 化 学 療 法 などから 多 角 的 に 検 証 した.<br />

【 方 法 】2008 年 以 降 NACRT(GEM1000mg/m …2… +50Gy 照 射 )を 導 入 し,<br />

膵 癌 61 例 ( 平 均 65.1 才 , 男 女 比 1.44:1)に 施 行 .NACRTの 有 害 事 象 ,<br />

施 行 前 後 のPNI(Prognostic…nutritional…index)を 術 前 評 価 項 目 として<br />

検 討 .さらに2004 年 以 降 のNACRT 非 施 行 73 例 を 対 照 として, 手 術 時 間 ,<br />

出 血 量 , 術 後 合 併 症 等 について 周 術 期 評 価 を 行 うとともに, 組 織 学 的<br />

抗 腫 瘍 効 果 を 検 証 した.また 術 後 6ヵ 月 PNI 値 , 術 後 補 助 化 学 療 法 実<br />

施 状 況 を 術 後 評 価 項 目 とした.<br />

【 結 果 】(1)NACRT 有 害 事 象 :NACRT 完 遂 率 は96.7%. 治 療 中<br />

Grade3/4のWBC/Neu/Hb/Plt 低 下 を 各 々51/51/7/5%,ALT 上 昇 を<br />

10%に 認 めたが, 重 篤 なものはなかった.PNIはNACRT 前 48.3, 施 行<br />

後 43.0と 有 意 に 低 下 し た.(2) 周 術 期 への 影 響 : 手 術 時 間 (PD;<br />

NACRT 群 376 分 , 対 照 群 374 分 ,DP;NACRT 群 280 分 , 対 照 群 232 分 ),<br />

出 血 量 (PD;NACRT 群 1553ml, 対 照 群 1216ml,DP;NACRT 群 940ml,<br />

対 照 群 647ml)には 統 計 学 的 有 意 差 を 認 めなかった. 術 後 合 併 症 は<br />

NACRT 群 36%で, 対 照 群 51%に 比 し 低 い 傾 向 があり, 特 に 膵 液 漏 は<br />

19.7%で 対 照 群 34.2%に 比 べ 有 意 に 低 かった. 術 後 在 院 日 数 は33.8 日 で,<br />

対 照 群 44.9 日 に 比 し 有 意 に 短 かった.NACRT 群 で 在 院 死 を2 例 (3.6%)<br />

認 めた.(3)NACRT 組 織 学 的 抗 腫 瘍 効 果 :リンパ 節 転 移 は21.3%で,<br />

対 照 群 56.2%に 比 し 有 意 に 少 なく, 膵 外 神 経 叢 浸 潤 は9.8%のみで,R0<br />

手 術 を90.2%に 達 成 し 得 た.(4) 術 後 経 過 への 影 響 : 術 後 補 助 化 学 療 法<br />

開 始 までの 期 間 は52 日 で, 対 照 群 40 日 に 比 べて 有 意 に 長 かった. 術 後<br />

6ヵ 月 PNI 値 37.4と 術 前 値 43.0に 比 べ 有 意 に 低 下 した. 対 照 群 でも 術 後<br />

6ヵ 月 値 41.7( 術 前 値 47.6)と 低 下 していたが,NACRT 群 よりは 良 好 で<br />

あった.<br />

【 結 論 】Full-dose…GEM/ 照 射 併 用 NACRT 後 手 術 はほぼ 安 全 に 施 行 可<br />

能 で, 高 い 局 所 制 御 効 果 が 得 られた. 一 方 , 稀 に 重 篤 化 する 可 能 性 が<br />

あり, 補 助 化 学 療 法 の 実 施 には 課 題 が 認 められた.<br />

-147-


教 育 セミナー


ES1-1-1<br />

医 の 倫 理<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 金 沢 医 療 センター 外 科<br />

○… 萱 原 正 都<br />

最 近 の 医 療 界 では 生 殖 医 療 、 移 植 医 療 、 遺 伝 子 医 療 などに 関 して 多<br />

様 性 のある 様 々な 倫 理 的 な 問 題 がみられる。 医 の 倫 理 は 生 命 倫 理 、 生<br />

物 学 的 倫 理 と 関 連 しているが、 医 の 倫 理 は 医 療 行 為 の 本 質 的 な 構 成 要<br />

素 である。 個 人 の 尊 重 、インフォームド・コンセント、 守 秘 義 務 など<br />

の 倫 理 原 則 は 医 師 ・ 患 者 関 係 の 基 本 である。しかしながら、ある 状 況<br />

のなかで 何 が 正 しい 方 法 かに 関 して、 医 師 、 患 者 、 患 者 家 族 、その 他<br />

の 医 療 従 事 者 が 合 意 できないこともある。 治 療 を 第 一 義 とするとして<br />

も、いかなる 治 療 を 選 ぶべきかについて、 判 断 を 要 する 状 況 が 増 えて<br />

いる。 医 師 は 何 が 正 しい 行 動 かを 自 分 で 決 めなくてはならないし、 現<br />

代 では 判 断 の 原 則 についての 公 開 性 が 求 められている。また、 医 療 と<br />

相 性 の 悪 い 経 済 との 関 係 も 無 視 できない。 本 講 演 では 医 の 倫 理 に 関<br />

する 総 論 について、1. 医 の 倫 理 の 特 徴 、2. 医 師 と 患 者 の 関 係 、3. 医 師<br />

と 社 会 ・ 経 済 との 関 係 、4. 医 師 と 医 療 関 係 者 との 関 係 、5. 倫 理 と 医 学<br />

的 研 究 などについて 述 べたい。 医 学 の 本 質 的 な 使 命 は 最 も 危 険 性 が 低<br />

く、 最 小 の 対 価 で 患 者 と 社 会 に 最 大 の 恩 恵 をもたらすことであり、 患<br />

者 にとって 大 きな 不 幸 は 無 知 な 医 師 によって 診 察 されることであるこ<br />

とを 忘 れてはならない。<br />

ES1-2-1<br />

肝 ・ 胆 道 ・ 膵 癌 の 化 学 療 法 ・ 分 子 標 的 治 療<br />

杏 林 大 学 腫 瘍 内 科<br />

○… 古 瀬 純 司<br />

肝 、 胆 道 、 膵 癌 の 治 療 戦 略 において、がん 化 学 療 法 の 役 割 が 益 々 大 き<br />

くなってきている。 本 セミナーではこれらの 疾 患 に 対 する 化 学 療 法 に<br />

ついて 分 子 標 的 治 療 を 含 めた 現 状 と 課 題 について 述 べる。 肝 癌 におい<br />

ては、プラセボ 対 照 による 第 3 相 試 験 の 結 果 、ソラフェニブが 局 所 治<br />

療 の 適 応 とならない 進 行 肝 細 胞 癌 に 対 する 標 準 治 療 として 広 く 用 いら<br />

れている。 承 認 された 当 初 、 手 足 皮 膚 反 応 や 肝 障 害 などの 有 害 事 象 や<br />

早 期 死 亡 など、 安 全 管 理 や 適 正 使 用 が 問 題 となったが、 早 期 の 副 作 用<br />

対 策 やチーム 医 療 により 完 全 管 理 が 確 立 されてきている。さらに、<br />

TACEや 切 除 などの 局 所 治 療 の 補 助 療 法 としての 適 応 拡 大 が 試 みられ<br />

ている。 一 方 、 高 齢 者 やChild-Pugh…Bでの 適 応 など 課 題 も 依 然 多 い。<br />

ソラフェニブに 続 く 多 くの 薬 剤 が 開 発 されているが、 未 だ 新 しい 薬 剤<br />

は 出 てきていない。 胆 道 ・ 膵 癌 の 切 除 不 能 例 や 再 発 例 に 対 する 標 準 治<br />

療 は 全 身 化 学 療 法 であり、 塩 酸 ゲムシタビン(GEM)がkey…drugとし<br />

て 広 く 用 いられている。しかし、その 治 療 成 績 は 十 分 なものとはいえ<br />

ず、 多 くの 新 しい 治 療 法 の 試 みが 行 われてきた。 膵 癌 では、GEM、<br />

S-1、GEM+S-1(GS 療 法 )による 大 規 模 な 第 3 相 試 験 が 行 われ、GEMに<br />

対 するS-1の 非 劣 性 が 証 明 されたが、GS 療 法 の 優 越 性 は 証 明 されな<br />

かった。 分 子 標 的 薬 としてはGEM+エルロチニブが 承 認 されているが、<br />

間 質 性 肺 炎 の 管 理 など 制 限 も 多 い。 新 しい 分 子 標 的 薬 として、 抗<br />

IEGFR 抗 体 薬 などの 国 際 治 験 も 行 われており、 今 後 の 結 果 に 期 待 し<br />

たい。 胆 道 癌 においては 大 規 模 な 第 3 相 試 験 の 結 果 、GEM+CDDP 併<br />

用 療 法 (GC 療 法 )が 標 準 治 療 として 確 立 した。さらにS-1とGS 療 法 の 第<br />

2 相 比 較 試 験 によりGSがより 有 望 と 報 告 され、 今 後 、GC 療 法 との 第 3<br />

相 試 験 が 予 定 されている。 一 方 、 分 子 標 的 薬 の 開 発 は 海 外 でいくつか<br />

行 われているが、 適 応 承 認 に 向 けた 臨 床 試 験 は 全 く 行 われていないと<br />

いっても 過 言 ではない。 肝 ・ 胆 道 ・ 膵 癌 は 予 後 不 良 の 疾 患 であり、 従<br />

来 の 化 学 療 法 では 限 界 がある。 新 しい 分 子 標 的 薬 の 開 発 ・ 導 入 による<br />

予 後 の 改 善 が 期 待 される。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

ES1-2-2<br />

肝 癌 および 膵 癌 に 対 する 重 粒 子 線 の 現 状 と 展 望<br />

放 射 線 医 学 総 合 研 究 序 重 粒 子 医 科 学 センター 病 院<br />

○… 山 田 滋 , 篠 藤 誠 , 遠 藤 悟 史 , 安 田 茂 雄 , 今 田 浩 史 ,<br />

鎌 田 正<br />

重 粒 子 線 は 陽 子 線 のシャープな 線 量 分 布 と 中 性 子 線 の 強 力 な 殺 細 胞 効<br />

果 を 有 する 放 射 線 である。 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 では1994 年 より 重 粒<br />

子 線 を 用 いて 固 形 がんに 対 する 治 療 を 施 行 し、2012 年 1 月 までに 約<br />

6500 例 の 治 療 を 実 施 してきた。その 治 療 結 果 から 従 来 放 射 線 抵 抗 性 で<br />

あったがん( 腺 癌 系 や 肉 腫 系 )に 対 しても 極 めて 高 い 局 所 制 御 率 が 得 ら<br />

れてきた。… 肝 細 胞 癌 に 対 する 重 粒 子 線 治 療 は1995 年 6 月 から 臨 床 試 験<br />

が 開 始 され2011 年 2 月 までに403 例 が 治 療 された。15 回 →12 回 →8 回 →4<br />

回 →2 回 の 順 で、これらの 分 割 法 の 安 全 性 と 有 用 性 が 確 かめられた。2<br />

回 /2 日 照 射 法 で 治 療 し、6 月 以 上 経 過 した110 例 の 解 析 では、3 度 以 上<br />

の 重 篤 な 急 性 期 障 害 は 認 められず、37GyEより 高 い 線 量 では3 年 局 所<br />

制 御 率 88%と3 年 生 存 率 73%と 高 い 有 効 性 が 示 された。… 手 術 不 能 であ<br />

る 局 所 進 行 膵 臓 癌 に 対 する 重 粒 子 線 の 臨 床 試 験 が2003 年 4 月 より 開 始<br />

され、2012 年 2 月 まで38.4-52.8GyE/12… 回 /3 週 間 の 線 量 分 割 法 で47 例 に<br />

治 療 が 行 われた。 本 試 験 から 正 常 組 織 障 害 は 極 めて 低 い 傾 向 であった。<br />

局 所 制 御 率 は 高 い 効 果 が 示 されたが、 生 存 率 は 満 足 すべき 数 字 が 得 ら<br />

れなかった。この 原 因 は、 肝 などへの 遠 隔 転 移 の 早 期 出 現 が 原 因 と 考<br />

えられた。これよりGemcitabine(GEM)・ 重 粒 子 線 同 時 併 用 療 法 の 第<br />

I/II 相 試 験 が2006 年 4 月 より 開 始 された。GEM1000mg/m2 併 用 群 でも<br />

DLTの 発 生 率 は 低 く 順 調 に 線 量 増 加 が 行 われた。まだ 十 分 な 期 間 観<br />

察 されていないが、GEM1000mg/m2+ 重 粒 子 線 45.6GyE 以 上 投 与 群 41<br />

例 では2 年 生 存 率 が67%と 良 好 な 結 果 であった。 2003 年 4 月 より 開 始<br />

された 膵 臓 癌 に 対 する 術 前 炭 素 イオン 線 治 療 臨 床 試 験 は8 回 /2 週 間 で<br />

施 行 された。2009 年 8 月 までに25 例 に 対 し、30GyEから36.8GyEまで<br />

線 量 増 加 をおこなった。 現 在 までのところ、 消 化 管 ・ 骨 髄 ・ 皮 膚 等 に<br />

重 篤 な 副 作 用 を 認 めていない。 切 除 例 は20 例 (80%)で、 切 除 例 の5 年<br />

生 存 率 は52%と 極 めて 良 好 な 結 果 が 得 られている。… 重 粒 子 線 は 肝 癌<br />

および 膵 癌 において 患 者 に 過 大 な 負 担 をかけることなく 治 療 成 績 を 向<br />

上 させることが 示 された。<br />

ES1-2-3<br />

膵 臓 がんの 集 学 的 治 療<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院<br />

○… 小 菅 智 男<br />

膵 臓 がんは 切 除 可 能 であっても 長 期 予 後 が 不 良 であったため、 切 除<br />

手 術 と 補 助 療 法 を 組 み 合 わせた 集 学 的 治 療 の 試 みが 古 くからなされて<br />

きた。しかし、そのほとんどは 少 数 例 の 経 験 や 医 師 の 個 人 的 な 期 待 に<br />

基 づくものであった。 効 果 や 有 害 事 象 を 総 合 して 患 者 の 利 益 になるか<br />

どうかについては 検 証 するためにはランダム 化 比 較 試 験 (RCT)を 行<br />

う 必 要 がある。しかし、 膵 臓 がんについては 切 除 手 術 の 症 例 を 多 数 集<br />

積 することが 困 難 であったため、 信 頼 できるエビデンスはなかなか 得<br />

られなかった。<br />

膵 臓 がんの 集 学 的 治 療 に 関 する 最 初 のRCTは 米 国 のGITSGが1985<br />

年 に 発 表 した 術 後 補 助 化 学 放 射 線 療 法 に 関 するものであった。この 試<br />

験 では、5FUを 用 いた 術 後 化 学 放 射 線 療 法 が 有 効 とされたが、 臨 床 試<br />

験 の 質 には 問 題 があった。その 後 も 補 助 療 法 に 関 するRCTの 実 施 数<br />

は 少 なく、その 結 果 はまちまちであったため、 膵 臓 がんの 補 助 療 法 は<br />

長 年 に 渡 って 標 準 治 療 として 確 立 しなかった。<br />

この 状 態 を 変 えたのはゲムシタビンである。 非 切 除 進 行 膵 がんに 対<br />

する 治 療 薬 としてゲムシタビンが5FUに 取 って 代 わったことを 受 け、<br />

ゲムシタビンを 用 いた 補 助 化 学 療 法 について 臨 床 試 験 が 行 われた。ド<br />

イツとオーストリアで 行 われたCONCO-001 試 験 ではゲムシタビンの<br />

有 用 性 を 示 す 結 果 が 報 告 された。 日 本 でもほぼ 同 時 期 にJSAP-02 試 験<br />

が 行 われ、CONCO-001 試 験 と 類 似 した 結 果 が 得 られた。これにより、<br />

ゲムシタビン 単 剤 による 術 後 補 助 化 学 療 法 が、 切 除 可 能 膵 がんに 対 す<br />

る 標 準 治 療 として 確 立 した。 術 後 補 助 療 法 に 関 しては 多 剤 併 用 化 学 療<br />

法 についてのRCTが 数 多 く 行 われるようになってきた。 本 邦 では、<br />

S-1の 位 置 づけを 検 証 するための 臨 床 試 験 が 行 われている。<br />

膵 臓 がんの 補 助 療 法 として 確 立 したのは 今 のところ 術 後 補 助 化 学 療<br />

法 のみである。 最 近 、 術 前 補 助 療 法 の 試 みが 数 多 くなされるようになっ<br />

てきた。しかし、その 有 用 性 については 十 分 なエビデンスが 得 られて<br />

いない。 倫 理 的 な 問 題 を 起 こさないためにも、 大 規 模 なRCTによる<br />

検 証 が 必 要 である。 化 学 療 法 のほかには 免 疫 療 法 についての 検 討 が 進<br />

められつつあり、その 成 果 が 期 待 されている。<br />

-151-


ES2-1<br />

歴 史 と 術 式 の 開 拓 ・ 変 遷<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 山 本 雅 一<br />

第 2 次 世 界 大 戦 後 に 近 代 肝 臓 外 科 の 大 きな 進 歩 がみられた。それまでは、<br />

解 剖 学 的 な 肝 切 除 は 施 行 されず、 症 例 も 少 なく、 肝 切 除 技 術 も 未 熟 で<br />

あった。1950 年 以 降 、 局 所 解 剖 の 理 解 、 画 像 診 断 の 進 歩 、 肝 機 能 評 価 、<br />

周 術 期 管 理 の 進 歩 、 各 種 デバイスの 開 発 と 相 まって 肝 臓 外 科 は 大 きな<br />

変 遷 を 遂 げた。 術 式 を 中 心 に 考 えると、 肝 臓 脈 管 へのアプローチ、 肝<br />

離 断 方 法 、 血 行 遮 断 、 肝 移 植 、 鏡 視 下 肝 切 除 などが 注 目 される。 脈 管<br />

ア プ ロ ー チ と し てcontrolled…method… があり、1952 年 フランスの<br />

Lortat-Jacobらの 報 告 が 世 界 で 最 初 であるとされている。しかし、<br />

Foster…とBermanは 著 書 Solid…liver…tumorsの 中 で、1949 年 日 本 の 本 庄<br />

らが 初 めてのcontrolled…methodによる 右 肝 切 除 に 成 功 したと 紹 介 し<br />

た。 台 湾 のLinら(1958)はfinger…fracture 法 にて 肝 実 質 を 離 断 後 の 肝<br />

門 部 グリソン 系 脈 管 … 処 理 について 報 告 した。さらにCouinaud(1985),…<br />

高 崎 (1984)が 肝 実 質 を 離 断 せずに 肝 門 部 グリソン 鞘 へのアプローチに<br />

ついて 報 告 した。 高 崎 は、 肝 門 部 あるいは 肝 区 域 境 界 部 からからグリ<br />

ソン 鞘 3 次 分 枝 へのアプローチ、 幕 内 ら(1985)は 術 中 超 音 波 下 に 肝 内<br />

グリソン 鞘 を 穿 刺 し、 染 色 することで 切 除 範 囲 を 同 定 するsubsegmentectomyについて<br />

報 告 し、 肝 臓 の 系 統 的 切 除 がほぼ 完 成 した。<br />

離 断 の 方 法 として、クランプ 鉗 子 を 用 いた 離 断 が、 中 山 (1958)、<br />

Longmire(1971)、Lin(1973)らから 報 告 されている。 肝 離 断 の 方 法 は、<br />

finger…fracture 法 、ペアンクラッシュ 法 、さらにはマイクロ 波 による<br />

pre-coagulation、CUSAと 変 遷 した。 肝 離 断 アプローチとして 香 港 の<br />

ST…Fanら(1996)によるanterior…approachが 報 告 されているが、これ<br />

についても1984 年 に 高 崎 らが 巨 大 肝 がんに 対 する 肝 切 除 の 方 法 として<br />

すでに 報 告 していた。Belghiti… ら(2001)のhanging…maneuverも 肝 離<br />

断 には 有 用 で、これらの 技 術 が 鏡 視 下 肝 切 除 でも 活 用 されている。 鏡<br />

視 下 肝 切 除 の 発 展 に 伴 い、 各 種 エネルギーデバイスの 開 発 がなされ、<br />

これらのデバイスは 開 腹 肝 切 除 にても 使 用 されるようになった。 今 後<br />

は 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 、あるいはロボット 肝 切 除 も 視 野 に 入 っている。<br />

ES2-2<br />

硬 変 肝 の 切 除 と 肝 再 生<br />

兵 庫 医 科 大 学 外 科 ・ 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 飯 室 勇 二<br />

肝 悪 性 腫 瘍 の 外 科 切 除 においては、 腫 瘍 の 完 全 切 除 と 残 肝 機 能 の 温 存<br />

との 両 立 が 最 低 条 件 である。 後 者 の 条 件 で 問 題 になるのが、 非 腫 瘍 部<br />

背 景 肝 の 機 能 障 害 であり、ウイルス 性 肝 炎 の 遷 延 などによる 肝 硬 変 が<br />

その 代 表 である。 肝 硬 変 を 伴 う 肝 細 胞 癌 の 治 療 として 肝 移 植 が 選 択 肢<br />

としてあげられるが、ドナーの 確 保 が 必 ずしも 容 易 ではなく、また 移<br />

植 可 能 な 人 工 肝 臓 の 確 立 に 至 っていない 現 在 、 硬 変 肝 に 対 する 外 科 切<br />

除 の 必 要 性 は 依 然 残 されているものと 考 える。 過 去 30 年 以 上 、 肝 臓 外<br />

科 医 を 中 心 に、 肝 予 備 能 の 評 価 に 基 づく 安 全 な 切 除 範 囲 の 検 討 がなさ<br />

れ、 現 在 ある 一 定 の 見 解 が 得 られている。さらに、 近 年 3D 画 像 解 析<br />

の 進 歩 とアシアロシンチグラフィーの 普 及 により、 両 者 の 統 合 画 像 か<br />

ら、 個 々の 症 例 における 領 域 別 残 肝 機 能 評 価 が 可 能 となっており、 検<br />

査 手 技 の 煩 雑 さはあるものの、 客 観 的 残 肝 機 能 評 価 として 有 用 である<br />

と 考 える。 硬 変 肝 の 実 際 の 切 除 においては、 肝 線 維 化 の 進 行 に 伴 う 肝<br />

実 質 の 硬 化 のため、 脈 管 (とくに 肝 静 脈 )と 肝 実 質 の 分 離 が 非 硬 変 肝 と<br />

比 べ 難 しくなり、 結 果 として 術 中 出 血 量 が 増 加 する 傾 向 にある。また、<br />

肝 臓 の 脱 転 操 作 に 伴 う 肝 周 囲 リンパ 組 織 の 切 離 により、 術 後 腹 水 およ<br />

び 胸 水 の 貯 留 が 問 題 となることが 少 なくない。したがって、 硬 変 肝 の<br />

切 除 においては、 切 除 範 囲 の 慎 重 な 検 討 に 加 え、 如 何 に 術 後 胸 腹 水 を<br />

来 しにくい 切 除 戦 略 を 立 てるかが 重 要 である。 肝 外 科 切 除 の 前 提 は、<br />

肝 臓 が 再 生 する 臓 器 であることにある。しかし、 肝 線 維 化 の 進 行 に 伴<br />

い、 肝 再 生 能 が 低 下 することが 知 られている。 硬 変 肝 における 肝 細 胞<br />

自 体 の 増 殖 能 は 低 下 していないという 報 告 もあり、 併 存 する 線 維 化 が<br />

切 除 後 肝 再 生 の 抑 制 因 子 になっていることが 容 易 に 推 測 される。 高 度<br />

線 維 化 の 治 療 は 現 時 点 では 困 難 であるが、C 型 慢 性 肝 炎 患 者 に 対 する<br />

IFN 治 療 やB 型 慢 性 肝 炎 患 者 に 対 する 核 酸 アナログ 治 療 により、 肝 線<br />

維 化 が 改 善 することが 報 告 されている。したがって、 肝 炎 ウイルスに<br />

起 因 する 硬 変 肝 においては、 外 科 切 除 後 の 抗 ウイルス 治 療 も 重 要 な 課<br />

題 である。 今 後 、 移 植 可 能 な 人 工 肝 臓 が 確 立 されるまでの 間 、 硬 変 肝<br />

における 肝 切 除 の 検 討 は 引 き 続 き 重 要 な 課 題 と 考 える。<br />

ES2-3<br />

肝 門 板 の 局 所 解 剖 に 基 づく 肝 切 除<br />

信 州 大 学 外 科<br />

○… 宮 川 眞 一<br />

Couinaudは 肝 臓 の 鋳 型 標 本 から 肝 実 質 を 取 り 除 いた 時 に、 肝 下 面 ( 肝<br />

門 )に 残 こる4つの 厚 い 線 維 性 結 合 組 織 塊 をplate…system(gallbladder…<br />

plate,…hilar…plate,…umbilical…plate,…Arantius…plate)と 名 付 け た。<br />

Couinaudはこのplate…systemはWalaeus… が 記 載 した 肝 門 の 厚 い 結 合<br />

組 織 、すなわちvasculobiliary…sheathが 主 体 であると 述 べているが、<br />

近 年 、HayashiらはCouinaud…がvaginal…ductuliと 呼 んだ 胆 管 周 囲 腺 が<br />

門 脈 臍 部 から 右 門 脈 前 後 区 域 枝 分 岐 部 まで 広 がっており、これが<br />

plate…system… の 芯 となっている 可 能 性 を 指 摘 している。これらの<br />

plateの 下 面 ( 内 部 )には 肝 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 が 複 雑 に 走 行 しているが、<br />

plateの 上 面 は 肝 実 質 とGlisson 鞘 (portal…pedicle)のみであり、plateの<br />

上 面 ではGlisson 鞘 単 位 で 考 える 限 り 解 剖 学 的 な 扱 いが 簡 単 になる。<br />

すなわち 肝 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 はGlisson 鞘 に 包 まれてplateから 肝 内 に<br />

向 かうので、 肝 切 除 を 行 う 際 に、 動 門 脈 胆 管 をそれぞれ 分 けて 処 理 を<br />

しなくてもよい 場 合 、すなわち 肝 門 部 まで 癌 が 及 んでいない 肝 細 胞 癌<br />

や 転 移 性 肝 癌 に 対 する 肝 切 除 では、hilar…plate( 肝 門 板 )より 上 面 で 処<br />

理 を 行 う(グリソン 一 括 処 理 ) 肝 切 除 が 簡 便 な 方 法 である。hilar…plate<br />

( 肝 門 板 )は 肝 門 を 覆 い、その 右 縁 は 門 脈 右 枝 本 幹 の 右 端 であり、 左 縁<br />

は 横 走 部 の 左 端 であり、 後 側 には 尾 状 葉 に 向 かうcaudate…pedicleが 数<br />

本 ある。 前 記 の 腫 瘍 に 対 する 左 肝 切 除 では、 肝 門 板 の 頭 側 には 肝 臓 内<br />

に 向 かう 脈 管 は 何 もないので、 背 側 に 存 在 するcaudate…pedicleを 損 傷<br />

しないように 肝 門 板 と 肝 臓 の 間 を 横 走 部 で 剥 離 すれば、ほとんど 出 血<br />

させることなく 短 時 間 で 左 肝 に 向 かう 動 門 脈 胆 管 を 一 括 して 確 保 でき<br />

る。 一 方 、 肝 門 板 の 右 側 は 短 いためこれを 確 保 するのは 難 しいので、<br />

右 肝 に 向 かう 動 門 脈 胆 管 を 一 括 して 処 理 するには、 前 区 域 と 後 区 域 の<br />

Glisson 鞘 を 個 別 に 確 保 する 必 要 がある。これに 対 し、 肝 門 部 胆 管 癌<br />

や 生 体 肝 移 植 などでは、 肝 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 をそれぞれ 分 けて 処 理 す<br />

るため、 肝 門 板 の 下 面 で、それぞれの 脈 管 を 剥 離 、 同 定 する 必 要 があ<br />

る。<br />

ES3-1<br />

発 生 学 に 基 づいた 膵 ・ 胆 道 癌 の 進 展 経 路<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科<br />

○… 太 田 哲 生<br />

… 膵 ・ 胆 道 癌 の 進 展 経 路 に 関 するいくつかの 事 実 誤 認 ( 常 識 の 嘘 )が 現<br />

在 の 外 科 治 療 成 績 の 向 上 を 大 きく 阻 んでいると 思 われる。そこで、 本<br />

セミナーでは 合 理 的 な 膵 ・ 胆 道 癌 根 治 手 術 (D2 郭 清 )を 施 行 する 際 に<br />

必 要 な 発 生 学 に 基 づいた 癌 の 進 展 経 路 について、 我 々の 研 究 成 果 を 紹<br />

介 する。1) 膵 臓 は、 発 生 学 的 に 腹 側 膵 と 背 側 膵 との 癒 合 から 成 り 立 つ。<br />

特 に 膵 頭 部 においては、 門 脈 ・ 脾 静 脈 より 腹 側 に 位 置 する 背 側 膵 と、<br />

逆 に 門 脈 ・ 脾 静 脈 より 背 中 側 に 位 置 する 腹 側 膵 に 大 別 できる。2) 市 中<br />

病 院 で 手 術 の 適 応 となる 膵 頭 部 癌 は 主 膵 管 や 総 胆 管 の 拡 張 が 契 機 で 診<br />

断 されているものが 大 部 分 で、 癌 の 主 たる 占 拠 部 位 は 腹 側 膵 領 域 であ<br />

る。3) 腹 側 膵 領 域 癌 のリンパ 行 性 進 展 経 路 は、 基 本 的 には 膵 後 面 の 血<br />

管 アーケイドに 沿 ってmesopancreas 内 をSMAの 背 側 から 左 側 方 向 の<br />

小 腸 間 膜 内 に 進 展 していく。したがって、 腹 腔 動 脈 系 の5 番 、6 番 リン<br />

パ 節 へ 転 移 することはないので 安 心 してPpPDが 施 行 できる。4) 背 側<br />

膵 領 域 にある 癌 は、 総 肝 動 脈 系 の 神 経 叢 ( 前 肝 神 経 叢 )やリンパ 節 に 浸<br />

潤 ・ 転 移 するのでSSPPDが 望 ましい。5) 胆 道 癌 のリンパ 行 性 進 展 経<br />

路 には 右 側 経 路 と 左 側 経 路 があり、 左 側 経 路 は 腹 腔 動 脈 に 沿 うリンパ<br />

節 群 であることが 知 られている。しかし、 右 側 経 路 に 関 して 伴 走 する<br />

動 脈 の 明 確 な 記 述 がない。 我 々の 研 究 で、この 右 側 経 路 のリンパ 節 群<br />

(12b2,12p2,…8p)は、 胎 生 期 のSMAからでる 右 肝 動 脈 ( 成 人 では、SMA<br />

からでるreplaced…hepatic…artery)に 沿 うリンパ 節 群 であり、その 動<br />

脈 周 囲 の 神 経 叢 は 後 肝 神 経 叢 ( 膵 頭 神 経 叢 第 一 部 を 含 む)であって、 総<br />

肝 動 脈 周 囲 の 前 肝 神 経 叢 とは 発 生 学 的 に 区 別 されるべきものであるこ<br />

とがわかった。したがって、 胆 嚢 癌 のみならず、 下 部 胆 管 癌 ・ 乳 頭 部<br />

癌 や 腹 側 膵 由 来 の 膵 頭 部 癌 を 手 術 する 際 には、 左 側 経 路 よりも 右 側 経<br />

路 の12b,…12p2,…8pリンパ 節 群 をSMA 根 部 に 向 かって 確 実 に 郭 清 する<br />

ことが 重 要 となる。そして、この 右 側 経 路 を 通 ってSMA 根 部 周 囲 か<br />

ら 腎 前 筋 膜 を 貫 いて 後 腹 膜 腔 内 の16b1 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 へと 癌 が<br />

リンパ 行 性 に 進 展 していくことを 是 非 理 解 していただきたい。<br />

-152-


ES3-2 局 所 解 剖 ・ 進 展 様 式 からみた 合 理 的 手 術 ( 膵 )<br />

山 形 大 学 医 学 部 外 科 学 第 一 講 座 ( 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 ・ 一 般 外 科 )<br />

○… 木 村 理<br />

… 膵 頭 部 後 面 のアーケイドを 形 成 する 動 脈 や 静 脈 などの 重 要 な 血 管 ,<br />

膵 頭 神 経 叢 第 I 部 ・ 第 II 部 , 膵 後 方 組 織 , 上 腸 間 膜 動 脈 周 囲 神 経 叢 は<br />

Treitz…の 癒 合 筋 膜 で 覆 われた 同 じ 空 間 に 存 在 する 構 造 物 である.…… 下<br />

膵 十 二 指 腸 動 脈 (IPDA)は 上 腸 間 膜 動 脈 (SMA) 左 側 から 分 岐 し, 第 一<br />

小 腸 動 脈 (J1)を 下 方 に 向 かって 分 岐 した 後 ,IPDAとなってSMAの 後<br />

面 を 右 側 に 向 かって 走 行 し, 前 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 AIPDAと 後 下 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 PIPDAに 分 岐 する.IPDAはAIPDとPIPDの 共 通 管 とな<br />

る 動 脈 で 約 80%に 存 在 する.…… 膵 頭 神 経 叢 の 解 剖 は 癌 の 進 展 様 式 を 知<br />

る 上 で 重 要 である.… 通 常 型 膵 癌 はTreitz…の 癒 合 筋 膜 腹 側 の 神 経 線 維<br />

や 結 合 織 に 沿 って 上 腸 間 膜 動 脈 に 向 かう 横 方 向 の 進 展 をする.… 上 腸<br />

間 膜 動 脈 背 面 近 傍 の 膵 頭 神 経 叢 をすべて 術 中 迅 速 病 理 組 織 診 に 供 し,<br />

その 部 に 浸 潤 のみられた 症 例 はその 部 を 取 りきるR0の 手 術 をすれば,<br />

膵 頭 神 経 叢 に 癌 浸 潤 のみられなかった 症 例 の 予 後 とほぼ 同 等 の 予 後 を<br />

示 した.<br />

ES3-3 局 所 解 剖 ・ 癌 進 展 様 式 からみた 合 理 的 手 術 ( 胆 道 )<br />

名 古 屋 大 学 外 科<br />

○… 梛 野 正 人<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 手 術 においては、まず、 肝 門 部 近 傍 の 複 雑<br />

な 外 科 解 剖 を 十 分 理 解 する 必 要 がある。 胆 管 、 門 脈 、 肝 動 脈 といった<br />

主 要 3 脈 管 の 分 岐 / 合 流 様 式 や 種 々のvariation…/…anomalyについての<br />

知 識 の 蓄 積 に 加 え、MDCTや 直 接 胆 管 造 影 像 などから 得 られる 情 報<br />

を 基 に、3 脈 管 の3 次 元 立 体 構 築 像 が 正 しく 描 けなければならない。 特<br />

に、“ 基 本 骨 格 ”となる 門 脈 に 対 して、 胆 管 ・ 肝 動 脈 がどのように 走<br />

行 しているのかを 十 分 理 解 しておく。この 解 剖 学 的 把 握 の 上 にたち、<br />

癌 の 進 展 様 式 を 考 慮 して 合 理 的 な 術 式 を 立 案 する。 以 下 、 具 体 的 に 幾<br />

つかの 注 意 点 を 述 べる。1) 右 側 優 位 の 癌 でB4 合 流 部 に 浸 潤 を 認 める<br />

症 例 では、 門 脈 臍 部 の 左 側 で 胆 管 を 切 離 する“ 解 剖 学 的 ” 右 3 区 域 切<br />

除 を 選 択 する。ただし、 肝 予 備 能 が 不 十 分 であれば、 断 端 陽 性 覚 悟 で<br />

右 葉 切 除 とする。2) 左 側 優 位 の 癌 で 右 前 後 区 域 胆 管 枝 合 流 部 に 癌 の 浸<br />

潤 を 認 める 症 例 では、 左 3 区 域 切 除 を 選 択 する。 左 葉 切 除 にくらべ 左 3<br />

区 域 切 除 では 右 後 区 域 胆 管 枝 を 約 7mm 長 く 切 除 することができる。<br />

ただし、 後 区 域 胆 管 がinfraportal…typeの 場 合 は 左 葉 切 除 でもよい。3)<br />

肝 動 脈 右 後 区 域 枝 がsupraportal…typeの 症 例 に 左 側 肝 切 除 、 特 に 左 3 区<br />

域 切 除 を 適 応 する 場 合 、この 動 脈 枝 への 浸 潤 の 有 無 を 慎 重 に 見 極 める<br />

必 要 がある。4) 比 較 的 太 い 右 下 肝 静 脈 を 有 する 症 例 では、 右 肝 静 脈 を<br />

切 除 する“ 拡 大 ” 左 3 区 域 切 除 が 可 能 となる。5) 局 所 進 行 癌 に 対 する<br />

左 3 区 域 切 除 + 門 脈 肝 動 脈 同 時 切 除 再 建 を 行 う 場 合 、 肝 門 側 からの 流<br />

入 血 の 処 理 が 出 来 ないことが 多 く、demarcation…lineを 得 ることが 難<br />

しい。 術 前 に 左 3 区 域 門 脈 枝 塞 栓 術 を 行 っておくと、 動 脈 遮 断 のみで<br />

これを 得 ることができ、 解 剖 学 的 に 正 しい 肝 離 断 が 可 能 となる。6) 門<br />

脈 や 肝 動 脈 の 合 併 切 除 は 肉 眼 所 見 に 基 づいて 行 えばよい。Neuhausら<br />

の 提 唱 するNo-touch…conceptには 科 学 的 根 拠 は 無 く、むやみに 行 うべ<br />

きではない。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-153-


特 別 企 画 1<br />

高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 実 際


SL1-1-1<br />

前 方 アプローチによる 右 肝 切 除<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 学<br />

○… 片 桐 聡 , 山 本 雅 一<br />

前 方 アプローチは1984 年 に 右 葉 巨 大 腫 瘍 に 対 するnon…touch…<br />

isolationの 肝 切 除 として 高 崎 らが 報 告 している。 通 常 の 右 肝 切 除 では<br />

右 冠 状 間 膜 から 右 三 角 間 膜 、 肝 腎 間 膜 、 裸 領 域 の 剥 離 を 行 い、 右 葉 の<br />

受 動 、 脱 転 から 右 肝 静 脈 の 処 理 を 背 側 肝 外 から 行 う。しかしながら 腫<br />

瘍 が 大 きく 受 動 が 困 難 な 症 例 や、 無 理 な 脱 転 のため 腫 瘍 細 胞 の 揉 み 出<br />

しを 起 こしかねない 悪 性 腫 瘍 の 場 合 に、これらを 回 避 する 目 的 で 受 動 、<br />

脱 転 を 行 わずに 腹 側 から 肝 臓 に 切 り 込 んでいく。 現 在 では 右 肝 切 除 を<br />

行 う 時 の 標 準 アプローチの 一 つとして 確 立 した。 肝 脱 転 を 行 い 左 手 で<br />

切 除 肝 を 把 持 することは 肝 臓 外 科 において 重 要 な 手 技 の 一 つであるが、<br />

それを 行 わずに 肝 切 除 を 行 うことは、Hanging…maneuverや 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 術 に 応 用 されている。 肝 門 部 グリソン 鞘 一 括 処 理 による 右 肝<br />

切 除 は、 二 次 分 枝 グリソン 鞘 で 前 区 域 枝 と 後 区 域 枝 を 別 々に 一 括 処 理<br />

し、 中 肝 静 脈 を 温 存 し 切 離 面 に 露 出 させるよう 肝 離 断 を 行 う。 続 いて<br />

尾 状 葉 突 起 部 と 右 葉 のdemarcation…lineから 切 り 込 み、 肝 下 縁 から 頭<br />

側 に 向 かって 肝 実 質 離 断 を 行 う。グリソン 鞘 一 括 処 理 の 場 合 には 尾 状<br />

葉 突 起 は 温 存 され、 右 一 次 分 枝 グリソン 鞘 の 線 維 組 織 の 背 側 には 肝 実<br />

質 が 残 る。この 部 の 実 質 の 離 断 を 頭 側 に 向 かい4cmほど 進 めたところ<br />

で 下 大 静 脈 の 右 縁 に 到 達 するのを 目 安 とし、その 後 に 下 大 静 脈 に 沿 っ<br />

て 順 次 短 肝 静 脈 枝 を 切 離 して、 右 肝 静 脈 根 部 に 達 する。 前 方 アプロー<br />

チによる 右 肝 切 除 では、 腹 側 前 面 から 見 た 下 大 静 脈 と 右 肝 静 脈 の 位 置<br />

関 係 は 確 認 できるが、 右 肝 静 脈 の 背 側 の 情 報 が 少 なく 盲 点 になってい<br />

る。 右 肝 静 脈 の 頭 側 で 肝 被 膜 を 剥 離 し、 頭 側 から 鈍 的 に 用 手 的 に 下 大<br />

静 脈 右 縁 に 沿 って 尾 側 に 指 を 進 め 右 肝 静 脈 の 剥 離 を 行 う。 指 が 右 肝 静<br />

脈 の 下 縁 に 出 たらテープを 通 し、これを 引 き 上 げながら 血 管 鉗 子 を 挿<br />

入 後 に 離 断 する。 以 上 までの 操 作 で 右 肝 は 残 肝 と 下 大 静 脈 から 切 離 さ<br />

れ、 右 冠 状 間 膜 、 右 三 角 間 膜 、 肝 腎 間 膜 のみで 後 腹 膜 と 横 隔 膜 に 付 着<br />

した 状 態 となっている。この 間 膜 を 切 除 し、 一 気 に 肝 を 摘 出 する。<br />

SL1-1-3<br />

肝 中 央 2 区 域 切 除<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 矢 永 勝 彦<br />

肝 中 央 二 区 域 切 除 は 肝 の 内 側 区 域 と 前 区 域 を 占 拠 する 腫 瘍 に 対 して<br />

両 区 域 を 一 塊 として 摘 出 する 手 技 である。<br />

両 肋 弓 下 切 開 とその 正 中 上 方 延 長 で 開 腹 し、 肝 円 索 を 結 紮 切 離 する。<br />

胆 嚢 管 と 胆 嚢 動 脈 を 同 定 、 結 紮 切 離 し、 胆 嚢 を 摘 出 する。 肝 円 索 を 左<br />

方 に 牽 引 し、まず 肝 外 で 内 側 区 域 に 向 かうグリッソン 枝 を 可 及 的 に 結<br />

紮 切 離 する。<br />

次 に 肝 鎌 状 間 膜 に 沿 って 肝 切 離 を 開 始 し、 肝 内 で 肝 円 索 から 内 側 区<br />

域 に 向 かうグリッソン 枝 を 結 紮 切 離 する。 更 に 肝 鎌 状 間 膜 に 沿 って 頭<br />

背 側 に 実 質 切 離 を 進 め、 肝 円 索 から 内 側 区 域 に 向 かうグリッソン 枝 を<br />

結 紮 切 離 し、 肝 内 側 区 域 と 外 側 区 域 の 間 を 中 肝 静 脈 と 左 肝 静 脈 の 合 流<br />

部 に 向 かって 切 離 を 進 める。<br />

肝 門 部 で 右 肝 動 脈 ならびに 門 脈 右 枝 を 肝 門 部 で 剥 離 し、その 上 で 前<br />

区 域 ならびに 後 区 域 の 動 脈 枝 ・ 門 脈 枝 をグリッソン 鞘 ごと、あるいは<br />

個 別 にテーピングする。<br />

肝 前 区 域 を 阻 血 して 肝 右 葉 を 脱 転 し、 肝 右 葉 を 挙 上 して 前 区 域 と 後<br />

区 域 の 間 で 右 肝 静 脈 の 腹 側 に 沿 って 肝 切 離 を 進 める。 左 側 の 肝 内 側 区<br />

域 と 外 側 区 域 の 離 断 面 の 背 側 で 中 肝 静 脈 をテーピングする。 視 野 が 良<br />

好 であれば、それに 続 いて 中 肝 静 脈 を 離 断 し 縫 合 閉 鎖 するが、 良 好 な<br />

視 野 が 得 られない 場 合 、 無 理 をせず 肝 切 離 終 了 後 に 回 す。 前 区 域 のうっ<br />

血 を 避 けるため、 中 肝 静 脈 の 根 部 処 理 は 前 区 域 の 流 入 血 行 遮 断 後 に 行<br />

う<br />

肝 の 左 側 、 右 側 の 実 質 切 離 をある 程 度 行 ったところで、 前 区 域 の 流<br />

入 血 管 と 胆 管 の 処 理 を 行 う。 傷 害 肝 の 場 合 は、 術 後 のリンパ 漏 を 予 防<br />

するために 肝 管 を 含 めてグリッソン 鞘 一 括 で 離 断 し、 断 端 を 連 続 縫 合<br />

で 縫 合 閉 鎖 する。<br />

切 除 する 中 央 二 区 域 の 実 質 離 断 が 背 側 に 進 んだ 時 点 で、 腫 瘍 径 が 大<br />

きくない 場 合 、 中 央 二 区 域 を 右 肋 弓 をくぐって 右 横 隔 膜 側 へ 翻 転 させ<br />

ると、 頭 側 の 実 質 切 離 が 容 易 となる。<br />

肝 中 央 二 区 域 の 切 除 後 には、 肝 切 離 面 には 右 肝 静 脈 と 左 肝 静 脈 が 露<br />

出 し、その 最 深 部 には 肝 部 下 大 静 脈 と 中 肝 静 脈 切 離 断 端 が 確 認 できる。<br />

肝 切 離 断 端 の 止 血 を 確 認 し、 閉 鎖 式 ドレーンをWinslow 孔 経 由 で 下<br />

大 静 脈 前 面 に 留 置 し、 閉 腹 する。<br />

SL1-1-2<br />

肝 区 域 切 除 術<br />

1<br />

兵 庫 医 科 大 学 外 科 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 医 療 法 人 社 団 山 中 医 院<br />

1,2<br />

○… 山 中 潤 一 , 飯 室 勇 二 1<br />

, 黒 田 暢 一 1<br />

, 平 野 公 通 1<br />

,<br />

岡 田 敏 弘 1<br />

, 麻 野 泰 包 1<br />

, 木 下 幸 治 1<br />

, 鈴 村 和 大 1<br />

,<br />

中 村 育 夫 1<br />

, 近 藤 祐 一 1<br />

, 小 坂 久 1<br />

, 裴 正 寛 1<br />

, 宇 多 優 吾 1<br />

,<br />

末 岡 英 明 1<br />

, 矢 田 章 人 1<br />

, 大 橋 浩 一 郎 1<br />

, 岡 本 共 弘 1<br />

,<br />

栗 本 亜 美 1 1<br />

, 藤 元 治 朗<br />

肝 は 脈 管 のバリエーションに 富 む 複 雑 な 局 所 解 剖 を 有 する。 肝 内 を 交<br />

錯 するグリソン 系 脈 管 、 肝 静 脈 の 分 岐 やバリエーション、さらに 腫 瘍<br />

との 立 体 関 係 に 関 する 詳 細 な 術 前 情 報 が、 安 全 な 術 式 の 選 択 と 施 行 に<br />

重 要 と 考 えられる。 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 区 域 切 除 術 は、 根 治 性 と 安 全<br />

性 を 両 立 させる 系 統 切 除 術 式 として、 幕 内 らにより 前 区 域 切 除 が 報 告<br />

された(Surgery…1993;114:52-8)。 近 年 、 肝 切 除 シミュレーション<br />

導 入 により、3D 統 合 画 像 を 用 いた 局 所 解 剖 と、 担 癌 門 脈 灌 流 域 に 基<br />

づく 肝 切 除 容 積 算 出 、マージン 予 測 を 行 い、 治 癒 切 除 術 式 の 詳 細 な 術<br />

前 計 画 が 可 能 となった(Hepatology…2005;41:1297-304)。 肝 区 域 切<br />

除 における 手 術 手 技 上 の 特 徴 として、1. 肝 葉 切 除 術 よりも 末 梢 側 で 肝<br />

門 部 脈 管 を 処 理 すること、2. 一 般 的 に 肝 静 脈 本 幹 は 温 存 すること、3. 前<br />

区 域 切 除 および 内 側 区 域 切 除 では 肝 切 離 面 が2 面 となり 広 範 囲 に 及 ぶ<br />

ことが 挙 げられる。 今 回 、 高 崎 らの 肝 門 部 グリソン 鞘 一 括 処 理 (Int…<br />

Surg…1990;75:73-7)を 用 いた 区 域 切 除 の 基 本 手 技 について 概 説 する。<br />

区 域 切 除 術 式 のポイントとして、(1) 術 前 肝 切 除 シミュレーション・ 術<br />

中 エコーを 用 いた 適 切 な 術 式 の 選 択 、(2) 担 癌 グリソン 枝 遮 断 による<br />

demarcation…line、 離 断 面 での 肝 静 脈 同 定 に 基 づく 肝 実 質 切 離 、(3) 腫<br />

瘍 が 肝 門 部 に 近 接 し、グリソン 枝 離 断 時 に 断 端 に 十 分 な 余 裕 がとれな<br />

い 場 合 、 肝 切 除 の 最 終 段 階 で 行 ってもよいこと、(4) 肝 静 脈 出 血 対 処 法<br />

として、 術 者 の 左 手 による 肝 挙 上 と 肝 静 脈 遮 断 が 有 用 な 場 合 があるこ<br />

と、(5)グリソン 枝 テーピングや 肝 門 部 肝 切 離 時 の 胆 管 損 傷 に 留 意 し、<br />

術 中 胆 道 造 影 による 確 認 を 行 う。 肝 区 域 切 除 術 は 肝 実 質 温 存 による 安<br />

全 性 と 系 統 的 切 除 による 根 治 性 の 両 面 を 兼 ね 備 えた 治 癒 切 除 術 式 とし<br />

て 重 要 と 考 えられる。 術 前 シミュレーション、 術 中 エコーによる 画 像<br />

支 援 は、 区 域 切 除 を 含 めた 高 難 度 肝 胆 膵 手 術 の 安 全 且 つ 確 実 な 施 行 の<br />

ために 有 用 な 情 報 を 提 供 し 得 る。<br />

SL1-1-4<br />

肝 尾 状 葉 切 除<br />

日 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 高 山 忠 利<br />

【 概 念 】 肝 尾 状 葉 単 独 全 切 除 術 式 である『 高 位 背 方 切 除 』を 解 説 す<br />

る。 要 点 は、1. 尾 状 葉 の3 部 を 染 色 法 を 駆 使 して 正 確 に 同 定 し、2.<br />

尾 側 から 開 始 した 肝 切 離 の 頭 側 端 は 三 肝 静 脈 根 部 までの『 高 位 』に 到<br />

達 し、3. 左 右 肝 葉 を 一 切 合 併 切 除 せずに『 背 方 』からのアプローチ<br />

で 尾 状 葉 を 単 独 で 全 摘 する、の3 点 である。<br />

【 手 順 】1) 肝 全 体 を 生 理 的 固 定 および 下 大 静 脈 から 完 全 に 遊 離 し、<br />

肝 門 部 脈 管 と 三 肝 静 脈 のみで 連 結 している 状 態 にする。 右 肝 静 脈 、 中 ・<br />

左 肝 静 脈 をテーピングする。2) 尾 状 葉 の 右 縁 を 同 定 するために、 門 脈<br />

右 後 枝 を 穿 刺 し 後 区 域 を 染 色 する(Counterstaining 法 )。 染 色 域 ( 後 区<br />

域 )と 非 染 色 域 ( 尾 状 葉 )との 境 界 が 尾 状 葉 右 縁 に 相 当 する。 尾 状 葉 の<br />

腹 側 縁 は、 経 肝 静 脈 的 穿 刺 により 右 肝 静 脈 および 中 肝 静 脈 背 側 の 肝 実<br />

質 を 染 色 して 同 定 する。3) 尾 状 葉 右 縁 から 肝 離 断 を 開 始 し、 門 脈 右 枝<br />

の 根 部 にいたり、 右 第 1 次 分 枝 から 分 岐 する 尾 状 葉 の 突 起 部 グリソン<br />

を 結 紮 切 離 する。4) 門 脈 右 枝 の 直 下 で 頭 側 に 肝 離 断 を 進 め、 入 れ 墨 部<br />

を 目 標 に 右 肝 静 脈 に 達 する。その 本 幹 背 面 を 露 出 しながら 頭 側 に 進 み、<br />

テーピングしてあった 根 部 に 到 達 する。5) 肝 門 部 に 移 り、 肝 門 板 を 左<br />

方 にめくり 起 こしながら、その 裏 面 から 分 岐 する 尾 状 葉 の 下 大 静 脈 部<br />

グリソンさらにSpiegel 部 グリソンを 結 紮 切 離 する。6) 左 手 を 離 断 面<br />

を 挿 入 しArantius 靭 帯 の 直 上 で 離 断 先 進 部 を 小 網 腔 に 穿 通 させ、この<br />

靭 帯 の 頭 尾 側 の 付 着 部 を 切 離 する。7)この 穿 通 口 をArantius 靭 帯 に<br />

沿 って 開 大 する。この 開 口 部 の1cmほどの 深 部 に 中 肝 静 脈 が 存 在 して<br />

いるので、これを 損 傷 しないように 注 意 深 く 肝 離 断 を 行 なう。その 本<br />

幹 背 面 を 露 出 しながら 頭 側 に 進 み、 予 めテーピングしてあった 中 ・ 左<br />

肝 静 脈 根 部 に 到 達 する。 最 後 に、 残 った 肝 実 質 を 左 右 から 離 断 すれば、<br />

尾 状 葉 が 単 独 で 全 摘 される。 肝 離 断 面 には 尾 状 葉 を 境 界 する 下 大 静 脈<br />

腹 側 面 ・ 三 肝 静 脈 背 面 ・ 肝 門 板 裏 面 が 完 全 に 露 出 する。<br />

【 結 語 】 高 位 背 方 切 除 は 尾 状 葉 肝 癌 に 対 する 安 全 かつ 系 統 的 な 術 式<br />

である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-157-


SL1-2-1<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 尾 状 葉 切 除 ・ 肝 外 胆 管 切 除 を 伴<br />

う 左 側 肝 切 除<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学<br />

○… 遠 藤 格<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 して 安 全 に 治 癒 切 除 を 行 なうには、 正 確 な 術 前 進<br />

展 度 診 断 だけでなく、それを 如 何 に 術 中 に 反 映 させるかが 重 要 である。<br />

同 時 に、 解 剖 学 的 立 体 構 築 の 把 握 を 如 何 に 行 うかがポイントとなる。<br />

今 回 、 教 室 で 行 っている3DCTに 基 づいた 肝 門 部 胆 管 癌 手 術 をビデオ<br />

で 提 示 するとともに 治 療 成 績 について 明 らかにする。 まず3D 画 像<br />

による 胆 管 ・ 動 脈 ・ 門 脈 ・ 肝 静 脈 を 表 示 し 解 剖 学 的 変 異 を 把 握 する。<br />

肝 門 板 は 表 示 できないが、UPポイント 外 側 10mmにその 外 縁 を 想 定<br />

する。Multiplanar 画 像 をデスクトップ 上 に 同 時 に 表 示 して 腫 瘍 の 進<br />

展 範 囲 をU、Pポイントを 規 準 として 診 断 する。 胆 管 切 離 部 位 および<br />

合 併 切 除 する 血 管 を 決 定 する。 肝 切 離 ラインをvirtual…3D 画 像 上 で 作<br />

成 し、 切 離 面 にあらわれるグリソン、 肝 静 脈 枝 を 同 定 する。さらに 胆<br />

管 切 離 部 位 において 開 口 する 胆 管 の 本 数 と 所 属 を 同 定 する。 実 際 の<br />

手 術 は、 術 前 シミュレーションどおりに 行 なう。 肝 実 質 切 離 では 適 宜<br />

Hanging…manueverを 用 いて 肝 切 離 を 行 う。 肝 動 脈 ・ 門 脈 の 合 併 切 除<br />

が 必 要 な 症 例 ではまず 肝 動 脈 再 建 を 行 い、 肝 血 流 を 確 保 しつつ 門 脈 再<br />

建 を 行 なう。 胆 管 空 腸 吻 合 は5-0 吸 収 糸 、 結 節 縫 合 を 基 本 とする。 経<br />

腸 的 にドレナージチューブを 引 き 出 して 体 外 にドレナージする。 3D<br />

画 像 に 基 づく 術 式 立 案 は 治 癒 切 除 率 を 改 善 させるばかりでなく 出 血 量<br />

減 少 、 術 後 合 併 症 減 少 、 在 院 期 間 短 縮 にも 寄 与 する。 実 際 の 手 技 につ<br />

いて 供 覧 したい。<br />

SL1-2-2<br />

Right-sidedhepatectomyforperihilar<br />

cholangiocarcinoma<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 上 坂 克 彦<br />

Purpose:… Although… right-sided… hepatectomy,… such… as… a… right…<br />

hepatectomy…or…right…trisectionectomy…with…resection…of…the…caudate…<br />

lobe… and… extrahepatic… bile… duct,… is… used… to… treat… perihilar…<br />

cholangiocarcinoma… predominantly…involving…the…right…side…of…the…<br />

hepatic…hilum,…it…is…associated…with…several…difficult…technical…points.…<br />

The…important…points…during…right-sided…hepatectomy…are…reported.…<br />

Techniques:… Because… there… may… be… anatomical… variations,… it… is…<br />

indispensable… to… comprehend… the… individual… hilar… anatomy…<br />

preoperatively.…Surgical…procedures…consist…of…lymph…node…clearance,…<br />

dissection… of… the… distal… bile… duct,… skeletonization… resection… of… the…<br />

hepatoduodenal… ligament,… dissection… of… the… hepatic… arteries… and…<br />

portal…branches…for…the…right…liver…or…the…right…trisections,…dissection…<br />

of…the…caudate…lobe…portal…branches,…mobilization…of…the…liver…and…<br />

liver…resection,…dissection…of…the…intrahepatic…bile…ducts,…and…biliary…<br />

reconstruction.…During…lymph…node…dissection…and…skeletonization…<br />

resection…of…the…hepatoduodenal…ligament,…the…nerve…plexus…around…<br />

the…hepatic…artery…is…dissected,…and…its…adventitia…is…exposed…with…<br />

great…care…to…avoid…injuring…the…hepatic…artery.…Mobilization…of…the…<br />

caudate…lobe…is…performed…only…from…the…right…side.…The…landmarks…<br />

to… divide… the… intrahepatic… bile… ducts… are… the… right… border… of… the…<br />

umbilical…portion…of…the…left…portal…vein…for…right…hepatectomy…and…<br />

the…left…border…for…right…trisections.…When…dividing…them,…extreme…<br />

caution…has…to…be…paid…not…to…injure…the…middle…hepatic…artery…for…<br />

right…hepatectomy…and…left…hepatic…artery…for…right…trisectionectomy.…<br />

Conclusions:… Although… right-sided… hepatectomy… has… been…<br />

established… as… a… standardized… procedure… for… perihilar…<br />

cholangiocarcinoma,…surgeons…should…perform…meticulous…techniques…<br />

for…successful…surgery.<br />

SL1-2-3<br />

胆 嚢 癌 に 対 する 肝 S4aS5 切 除<br />

千 葉 大 学 大 学 院 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 清 水 宏 明 , 木 村 文 夫 , 吉 留 博 之 , 大 塚 將 之 , 加 藤 厚 ,<br />

吉 富 秀 幸 , 古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 高 屋 敷 吏 , 久 保 木 知 ,<br />

中 島 正 之 , 宮 崎 勝<br />

胆 嚢 は 粘 膜 筋 板 を 欠 き 固 有 筋 層 も 薄 く、また 漿 膜 下 層 が 血 管 とリン<br />

パ 管 に 富 むという 解 剖 学 的 特 徴 のため、 胆 嚢 癌 が 一 旦 筋 層 を 穿 破 し 漿<br />

膜 下 に 浸 潤 すると 血 管 やリンパ 管 に 容 易 に 波 及 し、 転 移 ・ 浸 潤 を 来 す<br />

という 特 徴 を 有 している。したがって、 胆 嚢 癌 はその 壁 深 達 度 および<br />

その 進 展 度 に 見 合 った 切 除 術 式 を 選 択 することが 重 要 とされる。 画 像<br />

診 断 にて 筋 層 (mp)までの 壁 深 達 度 (T1)と 判 断 される 症 例 では、 胆 嚢<br />

全 層 切 除 を 行 い、 術 中 迅 速 組 織 診 を 施 行 する。その 一 方 、 肝 十 二 指 腸<br />

間 膜 浸 潤 を 認 める、あるいは 肝 内 直 接 浸 潤 が 強 く、 右 グリソン 系 に 直<br />

接 浸 潤 が 疑 われる 進 行 例 (T3,…T4)には、 拡 大 肝 右 葉 切 除 + 胆 管 切 除 が<br />

選 択 される。また、その 中 間 であるT2 胆 嚢 癌 では 適 切 な 外 科 的 切 除<br />

により、 予 後 の 向 上 が 期 待 できるとされるが、その 至 適 肝 切 除 範 囲<br />

(S4a+S5 切 除 あるいは 胆 嚢 床 切 除 )、 肝 外 胆 管 切 除 の 必 要 性 などにつ<br />

いて、いまだ 議 論 がなされており、コンセンサスは 得 られていな<br />

い。 今 回 は、 胆 嚢 癌 に 対 する 肝 S4a+S5 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除 、D2リ<br />

ンパ 節 郭 清 の 手 術 手 技 のビデオで 概 説 する。この 術 式 はT2 胆 嚢 癌 が<br />

もっとも 良 い 適 応 となるが、さらに、 画 像 診 断 にて 肝 十 二 指 腸 間 膜 浸<br />

潤 陰 性 、および 肝 内 直 接 浸 潤 が 軽 度 で 右 グリソン 系 に 直 接 浸 潤 が 及 ば<br />

ないと 判 断 されるT3、T4 症 例 にも 適 応 となる。 以 下 に 手 術 手 順 を 示<br />

す。 1. Kocherの 授 動 、 膵 頭 後 部 のリンパ 節 の 郭 清 。2. 総 胆 管 を<br />

膵 内 まで 剥 離 ・ 切 離 。3. 肝 動 脈 、 門 脈 をテーピング。 肝 十 二 指 腸 間<br />

膜 内 のリンパ 節 郭 清 。 固 有 肝 動 脈 から 総 肝 動 脈 根 部 までのリンパ 節 郭<br />

清 。4. 門 脈 臍 部 の 左 側 を 開 き、P4aの 切 離 。5. 門 脈 、 動 脈 の 後 区 域<br />

枝 をclampし、 前 ・ 後 区 域 の 境 界 を 電 気 メスでマーキング。このライ<br />

ンとS4aの 境 界 のラインを 横 に 延 ばしてその 範 囲 を 肝 切 離 ラインとす<br />

る。5. 肝 切 離 を 進 め、 中 肝 静 脈 の 露 出 し、 切 離 。 前 区 域 グリソンか<br />

らのS5のグリソンを 露 出 し、その 起 始 部 にて 切 離 。6. 胆 管 は 左 右 肝<br />

管 合 流 部 で 切 離 。7. 胆 道 再 建 。 肝 S4a+S5 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除 術<br />

は 拡 大 、 縮 小 が 可 能 であり、また、 手 術 侵 襲 も 比 較 的 小 さく、 肝 切 除 ・<br />

胆 道 再 建 などの 手 技 を 含 む 胆 道 外 科 基 本 手 術 の 一 つと 考 える。<br />

SL1-2-4<br />

胆 道 再 建<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 Ⅱ<br />

○… 田 中 栄 一 , 平 野 聡 , 土 川 貴 裕 , 松 本 譲 , 加 藤 健 太 郎 ,<br />

七 戸 俊 明<br />

背 景 : 胆 管 空 腸 吻 合 は 胆 道 癌 手 術 において 胆 汁 流 出 路 の 再 建 をになう<br />

手 術 後 半 の 中 心 的 手 技 であり、 胆 汁 瘻 ・ 胆 管 空 腸 縫 合 不 全 は 胆 道 癌 手<br />

術 成 績 にかかわる 重 大 な 合 併 症 である。 対 象 と 方 法 : 胆 汁 漏 は 術 後 3<br />

日 目 以 降 も 持 続 する 胆 汁 性 排 液 を 認 めた 場 合 、または 腹 腔 内 貯 留 液 の<br />

穿 刺 ドレナージにて 胆 汁 の 排 出 を 認 めた 症 例 とし、 胆 管 空 腸 縫 合 不 全<br />

は 胆 汁 漏 をみとめた 症 例 のうち、 造 影 検 査 にて 吻 合 部 が 造 影 されたも<br />

のと 定 義 した.1998 年 9 月 ―2010 年 12 月 までに 当 科 で 行 った 胆 道 癌 肝 切<br />

除 ・ 胆 管 再 建 例 220 例 を 検 討 した. 胆 管 空 腸 吻 合 の 際 には、1: 肝 円 索<br />

の 牽 引 や、タオルなどを 用 いて 肝 臓 の 位 置 を 適 切 に 固 定 するなどで、<br />

吻 合 術 野 をできるだけ 浅 くする 2:はじめに 胆 管 および 空 腸 壁 全 層<br />

に3 時 および9 時 方 向 にかけた 縫 合 糸 を 牽 引 して(ropeway 法 ) 吻 合 ライ<br />

ンをとらえやすくする 3:まず 後 壁 側 を 結 節 で 縫 合 していくが、 縫<br />

合 した 糸 の 緊 張 を 適 度 に 保 つことと 絡 まらないよう 順 番 にまとめてお<br />

くことが 重 要 で、 後 壁 の 縫 合 糸 をすべてかけ 終 えた 後 に 結 紮 してい<br />

く 4: 後 壁 に1 針 固 定 用 の 吸 収 糸 をかけておいて、 再 建 胆 管 に 後 壁 の<br />

縫 合 糸 結 紮 した 後 に 通 常 5Frのドレナージチューブを 挿 入 し、 先 の 固<br />

定 糸 で 結 紮 固 定 する。この 操 作 は、 再 建 するすべての 胆 管 に 行 う。ド<br />

レナージチューブは 経 腸 的 に 誘 導 し、 体 外 へ 出 す。5: 最 後 に 前 壁 の<br />

縫 合 をおこない、 胆 管 空 腸 吻 合 を 完 了 する。 結 果 : 男 性 146 例 女 性 74 例 ・<br />

年 齢 中 央 値 68 歳 ・ 胆 管 癌 140 例 ・ 胆 管 細 胞 癌 45 例 ・ 胆 嚢 癌 35 例 .… 術 式 は<br />

右 葉 切 除 118 例 ・ 左 葉 切 除 72 例 ・ 右 3 区 域 切 除 10 例 ・ 左 3 区 域 切 除 11 例 ・<br />

その 他 2 例 ・PD 同 時 施 行 例 は30 例 .… 手 術 時 間 中 央 値 646 分 ・ 出 血 量 中 央<br />

値 1783グラム.… 胆 道 再 建 本 数 の 中 央 値 2 本 ・ 門 脈 切 除 再 建 例 118 例 ・ 動<br />

脈 合 併 切 除 例 24 例 ・ 輸 血 施 行 84 例 であった. 胆 管 空 腸 縫 合 不 全 は13 例<br />

(5.9%)に 認 められた. 胆 管 空 腸 縫 合 不 全 は 術 後 3 日 目 までの 血 小 板 数 10<br />

万 以 下 が 危 険 因 子 として 挙 げられた. 血 小 板 10 万 以 下 の 症 例 は 手 術 時<br />

間 600 分 以 上 、 出 血 量 1700グラム 以 上 、 輸 血 施 行 例 に 有 意 に 多 くみと<br />

められた.… 結 語 : 決 まった 安 定 した 手 順 で 行 うことによって 胆 管 空 腸<br />

吻 合 は 安 全 に 施 行 可 能 である。 胆 管 空 腸 縫 合 不 全 の 危 険 因 子 としてお<br />

そらく 手 術 侵 襲 と 関 連 する 術 後 早 期 の 血 小 板 数 10 万 以 下 が 挙 げられ<br />

た.<br />

-158-


SL1-3-1<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 標 準 的 アプローチ 法<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 外 科 学 第 2 講 座<br />

○… 山 上 裕 機<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 工 程 は、 切 除 ・ 郭 清 手 技 と 再 建 手 技 に 大 きく 分<br />

けることができる。まず、 切 除 ・ 郭 清 手 技 については、 膵 頭 部 の 授 動<br />

( 門 脈 トンネリング)およびリンパ 節 郭 清 を 経 て、 膵 切 離 を 行 う。 上 腸<br />

間 膜 動 脈 周 囲 神 経 叢 郭 清 は 最 も 重 要 な 手 技 である。 膵 頭 部 を 中 心 とす<br />

る 右 半 膵 臓 はTreitz 靱 帯 により 後 腹 膜 に 固 定 され、Kocher 十 二 指 腸<br />

受 動 術 についで 門 脈 周 囲 の 剥 離 と 膵 頭 部 後 面 のトンネリングに 移 る。<br />

Toldt 癒 合 筋 膜 の 延 長 線 上 で 横 行 結 腸 と 十 二 指 腸 を 剥 離 すると 上 腸 間<br />

膜 静 脈 (SMV) 本 幹 が 容 易 に 同 定 できる。その 際 、 右 副 結 腸 静 脈 およ<br />

び 前 上 膵 十 二 指 腸 静 脈 を 先 に 結 紮 しておくと 視 野 展 開 が 容 易 となり 出<br />

血 なく 胃 結 腸 静 脈 幹 に 到 達 できる。SMV 腹 側 をトンネリングして 膵<br />

切 離 にそなえる。まず、 胃 切 離 を 行 うが、われわれは 幽 門 輪 ぎりぎり<br />

で 胃 を 切 離 するpylorus-resecting…PD…(PrPD)を 推 奨 している。ついで、<br />

型 どおり 胆 嚢 摘 出 術 を 行 い 総 肝 管 の 高 さで 胆 管 を 切 離 するが、 右 肝 動<br />

脈 を 同 定 しテーピングすることが 肝 要 で、この 操 作 なしに 先 に 総 肝 管<br />

を 剥 離 すると 背 面 を 走 行 する 右 肝 動 脈 を 損 傷 する 危 険 性 がある。<br />

#12a,b,pのリンパ 節 郭 清 を 行 い、#8a,pの 郭 清 領 域 につなげて 一 塊 と<br />

してリンパ 節 を 切 除 する。 膵 切 離 では、 膵 頭 部 を 絹 糸 で 結 紮 し、 横 膵<br />

動 脈 からの 出 血 をコントロールしながらハーモニックスカルペルで<br />

ゆっくり 切 離 を 開 始 する。 膵 管 の 周 辺 は 尖 刃 刀 で 膵 を 鋭 的 に 切 離 し、<br />

切 除 側 の 膵 管 断 端 を 術 中 迅 速 病 理 診 断 に 提 出 する。SMV 本 幹 と 門 脈<br />

本 幹 の2カ 所 でテーピングし 左 側 へ 牽 引 しながらSMAの 直 上 の 神 経 叢<br />

をケリー 鉗 子 でていねいに 剥 離 し、 膵 頭 神 経 叢 の 第 II 部 の 右 側 を 切 除<br />

する。 原 則 的 に 左 側 は 温 存 している。 出 血 量 を 減 少 させるコツは、 可<br />

及 的 すみやかに 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 (IPDA)を 根 部 で 結 紮 切 離 すること<br />

である。SMA 右 側 の 膵 頭 神 経 叢 を 第 II 部 から 第 I 部 まで 郭 清 すると、<br />

右 腹 腔 神 経 叢 が 郭 清 されSMAの 根 部 が 完 全 に 露 出 する。 以 上 、 標 準<br />

的 な 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 手 技 についてビデオで 解 説 する。<br />

SL1-3-2<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 時 の 消 化 管 再 建<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 羽 鳥 隆<br />

【はじめに】 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 の 内 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)<br />

では 膵 再 建 , 胆 道 再 建 , 十 二 指 腸 または 胃 と 空 腸 の 吻 合 などの 消 化 管<br />

再 建 が 必 要 となる. 膵 再 建 では 膵 消 化 管 吻 合 により 膵 液 を 消 化 管 へド<br />

レナージするが, 再 建 臓 器 として 空 腸 を 用 いる 膵 空 腸 吻 合 と 胃 を 用 い<br />

る 膵 胃 吻 合 とがある.しかし, 正 常 膵 における 膵 再 建 では 旺 盛 な 膵 外<br />

分 泌 機 能 のため, 縫 合 不 全 を 含 めた 膵 液 瘻 から 腹 腔 内 出 血 , 腹 腔 内 膿<br />

瘍 などの 重 篤 な 術 後 早 期 合 併 症 を 惹 起 する 可 能 性 がある.そのため,<br />

通 常 は 外 瘻 あるいは 内 瘻 による 膵 管 ステントチューブを 留 置 している<br />

ことが 多 いが, 正 常 膵 においても 確 実 な 膵 消 化 管 吻 合 を 行 うことがで<br />

きれば, 必 ずしもステントチューブは 必 要 ではないと 考 えられる.ま<br />

た, 胆 道 再 建 では 主 に 総 肝 管 と 空 腸 を 吻 合 し 胆 汁 を 消 化 管 へドレナー<br />

ジするが, 膵 再 建 同 様 , 確 実 な 肝 管 空 腸 吻 合 を 行 うことができれば,<br />

必 ずしもステントチューブは 必 要 ではないと 考 えられる.そこで, 当<br />

科 で 施 行 しているPD 後 の 膵 空 腸 吻 合 (no…stent 法 )を 中 心 にPD 時 の 消<br />

化 管 再 建 について 解 説 する.【 手 術 手 技 】 通 常 , 幽 門 輪 温 存 PDを 行 い,<br />

膵 - 胆 管 - 十 二 指 腸 ( 胃 ) 配 列 で 再 建 をしている. 膵 空 腸 吻 合 のポイン<br />

トは 細 い 無 傷 針 のモノフィラメント 糸 を 用 いて 確 実 な 吻 合 を 行 い 吻 合<br />

部 のpatentcyを 確 保 することである. 膵 切 離 はメスで 鋭 的 に 行 い, 止<br />

血 のみ 行 うが,この 際 , 膵 断 端 を 保 護 する 目 的 で 過 度 に 遊 離 せず,ま<br />

た, 吻 合 の 際 に 強 力 な 支 持 組 織 となる 膵 被 膜 を 剥 離 しすぎないように<br />

注 意 する. 膵 空 腸 吻 合 は 膵 実 質 被 膜 と 空 腸 漿 膜 筋 層 , 膵 実 質 ・ 膵 管 と<br />

空 腸 全 層 の2 層 縫 合 で 行 い, 確 実 な 吻 合 が 行 えればステントチューブ<br />

は 必 要 ないが, 運 針 に 手 間 取 り 膵 管 損 傷 の 恐 れのある 場 合 にはステン<br />

トチューブを 留 置 することもある. 肝 管 空 腸 吻 合 は 通 常 ,5-0 無 傷 針<br />

吸 収 性 モノフィラメント 糸 を 用 いた1 層 の 結 節 縫 合 で 行 い,ステント<br />

チューブは 留 置 していない. 十 二 指 腸 または 胃 と 空 腸 の 吻 合 は 前 結 腸<br />

経 路 で 行 い, 吻 合 部 を 結 腸 より 足 側 に 置 き, 胃 ・ 十 二 指 腸 ・ 空 腸 がス<br />

トレートになるようにすると 胃 内 容 排 出 遅 延 (DGE)はほとんど 発 生<br />

しない.<br />

SL1-3-3<br />

血 管 浸 潤 例 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

帝 京 大 学 外 科<br />

○… 天 野 穂 高 , 高 田 忠 敬 , 三 浦 文 彦 , 豊 田 真 之 , 和 田 慶 太 ,<br />

渋 谷 誠 , 前 野 佐 和 子 , 佐 野 圭 二<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 門 脈 切 除 再 建 (PVR)は1970<br />

年 代 後 半 頃 より 次 第 に 一 般 的 となり、 最 近 の 膵 癌 登 録 によると、 約<br />

30%の 症 例 に 対 してPVRが 施 行 されている. 膵 癌 診 療 ガイドラインで<br />

は「 門 脈 合 併 切 除 により 切 除 断 端 および 剥 離 面 における 癌 浸 潤 を 陰 性<br />

にできる 症 例 に 限 り 適 応 となると 考 えられる」とされており、NCCN<br />

ガイドラインでも、 進 行 度 によってはPVRの 意 義 を 認 めている.ま<br />

た 高 度 技 能 専 門 医 を 目 指 す 人 たちにとってPVRは、 習 得 が 不 可 欠 な<br />

手 技 であるといえる.…【ポイント】…(1)… 術 前 評 価 ・ 手 術 のプランを 十<br />

分 に 行 う. 門 脈 切 除 の 部 位 、 長 さ、 分 岐 形 態 を 把 握 する. 基 本 的 には<br />

端 々 吻 合 が 可 能 であるが、 切 除 長 が5cmを 超 える 場 合 や 吻 合 部 に 緊 張<br />

が 認 められる 場 合 には、グラフトの 使 用 も 考 慮 する.…(2)… 血 管 外 科<br />

の 基 本 を 理 解 する. 全 層 一 層 縫 合 で 内 膜 同 士 を 接 着 させ、 血 管 鉗 子 や<br />

摂 子 による 内 膜 損 傷 を 最 小 限 にとどめる.…(3)… 適 切 な 機 器 や 材 料 を<br />

準 備 する. 血 管 鉗 子 は 各 種 の 長 さや 曲 がりの 血 管 鉗 子 を 準 備 し、 状 況<br />

に 応 じて 使 用 する.われわれは、…6-0の 両 端 針 (プロリン,…BV-1,…エチコ<br />

ン 社 )、カストロビエホ 氏 持 針 器 を 用 いている.…(4) 過 緊 張 による 狭 窄 、<br />

過 長 による 屈 曲 、ねじれに 留 意 する. 右 結 腸 の 授 動 により 吻 合 部 の 緊<br />

張 が 緩 和 できる. 逆 にグラフト 使 用 時 には、 過 長 による 屈 曲 に 気 をつ<br />

ける.ねじれ 防 止 には、 血 管 鉗 子 をかける 際 の 注 意 が 必 要 である. 吻<br />

合 部 に 不 安 を 感 じる 場 合 は、 躊 躇 せず 再 吻 合 を 行 う.…(5) 脾 静 脈 や 左<br />

胃 静 脈 が 切 離 された 場 合 は、 胃 や 脾 臓 に 鬱 血 をきたしている 可 能 性 が<br />

あり、 注 意 が 必 要 である.【 現 状 および 展 望 】 最 近 のmeta…analysis<br />

では、R0が 可 能 な 場 合 にはPVRの 有 無 による 予 後 の 差 はなかったと<br />

の 報 告 がある.また 画 像 診 断 の 進 歩 、 手 術 技 術 の 進 歩 、adjuvant…and…<br />

neo-adjuvant…therapyの 進 歩 などがあり、 血 管 合 併 切 除 をともなった<br />

膵 切 除 は 再 評 価 されるべきと 考 えられる. 正 確 な 診 断 に 基 づいた 適 切<br />

な 患 者 選 択 が 行 われ、 安 全 なR0 切 除 が 可 能 であれば、PVRの 適 応 が<br />

あると 考 える.<br />

SL1-3-4<br />

膵 体 尾 部 切 除 術<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 統 合 癌 治 療 外 科 学<br />

○… 江 川 新 一 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

, 岡 田 恭 穂 1<br />

, 石 田 昌 玄 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

,<br />

水 間 正 道 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 大 塚 英 郎 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 林 洋 毅 1<br />

,<br />

中 川 圭 2<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 内 藤 剛 1<br />

,<br />

力 山 敏 樹 1<br />

, 片 寄 友 2<br />

, 海 野 倫 明<br />

1<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 は、 左 上 腹 部 の 基 礎 的 手 技 であるとともに、 膵 体 尾 部<br />

癌 をはじめとする 腫 瘍 性 病 変 に 対 する 根 治 術 式 として 腹 腔 動 脈 幹 ある<br />

いは 副 腎 、 横 行 結 腸 など 隣 接 臓 器 の 合 併 切 除 を 伴 う 根 治 切 除 術 に 至 る<br />

までのバリエーションの 多 い 術 式 である。 術 前 の 病 巣 進 展 度 の 評 価 と<br />

隣 接 臓 器 との 解 剖 学 的 位 置 関 係 の 把 握 が 必 須 である。 脾 臓 温 存 膵 体 尾<br />

部 切 除 術 は、 良 性 あるいは 低 悪 性 腫 瘍 に 適 応 となる。Warshaw 手 術<br />

は 脾 動 静 脈 を 切 離 し、 短 胃 動 静 脈 での 血 流 による 脾 臓 温 存 を 行 う 術 式<br />

で、Kimura 手 術 は 脾 動 静 脈 を 温 存 する 術 式 である。 腹 腔 鏡 下 あるい<br />

は 開 腹 で、 膵 切 離 後 に 脾 門 部 にむかって 膵 実 質 から 丁 寧 に 脾 動 静 脈 を<br />

剥 離 していくと、 脾 臓 を 脱 転 せずに 脾 動 静 脈 温 存 が 可 能 である。ビデ<br />

オでは、 開 腹 で 脾 動 静 脈 を 最 初 に 切 離 し、 続 いて 膵 を 切 離 したのち、<br />

内 側 から 脾 門 部 にむかって 切 離 する 標 準 的 な 膵 体 尾 部 切 除 術 を 供 覧 す<br />

る。 脾 臓 摘 出 を 伴 う 通 常 の 膵 体 尾 部 切 除 の 場 合 に、 脾 動 静 脈 を 最 初 に<br />

切 離 し、つぎに 膵 を 切 離 し、 右 から 左 にむかって 膵 体 尾 部 および 脾 臓<br />

を 切 除 すると 出 血 量 を 減 少 させることができる。 術 中 の 合 併 症 を 少 な<br />

くするには 脾 臓 被 膜 の 損 傷 を 避 けること、 脾 動 脈 と 総 肝 動 脈 を 丁 寧 に<br />

同 定 すること、 脾 静 脈 の 断 端 を 確 実 に 縫 合 閉 鎖 すること、 短 胃 動 静 脈<br />

も 早 めに 結 紮 切 離 しておくことである。 当 科 では5-0 吸 収 糸 を 用 いて<br />

主 膵 管 断 端 を 結 紮 あるいは 縫 合 閉 鎖 し、5-0 非 吸 収 糸 を 用 いて 断 端 を<br />

fish…mouthに 縫 合 閉 鎖 している。 欧 米 多 施 設 共 同 (DISPACT…trial)で<br />

術 後 の 膵 断 端 からの 膵 液 瘻 (Grade…B/C)はの 手 縫 いと 機 械 縫 合 の 前 向<br />

き 無 作 為 比 較 試 験 において9.1-13.6%であったと 報 告 されている。この<br />

研 究 の 結 果 、 膵 体 尾 部 切 除 術 における 断 端 閉 鎖 方 法 は、 術 者 が 手 縫 い<br />

(fish…mouth 法 )あるいは 機 械 吻 合 のいずれを 選 んでもよいこととされ<br />

た。 肝 胆 膵 高 度 技 能 専 門 医 は、この 臨 床 試 験 が 術 式 の 標 準 化 、 安 全 性<br />

の 向 上 に 果 たした 意 義 をよく 理 解 し、 完 全 には 解 決 されていない 膵 液<br />

瘻 の 予 防 につながる 新 たな 進 歩 を 目 指 すことが 求 められる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-159-


特 別 企 画 2<br />

International Collaboration Project Meeting<br />

~Joint with Korea as our first step of JHBPS~


SL2-1<br />

Thecurrentstatusandfuturedirectionofthe<br />

researchprojectbytheJapaneseSocietyof<br />

HBPSurgery<br />

Wakayama Medical University<br />

○…Hiroki…Yamaue<br />

The… Japanese… Society… of… HBP… Surgery… has… been… conducting… the…<br />

research…projects…for…liver,…biliary,…and…pancreatic…surgery.…In…each…<br />

group,…several…projects…have…been…finished…including…Liver…surgery…<br />

project…(Liver…01…study:…Impact…of…nodal…involvement…on…surgical…<br />

outcomes…of…intrahepatic…cholangiocarcinoma;…JHBPS…2011;18:<br />

443,…Liver…02…study:…A…nomogram…predicting…disease-free…survival…<br />

in…patients…with…colorectal…liver…metastases;…JHBPS…2011;19:72),…<br />

and…Pancreatic…surgery…project…(Pancreas…02…study:…Predictive…risk…<br />

factors… after… pancreatoduodenectomy;… JHBPS… 2011;18:601).…<br />

Other… projects… have… been… collecting… the… clinical… data… and… also…<br />

preparing… the… manuscripts.… The… future… direction… of… the… project…<br />

should…direct…to…the…prospective-fashioned…research,…and…one…should…<br />

consider… a… multi-center,… prospective,… randomized,… controlled… trial…<br />

hopefully…in…the…near…future.<br />

Next…issue…we…are…thinking… is;…development… to…the…international…<br />

collaborative…studies.…As…a…first…step…for…international…collaborative…<br />

studies,…the…Japanese…Society…of…Hepato-Biliary-Pancreatic…Surgery…<br />

and… the…Korean… Association… of…Hepato-Biliary-Pancreatic… Surgery…<br />

work… together… to… promote… project… studies.… Both… societies… have…<br />

discussed…together…several…times…by… closed…meeting,…and… Project…<br />

seminars…of…the…first…international…collaborative…study…are…to…be…held…<br />

in…this…symposium.……Moreover,…Japanese…Society…will…collaborate…the…<br />

Taiwan…Society…to…work…together…the…HBP…Surgery.…<br />

…Thus,…the…international…collaborative…studies…with…Japan,…Korea…and…<br />

Taiwan…are…now…proceeding…and…bring…a…fruitful…outcomes…by…the…<br />

this…attempt.<br />

SL2-2<br />

HepaticsurgeryprojectsbytheJapanese<br />

SocietyofHBPSurgery<br />

Tokyo Women’s Medical University<br />

○…Masakazu…Yamamoto<br />

The… two… projects… for… hepatic… surgery… were… conducted… and… the…<br />

results…were…published…in…JHBPS.…<br />

01-… Liver… project… is… to… clarify… the… prognostic… factors… of…<br />

intrahepatic…cholangiocarcinoma…(ICC)…following…hepatectomy…and…<br />

to…examine…the…impact…of…lymph…node…metastasis…on…survival.…Three…<br />

hundred…and… forty-one…patients…who…underwent…hepatectomy…for…<br />

ICC… between… 1995… and… 2004… at… the… 9… institutions… of… the… Medical…<br />

University…Hospitals…were…analyzed…retrospectively.…This…study…was…<br />

published…on…JHBPS…2011;18:443-52.<br />

02-Liver…project…is…to…predict…the…disease-free…survival…of…patients…<br />

with… colorectal… liver… metastases… treated… with… hepatic… resection.…<br />

Perioperative…factors…were…assessed…in…727…hepatectomized…patients…<br />

with…colorectal…liver…metastases…between…2000…and…2004…at…the…11…<br />

institutions.… A… nomogram… was… developed… as… a… graphical…<br />

representation… of…a…stepwise…Cox…proportional…hazards…regression…<br />

model.…<br />

This…study…was…published…on…JHBPS…2012;…19:71-84<br />

SL2-3<br />

BiliarySurgeryprojectsbytheJapanese<br />

SocietyofHBPSurgery<br />

1<br />

Toyota Regional Medical Center、 2 Dept. of Biliarypancreatic<br />

Surgery, Fujita Health University<br />

○…Shuichi…Miyakawa 1 ,Akihiko…Horiguchi 2 ,Shin…Ishihara 2<br />

In…Japan,…biliary…tract…cancer…registration…was…started…in…1987.…Case…<br />

registration… is… performed… in… every… year.… Follow-up… survey… is…<br />

performed… in… alternate… years.… The… 12,767… cases… which… were…<br />

registered… on… current… Japanese… biliary… tract… cancer… classification…<br />

(fifth… edition… of… 2003)… are… available… for… the… retrospective… study…<br />

according…to…the…conversion…of…the…data…before…2002…in…conformity…<br />

with…the…fifth…edition.<br />

Now… three… retrospective… studies… based… on… registered… cases… are…<br />

ongoing…as…the…Biliary…Surgery…projects.…<br />

The…first…Biliary…Surgery…project…study…(BS-01)…is…“The…number…of…<br />

lymph… node… metastases… in… extra… hepatic… bile… duct… cancer… as… a…<br />

prognostic… factor”.… This… is… a… study… of… the… investigation… of… the…<br />

Japanese… classification… and… also… the… UICC… classification.… This… is…<br />

important…role…of…the…biliary…cancer…registration.…For…this…study,…we…<br />

started…the…accumulation…of…the…number…of…the…retrieved…regional…<br />

lymph… node… from… 2008’s… registration.… The… 2,543… cases… were…<br />

accumulated… in… three… years.… About… 4,000… cases… are… going… to… be…<br />

accumulated…until…the…follow-up…survey…in…2014.…<br />

The… second… study…(BS-02)… is…“Gallbladder… bed… resection… or…<br />

hepatectomy…of…segment…4a…+…5…for…pT2pN0…gallbladder…carcinoma”.…<br />

The…analysis…was…performed…to…the…pT2pN0…gallbladder…85…cancers,…<br />

gallbladder…bed… resection…55… cases,… S4a+5…hepatectomy…30… cases,…<br />

registered…from… 1998… to… 2004,… and… then… the… follow… up… study… was…<br />

performed…until…2011.…This…study…finished…analysis,…and…we…make…a…<br />

thesis…now.…<br />

The…third…study…(BS-03)…is…“Investigation…of…bile…duct…resection…for…<br />

T2… gallbladder… carcinoma”.……We… are… analyzing… the… pT2,… pN0…<br />

gallbladder…cancers…registered…from…1998…to…2077…for…this…study.…<br />

We… are… considering… two… new… biliary… surgery… projects.… One… is…<br />

“Verification…of…a…case…to…achieve…radical…resection…with…the…use…of…<br />

bile…duct…resection…alone…in…extra…hepatic…bile…duct…cancer”.…The…<br />

other…is…“Application…of…local…resection…in…T1…ampullary…cancer”.<br />

As…to…the…biliary…surgery…projects,…our…stance,…in…present…situation,…is…<br />

to…perform…retrospective…study…of…a…thesis…subjects,…which…are…raised…<br />

by… the… project… working… group,… using… the… large… quantities… of… the…<br />

registered…biliary…tract…cancers…at…first,…and…then,…if…necessary,…to…<br />

plan…prospective…study…on…the…basis…of…the…results.<br />

SL2-4<br />

PancreaticSurgeryProjectbytheJapanese<br />

SocietyofHBPSurgery<br />

Wakayama Medical University<br />

○…Hiroki…Yamaue<br />

The… Japanese… Society… of… HBP… Surgery… has… been… conducting… the…<br />

research… projects… for… liver,… biliary,… and… pancreatic… surgery.… In…<br />

pancreatic… surgery… group,… three… major… projects… have… been…<br />

proceeding…as…follows;…<br />

Pancreas…01…study;…Clinical…impact…of…adjuvant…surgery…for…patients…<br />

with…initially…unresectable…pancreatic…cancer.…A…total…of…58…patients…<br />

with… adjuvant… surgery… after… adequate… chemotherapy… of…<br />

chemoradiation… were… enrolled… in… this… project,… and… compared… the…<br />

clinical…data…to…case-matched…controlled…patients…without…surgery.…<br />

The…median…survival…time…(MST)…in…the…surgery…group…was…39.5…<br />

months,…showing…that…the…superior…survival…compared…to…the…control…<br />

group.<br />

Pancreas… 02… study;… Predictive… risk… factors… for… clinically… relevant…<br />

pancreatic… fistula… analyzed… in… 1,239… patients… with…<br />

pancreaticoduodenectomy:…multicenter…data…collection…as…a…project…<br />

of… pancreatic…surgery…by…the…Japanese… Society…of… Hepato-Biliary-<br />

Pancreatic… Surgery.… This… project… has… been… published… in… J…<br />

Hepatobiliary…Pancreat…Sci…2011…Jul;18(4):601-8.<br />

Pancreas… 03study;… Resection… rate… in… preoperative… treatment… for…<br />

resectable… pancreatic… cancer… and… its… impact… on… perioperative/<br />

postoperative…outcomes<br />

Purposes…of…this…project…are;…to…elucidate…the…impact…of…preoperative…<br />

treatment…for…resectable…pancreatic…cancer…on…the…resection…rate…and…<br />

prepoperative…treatment…outcomes…and…to…conduct…a…questionnaire…<br />

survey…for…training…facilities…accredited…by…the…system…of…physicians…<br />

with…advanced…technique.…<br />

…Thus,…pancreatic…surgery…group…has…already…published…the…results…<br />

of…the…project…to…JHBPS,…and…continuing…the…two…projects.…In…the…<br />

near… future,… the… project… should… be… proceeded… as… a… randomized…<br />

controlled…fashion.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-163-


SL2-5<br />

RCTinKoreainHBPfield<br />

Department of Surgery Seoul National University<br />

College of Medicine<br />

○…Sun-Whe…Kim<br />

Only…a…few…RCTs…in…the…HBP…surgical…area…have…been…carried…out…in…<br />

Korea.… Considering… the… incidence… of… HBP… disease… and… number… of…<br />

surgery… cases,… RCT… is… very… difficult… to… carry… out… without…<br />

collaboration…between…centers.…Except…a…few…single…center…base…RCT…<br />

performed…at…big…hospitals,…most…RCTs…have…been…being…tried…by…<br />

multicenter…based…trials.…According…to…the…survey…through…the…site,…’<br />

Clinicaltrial.gov…(NIH)’,… among… a… total… of… 3415… Korean… trials,… 236…<br />

trials… are… related… to… HBP… field… and… there… are… 14… surgery… related…<br />

RCTs.…Recently…performed…or…ongoing…RCTs…in…HBP…surgery…field…<br />

will…be…introduced…during…my…presentation.<br />

SL2-6<br />

ResearchofIPMNinKorea<br />

SL2-8<br />

Korea-JapanCollaborationProjectofHBP<br />

SurgeryField(OpinionfromKorea)<br />

Department of Surgery, Ajou University School of<br />

Medicine, Suwon, Korea<br />

○…Hee…Jung…Wang<br />

Better…late…than…never;…it…is…fortunate…to…make…researchers…from…<br />

Korea…and…Japan…to…start…discussion… about… collaboration… projects.…<br />

The… global… collaboration… projects… include… collateral… validation… of…<br />

basic…researches,…consensus…in…definition…and…staging…of…the…disease,…<br />

treatment… guideline,… debates… on… feasibility… of… various… surgical…<br />

modalities…(eg.…minimally…invasive…surgery)…and…adjuvant…treatment…<br />

after…radical…surgery.<br />

They…can…be…achieved…by…task…reports…and/or…by…assigning…principal…<br />

researchers…of…both…nations.…The…prospective…randomized…controlled…<br />

trials,… however,… may… face… difficulties,… because… they… are… timeconsuming…and…take…much…expense.…It…may…be…also…overcome…by…a…<br />

research… funds… in… forms… of… investigator… initiative… trial… from…<br />

governments… and… global… instrument… companies… or… global…<br />

pharmaceutical…companies.…If…these…research…collaborations…settle…<br />

down,… sponsor… initiative… trials… of… adjuvant… therapy…(antitumor…<br />

agents,…especially…molecular…targeted…agents)…seem…to…be…attempted…<br />

under… the… supervision… of… Associations… of… HBP… Surgery… of… both…<br />

countries.…<br />

Based… on… such… agenda,… the… collaborative… approach… may… firstly…<br />

improve…understandings…and…cross-fertilize…our…knowledge,…starting…<br />

with…discussions…on…common…subjects.…We…should…take…our…time…and…<br />

open… each… academic… meeting… for… researchers… to… exchange… one…<br />

another’s…experiences.…And…we…expand…it…to…long-term…task…reports…<br />

and…to…prospective…randomized…controlled…trials…and…collaborative…<br />

researches… in… phase… II/III… clinical… trials… of… the… newly… developed…<br />

agents…and…technologies.<br />

Department of Surgery Division of Hepatobiliary and<br />

Pancreatic Surgery Seoul National University Hospital<br />

Seoul National University College of Medicine<br />

○…Jin-Young…Jang<br />

Since… the… first… report… on… mucin… producing… pancreatic… cancer…<br />

(IPMN)…by…Dr.…Ohhashi…in…1982,…sporadic…cases…of…IPMN…had…been…<br />

reported… exclusively… in… Japan.… After… that,… its… concept… was…<br />

propagated… into… western… countries,… the… first… western… case… was…<br />

reported… by… Dr.… Warshaw… in… 1990.… In… Korea,… the… first… report… on…<br />

IPMN… was… released… in… 1991.… According… to… PubMed… searching…<br />

between…1991…and…2012,…Japan…has…released…the…largest…publications…<br />

on…IPMN…followed…by…USA,…France,…Korea…and…Italy.…Considering…<br />

population,… Korea… has… reported… the… second… largest… number… of…<br />

publication…on…IPMN…after…Japan.…<br />

Due… to… the… rarity… of… IPMN… in… early… period,… we… collected… and…<br />

analyzed…national…cases…in…2003.…Overall,…48…hepatobiliary…pancreatic…<br />

surgeons… from… 28… representative… institutions… participated… in… that…<br />

study.…We…collected…data…from…223…IPMN…patients…who…underwent…<br />

surgical… treatments,… and… reported… results… at… 2005.… We… concluded…<br />

that… significant… proportion…(38.5 %)… of… IPMNs… was… malignant,…<br />

although… the… overall… prognosis… of… IPMN… was… superior… to… that… of…<br />

ordinary…pancreatic…cancer.…Radical…surgery…must…be…recommended…<br />

for…IPMN…with…the…predictors…of…malignancy:…mural…nodule,…tumor…<br />

size…(>30…mm),…and…dilated…duct.…<br />

Despite…the…accumulation…of…national…data…on…IPMN,…there…were…still…<br />

many… problems… to… be… solved… in… terms… of… the… diagnosis… and…<br />

management…of…IPMN.…After…the…national…multicenter…study,…many…<br />

centers…in…Korea…reported…the…articles…touching…the…important…issues…<br />

of… IPMN… like… as… classification,… minimal… invasive… IPMN,…<br />

histopathology…as…well…as…treatment…method…including…laparoscopic…<br />

or…robotic…surgery.…In…spite…of…new…Consensus…Guideline…of…IPMN,…<br />

we… need… more… studies… to… clarify… the… unknown… characteristics… of…<br />

IPMN.…<br />

In…this…lecture,…I…will…summary…our…national…endeavor…to…elucidate…<br />

many…obscure…points…on…IPMN,…and…want…to…propose…some…multinational…&…multi-center…study…on…IPMN.……<br />

-164-


特 別 企 画 3<br />

肝 胆 膵 内 視 鏡 外 科 重 点 セミナー


SL3-1-1<br />

肝 解 剖<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 趙 明 浩 , 山 本 宏 , 貝 沼 修<br />

今 日 ,… 肝 臓 内 視 鏡 手 術 はその 適 応 および 術 式 を 拡 大 させながら 爆 発 的<br />

に 普 及 してきており,… 近 い 将 来 ,… 開 腹 手 術 を 凌 駕 する 手 術 が 展 開 して<br />

くることすら 予 想 される.…しかし 内 視 鏡 手 術 の 欠 点 はいうまでもなく<br />

触 診 ができないことであり,…また 術 中 超 音 波 検 査 も 開 腹 手 術 ほどの 自<br />

由 度 はない.…したがって 術 前 に 腫 瘍 の 局 在 や 周 囲 のグリソンや 肝 静 脈<br />

を 含 めた 局 所 解 剖 を 十 分 に 把 握 しておくことが 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 安 全<br />

に 試 行 する 必 須 条 件 である.…Couinaudに 代 表 される 肝 区 域 分 類 は 従 来<br />

屍 体 肝 で 検 討 されてきた.… しかし 今 日 ,…MDCTやMRIなどの 目 覚 まし<br />

い 進 歩 により 生 体 肝 をあらゆる 角 度 から3 次 元 で 検 討 することが 可 能<br />

となった.… 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 での 肝 下 面 を 拳 上 (あるいは 胆 嚢 と 円 靭 帯<br />

を 頭 側 に 牽 引 )して 肝 門 を 展 開 したScopeからの 視 野 を 想 定 した 場 合 ,…<br />

やはり 尾 側 からの3 次 元 画 像 を 検 討 することが 有 用 と 考 えられる.… 尾<br />

側 からの 門 脈 3 次 元 画 像 は 左 右 対 称 をなしており, 胎 生 期 の 肝 の 左 右<br />

対 称 を 生 後 も 保 持 していることが 垣 間 見 える.…つまり 門 脈 本 幹 が 左 右<br />

門 脈 に 分 岐 し, 左 門 脈 が 外 側 に 走 るG2と 腹 側 に 立 ち 上 がるUPに 分 岐<br />

する.… 右 門 脈 も 外 側 の 後 区 域 枝 と 腹 側 の 前 区 域 枝 に 分 岐 する.…UPから<br />

左 右 門 脈 ,… 前 区 域 枝 が 弓 型 (ventral…arch)を 形 成 している. 肝 門 部 胆<br />

管 はこの 門 脈 のventral…archの 腹 側 を 走 行 し,… 稀 に 南 廻 りの 例 外 はあ<br />

るが,… 基 本 的 にはB2,…B4,…および 後 区 域 枝 ,… 前 区 の 背 側 枝 はUPおよび 前<br />

区 域 の 頭 側 を 乗 り 越 えて 走 行 する.… 胆 管 の 合 流 形 態 には 多 くの 変 異 が<br />

あるが, これらの 変 異 はグリソン 鞘 内 で 起 こっている.… 肝 静 脈 も3 本<br />

の 主 肝 静 脈 ( 左 中 右 肝 静 脈 )が 基 本 で,… その 間 をumbilical…fissure…vein<br />

とanterior…fissure…vein…(V8)が 走 行 ,… 外 側 をsuperficial…veinが 走 行 す<br />

る.… そして 門 脈 分 岐 と 肝 静 脈 合 流 が 鋳 型 のように 噛 み 合 っている.… こ<br />

れらの 基 本 形 と 個 々の 症 例 の 形 態 を 把 握 し,… さらにiPadに 代 表 される<br />

タブレットの 術 野 への 持 ち 込 み 等 により 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 への<br />

navigation…surgeryが 期 待 される.<br />

SL3-1-2 肝 エネルギーデバイス( 自 動 縫 合 器 の 使 用 法 も 含 む)<br />

九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 ( 第 二 外 科 )<br />

○… 池 田 哲 夫 , 真 野 洋 平 , 戸 島 剛 男 , 森 田 和 豊 , 橋 本 直 隆 ,<br />

増 田 稔 郎 , 池 上 徹 , 吉 住 朋 晴 , 調 憲 , 前 原 喜 彦<br />

【 背 景 】 腹 腔 鏡 下 の 肝 や 膵 臓 切 除 術 は 低 侵 襲 な 手 術 手 技 として 世 界 的<br />

に 急 速 に 普 及 している。しかし 実 質 臓 器 の 切 離 に 用 いているEnergy…<br />

Device 及 び 切 断 縫 合 器 は 本 来 、 血 管 や 消 化 管 などの 管 腔 臓 器 の 閉 鎖<br />

と 切 断 を 目 的 に 開 発 された 器 具 である。【 目 的 】 現 在 、 使 用 可 能 な 主<br />

なEnergy…Device 及 び 縫 合 切 離 器 の 特 徴 を 実 験 的 に 明 らかにし、 適 切<br />

な 選 択 と 使 用 方 法 を 検 討 することによって、 肝 や 膵 臓 など 実 質 臓 器 の<br />

切 離 に 適 した 器 具 の 開 発 に 役 立 てること。【 使 用 器 具 】 食 用 ブタの 肝<br />

および 膵 切 離 を 現 在 使 用 している、1.… 従 来 からのMonopolarと 電 圧 を<br />

制 御 可 能 にした 高 周 波 電 気 装 置 。2.…Bipolarと 把 持 組 織 の 温 度 制 御 機<br />

能 を 有 した 高 周 波 電 気 装 置 。3. 超 音 波 凝 固 装 置 。4.…Linear 型 機 械 吻 合<br />

器 を 用 いておこない、 出 血 制 御 能 、 凝 固 時 の 中 心 及 び 周 囲 の 温 度 と 拡<br />

散 の 程 度 、 胆 管 および 膵 管 の 切 離 部 の 耐 圧 能 、 周 囲 組 織 への 影 響 およ<br />

び 組 織 学 的 な 検 討 した。【ブタ 肝 切 離 の 方 法 】30Kg 程 度 の 食 用 ブタを<br />

用 いて 腹 腔 鏡 下 に4つの 肝 葉 の 抹 消 1/3 程 度 の 部 分 を 単 一 の 器 具 を 用 い<br />

て 切 除 を 施 行 。【 単 一 器 具 での 肝 切 離 の 結 果 】いずれのEnergy…<br />

Deviceでも 主 に 肝 静 脈 周 囲 での 出 血 の 制 御 が 不 可 能 であり 切 除 を 完<br />

遂 できなかった。 制 御 できない 原 因 として、 組 織 との 粘 着 と 炭 化 、そ<br />

して 出 血 が 起 こると 更 に 熱 せられた 血 液 が 器 具 に 粘 着 し 本 来 の 機 能 を<br />

発 揮 できなくなり、 大 量 の 出 血 につながったと 考 えられた。【 出 血 時<br />

の 対 処 法 】 術 中 に 肝 切 離 に 用 いる 肝 実 質 凝 固 器 具 としてはa.… 肝 実 質 に<br />

突 き 刺 して 使 用 する 針 型 のRadiofrequencyな 器 具 。b.… 生 理 食 塩 水 を<br />

滴 下 するMonopolar 高 周 波 装 置 。があるが 出 血 時 の 制 御 には 血 液 を 可<br />

能 な 限 り 吸 引 し 圧 迫 止 血 しながら、bの 生 理 食 塩 水 を 滴 下 しながら 周<br />

囲 組 織 を 凝 固 し 最 終 的 に 血 管 を 封 印 する 方 法 が 有 効 であった。【まと<br />

め】 肝 切 離 は 病 変 の 部 位 と 大 きさによって 切 離 面 積 が 異 なり、 切 離 器<br />

具 には 凝 固 ( 封 印 ) 能 、 切 離 速 度 と 周 囲 の 組 織 の 損 傷 程 度 の3つの 因 子<br />

が 重 要 と 考 えられ、 理 想 的 な 器 具 の 開 発 が 望 まれる。<br />

SL3-1-3<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 基 本 的 手 技 とトラブルシュー<br />

ティング<br />

東 邦 大 学 外 科<br />

○… 大 塚 由 一 郎 , 金 子 弘 真<br />

肝 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 (LH)は、 根 治 性 と 低 侵 襲 性 を 提 供<br />

しうる 新 たな 外 科 的 治 療 の 選 択 肢 として 今 後 ますますの 普 及 が 見 込 ま<br />

れる。LHを 安 全 に 行 うためには 外 側 区 域 切 除 や 境 界 明 瞭 な 病 変 に 対<br />

する 肝 下 領 域 での 部 分 切 除 など、 好 ましい 適 応 症 例 ・ 術 式 における 基<br />

本 技 術 の 習 得 が 必 須 である。 最 近 では 肝 頭 背 側 領 域 での 切 除 や 外 側 区<br />

域 切 除 以 外 の 系 統 切 除 などへも 適 応 拡 大 が 試 みられているが、 好 適 応<br />

でのLHに 比 し 術 野 確 保 や 視 野 展 開 、スタッフ 間 での 協 調 動 作 、 手 術<br />

器 具 の 選 択 と 出 血 制 御 など、 全 てに 至 りより 高 い 精 度 が 求 められる。<br />

一 方 で 術 中 トラブルに 遭 遇 することも 増 え、それらを 克 服 していくた<br />

めの 的 確 なシューティングも 欠 かせない。LHで 起 こりうる 主 なトラ<br />

ブルは 脈 管 損 傷 である。それらの 回 避 あるいは 対 処 についてのポイン<br />

トを 挙 げる。1.… 手 術 をより 具 体 的 にプランニングし、 使 用 物 品 は 万 全<br />

に 準 備 する。2.… 手 術 器 具 にAll…in…oneなものはないが、“ 術 者 の 手 ”と<br />

しての 器 具 の 特 徴 を 十 分 理 解 し、 同 時 にそれらを 過 信 しない。3.… 硬 変<br />

肝 では、Pre-coagulationも 用 い、 出 血 を 未 然 に 防 ぐ 努 力 をはらう。4.…<br />

肝 離 断 面 の 両 側 を 直 視 できるよう 術 野 を 展 開 し、 必 要 であればトラ<br />

カール 追 加 や、カメラ 用 トラカールの 位 置 変 更 を 考 慮 する。5.… 肝 内 外<br />

でのグリソン 脈 管 や 肝 静 脈 の 分 枝 ・ 根 部 の 処 理 では、 鉗 子 やテーピン<br />

グなどで 必 ず 脈 管 の“ 裏 をとる”。6.… 出 血 時 は 止 血 綿 やガーゼなどで<br />

まず“ 圧 迫 ”し、 背 側 から 鉗 子 などで 肝 を 拳 上 し 出 血 量 をコントロー<br />

ルしたうえで 凝 固 ・クリップ・ 縫 合 などの 判 断 をする。7.… 同 時 に 複 数<br />

の 出 血 を 生 まないよう 注 意 する、などである。これらは 開 腹 術 となん<br />

ら 変 わりはないが、 術 者 ・ 助 手 間 での 協 調 作 業 の 多 い 鏡 視 下 手 術 では、<br />

より 認 識 を 共 通 していく 必 要 がある。さらに8.… 止 血 、 術 野 展 開 、<br />

Surgical…margin 確 保 のためのHand…assistやHybrid 手 技 によるバック<br />

アップも 有 効 なリカバリー 策 であるが、 時 を 逸 せず 導 入 する 判 断 が 大<br />

切 である。 症 例 の 蓄 積 とともに、トラブルを 未 然 に 防 ぐ 努 力 と 生 じた<br />

場 合 の 多 くの“ 引 き 出 し”が 安 全 なLHの 完 遂 ・さらなる 質 の 向 上 ・<br />

適 応 拡 大 へと 導 くと 考 える。<br />

SL3-1-4 肝 教 育 ( 術 式 の 定 型 化 を 含 む)<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 佐 々 木 章 , 新 田 浩 幸 , 高 原 武 志 , 伊 藤 直 子 , 長 谷 川 康 ,<br />

藤 田 倫 寛 , 若 林 剛<br />

1991 年 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 が 報 告 されたが、 安 全 性 、 侵 襲 性 などの 点<br />

から 普 及 するには 至 らず、 限 定 された 施 設 で 実 施 されていた。1996 年<br />

にAzagraらが、 肝 良 性 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 を 報<br />

告 して 以 来 、 肝 臓 外 科 と 内 視 鏡 外 科 に 熟 練 した 施 設 で、 腹 腔 鏡 下 肝 切<br />

除 術 が 報 告 されるようになった。われわれは、1997 年 に 転 移 性 肝 癌 に<br />

対 して 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 を 開 始 、その 後 に 手 技 を 定 型 化 し、<br />

2012 年 2 月 までに 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 143 例 、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切 除 術<br />

136 例 を 施 行 した。2008 年 に 開 催 された 国 際 コンセンサス 会 議<br />

「Louisville…Statement…2008」の 開 催 を 契 機 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 が 注<br />

目 され、 世 界 で 急 速 に 普 及 するようになった。そして、わが 国 では、<br />

2010 年 に 肝 部 分 切 除 術 、 外 側 区 域 切 除 術 が 保 険 収 載 され、その 適 応 は<br />

拡 大 されている。 特 に 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は、 従 来 の 開 腹 手 術 と 比<br />

較 して 体 壁 破 壊 を 最 小 にできる 点 、 繰 り 返 す 治 療 の 可 能 性 がある 肝 癌<br />

に 対 して 患 者 への 負 担 が 少 ない 点 から 低 侵 襲 な 手 術 法 であり、 今 後 の<br />

さらなる 普 及 が 期 待 される。 当 教 室 では、 術 式 別 に 使 用 器 具 ・ 機 器 の<br />

統 一 、 手 術 手 技 において 術 者 ・ 助 手 の 役 割 を 定 型 化 し、 若 手 外 科 医 を<br />

教 育 している。 今 後 は、 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 普 及 にともない、 若 手 外<br />

科 医 が 開 腹 下 に 肝 切 除 術 を 修 練 する 機 会 も 減 少 することが 予 測 される。<br />

本 講 演 では、 定 型 化 された 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 ( 亜 区 域 切 除 術 、 外<br />

側 区 域 切 除 術 、 葉 切 除 術 )、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切 除 術 の 手 技 を 含 め、 若<br />

手 外 科 医 に 対 する 教 育 を 述 べる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-167-


SL3-2-1<br />

膵 解 剖<br />

1<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科 、 2 札 幌 刑 務 所 医 務 部<br />

○… 木 村 康 利 1<br />

, 高 室 雅 2 1<br />

, 平 田 公 一<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 に 関 連 した 膵 切 除 術 を 習 得 する 上 で、 重 要 と 思 わ<br />

れる 解 剖 学 的 知 識 について 概 説 する。【 膵 臓 の 局 所 解 剖 】 膵 臓 は 胃 の<br />

背 側 、 第 1-2 腰 椎 レベルの 後 腹 膜 腔 に 位 置 し、 十 二 指 腸 係 蹄 内 側 縁 か<br />

ら 脾 門 部 にかけて 長 さ15-20cmにわたって 存 在 する。 膵 は 三 区 域 から<br />

なるが、 手 術 と 外 科 解 剖 の 観 点 から、 便 宜 上 、ここでは 頭 部 と 体 尾 部<br />

に 区 別 することとする。【 癒 合 筋 膜 と 膜 の 解 剖 】 膵 周 囲 の 膜 構 造 を 理<br />

解 する 上 で 重 要 なアイテムは、 癒 合 筋 膜 (fusion…fascia)としての<br />

Treitz 筋 膜 、Toldt 筋 膜 と、 腎 前 筋 ( 膜 後 腹 膜 下 筋 膜 前 葉 )である。 膵<br />

頭 部 や 体 尾 部 の 授 動 、 膵 トンネリング、 膵 周 囲 血 管 の 剥 離 ・ 確 保 に 際<br />

しては、これらの 膜 構 造 と 剥 離 層 の 見 極 めが 重 要 となる。【 動 脈 系 の<br />

解 剖 】 膵 は 固 有 の 基 幹 動 脈 を 有 さず、 隣 接 する 他 臓 器 の 基 幹 動 脈 から<br />

の 分 枝 により 血 流 を 受 け、それぞれが 膵 内 で 密 接 な 吻 合 を 形 成 する。<br />

膵 頭 部 領 域 の 動 脈 解 剖 で 時 折 問 題 となるバリエーションは、PPPDに<br />

おける 幽 門 輪 血 流 保 持 と 幽 門 下 動 脈 の 走 行 、 膵 頭 部 動 脈 アーケードと<br />

くにIPDAの 分 岐 形 態 、SMAからのreplaced-RHAの 存 在 、などである。<br />

一 方 、 体 尾 部 においては、 外 科 解 剖 の 視 点 から 脾 動 脈 と 背 側 膵 動 脈 の<br />

分 岐 がケアされるべきである。 膵 切 離 や 剥 離 に 伴 い、 時 折 、 大 膵 動 脈 、<br />

横 行 膵 動 脈 からの 予 期 せぬ 出 血 をみることがあり 注 意 を 要 する。【 静<br />

脈 系 の 解 剖 】 手 術 に 際 してコントロールに 難 渋 する 出 血 は 得 てして 静<br />

脈 系 であることが 多 い。とくに、 膵 の 還 流 静 脈 は 門 脈 系 であり、これ<br />

らの 処 置 には 最 大 の 配 慮 を 要 する。 膵 頭 部 では、 前 面 の 胃 結 腸 静 脈 幹<br />

と 後 面 の 後 上 ・ 下 膵 十 二 指 腸 静 脈 はバリエーションが 豊 かである。 体<br />

尾 部 では、IMVの 還 流 様 式 と 膵 実 質 から 脾 静 脈 へ 直 接 流 入 する 細 い<br />

静 脈 枝 へのケアを 要 する。【 膵 管 系 とその 変 異 】 膵 管 の 分 枝 形 態 把 握 は、<br />

膵 局 所 切 除 を 行 う 上 で 重 要 である。 温 存 膵 実 質 の 主 たる 導 管 が「 泣 き<br />

別 れ」のごとく 分 断 されてはいけない。 主 ・ 副 膵 管 の 走 行 変 異 は 比 較<br />

的 多 く、 切 離 する 部 位 によっては 下 頭 枝 、 上 ・ 下 体 枝 が 問 題 となる 可<br />

能 性 がある。【まとめ】 腹 腔 鏡 関 連 膵 切 除 術 では、 基 本 的 局 所 解 剖 を<br />

より 多 面 的 に 理 解 するよう 心 がけたい。<br />

SL3-2-2<br />

腹 腔 鏡 下 膵 切 除 における 自 動 縫 合 器 の 使 用 法 (エネル<br />

ギーデバイスも 含 む)<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

○… 三 澤 健 之 , 古 川 賢 英 , 北 村 博 顕 , 筒 井 信 浩 , 伊 藤 隆 介 ,<br />

柴 浩 明 , 二 川 康 郎 , 脇 山 茂 樹 , 石 田 祐 一 , 矢 永 勝 彦<br />

腹 腔 鏡 下 膵 尾 側 切 除 術 (LDP)は、 近 い 将 来 の 保 険 収 載 とそれに 伴 う 急<br />

速 な 広 がりが 期 待 される 術 式 である。LDPにおける 重 要 なポイントは<br />

膵 実 質 の 切 離 法 にあり、 最 も 一 般 的 な 方 法 は 自 動 縫 合 器 を 用 いた 離 断<br />

および 断 端 閉 鎖 である。 現 時 点 で 自 動 縫 合 器 の 使 用 がマニュアル 法 ( 主<br />

膵 管 結 紮 …+…fish…mouth 型 縫 合 閉 鎖 など)に 比 較 し、 高 いエビデンスレ<br />

ベルをもって 安 全 であるという 報 告 はないが、LDPに 関 する 最 近 の 報<br />

告 例 を 検 討 すると、 術 後 の 膵 液 瘻 発 生 率 は8-27.5%、またmortality…<br />

rateは0-3%と、その 安 全 性 は 高 い。 当 科 における 検 討 においても、<br />

LDP( 全 例 自 動 縫 合 器 使 用 )の 術 後 膵 液 瘻 発 生 率 (ISGPF…grade…B 以 上 )<br />

は3%と 低 率 で、マニュアル 法 に 比 較 して 有 意 に 低 く(p=0.0039)、ま<br />

たmortality…rateは0%と 良 好 な 成 績 が 得 られた。LDPで 使 用 される 自<br />

動 縫 合 器 は 種 々あるが、 当 科 では 主 膵 管 のみならず 分 枝 膵 管 の 確 実 な<br />

閉 鎖 を 目 的 として、 主 に 片 側 6 列 のENDO…SGIA…60(4.8mm)を 多 用 し、<br />

良 好 な 成 績 を 得 ている。いずれの 自 動 縫 合 器 も、その 共 通 する 使 用 法<br />

のコツは 時 間 をかけた 閉 鎖 とfiringにあり、これによりステイプルラ<br />

イン 近 傍 の 膵 裂 傷 を 防 ぐことができると 考 えている。 当 科 におけるス<br />

テイプリングは、 鉗 子 による 膵 実 質 のクランプ→5 分 以 上 かけた 自 動<br />

縫 合 器 の 閉 鎖 →firing 後 3 分 間 のホールド、を 基 本 としている。 一 方 、<br />

LDPにおいて 使 用 されるエネルギーデバイスには 通 常 の 電 気 メスに<br />

加 えて、 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 あるいはvessel…sealing…system(VSS)が<br />

あるが、 特 にVSSは 径 7mmまでの 脈 管 処 理 が 可 能 であり、 脾 合 併 切<br />

除 例 における 脾 周 囲 間 膜 切 離 や 脾 温 存 例 における 脾 静 脈 枝 の 処 理 に 有<br />

用 である。LDPにおける 自 動 縫 合 器 による 膵 断 端 処 理 法 およびエネル<br />

ギーデバイス 使 用 法 の 実 際 を 当 科 の 臨 床 成 績 とともに 提 示 する。<br />

SL3-2-3<br />

腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 手 術 手 技 : 開 腹 術 と 同 様 に 安 心 し<br />

て 行 える 手 技 を 目 指 して<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 ( 消 化 器 外 科 )<br />

○… 中 村 慶 春 , 松 本 智 司 , 吉 岡 正 人 , 松 下 晃 , 川 野 陽 一 ,<br />

水 口 義 昭 , 清 水 哲 也 , 山 初 和 也 , 相 本 隆 幸 , 谷 合 信 彦 ,<br />

真 々 田 裕 宏 , 田 尻 孝 , 内 田 英 二<br />

【 緒 言 】 教 室 では 現 在 までに 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-PD)、<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 (Lap-DP)、 膵 中 央 切 除 術 (Lap-CP)、 腫 瘍 核 出 術 (Lap-<br />

EN)を 合 わせて96 例 に 施 行 し、その 有 用 性 について 報 告 してきた。 今<br />

回 、 開 腹 術 と 同 様 に 安 心 感 を 持 って 行 える 事 を 目 指 した 腹 腔 鏡 下 膵 切<br />

除 術 の 手 術 手 技 を 中 心 に、 理 論 的 な 背 景 を 含 めてビデオで 解 説 する。<br />

【 手 術 手 技 】(1)Lap-PDは 術 中 出 血 量 を 軽 減 し 早 期 離 床 を 実 現 し 得 る<br />

術 式 である。ただし 本 術 式 の 標 準 化 には 膵 液 瘻 に 直 結 する 膵 消 化 管 吻<br />

合 に 対 する 工 夫 が 必 要 である。 我 々は 切 除 と 肝 管 空 腸 吻 合 を 鏡 視 下 で<br />

行 い、 膵 消 化 管 吻 合 は 切 除 臓 器 を 取 り 出 す4-5cmの 小 切 開 創 を 膵 切 離<br />

部 の 直 上 に 作 製 し、 開 腹 術 と 同 様 の 吻 合 を 直 視 下 で 行 っている。 膵 切<br />

離 部 となる 膵 頸 部 ・ 膵 体 部 右 側 は 脊 椎 を 騎 乗 し 前 方 に 位 置 するため、<br />

小 切 開 創 からでも 比 較 的 容 易 にアプローチできる 事 を 利 用 した 吻 合 法<br />

である。 膵 頭 神 経 叢 の 切 離 ・ 郭 清 は 上 腸 間 膜 動 脈 の 左 側 からのアプロー<br />

チを 基 本 としている。また 手 術 時 間 の 延 長 に 伴 う 膵 液 の 腹 腔 内 飛 散 に<br />

よる 腫 瘍 細 胞 seedingの 可 能 性 を 憂 慮 し、その 予 防 の 為 に 膵 切 離 には<br />

自 動 縫 合 器 を 使 用 し 膵 切 離 断 端 を 閉 鎖 している。(2)Lap-DPとLap-EN<br />

は、 有 意 に 術 中 出 血 量 を 軽 減 し 術 後 在 院 日 数 を 短 縮 する 事 ができる。<br />

煩 雑 な 再 建 術 は 不 要 で、しかも 症 例 に 若 年 の 女 性 が 多 く 含 まれる 事 か<br />

ら、strategyの 中 で 整 容 面 の 比 重 を 上 げて 完 全 鏡 視 下 で 行 う 事 を 基 本<br />

としている。(3)Lap-CPはLap-ENと 共 に、 低 侵 襲 性 のみならず 膵 機 能<br />

温 存 効 果 を 併 せ 持 つ 鏡 視 下 手 術 である。 膵 頸 部 を 切 離 し、 右 側 から 膵<br />

実 質 と 脾 動 静 脈 をenergy…deviceで 剥 離 していく。 膵 消 化 管 吻 合 は<br />

Lap-PDに 準 じ、 膵 切 離 部 直 上 の 小 切 開 創 から 開 腹 術 と 同 様 の 吻 合 を<br />

施 行 している。【 結 語 】Lap-DPが 保 険 適 応 となる 見 通 しがつき、 次 に<br />

期 待 されるのは 施 設 基 準 などの 縛 りのない 全 ての 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 式<br />

の 早 期 保 険 収 載 である。その 為 には、 本 術 式 の 低 侵 襲 術 式 としての 有<br />

益 性 を 損 なう 事 のないfeasibleな 手 術 手 技 を 構 築 し、 幅 広 く 腹 腔 鏡 下<br />

膵 切 除 術 が 普 及 していく 事 が 重 要 であると 思 われる。<br />

SL3-2-4 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 実 際 - 定 型 化 に 向 けて-<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

○… 田 中 淳 一 , 春 日 井 尚 , 出 口 義 雄 , 木 田 祐 之 , 向 井 俊 平 ,<br />

工 藤 進 英<br />

現 在 国 内 で 行 われている 主 な 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 は 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

(DP)、 脾 温 存 脾 動 静 脈 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 (SPDP)、および 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 (PD)である。それぞれの 手 技 を 供 覧 する<br />

適 応 ; 良 性 または 低 悪 性 度 腫 瘍<br />

DPでの 体 位 、 右 半 側 臥 位 でマジックベッドや 側 方 支 持 板 などを 用 い<br />

て 固 定 。 脾 周 囲 の 操 作 時 は 右 側 臥 位 、 脾 動 静 脈 周 囲 ・ 膵 切 離 時 は 仰 臥<br />

位 。ポート 位 置 ; 臍 下 部 12mm、 臍 高 左 側 12mm、 上 腹 部 正 中 と 左 肋<br />

骨 弓 下 鎖 骨 中 線 にそれぞれ5mmの 計 4 本 。 手 技 の 手 順 ; 大 網 ・ 脾 結 腸<br />

間 膜 を 切 離 し、 結 腸 脾 彎 曲 部 を 剥 離 受 動 、 膵 体 尾 部 を 露 出 。 術 中 超 音<br />

波 検 査 で 腫 瘍 の 位 置 を 確 認 し、 膵 の 切 離 予 定 ラインを 決 定 。 膵 体 部 下<br />

縁 で 漿 膜 を 切 開 、 膵 の 背 面 を 剥 離 受 動 。 膵 の 上 縁 まで 十 分 に 剥 離 を 進<br />

め 脾 動 脈 、 脾 静 脈 を 同 定 。 次 いで 膵 上 縁 で 漿 膜 を 切 開 、 脾 動 脈 を 露 出 。<br />

脾 動 脈 は 糸 で 結 紮 後 クリップを 掛 けて 切 離 。 脾 静 脈 は 丁 寧 に 剥 離 し 結<br />

紮 後 クリップを 掛 け 切 離 。 膵 の 切 離 はEchelonあるいはEndoGIA(Tristapler)でクリップを<br />

引 っ 掛 けないように 注 意 しながら5 分 ほど 時 間<br />

をかけてゆっくりと 挫 滅 し 膵 被 膜 を 損 傷 しないようにさらに5 分 で<br />

ファイヤーし 離 断 。 膵 を 圧 排 挙 上 し、 腎 前 筋 膜 から 遊 離 さらに 脾 周 囲<br />

間 膜 切 離 し 脾 を 剥 離 受 動 。 標 本 は 回 収 袋 に 収 納 し、 標 本 の 大 きさに 合<br />

わせて 創 を 拡 大 して 摘 出 する。 腹 腔 内 を 洗 浄 、 出 血 ・ 異 物 の 無 いこと<br />

を 確 認 し、インフォメーションドレーンを 左 横 隔 膜 下 に 留 置 。<br />

SPDPではDPと 同 様 の 体 位 、ポートで 手 技 を 進 めるが、 脾 臓 及 び 脾 動<br />

静 脈 を 温 存 して 膵 を 離 断 。 脾 動 静 脈 の 小 血 管 をLCS、Liga…Sureで 処 理 。<br />

標 本 は 回 収 袋 で 体 外 に 摘 出 。<br />

PDでは 水 平 開 脚 位 。 臍 下 部 12mm、 右 上 腹 部 5mmポート2 個 、 左 上 腹<br />

部 5mmと12mmのポート。 手 順 としては 総 肝 管 の 切 離 を 最 後 にする 以<br />

外 、 開 腹 と 同 様 で 良 いが、 内 側 アプローチでIPDA 結 紮 を 先 行 させ、<br />

出 血 を 最 小 限 にする。 止 血 にはBiClamp、ソフト 凝 固 が 有 用 。 再 建 は<br />

小 開 腹 創 から 行 うが 胆 管 空 腸 吻 合 は 腹 腔 鏡 下 に 行 える。<br />

-168-


SL3-3-1<br />

膵 切 除 における 腹 腔 鏡 下 手 術 と 開 腹 手 術 の 適 応<br />

国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 センター<br />

○… 中 森 正 二 , 宮 本 敦 史 , 浅 岡 忠 史<br />

2012 年 4 月 の 診 療 報 酬 改 定 において、これまで 特 定 の 施 設 で 先 進 医 療<br />

として 行 われていた 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 が 新 規 収 載 され 保 険 診 療 として<br />

行 うことが 可 能 となった。 前 回 2 年 前 の 改 正 で 保 険 収 載 された 腹 腔 鏡<br />

下 肝 切 除 術 と 同 様 に 施 設 基 準 によって 施 設 は 制 限 されると 思 われるが、<br />

今 後 、 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 は 多 くの 施 設 で 広 く 行 われるようになると 考<br />

えられる。また、その 適 応 も 他 の 臓 器 に 対 する 腹 腔 鏡 下 切 除 術 の 場 合<br />

と 同 様 に 拡 大 されていく 可 能 性 がある。 現 在 、 膵 体 尾 部 切 除 や 腫 瘍 核<br />

出 術 が 必 要 な 良 性 腫 瘍 や 低 悪 性 度 の 膵 島 腫 瘍 (PNET)や 嚢 胞 性 膵 腫 瘍<br />

が 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 適 応 としている 施 設 がほとんどであると 思 われ<br />

るが、PNETにおいて 術 前 の 良 悪 性 の 診 断 は 不 確 実 でG1と 診 断 されて<br />

も 脈 管 侵 襲 やリンパ 節 転 移 を 認 めることも 少 なくなく、リンパ 節 郭 清<br />

の 範 囲 の 決 定 に 関 して 未 だ 一 定 していないと 考 えられる。 同 様 のこと<br />

が 嚢 胞 性 腫 瘍 の 診 断 についても 言 われており、さらに 残 膵 における 多<br />

発 病 変 の 検 索 も 問 題 となる 可 能 性 がある。このような 状 況 の 下 、われ<br />

われは、 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 適 応 をかなり 厳 しくしており、 多 くの 場<br />

合 はリンパ 切 郭 清 が 確 実 に 施 行 でき、 術 中 の 残 膵 精 査 も 容 易 な 開 腹 手<br />

術 を 施 行 している。また、 再 建 を 伴 う 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 や 膵 中 央 切<br />

除 に 関 して、 技 術 的 に 可 能 とあるとは 思 われるが 整 容 性 以 外 に 開 腹 手<br />

術 を 凌 駕 するような 鏡 視 下 手 術 の 利 点 が 見 いだされないために 今 のと<br />

ころ 適 応 としていない。いずれにせよ、 保 険 収 載 はされたが、 内 視 鏡<br />

下 膵 切 除 術 の 対 象 が 良 性 腫 瘍 も 含 まれてくることもあり、その 適 応 や<br />

意 義 に 関 して、 今 後 、 他 臓 器 の 腹 腔 鏡 手 術 以 上 に 検 証 していく 必 要 が<br />

あると 思 われる。<br />

SL3-3-2<br />

ロボット 支 援 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 胆 膵 外 科<br />

○… 堀 口 明 彦<br />

【 目 的 】daVinci…Surgical…Systemを 用 いて 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (da…<br />

Vinci…PD)を 行 い、 従 来 の 腹 腔 鏡 下 PD(LAP-PD)、 開 腹 PDと 比 較 検<br />

討 し、da…Vinci…PDの 有 用 性 につき 検 討 した。【 対 象 、 方 法 】da…Vinci…<br />

PD…7 例 、 従 来 のLAP-PD…5 例 、と 同 時 期 におこなわれた 通 常 の 開 腹<br />

PD…10 例 の 手 術 時 間 、 膵 空 腸 吻 合 時 間 、 出 血 量 、 歩 行 開 始 時 期 、 経 口<br />

摂 取 開 始 時 期 、 入 院 期 間 、 膵 液 瘻 について 検 討 した。 膵 空 腸 吻 合 は、<br />

膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法 で 完 全 腹 腔 鏡 下 に 行 った。 胆 管 空 腸 吻 合 は 連 続 あ<br />

るいは 結 節 縫 合 で 腹 腔 鏡 下 に 行 った。【 結 果 】 手 術 時 間 :da…Vinci…PD…<br />

784±145min、LAP-PD…606±53min、 開 腹 PD…470±91minであった。<br />

膵 空 腸 吻 合 時 間 :85±46min、82±35min、26±6minであった。 出 血 量 :<br />

333±298ml、268±88ml、639±92mlであった。 歩 行 開 始 は1.0±0、1.6<br />

±0.29、2.4±0.52( 病 日 )、 経 口 摂 取 開 始 は2.57±0.78、2.8±0.84、4.0±<br />

0.57( 病 日 )であった。 入 院 期 間 :29±15 日 、42±37 日 、41±14 日 であっ<br />

た。 膵 液 瘻 :da…Vinci…PDは 膵 液 漏 gradeA,Bを1 例 づつ 認 めたが 保 存<br />

的 に 軽 快 した。LAP-PDは 膵 液 漏 gradeA,B,Cを1 例 づつ 認 めたが 保 存<br />

的 に 軽 快 した。 開 腹 PDは 膵 液 漏 gradeA,Bを1 例 づつ 認 めたが 保 存 的<br />

に 軽 快 した。【 結 語 ・ 考 察 】da…Vinci…PDとLAP-PDは 開 腹 PDに 比 し<br />

て 膵 空 腸 吻 合 時 間 を 含 め 手 術 時 間 が 有 意 に 長 かった。 腹 腔 鏡 下 PDは<br />

開 腹 PDに 比 して 出 血 量 が 有 意 に 少 なく、da…Vinci…PDは 入 院 期 間 が 有<br />

意 に 短 かった。 術 後 膵 液 瘻 発 生 率 は 差 を 認 めなかった。da…Vinci…PD<br />

は 従 来 の 開 腹 手 術 、 腹 腔 鏡 手 術 には 成 しえない 利 点 がある。すなわち、<br />

3Dハイビジョン 画 像 であり、7 度 の 自 由 度 を 有 する 関 節 機 能 、 震 えを<br />

取 るfiltering 機 能 、scaling 機 能 、 拡 大 視 効 果 ( 最 大 倍 率 約 15 倍 )により<br />

高 度 な 吻 合 が 可 能 である。ロボット 支 援 手 術 は 腹 腔 鏡 下 PDの 術 者 の<br />

ストレスを 軽 減 させ、 繊 細 かつ 安 全 なリンパ 節 郭 清 、 膵 腸 吻 合 、 胆 管<br />

空 腸 吻 合 には 極 めて 有 用 であり、 開 腹 PDと 比 べると 低 侵 襲 であった。<br />

現 時 点 ではda…Vinci…PDは 手 術 時 間 とくに、 膵 空 腸 吻 合 に 時 間 を 要 し、<br />

また、 入 院 期 間 が 著 明 に 短 縮 されていないが、ラーニンングカーブに<br />

基 づき、 経 験 と 工 夫 が 必 要 と 考 える。<br />

SL3-3-3<br />

開 腹 下 膵 切 除 の 現 状<br />

1<br />

名 古 屋 大 学 消 化 器 外 科 、 2 名 古 屋 セントラル 病 院<br />

○… 竹 田 伸 1<br />

, 末 永 雅 也 1<br />

, 奥 村 徳 夫 1<br />

, 野 本 周 嗣 1<br />

, 杉 本 博 行 1<br />

,<br />

藤 井 努 1<br />

, 山 田 豪 1<br />

, 中 尾 昭 公 2 1<br />

, 小 寺 泰 弘<br />

胃 がん・ 大 腸 がんにおいて、 腹 腔 鏡 手 術 は 盛 んに 行 われ 目 覚 ましく 進<br />

歩 しているが、 膵 手 術 は 非 常 に 遅 れている。 膵 手 術 の 場 合 、 開 腹 下 で<br />

も 非 常 に 難 しく 高 難 度 手 術 に 分 類 される。 膵 がんは 発 見 された 時 には<br />

進 行 していることが 多 いこともあり、 特 に 日 本 では 拡 大 郭 清 を 行 って<br />

きた 歴 史 がある。また 開 腹 下 においても 膵 液 婁 などの 合 併 症 を 克 服 で<br />

きていない 現 状 がある。 現 在 、 腹 腔 鏡 膵 切 除 の 適 応 は、 良 性 腫 瘍 ・ 低<br />

悪 性 度 の 腫 瘍 であり、 随 伴 性 膵 炎 などの 高 度 癒 着 がないこと、 主 要 な<br />

血 管 浸 潤 がないことと 報 告 されている。そのために、 技 術 的 に 比 較 的<br />

やさしい 膵 体 尾 部 切 除 術 が 盛 んにおこなわれるようになったが 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 は 一 部 の 施 設 ( 術 者 )のみ 行 われている。 膵 頭 部 癌 に 対<br />

する 標 準 手 術 はD2 郭 清 とR0にすることであるため、 現 状 では 進 行 し<br />

た 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 は 標 準 ではない。 当 科 で2002<br />

年 から2011 年 末 までに 切 除 300 例 中 224 例 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 い、<br />

随 伴 性 膵 炎 によるhard…pancreasは144 例 (64%)、soft…pancreasでも 半<br />

分 は 門 脈 切 除 を 要 した。 結 論 として 良 性 腫 瘍 や 低 悪 性 度 の 腫 瘍 や 随 伴<br />

性 膵 炎 を 比 較 的 起 こしにくい 早 期 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 や 早 期 下 部 胆 管 癌<br />

にはD2 郭 清 が 不 要 ならば 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 は 可 能 かもしれ<br />

ないが、 進 行 膵 癌 には 時 期 早 尚 と 考 えている。 膵 体 部 癌 の 切 除 におい<br />

てもD2 郭 清 は 標 準 であり、 腹 腔 鏡 下 に 確 実 にD2 郭 清 ができるか 検 討<br />

を 要 する。しかし、 世 界 情 勢 から 見 ても、 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 は 手 術 手<br />

技 の 安 全 性 は 担 保 された 上 で、 適 応 を 厳 選 すれば 普 及 してゆくものと<br />

思 われる。<br />

SL3-3-4<br />

腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 は 標 準 術 式 となるか<br />

1<br />

川 崎 医 科 大 学 、 2 九 州 大 学 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 中 村 雅 史 1<br />

, 田 中 雅 夫<br />

2<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の 成 績 を 提 示 しその 安 全 性 につ<br />

いて 言 及 する。【 良 性 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 】 九 州 大<br />

学 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科 で 膵 体 尾 部 切 除 術 を 受 けた156 例 の 開 腹 群 ・ 腹 腔<br />

鏡 下 群 の 比 較 検 討 では、 腹 腔 鏡 下 群 で 有 意 な 出 血 量 の 減 少 (606ml…vs…<br />

363ml、P=0.001)と 入 院 期 間 の 短 縮 (22…vs…27 日 、P=0.009)を 認 めた<br />

(M.Y.F.Aly…et…al,…J…Laparoendosc…Adv…Surg…Tech…A.…20:435…2010)。<br />

生 化 学 検 査 値 も 腹 腔 鏡 下 症 例 で 早 期 に 正 常 化 していた。 比 較 した 期 間<br />

の 膵 断 端 処 理 は、 開 腹 手 術 では 魚 口 型 縫 合 閉 鎖 、 腹 腔 鏡 手 術 では 自 動<br />

縫 合 器 による 切 離 を 行 っていたが、 両 グループの 合 併 症 率 に 差 を 認 め<br />

なかった。その 後 、 膵 液 瘻 防 止 策 として 自 動 縫 合 器 での 膵 離 断 に 際 し<br />

ての 膵 圧 縮 を 重 視 したPeri-firing…compression…(PFC) 法 を 行 うことで<br />

膵 液 瘻 の 発 症 を 有 意 に 低 下 さ せ る こ と に 成 功 し(P=0.017、M.<br />

Nakamura…et…al,…Surg…Endosc.…25:867…2011)、 現 在 は 開 腹 手 術 でも<br />

自 動 縫 合 器 での 切 離 が 標 準 となっている。【 脾 温 存 手 術 】 脾 摘 後 感 染<br />

症 の 予 防 のために、 可 能 であれば 脾 は 温 存 すべきであり、 脾 血 管 温 存<br />

術 が 最 も 推 奨 される。しかしながら、 腹 腔 鏡 下 での 脾 血 管 温 存 術 は 困<br />

難 も 伴 う。この 問 題 も、 膵 の 腹 腔 鏡 下 手 術 における 解 剖 学 的 知 見 に 基<br />

づいた 外 側 アプローチでほぼ 解 決 しており、 脾 血 管 温 存 例 が 増 加 して<br />

いる(M.Nakamura…et…al,…Surgery…150:326…2011)。【 浸 潤 性 膵 管 癌 に<br />

対 する 腹 腔 鏡 下 手 術 】 先 進 医 療 では 適 応 がなかったために 国 内 での 経<br />

験 はあまり 蓄 積 していない。しかしながら、 術 式 としては 良 性 腫 瘍 に<br />

対 する 手 術 と 大 きな 違 いがなく、 有 効 であることが 期 待 される。 現 在 、<br />

国 外 の 施 設 より 癌 遺 残 度 や 予 後 に 関 する 報 告 が 散 見 されるが、 開 腹 術<br />

と 同 等 であるとされている 報 告 が 多 い。【 結 語 】 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切<br />

除 術 の 安 全 性 がほぼ 確 立 されてきたことを 提 示 した。 今 後 の 適 応 拡 大<br />

が 期 待 される。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-169-


SL3-4-1<br />

開 腹 肝 切 除 術 と 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 適 応 について<br />

1<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 学 、 2 東 京 医 科 歯 科 大 学 低<br />

侵 襲 医 学 研 究 センター<br />

○… 田 中 真 二 1 1,2<br />

, 伴 大 輔 , 藍 原 有 弘 1<br />

, 落 合 高 徳 1<br />

, 入 江 工 1<br />

,<br />

工 藤 篤 1<br />

, 中 村 典 明 1 1<br />

, 有 井 滋 樹<br />

2000 年 ~2011 年 10 月 までに 当 科 で 施 行 された 肝 切 除 978 例 中 、 開 腹 肝<br />

切 除 は917 例 (93.8%)であった。 肝 細 胞 癌 vp0-1 症 例 に 対 する 我 々の 検<br />

討 では、 治 癒 肝 切 除 後 の 無 再 発 生 存 に 寄 与 する 因 子 としてChild-<br />

Pugh=A、AFP≦100mAU/ml、 単 数 腫 瘍 、 系 統 的 切 除 、Surgical…<br />

Margin…R0の5つが 有 意 であった。 多 変 量 解 析 の 結 果 、Child-Pugh…A…<br />

(HR=0.5149,…p=0.0023)、 系 統 的 切 除 (HR=0.6575,…p=0.0448)の2つが<br />

独 立 因 子 として 認 められ、 系 統 的 肝 切 除 の 有 効 性 が 示 唆 された…<br />

(Tanaka…et…al.…J…Am…Coll…Surg…2009)。 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 手 術<br />

は 系 統 的 切 除 を 原 則 としており、 安 全 かつ 確 実 に 系 統 的 切 除 が 可 能 で<br />

ある 外 側 区 域 切 除 では 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 第 一 の 適 応 としているが、そ<br />

れ 以 外 は 現 時 点 では 開 腹 手 術 が 適 切 である。 当 科 における 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 の 適 応 は、 腫 瘍 径 3cm 以 下 、 占 居 部 位 がS2,…3,…4,…5,…6、 肝 離 断 ラ<br />

インに 大 血 管 がない 単 純 結 節 型 としており、Surgical…Marginを 確 保<br />

することに 努 めている。<br />

SL3-4-2<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 會 病 院 一 般 消 化 器 外 科 学 講 座<br />

○… 守 瀬 善 一<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 導 入 に 当 り 完 全 腹 腔 鏡 下 で 適 切 な 治 療 が 可 能 な 症 例 を<br />

選 択 した。 肝 表 面 部 分 切 除 から 肝 外 側 区 域 切 除 →S3-6の 亜 区 域 以 下 系<br />

統 切 除 → 後 区 域 ・ 右 葉 など 区 域 以 上 系 統 切 除 と 対 象 拡 大 し、43 例 の 完<br />

全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 ( 系 統 切 除 14 例 )を 施 行 した。その 後 、 適 応 外 として<br />

いた 肝 静 脈 根 部 付 近 腫 瘍 浸 潤 例 や 胆 道 癌 例 に 適 応 拡 大 する 為 、 小 開 腹<br />

併 用 hybrid…procedureを 導 入 した。これにより 切 除 されたのは6 例 ( 肝<br />

門 部 胆 管 癌 、 胆 嚢 癌 各 1 例 、 肝 静 脈 根 部 肝 転 移 例 3 例 )である。 一 方 、<br />

8c 背 側 領 域 4cm 大 単 純 結 節 型 HCCで 右 肝 静 脈 根 部 付 近 を 背 側 から 広 く<br />

圧 排 した 肝 機 能 不 良 例 では、 完 全 腹 腔 鏡 下 に 右 肝 静 脈 を 腫 瘍 被 膜 から<br />

分 離 露 出 しつつ 切 除 するなどした。これらより 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 特<br />

性 は、1.… 開 腹 による 視 野 ・ 操 作 が 腹 側 → 背 側 方 向 へとなるのに 対 し、<br />

ポート→ 奥 ( 通 常 尾 頭 側 ) 方 向 となり、 尾 側 背 側 の 視 野 ・ 操 作 が 良 好 で<br />

ある。2.… 肝 背 側 IVC 周 囲 、 横 隔 膜 下 、 癒 着 剥 離 後 スペースなど 狭 いス<br />

ペースでの 視 野 確 保 ・ 操 作 が 可 能 であり、 腹 壁 破 壊 と 同 時 に、 癒 着 剥<br />

離 、 肝 アタッチメントの 切 離 も 最 小 限 に 出 来 る。3.… 開 腹 ではスペース<br />

を 確 保 しての 授 動 脱 転 ・ 圧 排 挙 上 操 作 を 出 血 コントロールに 利 用 する<br />

が、スペースの 確 保 が 困 難 で 拡 大 視 による 細 かな 操 作 、 止 血 デバイス<br />

の 利 用 、 気 腹 圧 ・ 静 脈 圧 のコントロールなどを 利 用 する。 出 血 コント<br />

ロール 能 力 は 開 腹 と 同 等 になりつつある。4.… 圧 排 ・ 触 知 ・ 全 体 の 視 野<br />

には 腹 腔 鏡 の 弱 点 があり、リトラクター、USの 多 用 でその 点 を 補 助<br />

する 一 方 、 体 位 変 換 による 重 力 を 利 用 した 視 野 確 保 ・ 剥 離 操 作 が 容 易<br />

で、 術 後 癒 着 が 少 ない。などであり、 以 下 の 特 長 を 生 かし 腹 腔 鏡 の 適<br />

応 を 拡 大 する 可 能 性 がある。1.… 高 度 肝 障 害 例 に 対 し、 開 腹 剥 離 操 作 に<br />

よる 側 副 血 行 路 ・リンパ 行 路 の 破 壊 、 授 動 圧 排 操 作 による 肝 実 質 障 害<br />

が 回 避 されて 腹 水 貯 留 を 抑 制 し、 術 後 肝 不 全 の 契 機 の 合 併 症 を 抑 制 す<br />

る。2.… 癒 着 が 少 なく、 癒 着 剥 離 後 の 狭 いスペースでの 視 野 確 保 ・ 操 作<br />

が 可 能 であり、 手 術 負 荷 が 少 いことより 繰 り 返 し 治 療 が 容 易 である。3.…<br />

尾 状 葉 のIVCよりの 剥 離 ・ 脱 転 、 横 隔 膜 - 後 腹 膜 付 着 部 付 近 での 切 除<br />

では、 背 側 ・ 狭 いスペースでの 視 野 確 保 ・ 操 作 が 容 易 である。<br />

SL3-4-3<br />

開 腹 下 肝 切 除 の 立 場 から<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 長 谷 川 潔 , 金 子 順 一 , 井 上 陽 介 , 石 沢 武 彰 , 山 下 俊 ,<br />

原 田 庸 寛 , 青 木 琢 , 阪 本 良 弘 , 菅 原 寧 彦 , 國 土 典 宏<br />

腹 腔 鏡 下 (あるいは 腹 腔 鏡 補 助 下 ) 肝 切 除 は2010 年 4 月 より 一 部 保 険 適<br />

応 となり、 今 後 ますます 普 及 すると 考 えられる。 当 科 でも2008 年 5 月<br />

より 導 入 し、 全 体 に 占 める 割 合 はまだ 小 さいものの、 整 容 性 のよさの<br />

みならず、 術 後 の 回 復 の 早 さなど 実 感 しており、 優 れた 術 式 であるこ<br />

とは 十 分 理 解 している。 一 方 で、 開 腹 下 と 腹 腔 鏡 下 の 両 方 で 肝 切 除 を<br />

行 うようになってはじめて、 両 者 の 長 短 所 を 再 認 識 した 面 もある。 今<br />

回 は「 双 方 の 術 式 には 一 長 一 短 があって、 症 例 の 条 件 に 応 じて 使 い 分<br />

けるべき」、という 当 たり 前 の 結 論 はおいておき、より 経 験 の 豊 富 な<br />

開 腹 術 の 立 場 より、その 長 所 を 強 く 主 張 する 形 で 議 論 に 参 加 したい。<br />

当 科 で 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 適 応 を 決 める 際 、 安 全 性 に 加 え「 開 腹 下 で 想<br />

定 される 術 式 と 腹 腔 鏡 下 の 予 定 術 式 が 同 じであること」を 重 視 してい<br />

る。たとえば、 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 切 除 の 有 効 性 が 示 唆 されてい<br />

る 以 上 、 開 腹 で 可 能 な 系 統 的 切 除 が 腹 腔 鏡 下 では 不 十 分 になってしま<br />

う 事 態 は 避 けるべきであり、 転 移 性 肝 癌 に 対 し、 開 腹 下 で 可 能 な 部 分<br />

切 除 が 腹 腔 鏡 下 では 半 肝 切 除 のような、より 大 きな 切 除 術 式 になって<br />

はならない。また、 腹 腔 鏡 下 を 選 択 したがために 腫 瘍 の 医 原 性 破 裂 や<br />

断 端 陽 性 がおこるようでは 低 侵 襲 性 の 利 点 が 帳 消 しであろう。これら<br />

の 原 則 をふまえ、 当 科 が 具 体 的 に 開 腹 下 のほうが 有 利 と 考 えるのは 以<br />

下 の 点 である。1) 術 中 の 病 変 の 同 定 : 開 腹 下 では 術 中 超 音 波 検 査 で 死<br />

角 がないため、 見 落 としが 少 ない。 腹 腔 鏡 ではソナゾイド 造 影 法 やエ<br />

ラストグラフィーを 使 える 環 境 が 現 時 点 では 得 られにくいため、 新 規<br />

病 変 の 発 見 率 で 劣 る。さらに 開 腹 下 では 触 覚 による 情 報 が 加 わる 点 で<br />

有 利 である。2) 再 発 に 対 する 対 応 : 金 属 クリップは 画 像 検 査 のアーチ<br />

ファクトから 再 発 巣 の 早 期 発 見 を 妨 げる 可 能 性 がある。3) 腹 腔 鏡 では<br />

手 が 入 らない 分 、 大 出 血 などの 緊 急 事 態 への 対 応 が 遅 れる 可 能 性 があ<br />

る。 太 いグリソンや 肝 静 脈 近 傍 での 操 作 は 開 腹 下 の 方 がより 安 全 確 実<br />

である。 以 上 、 現 時 点 で 長 期 成 績 まで 含 めた 安 全 性 や 確 実 性 を 考 慮 す<br />

ると、 開 腹 下 切 除 が 担 うべき 範 囲 はまだまだ 大 きい。<br />

SL3-4-4<br />

当 科 における 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 の 手 術 成 績<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 新 田 浩 幸 , 佐 々 木 章 , 藤 田 倫 寛 , 眞 壁 健 二 , 石 橋 正 久 ,<br />

武 田 大 樹 , 片 桐 弘 勝 , 板 橋 英 教 , 長 谷 川 康 , 伊 藤 直 子 ,<br />

高 原 武 志 , 高 橋 正 浩 , 若 林 剛<br />

当 科 では1997 年 より2011 年 12 月 までに 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 を273 例<br />

( 完 全 腹 腔 鏡 下 139 例 、 腹 腔 鏡 補 助 下 134 例 ) 行 った。 適 応 疾 患 は 肝 癌 ま<br />

たは 良 性 疾 患 とし、1997 年 から 完 全 腹 腔 鏡 下 で 外 側 区 域 やS6 辺 縁 に<br />

位 置 するものは 腫 瘍 径 5cm 以 下 、 肝 表 層 は3cm 以 下 の 部 分 切 除 と 外 側<br />

区 域 切 除 を、2002 年 からは 腹 腔 鏡 補 助 下 で 腫 瘍 径 10cm 以 下 、 胆 管 切<br />

除 やリンパ 節 郭 清 を 伴 わない 症 例 に 対 する 区 域 切 除 または 葉 切 除 を<br />

行 った。その 後 、 手 術 手 技 の 習 熟 に 伴 い 適 応 を 拡 大 し、2007 年 からは<br />

ドナー 肝 切 除 を 腹 腔 鏡 補 助 下 で、2009 年 からは 葉 切 除 などを 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 で、2011 年 からは 胆 道 癌 手 術 を 腹 腔 鏡 補 助 下 で 行 っている。 手 術<br />

成 績 は 腫 瘍 の 局 在 、 術 式 、 施 行 時 期 によって 異 なるものの、 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 での 部 分 切 除 と 外 側 区 域 切 除 の 平 均 手 術 時 間 は193 分 (70-430)、<br />

出 血 量 は205ml(1-1887)、 術 後 在 院 日 数 は9 日 (3-131)で、 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 での 葉 切 除 など 大 きな 肝 切 除 の 平 均 手 術 時 間 は317 分 (192-542)、 出<br />

血 量 は631ml(68-2785)、 術 後 在 院 日 数 は13 日 (6-154)であった。いず<br />

れの 術 式 も 後 期 での 手 術 成 績 は 向 上 にしている。 肝 細 胞 癌 における 長<br />

期 成 績 は、3 年 生 存 率 が87.9%、5 年 生 存 率 が70.7%、 大 腸 癌 肝 転 移 にお<br />

ける5 年 生 存 率 が62%で、 開 腹 手 術 と 比 較 し 差 はなかった。ポート 部<br />

再 発 など 腹 腔 鏡 に 関 連 する 再 発 形 式 はなかったが、 転 移 性 肝 癌 症 例 の<br />

2 例 に 切 除 近 傍 再 発 を 認 めた。 本 会 では、 我 々の 行 っている 手 術 手 技<br />

を 供 覧 し、 適 応 、 手 術 成 績 について 述 べたい。<br />

-170-


SL3-5-1<br />

MinimallyInvasiveMajorHepatectomy<br />

New York Presbyterian Hospital-Weill Cornell Medical<br />

Center, USA<br />

○…Daniel…Cherqui…<br />

Minimally…invasive…major…hepatectomy…(resection…of…3…or…more…liver…<br />

segments)… remains… a… relatively… rare… operation… because… this… is… a…<br />

difficult…and…technically…demanding…procedure,…and…a…standard,…safe,…<br />

reproducible… technique… has… not… been… widely… adopted.……Several…<br />

approaches… have… been… used,… including… totally… laparoscopic,… hand…<br />

assisted…and…hybrid…operation.…In…a…literature…review…by…Nguyen…et…<br />

al.… including… more… than… 2800… laparoscopic… liver… resections,… major…<br />

hepatectomy…accounted…for…14.5 %…of…all…procedures…including…left…<br />

hepatectomy…18 %…and…right…hepatectomy…11 %…(1).…In…a…collective…<br />

case…series…by…Dagher…et…al.…including…210…major…laparoscopi…liver…<br />

resections…from…Europe,…USA…and…Australia,…there…were…43%…totally…<br />

laparoscopic…procedures,…57%…hand…assisted…procedures…and…a…12%…<br />

conversion…rate…(2).…Wakabayashi’s…group…from…Japan…favored…a…<br />

hybrid…approach…with…a…hanging…maneuver…and…reported…43…cases…<br />

with… excellent… outcomes…( 3 ).… In… our… experience,… the… minimally…<br />

invasive… approach……accounted… for… only… 14.5 %… all… major… liver…<br />

resections,…including…18 %…of…all…left…hepatectomies…and…11 %…of…all…<br />

right… hepatectomies…( 4 ).……In… 2009,… we… investigated… our… learning…<br />

curve… for… laparoscopic… liver… resection.……We… found… a… significant…<br />

increase…in…the…number…of…major…hepatectomies…performed…over…a…<br />

12-year… period,… with… concurrent… reductions… in… the… use… of… handassistance,…<br />

pedicle… clamping,… median… clamping… time,… median…<br />

operative…time,…blood…loss…and…morbidity…(5).……This…learning…curve…<br />

was…confirmed… by…the…above…mentioned…studies.…In…the…literature…<br />

and…our…own…experience,…mortality,…morbidity,…blood…loss,…margins…<br />

and…oncologic…outcomes…have…been…equivalent…or…better…than…those…<br />

observed…with…open…surgery.…But…it…should…be…emphasized…that…this…<br />

was… obtained… in… highly… selected… patients… and… that… there… are… no…<br />

published… prospective… comparative… studies.… Both… hospital… and…<br />

surgeon…volume…have…been…shown…to…affect…outcomes,…and…defining…a…<br />

tangible…number…of…repetitions…before…the…learning…curve…plateau…is…<br />

not…clear…for…laparoscopic…major…hepatectomy.……In…conclusion,… we…<br />

strongly…recommend…that…before…embarking…on…minimally…invasive…<br />

major…liver…resection,…laparoscopic…competencies…must…be…developed…<br />

upon…a…solid…foundation…of…open…liver…surgery…and…after…competency…<br />

with… less… technically… complex… laparoscopic… resections… has… been…<br />

clearly…achieved.…<br />

Selected…references<br />

1-Nguyen…KT,…Gamblin…TC,…Geller…DA.…World…review…of…laparoscopic…<br />

liver…resection-2,804…patients.…Ann…Surg.…2009;250(5):831-41.…<br />

2-… Dagher… I,… O’Rourke… N,… Geller… DA,… et… al.… Laparoscopic… major…<br />

hepatectomy:…an…evolution…in…standard…of…care.…Ann…Surg.…2009;<br />

250(5):856-60.<br />

3-…Nitta…H,…Sasaki…A,…Fujita…T,…et…al.……Laparoscopy-assisted…major…<br />

liver… resections… employing… a… hanging… technique.……The… original…<br />

procedure.……Ann…Surg.…2010;251:…450-453.<br />

4-… Bryant…R,… Laurent…A,… Tayar… C,… Cherqui…D.… Laparoscopic…liver…<br />

resection-understanding… its… role… in… current… practice:… the… Henri…<br />

Mondor…Hospital…experience.…Ann…Surg.…2009…Jul;250(1):103-11<br />

5-… Vigano… L,… Laurent… A,… Tayar… C,… et… al.… The… learning… curve… in…<br />

laparoscopic… liver… resection:… improved… feasibility… and…<br />

reproducibility.……Ann…Surg.…2009;250(5):772-82.<br />

SL3-5-2<br />

脾 臓 温 存 を 含 む 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 の 手 技<br />

1<br />

大 分 大 学 第 一 外 科 、 2 大 分 大 学<br />

○… 太 田 正 之 1<br />

, 矢 田 一 宏 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 岩 下 幸 雄 1<br />

,<br />

2<br />

北 野 正 剛<br />

【はじめに】 当 科 では1994 年 から 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 を 開 始 し、<br />

2006 年 から 先 進 医 療 として 施 行 してきた。その 適 応 は 膵 の 良 性 病 変 あ<br />

るいは 低 悪 性 度 の 腫 瘍 性 病 変 としている。 今 回 、 当 科 の 脾 臓 温 存 を 含<br />

む 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 の 手 技 を 供 覧 し、その 成 績 について 示 す。【 方<br />

法 】1994 年 6 月 より2012 年 2 月 までに 当 科 で31 例 に 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除<br />

術 を 施 行 した。 平 均 年 齢 61 歳 、 男 性 13 例 、 女 性 18 例 で 平 均 腫 瘍 径 は<br />

3.4cmであった。 病 変 の 術 前 診 断 は 嚢 胞 性 腫 瘍 19 例 、 神 経 内 分 泌 腫 瘍<br />

11 例 、その 他 1 例 であった。 体 位 は 膵 体 部 の 場 合 は 仰 臥 位 、 膵 尾 部 の<br />

場 合 は 右 半 側 臥 位 とし、 臍 下 部 ないしは 臍 左 上 からカメラポートを 挿<br />

入 し4~5ポートで 手 術 を 施 行 した。 膵 体 尾 部 を 後 腹 膜 より 十 分 に 剥 離<br />

後 、 脾 動 脈 を 結 紮 切 離 し、 膵 実 質 を 自 動 縫 合 器 により 切 離 、 脾 臓 を 温<br />

存 しない 場 合 には、 最 後 に 脾 臓 の 剥 離 を 行 った。 脾 臓 の 温 存 は5 例 に<br />

行 い、インスリノーマの3 例 には 脾 動 静 脈 を 温 存 し、その 他 の2 例 には<br />

Warshaw 手 術 を 施 行 した。【 結 果 】 初 期 の1 例 (3%)で 癒 着 などのため<br />

開 腹 手 術 に 移 行 した。また 他 の2 例 (6 例 )に 用 手 補 助 を 必 要 とした。 平<br />

均 手 術 時 間 276 分 、 出 血 量 185mlであった。 術 後 合 併 症 としてGrade…B<br />

の 膵 液 瘻 を4 例 (13%)に 認 めたが、いずれも 保 存 的 に 治 癒 可 能 であった。<br />

また 脾 臓 温 存 症 例 5 例 の 術 後 の 脾 臓 の 血 流 は 維 持 されていた。 術 後 平<br />

均 在 院 日 数 は16 日 であった。【 結 語 】 膵 の 良 性 病 変 あるいは 低 悪 性 度<br />

の 腫 瘍 性 病 変 に 対 する 脾 臓 温 存 を 含 む 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 は 安 全 に<br />

施 行 可 能 と 考 えられた。<br />

SL3-5-3<br />

内 視 鏡 下 肝 切 除 「minorhepatectomy」の 手 術 手 技<br />

とコツ<br />

1<br />

熊 本 大 学 消 化 器 癌 集 学 的 治 療 学 、 2 熊 本 大 学 消 化 器 外 科 学<br />

1,2<br />

○… 別 府 透 , 近 本 亮 2 2<br />

, 馬 場 秀 夫<br />

【 目 的 】 内 視 鏡 下 肝 切 除 は2010 年 の 肝 部 分 切 除 、 肝 外 側 区 域 切 除 の 保<br />

険 収 載 後 、 施 行 例 が 急 増 している。われわれが 行 っている 内 視 鏡 下 肝<br />

部 分 切 除 の 手 術 手 技 を 供 覧 する。【 対 象 】1999 年 以 降 の 肝 切 除 1079 例 中 、<br />

腹 腔 鏡 や 胸 腔 鏡 による 内 視 鏡 下 肝 切 除 128 例 ( 肝 細 胞 癌 103 例 、 肝 転 移<br />

14 例 、その 他 11 例 )を 対 象 とした。アプローチの 内 訳 は 完 全 内 視 鏡 下<br />

20 例 、ハンドアシスト34 例 、 内 視 鏡 補 助 下 …(hybrid)…74 例 、 術 式 の 内<br />

訳 は 肝 部 分 切 除 98 例 、 外 側 区 域 切 除 24 例 、その 他 の 切 除 6 例 であった。。<br />

【 適 応 】 適 応 は 主 に5cm 以 下 ・ 単 発 あるいは3cm・3… 個 以 下 で 太 いグ<br />

リソンや 肝 静 脈 を 切 離 線 に 認 めない 症 例 を 対 象 とした。 肝 機 能 は 開 腹<br />

手 術 に 準 じた。【 手 術 手 技 とわれわれの 工 夫 点 】1. 完 全 鏡 視 下 に 加 え<br />

て、ハンドアシストやhybrid 手 術 を 積 極 的 に 導 入 する。2.…Hybrid 手<br />

術 では 肝 授 動 を 完 全 に 行 う。3.…Soft…coagulation…system…(VIO)やcooltip<br />

針 によるラジオ 波 を 用 いたpre-coagulationを 活 用 し、CUSAあるい<br />

はWater…drip 法 を 併 用 したEnsealTMにより 肝 実 質 切 離 を 行 う。4.… 太<br />

いグリソン 鞘 や 肝 静 脈 の 切 離 には 片 側 3 列 の 自 動 縫 合 器 を 用 いる。【 結<br />

果 】 出 血 量 中 央 値 150g、 手 術 時 間 中 央 値 310 分 、MAP 輸 血 率 3%、<br />

FFP 投 与 率 4%、 合 併 症 率 4.7%、 手 術 関 連 死 亡 は 皆 無 であった。【まと<br />

め】 肝 細 胞 癌 では、 内 視 鏡 下 肝 切 除 は 内 視 鏡 下 凝 固 療 法 と 比 較 して 系<br />

統 的 治 療 が 可 能 で 根 治 性 が 極 めて 高 く、 合 併 症 が 少 ない 利 点 がある。…<br />

開 腹 肝 切 除 と 比 較 しても 低 侵 襲 で 同 等 の 長 期 予 後 を 有 する。 今 後 の 更<br />

なる 一 般 化 にむけて 重 要 と 考 える 小 範 囲 内 視 鏡 下 肝 切 除 におけるアプ<br />

ローチの 使 い 分 けと 手 技 上 のポイントについて 解 説 する。<br />

SL3-5-4<br />

Minorpancreatectomy<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 松 本 逸 平<br />

我 々 は 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 導 入 期 に は、Hand-assisted…laparoscopic…<br />

surgeryによる 尾 側 膵 切 除 術 (HALS-DP)を 中 心 に 行 い、 安 全 性 の 担 保<br />

との 技 術 向 上 を 図 った。 現 在 は 完 全 鏡 視 下 DP(Lap-DP)を 標 準 術 式 と<br />

している。 腫 瘍 核 出 術 はリンパ 節 転 移 がなく 膵 外 性 発 育 を 示 す 腫 瘍 に<br />

適 応 は 限 定 される。 本 セミナーではHALS-DP、Lap-DPの 手 技 上 の 要<br />

点 を 提 示 する。HALSは1. 術 野 展 開 や 的 確 なカウンタートラクション<br />

が 容 易 、2. 組 織 の 触 覚 による 認 識 が 可 能 、3. 出 血 への 対 応 が 容 易 、4.Hand…<br />

portから 直 視 下 操 作 も 可 能 などの 利 点 がある。 従 って 経 験 の 少 ない 外<br />

科 医 にも 安 全 に 施 行 可 能 で、 手 技 の 習 熟 や 腹 腔 鏡 手 術 の 導 入 期 に 適 し<br />

ている。またLap-DPにおける 癒 着 剥 離 困 難 例 や 出 血 コントロール 不<br />

良 例 等 に 対 しHALS-DPへの 移 行 により 低 侵 襲 性 を 貫 徹 しうるなど、<br />

習 得 しておきたい 手 技 である。Lap-DPでは 膵 体 尾 部 脾 の 完 全 脱 転 に<br />

先 立 ち 膵 切 離 を 行 う 内 側 アプローチを 標 準 手 技 としている。エネル<br />

ギーデバイスは 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 を 主 に 使 用 する。 体 位 は 開 脚 仰 臥<br />

位 、 臍 部 にカメラポート、 上 腹 部 に 操 作 用 のポートを3~4 箇 所 留 置 す<br />

る。 大 網 を 十 分 左 右 へ 切 開 する。 膵 下 縁 被 膜 を 切 開 して 膵 体 尾 部 を 後<br />

腹 膜 より 剥 離 する。 剥 離 は 膵 頭 部 側 より 開 始 し 膵 尾 部 側 ・ 背 側 へと 進<br />

めておく。 胃 脾 間 膜 を 切 離 し、 膵 尾 上 縁 で 脾 動 脈 をクリップして 血 行<br />

遮 断 しておく。この 操 作 で 出 血 量 の 低 減 化 、 脾 臓 の 縮 小 化 、 脾 動 脈 根<br />

部 切 離 前 にも 脾 静 脈 切 離 が 可 能 などの 利 点 がある。 膵 体 部 を 十 分 に 受<br />

動 後 、 術 中 エコーで 膵 切 離 予 定 線 を 決 定 する。 脾 静 脈 、 脾 動 脈 を 十 分<br />

に 剥 離 して 切 離 する。 脾 静 脈 の 剥 離 はSMVへの 合 流 部 付 近 が 容 易 で<br />

あるが、 膵 からの 小 分 枝 の 損 傷 に 注 意 する。また 膵 上 縁 で 左 胃 静 脈 を<br />

切 離 しておくと、 後 の 操 作 が 容 易 で 出 血 への 対 応 もしやすい。 脾 動 脈<br />

根 部 は 膵 の 背 側 からの 剥 離 、 切 離 が 容 易 であるが、 総 肝 動 脈 や 腹 腔 動<br />

脈 の 誤 認 には 十 分 注 意 する。 膵 切 離 は 自 動 縫 合 器 (End…GIA)で 行 う。<br />

膵 切 離 時 に 脾 動 静 脈 へかけたクリップの 巻 き 込 みには 十 分 注 意 する。<br />

膵 体 尾 部 を 挙 上 しつつ、 最 後 に 脾 臓 を 後 腹 膜 より 切 離 する。プラスチッ<br />

クバックへ 標 本 を 収 納 し、 臍 部 より 摘 出 、 閉 鎖 式 ドレーンを1 本 留 置<br />

する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-171-


SL3-5-5<br />

lateralsectionectomy<br />

慶 應 義 塾 大 学 外 科<br />

○… 板 野 理 , 田 邉 稔 , 河 地 茂 行 , 篠 田 昌 宏 , 北 郷 実 ,<br />

八 木 洋 , 北 川 雄 光<br />

【はじめに】lateral…sectionectomy…は 既 に 保 険 診 療 に 収 載 された 標 準<br />

手 術 であり, 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 でも 最 も 定 型 化 された 術 式 と 言 える.し<br />

かし, 腹 腔 鏡 下 手 術 のために 考 えられた 手 順 は 従 来 の 開 腹 によるもの<br />

と 大 きく 異 なり, 拡 大 視 効 果 や 回 り 込 み 視 野 , 気 腹 による 止 血 効 果 な<br />

ど 腹 腔 鏡 手 術 の 利 点 を 生 かしたものとなり,またグリソンと 静 脈 の 自<br />

動 縫 合 器 による 一 括 遮 断 などは 開 腹 術 にフィードバックできる 手 技 と<br />

なっている.【 体 位 とトロッカー 挿 入 位 置 】 左 右 上 肢 を90 度 外 転 し,<br />

開 脚 仰 臥 位 にてマジックベットで 体 を 固 定 する. 通 常 5 本 のトロッカー<br />

( 臍 部 , 左 右 側 腹 部 , 左 右 季 肋 下 )を 使 用 するが, 牽 引 糸 や 針 状 鉗 子 の<br />

使 用 により 数 を 減 らすことは 可 能 である. 気 腹 圧 は8-10mmHgにて 手<br />

術 を 行 う.…【 肝 外 側 区 域 の 授 動 ,「 内 側 から 外 側 へ」】 超 音 波 凝 固 切 開<br />

装 置 を 用 いて 肝 円 索 を 切 断 し、 頭 側 に 向 かって 肝 鎌 状 間 膜 , 冠 状 間 膜<br />

の 切 離 を 行 って 下 大 静 脈 および 左 肝 静 脈 を 十 分 に 露 出 し、その 位 置 を<br />

確 認 する。さらに 左 三 角 間 膜 の 切 離 を「 内 側 から 外 側 へ」,つまり 右<br />

方 に 進 めていく. 左 縁 までの 中 間 で 通 常 裏 側 と 交 通 する. 左 縁 までの<br />

切 離 を 行 う 際 にデバイスが 胃 壁 にあたり 損 傷 する 恐 れがある 場 合 は,<br />

ガーゼを 間 に 置 くとよい. 左 三 角 間 膜 左 縁 までの 切 離 が 終 了 したら 肝<br />

圧 排 子 で 外 側 葉 を 跳 ね 上 げ, 裏 側 から 左 肝 静 脈 の 根 部 を 確 認 しながら<br />

周 囲 の 剥 離 を 行 い, 外 側 葉 の 授 動 を 完 成 させる【 肝 切 離 】 超 音 波 検 査<br />

を 行 い, 腫 瘍 と 主 要 脈 管 の 位 置 関 係 を 確 認 し 切 離 予 定 線 をマーキング<br />

する. 肝 切 離 は 肝 円 索 を 右 足 側 に 牽 引 し,S3,S2グリソンと 左 肝 静 脈<br />

を 厚 さ1.5cm, 幅 1cmの 直 線 状 の 実 質 の 中 に 残 すイメージで 腹 側 より<br />

行 う. 切 離 手 技 は 各 施 設 で 開 腹 手 術 にて 慣 れた 方 法 で 行 うのがよいと<br />

思 われるが, 組 み 合 わせにより,トロッカーの 追 加 が 必 要 となる.グ<br />

リソンと 左 静 脈 の 処 理 は60mmの 自 動 縫 合 器 2 回 にて 行 う.カートリッ<br />

ジの 選 択 は 同 時 に 圧 挫 する 肝 実 質 の 厚 さと 硬 さから 判 断 するが, 通 常<br />

グリソンはグリーンからブルーカートリッジ, 静 脈 はブルーかホワイ<br />

トカートリッジを 用 いる. 切 除 肝 はバックに 入 れて, 臍 部 創 を 延 長 す<br />

るか 下 腹 部 に 小 横 切 開 を 置 いて 回 収 する.<br />

SL3-5-6<br />

Lap-PD<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 趙 明 浩 , 山 本 宏 , 貝 沼 修 , 朴 成 進 , 有 光 秀 仁<br />

【 背 景 】 今 日 ,… 内 視 鏡 手 術 はその 適 応 を 拡 大 しながら 爆 発 的 に 普 及 し<br />

てきており,… 近 い 将 来 ,… 開 腹 手 術 を 凌 駕 する 手 術 が 展 開 してくること<br />

さえ 予 見 される. 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 も 肝 細 胞 癌 や 転 移 性 肝 癌 などの 悪<br />

性 疾 患 に 対 して 右 肝 切 除 をはじめ 多 くの 系 統 的 肝 切 除 が 可 能 となり,…<br />

驚 異 的 な 進 化 を 遂 げながら 普 及 している.… 一 方 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 は 良 性<br />

疾 患 や 低 悪 性 度 疾 患 には 大 変 良 い 適 応 と 考 えられ,… 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部<br />

切 除 が 徐 々に 普 及 しつつあるが,… 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 普 及 に<br />

は 懐 疑 的 な 意 見 が 多 い.【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-PD)<br />

の 手 術 手 技 をビデオにて 供 覧 し,… 当 院 での60 例 の 経 験 からLap-PDが 安<br />

定 して 安 全 に 行 え,… 普 及 していくかどうかについて 考 察 する.【 手 術 手<br />

技 】1.…トンネリングからオープン・ザ・ウィンドウ: 網 嚢 腔 を 開 放<br />

し 胃 (あるいは 十 二 指 腸 )を 離 断 し,…GDAを 切 離 する.… 膵 頸 部 下 縁 を 左<br />

右 に 広 く 剥 離 し,…SMVからSpVを 広 範 に 露 出 し 窓 口 を 大 きく 展 開 して<br />

から 膵 頸 部 をテーピングする.2.… 内 側 アプローチ: トライツ 靭 帯 を<br />

左 から 右 に 内 側 から 右 外 側 に 剥 離 し,… 大 動 脈 ,… 下 大 静 脈 前 面 と 十 二 指<br />

腸 および 膵 頭 部 と 十 分 に 剥 離 しておく.…3.… 膵 頭 神 経 叢 の 剥 離 :… 空 腸 を<br />

離 断 し 腸 間 膜 を 切 離 してSMA…and…Vの 右 側 に 引 き 抜 く.… 上 腸 間 膜 動 静<br />

脈 茎 をリトラクターで 左 に 牽 引 し, 上 腸 間 膜 動 静 脈 の 接 線 方 向 に 尾<br />

側 から 頭 側 に 剥 離 していく.4.… 肝 十 二 指 腸 間 膜 の 郭 清 :… 胆 管 を 右 腹 側<br />

に 牽 引 して,… 尾 側 から 肝 門 に 向 かって 肝 動 脈 や 門 脈 を 剥 離 してい<br />

き, 最 後 に 胆 管 を 切 離 する.… 膵 は 病 態 によって 早 い 段 階 で 離 断 するこ<br />

ともあれば 最 後 に 離 断 することもある.5.… 吻 合 :… 胆 管 空 腸 吻 合 は 原 則<br />

ステントは 挿 入 せず 連 続 縫 合 で 行 う。 膵 空 腸 吻 合 は 膵 管 拡 張 例 は 膵 管<br />

粘 膜 吻 合 と 柿 田 式 密 着 法 ,… 非 拡 張 例 は 水 平 マットレスによる 陥 入 法 と<br />

している.【 考 察 】 手 術 時 間 や 出 血 量 もlearning…curveを 超 えれば 減 少<br />

し,… 最 近 の10 例 では 手 術 時 間 は5~6 時 間 程 度 ,… 出 血 量 は 少 量 であり,…<br />

Grade…B 以 上 の 膵 液 漏 も 認 められなくなり 在 院 日 数 が 短 縮 した.… 手 技<br />

の 標 準 化 により,… 症 例 を 厳 選 すればLap-PDは 必 ず 普 及 すると 考 えられ<br />

た.…<br />

SL3-5-7<br />

Robotic-assistantlaparascopicprecisionliver<br />

resection<br />

Hospital & Institute of Hepatobiliary Surgery, Chinese<br />

PLA General Hospital<br />

○…Jiahong…Dong,Hongguang…Wang,Wenbin…Ji<br />

Objective:… To… assess… the… feasibility… and… safety… of… Da… Vinci…<br />

hepatectomy.…<br />

Summary Background Data:… The… development… of… minimally…<br />

invasive…surgery…has…led…to…an…increase…in…laparoscopic…hepatectomy.…<br />

However…laparoscopic…hepatectomy…remains…technically…challenging…<br />

and… not… widely… developed.… Robotic… surgery… represents… a… recent…<br />

evolution… in… minimally… invasive… surgery… and… is… being… used…<br />

increasingly… in… minimally… invasive… complex… surgical… procedures.…<br />

Herein…we…report…our…initial…experience…in…Da…Vinci…hepatectomy…in…<br />

28…consecutive…patients.…<br />

Patients and Methods:… Between… April… 2009… and… April… 2012,… 28…<br />

patients… underwent… Da… Vinci… hepatectomies… for… benign… and…<br />

malignant…hepatic…diseases.…Major…hepatectomies…were…performed…in…<br />

17…patients…(60.7%)…and…minor…hepatectomies…in…11…patients…(39.3%).…<br />

The…procedures…were…performed…anatomically…with…hilum…dissection…<br />

in… 26… patients.… Prior… to… starting… the… parenchymal… transection,…<br />

vascular… control… of… the… portal… vessels… was… carried… out… whenever…<br />

possible.… Results:……27… Da… Vinci… hepatectomies… were… performed…<br />

successfully…in…a…manner…of…pure…laparoscopic…resection.…Only…one…<br />

conversion…to…laparotomy…occurred…due…to…optimal…radical…resection.…<br />

The…mean…operative…time…was…368…minutes…(90-720…minutes).…The…<br />

mean…blood…loss…was…457…ml…(30-1800…ml).…Three…patients…required…<br />

blood… transfusions.… The… complication… rate… was… 14.3 % .… And… all…<br />

complications…focus…on…the…patients…with…hilar…cholangiocarcinoma…<br />

including…2……transient…bile…leakage,…1…portal…vein…thrombosis…and…1…<br />

hepatic…artery…aneurysms.…Both…patients…received…the…thrombosis…<br />

and…aneurysm…resection…with…vascular…reconstruction…respectively.…<br />

No…mortality.…The…mean…postoperative…stay…was…9…days…(2-58…days).…<br />

Conclusions:… By… combining… the… efficacy… of… open… surgery… with… a…<br />

minimally… invasive… approach,… the… da… Vinci… robotic… system… could…<br />

broaden… the… indications… for… liver… resections,… especially… for… major…<br />

hepatectomies.… It… enable… the… surgeon… to… perform… precise… liver…<br />

resection… including… extreme… accuracy,… fine… dissection,… endoscopic…<br />

suturing… and… microanastomosis.… However,… the… procedures… and…<br />

surgical…techniques…should…be…refined…for…hilar…cholangiocarcinoma…<br />

due… to… its… higher… complication… rate.… And… long-term… results… and…<br />

further…research…on…the…cost-effectiveness…are…still…required.<br />

SL3-5-8<br />

daVinciPDのコツと 有 用 性 について<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 伊 東 昌 広 , 堀 口 明 彦 , 宇 山 一 朗 , 宮 川 秀 一<br />

【 目 的 】 今 回 我 々は、 現 在 までに6 例 のda…Vinci…Sによる 完 全 腹 腔 鏡<br />

下 PD(da…Vinci…PD)と5 例 の 完 全 腹 腔 鏡 下 PD…(Lap…PD)とを 経 験 した<br />

ためこれらと 同 時 期 に 施 行 した 開 腹 10 例 …(Open…PD)と 比 較 し、その<br />

コツと 手 技 上 および 安 全 性 への 工 夫 について 討 論 した。【 対 象 および<br />

方 法 】2007 年 4 月 ~2012 年 4 月 までに 当 科 で 施 行 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 20 例 を 対 象 とした。 膵 頭 部 癌 の 門 脈 浸 潤 例 、 神 経 叢 浸 潤 例 は 現 在<br />

LAP-PDの 適 応 としていないため 対 象 から 除 外 した。 疾 患 の 内 訳 は、<br />

da…Vinci…PD… 膵 癌 3 例 、 乳 頭 部 癌 2 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 1 例 、Lap…PD:5<br />

例 乳 頭 部 癌 3 例 、 下 部 胆 管 癌 1 例 、 膵 頭 部 IPMN1 例 Open-PD:…10 例 ( 乳<br />

頭 部 癌 4 例 、 中 下 部 胆 管 癌 3 例 、IPMN2 例 、 慢 性 膵 炎 1 例 )であった。<br />

膵 空 腸 吻 合 はLAP-PD…、Open-PDともに 膵 実 質 貫 通 法 ( 柿 田 式 変 法 )、<br />

膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法 でおこない、 外 瘻 stentを 留 置 した。 胆 管 空 腸 吻<br />

合 はともに 後 壁 内 翻 縫 合 、 前 壁 外 翻 縫 合 でおこなった。【 結 果 】 全 例<br />

問 題 なく 手 術 が 施 行 でき 開 腹 移 行 例 はなかった。 出 血 量 は、 優 位 (p…<br />

0.05)にda…Vinci…PD…とLAP-PDが 開 腹 と 比 べ 少 なかった。 膵 空 腸 吻 合<br />

時 間 は、 開 腹 では29±7min、da…Vinci…PDは72±45min… またLAP-PD<br />

が82±35minで 有 意 (p…0.05)に 開 腹 に 比 べ 時 間 を 要 した。しかし 有 意<br />

差 はないがda…Vinci…PDにおいて 若 干 の 時 間 短 縮 を 認 めた。 合 併 症 に<br />

ついては、da…Vinci…で1 例 膵 液 瘻 Grade…A…またLAP-PDにおいて 膵 液<br />

瘻 Grade…Bを 認 めた。 開 腹 でも1 例 同 様 に 膵 液 瘻 Grade…Aを 認 めた。【 考<br />

察 】da…Vinci…PDは、 低 侵 襲 手 術 として 有 用 で、また 特 に 膵 空 腸 吻 合<br />

において 今 後 吻 合 時 間 短 縮 に 有 用 であると 示 唆 されたが 今 後 より 一 般<br />

化 するためには 症 例 の 積 み 重 ねや 工 夫 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

-172-


SL3-6-1<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 安 全 に 施 行 するための<br />

手 術 手 技<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 外 科<br />

○… 渡 邉 学 , 浅 井 浩 司 , 松 清 大 , 齋 藤 智 明 , 児 玉 肇 ,<br />

斉 田 芳 久 , 長 尾 二 郎 , 草 地 信 也<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (LC)は 胆 嚢 良 性 疾 患 の 標 準 術 式 となっているが、<br />

現 在 ではより 整 容 性 に 優 れた 術 式 が 求 められている。そこで、 単 孔 式<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (TANKO-LC)や、 細 径 鉗 子 を 用 いたNeedlescopic…<br />

SurgeryによるReduced…Port…Surgeryが、その 高 い 整 容 性 により 脚 光<br />

を 浴 び 急 速 に 普 及 している。 教 室 では2009 年 5 月 よりTANKO-LCを 導<br />

入 しているが、 機 器 の 開 発 や 手 技 の 習 熟 により 短 期 間 のうちに 創 部 ア<br />

プローチ 法 や 手 術 手 技 も 変 化 している。そこで、TANKO-LCを 安 全<br />

に 施 行 するための 手 術 手 技 の 変 遷 と 工 夫 につきビデオで 供 覧 する。【 手<br />

術 手 技 】TANKO-LCにおいて 唯 一 の 創 部 である 臍 部 へのアプローチは、<br />

鉗 子 操 作 性 を 左 右 することから 最 も 重 要 である。 当 初 はスリーポート<br />

法 を 用 いていたが、 鉗 子 同 士 の 干 渉 による 手 技 の 制 限 などにより 術 者<br />

に 過 大 なストレスがかかっていた。そのため、SILSポート<br />

(COVIDIEN)を 用 い 改 善 されたが、 現 在 では 創 部 保 護 ・ 操 作 性 ・コ<br />

ストの 面 で 有 用 であるEZアクセス( 八 光 )を 使 用 している。 臍 部 切 開<br />

も 当 初 は 縦 切 開 のみであったが、 現 在 では 臍 部 の 形 状 分 類 を 行 いそれ<br />

に 合 わせた 切 開 法 を 選 択 している。また、 通 常 LCと 同 様 の 視 野 展 開<br />

を 確 保 するため、Plus…one…punctureとして 針 状 細 径 鉗 子 を 適 宜 使 用<br />

している。 最 近 では、シャフトが 約 2mm、 先 端 把 持 部 が5mm 幅 で 操<br />

作 性 と 整 容 性 を 両 立 させたEndo…Relief(ホープ 電 子 )を 使 用 している。<br />

術 者 の 鉗 子 は、 当 初 先 端 屈 曲 鉗 子 を2 本 クロスに 用 いて 使 用 していたが、<br />

現 在 は 先 端 屈 曲 鉗 子 と 通 常 の 直 線 鉗 子 を1 本 ずつ、もしくは 直 線 鉗 子<br />

のみで 行 っている。 手 技 としては、 単 孔 式 特 有 の 操 作 鉗 子 のベクトル<br />

から 胆 嚢 後 面 の 視 野 展 開 を 確 実 に 行 い、そこでの 剥 離 操 作 を 可 能 な 限<br />

り 進 め、TANKO-LCでは 視 野 展 開 が 不 良 になりがちな 前 面 からの 剥<br />

離 を 少 なくすることが 最 も 重 要 である。TANKO-LCは、 様 々なデバ<br />

イスの 使 用 と 手 技 の 習 熟 により、 従 来 の 四 孔 式 LCと 同 様 の 手 術 操 作<br />

が 可 能 であった。 今 後 は 従 来 のLCに 代 わる 有 用 な 治 療 法 になると 考<br />

えられた。しかし、 現 時 点 ではTANKO-LCは、 整 容 性 を 重 視 した 従<br />

来 のLCの 特 殊 な 手 技 であることを 念 頭 に 置 き、 安 全 確 実 な 手 術 手 技<br />

を 選 択 しなければならない。<br />

SL3-6-2<br />

最 新 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 -Needlescopic<br />

cholecystectomy&Single-incision<br />

laparoscopiccholecystectomy-<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科<br />

○… 多 賀 谷 信 美<br />

「はじめに」さらなる 低 侵 襲 化 を 目 指 したReduced…port…surgery<br />

(RPS)と し て のSingle-incision…laparoscopic…surgeryやNeedlescopic…<br />

surgeryが 注 目 されている。 今 回 、 我 々は 胆 嚢 疾 患 に 対 し、Singleincision…laparoscopic…cholecystectomy…(SILC)を55<br />

例 …、Needlescopic…<br />

cholecystectomy…(NC)を160 例 に 施 行 したので、その 手 術 手 技 および<br />

成 績 を 報 告 する。「 方 法 」SILCでは、 臍 部 に 約 2cmの 縦 切 開 を 置 き、<br />

そこへ 手 袋 かEZ…accessを 装 着 し、3 本 の5mmポート、このうち1 本 は<br />

屈 曲 型 鉗 子 を 挿 入 するためのFlexible…port…(MIT…portTM)を 留 置 す<br />

る。まずポートおよび 鉗 子 が 不 用 の 腹 腔 内 臓 器 牽 引 装 置 であるEndo-<br />

GrabTMを 使 用 し、 胆 嚢 を 腹 膜 に 挙 上 固 定 する。3 本 のポートより、<br />

5mm 腹 腔 鏡 、Prebending 型 把 持 鉗 子 、エネルギーデバイスを 挿 入 し<br />

胆 嚢 摘 出 を 行 った。NCでは、1) 臍 部 に12mmのポートを 挿 入 し、<br />

3mmポートを 心 窩 部 、 右 肋 骨 弓 下 に 計 3 本 刺 入 し、3.3mmの 細 径 内 視<br />

鏡 観 察 下 に 手 術 を 行 うか、2)SILC 法 に 準 じた 配 置 に、さらに 右 上 腹<br />

部 に3.3mmの 細 径 内 視 鏡 を 挿 入 するポートを 追 加 し、 同 様 の 手 術 を<br />

行 った。また、 新 たな 試 みとしてICG 蛍 光 胆 道 検 索 を 併 用 したRPSを<br />

行 い 術 中 navigationとして 活 用 している。「 結 果 」 開 腹 手 術 への 移 行<br />

は 認 めなかったが、NC 中 8 例 (5.0%)、SILC 中 1 例 (1.8%)が 通 常 の 腹 腔<br />

鏡 下 手 術 へ 移 行 した。 手 術 時 間 はNC:…79 分 、SILC:…85 分 で、 術 中 出<br />

血 量 は 少 量 、 合 併 症 はなく、 術 後 在 院 期 間 の 中 央 値 は3 日 であった。<br />

ICG 蛍 光 胆 道 検 索 により、 解 剖 学 的 な 胆 道 走 行 を 確 認 しながらの 手 術<br />

が 可 能 になった。Endo-Grab、MIT…port、Prebending 鉗 子 は 術 中 の<br />

鉗 子 同 士 のClashing、 術 者 のストレスの 軽 減 につながった。「 結 語 」<br />

RPSは 安 全 に 施 行 可 能 であり、 整 容 性 が 高 く、NOTESに 匹 敵 する<br />

Scar…less…surgeryとして 習 得 すべき 手 技 である。<br />

SL3-6-3<br />

当 科 における 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 のう 摘 出 術 の 術 式 の<br />

変 遷<br />

KKR 斗 南 病 院 外 科<br />

○… 北 城 秀 司 , 奥 芝 俊 一 , 川 原 田 陽 , 鈴 木 善 法 , 小 野 田 貴 信 ,<br />

川 田 将 也 , 大 久 保 哲 之 , 加 藤 紘 之<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は、 本 邦 では2008 年 から 急 速 に 導 入 が 進 ん<br />

だ。 当 初 単 孔 式 手 術 の 専 用 道 具 が 少 なかったため 様 々な 工 夫 をして 施<br />

行 されていた。 以 降 手 技 の 改 善 と 道 具 の 開 発 により 現 在 は 安 全 に 施 行<br />

されている。 今 回 は 我 々の 施 設 での 工 夫 と 手 技 の 変 遷 を 紹 介 する。 当<br />

施 設 では、 臍 部 単 創 から 直 接 腹 壁 をトロッカーを 穿 刺 するMultiple…<br />

trocar 法 で 施 行 している。 導 入 当 初 の 手 技 は、 臍 部 を 縦 方 向 に2.5cm<br />

切 開 し 腹 直 筋 前 鞘 前 面 を 十 分 に 剥 離 した 後 に、 臍 最 深 部 筋 膜 の 欠 損 部<br />

に5mm 径 15cmのトロッカーを 挿 入 する。このトロッカーの6 時 方 向<br />

5mmの 位 置 に5mmバブコック 鉗 子 を 直 接 挿 入 する。さらに9 時 1 時 方<br />

向 の1.5cmの 位 置 に5mmトロッカーを 挿 入 する。 術 者 用 トロッカーの<br />

鉗 子 間 距 離 は4cm 得 られる。バブコックで 胆 嚢 を 拳 上 し 視 野 を 確 保 す<br />

る。この 術 式 は、 鉗 子 間 距 離 を 広 く 取 れることより 従 来 の 手 技 で 施 行<br />

可 能 であることより 導 入 に 有 利 である。また 単 孔 式 手 術 特 有 の 技 術 を<br />

習 得 することにより 鉗 子 間 距 離 をより 狭 くすることで 切 開 創 のさらな<br />

る 短 縮 を 図 ることが 可 能 となった。また、 穿 刺 する9 時 トロッカーを<br />

フレキシブルタイプにすることでPrebend 鉗 子 の 挿 入 が 可 能 となり 十<br />

分 なトライアンギュレーションが 得 られ、さらに 安 全 な 手 技 となる。<br />

胆 嚢 の 拳 上 に 関 しては、 腹 腔 内 脱 着 のクリップを 用 いることでバブ<br />

コック 挿 入 が 不 要 となった。 臍 部 創 から 挿 入 するデバイスが 減 ったこ<br />

とよりさらに 臍 部 皮 膚 切 開 の 短 縮 可 能 となった。 腹 壁 の 切 開 創 は 胆 嚢<br />

と 結 石 の 大 きさで 決 定 する。ほとんどの 症 例 は1.5cm 程 度 の 腹 壁 切 開<br />

で 摘 出 可 能 である。 専 用 のプラットフォームを 使 用 すると 腹 壁 の 切 開<br />

は2.5cmを 必 要 とすることからより 本 法 はより 低 侵 襲 な 手 技 と 思 われ<br />

る。 現 在 の 皮 切 は、1.2~1.5cmとなった。 閉 創 直 前 に、 腹 直 筋 鞘 後 鞘<br />

前 面 に 局 所 麻 酔 薬 を 浸 潤 する。これにより 硬 膜 外 麻 酔 等 無 くても 術 後<br />

鎮 痛 が 可 能 となった。 様 々なデバイスの 開 発 と 手 技 の 工 夫 により 整 容<br />

性 と 低 侵 襲 性 を 追 求 した 手 技 を 紹 介 する。<br />

SL3-6-4<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 術 式 の 工 夫 と 適 応 拡 大<br />

長 野 市 民 病 院 外 科<br />

○… 林 賢<br />

【 緒 言 】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 適 応 は 初 期 から 拡 大 の 方<br />

向 にある。 安 全 な 適 応 拡 大 の 方 法 を 探 ると 共 に 術 式 の 工 夫 につき 解 説<br />

する。【 対 象 】 最 近 2 年 8ヶ 月 間 に 行 った 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 症 例 は51 例<br />

であった。この 中 で 上 腹 部 手 術 既 往 症 例 5 例 、 急 性 慢 性 胆 嚢 炎 症 例 5 例 、<br />

胆 嚢 腫 瘍 疑 い( 早 期 癌 =2, 腺 腫 =1, 腺 筋 症 =2)5 例 、BMI≧30% 以 上 の 肥<br />

満 症 例 4 例 、 肝 硬 変 , 低 肺 機 能 各 々1 例 など 単 孔 式 導 入 期 では 適 応 外 と<br />

されていた 疾 患 が 含 まれていた。 今 回 は 従 来 の 適 応 症 例 (A 群 )30 例 と<br />

適 応 拡 大 症 例 (B 群 )の21 例 を 比 較 検 討 した。【 方 法 】Glove 法 、および<br />

EZアクセスを 用 いる 機 会 が 多 かった。 初 期 にはMini-loop…Retractor<br />

を 使 用 し、 可 変 式 屈 曲 鉗 子 をルーチンに 用 いていたが、その 後 直 鉗 子<br />

またはPrevending 鉗 子 による 臍 部 4 本 法 を 行 った。また6 例 目 からは<br />

胆 道 造 影 を 全 例 に 行 う 方 針 とし, 胆 嚢 腫 瘍 疑 い 症 例 以 外 では 可 能 で<br />

あった。 上 腹 部 手 術 既 往 は5 例 などに 対 しては, 術 前 癒 着 の 診 断 は 動<br />

態 下 超 音 波 検 査 により 癒 着 マップを 作 成 し、 上 腹 部 の 非 癒 着 部 存 在 症<br />

例 を 適 応 とした。また 右 鎖 骨 中 線 ラインからの 右 側 アプローチにて<br />

行 った。【 結 果 】 年 齢 はA 群 53.6 歳 に 対 し、B 群 69.8 歳 と 後 者 が 高 齢 であっ<br />

た。Assist…Portの 追 加 はA 群 4 例 (12%)に 対 し、B 群 11 例 (55%)と 多 く、<br />

特 に 急 性 、 慢 性 胆 嚢 炎 症 例 や 早 期 癌 症 例 では+1となっていた。 術 前<br />

のPTGBD 症 例 は3 例 でいずれも 術 中 造 影 により 胆 嚢 管 位 置 が 明 確 化<br />

された。 手 術 時 間 はA 群 81.0±20.4 分 、B 群 102.5±36.7 分 と 後 者 では 長 く、<br />

出 血 量 もA 群 10.5±8.6gに 対 しB 群 40.0±11.8gと 後 者 で 多 い 傾 向 であっ<br />

た。B 群 では 特 に 出 血 , 臓 器 損 傷 に 配 慮 する 必 要 があった. 入 院 日 数<br />

はA 群 3.6 日 に 対 し、B 群 4.3 日 と 長 い 傾 向 であったが 有 為 差 は 無 かった。<br />

【 結 語 】 適 応 拡 大 症 例 は 安 全 に 行 うための 明 確 な 傾 向 と 対 策 が 必 要 で<br />

ある. 癒 着 や 壁 肥 厚 などによる 剥 離 の 難 易 度 の 高 い 症 例 が 多 く 手 術 時<br />

間 、 出 血 量 なども 増 える 傾 向 がある。 安 全 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出<br />

術 の 適 応 拡 大 につき 詳 述 する。<br />

<br />

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-173-


SL3-7-1<br />

当 院 におけるLap-Cの 術 中 胆 道 損 傷 の 経 験 と 教 訓<br />

川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 浦 上 淳 , 甲 斐 田 祐 子 , 堤 宏 介 , 平 林 葉 子 , 中 島 洋 ,<br />

松 本 英 男 , 平 井 敏 弘 , 中 村 雅 史<br />

【 背 景 】 術 中 胆 道 損 傷 は 高 度 の 胆 嚢 炎 による 癒 着 の 剥 離 操 作 や, 術 者<br />

の 不 注 意 や 誤 認 に 起 因 して 発 生 することが 多 い.また,なるべく 損 傷<br />

の 早 期 に 発 見 し, 適 切 な 処 置 を 行 うことが 重 要 である. 当 科 でも 過 去<br />

に 胆 道 損 傷 を 経 験 しているので,なるべく 起 こさないよう 注 意 してい<br />

る. 当 科 での 手 術 困 難 例 におけるLap-Cのポイントは,(1) 胆 嚢 が 緊 満<br />

している 場 合 は 内 容 を 穿 刺 ・ 吸 引 する,(2) 剥 離 はRouviere 溝 腹 側 また<br />

は 胆 嚢 底 部 付 近 から 始 める,(3) 肝 床 部 からの 胆 嚢 の 剥 離 にはLCSを 使<br />

用 し 止 血 につとめる,(4) 胆 嚢 床 や 剥 離 面 からの 出 血 にはアルゴンレー<br />

ザーで 止 血 する,(5) 必 ずcritical…viewが 得 られてから 胆 嚢 管 を 切 離 す<br />

る,(6) 胆 嚢 頸 部 の 炎 症 が 高 度 な 場 合 は,それ 以 外 の 剥 離 をすすめ, 最<br />

後 に 胆 嚢 管 を 切 離 する. 特 に(5)(6)が 重 要 と 考 えている.【 目 的 】 当<br />

科 で 経 験 したLap-Cにおける 胆 道 損 傷 症 例 の 発 生 原 因 , 対 処 法 につい<br />

て 検 討 した.【 対 象 】2000 年 以 降 2011 年 までの12 年 間 に 当 科 で 経 験 し<br />

た 胆 嚢 摘 出 術 721 例 のうち7 例 (0.97%)に 術 中 胆 道 損 傷 が 発 生 した.【 結<br />

果 】 損 傷 部 位 は, 総 肝 管 5 例 , 右 後 区 域 枝 1 例 , 胆 嚢 管 1 例 であった。<br />

総 肝 管 の 損 傷 形 式 は 部 分 的 損 傷 4 例 , 完 全 離 断 1 例 であった。 損 傷 の 原<br />

因 は 高 度 の 癒 着 6 例 , 誤 認 が1 例 であった. 損 傷 に 対 する 治 療 が 行 われ<br />

た 時 期 は 術 中 が5 例 , 翌 日 1 例 ,18 日 目 が1 例 であった. 損 傷 に 対 する<br />

治 療 方 法 は,7 例 中 5 例 は 開 腹 手 術 ,2 例 が 腹 腔 鏡 下 手 術 .その 内 訳 は<br />

胆 管 空 腸 吻 合 1 例 ,T-tube…2 例 , 右 後 区 域 枝 結 紮 1 例 , 腹 腔 鏡 下 縫 合 閉<br />

鎖 +C-tube…1 例 , 胆 嚢 管 clipping…1 例 , 縫 合 閉 鎖 …1 例 であった.【まとめ】<br />

Lap-Cにおける 胆 道 損 傷 の 原 因 は 高 度 の 癒 着 や 誤 認 が 原 因 であった.<br />

胆 道 損 傷 が 判 明 した 場 合 は 個 々の 症 例 に 応 じて 対 応 している.Lap-C<br />

における 胆 道 損 傷 は,ある 一 定 の 割 合 で 発 生 しているが,できるだけ<br />

予 防 する 努 力 が 必 要 と 考 えている. 以 上 , 胆 道 損 傷 症 例 をビデオで 供<br />

覧 し, 発 生 原 因 と 対 処 法 について 検 討 する.<br />

SL3-7-2 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 LCにおける 胆 道 損 傷 - 新 潟 内 視<br />

鏡 外 科 研 究 会 による 多 施 設 実 態 調 査 成 績 と 単 施 設 追<br />

跡 調 査 -<br />

1<br />

新 潟 市 民 病 院 消 化 器 外 科 、 2 長 岡 中 央 綜 合 病 院 外 科 、 3 新 潟<br />

大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 横 山 直 行 1<br />

, 大 谷 哲 也 1<br />

, 池 野 嘉 信 1<br />

, 北 見 智 恵 2<br />

,<br />

皆 川 昌 広 3 3<br />

, 黒 崎 功<br />

我 々は2003 年 、LC 時 胆 道 損 傷 の 実 態 解 明 を 目 的 に、39 施 設 を 対 象 と<br />

したアンケート 調 査 を 行 ない、29 施 設 (76%)から60 例 の 胆 道 損 傷 が 報<br />

告 された。 同 損 傷 時 のLC 執 刀 経 験 数 は、50 例 前 後 に 最 も 多 く 集 中 し、<br />

胆 嚢 炎 は 軽 度 21 例 、 中 等 度 7 例 、 高 度 32 例 であった。 術 中 胆 道 造 影 は<br />

22 例 で 施 行 され、 損 傷 判 明 は 術 中 32 例 、 術 後 28 例 であった。45 例 に 外<br />

科 的 手 術 、15 例 に 内 視 鏡 的 処 置 が 行 われ、 手 術 は 胆 道 再 建 、Tチュー<br />

ブドレナージ、 一 期 的 縫 合 などが 選 択 されていたが、 各 々の16~40%<br />

に 二 次 合 併 症 を 生 じ、その 多 くは 胆 管 狭 窄 であった。 今 回 、 上 記 の 追<br />

跡 調 査 として、2006 年 からの5 年 間 に 新 潟 市 民 病 院 消 化 器 外 科 で 施 行<br />

されたLC601 例 を 対 象 とした 再 検 討 を 行 った。 術 者 は、 執 刀 経 験 200<br />

例 以 上 の 指 導 医 2 名 、 修 練 医 8 名 であった。 手 術 は、 気 腹 下 ・3ポート<br />

法 を 原 則 とし、 結 石 例 では 経 胆 嚢 管 的 に 胆 道 造 影 を 施 行 した。 胆 道 損<br />

傷 は、6 例 (1%)にみられ、うち2 例 は 開 腹 移 行 を 必 要 とした。2 例 はい<br />

ずれも 執 刀 経 験 20 例 前 後 でおきた 合 併 症 で、 胆 嚢 炎 は 比 較 的 軽 度 で<br />

あったが、 胆 道 造 影 時 に 総 胆 管 を 胆 嚢 管 と 誤 認 して 鋭 的 切 開 した 病 態<br />

であった。 誤 認 の 原 因 として 胆 嚢 の 過 牽 引 、Rouviere 溝 背 側 での 剥 離<br />

操 作 、Critical…viewの 不 完 全 な 露 出 、が 考 えられた。 処 置 として、 誤<br />

切 開 部 胆 管 を 縫 合 ・チューブドレナージを 行 い、 術 後 早 期 ・ 晩 期 合 併<br />

症 なく 経 過 した。 他 方 、 腹 腔 鏡 下 に 処 置 が 可 能 であった4 例 は、いず<br />

れも 指 導 医 執 刀 例 で、 胆 嚢 炎 が 中 等 ~ 高 度 の 症 例 であった。うち、3<br />

例 は 胆 嚢 床 部 表 在 胆 管 損 傷 または 肝 側 Lucshka 管 からの 胆 汁 滲 出 が 原<br />

因 で、クリッピングまたは 超 音 波 切 開 凝 固 装 置 での 焼 灼 変 性 凝 固 で 修<br />

復 した。もう1 例 は、 炎 症 性 に 肥 厚 した 胆 嚢 管 を、 剥 離 中 鈍 的 損 傷 し<br />

たもので、 同 損 傷 部 から 胆 道 造 影 を 施 行 し 副 損 傷 のないことを 確 認 後 、<br />

自 動 縫 合 器 を 用 いて 損 傷 部 閉 鎖 ・ 離 断 した。 同 4 例 とも 術 後 胆 汁 漏 な<br />

く 経 過 した。LC 時 胆 管 損 傷 は、 執 刀 経 験 50 例 未 満 で 起 こしやすく、<br />

LCのlearning…programは50 例 以 上 とすることが 望 ましい。 術 中 胆 道<br />

造 影 は、 胆 管 損 傷 の 予 防 には 無 効 であるが、その 病 態 把 握 には 有 効 で<br />

ある。 的 確 な 診 断 と 術 中 処 置 により、 胆 道 損 傷 後 の 二 次 合 併 症 は 回 避<br />

可 能 である。<br />

SL3-7-3<br />

Lap-Cにおける 術 中 胆 道 損 傷 症 例 の 検 討<br />

1<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 京 都 保 健 医 療 公 社 荏 原 病<br />

院 外 科 、 3 東 京 女 子 医 科 大 学 八 千 代 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 谷 澤 武 久 1<br />

, 太 田 岳 洋 1<br />

, 樋 口 亮 太 1<br />

, 梶 山 英 樹 1<br />

,<br />

小 貫 建 一 郎 1<br />

, 植 村 修 一 郎 1<br />

, 竹 下 信 啓 2<br />

, 濱 野 美 枝 3<br />

,<br />

新 井 田 達 雄 3 1<br />

, 山 本 雅 一<br />

【 目 的 】 当 科 で 経 験 したLap-Cにおける 術 中 胆 道 損 傷 の 現 状 と 治 療 法<br />

について 検 討 。【 対 象 と 方 法 】1990 年 から2010 年 にかけて、 当 科 で 経<br />

験 したLap-Cにおける 術 中 胆 道 損 傷 21 例 を 対 象 。 患 者 背 景 、 損 傷 施 設 、<br />

損 傷 原 因 ・ 程 度 、 修 復 内 容 、 短 期 成 績 、 長 期 予 後 に 関 して 検 討 した。<br />

なお 胆 道 損 傷 の 分 類 に 関 してはStrasberg 分 類 を 用 いた。【 結 果 】 年 齢<br />

52.0±14.1 歳 (27-77 歳 )。 男 女 比 は12:9。 原 因 疾 患 は 全 て 胆 嚢 結 石 であっ<br />

た。 損 傷 施 設 としては、 自 施 設 損 傷 が4 例 、 他 施 設 損 傷 が17 例 。 損 傷<br />

部 位 をStrasberg 分 類 別 にみると、B…3 例 、C…1 例 、E1…8 例 、E2…4 例 、<br />

E4…3 例 、 不 明 2 例 。 損 傷 程 度 は 切 断 9 例 、 結 紮 5 例 、 部 分 損 傷 5 例 、 不 明<br />

2 例 、 右 肝 動 脈 損 傷 も5 例 (23.8%)に 認 めた。 損 傷 原 因 は 高 度 炎 症 ・ 癒<br />

着 に 伴 うものが10 例 (47.6%)、 胆 管 特 殊 分 岐 形 態 に 伴 うものが1 例<br />

(4.8%)、 原 因 不 明 6 例 (28.6%)。4 例 (19.0%)は 特 に 要 因 がなく、 不 用 意<br />

な 術 中 操 作 によるものと 考 えられた。 選 択 された 修 復 内 容 を 損 傷 施 設<br />

別 にみると、 自 施 設 損 傷 例 では(n=4)、 胆 管 胆 管 吻 合 1 例 、 損 傷 部 縫<br />

合 閉 鎖 1 例 、IVR1 例 であり、IVRの1 例 を 除 き 全 てgolden…timeでの 修 復 。<br />

他 施 設 損 傷 例 (n=17)では、 他 施 設 で 初 回 修 復 し、 当 科 で 再 修 復 した<br />

もの(n=9)、 他 施 設 で 損 傷 し、 当 科 で 初 回 修 復 したもの(n=8)に 分 かれ、<br />

前 者 では 胆 管 空 腸 吻 合 3 例 、 胆 管 胆 管 吻 合 3 例 、 他 損 傷 部 閉 鎖 、 胆 嚢 管<br />

結 紮 、 非 手 術 が 各 々1 例 。これらは 当 科 で 胆 管 空 腸 7 例 ( 右 葉 切 除 1 例 含<br />

む)、 胆 管 胆 管 吻 合 1 例 、IVR1 例 での 再 修 復 を 受 けていた。 後 者 では、<br />

胆 管 空 腸 5 例 、 胆 管 胆 管 吻 合 1 例 、 空 腸 間 置 1 例 、Tチューブドレナー<br />

ジ1 例 が 当 科 で 初 回 修 復 として 施 行 。 平 均 観 察 期 間 1396.5 日 (28-6209 日 )、<br />

平 均 術 後 在 院 日 数 13.8±4.4 日 、 術 後 合 併 症 は 皮 下 膿 瘍 を3 例 に 認 めた。<br />

長 期 予 後 としては 胆 管 炎 に 対 して 経 皮 的 拡 張 を 要 した1 例 を 除 き、 全<br />

例 予 後 良 好 。【 結 語 】Lap-Cにおける 術 中 胆 道 損 傷 は 頚 部 の 剥 離 操 作<br />

に 起 因 するものが 多 く、critical…viewの 確 保 が 重 要 。また 損 傷 を 来 た<br />

した 場 合 、golden…timeに 適 切 な 修 復 を 行 えば 予 後 は 良 好 であるが、<br />

術 後 胆 道 狭 窄 を 来 たした 場 合 は、 熟 練 した 胆 道 外 科 医 による 修 復 が 望<br />

ましい。<br />

SL3-7-4<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 時 の 胆 管 損 傷 の 検 討<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科<br />

○… 小 山 善 久 , 八 島 玲 , 千 田 峻 , 石 亀 輝 英 , 岡 田 良 ,<br />

竹 之 下 誠 一<br />

胆 管 損 傷 は 患 者 様 に 重 篤 かつ 長 期 的 な 負 担 を 強 いる 場 合 が 多 い。 当 科<br />

で 加 療 した 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 以 下 Lap-C)による 胆 管 損 傷 症 例 を 検<br />

討 した。【 症 例 】 症 例 :8 例 で 男 性 3 例 、 女 性 5 例 。 年 齢 は 29-74 歳 ま<br />

でで 平 均 50.7… 歳 。 原 因 疾 患 : 胆 嚢 結 石 症 8 例 うち 急 性 胆 嚢 炎 併 発 6 例 。<br />

初 回 手 術 施 設 : 当 科 1 例 、 関 連 施 設 7 例 。 胆 管 損 傷 部 位 : 総 肝 管 3 例 、<br />

総 胆 管 4 例 、 副 肝 管 1 例 。 胆 管 損 傷 程 度 : 完 全 離 断 5 例 ( 総 胆 管 4 例 、 総<br />

肝 管 0 例 、 副 肝 管 1 例 )、 部 分 損 傷 3 例 ( 総 肝 管 3 例 )。 損 傷 理 由 : 解 剖 の<br />

誤 認 5 例 ( 胆 管 変 異 での 誤 認 5 例 ) 炎 症 による 無 理 な 剥 離 2 例 、 止 血 の<br />

クリッピング1 例 。 修 復 手 術 術 式 : 完 全 離 断 5 例 では 胆 管 空 腸 吻 合 4 例 、<br />

胆 管 端 々 吻 合 1 例 。 部 分 損 傷 3 例 ではT-…tube…drainage…3 例 修 復 手 術 時<br />

期 : 初 回 手 術 時 6 例 、3 日 後 1 例 、1 週 後 1 例 経 過 : 胆 汁 性 腹 膜 炎 3 例 ( 胆<br />

管 空 腸 吻 合 1 例 、T-…tube…drainage…2 例 )、 胆 管 狭 窄 …4 例 ( 胆 管 空 腸 吻 合<br />

後 3 例 、 胆 管 端 々 吻 合 1 例 )。 経 過 良 好 1 例 再 治 療 ならびにその 後 の 経<br />

過 : 胆 汁 性 腹 膜 炎 3 例 には 胆 管 空 腸 吻 合 2 例 (1 例 は 後 区 域 胆 管 空 腸 吻 合 )、<br />

胆 道 ドレナージ1 例 施 行 したが、1 例 は 吻 合 部 狭 窄 で 再 治 療 。 胆 管 狭<br />

窄 …4 例 に 対 して 胆 管 空 腸 吻 合 1 例 、 胆 管 空 腸 再 吻 合 2 例 、ステント1 例<br />

施 行 したが、2 例 に 再 狭 窄 を 生 じ 再 治 療 を 行 った。 最 終 治 療 後 の 経 過<br />

観 察 期 間 は4-17 年 であり、 経 過 は 良 好 である。【 考 察 】Lap-Cにおける<br />

胆 道 損 傷 の 要 因 として 医 師 の 技 量 などの 医 療 側 の 因 子 と 肝 外 胆 管 走 行<br />

異 常 や 急 性 胆 嚢 炎 併 発 による 胆 管 の 変 異 などが 患 者 側 の 因 子 としてあ<br />

げられる。 胆 管 損 傷 の 予 防 措 置 として 術 前 術 中 の 胆 道 走 行 の 確 認 やデ<br />

バイスの 使 用 法 が 重 要 と 考 えられる。またこのような 症 例 には 可 能 で<br />

あれば 術 中 造 影 を 併 用 する。 胆 管 損 傷 時 には 胆 道 造 影 を 併 用 し 胆 管 損<br />

傷 部 位 を 確 認 後 、 適 切 な 修 復 術 を 行 い、 胆 道 ステントの 長 期 間 の 留 置<br />

が 必 要 であり、その 後 の 長 期 間 の 経 過 観 察 が 肝 要 である。<br />

-174-


SL3-7-5<br />

Lap-C 胆 道 損 傷 に 対 する 二 期 的 胆 道 再 建 症 例 の 検 討<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 高 屋 敷 吏 , 清 水 宏 明 , 吉 留 博 之 , 大 塚 将 之 , 加 藤 厚 ,<br />

吉 富 秀 幸 , 古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 久 保 木 知 , 鈴 木 大 亮 ,<br />

中 島 正 之 , 木 村 文 夫 , 宮 崎 勝<br />

【 目 的 】Lap-Cによる 胆 道 損 傷 に 対 する 二 期 的 胆 道 再 建 術 施 行 症 例 の<br />

臨 床 的 特 徴 と 治 療 成 績 を 明 らかにし, 適 切 な 治 療 方 針 を 検 討 する.【 対<br />

象 】 当 教 室 で 経 験 したLap-C 胆 道 損 傷 に 対 する 二 期 的 胆 道 再 建 あるい<br />

はIVR 治 療 症 例 10 例 【 成 績 】 平 均 年 齢 は63 歳 , 男 女 比 は6:4. 全 例 初<br />

回 手 術 時 診 断 は 胆 嚢 結 石 , 胆 嚢 炎 であり,Lap-C 困 難 な 高 度 炎 症 症 例<br />

は2 例 のみであった. 胆 道 損 傷 原 因 としては 総 胆 管 損 傷 7 例 , 胆 嚢 管 誤<br />

認 による 離 断 2 例 , 胆 管 後 区 域 独 立 分 枝 損 傷 1 例 であり, 右 肝 動 脈 損 傷<br />

は4 例 に 認 めた.Lap-C 術 中 に 胆 管 損 傷 を 認 識 し 開 腹 移 行 した 症 例 は6<br />

例 で, 胆 管 空 腸 吻 合 が3 例 , 胆 管 直 接 閉 鎖 が2 例 , 胆 管 胆 管 吻 合 が1 例<br />

に 施 行 されていた. 一 方 ,Lap-C 術 中 には 胆 管 損 傷 が 認 識 されず, 術<br />

後 1から3 日 にかけて 胆 汁 漏 で 発 見 された 症 例 は4 例 であり,3 例 はドレ<br />

ナージにより 保 存 的 治 療 を 行 い,1 例 はLap-C 後 6 日 目 に 胆 管 空 腸 吻 合<br />

術 を 施 行 されていた. 二 期 的 治 療 としては7 例 に 胆 管 空 腸 吻 合 術 を 施<br />

行 し,3 例 に 対 してはPTBD,ERBDの6ヶ 月 以 上 の 長 期 留 置 を 施 行 した.<br />

肝 門 部 胆 管 空 腸 吻 合 となった 症 例 ではanterior…transhepatic…approach<br />

も 併 施 した. 二 期 的 治 療 後 観 察 期 間 中 央 値 は1160 日 (101-2641 日 )であ<br />

り,1 例 に 再 々 狭 窄 を 認 めIVR 治 療 を 要 したが,その 他 の 症 例 では 再<br />

狭 窄 は 認 めていない.【 結 論 】Lap-C 胆 道 損 傷 は 高 度 炎 症 症 例 や 胆 管<br />

分 岐 異 常 症 例 などの 頻 度 が 必 ずしも 高 くはなく, 通 常 のLap-Cであっ<br />

ても 十 分 発 生 しうる 合 併 症 であることを 再 認 識 するべきである.<br />

Lap-C 胆 道 損 傷 に 対 する 二 期 的 治 療 は 胆 汁 漏 や 損 傷 などによる 炎 症 に<br />

より 周 囲 臓 器 や 脈 管 と 強 固 に 癒 着 していることから 難 渋 することも 多<br />

く,anterior…transhepatic…approachなどの 工 夫 も 行 い, 健 常 胆 管 を 十<br />

分 に 露 出 し 胆 管 空 腸 吻 合 を 行 うことが 重 要 と 考 える.<br />

SL3-7-6<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 中 胆 道 損 傷 例 の 特 徴<br />

とその 対 処 に 関 する 検 討<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 上 野 公 彦 , 味 木 徹 夫 , 沢 秀 博 , 大 坪 出 , 吉 田 優 子 ,<br />

村 上 冴 , 篠 崎 健 太 , 後 藤 直 大 , 浅 利 貞 毅 , 外 山 博 近 ,<br />

新 関 亮 , 木 戸 正 浩 , 松 本 逸 平 , 福 本 巧 , 具 英 成<br />

【はじめに】 近 年 、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 以 下 Lap-C)は 標 準 術 式 となっ<br />

ており、 合 併 症 も 減 少 しているが、 術 中 胆 管 損 傷 は 全 国 統 計 でも0.6<br />

~0.7% 程 度 報 告 されており、その 術 後 は 深 刻 な 問 題 となる。 今 回<br />

Lap-Cの 際 の 術 中 胆 管 損 傷 例 を、 自 験 例 と 他 院 からの 紹 介 例 を 併 せて<br />

検 討 し、 今 後 の 術 中 胆 管 損 傷 の 予 防 と 損 傷 例 に 対 する 術 中 術 後 の 対 処<br />

法 を 考 察 した。【 対 象 と 方 法 】1998~2011 年 の 間 に 当 科 で 経 験 した<br />

Lap-C…424 例 中 、 術 中 胆 管 損 傷 を 発 症 した3 例 (A 群 )、および 他 院 から<br />

紹 介 されたLap-Cの 際 の 胆 管 損 傷 例 3 例 (B 群 )を 対 象 とし、A 群 の 胆 管<br />

損 傷 率 、 術 中 の 胆 管 損 傷 認 知 の 有 無 、 術 中 胆 道 造 影 施 行 の 有 無 、Aお<br />

よびB 群 の 炎 症 の 程 度 、 損 傷 部 位 、 損 傷 の 原 因 、 損 傷 部 に 対 する 術 式<br />

および 処 置 等 を 検 討 した。【 結 果 】6 例 全 例 が 高 度 炎 症 例 であった。A<br />

群 における 胆 管 損 傷 率 は3/424(0.7%)であった。 術 中 損 傷 を 認 知 した<br />

のは2 例 (67%)でいずれも 術 中 胆 道 造 影 で 判 明 した。1 例 は 術 後 10 日 目<br />

の 晩 期 発 症 であった。B 群 は 全 て 術 後 の 判 明 であった。 損 傷 部 位 は、<br />

A 群 で 総 胆 管 2 例 、 後 区 域 枝 1 例 、B 群 では 総 肝 管 2 例 、 後 区 域 枝 1 例 であっ<br />

た。 後 区 域 枝 の2 例 はいずれも 独 立 分 岐 型 であった。 損 傷 の 原 因 は 高<br />

度 炎 症 4 例 、 胆 管 走 行 異 常 2 例 であった。 損 傷 部 に 対 する 処 置 は、A 群<br />

で 胆 道 ドレナージ2 例 (T-tube…1,…ENBD…1)、 胆 道 再 建 1 例 で 術 中 に 施<br />

行 したものが2 例 であった。B 群 では 胆 道 ドレナージ1 例 (PTBD)、 胆<br />

道 再 建 2 例 であった。B 群 の 胆 道 再 建 は 難 渋 したが、 両 群 いずれも 術<br />

後 の 重 篤 な 合 併 症 は 認 めていない。【 考 察 】 術 中 胆 管 損 傷 を 発 症 する<br />

症 例 は、 解 剖 学 的 な 異 常 や 高 度 炎 症 等 の 問 題 が 潜 在 しているケースが<br />

多 い。 胆 管 損 傷 を 予 防 する 対 策 として、 術 前 画 像 診 断 における 独 立 分<br />

岐 型 の 後 区 域 枝 の 存 在 の 有 無 を 含 めた 胆 管 走 行 の 十 分 な 把 握 と、 高 度<br />

炎 症 例 に 対 する 至 適 タイミングでの 開 腹 手 術 への 移 行 が 重 要 であると<br />

考 えられた。また 術 中 に 胆 管 損 傷 を 認 知 することにより 再 手 術 や 術 後<br />

の 重 篤 な 合 併 症 を 回 避 出 来 ることから、 術 中 胆 道 造 影 の 重 要 性 が 示 唆<br />

された。<br />

SL3-8-1<br />

総 胆 管 結 石 の 鏡 視 下 手 術<br />

市 立 函 館 病 院 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 倉 内 宣 明 , 砂 原 正 男 , 田 原 宗 徳 , 加 藤 雅 志 , 江 本 慎 ,<br />

山 名 大 輔 , 笠 島 浩 行 , 原 豊 , 鈴 木 伸 作 , 遠 山 茂 ,<br />

木 村 純<br />

【はじめに】 鏡 視 下 総 胆 管 切 石 術 (LCBDE)は 施 行 症 例 数 が 低 迷 して<br />

いるが, 内 視 鏡 治 療 に 較 べて 結 石 再 発 率 が 低 く, 在 院 日 数 が 短 く, 医<br />

療 費 が 安 いので, 患 者 が 望 むべき, 胆 道 外 科 医 として 推 進 するべき 治<br />

療 法 である.【LCBDEの 適 応 】 全 身 麻 酔 が 可 能 な 胆 嚢 総 胆 管 結 石 症 例<br />

は 一 期 的 に 胆 嚢 と 胆 管 の 治 療 が 可 能 で 絶 対 的 適 応 である.【 術 前 準 備 】<br />

胆 道 鏡 一 式 , 胆 嚢 管 拡 張 用 の 径 8mmのバルンダイレータ, 胆 石 摘 出<br />

用 バルンカテーテル, 胆 石 捕 捉 用 バスケットカテーテル, 持 針 器 ,C<br />

チューブと 弾 性 糸 を 用 意 する.【 手 術 手 順 】 原 則 5ポートで 行 うが 適 宜<br />

Reduced…portにする.Calot 三 角 部 を 展 開 後 胆 嚢 管 は 胆 嚢 側 を 長 い 糸<br />

で 体 外 結 紮 し, 糸 を 胆 嚢 管 が 直 線 化 する 方 向 の 体 外 へ 誘 導 し 牽 引 する.<br />

経 胆 嚢 管 的 またはENBDから 胆 管 造 影 を 行 い, 胆 石 の 位 置 , 数 , 大 き<br />

さ, 胆 嚢 管 の 合 流 形 態 を 最 終 確 認 する. 胆 管 径 8mm 以 下 , 胆 石 3 個 以<br />

下 が 経 胆 嚢 管 法 の 基 本 的 選 択 だが, 胆 嚢 管 が 特 に 細 い,あるいは 胆 管<br />

の 左 側 や 低 位 で 合 流 するものは 胆 管 切 開 法 を 選 択 する. 胆 管 も 細 く 切<br />

開 縫 合 がためらわれる 症 例 では 胆 嚢 管 経 由 か 胆 管 穿 刺 部 からカテーテ<br />

ル 乳 頭 拡 張 を 行 い 十 二 指 腸 に 排 石 させることもある. 胆 管 アプローチ<br />

の 前 にWinslow 孔 と 肝 左 葉 下 面 にガーゼを 敷 く. 経 胆 嚢 管 法 では 鎖 骨<br />

中 線 ポートからの 操 作 で 胆 嚢 管 を 拡 張 し, 胆 道 鏡 下 に 胆 石 を 捕 捉 ・ 摘<br />

出 して, 胆 嚢 管 を 結 紮 切 離 する. 胆 管 切 開 法 では 心 窩 部 ポートからの<br />

操 作 で 胆 管 を 縦 切 開 し, 肝 側 に 胆 石 がある 場 合 は 鉗 子 で 胆 管 をはさむ<br />

ようにして 胆 石 をしぼり 出 すか, 胆 道 鏡 下 に 摘 出 しておき, 下 部 胆 管<br />

の 切 石 に 生 食 フラッシュや 胆 道 鏡 下 に 摘 出 を 行 う. 胆 管 切 開 部 の 縫 合<br />

には5-0モノフィラメント 吸 収 糸 を 用 い, 針 を 弱 彎 に 伸 ばし, 持 針 器<br />

と 胆 管 の 角 度 に 留 意 して 針 を 鈍 角 に 把 持 して 連 続 縫 合 を 行 う. 始 点 終<br />

点 の 結 紮 は 様 々でPre-loop…knotによる 始 点 結 紮 ,Aberdeen…knotによ<br />

る 終 点 結 紮 もある. 確 認 の 胆 道 造 影 は 切 石 中 にCチューブ 留 置 の 適 否<br />

を 決 め, 終 点 の 結 紮 前 にCチューブまたは 縫 合 部 に 挿 入 したチューブ<br />

から 造 影 する. 胆 摘 を 行 い,ドレンを 留 置 する.【まとめ】 総 胆 管 結<br />

石 手 術 の 要 点 を 記 した. 当 日 は 手 技 のオプションやコツをあわせて 述<br />

べる.<br />

SL3-8-2<br />

胆 嚢 総 胆 管 結 石 に 対 する 標 準 治 療 としての 腹 腔 鏡 下<br />

総 胆 管 切 開 切 石 術 の 妥 当 性<br />

健 保 連 大 阪 中 央 病 院 外 科<br />

○… 谷 口 英 治<br />

【はじめに】 当 院 では 胆 嚢 総 胆 管 結 石 症 に 対 して、 総 胆 管 径 や 結 石 個<br />

数 によらず 一 期 的 に 腹 腔 鏡 下 総 胆 管 切 開 切 石 術 + 胆 摘 術 ( 以 下 本 法 )を<br />

原 則 としている。その 成 績 から 本 法 の 妥 当 性 を 検 討 した。【 症 例 と 成 績 】<br />

過 去 約 10 年 間 に 経 験 した 胆 嚢 総 胆 管 結 石 症 のうち、 急 性 胆 管 炎 を 併 発<br />

して 内 視 鏡 的 ドレナージと 経 乳 頭 的 切 石 を 先 行 させた 症 例 を 除 く85 例<br />

を 対 象 とした。このうち、 癌 疑 診 例 、 右 心 不 全 例 各 1 例 を 除 く83 例 に<br />

本 法 を 施 行 。 開 腹 移 行 4 例 を 除 く 腹 腔 鏡 下 手 術 完 遂 79 例 のうち、24 例<br />

は 総 胆 管 径 7mm 以 下 と 拡 張 を 認 めなかった。また、 術 前 には 胆 管 の<br />

結 石 の 存 在 は 分 かっておらず、 術 中 胆 道 造 影 ではじめて 胆 管 結 石 の 存<br />

在 が 明 らかになった 症 例 が17 例 含 まれていた。 胆 管 は 縦 切 開 とし 切 石<br />

後 は4-0 吸 収 糸 連 続 縫 合 にて 閉 鎖 した。2 例 を 除 き 全 例 C-チューブを 留<br />

置 した。 摘 出 胆 管 結 石 個 数 は 平 均 2.8 個 ( 最 大 20 個 )であった。 手 術 時<br />

間 は182±51 分 で、 術 後 入 院 日 数 は15.1±5.6 日 であった。 術 後 合 併 症 は、<br />

初 期 に 胆 汁 漏 で 再 手 術 ( 腹 腔 鏡 下 )を 要 したものが2 例 、 結 石 遺 残 で 術<br />

後 ERCPを 行 った 症 例 が1 例 あった。 遠 隔 期 の 胆 管 結 石 再 発 例 を2 例 認<br />

めた。 術 後 造 影 で 胆 管 狭 窄 を 来 した 症 例 はなく、また 確 認 しえた 範 囲<br />

内 では 遠 隔 期 の 胆 管 狭 窄 も 経 験 していない。【 考 察 】 胆 管 径 や 結 石 個<br />

数 ・ 大 きさを 制 限 することなく 本 法 を 施 行 してきたが、 精 緻 な 縫 合 操<br />

作 を 行 うことで 胆 管 狭 窄 は 発 生 せず、ほぼ 完 全 切 石 が 可 能 であった。<br />

具 体 的 には、 胆 管 切 開 部 の 鏡 視 下 縫 合 閉 鎖 時 の 運 針 が 重 要 と 考 えてお<br />

り、 縫 い 代 1mm 以 下 、 歩 み1~1.5mmを 心 がけることにより、 理 論 上<br />

胆 管 の 直 径 は0.64mm 減 少 するのみであり、 通 常 の 成 人 の 胆 管 であれ<br />

ば 狭 窄 は 起 こらないのではないかとの 仮 説 に 基 づいて 実 施 している。<br />

治 療 方 針 ならびに 手 技 が 定 型 化 されことにより 修 練 医 の 執 刀 が 可 能 と<br />

なり、さらには 縫 合 結 紮 トレーニングへの 意 識 向 上 にもつながってい<br />

るものと 考 えている。 本 法 は 標 準 治 療 となりうる 可 能 性 があると 思 わ<br />

れた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-175-


SL3-8-3<br />

Mirizzi 症 候 群 に 対 する 鏡 視 下 手 術 : 特 に 総 胆 管 の 対 処<br />

1<br />

京 都 大 学 大 学 院 消 化 管 外 科 、 2 姫 路 医 療 センター 消 化 器 内 科 、<br />

3<br />

姫 路 医 療 センター 外 科<br />

○… 川 田 洋 憲 1<br />

, 和 泉 才 伸 2<br />

, 小 原 和 弘 3<br />

, 五 味 隆 3<br />

, 和 田 康 雄 3<br />

,<br />

3<br />

大 歳 雅 洋<br />

【 目 的 】<br />

Mirizzi 症 候 群 は 胆 嚢 結 石 による 炎 症 が 長 期 間 に 渡 って 遷 延 した 結 果<br />

生 じた、 比 較 的 まれな 状 態 である。 通 常 、 高 度 の 癒 着 を 伴 っているた<br />

め 鏡 視 下 手 術 を 行 うには 大 きな 困 難 が 伴 い、 特 に 胆 嚢 胆 管 瘻 を 伴 う<br />

McSherry…type…2 症 例 では、 適 用 外 とされることが 多 い。また、 細 心<br />

の 注 意 を 払 って 癒 着 を 剥 離 し、 結 石 を 除 去 し 得 ても、 総 胆 管 壁 が 炎 症<br />

や 術 中 操 作 によってぼろぼろになってしまい、Tチューブ 留 置 を 必 要<br />

とされることがしばしばであるが、これは、 長 期 の 入 院 を 必 要 とし、<br />

患 者 のQOLを 著 しく 害 する。これらの 困 難 を 克 服 するため、 我 々が<br />

行 っているERBDチューブを 用 いた 鏡 視 下 総 胆 管 一 次 縫 合 を 紹 介 する。<br />

【 方 法 】<br />

McSherry…type…2 症 例 は、 胆 嚢 が 萎 縮 し 所 謂 Mirizzi 胆 嚢 となっている<br />

胆 嚢 萎 縮 消 失 型 と、 胆 嚢 胆 管 瘻 および 胆 嚢 が 確 認 できる 胆 嚢 遺 残 型 の<br />

2つの 亜 型 に 分 けられる。 胆 嚢 萎 縮 消 失 型 では、 結 石 嵌 頓 部 で 胆 管 を<br />

切 開 し 結 石 を 摘 出 するが、 胆 嚢 遺 残 型 では、Calot’s…triangle 周 辺 は<br />

高 度 の 癒 着 を 伴 い、 剥 離 困 難 なことが 多 いので、 胆 嚢 頚 部 を 縦 切 開 し、<br />

胆 嚢 の 内 側 から 胆 嚢 胆 管 瘻 を 確 認 し、 結 石 を 摘 出 した 後 に 瘻 孔 を 切 断<br />

し、 胆 嚢 摘 出 を 行 う。その 後 、 胆 管 切 開 部 あるいは 瘻 孔 切 断 部 を 一 期<br />

的 に 縫 合 閉 鎖 した 後 、 術 後 の 胆 管 狭 窄 を 防 止 するため、Tチューブの<br />

代 わりにERBDチューブを 術 前 あるいは 術 後 に 内 視 鏡 的 に 留 置 する。<br />

【 結 果 】<br />

2 例 の 患 者 にこの 術 式 を 施 行 した。 一 例 は、 胆 嚢 萎 縮 消 失 型 、もう 一<br />

例 は、 胆 嚢 遺 残 型 の 症 例 であった。いずれの 症 例 においても 総 胆 管 切<br />

開 部 を 一 次 縫 合 閉 鎖 し、 術 後 にERBDチューブを 留 置 した。 経 過 は 良<br />

好 で、ともに 約 一 週 間 で 退 院 した。 術 後 3ヶ 月 後 に 胆 管 狭 窄 の 無 いこ<br />

とを 確 認 し、ERBDチューブを 抜 去 、 現 在 術 後 4 年 で、2 例 とも 特 に 合<br />

併 症 は 認 めていない。<br />

【 結 語 】<br />

Mirizzi 症 候 群 に 対 するERBDチューブを 用 いた 鏡 視 下 総 胆 管 一 次 縫 合<br />

術 は 有 効 な 低 侵 襲 治 療 法 といえる。<br />

SL3-8-4<br />

先 天 性 胆 道 拡 張 症 に 対 する 鏡 視 下 手 術<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 水 口 義 昭 , 中 村 慶 春 , 清 水 哲 也 , 真 々 田 裕 宏 ,<br />

内 田 英 二<br />

【はじめに】 先 天 性 胆 道 拡 張 症 は 発 癌 の 一 要 因 と 考 えられ、 拡 張 胆 管<br />

の 外 科 的 切 除 が 必 要 である。 当 科 では、 整 容 面 のみならず、Less…<br />

Invasive…Surgeryの 観 点 からも 同 疾 患 に 対 する 鏡 視 下 手 術 を2004 年 5<br />

月 から 開 始 し 現 在 まで16 例 経 験 してきた。ここでは 術 式 の 手 順 を 中 心<br />

に 供 覧 する。【 術 式 】 体 位 は 仰 臥 位 で、トロッカーは 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘<br />

出 術 とほぼ 同 様 の 切 開 創 で4 本 使 用 する。この 内 臍 部 の 創 は 約 3cmとし、<br />

グローブ 法 としている。 胆 管 切 除 :1) 胆 嚢 漿 膜 を 胆 嚢 管 、 胆 嚢 動 脈 を<br />

同 定 しつつ 前 後 壁 切 開 する。2) 総 肝 管 、 固 有 肝 動 脈 、 門 脈 を 同 定 しつ<br />

つ 肝 十 二 指 腸 間 膜 の 切 開 をすすめ、 肝 門 より 十 二 指 腸 上 縁 までの 拡 張<br />

胆 管 を 全 周 性 に 周 囲 組 織 より 剥 離 する。3) 膵 内 胆 管 は 胆 管 をテーピン<br />

グし、 牽 引 しつつ 主 にフック 型 の 電 気 メスで 全 周 性 に 膵 組 織 から 剥 離<br />

する。さらに、 膵 管 合 流 部 近 傍 のnarrow…segmentで 膵 内 胆 管 をクリッ<br />

プ 後 切 離 する。4) 胆 嚢 を 肝 床 部 より 遊 離 し、 総 肝 管 を 切 離 する。 再 建 :<br />

肝 管 空 腸 吻 合 はRoux…en-Yで 腹 腔 鏡 下 に 行 っている。 本 術 式 では<br />

mirror…imageとなるY 脚 の 作 製 は、 臍 部 の 創 を 利 用 して 直 視 下 に 施 行<br />

している。また 胆 管 減 圧 チューブ(RTBDチューブ)も 同 創 を 利 用 すれ<br />

ば 比 較 的 容 易 に 留 置 する 事 ができる。 空 腸 を 腹 腔 内 へ 戻 し、 気 腹 を 再<br />

開 し 結 腸 後 経 路 で 肝 管 空 腸 吻 合 を 施 行 する。 腹 腔 鏡 下 肝 管 空 腸 吻 合 は、<br />

胆 管 の 前 壁 中 央 に 支 持 糸 を 一 針 置 き、 手 前 に 牽 引 しながら、 後 壁 の 左<br />

側 より 連 続 縫 合 にて 施 行 する。【 成 績 】 手 術 時 間 は 平 均 360 分 、 出 血 量<br />

は 平 均 186mlで 輸 血 施 行 例 はなかった。 全 患 者 で 経 口 摂 取 は 術 後 5 日<br />

( 平 均 2 日 ) 以 内 に 開 始 可 能 であった。 肝 管 空 腸 吻 合 縫 合 不 全 を1 例 に 認<br />

めたが 保 存 的 に 軽 快 した。 術 後 在 院 日 数 の 中 央 値 は11 日 であった。【 結<br />

語 】 本 術 式 は、 出 血 量 や 術 後 在 院 日 数 において 比 較 的 良 好 な 成 績 であ<br />

ると 考 えられ、また 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 とほぼ 同 様 の 切 開 創 で 施 行 す<br />

ることができることから、 整 容 上 の 観 点 においても 有 用 であると 思 わ<br />

れた。<br />

SL3-8-5<br />

根 治 切 除 不 能 な 膵 頭 部 癌 ・ 十 二 指 腸 閉 塞 に 対 する 完 全<br />

腹 腔 鏡 下 胆 管 空 腸 吻 合 術 ・ 胃 空 腸 吻 合 術<br />

滋 賀 県 立 成 人 病 センター 外 科<br />

○… 山 本 道 宏 , 財 間 正 純 , 四 元 文 明 , 山 本 秀 和 , 原 田 英 樹 ,<br />

川 村 純 一 郎 , 矢 澤 武 史 , 木 曾 末 厘 乃 , 中 川 淳<br />

多 発 性 肝 転 移 、 閉 塞 生 黄 疸 、 十 二 指 腸 閉 塞 を 伴 う 根 治 切 除 不 能 な 膵 頭<br />

部 癌 に 対 し 完 全 腹 腔 鏡 下 に 胃 - 空 腸 バイパス 術 およびRoux-Y 胆 管 空 腸<br />

吻 合 術 を 施 行 した。<br />

【 症 例 】50 歳 代 男 性 。 多 発 性 肝 転 移 を 伴 う 膵 頭 部 癌 に 対 しジェムザー<br />

ルによる 化 学 療 法 を 施 行 していた。 経 過 中 、 腫 瘍 増 大 による 閉 塞 生 黄<br />

疸 を 来 たし(T-Bil…6mg/dl 程 度 )、さらに 十 二 指 腸 閉 塞 による 経 口 摂 取<br />

不 能 の 状 態 に 陥 り、 姑 息 手 術 目 的 に 紹 介 となった。<br />

【 手 術 手 技 】6ポートで 開 始 。 胃 体 部 大 弯 から 大 網 を 遊 離 し、Treitz<br />

から20cm 肛 側 の 空 腸 と 胃 大 弯 とをLiner…staplerにて 側 々 吻 合 した。<br />

Linear…staplerの 挿 入 孔 は 鏡 視 下 に 手 縫 いで 閉 鎖 した。 胃 空 腸 吻 合 部<br />

から 約 15cm 肛 側 で 空 腸 を 離 断 。さらにここから 肛 側 15cm 程 度 を 犠 牲<br />

腸 管 として 切 除 し 胆 道 再 建 用 のRoux 脚 を 作 成 した。 拡 張 した 総 胆 管<br />

前 面 を 露 出 し 小 孔 作 成 。こことRoux 脚 先 端 部 とを 完 全 腹 腔 鏡 下 に 手<br />

縫 いで 側 々 吻 合 した。 次 にY 脚 をLinear…staplerにて 側 々 吻 合 した。 最<br />

後 に 腸 間 膜 間 隙 を 腹 腔 鏡 下 に 縫 合 閉 鎖 し 手 術 終 了 とした。 手 術 時 間 は<br />

150 分 、 出 血 量 はわずか3mlであった。<br />

【 術 後 経 過 】 創 痛 はごく 軽 度 で 術 翌 日 より 離 床 可 能 であった。 黄 疸 は<br />

急 速 に 消 失 し 食 事 摂 取 も 可 能 な 状 態 となった。 術 後 3ヶ 月 後 に 原 病 死<br />

されたが、 経 過 中 、 食 事 通 過 障 害 や 胆 管 炎 、 閉 塞 性 黄 疸 再 燃 の 所 見 は<br />

認 めなかった。<br />

【 結 語 】 膵 頭 部 癌 に 対 する 姑 息 的 Roux-Y 胆 道 再 建 は 完 全 腹 腔 鏡 下 に<br />

施 行 可 能 であり、 術 後 の 患 者 QOL 改 善 に 貢 献 できる 可 能 性 が 示 唆 さ<br />

れた。また 胆 管 空 腸 吻 合 では、 腹 腔 鏡 の 拡 大 視 効 果 により 精 緻 な 運 針<br />

が 可 能 であり、 今 後 の 技 術 の 進 歩 に 伴 い 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後<br />

の 再 建 にも 有 用 と 考 えられた。<br />

完 全 腹 腔 鏡 下 胆 道 再 建 の 手 術 手 技 を 中 心 に 動 画 で 報 告 する。<br />

-176-


International Session<br />

Keynote Lecture


KL1 Liver Resection for Tumors<br />

University Denis Diderot<br />

○Jacques…Belghiti<br />

Analysis…of…large…experience…of…liver…resection…for…tumors…showed…two…important…informations:…(a)…the…<br />

rate…of…resection…for…benign…liver…tumors…is…decreasing…and…(b)…both…primary…and…metastatic…tumors…are…<br />

often…associated…with…underlying…diseased…liver…parenchyma.…The…goal…of…liver…resection…for…malignant…<br />

tumor…is…to…reduce…the…patient’s…risk…with…maximum…tolerance…of…resection…procedure.…It…is…difficult…to…<br />

achieve…a…low…risk…procedure…in…more…and…more…aged…patients…with…significant…severe…co-morbidities.…<br />

Resection…of…malignant…tumors…should…follow…some…oncologic…rules…which…include…wide…excision…of…the…<br />

tumor…and…a…regional…lymphadenectomy.…There…are…evidences…that…an…anatomic…resection…in…HCC…and…<br />

hilar… cholangiocarcinoma… improves… survival.… For… non-anatomic… resections… the… optimal… width… of… the…<br />

resection…margin…varies…with…the…pathological…type…of…tumor.…Anterior…approach…to…major…hepatectomy…is…<br />

a…“no-touch”…technique…that…minimizes…manipulation…of…the…tumor-bearing…liver.…Recommendations…for…the…<br />

extent… of… hepatectomy… vary… with… the… pathological… type… of… the… tumor… identified… by… its… radiologic…<br />

characteristics…and…occasionally…by…percutaneous…liver…biopsy.…The…extent…of…hepatectomy…is…modified…by…<br />

the… functional… reserve… of… the… liver… remnant.… Postoperative… morbidity… is… an… independent… predictor… of…<br />

survival.…Postoperative…hepatic…dysfunction…can…be…minimized…by…preoperative…liver…volume…modulation…<br />

with…portal…vein…embolization,…avoidance…of…parenchymal…ischemia,…preservation…of…venous…drainage…of…the…<br />

liver…remnant,…and…minimizing…blood…loss.…Laparoscopic…liver…resection…which…is…increasingly…performed…<br />

for…malignant…tumors…should…incorporate…the…principles…of…oncologic…resection.<br />

Keynote<br />

Lecture<br />

-179-


KL2 Left Hepatic Trisectionectomy with Simultaneous Resection of Portal<br />

vein and Hepatic Artery for Advanced Perihilar Cholangiocarcinoma<br />

Hepato-Biliary Surgery and Liver Transplantation, Asan Medical Center, Ulsan University, Seoul,<br />

Korea<br />

○Sung-Gyu…Lee…<br />

Perihilar…cholangiocarcinoma…still…remains…the…most…difficult…challenge…for…the…hepato-biliary…surgeons.…<br />

Vascular…invasion…has…been…the…major…cause…of…irresectability…of…perihilar…cholangiocarcinoma.…However,…<br />

the… advancement… of… surgical… techniques… during… the… recent… large… experiences… of… live-donor… liver…<br />

transplantation…has…made…it…possible…to…resect…and…reconstruct…the…involved…portal…vein…and…hepatic…artery…<br />

with…low…morbidity…and…mortality.…Left…hepatic…trisectionectomy…(LTS)…is…the…most…extended…hepatic…<br />

resection.…Liver…insufficiency…is…still…the…dangerous…problem…in…extended…resections.…Recent…studies…have…<br />

clearly…shown…that…it…is…the…size…of…the…remnant…liver…that…correlates…with…perioperative…morbidity…and…<br />

mortality.…Japanese…groups…have…addressed…the…use…of…preoperative…portal…vein…embolization…(PVE)…to…<br />

increase… both… volume… and… function… of… the… future… remnant… liver.… Because… morbidity… and… mortality… is…<br />

highest…when…LTS…is…combined…with…the…associated…procedures…(morbidity…of…66 %…versus…33 %…in…LTS…<br />

alone),…the…broad…application…of…PVE,…ie,…if…the…functional…liver…volume…is…


KL3 Assessing the Quality of Pancreaticoduodenectomy with Global Metrics<br />

– An International Consensus for Cooperative Commitment<br />

St Luke’s Center for Pancreatic Disease, Boise, Idaho, USA<br />

○L.…William…Traverso…<br />

First…one…must…believe…the…Deming…principle…-…in…order…to…improve…one…must…measure…what…we…do.…In…<br />

order… to…improve…one…must…compare.…Three…criteria…must…be…acquired…in…order…to…compare…outcome…<br />

measurements…between…hospitals…or…surgeons…that…perform…complex…operations…–…chose…the…outcomes…that…<br />

best…reflect…the…quality…of…the…operation,…reach…a…consensus…definition…for…each…outcome,…and…finally…create…<br />

a…simple…yet…standardized…calculator…that…is…web-based.…Outcomes…can…then…be…compared…after…being…<br />

easily…calculated.…The…outcomes…to…measure…for…the…Whipple…operation…include…three…severity…grading…<br />

scales…for…surgical…complications…–…1)…clinically…relevant…postoperative…pancreatic…fistula…or…leak…(POPF),…<br />

2)…clinically…relevant…delayed…gastric…emptying…(DGE),…and…3)…the…Accordion…Severity…Grading…System…<br />

(ASGS),… a… modified… Clavien… grading… scale… of… postoperative… complications.… The… POPF… and… DGE…<br />

measurements…are…defined…with…international…consensus…and…can…be…calculated…with…a…13…question…tool…on…<br />

the…Pancreas…Club…website…(http://pancreasclub.com/calculator/).…For…more…details…look…at…Surgery…<br />

2010;147:…503-515…as…to…how…the…tool…calculates…clinically…relevant…POPF…and…DGE…and…their…definitions.…<br />

Historical…values…for…the…outcome…measurements…of…500…Whipple…operations…are…in…Table…IV…of…that…article.…<br />

The…ASGS…is…calculated…using…a…simple…table…(Grade…0-6,…see…table…below).…The…latter…measurement…<br />

significantly… correlates… with… length… of… hospital… stay…(LOS)… so… LOS… does… not… have… to… be… measured.…<br />

Historical…values…for…the…Whipple…operation…are…listed…in… Low…DE,…et… al.…Comparing…complications…of…<br />

esophagectomy…and…pancreaticoduodenectomy…and…potential…impact…on…hospital…systems…utilizing…the…<br />

Accordion…Severity…Grading…System.…J…Gastrointest…Surg…2010;…14:1646-1652.<br />

Web-based… measurements… using… consensus… definitions… allows… for… international… comparison… and…<br />

improvement…of…this…complex…operation…–…an…international…commitment.<br />

Keynote<br />

Lecture<br />

-181-


KL4 Current Status of Pancreatic Surgery in Korea<br />

Department of Surgery, Seoul National University College of Medicine, Seoul, Korea<br />

○Sun-Whe…Kim…<br />

Malignant… lesions… of… the… pancreatic… and… periampullary… area… and… cystic… neoplasms… of… the… pancreas…<br />

requiring…pancreatic…surgery…have…been…increasing…during…the…last…couple…of…decades…in…Korea,.…Since…the…<br />

first…series…of…pancreatoduodenectomy(PD)…was…reported…in…1961,…different…extents…or…types…of…surgery…<br />

have…been…introduced…thereafter,…extended/regional…pancreatectomy…in…1984…and…pylorus-preserving…PD…<br />

in…1990,…partial…or…total…duodenal…preserving…pancreatectomy…in…1995,…laparoscopic…distal…pancreatectomy…<br />

in…early…2000s,…laparoscopic…PD…in…2004…and…robotic…assisted…PD…in…2009.……(1)…For…pancreatic…head…cancer,…<br />

most…surgeons…prefer…less…extensive…surgery…to…the…one…with…dissection…of…para-aortic…lymph…nodeS…and…<br />

nerve…plexus…around…superior…mesenteric…artery…according…to…the…recent…Korean…RCT.…vascular…resection…<br />

is… becoming… more… popular… for… portal… vein/superior… mesenteric… vein… involvement,… even… by… using…<br />

autologous…or…bovine…patch…graft,…but…most…are…reluctant…to…arterial…resection.……(2)…For…cancer…of…the…distal…<br />

pancreas,…RAMPS…are…tried…in…different…surgeons,…and…they…are…reporting…encouraging…early…results.…We…<br />

are…now…discussing… about…RCT…on…this…type…of…surgery.…A…few…reports…about…Appleby…operation…are…<br />

available,…mainly…from…large…volume…centers.…(3)…For…cystic…neoplasm,…not…a…few…gastroenterologists…are…<br />

challenging… by… EUS… guided… intervention… for… some… cystic… lesions,… most… surgeons… do… not… agree… their…<br />

strategic…approach.…Laparoscopic…approach…for…the…lesion…of…the…distal…pancreas…is…becoming…a…standard…<br />

procedure,…either…spleen…preserving…or…not,…and…recently…cyst…enucleation…is…being…tried…more…often…in…<br />

many…centers…than…before.…(4)…As…for…the…minimal…invasive…surgery,…laparoscopic…distal…pancreatectomy…<br />

has…become…a…standard…procedure…for…benign…and…low-grade…malignancy…and…recently…a…few…large…volume…<br />

centers…are…trying…the…laparoscopic…surgery…for…pancreatic…cancer.…Laparoscopic…PD…has…been…cautiously…<br />

tried…by…surgeons…in…high…volume…centers,…one…of…which…has…more…than…200…cases…of…laparoscopic…PD.…<br />

Robotic…surgery…also…has…been…tried…for…pancreatectomy…in…a…few…centers,…however,…the…benefit…of…the…<br />

procedure…has…not…been…accepted…yet.…In…conclusion,…not…only…newly…introduced…above…surgeries…in…terms…<br />

of… different… extents,… types… and… approaches,… but… also… different… ways… of… reconstruction… and… stump…<br />

management… for… better… early… and… late… outcome… have… been… being… tried… in… Korea.… To… advance… our…<br />

techniques…on…the…basis…of…high…level…of…evidences,…we…need…to…get…together,…standardize…the…techniques…<br />

and…plan…to…do…RCTs…if…possible.<br />

-182-


KL5 Laparoscopic liver surgery<br />

New York Presbyterian Hospital-Weill Cornell Medical Center, USA<br />

○Daniel…Cherqui<br />

Liver…resection…remains…one… of…the… last…areas…of… resistance…to…laparoscopic…surgery.…Despite…close…to…<br />

twenty…years…of…development…and…nearly…3,000…reported…cases…internationally,…this…remains…an…emerging…<br />

field…that…should…be…approached…with…caution…by…surgeons…experienced…in…the…perioperative…care…and…<br />

planning… of… both… liver… and… laparoscopic… surgery.… Six… centers… have… reported… series… greater… than… 100…<br />

patients…and…most…centers…perform…less…than…half…of…their…total…cases…laparoscopically.…We…have…performed…<br />

over… 200… laparoscopic… partial… hepatectomies… over… the… past… 10… years… which… represents… 23 %… of… our…<br />

hepatectomy…volume.<br />

The…lessons…learned…from…this…experience…and…that…of…others…is…that…laparoscopic…liver…resection…is…feasible…<br />

and…safe…in…selected…patients…and…this…technique…deserves…a…place…in…the…armamentarium… of…the…liver…<br />

surgeon.…It…is…less…invasive…than…open…operation…and…preserves…the…abdominal…wall,…but…its…advantages…may…<br />

not… be… limited… to… these… aspects.… Laparoscopy… is… associated… with… quicker… recovery,… earlier… access… to…<br />

chemotherapy…if…needed,…it…may…be…a…better…technique…owing…to…optical…magnification…and…it…may…facilitate…<br />

repeat…operation.…However,…certain…conditions…may…preclude…its…use.…For…laparoscopic…liver…resection…to…be…<br />

effective,…specific…training…and…access…to…adequate…technology…are…required.…Patient…selection…must…be…<br />

accurate,… and… the… availability… of… laparoscopy… should… not… widen… the… indications… for… resection… of…<br />

asymptomatic…benign…lesions.…The…rules…of…oncologic…surgery…must…be…followed…for…minimally…invasive…<br />

operations,…just…as…in…their…open…counterparts.…At…present,…good…candidates…for…laparoscopic…liver…resection…<br />

are…patients…with…peripheral…lesions…requiring…limited…hepatectomy.…Further…prospective…evaluation…is…<br />

required…to…assess…the…results…of…laparoscopy…in…the…treatment…of…liver…cancer,…and…its…place…in…major…liver…<br />

resection…and…living…donor…hepatectomy.<br />

Keynote<br />

Lecture<br />

-183-


KL6 Robotic radical resection for hilar cholangiocarcinoma<br />

Hospital & Institute of Hepatobiliary Surgery, Chinese PLA General Hospital, Beijing, China<br />

○Jiahong…Dong,Wenbin…Ji,Hongguang…Wang<br />

BACKGROUND:…Laparoscopic…hepatectomy…has…been…reported…extensively…in…the…literature.…However…<br />

hilar…cholangiocarcinoma…still…remains…contraindication…for…laparoscopic…technique…due…to…difficult…radical…<br />

resection…and…hepaticojejunostomy.…At…present,…the…robotic…technique…made…the…difference,…allowing…the…<br />

performance…of…procedure…with…complex…manipulative…maneuvers…otherwise…not…feasible…in…minimally…<br />

invasive… surgery.… Herein…this… video… shows…the…robotic…radical… resection… for… hilar… cholangiocarcinoma.…<br />

METHODS:…A…53-year-old…woman…with…obstructive…jaundice…was…referred…for…surgical…treatment.…The…<br />

MRCP… and… MDCT… indicated… type… Bismuth… 3A… hilar… cholangiocarcinoma… without… infiltration… of… hilar…<br />

vessels.…Previous…bilateral…PTBD…was…performed.…The…surgical…planning…included…right…hepatectomy…and…<br />

caudate…segmentectomy…(ratio…of…future…remnant…liver…to…standard…liver…volume…was…40 %),…regional…<br />

lymphadenectomy…and…Roux-en-y…hepaticojejunostomy.…We…performed…the…laparoscopic…radical…resection…<br />

for…hilar…cholangiocarcinoma…with…Da…Vinci…surgical…system.……RESULTS:…The…operative…time…was…10…<br />

hours,… and… the… blood… loss… was… 400… ml,… with… no… blood… transfusion.… The… histopathologic… diagnosis… was…<br />

moderately…differentiated…hilar…cholangiocarcinoma.…And…a…R0…resection…was…obtained.…The…postoperative…<br />

recovery…was…uneventful,…with…discharge…on…postoperative…day…9.…CONCLUSIONS:…For…the…patients…with…<br />

hilar…cholangiocarcinoma,…the…robotic…surgical…system…could…broaden…the…indications…for…minimally…invasive…<br />

surgery… and… enabled… the… surgeon… to… perform… precise… laparoscopic… radical… resection… with… major…<br />

hepatectomy… for… hilar… cholangiocarcinoma.… However,… it… should… be… performed… only… by… surgeons… with…<br />

expertise…in…laparoscopy…and…hepatobiliary…surgery.…Long-term…results…are…still…required.<br />

-184-


国 際 ビデオシンポジウム


VS1-1<br />

Hepatectomyapplyingmodifiedliverhanging<br />

maneuver<br />

Nagasaki University<br />

○…ATSUSHI…NANASHIMA,Takafumi…Abo,Terumitsu…Sawai,<br />

Takeshi…Nagayasu<br />

In…the…highly…advanced…hepatectomy,…to…devise…surgical…procedure…is…<br />

necessary.…Liver…hanging…maneuver…(LHM)…by…Belghiti…et…al.…allows…<br />

to…accomplish…anterior…approach…hepatectomy…easily.…Modification…of…<br />

LHM… for… various… anatomical… hepatectomy… is… accomplished… by…<br />

replacingtechnique…of…hanging…NG…tube…between…hepatic…veins…or…<br />

Gllisonian…pedicles.…We…applied…LHM…in…69…hepatectomies,…including…<br />

rt…trisectionectomy…in…2…patients,…left…trisectionectomy…in…2,…right…<br />

hepatectomy…in…22,…left…hepatectomy…in…18,…right…or…left…hepatectomy…<br />

with…combined…resection…of…bile…duct…in…9,…central…bisegmentectomy…<br />

in…5,…anterior…segmentectomy… in…5,…posterior…segmentectomy… in…5…<br />

and… subsegmentectomy… with… hepatic… vein… resection… in… 3.In…<br />

comparison…with…non-LHM…group,…blood…loss…and…hepatic…transection…<br />

time…were…significantly…decreased…in…LHM…group,…particulary…in…left…<br />

hepatectomy…with…or…without…conbined…resection…of…bile…duct…and…<br />

posterior… segmentectomy.… Adequate… transection… plane… could… be…<br />

obtained… in… case… of… a… large… intrahepatic…tumor… or… hilar… bile… duct…<br />

carcinomas.…LHM…is…feasible…for…various…anatomical…hepatectomies.<br />

VS1-2<br />

Completeextrahepaticglissoneanpedicle<br />

approachforisolatedtotalcaudatelobectomy<br />

Fujita Health University<br />

○…ATSUSHI…SUGIOKA,Yutaro…Kato,Takamasa…Tokoro,<br />

Yoshinao…Tanahashi,Junichi…Yoshida,Tadashi…Kagawa,<br />

Chinatsu…Takeura<br />

INTRODUCTION:… The… caudate… lobe… lies… deep… in… the… liver… and…<br />

surrounded… by… complex… vascular… structures.… Therefore,… isolated…<br />

total… caudate… lobectomy… is… the… challenging… operative… procedure.…<br />

Although… several… techniques… had… been… reported,… we… apply…<br />

extrahepatic…glissonean…pedicle…approach…for…this…procedure.…Herein…<br />

we… report… the… details… of… the… technique.… OPERATIVE…<br />

PROCEDURES:… At… first,… the… gallbaldder… concomitant… with… the…<br />

cystic…plate…was…removed.……Then…the…right…anterior…and…posterior…<br />

glissonean…pedicles…were…easily…isolated.…The…Aranthian…plate…and…<br />

the…left…main…glissonean…pedicle…were…also…isolated.……Afterwards,…all…<br />

the…glissonean…pedicles…of…the…caudate…lobe…including…the…Spiegel…<br />

lobe…branch,…the…paracaval…branch,…and…the…caudate…process…branch,…<br />

could…be…isolated…using…the…subtraction… method…and…divided.…The…<br />

IVC…was…completely…exposed…and…the…common…trunk…of…the…middle…<br />

and…left…hepatic…veins…as…well…as…the…confluence…of…the…right…hepatic…<br />

vein… were… isolated.… Liver… transection… was… carried… out… along… the…<br />

discolored… area… from… the… left… to… right… side… exposing… the… dorsal…<br />

surface…of…the…middle…and…right…hepatic…veins.…Finally…the…Spiegel…<br />

lobe…was…drawn…out…to…the…right…side…and…the…isolated…total…caudate…<br />

lobectomy… was… completed.… At… present,… we… have… performed… this…<br />

procedure…for…3cases…of…hepatocellular…carcinoma…with…liver…cirrhosis…<br />

without… any… complication.… CONCLUSION:… The… complete…<br />

extraheaptic…glissonean…pedicle…approach…would…contribute…to…the…<br />

safe…and…feasible…procedure…for……isolated…total…caudate…lobectomy.<br />

VS1-3<br />

LiverresectionforadvancedHCCwithVp4<br />

PVTTusingbackflowperfusion(BFP)<br />

technique<br />

Kobe University<br />

○…TAKUMI…FUKUMOTO,Masahiro…Kido,Shinobu…Tsuchida,<br />

Motofumi…Tanaka,Kaori…Kuramitsu,Ippei…Matsumoto,<br />

Tetsuo…Ajiki,Eisei…Gu<br />

(Background)… We… have… already… reported… the… efficacy… of… dual…<br />

treatment… with… reductive… surgery… and… PIHP… for… advanced… HCC,…<br />

which…previously…deem…to…be…unresectable.…However,…advanced…HCC…<br />

are… frequently… complicated… with… portal… vein… tumor… thrombus…<br />

(PVTT),…and…the…conventional…en…bloc…resection…is…not…feasible…for…<br />

the…PVTT…sitting…deeply…in…the…contralateral…portal…branch.…In…this…<br />

situation,…we…developed…a…unique…thromboendvenectomy…technique…<br />

in…combination…with…the…back…flow…perfusion…(BFP)…technique.…With…<br />

the… aid… of… this… combination,… the… floating… PVTT… originating… from…<br />

either…hemiliver…could…be…safely…removed…when…it…remained…within…<br />

the…contralateral…second…portal…branch.…We…herein…present…the…detail…<br />

of…liver…resection…for…advanced…HCC…with…Vp4…PVTT…using…BFP…<br />

technique.(BFP…technique)…Regardless…of…the…tumor…thrombectomy…<br />

procedures,…the…management…of…PVTT…was…basically…attempted…first…<br />

at… the… hepatic… hilum… prior… to… the… mobilization… and… parenchymal…<br />

transection…of…the…liver…and…dissection…of…the…IVC…and…the…hepatic…<br />

veins.… This… was… to… prevent… PVTT… dislodgement… to… the… future…<br />

remnant…liver…during…mobilization…of…the…liver.…When…applied…to…a…<br />

right…hemihepatectomy…for…HCC…with…Vp4…PVTT,…which…reached…to…<br />

the…contralateral…left…second…portal…branch,…the…right…portal…branch…<br />

was…opened…with…a…transverse…venotomy…at…an…appropriate…site…near…<br />

the… bifurcation…and… tumor… thrombus…was… extracted…by… means… of…<br />

thrombendvenectomy… using… forceps… and… scissors… with… suction…<br />

devices.… Of… particular… note,… the… vascular… clamp… at… the… left… portal…<br />

branch…should…be…avoided…for…Vp4…PVTT…which…extends…distal…to…<br />

the…contralateral…second…portal…branch.…Vascular…Clamping…on…the…<br />

PVTT…containing…vessel…may…split…PVTT…and…enhance…portal…vein…<br />

embolization… with… fragmented… tumor… thrombus.… Instead,… we…<br />

recommend…to…maintain…a…BFP…pressure…in…the…left…portal…system…<br />

during… thrombendvenectomy.…The… BFP… technique… minimizes… the…<br />

potential… risk… of… migration… of… the… floating… PVTT… into… the… future…<br />

remnant… liver,…and…allows…effective… extraction… of…both…micro-… and…<br />

macroscopic… cancer… nests… liberated… to… the… blood… stream… during…<br />

procedures.…(Results)… Until… end… of… 2010,… we… have… successfully…<br />

removed…PVTT…in…21…HCC…patients…with…Vp4…except…for…one…using…<br />

BFP… method.…(Conclusion)… BFP… is… an… easy… and… safety… tumor…<br />

thrombectomy…technique…for…deeply…sitting…PVTT.<br />

VS1-4<br />

Conversionsurgicaltherapycombinedwith<br />

hepaticarterialinfusionchemotherapyfor<br />

initiallyunresectableadvancedhepatocellular<br />

carcinomawithtumorthrombusintheinferior<br />

venacava<br />

Kyoto University<br />

○…ETSURO…HATANO,Takamichi…Ishii,Kojiro…Taura,<br />

Shinji…Uemoto<br />

The…prognosis…of…the…patients…with…hepatocellular…carcinoma…(HCC)…<br />

with… tumor… thrombus… in… the… inferior… vena… cava…(IVCTT),…<br />

occasionally…in…the…right…atrium,…remains…extremely…poor,…because…of…<br />

acute…liver…failure,…ascites,…lung…metastasis,…and…pulmonary…tumor…<br />

emboli.…There…is… extremely…large…surgical… stress… by… total…hepatic…<br />

vascular…exclusion,…thoracotomy,…open-heart…surgery…and/or…extra…<br />

corporeal… circulation,… even… though… curative… hepatectomy… and…<br />

extirpation… of… tumor… thrombus… can… be… performed.… We… have…<br />

introduced… multidisciplinary… treatment… with… hepatectomy… and…<br />

extirpation…of…tumor…thrombus…and…hepatic…arterial…infusion…(HAI)…<br />

chemotherapy.…METHODS:…We…performed…hepatic…resection…in…20…<br />

consecutive…patients…with…HCC…and…IVCTT…between…2000…and…2008.…<br />

Among… 20… pts,… 2… had… lymph… node… metastases,… 2… had… distant…<br />

metastases,…and…2…had…intrahepatic…metastasis…in…the…remnant…lobe.…<br />

In… 4… initially… unresectable… pts,… curative… resection… was… performed…<br />

after… HAI… chemotherapy.… Postoperative… chemotherapy… was…<br />

performed…in…10…pts…for…prevention…of…early…recurrence.…The…initial…<br />

course…of…chemotherapy…mainly…consisted…of…the…arterial…infusion…of…<br />

CDDP…(10…mg)…and…5FU…(250…mg)…via…a…subcutaneously…implanted…<br />

injection…port…on…day…1-5,…8-12,…and…15-19.…RESULTS:…Thoracotomy…<br />

was…required…in…7…pts.…Furthermore,…4…pts…needed…extra…corporeal…<br />

circulation.…The…1-,…3-,…and…5-year…survival…rates…after…resection…in…all…<br />

20…patients…were…69%,…30%,…and…30%,…respectively.…Median…survival…<br />

time…was…26…months.…In…14…pts…with…curative…resection,…the…1-,…3-,…and…<br />

5-year…survival…rates…after…resection…were…100 % ,…38%,…and…38%,…<br />

respectively.…Median…survival…time…was…32…months.…Median…survival…<br />

time…of…pts…required…for…extra…corporeal…circulation…was…16…months.…<br />

Three…survived…for…more…than…6…years,…even…though…2…pts…of…those…<br />

had… lung… metastasis.… Postoperative… survival… time… of… 4… initially…<br />

unresectable… pts… was… 33,… 17,… 55,… and… 37… months,… respectively.…<br />

CONCLUSION:… Patients… with… curative… resection… can… expect… for…<br />

relatively…longer…survival…time.…If…conversion…surgical…therapy…can…<br />

be…achieved…by…HAI…in…initially…unresectable…pts,…long…survival…can…<br />

be…expected.…Furthermore,…postoperative…adjuvant…chemotherapy…<br />

with…sorafenib…has…been…introduced…for…inhibition…of…lung…metastasis.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-187-


VS1-5<br />

Hybridprocedureoflaparoscopic-assistedopen<br />

liverresectionthroughshortuppermidline<br />

laparotomycanbeappliedforalltypeof<br />

hepatectomy.<br />

Nagasaki University<br />

○…SUSUMU…EGUCHI,Mitsuhisa…Takatsuki,Akihiko…Soyama,<br />

Idumi…Muraoka,Takanobu…Hara,Izumi…Yamaguchi,<br />

Takayuki…Tanaka,Fumihiko…Fujita,Shinichiro…Ono,<br />

Tomohiko…Adachi,Tamotsu…Kuroki<br />

Background:…Although…hepatectomy…procedure…should…ensure…both…<br />

curability…and…safety,…minimal…invasiveness…should…be…also…pursued.…<br />

We… analyzed… the… data… of… our… method… of… minimally… invasive…<br />

laparoscopy-assisted… open… resections…(hybrid… method)… through…<br />

short…upper…midline…incision…for…various…types…of…both…anatomical…<br />

and… non-anatomical… resection.… Patients… and… methods:… Of… 147…<br />

hepatectomies… between… 2008… and… 2011,… 47… hybrid… method… were…<br />

performed…in…Nagasaki…University…Hospital.…Primary…diseases…were…<br />

hepatocellular… carcinoma… 15,… metastatic… liver… cancer… in… 6,… living…<br />

donor… in… 20… and… 6… others.Results:… Hybrid… method… could… be…<br />

applicable…for…right…hemihepatectomy…in…16,…left…hemihepatectomy…in…<br />

14,…right…posterior…sectionectomy…in…4,…left…lateral…segmentectomy…in…<br />

2,…and…subsegmentectomy…(S6,…7)…in…2…and…minor…liver…resection…in…9…<br />

(combined…5 ).…Operative…duration…median…389…(165-709)…minutes,…<br />

laparoscopic…duration…38…minutes…(20-77),…blood…loss…500g…(530-2800).…<br />

Post… operative… complication… was… portal… venous… thrombus… in… 1,…<br />

wound… infection… in… 2,… postoperative… hyperbilirubinemia… in… 1.<br />

Conclusion:… Our… method… of… hybrid… hepatectomy… through… short…<br />

upper…midline…incision…involves…no…abdominal…muscle…disruption…and…<br />

safe…management…of…hepatic…vein…and…parenchymal…resetion…for…even…<br />

bilabar…diseases.<br />

VS1-6<br />

Attemptstoreduceincisionlengthinliving<br />

donorlateralsegmentectomyandleft<br />

hepatectomyforlivingdonorliver<br />

transplantation<br />

1<br />

Keio University、 2 Department of Pediatric Surgery,<br />

Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan<br />

○…MASAHIRO…SHINODA 1 ,Minoru…Tanabe 1 ,<br />

Shigeyuki…Kawachi 1 ,Osamu…Itano 1 ,Hideaki…Obara 1 ,<br />

Minoru…Kiatago 1 ,Hiroshi…Yagi 1 ,Kentaro…Matsubara 1 ,<br />

Naoki…Shimojima 2 ,Yasushi…Fuchimoto 2 ,Ken…Hoshino 2 ,<br />

Tatsuo…Kuroda 2 ,Yuko…Kitagawa 1<br />

BACKGROUND:…There…have…been…several…attempts…to…reduce…the…<br />

length…of…abdominal…incisions…in…living…donor…surgery…(Kurosaki…et…<br />

al,…Surgery…2006.…Lee…et…al.…Liver…Transplant…2011).…We…present…our…<br />

attempt…for…reducing…the…length…of…incision…in…living…donor…lateral…<br />

segmentectomy… and… left… hepatectomy… using… video-assisting… and…<br />

wound… retracting… with… neither… abdominal-wall-lifting… nor… CO2…<br />

pneumoperitoneum.PATIENTS… AND… SURGICAL… PROCEDURS:…<br />

Since… February… 2009,… we… introduced… video-assisted… living… donor…<br />

hepatectomy… through… an… upper… midline… incision… for… liver…<br />

transplantation.…In…this…operation,…we…made…an…about…10…cm…upper…<br />

midline… incision… and… applied… a… wound… retractor…(ALEXIS… wound…<br />

retractor,…Applied…Medical,…CA)…to…the…incision.…Using…a…Thompson…<br />

retractor…(Thompson… Surgical… Instruments,… MI),… we… moved… the…<br />

wound…toward…the…area…in…which…we…performed…surgical…procedures.…<br />

Because… the… view… from… the… operator… and… assistant… surgeons… was…<br />

limited… through… the… small… incision,… we… placed… a… 5… mm… flexible…<br />

laparoscopic…fiber…scope…(Olympus,…Tokyo,…Japan)…at…the…margin…of…<br />

the… wound… with… neither… abdominal-wall-lifting… nor… CO2…<br />

pneumoperitoneum.… The… assistant… surgeons… mainly… watched… the…<br />

view…obtained…through…the…fiber…scope.…We…employed…this…procedure…<br />

for…13…living…donors…(5…males…and…8…females.…Average…35.3…years…old)…<br />

and… compared… the… outcomes… of… the… 13… donors… to… those… to… the…<br />

previous…donors…who…underwent…the…same…hepatectomy…between…<br />

October…2006…and…January…2009.RESULTS:…The…operations…included…<br />

8… lateral… segmentectomy… and… 5… left… hepatectomy.… The… average…<br />

weight…of…graft…was…235g…and…369g…in…lateral…segmentectomy…and…<br />

left…hepatectomy,…respectively.…The…length…of…incision…was…8…to…16…<br />

cm…(mean… 11.1… cm)… and… 10… to… 16… cm…(mean… 12.4… cm)… and… intraoperative…blood…loss…was…175g…and…225g…in…lateral…segmentectomy…<br />

and… left… hepatectomy,… respectively.… The… donors… were… discharged…<br />

10.5… days… and… 10.0… days… after… lateral… segmentectomy… and… left…<br />

hepatectomy,… respectively.… No… donors… presented… with… major…<br />

complications.… There… were… no… significant… differences… of… outcomes…<br />

above…between…the…donors…above…and…previous…donors.…There…were…<br />

tendency…that…the…hospital…stay…was…shorter…in…the…presented…donors…<br />

than…the…previous…donors.…CONCLUSION:…Reducing…the…length…of…<br />

incision…seems…feasible…in…living…donor…lateral…segmentectomy…and…<br />

left…hepatectomy…using…video-assisting…and…wound…retracting.<br />

VS2-1<br />

Lefthepatictrisectionectomyforhilar<br />

cholangiocarcinomaoftheleft-side<br />

predominance<br />

Chiba University<br />

○…HIROAKI…SHIMIZU,Fumio…Kimura,Hiroyuki…Yoshidome,<br />

Masayuki…Ohtsuka,Atsushi…Kato,Hideyuki…Yoshitomi,<br />

Katsunori…Furukawa,Dan…Takeuchi,Tsukasa…Takayashiki,<br />

Satoshi…Kuboki,Masayuki…Nakajima,Masaru…Miyazaki<br />

… Hilar… cholangiocarcinoma…(HC)… is… still… a… significant… therapeuic…<br />

challenge…for…biliary…surgeons;…Histologically…negative…margin…(R0)…<br />

resection…is…the…most…important…factor…for…the…long-term…survival.…<br />

However,…despite…improved…imaging…technique,…R0…resection…rates…<br />

are… still… not… satisfactory.… Left… hemihepatectomy…(LH)… with…<br />

extrahepatic…bile…duct…resection…has…been…recognized…as…a…standard…<br />

surgical… procedure… for… B-C… type… IIIb… tumor,… but… we… previously…<br />

reported…(Ann… Surg… 2009)…that… the… stump… of… the… right… posterior…<br />

sectional…bile…duct…(RPSBD)…was…frequently…margin…positive…after…<br />

LH.…These…findings…may…be…attributed…to…the…vasculo-biliary…anatomy…<br />

of…the…right…liver;…As…RPSBD…generally…runs…cranially…around…the…<br />

right…portal…vein…(R-PV)…(supraportal…course)…and…joins…with…the…<br />

distal… bile… duct… at… its… cranial… side,… RPSBD… division… line… may… be…<br />

limited… to… the… cranio-dorsal… to… the… R-PV.… Meanwhile,… in… left…<br />

trisectionectomy…(LTH),…as…right…anterior…PV…is…divided,… RPSBD…<br />

could…be…cut…more…peripheral,…9.8+1.4mm…(evaluated…with…MD-CT)…<br />

longer,… when… compared… to… LH.… This… may… be… very… important… for…<br />

obtaining…negative…ductal…margin…of…B-C…type…IIIb…tumor.…From…this…<br />

point…of…view,…we…have…applied…LTH…more…often…in…patients…with…B-C…<br />

type…IIIb…tumor…extending…close…to…the…bifurcation…of…right…anterior…<br />

sectional… bile… duct…(RASBD)… and… RPSBD… over… the… last… 5… years.…<br />

Although… LTH… is… technically… demanding,… risk… of… postoperative…<br />

hepatic…failure…should…be…low,…because…remnant…liver…volume…(RLV)…<br />

is…approximately…more…than…40%…of…total…liver…volume…(TLV)…after…<br />

PV…embolization…in…most…LTH…cases.…Therefore,…LTH…is…not…likely…to…<br />

be… an… excessive… liver… resection,… such… as… right… hepatic…<br />

trisectionectomy.…This… is… a… very… important… point… when… selecting…<br />

operative…procedure.………So…far,…our…this…strategy…in…patients…with…B-C…<br />

type… IIIb… tumor… have… improved… ductal… margin… status… with… zero…<br />

mortality… for… the… last… 5… years.……In… this… presentation,… surgical…<br />

procedure…for…hepatic…LTH…extended…caudate…lobe…with…extrahepatic…<br />

bile…duct…resection…is…demonstrated…in…detail…with…video.<br />

VS2-2<br />

LeftTrisectionectomywithConcomitant<br />

VascularResectionforPerihilar<br />

Cholangiocarcinoma<br />

Nagoya University<br />

○…TOMOKI…EBATA,Yukihiro…Yokoyama,Gen…Sugawara,<br />

Tsuyoshi…Igami,Yu…Takahashi,Toshio…Kokuryo,<br />

Keisuke…Uehara,Keita…Itatsu,Yuichirou…Yoshioka,<br />

Masato…Nagino<br />

Background:…Bismuth…type…IV…perihilar…cholangiocarcinoma…with…a…<br />

left-sided…predominance…often…invades…the…right…hepatic…artery…and/<br />

or… the… portal… bifurcation;… subsequently… requires… left…<br />

trisectionectomy… with… vascular… resection… for… curatively… intended…<br />

surgery.… In… the… technical… aspect,… it… is… noteworthy… that… preceding…<br />

vascular…division…as…a…part…of…controll…method…is…frequently…difficult…<br />

owing… to… cancer… infiltration… at… the… hepatic… hilus.……Specific…<br />

techniques:…1)…The…right…portal…fissure,…an…imaginary…intrahepatic…<br />

plane… between… the…right…anterior… and…posterior… sector,… cannot… be…<br />

realized…macroscopically.…With…left…trisegment…PVE,…a…demarcation…<br />

between…the…right…anterior…and…posterior…sector…appears…on…the…liver…<br />

surface…just…after…temporary…clamping…of…the…proper…hepatic…artery.…<br />

This… is… simple… and… useful… in… case… of… locally… advanced… perihilar…<br />

cholangiocarcinoma…requiring…combined…hepatic…artery…and…portal…<br />

vein…resection,…in…which…hilar…dissection…cannot…be…completed…before…<br />

liver… resection.… Therefore,… we… recommend… use… of… left… trisegment…<br />

PVE… before… this… complicated… surgery.2)… The… right… anterior…<br />

vasculatures… cannot…be…identified… before…liver…transection.… In…this…<br />

situation,…tansection…is…initiated…along…the…ischemic…demarcation…in…<br />

the… direction… toward… the… Rouvieres… sulcus.… When… the… liver…<br />

transection…reaches…the…root…of…the…right…anterior…pedicle,…the…right…<br />

anterior…hepatic…artery…or…portal…vein…can…be…identified…and…divided…<br />

from…in…a…good…working…space.…This…transparenchymal…approach…is…<br />

safe…and…useful…in…this…complicated…hepatectomy.Results:…Between…<br />

2001…and…2011,…a…total…of…66…patients…underwent…left…trisectionectomy…<br />

with… combined… vascular… resection…(portal… vein,… n=14;… hepatic…<br />

artery,… n=13;… and… both,… n=39)… for… advanced… perihilar…<br />

cholangiocarcinoma.…Median…operative…time…and…blood…loss…was…686…<br />

min… and… 2154… mL,… respectively.… Two… patients… died… of… surgical…<br />

complications,…giving…a…mortality…rate…of…3.0%.…Overall…survival…rate…<br />

was… 73 %… at… 1-year,… 41 %… at… 3-years,… and… 38 %… at… 5-years,… with… a…<br />

median…survival…time…of…23…months.…Six…patients…survived…more…than…<br />

5… years.… Conclusion:… Left… trisectionectomy… with… concomitant…<br />

vascular…resection…is…technically…demanding…but…can…be…performed…<br />

within…an…acceptable…mortality.…This…surgery…can…offer…the…chance…of…<br />

long-term… survival… in… patients… with… advanced… perihilar…<br />

cholangiocarcinoma.<br />

-188-


VS2-3<br />

Operativeproceduresforhilar<br />

cholangiocarcinoma:notabletechniquesfor<br />

completeandsaferesection<br />

1<br />

Tohoku University、 2 Hepato-Biliary Pancreatic Surgery,<br />

Tohoku University<br />

○…YU…KATAYOSE 1,2 ,Toshiki…Rikiyama 2 ,Hiroshi…Yoshida 2 ,<br />

Hiroki…Hayashi 1,2 ,Kei…Nakagawa 2 ,Fuyuhiko…Motoi 2 ,<br />

Takeshi…Naitoh 2 ,Shinichi…Egawa 2 ,Michiaki…Unno 2<br />

Extended… operation… for… perihilar… cholangiocarcinoma… has…become…<br />

possible… because… of… improvements… in… preoperative… simulation,…<br />

perioperative…time…management…and…innovative…operative…devices.…<br />

This…operation…is…now…considered…to…be…established…procedure…and…<br />

does…not…differ…greatly…among…institutions…in…Japan.…Furthermore,…<br />

the…treatment…results…have…improved…with…adjuvant…therapy,…and…<br />

the…standardization…of…treatment…is…progressing.…In…order…to…improve…<br />

the…treatment…results,…we…tried…neoadjuvant…chemoradiation…therapy…<br />

for… cholangiocarcinoma,… followed… by… conventional… resection…<br />

(Hepatogastroenterology… 2011,58).… Even… after… chemoradiation…<br />

therapy,…the…operative…procedures…were…performed…as…usual.…The…<br />

principle…of…surgical…resection…is…complete…resection…without…residual…<br />

tumor.… However,… operative… complications… are… relatively… frequent…<br />

compared… to… other… gastro-intestinal… operations… because… this…<br />

operation… represents… advanced… surgery… in… the… hepatobiliary… and…<br />

pancreatic… field…(J… Hepatobiliary… Pancreat… Sci… 2012)… Here,… we…<br />

showed…several…import…techniques…for…complete…and…safe…resection.…1.…<br />

Reconstruction… of… vessels…(Fig)2.… Reconstruction… of… bile… duct3.…<br />

Dissection…of…lymph…nodes4.…Division…of…liver…<br />

VS2-4<br />

HepatectomywithArterialResectionand<br />

ReconstructionforHilarCholangiocarcinoma<br />

DOsaka University<br />

○…HIROAKI…NAGANO,Shogo…Kobayashi,Hiroshi…Wada,<br />

Shigeru…Marubashi,Hidetoshi…Eguchi,Kouichi…Kawamoto,<br />

Masahiro…Tanemura,Yuichiro…Doki,Masaki…Mori<br />

Recent…advances…in…surgical…techniques…and…knowledge…in…the…era…of…<br />

liver… transplantation… have… facilitated… the… performance… of… hepatic…<br />

artery…reconstruction.…We…expect…that…hepatic…artery…resection…and…<br />

reconstruction…may…be…indicated…in…locally…advanced…cancer,…which…<br />

often…involves…the…hepatic…artery.In…this…symposium,…we…show…the…<br />

successfully… curative… resectable… case… with… right… hepatic… arterial…<br />

resection… and… reconstruction… for… hilar… cholangiocarcinoma.… In…<br />

addition,…we…report…the…outcome…of…this…procedure…and…discuss…about…<br />

the…indication…and…possibility.<br />

VS2-5<br />

No-touchandenblocresectionofhilarbiliary<br />

malignancyinright-sidedhepatectomywith<br />

preemptiveportalreconstruction<br />

Hokkaido University<br />

○…JOE…MATSUMOTO,Satoshi…Hirano,Eiichi…Tanaka,<br />

Toshiaki…Shichinohe,Takahiro…Tsuchikawa,Kentaro…Kato,<br />

Yuma…Ebihara,Yoshihiro…Murakami,Takehiro…Noji,<br />

Ryo…Takahashi,Takumi…Yamabuki<br />

Background/Purpose:… Local… recurrence… after… resection… of… hilar…<br />

biliary… malignancies… could… be… caused… by… the… microscopic…<br />

dissemination… of…cancer… cells… during… dissection… of…the…portal… vein…<br />

from…the…involved…bile…duct(s)…at…the…hilar…region.…We…demonstrate…<br />

the…operative…technique…and…the…feasibility…and…safety…of…a…procedure…<br />

including…portal…vein…reconstruction…prior…to…hepatic…dissection…in…<br />

right… hepatectomy… and… caudate… lobectomy… plus… biliary…<br />

reconstruction… which… enables… no-touch… resection… for… hilar…<br />

malignancies.…This…procedure…was…indicated…when…the…preoperative…<br />

image… findings… showed… a… tumor… abutting… the… portal… bifurcation.<br />

Operative…technique:…Portal…reconstruction…was…performed…before…<br />

hepatic… dissection… because… the… portal… system… connected… to… the…<br />

tumor… could… hinder… the… division… of… the… left… hepatic… duct… at… its…<br />

separating… limit… from… the… vasculature.… After… isolation… of… the… left…<br />

hepatic…artery…and…skeletonization…of…the…hepatoduodenal…ligament,…<br />

small…portal…branches…to…the…caudate…lobe…and…the…Arantius…canal…<br />

were…divided,…allowing…full…mobilization…of…the…left…portal…branch…up…<br />

to…the…base…of…the…umbilical…portion.…After…clamping…the…portal…trunk…<br />

and…left…portal…branch…as…far…from…the…portal…bifurcation…as…possible,…<br />

the… portal… vein… was… resected… to… obtain… clear… surgical… margins.…<br />

Reconstruction…was…performed…in…an…end-to-end…fashion,…taking…care…<br />

to… avoid… torsion… of… the… anastomosis.… After… hepatic… parenchymal…<br />

dissection,…Roux-en-Y…hepaticojejunostomy…was…carried…out.…At…the…<br />

end…of…the…operation,…portal…flow…was…confirmed…by…color…Doppler…<br />

ultrasonography.Patients:…From…1999…to…2011,…of…123…patients…who…<br />

underwent…right-sided…hepatectomy…for…hilar…cholangiocarcinoma…or…<br />

gallbladder…cancer,…the…portal…bifurcation…was…preemptively…resected…<br />

by… the… above-mentioned… procedure… in… 67… patients…(54 %).…<br />

Perioperative…outcomes…of…the…procedure…were…compared…with…those…<br />

in…patients…who…underwent…conventional…portal…reconstruction…(n…=…<br />

18,…15%)…and…with…those…in…patients…without…portal…reconstruction…(n…<br />

=… 38,… 31 %).Results:… Perioperative… data… from… patients… with…<br />

preemptive… portal… reconstruction… were… similar… to… those… in… the…<br />

patients…with…conventional…portal…reconstruction…and…those…in…the…<br />

patients… without… portal… reconstruction.… There… was… one… case… with…<br />

postoperative…complication…directly…related…to…portal…reconstruction.<br />

Conclusions:… No-touch… and… en… bloc… resection… of… hilar…<br />

cholangiocarcinoma… in… right-sided… hepatetomy… with… preemptive…<br />

portal… reconstruction… was… acceptable… in… terms… of… feasibility… and…<br />

safety.…<br />

VS3-1<br />

Pancreaticogastrostomy:apancreastransfixingmethodwithduct-to-mucosa<br />

anastomisis<br />

1<br />

Kagoshima University、 2 Graduate School of Health<br />

Sciences, Kagoshima University, Kagoshima, Japan、<br />

3<br />

Frontier Science Research Center, Kagoshima<br />

University, Kagoshima, Japan<br />

○…KOSEI…MAEMURA 1 ,Hiroyuki…Shinchi 2 ,Yuko…Mataki 1 ,<br />

Hiroshi…Kurahara 1 ,Taisaku…Kuwahata 1 ,Kohki…Maeda 1 ,<br />

Satoshi…Iino 1 ,Masahiko…Sakoda 1 ,Shinichi…Ueno 1 ,<br />

Shoji…Natsugoe 1 ,Sonshin…Takao 3<br />

Introduction…The…pancreaticogastrostomy…is…not…only…safe…but…also…<br />

good… function… as… well… as… pancreaticojejunostomy.… We… have… used…<br />

pancreaticogastrostomy… without… gastrotomy… using… a… pancreatic…<br />

duct-to-gastric…mucosa…anastomosis…for…310…patients…since…1987…as…a…<br />

reconstruction… method… following… pancreaticoduodenectomy.… We…<br />

introduce… our… devised… pancreaticogastrostomy…using… a… pancreastransfixing…<br />

method… which… is… simple… procedure… and… is… safer…<br />

particulary… for… a… normal… soft… pancreas.Methods… Procedures… of…<br />

pancreaticogastrostomy…are…described…as…follows:…1)…The…pancreas…<br />

is…transected…at…the…level…of…the…portal…vein…using…an…ultrasonically…<br />

activated…scalpel.…2)…A…2-cm-long…seromuscular…incision…is…made…in…<br />

the…posterior…wall…of…the…stomach.…3)…Pancreas-transfixing…suture…as…<br />

outer… layer;… the… 2-0… silk… placed… by… a… curved… 35-mm-long… needle…<br />

from…the…posterior…inferior…wall…to…the…superior…wall…of…the…stomach,…<br />

then… passing… from… the… anterior… to… the… posterior… surface… of… the…<br />

pancreas.… 4)… The… pancreatic… duct… is… anastomosed… to… the… gastric…<br />

mucosa…with…absorbable…4-0…interrupted…sutures…using…four…to…eight…<br />

sutures…as…inner…layer.…5)…Ligation…of…outer…and…inner…layer…of…suture.…<br />

6)…A…pancreatic…tube…of…approximately…3cm…in…length…is…cut…for…use…<br />

as…an…internal…stent.…A…total…of…205…consecutive…patients…underwent…<br />

pancreaticogastrostomy…were…analyzed…perioperative…clinical…factors.<br />

ResultsThey…were…128…males…and…77…females,…with…a…mean…age…of…66…<br />

years.… 67 %… patients…(n=137)… had… a… soft… pancreas.… Operative…<br />

mortality…was…zero…and…morbidity…was…19%…(n=38).…Pancreatic…leak…<br />

(Grade… B/C)… occurred… in… 4… patients…(2 %);… all… resolved…<br />

nonoperatively… with… the… continuation… of… closed… drainage.<br />

ConclusionThis…novel…pancreaticogastrostomy… technique…is…simple…<br />

and…an…effective…reconstructive…procedure…with…reducing…the…risk…of…<br />

pancreatic…leakage,…especially…for…patients…with…a…soft,…nonfibrotic…<br />

pancreas.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-189-


VS3-2<br />

Completetotalmesopancreaticexcision<br />

includingsuperiormesentericarteryandvein<br />

forlocallyadvancedpancreatichead<br />

carcinomas<br />

1<br />

Kanazawa University、 2 Kanazawa National Hospital、<br />

3<br />

Department of cardiovascular surgery, Kanazawa<br />

University, Kanazawa, Japan<br />

○…HIROHISA…KITAGAWA 1 ,Hidehiro…Tajima 1,2 ,<br />

Hisatoshi…Nakagawara 1 ,Yasuhiro…Hayashi 1 ,Isamu…Makino 1 ,<br />

Hiroyuki…Takamura 1 ,Hideto…Fujita 1 ,Itasu…Ninomiya 1 ,<br />

Sachio…Fushida 1 ,Takashi…Tani 1 ,Ichiro…Ohnishi 2 ,<br />

Masato…Kayahara 2 ,Tetsuo…Ohta 1 ,Hiroshi…Ohtake 3<br />

Curative… resection… has… been… shown… to… be… one… of… the… key… factors…<br />

affecting…the…survival…of…patients…with…carcinomas…of…the…head…of…the…<br />

pancreas.…However…local…recurrence…is…very…common…and…Esposito…<br />

and… his… colleagues… stated… that…“Most… pancreatic… head… cancer…<br />

resections… are… R1… resections… and… the… medial… and… the… posterior…<br />

margins… are… most… commonly… involved”.… Especially… the… medial…<br />

margin… has… a… great… influence… on… survival… because… it… is… the…<br />

lymphovascular…transection…margin…from…SMA.…The…medial…margin…<br />

means… the… division… forming… margin… in… mesopancreas… which… lies…<br />

between…uncinate…process…and…SMA,…and…contains…lymphovascular…<br />

flow…concomitant…with…pancreas…head.…In…2002,…we…developed…a…new…<br />

method… for… en… bloc… resection… of… the… pancreas… head… and…<br />

mesopancreas…including…the…superior…mesenteric…artery…(SMA)…and…<br />

vein…(SMV)…for…pancreatic…head…carcinoma…with…portomesenteric…<br />

invasion,… called…“augmented… regional… pancreatoduodenectomy…<br />

(ARPD).… The… technical… and… general… eligibility… criteria… for… ARPD…<br />

are:…1)…presumed…achievement…of…R0…status;…2)…tumor…infiltration…<br />

proximal… to… the… SMV… and… SMA;… and… 3)… tumor… respecting… the…<br />

hepatic…artery,…splenic…artery…and…celiac…trunk…and…neither…hepatic…<br />

nor…paraaortic…nodal…metastasis.…Between…2002…and…2011,…19…patients…<br />

underwent…ARPD…in…our…institute.…The…postoperative…death…occured…<br />

in…two…patients.…One…death…occured…after…full-dose…radiotherapy…and…<br />

the…other…after…rupture…of…an…aortic…aneurysm.…The…surgical…margins…<br />

were…histologically…negative…(R0)…in…16…patients…(84%).…The…overall…<br />

5-year… survival… probabilities… were… 25 %… in… R0.… Three… patients…<br />

survived…more…than…5…years.…The…ARPD…procedure…has…advantages…<br />

in…obtaining…sufficient…margins…at…the…uncinate…and…posterior…site…in…<br />

patients…with…pancreatic…head…carcinoma.<br />

VS3-3<br />

Mesentericapproachintheisolated<br />

pancreatoduodenectomy<br />

1<br />

Nagoya Central Hospital、 2 Department of<br />

Gastroenterological Surgery, Nagoya University<br />

Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan<br />

○…AKIMASA…NAKAO 1 ,Kenji…Oshima 1 ,Yasunori…Kimura 1 ,<br />

Shin…Takeda 2 ,Shuji…Nomoto 2 ,Hiroyuki…Sugimoto 2 ,<br />

Tsutomu…Fujii 2 ,Suguru…Yamada 2 ,Yasuhiro…Kodera 2<br />

The… basic… surgical… procedure… for… pancreatic… head… cancer… is…<br />

pancreatoduodenectomy…(PD)… using… the… no-touch… isolation…<br />

technique.… We… named… this… operation… isolated… PD.… Before…<br />

manipulation… of… the… pancreatic… head,… all… arteries… that… supply… the…<br />

pancreatic… head… region… are… ligated… and… divided,… including… the…<br />

inferior… pancreatoduodenal… artery… by… mesenteric… approach… and…<br />

gastroduodenal…artery.…All…veins…draining…the…pancreatic…head…region…<br />

are… also… ligated… and… divided.Isolated… PD… starts… via… a… mesenteric…<br />

approach.…Kocher’s…maneuver…is…not…performed.…The…mesentery…of…<br />

the…ligament…of…the…Treitz…is…incised…horizontally…to…the…lower…border…<br />

of…the…second…portion…of…the…duodenum.…All…tissues…other…than…the…<br />

mesenteric…veins…and…arteries…are…excised…towards…the…mesenteric…<br />

root.…The…mesenteric…root…lymph…nodes…and…the…right…semicircular…<br />

nerve… plexus… around… the… superior…mesenteric…artery…(SMA)… are…<br />

included…in…the…excision.…Histological…diagnosis…of…cancer…invasion…to…<br />

the…connective…tissue…around…the…SMA…is…done…using…frozen…section.…<br />

The… most… important… surgical… margin… around… the… SMA… will… be…<br />

decided… and… obtained.… The… jejunal… artery… and… inferior…<br />

pancreatoduodenal… artery…(IPDA)… are… exposed,… and… the…IPDA… is…<br />

ligated… and…divided.…After…the…mesenteric… approach… is…completed,…<br />

lymph…node…dissection…is…undertaken…from…the…hepatic…hilar…region…<br />

to… the… proper… hepatic… artery… and… common… hepatic… artery.… The…<br />

gastroduodenal…artery…is…ligated…and…divided.…If…the…portal…vein…is…<br />

invaded…by…cancer,…portal…vein…resection…is…undertaken…with…catheter…<br />

bypass… of… the… portal… vein.… Isolated… PD… can… thus… be… completed.…<br />

Mesenteric…approach…means…resection…from…the…non-cancerous…side,…<br />

can… obtain… cancer-free… surgical… margin… first,… can… decide…<br />

respectability,… and… makes…the…IPDA…first…ligation… possible.… These…<br />

mesenteric… approach… procedures… are… the… most… important… part… of…<br />

isolated… PD.During… recent… 10… years,… 215… isolated…<br />

pancreatoduodenectomies…and…24…total…pancreatectomies…were…done…<br />

by… mesenteric… approach… for… pancreatic… head… cancer… with… no…<br />

mortality.…Combined…resection…of…the…portal…vein…was…done…in…161…<br />

patients.Isolated…pancreatoduodenectomy…using…mesenteric…approach…<br />

is… ideal… surgical… operation… for… pancreatic… head… cancer.… These…<br />

operative…procedures…are…presented…in…this…video.<br />

VS3-4<br />

Distalpancreatectomywithenblocceliacaxis<br />

resection(DP-CAR)forlocallyadvanced<br />

pancreaticbodycancer:Tipsforachieving<br />

negativesurgicalmargins<br />

Hokkaido University<br />

○…SATOSHI…HIRANO,Eiichi…Tanaka,Takahiro…Tuchikawa,<br />

Joe…Matsumoto,Kentaro…Kato,Yuma…Ebihara,<br />

Toshiaki…Shichinohe<br />

INTRODUCTION:… Advanced… pancreatic… body… cancer… often…<br />

involves… the… plexus… of… the… arteries… surrounding… the… pancreas,…<br />

including…the…common…hepatic…(CHA),…splenic…arteries…(SPA)…and…<br />

the… celiac… axis…(CA)… even… when… their… walls… are… not… infiltrated…<br />

pathologically…by…the…tumor.…Meanwhile…the…plexus…of…the…superior…<br />

mesenteric… artery…(SMA)… is… usually… involved… directly… from… its…<br />

ventral… side.… In… resecting… such… advanced… tumor,… extended…<br />

retroperitoneally… or…proximally… beyond…the…portal…vein…should… be…<br />

cautiously…treated…as…well…as…the…plexus…infiltration.……OBJECTIVE:…<br />

To…establish…the…surgical…technique…of…distal…pancreatectomy…with…<br />

en… bloc… celiac… axis… resection…(DP-CAR)… to… achieve… R0… resection.<br />

PATIENTS… and… METHODS:… DP-CAR… was… adopted… to… patients…<br />

with… pancreatic… body… cancer… which… did… not… invade… the…<br />

gastroduodenal…artery…(GDA)… but…abutted…to…CHA,…SPA,…or… CA.…<br />

Patients…with…the…SMA…plexus…invasion…of…the…tumor…limited…in…hemicircumference…in…preoperative…imaging…study…was…permitted…to…be…<br />

candidates.…The…procedures…routinely…included…en…bloc…resection…of…<br />

the… CA… and… CHA,… the… celiac… plexus… and… ganglions,… the…<br />

circumferential…nerve…plexus…around…SMA,…and…the…retroperitoneal…<br />

fat…tissues…including…the…left…adrenal…gland.…The…dissection…of…the…<br />

roots…of…CA…and…SMA…was…accompanied…by…exposure…of…the…aortic…<br />

adventitia…following…Kocher’s…maneuver.…The…incision…of…the…SMA…<br />

plexus…was…made…in…the…dorsal…side…far…enough…from…the…tumor…and…<br />

removed…completely…from…SMA.…In…dissecting…the…caudal…side…of…the…<br />

tumor,…inferior…mesenteric…vein…and…mesocolon…are…concomitantly…<br />

resected… with… distal… pancreas.… For… proximally… extended… tumors,…<br />

GDA… was… mobilized… laterally… so… as… to… transect… the… pancreatic…<br />

parenchyma… obliquely… toward… the…ventral… side… of…the…portal… vein…<br />

which…is…concomitantly…resected…with…the…tumor.…RESULTS:…Since…<br />

1998,…among…56…patients…who…underwent…DP-CAR,…52…patients…(93%)…<br />

received… R0… resection.… Patients… resulted… in… R1… resection… were…<br />

consisted…of…positive…pancreatic…cut…margin…in…2…and…positive…margin…<br />

in…dissected…SMA…plexus…in…2.CONCLUSION:…To…achieve…negative…<br />

surgical… margin… in… resecting… highly… advanced… pancreatic… body…<br />

cancer,…adequate…techniques…should…be…utilized…in…accordance…with…<br />

the…mode…of…extension…of…each…tumor.<br />

VS4-1<br />

Totallylaparoscopicanatomicalhepatectomy<br />

Tokyo Metropolitan Cancer and Infectious diseases<br />

Center Komagome Hospital<br />

○…GORO…HONDA,Masanao…Kurata,Shin…Kobayashi,<br />

Yukihiro…Okuda,Kouji…Tsuruta<br />

Background:…The…anatomical…hepatectomy…(AH)…with…Glissonean…<br />

pedicles… transection… method…(GPTM)… is… ideal… hepatectomy… for…<br />

curative…treatment…of…hepatocellular…carcinomas.…And…particularly…in…<br />

laparoscopic…surgery,…the…hepatectomy…with…aggressive…exposure…of…<br />

the… vessels,… which… is… compatible… with… AH… with… GPTM,… is… often…<br />

useful… to… secure… the… surgical… margin… for… also… the… other… tumors,…<br />

because…the…surgeon…cannot…explore…the…tumor…by…palpation.…During…<br />

open…hepatectomy,…we…usually…divide…the…liver…parenchyma…without…<br />

precoagulation…of…cutting…plane,…exposing…the…vessels…aggressively…<br />

by… using… CUSA.… During… laparoscopic… hepatectomy,… by… the… same…<br />

manner…as…open…hepatectomy,…we…divide…the…liver…parenchyma…and…<br />

expose… GBs… and… the… hepatic… veins… clearly… by… using… CUSA.… Our…<br />

standardized…procedure…has…made…the…quality…of…the…laparoscopic…<br />

hepatectomy…the…same…level…as…open…hepatectomy.Methods:…For…30…<br />

months… until… Oct.… 2011,… we… have… performed… totally… laparoscopic…<br />

hepatectomy… in… 58… cases.… And… we… have… performed… AH… or… the…<br />

hepatectomy…with…aggressive…exposure…of…the…vessels…in…29…out…of…58…<br />

cases.… We… have… performed… right… hepatectomy… in… 1,… left…<br />

hepatectomies…in…3,…lateral…sectorectomies…in…4,…medial…sectorectomy…<br />

in… 1,… anterior… sectorectomy… in… 1,… posterior… sectorectomies… in… 2,…<br />

segmentectomies…in…14…and…others…in…3.Results:…The…median…time…of…<br />

the…operation…time…was…390…minutes,…and…the…median…of…blood…loss…<br />

was… 355ml.… The… median… length… of… hospital… stay… was… 6… days.…<br />

Perioperative… complications… were… abscess… formation… beside… the…<br />

cutting…edge…in…1…case,…port…site…infection…in…2…cases…and…massive…<br />

ascites… in… 2…cases.… Mortality… was… zero.Conclusions:… Laparoscopic…<br />

AH…can…be…performed…feasible…and…safety,…and…provide…beneficial…for…<br />

the…patients.<br />

-190-


VS4-2<br />

RoboticliverresectionusingdaVinciSurgical<br />

System-Fujitaexperiencewith18cases<br />

Fujita health University<br />

○…YUTARO…KATO,Takamasa…Tokoro,Yoshinao…Tanahashi,<br />

Jun-ichi…Yoshida,Shinpei…Furuta,Tadashi…Kagawa,<br />

Chinatsu…Takeura,Atsushi…Sugioka,Ichiro…Uyama<br />

[Introduction]…Robotic…surgery…has…increasingly…been…accepted…as…<br />

a… competent… operation-assisting… modality… in… abdominal… surgery.…<br />

Liver… resection… using… da… Vinci… Surgical… System…(da… Vinci)… may…<br />

have…a…potential…to…overcome…limitations…of…conventional…laparoscopic…<br />

hepatectomy.……da… Vinci… consists… of… three… parts:… patient… cart,…<br />

surgeon… console… and… vision… cart.……The… main… operator… sits… in… the…<br />

surgeon…console…and…manipulates…the…master…controller…to…control…<br />

remotely…three…robot…arms…(Endowrists)…on…the…patient,…viewing…the…<br />

three-dimensional…high…definition…images…served…on…the…view…port.…<br />

Endowrists… allow… multi-articulated… forceps… with… 7-degrees… of…<br />

freedom,…and…enable…smooth…and…accurate…operations…with…the…aid…of…<br />

their… scaling… and… filtering… functions.……We… hitherto… performed… da…<br />

Vinci…liver…resections…for…malignant…tumors…on…18…patients…between…<br />

December…2009…and…December…2011.……Herein…we…report…summary…of…<br />

the… surgical… results… in… this… group… of… patients.……[Patients… and…<br />

Procedures]…We…conducted…da…Vinci…liver…resections…for…colorectal…<br />

metastases… in… 6… patients,… HCC… in… 11,… and… hepatic… primary…<br />

lymphoproliferative… granulomatosis… in… 1.……A… total… of… 21… tumors…<br />

located… at… the… relatively… peripheral… areas… in… various… parts… of… the…<br />

liver,…including…S1…to…S8,…were…resected.……The…mean…tumor…size…was…<br />

2.8cm,…ranging…from…0.8…to…13.0…cm.……The…resection…types…were…nonanatomical…<br />

partial… resections… in… 10… patients,… left… lateral…<br />

sectionectomies…in…2,…anatomical…posterior…sectionectomies…in…2,…and…<br />

S8… segmentectomy… in… 1.……We… mainly… applied… LCS… and/or… clamp…<br />

crushing… methods… for… liver… parenchymal… dissection,… using… clips,…<br />

tying…and…sutures,…when…necessary.……In…left…lateral…sectionectomies,…<br />

the…S2…and…S3…Glissonian…pedicles…were…isolated…individually,…which…<br />

were…transected…by…ligation…and…stapling.……In…anatomical…posterior…<br />

sectionectomies,…cholecystectomy…with…gall…bladder…plate…dissection…<br />

allowed… easy… isolation… of… the… Glissonian… pedicle… to… the… posterior…<br />

section,…which…was…divided.……In…S8…segmentectomy,…G8…was…isolated…<br />

from… the… hilum… and… divided… before… parenchymal… dissection.…<br />

[Results]… All… patients… were… discharged… without… perioperative…<br />

morbidities… and… mortalities.……Robotic… procedures… were… useful…<br />

particularly…in…hilar…dissection,…tying…and…suturing.……[Conclusion]…<br />

Robotic… liver… resection… using… da… Vinci… was… safe… and… feasible… in…<br />

selected… patients… and… tumor… locations.……This… procedure… may…<br />

overcome… technical… limitations… of… conventional… laparoscopic… liver…<br />

resection… and… potentially… offers… less… invasiveness… and… safety… by…<br />

improving…surgical…quality.…<br />

VS4-3<br />

Laparoscopicmajorhepato-biliary-pancreatic<br />

surgery<br />

Chiba Cancer Center<br />

○…AKIHIRO…CHO,Hiroshi…Yamamoto,Osamu…Kainuma,<br />

Takumi…Ota,Seongjin…Park,Hidehito…Arimitsu,<br />

Atsush…Ikeda,Hiroaki…Souda,Yoshihiro…Nabeya,<br />

Nobuhiro…Takiguchi,Matsuo…Nagata<br />

Minimally… invasive… surgery… has… become… widely… accepted… as… a…<br />

superior… alternative… to… conventional… open… surgery… in… many…<br />

gastrointestinal… fields,… even… for… malignant… disease… including…<br />

colorectal… cancer… and… gastric… cancer.… In… addition,… recent… rapid…<br />

developments… in… technological… innovations,… improved… surgical…<br />

techniques… and… the… accumulation… of… extensive… experience… by…<br />

surgeons…have…improved…the…feasibility…and…safety…of…laparoscopic…<br />

liver… or… pancreatic… resection… for… properly… selected… patients.…<br />

However,… the… surgical… management… of… hepato-biliary-pancreatic…<br />

malignancies,… especially… cholangiocarcinoma… or… invasive… ductal…<br />

pancreatic… cancer,… has… traditionally… involved… open… surgery.…<br />

Laparoscopic… approach… for… these… biliary… or… pancreatic… malignant…<br />

disease…is…still…not…universally…accepted…as…an…alternative…approach…<br />

for… open… surgery… because… of… technical… difficulties… and… a… lack… of…<br />

consensus…regarding…the…adequacy…of…this…approach…for…malignancy.…<br />

Twelve…patients…with…invasive…ductal…pancreatic…cancer…underwent…<br />

laparoscopic… pancreaticoduodenectomy…(PD)… or… distal…<br />

pancreatectomy…(DP),…including…distal…pancreatectomy…with…en…bloc…<br />

celiac… axis… resection…(DP-CAR),… and… twenty… patients… with… lower,…<br />

middle,…or…hilar…cholangiocarcinoma…underwent…laparoscopic…PD…or…<br />

hepato-… pancreaticoduodenectomy…(HPD).… We… describe… our…<br />

experience…and…short-term…outcomes…with…these…laparoscopic…major…<br />

hepato-biliary-pancreatic… surgery.… Although… our… experience… is…<br />

limited…and…randomized…study…to…elucidate…appropriate…indications…<br />

and…effects…of…the…present…procedure…is…necessary,…we…believe…that…<br />

laparoscopic…major…hepato-biliary-pancreatic…major…surgery…can…be…<br />

feasible,…safe,…and…effective…in…highly…selected…patients,…and…will…be…<br />

one…of…therapeutic…standard…options…for…carefully…selected…patients…<br />

with…hepato-biliary-pancreatic…disease.…However,…the…benefit…of…this…<br />

procedure… is… yet… to… be… proven.… Obviously,… not… only… adequate…<br />

experience…in…hepato-biliary-pancreatic…surgery…but…also…expertise…in…<br />

laparoscopy… is… mandatory… and… careful… selection… of… patients… is…<br />

essential…for…successful…application…of…these…procedures.<br />

VS4-4<br />

Laparoscopicpancreaticresections:evolution<br />

oftechniquesforstandardization<br />

Nippon Medical School<br />

○…YOSHIHARU…NAKAMURA,Satoshi…Matsumoto,<br />

Takashi…Tajiri,Eiji…Uchida<br />

Introduction:We… have… reported… on… usefulness… and… particularly…<br />

short-term…results…of…laparoscopic…pancreatectomies;…pancreaticoduodenectomy…(Lap-PD),…distal…pancreatectomy…(Lap-DP),…central…<br />

pancreatectomy…(Lap-CP),… and… tumor… enucleation…(Lap-EN).… We…<br />

would…like…to…demonstrate…those…techniques…with…long-term…results.<br />

Patients:Laparoscopic…pancreatectomies…have…performed…in…total…of…<br />

87…(59…females)…patients.…The…all…patients…classified…into…groups…with…<br />

61…benign…disease…(35… cystic…diseases,…24…islet…cell…tumors,…and… 2…<br />

others)… or… 26… malignant… tumors.… Results:No… peri-operative…<br />

mortality…was…seen.…Pancreatic…fistulas…were…observed…in…9.2 %…of…<br />

more…than…Grade…B.…The…mean…period…of…observation…in…the…benign…<br />

is…34.7…months…(range,…2-94…months).…Diabetes…and…incisional…hernia…<br />

appeared… in… each… two… cases.… No… other… morbidity… was… seen.… The…<br />

mean…period…of…observation…in…the…malignant…is…31.3…months…(range,…<br />

1-76…months).…Six…out…of…10…pancreatic…duct…cancer…cases…died…of…the…<br />

tumor…recurrence…(in…3-33…months),…but…the…other…four…survive…with…<br />

no… recurrence… during… 2-32… months.… All… of… 5… biliary… cancers… have…<br />

been… still… alive…(in… 18-48).… The… other… 11… patients… also… survive… as…<br />

outpatients.… Techniques:In… the… Lap-PD,… in… order… to… remove… the…<br />

resected…tissue…from…the…body,…we…made…a…small…incision…(4-5…cm)…<br />

directly…above…the…line…of…transection…of…the…distal…pancreas…(the…cut…<br />

stump).…This…procedure…requires…complex…reconstructive…surgery,…<br />

which… we… performed… through… that… same… small… incision.… All…<br />

reconstructive… surgery… except… for… hepaticojejunostomy… was…<br />

performed… under… direct… visualization;… hepaticojejunostomy… was…<br />

done…laparoscopically.…Although…the…pancreas…is…a…retroperitoneal…<br />

organ,…the…neck…and…body…of…the…pancreas…lie…in…front…of…the…spinal…<br />

column.…They…are…thus…displaced…considerably…forward,…quite…close…<br />

to… the… abdominal… wall.… As… a… result,… suturing… and… ligature… for…<br />

pancreaticojejunostomy…including…anastomosis…between…pancreatic…<br />

duct…and…jejunal…mucosa…can…be…performed…under…direct…visualization…<br />

through…that…small…incision.…We…also…use…an…endoscopic…linear…stapler…<br />

for… Lap-PD… pancreatic… transection,… in… order… to… reduce… pancreatic…<br />

fluid…extravasation…into…the…abdominal…cavity…during…the…resection…of…<br />

tumors…involving…the…pancreatic…ducts,…such…as…IPMN.…And…we…apply…<br />

these…techniques…to…Lap-CP.…Both…Lap-DP…and…Lap-EN…have…been…<br />

performed… by… pure… laparoscopic… procedure.Conclusions:Our…<br />

procedures…are…so…feasible…that…laparoscopic…pancreatectomy…can…be…<br />

performed… as… a… standardized… operation… for… pancreatico-biliary…<br />

diseases.<br />

VS4-5<br />

Surgicalanatomyforadvancedpancreatic<br />

resectionsbyopen,laparoscopic,androbotic<br />

approaches.<br />

Kyoto University<br />

○…KYOICHI…TAKAORI<br />

Understanding… of… surgical… anatomy… is… requisite… to… carry… out…<br />

advanced…pancreatic…resections…precisely…and…safely.…By…laparoscopic…<br />

approach,… surgical… anatomy… can… be… visualized… with… video…<br />

magnification… from… various… angles… such… as… a… caudo-cranial… angle.…<br />

With…experiences…of…laparoscopic…distal…pancreatectomy…and…even…<br />

with… those… of… laparoscopic… pancreaticoduodenectomy,… current…<br />

pancreatic… surgeons… gained… new… insights… into… surgical… anatomy.…<br />

Recently,… robotic… surgery… utilizing… daVinci… S… Surgical… System…<br />

became…practicable…in…the…field…of…hepato-biliary-pancreatic…surgery.…<br />

Robotic…surgery…provides…surgeons…with…3-D…vision…without…tremor…<br />

and…operative…maneuvers…with…more…precision.…The…splenic…artery…<br />

can…be…easily…identified…from…the…dorsal…side…of…the…pancreatic…body…<br />

by…the…robotic…approach…as…well…as…by…the…laparoscopic…approach…<br />

(Figure).… Such… an… unique… maneuver… by… meticulous… dissection…<br />

toward… dorsal… side… of… the… pancreas… has… led… surgeons… to… better…<br />

understanding…of…surgical…anatomy…of…anatomical…………………fascias…behind…<br />

the…pancreas;…i.e.,…posterior…pancreatic…fascia,…Toldt …,… s…fusion…fascia,…<br />

Gerota …,… s… fascia,… etc.… With… the… knowledge… of… surgical… anatomy… by…<br />

laparoscopic… and… robotic… approaches,… open… surgery… is… evolved… as…<br />

well.…We…now…use…more…posterior…dissection…from…the…medial…side…<br />

and… routinely… practice… dissection… of… the… duodenum… and… upper…<br />

jejunum…around…the…ligament…of…Treitz…before…Kocher…maneuver.…In…<br />

the…setting…of…cancer…surgery,…it…may…be…a…significant…advantage…that…<br />

the…medial…approach…in…open…pancreaticoduodenectomy…and…open…<br />

distal… pancreatectomy… enable… oncologic… resections.… Thus,… open…<br />

pancreatic…resections…and…laparo-robotic…ones…can…affect…each…other…<br />

and…surgeons…can…take…advantages…of…feedbacks…from…all…of…open,…<br />

laparoscopic,… and…robotic… approaches.… In…conclusion,… regardless… of…<br />

the… approaches,… advanced… pancreatic… resections… should… be…<br />

performed…on…the…basis…of…oncologic…principles…and…understanding…of…<br />

state-of-the-art…surgical…anatomy.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-191-


シンポジウム


SY1-1<br />

小 型 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 術 の 術 後 長 期 成 績<br />

の 検 討<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 分 野 I<br />

○… 武 冨 紹 信 , 神 山 俊 哉 , 中 西 一 彰 , 蒲 池 浩 文 , 横 尾 英 樹 ,<br />

柿 坂 達 彦 , 敦 賀 陽 介<br />

【 背 景 および 目 的 】 肝 細 胞 癌 (HCC)は 経 門 脈 的 転 移 をすることが 知<br />

られており、 肝 癌 診 療 ガイドラインでも 門 脈 血 行 動 態 に 従 った 系 統 的<br />

肝 切 除 が 推 奨 されている。 一 方 、2cm 以 下 のHCCに 対 してはRFAを<br />

はじめとする 低 侵 襲 な 局 所 療 法 が 選 択 されることも 多 く、 侵 襲 の 過 大<br />

な 手 術 を 推 奨 していく 上 ではそのメリットを 明 らかにする 必 要 がある。<br />

今 回 、2cm 以 下 のHCCに 対 する 肝 切 除 術 において 系 統 的 肝 切 除 の 予 後<br />

に 与 える 影 響 を 検 討 した。【 対 象 および 方 法 】 切 除 5 年 以 上 経 過 した 当<br />

科 で 肝 切 除 した 径 2cm 以 下 のHCC63 例 を 対 象 とした。 系 統 的 切 除 の 有<br />

無 による 累 積 生 存 率 ・ 無 再 発 生 存 率 の 比 較 、 再 発 に 有 意 な 因 子 に 関 し<br />

て 単 変 量 および 多 変 量 解 析 を 行 った。なお、 担 癌 領 域 のグリソン 鞘 を<br />

処 理 し 阻 血 領 域 の 肝 切 除 を 行 った 亜 区 域 切 除 以 上 の 肝 切 除 を 系 統 的 切<br />

除 とした。【 結 果 】 系 統 的 切 除 24 例 、 非 系 統 的 切 除 39 例 。 臨 床 病 理 学<br />

的 因 子 の 比 較 では 系 統 的 切 除 群 で、 年 齢 が 若 く、 術 前 血 小 板 数 ・ 総 ビ<br />

リルビン 値 ・ICG15 分 値 が 有 意 に 良 好 であった。また 腫 瘍 分 化 度 は 高<br />

分 化 型 が 少 なかった。 全 63 例 の 肉 眼 分 類 は 単 純 結 節 型 40 例 (63.5%)、<br />

単 純 結 節 周 囲 増 殖 型 12 例 (19.0%)、 多 結 節 融 合 型 4 例 (6.3%)、 境 界 不<br />

明 瞭 型 7 例 (11.1%)。 組 織 学 的 門 脈 侵 襲 を6 例 (9.5%)、 組 織 学 的 肝 内 転<br />

移 を7 例 (11.1%)に 認 め た。 全 63 例 の 累 積 生 存 率 は1 年 89.3%、3 年<br />

89.1%、5 年 61.9%、 無 再 発 生 存 率 は1 年 83.6%、3 年 40.6%、5 年 32.8%。<br />

系 統 的 切 除 群 と 非 系 統 的 切 除 群 の2 群 間 で 累 積 生 存 率 に 有 意 差 は 認 め<br />

ないものの、 系 統 的 切 除 群 の 無 再 発 生 存 率 は 非 系 統 的 切 除 群 に 比 較 し<br />

有 意 に 良 好 であった(p=0.01)。 年 齢 、 血 小 板 数 、 総 ビリルビン 値 、<br />

ICG15 分 値 、AFP 値 、 最 大 腫 瘍 径 、 肉 眼 型 、 組 織 学 的 分 化 度 、 組 織 学<br />

的 門 脈 侵 襲 の 有 無 、 肝 内 転 移 の 有 無 、 系 統 的 切 除 の 有 無 の 各 因 子 を 用<br />

い 再 発 に 関 する 予 後 因 子 を 検 討 したところ、 単 変 量 解 析 では 血 小 板 数<br />

(12 万 /mm… …3… 以 下 )、 非 系 統 的 切 除 、 門 脈 侵 襲 陽 性 が、Cox 比 例 ハザー<br />

ドモデルを 用 いた 多 変 量 解 析 では 非 系 統 的 切 除 、 門 脈 侵 襲 陽 性 が 再 発<br />

因 子 として 抽 出 された。【 結 語 】 径 2cm 以 下 の 小 型 HCCであっても 組<br />

織 学 的 には 多 彩 な 像 を 呈 するため、 可 能 な 限 り 系 統 的 切 除 を 施 行 すべ<br />

きである。<br />

SY1-2<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 切 除 vs 部 分 切 除 ― 再 発 部 位 か<br />

らの 検 討 ―<br />

宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科<br />

○… 近 藤 千 博 , 甲 斐 真 弘 , 藤 井 義 郎 , 大 谷 和 広 , 大 内 田 次 郎 ,<br />

旭 吉 雅 秀 , 永 野 元 章 , 矢 野 公 一 , 千 々 岩 一 男<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 (HCC)に 対 する 手 術 として 系 統 的 切 除 がよいか 非<br />

系 統 的 切 除 ( 部 分 切 除 )でよいかは 結 論 が 出 ていない。HCCの 術 後 肝<br />

内 再 発 部 位 からこれを 検 討 した。【 方 法 】1990-2011 年 まで 単 発 HCCで<br />

初 回 根 治 的 切 除 を 受 けた264 例 でretrospectiveに 検 討 。 肝 機 能 上 可 能<br />

と 判 断 されれば 系 統 的 切 除 を 行 う 方 針 であった。 症 例 を 系 統 的 切 除 群<br />

(A 群 、n=190、 年 齢 65.3±9.7、M/F=139/51、 亜 区 域 / 区 域 / 葉 切 除<br />

=69/69/52)と 部 分 切 除 群 (B 群 、n=74、 年 齢 65.3±10.0、M/F=53/21)<br />

に 分 けた。 術 後 肝 内 再 発 形 式 の 定 義 は、 多 中 心 性 発 癌 (multicentric):<br />

3 年 目 以 降 再 発 または 再 発 病 変 が 高 分 化 型 、 断 端 再 発 :2 年 以 内 断 端 部<br />

再 発 、 両 方 の 定 義 に 合 致 しないものを 肝 内 転 移 (im)とした。 各 群 の<br />

背 景 、 再 発 形 式 、 再 発 部 位 を 比 較 検 討 した。【 成 績 】A 群 はB 群 と 比 較<br />

し、 有 意 (p


SY1-5<br />

小 型 単 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 の 有 用 性<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学<br />

○… 和 田 浩 志 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

, 富 丸 慶 人 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

,<br />

江 口 英 利 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

,<br />

森 正 樹 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

【はじめに】 系 統 的 肝 切 除 は, 肝 細 胞 癌 ( 以 下 HCC)が 経 門 脈 的 に 肝<br />

内 転 移 をきたすという 概 念 に 基 づいて, 肝 切 除 後 の 再 発 予 防 に 有 用 で<br />

あるとされている。 一 方 で, 犠 牲 となる 非 癌 部 肝 組 織 の 容 積 が 大 きく<br />

なり, 術 後 の 肝 機 能 を 低 下 させる 可 能 性 もあり,その 優 劣 については<br />

一 定 の 結 論 に 達 していない。 今 回 , 我 々は,3cm 以 下 の 単 発 HCCに 対<br />

する 系 統 的 肝 切 除 の 有 用 性 について 検 討 した。【 対 象 ・ 方 法 】1991 年<br />

から2008 年 に 教 室 にて 根 治 肝 切 除 を 施 行 した3cm 以 下 単 発 HCC 症 例 の<br />

うち, 肝 機 能 が 良 好 (ICG…15 分 値 70%,アルブミン>3.5g/<br />

dl)であった92 例 を 対 象 とした。 対 象 症 例 のうち,30 例 に 系 統 的 肝 切<br />

除 術 (Anatomical…Resection 群 , 以 下 AR 群 ; 葉 切 除 2 例 , 区 域 切 除 14 例 ,<br />

亜 区 域 切 除 14 例 )を,62 例 に 非 系 統 的 切 除 群 を 施 行 した(Non-<br />

Anatomical…Resection 群 ,… 以 下 NAR 群 )。AR 群 とNAR 群 における 臨<br />

床 病 理 学 的 因 子 , 術 後 長 期 成 績 を 比 較 検 討 した。【 結 果 】 背 景 因 子 ・<br />

腫 瘍 因 子 では,2 群 間 に 有 意 差 を 認 めなかった。 肝 硬 変 合 併 は,AR 群 :<br />

12 例 (40%),NAR 群 :30 例 (48%)と 同 等 であった。 手 術 因 子 では,<br />

NAR 群 で 切 除 肝 重 量 が57±36gとAR 群 の155±81gと 比 較 して 有 意 に<br />

少 なく(p


SY2-2<br />

肝 門 部 胆 管 癌 症 例 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 意 義 と 手 術<br />

治 療 成 績<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 大 学 院 統 合 癌 治 療 外 科<br />

○… 吉 田 寛 1<br />

, 力 山 敏 樹 1<br />

, 内 藤 剛 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

,<br />

岡 田 恭 穂 1<br />

, 森 川 孝 則 1 1,2<br />

, 中 川 圭 , 林 洋 毅 1<br />

, 大 塚 英 郎 1<br />

,<br />

乙 供 茂 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 水 間 正 道 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

,<br />

1,2<br />

片 寄 友 , 江 川 新 一 1 1,2<br />

, 海 野 倫 明<br />

【 目 的 】 当 科 ではSynbioticsや 周 術 期 抗 酸 化 物 質 強 化 栄 養 療 法 により<br />

肝 門 部 胆 管 癌 手 術 の 安 全 性 向 上 を 図 り,その 上 で 血 管 合 併 切 除 再 建 ( 以<br />

下 , 合 切 )を 含 めた 積 極 的 方 針 で 治 癒 切 除 を 目 指 している。 現 在 の 周<br />

術 期 管 理 に 基 づいた 合 切 の 安 全 性 を 検 討 し,かつMDCTおよび 合 切<br />

導 入 以 降 の 手 術 治 療 成 績 を 解 析 する。【 方 法 】 現 在 の 周 術 期 管 理 を 導<br />

入 した2006 年 9 月 以 降 の 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 106 症 例 について, 合 切 の 有<br />

無 と 術 後 在 院 期 間 ・ 在 院 死 亡 率 を 検 討 した。 次 いで, 当 科 でMDCT<br />

と 合 切 を 導 入 した1998 年 以 降 の185 例 を 対 象 にKaplan-Meier 法 による<br />

生 存 解 析 とCox 比 例 ハザードモデルで 予 後 規 定 因 子 を 解 析 した。【 結<br />

果 】2006 年 9 月 以 降 の106 例 では 合 切 を44 例 (41.5%)( 門 脈 39 例 , 肝 動 脈<br />

6 例 )に 併 施 した。 術 後 在 院 期 間 中 央 値 は 合 切 群 34 日 (14-222 日 ), 非 合<br />

切 群 29 日 (16-182 日 ), 在 院 死 は 合 切 群 2 例 (4.6%), 非 合 切 群 3 例 (4.8%)<br />

でともに 差 を 認 めなかった。 次 いで,1998 年 以 降 185 例 の 術 式 は, 右<br />

三 区 域 9 例 , 左 三 区 域 7 例 , 右 葉 83 例 , 左 葉 62 例 , 右 葉 PD9 例 , 左 葉<br />

PD8 例 , 縮 小 手 術 7 例 で, 門 脈 再 建 を56 例 30.2%に, 肝 動 脈 再 建 を7 例 3.8%<br />

に 併 施 していた。 全 症 例 の5 年 生 存 率 と 中 央 値 は45.2%,41.2ヵ 月 で,<br />

合 切 の 有 無 では 合 切 :32.8%,38.2ヵ 月 , 非 合 切 :51.4%,106.9ヵ 月 と<br />

非 合 切 群 で 良 好 な 傾 向 にあったが 有 意 差 は 認 めなかった(p=0.08)。<br />

Kaplan-Meier 法 に よ る 生 存 解 析 で は,pN 有 無 ,<br />

pHM0/1,2,pEM0/1,2,pCurA/BCの4 項 目 で 生 存 率 に 有 意 差 を 認 めたが,<br />

門 脈 や 肝 動 脈 合 併 切 除 の 有 無 では 差 を 認 めなかった。pCurを 除 いた<br />

多 変 量 解 析 では,pN 有 (p=0.047,リスク 比 1.651,[1.006,…2.730])のみが<br />

予 後 不 良 因 子 だった。また,pCurC 症 例 を 除 いた 無 再 発 生 存 解 析 では,<br />

pPV 有 とpCurBが 再 発 因 子 だった。【 結 論 】 多 変 量 解 析 ではリンパ 節<br />

転 移 のみが 予 後 規 定 因 子 であったが, 単 変 量 解 析 からは 治 療 因 子 であ<br />

るHMやEMを 改 善 することで 治 療 成 績 の 向 上 が 期 待 できる 結 果 だっ<br />

た。 血 行 再 建 を 要 する 肝 門 部 胆 管 癌 では 他 因 子 の 進 行 度 も 高 いが, 血<br />

管 因 子 のみで 根 治 度 が 変 わる 症 例 が 少 なからず 存 在 する。 血 管 合 併 切<br />

除 の 安 全 性 は 向 上 しており, 合 切 は 切 除 可 能 性 や 根 治 性 を 高 め 治 療 成<br />

績 向 上 に 貢 献 すると 考 えられた。<br />

SY2-3<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 意 義 と 限 界<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 江 崎 稔 , 島 田 和 明 , 大 黒 聖 二 , 岸 庸 二 , 奈 良 聡 ,<br />

小 菅 智 男<br />

[ 背 景 / 目 的 ] 肝 門 部 胆 管 癌 は 解 剖 学 的 特 性 から 近 傍 の 血 管 にしばし<br />

ば 浸 潤 する。 血 管 合 併 切 除 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 手 術 の 根 治 性 から 見 た<br />

意 義 と 限 界 、 技 術 的 な 安 全 性 はいまだ 不 明 確 である。コンセンサスが<br />

ない。[ 対 象 / 方 法 ]2000 年 1 月 から2011 年 10 月 までに 当 院 で 切 除 され<br />

た 広 義 の 肝 門 部 胆 管 癌 215 例 のうち 門 脈 合 併 切 除 、 動 脈 合 併 切 除 再 建<br />

を 行 った 例 を 検 討 した。[ 結 果 ]… 術 式 の 内 訳 は 右 葉 (+ 尾 状 葉 + 肝 外 胆<br />

管 ) 切 除 94 例 、 左 葉 切 除 91 例 、 左 三 区 域 切 除 23 例 、 右 三 区 域 切 除 5 例 、<br />

中 央 二 区 域 切 除 2 例 であった。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 併 施 は12 例 で 行 わ<br />

れた。 門 脈 合 併 切 除 再 建 は40 例 ( 環 状 切 除 再 建 23( 間 置 移 植 1)、 楔 状 切<br />

除 縫 合 閉 鎖 17)に 行 い、 術 後 門 脈 血 栓 症 を2 例 に 認 めたが、いずれも 重<br />

篤 な 合 併 症 には 至 らなかった。 肝 動 脈 合 併 切 除 再 建 は16 例 ( 門 脈 との<br />

同 時 切 除 は6 例 、 再 建 法 は 端 々 吻 合 9 例 、 他 の 動 脈 との 吻 合 7 例 )に 行 わ<br />

れ、 術 中 再 縫 合 を1 例 認 めたが、 術 後 の 血 流 不 全 例 はなかった。 血 管<br />

合 併 切 除 を 行 わなかった 例 ( 通 常 群 )、 門 脈 合 併 切 除 再 建 を 行 い 動 脈 切<br />

除 は 行 わなかった 例 ( 門 切 群 )、 動 脈 合 併 切 除 再 建 を 行 った 例 ( 動 切 群 )<br />

の 合 併 症 / 手 術 関 連 死 亡 はそれぞれ92 例 (56%)/5 例 (3.0%)、20 例 (59%)<br />

/0 例 、11 例 (69%)/0 例 で 動 切 群 に 合 併 症 が 多 い 傾 向 であったが 有 意 差<br />

はなかった。1/3/5 年 生 存 率 は 通 常 群 87.8/58.7/48.1%、 血 管 合 併 切 除<br />

群 80.8/33.4/24.3% と 有 意 に 予 後 不 良 (P=0.02)で、 中 で も 門 切 群 は<br />

79.2/37.8/26.4%、 動 切 群 は78.8/21.0/21.0%と 動 切 例 により 予 後 不 良 な<br />

傾 向 を 認 めた。 全 例 の 多 変 量 解 析 における 独 立 した 予 後 因 子 は 外 科 切<br />

離 断 端 とリンパ 節 転 移 のみであり、 血 管 合 併 切 除 再 建 の 有 無 との 相 関<br />

は 認 めなかった。 外 科 切 離 断 端 陽 性 例 だけで 解 析 すると 動 切 群 が 通 常<br />

群 や 門 切 群 と 比 べ 有 意 に 予 後 不 良 で、 非 切 除 化 学 療 法 例 の 予 後 に 近 似<br />

していた。[ 結 語 ] 肝 門 部 胆 管 癌 手 術 における 門 脈 合 併 切 除 再 建 、 動<br />

脈 合 併 切 除 再 建 は 安 全 に 施 行 できる。 門 切 群 より 動 切 群 において 切 離<br />

断 端 陽 性 になるような 手 術 は 治 療 効 果 が 低 く、 適 応 は 限 定 的 で 慎 重 に<br />

決 めるべきである。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

SY2-4<br />

肝 門 部 胆 管 癌 門 脈 合 併 切 除 例 の 検 討<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 味 木 徹 夫 , 上 野 公 彦 , 沢 秀 博 , 大 坪 出 , 吉 田 優 子 ,<br />

村 上 冴 , 篠 崎 健 太 , 松 本 逸 平 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 ,<br />

木 戸 正 浩 , 福 本 巧 , 具 英 成<br />

【 目 的 】 肝 門 部 胆 管 癌 の 切 除 率 向 上 のために、 血 管 浸 潤 例 に 対 する 合<br />

併 切 除 再 建 が 必 要 となる 場 合 がある。 今 回 、 当 科 での 肝 門 部 胆 管 癌 切<br />

除 例 の 成 績 から 血 管 合 併 切 除 の 意 義 を 検 討 した。【 方 法 】1996-2011 年<br />

に 切 除 した 肝 門 部 胆 管 癌 52 例 (M/F=32/20、 平 均 年 齢 65.1 歳 )を 対 象 と<br />

し、 手 術 成 績 をretrospectiveに 検 討 した。【 成 績 】 切 除 術 式 は 肝 切 除<br />

48 例 ( 左 葉 側 切 除 30 例 、 右 葉 側 切 除 18 例 )、 胆 管 切 除 4 例 で、 門 脈 合 併<br />

切 除 再 建 術 を11 例 に 施 行 した。 術 前 門 脈 塞 栓 術 は2 例 のみに 施 行 した。<br />

動 脈 合 併 切 除 再 建 例 は 無 い。R0/1/2=29/12/11 例 で、 単 変 量 解 析 では<br />

R0、HM-、EM-が、 多 変 量 解 析 ではR0が 予 後 規 定 因 子 であった。<br />

門 脈 合 併 切 除 11 例 の 内 訳 は、 左 葉 側 切 除 6 例 、 右 葉 側 切 除 5 例 、R0が8 例 、<br />

R1,…2が3 例 であり、 術 後 補 助 化 学 療 法 (GEM) 施 行 は4 例 であった。 病<br />

理 結 果 はpPV0/PV1/PV2/PV3=1/6/3/1 例 で あ り、 結 果 的 に91%…<br />

(10/11)に 組 織 学 的 浸 潤 を 認 めた。R0 例 全 体 の1/3/5 生 率 は85/51/43%<br />

で、R0 例 の 中 で 門 脈 合 併 切 除 例 と 非 合 併 切 除 例 との 間 に 生 存 率 の 差<br />

は 無 かった(p=0.75)。また、R2 例 の 中 で 動 脈 浸 潤 の 関 与 は7 例 であっ<br />

たが、いずれもHM,…EM,…Pなど 他 因 子 も+であった。【 結 論 】 肝 門 部<br />

胆 管 癌 ではR0 手 術 の 施 行 が 最 も 重 要 であるが、 門 脈 合 併 切 除 再 建 併<br />

施 によりR0が 達 成 されうる 症 例 が 多 く、 積 極 的 な 門 脈 合 併 切 除 の 意<br />

義 が 確 認 された。また、 動 脈 浸 潤 例 は 複 合 的 因 子 での 高 度 進 展 例 が 多<br />

いため、 動 脈 合 併 切 除 再 建 には 慎 重 な 適 応 決 定 が 必 要 と 考 えられた。<br />

SY2-5<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 脈 管 合 併 切 除 の 意 義<br />

1<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 、 2 福 島 県 立 会 津 総 合 病 院 外<br />

科 、 3 総 合 南 東 北 病 院 外 科<br />

○… 土 屋 貴 男 1<br />

, 見 城 明 1<br />

, 穴 澤 貴 行 1<br />

, 芳 賀 淳 一 郎 1<br />

, 佐 藤 哲 1<br />

,<br />

佐 藤 直 哉 1<br />

, 木 村 隆 1<br />

, 高 間 朗 1<br />

, 斎 藤 拓 朗 2<br />

, 阿 部 幹 3<br />

,<br />

後 藤 満 一<br />

1<br />

【 目 的 】 肝 門 部 胆 管 癌 は 治 癒 切 除 が 唯 一 長 期 生 存 を 期 待 できる 治 療 法<br />

であり、 治 癒 切 除 のためには、 肝 切 除 に 加 えて 門 脈 あるいは 肝 動 脈 の<br />

合 併 切 除 が 必 要 とされることが 少 なくない。 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 門<br />

脈 合 併 切 除 の 安 全 性 と 術 後 長 期 成 績 に 与 える 意 義 はほぼ 確 立 されつつ<br />

あるものの、 肝 動 脈 合 併 切 除 の 意 義 は 明 らかではない。 今 回 当 科 にお<br />

ける 肝 門 部 肝 管 癌 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 治 療 成 績 と 問 題 点 について<br />

検 討 した。【 対 象 】 当 科 で 経 験 した 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 症 例 91 例 を 対 象<br />

とした。【 結 果 】 全 症 例 の5 年 生 存 率 は42.9%であり、 術 式 は 拡 大 肝 切<br />

除 65 例 、HPD14 例 、その 他 12 例 であり、 術 前 門 脈 塞 栓 は17 例 に 施 行<br />

した。 血 管 合 併 切 除 は19 例 (20.9%)に 施 行 し、5 年 生 存 率 は28.5%であっ<br />

た。これらの 術 式 は 肝 切 除 15 例 、HPD4 例 で、 切 除 血 管 は 門 脈 合 併 切<br />

除 12 例 、 肝 動 脈 ・ 門 脈 合 併 切 除 5 例 、 肝 動 脈 切 除 2 例 であった。 再 建 形<br />

式 では、 門 脈 は17 例 全 て 端 々 吻 合 で 行 ない、 肝 動 脈 は1 例 に 門 脈 動 脈<br />

化 を 行 ったが6 例 は 拡 大 鏡 あるいは 顕 微 鏡 下 に 端 々 吻 合 にて 再 建 した。<br />

全 症 例 における 根 治 度 A/B 症 例 の5 年 生 存 率 は58.1%であり、 根 治 度 C<br />

の20.5%に 比 して 有 意 に 良 好 であった(p


SY2-6<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 左 三 区 域 切 除 における 右 門 脈<br />

前 枝 の 処 理 : 肝 離 断 先 行 による 肝 内 アプローチの 有 用 性<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 江 畑 智 希 , 横 山 幸 浩 , 伊 神 剛 , 菅 原 元 , 高 橋 祐 ,<br />

上 原 圭 介 , 板 津 慶 太 , 吉 岡 裕 一 郎 , 梛 野 正 人<br />

【 序 言 】 肝 切 除 術 において 肝 切 除 前 に 切 除 側 脈 管 を 切 離 することが 一<br />

般 的 である。しかし 肝 門 部 胆 管 癌 はしばしばこのアプローチが 困 難 な<br />

ことがある。 特 に 肝 左 三 区 域 切 除 においては 右 門 脈 前 枝 が 切 離 可 能 か<br />

どうかは 手 術 操 作 のキモであるが、 肝 門 からのアプローチの 限 界 をし<br />

ばしば 経 験 する。【 対 象 と 方 法 】2001 年 から2010 年 までに 切 除 した 肝<br />

門 部 胆 管 癌 のうち94 例 に 肝 左 三 区 域 切 除 を 施 行 した。 情 報 が 得 られた<br />

た92 例 ( 門 切 は43 例 )を 対 象 とし、 右 門 脈 前 枝 へのアプローチ 法 および<br />

再 建 法 を 検 討 した。【 結 果 】1) 非 門 切 例 (n=49):…36 例 は 肝 切 除 の 前 に<br />

右 門 脈 前 枝 の 切 離 が 可 能 であった( 肝 門 アプローチ)。 残 る13 例 は 肝 門<br />

からの 視 野 では 右 門 脈 前 枝 の 剥 離 が 困 難 であった。このため、 肝 離 断<br />

をルビエール 溝 の 腹 側 まで 進 め 右 門 脈 前 枝 の 分 岐 部 を 外 側 から 同 定 ・<br />

剥 離 した 後 に 切 離 した( 肝 内 アプローチ 法 )。2) 門 切 例 (n=43): 肝 側 再<br />

建 部 位 が 右 門 脈 であった21 例 のうち6 例 は 肝 切 除 前 に 右 門 脈 前 枝 を 切<br />

離 でき、 残 り15 例 は 肝 離 断 途 中 (n=13)または 終 了 後 (n=2)に 切 離 した。<br />

この15 例 は 肝 門 アプローチでは 右 門 脈 前 枝 根 部 での 癌 浸 潤 所 見 が 肉 眼<br />

的 に 評 価 できなかった。しかし、 肝 離 断 先 行 法 により 直 視 下 に 右 門 脈<br />

前 ・ 後 分 岐 部 に 癌 浸 潤 がないことを 確 認 でき、より 安 全 な 右 門 脈 での<br />

門 脈 再 建 が 可 能 となった。 右 門 脈 後 枝 での 再 建 例 (n=22)では2 例 で 肝<br />

切 除 前 に 切 除 再 建 を 施 行 したが、これらは 右 門 脈 後 枝 が 独 立 先 行 分 岐<br />

する 分 岐 様 式 であった。 残 り20 例 は 肝 離 断 を 終 了 した 段 階 で 右 門 脈 前<br />

枝 のへ 浸 潤 を 確 認 したため 右 門 脈 後 枝 で 切 除 再 建 した。3) 結 果 のまと<br />

め: 肝 離 断 先 行 法 を 施 行 した48 例 のうち28 例 は 右 門 脈 前 枝 への 浸 潤 が<br />

ないことが 直 視 下 に 確 認 できたため 右 門 脈 枝 を 切 離 できた。【 結 語 】<br />

門 脈 切 除 再 建 の 有 無 にかかわらず 肝 門 アプローチによる 右 門 脈 前 枝 の<br />

剥 離 ・ 切 離 はしばしば 困 難 である。この 方 法 の 限 界 を 補 う 方 法 として<br />

肝 離 断 先 行 による 肝 内 アプローチ 法 が 重 要 である。 本 法 により 右 門 脈<br />

前 ・ 後 枝 の 分 岐 部 に 外 側 から( 肝 内 )から 到 達 でき、 直 視 下 に 右 門 脈 前<br />

枝 浸 潤 の 評 価 が 可 能 となる。 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 左 三 区 域 切 除 を 安<br />

全 に 遂 行 する 必 須 手 技 である。<br />

SY3-1<br />

動 脈 浸 潤 の 疑 われるBorderlineresectable 膵 癌 の 治<br />

療 成 績<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 中 郡 聡 夫 , 矢 澤 直 樹 , 古 川 大 輔 , 加 藤 賢 一 郎 ,<br />

村 上 健 太 郎 , 小 澤 壯 治 , 貞 廣 荘 太 郎 , 安 田 聖 栄 ,<br />

生 越 喬 二<br />

【 目 的 】NCCNガイドラインのBorderline…resectable 膵 癌 の 定 義 では<br />

門 脈 浸 潤 だけが 疑 われる 症 例 も 含 まれるため、Borderline…resectable<br />

膵 癌 には 多 くの 切 除 可 能 膵 癌 が 含 まれる 問 題 がある。そこで、 上 腸 間<br />

膜 動 脈 ・ 腹 腔 動 脈 ・ 総 肝 動 脈 と 接 して 動 脈 浸 潤 が 疑 われるBorderline…<br />

resectable 膵 癌 の 治 療 成 績 について 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 と<br />

方 法 】2005 年 1 月 から2011 年 12 月 までの 間 に 当 科 で 切 除 目 的 で 開 腹 し<br />

た 膵 癌 の 中 で、 上 腸 間 膜 動 脈 ・ 腹 腔 動 脈 ・ 総 肝 動 脈 と180 度 以 下 接 し<br />

て 動 脈 浸 潤 が 疑 われたBorderline…resectable 膵 癌 は50 例 であった。 門<br />

脈 だけに 浸 潤 が 疑 われた 症 例 は 除 外 した。 同 期 間 に 当 科 で 切 除 された<br />

膵 癌 は216 例 であった。【 結 果 】 主 要 動 脈 浸 潤 が 疑 われたBorderline…<br />

resectable 膵 癌 50 例 中 、 実 際 に 切 除 可 能 であったのは15 例 (30%)で<br />

あった。 切 除 可 能 であった15 例 中 、R0 切 除 となったのは8 例 で、この<br />

中 2 例 は 総 肝 動 脈 切 除 、1 例 は 腹 腔 動 脈 合 併 切 除 施 行 例 であった。また<br />

R0の8 例 中 2 例 は、 術 前 にGemcitabine+S-1による 補 助 化 学 療 法 施 行 例<br />

であった。 一 方 、 切 除 不 能 となった 原 因 は、 主 要 動 脈 浸 潤 による 局 所<br />

進 行 が26 例 、 腹 膜 転 移 が8 例 、 肝 転 移 が1 例 であった。 切 除 可 能 であっ<br />

たBorderline…resectable 膵 癌 の1,2,5 年 生 存 率 は、54%,43%,22%で、 生<br />

存 期 間 中 央 値 は13ヵ 月 であった。 切 除 不 能 であったBorderline…<br />

resectable 膵 癌 の1,2,5 年 生 存 率 は、40%,27%,0%で、 生 存 期 間 中 央 値<br />

は10ヵ 月 であった。 両 群 間 の 生 存 率 には 有 意 差 を 認 めなかった。【 結<br />

論 と 考 察 】 上 腸 間 膜 動 脈 ・ 腹 腔 動 脈 ・ 総 肝 動 脈 と180 度 以 下 接 した<br />

Borderline…resectable 膵 癌 の 切 除 率 は30%と 低 く、しかも 切 除 例 の 約<br />

半 数 はR1 切 除 で 終 わっていた。 切 除 可 能 であっても 予 後 は 不 良 であり、<br />

主 要 動 脈 浸 潤 の 疑 われるBorderline…resectable 膵 癌 に 対 しては 新 たな<br />

治 療 戦 略 が 必 要 と 思 われた。 戦 略 の 一 つは、 術 前 補 助 化 学 ( 放 射 線 ) 療<br />

法 であり、 現 在 当 科 でもBorderline…resectable 膵 癌 を 含 めた 切 除 可 能<br />

膵 癌 に 対 するgemcitabine+S-1による 術 前 補 助 化 学 療 法 の 第 2 相 臨 床 試<br />

験 を 開 始 している。<br />

SY3-2<br />

BorderlineResectable 膵 癌 に 対 する 新 たな 治 療 戦 略<br />

1<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 、 2 名 古 屋 セント<br />

ラル 病 院<br />

○… 山 田 豪 1<br />

, 藤 井 努 1<br />

, 山 村 和 生 1<br />

, 杉 本 博 行 1<br />

, 野 本 周 嗣 1<br />

,<br />

竹 田 伸 1<br />

, 小 寺 泰 弘 1 2<br />

, 中 尾 昭 公<br />

【 背 景 】 …NCCNはBorderline…Resectable…(BR)… 膵 癌 を 提 唱 し、 安 全<br />

な 切 除 と 再 建 が 可 能 な 門 脈 浸 潤 (PV(+))、 肝 動 脈 浸 潤 (CHA(+))、<br />

180 度 以 下 のSMA 浸 潤 (SMA(+))の3 因 子 を 掲 げている。しかし、 本<br />

邦 ではこの 定 義 に 関 する 議 論 も 多 く、BR 膵 癌 に 対 する 明 確 な 治 療 方<br />

針 は 決 められていない。【 対 象 】 2001 年 1 月 から2011 年 3 月 までに、 当<br />

教 室 での 膵 癌 390 例 ( 切 除 例 :291 例 / 非 切 除 例 :99 例 )を 対 象 とした。<br />

術 前 MDCTによりBR 膵 癌 をNCCN 分 類 に 基 づいて 分 類 し、 門 脈 浸 潤<br />

に 関 しては、Type…A: 浸 潤 なし、Type…B: 片 側 、Type…C: 両 側 、<br />

Type…D: 側 副 血 行 路 を 伴 う 完 全 閉 塞 と 分 類 した。【 結 果 】1.…NCCN 分<br />

類 を す る と、Resectable(R):145 例 、PV(+):93 例 、CHA(+):23 例 、<br />

SMA(+):30 例 であった。MSTは、R:24.4ヶ 月 、PV(+):14.9ヶ 月 、<br />

CHA(+):14.3ヶ 月 、SMA(+):12.8ヶ 月 であり、R/PV(+)…(P=0.0038)、<br />

PV(+)/SMA(+)…(P=0.041)、CHA(+)/Unresectble(UR)…(P=0.028)<br />

間 にそれぞれ 有 意 差 を 認 めた。2.… 門 脈 浸 潤 分 類 によるMSTは、Type…<br />

A:26.0ヶ 月 、Type…B:26.0ヶ 月 、Type…C:11.8ヵ 月 、Type…D:<br />

16.1ヶ 月 であり、Type…B/C…(P=0.013)、Type…B/D…(P=0.030) 間 に 有<br />

意 差 を 認 めた。3.… 術 後 補 助 化 学 療 法 ( 以 下 、chemo)として<br />

gemcitabineまたはS-1を 投 与 し、MSTはそれぞれ、Type…A;chemo(-):<br />

16.9 ヶ 月 、chemo(+):30.3 ヶ 月 …(P=0.022)、Type…B;chemo(-):<br />

13.4ヶ 月 、chemo(+):26.0ヶ 月 …(P=0.24)、Type…C;chemo(-):8.6ヶ 月 、<br />

chemo(+):27.1 ヶ 月 …(P


SY3-4<br />

borderlineresectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線<br />

療 法 の 試 み<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 羽 鳥 隆 , 君 島 映 , 大 島 奈 々, 山 本 雅 一<br />

【はじめに】borderline…resectable 膵 癌 は 局 所 高 度 進 展 例 ではあるも<br />

のの 血 管 合 併 切 除 や 神 経 叢 切 除 により 切 除 はできる 膵 癌 である.しか<br />

し,R0 切 除 が 確 保 できないことも 少 なくなく, 一 次 治 療 として 外 科 切 除<br />

を 行 うべきか 否 か 判 断 に 迷 う 進 展 度 である. 教 室 ではborderline…<br />

resectable 膵 癌 の 切 除 成 績 から 一 次 治 療 としての 外 科 切 除 には 限 界 が<br />

あると 判 断 し, 最 近 ではまず 化 学 放 射 線 療 法 を 行 い 再 評 価 してから 外<br />

科 切 除 を 行 う 方 針 としている.そこで,borderline…resectable 膵 癌 の 治 療<br />

成 績 について 検 討 した.【 方 法 】2000-2010 年 の 肝 転 移 , 腹 膜 播 種 のない<br />

borderline…resectable 膵 癌 治 療 例 56 例 を 対 象 と し た.NCCN…2010の<br />

borderline…resectable 膵 癌 の 定 義 の 内 ,PV/SMVの 閉 塞 を 認 めるが 再 建<br />

可 能 , 肝 動 脈 に 及 ぶが 腹 腔 動 脈 に 及 ばない,SMAに180° 以 下 で 接 する 例<br />

をborderline…resectable 膵 癌 とした.これ 以 外 のPV/SMVの 片 側 性 狭 窄<br />

やSMAと 接 していない 例 などをresectable 膵 癌 (125 例 )として 検 討 し<br />

た.なお,borderline…resectable 膵 癌 では 非 切 除 15 例 も 検 討 に 加 えた( 計<br />

56 例 ).【 結 果 】 膵 頭 部 癌 33 例 , 膵 体 部 癌 23 例 であった. 術 前 治 療 せずに<br />

切 除 したのが36 例 (Surgery 群 ), 一 次 治 療 として 化 学 放 射 線 療 法 (GEM<br />

(400mg/m2/day,day…1,8,15/28 日 )またはS-1(80mg/m2/day, 照 射 日 ) 併<br />

用 ,50.4Gy(1.8Gy×28…fractions, 維 持 化 学 療 法 S-1…80mg/m2/day,2 週 投<br />

与 1 週 休 薬 )を 行 ったのが20 例 (CRT 群 )であった.Surgery 群 のR0 率 は<br />

53%, 術 後 補 助 療 法 ( 化 学 療 法 または 免 疫 療 法 )は89%に 施 行 され<br />

た.MSTは20.6ヵ 月 ,1 生 率 79.2%,3 生 率 25.6%,5 生 率 19.0%で,R0かR1ある<br />

いは 術 後 補 助 療 法 の 有 無 による 差 はなかった.CRT 群 の 治 療 後 1ヵ 月 以<br />

内 の 再 評 価 では,PR…6 例 (30%),SD…13 例 (65%),PD…1 例 (5%)であった.こ<br />

の 内 PRの6 例 とSDの2 例 に 対 し 開 腹 (CRT 終 了 2-12ヵ 月 後 )し,3 例 で 腹<br />

膜 播 種 を 認 め 切 除 できなかったが, 切 除 した5 例 (PR…4,SD…1)のR0 率 は<br />

100%で, 全 例 生 存 中 (6-35ヵ 月 )であった. 切 除 しなかった15 例 のMSTは<br />

15.6ヵ 月 ,1 生 率 60.9%,2 生 率 40.6% で あ っ た.【 結 語 】borderline…<br />

resectable 膵 癌 に 対 しては 一 次 治 療 としてCRTを 行 い,PRやSDでは 切<br />

除 を 検 討 すべきである.その 際 , 腹 膜 播 種 などの 遠 隔 転 移 診 断 を 術 前 に<br />

確 実 に 行 うことが 課 題 である.<br />

SY3-5<br />

局 所 進 行 膵 癌 に 対 する 化 学 放 射 線 療 法 先 行 による 治 療<br />

戦 略 -NCCNガイドラインによるresectabilityからの<br />

検 討<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 岸 和 田 昌 之 , 小 林 基 之 , 栗 山 直 久 , 大 澤 一 郎 , 濱 田 賢 司 ,<br />

水 野 修 吾 , 臼 井 正 信 , 櫻 井 洋 至 , 田 端 正 巳 ,<br />

伊 佐 地 秀 司<br />

【 目 的 】 米 国 NCCNの 膵 癌 ガイドライン(2011)では、 動 脈 系 ( 上 腸 間<br />

膜 動 脈 、 腹 腔 動 脈 、 総 肝 動 脈 )と 門 脈 系 ( 上 腸 間 膜 静 脈 ・ 門 脈 )への 浸<br />

潤 程 度 に よ りresectable(R)、borderline…resectable(BR)、<br />

unresectable(UR)に 分 類 し 治 療 指 針 を 示 している。 当 科 では2005 年 2<br />

月 以 降 、 局 所 進 行 膵 癌 (UICC-T3,T4 症 例 )に 対 してまず 化 学 放 射 線 療<br />

法 (CRT)を 施 行 し、 再 評 価 後 に 切 除 可 能 と 判 断 した 症 例 に 手 術 を 行 っ<br />

ているが、これらをR,BR,UR 群 に 分 類 して 治 療 成 績 を 比 較 し、BR 膵<br />

癌 に 対 する 術 前 CRTの 意 義 を 検 討 した。【 対 象 症 例 】2005 年 2 月 ~<br />

2011 年 11 月 に 細 胞 診 ・ 組 織 診 にて 腺 癌 と 診 断 された 局 所 進 行 膵 癌 124<br />

例 (UICC-T3:65,T4:59)を 対 象 。CRTプ ロ ト コ ー ル は、GEM…<br />

800mg/m2(day1,8,22,29)+3 次 元 原 体 照 射 (45Gy/5 週 )を 併 用 。4~6 週<br />

後 に 手 術 適 応 の 再 評 価 を 行 い、 前 方 到 達 法 による 根 治 手 術 を 施 行 。 術<br />

後 補 助 化 学 療 法 (GEM…800mg/m2/2 週 もしくはS-1を60mg/m2)は 半<br />

年 以 上 施 行 【 結 果 】R15 例 、BR55 例 、UR54 例 に 再 分 類 でき、 因 子 別<br />

にみると 門 脈 系 のみの 因 子 はBR51%(28/55)に 認 めたが、URでは 門<br />

脈 系 のみの 因 子 はなく 全 例 が 動 脈 因 子 を 含 む 複 合 因 子 を 認 めた。CRT<br />

完 遂 率 は97.6%であり、 再 評 価 時 の 遠 隔 転 移 発 現 率 はR、BR、UR 群<br />

で13.3、10.9、20.4%であり、いずれの 群 でもCRT 先 行 は 手 術 適 応 の 厳<br />

格 化 の 役 割 を 果 たした。CRT 後 に 再 評 価 拒 否 が6 例 あり、 拒 否 例 を 除<br />

く 切 除 率 はR、BR、UR 群 で、75.0、75.5、41.5%。R0 切 除 率 はR、BR、<br />

UR 群 で100、75.0、40.9%であった。 手 術 拒 否 を 除 く 全 症 例 (n=118)<br />

の1,3 年 生 率 は60.9、24.7%でありMSTは14.8カ 月 であった。R,…BR,…UR<br />

群 別 の1,3 年 生 存 率 では、R 群 (73.3,…66.2%)、BR 群 (67.7,…32.0%)、UR<br />

群 (43.8,…0%)であり、3 群 間 に 予 後 の 差 (P=0.078)を 認 め、 切 除 症 例<br />

(n=71)のみでみるとR 群 (100,…88.9%)、BR 群 (74.9,…40.9%)、UR 群 (69.6,…<br />

4.5%)であった(p=0.071)。【 結 語 】 局 所 進 行 膵 癌 に 対 してはCRTを 先<br />

行 させることで、 手 術 適 応 の 厳 格 化 ができ、 特 にBR 膵 癌 ではR0 達 成<br />

率 を 向 上 させて 予 後 の 改 善 に 貢 献 すると 考 えられた。なお、UR 膵 癌<br />

でもCRTを 先 行 させることでadjuvant…surgeryが 適 応 となる 症 例 があ<br />

り、 予 後 の 改 善 が 期 待 出 来 ることが 示 唆 された。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

SY3-6<br />

”Borderlineresectable”および”Resectable” 膵 癌 に<br />

対 するgemcitabine 併 用 術 前 化 学 放 射 線 療 法<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 高 橋 秀 典 , 大 東 弘 明 , 佐 々 木 一 樹 , 五 十 嵐 佑 子 ,<br />

富 原 英 生 , 橘 高 弘 忠 , 後 藤 邦 仁 , 山 田 晃 正 , 矢 野 雅 彦 ,<br />

石 川 治<br />

【 緒 言 】“Borderline…resectable(BR)” 膵 癌 の 画 像 上 の 定 義 は 腫 瘍 の<br />

動 脈 系 への 進 展 を 基 準 にして“ 腹 腔 動 脈 ・ 上 腸 間 膜 動 脈 ・ 総 肝 動 脈 周<br />

囲 への 腫 瘍 進 展 を 認 めるが, 外 周 180° 以 下 のもので, 再 建 可 能 であれ<br />

ば 門 脈 系 への 浸 潤 の 有 無 は 問 わない”とされることが 多 く,T4 膵 癌 ( 膵<br />

癌 取 扱 い 規 約 )に 含 まれる. 近 年 , 切 除 単 独 では 癌 遺 残 の 可 能 性 の 高<br />

いBR 例 に 対 する 集 学 的 治 療 が 試 みられている.【 目 的 】 当 センターで<br />

は 主 要 動 脈 周 囲 への 進 展 が 比 較 的 軽 度 のBR 症 例 を 含 む, 切 除 可 能 T4<br />

膵 癌 に 対 してgemcitabine 併 用 術 前 化 学 放 射 線 療 法 (CRT)を 施 行 して<br />

おり, 本 研 究 の 目 的 はその 治 療 成 績 を 評 価 することとした.【 方 法 】<br />

2002 年 から2011 年 までに 術 前 CRTを 施 行 した 切 除 可 能 T4 膵 癌 (n=173)<br />

のうち,BR 例 は54 例 ,それ 以 外 の“Resectable”T4 膵 癌 (R) 例 は119<br />

例 であり,これらの 治 療 成 績 を 比 較 検 討 した. 術 前 CRTとしては<br />

50Gy/5 週 の 放 射 線 治 療 に 加 え,1000mg/m …2… のgemcitabineを3 回 投 与<br />

/4 週 x3クール 施 行 した. 照 射 野 には 主 腫 瘍 に 加 えて 局 所 再 発 の 好 発<br />

部 位 である 主 要 動 脈 周 囲 ・ 後 腹 膜 を 広 く 含 めた. 術 前 治 療 終 了 後 の 再<br />

評 価 で 切 除 可 能 と 判 断 された 症 例 で 切 除 術 を 施 行 した.【 結 果 】BR 例<br />

のうち40 例 ,R 例 のうち101 例 で 切 除 術 が 施 行 され 切 除 率 に 有 意 差 は<br />

なかった( 切 除 率 :74%…vs.…85%,p=0.14).BR・R 例 のR0 切 除 率 はそ<br />

れぞれ98%,100%であった(p=0.28). 切 除 術 を 施 行 されたBR・R 例<br />

の5 年 生 存 率 はそれぞれ30%,59%であり,R 例 で 良 好 な 傾 向 を 認 めた<br />

が 有 意 差 はなかった(p=0.051). 膵 頭 部 のBR 例 ,R 例 はそれぞれ27 例 ,<br />

62 例 であった.5 年 生 存 率 はそれぞれ45%,52%であり, 両 群 間 の 治<br />

療 成 績 に 有 意 差 を 認 めなかった(p=0.26). 一 方 , 膵 体 尾 部 のBR 例 ,R<br />

例 はそれぞれ13 例 ,R:39 例 であり,5 年 生 存 率 は0%,61%で,BR 例<br />

で 有 意 に 治 療 成 績 が 不 良 であった(p=0.048).【 結 論 】 主 要 動 脈 周 囲 へ<br />

の 進 展 が 軽 度 (60°≧)のBR 例 に 対 する 術 前 CRTは 切 除 率 ・R0 切 除 率 ・<br />

治 療 成 績 それぞれでR 例 よりやや 劣 る 傾 向 にあるが 比 較 的 良 好 であり,<br />

有 力 な 治 療 選 択 肢 であると 考 えられる.しかし, 体 尾 部 BR 例 につい<br />

ては 長 期 生 存 例 がなく 治 療 成 績 は 不 良 であり, 治 療 方 針 について 更 な<br />

る 検 討 を 要 する.<br />

SY4-1<br />

肝 硬 変 を 背 景 として 繰 り 返 し 発 生 する 肝 細 胞 癌 患 者 の<br />

長 期 生 存 を 目 指 す 治 療 体 系 の 中 の 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 会 病 院 外 科<br />

○… 守 瀬 善 一 , 川 辺 則 彦 , 梅 本 俊 治 , 冨 重 博 一 , 永 田 英 俊 ,<br />

大 島 久 徳 , 川 瀬 仁 , 荒 川 敏 , 吉 田 梨 恵<br />

肝 硬 変 を 背 景 として 生 じる 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 には、1. 小 範<br />

囲 切 除 であっても 時 に 術 後 肝 不 全 を 併 発 する。…2. 異 時 性 多 中 心 性 発<br />

癌 に 対 する 対 応 が 必 要 になる。などの 問 題 点 が 存 在 する。われわれの<br />

経 験 した 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 症 例 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 につ<br />

き、これらの 点 から 検 討 し、 肝 細 胞 癌 の 治 療 戦 略 の 中 に 完 全 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 術 を 組 み 込 みうるかどうかにつき 考 案 した。… われわれは、こ<br />

れまでに 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 症 例 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を23<br />

例 に 施 行 した。 内 、ICG15 分 値 40% 超 、 肝 障 害 度 B/C 高 度 肝 硬 変 肝 細<br />

胞 癌 症 例 を6 例 経 験 した。 高 度 肝 硬 変 症 例 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切<br />

除 術 の 特 長 は、 開 腹 操 作 や 剥 離 操 作 による 側 副 血 行 路 やリンパ 行 路 の<br />

破 壊 、 肝 の 授 動 圧 排 操 作 による 肝 実 質 障 害 などが 回 避 されることで 腹<br />

水 貯 留 を 抑 制 し、 術 後 重 症 肝 不 全 の 契 機 となる 合 併 症 を 抑 制 する 点 に<br />

ある。また、 肝 硬 変 を 背 景 とした 異 時 性 多 中 心 性 発 癌 に 対 しても、 癒<br />

着 が 少 なく 手 術 負 荷 が 少 ない 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 繰 り 返 し 治 療 の<br />

可 能 性 を 拡 大 する 可 能 性 がある。 高 度 肝 障 害 例 は 腫 瘍 個 数 1-2 個 、 径<br />

13-44mmで、S6、4/2-3、8、6、5、2-3 表 面 の 部 分 切 除 が 施 行 された。<br />

4-5 個 のポートを 挿 入 、 肝 授 動 脱 転 操 作 は 行 わず、 術 中 超 音 波 の 後<br />

LCSで 浅 く 切 開 を 置 き、CUSA、bipolarなどを 用 いて 切 除 を 行 った。<br />

手 術 時 間 中 央 値 232 分 、 出 血 量 83ml、 周 術 期 経 過 は 中 軽 度 肝 障 害 例 と<br />

同 等 で 有 意 差 を 認 めなかった。また、 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 後 の 腹 腔 内<br />

の 癒 着 は 比 較 的 軽 度 であり、 異 時 性 多 中 心 性 発 癌 に 対 して 深 部 病 変 に<br />

対 しての 術 中 焼 灼 療 法 と 組 み 合 わせた 繰 り 返 し 治 療 も 可 能 であった。<br />

肝 表 面 で、RFAの 適 応 が 難 しい、 数 回 の 治 療 後 に 局 所 再 発 が 認 めら<br />

れたなどの 高 度 肝 障 害 例 において、また、 異 時 性 多 中 心 性 発 癌 に 対 す<br />

る 繰 り 返 し 治 療 として、 手 術 負 荷 が 少 ない 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 はよ<br />

い 選 択 肢 となると 思 われた。<br />

-199-


SY4-2<br />

腹 腔 鏡 下 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 当 院 における<br />

標 準 手 技<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 本 田 五 郎 , 倉 田 昌 直 , 小 林 信 , 奥 田 雄 紀 浩 ,<br />

鶴 田 耕 二<br />

当 院 では 開 腹 手 術 下 での 膵 空 腸 吻 合 手 技 の 標 準 化 とドレーン 早 期 抜 去<br />

による 膵 液 瘻 発 生 率 の 満 足 な 改 善 (GradeB…5%)を 待 って、2011 年 8 月<br />

から 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-PPPD)を 導<br />

入 し2011 年 12 月 までに 脾 温 存 膵 全 摘 術 1 例 を 含 めた9 例 を 経 験 した。 疾<br />

患 の 内 訳 はIPMN6 例 、 乳 頭 部 癌 2 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 1 例 であった。【 手 技 】<br />

2 例 で 再 建 術 を 開 腹 後 直 視 下 に 行 ったが、その 他 は 十 二 指 腸 空 腸 吻 合<br />

以 外 をすべて 鏡 視 下 に 行 った。 当 院 で 既 に 標 準 化 した 特 徴 的 な 手 技 を<br />

2 点 あげる。SMV/SMA 右 側 での 膵 遊 離 に 際 し 腹 腔 鏡 独 特 の 背 尾 側 か<br />

らの 視 野 を 活 用 し、 胆 管 と 膵 頸 部 にtapingし 空 腸 断 端 を 右 側 へ 引 き 抜<br />

いた 後 に 十 二 指 腸 と 膵 頸 部 のtapeを 腹 側 に 持 ち 上 げて、 膵 頭 背 側 から<br />

順 に 膵 後 方 組 織 、 膵 頭 神 経 叢 、SMV 右 側 への 流 入 静 脈 の 順 に<br />

LigaSureを 用 いて 一 気 に 頭 側 へ 向 かって 離 断 している。これにより<br />

SMV/SMA 右 側 からの 膵 切 離 が 出 血 なく 短 時 間 で 終 了 する。 次 に 膵<br />

空 腸 吻 合 に 際 し、 柿 田 式 密 着 縫 合 用 の4 本 の 針 糸 を 腹 腔 内 で 整 頓 する<br />

ために 予 め10cm 長 のネラトン 管 にはえ 縄 状 に 装 着 してから 腹 腔 内 に<br />

挿 入 している。 更 にこれらの 運 針 は 空 腸 に 掛 けた 後 に 膵 断 端 背 側 から<br />

腹 側 に 向 けて 行 い、 膵 尾 部 上 に 置 いたスポンジに 順 番 に 縫 い 通 して 留<br />

置 している。これにより 安 全 な 膵 貫 通 運 針 が 容 易 になり、また 結 紮 時<br />

の 糸 の 縺 れが 解 消 され 大 幅 な 時 間 短 縮 が 得 られている。【 成 績 】 手 技<br />

を 標 準 化 した3 例 目 以 降 の 手 術 時 間 は 平 均 7 時 間 10 分 ( 最 短 5 時 間 49 分 )<br />

で、 出 血 量 は 平 均 120(10-400)g、 術 後 合 併 症 は 胃 潰 瘍 1 例 、 胆 管 炎 1 例<br />

のみでいずれも 保 存 的 に 軽 快 し、 膵 液 瘻 を 含 めた 縫 合 不 全 は1 例 もな<br />

かった。【まとめ】Lap-PPPDは 手 技 の 標 準 化 により 開 腹 手 術 と 同 等<br />

のqualityで 施 行 可 能 であり、 患 者 の 術 後 経 過 も 良 好 である。 今 後 さ<br />

らなる 手 技 の 標 準 化 を 進 め、 手 術 時 間 の 短 縮 と 適 応 の 拡 大 を 進 める 方<br />

針 である。<br />

SY4-3<br />

単 孔 式 内 視 鏡 手 術 における 新 規 開 発 プラットフォーム<br />

EZAccess 楕 円 型 と 多 自 由 度 鉗 子 Radiusの 有 用 性<br />

産 業 医 科 大 学 第 1 外 科<br />

○… 柴 尾 和 徳 , 日 暮 愛 一 郎 , 山 口 幸 二<br />

当 科 では、これまでに170 例 のTANKOによる 胆 嚢 摘 出 術 の 他 、 総 胆<br />

管 切 石 術 、 胆 管 空 腸 吻 合 術 など300 症 例 のTANKOを 経 験 した。<br />

TANKOは 整 容 性 の 利 点 がある 一 方 、 狭 い 鉗 子 間 距 離 による<br />

triangular…formationの 狭 小 化 や 器 機 の 干 渉 、in-line…viewingなどの 改<br />

善 点 がある。 安 全 なTANKOのためには、 臍 部 小 切 開 でよりトロッカー<br />

間 隔 が 広 く 確 保 できるプラットフォームの 登 場 が 望 まれる。SILSポー<br />

トをはじめ、 現 在 世 界 中 で 発 売 されているデバイスは 全 て 正 円 型 であ<br />

るが、より 広 いトロッカー 間 隔 を 確 保 するためには 楕 円 型 プラット<br />

フォームが 有 用 である 可 能 性 がある。そこで 当 科 ではEZ…Access 楕 円<br />

型 …( 八 光 )を 開 発 し、 胆 嚢 摘 出 術 5 例 において 従 来 の 正 円 型 プラット<br />

フォームと 比 較 、 検 討 した。EZ…Access 楕 円 型 は、 標 準 的 なプラット<br />

フォームに 比 べ2.3 倍 (3.5…cm)のトロッカー 間 隔 を 確 保 でき、 従 来 の<br />

ストレート 鉗 子 のみのパラレル 法 で 胆 嚢 摘 出 術 を 容 易 に 施 行 可 能 で<br />

あった。 現 存 するプラットフォーム 中 、 最 大 のトロッカー 間 隔 を 確 保<br />

できるEZ…Access 楕 円 型 は、TANKOをより 安 全 に 施 行 できる 優 れた<br />

プラットフォームである。また、TANKOにおける 体 内 縫 合 、 結 紮 は<br />

triangulatior…formationの 狭 小 化 により 困 難 であるため、TANKOに<br />

よる 胆 道 手 術 の 報 告 は 未 だなされていない。triangular…formation 狭<br />

小 化 を 克 服 するためには、 先 端 が 屈 曲 する 鉗 子 が 有 用 である。 当 科 で<br />

は、アムコの 多 自 由 度 内 視 鏡 手 術 鉗 子 Radius…Surgical…System…<br />

(Radius)をいち 早 く 導 入 し、 現 在 270 症 例 と 世 界 最 多 の 臨 床 経 験 を 有<br />

しており、13 例 の 単 孔 式 総 胆 管 切 石 術 に 導 入 している。TANKOでも<br />

通 常 の 腹 腔 鏡 下 手 術 と 同 様 に 術 中 超 音 波 検 査 、 総 胆 管 切 開 、 採 石 、<br />

c-tube 挿 入 、 術 中 胆 道 鏡 検 査 などを 施 行 している。Radiusは、 鉗 子 の<br />

角 度 制 限 を 克 服 できるため、 総 胆 管 切 開 部 の 縫 合 、 体 内 結 紮 に 有 用 で<br />

あった。【 結 語 】EZ…Access 楕 円 型 とRadiusは、TANKOをより 安 全 、<br />

容 易 に 行 うために 有 用 であると 考 えられた。<br />

SY4-4<br />

1<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 ・ 脾 外 科 、 2 藤 田 保 健 衛 生 大 学 上 部 消 化<br />

管 外 科<br />

○… 所 隆 昌 1<br />

, 加 藤 悠 太 郎 1<br />

, 棚 橋 義 直 1<br />

, 吉 田 淳 一 1<br />

, 香 川 幹 1<br />

,<br />

竹 浦 千 夏 1<br />

, 杉 岡 篤 1 2<br />

, 宇 山 一 朗<br />

【 緒 言 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は、 従 来 の 開 腹 肝 切 除 術 と 比 較 して 低 侵 襲<br />

とされその 適 応 は 拡 大 しつつある。 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 よい 適 応 は 肝 外 側<br />

区 域 切 除 とS3,…S4a,…S5,…S6などの 尾 側 の 肝 部 分 切 除 である。2010 年 4 月<br />

の 保 険 収 載 適 応 も 外 側 区 域 切 除 と 肝 部 分 切 除 に 限 られている。 更 なる<br />

適 応 拡 大 と 普 及 のためには 何 かしらの 技 術 革 新 が 必 要 である。われわ<br />

れは2010 年 12 月 よりda…Vinci…Surgical…System( 以 下 ダビンチ)の 肝 切<br />

除 への 臨 床 応 用 を 開 始 し2011 年 11 月 までに18 例 、20 結 節 の 肝 切 除 術 を<br />

行 ったので 報 告 する。【 症 例 】 症 例 は2009.12~2011.11までの 間 にダビ<br />

ンチにより 手 術 を 施 行 した18 例 で、 内 訳 は 大 腸 癌 肝 転 移 6 例 、6 結 節<br />

(S3:1、S5:2、S7:2、S8:1)、 肝 細 胞 癌 11 例 、13 結 節 (S1c:1、<br />

S2:1、S3:3、S5:1、S6:1、S7:2S8:2)、 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 1 例 、<br />

1 結 節 であった。 肝 細 胞 癌 症 例 はHBV4 例 、HCV5 例 、NBNC2 例 です<br />

べてChild…Aであった。 手 術 術 式 は 部 分 切 除 術 14 例 、 外 側 区 域 切 除 術 2<br />

例 、 後 区 域 切 除 術 2 例 であった。さらに1 例 にはHassab 手 術 を 併 施 した。<br />

開 腹 移 行 例 はなく 全 症 例 ダビンチで 手 術 を 施 行 した。【 結 語 】 通 常 の<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 では 技 術 的 に 難 しいとされるS1,…S2,…S7,…S8の 部 分 切<br />

除 、 後 区 域 切 除 を 安 全 に 施 行 することができた。ダビンチの 特 徴 であ<br />

る 立 体 視 できるコックピットと7 自 由 度 を 有 するエンドリストにより、<br />

精 細 な 操 作 が 可 能 となったことが 大 きいが、 今 後 、さらに 安 全 な 肝 切<br />

除 を 行 うためには 触 覚 センサーの 搭 載 や、 肝 切 除 に 適 した 形 状 ・ 大 き<br />

さの 鉗 子 類 の 開 発 、LCS、バイポーラー 以 外 の 止 血 デバイスの 開 発 が<br />

期 待 される。<br />

SY4-5<br />

ロボット 支 援 による 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 の 現 況<br />

1<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 胆 膵 外 科 、 2 藤 田 保 健 衛 生 大 学 上 部 消 化 管<br />

外 科<br />

○… 堀 口 明 彦 1<br />

, 宇 山 一 朗 2<br />

, 伊 東 昌 広 1<br />

, 石 原 慎 1<br />

, 浅 野 之 夫 1<br />

,<br />

1<br />

宮 川 秀 一<br />

【 目 的 】 近 年 、 手 技 の 向 上 およびデバイス 発 達 により、 腹 腔 鏡 下 膵 切<br />

除 術 が 安 全 に 行 えるようになった。 一 方 、 国 内 のdaVinci…Surgical…<br />

System 導 入 が 泌 尿 器 領 域 を 中 心 に 増 えてきたが、 膵 切 除 に 関 しては<br />

経 験 施 設 が 少 ないのが 現 状 である。 今 回 、…daVinci…Surgical…Systemを<br />

用 いた 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 10 例 を 経 験 したので、 現 時 点 での 有 用 性 と 問<br />

題 点 について 報 告 する。【 対 象 、 方 法 】 症 例 はPD…7 例 ( 膵 頭 部 癌 2 例 、<br />

十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 4 例 、NET1 例 )、DP…3 例 ( 膵 尾 部 癌 1 例 、SCT1 例 、<br />

NET1 例 )。 手 術 時 間 、 出 血 量 、 入 院 期 間 、 術 後 合 併 症 について 検 討<br />

した。PDの 再 建 は 膵 空 腸 吻 合 、 胆 管 空 腸 吻 合 、 胃 空 腸 吻 合 の 順 に 施<br />

行 した。 膵 空 腸 吻 合 は、 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法 で 行 った。 胆 管 空 腸 吻 合<br />

は 連 続 あるいは 結 節 縫 合 で 行 った。 後 半 3 例 はマイクロ 持 針 器 を 用 い、<br />

6-0 吸 収 糸 で 行 った。 胃 空 腸 吻 合 は 自 動 吻 合 器 でおこなった。DPの 膵<br />

切 離 は 自 動 縫 合 器 を 用 いた。 悪 性 疾 患 に 対 してはD2 郭 清 をおこなった。<br />

【 結 果 】すべて 術 中 トラブルを 認 めず、 開 腹 へのコンバートなしで、<br />

再 建 を 含 め、 完 全 腹 腔 鏡 下 に 膵 切 除 が 施 行 できた。 手 術 時 間 :da…<br />

Vinci…PD…784±145min…( 膵 空 腸 吻 合 時 間 :85±46min)、da…Vinci…DP…<br />

303±34minであった。 出 血 量 はPD、DPそれぞれ:333±298ml、38<br />

±33mlであった。 入 院 期 間 はPD、DPそれぞれ29±15 日 、11±2.5 日<br />

であった。 術 後 合 併 症 はPDは 膵 液 漏 gradeA、Bを1 例 ずつ 認 めたが、<br />

保 存 的 に 軽 快 した。DPは 膵 液 漏 は 認 めなかった。【 考 察 ・ 結 語 】da…<br />

Vinciは 従 来 の 開 腹 手 術 、 腹 腔 鏡 手 術 には 成 しえない 利 点 がある。す<br />

なわち、3D 画 像 であり、7 度 の 自 由 度 を 有 する 関 節 機 能 、 震 えを 取 る<br />

filtering 機 能 、scaling 機 能 、 拡 大 視 効 果 により 高 度 な 吻 合 が 可 能 である。<br />

da…Vinciを 用 いたロボット 支 援 手 術 は 繊 細 かつ 安 全 なリンパ 節 郭 清 、<br />

膵 腸 吻 合 、 胆 管 空 腸 吻 合 には 極 めて 有 用 であり、とくにマイクロ 持 針<br />

器 による 吻 合 は 正 確 、 確 実 な 操 作 が 可 能 である。 現 時 点 ではda…Vinci…<br />

PDは 手 術 時 間 とくに、 膵 空 腸 吻 合 に 時 間 を 要 し、また、 入 院 期 間 が<br />

著 明 に 短 縮 されていないが、ラーニングカーブに 基 づき、 経 験 と 工 夫<br />

が 必 要 と 考 える。<br />

DaVinciSSystemによる 肝 切 除 の 現 状 とこれから<br />

の 展 望 - 当 科 で 経 験 した 肝 切 除 18 例 より-<br />

-200-


SY4-6<br />

蛍 光 ナビゲーションを 応 用 した 鏡 視 下 肝 胆 膵 手 術 の 開<br />

発<br />

1<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科 、 2 Department of<br />

Digestive Disease, Institut Mutualiste Montsouris<br />

(Paris)、 3 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 医 用 生 体 工 学 講<br />

座 生 体 情 報 学<br />

○… 石 沢 武 彰 1<br />

,Gayet…Brice 2 , 河 野 義 春 1<br />

, 宮 田 陽 一 1<br />

,<br />

河 口 義 邦 1<br />

, 山 下 俊 1<br />

, 増 田 晃 一 1<br />

, 佐 藤 彰 一 1<br />

, 井 上 陽 介 1<br />

,<br />

田 村 純 人 1<br />

, 金 子 順 一 1<br />

, 青 木 琢 1<br />

, 阪 本 良 弘 1<br />

, 菅 原 寧 彦 1<br />

,<br />

1,3 1,3 1<br />

長 谷 川 潔 , 浦 野 泰 照 , 國 土 典 宏<br />

【 背 景 】 近 年 、indocyanine…green…(ICG)を 用 いた 蛍 光 イメージング<br />

(ICG 蛍 光 法 )が 肝 癌 の 手 術 診 断 や 術 中 胆 道 造 影 などに 利 用 されつつあ<br />

る。 今 回 、ICG 蛍 光 法 を 鏡 視 下 肝 胆 膵 手 術 に 応 用 した 臨 床 例 と 新 規 蛍<br />

光 物 質 開 発 の 現 状 を 報 告 し、 蛍 光 ナビゲーション 手 術 の 発 展 性 につい<br />

て 考 察 する。【 方 法 ・ 結 果 】1)… 蛍 光 胆 道 造 影 および 胆 汁 漏 の 同 定 :<br />

ICG…2.5mgを 静 注 、 赤 外 観 察 用 の 硬 性 鏡 システムで 撮 影 した。 腹 腔 鏡<br />

下 胆 摘 術 95 例 の 検 討 では、 蛍 光 胆 道 造 影 は 術 中 DIC 撮 影 を 上 回 る 胆 管<br />

描 出 能 を 有 すことが 示 唆 された。 国 外 では 蛍 光 胆 道 造 影 と 直 接 胆 道 造<br />

影 との 比 較 試 験 も 計 画 されている。また 本 法 を 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 に 用 い<br />

ることで、 片 肝 切 除 に 際 して 左 右 肝 管 を 同 定 し、また 切 除 後 肝 離 断 面<br />

からの 胆 汁 漏 を 描 出 することができた。2)… 肝 癌 の 手 術 診 断 : 術 前 肝<br />

機 能 検 査 のために 静 注 されたICG…(0.5…mg/kg)を 蛍 光 剤 として 利 用 し<br />

た。 本 法 により 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 中 に 肝 癌 の 位 置 を 確 認 することができ<br />

たほか、 肝 細 胞 腺 腫 の 術 中 診 断 にも 役 立 った。3)… 肝 区 域 染 色 :… 腹 腔<br />

鏡 下 に 超 音 波 を 用 いて 肝 内 門 脈 枝 を 穿 刺 、ICG…0.25mgを 注 入 すると、<br />

対 象 となる 肝 区 域 (S4)が 蛍 光 を 呈 した。また、 肝 S3のグリソンを 根<br />

部 でクランプし、ICG…2.5mgを 静 脈 内 注 射 することにより、 肝 S3を 非<br />

蛍 光 領 域 として 同 定 することができた。4)リンパ 節 の 同 定 :… 術 中 内<br />

視 鏡 を 用 いて 直 腸 癌 周 囲 の 粘 膜 下 層 にICG… 計 2.5mgを 注 入 し、 手 術 中<br />

にリンパ 経 路 とリンパ 節 を 探 索 できた。5)… 新 規 蛍 光 剤 を 用 いた 肝 癌<br />

の 同 定 :… 既 知 の 構 造 で あ るhydroxy-methyl-rhodamine…greenに γ<br />

-glutamyltransferaseを 結 合 させて 作 成 した 蛍 光 プローブを 切 除 標 本<br />

に 散 布 することにより、 転 移 性 肝 癌 の 癌 組 織 を 描 出 することができた。<br />

6)… 新 規 蛍 光 剤 を 用 いた 膵 液 の 標 識 :…chymotrypsinを 特 異 的 に 標 識 す<br />

る 蛍 光 剤 を 作 成 、これを 膵 切 除 断 端 を 転 写 したろ 紙 に 噴 霧 することで、<br />

膵 液 の 漏 出 部 位 を 推 定 することができた。【 結 論 】 癌 および 脈 管 の 蛍<br />

光 イメージングは、もとよりモニター 下 に 操 作 を 行 う 鏡 視 下 手 術 に 最<br />

適 な 方 法 であり、 視 触 診 の 制 限 を 補 い 手 術 の 正 確 性 向 上 に 寄 与 する 技<br />

術 として 発 展 することが 期 待 される。<br />

SY4-7<br />

手 術 ナビゲーションシステム 導 入 による 安 全 かつ 確 実<br />

な 鏡 視 下 肝 ・ 膵 手 術<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 青 木 武 士 , 村 上 雅 彦 , 榎 並 延 太 , 小 池 礼 子 , 藤 森 聡 ,<br />

古 泉 友 丈 , 草 野 智 一 , 松 田 和 弘 , 山 下 剛 史 , 渡 辺 誠 ,<br />

大 塚 耕 司 , 加 藤 貴 史<br />

【 目 的 】 完 全 内 視 鏡 下 手 術 は 近 接 視 ・ 拡 大 視 効 果 により、 繊 細 な 手 術<br />

が 可 能 である 反 面 、 腹 腔 鏡 が 撮 影 可 能 な 範 囲 は 限 られており、 術 者 は<br />

視 覚 的 にも 手 技 的 にも 制 限 された 状 態 で 操 作 を 行 うため、 術 前 画 像 情<br />

報 を 術 中 に 正 確 に 対 応 することが 困 難 である。 内 視 鏡 下 肝 胆 膵 手 術 に<br />

おいて 開 腹 手 術 と 同 等 以 上 の 手 術 を 行 うためには、 内 視 鏡 下 手 術 の 利<br />

点 を 生 かしつつ、 欠 点 を 補 う 手 法 が 必 要 不 可 欠 である。 今 回 計 画 通 り<br />

の 手 術 を 正 確 で 安 全 に 行 うために、 視 野 環 境 を 補 助 し、 術 者 を 目 標 へ<br />

導 く 新 たな 手 術 ナビゲーションシステムを 構 築 した。【 方 法 】 肝 腫 瘍<br />

性 病 変 24 例 ( 胸 腔 鏡 下 、 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 )、 膵 体 尾 部 腫 瘍 6 例 ( 腹 腔 鏡 下<br />

膵 切 除 )に 対 し、 術 前 造 影 CTを 撮 像 し、 同 データをSynapse…Vincent( 富<br />

士 フィルムメディカル)を 用 い3D 解 析 ・virtual…endoscopyを 施 行 し<br />

load…mappingを 施 行 した。また 術 中 ランドマークの 座 標 をアシスト<br />

す る た め、volume…navigation(GE…health…care)を 用 い、virtual…<br />

endoscopyとvolume…navigationをモニター 上 でdual 表 示 し、 術 野 のリ<br />

ファレンス 情 報 として 活 用 しながら 鏡 視 下 肝 ・ 膵 手 術 を 支 援 した。【 成<br />

績 】 切 離 に 伴 う 周 辺 脈 管 の 処 理 を 内 視 鏡 の 視 野 で 術 前 ・ 術 中 にリファ<br />

レンス 画 像 として 閲 覧 可 能 であり、さらにランドマークの 座 標 をUS<br />

上 に 描 出 し、virtual…endoscopyとdual 表 示 することで、 詳 細 な 局 所 解<br />

剖 や 腫 瘍 の 位 置 情 報 を 術 野 へフィードバックすることが 可 能 となり、<br />

的 確 な 脈 管 処 理 が 可 能 となった。 術 前 ランドマークとした 脈 管 の 同 定<br />

率 は100%であった。 術 前 ・ 術 中 に 肝 離 断 面 に 露 出 される 主 要 脈 管 を<br />

内 視 鏡 挿 入 の 視 点 で 確 認 し 得 た(21/24 例 :88%)。【 結 論 】 体 腔 内 内 視<br />

鏡 の 視 点 にたったvirtual…navigationとvolume…navigationのdual 表 示<br />

モニターシステムにより、 内 視 鏡 下 手 術 に 特 化 した 局 所 解 剖 を 術 中 に<br />

確 認 することができ、 安 全 かつ 確 実 な 鏡 視 下 肝 ・ 膵 手 術 が 施 行 可 能 で<br />

あった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-201-


パネルディスカッション


PD1-1<br />

ICGR1510% 以 上 に 対 する 右 肝 切 除<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 有 泉 俊 一 , 小 寺 由 人 , 高 橋 豊 , 大 森 亜 紀 子 , 加 藤 孝 章 ,<br />

米 田 五 大 , 片 桐 聡 , 江 川 裕 人 , 山 本 雅 一<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 患 者 でICGR… …15…10% 以 上 に 対 する 右 肝 切 除 の 術 後 合<br />

併 症 、 肝 不 全 について 検 討 した。【 方 法 】1995 年 から2004 年 の 肝 細 胞<br />

癌 初 回 肝 切 除 例 872 例 のうち、98 例 はICGR…15…が10% 以 上 だが 右 肝 切 除<br />

または 三 区 域 切 除 を 予 定 した( 巨 大 肝 細 胞 癌 、 多 発 肝 細 胞 癌 、 門 脈 静<br />

脈 腫 瘍 栓 合 併 のため)。CTから 予 定 肝 切 除 量 を 測 定 した。 許 容 肝 切 除<br />

量 は 個 々のICGR…15…から 決 定 した( 高 崎 基 準 )。 予 定 肝 切 除 量 が 許 容 肝<br />

切 除 量 以 内 である 低 リスク 群 (54 例 )と 許 容 肝 切 除 量 以 上 である 高 リス<br />

ク 群 (44 例 )とした。2 群 間 の 合 併 症 、 肝 不 全 、 術 死 について 検 討 した。【 成<br />

績 】2 群 間 の 性 別 , 年 齢 、Child 分 類 、 平 均 腫 瘍 径 、 門 脈 腫 瘍 栓 合 併 例 、<br />

術 式 、 出 血 量 に 差 はなかった。2 群 間 の 平 均 ICGR…15…( 低 リスク 群 14%、<br />

高 リスク 群 21%)、 食 道 静 脈 瘤 例 ( 低 リスク 群 11 例 、 高 リスク 群 17 例 )、<br />

肝 硬 変 例 ( 低 リスク 群 12 例 、 高 リスク 群 19 例 )、 平 均 残 肝 体 積 ( 低 リス<br />

ク 群 52%、 高 リスク 群 38%)は 有 意 差 を 認 めた。98 例 の 合 併 症 31 例<br />

(32%)、 肝 不 全 11 例 (11%)、 術 死 5 例 (5%)であった。 低 リスク 群 の 合<br />

併 症 (8 例 )、 肝 不 全 (1 例 )は、 高 リスク 群 の 合 併 症 (23 例 :p


PD1-5<br />

PerfusionCTが 分 肝 機 能 の 評 価 を 可 能 にする~ 門 脈<br />

血 流 量 からみた 肝 機 能 評 価 ~<br />

1<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科 、 2 静 岡 県 立 静 岡 がんセ<br />

ンター 画 像 診 断 科<br />

○… 青 木 修 一 1<br />

, 上 坂 克 彦 1<br />

, 金 本 秀 行 1<br />

, 杉 浦 禎 一 1<br />

,<br />

水 野 隆 史 1<br />

, 岡 村 行 泰 1<br />

, 山 本 立 真 1<br />

, 木 内 亮 太 1<br />

, 蘆 田 良 1<br />

,<br />

木 原 康 弘 1 2<br />

, 森 口 理 久<br />

目 的 :perfusion…CTは 通 常 のCT 機 能 に 加 え, 肝 に 還 流 する 動 脈 流 量 や<br />

門 脈 流 量 の 定 量 化 を 可 能 にした. 門 脈 塞 栓 術 (PVE) 後 の 単 位 肝 あたり<br />

の 門 脈 流 量 (portal…flow:PF:ml/min/ 肝 100ml)を 測 定 し, 非 塞 栓 肝 の<br />

機 能 との 関 係 を 検 討 した. 対 象 ;2010.6から17か 月 間 ,PVEを 行 い2 週 間<br />

後 にperfusion…CTおよびアシアロシンチを 施 行 した15 例 と<br />

perfusionCTの み を 施 行 し た35 例 の 計 50 例 . 年 齢 中 央 値 69 歳 , 男 ; 女<br />

=40:10, 肝 門 部 胆 管 癌 21 例 , 肝 細 胞 癌 9 例 , 肝 内 胆 管 癌 4 例 , 胆 嚢 癌 6 例 , 転<br />

移 性 肝 癌 10 例 . 方 法 ;10mmスライス 毎 に 肝 実 質 にROIを 設 定 し( 中 央<br />

値 51 個 / 肝 ),ROI 内 の 単 位 肝 あたりの 門 脈 流 量 (PF)を 測 定 し, 非 塞 栓 肝<br />

(remnant) 内 のROIの 平 均 をrem-PF,… 塞 栓 肝 (embolized) 内 のROIの 平<br />

均 をemb-PFとした.またCT…volumetryから 非 塞 栓 肝 体 積 (rem-V), 塞<br />

栓 肝 体 積 (emb-V)を 測 定 した. 以 上 から,… 領 域 肝 の 門 脈 総 流 量 (portal…<br />

volume:PV)= 単 位 肝 あたりの 門 脈 流 量 (PF)×その 門 脈 が 支 配 して<br />

いる 肝 体 積 とし, 非 塞 栓 肝 の 門 脈 総 流 量 (rem-PV=rem-PF×rem-V), 塞<br />

栓 肝 の 門 脈 総 流 量 (emb-PV=emb-PF×emb-V), 全 肝 の 門 脈 総 流 量<br />

(total-PV=rem-PV+emb-PV)を 算 出 した.1)アシアロシンチを 行 った<br />

15 例 において 非 塞 栓 肝 の 門 脈 総 流 量 の 割 合 (rem-PV…ratio=rem-PV/<br />

total-PV)とアシアロシンチでの 非 塞 栓 肝 機 能 の 割 合 (function…ratio)<br />

を 比 較 した2)Perfusio…CTを 行 った50 例 において,… それらのrem-PV…<br />

ratioから1)の 結 果 で 得 られた 回 帰 式 を 基 にfunction…ratio( 予 測 値 )を<br />

算 出 した.そこから 求 めた 残 肝 ICGK(f-remK) 値 と 肝 体 積 比 から 求 めた<br />

残 肝 ICGK(v-remK) 値 を 比 較 し た. 結 果 :1)rem-PV…ratioはfunction…<br />

ratioと 相 関 し(p=0.001,r=0.79), 回 帰 式 ;function…ratio=0.1089+0.6875<br />

×rem-PV…ratioが 得 られた.2) 全 50 例 のf-remKの 中 央 値 は0.062,v-remK<br />

の 中 央 値 は0.057であり,f-remKが 有 意 に 良 好 であった(p=0.01). 結 論 :<br />

Perfusion…CTで 得 られる 領 域 肝 の 門 脈 総 流 量 割 合 がアシアロシンチで<br />

得 られるその 領 域 の 分 肝 機 能 と 有 意 に 相 関 した.これによって 算 出 さ<br />

れるPVE 後 の 予 定 残 肝 ICGK(f-remK) 値 はv-remK 値 より 有 意 に 良 好<br />

で, 今 後 肝 切 除 の 基 準 としてさらに 検 討 する 必 要 がある.<br />

PD1-6<br />

教 室 における 肝 切 除 の 適 応 拡 大 とその 成 績<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 榎 並 延 太 , 村 上 雅 彦 , 青 木 武 士 , 山 下 剛 史 , 大 中 徹 ,<br />

古 泉 友 丈 , 藤 森 聡 , 小 池 礼 子 , 渡 辺 誠 , 加 藤 貴 史<br />

【はじめに】 肝 切 除 症 例 に 対 する 術 前 評 価 として 幕 内 基 準 を 遵 守 して<br />

いるが、 少 なからず 基 準 外 の 症 例 も 存 在 する。 教 室 ではICG15 分 値 逸<br />

脱 症 例 においてもGSA/LHL15 分 値 >0.850を 区 域 切 除 以 上 の 適 応 とし<br />

ているが、 幕 内 基 準 外 で 肝 切 除 を 施 行 した 症 例 について 検 討 したので<br />

報 告 する。【 対 象 】2006 年 から2010 年 の5 年 間 に 施 行 した 肝 切 除 は196 例 。<br />

そのうち 幕 内 基 準 外 は23 例 であった。 術 後 合 併 症 の 有 (A 群 :3 例 )、<br />

無 (B 群 :20 例 )で 検 討 した。【 結 果 】 術 前 臨 床 検 査 値 では 両 群 間 に 有<br />

意 差 は 認 められなかった。 残 肝 予 備 能 評 価 としてのICG15 分 値 (%)、<br />

GSAによるLHL15 分 値 、GSA 機 能 的 残 肝 体 積 率 (%)では、13.3:26.8、<br />

0.915:0.887、77.6:70.9とA 群 で 良 好 な 傾 向 であった。 術 中 侵 襲 因 子<br />

の 検 討 では、 手 術 時 間 (OT)( 分 )…483:314、 出 血 量 (BL)(g)…1915:<br />

555、 術 中 FFP 量 (ml)…583:20、 術 中 RCC 量 (ml)…628:84で、A 群 で<br />

有 意 差 をもって 高 値 を 示 した。【まとめ】 基 準 外 症 例 においては、OT<br />

>510 分 、BL>600ml、 術 中 FFP>240ml、 術 中 RCC>280mlが 合 併 症<br />

発 生 の 危 険 因 子 であった。 高 度 肝 機 能 障 害 例 に 対 しては、 術 前 準 備 と<br />

してCOACH2(DHDヘルスケア) 等 による 入 念 な 呼 吸 訓 練 を 行 い、 術<br />

中 は、Pringle 時 間 ・ 手 術 時 間 の 短 縮 、 出 血 量 の 制 御 に 努 め、 術 後 は<br />

早 期 離 床 ・ 経 口 摂 取 の 開 始 と 大 建 中 湯 等 による 門 脈 血 流 改 善 を 意 識 し<br />

た 周 術 期 管 理 を 行 う 事 で、 安 全 な 肝 切 除 が 施 行 可 能 であった。【 結 語 】<br />

幕 内 基 準 外 の 症 例 (GSA/LHL15 分 値 >0.850)でも、 手 術 侵 襲 因 子 の 影<br />

響 を 最 小 限 に 保 持 し、 徹 底 した 周 術 期 管 理 を 行 うことで、 術 後 合 併 症<br />

を 回 避 した 安 全 な 肝 切 除 が 可 能 と 思 われた。<br />

PD1-7<br />

GSA-SPECTとICGクリアランスを 用 いた 術 前 残 肝<br />

機 能 評 価 法 の 有 効 性 の 検 討<br />

神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院<br />

○… 貝 原 聡 , 瓜 生 原 健 嗣 , 細 谷 亮<br />

【 目 的 】 肝 切 除 術 前 に 切 除 後 残 肝 の 機 能 評 価 を 行 うことは、 安 全 に 肝<br />

切 除 を 行 う 上 で 非 常 に 重 要 である。 我 々は 術 前 に99mTc-GSA-SPECT<br />

(GSA-SPECT)とICGクリアランス(K-ICG)によって 切 除 後 残 肝 機 能<br />

を 術 前 に 予 測 している。そして、それらの 結 果 を 元 に 切 除 範 囲 を 決 定<br />

しており、この 発 表 では 我 々の 用 いている 評 価 法 の 有 効 性 につき 報 告<br />

する。【 対 象 】2006 年 1 月 から2011 年 4 月 までに 肝 細 胞 癌 に 対 し 肝 切 除<br />

を 行 った101 例 のうち、42 例 でGSA-SPECTとKICGによる 術 前 肝 機 能<br />

評 価 を 行 った。GSAではLHL15を 肝 機 能 評 価 として 用 いた。また<br />

SPECTとCTを 組 み 合 わせることにより 肝 切 除 後 残 肝 の 機 能 的 残 肝 率<br />

を 予 測 した。その 他 の 術 前 ・ 術 後 の 肝 機 能 評 価 パラメーターとして、<br />

総 ビリルビン(Bil)、アルブミン(Alb)、プロトロンビン 値 (PT-INR)、<br />

コリンエステラーゼ(Ch-E)、 血 小 板 数 (Plt)、を 用 いた。【 結 果 】<br />

LHL15とKICGは、Bilを 除 く 全 ての 術 前 パラメーター(Alb、PT-INR、<br />

Ch-E、Plt)と 有 意 の 相 関 を 示 し(P


PD1-9<br />

肝 切 除 術 における 術 前 アシアロ 推 定 残 存 肝 機 能 評 価 の<br />

有 用 性<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 海 堀 昌 樹 , 石 崎 守 彦 , 松 井 康 輔 , 松 島 英 之 , 坂 口 達 馬 ,<br />

中 竹 利 知 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 我 々は1993 年 より 現 在 まで 肝 アシアロシンチを 術 前 検 査 とし<br />

て 肝 切 除 症 例 ほぼ 全 例 に 行 ってきた。 当 科 における 肝 葉 切 除 に 対 する<br />

術 前 アシアロ 推 定 残 存 肝 機 能 評 価 による 術 式 決 定 を 供 覧 。【 対 象 と 方<br />

法 】2010 年 までに620 例 の 原 発 性 肝 癌 肝 切 除 を 行 い 拡 大 肝 葉 切 除 、 葉<br />

切 除 、 中 央 2 区 域 切 除 施 行 は 総 数 96 例 であった。 大 腸 癌 転 移 性 肝 癌 は<br />

179 例 に 行 い 肝 葉 切 除 以 上 術 式 は51 例 。 検 討 項 目 は(1) 術 前 ICGR15と<br />

GSA-Rmax( 最 大 受 容 体 結 合 量 )との 乖 離 例 の 検 討 、(2) 術 後 肝 不 全 回 避<br />

のための 安 全 推 定 残 肝 GSA-Rmax 算 出 、(3) 葉 切 除 以 上 での 術 後 合 併 症<br />

( 難 治 性 胸 腹 水 など) 回 避 のための 残 肝 GSA-Rmax 算 出 、(4) 最 近 で<br />

は …99m… Tc-GSA 肝 シンチグラムとMDCTの 脈 管 構 築 を 加 えたfusion 画 像<br />

を 用 いた 推 定 残 存 肝 機 能 の 術 前 予 測 をを 可 能 とした。 造 影 CTより 構<br />

築 した 脈 管 および 肝 実 質 3D 画 像 と …99m… Tc-GSA…SPECT 画 像 の3D-fusion<br />

画 像 において 切 除 予 定 線 を 引 き、 系 統 的 な 肝 切 除 面 を 作 成 、 切 除 予 定<br />

肝 ・ 残 存 肝 の 区 域 別 推 定 残 存 肝 容 積 および 肝 機 能 GSA-Rmax 算 定 。【 結<br />

果 】(1)… 術 前 ICGR15が20% 未 満 ではICGR15およびGSA-Rmaxは 他 肝 機<br />

能 因 子 (AST,Bil,Plt,Alb,PTなど)と 有 意 な 相 関 を 示 したが、ICGR15が<br />

20% 以 上 ではGSA-Rmaxは 他 因 子 と 相 関 良 好 であったが、ICGR15は<br />

T.Bilとのみ 相 関 。ICGR15が20% 以 上 症 例 においてはGSA-Rmaxとの<br />

乖 離 例 が 多 数 存 在 。(2) 肝 区 域 別 のGSA 残 肝 機 能 とCT 残 肝 容 積 とは、<br />

非 腫 瘍 部 が 正 常 肝 ・ 慢 性 肝 炎 ・ 肝 硬 変 において、それぞれ 相 関 係 数 0.767<br />

およびP 値


PD2-3<br />

5 年 生 存 例 からみた 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 至 適 手 術 とそ<br />

の 因 子<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 田 中 真 之 , 板 野 理 , 田 辺 稔 , 河 地 茂 行 , 篠 田 昌 宏 ,<br />

北 郷 実 , 三 原 規 奨 , 西 山 亮 , 藤 崎 洋 人 , 藤 村 知 賢 ,<br />

門 多 由 恵 , 大 平 正 典 , 永 滋 教 , 香 月 優 亮 , 北 川 雄 光<br />

[ 背 景 ]pT2 以 上 の 進 行 胆 嚢 癌 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 解 析 を 行 い、 長<br />

期 生 存 群 と5 年 以 内 死 亡 群 を 比 較 し 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 至 適 手 術 とそ<br />

の 因 子 を 検 討 した.[ 方 法 ] 当 施 設 において1990 年 以 降 でR0 切 除 が 得<br />

られたpT2 以 上 の63 例 を 対 象 。Stage2:3:4a:4b=28:8:13:14、<br />

術 後 観 察 期 間 42[2-200]ヶ 月 。36 例 (57%)で 周 辺 臓 器 を 合 併 切 除 ( 肝<br />

外 胆 管 切 除 16 例 、 肝 S4a+S5 切 除 13 例 、 拡 大 肝 葉 切 除 10 例 、 肝 膵 同 時<br />

切 除 (HPD)10 例 )。 全 例 でD2 以 上 のリンパ 節 郭 清 を 併 施 した。[ 結 果 ]<br />

5 年 生 存 率 59%、 無 再 発 生 存 期 間 中 央 値 35ヶ 月 。 単 変 量 解 析 における<br />

有 意 な 予 後 不 良 因 子 (P


PD2-7<br />

T4 胆 嚢 癌 に 対 する 外 科 切 除 成 績 と 術 前 術 後 化 学 療 法 の<br />

意 義<br />

千 葉 大 学 大 学 院 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 大 塚 将 之 , 木 村 文 夫 , 清 水 宏 明 , 吉 留 博 之 , 加 藤 厚 ,<br />

吉 富 秀 幸 , 古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 高 屋 敷 吏 , 久 保 木 知 ,<br />

鈴 木 大 亮 , 中 島 正 之 , 宮 崎 勝<br />

胆 嚢 癌 は 進 行 癌 として 発 見 されることが 多 く、 特 に 肝 および 肝 十 二 指<br />

腸 間 膜 へは 容 易 に 浸 潤 し、その 治 療 には 血 管 合 併 切 除 など 拡 大 切 除 が<br />

必 要 とされる 症 例 も 少 なくない。また、 切 除 困 難 な 局 所 進 行 胆 嚢 癌 も<br />

経 験 される。 今 回 、 高 度 局 所 進 行 (pT4) 胆 嚢 癌 の 外 科 切 除 成 績 を 解 析<br />

するとともに 近 年 導 入 された 術 前 術 後 化 学 療 法 の 意 義 について 検 討 し<br />

た。【 対 象 】 胆 嚢 癌 切 除 症 例 180 例 中 pT4は84 例 で、 肝 床 型 が30 例 、 肝<br />

門 型 が22 例 、 肝 床 肝 門 型 が29 例 、その 他 3 例 であった。 切 除 術 式 は 肝<br />

葉 切 除 以 上 が43 例 で、19 例 に 血 管 合 併 切 除 ( 門 脈 15 例 、 右 肝 動 脈 5 例 )、<br />

13 例 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 併 施 した。【 結 果 】 累 積 生 存 率 :1、3 年 生<br />

存 率 は38、13%で、 進 展 様 式 の 差 異 で 差 は 認 められなかった。 予 後 規<br />

定 因 子 : 年 齢 、 性 別 、 治 癒 度 、 肝 浸 潤 、 肝 十 二 指 腸 間 膜 浸 潤 、 門 脈 /<br />

動 脈 浸 潤 、 消 化 管 浸 潤 、 神 経 周 囲 浸 潤 、 肝 転 移 では 有 意 な 差 は 認 めら<br />

れず、N3 症 例 が 有 意 に 予 後 不 良 であった。 血 管 合 併 切 除 : 血 管 合 併<br />

切 除 により11 例 で 治 癒 切 除 が 得 られた。その 成 績 は 非 合 併 切 除 例 と 統<br />

計 学 的 な 有 意 差 は 認 められないものの、2 年 以 上 生 存 例 は 認 めていない。<br />

術 後 補 助 化 学 療 法 :Gemcitabineの 導 入 後 11 例 に 補 助 化 学 療 法 を 施 行<br />

し、 生 存 率 の 有 意 な 延 長 効 果 (1、3 年 生 存 率 :62、31%)を 認 めている。<br />

術 前 化 学 療 法 併 用 外 科 切 除 :7 例 の 切 除 困 難 と 考 えられる 局 所 進 行 T4<br />

胆 嚢 癌 に 対 し、Gemcitaineによる 化 学 療 法 を 施 行 した 後 4 例 を 切 除 し、<br />

そのうち1 例 は 術 後 37ヶ 月 、 診 断 後 42ヶ 月 現 在 無 再 発 生 存 中 である。【 結<br />

論 】pT4 胆 嚢 癌 ではN3 症 例 の 切 除 適 応 は 慎 重 であるべきだが、その<br />

他 の 症 例 は 積 極 的 外 科 切 除 を 目 指 すべきで、Gemcitabineを 中 心 とし<br />

た 術 後 補 助 化 学 療 法 を 加 えることにより 予 後 改 善 が 期 待 される。 血 管<br />

合 併 切 除 例 は 治 癒 切 除 率 向 上 には 寄 与 するものの 現 状 では 予 後 改 善 に<br />

結 びついておらず、 術 前 あるいは 術 後 補 助 化 学 療 法 が 必 須 と 考 える。<br />

切 除 困 難 例 でも 化 学 療 法 で 根 治 切 除 可 能 となる 症 例 があり、 今 後 新 た<br />

な 治 療 戦 略 として 考 慮 すべきと 考 えられた。<br />

PD3-1<br />

IPMNの 治 療 戦 略 ― 分 枝 型 IPMNに 対 する 手 術 適 応 と<br />

主 膵 管 型 IPMNに 対 する 膵 全 摘 の 要 否 についてー<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 清 水 泰 博 , 佐 野 力 , 千 田 嘉 毅 , 小 森 康 司 , 大 澤 高 陽 ,<br />

二 宮 豪 , 二 村 雄 次<br />

【 背 景 】 当 科 では2008 年 までのIPMN 切 除 例 の 検 討 で 汎 用 性 の 高 い4<br />

因 子 ( 性 、 病 型 、 結 節 径 、 膵 液 細 胞 診 )を 用 いた 癌 予 測 ノモグラムを 作<br />

成 し、 癌 予 測 能 がROC… 曲 線 下 面 積 …(AUC)=0.903と 非 常 に 良 好 なこと<br />

を 報 告 してきた(World…J…Surg…2010)。また 主 膵 管 型 IPMN( 以 下 、 主<br />

膵 管 型 )の 手 術 では、 膵 切 除 断 端 の 迅 速 病 理 検 査 をおこない、 中 等 度<br />

異 型 までは 原 則 放 置 、 高 度 異 型 は 可 及 的 に 追 加 切 除 するが 膵 全 摘 ( 以 下 、<br />

TP)は 回 避 、 上 皮 内 癌 以 上 であればTPすることを 基 本 方 針 としてきた。<br />

【 目 的 】IPMNの 治 療 方 針 決 定 の 際 に 特 に 問 題 となる 分 枝 型 IPMN( 以<br />

下 、 分 枝 型 )の 手 術 適 応 と 主 膵 管 型 に 対 するTPの 要 否 を 再 検 討 する。<br />

【 対 象 と 方 法 】1.…2009 年 以 降 に 切 除 した 分 枝 型 19 例 ( 癌 11 例 、 腺 腫 8 例 )<br />

でノモグラムの 癌 診 断 予 測 能 を 検 討 した。2.…2011 年 までに 切 除 した<br />

IPMN…130 例 中 、 主 膵 管 型 40 例 の 治 療 成 績 を 検 討 し、 当 科 方 針 の 妥 当<br />

性 について 検 討 した。【 結 果 】1.ノモグラムの 癌 予 測 能 はAUC=0.818<br />

に 相 当 し、 癌 の 予 測 確 率 …5%をカットオフ 値 とすると 感 度 82%、 特 異<br />

度 50%、 正 診 率 68%であった。 国 際 診 療 ガイドライン 手 術 適 応 …( 主 膵<br />

管 径 10mm 以 上 …or… 嚢 胞 径 30mm 以 上 …or 壁 在 結 節 あり)… のAUC=0.517<br />

より 良 好 であった。2.… 男 性 25 例 、 女 性 15 例 で 手 術 時 の 平 均 年 齢 は67 歳<br />

であった。 術 式 はPD…26 例 、DP…11 例 、MP…1 例 、TP…2 例 で、 病 理 所<br />

見 は 腺 腫 15 例 、 上 皮 内 癌 12 例 、 微 小 浸 潤 癌 5 例 、 浸 潤 癌 8 例 で、 術 後 観<br />

察 期 間 は5~152ヵ 月 ( 平 均 60ヵ 月 )であった。 浸 潤 癌 以 外 の32 例 は 他 病<br />

死 1 例 を 除 いて 生 存 中 で、 浸 潤 癌 8 例 は4 例 が 再 発 したが 残 膵 再 発 はなく、<br />

原 病 死 4 例 、 他 病 死 1 例 であった。 初 回 術 後 に 残 膵 再 発 した6 例 では 二<br />

期 的 TPを 行 った。6 例 の 初 回 手 術 時 の 膵 断 端 病 理 診 断 は 軽 度 異 型 腺 腫<br />

2 例 、 正 常 4 例 で、 初 回 手 術 から 残 膵 全 摘 までは24~99ヵ 月 ( 平 均 51ヵ 月 )<br />

であった。 残 膵 全 摘 時 の 病 理 所 見 は 腺 腫 …1 例 、 上 皮 内 癌 2 例 、 微 小 浸<br />

潤 癌 2 例 、 浸 潤 癌 1 例 で、 再 手 術 後 5~87ヵ 月 ( 平 均 39ヵ 月 ) 無 再 発 生 存<br />

中 である。【まとめ】1.ノモグラムは 最 近 の 切 除 例 においても 良 好 な<br />

癌 診 断 予 測 能 を 示 し、 分 枝 型 の 治 療 方 針 決 定 に 有 用 である。2. 主 膵 管<br />

型 の 膵 切 除 範 囲 に 関 する 当 科 の 治 療 方 針 は 妥 当 であった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

PD3-2<br />

分 枝 型 IPMNの 縮 小 手 術 の 適 応 とその 治 療 成 績<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 II<br />

○… 高 橋 亮 , 平 野 聡 , 山 吹 匠 , 野 路 武 寛 , 海 老 原 裕 磨 ,<br />

村 上 慶 洋 , 加 藤 健 太 郎 , 松 本 譲 , 土 川 貴 裕 , 七 戸 俊 明 ,<br />

田 中 栄 一<br />

( 背 景 ) 当 科 では 従 来 より 浸 潤 癌 を 除 くIPMN 症 例 に 対 し, 周 囲 臓 器 を 温<br />

存 し 膵 実 質 のみを 切 除 する 術 式 (Parenchymal…Pancreatectomy:PP)<br />

を 積 極 的 に 適 応 し, 術 前 浸 潤 癌 と 診 断 した 症 例 には 通 常 の 癌 に 準 じた<br />

切 除 を 行 ってきた。 今 回 , 当 科 の 手 術 成 績 からIPMNの 外 科 手 術 適 応 と<br />

術 式 選 択 の 妥 当 性 について 検 討 を 行 った。( 対 象 )1983 年 ~2011 年 に 切<br />

除 したIPMN…93 症 例 ( 男 性 59 例 , 女 性 34 例 ), 年 齢 は29-82 歳 ( 平 均 66 歳 )。<br />

主 膵 管 型 16 例 , 分 枝 型 77 例 。( 方 法 ) 嚢 胞 径 40mm 以 上 , 主 膵 管 径 10mm 以<br />

上 , 有 結 節 , 細 胞 診 陽 性 , 有 症 状 の 症 例 を 手 術 適 応 とした。 嚢 胞 径 および<br />

主 膵 管 径 の 計 測 はCT,US,EUSを 用 い, 壁 在 結 節 の 診 断 は 主 にUS,EUSで<br />

行 った。 境 界 病 変 を 良 性 に 含 めて 検 討 した。( 結 果 ) 病 理 組 織 学 的 に 腺<br />

腫 および 境 界 病 変 (A)59 例 , 非 浸 潤 癌 および 微 小 浸 潤 癌 (NC)18 例 , 浸 潤<br />

癌 (C)16 例 に 分 類 すると 主 膵 管 型 はA/NC/C=7/6/3, 分 枝 型 は52/12/13<br />

であり 主 膵 管 型 の56%, 分 枝 型 の32%が 悪 性 であった。 分 枝 型 の 嚢 胞<br />

径 30mm 以 上 を 悪 性 とすると39 例 中 18 例 が 悪 性 であり,… 悪 性 度 診 断 の<br />

感 度 75%, 特 異 度 60%であった。 主 膵 管 径 6mm 以 上 を 悪 性 とすると38<br />

例 中 20 例 が 悪 性 であり,… 感 度 80%, 特 異 度 65%であった。 有 結 節 症 例 は<br />

45 例 中 25 例 が 悪 性 であり, 感 度 100%, 特 異 度 62%であった。 分 枝 型 の33<br />

例 (A/NC/C=26/7/0)に 縮 小 手 術 を 施 行 した。27 例 にPPを 施 行 した。<br />

2000 年 以 降 の7 例 では 膵 液 瘻 や 再 発 を 認 めていない。PPを 含 む 縮 小 手<br />

術 の5 年 生 存 率 は94%,10 年 生 存 率 は90%, 標 準 手 術 は 分 枝 型 の44 例 (A/<br />

NC/C=26/5/13)に 施 行 し,5 年 生 存 率 70%,10 年 生 存 率 57%であった。 標<br />

準 手 術 を 施 行 したA,NCのみでは5 年 生 存 率 77%,10 年 生 存 率 64%であり,<br />

縮 小 手 術 と 比 べ 低 い 傾 向 にあったが、 有 意 差 は 認 めなかった…<br />

(P=0.055)。…( 結 語 ) 分 枝 型 IPMNのうち 周 囲 への 浸 潤 を 認 めないもの<br />

にはPPを 適 応 可 能 であるが, 術 前 画 像 で 浸 潤 の 有 無 を 正 確 に 診 断 する<br />

ことは 困 難 であるため,その 選 択 は 慎 重 に 行 うべきである。<br />

PD3-3<br />

混 合 型 IPMNの 位 置 付 けの 再 検 討 と 当 教 室 における<br />

IPMNの 治 療 方 針<br />

1<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 、 2 名 古 屋 セン<br />

トラル 病 院 外 科<br />

○… 藤 井 努 1<br />

, 山 田 豪 1<br />

, 林 真 路 1<br />

, 奥 村 徳 夫 1<br />

, 末 永 雅 也 1<br />

,<br />

田 中 千 恵 1<br />

, 大 橋 紀 文 1<br />

, 中 山 吾 郎 1<br />

, 杉 本 博 行 1<br />

,<br />

小 池 聖 彦 1<br />

, 野 本 周 嗣 1<br />

, 藤 原 道 隆 1<br />

, 竹 田 伸 1<br />

, 中 尾 昭 公 2<br />

,<br />

1<br />

小 寺 泰 弘<br />

【 背 景 ・ 目 的 】IPMNの 診 断 ・ 治 療 指 針 には 未 だ 多 くの 検 討 課 題 がある。<br />

以 前 、 混 合 型 IPMNは 主 膵 管 型 に 含 めて 検 討 されていたが、 近 年 では<br />

分 枝 型 ・ 主 膵 管 型 それぞれに 区 別 して 検 討 される 傾 向 にある。 今 回 、<br />

われわれは 混 合 型 IPMNを 再 分 類 し、 当 教 室 の 治 療 方 針 について 再 検<br />

討 した。【 対 象 】1996 年 から2011 年 9 月 までの 手 術 159 例 。 混 合 型 にお<br />

いては、 主 膵 管 拡 張 が 主 要 所 見 で、3cm 以 下 の 分 枝 型 が1~ 複 数 個 認<br />

めるものを 主 膵 管 型 由 来 混 合 型 、3cm 以 上 の 分 枝 型 ( 多 くの 場 合 単 独 )<br />

が 主 要 所 見 で、さらに 主 膵 管 拡 張 を 認 めるものを 分 枝 型 由 来 混 合 型 と<br />

定 義 した。【 結 果 】 症 例 全 体 の 検 討 では、 腺 腫 が78 例 、 非 浸 潤 癌 が29 例 、<br />

微 少 浸 潤 癌 が17 例 、 浸 潤 癌 が35 例 であった。 浸 潤 癌 の5 年 生 存 率 は<br />

33.9%、 生 存 期 間 中 央 値 は14.4ヶ 月 で、 他 群 に 比 して 有 意 に 予 後 不 良<br />

であった。 非 浸 潤 癌 、 微 少 浸 潤 癌 でリンパ 節 転 移 は 認 められなかった。<br />

術 前 画 像 所 見 からの 分 類 では 分 枝 型 86 例 , 主 膵 管 型 38 例 、 混 合 型 35 例 で、<br />

混 合 型 では 主 膵 管 型 由 来 が10 例 、 分 枝 型 由 来 が25 例 。 病 理 結 果 が 悪 性<br />

であったものは 分 枝 型 / 主 膵 管 型 / 主 膵 管 型 由 来 混 合 型 / 分 枝 型 由 来 混<br />

合 型 の38%/74%/60%/56%、 浸 潤 癌 は13%/37%/30%/28%であった。<br />

微 少 浸 潤 癌 以 上 の 生 存 期 間 中 央 値 は15.4ヶ 月 /27.0ヶ 月 /8.1ヶ 月 /25.0ヶ<br />

月 であった。【 考 察 】 当 教 室 では 術 前 診 断 で 浸 潤 癌 が 疑 われるものは<br />

通 常 型 膵 癌 と 同 様 の 手 術 を、 浸 潤 所 見 は 認 められないが 悪 性 が 疑 われ<br />

るものには1 群 もしくは 近 傍 リンパ 節 郭 清 を 伴 う 術 式 を 行 っている。<br />

分 枝 型 から 主 膵 管 拡 張 をきたした 混 合 型 は、 主 膵 管 型 と 同 様 の 頻 度 で<br />

悪 性 であり、 手 術 の 適 応 と 考 えられた。 症 例 数 が 少 ないものの、 主 膵<br />

管 型 から 混 合 型 に 移 行 したものは 有 意 に 予 後 不 良 であり、より 積 極 的<br />

な 補 助 化 学 療 法 の 適 応 と 考 えられた。<br />

-209-


PD3-4<br />

膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)の 悪 性 予 測 因 子 解 析 に 基<br />

づいた 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の 適 応 と 手 術 手 技 の 実<br />

際<br />

九 州 大 学 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 大 塚 隆 生 , 高 畑 俊 一 , 森 泰 寿 , 河 野 博 , 永 吉 洋 介 ,<br />

井 手 野 昇 , 上 田 純 二 , 清 水 周 次 , 田 中 雅 夫<br />

膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)の 悪 性 予 測 因 子 は 国 際 コンセンサスガ<br />

イドラインに 提 示 されているが、 個 々の 悪 性 予 測 因 子 の 感 度 は 高 くは<br />

ない。 我 々は 最 終 病 理 診 断 が 得 られたIPMN…161 切 除 例 の 術 前 因 子 解<br />

析 から、 分 枝 型 IPMNでは4つの 悪 性 予 測 因 子 ( 嚢 胞 径 30mm 以 上 、 膵<br />

炎 の 既 往 あり、 壁 在 結 節 あり、 膵 液 細 胞 診 陽 性 )の 数 が 増 加 するほど<br />

悪 性 予 測 感 度 が 高 くなり、 予 測 因 子 が1 個 以 下 では 浸 潤 癌 を 認 めない<br />

ことを 報 告 した(Surgery…2011)。またリンパ 節 転 移 は 分 枝 型 、 主 膵 管<br />

型 を 問 わず 術 前 画 像 診 断 で10mm 以 上 の 壁 在 結 節 を 指 摘 された 症 例 の<br />

みに 認 めることも 報 告 した(Pancreatology…2011)。これらの 結 果 を 基<br />

に、 膵 体 尾 部 に 存 在 する 分 枝 型 IPMNのうち 術 前 評 価 で 浸 潤 癌 の 可 能<br />

性 が 極 めて 低 いと 考 えられる 悪 性 予 測 因 子 1 個 以 下 のものを 腹 腔 鏡 下<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 の 適 応 としている。また 膵 体 尾 部 に 限 局 し 壁 在 結 節 を<br />

認 めない 主 膵 管 型 あるいは 混 合 型 IPMNで、 無 症 状 かつ 膵 液 細 胞 診 陰<br />

性 例 も 拡 大 適 応 とし、2010 年 1 月 から2011 年 9 月 までのIPMN 切 除 例 35<br />

例 中 6 例 に 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 行 った( 分 枝 型 3 例 、 混 合 型 2 例 、<br />

主 膵 管 型 1 例 )。 手 術 では 悪 性 腫 瘍 の 可 能 性 も 考 慮 して1 群 リンパ 節 郭<br />

清 を 行 い、 切 除 断 端 の 迅 速 組 織 診 が 陰 性 であることを 確 認 した。 手 術<br />

手 技 については 膵 切 離 から#8,…#11リンパ 節 郭 清 、 脾 動 脈 切 離 を 中 心<br />

に 動 画 を 供 覧 する。 特 にリンパ 節 郭 清 は 郭 清 範 囲 のランドマークを 決<br />

めて 確 実 に#8,#11を 郭 清 する 手 技 について 述 べる。6 例 の 最 終 病 理 診<br />

断 は 腺 腫 5 例 、 非 浸 潤 癌 1 例 ( 分 枝 型 )で、 腺 腫 の1 例 にIPMNとは 別 の<br />

部 位 に 微 小 な 通 常 型 非 浸 潤 性 膵 管 癌 の 併 存 を 認 めた。 全 例 にリンパ 節<br />

転 移 を 認 めず、 切 除 断 端 も 陰 性 であり、 当 科 でのIPMNに 対 する 腹 腔<br />

鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の 適 応 は 妥 当 であると 思 われた。 今 後 の 課 題 とし<br />

てはIPMNの 術 前 悪 性 度 診 断 の 精 度 をより 高 めていくことと、 悪 性 腫<br />

瘍 の 可 能 性 を 考 慮 した 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の 切 除 範 囲 と 手 術 手 技<br />

の 標 準 化 などが 挙 げられる。<br />

PD3-5<br />

IPMNの 予 後 因 子 および 悪 性 予 測 因 子 からみた 治 療 戦<br />

略<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科<br />

○… 廣 野 誠 子 , 谷 眞 至 , 川 井 学 , 岡 田 健 一 , 宮 澤 基 樹 ,<br />

清 水 敦 史 , 北 畑 裕 司 , 上 野 昌 樹 , 速 水 晋 也 ,<br />

山 上 裕 機<br />

【 目 的 】IPMNはadenoma-carcinoma…sequenceを 特 徴 とし、 通 常 型<br />

膵 癌 と 比 べるとslow…growingであるといわれている。そのため 良 性<br />

症 例 は 経 過 観 察 、 悪 性 症 例 は 切 除 となるが、 術 前 の 良 悪 性 鑑 別 は 困 難<br />

であるのが 現 状 である。 今 回 われわれはIPMN 切 除 症 例 の 予 後 因 子 お<br />

よび 悪 性 予 測 因 子 からIPMNの 治 療 方 針 を 導 いた。【 方 法 】1999 年 か<br />

ら2011 年 に 切 除 したIPMN184 例 を 対 象 に、 臨 床 病 理 学 的 に<br />

retrospectiveに 検 討 した。なお 病 理 診 断 は 独 立 した2 人 の 病 理 医 によ<br />

り 診 断 された。【 結 果 】IPMN184 例 の 内 訳 は、 腺 腫 79 例 , 上 皮 内 癌 60 例 ,<br />

浸 潤 癌 45 例 であった。 手 術 術 式 はTP…17 例 ,PD…129 例 (うちPpPD…53<br />

例 ,PrPD…56 例 ),DP…21 例 ,CP…17 例 であった。IPMN 由 来 浸 潤 癌 は25 例<br />

(56%)に 再 発 を 認 め、Disease-specific…survivalのMSTは39ヶ 月 で、 腺<br />

腫 ・ 上 皮 内 癌 症 例 よりも 不 良 であった(P5mm(P<br />

30ng/ml(P5mmお よ び 膵 液 CEA>30ng/mlのpositive…predictive…<br />

valueは100%で、negative…predictive…valueは97%と 良 好 な 成 績 を 認 め<br />

た。【 結 論 】IPMN 由 来 浸 潤 癌 は 高 率 に 再 発 を 認 め、 上 皮 内 癌 の 時 点<br />

での 切 除 がもっとも 重 要 である。 分 枝 型 IPMNの 癌 化 予 測 に 壁 在 結 節<br />

径 および 膵 液 CEAの 測 定 が 有 効 であった。<br />

PD3-6<br />

膵 頭 部 IPMNに 対 するPPPD 今 永 法 と 術 後 残 膵 の 内 視<br />

鏡 追 跡 検 査<br />

1<br />

東 京 歯 科 大 学 市 川 総 合 病 院 外 科 、 2 慶 應 義 塾 大 学 外 科 学 教 室 、<br />

3<br />

大 田 原 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 松 井 淳 一 1<br />

, 星 本 相 淳 1<br />

, 北 郷 実 2 3<br />

, 城 戸 啓<br />

膵 IPMNでは、 良 悪 性 や 手 術 適 応 の 診 断 にERP、 膵 液 細 胞 診 / 生 検 / 遺<br />

伝 子 検 索 などの 内 視 鏡 的 approachが 必 須 であり、 膵 内 同 時 / 異 時 性 多<br />

発 、 通 常 型 膵 癌 発 生 、 他 臓 器 癌 特 に 胃 癌 の 併 存 などに 注 意 が 必 要 であ<br />

る。これらは 術 後 残 膵 に 対 しても 考 慮 すべきであり、IPMNに 対 する<br />

縮 小 手 術 後 再 発 が 約 40%と 高 率 (Sauvanet…A,…et…al:…Surgery…2002;…<br />

132:…836-843.)なことに 注 意 が 必 要 である。【 対 象 と 方 法 】 膵 IPMN 手<br />

術 25 例 (46-78 歳 、 男 19/ 女 6)。25 例 中 IPMCは5 例 、 手 術 時 に 胃 癌 6(32%)<br />

の 既 往 ・ 併 存 あり。 術 式 はPPPD7、PD3、DP7(うち 脾 温 存 2)、 分 節<br />

切 除 (MP)3、 鉤 部 切 除 (UR)3、 十 二 指 腸 温 存 膵 頭 切 除 (DpPHR)2で<br />

PPPD/PD、DPではD≧1 郭 清 を 行 い、 膵 再 建 はPPPD/PDでは 今 永 法<br />

再 建 、MP/DpPHRでは 尾 側 膵 ・ 空 腸 RY 再 建 4、 膵 胃 吻 合 1を 行 った。<br />

術 後 観 察 期 間 最 長 13 年 でCT、MRCP、 上 部 内 視 鏡 検 査 、ERP、 膵 液<br />

細 胞 診 を 半 -2 年 間 毎 に 施 行 した。【 成 績 】 膵 液 瘻 をMP1、DP2 例 認 め<br />

たがPPPD/PDでは 無 かった。PPPD/PD、MP 術 後 にはCT 上 膵 管 内<br />

ガス 像 が 認 められMRCP 上 膵 管 描 出 は 不 良 であった。PPPD/PD 今 永<br />

法 術 後 10 例 全 例 で 側 視 型 ファイバーで 膵 管 口 を 観 察 、ERP、 膵 液 採 取<br />

が 可 能 で、 術 後 6 年 残 膵 IPMC 再 発 し 追 加 切 除 (TP) 施 行 1 例 、 術 後 4 年<br />

膵 液 細 胞 診 異 型 陽 性 1 例 、PD 後 残 胃 癌 発 生 1 例 を 経 験 したが、 局 所 ・<br />

リンパ 節 ・ 他 臓 器 転 移 再 発 は 無 かった。DPとUR 術 後 には 十 二 指 腸 乳<br />

頭 からERP、 膵 液 細 胞 診 が 可 能 だが、 膵 胃 吻 合 後 には 膵 管 口 発 見 困 難 、<br />

空 腸 RY 再 建 後 には 内 視 鏡 挿 入 困 難 のためERP 不 能 であった。DP 術 後<br />

膵 頭 部 癌 死 亡 2 例 を 経 験 したが 膵 IPMN 再 発 の 可 能 性 も 考 えられた。<br />

MPでは 術 中 迅 速 病 理 で 尾 側 膵 断 端 陰 性 とされたが 術 後 永 久 標 本 病 理<br />

で 陽 性 とされ 再 手 術 、 尾 側 膵 追 加 切 除 を 施 行 した1 例 、および 術 後 肺<br />

癌 死 亡 1 例 を 経 験 した。【 結 語 】 膵 IPMNでは 術 後 残 膵 再 発 に 注 意 し 追<br />

跡 すべきだが 膵 再 建 術 後 にはCT、MRCPなどの 膵 管 診 断 能 に 限 界 が<br />

ある。 術 後 にも 術 前 同 様 に 内 視 鏡 的 approachの 意 義 は 大 きく、 膵 頭<br />

部 IPMNに 対 してはPPPD/PDの 根 治 性 に 加 えて 術 後 内 視 鏡 的 検 査 可<br />

能 な 今 永 法 再 建 が 有 用 であった。 発 表 では 膵 頭 部 IPMNに 対 する<br />

PPPD/PD 今 永 法 の 成 績 と 術 後 残 膵 の 内 視 鏡 /ERP 所 見 について 報 告<br />

する。<br />

PD3-7<br />

IPMNに 対 する 外 科 治 療 戦 略<br />

1<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 京 女 子 医 科 大 学 統 合 医 科<br />

学 研 究 所<br />

○… 羽 鳥 隆 1<br />

, 君 島 映 1<br />

, 大 島 奈 々 1 , 古 川 徹 2 1<br />

, 山 本 雅 一<br />

【はじめに】 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)…は 腫 瘍 の 発 育 が 緩 徐 であ<br />

り, 仮 に 癌 であっても 外 科 的 切 除 により 長 期 予 後 が 期 待 できるため, 外<br />

科 治 療 をどのように 行 うかは 極 めて 重 要 である.そこで,IPMN 切 除 か<br />

らみた 外 科 治 療 戦 略 を 明 らかにする 目 的 で 検 討 した.【 対 象 と 方 法 】<br />

1981-2010 年 のIPMN 切 除 例 386 例 を 対 象 に, 手 術 適 応 , 術 式 選 択 , 残 膵<br />

follow-upについて 検 討 した.【 結 果 】1) 腺 腫 138 例 , 境 界 領 域 44 例 , 非 浸<br />

潤 癌 94 例 , 由 来 浸 潤 癌 110 例 で53%が 悪 性 であった.…2) 主 膵 管 型 72 例 , 混<br />

合 型 135 例 , 分 枝 型 179 例 で, 悪 性 の 頻 度 は 各 60%,76%,32%と 主 膵 管 型 , 混<br />

合 型 で 高 かった.3) 分 枝 型 において 壁 在 結 節 は64%に 認 め, 非 浸 潤 癌<br />

27%, 由 来 浸 潤 癌 19%で, 非 癌 例 の 平 均 壁 在 結 節 高 3.3mmに 対 し 癌 例 では<br />

7.0mmと 高 かった. 壁 在 結 節 なし(36%)では 由 来 浸 潤 癌 はなく 非 浸 潤 癌<br />

が8%で 多 くは 腺 腫 であった. 平 均 病 変 径 は 壁 在 結 節 ありでは 腺 腫 から<br />

非 浸 潤 癌 まで30 数 mmで 差 がないが, 壁 在 結 節 なしでは 腺 腫 27.8mm, 境<br />

界 病 変 36.7mm, 非 浸 潤 癌 38.8mmと 徐 々に 大 きくなる 傾 向 があった.4)<br />

リンパ 節 転 移 は 由 来 浸 潤 癌 の42%( 微 小 浸 潤 を 除 くと51%), 膵 外 浸 潤 は<br />

58%( 同 71%)に 認 めた.5) 郭 清 を 伴 わない 縮 小 手 術 は 画 像 診 断 で 浸 潤 所<br />

見 のない 場 合 に 適 応 とし,92 例 (24%)に 施 行 されたが,9 例 (8%)に 膵 内 に<br />

留 まるものの 浸 潤 所 見 を 認 めた.90% 以 上 で 膵 機 能 は 保 持 されてい<br />

た.6) 膵 全 体 に 病 変 が 及 ぶIPMNに 対 する 一 期 的 膵 全 摘 は34 例 に 施 行 さ<br />

れ, 悪 性 の 頻 度 は 主 膵 管 型 88%, 混 合 型 100%であったが, 多 発 分 枝 型 では<br />

22%に 留 まっていた.6) 非 浸 潤 性 IPMNの 予 後 は 良 好 であったが, 由 来 浸<br />

潤 癌 の5 生 率 は61%であった.7) 残 膵 治 療 例 は18 例 (5%)に 認 めたが, 初 回<br />

病 変 が 主 膵 管 型 9 例 , 混 合 型 6 例 , 分 枝 型 3 例 と 主 膵 管 拡 張 例 に 多 く, 腺 腫 …8<br />

例 , 非 浸 潤 癌 …4 例 , 由 来 浸 潤 癌 6 例 と 非 浸 潤 性 病 変 が 多 かった.【 結 語 】 主<br />

膵 管 型 , 混 合 型 , 壁 在 結 節 を 伴 うまたは 病 変 径 40mm 以 上 の 分 枝 型 を 手<br />

術 適 応 とし, 浸 潤 所 見 が 疑 われる 場 合 には 郭 清 手 術 を 施 行 すべきであ<br />

る. 浸 潤 所 見 のない 場 合 には 縮 小 手 術 が 選 択 可 能 であるが, 浸 潤 例 も 含<br />

まれる 可 能 性 があることを 念 頭 に 置 くべきである. 膵 全 体 に 及 ぶ 主 膵<br />

管 型 , 混 合 型 は 膵 全 摘 の 適 応 と 考 えられる.<br />

-210-


PD3-8<br />

IPMN 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

1<br />

久 留 米 大 学 外 科 、 2 久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科<br />

○… 久 下 亨 1<br />

, 堀 内 彦 之 1<br />

, 石 川 博 人 1<br />

, 内 田 信 治 2<br />

, 川 原 隆 一 1<br />

,<br />

川 嶋 祐 資 1<br />

, 安 永 昌 史 1<br />

, 緒 方 俊 郎 1<br />

, 御 鍵 和 弘 1<br />

,<br />

吉 冨 宗 宏 1<br />

, 野 北 英 史 1<br />

, 赤 司 昌 謙 1<br />

, 木 下 壽 文 1<br />

,<br />

1<br />

白 水 和 雄<br />

【 目 的 】IPMN 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 組 織 学 的 検 討 を 行 った.【 方 法 】<br />

1995~2011 年 に 手 術 を 施 行 した56 例 を 対 象 とし,… それらの 永 久 標 本 を<br />

用 いて 組 織 形 態 による 分 類 と 免 疫 染 色 を 行 った.【 成 績 】 組 織 型 は<br />

IPMA27 例 (48%),…IPMC5 例 (9%),… 由 来 浸 潤 癌 24 例 (43%)で あ っ た.…<br />

IPMAのうち,… 分 枝 型 74%, 主 膵 型 20%,… 混 合 型 6%,…IPMCでは,… 分 枝 型<br />

40%, 主 膵 型 40%,… 混 合 型 20%,… 由 来 浸 潤 癌 では,… 分 枝 型 4%, 主 膵 型 88%,…<br />

混 合 型 8%であった.…IPMAとIPMCにおいて,… 通 常 型 膵 癌 並 存 例 3 例 以<br />

外 での 死 亡 例 はなく,… 由 来 浸 潤 癌 の5 年 生 存 率 は56%であった.…IPMCと<br />

由 来 浸 潤 癌 におけるsubtype 分 類 では,…gastr…ic…typeは1 例 が 癌 (5%),…<br />

intestinal…typeは16 例 が 癌 (67%)で,… そのうち9 例 が 由 来 浸 潤 癌 (38%),…<br />

pancreatobiliary…typeとoncocytic…type…は 全 例 浸 潤 癌 (100%)であった.…<br />

リンパ 節 転 移 は 由 来 浸 潤 癌 で 認 められたが, intestinal…typeと<br />

pancreatobiliary…typeが 各 々2 例 で,……n1を 越 える 症 例 は 認 めなかった.…<br />

局 所 進 行 例 は8 例 に 認 められ,…intestinal…typeとpancreatobiliary…type<br />

が 各 々4 例 ,… 腫 瘍 先 進 部 の 組 織 型 は 管 状 型 6 例 ,… 粘 液 型 2 例 であった.… 術<br />

後 の 経 過 観 察 中 に 再 発 した7 症 例 中 ,… 局 所 再 発 あるいは 腹 膜 播 種 で 死<br />

亡 された 症 例 は5 例 で,…intestinal…typeは2 例 ,…pancreatobiliary…type…3<br />

例 .…… 残 膵 再 発 し 切 除 した2 例 は 共 にintestinal…typeであった.…【 結 語 】 主<br />

膵 管 型 IPMNは 悪 性 度 が 高 く,… 切 除 +D2。 分 枝 型 については,… 大 部 分 が<br />

良 性 ~ 上 皮 内 癌 であるが,…わずかながら 進 行 例 もあり 注 意 が 必 要 であ<br />

る.…また,… 亜 型 分 類 はtypeにより 悪 性 度 や 進 行 度 が 異 なっており,… 術 前<br />

に 判 断 できるような 手 法 が 確 立 できれば,… 治 療 方 針 の 決 定 に 寄 与 する<br />

可 能 性 が 考 えられる.<br />

PD3-9<br />

IPMNの 手 術 治 療 方 針 : 特 に 腫 瘍 本 体 の 性 状 ・ 膵 断 端 の<br />

所 見 と 残 膵 局 所 再 発 との 関 連 について<br />

1<br />

東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 統 合 癌 治 療 外 科 学<br />

○… 岡 田 恭 穂 1<br />

, 江 川 新 一 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 林 洋 毅 1<br />

,<br />

中 川 圭 2<br />

, 水 間 正 道 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

,<br />

大 塚 英 郎 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 内 藤 剛 1<br />

,<br />

力 山 敏 樹 1<br />

, 片 寄 友 2 1<br />

, 海 野 倫 明<br />

【 目 的 】IPMNの 診 断 と 治 療 は 国 際 診 療 ガイドラインにて 一 定 の 方 向<br />

性 が 示 されたが、 悪 性 度 スペクトラムが 広 いため 拡 大 手 術 から 膵 温 存<br />

を 目 指 す 縮 小 手 術 まで 行 われる。しかし 膵 全 摘 を 除 く 術 式 を 選 択 した<br />

場 合 、 必 ず 残 膵 局 所 再 発 の 問 題 に 直 面 する。 今 回 、 当 科 で 施 行 された<br />

IPMN 根 治 切 除 例 について、 特 に 腫 瘍 本 体 の 性 状 ・ 膵 断 端 所 見 と 局 所<br />

再 発 との 関 連 に 焦 点 を 当 て 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】 当 科 の 手 術 方 針<br />

は(1) 膵 断 端 迅 速 組 織 診 でsevere…dysplasia 以 上 を 認 めれば 全 摘 を 含 め<br />

た 追 加 切 除 を 行 う(2) 全 長 にわたる 主 膵 管 型 病 変 では 膵 全 摘 を 施 行 (3)<br />

残 膵 に 嚢 胞 ・ 拡 張 が 存 在 しても 結 節 性 病 変 がなければ 膵 全 摘 は 避 ける<br />

(4) 術 後 は6-12ヶ 月 毎 に 画 像 で 残 膵 所 見 を 追 跡 する、である。1988 年 1<br />

月 から2011 年 10 月 まで 当 科 でIPMN( 由 来 膵 癌 を 含 む)と 診 断 され 切 除<br />

術 施 行 した148 例 ( 男 性 102 例 、 女 性 46 例 、 手 術 時 平 均 年 齢 65.4 歳 、 主<br />

膵 管 型 : 混 合 型 : 分 枝 型 =25:21:108)を 対 象 とした。 肉 眼 型 、 断 端<br />

所 見 と 残 膵 局 所 再 発 との 関 連 をFisher’s…exact…testにて 解 析 した。 更<br />

には 個 々の 再 発 例 の 特 徴 と 発 見 時 の 進 行 度 、 治 療 について 検 討 を 加 え<br />

た。【 結 果 】 初 回 膵 全 摘 例 を 除 く136 例 の 解 析 で、 術 後 1 年 以 降 で13 例<br />

(9.6%)に 残 膵 局 所 再 発 が 疑 われ、 初 回 手 術 から 再 発 までの 期 間 は17-<br />

168( 中 央 値 48)ヶ 月 と 大 きなばらつきが 見 られた。 外 科 的 膵 切 除 施 行<br />

例 は7 例 で、うち2 例 は 遠 隔 転 移 で 死 亡 した。6 例 は 発 見 時 に 遠 隔 転 移<br />

も 進 行 しており 非 切 除 であった。1 例 は 嚢 胞 径 拡 大 にて 追 加 切 除 を 行 っ<br />

たが 病 理 では 腺 腫 相 当 の 診 断 であった。Subtypeでは 主 膵 管 型 の 残 膵<br />

再 発 率 が 有 意 に 高 かったが(p=0.005)、IPMN 本 体 の 悪 性 度 (p=0.87)、<br />

最 終 膵 断 端 (PCM)の 異 型 度 (p=0.39)では 有 意 差 は 生 じなかった。た<br />

だし、 術 前 所 見 で 多 発 発 生 と 診 断 され、 主 病 変 切 除 かつ 膵 温 存 を 選 択<br />

した 症 例 でも 残 膵 にIPMNが 遺 残 した 例 は 残 膵 再 発 が 高 率 であった<br />

(p=0.02)。【 結 論 】 残 膵 局 所 再 発 は 初 回 手 術 後 発 生 時 期 が 長 期 に 渡 り、<br />

再 手 術 そのものも 困 難 であり、 発 見 時 非 切 除 の 症 例 も 多 い。 病 理 組 織<br />

型 に 関 わらず、 多 発 発 生 例 は 主 病 変 を 切 除 しても 再 発 率 が 高 くより 狭<br />

い 間 隔 での 経 過 観 察 を 要 するし、 状 況 により 膵 全 摘 も 検 討 の 余 地 があ<br />

る。<br />

<br />

<br />

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<br />

<br />

PD4-1<br />

再 発 肝 細 胞 癌 再 肝 切 除 における 術 中 胆 管 損 傷 の 修 復 と<br />

術 後 胆 汁 漏 の 予 防<br />

広 島 大 学<br />

○… 田 代 裕 尊 , 天 野 尋 暢 , 小 林 剛 , 尾 上 隆 司 , 石 山 宏 平 ,<br />

井 手 健 太 郎 , 黒 田 慎 太 郎 , 田 澤 宏 文 , 御 厨 美 洋 ,<br />

安 部 智 之 , 大 下 彰 彦 , 大 段 秀 樹<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 肝 切 除 時 の 胆 管 損 傷 は 術 後 の 胆 汁 漏 を 招 き、 術 後 感 染<br />

症 や 肝 不 全 の 原 因 となりしばしば 治 療 に 難 渋 することがある。 術 中 胆<br />

管 損 傷 の 対 策 ・ 治 療 として、 損 傷 部 の 縫 合 閉 鎖 、 止 血 剤 などの 貼 付 、<br />

また 胆 道 内 圧 の 減 圧 を 図 り 胆 嚢 管 断 端 よりC-チューブを 挿 入 するなど<br />

の 方 法 が 報 告 されている。この 内 C-チューブの 挿 入 法 は、 初 回 肝 切 除<br />

時 では 胆 摘 後 に 胆 嚢 管 より 挿 入 できるが、 再 肝 切 除 症 例 においてはす<br />

でに 胆 嚢 摘 出 され 残 存 胆 嚢 管 よりのC-チューブ 挿 入 がしばしば 困 難 で<br />

ある。そこで、 今 回 区 域 以 上 の 再 肝 切 除 症 例 における 術 中 胆 管 損 傷 に<br />

対 して、 肝 門 部 グリソン 鞘 切 断 端 の 胆 管 断 端 よりC-チューブ 挿 入 し、<br />

術 後 胆 汁 漏 予 防 効 果 について 検 討 した。【 方 法 ・ 結 果 】2006 年 より<br />

2011 年 6 月 までに 当 科 で 施 行 した 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 再 肝 切 除 101 例<br />

を 対 象 とした。 胆 管 損 傷 に 対 しては、6-0PDSで 縫 合 閉 鎖 し、タココ<br />

ンブを 貼 付 した。2009 年 以 降 では、 損 傷 部 を 閉 鎖 後 さらに 区 域 切 除 以<br />

上 の 再 肝 切 除 において 切 除 断 端 のグリソン 鞘 よりC-チューブの 挿 入 を<br />

行 った。 計 6 例 にグリソン 断 端 の 胆 管 切 断 端 よりC-チューブ 挿 入 を 施<br />

行 した。その6 症 例 の 内 訳 は、 後 区 域 切 除 後 の 残 肝 右 葉 切 除 、 中 央 2 区<br />

域 切 除 後 の 後 区 域 切 除 、S8 亜 区 域 切 除 、 内 側 区 域 切 除 後 の 肝 左 葉 切<br />

除 ( 尾 状 葉 含 む、3 回 目 )、 高 位 背 側 尾 状 葉 切 除 後 内 側 区 域 ・S8 亜 区 域<br />

切 除 、 後 区 域 切 除 後 肝 左 葉 切 除 、S8、5 部 分 切 除 後 肝 後 区 域 切 除 術 で<br />

あった。この 方 法 を 用 いた2009 年 以 降 の51 例 において 術 後 胆 汁 漏 は1<br />

例 (2%)であり、この 症 例 においてはC-チューブを 挿 入 できなかった<br />

症 例 である。C-チューブは 術 後 1ヶ 月 で 抜 去 し、 術 後 経 過 は 良 好 であっ<br />

た。【 考 察 】 再 肝 切 除 においては、 癒 着 や 肝 切 除 後 の 解 剖 学 的 変 化 な<br />

どにより 術 後 の 合 併 症 の 頻 度 が 高 くなるが、 損 傷 胆 管 の 修 復 とC-<br />

チューブ 挿 入 法 による 胆 道 減 圧 法 は 再 肝 切 除 における 術 後 胆 汁 漏 予 防<br />

法 として 有 効 な 方 法 であると 考 えられた。<br />

PD4-2<br />

大 血 管 ( 中 、 左 肝 静 脈 )に 接 した 高 度 肝 障 害 を 有 する 肝 細<br />

胞 癌 に 対 する 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 宮 澤 光 男 , 合 川 公 康 , 岡 田 克 也 , 利 光 靖 子 , 岡 本 光 順 ,<br />

山 口 茂 樹 , 小 山 勇<br />

完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 における 術 中 合 併 症 中 で 最 も 頻 度 が 多 く、 処 置 に<br />

難 渋 するのは 静 脈 性 出 血 である。 特 に、 大 静 脈 よりの 出 血 は 死 に 直 結<br />

する 可 能 性 があり、 制 御 法 の 確 立 が 必 要 である。 我 々は、 可 能 な 限 り<br />

術 中 出 血 量 を 減 少 させるため、モノポーラ 型 のソフト 凝 固 を 止 血 のた<br />

め 多 用 し、 小 血 管 、 索 状 物 は 十 分 にバイポーラ 型 のソフト 凝 固 でシー<br />

リングしてから 切 断 し、 肝 離 断 を 進 行 させている。 今 回 、 当 院 で 経 験<br />

した 中 肝 静 脈 、 左 肝 静 脈 に 接 した 高 度 肝 障 害 を 有 する 肝 細 胞 癌 の 完 全<br />

鏡 視 下 肝 部 分 切 除 症 例 より、 大 血 管 に 接 した 肝 細 胞 癌 切 除 をどのよう<br />

に 施 行 しているか 我 々の 手 技 を 供 覧 する。2008 年 1 月 から2011 年 11 月<br />

までに 埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科 で 施 行 した 完 全 鏡 視<br />

下 肝 切 除 は50 例 であり、 平 均 出 血 量 は54.1±11.2(0-300)mlであり、 開<br />

腹 に 移 行 した 症 例 はなかった。 特 に 大 血 管 に 接 した 肝 細 胞 癌 の 手 術 手<br />

技 で 留 意 している 点 は、1) 術 前 に 腫 瘍 と 大 血 管 との 位 置 関 係 を 十 分 に<br />

把 握 する。2) 術 中 に 腫 瘍 と 大 血 管 との 位 置 関 係 を 術 中 エコーで 十 分 に<br />

把 握 する。3) 大 血 管 に 接 した 部 分 以 外 ののサージカルマージンは 十 分<br />

にとり、ワーキングスペースを 取 るようにする。4) 少 量 の 出 血 でも 止<br />

血 を 十 分 に 行 ってから 次 の 切 除 に 移 る。5) 小 血 管 であっても 十 分 に<br />

シーリングしてから 切 断 する。6) 大 血 管 周 囲 においては、 大 血 管 から<br />

の 枝 が 抜 けた 部 分 はモノポーラ 型 のソフト 凝 固 ( 水 を 滴 下 しながら)で<br />

その 孔 を 確 認 し、なでるように 閉 鎖 する。 本 学 会 においては、ビデオ<br />

にて 大 血 管 ( 中 、 左 肝 静 脈 )に 接 した 高 度 肝 障 害 を 有 する 肝 細 胞 癌 に 対<br />

する 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 において、どのように 出 血 制 御 を 行 うか 我 々<br />

の 手 技 を 述 べたい。<br />

-211-


PD4-3<br />

肝 切 除 中 の 想 定 外 の 血 管 トラブル:なぜ 発 生 し、どう 対<br />

処 する<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 関 崇 , 江 畑 智 希 , 横 山 幸 浩 , 國 料 俊 男 , 角 田 伸 行 ,<br />

伊 神 剛 , 菅 原 元 , 深 谷 昌 秀 , 高 橋 祐 , 上 原 圭 介 ,<br />

板 津 慶 太 , 吉 岡 裕 一 郎 , 梛 野 正 人<br />

【 背 景 】 画 像 診 断 の 発 達 により 外 科 解 剖 の 把 握 は 容 易 となったが、そ<br />

れでも 肝 切 除 における 想 定 外 の 血 管 損 傷 は 発 生 しうる。 特 に 残 肝 側 の<br />

血 管 損 傷 はCriticalで、その 発 生 原 因 および 対 処 法 を 施 設 だけの 経 験<br />

にとどめず 共 有 することは 重 要 である。【 対 象 】2000 年 1 月 から2011 年<br />

9 月 までに681 例 の 肝 切 除 術 を 経 験 し、そのうち6 例 (0.9%)に 残 肝 側 の<br />

血 管 損 傷 が 発 生 した。 疾 患 は 肝 門 部 胆 管 癌 4 例 、 膵 頭 部 癌 ( 術 前 診 断 は<br />

広 範 囲 胆 管 癌 )1 例 、 巨 大 肝 嚢 胞 1 例 。 肝 切 除 術 式 は 左 三 区 域 切 除 2 例 (う<br />

ち 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 併 施 1 例 )、 右 三 区 域 切 除 2 例 、 右 葉 切 除 + 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 1 例 、 左 葉 切 除 1 例 。【 結 果 】1) 損 傷 部 位 : 残 肝 の 肝 動 脈 5<br />

例 : 左 三 区 域 切 除 におけるsupraportal…typeの 右 後 上 肝 動 脈 (A7)、 同<br />

右 後 区 域 肝 動 脈 、 右 三 区 域 切 除 における 固 有 肝 動 脈 、 右 葉 切 除 におけ<br />

る 左 肝 動 脈 、 左 葉 切 除 における 右 肝 動 脈 が 各 1 例 。 残 肝 の 肝 静 脈 1 例 :<br />

右 三 区 域 切 除 における 左 肝 静 脈 (LHV)。2) 損 傷 原 因 : 剥 離 操 作 に 伴<br />

う 損 傷 が4 例 、 誤 認 による 切 離 が2 例 。3) 術 中 対 応 : 動 脈 損 傷 例 のうち<br />

3 例 は 動 脈 損 傷 部 位 切 除 ・ 端 々 吻 合 による 再 建 が 可 能 であった。1 例 は<br />

そのまま 結 紮 切 離 (A7 損 傷 例 )、1 例 は 門 脈 動 脈 化 を 選 択 した。 動 脈 再<br />

建 は 形 成 外 科 医 が 施 行 した。 一 方 、LHV 損 傷 例 は 右 外 腸 骨 静 脈 グラ<br />

フトを 用 いて 再 建 した。4) 術 中 経 過 : 術 中 心 停 止 と 凝 固 障 害 を 各 1 例<br />

に 認 めたが 全 例 無 事 耐 術 した。 出 血 量 1330-5764ml、 手 術 時 間 は11.5-<br />

21… 時 間 。5) 術 後 経 過 :A7 結 紮 切 離 例 では 右 下 横 隔 動 脈 からの 側 副 血<br />

行 を 認 め、 肝 不 全 には 至 らなかった。 他 5 例 の 再 建 血 管 は 開 存 していた。<br />

術 後 在 院 18-99 日 で 軽 快 退 院 した。【 考 察 】 血 管 損 傷 の 主 原 因 は 粗 暴 な<br />

動 脈 剥 離 操 作 と 思 いこみによる 誤 認 であった。このリスクを 減 少 させ<br />

るためには、 前 者 は 基 本 技 術 の 徹 底 を 後 者 ではシュミレーションソフ<br />

トによるバーチャル 手 術 の 利 用 が 考 えられる。 一 方 、 発 生 してしまっ<br />

た 血 管 損 傷 に 対 する 対 応 策 も 重 要 であり、 肝 動 脈 端 々 吻 合 の 代 替 手 法<br />

である 門 脈 動 脈 化 と 側 副 血 行 による 肝 血 流 の 維 持 に 関 しては 知 ってお<br />

くべきである。<br />

PD4-4<br />

術 中 偶 発 的 に 発 生 した 肝 動 脈 損 傷 に 対 する 血 行 再 建 症<br />

例 の 検 討<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 木 原 康 宏 , 杉 浦 禎 一 , 岡 村 行 泰 , 水 野 隆 史 , 金 本 秀 行 ,<br />

上 坂 克 彦<br />

【 背 景 と 目 的 】 肝 胆 膵 領 域 の 進 行 癌 手 術 において 多 様 な 血 管 亜 型 と 肝<br />

動 脈 周 囲 郭 清 を 伴 う 手 術 操 作 により, 偶 発 的 に 肝 動 脈 を 損 傷 し 血 行 再<br />

建 を 要 する 症 例 を 時 に 経 験 する. 今 回 我 々は 肝 胆 膵 領 域 手 術 における<br />

術 中 肝 動 脈 損 傷 症 例 を 提 示 し,その 原 因 , 対 処 法 について 検 討 した.【 対<br />

象 及 び 方 法 】2002 年 11 月 ~2011 年 11 月 に 当 院 施 行 の 膵 , 胆 道 癌 の 根 治<br />

術 のうち, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD) 又 は 肝 切 除 を 施 行 した553 症 例 中 , 術<br />

中 偶 発 的 に 生 じた 肝 動 脈 損 傷 9 例 (1.6%)に 対 し, 血 行 再 建 を 行 った8 例<br />

と 非 再 建 の1 例 の 手 術 の 詳 細 と 周 術 期 合 併 症 につき 検 討 した.…【 結 果 】<br />

術 式 の 概 要 は 肝 切 除 +PD(HPD)が4 例 ( 広 範 囲 胆 管 癌 :2, 肝 門 部 胆 管<br />

癌 :1, 胆 嚢 癌 :1),PDが3 例 ( 下 部 胆 管 癌 :1, 膵 頭 部 癌 :1, 十 二 指 腸 癌 :1),<br />

肝 葉 切 除 + 肝 外 胆 管 切 除 再 建 が2 例 ( 肝 門 部 胆 管 癌 :1, 胆 嚢 癌 :1). 損 傷<br />

した 肝 動 脈 の 概 要 は, 再 建 例 は 上 腸 間 膜 動 脈 由 来 の 右 肝 動 脈 が3 例 , 肝 動<br />

脈 後 区 域 枝 が3 例 , 通 常 分 岐 の 左 右 肝 動 脈 が1 例 ずつであった. 非 再 建 の1<br />

例 はPDでの 肝 動 脈 前 区 域 枝 損 傷 であった. 損 傷 の 原 因 は, 血 管 誤 認 が4<br />

例 , 肝 動 脈 周 囲 郭 清 時 の 損 傷 が4 例 , 右 肝 動 脈 結 紮 時 に 血 栓 が 生 じ 左 肝 動<br />

脈 閉 塞 を 来 した1 例 であった. 血 行 再 建 は 形 成 外 科 医 が 顕 微 鏡 下 で 行 い,<br />

損 傷 部 を 切 除 後 に 端 々 吻 合 が5 例 , 端 々 吻 合 が 困 難 で 血 管 移 行 による 再<br />

建 が3 例 ( 左 肝 動 脈 2 例 , 右 胃 大 網 動 脈 1 例 )であった. 再 建 終 了 後 に 血 栓 形<br />

成 が 疑 われ,fogaty…catheterで 血 栓 除 去 を 行 い 再 疎 通 を 得 たのは2 例 で<br />

あった. 非 再 建 の1 例 はPDの 際 Calot 三 角 の 剥 離 中 に 肝 動 脈 前 区 域 枝 を<br />

損 傷 し, 修 復 は 困 難 であり, 切 離 末 梢 側 から 弱 いながらback…flowとドプ<br />

ラー 超 音 波 で 肝 前 区 域 に 動 脈 波 形 を 認 めたため 非 再 建 とした. 再 建 し<br />

た8 例 は 周 術 期 に 肝 臓 に 虚 血 性 合 併 症 を 認 めなかったが, 非 再 建 の1 例<br />

は 肝 前 区 域 の 一 部 が 肝 梗 塞 ( 第 3 病 日 )から 肝 膿 瘍 ( 第 22 病 日 )を 形 成 し<br />

た.【 考 察 】 血 管 誤 認 による 肝 動 脈 損 傷 の 回 避 には, 局 所 解 剖 の 十 分 な<br />

把 握 だけでなく 動 脈 切 除 前 のテストクランプや 術 中 ドプラー 超 音 波 の<br />

併 用 等 ,より 慎 重 な 手 術 操 作 が 求 められる.また 肝 動 脈 周 囲 郭 清 を 伴 う<br />

場 合 動 脈 損 傷 の 危 険 性 は 皆 無 ではなく, 血 管 損 傷 時 に 迅 速 に 再 建 , 修 復<br />

を 行 える 技 術 ,あるいは 形 成 外 科 医 のバックアップが 非 常 に 重 要 であ<br />

る.<br />

PD4-5<br />

胆 道 癌 に 対 する 肝 動 脈 合 併 切 除 ・ 門 脈 部 分 動 脈 化 の 短 期<br />

および 長 期 成 績 : 肝 動 脈 損 傷 時 における 応 用 可 能 性<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 II<br />

○… 山 吹 匠 , 平 野 聡 , 高 橋 亮 , 野 路 武 寛 , 村 上 慶 洋 ,<br />

海 老 原 裕 磨 , 加 藤 健 太 郎 , 土 川 貴 裕 , 七 戸 俊 明 ,<br />

田 中 栄 一<br />

【 目 的 】 術 中 の 肝 動 脈 の 偶 発 的 損 傷 ではmicro…surgeryを 用 いた 再 建<br />

を 要 する 場 合 もあると 考 えられるが、その 準 備 がされていない 場 合 や<br />

micro…surgeryでも 吻 合 が 困 難 な 症 例 では 門 脈 部 分 動 脈 化 (Arterio-<br />

Portal…Shunting…:…APS)を 応 用 できる 可 能 性 がある。 教 室 では 胆 道 癌<br />

の 根 治 手 術 において 腫 瘍 の 動 脈 ( 周 囲 神 経 叢 ) 浸 潤 例 に 動 脈 合 併 切 除 後<br />

APSを 行 ってきた 経 験 から、その 短 期 および 長 期 成 績 をもとに 動 脈 損<br />

傷 例 に 対 するAPSの 応 用 可 能 性 について 検 討 した。【 対 象 】2000 年 か<br />

ら2007 年 までにAPSを 施 行 した 胆 道 癌 21 症 例 ( 胆 管 癌 14 例 、 胆 嚢 癌 7<br />

例 )。 年 齢 は 中 央 値 で72 歳 (45~81 歳 )であった。 原 発 巣 の 切 除 術 式 は<br />

肝 外 胆 管 切 除 が13 例 (3 例 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 併 施 )、 肝 切 除 が8 例 ( 肝<br />

左 葉 尾 状 葉 切 除 7 例 、 肝 左 3 区 域 尾 状 葉 切 除 …1 例 )であった。21 例 中 、<br />

20 例 は 広 範 な 肝 動 脈 ( 周 囲 神 経 叢 ) 浸 潤 症 例 に 肝 動 脈 と 原 発 巣 のen…<br />

bloc 切 除 後 に 適 応 し、1 例 では 腫 瘍 に 浸 潤 された 右 肝 動 脈 の 偶 発 的 損<br />

傷 時 にmicro…surgeryでも 再 建 が 不 可 能 であったため、 緊 急 処 置 とし<br />

て 施 行 した。【 方 法 】シャントは 総 肝 動 脈 (または 胃 十 二 指 腸 動 脈 )を<br />

門 脈 腹 側 にルーペを 用 いて 端 側 吻 合 した。 術 後 約 1ヶ 月 に 血 管 造 影 を<br />

行 い 側 副 血 行 路 の 発 達 を 確 認 後 、APSをコイルにて 塞 栓 した。【 結 果 】<br />

手 術 時 間 は 中 央 値 761 分 (268~946 分 )、 術 中 出 血 量 は 中 央 値 1730ml…<br />

(515~4195ml)、7 例 で 輸 血 を 必 要 とした。 合 併 症 は 胆 汁 漏 が3 例 、 肝<br />

膿 瘍 が3 例 (すべて 肝 左 葉 尾 状 葉 切 除 症 例 )、 敗 血 症 が2 例 、 肝 機 能 障 害<br />

が1 例 、APS 再 開 通 による 門 脈 圧 亢 進 症 が1 例 にみられたが 肝 不 全 、 手<br />

術 関 連 死 亡 は 認 めず、 術 後 在 院 日 数 は 中 央 値 で58 日 (29~340 日 )であっ<br />

た。 術 後 生 存 期 間 の 中 央 値 はOSで21ヶ 月 であり、 最 長 8 年 1ヶ 月 の 生<br />

存 例 も 認 めた。【 結 論 】APSは 肝 動 脈 損 傷 時 のmicro…surgeryによる 動<br />

脈 再 建 の 代 替 手 段 として 有 用 である 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

PD4-6<br />

動 脈 再 建 困 難 な 生 体 肝 移 植 における 非 解 剖 学 的 動 脈 再<br />

建 の 有 用 性<br />

九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 森 田 和 豊 , 調 憲 , 内 山 秀 昭 , 吉 屋 匠 平 , 武 藤 純 ,<br />

的 野 る 美 , 間 野 洋 平 , 戸 島 剛 男 , 橋 本 直 隆 , 萱 島 寛 人 ,<br />

増 田 稔 郎 , 池 上 徹 , 吉 住 朋 晴 , 池 田 哲 夫 , 前 原 喜 彦<br />

【 背 景 】 生 体 肝 移 植 の 動 脈 再 建 において、 通 常 と 違 ってレシピエント<br />

の 肝 動 脈 が 吻 合 に 利 用 できない 症 例 では、レシピエントの 肝 動 脈 以 外<br />

の 動 脈 が 再 建 に 利 用 される。 肝 動 脈 再 建 はグラフト 生 存 や 胆 管 狭 窄 を<br />

左 右 する 重 要 な 因 子 である。【 目 的 】 生 体 肝 移 植 における 非 解 剖 学 的<br />

動 脈 再 建 の 成 績 とその 意 義 を 明 らかにする。【 方 法 】(1)…1996 年 から<br />

2011 年 までの 生 体 肝 移 植 症 例 411 例 …( 初 回 移 植 403 例 、 再 移 植 8 例 )、お<br />

よび 肝 移 植 後 肝 動 脈 合 併 症 のために 再 再 建 を 要 した6 例 の 計 417 例 を 対<br />

象 として、 非 解 剖 学 的 再 建 の 症 例 数 やその 際 に 利 用 した 動 脈 を 調 べた。<br />

(2)… 初 回 移 植 403 例 について、 解 剖 学 的 再 建 群 375 例 と 非 解 剖 学 的 再 建<br />

群 28 例 との 間 で、グラフト 生 存 率 、 無 胆 管 狭 窄 生 存 率 を 比 較 した。【 結<br />

果 】(1)… 非 解 剖 学 的 動 脈 再 建 は 初 回 移 植 403 例 中 28 例 (7%),… 再 移 植 8 例<br />

中 4 例 (50%),… 再 再 建 6 例 中 5 例 (83%)の 計 37 例 において 行 われた。 非 解<br />

剖 学 的 再 建 に 利 用 された 動 脈 は 右 胃 大 網 動 脈 16 例 、 右 胃 動 脈 6 例 、 胃<br />

十 二 指 腸 動 脈 6 例 、 胆 嚢 動 脈 3 例 、 左 胃 動 脈 2 例 、 脾 動 脈 2 例 、 前 上 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 1 例 、 間 置 動 脈 4 例 であった。(2)… 初 回 移 植 403 例 において、<br />

5 年 グラフト 生 存 率 は 解 剖 学 的 再 建 群 …81%、 非 解 剖 学 的 再 建 群 …88%で<br />

有 意 差 を 認 めなかった。5 年 無 胆 管 狭 窄 生 存 率 は 解 剖 学 的 再 建 群 …81%、<br />

非 解 剖 学 的 再 建 群 …65%であった…(P


PD4-7<br />

肝 胆 膵 外 科 領 域 における 体 外 循 環 、 門 脈 置 換 グラフトの<br />

有 用 性<br />

旭 川 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 谷 口 雅 彦 , 渡 邊 賢 二 , 永 生 高 広 , 今 井 浩 二 , 唐 崎 秀 則 ,<br />

古 川 博 之<br />

< 背 景 > 肝 胆 膵 外 科 領 域 の 手 術 においては、 門 脈 周 囲 、 下 大 静 脈 周 囲<br />

の 剥 離 操 作 、あるいは 門 脈 圧 亢 進 症 による 門 脈 系 の 側 副 血 行 路 の 発 達<br />

に 伴 い 大 量 の 出 血 を 認 めることがある。これまで 我 々は 生 体 肝 移 植 術<br />

において、 門 脈 圧 亢 進 症 、あるいは 下 大 静 脈 周 囲 の 高 度 癒 着 によって<br />

出 血 が 予 想 される 症 例 に 対 して 体 外 循 環 を 用 いた 出 血 のコントロール<br />

を 行 ってきた。さらに 狭 小 化 をきたした 門 脈 に 対 しては 外 腸 骨 静 脈 グ<br />

ラフトを 用 いた 置 換 グラフトによる 再 建 を 行 ってきた。< 目 的 > 門 脈<br />

系 からの 予 期 せぬ 出 血 に 対 し 体 外 循 環 + 置 換 グラフトによる 門 脈 再 建<br />

が 有 用 であった 症 例 を 通 して 肝 胆 膵 外 科 手 術 における 対 外 循 環 、 血 管<br />

グラフトの 有 用 性 を 検 討 する。< 症 例 >70 代 、 男 性 。 嚢 胞 感 染 を 伴 う<br />

膵 頭 部 IPMNに 対 し 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 + 門 脈 合 併 切 除 を 施<br />

行 した。 炎 症 により 門 脈 周 囲 の 癒 着 が 強 固 で、 門 脈 周 囲 の 剥 離 操 作 中<br />

に 門 脈 ・ 脾 静 脈 損 傷 によって 出 血 コントロール 不 能 となった。そこで<br />

急 遽 ヘパリンコーティングチューブを 用 いた 上 腸 管 静 脈 - 左 大 腿 静 脈<br />

バイパス 下 に 門 脈 を 切 離 し、 腫 瘍 摘 出 をした 後 に 外 腸 骨 静 脈 グラフト<br />

を 用 いて 門 脈 再 建 を 行 った。 体 外 循 環 によって 循 環 動 態 が 安 定 し、 安<br />

全 に 手 術 を 進 めることが 可 能 となり、 術 後 21 日 で 退 院 となった。< 考<br />

察 > 肝 胆 膵 外 科 手 術 における 門 脈 系 の 出 血 に 対 して 生 体 肝 移 植 の 技 術<br />

を 応 用 した 体 外 循 環 、 門 脈 置 換 グラフトは 有 用 あった。<br />

PD5-1<br />

Vp4 進 行 肝 細 胞 癌 に 対 しsorafenib+CDDP 肝 動 注 療<br />

法 施 行 後 、 肝 切 除 を 施 行 し 得 た1 症 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 石 崎 守 彦 , 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 中 竹 利 知 , 松 島 英 之 ,<br />

坂 口 達 馬 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 切 除 不 能 進 行 肝 細 胞 癌 (Vp4) 症 例 に 対 し、sorafenibおよび<br />

CDDP 肝 動 注 療 法 により 切 除 可 能 となった 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。【 症 例 】 糖 尿 病 にて 近 医 通 院 中 、 心 窩 部 痛 およびPIVKA-IIの 上 昇<br />

を 認 めたため 当 院 紹 介 受 診 となった。 肝 炎 ウィルスマーカー 陰 性 、 腫<br />

瘍 マーカーはAFP:22640…ng/ml,、PIVKA-II:35140…mAU/mlと 著<br />

明 に 上 昇 、 腹 部 造 影 CTにて 肝 右 葉 からS4 領 域 にかけてびまん 性 に 早<br />

期 濃 染 を 伴 う7cm 大 の 腫 瘍 および 門 脈 本 幹 ・ 左 枝 に 至 る 腫 瘍 塞 栓 を 認<br />

めた。その 他 遠 隔 転 移 は 認 めなかった。 同 意 のうえSorafenib+CDDP<br />

分 割 肝 動 注 併 用 療 法 (UMIN000004107)を 行 った。 肝 動 注 リザーバー<br />

を 右 大 腿 動 脈 から 先 端 は 総 肝 動 脈 に 留 置 し、Sorafenib:400mg/day<br />

(day1-28) 内 服 +CDDP:30mg/m2(day1,8,15) 肝 動 注 を 外 来 にて 施 行<br />

した。 有 害 事 象 としては1コース 目 にgrade2の 血 小 板 低 下 、2コース<br />

目 にgrade2の 高 血 圧 を 認 めたが、grade3 以 上 の 有 害 事 象 はなく 治 療<br />

継 続 可 能 であった。3コース 施 行 後 、 腫 瘍 マーカーはAFP:16283…<br />

ng/ml,、PIVKA-II:2924…mAU/mlへと 低 下 し、… 腹 部 造 影 CTにて 腫 瘍<br />

径 は2cmへと 縮 小 が 認 められ(PR)、 門 脈 本 管 および 左 枝 の 腫 瘍 塞 栓<br />

は 消 失 しており 右 枝 にのみ 認 められた(Vp3)。 切 除 可 能 と 判 断 し、1<br />

カ 月 の 休 薬 期 間 の 後 、 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 超 音 波 検 査 にて<br />

門 脈 本 幹 に 腫 瘍 塞 栓 の 遺 残 が 疑 われたため、 門 脈 を 切 開 し 腫 瘍 塞 栓 を<br />

可 及 的 に 摘 出 したが、 病 理 組 織 学 的 には 腫 瘍 壊 死 像 を 呈 しており<br />

viableなHCCは 認 められなかった。 術 後 血 小 板 低 下 が1カ 月 間 継 続 し<br />

たが 徐 々に 改 善 し、また 難 治 性 胸 腹 水 を 認 め 長 期 間 ドレナージを 要 し<br />

たが、 術 後 70 日 目 に 軽 快 退 院 された。 術 後 4ヶ 月 目 の 現 在 、 再 発 兆 候<br />

を 認 めていない。【 結 語 】Vp4の 進 行 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 方 針 は 未<br />

だに 確 立 されていないのが 現 状 である。 近 年 、 切 除 不 能 進 行 肝 細 胞 癌<br />

に 対 する 集 学 的 治 療 により 切 除 可 能 へとconversionする 症 例 が 散 見 さ<br />

れているが、 我 々の 行 っているSorafenib+CDDP 分 割 肝 動 注 併 用 療 法<br />

は 有 効 的 な 治 療 法 の1つと 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

PD5-2<br />

大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 のタイミングに 苦<br />

慮 した1 例<br />

公 益 財 団 法 人 田 附 興 風 会 医 学 研 究 所 北 野 病 院 消 化 器 センター 消 化<br />

器 外 科<br />

○… 井 上 善 景 , 門 野 賢 太 郎 , 寺 嶋 宏 明 , 川 本 浩 史 , 戸 田 怜 ,<br />

吉 冨 摩 美 , 飯 田 拓 , 尾 崎 信 弘<br />

切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 しては、FOLFOXやFOLFIRIの 標 準<br />

的 レジメンに 分 子 標 的 薬 を 追 加 する 化 学 療 法 によって 切 除 可 能 となる<br />

症 例 が 増 加 しているが、 一 方 で 化 学 療 法 が 奏 効 している 場 合 の 肝 切 除<br />

を 行 う 適 切 なタイミングについては 検 討 課 題 として 残 っている。 今 回<br />

肝 切 除 のタイミングに 苦 慮 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は<br />

60 代 男 性 。 前 医 で 上 行 結 腸 癌 と 切 除 不 能 同 時 性 肝 転 移 ( 右 葉 に 最 大 径<br />

10cmを 含 む3 個 の 腫 瘍 、 下 大 静 脈 浸 潤 陽 性 )と 診 断 され、 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 右 結 腸 切 除 (pSE…pN1…cM0…cH2…GradeB)を 先 行 、 術 後 に<br />

mFOLFOX6+Cetuximabを12kurr、LV5FU2+Cetuximabを2kurr 施<br />

行 し、 肝 転 移 巣 の 著 明 な 縮 小 が 得 られた。その 後 当 科 紹 介 され、 肝 切<br />

除 を 考 慮 したが、 肝 予 備 能 の 低 下 (ICGR15:20.9%、KICG:0.12)、%<br />

残 肝 容 量 の 低 値 (CT…volumetry:45%)、 骨 髄 抑 制 による 血 小 板 減 少<br />

(Plt:3 万 /μL) 認 めていたために、 門 脈 塞 栓 ( 経 回 腸 静 脈 的 アプロー<br />

チ:TIPE)を 施 行 した。TIPE4 週 間 後 に% 残 肝 容 量 は 増 加 (45%→53%)<br />

したものの、KICGの 低 下 (0.12→0.103) 認 めたために、さらに 観 察 期<br />

間 をおいた。TIPE6 週 間 後 に% 残 肝 容 量 はさらに 増 加 (53%→60%)し、<br />

KICGも 回 復 (0.103→0.119)、 血 小 板 減 少 は 持 続 (Plt:6.1 万 μL)してい<br />

たものの、 最 終 化 学 療 法 施 行 後 10 週 経 過 し、CEAの 上 昇 (11.2→24.0)<br />

が 認 められたために、 拡 大 右 葉 切 除 術 + 下 大 静 脈 合 併 切 除 を 施 行 した。<br />

出 血 は710gで 手 術 時 間 は13 時 間 25 分 で あ り、 術 後 肝 断 端 fluid…<br />

collectionへ 感 染 症 状 認 めたものの、 抗 菌 治 療 で 軽 快 し、 術 後 第 26 病<br />

日 に 退 院 となった。 化 学 療 法 が 奏 効 している 場 合 、 漫 然 と 継 続 するこ<br />

とで 肝 障 害 や 骨 髄 抑 制 が 出 現 し、 肝 切 除 のタイミングを 逸 する 可 能 性<br />

がある。どのタイミングで 手 術 を 行 い、どのように 手 術 に 必 要 な 肝 機<br />

能 を 維 持 し、 化 学 療 法 による 合 併 症 を 管 理 するかを 念 頭 においた 長 期<br />

的 治 療 計 画 の 立 案 が 重 要 であると 考 えられる。<br />

PD6-1<br />

興 味 ある 病 態 および 治 療 経 過 を 示 した 高 ビリルビン 血<br />

症 の1 例<br />

1<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科 、 2 奈 良 県 立 医 科 大 学 消<br />

化 器 内 科 、 3 奈 良 県 立 医 科 大 学 放 射 線 科<br />

○… 童 仁 1<br />

, 庄 雅 之 1<br />

, 野 見 武 男 1<br />

, 赤 堀 宇 広 1<br />

, 山 戸 一 郎 1<br />

,<br />

北 東 大 督 1<br />

, 川 口 千 尋 1<br />

, 安 田 里 司 1<br />

, 木 下 正 一 1<br />

,<br />

金 廣 裕 道 1<br />

, 美 登 路 昭<br />

1,2<br />

, 末 吉 智 3<br />

, 穴 井 洋 3<br />

, 西 尾 福 英 之 3<br />

,<br />

中 島 祥 介<br />

1<br />

【 症 例 】72 歳 男 性 .2005 年 に 胃 癌 に 対 して 胃 全 摘 ,R-Y 再 建 術 を 施 行 .<br />

2010 年 11 月 にフォローの 腹 部 造 影 CT 検 査 を 施 行 したところ, 胆 嚢 癌<br />

および 総 胆 管 浸 潤 を 指 摘 され, 手 術 予 定 となった. 黄 疸 は 軽 度 であっ<br />

たが,AST:708,ALT:624と, 高 度 の 肝 機 能 障 害 を 認 めたため, 緊<br />

急 入 院 とし,PTCDを 施 行 した. 一 旦 肝 機 能 は 改 善 したが,4 日 後 に<br />

自 然 抜 去 となった.その 後 急 激 なビリルビンの 上 昇 を 来 し, 抜 去 後 3<br />

日 目 にはT-Bil:46.7と, 異 常 高 値 を 認 めた. 緊 急 胆 道 ドレナージを 必<br />

要 としたが, 肝 内 胆 管 の 拡 張 は 認 めず, 再 度 PTCDを 試 みたが 挿 入 不<br />

可 能 であった.また, 挿 入 手 技 の 際 に 肝 動 脈 からの 出 血 により, 大 き<br />

な 被 膜 下 血 腫 を 来 し,IVR 下 での 塞 栓 術 ,および 多 量 の 輸 血 を 要 した.<br />

その 後 もさらに 黄 疸 は 増 悪 し,T-Bil:54.1まで 上 昇 した.ダブルバルー<br />

ン 内 視 鏡 による 経 乳 頭 的 ドレナージも 試 みたが, 不 成 功 に 終 わった.<br />

ビリルビン 吸 着 療 法 も 行 ったが, 減 黄 効 果 は 軽 度 であり,また 一 時 的<br />

であった. 全 身 状 態 不 良 であったが, 救 命 のためには 減 黄 ドレナージ<br />

が 必 須 であると 判 断 し, 開 腹 下 に 十 二 指 腸 を 切 開 し, 透 視 下 に 経 乳 頭<br />

的 ドレナージを 行 った. 原 発 巣 はすでに 肝 十 二 指 腸 間 膜 への 浸 潤 を 認<br />

め, 切 除 不 能 と 判 断 した. 術 後 , 速 やかに 黄 疸 は 消 失 した. 全 身 状 態<br />

の 安 定 を 待 ち, 経 乳 頭 的 チューブ 造 影 下 にPTCD 挿 入 し, 胆 管 ステン<br />

トを 留 置 した. 現 在 術 後 1 年 , 外 来 通 院 にて 化 学 療 法 継 続 中 である.【 考<br />

察 】PTCD 自 然 抜 去 後 , 短 期 間 での 血 清 総 ビリルビン 値 の 異 常 な 上 昇 …<br />

を 認 めたが, 肝 内 胆 管 の 拡 張 認 めないことから,PTCD 穿 刺 によるシャ<br />

ントが 形 成 され, 胆 汁 の 体 循 環 への 直 接 流 入 を 疑 った. 解 剖 学 的 には,<br />

同 一 グリソン 内 の 胆 管 ‐ 門 脈 シャントが 最 も 考 えられた. 胆 管 門 脈<br />

瘻 では, 胆 道 出 血 を 来 すことが 多 いとされるが, 本 症 例 では, 胆 管 閉<br />

塞 による 胆 管 内 圧 の 上 昇 が, 門 脈 圧 を 上 回 ったと 推 察 される. 本 症 例<br />

における 高 ビリルビン 血 症 は,PTCDチューブ 自 然 抜 去 後 の 極 めて 稀<br />

ではあるが, 興 味 ある 病 態 であると 思 われた.また, 治 療 にかなり 難<br />

渋 したが, 開 腹 下 胆 道 ドレナージにより 劇 的 に 改 善 し, 救 命 し 得 た 一<br />

例 であった.<br />

-213-


PD6-2<br />

左 右 門 脈 分 岐 部 狭 窄 を 伴 う 肝 門 部 型 肝 内 胆 管 癌 の1 切<br />

除 症 例<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 小 野 嘉 大 , 斎 浦 明 夫 , 古 賀 倫 太 郎 , 有 田 淳 一 , 竹 村 信 行 ,<br />

吉 岡 龍 二<br />

症 例 は48 歳 女 性 。 検 診 で 肝 機 能 異 常 を 指 摘 、 精 査 にて 肝 内 胆 管 癌 疑 い<br />

で 当 科 紹 介 となった。 当 院 MDCTにて、 腫 瘍 は4.7cm 大 、 前 区 域 から<br />

内 側 区 域 にまたがり 肝 門 板 に 広 く 接 し、 前 区 域 門 脈 は 途 絶 、 後 区 域 門<br />

脈 狭 小 化 、 門 脈 左 枝 も 造 影 はされるがかなり 狭 小 化 しており、 途 絶 し<br />

かかっていた。また、 黄 疸 を 認 めないも 肝 胆 道 系 酵 素 は、γGTP…<br />

545IU/L、ALP…1059IU/Lと 上 昇 、 右 肝 内 胆 管 はそれぞれ 末 梢 で 泣 き<br />

別 れて 拡 張 、 左 肝 管 は 軽 度 拡 張 を 認 めていた。 腫 瘍 マーカーは、<br />

CEA…3.6ng/ml、CA19-9…1535U/mlとCA19-9の 上 昇 を 認 めた。 腫 瘍 の<br />

局 在 から、S1、S4aを 切 除 する 拡 大 右 肝 切 除 術 が 必 要 と 考 えられた。<br />

肝 機 能 はICG…R15…13.5%、K 値 …0.133であり、 肝 容 量 は、 全 肝 (TLV)…<br />

1271ml、 標 準 肝 容 積 (SLV)…1132mlであり、 拡 大 右 肝 切 除 を 施 行 した<br />

際 の 残 肝 (RLV)は352ml、RLV/TLV:27.7%、RLV/SLV:31.1%であっ<br />

た。 本 来 ならば 術 前 門 脈 塞 栓 術 を 施 行 し、 左 肝 の 肥 大 を 促 した 後 に 手<br />

術 を 施 行 したいところであるが、 門 脈 左 枝 が 狭 小 化 していたために 門<br />

脈 塞 栓 術 を 断 念 、 早 期 手 術 が 必 要 と 考 え、 初 診 から1 週 間 で 手 術 にふ<br />

みきった。 術 式 は 拡 大 右 肝 切 除 、 門 脈 合 併 切 除 再 建 、 肝 外 胆 管 切 除 術 、<br />

手 術 時 間 は528 分 、 出 血 量 は500mlであった。 術 後 胆 管 炎 に 起 因 する<br />

と 思 われる 発 熱 のため 抗 菌 薬 投 与 を 要 したが、 第 30 病 日 に 退 院 となっ<br />

た。 病 理 組 織 学 的 所 見 は、 肝 内 胆 管 癌 、im(-)、eg、s0、n0、vp4、<br />

vv0、va0、b1、p0、sm(-)、f0、T3N0M0…StageIIIであった。2007 年<br />

の 胆 道 癌 診 療 ガイドラインでは、「 肝 右 葉 切 除 以 上 ,あるいは 切 除 率<br />

50~60% 以 上 の 肝 切 除 を 予 定 する 症 例 ,とくに 黄 疸 肝 症 例 には 術 前 門<br />

脈 塞 栓 術 を 考 慮 してよい。 術 後 合 併 症 や 手 術 関 連 死 亡 を 減 少 させる 可<br />

能 性 がある( 推 奨 度 C1)」と 記 載 されており、 当 科 においても 残 肝 容<br />

量 が30% 以 下 となる 症 例 では、 術 前 門 脈 塞 栓 術 を 施 行 している。しか<br />

し、 過 去 の 文 献 では、 残 肝 容 量 が20%を 超 えていれば 切 除 可 能 とする<br />

報 告 もあり、 本 症 例 の 手 術 適 応 については 議 論 のあるところである。<br />

今 回 我 々は、 患 者 の 年 齢 を 含 めた 全 身 状 態 を 考 え、 手 術 可 能 と 判 断 し<br />

た。<br />

PD6-3<br />

腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 を 伴 う 中 下 部 胆 管 癌 に 対 する 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除<br />

1<br />

公 立 昭 和 病 院 外 科 ・ 消 化 器 外 科 、 2 公 立 昭 和 病 院 循 環 器 内 科 、<br />

3<br />

公 立 昭 和 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 秦 正 二 郎 1<br />

, 三 木 健 司 1<br />

, 國 土 貴 嗣 1<br />

, 照 屋 正 則 1<br />

,<br />

田 中 茂 博 2 3<br />

, 清 水 誠 一 郎<br />

【 症 例 】61 歳 男 性 。 全 身 掻 痒 感 ・ 白 色 便 ・ 黄 疸 で 発 症 。 消 化 器 内 科 受<br />

診 時 の 総 ビリルビン 値 …12.4…mg/dl、 直 接 ビリルビン 値 …9.7…mg/dl。 炎<br />

症 所 見 なし。CTで 肝 内 胆 管 から 上 部 胆 管 の 著 明 な 拡 張 と 中 部 から 下<br />

部 胆 管 にかけての 急 激 な 狭 窄 、 狭 窄 部 分 の 壁 肥 厚 と 造 影 効 果 を 認 め、<br />

中 下 部 胆 管 癌 と 診 断 した。 明 らかなリンパ 節 転 移 ・ 遠 隔 転 移 は 認 めず、<br />

切 除 適 応 と 判 断 。 減 黄 のためステントを 留 置 した。 造 影 CTでは 膵 頭<br />

部 付 近 の 動 脈 が 発 達 しており、 腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 を 疑 ったので、<br />

血 管 造 影 を 行 った。 血 管 造 影 では 固 有 肝 動 脈 ・ 脾 動 脈 が 上 腸 間 膜 動 脈<br />

からの 造 影 で 膵 のアーケードを 中 心 とした 経 路 により 描 出 された。 既<br />

往 歴 : 心 筋 梗 塞 ・ 高 血 圧 。【 治 療 】このまま 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 えば、<br />

膵 のアーケード 切 除 することになり、 肝 臓 ・ 脾 臓 ・ 胃 の 動 脈 血 流 が 保<br />

てない 可 能 性 があるため、 術 前 に 腹 腔 動 脈 の 狭 窄 部 にステントを 挿 入<br />

した。 腹 腔 動 脈 からの 造 影 で 固 有 肝 動 脈 ・ 胃 十 二 指 腸 動 脈 ・ 脾 動 脈 が<br />

描 出 されるのを 確 認 。 抗 血 小 板 薬 を2 週 間 使 用 し、1 週 間 休 薬 した 後 に、<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 った。 術 後 は、ISGPF…Grade…Bの 膵 液 漏 を 認 め<br />

たが、それ 以 外 はおおむね 経 過 は 良 好 であった。【 考 察 】 腹 腔 動 脈 に<br />

狭 窄 を 認 める 症 例 では、 膵 頭 部 のアーケードなどの 側 副 血 行 路 を 介 し<br />

て 肝 臓 などが 動 脈 血 流 を 受 ける 場 合 が 多 く、そのまま 通 常 の 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 を 行 うと、 肝 臓 ・ 脾 臓 などの 動 脈 血 流 が 保 てず、 重 篤 な 合 併<br />

症 につながる 危 険 性 がある。CTでは 見 落 とす 可 能 性 があるが、 動 脈<br />

相 で 膵 頭 部 周 囲 の 動 脈 が 強 く 造 影 されているような 場 合 は、 腹 腔 動 脈<br />

の 狭 窄 を 疑 わなければならない。 狭 窄 を 認 めた 場 合 は、 狭 窄 の 解 除 (ス<br />

テント 留 置 など)、アーケードの 温 存 、 血 行 再 建 などの 選 択 肢 が 考 え<br />

られる。 狭 窄 の 原 因 、 腫 瘍 の 局 在 、 進 行 度 、 郭 清 範 囲 などを 考 慮 して<br />

治 療 を 選 択 する 必 要 がある。【 結 語 】 腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 を 伴 う 胆<br />

管 癌 に 対 して、 術 前 にステントを 挿 入 して 腹 腔 動 脈 の 血 流 を 確 保 して<br />

から、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 安 全 に 施 行 できた 症 例 を 経 験 したので、 報<br />

告 した。<br />

PD7-1<br />

膵 切 除 術 後 動 脈 出 血 に 対 する 集 学 的 治 療 -IVR 動 脈 塞<br />

栓 術 + 開 腹 血 行 再 建 術 により 救 命 しえた1 例<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 医 科 学 講 座 外 科<br />

○… 首 藤 毅 , 村 上 義 昭 , 上 村 健 一 郎 , 橋 本 泰 司 , 中 島 亨 ,<br />

中 川 直 哉 , 大 毛 宏 喜 , 末 田 泰 二 郎<br />

【 目 的 】 膵 切 除 術 後 の 膵 液 瘻 や 腹 腔 内 膿 瘍 に 伴 う 動 脈 出 血 は 死 亡 率 の<br />

高 い 重 篤 な 合 併 症 であり、その 治 療 成 績 が 膵 切 除 術 のmortalityを 左<br />

右 するといえる。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 に 膵 液 瘻 を 合 併 し、 総 肝 動 脈<br />

(CHA) 出 血 に 対 してIVR 動 脈 塞 栓 術 、その 後 上 腸 間 膜 動 脈 (SMA) 出<br />

血 に 対 してIVR 動 脈 塞 栓 術 の 直 後 に 開 腹 血 行 再 建 術 を 施 行 して 救 命 し<br />

得 た 症 例 を 提 示 する。【 症 例 】65 歳 男 性 、SMA 神 経 叢 1/2 周 浸 潤 を 有<br />

するborderline 膵 頭 部 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 し、 術 前 化 学 放 射 線 治 療<br />

(Gemcitabine/S1+RT50.4Gy) 後 に 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ・ 門<br />

脈 合 併 切 除 再 建 ・SMA 神 経 叢 3/4 周 郭 清 ( 膵 胃 吻 合 )を 施 行 した( 手 術<br />

時 間 434 分 、 出 血 量 490ml)。 術 後 膵 液 瘻 を 合 併 しドレナージを 継 続 した。<br />

術 後 42 日 目 、ドレーンから 血 性 排 液 あり 緊 急 MD-CTでCHA 壁 不 整 あ<br />

るも 仮 性 動 脈 瘤 や 造 影 剤 血 管 外 漏 出 なく、 門 脈 閉 塞 を 認 めた。 術 後 45<br />

日 目 、 吐 血 ショックとなり 緊 急 IVR 施 行 、CHA 出 血 ありカバードス<br />

テント 留 置 を 試 みるも 循 環 動 態 不 安 定 のためヒストアクリル 塞 栓 術 施<br />

行 したが、 翌 日 再 吐 血 ショックとなり、 再 度 IVRにてCHA 再 開 通 を<br />

認 めたためCHAコイル 塞 栓 術 施 行 した。CHA 塞 栓 後 多 発 肝 膿 瘍 を 形<br />

成 しエコー 下 ドレナージを 行 った。 術 後 64 日 目 、 再 び 吐 血 ショックと<br />

なり 緊 急 IVRにてSMA 根 部 付 近 からの 出 血 あり、 循 環 動 態 不 安 定 の<br />

ためSMAコイル 塞 栓 術 施 行 した。SMA 塞 栓 後 直 ちに 手 術 室 に 搬 送 し<br />

緊 急 開 腹 手 術 施 行 、 大 伏 在 静 脈 にて 右 総 腸 骨 動 脈 - 回 腸 腸 間 膜 動 脈 バ<br />

イパス 術 を 行 った( 手 術 時 間 199 分 、 出 血 量 4500ml)。 門 脈 閉 塞 、CHA<br />

とSMA 塞 栓 により 腹 腔 内 臓 器 はバイパス 血 流 のみで 維 持 され、 肝 膿<br />

瘍 の 悪 化 を 認 めたが 肝 不 全 には 至 らず( 最 高 T-Bil…8.9…mg/dl)、 術 後<br />

122 日 目 に 軽 快 退 院 した。【 結 語 】 膵 切 除 術 後 動 脈 出 血 において 血 行 動<br />

態 不 安 定 な 場 合 は、まずIVR 動 脈 塞 栓 術 による 完 全 止 血 を 優 先 し、そ<br />

の 後 速 やかに 虚 血 臓 器 に 対 する 血 行 再 建 術 を 行 うことが 肝 要 である。<br />

【 考 察 】 本 症 例 は 膵 切 除 術 後 動 脈 出 血 に 対 する 緊 急 対 応 (MD-CT…or…<br />

IVR)、 門 脈 閉 塞 例 のCHA 出 血 に 対 するIVR( 塞 栓 or…stenting)、SMA<br />

出 血 に 対 する 治 療 (stenting…or… 塞 栓 + 血 行 再 建 )など 多 くの 臨 床 的 問<br />

題 点 や 論 点 を 有 していると 考 えられる。<br />

PD7-2<br />

動 脈 硬 化 により 閉 塞 した 上 腸 間 膜 動 脈 を 脾 動 脈 にて 再<br />

建 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 したIPMNの 一 例<br />

松 山 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 砂 川 秀 樹 , 西 崎 隆 , 島 袋 林 春 , 丸 山 晴 司 , 黒 田 陽 介 ,<br />

姉 川 剛<br />

症 例 は73 歳 男 性 。 当 院 血 管 外 科 にて 両 下 肢 閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 に 対 し 大<br />

動 脈 - 両 大 腿 動 脈 バイパス 術 後 であり、フォロー 中 に 施 行 した 造 影<br />

CTにて 膵 頭 部 腫 瘤 を 指 摘 される。 精 査 の 結 果 、 膵 頭 部 IPMNと 診 断<br />

され 手 術 目 的 で 当 科 紹 介 となった。 術 前 CTにて 上 腸 間 膜 動 脈 (SMA)<br />

および 下 腸 間 膜 動 脈 の 閉 塞 を 確 認 。 同 部 の 血 流 は 胃 十 二 指 腸 動 脈<br />

(GDA)から 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 (IPDA)を 介 して 供 給 されていた。 術 後<br />

SMA 領 域 の 血 流 を 確 保 するために、1. 十 二 指 腸 温 存 膵 頭 切 除 、2.GDA<br />

及 びIPDAの 温 存 手 術 、3. 脾 動 脈 を 用 いたSMA 再 建 を 伴 う 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 を 想 定 術 式 とし 術 中 所 見 にて 最 終 決 定 する 事 とした。 開 腹 所<br />

見 では、 明 らかな 腹 水 ・ 腹 膜 播 種 ・ 肝 転 移 の 所 見 は 認 めなかった。 病<br />

変 は 膵 頭 部 に 約 4.0cmの 弾 性 軟 の 腫 瘤 として 触 知 し 周 囲 組 織 との 強 固<br />

な 癒 着 を 認 めた。 肝 十 二 指 腸 靱 帯 の 各 脈 管 と 脾 動 脈 を 剥 離 しテーピン<br />

グ 後 、GDAを 末 梢 側 へ 追 求 し 膵 頭 部 の 露 出 を 試 みるも 癒 着 により 困<br />

難 であった。1. 十 二 指 腸 温 存 膵 頭 切 除 、2.GDA 及 びIPDA 温 存 手 術 は<br />

不 可 能 と 判 断 。 膵 臓 側 総 胆 管 を 結 紮 切 離 後 網 嚢 を 開 放 し、 右 胃 大 網 動<br />

静 脈 を 結 紮 切 離 。Kocherの 授 動 を 施 行 し、 十 二 指 腸 および 空 腸 を 切 離 。<br />

SMAを 同 定 後 テーピングし 後 の 吻 合 に 備 えた。 脾 動 脈 -SMA 吻 合 後 に<br />

GDAを 切 離 し、 腸 管 虚 血 時 間 を 最 短 にする 予 定 とした。しかし、<br />

IPMN 周 囲 、 膵 と 後 腹 膜 、 下 大 静 脈 との 炎 症 性 癒 着 が 強 く 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 時 の 操 作 によりSMA 吻 合 部 を 破 綻 させる 危 険 性 があったため<br />

先 にGDAを 切 離 し 標 本 を 摘 出 。 残 膵 は 後 の 膵 胃 吻 合 に 備 えて 背 側 を<br />

剥 離 した。 脾 動 脈 を 根 部 から 約 5.0cm 露 出 し、 結 紮 切 離 した。 離 断 し<br />

た 脾 動 脈 は 脾 静 脈 の 背 側 を 通 し、5-0Prolene 連 続 縫 合 にて 脾 動 脈<br />

-SMA 端 側 血 管 吻 合 を 行 った。この 直 後 より、 小 腸 の 蠕 動 亢 進 を 認 め<br />

良 好 な 血 流 確 保 が 確 認 された。 膵 胃 吻 合 ・ 胆 管 空 腸 吻 合 ・ 胃 空 腸 吻 合<br />

を 施 行 し 手 術 を 終 了 した。GDA 切 離 後 から 脾 動 脈 -SMA 吻 合 までの 時<br />

間 は 約 30 分 であった。 術 後 1 週 間 目 のCTにてSMA 吻 合 部 の 血 流 及 び<br />

左 胃 動 脈 を 介 した 脾 血 流 は 良 好 であった。PD 後 のSMA 再 建 に 脾 動 脈<br />

を 用 いれば、 吻 合 を1カ 所 で 行 う 事 が 出 来 有 用 と 考 えられる。<br />

-214-


PD7-3<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 術 後 に 広 範 な 上 腸 間 膜 血 栓<br />

症 のため 緊 急 手 術 を 行 った1 例<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 安 藤 公 隆 , 横 山 幸 浩 , 江 畑 智 希 , 伊 神 剛 , 菅 原 元 ,<br />

高 橋 祐 , 國 料 俊 男 , 角 田 伸 行 , 深 谷 昌 秀 , 上 原 圭 介 ,<br />

板 津 慶 太 , 吉 岡 裕 一 郎 , 梛 野 正 人<br />

症 例 は48 歳 ,… 女 性 .…2011 年 7 月 ,… 膵 体 部 の1…cm 大 の 内 分 泌 腫 瘍 の 診 断<br />

で 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 ,… 脾 摘 術 を 施 行 した.… 手 術 時 間 289 分 ,… 出<br />

血 量 101…ml.… 膵 切 離 は 門 脈 直 上 で 行 い,… 膵 断 端 と 左 横 隔 膜 下 に10…mm<br />

フラットドレーンを 留 置 し 持 続 吸 引 した.… 術 後 ,…ISGPF 分 類 …Grade…Bの<br />

膵 液 瘻 でドレナージ 中 であったが,… 患 者 希 望 により 術 後 9 日 目 に 退 院<br />

した.…また,… 術 後 より 徐 々に 血 小 板 数 が 増 加 し13 日 目 には126.5 万 /μlに<br />

達 したため,… 抗 凝 固 療 法 を 開 始 した.… 術 後 14 日 目 より 上 腹 部 痛 を 自 覚<br />

しており,…17 日 目 には 嘔 吐 を 伴 う 激 痛 となったため 救 急 外 来 を 受 診 し<br />

た.… 腹 部 には 筋 性 防 御 を 認 め 血 液 ガス 分 析 では 塩 基 過 剰 -16.8…mEq/L,…<br />

造 影 CTでは 膵 断 端 に 留 置 したドレナージチューブが 上 腸 間 膜 静 脈 に<br />

接 し,…これより 上 流 は 末 梢 から 本 幹 におよぶ 広 い 範 囲 で 造 影 効 果 を 認<br />

めず,… 血 栓 と 考 えられた.… また 一 部 の 小 腸 壁 は 浮 腫 状 に 肥 厚 し 虚 血 が<br />

疑 われた.… 門 脈 本 幹 及 び 肝 左 葉 と 前 区 域 の 肝 内 門 脈 血 流 は 保 たれてい<br />

たが,… 後 区 域 枝 は 血 栓 により 造 影 されなかった.… 以 上 の 所 見 より,… 上 腸<br />

間 膜 静 脈 血 栓 症 に 伴 う 小 腸 壊 死 の 術 前 診 断 で 緊 急 開 腹 術 を 施 行 した.…<br />

腹 腔 内 には 血 性 腹 水 が 貯 留 し 腸 間 膜 は 浮 腫 で 肥 厚 しており,…Treitz 靱<br />

帯 より60…cm 肛 門 側 から40…cmにわたり 区 域 性 に 空 腸 のうっ 血 が 著 明<br />

で 漿 膜 面 の 色 調 は 不 良 であった.… 他 部 位 の 小 腸 もうっ 血 気 味 であった<br />

が,… 壊 死 には 陥 っていないと 判 断 し,… 色 調 不 良 領 域 の 空 腸 部 分 切 除 を<br />

施 行 した.… 一 期 的 吻 合 は 行 わず 口 側 と 肛 門 側 の 空 腸 断 端 で 双 孔 式 人 工<br />

肛 門 とした.… 上 腸 間 膜 静 脈 の 血 栓 除 去 は 行 わず,… 術 後 にヘパリン 持 続<br />

注 →ワーファリン 内 服 の 抗 凝 固 療 法 を 施 行 した.… 再 手 術 後 34 日 目 の 造<br />

影 CTでは 上 腸 間 膜 静 脈 は 依 然 閉 塞 していたが 血 栓 は 縮 小 傾 向 にあり,…<br />

膵 液 瘻 も 改 善 していたため 術 後 39 日 目 ( 初 回 手 術 後 56 日 目 )に 人 工 肛 門<br />

閉 鎖 術 を 施 行 した.…その 後 も 外 来 で 抗 凝 固 療 法 を 継 続 中 である. 本 症<br />

例 では 以 下 のような 問 題 点 が 挙 げられる.…1)… 血 栓 形 成 は 鏡 視 下 手 術 と<br />

因 果 関 係 があるのか…2)… 脾 摘 後 血 小 板 増 多 症 ではどれくらいから 抗<br />

凝 固 療 法 を 開 始 するべきか…3)… 広 範 囲 に 上 腸 間 膜 血 栓 を 認 める 場 合<br />

の 手 術 術 式 はどうするべきか<br />

PD8-1<br />

巨 大 膵 粘 液 性 嚢 胞 性 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切<br />

除 術<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 中 村 慶 春 , 松 本 智 司 , 松 下 晃 , 吉 岡 正 人 , 清 水 哲 也 ,<br />

山 初 和 也 , 田 尻 孝 , 内 田 英 二<br />

【 目 的 】 腫 瘍 径 が 大 きい 症 例 の 場 合 、 腹 腔 鏡 下 切 除 術 では 十 分 な<br />

working…spaceを 確 保 することが 難 しい。 今 回 若 年 女 性 に 発 症 した 巨<br />

大 な 膵 粘 液 性 嚢 胞 性 腫 瘍 (MCT)に 対 し、 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

(Lap-DP)を 無 理 なく 安 全 に 施 行 するために 我 々の 行 った 工 夫 につい<br />

てご 討 論 をお 願 いいたします。【 症 例 】 症 例 は37 歳 ・ 独 身 女 性 で、 身<br />

長 170cm、 体 重 62kg、BMI21.4であった。 既 往 歴 ・ 家 族 歴 に 問 題 なく、<br />

飲 酒 ・タバコ 歴 ・ 妊 娠 歴 もなかった。 当 院 を 受 診 する 半 年 前 から 健 康<br />

診 断 で 腹 腔 内 腫 瘍 を 指 摘 され、 他 の 病 院 で 開 腹 術 による 切 除 を 勧 めら<br />

れていたが 開 腹 による 大 きな 術 創 を 憂 い 拒 否 していた。そのため 腹 腔<br />

鏡 下 手 術 による 切 除 を 希 望 して 当 院 に 紹 介 されてきた。 画 像 所 見 では、<br />

ほぼ 膵 体 尾 部 全 域 を 占 拠 する 長 径 17cm 大 に 及 ぶ 内 部 に 結 節 のない 嚢<br />

胞 性 病 変 が 認 められ、 脾 臓 も 腫 大 していた。MCTの 診 断 で 腹 腔 鏡 下<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 を 予 定 した。【 術 中 所 見 】 体 位 は 仰 臥 位 でTrocarは4<br />

本 使 用 した。 膵 頸 部 、 脾 動 静 脈 を 切 離 し、 右 側 から 膵 体 尾 部 の 遊 離 を<br />

始 めたが、 腫 瘍 の 体 積 で 剥 離 するスペースが 得 られなかった。 安 全 に<br />

内 容 物 を 除 去 する 必 要 があると 判 断 し、 腫 瘍 直 上 の 左 肋 弓 下 を4cm 切<br />

開 し 創 縁 保 護 用 のwound…protectorを 装 着 した。 直 下 に 腫 瘍 が 露 出 し、<br />

腫 瘍 壁 を 前 後 のバルーンで 挟 みこめるdouble…balloon…catheterで<br />

1000mlの 腫 瘍 内 容 を 直 視 下 に 吸 引 した。 減 圧 されると 腫 瘍 壁 は 体 外<br />

に 突 出 してくるため 刺 し 口 を2 重 に 結 紮 し 体 内 に 戻 した。 経 過 中 内 容<br />

物 は 一 滴 も 刺 し 口 から 漏 れ 出 ることはなかった。その 後 完 全 鏡 視 下 で<br />

膵 臓 ・ 脾 臓 を 遊 離 し 同 切 開 創 から 体 外 に 取 り 出 した。 手 術 時 間 は400<br />

分 で 出 血 量 は280mlであった。【 術 後 経 過 】 摘 出 標 本 の 病 理 結 果 は 膵<br />

粘 液 性 嚢 胞 腺 腫 であった。Grade…Aの 膵 液 瘻 が 発 生 したが 保 存 的 に 軽<br />

快 し、 術 後 14 日 目 に 退 院 した。 現 在 術 後 40カ 月 目 であり 合 併 症 なく 経<br />

過 している。【 結 語 】 腫 瘍 径 、 腫 瘍 の 悪 性 度 、 患 者 ごとの 整 容 性 の 比<br />

重 などによる 術 式 の 選 択 方 法 と、 悪 性 の 可 能 性 がある 膵 嚢 胞 性 疾 患 に<br />

対 し 術 中 に 内 容 物 を 穿 刺 吸 引 することの 是 非 、またその 手 技 の 完 成 度<br />

などが 焦 点 になるものと 思 われる。<br />

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PD8-2<br />

破 裂 性 、 胆 汁 交 通 性 肝 嚢 胞 に 対 し 腹 腔 鏡 下 手 術 を 施 行 し<br />

た1 例<br />

独 立 行 政 法 人 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 香 川 労 災 病 院<br />

○… 國 土 泰 孝 , 桑 田 和 也 , 渡 辺 信 之 , 村 岡 篤<br />

【 患 者 】83 歳 、 男 性 。 主 訴 : 腹 痛 。【 既 往 歴 】 肺 結 核 、 前 立 腺 肥 大 、<br />

虫 垂 炎 手 術 。【 現 病 歴 】 平 成 22 年 11 月 臍 部 周 囲 に 痛 みとみとめ、 近 医<br />

受 診 し 腹 部 超 音 波 検 査 、 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 行 い、 約 15cm 大 の<br />

肝 嚢 胞 を 指 摘 されていた。3 日 後 突 然 の 下 腹 部 痛 を 認 め 近 医 受 診 。 腹<br />

部 超 音 波 検 査 で 腹 部 全 体 に 腹 水 貯 留 と 肝 嚢 胞 を 認 めた。 肝 嚢 胞 は 約<br />

15cm 大 であったが 虚 脱 傾 向 を 認 め 肝 嚢 胞 破 裂 による 腹 膜 炎 と 診 断 さ<br />

れ 当 院 へ 紹 介 となった。【 現 症 】 血 圧 178/88mmHg、 体 温 37.9℃、 腹<br />

部 全 体 に 圧 痛 を 認 めた。 腸 雑 音 は 減 弱 。【 血 液 検 査 】AST…109…U/l、<br />

ALT…187…U/l、ALP…765…U/l、 総 ビリルビン…1.5…mg/dl、γ-GTP…164…<br />

U/l、CRP 定 量 … 8.2… mg/dl、WBC… 75… *10^2/ul、CEA2.7… ng/ml、<br />

CA19-9…20…U/mlと 肝 機 能 障 害 とCRP 上 昇 を 認 めた。【 腹 部 CT 検 査 】<br />

肝 内 には 小 嚢 胞 が 多 発 し、S5から 胆 嚢 をとり 囲 む 様 に 嚢 胞 を 認 めた。<br />

嚢 胞 は 虚 脱 し、 肝 周 囲 に 液 体 貯 留 を 認 めたため 肝 嚢 胞 の 破 裂 と 判 断 し<br />

た。【DIC-CT】 左 右 肝 管 分 岐 部 から 前 後 区 域 分 岐 し、 後 区 域 の 胆 管 は<br />

嚢 胞 壁 に 沿 って 走 行 していたが、 嚢 胞 内 への 造 影 剤 の 漏 出 は 認 めな<br />

かった。【 経 過 】 破 裂 性 肝 嚢 胞 による 腹 膜 炎 と 診 断 し 緊 急 手 術 を 行 った。<br />

臍 , 心 窩 部 に12mm、 右 側 腹 部 に5mmポート2 本 を 挿 入 し 手 術 開 始 。 腹<br />

腔 内 には 血 性 腹 水 を 認 めた。 嚢 胞 壁 に 約 2.5cmの 破 裂 孔 を 認 め、 内 部<br />

には 茶 褐 色 の 凝 血 塊 様 の 物 質 を 認 めた。 胆 嚢 動 脈 、 胆 嚢 管 を 切 離 後 、<br />

嚢 胞 内 腔 を 洗 浄 したところB6の 嚢 胞 壁 に 沿 った 分 枝 から 出 血 、 胆 汁<br />

の 漏 出 を 認 めた。 嚢 胞 の 天 蓋 部 分 を 切 離 した 後 、 胆 汁 漏 出 部 の 中 枢 側<br />

末 梢 側 、 背 側 をMLクリップで 処 理 した。 胆 汁 流 出 、 出 血 が 止 まった<br />

ことを 確 認 し、 生 食 9000mlで 腹 腔 内 を 十 分 に 洗 浄 。 左 横 隔 膜 下 、ダ<br />

グラス 窩 にも 暗 赤 褐 色 の 腹 水 を 認 めため 十 分 洗 浄 した。ドレーンをダ<br />

グラス 窩 、 左 右 横 隔 膜 下 、 嚢 胞 内 にそれぞれ 留 置 し、 閉 腹 した。 術 中<br />

所 見 より 破 裂 性 、 胆 汁 交 通 性 肝 嚢 胞 と 診 断 した。 経 過 は 良 好 で 術 後 12<br />

日 退 院 。【まとめ】 破 裂 性 肝 嚢 胞 はきわめてまれな 疾 患 で、 胆 管 と 交<br />

通 を 認 める 肝 嚢 胞 もきわめてまれである。 今 回 腹 腔 鏡 下 天 蓋 切 除 術 を<br />

施 行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

PD8-3<br />

肝 右 葉 前 区 背 側 域 および 後 区 域 の 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

術 : 半 腹 臥 位 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 の 有 用 性 の 検 討<br />

九 州 大 学 消 化 器 総 合 外 科 ( 第 二 外 科 )<br />

○… 池 田 哲 夫 , 森 田 和 豊 , 橋 本 直 隆 , 萱 島 寛 人 , 増 田 稔 郎 ,<br />

池 上 徹 , 吉 住 朋 晴 , 調 憲 , 前 原 喜 彦<br />

【… 背 景 】 肝 臓 は 胸 壁 に 囲 まれており、 特 に 肝 右 葉 後 区 域 および 前 区<br />

域 の 背 側 域 での 肝 切 除 には 大 きな 開 腹 あるいは 開 胸 が 必 要 となる。 完<br />

全 腹 腔 鏡 下 に 行 えは、 手 術 侵 襲 の 軽 減 は 著 しいが、 腹 腔 鏡 下 では 肝 授<br />

動 、 実 質 切 離 に 出 血 等 の 危 険 が 高 く 困 難 な 部 位 とされている。…[ 目 的 ]<br />

半 腹 臥 位 での 肝 右 葉 前 区 背 側 域 、 後 区 域 での 肝 切 除 の 安 全 性 と 有 用 性<br />

を 検 討 する。【 対 象 】1994 年 11 月 ~2011 年 11 月 までに2 施 設 で 行 った 腹<br />

腔 鏡 下 肝 切 除 は125 例 であった、その 内 、 腫 瘍 が 右 葉 前 区 背 側 域 、 後<br />

区 域 切 除 と 肝 右 葉 切 除 を 行 った46 例 を 対 象 とした。46 例 の 初 期 の18 例<br />

は 臥 位 ~ 半 側 臥 位 (G1)、 最 近 の28 例 は 左 半 腹 臥 位 (G2)で 行 い2 群 の 臨<br />

床 Dataを 比 較 検 討 した。【 半 腹 臥 位 】 左 半 腹 臥 位 は 水 泳 のクロールで<br />

息 継 ぎをしている 時 の 体 位 に 近 く、 臍 は 見 えない。【 半 腹 臥 位 での 術<br />

式 の 工 夫 】1.…Pringle…maneuverなしにRouviere’s…Sulcusから 肝 実 質<br />

切 離 を 先 行 し、グリソン 鞘 を 剥 離 し 選 択 的 血 行 遮 断 を 行 う。…2.… 肝 実<br />

質 切 離 はEnSealと 水 滴 機 能 を 付 けたBipolor 鉗 子 で 行 う。3.… 第 2 次 分 枝<br />

以 降 のGlisson 鞘 はHem-o-lokにて 閉 鎖 後 切 断 する。【 結 果 】 表 1~2に<br />

示 す 通 り、G2では 葉 切 除 以 外 の 系 統 的 肝 切 除 が 可 能 となり 適 応 が 拡<br />

大 したと 伴 に、 出 血 量 、 術 後 在 院 日 数 の 減 少 を 認 めた。【まとめ】 半<br />

腹 臥 位 での 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 は 安 全 で 有 用 な 方 法 である。<br />

-215-


ワークショップ


WS1-1<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

○… 大 場 大 , 長 谷 川 潔 , 高 橋 道 郎 , 井 上 陽 介 , 佐 藤 彰 一 ,<br />

石 沢 武 彰 , 田 村 純 人 , 金 子 順 一 , 青 木 琢 , 阪 本 良 弘 ,<br />

菅 原 寧 彦 , 國 土 典 宏<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転 移 患 者 において、 長 期 生 存 と 治 癒 の 期 待 できる 治<br />

療 法 は 外 科 的 切 除 であり、その 治 療 成 績 をさらに 向 上 させるためには<br />

化 学 療 法 の 介 入 が 必 要 と 考 える。 当 科 におけるこれまでの 治 療 成 績 を<br />

示 し、 今 後 の 術 前 化 学 療 法 の 意 義 について 提 言 したい。<br />

【 方 法 】1993 年 10 月 から2011 年 3 月 までに 当 科 で 初 回 肝 切 除 を 施 行 し<br />

た 大 腸 癌 肝 転 移 418 症 例 を 対 象 とし、 術 前 治 療 歴 有 無 のコホートにつ<br />

いて 患 者 背 景 、 臨 床 病 理 学 的 因 子 、 無 病 生 存 期 間 (DFS)、 全 生 存 期 間<br />

(OS)、 周 術 期 合 併 症 発 生 率 を 後 方 的 に 比 較 検 討 した。<br />

【 成 績 】 肝 転 移 に 対 しての 術 前 治 療 施 行 あり;Pre-op(+)… 群 は81 例 、<br />

施 行 なし;Pre-op(-)… 群 は337 例 で、3yr-OS、5yr-OSはそれぞれ57.2%…<br />

vs…72.7%、45.7%…vs…58.0%であった(p=0.0102)。Pre-op(+)… 群 のうち、<br />

2…line 以 上 の 治 療 歴 を 有 す 症 例 が37.0%、 肝 切 除 時 にbaselineと 比 較 し<br />

てRECIST…PD 症 例 が55.6% で、 全 身 化 学 療 法 以 外 にHAI、RFAや<br />

TACEなどの 治 療 も 含 まれていた。 治 療 line 数 …(1…vs… ≧2)、RECIST<br />

奏 功 …(PR…vs…SD…vs…PD)…によってOSに 有 意 な 差 はみられなかったが、<br />

H1 症 例 で2…line 以 上 の 治 療 またはbaseline 時 と 比 較 してRECIST…PD 症<br />

例 でOSが 悪 くなる 傾 向 を 示 した。H2/H3では、1…lineかつPR 症 例 で<br />

OSの 改 善 がみられる 傾 向 を 示 した。 周 術 期 合 併 症 の 発 生 率 に 関 しては、<br />

両 コホート 間 で 有 意 な 差 はみられず、 治 療 関 連 死 は 認 めなかった。<br />

【 結 語 】 当 科 における 肝 切 除 症 例 の 多 くは、 術 前 治 療 不 応 を 経 た 救 済<br />

的 肝 切 除 が 多 いにもかかわらず、 安 全 かつ 良 好 な 治 療 成 績 を 示 した。<br />

術 前 化 学 療 法 による 肝 切 除 成 績 のさらなる 向 上 のためには、コンセプ<br />

トの 確 立 、optimalなレジメン 選 択 と 切 除 タイミングが 重 要 と 考 える。<br />

WS1-2<br />

肝 因 子 による 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法<br />

後 肝 切 除 の 成 績 と 安 全 性<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 水 野 隆 史 , 金 本 秀 行 , 杉 浦 禎 一 , 岡 村 行 泰 , 木 内 亮 太 ,<br />

山 本 立 真 , 青 木 修 一 , 上 坂 克 彦<br />

【 背 景 】 当 院 では 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 し,… 切 除 不 能 肝 外 転 移 がなく 画 像<br />

上 切 除 可 能 であれば 腫 瘍 個 数 ・ 腫 瘍 径 に 係 わらず 肝 切 除 術 を 考 慮 して<br />

いる.…しかし 肝 外 転 移 併 存 同 時 性 肝 転 移 例 ,… 解 剖 学 的 / 機 能 的 肝 切 除 不<br />

能 例 ,… 転 移 病 変 の 急 速 増 悪 又 は 肝 切 除 後 早 期 再 発 例 では,… 全 身 化 学 療<br />

法 を 導 入 しconvertibleとなれば 手 術 を 施 行 している.… この 内 ,… 肝 因 子<br />

が 非 切 除 因 子 である 場 合 はconvertibleとなっても,…しばしば 大 量 肝 切<br />

除 が 必 要 となるため,… 術 前 肝 予 備 能 評 価 や 術 式 検 討 は 手 術 安 全 性 を 高<br />

める 上 で 重 要 である.…【 目 的 】 肝 因 子 で 切 除 不 能 であった 化 学 療 法 後 肝<br />

切 除 症 例 の 成 績 を 検 討 する.【 対 象 】2002 年 から2011 年 の 期 間 の 大 腸<br />

癌 肝 転 移 切 除 297 例 354 手 術 中 , 化 学 療 法 後 肝 切 除 を67 例 74 手 術 に 施 行<br />

した.…その 内 肝 因 子 が 切 除 不 能 因 子 であった31 例 32 手 術 を 対 象 とし 成<br />

績 と 予 後 を 検 討 した. 術 前 残 肝 予 備 能 評 価 はICGremK(=CT…<br />

volumetryによる 予 測 残 肝 容 積 率 ×ICG 消 失 率 (KICG))≧0.05を 耐 術<br />

基 準 とした.…【 結 果 】 男 / 女 :25/6 例 ,… 年 齢 61.6 歳 (33-78 歳 ). 術 前 化 学 療<br />

法 cycle 数 12(4-45). 予 測 肝 切 除 率 :42.5%(10.5-71.7).…ICGremK:…0.077<br />

(0.025-0.133).…8 手 術 に 術 前 門 脈 枝 塞 栓 (PTPE)を 併 施 .5 手 術 は 想 定 術<br />

式 の 残 肝 予 備 能 不 足 が 懸 念 され,うち3 手 術 はより 肝 実 質 を 温 存 する 術<br />

式 に,…2 手 術 … は2-stage…hepatectomyに 変 更 した.…12 手 術 に 術 直 前 画 像<br />

で 指 摘 されない 腫 瘍 を 術 中 に 認 め,うち2 手 術 で 腫 瘍 の 完 全 切 除 が 達 成<br />

されなかった.… 平 均 出 血 量 :1366ml(457-5143).… 平 均 手 術 時 間 351 分<br />

(186-813).… 術 後 合 併 症 率 (Clavien-Dindo 分 類 IIIa 以 上 ):12.5%(4/32 手<br />

術 ). 在 院 死 亡 なし.……30/32 手 術 (93.8%)にR0 切 除 を 達 成 .… 術 後 全 生 存 :3<br />

年 ;46.6%,5 年 ;31.1%(MST:…31か 月 ).…【 結 語 】 肝 因 子 で 切 除 不 能 の<br />

Conversion 症 例 では,…しばしば 大 量 肝 切 除 が 必 要 であるため, 術 前 肝 予<br />

備 能 評 価 に 基 づいた 術 式 決 定 が 有 用 であり, 術 前 PTPEの 併 施 や2-stage…<br />

hepatectomyなどの 工 夫 で 安 全 性 ,… 根 治 性 を 高 められる.…その 結 果 切 除<br />

後 の5 年 全 生 存 は31.1%と 比 較 的 満 足 できる 成 績 であった.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

WS1-3<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 前 全 身 化 学 療 法 の 影 響<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 工 藤 大 輔 , 豊 木 嘉 一 , 石 戸 圭 之 輔 , 木 村 憲 央 , 大 橋 大 成 ,<br />

袴 田 健 一<br />

【 緒 言 】 肝 切 除 は 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 根 治 性 を 提 供 し 得 る 唯 一 の 治 療<br />

法 である。 近 年 の 化 学 療 法 の 進 歩 は 肝 切 除 の 機 会 を 増 加 させる 一 方 で、<br />

背 景 肝 の 肝 障 害 が 問 題 となっている。【 方 法 】2006 年 から2011 年 まで<br />

に 当 科 で 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 して 肝 切 除 が 行 われ、 転 移 巣 と 背 景 肝 の 病<br />

理 組 織 学 的 な 評 価 が 可 能 であった109 例 を 対 象 とした。 類 洞 拡 張 と 脂<br />

肪 肝 炎 について 検 討 を 行 った。 統 計 学 的 検 定 はPASW…statics…Ver.…18<br />

を 用 い、p


WS1-5<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 術 前 FOLFOX/XELOX 療 法 に<br />

おけるBevacizumab 併 用 の 意 義<br />

1<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 、 2 熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 癌 集 学<br />

的 治 療 学<br />

○… 今 井 克 憲 1 1,2<br />

, 別 府 透 , 近 本 亮 1<br />

, 岡 部 弘 尚 1<br />

, 林 洋 光 1<br />

,<br />

新 田 英 利 1<br />

, 土 居 浩 一 1<br />

, 石 河 隆 敏 1<br />

, 高 森 啓 史 1<br />

,<br />

1,2<br />

坂 本 快 郎 , 宮 本 裕 士 1 1<br />

, 馬 場 秀 夫<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 術 前 FOLFOX/XELOX 療 法 における<br />

Bevacizumab 投 与 が 周 術 期 に 与 える 影 響 を 検 討 した。【 対 象 】<br />

FOLFOX/XELOXを 導 入 した2005 年 から2011 年 に、 大 腸 癌 肝 転 移 に<br />

対 し 肝 切 除 を 行 った90 例 。 内 訳 は 術 前 FOLFOX/XELOX 非 施 行 群 ( 非<br />

化 療 群 :37 例 )、 術 前 FOLFOX/XELOX 治 療 群 (OX 群 :33 例 )、 術 前<br />

FOLFOX/XELOX…+…Bevacizumab 治 療 群 (OX…+…Bev 群 :20 例 )であっ<br />

た。 各 群 における 肝 切 除 術 前 の 肝 機 能 を 含 む 術 前 因 子 、 手 術 因 子 、 肝<br />

切 除 周 術 期 における 合 併 症 および 背 景 肝 の 病 理 組 織 学 的 因 子 について<br />

検 討 した。【 結 果 】1)… 各 群 間 において、 年 齢 、 性 別 、 原 発 巣 の 局 在 、<br />

腫 瘍 径 、 腫 瘍 個 数 、 術 前 の 背 景 肝 障 害 度 に 有 意 差 を 認 めなかった。2)…<br />

術 前 の 肝 機 能 は、 非 化 療 群 /OX 群 /OX+Bev 群 で、Alb…(g/dl):…<br />

4.14/3.87/4.04、Plt…(/μl):… 21.3/17.0/19.8、ICG15 分 値 …( % ):<br />

9.5/12.8/11.7と、 非 化 療 群 に 比 べOX 群 では 有 意 に 肝 機 能 の 増 悪 を 認<br />

めたが、Bevを 加 えることにより 改 善 傾 向 を 認 めた。また、ChE 値 は<br />

194.1/196.5/284.4とOX+Bev 群 が 他 群 に 比 べ 有 意 に 良 好 な 結 果 であっ<br />

た。3)… 手 術 および 周 術 期 の 因 子 に 関 しては、 手 術 時 間 ( 分 ):…<br />

445/421/384、 出 血 量 (g):…331/400/338、 輸 血 率 (%):…8.3/5.9/0、 合 併<br />

症 発 生 率 (%):22.2/20.6/25.0、 術 後 在 院 日 数 ( 日 ):…18/19/13と、3 群 間<br />

で 有 意 差 を 認 めなかった。OX+Bev 群 に 特 有 の 合 併 症 は 認 めなかった。<br />

4)… 背 景 肝 の 病 理 組 織 学 的 検 討 にて、Rubbia-Brandt 分 類 Grade…2 以 上<br />

のSinusoidal…dilatationは0%/42.1%/18.8%と、OX+Bev 群 はOX 群 に 比<br />

べて 有 意 に 低 率 であった。【まとめ】 肝 切 除 前 のOxaliplatinを 含 む 化<br />

学 療 法 により 背 景 肝 に 類 洞 拡 張 を 来 すが、Bevを 加 えることにより 軽<br />

減 され、 化 学 療 法 による 肝 障 害 や 肝 切 除 術 後 合 併 症 の 軽 減 が 期 待 され<br />

るものと 考 えられた。<br />

WS1-6<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 分 子 標 的 治 療 薬 を 用 いた 術 前 治<br />

療 の 効 果 と 安 全 性 の 検 討<br />

1<br />

東 北 大 学 大 学 院 統 合 がん 治 療 外 科 、 2 東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外<br />

科 、 3 宮 城 肝 胆 膵 癌 化 学 療 法 研 究 会 (Miyagi HBPCOG)、 4 東 北<br />

大 学 病 院 胃 腸 外 科<br />

1,2<br />

○… 片 寄 友 , 山 内 淳 一 郎 3<br />

, 及 川 昌 也 3<br />

, 島 村 弘 宗 3<br />

,<br />

山 本 久 仁 治 3<br />

, 高 橋 賢 一 2<br />

, 内 山 哲 之 2<br />

, 遠 藤 公 人 2<br />

,<br />

1,2<br />

中 川 圭 , 三 浦 康 4<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 小 野 川 徹 2<br />

, 元 井 冬 彦 2<br />

,<br />

2,4<br />

内 藤 剛 , 力 山 敏 樹 2<br />

, 江 川 新 一 2 2<br />

, 海 野 倫 明<br />

【はじめに】 切 除 可 能 肝 転 移 の 術 前 化 学 療 法 の 標 的 は 潜 在 性 の 微 小 転<br />

移 であり、 術 前 および 術 後 のFOLFOXが 術 後 の 再 発 率 低 下 に 効 果 を<br />

上 げており(EORTC…Intergroup…trial…40983)、 術 前 術 後 の 化 学 療 法 が<br />

勧 められている。しかし、 分 子 標 的 治 療 薬 を 用 いた 術 前 化 学 療 法 によ<br />

る 術 前 術 後 の 安 全 性 については 未 だ 不 明 である。そこで、われわれは<br />

Miyagi-HBPCOGを 母 体 としてベバシツマブ+mFOLFOX6を 用 いた<br />

ネオアジュバントの 多 施 設 共 同 研 究 (Before…study,… 第 2… 相 臨 床 試 験<br />

Trials…Registry:UMIN000001568)を 施 行 しているので、この 結 果 を<br />

中 心 に 報 告 する。【 対 象 および 方 法 】Before…studyの 対 象 は、 切 除 可<br />

能 同 時 性 肝 転 移 を 有 する 大 腸 癌 で、 原 発 巣 を 根 治 切 除 後 登 録 し、プロ<br />

トコールはmFOLFOX6+ベバシズマブ 療 法 ( 初 回 および 最 終 コースは<br />

mFOLFOX6のみ)を8コース 施 行 後 、 肝 切 除 をとした。この 研 究 では、<br />

転 移 個 数 10 個 以 下 などを 切 除 可 能 とし、 主 要 評 価 項 目 は 奏 効 率 とし 症<br />

例 の 集 積 が 終 了 した。【 結 果 】47 例 が 登 録 され、3 例 が 一 度 も 治 療 薬 を<br />

投 与 しておらず 奏 効 率 の 検 討 から 除 外 した。35 例 で 化 学 療 法 が 完 遂<br />

(79.5%、35/44)し、 奏 効 率 はRECIST 評 価 に てCR2 例 、 PR30 例 、<br />

SD11 例 、PD2 例 であり、 奏 効 率 (CR+PR)は72.7%であった。 切 除 は<br />

40 例 ( 切 除 率 90.9%、40/44)に 施 行 され、R0 率 は95.0%(38/40)であった。<br />

主 な 有 害 事 象 は、イレオストミーからの 下 痢 による 脱 水 が 原 因 で<br />

Grade…4 急 性 腎 不 全 1 例 を 認 めた 以 外 、 生 命 を 脅 かす 有 害 事 象 は 無 く、<br />

治 療 が 安 全 に 施 行 できた。 術 後 在 院 日 数 の 平 均 は 約 15 日 であり、 約<br />

85%は 合 併 症 無 く 退 院 し、 重 篤 な 有 害 事 象 は 認 めなかった。また 約<br />

65%にアジュバントが 施 行 された。 一 方 、 抗 EGFR 抗 体 を 用 いた 化 学<br />

療 法 後 に 切 除 しconversionできた2 例 を 経 験 したが、 術 前 化 学 療 法 に<br />

よるざ 瘡 などの 副 作 用 が 強 く、 両 者 とも 患 者 の 希 望 によりアジュバン<br />

トが 施 行 できなかった 症 例 を 経 験 した。【 結 論 】ベバシツマブを 含 む<br />

術 前 治 療 は、 奏 効 率 およびR0 率 が 高 く、また 安 全 であると 考 えられ、<br />

導 入 化 学 療 法 として 適 していると 考 える。 術 後 化 学 療 法 継 続 のために<br />

も、 術 前 治 療 は 患 者 にとってストレスの 少 ないレジメンの 選 択 は 重 要<br />

である。<br />

WS2-1<br />

門 脈 塞 栓 術 299 例 における 適 応 と 限 界 の 検 討<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

○… 井 上 陽 介 , 阪 本 良 弘 , 大 道 清 彦 , 山 下 俊 , 金 子 順 一 ,<br />

青 木 琢 , 菅 原 寧 彦 , 長 谷 川 潔 , 國 土 典 宏<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 門 脈 塞 栓 術 (PVE)は 残 肝 volumeを 肥 大 させ、 大 量 肝<br />

切 除 の 安 全 性 を 高 める 反 面 、 切 除 までのintervalのために、 切 除 困 難<br />

となる 症 例 も 少 なくない。 当 科 の299 例 のPVEを 検 討 し、 切 除 の 安 全<br />

性 と 切 除 率 が 両 立 する 条 件 を 検 討 する。【 方 法 】 当 科 では、ICG-R15<br />

値 が 正 常 範 囲 、または 慢 性 肝 疾 患 のない 胆 道 癌 であれば 予 定 残 肝 40%<br />

以 下 の 場 合 、ICGR-15 値 が10~20%の 場 合 は 残 肝 50% 以 下 の 場 合 に<br />

PVEの 適 応 としている。PVE 後 14 日 の 時 点 で 再 度 volume 評 価 を 行 い、<br />

上 記 基 準 に 達 すれば 切 除 、 達 しない 場 合 は1W 以 上 おいてvolumeを<br />

再 々 評 価 して 検 討 する。1995 年 1 月 ~2010 年 12 月 までに、のべ299 例 の<br />

悪 性 疾 患 に 術 前 PVEを 施 行 した。うち、 胆 道 癌 (BC)が125 例 、 転 移 性<br />

肝 癌 (MC)が74 例 、 原 発 性 肝 癌 (HC)101 例 であった。 切 除 達 成 群 と 非<br />

切 除 群 の 違 いを 検 討 する。【 結 果 ( 値 は 中 央 値 )】BC:MC:HC 群 にお<br />

いて、 慢 性 肝 疾 患 を2:1:76 例 に 認 め、 血 清 Bil 値 2 以 下 の 症 例 に 限 定<br />

すると、PVE 前 のICG-R15 値 は、9.0:7.3:9.7(%)であり、HC 群 が 優<br />

位 に 他 の2 群 より 高 値 であった。PVE 前 の 予 測 残 肝 %は、35.5:37.0:<br />

39.1(%)で、HC 群 で 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 られた。PVE 後 2 週 での、 予<br />

測 残 肝 %は、43.9:43.7:48.5(%)であった。 非 手 術 症 例 は、6:6:8<br />

例 に 認 められ、 癌 の 進 行 によるものが10 例 、 肝 予 備 能 の 悪 化 ・ 肥 大 不<br />

十 分 によるものが5 例 、その 他 5 例 であった。 開 腹 後 非 切 除 症 例 は23:<br />

9:5 例 に 認 められ、 全 て 切 除 不 能 / 適 応 外 によるものであった。HC<br />

群 非 切 除 で 肝 予 備 能 による 例 が3 例 (23%)とBC(1 例 、4%…),MC(0 例 )<br />

に 比 べて 高 率 であった。PVEと 手 術 のintervalは 切 除 群 23.5 日 と 非 切<br />

除 群 24.5 日 で 差 はなく、 疾 患 ごとでも23:25.5:24( 日 )で 差 はなかった。<br />

切 除 後 の 肝 不 全 、 術 関 連 死 は 見 られなかった。【 結 論 】 当 科 のPVE 基<br />

準 は 通 常 より 厳 し 目 に 設 定 されており、 本 基 準 でのPVE 後 肝 切 除 で<br />

肝 不 全 は 経 験 していない。 切 除 に 至 らなかった57 例 の 内 訳 は、 原 病 進<br />

行 によるものがほとんどであった。 診 断 からPVEまでを 迅 速 化 する<br />

こと、およびPVE 後 の 至 適 intervalの 検 討 が 今 後 の 課 題 である。<br />

WS2-2<br />

当 科 における 門 脈 塞 栓 術 の 現 状 と 残 肝 容 積 率 増 大 因 子<br />

の 検 討<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 統 合 がん 治 療 外 科<br />

○… 深 瀬 耕 二 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

, 水 間 正 道 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

,<br />

大 塚 英 郎 1<br />

, 岡 田 恭 穂 1<br />

, 中 川 圭<br />

1,2<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 林 洋 毅 1<br />

,<br />

吉 田 寛 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 力 山 敏 樹 1<br />

, 片 寄 友<br />

1,2<br />

,<br />

江 川 新 一 1<br />

, 海 野 倫 明<br />

1<br />

【はじめに】 肝 胆 道 悪 性 疾 患 は 根 治 手 術 として 病 変 を 含 めた 大 量 肝 切<br />

除 を 必 要 とすることが 多 く, 術 後 の 肝 不 全 は 最 も 重 篤 な 合 併 症 の 一 つ<br />

である. 術 後 肝 不 全 予 防 として 門 脈 塞 栓 術 (PVE)は 広 く 普 及 している.<br />

当 科 では1997 年 より 導 入 し, 現 在 拡 大 右 葉 切 除 , 左 右 三 区 域 切 除 およ<br />

び 予 測 残 肝 機 能 低 下 例 に 対 しPVEを 施 行 している. 黄 疸 症 例 は 総 ビ<br />

リルビン 値 (T.Bil)5mg/dl 以 下 を 目 標 に 必 要 時 は 切 除 側 への 胆 道 ドレ<br />

ナージを 追 加 している. 残 肝 ICG 消 失 率 (K)(K…x… 残 肝 容 積 率 )0.05 以<br />

上 を 手 術 適 応 としている. 当 科 におけるPVE 成 績 と 残 肝 容 積 率 変 化<br />

に 影 響 を 与 える 因 子 につき 検 討 した.【 対 象 】2007 年 1 月 から2011 年 10<br />

月 まで 当 科 でPVE 施 行 した101 例 のうち 門 脈 血 流 低 下 例 , 巨 大 腫 瘍 ,<br />

慢 性 肝 疾 患 症 例 を 除 外 した66 例 .【 結 果 】 平 均 年 齢 63.8 歳 . 胆 管 癌 45 例 ,<br />

胆 嚢 癌 6 例 , 肝 内 胆 管 癌 3 例 , 転 移 性 肝 癌 7 例 ,その 他 5 例 . 術 式 は 拡 大<br />

右 葉 切 除 44 例 , 右 三 区 域 切 除 3 例 , 左 三 区 域 切 除 5 例 , 右 葉 切 除 6 例 ,<br />

肝 切 除 なし8 例 . 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 併 置 13 例 .CT…volumetryまでの 期<br />

間 中 央 値 20 日 , 手 術 までの 期 間 中 央 値 27 日 . 残 肝 容 積 率 増 加 は 平 均 8.6%.<br />

塞 栓 葉 胆 管 ドレナージ, 自 己 血 貯 血 ,エリスロポイエチン 製 剤 ,ウル<br />

ソデオキシコール 酸 , 大 建 中 湯 , 術 前 化 学 療 法 , 術 前 放 射 線 療 法 の 有<br />

無 で 残 肝 容 積 率 増 加 に 有 意 差 なし. 鉄 剤 非 投 与 群 で 有 意 に 残 肝 容 積 率<br />

増 加 を 認 めた(P=0.02). 残 肝 容 積 率 増 加 とCT…volumetryまでの 期 間<br />

に 有 意 な 相 関 を 認 めたが, 年 齢 やPVE 時 T.bilに 相 関 を 認 めなかった.<br />

PVE 合 併 症 として 胆 道 ドレナージを 必 要 とする 胆 管 穿 刺 を3 例 に 認 め<br />

た. 肝 不 全 発 症 は5 例 (7.6%), 血 漿 交 換 を3 例 に 施 行 した. 肝 不 全 に<br />

よる 在 院 死 は1 例 のみであった.【 結 語 】PVE 後 の 大 量 肝 切 除 術 後 肝<br />

不 全 発 症 は 低 率 であった. 鉄 剤 投 与 が 残 肝 容 積 率 変 化 に 影 響 を 与 える<br />

可 能 性 があり 自 己 血 貯 血 時 には 注 意 が 必 要 と 考 えられた. 術 前 化 学 療<br />

法 , 放 射 線 療 法 は 残 肝 容 積 率 変 化 に 影 響 を 与 えず,PVE 待 機 時 間 の<br />

病 巣 進 行 制 御 に 有 益 な 可 能 性 があり 現 在 症 例 集 積 中 である.<br />

-220-


WS2-3<br />

門 脈 塞 栓 術 後 短 期 成 績 の 評 価<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 岸 庸 二 , 島 田 和 明 , 大 黒 聖 二 , 奈 良 聡 , 江 崎 稔 ,<br />

小 菅 智 男<br />

【 背 景 】 当 科 では 許 容 肝 切 除 量 を、 高 崎 の 式 を 参 考 に 決 定 し、 門 脈 塞<br />

栓 術 (PVE)の 適 応 を 判 断 している。<br />

【 方 法 】 対 象 は、2001 年 1 月 ~2011 年 7 月 にPVEを 施 行 した233 例 。 年<br />

齢 中 央 値 65 歳 ( 範 囲 33-88);… 性 別 ,… 男 158 名 (68%),… 女 …75 名 (32%)。 術 前<br />

診 断 は、 肝 門 部 胆 管 癌 ,…71 例 ;… 胆 嚢 癌 ,…44 例 ;… 肝 細 胞 癌 (HCC),…40 例 ;…<br />

肝 内 胆 管 癌 ,…39 例 ;… 転 移 性 肝 癌 ,…39 例 。 ア プ ロ ー チ は、TIPE66 例 ,…<br />

PTPE167 例 。 塞 栓 の 効 果 と 安 全 性 について 評 価 した。<br />

【 結 果 】 予 想 残 肝 容 積 比 (%/ 全 肝 容 積 ) 中 央 値 は、PVE 前 35%( 範 囲 21-<br />

59)、 中 央 値 17 日 の 間 隔 で47%( 範 囲 30-76)に 増 大 した。 合 併 症 は、 肥<br />

大 不 十 分 4 例 (うち3 例 で 再 塞 栓 ないし、TACE 追 加 );… 胆 道 出 血 ,…2 例 ;…<br />

門 脈 本 幹 への 塞 栓 物 質 流 出 ,…1 例 ;… 対 側 門 脈 血 栓 ,…1 例 ;… 肝 膿 瘍 ,…1 例 ;…<br />

仮 性 動 脈 瘤 ,…1 例 ; 中 毒 疹 ,…1 例 に 認 めたが、 肥 大 不 十 分 の1 例 を 除 き、<br />

予 定 通 りの 肝 切 除 が 施 行 できた。 予 定 通 りの 肝 切 除 を 施 行 したのは<br />

206 例 (88%)。その 他 27 例 の 内 訳 は、 腫 瘍 伸 展 により 非 切 除 ,…18 例 ;… 肝<br />

機 能 不 良 で 縮 小 肝 切 除 ,…5 例 ;… 全 身 状 態 不 良 で 非 手 術 ,…2 例 ;… 残 肝 肥 大<br />

不 良 で 非 手 術 ,…1 例 ;… 手 術 診 断 胆 嚢 炎 で 胆 摘 ,…1 例 。 残 肝 肥 大 不 十 分 (6 例 )<br />

は、HCC 症 例 に 多 く(HCC…vs.…non-HCC;…10%…vs.…1%;…P7mg/dl)は 肝 切 除 施 行 した206 例 中<br />

8 例 に 認 め、うち1 例 が 死 亡 した。PVE 後 のICG-R15 値 悪 化 が 肝 不 全 の<br />

予 測 因 子 となり、 残 肝 肥 大 率 、 術 中 出 血 量 との 有 意 な 相 関 は 認 めなかっ<br />

た。<br />

【 結 論 】 高 崎 の 式 に 基 づく 大 量 肝 切 除 の 適 応 決 定 は 安 全 である。PVE<br />

の 不 適 応 症 例 をPVE 前 にICG 等 から 予 想 することは 困 難 であるが、<br />

HCC 症 例 で 肥 大 不 十 分 となる 可 能 性 、 胆 嚢 癌 症 例 では 腫 瘍 伸 展 によ<br />

る 非 切 除 となる 可 能 性 が 高 まる。また、PVE 後 のICG 増 悪 例 では 術 後<br />

肝 不 全 の 危 険 が 高 く、 注 意 が 必 要 である。<br />

WS2-4<br />

胆 道 癌 に 対 する 無 水 エタノールを 用 いた 術 前 門 脈 枝 塞<br />

栓 術 の 安 全 性 と 有 効 性<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科<br />

○… 伊 神 剛 , 江 畑 智 希 , 横 山 幸 浩 , 國 料 俊 男 , 菅 原 元 ,<br />

高 橋 祐 , 深 谷 昌 秀 , 上 原 圭 介 , 板 津 慶 太 , 吉 岡 裕 一 郎 ,<br />

梛 野 正 人<br />

【 目 的 】 我 々は 以 前 、 胆 道 癌 に 対 するフィブリン 糊 を 用 いた 術 前 門 脈<br />

枝 塞 栓 術 (PVE)の 安 全 性 と 有 効 性 について 報 告 した。 以 来 、 肝 右 葉<br />

切 除 術 、 肝 右 三 区 域 切 除 術 、 左 三 区 域 切 除 術 を 予 定 した 胆 道 癌 症 例 は<br />

原 則 としてPVEの 適 応 とし、 積 極 的 に 施 行 してきた。しかし、 現 在<br />

ではフィブリン 糊 の 保 険 上 の 使 用 制 限 のため、 無 水 エタノール(EOH)<br />

と 金 属 コイルを 併 用 しPVEを 施 行 している。 今 回 の 報 告 では、 胆 道<br />

癌 に 対 するEOHを 用 いたPVEの 安 全 性 と 有 効 性 について 検 討 した。<br />

【 対 象 と 方 法 】2003 年 から2010 年 までに、 胆 道 癌 に 対 しEOHを 用 い<br />

たPVEを249 例 に 施 行 した。このうち、 右 門 脈 枝 塞 栓 術 を 施 行 した<br />

154 例 を 対 象 としてretrospectiveに 検 討 した。…【 結 果 】(1)EOH 使 用 量 :<br />

平 均 使 用 量 は11.9±5.7mL、 体 重 あたりの 平 均 使 用 量 は0.23±0.12…mL/<br />

kgであった。(2)PVE 後 肝 障 害 :ALTはPVE 後 2 日 目 に、ASTはPVE<br />

後 当 日 にピーク 値 となったが、1 週 間 以 内 にPVE 前 の 状 態 に 復 してい<br />

た。PVE 後 のALT 最 高 値 ( 平 均 247±273…IU/L)とAST 最 高 値 ( 平 均 245<br />

±300…IU/L)はEOH 使 用 量 と 統 計 学 的 に 相 関 していた。(3)PVE 後 肝 体<br />

積 変 化 :CT-VolumetryはPVE 後 平 均 19±8 日 で 計 算 し た。PVE 後<br />

14-21 日 でCT-Volumetryを 計 算 した96 例 の 肝 体 積 変 化 は、 塞 栓 葉 が<br />

695±167…cm3…から552±149…cm3に 減 少 し(p


WS3-1<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 における 膵 切 離 法 別 術 後 成 績 の 比 較 検<br />

討<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 木 下 正 一 , 庄 雅 之 , 野 見 武 男 , 赤 堀 宇 広 , 山 戸 一 郎 ,<br />

童 仁 , 北 東 大 督 , 川 口 千 尋 , 安 田 里 司 , 金 廣 裕 道 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【 目 的 】 膵 体 尾 部 切 除 術 における 膵 切 離 法 による 術 後 成 績 への 影 響 を<br />

検 討 し,… 切 離 法 の 妥 当 性 を 検 討 した.【 対 象 】1999 年 1 月 から2011 年 10<br />

月 までに 当 科 で 施 行 した,… 膵 体 尾 部 切 除 例 107 例 を 対 象 とした.【 結<br />

果 】(1) 膵 切 離 法 ( 主 膵 管 結 紮 ,… 切 離 断 面 止 血 縫 合 のみ:cut 群 / 主 膵 管 結<br />

紮 ,… 切 離 断 端 マットレス 埋 没 縫 合 :sewn 群 / 自 動 縫 合 器 による 切 離 :<br />

stapler 群 )において,…i) 手 術 件 数 ,…ii) 年 齢 ,…iii) 性 差 ,…iv) 疾 患 ,…v) 手 術 時 間 ,…<br />

vi) 出 血 量 ,…vii) 膵 液 瘻 B/Cの 割 合 ,…viii) 在 院 日 数 は(cut 群 /sewn 群 /<br />

stapler 群 ) 各 々…i)…42/38/27( 件 ),…ii)…62/65/63( 歳 ),…iii)…<br />

23/19,23/15,12/15( 男 / 女 ),…iv)…26/7/9,21/5/12,11/6/10( 膵 癌 /IPMN/<br />

その 他 ),…v)…237/226/262( 分 ),…vi)…736/689/392(ml),…vii)…41/32/11<br />

( % ),…viii)…39/32/19( 日 )で,…stapler 群 はcut 群 /sewn 群 に 比 し 有 意 に 入<br />

院 期 間 が 短 く(P


WS3-5<br />

尾 側 膵 切 除 術 における 膵 液 瘻 予 防 - 膵 断 端 膵 管 胃 粘 膜<br />

吻 合 -<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 医 科 学 講 座 外 科<br />

○… 首 藤 毅 , 村 上 義 昭 , 上 村 健 一 郎 , 橋 本 泰 司 , 中 島 亨 ,<br />

中 川 直 哉 , 大 毛 宏 喜 , 末 田 泰 二 郎<br />

【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 術 における 術 後 膵 液 瘻 は10~30%と 報 告 され、こ<br />

れまでに 様 々な 膵 切 離 法 や 膵 断 端 処 理 法 が 報 告 されているが、 未 だ 克<br />

服 できない 重 要 な 問 題 である。 当 科 での 尾 側 膵 切 除 術 における 膵 液 瘻<br />

予 防 目 的 の 膵 断 端 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 の 手 技 と 成 績 を 報 告 する。【 対 象 と<br />

方 法 】2008 年 4 月 からの 尾 側 膵 切 除 術 51 例 を 対 象 とし、 膵 断 端 膵 管 胃<br />

粘 膜 吻 合 の 適 応 外 である 胃 切 除 術 後 5 例 、 胃 合 併 切 除 3 例 、 腹 腔 動 脈 合<br />

併 切 除 3 例 、 主 膵 管 径 2mm 未 満 6 例 、 膵 尾 部 末 端 切 除 4 例 を 除 く30 例 に<br />

膵 断 端 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 を 行 い、その 短 期 成 績 をprospectiveに 検 討 した。<br />

( 手 術 手 技 ) 膵 実 質 切 離 はハーモニックスカルペルで 行 い 主 膵 管 はメス<br />

で 切 離 、 胃 前 庭 部 後 壁 を 漿 膜 筋 層 切 開 して 粘 膜 ポケットを 作 製 し、 外<br />

層 は 膵 実 質 胃 漿 膜 筋 層 縫 合 (4-0Prolene)2 列 縫 合 、 内 層 は 膵 管 胃 粘 膜<br />

縫 合 (5-0PDS-II…8-10 針 )の2 層 縫 合 で 行 い、4Fr 膵 管 ロストステントを<br />

留 置 。 術 後 5 日 目 まで 毎 日 ドレーンAMY 値 測 定 し、5 日 目 に330IU/L<br />

以 下 でドレーン 抜 去 。 膵 液 瘻 はISGPF 基 準 (Surgery…2005)、 胃 内 容 排<br />

泄 遅 延 (DGE)はISGPS 基 準 (Surgery…2007)で 評 価 した。【 結 果 】 膵 癌<br />

11 例 、IPMN…7 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 4 例 、 慢 性 膵 炎 4 例 、SPN…2 例 、MCN…<br />

1 例 、 感 染 性 膵 嚢 胞 1 例 。 脾 ( 動 静 脈 ) 温 存 3 例 、 腹 腔 鏡 補 助 下 2 例 、 門 脈<br />

合 併 切 除 1 例 、 結 腸 合 併 切 除 2 例 。 手 術 時 間 中 央 値 237 分 (161-359 分 )、<br />

出 血 量 中 央 値 260ml(50-1570ml)、 無 輸 血 率 97%。Mortality…0%、 術 後<br />

合 併 症 Clavien-Dindo…3 以 上 2 例 (7%)。 膵 液 瘻 はGrade…A…10 例 (33%)、<br />

Grade…B…1 例 (3%)、Grade…C…0 例 、DGEはGrade…A…1 例 (3%)、Grade…<br />

B…1 例 (3%)、Grade…C…0 例 、 術 後 入 院 期 間 中 央 値 19 日 (9-37 日 )であった。<br />

【 結 論 】 尾 側 膵 切 除 術 における 膵 断 端 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 は 安 全 に 施 行 可<br />

能 で 膵 液 瘻 発 症 率 、DGE 発 症 率 ともに 低 率 であった。 膵 断 端 膵 管 胃<br />

粘 膜 吻 合 は 適 応 症 例 に 対 して 習 熟 した 手 技 で 行 えば 尾 側 膵 切 除 後 の 膵<br />

液 瘻 予 防 に 有 効 である。<br />

WS3-6<br />

九 州 大 学 消 化 器 総 合 外 科 ( 第 二 外 科 )<br />

○… 池 田 哲 夫 , 森 田 和 豊 , 橋 本 直 隆 , 萱 島 寛 人 , 増 田 稔 郎 ,<br />

池 上 徹 , 吉 住 朋 晴 , 調 憲 , 前 原 喜 彦<br />

【 背 景 】 膵 臓 の 切 断 方 法 として 器 械 吻 合 器 による 切 断 が 広 く 行 われる<br />

ようになった。しかし 昨 年 、 無 作 為 化 多 施 設 試 験 の 結 果 、 器 械 吻 合 器<br />

による 切 断 は 術 後 膵 液 瘻 を 減 少 させないという 結 果 が 発 表 された。【 目<br />

的 】 膵 切 離 後 の 膵 液 瘻 を 予 防 する 最 良 の 方 法 を 検 討 するため、 当 院 で<br />

行 った 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 での 膵 液 瘻 の 発 生 を 検 討 し、 動 物 実 験 によっ<br />

て 膵 液 瘻 の 原 因 と 最 良 の 切 断 方 法 を 検 討 する。【 検 討 項 目 1】 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 膵 切 除 術 の 合 併 症 の 検 討 。《 対 象 》06 年 6 月 ~11 年 10 月 に 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 膵 切 除 を 行 なった8 例 ( 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 3 例 、 膵 体 尾 部 切 除 3 例 、<br />

部 分 切 除 2 例 )。《 結 果 》 術 後 合 併 症 は 膵 液 漏 (2 例 ; 膵 体 尾 部 切 除 1 例 、<br />

部 分 切 除 1 例 )であった。 部 分 切 除 はいずれも 術 前 に 膵 管 ステントを 留<br />

置 、 膵 切 断 面 を 縫 合 閉 鎖 した 症 例 では 膵 液 漏 は 認 めなかった。【 検 討<br />

項 目 2】 動 物 実 験 《 方 法 》ブタの 膵 前 葉 と 後 葉 を 各 々Linear…Stapler(ナ<br />

イフ 付 きおよびナイフなし)および 腸 管 クランプ 等 による 長 時 間 圧 迫<br />

後 切 断 、Vessel…Sealer、 水 滴 機 能 を 付 加 したBipolar 鉗 子 を 用 いて 切<br />

断 した。 切 断 後 、 十 二 指 腸 と 膵 を 一 塊 として 摘 出 し 十 二 指 腸 … 乳 頭 よ<br />

り 膵 管 にカニュレーションし、 圧 をモニタリングしながら 送 気 、 水 中<br />

でのair…leak…testを 行 い 膵 切 断 方 法 の 耐 圧 限 界 値 とleak 発 生 部 位 を 観<br />

察 した。 切 断 端 の 組 織 学 的 検 討 も 行 った。《 結 果 》 最 も 高 い 耐 圧 能 は<br />

水 滴 機 能 を 付 加 したBipolar 鉗 子 を 用 いて 膵 実 質 を1cmの 幅 で 凝 固 さ<br />

せ 尾 側 をメスにて 切 断 し 更 に 断 端 を 凝 固 させた 切 断 方 法 で、 切 断 部 以<br />

外 の 部 分 からair…leakが 認 められるようになる100mmHg 以 上 の 耐 圧 能<br />

があった。Staplerでの 切 断 は 何 れの 方 法 でも60mmHg 程 度 の 高 い 耐<br />

圧 能 を 認 める 場 合 も 有 ったが、20mmHg 以 下 でStapler…lineおよび<br />

Staplerの 圧 迫 中 枢 端 からのleakが 認 められた。 同 様 に 腸 管 クリップ<br />

等 も 圧 迫 中 枢 端 からのleakが 認 められた。【まとめ】 膵 は 脆 弱 な 組 織<br />

であり、 強 い 圧 迫 で 微 細 な 膵 管 は 損 傷 する。 膵 は 機 械 的 な 閉 鎖 よりも<br />

低 温 での 凝 固 閉 鎖 の 方 が 完 全 閉 鎖 の 可 能 性 が 高 い。 低 温 凝 固 された 膵<br />

組 織 が 生 体 に 及 ぼす 影 響 に 関 しての 検 討 が 今 後 必 要 と 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

WS3-7<br />

膵 切 離 法 と 切 離 部 位 からみた 尾 側 膵 切 除 の 手 術 成 績<br />

東 京 女 子 医 科 大 学<br />

○… 大 島 奈 々, 羽 鳥 隆 , 君 島 映 , 山 本 雅 一<br />

【はじめに】 尾 側 膵 切 除 では 膵 切 離 部 位 に 応 じた 様 々な 膵 切 離 法 が 選<br />

択 されるが, 術 後 膵 液 瘻 を 完 全 に 防 止 することは 未 だに 困 難 である.そ<br />

こで, 膵 切 離 法 と 切 離 部 位 からみた 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度<br />

から 尾 側 膵 切 除 の 課 題 について 検 討 した.【 対 象 と 方 法 】2007~2010<br />

年 の 最 近 施 行 した 尾 側 膵 切 除 100 例 を 対 象 とした. 疾 患 の 内 訳 は 浸 潤 性<br />

膵 管 癌 47 例 , 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)21 例 ,… 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍<br />

(MCN)18 例 ,…Solid-pseudopapillary…neoplasm(SPN)…6 例 , 膵 神 経 内 分 泌<br />

腫 瘍 (P-NET)5 例 , 膵 漿 液 性 嚢 胞 腫 瘍 (SCN)3 例 で, 脾 摘 を 伴 う 尾 側 膵 切<br />

除 (DP)92 例 , 脾 温 存 DP(SPDP)8 例 で あ っ た. 全 例 , 膵 切 離 部 はnormal…<br />

soft…pancreasであった.【 結 果 】1) 膵 切 離 法 :メスで 切 離 したものが<br />

67 例 , 自 動 縫 合 器 (Echelon)で 切 離 したものが33 例 で,メスで 切 離 した 場<br />

合 , 全 例 で 主 膵 管 を 縫 合 または 結 紮 により 閉 鎖 し, 断 端 処 理 は 止 血 のみ<br />

が15 例 (22%), 連 続 縫 合 追 加 が52 例 (78%)であった.2) 膵 切 離 部 位 : 胃<br />

十 二 指 腸 動 脈 (GDA) 背 側 が16 例 , 門 脈 (PV) 右 縁 が22 例 ,PV 直 上 が8<br />

例 ,PV 左 縁 が20 例 ,PV 左 縁 か ら2cmが24 例 ,PV 左 縁 か ら4cmが10 例 で<br />

あった.…3) 膵 切 離 法 と 部 位 :GDA 背 側 ではメス100%,PV 右 縁 でメス<br />

68%, 自 動 縫 合 器 32%,PV 直 上 で 各 50%,50%,PV 左 縁 で 各 75%,25%,PV 左<br />

縁 2cmで 各 54%,46%,PV 左 縁 4cmで 各 40%,60%と,PV 直 上 より 尾 側 では<br />

自 動 縫 合 器 が 多 かった.4) 術 後 膵 液 瘻 : 臨 床 上 問 題 となるISGPF 分 類<br />

のGrade…Bの 膵 液 瘻 は14 例 (14%)に 認 め(GradeC…0%),GDA 背 側 で<br />

25%,PV 右 縁 で27%(メス40%, 自 動 縫 合 器 0%),PV 直 上 で0%,PV 左 縁 で<br />

5%(メス7%, 自 動 縫 合 器 0%),PV 左 縁 2cmで13%(メス8%, 自 動 縫 合 器<br />

18%),PV 左 縁 4cmで0%と,メスでの 切 離 になり 膵 切 離 断 面 が 広 くなる<br />

GDA 背 側 やPV 右 縁 で 膵 液 瘻 が 多 かった.PV 直 上 より 尾 側 ではメスと<br />

自 動 縫 合 器 による 差 はなかった.また,メスで 切 離 した 場 合 , 断 端 処 理 法<br />

( 止 血 のみ27%, 連 続 縫 合 追 加 16%)による 差 はなかった.【 結 語 】 尾 側 膵<br />

切 除 では 膵 断 面 が 広 くなるPV 右 縁 より 膵 頭 側 での 切 離 例 で 膵 液 瘻 が<br />

多 く 工 夫 が 必 要 と 考 えられた. 膵 切 離 がPV 直 上 から 膵 尾 側 ではメスと<br />

自 動 縫 合 器 で 膵 液 瘻 に 差 はなく, 手 技 が 簡 便 な 自 動 縫 合 器 が 推 奨 され<br />

ると 考 えられた.<br />

WS4-1<br />

Lap-Cにおける 術 中 胆 道 造 影 の 有 用 性<br />

東 京 都 立 多 摩 総 合 医 療 センター 外 科<br />

○… 松 本 潤 , 高 西 喜 重 郎 , 森 田 泰 弘<br />

【 目 的 】 当 院 では1992 年 よりLap-Cを 開 始 し 現 在 までに 約 1300 例 施 行<br />

した。 当 初 よりMRCPを 必 須 の 検 査 とし、 胆 道 の 走 行 や 分 枝 状 況 を 確<br />

認 した。 胆 嚢 管 短 縮 例 や 高 位 合 流 例 が 合 併 症 誘 発 因 子 と 思 われた。こ<br />

れらに 注 意 し、 適 応 や 術 者 を 徐 々に 拡 げていった2000 年 前 後 に 胆 道 損<br />

傷 が 複 数 回 生 じたため 術 中 胆 道 造 影 を 基 本 的 にルーチン 化 した。その<br />

後 の 胆 道 損 傷 の 発 生 状 況 について 検 討 したので 報 告 する。【 方 法 】 当<br />

院 のLap-Cは3ポートを 基 本 とし 症 例 によりポートを 追 加 することに<br />

している。 術 中 胆 道 造 影 の 実 施 は 癌 の 疑 いのある 症 例 では 禁 忌 とし、<br />

術 者 ( 指 導 医 )が 最 終 的 に 判 断 した。 造 影 はカロー3 角 を 十 分 に 露 出 後<br />

の 胆 嚢 管 処 理 直 前 に 行 うこととした。 腹 壁 に14G 血 管 留 置 針 を 刺 入 し<br />

4Fアトムチューブを 腹 腔 内 に 挿 入 する。 胆 嚢 管 の 胆 嚢 側 を2-0 絹 糸 で<br />

結 紮 しそのすぐ 総 胆 管 側 に 小 切 開 をあける。ここよりアトムチューブ<br />

を 通 常 は 特 に 加 工 することなく5cm 挿 入 し2-0 吸 収 糸 で1 重 に 仮 結 紮 す<br />

る。60%ウログラフィンを 生 理 食 塩 水 で4 倍 希 釈 し20mlをゆっくり 注<br />

入 し 造 影 する。 肝 内 胆 管 と 十 二 指 腸 が 造 影 されること、 総 胆 管 に 結 石<br />

や 狭 窄 がないことを 確 認 する。【 成 績 】 術 中 造 影 をルーチン 化 した<br />

2001 年 以 降 に 単 孔 式 手 術 32 例 を 含 め850 例 でLap-Cを 施 行 した。 術 中<br />

造 影 施 行 率 は78%で 術 者 により 施 行 率 に 差 があった。 癌 疑 い 以 外 に 施<br />

行 しなかった 理 由 として、チューブ 挿 入 困 難 と 術 者 の 判 断 が 多 かった。<br />

この 間 に 造 影 時 の 小 切 開 が 総 胆 管 切 開 となった 症 例 を7 例 認 めた。 当<br />

初 の3 例 は 開 腹 で 修 復 したが、その 後 の4 例 は 腹 腔 鏡 下 に 縫 合 した。 総<br />

胆 管 切 開 例 で 胆 管 空 腸 吻 合 術 など 胆 道 再 建 を 要 したものはなかった。<br />

術 後 狭 窄 や 再 手 術 を 要 した 症 例 もなかった。 当 院 のLap-Cの 平 均 手 術<br />

時 間 は 約 125 分 であり、 術 中 造 影 に 要 する 時 間 は 症 例 によりばらつき<br />

はあるがおよそ20 分 であった。【 結 論 】 術 中 造 影 を 施 行 すると 総 胆 管<br />

切 開 は 起 こりうるが 総 胆 管 離 断 は 防 げる。 当 科 の 方 法 では 特 別 の 道 具<br />

を 使 用 しないので 安 価 であり 手 術 時 間 の 延 長 は 約 20 分 である。Lap-C<br />

では 術 中 胆 道 造 影 は 有 用 であり、ルーチン 化 したほうが 良 い 手 技 と 考<br />

える。<br />

最 も 安 全 な 膵 切 断 方 法 の 検 討 - 完 全 鏡 視 下 膵 体 尾 部 切 除<br />

症 例 と 動 物 実 験 から-<br />

-223-


WS4-2<br />

胆 管 ・ 胆 嚢 管 の 合 流 形 態 異 常 を 伴 う 症 例 に 対 する 術 前<br />

ENBD 挿 入 は 術 中 胆 道 損 傷 の 危 険 性 を 減 少 させる<br />

1<br />

北 海 道 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 II、 2 手 稲 渓 仁 会 病 院 外 科<br />

1,2<br />

○… 野 路 武 寛 , 中 村 文 隆 2<br />

, 中 村 透 2<br />

, 高 田 実 2<br />

, 安 保 義 恭 2<br />

,<br />

樫 村 暢 一 2 1<br />

, 平 野 聡<br />

【 背 景 】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 以 下 LC)での 胆 管 損 傷 は 副 肝 管 ・ 胆 嚢<br />

管 の 合 流 形 態 の 異 常 ・ルシカ 管 の 存 在 などにおいて 危 険 性 が 増 すこと<br />

が 知 られている。 我 々は、LCを 予 定 した 症 例 には 胆 道 形 態 の 確 認 を<br />

MRCP 等 で 行 っている。 手 術 の 支 障 となる 破 格 症 例 には、LC 施 行 前<br />

日 に 直 接 胆 道 造 影 を 行 った 後 にENBDを 挿 入 し、 術 中 にこれらの<br />

チューブを 用 いて 胆 管 ・ 胆 嚢 管 位 置 を 確 認 するENBD 補 助 下 LCを 標<br />

準 術 式 としている。【 目 的 】LCを 予 定 した 患 者 を 対 象 に、a) 副 肝 管 ・<br />

胆 嚢 管 の 合 流 形 態 の 異 常 ・ルシカ 管 の 存 在 頻 度 を 明 らかにすると 共 に、<br />

b)ENBD 補 助 下 LCの 有 用 性 について 明 らかにする。【 対 象 】2000 年 1<br />

月 から2010 年 1 月 までに 手 稲 渓 仁 会 病 院 外 科 で 施 行 した1835 例 のLC 症<br />

例 を 対 象 とした。 男 / 女 は803/1023、 年 齢 の 中 央 値 は57 歳 であった。<br />

副 肝 管 ・ 胆 嚢 管 の 合 流 形 態 の 分 類 は2006 年 に 提 唱 されたWakayama…<br />

classificationを 用 いた。LCは4ポートを 基 本 とした。【 結 果 】 胆 道 の 破<br />

格 は 術 前 に42 例 (2.3%)に 指 摘 可 能 であり、 術 後 判 明 例 を 加 えると48 例<br />

(2.6%)に 指 摘 できた。 胆 嚢 管 の 合 流 形 態 の 異 常 は 右 肝 管 (Br)に 直 接<br />

胆 嚢 管 が 合 流 する 形 態 (type…D)が3 例 、 左 右 肝 管 合 流 部 に 胆 嚢 管 が 合<br />

流 する(type…E)が5 例 、ルシカ 管 が2 例 ( 術 後 に 判 明 )、その 他 分 類 不 能<br />

が1 例 であった。 副 肝 管 は、 後 区 域 枝 (Bp)が 上 部 胆 管 (Bs)に 流 入 する<br />

TypeIは13 例 (うち 術 後 判 明 例 2 例 )、Bpが 中 部 胆 管 (Bm) 付 近 で 胆 嚢<br />

管 と 共 に 合 流 するTypeIIが7 例 、Bmに 合 流 するBpを 胆 嚢 管 が“またぐ”<br />

Type…III…が8 例 (うち 術 後 判 明 例 2 例 )、Bmに 流 入 するBpに 胆 嚢 管 が 合<br />

流 するTypeIVが9 例 であった。 手 術 成 績 :ENBD 補 助 下 LCを 合 計 38<br />

例 に 施 行 した。 胆 道 損 傷 例 は 胆 道 の 破 格 例 に 有 意 に 多 く 認 められたが<br />

(12.5%…vs…0.84%…:…p


WS4-6<br />

LapC 術 後 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 する 治 療 戦 略<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 腫 瘍 外 科<br />

○… 菅 原 元 , 江 畑 智 希 , 横 山 幸 浩 , 伊 神 剛 , 高 橋 祐 ,<br />

國 料 俊 男 , 上 原 圭 介 , 板 津 慶 太 , 吉 岡 裕 一 郎 ,<br />

梛 野 正 人<br />

われわれは, 治 療 に 難 渋 することが 多 い 良 性 胆 管 狭 窄 症 例 に 対 して,<br />

経 皮 経 肝 ルートによる 内 瘻 化 術 を 第 一 選 択 とし, 内 瘻 化 困 難 例 あるい<br />

は 難 治 例 に 対 し 外 科 的 治 療 を 選 択 している.この 治 療 方 針 にもとづい<br />

た, 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 以 下 LapC) 後 の 良 性 胆 管 狭 窄 の 治 療 成 績 を<br />

報 告 する.【 対 象 】…1993 年 1 月 から2011 年 11 月 までに 悪 性 腫 瘍 を 合 併 し<br />

ないLapC 術 後 良 性 胆 管 狭 窄 を13 例 経 験 した( 初 回 LapCは 他 院 施 行 12<br />

例 ). 対 象 の 平 均 年 齢 は54.6 歳 (…31~81 歳 …)で, 男 女 比 は8:5, 当 科 で<br />

の 治 療 開 始 後 の 平 均 観 察 期 間 は80ヶ 月 (…3~178ヶ 月 …)であった.【 結<br />

果 】…LapCの 対 象 となった 疾 患 は, 胆 石 症 11 例 , 胆 嚢 ポリープ2 例 と 全<br />

例 が 良 性 疾 患 であった. 初 回 手 術 はLapCを 完 遂 したものが7 例 , 術 中<br />

胆 管 損 傷 に 気 付 き 開 腹 して 胆 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 したものが6 例 で,<br />

狭 窄 部 位 は 胆 管 が7 例 , 胆 管 空 腸 吻 合 部 狭 窄 が6 例 であった. 狭 窄 原 因<br />

は,クリップによる 狭 窄 2 例 , 断 端 神 経 腫 …1 例 , 胆 管 損 傷 4 例 , 胆 管 空<br />

腸 吻 合 部 狭 窄 6 例 (6 例 とも 術 中 に 胆 管 損 傷 している)であった.なお 胆<br />

管 空 腸 吻 合 部 狭 窄 の 原 因 として 縫 合 不 全 を2 例 に 認 めた. 他 の4 例 も 術<br />

後 比 較 的 早 期 から 発 熱 , 胆 管 炎 , 黄 疸 など 狭 窄 症 状 を 呈 していた. 治<br />

療 は 手 術 治 療 7 例 , 経 皮 経 肝 アプローチによる 保 存 的 治 療 6 例 であった.<br />

手 術 術 式 は4 例 に 胆 管 狭 窄 部 を 切 除 し 肝 管 空 腸 吻 合 を 施 行 ,2 例 に 肝 右<br />

葉 切 除 + 肝 外 胆 管 切 除 を 施 行 ,1 例 に 肝 後 区 域 切 除 を 施 行 した. 肝 右<br />

葉 切 除 + 肝 外 胆 管 切 除 を 要 した2 例 は 肝 動 脈 および 門 脈 にもクリップ<br />

がかかり, 血 管 損 傷 も 併 発 していた. 外 科 手 術 後 の7 例 はいずれも 狭<br />

窄 の 再 発 なく 生 存 中 である. 保 存 的 治 療 を 施 行 した6 例 はPTBD 留 置 後 ,<br />

平 均 15カ 月 (2~50カ 月 )でtubeを 抜 去 し,5 例 は 狭 窄 の 再 発 なく 生 存 中<br />

である.1 例 はPTBD 留 置 後 4カ 月 で… 抜 去 したのちに 再 狭 窄 したので,<br />

再 度 PTBDを 挿 入 し 現 在 も 留 置 中 である.【 結 語 】LapC 後 の 良 性 胆 管<br />

狭 窄 に 対 する 当 科 の 治 療 方 針 は, 合 併 症 も 比 較 的 少 なく, 妥 当 なもの<br />

と 思 われた.<br />

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-225-


ビデオワークショップ


VW1-1<br />

Liverhangingmaneuverを 行 う 際 の 安 全 なテーピン<br />

グの 工 夫<br />

1<br />

奈 良 県 立 三 室 病 院 外 科 、 2 奈 良 県 立 三 室 病 院 放 射 線 科<br />

○… 池 田 直 也 1<br />

, 上 野 正 闘 1<br />

, 金 村 哲 宏 1<br />

, 児 島 祐 1<br />

,<br />

佐 々 木 義 之 1<br />

, 阪 口 浩 2<br />

, 日 高 晶 子 2<br />

, 越 智 朋 子<br />

2<br />

Liver…Hanging…maneuver(LHM)はBelghitiらによって 報 告 された 手<br />

術 手 技 で 肝 と 下 大 静 脈 の 間 の 無 血 管 野 に 盲 目 的 に 鉗 子 を 通 しテーピン<br />

グすることによって 肝 を 授 動 することなく 安 全 に 前 方 アプローチに<br />

よって 肝 右 葉 切 除 術 を 行 う 方 法 である。 最 近 では 多 くの 肝 葉 切 除 例 で<br />

盲 目 的 に 鉗 子 を 通 すことが 可 能 と 報 告 されているが、 中 には 無 血 管 野<br />

とされている 剥 離 層 に 太 い 短 肝 静 脈 が 流 入 する 例 があり、 盲 目 的 操 作<br />

によってこれらの 血 管 を 損 傷 すると 大 量 出 血 を 招 く 恐 れがある。また<br />

無 血 管 野 とされる 部 位 も 所 々にしっかりとした 索 状 の 結 合 組 織 が 存 在<br />

し 鉗 子 を 無 理 に 通 せば 肝 被 膜 を 損 傷 し 出 血 する。 大 量 の 出 血 にはなら<br />

なくとも 直 視 しえない 部 位 からの 不 要 な 出 血 は 避 けたいと 考 える。 当<br />

施 設 のような 一 般 病 院 では 症 例 数 の 少 ない 肝 右 葉 切 除 術 は 不 慣 れとな<br />

りがちとなるが、その 一 方 で 手 際 が 悪 いと 大 量 出 血 を 来 す 難 易 度 の 高<br />

い 手 術 である。 安 全 に 肝 右 葉 切 除 を 行 うための 工 夫 として 当 施 設 では<br />

LHMを 行 っている。 我 々はこれまでLHMにおける 盲 目 的 操 作 場 面 で<br />

腹 腔 鏡 用 可 変 式 スコープを 応 用 してモニターで 視 認 しながら 安 全 に 鉗<br />

子 を 通 す 方 法 を 報 告 してきた。この 方 法 を 行 う 動 機 となった 症 例 は、<br />

盲 目 的 剥 離 予 定 層 に 太 い 短 肝 静 脈 を 術 前 確 認 した 肝 内 胆 管 癌 症 例 で 盲<br />

目 的 鉗 子 挿 入 操 作 で 短 肝 静 脈 をまともに 損 傷 することが 予 想 されたた<br />

め、 可 変 式 スコープを 剥 離 層 に 挿 入 しモニターで 視 認 することによっ<br />

て 血 管 損 傷 を 回 避 し 安 全 にテーピングしえた。 以 後 、 左 葉 切 除 術 の2<br />

例 においても 同 様 の 操 作 で 肝 下 部 下 大 静 脈 前 面 から 頭 側 へアプローチ<br />

して 右 肝 静 脈 (RHV)と 中 肝 静 脈 (MHV)の 間 にテープを 通 せることを<br />

確 認 した。しかしながら、 腹 腔 鏡 用 可 変 式 スコープでは 頭 側 の 剥 離 に<br />

限 界 を 感 じ、 今 回 転 移 性 肝 癌 に 対 する 右 葉 切 除 において 胆 道 スコープ<br />

を 応 用 した。その 結 果 肝 下 部 下 大 静 脈 周 辺 操 作 では 腹 腔 鏡 用 可 変 式 ス<br />

コープが 有 用 であったがRHV、MHVの 間 に 鉗 子 を 誘 導 するあたりで<br />

は 胆 道 スコープが 有 効 であることが 判 明 した。 本 手 技 では 心 穏 やかに<br />

テーピングを 行 うことが 可 能 であり 無 輸 血 にて 手 術 を 終 えた。LHM<br />

を 行 う 際 のテーピング 操 作 にビデオスコープを 応 用 する 有 用 性 と 安 全<br />

性 について 報 告 する。<br />

VW1-2<br />

Liverhangingmaneuver(LHM)の 安 全 性 と 有 用 性<br />

大 阪 医 科 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 廣 川 文 鋭 , 林 道 廣 , 宮 本 好 晴 , 朝 隈 光 弘 , 米 田 浩 二 ,<br />

井 上 善 博 , 内 山 和 久<br />

LNMは,1999 年 にBelghitiらにより 下 大 静 脈 前 面 と 肝 臓 の 間 にテー<br />

プを 通 すことで, 巨 大 肝 腫 瘍 や 硬 変 肝 でも 脱 転 せず 安 全 に 前 方 切 除 が<br />

行 えると 提 唱 された 手 技 であり, 現 在 本 邦 では, 様 々な 術 式 に 応 用 さ<br />

れている。【 目 的 】 今 回 LHM 施 行 症 例 のビデオをもとにその 有 用 性 お<br />

よび 注 意 点 と 成 績 について 検 討 した。【 方 法 】LNMの 利 点 は, 単 純 に<br />

切 離 方 向 の 明 確 化 でありそれ 以 外 の 何 ものでもないが, 最 大 のポイン<br />

トは,レネック 被 膜 を 意 識 することである。 当 初 我 々は, 尾 側 からア<br />

プローチすることが 多 く, 右 肝 静 脈 左 側 縁 (11 時 半 から12 時 方 向 )を 目<br />

標 に 鉗 子 を 挿 入 していたところ,しばし, 肝 上 部 で 剥 離 層 がズレるこ<br />

とを 経 験 した。その 原 因 は, 下 大 静 脈 前 面 と 肝 臓 の 間 に 存 在 するレネッ<br />

ク 被 膜 が 尾 側 に 行 くに 従 い 薄 くなっているため, 尾 側 での 剥 離 の 際 レ<br />

ネック 被 膜 を 破 っているためであった。それゆえに, 理 論 的 には, 肝<br />

上 部 からレネック 被 膜 を 破 らずにアプローチすることが 短 肝 静 脈 の 損<br />

傷 も 回 避 でき,より 安 全 に 施 行 できると 考 えられる。ただ,IVC 近 傍<br />

の 巨 大 肝 癌 症 例 や 術 前 TACE・ 門 脈 塞 栓 施 行 例 では, 時 に 下 大 静 脈 と<br />

肝 被 膜 が 強 固 に 癒 着 している 場 合 もあり, 最 終 的 には 無 理 をしないこ<br />

とにつきる。またLHMを 行 い, 切 離 終 了 間 際 に 腹 側 に 引 っ 張 りすぎて,<br />

短 肝 静 脈 を 引 き 抜 く 場 合 もあり 注 意 が 必 要 である。【 成 績 】 当 科 での<br />

LHM 施 行 症 例 は, 右 葉 系 19 例 , 左 葉 系 7 例 の 計 26 例 であった。そこで,<br />

2007 年 以 降 当 科 で 施 行 した 右 葉 切 除 35 例 のうち,LHMを 施 行 した19<br />

例 と 施 行 しなかった16 例 を 比 較 検 討 したところ, 術 前 背 景 は 両 群 に 差<br />

を 認 めなかったが, 出 血 量 はLHM 施 行 群 450mlとLHM 非 施 行 群<br />

1528mlに 比 べ 有 意 に 少 なかった(p=0.0047)。さらに. 腫 瘍 径 5cm 以 下<br />

と5vm 超 により 層 別 解 析 を 行 ったところ,5cm 以 下 群 では 出 血 量 ・ 手<br />

術 時 間 とも 差 を 認 めなかったが,5cm 超 群 では, 出 血 量 380ml…vs…<br />

2350ml(p=0.0142), 手 術 時 間 405 分 vs…505 分 (p=0.0142)といずれも,<br />

LHM 施 行 群 で 有 意 に 低 かった。【 結 論 】LHMは, 解 剖 学 的 理 解 と 無<br />

理 をしないことにより 安 全 に 施 行 でき, 特 に 腫 瘍 径 が 大 きい 場 合 は 出<br />

血 量 ・ 手 術 時 間 を 軽 減 できるため 非 常 に 有 用 であると 考 えられた。<br />

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VW1-3<br />

Hangingtechniqueを 用 いた 腹 腔 鏡 補 助 ( 小 開 腹 ) 下<br />

の 肝 切 除<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 新 田 浩 幸 , 佐 々 木 章 , 藤 田 倫 寛 , 眞 壁 健 二 , 石 橋 正 久 ,<br />

武 田 大 樹 , 片 桐 弘 勝 , 板 橋 英 教 , 長 谷 川 康 , 伊 藤 直 子 ,<br />

高 原 武 志 , 高 橋 正 浩 , 若 林 剛<br />

我 々は、 葉 切 除 や 区 域 切 除 において、 下 大 静 脈 ( 以 下 IVC) 前 面 への 浸<br />

潤 が 疑 われる 転 移 性 肝 癌 を 除 いた 全 例 にhanging…maneuverを 用 いて<br />

いる。IVCに 接 する 巨 大 肝 細 胞 癌 での 肝 離 断 前 のテーピング 困 難 例 ( 鉗<br />

子 の 長 さが 不 足 )においては、 肝 離 断 をすすめた 後 に 行 っている。 特 に、<br />

用 手 的 操 作 が 困 難 な 腹 腔 鏡 補 助 下 や 小 開 腹 下 の 肝 切 除 において 有 用 で<br />

あり、ほぼ 必 須 の 手 技 と 考 えている。 小 開 腹 創 からのIVC 前 面 へのテー<br />

ピングはほぼ 直 角 の 操 作 となるため、 既 存 の 鉗 子 では 困 難 となること<br />

も 多 く、 新 たに 作 製 した 新 田 式 強 弯 剥 離 鉗 子 を 用 いて 尾 側 から 行 って<br />

いる。これまで、 腹 腔 鏡 補 助 下 111 例 、 開 腹 ( 小 開 腹 含 む) 下 94 例 の205<br />

例 に 施 行 、 肝 離 断 後 に 確 認 できる 細 かな 短 肝 静 脈 の 損 傷 はあったもの<br />

の、 大 きな 合 併 症 は 認 めていない。 先 端 が 鈍 な 鉗 子 を 用 い、 抵 抗 を 感<br />

じたら 鉗 子 を 絶 対 にすすめない、 鉗 子 の 先 端 をやや 肝 側 に 向 けること<br />

が 大 きな 脈 管 損 傷 を 回 避 するコツと 考 えている。また、 先 端 の 方 向 性<br />

も 重 要 であり、IVCに 対 して 体 を 並 行 にし、 右 と 中 肝 静 脈 の 間 におい<br />

た 指 先 に 向 かって 鉗 子 先 をすすめている。 右 葉 切 除 においては、<br />

hanging…maneuverを 用 いて 肝 実 質 離 断 が 終 了 したのちにIVC 右 側 に<br />

新 たなテープを 留 置 し、IVC 右 側 脈 管 の 処 理 を 行 っている。 左 葉 切 除<br />

や 肝 門 部 胆 管 癌 での 右 葉 尾 状 葉 切 除 においてはIVC 前 面 と 外 側 区 域 背<br />

側 の2 箇 所 にテープを 留 置 している。 前 区 域 切 除 などの 肝 実 質 離 断 が<br />

IVC 前 面 に 達 しない 術 式 は、 肝 離 断 途 中 で 実 質 のみにテープをスイッ<br />

チしている。Hanging…maneuverは 安 全 に 施 行 可 能 であり、 様 々な<br />

hanging…techniqueを 併 用 することで、 腹 腔 鏡 補 助 ( 小 開 腹 ) 下 での 肝<br />

切 除 も 容 易 なものとなる。 我 々の 行 っている 様 々なhanging…<br />

techniqueを 用 いた 腹 腔 鏡 補 助 ( 小 開 腹 ) 下 での 肝 切 除 をビデオで 供 覧<br />

し、その 有 用 性 について 述 べたい。<br />

VW1-4<br />

Hangingmaneuverの 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 肝 切 除 へ<br />

の 応 用<br />

1<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 、 2 大 阪 市 立 総 合 医 療 セ<br />

ンター 消 化 器 外 科<br />

○… 金 沢 景 繁 1<br />

, 塚 本 忠 司 1<br />

, 清 水 貞 利 1<br />

, 高 台 真 太 郎 1<br />

,<br />

山 添 定 明 1<br />

, 大 平 豪 1 1<br />

, 中 島 隆 善<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 は, 手 術 機 器 の 進 歩 と 手 術 術 式 の 定 型 化<br />

により, 部 分 切 除 から 系 統 切 除 へと 適 応 拡 大 しつつあるが, 根 治 性 を<br />

そこなう 事 なく 完 全 腹 腔 鏡 下 に 施 行 するためには, 開 腹 肝 切 除 とは 異<br />

なった 様 々な 工 夫 を 要 する.…Belghitiに よ り 報 告 さ れ たHanging…<br />

maneuverは,…Nittaらにより 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 葉 切 除 にも 応 用 され,そ<br />

の 有 用 性 が 報 告 されている. 今 回 我 々の 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 肝 切 除 へ<br />

のHanging…maneuverの 応 用 について 供 覧 する.【 手 術 手 技 】 当 院 で<br />

の 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 肝 切 除 は,Pringle 法 による 血 行 遮 断 下 に 術 者<br />

がCUSAと 肝 臓 展 開 用 鉗 子 , 第 一 助 手 が 止 血 デバイスと 吸 引 器 を 用 い<br />

た 合 計 5ポートを 基 本 とし,Hanging…maneuverの 手 技 を 応 用 しながら,<br />

開 腹 下 肝 切 除 と 同 様 の 手 技 で 術 式 を 定 型 化 している.グリソンや 肝 静<br />

脈 を 露 出 する 層 で 肝 離 断 をすすめ, 主 要 グリソン 枝 や 肝 静 脈 枝 の 処 理<br />

は, 原 則 自 動 縫 合 器 による 切 離 を 行 っているが, 背 側 にペンローズド<br />

レーンを 留 置 し,Hanging…techniqueを 応 用 することで, 自 動 縫 合 器<br />

の 誘 導 が 容 易 になるだけでなく,ミスファイヤー 時 の 安 全 性 が 担 保 さ<br />

れる.また 肝 葉 切 除 の 際 など, 頭 背 面 の 視 野 展 開 不 良 な 部 位 にも,ペ<br />

ンローズドレーンによるHanging…maneuverを 併 用 することで, 切 離<br />

線 のメルクマールになるだけでなく, 切 離 面 に 緊 張 がかかる 事 で, 腹<br />

腔 鏡 下 での 肝 離 断 の 補 助 となる.…【 手 術 成 績 】 当 院 でこれまでに 鏡 視<br />

下 肝 切 除 を 行 った189 例 中 , 完 全 腹 腔 鏡 下 に 系 統 切 除 を 行 ったのは45<br />

例 (24%)で, 内 訳 は, 亜 区 域 切 除 10 例 , 外 側 区 域 切 除 14 例 ,その 他 の<br />

区 域 切 除 13 例 , 葉 切 除 以 上 が8 例 である. 完 全 腹 腔 鏡 から 補 助 下 また<br />

はHALSへの 移 行 率 は, 術 式 定 型 化 前 の53%(15 例 中 8 例 )が 定 型 化 後<br />

は5%(40 例 中 2 例 )と 有 意 (p


VW1-5<br />

Liverhangingmaneuverと 中 肝 静 脈 肝 外 剥 離 を 併 用<br />

した 肝 左 葉 切 除 術<br />

杏 林 大 学<br />

○… 横 山 政 明 , 中 里 徹 矢 , 鈴 木 裕 , 杉 山 政 則<br />

【 背 景 】 左 肝 静 脈 と 中 肝 静 脈 は 共 通 幹 を 形 成 して 下 大 静 脈 に 流 入 し、<br />

従 来 は 左 および 中 肝 静 脈 を 肝 外 で 単 独 にテーピングすることは 困 難 と<br />

されてきた。 教 室 では 左 葉 系 肝 切 除 の 際 にMajnoらの 方 法 に 則 って、<br />

Arantius 管 を 切 離 ・ 牽 引 することにより 左 および 中 肝 静 脈 を 肝 外 で<br />

テーピングしている。これは、(1)Arantius 管 は 門 脈 左 枝 から 起 始 し<br />

左 ・ 中 肝 静 脈 合 流 部 または 左 肝 静 脈 根 部 の 背 側 面 に 停 止 する、(2) 左 ・<br />

中 肝 静 脈 合 流 部 は 肝 外 に 存 在 する、という 解 剖 学 的 知 見 に 基 づいてい<br />

る。Liver…hanging…maneuverは 主 に 肝 右 葉 切 除 術 の 際 に 用 いられ、<br />

左 葉 切 除 術 にはあまり 応 用 されていない。 教 室 では 中 肝 静 脈 肝 外 剥 離<br />

法 を 併 用 することにより、hanging…tapeの 上 端 を 右 ・ 中 肝 静 脈 間 から<br />

中 ・ 左 肝 静 脈 間 に 移 動 させて、 左 葉 切 除 術 ( 中 肝 静 脈 温 存 )を 行 ってい<br />

る(Sugiyama,…JHBPS…2009)。【 手 技 】 超 音 波 誘 導 下 に 肝 部 下 大 静 脈 の<br />

前 面 を 鈍 的 に 剥 離 し、 右 ・ 中 肝 静 脈 の 間 にhanging…tapeを 通 す。 左 冠<br />

状 ・ 三 角 間 膜 を 切 離 後 、 左 ・ 中 肝 静 脈 共 通 幹 の 腹 側 面 を 露 出 し、さら<br />

に 左 ・ 中 肝 静 脈 合 流 部 まで 可 及 的 に 剥 離 する。 小 網 を 切 開 し、<br />

Arantius 管 を 上 中 1/3の 部 位 で 結 紮 切 離 する。Arantius 管 の 頭 側 切 離<br />

端 を 把 持 し、 左 ・ 中 肝 静 脈 合 流 部 の 方 向 へ 剥 離 する。Arantius 管 は 広<br />

がりながら 合 流 部 または 左 肝 静 脈 に 停 止 するが、この 部 分 は 剥 離 しな<br />

い。ここで 肝 外 側 区 域 を 前 方 へ 脱 転 しArantius 管 切 離 端 を 頭 側 左 側 へ<br />

強 く 牽 引 する。 左 ・ 中 肝 静 脈 の 股 の 部 分 の 線 維 性 間 隙 の 背 側 面 が 明 瞭<br />

となり、ケリー 鉗 子 を 背 側 から 腹 側 へ 通 し、 左 肝 静 脈 をテーピングす<br />

る。さらに 共 通 幹 をテーピングし、 残 りの 中 肝 静 脈 もテーピングする。<br />

中 肝 静 脈 テーピングを 利 用 しhanging…tapeの 上 端 を 中 ・ 左 肝 静 脈 の 間<br />

に 移 動 させる。【 結 論 】 本 法 は 安 全 に 施 行 可 能 であり、 中 肝 静 脈 温 存<br />

左 葉 切 除 術 ( 特 に 尾 状 葉 合 併 切 除 )に 有 用 である。また 拡 大 右 葉 切 除 術<br />

にも 応 用 できる。<br />

VW1-6<br />

全 尾 状 葉 と 後 区 域 の 一 括 切 除 におけるHanging<br />

maneuverの 有 用 性<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 田 中 邦 哉 , 熊 本 宜 文 , 野 尻 和 典 , 谷 口 浩 一 , 上 田 倫 夫 ,<br />

武 田 和 永 , 杉 田 光 隆 , 大 田 貢 由 , 遠 藤 格<br />

【 背 景 】 尾 状 葉 に 局 在 する 腫 瘍 あるいは 後 区 域 と 尾 状 葉 の 境 界 に 局 在<br />

する 腫 瘍 に 対 して、 後 区 域 ・ 全 尾 状 葉 の 一 括 切 除 が 選 択 されることが<br />

あるが、 切 離 面 が 比 較 的 広 範 囲 となり、 単 純 な 葉 切 除 に 比 較 し 切 離 方<br />

向 の 決 定 が 困 難 な 場 合 がある。【 目 的 】 後 区 域 ・ 全 尾 状 葉 の 一 括 切 除<br />

におけるHanging…maneuver 応 用 の 有 用 性 を 検 討 する。【 手 技 】1)… 右<br />

肝 静 脈 を 温 存 した 後 区 域 ・ 全 尾 状 葉 切 除 では、Hanging 用 のペンロー<br />

ズドレーンを、 肝 外 でtapingした 右 肝 静 脈 の 尾 側 より 左 中 肝 静 脈 共 通<br />

幹 の 尾 側 を 通 過 させ、 左 尾 状 葉 と 外 側 区 域 の 間 である 静 脈 管 索 裂 (ア<br />

ランチスウス 管 走 行 部 )を 通 過 するよう 挿 入 する。ドレーンをさらに、<br />

肝 門 部 でglisson 一 括 tapingした 左 glisson 一 次 分 枝 の 背 側 から 腹 側 に 通<br />

過 させ、 前 区 域 および 後 区 域 glissonも 一 括 tapingしたのち、ドレーン<br />

先 端 を 前 後 区 域 gissonの 間 に 引 き 抜 く。この 状 態 でドレーンを<br />

Hangingしながら 肝 切 離 を 施 行 する。2)… 右 肝 静 脈 も 合 併 切 除 する 拡<br />

大 後 区 域 ・ 全 尾 状 葉 切 除 では、Hanging 用 のペンローズドレーンを、<br />

右 肝 静 脈 と 左 中 肝 静 脈 共 通 幹 の 間 の 下 大 静 脈 前 面 より 挿 入 し、 左 中 肝<br />

静 脈 共 通 幹 の 尾 側 を 通 過 させ、 以 降 は 同 様 の 方 法 で 行 う。【 成 績 】 転<br />

移 性 肝 癌 および 原 発 性 肝 癌 切 除 例 のうち( 拡 大 ) 後 区 域 ・ 全 尾 状 葉 切 除<br />

を 施 行 した 症 例 は12 例 であった( 転 移 性 6 例 、 原 発 性 6 例 )。このうち8<br />

例 はHanging…maneuver 非 施 行 で、4 例 にHanging…maneuverを 応 用 し<br />

た。 切 離 断 端 陽 性 頻 度 は 非 施 行 群 ・ 施 行 群 ともに25%と 差 はなかった<br />

が、 手 術 時 間 ( 中 央 値 )は 非 施 行 群 が521 分 で、 施 行 群 が417 分 であり<br />

Hanging…maneuver…により 短 縮 可 能 であった(P=0.04)。 出 血 量 、 輸 血<br />

頻 度 は 非 施 行 群 がそれぞれ1350mL,62.5%、 施 行 群 が360mL,0%であり、<br />

施 行 群 で 低 率 であった(P=0.01,P=0.04)。【 結 語 】 後 区 域 ・ 全 尾 状 葉 の<br />

一 括 切 除 においてHanging…maneuverの 応 用 により、 手 術 時 間 の 短 縮<br />

および 出 血 量 の 軽 減 が 可 能 であり、 安 全 に 寄 与 すると 考 えられた。<br />

VW1-7<br />

肝 門 部 胆 管 癌 におけるHangingManeuverを 用 いた<br />

肝 左 3 区 域 切 除 、 胆 管 切 除 術<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 加 藤 厚 , 清 水 宏 明 , 吉 留 博 之 , 大 塚 将 之 , 吉 富 秀 幸 ,<br />

古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 高 屋 敷 吏 , 久 保 木 知 , 鈴 木 大 亮 ,<br />

中 島 正 之 , 木 村 文 夫 , 宮 崎 勝<br />

Hanging…maneuverは 巨 大 な 肝 腫 瘍 に 対 する 術 式 の 工 夫 として 肝 を 脱<br />

転 せずに 肝 部 下 大 静 脈 と 肝 実 質 との 間 に 通 したテープを 挙 上 すること<br />

により 肝 切 離 面 からの 出 血 を 制 御 するとともに、 肝 の 授 動 を 先 行 する<br />

ことなくanterior…approachによる 肝 切 離 を 行 う 方 法 として 報 告 され<br />

た が、… 我 々は、 肝 門 部 胆 管 癌 の 肝 葉 切 除 に 際 してもhanging…<br />

maneuverを 応 用 した 肝 切 離 を 施 行 しており、 今 回 、 肝 左 3 区 域 切 除 、<br />

胆 管 切 除 症 例 をビデオにて 供 覧 し、 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 術 における<br />

hanging…maneuverの 要 点 と 工 夫 を 概 説 する。… 症 例 は62 才 女 性 。 主 訴<br />

は 黄 疸 。MDCTにより 左 肝 管 を 主 座 とする 約 3cmの 腫 瘤 を 認 め、 前 区<br />

域 胆 管 への 浸 潤 のため 左 3 区 域 切 除 、 胆 管 切 除 術 が 必 要 と 考 えられた。<br />

ENBDによる 肝 前 区 域 枝 のドレナージを 施 行 したが、 左 3 区 域 切 除 術<br />

を 施 行 する 目 的 で、 後 区 域 胆 管 枝 のドレナージのためB3からB6に<br />

PTBDを 追 加 挿 入 した。 左 および 前 区 域 の 門 脈 塞 栓 術 を 施 行 した。ま<br />

ず 肝 門 部 右 側 で 肝 前 後 区 域 の 脈 管 を 露 出 して 後 区 域 の 肝 動 脈 、 門 脈 を<br />

テーピングして 手 術 の 可 否 を 判 断 する。その 後 、 肝 十 二 指 腸 間 膜 の<br />

skeletonizationをリンパ 節 郭 清 とともに 行 い、 左 ・ 中 肝 動 脈 、 門 脈 左 枝 、<br />

前 区 域 枝 を 処 理 する。 右 前 後 区 域 間 のdemarcation…lineに 沿 って 肝 切<br />

離 を 行 うが、その 前 に 下 大 静 脈 前 面 の 無 血 管 領 域 を 通 して、 頭 側 は 右<br />

肝 静 脈 と 中 肝 静 脈 の 間 へ、 尾 側 は 右 肝 動 脈 ・ 右 門 脈 と 右 肝 管 の 間 にペ<br />

ンローズドレーンを 挿 入 し、 右 尾 状 突 起 右 側 のRouviere 溝 にペンロー<br />

ズドレーンをあてながらhanging…maneuverを 行 うことで、 確 実 な 切<br />

離 線 の 確 保 と 出 血 量 の 軽 減 が 可 能 である。 肝 門 部 胆 管 癌 では 術 前 の 画<br />

像 診 断 、 肝 予 備 能 、 残 肝 容 積 などを 指 標 に 過 不 足 のない 術 式 選 択 を 行<br />

うことが 重 要 であり、 我 々は、 肝 門 部 胆 管 癌 における 左 側 肝 切 除 術 が、<br />

根 治 性 や 生 存 率 の 面 から 右 側 肝 切 除 と 遜 色 ないことを 報 告 してきた。<br />

その 中 で 肝 左 3 区 域 切 除 術 は 術 式 の 一 つとしてきわめて 有 用 であり、<br />

こうした 肝 切 除 の 際 にhanging…maneuverを 応 用 することで、 肝 切 離<br />

方 向 の 同 定 が 容 易 となるとともに、 出 血 のコントロールや 温 存 胆 管 の<br />

副 損 傷 の 防 止 が 可 能 となり、 極 めて 有 用 な 方 法 である。<br />

VW2-1<br />

肝 門 部 胆 管 癌 における 門 脈 分 岐 変 異 時 の 胆 管 形 態 と 術<br />

式 選 択<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 大 学 院 統 合 癌 治 療 外 科<br />

○… 力 山 敏 樹 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 林 洋 毅 1<br />

, 岡 田 恭 穂 1<br />

,<br />

森 川 孝 則 1<br />

, 中 川 圭<br />

1,2<br />

, 大 塚 英 郎 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

,<br />

水 間 正 道 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 内 藤 剛 1<br />

,<br />

片 寄 友<br />

1,2<br />

, 江 川 新 一 1<br />

, 海 野 倫 明<br />

1,2<br />

【はじめに】 我 々は、 肝 門 部 胆 管 癌 の 水 平 ・ 垂 直 診 断 に 対 する<br />

MDCTの 有 用 性 や、 肝 門 部 胆 管 形 態 の 局 所 立 体 解 剖 理 解 に 対 する<br />

MDCT…cholangiographyの 有 用 性 、これらを 用 いた 門 脈 分 岐 変 異 と 肝<br />

門 部 胆 管 形 態 との 関 連 性 を 報 告 してきた。【 対 象 と 方 法 】1995 年 から<br />

2009 年 12 月 までの、 門 脈 分 岐 形 態 と 胆 管 形 態 の 画 像 解 析 が 可 能 であっ<br />

た 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 185 例 を 対 象 に 右 葉 ・ 肝 門 部 の 胆 管 形 態 、 門 脈 分<br />

岐 変 異 、 両 者 の 関 連 、ならびに 胆 管 形 態 ごとの 手 術 術 式 を 検 討 した。【 結<br />

果 】 門 脈 分 岐 変 異 は、 後 区 域 枝 が 独 立 分 岐 するL+Aパターン16 例 8.6%、<br />

P6 先 行 分 岐 5 例 2.7%、 右 側 肝 円 索 1 例 0.5%であった。これらの 門 脈 分<br />

岐 変 異 群 ( 変 異 群 :22 例 11.9%)と、 正 常 または3 分 岐 群 ( 正 常 群 :163<br />

例 88.1%)とを 比 較 すると、 胆 管 後 区 域 枝 が 北 回 りで 前 区 域 枝 へ 合 流<br />

するいわゆる< 古 典 的 パターン( 胆 管 合 流 部 位 不 明 例 含 む)>: 変 異 群<br />

59.1%…vs.… 正 常 群 92.6%、 後 区 域 枝 が 北 回 りで 左 肝 管 へ 合 流 : 変 異 群<br />

9.1%…vs.… 正 常 群 0.6%、 後 区 域 枝 が 南 回 りで 前 区 域 枝 へ 合 流 : 変 異 群<br />

18.2%…vs.… 正 常 群 4.3%、といずれも 有 意 差 を 認 めた。その 他 のタイプ<br />

を 含 め、 合 流 パターンを< 右 肝 管 の 有 …/… 無 >で 分 類 すると、 変 異 群<br />

86.4%…/…13.6%…vs.… 正 常 群 98.8%…/…1.2%、 走 行 パターンを< 後 区 域 胆<br />

管 の 門 脈 に 対 する 走 行 が 北 回 り…/… 南 回 り>で 分 類 すると、 変 異 群<br />

68.2%…/…22.7%…vs. 正 常 群 93.3%…/…4.9%と 有 意 に 異 なる 胆 管 形 態 で<br />

あった。 術 式 の 内 訳 は 右 葉 系 93 例 (50.3%)、 左 葉 系 77 例 (41.6%)で、 正<br />

常 群 ( 右 葉 系 49.7%…vs.… 左 葉 系 41.7%)、 変 異 群 (54.5%…vs.…40.9%)と 両 群<br />

間 に 差 を 認 めなかった。【 結 語 】 門 脈 分 岐 変 異 症 例 では、 胆 管 形 態 タ<br />

イプが 古 典 的 パターンと 異 なる 頻 度 は 高 率 であり、 術 式 選 択 や 根 治 性<br />

に 大 きな 影 響 を 与 える。 後 区 域 枝 左 肝 管 合 流 では 腫 瘍 占 拠 部 位 が 左 優<br />

位 でも 後 区 域 枝 への 水 平 進 展 に 注 意 する 必 要 があり、 後 区 域 枝 南 回 り<br />

では 左 葉 系 切 除 でも 十 分 末 梢 まで 切 離 可 能 な 事 が 多 い。このような 門<br />

脈 変 異 症 例 における 古 典 的 パターン、 後 区 域 枝 北 回 りで 左 肝 管 合 流 、<br />

南 回 りで 前 区 域 枝 合 流 、 等 、 代 表 的 な 胆 管 形 態 の 局 所 解 剖 とMDCT<br />

画 像 診 断 、 術 式 選 択 を、 動 画 や 手 術 ビデオを 交 え 提 示 する。<br />

-230-


VW2-2<br />

正 中 弓 状 靱 帯 による 腹 腔 動 脈 起 始 部 圧 迫 症 候 群 を 伴 う<br />

症 例 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 久 保 木 知 , 野 島 広 之 , 清 水 宏 明 , 吉 留 博 之 , 大 塚 将 之 ,<br />

加 藤 厚 , 吉 富 秀 幸 , 古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 高 屋 敷 吏 ,<br />

鈴 木 大 亮 , 中 島 正 之 , 木 村 文 夫 , 宮 崎 勝<br />

腹 腔 動 脈 起 始 部 圧 迫 症 候 群 (CACS)では 正 中 弓 状 靱 帯 による 腹 腔 動 脈<br />

起 始 部 の 狭 窄 に 伴 い 腹 腔 動 脈 から 総 肝 動 脈 への 血 流 は 低 下 しており、<br />

主 に 上 腸 間 膜 動 脈 から 膵 頭 部 アーケードを 介 して 肝 血 流 が 供 給 されて<br />

いる。 従 って 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 施 行 時 は 胃 十 二 指 腸 動 脈<br />

(GDA)を 切 離 する 前 に 膵 頭 部 アーケード 遮 断 後 の 腹 腔 動 脈 から 総 肝<br />

動 脈 を 介 した 肝 血 流 量 を 確 認 し、 保 持 する 事 が 重 要 であり、 血 流 が 低<br />

下 する 場 合 は 肝 血 流 保 持 の 為 の 追 加 処 置 が 必 要 となる。 今 回 、 正 中 弓<br />

状 靭 帯 によるCACSを 伴 う 症 例 に 対 して、 正 中 弓 状 靭 帯 切 離 術 を 追 加<br />

することにより 肝 血 流 量 を 低 下 させることなくPDを 施 行 し 得 た 症 例<br />

のビデオを 供 覧 する。67 歳 、 男 性 。 癌 に 伴 う 下 部 胆 管 閉 塞 の 診 断 にて<br />

入 院 。 術 前 の3DCT-Angiographyにて 腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 及 び 膵<br />

アーケードの 発 達 を 認 めた。 術 中 、 電 磁 血 流 計 を 用 いて 総 肝 動 脈 、 固<br />

有 肝 動 脈 、GDAの 血 流 を 測 定 すると、 総 肝 動 脈 は 遠 肝 性 、GDA 及 び<br />

固 有 肝 動 脈 は 求 肝 性 であり、 固 有 肝 動 脈 血 流 は220…ml/minであった。<br />

GDAクランプ 後 の 固 有 肝 動 脈 血 流 は30…ml/minと 著 名 に 減 少 し、 脾 動<br />

脈 クランプを 加 えても70…ml/minにとどまった。よって 固 有 肝 動 脈 の<br />

血 流 を 増 加 させるための 追 加 処 置 がPDに 伴 うGDA 切 離 に 際 して 必 要<br />

と 判 断 し、 正 中 弓 状 靱 帯 切 離 術 を 追 加 した。 正 中 弓 状 靱 帯 切 離 後 の 総<br />

肝 動 脈 血 流 は 求 肝 性 となり、GDAクランプ 後 の 固 有 肝 動 脈 血 流 も<br />

220ml/minと 保 持 された 為 、GDAを 切 離 し、 門 脈 合 併 切 除 を 伴 うPD<br />

を 施 行 した。 手 術 時 間 9 時 間 2 分 、 出 血 量 385gであった。 術 後 、 肝 機<br />

能 異 常 を 認 めず、 第 7 病 日 の 造 影 CTにて 肝 血 流 が 保 持 されていること<br />

が 確 認 された。 術 後 経 過 は 概 ね 良 好 で 第 34 病 日 に 退 院 した。 以 前 、<br />

CACSを 伴 う 症 例 に 対 して 正 中 弓 状 靭 帯 切 離 術 を 弊 施 することなく<br />

PDを 施 行 した 際 、 肝 血 流 不 全 に 伴 う 高 度 肝 障 害 、 肝 膿 瘍 形 成 、 胆 管<br />

空 腸 吻 合 部 の 縫 合 不 全 等 を 認 め、 術 後 管 理 に 難 渋 した 経 験 もあり、 術<br />

前 の3DCT-Angiographyにて 腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 及 び 膵 アーケード<br />

の 発 達 を 認 める 症 例 ではCACSの 存 在 を 念 頭 に 置 き、 術 中 に 固 有 肝 動<br />

脈 の 血 流 を 測 定 しながら 手 術 を 進 めることが、 肝 血 流 不 全 に 伴 う 合 併<br />

症 を 回 避 し、 安 全 にPDを 遂 行 する 上 で 重 要 である。<br />

VW2-3<br />

左 外 側 後 枝 (B2)が 上 部 胆 管 に 独 立 して 合 流 する 肝 門<br />

部 胆 管 癌 に 対 する 手 術<br />

成 田 赤 十 字 病 院<br />

○… 清 水 善 明 , 西 谷 慶 , 伊 藤 勝 彦 , 代 市 拓 也<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 手 術 においては、 肝 門 部 解 剖 の 詳 細 な 検 討 や 癌<br />

の 進 達 ・ 進 展 度 診 断 が 極 めて 重 要 である。 胆 管 は 門 脈 と 比 較 して 解 剖<br />

学 的 変 異 の 頻 度 が 高 く、 術 前 に 解 剖 を 十 分 に 把 握 することは、 予 定 術<br />

式 における 胆 管 分 離 限 界 点 の 設 定 、 再 建 すべき 胆 管 の 同 定 のために 極<br />

めて 重 要 なことである。 右 後 区 域 胆 管 枝 が 門 脈 右 枝 の 頭 側 を 走 行 せず、<br />

尾 側 を 走 行 して 右 胆 管 や 総 胆 管 に 合 流 する、いわゆる‘ 南 回 り’では<br />

門 脈 右 枝 の 制 約 がなくなり、 右 後 区 域 胆 管 枝 の 切 除 線 をより 肝 側 へ 追<br />

及 することが 可 能 になることは 広 く 知 られているが、 今 回 我 々は、 左<br />

外 側 後 枝 (B2)が 左 門 脈 の 尾 側 を 走 行 し 肝 門 部 に 独 立 して 合 流 するB2<br />

胆 管 枝 の‘ 南 回 り’とも 言 うべき 変 異 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 して、<br />

術 前 のMDCTにて 解 剖 学 的 変 異 を 同 定 し、 安 全 に 肝 右 葉 切 除 + 尾 状<br />

葉 切 除 + 胆 管 切 除 にて 癌 切 除 し 得 た 症 例 を 経 験 したので 提 示 する。 症<br />

例 は75 歳 、 男 性 。 肝 機 能 障 害 精 査 にて 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 指 摘 され、 精<br />

査 の 結 果 、B2 胆 管 枝 が 癌 の 存 在 する 上 部 胆 管 に 独 立 して 合 流 する 変<br />

異 を 認 め、 右 肝 動 脈 浸 潤 が 疑 われる、 左 右 胆 管 に 浸 潤 した 肝 門 部 胆 管<br />

癌 と 診 断 された。 内 視 鏡 的 に 左 右 胆 管 をそれぞれドレナージし、 右 門<br />

脈 塞 栓 の3 週 後 に 手 術 施 行 した。 手 術 は 膵 上 縁 で 総 胆 管 を 切 離 し、 右<br />

肝 動 脈 を 結 紮 切 離 。 門 脈 本 幹 を 右 門 脈 合 流 部 で 開 放 し 血 栓 が 門 脈 本 幹<br />

方 向 への 進 展 ないこと 確 認 後 に 連 続 縫 合 閉 鎖 して 右 門 脈 を 処 理 。 中 肝<br />

静 脈 の 背 側 のparacaval…portionを 含 めて、 肝 右 葉 切 除 + 尾 状 葉 切 除 施<br />

行 した。 最 後 に、いわゆる‘ 南 回 り’であるため 余 裕 のあるB2 胆 管<br />

枝 を 十 分 に 肝 側 にて 切 離 し、 左 門 脈 及 び 左 肝 動 脈 を 十 分 に 肝 側 方 向 に<br />

剥 離 して 左 胆 管 を 胆 管 分 離 限 界 点 にて 切 離 (B3、B4の2 穴 )した。B2、<br />

B3、B4それぞれの 胆 管 枝 にRTBD2.5Frを1 本 ずつ 挿 入 し、B3とB4を1<br />

穴 に 形 成 し、B2と2 本 の 胆 管 空 腸 吻 合 をRoux-en…Yにて 施 行 した。 術<br />

後 2 年 を 経 過 した 現 在 、 無 再 発 生 存 中 である。< 結 語 > 胆 管 の 直 接 造<br />

影 のみならず、MDCTにて 術 前 に 癌 の 進 達 ・ 進 展 度 診 断 を 十 分 行 い、<br />

肝 門 部 の 解 剖 学 的 変 異 の 有 無 など 詳 細 な 検 討 を 行 うことにより、 癌 の<br />

進 行 度 に 対 して 過 不 足 のない、かつ 安 全 な 手 術 が 施 行 できる。<br />

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VW2-4<br />

BismuthIIIa 型 肝 門 部 胆 管 癌 にMDCTで 肝 門 部 胆 管 の<br />

破 格 を 診 断 し 肝 右 傍 正 中 領 域 + 尾 状 葉 切 除 で 治 癒 切 除<br />

した1 例<br />

国 保 直 営 総 合 病 院 君 津 中 央 病 院<br />

○… 新 村 兼 康 , 海 保 隆 , 外 川 明 , 小 林 壮 一<br />

【 諸 言 】 肝 門 部 胆 管 癌 はその 解 剖 学 的 特 殊 性 から 標 準 術 式 はなく, 患<br />

者 個 々の 外 科 解 剖 の 把 握 と 進 展 度 診 断 が 重 要 である. 根 治 性 の 高 い 術<br />

式 を 選 択 すべきことはいうまでもないが、 安 全 性 も 両 立 しなければな<br />

らない.MDCTは 肝 臓 手 術 の 術 式 選 択 やシミュレーションとして 有<br />

用 だが, 肝 門 部 胆 管 癌 でも 術 式 決 定 に 必 須 のモダリティーとなってい<br />

る. 今 回 MDCTにより 肝 門 部 胆 管 癌 の 進 展 度 と、 胆 管 の 解 剖 学 的 変<br />

異 を 把 握 でき、 肝 右 傍 正 中 領 域 切 除 + 尾 状 葉 切 除 で 治 癒 切 除 できた 症<br />

例 を 経 験 した.【 症 例 】70 歳 男 性 . 腫 瘍 は 上 部 胆 管 から 右 肝 門 部 胆 管<br />

に 主 座 を 置 く 約 4…cmの 乳 頭 型 + 平 坦 浸 潤 型 で, 右 前 区 域 2 次 分 枝 へ 進<br />

展 し, 左 肝 管 にとどまるBismuth 分 類 IIIa 型 の 肝 門 部 胆 管 癌 と 考 えら<br />

れたが,MDCTにより, 右 後 区 域 胆 管 が 左 肝 管 に 合 流 している 解 剖<br />

学 的 変 異 が 明 瞭 に 描 出 された.また 腫 瘍 は 早 期 相 中 心 の 濃 染 を 伴 う 壁<br />

肥 厚 像 や 拡 張 胆 管 の 壁 濃 染 像 としてとらえられ, 水 平 方 向 進 展 は 左 肝<br />

管 へは11mm 進 展 し 胆 管 分 離 限 界 点 まで14mm、 左 肝 管 から 分 岐 する<br />

後 区 域 胆 管 へは12mm 進 展 し 分 離 限 界 点 へ14mmと 診 断 した. 垂 直 方<br />

向 進 展 は 乏 しく 肝 門 部 動 門 脈 は 浸 潤 を 受 けていなかった. 根 治 性 から<br />

は 肝 右 葉 切 除 + 尾 状 葉 切 除 か 肝 左 三 区 域 葉 切 除 + 尾 状 葉 切 除 を 選 択 す<br />

べきであったが,ICG-R15は14.3%で 門 脈 枝 塞 栓 術 後 に 肝 機 能 の 面 か<br />

ら 必 ずしも 耐 術 可 能 となるとはいえず、 肝 右 傍 正 中 領 域 切 除 + 尾 状 葉<br />

切 除 を 選 択 した. 左 は 右 葉 切 除 + 尾 状 葉 切 除 の 切 離 面 , 右 は 左 三 区 域 切<br />

除 + 尾 状 葉 切 除 の 切 離 面 でそれぞれの 胆 管 分 離 限 界 点 で 切 離 した( 左<br />

右 ともorifice…2 本 となった). 手 術 時 間 は688 分 , 出 血 量 1,949…mlで,<br />

組 織 学 的 に 治 癒 切 除 を 得 た.【 考 察 】 肝 門 部 胆 管 癌 では 水 平 方 向 進 展<br />

の 評 価 が 最 も 重 要 になるが, 今 回 肝 内 胆 管 の 拡 張 によりMDCTで 軽<br />

微 な 胆 管 濃 染 像 も 診 断 でき, 病 理 組 織 での 水 平 方 向 進 展 も 概 ね 合 致 し<br />

たことからも、 減 黄 前 にMDCTを 行 うことは 必 要 不 可 欠 といえる.<br />

また、 右 後 区 域 胆 管 枝 が 左 肝 管 に 合 流 するものやいわゆる“ 南 回 り”<br />

の 症 例 では, 本 来 なら 肝 右 葉 切 除 + 尾 状 葉 切 除 か 左 三 区 域 切 除 + 尾 状<br />

葉 切 除 を 考 慮 するBismuthIIIa 型 の 腫 瘍 であっても, 術 前 肝 機 能 が 十<br />

分 でない 場 合 は 本 術 式 が 成 立 すると 考 えた.<br />

VW2-5<br />

門 脈 左 右 分 岐 部 欠 損 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 胆 管 癌 の1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 太 田 岳 洋 , 樋 口 亮 太 , 谷 澤 武 久 , 梶 山 英 樹 , 小 貫 建 一 郎 ,<br />

植 村 修 一 郎 , 有 泉 俊 一 , 山 本 雅 一<br />

肝 門 部 での 門 脈 分 岐 形 態 にはいくつかのvariationがあることが 知 られ<br />

ている。 今 回 我 々は 極 めて 稀 とされる 門 脈 左 右 分 岐 部 の 欠 損 を 伴 った<br />

肝 門 部 胆 管 癌 の 症 例 を 経 験 したので、その 手 術 手 技 をビデオで 供 覧 す<br />

る。 症 例 は80 歳 女 性 、 肝 機 能 障 害 にて 近 医 受 診 し 肝 門 部 胆 管 の 閉 塞 を<br />

認 め、 肝 門 部 胆 管 癌 の 診 断 にて 当 科 紹 介 となった。CT 像 では 門 脈 の<br />

分 岐 形 態 が 通 常 と 異 なり、 門 脈 本 管 がそのまま 右 枝 に 移 行 し、 後 区 域<br />

枝 を 分 岐 した 先 の 通 常 は 前 区 域 枝 の 部 分 から 左 枝 が 分 岐 する 形 態 を 示<br />

していた。3DCTの 血 管 像 は 病 態 の 把 握 に 有 用 であった。 肝 動 脈 は 左<br />

肝 動 脈 が 左 胃 動 脈 から 分 岐 していたが、 胆 管 の 分 岐 には 目 立 った 異 常<br />

は 認 めなかった。 癌 の 進 展 範 囲 から 術 式 は 左 葉 ・ 尾 状 葉 、 肝 外 胆 道 切<br />

除 を 予 定 した。 門 脈 左 枝 の 処 理 は 通 常 と 異 なり、 門 脈 本 管 を 肝 側 に 剥<br />

離 し、 通 常 の 左 右 分 岐 の 位 置 で 尾 状 葉 枝 を 処 理 した 後 、 後 区 域 枝 の 分<br />

岐 を 確 認 して 温 存 し 前 区 域 枝 との 共 通 管 を 奥 に 追 及 して 左 門 脈 の 分 岐<br />

部 に 達 することができた。あらかじめ、 肝 実 質 切 離 をCantlie 線 に 沿 っ<br />

て 行 っておくことで 門 脈 処 理 を 安 全 に 施 行 し 得 たが、 前 区 枝 と 左 枝 の<br />

分 岐 はあくまで 肝 外 グリソン 内 に 位 置 しており、 門 脈 枝 だけが 単 独 で<br />

肝 内 を 走 行 してはいないことを 確 認 した。 手 術 は 予 定 術 式 で 終 了 し 手<br />

術 時 間 7 時 間 33 分 、 出 血 量 529g、 輸 血 量 0ml、 腫 瘍 は 結 節 浸 潤 型 、<br />

tub2、pT4…(pHinf1b,…pA0,pPV1)、pN1、fStageIVa、pHM0、pDM0、<br />

pEM1、curBであった。 術 後 経 過 は 良 好 で27PODで 退 院 となった。 本<br />

症 例 は 術 前 画 像 より 門 脈 分 岐 形 態 の 異 常 を 確 認 し、 安 全 に 手 術 を 施 行<br />

し 得 た。 肝 切 除 を 行 う 際 には 常 に 術 前 画 像 で 肝 門 部 の 脈 管 の 分 岐 形 態 、<br />

位 置 関 係 に 注 意 を 払 う 必 要 がある。<br />

-231-


VW2-6<br />

右 側 肝 円 索 に 胆 道 系 変 異 を 伴 った 肝 尾 状 葉 原 発 胆 管 内<br />

乳 頭 状 腺 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 、 2 新 潟 臨 港 総 合 病 院<br />

○… 黒 崎 功 1<br />

, 皆 川 昌 広 1<br />

, 高 野 可 赴 1<br />

, 滝 沢 一 泰 1<br />

, 森 本 悠 太 1<br />

,<br />

渡 辺 隆 興<br />

1<br />

【はじめに】 右 側 肝 円 索 の 発 生 は 左 臍 静 脈 が 消 失 し 右 臍 静 脈 が 残 存 し<br />

たためとされる. 稀 である 上 に 肝 門 部 に 手 術 操 作 が 及 ぶ 術 式 では 注 意<br />

が 必 要 である. 我 々は 右 肝 円 索 , 左 側 胆 嚢 , 胆 管 の 変 異 を 伴 った 肝 尾 状 葉<br />

原 発 の 胆 管 内 乳 頭 状 腺 癌 (IPNB)に 対 して, 肝 S1+ 後 区 域 切 除 , 変 則 的 な<br />

胆 管 切 除 / 再 建 を 施 行 した. 経 験 しがたい 病 態 と 手 術 であり, 手 技 をビ<br />

デオにて 供 覧 する.【 症 例 】59 歳 女 性 で 心 窩 部 痛 の 精 査 にて 肝 S1の<br />

IPNBが 指 摘 された. 腹 部 CTでは 門 脈 右 枝 背 側 に 径 3cm 大 , 内 部 に 充 実<br />

部 分 を 伴 う 嚢 胞 性 病 変 が 存 在 した( 以 下 , 模 式 図 参 照 ). 門 脈 前 区 域 枝<br />

(AS)の 末 梢 に 右 側 肝 円 索 (*)が 形 成 されている. 胆 管 は 肝 門 部 で 左 右 に<br />

分 かれるが, 前 区 域 胆 管 枝 をA,Bと 出 した 後 , 門 脈 の 背 側 で 後 区 域 胆 管<br />

枝 (#)が 分 岐 した. 粘 稠 な 粘 液 で 嚢 胞 内 造 影 はできなかったが,ERCP<br />

にて 右 肝 管 ( 概 ねA-B 間 )と 嚢 胞 との 交 通 が 認 められた. 低 悪 性 度 腫 瘍 で<br />

あり,S1 単 独 切 除 では 肝 門 部 の 解 剖 が 分 かりにくいと 判 断 し, 後 区 域 +<br />

S1 切 除 とした. 胆 管 は 右 肝 管 (C)で 離 断 し,A,Bを 切 離 して 病 変 を 摘 出 し<br />

た.… 断 端 Aは 門 脈 右 枝 (RPV)の 背 側 ,… 同 Bは 腹 側 に 位 置 したため,… 空 腸<br />

はRPVを 跨 ぐようにループを 描 いてA,Bに 吻 合 された. 手 術 時 間 630 分 ,<br />

出 血 量 1050grであった. 病 変 は 微 小 な 浸 潤 を 有 するIPNBであった. 術 後<br />

少 量 の 胆 汁 瘻 を 認 めたが 約 1 週 間 で 自 然 消 失 し 退 院 した.【まとめ】 脈 管 ,<br />

胆 管 系 に 著 明 な 変 異 を 伴 う 症 例 の 肝 切 除 では, 解 剖 学 的 病 態 を 十 分 に<br />

把 握 することが 肝 要 である.<br />

VW2-7<br />

右 側 門 脈 臍 部 症 例 における 肝 内 門 脈 枝 ・ 胆 管 枝 解 剖<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科<br />

○… 前 田 敦 行 , 磯 谷 正 敏 , 金 岡 祐 次 , 高 山 祐 一 , 砂 川 真 輝 ,<br />

奥 野 正 隆 , 川 勝 章 司<br />

【 目 的 】 右 側 門 脈 臍 部 (right…umbilical…portion:…RUP)を 伴 う 症 例 の<br />

肝 内 門 脈 枝 ・ 胆 管 枝 の 形 態 を 検 討 するとともに, 肝 膵 同 時 切 除 (HPD)<br />

を 行 った 中 部 胆 管 癌 の1 例 を 供 覧 する.【 方 法 】1996 年 1 月 から2011 年<br />

10 月 までに 当 院 で 肝 胆 膵 手 術 を 施 行 したRUP…8 例 ( 肝 切 除 5 例 ,HPD…2<br />

例 ,PPPD…1 例 )を 対 象 とし, 肝 内 門 脈 枝 ・ 胆 管 枝 の 解 剖 形 態 を 検 討 し<br />

た.また3 例 では 不 完 全 ながらも 左 側 門 脈 臍 部 (left…umbilical…portion:…<br />

LUP)を 形 成 していた.なおRUPから 左 方 へ 門 脈 枝 の 直 接 分 岐 する 領 域<br />

とLUPから 右 方 へ 直 接 分 岐 する 領 域 を 左 内 側 区 域 と 定 義 した.【 成 績 】…<br />

年 齢 中 央 値 は72 歳 (53~82 歳 ),8 例 中 4 例 で 右 門 脈 後 区 域 枝 が 独 立 先 行<br />

分 岐 し,1 例 で 後 下 区 域 門 脈 枝 が 独 立 分 岐 していた. 他 の3 例 でRUP・ 前<br />

区 域 枝 ・ 左 枝 の3 分 岐 を 認 めた. 胆 管 枝 について5 例 (62.5%)でRUPに 対<br />

してinfraportal…type,3 例 でsupraportal…typeであり, 内 側 区 域 枝 の 評 価<br />

できた6 例 全 例 で 左 右 両 胆 管 への 合 流 を 認 めた. 手 術 提 示 症 例 は73 歳 , 女<br />

性 .…CTで 三 管 合 流 部 を 中 心 に 早 期 濃 染 を 伴 う1.5cmの 腫 瘤 と 肝 側 胆 管<br />

の 拡 張 を 認 め,RUPを 伴 っていた. 胆 道 造 影 では 中 部 胆 管 の 閉 塞 を 認<br />

め,IDUSでは 閉 塞 部 から 左 右 肝 管 合 流 部 直 下 までの 不 正 な 壁 肥 厚 を 認<br />

めた. 生 検 結 果 で 肥 厚 部 から 腺 癌 が 得 られ 中 上 部 胆 管 癌 と 診 断 した. 胆<br />

道 造 影 上 , 右 肝 管 が 左 肝 管 よりも 長 く 腫 瘍 からの 距 離 も 確 保 でき, 尾 状<br />

葉 枝 も 右 肝 管 に 合 流 していた.CT…volumetryで 右 葉 556mL(68%), 左 葉<br />

267mL(30%), 尾 状 葉 19mL(2%)であることから 肝 左 葉 切 除 ,PPPD( 手<br />

術 時 間 426 分 , 出 血 780g)を 施 行 した. 合 併 症 なく 術 後 24 日 目 に 退 院 し<br />

た. 組 織 学 的 にはBms,…3.0cm,…tub2,…pT2N0M0…Stage…IIであった.[【 結<br />

論 】RUPを 伴 う 症 例 ではinfraportal…typeの 右 門 脈 枝 を62.5%に 認 め, 内<br />

側 胆 管 枝 の 左 右 両 肝 管 への 合 流 を 全 例 に 認 めた. 術 前 画 像 評 価 時 には<br />

このような 高 頻 度 の 変 異 に 認 識 し 胆 道 手 術 を 計 画 する 必 要 がある.<br />

VW3-1<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 安 全 ・ 確 実 な 膵 空 腸 吻 合<br />

手 術 手 技<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 後 藤 直 大 , 松 本 逸 平 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 , 浅 利 貞 毅 ,<br />

白 川 幸 代 , 山 下 博 成 , 田 中 正 樹 , 沢 秀 博 , 高 橋 応 典 ,<br />

上 野 公 彦 , 土 田 忍 , 木 戸 正 浩 , 楠 信 也 , 福 本 巧 ,<br />

味 木 徹 夫 , 具 英 成<br />

目 的 : 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)における 膵 消 化 管 吻 合 術 による 術 後<br />

膵 液 瘻 (PF) 発 生 率 は 未 だ 高 く、 在 院 日 数 の 延 長 のみならず 時 に 腹 腔<br />

内 膿 瘍 、 出 血 など 重 篤 な 合 併 症 を 併 発 する。 再 建 はIIA-1 法 を 行 って<br />

いるが、 合 併 症 を 低 減 すべく 安 全 、 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 術 を 心 掛 けてい<br />

る。 手 技 のポイントとしては1. 吻 合 手 順 の 定 型 化 、2.マイクロ 用 機 器<br />

による 確 実 な 膵 管 空 腸 吻 合 、3. 膵 貫 通 密 着 縫 合 による 外 列 縫 合 である。<br />

今 回 、 同 手 技 をビデオで 提 示 し、 術 後 短 期 成 績 につき 報 告 する。 膵 空<br />

腸 吻 合 手 技 : 膵 切 離 はメスで 行 う。 膵 断 端 は 前 壁 に 多 く 斜 めに 切 離 さ<br />

れがちで 後 の 吻 合 操 作 がしにくくなるため、 断 面 が 主 膵 管 に 垂 直 とな<br />

るよう 意 識 して 切 離 する。 膵 断 端 からの 出 血 に 対 しては 水 摘 下 式 バイ<br />

ポーラや 縫 合 止 血 で 止 血 する。3-0プロリンで 膵 断 端 から5mmの 部 位<br />

より 膵 を 貫 通 し、 挙 上 した 空 腸 の 漿 膜 筋 層 縫 合 を 幅 広 く 行 う( 計 3-4 針 )。<br />

この 際 、 主 膵 管 に 針 糸 をかけないように 細 心 の 注 意 を 払 う。 膵 管 空 腸<br />

吻 合 は 細 径 膵 管 でも6-0PDS 結 節 縫 合 にて8 針 以 上 行 う。 空 腸 に 小 孔 を<br />

開 け、 両 端 、 前 壁 中 央 ( 支 持 糸 として 使 用 する)の3 点 に 確 実 に 糸 針 を<br />

かける。 細 径 膵 管 例 では 小 孔 はできるだけ 小 さくする。また、マイク<br />

ロ 用 手 術 器 機 の 使 用 と 空 腸 及 び 膵 管 の 前 壁 中 央 に 支 持 糸 をおくことに<br />

より 良 好 な 視 野 のもと 確 実 な 運 針 がストレスなく 可 能 となる。 膵 管 前<br />

壁 中 央 に 支 持 糸 をかけ 主 膵 管 、 空 腸 へと 運 針 し 後 壁 縫 合 する。 後 壁 両<br />

端 は 前 壁 縫 合 を 行 いやすくするため 結 紮 せず、 残 りの 後 壁 縫 合 糸 を 結<br />

紮 する。5Fr 節 なし 膵 管 チューブを 不 完 全 外 瘻 とし 留 置 する。 引 き 続<br />

き 前 壁 縫 合 を 行 う。 膵 管 空 腸 吻 合 では 主 膵 管 と 膵 実 質 、 空 腸 前 層 に 針<br />

糸 をかける。 膵 管 空 腸 吻 合 終 了 後 、 先 にかけた 密 着 縫 合 糸 を 結 紮 し 吻<br />

合 を 終 了 する。 密 着 吻 合 の 結 紮 では 空 腸 漿 膜 筋 層 が 膵 断 端 を 覆 うよう、<br />

また 虚 血 や 膵 の 挫 滅 をきたさないよう 細 心 の 注 意 を 払 い 行 う。ドレー<br />

ンは 胆 管 空 腸 吻 合 部 後 面 と 膵 空 腸 吻 合 部 後 面 に 閉 鎖 式 低 圧 持 続 吸 引 を<br />

留 置 している。 成 績 :PF 発 生 率 (n=101)…はgrade…A;…43%,…B;…16%,…<br />

C…1%であった。 結 語 : 本 法 はPDの 膵 液 瘻 を 低 減 する 優 れた 方 法 である。<br />

VW3-2 安 全 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 ―CUSAを 用 いた 膵 切 離 と 膵<br />

空 腸 密 着 縫 合 ―<br />

聖 隷 三 方 原 病 院 外 科<br />

○… 藤 田 博 文 , 松 田 武 , 水 本 拓 也 , 山 川 純 一 , 前 田 暁 行 ,<br />

林 友 美 , 北 岡 寛 教 , 浅 野 栄 介 , 木 村 泰 生 , 邦 本 幸 洋 ,<br />

荻 野 和 功<br />

【 背 景 】2000 年 より 当 科 にて 行 った 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 は156 例 であり、<br />

この11 年 間 で 合 併 症 軽 減 のために 様 々な 改 良 が 加 えられた。2008 年 4<br />

月 以 降 はCUSAを 用 いた 膵 切 離 と 膵 空 腸 密 着 縫 合 の 併 用 で 良 好 な 成 績<br />

を 得 ており 報 告 する。【 方 法 】Pointは、1)CUSAを 用 いた 膵 切 離 を 行 い、<br />

確 認 できるすべての 分 枝 膵 管 および 脈 管 を 結 紮 ・ 切 離 する。2) 膵 管 吻<br />

合 予 定 部 の 空 腸 において 吻 合 口 の 形 成 を 行 う。3) 膵 実 質 を 極 力 含 めず<br />

に 膵 管 壁 のみを 拾 い 膵 管 吻 合 を 行 う。4) 膵 空 腸 密 着 縫 合 を 行 う。 最 も<br />

重 要 なPointは 膵 実 質 にかける 糸 針 を 極 力 少 なくすること、すなわち<br />

膵 空 腸 吻 合 における 全 過 程 を 通 じて 膵 実 質 にかける 糸 針 は 密 着 縫 合 の<br />

糸 針 ( 計 4…or…5 針 )のみとする 点 である。【 結 果 】2008 年 4 月 以 降 の55 例<br />

に 対 し 上 述 の 方 法 を 行 い、Grade…Aの 膵 液 瘻 は10 例 (18.2%)、Grade…<br />

Bの 膵 液 瘻 は4 例 (7.3%)のみに 認 め、またGrade…Cの 膵 液 瘻 は 認 めな<br />

かった(0%)。 膵 管 Tubeの 抜 去 日 中 央 値 は14PODで 術 後 在 院 日 数 中 央<br />

値 は22 日 であった。【 考 察 】CUSAを 用 いた 膵 断 端 処 理 に 膵 実 質 空 腸<br />

密 着 縫 合 を 付 加 することで、 膵 液 瘻 の 合 併 症 は 減 り、 結 果 として 膵 管<br />

Tube 抜 去 までの 日 数 および 術 後 在 院 日 数 を 短 縮 することが 出 来 た。<br />

膵 消 化 管 吻 合 の 破 綻 の 主 な 原 因 は、 残 膵 から 分 泌 される 膵 液 の 漏 出 と<br />

膵 実 質 縫 合 に 伴 う 膵 実 質 の 損 傷 、 虚 血 障 害 によると 考 えられる。<br />

CUSAを 用 いた 膵 断 端 処 理 と 膵 空 腸 密 着 縫 合 は、 膵 断 端 の 浸 出 液 をブ<br />

ロックし、 膵 断 端 の 血 流 の 維 持 を 目 的 とする 点 で 同 一 の 視 点 に 立 って<br />

おり、これらの 手 技 を 共 に 行 うことでそれぞれの 長 所 が 最 大 限 に 引 き<br />

伸 ばされるものと 考 えられた。【 結 語 】CUSAを 用 いた 膵 断 端 処 理 と<br />

膵 空 腸 密 着 縫 合 の 併 用 は、 安 全 性 が 高 く、 推 奨 できる 一 つの 方 法 と 考<br />

えられた。<br />

-232-


VW3-3<br />

nostent 法 による 膵 空 腸 吻 合 の 実 際<br />

東 京 女 子 医 大 消 化 器 外 科<br />

○… 君 島 映 , 羽 鳥 隆 , 大 島 奈 々, 太 田 岳 洋 , 山 本 雅 一<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 や 膵 中 央 切 除 後 では 膵 再 建 が 必 要 にな<br />

るが,その 方 法 は 様 々であり 絶 対 確 実 な 方 法 はない. 我 々は 通 常 膵 空 腸<br />

吻 合 を 採 用 し, 確 実 な 吻 合 により 吻 合 部 のpatencyが 確 保 できる 場 合 に<br />

は 膵 管 チューブを 留 置 しないno…stent 法 を 行 ってきた.そこで, 本 法 の<br />

手 技 をビデオで 供 覧 し, 治 療 成 績 について 報 告 する.【 手 術 手 技 】 必 要<br />

以 上 に 膵 を 操 作 せず 愛 護 的 に 扱 う 事 が 基 本 である. 膵 切 離 はメスで 鋭<br />

的 に 行 い, 膵 断 端 の 動 脈 性 出 血 点 は 縫 合 止 血 する.この 際 , 主 膵 管 のみを<br />

露 出 することはしない.また, 膵 断 端 を 過 度 に 遊 離 しないで 膵 再 建 時 に<br />

強 力 な 支 持 組 織 となる 膵 被 膜 を 温 存 する. 膵 空 腸 吻 合 は 外 層 の 膵 実 質<br />

被 膜 と 空 腸 漿 膜 筋 層 , 内 層 の 膵 実 質 ・ 膵 管 と 空 腸 全 層 の2 層 縫 合 で 行<br />

う.まず, 外 層 後 列 の 膵 実 質 と 空 腸 漿 膜 筋 層 を4-0または5-0モノフィラメ<br />

ント 非 吸 収 糸 による 結 節 縫 合 で 行 う. 次 に 膵 管 径 に 合 わせ 空 腸 に 小 孔<br />

を 形 成 し, 内 層 の 膵 実 質 ・ 膵 管 と 空 腸 全 層 を5-0または6-0モノフィラメ<br />

ント 吸 収 糸 を 用 いて1~1.5mmピッチで 結 節 縫 合 する.この 際 に 主 膵 管<br />

前 壁 中 点 に 支 持 糸 を1 針 かけ 挙 上 することで 膵 管 内 腔 が 展 開 され 見 易<br />

くなる. 両 端 針 を 用 いることで 内 外 , 外 内 からの 運 針 が 可 能 になる. 最 後<br />

に 外 層 前 列 の 膵 実 質 被 膜 と 空 腸 漿 膜 筋 層 を4-0または5-0モノフィラメ<br />

ント 非 吸 収 糸 で 締 めつけ 過 ぎないように 連 続 縫 合 する. 内 層 の 縫 合 の<br />

際 に 運 針 に 手 間 取 り 膵 実 質 ・ 膵 管 の 損 傷 の 可 能 性 がある 場 合 には,no…<br />

stent 法 に 拘 らず 膵 管 外 瘻 チューブを 留 置 する.【 対 象 】2000-2010 年 ま<br />

での 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 600 例 と 膵 中 央 切 除 49 例 の 計 649 例 を 対 象 とし<br />

た. 残 膵 の 性 状 が 正 常 なsoft…pancreasは…420 例 , 硬 化 し て い たhard…<br />

pancreasは229 例 でそれぞれについて 本 法 を 施 行 したno…stent 群 383 例<br />

と 術 者 の 判 断 により 膵 管 ステントを 留 置 したstent 群 266 例 に 分 けて 術<br />

後 膵 液 瘻 について 検 討 した.【 結 果 】ISGPF 基 準 に 準 じたGrade…B 以 上<br />

の 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 はsoft…pancreasではno…stent 群 3.7%(9/243),stent<br />

群 5.6%(10/177),hard…pancreasでは 各 ,0%(0/140),1.1%(1/89)であり,no…<br />

stent 群 とstent 群 で 差 はなかった.【 結 語 】no…stent 法 による 膵 空 腸 吻<br />

合 は, 確 実 な 吻 合 を 行 えれば 選 択 可 能 な 膵 再 建 法 の 一 つと 考 えられた.<br />

VW3-4<br />

安 全 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫 :ステント 留 置 の 功 罪<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 統 合 癌 治 療 外 科<br />

○… 石 田 晶 玄 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

, 水 間 正 道 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

,<br />

大 塚 英 郎 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 林 洋 毅 1 1,2<br />

, 中 川 圭 ,<br />

岡 田 恭 穂 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 力 山 敏 樹 1 1,2<br />

, 片 寄 友 ,<br />

江 川 新 一 1 1<br />

, 海 野 倫 明<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 PD)は、 術 後 合 併 症 の 頻 度 が<br />

高 い 術 式 であり、 特 に 膵 液 瘻 によって 引 き 起 こされる 術 後 出 血 や 腹 腔<br />

内 膿 瘍 は、 致 命 的 な 合 併 症 となることがある。 膵 液 瘻 の 発 生 には、 膵<br />

消 化 管 吻 合 の 手 技 が 大 きく 関 与 していると 思 われ、 確 実 で 安 全 な 膵 消<br />

化 管 吻 合 のために、 多 くの 施 設 で 様 々な 工 夫 がなされている。 我 々は、<br />

PDの 膵 空 腸 吻 合 において、 不 完 全 外 瘻 ステント 留 置 の 意 義 を 無 作 為<br />

比 較 試 験 で 検 証 した。その 結 果 として、 細 径 膵 管 ではステント 留 置 が<br />

膵 瘻 抑 制 に 有 効 であることを 明 らかにした。<br />

当 科 における 膵 空 腸 吻 合 法 をビデオで 供 覧 し、 臨 床 試 験 での 成 績 とと<br />

もに 膵 空 腸 吻 合 手 技 の 工 夫 を 報 告 する。<br />

【 膵 空 腸 吻 合 の 手 技 】 後 壁 の 膵 実 質 - 空 腸 漿 膜 筋 層 、 後 壁 の 膵 管 粘 膜<br />

吻 合 、 前 壁 の 膵 管 粘 膜 吻 合 、 前 壁 の 膵 実 質 - 空 腸 漿 膜 筋 層 の 順 で 吻 合<br />

する。 縫 合 はモノフィラメント 糸 の 結 節 縫 合 で 行 い、 膵 実 質 - 空 腸 漿<br />

膜 筋 層 は5-0 非 吸 収 糸 、 膵 管 粘 膜 吻 合 は6-0 吸 収 糸 を 用 いる。<br />

【 無 作 為 比 較 試 験 】2007 年 12 月 から2010 年 4 月 までのPD 症 例 93 例 を、<br />

膵 管 径 (3mm 以 下 と4mm 以 上 )で 層 別 化 した 後 、ステント 留 置 群 とス<br />

テント 無 し 群 に 無 作 為 割 り 付 けした。 全 93 例 中 、ISGPF 基 準 のGrade…<br />

BCの 膵 液 瘻 は、13 例 (14%)であった。ステント 留 置 群 は3 例 (6.4%)、<br />

ステント 無 し 群 は10 例 (21.7%)であり、ステント 留 置 群 での 発 生 が 少<br />

なかった。さらに、 膵 管 径 が 細 い 症 例 では、 拡 張 例 に 比 較 してGrade…<br />

BCの 膵 液 瘻 の 発 生 率 が24%と 高 く、ステント 無 し 群 に 多 く 認 めた。<br />

膵 管 径 の 太 い 症 例 では、ステントの 有 無 と 膵 液 瘻 との 関 連 は 認 めな<br />

かった。<br />

【 結 語 】PDの 膵 空 腸 吻 合 において、 細 径 膵 管 に 対 しては 不 完 全 外 瘻<br />

ステント 留 置 が 膵 液 瘻 予 防 に 有 効 であると 思 われる。 臨 床 試 験 の 結 果<br />

とともに 吻 合 手 技 を 供 覧 する。<br />

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VW3-5<br />

当 科 における 膵 液 漏 予 防 の 取 り 組 み<br />

産 業 医 科 大 学 医 学 部 第 一 外 科<br />

○… 皆 川 紀 剛 , 田 村 利 尚 , 柴 尾 和 徳 , 日 暮 愛 一 郎 ,<br />

山 口 幸 二<br />

【はじめに】 術 後 の 膵 液 漏 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 深 刻 な 術 後 合 併 症<br />

の 一 つである。 当 科 では、 膵 液 漏 を 予 防 するため、 以 下 の2つの 取 り<br />

組 みを 行 っている。1. 膵 消 化 管 吻 合 には 膵 空 腸 吻 合 を 用 い、 柿 田 式<br />

変 法 ( 膵 密 着 吻 合 +vertical…mattress…sutureによる 膵 管 粘 膜 吻 合 …)を 施<br />

行 。2. 術 後 に 膵 管 チューブの 間 歇 的 陰 圧 吸 引 の 施 行 。 今 回 我 々は、<br />

当 科 における 柿 田 式 変 法 膵 空 腸 吻 合 ( 膵 密 着 吻 合 +vertical…mattress…<br />

sutureによる 膵 管 粘 膜 吻 合 …)をビデオで 提 示 する。また、 術 後 に 膵 管<br />

チューブを 間 歇 的 陰 圧 吸 引 する 効 果 について 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】<br />

2008 年 5 月 から2011 年 11 月 までに 当 科 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った<br />

43 例 を 対 象 とした。 膵 消 化 管 吻 合 の 再 建 は 膵 管 粘 膜 吻 合 を 行 い、 全 例<br />

に 膵 管 チューブを 挿 入 した。 膵 管 チューブを 間 欠 的 に 陰 圧 ドレナージ<br />

する 群 19 例 ( 以 下 A 群 )と、 膵 管 チューブを 自 然 にドレナージする 群 24<br />

例 ( 以 下 B 群 )に 分 け、 様 々な 事 項 について 比 較 検 討 を 行 った。【 結 果 】<br />

対 象 疾 患 と 平 均 年 齢 は 両 群 に 差 はなかった。 男 女 比 はA 群 で10:9、B<br />

群 で20:4とB 群 で 有 意 に 男 性 が 多 かった(p=0.029)。また、BMIはA<br />

群 で22.5、B 群 で22.3と 両 群 に 差 はなかった。 血 液 検 査 所 見 はHb・ 血<br />

小 板 数 ・Alb・T-bil・AST・ALT・AMY・FBS・ 腫 瘍 マーカーにつ<br />

いて 検 討 したが 有 意 差 はなかった。 主 膵 管 経 平 均 値 (mm)はA 群 で3.3、<br />

B 群 で3.8と 両 群 に 差 はなかった。 手 術 時 間 (min)と 術 中 出 血 量 に 両 群<br />

で 差 はなかった。 術 後 1 日 目 のドレーン 排 液 中 アミラーゼ 値 も 両 群 で<br />

差 はなかった。 膵 液 漏 (ISGPFのグレードB 以 上 )の 発 生 率 はA 群 で<br />

10.5%、B 群 で41.7%とA 群 で 有 意 に 少 なく(p=0.024)、 腹 腔 内 膿 瘍 はA<br />

群 で2 例 、B 群 で10 例 に 認 めA 群 で 有 意 に 少 なかった(p=0.023)。 腹 腔<br />

内 出 血 はいずれの 群 にも 認 めなかった。その 他 の 術 後 合 併 症 はA 群 で<br />

3 例 、B 群 で7 例 に 認 めたが 有 意 差 はなかった。 術 後 在 院 日 数 の 平 均 は<br />

A 群 で31.9、B 群 で40.4とA 群 で 有 意 に 短 かった(p=0.024)。また 両 群<br />

共 に 入 院 中 の 死 亡 はなかった。【 結 語 】vertical…mattress…sutureによ<br />

る 膵 管 粘 膜 吻 合 を 用 いた 柿 田 式 変 法 膵 空 腸 吻 合 と 膵 管 チューブの 間 欠<br />

的 陰 圧 ドレナージは、 術 後 膵 液 漏 の 予 防 に 有 効 であると 考 えられた。<br />

VW3-6<br />

膵 空 腸 吻 合 法 ― 膵 の 状 態 に 応 じた 手 技 の 工 夫<br />

岩 手 県 立 中 央 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 望 月 泉 , 臼 田 昌 広 , 井 上 宰 , 鈴 木 洋 , 村 上 和 重 ,<br />

瑞 慶 覧 努 , 星 田 徹 , 清 水 健 司 , 立 川 翔 子 , 水 井 崇 浩<br />

【はじめに】 膵 管 に 少 しでも 拡 張 があれば 膵 管 粘 膜 空 腸 全 層 吻 合 を 行<br />

うが、 正 常 膵 は 無 理 して 粘 膜 吻 合 はせずに 膵 管 チューブを 挿 入 、 完 全<br />

外 瘻 とする 膵 管 挿 入 法 を 原 則 としている。【 対 象 】 過 去 5 年 間 に 経 験 し<br />

た 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 は176 例 である。 硬 化 膵 77 例 は 膵 管 空 腸 粘 膜 吻<br />

合 を73 例 に 施 行 、 正 常 膵 は99 例 経 験 し、 膵 管 挿 入 法 73 例 、26 例 に 膵 管<br />

空 腸 粘 膜 吻 合 法 を 施 行 した。【 手 術 術 式 】 膵 切 離 時 は 電 気 メスで 始 め、<br />

膵 管 周 囲 はスピッツメスを 用 い 丁 寧 に 膵 管 を 露 出 、 正 常 膵 管 であれば<br />

膵 管 チューブを 膵 管 に 挿 入 し、バイクリルラピッド5-0にて2 重 に 結 紮<br />

する。PPPD-2-Aを 基 本 とし、 挿 入 した 膵 管 チューブを、 空 腸 に 小 孔<br />

を 開 ける 膵 管 挿 入 法 にて 後 列 5~6 針 、 同 様 に 前 列 を 吸 収 糸 にて 縫 合 す<br />

る。 次 いで 胆 管 空 腸 吻 合 を 行 い、さらに40cm 離 して 結 腸 前 に 十 二 指<br />

腸 を 空 腸 に 層 々 吻 合 し、 胃 が 縦 に 下 方 に 向 くように 工 夫 している。 膵<br />

管 チューブは 小 腸 盲 端 部 より 体 外 に 誘 導 、 完 全 外 瘻 とし、 閉 鎖 式 ドレー<br />

ンを 留 置 し、1 週 間 で 抜 去 する。 膵 管 チューブの 抜 去 は 術 後 2 週 間 とし<br />

ている。【 早 期 合 併 症 】ISGPF 膵 液 漏 は、 正 常 膵 では 膵 管 挿 入 法 は73<br />

例 中 GradeA…10 例 14%、GradeB…4 例 5.5%、GradeCは 認 めなかった。<br />

膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法 は26 例 中 GradeA…3 例 11%、GradeB…1 例 3.8%、<br />

GradeCは 認 めなかった。 硬 化 膵 は77 例 中 3 例 にGradeAを 認 めたのみ<br />

であった。GradeB 症 例 は 大 事 に 至 らず 全 例 保 存 的 に 比 較 的 短 期 間 に<br />

治 癒 した。176 例 全 例 において 腹 腔 内 出 血 0 例 、 手 術 関 連 死 は2 例 で 術<br />

後 肺 炎 1 例 、 肝 心 症 候 群 1 例 であった。 平 均 術 後 在 院 日 数 は19 日 であっ<br />

た。【 後 期 合 併 症 】 経 過 観 察 中 CTにて 主 膵 管 の 拡 張 を 認 めたのは 膵 管<br />

挿 入 法 125 例 中 4 例 のみで、4 例 ともに 耐 糖 能 は 保 たれていた。1 例 に 膵<br />

管 挿 入 法 後 …1 年 6ヶ 月 で 再 手 術 ( 膵 管 空 腸 側 々 吻 合 )を 要 した。【まとめ】<br />

空 腸 に 小 孔 をあけ、 主 膵 管 ごと 結 紮 した 膵 管 チューブを 腸 内 に 誘 導 す<br />

る 膵 管 挿 入 法 は、 膵 管 粘 膜 と 空 腸 粘 膜 が 密 に 接 することにより、 比 較<br />

的 短 時 間 に 粘 膜 吻 合 が 完 成 し、 膵 管 チューブ 抜 去 後 も 膵 管 の 開 存 性 が<br />

保 たれる。たとえ 膵 液 瘻 、 腹 腔 内 膿 瘍 が 生 じても 完 全 外 瘻 となってい<br />

るため、 大 事 に 至 らず 保 存 的 に 比 較 的 短 期 間 に 治 癒 すると 考 えられる。<br />

-233-


VW4-1<br />

小 児 生 体 肝 移 植 若 年 ドナーに 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外<br />

側 区 域 切 除 術 の 検 討<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 笹 沼 英 紀 , 俵 藤 正 信 , 藤 原 岳 人 , 佐 久 間 康 成 , 清 水 敦 ,<br />

安 田 是 和<br />

生 体 肝 移 植 のドナー 手 術 では、ドナーの 安 全 性 とグラフとのViability<br />

を 同 時 に 求 められ、 全 ての 局 面 で 確 実 な 手 術 操 作 が 必 要 である。 当 院<br />

では2001 年 から 小 児 生 体 肝 移 植 を 開 始 し、 現 在 まで210 症 例 に 施 行 し<br />

てきた。 小 児 生 体 肝 移 植 ドナーとなるのは 圧 倒 的 に 患 児 の 両 親 で20~<br />

40 代 の 若 年 層 であり、 創 の 問 題 は 懸 念 の 一 つである。 創 縮 小 のため 肝<br />

外 側 区 域 グラフトには50 例 目 から 上 腹 部 正 中 切 開 のみとし、177 例 目<br />

から 腹 腔 鏡 補 助 下 手 術 を 導 入 し、これまでに13 例 の 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外<br />

側 区 域 切 除 を 行 った。 当 院 の 腹 腔 鏡 補 助 下 の 肝 切 除 は、 肝 左 葉 外 側 区<br />

域 を 取 り 囲 む 靱 帯 を 剥 離 し 授 動 する 前 半 部 と、 肝 を 取 り 出 すための 最<br />

小 の 創 から 直 視 下 に 肝 門 の 処 理 ならびに 肝 離 断 を 行 う 後 半 部 に 分 かれ<br />

る。 腹 腔 鏡 導 入 直 前 の 開 腹 肝 外 側 区 域 切 除 術 13 例 と 比 較 し 手 術 時 間 、<br />

出 血 量 、 合 併 症 などに 関 して 比 較 検 討 を 行 なった。 手 術 は、 上 腹 部 正<br />

中 に8cmの 皮 切 で 開 腹 しウンドリトラクターを 装 着 する。 臍 下 部 の<br />

10mmポートは、 正 中 創 から 目 視 して 挿 入 する。ウンドリトラクター<br />

に 手 術 用 手 袋 を 被 せ 密 閉 し 気 腹 を 開 始 する。 左 右 の 季 肋 下 に 各 々<br />

5mmのポートを 挿 入 し 鏡 視 下 に 鎌 状 間 膜 、 左 冠 状 間 膜 、 左 三 角 間 膜<br />

を 剥 離 する。 胆 嚢 を 底 部 から 頚 部 に 向 かって 剥 離 したところで 前 半 部<br />

の 鏡 視 下 操 作 を 終 了 する。 次 に 正 中 創 から 直 視 下 に 胆 嚢 管 に 造 影<br />

チューブを 挿 入 し 術 中 胆 道 造 影 を 行 う。 左 肝 動 脈 、 門 脈 左 枝 を 露 出 し、<br />

肝 離 断 を 開 始 する。 左 肝 管 は 肝 門 板 ごとテストクランプし 術 中 胆 道 造<br />

影 後 に 離 断 する。 左 肝 動 脈 、 門 脈 左 枝 、 左 肝 静 脈 の 順 に 離 断 しグラフ<br />

トを 摘 出 する。 最 後 に 術 中 胆 道 造 影 を 行 い 右 肝 管 の 開 存 、 胆 汁 漏 を 確<br />

認 する。 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 と 開 腹 肝 外 側 区 域 切 除 を 行 っ<br />

た 各 々13 例 の 年 齢 は33/37 歳 (p=0.123)、BMI:21.6/22.5(p=0.282)、<br />

手 術 時 間 :339/316min(p=0.225)、 出 血 量 :724/831ml(p=0.445)、ドレー<br />

ン 挿 入 期 間 :6.5/7.8 日 (p=0.399)、 術 後 在 院 日 数 :10.5/11.8 日 (p=0.409)、<br />

胆 汁 漏 :2/2(p=0.558)、 創 感 染 :0/1(p=0.327)と 両 術 式 間 で 有 意 差 は<br />

認 めなかった。 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 は 従 来 の 開 腹 手 術 と 遜<br />

色 なく 安 全 に 施 行 可 能 である。<br />

VW4-2<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 肝 ドナー 手 術 の 工 夫 と 成 績<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 外<br />

科 学<br />

○… 丸 橋 繁 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

,<br />

種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

1<br />

永 野 浩 昭<br />

肝 部 分 提 供 手 術 ( 肝 グラフト 採 取 術 )における 最 優 先 事 項 は、 提 供 者 の<br />

安 全 性 であり、さらに、 可 能 であれば、ドナーの 身 体 的 ・ 精 神 的 負 担<br />

を 軽 減 するための 低 侵 襲 性 が 望 まれる。 小 切 開 で 行 う 腹 腔 鏡 補 助 下 肝<br />

部 分 提 供 手 術 (LAD)は、ドナーの 負 担 が 軽 減 される 一 方 で、その 安<br />

全 性 の 確 保 が 課 題 である。 当 科 では、 倫 理 委 員 会 承 認 のもと、2009 年<br />

4 月 よりLADを 導 入 した。 方 法 本 手 術 施 行 にあたり、 従 来 の 開 腹 肝 ド<br />

ナー 手 術 と 同 様 にa) 金 属 クリップを 使 用 しない、b) 血 行 遮 断 を 行 わ<br />

ない、c) 最 小 限 の 肝 門 剥 離 、d) 術 前 DIC-CTの 施 行 と 術 中 リアルタイ<br />

ム 胆 道 造 影 による 胆 管 切 離 の 位 置 決 定 、e) 動 脈 、 門 脈 、 胆 管 断 端 の 処<br />

理 法 、などの 工 夫 を 踏 襲 した。 皮 膚 切 開 は 上 腹 部 正 中 創 で 行 い、 腹 腔<br />

鏡 ( 補 助 ) 下 に 肝 左 葉 脱 転 を、 左 葉 ( 尾 状 葉 )グラフトではさらに 右 葉 の<br />

脱 転 を 加 え、 肝 門 処 理 、 肝 切 離 、グラフト 摘 出 は 正 中 創 より 直 視 下 に<br />

行 った。<br />

患 者<br />

2011 年 9 月 までにLAD22 例 が 施 行 され、 外 側 区 域 グラフト13 例 (S2グ<br />

ラフト1 例 を 含 む)、 左 葉 ( 尾 状 葉 )グラフト9 例 であった。 前 者 をLAD-<br />

LL 群 (n=13)、 左 葉 ( 尾 状 葉 )グラフト 症 例 をLAD-Left 群 (n=9)とし、<br />

当 科 でこれまでに 行 った 開 腹 外 側 区 域 グラフト(n=32)と 開 腹 左 葉 ( 尾<br />

状 葉 )グラフト(n=47)とそれぞれ 比 較 検 討 した。<br />

結 果<br />

正 中 創 長 はLAD-LL 群 7.4±0.7cm、LAD-Left 群 10.8±1.7cmであった。<br />

手 術 時 間 は、LAD-LL 群 378±72min、LAD-Left 群 525±97minで、 開<br />

腹 症 例 に 比 べ 左 葉 ( 尾 状 葉 )グラフトにおいて 手 術 時 間 が 長 かった(P<br />


VW4-5<br />

Hilarplateを 温 存 した 生 体 部 分 肝 移 植 における 胆 道 再<br />

建 法<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

○… 金 子 順 一 , 菅 原 寧 彦 , 青 木 琢 , 阪 本 良 弘 , 長 谷 川 潔 ,<br />

田 村 純 人 , 國 土 典 宏<br />

【 目 的 】 生 体 肝 移 植 では、グラフト 肝 に 胆 管 口 が 複 数 あることが 少 な<br />

くない。 一 方 、 複 数 胆 管 口 の 胆 道 再 建 法 は 胆 管 空 腸 が 選 択 されること<br />

もあり 確 立 していない。 複 数 胆 管 口 において 胆 管 胆 管 吻 合 を 行 うため<br />

にレシピエントHilar…plateを 温 存 した 胆 道 再 建 法 の 工 夫 を 示 す。【 方<br />

法 と 対 象 】2011 年 11 月 までに 当 科 で 行 われた 成 人 生 体 肝 移 植 402 例 の<br />

中 で 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 、 胆 道 閉 鎖 症 を 除 いて、 胆 管 胆 管 吻 合 を 行 っ<br />

た306 例 を 対 象 とした。 全 肝 摘 出 時 にレシピエントのHilar…plateは 温<br />

存 し、その 右 ないし 左 の 胆 管 口 をグラフト 胆 管 との 吻 合 に 使 用 した。<br />

また、 直 径 1…mmから3…mmのpolyvinyl…chloride 製 のチューブを 内 ス<br />

テントとして 適 宜 留 置 し、Hilar…plate 吻 合 胆 管 口 の 反 対 側 の 胆 管 口 よ<br />

り 体 外 に 誘 導 して 留 置 した。 吻 合 糸 には4-0…Vicrylや5-0…<br />

polydioxanone…sutureを 使 用 した。【 結 果 】306 例 のグラフト 肝 のうち、<br />

胆 管 口 1 穴 が167 例 (55%)で、2 穴 は110 例 (36%)、3 穴 は29 例 (9%)であっ<br />

た。 全 例 で 胆 管 胆 管 吻 合 が 行 われ、90 例 (29%)に 胆 管 狭 窄 を 認 めた。<br />

胆 管 狭 窄 の 発 症 に 関 係 する 因 子 について 解 析 を 行 ったところ、 複 数 胆<br />

管 口 は 有 意 な 因 子 ではなかった。 胆 管 狭 窄 症 を 発 症 しなかった 群 と 発<br />

症 した 群 を 比 較 したところ、5 年 生 存 率 はそれぞれ83%と85%であり<br />

有 意 差 を 認 めなかった…(p=0.59)。【 結 語 】レシピエントのHilar…plate<br />

を 温 存 する 胆 道 再 建 法 を 採 用 することにより、 複 数 胆 管 口 をもつグラ<br />

フトにおいて 全 例 胆 管 胆 管 吻 合 が 可 能 であった。<br />

VW4-6<br />

高 度 の 脾 腎 シャントを 有 する 生 体 肝 移 植 におけるシャ<br />

ント 処 理 法 と 成 績<br />

岡 山 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 貞 森 裕 , 八 木 孝 仁 , 篠 浦 先 , 楳 田 祐 三 , 吉 田 龍 一 ,<br />

佐 藤 太 祐 , 信 岡 大 輔 , 内 海 方 嗣 , 杉 原 正 大 , 吉 田 一 博 ,<br />

浦 野 真 一 , 藤 原 俊 義<br />

[ 目 的 ]… 高 度 の 脾 腎 シャントを 有 する 生 体 肝 移 植 症 例 では、 再 灌 流 直<br />

後 や 移 植 後 早 期 に 門 脈 血 流 が 脾 腎 シャントに 盗 血 される 場 合 があり、<br />

移 植 肝 不 全 の 要 因 と 成 り 得 る。 高 度 の 脾 腎 シャントに 対 するシャント<br />

処 理 法 ( 特 にSMV/SPV 分 流 手 術 )を 供 覧 し、その 適 応 と 成 績 を 報 告 す<br />

る。[ 対 象 ]…2011 年 までに 施 行 した 生 体 肝 移 植 280 症 例 のうち、 発 達 し<br />

た 脾 腎 シャント(シャント 径 ≧10mm 以 上 かつシャント 血 流 ≧400ml/<br />

min)を 合 併 した 症 例 は25 例 (8.9…%)であった。 移 植 前 の 門 脈 本 幹 の 血<br />

行 動 態 は、 遠 肝 性 …7 例 、 求 肝 性 …18 例 であり、SMV 血 流 の 脾 静 脈 への<br />

逆 流 状 況 は 完 全 逆 流 …7 例 、 部 分 的 逆 流 …8 例 、 逆 流 なし…10 例 であった。<br />

[シャント 処 理 法 (SMV/SPV 分 流 手 術 )の 適 応 と 手 術 手 技 ]…1.…SMV 血<br />

流 の 脾 静 脈 への 完 全 逆 流 7 症 例 のうち5 例 に 脾 静 脈 根 部 での 結 紮 による<br />

SMVと 脾 静 脈 血 流 の 分 流 を 施 行 した。 初 期 の2 症 例 に 対 しては、シャ<br />

ント 処 理 なし…1 例 、 脾 腎 シャントの 左 腎 静 脈 流 入 部 での 結 紮 …1 例 で<br />

あった。2.…SMV 血 流 の 脾 静 脈 への 部 分 的 逆 流 8 症 例 : 脾 腎 シャントの<br />

左 腎 静 脈 流 入 部 での 結 紮 を 施 行 。[ 症 例 ]C 型 肝 硬 変 ・SMV 血 流 の 脾<br />

静 脈 への 完 全 逆 流 症 例 。 硬 変 肝 を 摘 出 後 に、 門 脈 を 左 右 分 岐 部 で 切 開<br />

しクランプを 解 除 した 所 、 十 分 な 門 脈 血 流 の 流 出 を 認 めなかった。 門<br />

脈 本 幹 内 腔 に 鉗 子 を 挿 入 しconfluenceまで 拡 げると 良 好 な 門 脈 血 流 の<br />

流 出 が 得 られたが、グラフト 再 灌 流 後 の 門 脈 血 流 は13ml/secであり、<br />

脾 腎 シャントによるグラフト 門 脈 血 流 の 著 明 な 盗 血 を 認 めた。 脾 静 脈<br />

根 部 での 結 紮 によるSMVと 脾 静 脈 血 流 の 分 流 を 施 行 した 結 果 、 門 脈<br />

血 流 は40ml/minに 回 復 した。[ 成 績 ]SMV 血 流 の 脾 静 脈 への 完 全 逆<br />

流 7 症 例 :SMV/SPV 分 流 手 術 を 施 行 していない 初 期 の2 症 例 は、 拒 絶<br />

反 応 および 門 脈 血 栓 症 によって 移 植 肝 門 脈 血 流 の 脾 腎 シャントへの 著<br />

明 な 盗 血 をきたし 死 亡 したが、SMV/SPV 分 流 手 術 を 施 行 した5 症 例<br />

の 移 植 後 成 績 は 良 好 であった。[ 考 察 ]…SMV 血 流 が 脾 静 脈 を 完 全 逆 流<br />

し、 脾 腎 シャントに 流 入 している 症 例 では、SMV/SPV 分 流 手 術 が 成<br />

績 向 上 に 有 用 と 思 われる。<br />

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-235-


リサーチワークショップ


RW-1<br />

3 次 元 脱 細 胞 化 スキャフォールドと 幹 細 胞 技 術 を 用 いた<br />

肝 臓 微 細 構 造 の 再 生<br />

1<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科 、 2 Department of Surgery,<br />

University of Pittsburgh、 3 慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 生 理 学<br />

○… 門 多 由 恵 1<br />

, 八 木 洋 1<br />

,Alejandro…Soto-Gutierrez 2 , 馬 渕 洋 3<br />

,<br />

北 郷 実 1<br />

, 篠 田 昌 宏 1<br />

, 尾 原 秀 明 1<br />

, 板 野 理 1<br />

, 河 地 茂 行 1<br />

,<br />

田 邉 稔 1<br />

, 松 崎 有 未 3<br />

, 北 川 雄 光<br />

1<br />

【 目 的 】 我 々は 新 しい 肝 再 生 療 法 実 現 化 のために、 脱 細 胞 化 技 術 を 用<br />

いた 肝 臓 の 再 構 築 を 試 みてきた。 本 研 究 はこの 技 術 に 間 葉 系 幹 細 胞<br />

(MSC)を 応 用 することで、 微 細 構 造 特 に 類 同 構 造 の 再 生 を 可 能 とす<br />

る 技 術 基 盤 を 確 立 することを 目 的 とする。【 方 法 】ラット 脱 細 胞 化 肝<br />

臓 内 に 経 門 脈 的 に 肝 細 胞 、 血 管 内 皮 細 胞 及 びMSCを 循 環 培 養 し、 細<br />

胞 の 生 着 、 相 互 作 用 及 びマトリックスとの 関 係 を 経 時 的 に 評 価 した。<br />

またMSCの 類 洞 構 成 細 胞 への 分 化 の 指 標 として、スカベンジャー 機<br />

能 や 細 胞 骨 格 蛋 白 の 発 現 及 び 成 長 因 子 について 解 析 した。【 結 果 】 脱<br />

細 胞 化 肝 臓 内 で 肝 細 胞 とMSCを 共 培 養 することで、 肝 細 胞 の 索 状 配<br />

列 間 に 性 状 の 異 なる 細 胞 を 認 め、 組 織 学 的 、 形 態 学 的 及 び 機 能 評 価 か<br />

らこれらが 類 洞 構 成 細 胞 の 性 質 を 持 つ 可 能 性 が 示 唆 された。また 脱 細<br />

胞 化 肝 臓 内 に 残 存 する 種 々の 成 長 因 子 がMSCの 分 化 に 影 響 を 与 えて<br />

いることが 示 唆 された。この 結 果 、 肝 細 胞 又 は 内 皮 細 胞 単 独 と 比 較 し、<br />

より 高 い 肝 細 胞 機 能 を 有 する 安 定 した 再 生 肝 臓 を 構 築 し 得 た。【 考 察 】<br />

ラット 脱 細 胞 化 肝 臓 に 一 定 の 特 徴 的 配 列 で 生 着 した 肝 細 胞 とMSCの<br />

相 互 作 用 が、 類 洞 構 造 の 再 生 に 寄 与 する 可 能 性 が 示 唆 された。 肝 再 生<br />

療 法 の 実 現 化 のために、 臓 器 の 脱 細 胞 化 技 術 にMSCを 始 めとした 多<br />

分 化 能 を 有 する 細 胞 を 応 用 することが、 微 細 構 造 から 大 血 管 構 造 まで<br />

連 続 する 生 体 により 近 い 立 体 肝 構 造 再 構 築 への 新 しい 技 術 基 盤 となり<br />

得 ると 考 えられた。<br />

RW-2<br />

生 体 肝 移 植 において 術 前 脾 容 量 とグラフト 重 量 が 再 還<br />

流 後 の 門 脈 圧 を 反 映 する。<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 尭 天 一 亨 , 水 野 修 吾 , 信 岡 祐 , 村 田 泰 洋 , 栗 山 直 久 ,<br />

大 澤 一 郎 , 岸 和 田 昌 之 , 濱 田 賢 司 , 臼 井 正 信 , 櫻 井 洋 至 ,<br />

田 端 正 己 , 伊 佐 地 秀 司<br />

< 背 景 > 生 体 肝 移 植 では、 過 小 グラフト 症 例 に 対 して 脾 摘 による 門 脈<br />

圧 調 節 が 行 われているが、GRWR(graft…recipient…weight…ratio)が0.8<br />

以 上 の 非 過 小 グラフト 症 例 においても 再 還 流 後 に 門 脈 圧 高 値 症 例 も 経<br />

験 するため、 再 還 流 後 の 門 脈 圧 に 関 与 する 因 子 を 検 討 した。<br />

< 対 象 と 方 法 >2002 年 から2011 年 までの 成 人 生 体 肝 移 植 70 例 のうちA<br />

群 (n=16):GRWR0.8と し、 門 脈 圧 と<br />

GRWRの 関 係 、 門 脈 圧 に 関 与 する 因 子 を 解 析 した。 尚 、GRWRにか<br />

かわらず 再 還 流 後 の 門 脈 圧 高 値 例 (20mmHg 以 上 ) 全 例 に、 脾 摘 によ<br />

る 門 脈 圧 調 節 を 施 行 した。<br />

< 結 果 > 再 還 流 後 の 門 脈 圧 高 値 例 はA 群 :7 例 (43.7%)、B 群 :11 例<br />

(20.4%)であったが、 脾 摘 により 門 脈 圧 は 有 意 に 減 少 し、 過 小 グラフ<br />

ト 症 候 群 発 生 頻 度 はA 群 :2 例 (12.5%)、B 群 :5 例 (9.3%)と 差 を 認 めな<br />

かった。 再 還 流 後 の 門 脈 圧 はGRWRと 相 関 を 認 めなかったが、 術 前<br />

脾 容 量 と 正 の 相 関 、グラフト 重 量 と 負 の 相 関 を 認 め(R=0.4628、<br />

R=0.469、 図 参 照 )、 多 変 量 解 析 にても 有 意 な 因 子 であった(p=0.041、<br />

p=0.044)。また、 再 還 流 後 の 門 脈 圧 が20mmHg 以 上 となるグラフト 重<br />

量 / 脾 容 積 (G/S) 比 のカットオフ 値 は1.6であった。<br />

< 結 語 >GRWRに 関 係 なく、 術 前 脾 容 量 とグラフト 重 量 が 再 還 流 後<br />

の 門 脈 圧 に 反 映 されることが 明 らかされた。 術 前 にG/S 比 が1.6 以 下 の<br />

場 合 はGRWRが0.8 以 上 でも 脾 摘 を 考 慮 すべきである。<br />

RW-3<br />

RFAに 対 するHSPの 臓 器 、 細 胞 保 護 作 用 についての<br />

検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科 学 講 座<br />

○… 川 嶋 裕 資 , 赤 司 昌 謙 , 野 北 英 史 , 石 川 博 人 , 久 下 亨 ,<br />

内 田 信 治 , 堀 内 彦 之 , 木 下 壽 文 , 白 水 和 雄<br />

… わが 国 の 肝 細 胞 癌 ( 以 下 HCC)の 切 除 適 応 例 は 限 られており、 根 治 的<br />

切 除 ができたとしても、 肝 内 転 移 や 多 中 心 性 発 癌 などによる 再 発 が 多<br />

く、5 年 以 内 に80%の 症 例 で 再 発 がみられる。HCCの 治 療 において、<br />

肝 予 備 能 の 温 存 や 手 術 侵 襲 の 軽 減 は、 術 後 の 合 併 症 を 軽 減 する 上 で 重<br />

要 である。ラジオ 波 熱 凝 固 療 法 ( 以 下 RFA)…をはじめとする 局 所 治 療<br />

の 役 割 は 大 きい。Heat…shock…protein( 以 下 HSP)は 熱 や 種 々のストレ<br />

スに 反 応 して 細 胞 内 に 素 早 く 合 成 される 蛋 白 質 で、ストレスに 対 して<br />

強 力 な 抵 抗 力 を 誘 導 する。 非 環 状 イソプレノイド 化 合 物 である<br />

Geranylgeranylacetone…( 以 下 GGA)… は、 日 本 でもよく 服 用 されてい<br />

る 胃 粘 膜 保 護 剤 であるが、 強 力 な 細 胞 保 護 作 用 を 誘 導 するHsp70を 選<br />

択 的 に 誘 導 することが 報 告 されている。 目 的 :ラット 肝 RFA 侵 襲 下<br />

におけるHSP70の 機 能 について 検 討 を 行 う。<br />

方 法 :Male…Wister…ratを 使 用 し、GGA(200mg/kg)は 術 前 24、4 時 間<br />

の 計 2 回 経 口 投 与 する。RFAは 開 腹 し、 左 葉 1 箇 所 、 中 葉 右 側 1 箇 所 焼<br />

灼 を 行 う。( 肝 全 体 の 約 15~20%の 焼 灼 )。 術 前 、 術 後 6、12、24、48 時<br />

間 に 採 血 し、 血 液 生 化 学 検 査 と 炎 症 性 サイトカインの 測 定 する。コン<br />

トロール 群 (NG-)GGA 投 与 群 (NG+) GGA+Quercetin 投 与 群 (GQ)の<br />

3 群 に 分 ける。(N=6) HSP70 合 成 阻 害 剤 であるQuercetin(100mg/kg)<br />

を 術 前 4 時 間 前 に 経 口 投 与 する。 肝 におけるHSP70、HSF-1の 発 現 を<br />

western…blotを 用 いて 測 定 する。 肝 臓 RFA 周 囲 の 病 理 組 織 学 的 検 討 を<br />

おこなう。<br />

結 果 :GGA 単 独 投 与 群 は、HSP70、HSF-1の 高 発 現 を 認 めた。GGA<br />

単 独 投 与 群 は、 肝 障 害 の 程 度 が 有 意 に 抑 制 された。Quercetin 投 与 に<br />

より、HSP70、HSF-1の 発 現 の 抑 制 を 認 め、さらに 肝 障 害 が 増 悪 した<br />

ことから、HSP70の 発 現 が 肝 障 害 軽 減 に 大 きく 関 与 することが 示 唆 さ<br />

れた。GGAは 炎 症 性 サイトカインの 減 少 も 抑 制 した。GGA 投 与 によ<br />

るHSP70の 強 発 現 は、 肝 障 害 を 軽 減 し、 炎 症 性 サイトカインの 発 現 も<br />

抑 制 した。 病 理 組 織 学 的 検 討 としては、 焼 灼 周 囲 の 肝 細 胞 のアポトー<br />

シスを 抑 制 することがわかった。 以 上 より、HSPの 誘 導 はRFA 術 後<br />

の 合 併 症 の 回 避 に 有 用 である 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

RW-4<br />

Aquaporin-5の 発 現 は 胆 嚢 癌 細 胞 株 における 薬 剤 感 受<br />

性 に 影 響 を 及 ぼす<br />

富 山 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科<br />

○… 関 根 慎 一 , 嶋 田 裕 , 大 澤 宗 士 , 吉 岡 伊 作 , 松 井 恒 志 ,<br />

澤 田 成 明 , 長 田 拓 哉 , 塚 田 一 博<br />

【 背 景 】 抗 癌 剤 による 化 学 療 法 は 現 在 の 癌 治 療 において 重 要 な 役 割 を<br />

担 っているが、 薬 剤 抵 抗 性 の 存 在 が 問 題 となる。 近 年 、microRNAの<br />

発 現 と 癌 の 薬 剤 耐 性 との 関 連 について 示 唆 する 報 告 が 出 されており、<br />

胆 管 癌 細 胞 では、miR-21,-200b… を 抑 制 するとGemcitabine(GEM)に<br />

対 する 感 受 性 が 亢 進 することをが 報 告 されている。 一 方 、Aquaporin<br />

( 以 下 AQP)は、 細 胞 膜 を 介 した 水 移 動 を 担 う…water…channel…protein<br />

であり、AQP0~AQP12の13 種 類 が 確 認 されている。 我 々は、これら<br />

のうち、AQP5が 胆 道 癌 において 高 率 に 発 現 し、AQP5 高 発 現 群 は 低<br />

発 現 群 に 比 較 して 予 後 良 好 であることを、 組 織 マイクロアレイおよび<br />

胆 嚢 癌 細 胞 株 にて 確 認 し、これまでに 報 告 してきた。 今 回 、AQP5 発<br />

現 と 薬 剤 耐 性 の 関 連 について、 胆 嚢 癌 細 胞 株 を 用 いて 遺 伝 子 解 析 を<br />

行 った。<br />

【 方 法 】AQP5 発 現 胆 嚢 癌 細 胞 株 (NOZ)に 対 し、AQP5…siRNA 導 入 細<br />

胞 (AQP5 抑 制 細 胞 )とネガティブコントロールsiRNA 導 入 細 胞 ( 対 照<br />

細 胞 )での 薬 剤 感 受 性 (5-FUおよびGEM)を 比 較 した。 薬 剤 感 受 性<br />

(IC50)は、WST-1…assay 法 にて 測 定 した。… 次 に、AQP5 抑 制 細 胞 と 対<br />

照 細 胞 を、DNAチップ(3D-Gene)にてmicroRNA 発 現 解 析 を 行 った。<br />

発 現 の 高 かったmicro…RNAに 対 し、 予 測 されるターゲット 遺 伝 子 に<br />

よる 定 量 PCRを 施 行 し、 薬 剤 感 受 性 に 関 連 する 遺 伝 子 の 発 現 を 検 討 し<br />

た。<br />

【 結 果 】AQP5 発 現 を 認 める 胆 嚢 癌 細 胞 株 (NOZ)において、AQP5 抑<br />

制 細 胞 ではGEM 耐 性 を 示 した。5-FUに 対 する 感 受 性 に 変 化 はなかっ<br />

た。micro-RNA 解 析 では、 対 照 細 胞 に 比 較 してAQP5 抑 制 細 胞 では、<br />

miR-29b,miR-200a,miR-21の 順 に 発 現 が 増 加 していた。 定 量 PCR 解 析<br />

において、AQP5 抑 制 細 胞 ではさらに、miR-21のターゲット 遺 伝 子 の<br />

1つである 癌 抑 制 遺 伝 子 PTEN…を 抑 制 していることが 確 認 された。<br />

【 考 察 】AQP5 抑 制 細 胞 ではGEMに 対 する 抵 抗 性 が 高 くなっていた。<br />

AQP5 抑 制 細 胞 ではコントロール 細 胞 と 比 較 して 高 レベルのmiR-21を<br />

有 し、PTENの 発 現 が 減 少 していた。AQP5 抑 制 とmiRNA-21の 過 剰<br />

発 現 がPTENの 減 少 を 引 き 起 こし、GEMへの 抵 抗 性 をもたらした 可<br />

能 性 が 示 唆 された。<br />

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-239-


RW-5 胆 道 癌 に 対 する 自 家 蛍 光 観 察 - 病 理 組 織 像 との 比 較 -<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 野 北 英 史 , 久 下 亨 , 赤 司 昌 謙 , 川 嶋 裕 資 , 川 原 隆 一 ,<br />

石 川 博 人 , 緒 方 敏 郎 , 安 永 昌 史 , 堀 内 彦 之 , 木 下 壽 文 ,<br />

白 水 和 雄<br />

近 年 、 肺 癌 や 消 化 管 領 域 において 内 視 鏡 による 自 家 蛍 光 観 察<br />

autofluorescence…imaging(AFI)の 有 効 性 が 報 告 さている。【 目 的 】 術<br />

中 摘 出 臓 器 を 自 家 蛍 光 観 察 し、 胆 管 癌 断 端 の 腫 瘍 深 部 の 領 域 性 を 視 認<br />

できるかを 腫 瘍 組 織 割 断 端 の 観 察 を 行 い、1: 癌 部 の 領 域 性 2:AFIと<br />

病 理 組 織 像 との 整 合 性 を 比 較 検 討 した。【 対 象 および 方 法 】: 胆 管 癌 11<br />

症 例 ( 胆 管 切 離 断 端 16 病 変 )( 肉 眼 型 は 乳 頭 型 が4 例 、 結 節 型 が3 例 、 平<br />

坦 型 が4 例 )を 対 象 に 実 体 顕 微 鏡 オリンパス 社 製 MVX10を 使 用 して 胆<br />

管 割 断 面 の 癌 部 、 非 癌 部 の 癌 組 織 の 自 家 蛍 光 の 強 度 差 を 利 用 して 腫 瘍<br />

の 領 域 性 を 視 認 できるか 検 討 した。【 結 果 】1: 腫 瘍 領 域 は 乳 頭 型 と 結<br />

節 型 では 癌 部 と 非 癌 部 とのコントラストがつき 境 界 が 明 瞭 に 判 別 でき<br />

た。 平 坦 浸 潤 型 に 関 しては 不 明 瞭 であった。 乳 頭 型 、 結 節 型 に 関 して<br />

は 病 理 組 織 学 的 に 表 層 進 展 していく 傾 向 であり、 肉 眼 所 見 では 腫 瘍 部<br />

を 視 認 できない 症 例 もAFIでは 視 認 できた。また、 病 理 学 的 に 胆 管 断<br />

端 陽 性 症 例 においてもAFIにて 視 認 は 可 能 であった。 一 方 、 平 坦 型 に<br />

関 しては 病 理 組 織 学 的 に 壁 内 進 展 していていく 傾 向 であり、 肉 眼 所 見<br />

でも 癌 部 と 非 癌 部 の 境 界 は 不 明 瞭 であり、AFIにおいても 不 明 瞭 で<br />

あったが、AFIでは 胆 管 壁 を 観 察 することで 癌 病 変 の 水 平 方 向 への 壁<br />

内 進 展 を 視 認 でき、また 病 理 学 的 に 胆 管 断 端 陽 性 症 例 においてもAFI<br />

では 視 認 は 可 能 な 症 例 もあった。2: 胆 管 癌 断 端 に 関 しては4 症 例 (6 病<br />

変 )が 病 理 組 織 学 的 に 断 端 陽 性 ( 乳 頭 型 2 例 、 平 坦 型 2 例 )であり、AFI<br />

で 胆 管 断 端 陽 性 と 視 認 できたのは 乳 頭 型 が2 例 (3 病 変 )、 平 坦 型 は1 例 (2<br />

病 変 )であった。また、 病 理 組 織 学 的 に 断 端 陰 性 症 例 7 例 (10 病 変 )すべ<br />

てがAFIでは 胆 管 断 端 陰 性 と 視 認 できた。<br />

【 結 語 】 現 時 点 において、AFIによる 描 出 画 像 は 多 少 粗 いことや、 反<br />

射 光 の 散 乱 像 が 画 像 に 反 映 されるなどの 課 題 もある。しかしながら、<br />

術 中 迅 速 病 理 診 断 の 一 助 を 担 う 検 査 法 となる 可 能 性 もあり 今 後 も 症 例<br />

数 を 重 ねて 十 分 に 検 討 していく 必 要 がある。<br />

RW-6<br />

膵 癌 組 織 内 における 炎 症 性 サイトカインの 役 割 :マクロ<br />

ファージ 遊 走 阻 止 因 子 は 予 後 に 影 響 しているか<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 高 野 可 赴 , 黒 崎 功 , 滝 沢 一 泰 , 皆 川 昌 広<br />

【 背 景 ・ 目 的 】<br />

マクロファージ 遊 走 阻 止 因 子 ( 以 下 MIF)は 活 性 化 T 細 胞 由 来 の 炎 症 性<br />

サイトカインであり,マクロファージを 局 所 に 誘 導 する.しかしその<br />

過 剰 発 現 は 過 度 の 炎 症 を 励 起 する. 一 方 , 血 管 新 生 や 癌 細 胞 の 転 移 ・<br />

遊 走 およびp53 不 活 化 などにMIFが 影 響 している 可 能 性 も 指 摘 されて<br />

いる. 膵 癌 では 血 清 CRP 値 と 予 後 との 関 連 性 を 指 摘 している 報 告 が 散<br />

見 されるが, 膵 癌 組 織 内 の 局 所 的 炎 症 と 予 後 の 関 連 性 は 明 らかにされ<br />

てはいない. 本 研 究 では 膵 癌 切 除 例 における 腫 瘍 内 MIFの 発 現 態 度 と<br />

臨 床 病 理 学 的 因 子 および 予 後 との 関 連 性 について 検 討 した.<br />

【 対 象 と 方 法 】 過 去 10 年 間 に 切 除 された 膵 癌 85 例 を 対 象 とした。 腫 瘍<br />

最 大 割 面 に 対 してMIF 陽 性 範 囲 が50% 未 満 を 低 発 現 群 (Lo 群 ),50% 以<br />

上 を 高 発 現 群 (Hi 群 )に 分 類 した.<br />

【 結 果 】85 例 全 例 の 染 色 性 はLo 群 21 例 …(25%),Hi 群 64 例 …(75%)であり,<br />

生 存 期 間 中 央 値 はLo 群 で59.8か 月 ,Hi 群 で18.9か 月 とHi 群 で 有 意 に 不<br />

良 であった(p…=…0.002). 両 群 の 背 景 因 子 では,リンパ 節 転 移 (Lo 群 ,<br />

14 例 …67%;Hi 群 ,48 例 …75%),stageIVb 比 率 ( 以 下 同 様 に,19%;<br />

32.8%),…R1 比 率 (4 例 19%;21 例 32.8%), 補 助 化 学 療 法 施 行 率 (20 例<br />

95%;51 例 82%)などの 予 後 因 子 の 何 れにも 統 計 学 的 な 有 意 差 を 認 め<br />

なかった.しかしStageIVbとR1 比 率 はHi 群 で 高 値 であったため, 以<br />

下 に 亜 群 分 析 を 行 った.II-IVa 亜 群 の5 年 生 存 率 はLo 群 で55.8%,Hi 群<br />

で0%…(p…=…0.015), およびR0 亜 群 の5 年 生 存 率 はLo 群 で54.7%,Hi 群<br />

で0%…(p…=…0.015)と 何 れの 亜 群 分 類 でもMIF-Hi 群 の 予 後 が 不 良 で<br />

あった.なお,MIF 発 現 が 完 全 に 陰 性 であった8 例 中 4 例 (50%)は5 年<br />

以 上 生 存 している。また,MIFの 発 現 性 と 抗 癌 剤 治 療 との 関 連 性 は 認<br />

められなかった.<br />

【 結 語 】MIFによって 誘 導 された 局 所 的 炎 症 が 癌 の 再 発 ・ 転 移 に 関 連<br />

しているのか,あるいはMIFが 腫 瘍 の 悪 性 度 を 反 映 しているかはさら<br />

に 検 討 が 必 要 である.しかし, 本 研 究 からMIFの 発 現 態 度 が 膵 癌 術 後<br />

における 新 たな 予 後 因 子 になる 可 能 性 が 示 唆 された.…<br />

RW-7<br />

インスリノーマは 果 たして 低 悪 性 度 腫 瘍 なのか<br />

1<br />

川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 九 州 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院 臨<br />

床 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 堤 宏 介 1<br />

, 中 村 雅 史 1<br />

, 大 塚 隆 生 2<br />

, 中 島 洋 1<br />

, 高 畑 俊 一 2<br />

,<br />

2<br />

田 中 雅 夫<br />

【 背 景 と 目 的 】 一 般 的 に 膵 内 分 泌 腫 瘍 の 中 でインスリノーマの 悪 性 例<br />

は10% 以 下 とされ、 一 方 、それ 以 外 の 内 分 泌 腫 瘍 は50% 以 上 が 悪 性 で<br />

あるとされている。しかし、インスリノーマは 比 較 的 腫 瘍 が 小 さなう<br />

ちから 症 状 が 出 るため、 症 状 に 乏 しい 非 機 能 性 腫 瘍 などと 比 較 すると<br />

切 除 時 の 腫 瘍 径 が 小 さい 場 合 が 多 い。 近 年 、 画 像 診 断 の 向 上 とともに<br />

発 見 される 頻 度 が 増 えた 小 さな 非 機 能 性 腫 瘍 の 多 くが 良 性 であること<br />

から、インスリノーマの 悪 性 度 が 低 いわけではなく、 腫 瘍 径 が 膵 内 分<br />

泌 腫 瘍 の 悪 性 度 を 反 映 している 可 能 性 がある。 今 回 、 腫 瘍 径 とインス<br />

リノーマの 悪 性 度 の 関 係 を 調 べた。<br />

【 対 象 と 方 法 】1993 年 1 月 から2011 年 3 月 までに 九 州 大 学 臨 床 ・ 腫 瘍 外<br />

科 で 切 除 されたインスリノーマ23 例 を 対 象 とし、 非 機 能 性 腫 瘍 38 例 と<br />

比 較 した。 組 織 学 的 にリンパ 節 などへの 転 移 があるものを 悪 性 例 と 判<br />

定 し、その 頻 度 について 両 者 間 で 検 討 を 行 った。また、 腫 瘍 径 15mm<br />

を 基 準 としてそれぞれを2 群 に 分 類 し、 腫 瘍 径 に 応 じた 悪 性 の 頻 度 を<br />

調 べた。<br />

【 結 果 】インスリノーマの 平 均 腫 瘍 径 は13mm(8-60mm)で、 非 機 能<br />

性 腫 瘍 の18mm(8-80mm)と 比 べ、 有 意 に 小 さかった(p…=…0.0394)。 初<br />

回 切 除 時 の 転 移 の 頻 度 はインスリノーマで8.7%(2 例 )であったが、 非<br />

機 能 性 腫 瘍 では15.8%(6 例 )と 約 2 倍 であった。 次 に 腫 瘍 径 で 比 較 した<br />

ところ 腫 瘍 径 15mm 未 満 のインスリノーマ(13 例 )および 非 機 能 性 腫 瘍<br />

(11 例 )では、 転 移 を 有 した 例 はともに 認 めなかった。 一 方 、 腫 瘍 径<br />

15mm 以 上 では、インスリノーマの10 例 中 2 例 (20%)に、また 非 機 能<br />

性 腫 瘍 の27 例 中 6 例 (22.2%)にリンパ 節 転 移 を 認 め、ほぼ 同 等 の 発 現 頻<br />

度 であった。<br />

【 結 論 】インスリノーマはホルモン 過 剰 症 状 により 小 さいサイズで 切<br />

除 されることが 多 いため、それらが 母 数 に 含 まれて 全 体 として 悪 性 頻<br />

度 が 低 い 結 果 となっている 可 能 性 がある。 腫 瘍 径 が 大 きくなればイン<br />

スリノーマもリンパ 節 転 移 が 認 められ、 非 機 能 性 腫 瘍 と 同 様 の 悪 性 度<br />

を 有 する 可 能 性 があり、その 場 合 には 核 出 術 ではなくリンパ 節 郭 清 を<br />

伴 う 膵 切 除 術 を 行 うことが 望 ましい。<br />

RW-8<br />

膵 消 化 管 神 経 内 分 泌 腫 瘍 のMalignantpotential 評 価<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 工 藤 篤 , 伴 大 輔 , 入 江 工 , 落 合 高 徳 , 中 村 典 明 ,<br />

田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 背 景 】2010… 年 WHO… 分 類 における 膵 消 化 管 神 経 内 分 泌 腫 瘍 (GEP-<br />

NETs)…のMalignant…potential… 評 価 は、2000… 年 分 類 における 肝 転 移 や<br />

局 所 浸 潤 の 程 度 といった 臨 床 所 見 よりも、Ki-67,… 核 分 裂 像 といった 病<br />

理 学 的 因 子 が 重 視 されるようになった。しかしながら 原 発 が 不 明 、あ<br />

るいは 切 除 不 能 のGEP-NETs… 症 例 (IMP… 群 )…では、 原 発 巣 の 病 理 組 織<br />

を 採 取 できないために 同 分 類 は 適 応 できない。 本 研 究 はIMP… 群 の 特<br />

徴 と 全 生 存 率 に 与 える 影 響 を 検 討 した。<br />

【 対 象 と 方 法 】2000… 年 4… 月 から2011… 年 10… 月 に 当 科 における 初 治 療<br />

GEPNETs75… 例 ( 男 性 43… 例 )を 対 象 としてIMP…と 非 IMP…の 背 景 因 子 、<br />

無 再 発 生 存 率 (DFS),… 全 生 存 率 (OS)を 統 計 学 的 に 検 討 し<br />

た。IMP…の 内 訳 は 原 発 不 明 が8… 例 、 原 発 生 検 不 能 が5 例 、 原 発 のホッ<br />

トバイオプシが6 例 であった。<br />

【 結 果 】<br />

対 象 の 平 均 年 齢 は60.1… ±…13.3SD(26~84) 歳 ,… 機 能 性 16… 例 であった。<br />

原 発 の 内 訳 は、 膵 十 二 指 腸 38… 例 、 食 道 10… 例 、 胃 15… 例 、 回 腸 1… 例 、 大<br />

腸 3 例 、 胆 管 1… 例 、 不 明 7… 例 。 原 発 不 明 例 を 除 く 症 例 の 腫 瘍 径 は32.9…<br />

±…30.1(5~150)SD…mmであった。IMP… 群 は19… 例 、 非 IMP… 群 は56… 例 で<br />

原 病 死 はそれぞれ8… 例 、5… 例 であった。 原 発 巣 の 根 治 手 術 は56… 例 に 施<br />

行 された。 肝 切 除 は11 例 に 施 行 された。 非 IMP… 群 に 比 べて、IMP…は<br />

原 発 不 明 、 肝 転 移 が 明 らかに 多 く(p=0.0025)、 原 発 切 除 あるいは 原 発<br />

切 除 + 肝 切 除 が 有 意 に 少 なかった(p


クリニカルワークショップ


CW-1<br />

胃 内 容 排 出 遅 延 (DelayedGastricEmptying:DGE)<br />

が 無 縁 になった2010 年 代 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 小 田 竜 也 , 橋 本 慎 治 , 宮 本 良 一 , 小 林 昭 彦 , 高 橋 遍 ,<br />

福 永 潔 , 佐 々 木 亮 孝 , 大 河 内 信 弘<br />

【 背 景 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 後 の 胃 内 容 排 出 遅 延 (Delayed…<br />

Gastric…Emptying:DGE)は 患 者 の 在 院 日 数 を 延 長 させてしまう(1990<br />

年 代 においては 約 50 日 と 長 期 化 する 報 告 が 散 見 された)やっかいな 合<br />

併 症 であった。2006 年 に 和 歌 山 医 大 の 谷 、 山 上 らはPpPDにおいても<br />

結 腸 前 で 吻 合 すれば 結 腸 後 に 比 べてDGEが50%から5%に 減 少 し、 経<br />

鼻 胃 管 の 留 置 期 間 も18.9 日 から4.2 日 に 短 縮 、さらに、 術 後 在 院 日 数 が<br />

47.7 日 から28.7 日 に 短 縮 される 事 を 報 告 した。 我 々は2002 年 から 幽 門<br />

輪 を 温 存 せず(Pyrorus-resected…PD:…PrPD)、さらに、 残 胃 を 後 結 腸<br />

ルートで 体 の 左 側 で 垂 直 に 再 建 する…PrPD-retrocolica… を 基 本 術 式 と<br />

して 行 ってきた。 今 回 我 々のPrPD-retrocolica…のDGEの 発 生 頻 度 、 術<br />

後 在 院 日 数 を 最 近 発 表 されたPD 術 後 再 建 の 報 告 論 文 と 比 較 し、2010<br />

年 代 のDGEについて 総 括 する。【 方 法 】 当 院 消 化 器 外 科 において2002<br />

年 12 月 から 膵 癌 に 対 して…SSpPD…を 施 行 した47 例 を 対 象 とした。DGE<br />

を 第 10 病 日 までに 経 鼻 胃 管 を 抜 去 できない 状 態 または 嘔 吐 を 認 め 経 鼻<br />

胃 管 の 再 挿 入 を 必 要 とした 状 態 と 定 義 し、DGEの 発 生 頻 度 、 点 滴 抜<br />

去 時 期 、 飲 水 開 始 時 期 、 経 口 摂 取 開 始 時 期 、 術 後 在 院 日 数 の 平 均 値 及<br />

び 中 央 値 を 算 出 した。【 結 果 】DGEの 発 生 頻 度 は2/47 例 (4.2%)であり、<br />

飲 水 開 始 時 期 の 中 央 値 ( 日 )は2(1-13)、 経 口 摂 取 開 始 時 期 の 中 央 値 は4<br />

(3-22)、 点 滴 抜 去 時 期 の 中 央 値 は13.5(5-44)、 術 後 在 院 日 数 の 中 央 値<br />

は18(8-65)であった。【 考 察 】 術 後 在 院 日 数 18.0 日 という 我 々の 成 績 は、<br />

日 本 のhigh…volumeセンターの 報 告 の 中 でも 最 も 良 好 な 成 績 の 一 つで<br />

ある。PpPDがDGEの 発 生 に 対 して 影 響 がないという 報 告 もあるが、<br />

我 々は 幽 門 輪 を 切 除 する 事 と、 残 胃 が 横 行 結 腸 間 膜 の 左 側 を 垂 直 に 配<br />

置 するretrocolica 再 建 が、 安 定 したDGE 予 防 、ひいては 在 院 日 数 の 短<br />

縮 につながると 考 える。<br />

CW-2<br />

GEM+S1 併 用 療 法 に 不 応 となった 切 除 不 能 進 行 ・ 再 発<br />

胆 道 癌 に 対 するGEM+CDDP 併 用 療 法 の 有 用 性 の 検 討<br />

1<br />

横 浜 市 立 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 、 2 横 浜 市 立 大 学 医 学<br />

部 臨 床 腫 瘍 学<br />

○… 松 山 隆 生 1<br />

, 谷 口 浩 一 1<br />

, 大 田 洋 平 1<br />

, 本 間 祐 樹 1<br />

,<br />

野 尻 和 典 1<br />

, 熊 本 宜 文 1<br />

, 森 隆 太 郎 1<br />

, 武 田 和 永 1<br />

,<br />

田 中 邦 哉 1<br />

, 嶌 村 健 2<br />

, 市 川 靖 史 2 1<br />

, 遠 藤 格<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 胆 道 癌 に 対 してはGemcitabine(GEM)を 中 心 とした 併<br />

用 療 法 が 行 われるようになりつつあり 本 邦 ではS1との 併 用 が1つの 選<br />

択 肢 となっている。 本 レジメンの 無 増 悪 期 間 中 央 値 は5.9ヶ 月 と 報 告<br />

されており2 次 治 療 に 対 する 期 待 が 高 まっている。 当 院 では2008 年 か<br />

ら 院 内 先 進 医 療 の1つとしてGEM+CDDP 併 用 療 法 (GC 療 法 )を2 次 治<br />

療 として 行 ってきた。 今 回 当 院 の 治 療 成 績 を 検 討 する。【 対 象 ・ 方 法 】<br />

対 象 は2008 年 9 月 から2011 年 6 月 までに1 次 治 療 のGEM+S1 併 用 療 法<br />

(GS 療 法 )が 不 応 となり、2 次 治 療 としてGC 療 法 を 施 行 された 切 除 不<br />

能 進 行 ・ 再 発 胆 道 癌 の27 例 。GS 療 法 は3 週 間 を1コースとしS1:<br />

60mg/m2を2 週 連 日 投 与 しGEM:1000mg/m2をday8,15に 投 与 。GC<br />

療 法 は3 週 間 を1コ ー ス と しGEM:1000mg/m2をday1,8、CDDP:<br />

20mg/m2をday1,8に 各 々 投 与 。 不 応 性 はRECISTに 準 じCT、PETで<br />

標 的 病 変 がPDまたは 新 規 病 変 の 出 現 とした。【 結 果 】 対 象 疾 患 は 肝 内<br />

胆 管 癌 :3 例 、 肝 門 部 胆 管 癌 :11 例 、 胆 嚢 癌 :6 例 、 中 下 部 胆 管 癌 :6 例 、<br />

乳 頭 部 癌 :1 例 。1 次 治 療 のGEM+S1 投 与 コース 中 央 値 は3コース(2-21)。<br />

2 次 治 療 のGEM+CDDP 投 与 コース 中 央 値 は3コース(1-15)。GC 療 法 に<br />

お け るGrade3 以 上 の 血 液 毒 性 は 貧 血 5 例 (18.5%)、 白 血 球 減 少 2 例<br />

(7.4%)、 好 中 球 減 少 2 例 (7.4%)、 血 小 板 減 少 3 例 (11.1%)でGrade2 以 上<br />

の 非 血 液 毒 性 は 食 欲 不 振 2 例 (7.4%)、 皮 疹 1 例 (3.7%)、クレアチニン 増<br />

加 1 例 (3.7%)であった。GC 療 法 における 評 価 可 能 病 変 23 例 中 、PR:1 例 、<br />

SD:17 例 、PD:5 例 で 奏 功 率 は4.3%で 病 勢 制 御 率 は78.2%であった。<br />

2 次 治 療 開 始 からの 無 増 悪 期 間 中 央 値 は3.3ヶ 月 、 生 存 期 間 中 央 値 は<br />

5.9ヶ 月 であった。2 次 治 療 開 始 時 に 腹 膜 播 種 を 認 めた6 例 の 生 存 期 間<br />

中 央 値 は3.7ヶ 月 で、 腹 膜 播 種 を 認 めなかった21 例 の6.5ヶ 月 に 比 べて<br />

有 意 差 は 認 めないものの 不 良 であった(P=0.178)。GS 療 法 開 始 からの<br />

生 存 期 間 中 央 値 は12.5ヶ 月 であり、GC 療 法 開 始 時 に 腹 膜 播 種 の 無 い<br />

症 例 では17.2ヶ 月 であった。【 結 語 】 切 除 不 能 進 行 ・ 再 発 胆 道 癌 の2 次<br />

治 療 としてのGC 療 法 は 重 篤 な 有 害 事 象 もなく 無 増 悪 期 間 の 延 長 効 果<br />

を 認 めた。 今 後 、GS 療 法 とGC 療 法 の 比 較 試 験 による1 次 治 療 レジメ<br />

ンの 選 別 や、より 効 果 的 な3 次 治 療 レジメンの 確 立 が 急 務 である。<br />

CW-3<br />

肝 細 胞 癌 治 癒 切 除 後 5 年 以 上 無 再 発 生 存 のための 臨 床 病<br />

理 学 的 因 子<br />

国 立 病 院 機 構 長 崎 医 療 センター 外 科<br />

○… 藤 岡 ひかる, 蒲 原 行 雄 , 渡 邊 健 人<br />

< 背 景 ><br />

肝 細 胞 癌 (HCC)…は 治 癒 治 療 でも5 年 以 内 に70% 以 上 が 再 発 し、 長 期 無<br />

再 発 生 存 が 困 難 な 病 態 である。 我 々は 非 癌 部 肝 組 織 中 のprostaglandin<br />

合 成 酵 素 である…microsomal…prostaglandin…synthase-1(mPGES-1) 高<br />

発 現 は 治 癒 切 除 後 再 発 危 険 因 子 であることを 報 告 してきた(World…J…<br />

Gastroenterol,…2010.)。 今 回 、5 年 以 上 無 再 発 生 存 のための 臨 床 病 理 学<br />

的 因 子 …(mPGES-1 発 現 を 含 む)を 検 討 した。<br />

< 対 象 と 方 法 ><br />

2003 年 以 後 に 当 センターで 治 癒 切 除 されmPGES-1 発 現 を 検 討 した<br />

HCC 症 例 のうち、5 年 以 上 無 再 発 例 をA 群 …(n=21)、5 年 未 満 再 発 例 を<br />

B 群 …(n=41)とし 両 群 の 臨 床 病 理 学 的 因 子 を 比 較 検 討 した。<br />

< 結 果 ><br />

観 察 期 間 の 中 央 値 は71.5ヶ 月 。 全 62 例 の5 年 全 生 存 率 、 無 再 発 生 存 率<br />

はそれぞれ70.5%、33.9%であった。5 年 未 満 再 発 例 の5 年 全 生 存 率 は<br />

56.8%であった。< 宿 主 因 子 >…A 群 はB 群 に 比 しGOT/GPT 値 が 低 く、<br />

Alb・PT 値 が 高 値 。 肝 硬 変 率 も 低 率 。mPGES-1 発 現 は 有 意 に 低 発 現<br />

例 が 多 かった。< 腫 瘍 因 子 >…A 群 は、 脈 管 浸 潤 陰 性 で 腫 瘍 径 が 小 さく、<br />

単 発 例 が 多 い。< 手 術 因 子 >…A 群 は 手 術 時 間 が 短 く、 出 血 量 も 少 な<br />

い 傾 向 であった。 切 除 法 および 切 除 範 囲 には 差 を 認 めなかった。 単 変<br />

量 解 析 で、PT90% 以 上 、Alb>4.2g/dl、 最 大 腫 瘍 径 32mm 以 下 、 単 発<br />

腫 瘍 、 組 織 学 的 脈 管 浸 潤 陰 性 、mPGES-1 低 発 現 が5 年 以 上 無 再 発 生 存<br />

の 条 件 。 多 変 量 解 析 ではmPGES- 低 発 現 ・Alb>4.2g./dlのみが5 年 無 再<br />

発 生 存 のための 独 立 した 有 意 な 因 子 。これら2 因 子 をそれぞれ1ポイン<br />

トとし、Score0…(n=23),Score1…(n=28),Score2…(n=11)の3 群 に 分 け 検<br />

討 したところ、5 年 無 再 発 生 存 率 はScore2…72.3%、Score1…42.9%、<br />

Score0…4.3%(Log…rank…testで 其 々 有 意 差 あり)。また、5 年 全 生 存 率 は<br />

Score2…90.9%、Score1…75.0%、Score0…52.2%であった。<br />

< 結 語 >mPGES-1 低 発 現 およびAlb 高 値 (>4.2g./dl)は、HCC 治 癒 切 除<br />

症 例 における5 年 以 上 無 再 発 生 存 のための 有 意 な 因 子 である。これら<br />

の 因 子 をポイント 化 することで 無 再 発 生 存 率 のポイント 別 層 別 化 が 可<br />

能 である。<br />

CW-4<br />

肝 細 胞 癌 治 癒 切 除 後 の 再 発 形 式 による 予 後 解 析 ―BTR<br />

の 臨 床 意 義<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 中 村 幸 雄 , 水 口 徹 , 川 本 雅 樹 , 目 黒 誠 , 今 村 将 史 ,<br />

信 岡 隆 幸 , 木 村 康 利 , 古 畑 智 久 , 平 田 公 一<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 は 治 癒 切 除 後 の 再 発 に 対 する 対 策 と 治 療 が 重 要 であ<br />

るが、 再 発 形 式 ( 多 発 性 ・ 孤 立 性 )による 予 後 への 影 響 や 予 測 因 子 は 明<br />

らかにされていない。 再 発 形 式 と 患 者 背 景 、 手 術 因 子 、 再 発 後 の 予 後<br />

について 明 らかにすることを 目 的 とした。【 方 法 】2003-2010… 年 に 当<br />

科 で 経 験 した 肝 細 胞 癌 初 回 治 癒 切 除 例 248 例 のうち、 再 発 をきたした<br />

124 例 ( 孤 立 性 :60 例 、 多 発 性 :64 例 )について 検 討 した。 多 発 性 再 発<br />

の 予 測 に 関 してはROC 曲 線 を 作 成 しAUCを 算 出 した。 無 再 発 生 存 期<br />

間 および 全 生 存 期 間 はKaplan-Meier 法 を 用 いてLog-rank 検 定 を 施 行<br />

した。Cox 比 例 ハザードモデルにより 多 変 量 解 析 を 行 い 予 後 規 定 因 子<br />

の 抽 出 を 行 った。<br />

【 結 果 】 単 変 量 解 析 では 腫 瘍 径 、AST、γ-GTP、BTRに 有 意 差 を 認<br />

めた。これらの 因 子 のAUCは 腫 瘍 径 (AUC=0.583、p=…0.107)、AST…<br />

(AUC=…0.614、p=…0.022)、 γ-GTP…(AUC=…0.610、p=…0.029)、BTR…<br />

(AUC=…0.672、p=…0.003)であった。Cox 比 例 ハザードモデルによる 多<br />

変 量 解 析 では 無 再 発 生 存 期 間 (p=0.037)および 全 生 存 期 間 (p=0.025)と<br />

もにBTRは 独 立 した 予 後 規 定 因 子 であった。Kaplan-Meier 法 による<br />

解 析 ではBTR 高 値 群 …(≧6.0:…N=31)、 低 値 群 …(


CW-5<br />

血 小 板 減 少 症 を 伴 う 肝 細 胞 癌 治 療 における 脾 摘 の 有 用<br />

性<br />

国 立 病 院 機 構 長 崎 医 療 センター 外 科<br />

○… 蒲 原 行 雄 , 釘 山 統 太 , 渡 邊 健 人 , 町 野 隆 介 , 朝 長 哲 生 ,<br />

野 中 隆 , 徳 永 隆 幸 , 遠 山 啓 亮 , 前 田 茂 人 , 永 田 康 浩 ,<br />

田 川 努 , 藤 岡 ひかる<br />

背 景 ) 肝 細 胞 癌 の 治 療 は 腫 瘍 因 子 と 肝 予 備 能 を 勘 案 し 施 行 されるが、<br />

血 小 板 減 少 症 合 併 肝 細 胞 癌 は 治 療 に 難 渋 することが 少 なくない。これ<br />

は、 血 小 板 値 減 少 により 治 療 法 の 選 択 枝 が 狭 められることが 大 きな 要<br />

因 である。 我 々はこのような 症 例 に 対 し、 積 極 的 に 摘 脾 を 行 い、 各 種<br />

の 肝 細 胞 癌 治 療 を 施 行 してきた。 今 回 、 血 小 板 減 少 症 合 併 肝 細 胞 癌 症<br />

例 に 対 する 脾 摘 の 有 用 性 につき 報 告 する。<br />

対 象 と 方 法 )2005 年 より2010 年 までに 血 小 板 値 50x10 …3… /mm …3… 以 下 で 脾 摘<br />

を 施 行 した… 肝 細 胞 癌 21 例 ( 男 性 13、 女 性 8、 年 齢 61±9 歳 )を 対 象 とした。<br />

術 前 肝 予 備 能 、 手 術 因 子 ( 術 式 、 出 血 量 )、 脾 重 量 、 脾 摘 後 肝 予 備 能 、<br />

血 小 板 値 の 推 移 、 合 併 症 、 肝 細 胞 癌 治 療 法 とその 結 果 につき 検 討 した。<br />

結 果 ) 術 前 肝 予 備 能 はChild-Pugh…A7 例 、B14 例 であった。 脾 摘 術 式 は<br />

腹 腔 鏡 用 手 補 助 下 16 例 、 開 腹 5 例 、 摘 出 脾 重 量 は616±403g、 出 血 量<br />

は252±206gであった。 術 後 1か 月 で 肝 予 備 能 は 蛋 白 合 成 能 ( 血 清 アル<br />

ブミン、プロトロンビン 活 性 )で 悪 化 を 認 めず、 血 小 板 値 は 術 前 に 比<br />

べ 有 意 に 改 善 を 認 めた( 術 前 38±10、 術 後 193±61…x10 …3… /mm …3… ,…<br />

p


CW-9<br />

腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 における 切 離 手 技 についての 検 討<br />

神 戸 市 立 医 療 センター 西 市 民 病 院 外 科<br />

○… 仲 本 嘉 彦<br />

腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 では 切 離 する 肝 臓 の 状 態 に 応 じて 適 切 な 手 術 手<br />

技 が 求 められる。 今 回 われわれは2006 年 12 月 から2011 年 9 月 までに 当<br />

科 で 実 施 した 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 37 例 の 手 術 成 績 を 検 討 し、 肝 硬 変<br />

の 有 無 や 切 離 部 位 に 応 じた 適 切 な 肝 切 離 手 技 について 考 察 を 行 った。<br />

37 例 の 内 、 原 発 性 肝 癌 25 例 では、 術 前 ICG15 分 値 は 平 均 24.5%(6.2-<br />

56.3%)、Child-Pugh…scoreはClass…A…13 例 、Class…B12 例 、 腫 瘍 径 は 平<br />

均 2.5cm(1.0-3.5cm)であった。21 例 に 肝 部 分 切 除 (S2,3,4,5,6,7,8)、4 例<br />

に 外 側 区 域 切 除 を 行 ったが、7 例 にHALS、6 例 に 補 助 下 手 術 を 併 用 した。<br />

同 時 手 術 として 胆 嚢 摘 出 術 3 例 、 胃 部 分 切 除 術 1 例 、RFA4 例 を 行 った。<br />

手 術 時 間 は 平 均 199 分 (40-345 分 )、 出 血 量 は 平 均 147ml(5-448ml)、<br />

術 後 合 併 症 は1 例 に 肝 腎 症 候 群 が 発 生 し28 日 目 に 死 亡 した。 一 方 、 転<br />

移 性 肝 癌 10 例 と 胆 嚢 癌 ( 腫 瘍 )2 例 では9 例 に 肝 部 分 切 除 (S2,3,4,6,7,8, 肝<br />

床 部 )、2 例 に 外 側 区 域 切 除 、1 例 に 後 区 域 前 背 側 区 域 切 除 を 行 った。<br />

同 時 手 術 として 直 腸 切 断 術 1 例 、S 状 結 腸 切 除 術 1 例 、 人 工 肛 門 閉 鎖 術<br />

1 例 、 胆 嚢 摘 出 術 1 例 を 行 った。 手 術 時 間 は 平 均 176 分 (70-380 分 )、 出<br />

血 量 は 平 均 49ml(5-340ml)、 術 後 合 併 症 はなかった。 肝 切 離 に 際 して、<br />

硬 変 肝 では 切 離 線 近 くの 牽 引 用 の 糸 による 緊 張 や 助 手 の 器 具 との 協 調<br />

で 切 離 面 を 展 開 することが 重 要 であった。 肝 臓 が 非 常 に 硬 く 切 離 面 の<br />

展 開 が 困 難 な 場 合 や 後 区 域 またはS8の 切 離 ではHALSや 補 助 下 手 術 の<br />

併 用 が 必 要 であった。 切 離 方 法 としては、VIO…systemのBiclampで<br />

前 凝 固 しながら 破 砕 し、Vessel…sealing…systemで 切 離 する 方 法 が 有 効<br />

かつ 安 全 であった。 肝 静 脈 からの 出 血 に 対 してもBiclampによる 止 血<br />

が 有 効 であった。 正 常 肝 の 切 離 ではCUSAで 肝 実 質 を 破 砕 し、Vessel…<br />

sealing…systemで 切 離 するが、 肝 実 質 が 薄 くなればstaplerを 用 いるこ<br />

とも 有 効 であった。 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 では 肝 臓 の 状 態 によって 適<br />

切 な 切 離 手 技 を 選 ぶ 必 要 がある。<br />

<br />

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<br />

-245-


ミニシンポジウム


MSY1-1<br />

borderlineresectable 膵 癌 への 治 療 戦 略<br />

1<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 、 2 岐 阜 市 民 病 院 外 科 、 3 岐 阜 県 総 合 医 療<br />

センター 外 科<br />

○… 長 田 真 二 1<br />

, 今 井 寿 1<br />

, 佐 々 木 義 之 1<br />

, 足 立 尊 仁 2<br />

,<br />

種 田 靖 久 3<br />

, 河 合 雅 彦 3 1<br />

, 吉 田 和 弘<br />

stage…IVA 膵 癌 に 対 して、TS-1を 用 いた 導 入 化 学 放 射 線 療 法 の 臨 床 第<br />

2 相 試 験 を 計 画 し(PerSeUS:ペルセウス)、 治 療 効 果 向 上 を 目 指 す。【 概<br />

要 】primary…endpointは1 年 生 存 率 、secondary…endpointは 無 増 悪 生<br />

存 期 間 、 切 除 率 、 治 癒 切 除 率 、 導 入 化 学 放 射 線 療 法 における 奏 効 率 お<br />

よび 安 全 性 。 対 象 は、1. 後 方 浸 潤 が 腫 瘍 と 連 続 的 に 軽 度 の 毛 羽 立 ちを<br />

伴 っており、2. 門 脈 は 腫 瘍 と 接 触 範 囲 が1/4 未 満 だが 変 形 あり、ある<br />

いは1/4 周 以 上 の 接 触 。3. 動 脈 は 腫 瘍 との 接 触 範 囲 が1/4 周 未 満 で 変 形<br />

なし、を 適 応 。 一 方 、4. 後 方 浸 潤 が 下 大 静 ・ 動 脈 に 密 に 接 する、5.<br />

門 脈 に 強 い 狭 窄 ・ 閉 塞 あるいは 同 定 が 困 難 で 側 副 血 行 路 を 伴 う、ある<br />

いは6. 動 脈 と 腫 瘍 との 接 触 範 囲 が1/4 周 以 上 または 変 形 ありのいずれ<br />

かがみられる 症 例 を 適 応 外 。 放 射 線 療 法 は、 週 5 回 (1.8Gy/ 回 )、 計 22<br />

回 (39.6Gy)の 照 射 とし、TS-1は80mg/m …2… /dayを 照 射 日 に 内 服 。 終 了<br />

後 4 週 以 降 10 週 以 内 に 根 治 手 術 を 計 画 し、 以 降 TS-1 内 服 を 維 持 しつつ<br />

2カ 月 毎 に 画 像 評 価 。【 結 果 】 現 在 までに17 例 を 登 録 (65.3±8.8 歳 、 男<br />

女 比 7:10)。1. 治 療 前 状 態 としては、 閉 塞 性 黄 疸 2 例 、 糖 尿 病 3 例 で、<br />

9 例 に 胆 管 内 瘻 化 処 置 。2. 術 前 治 療 中 5 例 は 有 害 事 象 がなかった 一 方 、<br />

grade1から2の 悪 心 ・ 嘔 吐 などを11 例 、 白 血 球 減 少 を5 例 、grade3の<br />

胆 管 炎 を2 例 に 認 め 休 薬 期 間 を 要 したが 全 例 完 遂 ( 治 療 期 間 は70.6±7.7<br />

日 )。3. 腫 瘍 径 (mm)は 治 療 前 25.6±10.6と 後 25.9±11.5に 差 はなく、<br />

肝 転 移 発 現 など4 例 のPD 以 外 、PRの1 例 (5.8%)、SDの12 例 (70.6%)を<br />

開 腹 し、 切 除 10 例 (76.9%)では 全 例 R0で 術 後 合 併 症 なし。4. 観 察 期<br />

間 14.5±6.2(M)で、MSTは13.5±5.9(M)、1 年 生 存 率 は94.1%。5. 腫<br />

瘍 径 は7 例 で 増 大 、8 例 で 縮 小 したが、 遠 隔 転 移 発 現 や 切 除 、 予 後 には<br />

影 響 しなかった。【 結 語 】 未 だ 観 察 期 間 中 であるが、TS-1を 用 いた 導<br />

入 化 学 放 射 線 療 法 は 有 効 であると 推 察 される。 新 規 登 録 症 例 に 関 する<br />

病 理 学 的 評 価 、 文 献 的 考 察 を 含 め 報 告 する。<br />

MSY1-2<br />

術 後 病 理 組 織 の 解 析 からみたBorderline<br />

resectable 膵 癌 の 治 療 戦 略<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

○… 高 森 啓 史 , 中 原 修 , 生 田 義 明 , 新 田 英 利 , 今 井 克 憲 ,<br />

林 洋 光 , 近 本 亮 , 土 居 浩 一 , 石 河 隆 敏 , 別 府 透 ,<br />

馬 場 秀 夫<br />

Borderline…resectable 膵 癌 への 取 り 組 みが 重 要 である 根 拠 は、 癌 遺 残<br />

無 き 切 除 (R0)が 強 力 な 予 後 因 子 である 事 に 因 る。NCCN…guidelines…<br />

version1.…2012では、Borderline…resectable 膵 癌 は、 切 除 ・ 再 建 が 可 能<br />

な 門 脈 系 浸 潤 および180 度 未 満 のSMAへの 隣 接 と 定 義 されている。 今<br />

回 、 脾 静 脈 を 除 く 門 脈 系 浸 潤 (pv)および 腹 腔 動 脈 系 および 上 腸 間 膜<br />

動 脈 への 隣 接 に 関 連 のある 膵 外 神 経 叢 浸 潤 (pl)の 生 存 成 績 、さらには<br />

pv,…plとR0 切 除 の 相 関 の 解 析 を 基 にBorderline…resectable 膵 癌 の 治 療<br />

戦 略 を 検 討 した。1984 年 5 月 から2006 年 11 月 までの 術 後 5 年 以 上 経 過 し<br />

た 通 常 型 膵 管 癌 切 除 例 141 例 (stage1:…10 例 、stage2:…3 例 、stage3:…<br />

30 例 、stage4a:…61 例 、stage4b:…37 例 )を 対 象 とした。 全 体 のActual…<br />

5-years…survival…rate…(…5-y…survival…rate)は18.7%で、 生 存 期 間 中 央 値<br />

(MST)は18.8ヶ 月 であった。R0 切 除 の5-y…survival…rate…32.7%,…MST…<br />

32.5ヶ 月 で、R1-2 切 除 (5-y…survival…rate…10.2%,…MST…15.1ヶ 月 )より 有<br />

意 に 予 後 良 好 であった(p=0.0001)。pv…(-)は5-y…survival…rate…14.1%,…<br />

MST…18.5ヶ 月 で、pv…(+)(5-y…survival…rate…13.9%,…MST…17.2ヶ 月 )と<br />

有 意 差 は 認 めなかった。 一 方 、pl…(-)は5-y…survival…rate…31.1%,…MST…<br />

24.0ヶ 月 で、pl…(+)(5-y…survival…rate…4.5%,…MST…17.7ヶ 月 )より 有 意<br />

に 予 後 良 好 であった(p=0.0008)。さらに、Spearmanの 順 位 相 関 係 数<br />

を 用 いた 癌 遺 残 度 とpv…(+)およびpl(+)との 相 関 検 定 では、pvとの 相<br />

関 は 認 めなかったが、plとは 有 意 な 相 関 を 認 めた。 以 上 より、 門 脈 浸<br />

潤 例 では、 切 除 ・ 再 建 が 可 能 であればone…step…surgeryとし、 膵 外 神<br />

経 叢 浸 潤 例 は、 非 浸 潤 例 に 比 し 有 意 に 予 後 不 良 で、しかも 癌 遺 残 と 相<br />

関 を 認 める 事 から、neoadjuvant…chemotherapyを 優 先 するのが 妥 当<br />

と 考 えられた。<br />

MSY1-3<br />

Borderlineresectable 膵 癌 切 除 例 の 検 討 と 今 後 の<br />

展 望<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 田 中 正 樹 , 松 本 逸 平 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 , 浅 利 貞 毅 ,<br />

後 藤 直 大 , 白 川 幸 代 , 山 下 博 成 , 沢 秀 博 , 上 野 公 彦 ,<br />

高 橋 応 典 , 土 田 忍 , 木 戸 正 浩 , 味 木 徹 夫 , 福 本 巧 ,<br />

具 英 成<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 当 科 の 膵 癌 切 除 例 の 治 療 成 績 を 検 討 し、Borderline…<br />

resectable…(BR) 膵 癌 に 対 する 治 療 上 の 問 題 点 を 明 らかにする。【 対<br />

象 ・ 方 法 】 対 象 は2001 年 1 月 から2010 年 12 月 に 切 除 適 応 と 判 断 した 膵<br />

癌 170 例 。 当 科 では 切 除 + 術 後 補 助 化 学 療 法 (Adj)を 標 準 治 療 として<br />

行 っている。 当 科 におけるBR 膵 癌 の 定 義 は180° 以 下 のSMA 神 経 叢 浸<br />

潤 、 再 建 可 能 なPV 浸 潤 、DP-CARによりR0が 可 能 なCA 浸 潤 である。【 結<br />

果 】 切 除 140 例 ( 切 除 率 82%)、 試 験 開 腹 30 例 (18%)、 切 除 例 ではR0,1:<br />

132 例 (94%)、R2:8 例 (6%)であった。R0,1 例 の 進 行 度 はStageI:7 例 (5%)、<br />

II:6 例 (4 %)、stageIII:47 例 (36 %)、stageIVa:43 例 (33 %)、<br />

stageIVb:29 例 (22%)であった。R0,R1 例 のMSTは32.9m、1 生 89%、3<br />

生 43%、5 生 20% で あ り、 う ちIVa 期 で はMST…18.4m、1 生 79%、3 生<br />

29%、5 生 11%であった。I-III 期 とIVa 期 のMSTを 比 較 するとIVa 期 は<br />

有 意 に 不 良 であった(35.7m…vs…18.4m)。I,II,III 期 群 (Potentialy…<br />

resectable( 以 下 PR 群 ))とIVa 期 群 ( 以 下 BR 群 )に 分 けてみてみると<br />

AdjによりPR 群 では 有 意 に 生 存 期 間 の 延 長 がみられたがBR 群 では<br />

Adj 施 行 群 と 非 施 行 群 間 で 生 存 期 間 に 有 意 差 は 認 めなかった。 術 後 合<br />

併 症 発 生 率 には 両 群 間 に 差 は 無 かったが、Adjの 完 遂 率 はPR 群 72%:<br />

BR 群 43%とBR 群 で 有 意 に 完 遂 率 が 低 かった。Adj 施 行 群 において 早<br />

期 再 発 はPR 群 2 例 (4%):BR 群 10 例 (29%)であった。また 組 織 学 的 癌<br />

遺 残 率 (R1)はPR 群 13%、BR 群 72%とBR 群 で 有 意 に 高 かった。さらに<br />

fStage…IVa 期 と 診 断 されたもののうち28%は 術 前 cStage…III 期 であった。<br />

【 結 語 】BR 膵 癌 では 術 後 補 助 化 学 療 法 の 完 遂 率 は 低 く、 組 織 学 的 癌<br />

遺 残 率 、 術 後 早 期 再 発 も 高 率 であり、 現 在 の 標 準 治 療 では 限 界 がある<br />

と 考 えられた。 治 療 成 績 向 上 のためには 少 なくとも 術 前 cStage…III 以<br />

上 を 対 象 とした 新 規 集 学 的 治 療 の 開 発 が 必 要 である。<br />

MSY1-4<br />

局 所 進 行 Borderlineresectable(LABR) 膵 癌 に 対 す<br />

る 術 前 化 学 療 法 の 効 果<br />

広 島 大 学 大 学 院 病 態 制 御 外 科<br />

○… 村 上 義 昭 , 上 村 健 一 郎 , 首 藤 毅 , 橋 本 泰 司 , 中 島 亨 ,<br />

中 川 直 哉 , 小 林 弘 典 , 末 田 泰 二 郎<br />

( 目 的 )GEST…studyでは 切 除 不 能 膵 癌 に 対 するgemcitabine+S-1(GS)<br />

化 学 療 法 の 奏 効 率 は29.3%と 報 告 され、LABR 膵 癌 に 対 する 術 前 GS 療<br />

法 の 導 入 が 期 待 される。 当 科 では、 最 近 、LABR 膵 癌 に 対 し 術 前 GS<br />

化 学 療 法 を 施 行 してきたが、 今 回 は、その 成 績 と 問 題 点 について 検 討<br />

を 行 ったので 報 告 する。( 対 象 および 方 法 ) 術 前 MDCTで 遠 隔 転 移 のな<br />

い 切 除 再 建 可 能 な 上 腸 間 膜 動 脈 (SMA)、 腹 腔 動 脈 (CA)、 総 肝 動 脈<br />

(CHA)に 接 する 膵 癌 をLABR 膵 癌 と 定 義 し( 門 脈 浸 潤 の 有 無 は 問 わな<br />

い)、MDCT 導 入 後 外 科 的 切 除 を 施 行 した 膵 癌 152 例 を、 非 局 所 進 行<br />

膵 癌 手 術 例 115 例 (NLA 群 )、LABR 膵 癌 手 術 先 行 例 18 例 (LABRSF 群 )、<br />

LABR 膵 癌 術 前 化 学 療 法 後 手 術 例 19 例 (LABRNEO 群 )に 分 類 し、その<br />

生 存 率 などについて 検 討 を 行 った。 手 術 は、NLA 群 に 対 してはSMA<br />

周 囲 神 経 叢 を 全 周 温 存 し、LABR 群 に 対 しては 腫 瘍 の 浸 潤 度 に 応 じて<br />

SMA 周 囲 神 経 叢 切 除 ・ 動 脈 合 併 切 除 を 含 む 膵 切 除 を 行 った。 術 前 化<br />

学 療 法 は、3 週 1クールのGS 療 法 を、5クールを 目 標 に 施 行 し、 全 症 例<br />

に 対 し 可 能 な 限 り 術 後 もGS 療 法 (2 週 1クール)を 施 行 した。( 結 果 )…<br />

LABRSF 群 はNLA 群 に 比 べ 有 意 に(p


MSY1-5<br />

Borderlineresectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射<br />

線 治 療 後 切 除 術 の 治 療 効 果<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 山 本 智 久 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 松 井 陽 一 , 北 出 浩 章 , 井 上 健 太 郎 ,<br />

道 浦 拓 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】Borderline…resectable…(BR)… 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 治<br />

療 後 の 外 科 的 短 期 治 療 成 績 を 対 照 群 と 比 較 すること。【 方 法 】BR 膵 癌<br />

の 定 義 はNCCN…guidelineのBRに 準 じた。またunresectableであるも<br />

ののdistal…pancreatectomy…with…celiac…axis…resectionで 切 除 可 能 な 患<br />

者 も 含 めた。2008 年 ―2010 年 までに 画 像 上 BRで 組 織 もしくは 細 胞 診<br />

で 膵 癌 と 診 断 された23 名 (NACRT 群 )に 対 してS-1…80mg/m2/ 日 と<br />

1.8Gy/ 日 の3D 原 体 照 射 ( 予 防 照 射 なし)を 計 28 日 間 行 い、 再 評 価 の 上<br />

切 除 を 行 った。2006 年 ―2008 年 の 切 除 17 名 を 対 照 群 として 両 群 間 の 治<br />

療 成 績 を 比 較 した。【 結 果 】 両 群 間 の 背 景 因 子 に 有 意 な 差 は 無 く、 対<br />

照 群 の80%、NACRT 群 の72%に 門 脈 合 併 切 除 が 行 われた。 対 照 群 の<br />

摘 出 リンパ 数 30 個 (11-56)とNACRT 群 の41(6-65) 個 に 有 意 差 はなかっ<br />

た。NACRT 群 のリンパ 節 転 移 率 個 数 は1 個 (0-25)で、 対 照 群 の2 個 (0-<br />

19)に 対 して 有 意 に 少 なかった(p=0.022)。NACRT 群 のリンパ 節 転 移<br />

陰 性 率 48%は、 対 照 群 の12%に 対 して 少 ない 傾 向 を 示 した(p=0.056)。<br />

NACRT 群 のR0 率 91%は、 対 照 群 の41%と 比 較 して 有 意 に 高 率 であっ<br />

た(p=0.003)。さらにR0で 腫 瘍 マーカーが 基 準 範 囲 内 に 低 下 した 率 (s<br />

-CR)48%は 対 照 群 18%と 比 較 して 高 率 な 傾 向 であった。 術 後 1 年 の<br />

初 回 再 発 部 位 の 比 較 では、 遠 隔 転 移 率 は 差 がないものの(23%…vs…<br />

18%)、 対 照 群 の 局 所 再 発 率 35%に 対 して、NACRT 群 0%は 有 意 に 低<br />

率 であった(p=0.022)。【 結 語 】S-1 併 用 放 射 線 化 学 療 法 は、リンパ<br />

節 転 移 や 根 治 切 除 率 が 良 好 で、 短 期 の 局 所 制 御 に 優 れており、その 長<br />

期 成 績 が 期 待 される。<br />

MSY1-6<br />

当 院 におけるBorderlineresectableな 局 所 進 行 膵<br />

癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 検 討<br />

1<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 、 2 川 崎 市 立 川 崎 病 院 外 科<br />

○… 北 郷 実 1<br />

, 相 浦 浩 一 2<br />

, 田 邉 稔 1<br />

, 河 地 茂 行 1<br />

, 板 野 理 1<br />

,<br />

篠 田 昌 宏 1<br />

, 八 木 洋 1<br />

, 三 原 規 奨 1<br />

, 藤 崎 洋 人 1<br />

, 西 山 亮 1<br />

,<br />

藤 村 知 賢 1<br />

, 門 多 由 恵 1<br />

, 永 滋 教 1<br />

, 大 平 正 典 1<br />

, 香 月 優 亮 1<br />

,<br />

田 中 真 之 1<br />

, 筒 井 りな 1 1<br />

, 北 川 雄 光<br />

[ 目 的 ] 当 教 室 ではUICC…T3/T4 膵 癌 に 対 し 切 除 可 能 症 例 (180)と し て き た. 今 回 ,NCCNガ イ ド ラ イ ン2011に て<br />

Borderline…resectableに 分 類 された 膵 癌 …(BR)…に 対 する 当 教 室 の 治 療<br />

成 績 を 報 告 し, 術 前 治 療 を 行 わなかった 膵 癌 切 除 例 …(CR)…と 比 較 検 討<br />

した.[ 方 法 ・ 対 象 ]… 対 象 は2003 年 よりUICC…T3/T4に 対 し(N)CRT<br />

を 行 った 膵 癌 41 例 とT3のCR…81 例 .プロトコールは 放 射 線 2Gy/day…<br />

20 回 …or…1.8Gy/day…28 回 , 化 学 療 法 5-FU…300mg/body/day…or…TS-1…<br />

60mg/m2/day (2010 ~)… day1-5/w,… x4w,… MMC… 4mg/body/day,…<br />

day1,8,15,22,…and…CDDP…10mg/body/day,…day2,9,16,23.[ 結 果 ]CRT<br />

を 行 った41 例 中 11 例 がresectable…(R),17 例 がBR,13 例 がunresectable…<br />

(UR)であった.BR 全 例 が(N)CRT 前 に 切 除 可 能 症 例 とした 症 例 であ<br />

り, 非 切 除 症 例 とした13 例 全 例 がURでCRT 後 に 化 学 療 法 が 継 続 され<br />

た. 抗 癌 剤 は17 例 中 14 例 に5FU,3 例 にTS-1が 投 与 さ れ た.6 例 に<br />

Grade3/4の 血 液 毒 性 を 認 めたが, 全 例 が 完 遂 し4 例 にPR(24%)を 認 め<br />

た. 肝 転 移 が 判 明 した2 例 (12%)を 除 く15 例 に 手 術 が 行 われた. 術 中<br />

所 見 にて2 例 が 癌 性 腹 膜 炎 ,1 例 がCHA 浸 潤 のため 非 切 除 となり, 残<br />

り12 例 が 切 除 された…( 切 除 率 71%).R0 達 成 率 は10 例 (83%). 病 理 組<br />

織 学 的 判 定 はGrade1a/1b/2/3がそれぞれ0/6/4/2で,pCRを2 例 経 験<br />

し た.1/3/5 年 生 存 率 は,BR 切 除 症 例 で80/67/67%,BR 全 症 例 で<br />

68/51/51%とR 切 除 症 例 90/70/53%,R 全 症 例 82/64/48%と 比 し 差 を 認<br />

めなかった. 一 方 NCRTを 行 わなかったCR 症 例 では79/50/20%と 予<br />

後 はNCRT 群 より 不 良 であった.[ 結 語 ]NCRTは 局 所 制 御 に 有 効 で<br />

予 後 向 上 に 寄 与 すると 考 えられた.またNCRT 後 の 再 評 価 により12%<br />

で 遠 隔 転 移 症 例 を 認 めることから 適 正 な 手 術 症 例 の 選 択 にも 寄 与 し,<br />

NCRTはBR 症 例 に 最 も 適 していると 考 えられた.<br />

MSY1-7<br />

膵 癌 Borderlineresectable 症 例 に 対 するR0 切 除 を<br />

企 図 した 術 前 化 学 放 射 線 療 法<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科<br />

○… 谷 眞 至 , 川 井 学 , 廣 野 誠 子 , 岡 田 健 一 , 宮 澤 基 樹 ,<br />

北 畑 裕 司 , 上 野 昌 樹 , 速 水 晋 也 , 山 口 俊 介 ,<br />

山 上 裕 機<br />

【はじめに】2008 年 以 前 の 切 除 した 膵 癌 症 例 223 例 のうち、R0 症 例 の<br />

5 年 生 存 率 は23.1%であるのに 対 し、R1 症 例 では 予 後 不 良 であり(P<<br />

0.05)、 膵 癌 の 術 後 成 績 向 上 にはR0 手 術 が 重 要 である。R1/2 手 術 の 可<br />

能 性 が 高 いBorderline…resectable(BR) 膵 癌 症 例 に 対 して 術 前 化 学 放<br />

射 線 療 法 を 施 行 した。【Borderline…resectableの 定 義 】 門 脈 系 浸 潤 例<br />

は 切 除 可 能 とし、 動 脈 系 因 子 でR0を 得 ることができない 症 例 、すな<br />

わち 胃 十 二 指 腸 動 脈 への 浸 潤 があるが、 総 肝 動 脈 ・ 固 有 肝 動 脈 への 短<br />

い 浸 潤 または 圧 迫 を 認 める、 腹 腔 動 脈 幹 進 展 のある 膵 体 部 癌 、 上 腸 間<br />

膜 動 脈 に180℃ 以 下 で 接 しているものをBR 膵 癌 とした。【 対 象 ・ 術 前<br />

治 療 】BR 膵 癌 に 対 し、 審 査 腹 腔 鏡 で 遠 隔 転 移 ないことを 確 認 後 、 切<br />

除 を 前 提 とした 化 学 放 射 線 療 法 (CRT)を 施 行 した。 術 前 CRTのスケ<br />

ジュールはS-1…80mg/m …2… を4 日 / 週 /を6 週 、 放 射 線 治 療 は2Gy/ 日 を 週 5<br />

日 5 週 にわたりBRとなった 部 位 を 中 心 に 照 射 し( 総 照 射 線 量 50Gy)、<br />

効 果 判 定 後 に 術 前 CRT 終 了 後 3 週 間 で 手 術 をした。【 結 果 】23 例 のBR<br />

膵 癌 症 例 のうち、 開 腹 既 往 の2 例 を 除 く21 例 に 審 査 腹 腔 鏡 を 行 った。1<br />

例 に 肝 転 移 を 認 めた。 術 前 CRT 後 の 評 価 で2 例 は 病 変 の 進 行 ( 肝 転 移 1<br />

例 、 局 所 進 行 1 例 )のため 切 除 不 能 であったが、20 例 (87%)はSDで 切<br />

除 可 能 であった。 術 前 CRTの 有 害 事 象 は1 例 にG3の 白 血 球 減 少 を 認 め<br />

たが 速 やかに 改 善 した。また、1 例 はG2の 食 思 不 審 にて1 段 階 減 量 を<br />

行 った( 貫 遂 率 90%)。 切 除 例 では 術 前 CRT 前 後 で 全 例 PETのSUVmax<br />

は 低 下 した。 術 式 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 9 例 、DP-CAR10 例 、 膵 全 摘<br />

術 1 例 であった。 組 織 学 的 変 性 は2 例 のみがEF…grade…2であったが、<br />

16 例 がR0 切 除 が 可 能 となり(80%)、R2 症 例 はなかった。 無 再 発 生 存<br />

期 間 は307 日 で、 局 所 再 発 症 例 は 認 めなかった。【 結 語 】S-1 隔 日 投 与<br />

と 放 射 線 による 術 前 CRTはコンプライアンスが 良 好 で、R0 切 除 率 が<br />

低 いため 切 除 効 果 が 得 られにくいBR 症 例 においてもR0 手 術 が 可 能 と<br />

なり、 局 所 進 行 膵 癌 の 予 後 を 改 善 できる 可 能 性 がある。<br />

MSY1-8<br />

Borderlineresectable 膵 癌 に 対 するTS-1 併 用 化 学<br />

放 射 線 療 法 を 基 盤 とした 新 しい 治 療 戦 略<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 、 2 鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 、<br />

3<br />

鹿 児 島 大 学 フロンティアサイエンス 研 究 推 進 センター<br />

○… 新 地 洋 之 1<br />

, 高 尾 尊 身 3<br />

, 前 村 公 成 2<br />

, 又 木 雄 弘 2<br />

, 蔵 原 弘 2<br />

,<br />

桑 畑 太 作 2<br />

, 前 田 光 喜 2<br />

, 飯 野 聡 2<br />

, 迫 田 雅 彦 2<br />

, 上 野 真 一 2<br />

,<br />

夏 越 祥 次<br />

2<br />

進 行 膵 癌 の 予 後 は 不 良 であり, 有 効 な 集 学 的 治 療 法 の 開 発 が 急 務 であ<br />

る。 今 回 , 膵 癌 取 扱 い 規 約 第 6 版 にてcT4と 診 断 された 遠 隔 転 移 を 認<br />

めないBorderline…resectableあるいはLocally…advanced…unresectable<br />

膵 癌 症 例 を 対 象 として, 外 科 切 除 を 施 行 した52 例 とTS-1 併 用 化 学 放<br />

射 線 療 法 (CRT) 施 行 例 50 例 の 生 存 成 績 を 検 討 した。CRTは 第 II 相 試 験<br />

として,TS-1を 併 用 した 加 速 過 分 割 原 体 照 射 法 (50Gy/40 回 )を 施 行 後 ,<br />

TS-1による 維 持 化 学 療 法 を 行 った。【 結 果 】1) 切 除 例 52 例 の 術 式 は 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 32 例 , 膵 体 尾 部 切 除 17 例 , 膵 全 摘 3 例 で,うち28 例 に<br />

血 管 合 併 切 除 を 施 行 した。 局 所 癌 遺 残 度 R0…35 例 …(67%),R1/2…17 例 …<br />

(33%)… で, 全 例 術 後 にゲムシタビンまたはTS-1による 補 助 化 学 療 法<br />

を 施 行 した。 生 存 期 間 は, 生 存 期 間 中 央 値 …(MST)…14.8か 月 (2.8-159.6<br />

か 月 ),1,3,5 年 生 存 率 は57%,12%,9%であった。2)CRTの 抗 腫 瘍 効<br />

果 は,PR…30%,SD…46%,PD…24%…であった。2 例 に 著 明 な 腫 瘍 縮 小<br />

を 認 め, 外 科 的 にR0 切 除 しえた。 生 存 期 間 は,MST…14.3か 月 (5.4-71.6<br />

か 月 ),1,3,5 年 生 存 率 は62%,14%,6%であった。 切 除 例 と 比 較 した<br />

ところ, 両 治 療 群 間 に 有 意 差 は 認 められなかった。 切 除 にて 局 所 癌 遺<br />

残 度 がR1/2の 場 合 には,CRT 群 の 方 が 予 後 良 好 であった。3)CRT 施<br />

行 50 例 中 47 例 に 再 燃 を 認 め,うち3 割 は 肝 転 移 で 全 例 CRT 後 6か 月 以<br />

内 に 出 現 した。【 考 察 】TS-1 併 用 化 学 放 射 線 療 法 は,きわめて 有 効 な<br />

治 療 法 であることが 示 唆 された。 今 後 の 治 療 戦 略 として,Borderline…<br />

resectable 膵 癌 にはCRTを 先 行 し,6か 月 間 の 維 持 化 学 療 法 施 行 後 ,<br />

遠 隔 転 移 出 現 の 有 無 を 確 認 後 切 除 するdelayed…resectionが 一 つの 選 択<br />

肢 として 有 用 と 思 われ, 臨 床 試 験 を 進 行 中 である。<br />

-250-


MSY1-9<br />

術 後 補 助 療 法 を 中 心 としたBorderlineresectable<br />

膵 癌 に 対 する 手 術 成 績 と 限 界<br />

1<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科 、 2 防 衛 医 科 大 学 校 外 科<br />

○… 古 賀 倫 太 郎 1<br />

, 齋 浦 明 夫 1<br />

, 有 田 淳 一 1<br />

, 竹 村 信 行 1<br />

,<br />

吉 岡 龍 二 1<br />

, 小 野 嘉 大 1<br />

, 山 本 順 司 2 1<br />

, 山 口 俊 晴<br />

【 背 景 と 目 的 】 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 する 標 準 治 療 は 外 科 的 根 治 切 除 を 含<br />

めた 集 学 的 治 療 である。ゲムシタビンの 登 場 以 降 、 術 後 補 助 化 学 療 法<br />

を 併 用 した 外 科 的 根 治 切 除 が 膵 癌 の 標 準 治 療 とされてきたが、<br />

Borderline…resectable 膵 癌 に 対 する 治 療 戦 略 は 未 だ 確 立 していない。<br />

今 後 の 集 学 的 治 療 の 方 向 性 を 探 るため、これまでのBorderline…<br />

resectable 膵 癌 の 治 療 成 績 を 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】’05 年 から’09<br />

年 までに 行 われた 膵 癌 肉 眼 的 根 治 切 除 症 例 143 例 。 米 国 NCCNガイド<br />

ラ イ ン に 準 拠 し、 術 前 resectable(R 群 )と 診 断 さ れ た108 例 と<br />

Borderline…resectable(BR 群 )と 診 断 された35 例 を 比 較 検 討 した。【 結<br />

果 】BR 群 の 内 訳 はSMV/PV 高 度 狭 窄 変 形 21 例 、SMAもしくはCAへ<br />

の1/2 周 以 下 の 隣 接 17 例 、 再 建 可 能 なCHA 浸 潤 2 例 ( 重 複 あり)。 全 症<br />

例 のOverall…survival(OS)は1、3、5 年 で82.9、37.6、27.0%。 生 存 期<br />

間 中 央 値 (MST)は24.1ヶ 月 。BR 群 のOSは5 年 14.9%(MST23.5ヶ 月 )で<br />

R 群 の33.3%(27.4ヶ 月 )…に 比 し、 予 後 不 良 であったが、 有 意 差 はなかっ<br />

た。 無 再 発 生 存 (DFS)は そ れ ぞ れ、5 年 で3.8%(MST10.7ヶ 月 )、<br />

27.2%(13.3%)で 有 意 にBR 群 が 不 良 。 病 理 学 的 R0 率 は37.1%(13/35 例 )、<br />

81.5%(88/108 例 )で 有 意 にBR 群 が 不 良 。 術 中 平 均 出 血 量 はBR 群 955ml、<br />

R 群 627mlで 有 意 にBR 群 が 多 かったが、 術 後 合 併 症 (Clavien-Dindo><br />

GradeIII) 率 、 術 後 在 院 日 数 はBR 群 で8.6%(3/35 例 )、34 日 、R 群 で<br />

10.2%(11/108 例 )、31 日 で 有 意 差 はなかった。 全 症 例 での 予 後 因 子 の<br />

多 変 量 解 析 では、 術 後 補 助 GEM 療 法 、リンパ 節 転 移 (pN0…vs…pN1)、<br />

術 前 CEA 値 (cut…off…5)、 根 治 度 (R0…vs…R1)が 選 択 された。【 結 語 】BR<br />

群 に 対 する 治 療 戦 略 として、 肉 眼 的 根 治 切 除 + 術 後 補 助 GEM 療 法 は<br />

OSからは 許 容 される 治 療 ではあるが、 術 後 再 発 率 、 病 理 学 的 R0 率 は<br />

低 く、より 強 力 な 治 療 戦 略 の 確 立 が 必 要 である。<br />

MSY2-1<br />

C 型 肝 炎 関 連 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 および 非 系 統<br />

的 肝 切 除 の 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 石 崎 守 彦 , 坂 口 達 馬 , 松 島 英 之 ,<br />

中 竹 利 知 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 我 々は 肝 機 能 不 良 なHCV 関 連 肝 細 胞 癌 に 対 して、 残 肝 容 積<br />

を 可 及 的 に 温 存 する 非 系 統 的 な 部 分 切 除 を 中 心 に 行 ってきた。また 比<br />

較 的 肝 機 能 が 保 たれている 症 例 に 対 しては 門 脈 支 配 域 を 考 慮 した 系 統<br />

的 切 除 を 行 っている。 今 回 C 型 肝 炎 (HCV) 関 連 肝 癌 および 非 HCV 関<br />

連 (B 型 および 非 BC 型 肝 炎 関 連 ) 肝 癌 における 系 統 的 および 非 系 統 的<br />

肝 切 除 ( 部 分 切 除 )の 短 期 及 び 長 期 予 後 について 比 較 検 討 した。【 対 象 】<br />

長 期 予 後 検 討 のため2006 年 までの469 例 原 発 性 肝 癌 根 治 切 除 例 を 対 象 。<br />

HCV 関 連 肝 癌 326 例 、 非 HCV 関 連 肝 癌 143 例 (B 型 肝 癌 83 例 、 非 BC 型 肝<br />

癌 60 例 )。【 結 果 】 非 HCV 肝 癌 143 例 中 系 統 切 除 40 例 (…Sectionectomy17、<br />

Hemihepatectomy 以 上 23)、 部 分 切 除 術 103 例 施 行 。HCV 肝 癌 326 例 中<br />

系 統 切 除 55 例 (… Segmentectomy4、Sectionectomy23、<br />

Hemihepatectomy 以 上 28)、 部 分 切 除 術 271 例 。DFS・OSは 非 HCV 肝<br />

癌 がHCV 肝 癌 に 比 べ 有 意 に 良 好 。 非 HCV 肝 癌 ではDFS・OSは 部 分 切<br />

除 群 と 比 較 し、 系 統 切 除 群 が 良 好 な 生 存 率 を 示 した。 腫 瘍 径 5cm 以 上<br />

もしくは 術 前 PIVKA-II 高 値 の 場 合 、DFS・OSは 有 意 に 系 統 切 除 群 が<br />

良 好 。HCV 肝 癌 での 術 前 肝 機 能 は 部 分 切 除 群 が 有 意 に 不 良 、 術 後 1 年<br />

までの 肝 機 能 (Alb、Che、PT)は 部 分 切 除 群 が 良 好 。 部 分 切 除 群 は 手<br />

術 時 間 、 出 血 量 、 輸 血 例 が 有 意 に 少 なかった。 系 統 切 除 群 は 多 発 腫 瘍 、<br />

脈 管 浸 潤 陽 性 、stage 進 行 例 が 多 く、 部 分 切 除 群 では 肝 線 維 化 が 高 度<br />

であった。DFS・OSにおいて 両 群 で 有 意 差 を 認 めず。 両 術 式 におけ<br />

る 生 存 率 比 較 を 肝 機 能 分 類 、 腫 瘍 因 子 分 類 にて 詳 細 に 検 討 したが 有 意<br />

差 認 めず。 多 変 量 解 析 を 用 いた 独 立 予 後 因 子 はDFS・OSにおいて 低<br />

Alb、 多 発 腫 瘍 であり 術 式 は 予 後 因 子 とはならず。 再 発 様 式 は 両 群 で<br />

差 は 認 めず。【 考 察 】 背 景 肝 ウイルスによって 切 除 戦 略 を 変 える 必 要<br />

があり、 非 BC 型 およびB 型 肝 癌 における 肝 予 備 能 は 良 好 であるため<br />

癌 の 徹 底 的 な 根 治 を 目 指 し、 担 癌 門 脈 支 配 領 域 を 考 慮 した 系 統 的 切 除<br />

が 推 奨 。HCV 肝 癌 は 肝 予 備 能 は 術 前 より 非 HCV 肝 癌 より 不 良 、 術 後<br />

多 中 心 性 肝 癌 再 発 が 多 く、 再 発 時 の 治 療 も 視 野 に 入 れた 長 期 的 な 治 療<br />

計 画 が 必 要 。 従 ってHCV 肝 癌 では 術 前 後 の 肝 予 備 能 低 下 を 考 慮 し 耐<br />

術 的 に 系 統 的 切 除 が 不 可 能 な 症 例 に 対 して 肝 部 分 切 除 術 が 有 用 。<br />

MSY2-2<br />

肝 細 胞 癌 における 系 統 的 切 除 の 意 義 と 問 題 点<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 ・ 消 化 器 外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 医 学 部 保 健<br />

学 科<br />

○… 上 野 真 一 1<br />

, 迫 田 雅 彦 1<br />

, 飯 野 聡 1<br />

, 南 幸 次 1<br />

, 安 藤 慶 1<br />

,<br />

又 木 雄 弘 1<br />

, 前 村 公 成 1<br />

, 橋 口 真 征 1<br />

, 蔵 原 弘 1<br />

, 新 地 洋 之 2<br />

,<br />

1<br />

夏 越 祥 次<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 (HCC)における 系 統 的 肝 切 除 は、 出 血 量 やいわゆ<br />

る 微 小 転 移 ( 同 一 担 癌 領 域 の 肝 内 転 移 、 門 脈 内 散 布 )の 制 御 からも 理 に<br />

かなった 切 除 とされている。われわれは、 肝 機 能 が 許 せば 可 能 な 限 り<br />

先 にグリソン 枝 を 処 理 する 区 域 以 上 の 切 除 を 行 ってきた。 本 報 告 にお<br />

いては、1)…5cm 以 下 HCC…(sHCC)における 系 統 的 切 除 成 績 と 意 義 、2)…<br />

肝 区 域 における 系 統 的 切 除 定 義 の 問 題 点 について 言 及 する。【 対 象 ・<br />

方 法 】1990~2009 年 間 に 根 治 的 肝 切 除 が 行 われた 初 発 sHCC…227 例 を<br />

対 象 .【 結 果 】1)a) 亜 区 域 切 除 以 上 の 系 統 的 肝 切 除 134 例 ( 拡 大 葉 切 :<br />

12, 葉 切 :34, 区 域 :53, 亜 区 域 :35), 非 系 統 的 切 除 ( 部 切 / 核 出 )93<br />

例 . 累 積 生 存 率 (OS), 無 再 発 生 存 率 (DFS)の 中 央 値 は, 系 統 的 :<br />

106M,26M, 非 系 統 :68M,26Mで 系 統 的 切 除 が 良 好 .b)とくに 術 前<br />

3cm・3 個 以 下 HCC 症 例 において、 亜 区 域 以 上 切 除 とそれ 以 下 を 比 較<br />

したところ、Nonboundary…type…( 単 結 節 周 囲 増 殖 型 、 多 結 節 型 、 浸<br />

潤 型 ;n=47)においては、 無 再 発 生 存 率 における 系 統 的 切 除 の 明 らか<br />

な 有 用 性 が 認 められたが、Boundary…type( 単 結 節 などn=69)では 明 ら<br />

かではなかった。c) 微 小 転 移 頻 度 は 明 らかにNonboundary…typeで 高 く、<br />

さらに 両 type 間 で 主 腫 瘍 から 微 小 転 移 までの 距 離 に 差 がみられた。ま<br />

たMIB-1…LIの 平 均 値 もBoundary…type…12.1±1.3… %、Nonboundary…<br />

type…14.2±2.0… %で、 有 意 な 差 異 はみられないものの(P=0.2)、…<br />

Nonboundary…typeが 高 値 。さらにDTについては、Boundary…type…<br />

274.8±…36.2 日 、Nonboundary…type…103.9±13.4 日 であり、 明 らかに<br />

Nonboundary…typeが 短 かった。2) 現 在 、 広 く 採 用 されている 肝 区 域<br />

分 類 は、アメリカ 型 分 類 (lobe,…segment)にCouinaudのsegmentを 乗<br />

せる 考 え 方 を 取 り、Couinaudのsegmentを 亜 区 域 としている。 本 来<br />

のCouinaud 分 類 は 門 脈 の 分 岐 形 態 に 従 って 分 類 しており、<br />

Subsegmentは 亜 区 域 内 の 小 区 画 になる。【 考 察 】 系 統 的 切 除 はとく<br />

にNonboundary…typeの 制 御 に 有 用 であることが 示 唆 される。また 本<br />

来 のCouinaud 分 類 による 亜 区 域 ( 小 区 画 ) 切 除 の 意 義 やいわゆる 解 剖<br />

学 的 切 除 をどこからいうかなどの 問 題 点 は 残 されている。<br />

MSY2-3<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 およびSurgical<br />

Marginの 意 義 と 術 中 造 影 超 音 波 検 査 の 有 効 性<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科<br />

○… 田 中 真 二 , 佐 藤 公 太 , 光 法 雄 介 , 藍 原 有 弘 , 伴 大 輔 ,<br />

落 合 高 徳 , 入 江 工 , 工 藤 篤 , 中 村 典 明 , 有 井 滋 樹<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 の 特 性 と 進 展 様 式 に 従 って、 系 統 的 肝 切 除 の 有 効 性<br />

が 示 唆 されている。 一 方 、 癌 の 局 所 治 療 では、 再 発 を 予 防 するため…<br />

Marginの 確 保 が 重 要 であるが、 肝 予 備 能 や 解 剖 上 … 十 分 な 確 保 に 困 難<br />

な 場 合 が 多 く、 系 統 的 切 除 との 意 義 の 違 いは 明 らかとされていない。<br />

本 研 究 では、vp0/1 肝 細 胞 癌 の 系 統 的 切 除 とSurgical…Marginの 意 義 を<br />

解 析 し、さらに 術 中 造 影 超 音 波 検 査 の 有 用 性 を 検 討 した。【 方 法 】 当<br />

科 において 肝 切 除 術 を 施 行 した 肝 細 胞 癌 初 発 症 例 のうち、 肉 眼 的 遺 残<br />

がないことを 確 認 したvp0/1 症 例 232 例 について 臨 床 病 理 学 的 に 解<br />

析 した。さらに、 術 中 にソナゾイド 造 影 超 音 波 による 腫 瘍 Marginの<br />

明 瞭 な 描 出 、および 微 小 門 脈 浸 潤 、 微 小 肝 内 転 移 巣 の 検 出 に 努 めてお<br />

り、その 有 用 性 について 検 討 した。【 成 績 】 肝 細 胞 癌 の 術 後 無 再 発 生<br />

存 率 の 解 析 により、Child-Pugh…B/C…(p=0.0001)、AFP>100mAU/<br />

ml…(p=0.0036)、 腫 瘍 複 数 …(p=0.0003)、 非 系 統 的 切 除 …(p=0.0179)、<br />

Surgical…Margin…R1…(p=0.0046)が 有 意 な 再 発 危 険 因 子 として 同 定 さ<br />

れた。Surgical…Marginの 距 離 には 明 らかな 有 意 差 を 認 めなかった。<br />

多 変 量 解 析 の 結 果 、Child-Pugh…B/C…(HR=1.942,…95%CI…1.268-2.2873,…<br />

p=0.0023)、 非 系 統 的 切 除 (HR=1.521,…95%CI…1.010-2.292,…p=0.0448)の<br />

みが 独 立 危 険 因 子 として 認 められ、Surgical…Marginには 有 意 差 がな<br />

かった。 術 中 造 影 超 音 波 検 査 によるKupffer…imageは…Bモード 超 音 波<br />

検 査 に 比 べ、 腫 瘍 Margin、 微 小 門 脈 浸 潤 、 微 小 肝 内 転 移 の 描 出 に 優<br />

れていた。Vascular…image…(micro…flow…imaging)による 腫 瘍 血 管 の<br />

観 察 は 分 化 度 診 断 に 有 用 であった。【 結 論 】 肝 細 胞 癌 の 再 発 を 抑 制 す<br />

るためには、 系 統 的 切 除 とSurgical…Marginの 確 保 はいずれも 必 要 で<br />

あるが、 肝 予 備 能 が 低 下 している 場 合 は 系 統 的 切 除 がより 重 要 性 が 高<br />

い 可 能 性 が 示 唆 された。 術 中 造 影 超 音 波 検 査 はSurgical…Margin 確 保<br />

および 系 統 的 切 除 施 行 に 有 用 と 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-251-


MSY2-4<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 ~ 系 統 的 切 除 と 部 分 切 除 の<br />

治 療 成 績<br />

長 崎<br />

○… 七 島 篤 志 , 阿 保 貴 章 , 澤 井 照 光 , 永 安 武<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 の 門 脈 経 路 の 肝 内 転 移 の 理 論 から 系 統 的 肝 切 除 が 望<br />

ましいとされているが、 肝 辺 縁 の 小 病 変 や 肝 機 能 不 良 例 では 部 分 切 除<br />

にとどまる 場 合 も 少 なくない。 当 科 におけるretrospectiveな 治 療 成 績<br />

から 系 統 切 除 と 部 分 切 除 の 比 較 生 存 解 析 を 行 った。【 方 法 】2000 年 よ<br />

り 肝 細 胞 癌 313 例 を 切 除 し、 腫 瘍 径 3cm 以 下 で 区 域 切 除 以 下 の 肝 切 除<br />

を 行 ったのは85 例 であった。 系 統 的 切 除 を 行 ったA 群 (n=39)と 部 分<br />

切 除 のNA 群 (n=46)にわけた。【 結 果 】 腫 瘍 個 数 はA 群 35 例 (76%)と<br />

NA 群 26 例 (84%)、 組 織 学 的 脈 管 侵 襲 はA 群 6 例 (21%)とNA 群 3 例 (7%)、<br />

単 結 節 型 の 頻 度 はA 群 17 例 (54%)とNA 群 19 例 (44%)と 両 群 に 有 意 差<br />

はなかった。 腫 瘍 マーカーもAFP(190…vs.…548…ng/ml)およびPIVKA-<br />

II(213…vs.…113…mAU/ml)と 差 はなかった。 一 方 、 肝 硬 変 ありはA 群 6<br />

例 (21%)とNA 群 21 例 (58%)、 肝 障 害 度 BがA 群 1 例 (3%)とNA 群 17 例<br />

(43%)、 前 治 療 (TAE、RFA)ありA 群 4 例 (13%)とNA 群 18 例 (39%)と<br />

部 分 切 除 を 選 択 された 症 例 では 肝 機 能 不 良 で、 前 治 療 が 行 われていた<br />

症 例 が 有 意 に 多 かった。 手 術 成 績 では 出 血 量 はA 群 213…、NA 群 345ml<br />

と 有 意 差 はなかった。 術 後 合 併 症 でも、 高 ビリルビン 血 症 (>3mg/<br />

dl)がA 群 0 例 とNA 群 6 例 (13%)、 遷 延 性 腹 水 A 群 4 例 (13%)とNA 群 8 例<br />

(18%)と 有 意 差 はなかった。A 群 では 切 除 断 端 はいずれも 腫 瘍 露 出 は<br />

なかった。NA 群 では 露 出 ありが5 例 認 められた。 術 後 再 発 率 はA 群 13<br />

例 (59%)とNA 群 24 例 (63%)と 有 意 差 はなかった。 無 再 発 生 存 率 では3<br />

年 生 存 率 がA 群 56%とNA 群 68%で 有 意 差 はなく、Overall 生 存 率 でも5<br />

年 生 存 率 がA 群 52%とNA 群 58%で 有 意 差 はなかった。しかしOverall<br />

生 存 率 において 腫 瘍 露 出 のあったNA 群 では3 年 生 存 率 0%と 有 意 に 他<br />

のA 群 (82%)ならびに 露 出 のないNA 群 (76%)と 比 較 して 不 良 であっ<br />

た(p


MSY2-8<br />

肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除<br />

山 口 大 学<br />

○… 爲 佐 卓 夫 , 坂 本 和 彦 , 橋 本 憲 輝 , 徳 光 幸 生 , 新 藤 芳 太 郎 ,<br />

飯 田 通 久 , 前 田 祥 成 , 鈴 木 伸 明 , 吉 村 清 , 上 野 富 雄 ,<br />

岡 正 朗<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 に 対 する 系 統 的 肝 切 除 について 検 討 する。<br />

【 対 象 】1993 年 から2009 年 に 当 科 で 行 った 初 回 肝 切 除 532 例 中 、 腫 瘍<br />

がHsに 存 在 する 治 癒 切 除 154 例 について 検 討 した。<br />

【 検 討 項 目 】(1)154 例 の 背 景 (2)154 例 の 予 後 (3) 各 臨 床 病 学 的 因 子 にお<br />

ける 単 変 量 解 析 (4) 術 式 別 の 予 後 (5) 再 発 、 生 存 に 対 するCox 比 例 ハ<br />

ザードを 用 いた 多 変 量 解 析 。<br />

【 結 果 】(1) 年 齢 (


MSY3-3<br />

臨 床 病 理 学 的 検 討 からみた 肝 門 部 胆 管 癌 における 脈<br />

管 合 併 切 除 再 建 の 意 義<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学<br />

○… 小 林 省 吾 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

,<br />

種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

1<br />

永 野 浩 昭<br />

【 背 景 】 現 在 までにわれわれは 胆 道 癌 切 除 術 における 根 治 切 除 の 重 要<br />

性 ( J …Surg…Oncol…2011)、 術 前 の 動 脈 浸 潤 が 疑 われる 症 例 については、<br />

剥 離 面 陽 性 になる 場 合 が 多 く、そのことが 予 後 因 子 となること(J…<br />

Surg…Oncol…2010)について 報 告 してきた。この 血 管 合 併 切 除 という 点<br />

については、 近 年 生 体 肝 移 植 などの 手 術 経 験 に 基 づく 吻 合 再 建 技 術 の<br />

向 上 から、 胆 道 癌 に 対 する 脈 管 合 併 切 除 再 建 に 関 する 技 術 面 からみた<br />

適 応 拡 大 の 可 能 性 は 十 分 にあると 考 えている。 教 室 では 以 上 のことを<br />

ふまえて、 脈 管 合 併 切 除 再 建 によるR0を 目 指 した 手 術 積 極 的 に 施 行<br />

している。 今 回 、 肝 門 部 胆 管 癌 における 脈 管 合 併 切 除 再 建 の 意 義 につ<br />

いて 検 討 した。【 方 法 】2011 年 10 月 までの 胆 道 癌 切 除 例 309 例 のうち、<br />

肝 門 部 胆 管 癌 切 除 97 例 を 対 象 とし、 特 に 脈 管 合 併 切 除 再 建 を 行 った 症<br />

例 の 臨 床 病 理 学 的 特 徴 とその 有 用 性 について 検 討 した。【 結 果 】 肝 門<br />

部 胆 管 癌 切 除 術 97 例 の 背 景 は 男 性 67 例 女 性 30 例 、 年 齢 66 歳 ( 中 央 値 、<br />

以 下 同 )、 手 術 時 間 680 分 、 出 血 量 1600mLで、 約 67%が 胆 道 癌 取 扱 規<br />

約 のStage…III/IVであった。 約 65%がR0 切 除 で、3 年 生 存 率 は55.0%で<br />

あった。 脈 管 合 併 切 除 再 建 は23 例 ( 動 脈 合 併 切 除 再 建 10 例 、 門 脈 合 併<br />

切 除 再 建 …18 例 、 重 複 含 む)であった。 臨 床 病 理 学 的 検 討 では、R0 切 除 、<br />

脈 管 合 併 切 除 再 建 の 有 無 、 病 理 学 的 胆 管 周 囲 進 展 度 、 神 経 周 囲 浸 潤 の<br />

程 度 、リンパ 節 転 移 の 有 無 が 単 変 量 解 析 での 予 後 因 子 であり、 多 変 量<br />

解 析 では、 病 理 学 的 リンパ 節 転 移 の 有 無 が 独 立 した 予 後 因 子 であった。<br />

脈 管 合 併 切 除 再 建 例 ( 男 性 15 例 女 性 8 例 、 年 齢 64 歳 )は 手 術 時 間 689 分 、<br />

出 血 量 2000mLで、 動 脈 合 併 切 除 再 建 は 殆 どが 左 葉 系 の 切 除 であった<br />

のに 対 し、 門 脈 合 併 切 除 再 建 は 約 67%が 右 葉 系 の 切 除 であった。 脈 管<br />

合 併 切 除 再 建 例 の3 年 生 存 率 は29.7%で、R0 切 除 16 例 では31.8%であっ<br />

た。【 結 語 】 病 理 学 的 リンパ 節 転 移 に 対 する 対 応 を 考 慮 する 必 要 はあ<br />

るが、 症 例 を 限 れば、 脈 管 合 併 切 除 再 建 はR0を 目 指 す 手 術 として 有<br />

用 であると 考 えられた。<br />

MSY3-4<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 管 合 併 切 除 の 意 義<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 田 端 正 己 , 村 田 泰 洋 , 栗 山 直 久 , 大 澤 一 郎 , 岸 和 田 昌 之 ,<br />

濱 田 賢 司 , 水 野 修 吾 , 臼 井 正 信 , 櫻 井 洋 至 ,<br />

伊 佐 地 秀 司<br />

肝 門 部 胆 管 癌 はその 解 剖 学 的 特 性 から、 根 治 切 除 のためには 肝 動 脈 あ<br />

るいは 門 脈 の 合 併 切 除 ・ 再 建 を 要 することが 少 なくない。こうした 血<br />

管 合 切 再 建 は 広 範 肝 切 除 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 手 術 における 大 きなリス<br />

クファクターであったが、 最 近 では 血 行 再 建 手 技 の 進 歩 によって 比 較<br />

的 安 全 に 施 行 可 能 となってきた。そこで、 最 近 の 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 す<br />

る 血 管 合 切 再 建 の 成 績 を 解 析 し、その 意 義 について 検 討 した。【 対 象 】<br />

生 体 肝 移 植 の 血 行 再 建 手 技 を 導 入 した2004 年 以 降 の8 年 間 に 切 除 した<br />

肝 門 部 胆 管 癌 は56 例 ( 中 枢 型 肝 内 胆 管 癌 を 含 む)で、このうち 門 脈 ・ 肝<br />

動 脈 の 同 時 合 切 再 建 を 行 った6 例 および 門 脈 合 切 再 建 のみを 行 った16<br />

例 の 計 22 例 (39.3%)を 対 象 とした。22 例 の 肝 切 除 術 式 は、 右 三 区 域 6 例 、<br />

拡 大 右 葉 11 例 、 左 三 区 域 1 例 、 拡 大 左 葉 4 例 であった。【 血 行 再 建 】 門<br />

脈 再 建 (22 例 ): 本 幹 - 左 ( 右 ) 枝 端 々18 例 、 自 家 静 脈 間 置 3 例 、 本 幹 - 再 疎<br />

通 臍 静 脈 端 々1 例 。 動 脈 再 建 (6 例 ): 固 有 - 左 ( 右 ) 肝 動 脈 端 々5 例 、 翻 転<br />

脾 動 脈 - 右 肝 動 脈 1 例 。【 成 績 】 根 治 度 :22 例 中 4 例 がcurC(pHM2…3 例 、<br />

微 小 肝 転 移 1 例 )となったが、 残 りの18 例 (81.8%)では 治 癒 切 除<br />

(curA,B)が 可 能 であった。 血 行 再 建 の 合 併 症 : 拡 大 右 葉 + 門 脈 端 々<br />

吻 合 の1 例 が 術 後 吻 合 部 狭 窄 をきたし、IVR 下 にステントを 留 置 したが、<br />

他 に 血 行 再 建 に 伴 う 合 併 症 は 無 かった。 転 帰 : 拡 大 右 葉 + 動 門 脈 同 時<br />

合 切 再 建 および 拡 大 右 葉 + 門 脈 合 切 再 建 の2 例 が 術 後 肝 不 全 にて 死 亡<br />

した。これらを 含 めた 遠 隔 成 績 は、 動 門 脈 同 時 合 切 再 建 (6 例 )では 累<br />

積 3 生 、5 生 率 41.7%、 門 脈 合 切 再 建 (16 例 )では 各 々53.2%、21.8%であっ<br />

た。 同 期 間 の 血 管 合 切 なし(34 例 )の 成 績 は 累 積 3 生 率 41.5%、5 生 率<br />

32.9%であり、 動 門 脈 同 時 合 切 再 建 例 および 門 脈 合 切 再 建 例 と 有 意 差<br />

はなかった。【まとめ】 生 体 肝 移 植 手 技 の 導 入 により 現 在 では 血 行 合<br />

切 ・ 再 建 はほぼ 安 全 に 施 行 可 能 であり、 血 管 浸 潤 例 でも 積 極 的 に 行 う<br />

意 義 はあるものと 考 えられた。 最 近 ではこうした 高 度 進 行 例 に 対 して<br />

は 術 前 化 学 放 射 線 療 法 を 導 入 し、 更 なる 治 療 成 績 の 向 上 を 図 っている。<br />

MSY3-5<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 血 行 再 建 術 の 意 義<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科<br />

○… 金 岡 祐 次 , 磯 谷 正 敏 , 前 田 敦 行<br />

進 行 した 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 して 動 脈 あるいは 門 脈 合 併 切 除 再 建 術 ,さ<br />

らに 肝 膵 同 時 切 除 術 (HPD)を 積 極 的 に 施 行 してきた. 特 に 肝 十 二 指<br />

腸 間 膜 一 括 切 除 術 (Hepatoligamentectomy;…HL)に 関 しては 高 度 進 行<br />

癌 に 対 して 適 応 を 拡 大 して 施 行 してきたと 言 える. 当 科 の 術 式 別 の 手<br />

術 成 績 を 報 告 する.【 方 法 】1996~2010 年 に 肝 切 除 術 を 行 った 広 義 の<br />

肝 門 部 胆 管 癌 57 例 . 年 齢 は43~81 歳 ( 平 均 64.6 歳 ), 男 性 39 人 , 女 性 18 人 .<br />

術 式 は, 血 行 再 建 なし(N…29 例 ), 門 脈 再 建 あり(PV…17 例 ), 動 脈 再 建<br />

あり(HA…4 例 ), 門 脈 グラフト 再 建 + 動 脈 再 建 あり(HL…7 例 )の4 群 に<br />

分 類 した.HLではグラフトは 全 例 右 外 腸 骨 静 脈 を 用 い, 動 脈 再 建 に<br />

は 異 種 動 脈 を 用 いた( 直 接 端 々 吻 合 はない). 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)<br />

は18 例 (32%)に 併 施 した. 肝 切 除 術 式 は 右 葉 (R…23 例 ), 左 葉 (L…25 例 ),<br />

右 3 区 域 (R3…2 例 ), 左 3 区 域 (L3…3 例 ), 区 域 切 除 (S…4 例 )であり, 尾 状<br />

葉 は 全 例 で 切 除 している.【 結 果 】1) 肝 切 除 範 囲 :N(R…12;…L…12;…L3…<br />

1;…S…4 ),…PV(R…10;…L…3;…R3…2;…L3…2 ),…HA(L…4 ),…HL(R…1;…L…6). 動<br />

脈 再 建 は 左 葉 切 除 で 高 率 であるが, 逆 に 門 脈 再 建 のみであれば 右 葉 系<br />

切 除 が 多 くを 占 めた.2)PD 併 施 :N…11;…PV…4;…HA…1;…HL…2.3) 平 均<br />

手 術 時 間 ( 分 )/ 出 血 量 (ml):N(448/1190);…PV(462/1081);…HA<br />

(424/898);…HL(612/1609).HLの 手 術 時 間 は 有 意 に 長 い.4)<br />

Morbidity/Mortality( %):N(52/3);…PV(47/12);…HA(25/0);…HL<br />

(57/14). 門 脈 合 併 切 除 では 入 院 死 亡 率 が 上 昇 するが 有 意 差 なし. 全<br />

体 では4 例 (7%)の 入 院 死 亡 あり.5) 組 織 学 的 血 管 浸 潤 陽 性 率 :PV…<br />

24%;…HA…75%;…HL… 門 脈 浸 潤 100%… 肝 動 脈 浸 潤 86%.HLで 血 管 浸 潤<br />

を 高 率 に 認 めた.6)… 組 織 学 的 リンパ 節 転 移 陽 性 率 :N…45%;…PV…<br />

47%;…HA…50%;…HL…57%. 有 意 差 なし.7) 予 後 (MST/5 年 生 存 率 ):N<br />

(1142 日 /49.9 %);… PV(483 日 /32.3 %);… HA(489 日 /0 %);… HL(796 日<br />

/35.7%). 有 意 差 なし.【 結 語 】 門 脈 / 肝 動 脈 再 建 術 のMorbidityは 非<br />

再 建 例 と 変 わらないが, 門 脈 再 建 群 でMortality( 入 院 死 亡 率 )は 高 かっ<br />

た. 組 織 学 的 にもHLは 進 行 癌 にもかかわらずPV,HAより 比 較 的 良 好<br />

な 予 後 が 得 られたことから, 本 術 式 が 安 全 に 施 行 できる 施 設 において<br />

適 応 は 拡 大 されるべきであろう.<br />

MSY3-6<br />

肝 門 部 胆 管 癌 手 術 における 肝 動 脈 ・ 門 脈 合 併 切 除 再 建<br />

術 の 成 績<br />

1<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 、 2 横 浜 市 立 大 学 附 属 市 民 総<br />

合 医 療 センター 消 化 器 病 センター<br />

○… 松 山 隆 生 1<br />

, 谷 口 浩 一 1<br />

, 本 間 祐 樹 1<br />

, 大 田 洋 平 1<br />

,<br />

森 隆 太 郎 1<br />

, 野 尻 和 典 1<br />

, 熊 本 宜 文 1<br />

, 武 田 和 永 1<br />

,<br />

上 田 倫 夫 2<br />

, 杉 田 光 隆 2<br />

, 田 中 邦 哉 1 1<br />

, 遠 藤 格<br />

【 目 的 】 肝 門 部 胆 管 癌 手 術 における 肝 動 脈 ・ 門 脈 合 併 切 除 再 建 術 の 臨<br />

床 的 意 義 を 明 らかにする。【 対 象 ・ 方 法 】1992 年 4 月 から2011 年 12 月 ま<br />

でに 切 除 した 広 義 の 肝 門 部 胆 管 癌 121 例 。 肝 動 脈 ・ 門 脈 合 併 切 除 再 建<br />

術 を 併 施 した61 例 (VR(+) 群 )と 併 施 しなかった60 例 (VR(-) 群 )の2 群<br />

で 手 術 の 安 全 性 、 切 除 成 績 を 検 討 。さらにVirtual…3D…image… による<br />

血 管 合 併 切 除 シュミレーションの 効 果 も 検 討 した。【 結 果 】48 例 に 門<br />

脈 合 併 切 除 再 建 術 を、31 例 に 肝 動 脈 合 併 切 除 再 建 術 を 併 施 した。 手 術<br />

時 間 はVR(+) 群 :888±148 分 とVR(-) 群 :738±128 分 に 比 較 し 長 時 間<br />

であったが(P


MSY3-7<br />

広 義 の 肝 門 部 胆 管 がん 外 科 切 除 における 血 管 合 併 切<br />

除 の 意 義<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

○… 阪 本 良 弘 , 青 木 琢 , 高 橋 道 郎 , 金 子 順 一 , 長 谷 川 潔 ,<br />

菅 原 寧 彦 , 國 土 典 宏<br />

【 目 的 】 当 科 における 肝 門 部 胆 管 がん 切 除 例 の 予 後 因 子 を 明 らかにし、<br />

また、 血 管 合 併 切 除 の 意 義 を 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】1994 年 -2010 年<br />

に 当 科 で 切 除 した 広 義 の 肝 門 部 胆 管 がん 症 例 ( 肝 内 胆 管 がん 肝 門 浸 潤<br />

32 例 を 含 む)122 例 を 対 象 とした。 拡 大 右 肝 切 除 の 術 前 には 門 脈 右 枝 塞<br />

栓 術 を 併 用 し、 肝 外 胆 管 切 除 を 行 い、リンパ 節 郭 清 を 加 えた。122 例<br />

の 臨 床 病 理 学 的 予 後 因 子 を 多 変 量 で 解 析 し、また、 血 管 合 併 切 除 症 例<br />

の 背 景 、 手 術 、 予 後 を 比 較 した。【 結 果 】 左 系 肝 切 除 が57 例 、 右 系 肝<br />

切 除 が64 例 、1 例 は 肝 門 部 肝 切 除 を 施 行 した。9 例 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

を 付 加 した。 血 管 合 併 切 除 は24 例 (19.7%)で 併 施 し、 門 脈 22 例 、 肝 動<br />

脈 3 例 、 肝 静 脈 2 例 であった。 再 建 に 肝 静 脈 パッチを 使 用 したのが8 例 、<br />

凍 結 ホモグラフトを 使 用 したのは5 例 であった。 在 院 死 亡 は 認 めず、<br />

全 122 例 の5 生 率 は32.1%、 生 存 期 間 中 央 値 は3.3 年 だった。 狭 義 の 胆 管<br />

がん90 例 と 肝 内 胆 管 がん32 例 で 生 存 率 は 同 等 であり、リンパ 節 転 移 (p<br />


MSY4-2<br />

腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 難 易 度 に 影 響 を 及 ぼ<br />

す 因 子 の 検 討 ~ 開 腹 術 との 比 較 ~<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 足 立 智 彦 , 黒 木 保 , 大 野 慎 一 郎 , 田 中 貴 之 , 曽 山 明 彦 ,<br />

山 之 内 孝 影 , 藤 田 文 彦 , 金 高 賢 悟 , 高 槻 光 寿 , 江 口 晋<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 膵 頭 部 手 術 は 解 剖 学 的 な 複 雑 さも 相 まって 難 易 度 が 高<br />

い。 患 者 体 型 もその 一 つの 要 因 となり 得 るが、これまで 体 型 と 難 易 度<br />

に 関 する 定 量 評 価 はなされていない。さらに 近 年 では 腹 腔 鏡 下 手 術 が<br />

導 入 され 始 め、 術 前 難 易 度 評 価 は 腹 腔 鏡 下 手 術 においても 必 要 となる。<br />

今 回 は、 膵 頭 部 切 除 において、 難 易 度 に 影 響 を 及 ぼす 因 子 を、 腹 腔 鏡<br />

下 および 開 腹 下 手 術 それぞれにつき 検 討 した。【 方 法 】 対 象 は2005 年 4<br />

月 ~2010 年 12 月 に 施 行 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 83 例 を 腹 腔 鏡 下 ( 小 開 腹<br />

再 建 ) 施 行 群 (n=27)、 開 腹 施 行 群 (n=56)に 群 別 、 患 者 体 型 や 血 液 検 査<br />

などを 含 めた 術 前 把 握 可 能 な 各 因 子 と 手 術 難 易 度 の 関 連 性 を 検 討 した。<br />

手 術 難 易 度 の 指 標 は 手 術 時 間 ・ 出 血 量 を 用 いた。【 結 果 】 手 術 時 間 中<br />

央 値 は、 腹 腔 鏡 群 vs 開 腹 群 ( 以 下 同 様 )=733 分 vs…551 分 (P


MSY4-6<br />

腹 腔 鏡 下 手 術 におけるEndoGrab,FlexiblePortお<br />

よび 屈 曲 型 鉗 子 の 使 用 経 験<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科<br />

○… 多 賀 谷 信 美 , 大 矢 雅 敏<br />

「 目 的 」 内 視 鏡 手 術 の 発 展 に 手 術 器 械 の 進 化 は 必 須 である。 今 回 、 腹<br />

腔 鏡 下 手 術 での 腹 腔 内 においてポートや 鉗 子 が 不 用 の 臓 器 牽 引 装 置 で<br />

あるEndoGrabおよび 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 鉗 子 間 の<br />

clashing 軽 減 を 目 的 としたFlexible…Port…(MIT…PortTM)および 屈 曲 型<br />

鉗 子 の 有 用 性 について 検 証 したので 報 告 する。「 方 法 」EndoGrabは<br />

5mmのポートより 挿 入 し、ワイヤの 両 側 に 螺 旋 コイルがついた 爪 を<br />

有 した 牽 引 装 置 で、 一 方 を 臓 器 の 把 持 に 他 方 を 腹 壁 に 固 定 することで、<br />

鉗 子 やポートの 省 略 が 可 能 である。 胆 嚢 の 把 持 牽 引 、 子 宮 の 牽 引 、 胃<br />

腸 管 の 把 持 展 開 に 使 用 した。MIT…PortTMおよび 屈 曲 型 鉗 子 は 胆 嚢<br />

の 把 持 牽 引 に 使 用 した。「 結 果 」Endograbは 把 持 力 や 牽 引 力 に 支 障 は<br />

なく、 臓 器 の 展 開 も 十 分 であった。 腸 管 の 直 接 把 持 は 避 け、 近 傍 の 脂<br />

肪 組 織 を 把 持 する 必 要 があった。 多 臓 器 に 対 する 切 除 の 際 には、<br />

EndoGrabを 利 用 することでポートを 追 加 することなく、 手 術 操 作 が<br />

可 能 になった。ただ、 操 作 中 、 断 端 のフックにて 周 囲 臓 器 を 引 っ 掛 け<br />

る 恐 れがあり 注 意 が 必 要 であった。 屈 曲 した 鉗 子 を 体 外 より 挿 入 でき<br />

るMIT…Portは 鉗 子 のポートへの 挿 入 時 に 抵 抗 を 感 じるが、ポート 内<br />

面 に 潤 滑 油 を 塗 布 しておくことで、スムーズな 出 し 入 れが 可 能 となっ<br />

た。MIT…Portは 様 々な 形 状 の 屈 曲 鉗 子 の 挿 入 が 可 能 であった。 屈 曲<br />

鉗 子 にて 胆 嚢 を 牽 引 することで、 鉗 子 同 士 のClashingが 緩 和 され、さ<br />

らに 鉗 子 長 が63.5cmと 通 常 の 鉗 子 より 約 18cm 長 いことで、 手 元 操 作<br />

の 操 作 性 が 向 上 した。「 結 語 」EndoGrab、MIT…PortTMおよび 屈 曲<br />

型 鉗 子 の 導 入 は 腹 腔 鏡 下 手 術 、 特 に 単 孔 式 手 術 に 多 いに 貢 献 できるも<br />

のと 思 われた。<br />

MSY4-7<br />

マイクロ 波 手 術 デバイスによる 新 しい 内 視 鏡 外 科 手<br />

術<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科<br />

○… 仲 成 幸 , 谷 徹 , 村 山 浩 之 , 村 上 耕 一 郎 , 塩 見 尚 礼 ,<br />

来 見 良 誠<br />

【はじめに】 内 視 鏡 外 科 手 術 において、エネルギーデバイスを 用 い 出<br />

血 をさせずに 組 織 を 切 開 および 切 離 することは 重 要 である。これまで<br />

に 用 いられてきた 高 周 波 および 超 音 波 をエネルギー 源 としたデバイス<br />

は、 剥 離 などの 操 作 や 処 理 する 組 織 や 脈 管 により 使 い 分 ける 必 要 があ<br />

り、 手 術 デバイスのポートからの 抜 き 差 しなど 煩 雑 な 場 合 がある。 特<br />

に、 近 年 導 入 が 進 むロボット 手 術 の 際 にはデバイスの 交 換 操 作 がその<br />

メリットを 損 なうことになっている。 我 々は、 組 織 の 凝 固 作 用 を 有 す<br />

るマイクロ 波 を 応 用 し、 臓 器 または 組 織 に 対 する 切 開 、 切 離 および 止<br />

血 の 機 能 のみならず、 組 織 の 剥 離 操 作 などが 可 能 となるマイクロ 波 手<br />

術 デバイスを 開 発 した。デバイスの 大 きさや 先 端 部 の 形 状 が 自 由 にデ<br />

ザイン 可 能 なマイクロ 波 手 術 デバイスはあらゆる 内 視 鏡 外 科 手 術 に 応<br />

用 可 能 である。 我 々の 独 創 的 なマイクロ 波 手 術 デバイス 開 発 の 経 過 と<br />

内 視 鏡 外 科 への 応 用 について 論 じたい。【 方 法 】 内 視 鏡 外 科 用 マイク<br />

ロ 波 手 術 デバイスは 全 長 約 30cmで、シャフト 部 の 直 径 は4mmであり、<br />

先 端 部 に 剪 刀 を 有 しており、 組 織 の 剥 離 操 作 、 切 開 ・ 切 離 および 止 血<br />

操 作 が 可 能 である。 剪 刀 の2 本 のブレードはそれぞれアンテナブレー<br />

ドおよびアースブレードとなっており、マイクロ 波 が 照 射 される。ビー<br />

グル 犬 を 用 い 肝 臓 、 胃 大 網 動 静 脈 、 脾 動 静 脈 、 腸 管 膜 動 静 間 脈 を 切 離<br />

した 後 閉 腹 。1 週 間 後 に 再 開 腹 、 腹 腔 内 観 察 、 組 織 採 取 を 行 い 腹 部 手<br />

術 操 作 の 効 果 および 安 全 性 を 確 認 した。また、マイクロ 波 手 術 デバイ<br />

スによる 切 離 後 の 血 管 に 対 し、 対 側 断 端 より 生 理 食 塩 水 を 注 入 加 圧 、<br />

切 離 断 端 が 破 綻 する 際 の 圧 力 をマノメーターにより 計 測 し、 血 管 シー<br />

リング 能 の 評 価 を 行 った。【 結 果 】 各 種 臓 器 ・ 組 織 に 対 し、マイクロ<br />

波 デバイスによる 剥 離 操 作 が 可 能 であり、さらに 切 開 、 切 離 および 止<br />

血 の 効 果 が 十 分 であることを 確 認 した。また、マイクロ 波 凝 固 切 開 装<br />

置 による 各 種 血 管 に 対 する 切 離 後 の 耐 圧 が 十 分 であることを 確 認 した。<br />

【 結 論 】マイクロ 波 手 術 デバイスはあらゆる 内 視 鏡 外 科 手 術 に 安 全 に<br />

用 いることが 可 能 であり、 内 視 鏡 鉗 子 を 交 換 することなく、 一 つのエ<br />

ネルギーデバイスに 手 術 を 進 めることが 可 能 である。<br />

MSY5-1<br />

局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 肝 門 ・ 肝 床 浸 潤 部 の 一 括 切 除<br />

術 式<br />

琉 球 大 学 医 学 部 第 一 外 科<br />

○… 白 石 祐 之 , 赤 松 道 成 , 上 原 拓 明 , 金 城 達 也 , 西 巻 正<br />

【 目 的 】 我 々は、 高 度 の 肝 門 ・ 肝 床 浸 潤 および 肝 十 二 指 腸 靭 帯 方 向 へ<br />

の 浸 潤 を 伴 う 局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 切 除 において、 肝 門 構 造 、 肝<br />

十 二 指 腸 靱 帯 (さらには 膵 頭 十 二 指 腸 )を 被 膜 に 包 まれたままの 状 態<br />

(No-touch)で 一 括 切 除 する 術 式 を 施 行 しており、その 術 式 と 成 績 につ<br />

いて 報 告 する。 【 対 象 】 2008-11 年 に 本 術 式 を 施 行 した、 高 度 肝 門 、<br />

肝 床 浸 潤 をともなう 進 行 胆 嚢 癌 症 例 6 例 。 肝 切 除 術 式 の 内 訳 は 拡 大 右<br />

葉 切 除 2(うち 肝 膵 同 時 切 除 :HPD1)、 拡 大 左 葉 切 除 2(うちHPD1)、<br />

中 央 二 区 域 + 尾 状 葉 全 切 除 2(うちHPD1)であった。 全 例 に 術 前 後 の<br />

化 学 療 法 (ジェムザール)を 施 行 した。【 方 法 】 切 離 予 定 部 の 主 肝 管 を<br />

全 周 性 に 剥 離 し、 同 レベルの 非 浸 潤 部 肝 動 脈 + 門 脈 を 胆 管 から 分 離 す<br />

る。リフティング 用 ペンロースを 肝 動 脈 門 脈 頭 側 と 主 肝 管 尾 側 の 間 へ<br />

誘 導 し、これを 頭 側 に 牽 引 。 門 脈 浸 潤 陽 性 例 では、 肝 門 構 造 の 背 側 に<br />

て 先 行 再 建 し、その 後 胆 管 切 離 予 定 部 に 垂 直 に 向 かう 肝 実 質 切 離 を 完<br />

遂 させる。 血 管 浸 潤 陰 性 例 では 門 脈 ・ 肝 動 脈 を 肝 十 二 指 腸 靱 帯 の 背 側<br />

の 被 膜 外 にはずす。これにより 切 除 肝 を 肝 門 構 造 ・ 肝 十 二 指 腸 靱 帯 (+<br />

膵 頭 十 二 指 腸 )とともに 一 括 切 除 する。【 成 績 】 右 からのみでなく、 中<br />

央 二 区 域 や 左 からの 肝 切 除 術 式 にても、 肝 門 構 造 とともに 肝 門 浸 潤 部<br />

および 肝 床 浸 潤 部 の 一 括 切 除 が 可 能 であり、 全 症 例 において 肝 門 浸 潤<br />

部 の 肉 眼 的 R0 切 除 が 可 能 であった。 肝 膵 同 時 切 除 を 要 した 症 例 も 半<br />

数 に 認 められたが、これらの 症 例 においても 一 括 切 除 術 式 が 可 能 で<br />

あった。 本 術 式 施 行 後 の 手 術 合 併 症 は5/6 例 に 認 められ、 在 院 死 亡 (3<br />

か 月 )を1/6 例 に 認 めた。 術 後 生 存 中 央 期 間 は14ヶ 月 と 予 後 不 良 である<br />

も、 術 後 3 年 以 上 の 無 再 発 生 存 を1 例 に 認 めた。 【 結 語 】 高 度 の 肝 門<br />

浸 潤 を 伴 うような 局 所 進 行 胆 嚢 癌 であっても、 肝 門 構 造 ・ 肝 十 二 指 腸<br />

靱 帯 の 一 括 切 除 術 式 により 治 癒 切 除 および、これによる 予 後 改 善 を 期<br />

待 できる 症 例 が 存 在 するものと 考 えられた。<br />

MSY5-2<br />

当 科 における 高 度 局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 手 術 成 績<br />

と 治 療 戦 略<br />

横 浜 市 立 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学<br />

○… 森 隆 太 郎 , 松 山 隆 生 , 谷 口 浩 一 , 大 田 洋 平 , 熊 本 宜 文 ,<br />

野 尻 和 典 , 武 田 和 永 , 上 田 倫 夫 , 杉 田 光 隆 , 田 中 邦 哉 ,<br />

遠 藤 格<br />

【 目 的 】 当 科 における 高 度 局 所 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 治 療 戦 略 を 明 らか<br />

とする。【 対 象 と 方 法 】1991 年 1 月 から2010 年 12 月 までに 当 科 で 切 除 し<br />

た 胆 嚢 癌 89 例 ( 術 死 3 例 を 除 く)のうちT3/4の31 例 。1. 胆 嚢 床 切 除 群<br />

(n=7)と 肝 切 除 群 (n=21)の 生 存 期 間 、 再 発 形 式 を 肝 内 微 小 転 移 の 有 無<br />

により 比 較 、2. 血 管 合 併 切 除 と 剥 離 面 断 端 (pEW)、3. 肉 眼 的 リンパ 節<br />

転 移 陰 性 症 例 における 胆 管 切 除 群 と 温 存 群 の 再 発 形 式 の 比 較 、4. 膵 頭<br />

部 リンパ 節 転 移 陽 性 例 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD) 併 施 の 意 義 、<br />

5.#16リンパ 節 転 移 陰 性 例 に 対 する 予 防 的 #16リンパ 節 郭 清 の 意 義 、<br />

6. 術 後 補 助 化 学 療 法 、7. 術 前 化 学 療 法 の 成 績 について 検 討 した。【 結 果 】<br />

全 例 の5 年 生 存 率 は10.7%。1. 残 肝 再 発 は 胆 嚢 床 切 除 群 で42.3%、 肝 切<br />

除 術 群 で45.8%であり 生 存 期 間 中 央 値 (MST)はそれぞれ15.2ヵ 月 、<br />

17.2ヵ 月 で 有 意 差 なし(p=0.725)。 肝 微 小 転 移 陽 性 6 例 と 陰 性 21 例 の<br />

MSTは9.2ヵ 月 、17.7ヵ 月 で 肝 微 小 転 移 陽 性 例 は 肝 切 除 術 式 によらず<br />

予 後 不 良 だった…(p=0.0058)。2.pEW2のMSTは10.8ヵ 月 と 陰 性 例<br />

18.2ヵ 月 に 比 べ 有 意 に 不 良 だった(p=0.003)。 血 管 合 併 切 除 は7 例 ( 肝<br />

動 脈 4 例 、 門 脈 1 例 、 動 門 脈 2 例 で 全 例 胆 管 切 除 )に 施 行 し、3 例 で 剥 離<br />

面 断 端 陰 性 だった。3.リンパ 節 転 移 は24 例 (77.4%)に 陽 性 で、うち#16<br />

リンパ 節 転 移 を7 例 に 認 めた。pN(-)で 胆 管 温 存 リンパ 節 郭 清 を 施 行<br />

した1 例 は 腹 膜 播 種 再 発 したが、リンパ 節 再 発 はなく、 胆 管 温 存 例 の<br />

うちpN(+)の2 例 はいずれも 局 所 再 発 した。4. 膵 頭 リンパ 節 転 移 陽 性 8<br />

例 のMSTは17.7ヵ 月 でPDを 併 施 した1 例 は 早 期 に 再 発 死 亡 した( 生 存<br />

期 間 ;9ヵ 月 )。5.リンパ 節 転 移 陽 性 症 例 のうち#16リンパ 節 転 移 陰 性<br />

症 例 でD2 郭 清 群 (n=12)とD2+#16 郭 清 群 (n=10)のMSTは19.1ヵ 月 、<br />

17.2ヵ 月 で 有 意 差 なし(p=0.962)。6. 術 後 補 助 化 学 療 法 は14 例 に 施 行 し、<br />

非 施 行 群 のMST…10.8ヵ 月 に 比 べ、20.8ヵ 月 と 有 意 に 生 存 期 間 を 延 長 し<br />

た(p=0.0436)。7. 術 前 化 学 療 法 は2 例 に 施 行 し、1 例 で61ヵ 月 の 長 期 生<br />

存 を 得 ている。【 結 語 】T3/4 胆 嚢 癌 において 肝 ・リンパ 節 転 移 の 予 防<br />

的 切 除 の 延 命 効 果 は 乏 しい。 今 後 の 方 策 として 術 前 ・ 術 後 補 助 化 学 療<br />

法 による 治 癒 切 除 率 の 向 上 と 生 存 期 間 の 延 長 が 期 待 される。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-257-


MSY5-3<br />

高 度 進 行 胆 嚢 癌 の 集 学 的 治 療 戦 略<br />

富 山 大 学 第 2 外 科<br />

○… 澤 田 成 朗 , 関 根 慎 一 , 吉 岡 伊 作 , 松 井 恒 志 , 長 田 拓 哉 ,<br />

嶋 田 裕 , 塚 田 一 博<br />

【はじめに】 胆 嚢 癌 の 多 くは 進 行 癌 で 発 見 されその 予 後 は 不 良 である。…<br />

当 科 の 胆 嚢 癌 手 術 症 例 の 約 半 数 がfStageIVbであり、その 予 後 延 長 を<br />

目 的 としてpalliative 手 術 も 含 めた 外 科 的 治 療 を 組 み 合 わせ 集 学 的 治<br />

療 を 行 ってきた。すなわち 局 所 進 展 を 認 める 症 例 に 対 しては 他 臓 器 合<br />

併 切 除 も 含 めた 胆 嚢 摘 出 術 を 行 い、 遠 隔 転 移 ( 腹 膜 播 種 、 肝 転 移 、 大<br />

動 脈 周 囲 リンパ 節 転 移 ) 併 存 例 に 対 してはBinfが 軽 度 の 場 合 胆 嚢 摘 出<br />

術 を 行 い 術 後 化 学 療 法 を 行 ってきた。… このような 方 針 の 元 、 今 回<br />

fStageIVb 症 例 を 対 象 に 解 析 を 行 い 高 度 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する 治 療 戦 略<br />

を 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 】1997 年 10 月 から2011 年 12 月 まで 当<br />

科 で 施 行 した 胆 嚢 癌 手 術 症 例 62 例 のうちfStageIVb 症 例 30 例 48%を 対<br />

象 とした。… 平 均 年 齢 は67.5 才 、 男 性 8 例 女 性 22 例 であった。 原 発 巣 に<br />

対 する 外 科 的 治 療 の 内 訳 は 高 度 Binfにて 非 切 除 となった 症 例 (N 群 )が<br />

7 例 、… 切 除 症 例 のうち 胆 嚢 摘 出 術 例 (P 群 )が16 例 、 根 治 切 除 を 目 指 した<br />

手 術 を 施 行 した 症 例 (O 群 )が7 例 ( 胆 嚢 摘 出 術 + 右 半 結 腸 切 除 術 症 例 が<br />

2 例 、 肝 S4a+5 切 除 術 が2 例 、… 肝 S4a+5 切 除 +PpPDが1 例 、 肝 拡 大 右 葉<br />

切 除 術 + 肝 外 胆 管 切 除 術 が2 例 )であった。… 化 学 療 法 は 時 代 により<br />

CDDP+5FU(CF 群 ,… n=8)、S-1(n=4)、Gem+S-1(GS 群 ,… n=4)、<br />

CDDP+S-1(CS 群 ,…n=4)を 施 行 してきた。【 結 果 】… 遠 隔 転 移 併 存 例 が15<br />

例 、 局 所 進 行 例 が15 例 で、 遠 隔 転 移 併 存 例 と 局 所 進 行 例 のMSTはそ<br />

れぞれ174 日 、178 日 であり 予 後 に 差 は 認 めなかった。 外 科 的 治 療 :N<br />

群 は 治 療 開 始 日 を 起 点 としてMSTは133 日 であり1 年 以 上 生 存 した 症<br />

例 は 認 めなかった。 原 発 巣 切 除 症 例 のうちP 群 のMSTは211 日 、1 年 生<br />

存 率 は31.2%で、O 群 は275 日 、42.9%であった。 術 後 化 学 療 法 :S-1 群<br />

やCF 群 は 化 学 療 法 未 施 行 群 (n=10)とほぼ 同 等 な 生 存 曲 線 であったが、<br />

CS 群 ではその 他 の 治 療 に 比 べ 有 意 (p=0.032)に 予 後 が 良 好 であった。<br />

長 期 生 存 例 :fStageIVb 中 2 年 以 上 生 存 している2 症 例 ありいずれもO<br />

群 で 術 後 CS 療 法 をおこなった 症 例 であった。【 考 察 】StageIVb 胆 嚢 癌<br />

であってもBinfが 軽 度 の 場 合 には 胆 嚢 摘 出 術 のみならず 根 治 を 目 指 し<br />

た 外 科 的 切 除 を 試 み、 術 後 CS 療 法 を 行 うことが 予 後 に 寄 与 すると 考<br />

えられた。<br />

MSY5-4<br />

T3,4 胆 嚢 癌 の 至 適 術 式 の 検 討<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 長 谷 川 康 , 新 田 浩 幸 , 高 原 武 志 , 高 橋 正 浩 , 伊 藤 直 子 ,<br />

片 桐 弘 勝 , 武 田 大 樹 , 若 林 剛<br />

【 目 的 】 進 行 胆 嚢 癌 は 癌 の 遺 残 をなくすために, 肝 切 除 ・ 胆 管 切 除 ・<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ・ 結 腸 合 併 切 除 などの 拡 大 手 術 が 必 要 となるケース<br />

が 少 なからず 存 在 する.pT3,4 胆 嚢 癌 の 手 術 成 績 を 解 析 し, 治 療 方 針<br />

(とくに 術 式 選 択 )が 妥 当 であったかを 検 討 する. 【 方 法 】1984 年 か<br />

ら2011 年 に 当 院 で 胆 嚢 癌 に 対 して 根 治 術 を 施 行 した71 例 のうち,pT3<br />

も し く はpT4と 診 断 さ れ た38 例 に つ い てretrospectiveに 検 討 し<br />

た. 【 結 果 】pT3,4 胆 嚢 癌 の5 年 生 存 率 は36.7%であった. 手 術 術 式 の<br />

内 訳 は, 葉 切 除 以 上 の 肝 切 除 7 例 ,S4aS5 切 除 14 例 , 肝 床 切 除 13 例 ,<br />

胆 嚢 摘 出 4 例 であった.このうち, 胆 管 切 除 を14 例 ,PD(PPPD)を13 例 ,<br />

多 臓 器 合 併 切 除 を7 例 に 施 行 した.pT3(22 例 )の5 生 存 率 は39.8%,<br />

pT4(16 例 )の5 年 生 存 率 は38.6%と 差 を 認 めなかった.リンパ 節 転 移 陽<br />

性 例 は19 例 (50%)であり,5 年 生 存 率 は 転 移 陰 性 例 が50.5%, 転 移 陽 性<br />

例 が26.9%と 転 移 陰 性 例 がよい 傾 向 であった. 術 式 別 の5 年 生 存 率 は,<br />

肝 切 除 範 囲 ・ 胆 管 切 除 の 有 無 ・ 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 有 無 でいずれも 差<br />

がなかった. 多 臓 器 合 併 切 除 を 施 行 した7 例 の5 年 生 存 率 は55.6%と 比<br />

較 的 良 好 であった.pEM0,pEM1,pEM2の5 年 生 存 率 は,48.6%,…20.8%,…<br />

0%と 有 意 差 を 認 めた.また, 根 治 度 別 の5 年 生 存 率 は,Cur…A…52.8%,…<br />

Cur…B…35.6%,Cur…C…0%と 有 意 差 を 認 めた. 【 総 括 】pT3,4 胆 嚢 癌 に<br />

おいて, 肝 切 除 範 囲 , 胆 管 切 除 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 は 胆 管 断 端 および<br />

剥 離 面 の 癌 陰 性 が 確 保 できれば 十 分 であると 考 えられた. 多 臓 器 浸 潤<br />

症 例 は, 合 併 切 除 による 長 期 生 存 を 得 ることができるため, 積 極 的 に<br />

施 行 すべきと 考 えられた.<br />

MSY5-5<br />

肝 切 除 術 中 出 血 多 量 時 の 対 応 と 輸 血 判 断 におけるビ<br />

ジリオモニタリングの 有 用 性 の 検 証<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 目 黒 誠 , 水 口 徹 , 川 本 雅 樹 , 今 村 将 史 , 中 村 幸 雄 ,<br />

太 田 盛 道 , 西 舘 敏 彦 , 木 村 康 利 , 古 畑 智 久 ,<br />

平 田 公 一<br />

【 背 景 と 目 的 】 拡 大 肝 切 除 での 術 中 想 定 外 の 出 血 時 には 輸 血 を 施 行 す<br />

るか 否 かの 判 断 に 迷 うことが 少 なくない。 巨 大 肝 腫 瘍 がIVCに 近 接 し<br />

ている 症 例 、 肝 門 板 を 圧 排 する 腫 瘍 などでは 剥 離 操 作 中 に 腫 瘍 血 管 の<br />

増 生 から 思 わぬ 出 血 を 来 すことがある。 最 近 、 全 身 の 酸 素 需 給 の 観 点<br />

からリアルタイムに 低 侵 襲 で 簡 便 に 全 身 モニタリングが 可 能 なビジリ<br />

オモニタリングシステムが 注 目 されている。【 対 象 と 方 法 】2007 年 12<br />

月 から2010 年 8 月 までに 術 中 ビジリオモニタリングを 施 行 して 肝 切 除<br />

を 施 行 した 症 例 は93 例 でそのうち 出 血 量 が1,000ml 以 上 であった 症 例<br />

は11 例 ( 輸 血 群 vs 非 輸 血 群 =1,710±554…vs…1,278±200)であった。 術 中<br />

Hb 値 や 乳 酸 値 、バイタル 変 化 などの 術 中 判 断 で 輸 血 を 施 行 した 症 例<br />

は5 例 であった。 輸 血 群 (n=5)と 非 輸 血 群 (n=6)の 術 式 はHr0:1:2:<br />

3( 輸 血 群 vs 非 輸 血 群 )=0:1:3:1…vs…3:1:2:0であり 輸 血 群 で 拡<br />

大 肝 切 除 が 多 かった。 両 群 間 で 以 下 の 項 目 について 比 較 検 討 した【 検<br />

討 項 目 】 術 中 全 体 の 上 大 静 脈 血 酸 素 飽 和 度 (ScvO…2…)/stroke…volume…<br />

variation(SVV)/cardiac…output(CO) 平 均 値 、 術 中 乳 酸 値 変 動 ( 最 高<br />

値 / 最 低 値 )、 輸 血 前 後 でのScvO…2… 値 トレンド 変 動 について 比 較 検 討 し<br />

た。【 結 果 】 輸 血 前 (72.21±5.43)と 比 べ 輸 血 後 (83.34±4.34)のScvO2<br />

値 (%)トレンドが 有 意 に 上 昇 (p


MSY5-7<br />

肝 切 除 術 中 のIVC 損 傷 による 想 定 外 大 量 出 血 に 対 す<br />

るタココンブの 有 用 性<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科<br />

○… 谷 合 信 彦 1<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 吉 岡 正 人 1<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

, 清 水 哲 也 1<br />

,<br />

上 田 純 志 1 1<br />

, 内 田 英 二<br />

【はじめに】 肝 切 除 術 は 肝 内 血 管 が 豊 富 であり 肝 離 断 時 に 出 血 を 伴 う。<br />

しかし、 止 血 に 難 渋 するのはワーキングスペースがとれない 肝 摘 出 前<br />

である。また、 動 脈 ・ 門 脈 系 は 想 定 外 の 出 血 を 認 めることは 少 ないが、<br />

静 脈 系 はそれが 細 い 血 管 であっても 大 量 出 血 を 来 すことがしばしばあ<br />

る。 特 に 短 肝 静 脈 処 理 の 際 にIVCからは 想 定 外 の 大 量 出 血 を 来 す。 今<br />

回 、 教 室 での 経 験 を 報 告 する。【 方 法 】1X1cm 片 のタココンブで 出 血<br />

点 を 押 さえ、その 上 からガーゼによるパッキングにより、 一 時 止 血 を<br />

行 っている。2007~2011 年 の5 年 間 で 施 行 した 肝 切 除 術 289 例 を 対 象 と<br />

してIVCからの 想 定 外 大 量 出 血 の 処 置 を 検 討 した。【 成 績 】 肝 摘 出 前<br />

にIVCよりの 想 定 外 大 量 出 血 に 対 して、 縫 合 などで 対 応 できずに3 例<br />

(1.0%)にこの 方 法 を 使 用 した。 全 例 完 全 な 一 時 止 血 を 得 られた。【 症 例 】<br />

患 者 は82 歳 、 男 性 。 右 葉 全 体 を 占 める 巨 大 HCCである。 手 術 は<br />

Hanging…manueverによる 前 方 アプローチで 行 った。 皮 切 はJ 字 切 開<br />

で 開 腹 、 胆 摘 後 肝 十 二 指 腸 靭 帯 を 一 括 でテーピング 後 右 肝 動 脈 を 結 紮<br />

切 離 し、 右 門 脈 はテーピングを 行 った。 肝 離 断 後 、 右 肝 静 脈 を 切 離 し<br />

た。IVC 前 面 を 尾 側 より 短 肝 静 脈 を 処 理 し、 右 下 肝 静 脈 を 処 理 する 際<br />

に 出 血 をきたした。 当 初 、4.0プローリンにて 連 続 縫 合 にて 閉 鎖 したが、<br />

血 管 鉗 子 解 放 後 出 血 したため 再 度 血 管 鉗 子 をかけ 補 強 した。 再 度 解 放<br />

後 出 血 をきたしたため3.0プローリンにて 縫 合 をおこなったが、 止 血<br />

困 難 となりタココンブによるパッキング 法 を 用 いて 止 血 した。 肝 摘 出<br />

後 、 出 血 点 を 確 認 すると 右 下 肝 静 脈 縫 合 部 およびその 近 傍 からの 出 血<br />

と 判 明 したためプローリンにて 補 強 を 行 った。【 結 語 】タココンブよ<br />

るIVC 損 傷 による 想 定 外 大 量 出 血 に 対 する 止 血 法 は 簡 便 で 止 血 効 果 も<br />

高 く、ワーキングスペースがなく 縫 合 閉 鎖 困 難 な 場 合 は 緊 急 止 血 とし<br />

て 有 用 な 方 法 である。 今 回 、その 実 際 をビデオにて 供 覧 する。<br />

MSY5-8<br />

肝 切 除 術 中 の 想 定 外 の 静 脈 性 出 血 ・ 鬱 血 に 対 する 対 処<br />

法 について<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 石 崎 守 彦 , 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 中 竹 利 知 , 松 島 英 之 ,<br />

坂 口 達 馬 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 術 中 止 血 に 難 渋 した 肝 静 脈 性 出 血 の2 例 、 肝 鬱 血 を 来 たし 術<br />

後 肝 不 全 を 呈 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】1)70 歳 男 性 、<br />

以 前 の 切 迫 破 裂 による 肝 右 葉 全 域 を 占 拠 する 巨 大 被 膜 下 血 腫 を 伴 った<br />

肝 細 胞 癌 の 症 例 。 血 腫 により 肝 右 葉 が 著 明 に 腫 大 しており、 横 隔 膜 と<br />

の 癒 着 も 強 く 十 分 な 視 野 がとれないまま 脱 転 操 作 を 進 めた。 下 大 静 脈<br />

靭 帯 と 思 われる 組 織 の 処 理 を 試 みたところ 右 肝 静 脈 から 突 如 出 血 を 認<br />

めた。ガーゼ 圧 迫 を 行 ったが 出 血 コントロールがつかず、 血 圧 が60 台<br />

へ 低 下 したため 肝 十 二 指 腸 靭 帯 および 肝 下 部 IVCを 用 手 的 に 約 10 分 間<br />

圧 迫 した。その 後 出 血 のコントロールがつき 血 圧 も 改 善 したため、プ<br />

リングルおよび 肝 下 部 IVCテーピングを 行 い 肝 切 離 を 進 め、 無 事 手 術<br />

を 終 えた。2)87 歳 女 性 、 右 葉 に8cm、S3に2cmの 転 移 性 肝 癌 症 例 。 右<br />

葉 脱 転 困 難 であり、まずHanging…manueverを 行 った。 前 回 の 経 験 も<br />

あったため 初 めから 肝 下 部 IVCに 全 周 テープをかけてクランプができ<br />

るように 備 えた。 肝 切 離 面 の 奥 から 肝 静 脈 性 の 出 血 を 認 め、 止 血 デバ<br />

イスや 縫 合 止 血 を 試 みたが 出 血 部 位 の 同 定 が 困 難 であり、まずガーゼ<br />

で 圧 迫 を 行 いプリングルを 行 った。それでも 出 血 がおさまらず 肝 下 部<br />

IVCをクランプした。その 後 、 出 血 は 下 火 となり 肝 切 離 を 進 めること<br />

ができ、 無 事 手 術 を 終 えた。3)73 歳 男 性 、C 型 肝 硬 変 、 肝 S7/8の 肝 細<br />

胞 癌 に 対 して 前 医 でRFAが 行 われたが、 再 発 を 繰 り 返 しRFAを2 回 、<br />

PEITを2 回 、TACEを2 回 行 われていた。 今 回 同 部 位 再 発 を 認 めたた<br />

め 肝 S7/8 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 腫 瘍 近 傍 の 右 肝 静 脈 根 部 からの 分<br />

枝 を2 本 結 紮 切 離 したところ、 肝 S6 領 域 に 鬱 血 腫 大 を 認 めた。 術 後 腹<br />

水 量 4~5L/ 日 、 腎 機 能 障 害 、 重 症 感 染 症 、 肝 不 全 の 病 態 を 呈 したが、<br />

術 後 127 日 目 に 軽 快 退 院 となった。【 結 語 】 右 葉 脱 転 困 難 例 においては<br />

前 もって 肝 下 部 IVCクランプができるようテーピングをかけておくこ<br />

とにより、 難 渋 する 静 脈 性 出 血 に 対 応 できるものと 考 えられた。 状 況<br />

に 応 じて 開 胸 操 作 の 追 加 により 肝 上 部 IVCの 血 流 遮 断 および 視 野 展 開<br />

にも 有 用 ではないかと 考 えられた。また 肝 静 脈 鬱 血 領 域 を 考 慮 した 術<br />

前 シュミレーション 画 像 および 静 脈 再 建 なども 考 慮 した 術 式 の 工 夫 が<br />

必 要 と 思 われた。<br />

MSY5-9<br />

術 中 の 膵 内 胆 管 損 傷 に 対 する 対 策<br />

1<br />

久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科 、 2 久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 内 田 信 治 1<br />

, 村 上 直 孝 1<br />

, 高 橋 健 二 郎 1<br />

, 岐 部 史 郎 1<br />

,<br />

田 中 克 明 1<br />

, 石 橋 生 哉 1<br />

, 緒 方 裕 1 2<br />

, 白 水 和 雄<br />

【はじめに】 総 胆 管 結 石 症 の 治 療 において 当 院 外 科 では1cm 以 上 で3<br />

個 以 上 であれば 外 科 的 に 開 腹 下 あるいは 腹 腔 鏡 下 にて 対 応 している。<br />

一 方 術 中 胆 道 ブジーによる 膵 内 の 胆 管 損 傷 は 胆 汁 と 膵 液 の 合 流 により<br />

強 力 な 消 化 作 用 をもたらすことにより 悲 惨 な 術 後 を 来 たすことが 少 な<br />

くない。 今 回 我 々は 術 中 の 想 定 外 の 膵 内 胆 管 損 傷 に 対 して 胆 管 空 腸 吻<br />

合 術 、 膵 液 外 瘻 による 分 流 術 を 行 い 改 善 した 症 例 を 提 示 しつつその 対<br />

策 を 検 討 した。【 対 象 と 症 例 】 平 成 20 年 4 月 より 平 成 23 年 3 月 までに 当<br />

院 外 科 にて 開 腹 した 総 胆 管 結 石 症 例 12 例 を 対 象 とした。【 方 法 】 全 身<br />

麻 酔 下 に 右 肋 骨 弓 下 切 開 にて 開 腹 し 胆 嚢 摘 出 術 後 三 管 合 流 部 付 近 にて<br />

結 石 の 大 きさに 応 じた 総 胆 管 切 開 を 行 い 砕 石 、 症 例 に 応 じて 乳 頭 ブ<br />

ジーを 行 い 胆 道 鏡 及 びCアームにての 胆 道 造 影 を 行 い 結 石 遺 残 の 有 無<br />

を 確 認 後 Cチューブを 挿 入 し 閉 腹 した。【 結 果 】 全 12 症 例 のうち 乳 頭<br />

ブジーをおこなった 症 例 は8 例 でありその1 例 に 膵 内 胆 管 損 傷 を 来 たし<br />

た。その1 例 に 対 しCアームにて 術 中 胆 道 造 影 を 行 い 膵 内 胆 管 損 傷 の<br />

あることを 確 認 した 後 肝 外 胆 管 切 除 。 十 二 指 腸 第 2 部 を 縦 切 開 し 乳 頭<br />

部 を 確 認 し 膵 管 チューブを 挿 入 し 固 定 、 胃 体 前 面 より 体 外 へ 誘 導 。 胆<br />

管 空 腸 吻 合 術 を 行 い 閉 腹 した。 術 後 86 日 目 で 退 院 した。【 考 察 】 膵 内<br />

胆 管 損 傷 により 腹 腔 内 に 胆 汁 、 膵 液 が 漏 出 する 恐 れがある 場 合 は 思 い<br />

切 って 胆 汁 、 膵 液 の 分 流 術 を 施 すことが 肝 要 である。<br />

MSY6-1<br />

転 移 性 肝 癌 と 鑑 別 困 難 であった 限 局 性 類 洞 拡 張 障 害<br />

の 一 例<br />

徳 島 大 学 外 科<br />

○… 荒 川 悠 佑 , 島 田 光 生 , 居 村 暁 , 山 田 眞 一 郎 , 浅 野 間 理 仁 ,<br />

斉 藤 裕 , 森 大 樹 , 花 岡 潤 , 池 本 哲 也 , 森 根 裕 二 ,<br />

宇 都 宮 徹 , 三 宅 秀 則<br />

【はじめに】 臨 床 経 過 及 び 画 像 所 見 から 転 移 性 肝 腫 瘍 との 診 断 が 極 め<br />

て 困 難 であったオキサリプラチンによる 肝 内 類 洞 拡 張 (SOS:…<br />

sinusoidal…obstruction…syndrome)の1 例 を 経 験 したので、 報 告 する。<br />

【 症 例 】40 才 代 女 性 。2010 年 に 他 院 で 直 腸 癌 のため 低 位 前 方 切 除 を 施<br />

行 。 術 後 病 理 診 断 :Rs,Type3,pSS,pN0,H0,P0,M0,H0,pStage2。 術 後 よ<br />

りadjuvant…chemotherapyとしてXEROXを8クール 施 行 し 外 来 観 察 中<br />

であった。2011 年 に 腹 部 CTで 肝 S5/6(3cm),S5(1.5cm),S8(1cm)に 計 3<br />

個 のSOLを 認 めた。 腫 瘍 マーカーはCEA…1.8ng/ml,…CA19-9…13U/mlと<br />

いずれも 正 常 範 囲 内 であった。 造 影 CTでは 腫 瘍 は 周 囲 の 正 常 肝 組 織<br />

との 境 界 は 不 明 瞭 で、 早 期 相 ・ 門 脈 相 ・ 平 行 相 いずれにおいても 造 影<br />

効 果 に 乏 しいSOLとして 描 出 された。EOBを 用 いたdynamic…MRIでは、<br />

腫 瘍 はCTと 同 様 に 造 影 効 果 に 乏 しく、 肝 細 胞 相 ではdefectとして 認<br />

められた。また、ソナゾイドエコーで3 個 の 腫 瘤 は、いずれもKupffer<br />

細 胞 相 において 低 エコーとして 描 出 された。 術 前 肝 機 能 評 価 では<br />

ICG15 分 値 8.8%、アシアロシンチLHL0.881であった。 転 移 性 肝 癌 の 診<br />

断 で、 肝 右 葉 切 除 を 施 行 した。【 病 理 所 見 】 切 除 標 本 では 肝 外 からは<br />

腫 瘤 は 触 知 できず、 割 面 では 暗 赤 色 の 鬱 血 病 変 として 腫 瘤 を 認 めた。<br />

この 腫 瘍 部 位 では 顕 微 鏡 下 において 肝 細 胞 策 の 委 縮 、 類 洞 の 拡 張 及 び<br />

血 液 の 貯 留 がみられpeliosisの 所 見 を 呈 し、オキサリプラチンによる<br />

SOSと 診 断 された。【まとめ】オキサリプラチンは 進 行 ・ 再 発 大 腸 癌<br />

症 例 における 化 学 療 法 のkey…drugとして 汎 用 されている。その 代 表<br />

的 な 副 作 用 として 肝 内 のSOSがあげられ 多 くの 報 告 がみられるが、 結<br />

節 性 病 変 としての 報 告 はない。 本 症 例 では 我 々は 転 移 性 肝 腫 瘍 と 診 断<br />

し 肝 右 葉 切 除 を 選 択 したが、 術 前 診 断 の 可 能 性 を 含 め 多 くのご 意 見 を<br />

伺 いたい。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

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<br />

-259-


MSY6-2<br />

高 度 静 脈 浸 襲 像 を 示 し 右 心 房 内 へ 伸 展 した 再 発 肝 細<br />

胞 癌 下 大 静 脈 腫 瘍 栓 の 一 切 除 例<br />

東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科<br />

○… 高 野 公 徳 , 阿 部 雄 太 , 尾 野 大 気 , 横 山 卓 剛 , 木 原 優 ,<br />

島 津 元 秀<br />

【 症 例 の 経 過 】 症 例 は69 歳 男 性 、 非 B 非 C 肝 細 胞 癌 (HCC)でアルコー<br />

ル 多 飲 歴 あり。7 年 前 から、3 回 のTAE、1 回 のRFAおよび 肝 左 葉 + 尾<br />

状 葉 切 除 の 治 療 歴 がある。その 後 肝 部 下 大 静 脈 に 腫 瘍 栓 を 認 め、<br />

RFA 治 療 後 のS8にも 局 所 再 発 を 疑 わせる 病 変 を 認 め、 切 除 を 含 めた<br />

セカンド・オピニオン 目 的 で 当 院 紹 介 受 診 となった。IVC 腫 瘍 栓 の 切<br />

除 をすすめたが、 患 者 が 躊 躇 し、その 後 外 来 受 診 されず、6ヵ 月 後 に<br />

外 来 を 再 受 診 された。 肝 部 下 大 静 脈 の 腫 瘍 栓 は 右 心 房 内 へ 伸 展 し、 経<br />

食 道 心 臓 超 音 波 検 査 で 観 察 された 右 心 房 内 の 結 節 は 最 大 43mmで、 肝<br />

静 脈 根 部 付 近 にstalkを 認 め、 右 心 房 内 でfloatingしていた。また 下 大<br />

静 脈 内 を 尾 側 にも 伸 展 し、 全 長 は 約 50mmと 考 えられた。 造 影 CT 上<br />

は 右 肝 静 脈 への 伸 展 はなかったが、 中 肝 静 脈 およびIVCに 流 入 する 左<br />

右 下 横 隔 膜 静 脈 等 にも 腫 瘍 栓 が 伸 展 していると 考 えられた。 治 癒 切 除<br />

は 困 難 な 可 能 性 が 高 いが、 腫 瘍 によって 右 心 房 が 閉 塞 すれば 突 然 死 は<br />

免 れないため、 患 者 と 協 議 の 結 果 、 手 術 の 適 応 と 判 断 した。【 手 術 】<br />

右 開 胸 開 腹 にて 右 心 房 と 肝 下 部 下 大 静 脈 をcross…clampし、 腫 瘍 を 右<br />

心 房 内 から 引 き 抜 いて、 下 大 静 脈 の 付 着 部 を 含 め 切 除 した。 中 肝 静 脈<br />

や 左 右 下 横 隔 静 脈 へ 伸 展 する 腫 瘍 栓 を 可 及 的 に 切 除 したが、 迅 速 病 理<br />

診 断 による 断 端 陰 性 は 確 保 できなかった。 下 大 静 脈 欠 損 部 については<br />

ウマ 心 膜 によるパッチグラフトを 用 いて 再 建 した。S8の 境 界 病 変 に<br />

ついては 治 療 を 行 わなかった。【 術 後 経 過 】 術 後 は 右 胸 水 貯 留 に 対 し<br />

ドレナージを 施 行 したが、 重 篤 な 合 併 症 は 認 めなかった。 術 後 2 週 間<br />

で 退 院 可 能 な 状 態 になったが、 既 往 の 帯 状 疱 疹 の 加 療 を 希 望 され、 術<br />

後 46 日 目 に 退 院 された。 最 終 病 理 診 断 は 低 分 化 型 肝 細 胞 癌 の 所 見 であ<br />

り、 横 隔 膜 静 脈 では 静 脈 内 を 満 たすように 腫 瘍 が 詰 まっていた。 最 終<br />

病 理 診 断 においてもSM(+)であったため、sorafenibの 内 服 化 学 療 法<br />

を 術 後 2ヶ 月 より、800mg/ 日 で 開 始 した。 手 足 症 候 群 の 症 状 が 強 く 出<br />

現 したため、 開 始 4 週 間 で400mg/ 日 に 減 量 したが、 術 後 1 年 4ヶ 月 が 経<br />

過 した 現 在 、AFPが400 台 、PIVKA-IIが80 台 で 高 値 ではあるものの 上<br />

昇 なく、 画 像 上 はS8の 境 界 病 変 も 変 化 なく 経 過 され、 現 状 としては<br />

明 らかな 再 発 所 見 を 認 めていない。<br />

MSY6-3<br />

治 療 に 難 渋 した 肝 切 除 術 後 離 断 型 胆 汁 漏 の1 症 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 中 竹 利 知 , 石 崎 守 彦 , 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 松 島 英 之 ,<br />

坂 口 達 馬 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 肝 切 除 術 後 、 治 療 に 難 渋 した 非 交 通 型 胆 汁 漏 の1 症 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する。【 目 的 】72 歳 女 性 、HCV 慢 性 肝 炎 、 肝 S5 領 域 の 径<br />

3.5cm 大 の 肝 細 胞 癌 に 対 して、 肝 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 胆 汁 リー<br />

クテストを 行 うも 明 らかな 胆 汁 漏 出 部 位 は 認 められず 手 術 を 終 了 した。<br />

術 後 17 日 目 に 一 旦 軽 快 退 院 されたが、 術 後 75 日 目 に 発 熱 および 腹 部<br />

CTにて 肝 切 離 断 面 に 胆 汁 性 膿 瘍 が 認 められ 再 入 院 となった。 経 皮 経<br />

肝 的 膿 瘍 ドレナージを 行 い、 徐 々に 炎 症 反 応 改 善 し、 排 液 量 も 減 少 し<br />

たため 術 後 95 日 目 にドレーン 抜 去 したが、 術 後 106 日 目 に 再 度 発 熱 、<br />

CTにて 胆 汁 漏 の 再 燃 を 認 めたため、 再 度 経 皮 経 肝 膿 瘍 ドレナージを<br />

行 った。その 後 約 2ヶ 月 間 ドレナージを 施 行 しても、 胆 汁 量 は 軽 減 せず、<br />

術 後 130 日 目 に 精 査 目 的 にてERCP 施 行 するもmajor…leakは 描 出 されな<br />

かった。 一 向 に 胆 汁 漏 の 改 善 がみとめられなかったため、 術 後 153 日<br />

目 にDIC-CTを 施 行 したところ、 肝 切 除 断 端 へ 露 出 した 肝 S7 胆 管 断 端<br />

と 思 われる 部 位 よりの 胆 汁 漏 を 認 め、この 露 出 胆 管 が 中 枢 側 の 胆 管 と<br />

交 通 していないことが 判 明 した。 交 通 型 であればENBDなどの 内 科 治<br />

療 での 改 善 が 期 待 されたが、この 症 初 回 手 術 後 より203 日 目 に 再 肝 切<br />

除 を 行 った。 胆 汁 漏 を 示 す 露 出 胆 管 を 含 めた 肝 S7 部 分 切 除 術 を 施 行<br />

した。 術 後 は 合 併 症 を 認 めず12 日 目 に 軽 快 退 院 となり、 現 在 も 胆 汁 漏<br />

は 認 められていない。【 結 語 】 難 治 性 胆 汁 漏 が 生 じた 場 合 、 交 通 型 だ<br />

けではなく 非 交 通 型 胆 汁 漏 を 念 頭 に 置 く 必 要 がある。 今 回 の 症 例 では<br />

再 肝 切 除 を 行 ったが、その 他 治 療 法 として 選 択 的 肝 動 脈 塞 栓 術 、 門 脈<br />

枝 塞 栓 術 、 胆 管 内 薬 物 注 入 療 法 なども 報 告 されている。この 症 例 のよ<br />

うな 非 交 通 型 胆 汁 漏 に 対 する 治 療 法 に 関 してご 意 見 を 承 りたい。<br />

MSY6-4<br />

長 期 にわたる 化 学 療 法 により 高 度 の 脂 肪 肝 をきたし<br />

た 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 方 針 。<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 学 、 2 鹿 児 島 大 学 医 学 部 保 健<br />

学 科<br />

○… 飯 野 聡 1<br />

, 上 野 真 一 1<br />

, 迫 田 雅 彦 1<br />

, 南 幸 次 1<br />

, 安 藤 慶 1<br />

,<br />

又 木 雄 弘 1<br />

, 前 村 公 成 1<br />

, 新 地 洋 之 2 1<br />

, 夏 越 祥 次<br />

【 背 景 】2008 年 6 月 紹 介 医 で 下 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 施 行 され、3 型 の<br />

全 周 性 直 腸 癌 を 認 めた。CTにて 多 発 肝 転 移 も 指 摘 された。7 月 低 位 前<br />

方 切 除 術 を 施 行 された。8 月 より 肝 転 移 に 対 してFOLFIRI+Avastin…<br />

を7クール 施 行 。12 月 chemo 後 評 価 でPDの 診 断 、FOLFOX4+Avastin<br />

にレジメ 変 更 、 以 後 19クールを 施 行 された。2010 年 3 月 副 作 用 強 く<br />

Xelodaへ 変 更 し9クール 施 行 するも、11 月 副 作 用 によりXelodaの 継 続<br />

困 難 となった。このためK-ras 変 異 (-)を 確 認 のうえVectibixを 開 始 し<br />

以 後 9クール 施 行 された。2011 年 4 月 chemo 後 評 価 でPDの 診 断 、しか<br />

しながら 副 作 用 により 化 学 療 法 の 継 続 は 限 界 となっていた。5 月 以 後<br />

の 加 療 方 針 につき 当 科 紹 介 。 評 価 対 象 病 変 が 肝 外 側 区 域 、 内 側 区 域 、<br />

後 区 域 の 三 ヶ 所 のみに 存 在 していたが、 化 学 療 法 前 CTでは 認 めなかっ<br />

た 著 明 な 脂 肪 肝 所 見 が 出 現 していた。【 治 療 計 画 ・ 経 過 】 肝 の 許 容 切<br />

除 量 より 二 回 にわけて 肝 切 除 を 行 う 方 針 とした。6 月 手 術 目 的 に 当 科<br />

入 院 、 腹 腔 鏡 下 S3 亜 区 域 切 除 +S4 部 分 切 除 術 実 施 。 術 後 5 日 目 に 発 熱 、<br />

創 部 に 問 題 なくカテ 感 染 を 疑 いCVカテを 抜 去 し、 以 後 解 熱 。 血 液 培<br />

養 で 血 中 よりMRSAが 検 出 された。 以 後 は 術 後 経 過 特 に 問 題 なく 退 院<br />

となった。8 月 二 期 的 に 後 区 域 切 除 術 目 的 に 入 院 、 開 胸 開 腹 で 肝 後 区<br />

域 切 除 術 を 施 行 。 術 後 創 部 発 赤 あり、 開 創 で 膿 汁 流 出 あり 培 養 で<br />

MRSAを 検 出 するも 抗 生 剤 で 保 存 的 に 軽 快 し 退 院 となった。 術 後 3ヵ<br />

月 の 時 点 で 転 移 再 発 なく、 経 過 観 察 中 である。【 問 題 提 起 】 大 腸 癌 に<br />

対 する 化 学 療 法 の 進 歩 とともに、 今 後 長 期 に 化 学 療 法 を 施 行 され、 化<br />

学 療 法 が 限 界 に 達 した 時 点 で 肝 切 除 を 施 行 せざるを 得 ない 症 例 が 増 加<br />

するものと 考 えられる。そのような 症 例 に 対 する 肝 切 除 をどのように<br />

組 み 立 てるかといった 観 点 から 本 症 例 を 提 示 した。<br />

MSY6-5<br />

肝 門 を 圧 排 する 進 行 肝 細 胞 癌 の2 例<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 高 原 武 志 , 新 田 浩 幸 , 長 谷 川 康 , 伊 藤 直 子 , 高 橋 正 浩 ,<br />

木 村 祐 輔 , 大 塚 幸 喜 , 肥 田 圭 介 , 佐 々 木 章 , 若 林 剛<br />

進 行 肝 細 胞 癌 で 肝 門 を 圧 排 し、 術 式 選 択 に 難 渋 した2 症 例 を 経 験 した。<br />

それぞれの 症 例 で、 切 除 術 式 ( 開 腹 皮 切 のアプローチ 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 )・ 流 入 血 行 の 処 理 方 法 ・ 門 脈 腫 瘍 栓 の 処 理 方 法 ・Hanging…<br />

manueverの 使 用 ・ 肝 離 断 方 法 等 の 当 教 室 の 治 療 方 針 ・ 手 術 手 技 につ<br />

いて 御 討 論 お 願 いします。 症 例 1. nonB…nonC、…71 歳 女 性 。 他 院 にて<br />

TACEの 治 療 歴 有 り。 肝 S4・5を 主 座 に10cmのHCC。Tumorは 門 脈<br />

臍 部 ・ 横 走 部 ・ 前 区 域 門 脈 ・ 中 肝 静 脈 を 圧 排 し、 両 側 の 肝 内 胆 管 の 拡<br />

張 を 認 める。ICG…R15は6%、Child-Pugh…A、Liver…damage…A。 症 例<br />

2. HCV 陽 性 、53 歳 男 性 。 肝 S4・5・8を 主 座 に9cmのHCC。Tumor<br />

は 門 脈 臍 部 に 腫 瘍 栓 を 形 成 し、 肝 門 を 圧 排 していた。ICG…R15は13%、<br />

Child-Pugh…A、Liver…damage…A。 症 例 1. 上 腹 部 15cmの 正 中 切 開 。<br />

肝 外 での 流 入 血 行 は 処 理 せず、Hanging…manuever・Pringle 法 を 利 用<br />

しながら 前 方 アプローチによる 前 区 域 グリソンを 温 存 しながら 肝 離 断<br />

先 行 。 最 後 に 肝 内 で 左 グリソンを 一 括 処 理 し、 肝 拡 大 左 葉 切 除 を 施 行 。<br />

症 例 2. 腹 腔 鏡 下 に 肝 支 持 間 膜 を 処 理 し、 右 季 肋 下 に12cmの 小 切 開 。<br />

肝 外 でP2を 温 存 し 門 脈 臍 部 を 結 紮 し、さらにG2を 温 存 してG3・4を 処<br />

理 。Demarcationに 沿 っ てS3・4か ら 肝 離 断 し、 前 区 域 はHanging…<br />

manuever・Pringle 法 を 利 用 しながら、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 S3・4・5( 腹 側 )・<br />

8 切 除 を 施 行 。<br />

-260-


MSY6-6<br />

肝 内 胆 管 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 原 発 性 硬 化 性 胆<br />

管 炎 の1 手 術 例<br />

山 田 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 藤 井 幸 治 , 宮 原 成 樹 , 高 橋 幸 二 , 奥 田 善 大<br />

【 症 例 】60 代 、 男 性 。【 現 病 歴 】H22 年 夏 、 熱 中 症 にて 近 医 受 診 し、<br />

血 液 検 査 で 軽 度 の 肝 機 能 異 常 を 指 摘 された。 腹 部 超 音 波 検 査 で 肝 B2<br />

およびB6の 胆 管 拡 張 を 指 摘 された。 腹 部 CT 検 査 でB2、B6 肝 内 胆 管 拡<br />

張 とともに 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 リンパ 節 (No.12) 腫 大 も 指 摘 され、 精 査<br />

のため 当 院 消 化 器 科 へ 紹 介 受 診 となった。 血 液 検 査 でT-Bil…0.4…mg/dl、<br />

CEA…1.2…ng/ml、CA19-9…12.1…U/mlと 上 昇 なく、IgG4…59…( 正 常 4-108)…<br />

mg/dlと 正 常 で、IgG、IgA、IgM、 抗 核 抗 体 も 全 て 異 常 を 認 めなかっ<br />

た。MRIでB2、B6 肝 内 胆 管 拡 張 を 認 めるが 狭 窄 部 に 腫 瘤 は 指 摘 できず、<br />

硬 化 性 胆 管 炎 の 可 能 性 が 考 えられた。 内 視 鏡 的 逆 行 性 膵 胆 道 造 影<br />

(ERCP)で、B2、B6 根 部 に 胆 管 狭 窄 およびそれぞれの 末 梢 胆 管 拡 張<br />

を 認 めた。ブラッシング 細 胞 診 および 胆 汁 細 胞 診 を 施 行 したが、とも<br />

に 悪 性 所 見 を 認 めなかった。 胆 管 内 超 音 波 検 査 (IDUS)を 試 みたが 胆<br />

管 が 屈 曲 しており 困 難 であり、 狭 窄 部 生 検 も 施 行 できなかった。<br />

PET-CTでは 肝 S2にSUVmax…5.58→delay…5.74のFDG 集 積 を 認 めた。<br />

また 肝 十 二 指 腸 間 膜 リンパ 節 に2 個 のFDG 集 積 (SUVmax…3.25→delay…<br />

3.06、SUVmax…2.50→delay…2.25)を 認 めたが、B6には 集 積 を 認 めなかっ<br />

た。 左 肝 内 胆 管 原 発 の 胆 管 癌 を 強 く 疑 われ、 近 医 初 診 より 約 3カ 月 後<br />

に 当 科 紹 介 となった。3 次 元 立 体 CT 検 査 (3D-CT)で、B2 狭 窄 部 に 不<br />

規 則 な 低 吸 収 領 域 を 認 め、No.12リンパ 節 は 前 回 CTより 軽 度 増 大 を 認<br />

めた。 以 上 より 左 肝 内 胆 管 原 発 の 胆 管 癌 を 強 く 疑 い 手 術 を 施 行 した。<br />

【 手 術 】 術 中 USで、B2およびB6に 拡 張 を 認 めるものの 腫 瘤 は 確 認 で<br />

きなかった。 腫 大 したNo.12リンパ 節 を 術 中 迅 速 病 理 診 断 に 提 出 したが、<br />

悪 性 所 見 は 認 めなかった。 肝 左 葉 切 除 、リンパ 節 郭 清 を 施 行 した。【 術<br />

後 経 過 】 一 過 性 の 胃 排 泄 遅 延 を 認 めたが 保 存 的 治 療 で 軽 快 、 以 後 順 調<br />

に 経 過 し 術 後 1カ 月 で 退 院 した。【 病 理 組 織 学 的 所 見 】 胆 管 周 囲 に 高 度<br />

のリンパ 球 ・ 形 質 細 胞 浸 潤 がみられ、 好 酸 球 浸 潤 ・リンパ 濾 胞 形 成 を<br />

伴 い、これにより 胆 管 狭 窄 を 来 たしていた。IgG4 染 色 は 陰 性 であった。<br />

以 上 より 最 終 診 断 は 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 とした。<br />

MSY6-7<br />

肺 転 移 ならびに 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 が 疑 われた 胆<br />

管 内 乳 頭 状 腫 瘍 の1 例<br />

1<br />

ベルランド 総 合 病 院 外 科 、 2 ベルランド 総 合 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 堀 井 勝 彦 1<br />

, 小 川 雅 生 1<br />

, 豊 田 翔 1<br />

, 山 本 昌 明 1<br />

, 水 村 直 人 1<br />

,<br />

和 田 範 子 1<br />

, 今 川 敦 夫 1<br />

, 植 木 智 之 1<br />

, 市 川 剛 1<br />

, 山 崎 圭 一 1<br />

,<br />

園 尾 広 志 1<br />

, 出 村 公 一 1<br />

, 大 場 一 輝 1<br />

, 川 崎 誠 康 1<br />

,<br />

亀 山 雅 男 1<br />

, 吉 村 道 子 2 2<br />

, 川 野 潔<br />

40 歳 台 、 女 性 。 冷 汗 を 伴 う 腹 痛 が 出 現 し 救 急 搬 送 された。 腹 部 CT 像 上 、<br />

肝 内 SOLを 指 摘 され、 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 と 貧 血 もみられ 同 日 緊 急 入<br />

院 。 腹 部 dynamic…CTでは 肝 左 葉 に 不 均 一 な 低 濃 度 を 示 す 腫 瘤 像 がみ<br />

られ、 動 脈 相 から 辺 縁 優 位 に 淡 く 濃 染 する 領 域 を 認 めた。 門 脈 左 枝 は<br />

描 出 されず、 肝 内 胆 管 から 総 胆 管 は 拡 張 し、 胃 小 彎 や 傍 大 動 脈 リンパ<br />

節 の 腫 大 (No.16b1lat)がみられた。 胸 部 CTでは 石 灰 化 結 節 のほかに<br />

左 S9、 右 S10に 肺 転 移 を 疑 う 結 節 影 が 認 められた。 腹 部 エコー 検 査 で<br />

は 肝 左 葉 を 占 拠 する13.5×9.2×10.6cmの 境 界 明 瞭 な 腫 瘤 像 を 認 め、 内<br />

部 には 辺 縁 から 内 腔 に 隆 起 する 高 エコーの 結 節 像 がみられた。MRIで<br />

は 肝 腫 瘍 の 内 部 は 不 均 一 で、 傍 大 動 脈 リンパ 節 は 拡 散 強 調 像 で 高 信 号<br />

を 呈 した。ERCPでは 十 二 指 腸 乳 頭 は 開 大 し 粘 液 の 排 出 を 認 め、 造 影<br />

では 胆 管 内 に 充 満 した 粘 液 のため 肝 内 胆 管 の 描 出 は 不 良 であった( 胆<br />

汁 細 胞 診 class2)。 胆 道 鏡 では 左 右 肝 管 分 岐 部 での 明 らかな 浸 潤 所 見<br />

はみられなかった。 経 過 中 黄 疸 が 出 現 したが、 自 然 軽 快 した。 腫 瘍 マー<br />

カーの 上 昇 はみられず。 以 上 より 肝 左 葉 原 発 の 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 と 診<br />

断 された。 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 や 肺 転 移 が 疑 われたため、リンパ 節<br />

に 対 しEUS 下 FNAを 施 行 したが 悪 性 所 見 はみられなかった。PETで<br />

も 肝 腫 瘍 と 甲 状 腺 に 集 積 を 認 めたが 傍 大 動 脈 リンパ 節 や 肺 には 集 積 は<br />

なく、 手 術 を 施 行 した。No.16b1latの 迅 速 病 理 検 査 で 転 移 はなく、 拡<br />

大 肝 左 葉 切 除 術 ( 中 肝 静 脈 、Spiegel…lobe 合 併 切 除 )+ 胆 摘 術 、D2を 施<br />

行 した。 左 肝 管 断 端 に 浸 潤 所 見 なく 胆 管 切 除 を 要 しなかった。 手 術 時<br />

間 7 時 間 46 分 、 切 除 肝 重 量 930g。 腫 瘍 は 嚢 胞 状 で 内 部 に 粘 液 を 貯 留 し<br />

灰 白 色 の 充 実 部 分 がみられた。 胆 管 内 発 育 型 ,…St-LMA,…H3,…11cm,…Eg,…<br />

Fc+,…Fc-Inf-,…Sf-,…S0,…Vp2,…Vv2,…Va1,…B2,…P0,…SM-,…NL,…T3N0M0…Stage…<br />

III。 病 理 像 では 拡 張 した 胆 管 内 に 著 明 な 粘 液 産 生 を 有 する 異 型 上 皮<br />

が 乳 頭 状 に 増 殖 し、intraductal…papillary…neoplasm…with…an…<br />

associated…invasive…carcinoma,n0と 診 断 された。ovarian-like…stroma<br />

はみられなかった。<br />

MSY6-8<br />

異 時 性 三 重 複 胆 道 癌 に 対 する 外 科 治 療<br />

徳 島 大 学 外 科<br />

○… 淺 野 間 理 仁 , 島 田 光 生 , 宇 都 宮 徹 , 居 村 暁 , 森 根 裕 二 ,<br />

池 本 哲 也 , 森 大 樹 , 花 岡 潤 , 金 本 真 美 , 杉 本 光 司 ,<br />

齋 藤 裕 , 山 田 眞 一 郎<br />

【はじめに】 三 重 複 胆 道 癌 の 報 告 は 同 時 性 1 例 のみで 異 時 性 の 報 告 は<br />

ない。また 再 発 に 関 してではあるが、 胆 道 癌 の 再 切 除 率 は1 割 程 度 と<br />

低 く 予 後 は 不 良 で、さらに、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 に 二 度 以 上 の 肝 切<br />

除 を 施 行 された 症 例 は2 例 しか 報 告 されていない。 今 回 我 々は、 異 時<br />

性 三 重 複 胆 道 癌 に 対 し、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 と、 二 度 にわたる 肝 切 除<br />

術 を 行 い、 根 治 を 得 られた 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】60<br />

歳 男 性 、1994 年 に 十 二 指 腸 潰 瘍 穿 孔 に 対 し 幽 門 側 胃 切 除 術 の 既 往 が<br />

あった。1997 年 に 中 部 胆 管 癌 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 他 院 で 施 行<br />

された(StageIII、 組 織 型 はpapillary…adenocarcinomaであった)。そ<br />

の 後 フォローアップされていたが、2005 年 に 肝 S6に 約 4cm 大 の 腫 瘤 を<br />

認 め、 転 移 を 疑 い 同 年 5 月 に 肝 S6 部 分 切 除 を 行 った( 手 術 時 間 6 時 間 7 分 、<br />

出 血 量 140ml)。 病 理 診 断 で はcholangiocellular…carcinoma(poorly…<br />

differentiated)であり、 異 時 性 重 複 癌 と 考 えられた。さらに2011 年 に<br />

は 胆 管 炎 を 繰 り 返 すようになり、 画 像 上 で 左 右 肝 管 分 岐 部 近 傍 に 胆 管<br />

途 絶 を 認 めた。 肝 門 部 胆 管 癌 の 診 断 で 同 年 3 月 に 肝 右 葉 切 除 、2 度 目 と<br />

なる 肝 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した。( 手 術 時 間 8 時 間 16 分 、 出 血 量 380ml)。<br />

病 理 診 断 はcholangiocellular…carcinoma(well…differentiated)であり、<br />

異 時 性 の 三 重 複 癌 であった。 術 後 経 過 は 良 好 で 特 記 すべき 合 併 症 は 認<br />

めなかった。 現 在 、 再 々 切 除 後 8か 月 無 再 発 生 存 中 ( 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

後 14 年 10カ 月 )である。【まとめ】 異 時 性 三 重 複 胆 道 癌 に 対 して、 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 や 右 葉 切 除 を 含 む 三 度 にわたる 切 除 を 行 い 根 治 を 得 られ<br />

る 症 例 もあり、 積 極 的 外 科 切 除 は 有 力 な 治 療 オプションとなり 得 る。<br />

MSY6-9 胆 嚢 管 高 位 合 流 を 伴 う 胆 嚢 癌 に 対 して 肝 中 央 2 区 域 ・<br />

尾 状 葉 切 除 術 を 行 った1 症 例<br />

三 菱 京 都 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 尾 池 文 隆 , 濱 口 雄 平 , 有 光 竜 樹 , 瀬 尾 智 , 岡 田 憲 幸<br />

進 行 胆 嚢 癌 手 術 における 予 防 的 胆 管 切 除 の 意 義 については 議 論 が 多<br />

い。 胆 管 切 除 の 有 無 にかかわらず 生 存 率 に 差 がないことより 否 定 的 な<br />

意 見 もある 一 方 、 組 織 学 的 な 神 経 周 囲 浸 潤 があった 場 合 、 胆 管 温 存 手<br />

術 症 例 では 長 期 生 存 はないのに 対 し、 胆 管 切 除 手 術 症 例 の5 年 生 存 率<br />

は46%であったとする 報 告 もある。 胆 管 切 除 の 適 応 については、 胆 管<br />

直 接 浸 潤 ばかりでなく、リンパ 節 郭 清 の 精 度 、さらに 神 経 周 囲 浸 潤 な<br />

ど 間 質 浸 潤 も 問 題 としなければならないが、これらを 考 慮 して 根 治 的<br />

な 切 除 を 行 ううえで 最 も 重 要 な 部 位 は、 胆 嚢 管 の 胆 管 合 流 部 であるこ<br />

とについては 言 を 待 たない。 一 方 、 胆 嚢 管 走 行 および 合 流 部 の 形 態 に<br />

は、 豊 富 なバリエーションが 存 在 するにもかかわらず、 胆 嚢 管 合 流 形<br />

態 が 根 治 術 式 に 与 える 要 因 についてディスカッションされたことは 少<br />

ない。 今 回 我 々は、 前 区 域 、 後 区 域 、 左 肝 管 が 合 流 するtrifurcation<br />

部 に、 胆 嚢 管 が 合 流 (いわばtetrafurcation)しているという 高 位 合 流<br />

形 態 をもつcHinf3 進 行 胆 嚢 癌 症 例 を 経 験 した。MRCPで 左 右 肝 管 ・ 胆<br />

嚢 管 合 流 部 に 軽 度 狭 窄 が 疑 われ、CTで 壁 肥 厚 がみられることから 浸<br />

潤 が 否 定 できない 所 見 であったため、 肝 門 部 胆 管 癌 に 準 じ 尾 状 葉 グリ<br />

ソンを 含 めた 肝 門 板 の 切 除 が 必 要 と 判 断 した。 右 葉 切 除 には 残 肝 容 量<br />

が 小 さく 腫 瘍 増 大 速 度 も 早 かったため、 肝 中 央 2 区 域 ・ 尾 状 葉 切 除 、<br />

肝 外 胆 管 切 除 術 を 選 択 した。 胆 道 癌 取 扱 い 規 約 による 分 類 では、pSS,…<br />

pHinf2,…pN0,…H0,…pBinf0,…pPV0,…pA0,…M( - ), …fStageIVa。 結 果 的 には、<br />

リンパ 節 転 移 、 胆 管 浸 潤 、 肝 十 二 指 腸 間 膜 浸 潤 を 認 めなかった。 実<br />

質 切 離 面 積 が 広 いため 手 術 時 間 (10 時 間 12 分 )・ 出 血 量 (1085g)がかさ<br />

み、 左 右 とも 残 肝 を 残 す 状 況 で 下 大 静 脈 から 完 全 に 授 動 する 必 要 があ<br />

るのでやや 煩 雑 な 手 技 ではあるが、 残 肝 阻 血 ・うっ 血 ・ 胆 汁 うっ 滞 の<br />

無 い 系 統 的 切 除 で 術 後 出 血 や 胆 汁 漏 の 心 配 がなく、 再 建 も 後 区 域 肝 管<br />

と 左 肝 管 の2 穴 を 空 腸 に 吻 合 するsimpleなものである。 十 分 な 残 肝 容<br />

量 もあり 術 後 は 順 調 に 回 復 、 現 在 術 後 3ヶ 月 を 経 過 し 補 助 化 学 療 法 施<br />

行 中 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-261-


MSY6-10<br />

胆 嚢 癌 術 後 1 年 7ヶ 月 で 見 つかった 膵 頭 部 領 域 異 時<br />

性 重 複 癌 の 一 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 梶 山 英 樹 , 太 田 岳 洋 , 樋 口 亮 太 , 谷 澤 武 久 , 小 貫 建 一 郎 ,<br />

植 村 修 一 郎 , 山 本 雅 一<br />

(はじめに) 胆 嚢 癌 、 胆 道 癌 は 生 命 予 後 の 悪 さから 重 複 癌 に 関 する 報 告<br />

は 少 ない。 今 回 我 々は 胆 嚢 癌 術 後 1 年 7ヶ 月 で 見 つかった 膵 頭 部 領 域 癌<br />

並 びに 腹 腔 動 脈 周 囲 リンパ 節 転 移 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する( 症<br />

例 )75 歳 男 性 。 糖 尿 病 で 近 医 受 診 し 採 血 で 黄 疸 指 摘 。CT、ERCPで 精<br />

査 の 上 、 胆 嚢 頚 部 にφ3cm 大 のSOLと 胆 汁 細 胞 診 class…5、 胆 嚢 癌 の 診<br />

断 の 基 当 院 当 科 紹 介 受 診 。 入 院 時 T/D-bil:1.8/1.4,ALP:718,γ<br />

-GTP:354と 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 あり、CEA:5.7,CA19-9:365と 上 昇 。<br />

平 成 22 年 2 月 肝 右 葉 切 除 肝 外 胆 道 切 除 再 建 施 行 。 病 理 所 見<br />

patGn,35x20x20mm,tub2,INFβ,int,ly2,v2,pn2,pHinf1a,pBinf2,pPV0,pA<br />

0,pN2(#8a,#12b2),pBM0,pHM0,pEM0,pT4,pStage…4b, 胆 石 ・ 合 流 異 常<br />

な し、D2,Cur…B、 免 疫 染 色 :CEA(+),CA19-9(+),CK7(+),CK19<br />

(+),CK20(+),MUC1(+),MUC2(+),MUC5AC(+),MUC695(+)。 術 後 、<br />

免 疫 療 法 ( 温 熱 療 法 、 樹 状 細 胞 ワクチン 療 法 、 活 性 化 自 己 リンパ 球 療 法 )<br />

施 行 。 以 後 明 らかな 再 発 所 見 なし。 平 成 23 年 7 月 、CTでφ1cm 大 の#9<br />

リンパ 節 指 摘 。CEA 正 常 、CA19-9:62と 軽 度 上 昇 。8 月 繰 り 返 す 嘔 吐<br />

で 緊 急 入 院 。その 際 にCTで#9が3cm 大 に 増 大 。リンパ 節 再 発 を 疑 い9<br />

月 PET-CT 施 行 。#9には 全 く 集 積 せず、 膵 頭 部 にφ13mm 大 の 高 集 積<br />

を 認 めた。 精 査 の 上 、 下 部 胆 管 癌 ・#9リンパ 節 転 移 疑 いで 手 術 目 的<br />

に10 月 再 入 院 。( 手 術 )SSPPDおよび#9リンパ 節 郭 清 。 病 理 所 見<br />

patBi,15mm,tub2,INFβ,int,ly2,v2,pn3,pPanc1b,pPV0,pA0,pN3<br />

(#9,#13a),pEM0,pT3,pStage…4b,D2+#9、 免 疫 染 色 :CEA(+),CA19-9<br />

(+),CK7( ± ),CK19(+),CK20( ± ),MUC1(+),MUC2( ± ),MUC5AC<br />

(+),MUC695(+)、#9リ ン パ 節 免 疫 染 色 CEA(+),CA19-9(+),CK7<br />

(+),CK19(+),CK20( ± ),MUC1(+),MUC2( ± )、MUC5AC(+)、<br />

MUC695(+)であり#9リンパ 節 は 今 回 の 標 本 に 類 似 していたが 由 来 を<br />

断 定 することは 困 難 。( 結 語 ) 今 回 、 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 を 伴 わない 胆 嚢<br />

癌 と 胆 管 癌 の 異 時 性 重 複 癌 を 経 験 した。また、いずれの 癌 由 来 でも3<br />

群 リンパ 節 転 移 であり、これを 郭 清 した。 胆 道 癌 の3 群 リンパ 節 陽 性<br />

例 の 予 後 は 極 めて 悪 く、 議 論 を 要 すところである。 抄 録 提 出 時 におい<br />

ては 術 後 2ヶ 月 で 無 再 発 だが、 今 後 の 転 帰 と、 手 術 適 応 を 始 め 若 干 の<br />

文 献 的 考 察 をもとに 報 告 したい。<br />

MSY7-1<br />

胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 再 発 に 対 する 治 療 : 抗 癌 剤 無 効 例 に<br />

対 する 切 除 療 法 はどこまで 追 及 されるべきか<br />

1<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 、 2 亀 田 第 一 病 院 外 科<br />

○… 高 野 可 赴 1<br />

, 黒 崎 功 1<br />

, 皆 川 昌 広 1<br />

, 滝 沢 一 泰 1<br />

, 森 本 悠 太 1<br />

,<br />

仲 野 哲 也 1 2<br />

, 中 平 啓 子<br />

【はじめに】 胆 嚢 癌 の 肝 転 移 は 同 時 性 ・ 異 時 性 を 問 わず, 予 後 不 良 を<br />

示 す 強 い 臨 床 病 理 学 的 因 子 である. 近 年 はゲムシタビンを 含 んだ 多 剤<br />

併 用 療 法 の 有 効 性 が 指 摘 されているが, 奏 功 率 は15-20% 程 度 , 再 発<br />

後 MSTは6-10か 月 程 度 であり, 多 くの 高 度 進 行 胆 嚢 癌 および 再 発 例 に<br />

おける 予 後 は 改 善 されていない. 本 例 は 急 性 胆 嚢 炎 としての 単 純 胆 摘<br />

後 , 根 治 的 再 手 術 ,No.14vリンパ 節 転 移 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ,<br />

肝 転 移 に 対 して3 回 の 肝 切 除 および 肺 転 移 に 対 し 肺 部 分 切 除 を 施 行 し<br />

た. 各 手 術 の 間 にはGEM+CDDP,…GEM+TS1,…GEMOX 療 法 を 施 行 し<br />

たが 何 れも 無 効 であり, 判 断 に 苦 慮 しながら 外 科 切 除 を 選 択 し, 初 回<br />

手 術 から2 年 が 経 過 した. 抄 録 記 載 時 点 ではcancer-freeである. 本 例<br />

の 詳 細 を 報 告 し, 再 発 に 対 する 外 科 治 療 とそのdecision…makingにつ<br />

いて 考 察 を 加 えた.【 症 例 】54 歳 女 性 で, 右 季 肋 部 痛 で 発 症 した. 急<br />

性 胆 嚢 炎 の 診 断 にて 前 医 で 単 純 胆 摘 が 施 行 された. 病 理 診 断 は 胆 嚢 の<br />

腺 扁 平 上 皮 癌 (se,…Nx,…Mx)であった. 術 後 のPET-CTで 右 側 横 行 結 腸<br />

の 腹 側 に 一 か 所 のFDG 集 積 が 指 摘 された. 手 術 時 に 胆 汁 漏 出 を 認 め<br />

たことなどから 再 手 術 について 前 医 では 消 極 的 であった.しかし 比 較<br />

的 分 化 度 の 高 い 扁 平 上 皮 癌 成 分 であり,PSが 良 好 であることから 根<br />

治 切 除 の 方 針 とした. 術 中 所 見 で 癌 遺 残 は 大 網 と 右 側 横 行 結 腸 の 腹 側<br />

に 認 められ 拡 大 胆 摘 術 + 結 腸 部 分 切 除 を 施 行 した.その 後 3か 月 で<br />

No.14v 転 移 が 明 らかとなり, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 .その 後 の 計 3<br />

回 の 多 発 肝 転 移 では,その 切 除 に 対 して 主 治 医 間 で 判 断 が 分 かれたが,<br />

結 局 , 肝 右 葉 切 除 , 肝 内 側 区 域 切 除 , 外 側 区 域 部 分 切 除 を8か 月 間 に<br />

施 行 した.さらに 最 終 肝 切 除 から2か 月 後 に 右 肺 下 葉 の 肺 転 移 を 指 摘<br />

され 肺 部 分 切 除 が 施 行 された.その 後 5か 月 cancer-freeの 状 態 が 継 続<br />

している.【まとめ】 腺 扁 平 上 皮 癌 や 再 発 例 の 予 後 は 極 めて 不 良 であ<br />

るが, 病 理 学 的 特 徴 や 再 発 様 式 によっては 外 科 的 治 療 が 可 能 である 場<br />

合 がある. 腹 膜 播 種 を 認 めず,あまり 浸 潤 性 発 育 ではなかったことが<br />

多 数 回 の 切 除 を 可 能 にした 要 因 の 一 つと 考 えられた.それぞれの 再 発<br />

の 特 徴 を 十 分 に 把 握 して 治 療 法 を 選 択 すべきであると 思 われた.<br />

MSY7-2<br />

膵 管 胆 管 合 流 異 常 を 伴 わない 胆 管 拡 張 症 に 併 発 した<br />

胆 管 内 乳 頭 状 腺 癌 stageIVBの1 例<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 大 和 田 洋 平 , 小 林 昭 彦 , 黒 川 友 博 , 高 橋 遍 , 福 永 潔 ,<br />

小 田 竜 也 , 佐 々 木 亮 孝 , 大 河 内 信 弘<br />

症 例 は68 歳 女 性 。2004 年 、 生 体 腎 移 植 ドナー 術 前 検 査 で 胆 管 拡 張 を 指<br />

摘 された。ERCP、IDUSにて 精 査 を 行 うも 悪 性 腫 瘍 を 示 唆 する 所 見<br />

は 認 められず、また、 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 は 否 定 的 であり 経 過 観 察 の<br />

方 針 とした。2005 年 7 月 のMRIで 総 胆 管 拡 張 の 増 強 を 認 めたため 再 度<br />

ERCP、IDUS 施 行 したが 悪 性 腫 瘍 を 示 唆 する 所 見 は 認 められなかった。<br />

以 後 半 年 毎 にMRIを 施 行 し 経 過 観 察 していたが、 総 胆 管 拡 張 の 程 度 は<br />

著 変 なかった。2011 年 4 月 のCTで 肝 外 側 区 域 から 肝 外 に 突 出 する 嚢 胞<br />

性 腫 瘤 が 認 められた。MRIにおいても 肝 内 胆 管 、 肝 外 胆 管 のびまん 性<br />

拡 張 を 認 めた。また、 血 液 検 査 でこれまで 正 常 範 囲 で 経 過 していた 腫<br />

瘍 マーカーの 上 昇 を 認 めた。EUSでは 肝 左 葉 の 腫 瘤 は 境 界 不 明 瞭 、 内<br />

部 粗 造 な 構 造 であり、 腫 瘤 内 部 の 血 流 は 乏 しく 積 極 的 に 悪 性 を 疑 う 所<br />

見 は 認 められなかった。ERCPでは 総 胆 管 、 肝 内 胆 管 の 著 明 な 拡 張 を<br />

認 め、 胆 管 内 にはカテーテルの 接 触 により 容 易 に 変 形 する 陰 影 欠 損 像<br />

を 認 めた。 胆 汁 細 胞 診 では 悪 性 所 見 は 認 められなかった。 外 来 での 経<br />

過 観 察 を 継 続 したが、2011 年 8 月 のCTで 肝 外 側 区 域 の 嚢 胞 性 腫 瘤 は 更<br />

に 増 大 傾 向 を 認 めた。 同 病 変 はMRIにおいて、T2 強 調 画 像 で 乳 頭 状<br />

の 低 信 号 を 伴 い、dynamic…MRIでは 遅 延 相 にかけて 徐 々に 造 影 効 果<br />

を 認 めた。 以 上 よりintraductal…papillary…neoplasm…of…bile…ductが 強<br />

く 疑 われ、また、 経 時 的 に 腫 瘍 マーカーの 上 昇 を 認 めたため、 手 術 を<br />

行 う 方 針 となった。2011 年 9 月 、 拡 大 肝 左 葉 切 除 術 、 肝 外 胆 管 切 除 術<br />

を 施 行 した。 肉 眼 的 には 肝 S3 領 域 に75×40×30mmの 嚢 胞 性 病 変 を 認<br />

め、 内 部 に 黄 色 ゼリー 状 の 物 質 が 貯 留 し、やや 硬 い 白 色 領 域 が 混 在 し<br />

ていた。 組 織 学 的 には 胆 管 内 腔 に 乳 頭 状 に 増 殖 する 高 度 な 異 型 を 伴 う<br />

腫 瘍 細 胞 が み ら れ、Intraductal…papillary…neoplasm…with…an…<br />

associated…invasive…carcinomaと 診 断 された。 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 リン<br />

パ 節 ( 門 脈 に 沿 う)に 転 移 を 認 めstageIVBであった。 膵 管 胆 管 合 流 異<br />

常 を 伴 わない 胆 管 拡 張 症 に 併 発 した 胆 管 内 乳 頭 状 腺 癌 stageIVBの 稀<br />

な1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

MSY7-3 肝 門 部 胆 管 癌 術 後 Bacterialtranslocationを 合 併 し、<br />

肝 不 全 に 至 り 死 亡 した1 例<br />

福 山 市 民 病 院 外 科<br />

○… 日 置 勝 義 , 野 島 洋 樹 , 大 村 泰 之 , 佐 々 木 寛 , 井 谷 史 嗣 ,<br />

金 仁 洙 , 高 倉 範 尚<br />

経 皮 経 肝 門 脈 塞 栓 術 (PTPE) 後 に 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 を 施 行 し、 術 後<br />

Bacterial…translocation(BT)を 合 併 し、 肝 不 全 に 至 り 死 亡 した 症 例 を<br />

経 験 した。PTPEを 含 めた 手 術 適 応 、BTを 主 とした 合 併 症 に 対 する<br />

周 術 期 管 理 等 についてご 批 判 頂 きたい。【 症 例 】77 歳 男 性 。 身 長<br />

159cm、 体 重 67kg。 肝 胆 道 系 酵 素 上 昇 を 認 め、 当 院 紹 介 。 来 院 時 …<br />

T-Bil…1.2mg/dl、Alb…4.6g/dl、PT…113%、ICGR15…18.2%、k-ICG…0.141、<br />

Plt…18.9 万 /μ。 画 像 検 査 で 左 は 左 肝 管 から 分 岐 する 後 区 域 枝 分 岐 部 、<br />

右 は 左 右 分 岐 部 、 十 二 指 腸 側 は 上 部 胆 管 にかかる 胆 管 壁 肥 厚 を 認 め、<br />

左 肝 管 から 擦 過 細 胞 診 でclassIV。 肝 門 部 胆 管 癌 …Blcsr…circ… 結 節 浸 潤<br />

型 …1.5cm…S1…Hinf0…H0…Ginf0…Panc0…Du0…Pv0…A0…P0…N0…M0…StageIIと<br />

診 断 し、 肝 拡 大 右 葉 切 除 を 想 定 。CT…volumetry(CTv)で 全 肝 1171cc、<br />

切 除 予 定 肝 805cc(68.7%)。99mTc-GSA…ScintigraphyでHH15…0.550、<br />

LHL15…0.918、K-GSA…0.153。 兵 庫 医 大 予 後 得 点 76.7、 高 崎 の 式 による<br />

切 除 許 容 量 59.3%、 残 肝 予 想 k-ICG=0.044でPTPEを 先 行 した。PTPE<br />

はIpsi-lateralに 右 門 脈 塞 栓 。 門 脈 圧 (cmH…2…O)は 塞 栓 前 : 本 幹 18/17、<br />

左 枝 19/17、 塞 栓 後 : 本 幹 27/24、 左 枝 28/22。PTPE 後 約 3 週 で 肝 を 再<br />

評 価 し、T-Bil…0.7mg/dl、Alb…3.6g/dl、PT…104%、ICGR15…14.9%、<br />

k-ICG…0.152、Plt…23.1 万 /μ。CTvで 全 肝 1026cc、 切 除 予 定 肝 575cc<br />

(56.0%)。HH15…0.685、LHL15…0.886、K-GSA…0.129。 予 後 得 点 61.2、<br />

切 除 許 容 量 63.6%、 残 肝 予 想 k-ICG=0.067。【 手 術 所 見 】PTPE 後 30 日<br />

目 に 肝 拡 大 右 葉 切 除 … 胆 管 切 除 …D2…DM0…HM0…EM0…CurAを 施 行 。 手<br />

術 時 間 8:37… 出 血 量 1060ml【 術 後 経 過 】T-Bilは 翌 日 3.1…mg/dl、5 日 目<br />

に1.5…mg/dlに 減 少 したが、 同 日 に 嘔 吐 と 発 熱 出 現 し、 麻 痺 性 腸 閉 塞<br />

でイレウス 管 挿 入 。 血 液 培 養 でKl…pneumoniaeを 検 出 。 抗 生 剤 治 療 も、<br />

10 日 目 に 呼 吸 不 全 となり、ICU 入 室 。2 日 間 の 人 工 呼 吸 管 理 を 要 し、<br />

T-Bilは5.7…mg/dlに 上 昇 。 後 、 小 康 状 態 となり、16 日 目 にT-Bilも2.9…<br />

mg/dlまで 低 下 してICU 退 室 。20 日 目 に 敗 血 症 性 ショックとなり、<br />

ICU 再 入 室 し、CHDF 導 入 。 経 過 中 、 肝 を 含 め 腹 腔 内 に 膿 瘍 等 の<br />

Focusは 認 めなかったが、BTを 繰 り 返 した。CHDFからは 離 脱 したが、<br />

肝 不 全 進 行 し、52 日 目 に 死 亡 。<br />

-262-


MSY7-4<br />

CT 所 見 とERC/IDUS 所 見 の 乖 離 により 診 断 に 難 渋<br />

した 進 行 胆 嚢 癌 疑 いの1 例<br />

1<br />

神 戸 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 外 科 学 講 座 肝 胆 膵 外 科 学 分 野 、 2 神 戸<br />

大 学 医 学 部 付 属 病 院 病 理 診 断 学 科<br />

○… 篠 崎 健 太 1<br />

, 味 木 徹 夫 1<br />

, 上 野 公 彦 1<br />

, 沢 秀 博 1<br />

, 大 坪 出 1<br />

,<br />

村 上 冴 1<br />

, 吉 田 優 子 1<br />

, 新 関 亮 1<br />

, 外 山 博 近 1<br />

, 浅 利 貞 毅 1<br />

,<br />

後 藤 直 大 1<br />

, 木 戸 正 浩 1<br />

, 松 本 逸 平 1<br />

, 福 本 巧 1<br />

, 原 重 雄 2<br />

,<br />

伊 藤 智 雄 2 1<br />

, 具 英 成<br />

症 例 は42 歳 の 男 性 で、 嘔 吐 を 主 訴 に 前 医 を 受 診 した。 胃 十 二 指 腸 潰 瘍<br />

を 認 めたが 保 存 的 に 軽 快 し 経 過 観 察 されていた。3か 月 後 に 再 度 嘔 吐<br />

があり 前 医 を 再 受 診 したところ、 胆 嚢 腫 瘍 による 胆 管 狭 窄 、 十 二 指 腸<br />

狭 窄 を 疑 われ 当 科 に 紹 介 となった。CTで 肝 内 胆 管 の 拡 張 と 肝 門 部 か<br />

ら 胆 嚢 に 連 続 する 造 影 効 果 のある 腫 瘤 影 を 認 めた。 十 二 指 腸 下 行 脚 お<br />

よび 肝 門 部 門 脈 の 閉 塞 を 認 め、 腫 瘍 の 浸 潤 が 疑 われた。 一 方 、 内 視 鏡<br />

的 逆 行 性 胆 管 造 影 (ERC)では 上 部 胆 管 の 不 正 な 狭 小 化 を 認 めたが、 造<br />

影 により 胆 管 は 容 易 に 拡 張 し、 門 脈 閉 塞 に 伴 い 側 副 血 行 路 として 胆 管<br />

周 囲 静 脈 叢 が 瘤 化 し 壁 外 性 の 圧 迫 を 来 したものと 考 えられた。IDUS<br />

も 胆 管 外 に 嚢 胞 状 構 造 を 認 め、 静 脈 瘤 による 壁 外 性 の 圧 迫 を 支 持 する<br />

所 見 であった。PET-CTでは 胆 嚢 および 十 二 指 腸 下 行 脚 に 集 積 を 認 め<br />

た。 門 脈 塞 栓 の 原 因 としては、 先 天 性 凝 固 異 常 疾 患 、 自 己 免 疫 疾 患 は<br />

否 定 的 であったため、 胆 道 癌 あるいは 慢 性 胆 嚢 炎 の 波 及 を 疑 った。 胆<br />

汁 細 胞 診 を4 回 施 行 したが、いずれも 悪 性 所 見 は 得 られなかった。 腫<br />

瘍 マーカーはCEA、CA19-9とも 施 設 基 準 値 以 下 であった。 以 上 のこ<br />

とから(1) 広 範 囲 浸 潤 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 、(2) 門 脈 閉 塞 に 伴 う 胆 管 周<br />

囲 静 脈 瘤 が 考 えられたが、 良 性 の 可 能 性 も 十 分 に 考 えられ 厳 重 に 経 過<br />

観 察 する 方 針 とした。1か 月 後 に 再 度 黄 疸 、 嘔 吐 を 認 め 再 入 院 した 際<br />

には、CTで 腹 膜 転 移 を 疑 う 結 節 を 認 め、CA19-9が869U/mlまで 上 昇<br />

していた。PTBDで 減 黄 および 胆 管 炎 のコントロールを 行 った 後 、<br />

十 二 指 腸 狭 窄 の 解 除 および 診 断 のため 開 腹 手 術 を 施 行 した。 腹 腔 内 に<br />

は 広 範 に 腹 膜 転 移 を 認 め、 術 中 迅 速 病 理 診 断 で 腺 癌 と 診 断 された。 胃<br />

空 腸 吻 合 、Braun 吻 合 を 行 った。 現 在 ゲムシタビン、シスプラチン 併<br />

用 化 学 療 法 を 施 行 中 である。 本 症 例 では、 非 典 型 的 な 画 像 所 見 を 呈 し、<br />

CT 所 見 とERC/IDUS 所 見 に 乖 離 が 生 じたため 診 断 に 難 渋 した。 最 終<br />

診 断 として 胆 嚢 癌 が 第 一 に 考 えられたが、 胆 管 癌 、 原 発 不 明 癌 等 との<br />

鑑 別 についてさらに 病 理 組 織 学 的 に 検 討 中 である。 示 唆 に 富 む 症 例 で<br />

あり、 若 干 の 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

MSY7-5<br />

十 二 指 腸 癌 の 網 嚢 内 穿 孔 による 腹 腔 内 膿 瘍 に 対 し 経<br />

胃 的 ドレナージを 施 行 したのち 根 治 術 を 施 行 した 一<br />

例<br />

田 附 興 風 会 北 野 病 院 外 科<br />

○… 門 野 賢 太 郎 , 寺 嶋 宏 明 , 川 本 浩 史 , 戸 田 怜 , 井 上 善 景 ,<br />

吉 冨 摩 美 , 飯 田 拓 , 尾 崎 信 弘<br />

症 例 は61 歳 男 性 。 腹 痛 にて 受 診 し、CTにて 網 嚢 腔 に 脂 肪 組 織 の 濃 度<br />

上 昇 と 液 体 貯 留 などの 炎 症 所 見 を 認 めた。 入 院 後 絶 食 、 抗 生 剤 投 与 に<br />

よる 保 存 的 加 療 を 開 始 した。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 にて 十 二 指 腸 下 行 脚 に<br />

潰 瘍 限 局 型 の 腫 瘍 病 変 を 認 め、 生 検 にて 腺 癌 が 検 出 され、 十 二 指 腸 癌<br />

穿 孔 による 腹 腔 内 膿 瘍 と 診 断 した。 後 日 、 超 音 波 内 視 鏡 下 による 経 胃<br />

的 アプローチで、 内 瘻 tube、および 経 鼻 的 外 瘻 tubeにて、ドレナージ<br />

を 開 始 、 炎 症 反 応 の 改 善 を 認 めた。 後 は、ドレナージ 留 置 孔 より 内 視<br />

鏡 的 膿 瘍 内 腔 debridementも 施 行 した。さらに 膿 瘍 深 部 に 外 瘻 tubeを<br />

1 本 追 加 した。その 後 外 瘻 tubeからの 洗 浄 を 繰 り 返 した。また 洗 浄 液<br />

を 細 胞 診 に 提 出 するも、 悪 性 所 見 は 認 められなかった。 徐 々に 炎 症 所<br />

見 は 改 善 し、 外 瘻 tubeを 抜 去 し、 食 事 開 始 後 も 増 悪 がないことを、 確<br />

認 し、 治 療 開 始 から 約 2ヶ 月 にて 一 度 退 院 となった。 根 治 には 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 が 必 要 と 考 えたが、 穿 孔 による 腹 膜 播 種 の 出 現 の 可 能<br />

性 が 高 く、また 手 術 自 体 も 腹 腔 内 感 染 の 影 響 で 難 渋 すると 思 われたた<br />

め、5ヵ 月 間 外 来 にてフォローアップを 行 ったが、 徐 々に 膿 瘍 は 縮 小 し、<br />

また 播 種 を 疑 う 病 変 の 出 現 もなかったため、 切 除 を 行 う 方 針 となった。<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 手 術 時 間 11 時 間 56 分 、 出 血 1459ml)を 施 行 した。<br />

術 中 所 見 では 明 らかな 腹 膜 播 種 を 認 めず、 洗 浄 細 胞 診 も 陰 性 であった。<br />

横 行 結 腸 間 膜 前 面 の 中 結 腸 動 脈 根 部 から 膵 頭 部 前 面 にかけ 約 15mm 程<br />

度 の 退 縮 した 膿 瘍 を 認 め、 膿 瘍 内 に 内 瘻 tubeの 先 端 を 認 めた。また 中<br />

結 腸 動 脈 根 部 は 仮 性 動 脈 瘤 化 しており、 流 入 流 出 路 を 処 理 し、 開 窓 し<br />

た。 術 後 は 創 感 染 を 認 めたが、その 他 縫 合 不 全 など 明 らかな 合 併 症 は<br />

認 めず、 術 後 第 30 病 日 に 退 院 となる。 病 理 所 見 では 十 二 指 腸 固 有 筋 層<br />

を 越 え、 膵 実 質 に 浸 潤 する 低 分 化 腺 癌 を 認 めた。 本 例 では、 手 術 を 行<br />

うタイミングに 苦 慮 し、 結 果 的 には 安 全 にかつ 根 治 的 切 除 が 可 能 で<br />

あった。 稀 な 術 前 治 療 を 経 験 したため、 報 告 するとともに 検 討 を 行 い<br />

たい。<br />

MSY7-6<br />

診 断 、 治 療 方 針 に 苦 慮 した 膵 内 分 泌 腫 瘍 肝 転 移 の 症 例<br />

神 戸 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 門 脇 嘉 彦 , 大 鶴 徹 , 西 村 健 , 湯 淺 壮 司 , 田 村 竜 二 ,<br />

岡 本 貴 大 , 石 堂 展 宏 , 森 隆<br />

昨 今 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 の 治 療 に 関 して 話 題 に 上 がることが 多 い。 大 きく<br />

は 機 能 性 腫 瘍 と 無 機 能 性 腫 瘍 に 分 けられるが 悪 性 度 もさまざまである<br />

ため、 診 断 および 治 療 方 針 に 苦 慮 する 場 合 も 少 なくない。 今 回 我 々は、<br />

同 時 性 多 発 肝 転 移 を 有 する 膵 頭 部 内 分 泌 腫 瘍 の 治 療 方 針 について 何 度<br />

もカンファレンスを 繰 り 返 しながら 治 療 継 続 している 症 例 を 提 示 し、<br />

経 験 豊 富 な 先 生 方 に 再 検 討 していただきたいと 思 っている。 症 例 は45<br />

歳 、 男 性 。 糖 尿 病 および 高 血 圧 にて 近 医 でフォローされていたが、<br />

2009.12の 検 診 にて 肝 機 能 異 常 を 指 摘 されたが、そのまま 経 過 観 察 さ<br />

れてたが 改 善 なく 黄 疸 も 認 めたため、2010.2に 当 院 消 化 器 内 科 に 紹 介<br />

となった。CT,…US,…MRCPなどで 膵 頭 部 癌 の 肝 転 移 を 指 摘 されたもの<br />

の、 造 影 CTにて 腫 瘍 が 造 影 され 通 常 型 膵 管 上 皮 癌 としては 非 典 型 と<br />

思 われ、2010.3…PET 検 査 を 追 加 されたが、islet…cell…tumorかgroove…<br />

pancreatitisの 鑑 別 には 至 らず、 開 腹 下 の 肝 腫 瘍 生 検 を 行 い 迅 速 にて<br />

内 分 泌 腫 瘍 の 結 果 を 得 たため、 胆 嚢 摘 出 だけ 行 った。その 後 S1 内 服<br />

にて 肝 転 移 は 縮 小 したものの、ERBDの 閉 塞 と 胆 管 炎 を4 回 も 繰 り 返<br />

したため、 肝 転 移 の 存 在 や 膵 体 尾 部 の 極 度 の 委 縮 があるものの2010.7<br />

に 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 現 在 、インシュリン 投<br />

与 なく、 胆 管 炎 無 再 発 で、サンドスタチンも 含 めた 化 学 療 法 を 続 けら<br />

れており、、 病 状 の 悪 化 なく 治 療 中 である。 同 時 性 肝 転 移 のある 膵 頭<br />

部 内 分 泌 腫 瘍 に 対 して、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 したことが 妥 当 で<br />

あったのかどうかを 含 め、ご 意 見 を 請 いたい。<br />

MSY7-7<br />

当 科 におけるSolid-pseudopapillarytumor 切 除 例<br />

の 検 討<br />

1<br />

旭 川 医 科 大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 病 態 外 科 学 分 野 、 2 旭 川 医 科<br />

大 学 病 院 病 理 部<br />

○… 永 生 高 広 1<br />

, 唐 崎 秀 則 1<br />

, 渡 邉 賢 二 1<br />

, 今 井 浩 二 1<br />

,<br />

谷 口 雅 彦 1<br />

, 三 代 川 斉 之 2 1<br />

, 古 川 博 之<br />

【はじめに】Solid-pseudopapillary…tumor( 以 下 SPT)は 若 年 女 性 に 好<br />

発 する 稀 な 膵 腫 瘍 でほとんどの 症 例 が 良 性 の 経 過 をたどるが 肝 転 移 や<br />

リンパ 節 転 移 を 伴 う 症 例 もありlow…grade…malignancyと 位 置 づけられ<br />

る。 治 療 方 針 としては 切 除 が 推 奨 され、 膵 頭 部 病 変 に 対 しては 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 が、 膵 体 尾 部 の 病 変 に 対 しては 膵 体 尾 部 切 除 が 標 準 手 術<br />

となるが、 生 物 学 的 な 性 質 として 悪 性 度 が 低 いことを 考 慮 すれば、 多<br />

くの 症 例 では 腫 瘍 核 出 術 のみでも 再 発 のリスクはそれほど 高 くないと<br />

考 えられる。 今 回 、 自 験 例 の 検 討 からSPTに 対 する 至 適 術 式 について<br />

考 察 した。【 対 象 と 方 法 】1994 年 1 月 から2011 年 11 月 までの 間 に 当 科 で<br />

切 除 したSPT 切 除 例 6 例 。に 対 して(1) 術 前 診 断 と 術 後 診 断 の 対 比 (2)<br />

画 像 所 見 の 特 徴 (3) 術 式 (4) 病 理 組 織 所 見 (5) 予 後 に 関 して 検 討 を 実 施 。<br />

【 結 果 】 対 象 症 例 は6 例 で 全 例 女 性 。 年 齢 は26 歳 から45 歳 まで 平 均 36 歳 。<br />

病 変 の 存 在 部 位 は 膵 頭 部 2 例 、 膵 体 部 1 例 、 膵 尾 部 3 例 で 腫 瘍 径 は6.7mm<br />

から76.0mm(30.9±30.30mm)。6 例 中 5 例 は 膵 外 に 突 出 するように 発 育 。<br />

被 膜 形 成 と 石 灰 化 を4 例 に 認 め、 嚢 胞 成 分 と 充 実 成 分 は 全 例 に 認 めら<br />

れた。 腫 瘍 と 膵 実 質 との 境 界 は6 例 中 4 例 で 不 明 瞭 。 主 膵 管 は1 例 で 途 絶 、<br />

3 例 で 圧 排 、1 例 で 狭 窄 所 見 を 認 めた。 手 術 は 膵 頭 部 病 変 の 一 例 に 対 し<br />

核 出 術 を 施 行 した 以 外 は 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 もしくは 膵 体<br />

尾 部 切 除 が 施 行 された。 組 織 上 は 全 例 腫 瘍 と 膵 実 質 との 間 には 被 膜 形<br />

成 を6 例 中 5 例 認 め、 被 膜 を 超 えた 膵 実 質 への 微 小 浸 潤 所 見 が 認 められ<br />

た。 画 像 上 被 膜 形 成 を 認 めなかった2 例 中 1 例 に 約 7mm 膵 実 質 への 浸<br />

潤 を 認 めた。 膵 外 突 出 部 分 では 被 膜 形 成 は 明 瞭 であったが、 腫 瘍 の 被<br />

膜 最 外 層 近 傍 までの 浸 潤 を 認 めた。また1 例 で 脾 動 脈 への 浸 潤 を、3 例<br />

で 神 経 周 囲 浸 潤 を 認 めた。リンパ 節 転 移 は 全 例 で 認 めなかった。 術 後<br />

観 察 期 間 の 中 央 値 は79か 月 (4~188か 月 )で 全 例 が 無 再 発 生 存 中 である。<br />

【 結 語 】SPTは 被 膜 形 成 があっても 被 膜 浸 潤 、 膵 実 質 への 浸 潤 を 高 率<br />

に 伴 う。 遠 隔 転 移 が 乏 しいことが 良 好 な 予 後 の 原 因 と 思 われるが、 明<br />

らかな 被 膜 外 増 殖 傾 向 を 有 する 腫 瘍 であり、 縮 小 手 術 を 施 行 する 際 に<br />

は 十 分 な 切 除 断 端 を 確 保 することが 重 要 であると 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-263-


MSY7-8<br />

膵 体 尾 部 IPMNに 併 存 した 膵 体 部 癌 の1 例<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科 部<br />

○… 二 宮 豪 , 清 水 泰 博 , 佐 野 力 , 千 田 嘉 毅 , 小 森 康 司 ,<br />

川 合 亮 佑 , 大 澤 高 陽 , 二 村 雄 次<br />

【 症 例 】 症 例 は77 歳 の 男 性 。…2011 年 3 月 糖 尿 病 にて 他 院 通 院 中 に、 膵<br />

体 部 の 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され、 精 査 目 的 に 当 院 紹 介 となった。<br />

来 院 時 に 急 性 膵 炎 を 発 症 しており、 入 院 加 療 となった。【 画 像 診 断 】<br />

膵 炎 の 炎 症 反 応 消 退 後 精 査 した。CT,EUSでは 門 脈 左 縁 より 少 し 左 側<br />

に 直 径 12mmの 腫 瘍 が 存 在 し、EUS-FNAでadenocarcinomaと 診 断 さ<br />

れた。 腫 瘍 より 尾 側 の 主 膵 管 は10mmと 拡 張 しており、 分 枝 膵 管 の 拡<br />

張 による 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 が 存 在 した。 膵 体 部 腫 瘍 の 右 縁 は 門 脈 左 縁<br />

におよび、 胃 十 二 指 腸 動 脈 と 近 接 しており、 上 腸 間 膜 静 脈 から 脾 静 脈<br />

合 流 部 に 一 部 浸 潤 が 疑 われた。 以 上 より、 膵 体 尾 部 IPMNに 併 存 した<br />

膵 癌 またはIPMNに 由 来 する 膵 癌 と 診 断 した。【 予 定 術 式 】 切 除 術 式<br />

について、1: 膵 全 摘 術 、2: 膵 尾 部 を 温 存 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 、3:<br />

膵 体 尾 部 亜 全 摘 術 について 検 討 した。1:QOLの 低 下 が 危 惧 された2:<br />

膵 尾 部 IPMNが 遺 残 し、 術 中 迅 速 診 断 の 結 果 では、 膵 全 摘 となる 可 能<br />

性 があった。3: 膵 頭 部 周 囲 リンパ 節 の 郭 清 が 不 十 分 になる。 以 上 の<br />

問 題 があった。【 手 術 】 尾 側 膵 亜 全 摘 ・ 脾 切 除 を 選 択 した。 膵 体 部 癌<br />

と 近 接 する 胃 十 二 指 腸 動 脈 は 結 紮 切 離 し, 総 胆 管 は 膵 上 縁 でテーピン<br />

グした。 膵 切 離 は 前 上 膵 十 二 指 腸 動 脈 右 側 で 総 胆 管 左 側 に 沿 って 行 っ<br />

た。 主 膵 管 は 同 定 し、 結 紮 した。 膵 管 断 端 は 術 中 迅 速 診 断 で 陰 性 であっ<br />

た。 術 後 Grade…Bの 膵 液 瘻 を 認 めたが、 血 糖 コントロールは 安 定 して<br />

いた。【 病 理 所 見 】Pbh,…TS2(2.5×2.3cm),…CH(-),…DU(-),S(+),…RP<br />

(+),PV(-),…A( - ), …P L( - ), …O O( - …PCM(-),…BCM(-),…DPM(-),…T3,…N0,…<br />

M0,…StageIII 第 6 版 膵 癌 取 扱 い 規 約 )であった。… 膵 体 尾 部 では、 主 膵 管<br />

から 分 枝 膵 管 にIPMNが 存 在 し、 所 々で 上 皮 内 癌 の 所 見 を 認 めた。<br />

MSY7-9<br />

特 発 性 慢 性 膵 炎 膵 石 症 に 発 生 したIPMN 由 来 浸 潤 癌<br />

と 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 し 膵 全 摘 を 施 行 した1 例<br />

1<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 京 女 子 医 科 大 学 統 合 医 科<br />

学 研 究 所<br />

○… 君 島 映 1<br />

, 羽 鳥 隆 1<br />

, 大 島 奈 々 1 , 古 川 徹 2 1<br />

, 山 本 雅 一<br />

【はじめに】 特 発 性 慢 性 膵 炎 ではアルコール 性 慢 性 膵 炎 に 比 較 すると<br />

膵 癌 発 症 の 頻 度 が 高 く,その 経 過 観 察 においては 厳 重 な 注 意 が 必 要 で<br />

あるが, 今 回 , 我 々は 特 発 性 慢 性 膵 炎 膵 石 症 の 経 過 観 察 中 に 膵 管 内 乳 頭<br />

粘 液 性 腫 瘍 (IPMN) 由 来 浸 潤 癌 と 通 常 型 の 浸 潤 性 膵 管 癌 を 認 めた 症 例<br />

に 対 し 幽 門 輪 温 存 膵 全 摘 を 施 行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症<br />

例 】50 歳 代 の 女 性 , 飲 酒 歴 は 機 会 飲 酒 であった.15 歳 時 に 急 性 膵 炎 発 作<br />

を 認 め 保 存 的 に 改 善 した 既 往 歴 があった.40 歳 代 の 時 に 全 身 倦 怠 感 を<br />

主 訴 に 精 査 施 行 したところ 特 発 性 慢 性 膵 炎 , 膵 石 症 , 糖 尿 病 と 診 断 され,<br />

以 後 , 症 状 はなかったが, 定 期 的 に 検 査 を 行 っていたところ, 経 過 観 察 か<br />

ら11 年 後 にCEAの 上 昇 と 急 性 膵 炎 発 作 を 認 めるようになった. 精 査 で<br />

は 膵 頭 部 主 膵 管 内 に 充 満 する 膵 石 を 認 め, 膵 体 尾 部 主 膵 管 は10mm 程 度<br />

に 拡 張 し 分 枝 膵 管 は 多 房 性 嚢 胞 状 に 拡 張 しており, 慢 性 膵 炎 に 伴 う 拡<br />

張 だけでなくIPMNの 可 能 性 も 示 唆 された. 膵 液 細 胞 診 で 悪 性 所 見 は 認<br />

められなかったが, 若 年 発 症 の 特 発 性 慢 性 膵 炎 膵 石 症 で 混 合 型 IPMNを<br />

疑 う 尾 側 膵 管 の 嚢 胞 状 拡 張 を 認 めたことから, 癌 併 存 の 可 能 性 を 考 慮<br />

し, 十 分 なinformed…consentを 行 った 後 , 幽 門 輪 温 存 膵 全 摘 を 施 行 し<br />

た. 病 理 検 査 では 膵 頭 部 にIPMN 由 来 浸 潤 癌 を 認 め,また, 膵 体 部 には 通<br />

常 の 浸 潤 性 膵 管 癌 を 認 めた. 共 にTS1,T2,…N0,Stage2であり,R0 切 除 で<br />

あった.【まとめ】 特 発 性 慢 性 膵 炎 膵 石 症 では, 膵 癌 発 症 の 危 険 性 を 常<br />

に 念 頭 においた 対 応 が 必 要 であり, 症 状 出 現 時 や 形 態 的 変 化 が 認 めら<br />

れるようになった 場 合 には, 積 極 的 外 科 切 除 を 提 示 することが 必 要 で<br />

あり, 特 発 性 慢 性 膵 炎 膵 石 症 の 診 療 において 示 唆 に 富 む 症 例 と 考 えら<br />

れた.<br />

MSY7-10<br />

膵 臓 移 植 時 における、 大 動 脈 - 膵 グラフト 動 脈 吻 合 時<br />

の 注 意 点<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学 、 3 大 阪 大 学 大 学 院 生 体 機 能 補 完 医 学<br />

○… 川 本 弘 一 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

,<br />

小 林 省 吾 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 森 正 樹 1<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

,<br />

伊 藤 壽 記 3 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

膵 臓 移 植 は1 型 糖 尿 病 に 対 する 根 治 療 法 として 本 邦 でも 症 例 が 蓄 積 し<br />

ており、 脳 死 下 臓 器 移 植 法 施 行 後 の 膵 臓 移 植 症 例 数 は100 例 を 超 える。<br />

通 常 、 膵 グラフトの 動 脈 ( 腹 腔 動 脈 および 上 腸 間 膜 動 脈 )は、レシピエ<br />

ントの 右 外 腸 骨 動 脈 ないしは 総 腸 骨 動 脈 に 吻 合 するが、 高 度 石 灰 化 、<br />

閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 、 腎 移 植 後 のため 同 部 への 膵 臓 移 植 が 不 可 能 である<br />

場 合 、 左 腸 骨 動 脈 ないしは 腹 部 大 動 脈 での 吻 合 を 考 慮 する。 現 在 まで<br />

に、 当 院 で 膵 臓 移 植 を 受 けた24 例 中 、2 例 において 腸 骨 動 脈 の 高 度 石<br />

灰 化 等 が 理 由 で 大 動 脈 吻 合 を 施 行 した。 大 動 脈 吻 合 時 の 注 意 点 につい<br />

て 報 告 する。< 症 例 1>1 型 糖 尿 病 および 糖 尿 病 性 腎 症 による 慢 性 腎 不<br />

全 にて 透 析 状 態 の 症 例 に 対 し、2010 年 12 月 に 脳 死 下 膵 腎 同 時 移 植 を 施<br />

行 した。 両 側 腸 骨 動 脈 の 高 度 石 灰 化 のため、 大 動 脈 吻 合 の 方 針 となっ<br />

た。 膵 グラフト 吻 合 時 に、 大 動 脈 クランプによる 腸 骨 動 脈 血 流 低 下 の<br />

恐 れがあるため、 膵 移 植 を 先 行 した。< 症 例 2>1 型 糖 尿 病 および 糖 尿<br />

病 性 腎 症 による 慢 性 腎 不 全 にて 透 析 状 態 であったが、 生 体 腎 移 植 を 受<br />

けて 透 析 を 離 脱 している 症 例 に 対 し、2011 年 、9 月 に 脳 死 下 腎 移 植 後<br />

膵 臓 移 植 を 施 行 した。 右 腸 骨 動 脈 は 閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 に 対 する 右 外 腸<br />

骨 - 大 腿 動 脈 、 大 腿 動 脈 - 膝 窩 動 脈 バイパス 術 後 のため、 左 腸 骨 窩 には<br />

腎 グラフトが 存 在 するため、 大 動 脈 吻 合 の 方 針 となった。 中 下 腹 部 正<br />

中 切 開 にて 開 腹 、 腎 下 部 で 腹 部 大 動 脈 をテーピングした。 腹 部 大 動 脈<br />

クランプ 時 の 腎 グラフト 血 流 を 維 持 するため、 術 中 、 一 過 性 に 左 腋 窩<br />

- 左 大 腿 動 脈 バイバスをおいて、 腹 部 大 動 脈 をクランプの 上 、 動 脈 吻<br />

合 を 施 行 した。 術 後 、 腎 機 能 悪 化 を 認 めず、 問 題 なく 退 院 した。 膵 移 植 における 大 動 脈 吻 合 については、(1) 膵 腎 同 時 移 植 の 場 合<br />

は 膵 移 植 を 先 行 すること、(2) 腎 移 植 後 膵 臓 移 植 の 場 合 は、 術 中 腋 窩 -<br />

大 腿 動 脈 バイパスを 用 いて、グラフト 腎 の 温 阻 血 を 回 避 する 方 法 が 有<br />

効 であった。<br />

MSY8-1<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 後 膵 液 瘻 における 危 険 因 子 の 検 討 と<br />

対 策<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 杉 本 元 一 , 後 藤 田 直 人 , 加 藤 祐 一 郎 , 高 橋 進 一 郎 ,<br />

木 下 敬 弘 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

【はじめに】 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP)では 術 後 膵 液 瘻 (PF)の 発 生 頻 度 は<br />

高 く、 未 だ 克 服 されていない。【 目 的 】DP-PFの 危 険 因 子 を 検 討 し 対<br />

策 について 考 察 する。【 方 法 】2006 年 11 月 より2011 年 12 月 の 間 に 当 院<br />

でDPを 施 行 した119 例 ( 全 例 閉 鎖 ドレーン 留 置 )において、ISGPF 基 準<br />

におけるGradeB/CをPF 群 、それ 以 外 をNon-PF 群 とし、 臨 床 病 理 学<br />

的 特 徴 および 膵 液 瘻 のリスク 因 子 について 後 方 視 的 に 検 討 した。【 結<br />

果 】PF 群 60 例 (GradeC 症 例 なし)、Non-PF 群 59 例 で、 年 齢 、 性 別 、<br />

対 象 疾 患 など 背 景 因 子 や 手 術 因 子 には 有 意 差 を 認 めず、 胃 癌 に 対 する<br />

膵 脾 合 併 切 除 29 例 を 含 め 消 化 管 合 併 切 除 例 においてもPF 発 生 に 有 意<br />

な 増 加 は 見 られなかったが、PF 群 では 術 後 入 院 日 数 が 有 意 に 延 長 し<br />

ていた(PF:Non-PF;…31.6 日 :12.5 日 ,…p


MSY8-2<br />

尾 側 膵 切 除 における 膵 液 漏 の 検 討<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科<br />

○… 東 垂 水 久 美 子 , 磯 谷 正 敏 , 原 田 徹 , 金 岡 祐 次 ,<br />

亀 井 桂 太 郎 , 前 田 敦 行 , 高 山 祐 一<br />

【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 の 術 後 死 亡 率 は 低 いが 術 後 合 併 症 の 発 生 率 は22~<br />

47%と 高 く, 膵 液 漏 に 限 っては5~30%との 報 告 もある. 当 院 におけ<br />

る 手 術 成 績 を 検 討 する.【 対 象 と 方 法 】 対 象 は2001 年 ~2011 年 10 月 に<br />

おいて 当 院 で 施 行 した 尾 側 膵 切 除 を 施 行 した74 例 . 膵 液 漏 の 診 断 には<br />

International…Study…Group…on…Pancreatic…Fistula(ISGPF)を 用 い,<br />

GradeB 以 上 を 膵 液 漏 群 (PF 群 )とし 非 PF 群 と 比 較 した.【 結 果 】 当 院<br />

における 膵 切 離 方 法 はメスを 用 いて 鋭 的 に 行 い, 主 膵 管 の 処 理 は<br />

4-0proleneで 周 囲 の 膵 組 織 と 主 膵 管 をU 字 にかけ 縫 合 , 膵 断 端 はfish…<br />

mouthで 縫 合 閉 鎖 を 原 則 とする. 例 外 として 膵 切 離 には 電 気 メス4 例<br />

(5.4%), 自 動 縫 合 器 による 膵 切 離 2 例 (2.7%)を 含 み, 膵 断 端 の 処 理 に<br />

は2 例 (2.7%)で 組 織 接 着 用 シートを 用 い, 閉 鎖 しなかったものは2 例<br />

であった.74 例 のうち 術 後 合 併 症 があった 症 例 は36 例 (48.6%).PF 群<br />

は12 例 (19.0%), 非 PF 群 62 例 (83.8%). 男 女 比 はPF 群 で5 対 7, 非 PF<br />

群 は33 対 29, 平 均 年 齢 はPF 群 61.9 歳 , 非 PF 群 64.5 歳 であった. 疾 患 は<br />

PF 群 で 浸 潤 性 膵 管 癌 …3 例 (25.0%),MCN…4 例 (33.3%),IPMN1 例<br />

(8.3%)に 対 し, 非 PF 群 は 浸 潤 性 膵 管 癌 35 例 (55.6%),IPMN…9 例<br />

(14.3%),SCN…3 例 (4.8%),MCN…1 例 (1.6%)であり 膵 癌 が 有 意 に 高<br />

率 (p


MSY8-6<br />

当 院 における 尾 側 膵 切 除 術 からみた 最 適 なデバイス<br />

選 択<br />

北 海 道 消 化 器 科 病 院 外 科<br />

○… 岡 村 圭 祐 , 森 田 高 行 , 藤 田 美 芳 , 市 村 龍 之 助 ,<br />

中 山 智 英<br />

【はじめに】 手 術 機 器 の 進 歩 は, 尾 側 膵 切 除 術 (DP)におけるデバイ<br />

ス 選 択 の 幅 を 広 げている.【 目 的 】 当 院 におけるDP 症 例 からより 安 全<br />

な 切 離 方 法 を 検 討 した.【 対 象 】2004 年 11 月 から2011 年 11 月 までの8 年<br />

間 に 膵 疾 患 に 対 しDPを 行 った44 例 . 開 腹 手 術 37 例 , 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下<br />

手 術 7 例 . 男 : 女 =22:22. 平 均 年 齢 67.1 歳 (39-83 歳 ). 疾 患 の 内 訳 は,<br />

膵 癌 27 例 ,IPMN8 例 ,MCN4 例 ,その 他 5 例 .【 切 離 方 法 】メスによ<br />

る 切 離 :5 例 , 組 織 補 強 材 を 巻 いた 後 に2 列 自 動 縫 合 器 使 用 :5 例 ,<br />

Echelon:10 例 (ゴールド:8 例 ,グリーン:2 例 ),エンドGIA:20 例 (ブ<br />

ルー2 例 ,グリーン17 例 ,ブラック1 例 ),エンドGIA… デュエット<br />

TRS:4 例 . 腹 腔 鏡 補 助 下 手 術 では 上 腹 部 に 置 いた 小 開 腹 創 より 膵 臓<br />

を 切 離 した.【 方 法 】 術 後 膵 液 漏 (POPF)は 術 後 4 日 目 のドレーン 排 液<br />

アミラーゼを 測 定 しISGPFの 基 準 によって 判 定 することを 基 本 とした.<br />

その 後 もドレーンが 留 置 されていれば, 適 宜 測 定 し, 統 計 学 的 検 討 を<br />

行 った.【 結 果 】POPFを 認 めなかったのは14 例 ,grade…A…17 例 ,<br />

grade…B…11 例 ,grade…C…2 例 であった. 臨 床 的 に 問 題 となるgrade…B+…<br />

Cは13 例 (29.5%)で あ っ た.2 列 自 動 縫 合 器 を 用 い た5 例 中 ,4 例 に<br />

grade…B+Cを 認 めた. 閉 鎖 前 のステープル 足 長 の 十 分 あるゴールド,<br />

ブルー,ブラックカートリッジを 用 いた32 例 について,Echelon:…10 例 ,<br />

エンドGIA:18 例 ,エンドGIA…デュエットTRS:4 例 で 比 較 検 討 すると,<br />

‘POPFなし/POPFあり’は3/7,4/14,3/1であり,エンドGIA…デュエッ<br />

トTRSはエンドGIAと 比 較 して 有 意 にPOPFの 発 生 が 低 かった<br />

(p=0.04).この 二 群 間 では 膵 臓 の 厚 さに 差 はなかった.エンドGIA…<br />

デュエットTRS:4 例 の 内 ,POPFの1 例 はgrade…Aであった.【まとめ】<br />

エンドGIAを 用 いたDPでは, 組 織 補 強 材 を 持 つデュエットTRSの 方 が,<br />

POPFを 減 らす 可 能 性 が 示 唆 された.<br />

MSY8-7<br />

自 動 縫 合 器 を 用 いた 当 科 での 膵 体 尾 部 切 除 術 におけ<br />

る 検 討 と 手 術 手 技<br />

北 里 大 学 医 学 部 外 科<br />

○… 田 島 弘 , 隈 元 雄 介 , 藁 谷 美 奈 , 中 村 和 徳 , 河 又 寛 ,<br />

鎌 田 弘 樹 , 片 桐 寛 之 , 石 井 健 一 郎 , 渡 邊 昌 彦<br />

【 目 的 】 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP) 後 の 膵 液 瘻 は 未 だ 高 率 で、 安 全 で 確 実<br />

な 膵 断 端 の 閉 鎖 は 重 要 課 題 である。 現 在 さまざまな 工 夫 をしているが、<br />

一 定 の 見 解 はない。 当 科 では、2006 年 4 月 より 開 腹 ・ 腹 腔 鏡 いずれの<br />

アプローチにおいても 膵 切 離 に 自 動 縫 合 器 を 使 用 し、 切 離 を 行 ってい<br />

る。【 方 法 】2006 年 4 月 から2011 年 12 月 までの 連 続 した 膵 体 尾 部 切 除 症<br />

例 に 対 して、 自 動 縫 合 器 による 膵 切 離 を 施 行 した38 例 で、 膵 液 瘻 発 生<br />

に 影 響 を 与 える 因 子 として、 切 離 部 の 膵 の 厚 さ、 術 前 PFD 値 、 切 離<br />

部 位 を 検 討 した。【 手 術 手 技 】 自 動 縫 合 器 はEchelon60TMを 用 い、10<br />

分 かけ、 緩 徐 に 圧 迫 ・ 菲 薄 化 させた 後 に 緩 やかに 切 離 を 施 行 した。【 結<br />

果 】ISGPF 分 類 での 膵 液 瘻 は、 膵 液 瘻 (-)11 例 (28.9%)、GradeA20 例<br />

(52.6%)、GradeB7 例 (18.4%)、GradeC0 例 (0%)であった。 当 院 での<br />

主 膵 管 結 紮 などの 従 来 法 と 比 べ 有 意 差 は 認 めなかった。 膵 液 瘻 に 影 響<br />

を 与 える 因 子 として、 術 前 PFD 値 や、 切 離 部 位 (SMVレベルでの 切 除<br />

群 とそれより 尾 側 での 切 除 群 )では 有 意 差 は 認 めなかった。 術 前 CTに<br />

より 計 測 した 切 離 部 の 膵 の 厚 さは、 膵 液 漏 (+)の 膵 の 厚 さは21mmで<br />

膵 液 漏 (-)より 有 意 に 高 値 であった。 現 在 当 院 では、ステープルサイ<br />

ズの 高 い、エンドGIATMトライステープルTM60ブラックを 用 い 緩<br />

徐 圧 迫 による 膵 切 除 を 行 っている。 現 在 5 例 の 症 例 で 施 行 し、 膵 液 瘻<br />

ISGPF 分 類 のgradeB+Cは 認 めていない。【 結 語 】 自 動 縫 合 器 での 膵<br />

切 離 では、 膵 の 厚 みが 膵 液 瘻 に 影 響 を 与 えている。 膵 の 厚 さがあるも<br />

のに 対 しての 手 術 手 技 の 検 討 が 必 要 であり、 今 後 も 症 例 を 重 ね 検 討 が<br />

必 要 である。<br />

MSY8-8<br />

尾 側 膵 切 除 術 における 膵 切 離 法 の 検 討<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科<br />

○… 天 野 良 亮 , 山 田 靖 哉 , 木 村 健 二 郎 , 村 田 哲 洋 , 永 原 央 ,<br />

大 平 雅 一 , 石 川 哲 郎 , 平 川 弘 聖<br />

【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 漏 出 は 頻 度 が 高 く 管 理 が 困 難 な 合 併 症 で<br />

ある。 一 方 肝 胆 膵 領 域 において 鏡 視 下 手 術 の 導 入 が 拡 大 していくと 考<br />

えられ、 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 の 導 入 にあたっては 安 全 な 膵 切 離 法 が<br />

key…pointになると 思 われる。 当 科 では2010 年 1 月 より 膵 切 離 のデバイ<br />

スとしてデュエットTRS …TM… を 用 いている。 今 回 その 治 療 成 績 ・ 安 全<br />

性 を 検 討 し、その 手 技 を 提 示 する。【 対 象 ・ 方 法 】2006 年 1 月 ~2011 年<br />

10 月 までに 当 科 で 施 行 した 尾 側 膵 切 除 症 例 66 例 を 対 象 とした。 膵 切 離<br />

法 によってコントロール(C) 群 (メスor 電 気 メス 切 除 :36 例 )、デュエッ<br />

ト(D) 群 (30 例 )とし、 術 後 膵 液 瘻 について 比 較 検 討 した。【 結 果 】 術<br />

後 5 日 目 ドレーンアミラーゼ 値 ( 中 央 値 )はC 群 :413.5IU/L、D 群 :<br />

195.5…IU/L(p=0.122)であった。ドレーン 留 置 期 間 中 央 値 はC 群 :13 日 、<br />

D 群 :6 日 (P=0.007)、ISGPF 分 類 による 膵 液 瘻 の 発 生 はC 群 ではA:8<br />

例 B:12 例 C:0 例 、D 群 ではGrade…A:3 例 B:5 例 C:0 例 であっ<br />

た。Grade…Bの 因 子 は、D 群 の1 例 が 遅 発 性 膵 液 瘻 であり、 他 の 全 例 が<br />

長 期 ドレーン 留 置 期 間 であった。Grade…Bの 発 生 率 はC 群 33.3%、D 群<br />

16.7%であり(p=0.051)、D 群 がC 群 と 比 較 して 膵 液 瘻 の 発 生 率 が 低 い<br />

傾 向 があり、ドレーン 留 置 期 間 が 有 意 に 短 かった。 膵 硬 化 度 別 膵 液 瘻<br />

発 生 率 (Grade…A/B)を 検 討 したところ、 正 常 膵 症 例 (48 例 )でD 群 が 有<br />

意 に 低 率 で あ っ た(C 群 :15/25 例 、60 %…vs…D 群 :6/23 例 、<br />

26.1% p=0.018)。【 考 察 】デュエットTRS …TM… での 膵 切 離 は 合 成 吸 収<br />

性 補 強 フィルムであるバイオシンTMシートにより 膵 切 離 断 端 を 全 周<br />

性 に 被 覆 し 補 強 可 能 である。 同 時 に 面 で 膵 を 圧 縮 できることから 他 の<br />

自 動 縫 合 器 よりも 膵 挫 滅 ・ 損 傷 が 少 なく 主 膵 管 を 確 実 に 閉 鎖 できる 可<br />

能 性 が 高 いため 膵 液 瘻 の 発 生 が 低 くなると 考 えられた。【 結 語 】 腹 腔<br />

鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 普 及 においては 膵 切 離 法 が 重 要 な 課 題 である。デュ<br />

エットTRS …TM… による 尾 側 膵 切 除 は 安 全 で 有 効 な 手 技 になりえること<br />

が 示 唆 された。<br />

MSY8-9<br />

術 後 膵 液 瘻 発 生 率 から 見 た 自 動 縫 合 器 による 膵 断 端<br />

処 理 法 の 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

○… 三 澤 健 之 , 北 村 博 顕 , 古 川 賢 英 , 伊 藤 隆 介 , 柴 浩 明 ,<br />

二 川 康 郎 , 脇 山 茂 樹 , 石 田 祐 一 , 矢 永 勝 彦<br />

【 目 的 】 当 科 では 膵 液 瘻 発 生 を 最 小 限 にするために、 尾 側 膵 切 除 にお<br />

ける 膵 断 端 処 理 に 自 動 縫 合 器 を 多 用 しているので、その 臨 床 成 績 を 報<br />

告 する。【 対 象 ・ 方 法 】2004 年 以 降 、 当 科 で 施 行 した 尾 側 膵 切 除 術 は<br />

81 例 ( 年 齢 57±17 歳 、 男 49、 女 32)で、 対 象 疾 患 は 浸 潤 性 膵 管 癌 25、 膵<br />

管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 12、 内 分 泌 腫 瘍 9、 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 8、 漿 液 性 嚢 胞<br />

腫 瘍 7、 脾 疾 患 6、 胃 悪 性 腫 瘍 の 膵 浸 潤 6、 単 純 性 膵 嚢 胞 2、Solid…and…<br />

pseudopapillary…tumor…2、 転 移 性 膵 癌 2、その 他 2 例 。67 例 は 自 動 縫 合<br />

器 で、 残 り14 例 はマニュアル( 主 膵 管 結 紮 + 膵 断 端 縫 合 閉 鎖 )で 膵 断 端<br />

を 処 理 した。また、32 例 は 腹 腔 鏡 下 に、49 例 は 開 腹 下 に 手 術 を 施 行 し<br />

た。 使 用 した 自 動 縫 合 器 はSGIA(4.8mm、 片 側 6 列 のステイプルライン)<br />

43 例 、GIA(4.8mm、 片 側 3 列 )13 例 、デュエット(4.8mm、 片 側 3 列 )6 例 、<br />

TA(4.8mm、 片 側 2 列 )5 例 …。【 結 果 】 臨 床 的 膵 液 瘻 (POPF)を 計 13 例<br />

(16%)に 認 めた(grade…B:11、C:2)が、いずれも 適 切 な 治 療 により<br />

治 癒 ・ 退 院 した。 他 に 膵 断 端 処 理 に 関 係 する 合 併 症 は 無 かった。 統 計<br />

学 的 検 討 では 年 齢 、 性 別 、リンパ 節 郭 清 の 有 無 はPOPF 発 生 と 関 連 は<br />

無 かったが、 鏡 視 下 手 術 (p=0.010)、 脾 温 存 (p=0.035)、 自 動 縫 合 器 使<br />

用 (p=0.028)、 膵 頭 ・ 体 部 境 界 より 末 梢 側 での 切 除 例 (p=0.030)におい<br />

て 膵 液 瘻 発 生 率 が 有 意 に 少 ないことが 判 明 した。 一 方 、 使 用 した 自 動<br />

縫 合 器 の 種 類 ではSGIAのみがマニュアルに 比 較 して 有 意 に 膵 液 瘻 発<br />

生 率 が 低 かった(p=0.049)【 結 語 】 自 動 縫 合 器 を 用 いた 膵 実 質 切 離 法 は<br />

簡 便 かつ 安 全 性 が 高 く、 特 に 鏡 視 下 でのSGIAは 膵 液 瘻 の 発 生 率 が 低<br />

いと 考 えられた。<br />

-266-


MSY9-1<br />

術 前 化 学 療 法 を 行 なった 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切<br />

除 の 治 療 成 績<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 大 澤 高 陽 , 清 水 泰 博 , 佐 野 力 , 千 田 嘉 毅 , 小 森 康 司 ,<br />

二 宮 豪<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 は 肝 切 除 が 基 本 であるが、 化 学 療<br />

法 を 併 用 する 事 で 切 除 率 や 生 存 率 のさらなる 向 上 が 期 待 されている。<br />

当 院 で 行 なった 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 症 例 のうち、 術 前 に 化 学<br />

療 法 を 施 行 した 症 例 について 肝 転 移 の 状 況 、 手 術 成 績 、 予 後 について<br />

検 討 を 行 なう。【 対 象 】2006 年 ~2011 年 9 月 までの 間 に、 当 院 で 大 腸 癌<br />

肝 転 移 に 対 し て 初 回 肝 切 除 を 行 な っ た134 例 の う ちOxaliplatin、<br />

Irinotecanをベースとした 化 学 療 法 を 術 前 に 行 なった38 例 を 対 象 とし<br />

た。【 方 法 】 肝 転 移 の 状 況 、 抗 癌 剤 投 与 の 期 間 や 手 術 までの 休 薬 期 間 、<br />

手 術 成 績 、 予 後 について 検 討 を 行 なった。【 結 果 】 全 38 症 例 のうち 同<br />

時 性 は28 例 、 異 時 性 は10 例 であった。 肝 転 移 の 状 況 ( 化 療 前 )に 関 して<br />

は、 肝 転 移 個 数 は1-11 個 ( 平 均 値 4.0 個 )、 最 大 腫 瘍 径 は1-11cm( 平 均<br />

値 4.5cm)であった。 化 学 療 法 は、Oxaliplatinが36 例 、Irinotecanが8 例<br />

に 行 なわれていた( 重 複 あり)。Oxaliplatinの 投 与 回 数 は3-15 回 ( 平 均<br />

値 8 回 )で、Irinotecanの 投 与 回 数 は1-19 回 ( 平 均 値 7 回 )であった。<br />

Bevacizumabの 併 用 は21 例 で 投 与 回 数 は1-29 回 ( 平 均 値 8 回 )であっ<br />

た。 手 術 までの 休 薬 期 間 は14-185 日 ( 平 均 値 46 日 )で 化 学 療 法 後 の 平<br />

均 最 大 腫 瘍 径 は3.0cmと 治 療 前 の67%にまで 縮 小 していた。 肝 切 除 時<br />

の 平 均 年 齢 は62.4 歳 、 術 式 は 葉 切 除 15 例 、 区 域 切 除 8 例 、 部 分 切 除 15<br />

例 で 平 均 肝 切 除 量 245g、 平 均 手 術 時 間 246 分 、 平 均 出 血 量 425ccであっ<br />

た。 術 後 の 平 均 在 院 日 数 は13 日 で 合 併 症 は7 例 に 認 められたが 重 篤 な<br />

ものはなかった。 予 後 に 関 しては 残 肝 無 再 発 率 1 年 :62.0%、3 年 :<br />

58.1%で1 年 生 存 率 は94.2%で3 年 生 存 率 は58.5%であった。【 結 論 】 化<br />

学 療 法 後 の 肝 切 除 は 比 較 的 安 全 に 行 なう 事 が 可 能 であり、 大 腸 癌 肝 転<br />

移 に 対 する 集 学 的 治 療 の 一 つとして 選 択 肢 になり 得 ると 考 えられた。<br />

MSY9-2<br />

大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 例 の<br />

検 討<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 小 寺 由 人 , 高 橋 豊 , 大 森 亜 紀 子 , 加 藤 孝 章 , 有 泉 俊 一 ,<br />

片 桐 聡 , 山 本 雅 一<br />

近 年 の 分 子 標 的 薬 を 併 用 した 新 規 化 学 療 法 の 導 入 に 伴 い、 肝 転 移 術 後<br />

の 予 後 は 改 善 されている。また 術 前 化 学 療 法 の 有 用 性 の 報 告 もある 一<br />

方 で、その 安 全 性 に 注 意 を 促 す 報 告 も 見 受 けられる。これら 化 学 療 法<br />

後 の 肝 切 除 症 例 に 対 する 安 全 性 と 成 績 を 検 討 した。( 対 象 と 方 法 )2005<br />

年 1 月 から2011 年 4 月 の 期 間 に、 教 室 で 根 治 的 肝 切 除 術 を 施 行 した 同 時<br />

性 肝 転 移 27 例 を 対 象 とした。 化 学 療 法 施 行 後 に 肝 切 除 施 行 した 症 例 は<br />

17 例 ( 化 療 群 ), 一 期 的 に 肝 切 除 を 施 行 した 症 例 は10 例 ( 切 除 群 )であっ<br />

た。 術 前 化 学 療 法 はmFOLFOX6+/-BVを6 回 施 行 した。 対 象 症 例 に 対<br />

し、 血 液 生 化 学 検 査 値 ( 肝 臓 因 子 )・ 在 院 日 数 ・ 手 術 時 間 ・ 出 血 量 ( 手<br />

術 因 子 )などから 肝 切 除 に 対 する 安 全 性 を 検 討 した。また 術 前 化 学 療<br />

法 の 有 効 性 の 有 無 を 検 討 する 目 的 で、 肝 切 除 後 の 無 再 発 生 存 期 間 を 検<br />

討 した。( 結 果 ) 手 術 直 前 のAST/ALT 値 は2 群 間 で 差 は 認 めなかった。<br />

Alb 値 は 化 療 群 3.8mg/dl, 切 除 群 3.9mg/dlと 差 はなく、PT% 値 は 化 療<br />

群 90%、 切 除 群 96%、ICGR15 値 も 化 療 群 11%、 切 除 群 8%と 化 療 群 に<br />

悪 い 傾 向 を 示 したが、 有 意 な 差 は 認 めなかった。 血 小 板 数 のみ 化 療 群<br />

16 万 、 切 除 群 23 万 と 化 療 群 に 低 下 を 認 めた(p=0.03) 術 中 出 血 量 、 手 術<br />

時 間 、 在 院 日 数 は、 化 療 群 826g、234min、32 日 であり、 切 除 群 では<br />

1042g、257min、30 日 であった。これらは、2 群 間 に 有 意 差 を 認 めなかっ<br />

た。 全 27 例 において 化 療 群 の 無 再 発 生 存 中 央 値 (MST)は486 日 、 切 除<br />

群 は231 日 であった。(p=0.08) 術 式 別 に 検 討 すると、2 区 域 以 下 の 切<br />

除 例 では 化 療 群 のMSTが348 日 、 切 除 群 が157 日 、2 区 域 以 上 の 切 除 例<br />

のMSTが、 化 療 群 が536 日 、 切 除 群 が231 日 であった。 術 後 の 合 併 症<br />

は 化 療 群 で、 難 治 性 の 胆 汁 漏 を2 例 認 めたのみであった。( 結 語 ) 化 学 療<br />

法 後 であっても、 手 術 因 子 、 肝 臓 因 子 において、いずれも 有 意 な 差 を<br />

認 めず、たとえ 葉 切 除 であっても、 安 全 に 施 行 できると 考 えられた。<br />

術 前 化 療 の 効 果 は 有 意 な 差 は 認 めなかったが、MSTの 延 長 を 認 め、<br />

今 後 症 例 の 蓄 積 につれ 再 度 検 討 する 必 要 があると 考 えられた<br />

MSY9-3<br />

当 科 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 における 化 学 療 法 後 肝 切 除 の<br />

成 績 と 安 全 性 の 検 討<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 柏 病 院 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大<br />

学 外 科 学 講 座<br />

○… 遠 山 洋 一 1<br />

, 吉 田 清 哉 1<br />

, 田 辺 義 明 1<br />

, 牛 込 琢 郎 1<br />

,<br />

渡 辺 一 裕 1<br />

, 松 本 倫 1<br />

, 奥 井 紀 光 1<br />

, 高 野 裕 樹 1<br />

, 北 村 博 顕 2<br />

,<br />

斉 藤 良 太 1<br />

, 河 原 秀 次 郎 1<br />

, 柳 澤 暁 1<br />

, 小 林 進 1<br />

,<br />

2<br />

矢 永 勝 彦<br />

【 目 的 】 当 科 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 における 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 成 績 と 安<br />

全 性 を 検 討 。【 方 法 】2003 年 以 降 の 当 科 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の 肝 切 除 36<br />

例 { 同 時 性 16 例 ( 単 発 : 多 発 =4:12)、 異 時 性 20 例 ( 単 発 : 多 発 =12:<br />

8)}につき 術 前 化 学 療 法 の 有 無 と 種 類 、 術 式 、 術 後 合 併 症 、 術 後 成 績<br />

などを 検 討 した。【 成 績 】 術 前 化 学 療 法 (+)のA 群 は27 例 ( 同 時 性 : 異<br />

時 性 =12:15)、(-)のB 群 が9 例 ( 同 時 性 : 異 時 性 =4:5)で、 化 学 療 法<br />

の 各 例 数 は、PMC…1、UFT 及 びS1…15、FOLFOX…4、FOLFIRI…1、<br />

XELOX… 1、FOLFOX+Bevacizumab… 2、SOX+Bevacizumab… 2、<br />

SOX+Panitumumab…1であった。 肝 切 除 のタイミングは、 同 時 性 A 群<br />

の 場 合 、CEAなどの 腫 瘍 マーカーの 減 少 低 値 と、 腹 部 CT 検 査 で<br />

RECIST 基 準 のPR~SDが 約 3か 月 継 続 した 時 点 であり、また 同 時 性 B<br />

群 の 場 合 は 新 たな 病 変 が 出 現 しない 約 半 年 後 の 時 点 で、 更 に 異 時 性 の<br />

場 合 は 両 群 共 に 肝 転 移 巣 出 現 後 1~2ヶ 月 以 内 の 時 点 であった。 術 式 は、<br />

単 部 分 切 除 8 例 、 区 域 切 除 4 例 、 葉 切 除 6 例 、 肝 拡 大 葉 切 除 6 例 、 多 部 分<br />

切 除 ±マイクロ 波 凝 固 12 例 であり、 同 期 間 切 除 不 能 46 例 中 、 切 除 可 能<br />

conversion 例 はA 群 同 時 性 のうち、 単 発 の2 例 と 多 発 の8 例 の 計 10 例 …<br />

(21.7%)であった。 術 後 合 併 症 は、Clavien-Dindo 分 類 でGrade…I…(SSI)<br />

とIIIa…( 経 皮 的 ドレナージ)が 各 3 例 (8.3%)、II…( 輸 血 、IVH)とV…( 在 院<br />

死 )が 各 2 例 (5.6%)、IVa…( 腎 不 全 )が1 例 (2.8%)であった。 術 後 成 績 で<br />

はA 群 とB 群 で、 初 回 原 発 巣 手 術 後 の 平 均 生 存 期 間 は47.1±35.4…vs.…<br />

41.5±24.6…(M)、 癌 死 は 両 群 共 に44.4…%…(A:…12/27、B:…4/9)で、3 年<br />

及 び5 年 生 存 率 は62.2…vs.…66.7と、44.6…vs.…33.3…(%)であり、A 群 で 生 存<br />

期 間 の 延 長 や 生 存 率 向 上 の 傾 向 がみられるも、 両 群 間 に 統 計 学 的 有 意<br />

差 は 認 められなかった。【 結 論 】 術 前 化 学 療 法 群 では 従 来 切 除 不 能 で<br />

あった 肝 転 移 症 例 が 切 除 可 能 になり 得 る 一 方 、 非 施 行 群 と 比 べ 明 らか<br />

な 生 存 期 間 の 延 長 は 認 められず、また 一 部 で 重 篤 な 術 後 合 併 症 も 併 発<br />

しており、 適 切 な、 化 学 療 法 メニューや 手 術 適 応 、 肝 切 除 のタイミン<br />

グと 術 式 の 検 討 を、 更 に 症 例 を 重 ねて 行 っていく 必 要 があると 考 えら<br />

れた。<br />

MSY9-4<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 切 除 の 成 績 と 安 全<br />

性<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科<br />

○… 田 島 秀 浩 , 藤 田 秀 人 , 中 村 慶 史 , 岡 本 浩 一 , 酒 井 清 祥 ,<br />

木 下 淳 , 牧 野 勇 , 古 河 浩 之 , 林 泰 寛 , 尾 山 勝 信 ,<br />

井 口 雅 史 , 中 川 原 寿 俊 , 高 村 博 之 , 二 宮 致 , 北 川 裕 久 ,<br />

伏 田 幸 夫 , 藤 村 隆 , 太 田 哲 生<br />

近 年 、 化 学 療 法 の 進 歩 により 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 成 績 の 向 上 が<br />

期 待 されている。 当 科 の 方 針 として、 肝 切 除 によりR0 手 術 となる 症<br />

例 においては 耐 術 可 能 であれば、 肝 切 除 を 先 行 し、 術 後 補 助 化 学 療 法<br />

(mFOLFOX6)を12コース 行 い、 同 時 性 両 葉 多 発 あるいは 原 発 高 度 進<br />

行 例 やR1 手 術 が 予 想 される 症 例 は 術 前 化 学 療 法 として<br />

mFOLFOX+Bevacizumab…(BV)を6コース 行 い、 術 後 にmFOLFOX6<br />

を6コース 施 行 している。 今 回 、 当 科 にて 術 前 化 学 療 法 を 施 行 した 大<br />

腸 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 術 の 治 療 成 績 および 安 全 性 について 検 討 した。<br />

対 象 は2005 年 から2010 年 に 初 回 肝 切 除 を 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 35 例 中<br />

術 前 化 学 療 法 を 施 行 した18 例 ( 平 均 年 齢 63 歳 、 同 時 性 12 例 、 異 時 性 6 例 )<br />

である。 診 断 時 切 除 可 能 12 例 、 切 除 不 能 …(Conversion)…6 例 であった。<br />

この18 症 例 と 術 前 化 学 療 法 を 施 行 しなかった17 例 との 治 療 成 績 を 比 較<br />

検 討 した。 術 前 化 学 療 法 の 病 勢 制 御 率 は89%…(CR…5%,…PR…67%,…SD…<br />

17%)…であったが、PDを11%に 認 め、 病 理 組 織 学 的 に 腫 瘍 が 消 失 した<br />

症 例 (Grade…3)は 認 めなかった。 術 前 化 学 療 法 を 行 なった18 例 に 対 す<br />

る 肝 切 除 術 式 は 葉 切 除 8 例 、 区 域 ・ 部 分 切 除 10 例 であった。 術 後 合 併<br />

症 は5 例 (28%)で、 横 隔 膜 下 膿 瘍 4 例 、 腸 閉 塞 2 例 を 認 めたが 全 例 保 存<br />

的 に 軽 快 した。 再 発 は10 例 (56%)に 生 じ、 残 肝 再 発 4 例 (3 例 は 再 肝 切<br />

除 可 能 )、 肺 転 移 5 例 (1 例 に 切 除 可 能 )、 腹 膜 播 種 1 例 を 認 めた。 術 前 化<br />

学 療 法 を 施 行 した18 例 の5 年 無 再 発 生 存 率 (DFS)は38%、5 年 生 存 率<br />

(OS)は53%であった。 化 学 療 法 としてFOLFOX 療 法 を 導 入 した2005<br />

年 以 降 の35 症 例 の5 年 OS…49%は2004 年 以 前 (35 症 例 )の5 年 OS…39%と 比<br />

較 して 有 意 に 予 後 良 好 であった(P=0.025)。また、Conversion 症 例 の<br />

5 年 DFSおよびOSは 術 前 化 学 療 法 の 有 無 で 有 意 差 を 認 めなかった。 切<br />

除 不 能 例 におけるConversion 症 例 は 通 常 の 肝 切 除 と 同 等 の 成 績 が 得<br />

られており、 安 全 かつ 有 効 な 治 療 であると 考 えられた。 一 方 、 切 除 可<br />

能 症 例 においては 手 術 治 療 ( 肝 切 除 )が 標 準 治 療 であり、 術 前 化 学 療 法<br />

で 病 理 学 的 に 腫 瘍 が 消 失 した 症 例 がなかったこととPD 症 例 のデメ<br />

リットを 考 慮 すると 画 一 的 な 術 前 化 学 療 法 の 導 入 は 検 討 を 要 すると 思<br />

われる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-267-


MSY9-5<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 するconversiontherapyの 安 全<br />

性 と 予 後 因 子 の 検 討<br />

近 畿 大 学 外 科<br />

○… 中 居 卓 也 , 中 多 靖 幸 , 山 崎 満 夫 , 石 川 原 , 安 田 武 生 ,<br />

竹 山 宜 典<br />

【 目 的 】 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 は 積 極 的 化 学 療 法 を 行<br />

なった 後 、 腫 瘍 縮 小 とともに 外 科 切 除 行 なうconversion…therapyが 広<br />

がりを 見 せてきた。われわれも 化 学 療 法 や 肝 動 注 後 、 肝 切 除 を 行 なっ<br />

てきた。 今 回 、 当 施 設 で 現 在 まで 行 なったconversion…therapyの 安 全<br />

性 と 予 後 因 子 を 検 討 し、 今 後 の 治 療 戦 略 を 考 案 する。…【 方 法 】2008 年<br />

以 降 で 切 除 不 能 多 発 大 腸 癌 に 術 前 化 学 療 法 後 、 肝 切 除 を 行 なった34 例<br />

を 対 象 とした。 切 除 不 能 とは 切 除 後 残 肝 体 積 が40% 以 下 となるものや<br />

主 要 脈 管 3 本 (グリソン 枝 、 肝 静 脈 )ともに 転 移 巣 の 浸 潤 を 認 めるもの<br />

である。 肝 切 除 にRFAを 併 用 した 場 合 もある。 肝 切 除 の 安 全 性 を 化<br />

学 療 法 レジメン 別 にPT、Albmin、Plt、ICG15R、 手 術 時 間 、 出 血 量 、<br />

合 併 症 や 入 院 期 間 で 検 討 した。 予 後 因 子 として 性 、 年 齢 、 組 織 型 、 原<br />

発 部 位 、 壁 深 達 度 、リンパ 節 転 移 、 転 移 時 期 、 転 移 個 数 、 転 移 腫 瘍 径 、<br />

治 療 前 CEA、CA19-9、 肝 外 転 移 、 化 療 レジメン、 化 療 期 間 、 腫 瘍 縮<br />

小 率 、 原 発 同 時 切 除 、RFA 併 用 、 術 後 補 助 化 学 療 法 で 累 積 生 存 (OS)、<br />

無 再 発 生 存 (DFS)を 検 討 した。【 結 果 】 化 学 療 法 後 ( 化 療 剤 単 独 群 、 化<br />

療 剤 + 分 子 標 的 剤 群 、 肝 動 注 群 )の 術 前 肝 機 能 は 各 群 のPT、Alb、Plt<br />

で 差 はないがICGはそれぞれ11.3%、11.2%、9.3%とHAI 群 で 良 好 であっ<br />

た。 手 術 時 間 や 出 血 量 でも 差 はないが 合 併 症 は 化 療 剤 + 分 子 標 的 剤 群<br />

でイレウス1 例 、 肝 動 注 群 で 肝 梗 塞 1 例 を 認 めた。 入 院 期 間 はそれぞれ<br />

14.5 日 、18.7 日 、13.1 日 と 化 療 剤 + 分 子 標 的 剤 群 が 長 い 傾 向 にあった。<br />

平 均 観 察 期 間 1.75 年 。DFSは1 年 36.6%、3 年 20.9%、OSは1 年 91.4%、3<br />

年 78.2%であった。 予 後 改 善 因 子 としてDFSの 単 変 量 解 析 で 腫 瘍 縮 小<br />

率 (P=0.02)、 術 後 補 助 化 学 療 法 (P=0.01)が 多 変 量 では 術 後 補 助 化 学 療<br />

法 (P=0.02)が 示 された。OSでは 単 変 量 で 組 織 型 (P=0.05)と 原 発 同 時<br />

切 除 (P=0.02)が 示 されが 多 変 量 で 有 意 差 はなかった。【 考 察 】 肝 切 除<br />

の 安 全 性 は 高 く 術 後 合 併 症 も 少 なかったが、 術 前 治 療 が 多 剤 となれば<br />

術 後 回 復 が 遅 れる 傾 向 にあった。 現 在 までのconversion…therapyにお<br />

ける 予 後 因 子 を 検 討 したが 観 察 期 間 が 短 く 有 意 な 予 後 因 子 は 判 明 しな<br />

かったが、 術 後 も 化 学 療 法 の 継 続 が 予 後 改 善 に 繋 がることが 示 唆 され<br />

た。<br />

MSY9-6<br />

大 腸 癌 肝 転 移 のconversion、salvage 手 術 における<br />

術 前 化 学 療 法 の 違 いによる 術 後 治 療 成 績 の 検 討<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 、 2 国 立 病 院 機 構 九<br />

州 医 療 センター 臨 床 研 究 センター<br />

○… 和 田 幸 之 1<br />

, 高 見 裕 子 1<br />

, 立 石 昌 樹 1<br />

, 龍 知 記 1 1,2<br />

, 才 津 秀 樹<br />

【はじめに】 分 子 標 的 治 療 薬 や 新 規 化 学 療 法 の 進 歩 により<br />

conversion 手 術 となる 症 例 が 増 えているが、 以 前 の 肝 動 注 の 時 代 より<br />

術 後 成 績 がどれだけ 良 好 になったか 検 討 した 報 告 は 殆 どない。 当 科 の<br />

方 針 は、 肝 転 移 を 認 めた 時 点 で 積 極 的 に 手 術 を 行 っているが、 化 学 療<br />

法 後 に 手 術 可 能 となったconversion 例 や 化 学 療 法 が 奏 効 せず 紹 介 され<br />

手 術 となったsalvage 例 も 少 なからず 経 験 している。そこで、 今 回 わ<br />

れわれは 化 学 療 法 後 に 手 術 となった 症 例 について 術 前 化 学 療 法 の 違 い<br />

により 術 後 治 療 成 績 に 差 があるか 検 討 してみた。 【 対 象 と 方 法 】1)<br />

1994 年 ~2010 年 末 までの 初 回 肝 転 移 手 術 243 例 のうち 術 前 化 学 療 法 あ<br />

り(Y 群 42 例 ),… なし(N 群 201 例 )に 群 別 し、 治 療 成 績 を 検 討 した。2)Y<br />

群 42 例 を 術 前 化 学 療 法 の 種 類 で 群 別 し( 肝 動 注 H 群 19 例 、 全 身 化 学 療<br />

法 S 群 23 例 ) 検 討 した。【 結 果 】1)…Y 群 は、 個 数 が 多 く(6.6 個 vs3.6 個 )、<br />

同 時 性 も 多 く、5 生 率 23.9%とN 群 の5 生 率 47.0%より 不 良 であった。 2)…<br />

H 群 は 全 例 low…dose…FP 肝 動 注 、S 群 はL-OHP,…CPT-11を 含 む 新 規 化 学<br />

療 法 18 例 、 分 子 標 的 治 療 薬 併 用 12 例 であった。H 群 、S 群 の 臨 床 背 景<br />

は 各 々、 腫 瘍 最 大 径 は3.9cmと3.2cm、 個 数 は6.4 個 と6.8 個 と 差 はなく、<br />

肝 機 能 、 術 式 等 も 同 様 の 背 景 であった。 治 療 成 績 は、 中 央 生 存 期 間 H<br />

群 38ヶ 月 vs…S 群 29ヶ 月 で 差 はなし。 無 再 発 生 存 率 もH 群 (1 年 26.3%,2 年<br />

10.5%)、S 群 (1 年 35.4%,2 年 7.1%)と 差 は 認 めず。しかし、 両 群 とも 殆<br />

どが2 年 以 内 に 早 期 再 発 をしていた。 残 肝 無 再 発 生 存 率 は、H 群 は1 年<br />

38.1%,2 年 38.1%,…S 群 … は1 年 35.4%,2 年 26.5%と 差 はなく、 肝 動 注 と 比 較<br />

し 残 肝 再 発 抑 制 効 果 が 高 いわけでもなかった。さらに 分 子 標 的 薬 によ<br />

る 治 療 上 乗 せ 効 果 も 検 討 したが、 術 後 生 存 、 無 再 発 生 存 とも 上 乗 せ 効<br />

果 は 認 めなかった。 【 結 果 】conversion、salvage 手 術 では、 治 療 効<br />

果 の 優 れた 分 子 標 的 を 含 む 新 規 化 学 療 法 だからといって、 肝 動 注 後 に<br />

手 術 となった 症 例 を 凌 駕 する 良 好 な 術 後 成 績 が 得 られる 訳 ではないと<br />

思 われた。 早 期 再 発 を 来 しやすく、 術 後 補 助 化 学 療 法 を 含 めた 集 学 的<br />

治 療 が 必 要 である。<br />

MSY9-7<br />

新 規 抗 癌 剤 と 分 子 標 的 薬 の 併 用 による 切 除 不 能 大 腸<br />

癌 肝 転 移 例 に 対 するConversiontherapyの 有 用 性<br />

と 問 題 点<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科<br />

○… 吉 留 博 之 , 清 水 宏 明 , 大 塚 将 之 , 加 藤 厚 , 吉 富 秀 幸 ,<br />

古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 高 屋 敷 吏 , 木 村 文 夫 , 宮 崎 勝<br />

【 目 的 】 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 例 に 対 する 新 規 抗 癌 剤 ・ 分 子 標 的 薬 に<br />

よるconversion…therapyは 確 立 してきた。その 条 件 として 腫 瘍 因 子 ( 腫<br />

瘍 個 数 多 発 や 脈 管 浸 潤 など 占 拠 部 位 による 残 肝 容 積 不 足 ・ 肝 外 転 移 併<br />

存 )と 薬 剤 側 因 子 ( 早 期 縮 小 効 果 ・ 高 い 奏 功 率 ・ 術 後 合 併 症 の 少 なさ)<br />

を 考 慮 することが 重 要 であり、そこで 本 治 療 の 有 用 性 と 問 題 点 を 明 確<br />

にすることを 目 的 とした。【 方 法 】 大 腸 癌 肝 転 移 465 例 を 対 象 。 初 回 肝<br />

切 除 は361 例 に 行 い、 切 除 不 能 ・ 困 難 47 例 にconversion…therapyを 施<br />

行 した。conversion…therapyの 功 罪 を 術 後 成 績 と 肝 障 害 ・ 肝 再 生 ・ 脾<br />

腫 か ら 検 討 し た。【 結 果 と 考 察 】conversionと し てmFOLFOX6/<br />

FOLFIRI/mIRIS…+…bevacizumab/cetuximabを 投 与 し、62%がPRで<br />

DCRは89%であり、63%にconversion 可 能 となった。 肝 切 除 施 行 例 は<br />

有 意 に 切 除 不 能 例 に 比 し 予 後 が 延 長 した(P=0.007)。SD 以 上 で 肝 切 除<br />

可 能 例 の 術 後 の3 生 /5 生 率 は72/58%であった。conversion…therapy 後<br />

8 週 時 点 のCTで20% 以 上 の 縮 小 率 を 認 め 肝 切 除 を 行 った 例 では 他 に 比<br />

し 有 意 に 予 後 良 好 であった。Conversionが 可 能 となった 症 例 中 、first…<br />

lineのみで 切 除 可 能 となったものは85%でありfirst…lineの 重 要 性 が 示<br />

唆 され、また 早 期 縮 小 効 果 は 特 に 抗 EGFR 抗 体 薬 (cetuximab) 併 用 で<br />

認 められた。12コース 以 上 投 与 した 症 例 中 にOX-basedの 化 学 療 法 施<br />

行 例 で 脾 腫 を 認 め、 非 癌 部 全 肝 容 積 の 減 少 を 認 めた。 抗 癌 剤 非 投 与 肝<br />

切 除 例 と 比 べて 投 与 後 肝 切 除 例 では 術 後 ALT,…T-BILの 上 昇 傾 向 を 認<br />

めたが、 術 後 合 併 症 発 生 率 には2 群 間 で 有 意 差 を 認 めなかった。 術 後 7<br />

日 目 の 肝 再 生 率 に 有 意 差 を 認 めなかったが、 右 肝 切 除 以 上 の 症 例 で 肝<br />

再 生 が 遷 延 する 傾 向 を 認 めた。 転 移 巣 の 全 肝 占 拠 率 の 高 い 同 時 性 例 で<br />

は、conversion…therapyを 先 行 したreverse…surgeryも 戦 略 として 有 用<br />

であった。【 結 語 】 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 例 においては、conversion…<br />

therapyは 有 用 であり、Oxaliplatinの 投 与 は6ヶ 月 以 内 が 安 全 と 考 えら<br />

れ、 特 にKRAS…wildの 症 例 では 抗 EGFR 抗 体 薬 併 用 が 早 期 縮 小 効 果 と<br />

安 全 性 からは 有 用 である。 切 除 可 能 となれば、 積 極 的 に 肝 切 除 を 行 う<br />

ことが 予 後 を 向 上 できると 考 えられた。<br />

MSY9-8<br />

大 腸 癌 化 学 療 法 関 連 肝 障 害 : 脾 容 積 、AST/ 血 小 板 比 に<br />

よる 肝 切 時 chemotherapy-naivepatientの 予 測<br />

1<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 、 2 聖 マリアンナ 医 科 大 学<br />

消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 中 野 浩 1<br />

, 三 浦 和 裕 2<br />

, 三 原 良 孝 1<br />

, 諏 訪 敏 之 1<br />

, 戸 部 直 孝 1<br />

,<br />

石 橋 一 慶 1<br />

, 四 万 村 司 1<br />

, 田 中 圭 一 1 2<br />

, 大 坪 毅 人<br />

【 緒 言 】 化 学 療 法 の 進 歩 により 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 例 が 増 加 しているが、<br />

肝 切 時 に 化 学 療 法 関 連 肝 障 害 という 問 題 点 がある。 術 前 の<br />

chemotherapy-naïve 患 者 の 予 測 が、 化 療 後 のMajor 肝 切 後 重 症 合 併 症<br />

予 防 に 重 要 と 考 えられる。 今 回 、 進 行 ・ 再 発 大 腸 癌 化 療 前 後 の 脾 容 積 、<br />

AST/ 血 小 板 比 (APR)を 測 定 し、oxaliplatin-naive… 患 者 の 予 測 に 有 用<br />

かどうかを 検 討 した。【 対 象 ・ 方 法 】PS…0-1で、H3 症 例 を 除 く、 進 行 ・<br />

再 発 大 腸 癌 例 の う ち、first-lineと し てFOLFOX、FOLFOX…+…<br />

Bevacizumab、XELOX…+…Bevacizumabを12 週 以 上 施 行 した101 例 を<br />

対 象 とし、 化 学 療 法 施 行 前 、 化 療 12 週 後 に、CT…volumetryにて 脾 容<br />

積 を 測 定 し、 化 療 前 後 の 脾 容 積 変 化 率 (SVI)を 算 出 した。 肝 線 維 化 指<br />

標 とされるAST/ 血 小 板 比 の 化 療 前 後 の 増 加 比 率 (APRI)を 算 出 し、<br />

関 連 肝 障 害 の 指 標 とした。また、 化 療 後 肝 切 除 例 において 病 理 組 織 学<br />

的 肝 障 害 (SOS)を 検 討 した。【 結 果 】SVIは、FOLFOX 群 (n…=…40):<br />

17 %、FOLFOX+Bev 群 (n…=…34):5.3 %、XELOX+Bev 群 (n…=…27):<br />

20%で、FOLFOX+Bev 群 で 有 意 に 低 値 であった(p


MSY9-9<br />

切 除 不 能 肝 転 移 に 対 する 計 画 的 二 期 的 切 除 術 の 妥 当<br />

性<br />

1<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 、 2 横 浜 市 立 大 学 臨 床 腫 瘍 科<br />

○… 田 中 邦 哉 1<br />

, 廣 島 幸 彦 1<br />

, 熊 本 宜 文 1<br />

, 野 尻 和 典 1<br />

,<br />

上 田 倫 夫 1<br />

, 武 田 和 永 1<br />

, 大 田 貢 由 1<br />

, 秋 山 浩 利 1<br />

,<br />

市 川 靖 史 2 1<br />

, 遠 藤 格<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 切 除 不 能 肝 転 移 に 対 する 計 画 的 二 期 的 切 除 の 妥 当 性 お<br />

よび 化 学 療 法 ( 化 療 ) 併 用 下 での 切 除 の 至 適 タイミングを 検 討 する。【 対<br />

象 と 方 法 】 肝 転 移 切 除 423 例 を 対 象 とした。 初 診 時 切 除 不 能 が71 例 で、<br />

このうち41 例 に 計 画 的 2 期 的 切 除 を 施 行 した。【 結 果 】1)…2 期 的 切 除 41<br />

例 中 、32 例 は 術 前 化 学 療 法 を 併 用 しており、9 例 は 化 学 療 法 非 施 行 で<br />

あった。 現 在 2 回 目 待 機 中 の1 例 を 除 き40 例 中 36 例 は2 回 目 切 除 まで 完<br />

遂 可 能 であった…( 完 遂 率 90%)。 完 遂 例 の 切 除 後 3 年 ,5 年 生 存 率 は<br />

38.9%,…24.3%であった。2)… 二 期 的 切 除 に 伴 う 腫 瘍 増 殖 助 長 の 有 無 を 検<br />

討 した。 初 回 切 除 前 後 での 残 肝 容 積 の 変 化 は、 化 療 併 用 例 が30.6%か<br />

ら42.4%(P


MSY10-4<br />

アシアロシンチによる 肝 機 能 評 価 と 肝 切 除 範 囲 の 決<br />

定<br />

山 口 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 坂 本 和 彦 , 爲 佐 卓 夫 , 徳 光 幸 生 , 橋 本 憲 輝 , 前 田 祥 成 ,<br />

新 藤 芳 太 郎 , 飯 田 通 久 , 鈴 木 伸 明 , 吉 村 清 , 上 野 富 雄 ,<br />

岡 正 朗<br />

肝 切 除 範 囲 はICG15 分 値 ( 以 下 静 注 ICG)とCT 画 像 などによる 残 肝 容 積<br />

(CT…volume: 以 下 CTV)をもとに 決 定 される。ただし 残 肝 容 積 の 評<br />

価 は 実 際 の 残 肝 機 能 との 間 に 解 離 を 生 じている 可 能 性 がある。 今 回 、<br />

我 々はアシアロシンチ( 以 下 シンチ)を 用 いた 術 前 肝 機 能 、 残 肝 機 能 を<br />

測 定 、 両 者 に 基 づく 肝 切 除 範 囲 の 決 定 について 検 討 した。 対 象 ・ 方 法 :<br />

対 象 は2005 年 11 月 から2011 年 10 月 までの 肝 切 除 症 例 のうち、シンチを<br />

施 行 した148 例 。LHL15、HH15からICG15 分 値 を 換 算 し( 以 下 シンチ<br />

ICG)、 予 定 残 肝 機 能 (Scinti…function: 以 下 SFN)を 測 定 。 静 注 ICG/<br />

CTVによる 予 定 手 術 評 価 ( 以 下 アナログ 法 )とシンチICG/SFNによる<br />

予 定 手 術 評 価 (シンチ 法 )について 比 較 、 検 討 した( 値 は 平 均 値 ± 標 準<br />

誤 差 )。なお 予 定 手 術 とは、 初 診 時 の 患 者 の 肝 機 能 、 腫 瘍 の 進 行 度 ・<br />

局 在 を 考 慮 した 上 で 想 定 される 最 大 の 術 式 とした。 結 果 : 静 注 ICG/<br />

CTVとシンチICG/SFNの 平 均 はそれぞれ15.5±0.7%/64.2%±1.4%、<br />

17.1±0.5%/66.0±1.3%であり 差 は 認 めなかった。アナログ 法 、シンチ<br />

法 ともに 予 定 手 術 「 可 能 」 症 例 は96 例 (64.9%)であった。アナログ 法<br />

で「 不 可 能 」、シンチ 法 で「 可 能 」 症 例 は20 例 (13.5%)であり、11 例 (55%)<br />

は 主 要 脈 管 侵 襲 陽 性 、もしくは 門 脈 塞 栓 後 の 症 例 であった。 両 群 で 術<br />

後 合 併 症 頻 度 に 差 はなく 全 例 耐 術 した。アナログ 法 で「 可 能 」、シン<br />

チ 法 で「 不 可 能 」とした 症 例 は16 例 (10.8%)で11 例 は 手 術 縮 小 し、5 例<br />

は 予 定 手 術 を 施 行 した。5 例 中 4 例 は 術 後 感 染 症 、 難 治 性 胸 腹 水 など 発<br />

症 したが 全 例 耐 術 した。アナログ 法 、シンチ 法 ともに「 不 可 能 」 症 例<br />

は16 例 (10.8%)で10 例 は 手 術 縮 小 し、6 例 は 予 定 手 術 を 施 行 した。 予 定<br />

手 術 を 行 った6 例 中 、2 例 は 合 併 症 発 症 ( 敗 血 症 、MRSA 肺 炎 )したが 軽<br />

快 退 院 し、3 例 は 死 亡 した(73 日 目 肝 不 全 、103 日 目 癌 死 、7か 月 後 肝 不<br />

全 )。 結 語 :アナログ 法 から 決 定 される 肝 切 除 術 はほぼ 安 全 に 施 行 可<br />

能 と 思 われる。しかし、アナログ 法 で 適 応 外 の 症 例 でもシンチ 法 で 評<br />

価 する 事 で、より 正 確 な 術 式 決 定 が 可 能 であると 考 えられた。アナロ<br />

グ 法 、シンチ 法 ともに 適 応 外 の 症 例 はほぼ 合 併 症 必 発 であり 慎 重 に 術<br />

式 を 選 択 すべきである。<br />

MSY10-5<br />

アシアロ 肝 シンチLHL15 値 を 加 えた 新 肝 切 除 選 択<br />

基 準 の 妥 当 性<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 曽 山 明 彦 , 高 槻 光 寿 , 日 高 匡 章 , 村 岡 いづみ, 山 口 泉 ,<br />

田 中 貴 之 , 大 野 慎 一 郎 , 足 立 智 彦 , 藤 田 文 彦 , 金 高 賢 悟 ,<br />

南 恵 樹 , 黒 木 保 , 江 口 晋<br />

当 科 では 以 前 よりICG15 分 停 滞 率 (ICGR15)を 基 準 とした 術 式 選 択 を<br />

行 なってきたが、1997 年 よりアシアロ 肝 シンチによる 肝 予 備 能 評 価 を<br />

加 えた 術 式 選 択 の 意 義 を 模 索 してきた。 今 回 、2001 年 から 導 入 した<br />

ICGR15とアシアロ 肝 シンチLDL15を 基 軸 とした 当 科 肝 切 除 術 式 選 択<br />

基 準 ( 表 1)の 有 用 性 を 明 らかにする 目 的 で1.… 新 基 準 導 入 後 の 遵 守 率 、2.<br />

新 基 準 導 入 前 後 の 手 術 関 連 事 象 の 発 生 率 の 変 化 を 検 討 した。( 対 象 ) 基<br />

準 導 入 後 (2001-2010)の 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 154 例 ( 以 下 中 央 値 66.6<br />

歳 、M/F…127/28,…ICG…15.7%)、 基 準 導 入 前 の 肝 切 除 119 例 (61.1 歳 、<br />

M/F…97/22,…ICG…15.1%)と 比 較 した。( 結 果 ) 検 討 1: 新 基 準 遵 守 は<br />

132/154 例 (85.2%)。ICGR15 別 での 新 基 準 遵 守 率 は15% 未 満 :96.2%、<br />

15-24%:75.9%、25-29%:70.0%、30% 以 上 :62.5%。 基 準 を 導 入<br />

したことにより、ICGR15が15-24%の 軽 度 低 下 7 例 が、25-30%でも2 例 が、<br />

LHL15≧0.9を 満 たし2 区 域 以 上 切 除 を 問 題 なく 施 行 できた。 逆 に6 例<br />

がICGR15≦15%にも 関 わらず、LHL150.08)、B 群 ( 同 :0.08-0.06)、C 群 ( 同 :<br />


MSY10-8<br />

EOB-MRIによるOnestopshopping 肝 予 備 能 検<br />

査<br />

徳 島 大 学 外 科<br />

○… 森 根 裕 二 , 島 田 光 生 , 宇 都 宮 徹 , 居 村 暁 , 池 本 哲 也 ,<br />

花 岡 潤 , 金 本 真 美 , 斎 藤 裕 , 山 田 眞 一 郎 , 浅 野 間 理 仁 ,<br />

三 宅 秀 則<br />

【はじめに】EOB-MRIの 肝 細 胞 相 (EOB)は、 肝 細 胞 癌 の 高 い 診 断 能<br />

を 有 する 一 方 で、 新 たな 肝 機 能 の 評 価 法 としての 可 能 性 を 有 し、 我 々<br />

は 普 遍 的 な 肝 予 備 能 評 価 法 である 肝 アシアロシンチグラフィーと<br />

EOBの 相 関 を 検 証 し、 臨 床 応 用 への 可 能 性 を 検 討 してきた…(J…<br />

Gastroenterol.…in…press)。 肝 予 備 能 検 査 及 び 肝 切 除 術 前 シミュレー<br />

ションを 含 めた 肝 切 除 術 前 検 査 全 般 におけるEOBの 有 用 性 を 検 討 し<br />

た。【 対 象 ・ 方 法 】1.…EOBによる 肝 予 備 能 評 価 : 肝 切 除 例 (n=5)を 対<br />

象 とし、3D 脂 肪 抑 制 T1 強 調 画 像 (1.5…Tesla…MRI)であるLAVAをEOB<br />

注 入 開 始 20 分 後 に 撮 像 。FLIRT(Oxford…Univ.…FSL)によりアシアロ<br />

(SPECT)とRegistration…(13…slice,…Matrix…=…512…X…512=262144)し、<br />

全 13sliceでpixel…by…pixelに 相 関 を 検 討 。さらに 肝 内 胆 管 非 拡 張 例 58<br />

例 ( う ちT-Bil…2mg/dl 以 上 8 例 を 含 む )を 対 象 と し、EOBの 肝 実 質<br />

Signal…Intensity:…SIを 起 立 脊 柱 筋 のSIで 標 準 化 後 、 各 種 肝 機 能 検 査<br />

(ICG,…LHL)との 相 関 を 検 討 。2.…EOBを 用 いたvolumetry: 正 常 肝 機<br />

能 症 例 におけるEOBをVINCENT(Fuji…Film)で 画 像 構 築 し、CTによ<br />

る 肝 容 積 との 誤 差 を 検 討 。3.… 胆 管 拡 張 症 例 における 評 価 : 区 域 性 胆 管<br />

拡 張 例 6 例 と 対 象 とし、 胆 管 拡 張 部 ・ 非 拡 張 部 における 標 準 化 肝 実 質<br />

SIを 測 定 し 比 較 検 討 。【 結 果 】1.… アシアロの 集 積 (RI…activity)とSIの<br />

相 関 係 数 の 平 均 は0.81と 相 関 を 認 め、 中 央 部 スライスでは 平 均 0.91と<br />

よ り 強 い 相 関 を 認 め た。 ま た 標 準 化 SIはLHL15(r=0.64)、ICGR15<br />

(r=0.72)(ICG=69.8-22.0xSI)と 強 い 相 関 を 認 めた。2.… 全 肝 ( 誤 差 …22ml,…<br />

2.9%)、 左 葉 ( 誤 差 …19ml,…7.3%)、 右 葉 ( 誤 差 …3ml,…0.6%)、 外 側 区 域 ( 誤<br />

差 …2ml,…1.4%)、 前 区 域 ( 誤 差 …6ml,…2.2%)と、EOB…volumetryでCT 同 様<br />

のシミュレーションが 可 能 であった。3.… 全 例 拡 張 部 位 mean…SIは 非 拡<br />

張 部 位 mean…SIよ り 低 く、 胆 管 拡 張 区 域 SIは2.4±0.4(ICG 換 算 :…<br />

17.0%)、 非 拡 張 区 域 SIは3.1±1.0(ICG 換 算 :…1.6%)と 拡 張 区 域 のSIが<br />

低 い 傾 向 を 認 めた(p=0.11)。【まとめ】EOBと 肝 予 備 能 評 価 とともに<br />

術 前 volumetryによりone…stop…shoppingに 術 前 検 査 が 可 能 となる。さ<br />

らに 胆 管 拡 張 例 などにおける 分 肝 予 備 能 評 価 にも 有 用 であると 思 われ<br />

る。<br />

MSY10-9<br />

術 前 ヒアルロン 酸 値 と 残 肝 体 積 割 合 を 用 いた 肝 細 胞<br />

癌 に 対 するHr2 以 上 の 肝 切 除 術 後 合 併 症 予 測<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 医 学 部 第 二 外 科<br />

○… 上 野 昌 樹 , 谷 眞 至 , 川 井 学 , 速 水 晋 也 , 山 口 俊 介 ,<br />

岡 田 健 一 , 廣 野 誠 子 , 宮 澤 基 樹 , 北 畑 裕 司 , 重 河 嘉 靖 ,<br />

山 上 裕 機<br />

【はじめに】 肝 細 胞 癌 (HCC)における 肝 2 区 域 以 上 切 除 (Hr2)は, 肝<br />

予 備 能 が 維 持 された 症 例 に 適 応 される. 従 来 ,ICG 負 荷 試 験 の 結 果 に<br />

基 づいてHr2の 適 応 を 決 めてきたが, 未 だHr2における 術 後 合 併 症 の<br />

発 生 頻 度 は 多 い.これまで 我 々は, 術 前 ヒアルロン 酸 (HA) 値 と 残 肝<br />

体 積 割 合 (%Vol)から 術 後 合 併 症 予 測 の 回 帰 式 を 立 式 し,Logit=4.15<br />

+0.03×(HA)-0.16×(%Vol)の 予 測 式 を 報 告 した(Dig…Surg.…2009;<br />

26:392-399.). 今 回 ,その 後 の 症 例 に 対 するvalidation 解 析 を 行 い,<br />

また,ICGR15 値 不 良 症 例 における 判 別 能 力 を 検 証 する.【 対 象 】2001<br />

年 ~2008 年 4 月 まで 判 別 式 作 成 に 用 いたHr2 以 上 のHCC 肝 切 除 症 例<br />

(n=52) 及 び,2008 年 5 月 以 降 の 判 別 式 導 入 後 のHr2 以 上 のHCC 肝 切 除<br />

症 例 (n=32).【 方 法 】 留 置 ドレナージを 要 した 難 治 性 胸 水 / 腹 水 ・ 遷<br />

延 性 黄 疸 ・ 肝 不 全 を 肝 切 除 後 関 連 の 合 併 症 と 定 義 し, 判 別 式 導 入 前 後<br />

における 合 併 症 発 生 頻 度 を 比 較 した.また,ICGR15(%)>20の 肝 障<br />

害 度 症 例 を 母 集 団 とした 判 別 式 の 判 別 能 力 も 検 証 した.【 結 果 】<br />

ICGR15(%)の 平 均 値 ( 最 低 値 ,… 最 大 値 )は, 判 別 式 導 入 前 が12.3(3.9,…<br />

34), 導 入 後 は14.5(5,…35)であり, 差 を 認 めなかった. 術 後 合 併 症 発<br />

生 頻 度 は, 判 別 式 導 入 前 が17 例 (32.7%)であったのに 対 し, 導 入 後 は<br />

2 例 (6.2%)と 著 減 した.Receiver…operating…characteristic 曲 線 におけ<br />

る 曲 面 下 面 積 (95% 信 頼 区 間 ) 値 は0.88(0.79-0.97)を 維 持 していた.<br />

ICGR15(%)>20の 症 例 を14 例 ( 右 葉 切 除 12 例 ・ 左 葉 切 除 1 例 ・ 中 央 2 区<br />

域 切 除 1 例 ; 判 別 式 導 入 前 7 例 ・ 導 入 後 7 例 )に 認 めたが, 判 別 式 導 入 前<br />

の2 例 に 合 併 症 を 認 め, い ず れ もLogit 値 >0で あ っ た<br />

(specificity,sensitivityともに100%).【まとめ】HAと 残 肝 体 積 割 合 を<br />

判 別 変 数 に 含 んだLogit 値 を 参 照 する 事 が,HCCにおけるHr2 以 上 の<br />

手 術 を 適 応 する 際 に 妥 当 であることが 示 された.<br />

MSY11-1<br />

門 脈 塞 栓 術 の 効 果 判 定 における 肝 アシアロシンチを<br />

用 いた 分 肝 機 能 測 定 の 有 用 性<br />

長 崎 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 阿 保 貴 章 , 七 島 篤 志 , 若 田 幸 樹 , 濱 崎 景 子 , 富 永 哲 郎 ,<br />

永 安 武<br />

【 緒 言 】 門 脈 塞 栓 術 は、 広 範 囲 肝 切 除 術 の 安 全 性 を 向 上 させる 方 法 と<br />

して 用 いられ、これまで 困 難 であった 肝 門 部 腫 瘍 等 の 切 除 に 貢 献 して<br />

いる。しかしながら、 肝 切 除 症 例 の 背 景 肝 の 多 くが 慢 性 肝 障 害 や 腫 瘍<br />

占 拠 による 血 行 障 害 、 胆 汁 鬱 滞 などの 影 響 を 受 けており、 門 脈 塞 栓 術<br />

の 評 価 には 正 確 な 肝 容 積 測 定 に 加 えて、 多 角 的 な 機 能 評 価 が 要 される。<br />

今 回 我 々は3DCTを 用 いた 形 態 的 容 積 測 定 に 加 えて 肝 アシアロシンチ<br />

を 用 いた 分 肝 機 能 測 定 を 行 い、 門 脈 塞 栓 術 の 評 価 を 行 っているので 報<br />

告 する。【 対 象 】2001 年 1 月 より 当 科 にて 門 脈 塞 栓 術 を 施 行 し、 肝 アシ<br />

アロシンチを 用 いて 施 行 前 後 の 分 肝 機 能 評 価 を 行 った 症 例 32 症 例 を 対<br />

象 とした。【 方 法 】ICG-R15 値 を 用 いて 高 崎 の 式 から 切 除 許 容 量 を 算<br />

出 し、CT…volumetryによる 形 態 的 容 積 (MLV)、および 肝 アシアロシ<br />

ンチを 用 いた 機 能 的 容 積 (FLV) 測 定 の 結 果 より、 門 脈 塞 栓 術 の 要 否<br />

を 決 定 した。 門 脈 塞 栓 施 行 後 2-3 週 目 に 腫 瘍 を 除 いた 塞 栓 領 域 、 非 塞<br />

栓 領 域 のMLVおよびFLVを 測 定 し 評 価 を 行 った。【 結 果 】 症 例 は 平 均<br />

年 齢 66.7 歳 (41-84)、 右 門 脈 塞 栓 術 を30 症 例 、 右 3 区 域 塞 栓 術 を2 例 に 対<br />

して 施 行 した。 術 前 ICGR15は 平 均 14.1%、LHL15は0.92であった。( 門<br />

脈 塞 栓 施 行 前 )MLVでは 塞 栓 領 域 : 非 塞 栓 領 域 は63.6%…(709ml):<br />

37.2%…(397ml)、FLVは61.2%:39.1%であり 差 を 認 めなかった(p=0.23)。<br />

( 門 脈 塞 栓 施 行 後 ) 非 塞 栓 領 域 のMLVは 平 均 110ml 増 加 した。MLVは<br />

塞 栓 領 域 : 非 塞 栓 領 域 は55.1%…:44.6%、FLVは47.3%:53.2%であり 各 々<br />

施 行 前 と 比 して 有 意 に 非 塞 栓 領 域 の 増 加 を 認 め(p


MSY11-3<br />

当 科 における 門 脈 塞 栓 術 施 行 症 例 の 検 討<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科<br />

○… 林 泰 寛 , 高 村 博 之 , 山 口 紫 , 酒 井 清 祥 , 牧 野 勇 ,<br />

中 川 原 寿 俊 , 田 島 秀 浩 , 北 川 裕 久 , 太 田 哲 生<br />

【はじめに】 大 量 肝 切 除 術 後 予 備 能 低 下 が 危 惧 される 場 合 , 術 前 門 脈<br />

塞 栓 術 を 行 うことの 有 用 性 が 報 告 されている. 一 方 で, 塞 栓 術 後 の 待<br />

機 期 間 における 腫 瘍 の 進 展 や 予 定 残 肝 予 備 能 の 改 善 不 足 から 予 定 手 術<br />

を 施 行 し 得 ない 場 合 も 経 験 される. 当 科 における 同 手 技 の 適 応 とその<br />

結 果 を 検 証 する.【 対 象 と 方 法 】2006 年 4 月 から2011 年 3 月 までに 当 科<br />

における2 区 域 以 上 肝 切 除 予 定 症 例 を 対 象 とした. 適 応 はCT…<br />

volumetryにおいて 切 除 率 が65% 以 上 ,あるいは 当 科 において 機 能 的<br />

残 肝 量 の 目 安 として 用 いているTc-99m-GSA…SPECTによる 予 定 残 肝<br />

クリアランス150ml/min 以 下 を 目 安 とした. 門 脈 塞 栓 術 は 全 例 , 放 射<br />

線 科 医 によって 超 音 波 ガイド 下 経 皮 経 肝 的 に 施 行 された.【 結 果 】 全<br />

32 例 に 本 手 技 が 適 応 された. 原 疾 患 はHCCが6 例 ,ICCが6 例 , 転 移 性<br />

肝 癌 8 例 , 肝 門 部 胆 管 癌 8 例 , 胆 嚢 癌 3 例 及 び 血 管 腫 1 例 であった.また,<br />

背 景 肝 は 慢 性 肝 障 害 を 有 するもの8 例 , 閉 塞 性 黄 疸 を 有 するもの9 例 ,<br />

化 学 療 法 後 7 例 及 び 正 常 肝 8 例 であった. 門 脈 塞 栓 術 から 手 術 までの 待<br />

機 期 間 は 平 均 27 日 間 であった. 当 初 予 定 した 術 式 を 施 行 しえたものは<br />

26 例 であった. 予 定 の 術 式 を 施 行 しえなかった6 例 の 理 由 の 内 訳 は 予<br />

備 能 の 改 善 が 得 られていないと 判 断 したもの2 例 , 腫 瘍 の 進 行 による<br />

もの4 例 であった.Tc-99m-GSA…SPECTによる 予 定 残 肝 クリアランス<br />

は 比 較 検 討 可 能 な22 例 中 15 例 で 増 加 していた. 一 方 で 予 定 術 式 施 行 26<br />

症 例 中 2 例 に 血 液 疾 患 または 術 前 血 管 内 治 療 との 関 連 性 が 示 唆 される<br />

在 院 死 亡 を 認 めた.【 考 察 】 術 前 門 脈 塞 栓 術 によって 多 くの 症 例 がCT<br />

上 の 予 定 残 肝 容 量 のみならず, 機 能 的 な 改 善 も 認 めていることが 確 認<br />

された.しかし, 当 然 のことながら, 肝 予 備 能 の 十 分 な 改 善 が 得 られ<br />

ない 症 例 もあり, 門 脈 塞 栓 術 による 肝 予 備 能 改 善 効 果 を 予 測 すること<br />

は 難 しいと 考 えられた. 門 脈 塞 栓 術 は 肝 切 除 の 安 全 性 を 向 上 させるこ<br />

とが 主 たる 目 的 である 場 合 が 多 いと 考 えられる. 一 方 で, 肝 切 除 適 応<br />

拡 大 の 観 点 から, 肝 予 備 能 改 善 効 果 を 予 測 することは 重 要 であると 考<br />

えられ, 自 験 例 からその 実 際 と 限 界 を 検 討 報 告 したい.<br />

MSY11-4<br />

PTPEの 残 肝 体 積 増 大 率 予 測 に 有 用 なパラメータの<br />

抽 出<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科<br />

○… 速 水 晋 也 , 上 野 昌 樹 , 山 口 俊 介 , 谷 眞 至 , 川 井 学 ,<br />

廣 野 誠 子 , 岡 田 健 一 , 宮 澤 基 樹 , 北 畑 裕 司 ,<br />

山 上 裕 機<br />

【はじめに】 巨 大 肝 細 胞 癌 、 肝 門 部 胆 管 癌 、 肝 門 部 浸 潤 を 伴 う 胆 嚢 癌<br />

等 に 対 する 肝 切 除 を 安 全 に 施 行 するには、 術 後 肝 不 全 を 起 こさない 術<br />

前 管 理 を 行 い、 残 肝 を 多 く 残 すことが 望 まれる。 残 肝 増 大 には 経 皮 経<br />

肝 門 脈 塞 栓 術 ( 以 下 PTPE)が 有 用 だが、 当 科 で 施 行 したPTPEの 臨 床<br />

データを 基 に 残 肝 体 積 増 大 率 に 寄 与 する 因 子 を 解 析 した。【 対 象 と 方<br />

法 】2000 年 から 残 肝 率 が30%を 切 る 症 例 、および 当 科 における 肝 不 全<br />

予 測 システム(Wakayama…index)で 術 後 肝 不 全 の 発 症 が 予 測 された29<br />

例 にPTPEを 行 った( 症 例 : 肝 細 胞 癌 18 例 、 肝 門 部 胆 管 癌 5 例 、 胆 嚢 癌<br />

3 例 、 転 移 性 肝 癌 2 例 、 肝 内 胆 管 癌 1 例 。 術 式 : 右 葉 切 除 10 例 、 拡 大 右<br />

葉 切 除 8 例 、 右 三 区 域 切 除 7 例 、 左 三 区 域 切 除 1 例 、 肝 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 1 例 、 手 術 不 能 2 例 )。 患 者 因 子 ・ 各 種 肝 線 維 化 マーカー(ヒアルロン<br />

酸 ・APRI・FIB-4)を 含 めた 背 景 肝 因 子 ・ 腫 瘍 因 子 を 変 数 として 残 肝<br />

体 積 増 大 率 との 相 関 解 析 を 行 った。【 結 果 】 平 均 残 肝 体 積 はPTPE 前<br />

438.3±151.0ml、 後 536.5±151.0ml、 平 均 残 肝 体 積 増 大 率 25.7%であった。<br />

また 残 肝 率 はPTPE 前 34.3±8.94%、 後 43.3±7.42%、 残 肝 率 の 平 均 増<br />

大 率 26.0%であった。 残 肝 体 積 増 大 率 はFIB-4…indexとの 間 のみ 相 関 を<br />

認 め…(r…=…-0.453,…p…=…0.033)、 単 回 帰 関 数 検 定 を 行 うと、( 残 肝 体 積 増<br />

大 率 :%)=145.899-4.765x(FIB-4)が 得 られた(p…=…0.034)。【 考 察 】<br />

FIB-4…indexは 主 にHCV 関 連 肝 疾 患 において 肝 線 維 化 を 予 測 するindex<br />

である。 肝 線 維 化 の 強 い 症 例 では 術 前 PTPEを 施 行 しても 十 分 な 増 大<br />

が 得 られない 可 能 性 を 示 唆 している。FIB-4…indexを 用 いた 単 回 帰 関<br />

数 は 術 前 PTPEにおける 残 肝 体 積 増 大 率 の 予 測 に 有 用 である。<br />

MSY11-5<br />

門 脈 塞 栓 術 併 用 肝 切 除 における 肝 再 生 の 検 討<br />

1<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科 、 2 熊 本 大 学 消 化 器 癌 集 中 治 療 学 講 座<br />

○… 中 川 茂 樹 1<br />

, 岡 部 弘 尚 1 1,2<br />

, 別 府 透 , 黒 木 秀 幸 1<br />

, 美 馬 浩 介 1<br />

,<br />

林 洋 光 1<br />

, 新 田 英 利 1<br />

, 今 井 克 憲 1<br />

, 生 田 義 明 1<br />

, 中 原 修 1<br />

,<br />

近 本 亮 1<br />

, 土 居 浩 一 1<br />

, 石 河 隆 敏 1<br />

, 高 森 啓 史 1<br />

,<br />

1<br />

馬 場 秀 夫<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 我 々は、 大 量 肝 切 除 が 必 要 な 肝 癌 症 例 ( 原 発 性 ・ 転 移 性 )<br />

に 対 して 術 前 に 門 脈 塞 栓 術 (PVE)を 行 うことで 残 肝 体 積 を 増 加 させ、<br />

肝 切 除 の 適 応 拡 大 を 図 ってきた。しかし、PVE 前 後 及 びその 後 の 肝<br />

切 除 前 後 における 肝 再 生 の 程 度 は 明 らかでない。PVEから 手 術 に 至<br />

るまでの 肝 体 積 を 継 時 的 に 測 定 し、PVE 併 用 肝 切 除 症 例 における 肝<br />

再 生 の 推 移 を 検 討 した。【 方 法 】2007 年 から2011 年 にPVE 併 用 肝 切 除<br />

を 施 行 した30 症 例 に 対 して 検 討 を 行 った。CT…volummetryを 用 いて、<br />

PVE 前 予 測 残 肝 体 積 (Future…remnant…liver…volume…:…FRLVprePVE)、<br />

肝 切 除 前 PVE 後 予 測 残 肝 体 積 (FRLVpreOPE)、 肝 切 除 術 後 1 週 間 後 の<br />

術 後 残 肝 体 積 (Remnant…liver…volume…:…RLV)、PVE 前 の 非 癌 部 切 除<br />

率 を 測 定 し、PVE 前 後 の 残 肝 体 積 の 変 化 (δFRLVpve=…<br />

FRLVpreOPE-FRLVprePVE)、 肝 切 除 前 後 の 残 肝 体 積 の 変 化 (δ<br />

FRLVope=RLV-FRLVpreOPE)の 関 連 性 について 検 討 した。また、<br />

PVE 前 肝 切 除 率 とδFRLVpve、δFRLVope、 全 体 の 残 肝 体 積 (δ<br />

FRLVtotal)の 変 化 に つ い て 検 討 し た。【 結 果 】 δFRLVpve、 δ<br />

FRLVopeの 平 均 値 はそれぞれ11.47%、19.05%であり、2 段 階 の 肝 再 生<br />

を 認 めた。δFRLVpveとδFRLVopeの 間 には 相 関 関 係 を 認 めなかっ<br />

た(R=0.0203)。PVE 切 除 率 と 体 積 変 化 の 関 係 は、 δFRLVpveで<br />

R=0.1152、δFRLVope…でR=0.2115と 相 関 関 係 を 認 めなかったが、 全<br />

体 の 体 積 増 加 量 (δFRLVtotal)と 強 い 相 関 関 係 を 認 めた(R=0.3749、<br />

P=0.0004)。【まとめ】PVE 併 用 肝 切 除 において、PVE 前 後 及 び 肝 切<br />

除 前 後 で2 段 階 に 肝 再 生 が 得 られ、 非 癌 部 肝 切 除 率 は 肝 再 生 の 程 度 に<br />

強 く 関 連 する 因 子 の 一 つである。<br />

MSY11-6<br />

肝 切 除 前 門 脈 塞 栓 の 意 義 ― 適 応 とその 限 界 、 当 科 の<br />

症 例 を 顧 みて―<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 豊 木 嘉 一 , 石 戸 圭 之 輔 , 工 藤 大 輔 , 木 村 憲 央 , 大 橋 大 成 ,<br />

鳴 海 俊 治 , 袴 田 健 一<br />

「 目 的 」 肝 ・ 胆 道 悪 性 腫 瘍 に 対 して 根 治 性 を 求 める 結 果 として 大 量 肝<br />

切 除 が 必 要 となる 症 例 もあり、 残 肝 の 機 能 的 容 量 不 足 に 悩 まされる。<br />

1986 年 に 術 前 門 脈 塞 栓 (PVE)が 報 告 されて 以 来 、 広 くこの 手 技 が 用<br />

いられるようになった。しかしながら、その 適 応 については 明 確 にさ<br />

れていない。そこで、 当 科 でPVEを 行 った 症 例 をretrospectiveに 分 析<br />

し、 意 義 ( 適 応 と 限 界 )について 検 討 した。「 対 象 」2002 年 からPVEを<br />

導 入 し、2011 年 までの58 例 を 対 象 とした。 基 本 的 に 肝 障 害 のない 群 ( 肝<br />

門 部 胆 管 癌 29 例 、 胆 嚢 癌 6 例 、 肝 内 胆 管 細 胞 癌 2 例 )と 肝 障 害 のある 群 ( 大<br />

腸 癌 肝 転 移 17 例 、 肝 細 胞 癌 4 例 )に 分 けて 検 討 した。「 結 果 」PVEに 起<br />

因 した 合 併 症 は3 例 (5.2%、 全 例 軽 微 な 胆 道 出 血 )であった。 肝 障 害 の<br />

ない 群 (NL 群 )で 切 除 を 断 念 したのは5 例 (13.5%、4 例 が 病 勢 、1 例 が 門<br />

脈 の 側 副 血 行 路 のため 肥 大 なし)、 肝 障 害 にある 群 (DL 群 )で 切 除 を 断<br />

念 したのは5 例 (23.8%、3 例 が 肥 大 なし、2 例 が 高 度 の 脂 肪 肝 炎 )であっ<br />

た。 肝 細 胞 癌 症 例 の4 例 中 2 例 にTAEを 併 施 されていた。 肝 の 肥 大 の<br />

割 合 ( 塞 栓 後 残 肝 容 量 / 標 準 肝 容 量 ― 塞 栓 前 残 肝 容 量 / 標 準 肝 容 量 ,… %)<br />

はNL 群 で9.63%(0.82-20.97%)、DL 群 で10.67%(1.33-22.3%)で 同 様 で<br />

あった。 切 除 肝 容 量 はNL 群 でDL 群 に 比 較 して 多 かった。 術 後 の<br />

T-Bil. 値 の 最 大 値 はNL 群 で4.92mg/dl(0.9-4.3mg/dl)、DL 群 で1.99mg/<br />

dl(1.5-10.4mg/dl)であった。 肝 門 部 胆 管 癌 に 限 ってみると、PVE 導 入<br />

前 後 で 切 除 率 とR0 率 がPVE 導 入 後 有 意 に 上 がった。「 考 察 」PVE 後 、<br />

NL 群 の 切 除 断 念 例 をみると4 例 が 病 勢 のためであった。 塞 栓 期 間 中 に<br />

病 勢 が 進 行 した 症 例 というより、 手 術 適 応 の 問 題 と 思 われた。 一 方 、<br />

DL 群 では、 切 除 を 断 念 した 症 例 は 全 例 、 背 景 の 肝 障 害 のためと 思 わ<br />

れた。NL 群 とDL 群 では、 塞 栓 後 の 肥 大 率 に 差 は 無 く、Fargesらの 報<br />

告 と 違 った 結 果 となった。 我 々の 結 果 から、 肝 門 部 胆 管 癌 ではPVE<br />

導 入 により 長 期 予 後 が 期 待 でき、 意 義 があると 思 われたが、 術 前 の 診<br />

断 のqualityをあげる 必 要 がある。DL 群 、 特 に 大 腸 癌 肝 転 移 では、<br />

PVE 後 、 約 30%に 肥 大 が 無 かったり、 強 い 肝 障 害 のため 切 除 不 能 とな<br />

る 症 例 を 認 め、その 見 極 めが 重 要 と 思 われた。<br />

-272-


MSY11-7<br />

門 脈 枝 塞 栓 術 後 の 予 定 残 肝 機 能 評 価 と 拡 大 肝 切 除 後<br />

の 肝 不 全 危 険 因 子 についての 検 討<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学<br />

○… 藤 井 義 郎 , 矢 野 公 一 , 今 村 直 哉 , 旭 吉 雅 秀 , 永 野 元 章 ,<br />

大 内 田 次 郎 , 大 谷 和 広 , 甲 斐 真 弘 , 近 藤 千 博 ,<br />

千 々 岩 一 男<br />

【 目 的 】 門 脈 枝 塞 栓 術 (PE) 後 の 予 定 残 肝 機 能 評 価 と 拡 大 肝 切 除 後 の<br />

肝 不 全 危 険 因 子 とについて 検 討 した.【 方 法 】2002 年 より 肝 ( 拡 大 ) 右<br />

葉 切 除 , 左 または 右 3 区 域 切 除 を 施 行 した64 例 …( 右 葉 38, 拡 大 右 葉 19,<br />

右 3 区 域 4, 左 3 区 域 3)…を 対 象 とし, 術 後 高 ビリルビン 血 症 ( 高 ビ 血 症 :<br />

T.Bil 値 5mg/dl 以 上 )の 危 険 因 子 を 解 析 した. 疾 患 の 内 訳 は, 原 発 性 肝<br />

癌 30 例 , 転 移 性 肝 癌 12 例 , 胆 道 癌 18 例 ,…その 他 良 性 疾 患 4 例 で,64 例 の<br />

うち 肝 切 除 率 60% 以 上 の27 例 で 術 前 PEを 施 行 した.PE 症 例 を 対 象 に<br />

塞 栓 前 後 で 肝 機 能 評 価 を 比 較 検 討 した.【 結 果 】 術 後 高 ビ 血 症 は9 例<br />

(14%)に 認 め,そのうち7 例 はPE 施 行 例 であった. 単 変 量 解 析 による<br />

術 後 高 ビ 血 症 の 危 険 因 子 は, 肝 切 除 率 (PE 例 はPE 前 ),PE 併 施 , 肝 切<br />

除 時 併 施 手 術 ( 胃 全 摘 やPPPD), 術 後 合 併 症 であった. 多 変 量 解 析 で<br />

は 有 意 な 危 険 因 子 はなく,9 例 中 3 例 に 手 術 関 連 死 を 認 めた.PE 後 肝<br />

切 除 率 ,ICGKrem, 残 肝 GSAmax…(99mTc-GSAシンチ)や 手 術 時 間 ,<br />

出 血 量 などは 有 意 差 を 認 めなかった.PE 前 後 で, 肝 切 除 率 は62.2から<br />

53.2%へ 有 意 に 低 下 したが,PE 後 の 肝 切 除 率 と99mTc-GSAシンチに<br />

よる 機 能 的 肝 切 除 率 (54%)との 比 較 では 有 意 差 を 認 めなかった.【 結<br />

論 】PE 後 の99mTc-GSAシンチによる 残 肝 の 機 能 的 評 価 は 体 積 変 化 と<br />

有 意 差 を 認 めなかった. 肝 切 除 率 60% 以 上 に 対 する 術 前 PEは 肝 切 除<br />

率 を 低 下 して 肝 不 全 の 予 防 に 貢 献 していたが,PEを 施 行 しても 併 施<br />

手 術 や 術 後 合 併 症 など 肝 機 能 以 外 の 因 子 が 高 ビ 血 症 に 深 く 関 与 しPE<br />

の 限 界 が 示 唆 された.<br />

MSY11-8<br />

無 水 エタノールを 用 いた 門 脈 塞 栓 における 背 景 肝 に<br />

よる 残 肝 増 大 率 の 検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 緒 方 俊 郎 , 奥 田 康 司 , 酒 井 久 宗 , 御 鍵 和 弘 , 平 川 雄 介 ,<br />

安 永 昌 史 , 石 川 博 人 , 堀 内 彦 之 , 木 下 壽 文 ,<br />

白 水 和 雄<br />

【 背 景 及 び 目 的 】 当 科 における 拡 大 肝 切 除 前 の 門 脈 塞 栓 (PVE)の 適<br />

応 は 幕 内 基 準 に 準 じ,… 肝 硬 変 は 不 適 応 とし 肝 硬 変 を 疑 う 場 合 は 血 清 ヒ<br />

アルロン 酸 (HA)10 万 ,… 門 脈 圧 ( 肝 静 脈 楔 入 圧 )<<br />

20mmHgとしている。 背 景 肝 によるPVE 後 残 肝 増 大 率 をretrospective<br />

に 検 討 しPVEの 適 応 を 再 考 する。【 対 象 及 び 方 法 】2002 年 -2011 年 ,… 無<br />

水 エタノールによるPVEを 施 行 した113 例 中 ,… 予 定 術 式 を 完 遂 した102<br />

例 。 対 象 疾 患 は 肝 細 胞 癌 67 例 ,… 転 移 性 肝 癌 12 例 ,… 肝 門 部 胆 管 癌 16 例 ,… 胆<br />

嚢 癌 2 例 ,… 肝 内 胆 管 癌 5 例 。 平 均 年 齢 66 歳 ,… 肝 機 能 は 全 例 Child…A。 肝 容<br />

量 は3D-CT…volumetryにて 算 出 した。 摘 出 肝 病 理 にて 背 景 肝 を 正 常 肝<br />

(NL),… 慢 性 肝 炎 (CH),… 肝 硬 変 (LC),… 及 び 黄 疸 肝 (J)の4 群 に 分 類 し,… 年<br />

齢 ,…ICG,,…HA,…PLT,… 残 肝 増 大 率 ,… 肝 切 除 率 ,… 門 脈 圧 ,… 術 後 合 併 症 を 評 価<br />

し,… 残 肝 増 大 率 と 腫 瘍 ,… 宿 主 因 子 の 関 連 を 解 析 した。【 結 果 】PVE 後 残<br />

肝 容 量 は 平 均 …444→561ml…(1.26 倍 )に 増 大 ,… 肝 切 除 率 は 平 均 58→48%に<br />

低 下 した。LC 群 のHA,…ICGはCH 群 に 比 し 有 意 差 はないがPLT,… 術 前<br />

門 脈 圧 は 高 値 であった。LC 群 の 肝 切 除 率 は…NL 群 と 比 し 低 いがCH 群<br />

と 有 意 差 は 認 めず,…HAはJ 群 で 高 値 ,… 残 肝 増 大 率 はNL/…CH/…LC/…J 群 :…<br />

1.4/…1.2/…1.3/…1.1 倍 で,…J 群 で 低 くLC 群 ではCH,…NL 群 と 比 し 有 意 差 は 認<br />

めなかった。 残 肝 増 大 率 の 単 変 量 解 析 では 黄 疸 肝 ,… 病 理 学 的 血 管 浸 潤<br />

陽 性 が 有 意 な 負 の 因 子 であった。 術 後 合 併 症 は 肝 不 全 4 例 ,…LC 群 では<br />

重 篤 な 合 併 症 は 認 めなかった。【 結 語 】 無 水 エタノールを 用 いたPVE<br />

では 残 肝 増 大 率 は 黄 疸 肝 で 不 良 であったが,…Child…A 肝 硬 変 では 非 肝<br />

硬 変 と 同 様 に 残 肝 増 大 が 得 られPVEの 適 応 となりうると 考 えられ<br />

た。<br />

MSY11-9<br />

術 前 門 脈 塞 栓 術 (PVE) 後 代 償 性 肝 再 生 に 関 与 する<br />

臨 床 的 因 子 の 解 析 とPVE 適 応 の 再 検 討<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科<br />

○… 穴 澤 貴 行 , 土 屋 貴 男 , 見 城 明 , 芳 賀 淳 一 郎 , 佐 藤 哲 ,<br />

佐 藤 直 哉 , 斎 藤 拓 朗 , 後 藤 満 一<br />

【 目 的 】PVEは 広 範 肝 切 除 の 安 全 性 を 高 める 方 策 として 定 着 してい<br />

るが、 塞 栓 後 の 代 償 性 肝 再 生 を 予 測 しうる 肝 機 能 指 標 は 確 立 しておら<br />

ず、PVE 後 の 肝 再 生 が 不 十 分 である 場 合 が 起 こりうる。また 再 生 を<br />

待 つ 間 に 病 状 の 進 展 を 認 め 根 治 術 不 能 となる 場 合 もある。 広 範 肝 切 除<br />

術 前 PVE 症 例 の 臨 床 的 検 査 項 目 について 検 討 しPVE 効 果 予 測 因 子 の<br />

抽 出 を 試 み、さらにPVE 後 に 根 治 手 術 を 施 行 し 得 なかった 症 例 の 検<br />

討 を 通 じて、PVE 適 応 の 再 評 価 を 行 うことを 目 的 とした。【 方 法 】<br />

1994 年 9 月 から2011 年 1 月 までに 肝 胆 道 悪 性 疾 患 に 対 し 広 範 肝 切 除 術 前<br />

PVEを 実 施 した51 例 を 対 象 とし、PVE 後 予 定 残 肝 体 積 増 加 率 と 臨 床<br />

的 検 査 値 との 相 関 を 検 討 した。PVEの 適 応 は 予 測 残 肝 体 積 率 が 全 肝<br />

の40% 未 満 である 場 合 とした。またPVE 後 の 治 療 経 過 を 検 証 し、 病<br />

状 進 展 の 有 無 を 検 討 した。【 結 果 】PVE 前 の 予 定 残 肝 体 積 率 は32.6±<br />

6.6%で、PVEにより39.8±7.0%へと 有 意 な 残 肝 体 積 率 の 増 加 が 得 られ<br />

た(p


MSY12-2<br />

当 院 におけるIPMN 治 療 選 択 の 検 討<br />

八 王 子 消 化 器 病 院 外 科<br />

○… 鈴 木 修 司 , 梶 理 史 , 小 池 伸 定 , 原 田 信 比 古 , 鈴 木 衛 ,<br />

今 泉 俊 秀<br />

【 目 的 】 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)の 手 術 適 応 は 国 際 ガイドライ<br />

ンの 提 唱 にて 本 症 に 対 する 一 定 の 方 向 性 が 示 されているものの 未 だ 鑑<br />

別 診 断 、 手 術 適 応 、 手 術 術 式 に 難 渋 する 場 合 も 認 める。このため、 当<br />

院 で 経 験 したIPMN 症 例 に 対 する 外 科 的 治 療 選 択 とその 特 徴 につき 検<br />

討 した。【 方 法 】これまで 当 院 で 経 験 したIPMN44 例 を 主 膵 管 型 、 混<br />

合 型 、 分 枝 型 にわけ、 背 景 、 手 術 術 式 、 病 理 組 織 学 的 因 子 につき 検 討<br />

した。。【 成 績 】44 例 は 男 性 25 例 、 女 性 19 例 で、 平 均 年 齢 は66 歳 、 平 均<br />

観 察 期 間 は4.2 年 であった。 病 変 主 座 は 頭 部 24 例 、 体 部 7 例 、 尾 部 11 例 、<br />

全 体 2 例 で あ っ た。 手 術 術 式 はPPPD18 例 、DP13 例 、MP4 例 、<br />

DPPHR2 例 、SPDP3 例 、PD2 例 、 膵 全 摘 2 例 であった。 主 膵 管 型 は9 例 、<br />

混 合 型 は2 例 、 分 枝 型 は33 例 で、 大 きさ、 結 節 の 高 さ、 血 清 AMY、<br />

CA19-9では 有 意 差 は 認 めなかったが、 膵 管 径 では 主 膵 管 型 が 有 意 に<br />

太 かった。 結 節 の 有 無 では 結 節 無 は 主 膵 管 型 33.3%、 混 合 型 50%、 分<br />

枝 型 54.6%であった。 縮 小 手 術 は9 例 に 施 行 され、 全 例 分 枝 型 で 壁 在<br />

結 節 無 5 例 (55.6%)に 見 られ、 全 例 adenomaであった。 病 理 学 的 には 主<br />

膵 管 型 はadenocarcinoma(CA)5 例 (55.6 %)、adenoma(AD)2 例 、<br />

borderline(BR)1 例 、PanIN1B2 例 であった。 混 合 型 はCA1 例 (50%)、<br />

AD1 例 で、 分 枝 型 はCA…in…situ…1 例 (3%)、AD26 例 、PanIN2…2 例 、<br />

PanIN1B1 例 、 過 形 成 3 例 であった。 断 端 にadenomaを 認 めた 症 例 は4<br />

例 (9.1%)に 認 めたが、 経 過 観 察 では 問 題 は 認 めなかった。また4 例<br />

(9.1%)にIPMNの 再 発 を 認 めた。 経 過 観 察 中 に 食 道 癌 2 例 、 大 腸 癌 1 例<br />

を 合 併 した。【 結 論 】IPMNにおいて 主 膵 管 型 、 混 合 型 はCAが 多 く、<br />

通 常 手 術 の 適 応 と 考 えられるが、 分 枝 型 で 壁 在 結 節 のない 症 例 は 縮 小<br />

手 術 の 適 応 ができる 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

MSY12-3<br />

IPMNの 治 療 戦 略 ‐ 手 術 適 応 および 術 式 選 択 と 至 適<br />

郭 清 範 囲 について<br />

杏 林 大 学 外 科<br />

○… 鈴 木 裕 , 杉 山 政 則 , 中 里 徹 矢 , 横 山 政 明 , 阿 部 展 次 ,<br />

正 木 忠 彦 , 森 俊 幸<br />

[ 背 景 ] 一 般 的 にIPMNは 腺 癌 を 切 除 し 腺 腫 は 経 過 観 察 とされる 場 合<br />

が 多 い.そのため、IPMNの 手 術 適 応 の 決 定 には 術 前 での 正 確 な 悪 性 度<br />

診 断 を 要 する.また, 施 行 術 式 と 郭 清 範 囲 の 妥 当 性 の 決 定 には 各 術 式 の<br />

成 績 を 解 析 する 必 要 がある.[ 目 的 ] 術 前 画 像 所 見 より 腺 癌 ・ 浸 潤 癌<br />

の 危 険 因 子 を 抽 出 ,さらに, 術 後 の 病 理 所 見 、 短 期 ・ 長 期 成 績 より 妥 当<br />

術 式 と 至 適 郭 清 範 囲 を 検 討 .[ 方 法 ] 対 象 は 病 理 組 織 学 的 にIPMNと 診<br />

断 された68 例 . 術 前 画 像 所 見 から 腺 癌 ・ 浸 潤 癌 の 危 険 因 子 を 解 析 .さら<br />

に,リンパ 節 転 移 例 , 再 発 例 , 原 病 死 例 の 臨 床 病 理 像 , 術 式 別 の 成 績 から 施<br />

行 術 式 , 郭 清 範 囲 を 検 討 .[ 結 果 ] 腺 腫 41 例 , 悪 性 境 界 病 変 7 例 , 非 浸 潤 癌 6 例 ,<br />

微 小 浸 潤 癌 6 例 , 浸 潤 癌 8 例 . 主 膵 管 型 ・ 複 合 型 29 例 ( 腺 癌 12 例 , 浸 潤 癌 4 例 ),<br />

分 枝 膵 管 型 39 例 ( 腺 癌 8 例 , 浸 潤 癌 4 例 ). 腺 癌 の 危 険 因 子 は, 主 膵 管 型 ・ 複<br />

合 型 で 嚢 胞 径 47mm 以 上 , 壁 在 結 節 径 10mm 以 上 , 分 枝 膵 管 型 で 壁 在 結 節<br />

径 10mm 以 上 . 浸 潤 癌 の 危 険 因 子 は 主 膵 管 型 ・ 複 合 型 で 嚢 胞 径 50mm 以<br />

上 , 壁 在 結 節 径 17mm 以 上 , 分 枝 膵 管 型 で 嚢 胞 径 50mm 以 上 , 壁 在 結 節 径<br />

10mm 以 上 . 主 膵 管 径 はいずれも 危 険 因 子 とならず.リンパ 節 転 移 は4<br />

例 . 全 て 浸 潤 癌 (50%)でいずれもn1. 浸 潤 癌 8 例 の 郭 清 範 囲 は1 群 5 例 ,2 群 3<br />

例 で,これらは 他 病 死 1 例 を 除 き,…6 例 は 無 再 発 ,1 例 は 肝 肺 転 移 出 現 し 化<br />

学 療 法 中 . 残 膵 再 発 は6 例 ( 微 小 浸 潤 癌 2 例 , 境 界 悪 性 病 変 1 例 , 腺 腫 3 例 . 再<br />

発 期 間 中 央 値 14.5ヶ 月 .). 原 病 死 は2 例 . 縮 小 手 術 は12 例 (DPPHR5 例 , 脾 温<br />

存 DP3 例 , 膵 部 分 切 除 術 3 例 ).11 例 は 腺 腫 で,1 例 は 浸 潤 癌 .いずれも 再 発<br />

死 亡 例 は 認 めず.PCM(+)は8 例 で,7 例 が 腺 腫 ,1 例 が 術 中 迅 速 組 織 診 で 腫<br />

瘍 陰 性 であったが 術 後 永 久 標 本 で 癌 陽 性 . 全 例 断 端 遺 残 部 の 増 悪 認 め<br />

ず( 中 央 値 40か 月 ).[ 結 論 ] 主 膵 管 型 ・ 複 合 型 は 腺 癌 を 高 率 に 認 め, 原<br />

則 切 除 を 推 奨 . 分 枝 膵 管 型 は 壁 在 結 節 10mm 以 上 であれば 切 除 を 推<br />

奨 . 浸 潤 癌 は 高 率 にリンパ 節 転 移 を 認 め,R0のためにはD2を 推 奨 . 非 浸 潤<br />

癌 と 微 小 浸 潤 癌 ではリンパ 節 転 移 例 なく,D1の 定 型 手 術 が 推 奨 . 腺 腫 は<br />

縮 小 手 術 が 可 能 . 膵 断 端 は 腺 腫 であれば 追 加 切 除 せずとも 長 期 生 存 が<br />

望 める.しかし, 腺 腫 でも 残 膵 再 発 の 危 険 があり, 定 期 的 な 画 像 による<br />

フォローアップが 必 要 .<br />

MSY12-4<br />

切 除 例 の 解 析 からみたIPMNの 治 療 戦 略<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 外 山 博 近 , 白 川 幸 代 , 松 本 逸 平 , 新 関 亮 , 浅 利 貞 毅 ,<br />

後 藤 直 大 , 山 下 博 成 , 田 中 正 樹 , 味 木 徹 夫 , 上 野 公 彦 ,<br />

沢 秀 博 , 大 坪 出 , 村 上 冴 , 吉 田 優 子 , 木 戸 正 浩 ,<br />

福 本 巧 , 具 英 成<br />

【 目 的 】IPMNの 治 療 上 の 問 題 は(1)どこまで 経 過 観 察 が 許 容 される<br />

か(2) 切 除 するならばどこまで 縮 小 手 術 が 許 容 されるかの2 点 に 集 約 さ<br />

れる。 今 回 IPMN 切 除 例 の 解 析 から、 術 前 ・ 術 中 診 断 に 基 づいた 治 療<br />

戦 略 を 考 察 した。【 対 象 】2007 年 1 月 から2011 年 8 月 に 当 科 で 切 除 した<br />

IPMN63 例 ( 主 膵 管 型 24 例 (38%)、 分 枝 型 39 例 (62%))。【 結 果 】 最 終 病<br />

理 診 断 はinvasive…IPMC14 例 (22.2%)、 微 小 浸 潤 ま で のIPMC17 例<br />

(27.0%)、IPMA32 例 (50.8%)であった。これらの 術 前 診 断 を 見 ると、<br />

invasive…IPMCの 術 前 診 断 ( 主 にMD-CTで 判 断 )は 感 度 93%、 特 異 度<br />

93%であり、 主 膵 管 、 分 枝 型 に 関 わらず 高 い 精 度 であった。 一 方 、 術<br />

前 に 微 小 浸 潤 までのIPMCと 診 断 されたものは65%がIPMAであり、<br />

主 膵 管 型 、 分 枝 型 とも 同 様 の 傾 向 であった。 主 膵 管 型 は 癌 化 率 が 高 い<br />

と 報 告 され、 病 変 の 主 膵 管 内 の 進 展 が 切 除 範 囲 に 直 結 することから、<br />

診 断 時 に 全 例 切 除 適 応 とすることは 合 理 的 と 考 える。 従 って 分 枝 型 で<br />

微 小 浸 潤 までのIPMNに 対 する 戦 略 に 問 題 は 集 約 される。 分 枝 型 の 微<br />

小 浸 潤 までのIPMC(11 例 )とIPMA(21 例 )の 各 因 子 を 単 変 量 解 析 で 検<br />

討 したところ、 嚢 胞 径 (43mm…vs.…34mm,…P=0.01)、 細 胞 診 での 悪 性 の<br />

有 無 のみに 有 意 差 を 認 めた。ROC 曲 線 では 嚢 胞 径 35mmで 感 度 100%、<br />

特 異 度 47%となった。 結 節 の 有 無 (EUSで 判 断 )は9/11…vs.…9/21、<br />

P=0.034で 傾 向 としては 有 用 と 思 われた。しかし 結 節 の 大 きさ、FDG<br />

集 積 、MRI-DWI 高 信 号 の 有 無 は 有 意 差 を 認 めず、 結 節 の 質 的 診 断 に<br />

は 臨 床 的 意 義 が 乏 しいと 思 われた。56/62 例 に 膵 断 端 の 術 中 迅 速 病 理<br />

診 断 を 行 い、8/56 例 (14.3%)が 陽 性 と 診 断 され 追 加 切 除 を 行 った。 最<br />

終 病 理 診 断 との 比 較 では、 主 膵 管 型 で93%、 分 枝 型 では100% 一 致 し、<br />

信 頼 性 は 高 かった。【まとめ】(1) 分 枝 型 で 画 像 上 invasiveな 所 見 がなく、<br />

嚢 胞 径 35mm 以 下 のものは 経 過 観 察 が 許 容 される。(2) 結 節 の 存 在 診 断<br />

は 比 較 的 有 用 であるが、 質 的 診 断 は 現 時 点 で 臨 床 的 意 義 は 低 い。(3) 主<br />

膵 管 型 、 分 枝 型 に 関 わらずinvasive…IPMNの 術 前 診 断 (MD-CT)の 精<br />

度 は 高 く、 術 前 にinvasiveと 診 断 されたもの 以 外 はリンパ 節 郭 清 は 不<br />

要 と 考 えられ、 縮 小 手 術 を 検 討 すべきである。(4) 切 除 範 囲 の 決 定 は 術<br />

中 迅 速 病 理 診 断 で 行 うべきである。<br />

MSY12-5<br />

当 院 におけるIPMNの 治 療 戦 略<br />

1<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 、 2 国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合<br />

会 立 川 病 院 外 科 、 3 川 崎 市 立 川 崎 病 院 外 科 、 4 慶 應 義 塾 大 学<br />

医 学 部 病 理<br />

1,2<br />

○… 北 郷 実 , 相 浦 浩 一 3<br />

, 田 邉 稔 1<br />

, 河 地 茂 行 1<br />

, 板 野 理 1<br />

,<br />

篠 田 昌 宏 1<br />

, 八 木 洋 1<br />

, 西 山 亮 1<br />

, 藤 崎 洋 人 1<br />

, 三 原 規 奨 1<br />

,<br />

藤 村 知 賢 1<br />

, 門 多 由 恵 1<br />

, 永 滋 教 1<br />

, 大 平 正 典 1<br />

, 香 月 優 亮 1<br />

,<br />

田 中 真 之 1<br />

, 真 杉 洋 平 4<br />

, 向 井 万 起 男 4<br />

, 坂 元 亨 宇 4<br />

,<br />

1<br />

北 川 雄 光<br />

IPMNは 通 常 型 膵 癌 に 比 べて 予 後 良 好 であるものの 腺 腫 ・ 腺 癌 と 多 段<br />

階 発 生 と 多 中 心 性 発 生 が 指 摘 されている。これに 対 し 我 々はK-ras 突<br />

然 変 異 を 利 用 してIPMNの 病 変 を 構 成 している 細 胞 を 複 数 個 所 より 採<br />

取 し 解 析 した。IPMN20 症 例 (IPMC…6 例 、IPMA…14 例 )の266 検 体 を 解<br />

析 した 結 果 、IPMNの80%にK-ras 突 然 変 異 を 認 めた。 変 異 を 有 した 症<br />

例 で 主 病 巣 内 に 複 数 の 異 なった 変 異 を43.8%に 認 めheterogeneityが 示<br />

された。HomogeneityのIPMCはheterogeneityのIPMCより 進 行 が 速<br />

く 予 後 不 良 であった。また、 主 病 巣 と 離 れた 部 位 にも 変 異 を62.5%で<br />

認 め、40%は 主 病 巣 と 異 なった 変 異 を 示 したことより 多 中 心 性 発 生 が<br />

示 唆 された。 一 方 、 我 々の 施 設 で 切 除 されたIPMN…46 症 例 の 検 討 で<br />

IPMCは 主 膵 管 優 位 (M) 型 の72.2%、 分 枝 優 位 (B) 型 の37.9%で 認 めら<br />

れた。リンパ 節 転 移 は 浸 潤 癌 でのみ 認 められ、 原 病 死 も 浸 潤 癌 の 症 例<br />

のみであった。 同 時 性 もしくは 異 時 性 多 臓 器 癌 が9 例 (19.6%)に、 膵 癌<br />

の 合 併 が4 例 (8.7%)に 認 められた。 術 式 に 関 しては 膵 全 摘 を 行 ったも<br />

のは5 例 でM 型 が3 例 、B 型 が2 例 であった。M 型 の3 例 はすべて 微 小 浸<br />

潤 癌 であり、B 型 は1 例 が 浸 潤 癌 で 体 尾 部 の 欠 損 症 例 、もう1 例 は 膵 癌<br />

との 合 併 症 例 であった。5 例 とも 再 発 を 認 めず、 内 科 の 協 力 で 良 好 な<br />

QOLを 維 持 している。 以 上 より 我 々はM 型 とB 型 の 結 節 7mm 以 上 , 主<br />

膵 管 径 10mm 以 上 を 手 術 適 応 とし、 術 前 診 断 にてIPMAまでの 症 例 は<br />

リンパ 節 郭 清 を 省 略 した 縮 小 手 術 も 考 慮 し、IPMC 以 上 はD1 郭 清 、 浸<br />

潤 癌 ではD2 郭 清 を 伴 う 根 治 術 が 必 要 と 考 えている。また、 異 型 を 伴<br />

う 病 変 が 切 除 断 端 に 残 る 可 能 性 がある 場 合 膵 全 摘 も 考 慮 している。 良<br />

好 な 予 後 が 期 待 できるIPMNの 切 除 に 際 し 術 後 の 残 膵 機 能 温 存 のみ 考<br />

慮 するのではなく、 多 段 階 発 生 と 多 中 心 性 発 生 の 特 徴 から 異 時 発 生 ・<br />

増 殖 に 対 応 すべく 術 後 の 残 膵 検 索 が 可 能 である 再 建 術 式 も 検 討 する 必<br />

要 があると 考 えている。<br />

-274-


MSY12-6<br />

分 枝 型 膵 IPMNの 外 科 治 療 戦 略 -FDG-PETを 応 用<br />

した 手 術 適 応 決 定 は 妥 当 か -<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター・ 中 国 がんセンター、 2 大 阪 大 学 大<br />

学 院 消 化 器 外 科 学<br />

○… 種 村 匡 弘 1<br />

, 江 口 英 利 2<br />

, 谷 田 司 2<br />

, 桂 宜 輝 2<br />

, 岩 上 佳 史 2<br />

,<br />

和 田 浩 志 2<br />

, 川 本 弘 一 2<br />

, 小 林 省 吾 2<br />

, 丸 橋 繁 2<br />

, 吉 川 幸 伸 1<br />

,<br />

谷 山 清 己 1<br />

, 上 池 渉 1<br />

, 森 正 樹 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 2<br />

,<br />

2<br />

永 野 浩 昭<br />

【 背 景 】IPMNに 対 する 理 想 的 治 療 は 腺 癌 を 的 確 に 診 断 し 手 術 適 応 と<br />

することである。しかし 術 前 に 腺 癌 と 腺 腫 を 鑑 別 診 断 することは 困 難<br />

である。【 目 的 】 術 後 病 理 診 断 を 検 証 しIPMNの 手 術 適 応 、 治 療 方 針<br />

の 根 拠 を 解 析 した。また 術 前 FDG-PETを 施 行 したIPMN44 例 を 解 析<br />

し 術 前 PETの 癌 鑑 別 、 手 術 適 応 決 定 における 有 用 性 を 検 討 した。【 方<br />

法 】1992 年 3 月 から2010 年 12 月 末 までに 当 科 のIPMN 手 術 例 で、 病 理<br />

診 断 が 確 定 した73 例 を 対 象 とした。 診 断 は 腺 腫 (Ad)44 例 , 上 皮 内 癌<br />

(CIS)7 例 , 浸 潤 癌 …(IC)22 例 で、Ad 群 44 例 とCancer(Ca) 群 (CIS+IC)29<br />

例 に 分 け 解 析 した。【 結 果 】 主 膵 管 型 ではCa 群 では 分 枝 型 が1 例 とAd<br />

群 の15 例 に 比 し 有 意 に 少 なかった(p=0.002)。 壁 在 結 節 ではCa 群 で19<br />

例 が 結 節 (+) 例 でAd 群 の9 例 に 比 し 有 意 に 多 く(p


第 3 回 高 度 技 能 専 門 医 修 練 者<br />

ビデオクリニック


VC-1 肝 臓 の 高 難 度 手 術 ( 肝 右 葉 切 除 術 )<br />

姫 路 赤 十 字 病 院<br />

○… 遠 藤 芳 克 , 渡 邉 貴 紀 , 甲 斐 恭 平 , 佐 藤 四 三<br />

肝 胆 膵 高 度 技 能 専 門 医 を 目 指 す 若 手 外 科 医 の 修 練 状 況 とその 手 術 ビ<br />

デオ( 肝 右 葉 切 除 )を 供 覧 する。 当 施 設 は509 床 で 消 化 器 外 科 医 は 計 11<br />

名 在 籍 、 内 2 名 ( 卒 後 35 年 目 、25 年 目 )が 高 度 技 能 指 導 医 であり、 高 度<br />

技 能 専 門 医 を 目 指 す 修 練 者 は2 名 ( 卒 後 17 年 目 、15 年 目 )である。2011<br />

年 の 肝 胆 膵 高 難 度 手 術 症 例 数 は96 例 であり、そのうち 約 64 例 が 肝 切 除<br />

である。 今 回 供 覧 するHCCに 対 する 肝 右 葉 切 除 術 のビデオの 術 者 は<br />

卒 後 15 年 目 であり、 第 一 助 手 は 卒 後 35 年 目 の 高 度 技 能 指 導 医 である。<br />

本 症 例 以 前 にこれまでに 執 刀 した 肝 胆 膵 高 難 度 手 術 は19 例 、 肝 切 除 は<br />

12 例 ( 左 葉 切 除 1 例 、 右 葉 切 除 2 例 、 区 域 切 除 5 例 、 亜 区 域 切 除 4 例 )であ<br />

る。また、これらの 執 刀 以 前 には8 例 の 肝 門 処 理 後 の 肝 実 質 切 離 や 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 時 の 再 建 等 を 部 分 的 に 執 刀 してきた。 HCCに 対 す<br />

る 肝 右 葉 切 除 における 当 科 の 基 本 方 針 としてLiver…Hanging…<br />

maneuverを 用 いるanterior…approachによる 肝 切 離 を 行 うこととして<br />

いるが、IVC 前 面 に 鉗 子 を 通 しにくい 場 合 はこれに 固 執 せず 脱 転 を 行<br />

うケースもある。Pringle 法 による 阻 血 はルーチンにではなく、 出 血<br />

量 に 応 じて 行 うこととしている。 肝 門 部 の 処 理 はGlisson 一 括 で 行 い、<br />

肝 実 質 の 切 離 にはCUSA 及 び 滴 下 式 バイポーラを 用 いている。 今 回<br />

の 手 術 ビデオの 供 覧 により、 肝 胆 膵 外 科 医 を 目 指 す 者 として 意 欲 と 手<br />

術 技 能 の 向 上 へ 繋 げ、 自 己 検 証 に 加 えビデオクリニックでコメントを<br />

頂 くことで 今 後 の 課 題 と 目 標 を 再 確 認 していきたい。<br />

VC-2<br />

高 度 技 能 医 修 練 者 による 肝 門 部 胆 管 癌 手 術<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 水 野 隆 史 , 金 本 秀 行 , 杉 浦 禎 一 , 岡 村 行 泰 , 上 坂 克 彦 ,<br />

青 木 修 一 , 山 本 立 真 , 木 内 亮 太<br />

肝 門 部 胆 管 癌 の 手 術 を 安 全 に 施 行 するには 肝 臓 の 解 剖 、 特 に 肝 門 部 の<br />

複 雑 な 外 科 解 剖 の 理 解 のみならず、 胆 管 、 門 脈 、 肝 動 脈 といった 重 要<br />

脈 管 の 分 岐 ・ 合 流 形 式 や 種 々のvariation/anomalyについての 知 識 が<br />

必 要 不 可 欠 である。さらに 技 術 的 には、 確 実 な 肝 十 二 指 腸 間 膜 の 郭 清<br />

/ 胆 管 空 腸 吻 合 が 行 えること、 適 切 な 肝 切 離 が 行 えることが 手 術 を 安<br />

全 に 遂 行 する 上 で 重 要 である。つまり、 肝 門 部 胆 管 癌 の 手 術 を 安 全 に<br />

施 行 するためには 高 度 技 能 手 術 である 肝 葉 切 除 で 必 要 な 肝 切 離 技 術 と<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 で 必 要 となるリンパ 節 郭 清 技 術 を 併 せて 習 熟 するこ<br />

とが 必 要 である。 当 院 では2011 年 1 年 間 に 亜 区 域 切 除 以 上 の 肝 切 除 103<br />

例 ( 内 胆 道 癌 肝 切 除 19 例 、 肝 膵 十 二 指 腸 切 除 12 例 )、 膵 切 除 98 例 の 症 例<br />

経 験 があり、 肝 胆 膵 外 科 高 度 技 能 専 門 医 を 目 指 す 上 で 恵 まれた 環 境 が<br />

与 えられている。 【プロフィール】 術 者 : 卒 後 14 年 目 。 現 在 まで 高<br />

度 技 能 手 術 は 膵 切 除 39 例 、 肝 切 除 20 例 を 経 験 し、 肝 門 部 胆 管 癌 の 手 術<br />

は4 例 施 行 している。【 指 導 助 手 】 指 導 助 手 は 卒 後 30 年 目 の 主 任 部 長 で<br />

あり 高 度 技 能 指 導 医 である。【 手 術 手 順 】1. 逆 L 字 切 開 で 開 腹 、Kocher<br />

授 動 後 、No16b1リンパ 節 をsamplingする。2. 十 二 指 腸 上 縁 で 肝 十 二<br />

指 腸 間 膜 郭 清 を 開 始 。 総 肝 動 脈 / 固 有 肝 動 脈 を 剥 離 、taping 後 、 門 脈<br />

および 総 胆 管 をtapingする。3. 総 胆 管 を 切 離 、 断 端 を 迅 速 組 織 診 に 提<br />

出 し、 胆 管 断 端 を 頭 腹 側 へ 挙 上 しつつ、 肝 門 方 向 への 郭 清 をすすめ、<br />

切 除 側 肝 動 脈 と 門 脈 をそれぞれ 切 離 する。4. 温 存 側 の 肝 動 脈 と 門 脈 を<br />

できる 限 り 剥 離 し、 肝 門 処 理 を 終 了 する。5. 肝 を 授 動 し、 短 肝 静 脈 を<br />

処 理 し、 尾 状 葉 をIVCより 授 動 する。6. 肝 切 離 を 開 始 。 尾 状 葉 を 切 離 後 、<br />

7. 胆 管 のみで 標 本 がつながる 状 態 となった 後 、 予 定 切 離 線 で 胆 管 を 切<br />

離 、 胆 管 切 離 断 端 を 迅 速 組 織 診 に 提 出 する。8. 胆 管 を 形 成 後 、 後 結 腸<br />

後 胃 経 路 で 空 腸 を 挙 上 し、 胆 管 空 腸 吻 合 を5-0PDSで 行 う。 空 腸 空 腸<br />

吻 合 を 施 行 、ドレーンを 挿 入 し 手 術 を 終 了 する。…【 結 語 】 肝 門 部 胆 管<br />

癌 手 術 は、 肝 胆 膵 領 域 の 広 範 な 知 識 ・ 技 量 の 習 得 が 必 要 であり、 高 度<br />

技 能 医 を 目 指 す 肝 胆 膵 外 科 医 にとっての 大 きな 到 達 目 標 である。<br />

VC-3<br />

当 教 室 での 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

弘 前 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科<br />

○… 石 戸 圭 之 輔 , 豊 木 嘉 一 , 工 藤 大 輔 , 木 村 憲 央 , 鳴 海 俊 治 ,<br />

袴 田 健 一<br />

当 教 室 では 年 間 約 35 例 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 っている。 同 手 術 の<br />

術 者 は 卒 後 10 年 以 上 の 医 師 が 担 当 し、 高 度 技 能 医 資 格 取 得 を 考 慮 して<br />

おおよその 年 間 執 刀 症 例 数 を 決 めて 行 うようにしている。 今 回 、 当 科<br />

で 高 度 技 能 医 をめざす 医 師 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 をビデオで 供 覧 する。<br />

発 表 者 は 医 師 免 許 取 得 後 14 年 目 で、 消 化 器 外 科 専 門 医 取 得 後 6 年 目 の<br />

外 科 医 師 である。 肝 胆 膵 外 科 領 域 を 専 門 としてから4 年 目 で、これま<br />

での 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 執 刀 症 例 は20 例 である。 供 覧 する 手 術 ビデオ<br />

は 下 部 胆 管 癌 に 対 する 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 である。 手 術 は<br />

Kocherの 授 動 から 開 始 する。 左 腎 静 脈 を 十 分 に 確 認 できるまで 授 動<br />

を 行 い、16b1リンパ 節 をサンプリングする。 網 嚢 を 開 放 し、 胃 結 腸<br />

間 膜 と 横 行 結 腸 間 膜 との 剥 離 を 行 い、 膵 下 縁 に 到 達 し、 同 部 位 で 上 腸<br />

間 膜 静 脈 を 剥 離 同 定 する。 総 肝 動 脈 周 囲 リンパ 節 の 郭 清 から 肝 十 二 指<br />

腸 間 膜 内 リンパ 節 の 郭 清 へ 連 続 させ、 同 部 位 のリンパ 節 が 膵 頭 部 と 一<br />

塊 となるように 郭 清 する。 膵 切 離 はメスで 行 い、 膵 管 の 確 認 を 行 う。<br />

門 脈 をテーピングし 左 腹 側 に 引 き 上 げ、 上 腸 間 膜 動 脈 を 確 認 しながら<br />

膵 頭 神 経 叢 の 切 離 を 第 II 部 から 第 I 部 に 連 続 させるように 行 う。 総 肝<br />

管 を 最 後 に 切 離 し、 標 本 を 摘 出 する。 再 建 はTraverso 法 で 行 っている。<br />

膵 空 腸 吻 合 は 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 を 行 い、ロストステントを 留 置 してい<br />

る。 胆 管 空 腸 吻 合 は 全 層 一 層 結 節 吻 合 にて 行 っている。 消 化 管 再 建 終<br />

了 後 、 膵 空 腸 吻 合 部 全 面 、および 胆 管 空 腸 吻 合 部 背 側 にドレーンを 留<br />

置 したのち 手 術 を 終 了 している。<br />

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-279-


ミニビデオワークショップ


MVW1-1<br />

SurgicalresectionforHCCwithIVC<br />

thrombosis<br />

Department of Surgery, Ajou University School of<br />

Medicine, Suwon, Korea<br />

○…HEE…JUNG…WANG<br />

Involvement… of… hepatocellular… carcinoma…(HCC)…into… the… inferior…<br />

vena…cava…(IVC)…and…right…atrium…(RA)…has…been…considered…as…<br />

unresectable… tumor… invasion… because… of…high… operative… risks… and…<br />

poor… prognosis.… Recent… advance… in… operative… technique… and…<br />

perioperative…management…could…allow…removal…of…extensive…tumor…<br />

thrombi…in…IVC…and…/or…RA.…Although…survival…benefit…has…not…been…<br />

guaranteed,…such…procedure…could…provide…somewhat…improvement…<br />

of…survival…time.…We…herein…report…one…case…of…hepatic…resection…and…<br />

tumor…thrombectomy…of…HCC…with…tumor…thrombus…extending…into…<br />

right… atrium,… using… cardiopulmonary… bypass… and… total… vascular…<br />

exclusion.…A…47-year-old…man…had…huge…HCC…in…left…lobe…of…the…liver,…<br />

and… tumor… thrombus… extending… into… IVC… and… RA.… Left…<br />

hemihepatectomy… was… performed… and… tumor… thrombus… was…<br />

completely…removed…with…cardiopulmonary…bypass.…The…operation…<br />

took… 560… minutes… and… the… patient… had… uneventful… postoperative…<br />

course.…Although…the…prognosis…of…advanced…HCC…with…IVC…and…RA…<br />

tumor…thrombi…is…poor,…surgical…resection…might…somewhat…improve…<br />

the…survival…time…in…selective…patients.<br />

MVW1-2<br />

Thelivingdonorhepatectomyproceduresto<br />

preventbiliarycomplications<br />

Kyushu University<br />

○…TORU…IKEGAMI,Ken……Shirabe,Tomoharu……Yoshizumi,<br />

Toshiro…Masuda,hiroto…Kayashima,Kazutoyo…Morita,<br />

Naotaka…Hashimoto,Takeo…Toshima,Yohei…Mano,<br />

jun…Muto,Shohei…Yoshiya,Yoshihiko…Maehara<br />

(Backgrounds)……Although…donor…safety…is…the…critical…issue…in…living…<br />

donor…liver…transplantation,…biliary…complications…still…occur…with…the…<br />

rate… around… 5%.……(Methods)……The… living… donor… hepatectomies…<br />

performed…at…Kyushu…University…(n=414)…was…included.……Since…2005…<br />

(n=214),… we… performed… minimal… hilar… dissection… only… at… the… 1st…<br />

Glissonian…branch…and…real-time…cholecystcholangiography…for…the…<br />

purpose.……(Surgical… procedures)……Cholecystectomy… is… performed…<br />

first,…followed…by…the…insertion…of…cholangiogram…tube…located…in…the…<br />

neck…of…the…gall…bladder.……The…left…and…right…Glissonean…branches…are…<br />

controlled…by…blunt…dissection…of…the…hilar…hepatic…parenchyma…using…<br />

a…scissor.……Special…care…must…be…taken…not…to…injure…minor…branches…<br />

of…the…hilar…plate.……The…hilar…dissection…is…performed…only…at…the…level…<br />

of… the… controlled… 1st… Glissonean… branch.……Such… meticulous…<br />

procedures,… not… to… dissect… the… peribiliary… arterial… plexus,… are…<br />

important.……The…common…bile…duct…should…not…be…isolated…nor…taped.…<br />

After… the… mobilization… of… the… liver,… parenchymal… division… is…<br />

performed… using… CUSA… and… TissueLink… under… the… hanging…<br />

maneuver.……After…the…parenchymal…division,…clips…were…applied…on…<br />

the… 1st… Glissonean… sheath… and… real-time… cholangiogram… was…<br />

performed…for…determining…the…cutting…line.……The…hepatic…duct…is…<br />

sharply…cut…with…a…scissor…under…the…hilar…clamping.……The…proximal…<br />

side… of… the… bile… duct… stump… is… closed… using… 6-0… PDS… continuous…<br />

sutures,… caring… not… to… make… biliary… stenosis.……After… the…leak…test…<br />

using… ICG,… real-time… cholangiogram… is… performed… to… confirm… the…<br />

patency…of…the…biliary…tract.(Results)……Fourteen…cases…had…biliary…<br />

complications…including…bile…leak…(n=8),…stenosis…(n=5)…and…injury…<br />

(n=1).……Although… 11… cases… were… treated… conservatively… or…<br />

interventional… procedures,… 2… cases… underwent… re-laparotomy… for…<br />

fixing…the…complications.……The…mean…hospital…stay…in…the…patient…with…<br />

biliary…complications…(n=14)…was…significantly…longer…than…that…of…<br />

those…without…(n=400,…33…days…vs.…13…days).……Since…2005,…the…biliary…<br />

complication…rate…was…significantly…suppressed…than…before…(1.1%…vs.…<br />

6.4 %).…(Summary)……Minimal… hilar… dissection… technique… to… keep…<br />

biliary…vascular…plexus…and…real-time…cholecystcholangiogram…are…<br />

the…important…techniques…to…prevent…biliary…complications…in…living…<br />

donor…liver…hepatectomies.<br />

MVW1-3<br />

LivingDonorLiverTransplantationwithPortal<br />

VeinThrombus;PortalVeinReconstruction<br />

TechniqueusingLeftGastricVein<br />

Kobe University<br />

○…KAORI…KURAMITSU,Takumi…Fukumoto,Sinobu…Tuchida,<br />

Masahiro…Kido,Masanori…Takahashi,Motofumi…Tanaka,<br />

Kenji…Fukusima,Takeshi…Urade,Tetsuo…Ajiki,<br />

Ippei…Matusmoto,Kimihiko…Ueno,Makoto…Sinzeki,<br />

Hirotika…Toyama,Yonson…Ku<br />

For… the… reconstruction… of… portal… vein… with… portal… vein… thrombus…<br />

(PVT)… in… living… donor… liver… transplantation…(LDLT),… several…<br />

techniques,…such…as…thrombectomy,…anastomosis…with…recipient…distal…<br />

superior… mesenteric… vein…(SMV)… and… donor… PV… using… an…<br />

interposition…iliac…vein…graft…from…the…donor,…or…direct…anastomisis…to…<br />

an…available…branch,…have…been…employed…based…on…the…extent…of…<br />

thrombosis… accessed… intraoperatively.…We… have… experienced… two…<br />

cases… of… PV… reconstruction… to… the… left… gastric… vein… using… an…<br />

interposition…iliac…vein…graft…from…the…recipients.…Case1;…A…55-year…<br />

old…female…was…performed…LDLT…for…liver…cirrhosis…with…HCV…using…<br />

right…lobe…graft…from…her…son.…The…top…level…of…PVT…reached…inside…<br />

the… original… liver,… and… bottom… level… reached… to… the… confluence… of…<br />

SMV…and…splenic…vein.…First…we…tried…to…perform…thrombectomy;…<br />

however…organized…thrombus…was…reached…to…the…further…level…from…<br />

superior…border…of…pancreas,…we…searched…for…another…anastomosis…<br />

site.… As… left… gastric… vein… was… dilated… due… to… severe… portal…<br />

hypertension…and…vessel…wall…was…thick…enough…for…anastomosis,…we…<br />

reconstructed…donor…PV…with…left…gastric…vein…using…an…interposition…<br />

iliac…vein…graft…from…the…recipient…after…the…confirmation…of…sufficient…<br />

front…flow.…Operation…time…was…14…hours…and…47…minutes,…and…blood…<br />

loss… was… 4610ml.… Post-operative… course… was… uneventful… with… no…<br />

complications… for… two… years.… Case… 2;… A… 55-year… old… male… was…<br />

performed…LDLT…for…liver…cirrhosis…with…NASH…using…left…lobe…graft…<br />

from…his…son.…Preoperative…study…revealed…extensive…thrombosis…to…<br />

SMV,…PV…trunk,…and…splenic…vein.…Although…we…first…tried…to…perform…<br />

thrombectomy,…as…extended…thrombus…reached…to…the…further…level…<br />

below…inferior…border…of…pancreas,…we…reconstructed…donor…PV…with…<br />

left… gastric… vein… using… an… interposition… iliac… vein… graft… from… the…<br />

recipient.…Operation…time…was…16…hours…and…55…minutes,…and…blood…<br />

loss…was…5050ml.…From…our…experience,…it…was…suggested…that…for…<br />

liver…transplantation…with…extensive…PVT,…left…gastric…vein…could…be…<br />

utilized…for…reconstruction…site…of…PV.…However…for…LDLT…cases,…as…<br />

we… need… to… secure… vessel… graft… form… the… recipient,… which… is… not…<br />

necessary…for…deceased…donor…cases,…surgical…procedure…should…be…<br />

discussed…in…detail…before…deciding…the…indication…of…transplantation.<br />

MVW1-4<br />

A simplenoninvasiveapproachtotheintrathoracicinferiorvenacavathroughthe<br />

abdominalcavitybycuttingthediaphragm<br />

verticallyfortotalhepaticvascularexclusion<br />

Mie University<br />

○…SHUGO…MIZUNO,Shuji…Isaji,Naohisa…Kuriyama,<br />

Yoshinori…Azumi,Ichiro…Ohsawa,Masashi…Kishiwada,<br />

Takashi…Hamada,Masanobu…Usui,Hiroyuki…Sakurai,<br />

Masami…Tabata<br />

Backgroud:… For… resection… of… advanced… liver… tumors… with… tumor…<br />

thrombus/invasion…extending…into…the…intra-thoracic…inferior…vena…<br />

cava…(IVC)…above…the…diaphragm,…isolation…of…the…intra-thoracic…IVC…<br />

through… sternotomy… or… thoracotomy… is… usually… required… for… the…<br />

preparation… of… total… hepatic… vascular… exclusion…(THVE).… We…<br />

previously…reported…that…the…intra-thoracic…IVC…could…be…exposed…<br />

easily…after…detachment…of…the…line…of…the…fusion…of…pericaridium…to…<br />

diaphragm…(LFPD)…(Mizuno…et…al.…JHBPS…2010).…We…herein…present…<br />

this… novel… surgical… method,… an… approach… to… intra-thoracic… IVC…<br />

through… the… abdominal… cavity.… Method:… The… liver… is… totally…<br />

mobilized…and…a…xiphoid…process…is…removed.…The…LFPD…is…bluntly…<br />

dissected… usually… by… using… fingers,… and… the… pericardium… and…<br />

diaphragm…are……separated…without…injury…of…the…pericardium.……From…<br />

just… below… the… xiphoid… process… to… the… IVC,… the… diaphragm… is…<br />

vertically… dissected… without… doing… median… sternotomy.… Then… the…<br />

intra-thoracic…IVC…is…exposed…easily…and…encircled…with…an…umbilical…<br />

tape…to…prepare…for…THVE…and…to…prevent…any…emboli…forming…from…<br />

the… tumor… thrombi.… After… transection… of… the… liver… parenchyma,…<br />

THVE…is…achieved…and…then…the…intracaval…tumor…thrombus…and…the…<br />

liver… parenchyma… are… removed… en… bloc.……This… procedure… can… be…<br />

performed… without… the… need… for… sternotomy,… thoracotomy,… and…<br />

cutting… the… pericardium.Results:… This… technique… was… applied… in…<br />

three… patients…(HCC:… n=2,… cholangiocellular… carcinoma:… n=1).…<br />

Patients…age… was… 66,… 81,… and… 68… year… old,… respectively…and… all… of…<br />

them…were…male.…The…operation…time…was…409,…572,…and…392…minutes,…<br />

respectively.…The…postoperative…courses…of…them…were…uneventful.<br />

Conclusion:…This…novel…approach…to…intra-thoracic…IVC…through…the…<br />

abdominal… cavity… is… very… beneficial… and… helpful… for… many… liver…<br />

surgeons.…<br />

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MVW1-5<br />

Novelhepaticinflowcontrolmethodenlarge<br />

indicationoflaparoscopicliverresseciton<br />

Sapporo Medical University<br />

○…TORU…MIZUGUCHI,Masaki…Kawamoto,Yukio…Nakamura,<br />

Makoto…Meguro,Masafumi…Imamura,Yasutoshi…Kimura,<br />

Toshihiko…Nishidate,Takayuki…Nobuoka,<br />

Tomohisa…Furuhata,Koichi…Hirata<br />

Background:…Indication…of…laparoscopic…liver…resection…is…limited…to…<br />

small…tumors…where…located…at…peripheral…of…the…liver…edge…and…liver…<br />

surface.……Unlike…open…liver…resection,…it…is…difficult…to…control…bleeding…<br />

in…pure…laparoscopic…liver…resection…(pure…Lap).……The…obstacle…to…<br />

conduct… pure… Lap… is… bleeding… from… Glisson… pedicle.……We… have…<br />

developed…a…new…technique…for…the…Pringle…maneuver…by…clamping…<br />

outside…the… abdominal…wall.……Our… technique…successfully…controls…<br />

bleeding…and…enables…pure…Lap…to…be…completed…without…any…events…<br />

even…for…a…large…tumor.……Methods:…A…prospective…study…of…pure…Lap…<br />

was…initiated…in…January…2008.……In…2009,…we…have…developed…a…new…<br />

Pringle… method… outside… the… abdominal… wall.……We… compared… the…<br />

patients…who…received…pure…Lap…with…(n=11)…and…without…(n=7)…<br />

this… Pringle…maneuver.……We… used… six… trocars…which… two… was… for…<br />

operator,…two…is…for…assistant,…one…is…for…the…camera,…and…one…is…for…<br />

Pringle…maneuver.……An…intermittent…Pringle…maneuver…was…applied…<br />

from…outside…the…abdominal…wall…with…10…min…warm…ischemia…and…5…<br />

min…reperfusion…when…bleeding…was…seen…at…the…dissecting…plane.<br />

Results:…There…was…no…difference…between…the…groups…regarding…<br />

clinical…demographics.……Although…tumor…size…in…the…Pringle…group…<br />

was…significantly…larger…than…in…the…no-…Pringle…group…(3.35…+…1.64…<br />

vs.…1.11…+…0.29…cm,…respectively),…intraoperative…bleeding…was…not…<br />

significantly… different…(165.5… +… 188.5… vs.… 177.9… +… 364.4… ml,…<br />

respectively).……On… the… other… hand,… operation… time… in… the… Pringle…<br />

group…was…significantly…longer…than…in…the…no-Pringle…group…(343.1…+…<br />

99.5…vs.…199.6…+…63.2…min,…respectively).Conclusions:…We…developed…<br />

a…new…Pringle…maneuver…outside…the…abdominal…wall…for…pure…Lap.…<br />

Pure…Lap…for…large…tumors…is…feasible…when…employing…this…method.…<br />

MVW1-6<br />

Laparoendoscopicsingle-site(LESS)<br />

fenestrationforlivercyst<br />

University of Occupational and Environmental Health<br />

○…TOSHIHISA…TAMURA,Noritaka…Minagawa,<br />

Kazunori…Shibao,Aiichirou…Higure,Koji…Yamaguchi<br />

Few… have…reported…about…LESS… surgery…for… liver… cyst.…We… have…<br />

performed… LESS… fenestration… of… liver… cyst… until… December… 2011.…<br />

They…were…two…men…and…three…women…with…the…median…age…of…69.4…<br />

years…(56-87).…The…mean…body…mass…index…was…21.1… ±…1.0…kg/m2.…<br />

The…mean…greatest…diameter…of…the…liver…cysts…was…11.4…±…3.4…mm…<br />

(6-15).…Three…had…liver…cysts…in…the…right…lobe…and…the…other…two…in…<br />

the… bilateral… lobes.… They… had… all… multiple… liver… cysts.… The… Mean…<br />

operation…time…was…105.8…±…21.8…min…and…the…mean…blood…loss…was…5…<br />

±…0…ml.…The…mean…postoperative…hospital…stay…was…5.8…±…1.5…days.…<br />

LESS… fenestration… was… successfully… performed… without… any…<br />

difficulties.…They…had…an…uneventful…postoperative…course.…The…LESS…<br />

surgery…has…been…successfully…applied…to…liver…cyst…fenestration…as…<br />

an…available…alternative…to…conventional…laparoscopic…fenestration.…<br />

This…method…is…technically…feasible…and…results…in…superior…cosmesis.<br />

MVW2-1<br />

Laparoscopicexcisionofcholedochalcysts<br />

Department of Surgery, Seoul National University<br />

College of Medicine, Seoul, Korea<br />

○…JIN-YOUNG…JANG<br />

Introduction:…In…spite…of…benign…disease,…choledochal…cyst…must…be…<br />

removed…with…the…gallbladder…(GB)…due…to…the…cancer…risk…in…the…<br />

biliary…tract.…The…most…of…patients…are…young…female…or…children,…<br />

who…have…strong…interest…in…cosmetic…results…in…addition…to…complete…<br />

resolution… of… medical… problems.… Here… we… introduce… laparoscopic…<br />

management…of…choledochal…cyst.<br />

Methods:… Between… 2003… and… 2012,… we… performed… laparoscopic…<br />

choledochal…cyst…excision…in…92…patients…using…4…hole…method.…There…<br />

were… 3… open… conversion… cases.… There… was… one… case… of… robotic…<br />

surgery…and…one…case…of…combined…laparoscopic…liver…resection…due…<br />

to…liver…involvement…of…cyst.…Excision…of…cyst…and…anastomosis…were…<br />

performed…laparoscopically.…We…will…present…our…method…showing…<br />

video.<br />

Results:……The…mean…operation…time…was…220…minutes.…The…estimated…<br />

blood…loss…was…190ml.…The…average…length…of…hospital…stay…was…8.3…<br />

days.…The…most…common…complication…was…minor…bile…leakage…(6.5%)…<br />

and…fluid…collection…(2.5%),…which…was…managed…conservatively.……<br />

Conclusions:…The…laparoscopic…management…can…be…a…treatment…of…<br />

choice…for…the…most…of…choledochal…cyst…considering…good…cosmetic…<br />

result…as…well…as…operative…safety.<br />

MVW2-2<br />

DistalPancreatectomy<br />

1<br />

Tohoku University、 2 Division of Integrated Surgery and<br />

Oncology, Tohoku University, Sendai, Japan<br />

○…SHINICHI…EGAWA 1 ,Shigeru…Ottomo 1 ,Takaho…Okada 1 ,<br />

Masaharu…Ishida 1 ,Koji…Fukase 1 ,Masamichi…Mizuma 1 ,<br />

Naoaki…Sakata 1,2 ,Hideo…Ohtsuka 1 ,Takanori…Morikawa 1 ,<br />

Hiroki…Hayashi 1 ,Kei…Nakagawa 2 ,Hiroshi…Yoshida 1 ,<br />

Tohru…Onogawa 1 ,Fuyuhiko…Motoi 1 ,Takeshi…Naitoh 1 ,<br />

Toshiki…Rikiyama 1 ,Yu…Katayose 2 ,Michiaki…Unno 2<br />

Distal…pancreatectomy…is…indicated…for…the…lesions…in…pancreatic…body…<br />

and…tail.…It…is…both…fundamental…technique…of…left…upper…abdominal…<br />

surgery… and… can… be… a… radical… final… approach… including… combined…<br />

resection…of… celiac… axis… or… other… surrounding…organs… for… invasive…<br />

cancer.… Preoperative… assessment… of… the… disease… extension… and…<br />

understanding… of… anatomical… structure… of… pancreas… and… its…<br />

surroundings… is… essential.… The… spleen… preserving… distal…<br />

pancreatectomy…is…indicated…for…the…benign…or…low…malignant…lesions…<br />

confined…in…the…pancreas.…Warshaw…procedure…that…conserve…spleen…<br />

by…the…blood…flow…from…short…gastric…vessels…and…Kimura…procedure…<br />

that… preserve… spleen… with… splenic… vessels… are… two… major… spleen…<br />

preserving… procedures… reported.… Even… laparoscopically,… splenic…<br />

vessels…can…be…preserved…by…dissecting…the…pancreas…from…median…<br />

toward… the… splenic… hilum… without… mobilization… of… the… spleen.… In…<br />

standard… distal… pancreatectomy,… dividing… splenic… artery… first… and…<br />

dissecting…pancreas…from…right-to-left…make…it…possible…to…decrease…<br />

bleeding… from… splenic… capsule… and… to… achieve… sufficient…<br />

retroperitoneal… negative…margins.…Standard…distal…pancreatectomy…<br />

by… medial… approach… is… video… presented.The… intraoperative…<br />

complications… of… distal… pancreatectomy… can… be… minimized… by…<br />

avoiding…splenic…capsule…injury,…by…secure…differentiation…of…splenic…<br />

artery… from… common… hepatic… artery,… and… by… secure… closure… of…<br />

splenic… vein… stump.… We… are… using… 5-0… monofilament… to… ligate… or…<br />

suture…the…main…pancreatic…duct…at…the…cut…end,…then…unabsorbable…<br />

5-0…monofilament…is…to…close…the…pancreatic…stump…in…a…fish…mouth…<br />

method.… Postoperative… pancreatic… fistula…(Grade… B/C)… of… distal…<br />

pancreatectomy… is… reported… to… be… 9.1-13.6 %… in… an… international…<br />

randomized…trial…of…stapler…vs.…hand-sewn…closure…(DISPACT)…trial.…<br />

Based…on…the…results,…the…closure…method…of…the…pancreatic…stump…<br />

can…be…a…surgeon’s…choice.…Board…certified…HBP…surgeon,…however,…<br />

should…understand…the…value…of…this…clinical…trial…that…accomplished…<br />

standardization…of… surgical…intervention…with… feasibility…and… high…<br />

validity…to…seek…the…next…step…to…improve…this…serious…complication.<br />

-284-


MVW2-3<br />

ModifiedDPPHR(Duodenum-Preserving<br />

ResectionoftheHeadofthePancreas)for<br />

thebenignorlowgrademalignantlesionin<br />

thepancreashead<br />

Hokkaido University<br />

○…TAKAHIRO…TSUCHIKAWA,Satoshi…Hirano,Eiichi…Tanaka,<br />

Joe…Matsumoto,Kentaro…Kato,Takehiro…Noji,<br />

Toshiaki…Shichinohe<br />

(Backgroud)We…have…been…conducting…DPPHR…for…the…benign…or…<br />

low… grade… malignant… lesion… located… in… the… pancreatic… head.… This…<br />

duodenum… preserving… surgery… could… maintain… post… operational…<br />

nutrition…and…pancreatic…function…better…than…the…pylorus…preserving…<br />

pancreatoduodenectomy.… However… higher… postoperative…<br />

complications…such…as…pancreatic…fistula…or…ischemic…change…of…the…<br />

common…bile…duct…are…concerned.…(Surgical…indications…and…operative…<br />

procedures)To…avoid…these…complications…we…have…recently…modified…<br />

DPPHR,… resecting… total… parenchyma… of… the… pancreatic… head…<br />

including…groove…area.…In…this…procedure…we…can…save…the…common…<br />

bile… duct… by… preserving… epicholedocal… plexus.… Residual… distal…<br />

pancreas… was… anastomosed… with… stomach… for… the… convenience… to…<br />

check…up…the…disease…recurrence…postoperatively.…In…terms…for…the…<br />

operative…indication,…the…DPPHR…can…be…applied…only…for…the…lesion…<br />

that… meets… following… 3… criteria.… Firstly,… benign… or… low… grade…<br />

malignant… disease… limited… to… the… pancreas… head.… Secondly,… intraluminal…disease…extent…does…not…reach…the…confluence…between…the…<br />

pancreatic…duct…and…the…common…bile…duct.…Lastly,…the…tumor…does…<br />

not…locate…adjacent…to…the…common…bile…duct.…(Results)Since…1994,…33…<br />

patients… underwent… DPPHR… for… the14… IPMNs,… 13… chronic…<br />

pancreatitis,…2…endocrine…tumors,…2…SCNs…and…others.…The…median…<br />

age…was…60…(29-79)…years.…For…the…neoplastic…lesions,…surgical…margin…<br />

was…negative…and…we…have…not…encountered…local…recurrence…in…all…<br />

the… cases… so… far.… The… rate… of… postoperative… pancreatic… fistula…<br />

decreased… after… technical… modification… compared… with… that… of…<br />

previous…period.…(Conclusion)For…the…benign…or…low…grade…malignant…<br />

lesion,…DPPHR…may…provide…clinical…benefits…of…significant…radicality…,…<br />

postoperative…satisfactory…nutritional…status…and…less…invasiveness…at…<br />

the…same…time.<br />

MVW2-4<br />

Safeandsuregastropancreatostomywith<br />

largeinvaginationofthepancreaticstumpas<br />

educationalapproachto<br />

pancreaticoduodenectomy<br />

Osaka Police Hospital<br />

○…MASAYUKI…TORI,Hiroki…Akamatsu,Toshirou…Nishida<br />

We…prefer…gastropancreatostomy…(GP)…to…pancreaticojejunostomy…<br />

(PJ)…after…pancreaticoduodenectomy…(PD),…because…even…residents…<br />

or… beginner… surgeons… can… perform… with… their… immature… skills,… if…<br />

provided…with…simple…and…safe…procedures…in…GP.…To…increase…the…<br />

residency-applicants…who…choose…hepatopancreatobiliary…surgery…as…<br />

their…life…work,…proper…educational…system…for…learning…PD…should…be…<br />

necessary,…and…therefore…such…easy…and…safe…method…as…ours…is…most…<br />

significant.…For…that…purpose,…we…standardized…sophisticated…GP…with…<br />

large…invagination…of…the…pancreatic…stump…by…incising…the…anterior…<br />

&… posterior… gastric… walls,… which… is… completely… free… from…<br />

postoperative…complications.…The…special…features…of…our…method…are…<br />

as…follows.…1.…Incison…of…both…of…the…anterior…and…posterior…gastric…<br />

walls:…By…adding…incision…of…the…anterior…wall…to…posterior…wall,…wide…<br />

view…of…anastomosis…can…be…easily…acquired.…With…the…site,…the…length…<br />

of…the…invaginated…pancreatic…stump…is…over…4cm…which…would…be…<br />

free… from… major… anastomotic… leakage.… 2… Suture… technique:…<br />

horizontal… mattress… sutures… are… made… at… both… of… the… ends… and…<br />

interrupted… sutures… are… done… between… the… ends… with… 3-0… vicryl.…<br />

Mucosa-pancreas…sutures…are…added…at…the…ends…with…3-0…PDS-II.…3.…<br />

Leak…test:…warm…saline…with…pigment…is…poured…into…the…stomach…<br />

after…anastomosis…is…done.…Outside…of…the…anastomosis,…leakage…can…<br />

be…certified…if…pigmentation…is…found.…Result:…We…performed…this…<br />

technique…for…the…last…6…years…(n=70,…group…A ),…while…conventional…<br />

GP…with…anterior… wall…incision…had…been…done…for…5…years…by…the…<br />

time…we…adopted…the…new…method…(n=38,…group…B ).…There…were…no…<br />

leakage…and…pancreatic…fistula…(grade…B,C)…in…group…A,…though…5…<br />

fistula… or… leakage… in… group… B.… In… group… A,… 16… cases… were… chiefly…<br />

performed…by…residents…and…54…by…attendants.…These…results…suggest…<br />

that… our… new…procedures… for…reconstruction… in… PD… should… be…the…<br />

standard…method…in…terms…of…educational…surgical…program.………<br />

MVW2-5<br />

Pylorus-preserving<br />

pancreaticoduodenectomy<br />

Kobe University<br />

○…IPPEI…MATSUMOTO,Makoto…Shinzeki,Hirochika…Toyama,<br />

Sadaki…Asari,Tadahiro…Goto,Sachiyo…Shirakawa,<br />

Masaki…Tanaka,Hironori…Yamashita,Hidehiro…Sawa,<br />

Kimihiko…Ueno,Tadanori…Takahashi,Shinobu…Tuchida,<br />

Masahiro…Kido,Nobuya…Kusunoki,Takumi…Fukumoto,<br />

Tetsuo…Ajiki,Yonson…Ku<br />

We… present… our… surgical… techniques… of… pylorus-preserving…<br />

pancreaticoduodenectomy.The… reconstruction… is… performed… by…<br />

modified… Child… method.… There… are… three… important… points… of… our…<br />

procedure.…Firstly,…we…decide…a…clear…distinction…between…the…role…of…<br />

first… and… second… assistants.… The… first… assistant… spreads… operative…<br />

field… out… and… the… second… assistant… dedicates… blood… suction… and…<br />

ligation.…Secondly,…ultrasonic…coagulating…shears…and…water…dripping…<br />

bipolar…cautery…were…used…to…reduce…intraoperative…blood…loss…and…<br />

minimize… operative… time.… Thirdly,… we… use… instruments… of…<br />

microsurgery…for…anastomosis…of…pancreaticojejunostomy…with…small…<br />

pancreatic… ducts… to… achieve… safe… and… reliable… anastomosis.… Case…<br />

presentation:…The…patient…was…75-year-old…female…with…a…branch…<br />

duct…type…IPMN.…The…tumor…located…in…the…head…of…the…pancreas…<br />

with…a…35…mm…in…diameter.…Surgical…procedure:…Anterior…surface…of…<br />

the… pancreas… head… was… exposed… and… SMV… was… dissected… after…<br />

Kocher… maneuver.… After… the… gallbladder… was… dissected… from… its…<br />

fossa,…the…distal…common…hepatic…duct…was…divided.…After…the…right,…<br />

proper… and… common… hepatic… arteries… were… dissected,… the…<br />

gastroduodenal… artery… was… doubly… ligated… and… divided.… The…<br />

duodenum…was…divided…3…cm…distal…to…the…pylorus.…After…dissecting…<br />

between…the…pancreatic…neck…and…anterior…surface…of…SMV…and…PV,…<br />

the… pancreatic… neck… was… divided… using… a… scalpel.… Small… bleeding…<br />

from…the…pancreatic…stumps…were…coagulated…by…the…water…dripping…<br />

bipolar… cautery.… A… proximal… jejunum… was… divided… and… delivered…<br />

dorsal…to…the…SMV…from…left…to…right.…The…head…and…uncinate…process…<br />

was…dissected…free…from…of…the…PV,…SMV…and…SMA.…Reconstruction…<br />

began… with… the… hepaticojejunstomy,… followed… by… the…<br />

pancreaticojejunostomy…and…the…duodenojejunostomy.…End-to-side…<br />

pancreaticojejunostomy…was…performed…in…two…layers:…the…outer…<br />

layer…in…accordance…with…Kakita…method…and…the…inner…layer…with…<br />

duct-to…mucosa…anasomosis…using…the…instruments…of…microsurgery.…<br />

The…pancreatic…remnant…was…soft…and…the…diameter…of…the…pancreatic…<br />

duct…was…2…mm.…First,…the…outer…layer…was…sutured…using…interrupted…<br />

4/0…PDS.…Then…a…tiny…hole…was…made…in…the…jejunal…mucosa…opposite…<br />

the…pancreatic…duct.…The…duct-to…mucosa…anastomosis…was…performed…<br />

with…interrupted…6/0…PDS…sutures.…A…5-Fr…external…pancreatic…stent…<br />

was… placed.… The… operating… time… was… 6… hrs.… 43… min.… and…<br />

intraoperative…blood…loss…was…193…ml.Conclusion:…Standardization…of…<br />

the… procedure… including… the… role… of… assistants,… device,… surgical…<br />

technique…makes…this…operation…safe…and…reliable.<br />

MVW3-1 当 院 での 膵 管 空 腸 吻 合 - 安 全 確 実 な 吻 合 法 を 目 指<br />

して<br />

北 九 州 市 立 医 療 センター 外 科<br />

○… 西 原 一 善 , 松 永 浩 明 , 阿 部 祐 治 , 千 々 岩 芳 朗 , 林 晃 史 ,<br />

中 野 徹 , 光 山 昌 珠<br />

膵 腸 吻 合 は 破 綻 すれば 重 篤 となるため 様 々な 工 夫 がなされている。 当<br />

院 の 膵 腸 吻 合 の 術 式 と 術 後 経 過 を 検 討 した。 対 象 2006 年 から2011 年 ま<br />

で77 例 。 平 均 年 齢 68.9 歳 、 男 39、 女 38、PD…45、PPPD…32、 膵 管 癌 35、<br />

胆 管 癌 13、 乳 頭 部 癌 …13、IPMN…13、その 他 3。 吻 合 方 法 : 膵 腸 吻 合 に<br />

は 膵 断 端 血 流 、 膵 腸 の 固 定 、 膵 断 端 被 覆 、 膵 液 ドレナージ、 膵 管 腸 管<br />

粘 膜 下 の 連 続 性 が 重 要 と 考 え 以 下 の 柿 田 式 変 法 にて 施 行 している。 膵<br />

管 空 腸 吻 合 は 粘 膜 下 の 連 続 性 を 保 つようにvertical…mattress…suture…<br />

(VMS… 法 )で 縫 合 、その 後 柿 田 式 密 着 縫 合 を 併 施 している。 結 果 :ド<br />

レーンアミラーゼ 値 は44 例 で 測 定 22 例 (52.3%)がISGPF 定 義 で 膵 液 漏<br />

なし。ドレーン 留 置 期 間 は4-110 日 ( 中 央 値 …22 日 )、 術 後 在 院 期 間 は17-<br />

139 日 ( 中 央 値 39 日 )であった。 術 後 合 併 症 は33 例 (42.8%)で 胆 汁 漏 1、<br />

DGE…5、 腹 腔 内 膿 瘍 8、 創 感 染 19、 腹 腔 内 出 血 1、 胆 管 炎 2、 肝 膿 瘍 1、<br />

肺 炎 2、MRSA 腸 炎 1、 腹 水 1であった。 膵 腸 吻 合 の 合 併 症 は26 例 (33.7%)<br />

で、 術 死 、 在 院 死 亡 はなかった。 術 後 3 日 目 アミラーゼ 値 が 血 漿 値 3 倍<br />

(500) 以 下 22 例 には 合 併 症 はなかったが、500-1000では10 例 中 5 例 が<br />

Grade…B,1000-5000でも10 例 中 5 例 がGrade…B,5000 以 上 では2 例 中 1 例 で<br />

Grade…B,1 例 でGrade…Cの 合 併 症 が 見 られた。ドレナージ 留 置 10 日 以<br />

下 では 合 併 症 は 見 られなかったが、11-15 日 で7.1%、16 日 以 上 では<br />

10% 以 上 に 合 併 症 が 発 生 した。ドレーン 留 置 と 術 後 在 院 日 数 は 経 時 的<br />

短 縮 傾 向 が 見 られた(2006 年 :…2011 年 、32.9 日 :11.4 日 (P=0.000273)、<br />

50 日 :28 日 (P=0.00735)。まとめ:VMS 併 用 柿 田 変 法 は 腸 管 膵 管 粘 膜<br />

下 の 連 続 性 、 膵 断 端 被 覆 などを 備 えた 吻 合 法 である。 術 後 3 日 目 アミ<br />

ラーゼ 値 血 漿 3 倍 のISGPF 基 準 は 合 併 症 の 予 測 因 子 となる。ドレーン<br />

早 期 抜 去 は 感 染 減 少 と 早 期 退 院 に 寄 与 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-285-


MVW3-2<br />

PPPD 今 永 法 における 膵 空 腸 吻 合 ― 我 々の 工 夫 ―<br />

MVW3-3<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 膵 空 腸 吻 合 における 工 夫<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 前 田 徹 也 , 大 塚 由 一 郎 , 土 屋 勝 , 石 井 淳 , 久 保 田 喜 久 ,<br />

片 桐 敏 雄 , 田 村 晃 , 金 子 弘 真<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD) 後 膵 空 腸 吻 合 は、その 縫 合 不 全<br />

が 時 に 重 篤 な 合 併 症 を 引 き 起 こす 可 能 性 がある。 当 科 では、 膵 管 不 完<br />

全 外 瘻 のうえで、2005 年 までは 膵 管 空 腸 粘 膜 の4 針 縫 合 と 膵 実 質 と 空<br />

腸 壁 の 前 後 壁 縫 合 で 行 っていたが(A 群 )、2005 年 以 降 は 拡 大 鏡 を 用 い<br />

て、 膵 空 腸 吻 合 を 膵 管 空 腸 粘 膜 縫 合 および 膵 実 質 貫 通 縫 合 での 密 着 縫<br />

合 に 変 更 した(B 群 )。それら 手 技 の 工 夫 により 術 後 良 好 な 結 果 を 得 て<br />

おり、その 手 技 を 供 覧 する。【 手 術 手 技 】 膵 切 離 はメスを 用 い、 挫 滅<br />

に 配 慮 し 残 膵 のクランプは 行 わない。 膵 実 質 貫 通 縫 合 は、3-0バイク<br />

リル 弱 湾 曲 針 を 用 い、 膵 断 端 より1cmの 距 離 をおき 前 壁 から 後 壁 へ 膵<br />

実 質 を 貫 通 後 、 空 腸 壁 の 漿 膜 筋 層 を 背 側 より 腹 側 へかけ、 計 4~6 針 か<br />

ける。 膵 管 空 腸 後 壁 側 は、 膵 管 後 壁 と 空 腸 側 後 壁 の 中 心 から 運 針 し、<br />

頭 側 および 尾 側 に 各 2~3 針 の 運 針 を 行 い、 計 5~7 針 をかける。いずれ<br />

も5-0PDS 両 端 針 で 膵 管 内 腔 や 空 腸 粘 膜 から 運 針 し、これらをsuture…<br />

guideにかけ 整 理 する。 膵 管 チューブを 挿 入 後 、 後 壁 中 心 の 糸 で 固 定<br />

し 不 完 全 外 瘻 とし、 後 壁 側 糸 を 全 て 結 紮 する。 前 壁 も 同 様 に3~5 針 運<br />

針 後 に 結 紮 する。 以 上 のように、 拡 大 鏡 を 用 いて 細 かい 縫 合 を 行 い、<br />

膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 全 体 で8~12 針 を 運 針 する。 最 後 に 密 着 吻 合 の 糸 を<br />

結 紮 して 膵 空 腸 吻 合 を 終 了 とする。さらに、2010 年 8 月 より、 肉 眼 的<br />

に 確 認 困 難 な 細 い 膵 管 のシーリングを 目 的 に、 膵 実 質 切 離 を 主 に 超 音<br />

波 凝 固 切 開 装 置 (LCS)で 行 い、 術 前 画 像 診 断 から 膵 管 の 存 在 が 予 想 さ<br />

れる 部 位 のみをメスで 切 離 している。【 結 果 】A 群 19 例 と、2005 年 以<br />

降 のPD90 例 中 本 術 式 を 行 ったB 群 87 例 について、 術 後 成 績 を 比 較 検<br />

討 した。 手 術 時 間 や 術 後 在 院 日 数 、 膵 液 瘻 発 症 率 (A 群 9 例 47.4%、B 群<br />

39 例 44.8%)では 統 計 学 的 有 意 差 を 認 めなかったものの、 膵 液 瘻 に 関 し<br />

てはISGPF 診 断 基 準 (A/B/C)でA 群 (11.1%/66.7%/22.2%)に 対 しB 群<br />

(58.6%/28.2%/5.1%)であり、 膵 液 瘻 は 軽 症 である 傾 向 がみられた。【ま<br />

とめ】 密 着 縫 合 は、 合 併 症 を 軽 減 しより 安 全 なPD 後 再 建 となる 可 能<br />

性 が 示 唆 された。さらに、LCSを 主 に 使 用 した 膵 切 離 については、 症<br />

例 の 蓄 積 とともに 短 長 期 成 績 を 検 討 中 である。<br />

MVW3-4<br />

当 科 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 空 腸 吻 合 の 工<br />

夫 とその 成 績<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 横 山 正 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 平 方 敦 史 1 1,2 2<br />

, 松 下 晃 , 内 田 英 二<br />

【はじめに】 当 科 では、2006 年 から 現 在 まで 膵 疾 患 の 全 症 例 に 演 者 が<br />

術 者 および 指 導 的 立 場 で 携 わっている。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 は、 基 本<br />

的 に 統 一 術 式 としてSSPPD-IIAを 選 択 、 膵 の 再 建 については…(A)… 前<br />

後 2 列 の 膵 実 質 空 腸 密 着 吻 合 による 再 建 …(B)… 膵 管 空 腸 吻 合 …(D)… 経 肝<br />

的 ルートによる 膵 管 不 完 全 外 瘻 、を 採 り 入 れている。 具 体 的 な 方 法 を<br />

提 示 する。【 膵 切 離 】 切 除 側 ( 頭 側 )に1-0 糸 での 刺 入 結 紮 、 尾 側 に 上 下<br />

端 の 横 行 膵 動 脈 からの 出 血 防 止 と 牽 引 の 目 的 で3-0 支 持 糸 を 掛 けた 後 、<br />

メスで 鋭 的 に 切 離 。 断 端 からの 出 血 に 対 しては、 噴 出 性 のみ4-0モノ<br />

フィラメント 糸 を 掛 け 対 処 している。【 膵 再 建 】 空 腸 を 後 結 腸 性 に 挙<br />

上 した 後 、 膵 管 との 吻 合 予 定 位 置 ( 断 端 から2cm 程 度 )に 電 気 メスで<br />

マーキング、 次 いで 胆 管 との 吻 合 予 定 位 置 に 小 孔 を 開 け、 先 のマーキ<br />

ングからこの 部 へ 膵 管 チューブ( 節 付 き5Fr 以 上 のもの)を 逆 行 性 に 引<br />

き 出 しておく。 膵 管 視 野 確 保 の 目 的 で5-0 糸 を 一 針 12 時 方 向 前 壁 に 掛 け、<br />

針 をつけたままにしておく。(A)… 膵 実 質 空 腸 吻 合 後 壁 :4-0モノフィラ<br />

メント 糸 を 用 いて、 膵 → 空 腸 の 順 に5mm 間 隔 程 度 計 5 針 掛 ける。これ<br />

を 整 理 しやすいよう 順 序 良 くモスキートペアンで 把 持 しておく (B)…<br />

膵 管 空 腸 吻 合 :5-0モノフィラメントを 用 いるが、(1)… 拡 張 例 : 後 壁 か<br />

らの 二 点 支 持 の 連 続 縫 合 、(2)… 非 拡 張 例 :3,…6,…9 時 方 向 に3 針 の 結 節 縫<br />

合 とし、これを 別 色 分 けしたモスキートペアンで 把 持 、(A-1)→(B)の<br />

順 に 結 紮 …(C): 膵 管 チューブを 挿 入 、 膵 管 に 掛 けた5-0 糸 1 針 で 固 定 、<br />

(D)… 先 の 視 野 展 開 用 の12 時 の5-0 針 糸 で 前 壁 の 膵 管 空 腸 吻 合 …(E)… 膵<br />

実 質 空 腸 吻 合 前 壁 :4-0モノフィラメント 糸 を 用 いて、 後 壁 同 様 に 膵<br />

→ 空 腸 の 順 に5mm 間 隔 程 度 計 5 針 掛 け、 順 序 良 く 結 紮 していく。 実 質<br />

と 管 腔 をしっかり 密 着 吻 合 することが 肝 要 と 考 えている。【 成 績 】 全<br />

60 例 ( 胆 管 癌 :28、 膵 頭 部 癌 :17、 乳 頭 部 癌 :8、 膵 IPMN:4、 頭 部<br />

膵 炎 :2、 平 均 年 令 :69.06…(35-92)、 男 / 女 :31/29、 膵 管 拡 張 / 非 拡 張 :<br />

24/36) 中 、ISGPF-GradeB 以 上 の 膵 液 瘻 は3.3%(2/60)、2008 年 以 降 は<br />

一 例 もGradeB 以 上 が 無 く 良 好 な 成 績 を 挙 げられており、 有 用 な 方 法<br />

と 考 えている。<br />

MVW3-5<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 確 実 で 安 全 な 膵 管 空 腸 吻<br />

合<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 外 科<br />

○… 名 取 健<br />

【 背 景 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 において 膵 液 漏 が 最 も 注 意 すべき 合 併 症 で<br />

あり、 膵 切 離 、 膵 管 空 腸 吻 合 が 術 式 の 正 否 を 決 めるといっても 過 言 で<br />

ない。【 対 象 】 平 成 21 年 5 月 から 平 成 23 年 8 月 までに 連 続 して 行 った 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 66 例 のうち 肝 膵 同 時 切 除 11 例 を 除 いた55 例 。【 方 法 】<br />

膵 切 離 は 圧 挫 結 紮 法 で 行 った。 正 常 膵 の 細 い 主 膵 管 であっても 容 易 に<br />

主 膵 管 を 同 定 することが 可 能 であり、 膵 切 離 面 からの 出 血 や 膵 液 の 漏<br />

出 を 防 ぐことができる。 膵 管 空 腸 吻 合 は 膵 実 質 貫 通 空 腸 漿 膜 筋 層 密 着<br />

縫 合 を 併 施 した 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 を 行 った。 膵 実 質 貫 通 空 腸 漿 膜 筋 層<br />

密 着 縫 合 は3-0…PROLENEを 用 い4 針 で 結 節 縫 合 を 行 った。 膵 管 空 腸 吻<br />

合 では 血 管 縫 合 用 マイクロ 持 針 器 、 鑷 子 を 使 用 して、6-0…PDS…IIを 用<br />

い8 針 で 結 節 縫 合 を 行 った。 膵 管 チューブを 留 置 し、 不 完 全 外 瘻 とした。<br />

【 結 果 】 年 齢 は 平 均 68 歳 (31-82 歳 )、 男 性 27 例 、 女 性 28 例 であった。<br />

疾 患 の 内 訳 は 膵 癌 27 例 、 膵 嚢 胞 性 腫 瘍 5 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 2 例 、 胆 管 癌<br />

10 例 、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 10 例 、 交 通 外 傷 1 例 であった。 術 後 3 日 目 にお<br />

けるドレーン 排 液 のアミラーゼ 濃 度 は 平 均 336…IU/L(11-11730…IU/L)<br />

で あ り、ISGPFの 定 義 に 従 う と、 膵 液 漏 はGrade…A23 例 (41.8%)、<br />

Grade…B0 例 (0%)Grade…C0 例 (0%)が 認 められた。ドレーン 留 置 期 間<br />

は 中 央 値 4 日 (2-20 日 )、 術 後 在 院 日 数 は 中 央 値 19 日 (9-95 日 )であった。<br />

その 他 の 合 併 症 は 胃 内 容 排 泄 遅 延 2 例 (3.6%)、 手 術 部 位 感 染 4 例 (7.3%)、<br />

胆 汁 漏 1 例 (1.8%)、 急 性 腎 不 全 1 例 (1.8%)、 深 在 性 真 菌 症 1 例 (1.8%)、<br />

誤 嚥 性 肺 炎 1 例 (1.8%)に 認 められた。【 結 語 】 確 実 で 安 全 な 膵 切 離 、 膵<br />

管 空 腸 吻 合 を 行 い、 良 好 な 成 績 を 得 ているので、その 手 技 を 供 覧 する。<br />

栃 木 県 立 がんセンター 外 科<br />

○… 富 川 盛 啓 , 菱 沼 正 一 , 白 川 博 文 , 尾 澤 巖 , 尾 形 佳 郎<br />

我 々は 膵 頭 部 領 域 疾 患 に 対 し、 術 後 の 消 化 機 能 温 存 を 目 的 として<br />

PPPD 今 永 法 を 第 一 選 択 としている.… 膵 空 腸 吻 合 は 動 物 実 験 の 結 果 や<br />

臨 床 経 験 に 基 づき, 膵 管 径 や 残 膵 の 硬 度 に 拘 らず 全 ての 術 者 が 同 様 の<br />

手 技 で 行 っている.【 膵 の 切 断 】 膵 はメスを 用 いて 鋭 的 に 切 断 する.<br />

それにより 断 端 の 各 構 造 は 正 常 に 保 たれ, 主 膵 管 の 同 定 も 容 易 である.<br />

【 空 腸 漿 膜 の 剥 離 】 膵 空 腸 間 の 創 傷 治 癒 を 促 進 させる 目 的 で, 膵 を 吻<br />

合 する 予 定 部 位 の 空 腸 漿 膜 を,メスで 楕 円 形 に 削 ぐ.【 膵 管 - 空 腸 粘 膜<br />

吻 合 】 主 膵 管 全 周 に 糸 を5~8 針 かけた 後 , 後 壁 から 空 腸 粘 膜 と 吻 合 す<br />

る. 後 壁 の 吻 合 終 了 後 , 節 付 きチューブを 主 膵 管 へ 挿 入 して 結 紮 固 定<br />

し, 前 壁 側 の 吻 合 を 行 う( 空 腸 内 ロストチューブ, 不 完 全 ドレナージ).<br />

【 膵 実 質 - 空 腸 漿 筋 層 吻 合 】 前 壁 の 膵 実 質 と 空 腸 漿 膜 筋 層 に 糸 をかけ<br />

てから 接 合 面 にフィブリン 糊 を 散 布 し, 各 糸 を 結 紮 する.その 後 挙 上<br />

空 腸 を 左 側 に 脱 転 して 良 好 な 視 野 を 確 保 後 , 後 壁 の 吻 合 を 同 様 に 行 う.<br />

【 吻 合 部 の 補 強 】2007 年 11 月 から, 膵 空 腸 吻 合 部 全 周 をPGA 補 強 材 (ネ<br />

オベール®)で 被 覆 し,その 上 からフィブリン 糊 を 散 布 している.…【 成<br />

績 】1986 年 9 月 ~2011 年 11 月 までの 間 に 当 センターで 施 行 したPPPD・<br />

PD…230 例 のうち,…189 例 に 対 してPPPD 今 永 法 を 施 行 してきた( 膵<br />

癌 79 例 , 胆 管 癌 45 例 , 乳 頭 部 癌 28 例 他 ). 上 記 方 法 とした<br />

2007 年 11 月 以 降 の48 例 中 , 膵 液 瘻 (ISGPF)を8 例 (Gr.A/B/C…4/3/1)に<br />

認 めた.この48 例 および 以 前 の141 例 において 術 死 , 腹 腔 内 出 血 , 膵<br />

腸 吻 合 部 縫 合 不 全 はそれぞれ1 例 (2.1%)/7 例 (5.0%),3 例 (6.3%)/9 例<br />

(6.4%),5 例 (10.4%)/7 例 (5.0%)に 認 められた.【 考 察 】この 膵 空 腸 吻<br />

合 法 は 良 好 な 視 野 で 行 え, 特 別 な 器 具 も 不 要 である.また, 今 永 法 を<br />

行 うことにより 吻 合 部 の 開 存 状 態 を 内 視 鏡 的 に 観 察 でき、 吻 合 部 狭 窄<br />

にも 対 処 可 能 である. 術 後 合 併 症 も 概 ね 許 容 範 囲 内 であると 考 えられ<br />

るが, 今 永 法 では 吻 合 部 を 食 物 が 通 過 するため, 縫 合 不 全 が 発 生 した<br />

場 合 には 禁 食 処 置 を 余 儀 なくされることから, 今 後 もドレーンの 種 類<br />

や 位 置 , 吻 合 部 の 補 強 方 法 などを 含 めさらに 工 夫 を 重 ねていくことが<br />

重 要 であると 考 える.<br />

-286-


MVW3-6<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 におけるnostent 膵 腸 粘 膜 吻 合 の<br />

効 果<br />

八 王 子 消 化 器 病 院 外 科<br />

○… 鈴 木 修 司 , 梶 理 史 , 小 池 伸 定 , 原 田 信 比 古 , 鈴 木 衛 ,<br />

今 泉 俊 秀<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 腸 吻 合 は 膵 液 瘻 や 膵 炎 などの 合<br />

併 症 により 重 篤 な 合 併 症 を 来 すこともある。 当 院 ではno…stentによる<br />

膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 の 工 夫 によりその 発 生 の 軽 減 に 効 果 を 認 めた。 今 回 、<br />

我 々は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 におけるno…stentによる 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 の<br />

効 果 につき 検 討 し、ビデオで 供 覧 する。【 方 法 】 対 象 は2011 年 9 月 まで<br />

に 当 院 でno…stentによる 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 を 施 行 した 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 症 例 153 例 である。 当 院 の 吻 合 の 工 夫 は 膵 断 端 阻 血 の 注 意 …( 断 端 止<br />

血 と 静 脈 、 動 脈 処 理 の 注 意 )と 確 実 な 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 にある。 膵 切<br />

離 は 断 端 血 流 に 留 意 し、 尾 側 膵 の 圧 挫 なしで、メスで 行 った。 硬 化 膵<br />

(A 群 )80 例 と 正 常 膵 (B 群 )73 例 に 分 けて、 合 併 症 を 比 較 検 討 した。【 成<br />

績 】 対 象 全 体 では 男 性 82 例 、 女 性 71 例 で、 平 均 年 齢 は67.0 歳 、 膵 癌 59 例 、<br />

胆 管 癌 35 例 、IPMN21 例 、 乳 頭 部 癌 14 例 、 慢 性 膵 炎 13 例 、その 他 11 例<br />

であった。 術 式 はPPPD140 例 、PD9 例 、SSPPD4 例 で 門 脈 切 除 症 例 は<br />

21 例 (13.7%)であった。Mortalityは0%で、Morbidityは33 例 (21.6%)で<br />

あった。 膵 液 瘻 7 例 (4.6%)、 腹 腔 内 膿 瘍 8 例 (5.2%)、 消 化 管 うっ 滞 5 例<br />

(3.3%)、 肝 障 害 3 例 (2.0%)、 腹 水 3 例 (2.0%)、 胆 汁 瘻 / 胆 管 炎 各 2 例 (1.3%)、<br />

吻 合 部 潰 瘍 / 胃 腸 吻 合 狭 窄 / 胆 腸 吻 合 狭 窄 / 門 脈 血 栓 / 腹 腔 内 出 血 / 膵 断<br />

端 壊 死 各 1 例 (0.7%)であった。 背 景 因 子 ではA/B 群 は 平 均 年 齢<br />

67.8/66.2 歳 、 手 術 時 間 263.03±6.25/259.59±7.85 分 、 出 血 量 812.88±<br />

50.90/720.34±46.58ml、 在 院 日 数 21.16±1.20/25.63±1.77 日 で、 在 院 日<br />

数 で 有 意 差 を 認 めた。また 合 併 症 ではA/B 群 ではMortalityは 各 0%で、<br />

Morbidityは10 例 (12.5%)/26 例 (35.6%)で 有 意 差 を 認 めた。 合 併 症 の 内<br />

容 ではA/B 群 は 膵 液 瘻 0/7 例 、 腹 腔 内 膿 瘍 1/7 例 と 有 意 差 を 認 めた。 消<br />

化 管 うっ 滞 、 腹 水 、 肝 障 害 、 胆 管 炎 、その 他 の 合 併 症 では 差 は 認 めな<br />

かった。【 結 論 】… 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 におけるno…stent 膵 腸 粘 膜 吻 合 は 硬<br />

化 膵 においては 合 併 症 も 非 常 に 少 なく、 標 準 術 式 と 考 えられた。 正 常<br />

膵 においてはno…stent 膵 腸 粘 膜 吻 合 によっても 膵 液 瘻 は7 例 (9.6%)も<br />

認 め、 在 院 期 間 の 延 長 もあり、 慎 重 な 管 理 が 必 要 と 考 えられた。<br />

MVW3-7<br />

PDにおける 膵 管 nostentによる 膵 空 腸 連 続 吻 合<br />

(invaginationanastomosis)の 有 用 性<br />

順 天 堂 大 学 練 馬 病 院 総 合 外 科<br />

○… 藤 澤 稔 , 町 田 理 夫 , 北 畠 俊 顕 , 児 島 邦 明<br />

【 目 的 】 当 科 で 施 行 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 、PD)41 例 において、<br />

膵 管 no…stentによる 膵 空 腸 連 続 吻 合 (invagination…anastomosis)を36 例<br />

に 施 行 。 従 来 の 膵 管 粘 膜 縫 合 (+stent 留 置 )と 比 較 して、 簡 便 な 吻 合<br />

法 であるinvagination…anastomosisの 有 用 性 を 検 討 。【 方 法 】 膵 空 腸 連<br />

続 吻 合 は、4-0モノフィラメント 吸 収 糸 による 膵 実 質 ― 空 腸 全 層 連 続<br />

吻 合 、4-0 非 吸 収 糸 による 膵 ― 空 腸 奨 膜 筋 層 縫 合 の2 層 縫 合 を 端 側 吻 合<br />

(invagination…anastomosis)で 施 行 。 膵 管 粘 膜 吻 合 と 不 完 全 外 瘻 によ<br />

るstent 留 置 5 例 とno…stentによるinvagination…anastomosis36 例 で、 膵<br />

液 漏 の 合 併 率 、 術 後 在 院 日 数 などについて 検 討 。【 対 象 】 術 式 は<br />

PpPD27 例 、PD13 例 、SSpPD1 例 。 男 性 22 例 、 女 性 19 例 で 平 均 年 齢 は<br />

67.5 歳 。 原 疾 患 は 胆 管 癌 13 例 、 膵 癌 11 例 、 乳 頭 部 癌 5 例 、IPMN4 例 、<br />

十 二 指 腸 癌 2 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 2 例 、GIST2 例 、その 他 2 例 。【 結 果 】<br />

stent 留 置 例 (n=5)では 膵 液 漏 なし:1 例 、GradeB:4 例 。no…stent 例<br />

(n=36)では 膵 液 漏 なし:15 例 、GradeA:18 例 、GradeB:3 例 でどち<br />

らもGradeC 症 例 は 認 めず。no…stent 例 で 臨 床 上 問 題 となるGradeB… 以<br />

上 の 膵 液 漏 は3/36 例 (8.3%)のみと 良 好 な 結 果 が 得 られた。DGE<br />

(delayed…gastric…empty)はno…stentの2 例 (4.9%)のみ。 術 後 在 院 日 数<br />

はstent 例 :44.4 日 、no…stent 例 :30.3 日 とno…stent 例 で 有 意 に 短 かくなっ<br />

た。no…stent 例 (n=36)で 比 較 検 討 すると、hard…pancreas6 例 で 膵 液 漏<br />

を 認 めず。また 術 後 3 日 目 のドレーンAmy 値 を 比 較 すると、 膵 液 漏 な<br />

し:392±563、Grade…A:4277±5183、Grade…B:10618±8330と そ<br />

れぞれ 有 意 差 を 認 め、 膵 液 漏 を 予 測 する 上 で 有 用 であると 判 断 した。<br />

ドレーンに 関 しては、チャネルドレーンの 持 続 吸 引 が 有 効 で、 腹 腔 内<br />

膿 瘍 や 腹 腔 内 出 血 を 合 併 した 症 例 はなし。【 結 語 】 膵 管 no…stentによ<br />

る 膵 空 腸 連 続 吻 合 は、 膵 液 瘻 の 合 併 率 を 低 下 させうる 吻 合 法 であると<br />

考 えられた。またこの 吻 合 法 は 熟 練 を 要 する 粘 膜 吻 合 を 行 わないため、<br />

卒 後 4 年 目 の 後 期 研 修 医 でも 施 行 可 能 であった。よって、 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 は 後 期 研 修 医 などの 若 手 外 科 医 にも 指 導 可 能 な 手 術 であると<br />

考 えている。<br />

MVW3-8<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 膵 液 瘻 防 止 への 取 り 組 み~<br />

softpancreas 症 例 への 陥 入 法 の 導 入 ~<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 千 田 嘉 毅 , 清 水 泰 博 , 佐 野 力 , 小 森 康 司 , 安 藤 公 隆 ,<br />

川 合 亮 佑 , 大 澤 高 陽 , 二 宮 豪 , 二 村 雄 次<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 当 科 では 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 腸 吻 合 法 とし<br />

て 膵 管 - 空 腸 全 層 吻 合 を 基 本 術 式 としてきたが、 膵 液 瘻 の 成 績 は 満 足<br />

できるものでは 無 かった。 膵 液 瘻 防 止 の 試 みとして2011 年 より 症 例 に<br />

応 じて 陥 入 法 を 導 入 してきたので、その 成 績 について 報 告 し、 手 術 手<br />

技 をビデオにて 供 覧 する。【 対 象 】2011 年 1 月 から10 月 までに 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 を 施 行 した24 例 のうち14 例 に 対 し 陥 入 法 を 行 った。【 方 法 】<br />

尾 側 膵 断 端 は 空 腸 内 に 陥 入 させるため 断 端 から1.5cmほど 授 動 する。<br />

再 建 はChild 法 で 胆 腸 、 膵 腸 、 胃 腸 の 順 で 吻 合 をおこなう。 挙 上 空 腸<br />

断 端 は 閉 鎖 して 膵 腸 吻 合 は 端 側 でおこなう。 挙 上 空 腸 の 腸 間 膜 対 側 漿<br />

筋 層 と 膵 断 端 後 壁 を4-0PDSで 結 節 縫 合 (3-4 針 )を 行 う。この 際 、 膵 を<br />

十 分 陥 入 させるため 膵 断 端 から5mmほど 離 れた 位 置 で 縫 合 する。 後<br />

壁 の 漿 筋 層 縫 合 の 後 、 膵 断 端 の 大 きさに 合 わせて 空 腸 全 層 を 切 開 する。<br />

次 に4-0PDS 両 端 針 で 膵 断 端 のedgeと 空 腸 全 層 を 連 続 縫 合 する。 後 壁<br />

縫 合 が 終 了 したら 挙 上 空 腸 の 盲 端 付 近 から 膵 管 チューブを 挿 入 し、 主<br />

膵 管 内 に 留 置 する。 膵 管 チューブは 膵 断 端 に5-0PDSで 固 定 し、 不 完<br />

全 外 瘻 とする。 前 壁 も 同 様 に2 層 ( 内 層 は 連 続 、 外 層 は 結 節 )で 縫 合 する。<br />

【 結 果 】 陥 入 法 14 例 の 内 訳 は、 膵 癌 4 例 (29%)、 乳 頭 部 癌 ・ 腫 瘍 5 例 (36%)、<br />

胆 管 癌 ・ 胆 道 拡 張 症 3 例 (21%)、IPMN1 例 (7%)、 膵 島 腫 瘍 1 例 (7%)で、<br />

soft…pancreas…13 例 (93%)、 主 膵 管 非 拡 張 11 例 (79%)であった。 陥 入<br />

法 導 入 前 の2004 年 から20010 年 までの 粘 膜 吻 合 (216 例 )の 成 績 は、 膵 液<br />

瘻 なし:104 例 (48%)、Grade…A:42 例 (19%)、Grade…B:60 例 (28%)、<br />

Grade…C:10 例 (5%)であったのに 対 し、2011 年 の 陥 入 法 群 (14 例 )の<br />

成 績 は、 膵 液 瘻 なし:10 例 (72%)、Grade…A:2 例 (14%)、Grade…B:<br />

2 例 (14%)、Grade…C:0 例 と 良 好 であった。また、2011 年 では 粘 膜 吻<br />

合 10 例 ( 膵 癌 5 例 、IPMN3 例 、 乳 頭 部 癌 2 例 )でも、 膵 液 瘻 なし:5 例 (72%)、<br />

Grade…A:1 例 (14%)、Grade…B:1 例 (14%)、Grade…C:0 例 と 従 来 よ<br />

り 良 好 であった。【 結 語 】soft…pancreas、 主 膵 管 非 拡 張 例 に 対 し 陥 入<br />

法 を 行 ったところ 良 好 な 成 績 であった。また、 再 建 困 難 例 に 陥 入 法 を<br />

行 うことで 同 時 に 粘 膜 吻 合 群 の 成 績 も 向 上 した。<br />

MVW3-9<br />

当 科 における 膵 空 腸 吻 合 術 手 技 と 組 織 補 強 剤 使 用 の<br />

効 果 について<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科<br />

○… 児 島 亨 , 仁 熊 健 文 , 丸 山 昌 伸 , 須 井 健 太 , 安 原 功 ,<br />

安 井 和 也 , 三 村 哲 重<br />

【 背 景 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)における 膵 空 腸 吻 合 においては、<br />

さまざまな 手 技 や 工 夫 が 報 告 されているが、いまだにある 一 定 の 比 率<br />

で 致 死 的 な 転 帰 をとる 膵 液 漏 の 発 生 が 見 られる. 当 科 では2006 年 9 月<br />

より 膵 管 空 腸 全 層 吻 合 + 柿 田 式 密 着 法 を 標 準 術 式 としている.また<br />

2011 年 5 月 からは 吸 収 性 組 織 補 強 剤 (ポリグルコール 酸 フェルト、ネオ<br />

ベール)とフィブリン 糊 製 剤 (ボルヒール)を 吻 合 部 の 補 強 として 使 用<br />

している.その 手 技 をビデオにて 供 覧 し、 手 術 成 績 を 示 す.【 手 技 】<br />

膵 はメスで 切 離 し、 主 膵 管 にはステントチューブを 挿 入 し、 不 完 全 外<br />

瘻 とする. 膵 管 空 腸 全 層 縫 合 は 主 膵 管 径 の 大 きさに 関 わらず5-0…モノ<br />

フィラメント 吸 収 糸 8 針 による 結 節 吻 合 を 行 う. 次 いで 膵 実 質 ・ 空 腸<br />

漿 膜 筋 層 縫 合 を 密 着 縫 合 にて 行 う. 通 常 主 膵 管 の 頭 尾 側 に3 針 ずつ4-0…<br />

ポリプロピレン 糸 を 使 用 して 吻 合 している. 吻 合 部 の 背 側 には 大 網 を<br />

敷 き 詰 めておく. 補 強 剤 を 使 用 した 症 例 においては、 吻 合 終 了 後 ネオ<br />

ベールを 吻 合 部 に 全 周 性 に 貼 り 付 け、そのうえからボルヒールを 塗 布<br />

し10 分 間 静 置 する.【 結 果 】2006 年 9 月 から2011 年 11 月 までの135 例 に<br />

膵 空 腸 吻 合 を 行 った. 補 強 剤 を 使 用 した 群 (A 群 )が19 例 、 使 用 しなかっ<br />

た 群 (B 群 )が116 例 であった. 肝 葉 切 除 以 上 の 肝 切 除 を 併 施 した 症 例<br />

は 除 外 した. 膵 の 性 状 について 分 類 するとA 群 ではhard…pancreas…7 例 、<br />

soft…pancreas…12 例 で あ り、B 群 で はhard…pancreas…53 例 、soft…<br />

pancreas…60 例 で あ っ た.hard…pancreas 症 例 に お け るISGPF…<br />

gradeB+C 膵 液 瘻 はA 群 0 例 (0%)、B 群 3 例 (5.7%)であった.soft…<br />

pancreas 症 例 においてはA 群 5 例 (42%)、B 群 26 例 (43%)であった.<br />

soft…pancreas 症 例 における 術 後 1 日 目 のドレーンアミラーゼ 値 はA<br />

群 5261、B 群 7606(IU/l)であった. 全 症 例 を 通 して 膵 液 瘻 に 関 連<br />

した 合 併 症 による 死 亡 例 は1 例 であった.【 結 語 】 組 織 補 強 剤 の 使 用 は、<br />

術 後 のドレーンアミラーゼ 値 を 低 下 させる 傾 向 があるものの、 膵 液 瘻<br />

の 発 生 を 抑 制 する 効 果 は 認 められなかった.<br />

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-287-


MVW4-1<br />

尾 状 葉 欠 損 肝 に 発 生 した 肝 内 胆 管 癌 の 一 切 除 例<br />

川 崎 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 中 島 洋 , 堤 宏 介 , 平 林 葉 子 , 浦 上 淳 , 平 井 敏 広 ,<br />

中 村 雅 史<br />

[はじめに] 肝 葉 形 成 不 全 症 はまれな 肝 の 形 態 異 常 で、 中 でも 尾 状 葉<br />

単 独 欠 損 肝 はほとんど 報 告 がない。 今 回 我 々は、 尾 状 葉 欠 損 肝 に 発 生<br />

した 肝 内 胆 管 癌 に 対 し、 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 したので 報 告 する。[ 症 例 ]<br />

79 才 、 男 性 。 腸 骨 動 脈 瘤 の 経 過 観 察 のため 撮 影 された 腹 部 CTで 肝 腫<br />

瘍 を 指 摘 された。 自 覚 症 状 なし。 術 前 のCT,…MRI,… 腹 部 超 音 波 検 査 では、<br />

肝 S2/3に4cm 大 の 腫 瘤 を 認 め 肝 内 胆 管 癌 の 所 見 であった。 画 像 上 肝 臓<br />

に 尾 状 葉 を 含 む 背 側 肝 は 存 在 しなかった。 肝 腫 瘍 発 症 前 の2 年 前 のCT<br />

でも 尾 状 葉 を 含 む 背 側 肝 は 認 められず、 腫 瘍 による 萎 縮 よりも 先 天 的<br />

な 形 成 不 全 が 考 えられた。[ 手 術 所 見 ] 腹 膜 播 種 を 認 めなかったが、1)<br />

肝 左 葉 に 多 発 性 肝 内 転 移 を、2) 腫 瘍 の 小 網 への 直 接 浸 潤 を、3) 所 属 リ<br />

ンパ 節 転 移 を、 認 め、sStage…IVbであった。しかしCur…Bの 手 術 は 可<br />

能 であると 判 断 し、 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 した。 尾 状 葉 は 存 在 せず、 肝<br />

門 部 と 肝 静 脈 根 部 には 膜 様 構 造 物 を 認 めるのみであった。 内 側 区 域 ・<br />

後 区 域 に 直 接 流 入 する 短 肝 静 脈 を 数 本 認 めたが、 門 脈 や 胆 管 の 尾 状 葉<br />

枝 は 認 めなかった。 内 側 区 域 は 低 形 成 であり、この 影 響 か、 肝 静 脈 は<br />

中 肝 静 脈 が 細 く、 左 右 肝 静 脈 が 太 いパターンであった。 胆 管 は 前 区 域<br />

枝 が 左 1 次 分 枝 より 分 岐 しており、 門 脈 は 同 時 3 分 岐 パターンであった。<br />

動 脈 は 中 肝 動 脈 を 認 めなかった。 実 際 の 手 術 に 際 しては、 尾 状 葉 が 存<br />

在 しないために、 左 ・ 中 肝 静 脈 根 部 と 肝 門 板 ~ 門 脈 1 次 分 枝 が 尾 状 葉<br />

に 相 当 する 膜 状 構 造 物 を 挟 んで 癒 着 していること、アランチウス 管 の<br />

内 側 が 即 座 に 下 大 静 脈 前 面 であること、また、 左 枝 より 分 枝 する 胆 管<br />

前 区 域 枝 が 肝 の 最 背 側 である 下 大 静 脈 前 面 を 通 っていることに 留 意 す<br />

る 必 要 があった。…[ 考 察 ] 尾 状 葉 単 独 欠 損 肝 はまれであり、 文 献 検 索<br />

上 、 臨 床 報 告 例 を 認 めなかった。しかし 発 生 学 的 に、 尾 状 葉 を 含 む 背<br />

側 肝 は 下 大 静 脈 と 共 に、 主 要 4 区 域 とは 無 関 係 に 発 生 するとされてい<br />

るため、 本 症 例 のような 解 剖 異 常 は 発 生 しうると 考 えられる。 尾 状 葉<br />

は 肝 門 板 システムと 下 大 静 脈 ・ 肝 静 脈 系 を 隔 てており、この 欠 損 は 肝<br />

切 除 への 影 響 が 多 大 であった。 本 症 例 の 画 像 所 見 、 術 中 所 見 を、ビデ<br />

オで 供 覧 する。<br />

MVW4-2<br />

右 肝 動 脈 閉 塞 を 伴 うS3 肝 内 胆 管 癌 に 対 し 左 肝 動 脈<br />

塞 栓 後 に 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 II<br />

○… 野 路 武 寛 , 山 吹 匠 , 高 橋 亮 , 海 老 原 裕 摩 , 村 上 慶 洋 ,<br />

松 本 譲 , 加 藤 健 太 郎 , 土 川 貴 裕 , 七 戸 俊 明 , 田 中 栄 一 ,<br />

平 野 聡<br />

残 存 側 の 肝 動 脈 閉 塞 を 伴 う 症 例 に 対 し 肝 葉 切 除 を 行 う 場 合 、 術 後 , 残<br />

肝 の 動 脈 血 流 量 低 下 に 伴 う 肝 膿 瘍 などの 発 生 が 危 惧 され、 対 策 が 必 要<br />

となる。 今 回 我 々は 右 肝 動 脈 閉 塞 を 伴 うS3 肝 腫 瘍 症 例 に 対 し、 術 前<br />

に 左 肝 動 脈 塞 栓 (TAE)を 施 行 することで, 肝 左 葉 切 除 術 を 安 全 に 施<br />

行 し 得 た 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は60 歳 代 女 性 。50 歳 代 時<br />

にS 状 結 腸 癌 を 切 除 し、2 年 後 には 肝 転 移 巣 を 指 摘 されて 肝 後 区 域 切<br />

除 術 を 他 院 にて 施 行 されていた。 定 期 検 査 にて 肝 切 除 術 の11 年 後 に 肝<br />

外 側 区 の 胆 管 拡 張 とS3の 腫 瘤 を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 当 科 を 紹<br />

介 される。CTでは 肝 外 側 区 の 胆 管 拡 張 とS3から 肝 門 にせり 出 す 不 整<br />

型 の 境 界 不 明 瞭 な 腫 瘤 を 認 め, 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 した。 遠 隔 転 移 をみ<br />

とめず、 肝 左 葉 切 除 にて 根 治 切 除 が 可 能 であると 考 えられた.CTで<br />

は 固 有 肝 動 脈 および 左 肝 動 脈 の 走 行 は 同 定 可 能 であったが、 右 肝 動 脈<br />

の 走 行 が 不 明 瞭 であったため 血 管 造 影 検 査 を 施 行 した.その 結 果 , 右<br />

肝 動 脈 は 閉 塞 しており、 肝 右 葉 の 動 脈 血 流 はepicholedocal…plexusを<br />

介 した 血 流 と 左 肝 動 脈 より 肝 門 板 を 介 した 血 流 の 二 つと 判 明 した。そ<br />

こで,epicholedocal…plexusの 血 流 および 肝 周 囲 組 織 よりの 側 副 血 行<br />

路 の 発 育 を 促 すため 術 前 に 左 肝 動 脈 に 対 しTAEを 行 った 後 , 手 術 を<br />

施 行 した。 血 流 温 存 のために 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 リンパ 節 の 郭 清 ・ 胆 管<br />

切 除 を 施 行 せず、 腫 大 した 総 肝 動 脈 周 囲 リンパ 節 (8a)のみを 切 除 生 検<br />

し、 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した。 術 後 経 過 は 問 題 なく、 術 後 20 日 で 自 宅 退<br />

院 した。CT 検 査 ではepicholedocal…plexusの 血 流 および 右 肝 内 の 動 脈<br />

血 流 を 確 認 しえた。 病 理 組 織 学 的 診 断 では 肝 腫 瘍 とともに8aリンパ 節<br />

も 大 腸 癌 の 転 移 を 認 めたが、 術 後 4 年 を 経 過 した 現 在 , 無 再 発 生 存 中<br />

である。Epicholedocal…plexusなどの 側 副 血 行 路 の 発 達 を 目 的 とした<br />

術 前 TAEは 残 肝 の 動 脈 血 流 保 持 手 段 として 有 用 と 考 えられた。<br />

MVW4-3<br />

術 前 にSMAより 分 岐 した 右 肝 動 脈 をコイリングし、<br />

安 全 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 できた 下 部 胆 管 癌 の<br />

一 例<br />

1<br />

済 生 会 熊 本 病 院 外 科 、 2 熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 杉 山 眞 一 1<br />

, 東 孝 暁 1<br />

, 小 川 克 大 1<br />

, 山 村 謙 介 1<br />

, 井 上 光 弘 1<br />

,<br />

田 中 秀 幸 1<br />

, 山 本 謙 一 郎 1<br />

, 井 上 耕 太 郎 1<br />

, 松 本 孝 嗣 1<br />

,<br />

箕 田 誠 司 1<br />

, 金 光 敬 一 郎 1 2<br />

, 馬 場 秀 夫<br />

【 症 例 】78 歳 、 男 性 。 黄 疸 を 主 訴 に 精 査 施 行 。 下 部 胆 管 癌 の 診 断 で、<br />

手 術 目 的 に 入 院 となった。【 術 前 CT 所 見 】 下 部 胆 管 に 造 影 効 果 を 伴 っ<br />

た 腫 瘍 を 認 める。SMAより 分 岐 する 右 肝 動 脈 が 腫 瘍 に 接 しながら 上<br />

行 し、 右 肝 動 脈 浸 潤 を 否 定 できない 所 見 であった。 左 および 中 肝 動 脈<br />

は 変 異 なく、 固 有 肝 動 脈 より 分 岐 していた。 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 、 右 肝 動 脈 合 併 切 除 の 方 針 となった。ただ 左 葉 からの 血 流 を 確 実<br />

にするために、 術 前 血 管 造 影 下 に 右 肝 動 脈 をコイリングする 方 針 とし<br />

た。【 血 管 造 影 所 見 】 術 中 操 作 の 妨 げにならないように、 右 肝 動 脈 が<br />

SMAから 分 岐 する2cmほど 末 梢 でコイリングした。またコイルが 肝<br />

門 部 に 飛 ばないように 慎 重 に 操 作 を 行 った。コイリング 後 の 血 管 造 影<br />

では、 胆 管 周 囲 動 脈 叢 および 肝 門 板 を 通 じて 右 肝 動 脈 が 描 出 されてい<br />

た。その 後 のCTにても 同 様 の 所 見 であった。 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 、 右 肝 動 脈 合 併 切 除 、D2 郭 清 、Child 変 法 再 建 の 予 定 で 手 術 に<br />

臨 んだ。【 術 中 所 見 】 胆 管 周 囲 動 脈 叢 は 通 常 より 拡 張 、 発 達 しており、<br />

術 中 エコーで 肝 右 葉 内 の 動 脈 血 流 を 確 認 しながら 手 術 操 作 を 行 った。<br />

肝 門 部 への 炎 症 の 波 及 は 軽 度 であったが、コイリングのためかSMA<br />

周 囲 神 経 叢 は 固 く、こまめに 結 紮 切 離 を 繰 り 返 した。 右 肝 動 脈 、 下 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 の 同 定 、 処 理 は 問 題 なく 行 えた。 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 のリ<br />

ンパ 節 郭 清 も 通 常 通 り 行 った。【 術 後 経 過 】ISGPF…grade…Bの 膵 液 漏<br />

は 認 めたものの、 胆 管 炎 や 肝 膿 瘍 の 併 発 なく 経 過 された。 術 後 病 理 診<br />

断 は 中 分 化 管 状 腺 癌 ,ss,pGinf0,pDu0,pA0,pN0,pHM0,pEM0…pT2N0M0…<br />

fstage…IIであった。【 術 後 CT 所 見 】 術 後 3ヶ 月 目 のCTにおいて 右 葉 内<br />

の 動 脈 血 流 は 左 および 中 肝 動 脈 から 肝 門 板 を 介 し 確 保 されていた。 現<br />

在 もトラブルなく、 無 再 発 生 存 中 である。【まとめ】 本 症 例 は 術 中 ・<br />

術 後 の 安 全 性 を 担 保 するために、 術 前 に 右 肝 動 脈 をコイリングし、そ<br />

の 後 は 予 想 通 り 問 題 なく 経 過 した。しかし、このようなケースでは 術<br />

前 コイリングなしに 手 術 に 臨 み、 肝 門 板 からの 血 流 を 期 待 する、 右 肝<br />

動 脈 切 除 ・ 再 建 を 行 うなど、 施 設 によって 様 々な 対 応 をとられると 思<br />

われる。 本 手 技 の 是 非 も 含 めて、 各 施 設 とのディスカッションをお 願<br />

いしたい。<br />

MVW4-4<br />

腹 腔 動 脈 起 始 部 狭 窄 を 伴 う 膵 頭 部 領 域 癌 に 対 する 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 工 夫<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 後 藤 邦 仁 , 大 東 弘 明 , 高 橋 秀 典 , 佐 々 木 一 樹 ,<br />

五 十 嵐 佑 子 , 富 原 英 生 , 橘 高 弘 忠 , 山 田 晃 正 , 矢 野 雅 彦 ,<br />

石 川 治<br />

【はじめに】 腹 腔 動 脈 起 始 部 狭 窄 症 例 では, 上 腸 間 膜 動 脈 からの 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 アーケードを 介 した 側 副 血 行 路 が 発 達 し, 胃 十 二 指 腸 動<br />

脈 や 総 肝 動 脈 の 血 流 は 逆 行 性 であることが 多 い. 肝 や 胃 の 血 流 はこれ<br />

ら 側 副 血 行 路 により 保 持 されているため,このような 症 例 に 対 して 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)を 行 う 際 には 肝 臓 , 残 胃 , 残 膵 への 動 脈 血 流 維 持<br />

が 問 題 となる. 当 院 では(1) 術 前 に 腹 部 血 管 造 影 検 査 による 血 流 評 価 を<br />

おこない,(2) 術 中 に 側 副 血 行 路 をテストクランプした 状 態 で,ICG…<br />

angiography(HyperEye…Medical…System…(HEMS): 瑞 穂 医 科 工 業 )あ<br />

るいは 超 音 波 ドップラー 検 査 を 用 いた 血 流 評 価 を 施 行 .さらに(3) 術 中<br />

リアルタイムにICG-R 値 を 測 定 できる 機 器 (DDGアナライザー: 日 本<br />

光 電 )を 併 用 し, 肝 機 能 を 評 価 した 上 で 血 行 再 建 が 必 要 かどうか 判 断 し<br />

ている. 今 回 , 腹 腔 動 脈 起 始 部 狭 窄 を 伴 う 下 部 胆 管 癌 に 対 してPDを 施 行<br />

した 症 例 を 中 心 に 実 際 の 手 技 をビデオにて 供 覧 する.【 症 例 】70 歳 代<br />

男 性 . 近 医 にて 下 部 胆 管 癌 および 胃 前 庭 部 の 早 期 胃 癌 を 指 摘 され 手 術<br />

を 予 定 されていたが, 精 査 中 に 腹 部 MDCTにて 腹 腔 動 脈 起 始 部 狭 窄 お<br />

よび 腹 腔 動 脈 動 脈 瘤 を 認 めたため, 精 査 加 療 目 的 に 当 院 紹 介 となっ<br />

た. 腹 部 血 管 造 影 検 査 では 腹 腔 動 脈 (CA)に 著 しい 狭 窄 を 認 め, 肝 内 動 脈<br />

枝 は 全 てCA 由 来 の 固 有 肝 動 脈 (PHA)より 分 枝 していた. 上 腸 間 膜 動 脈<br />

造 影 では 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 (IPDA)から 胃 十 二 指 腸 動 脈 (GDA)に 至 る<br />

膵 十 二 指 腸 動 脈 アーケードが 著 しく 拡 張 していた.GDAの 血 流 は 逆 行<br />

性 で,GDAから 遠 肝 性 に 総 肝 動 脈 (CHA)および 脾 動 脈 が 描 出 された. 手<br />

術 に 際 しては, 胃 癌 が 早 期 であることから, 左 胃 動 脈 を 温 存 . 膵 頭 部 切 除<br />

直 前 にGDA,IPDAをテストクランプした 状 態 で 術 中 ICG…angiography<br />

および 超 音 波 ドップラー 検 査 を 施 行 .CHAおよびPHAの 血 流 が 求 肝 性<br />

であることを 確 認 した.しかし 肝 内 の 動 脈 血 流 が 微 弱 であったため, 膵<br />

頭 部 切 除 後 にGDAとIPDAを 端 々 吻 合 した. 術 後 経 過 は 順 調 で, 合 併 症<br />

なく 軽 快 退 院 した.【 結 語 】 腹 腔 動 脈 起 始 部 狭 窄 症 例 に 対 してPDを 行<br />

う 際 には 術 前 , 術 中 に 血 流 評 価 を 行 い, 血 行 再 建 の 必 要 性 を 考 慮 するこ<br />

とが 肝 要 である.<br />

-288-


MVW4-5<br />

右 側 肝 円 索 を 伴 った 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 肝 左 3 区 域<br />

切 除<br />

秋 田 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科<br />

○… 打 波 宇 , 阿 部 ゆき, 渡 辺 剛 , 吉 岡 政 人 , 山 本 雄 造<br />

近 年 の 画 像 診 断 の 進 歩 により、 右 側 肝 円 索 における 術 前 診 断 が 可 能 と<br />

なった。 特 に 門 脈 走 行 については 詳 細 な 検 討 がなされ、2 分 岐 型 と3 分<br />

岐 型 が 存 在 する 事 が 明 らかとなった。しかし、 胆 管 の 走 行 については<br />

種 々の 報 告 があり、その 分 岐 形 態 に 一 定 の 法 則 は 報 告 されていない。<br />

そこで2003 年 以 降 当 科 で 経 験 した3 例 の 右 側 肝 円 索 症 例 の 胆 管 走 行 の<br />

検 討 を 行 った。さらにそのうちの 肝 内 胆 管 癌 症 例 に 対 して 行 った 肝 左<br />

3 区 域 切 除 における 血 管 ・ 胆 管 処 理 の 手 技 を 提 示 する。49 歳 男 性 、 胆<br />

嚢 底 部 は 肝 円 索 より 若 干 右 側 に 付 着 していたが、 門 脈 走 行 は 典 型 的 な<br />

右 側 肝 円 索 の3 分 岐 型 であった。 胆 管 は 左 右 の 肝 管 に 分 岐 、 左 は 腫 瘍<br />

によって2 次 分 枝 以 降 は 不 明 であったが、 右 肝 管 は 肝 動 脈 前 区 域 枝 に<br />

沿 って 肝 門 部 から 門 脈 臍 部 右 側 を 頭 側 に 走 行 した 後 、 前 区 域 枝 はさら<br />

に 頭 側 に 向 かい、 後 区 域 枝 は 前 区 域 動 脈 を 乗 り 越 え 背 側 に 回 り 込 むよ<br />

うに 走 行 していた。まず、 肝 門 部 にてRouviere 溝 腹 側 から 肝 十 二 指 腸<br />

間 膜 左 縁 に 向 けてグリソン 一 括 の 要 領 で 左 3 区 域 の 支 配 脈 管 を 結 合 組<br />

織 とともにテーピング、 血 流 遮 断 を 行 ったところDemarcation…lineが<br />

出 現 し、 後 区 域 との 境 界 が 明 らかになった。この 手 技 によりテープの<br />

中 に 温 存 すべき 後 区 域 動 門 脈 が 含 まれていないことが 確 認 できたため、<br />

安 心 して 切 除 側 の 動 門 脈 を 処 理 することができた。 左 、 中 、 前 区 域 動<br />

脈 および 左 門 脈 枝 を 切 断 し 郭 清 手 技 を 終 了 したときには、テープの 中<br />

に 残 存 するのは 総 肝 管 のみであった。 左 肝 管 は 処 理 できたものの、 前<br />

後 区 域 の 分 岐 部 はさらに 頭 側 に 位 置 しており、 分 岐 部 の 同 定 は 肝 外 か<br />

らでは 不 可 能 と 判 断 、 肝 実 質 切 離 を 先 行 させた。 肝 門 板 を 露 出 し、 胆<br />

管 の 走 行 している 方 向 を 随 時 確 認 しながら 前 区 域 、 尾 状 葉 枝 をそれぞ<br />

れ 結 紮 切 離 、 胆 嚢 管 からの 術 中 胆 道 造 影 で、 胆 管 損 傷 の 無 いことを 確<br />

認 した。 右 側 肝 円 索 においては 血 管 走 行 のみならず、 胆 管 走 行 も 変 異<br />

に 富 んでいるため、 術 前 に 把 握 すること、さらには 肝 門 部 での 処 理 に<br />

こだわらず 肝 実 質 切 離 を 先 行 させた 方 が 確 実 であると 思 われる。<br />

MVW4-6<br />

右 側 肝 円 索 からの 肝 内 門 脈 分 岐 異 常 を 伴 う 肝 門 部 胆<br />

管 癌 の 一 切 除 例 : 盲 点 と 反 省 点 を 振 り 返 る<br />

田 附 興 風 会 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 寺 嶋 宏 明 , 飯 田 拓 , 川 本 浩 史 , 戸 田 怜 , 井 上 善 景 ,<br />

門 野 賢 太 郎 , 吉 冨 摩 美 , 尾 崎 信 弘<br />

右 側 肝 円 索 は 肝 内 門 脈 分 岐 異 常 を 伴 うことが 多 く、 肝 切 除 施 行 時 には<br />

画 像 診 断 による 脈 管 解 剖 の 詳 細 な 評 価 と 的 確 な 術 式 の 立 案 が 必 要 であ<br />

る。 今 回 、 右 側 肝 円 索 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 の 一 切 除 例 を 経 験 したので<br />

ビデオを 供 覧 する。【 症 例 】50 歳 代 の 男 性 。CTにて 上 中 部 胆 管 の 腫 瘍<br />

性 病 変 と 壁 濃 染 像 、 肝 門 部 リンパ 節 腫 大 を 認 め、ERCP・ENBD 造 影 ・<br />

MRCPの 所 見 も 含 め、 上 中 部 胆 管 からBpostとBantの 根 部 に 進 展 する<br />

胆 管 癌 (Bmscr,…N1,…Arh2,…PVr1,…T4N1M(-),…sStageIVa)と 診 断 した。<br />

門 脈 臍 部 は 通 常 の 位 置 に 存 在 せず、Ppostが 肝 外 で 先 に 分 枝 し、その<br />

後 肝 内 でP2とP3を 出 し 門 脈 臍 部 を 形 成 して…Pantが 分 岐 する 走 行 異 常<br />

を 認 め、またS4の 同 定 は 困 難 であった。なお 胆 管 はBpost/Bant/<br />

B2+3の3 分 枝 タイプであった。PantとPpostへの 経 回 腸 静 脈 的 門 脈 塞<br />

栓 後 に 右 肝 切 除 ( 拡 大 右 葉 切 除 )+ 胆 道 再 建 を 施 行 した。【 手 術 操 作 】(1)<br />

肝 門 部 リンパ 節 廓 清 をen…blocに 行 い、LHA( 実 際 はA2) 分 岐 後 のRHA<br />

(Apost+Aant+A3)を 肉 眼 的 浸 潤 陽 性 部 位 の 中 枢 側 で 処 理 。(2)PV 本<br />

幹 ・Ppost・PV 左 枝 (P2/P3/Pantの 合 流 枝 )のtapingとPV 左 枝 からの<br />

尾 状 葉 枝 処 理 後 にPpostを 離 断 。(3)PV 水 平 部 は 存 在 せず、PVは 背 側<br />

肝 内 深 部 へ 向 かうため、Pantの 剥 離 や 根 部 の 同 定 は 困 難 。(4) 右 葉 脱<br />

転 とIVCからの 尾 状 葉 遊 離 後 、 下 右 肝 静 脈 と 右 肝 静 脈 本 幹 を 離 断 。(5)<br />

demarcation 沿 いに 鎌 状 間 膜 付 着 部 右 側 で 肝 実 質 離 断 、 前 区 域 への 脈<br />

管 は 肝 内 Glissonで 処 理 しつつ 肝 門 部 に 至 り、 胆 管 をtaping。(6) 胆 管 切<br />

離 を 先 行 、 結 果 BantとB2+3の2… 穴 と 判 明 (この 際 A3からのback…flow<br />

は 確 認 )。(7) 中 肝 静 脈 の 離 断 後 、 肝 切 離 線 をArantius 管 腹 側 へ 向 け、<br />

右 肝 と 全 尾 状 葉 を 一 塊 に 切 除 。(8) 胆 管 断 端 浸 潤 陰 性 であったが、Bant<br />

の 遺 残 部 ( 約 3mm 長 )は 追 加 切 除 した。(9) 組 織 診 断 は 腺 内 分 泌 細 胞 癌<br />

で、Pat-BmsCcr,…ss,…ly0,…v1,…pn1,…pPV0,…pA0,…pN1(No.12b),…pHM0,…<br />

pDM0,…pEM1であったが、 肝 門 部 近 傍 の 肝 実 質 内 に 微 少 転 移 巣 を 認 め<br />

た。GEMとS-1による 補 助 化 学 療 法 を 施 行 、 術 後 1 年 10ヶ 月 現 在 無 再<br />

発 生 存 中 である。【まとめ】 右 側 肝 円 索 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 では、 通<br />

常 とは 異 なる 解 剖 学 的 術 野 での 肝 門 部 操 作 が 要 求 され、 何 らかの 工 夫<br />

が 必 要 である。<br />

MVW4-7<br />

右 側 肝 円 索 を 伴 った 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 切 除 術<br />

2 例<br />

名 古 屋 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 高 橋 祐 , 江 畑 智 希 , 横 山 幸 浩 , 伊 神 剛 , 菅 原 元 ,<br />

國 料 俊 男 , 角 田 伸 行 , 深 谷 昌 秀 , 上 原 圭 介 , 板 津 慶 太 ,<br />

吉 岡 裕 一 郎 , 梛 野 正 人<br />

右 側 肝 円 索 は 胎 生 初 期 の 右 臍 静 脈 遺 残 に 起 因 すると 考 えられる 脈 管 変<br />

異 である。ほとんどの 症 例 で 右 門 脈 臍 部 を 形 成 する 門 脈 分 岐 異 常 を 伴<br />

うことは 有 名 であるが、 胆 管 の 合 流 形 態 も 通 常 と 異 なるという 報 告 も<br />

ある。 肝 門 部 胆 管 癌 の 手 術 には 肝 門 部 の 外 科 解 剖 の 理 解 が 必 須 である<br />

が、 右 門 脈 臍 部 を 伴 う 症 例 はさらに 複 雑 になり 胆 管 、 動 脈 、 門 脈 の 立<br />

体 的 相 互 位 置 関 係 の 把 握 が 非 常 に 難 しくなる。 今 回 われわれは 右 肝 円<br />

索 、 右 門 脈 臍 部 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 症 例 を2 例 経 験 したので 報 告<br />

する。【 症 例 1】77 歳 、 男 性 。 検 診 で 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 指 摘 され 精 査 、<br />

肝 門 部 胆 管 癌 の 診 断 で 当 科 紹 介 となる。MDCT、 胆 管 造 影 上 、 左 肝<br />

管 が 主 座 の 結 節 型 腫 瘍 で、 狭 窄 部 にB5bcが 合 流 していた。 右 系 は<br />

B5bc 以 外 の 右 前 枝 、 右 後 枝 が 合 流 し 右 肝 管 を 形 成 、その 後 胆 嚢 管 、<br />

次 いで 左 肝 管 と 合 流 し 総 胆 管 を 形 成 していた。B1は 右 肝 管 に 合 流 し<br />

ていた。 門 脈 はTrifurcation…typeでP6を 先 行 分 岐 後 、P2+3を 分 岐 し<br />

右 門 脈 臍 部 を 形 成 していた。P2+3は 腫 瘍 により 狭 小 化 していた。 肝<br />

左 葉 切 除 ( 尾 状 葉 温 存 )、S5bc 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除 を 施 行 した。 手 術<br />

時 間 10 時 間 11 分 、 出 血 量 1326ml。 術 後 胆 汁 瘻 を 認 めたが 保 存 的 に 改<br />

善 し、 術 後 70 日 目 に 退 院 となった。【 症 例 2】52 歳 、 男 性 。 閉 塞 性 黄 疸<br />

で 発 症 し 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 され 当 科 紹 介 となった。MDCT、 胆 管<br />

像 より 左 肝 管 を 占 拠 する 乳 頭 状 腫 瘍 で、B2+3、B4、 北 回 りの 右 後 枝<br />

が 合 流 し 左 肝 管 を 形 成 していた。その 後 右 前 枝 が 合 流 し 総 胆 管 を 形 成<br />

していた。B1は 右 後 枝 に 合 流 していた。 門 脈 はTrifurcation…typeで、<br />

右 後 枝 を 先 行 分 岐 後 、P2+3を 分 岐 し 右 門 脈 臍 部 を 形 成 していた。 肝<br />

左 葉 切 除 ( 尾 状 葉 温 存 )、 肝 外 胆 管 切 除 を 施 行 した。 手 術 時 間 8 時 間 51 分 、<br />

出 血 量 594ml。 術 後 創 感 染 、MRSA 腸 炎 を 認 めたが 保 存 的 に 改 善 し、<br />

術 後 59 日 目 に 退 院 となった。 症 例 1はスライドを 中 心 に、 症 例 2は 動 画<br />

中 心 に 術 前 画 像 、 手 術 所 見 を 供 覧 する。<br />

MVW4-8<br />

心 嚢 膜 部 の 横 隔 膜 浸 潤 をきたした 肝 門 部 胆 管 癌 切 除<br />

後 残 肝 再 発 に 対 する 肝 切 除<br />

奈 良 県 立 奈 良 病 院 外 科<br />

○… 高 済 峯 , 吉 川 高 宏 , 石 岡 興 平 , 西 和 田 敏 , 向 川 智 英 ,<br />

石 川 博 文 , 渡 辺 明 彦<br />

左 側 優 位 の 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 左 肝 切 除 + 肝 外 胆 管 切 除 胆 道 再 建 後<br />

に、 心 嚢 膜 部 の 横 隔 膜 と 中 肝 静 脈 の 下 大 静 脈 流 入 部 への 直 接 浸 潤 を 伴<br />

う 孤 立 性 の 肝 転 移 をきたして 紹 介 された 若 年 患 者 に 対 し、 心 嚢 膜 部 の<br />

横 隔 膜 の 合 併 切 除 を 伴 う 肝 切 除 を 行 った。 心 嚢 から 肝 上 部 下 大 静 脈 へ<br />

の 解 剖 学 的 位 置 関 係 について 示 唆 に 富 む 手 術 であったので 供 覧 する。<br />

【 腫 瘍 の 状 況 】 腫 瘍 は3.5cm 大 で、S8の 最 頭 側 の 肝 切 断 端 付 近 に 肝 上<br />

部 下 大 静 脈 の 腹 側 に 乗 るように 存 在 、 中 肝 静 脈 の 下 大 静 脈 流 入 部 に 直<br />

接 浸 潤 あり。また 肝 上 部 下 大 静 脈 の 頭 側 から 連 続 する 心 嚢 膜 部 の 横 隔<br />

膜 が 直 接 浸 潤 により 腫 瘍 に 引 き 込 まれて、 肝 上 部 下 大 静 脈 の 腹 側 に 覆<br />

い 被 さる 状 態 。【 手 術 手 技 】まず 肝 を 授 動 し、 肝 上 部 下 大 静 脈 の 背 側<br />

を 左 右 から 剥 離 して、 肝 上 部 下 大 静 脈 を、その 腹 側 に 覆 いかぶさる 腫<br />

瘍 浸 潤 部 の 横 隔 膜 ごとencircleして 確 保 。 肝 下 部 下 大 静 脈 も 確 保 して<br />

出 血 時 にはTHVEによる 制 御 を 行 える 状 態 とした。 腫 瘍 浸 潤 部 の 心 嚢<br />

膜 部 の 横 隔 膜 に 腹 側 よりマージンを 取 って 電 気 メスで 切 り 込 み、 背 側<br />

の 肝 上 部 下 大 静 脈 前 面 に 向 かって 切 除 を 開 始 した。 心 臓 側 の 壁 側 心 嚢<br />

膜 の 薄 膜 1 枚 を 残 す 層 で 剥 離 可 能 であり、 径 約 5cmにわたって 心 嚢 膜<br />

部 の 横 隔 膜 を 切 除 して、 心 臓 を 露 出 することなくそのままの 剥 離 層 で<br />

肝 上 部 下 大 静 脈 前 面 に 到 達 できた。この 操 作 で 腫 瘍 の 頭 側 の 視 野 が 開<br />

放 された。 続 いて 肝 実 質 切 除 を 行 い、 最 後 に 浸 潤 がみられた 中 肝 静 脈<br />

流 入 部 の 下 大 静 脈 を 血 管 鉗 子 を 深 くかけて 合 併 切 除 して 肝 を 浸 潤 部 ご<br />

と 摘 出 した。【 結 語 】 肝 門 部 胆 管 癌 の 切 除 後 再 発 が 外 科 治 療 の 対 象 と<br />

なることは 少 ないが、 心 嚢 膜 部 の 横 隔 膜 を 合 併 切 除 することにより 治<br />

癒 切 除 を 行 い 得 た。 一 般 に、 肝 上 部 下 大 静 脈 に 浸 潤 する 肝 腫 瘍 の 切 除<br />

の 際 は、THVEを 行 うために 開 胸 または 経 横 隔 膜 的 に 心 嚢 を 切 開 して<br />

心 嚢 内 で 頭 側 の 下 大 静 脈 を 確 保 することが 多 いが、 今 回 、 心 臓 側 の 壁<br />

側 心 嚢 膜 の 薄 膜 を 残 す 層 で 横 隔 膜 を 切 除 して 剥 離 を 進 めれば、そのま<br />

まの 層 で 壁 側 心 嚢 膜 に 連 続 する 肝 上 部 下 大 静 脈 の 表 面 に 到 達 できるこ<br />

とが 示 され、THVEを 伴 う 肝 切 除 の 際 の 下 大 静 脈 の 頭 側 遮 断 部 の 確 保<br />

において 応 用 できる 有 用 な 手 術 展 開 法 と 思 われ 供 覧 する。<br />

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-289-


MVW5-1<br />

Hangingmaneuverを 安 全 に 行 うための 工 夫 とそ<br />

の 応 用<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

○… 近 本 亮 , 別 府 透 , 中 川 茂 樹 , 黒 木 秀 幸 , 新 田 英 利 ,<br />

林 洋 光 , 今 井 克 憲 , 中 原 修 , 生 田 義 明 , 土 居 浩 一 ,<br />

石 河 隆 敏 , 高 森 啓 史 , 馬 場 秀 夫<br />

2005 年 以 降 、 当 科 では 術 中 出 血 量 低 減 のためHanging…maneuver…<br />

(HM)とpre-coagulation…technique…(PC)… を 導 入 している。 当 科 での<br />

HMの 要 点 、 適 応 、 応 用 を 示 し、 導 入 前 後 での 手 術 時 間 、 出 血 量 の 変<br />

化 を 検 討 する。 原 則 として 肝 門 部 のグリソン 一 括 テーピング 後 にHM<br />

を 行 っている。【 要 点 】1.… 決 して 急 がず、 無 理 して 鉗 子 を 通 さない。2.…<br />

下 大 静 脈 (IVC) 前 面 中 央 の 剥 離 ラインを 維 持 する。3.…ヘッドライトで<br />

肝 背 側 の 剥 離 間 隙 を 照 らし、 短 肝 静 脈 や 左 尾 状 葉 静 脈 を 可 能 な 限 り 直<br />

視 下 に 確 認 して、 血 管 を 損 傷 しないようによけながら 剥 離 を 行 う。4.…<br />

右 門 脈 塞 栓 後 の 症 例 ではIVC 前 面 の 無 血 管 野 が 右 側 にずれているため、<br />

IVC 中 央 のやや 右 側 (11 時 方 向 )を 剥 離 する。【 適 応 】 右 肝 切 除 、 拡<br />

大 後 区 域 切 除 は 最 もよい 適 応 であり、HM 施 行 後 に 肝 門 部 グリソンの<br />

腹 側 にテープを 通 し 直 すことで、テープに 向 かって 一 直 線 に 肝 切 離 を<br />

行 うことが 可 能 となる。IVC 浸 潤 が 疑 われる 肝 内 胆 管 癌 、 転 移 性 肝 癌<br />

は 慎 重 に 適 応 を 判 断 する( 肝 細 胞 癌 では 剥 離 可 能 なことが 多 い)。 巨 大<br />

腫 瘍 で 肝 静 脈 根 部 、 肝 下 部 IVC 前 面 の 視 野 が 不 十 分 な 場 合 は 実 質 切 離<br />

を 先 行 させ、 視 野 と 操 作 スペースを 確 保 後 にHMを 行 う。【 応 用 】1.…<br />

中 央 二 区 域 切 除 ではテープを2 本 使 用 することで 効 率 よく 肝 切 離 が 施<br />

行 できる。2.… 中 - 左 肝 静 脈 間 にテープを 通 すことが 可 能 であれば、 左<br />

肝 切 除 、 外 側 区 域 切 除 、 拡 大 右 肝 切 除 に 有 用 である。3.… 腹 腔 鏡 補 助 下<br />

肝 切 除 では 皮 膚 切 開 が 小 さいため、HMの 有 用 性 がより 高 まる。4.…S7<br />

切 除 やS8 切 除 では、 横 隔 膜 側 の 切 離 線 に「 溝 」を 作 り、そこにテー<br />

プをかけ 牽 引 することで、 切 離 面 を 意 識 しやすくなり、 切 離 の 助 けと<br />

なる。【 結 果 】 直 径 5cm 以 上 肝 細 胞 癌 切 除 例 のretrospectiveな 解 析 では、<br />

HM,…PC 導 入 前 …(n=41)、 導 入 後 …(n=121)の 手 術 時 間 、 出 血 量 はそれ<br />

ぞ れ531 分 …vs.…438 分 …(p 肝 臓 の 脱 転 が 困 難 な 場 合 、 肝 門 部 にて<br />

胆 嚢 摘 出 後 、グリソン 一 括 で 右 葉 系 か 左 葉 系 にテーピングを 行 い、 肝<br />

十 二 指 腸 間 膜 の 背 側 にて 尾 状 葉 を 露 出 し、Spiegel 葉 と 尾 状 突 起 の 峡<br />

部 を 切 離 し、 下 大 静 脈 前 面 に 至 り、 短 肝 静 脈 を 数 本 処 理 し、 下 大 静 脈<br />

前 面 を 頭 側 へある 程 度 剥 離 する。その 後 、 肝 上 部 にて 右 肝 静 脈 と 左 右<br />

肝 静 脈 共 通 幹 の 間 を 尾 側 へと 剥 離 し、 下 大 静 脈 尾 側 より 弱 弯 のケリー<br />

鉗 子 を 下 大 静 脈 前 面 に 沿 わすように 頭 側 へと 挿 入 し、 肝 上 部 下 大 静 脈<br />

の 右 肝 静 脈 と 左 右 肝 静 脈 共 通 幹 の 間 に 至 り、Hanging…maneuver 用 の<br />

テーピングを 行 う。その 後 、Hanging…maneuverを 用 い な が ら、<br />

anterior…approachにて 肝 切 離 を 開 始 し、 下 大 静 脈 前 面 に 至 り、 肝 切<br />

離 を 終 了 する。その 後 、 肝 臓 の 脱 転 を 行 い、 腫 瘍 を 摘 出 する。< 結 果<br />

>2003 年 よりHanging…maneuverを 導 入 し、27 例 に 使 用 。 適 応 の 内 訳 は、<br />

通 常 の 葉 切 除 9 例 ( 右 葉 8 例 、 左 葉 1 例 )、 尾 状 葉 合 併 切 除 11 例 ( 右 葉 系 2 例 、<br />

左 葉 系 9 例 )で、 絶 対 的 適 応 のあったものが7 例 であり、 巨 大 腫 瘍 によ<br />

るものが5 例 で、 下 大 静 脈 への 腫 瘍 栓 1 例 、 横 隔 膜 浸 潤 1 例 で 全 例<br />

anterior…approachに よ る 肝 切 離 を 行 っ た。 < 結 語 >Hanging…<br />

maneuverは 葉 切 除 や 尾 状 葉 合 併 切 除 時 に 有 用 であり、 特 に 巨 大 腫 瘍<br />

で 肝 臓 の 脱 転 が 困 難 な 症 例 や、 下 大 静 脈 腫 瘍 栓 により、 脱 転 が 危 険 を<br />

伴 う 症 例 に 対 し、anterior…approachを 行 うときに 有 効 な 手 段 となる<br />

と 考 えられた。<br />

MVW5-4<br />

当 施 設 におけるmodifiedHangingManeuverを 用<br />

いた 肝 葉 切 除 の 工 夫<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 木 戸 正 浩 , 福 本 巧 , 土 田 忍 , 田 中 基 文 , 蔵 満 薫 ,<br />

浦 出 剛 史 , 味 木 徹 夫 , 松 本 逸 平 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 ,<br />

上 野 公 彦 , 具 英 成<br />

( 背 景 )Liver…Hanging…Maneuverとは、 肝 右 葉 を 脱 転 することなく<br />

Rex-Cantlie 線 で 切 離 するというAnterior…Approachにおいて、 出 血 と<br />

切 離 方 向 の 誤 認 を 防 ぐために 考 案 された 手 技 である。しかし、 肝 静 脈<br />

前 面 にはいくつもの 短 肝 静 脈 が 存 在 するのみならず、 巨 大 腫 瘍 になる<br />

とIVCを 高 度 圧 排 していることもしばしばあり、 盲 目 的 な 鉗 子 の 挿 入 、<br />

テーピングは 大 量 出 血 を 招 く 恐 れがある。そこで 当 施 設 では 葉 の 左 右<br />

に 関 わらず、いかなる 巨 大 腫 瘍 例 でも 原 則 的 に 開 胸 を 伴 わない 開 腹 後 、<br />

肝 門 部 処 理 を 先 行 させ、 肝 脱 転 を 行 った 後 にテーピングするmodified…<br />

Hanging…Maneuverを 実 践 してきた。またテープにはPenrose…drainを<br />

用 いている。Penrose…drainは 切 離 時 の 牽 引 ・ガイドのみならず、 切<br />

離 最 終 局 面 でのIVC 前 面 の 保 護 という 役 割 も 兼 ね 備 えている。 当 施 設<br />

で 行 った 右 葉 切 除 と 拡 大 左 葉 切 除 のそれぞれ1 例 ずつをビデオで 供 覧<br />

し、modified…Hanging…Maneuverの 要 点 を 述 べる。( 症 例 1)45 歳 女 性 、<br />

HBV(+)、 最 大 径 15cmの 腫 瘍 が 両 葉 多 発 、Vp3、ICG…R15:…16.4%、<br />

IVCおよび 肝 静 脈 高 度 圧 排 認 めたため、 切 除 困 難 と 判 断 し、 経 皮 的 肝<br />

灌 流 化 学 療 法 (PIHP)を 先 行 させ 腫 瘍 を 縮 小 させた 後 に 切 除 。 逆 L 字 切<br />

開 で 開 腹 、 肝 門 部 処 理 を 先 行 させた 後 、 肝 脱 転 を 行 いテーピング、<br />

modified…Hanging…maneuverで 右 葉 切 除 及 び 肝 部 分 切 除 3カ 所 。 手 術<br />

時 間 10 時 間 16 分 、 出 血 量 630ml。 術 後 腹 水 、 下 腿 浮 腫 など 軽 度 合 併 症<br />

認 めたが 利 尿 剤 で 制 御 可 能 であった。( 症 例 2)…63 歳 女 性 、NBNC、 最<br />

大 径 9.5cmの 腫 瘍 が 両 葉 多 発 、 腫 瘍 破 裂 後 、Vp4、ICG…R15:…5.3%。<br />

逆 T 字 切 開 で 開 腹 、 肝 門 部 操 作 が 困 難 と 判 断 し、S3 尾 側 に 肝 外 突 出 し<br />

ている 腫 瘍 をまず 可 及 的 に 切 除 。その 後 肝 門 部 操 作 、 門 脈 腫 瘍 栓 摘 出<br />

を 先 行 させ、 尾 状 葉 を 含 めた 肝 脱 転 操 作 を 行 いテーピング、modified…<br />

Hanging…maneuverで 拡 大 左 葉 切 除 及 び 部 分 切 除 。 手 術 時 間 11 時 間 41<br />

分 、 出 血 量 891ml。 術 後 合 併 症 なく 軽 快 退 院 。<br />

-290-


MVW5-5<br />

当 科 におけるHangingmaneuverの 工 夫<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 皆 川 昌 広 , 黒 崎 功 , 佐 藤 大 輔 , 高 野 可 赴 , 森 本 悠 太 ,<br />

仲 野 哲 矢<br />

【 背 景 】 我 々のグループでは2002 年 4 月 から 肝 葉 切 除 において<br />

Hanging…maneuver…(HM)を 導 入 後 、 脱 転 前 先 行 処 理 できたものがす<br />

でに150 症 例 を 超 えるようになった。 近 年 の 当 グループの 方 針 として、<br />

肝 葉 切 除 の 場 合 、HMのためのテーピングを 原 則 的 に 行 うようにして<br />

いる。その 経 験 から 得 られた 当 グループにおけるHMのポイントや 注<br />

意 点 をビデオ 供 覧 しながら 紹 介 したい。【 手 技 】 手 術 器 具 は 可 能 な 限<br />

りの 普 遍 化 を 考 え、ほとんどの 施 設 に 常 備 のあるケリー 鉗 子 と 剥 離 鉗<br />

子 を 使 用 するようにしている。 手 順 は、 三 角 間 膜 から 剥 離 をすすめ、<br />

肝 静 脈 根 部 を 露 出 し、 右 肝 静 脈 および 中 肝 静 脈 (または 中 左 共 通 幹 )の<br />

間 にある 左 右 静 脈 間 (Cellular…space)にて 下 大 静 脈 (IVC) 前 面 を 尾 側<br />

に 向 かって 十 分 に 剥 離 する( 約 2 ‐ 3cm)。 次 に 視 野 を 尾 側 に 移 し、 尾<br />

状 葉 からでる 短 肝 静 脈 を 同 定 、その 内 側 からケリー 鉗 子 をつかって<br />

IVC 前 面 に 挿 入 し、 先 に 行 ったCellular…spaceにめがけて 真 っ 直 ぐに<br />

挿 入 をすすめていく。 挿 入 を 進 めていく 際 、 肝 のCantlie 線 部 分 を 手<br />

でしっかりと 把 持 して 真 上 に 挙 上 させること、 鉗 子 を 左 右 上 下 に 振 ら<br />

ずCellular…spaceへ 真 っ 直 ぐ 進 めることがポイントであると 我 々は 考<br />

えている。ただし、 鉗 子 を 進 める 際 に 抵 抗 を 何 度 も 感 じる 場 合 や<br />

TAE 治 療 後 ・ 線 維 化 の 強 い 肝 臓 におけるIVC 前 面 の 炎 症 がある 症 例<br />

には 脱 転 先 行 するようにしている。また、 局 在 として 尾 状 葉 からIVC<br />

に 浸 潤 が 疑 われている 症 例 も 先 行 テーピングを 行 なっていない。こう<br />

した 方 法 ・ 適 応 にて、いまのところ 大 きな 血 管 損 傷 を 我 々は 経 験 して<br />

いない。【まとめ】HMは、 大 きな 肝 腫 瘍 で 脱 転 処 理 が 難 しい 場 合 や、<br />

肝 移 植 ドナー 肝 など 小 さな 創 での 肝 切 離 、に 非 常 に 有 用 であったほか、<br />

通 常 の 肝 切 離 の 際 にも 大 きな 指 標 となる 極 めて 有 用 な 手 技 であると 思<br />

われた。 平 面 的 な 切 離 面 となる 肝 切 除 の 際 には、このテクニックが 標<br />

準 手 技 の 一 つとして 位 置 づけられるようになってきていると 考 えられ<br />

た。<br />

MVW5-6<br />

中 肝 静 脈 合 併 切 除 の 左 側 肝 切 除 におけるHanging<br />

maneuverの 有 用 性<br />

東 京 都 立 墨 東 病 院 外 科<br />

○… 松 田 真 輝 , 脊 山 泰 治 , 宮 田 陽 一 , 梅 北 信 孝<br />

【 緒 言 】Hanging…maneuver…(HM)は 右 側 肝 切 除 において 有 用 性 の 報<br />

告 が 多 数 されているが、 左 肝 切 除 については 少 ない。 今 回 我 々は 左 側<br />

切 除 におけるHMの 手 技 を 動 画 で 供 覧 し、 有 用 性 を 検 討 する。【 対 象 】<br />

当 院 でHMを 導 入 後 、 尾 状 葉 付 き 左 肝 切 除 以 上 を 行 った6 症 例 のうち<br />

HMを 利 用 した4 症 例 で 適 応 、 有 用 性 を 検 討 した。4 例 とも 女 性 、 年 齢<br />

は59~73 歳 ( 平 均 64.8 歳 )、 原 疾 患 は 大 腸 癌 肝 転 移 が2 例 、 子 宮 肉 腫 再<br />

発 肝 転 移 が1 例 、 肝 門 部 胆 管 癌 が1 例 であった。 術 式 は 拡 大 左 肝 切 除 3 例 、<br />

左 三 区 域 切 除 1 例 、 肝 外 胆 管 切 除 、 胆 道 再 建 は2 例 に 行 った。 適 応 基 準<br />

は 腫 瘍 が 中 左 肝 静 脈 根 部 に 存 在 し、 中 肝 静 脈 合 併 切 除 が 必 要 な 症 例 と<br />

した。1 例 は 外 側 区 域 切 除 後 であり、 内 側 区 域 の 大 きな 腫 瘍 で 中 肝 静<br />

脈 を 長 距 離 に 渡 り 圧 排 していた。【 方 法 】 尾 状 葉 を 合 併 切 除 する 左 側<br />

半 肝 以 上 の 肝 切 除 においてHMを 利 用 して 肝 切 除 を 施 行 する。 手 術 手<br />

技 は、1. 左 肝 の 授 動 に 続 き、 短 肝 静 脈 を 処 理 し、 尾 状 葉 を 完 全 に 受<br />

動 する、2. 左 下 横 隔 静 脈 も 処 理 し、 中 左 肝 静 脈 根 部 の 距 離 を 取 りテー<br />

ピング、 別 にHMのための 綿 テープを 通 しておく、3. 肝 離 断 の 際 に<br />

綿 テープを 挙 上 し、ガイドに 使 用 する、4. 肝 門 処 理 後 は 綿 テープを<br />

頭 側 にスイッチし 尾 状 葉 肝 肝 離 断 を 完 了 する、5. 最 後 に 中 左 肝 静 脈<br />

根 部 を 血 管 鉗 子 で 把 持 後 、 切 離 し 標 本 摘 出 (もしくは 自 動 吻 合 機 で 切<br />

離 )、を 基 本 として 施 行 した。【 結 果 】4 例 ともHMを 利 用 し 肝 門 処 理<br />

→ 尾 状 葉 肝 離 断 → 肝 静 脈 根 部 切 離 で 標 本 摘 出 という 手 順 で 安 全 に 施 行<br />

できた。 外 側 区 域 切 除 後 の 残 拡 大 左 肝 切 除 症 例 では、 下 大 静 脈 周 囲 の<br />

癒 着 が 強 く、 尾 状 葉 授 動 は 困 難 でHMによる 肝 実 質 離 断 を 先 行 する 必<br />

要 があった。 手 術 時 間 は 平 均 572 分 (493~740 分 )、 出 血 量 は 平 均 698g…<br />

(499~1002g)、 切 除 断 端 はいずれも 陰 性 であった。 術 後 経 過 は 全 例<br />

良 好 であり、 術 後 在 院 日 数 は6~11 日 ( 平 均 9 日 )であった。【 結 語 】 左<br />

側 肝 切 除 においても 中 肝 静 脈 合 併 切 除 が 必 要 な 症 例 ではHMが 有 用 と<br />

考 えられる。<br />

MVW5-7<br />

肝 右 葉 切 除 におけるHangingmaneuver:その 目 的<br />

に 沿 った 適 応 と 変 法<br />

東 住 吉 森 本 病 院 外 科<br />

○… 田 中 宏 , 清 田 誠 志 , 金 沢 源 一 , 酒 部 克 , 吉 田 佳 世 ,<br />

木 下 正 彦 , 馬 場 由 香 里 , 伊 藤 得 路 , 森 本 義 彦<br />

【はじめに】Hanging…maneuver…( 以 下 HM)は、 肝 右 葉 切 除 における<br />

便 法 として2001 年 にBelghitiらにより 報 告 された。 我 々は、 様 々な 肝<br />

切 除 術 式 にHMを 応 用 しtape-guiding…techniqueとして 報 告 してきた<br />

が、 今 回 は 右 葉 切 除 に 限 定 し、その 目 的 に 沿 った 適 応 と 変 法 について<br />

検 討 した。【 患 者 と 方 法 】2007 年 4 月 から2011 年 12 月 までに 施 行 された<br />

肝 切 除 102 例 中 、 右 葉 ( 拡 大 含 む) 切 除 は18 例 で、 年 齢 は51-80( 中 央 値<br />

66) 才 、 男 12 例 、 女 6 例 。 原 疾 患 は 肝 細 胞 癌 7 例 、 転 移 性 肝 癌 9 例 、 胆 道<br />

癌 2 例 で、 再 切 除 、 再 々 切 除 がそれぞれ2 例 ずつあった。これらのうち<br />

13 例 では 授 動 や 短 肝 静 脈 の 処 理 に 先 行 して 肝 実 質 離 断 を 行 った(いわ<br />

ゆる 前 方 アプローチ)が、ICV 前 面 のtapingを 先 行 した( 狭 義 のHM)の<br />

は9 例 で、 肝 門 部 の 処 理 終 了 後 の 背 側 肝 実 質 切 離 時 にtapingを 行 った<br />

(partial…HM)のが3 例 であった。【 結 果 】 手 術 時 間 は6:54-13:47( 中<br />

央 値 7:34)で、 出 血 量 は393-9010( 中 央 値 986)gであった。 前 方 アプロー<br />

チ 施 行 13 例 のうち 狭 義 のHMを 行 わなかった4 例 は、 巨 大 肝 癌 や 門 脈<br />

腫 瘍 塞 栓 を 伴 っていた 症 例 であった。【 考 察 】 前 方 アプローチの 利 点<br />

としては、manipulationを 軽 減 し 腫 瘍 散 布 や 肝 機 能 保 持 が 図 られるこ<br />

とや、 術 者 の 両 手 が 自 由 に 使 用 できることで 第 1 助 手 が 修 練 医 であっ<br />

ても 手 術 をコントロールしやすい 利 点 がある。また、 肝 授 動 を 先 行 す<br />

る 場 合 では 短 肝 静 脈 の 処 理 が 術 者 一 人 の 視 野 となってしまうが、 肝 離<br />

断 後 に 前 方 から 行 うことで、 修 練 医 に 術 者 を 任 せる 場 合 でも 安 心 であ<br />

る。 一 方 、 前 方 アプローチに 加 えて 肝 切 離 前 にIVC 前 面 へtapingを<br />

行 うHMの 利 点 としては、 肝 切 離 時 の 方 向 が 判 りやすいことや、 背 側<br />

肝 実 質 切 離 時 の 止 血 が 比 較 的 容 易 であることがあげられるが、 後 者 は<br />

partial…HMでも 充 分 目 的 を 果 たすことができた。 従 って、 巨 大 腫 瘍 や<br />

無 理 なアプローチで 腫 瘍 播 種 が 危 惧 されるような 症 例 にはtaping 先 行<br />

をこだわる 必 要 はないと 思 われる。【まとめ】 自 験 例 をもとに、 肝 右<br />

葉 切 除 におけるHMの 目 的 に 沿 った 適 応 と 変 法 について 報 告 した。 肝<br />

右 葉 切 除 といっても 腫 瘍 の 位 置 や 進 展 度 によって 一 様 ではなく、 術 者<br />

の 経 験 や 個 々の 症 例 の 特 徴 に 合 わせた 適 切 な 手 術 手 順 の 選 択 が 重 要 で<br />

ある。<br />

MVW5-8<br />

Spiegel 部 の 大 型 腫 瘍 に 対 するHanging<br />

maneuverを 応 用 した 左 側 尾 状 葉 切 除 の 工 夫<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 山 本 尚 樹 , 岡 野 圭 一 , 上 村 淳 , 野 毛 誠 示 , 前 田 典 克 ,<br />

大 島 稔 , 柏 木 裕 貴 , 赤 本 伸 太 郎 , 藤 原 理 朗 , 高 間 雄 大 ,<br />

萩 池 昌 信 , 臼 杵 尚 志 , 鈴 木 康 之<br />

Liver…Hanging…Maneuver(LHM)は2001 年 にBelghitiらにより 報 告 さ<br />

れ、 肝 切 除 における 出 血 量 の 軽 減 と 安 全 性 、 確 実 性 の 向 上 に 有 用 な 手<br />

技 として 広 く 普 及 してきている。 当 科 ではSpiegel 部 の 大 型 腫 瘍 や 下<br />

大 静 脈 (IVC) 近 傍 の 腫 瘍 に 対 する 左 側 尾 状 葉 切 除 においてhanging…<br />

tapeを 利 用 した 肝 切 除 を 行 っている。 従 来 の 左 側 アプローチによる<br />

Spiegel 部 の 脱 転 は 同 部 を 主 座 とした 大 型 の 腫 瘍 において、 左 下 大 静<br />

脈 靱 帯 付 近 の 視 野 展 開 に 難 渋 することが 多 く、 出 血 や 手 術 時 間 の 延 長<br />

がみられた。この 点 を 改 善 し 安 全 性 を 高 めるために、LHMを 応 用 し<br />

た 手 技 を 行 っている。LHMにより 右 肝 静 脈 (RHM)と 中 、 左 肝 静 脈 共<br />

通 幹 ( 共 通 幹 )の 間 とIVC 腹 側 に 通 したtapeを 共 通 幹 左 側 に 置 換 するこ<br />

とで、tapeは 尾 状 葉 とIVC 間 に 存 在 し、Spiegel 部 と 下 大 静 脈 部 の 境 界<br />

肝 実 質 のみが 挙 上 できるようになり、tapeに 沿 った 肝 切 離 が 可 能 とな<br />

る。 手 技 のポイントとして…1.IVC 近 傍 でArantius 管 を 結 紮 処 理 し、 先<br />

に 通 したtapeをメルクマールにして 左 側 より 共 通 幹 とIVC 間 の 剥 離 を<br />

慎 重 に 進 め、RHVと 共 通 幹 との 間 のtapeを 共 通 幹 左 側 に 置 換 する。2. 肝<br />

切 離 後 Spiegel 部 からIVCに 流 入 する 短 肝 静 脈 に 注 意 し、 確 実 に 処 理<br />

する。この2 点 が 出 血 を 回 避 し、 安 全 に 施 行 する 重 要 なポイントと 考<br />

える。 上 記 のポイントを 中 心 に 左 側 尾 状 葉 切 除 症 例 をビデオ 供 覧 する。<br />

症 例 は61 歳 男 性 。 検 診 で 肝 腫 瘤 を 指 摘 され 当 科 紹 介 となる。 肝 S1<br />

(spiegel 部 )に 約 30mmの 腫 瘤 を 認 め、 精 査 の 結 果 肝 細 胞 癌 と 診 断 。<br />

ICG15 分 値 28.3%、 肝 障 害 度 Aであった。 開 腹 、 腹 腔 内 の 検 索 、 術 中<br />

エコーを 行 い 他 病 変 は 認 めず、 予 定 通 り 左 側 尾 状 葉 切 除 を 行 うことと<br />

した。 上 記 手 技 を 行 った 後 、CUSA、 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 、ソフト 凝<br />

固 を 用 いて 肝 切 離 を 施 行 した。 出 血 量 は249g、 手 術 時 間 230 分 であった。<br />

術 後 10 日 目 に 退 院 し、 現 在 再 発 なく 通 院 中 。<br />

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-291-


MVW5-9<br />

Liverhangingmaneuverをより 安 全 に 行 うための<br />

当 院 の 工 夫<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 高 橋 豊 , 片 桐 聡 , 有 泉 俊 一 , 小 寺 由 人 , 大 森 亜 紀 子 ,<br />

加 藤 孝 章 , 米 田 五 大 , 江 川 裕 人 , 山 本 雅 一<br />

Liver…hanging…maneuver(LHM)は, フ ラ ン ス 外 科 医 のJacques…<br />

Belghitiにより 紹 介 され, 現 在 ではその 有 用 性 が 広 く 認 識 された 手 技<br />

である。LHMを 行 うことで 肝 実 質 切 離 の 方 向 が 分 かりやすく 切 離 面<br />

が 平 坦 になる。また 下 大 静 脈 (IVC)の 前 面 が 保 護 され、 視 野 が 良 好 と<br />

なることで 止 血 操 作 が 容 易 になり 出 血 量 の 減 少 し、 手 術 時 間 の 短 縮 に<br />

つながると 考 えられる。このことから 肝 切 除 を 安 全 に 行 う 手 技 の 一 つ<br />

として 本 邦 でも 普 及 しており、 巨 大 な 腫 瘍 で 右 葉 の 脱 転 ができないと<br />

き、 肝 切 除 の 初 期 教 育 の 場 面 や 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 においても 取 り 入 れら<br />

れている。しかしながらテープを 通 すために 下 大 静 IVC 前 面 は 盲 目 的<br />

な 剥 離 が 必 要 であり、 不 慮 の 出 血 が 危 惧 される。またテープが 尾 状 葉<br />

突 起 部 分 で 安 定 が 悪 くなることがあり、 切 離 する 方 向 が 分 かりやすい<br />

というメリットを 損 なうことがある。【 目 的 】 当 院 では 上 記 のデメリッ<br />

トを 解 消 するためにLHMを 施 行 する 場 合 にいくつかの 工 夫 をしてい<br />

る。 当 院 で 行 ったLHMを 用 いた 右 葉 切 除 のビデオを 供 覧 しその 手 技<br />

の 工 夫 を 説 明 する。【 手 技 】 肝 右 葉 切 除 を 行 う 場 合 の 当 院 における<br />

LHMの 工 夫 を 示 す。1: 前 ・ 後 区 域 枝 のグリソン 鞘 処 理 ( 切 離 )を 先 攻<br />

し 視 野 を 十 分 に 展 開 する。2: 尾 状 葉 突 起 の 切 離 を 行 い、できる 限 り<br />

直 視 下 にIVC 前 面 の 剥 離 を 行 うことでトンネリングの 距 離 を 短 縮 する。<br />

3: 尾 状 葉 突 起 の 切 離 を 行 うことでテープを 挙 上 する 時 に 溝 にはまり、<br />

テープ 位 置 を 安 定 させる。4: 上 下 方 向 から 鈍 的 剥 離 を 十 分 に 行 い“ツ<br />

ルリン 鉗 子 ”( 先 端 が 鈍 の 軽 い 彎 曲 の 鉗 子 )を 使 用 してIVC 前 面 を 剥 離<br />

しテープを 通 す。5:テープの 挙 上 は 肝 実 質 切 離 が 半 分 程 度 終 了 して<br />

から 行 う 法 が 効 果 的 である。【まとめ】 肝 切 除 におけるLHMは 肝 切 除<br />

をより 安 全 に 確 実 に 行 うために 有 用 な 手 技 であり、 様 々な 形 で 応 用 さ<br />

れている。LHMを 施 行 する 基 本 的 手 技 において、 我 々が 行 っている<br />

工 夫 をすることでより 安 全 に 正 確 に 肝 切 除 を 行 うことができLHMの<br />

有 用 性 をより 向 上 することができると 考 えられる。<br />

MVW6-1<br />

動 脈 先 行 処 理 による 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)における<br />

出 血 量 の 軽 減<br />

順 天 堂 大 学 医 学 部 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 石 崎 陽 一 , 森 岡 研 介 , 吉 本 次 郎 , 須 郷 広 之 , 今 村 宏 ,<br />

川 崎 誠 治<br />

術 中 出 血 量 、 周 術 期 輸 血 はPD 術 後 合 併 症 の 発 生 要 因 のひとつとされ<br />

ている。 術 中 出 血 量 を 減 らす 工 夫 の 一 つとして 動 脈 処 理 を 先 行 させる<br />

手 技 がある。 通 常 のPDでは 膵 切 離 後 、 膵 頭 部 を 右 側 へ 引 き 出 し 膵 頭<br />

部 から 門 脈 に 流 入 するドレナージ 静 脈 を 順 次 結 紮 切 離 することになる。<br />

静 脈 切 離 後 に 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 (Inferior…pancreatoduodenal…artery;…<br />

IPDA)から 膵 頭 部 へ 血 液 が 流 入 し 続 けるため 十 二 指 腸 や 膵 頭 部 が 鬱<br />

血 をきたし 出 血 量 が 増 加 する。これを 防 ぐために、Ohigashiら 提 唱 し<br />

ているIPDAの 先 行 処 理 をビデオで 供 覧 する。 手 術 手 技 (1)IPDAの 分<br />

岐 形 態 をあらかじめMDCTにより 検 討 しておく。(2) 膵 の 上 縁 および<br />

下 縁 で 門 脈 、 上 腸 間 膜 静 脈 を 露 出 し、トンネリングを 行 い 膵 を 切 離 す<br />

る。(3) 脾 静 脈 の 頭 側 で 門 脈 、 尾 側 で 上 腸 間 膜 静 脈 をテーピングする。<br />

(4)このテープを 左 側 に 牽 引 すると 背 側 に 上 腸 間 膜 動 脈 の 右 縁 が 露 出<br />

するのでこの 部 位 の 結 合 織 を 電 気 メスで 慎 重 に 剥 離 する。IPDAの 根<br />

部 が 明 らかとなったらこれを 結 紮 切 離 する。この 際 、 上 膵 十 二 指 腸 静<br />

脈 、 下 膵 十 二 指 腸 静 脈 を 可 及 的 に 温 存 して 膵 頭 部 が 鬱 血 を 来 さないよ<br />

うに 注 意 をはらう。 結 果 :2002 年 10 月 から2011 年 11 月 までに 施 行 した<br />

PD231 例 、 膵 全 摘 4 例 計 235 例 を 対 象 。リンパ 節 廓 清 はD2、 出 血 量 中<br />

央 値 320mL(35-4,200mL)、 濃 厚 赤 血 球 輸 血 例 5 例 (2%)。 結 語 : 動 脈 先<br />

行 処 理 をしたPDでは 出 血 量 は 少 なく、 輸 血 はほとんど 要 しなかった。<br />

MVW6-2<br />

当 科 で 行 っている 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 のポイントー<br />

教 育 的 見 地 よりー<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 医 学<br />

部 保 健 学 科 、 3 鹿 児 島 大 学 フロンティアサイエンス 研 究 推 進 セ<br />

ンター<br />

○… 又 木 雄 弘 1<br />

, 新 地 洋 之 2<br />

, 前 村 公 成 1<br />

, 蔵 原 弘 1<br />

, 桑 畑 太 作 1<br />

,<br />

上 野 真 一 1<br />

, 迫 田 雅 彦 1<br />

, 飯 野 聡 1<br />

, 高 尾 尊 身 3<br />

,<br />

1<br />

夏 越 祥 次<br />

近 年 、 研 修 医 の 外 科 離 れが 加 速 している。 外 科 の 楽 しさ・ 面 白 さを 伝<br />

える 一 方 、 真 の 技 術 を 持 った 若 手 外 科 医 の 育 成 は 重 要 かつ 急 務 を 要 す<br />

る。そこで、 若 手 外 科 医 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)を 指 導 する 際 の<br />

注 意 点 ・ポイントを 動 画 にて 解 説 する。1.Kocher 授 動 :16b1inter…<br />

samplingをルーチンに 行 っているが、リンパ 管 の 結 紮 切 離 、リンパ<br />

瘻 防 止 2.Henleの 係 蹄 の 処 理 : 右 胃 大 網 静 脈 、 右 副 結 腸 静 脈 結 紮 切 離 し、<br />

上 腸 間 膜 静 脈 (SMV) 本 幹 を 同 定 。 門 脈 前 面 をトンネリング: 丁 寧 か<br />

つ 愛 護 的 な 剥 離 、 膵 炎 後 は 特 に 剥 離 困 難 、 易 出 血 性 である。 出 血 部 位<br />

を 無 理 に 追 いかけず、 圧 迫 止 血 有 用 。 出 血 量 がある 程 度 おさまってか<br />

ら、 出 血 部 位 を 同 定 。ピンポイントで 出 血 点 を 確 認 止 血 操 作 を 行 う。3.<br />

肝 十 二 指 腸 間 膜 におけるskeletonization:リンパ 節 郭 清 を 意 識 し、 総<br />

肝 動 脈 、 固 有 肝 動 脈 、 左 右 肝 動 脈 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 をそれぞれテーピ<br />

ング。 適 宜 vessel…sealing…systemやlaparoscopic…coagulating…system<br />

を 使 用 。 動 脈 損 傷 特 に 外 膜 損 傷 に 注 意 し、 愛 護 的 操 作 を 心 掛 ける。4. 胃 、<br />

胆 管 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 、 膵 切 離 時 の 基 本 手 技 : 術 中 胆 汁 を 漏 らさない<br />

工 夫 や 膵 管 同 定 。 膵 切 離 時 のモダリティの 工 夫 。5.SMV-PVへの 流 入<br />

血 管 の 切 離 、 愛 護 的 な 処 理 。6. 膵 頭 神 経 叢 や 上 腸 管 動 脈 神 経 叢 郭 清<br />

および 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 同 定 の 工 夫 とその 処 理 。7. 再 建 : 膵 胃 吻 合 、<br />

柿 田 式 で 行 っているが、 膵 実 質 損 傷 しないように 外 列 として 膵 実 質 を<br />

大 きくかけ、 胃 漿 膜 筋 層 で 膵 切 離 面 全 体 を 覆 うように 心 がける。 内 列<br />

はduct-to-mucosaの 吻 合 をしっかりと 行 う。 胆 管 空 腸 吻 合 、 胃 空 腸 吻<br />

合 は 結 節 縫 合 を 手 縫 いで 行 っている。 膵 管 チューブおよびRTBD<br />

チューブはロストステントとし、 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 ・ 胆 管 空 腸 吻 合 は 当<br />

科 で 開 発 したオリジナル 深 部 持 針 器 を 使 用 することで、ストレス 軽 減<br />

となっている。(まとめ)1. 基 本 的 な 動 作 であるが、 鉗 子 の 使 い 方 、テー<br />

プの 通 し 方 、メスやエネルギーデバイスを 使 用 しての 切 離 の 仕 方 も 随<br />

時 注 意 するよう 心 掛 けている。2.その 一 つ 一 つの 操 作 を 術 者 および<br />

助 手 、 手 術 スタッフ 全 員 が 心 掛 けることにより、より 安 全 な 操 作 とな<br />

り、 術 中 ・ 術 後 合 併 症 予 防 につながると 思 われる。<br />

MVW6-3<br />

膵 鉤 部 周 囲 のSurgicalmargin 確 保 を 目 指 した 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 -Modifiedmesentericapproach<br />

-<br />

東 京 医 科 大 学 病 院<br />

○… 松 土 尊 映 , 永 川 裕 一 , 土 方 陽 介 , 高 橋 恒 輔 , 宮 原 光 興 ,<br />

菊 池 哲 , 許 文 聰 , 鈴 木 芳 明 , 粕 谷 和 彦 , 土 田 明 彦<br />

膵 頭 部 癌 におけるR0 手 術 を 行 う 上 で 膵 鉤 部 周 囲 のSurgical…margin 確<br />

保 は 重 要 である. 我 々は 結 腸 間 膜 の 前 方 後 方 の 両 アプローチにて 横 行<br />

結 腸 間 膜 に 包 み 込 むよう 膵 鉤 部 周 囲 をen…blocに 郭 清 しておりその 手<br />

技 を 供 覧 する.【 手 術 手 技 】1) 後 方 アプローチ:まず 右 からアプロー<br />

チしKocher 授 動 術 に 続 いて 上 行 結 腸 を 授 動 後 , 膵 背 面 のMargin 確 保<br />

のため16a2b1を 膵 背 側 に 付 着 させながらAorta 右 縁 まで 郭 清 . 次 に<br />

Treitz 靭 帯 左 側 の 後 腹 膜 も 切 開 しAorta 前 面 を 露 出 , 右 からのアプロー<br />

チしたラインとつなげ 膵 後 面 を 十 分 に 授 動 する.2)SMA 背 面 の 郭 清 :<br />

空 腸 を 切 離 し, 切 離 端 を 左 側 に 牽 引 し 第 一 空 腸 動 脈 に 沿 って 小 腸 間 膜<br />

を 切 離 していきSMA 背 側 でIPDA 根 部 を 同 定 , 結 紮 切 離 する.SMA<br />

の 左 背 側 からSMA 神 経 叢 を 切 離 し 小 腸 間 膜 からPLphIIを 包 み 込 むよ<br />

う にSMA 根 部 ま でSMA 背 面 の 郭 清 剥 を 進 め る.3)Mesenteric…<br />

approach: 十 二 指 腸 下 行 脚 下 端 で 横 行 結 腸 間 膜 を 開 放 し 十 二 指 腸 下<br />

行 脚 を 結 腸 間 膜 の 前 面 から 右 側 に 牽 引 ,また 次 に 空 腸 切 離 端 を 右 側 に<br />

牽 引 し 十 二 指 腸 下 行 脚 下 縁 に 沿 って 結 腸 間 膜 の 右 から 切 離 を 進 め<br />

SMVをテーピングする.さらに 切 離 を 進 めSMAを 露 出 後 中 結 腸 動 脈<br />

右 枝 を 切 離 し 膵 鉤 部 に 付 着 する 部 分 の 横 行 結 腸 間 膜 をくり 抜 き 膵 鉤 部<br />

を 包 み 込 むようにPLphIIおよび 後 半 周 SMA 神 経 叢 ごとSMAから 切 離<br />

する.【 結 果 】2010 年 7 月 より 当 方 法 で 行 われたPD23 例 の 手 術 時 間 は<br />

440±66…min,… 術 中 出 血 量 は787±459ml… で,19 例 (82.6%)においてR0<br />

手 術 を 遂 行 できた【まとめ】 本 方 法 を 用 いる 事 で 過 不 足 ないen…bloc<br />

な 郭 清 ができる.この 手 技 をビデオで 供 覧 する.<br />

-292-


MVW6-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 におけるSMA 神 経 叢 右 半 周 郭 清 :<br />

右 側 アプローチによるSMA 根 部 の 先 行 郭 清 とテーピ<br />

ング<br />

広 島 赤 十 字 ・ 原 爆 病 院 外 科<br />

○… 山 下 洋 市 , 辻 田 英 司 , 武 石 一 樹<br />

【はじめに】 我 々は、 特 に 膵 癌 に 対 するPDでは、SMA 周 囲 神 経 叢 右<br />

半 周 郭 清 を 徹 底 している。SMA 周 囲 神 経 叢 の 郭 清 は、 切 除 する 膵 頭<br />

十 二 指 腸 を 左 手 に 収 めて、 門 脈 との 剥 離 をすすめた 後 の 切 除 最 終 段 階<br />

で 施 行 するのが 一 般 的 だが、SMA 根 部 の 郭 清 が 甘 くなる 感 は 否 めない。<br />

そこで 我 々は、 系 統 的 にSMA 周 囲 神 経 叢 右 半 周 郭 清 を 行 うために、<br />

右 側 アプローチによるSMA 根 部 の 先 行 郭 清 とテーピングを 行 って、<br />

最 終 的 な 郭 清 のメルクマールにしているのでその 手 術 ビデオを 供 覧 す<br />

る。【 手 術 ビデオ: 膵 癌 症 例 に 対 するSSPPD】 術 前 CTにてSMAの 血<br />

管 構 築 を 行 い、RHAやIPAの 分 岐 部 が 根 部 にないかを 予 め 確 認 する。<br />

上 中 腹 部 正 中 切 開 にて 開 腹 。まずKocherの 受 動 を 広 範 に 行 い、 左 腎<br />

静 脈 をテーピングする。#16b1/a2のサンプリングを 行 いながら、<br />

SMA 根 部 を 同 定 してテーピングを 行 う。この 段 階 で、SMA 根 部 の 神<br />

経 叢 右 半 周 郭 清 を 長 径 3…cm 程 度 先 行 して 行 う。 切 除 最 終 段 階 で、<br />

PV・SMVにテーピングをかけて 充 分 左 側 に 牽 引 し、SMAをその 直 下<br />

で 同 定 して 神 経 叢 右 半 周 郭 清 を 開 始 する。SMA 根 部 のテーピングを<br />

右 側 に 牽 引 してそれをメルクマールとし、SMA 根 部 まで 神 経 叢 右 半<br />

周 郭 清 をつなげるようにしている。【 結 果 】これまで7 例 の 膵 癌 PD 症<br />

例 に 施 行 。DP-CARを 施 行 した2 例 と 併 せて 計 9 例 に 右 側 アプローチに<br />

よるSMA 根 部 の 先 行 郭 清 とテーピングを 施 行 したが、 術 中 偶 発 症 なく、<br />

8 例 (89%)でR0 手 術 が 施 行 できた。 術 後 の 難 治 性 乳 糜 や 難 治 性 下 痢 な<br />

ども 経 験 していない。<br />

MVW6-5<br />

TheMayoClinicApproachforTotal<br />

LaparoscopicPancreatoduodenectomy<br />

Division of Gastroenterologic and General Surgery,<br />

Mayo Clinic<br />

○… 近 藤 成 ,Michael…L…Kendrick<br />

【Purpose】To…describe…the…technical…details…of…TLPD…at…the…Mayo…<br />

Clinic…including…the…surgeon…position…and…trocar…assignment…during…<br />

the… procedure.【Patient… Selection】All… patients… requiring…<br />

pancreatoduodenectomy… are… potential… candidates… for… TLPD.…<br />

Although…possible…malignant…involvement…of…the…portal…vein…(PV)…or…<br />

superior… mesenteric… vein…(SMV)… was… initially… considered… a…<br />

contraindication… for… TLPD,… laparoscopic… major… venous… resection…<br />

during… TLPD… has… been… performed… in… selected… patients… after…<br />

acquisition…of…considerable…experience.……All…TLPD…procedures…have…<br />

been…performed…by…one…of…the…authors…(M.L.K.).【Trocar…Location】<br />

A…total…of…6…(12mm)…trocars…are…commonly…used…for…TLPD,…placed…<br />

in… a… semicircle…in… the… lower… and… lateral… aspects… of… the… abdomen.<br />

【Procedure】The…process…of…TLPD…is…as…follows;…Step…1:…Trocar…<br />

insertion,… Step… 2:… Division… of… the… gastrocolic… ligament… and…<br />

mobilization… of… the… hepatic… flexure… of… colon,… Step… 3:… Division… of…<br />

gastroduodenal… artery,… tunneling… under… the… neck… of… pancreas,…<br />

transection…of…the…duodenum…and…mobilization…of…ligament…of…Treitz.…<br />

Step… 4:… Full… Kocherization,… dissection… of… the… hepatoduodenal…<br />

ligament… and… cholecystectomy,… Step… 5:… Transection… of… the…<br />

pancreatic… neck,… Step…6:… Dissection… of… the…pancreatic… head…from…<br />

PV/SMV…and…dissection…of…the…superior…mesenteric…artery…plexus.…<br />

Step…7:…Reconstruction…and…closure.……The…surgeon…position…and…the…<br />

trocar… assignment… change… according… to… each… step.【Conclusion】<br />

Typical…benefits…of…laparoscopic…approaches…are…observed…in…TLPD…<br />

including… excellent… exposure… and… magnification.… Optimization… of…<br />

surgeon…position…and…trocar…assignment…during…TLPD…is…critical…to…<br />

facilitate…the…technical…complexity…and…successful…outcomes…of…this…<br />

approach.<br />

MVW6-6<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 経 験<br />

金 沢 大 学 心 肺 ・ 総 合 外 科<br />

○… 川 口 雅 彦<br />

【 目 的 】 鏡 視 下 手 術 はデバイス、 技 術 の 発 達 とともに 広 く 施 行 される<br />

ようになった。しかし、 肝 胆 膵 領 域 とくに 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 では 未<br />

だ 難 易 度 が 高 く、 導 入 するにはハードルが 高 いと 考 えられる。 今 回 我 々<br />

が 行 った 腹 腔 鏡 補 助 下 十 二 指 腸 切 除 術 の 取 り 組 みを 供 覧 する。【 方 法 】<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 腹 腔 鏡 手 術 で 行 うには、 胃 切 除 の 術 式 を 応 用 す<br />

る 形 で 行 えると 考 えられる。まず、 胃 切 除 における 膵 下 縁 、 肝 動 脈 周<br />

囲 、 肝 十 二 指 腸 間 膜 周 囲 の 操 作 を 膵 切 除 に 準 じて 検 討 した。また、 学<br />

会 や 研 究 会 で 腹 腔 鏡 下 手 術 および 開 腹 手 術 の 手 順 を 検 討 し、さらにロ<br />

ボットを 用 いた 腹 腔 鏡 下 手 術 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 っているイリノ<br />

イ 州 立 大 学 の 見 学 を 行 った。 安 全 対 策 として、 本 術 式 のリスクは 切 除<br />

時 の 出 血 および 縫 合 不 全 であると 考 え、 今 回 の 主 目 標 を 腹 腔 鏡 での 剥<br />

離 までとし、 膵 切 除 および 吻 合 は 小 開 腹 創 で 行 うこととした。 具 体 的<br />

には 手 術 手 順 を 細 分 化 し、 切 離 までに12 段 階 の 手 順 書 を 作 成 し 各 段 階<br />

での 主 目 標 、リスクを 細 かく 分 析 した。 続 いて 小 開 腹 創 からの 吻 合 手<br />

順 も 設 定 した。 以 上 をもとにコンピュータソフトを 用 いた 解 剖 イメー<br />

ジで 手 術 チームに 手 順 およびリスクの 概 略 を 説 明 、 共 有 し、 大 量 出 血<br />

や 他 臓 器 損 傷 などの 際 の 開 腹 基 準 を 設 定 した。【 成 績 】 患 者 は70 歳 代<br />

男 性 で 膵 頭 部 IPMN 症 例 である。 術 前 検 査 として 薄 層 CTを 撮 像 し 膵<br />

門 部 十 二 指 腸 の 血 管 走 行 を 確 認 した。 本 症 例 はBMI25で 腹 腔 内 には 大<br />

量 の 内 臓 脂 肪 があり 手 術 は 困 難 であったが、 手 順 にしたがい 段 階 的 に<br />

手 術 を 施 行 した。 手 術 時 間 は14 時 間 、 出 血 量 は720ml、 無 輸 血 であった。<br />

【 結 論 】 段 階 式 の 手 順 作 成 と 詳 細 なCT 画 像 をもとにして 難 易 度 の 高<br />

い 術 式 である 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 安 全 に 施 行 することが<br />

できた。 今 後 はさらに 手 順 を 洗 練 させ 定 形 化 を 進 めるとともに、 再 建<br />

術 式 においても 腹 腔 鏡 手 術 を 行 うべく 努 力 していきたいと 考 えている。<br />

MVW7-1<br />

肝 細 胞 癌 に 対 するグリソン 一 括 先 行 処 理 による 肝<br />

S8 亜 区 域 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 ・ 脾 外 科<br />

○… 所 隆 昌 , 加 藤 悠 太 郎 , 棚 橋 義 直 , 吉 田 淳 一 , 香 川 幹 ,<br />

竹 浦 千 夏 , 杉 岡 篤<br />

【 緒 言 】 肝 細 胞 癌 の 手 術 ではグリソン 一 括 処 理 により 担 癌 領 域 の 血 行<br />

を 先 行 遮 断 することが 手 術 の 根 治 性 を 高 めるために 重 要 である。 当 科<br />

では 肝 固 有 の 被 膜 であるレネック 被 膜 に 注 目 し 手 術 を 行 っている。 系<br />

統 的 亜 区 域 切 除 では 肝 門 でグリソン 一 括 先 行 処 理 を 行 い、 虚 血 域 を 確<br />

認 している。また 肝 切 離 は 肝 静 脈 を 頭 側 から 尾 側 へとレネック 被 膜 を<br />

温 存 する 層 で 剥 離 露 出 しながら 左 側 から 右 側 へとOne…wayで 行 って<br />

いる。これらの 手 技 はレネック 被 膜 を 意 識 して 行 うことで 安 全 に 施 行<br />

できる。 今 回 はS8 亜 区 域 切 除 の 実 際 の 手 技 をビデオで 供 覧 する。【 手<br />

術 の 要 点 】 胆 嚢 板 胆 摘 により 肝 門 板 を 露 出 し、 胆 嚢 板 から 続 くグリソ<br />

ンの 層 とレネック 被 膜 の 間 に 入 ることで 前 区 域 グリソンを 確 保 する。<br />

前 区 域 グリソンにかけた 血 管 テープを 牽 引 しながらS5グリソンさら<br />

にS8 亜 区 域 グリソンを 確 保 する。 確 保 したS8グリソンをクランプし<br />

て 虚 血 領 域 を 確 認 し、 腫 瘍 が 虚 血 領 域 内 に 入 っていることを 確 認 する。<br />

肝 切 離 では 頭 側 より 中 肝 静 脈 根 部 を 露 出 しながら 開 始 する。 中 肝 静 脈<br />

を 露 出 する 際 にはレネック 被 膜 を 肝 静 脈 側 に 付 着 させて 行 うことによ<br />

り 大 出 血 することなく 末 梢 まで 安 全 に 剥 離 することができる。 肝 切 離<br />

を 左 頭 側 から 右 尾 側 へと 進 め、S8グリソン 根 部 に 到 達 したらS8グリ<br />

ソンにかけたテープを 肝 門 側 より 切 離 面 側 へ 引 き 出 しS8グリソンを<br />

切 離 する。 右 肝 静 脈 も 中 肝 静 脈 と 同 様 に 頭 側 から 露 出 しながら 次 第 に<br />

右 側 へと 肝 切 離 を 一 方 向 性 にすすめ 切 除 を 完 了 する。【 結 語 】レネッ<br />

ク 被 膜 に 基 づいた 手 術 操 作 により 安 全 にグリソンの 確 保 、 肝 静 脈 露 出<br />

を 行 うことができ、 頭 側 から 一 方 向 性 に 肝 切 することで 術 者 、 助 手 と<br />

もに 良 好 な 視 野 を 確 保 しながら 肝 S8 亜 区 域 切 除 を 完 了 することがで<br />

きる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-293-


MVW7-2<br />

安 全 な 肝 亜 区 域 切 除 術 を 目 指 した 当 科 での 工 夫<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 石 崎 守 彦 , 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 中 竹 利 知 , 松 島 英 之 ,<br />

坂 口 達 馬 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 当 科 での 肝 亜 区 域 切 除 における 手 術 手 技 を 供 覧 する。【 対 象<br />

および 方 法 】2010 年 までに620 例 の 原 発 性 肝 癌 肝 切 除 を 行 い、 最 近 行 っ<br />

た 肝 亜 区 域 切 除 例 を 提 示 する。 術 前 シミュレーションとして、 造 影<br />

CTより 構 築 した 脈 管 および 肝 実 質 の3D 画 像 と99mTc-GSA…SPECT 画<br />

像 との3D-fusion 画 像 を 作 成 している。 肝 静 脈 の 走 行 に 沿 って 肝 切 除<br />

予 定 線 を 引 いて 肝 亜 区 域 切 除 面 を 作 成 し、 切 離 面 に 露 出 するグリソン<br />

枝 を 数 本 同 定 しておき、 実 際 の 手 術 の 際 に 備 えている。また 切 除 肝 ・<br />

残 存 肝 容 積 および 肝 機 能 GSA-Rmax 算 定 を 同 一 画 像 にて 算 出 し、 耐 術<br />

能 評 価 も 行 っている。【 手 術 手 技 】 肝 亜 区 域 の 同 定 は、まず 肝 門 部 ア<br />

プローチにて2 次 分 枝 グリソンを 同 定 し、3 次 分 枝 が 同 定 できれば 先 行<br />

処 理 し、 虚 血 ラインをマーキングする。3 次 分 枝 が 肝 門 部 から 同 定 で<br />

きなければ、 術 前 画 像 および 術 中 エコーにて 亜 区 域 枝 を 確 認 後 、2 次<br />

分 枝 クランプによる 虚 血 ラインに 沿 って 肝 切 離 を 先 行 し、 切 離 面 から<br />

亜 区 域 枝 を 同 定 して 処 理 する。…S8など 肝 門 部 からのグリソンアプロー<br />

チが 困 難 な 場 合 には、 赤 外 線 カメラシステム(PDE)によるICG 蛍 光 法<br />

を 用 いている。 方 法 としてはまず 固 有 肝 動 脈 をクランプし、エコーガ<br />

イド 下 にICG 試 薬 希 釈 液 を 腫 瘍 へ 流 入 する 主 要 門 脈 内 へ 注 入 してから、<br />

PDEにて 肝 表 面 を 撮 影 し、 蛍 光 染 色 部 位 を 確 認 してマーキングを 行 っ<br />

ている。 亜 区 域 枝 が 数 本 ある 場 合 にはそれぞれ 同 様 にエコーガイド 下<br />

にICG 試 薬 希 釈 液 を 注 入 してICG 蛍 光 法 にてマーキングを 追 加 してい<br />

る。 肝 実 質 切 離 にはCUSAおよび 水 流 落 下 式 バイポーラを 使 用 してい<br />

る。 最 近 ではAquamantysTM…Bipolarを 使 用 しており、パイロット<br />

試 験 では 従 来 の 水 流 滴 下 式 バイポーラと 比 較 し、 有 意 に 切 離 スピー<br />

ド・ 切 離 時 間 が 短 く、および 切 離 時 出 血 量 ・ 結 紮 回 数 が 少 なかった。<br />

胆 汁 漏 の 検 索 においても、PDEを 用 いたリークテストを 行 っている。<br />

【 考 察 】 術 前 シミュレーション 画 像 およびPDEを 用 いた 支 配 門 脈 ICG<br />

蛍 光 法 により、 比 較 的 明 瞭 に 肝 亜 区 域 が 同 定 可 能 であり、バリエーショ<br />

ンに 富 んだ 個 々の 症 例 に 対 しても 安 全 な 亜 区 域 切 除 が 可 能 である。<br />

MVW7-3<br />

術 中 所 見 により 肝 S5+S6 切 除 術 からS5+S6+S7<br />

切 除 術 に 術 式 変 更 した 一 例 : 手 術 手 技 のポイントと<br />

工 夫<br />

北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 飯 田 拓 , 寺 嶋 宏 明 , 門 野 賢 太 郎 , 川 本 浩 史 , 戸 田 怜 ,<br />

井 上 善 景 , 吉 冨 摩 美 , 尾 崎 信 弘<br />

【 緒 言 】 系 統 的 肝 切 除 は 流 入 する 門 脈 枝 支 配 領 域 を 遮 断 し、その 肝 区<br />

域 を 過 不 足 なく 切 除 する 術 式 である。 流 入 血 管 の 処 理 方 法 はグリソン<br />

一 括 処 理 もしくは 脈 管 の 個 別 処 理 に 大 別 され、 状 況 によって 両 法 を 使<br />

い 分 ける 必 要 がある。 今 回 、 肝 S5+S6 切 除 術 を 予 定 し、 術 中 S6グリソ<br />

ン 断 端 に 腫 瘍 浸 潤 を 認 めたためS5+S6+S7 切 除 術 に 術 式 変 更 した 症 例<br />

の 手 技 のポイントを 提 示 する。【 症 例 】81 歳 女 性 、 膀 胱 癌 にて 膀 胱 全<br />

摘 術 ・ 術 後 化 学 療 法 施 行 の 既 往 あり。 腹 部 CTで 肝 S6に 末 梢 肝 内 胆 管<br />

拡 張 を 伴 う 約 3cm 大 の 腫 瘍 を 認 め、またS5にも1cm 大 の 腫 瘍 が 存 在 、<br />

両 腫 瘍 に 連 続 性 はなかった。 鑑 別 診 断 のため 肝 生 検 を 施 行 し<br />

adenocarcinomaが 疑 われ、 肝 内 胆 管 癌 ・ 肝 内 転 移 の 術 前 診 断 で 肝<br />

S5+S6 切 除 術 +リンパ 節 郭 清 を 予 定 術 式 とした。【 手 術 手 技 の 要 旨 】(1)<br />

胆 嚢 摘 出 後 、 肝 門 部 で 右 グリソン 鞘 を 一 括 で 確 保 。(2) 前 区 域 グリソン<br />

の 確 保 を 試 みるも、 前 後 区 域 グリソンの 間 隙 が 非 常 に 狭 く、 肝 外 での<br />

グリソン 確 保 は 困 難 であった。(3) 右 グリソンをテストクランプして<br />

S5 左 側 の 切 離 ラインを 決 定 。 肝 離 断 を 開 始 し、 前 区 域 グリソンを 露<br />

出 しtapingした。(4) 前 区 域 グリソンよりS5グリソンを 同 定 し、 結 紮 ・<br />

切 離 した 後 S5 頭 側 の 肝 離 断 を 右 側 に 進 めた。(5) 右 および 前 区 域 グリ<br />

ソンの 引 き 算 の 要 領 で 後 区 域 グリソンを 確 保 し、 肝 側 に 剥 離 しS6グ<br />

リソンを 同 定 ・ 確 保 した。…(6)…S6グリソンを 結 紮 ・ 切 離 し、 断 端 を<br />

迅 速 組 織 診 に 提 出 し 異 型 細 胞 が 検 出 された。 断 端 の 癌 陰 性 を 得 るため、<br />

後 区 域 グリソン 根 部 での 処 理 を 行 う 事 とした。(7) 後 区 域 グリソン 根 部<br />

でのsurgical…marginの 確 保 と 確 実 な 処 理 を 行 うため 個 別 処 理 に 変 更<br />

し、 後 区 域 グリソン 鞘 から 肝 動 脈 ・ 門 脈 を 剥 離 ・ 処 理 し、 最 終 的 に 後<br />

区 域 胆 管 枝 を 含 むグリソン 鞘 の 断 端 陰 性 を 確 認 した。 個 別 処 理 にて 前<br />

区 域 グリソンの 損 傷 なく 安 全 な 後 区 域 の 根 部 処 理 が 可 能 であった。(8)<br />

肝 後 区 域 のDemarcation…lineに 沿 って、 頭 側 に 肝 切 離 を 進 め 標 本 ( 肝<br />

S5+S6+S7)を 摘 出 した。 手 術 時 間 6 時 間 25 分 、 出 血 量 …102g、 合 併 症 な<br />

く 術 後 14 病 日 退 院 した。 病 理 学 的 には 膀 胱 癌 肝 転 移 であった。<br />

MVW7-4<br />

グリソン 一 括 先 行 処 理 による 尾 状 葉 単 独 全 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 臓 脾 臓 外 科<br />

○… 香 川 幹 , 加 藤 悠 太 郎 , 竹 浦 千 夏 , 吉 田 淳 一 , 棚 橋 義 直 ,<br />

所 隆 昌 , 杉 岡 篤<br />

当 科 では1. 解 剖 学 的 切 除 、2. 肝 外 グリソン 先 行 処 理 、3.プリング<br />

ルなし、4. 頭 尾 方 向 切 除 による 肝 静 脈 アプローチ、5.One-way 方 式 、<br />

を 肝 切 除 の 基 本 指 針 としており、 尾 状 葉 切 除 の 場 合 もこれに 沿 った 手<br />

技 を 用 いている。 右 側 の 肝 門 アプローチはまず「 胆 嚢 板 胆 摘 」を 起 点<br />

として、 胆 嚢 板 とレネック 被 膜 との 間 を 剥 離 する。 胆 嚢 板 ごと 胆 嚢 を<br />

下 方 向 に 牽 引 しながら、 肝 門 に 剥 離 を 進 めることによって 前 区 域 グリ<br />

ソンが 確 保 できる。さらにこの 層 に 沿 って 鈍 的 に 剥 離 を 広 げることに<br />

より 後 区 域 、S1c、 右 枝 のグリソンが 確 保 でき、 右 枝 全 体 からこれら<br />

のグリソンを 引 き 算 するサブトラクション 法 により、S1rを 確 保 する<br />

ことができる。 左 側 の 肝 門 アプローチは「アランチウス 板 」を 起 点 と<br />

しUP 起 始 部 、 左 尾 状 葉 、 左 枝 が 確 保 でき、 左 枝 からのサブトラクショ<br />

ン 法 によりS1lを 確 保 することができる。これらの 尾 状 葉 グリソンを<br />

処 理 することにより 虚 血 域 が 出 現 し、 肝 切 除 は 左 、 中 肝 静 脈 共 通 管 根<br />

部 からレネック 被 膜 を 肝 静 脈 に 残 す 層 で、 肝 静 脈 背 面 を 露 出 しながら、<br />

末 梢 側 に 向 かって 肝 実 質 を 切 離 していく。 切 除 は 左 上 から 右 下 に 向 か<br />

う 一 方 向 で 行 い、 右 肝 静 脈 も 中 枢 側 から 末 梢 側 に 向 かって 背 面 を 露 出<br />

しながら 進 む。 最 後 は 尾 状 葉 を 左 から 右 に 引 き 出 し 後 区 域 との 間 を 切<br />

離 し 尾 状 葉 単 独 全 切 除 を 完 了 する。 グリソン 一 括 先 行 処 理 による 尾<br />

状 葉 単 独 全 切 除 術 は、 肝 門 側 からは 全 てのグリソンに、 肝 静 脈 側 から<br />

は 三 主 幹 静 脈 にアプローチすることで、 理 論 的 かつ 過 不 足 のない 手 術<br />

となる。<br />

MVW7-5<br />

術 前 門 脈 塞 栓 術 により 肝 右 三 区 域 切 除 術 を 施 行 し 得<br />

た 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

小 田 原 市 立 病 院 外 科<br />

○… 西 野 仁 惠 , 牧 野 裕 庸 , 亀 高 尚 , 鈴 木 崇 之 , 高 橋 誠 ,<br />

高 木 諭 隆<br />

【はじめに】 進 行 肝 細 胞 癌 に 対 しては,ガイドラインに 示 される 通 り,<br />

外 科 的 切 除 が 唯 一 完 全 治 癒 を 期 待 できる 治 療 法 である. 経 門 脈 的 肝 内<br />

転 移 を 念 頭 においた 系 統 的 肝 切 除 を 選 択 する 場 合 や 腫 瘍 局 在 によって<br />

は, 拡 大 肝 切 除 を 必 要 とする 症 例 も 少 なくない.しかし, 安 全 な 肝 切<br />

除 を 行 う 上 で 背 景 肝 の 肝 予 備 能 低 下 がしばしば 問 題 となる. 十 分 な 残<br />

肝 予 備 能 を 確 保 したいが 残 肝 容 量 不 足 が 予 測 される 症 例 に, 術 前 門 脈<br />

塞 栓 術 を 施 行 するのも 一 つの 戦 略 である. 今 回 我 々は, 術 前 門 脈 塞 栓<br />

術 を 併 施 し, 安 全 に 肝 右 三 区 域 切 除 術 を 行 えた 肝 細 胞 癌 の1 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する.【 症 例 】79 歳 男 性 .C 型 肝 硬 変 にて 経 過 観 察 中 ,<br />

肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 (TACE)の 治 療 歴 を 有 する. 今<br />

回 , 肝 S4aに 径 30mm, 肝 S6に 径 12mmの 肝 細 胞 癌 が 新 たに 出 現 し,<br />

CT 上 ,S4aの 腫 瘍 は 肝 門 部 に 突 出 し 門 脈 左 枝 に 接 していた. 肝 右 三 区<br />

域 切 除 術 を 計 画 したが, 残 肝 率 41%,ICG15 分 値 39%にて 残 肝 予 備 能<br />

不 足 と 判 断 し, 術 前 に 経 回 結 腸 静 脈 門 脈 塞 栓 術 (TIPE)を 施 行 .TIPE<br />

施 行 5 週 後 , 残 肝 率 は52%まで 増 加 し, 予 定 通 り 手 術 を 施 行 した.【 手<br />

術 】 肝 右 葉 を 脱 転 し, 右 肝 静 脈 を 確 保 . 肝 門 部 脈 管 は 解 剖 学 的 破 格 な<br />

く, 右 肝 動 脈 , 中 肝 動 脈 , 右 肝 管 , 門 脈 右 枝 の 順 にskeltonizationし<br />

切 離 . 肝 S4aの 腫 瘍 と 門 脈 左 枝 の 間 は 剥 離 可 能 であった. 門 脈 臍 部 右<br />

縁 にてS4のグリソンを 切 離 するとdemarcation…lineが 出 現 . 術 中 胆 道<br />

造 影 にて 胆 管 の 走 行 を 確 認 した 後 ,CUSAを 用 いて 肝 実 質 離 断 を 開 始 ,<br />

血 流 遮 断 は 行 わず 定 型 的 肝 切 除 を 終 えた.【 結 果 】 手 術 時 間 6 時 間 35 分 ,<br />

出 血 量 1140ml. 術 後 胆 汁 瘻 を 発 症 するも 保 存 的 に 軽 快 し, 術 後 在 院<br />

日 数 は32 日 であった. 病 理 組 織 学 的 診 断 は, 肝 細 胞 癌 , 単 純 結 節 型 ,<br />

pT3,pN0,…pM0,…fStageIII, 治 癒 度 Bであった. 術 後 4か 月 経 過 し 無 再 発<br />

生 存 中 である.【まとめ】 本 症 例 では, 肝 細 胞 癌 が 肝 門 部 脈 管 に 近 い<br />

腫 瘍 局 在 であったため, 肝 右 三 区 域 切 除 術 を 選 択 した. 術 前 門 脈 塞 栓<br />

術 を 併 施 することで,より 安 全 性 の 高 い 肝 切 除 が 施 行 し 得 たと 考 えら<br />

れた.<br />

-294-


MVW7-6<br />

低 分 化 肝 細 胞 癌 に 対 する 下 大 静 脈 合 併 高 位 背 方 切 除<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科<br />

○… 仁 熊 健 文 , 三 村 哲 重 , 児 島 亨<br />

肝 の 尾 状 葉 は 左 右 肝 葉 の 背 部 に 存 在 し、 下 大 静 脈 、 主 三 肝 静 脈 、 肝 門<br />

板 で 境 界 される 深 部 の 特 殊 な 領 域 である。そのため、 尾 状 葉 の 切 除 に<br />

は 外 科 解 剖 と 定 型 的 な 肝 切 除 に 習 熟 しておく 必 要 がある。 今 回 、 尾 状<br />

葉 の 低 分 化 なHCCで 下 大 静 脈 に 強 く 癒 着 しており、 高 位 背 方 切 除 に<br />

加 え 下 大 静 脈 を 部 分 的 に 合 併 切 除 した 症 例 を 経 験 したのでビデオにて<br />

供 覧 する。 症 例 は78 歳 女 性 、C 型 慢 性 肝 炎 で 経 過 観 察 中 に 画 像 検 査 を<br />

行 われた。 下 大 静 脈 に 接 して 尾 状 葉 に28×18mm 大 のやや 境 界 不 明 瞭<br />

で い び つ なSOLを 認 め、 肝 細 胞 癌 と 診 断 し た。Child-pugh…A、<br />

ICGR15 分 値 9.5%。 手 術 は 上 腹 部 J 切 開 とした。 術 中 USで 下 大 静 脈 に<br />

接 して 境 界 不 明 瞭 な 腫 傷 をみとめた。まず、 外 側 区 域 を 授 動 し、 左 下<br />

大 静 脈 靭 帯 を 切 離 してSpiegeI 葉 を 左 に 牽 引 し 脱 転 、しかし、 腫 瘍 と<br />

下 大 静 脈 は 剥 離 困 難 であった。 次 に 右 側 から 肝 右 葉 を 脱 転 し、 右 肝 静<br />

脈 をテーピング、 尾 状 葉 の 頭 側 は 下 大 静 脈 から 剥 離 できた。 中 一 左 肝<br />

静 脈 もテーピングした。 肝 門 部 にもどり 左 側 からSpiegel 部 Glisson、<br />

下 大 静 脈 部 Glissonを 順 次 結 紫 切 雛 した。 次 に、 右 葉 の 脱 転 位 に 戻 り、<br />

USにて 右 肝 静 脈 の 走 行 を 確 認 、このラインを 尾 状 葉 右 縁 として 肝 切<br />

離 を 開 始 した。 右 グリソン 本 幹 を 露 出 し、 後 区 域 枝 から 分 岐 する<br />

Glissonを 結 紫 切 離 、 左 からの 肝 門 部 剥 離 面 につづけ 肝 門 板 と 尾 状 葉<br />

を 剥 離 。 右 肝 静 脈 を 確 認 し 根 部 に 向 けて 肝 切 離 をすすめた。 中 肝 静 脈<br />

は 肝 門 よりの 末 梢 側 で 確 認 し、 根 部 に 向 けて 肝 切 離 をすすめ、あらか<br />

じめテーピングしてある 中 一 左 肝 静 脈 背 側 に 達 し、 完 全 に 尾 状 葉 を 切<br />

離 した。 最 後 に 下 大 静 脈 の 剥 離 困 難 部 をクーリー 鉗 子 で 把 持 して 下 大<br />

静 脈 を 部 分 切 除 、 断 端 は1 期 的 に 連 続 縫 合 で 閉 鎖 した。 高 位 背 方 切 除<br />

では 右 葉 脱 転 位 で 肝 切 離 をすすめるため、 通 常 より 肝 切 離 の 方 向 を 失<br />

いやすく、 主 肝 静 脈 をランドマークとして 肝 切 離 を 進 める 必 要 がある。<br />

しかし、 視 野 が 制 限 され 主 肝 静 脈 の 発 見 は 容 易 ではなく、 損 傷 を 起 こ<br />

すと 大 出 血 につながる 可 能 性 がある。 主 肝 静 脈 のテーピングと、 操 作<br />

の 邪 魔 にならないコスグローブ 遮 断 鉗 子 を 使 用 したplingle 阻 血 下 の,<br />

clamp…crushing 法 での 肝 切 離 が 高 位 背 方 切 除 には 適 していると 考 えて<br />

いる。<br />

MVW8-1<br />

腹 腔 鏡 下 肝 尾 状 葉 切 除 術<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 塚 本 忠 司 , 金 沢 景 繁 , 清 水 貞 利 , 高 台 真 太 郎 , 山 添 定 明 ,<br />

大 平 豪 , 中 島 隆 善<br />

鏡 視 下 肝 切 除 術 の 開 腹 肝 切 除 術 に 比 べた 患 者 にとっての 利 点 は、 術 創<br />

が 小 さく 術 後 疼 痛 が 軽 減 し、 術 後 回 復 が 早 期 であることである。 一 方 、<br />

術 者 のみならず 手 術 介 助 者 にとっての 利 点 は、その 拡 大 視 効 果 と 開 腹<br />

では 得 られない 視 野 が 確 保 できることである。 肝 尾 状 葉 切 除 術 におい<br />

てもこの 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 利 点 が 発 揮 される。 今 回 、 当 院 で 行 われ<br />

た 腹 腔 鏡 下 尾 状 葉 切 除 術 を 提 示 し、その 成 績 を 報 告 する。2000 年 4 月<br />

より2011 年 11 月 までに 行 われた 鏡 視 下 肝 切 除 術 は183 例 で、うち 完 全<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 が137 例 、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切 除 術 が39 例 で、7 例 は 胸<br />

腔 鏡 ( 補 助 ) 下 に 行 われた。 術 式 の 内 訳 は 葉 切 除 以 上 が22 例 、 区 域 切 除<br />

35 例 、 亜 区 域 切 除 15 例 、 部 分 切 除 111 例 である。 最 近 では 手 術 機 器 の<br />

充 実 とともに 手 術 術 式 の 定 型 化 が 図 られ、 系 統 的 肝 切 除 も 完 全 腹 腔 鏡<br />

下 に 行 っている。これらのうち 尾 状 葉 切 除 は 部 分 切 除 が5 例 、 尾 状 葉<br />

全 切 除 が1 例 行 われ、6 例 とも 完 全 鏡 視 下 に 行 われた。6 例 中 5 例 は 肝 細<br />

胞 癌 、1 例 は 転 移 性 肝 癌 で、 転 移 性 肝 癌 および2 例 の 肝 細 胞 癌 は 尾 状 葉<br />

の 単 発 病 変 で 尾 状 葉 切 除 のみが 行 われたが、3 例 の 肝 細 胞 癌 では 病 変<br />

が 複 数 あり、うち2 例 はその 他 の 部 位 の 肝 部 分 切 除 術 が、1 例 は 肝 S8<br />

亜 区 域 切 除 術 が 併 せて 行 われた。 尾 状 葉 部 分 切 除 のみが 行 われた3 例<br />

では、 手 術 時 間 146~210 分 、 出 血 量 5~50gであったのに 対 し、 他 の3<br />

例 では 手 術 時 間 613~664 分 、 出 血 量 500~1500gと 時 間 を 要 し、 出 血<br />

量 も 多 くみられたが、 併 施 された 他 の 肝 切 除 術 によるところが 大 きい<br />

ものと 考 えられる。 全 例 術 後 合 併 症 なく、 術 後 9.8 日 (5-15 日 )で 退 院 し<br />

ている。 ビデオでは、 尾 状 葉 突 起 に15mm、Spiegel 葉 に16mm,…S6<br />

に27mmの 肝 細 胞 癌 を 有 する78 才 の 男 性 に 対 して、 腹 腔 鏡 下 に 肝 尾 状<br />

葉 全 切 除 およびS6 部 分 切 除 術 を 施 行 した 症 例 を 供 覧 する。 開 腹 によ<br />

る 胆 嚢 摘 出 術 の 既 往 があり、 腹 腔 内 の 癒 着 がみられた。 尾 状 葉 の 病 変<br />

は、 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 ,…trabecular…typeおよび 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 ,…<br />

psudoglandular…type、S6 病 変 は 低 分 化 型 肝 細 胞 癌 ,…scirrhous…typeで、<br />

非 癌 部 はf4の 肝 硬 変 を 呈 していた。 手 術 時 間 613 分 、 出 血 量 1000gであっ<br />

たが、 輸 血 は 要 しなかった。 術 後 合 併 症 なく、 術 9 日 で 退 院 した。<br />

MVW8-2<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 における 工 夫<br />

関 西 労 災 病 院 外 科<br />

○… 武 田 裕 , 中 平 伸 , 竹 野 淳 , 鈴 木 玲 , 沖 代 格 次 ,<br />

内 山 千 恵 子 , 中 田 健 , 柄 川 千 代 美 , 三 木 宏 文 , 加 藤 健 志 ,<br />

田 村 茂 行<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 は、 低 侵 襲 性 と 整 容 性 に 優 れ 肝 切 除 術 に 大 きな 変 革 を<br />

もたらした。 当 院 では 平 成 22 年 6 月 に 施 設 基 準 の 認 可 を 受 け 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 術 を 施 行 しており、 手 技 の 工 夫 と 留 意 点 を、 前 区 域 切 除 を 供 覧<br />

して 説 明 する。「 方 法 と 成 績 」2010 年 6 月 から2011 年 11 月 までに60 症 例<br />

71 結 節 ( 肝 細 胞 癌 49 例 、 大 腸 癌 肝 転 移 9 例 、その 他 2 例 )の 腹 腔 鏡 下 肝 切<br />

除 術 ( 完 全 腹 腔 鏡 下 44 例 、 用 手 補 助 下 2 例 、 腹 腔 鏡 補 助 下 14 例 )を 施 行<br />

した。 完 全 腹 腔 鏡 下 では 部 分 切 除 33 例 、 外 側 区 域 切 除 6 例 、 後 区 域 切<br />

除 1 例 、 前 区 域 切 除 2 例 、 左 葉 切 除 2 例 を、 腹 腔 鏡 補 助 下 では、 部 分 切<br />

除 8 例 、 後 区 域 切 除 1 例 、 右 葉 切 除 5 例 を 施 行 した。 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の<br />

ポイントは、 視 野 展 開 と 出 血 のコントロールである。1) 体 位 は、 左 葉<br />

系 では 仰 臥 位 とするが、 右 葉 系 では 左 側 臥 位 とする 事 で、 良 好 な 視 野<br />

が 得 られるとともに 右 葉 の 脱 転 が 最 小 限 で 済 む。 特 に 完 全 腹 腔 鏡 下 切<br />

除 が 不 得 意 とするS7の 切 除 が 容 易 になる。また 肝 十 二 指 腸 間 膜 にテー<br />

ピングも 容 易 になる。2) 系 統 的 肝 切 除 を 行 う 事 で、 肝 切 除 線 の 認 識 が<br />

容 易 となり、 適 切 な 癌 手 術 を 行 えると 共 に 合 併 症 を 最 小 限 に 出 来 る。3)<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 では、 開 腹 手 術 と 異 なり 吸 引 による 視 野 確 保 が 困 難 な<br />

ため、 出 血 コントロールが 肝 要 である。 術 中 肝 遮 断 の 有 無 によらず、<br />

肝 十 二 指 腸 間 膜 にテーピングを 行 い、 出 血 時 に 遮 断 が 出 来 る 準 備 を 施<br />

行 する。 肝 静 脈 からの 出 血 は、 気 腹 圧 を 高 めに 設 定 し、 水 だしモノポー<br />

ラー 電 極 等 にて 止 血 する。ガーゼ 圧 迫 、コラーゲンフリース、<br />

Endovascular…Clipも 有 用 である。 完 全 腹 腔 鏡 下 、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切<br />

除 では 開 腹 移 行 例 は 無 かった。 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 部 分 切 除 、 外 側 区 域 切<br />

除 の 出 血 量 は 各 々10ml( 少 量 -2000)、40ml( 少 量 -150)であった。 一 方<br />

2000ml 以 上 の 出 血 原 因 は 肝 葉 切 除 、 再 肝 切 除 、 複 数 個 所 切 除 であった。<br />

胆 汁 漏 は 術 後 7-23 日 目 に 発 症 し、60 例 中 3 例 (5%)であった。「 考 案 お<br />

よび 結 語 」 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 では 視 野 展 開 と 出 血 コントロールが 肝 要 で<br />

あり、 丁 寧 な 手 技 により 出 血 させない 事 が 基 本 であるが、 体 位 、 系 統<br />

的 切 除 、Pringle 法 の 準 備 と 肝 静 脈 からの 出 血 の 対 処 法 を 理 解 すれば<br />

安 全 に 施 行 する 事 が 出 来 ると 考 えられた。<br />

MVW8-3 完 全 鏡 視 下 における 肝 切 除 術 -その 安 全 性 と 治 療<br />

適 応 -<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 安 永 昌 史 , 奥 田 康 司 , 御 鍵 和 弘 , 吉 富 宗 宏 , 丸 山 祐 一 郎 ,<br />

酒 井 久 宗 , 緒 方 俊 郎 , 石 川 博 人 , 久 下 亨 , 堀 内 彦 之 ,<br />

木 下 壽 文 , 白 水 和 雄<br />

【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 保 健 収 載 承 認 以 降 、その 症 例 数 は 国 内 に<br />

おいて 確 実 に 増 加 しつつあるが、 肝 臓 器 特 異 性 ゆえに 鏡 視 下 アプロー<br />

チの 方 法 は 小 切 開 併 用 (Hybrid 法 )やHALS 法 など 様 々である。 今 回 、<br />

当 科 で 施 行 した 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 症 例 について 検 討 し、 完 全 鏡 視 下 に<br />

向 けた 肝 切 除 術 の 適 応 と 安 全 性 について 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】<br />

2002 年 4 月 から2011 年 11 月 の 間 に、 肝 細 胞 癌 に 対 し 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術<br />

( 右 葉 切 除 3 例 、 左 葉 切 除 11 例 、 後 区 域 切 除 4 例 、 亜 区 域 切 除 4 例 、 外 側<br />

区 域 切 除 16 例 、 肝 部 分 切 除 20 例 、 計 58 例 中 完 全 鏡 視 下 23 例 )を 施 行 した。<br />

葉 切 除 では 鏡 視 下 に 右 ・ 左 葉 を 授 動 後 、 上 腹 部 に 小 切 開 を 加 え 肝 門 処<br />

理 には 自 動 吻 合 器 を 用 いてグリソンを 一 括 処 理 した。その 後 hanging…<br />

maneuver 下 で 直 視 下 にSonoSurge(brade…type)を 用 いて 肝 離 断 行 っ<br />

た。 外 側 区 域 切 除 では 主 要 グリソンや 左 肝 静 脈 は 同 様 に 一 括 処 理 、 肝<br />

部 分 切 除 においては 切 離 線 にRFAやTissuLinkを 用 いて 前 凝 固 施 行 。<br />

【 結 果 】 平 均 腫 瘍 径 φ25.4±12.8mm、 出 血 量 …324.2±432.4g、 手 術 時<br />

間 …346.1±387.6…min、 術 後 在 院 日 数 …12.8±4.14 日 、1 年 無 再 発 生 存 率<br />

67.6%、3 年 無 再 発 生 存 率 31.4%、3 年 生 存 率 94.5%、5 年 生 存 率 81.0%、<br />

合 併 症 は 胸 水 貯 留 2 例 、 肝 うっ 血 による 肝 機 能 障 害 を1 例 経 験 し、 肝 硬<br />

変 症 例 で2 例 のみ 輸 血 を 行 った。【 考 察 】RFAやTissuLinkによるPrecoagulation、Prignle<br />

法 あるいはSonoSurge(brade…type)を 用 いる 事<br />

でより 出 血 の 少 ない 肝 離 断 が 可 能 となり、またEnSealやLigaSureを<br />

用 いた 脈 管 処 理 、さらにStaplerによるグリソン 一 括 処 理 等 によりス<br />

トレスなく 手 術 時 間 の 短 縮 が 期 待 でき、 種 々のデバイスを 効 果 的 に 用<br />

いることが、 安 全 かつ 確 実 な 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 において 有 用 と 考 え<br />

られた。<br />

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-295-


MVW8-4<br />

当 科 における 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 の 検 討 - 低 電 圧 凝<br />

固 システムの 止 血 操 作 に 対 する 有 用 性 を 中 心 に-<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 病 センター 外 科<br />

○… 岡 田 克 也 , 宮 澤 光 男 , 合 川 公 康 , 利 光 靖 子 , 岡 本 光 順 ,<br />

小 山 勇<br />

当 科 では2008 年 1 月 より 完 全 鏡 視 下 肝 切 除 術 (TEH)を 取 り 入 れ、 保 険<br />

収 載 された2010 年 4 月 以 降 は 単 項 式 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 にも 積 極 的 に 取<br />

り 組 んでいる。また 高 度 肝 障 害 を 有 する 肝 癌 症 例 に 対 しても 鏡 視 下 手<br />

術 を 導 入 し、 良 好 な 成 績 を 得 ている。 鏡 視 下 肝 切 除 術 においては 止 血<br />

操 作 が 最 も 重 要 な 手 技 の 一 つと 考 えられるが、 我 々は 止 血 操 作 として<br />

主 にモノポーラー 低 電 圧 凝 固 装 置 を 用 いている。 今 回 、 当 科 において<br />

これまで 施 行 したTEHの 成 績 を 報 告 し、 特 に 低 電 圧 凝 固 システムの<br />

止 血 操 作 に 関 連 した 手 技 、 工 夫 を 供 覧 する。【 方 法 】 対 象 は2008 年 1 月<br />

より2011 年 12 月 まで、 当 科 で 施 行 したTHEは54 例 。 症 例 の 内 訳 は、<br />

男 性 35 例 、 女 性 19 例 、 平 均 年 齢 69 歳 (52-90)、うち 肝 障 害 度 B;13 例 、C;<br />

1 例 と 高 度 肝 予 備 能 低 下 症 例 が14 例 であった。 疾 患 の 内 訳 は、 肝 細 胞<br />

癌 35 例 、 転 移 性 肝 癌 14 例 、 肝 内 胆 管 癌 2 例 、 血 管 腫 2 例 、 血 管 筋 脂 肪 腫<br />

1 例 。 腫 瘍 径 は 平 均 1.7cm(0.8-2.8)、 局 在 はS1;1 例 、S2;7 例 、S3;8 例 、<br />

S4;5 例 、S5;11 例 、S6;12 例 、S7;3 例 、S8;10 例 (2か 所 の 病 変 3 例<br />

を 含 む)であった。 腹 腔 内 へのアプローチは、3ポートの 完 全 腹 腔 鏡 下<br />

手 術 41 例 、 胸 腔 鏡 下 3 例 、 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 手 術 10 例 であった。 肝 実 質<br />

切 離 は 低 電 圧 バイポーラー 鉗 子 により 肝 実 質 をクラッシュしながら 脈<br />

管 を 同 定 し、バイクランプにより 脈 管 をシーリング、 切 離 した。 断 面<br />

からの 出 血 には 主 にモノポーラー 低 電 圧 凝 固 装 置 を 用 い、 止 血 の 際 に<br />

は 吸 引 洗 浄 嘴 管 で 十 分 な 注 水 を 行 った。【 結 果 】 手 術 時 間 は 平 均 214 分<br />

(93-468)、 出 血 量 は 平 均 54ml(0-300)であった。 術 後 在 院 日 数 は7.5<br />

日 (3-21)、 手 術 関 連 合 併 症 は 肝 膿 瘍 、 創 感 染 、 無 気 肺 を 各 1 例 ずつ 認<br />

めたが、 全 て 保 存 的 に 軽 快 した。 開 腹 移 行 例 は 認 めなかった。 術 後<br />

ASTのピーク 値 は342.2…IU/L(57-1964)。 術 後 胆 汁 漏 や 肝 不 全 傾 向 を<br />

示 した 症 例 は 認 めなかった。【 結 語 と 考 察 】 当 科 におけるTHEはソフ<br />

ト 凝 固 システムを 駆 使 しており、 低 出 血 量 で、かつ 安 全 鏡 下 で 現 在 ま<br />

で 施 行 可 能 であった。 術 後 ASTがやや 高 値 となるものの、 術 後 重 篤<br />

な 肝 障 害 を 併 発 した 症 例 は 無 く、 特 にモノポラー 低 電 圧 凝 固 装 置 によ<br />

る 止 血 はLapHにおいて 有 用 な 手 技 であると 考 えられた。<br />

MVW8-5<br />

胆 嚢 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 S4a+S5 切 除 術 の 有<br />

用 性 についての 検 討<br />

1<br />

徳 島 大 学 外 科 学 、 2 徳 島 市 民 病 院<br />

○… 山 田 眞 一 郎 1<br />

, 島 田 光 生 1<br />

, 宇 都 宮 徹 1<br />

, 居 村 暁 1<br />

,<br />

森 根 裕 二 1<br />

, 池 本 哲 也 1<br />

, 花 岡 潤 1<br />

, 杉 本 光 司 1<br />

, 齋 藤 裕 1<br />

,<br />

浅 野 間 理 仁 1 2<br />

, 三 宅 秀 則<br />

【 目 的 】 通 常 、 早 期 胆 嚢 癌 は 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 の 病 理 診 断 で 最 終<br />

的 に 診 断 されることが 多 い。 一 方 、 術 前 画 像 診 断 で 胆 嚢 癌 が 疑 われる<br />

際 の 鏡 視 下 手 術 の 適 応 はcontroversialであり、 鏡 視 下 に 肝 S4a+S5 切<br />

除 を 行 ったという 報 告 はない。 今 回 、 術 前 に 胆 嚢 癌 と 診 断 した 例 にお<br />

いて、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 S4a+S5 切 除 術 の 有 用 性 について 検 討 した。【 対<br />

象 ・ 方 法 】 術 前 画 像 診 断 より 胆 嚢 癌 と 診 断 し、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝<br />

S4a+S5 切 除 およびリンパ 節 郭 清 を 施 行 した6 例 。 適 応 は 深 達 度 ss 以 深<br />

疑 診 例 で、 小 開 腹 創 からの 手 技 が 困 難 な 例 は 除 外 し、 胆 管 浸 潤 やリン<br />

パ 節 転 移 のない 症 例 を 選 択 した。 全 症 例 で 術 前 診 断 はT2(ss)、N0、<br />

M0、stage2であった。 手 術 の 方 法 は、 腹 腔 鏡 下 に 肝 周 囲 の 間 膜 を 切 離 、<br />

肝 右 葉 の 授 動 を 行 い、 肝 臓 が 腹 壁 付 近 までmovingすることを 確 認 し<br />

た 後 、 上 腹 部 正 中 + 肋 弓 下 に 小 切 開 (10-12cm)を 置 き、 続 いて 肝 門 部<br />

操 作 、リンパ 節 郭 清 、 肝 離 断 を 行 う。 全 例 、 肝 外 胆 管 切 除 は 施 行 しな<br />

かった。 術 後 観 察 期 間 は 中 央 値 9ヶ 月 (6-21)。【 結 果 】 手 術 時 間 は 平 均<br />

260 分 (251-273 分 )、 術 中 出 血 量 は149ml(90-186ml)、リンパ 節 郭 清 個<br />

数 は 平 均 4 個 であった。 術 後 在 院 日 数 は 平 均 18 日 (13-29 日 )であった。<br />

同 時 期 に 行 った 開 腹 下 肝 S4a+S5 切 除 術 と 比 較 して、 出 血 量 は 少 ない<br />

傾 向 であり(p=0.16)、 術 後 在 院 日 数 は 短 縮 した(p=0.05)。 術 後 早 期 の<br />

手 術 関 連 死 亡 や 重 篤 な 合 併 症 は 認 めず、6カ 月 以 内 の 再 発 も 認 めてい<br />

ない。【まとめ】 胆 嚢 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 S4a+S5 切 除 術 は、 適<br />

切 な 症 例 選 択 により 有 用 な 治 療 選 択 肢 となる 可 能 性 がある。<br />

MVW8-6<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 検 討<br />

大 阪 医 科 大 学 医 学 部 一 般 消 化 器 外 科<br />

○… 米 田 浩 二 , 林 道 廣 , 宮 本 好 晴 , 廣 川 文 鋭 , 朝 隈 光 弘 ,<br />

清 水 徹 之 介 , 井 上 善 博 , 山 名 秀 典 , 内 山 和 久<br />

【 背 景 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 が 保 険 収 載 され、 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 の 手 術<br />

適 応 症 例 も 増 加 してきた。 当 院 でこれまで 転 移 性 肝 癌 に 対 し 施 行 した<br />

腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 時 切 除 について、その 適 応 と 有 用 性 の 検 討 を 行 った。<br />

【 対 象 】2006 年 10 月 から2011 年 10 月 まで 腹 腔 鏡 肝 切 除 を70 例 に 施 行 し<br />

た。 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 しては、40 例 ( 完 全 腹 腔 鏡 下 (pure…laparo):23 例 ,…<br />

補 助 下 (hybrid):15 例 ,…hand-assisted…laparoscopic…surgery(HALS):<br />

2 例 )に 施 行 した。 開 始 当 初 は、 肝 下 区 域 で、 肝 表 面 に 位 置 した 最 大 径<br />

を5cmまでの 単 発 としていたが、 保 険 収 載 後 よりpure…laparoに 関 し<br />

ては、 個 数 は2 個 まで、S7,S8の 部 位 も 適 応 とした。pure…laparoの 実 質<br />

切 離 時 は、 着 脱 式 鉗 子 を 用 いてPringle 法 を 行 っている。 肝 実 質 浅 層<br />

の 切 離 はharmonic…scarpel(LCS)を 利 用 し、 深 部 の 実 質 切 離 はLCS・<br />

CUSAおよびソフト 凝 固 を 用 い、 比 較 的 太 い 脈 管 はclipで 切 離 している。<br />

【 結 果 】 手 術 時 間 は 平 均 255 分 (60から455 分 )で、 出 血 量 は 平 均 237ml<br />

(10から1230ml)であった。 平 均 腫 瘍 径 は2.5(0.5から6.5)cm、 平 均 腫 瘍<br />

個 数 1.5 個 (1から6 個 )であった。 小 切 開 創 は 平 均 7.8cm(7から14cm)で<br />

あった。Surgical…marginは、 全 例 陰 性 であった。 術 後 の 合 併 症 は、<br />

出 血 は 認 めず、 胆 汁 瘻 1 例 ・ 大 腸 癌 同 時 手 術 症 例 で 吻 合 部 と 肝 切 離 面<br />

の 近 接 した 症 例 がドレナージを 要 する 膿 瘍 形 成 を1 症 例 に 来 した。 術<br />

後 在 院 日 数 平 均 11.6 日 (4から38 日 )であった。12 例 に 術 後 再 発 をきた<br />

したが、 切 除 断 端 再 発 は 認 めていない。【 結 語 】 着 脱 式 鉗 子 を 用 いた<br />

Pringle 法 は、 比 較 的 容 易 に 行 うことが 出 来 、pure…laparoにとって 非<br />

常 に 有 用 なdeviseと 考 えられた。また、 症 例 数 の 増 加 とともに、 複 数<br />

の 転 移 、 比 較 的 困 難 と 考 えられたS7,S8の 部 位 に 対 しても、pure…<br />

laparoが 安 全 に 施 行 可 能 であった。<br />

MVW9-1<br />

膵 体 部 病 変 に 対 する 膵 中 央 切 除 ・ 尾 側 膵 再 建 術 ~ 手<br />

術 手 技 と 治 療 成 績<br />

静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 金 本 秀 行 , 上 坂 克 彦 , 杉 浦 禎 一 , 水 野 隆 史 , 岡 村 行 泰 ,<br />

山 本 立 真 , 青 木 修 一 , 木 内 亮 太 , 蘆 田 良 , 木 原 康 宏<br />

【 目 的 】 膵 体 部 の 低 悪 性 度 病 変 に 対 する 縮 小 手 術 として、 膵 中 央 ( 分 節 )<br />

切 除 ・ 尾 側 膵 - 空 腸 吻 合 の 手 術 手 技 を 供 覧 し、 術 後 膵 液 瘻 と 長 期 的 な<br />

糖 尿 病 の 発 生 について 検 討 した。【 供 覧 症 例 】52 歳 女 性 。 検 診 腹 部 超<br />

音 波 検 査 で 膵 体 部 に3cm 大 の 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 された。 精 査 で 粘 液 性<br />

嚢 胞 腺 腫 を 疑 い、 膵 中 央 切 除 を 施 行 した。 実 際 の 手 術 手 技 のポイント<br />

として、(1)まず 門 脈 上 で 膵 をトンネリングした 後 に、 膵 切 離 はPean<br />

鉗 子 による 破 砕 で 行 い、 主 膵 管 も 含 めて 露 出 される 索 状 物 は 丹 念 に 結<br />

紮 切 離 する。(2) 切 離 した 尾 側 膵 を 挙 上 し、 尾 側 の 予 定 膵 切 離 線 まで 脾<br />

動 静 脈 を 剥 離 し 膵 への 分 枝 を 丹 念 に 結 紮 切 離 する。(3)… 尾 側 の 膵 切 離<br />

もPean 鉗 子 による 破 砕 で 行 い、 主 膵 管 は 鋭 的 に 切 離 する。(4) 尾 側 膵<br />

の 再 建 はRoux-Yで 空 腸 を 挙 上 し、3-0proleneによる 膵 実 質 - 空 調 漿 膜<br />

筋 層 密 着 吻 合 を4 針 、 膵 管 - 空 腸 吻 合 を10 針 おき、 膵 管 チューブは<br />

lost…stentとして 留 置 する。(5)ドレーンは 膵 断 端 と 膵 腸 吻 合 部 に2 本 留<br />

置 し、 脾 動 脈 保 護 のため 吻 合 部 背 側 から 大 網 をflapに 敷 く。 手 術 時 間 3:<br />

46, 出 血 279mlであった。 第 3 病 日 のドレーンAmyは1075U/Lで1 回 のド<br />

レーン 交 換 を 施 行 したが、 第 8 病 日 にドレーンを 抜 去 し(ISPGF…<br />

gradeA)、 第 12 病 日 に 退 院 した。 術 後 2 年 経 過 した 現 在 、 腫 瘍 の 再 発<br />

もなく、HbA1c5.3%と 糖 尿 病 の 発 症 もみられない。【 成 績 】 本 術 式 を<br />

施 行 した10 例 の 成 績 としては、medianで 出 血 量 201ml(90-507)、 術 後<br />

在 院 14 日 (9-28)で、 膵 液 瘻 はISGPF 基 準 で な し3 例 、gradeA6 例 、<br />

gradeB1 例 であった。 術 後 経 過 中 のHbA1c 最 悪 値 は、1 例 で8.2%と 経<br />

口 糖 尿 病 薬 治 療 を 要 した 以 外 に 他 9 症 例 では 正 常 で 糖 尿 病 を 発 症 して<br />

いない。【 結 語 】 膵 中 央 切 除 は 安 全 で、 長 期 的 な 膵 機 能 温 存 にすぐれ<br />

た 術 式 である。<br />

-296-


MVW9-2<br />

膵 中 央 切 除 術 における 自 動 縫 合 器 の 使 用 と 安 全 確 実<br />

な 膵 胃 密 着 縫 合 法<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 、 2 鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 、<br />

3<br />

鹿 児 島 大 学 フロンティアサイエンス 研 究 推 進 センター<br />

○… 新 地 洋 之 1<br />

, 高 尾 尊 身 3<br />

, 前 村 公 成 2<br />

, 又 木 雄 弘 2<br />

, 蔵 原 弘 2<br />

,<br />

桑 畑 太 作 2<br />

, 前 田 光 喜 2<br />

, 飯 野 聡 2<br />

, 迫 田 雅 彦 2<br />

, 上 野 真 一 2<br />

,<br />

2<br />

夏 越 祥 次<br />

膵 中 央 切 除 術 は, 膵 体 部 に 限 局 する 良 性 または 低 悪 性 病 変 に 対 して 行<br />

われる 膵 機 能 温 存 術 式 であるが, 膵 切 離 面 が2か 所 存 在 するため, 術<br />

後 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 が 増 すことが 懸 念 される。 今 回 ,われわれが 行 っ<br />

ている 膵 中 央 切 除 術 について,ビデオにて 手 技 上 のコツおよびテク<br />

ニックを 紹 介 する。【 手 術 手 技 】 門 脈 前 面 にて 膵 トンネリングを 行 い,<br />

自 動 縫 合 器 ( 主 にEchelon…60,blue…or…gold)を 用 いて 頭 側 膵 切 離 を 行 う。<br />

尾 側 膵 を 剥 離 して 行 き, 病 変 より1cm 以 上 のマージンをとりハーモ<br />

ニックにて 尾 側 膵 切 離 を 行 う。 尾 側 残 存 膵 再 建 は 膵 胃 吻 合 にて 行 う。<br />

膵 胃 吻 合 は,われわれが 開 発 し, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 膵 再 建 におい<br />

て 良 好 な 成 績 を 収 めている 膵 貫 通 密 着 縫 合 法 を 行 っている。 膵 貫 通 密<br />

着 縫 合 法 の 手 技 の 要 点 は,ハーモニックによる 膵 切 離 , 膵 貫 通 外 列 一<br />

列 縫 合 , 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 , 膵 胃 吻 合 部 内 瘻 ステントの4 点 である。【 結<br />

果 】 男 性 6 例 , 女 性 8 例 。 平 均 年 齢 55.4 歳 。 疾 患 の 内 訳 はIPMN…7 例 ,<br />

内 分 泌 腫 瘍 …2 例 ,SPT…2 例 ,SCN…1 例 ,dermoid…cyst…1 例 , 限 局 性 良<br />

性 膵 管 狭 窄 1 例 。ISGPF…Grade…B 以 上 の 頭 側 膵 切 離 部 からの 膵 液 瘻 を1<br />

例 に 認 めた。 膵 胃 吻 合 部 の 膵 液 瘻 はゼロであった。【 考 察 】 頭 側 膵 切<br />

離 に 対 する 自 動 縫 合 器 使 用 は, 手 技 が 簡 便 で 有 用 であった。 尾 側 膵 再<br />

建 における 膵 胃 吻 合 は, 空 腸 操 作 などの 手 間 がなく 簡 便 である。また,<br />

膵 胃 密 着 縫 合 法 は, 膵 液 瘻 をほとんど 認 めない 安 全 確 実 な 膵 再 建 法 で<br />

あり, 推 奨 できる 手 術 術 式 である。<br />

MVW9-3<br />

腹 腔 鏡 下 膵 尾 側 切 除 術 の 手 術 手 技 について<br />

日 本 医 科 大 学 付 属 病 院 外 科<br />

○… 吉 岡 正 人 , 中 村 慶 春 , 松 本 智 司 , 田 尻 孝 , 内 田 英 二<br />

【 緒 言 】 教 室 では 現 在 まで 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 を、 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 と 膵 尾 側 切 除 術 (Lap-DP)を 中 心 に87 例 に 施 行 し、その 有 用<br />

性 について 報 告 してきた。 今 回 Lap-DPについて 手 技 上 のポイントを<br />

中 心 にビデオで 供 覧 する。【 症 例 の 内 訳 】 平 均 年 齢 は56.5(14-91) 歳 で、<br />

男 性 18 例 、 女 性 47 例 、BMIは 平 均 23.2kg/m2であった。 腫 瘍 径 は 平 均 4.6<br />

(1-17)cmであった。 疾 患 の 内 訳 は 嚢 胞 性 疾 患 34 例 、 膵 島 腫 瘍 17 例 (う<br />

ちインスリノーマ7 例 )、 浸 潤 性 膵 管 癌 8 例 、その 他 6 例 であった。 脾 臓 ・<br />

脾 動 静 脈 温 存 術 式 は17 例 に 施 行 した。【 手 技 のポイント】 本 術 式 の 腹<br />

腔 鏡 下 における 目 線 および 鉗 子 の 方 向 性 は、 必 然 的 に 足 側 からのもの<br />

であるため、それらになるべく 逆 らわぬように 手 術 を 遂 行 することが<br />

大 事 である。 特 に、 膵 上 縁 の 操 作 は、 膵 実 質 そのものや 腫 瘍 の 存 在 で<br />

膵 臓 の 前 方 からの 視 野 および 前 方 からの 鉗 子 の 操 作 性 が 悪 くなること<br />

を 理 解 しておく 必 要 がある。 総 肝 動 脈 と 共 に 脾 動 脈 起 始 部 は、 膵 臓 を<br />

足 側 に 圧 排 しながら 前 方 から 露 出 していく 事 ができる。しかし 上 記 1.<br />

の 理 由 から 確 認 する 事 が 難 しい 場 合 は、 膵 体 部 と 腎 前 筋 膜 との 剥 離 を<br />

先 行 し、 前 方 に 膵 体 部 を 挙 上 しながら 膵 臓 の 背 側 から 立 ち 上 がる 脾 動<br />

脈 を 露 出 していく。 脾 動 静 脈 ・ 膵 臓 を 切 離 した 後 には、 鉗 子 の 方 向 性<br />

を 考 え、 右 側 から 脾 門 部 に 向 かって 膵 体 尾 部 を 横 行 結 腸 間 膜 ・ 腎 前 筋<br />

膜 から 遊 離 していく。 脾 臓 ・ 脾 動 静 脈 温 存 術 式 においても、 先 に 膵 臓<br />

を 切 離 し 膵 断 端 を 前 方 に 挙 上 しながら 右 側 から 膵 体 尾 部 を 脾 動 静 脈 か<br />

ら 遊 離 していくアプローチを 基 本 としている。 膵 切 離 に 使 用 される 自<br />

動 縫 合 器 に 関 しては、カートリッジの 規 格 を 熟 慮 して、 膵 実 質 が 裂 け<br />

ないように 縫 合 する。ただし 分 厚 い 硬 化 膵 では 縫 合 器 が 破 損 すること<br />

があるため、energy…deviceを 使 用 するか 小 開 腹 下 に 膵 臓 を 切 離 する。<br />

膵 臓 の 周 囲 には、 胃 ・ 総 肝 動 脈 ・ 胃 十 二 指 腸 動 脈 ・ 門 脈 、 脾 静 脈 の 分<br />

枝 血 管 が 近 接 しているため、ファイヤー 時 にカートリッジ 内 に 巻 き 込<br />

まないように、 自 動 縫 合 器 を 安 全 に 誘 導 する 工 夫 が 必 要 である。<br />

MVW9-4<br />

吸 収 性 組 織 補 強 材 と 自 動 縫 合 器 を 使 用 した 腹 腔 鏡 下<br />

膵 体 尾 部 切 除 術<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 横 山 隆 秀 , 福 島 健 太 郎 , 北 川 敬 之 , 北 原 弘 恵 , 古 澤 徳 彦 ,<br />

本 山 博 章 , 清 水 明 , 中 田 岳 成 , 小 林 聡 , 宮 川 眞 一<br />

【 目 的 】 我 々は2010 年 4 月 に 先 進 医 療 として 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

の 認 可 を 取 得 した。 吸 収 性 組 織 補 強 材 と 自 動 縫 合 器 を 使 用 した 膵 切 離<br />

法 を 行 っており、その 手 技 を 供 覧 し、 注 意 点 、 成 績 を 述 べる。【 方 法 】<br />

右 半 側 臥 位 、 頭 高 位 、5ポートで 手 術 を 施 行 。まず、 網 嚢 を 解 放 して、<br />

膵 下 縁 にて 後 腹 膜 から 膵 体 尾 部 を 授 動 した 後 に 脾 動 脈 を 確 保 し、ク<br />

リッピングする。 脾 臓 を 尾 側 から 頭 側 へと 無 理 しない 程 度 に 授 動 する。<br />

左 胃 大 網 動 静 脈 を 切 離 後 を 進 め、さらに 頭 側 から 尾 側 へと 脾 臓 を 後 腹<br />

膜 から 授 動 し、 脾 臓 と 膵 尾 部 を 完 全 に 授 動 する。 後 胃 動 静 脈 を 切 離 し<br />

て 膵 体 部 を 後 腹 膜 から 授 動 する。 膵 体 部 を 脱 転 し、 背 側 から 脾 動 脈 根<br />

部 を 露 出 し、 切 離 した 後 、 脾 静 脈 を 切 離 する。 膵 臓 の 離 断 は 臍 部 ポー<br />

トまたは 左 季 肋 部 のポートからチューブタイプの 吸 収 性 ポリグリコー<br />

ル 酸 フェルト(PGA)を 装 着 した 自 動 縫 合 器 で 行 う。このとき、<br />

10/12mmポートから 挿 入 するが、PGAおよび 自 動 縫 合 器 に 十 分 ゼリー<br />

を 付 けてくことでトロッカー 内 を 容 易 に 通 過 出 来 る。 膵 離 断 に 際 して<br />

は 膵 実 質 を 自 動 縫 合 器 で 約 10 分 かけてゆっくり 圧 座 し、 途 中 で 緩 める<br />

事 なく、そのままファイヤーする。 膵 離 断 後 、 縫 合 器 のレバーを 緩 め<br />

る 事 なく、 仮 縫 い 糸 を 引 き 抜 いて 伸 縮 性 ニットを 外 している。【 成 績 】<br />

腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の 膵 離 断 にPGA+ 自 動 縫 合 器 を12 例 で 使 用<br />

した。あらかじめPGAがセットされているDuet…TRSで1 例 、 膵 離 断<br />

中 に 膵 実 質 が 裂 けて 出 血 を 生 じ、 鏡 視 下 に 縫 合 止 血 を 行 った。 他 の11<br />

例 はチューブタイプのPGA+echelon60…greenで 行 った。チューブタ<br />

イプのPGAを 使 用 した1 例 で 伸 縮 性 ニットを 外 すための 仮 縫 い 糸 を 引<br />

き 抜 く 前 に 縫 合 器 のレバーを 緩 めたため、 伸 縮 性 ニットを 外 す 時 に 膵<br />

実 質 を 一 部 損 傷 し、 鏡 視 下 に 縫 合 を 行 った。 膵 液 瘻 を12 例 中 7 例 に 認 め、<br />

ISGPF…Grade…A……6 例 、Grade…B…1 例 であった。【 結 論 】PGA+ 自 動 縫<br />

合 器 による 膵 離 断 では 器 具 の 扱 いになれる 必 要 があるが、 重 篤 な<br />

Grade…Cの 膵 液 瘻 は 認 められなかった。しかし、 膵 液 瘻 の 発 生 を 防 止<br />

することは 難 しく、さらなる 症 例 の 蓄 積 が 必 要 と 思 われた。<br />

MVW9-5<br />

単 孔 式 脾 臓 温 存 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切 除 術 の 経 験<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

○… 三 澤 健 之 , 北 村 博 顕 , 伊 藤 隆 介 , 柴 浩 明 , 二 川 康 郎 ,<br />

脇 山 茂 樹 , 石 田 祐 一 , 古 川 賢 英 , 矢 永 勝 彦<br />

【はじめに】 当 科 では 先 進 医 療 認 定 ( 先 085- 第 180 号 )を 受 け、これま<br />

で 良 性 または 良 悪 性 境 界 病 変 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 尾 側 切 除 術 を34 例 に<br />

施 行 し、 良 好 な 成 績 を 報 告 してきた。 今 回 、 膵 尾 部 に 発 生 した 粘 液 性<br />

嚢 胞 腫 瘍 (MCN)に 対 して 単 孔 式 で 脾 臓 温 存 膵 尾 部 切 除 術 を 行 った 症<br />

例 を 経 験 したので 提 示 する。【 症 例 】40 歳 、 女 性 。 既 往 歴 なし。 他 院<br />

で 偶 然 、 膵 の 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 された。 精 査 の 結 果 、 膵 尾 部 に 径<br />

35mmの 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 嚢 胞 内 部 に 隔 壁 様 構 造 とcysts…in…cyst 様<br />

の 所 見 を 伴 っていることからMCNの 診 断 を 得 た。また、 腫 瘍 内 部 に<br />

結 節 性 病 変 や 周 囲 への 浸 潤 像 などの 悪 性 所 見 を 認 めなかった。 術 前 腫<br />

瘍 マーカー、 血 液 生 化 学 所 見 に 異 常 を 認 めなかった。【 手 術 】 臍 内 に<br />

約 2.5cmの 小 開 腹 創 をおき、SILS…Portを 留 置 した。5mmフレキシブ<br />

ルスコープ、 通 常 のストレート 鉗 子 類 ( 術 者 右 手 )、 彎 曲 鉗 子 ( 術 者 左 手 )<br />

を 用 いて 手 術 を 行 った。 胃 大 彎 側 の2 点 を 吊 り 糸 で 牽 引 し、 胃 結 腸 間<br />

膜 を 切 開 することにより、 胃 の 背 面 に 膵 体 尾 部 および 腫 瘍 を 良 好 に 展<br />

開 した。 膵 体 尾 部 を 後 腹 膜 から 授 動 し、 同 時 に 膵 実 質 と 脾 動 静 脈 を 遊<br />

離 した。 動 静 脈 の 小 枝 はリガシュアで 処 理 した。 膵 尾 部 を 彎 曲 鉗 子 で<br />

外 側 に 牽 引 しながら、 腫 瘍 の 内 側 で 膵 実 質 をENDO…GIA(60,… グリー<br />

ン)で 切 離 した。 腫 瘍 は 回 収 用 バッグ 内 に 収 納 して 臍 から 摘 出 した。<br />

左 横 隔 膜 下 にドレーンを1 本 留 置 し、 手 術 を 終 了 した。【 結 果 】 手 術 時<br />

間 240 分 、 出 血 量 少 量 ( 測 定 不 能 )、 術 後 3 日 目 に 食 事 を 開 始 、 術 後 5 日<br />

目 にドレーンを 抜 去 、 患 者 は 合 併 症 なく 術 後 8 日 目 に 退 院 した。 術 後 1<br />

カ 月 目 の 臍 部 の 創 は 整 容 性 に 優 れており、 患 者 の 満 足 度 は 高 かった。<br />

病 理 診 断 ではadenoma/carcinoma 境 界 病 変 ( 非 浸 潤 性 )であった。 術<br />

後 観 察 期 間 21カ 月 で 再 発 および 合 併 症 なし。【 結 語 】 脾 臓 温 存 膵 尾 部<br />

切 除 術 などの 難 手 術 に 対 しても、 一 定 の 工 夫 によって、 単 孔 式 が 安 全<br />

に 導 入 可 能 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-297-


MVW9-6<br />

脳 死 下 膵 腎 同 時 移 植 における 血 行 再 建 術<br />

1<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 大 阪 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 浅 利 貞 毅 1<br />

, 松 本 逸 平 1<br />

, 新 関 亮 1<br />

, 外 山 博 近 1<br />

, 後 藤 直 大 1<br />

,<br />

白 川 幸 代 1<br />

, 田 中 正 樹 1<br />

, 山 下 博 成 1<br />

, 沢 秀 博 1<br />

, 上 野 公 彦 1<br />

,<br />

味 木 徹 夫 1<br />

, 高 橋 応 典 1<br />

, 土 田 忍 1<br />

, 木 戸 正 浩 1<br />

, 福 本 巧 1<br />

,<br />

種 村 匡 弘 2 1<br />

, 具 英 成<br />

【 背 景 と 目 的 】 臓 器 移 植 法 案 改 正 以 後 、 重 症 1 型 糖 尿 病 に 対 する 脳 死<br />

膵 臓 移 植 数 は 増 加 している。 膵 臓 移 植 における 早 期 グラフトロスの 最<br />

大 要 因 はグラフト 血 栓 症 であり、 移 植 時 の 血 行 再 建 術 は 移 植 の 成 否 を<br />

左 右 する 重 要 な 手 技 である。 今 回 、 脳 死 下 膵 腎 同 時 移 植 術 における 膵<br />

血 行 再 建 手 術 手 技 をビデオで 供 覧 しその 要 点 について 考 察 する。【 手<br />

術 手 技 】(1)…Bench…Surgery:… 膵 グラフト 動 脈 は 胃 十 二 指 腸 動 脈 根 部 、<br />

総 肝 動 脈 根 部 で 切 離 され、 腹 腔 動 脈 ・ 上 腸 間 膜 動 脈 根 部 を 含 むCarrel…<br />

patchで、 門 脈 は 膵 上 縁 レベルで 切 離 されていることが 多 い。マージ<br />

ナルドナーの 多 い 本 邦 では 膵 頭 部 と 十 二 指 腸 の 血 流 を 維 持 するため、<br />

総 肝 動 脈 と 胃 十 二 指 腸 動 脈 を、ドナー 腸 骨 動 脈 を 利 用 したI…graftで 置<br />

換 するのが 標 準 的 である。 門 脈 は 必 要 に 応 じドナー 腸 骨 静 脈 で 延 長 す<br />

る。 操 作 を 短 時 間 で 終 了 し、 全 体 の 虚 血 時 間 をできるだけ 短 縮 するこ<br />

とが 肝 要 である。(2)… 膵 移 植 血 行 再 建 :… 膵 グラフトは 右 腸 骨 窩 の 腹 腔<br />

内 に 移 植 する。 動 門 脈 は 原 則 、 右 外 腸 骨 動 静 脈 へ 端 側 吻 合 を 行 う。 糖<br />

尿 病 ・ 維 持 透 析 による 動 脈 硬 化 の 著 しい 例 が 多 く、 最 終 的 に 術 前 CT<br />

検 査 と 術 中 所 見 で 動 脈 吻 合 部 を 決 定 する。 門 脈 の 延 長 は 最 小 限 とする。<br />

腸 管 吻 合 あるいは 膀 胱 吻 合 に 伴 うねじれも 想 定 し、 動 門 脈 にねじれや<br />

たるみが 無 いよう 血 管 吻 合 を 行 うことが 重 要 である。 門 脈 ・ 腸 骨 静 脈<br />

吻 合 を6-0…prolene 糸 で2 点 支 持 のintraluminal…running…sutureを 行 う。<br />

引 き 続 きCarrel…patch・ 腸 骨 動 脈 の 吻 合 を 同 様 に 行 う。【 結 語 】 膵 移<br />

植 血 行 再 建 術 では 的 確 な 血 管 吻 合 部 位 の 決 定 と、グラフト 血 管 にねじ<br />

れやたるみのない 確 実 な 縫 合 操 作 が 極 めて 重 要 である。<br />

MVW10-1 3D 画 像 解 析 システムを 活 用 した 肝 門 部 胆 管 血 流 、<br />

肝 動 脈 交 通 枝 、 肝 尾 状 葉 動 脈 の 関 連 性 の 検 討 <br />

1<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 学 分 野 、 2 三 井 記 念 病 院<br />

○… 大 城 幸 雄 1<br />

, 佐 々 木 亮 孝 1<br />

, 竹 口 隆 也 1<br />

, 衣 袋 健 司 1<br />

,<br />

竜 崇 正 1 1<br />

, 大 河 内 信 弘<br />

【 背 景 】 生 体 肝 移 植 ドナー 手 術 において、 肝 門 板 、 肝 動 脈 交 通 枝<br />

(communicating…artery:…CA)、 胆 管 血 流 を 意 識 した 手 術 手 技 が、 虚<br />

血 による 胆 管 狭 窄 、 縫 合 不 全 などの 術 後 合 併 症 を 減 少 させるといわれ<br />

ている。また 尾 状 葉 動 脈 とそれらとの 密 接 な 関 連 の 報 告 も 散 見 される。<br />

従 来 、 尾 状 葉 動 脈 はCTや 血 管 造 影 での 同 定 が 困 難 であった。しかし<br />

3D 画 像 解 析 システムの 導 入 により 微 細 な 尾 状 葉 動 脈 の 描 出 が 容 易 と<br />

なり、 動 脈 と 肝 門 部 胆 管 など 諸 臓 器 との 立 体 的 位 置 関 係 の 把 握 が 可 能<br />

となった。【 目 的 】 詳 細 な 外 科 解 剖 の 把 握 のため、3D 画 像 解 析 システ<br />

ムを 活 用 し 未 だ 殆 ど 解 明 されていない 肝 門 部 胆 管 血 流 、CA、 尾 状 葉<br />

動 脈 の 関 連 性 を 検 討 した。【 方 法 】 診 断 治 療 目 的 に 行 った 血 管 造 影 下<br />

CT…50 例 を、SYNAPSE…VINCENT( 富 士 フィルムメディカル)を 用 い<br />

て 解 析 した。 左 右 尾 状 葉 動 脈 を 各 々left 枝 (lt 枝 )、right 枝 (rt 枝 )に 分<br />

類 し、CAは 左 右 または 区 域 肝 動 脈 間 を 連 絡 する 動 脈 とした。 検 討 項<br />

目 は1.… 尾 状 葉 動 脈 の 分 岐 パターン…2.…CAの 交 通 パターンと 本 数 …3.… 肝<br />

門 部 胆 管 血 流 とCAと 尾 状 葉 動 脈 との 関 連 である。【 結 果 】1.… 尾 状 葉 動<br />

脈 が 肝 動 脈 から 分 岐 するパターンは、 直 接 分 岐 する 単 独 分 岐 が15 例 …<br />

(30%)、lt 枝 とrt 枝 が 共 通 幹 を 形 成 するものが6 例 …(12%)、CAから 分<br />

岐 するものが17 例 (34%)、 単 独 + 共 通 幹 が4 例 …(8%)、 単 独 +CAが…8<br />

例 …(16%)…であった。2.…CAは50 例 中 25 例 に 認 められ 本 数 は26 本 であっ<br />

た。CAは 全 例 において 肝 門 板 に 存 在 し 門 脈 臍 部 の 頭 側 を 走 行 していた。<br />

CAの 交 通 パターンと 本 数 は、 左 右 肝 動 脈 の 交 通 が8 本 …(31%)…、 右 肝<br />

動 脈 後 枝 と 右 肝 動 脈 と 左 肝 動 脈 の 交 通 が3 本 (12%)、 右 肝 動 脈 後 枝 と<br />

左 肝 動 脈 の 交 通 が3 本 …(12%)…、その 他 の 交 通 が12 本 …(46%)…であった。<br />

5.…50 例 中 40 例 において 肝 門 部 胆 管 血 流 を 確 認 でき、 本 数 は64 本 であっ<br />

た。64 本 中 24 本 …(38%)…はCAまたは 尾 状 葉 動 脈 からの 分 布 であった。<br />

【 結 語 】 肝 門 部 胆 管 血 流 とCAと 尾 状 葉 動 脈 は、 肝 門 板 において 密 接<br />

に 関 連 していることが3D 画 像 解 析 システムによる 解 析 で 明 らかと<br />

なった。 生 体 肝 移 植 ドナー 手 術 において、 肝 門 板 に 存 在 する3 者 が 形<br />

成 する 動 脈 叢 を 極 力 温 存 することが、 胆 管 合 併 症 の 減 少 に 大 きく 貢 献<br />

する 可 能 性 を 確 認 できた。<br />

MVW10-2<br />

生 体 部 分 肝 移 植 における 手 術 手 技 の 工 夫 ― 門 脈 血<br />

栓 摘 出 術<br />

東 京 女 子 医 大 消 化 器 外 科<br />

○… 加 藤 孝 章 , 江 川 裕 人 , 小 寺 由 人 , 大 森 亜 紀 子 , 山 本 伸 ,<br />

米 田 五 大 , 高 橋 豊 , 有 泉 俊 一 , 片 桐 聡 , 山 本 雅 一<br />

(はじめに) 肝 移 植 において 術 前 門 脈 血 栓 症 は 術 後 合 併 症 や 術 死 の 危 険<br />

因 子 である。 脳 死 肝 移 植 においてはジャンプグラフトを 用 いて 安 全 性<br />

を 確 立 した。しかし、 生 体 部 分 肝 移 植 ではジャンプグラフトを 用 いる<br />

際 には 頚 静 脈 や 外 腸 骨 静 脈 を 採 取 する 必 要 があり、そのような 侵 襲 を<br />

回 避 するために 既 存 の 門 脈 を 温 存 する 門 脈 血 栓 摘 出 は 重 要 である。 今<br />

回 、われわれは 門 脈 血 栓 を 合 併 した 生 体 部 分 肝 移 植 におけるeversion…<br />

techniqueを 用 いた 門 脈 血 栓 摘 出 術 をビデオにて 供 覧 する。( 症 例 )56 歳 、<br />

女 性 。 自 己 免 疫 性 肝 炎 を 伴 うB 型 肝 炎 による 非 代 償 性 肝 硬 変 でMELD<br />

スコアは24。 術 前 CTでは 大 量 の 腹 水 、および 門 脈 本 幹 の70%を 閉 塞 し、<br />

spleno-portal…junction(SPJ)まで 及 ぶ 血 栓 を 認 めた。GRWRは0.60。<br />

開 腹 後 、 腹 水 を13L 排 出 し、 全 肝 を 摘 出 後 、 門 脈 血 栓 摘 出 術 を 施 行 した。<br />

門 脈 を 左 右 分 岐 部 直 下 で 離 断 。 離 断 時 には 門 脈 は 血 栓 で 完 全 に 閉 塞 さ<br />

れていた。 門 脈 背 側 のリンパ 節 を 含 む 結 合 組 織 をリガシュアと 縫 合 結<br />

紮 を 併 用 して 後 方 正 中 で 観 音 開 きにしてSPJの 背 側 まで 門 脈 を 剥 離 し<br />

た。その 後 、 血 栓 の 末 梢 端 を 含 むようにサテンスキータイプの 血 管 鉗<br />

子 を 用 いてSPJ 部 にて 門 脈 の 血 流 を 遮 断 した。 第 二 助 手 が 膵 頭 部 を 足<br />

側 に 圧 迫 し、 第 一 助 手 が 両 手 に 鑷 子 を 持 ち、 門 脈 壁 を 外 翻 させるよう<br />

にしながら、 鋭 的 に 血 栓 を 摘 出 した。 大 方 摘 出 し 終 えたところで 門 脈<br />

を 引 っぱりながら、さらに 足 側 にサテンスキータイプの 血 管 鉗 子 をか<br />

けなおし、 残 る 血 栓 を 可 及 的 に 摘 出 した。 肝 静 脈 と 門 脈 再 建 した。 術<br />

中 、 術 後 の 血 流 は 良 好 であった。 術 後 CTではSPJに 薄 い 壁 在 血 栓 の<br />

残 存 を 認 めたが、 血 栓 はその 後 、 発 達 せず、 経 過 良 好 で 退 院 した。<br />

MVW10-3<br />

生 体 肝 移 植 ドナー 手 術 における 非 吸 収 糸 による 胆<br />

管 断 端 縫 合 閉 鎖 の 有 用 性<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科<br />

○… 河 地 茂 行 , 田 邉 稔 , 板 野 理 , 尾 原 秀 明 , 篠 田 昌 宏 ,<br />

北 郷 実 , 松 原 健 太 郎 , 北 川 雄 光<br />

【 背 景 】 胆 道 合 併 症 は 生 体 肝 移 植 ドナー 手 術 の 最 も 憂 慮 する 合 併 症 で<br />

ある。 我 々は 肝 切 離 終 了 後 にグリソン 鞘 内 で 胆 管 切 離 を 行 い、 胆 管 断<br />

端 はグリソンごと2 本 のmonofilament 吸 収 糸 を 用 いて 連 続 縫 合 閉 鎖 を<br />

施 行 してきた。この 方 法 で 遅 発 性 に 起 こる 胆 汁 漏 を 数 例 経 験 したため、<br />

2008 年 12 月 より 胆 管 断 端 の 縫 合 法 を 変 更 し、monofilament 非 吸 収 糸<br />

による 二 重 閉 鎖 法 ( 胆 管 結 紮 + 連 続 縫 合 閉 鎖 )を 施 行 するようになった。<br />

【 目 的 】 非 吸 収 糸 による 胆 管 断 端 二 重 閉 鎖 法 の 有 用 性 を 検 証 する。【 対<br />

象 】 当 院 で 施 行 された 生 体 肝 移 植 ドナー 手 術 のうち、 手 技 や 周 術 期 管<br />

理 が 標 準 化 されたクリニカルパス 導 入 後 に 吸 収 糸 による 従 来 の 胆 管 断<br />

端 縫 合 法 を 行 った88 例 (A 群 )と、2008 年 12 月 以 降 、 非 吸 収 糸 による 二<br />

重 閉 鎖 法 を 施 行 した36 例 (NA 群 )。【 成 績 】 観 察 期 間 はA 群 で73.1ヶ 月 、<br />

NA 群 で17.4ヶ 月 であった(p


MVW10-4<br />

生 体 肝 移 植 ドナーおよびレシピエント 手 術 手 技 の<br />

工 夫<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科<br />

○… 加 藤 悠 太 郎 , 所 隆 昌 , 棚 橋 義 直 , 吉 田 淳 一 , 古 田 晋 平 ,<br />

香 川 幹 , 竹 浦 千 夏 , 杉 岡 篤<br />

【 緒 言 】 生 体 肝 移 植 の 手 術 手 技 は 定 型 化 した 感 があるが、さらなる 安<br />

全 性 の 追 求 とバラエティへの 対 応 が 必 要 である。われわれはドナー 手<br />

術 において 肝 門 グリソン 一 括 処 理 を 応 用 し、またレシピエント 手 術 に<br />

おいては、 自 己 肝 から 肝 静 脈 あるいは 門 脈 をautograftとして 採 取 し、<br />

各 種 肝 静 脈 再 建 に 利 用 している。【 手 術 手 技 】1) 外 側<br />

区 域 および 左 葉 グラフト 採 取 。 胆 摘 に 続 いて 左 枝 グリソンとアランチ<br />

ウス 板 を 確 保 して 両 者 を 腹 側 に 牽 引 することで 両 者 の 間 をほぼ 垂 直 背<br />

側 方 向 に 走 行 する 左 尾 状 葉 グリソンを 確 保 する。 左 尾 状 葉 グリソンを<br />

一 括 で 処 理 することで 左 枝 グリソンは 肝 左 葉 への 唯 一 の 流 入 血 行 路 と<br />

なり、またアランチウス 板 を 含 めた 肝 切 離 が 可 能 であり、 尾 状 葉 胆 管<br />

枝 関 連 の 胆 管 損 傷 の 危 険 が 回 避 できる。2) 肝 門 でのグリソン 一 括 確 保 。<br />

肝 門 において、 胆 摘 に 続 いて 左 あるいは 右 グリソンを 先 行 確 保 し、そ<br />

の 中 で 門 脈 、 肝 動 脈 を 分 離 したのち、 引 き 算 方 式 で 胆 管 と 周 囲 結 合 織<br />

を 確 保 する。 胆 管 と 周 囲 結 合 織 を 一 括 確 保 するため、 胆 管 血 流 障 害 が<br />

低 減 でき、また 胆 管 先 行 処 理 を 行 う 場 合 には 胆 管 周 囲 の 盲 目 的 な 剥 離<br />

による 胆 管 損 傷 が 回 避 できる。 右 葉 グラ<br />

フトにおけるV5,…V8 再 建 および 右 肝 静 脈 吻 合 での 前 壁 パッチを 行 う<br />

ため、 自 己 肝 から 門 脈 右 ~UPおよび 肝 静 脈 を 必 要 な 長 さ、 分 岐 形 態<br />

に 応 じてautograftとして 採 取 する。 採 取 は 自 己 肝 摘 出 後 にex…situで、<br />

また 摘 出 前 にin…situで 行 うことも 可 能 である。Ex…situ 採 取 では 最 終<br />

的 なleakageの 確 認 は 生 食 の 注 入 で 行 うが、 一 方 in…situ 採 取 では 肝 静<br />

脈 採 取 の 際 、 出 血 の 有 無 によりleakageの 確 認 が 容 易 である。いずれ<br />

の 方 法 でも、 肝 静 脈 採 取 においては 肝 固 有 被 膜 であるLaennec 被 膜 を<br />

肝 静 脈 壁 に 付 着 させる 層 で 採 取 することがleakageや 静 脈 壁 損 傷 の 予<br />

防 に 重 要 である。ドナーからの 血 管 採 取 はできるだけ 行 わず、donor…<br />

safetyにも 有 用 である。【 結 語 】これらの 工 夫 は、donor…safetyおよび<br />

血 管 再 建 の 各 種 バラエティに 対 応 しうる 有 用 な 方 法 である。<br />

MVW10-5<br />

内 頚 静 脈 を 用 いた 生 体 肝 移 植 右 葉 グラフトの 中 肝<br />

静 脈 分 枝 再 建<br />

九 州 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 宮 田 辰 徳 , 調 憲 , 池 上 徹 , 吉 屋 匠 平 , 武 藤 純 ,<br />

間 野 洋 平 , 戸 島 剛 男 , 増 田 稔 郎 , 橋 本 直 隆 , 森 田 和 豊 ,<br />

萱 島 寛 人 , 吉 住 朋 晴 , 前 原 喜 彦<br />

【はじめに】 右 葉 グラフトを 用 いた 生 体 肝 移 植 では、 中 肝 静 脈 分 枝 の<br />

再 建 がしばしば 必 要 であるが、 再 建 に 用 いる 血 管 グラフトの 選 択 には<br />

議 論 があるところである。われわれは 再 建 グラフトとしては 摘 出 肝 門<br />

脈 を 用 いてきたが、(1)… 門 脈 血 栓 や 肝 門 部 付 近 の 肝 癌 が 存 在 する 場 合<br />

使 用 し 難 い 症 例 が 存 在 すること、(2)… グラフト 採 取 が 比 較 的 容 易 で、<br />

分 枝 の 少 ないストレートなグラフト 採 取 が 可 能 であること、(3)… 肝 硬<br />

変 の 門 脈 に 比 べ、 伸 展 性 に 富 み、 良 好 な 開 存 が 望 めること、(3) 門 脈 グ<br />

ラフトでは 肝 全 摘 後 に 門 脈 採 取 を 行 うため、 無 肝 期 が 延 長 すること、<br />

などから2008 年 9 月 以 降 現 在 はレシピエント 内 頚 静 脈 グラフトを 第 一<br />

選 択 としている。そこで、 内 頚 静 脈 グラフトの 優 位 性 について 検 証 し<br />

た。【 対 象 】 中 肝 静 脈 分 枝 の 再 建 を 伴 う 右 葉 グラフトを 用 いた 生 体 肝<br />

移 植 患 者 45 名 のうち、 内 頚 静 脈 で 再 建 を 行 った14 例 (IJ 群 、internal…<br />

jugular)と 摘 出 肝 門 脈 で 再 建 を 行 った31 例 (EPV 群 、explanted…portal…<br />

vein)を 対 象 とした。【 手 術 】まず 頚 部 に 斜 切 開 をおき、 約 7cmの 片 側<br />

内 頚 静 脈 を 採 取 ・ 保 存 する。ドナーより 右 葉 グラフトを 摘 出 、 早 速 保<br />

存 していた 内 頚 静 脈 の 片 側 をグラフトV5に 端 々 吻 合 し、 対 側 端 はグ<br />

ラフト 右 肝 静 脈 と 側 々に 吻 合 する。 十 分 な 吻 合 口 を 確 保 するためパッ<br />

チグラフトを 静 脈 吻 合 口 周 囲 に 追 加 する 場 合 や、 右 下 肝 静 脈 との 間 に<br />

パッチグラフトをおく 場 合 もある。 肝 全 摘 は 下 大 静 脈 クランプ 下 に 行<br />

い、 肝 静 脈 吻 合 はバックテーブルで 一 体 化 したグラフト 静 脈 と 下 大 静<br />

脈 の 間 で 行 う。 門 脈 吻 合 を 行 った 後 、 再 還 流 を 行 う。これらパッチ 再<br />

建 には 摘 出 肝 門 脈 を 用 いることが 多 い。【 結 果 】EPV 群 に 比 し、IJ 群<br />

で 無 肝 期 …(223 分 vs…143 分 、p


MVW11-3<br />

Bismuth-CorletteIV 型 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 右<br />

葉 ・ 尾 状 葉 切 除 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 、 門 脈 切 除 再 建 術<br />

1<br />

小 田 原 市 立 病 院 外 科 、 2 千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 亀 高 尚 1<br />

, 牧 野 裕 庸 1<br />

, 西 野 仁 惠 1<br />

, 内 玲 往 那 2<br />

,<br />

1<br />

鈴 木 崇 之<br />

【はじめに】 肝 門 部 胆 管 癌 は 多 彩 な 進 展 様 式 を 示 し, 治 癒 切 除 のため<br />

には 拡 大 肝 切 除 に 加 え, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)を 要 することがあ<br />

る. 肝 膵 同 時 切 除 (HPD)は 高 度 侵 襲 ・ 高 難 度 手 術 であるため,その 適<br />

応 と 切 除 の 正 当 性 は 厳 格 に 判 断 されるべきである. 実 際 , 臨 床 の 現 場<br />

では 当 院 のような 地 域 癌 拠 点 病 院 の 肝 胆 道 外 科 医 が,HPDが 必 要 な 症<br />

例 に 遭 遇 することがある. 当 院 では2008 年 以 降 ,6 例 の 胆 道 系 悪 性 腫 瘍<br />

にHPDを 適 応 してきたが, 現 在 までmortalityは 経 験 していない. 今 回 ,<br />

Bismuth-CorletteIV 型 の 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 する 肝 右 葉 ・ 尾 状 葉 にPD<br />

と 門 脈 合 併 切 除 再 建 を 施 行 したので 供 覧 したい.【 症 例 】71 歳 ・ 女 性 . 閉<br />

塞 性 黄 疸 にて 入 院 .PTCDによる 減 黄 を 行 った.PTC 所 見 において 肝 内<br />

右 側 は 前 後 分 岐 部 より 末 梢 までの 狭 窄 を, 左 側 はB4の 分 枝 の 直 前 ま<br />

での 壁 不 整 を, 十 二 指 腸 側 は 膵 内 胆 管 までの 狭 窄 を 認 めたため,<br />

Bismuth-CorletteIV 型 と 診 断 した. 術 前 門 脈 塞 栓 術 を 経 回 結 腸 静 脈 に 行<br />

い(TIPE), 予 定 残 肝 率 を36%に 増 大 させた.【 手 術 】 肝 十 二 指 腸 間 膜<br />

のskeltonizationののち 肝 切 除 を 先 行 させた. 型 通 りに 尾 状 葉 全 切 除<br />

を 行 い, 門 脈 臍 部 の 右 縁 にて 胆 管 切 除 , 胆 管 断 端 はB3とB2+4が 分 離<br />

する 形 態 であった. 門 脈 は 術 中 所 見 において 癌 浸 潤 が 疑 われたため<br />

sleeveに 切 除 , 再 建 を 行 った. 下 部 胆 管 は 膵 内 まで 明 らかに 癌 浸 潤 あり,<br />

PDを 付 加 し, 再 建 はChild 変 法 に 準 じた.【 結 果 】 手 術 時 間 8 時 間 19 分 ,<br />

出 血 量 1700ml, 無 輸 血 にて 終 了 した. 病 理 組 織 学 的 には 門 脈 浸 潤 は<br />

認 めず,tub2,pT3,pN1(#12b,#13a),fStageIIIであった. 術 後 合 併 症 は<br />

認 めず, 化 学 療 法 (weekly-GEM)を 開 始 し, 第 35 病 日 退 院 した.【ま<br />

とめ】HPDは 高 難 度 手 術 であり, 高 リスクであることを 認 識 したう<br />

えで, 本 症 例 では 肝 側 , 十 二 指 腸 側 の 癌 浸 潤 を 根 拠 に 術 式 選 択 した.<br />

TIPEは 肝 不 全 のリスクを 下 げるのに 有 用 であった. 胆 管 癌 に 対 する<br />

門 脈 合 併 切 除 はコンセンサスが 得 られており, 今 回 は 治 癒 切 除 を 目 指<br />

すため, 術 中 所 見 より 必 要 と 判 断 し 併 施 した. 術 式 に 対 する 正 当 性 は,<br />

肝 側 , 十 二 指 腸 側 , 血 管 浸 潤 とひとつひとつ 厳 格 に 検 討 ・ 判 断 される<br />

べきであると 考 えられた.<br />

MVW11-4<br />

拡 大 左 葉 切 除 後 中 肝 静 脈 の 再 建 を 行 った 肝 内 胆 管<br />

癌 の 一 例<br />

神 戸 市 立 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 外 科<br />

○… 日 下 部 治 郎 , 瓜 生 原 健 嗣 , 貝 原 聡 , 細 谷 亮<br />

症 例 はB 型 慢 性 肝 炎 の54 歳 男 性 。 既 往 歴 として、1993 年 (36 歳 時 )に<br />

HCCに 対 し 肝 後 区 域 切 除 を 受 けている。2011 年 8 月 、 他 院 での 定 期 的<br />

な 画 像 検 査 にて 肝 腫 瘍 を 指 摘 され 当 院 紹 介 。CTでは 肝 S4に 辺 縁 が 造<br />

影 される 径 45mmの 腫 瘍 を 認 め、 中 肝 静 脈 を 圧 排 しており 浸 潤 が 疑 わ<br />

れた。IVCにも 一 部 接 しているが 浸 潤 は 否 定 的 であった。その 他 にS2<br />

に 径 16mmの 同 様 の 性 質 を 持 つ 腫 瘍 を 認 めた。EOB-MRIでは、 腫 瘍<br />

は 動 脈 相 にて 辺 縁 のみが 造 影 され、 肝 細 胞 相 ではdefectを 呈 し、 形 状<br />

は 凹 凸 不 正 であった。 以 上 より 肝 内 胆 管 癌 (StageIV)と 診 断 した。 肝<br />

予 備 能 はLiver…damage…Aと 良 好 であり、 中 肝 静 脈 合 併 切 除 の 拡 大 左<br />

葉 切 除 にて 切 除 可 能 と 判 断 した。しかし、 以 前 受 けた 後 区 域 切 除 によ<br />

り 右 肝 静 脈 が 著 明 に 狭 小 化 しており、また 太 い 短 肝 静 脈 も 認 めないこ<br />

とより 中 肝 静 脈 の 再 建 が 必 要 で、 自 己 グラフトを 用 いた 中 肝 静 脈 再 建<br />

をあわせて 行 うこととした。 手 術 は 腫 瘍 に 接 する 中 肝 静 脈 を 合 併 切 除<br />

して 肝 左 葉 を 摘 出 、あわせて 肝 門 部 リンパ 節 +#1,…3リンパ 節 郭 清 を<br />

行 った。 中 肝 静 脈 の 再 建 には 右 外 腸 骨 静 脈 自 己 グラフトを 用 いた。 静<br />

脈 グラフトのProximalは 中 肝 静 脈 の 肝 臓 側 断 端 と、distalは 中 肝 静 脈<br />

ICV 側 断 端 とを5-0…proleneにて 端 々 吻 合 を 行 った。 手 術 時 間 は7 時 間<br />

40 分 、 出 血 量 783gであった。 術 後 経 過 は 良 好 で、 肝 機 能 は 順 調 に 回<br />

復 した。 経 過 中 、 中 肝 静 脈 の 血 流 は 一 貫 して 良 好 で、 術 後 15 日 目 に 行 っ<br />

たドップラーUSにても 中 肝 静 脈 の 血 流 は 良 好 に 保 たれていた。 以 上<br />

の 症 例 の 手 術 ビデオを 供 覧 する。<br />

MVW11-5<br />

下 大 静 脈 合 併 肝 切 除 にて 切 除 したSpieghel 葉 全 体<br />

を 占 める 大 腸 癌 肝 転 移 の1 例<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科<br />

○… 木 村 暁 史 , 山 本 順 司 , 初 瀬 一 夫 , 竹 下 卓 志 , 西 川 誠 ,<br />

西 山 潔 , 前 島 理 , 川 原 林 伸 昭 , 長 谷 和 生<br />

【 症 例 】80 歳 男 性 。2010 年 9 月 、 貧 血 精 査 の 大 腸 内 視 鏡 検 査 で 上 行 結<br />

腸 癌 を 指 摘 され、 当 院 紹 介 。 結 腸 切 除 前 精 査 のCTで、 肝 に 腫 瘤 を 指<br />

摘 された。S1( 径 6.2cm)とS6( 径 4.4cm)の2 箇 所 に 肝 転 移 あり、S1 腫 瘍<br />

はSpieghel 葉 全 体 を 占 拠 し、 頭 側 は 左 ・ 中 肝 静 脈 の 下 大 静 脈 合 流 部 を<br />

尾 側 から 圧 排 し、 右 肝 静 脈 合 流 部 やや 左 から 下 大 静 脈 を 圧 排 しつつ 取<br />

り 囲 むように 背 側 6 時 の 位 置 まで 存 在 した。 結 腸 癌<br />

(SSN0H2M0,stageIV) 術 後 の 化 学 療 法 前 精 査 にて、 肺 の 非 定 形 抗 酸 菌<br />

症 と 判 明 し、 化 学 療 法 が 不 能 であることから、 肝 切 除 の 方 針 となった。<br />

【 手 術 】 拡 大 左 肝 、 尾 状 葉 切 除 + 下 大 静 脈 合 併 楔 状 切 除 、 右 外 腸 骨 静<br />

脈 による 下 大 静 脈 パッチ 再 建 、S6 部 分 切 除 術 施 行 。 逆 L 字 切 開 にて 開 腹 。<br />

S1 腫 瘍 は 術 前 画 像 評 価 と 同 様 に、 頭 側 で 下 大 静 脈 に 巻 きつくように<br />

Spieghel… 葉 を 占 拠 しており、 下 大 静 脈 の 合 併 切 除 が 必 要 と 判 断 した。<br />

肝 門 部 で 左 肝 動 脈 ・ 中 肝 動 脈 ・ 門 脈 左 枝 をそれぞれ 結 紮 切 離 。 左 冠 状<br />

間 膜 、 三 角 間 膜 を 切 離 後 、 右 から 肝 授 動 を 行 い、 右 肝 静 脈 ・ 肝 上 部 お<br />

よび 肝 下 部 下 大 静 脈 をそれぞれテーピングした。 左 から 肝 を 授 動 した<br />

後 、 右 外 腸 骨 静 脈 をグラフトとして 採 取 した。 全 肝 阻 血 下 にペアンク<br />

ラッシュ 法 にて、 中 肝 静 脈 を 切 離 側 につける 面 で 腫 瘍 の 辺 縁 を 確 認 し<br />

ながら、 肝 切 離 を 施 行 。 下 大 静 脈 右 前 面 に 達 した 後 、 腫 瘍 の 浸 潤 部 を<br />

確 認 しつつ、 約 半 周 性 に 左 中 肝 静 脈 合 流 部 を 含 めて 約 6cm 長 の 下 大 静<br />

脈 壁 を 合 併 切 除 し、 外 腸 骨 静 脈 グラフトにてパッチ 再 建 した。S6の<br />

部 分 切 除 を 施 行 し、 手 術 を 終 了 した。 手 術 時 間 515 分 。 出 血 量 1108g。【 術<br />

後 経 過 】13POD 軽 快 退 院 。 外 来 での 経 過 観 察 中 にCEAおよびCA19-9<br />

の 上 昇 を 認 め、 胸 部 CTで 肺 S8に 結 節 影 を 認 め、VATSによるS8 部 分<br />

切 除 を 施 行 された。 以 降 、 化 学 療 法 を 施 行 せず、 再 発 を 疑 う 所 見 はな<br />

い。【 結 語 】Spieghel… 葉 を 占 拠 し 下 大 静 脈 浸 潤 を 伴 う 肝 転 移 症 例 に 対 し、<br />

右 外 腸 骨 静 脈 パッチグラフトを 用 いた 下 大 静 脈 合 併 切 除 再 建 を 伴 う 肝<br />

切 除 例 を 経 験 した。<br />

MVW11-6<br />

多 発 肝 転 移 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 二 段 階 肝 切 除 術<br />

岐 阜 中 央 病 院<br />

○… 稲 垣 均<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 法 は、 全 身 化 学 療 法 の 進 歩 に 伴 い、 生 存<br />

率 の 延 長 が 期 待 できるようになっている。 化 学 療 法 が 奏 功 または、 増<br />

大 抑 制 の 見 られた 場 合 、 肝 切 除 により、 前 生 存 期 間 の 延 長 が 報 告 され<br />

ている。 多 発 肝 転 移 に 対 しては、 肝 切 除 の 適 応 外 とされてきたが、 門<br />

脈 塞 栓 療 法 を 併 用 した 二 段 階 肝 切 除 術 による 治 療 法 により、 適 応 も 拡<br />

大 されてきている。 我 々は、 適 応 のある 症 例 には 積 極 的 に 腹 腔 鏡 手 術<br />

を 導 入 しており、 残 肝 容 積 の 小 さい 症 例 に 対 して、 腹 腔 鏡 下 門 脈 枝 結<br />

紮 術 を 導 入 し、 大 量 肝 切 除 術 に 対 応 してきた。 今 回 、 切 除 不 能 の 同 時<br />

性 多 発 肝 転 移 を 有 した 症 例 に 対 し、 原 発 巣 術 後 、 化 学 療 法 を 行 い、 完<br />

全 腹 腔 鏡 下 二 段 階 肝 切 除 術 を 経 験 した。その 有 用 性 および 治 療 戦 略 導<br />

入 への 可 能 性 を 実 感 した。 症 例 は、83 歳 男 性 で、 腹 腔 鏡 下 低 位 前 方 直<br />

腸 切 除 後 に、XELOX+セツキシマブの 化 学 療 法 を 行 った。 腫 瘍 の 縮<br />

小 効 果 を 認 め、 肝 切 除 の 適 応 と 判 断 した。 腹 腔 鏡 下 左 葉 肝 部 分 切 除 術<br />

(3カ 所 )とともに 肝 右 葉 門 脈 後 区 域 枝 を 結 紮 した。その 後 、 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 拡 大 肝 後 区 域 切 除 術 を 行 った。 肝 十 二 指 腸 靱 帯 周 囲 の 癒 着 は、 軽<br />

度 で、 肝 門 操 作 は 容 易 であった。 術 後 胸 水 貯 留 を 認 めたが、 保 存 的 に<br />

軽 快 している。 全 身 化 学 療 法 後 の 肝 切 除 術 の 合 併 症 発 症 率 が 通 常 より<br />

高 率 であり、 安 全 性 の 向 上 のために、 残 肝 容 積 の 肥 大 は 有 用 である。<br />

さらに 二 段 階 肝 切 除 術 を 腹 壁 破 戒 の 少 ない 完 全 腹 腔 鏡 手 術 で 行 うこと<br />

は、 他 発 肝 転 移 に 対 する 集 学 的 治 療 の 中 で、 有 用 な 治 療 戦 略 のひとつ<br />

と 考 えられる。<br />

-300-


MVW12-1<br />

当 院 における 術 中 ビデオ 撮 影 の 工 夫 ( 肝 胆 膵 高 度 技<br />

能 専 門 医 申 請 対 策 )<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 小 泉 哲 , 小 林 慎 二 郎 , 三 浦 和 裕 , 上 原 悠 也 , 片 山 真 史 ,<br />

朝 倉 武 士 , 大 坪 毅 人<br />

【 目 的 】 肝 胆 膵 手 術 は 術 野 が 深 く 解 剖 学 的 にも 複 雑 であるため, 術 中<br />

ビデオ 撮 影 を 行 うに 際 して 機 材 設 営 が 大 掛 かりになりやすい 上 , 細 か<br />

な 手 技 の 連 続 撮 影 が 困 難 であったり, 撮 影 を 優 先 するがために 術 者 が<br />

手 技 そのものを 行 いづらくなるという 問 題 点 を 抱 えていた。 今 回 我 々<br />

は 肝 胆 膵 手 術 において, 術 者 の 手 技 の 妨 げとならず,より 簡 便 に 良 好<br />

な 映 像 を 連 続 録 画 するための 工 夫 を 行 った。【 方 法 と 実 際 】ビー・ブ<br />

ラウンエースクラップ 株 式 会 社 製 ユニトラックレトラクションシステ<br />

ム(Unitrac)をレールアダプターを 用 いて 手 術 台 に 取 り 付 けアームと<br />

して 用 い, 高 砂 医 科 工 業 株 式 会 社 と 共 同 開 発 したアダプターを 用 いて<br />

パナソニック 株 式 会 社 製 コンパクトカメラヘッドPOVCAMをアーム<br />

先 端 に 取 り 付 ける。カメラヘッドからUnitracの 根 元 部 分 までをディ<br />

スポーザブル 滅 菌 カバーで 覆 い 清 潔 を 保 つ。 術 野 外 にメモリーカード<br />

ポータブルレコーダーとディスプレイモニターを 設 置 する。 清 潔 操 作<br />

下 にカメラヘッドの 位 置 を 術 者 および 第 一 助 手 の 肩 よりやや 高 い 位 置<br />

で 固 定 し 撮 影 することで 術 者 および 第 一 助 手 と 同 等 の 視 野 で 録 画 が 可<br />

能 となる。また,Unitracは 手 術 室 に 供 給 されている 窒 素 ガスを 駆 動<br />

源 として 手 元 ボタンによりアームを 自 由 に 可 動 し 固 定 することが 可 能<br />

な 製 品 であるため, 術 中 にカメラヘッドの 位 置 を 微 調 整 できるためよ<br />

り 詳 細 な 撮 影 が 可 能 となる。 実 際 の 術 中 ビデオ 撮 影 の 様 子 を 供 覧 する。<br />

【 結 論 】 当 院 における 工 夫 により, 術 者 の 手 術 手 技 の 妨 げになること<br />

なく,より 詳 細 な 手 術 ビデオ 撮 影 が 可 能 になった。<br />

MVW12-2<br />

体 尾 部 膵 癌 に 対 するRadicalantegradedistal<br />

pancreatectomy<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 皆 川 昌 広 , 黒 崎 功 , 高 野 可 赴 , 滝 沢 一 泰 , 森 本 悠 太 ,<br />

仲 野 哲 矢<br />

【 背 景 】 膵 癌 に 対 する 膵 体 尾 部 切 除 は 従 来 、 尾 側 膵 脾 を 脱 転 して 行 わ<br />

れることが 多 かった.しかしながら 脈 管 や 周 辺 他 臓 器 に 浸 潤 する 進 行<br />

癌 や 随 伴 性 膵 炎 の 強 い 例 では 尾 側 膵 の 可 動 性 は 乏 しく, 必 ずしも 脱 転<br />

操 作 は 容 易 ではない.Radical…antegrade…distal…pancreatectomyでは,<br />

腹 腔 動 脈 (CA)や 上 腸 間 膜 動 脈 (SMA)に 最 初 にアプローチすることに<br />

より, 脱 転 操 作 を 回 避 し, 手 術 の 根 治 性 も 手 術 の 早 い 段 階 で 推 定 する<br />

ことができる. 我 々のグループでは 過 去 10 年 間 に18 例 の 膵 体 尾 部 癌 に<br />

対 してRADPを 行 ってきた. 本 報 告 にて、その 手 技 をビデオにて 供 覧<br />

する。【 手 技 】まず 後 腹 膜 を 切 開 してNo16 番 リンパ 節 採 取 後 ,SMA<br />

起 始 部 を 求 め,その 左 壁 から 前 壁 にかけて 神 経 叢 を 含 めて 郭 清 を 行 う.<br />

続 いて 膵 上 縁 にて 総 肝 動 脈 から 脾 動 脈 分 岐 を 確 認 し, 膵 下 縁 では 上 腸<br />

間 膜 静 脈 腹 側 を 郭 清 して 膵 にテーピングを 行 う. 腫 瘍 から3cmの 距 離<br />

を 膵 切 離 の 目 安 にしているが 膵 頭 部 に 近 い 場 合 には 胃 十 二 指 腸 動 脈 を<br />

遊 離 して 胆 管 の 左 側 で 切 離 している. 膵 切 離 後 は 脾 動 脈 , 脾 静 脈 の 順<br />

に 切 離 してNo.12p2,…8pおよびPhIIを 郭 清 .さらにSMA,CA 起 始 部 の<br />

郭 清 に 連 続 して 左 腹 腔 神 経 節 切 除 から 膵 尾 部 切 除 に 至 る.【 提 示 症 例 】<br />

提 示 する 症 例 は76 歳 男 性 で, 直 腸 癌 術 後 経 過 観 察 中 に 発 見 された 体 部<br />

膵 癌 . 肝 潅 流 化 学 療 法 (5FU 肝 動 注 ・ 門 注 )のためのcannulationを 行 っ<br />

た. 手 術 時 間 8 時 間 27 分 、 出 血 量 390mlであった。【 結 果 】18 例 中 2 例<br />

に 門 脈 合 併 切 除 ,1 例 に 腹 腔 動 脈 切 除 を 併 施 した.18 例 中 16 例 が 術 後<br />

gemcitabineを 中 心 とした 補 助 化 学 療 法 を 受 けている.…18 例 の2,4 年 生<br />

存 率 は63(n=7),45%(4)で, 生 存 期 間 は41ヶ 月 ( 中 央 値 )であった. 残 膵<br />

周 囲 に 再 発 を 認 めたのは2 例 であった.【まとめ】Resectabilityの 重 要<br />

なポイントであるCA,SMA 郭 清 を 先 行 するRADPは 手 技 的 に 有 用 であ<br />

り, 治 療 成 績 も 妥 当 であると 思 われた.<br />

MVW12-3<br />

HyperEyeMedicalSyste(HEMS)を 使 用 した 肝<br />

腫 瘍 性 病 変 の 局 在 診 断 の 有 用 性 についての 検 討<br />

1<br />

国 際 医 療 福 祉 大 学 三 田 病 院 外 科 ・ 消 化 器 センター、 2 国 際 医 療<br />

福 祉 大 学 三 田 病 院 がん 治 療 研 究 センター<br />

○… 小 島 正 之 1<br />

, 首 村 智 久 1<br />

, 杉 浦 芳 章 1<br />

, 別 宮 好 文 1<br />

,<br />

2<br />

北 島 政 樹<br />

【 背 景 】Indocyanine…green(ICG)を 静 注 し、ICGの 蛍 光 を 画 像 化 する<br />

ことで、 術 中 肝 腫 瘍 ・ 胆 汁 の 同 定 を 行 うことが 可 能 であることが 昨 今<br />

話 題 となっている。 今 回 、 近 赤 外 蛍 光 カラーシステム(HyperEye…<br />

Medical…Syste 以 下 HEMS)を 使 用 し 肝 腫 瘍 の 局 在 について 検 討 した。<br />

【 対 象 】2011 年 3 月 より2011 年 11 月 まで 当 院 で 施 行 した 肝 切 除 12 例 23<br />

結 節 に 対 して 検 討 した。 対 象 症 例 の 平 均 年 齢 70±9 歳 、 男 性 9 例 ・ 女 性<br />

3 例 、 病 変 の 術 後 診 断 はHCCが4 例 8 結 節 、CCCが1 例 1 結 節 、 転 移 性 肝<br />

癌 が7 例 ( 大 腸 癌 6 例 、 直 腸 癌 1 例 )14 結 節 であった。【 方 法 】 肝 腫 瘍 性 病<br />

変 に 対 してICG15 試 験 として 手 術 4-7 日 前 にICGを0.5mg/kg 静 脈 注 射<br />

し、 開 腹 後 HEMSを 用 いて 手 術 室 内 を 消 灯 することなく 術 野 で 蛍 光 を<br />

確 認 し、 腫 瘍 を 観 察 した。【 結 果 】 肝 表 面 から10mmまでの 肝 腫 瘍 は<br />

分 布 ・ 蛍 光 の 強 度 の 違 いは 認 めるものの、すべて 描 出 可 能 であった。<br />

特 に、HCC 症 例 の1 例 において 術 前 画 像 では 同 定 困 難 であった3mm 大<br />

の 肝 表 面 の 腫 瘍 が 認 識 可 能 であった。しかし、 肝 表 面 から10mmを 越<br />

す 肝 実 質 内 部 に 存 在 する 腫 瘍 の 検 出 は 困 難 であった。 蛍 光 の 形 態 とし<br />

て、HCCは 腫 瘍 内 にICGの 停 滞 と 考 えられる 全 体 型 、 転 移 性 肝 癌 は 周<br />

囲 胆 汁 うっ 滞 を 反 映 した 蛍 光 を 認 め、CCCも 腫 瘍 周 辺 の 胆 汁 うっ 滞<br />

と 思 われる 蛍 光 を 示 した。 特 に 転 移 性 肝 癌 は、 胆 汁 うっ 滞 の 程 度 によ<br />

り、 腫 瘍 範 囲 以 上 に 蛍 光 を 認 める 傾 向 があった。【 結 語 】HEMSは 肝<br />

腫 瘍 性 病 変 の 手 術 における 腫 瘍 の 局 在 診 断 において、リアルタイムに<br />

使 用 可 能 で 有 用 な 診 断 方 法 の 一 つであると 思 われた。しかし、 未 だ 質<br />

的 診 断 や 肝 表 面 より10mmを 越 す 肝 実 質 内 部 の 腫 瘍 の 描 出 、 癒 着 等 に<br />

伴 う 非 腫 瘍 部 の 胆 汁 うっ 滞 の 蛍 光 等 、HEMS 単 一 の 診 断 器 具 としては<br />

確 立 に 至 っていない。このため、 今 後 のさらなる 症 例 の 蓄 積 や 他 の 診<br />

断 器 具 との 併 用 による 検 討 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

MVW12-4<br />

右 心 房 内 腫 瘍 栓 を 有 する 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 (Vv3)<br />

に 対 する 人 工 心 肺 を 用 いた 肝 切 除 術<br />

1<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 、 2 大 阪 市 立 総 合 医 療 セ<br />

ンター 消 化 器 外 科<br />

○… 高 台 真 太 郎 1<br />

, 金 沢 景 繁 1<br />

, 清 水 貞 利 1<br />

, 山 添 定 明 2<br />

,<br />

森 本 純 也 2<br />

, 大 平 豪 2<br />

, 中 島 隆 善 2<br />

, 石 川 彰 2<br />

, 森 至 弘 2<br />

,<br />

池 谷 哲 郎 2<br />

, 小 松 久 晃 2 1<br />

, 塚 本 忠 司<br />

【はじめに】 肝 細 胞 癌 の 右 心 房 内 腫 瘍 進 展 例 は 従 来 , 腫 瘍 栓 による 肺<br />

塞 栓 や 心 不 全 による 突 然 死 を 回 避 するため 腫 瘍 栓 摘 除 術 が 行 われるが、<br />

その 予 後 は 不 良 である。 予 後 の 改 善 には 集 学 的 治 療 が 必 要 で、その 治<br />

療 手 段 として 原 発 巣 を 含 めた 腫 瘍 栓 切 除 が 行 われる。 一 方 、 人 工 心 肺<br />

を 用 いた 開 心 術 において、 肝 硬 変 合 併 は 術 後 合 併 症 発 現 のリスクとな<br />

る。 今 回 、 右 心 房 まで 腫 瘍 栓 が 進 展 した 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 に 対 し、<br />

右 房 内 腫 瘍 栓 および 肝 原 発 巣 の 同 時 切 除 を 人 工 心 肺 を 用 いた 心 拍 動 下<br />

に 行 った1 例 を 経 験 した。【 症 例 】65… 歳 の 男 性 。CTにて 肝 S8に 肝 細 胞<br />

癌 再 発 および 中 肝 静 脈 から 右 房 内 に 至 る 腫 瘍 栓 が 認 められた。 腫 瘍 は<br />

右 房 内 では 乳 頭 状 に 発 育 しており、 先 進 部 を 下 大 静 脈 内 に 引 き 抜 くこ<br />

とは 困 難 と 判 断 した。 肝 門 部 処 理 後 に 肝 実 質 を 切 離 し, 摘 出 肝 が 中 肝<br />

静 脈 のみとでIVCと 連 続 した 状 態 で、 人 工 心 肺 を 稼 動 させた。SVCか<br />

らの 血 流 をコントロールすることで 右 房 内 への 静 脈 還 流 を 減 少 させ、<br />

心 拍 動 下 に 右 房 を 右 心 耳 近 傍 からIVC、 中 肝 静 脈 合 流 部 にかけて 切 開<br />

した。 中 肝 静 脈 のIVC 合 流 部 は 十 分 に 辺 縁 を 確 保 して 切 除 し、 腫 瘍 栓<br />

および 腫 瘍 を 一 塊 として 摘 出 した。 中 肝 静 脈 合 流 部 のIVC 壁 欠 損 孔 は<br />

自 己 心 膜 パッチにて 閉 鎖 した。 術 11 病 日 に 心 タンポナーデに 対 する 心<br />

嚢 ドレナージ、 術 33 日 目 に 縦 隔 炎 に 対 する 胸 骨 debridmentを 行 った。<br />

縦 隔 炎 および 創 感 染 にて 経 過 は 長 くなるも 術 151… 病 日 に 軽 快 転 院 した.<br />

経 過 中 のCTでは 残 肝 再 発 や 肺 転 移 は 認 めていない。【まとめ】 右 房 腫<br />

瘍 栓 を 伴 った 硬 変 合 併 肝 癌 において、 人 工 心 肺 を 用 いた 開 心 術 を 心 拍<br />

動 下 に 行 うことで 安 全 に 行 いえた。<br />

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-301-


MVW12-5<br />

局 所 進 行 肝 内 胆 管 癌 に 対 してR0をめざした 下 大 静<br />

脈 合 併 切 除 グラフト 再 建<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 I<br />

○… 横 尾 英 樹 , 神 山 俊 哉 , 中 西 一 彰 , 柿 坂 達 彦 , 敦 賀 陽 介 ,<br />

蒲 池 浩 文 , 武 冨 紹 信<br />

【 背 景 】 肝 内 胆 管 癌 のリンパ 節 転 移 率 は40~50%であり 予 後 不 良 であ<br />

る。また、 腫 瘍 遺 残 が 予 後 不 良 因 子 としてあげられる。 当 科 ではリン<br />

パ 流 の 流 れを 考 慮 した 積 極 的 なリンパ 節 郭 清 ( 右 葉 型 ではNo.7,8a,…12,…<br />

13+16…b1、 左 葉 型 ではさらにNo.…1,…3,…5を 付 加 )と 肉 眼 的 に 可 能 な 限 り<br />

腫 瘍 遺 残 のない 手 術 を 施 行 している。【 目 的 】 当 科 での 局 所 進 行 肝 内<br />

胆 管 癌 に 対 して 下 大 静 脈 合 併 切 除 、グラフト 再 建 を 行 った 症 例 の 治 療<br />

成 績 を 明 らかにし、その 手 術 手 技 を 供 覧 する。【 症 例 】1984 年 4 月 から<br />

2010 年 12 月 までの 当 科 での 肝 内 胆 管 癌 切 除 例 69 例 中 、3 例 に 対 して 下<br />

大 静 脈 合 併 切 除 グラフト 再 建 を 行 った。1)67 歳 、 男 性 。 肺 結 核 を 合 併<br />

していたが 治 療 により 喀 痰 PCR(-)の 状 態 で 入 院 。 内 側 区 から 尾 状 葉<br />

をしめる 最 大 9.5cm 大 の 下 大 静 脈 浸 潤 を 伴 う 腫 瘤 形 成 型 の 胆 管 細 胞 癌<br />

に 対 して 拡 大 左 葉 切 除 、 下 大 静 脈 合 併 切 除 、 人 工 血 管 再 建 、リンパ 節<br />

郭 清 を 行 った。 病 理 診 断 ではb2であったものの 断 端 陰 性 、リンパ 節<br />

転 移 はなくT4N0M0,…Stage…IVAであった。その 後 残 肝 再 発 をきたし<br />

たが1 年 3ヶ 月 の 生 存 期 間 を 得 た。2)56 歳 、 女 性 。 肝 右 葉 全 体 をしめる<br />

最 大 11cm 大 の 下 大 静 脈 浸 潤 を 伴 う 腫 瘤 形 成 型 の 胆 管 細 胞 癌 に 対 し、<br />

肝 右 3 区 域 切 除 、 下 大 静 脈 合 併 切 除 グラフト 再 建 、 肝 外 胆 管 切 除 、リ<br />

ンパ 節 郭 清 を 施 行 した。 病 理 診 断 はvp2,…vv2,…va2,…b1であったが 断 端<br />

陰 性 、リンパ 節 転 移 もなくT3N0M0,…Stage…IIIであった。 術 後 補 助 化<br />

学 療 法 としてPMC 療 法 を2 年 間 行 い、6 年 6ヶ 月 の 無 再 発 期 間 を 得 たが<br />

腹 膜 再 発 をきたし、 術 後 7 年 目 に 死 亡 した。3)62 歳 、 男 性 。 尾 状 葉 に<br />

5cm 大 の 下 大 静 脈 浸 潤 を 伴 う 腫 瘤 形 成 型 の 胆 管 細 胞 癌 に 対 し 尾 状 葉 切<br />

除 、 下 大 静 脈 合 併 切 除 グラフト 再 建 、リンパ 節 郭 清 を 施 行 した。 病 理<br />

診 断 はvp1、 断 端 陰 性 、リンパ 節 転 移 陰 性 でT3N0M0,…Stage…IIIであっ<br />

た。 術 後 補 助 化 学 療 法 としてGEMを 投 与 。 術 後 4ヶ 月 目 に 残 肝 再 発 を<br />

きたしたがRFA 治 療 にてコントロール。 再 発 治 療 を 繰 り 返 すも 術 後 3<br />

年 生 存 中 である。【 結 語 】 血 管 侵 襲 を 伴 うような 局 所 進 行 例 でも 多 発<br />

例 でなければR0をめざす 手 術 を 目 指 すことにより 良 好 な 予 後 が 期 待<br />

できる。<br />

MVW12-6<br />

腹 腔 鏡 下 ラジオ 波 焼 灼 術 におけるNonTrocar<br />

Techniqueの 有 用 性<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 土 田 忍 , 福 本 巧 , 味 木 徹 夫 , 楠 信 也 , 松 本 逸 平 ,<br />

木 戸 正 浩 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 , 上 野 公 彦 , 高 橋 応 典 ,<br />

浅 利 貞 毅 , 田 中 基 文 , 沢 秀 博 , 後 藤 直 大 , 蔵 満 薫 ,<br />

田 中 正 樹 , 福 島 健 司 , 浦 出 剛 史 , 具 英 成<br />

【 目 的 】 経 皮 的 ラジオ 波 焼 灼 治 療 が 困 難 な 小 肝 細 胞 癌 に 対 する 腹 腔 鏡<br />

下 アプローチは、 開 腹 手 術 と 比 較 し 手 術 侵 襲 が 少 なく 整 容 性 にも 優 れ<br />

ている。しかしTrocarにエコープローベを 挿 入 すると 穿 刺 用 孔 や 溝<br />

を 利 用 した 穿 刺 が 困 難 となる。われわれは 簡 便 かつ 安 全 にニードルを<br />

刺 入 する 方 法 を 考 案 したので 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】2011 年 3 月 より<br />

経 皮 的 アプローチ 適 応 外 の3cm 以 下 の 肝 腫 瘍 を 対 象 とし、7 例 7 個 の 肝<br />

腫 瘍 に 対 し 腹 腔 鏡 下 ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した。 症 例 は 男 性 4 例 、 女<br />

性 3 例 で 全 例 原 発 性 肝 細 胞 癌 であった。 年 齢 は32 才 ~83 才 …( 平 均 67.9<br />

才 )、 腫 瘍 最 大 径 は1.2cm~4.5cm( 平 均 2.1cm)、 局 在 はS2からS8であっ<br />

た。USにはTOSHIBA 社 Nemioの 鏡 視 下 手 術 用 プローベPVM-787LA、<br />

ラジオ 波 には 単 極 型 Cool-tipを 使 用 した。 当 初 の5 例 までは 通 常 通 り 径<br />

15mmのOLYMPUS 社 製 Trocarを 通 してプローベを 挿 入 し 手 技 を 遂 行<br />

した(Trocar 群 )。2011 年 9 月 からの2 例 はまず 径 12mmのTrocarを 挿 入<br />

し、 抜 去 した 腹 壁 の 小 孔 より 直 接 エコープローベを 挿 入 し 穿 刺 を 行 っ<br />

た( 非 Trocar 群 )。【 結 果 と 成 績 】 非 Trocar 群 においても 気 腹 用 炭 酸 ガ<br />

スの 漏 出 はなく、 良 好 な 視 野 が 得 られた。またプローベ 操 作 に 支 障 は<br />

なかった。Trocar 群 では 穿 刺 溝 が 鏡 視 下 モニタ- 上 に 視 認 可 能 な 範<br />

囲 内 でのUS 操 作 となるため、 描 出 が 比 較 的 困 難 で1 例 開 腹 移 行 を 要 し<br />

た。 穿 刺 に 関 してはTrocar 群 がニードルをTrocar 外 の 穿 刺 ルートか<br />

ら 腹 腔 内 エコープローベの 溝 に 誘 導 する 必 要 があり 技 術 的 難 易 度 が 高<br />

かったのに 比 べ、 非 Trocar 群 では 創 外 から 針 を 直 接 プローベの 穿 刺<br />

溝 に 沿 わせることが 可 能 で 手 技 的 に 極 めて 簡 便 で 安 全 であった。 手 術<br />

時 間 はTrocar 群 が 平 均 200.6 分 であったのに 対 し 非 Trocar 群 では160.0<br />

分 であった。【 結 語 】 腹 腔 鏡 下 ラジオ 波 焼 灼 術 におけるTrocarを 使 用<br />

しない 穿 刺 法 (Non…Trocar…Technique)は 簡 便 かつ 安 全 で 有 用 な 方 法<br />

と 考 えられた。<br />

MVW13-1<br />

胆 嚢 管 合 流 異 常 を 伴 う 胆 石 症 に 対 する 安 全 な 腹 腔<br />

鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

市 立 四 日 市 病 院 外 科<br />

○… 鹿 野 敏 雄 , 倉 田 信 彦 , 筒 山 将 之 , 梅 田 晋 一 , 鎗 田 哲 暢 ,<br />

服 部 圭 祐 , 木 下 敬 史 , 蜂 須 賀 丈 博 , 森 敏 宏 , 篠 原 正 彦 ,<br />

宮 内 正 之<br />

【 緒 言 】 胆 嚢 管 を 含 めた 胆 道 系 には 解 剖 学 的 変 異 も 多 く、その 手 術 に<br />

際 しては 細 心 の 注 意 を 要 する。 低 侵 襲 手 術 である 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

においても、ひとたび 胆 道 損 傷 を 来 すと 長 期 の 入 院 や 再 手 術 を 要 する<br />

ことも 稀 ではなく、 胆 道 損 傷 を 未 然 に 回 避 するためにも 事 前 に 胆 嚢 管<br />

合 流 形 態 を 十 分 に 把 握 し 手 術 に 望 むことが 肝 要 である。 今 回 、 術 前<br />

DIC-CTで 胆 嚢 管 合 流 異 常 と 診 断 された 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 症 例 につ<br />

いて 検 討 した。【 対 象 】2009 年 4 月 から2011 年 9 月 までの30ヶ 月 間 に 施<br />

行 した 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 および 腹 腔 鏡 下 胆 管 切 開 結 石 摘 出 術 312 例<br />

中 、 胆 嚢 管 合 流 異 常 を 認 めた10 例 を 対 象 とした。【 結 果 】 重 度 の 炎 症<br />

や 癒 着 を 伴 う 症 例 はなかった。 胆 嚢 管 合 流 異 常 形 態 としては 右 肝 管 か<br />

ら3 例 、 後 区 域 枝 分 岐 前 の 肝 管 から3 例 、 前 区 域 枝 から1 例 、 後 区 域 枝<br />

から2 例 、B5から1 例 、 胆 嚢 管 が 合 流 していた。 全 例 、 術 前 のENBD<br />

留 置 などを 行 うことなく 定 型 的 に 術 中 胆 道 造 影 を 施 行 しつつ 腹 腔 鏡 下<br />

胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 平 均 手 術 時 間 106 分 、 胆 嚢 管 損 傷 や 胆 汁 漏 、<br />

腹 腔 内 膿 瘍 などを 併 発 した 症 例 は 認 めず、 全 例 クリニカルパス 通 り 術<br />

後 第 3 病 日 に 退 院 となった。【 結 語 】 胆 嚢 管 合 流 異 常 症 例 に 対 しては 胆<br />

管 の 走 行 を 十 分 に 確 認 しつつ、 頸 部 から 胆 嚢 管 にかけての 剥 離 操 作 を<br />

慎 重 に 行 うことが 肝 要 と 考 えられた。 胆 嚢 頸 部 から 胆 嚢 管 移 行 部 を 十<br />

分 に 露 出 することで 通 常 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 が 可 能 であった。 当 科<br />

での 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 術 中 胆 道 造 影 を 行 うことを 基 本 術 式 として<br />

おり、 術 中 胆 道 損 傷 が 懸 念 される 胆 嚢 管 合 流 異 常 症 例 でも 安 心 して 手<br />

術 を 終 了 できる。 実 際 の 手 技 を 供 覧 する。<br />

MVW13-2<br />

当 院 における 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 炎 手 術 の 治 療 成 績<br />

市 立 池 田 病 院 外 科<br />

○… 森 本 修 邦 , 柴 田 邦 隆<br />

【はじめに】 急 性 胆 嚢 炎 の 診 療 ガイドラインでは 発 症 後 72 時 間 以 内 の<br />

腹 腔 鏡 手 術 が 推 奨 されているが、 臨 床 の 現 場 では、 外 科 医 の 人 数 、 術<br />

者 の 技 量 、 麻 酔 科 医 の 問 題 などを 含 め、まだまだ 緊 急 腹 腔 鏡 手 術 にお<br />

いては 解 決 しなければいけない 問 題 が 山 積 みされている。 当 院 におい<br />

ても 急 性 胆 嚢 炎 症 例 は、できる 限 り 腹 腔 鏡 手 術 を 施 行 してきたが、 重<br />

症 例 や 開 腹 の 既 往 のある 症 例 に 関 しては、 開 腹 手 術 を 余 儀 なくされて<br />

いた。しかし、 麻 酔 科 医 の 協 力 、 外 科 医 スタッフの 充 実 、スキルアッ<br />

プに 伴 い、 最 近 では 休 日 、 時 間 外 にも、 緊 急 腹 腔 鏡 手 術 を 導 入 してき<br />

たので、その 治 療 成 績 について 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】2005 年 1 月 よ<br />

り2010 年 10 月 まで 当 院 にて 急 性 胆 嚢 炎 にて 手 術 を 施 行 し、 病 理 診 断 に<br />

て 確 定 した89 例 を 対 象 とし、 開 腹 症 例 と 腹 腔 鏡 症 例 の 臨 床 的 因 子 につ<br />

いて 比 較 検 討 した。【 結 果 】 年 齢 は27 歳 から91 歳 ( 平 均 65 歳 )、 男 女 比<br />

は57:32。 開 腹 の 既 往 は 開 腹 6 例 (38%)、 腹 腔 鏡 19 例 (26%)。 胆 石 発<br />

作 から 手 術 までの 時 間 として72 時 間 以 内 が 開 腹 5 例 (31%)、 腹 腔 鏡 38<br />

例 (52%)。 最 初 から 開 腹 でアプローチしたのは16 例 (18%)、 腹 腔 鏡 は<br />

73 例 (82%)。そのうち 開 腹 手 術 に 移 行 したのは12 例 (16.4%)であった。<br />

開 腹 移 行 例 は 発 症 から72 時 間 以 上 経 過 した 症 例 が8 例 (67%)と 腹 腔 鏡<br />

で 完 遂 できた 症 例 27 例 (44%)に 比 べ、 多 かったが 統 計 学 的 な 有 意 差 は<br />

認 めなかった(p=0.2106)。 平 均 手 術 時 間 は 開 腹 137.5 分 、 腹 腔 鏡 134.3 分 。<br />

平 均 出 血 量 は 開 腹 171g、 腹 腔 鏡 40gと 有 意 に 腹 腔 鏡 が 少 なかった<br />

(p=0.003)。 術 後 合 併 症 は、 開 腹 6 例 (21%)、 腹 腔 鏡 3 例 (4.9%)で 有 意<br />

に 腹 腔 鏡 手 術 が 少 なかった(p=0.025)。また 両 群 において 胆 管 損 傷 は1<br />

例 も 認 めなかった。 平 均 術 後 入 院 期 間 は 開 腹 18 日 、 腹 腔 鏡 8 日 と 有 意<br />

に 腹 腔 鏡 が 短 かった(p


MVW13-3<br />

当 院 における 急 性 胆 嚢 炎 手 術 の 現 状 と 課 題<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 金 沢 医 療 センター 外 科 、 2 同 臨 床 検 査 科<br />

○… 大 西 一 朗 1<br />

, 萱 原 正 都 1<br />

, 森 田 晃 彦 1<br />

, 松 村 昭 宏 1<br />

,<br />

黒 阪 慶 幸 1<br />

, 竹 川 茂 1<br />

, 笠 島 里 美 2 2<br />

, 川 島 篤 弘<br />

【はじめに】 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎 診 療 ガイドラインでは、 急 性 胆 嚢 炎<br />

に 対 する 早 期 手 術 が 推 奨 されている。 今 回 、 当 院 の 胆 嚢 炎 手 術 ビデオ<br />

を 供 覧 し、 短 期 成 績 とこれからの 課 題 について 検 討 し 報 告 する。【 対 象 】<br />

2010 年 10 月 から2011 年 8 月 までの74 症 例 。 重 症 度 は 軽 症 57 例 (77%)、<br />

中 等 症 14 例 (19%)、 重 症 3 例 (4%)で、40 例 (54%)が 心 ・ 脳 血 管 系 の 基<br />

礎 疾 患 を 有 しており、16 例 (21.6%)に 抗 凝 固 療 法 が 施 行 されていた。<br />

【 手 術 手 技 】 臍 部 縦 切 開 ・ 開 腹 法 にてトロッカー 挿 入 。4トロッカー(12,…<br />

5,…5,…3.5mm)で 手 術 を 開 始 。 大 網 等 の 癒 着 は 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 やフッ<br />

ク 型 電 気 メスを 用 いて 丁 寧 に 剥 離 、 胆 嚢 底 部 を 露 出 する。 胆 嚢 が 緊 満<br />

し、 底 部 の 把 持 が 困 難 な 場 合 は 同 部 位 を 切 開 し 内 容 を 吸 引 、スペース<br />

を 確 保 して 胆 嚢 頚 部 から 胆 嚢 管 方 向 に 剥 離 を 進 める。 全 例 に 胆 道 造 影<br />

を 行 い、 遺 残 結 石 や 胆 道 損 傷 の 無 いことを 確 認 。 胆 嚢 管 はクリップま<br />

たは 体 外 結 紮 にて 閉 鎖 するが、 遺 残 結 石 や 乳 頭 機 能 異 常 が 疑 わしい 場<br />

合 はアトムチューブを 胆 嚢 管 に 留 置 、 対 外 に 誘 導 し 外 瘻 としている。<br />

頚 部 の 剥 離 が 終 わり 肝 門 部 から 離 れたら、 任 意 の 方 向 から 胆 嚢 床 の 剥<br />

離 を 行 い、 胆 嚢 を 摘 出 する。 生 食 にて 腹 腔 内 を 洗 浄 後 、 右 外 側 のポー<br />

ト 刺 入 部 よりペンローズドレーンを 留 置 し、 閉 腹 ・ 閉 創 する。【 手 術<br />

成 績 】67 例 (90%)に 腹 腔 鏡 手 術 が 施 行 されており、 手 術 時 間 は 平 均<br />

132 分 で、 発 症 から 手 術 までの 期 間 は 平 均 47.4 日 と 長 かった。ドレー<br />

ン 挿 入 率 は48.6%と 高 かったが、 留 置 期 間 は 平 均 3.5 日 と 短 く、 外 科 入<br />

院 期 間 は 平 均 15 日 間 であった。 合 併 症 は 胆 管 損 傷 1 例 (1.4%)、 胆 汁 漏<br />

出 2 例 (2.7%)、 遺 残 結 石 1 例 (1.4%)、 胆 嚢 がん1 例 (1.4%)で、 重 篤 な<br />

ものは 認 められなかった。【まとめ】 当 院 ではガイドラインの 導 入 に<br />

より、 急 性 胆 嚢 炎 診 療 において 腹 腔 鏡 手 術 の 割 合 が 高 く、 術 後 経 過 は<br />

良 好 であった。わずかながら 合 併 症 が 認 めらたが、いずれも 軽 快 し、<br />

重 篤 なものは 認 められなかった。しかしながら 外 科 紹 介 までの 時 間 と<br />

手 術 待 ちの 時 間 長 く、ゴールデンタイムを 逸 している 可 能 性 があるた<br />

め、 内 科 医 との 連 携 強 化 ・ 緊 急 手 術 枠 の 確 保 が 急 務 である。<br />

MVW13-4<br />

当 科 における 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘<br />

出 術<br />

1<br />

市 立 豊 中 病 院 外 科 、 2 大 阪 労 災 病 院 外 科<br />

○… 野 田 剛 広 1<br />

, 堂 野 恵 三 1<br />

, 清 水 潤 三 2<br />

, 大 島 一 輝 1<br />

,<br />

永 井 健 一 1<br />

, 三 宅 正 和 1<br />

, 畑 泰 司 1<br />

, 川 西 賢 秀 1<br />

, 森 田 俊 治 1<br />

,<br />

藤 田 淳 也 1<br />

, 岩 澤 卓 1<br />

, 赤 木 謙 三 1 1<br />

, 北 田 昌 之<br />

【はじめに】2005 年 に 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎 診 療 ガイドラインが 発 行 さ<br />

れて 以 降 、 急 性 胆 嚢 炎 に 対 しては 早 期 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 が 推 奨 さ<br />

れている。 当 科 では2005 年 より2010 年 まで144 例 の 急 性 胆 嚢 炎 に 対 し<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 してきた。 当 院 における 緊 急 手 術 の 適 応 は、<br />

全 身 状 態 の 良 好 な 総 胆 管 結 石 の 合 併 のない 急 性 胆 嚢 炎 としている。 急<br />

性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 手 術 手 技 を 下 記 症 例 にて 供 覧<br />

する。【 症 例 】70 歳 、 男 性 。2011 年 11 月 に 上 腹 部 痛 自 覚 し、 翌 日 当 院<br />

内 科 受 診 となる。 既 往 歴 : 肥 大 型 心 筋 症 、 糖 尿 病 。 血 液 検 査 結 果 :<br />

WBC… 12400/ul,… T-Bill… 2.43mg/dl,… D-Bill… 0.23mg/dl,… AMY… 58IU/L,…<br />

CRP…0.95…mg/dl。 腹 部 CTにて、 胆 嚢 管 に 石 灰 化 結 石 を 認 めた。 胆 嚢<br />

は 腫 大 し 全 周 性 に 壁 肥 厚 を 認 め、 周 囲 の 脂 肪 濃 度 も 上 昇 していた。 総<br />

胆 管 内 に 明 らかな 結 石 は 認 めなかった。 中 等 症 の 急 性 胆 嚢 炎 と 診 断 し、<br />

同 日 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 良 好 にて、 術 後 4 日 目<br />

に 退 院 となった。【 手 術 手 技 の 要 点 】 急 性 期 では、 周 囲 組 織 との 癒 着<br />

は 比 較 的 容 易 に 剥 離 可 能 である。 胆 嚢 は 緊 満 し 把 持 困 難 であることが<br />

多 いため、 胆 嚢 内 容 を 吸 引 することにより、 把 持 が 可 能 となる。 急 性<br />

胆 嚢 炎 手 術 は 炎 症 のため 出 血 しやすい 手 術 であるが、 超 音 波 凝 固 切 開<br />

装 置 (LCS)を 用 いることにより、 剥 離 時 の 出 血 が 抑 えられる。 胆 嚢 頚<br />

部 を 肝 床 部 より 剥 離 することにより、Clitical…Viewを 確 認 し、 胆 管 の<br />

誤 認 がないことを 確 認 する。 胆 嚢 壁 や 胆 嚢 管 は 浮 腫 状 に 肥 厚 している<br />

ため、 少 しずつ 剥 離 を 進 める。 胆 嚢 管 は 合 成 吸 収 糸 で、 体 内 結 紮 法 に<br />

て 結 紮 する。【 結 果 】144 例 の 内 訳 は、 軽 症 41 例 、 中 等 症 62 例 、 重 症 41<br />

例 であった。 開 腹 移 行 は4 例 (2.7%)に 認 め、 平 均 手 術 時 間 は73 分 (33~<br />

147 分 )であった。 術 後 合 併 症 は、10 例 (6.9%)に 認 め、 創 感 染 4 例 、 腹<br />

腔 内 膿 瘍 2 例 等 であった。 術 後 在 院 日 数 は5.5 日 であった。【 結 語 】 急<br />

性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は、 適 切 な 症 例 選 択 と 手 術 手 技<br />

の 工 夫 により 安 全 に 施 行 可 能 な 術 式 と 考 えられた。<br />

MVW13-5<br />

急 性 胆 嚢 炎 に 対 する、 早 期 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 有<br />

用 性<br />

信 州 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 福 島 健 太 郎 , 横 山 隆 秀 , 代 田 智 樹 , 北 川 敬 之 , 北 原 弘 恵 ,<br />

古 澤 徳 彦 , 窪 田 晃 治 , 本 山 博 章 , 清 水 明 , 中 田 岳 成 ,<br />

小 林 聡 , 宮 川 眞 一<br />

【 背 景 】 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎 診 療 ガイドラインにおいては、 急 性 胆 嚢<br />

炎 治 療 に 際 し、 炎 症 に 続 発 する 癒 着 が 手 術 難 易 度 を 上 昇 せしめるとい<br />

う 見 地 より、 発 症 から72 時 間 以 内 の 早 期 手 術 を 推 奨 している。 今 回 、<br />

急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 早 期 腹 腔 鏡 下 手 術 の 有 用 性 について 検 討 を 行 った。<br />

【 方 法 】2007 年 4 月 から2011 年 12 月 に 施 行 した 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹<br />

腔 鏡 下 手 術 症 例 例 を, 発 症 から72 時 間 を 境 に 急 性 期 手 術 群 …(n=19)…<br />

と 亜 急 性 期 手 術 群 …(n=5)… に 分 類 した。これら 症 例 群 の 手 術 成 績 ( 手<br />

術 時 間 ・ 出 血 量 ・ 合 併 症 発 生 率 )を、 同 期 間 に 施 行 した 通 常 の 腹 腔 鏡<br />

下 胆 嚢 摘 出 術 施 行 例 69 例 を 対 照 群 として 設 定 し、3 群 を 比 較 検 討 した。<br />

【 結 果 】 手 術 時 間 は 対 照 群 でMedian103 分 …(Range;60-264 分 )、 急 性<br />

期 群 で125 分 …(75-265 分 )、 亜 急 性 期 群 で139 分 …(89-217 分 )であり、 対<br />

照 群 と 亜 急 性 期 群 間 でのみ 有 意 差 を 認 めた。 他 方 、 術 中 出 血 量 は 対 照<br />

群 でMedian;0ml…(Range;0-150ml)、 急 性 期 群 で0ml…(0-300ml)、 亜<br />

急 性 期 群 で50ml…(0-350ml)であり、3 群 間 にそれぞれ 有 意 差 を 認 めた。<br />

いずれの 群 においても、 術 後 合 併 症 の 発 生 は 認 められなかった。<br />

【 結 語 】 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 手 術 は、 急 性 期 ・ 亜 急 性 期 いず<br />

れにおいても 安 全 に 施 行 しうると 考 えられたが、 発 症 からの 経 過 時 間<br />

により 手 術 時 間 の 延 長 、 出 血 量 の 増 加 が 認 められ、その 手 術 難 易 度 は<br />

発 症 からの 時 間 経 過 とともに 上 昇 する 可 能 性 が 示 唆 された。 急 性 期 、<br />

亜 急 性 期 の 手 術 症 例 を 提 示 し、 手 技 的 留 意 点 を 考 察 する。<br />

MVW13-6<br />

急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

- 補 助 器 具 を 用 いない 当 科 の 術 式 と 手 術 成 績 -<br />

キッコーマン 総 合 病 院 外 科<br />

○… 川 口 米 栄 , 田 中 潤 一 郎 , 久 保 田 芳 郎<br />

当 科 では2010 年 1 月 より 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 導 入 し、 腹 腔<br />

鏡 手 術 を 行 う 胆 石 症 のうち、 胆 管 切 開 等 を 行 う 症 例 以 外 は 急 性 胆 嚢 炎<br />

も 含 めてすべて 単 孔 式 手 術 を 施 行 している。2011 年 12 月 までに62 例 の<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 摘 術 を 行 い、 急 性 胆 嚢 炎 合 併 例 は10 例 であった。 急<br />

性 胆 嚢 炎 症 例 の 平 均 手 術 時 間 は87.1 分 、 平 均 出 血 量 は31g、 術 後 平 均<br />

入 院 期 間 は4.1 日 であった。これに 対 して、 急 性 胆 嚢 炎 を 合 併 しない<br />

52 例 の 平 均 はそれぞれ68.9 分 、16.3g、4.1 日 であり、 統 計 的 有 意 差 は<br />

ないものの 手 術 時 間 は 長 かった。また、 急 性 胆 嚢 炎 に 対 して 単 孔 式 手<br />

術 を 開 始 する 前 の1 年 間 に 経 験 した 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 通 常 の 腹 腔 鏡<br />

下 手 術 5 例 の 平 均 はそれぞれ66.5 分 、33.3g、4.3 日 であった。なお 単 孔<br />

式 手 術 に 伴 う 合 併 症 は 経 験 していない。 単 孔 式 の 手 術 操 作 にある 程 度<br />

習 熟 すれば、 急 性 胆 嚢 炎 合 併 例 に 対 しても 安 全 に 手 術 ができると 考 え<br />

られる。 当 科 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 摘 術 の 手 技 を 概 説 する。 患 者 体 位<br />

は 開 脚 位 で 術 者 が 脚 間 に 立 ち 鉗 子 操 作 を 行 い、 助 手 は 患 者 の 左 側 に<br />

立 って 両 手 で 腹 腔 鏡 と 鉗 子 操 作 を 行 っている。 臍 部 のポートのみで 手<br />

術 を 行 い、ループリトラクター 等 の 補 助 器 具 は 用 いない「 純 粋 な 単 孔<br />

式 手 術 」である。 使 用 する 鉗 子 類 も 通 常 の 腹 腔 鏡 手 術 で 用 いる 物 が 主<br />

体 で 特 殊 な 鉗 子 は 用 いておらず、 腹 腔 鏡 も10mm 径 を 用 いている。 胆<br />

嚢 管 の 剥 離 の 際 、 胆 嚢 管 に 糸 をかけて 術 者 用 のトロッカーから 糸 を 体<br />

外 に 出 して 牽 引 する。 助 手 用 の 鉗 子 と 牽 引 糸 の2 点 で 胆 嚢 の 位 置 が 安<br />

定 し、 胆 嚢 と 肝 臓 の 間 の 視 野 が 開 くため、その 後 の 胆 嚢 床 の 剥 離 がし<br />

やすくなる。 糸 をかけた 組 織 が 確 実 に 胆 嚢 管 であることが 確 認 できて<br />

から、 糸 で 結 紮 しさらにクリップもかけて 切 離 する。 単 孔 式 手 術 では<br />

視 野 に 対 して 接 線 方 向 にクリップがかかるが、 結 紮 した 糸 を 牽 引 する<br />

ことでクリップの 先 端 の 位 置 も 確 認 しやすい。また、クリップだけで<br />

なく 結 紮 もするため、 胆 嚢 炎 で 組 織 が 肥 厚 している 場 合 でも 胆 嚢 管 が<br />

確 実 に 閉 鎖 され、 胆 汁 漏 のリスクも 低 減 される。これら 当 科 で 行 って<br />

いる 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 手 技 上 の 工 夫 についてビデオで 供 覧<br />

する。<br />

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<br />

-303-


MVW14-1<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 安 全 な 適 応 拡<br />

大 - 慢 性 胆 嚢 炎 を 中 心 に-<br />

長 野 市 民 病 院 外 科<br />

○… 林 賢 , 宗 像 康 博 , 関 仁 誌 , 高 田 学 , 沖 田 浩 一 ,<br />

田 上 創 一 , 成 本 壮 一 , 竹 本 香 織 , 村 中 太 , 松 村 美 保 ,<br />

吉 澤 一 貴<br />

【 緒 言 】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 適 応 は 初 期 から 拡 大 の 方<br />

向 にある。 適 応 拡 大 症 例 を 比 較 した。【 対 象 】 最 近 2 年 4ヶ 月 間 に 行 っ<br />

た 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 症 例 は44 例 であった。この 中 で 急 性 慢 性 胆 嚢 炎 症<br />

例 9 例 ( 上 腹 部 手 術 既 往 症 例 5 例 を 含 む)、BMI>28% 以 上 の 肥 満 症 例 4 例 、<br />

胆 嚢 腫 瘍 ( 早 期 癌 , 腺 腫 )3 例 、 肝 硬 変 、 低 肺 機 能 各 々1 例 などの 初 期 で<br />

は 適 応 外 とされていた 疾 患 が 含 まれていた。 今 回 は 従 来 の 適 応 症 例 (A<br />

群 )26 例 と 適 応 拡 大 症 例 (B 群 )の18 例 を 比 較 検 討 した。【 方 法 】 初 期 は<br />

Glove 法 、 後 期 は 主 にEZアクセスを 用 いる 機 会 が 多 かった。 初 期 には<br />

Mini-loop…retractorを 使 用 し、 可 変 式 屈 曲 鉗 子 をルーチンに 用 いてい<br />

たが、その 後 臍 部 のみの 直 の 鉗 子 4 本 法 を 主 にまたPrevending 鉗 子 を<br />

用 いた。また6 例 目 からは 胆 道 造 影 を 全 例 に 行 う 方 針 とし、 胆 嚢 腫 瘍<br />

症 例 以 外 ではルーチンとした。 上 腹 部 手 術 既 往 は5 例 であるが, 術 前<br />

癒 着 の 診 断 は 動 態 下 超 音 波 検 査 により 癒 着 マップを 作 成 し、 非 癒 着 部<br />

存 在 症 例 を 適 応 とした。また 癒 着 の 無 い 右 鎖 骨 中 線 ライン 臍 高 をポー<br />

ト 位 置 とする 右 側 アプローチにて 行 った。【 結 果 】 年 齢 はA 群 53.6 歳 に<br />

対 し、B 群 69.8 歳 と 後 者 が 高 齢 であった。Assist…Portの 追 加 はA 群 4 例<br />

(15%)に 対 し、B 群 11 例 (61%)と 多 く、 特 に 急 性 、 慢 性 胆 嚢 炎 症 例 や<br />

早 期 癌 症 例 では+1となっていた。 手 術 時 間 はA 群 85.8 分 、B 群 105.3 分<br />

と 後 者 が 長 く、 出 血 量 もA 群 10.5gに 対 しB 群 37.9gと 後 者 で 多 い 傾 向 で<br />

あった。 合 併 症 は 肥 満 症 例 の1 例 で 胆 嚢 動 脈 からの 出 血 に 対 しAssist…<br />

portを 必 要 とし、 胆 道 損 傷 症 例 は+2としてrepairおよびC-tube 挿 入<br />

を 行 った. 上 腹 部 手 術 既 往 症 例 の1 例 で 術 後 腹 腔 内 膿 瘍 を 形 成 したが<br />

ドレナージにて 軽 快 した。 入 院 日 数 はA 群 3.4 日 に 対 し、B 群 4.5 日 と 長<br />

い 傾 向 であった。【 結 語 】 適 応 拡 大 症 例 は 安 全 に 行 うための 傾 向 と 対<br />

策 が 必 要 である. 難 易 度 の 高 い 症 例 が 多 く 高 度 癒 着 症 例 では+1とな<br />

る 症 例 が 増 加 した。 手 術 時 間 、 出 血 量 なども 増 える 傾 向 があり、 慎 重<br />

に 適 応 拡 大 を 考 慮 する 必 要 がある。 慢 性 胆 嚢 炎 症 例 の 実 際 の 手 技 を 中<br />

心 に 供 覧 する。<br />

MVW14-2<br />

当 院 における 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 基 本 手<br />

技 と 定 型 化<br />

1<br />

千 葉 市 立 青 葉 病 院 外 科 、 2 千 葉 大 学 医 学 部 臓 器 制 御 外 科<br />

○… 清 水 康 仁 1<br />

, 安 藤 克 彦 1<br />

, 小 田 健 司 1<br />

, 塩 原 正 之 1<br />

,<br />

新 井 周 華 1<br />

, 土 岐 朋 子 1 1<br />

, 宮 崎 勝<br />

2009 年 6 月 より 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 手 術 を 導 入 し, 胆 嚢 摘 出 術 は92 例 を 経<br />

験 した. 今 回 , 我 々の 施 行 している 基 本 手 技 および 定 型 化 にむけた 工<br />

夫 をビデオにて 紹 介 する.【 基 本 手 技 】 腹 腔 鏡 は5mmの 軟 性 鏡 を 主 に<br />

使 用 する. 約 2.5-3.0cmの 臍 縦 切 開 を 行 い 小 開 腹 し, 専 用 ポートを 挿 入<br />

する. 必 要 に 応 じてNeedlescopic…deviceで 胆 嚢 底 部 を 挙 上 する. 片<br />

手 は 先 端 の 屈 曲 する 鉗 子 を 用 い 臓 器 の 展 開 ・ 把 持 用 とし,もう 片 方 は<br />

従 来 の 鉗 子 類 を 用 いて 臓 器 の 剥 離 ・ 切 離 等 を 行 う,いわゆる<br />

combined 法 を 基 本 テクニックとし, 胆 嚢 動 脈 はそのまま 切 離 , 胆 嚢<br />

管 は 吸 収 性 クリップにて 処 理 している. 術 中 胆 道 造 影 は 必 要 に 応 じて<br />

行 っている.【 結 果 】2009 年 6 月 から2011 年 11 月 までに92 例 ( 男 性 46 例 ,<br />

女 性 46 例 ) 経 験 した. 平 均 年 齢 58 歳 (31~82 歳 ), 平 均 手 術 時 間 127 分 (53<br />

~246 分 ). 単 孔 式 での 完 遂 率 は85.9%,ポート 追 加 は13 例 (1ポート 追<br />

加 ;8 例 ,2ポート 追 加 ;5 例 )で, 開 腹 移 行 は1 例 も 経 験 していない.ポー<br />

ト 追 加 の 理 由 は, 炎 症 が 高 度 , 剥 離 操 作 中 に 胆 嚢 壁 が 破 れる 等 .ドレー<br />

ン 留 置 は11 例 (いずれも 胆 嚢 が 破 れた 症 例 )に 行 っている. 術 後 合 併 症<br />

は 手 術 創 の 皮 下 感 染 後 に 腹 壁 瘢 痕 ヘルニアを 生 じた1 例 のみだった.<br />

【まとめ】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 整 容 性 に 優 れ, 患 者 の 満 足 度<br />

の 高 い 術 式 である.いわゆるぶら 胆 は, 従 来 法 と 比 較 して 遜 色 なく 単<br />

孔 式 で 遂 行 可 能 である. 一 方 , 高 度 炎 症 例 では 単 孔 式 では 難 渋 し, 追<br />

加 ポートが 必 要 となる 症 例 がある. 今 後 さらなる 工 夫 が 必 要 と 考 えら<br />

れた.<br />

MVW14-3<br />

胆 嚢 炎 症 例 における 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の<br />

適 応 と 限 界<br />

群 馬 大 学 病 態 総 合 外 科 学<br />

○… 新 木 健 一 郎 , 鈴 木 秀 樹 , 渡 辺 亮 , 久 保 憲 生 , 小 林 力 ,<br />

和 田 渉 , 佐 々 木 滋 , 志 村 龍 男 , 浅 尾 高 行 , 桑 野 博 行<br />

【はじめに】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 以 下 、 単 孔 LC)は 近 年 急 速<br />

に 普 及 しつつあり、 胆 嚢 炎 症 例 にも 適 応 されてきている。 当 科 ではミ<br />

ニループリトラクターや 単 孔 アクセスポートの 開 発 により、 手 技 の 安<br />

定 化 、デバイスの 適 応 拡 大 を 模 索 してきた。 単 孔 LCでは、 比 較 的 高<br />

度 な 胆 嚢 炎 症 例 ではPORT 追 加 を 余 儀 なくする 場 合 がある。 胆 嚢 炎 症<br />

例 における 手 技 に 難 渋 する 点 についてビデオ 供 覧 するとともに、 手 術<br />

成 績 を 検 討 した。<br />

【 対 象 と 方 法 】2009 年 9 月 ~2011 年 11 月 までに31 例 に 単 孔 LCを 施 行 し<br />

た。 単 孔 ポートはエコープローブカバー、wound…retractor…XSサイズ、<br />

リユースタイプの 改 良 Yeloportを 用 いてアクセスポートを 作 成 した。<br />

単 孔 式 の 手 術 手 技 は、 腹 腔 鏡 に5mmフレキシブルタイプを 使 用 し、<br />

ROTICULATOR…ENDO…DISSECT 鉗 子 を 用 いてcross 法 により 視 野 と<br />

ワーキングスペースを 十 分 に 確 保 している。 胆 嚢 牽 引 には 当 科 で 開 発<br />

したミニループリトラクターIIを 用 いて 胆 嚢 把 持 の 補 助 としている。<br />

胆 石 症 、 胆 嚢 炎 症 例 全 例 が 発 症 3 日 を 経 過 しており、 急 性 胆 嚢 炎 ガイ<br />

ドラインの 定 める72 時 間 以 内 の 手 術 症 例 は 存 在 しなかった。<br />

【 結 果 】 単 孔 LC(n=31)の 手 術 成 績 は 平 均 手 術 時 間 :132 分 、 平 均 出<br />

血 量 :7.2g、 術 後 在 院 日 数 :3.3 日 であり、 従 来 法 と 比 べて 遜 色 のない<br />

結 果 であった。 比 較 的 高 度 な 胆 嚢 炎 症 例 においても 安 全 に 施 行 可 能 で<br />

あった。ポートの 追 加 を 要 した 症 例 は4 例 (12.9%)であった。また、<br />

Yeloportの 口 径 を 大 きくすることにより、 高 度 炎 症 症 例 に 対 する<br />

ENDO-GIAによる 胆 嚢 管 処 理 が 可 能 となった。 本 術 式 は 従 来 法 と 比<br />

べて 経 済 的 であったPORT 追 加 を 要 する 要 因 として 考 えられたのは、<br />

鉗 子 の 角 度 を 大 幅 に 変 える 必 要 性 があるとき、 高 度 炎 症 により 手 技 が<br />

停 滞 するときであった。<br />

【 考 察 】 胆 嚢 炎 症 例 においても 単 孔 LCは 適 応 可 能 と 思 われたが、 一<br />

方 で 剥 離 操 作 が 滞 る 場 合 や 安 全 性 が 確 保 できない 場 合 での2 孔 式 、4 孔<br />

式 への 移 行 を 常 に 考 慮 することが 肝 要 であると 考 えられた。 今 後 は、<br />

単 孔 LCの 低 侵 襲 性 についても 検 討 していきたい。<br />

MVW14-4<br />

V 字 鉤 を 用 いた 腹 壁 全 層 吊 り 上 げ 式 腹 腔 鏡 下 総 胆 管<br />

切 石 術<br />

市 立 函 館 病 院 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 倉 内 宣 明 , 田 原 宗 徳 , 加 藤 雅 志 , 江 本 慎 , 山 名 大 輔 ,<br />

笠 島 浩 行 , 原 豊 , 鈴 木 伸 作 , 木 村 純<br />

【 背 景 】 腹 腔 鏡 下 総 胆 管 切 石 術 は 一 期 的 に 胆 嚢 と 胆 管 の 治 療 が 完 了 し<br />

切 石 後 膵 炎 がないなど 経 乳 頭 的 内 視 鏡 治 療 より 優 れている.しかし 難<br />

度 が 高 い 手 術 として 外 科 医 が 敬 遠 するため, 経 乳 頭 的 内 視 鏡 切 石 術 が<br />

全 盛 である. 我 々は 気 腹 不 要 の 条 件 を 堅 持 し 他 の 吊 り 上 げ 法 の 弱 点 を<br />

克 服 して, 無 制 限 に 可 能 な 吸 引 のもと 胆 管 内 生 食 フラッシュによる 胆<br />

石 流 出 , 開 腹 で 用 いる 胆 道 匙 ならびに 胆 石 把 持 鉗 子 の 頻 用 , 開 腹 手 術<br />

に 近 い 胆 管 縫 合 閉 鎖 などで 可 及 的 に 難 度 を 下 げる 工 夫 をしてきた.【 目<br />

的 】 我 々の 手 術 方 法 を 提 示 して 検 討 する.【 手 術 手 技 】 臍 窩 を 小 開 腹<br />

し 創 縁 保 護 具 を 装 着 してV 字 鉤 2 本 を 挿 入 し,それぞれ 右 肋 弓 と 肝 円<br />

索 ・ 正 中 腹 壁 を 吊 り 上 げる. 肝 円 索 を 吊 り 上 げると 肝 門 部 が 展 開 され<br />

る.2 本 のV 字 鉤 の 体 表 部 分 は 臍 を 中 心 とするV 字 となって 体 表 を 這 う<br />

ため, 右 肋 弓 下 鎖 骨 中 線 上 , 前 腋 窩 線 上 のポートはもとより 心 窩 部 ポー<br />

トの 鉗 子 操 作 もV 字 鉤 との 干 渉 はない. 心 窩 部 ポートは 約 2cm 径 とし<br />

ており 示 指 やHegar 深 部 持 針 器 の 挿 入 が 可 能 である.Calot 三 角 部 を<br />

展 開 し 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 で 胆 嚢 動 脈 を 切 離 , 胆 嚢 管 を 結 紮 する. 症<br />

例 に 応 じて 胆 管 縦 切 開 あるいは 胆 嚢 管 の 縦 切 開 後 , 吸 引 嘴 管 を 制 限 な<br />

く 働 かせながら 生 食 潅 流 にて 胆 管 結 石 を 可 及 的 に 流 し 出 し, 胆 道 鏡 を<br />

行 う. 残 る 胆 石 は 胆 道 匙 および 胆 石 把 持 鉗 子 で 摘 出 する. 切 開 部 を 吸<br />

収 糸 で 連 続 縫 合 する. 始 点 , 終 点 共 にKnot…pusherか 示 指 を 用 いる 体<br />

外 結 紮 である. 胆 道 造 影 は 連 続 縫 合 のすきまにカテーテルを 挿 入 する<br />

か 胆 嚢 管 にCチューブを 留 置 して 行 う. 結 紮 で 胆 嚢 管 を 処 理 する.メ<br />

タルクリップレスが 術 後 MRCP 検 査 を 可 能 にする. 胆 摘 を 行 い 終 了 す<br />

る.【 考 察 とまとめ】 胆 道 匙 や 胆 石 把 持 鉗 子 を 用 いるとバスケットカ<br />

テーテルやバルーン 切 石 時 に 膿 苔 にからむ 小 胆 石 が 除 去 できないジレ<br />

ンマがなくなった. 一 方 胆 石 を 崩 しやすい 弱 点 があり, 生 食 フラッシュ<br />

で 胆 石 を 肝 内 に 迷 入 させた 経 験 から 肝 側 胆 管 に 小 さいガーゼを 入 れ,<br />

高 圧 洗 浄 を 行 う 改 良 も 加 えてきた. 本 法 は 経 験 の 少 ない 外 科 医 でも 完<br />

遂 可 能 な 術 式 であり 実 際 に 執 刀 医 を 増 やしてきた.<br />

-304-


MVW14-5<br />

胆 道 完 全 外 瘻 を 胃 へ 内 瘻 化 する 新 しい 方 法 ‐ 肝 分<br />

割 による 瘻 管 転 位 術 ‐<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科<br />

○… 菅 野 将 史 , 小 林 慎 , 板 橋 英 教 , 中 嶋 潤 , 舩 渡 治 ,<br />

小 川 雅 彰 , 早 川 善 郎 , 高 金 明 典<br />

術 後 難 治 性 良 性 胆 道 狭 窄 は 術 中 胆 管 損 傷 や 肝 動 脈 損 傷 などにより 引 き<br />

起 こされ、 胆 汁 うっ 滞 から 胆 管 炎 を 繰 り 返 し 患 者 のQOLを 著 しく 損<br />

ねる 要 因 となる。その 治 療 はバルーン 拡 張 術 、 胆 道 ステント 留 置 術 、<br />

磁 石 圧 迫 吻 合 などの 内 科 的 アプローチが 先 行 され、 奏 功 しない 場 合 に<br />

胆 管 空 腸 吻 合 などの 胆 道 再 建 術 が 適 応 になる。しかし、 本 来 炎 症 性 瘢<br />

痕 組 織 による 狭 窄 であり、 周 囲 臓 器 にも 同 様 の 炎 症 性 変 化 が 波 及 して<br />

いることが 多 く、 肝 門 部 を 再 操 作 する 必 要 がある 胆 道 再 建 は 侵 襲 が 大<br />

きくなることが 多 い。 今 回 我 々は 術 後 難 治 性 良 性 胆 道 狭 窄 に 対 し、 肝<br />

分 割 により 胆 道 完 全 外 瘻 を 胃 へ 内 瘻 化 を 行 った。 症 例 は73 歳 女 性 、 総<br />

胆 管 損 傷 に 対 し 胆 管 空 腸 吻 合 による 胆 道 再 建 術 を 施 行 。 退 院 後 吻 合 部<br />

の 完 全 狭 窄 を 認 め、PTBD 施 行 。その 後 内 科 的 アプローチによる 治 療<br />

を 行 ったが 奏 功 せず、 初 回 手 術 より9か 月 半 後 、 肝 分 割 による 瘻 管 転<br />

位 術 を 施 行 した。 肝 外 側 区 から 体 外 へ 誘 導 された 完 全 外 瘻 の 瘻 管 を 内<br />

瘻 化 するために、 肝 をあえてスプリットし 瘻 管 を 肝 下 面 へ 移 動 させる<br />

ことで、 胃 壁 全 面 と 密 着 する 位 置 へ 転 移 させた。これにより、 瘻 管 と<br />

胃 とは 自 然 の 位 置 で 縫 合 することが 可 能 となり、 短 時 間 で 安 全 に 消 化<br />

管 への 内 瘻 化 を 完 了 出 来 た。 術 後 経 過 は 良 好 で15 病 日 に 退 院 となった。<br />

今 回 我 々が 行 った 方 法 は、 従 来 までの 胆 道 再 建 術 に 比 べ 肝 門 部 の 操 作<br />

を 必 要 とせず 侵 襲 を 抑 えることができる。 術 中 ビデオを 供 覧 する。<br />

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-305-


ポスター


P1-1 門 脈 灌 流 領 域 および 肝 静 脈 ドレナージ 領 域 の 詳 細 な 解 析<br />

に 基 づく 合 理 的 な 拡 大 肝 前 区 域 切 除 術<br />

徳 島 大 学 外 科 学<br />

○… 宇 都 宮 徹 , 島 田 光 生 , 斉 藤 裕 , 山 田 眞 一 郎 , 浅 野 間 理 仁 ,<br />

花 岡 潤 , 森 大 樹 , 池 本 哲 也 , 森 根 裕 二 , 居 村 暁<br />

【 背 景 】 上 右 肝 静 脈 (SRHV)が 門 脈 前 区 域 枝 灌 流 領 域 に 包 含 される 症<br />

例 に 対 する 拡 大 前 区 域 切 除 術 の 合 理 性 につき 報 告 する。【 方 法 】1.<br />

SRHV 中 枢 側 が 門 脈 前 区 域 枝 灌 流 領 域 に1cm 以 上 包 含 される(SRHV 包<br />

含 ) 症 例 の 検 討 :66 例 のSYNAPSE…VINCENTによる3D 画 像 構 築 を 行<br />

い、SRHV 包 含 と 下 右 肝 静 脈 (IRHV>5mm)の 頻 度 とのその 関 連 を 検<br />

討 。2. 合 理 的 な 拡 大 前 区 域 切 除 術 :IRHVが 存 在 する 肝 細 胞 癌 (S8/7)<br />

の2 例 に 本 術 式 を 適 用 。【 結 果 】1.66 例 中 、SRHV 包 含 は17 例 (26%)、<br />

IRHVは16 例 (24%) 存 在 ( 図 1)。SRHV 包 含 17 例 中 8 例 (47%)にIRHVが<br />

存 在 し、SRHV 非 包 含 49 例 では8 例 (16%)と、SRHV 包 含 例 で 有 意 に<br />

IRHVを 高 頻 度 に 認 めた。2. 術 前 シミュレーション:(1)SYNAPSE…<br />

VINCENTによる3D 画 像 構 築 。(2) 門 脈 前 区 域 灌 流 領 域 、SRHVドレ<br />

ナージ 領 域 抽 出 。(3) 残 肝 容 積 と 予 定 切 離 線 確 認 ( 図 2)。 手 術 術 式 :…(1)<br />

前 区 域 グリソン、SRHVテーピング。(2) 前 区 域 枝 遮 断 による 還 流 領 域<br />

確 認 。(3)SRHV 遮 断 によるドレナージ 領 域 確 認 。2 例 の 予 測 残 肝 容 積<br />

は780ml、590mlであり、 術 前 シミュレーションどおりの 肝 切 除 術 が<br />

可 能 で、 術 後 1 週 目 のCTで 阻 血 やうっ 血 領 域 を 認 めず。【まとめ】<br />

SRHV 中 枢 側 が 門 脈 前 区 域 枝 灌 流 領 域 に 完 全 に 包 含 される 症 例 の 約 半<br />

数 でIRHVの 存 在 を 認 めた。したがって 残 肝 機 能 温 存 への 配 慮 が 必 要<br />

なS8/7 領 域 の 肝 癌 に 対 しては、 門 脈 灌 流 領 域 及 び 肝 静 脈 ドレナージ<br />

領 域 を 考 慮 した 拡 大 前 区 域 切 除 術 が 系 統 的 切 除 として 合 理 的 である。<br />

P1-2 肝 門 部 前 後 区 境 界 領 域 に 存 在 する 肝 障 害 度 Bの 肝 細 胞 癌<br />

症 例 に 対 する 非 系 統 的 肝 切 除 術<br />

1<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 、 2 大 阪 市 立 総 合 医 療 セ<br />

ンター 消 化 器 外 科<br />

○… 高 台 真 太 郎 1<br />

, 金 沢 景 繁 1<br />

, 清 水 貞 利 1<br />

, 山 添 定 明 2<br />

,<br />

森 本 純 也 2<br />

, 大 平 豪 2<br />

, 中 島 隆 善 2<br />

, 石 川 彰 2<br />

, 森 至 弘 2<br />

,<br />

池 谷 哲 郎 2<br />

, 小 松 久 晃 1 1<br />

, 塚 本 忠 司<br />

【はじめに】 肝 予 備 能 が 低 下 した 症 例 では,major…resectionにより 肝<br />

不 全 を 来 す 症 例 があり, 根 治 性 を 損 なう 事 なく 慎 重 に 術 式 を 選 択 しな<br />

くてはならない.【 症 例 】78 歳 女 性 . 慢 性 C 型 肝 炎 に 対 し 肝 庇 護 療 法 が<br />

行 われていた.2010 年 9 月 AFP 値 の 上 昇 が 認 められ, 腹 部 超 音 波 検 査 にて<br />

肝 S5/6に 径 24…mmの 占 拠 性 病 変 が 認 められた.27 歳 時 に 虫 垂 炎 ,34 歳 時<br />

に 子 宮 外 妊 娠 に 対 する 開 腹 術 の 既 往 があった. 入 院 時 の 現 症 に 特 記 す<br />

べきことはなく,ADLは 保 たれていた. 予 備 能 はChild-Pugh…7 点 B(Alb…<br />

3.3…g/dl,…T-bil…0.7…mg/dl,…PT%…93.3%,… 腹 水 少 量 ,… 脳 症 なし), 肝 障 害 度 B<br />

(ICG15R…33%).AST…77…IU/l,…ALT…83…IU/lと 上 昇 が 認 められ,HBc 抗 体<br />

陽 性 ,HCV 抗 体 陽 性 ,4 型 コラーゲン7S…7.0…ng/mlであった.CTにて 腫 瘍<br />

は 動 脈 相 で 増 強 , 後 期 相 でwash…outされる 肝 細 胞 と 考 えられた. 腫 瘍 は<br />

径 2.7…cm 単 発 であったが, 肝 門 部 の 前 後 区 境 界 領 域 に 存 在 し, 根 治 切 除<br />

には 拡 大 後 区 域 もしくは 拡 大 前 区 域 切 除 が 必 要 と 考 えられた. 予 備 能<br />

からは 経 皮 的 局 所 療 法 もしくは 経 カテーテル 治 療 が 考 えられたが,よ<br />

り 高 い 根 治 性 を 目 指 し 十 分 なインフォームドコンセントを 行 った 上<br />

で,2011 年 1 月 肝 部 分 切 除 を 行 うこととした. 手 術 は 前 後 区 域 境 界 の 肝 実<br />

質 を 切 開 し, 境 界 に 存 在 する 腫 瘍 のみを 摘 出 した. 手 術 時 間 4 時 間 48 分 ,<br />

出 血 量 は60…mlであった. 病 理 診 断 はM/d…HCC,…sm(-),…f4であった. 術 後<br />

胆 汁 瘻 に 難 渋 したが, 内 瘻 化 により 軽 快 し 術 169 日 内 瘻 化 tubeを 抜 去 し,<br />

術 195 日 退 院 となった. 術 8ヶ 月 後 , 腹 痛 および 発 熱 が 認 められ, 緊 急 入<br />

院 .MRIにて 肝 右 葉 切 除 腔 に 被 包 化 された 液 貯 留 が 認 められた. 初 回 入<br />

院 時 より 切 離 腔 からの 漿 液 性 排 液 が 多 く 今 回 もseromaが 本 態 と 考 え,、<br />

ERBDを 施 行 し, 前 後 枝 分 岐 部 胆 管 から 穿 破 し 液 体 貯 留 腔 に 先 端 を 誘 導<br />

し, 膿 瘍 ~ 総 胆 管 ~ 十 二 指 腸 にERBD…tubeを 留 置 し, 消 化 管 へ 排 液 を 誘<br />

導 した. 排 液 は 漿 液 性 であり, 留 置 により 腔 は 著 減 し, 経 皮 的 な 穿 刺 ドレ<br />

ナージを 行 うことなく 退 院 できた.【まとめ】 今 回 , 肝 予 備 能 が 低 下 し<br />

た 症 例 に 対 し, 切 除 の 工 夫 により 重 篤 な 肝 不 全 徴 候 を 来 すことなく 肝<br />

切 除 が 行 い 得 た.また, 難 治 性 漿 液 腫 に 対 し 経 乳 頭 的 にドレナージし 治<br />

療 を 行 えた1 例 を 経 験 した.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P1-3 2 stephangingmaneuverを 用 いた 肝 細 胞 癌 に 対 する<br />

尾 状 葉 切 除 術<br />

福 岡 市 民 病 院 外 科<br />

○… 内 山 秀 昭 , 伊 藤 心 二 , 竹 中 賢 治<br />

【 背 景 】Hanging…maneuverは 当 院 においても 主 に 左 または 右 肝 切 除 、<br />

あるいは 外 側 区 域 切 除 時 を 中 心 に 多 用 されている。 例 えば 右 肝 切 除 時<br />

には、コットンテープを 右 肝 静 脈 と 中 肝 静 脈 の 間 → 肝 後 面 → 尾 状 葉 下<br />

端 に 作 られたnotch→ 左 右 グリソンの 又 と 肝 実 質 の 間 に 順 次 通 し、 牽<br />

引 して 肝 切 離 を 行 う。 今 回 これらの 手 技 を 応 用 した2…step…hanging…<br />

maneuverが 尾 状 葉 切 除 に 有 用 であったのでビデオ 呈 示 する。【 症 例 】<br />

症 例 は59 歳 男 性 で 慢 性 B 型 肝 炎 の 経 過 観 察 中 に 尾 状 葉 左 側 に 下 大 静 脈<br />

左 側 を 取 り 囲 むように 存 在 するHCCを 指 摘 された。 右 側 から 短 肝 静<br />

脈 を 切 離 し 肝 後 面 、およびHCCを 下 大 静 脈 より 遊 離 した。HCCが 尾<br />

状 葉 内 側 まで 進 展 しているため 左 側 からの 尾 状 葉 切 除 では 断 端 陽 性 と<br />

なる 危 険 があるため2…step…hanging…maneuverを 用 いて 尾 状 葉 切 除 を<br />

行 った。まずコットンテープを 中 肝 静 脈 と 左 肝 静 脈 の 間 → 肝 後 面 → 尾<br />

状 葉 下 端 に 作 られたnotch→ 左 右 グリソンの 又 と 肝 実 質 の 間 に 順 次 通<br />

しこれを 牽 引 して 肝 を 左 右 に 切 離 した。 次 にテープを 左 肝 静 脈 後 面 →<br />

静 脈 管 索 裂 → 左 グリソンの 後 面 に 順 次 通 しこれを 肝 切 離 面 側 に 牽 引 し<br />

て 左 側 尾 状 葉 の 切 離 を 行 った。 手 術 時 間 は7 時 間 15 分 、 術 中 出 血 量 は<br />

1320gで 輸 血 は 行 わなかった。 合 併 症 なく 術 後 15 日 目 に 自 宅 退 院 と<br />

なった。【 結 語 】Hanging…maneuverを 組 み 合 わせることで 肝 臓 の 深<br />

部 に 存 在 する 尾 状 葉 の 切 除 を 安 全 に 施 行 することが 可 能 であった。<br />

P1-4 安 全 にこれでもできるHangingmaneuverの 工 夫<br />

札 幌 医 科 大 学 外 科 第 一 講 座<br />

○… 水 口 徹 , 川 本 雅 樹 , 中 村 幸 雄 , 目 黒 誠 , 今 村 将 史 ,<br />

木 村 康 利 , 西 舘 敏 彦 , 古 畑 智 久 , 信 岡 隆 幸 ,<br />

平 田 公 一<br />

【 緒 言 】Liver…hanging…maneuver 法 は 下 大 静 脈 近 傍 における 実 質 切<br />

離 時 の 出 血 量 軽 減 に 加 えて、 前 方 アプローチ 法 を 安 全 に 施 行 しうる 有<br />

用 な 手 技 として 標 準 化 されてきたと 考 えられる。 当 初 は 短 肝 静 脈 の 損<br />

傷 が 危 惧 されており、 術 中 エコー 法 や 専 用 鉗 子 などが 開 発 されてきた。<br />

今 回 、 我 々は 水 圧 を 利 用 して 下 大 静 脈 前 面 の 組 織 間 隙 を 剥 離 させるこ<br />

とで 容 易 に 誰 にでもできる 方 法 を 考 案 したのでその 実 際 を 報 告 したい。<br />

【 方 法 】 下 大 静 脈 前 面 の 漿 膜 に 切 開 を 加 えた 後 、 尾 状 葉 の 短 肝 静 脈 枝<br />

はできる 範 囲 で 結 紮 切 離 する。 右 肝 静 脈 基 部 と 中 肝 静 脈 基 部 の 間 を 出<br />

来 る 範 囲 で 剥 離 する。 内 瘻 化 ステントカテーテルを 漿 膜 切 開 部 より 生<br />

理 食 塩 水 を 注 入 しながら、ゆっくり 挿 入 する。 利 点 :Hanging…<br />

manuver 法 を 安 全 に 施 行 できるばかりでなく、 下 大 静 脈 腹 側 面 に 生 理<br />

食 塩 水 が 浸 されており、 下 大 静 脈 前 面 が 解 放 された 後 の 短 肝 静 脈 処 理<br />

も 安 全 に 施 行 出 来 る。【 症 例 】70 歳 女 性 でNBNC 症 例 。 右 葉 後 区 域 を<br />

中 心 に 最 大 径 16cmの 腫 瘍 に 対 して 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 巨 大 な 腫<br />

瘍 であり、 後 区 域 グリソン 基 部 に 近 接 しており、 肝 十 二 指 腸 間 膜 を 切<br />

開 して 前 区 域 ・ 後 区 域 の 動 脈 ・ 門 脈 を 結 紮 してから、 本 法 を 施 行 し 肝<br />

離 断 を 行 った。 出 血 量 300mlで 手 術 時 間 は353 分 であった。 術 後 12 日<br />

目 で 退 院 された。【 結 語 】 本 方 法 は 下 大 静 脈 と 肝 実 質 の 間 における 組<br />

織 間 隙 を 安 全 に 剥 離 しうる 方 法 で、Hanging 用 のテープをかけるばか<br />

りでなく、 短 肝 静 脈 処 理 も 容 易 に 施 行 しうる 方 法 として 有 用 と 考 えら<br />

れた。……<br />

-309-


P1-5 ステロイド 長 期 投 与 患 者 の 肝 切 除 術 の 検 討<br />

獨 協 医 科 大 学 病 院 第 二 外 科<br />

○… 蜂 谷 裕 之 , 北 順 二 , 下 田 貢 , 澤 田 登 起 彦 , 窪 田 敬 一<br />

【 背 景 】 副 腎 皮 質 ステロイドはRA( 関 節 リウマチ)やSLEなどの 膠 原<br />

病 のみならず、 多 くの 自 己 免 疫 疾 患 の 治 療 薬 として 使 用 されている。<br />

こうした 疾 患 に 対 する 顕 著 な 有 効 性 のために 長 期 間 にわたって 使 用 さ<br />

れている 患 者 が 増 えている。しかし、 手 術 に 際 しては 創 傷 治 癒 障 害 や<br />

易 感 染 性 などの 重 篤 な 合 併 症 が 知 られており、 適 切 な 周 術 期 管 理 が 必<br />

要 になってくる。 今 回 は 当 科 においてステロイド 長 期 投 与 肝 切 除 症 例<br />

16 例 につき 検 討 したので 報 告 する。<br />

【 方 法 】2000 年 4 月 から2011 年 6 月 までの 期 間 、 当 科 にて1065 例 に 対 し<br />

肝 切 除 を 実 施 した。このうち 基 礎 疾 患 に 対 し 術 前 よりステロイドを 常<br />

用 していた 症 例 は16 例 (…1.5%)であり、 内 訳 は 自 己 免 疫 性 肝 炎 4 例 、<br />

RA3 例 、SLE1 例 、ベーチェット 病 1 例 、その 他 7 例 。 平 均 年 齢 は66 歳 、<br />

男 8 例 、 女 8 例 。 肝 炎 ウイルスはB 型 5 例 、B 型 C 型 混 合 感 染 2 例 、 未 感<br />

染 9 例 であった。 疾 患 は、HCC6 例 、 胆 管 細 胞 癌 1 例 、 転 移 性 肝 腫 瘍 5 例 、<br />

胆 嚢 癌 2 例 、 胆 管 癌 1 例 、 粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 1 例 であった。 術 前 のICG<br />

平 均 値 は8…±…5%で、 手 術 適 応 は 幕 内 基 準 に 準 じ、 切 除 容 積 ・ 術 式 の<br />

決 定 に 際 し、ステロイド 内 服 の 有 無 を 考 慮 しなかった。<br />

【 結 果 】ステロイド 内 服 はプレドニン 換 算 で 平 均 9.7±5.4mg/ 日 、 術<br />

前 内 服 積 算 量 の 平 均 は20.0±…25.7gであった。 手 術 術 式 は、 右 葉 切 除 2 例 、<br />

左 葉 切 除 2 例 、 区 域 切 除 1 例 、 亜 区 域 切 除 6 例 、 部 分 切 除 2 例 、 尾 状 葉 切<br />

除 1 例 、 拡 大 胆 摘 2 例 であった。 平 均 手 術 時 間 は318 分 、 平 均 出 血 量 は<br />

629…mlであった。 原 則 、ステロイドカバーとして 術 中 にステロイドを<br />

静 注 している。 術 後 合 併 症 は10 例 に 認 め、 内 訳 ( 重 複 あり)は 難 治 性 腹<br />

水 ・ 胸 水 を8 例 、 肺 炎 2 例 、 敗 血 症 3 例 、 肝 膿 瘍 1 例 、 精 神 障 害 4 例 であっ<br />

た。 術 後 全 例 でH2…blockerもしくはPPIを 投 与 しており 消 化 管 潰 瘍 の<br />

発 生 を 認 めなかった。 術 後 平 均 在 院 日 数 は18… ±…10 日 。1 症 例 を 敗 血<br />

症 で 第 4 病 日 に 失 った。<br />

【 結 論 】 術 前 ステロイド 内 服 症 例 は 肝 切 除 において 重 篤 な 術 後 合 併 症<br />

を 併 発 することがあり、 確 実 な 手 術 操 作 で 手 術 に 伴 う 合 併 症 を 回 避 し、<br />

適 切 な 周 術 期 管 理 が 必 要 である。<br />

P1-6 当 科 における 小 児 症 例 に 対 する 肝 切 除 の 検 討<br />

熊 本 大 学 附 属 病 院 小 児 外 科 ・ 移 植 外 科<br />

○… 武 市 卒 之 , 猪 股 裕 紀 洋<br />

( 背 景 ) 近 年 、 肝 臓 外 科 では、deviceの 進 歩 、 術 前 肝 予 備 、 画 像 評 価 の<br />

向 上 、 術 後 管 理 の 発 達 などにより 肝 切 除 がより 安 全 にできるようにな<br />

り、 小 児 外 科 領 域 でも 切 除 症 例 が 増 加 している。( 目 的 ) 当 院 における<br />

小 児 に 対 する 肝 切 除 症 例 を 検 討 し、その 適 応 、 術 後 合 併 症 、 予 後 につ<br />

き 考 察 した。( 方 法 )2002 年 から2010 年 まで 当 科 で 施 行 した 小 児 肝 切 除<br />

症 例 を 対 象 とした。( 結 果 )9 症 例 に 対 して11 回 の 肝 切 除 を 行 った。 疾 患<br />

の 内 訳 は、 肝 芽 腫 3 例 ( 再 発 2 例 )、 肝 未 分 化 肉 腫 2 例 ( 再 発 2 例 )、 肝 間 葉<br />

性 過 誤 腫 1 例 、 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 1 例 であった。このうち 生 体 肝 移 植 後 の<br />

再 発 例 ( 肝 芽 腫 、 未 分 化 肉 腫 )2 例 が 含 まれていた。 切 除 術 式 は、 拡 大<br />

葉 切 除 2 例 、 葉 切 除 1 例 、 区 域 切 除 3 例 、 部 分 切 除 5 例 であった。 肝 切 除<br />

は、2006 年 まではCUSAおよびバイポーラで、それ 以 降 はCUSAおよ<br />

びVIOソフト 凝 固 システムを 用 いて 行 った。 生 体 肝 移 植 後 の 移 植 肝 に<br />

対 して 部 分 切 除 を2 症 例 に 対 して3 回 行 っていた。 手 術 時 間 、 出 血 量 は<br />

中 央 値 でそれぞれ、295(210-590) 分 、240(50-3000)mlであった。<br />

術 後 合 併 症 では、1 例 が 術 後 イレウスにてイレウス 解 除 術 を 施 行 した。<br />

術 後 の 胆 汁 漏 は 認 めなかった。9 症 例 中 、 肝 芽 腫 にて 生 体 肝 移 植 後 再<br />

発 した1 例 が 移 植 後 3 年 目 に 死 亡 していた。( 考 察 ) 小 児 肝 切 除 の 特 徴 と<br />

しては、ほとんどの 症 例 で 術 前 または 術 後 に 化 学 療 法 が 行 われている<br />

こと、 背 景 肝 が 正 常 肝 であり、 肝 予 備 が 良 好 であることがあげられる。<br />

当 科 での 症 例 でも、 肝 切 除 後 の 再 発 症 例 や、 肝 移 植 後 の 再 発 症 例 に 対<br />

して 積 極 的 に 腫 瘍 切 除 を 行 っていた。また、 区 域 切 除 以 上 が6 例 あり、<br />

腫 瘍 からのmarginをしっかり 確 保 できていた。(まとめ) 小 児 例 に 対 す<br />

る 肝 切 除 は、 安 全 に 施 行 でき、 積 極 的 に 切 除 を 行 うことにより 長 期 予<br />

後 が 得 られると 考 えられる。<br />

P1-7 肝 実 質 切 離 におけるLigasureSmallJawの 応 用<br />

国 立 国 際 医 療 研 究 センター 病 院 外 科<br />

○… 枝 元 良 広 , 熊 澤 慶 吾 , 三 原 史 規 , 徳 原 真<br />

はじめに) 肝 切 離 は、ペアンクラッシング 法 、CUSAなどにより 実 質<br />

切 離 を 行 い、 電 気 メス、 水 流 滴 下 式 バイポーラー、 結 紮 、 金 属 クリッ<br />

プなどにより 止 血 を 行 うのが 一 般 的 である。また 切 離 前 凝 固 にラジオ<br />

波 焼 灼 システムや、マイクロターゼ 凝 固 を 利 用 する 場 合 もある。… 今<br />

回 ベッセルシーリング 器 具 のハンドピースであるSmall…Jawを 応 用 し<br />

た 肝 切 離 についてビデオを 供 覧 し、 報 告 する。… 対 象 )2007 年 以 降 非 開<br />

胸 、 非 門 脈 塞 栓 術 、 非 胆 道 再 建 術 症 例 の 右 葉 切 除 17 例 検 討 項 目 : 手 術<br />

時 間 、 術 中 出 血 量 、 術 後 合 併 症 、 術 後 在 院 日 数 。 解 析 :retrospective…<br />

study。 統 計 :χ2 検 定 、t 検 定 、Mann-Whitney 検 定 。 方 法 ) 肝 右 葉 切 除 :<br />

逆 L 字 切 開 にて 開 腹 。 肝 右 葉 の 受 動 ( 副 腎 の 手 前 まで)。Hanging…<br />

maneuver 用 のテープをIVC 前 に 通 す。Glisson 一 括 処 理 用 テーピング。<br />

胆 摘 術 。Glisson 右 枝 をテストクランプし、demarcation…lineを 確 認 。<br />

Glisson 前 、 後 区 域 枝 別 にクランプし 血 流 遮 断 。Ligasure…Small…Jawで<br />

肝 実 質 切 離 を 開 始 。Glisson 前 、 後 区 域 枝 を 露 出 し、staplerにて 切 離 。<br />

肝 実 質 切 離 終 了 後 、 短 肝 静 脈 を 処 理 。 右 肝 静 脈 をstaplerにて 切 離 。 右<br />

肝 から 副 腎 を 剥 離 し、 右 葉 摘 出 。 結 果 ) 表 参 照 考 察 ) 有 意 差 はでてい<br />

ないもののLigasure…Small…Jawを 用 いた 肝 切 離 は、 手 術 時 間 、 出 血 量<br />

の 低 減 に 有 用 である。<br />

P1-8 肝 門 部 解 剖 破 格 を 術 前 MDCTより 把 握 し、 術 式 を 工 夫 す<br />

ることにより 治 癒 切 除 できた 肝 動 注 後 Vp3 肝 細 胞 癌 の 一<br />

例<br />

東 北 大 学 病 院 移 植 再 建 内 視 鏡 外 科<br />

○… 福 島 大 造 , 里 見 進<br />

… 症 例 は65 歳 男 性 。18 年 前 にC 型 肝 炎 のインターフェロン 治 療 を 行 い、<br />

ウイルス 陰 性 化 。 健 診 で 門 脈 腫 瘍 栓 を 指 摘 され 当 院 紹 介 。CT 上 S4の<br />

中 肝 静 脈 近 傍 に10mmの 肝 腫 瘍 とP4 門 脈 枝 より 門 脈 前 区 域 枝 までの<br />

PVTTを 認 め、Vp3のHCCの 診 断 。 以 後 のべ13 週 間 の 肝 動 脈 注 入 化 学<br />

療 法 (HAIC)を 行 ったが、 肝 内 転 移 は 発 生 せず、PVTTも 門 脈 左 枝 ま<br />

で 退 縮 した。しかしながら 総 肝 動 脈 の 解 離 が 発 生 し、 化 学 療 法 の 継 続<br />

困 難 のため、 手 術 の 方 針 となった。 術 前 MDCT 上 、 患 者 の 門 脈 は3 分<br />

岐 型 であり、 肝 動 脈 は 固 有 肝 動 脈 から 分 岐 した 右 肝 動 脈 が 総 胆 管 の 背<br />

側 でA8,A5, 後 区 域 枝 に 分 岐 し、A8とA5は 門 脈 前 区 域 枝 をそれぞれ 背<br />

側 と 腹 側 からはさみこむように 走 行 する 動 脈 枝 の 走 行 異 常 も 認 められ<br />

た。これにより 肝 門 部 門 脈 の 各 分 岐 の 安 全 な 確 保 は 困 難 である 上 、 操<br />

作 中 のPVTTの 残 肝 への 播 種 が 懸 念 された。……… 手 術 は 胆 摘 ののち 左 肝<br />

動 脈 を 処 理 、 総 肝 動 脈 、 総 胆 管 、 門 脈 本 幹 をテーピングののち、 中 肝<br />

静 脈 、spiegel 葉 を 含 む 拡 大 左 肝 切 除 のラインでの 肝 切 離 をおこなった。<br />

切 離 が 肝 門 部 に 到 達 した 所 で 右 グリソンを 一 括 処 理 の 要 領 でテーピン<br />

グし、 門 脈 本 幹 、 総 肝 動 脈 のクランプ 下 に 門 脈 左 枝 のPVTTの 摘 出 を<br />

おこなった。 残 肝 からの 出 血 コントロールが 必 要 であったが、PVTT<br />

の 門 脈 内 播 種 を 回 避 するため、 腫 瘍 栓 摘 出 後 に 右 グリソンの 一 時 的 な<br />

ク ラ ン プ を お こ な っ た(Contralateral…glissonian…pedicle…occlusion…<br />

technic)。これにより 良 好 な 出 血 コントロール 下 に 門 脈 左 枝 断 端 を 縫<br />

合 閉 鎖 できた。 術 中 エコー 上 残 肝 への 門 脈 内 播 種 も 認 められなかった。<br />

摘 出 標 本 上 、PVTTは 化 学 療 法 により 炎 症 性 に 硬 化 していた。 永 久 病<br />

理 標 本 上 、S4にviableな 腫 瘍 細 胞 を 含 んだ 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 及 び 肝 内<br />

転 移 が 確 認 できたが、 術 後 12カ 月 以 上 経 過 した 現 在 、 画 像 上 再 発 病 変<br />

は 指 摘 できない。HAICの 使 用 及 び 門 脈 内 播 種 の 回 避 に 重 点 をおき、<br />

解 剖 破 格 を 術 前 画 像 より 正 確 に 把 握 した 術 式 によりVp3 肝 癌 の 治 療 成<br />

績 は 向 上 できると 考 えられた。<br />

-310-


P1-9 脾 機 能 亢 進 と 肝 硬 変 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 して 用 手 補 助 腹<br />

腔 鏡 下 (HALS) 脾 摘 後 一 期 的 に 右 肝 切 除 を 施 行 した1 例<br />

社 会 保 険 大 宮 総 合 病 院 外 科<br />

○… 青 笹 季 文 , 森 田 大 作 , 帖 地 憲 太 郎<br />

症 例 は72 歳 男 性 。 前 立 腺 癌 にてホルモン 療 法 施 行 中 、 肝 S8に 直 径 約<br />

40mm 大 の 肝 細 胞 癌 を 指 摘 された。アルコール 性 肝 硬 変 および 脾 腫 を<br />

認 め、WBC…2200/μl、Plt…3.4 万 /μlと 脾 機 能 亢 進 を 認 めた。 肝 機 能 は<br />

腹 水 なし、T-Bil…0.5mg/dl、Alb…4.1g/dl、PT(%)…90%、ICGR15…14%<br />

と 肝 障 害 度 Aであったが、 画 像 上 肝 硬 変 であり 右 葉 は 萎 縮 、 左 葉 は 代<br />

償 性 に 腫 大 していた。 腫 瘍 マーカーはAFP…7.3ng/mlと 正 常 値 であっ<br />

たがPIVKA-II…176mAU/mlと 高 値 を 示 した。 血 小 板 が 低 値 のため 血<br />

小 板 輸 血 を 行 いつつ 一 期 的 に 脾 摘 および 右 肝 切 除 を 行 う 方 針 とした。<br />

麻 酔 導 入 直 後 、 血 小 板 10Uの 輸 血 を 行 った 時 点 でPlt…7.5 万 /μl、 臍 窩<br />

縦 切 開 にて 腹 腔 鏡 を 挿 入 、 上 腹 部 に 約 7cmの 皮 切 を 加 え 小 開 腹 して 左<br />

手 を 挿 入 、 左 側 腹 部 に3 本 のポートを 挿 入 して 用 手 補 助 腹 腔 鏡 下<br />

(HALS) 脾 摘 を 施 行 した。 脾 摘 所 要 時 間 は1 時 間 26 分 、 出 血 量 は25ml<br />

であった。 脾 摘 終 了 時 、Plt…11.3 万 /μlと 上 昇 していた。その 後 左 手 を<br />

挿 入 した 創 を 利 用 して 逆 L 字 切 開 にて 開 腹 し、 右 肝 切 除 を 施 行 した。<br />

肝 門 部 処 理 、 右 肝 静 脈 処 理 が 終 了 し 肝 離 断 を 行 う 直 前 に 再 度 血 小 板<br />

10Uの 輸 血 を 行 ってから 肝 離 断 を 施 行 、 手 術 所 要 時 間 は6 時 間 18 分 、<br />

出 血 量 は600mlであった。 手 術 終 了 直 前 、Plt…10.0 万 /μlであった。 術 後 、<br />

Pltは10 万 /μl 前 後 で 推 移 し 特 に 合 併 症 なく 退 院 となった。 脾 機 能 亢 進<br />

と 肝 硬 変 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 して 用 手 補 助 腹 腔 鏡 下 脾 摘 を 施 行 してか<br />

ら 肝 切 除 を 施 行 することによって 通 常 の 開 腹 肝 切 除 とほとんど 変 わら<br />

ない 創 の 大 きさで、かつ 血 小 板 が 上 昇 したことによって 出 血 傾 向 を 感<br />

じることなく 安 全 に 手 術 を 施 行 することができ、 若 干 の 文 献 的 考 察 を<br />

加 えて 報 告 する。<br />

P2-1 術 前 にヘパリン 起 因 性 血 小 板 減 少 症 (HIT)をきたした 肝<br />

細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

帝 京 大 学 医 学 部 附 属 溝 口 病 院<br />

○… 細 川 勇 一 , 杉 山 保 幸<br />

【はじめに】ヘパリン 起 因 性 血 小 板 減 少 症 (HIT)はヘパリンによる 重<br />

大 な 副 作 用 である。HITはtype1とtype2に 分 類 されるが、type2はヘ<br />

パリン 投 与 により 血 小 板 減 少 だけではなく 動 静 脈 血 栓 症 をきたすこと<br />

が 特 徴 であり、 重 篤 な 合 併 症 を 来 たすことも 稀 ではない。 今 回 我 々は<br />

術 前 にHIT…type2をきたした 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので、 若<br />

干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。【 症 例 】 症 例 は72 歳 男 性 。2011.8 月 、<br />

脳 梗 塞 の 診 断 にて 当 院 神 経 内 科 入 院 。 入 院 後 精 査 にて 肝 細 胞 癌 (non-B、<br />

non-C)を 指 摘 され 外 科 受 診 となった。CTでは 肝 後 区 域 を 主 座 とする<br />

15cm 大 の 肝 細 胞 癌 を 認 め、 右 肝 静 脈 浸 潤 および 横 隔 膜 浸 潤 が 疑 われた。<br />

ICG…15min…5%。childAであった。 右 季 肋 部 痛 を 訴 えており 腫 瘍 破 裂<br />

のリスクを 考 え、 早 期 の 手 術 方 針 となった。 脳 梗 塞 に 対 しクロピドグ<br />

レルを 内 服 しており、 術 前 は 同 薬 剤 を 中 止 しヘパリン 持 続 投 与 の 方 針<br />

となった。ヘパリン 投 与 12 日 目 に 血 小 板 数 が9.6 万 から3.6 万 と 低 下 し、<br />

HIT…type2を 疑 いヘパリンを 中 止 した。 血 小 板 数 は19 日 目 には10.3 万<br />

と 改 善 傾 向 を 認 めたが、FDP、D-ダイマーなどの 凝 固 分 子 が 上 昇 傾<br />

向 を 認 めたため 手 術 は 延 期 し、アルガトロバンの 投 与 を 開 始 した。 定<br />

期 的 に 凝 固 分 子 を 測 定 し、plateauとなった 時 点 で 手 術 を 施 行 した。<br />

拡 大 肝 後 区 域 切 除 、 右 肝 静 脈 合 併 切 除 術 を 施 行 ( 手 術 時 間 520 分 、 出 血<br />

量 2400ml)した。 術 後 3 日 目 よりアルガトロバンの 投 与 を 開 始 した。<br />

術 後 経 過 良 好 であったが、 術 後 10 日 目 のCTにて 肺 動 脈 血 栓 を 指 摘 さ<br />

れたためワルファリン 内 服 下 に 術 後 24 日 目 、 退 院 となった。【 結 語 】<br />

今 回 我 々は 術 前 にHIT…type2をきたした 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例 を 経 験 し<br />

た。HIT…type2はヘパリン 投 与 症 例 の0.5~5%に 発 症 すると 言 われる。<br />

発 症 時 には 血 小 板 減 少 とともに 全 身 状 態 が 血 栓 傾 向 に 傾 くため、 外 科<br />

的 処 置 や 手 術 の 時 期 決 定 が 困 難 である。 今 回 我 々はHITに 対 する 早 期<br />

診 断 および 早 期 治 療 を 行 い、FDP、D-ダイマーなどの 凝 固 分 子 や 凝<br />

固 因 子 を 定 期 的 に 測 定 することで、 比 較 的 安 全 に 肝 切 除 の 周 術 期 管 理<br />

が 可 能 であった 症 例 を 経 験 した。 周 術 期 におけるHIT 発 症 時 は、 適 切<br />

な 診 断 および 治 療 に 基 づく 外 科 的 治 療 の 時 期 決 定 が 重 要 であると 考 え<br />

られた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P2-2 S 状 結 腸 癌 術 後 、NASHに 合 併 した 多 発 HCCの1 例<br />

静 岡 医 療 センター 外 科<br />

○… 宮 原 利 行 , 角 泰 廣 , 佐 藤 琢 爾 , 中 嶋 慎 治 , 野 中 勇 志<br />

症 例 :68 歳 男 性 。 主 訴 :CT 上 の 異 常 。 既 往 歴 : 糖 尿 病 、 高 血 圧 、 腹<br />

部 大 動 脈 瘤 破 裂 で 人 工 血 管 置 換 術 。 現 病 歴 :2007 年 12 月 にS 状 結 腸 癌<br />

(SM 癌 )に 対 し、S 状 結 腸 切 除 術 を 施 行 され、 外 来 経 過 観 察 されていた。<br />

同 時 期 に 肝 S8に 腫 瘤 を 指 摘 されたが、 精 査 で 限 局 性 脂 肪 沈 着 を 疑 わ<br />

れ 経 過 観 察 となった。 以 後 、 肝 S8 腫 瘤 は 増 大 無 く、 限 局 性 脂 肪 沈 着<br />

として 経 過 観 察 された。2011 年 のCTで、 既 知 の 肝 腫 瘍 が 軽 度 増 大 し、<br />

EOB-MRIで 既 知 のS8 腫 瘤 に 加 え、 肝 S8に 新 たに2 個 の 腫 瘤 を 認 めた。<br />

さらに3か 月 後 のMRIでS8 腫 瘤 の1 個 が 急 速 に 増 大 したため、 精 査 加<br />

療 目 的 で 入 院 となった。 入 院 時 血 液 検 査 は、 肝 炎 ウイルスは 陰 性 で<br />

AST52,ALT100,γ-GTP194,ANA(-),AMA(-),HbA1c8.4から 脂 肪 性 肝<br />

炎 が 疑 われた。AFP,PIVKA-IIは 正 常 であった。EOB-MRIでは、 既 知<br />

の 腫 瘍 は、2cm 大 でT1 高 信 号 、T2 低 信 号 で 造 影 効 果 なく、 肝 細 胞 相<br />

で 内 部 高 信 号 、 辺 縁 リング 状 の 低 信 号 を 示 した。 近 傍 、 内 側 結 節 は<br />

2.4cm 大 に 増 大 し、T2 高 信 号 で 内 部 に 軽 度 造 影 効 果 を 認 め、 肝 細 胞 相<br />

で 低 信 号 であった。 近 傍 、 腹 側 結 節 は1.5cm 大 、 造 影 効 果 なくT1 高 信<br />

号 で、 肝 細 胞 相 では 低 信 号 で 腹 側 一 部 高 信 号 であった。また、 既 知 の<br />

腫 瘍 は、CTAで 造 影 効 果 なく、CTAPでも 欠 損 はなかった。 内 側 結<br />

節 は 右 肝 静 脈 に 接 し、CTA 後 期 相 で 造 影 効 果 ありCTAPで 欠 損 、 腹<br />

側 結 節 は、 造 影 効 果 なくCTAPでも 欠 損 はなかった。 以 上 の 画 像 診 断<br />

から、 内 側 結 節 はHCCあるいは 肝 転 移 を、 既 知 の 腫 瘍 は 胆 汁 成 分 の<br />

多 いHCCを、 腹 側 結 節 は 高 分 化 HCCを 疑 われ、 内 側 結 節 が 右 肝 静 脈<br />

に 接 していたことから、 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 組 織 学 的 には、 背<br />

景 肝 組 織 は、 多 くの 脂 肪 成 分 と 肝 細 胞 の 膨 化 、マロリー 小 体 のある<br />

NASHであった。 腫 瘍 3 結 節 は、すべて 高 分 化 HCCで、 内 側 結 節 は 脂<br />

肪 化 とペリオーシスを 多 く 含 んでいた。さらに 近 傍 S5には、 画 像 上<br />

指 摘 し 得 なかった10mm 大 HCCと 高 度 異 型 結 節 も 認 めた。 結 語 :…S 状<br />

結 腸 癌 術 後 、NASHに 合 併 した 多 発 HCCの1 例 を 経 験 した。<br />

P2-3 Dubin-Johnson 症 候 群 合 併 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 術<br />

を 施 行 し, 術 後 ビリルビン 吸 着 療 法 を 要 した1 例<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科<br />

○… 出 口 真 彰 , 上 野 昌 樹 , 谷 眞 至 , 山 口 俊 介 , 川 井 学 ,<br />

速 水 晋 也 , 重 河 嘉 靖 , 廣 野 誠 子 , 岡 田 健 一 , 宮 澤 基 樹 ,<br />

北 畑 裕 司 , 山 上 裕 機<br />

【 緒 言 】 体 質 性 黄 疸 は 一 般 に 予 後 良 好 で 特 に 治 療 を 要 しない.…… 今 回<br />

我 々はDubin-Johnson 型 体 質 性 黄 疸 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 を<br />

施 行 し,… 術 後 ビリルビン 吸 着 療 法 を 要 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る.……【 症 例 】 患 者 は81 歳 の 女 性 ,… 幼 少 時 よりDubin-Johnson 症 候 群 指 摘<br />

され,…60 歳 より 慢 性 C 型 肝 炎 を 指 摘 され,… 近 医 に 通 院 していた.…… 近 医 よ<br />

りAFP 高 値 を 指 摘 され,…CTにてS5に18mm 大 のHCC 認 め,… 当 科 に 手 術<br />

目 的 で 紹 介 となった.…… 術 前 のT-Bil…(T.B)6.1mg/dl,…D-Bil…(D.B)3.2mg/<br />

dlと 上 昇 し,…ICG15 分 値 は17%で,…K 値 は0.130であった.……【 手 術 】S5の 病<br />

変 に 前 区 域 切 除 術 を 施 行 した.…… 出 血 量 は370mlで,… 摘 出 肝 重 量 は185g<br />

であった.… 病 理 所 見 はfc(+),…fc-inf(-),…sf(-),…S0,…vp0,…vv0,…va0,…B0,…P0,…<br />

SM(-),…LC(F4),…im(-)であった.……【 術 後 経 過 】 術 後 全 身 状 態 は 良 好 で<br />

あったが,… ビリルビン 値 の 上 昇 認 め,… 術 後 6 日 目 にT.B…13.4mg/dl,…D.B…<br />

10.4mg/dlまで 上 昇 し,…ビリルビン 吸 着 療 法 を 開 始 した.… 術 後 12 日 目 に…<br />

T.B…20.2mg/dl,…D.B…15.3mg/dlまでビリルビン 値 の 上 昇 を 認 めたのち,…<br />

ビリルビン 値 は 減 少 に 転 じた.……ビリルビン 吸 着 は 合 計 7 回 行 い,… 術 後 28<br />

日 目 に 退 院 した.…… 現 在 T.B…6.4mg/dl,…D.B…3.5mg/dlまで 改 善 し,… 外 来 通<br />

院 中 である.……【まとめ】Dubin-Johnson 症 候 群 は,… 予 後 良 好 な 疾 患 であ<br />

るが,… 肝 切 除 を 行 い,… 術 後 に 遷 延 性 黄 疸 を 引 き 起 こす 症 例 がある.…… 本 邦<br />

での 報 告 例 においてDubin-Johnson 症 候 群 を 基 礎 疾 患 に 持 ち 肝 切 除 が<br />

施 行 された 症 例 は,… 本 症 例 を 含 んで10 例 しかなく,… ビリルビン 吸 着 療<br />

法 を 要 した 症 例 は 本 症 例 を 除 いて1 例 しかなかった.…… 肝 不 全 に 至 った<br />

症 例 はないが,… ビリルビン 値 の 回 復 に5カ 月 間 要 した 症 例 もあった.…<br />

Dubin-Johnson 症 候 群 を 併 発 した 肝 細 胞 癌 の 肝 切 除 は,… 術 後 長 期 に 黄<br />

疸 が 遷 延 する 症 例 も 存 在 し,… 慎 重 な 周 術 期 管 理 が 必 要 であると 考 える.<br />

-311-


P2-4 病 理 組 織 学 的 に2mmと 診 断 された 肝 細 胞 癌 の 一 切 除 例<br />

日 本 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科<br />

○… 吉 川 大 太 郎 , 梶 原 崇 弘 , 吉 田 直 樹 , 九 穂 明 子 , 三 塚 祐 介 ,<br />

岩 間 敦 子 , 青 木 優 , 山 崎 慎 太 郎 , 荒 牧 修 , 森 口 正 倫 ,<br />

緑 川 泰 , 檜 垣 時 夫 , 大 久 保 貴 生 , 中 山 壽 之 ,<br />

高 山 忠 利<br />

16mmの 肝 細 胞 癌 と 診 断 され 切 除 した 結 果 、 組 織 学 的 に2mmと 診 断 さ<br />

れた 肝 細 胞 癌 の 一 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】79 歳 、 男 性 。<br />

アルコール 性 肝 障 害 ・ 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 疑 いにて 当 院 内 科 で 経 過 観<br />

察 中 、 腹 部 超 音 波 検 査 にて 肝 S1に 高 エコー 腫 瘤 を 認 めたため 精 査 を<br />

施 行 した。CTでは 単 純 で 低 濃 度 、 動 脈 相 で 高 濃 度 、 門 脈 ・ 平 衡 相 で<br />

低 濃 度 となる16mmの 腫 瘍 で、 腹 部 血 管 造 影 では 早 期 濃 染 を 認 めた。<br />

以 上 より 肝 S1…16mmの 肝 細 胞 癌 の 診 断 となった。【 肝 予 備 能 】 血 清 総<br />

ビ リ ル ビ ン0.52mg/dl、 ア ル ブ ミ ン…4.3g/dl、PT %…100%、ICGR15…<br />

26%で、 肝 障 害 度 Aであった。【 手 術 】 肝 S8・S1 切 除 術 を 施 行 した。<br />

腫 瘍 はS8グリソン 背 側 枝 の 背 側 に 位 置 し、 右 肝 静 脈 枝 の 左 側 に 接 し<br />

ていた。S8 背 側 枝 領 域 とS1 下 大 静 脈 部 を 切 除 した。 摘 出 標 本 では、<br />

S8グリソンに 接 して11x6mmの 境 界 不 明 瞭 な 腫 瘍 を 認 めた。【 病 理 組<br />

織 検 査 】 肉 眼 的 に 腫 瘍 として 認 められた 部 分 のほとんどは 肉 芽 組 織 で、<br />

中 央 部 に2mmの 高 分 化 型 肝 細 胞 癌 を 認 めた。 肝 細 胞 癌 はまれに 自 然<br />

退 縮 を 認 めることが 報 告 されている。 本 症 例 においては、 腫 瘍 周 囲 の<br />

肉 芽 組 織 が 肝 細 胞 癌 の 変 性 によるものかは 不 明 であった。さらなる 病<br />

理 組 織 学 的 検 討 を 行 い 報 告 する。<br />

P2-5 進 行 胃 癌 の 術 後 経 過 観 察 中 に 発 症 、 切 除 した 肝 細 胞 癌 の2<br />

例<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 水 戸 医 療 センター 外 科 、 2 岩 手 県 立 大 船 渡 病<br />

院 外 科<br />

○… 小 山 田 尚 1<br />

, 中 野 達 也 2<br />

, 村 上 雅 彦 2 1<br />

, 小 泉 雅 典<br />

進 行 胃 癌 の 術 後 に 肝 腫 瘍 が 出 現 、 経 過 観 察 の 後 に 切 除 し、 肝 細 胞 癌 と<br />

判 明 した2 例 を 経 験 した。 症 例 1)75 歳 男 性 。 平 成 19 年 に 胃 癌 (T4,N1)<br />

にて 幽 門 側 胃 切 除 を 施 行 。 術 後 補 助 化 学 療 法 にTS-1を 投 与 されてい<br />

たが、 血 小 板 減 少 が 顕 著 となり 中 止 していた。2 年 目 のフォローアッ<br />

プCTにて、 肝 右 葉 のに3cm 大 の 腫 瘍 を 指 摘 された。 経 過 観 察 を 行 っ<br />

ていたが、 腫 瘍 は 少 しずつ 腫 大 し、 血 小 板 減 少 により 化 学 療 法 の 継 続<br />

も 難 しいことから 肝 右 葉 切 除 を 施 行 した。 腫 瘍 は 病 理 診 断 で 肝 細 胞 癌<br />

と 判 明 した。 術 後 1 年 で 残 肝 に 再 発 しRFA 施 行 したが、 術 後 2 年 目 ま<br />

再 々 発 なく 生 存 中 である。 症 例 2)71 歳 男 性 。 平 成 14 年 に 胃 癌 (T3,N1)<br />

により 幽 門 側 胃 切 除 。 総 肝 動 脈 周 囲 のリンパ 節 に 遺 残 があるとのこと<br />

で 長 期 にTS-1を 投 与 されていた。4 年 半 後 に 残 胃 に 腫 瘍 が 見 つかり、<br />

残 胃 全 摘 術 を 施 行 した。 術 中 所 見 で 総 肝 動 脈 周 囲 には 腫 瘍 がないこと<br />

を 確 認 し、 残 胃 の 腫 瘍 はT1,N0であったため、 術 後 にTS-1を 中 止 した。<br />

さらに1 年 半 後 、 膵 体 部 に 腫 瘍 が 出 現 し、 膵 部 分 切 除 、 総 肝 動 脈 、 脾<br />

動 脈 周 囲 リンパ 節 切 除 をしたところ、 胃 癌 のリンパ 節 転 移 の 診 断 で<br />

あった。この 後 もTS-1の 内 服 を 再 開 していたが、この2 年 半 後 のCTに<br />

て1.5cm 大 の 肝 腫 瘍 が 出 現 、 経 過 観 察 するも 腫 大 するため、 肝 S6+S7<br />

部 分 切 除 を 行 った。 病 理 診 断 にて 肝 細 胞 癌 と 判 明 した。 術 後 6か 月 に<br />

て 無 再 発 生 存 中 である。 いずれの2 例 も、 術 前 には 肝 細 胞 癌 の 診 断<br />

ができなかったが、 単 発 であること、 経 過 観 察 で 腫 大 を 認 めること、<br />

化 学 療 法 の 治 療 が 困 難 もしくは 効 果 がなかったため 肝 切 除 を 行 った 症<br />

例 である。ともに、B 型 C 型 の 肝 炎 ウイルス 陰 性 、 糖 尿 病 などの 代 謝<br />

異 常 もなかった。TS-1との 関 連 は2 例 のみであり 不 明 である。 進 行<br />

胃 癌 のフォロー 中 に 肝 腫 瘍 を 認 めることは 時 に 経 験 する。 胃 癌 肝 転 移<br />

に 対 する 手 術 適 応 は 極 めて 限 られると 考 えるが、 安 易 に 胃 癌 の 転 移 と<br />

診 断 することなく、 原 発 性 肝 癌 などの 他 疾 患 の 鑑 別 を 考 慮 すべきと 考<br />

える。 我 々は 同 様 に、 進 行 胃 癌 術 後 の 肝 内 胆 管 細 胞 癌 も1 例 経 験 して<br />

いる。また、 非 B 非 C 肝 癌 発 生 のリスクファクターとして、 糖 尿 病 な<br />

どの 代 謝 異 常 は 知 られているが、 化 学 療 法 剤 投 与 によるリスクは 検 討<br />

の 余 地 があると 考 える。<br />

P2-6 早 期 胃 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 下 幽 門 側 胃 切 除 後 早 期 に 発 症 し<br />

たVp3 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

姫 路 聖 マリア 病 院<br />

○… 横 山 伸 二 , 三 浦 奈 緒 子<br />

胃 癌 に 伴 い 同 時 性 異 時 性 に 他 臓 器 の 重 複 癌 を 発 症 することは 稀 ではな<br />

いが、ウィルス 性 肝 炎 を 背 景 とする 肝 細 胞 癌 を 合 併 することは 比 較 的<br />

まれである。 今 回 、 我 々は 早 期 胃 癌 に 対 し 腹 腔 鏡 下 幽 門 側 切 除 を 施 行 、<br />

経 過 中 早 期 に 発 症 し 急 速 に 発 育 した 肝 細 胞 癌 症 例 を 経 験 したので 文 献<br />

的 考 察 を 加 え 報 告 する。 症 例 は61 歳 男 性 。 貧 血 を 主 訴 に 精 査 にて 胃 内<br />

視 鏡 検 査 が 施 行 され 幽 門 前 庭 部 後 壁 の0-2c+2aを 指 摘 された。 術 前<br />

cT1b(SM)…cN0……cM0……cStage1Aと 診 断 、 平 成 19 年 9 月 に 腹 腔 鏡 下 幽 門<br />

側 切 除 術 を 施 行 、 再 建 は 体 腔 内 機 能 的 端 々 吻 合 を 施 行 した。 術 中 、 肝<br />

臓 はやや 高 度 を 増 していたため 術 前 の 血 液 検 査 でC 型 肝 炎 抗 体 が 陽 性<br />

であったことと 合 わせ 慢 性 肝 炎 と 診 断 した。 病 理 組 織 学 的 には<br />

R0 深 達 度 pm…pn0…pStage1A…… 経 過 良 好 、 再 発 もなく 外 来 にて 経 過 観<br />

察 していた。 特 に 訴 えはなかったが、 胃 癌 術 後 1 年 3か 月 の 平 成 20 年 12<br />

月 定 期 のCTにて 後 区 域 を 中 心 とした 多 結 節 癒 合 型 の 肝 細 胞 癌 が 指 摘<br />

された。すでにVp3であったため、 同 年 12 月 TACEをこころみたが、<br />

右 葉 はAP…shuntが 大 きいため、 十 分 な 塞 栓 ができないと 判 断 、 塞 栓<br />

療 法 を 断 念 した。 肝 障 害 度 A、ICG15…14%であったため 平 成 21 年 2 月<br />

右 葉 切 除 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 にはmoderately…diffentiated…<br />

hepatocellular… carcinoma,trabecular… type.eg.fc(-),fc-inf<br />

(-),Sf,S0,Vp3,Vv0,Va0,b0,p0,SM(-),CH,F2,T3,Stage3 根 治 度 Cとなっ<br />

た。 現 在 、 無 再 発 生 存 中 である。 早 期 胃 癌 術 後 であっても、 絶 えず<br />

細 かい 注 意 を 払 いながら 重 複 癌 の 併 発 に 注 意 しなければならない。と<br />

くに 肝 炎 ウィルスの 陽 性 肝 疾 患 症 例 においては 急 速 に 発 症 、 発 育 する<br />

肝 細 胞 癌 もあることに 念 頭 におかなければならない。このような 症 例<br />

について 文 献 的 検 討 も 加 え 報 告 する。<br />

P2-7 右 胃 大 網 動 脈 を 用 いた 冠 動 脈 バイパス 術 後 の 肝 細 胞 癌 症<br />

例 に 対 する 肝 左 葉 切 除 術 の 経 験<br />

1<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科 、 2 岐 阜 大 学 高 度 先 進 外 科<br />

○… 今 井 寿 1<br />

, 長 田 真 二 1<br />

, 棚 橋 利 行 1<br />

, 佐 々 木 義 之 1<br />

,<br />

竹 村 博 文 2<br />

, 吉 田 和 弘<br />

1<br />

【はじめに】 冠 動 脈 バイパス 術 には 右 胃 大 網 動 脈 グラフトが 選 択 肢 の<br />

ひとつとなるが, 後 に 胃 切 除 術 などの 開 腹 手 術 が 必 要 になった 場 合 に<br />

は, 大 きな 障 害 となる。 今 回 , 右 胃 大 網 動 脈 を 用 いた 冠 動 脈 バイパス<br />

術 後 症 例 に 発 生 した 肝 細 胞 癌 に 対 し, 肝 左 葉 ・ 尾 状 葉 切 除 術 を 施 行 し<br />

たため 供 覧 する.【 症 例 】64 歳 , 男 性 .50 歳 時 に 冠 動 脈 疾 患 に 対 して3<br />

本 の 冠 動 脈 バイパス 術 が 施 行 され,うち1 本 には 右 胃 大 網 動 脈 グラフ<br />

トが 使 用 された.55 歳 時 にB 型 肝 炎 を 指 摘 され,59 歳 時 と62 歳 時 に 診<br />

断 された 肝 細 胞 癌 に 対 しては,ラジオ 波 凝 固 療 法 と 肝 動 脈 塞 栓 術 にて<br />

加 療 されたが, 外 側 区 域 の 直 径 5cmの 腫 瘍 制 御 が 困 難 と 判 断 され, 外<br />

科 切 除 を 目 的 として 紹 介 となった. 画 像 所 見 上 , 腫 瘍 はS2/4に 存 在 し,<br />

頭 側 は 中 肝 静 脈 と 左 肝 静 脈 を 圧 排 し, 腹 側 から 尾 状 葉 を 圧 排 する 肝 細<br />

胞 癌 であった. 冠 動 脈 造 影 検 査 では, 右 冠 動 脈 は 完 全 に 閉 塞 し, 外 側<br />

区 域 腹 側 を 走 行 する 右 胃 大 網 動 脈 からの 血 流 に 完 全 に 依 存 していた.<br />

ICG15Rは2.5%, 肝 障 害 度 A,Child-Pugh…grade…Aで, 肝 左 葉 ・ 尾 状 葉<br />

切 除 術 を 予 定 した.【 手 術 】 手 術 に 先 立 ち, 体 外 式 ペースメーカーと<br />

経 食 道 超 音 波 を 留 置 し, 右 大 腿 動 脈 からの 緊 急 処 置 を 念 頭 に, 同 部 に<br />

も 術 野 を 確 保 した.ドップラー 超 音 波 検 査 にて, 右 胃 大 網 動 脈 の 位 置<br />

を 確 認 しつつ, 逆 T 時 切 開 で 開 腹 . 肝 外 側 区 域 に 埋 没 して 走 行 する 右<br />

胃 大 網 動 脈 を 確 認 し, 肝 臓 との 癒 着 を 慎 重 に 剥 離 した. 心 嚢 流 入 部 ま<br />

で 完 全 に 剥 離 した 後 , 外 側 区 域 を 脱 転 し, 右 胃 大 網 動 脈 を 左 側 腹 部 に<br />

愛 護 的 に 圧 排 した 上 で, 肝 左 葉 , 尾 状 葉 切 除 術 を 開 始 した. 中 肝 静 脈<br />

を 広 範 囲 で 圧 排 する 腫 瘍 を 左 肝 静 脈 合 流 部 まで 追 求 するように 肝 切 離<br />

を 進 め, 左 肝 静 脈 を 根 部 で 切 離 した. 手 術 時 間 は6 時 間 16 分 , 出 血 量<br />

は1200mL. 腫 瘍 は, 被 膜 を 有 する5.0×4.4cmの 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 で,<br />

一 部 , 肝 動 脈 塞 栓 術 の 影 響 で 壊 死 がみられた. 術 後 経 過 は 良 好 で, 術<br />

後 15 病 日 に 退 院 となった.【 結 語 】 右 胃 大 網 動 脈 を 用 いた 冠 動 脈 バイ<br />

パスグラフト 症 例 に 対 する 肝 切 除 術 は, 麻 酔 科 ・ 心 臓 血 管 外 科 のバッ<br />

クアップを 受 け, 安 全 に 施 行 可 能 であった.<br />

-312-


P2-8 肝 切 除 後 早 期 に 胃 浸 潤 を 伴 い 肝 外 発 育 性 の 再 発 をきたし<br />

た 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

P2-9 当 院 で 経 験 した 細 胆 管 癌 の 臨 床 像<br />

1<br />

公 立 八 女 総 合 病 院 外 科 、 2 公 立 八 女 総 合 病 院 病 理 、 3 久 留 米<br />

大 学 外 科<br />

○… 平 城 守 1<br />

, 小 野 博 典 1<br />

, 尾 崎 邦 博 1<br />

, 丸 山 寛 1<br />

,<br />

木 村 祐 介 ノーマン 1 , 永 野 剛 志 1<br />

, 中 西 香 織 1<br />

, 高 木 克 明 1<br />

,<br />

横 山 新 太 郎 1<br />

, 渡 辺 次 郎 2 3<br />

, 白 水 和 雄<br />

肝 臓 に 原 発 する 悪 性 腫 瘍 の 細 胆 管 細 胞 癌 ( 細 胆 管 癌 )は 頻 度 も 少 なくそ<br />

の 臨 床 像 は 不 明 の 点 が 多 い。 我 々は 最 近 9 年 間 に 細 胆 管 癌 7 例 を 経 験 し<br />

た。 当 院 で 経 験 した 細 胆 管 癌 の 臨 床 像 を 提 示 し、 今 後 の 治 療 の 参 考 に<br />

したい。2003 年 1 月 から2011 年 12 月 までに 当 院 にて7 例 が 病 理 学 的 に 細<br />

胆 管 癌 と 診 断 された。 性 別 は 男 性 4 例 、 女 性 3 例 で 年 齢 は48 歳 から81 歳 、<br />

平 均 65.9 歳 であった。HCV 陽 性 は4 名 、うち1 名 はHBs 抗 体 陽 性 で、ど<br />

ちらも 陰 性 は3 名 であった。6 名 に 手 術 を 実 施 し、 現 在 入 院 中 の1 名 を<br />

除 いた5 例 の 経 過 は4 例 に 再 発 を 認 め、3 例 が 肝 転 移 を 認 め、それぞれ<br />

術 後 8,10,17か 月 で 再 発 を 確 認 した。1 例 は15か 月 で 腫 瘍 マーカーの 上<br />

昇 を 認 め、44か 月 で 画 像 にて 腹 膜 転 移 と 診 断 した。 再 発 を 認 めた4 例<br />

中 2 例 は 集 学 的 治 療 を 実 施 し、それぞれ5 年 2か 月 、6 年 11か 月 生 存 中 で<br />

ある。 手 術 不 能 であった1 例 は 診 断 後 10か 月 で 死 亡 した。 術 後 無 再 発<br />

生 存 中 の1 例 は1 年 6か 月 経 過 している。 考 察 : 再 発 形 式 は 肝 転 移 が 比<br />

較 的 多 い。 治 療 法 は 頻 度 が 少 ない 疾 患 であり 症 例 に 応 じて 選 択 するこ<br />

とや 化 学 療 法 の 継 続 が 重 要 と 思 われる。 再 手 術 や 放 射 線 照 射 など、 集<br />

学 的 な 治 療 が 重 要 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P3-1 回 盲 部 の 孤 立 性 播 種 巣 切 除 後 に 広 範 な 腹 膜 播 種 を 急 速 に<br />

来 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

社 会 保 険 徳 山 中 央 病 院 外 科<br />

○… 久 保 秀 文<br />

肝 細 胞 癌 の 再 発 形 式 で 腹 膜 播 種 の 頻 度 は7.1%と 稀 である. 症 例 は57 歳<br />

の 男 性 で2001 年 3 月 より 肝 S2,S6の 肝 細 胞 癌 に 対 して2009 年 までに 数 回<br />

のRFAとTACE 治 療 歴 あり.2010 年 1 月 肝 S6の 肝 細 胞 癌 が 再 度 出 現 して<br />

きたためこれに 対 し 肝 S6 部 分 切 除 を 施 行 した(T2,Eg,Fc+, 中 分 化 型 肝<br />

細 胞 癌 であった).2010 年 12 月 右 下 腹 部 腫 瘤 を 主 訴 に 受 診 , 腹 部 CTにて<br />

回 盲 部 に 直 径 10cm 大 の 腫 瘤 を 認 めた.PIVKA-2の 上 昇 を 伴 っており 腹<br />

腔 内 転 移 を 疑 い 回 盲 部 切 除 および 腫 瘤 摘 出 術 を 施 行 した. 腫 瘍 は 回 盲<br />

部 後 壁 に 癒 着 して 発 育 していたが, 虫 垂 および 盲 腸 の 壁 内 には 異 常 所<br />

見 は 認 められず 後 腹 膜 への 播 種 性 転 移 と 診 断 した.その 後 ラミブジン/<br />

アデホビルの 抗 ウィルス 剤 のみで 経 過 観 察 していたがその4ヶ 月 後 に<br />

腹 痛 ・ 腹 満 などの 腸 閉 塞 症 状 が 出 現 し,CTで 下 行 結 腸 の 外 側 に 径 7.5cm<br />

大 の 腫 瘍 病 変 を 認 めた.その 他 にも 腹 腔 内 に 造 影 剤 にて 早 期 濃 染 する<br />

結 節 が 散 在 しており 腹 腔 内 全 体 への 腹 膜 播 種 の 増 悪 が 疑 われた. 現 在 ,<br />

疼 痛 コントロールを 併 用 投 与 しながらソラフェニブを 内 服 投 与 して 経<br />

過 観 察 中 である. 本 症 例 での 回 盲 部 への 初 回 播 種 病 変 は 孤 立 性 病 変 で<br />

はあったが 腫 瘤 の 境 界 は 完 全 に 明 瞭 ではなく 一 部 には 不 整 な 境 界 を 有<br />

していた. 肝 細 胞 癌 の 腹 膜 播 種 巣 の 切 除 においてはたとえ 孤 立 性 で<br />

あっても 一 部 に 浸 潤 性 境 界 を 有 する 場 合 は 切 除 を 契 機 に 急 速 に 播 種 を<br />

広 める 危 険 があり,その 切 除 の 適 応 には 慎 重 であるべきと 考 えられ<br />

た. 肝 細 胞 癌 の 腹 膜 播 種 に 対 する 治 療 法 として 手 術 療 法 以 外 に 分 子 標<br />

的 治 療 薬 であるソラフェニブが 注 目 されているが 手 術 療 法 と 比 較 した<br />

まとまった 結 果 はなくその 効 果 は 未 知 数 であるため 本 症 例 でも 慎 重 に<br />

その 経 過 を 追 っていく 必 要 がある. 今 回 ,われわれは 回 盲 部 の 限 局 した<br />

腹 膜 播 種 巣 を 切 除 した 後 に 急 速 な 腹 腔 内 播 種 を 来 したまれな 肝 細 胞 癌<br />

の1 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P3-2 肝 細 胞 癌 腹 膜 播 種 再 発 に 対 し3 度 の 切 除 術 を 施 行 した1<br />

例<br />

1<br />

佐 々 木 研 究 所 附 属 杏 雲 堂 病 院 消 化 器 外 科 、 2 佐 々 木 研 究 所 附 属<br />

杏 雲 堂 病 院 消 肝 内 科<br />

○… 三 浦 世 樹 1<br />

, 川 本 潤 1<br />

, 深 田 忠 臣 1 2<br />

, 小 尾 俊 太 郎<br />

肝 細 胞 癌 腹 膜 播 種 再 発 に 対 し3 度 の 切 除 術 を 施 行 した1 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 する。 症 例 は68 歳 女 性 。32 歳 時 に 心 室 中 隔 欠 損 症 に 対 する 手 術<br />

時 に 輸 血 を 施 行 。C 型 肝 硬 変 経 で 過 観 察 中 、 平 成 13 年 に 肝 左 葉 2.5cm<br />

大 の 単 発 肝 細 胞 癌 に 対 し、ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 。 平 成 16 年 にHCV2 型 、<br />

高 ウイルス 量 に 対 しPEG-IFNを 導 入 するもHCV-RNA(+)。 同 年 肝 S4<br />

の2cmの 肝 細 胞 癌 に 対 し 再 度 ラジオ 波 焼 灼 術 施 行 。 平 成 17 年 イントロ<br />

ン、レベトール 併 用 療 法 を 開 始 しHCV-RNA(-)となる。 平 成 18 年 12 月<br />

肝 細 胞 癌 腹 膜 播 種 と 診 断 され 可 及 的 切 除 術 を 施 行 。 平 成 19 年 にTSU-<br />

68を12コース 投 与 。 平 成 20 年 TS-1を120mg/ 日 投 与 。 平 成 21 年 より<br />

systemic… fluorouracil… arterial… infusion… and… interferon… therapy…<br />

(systemic…FAIT)…を 開 始 し2クール 施 行 。 平 成 22 年 AFPが2515と 上 昇<br />

したため 当 科 紹 介 受 診 。 腹 部 造 影 CTで 胃 前 庭 部 腹 側 に3cm 大 の 播 種<br />

病 変 を 認 め 手 術 を 施 行 。 大 網 内 の40mm 大 と30mm 大 の 播 種 巣 を 可 及<br />

的 に 切 除 した。 術 後 systemic…FAITを2クール 施 行 したが、 平 成 23 年 、<br />

AFPが 再 度 上 昇 、CT 上 最 大 4cm 大 の 腹 膜 播 種 病 変 を 計 4 個 認 め 手 術 を<br />

施 行 した。 大 網 全 摘 術 及 び 小 網 内 の2cm 大 播 種 病 変 に 対 して 摘 出 術 を<br />

施 行 した。 病 理 所 見 はいずれも 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 であった。 現 在 全 身<br />

状 態 は 良 好 で、ソラフェニブを 投 与 開 始 し 経 過 観 察 中 である。 肝 細 胞<br />

癌 腹 膜 播 種 症 例 中 にも、 化 学 療 法 、 分 子 標 的 治 療 による 原 発 巣 のコン<br />

トロールと 手 術 による 腹 膜 播 種 切 除 を 組 み 合 わせた 集 学 的 治 療 により、<br />

良 好 なQOLを 保 ちつつ 長 期 生 存 し 得 る 症 例 も 存 在 する 可 能 性 が 示 唆<br />

された。<br />

千 葉 労 災 病 院 外 科<br />

○… 飯 田 文 子 , 草 塩 公 彦 , 宇 田 川 郁 夫 , 松 本 正 成 , 鈴 木 大 ,<br />

深 尾 立<br />

肝 細 胞 癌 は 一 般 的 には 発 育 が 緩 除 な 腫 瘍 と 考 えられており、 短 期 間 に<br />

急 速 増 大 をきたすことは 極 めて 稀 である。 肝 外 発 育 型 の 肝 細 胞 癌 も 比<br />

較 的 稀 であるが、 今 回 我 々は 初 回 肝 切 除 後 5ヶ 月 でAFPの 急 激 な 上 昇<br />

とともに 肝 外 突 出 型 の 再 発 をきたし 急 速 な 腫 瘍 の 増 大 と 胃 浸 潤 を 認 め<br />

た 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。( 症 例 )78 歳 女 性 。 軽 度 の 肝 障 害 と 血<br />

小 板 減 少 があり 腹 部 エコーにて 肝 腫 瘍 を 指 摘 された。HBs 抗 原 、HCV<br />

抗 体 は 陰 性 で、 内 科 での 精 査 で 肝 S4の 肝 細 胞 癌 の 診 断 となり 当 科 紹 介 。<br />

肝 S4b+S8 切 除 術 を 施 行 し、 術 前 はAFP…5782ng/ml、PIVKA-II…<br />

62mAU/mlとAFP-L3が 著 明 に 上 昇 していたが 術 後 は 正 常 化 した。 切<br />

除 標 本 組 織 所 見 は、 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 、St-AM…(3cm),…eg,…fc(+),…fcinf(+),…sf(+),…s0,…vp0,…vv1,…va0,…b0,…sm…(-)(5mm),…lc…<br />

で、T2N0…<br />

StageIIIであった。 術 後 5ヶ 月 のCTにて 肝 S2に 単 発 の 再 発 を 認 め 再 手<br />

術 の 方 針 となったが、 術 前 にAFPは171ng/mlから6116ng/mlと 急 激<br />

に 上 昇 していた。 手 術 所 見 では 肝 S2より 肝 外 に 突 出 した 約 5cm 大 の 腫<br />

瘍 を 認 め、 胃 小 弯 前 壁 に 浸 潤 が 疑 われたため 肝 S2 部 分 切 除 + 胃 部 分<br />

切 除 を 施 行 した。 切 除 標 本 病 理 所 見 にて 胃 漿 膜 への 浸 潤 あり、 中 分 化<br />

型 肝 細 胞 癌 、St-L(4.5cm),…fc(+),…fc-inf(+),…s2(stomach),…vp0,…vv1,…<br />

va0,…b0,…sm(-)であった。 再 手 術 後 AFPは99.3ng/mlまで 下 降 したが 再<br />

手 術 後 7ヶ 月 で3647ng/mlまで 再 上 昇 、CTにて 臍 周 囲 の 腹 壁 に 再 発 を<br />

認 め、 他 の 再 発 所 見 ないため 腹 壁 腫 瘍 摘 出 術 を 行 った。 現 在 初 回 再 発<br />

時 より10ヶ 月 無 再 発 経 過 中 である。( 考 察 ) 肝 外 発 育 型 肝 細 胞 癌 の 中 に<br />

は 周 辺 臓 器 に 浸 潤 し 合 併 切 除 を 余 儀 なくされる 症 例 があるが、 切 除 可<br />

能 であっても 必 ずしも 予 後 良 好 ではないとの 報 告 が 多 く、 高 い 悪 性 度<br />

を 有 するものと 推 察 される。 本 症 例 でも 術 後 短 期 間 にAFPの 急 激 な<br />

上 昇 や 胃 浸 潤 を 認 めており 例 外 ではないが、 外 科 的 切 除 を 繰 り 返 し<br />

行 っていくことで 病 勢 がある 程 度 コントロールされている 可 能 性 があ<br />

り、 本 症 例 のように 慎 重 な 経 過 観 察 とともに 再 発 時 の 速 やかな 対 応 が<br />

必 要 であることが 示 唆 された。<br />

-313-


P3-3 初 回 手 術 時 に 同 時 性 リンパ 節 転 移 を 伴 った 肝 細 胞 癌 の1<br />

例<br />

横 浜 労 災 病 院 外 科<br />

○… 篠 藤 浩 一 , 大 島 郁 也 , 松 村 聡 , 尾 崎 正 彦<br />

( 症 例 )73 歳 、 男 性 .( 主 訴 ) 上 腹 部 痛 .( 既 往 歴 ) 糖 尿 病 で 内 服 加 療 中 .( 現<br />

病 歴 ) 平 成 22 年 年 8 月 上 旬 に 突 然 の 上 腹 部 痛 が 出 現 し 当 院 消 化 器 科 受 診<br />

しCT 検 査 で 肝 腫 瘍 よりの 出 血 が 疑 われ 精 査 加 療 目 的 で 入 院 となった.<br />

( 来 院 時 血 液 生 化 学 検 査 )WBC…9900/μl、Hb…12.8g/dl、PLT…20.3×<br />

104/μl…、GOT…48…IU/l、GPT…47…IU/l、ALP…285…IU/l、LDH…368…IU/<br />

l、T-Bil…1.24mg/dl、D-Bil…0.65mg/dl、TP…7.3…g/dl、ALB…4.1g/dl、<br />

BUN…11.2…mg/dl、CRE…0.73mg/dl、CRP…4.21mg/dlと 炎 症 反 応 の 上 昇<br />

を 認 めた.また, 腫 瘍 マーカーは,…AFP…462.1ng/ml,PIVKA764mAU/<br />

mllと 上 昇 していた. 肝 炎 ウイルスマーカーは、HBs…Ag(-)、HBsAb(-)、<br />

HCVAb(-)でいずれも 陰 性 であった. 腹 部 超 音 波 検 査 では、 肝 外 側 区<br />

域 S3に 肝 外 に 突 出 するように 最 大 径 85mm 蜂 巣 様 腫 瘤 を 認 めた. 腹 部<br />

CT 検 査 では、 肝 外 側 区 域 S3に 肝 外 に 突 出 する 内 部 不 均 一 に 造 影 され<br />

る 腫 瘤 が 存 在 し, 単 純 CT…で 内 部 が 高 吸 収 域 に 描 出 される 出 血 を 思 わ<br />

せる 所 見 を 認 めた.また 腹 腔 動 脈 沿 いにリンパ 節 腫 脹 を 思 わせる 低 吸<br />

収 域 が 存 在 し 少 量 の 腹 水 も 認 めた. 以 上 より 肝 細 胞 癌 の 破 裂 が 破 裂 が<br />

疑 われ 血 管 造 影 検 査 を 行 った. 明 らかなextravasationは 認 めなかっ<br />

たがA3をfeederとする 腫 瘍 濃 染 および 血 腫 様 変 化 を 認 め 同 部 位 に 対<br />

してTAEを 行 った.その 後 全 身 状 態 の 改 善 を 待 ち8 月 中 旬 に 手 術 を<br />

行 った.( 手 術 所 見 ) 腹 腔 内 に 中 等 量 の 陳 旧 性 出 血 を 認 め 肝 外 に 突 出 す<br />

る 腫 瘍 は 十 二 指 腸 および 横 行 結 腸 間 膜 に 強 固 に 癒 着 しておりさらに 腹<br />

腔 動 脈 周 囲 に15mm 大 の 白 色 調 の 弾 性 軟 なリンパ 節 を 数 個 認 めた.<br />

よって 癒 着 部 位 の 合 併 切 除 および 腹 腔 動 脈 周 囲 のリンパ 節 に 対 する<br />

sampling 郭 清 を 併 施 した 肝 S3 部 分 切 除 術 を 施 行 した.( 切 除 標 本 病 理<br />

組 織 学 的 所 見 ) 腫 瘍 は、 被 膜 を 有 し 結 節 中 心 部 に 破 裂 を 伴 った 出 血 を<br />

有 した 単 結 節 周 囲 増 殖 型 の 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 であった.eg,fc(+),sf<br />

(+),s0,vp0,vv0,va0,b0,im0,sm(-),,LC,T4,N1,M0…StageIVで あ っ た.( 術<br />

後 経 過 ) 合 併 症 なく 経 過 し 術 後 第 9 病 日 で 軽 快 退 院 となり 現 在 まで 明 ら<br />

かな 再 発 なく 外 来 観 察 中 である. 今 回 、われわれは 初 回 手 術 時 に 同 時<br />

性 リンパ 節 転 移 を 伴 った 肝 細 胞 癌 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する.…<br />

P3-4 孤 立 性 縦 隔 リンパ 節 転 移 を 切 除 した 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

福 井 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 土 居 幸 司 , 白 井 久 也 , 広 瀬 由 紀<br />

肝 細 胞 癌 の 孤 立 性 縦 隔 リンパ 節 転 移 は 比 較 的 稀 であり, 治 療 法 も 確 立<br />

していない.… 今 回 , 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 後 に 出 現 した 孤 立 性 縦<br />

隔 リンパ 節 転 移 を 切 除 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する.… 症 例 は65<br />

歳 男 性 .2009 年 7 月 ,S 状 結 腸 癌 と 肝 腫 瘍 で 当 院 紹 介 . 精 査 の 結 果 , 肝<br />

腫 瘍 は 肝 細 胞 癌 と 診 断 . 肝 腫 瘍 は 約 7cmで 右 肝 静 脈 に 接 しており, 肝<br />

は 右 肝 円 索 と 思 われる 門 脈 分 岐 異 常 を 伴 っていた. 同 時 切 除 は 困 難 と<br />

判 断 し, 同 月 ,S 状 結 腸 癌 に 対 して 腹 腔 鏡 下 切 除 を 行 い,8 月 , 肝 腫<br />

瘍 に 対 してTACEを 行 った.その 後 PIVKA-IIの 漸 増 を 認 め,2010 年 3 月 ,<br />

肝 前 区 域 切 除 を 施 行 . 病 理 診 断 はwell…differentiated…hepatocellular…<br />

carcinomaであった.しかしその 後 PIVKA-IIの 再 上 昇 を 認 め,2010 年<br />

10 月 , 縦 隔 リンパ 節 に 約 3cmの 孤 立 性 転 移 を 認 めた. 周 囲 組 織 への 明<br />

らかな 浸 潤 所 見 がなく,PETなどの 検 査 で 他 に 再 発 病 巣 を 認 めない<br />

ため,2010 年 12 月 , 開 胸 してリンパ 節 切 除 を 行 った.その 後 は<br />

PIVKA-II 正 常 化 し, 術 後 1 年 の 現 在 まで 再 発 兆 候 を 認 めていない. 肝<br />

細 胞 癌 のリンパ 節 転 移 に 対 する 治 療 は 外 科 的 切 除 , 化 学 療 法 , 放 射 線<br />

療 法 などの 報 告 があるが, 外 科 的 治 療 以 外 での 完 全 消 失 は 望 み 難 く,<br />

また 縦 隔 リンパ 節 転 移 は 破 裂 による 血 胸 や 食 道 穿 破 などの 報 告 もある.<br />

肝 細 胞 癌 は 転 移 巣 も 被 膜 を 有 する 膨 張 性 発 育 を 示 す 事 が 多 いため, 病<br />

巣 が 完 全 に 切 除 できること, 肝 内 病 変 がコントロールされていること,<br />

3ヶ 月 の 経 過 観 察 で 急 速 な 増 悪 がないことなどの 条 件 があえば 外 科 的<br />

切 除 は 考 慮 すべき 治 療 法 と 思 われた.<br />

P3-5 早 期 肝 細 胞 癌 にリンパ 節 転 移 を 伴 った1 切 除 例<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 四 方 田 隆 任 , 安 永 昌 史 , 川 嶋 裕 資 , 後 藤 祐 一 , 吉 富 宗 宏 ,<br />

御 鍵 和 弘 , 丸 山 祐 一 郎 , 酒 井 久 宗 , 緒 方 俊 郎 , 石 川 博 人 ,<br />

久 下 亨 , 堀 内 彦 之 , 奥 田 康 司 , 木 下 壽 文 , 白 水 和 雄<br />

【はじめに】 肝 細 胞 癌 (HCC)の 転 移 形 式 で、リンパ 節 転 移 は 肝 再 発<br />

や 血 行 性 転 移 と 比 べると 少 なく、 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 はリンパ 節 転<br />

移 の 中 で 約 9.2%と 報 告 されている。 今 回 、 小 肝 細 胞 癌 の 同 時 性 大 動 脈<br />

周 囲 孤 立 性 リンパ 節 転 移 症 例 に 対 し、 肝 切 除 +リンパ 節 摘 出 を 行 った<br />

症 例 を 経 験 したので、 当 院 での 肝 細 胞 癌 リンパ 節 転 移 症 例 における 検<br />

討 を 含 め 報 告 する。【 症 例 】75 歳 男 性 C 型 肝 炎 経 過 観 察 中 に、 肝 外<br />

側 区 域 に17mm 大 のHCCを 認 め、 更 に 腹 部 大 動 脈 左 側 に 約 3cmの 孤 立<br />

性 の 腫 瘤 を 認 めた。 腫 瘍 マーカーPIVKA2の 上 昇 を 認 め、PET 検 査 で<br />

は 腹 部 大 動 脈 左 側 の 腫 瘤 のみ 陽 性 所 見 を 認 めた。 既 往 歴 で 糖 尿 病 、<br />

2008 年 早 期 胃 癌 にて 幽 門 側 胃 切 除 されている。 小 肝 細 胞 癌 の 同 時 性 大<br />

動 脈 周 囲 孤 立 性 リンパ 節 転 移 を 疑 い、 肝 機 能 、 全 身 状 態 を 検 討 の 上 、<br />

2011 年 9 月 肝 外 側 区 域 切 除 + 大 動 脈 周 囲 孤 立 性 リンパ 節 摘 出 を 行 っ<br />

た。 術 後 病 理 結 果 は 中 ~ 低 分 化 の 脈 管 浸 潤 を 伴 ったHCCで 大 動 脈 周<br />

囲 腫 瘍 もHCCのリンパ 節 転 移 であった。 術 後 経 過 は 良 好 で、 上 昇 し<br />

ていた 腫 瘍 マーカーも 正 常 化 した。 術 後 補 助 療 法 としてソラフェニブ<br />

を 検 討 している。【 考 察 】HCCは 早 期 にリンパ 節 転 移 を 来 す 頻 度 は 少<br />

ない。なお 肝 切 除 時 にリンパ 節 を 伴 う 頻 度 はさらに 低 く、 本 症 例 の 様<br />

に 小 HCCがリンパ 節 を 伴 うことは 稀 である。 本 症 例 は、 小 HCCであっ<br />

たが、 中 ~ 低 分 化 で 脈 管 浸 潤 をともなっており、 更 に 背 景 肝 は 慢 性 肝<br />

炎 で、 既 往 歴 の 胃 癌 術 後 であることから、 系 統 的 近 位 所 属 リンパ 節 転<br />

移 ではなく、skip…metastasisを 来 したと 考 えられた。しかも 孤 立 性 の<br />

リンパ 節 転 移 であれば、 切 除 することにより 予 後 良 好 との 報 告 もある。<br />

本 症 例 は、HCC、 孤 立 性 リンパ 節 転 移 部 位 摘 出 後 腫 瘍 マーカーが 正<br />

常 化 していることこからも、 術 後 補 助 療 法 が 必 要 と 考 えられ、 患 者 へ<br />

のICの 上 、ソラフェニブを 検 討 している。なお 外 来 での 定 期 的 なCT、<br />

腫 瘍 マーカー、PETにて 厳 重 な 経 過 観 察 が 必 要 と 考 えられる。 当 科<br />

でのHCCリンパ 節 転 移 症 例 を 検 討 し、 文 献 的 考 察 を 踏 まえ 報 告 する。<br />

P3-6 切 除 後 3 年 で 腹 直 筋 転 移 を 認 めた 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

亀 岡 市 立 病 院 外 科<br />

○… 天 池 寿<br />

【 症 例 】67 歳 男 性 . 糖 尿 病 の 加 療 中 平 成 17 年 1 月 に 肝 腫 瘍 を 指 摘 さ<br />

れ 精 査 目 的 で 当 院 紹 介 .HCC…(S4)… の 診 断 でRFA 治 療 が 行 われた.<br />

平 成 19 年 になりPIVKA-IIの 上 昇 を 認 め、 画 像 上 局 所 再 発 を 認 め 左<br />

Glisson 鞘 の 損 傷 も 合 併 したためH19 年 8 月 拡 大 左 葉 切 除 を 施 行 した.<br />

この 際 左 肝 管 は 右 肝 管 合 流 部 までRFAによる 変 成 を 受 け 縫 合 不 可 能<br />

であったためTチューブドレナージとした.Tチューブは20PODに 抜<br />

去 し、22POD 退 院 となった。しかし 術 後 胆 汁 瘻 を 認 め、10 月 下 旬 再<br />

入 院 となりドレナージによる 治 療 を 行 った. 尚 胆 汁 瘻 の 部 位 は 尾 状 葉<br />

枝 と 思 われた. 術 後 経 過 観 察 中 H23 年 1 月 よりPIVKA-IIの 不 安 定 な 変<br />

動 を 認 めるようになり、8 月 には 腹 壁 ( 右 腹 直 筋 )に 腫 瘍 の 存 在 が 明 ら<br />

かとなった.PETにて 単 独 再 発 と 考 えられたが 急 速 に 増 大 するため、<br />

8 月 下 旬 にまず 栄 養 血 管 と 思 われた 内 胸 動 脈 終 末 の 上 腹 壁 動 脈 の 結 紮<br />

術 を 施 行 した. 各 種 画 像 診 断 上 腹 腔 内 への 交 通 は 無 いと 判 断 された<br />

ため9 月 初 めに 切 除 した. 体 表 上 腫 瘍 の 中 心 にTチューブ 貫 通 部 の 瘢<br />

痕 が 存 在 していたため 同 部 を 含 めて 切 除 したが、 腫 瘍 は 腹 直 筋 内 に 限<br />

局 しており 開 腹 にはならなかった. 再 発 形 式 よりTチューブを 通 じ<br />

て 腹 直 筋 内 に 播 種 転 移 したものと 判 断 した.【 結 語 】 肝 細 胞 癌 (HCC)<br />

の 診 断 ・ 治 療 目 的 で 経 皮 的 穿 刺 を 行 った 後 腹 壁 転 移 を 来 す 場 合 があ<br />

ることは 広 く 知 られている. 今 回 経 験 した1 例 は 肝 切 除 時 胆 管 断 端 処<br />

理 困 難 のためTチューブ 処 置 としたが、その 結 果 チューブ 貫 通 部 位 で<br />

あった 右 腹 直 筋 内 に 転 移 を 来 したと 思 われる. 比 較 的 まれな 転 移 再 発<br />

形 式 であり, 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する.<br />

-314-


P3-7 鎖 骨 骨 折 で 発 症 した 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

船 橋 市 立 医 療 センター<br />

○… 山 本 悠 司 , 丸 山 尚 嗣 , 田 中 元 , 松 崎 弘 志 , 齋 藤 洋 茂 ,<br />

宮 崎 彰 成 , 佐 藤 やよい, 豊 住 武 司 , 宮 川 赳 平 ,<br />

松 本 泰 典<br />

症 例 は72 歳 男 性 。2009 年 3 月 左 鎖 骨 骨 折 を 発 症 し 保 存 的 に 加 療 された。<br />

同 年 4 月 頃 より 右 季 肋 部 痛 が 出 現 し、 腹 部 超 音 波 検 査 で 肝 腫 瘍 を 指 摘<br />

され 当 院 紹 介 となった。 各 種 検 査 で 肝 右 葉 を 占 める15×12×15cm 大<br />

の 肝 細 胞 癌 と 診 断 。HBVおよびHCV 抗 体 は 陰 性 でアルコール 多 飲 歴<br />

があった。Child-pugh…A、Liver…Damage…AでICG(15)は10.8%であっ<br />

た。2009 年 7 月 、 拡 大 右 葉 切 除 術 施 行 。 術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 14 日 目<br />

に 退 院 となった。 病 理 結 果 は 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 でT3N0M0…fStage3で<br />

あった。 術 後 4カ 月 の 外 来 で 鎖 骨 骨 折 部 の 治 癒 遷 延 の 訴 えあり、 整 形<br />

外 科 にコンサルトし 肝 細 胞 癌 骨 転 移 と 診 断 。2009 年 11 月 より 局 所 に<br />

30Gy/10 回 の 放 射 線 療 法 を 行 った。その 後 、 全 身 化 学 療 法 を 行 うも 腫<br />

瘍 の 増 大 を 認 めたため、2010 年 10 月 、 癌 センターにて 鎖 骨 転 移 巣 に 対<br />

し、 選 択 的 にTACEを 計 5コース 行 った。 評 価 はPRであった。2011 年<br />

9 月 に 左 鎖 骨 広 範 囲 切 除 術 施 行 。 病 理 診 断 は 肝 細 胞 癌 の 鎖 骨 転 移 であり、<br />

切 除 標 本 には 壊 死 組 織 を 認 めるのみで、viableな 腫 瘍 細 胞 は 認 めな<br />

かった。 初 回 手 術 から30カ 月 経 過 した 現 在 、 無 再 発 生 存 中 である。 骨<br />

転 移 で 発 症 する 肝 細 胞 癌 は 稀 であり、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 す<br />

る。<br />

P3-8 神 経 内 分 泌 系 細 胞 への 分 化 を 伴 った 肝 細 胞 癌 が 小 腸 転 移<br />

を 来 した1 切 除 例<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 室 屋 大 輔 , 安 永 昌 史 , 三 原 勇 太 郎 , 後 藤 祐 一 , 吉 富 宗 宏 ,<br />

御 鍵 和 弘 , 丸 山 祐 一 郎 , 酒 井 久 宗 , 緒 方 俊 郎 , 石 川 博 人 ,<br />

久 下 亨 , 堀 内 彦 之 , 奥 田 康 司 , 木 下 壽 文 , 白 水 和 雄<br />

【 症 例 】59 歳 男 性 。2010 年 8 月 精 査 で 肝 S8に 肝 細 胞 癌 が 認 められ、 当<br />

科 で 肝 中 央 二 区 域 切 除 術 施 行 された。 外 来 にてフォローされていたが、<br />

軽 度 の 遷 延 する 貧 血 を 認 めていた。2011 年 1 月 、FDP-PET/CTで 小 腸<br />

に 異 常 集 積 を 認 め、 小 腸 腫 瘍 ( 悪 性 リンパ 腫 ) 疑 いで 当 科 入 院 となった。<br />

【 画 像 検 査 】 腹 部 CT: 左 側 腹 部 空 腸 の 全 周 性 壁 肥 厚 、 周 囲 リンパ 節<br />

腫 脹 を 認 める。 小 腸 内 視 鏡 検 査 :Treitz 靭 帯 より30cm 肛 門 側 に 狭 窄<br />

がみられ、 同 部 位 に 活 動 性 出 血 を 呈 する 全 周 性 隆 起 性 病 変 を 認 めた。<br />

【 手 術 所 見 】Treitz 靭 帯 から30cm 肛 門 側 空 腸 に 全 周 性 の 固 い 腫 瘤 を<br />

触 知 した。 隣 接 隣 接 する 肛 門 側 空 腸 と 癒 着 しており、 腫 瘍 浸 潤 が 示 唆<br />

された。 腫 瘍 より 口 側 5cmから 隣 接 空 腸 の 浸 潤 部 位 より5cm 肛 門 側 ま<br />

で 約 70cmの 空 腸 切 除 を 施 行 した。 切 除 した 空 腸 狭 窄 部 を 観 察 すると、<br />

小 腸 壁 は 白 色 調 に 肥 厚 し、 隣 接 空 腸 に 浸 潤 を 呈 していた。【 病 理 診 断 】<br />

切 除 小 腸 組 織 に、 異 型 上 皮 細 胞 のシート 状 増 殖 を 認 める。 免 疫 染 色 で<br />

はHp1(+)、CK8(+)、クロモグラニン(focal+)、シナプトフィジン(+)、<br />

CK7(-)、CK19(+)であり、 前 回 切 除 の 肝 病 理 組 織 で 認 められた 神 経<br />

内 分 泌 系 成 分 と 同 様 の 分 化 傾 向 を 認 める、 肝 細 胞 癌 の 小 腸 転 移 と 診 断<br />

した。【 考 察 】 肝 細 胞 癌 の 小 腸 転 移 の 報 告 例 は7 例 と 極 めて 希 有 であり、<br />

文 献 的 考 察 を 含 め 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P3-9 肝 細 胞 癌 人 工 肛 門 転 移 の1 例<br />

大 同 病 院 外 科<br />

○… 宇 野 雄 祐 , 小 谷 勝 , 山 崎 由 紀 子 , 鈴 木 和 志 ,<br />

河 原 健 夫<br />

症 例 は81 歳 , 男 性 .63 歳 時 に, 直 腸 癌 に 対 し 直 腸 切 断 術 を 施 行 .この<br />

ときにC 型 慢 性 肝 炎 を 指 摘 された.74 歳 時 に, 肝 S4の 肝 細 胞 癌 に 対 し<br />

肝 部 分 切 除 術 を 施 行 .76 歳 時 に, 肝 S4とS7に 残 肝 再 発 をきたし,S4<br />

腫 瘍 に 対 し 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 ,S7 腫 瘍 に 対 し 経 皮 的 エタノール 注<br />

入 療 法 を 施 行 した.しかし,78 歳 時 にS4 腫 瘍 の 増 大 が 確 認 され, 局<br />

所 再 発 と 診 断 . 再 度 , 肝 部 分 切 除 術 を 施 行 した.80 歳 時 に 腫 瘍 マーカー<br />

が 上 昇 し(AFP;703.2ng/ml,…PIVKA-2;2535mAU/ml), 精 査 を 行 っ<br />

たところ, 門 脈 腫 瘍 塞 栓 を 伴 うS4 再 々 発 と 診 断 された. 他 部 位 に 再<br />

発 所 見 なく, 門 脈 腫 瘍 栓 摘 出 を 伴 う 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 した. 病 理 組<br />

織 検 査 結 果 は,Hepatocellular…carcinoma,…ig,…fc(-),…fc-inf(-),…sf(-),…s0,…<br />

n0,…vp(3),…vv(2),…va(1),…b( 0 ),…im(1),…p( 0 ),…sm(-)であった. 術 後 9か<br />

月 目 に, 人 工 肛 門 からの 出 血 を 認 めたため 受 診 した. 人 工 肛 門 粘 膜 に<br />

硬 結 を 伴 う 小 豆 大 の 血 腫 があり, 用 手 圧 迫 すると, 血 腫 は 破 れ 固 形 物<br />

がしぼり 出 された.これを 病 理 組 織 検 査 に 供 したところ, 肝 細 胞 癌 人<br />

工 肛 門 転 移 と 診 断 された. 大 腸 内 視 鏡 検 査 で 他 部 位 粘 膜 に 同 様 の 所 見<br />

はなかった.また, 全 身 検 索 にても, 残 肝 再 発 , 遠 隔 転 移 再 発 所 見 は<br />

なかったため, 腫 瘍 部 を 含 めた 人 工 肛 門 環 状 切 除 術 を 施 行 した. 病 理<br />

組 織 検 査 では, 人 工 肛 門 粘 膜 , 粘 膜 下 層 ,および 筋 層 の 血 管 内 に 中 分<br />

化 型 の 肝 細 胞 癌 の 転 移 巣 がみられた. 剖 検 例 における 肝 細 胞 癌 遠 隔 転<br />

移 の 頻 度 は 高 率 であり, 診 断 技 術 の 進 歩 に 伴 い 臨 症 例 における 遠 隔 転<br />

移 診 断 率 もあがっている.しかし,その 多 くは 骨 転 移 や 肺 転 移 であり,<br />

大 腸 転 移 の 報 告 例 は 少 ない. 今 回 , 人 工 肛 門 に 転 移 した 肝 細 胞 癌 の1<br />

例 を 経 験 したので, 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P4-1 近 赤 外 線 イメージングを 用 いた 肝 予 備 能 評 価 法 の 開 発<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 2<br />

○… 楢 崎 肇 , 田 中 栄 一 , 松 本 譲 , 加 藤 健 太 郎 , 土 川 貴 裕 ,<br />

七 戸 俊 明 , 平 野 聡<br />

大 量 肝 切 除 を 伴 う 肝 胆 道 悪 性 腫 瘍 手 術 において 術 後 肝 不 全 は 重 篤 な 合<br />

併 症 である。 幕 内 基 準 をはじめ 施 設 毎 に 切 除 基 準 が 設 けられ、 周 術 期<br />

管 理 も 含 め 様 々な 工 夫 がなされているが、 今 なおその 発 症 予 防 は 重 要<br />

な 課 題 である。 近 年 、ICGを 用 いた 近 赤 外 線 イメージングが 外 科 手 術<br />

領 域 でもセンチネルリンパ 節 や 肝 腫 瘍 の 描 出 などに 応 用 されつつある。<br />

蛍 光 色 素 であるICGは 肝 機 能 検 査 にも 用 いられ、 経 静 脈 的 に 投 与 され<br />

た 場 合 、 肝 に 取 り 込 まれ100% 胆 道 排 泄 される 性 質 を 持 つ。この 性 質<br />

を 利 用 し、 術 中 ・ 肝 切 離 前 にICGを 経 静 脈 投 与 し 肝 表 面 の 蛍 光 強 度 の<br />

変 化 を 観 察 することにより、 肝 予 備 能 を 評 価 するシステムを 構 築 する<br />

目 的 で 以 下 の 臨 床 研 究 を 行 っている。 対 象 は、2011 年 3 月 から11 月 に<br />

北 海 道 大 学 病 院 第 二 外 科 で 肝 胆 膵 領 域 の 手 術 を 受 け、 部 分 的 な 黄 疸 肝<br />

や 肝 血 流 不 均 衡 のない 患 者 のうち 文 書 にて 同 意 の 得 られた 症 例 12 例 。<br />

蛍 光 色 素 はICG、 近 赤 外 線 イメージングシステムはmini-FLARE(Beth…<br />

Israel…Deaconess…Medical…Center)を 用 いた。 全 身 麻 酔 を 導 入 し 開 腹<br />

した 後 に、 肝 容 積 1Lあたり2.5mgのICGを 経 静 脈 投 与 。 断 続 的 に15 分 間 、<br />

肝 表 面 の 蛍 光 強 度 を 測 定 し、 同 時 に5、10、15 分 で 採 血 を 施 行 しICGK<br />

値 を 測 定 。 術 中 の 肝 表 面 の 蛍 光 強 度 変 化 とICGK 値 の 相 関 を 統 計 学 的<br />

に 検 討 した。 蛍 光 強 度 はICG 投 与 後 数 分 は 高 い 増 加 率 を 示 すが 徐 々に<br />

その 増 加 率 は 減 少 し、15 分 後 にはほぼplateuとなった。ここでt 分 後<br />

の 蛍 光 強 度 をf(t)とし、f(t)をある 関 数 に 代 入 したときの 値 をL(t)と<br />

する。tをx 軸 、L(t)をy 軸 としグラフを 作 成 すると 直 線 グラフとなり<br />

一 時 関 数 が 得 られる。この 症 例 毎 に 得 られる 一 時 関 数 の 傾 きと 症 例 毎<br />

のICGK 値 をプロットし 散 布 図 を 作 成 。その 相 関 を 調 べると、<br />

Y=0.06531-0.8084Xといった 回 帰 直 線 が 得 られ、 相 関 係 数 r…=…-0.4747<br />

であった。 今 後 症 例 数 を 重 ねることにより、 新 たな 肝 予 備 能 評 価 法 と<br />

して 実 用 化 の 可 能 性 があると 考 えられた。<br />

-315-


P4-2 肝 切 除 前 後 でのKICGおよび 肝 アシアロシンチLHL15の<br />

推 移 について<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 大 澤 一 郎 , 大 倉 康 生 , 村 田 泰 洋 , 熊 本 幸 司 , 栗 山 直 久 ,<br />

岸 和 田 昌 之 , 濱 田 賢 司 , 水 野 修 吾 , 臼 井 正 信 , 櫻 井 洋 至 ,<br />

田 端 正 己 , 伊 佐 地 秀 司<br />

【 背 景 】… 肝 予 備 能 の 評 価 としてICGあるいはアシアロシンチが 広 く 用<br />

いられているが, 両 者 間 での 優 位 性 や 位 置 づけはまだ 定 まっていない。<br />

これらの 両 指 標 の 差 異 について 検 討 するため, 肝 切 除 症 例 の 術 前 後 で<br />

の 推 移 を 測 定 した。【 対 象 と 方 法 】… 当 科 で 行 われた2 区 域 以 上 の 肝 切 除<br />

6 例 で,うち 肝 細 胞 癌 3 例 (HCC 群 ), 胆 道 系 腫 瘍 3 例 (CCC 群 )…。HCC<br />

群 3 例 の 背 景 はB 型 肝 炎 ,C 型 肝 炎 , 特 発 性 でいずれもChild…Aであった。<br />

CCC 群 3 例 は 肝 門 部 胆 管 癌 2 例 と 胆 管 細 胞 癌 1 例 であるが,うち1 例 に<br />

術 前 化 学 療 法 が,1 例 に 術 前 放 射 線 化 学 療 法 およびPTPEが 行 われて<br />

いる。これら6 例 に 対 し 術 前 および 術 後 約 1 週 間 にそれぞれCT・<br />

ICG・アシアロシンチを 施 行 。CT 画 像 より, 術 前 にはCTより 予 定 残<br />

肝 容 積 および 術 前 残 肝 率 ( 予 定 残 肝 容 積 /( 全 肝 容 積 - 腫 瘍 容 積 ))[%],<br />

残 肝 KICG 値 (Krem), 術 後 には 再 生 率 ( 術 後 肝 容 積 / 術 前 残 肝 容 積 )[%]<br />

を 算 出 した。【 結 果 】… 術 前 ICGK 値 はHCC 群 …0.109±0.005%,CCC 群 …<br />

0.105±0.003% で あ っ た。 術 前 残 肝 率 はHCC 群 …45.2±2.0%,CCC 群 …<br />

63.6±15.0%,KremはHCC 群 …0.049±0.004%,CCC 群 …0.067±0.017%で<br />

あった( 有 意 差 なし)。 再 生 率 ( 術 後 肝 容 積 / 術 前 残 肝 容 積 )[%]はHCC<br />

群 …144.0±6.8%,CCC 群 …143.6±18.8% で あ っ た。LHL15 値 は 術 前 で<br />

HCC 群 が0.932±0.028,CCC 群 が0.927±0.025, 術 後 ではHCC 群 が0.875<br />

±0.020,CCC 群 が0.895±0.019で,6 例 すべてが 肝 切 除 に 伴 い 数 値 の 低<br />

下 を 示 した。これに 対 し, 術 後 ICGK 値 はHCC 群 で0.065±0.008,CCC<br />

群 で0.110±0.069であったが,CCC 群 の3 例 中 2 例 で 術 前 に 比 し 上 昇 を<br />

認 めた。【 結 語 】… 術 後 1 週 間 目 の 測 定 において,LHL15 値 は 肝 切 除 に 伴<br />

い 数 値 が 低 下 したが,KICG 値 は 低 下 するとは 限 らない。Kremでの<br />

補 正 が 有 用 と 見 込 まれるが,さらなる 症 例 の 解 析 が 必 要 である。<br />

P4-3 99mTc-GSAシンチグラフィとindocyaninegreen 負<br />

荷 試 験 での 予 測 肝 機 能 における 乖 離 症 例 の 検 討<br />

高 知 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 石 川 忠 則 , 志 摩 泰 生 , 斎 坂 雄 一 , 住 吉 辰 朗 , 上 月 章 史 ,<br />

田 中 公 章<br />

【 目 的 】 肝 切 除 を 行 うに 当 たって、 術 前 肝 機 能 評 価 は 重 要 であり、 従<br />

来 Indocyanine…green(ICG) 負 荷 試 験 が 使 用 されて 来 た。しかし、ICG<br />

負 荷 試 験 は、 高 ビリルビン 血 症 や 門 脈 体 循 環 シャントがあると 実 際 の<br />

肝 機 能 に 相 当 する 検 査 値 よりも 高 い 値 が 得 られるという 問 題 点 もある。<br />

99mTc-GSAシンチグラフィ(アシアロシンチ)は 黄 疸 やシャントの 影<br />

響 を 受 けにくい 肝 機 能 検 査 とされている。 今 回 、 我 々はどの 様 な 症 例<br />

で 乖 離 が 生 じるのか 検 討 を 行 ったので 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】 対 象<br />

は2005 年 3 月 から2010 年 12 月 までに 当 院 でアシアロシンチ、ICG 負 荷<br />

試 験 、 各 種 肝 機 能 検 査 を 行 った 肝 細 胞 癌 患 者 肝 切 除 症 例 154 例 である。<br />

平 均 年 齢 は70.2 歳 (44 歳 ~88 歳 )であった。【 結 果 】 各 値 の 平 均 は、そ<br />

れぞれ、ICGR15が16.7(1.5~42.5),…HH15が0.649(0.449~1.264),…LHL15<br />

が0.876(0.654~0.964)であった。ICGR15 及 びLHL15 値 は、T-Bil,…Alb,…<br />

PT,…GOTと 有 意 な 関 連 が 認 められた。ICGR15の 予 測 式 を 回 帰 直 線 式<br />

で 求 めると、 有 意 にLHL15がHH15より 相 関 があり、その 回 帰 直 線 式 は、<br />

ICGR15 換 算 値 =102-98X…LHL15で、 相 関 係 数 は0.605であった。 散 布<br />

図 を 描 くと 直 線 からかけ 離 れたものも 見 られ、ICGR15-ICGR15 換 算<br />

値 が10 以 上 ある 症 例 は14 例 あり、-10 以 下 が3 例 、±10 未 満 が137 例 で<br />

あった。 差 が10 以 上 ある 症 例 と±10 未 満 の 症 例 を 比 較 すると、liver…<br />

damage 及 びT-Bilで 有 意 差 を 認 めたが、T-Bilの 平 均 値 は0.904と0.731<br />

であり、ほぼ 正 常 値 を 比 較 しており、 参 考 にはならないと 考 えられた。<br />

Liver…damage…Aは131 例 、Bは20 例 あり、それぞれで 回 帰 直 線 式 を 求<br />

めたが、 相 関 係 数 に 上 昇 は 認 めなかった。ICGR15-ICGR15 換 算 値 が<br />

10 以 上 ある 症 例 は、ICGR15が 全 て20 以 上 あり、 肝 右 葉 切 除 から 部 分<br />

切 除 まで 種 々の 術 式 がとられたが、 術 死 例 は 認 めなかた。【 考 察 】ア<br />

シアロシンチに 基 づく 術 前 肝 機 能 評 価 は、ICGR15と 換 算 式 を 用 いて<br />

近 似 させることができ、 乖 離 のある 症 例 は 肝 障 害 のより 高 度 な 症 例 で<br />

あり、 術 式 決 定 はICGR15 換 算 値 を 参 考 にし 得 る 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

P4-4 肝 切 除 後 の 肝 体 積 ・ 機 能 の 変 化 と, 残 肝 予 備 能 から 見 た 再<br />

肝 切 除 の 安 全 性 の 検 討<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 蘆 田 良 , 水 野 隆 史 , 金 本 秀 行 , 杉 浦 禎 一 , 岡 村 行 泰 ,<br />

山 本 立 真 , 青 木 修 一 , 木 内 亮 太 , 上 坂 克 彦<br />

目 的 :1. 再 肝 切 除 時 における 肝 体 積 ・ 機 能 の 変 化 ,2. 再 肝 切 除 症 例<br />

において, 初 回 肝 切 除 と 同 様 の 残 肝 予 備 能 評 価 基 準 が 外 挿 可 能 かどう<br />

か,を 検 討 . 対 象 と 方 法 :2002 年 9 月 から9 年 間 に, 当 院 で 肝 細 胞 癌 ま<br />

たは 転 移 性 肝 癌 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した852 例 中 , 再 肝 切 除 は93 例 .<br />

このうち 初 回 肝 切 除 時 に2 亜 区 域 以 上 の 肝 切 除 が 施 行 され, 再 肝 切 除<br />

が 亜 区 域 切 除 以 上 であった15 例 を 対 象 . 初 回 肝 切 除 前 と 再 肝 切 除 前 の<br />

CT…volumetryで 求 めた 全 肝 体 積 ( 以 下 TLV), 残 肝 体 積 ( 以 下 RLV),<br />

血 中 ICG 消 失 率 ( 以 下 KICG)をもとに,RLVの 増 加 率 ( 再 肝 切 除 時 全 肝<br />

体 積 ( 以 下 rTLV)/ 初 回 肝 切 除 時 残 肝 体 積 ( 以 下 iRLV)),RLVの 回 復 率<br />

(rTLV/iTLV),KICG 増 加 率 (rKICG/iICGremK(iKICG×iRLV/<br />

iTLV)),KICG 回 復 率 (rKICG/iKICG),rICGremK(rKICG×rRLV/<br />

rTLV)を 評 価 した. 再 肝 切 除 前 の 残 肝 予 備 能 評 価 はrICGremK≧0.05<br />

を 基 準 とした. 結 果 : 平 均 年 齢 63 歳 , 男 女 比 10:5, 初 回 肝 切 除 術 式 :<br />

2 亜 区 域 に 及 ぶ 肝 切 除 2 例 , 区 域 切 除 10 例 , 葉 切 除 3 例 であった. 初 回<br />

肝 切 除 術 前 に 門 脈 枝 塞 栓 術 ( 以 下 PVE)を2 例 に 行 った. 再 肝 切 除 術 式<br />

は 解 剖 学 的 亜 区 域 切 除 4 例 , 区 域 切 除 9 例 , 葉 切 除 2 例 であった. 再 肝<br />

切 除 術 前 にPVEを2 例 に 行 った. 転 移 性 肝 癌 に 対 する 化 学 療 法 後 再 肝<br />

切 除 を5 例 に 行 った. 初 回 肝 切 除 から 再 肝 切 除 までの 期 間 中 央 値 :<br />

16.8ヶ 月 (7.9-81.3ヶ 月 )であった.( 以 下 の 数 値 は 中 央 値 )RLV 増 加 率 は<br />

121.8%(89.2-302.9%),RLV 回 復 率 は82.5%(68.3-104.4%),KICG 増 加 率<br />

161.0%(102.5-296.7%),KICG 回 復 率 93.6%(70.9-118.2%)であった. 再<br />

肝 切 除 時 の 肝 切 除 量 は331.8cm3(90-747.9cm3), 肝 切 除 率 は31.9%(9.8<br />

-61.7%),rRLVは616.3cm3(383-1143.3…cm3), 残 肝 亜 区 域 数 は4 亜 区<br />

域 (2-5),rKICG:0.143(0.102-0.193),rICGremK:0.092(0.061-0.161)<br />

であった. 術 後 血 清 総 ビリルビン 頂 値 は1.7mg/dL(0.9-2.7)であった.<br />

術 後 肝 不 全 は1 例 (5.9%)にISGLS…GradeAの 肝 不 全 を 認 めたのみで,<br />

在 院 死 亡 例 は 認 めなかった. 結 論 : 肝 切 除 後 の 残 肝 機 能 の 回 復 は, 体<br />

積 の 回 復 を 上 回 る 傾 向 が 見 られた.また, 当 院 の 残 肝 予 備 能 評 価 法 に<br />

よる 基 準 は 再 肝 切 除 時 にも 外 挿 可 能 であった.<br />

P4-5 肝 切 除 術 における 基 準 逸 脱 例 と 残 肝 体 積 計 測 による 肝 再<br />

生 能 の 評 価<br />

札 幌 医 科 大 学 附 属 病 院<br />

○… 原 田 耕 平 , 水 口 徹 , 目 黒 誠 , 川 本 雅 樹 , 中 村 幸 雄 ,<br />

太 田 盛 道 , 今 村 将 史 , 木 村 康 利 , 古 畑 智 久 ,<br />

平 田 公 一<br />

【 諸 言 】<br />

肝 悪 性 腫 瘍 における 肝 切 除 術 は 進 化 の 一 途 を 遂 げ,すでに 鏡 視 下 手 術<br />

へ 移 行 している 術 式 も 少 なくない. 高 難 度 の 術 式 を 選 択 するほど 術 前<br />

のストラテジーが 重 要 となり, 脈 管 ・ 胆 管 の 走 行 や 切 除 ラインを 事 前<br />

に 把 握 することが 安 全 に 手 術 を 行 う 上 で 必 要 となる. 一 方 で, 切 除 範<br />

囲 の 決 定 には 肝 予 備 能 による 評 価 は 欠 かせないが, 当 院 における 肝 切<br />

除 適 応 基 準 を 逸 脱 する 例 も 少 なくない. 我 々は, 基 準 逸 脱 例 と 残 肝 体<br />

積 をもとに 手 術 成 績 について 検 討 を 行 った.<br />

【 対 象 , 方 法 】<br />

2011 年 8 月 までに 開 腹 ,または 腹 腔 鏡 補 助 及 び 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 施<br />

行 した88 例 ( 肝 細 胞 癌 …57 例 , 転 移 性 肝 癌 26 例 , 胆 管 細 胞 癌 5 例 )を 対 象<br />

とした. 術 前 ・ 術 後 肝 体 積 計 測 は64 列 MDCTとワークステーション<br />

を 用 いて 行 った. 術 前 における 腫 瘍 を 除 外 した 肝 の 体 積 を 有 効 肝 体 積<br />

とし, 術 後 7 日 における 残 肝 体 積 計 測 と 比 較 することで 肝 再 生 能 を 評<br />

価 した.<br />

【 結 果 ・ 結 語 】<br />

当 科 においては…(ICG…R15,AT3,HH15,LHL15)などによって 肝 切 除 適<br />

応 を 決 定 している. 上 記 4 因 子 を 逸 脱 した 症 例 は24 例 , 逸 脱 因 子 は1 因<br />

子 :13 例 ,2 因 子 :4 例 ,3 因 子 :6 例 ,4 因 子 :1 例 であった.88 例 中 3<br />

例 (3.4%)に 術 後 肝 不 全 を 認 めた. 内 訳 は 基 準 逸 脱 例 0 個 (1 例 ),1 個 (1 例 ),<br />

3 個 (1 例 )であった.また,18 例 (20.4%)においては 予 定 残 肝 体 積 に 満<br />

たない 結 果 となった.これは 離 断 面 周 囲 における 焼 灼 領 域 の 拡 大 が 関<br />

与 していると 考 える.とくに 鏡 視 下 手 術 ではその 領 域 が 大 きくなる 傾<br />

向 にある. 術 前 シミュレーションを 行 う 際 , 焼 灼 領 域 も 考 慮 した 予 定<br />

残 肝 を 予 測 することが 必 要 と 考 えられた.<br />

-316-


P4-6 門 脈 塞 栓 術 の 新 たな 適 応 と 限 界 を 探 る<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

○… 林 洋 光 , 別 府 透 , 岡 部 弘 尚 , 土 居 浩 一 , 近 本 亮 ,<br />

今 井 克 憲 , 新 田 英 利 , 中 村 健 一 , 大 内 繭 子 , 高 森 啓 史 ,<br />

馬 場 秀 夫<br />

肝 切 除 術 は 肝 がんに 対 する 根 治 術 であるが、その 適 応 は 主 に 肝 機 能 と<br />

残 肝 体 積 率 が 広 く 基 準 として 用 いられる。ゆえに、 残 肝 予 備 能 が 不 十<br />

分 な 症 例 では 門 脈 塞 栓 術 (portal…vein…embolization:… 以 下 PVE)により<br />

切 除 肝 体 積 の 低 減 と 残 肝 体 積 を 増 加 させることで 根 治 術 である 肝 切 除<br />

を 目 指 す。しかし、 中 にはPVEを 行 ったものの 期 待 した 残 肝 体 積 の<br />

増 加 が 得 られない 症 例 も 存 在 する。PVEの 効 果 に 関 するエビデンス<br />

はまだ 乏 しく、 適 応 についても 施 設 間 でコンセンサスは 確 立 されてい<br />

ない。われわれの 施 設 では、PVEを 拡 大 肝 切 除 の 術 前 処 置 としてだ<br />

けでなく、Vp3 症 例 で 対 側 肝 への 経 門 脈 的 肝 内 転 移 の 予 防 効 果 を 期 待<br />

してPVEを 積 極 的 に 行 っている。これまでに、PVEの 効 果 と 予 測 因<br />

子 に 関 して、1.… 右 PVE 後 4 週 で 非 塞 栓 肝 体 積 は133%と 増 加 し、 塞 栓 肝<br />

体 積 は76%へ 減 少 し、それに 伴 い 予 定 残 肝 体 積 率 も36.6%から58.0%へ<br />

増 加 すること(J…Gastroenterol,…2010)、2.…SPECT/CT…fusionによる 機<br />

能 的 肝 体 積 の 評 価 では 非 塞 栓 葉 における 機 能 的 肝 体 積 / 肝 体 積 比 、 右<br />

PVE 前 は 相 関 係 数 1.005であったものが、 右 PVE 後 には 相 関 係 数 1.192<br />

と 肝 体 積 と 機 能 的 肝 体 積 の 乖 離 を 認 め 肝 体 積 に 比 べて 機 能 的 肝 体 積 は<br />

増 加 すること…(J…Gastroenterol,…2010)、3.… 右 PVE 約 4 週 後 の 非 塞 栓 肝<br />

における 肝 体 積 増 加 率 は 右 PVE 後 3 日 目 の 血 清 総 胆 汁 酸 濃 度 と 強 い 正<br />

の 相 関 関 係 を 示 すこと(World…J…Surg,…2009)、4.… 右 肝 切 除 を 行 った 症<br />

例 において、 術 前 PVEを 行 った 群 は 術 前 PVEを 要 しなかった 群 と 比<br />

べて 累 積 無 再 発 生 存 率 の 改 善 を 認 めること(Journal…of…Surgical…<br />

Oncology,…2011)、などを 報 告 してきた。これまでの 経 験 から 得 られ<br />

たPVEに 関 する 知 見 を 紹 介 するとともに、 機 能 的 肝 体 積 の 概 念 や 効<br />

果 予 測 バイオマーカー 導 入 による 肝 がんに 対 するPVEを 併 用 した 新<br />

戦 略 について 検 討 する。<br />

P4-7 生 体 肝 移 植 ドナーにおける 残 肝 内 鬱 血 領 域 の 肝 機 能 に 関<br />

する 検 討<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科 ・ 人 工 臓 器 移 植 外 科<br />

○… 佐 藤 彰 一 , 青 木 琢 , 河 口 義 邦 , 進 藤 潤 一 , 三 瀬 祥 弘 ,<br />

金 子 順 一 , 阪 本 良 弘 , 長 谷 川 潔 , 菅 原 寧 彦 ,<br />

國 土 典 宏<br />

【 背 景 】 肝 静 脈 を 切 離 することにより 生 じる 鬱 血 領 域 においては 肝 機<br />

能 が 低 下 することが 示 されてきたが,その 定 量 的 な 評 価 についての 報<br />

告 は 未 だ 少 ない.<br />

【 目 的 】 鬱 血 領 域 と 非 鬱 血 領 域 の 肝 機 能 の 相 違 を 検 討 する.<br />

【 方 法 】2004 年 2 月 より2010 年 6 月 までの 期 間 において, 中 肝 静 脈 付 き<br />

グラフトを 採 取 した 生 体 肝 移 植 ドナー96 例 ( 左 肝 グラフト69 例 , 右 肝<br />

グラフト27 例 )を 対 象 とした. 術 前 Dynamic…CTのデータを 基 に3 次 元<br />

シミュレーションソフト(OVA, 日 立 メディコ)を 用 いて 全 肝 容 積<br />

(TLV), 残 肝 の 鬱 血 容 積 (CV)および 非 鬱 血 容 積 (NCV)を 評 価 した.<br />

術 後 1,2,3,5,7 日 目 における 総 ビリルビン(T.bil),とPT-INR 値 の 最 高 値<br />

を 規 定 する 因 子 を, 全 肝 容 積 に 対 する 鬱 血 容 積 ・ 非 鬱 血 容 積 の 比 (CV/<br />

TLV,NCV/TLV),ドナーの 年 齢 , 性 別 ,Pringle 時 間 ( 分 )からステッ<br />

プワイズ 法 により 抽 出 し, 近 似 式 を 作 成 した.<br />

【 結 果 】T.bil,PT-INRの 近 似 式 はそれぞれ 以 下 のようになった.<br />

T.bil(mg/dl)…=…3.6… -…(2.5… ×…NCV/TLV)… -…(0.02… ×… 年 齢 )…<br />

(R …2… =0.20,…P


P5-3 肝 管 空 腸 吻 合 を 伴 う 肝 切 除 後 胆 汁 漏 、 腹 腔 内 膿 瘍 対 策 :<br />

ヂュープルドレーンvs.Blakeドレーン<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科<br />

○… 谷 合 信 彦 1<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 吉 岡 正 人 1<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

, 清 水 哲 也 1<br />

,<br />

上 田 純 志 1<br />

, 水 口 義 昭 1<br />

, 真 々 田 裕 宏 1 1<br />

, 内 田 英 二<br />

【 目 的 】 肝 管 空 腸 吻 合 を 伴 う 肝 切 除 術 は 単 純 肝 切 除 術 に 比 較 し、 腹 腔<br />

内 膿 瘍 などの 原 因 となる 胆 汁 漏 を 高 率 に 合 併 する。そこで 教 室 では 肝<br />

門 部 胆 管 癌 などに 対 する 肝 管 吻 合 に 対 して、2005 年 からBLAKE…<br />

Silicon…Drain 留 置 によるClosed…Drainage 法 を 行 っている。この 手 術<br />

手 技 の 有 用 性 を 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】2001 年 ~2010 年 の10 年 間 に<br />

当 科 で 施 行 した 肝 管 空 腸 吻 合 を 伴 う 肝 切 除 術 は61 例 である。 肝 管 空 腸<br />

吻 合 のドレナージに 前 期 2001~2004 年 の19 例 (A 群 )にはデュープルド<br />

レーンを 用 いたOpen…drainageを 後 期 2005~2010 年 の42 例 (B 群 )には<br />

19Fr…BLAKE…Silicon…DrainよるClosed…Drainageを 行 った。それぞれ<br />

の 群 における 胆 汁 漏 、 腹 腔 内 膿 瘍 例 を 検 索 し、 胆 汁 漏 症 例 のドレーン<br />

培 養 を 検 討 した。【 成 績 】それぞれの 群 の 内 訳 は 平 均 年 齢 、565.5 歳 、<br />

64.9 歳 。 男 女 比 8:11、26:16。 疾 患 は 肝 門 部 胆 管 癌 : 胆 嚢 癌 : 肝 内<br />

胆 管 癌 : 総 胆 管 癌 : 肝 細 胞 癌 がそれぞれ6:…4:…7:…2:…0、17:…12:…7:…<br />

5:…1であった。 術 後 胆 汁 漏 はそれぞれ10 例 (52.6%)、16 例 (38.1%)に<br />

認 めた。そのうち 腹 腔 内 膿 瘍 より 穿 刺 やドレーン 交 換 等 が 必 要 となっ<br />

て 症 例 は4 例 (21.0%)、1 例 (2.4%)と、B 群 が 有 意 にA 群 に 比 して 少 なかっ<br />

た。それぞれ2 例 が 長 期 に 胆 管 炎 を 繰 り 返 している。 胆 汁 漏 例 26 例 の<br />

培 養 結 果 はEnterococcus…faecalis21 例 …,…Pseudomonase…aerugionsa…13<br />

例 ,… Enterobacter… cloacae… 9 例 ,… klebsilla… pneumonia… 3 例 ,… candia…<br />

albicans…3 例 ,…MRSA…2 例 であった。【 結 語 】BLAKE…Silicon…Drainは<br />

major…leakageを 減 らし 腹 腔 内 膿 瘍 を 予 防 可 能 であり、 肝 管 空 腸 吻 合<br />

を 伴 う 肝 切 除 後 胆 汁 漏 対 策 に 有 用 な 手 術 手 技 である。 胆 汁 漏 の 際 は 緑<br />

膿 菌 を 主 にターゲトとして、カルバペネムを 中 心 に 短 期 間 使 用 するこ<br />

とともにドレナージを 良 好 にし、 腹 腔 内 膿 瘍 を 形 成 させないことが 肝<br />

要 である。<br />

P5-4 胆 汁 漏 予 防 を 目 的 とした 尾 状 葉 を 割 らない 肝 切 除 術 の 検<br />

討 - 第 3 報<br />

1<br />

大 阪 労 災 病 院 外 科 、 2 市 立 豊 中 病 院 外 科<br />

○… 清 水 潤 三 1<br />

, 金 よう 国 1<br />

, 野 田 剛 広 2<br />

, 堂 野 恵 三 2<br />

,<br />

長 谷 川 順 一 1 1<br />

, 根 津 理 一 郎<br />

尾 状 葉 は 単 独 で 切 離 が 可 能 で 独 立 した 部 分 である(Takayama…T,…<br />

Makuuchi…M.…Hepatogastroenterology.…1998…45:20-23.)が 葉 切 除 、 区<br />

域 切 除 において 尾 状 葉 を 温 存 するような 記 載 は 手 術 書 を 見 る 限 りなく、<br />

多 くの 葉 切 除 では 尾 状 葉 を 半 切 している。 胆 汁 漏 を 予 防 する 目 的 で 葉<br />

切 除 、 区 域 切 除 において 尾 状 葉 を 全 温 存 するか 全 切 除 するかとし、 胆<br />

管 走 行 が 手 術 時 にはっきりしていない 尾 状 葉 に 切 り 込 まない 肝 切 除 を<br />

導 入 してきたので 手 術 成 績 について 報 告 する。 方 法 : 尾 状 葉 に 切 り 込<br />

まない 肝 切 除 術 は2004 年 11 月 から 導 入 した。 区 域 切 除 、 葉 切 除 では 中<br />

及 び 右 静 脈 より 下 大 静 脈 側 の 肝 (= 尾 状 葉 )に 切 り 込 まない。 腫 瘍 の 部<br />

位 から 尾 状 葉 に 切 り 込 む 必 要 がある 場 合 には 尾 状 葉 を 全 摘 する。なお<br />

部 分 切 除 は 除 外 して 検 討 を 行 なった。 結 果 :2011 年 8 月 までに 葉 切 除<br />

47 例 ( 胆 道 再 建 例 12 例 含 む)、 区 域 切 除 102 例 を 経 験 した。この149 例 中<br />

1 例 (0.7%)に 胆 汁 漏 を 認 めたが、 前 区 域 グリッソン 断 端 からの 胆 汁 漏<br />

でドレナージにて 約 1か 月 で 軽 快 した。 離 断 型 の 胆 汁 漏 は 認 めなかった。<br />

ドレーン 省 略 症 例 は 全 体 で94 例 (63.1%)、 葉 切 除 では23 例 (48.9%)、 区<br />

域 切 除 では71 例 (69.6%)であった。この 結 果 からドレーンを 省 略 する<br />

率 は 徐 々に 増 加 している。 考 察 : 我 々のデータから 尾 状 葉 が 温 存 可 能<br />

な 場 合 は 温 存 する、 切 除 が 必 要 な 場 合 には 尾 状 葉 を 全 切 除 するという<br />

strategyにより 術 後 胆 汁 漏 をゼロに 近 づける 可 能 性 があると 思 われ、<br />

さらなる 症 例 の 集 積 が 必 要 と 考 えられた。<br />

P5-5 肝 切 除 後 創 感 染 の 危 険 因 子 についての 検 討<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 迫 田 雅 彦 , 上 野 真 一 , 飯 野 聡 , 南 幸 次 , 安 藤 慶 ,<br />

川 崎 洋 太 , 蔵 原 弘 , 又 木 雄 弘 , 前 村 公 成 , 新 地 洋 之 ,<br />

夏 越 祥 次<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 肝 切 除 術 症 例 は 慢 性 肝 疾 患 や 糖 尿 病 などの 併 存 疾 患 を<br />

有 することが 多 く、 手 術 侵 襲 や 皮 膚 切 開 創 が 大 きいことから、SSI 発<br />

生 頻 度 が 比 較 的 高 率 で 予 防 対 策 が 重 要 であると 思 われる。 当 科 では<br />

CDCガイドラインを 参 考 に 周 術 期 感 染 対 策 を 順 次 行 ってきた。 主 な<br />

対 策 としては、 閉 鎖 式 ドレーン 導 入 (2002 年 ~)、 創 処 置 時 のイソジン<br />

中 止 、 創 部 のドレッシング 材 による 被 覆 (2004 年 ~)、 麻 酔 導 入 時 及 び<br />

術 中 の 予 防 的 抗 菌 薬 投 与 、 術 前 1ヶ 月 以 上 の 禁 煙 ・DMコントロール<br />

の 徹 底 (2006 年 ~)、 全 症 例 における 皮 下 埋 没 縫 合 での 創 閉 鎖 (2010 年<br />

~) 等 である。 今 回 、 肝 切 除 後 のSSI 発 生 に 関 与 する 因 子 について 検 討<br />

したので 報 告 する。【 対 象 ・ 方 法 】2000 年 1 月 から2011 年 9 月 の 間 に 当<br />

科 で 施 行 された 肝 切 除 術 症 例 のうち、 胆 道 再 建 例 や 他 臓 器 合 併 切 除 例<br />

を 除 外 した334 例 を 対 象 とし、SSI 発 生 に 関 与 する 因 子 をretrospective<br />

に 解 析 した。【 結 果 】SSIは39 例 (11.7%)に 認 め、 表 層 ・ 深 層 19 例 (5.7%)、<br />

臓 器 体 腔 20 例 (6.0%)であった。SSI 発 生 患 者 の 術 後 平 均 在 院 日 数 は39<br />

日 、 非 発 生 患 者 は17 日 であり、 有 意 に 発 生 患 者 の 在 院 日 数 が 長 かった。<br />

SSI 発 生 に 関 与 すると 考 えられた 臨 床 的 因 子 につき 単 変 量 解 析 を 行 っ<br />

たところ、 手 術 時 間 、 術 中 出 血 量 、 術 中 輸 血 量 、 創 部 皮 下 埋 没 縫 合 の<br />

有 無 、 術 後 胆 汁 漏 が 有 意 な 因 子 であった。 多 変 量 解 析 では 創 部 皮 下 埋<br />

没 縫 合 の 有 無 と 術 後 胆 汁 漏 が 独 立 した 危 険 因 子 であった。 腹 腔 鏡 手 術<br />

(43 例 )ではSSI 発 生 は1 例 で、 開 腹 術 よりSSI 発 生 が 少 ない 傾 向 であっ<br />

た。BMI、 糖 尿 病 、 肝 障 害 度 、 肝 切 除 量 とSSI 発 生 との 間 に 関 連 は 認<br />

めなかった。【 結 語 】 肝 切 除 術 後 のSSI 対 策 として、 皮 下 埋 没 縫 合 は 創<br />

感 染 を 減 少 させる 有 効 な 創 閉 鎖 法 と 考 えられる。また、 術 後 胆 汁 漏 16<br />

例 中 7 例 においてSSI 発 生 がみられており、 独 立 した 危 険 因 子 であるた<br />

め 胆 汁 漏 防 止 策 が 重 要 であると 思 われる。<br />

P5-6 肝 実 質 切 離 deviceの 選 択 による 術 後 SSI 発 生 への 影 響<br />

大 阪 警 察 病 院 外 科<br />

○… 上 島 成 幸 , 鳥 正 幸 , 赤 松 大 樹 , 西 田 俊 朗<br />

肝 切 除 術 における 肝 実 質 離 断 には、 超 音 波 外 科 吸 引 装 置 (CUSA)を 用<br />

いる 方 法 とペアンなどを 用 いるclamp…and…crash… 法 などが 知 られてい<br />

るが、 実 際 には 止 血 のために 様 々なenergy…deviceが 組 み 合 わされて<br />

用 いられている。これらの 肝 実 質 離 断 の 方 法 の 違 いによって、 術 後 合<br />

併 症 の 発 生 が 影 響 を 受 けるかどうかを 検 討 した。2009 年 1 月 1 日 から<br />

2011 年 10 月 31 日 までに 当 科 にて 肝 切 除 を 受 けた100 例 ( 胆 嚢 、 横 隔 膜 以<br />

外 の 他 臓 器 同 時 切 除 を 行 った 症 例 は 除 く)を 対 象 とした。 平 均 年 齢 は<br />

66.35 歳 で 男 66 例 、 女 34 例 。このうち 腹 腔 鏡 手 術 は10 例 であった。 肝<br />

実 質 切 離 に 主 にペアンを 用 いた 症 例 は0 例 、CUSAを 用 いたのが77 例 、<br />

超 音 波 凝 固 切 開 装 置 (LCS)が22 例 、リガシュアやバイクランプといっ<br />

たSealing…deviceを 用 いたのが9 例 、TissueLinkが20 例 、 生 食 滴 下 ボー<br />

ル 電 極 が57 例 、 生 食 滴 下 バイポーラーが12 例 ( 以 上 、 重 複 有 り)であっ<br />

た。 術 後 SSIをみると 表 層 深 層 SSIが8 例 (8%)、 臓 器 SSI15 例 (15%)で<br />

あった。 臓 器 SSIのうち、CUSAを 用 いたのが12 例 、LCS3 例 、Sealing…<br />

device1 例 、TissueLink4 例 、 生 食 滴 下 ボール 電 極 10 例 、 生 食 滴 下 バイ<br />

ポーラー0 例 であった。 臓 器 SSI 症 例 のうち、 術 後 に 造 影 CT 検 査 を 行 っ<br />

た 症 例 のうち、 生 食 滴 下 ボール 電 極 を 使 用 した 症 例 に 肝 切 断 面 に 沿 っ<br />

て 造 影 されない 血 流 不 良 域 が 見 られたことから、 同 電 極 による 熱 変 性<br />

が 深 部 にまで 及 んだものと 考 えた。またLCSに 生 食 滴 下 を 併 用 した 場<br />

合 は、LCS 切 離 中 に 生 理 食 塩 水 が 流 れ 込 むことで 切 離 速 度 が 低 下 する<br />

場 面 が 見 られた。 以 上 から、 肝 切 離 に 用 いる 器 具 は、その 特 徴 を 理 解<br />

した 使 用 方 法 を 行 うことが 術 後 臓 器 SSIの 低 下 に 繋 がる。<br />

-318-


P5-7 肝 臓 外 科 領 域 におけるSSI 対 策 とサーベイランス 効 果<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 檜 垣 栄 治 , 後 藤 田 直 人 , 加 藤 祐 一 郎 , 木 下 敬 弘 ,<br />

高 橋 進 一 郎 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

【 背 景 】2002-06 年 に 当 院 で 施 行 した 肝 切 除 症 例 のサーベイランスか<br />

ら 手 術 部 位 感 染 (SSI) 対 策 として1.stoma 有 …2. 術 中 出 血 量 2000ml 以 上 …<br />

3.65 歳 以 上 のうち2 因 子 以 上 有 する 症 例 には 術 前 ・ 術 中 投 与 のみとし<br />

ていた 抗 菌 剤 (CEZ)を 術 後 も 追 加 投 与 する 方 針 としてきた。【 目 的 】<br />

上 記 SSI 対 策 の 効 果 と 新 たな 対 策 の 必 要 性 について 検 討 する。【 対 象 お<br />

よび 方 法 】 胆 道 再 建 、 消 化 管 吻 合 併 施 例 を 除 く 肝 切 除 例 を 対 象 とし 対<br />

策 前 の 前 期 群 (2002 年 11 月 ~2006 年 12 月 ):405 例 と 対 策 後 の 後 期 群<br />

(2007 年 11 月 ~2011 年 7 月 ):384 例 とを 比 較 、さらに 後 期 群 でのSSI 危<br />

険 因 子 を 再 検 討 した。【 結 果 】 全 体 のSSI 発 生 率 は 後 期 群 5.1%で、 前 期<br />

群 5.8%と 比 較 し 差 を 認 めなかったが、 危 険 因 子 2 因 子 以 上 のSSI 発 生 率<br />

は 前 期 群 36.3%、 後 期 群 13.8%と 大 きく 改 善 されていた。さらに 後 期 群<br />

における 追 加 投 与 していない 症 例 群 のみでの 検 討 を 行 うと 正 中 切 開 +<br />

αの 皮 膚 切 開 例 、stoma 有 例 が 多 変 量 解 析 で 有 意 にSSIの 危 険 因 子 で<br />

あった。【 考 察 】 今 回 検 討 によって 上 記 2 因 子 以 上 のSSI 発 生 率 は 後 期<br />

群 で 改 善 を 認 め 抗 菌 剤 追 加 投 与 は 効 果 があったと 思 われた。しかしな<br />

がら 全 体 のSSI 発 生 率 は 変 わらず、 新 たな 後 期 群 の 検 討 からは1.65 歳<br />

以 上 かつ 術 中 出 血 量 2000ml…2. 正 中 切 開 +αの 皮 膚 切 開 例 …3.stomaを 有<br />

する 症 例 が 抗 菌 剤 追 加 投 与 基 準 と 思 われた。さらに 今 回 、SSIの 細 菌<br />

培 養 結 果 からみてstomaを 有 する 症 例 に 対 しては 抗 菌 剤 をPIPCに 変 更<br />

する 必 要 もあると 考 えられた。【 結 論 】 胆 道 再 建 のない 肝 切 除 例 に 対<br />

するSSI 対 策 として 術 前 術 中 抗 菌 剤 投 与 は1.65 歳 以 上 かつ 術 中 出 血 量<br />

2000ml…2. 正 中 切 開 +αの 皮 膚 切 開 例 に 対 してはCEZの 追 加 投 与 、3.<br />

stomaを 有 する 症 例 に 対 しては 術 前 よりPIPCを 投 与 し 術 後 も 追 加 投 与<br />

することがSSI 減 少 にむけては 重 要 と 考 えられた。<br />

P5-8 Bacterailtraslocationによる 敗 血 症 の 可 能 性 が 示 唆 さ<br />

れた1 肝 切 除 例<br />

福 山 医 療 センター<br />

○… 北 田 浩 二 , 稲 垣 優 , 木 村 裕 司 , 徳 永 尚 之 , 西 江 学 ,<br />

濱 野 亮 輔 , 宮 宗 秀 明 , 常 光 洋 輔 , 大 塚 眞 哉 , 岩 川 和 秀 ,<br />

岩 垣 博 巳<br />

症 例 は69 歳 男 性 . 高 血 圧 , 糖 尿 病 , 単 クローン 性 γグロブリン 血 症 (IgMκ<br />

型 )の 既 往 症 を 定 期 的 に 経 過 観 察 されていた.HBV 既 感 染 者 (s 抗 体 陽<br />

性 ,c 抗 体 陽 性 ,e 抗 原 / 抗 体 陰 性 )であり,γ-GTP 上 昇 (135IU/l)を 契 機 に<br />

腹 部 超 音 波 検 査 を 行 ったところ, 肝 腫 瘍 を 指 摘 され 当 院 を 紹 介 となっ<br />

た. 肝 S7に 存 在 する7cm 大 の 肝 細 胞 癌 で,2011 年 8 月 , 肝 右 葉 切 除 術 を 施<br />

行 . 出 血 量 は810ml, 手 術 時 間 は6 時 間 4 分 (pT2N0M0,pStage2)で あ っ<br />

た. 術 直 後 の 経 過 は 良 好 だったが, 術 後 4 日 目 の 夕 方 , 大 量 の 黒 色 の 嘔 吐<br />

を 来 たしたため, 内 視 鏡 検 査 を 行 ったが 食 道 胃 接 合 部 付 近 のびらんを<br />

認 めたのみで, 制 酸 薬 , 絶 食 で 改 善 した. 術 後 6 日 目 , 突 然 39.7 度 まで 発 熱<br />

し, 血 液 培 養 でKlebsiella…oxytocaを 指 摘 された. 同 日 , 緊 急 CTを 施 行 し,<br />

右 胸 水 , 肝 離 断 面 の 貯 留 した 液 体 の 穿 刺 ドレナージを 行 ったが,いずれ<br />

も 培 養 陰 性 であった.ドレーン 抜 去 部 , 創 部 , 尿 に 感 染 兆 候 はなく, 中 心 静<br />

脈 ルートは 抜 去 済 みであった. 術 後 7,8 日 目 は 発 熱 を 認 めず, 内 視 鏡 再 検<br />

査 でも 有 意 な 所 見 を 認 めなかったが, 術 後 9 日 目 , 再 び41 度 まで 発 熱 , 収<br />

縮 期 血 圧 が 一 時 50mmHgまで 低 下 したため, 敗 血 症 性 ショックとして<br />

昇 圧 薬 の 使 用 を 開 始 し,エンドトキシン 吸 着 療 法 を 施 行 した. 便 培 養 で<br />

はClostridium…difficile 迅 速 検 査 陰 性 , 培 養 検 査 ではCandida…glabrataを<br />

指 摘 されたのみであったが, 上 記 検 索 結 果 から, 腸 管 細 菌 由 来 の 敗 血 症<br />

としか 考 えられず, 内 視 鏡 的 に 経 腸 栄 養 チューブを 十 二 指 腸 に 留 置 し,<br />

グルタミン, 食 物 線 維 ,オリゴ 糖 , 乳 酸 菌 を 注 入 しつつ, 偽 膜 性 腸 炎 偽 陰 性<br />

の 可 能 性 も 考 えて,バンコマイシンを 投 与 した.その 後 , 循 環 動 態 は 徐 々<br />

に 安 定 し,52100×103/μまで 上 昇 した 白 血 球 も 徐 々に 正 常 化 したた<br />

め, 術 後 24 日 目 に 退 院 した. 動 物 実 験 において,Bacterial…translocationの<br />

確 診 は 腸 管 細 菌 が 腸 間 膜 リンパ 節 などへ 移 行 することでなされるが,<br />

ヒトで 上 記 証 拠 を 得 ることは 困 難 である.また, 消 化 器 領 域 の 手 術 では<br />

術 後 感 染 の 起 炎 菌 は 腸 内 細 菌 が 多 く,Bacterial…translocationの 臨 床 的<br />

意 義 に 関 しては 意 見 が 分 かれている. 本 症 例 は 肝 切 除 術 後 , 明 らかな 感<br />

染 巣 , 感 染 兆 候 がないにも 関 わらず 敗 血 症 に 至 った. 病 因 として<br />

Bacterial…translocationの 可 能 性 が 示 唆 された.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P6-1 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 切 除 後 の 胆 汁 漏 の 評 価 について<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 佐 野 力 , 清 水 泰 博 , 千 田 嘉 毅 , 小 森 康 司 , 二 村 雄 次<br />

【 目 的 】 肝 切 除 後 の 合 併 症 として 胆 汁 漏 が 知 られているが,… 施 設 によ<br />

りその 定 義 あるいは 程 度 は 定 まっていない.… 近 年 International…Study…<br />

Group…of…Liver…Surgery…(ISGLS)から 胆 汁 漏 の 定 義 が 提 唱 された;…<br />

grade…A:ドレーン 排 液 T-Bilが 血 清 値 の3 倍 以 上 ,…grade…C: 再 開 腹 を<br />

要 する,…grade…B;… 何 らかの 処 置 が 必 要 またはドレーン 抜 去 が 術 後 7 日<br />

を 超 える.…ISGLS 分 類 の 妥 当 性 を 検 討 する.…【 対 象 】2007 年 5 月 から2011<br />

年 7 月 に 肝 腫 瘍 の 術 前 診 断 で 肝 切 除 を 行 った209 例 中 ,… 術 後 ドレーン 排<br />

液 のT-Bil 値 を 測 定 した171 例 ( 大 腸 癌 肝 転 移 86,… 肝 細 胞 癌 86,…その 他 22).…<br />

年 齢 64 歳 (33-87),… 男 118,… 女 53 例 .…ICGR15…8.2%(1.4-25.6),…BMI…22.7<br />

(16.4-34.2)… 術 前 化 療 癧 あり74 例 (43%),… 経 皮 経 肝 門 脈 塞 栓 施 行 27 例<br />

(16%).… 胆 汁 リークテスト 施 行 59 例 (35%)【 結 果 】 切 除 箇 所 は1カ 所 130<br />

例 (76%).… 術 式 は 解 剖 学 的 系 統 切 除 86,… 系 統 切 除 + 部 分 切 除 27,… 部 分 切<br />

除 58 例 .… 複 数 回 肝 切 除 34 例 (20%).… 肝 実 質 切 離 は,…CUSA…100(58%),…<br />

Pean…fracture…71 例 (42%).…Pringle 施 行 例 157 例 (92%)…(60 分 :6-182),…<br />

手 術 時 間 230 分 (70-676),… 出 血 量 410g(10-5500),… 赤 血 球 輸 血 9 例 (5%),…<br />

FFP 輸 血 14 例 (8%).… 術 死 ・ 在 院 死 亡 は 認 めなかった.…Clavien-Dindo 分<br />

類 Grade…III 以 上 の 術 後 合 併 症 を18 例 (911%)に 認 め,… 術 後 在 院 期 間 は11<br />

日 (6-43)であった.… 胆 汁 漏 の 発 生 率 はgrade…A;…48 例 (28%),…B;…14 例<br />

(8%),…C;なしであった.… 合 併 症 としてGrade…A 胆 汁 漏 のみの44 例 と 全<br />

く 合 併 症 を 認 めなかった80 例 を 比 較 すると 平 均 在 院 期 間 は11.3+-2.4,…<br />

10.9+-2.5 日 …(p=0.243),… ドレーン 抜 去 までの 期 間 は5.2+-1.1,…4.8+-1.0 日 …<br />

(p=0.082)で 差 を 認 めなかった.… 我 々の 胆 汁 漏 の 基 準 はドレーン 排 液 の<br />

T-Bil 値 が5mg/dlを 超 えるものであり,…15 例 (9%)であった.【 結 語 】<br />

ISGLS…grade…Aは 臨 床 経 過 に 影 響 を 及 ぼさず 定 義 合 致 していた.…Grade…<br />

B 以 上 の 胆 汁 漏 が 問 題 となり,… 我 々が 用 いてきた 胆 汁 漏 の 定 義 に 相 当<br />

する 結 果 であった.… 胆 汁 漏 を 評 価 する 統 一 基 準 としてISGLS 分 類 は 有<br />

用 と 考 えられる.…<br />

P6-2 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 患 者 における 肝 切 除 術 後 難 治 性 腹 水<br />

発 症 の 検 討<br />

福 岡 市 立 病 院 機 構 福 岡 市 民 病 院 外 科<br />

○… 伊 藤 心 二 , 内 山 秀 昭 , 東 貴 寛 , 竹 中 賢 治<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 において 肝 硬 変 を 併 存 していることが 多 く、 肝 切 除<br />

術 後 に 特 殊 な 合 併 症 をしばしば 経 験 する。 術 後 腹 水 貯 留 は 肝 切 除 術 後<br />

の 代 表 的 な 合 併 症 の 一 つであり、 難 治 性 となる 場 合 もある。 今 回 、 肝<br />

硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 後 の 腹 水 貯 留 に 関 して 検 討 を 行 っ<br />

た。【 対 象 】 当 院 にて1989 年 5 月 から2011 年 7 月 までに 施 行 した 肝 細 胞<br />

癌 初 回 切 除 症 例 410 症 例 中 、 肝 硬 変 を 有 する194 症 例 を 対 象 とした。 難<br />

治 性 腹 水 (Clavien…Grade…3 以 上 )およびその 危 険 因 子 を 検 討 した。【 結<br />

果 】 平 均 年 齢 63.3 歳 、 男 性 143 例 、 女 性 51 例 。HBsAg 陽 性 39 例 、HCV<br />

抗 体 陽 性 133 例 。Child-Pugh 分 類 ;Grade…A…163 例 、Grade…B…31 例 、<br />

肝 障 害 度 ;Grade…A…87 例 、Grade…B…107 例 。13 例 (6.7%)に 難 治 性 腹 水<br />

を 認 めた。 発 症 の 危 険 因 子 として 術 前 因 子 ではBMI20 以 下 、PT80%<br />

未 満 、ALT80IU/l 以 上 、 手 術 因 子 では 区 域 以 上 の 肝 切 除 、 手 術 時 間<br />

300 分 以 上 、 出 血 量 1000cc 以 上 が 挙 げられた。 多 変 量 解 析 では 区 域 以<br />

上 の 肝 切 除 のみが 有 意 な 危 険 因 子 として 挙 げられた。【 結 論 】 肝 硬 変<br />

合 併 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 においては 術 後 難 治 性 腹 水 を 回 避 するた<br />

めに 切 除 後 残 肝 容 積 を 確 保 する 術 式 の 工 夫 が 重 要 であると 考 えられた。<br />

-319-


P6-3 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 後 腹 水 発 症 の 危 険 因 子<br />

の 検 討<br />

広 島 赤 十 字 ・ 原 爆 病 院 外 科<br />

○… 武 石 一 樹 , 山 下 洋 市 , 辻 田 英 司<br />

【 背 景 】 術 後 腹 水 は 解 決 されていない 肝 切 除 後 合 併 症 の1つであり、<br />

術 後 腹 水 への 対 策 は 肝 切 除 成 績 向 上 には 必 須 である。<br />

【 目 的 】 肝 切 除 後 腹 水 の 危 険 因 子 を 同 定 すること。<br />

【 対 象 ・ 方 法 】2008 年 1 月 から2011 年 11 月 の 初 発 HCC 切 除 143 例 を 対<br />

象 とした。 術 後 2 日 目 以 降 に 体 重 1kg 当 たり10ml 以 上 の 腹 水 流 出 を 認<br />

めた 腹 水 群 (17 例 …12%)とそれ 以 外 の 非 腹 水 群 (126 例 88%)の2 群 に 分 け、<br />

患 者 背 景 因 子 および 手 術 関 連 因 子 を 比 較 した。 原 則 術 後 1 日 目 よりフ<br />

ロセミド20mg、スピロノラクトン100mgを 開 始 し、 体 重 、Cr 値 を 参<br />

考 に 適 宜 増 減 した。アルブミン 製 剤 は 術 後 全 例 に 使 用 し、 血 清 Alb 値<br />

>3.0mg/dlを 維 持 した。FFPは 原 則 使 用 していない。<br />

【 結 果 】1) 背 景 因 子 ( 非 腹 水 群 / 腹 水 群 )…ICGR15 分 値 (%)19/25…(p<<br />

0.05)、アルブミン 値 (g/dl)4.0/3.7…(p


P6-7 肝 右 葉 切 除 術 後 に 胆 道 出 血 をきたした 一 例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 浅 井 竜 一 , 長 田 真 二 , 今 井 寿 , 佐 々 木 義 之 , 山 田 敦 子 ,<br />

加 藤 順 子 , 八 幡 和 憲 , 棚 橋 利 行 , 吉 田 和 弘<br />

胆 道 出 血 は、 一 般 的 には 経 皮 経 肝 的 胆 道 ドレナージ 術 や 肝 生 検 に 伴 っ<br />

て 起 こることが 多 いとされている。 今 回 、 肝 切 除 後 に 胆 道 出 血 をきた<br />

した 症 例 を 経 験 したため、その 概 要 につき 報 告 する。【 症 例 】73 歳 、<br />

女 性 。HB 抗 原 /HCV 抗 体 ともに 陰 性 。2011 年 4 月 、 前 医 にて 膵 嚢 胞 性<br />

病 変 経 過 観 察 中 にAFP122…ng/ml、DUPAN-II410…U/mlと 高 値 であり、<br />

腹 部 造 影 CT 検 査 にて 確 認 したところ、 肝 S1/S8に 肝 腫 瘤 を 認 め 精 査<br />

加 療 目 的 にて 同 年 8 月 に 当 科 へ 紹 介 。 当 科 での 血 液 検 査 でも、<br />

AFP5744…ng/ml、DUPAN-II300…U/mlと 高 値 であった。また 造 影<br />

MRIを 施 行 したところ、 肝 S1/S8に27x25mm 大 の 腫 瘤 を 認 め、 肝 動 脈<br />

優 位 相 で 強 い 濃 染 と、 経 時 的 に 明 瞭 な 抜 け 像 、 肝 細 胞 相 で 低 信 号 を 示<br />

しており、 肝 細 胞 癌 が 強 く 疑 われた。9 月 に 外 科 治 療 を 計 画 し、 腫 瘍<br />

が 前 区 域 グリソン 分 岐 部 内 側 に 位 置 していたことから 肝 右 葉 切 除 術 を<br />

選 択 (グリソン 一 括 処 理 )。 術 後 、 血 中 T-BILは 翌 日 4.4…mg/dlをピーク<br />

に 低 下 傾 向 であったが、4 日 目 より 再 度 上 昇 して 以 降 は4~6…mg/dlを 推<br />

移 ( 腹 水 中 は 正 常 )。6 日 目 に 少 量 の 黒 色 便 あったがバイタルサイン 等<br />

に 変 化 なし。T-BILが 高 値 を 持 続 していたため 腹 部 CTにて 確 認 した<br />

ところ、 肝 内 胆 管 から 十 二 指 腸 乳 頭 部 まで 連 続 した 高 吸 収 域 を 認 め 胆<br />

道 内 血 腫 と 判 明 。 胆 管 内 には 胆 汁 を 反 映 した 低 吸 収 域 を 伴 っているこ<br />

とから 完 全 閉 塞 は 免 れている 状 態 であり、Hb10.1…g/dlと 貧 血 の 兆 候<br />

を 認 めなかったため 経 過 観 察 とした。9 日 目 に 多 量 の 黒 色 便 が 出 現 し、<br />

Hbの 低 下 (8.0…g/dl)を 伴 っていたため、 再 度 造 影 CT 検 査 にて 確 認 し<br />

たところ、 右 肝 動 脈 断 端 に 仮 性 動 脈 瘤 がみられ、さらに 胆 道 出 血 が 継<br />

続 しているものと 判 断 し 同 日 緊 急 血 管 造 影 を 行 った。 肝 動 脈 造 影 にて<br />

門 脈 間 とのシャントとともに13…mm 大 の 動 脈 瘤 がみられ、IDCコイル<br />

によるコイル 塞 栓 術 を 施 行 した。 以 降 黒 色 便 も 消 失 し 貧 血 の 進 行 もみ<br />

られず、 血 中 T-BIL 値 も 正 常 化 し、 術 後 41 日 目 に 退 院 となった。【 考 察 】<br />

グリソン 一 括 処 理 による 肝 切 除 術 は 汎 用 される 手 術 手 技 ではあるが、<br />

処 理 断 端 近 傍 における 脈 管 系 の 状 況 に 関 しては 観 察 しえないという 不<br />

安 感 もぬぐえない。 手 術 手 技 内 容 も 含 め、 今 回 の 症 例 の 経 緯 につき 議<br />

論 するべく 症 例 を 提 示 する。<br />

P6-8 肝 左 葉 切 除 後 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 して 磁 石 圧 迫 法 を 施 行 し<br />

た1 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜<br />

市 西 部 病 院 放 射 線 科<br />

○… 丸 口 塁 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 山 内 栄 五 郎 2<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

,<br />

北 村 博 顕 1<br />

, 伊 藤 隆 介 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

,<br />

石 田 祐 一 1<br />

, 三 澤 健 之 1 1<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

症 例 は62 歳 男 性 。 約 15 年 前 よりC 型 およびアルコール 性 慢 性 肝 炎 の 既<br />

往 あり。2 年 前 に 当 科 にてS8 肝 細 胞 癌 に 対 するS8 肝 亜 区 域 切 除 術 を 施<br />

行 され、 以 後 外 来 にてフォローされていた。 今 回 、 門 脈 臍 部 および 門<br />

脈 左 一 次 分 枝 から 門 脈 右 一 次 分 枝 への 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 肝 左 葉 全 体 を<br />

占 拠 する 肝 細 胞 癌 の 再 発 を 認 め 手 術 目 的 で 当 科 入 院 。 術 前 検 査 後 、 肝<br />

左 葉 切 除 術 、 門 脈 腫 瘍 栓 除 去 術 、および 門 脈 再 建 術 を 施 行 ( 手 術 時<br />

間 871 分 、 出 血 量 3000ml)。 術 後 12 日 目 に 発 熱 および 炎 症 反 応 の<br />

上 昇 を 認 め、 腹 部 CT 検 査 にて 肝 切 離 面 の 液 体 貯 留 を 認 めた。CTガイ<br />

ド 下 ドレナージ 術 を 施 行 し、 胆 汁 漏 を 認 めた。その 後 ドレーン 排 液 量<br />

は 減 少 したが、 血 清 ビリルビン 値 の 上 昇 を 認 めた。MRCPおよび<br />

ERCP 検 査 を 施 行 したところ、 後 区 域 胆 管 分 岐 部 の 狭 窄 およびその 末<br />

梢 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 めた。 内 視 鏡 的 胆 管 ステント 留 置 術 を 試 みたが<br />

不 可 であった。 術 後 43 日 目 にPTCDを 施 行 し 造 影 したところ、 総 胆 管<br />

は 造 影 されず。 再 度 、PTCDルートからの 胆 管 拡 張 および 内 視 鏡 下 胆<br />

管 ステント 術 を 試 みたが 屈 曲 強 く 不 可 であった。 術 後 105 日 目 に 良 性<br />

胆 管 狭 窄 に 対 し 磁 石 圧 迫 吻 合 術 を 施 行 した。 磁 石 圧 迫 吻 合 術 施 行 後 40<br />

日 目 に 肝 後 区 域 胆 管 と 総 胆 管 の 再 交 通 を 確 認 した。その 後 経 過 良 好 に<br />

て、 肝 切 除 術 後 159 日 目 に 軽 快 退 院 となった。 肝 左 葉 切 除 後 の 難 治 性<br />

良 性 胆 管 狭 窄 に 対 して 磁 石 圧 迫 吻 合 術 が 有 用 であった1 例 を 経 験 した<br />

ので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P7-1 吊 り 上 げ 式 内 鏡 視 下 手 術 の 工 夫 と 器 具 開 発<br />

埼 玉 医 科 大 学 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 ・ 児 外 科<br />

○… 石 田 隆 志 , 橋 本 大 定 , 駒 込 昌 彦 , 赤 松 延 久 ,<br />

小 澤 文 明<br />

低 侵 襲 鏡 視 下 手 術 は、 百 余 年 にわたり 先 達 が 確 立 してきた 大 開 腹 手 術<br />

の 安 全 性 をいささかも 揺 るがすことは 許 されるものではない。 吊 り 上<br />

げ 式 内 視 鏡 下 手 術 では 高 圧 に 起 因 する 合 併 症 は 皆 無 であるにもかかわ<br />

らず、 気 腹 式 内 視 下 手 術 が 主 流 となっている。 我 々は、「 全 ての 内 鏡<br />

視 下 手 術 は 吊 り 上 げ 法 でこそ 遂 行 すべきである」との 信 念 のもと、 過<br />

去 20 年 間 開 発 改 良 を 重 ねてきた。 最 初 に 考 案 した、 手 術 目 的 臓 器 直<br />

上 の 領 域 を2 本 の 皮 下 鋼 線 で 囲 み 面 として 挙 上 する 方 法 (ハンガーリフ<br />

ティング:1991 年 )は、より 広 い 天 井 を 作 成 すべく、 多 孔 性 のプレー<br />

トの 活 用 した 垂 直 挙 上 法 (プレートリフティング:1993 年 )へと 改 良 さ<br />

れたが、 高 度 肥 満 例 や、 皮 膚 の 弛 みの 強 い 高 齢 者 では、 必 ずしも 十 分<br />

な 視 野 を 得 るのが 難 しいケースも 存 在 した。これらの 問 題 は、 多 孔 性<br />

プレートと 一 体 化 した 腹 腔 内 に 挿 入 されるコの 字 型 鉤 、 多 孔 性 アーチ<br />

と、 高 さも 調 節 可 能 なL 字 バーの 考 案 (ベーブのリトラクター:2005 年 )<br />

により、 腹 壁 全 層 のみならず 胸 郭 をも 自 在 に 牽 引 挙 上 して、 気 腹 法 以<br />

上 の 視 野 の 作 成 が 容 易 に 得 られるようになった。さらに 我 々は、“ 間<br />

接 視 下 の 遠 隔 操 作 ”に 起 因 する 特 異 な 合 併 症 の 発 生 も 防 止 すべく「 器<br />

械 器 具 開 発 」「 術 式 の 工 夫 」にも 取 り 組 んできた。 肝 円 索 の 挙 上 によ<br />

るlateral…retractionやpartial…liver…lifting、 鉗 子 のシャフト 部 の 屈 曲 を<br />

自 由 に 変 えられるTwist 鉗 子 、 先 端 部 が 自 在 に90 度 まで 屈 曲 する2の<br />

字 型 オジギ 電 気 メス、SILSにおけるSingle…Incisionの 糸 による 仕 分 け、<br />

重 力 を 利 用 した 胆 嚢 把 持 挙 上 法 など 一 連 の 術 式 の 工 夫 により 肝 切 除 す<br />

らも 安 全 確 実 に 遂 行 できる 結 果 となったので、その 方 法 を 紹 介 する。<br />

P7-2 S7 領 域 肝 細 胞 癌 に 対 する 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 三 講 座<br />

○… 宮 原 光 興 , 永 川 裕 一 , 土 方 陽 介 , 高 橋 恒 輔 , 松 土 尊 映 ,<br />

菊 池 哲 , 許 文 層 , 鈴 木 芳 明 , 粕 谷 和 彦 , 土 田 明 彦<br />

近 年 , 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 各 施 設 で 広 まりつつあるが,S7 領 域 を 適<br />

応 とする 施 設 は 少 ない. 今 回 我 々はS7 領 域 に 対 する 肝 細 胞 癌 に 対 し<br />

完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 をおこない 手 術 手 技 を 供 覧 する。【 手 術 手 技 】<br />

症 例 は76 歳 , 男 性 .S7に 径 5cm 大 の 肝 細 胞 癌 を 認 めた. 体 位 は 左 側 臥<br />

位 とし, 臍 上 にカメラポート, 上 腹 部 正 中 から 右 肋 弓 下 に 沿 って4ポー<br />

ト 挿 入 し, 気 腹 圧 は10mmHgとした. 肝 円 索 切 離 に 続 いてソフトワ<br />

ンドリトラクターを 用 いて 肝 右 葉 圧 排 し 下 大 静 脈 , 右 肝 静 脈 まで 十 分<br />

に 脱 転 した. 超 音 波 検 査 にて 腫 瘍 の 存 在 部 位 ,S7のグリソン 鞘 , 右<br />

肝 静 脈 の 走 行 を 確 認 。 肝 切 離 予 定 線 を 電 気 メスでマーキング, 肝 切 離<br />

は 肝 右 背 側 より 開 始 し,Pringleによる 血 行 遮 断 下 に 肝 表 層 は 超 音 波<br />

凝 固 切 開 装 置 (LCS)にて 行 い, 深 層 はCUSAを 用 い 行 った. 視 野 展 開 は,<br />

切 離 線 よりS6 側 とS8 側 の 残 肝 側 に 支 持 糸 をおき, 助 手 はその 支 持 糸<br />

を 鉗 子 で 内 側 に 牽 引 し, 術 者 は 鉗 子 にて 切 離 部 近 傍 の 肝 実 質 を 背 外 側<br />

に 圧 排 し 行 った.また 切 離 面 からの 止 血 はCUSA 先 端 に 接 続 したソフ<br />

ト 凝 固 にて 行 い, 太 いグリソン 鞘 や 肝 静 脈 はヘモロックにてクリップ<br />

した. 切 除 した 肝 臓 は 臍 部 より 摘 出 , 手 術 時 間 は380 分 , 出 血 量 は<br />

140mlであった.【 結 論 】S7 領 域 においても 安 全 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術<br />

が 遂 行 できると 思 われた.<br />

-321-


P7-3 EnSeal®を 用 いたクリップレス 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

東 邦 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 ( 大 森 )<br />

○… 大 塚 由 一 郎 , 石 井 淳 , 前 田 徹 也 , 片 桐 敏 雄 , 久 保 田 喜 久 ,<br />

鏡 哲 , 田 村 晃 , 土 屋 勝 , 島 田 英 明 , 渡 邉 正 志 ,<br />

金 子 弘 真<br />

【 目 的 】 安 全 な 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 (LH)において 手 術 器 具 の 開 発 や 応 用<br />

は 欠 くことのできない 要 素 である。 一 方 、LHにおけるクリップレス<br />

の 意 義 としては 体 内 に 異 物 を 残 さないことのほか、 自 動 縫 合 器 使 用 の<br />

際 に 残 存 クリップを 噛 んでしまうことによるミスファイヤーや 切 離 線<br />

上 のクリップ 除 去 による 出 血 リスクの 回 避 、 術 後 画 像 診 断 における 画<br />

質 の 維 持 などがあげられる。EnSeal®(Ethicon…Endo-Surgery,…LLC.,…<br />

Cincinnati,…OH,…USA)は 組 織 の 凝 固 シーリングを 行 い 内 蔵 ブレードに<br />

より 切 離 するバイポーラー 手 術 器 具 である。これまで 主 に 管 腔 臓 器 で<br />

の 鏡 視 下 手 術 において 使 用 されていたが、 当 科 ではLHに 応 用 してお<br />

り 有 用 性 を 報 告 する。…【 対 象 ・ 方 法 】LH…15 例 での25 結 節 に 対 する22<br />

肝 切 除 において 用 いた。EnSeal® 先 端 はマイナス 電 極 の 上 部 ジョーと、<br />

プラス/マイナス 両 電 極 のそれのみでバイポーラー 出 力 が 可 能 な 下 部<br />

ジョーよりなるが、これを 利 用 し 肝 実 質 切 離 では 下 部 ジョーのみをま<br />

ず 肝 実 質 にゆっくりと 凝 固 刺 入 させハンドルをゆっくり 握 り 込 んだ。<br />

上 部 ジョー 閉 鎖 により 組 織 を 把 持 後 、 通 電 シーリングし、さらに 握 る<br />

ことでブレード 走 行 による 組 織 切 離 までを 一 連 の 操 作 で 行 った。… 比<br />

較 的 太 い 脈 管 はクランプクラッシングにより 見 出 した 後 にクリップも<br />

しくはEnSeal®にて 切 離 を 行 ったが、 原 則 として 径 4mm 以 下 の 静 脈 、<br />

径 2mm 以 下 のグリソン 枝 はEnSeal® 処 理 のみとした。【 結 果 】LH…15<br />

例 の 平 均 はぞれぞれ 年 齢 62.6 歳 、 術 前 ICGR15…9.4%、 手 術 時 間 371.7 分 、<br />

出 血 量 291.5ccであった。22 肝 切 除 のうち 完 全 腹 腔 鏡 下 手 技 は16( 系 統<br />

切 除 :2、 外 側 区 域 切 除 :4、 部 分 切 除 10)、 用 手 補 助 下 手 技 は4( 部 分<br />

切 除 :4)、 腹 腔 鏡 補 助 下 手 技 は2( 部 分 切 除 :2)であった。クリップ 使<br />

用 回 数 は 平 均 2.0 回 であり 系 統 切 除 や 大 きな 部 分 切 除 でのグリソン・<br />

肝 静 脈 処 理 、 外 側 区 域 切 除 での 左 下 横 隔 静 脈 処 理 などに 要 したもので<br />

あり、14 切 除 ( 外 側 区 域 切 除 3、 部 分 切 除 11)(63.6%)ではクリップを<br />

使 用 なかった。 術 後 平 均 7.2 日 で 退 院 し、15 症 例 いずれにも 合 併 症 は<br />

なかった。【 結 語 】EnSeal®はクリップの 使 用 削 減 に 貢 献 でき、 安 全<br />

で 効 率 的 なLHに 有 用 と 考 える。<br />

P7-4 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 における 肝 実 質 切 離<br />

奈 良 県 立 奈 良 病 院 外 科<br />

○… 高 済 峯 , 吉 川 高 宏 , 石 岡 興 平 , 西 和 田 敏 , 向 川 智 英 ,<br />

石 川 博 文 , 渡 辺 明 彦<br />

さまざまなデバイスの 進 歩 によって 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 が 可 能 となり、 肝<br />

癌 治 療 において 一 定 の 役 割 を 果 たすようになりつつある。 肝 受 動 操 作<br />

については、 開 腹 手 術 を 凌 駕 する 精 緻 な 視 野 が 得 られ、 鏡 視 下 手 術 の<br />

メリットは 大 きい。しかし、 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 においては、 肝 実 質<br />

切 離 のqualityはについては 必 ずしも 開 腹 手 術 を 超 えるとは 言 い 難 く<br />

出 血 時 の 対 応 が 問 題 となる。 出 血 させずに 手 術 を 完 遂 することが 重 要<br />

であり、 当 科 における 手 術 手 技 と 成 績 について 供 覧 する。【 手 術 手 技 】<br />

完 全 腹 腔 鏡 下 手 術 を 原 則 とする。 肝 受 動 は 主 として 超 音 波 凝 固 切 開 装<br />

置 で 行 う。 肝 実 質 切 離 では、Pringle 操 作 やPrecoagulationは 原 則 とし<br />

て 行 わず、 肝 表 層 を 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 で 切 離 したのち、 肝 実 質 を<br />

VIO…systemのBiclampでcrushしつつ 凝 固 止 血 しながら 超 音 波 凝 固 切<br />

開 装 置 で 切 離 する。Biclampの 鉗 子 操 作 で 太 い 脈 管 を 剥 離 同 定 し 止 血<br />

クリップまたはHemolockで 処 理 する。【 周 術 期 成 績 】2011 年 12 月 まで<br />

に 当 院 において 行 われた 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 29 症 例 のうち、HALSや 腹 腔<br />

鏡 補 助 下 手 術 症 例 を 除 いた21 例 の 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 症 例 について 検<br />

討 した。 肝 切 除 範 囲 は 部 分 切 除 が16 例 、 左 外 側 区 域 切 除 が3 例 、 左 肝<br />

切 除 1 例 ならびに 右 肝 切 除 が1 例 であった。 平 均 手 術 時 間 は237±92 分 、<br />

平 均 出 血 量 は274±434…gであった。21 例 中 9 例 においては 出 血 量 は50g<br />

以 下 で、ほぼ 無 血 野 に 肝 切 除 を 完 遂 し 得 た。 術 後 合 併 症 は 不 整 脈 が1<br />

例 でみられたが 薬 物 療 法 にて 軽 快 した。 平 均 術 後 在 院 日 数 は9.2±3.4<br />

日 であった。【 結 語 】 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 低 侵 襲 性 は 大 きな 魅 力 で<br />

あり、 新 たな 肝 癌 治 療 の 選 択 肢 であると 思 われた。 肝 実 質 切 離 の<br />

qualityを 保 つことが 重 要 であり、 当 科 における 肝 実 質 切 離 法 で 比 較<br />

的 安 定 した 手 術 が 可 能 であった。<br />

P7-5 ハイリスク 症 例 への 低 侵 襲 かつ 安 全 な 手 技 を 目 指 した 腹<br />

腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除<br />

小 倉 記 念 病 院 外 科<br />

○… 藤 川 貴 久 , 下 池 典 広 , 多 田 誠 一 郎 , 前 川 久 継 , 田 中 明<br />

【 緒 言 】 基 礎 疾 患 を 有 するハイリスク 症 例 では 腹 腔 鏡 手 術 の 適 応 は 慎<br />

重 であるべきであるが、いっぽうでこうした 症 例 にこそ 低 侵 襲 性 を 生<br />

かした 手 術 の 恩 恵 を 最 大 限 活 かしたいのも 事 実 である。 当 院 では 腹 腔<br />

鏡 下 肝 切 除 術 (LAHR)を 導 入 するにあたり、ハイリスク 症 例 において<br />

も 行 い 得 る 低 侵 襲 かつ 安 全 なLAHRの 導 入 を 試 行 錯 誤 してきた。 当 院<br />

におけるLAHRの 手 術 手 技 及 び 導 入 後 の 成 績 につき 報 告 する。【 対 象 】<br />

2010 年 4 月 の 導 入 後 2011 年 11 月 までの 期 間 に 当 院 で 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を<br />

施 行 した20 例 ( 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 部 分 切 除 術 16 例 、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外 側<br />

区 域 切 除 術 3 例 、 両 方 の 同 時 施 行 例 1 例 )を 対 象 とした。【 適 応 】 肝 辺 縁<br />

もしくは 肝 外 側 区 域 に 存 在 する4cm 程 度 までの 肝 細 胞 癌 または 転 移 性<br />

肝 癌 例 ( 偽 診 例 含 む)。【 手 術 手 技 】 腹 腔 鏡 下 に 肝 の 受 動 を 十 分 に 行 い<br />

病 変 部 を 同 定 後 、 小 開 腹 創 を 至 適 な 位 置 におき 牽 引 鉤 によるWindow<br />

の ず ら し(Moving…Window 法 ) 及 びTrocarよ り 挿 入 し たBalloon…<br />

Retractorによる 肝 受 動 (Trocar 受 動 法 )により 肝 切 離 部 を 常 に 直 視 下<br />

におきつつ 肝 切 離 を 行 った。【 結 果 】 全 20 症 例 中 ASA3 度 以 上 のハイ<br />

リスク 症 例 が12 例 (60%)を 占 め、うち 冠 動 脈 治 療 歴 を 有 する 症 例 を8<br />

例 (40%)に 認 めた。20 例 中 単 発 腫 瘍 例 16 例 、 多 発 例 4 例 、 腫 瘍 径 は<br />

5-65mmであった。 平 均 手 術 時 間 190 分 、 平 均 出 血 量 115g、 小 開 腹 創<br />

の 平 均 長 は8.8cmであった。 長 期 の 維 持 透 析 及 び 複 数 回 の 冠 動 脈 病 変<br />

への 治 療 歴 を 有 するハイリスク 症 例 で、 退 院 直 前 の 術 後 11 日 目 に 原 因<br />

不 明 の 心 肺 停 止 を 来 し 在 院 死 にいたった 症 例 を1 例 経 験 した。その 他 2<br />

例 で 創 感 染 を 認 めたが 後 出 血 や 胆 汁 瘻 は 認 めず、 術 後 平 均 在 院 日 数 は<br />

13.2 日 であった。【 考 察 】 在 院 死 を1 例 経 験 したことは 真 摯 に 受 け 止 め<br />

る 必 要 があるが、 手 術 時 間 や 出 血 量 は 満 足 できる 範 囲 であった。 本 法<br />

により 複 数 病 変 の 場 合 にも 同 一 の 小 開 腹 創 からアプローチが 可 能 であ<br />

り、また 継 続 的 に 肝 受 動 を 微 調 整 し 肝 切 離 部 を 常 に 直 視 下 におくこと<br />

で 開 腹 下 の 肝 切 除 と 同 じ 使 い 慣 れた 手 術 器 具 を 使 用 可 能 であった。 本<br />

approachはハイリスク 症 例 においても 安 全 性 と 低 侵 襲 性 を 両 立 させ<br />

得 ると 考 えられた。<br />

P7-6 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 術<br />

大 阪 赤 十 字 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 有 本 明 , 中 島 研 朗<br />

(はじめに) 当 院 では2008 年 より 外 側 区 域 切 除 は 完 全 鏡 視 下 を 標 準 手 術<br />

とし、20 例 に 行 ってきた。その 中 で、4ポート(13 例 )→2010 年 より3ポー<br />

ト(4 例 )→2011 年 より 単 孔 式 (3 例 )と 徐 々にポート 数 を 減 らしてきた。<br />

今 回 、 単 孔 で 行 った3 例 を 供 覧 する。<br />

( 症 例 ) 平 均 年 齢 67 歳 。アルコール 性 慢 性 肝 炎 、C 型 肝 線 維 症 、B 型 肝<br />

硬 変 を 各 々 背 景 に 持 つStage2のHCC。 平 均 2.4cm 径 。<br />

( 手 術 手 技 ) 臍 部 に5cmのzigzag 切 開 を 置 き、PlatformはGelport 又 は<br />

OCTOを 用 いた。 周 辺 間 膜 はフック 鉗 子 で 切 離 、 肝 上 面 より 左 肝 静 脈<br />

周 囲 を 十 分 剥 離 しておく。 肝 切 離 ラインが 臍 を 向 くようにStaySuture<br />

をかけて 切 除 側 肝 を 牽 引 する。 肝 実 質 切 離 はBiclamp+LCS、 又 は 肝<br />

硬 変 がない 場 合 はEnSealを 用 いる。 出 血 にはMonopolarソフト 凝 固 で<br />

対 応 する。 先 にグリソン 裏 の 肝 実 質 を 切 離 しグリソンを 露 出 、<br />

StaplerでS2,S3を 一 括 切 離 する。 左 肝 静 脈 の 切 離 は 体 格 の 大 きな 人 で<br />

はStaplerが 臍 から 届 きにくくこの 術 式 の 難 点 であるが、 周 囲 の 肝 実<br />

質 を 出 来 るだけ 薄 くしておき、Staplerを 反 時 計 方 向 にねじりながら<br />

屈 曲 をかけることで 背 側 のBlade 先 端 を 目 視 する 様 にする。<br />

( 結 果 ) 平 均 手 術 時 間 195 分 、 出 血 量 少 量 、 術 後 合 併 症 なく、3ポートで<br />

行 った4 例 と 比 較 して 同 等 の 結 果 であった。<br />

( 考 察 ) 外 側 区 域 切 除 では 切 除 肝 を 取 り 出 すのにいずれ5cm 程 の 皮 切 が<br />

必 要 である。 単 孔 でも5cm 切 れば 格 段 に 操 作 性 が 向 上 し、Qualityを<br />

落 とす 事 無 く 安 定 した 術 式 として 施 行 可 能 であり、 標 準 術 式 とし 得 る<br />

と 考 えられた。<br />

-322-


P7-7 追 加 ニードル 無 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 検 討<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 宮 澤 光 男 , 合 川 公 康 , 岡 田 克 也 , 利 光 靖 子 , 岡 本 光 順 ,<br />

上 野 陽 介 , 山 口 茂 樹 , 小 山 勇<br />

【 目 的 】Reduced…port…surgery,… 低 侵 襲 性 、 整 容 性 の 向 上 を 目 指 し、<br />

単 孔 式 手 術 が 施 行 されるようになってきているが、 近 未 来 の 方 向 性 は<br />

NOTESのような 体 表 に 傷 が 無 く、かつ 低 侵 襲 な 手 術 と 考 える。この<br />

ような 概 念 から 我 々は、 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 Single-port…<br />

laparoscopic…hepatectomy(SLH)においても 追 加 ニードル 無 しの 手 術<br />

を 行 っている。 今 回 は、 我 々の 施 行 した 追 加 ニードルを 用 いないSLH<br />

における 手 技 の 工 夫 と 術 後 経 過 を 提 示 し、その 安 全 性 と 有 用 性 を 検 討<br />

した。【 方 法 】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 (SLH)を 施 行 した9 例 を 対 象 と<br />

した。 疾 患 の 内 訳 は、 肝 細 胞 6 例 、 転 移 性 肝 癌 1 例 、 肝 内 分 泌 腫 瘍 1 例 、<br />

肝 血 管 腫 1 例 であった。Child-Pugh…score…A;6 例 、B;2 例 、C;1 例 で<br />

あった。SLH 選 択 の 適 応 として、 腫 瘍 が 肝 の 尾 側 に 存 在 し、 表 面 に 突<br />

出 、 長 径 が3cm 以 下 、 単 発 、と 設 定 した。 手 術 は、 臍 部 よりSILS…<br />

Portを 挿 入 し、3カニューラアプローチにより 行 った。【 結 果 】 全 症 例 、<br />

術 中 トラブル、ポート 追 加 、 開 腹 移 行 はなかった。 手 術 時 間 は148 分<br />

(141-235)、 出 血 量 は2ml(0-10)であった。 術 後 疼 痛 管 理 は 第 3 病 日 で<br />

終 了 し、その 後 、 除 痛 薬 投 与 の 必 要 はなかった。 術 後 在 院 日 数 は6.2<br />

日 (3-11)、 手 術 関 連 合 併 症 は 認 められなかった。すべての 腫 瘍 にお<br />

いて 切 除 マージンは 陰 性 であった。 術 後 2 週 目 におけるフォローアッ<br />

プにおいて、 創 部 痛 、 腹 水 貯 留 、 肝 機 能 悪 化 はいずれの 症 例 も 認 めら<br />

れなかった。【 結 語 と 考 察 】 追 加 ニードル 無 しSLHは、 高 度 肝 障 害 症<br />

例 に 対 しても、 症 例 を 選 択 することによって 安 全 に 肝 切 除 を 施 行 でき<br />

る。 本 学 会 においては、 我 々の 手 技 と 成 績 をビデオを 含 め 供 覧 したい。<br />

P7-8 左 側 臥 位 肝 非 脱 転 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 後 区 域 切 除 術 の1 例<br />

- 尾 側 アプローチ 肝 後 区 域 切 除 術 -<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 坂 文 種 報 徳 会 病 院 外 科<br />

○… 川 瀬 仁 , 守 瀬 善 一 , 川 辺 則 彦 , 梅 本 俊 治 , 冨 重 博 一 ,<br />

永 田 英 俊 , 大 島 久 徳 , 荒 川 敏 , 吉 田 梨 恵<br />

肝 後 区 域 切 除 術 の 際 に 切 離 面 となる 前 後 区 域 境 界 面 は、 仰 臥 位 の 状 態<br />

では 水 平 面 として 存 在 している。 完 全 腹 腔 鏡 下 に 肝 後 区 域 切 除 術 を 行<br />

う 際 には、この 切 離 面 を 腹 腔 内 の 狭 い 空 間 の 中 でいかに 視 野 展 開 する<br />

かが 手 術 の 成 否 に 関 わる 大 きな 要 因 となる。われわれは、これまでの<br />

完 全 腹 腔 鏡 下 肝 後 区 域 切 除 術 の 経 験 から、 腹 腔 鏡 特 有 の 尾 側 からの 視<br />

野 を 生 かした 尾 側 アプローチによる 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 後 区 域 切 除 術 を 考<br />

案 した。 患 者 を 左 側 臥 位 として 肝 の 授 動 脱 転 操 作 をせずに 後 区 域 を 後<br />

腹 膜 に 固 定 したまま 肝 離 断 を 先 行 する。 肝 離 断 を 右 肝 静 脈 と 背 側 の 下<br />

大 静 脈 前 面 を 露 出 しながら 尾 側 から 頭 側 に 一 方 向 性 に 進 め、 垂 直 方 向<br />

になった 肝 切 離 面 が 重 力 によって 観 音 開 きになることで 視 野 展 開 が 容<br />

易 になる。 手 技 をビデオで 供 覧 する。 症 例 は63 歳 女 性 。 横 行 結 腸 癌 に<br />

対 して 開 腹 左 半 結 腸 切 除 術 後 外 来 経 過 観 察 中 であったが、 術 後 2 年 目<br />

の 腹 部 造 影 CT 検 査 上 、 右 肝 静 脈 に 近 接 する 肝 S6に1.5cm 大 の 肝 転 移<br />

が 検 出 された。 背 景 肝 疾 患 は 有 していないが、 術 後 補 助 化 学 療 法 がお<br />

こなわれており 脂 肪 肝 が 高 度 であったため 肝 切 除 範 囲 は 葉 切 除 でなく<br />

後 区 域 切 除 を 選 択 した。 腫 瘍 の 位 置 は 右 肝 静 脈 に 比 較 的 近 く、 切 除 断<br />

端 での 腫 瘍 の 露 出 を 回 避 するためには 右 肝 静 脈 を 露 出 する 形 での 切 除<br />

が 必 要 と 考 えられた。 従 来 、われわれは、 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 後 区 域 切 除<br />

に 際 しては 肝 門 での 操 作 を 重 視 し、 左 半 側 臥 位 で 体 位 を 変 換 しながら<br />

行 い、また、 肝 後 区 域 の 授 動 操 作 も 肝 実 質 離 断 に 先 行 させて 行 ってい<br />

た。しかし、この 症 例 では、 右 肝 静 脈 を 長 く 露 出 するために 肝 離 断 面<br />

での 視 野 確 保 を 最 優 先 とし、 上 記 した 尾 側 アプローチによる 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 肝 後 区 域 切 除 術 を 施 行 した。 前 回 開 腹 手 術 後 の 癒 着 を 剥 離 し、 胆<br />

嚢 を 摘 出 した 後 、 後 区 域 グリソンを 確 保 ・クランプした。 阻 血 域 に 基<br />

づいて 切 離 ラインを 設 定 した 後 、 下 大 静 脈 前 面 の 露 出 、 肝 離 断 による<br />

右 肝 静 脈 の 露 出 を 頭 側 に 向 かって 行 い、 肝 離 断 をすべて 終 了 した 後 に<br />

後 腹 膜 よりの 剥 離 を 行 って 後 区 域 を 摘 出 した。 手 術 時 間 6 時 間 41 分 、<br />

術 中 出 血 量 1356mlであった。1 病 日 より 経 口 摂 取 を 開 始 し、 合 併 症 な<br />

く18 病 日 に 退 院 。 術 後 3 月 無 再 発 健 在 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P7-9 HCV 併 発 血 友 病 A 患 者 において 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 施<br />

行 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学 、 3 大 阪 市 立 大 学 診 断 病 理 学<br />

○… 向 井 亮 太 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

,<br />

江 口 英 利 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 若 狭 研 一 3<br />

,<br />

土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 森 正 樹 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

【はじめに】 血 友 病 Aは 血 液 凝 固 第 8 因 子 の 先 天 的 欠 乏 により 出 血 傾<br />

向 を 呈 する 稀 な 疾 患 である。ウイルス 不 活 化 処 理 されていない 凝 固 因<br />

子 濃 縮 製 剤 の 使 用 により、これまでに 多 くの 血 友 病 患 者 がC 型 肝 炎 に<br />

罹 患 し、 併 存 症 としてHCV 肝 炎 や 肝 細 胞 癌 がある。しかし、 血 友 病 A<br />

は 第 8 因 子 の 補 充 により 健 常 人 と 同 等 の 止 血 管 理 が 可 能 であることが<br />

報 告 されている 一 方 で、 肝 切 除 術 に 関 しては 開 腹 例 の 報 告 が 散 見 され<br />

るのみである。 今 回 われわれは 血 友 病 A 患 者 に 対 して 周 術 期 に 第 8 因<br />

子 の 補 充 を 行 い、 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 安 全 に 施 行 しえた 一 例 を 経 験 し<br />

たので 報 告 する。【 症 例 】63 歳 代 男 性 。 約 20 年 前 に 血 友 病 Aと 診 断 さ<br />

れたとのことであるが 詳 細 は 不 明 。 約 15 年 前 に 肝 機 能 異 常 を 認 め、 後<br />

にC 型 肝 炎 を 指 摘 された。 以 降 AST・ALT…40~60IU/l、 血 小 板 数 …11<br />

~13 万 /μlで 推 移 しており、 近 医 にてフォローされていたが、インター<br />

フェロン 治 療 導 入 を 機 にCT 精 査 にてS3 下 縁 に 径 約 1cmの 早 期 濃 染 、<br />

washoutを 示 す 結 節 を 認 め、HCCと 診 断 され、 平 成 23 年 8 月 当 科 紹 介<br />

された。 単 発 ・ 初 発 であることより、 血 液 内 科 コンサルトのうえ 周 術<br />

期 管 理 を 行 い、 手 術 を 行 う 方 針 とした。 第 8 因 子 は2.1%でありAPTT<br />

は60~70 秒 と 延 長 を 認 めていたが、 術 前 に 第 8 因 子 製 剤 試 験 投 与 し、<br />

APTTが30~40 秒 と 正 常 化 することを 確 認 した。 周 術 期 管 理 としては、<br />

第 8 因 子 製 剤 を 術 当 日 は12000 単 位 、 術 翌 日 から6000 単 位 を 投 与 し、 術<br />

後 11 日 目 まで 漸 減 しながら 継 続 することとした。 同 年 9 月 腹 腔 鏡 下 肝<br />

S3/4 部 分 切 除 術 を 施 行 した。CUSAとバイクランプを 用 いて 肝 切 離 を<br />

行 い、 十 分 な 止 血 を 確 認 後 、 切 離 面 に 対 してポリグリコール 酸 フェル<br />

トを 貼 付 後 、フィブリン 糊 を 塗 布 した。 出 血 量 は5mL、 手 術 時 間 は2<br />

時 間 25 分 であった。 術 後 の 第 8 因 子 とAPTTを 確 認 したところ、それ<br />

ぞれ87.6%と36 秒 であった。 第 8 因 子 は 術 後 3 日 目 で100%を 維 持 し、<br />

APTTは31 秒 であり、その 間 ドレンからの 術 後 出 血 は 認 めず、 同 日 に<br />

抜 去 した。 術 後 7 日 目 までAPTTは30 秒 台 を 保 っており、その 後 も 明<br />

らかな 出 血 を 認 めず、 術 後 16 日 目 に 退 院 となった。<br />

P8-1 3D-CTシミュレーションが 有 用 であった 完 全 腹 腔 鏡 下<br />

系 統 的 S2 亜 区 域 切 除 の1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 高 橋 豊 , 片 桐 聡 , 有 泉 俊 一 , 小 寺 由 人 , 江 川 裕 人 ,<br />

山 本 雅 一<br />

【はじめに】2010 年 4 月 より 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 一 部 保 険 収 載 され、<br />

症 例 数 、 施 行 施 設 ともに 増 加 している。 当 院 では 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を<br />

2005 年 10 月 に 導 入 し、 現 在 まで56 例 経 験 している。なかでも 外 側 区 域<br />

切 除 は15 例 を 経 験 しており 手 技 が 定 型 化 され 安 全 に 手 術 が 行 えるよう<br />

になった。 今 回 、 我 々は 肝 細 胞 癌 に 対 し3D-CTシミュレーションを 用<br />

いて 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 S2 亜 区 域 切 除 を 施 行 したので 報 告 する。【 症<br />

例 】76 歳 男 性 。アルコール 性 肝 硬 変 、Child-Pugh…A(6 点 )、ICG…24%。<br />

S2グリソン 鞘 根 部 近 傍 にφ2.2cmの 単 純 結 節 型 の 肝 細 胞 癌 を 認 め 手 術<br />

目 的 に 入 院 となった。 高 度 肝 硬 変 により 右 葉 の 萎 縮 しており、 術 前<br />

3D-CTシミュレーションで 外 側 区 域 の 体 積 が27.7%であった。そのた<br />

め 腹 腔 鏡 下 S2 亜 区 域 切 除 ( 予 測 切 除 率 12.9%、 予 測 切 除 体 積 100ml) 施<br />

行 を 予 定 した。 手 術 は5ポートで 施 行 。 術 前 に3D-CTシミュレーショ<br />

ンでS2 亜 区 域 の 切 除 ラインを 作 成 し、 術 中 エコーで 肝 静 脈 、 門 脈 の<br />

位 置 関 係 を 確 認 して 切 除 線 をマーキングした。 肝 実 質 切 離 はLCS、バ<br />

イポーラ、CUSAを 使 用 して 行 った。S2/3の 境 界 を 切 離 後 、S2グリソ<br />

ン 鞘 根 部 に 達 し 周 囲 を 剥 離 しグリソン 鞘 一 括 処 理 で 吸 収 クリップを 使<br />

用 して 切 離 した。 左 肝 静 脈 の 左 枝 をリニアステープラーで 切 離 し、 臍<br />

部 のポート 孔 から 標 本 を 摘 出 した。 手 術 時 間 250 分 、 出 血 量 22ml、 切<br />

除 標 本 重 量 は95gで 術 前 3D-CTシミュレーションでの 予 測 切 除 体 積 と<br />

ほぼ 一 致 した。 経 過 良 好 で 術 後 10 日 で 退 院 した。【まとめ】 今 回 、 我 々<br />

は3D-CTシミュレーションを 用 いて 完 全 腹 腔 鏡 下 系 統 的 S2 亜 区 域 切<br />

除 を 施 行 した。 本 症 例 は 高 度 肝 硬 変 により 左 葉 が 肥 大 し 脱 転 が 困 難 で<br />

あり、 切 除 前 にS2グリソン 鞘 へのアプローチが 困 難 であった。その<br />

ため3D-CTシミュレーションと 術 中 エコーを 用 いて 切 離 線 を 決 定 し 系<br />

統 的 切 除 を 施 行 することが 可 能 であった。3D-CTシミュレーションは<br />

腹 腔 鏡 下 に 系 統 的 肝 切 除 術 を 行 うために 切 離 線 決 定 に 有 用 であると 考<br />

えられた。<br />

-323-


P8-2 同 時 腹 腔 鏡 肝 切 除 ・ 胃 切 除 術 後 にBacterial<br />

translocationを 発 症 し 重 症 化 したC 型 肝 細 胞 癌 の1 切<br />

除 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院<br />

○… 戸 田 孝 祐 , 後 藤 田 直 人 , 加 藤 祐 一 郎 , 木 下 敬 弘 ,<br />

高 橋 進 一 郎 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

【 症 例 】70 代 女 性 。【 現 病 歴 】C 型 肝 炎 の 経 過 観 察 中 に 発 見 された 早<br />

期 胃 癌 に 対 し、 他 院 でESDが 施 行 され 追 加 切 除 目 的 に 当 院 紹 介 となっ<br />

た。【 検 査 所 見 】Child-Pugh…A、Liver…damage…A、ICG15 分 値 23.5%。<br />

【 画 像 所 見 】 上 部 内 視 鏡 所 見 では 胃 体 下 部 大 弯 にESD 後 のscarを 認 め<br />

た。 腹 部 造 影 CT 検 査 では 明 らかなリンパ 節 転 移 は 認 めず、 肝 S6に 径<br />

8mm 大 の 肝 細 胞 癌 と 診 断 された。【 治 療 】 肝 機 能 障 害 を 認 めたが、 耐<br />

術 性 は 問 題 ないと 判 断 し 腹 腔 鏡 下 肝 S6 部 分 切 除 術 および 腹 腔 鏡 下 幽<br />

門 側 胃 切 除 術 を 同 時 に 行 った。 術 中 所 見 では 肝 表 の 凹 凸 は 著 名 であり<br />

肝 硬 変 の 所 見 であった。【 術 後 経 過 】 術 後 2 病 日 目 に40 度 以 上 の 発 熱 と<br />

水 様 性 下 痢 を 認 め、 血 液 培 養 、 腹 水 から 同 じ 腸 内 細 菌 が 検 出 された。<br />

さらに 術 後 6 病 日 目 には 肝 離 断 面 に 膿 瘍 形 成 が 確 認 されたため、 経 皮<br />

的 ドレナージを 施 行 した。 膿 瘍 の 培 養 結 果 も 腸 内 細 菌 であった。その<br />

後 、 保 存 的 治 療 にて 軽 快 、 術 後 36 病 日 目 に 退 院 となった。【 考 察 】 肝<br />

硬 変 を 背 景 に 手 術 侵 襲 に 伴 いBacterial…translocation( 以 下 BT)が 起<br />

こったと 考 えられ、 腹 水 中 に 漏 出 した 腸 内 細 菌 が 肝 離 断 面 に 感 染 した<br />

と 考 えられた。【まとめ】 高 度 肝 障 害 を 有 する 患 者 における 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 術 の 報 告 が 散 見 される 中 で、 治 療 に 難 渋 したBTを 経 験 したの<br />

で 報 告 する。<br />

P8-3 糖 原 病 に 合 併 した 肝 細 胞 癌 切 除 後 、 再 発 肝 細 胞 癌 と 下 行<br />

結 腸 癌 に 対 し 肝 部 分 切 除 、 下 行 結 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

山 口 県 立 総 合 医 療 センター<br />

○… 日 高 匡 章 , 須 藤 隆 一 郎 , 松 尾 光 敏 , 宮 崎 健 介 , 野 島 真 治 ,<br />

善 甫 宣 哉<br />

【はじめに】 糖 原 病 はグルコース 代 謝 異 常 によりグリコーゲンが 組 織<br />

に 蓄 積 し、 様 々な 症 状 を 引 き 起 こす 疾 患 で、 多 発 肝 細 胞 腺 腫 を 伴 うこ<br />

とが 知 られている。 今 回 、 糖 原 病 I 型 に 合 併 した 肝 細 胞 癌 術 後 症 例 で<br />

残 肝 再 発 と 下 行 結 腸 癌 を 併 発 し、 肝 部 分 切 除 、 下 行 結 腸 切 除 術 を 施 行<br />

した 症 例 を 報 告 する。<br />

【 症 例 】64 才 男 性 、52 才 時 、 糖 原 病 を 背 景 肝 に 肝 細 胞 癌 を 認 め、 他 院<br />

にて 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 された。 肝 切 除 術 後 7 年 目 S2に 径 1cm 大 の 肝<br />

細 胞 癌 再 発 を 認 めTACE 施 行 、その 後 も 局 所 再 発 を 認 め、TACE2 回 、<br />

PEIT2 回 施 行 された。 今 回 、 再 度 局 所 再 発 を 認 め、TACE 予 定 であっ<br />

たが、 貧 血 の 悪 化 を 認 め 入 院 となった。 精 査 にて 脾 弯 曲 部 付 近 の 下 行<br />

結 腸 にほぼ 全 周 性 の2 型 結 腸 癌 を 認 めた。 肝 予 備 能 はICG…R15…11.7%、<br />

Child…A,…Liver…damage…A、 腫 瘍 マーカーはCEA…13.8…ng/ml、AFP…<br />

649.6…ng/ml、PIVKA-II…37…AU/mlであった。 下 行 結 腸 切 除 、 肝 部 分<br />

切 除 術 を 施 行 したが、 肝 臓 が 硬 変 肝 であったため 術 中 出 血 量 が 多 くな<br />

り、 術 後 ICUでの 血 圧 、 血 糖 管 理 、アシドーシスのコントロールに 対<br />

する 集 中 治 療 を 要 した。 集 中 治 療 にて 徐 々に 循 環 動 態 が 安 定 、 腹 水 量<br />

も 減 少 し、 術 後 4 日 目 抜 管 、 術 後 5 日 目 ICU 退 室 となった。その 後 、 胸 水 、<br />

腹 水 コントロール、 補 食 による 血 糖 管 理 を 行 い、 術 後 30 日 で 内 科 へ 転<br />

科 した。 現 在 、 術 後 9か 月 経 過 しているが、 再 発 は 認 めていない。<br />

【 結 語 】 糖 原 病 は 肝 細 胞 腺 腫 を 伴 うことが 多 いが、 肝 細 胞 癌 も 合 併 す<br />

ることもある。 糖 原 病 症 例 の 治 療 が 改 善 し 長 期 生 存 例 が 増 加 している<br />

ため、 肝 細 胞 癌 治 癒 切 除 後 、 再 発 の 早 期 発 見 と 積 極 的 な 治 療 が 予 後 を<br />

改 善 させる 可 能 性 がある。<br />

P8-4 EZアクセスポートを 用 いた 単 孔 式 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 部 分<br />

切 除 術 の1 例<br />

山 口 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 徳 光 幸 生 , 坂 本 和 彦 , 橋 本 憲 輝 , 新 藤 芳 太 郎 , 前 田 祥 成 ,<br />

飯 田 通 久 , 鈴 木 伸 明 , 吉 村 清 , 為 佐 卓 夫 , 上 野 富 雄 ,<br />

岡 正 朗<br />

肝 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 ( 補 助 下 )の 肝 切 除 術 は 標 準 的 治 療 となりつつあ<br />

る。 近 年 、 胆 嚢 摘 出 術 をはじめ、 虫 垂 切 除 、ヘルニア 手 術 、 結 腸 ・ 小<br />

腸 切 除 などに 単 孔 式 内 視 鏡 外 科 手 術 ( 以 下 …TANKO)が 整 容 的 な 面 か<br />

ら 開 始 され、 当 科 でも 導 入 している。 今 回 、 肝 外 側 区 域 末 梢 の 肝 癌 に<br />

対 してEZアクセスポート( 八 光 )を 用 いた 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を<br />

施 行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】74 歳 、 男 性 。 肝 S3、 表<br />

面 に 位 置 する1.8cm 大 の 肝 細 胞 癌 に 対 しTANKO 手 術 を 施 行 した。【 手<br />

術 】まず 臍 にZ 型 切 開 を 加 え 創 を3cmに 展 開 後 、ラッププロテクター<br />

を 装 着 した。 次 に 準 備 したEZアクセスに5mmのトロッカーを2 本 、<br />

10mmトロッカーを1 本 をあらかじめ 穿 刺 しておき、これをプロテク<br />

ターに 装 着 した。カメラは5mmのフレキシブルタイプを 使 用 し、<br />

10mmトロッカーより 腹 腔 鏡 用 超 音 波 プローベを 挿 入 して 腫 瘍 の 位 置<br />

を 確 認 し、 肝 切 離 ラインを 決 定 した。 切 離 ライン 延 長 線 上 の 三 角 間 膜<br />

を 切 開 し、 同 部 位 に 肝 牽 引 用 のテープをあらかじめ 通 しておいた。 引<br />

き 続 き 肝 切 離 ラインをマイクロ 波 で 前 凝 固 した 後 、 超 音 波 凝 固 切 開 装<br />

置 ( 以 下 LCS)で 肝 実 質 浅 部 の 切 離 を 行 った。 前 凝 固 が 及 んでいない 実<br />

質 深 部 はバイクランプ(VIO…system)で 組 織 を 破 砕 ・シールした 後 に、<br />

シール 組 織 をLCSで 切 離 した。 先 に 通 しておいたテープを 肝 切 離 面 に<br />

かけこれを 体 外 に 誘 導 、 牽 引 することでTANKO 手 術 でも 良 好 な 視 野<br />

が 展 開 された。 実 質 切 離 をすすめていくと、 頭 側 で 比 較 的 太 い 表 在 静<br />

脈 が 確 認 され、 自 動 縫 合 器 で 残 る 肝 実 質 と 静 脈 を 同 時 処 理 し、 実 質 離<br />

断 を 終 了 した。 最 後 に 残 る 三 角 間 膜 を 切 離 し、 標 本 を 遊 離 した 後 に 臍<br />

の 創 部 より 標 本 を 摘 出 した。【 考 察 】マルチチャンネルポート 法 での<br />

TANKOの 場 合 、トロッカー 間 の 距 離 が 制 限 となり 手 元 の 干 渉 を 防 ぐ<br />

ためにクロステクニックを 用 いたり、ロティキュレーター 鉗 子 が 必 要<br />

となる 場 合 がある。 今 回 供 覧 するEZアクセスは 両 手 元 の 干 渉 が 少 な<br />

くほぼパラレルテクニックで 施 行 可 能 であり、なおかつ 安 価 で 経 済 的<br />

である。さらに 肝 牽 引 用 のテープを 用 いることで、 実 質 切 離 を 安 全 か<br />

つ 良 好 な 視 野 で 行 うことが 可 能 であった。<br />

P8-5 肝 癌 と 鑑 別 困 難 であった 肝 膿 瘍 に 対 し 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術<br />

を 施 行 した1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 中 竹 利 知 , 石 崎 守 彦 , 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 松 島 英 之 ,<br />

坂 口 達 馬 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 肝 癌 と 鑑 別 困 難 であった 肝 膿 瘍 に 対 し 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 施<br />

行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】59 歳 女 性 。 逆 流 性 食 道 炎<br />

にて 近 医 通 院 中 、 健 診 の 腹 部 超 音 波 検 査 にて 肝 腫 瘍 を 指 摘 され、 平 成<br />

22 年 9 月 13 日 当 院 紹 介 受 診 となった。 腹 部 造 影 CTにて 肝 S6にリング 状<br />

に 造 影 される2cm 大 の 腫 瘍 を 認 め、FDG-PETにて 同 部 にSUVmax4.8<br />

の 集 積 異 常 を 認 めた。 腫 瘍 マーカー、 肝 炎 ウイルスマーカーは 正 常 で<br />

あった。 既 往 歴 として、 平 成 7 年 に 胃 癌 に 対 し 幽 門 側 胃 切 除 術 (stageIa)、<br />

平 成 22 年 5 月 に 胆 石 症 に 対 し 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 受 けていた。PET<br />

検 査 で 陽 性 であり、またCT 画 像 診 断 上 、 転 移 性 肝 癌 や 肝 細 胞 癌 など<br />

の 悪 性 腫 瘍 の 可 能 性 も 否 定 できず、 肝 表 面 であり 生 検 も 困 難 であった<br />

事 もあり、11 月 9 日 に 腹 腔 鏡 下 肝 S6 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 腹 壁 から<br />

肝 表 面 にかけて 高 度 な 癒 着 を 認 め、 剥 離 を 進 めると 肝 S6 背 側 に2cm 大<br />

の 突 出 した 白 色 結 節 を 認 めた。 後 腹 膜 との 強 固 な 癒 着 を 剥 離 した 際 に<br />

内 部 から 白 色 の 膿 と 結 石 が 数 個 排 出 された。 術 中 エコーで 確 認 すると<br />

肝 S6に 結 節 を 認 め、 肝 癌 の 可 能 性 も 否 定 できず 播 種 の 危 険 性 も 考 え<br />

られたため、 補 助 下 に 膿 瘍 部 を 含 めて 肝 切 離 を 行 った。 病 理 検 査 の 結<br />

果 、 肝 S6 表 面 に20mm 大 の 壊 死 物 を 容 れた 嚢 胞 性 病 変 を1か 所 認 め、<br />

好 中 球 浸 潤 を 伴 った 炎 症 性 の 肉 芽 組 織 であり 悪 性 所 見 は 認 められず、<br />

慢 性 膿 瘍 の 診 断 となった。6カ 月 前 に 施 行 した 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 時 に<br />

落 下 した 胆 石 が 原 因 と 考 えられた。 合 併 症 なく 術 後 9 日 目 に 軽 快 退 院<br />

された。【 結 語 】 近 年 症 例 の 集 積 とともに 鏡 視 下 手 術 特 有 の 合 併 症 も<br />

報 告 されるようになり、 落 下 胆 石 による 膿 瘍 形 成 例 も 散 見 される。 今<br />

回 画 像 上 、 転 移 性 肝 癌 や 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 落 下 結 石 に<br />

よる 肝 膿 瘍 に 対 し、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 部 分 切 除 を 施 行 した1 例 を 経 験 し<br />

たので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-324-


P8-6 肝 細 胞 癌 に 対 し 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した1 例<br />

1<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科 、 2 岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 板 橋 英 教 1<br />

, 舩 渡 治 1<br />

, 菅 野 将 史 1<br />

, 中 嶋 潤 1<br />

, 小 川 雅 彰 1<br />

,<br />

早 川 善 郎 1<br />

, 小 林 慎 1<br />

, 高 金 明 典 1 2<br />

, 若 林 剛<br />

【はじめに】 現 在 、 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 は 完 全 鏡 視 下 あるいは 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 肝 切 除 として 各 施 設 で 広 がりをみせている。 今 回 我 々は、 肝 S4の<br />

肝 細 胞 癌 に 対 し、 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した 一 例 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する。【 症 例 】66 歳 男 性 【 現 病 歴 】B 型 慢 性 肝 炎 … にて 当 院<br />

消 化 器 内 科 follow 中 、H23.11 月 のMRIにて 肝 S4に 径 1.5cmの 単 発 の 腫<br />

瘍 を 認 め 精 査 。 肝 細 胞 癌 の 診 断 で 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 ・ 転 科 となる。【 画<br />

像 所 見 】CTでは 早 期 濃 染 され、wash…outされる 径 1.5cmの 腫 瘍 を 認<br />

めた。 左 肝 静 脈 に 乗 るように 存 在 し、 左 肝 静 脈 浸 潤 が 考 えられた。<br />

EOB-MRIでも 同 部 位 に 腫 瘍 を 認 めた。【 血 液 検 査 所 見 】 腫 瘍 マーカー<br />

はAFP…17.5…ng/ml…PIVKA-2…18…mAU/mlで 正 常 範 囲 であった。 肝 予<br />

備 能 はICG-R15…10.6%…、ICG-K…0.176%、 肝 障 害 度 A、Child-Pugh…A( 5<br />

点 )。 肝 細 胞 癌 …(S4)の 診 断 で 腹 腔 鏡 下 肝 左 葉 切 除 術 の 方 針 とした。【 手<br />

術 所 見 】5portで 手 術 開 始 。 腹 腔 内 は 腹 水 (-)、 肝 臓 はLCであった。 胆<br />

摘 を 施 行 し 左 冠 状 間 膜 、 三 角 靱 帯 をLCSにて 切 離 し 肝 左 葉 を 脱 転 。 外<br />

側 区 域 を 挙 上 し、 小 網 付 着 部 を 切 離 。アランチウス 管 をclipping 後 切<br />

離 した。 肝 門 部 操 作 に 移 り、LHA、MHAをclipping 後 切 離 しP1を 温<br />

存 するように 門 脈 左 枝 をclipし、demarcation…lineを 確 認 した。lineに<br />

沿 ってCUSA/Tissue…Link/BiClampを 使 用 し、 後 に 中 肝 静 脈 を 温 存 す<br />

るように 肝 離 断 を 進 めた。 左 肝 静 脈 、 門 脈 左 枝 ・ 左 肝 管 は 自 動 縫 合 器<br />

にて 切 離 し、 恥 骨 上 で7cmの 小 開 腹 にて 切 除 肝 を 摘 出 した。 手 術 時 間<br />

は279min、 出 血 量 は465ml。 術 後 は 合 併 症 なく 経 過 し、 術 後 1 病 日 に<br />

経 口 摂 取 開 始 、 第 7… 病 日 に 退 院 となった。【 結 語 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 が<br />

広 がる 中 、 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した 一 例 を 経 験 したので 報<br />

告 した。<br />

P8-7 腹 腔 鏡 下 大 腸 肝 同 時 切 除 の 検 討<br />

順 天 堂 大 学 付 属 浦 安 病 院 外 科<br />

○… 飯 田 義 人 , 福 永 正 氣<br />

背 景 、 目 的 大 腸 癌 に 対 し 腹 腔 鏡 下 手 術 が 一 般 化 されつつあるが、 大<br />

腸 、 肝 同 時 切 除 の 報 告 はほとんどない。 我 々は 術 前 または 術 中 に 肝 転<br />

移 が 疑 われる 症 例 に 対 して 適 応 を 限 定 し、 腹 腔 鏡 下 にて 大 腸 、 肝 の 同<br />

時 切 除 を 行 ってきた。その 安 全 性 、 短 期 手 術 成 績 を 検 討 した。 対 象 、<br />

方 法 2000 年 から 当 科 で 経 験 した20 例 。 適 応 は、 肝 転 移 巣 が 遺 残 なく<br />

低 リスクで 切 除 可 能 、 原 発 巣 がリンパ 節 転 移 を 含 め 遺 残 なく 切 除 可 能 、<br />

肝 外 転 移 がないか 制 御 可 能 、 全 身 状 態 肝 機 能 が 耐 術 可 能 、とした。 手<br />

術 は 原 発 巣 切 除 D3 郭 清 を 行 い、 術 中 超 音 波 で 肝 転 移 巣 を 確 認 し 切 除<br />

可 能 かを 判 断 し、LCS 等 を 用 い 肝 切 除 を 行 った。 結 果 原 発 巣 は 盲 腸<br />

1 例 、 上 行 結 腸 4 例 、 横 行 結 腸 2 例 、S 状 結 腸 4 例 、 直 腸 9 例 であった。 肝<br />

切 除 は 部 分 切 除 が18 例 、 外 側 区 域 切 除 2 例 であった。 完 全 腹 腔 鏡 下 切<br />

除 は16 例 で、4 例 で 開 腹 または 腹 腔 鏡 補 助 下 手 術 に 移 行 した。 原 発 巣 、<br />

肝 切 除 を 含 め 平 均 手 術 時 間 は 平 均 251.8 分 、 平 均 出 血 量 は253.3mlであっ<br />

た。 病 理 所 見 では 肝 転 移 16 例 、HCC…1 例 、 良 性 結 節 3 例 であった。 肝<br />

切 除 断 端 は 全 例 癌 露 出 を 認 めなかった。 合 併 症 は 創 感 染 、 腸 管 縫 合 不<br />

全 を1 例 ずつ 認 めたが、 胆 汁 漏 、CO2 塞 栓 、 肝 切 離 部 感 染 などは 認 め<br />

られなかった。 考 察 腹 腔 鏡 下 大 腸 、 肝 同 時 切 除 にたいし 短 期 成 績 、<br />

安 全 性 では 当 科 の 適 応 は 妥 当 なものと 思 われた。 同 時 切 除 のメリット<br />

として、 確 実 な 病 理 所 見 が 得 られることにより 不 要 な 化 学 療 法 が 避 け<br />

られる 事 、 肝 脱 転 操 作 を 腹 腔 鏡 下 で 行 うことで 小 開 腹 下 の 肝 切 除 が 可<br />

能 となる 事 などが 考 えられた。また、 腸 管 縫 合 不 全 による 肝 切 離 部 の<br />

汚 染 は 懸 念 されたが、ドレナージを 充 分 に 行 うことで 対 処 可 能 と 思 わ<br />

れた。 以 上 より 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 オプションの 一 つになり 得<br />

ると 思 われた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P8-8 当 センターにおける 転 移 性 肝 腫 瘍 に 対 する 鏡 視 下 肝 切 除<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

○… 出 口 義 雄 , 木 田 裕 之 , 春 日 井 尚 , 田 中 淳 一<br />

【はじめに】 当 センターにおいて,2011 年 9 月 までに 施 行 した 転 移 性<br />

肝 腫 瘍 に 対 する 鏡 視 下 肝 切 除 の 短 期 成 績 について 検 討 した.【 対 象 と<br />

方 法 】 当 センターでは2009 年 4 月 に 院 内 の 倫 理 委 員 会 の 承 認 の 後 , 鏡<br />

視 下 肝 切 除 を 行 ってきた.そのうち 転 移 性 肝 腫 瘍 に 対 する 鏡 視 下 肝 切<br />

除 症 例 32 例 を 対 象 とし, 術 式 , 安 全 性 , 合 理 性 , 合 併 症 を 検 討 した.【 結<br />

果 】 手 術 方 法 は 完 全 鏡 視 下 腹 腔 鏡 手 術 が19 例 , 補 助 下 が5 例 ,HALS<br />

が7 例 , 胸 腔 鏡 下 アプローチが1 例 であった. 切 除 術 式 は 外 側 区 域 切 除<br />

3 例 で 部 分 切 除 が25 例 であった.また3 例 が 同 時 切 除 を 施 行 した. 先 行<br />

手 術 が 開 腹 手 術 の 症 例 でも, 鏡 視 下 手 術 から 開 腹 手 術 に 移 行 した 症 例<br />

はなかった. 胸 腔 鏡 アプローチはすでに3 回 肝 切 除 ししている 症 例 で,<br />

右 横 隔 膜 下 のS8に 単 発 の 再 発 を 来 したため, 胸 腔 鏡 下 アプローチを<br />

行 った. 手 術 時 間 345 分 , 出 血 量 少 量 で, 癒 着 の 影 響 はなく, 鏡 視 下<br />

に 完 遂 することができた. 同 時 切 除 3 症 例 の 平 均 手 術 時 間 は640 分 , 平<br />

均 出 血 量 220ml, 術 後 平 均 在 院 日 数 は15 日 で 胆 汁 漏 , 術 後 同 種 血 輸 血<br />

が 必 要 な 症 例 はみられなかった.【 結 語 】 転 移 性 肝 腫 瘍 に 対 する 鏡 視<br />

下 肝 切 除 は 開 腹 手 術 後 症 例 でも 可 能 であり, 術 後 の 経 過 も 良 好 であっ<br />

た.さらに 複 数 回 肝 切 除 後 のドーム 直 下 の 病 変 に 対 する 胸 腔 鏡 下 アプ<br />

ローチや 同 時 切 除 も 可 能 であった. 今 後 も 症 例 を 蓄 積 しその 安 全 性 と<br />

合 理 性 を 検 討 していきたい.<br />

P9-1 転 移 性 肝 癌 におけるBevacizumabを 併 用 した<br />

FOLFOX/XELOX 後 肝 切 除 の 検 討<br />

成 田 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 伊 藤 勝 彦 , 清 水 善 明 , 西 谷 慶 , 代 市 拓 也 , 東 原 琢<br />

【 背 景 】 大 腸 癌 肝 転 移 におけるOxaliplatinに 関 連 した 肝 障 害 として<br />

sinusoidal…obstruction…syndrome(SOS)が 挙 げられ、 肝 切 除 合 併 症 と<br />

の 関 連 が 報 告 されている。 一 方 、 抗 VEGF 抗 体 であるBevacizmab<br />

(Bev)はSOS 発 症 を 減 少 させるとの 報 告 がある。【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転<br />

移 に 対 して 肝 切 除 前 に 施 行 したFOLFOX/XELOX+Bev 治 療 6 例 を 対<br />

象 として、 肝 切 除 に 対 する 影 響 を 検 討 した。【 結 果 】 平 均 年 齢 55(43~<br />

76) 歳 、 男 4 例 、 女 2 例 、 同 時 性 転 移 5 例 、 異 時 性 転 移 1 例 であり、 同 時<br />

性 転 移 の 肝 切 除 は 全 例 2 期 的 に 行 った。 平 均 肝 転 移 個 数 は4.2(1~10)<br />

個 であった。 術 前 化 学 療 法 はFOLFOX+Bev 治 療 4 例 、XELOX+Bev<br />

治 療 2 例 であり、 平 均 5.2(4~7)クール 施 行 し、 化 学 療 法 終 了 ~ 手 術 ま<br />

での 期 間 は 平 均 33.2(21~42) 日 、 術 前 効 果 判 定 はPR5 例 、SD1 例 であり、<br />

平 均 縮 小 率 38(6~85)%であった。 術 前 門 脈 右 枝 塞 栓 術 を3 例 に 施 行<br />

(Bev 開 始 前 1 例 、 終 了 後 2 例 )し、 肝 切 除 直 前 ICG15%は 平 均 10(6~17)<br />

であった。 術 式 は 右 3 区 域 切 除 1 例 ( 門 脈 右 枝 塞 栓 術 後 )、 拡 大 右 葉 切 除<br />

3 例 (+ 核 出 術 1 例 を 含 む、2 例 は 門 脈 右 枝 塞 栓 術 後 )、 拡 大 左 葉 切 除 1 例 、<br />

後 区 域 切 除 + 核 出 術 1 例 であった。 平 均 出 血 量 2237(523~5600)ml、<br />

術 中 輸 血 は2 例 に 施 行 し、 平 均 手 術 時 間 は328(160~450) 分 であった。<br />

術 後 合 併 症 は 胆 汁 漏 1 例 、 胸 水 2 例 を 認 め、 術 後 平 均 入 院 期 間 は21(15<br />

~50) 日 であった。 病 理 組 織 学 的 検 査 所 見 において、 化 学 療 法 著 効 例<br />

では 腫 瘍 部 分 に 壊 死 像 や 線 維 化 などの 化 学 療 法 によると 考 えられる 変<br />

化 を 認 めた。また、Oxaliplatinに 関 連 する 肝 障 害 として 報 告 されてい<br />

るSOSに 関 しては、2 例 に 軽 度 の 類 洞 拡 張 を 認 めたのみであり、 著 名<br />

な 肝 障 害 は 認 められなかった。【まとめ】Bevを 併 用 したFOLFOX/<br />

XELOX 療 法 後 の 肝 切 除 は、6 例 全 例 において 重 篤 な 術 後 合 併 症 を 併<br />

発 することなく、 安 全 に 施 行 することが 可 能 であった。<br />

-325-


P9-2 ベバシズマブ 併 用 化 学 療 法 に 肝 切 除 を 施 行 した 大 腸 癌 肝<br />

転 移 症 例 の 検 討<br />

1<br />

東 住 吉 森 本 病 院 外 科 、 2 東 住 吉 森 本 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 木 下 正 彦 1<br />

, 清 田 誠 志 1<br />

, 金 沢 源 一 1<br />

, 酒 部 克 1<br />

, 吉 田 佳 世 1<br />

,<br />

馬 場 由 香 里 1<br />

, 伊 藤 得 路 1<br />

, 小 林 晏 2 1<br />

, 田 中 宏<br />

【はじめに】 血 管 新 生 阻 害 薬 であるベバシズマブ( 以 下 Bv)は、 種 々<br />

の 抗 癌 剤 と 併 用 することで 上 乗 せ 効 果 が 期 待 できるとともに、オキサ<br />

リプラチンによる 肝 障 害 を 抑 制 する 可 能 性 も 報 告 されている。 今 回 、<br />

我 々は、 当 院 にてBv 併 用 化 学 療 法 施 行 後 に 肝 切 除 された 大 腸 癌 肝 転<br />

移 症 例 の 臨 床 像 について 検 討 した。【 患 者 と 方 法 】2007 年 6 月 から2011<br />

年 11 月 に、 当 院 にて 肝 切 除 が 施 行 された 大 腸 癌 肝 転 移 41 例 中 、 術 前 に<br />

Bv 併 用 化 学 療 法 が 施 行 された8 例 について 検 討 した。 年 齢 は55-74( 中<br />

央 値 65) 才 、 男 4 例 、 女 4 例 。 原 発 巣 診 断 と 同 時 に 肝 転 移 診 断 されたの<br />

が4 例 、 異 時 性 が4 例 で、 内 1 例 は 肝 切 除 後 の 再 発 であった。Bvに 併 用<br />

された 化 学 療 法 はFOLFOX…6 例 、FOLFILI…1 例 、XEROX…1 例 で、 投<br />

薬 回 数 は2~17( 中 央 値 7)コースであった。Bv 最 終 投 与 から 肝 切 除 ま<br />

での 間 隔 は31-57( 中 央 値 48) 日 で、 併 用 抗 がん 剤 最 終 投 与 からは26-57<br />

( 中 央 値 38) 日 であった。 肝 切 除 術 式 は 部 分 切 除 から 葉 切 除 まで 様 々で、<br />

切 除 肝 重 量 は20-745( 中 央 値 253)gであった。【 結 果 】 術 前 画 像 による<br />

効 果 判 定 はPR…6 例 、SD2 例 で、 切 除 不 能 例 からのconversion 例 はなかっ<br />

た。 手 術 時 間 は159~627( 中 央 値 367) 分 、 術 中 出 血 量 は50~2362( 中 央<br />

値 458)gで、 再 切 除 の1 例 のみに 輸 血 を 要 した。 切 除 された 結 節 数 は1<br />

~10( 中 央 値 5) 個 、 結 節 の 最 大 径 8~48( 中 央 値 36)mmで、 病 理 組 織 像<br />

上 ほとんどの 結 節 がviableな 腫 瘍 組 織 であったが、 壊 死 に 陥 った 結 節<br />

も 散 見 された。 非 腫 瘍 部 は、5 例 に 軽 度 の 脂 肪 性 変 化 や 線 維 化 を 認 め、<br />

1 例 に 類 洞 拡 張 所 見 を 認 めた。 術 後 は 麻 痺 性 イレウス…1 例 、 肝 切 離 面<br />

膿 瘍 1 例 、 難 治 性 腹 水 1 例 に 合 併 したが、 術 10-29( 中 央 値 18) 日 後 に 軽<br />

快 退 院 した。【まとめ】Bv 併 用 化 学 療 法 後 に 肝 切 除 が 施 行 された8 例<br />

の 臨 床 像 を 検 討 したところ、 周 術 期 経 過 は 概 ね 良 好 であった。 今 後 は、<br />

症 例 を 重 ねつつ、 肝 切 除 前 化 学 療 法 の 是 非 はもとより、Bvに 関 して<br />

も 至 適 投 与 回 数 や 限 界 を 検 討 する 必 要 がある。<br />

P9-3 XELOX+bevacizumab 療 法 でPD 後 ,FOLFIRI+<br />

PanitumumabでPRとなり 肝 切 除 を 施 行 し 得 た 直 腸 癌<br />

多 発 肝 転 移 の1 例<br />

1<br />

高 崎 総 合 医 療 センター 外 科 、 2 高 崎 総 合 医 療 センター 病 理 診<br />

断 部 、 3 群 馬 大 学 大 学 院 臓 器 病 態 外 科 学<br />

○… 清 水 尚 1<br />

, 小 松 恵 1<br />

, 山 崎 穂 高 1<br />

, 佐 藤 弘 晃 1<br />

, 坂 元 一 郎 1<br />

,<br />

饗 場 正 明 1<br />

, 小 川 晃 2 3<br />

, 竹 吉 泉<br />

症 例 は59 歳 , 男 性 .2010 年 5 月 , 直 腸 癌 多 発 肝 転 移 (S2…3 個 ,S4…6 個 ,<br />

S6…3 個 )の 診 断 で 当 科 に 紹 介 となった. 一 期 的 切 除 は 困 難 と 判 断 し,<br />

まず 原 発 巣 切 除 の 方 針 とし, 低 位 前 方 切 除 ,D3 郭 清 術 を 施 行 した.<br />

病 理 診 断 はRa,…Type2,…pSE,…tub2,…ly2,…v2,…pN2,…H2,…P0,…M0,…pStageIV,…<br />

Kras…wild…typeで あ っ た.2010 年 6 月 よ り, 一 次 治 療 と し て<br />

XELOX+Bevacizumab(Bmab) 療 法 を 開 始 した.8コース 終 了 後 のCT<br />

でPDとなったため,2010 年 12 月 より, 二 次 治 療 として<br />

FOLFIRI+Panitumumab(Pmab)に 変 更 した. 計 12コース 施 行 後 の<br />

CTおよびMRIでPRを 継 続 していたため, 切 除 可 能 と 判 断 し,4 週 間<br />

休 薬 の 後 ,2011 年 7 月 , 肝 左 葉 切 除 (S2…3 個 ,S4…6 個 ), 肝 右 葉 部 分 切<br />

除 術 (S5…1 個 ,S6…5 個 ,S7…1 個 )を 施 行 した. 術 中 USでS7 深 部 に 小 転<br />

移 巣 を 認 めたため… ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した. 病 理 診 断 は 直 腸 癌 肝<br />

転 移 で, 計 16 個 の 腫 瘍 を 認 めた. 治 療 効 果 判 定 はGrade1bであった.<br />

術 後 経 過 は 良 好 で,14 病 日 に 軽 快 退 院 した.2011 年 8 月 より<br />

FOLFIRI+Pmabを 再 開 し,2012 年 1 月 現 在 ,10コースを 施 行 した. 現<br />

在 のところ 再 発 を 認 めておらず, 化 療 継 続 中 であるが,12コース 施 行<br />

後 , 画 像 評 価 を 行 い, 再 発 がなければ 化 療 を 一 時 中 止 する 予 定 である.<br />

P9-4 初 回 切 除 不 能 S 状 結 腸 癌 同 時 性 多 発 肝 転 移 に 対 し<br />

FOLFOX+セツキシマブ 療 法 と 門 脈 塞 栓 術 を 併 用 し 治 療<br />

した 一 例<br />

1<br />

都 立 広 尾 病 院 外 科 、 2 公 立 昭 和 病 院 外 科 ・ 消 化 器 外 科 、 3 公 立 昭<br />

和 病 院 病 理 科<br />

○… 小 林 隆 1<br />

, 照 屋 正 則 2<br />

, 出 嶋 仁 2<br />

, 國 土 貴 嗣 2<br />

, 茂 内 康 友 2<br />

,<br />

松 井 郁 一 2<br />

, 森 田 恒 治 2 3<br />

, 清 水 誠 一 郎<br />

症 例 は57 歳 の 女 性 。 初 回 切 除 不 能 両 葉 多 発 肝 転 移 を 伴 うS 状 結 腸 癌 に<br />

対 しS 状 結 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 全 身 化 学 療 法 により 肝 転 移 巣 が<br />

縮 小 すれば 肝 転 移 巣 の 完 全 切 除 が 期 待 できると 判 断 し、S 状 結 腸 癌 術<br />

後 からmFOLFOX6+cetuximab 療 法 を4コース 施 行 した。その 結 果 、<br />

肝 転 移 巣 の 縮 小 化 がはかられたものの、 肝 転 移 巣 の 完 全 切 除 を 行 うた<br />

めには 肝 右 葉 切 除 と 肝 S2 切 除 が 必 要 と 考 えられたが、ICG15 分 値 が<br />

21.3%と 中 等 度 肝 障 害 を 認 めたため、まず 肝 S2 亜 区 域 切 除 と 門 脈 塞 栓<br />

術 を 同 時 に 施 行 し 予 定 残 肝 の 代 償 性 肥 大 を 図 ることとした。 肝 S2 亜<br />

区 域 切 除 術 後 5 週 間 目 のCT 検 査 の 結 果 、 新 出 病 変 がないことと、ICG…<br />

15 分 値 が10.1%とほぼ 正 常 値 に 回 復 したことと、 肝 右 葉 切 除 を 施 行 し<br />

た 場 合 の 予 定 残 肝 の 代 償 性 肥 大 ( 約 6.5%の 肥 大 率 )が 得 られたことから、<br />

肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 しすべての 肝 転 移 巣 をに 切 除 しえた。 新 規 分 子 標<br />

的 薬 の 登 場 による 大 腸 癌 化 学 療 法 の 目 覚 ましい 進 歩 に 伴 い、 今 後 は 本<br />

症 例 のように 初 回 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 であっても 肝 切 除 を 期 待<br />

した 化 学 療 法 と 門 脈 塞 栓 術 を 組 み 合 わせた 集 学 的 治 療 の 対 象 となる 患<br />

者 が 増 えることが 予 想 される。 本 論 文 では、 全 身 化 学 療 法 による 肝 障<br />

害 の 推 移 と 門 脈 塞 栓 術 の 効 果 を 中 心 に 提 示 する。<br />

P9-5 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 するPanitumumabの 使<br />

用 経 験<br />

岐 北 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 徳 山 泰 治 , 伊 藤 元 博 , 石 原 和 浩 , 高 橋 治 海 , 山 本 悟<br />

【 目 的 】2010 年 に 改 許 された 大 腸 がん 治 療 ガイドラインにおいて 抗<br />

EGFR 阻 害 剤 は1 次 、2 次 、3 次 治 療 のいずれにも 位 置 付 けられ、 飛 躍<br />

的 に 治 療 選 択 肢 が 増 えた。そのため 患 者 個 々の 病 態 に 応 じた 治 療 選 択<br />

が 益 々 重 要 となった。 当 院 での 切 除 不 能 な 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 する<br />

panitumumabの 使 用 状 況 と 短 期 成 績 ・ 副 作 用 につき 検 討 した。【 対 象 ・<br />

期 間 】2010 年 10 月 以 降 、 当 院 で 切 除 不 能 ・ 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 し<br />

panitumumabを 継 続 使 用 した4 症 例 を 対 象 とした。 全 例 K-ras…wild…<br />

typeであることを 確 認 し、 皮 疹 対 策 として 開 始 時 から 保 湿 剤 やミノマ<br />

イシンを 処 方 し、 皮 疹 が 出 現 したらに 早 期 にステロイド 外 用 薬 を 処 方<br />

し 副 作 用 の 軽 減 を 図 っている。【 結 果 】 年 齢 は58-78 歳 ( 平 均 68.3 歳 )す<br />

べて 男 性 であり、 結 腸 癌 3 例 、 直 腸 癌 1 例 で1 次 治 療 での 使 用 は2 例 、3<br />

次 治 療 が2 例 であった。 施 行 コース 数 は4-16( 平 均 9.7)コースで、 併 用<br />

治 療 は1 次 治 療 の2 例 がFOLFOXとの 併 用 、3 次 治 療 の2 例 が 単 剤 での<br />

使 用 であった。 副 作 用 はざ 瘡 様 皮 疹 がGrade2が1 例 、Grade3が1 例 で<br />

あり、 出 現 時 期 は3-7コース 目 であった。またGrade2の 爪 囲 炎 を2 例 認<br />

めた。Infusion…reactionを 起 こした 症 例 はなかった。 最 良 総 合 効 果 は<br />

PR2 例 (いずれも1 次 治 療 )、SD1 例 、PD1 例 であった。 使 用 を 中 止 した<br />

症 例 はすべてPDにより 中 止 となっていた。 特 に1 次 治 療 で 選 択 した2<br />

症 例 はいずれも4コース 後 の 初 回 の 効 果 判 定 で30% 以 上 、8コース 後 の<br />

2 回 目 の 効 果 判 定 で50% 以 上 の 縮 小 率 を 認 め、 著 効 を 示 した。また、3<br />

次 治 療 のSD 症 例 も、 最 大 23.1%の 縮 小 効 果 を 認 めた。【 結 語 】<br />

Panitumumabの 短 期 成 績 について 検 討 した。 特 に1 次 治 療 でFOLFOX<br />

との 併 用 で 期 待 どおりの 速 やかでかつ 大 きな 治 療 効 果 を 認 めた。また、<br />

ざ 瘡 様 皮 疹 の 頻 度 が 高 く 副 作 用 対 策 として 重 要 であると 思 われた。<br />

-326-


P9-6 大 腸 癌 同 時 性 両 葉 多 発 肝 転 移 に 対 し 化 学 療 法 後 に 待 機 的<br />

肝 切 除 を 施 行 した2 例 。<br />

千 葉 市 立 海 浜 病 院 外 科<br />

○… 片 岡 雅 章 , 吉 岡 茂 , 若 月 一 雄 , 外 岡 亨 , 宮 澤 康 太 郎 ,<br />

橋 場 隆 裕 , 太 枝 良 夫<br />

大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 は 異 時 性 肝 転 移 に 比 べて 予 後 不 良 で、 手 術 のタイ<br />

ミングや 化 学 療 法 の 工 夫 が 行 われている。 当 院 では 切 除 可 能 な 大 腸 癌<br />

同 時 性 肝 転 移 症 例 に 対 しては、 肝 転 移 が 単 発 であれば 原 発 巣 と 同 時 切<br />

除 を 行 い、 複 数 であれば 原 発 巣 切 除 後 に 待 機 的 肝 切 除 を 行 っている。<br />

最 近 では 両 葉 におよぶ 多 発 肝 転 移 症 例 やグリソン、 肝 静 脈 に 近 接 する<br />

症 例 においては、 原 発 巣 切 除 後 の 待 機 期 間 中 に 術 前 化 学 療 法 を 行 う 方<br />

針 としている。 当 院 で 最 近 経 験 した 大 腸 癌 の 同 時 性 両 葉 多 発 肝 転 移 症<br />

例 で、 術 前 化 学 療 法 が 有 用 であった 症 例 と 有 用 でなかった 症 例 を 報 告<br />

する。 症 例 1は70 歳 、 男 性 。 肛 門 痛 と 排 便 障 害 を 主 訴 に 来 院 。 精 査 の<br />

結 果 、 直 腸 癌 (Ra)と 両 葉 多 発 肝 転 移 の 診 断 となった。 肝 転 移 巣 が 一<br />

部 肝 静 脈 根 部 と 下 大 静 脈 に 接 しており、 原 発 巣 切 除 後 にmFOLFOX6<br />

を5クール 施 行 し、 転 移 巣 縮 小 後 に 右 肝 切 除 +S2,S3 部 分 切 除 術 を 施 行<br />

した。 肝 切 除 術 後 10ヶ 月 、 無 再 発 生 存 中 である。 症 例 2は79 歳 、 男 性 。<br />

排 便 障 害 を 主 訴 に 来 院 。 精 査 の 結 果 、S 状 結 腸 癌 と 両 葉 多 発 肝 転 移 の<br />

診 断 となった。 肝 転 移 巣 は 切 除 可 能 であったが、 両 葉 多 発 であったた<br />

め 原 発 巣 切 除 後 に、modified…IRISを1クール 施 行 したところ、 副 作 用<br />

のため 以 後 長 期 間 治 療 継 続 が 困 難 となった。この 間 に 肝 転 移 巣 の 急 速<br />

な 増 大 を 認 めたが、 新 たな 転 移 巣 は 出 現 せず、 肝 中 央 2 区 域 切 除 +S3<br />

部 分 切 除 術 で 切 除 が 可 能 であった。 肝 切 除 術 後 、1 年 10ヶ 月 で 残 肝 再<br />

発 と 肺 転 移 で 死 亡 した。 大 腸 癌 の 同 時 性 両 葉 多 発 肝 転 移 症 例 に 対 する<br />

待 機 的 肝 切 除 では、 腫 瘍 の 大 きさや 部 位 により 待 機 期 間 中 に 主 要 脈 管<br />

やグリソンへの 浸 潤 が 危 惧 される 場 合 は 化 学 療 法 の 併 用 が 有 用 と 考 え<br />

られるが、そうでない 場 合 は 化 学 療 法 を 行 わずに 待 機 するという 選 択<br />

も 考 慮 してよいと 思 われた。<br />

P9-7 肝 転 移 巣 切 除 後 の 補 助 化 学 療 法 としてのFOLFOX4 療 法<br />

変 法<br />

三 井 記 念 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 南 村 圭 亮 , 阿 部 勇 人 , 真 船 健 一<br />

(はじめに) 大 腸 癌 の 肝 転 移 は 積 極 的 な 外 科 切 除 の 有 用 性 が 報 告 されて<br />

いる。 欧 米 ではstageIII 大 腸 癌 術 後 のFOLFOX4による 術 後 補 助 化 学<br />

療 法 の 有 用 性 が 報 告 されているが、 一 方 、 同 時 性 および 異 時 性 肝 転 移<br />

巣 切 除 後 の 補 助 化 学 療 法 としてのFOLFOX4 療 法 の 効 果 は 明 らかでな<br />

い。( 症 例 および 方 法 )2006 年 4 月 から2011 年 7 月 までに 同 時 性<br />

(stageIV)および 異 時 性 肝 転 移 をきたしR0 手 術 を 行 うことができた 症<br />

例 に 対 し、FOLFOX4 変 法 (L-OHP100mg/body,…6サイクル)を 基 本 と<br />

した 術 後 補 助 化 学 療 法 を 施 行 した8 症 例 の 臨 床 経 過 を 追 跡 し、 安 全 性<br />

および 効 果 の 検 討 を 行 った。 症 例 は 男 性 4 例 、 女 性 4 例 、 平 均 年 齢 67.6(53<br />

~84) 歳 , 結 腸 癌 7 例 , 直 腸 癌 1 例 であった. 同 時 性 5 例 、 異 時 性 3 例 で<br />

あり、 異 時 性 では 原 発 巣 切 除 から 肝 切 除 までの 期 間 は(8,9,…22ヶ 月 )で<br />

あ っ た。Grade…A.4 例 ,…B.4 例 で あ っ た。FOLFOX4は、6 例 (75%)が<br />

L-OHP100mg/body,…2 例 (25%)が75~80…mg/bodyで 開 始 し、 平 均 5.8<br />

サイクルを 行 った。( 結 果 )Grade…3 以 上 の 有 害 事 象 は 好 中 球 減 少 1 例<br />

(12.5%)のみで 容 量 減 量 を 行 った. 末 梢 神 経 障 害 は 認 められなかった。<br />

再 発 をきたした4 例 (50%)の 無 病 再 発 期 間 は 平 均 19.3ヶ 月 (12~30)であ<br />

り、 再 発 部 位 は 残 肝 1, 肺 1, 原 発 巣 局 所 1,リンパ 節 転 移 1 例 であった。<br />

再 発 死 亡 例 は 異 時 性 肝 転 移 の1 例 のみで 術 後 51ヶ 月 であった。1 年 無 病<br />

生 存 率 は66.7%であり、2 年 無 病 生 存 率 は44%であった。4 年 全 生 存 率<br />

は100%であった。また、Grade…Aの 無 病 再 発 率 は100%でGrade…Bで<br />

は25%であった。…( 結 論 ) 肝 転 移 巣 切 除 後 のFOLFOX4 療 法 変 法 による<br />

補 助 化 学 療 法 はL-OHP(100mg/body)6サイクルで 再 発 予 防 効 果 が 得<br />

られ、 安 全 性 に 問 題 はなかった。 今 後 、さらなる 症 例 の 蓄 積 に 検 討 が<br />

必 要 と 考 えられた。…<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P9-8 同 時 性 H3 大 腸 癌 に 対 する 段 階 的 手 術 後 に 残 肝 再 発 を 繰<br />

り 返 し 集 学 的 治 療 で 長 期 生 存 を 得 た1 例<br />

1<br />

石 巻 赤 十 字 病 院 外 科 、 2 石 巻 市 立 病 院 外 科 、 3 東 北 大 学 大 学<br />

院 医 学 系 研 究 科 外 科 病 態 学 消 化 器 外 科 分 野 東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵<br />

外 科<br />

1,2 1,2 1,2<br />

○… 内 山 哲 之 , 兒 玉 英 謙 , 村 田 幸 生 , 伊 勢 秀 雄 2<br />

,<br />

力 山 敏 樹 3<br />

, 吉 田 寛 3<br />

, 海 野 倫 明 3 1<br />

, 金 田 巖<br />

症 例 は33 才 女 性 で 腹 痛 を 主 訴 に 石 巻 市 立 病 院 を 受 診 し、 精 査 にて 下 行<br />

結 腸 癌 と 肝 両 葉 に 存 在 する 肝 転 移 (H3)の 診 断 となった。まずは 原 発<br />

巣 に 対 して2007 年 7 月 に 左 半 結 腸 切 除 術 を 施 行 した。【D,…circ,…type2,…<br />

pSS,…pN1,…cH3(GradeC),…sP0,…cM0,…pPM0,…pDM0,…pRM0,…fStageIV】<br />

肝 転 移 巣 は 両 葉 最 大 径 6cmで 計 9 個 に 及 んでいたが、 初 回 手 術 後 に<br />

FOLFOX-4 療 法 を6サイクル 行 った。 肝 病 巣 はPRが 得 られ、 新 たな 他<br />

臓 器 転 移 などはなく 肝 切 除 を 施 行 することとした。 転 移 は 肝 各 区 域 に<br />

多 発 性 に 認 められていたので 段 階 的 切 除 を 計 画 し、2007 年 11 月 に 肝 右<br />

3 区 域 切 除 術 を 施 行 し、その 後 同 年 12 月 にS2,S3の 転 移 巣 に 対 して 肝 部<br />

分 切 除 術 を 行 いR0とした。その 後 まもなく 異 時 性 の 肺 転 移 が 出 現 し<br />

たため、FOLFOX 療 法 を 再 び11サイクル 施 行 し 経 過 をみたが、SDが<br />

維 持 されたので、2008 年 9 月 に 右 肺 上 葉 切 除 を 施 行 した。その 後 補 助<br />

化 学 療 法 として5-FU+LV 療 法 を 施 行 したが、2009 年 3 月 残 肝 再 発 を 認<br />

め、これを 再 度 切 除 した。 可 及 的 完 全 切 除 を 試 みたが、 切 除 後 の 病 理<br />

組 織 検 索 でグリソン 枝 断 端 陽 性 と 診 断 され 完 全 切 除 とは 言 い 難 く、 病<br />

理 学 的 には 癌 遺 残 の 可 能 性 が 高 いと 考 えられた。そこで 手 術 後 十 分 な<br />

説 明 を 経 た 上 で、 治 療 的 化 学 療 法 としてBmab+FOLFOX 治 療 を 行 い<br />

厳 重 経 過 観 察 としたが、SDが 維 持 できた。2010 年 7 月 に17,18サイクル<br />

目 でアレルギー 反 応 が 出 現 したため、 治 療 計 画 の 再 立 案 目 的 に 施 行 し<br />

た 同 年 8 月 のEOB-MRIで 局 所 再 発 顕 在 化 を 確 認 した。 同 年 9 月 に4 度 目<br />

の 肝 切 除 を 施 行 しR0を 得 た。 同 年 10 月 より 補 助 療 法 としてFOLFIRI<br />

療 法 を 開 始 したが、5サイクル 目 施 行 時 に 震 災 被 災 で 続 行 不 能 となり、<br />

東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外 科 に 引 き 継 いだ。2011 年 7 月 に 残 肝 再 発 し 別 施<br />

設 でCmab+CPT-11での 化 学 療 法 を 開 始 したが、アレルギー 反 応 が 出<br />

現 し、 本 人 の 希 望 で 現 在 は 被 災 後 担 当 医 の 異 動 先 である 当 院 で 経 過 観<br />

察 を 施 行 している。 全 身 状 態 とリスクを 考 慮 しつつ 集 学 的 治 療 を 行 い、<br />

状 況 に 応 じて 可 能 な 限 り 根 治 的 切 除 を 目 指 したことで、 初 回 手 術 から<br />

4 年 半 ほどの 長 期 生 存 が 得 られた。<br />

P10-1 肝 細 胞 癌 の 手 術 を 契 機 に 自 然 経 過 を 観 察 しえた 遺 残 肝<br />

類 上 皮 血 管 内 皮 腫 の1 例<br />

清 水 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 成 島 道 樹 , 岡 上 能 斗 竜<br />

症 例 は82 歳 、 男 性 。2002 年 に 肝 類 上 皮 血 管 内 皮 腫 (ETE)に 対 して 肝<br />

右 葉 切 除 術 を 施 行 された 既 往 がある。 肝 左 葉 にはこのときの 主 病 変 以<br />

外 に 小 結 節 3 個 が 認 められており、ETEの 遺 残 の 可 能 性 があったため<br />

外 来 で 経 過 観 察 中 であった。<br />

今 回 術 後 9 年 目 に 腹 部 USで 肝 腫 瘍 を 指 摘 されたため 精 査 するとHCC<br />

( 肝 S2,…3cm)と 診 断 された。このHCCに 対 して 肝 部 分 切 除 を 施 行 する<br />

際 に、 遺 残 小 結 節 も2 個 含 める 形 で 切 除 した。 病 理 検 査 の 結 果 、この<br />

遺 残 小 結 節 はEHEと 診 断 された。<br />

肝 類 上 皮 血 管 内 皮 腫 は 比 較 的 まれな 疾 患 であり、 今 回 自 然 経 過 を 観 察<br />

しえた 遺 残 病 変 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-327-


P10-2 術 後 10 年 目 に 肝 転 移 再 発 した 大 腿 部 平 滑 筋 肉 腫 の1 例 <br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 消 化 器 外 科<br />

○… 小 林 恵 子 , 野 田 弘 志 , 渡 辺 文 昭 , 遠 山 信 幸 ,<br />

小 西 文 雄<br />

【はじめに】 四 肢 原 発 平 滑 筋 肉 腫 は 肺 転 移 が 多 く、 後 腹 膜 発 生 例 では<br />

肺 のほかに 肝 臓 への 転 移 が 多 いといわれ、また、 平 滑 筋 肉 腫 は 晩 期 再<br />

発 例 も 散 見 される。 今 回 、 原 発 巣 切 術 後 10 年 目 に 肝 転 移 再 発 した 大 腿<br />

部 平 滑 筋 肉 腫 の1 例 を 報 告 する。【 症 例 】70 歳 代 、 女 性 。 約 2カ 月 前 か<br />

らの 食 後 の 上 腹 部 違 和 感 を 主 訴 に 前 医 受 診 。 肝 腫 瘍 を 指 摘 され 当 院 に<br />

紹 介 受 診 。10 年 前 に 左 大 腿 部 平 滑 筋 肉 腫 の 根 治 的 切 除 の 既 往 があった。<br />

またB 型 肝 炎 、C 型 肝 炎 の 既 往 はなかった。 血 液 検 査 所 見 では 胆 道 系<br />

酵 素 の 軽 度 上 昇 を 認 めるも 腫 瘍 マーカー(CEA、CA19-9、AFP、<br />

PIVKA2)は 正 常 範 囲 であった。 画 像 検 査 所 見 では 腹 部 CT 検 査 で 肝 外<br />

側 区 域 に 大 きさ14cmの 造 造 影 効 果 を 持 つ 実 質 部 分 と 出 血 壊 死 が 混 在<br />

する 腫 瘤 を 認 めた。また 肝 S8…にも1.7cm 大 で 造 影 効 果 を 持 つ 腫 瘤 を 認<br />

めた。EOB…MRI 検 査 では 腹 部 CT 検 査 と 同 様 に、 腫 瘤 は 辺 縁 は 造 影 さ<br />

れるものの 内 部 はhigh、low 入 り 混 じった 像 を 呈 し、また、S8の 腫 瘤<br />

は 弱 い 造 影 効 果 を 伴 っていた。CTA/CTAP 検 査 では、 両 腫 瘤 は 早 期<br />

動 脈 相 で 腫 瘍 実 質 内 の 辺 縁 部 を 中 心 に 網 目 状 の 濃 染 を 示 しその 後 漸 増<br />

性 の 遅 延 濃 染 を 認 め、3 分 後 の 撮 影 でも 造 影 効 果 は 持 続 していた。<br />

FDG-PET…CT 検 査 では 両 腫 瘤 に 有 意 な 集 積 を 認 めた。 以 上 から 術 前<br />

鑑 別 診 断 として 血 管 腫 、 血 管 肉 腫 等 を 疑 い、 増 大 傾 向 を 示 し 悪 性 の 可<br />

能 性 が 高 いこと、 有 症 状 であることから 手 術 の 方 針 とし、 肝 外 側 区 域<br />

切 除 および 肝 部 分 切 除 を 施 行 した。 術 後 胆 汁 瘻 を 認 めたが 軽 快 し、 術<br />

後 25 日 目 に 退 院 となった。 病 理 組 織 検 査 結 果 は 紡 錘 形 、 卵 円 形 細 胞 が<br />

束 状 に 錯 綜 し、 平 滑 筋 肉 腫 と 診 断 された。10 年 前 に 切 除 された 大 腿 部<br />

腫 瘤 標 本 を 再 度 検 索 したところ、 平 滑 筋 肉 腫 に 矛 盾 なく、 類 似 形 態 を<br />

示 した。 以 上 から 切 除 後 10 年 経 過 した 平 滑 筋 肉 腫 の 肝 転 移 再 発 と 診 断<br />

した。【 結 語 】 四 肢 原 発 平 滑 筋 肉 腫 の 肝 臓 転 移 、 再 発 の 報 告 は 極 めて<br />

頻 度 が 低 い。 今 回 稀 な 症 例 を 経 験 したため 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報<br />

告 する。<br />

P10-3 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 一 例<br />

福 山 市 民 病 院 外 科<br />

○… 野 島 洋 樹 , 大 村 泰 之 , 日 置 勝 義 , 佐 々 木 寛 , 井 谷 史 嗣 ,<br />

金 仁 洙 , 高 倉 範 尚<br />

【はじめに】 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は 比 較 的 稀 な 疾 患 であり、 大 きく<br />

多 発 していることが 多 いものの 切 除 予 後 が 比 較 的 良 いことが 特 徴 であ<br />

る。 今 回 我 々は 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 ・ 現 病 歴 】 症 例 は80 歳 台 男 性 、DMを 併 存 しており、2 年 前 に<br />

髄 膜 腫 にて 開 頭 手 術 と 胃 悪 性 リンパ 腫 にて 胃 全 摘 手 術 の 既 往 があった。<br />

特 に 症 状 はなかったが、 定 期 フォローのCTにて 肝 腫 瘍 を 指 摘 された。<br />

【 術 前 検 査 】CT,MRIにて 肝 前 区 域 に 被 膜 形 成 を 伴 って 内 部 モザイク<br />

状 の5cm 径 の 膨 張 性 腫 瘍 が 認 められ、すべての 相 で 周 囲 の 肝 実 質 に 比<br />

べて 造 影 効 果 は 少 なかった。 肝 炎 の 既 往 感 染 はなく、 上 下 部 内 視 鏡 に<br />

て 悪 性 所 見 なし、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 もなし、FDG-PETでは 肝 腫 瘤<br />

にのみ 集 積 をみとめた。 悪 性 リンパ 腫 の 肝 浸 潤 や 原 発 性 肝 細 胞 癌 、 転<br />

移 性 肝 癌 などを 鑑 別 疾 患 として 考 え、 肝 生 検 を 行 ったが、 確 定 診 断 に<br />

至 らなかった。がいずれにしても 悪 性 腫 瘍 が 疑 われたため、 手 術 にて<br />

切 除 の 方 針 とした。【 手 術 】 肝 前 区 域 切 除 を 施 行 、 遺 残 ない 腫 瘍 の 切<br />

除 が 可 能 であった。【 術 後 経 過 】 術 後 は 比 較 的 順 調 に 経 過 し 退 院 したが、<br />

2ヶ 月 を 経 過 した 際 に 頭 痛 と 食 思 不 振 から 自 宅 で 低 血 糖 による 意 識 障<br />

害 を 発 症 、その 後 も 意 識 障 害 が 遷 延 し 永 眠 される 経 過 となった。【 病 理 】<br />

腫 瘍 は 黄 色 充 実 性 であり、 細 胞 形 態 と 免 染 でCD56 陽 性 であったこと<br />

から 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 した。また、MIB-1index…12.6%であった<br />

ことからG2の 腫 瘍 であった。【 考 察 】 今 回 経 験 した 症 例 では、 大 きな<br />

腫 瘍 ではあるが 単 発 であり 組 織 学 的 悪 性 度 も 中 等 度 であったことから<br />

比 較 的 良 好 な 予 後 が 見 込 まれる。また、PETを 含 めた 術 前 検 査 で 肝<br />

以 外 に 原 発 巣 と 思 われる 病 変 もみとめなかったため、 肝 原 発 と 判 断 し<br />

た。 免 疫 染 色 ではChromoglaninAなどで 陰 性 であり、 典 型 的 な 像 を<br />

示 していたとは 言 えない 症 例 であった。【 結 論 】 比 較 的 稀 な 肝 原 発 神<br />

経 内 分 泌 腫 瘍 の 症 例 を 経 験 した。<br />

P10-4 術 前 診 断 が 困 難 であった 原 発 性 肝 カルチノイドの1 症<br />

例<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 五 十 嵐 佑 子 , 山 田 晃 正 , 橘 高 弘 忠 , 後 藤 邦 仁 , 高 橋 秀 典 ,<br />

大 東 弘 明 , 石 川 治<br />

【 症 例 】50 代 / 女 性 .【 主 訴 】なし.【 現 病 歴 】 検 診 時 の 腹 部 超 音 波 検<br />

査 にて 肝 後 区 域 に 境 界 不 明 瞭 な 高 エコー 結 節 を 指 摘 されたが 放 置 . 約<br />

1 年 後 に 増 大 傾 向 を 認 めたため 近 医 受 診 . 精 査 の 結 果 , 胆 管 嚢 胞 腺 癌<br />

疑 いと 診 断 され, 当 院 紹 介 受 診 .【 既 往 / 家 族 歴 】 特 記 事 項 なし.【 現 症 】<br />

血 圧 :107/59, 脈 拍 :70.【 血 液 検 査 所 見 】HBsAg(-),HBcAb(-),<br />

HCV-Ab(-), 肝 障 害 度 A,CEA:1.3ng/ml,AFP(L3):6ng/ml(


P10-6 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 の 一 例<br />

国 立 病 院 機 構 災 害 医 療 センター 消 化 器 乳 腺 外 科<br />

○… 大 森 敬 太 , 伊 藤 豊 , 石 黒 深 幸 , 真 崎 純 一 , 北 條 暁 久 ,<br />

石 橋 雄 次 , 渡 邊 慶 史 , 若 林 和 彦<br />

症 例 は58 歳 、 女 性 。 心 窩 部 不 快 感 を 主 訴 に 近 医 受 診 。 精 査 にて 肝 内 胆<br />

管 癌 と 診 断 され 当 科 外 来 紹 介 受 診 。 腹 部 造 影 CT 施 行 。 肝 S4からドー<br />

ム 下 に 突 出 する86×57×95mmの 造 影 効 果 の 乏 しい 腫 瘤 性 病 変 を 認 め、<br />

傍 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 の 腫 大 を 散 在 性 に 認 めた。 肝 内 胆 管 癌 、 術 前 病<br />

期 StageIVBと 診 断 し 肝 左 葉 切 除 術 施 行 。 術 中 迅 速 病 理 診 断 にて 傍 大<br />

動 脈 リンパ 節 は 陰 性 であった。 病 理 組 織 学 的 所 見 はCD20(+)、<br />

CD45RO(+)の 小 リンパ 球 浸 潤 を 背 景 に、 大 型 で 単 個 ないし 数 個 の 核<br />

小 体 が 目 立 つ 異 型 細 胞 の 増 殖 ・ 浸 潤 を 認 め、Diffuse…large…B-Cell…<br />

lymphomaと 診 断 。 術 後 第 9 病 日 に 退 院 し 当 院 血 液 内 科 外 来 受 診 。<br />

PET-CTにて 縦 隔 、 傍 大 動 脈 領 域 、 右 外 腸 骨 領 域 に 集 積 亢 進 認 めるも<br />

骨 髄 浸 潤 は 認 めず、CSIII/IV、Hihg-intermediated…risk…groupと 診 断 。<br />

術 後 第 30 病 日 にR-CHOP 療 法 施 行 し、 現 在 までR-CHOP5コース 施 行 。<br />

再 発 認 めず 外 来 にて 経 過 観 察 中 。 比 較 的 まれな 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 の<br />

一 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P10-7 肝 切 除 により 診 断 した 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 の 一 例<br />

川 口 市 立 医 療 センター 外 科<br />

○… 関 根 速 子 , 中 林 幸 夫 , 成 廣 哲 史 , 水 谷 貴 久 , 平 松 友 雅 ,<br />

渡 部 通 章 , 大 塚 正 彦<br />

【 症 例 】30 代 、 男 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 前 医 受 診 し、 肝 膿 瘍 の 疑 いに<br />

て 精 査 加 療 目 的 に 当 院 紹 介 受 診 。 血 液 検 査 所 見 では 軽 度 の 肝 障 害 のみ<br />

で、AFP,CEA,DUPAN-2の 上 昇 は 認 めず、HBV・HCV 陰 性 ,アルコー<br />

ル 多 飲 もなかった。【 画 像 所 見 】 腹 部 CTにて 肝 左 葉 S3に 早 期 相 及 び 遅<br />

延 相 で 漸 増 性 に 造 影 される 径 7cmの 内 部 不 均 一 な 腫 瘍 と、 肝 十 二 指 腸<br />

靭 帯 ・ 左 胃 動 脈 周 囲 のリンパ 節 腫 大 を 認 めた。 超 音 波 検 査 では、 同 部<br />

位 は 内 部 不 均 一 、 境 界 比 較 的 明 瞭 な 低 エコー 腫 瘤 であった。MRIでは、<br />

出 血 を 伴 う 腫 瘍 性 病 変 と 判 断 した。ERCPにて 胆 管 は 全 体 的 に 軽 度 狭<br />

小 化 していたが、その 他 特 記 すべき 所 見 はなく、 擦 過 細 胞 診 にて<br />

classIIであった。また、 上 部 ・ 下 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて 異 常 は 認 め<br />

なかった。【 診 断 ・ 治 療 】 半 年 前 、 検 診 にて 施 行 した 腹 部 CTで 同 部 位<br />

に 直 径 1cmのLDAを 認 めていたが、 今 回 の 腫 瘍 はこれと 比 較 して 急<br />

激 に 増 大 していたため 肝 内 胆 管 癌 、 転 移 性 肝 腫 瘍 を 否 定 できないと 判<br />

断 。 肝 左 葉 ・ 尾 状 葉 切 除 術 、リンパ 節 郭 清 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学<br />

診 断 は、Malignant…lymphoma,…diffuse…large…B…cell…lymphomaであっ<br />

た。 術 後 に 施 行 したガリウムシンチグラフィにて 肝 臓 以 外 に 有 意 な 病<br />

的 集 積 を 認 めず 肝 原 発 性 悪 性 リンパ 腫 と 診 断 。 骨 髄 浸 潤 は 認 めなかっ<br />

た。CD20 陽 性 でありR-CHOP 療 法 開 始 し 現 在 も 継 続 中 である。【 考 察 】<br />

肝 原 発 性 悪 性 リンパ 腫 は、 肝 原 発 悪 性 腫 瘍 の0.07%、 非 ホジキンリン<br />

パ 腫 の0.016%と 非 常 に 稀 な 疾 患 である。 画 像 診 断 所 見 で 特 異 的 なも<br />

のはなく 確 定 診 断 には 組 織 学 的 検 査 が 必 要 となる。 今 回 、 肝 腫 瘍 を 認<br />

め 切 除 により 病 理 組 織 学 的 に 肝 原 発 悪 性 リンパ 腫 と 診 断 した1 例 を 経<br />

験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P10-8 門 脈 狭 窄 を 認 めた 小 児 肝 限 局 性 結 節 性 過 形 成 の1 切 除<br />

例<br />

刈 谷 豊 田 総 合 病 院<br />

○… 田 中 守 嗣 , 早 川 哲 史 , 山 本 稔 , 森 本 守<br />

小 児 肝 限 局 性 結 節 性 過 形 成 (focal…nodular…hyperplasia. 以 下 FNH)は、<br />

若 年 女 性 に 好 発 する 肝 良 性 腫 瘍 性 病 変 であるが、 小 児 での 発 生 頻 度 は、<br />

肝 腫 瘍 性 病 変 の 約 10%と 比 較 的 まれである。 今 回 我 々は、 門 脈 狭 窄 を<br />

認 めた 小 児 のFNHの1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報<br />

告 する。 症 例 は9 才 、 男 児 。 上 腹 部 に 腫 瘤 を 自 覚 し、 当 院 を 受 診 した。<br />

既 往 歴 、 家 族 歴 には 特 記 事 項 は 認 めなかった。 血 液 生 化 学 検 査 ではγ<br />

GTPの 軽 度 上 昇 を 認 める 以 外 は 正 常 で、ウイルス 肝 炎 マーカー、 腫<br />

瘍 マーカーは 正 常 であった。 腹 部 CTで、 肝 左 葉 の 大 部 分 を 占 める8×<br />

6cmの 境 界 明 瞭 な 腫 瘤 を 認 めた。 早 期 相 にて 均 一 濃 染 し、 腫 瘍 内 部 に<br />

はいわゆる 中 心 瘢 痕 と 思 われる 低 吸 収 域 を 認 めた。また、 中 心 瘢 痕 か<br />

ら 放 射 状 に 連 続 する 血 管 構 造 を 認 めた。 門 脈 相 では 正 常 肝 とほぼ 同 様<br />

の 吸 収 値 を 呈 し、 平 行 相 では 正 常 肝 よりやや 低 吸 収 値 を 呈 した。 腹 部<br />

MRIでは、 肝 左 葉 の 大 部 分 を 占 める8×6cmの 境 界 明 瞭 な 腫 瘤 を 認 めた。<br />

T1 強 調 像 で 等 信 号 を 呈 し、 中 心 部 に 中 心 性 瘢 痕 と 思 われる 低 信 号 域<br />

を 認 めた。 辺 縁 は 低 信 号 を 呈 した。T2 強 調 像 で 右 葉 より 軽 度 高 信 号<br />

を 呈 し、FNHと 診 断 した。… 造 影 3DーCTでは、 門 脈 が 腫 瘤 により 圧<br />

排 され、 周 囲 に 側 副 血 行 路 が 形 成 されつつあった。FNHは 良 性 であ<br />

るが、 悪 性 腫 瘍 との 鑑 別 が 難 しい 場 合 や、 腫 瘤 による 圧 排 症 状 等 があ<br />

る 場 合 には 手 術 が 必 要 となる。 自 験 例 は、 画 像 的 にFNHの 典 型 的 な<br />

所 見 を 備 えており、 術 前 診 断 が 可 能 であったが、 腫 瘍 は 大 きく、 門 脈<br />

の 狭 窄 も 認 めたため、 肝 左 葉 切 除 を 行 った。 手 術 時 間 は4 時 間 25 分 、<br />

出 血 量 250mlで、 摘 出 組 織 の 病 理 組 織 検 査 結 果 もFNHであった。 術 後<br />

経 過 は 良 好 で、 術 後 8 日 目 … に 退 院 した。 術 後 11 週 の 造 影 3DーCTでは<br />

門 脈 は 正 常 であった。 現 在 外 来 にてフォローアップ 中 である。<br />

P11-1 biliarycysticneoplasmとの 鑑 別 が 困 難 であった<br />

complicatedlivercystの 一 例<br />

社 会 福 祉 法 人 京 都 社 会 事 業 財 団 京 都 桂 病 院<br />

○… 西 躰 隆 太 , 間 中 大 , 濱 洲 晋 哉 , 小 西 小 百 合 ,<br />

坂 元 克 考<br />

症 例 は73 歳 女 性 。 既 往 歴 に 喘 息 、 高 血 圧 、B 型 慢 性 肝 炎 がある。 家 族<br />

歴 に 特 記 すべきこと 無 し。2008 年 に 検 診 で 肝 S4の 嚢 胞 性 腫 瘍 を 発 見<br />

された。 直 径 2…cmで、エコー、MRIでは 内 部 に 不 均 一 な 充 実 性 成 分<br />

を 認 め、CTや 造 影 エコーで 造 影 効 果 を 認 めなかった。 経 過 観 察 を 受<br />

けていたが、2011 年 1 月 に 心 窩 部 痛 を 訴 えて 救 急 外 来 を 受 診 した。 胆<br />

嚢 結 石 症 および 落 下 結 石 の 診 断 で、 内 視 鏡 下 乳 頭 切 開 切 石 術 を 受 け 症<br />

状 軽 快 した。その 際 のエコーで、S4の 腫 瘍 は4…cmに 増 大 しており、<br />

腫 瘍 内 に 薄 い 隔 壁 様 構 造 と 乳 頭 状 腫 瘤 を 伴 っていた。CTでは 全 体 と<br />

してlow…density…tumorで、 充 実 性 成 分 は 描 出 されなかった。MRIで<br />

は 内 部 乳 頭 状 腫 瘤 はT1で 一 部 high…intensity,…T2はlowであった。CT,…<br />

MRIともに 造 影 効 果 を 認 めなかったが、 造 影 エコーでは 充 実 性 成 分 が<br />

非 常 に 遅 く 淡 く 造 影 された。 腫 瘍 マーカーは 全 て 陰 性 であった。 経 過<br />

中 複 数 回 行 ったERCPで 腫 瘍 と 胆 管 との 交 通 を 認 めなかった。 以 上 の<br />

所 見 より、biliary…cystadenomaもしくはcystadenocarcinomaと 術 前<br />

診 断 し、 尾 状 葉 温 存 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した。 腫 瘍 は 左 肝 管 に 接 して<br />

S4 実 質 内 に 存 在 し、 多 房 性 の 嚢 胞 に 半 透 明 な 乳 頭 状 腫 瘍 を 多 数 含 ん<br />

でいた。 背 景 肝 は 慢 性 肝 炎 であった。 病 理 学 的 検 討 では、 嚢 胞 は 立 方<br />

上 皮 ないし 円 柱 上 皮 に 覆 われており、 被 覆 上 皮 には 粘 液 を 含 んだ 上 皮<br />

も 混 在 しているが、 異 型 性 を 認 めなかった。 嚢 胞 内 に 主 として 粘 液 様<br />

物 質 からなる 固 形 物 が 複 数 含 まれているが、 上 皮 細 胞 の 増 殖 像 を 認 め<br />

なかった。 所 々で 被 覆 上 皮 が 剥 離 し、 壁 に 活 動 性 炎 症 や 出 血 を 伴 った<br />

肉 芽 の 形 成 が 見 られ、 炎 症 が 周 囲 の 肝 実 質 に 及 んでいる 部 位 も 認 めら<br />

れた。 以 上 より、solitary…cystと 最 終 診 断 された。 肝 嚢 胞 は、 嚢 胞 内<br />

出 血 や 感 染 などにより、 時 に 胆 管 嚢 胞 性 腫 瘍 との 鑑 別 が 大 変 困 難 にな<br />

る 場 合 があるため、 嚢 胞 性 腫 瘤 の 手 術 適 応 決 定 には 慎 重 な 検 討 が 必 要<br />

である。<br />

-329-


P11-2 肝 原 発 mucosa-associatedlymphoidtissueリンパ<br />

腫 の1 切 除 例<br />

1<br />

飯 塚 病 院 外 科 、 2 久 留 米 大 学 医 学 部 病 理 学 教 室<br />

○… 永 田 茂 行 1<br />

, 梶 山 潔 1<br />

, 平 山 佳 愛 1<br />

, 吉 丸 耕 一 朗 1<br />

,<br />

由 茅 隆 文 1<br />

, 播 本 憲 史 1<br />

, 大 島 孝 一 2 1<br />

, 長 家 尚<br />

背 景 :Mucosa-associated…lymphoid…tissue(MALT)リンパ 腫 は1983 年<br />

に 報 告 された 低 悪 性 度 のリンパ 腫 であるが、 肝 原 発 MALTリンパ 腫<br />

はまれである。 我 々は 術 前 に 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 して 手 術 を 施 行 し、 術<br />

後 病 理 検 査 にて 肝 原 発 MALTリンパ 腫 と 診 断 された1 例 を 経 験 したの<br />

で 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。 症 例 :74… 歳 の 男 性 。 主 訴 :なし。<br />

既 往 歴 : 高 血 圧 にて 近 医 通 院 加 療 中 。 現 病 歴 :2011 年 4 月 、 血 液 検 査<br />

で 肝 酵 素 の 上 昇 を 認 め、 精 査 目 的 で 当 院 肝 臓 内 科 へ 紹 介 となった。 腹<br />

部 超 音 波 検 査 では, 肝 内 胆 管 後 区 域 枝 の 拡 張 を 認 めた。 腹 部 CT 検 査<br />

では, 肝 後 区 域 枝 の 閉 塞 と 周 囲 の2-3cmの 範 囲 に 不 均 一 な 早 期 相 濃 染 、<br />

遅 延 相 低 吸 収 域 を 認 めた。またEOB-MRI 検 査 でも 後 区 域 枝 に 限 局 し<br />

た 肝 内 胆 管 拡 張 と 中 枢 部 に2cm 程 度 の 境 界 不 明 瞭 な 早 期 相 濃 染 域 を 認<br />

めた。 遠 隔 転 移 を 認 めず, 肝 内 胆 管 癌 が 強 く 疑 われたため、2011 年 6<br />

月 に 肝 門 部 リンパ 節 郭 清 を 伴 う 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 の<br />

肉 眼 所 見 では 門 脈 域 に 白 色 の 結 節 様 病 変 を 認 めた。 病 理 組 織 学 的 には、<br />

門 脈 領 域 の 一 部 に 密 なリンパ 球 浸 潤 を 認 めた。 異 型 は 明 らかではない<br />

が 小 型 ~ 中 型 のリンパ 球 が 一 部 毛 細 胆 管 上 皮 にlymphoepithelial…<br />

lesion(LEL) 様 に 浸 潤 していた。 免 疫 組 織 学 的 にはCD20 陽 性 、CD79a<br />

陽 性 であり、MALTリンパ 腫 と 診 断 された。 術 後 、ヘリコバクター<br />

ピロリ 陽 性 であったため 除 菌 療 法 を 施 行 した。 現 在 術 後 6ヶ 月 経 過 し<br />

たが、 再 発 なく 生 存 中 である。 結 語 : 肝 原 発 …MALT…リンパ 腫 はまれ<br />

な 疾 患 であり 診 断 が 困 難 である。 現 在 まで、 治 療 法 として 手 術 と<br />

RFAなどが 報 告 されているが、 症 例 の 集 積 とともに、 診 断 及 び 治 療<br />

ストラテジーの 構 築 が 今 後 の 課 題 である。<br />

P11-3 下 大 静 脈 合 併 切 除 を 要 した 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 の 一 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 、 2 大 阪 市 立 大 学 大 学 院 医 学 研 究<br />

科 診 断 病 理 学<br />

○… 門 田 和 之 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

,<br />

江 口 英 利 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 若 狭 研 一 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

,<br />

森 正 樹 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 (inflamatory…psudotumor、IPT)は、 炎 症 細 胞 浸 潤 と<br />

線 維 化 を 主 体 とする 炎 症 性 腫 瘍 類 似 病 変 である。 比 較 的 まれな 疾 患 で、<br />

自 然 消 退 の 報 告 もあり、 外 科 的 切 除 の 絶 対 的 適 応 とはならないと 考 え<br />

られている。しかし、 画 像 検 査 上 特 徴 的 な 所 見 に 乏 しく、 胆 管 細 胞 癌<br />

や 転 移 性 肝 癌 との 鑑 別 に 難 渋 する 事 が 多 く、 臨 床 の 実 際 においては、<br />

手 術 後 に 診 断 がなされることも 少 なくない。 今 回 、 我 々は 下 大 静 脈 に<br />

接 する 肝 腫 瘍 に 対 し、 下 大 静 脈 合 併 切 除 を 要 する 拡 大 左 葉 切 除 を 施 行<br />

したが、 術 後 の 病 理 組 織 学 的 検 索 にて 炎 症 性 偽 腫 瘍 と 診 断 された 症 例<br />

を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

症 例 は71 歳 の 男 性 で、13 年 前 に 胃 癌 (stageII)にて 幽 門 側 胃 切 除 術 を<br />

施 行 されている。 骨 髄 異 形 成 症 候 群 、 高 血 圧 、 糖 尿 病 にて 内 科 にて 経<br />

過 観 察 されていた。 血 液 検 査 にてCA19-9 値 上 昇 を 認 め、 原 因 精 査 の<br />

腹 部 CTにて 肝 S1に 径 30mm 大 の 肝 腫 瘍 を 指 摘 され、 手 術 目 的 にて 当<br />

院 紹 介 となった。 初 診 時 には 熱 発 や 心 窩 部 痛 などの 症 状 はなく、 肝 機<br />

能 検 査 値 に 異 常 認 めず、 肝 炎 ウイルスは 陰 性 であった。 腹 部 造 影 CT<br />

にて 肝 S1に30mm 大 の 腫 瘤 を 認 め、 平 衡 相 でのリング 状 の 造 影 効 果 を<br />

呈 していた。また、 腫 瘍 は 下 大 静 脈 左 側 ・ 左 肝 静 脈 ・ 中 肝 静 脈 起 始 部<br />

に 広 範 囲 に 接 しており、 浸 潤 が 疑 われた。PET-CTにて 腫 瘍 にはFDG<br />

の 高 集 積 (SUVmax:5.3)を 認 め、 悪 性 腫 瘍 が 疑 われた。 術 前 精 査 に<br />

て 肝 転 移 や 炎 症 性 腫 瘍 も 完 全 には 否 定 できないが、 胆 管 細 胞 癌 のIVC<br />

浸 潤 (cT3N0M0,stageIII)と 診 断 し、 拡 大 左 葉 切 除 、 肝 門 部 リンパ 節<br />

郭 清 、IVC 合 併 切 除 人 工 血 管 再 建 、 胆 管 空 腸 吻 合 を 施 行 した。 術 後 の<br />

病 理 組 織 学 的 検 索 にて 炎 症 性 偽 腫 瘍 と 診 断 された。<br />

P11-4 転 移 性 肝 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であったIgG4 関 連 肝 炎 症<br />

性 偽 腫 瘍 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 松 島 英 之 , 石 崎 守 彦 , 松 井 康 輔 , 海 堀 昌 樹 , 權 雅 憲<br />

【 症 例 】77 歳 女 性 【 主 訴 】 発 熱 ・ 倦 怠 感 【 現 病 歴 】 平 成 23 年 5 月 頃 よ<br />

り 発 熱 持 続 あり、 前 医 で 内 服 加 療 中 、 血 液 検 査 で 貧 血 を 指 摘 され、 精<br />

査 加 療 目 的 に 当 院 紹 介 。 大 腸 内 視 鏡 検 査 で 盲 腸 1/2 修 正 に 境 界 明 瞭 な<br />

周 堤 を 伴 う2 型 の 大 腸 癌 を 認 め、 生 検 結 果 でAdenocarcinoma、tub2<br />

あり、CTで 肝 S7に 腫 瘤 性 病 変 を 認 め、MRIで 同 部 位 にT1WIで 低 信 号 、<br />

T2WIで 高 信 号 を 呈 し、SPIOで 取 り 込 み 低 下 を 認 めるmassを 認 め、<br />

大 腸 癌 肝 転 移 と 診 断 した。 血 液 検 査 はHb:10.2の 貧 血 とCA19-9:49.4<br />

の 上 昇 を 認 めた。ICG-15R:4.6であり、 肝 障 害 度 A、Child-Pugh:A、<br />

正 常 肝 機 能 であった。【 臨 床 経 過 】 手 術 は 肝 右 葉 切 除 、 右 半 結 腸 切 除 、<br />

D3 郭 清 を 行 った。 手 術 時 所 見 として、 肝 は 表 面 平 滑 、 辺 縁 鋭 で 正 常<br />

肝 の 所 見 であった。 術 後 経 過 は 良 好 であり 術 後 12 日 後 に 退 院 した。 摘<br />

出 標 本 の 病 理 組 織 結 果 では、 大 腸 はAdenocarcinoma、Tub1>pap、<br />

pSSpN0、ly1、v1の 結 果 であった。 切 除 肝 は 明 らかな 結 節 性 病 変 を 認<br />

めず、 術 前 より 疑 われた 部 位 には 正 常 肝 と 色 調 の 違 う 部 分 があり、 組<br />

織 学 的 に 肝 細 胞 の 脱 落 とリンパ 球 ・ 形 質 細 胞 などの 炎 症 細 胞 浸 潤 を 認<br />

め、 慢 性 肝 膿 瘍 の 所 見 であった。 免 疫 組 織 学 的 にIgG4 陽 性 細 胞 の 比<br />

率 が 高 く、 強 拡 大 で1 視 野 30 個 であった。 最 終 診 断 は 進 行 大 腸 癌 、<br />

IgG4 関 連 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 と 診 断 された。 以 後 、 現 在 に 至 るまで 再 発<br />

所 見 ・ 腫 瘍 マーカーの 上 昇 を 認 めていない。【 考 察 】 肝 の 炎 症 性 偽 腫<br />

瘍 は 時 に 悪 性 腫 瘍 や 肝 膿 瘍 などと 鑑 別 が 困 難 な 場 面 に 遭 遇 することが<br />

ある。 比 較 的 まれな 疾 患 であり、 特 異 的 な 画 像 所 見 に 乏 しく、また 治<br />

療 に 関 する 一 定 の 見 解 を 得 られていない。ステロイド 著 効 例 や 自 然 消<br />

退 例 の 報 告 も 見 られる。 今 回 、 我 々は 術 前 に 大 腸 癌 肝 転 移 と 診 断 され<br />

たIgG4 関 連 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 の1 例 を 経 験 したため、 若 干 の 文 献 的 考 察<br />

を 加 えて 報 告 する。<br />

P11-5 術 前 診 断 が 困 難 であった 高 齢 発 症 の 成 人 肝 未 分 化 肉 腫<br />

の 一 例<br />

1<br />

伊 勢 崎 市 民 病 院 外 科 、 2 群 馬 大 学 大 学 院 病 態 総 合 外 科 学<br />

○… 和 田 渉 1<br />

, 鈴 木 秀 樹 2<br />

, 桑 野 博 行<br />

2<br />

【 背 景 】 肝 未 分 化 肉 腫 は、 主 に 小 児 に 認 められる 悪 性 間 葉 系 腫 瘍 で、<br />

成 人 発 症 例 は 極 めてまれであり、 生 命 予 後 は 極 めて 不 良 であると 言 わ<br />

れている。【 目 的 】 今 回 我 々は73 歳 で 発 症 し、 術 前 診 断 が 困 難 であっ<br />

た 成 人 肝 未 分 化 肉 腫 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】73 歳 男 性 。 主<br />

訴 は 腹 痛 、 食 欲 不 振 。【 既 往 】 心 房 細 動 、 心 筋 梗 塞 、 緑 内 障 【 内 服 薬 】<br />

ワーファリン、バイアスピリン、パナルジン。L/D:…T-Bil…0.45,…<br />

AST/ALT…26/25,…LDH…186,…ALP…487,…γ-GTP…73,Alb…3.4,…WBC…7500,…<br />

RBC…402,…Hb…11.9,…Hct…37.8,…Plt…21.9,…CRP…1.63,…PT 活 性 36,…APTT…33.9…<br />

,…HbA1c…5.4…,…AFP…4,…PIVKAII…8238,…CEA…3.6,…CA19-9…4.2,…CA125…<br />

124.3。 感 染 症 は 陰 性 。US/…CT/…MRCP:… 肝 右 葉 に 早 期 に 造 影 され、<br />

被 膜 を 有 する18cm 大 の 腫 瘍 を 認 めた。 内 部 構 造 は 多 房 性 、 充 実 成 分<br />

も 混 在 し 一 部 壊 死 部 分 も 認 められた。PET-CT:…MaxSUV…4.60。 肝 嚢<br />

胞 腺 癌 の 疑 いにて 手 術 予 定 とした。【 手 術 】 肝 右 葉 切 除 術 、 横 隔 膜 合<br />

併 切 除 術 施 行 。【 標 本 所 見 】 長 径 18cm、 重 量 4180g。 比 較 的 境 界 明 瞭<br />

で 内 部 は 隔 壁 で 区 画 され 多 結 節 性 、 黄 色 調 の 半 透 明 な 粘 液 様 の 概 観 を<br />

呈 していた。【 病 理 所 見 】 繊 維 性 被 膜 を 有 し、 内 部 に 出 血 、 壊 死 を 認<br />

めた。 高 度 異 形 を 示 す 紡 錘 形 、 星 形 の 腫 瘍 細 胞 が 認 められ、PAS 陽 性 、<br />

クロマチンの 増 量 、 核 分 裂 像 が 散 見 された。 背 景 は 粘 液 腫 様 で、 束 状<br />

に 錯 綜 する 線 維 肉 腫 様 像 を 示 す 領 域 も 認 められた。また、 間 質 に 好 酸<br />

性 硝 子 滴 沈 着 が 認 められた。【 免 疫 染 色 】a1-antitrypsin,…CD34,…CD10,…<br />

vimentin: 陽 性 。aSMA: 一 部 陽 性 。c-kit,…keratin,…desmin,…CK19,…<br />

p53: 陰 性 。Ki-67…labelling…index:…30% 以 上 であった。【 術 後 経 過 】<br />

術 後 一 年 再 発 は 認 めていない。【 結 語 】 高 齢 発 症 は 極 めてまれな 成 人<br />

肝 未 分 化 肉 腫 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する<br />

-330-


P11-6 CT&99mTc-GSAシンチグラフィのフュージョン 像<br />

を 用 いた 腫 瘍 周 囲 肝 実 質 機 能 変 化 の 検 討<br />

高 知 県 ・ 高 知 市 病 院 企 業 団 立 高 知 医 療 センター<br />

○… 住 吉 辰 朗 , 志 摩 泰 生 , 上 月 章 史 , 石 川 忠 則 , 田 中 公 章 ,<br />

齋 坂 雄 一<br />

緒 言 : 肝 腫 瘤 の 圧 排 による 周 囲 肝 実 質 機 能 が 低 下 する 可 能 性 について<br />

の 報 告 はあるが、これに 関 する 正 確 な 検 討 をいまだ 認 めない。 当 科 で<br />

は2008 年 12 月 より 全 肝 切 除 症 例 に 対 し、 術 前 に 肝 臓 CTと99mTc-GSA<br />

シンチグラフィをフュージョンさせ 形 態 的 、 機 能 的 評 価 を 行 ってきた。<br />

症 例 の 蓄 積 とともに 腫 瘍 が 存 在 する 切 除 側 の 肝 機 能 が 低 下 している 症<br />

例 が 散 見 された。 腫 瘍 の 肝 実 質 圧 排 による 肝 機 能 の 変 化 について 検 討<br />

した。 対 象 :2008 年 12 月 から2011 年 12 月 の 間 に 肝 葉 切 除 を 施 行 した 症<br />

例 を 対 象 とした。 門 脈 塞 栓 術 後 、 胆 嚢 癌 、 肝 門 部 胆 管 癌 、 良 性 疾 患 、<br />

腫 瘤 形 成 型 以 外 の 肝 内 胆 管 癌 症 例 は 除 外 した。 右 葉 切 除 13 例 、 左 葉 切<br />

除 13 例 。 疾 患 は 肝 細 胞 癌 18 例 、 腫 瘤 形 成 型 の 肝 内 胆 管 癌 4 例 、 転 移 性<br />

肝 癌 4 例 。 方 法 :Fusion…imageで 切 除 葉 の 形 態 的 切 除 率 と 機 能 的 切 除<br />

率 を 測 定 し、 機 能 的 切 除 率 / 形 態 的 切 除 率 = 切 除 側 肝 機 能 変 化 率 を 測<br />

定 した。 切 除 側 肝 機 能 変 化 率 と 術 式 、 腫 瘍 最 大 径 、 切 除 率 、ICG…R15<br />

分 値 ・K 値 、HH15、LHL15との 相 関 を 検 討 した。 肝 細 胞 癌 症 例 では<br />

門 脈 侵 襲 、 肝 線 維 化 の 程 度 との 相 関 も 検 討 した。 結 果 : 左 葉 切 除 例 で<br />

は 全 例 切 除 側 肝 機 能 変 化 率 が1 未 満 で0.5~0.83…( 中 央 値 0.74)であった。<br />

右 葉 切 除 例 では11 例 が 切 除 側 肝 機 能 変 化 率


P12-2 DamageControlSurgeryを 施 行 した 肝 損 傷 の3 例<br />

社 会 保 険 栗 林 病 院 外 科<br />

○… 竹 内 聖 , 前 場 隆 志 , 森 誠 治 , 藤 田 尚 久 , 堀 志 郎<br />

【 症 例 1】47 歳 男 性 。C 型 +アルコール 性 肝 硬 変 で 近 医 通 院 中 。 交 通<br />

事 故 による 腹 部 打 撲 で 当 院 を 受 診 した。II 型 肝 損 傷 、 胆 嚢 破 裂 による<br />

出 血 性 ショックで 緊 急 手 術 を 施 行 したが、 肝 硬 変 のため 止 血 できず、<br />

Damage…Control…Surgery(DCS)を 施 行 した。 術 後 第 4 病 日 に 二 期 手 術<br />

を 施 行 し、 術 後 第 10 病 日 に 人 工 呼 吸 器 を 離 脱 できた。ガーゼ 培 養 は 陰<br />

性 だった。【 症 例 2】67 歳 男 性 。 駐 車 中 に4mの 高 さから 転 落 し 当 院 を<br />

受 診 した。IIIb 型 肝 損 傷 、II 型 脾 損 傷 による 出 血 性 ショックで 緊 急 手<br />

術 を 施 行 した。 血 小 板 減 少 による 出 血 傾 向 を 認 め、DCSを 行 い、 術 後<br />

第 3 病 日 に 二 期 手 術 を 施 行 した。ガーゼ 培 養 は 陰 性 だった。Frail…<br />

chestを 合 併 していたため 呼 吸 不 全 が 遷 延 したが 気 管 切 開 施 行 し、 術<br />

後 第 29 病 日 に 人 工 呼 吸 器 を 離 脱 できた。【 症 例 3】89 歳 女 性 。 高 度 の 胆<br />

嚢 炎 で 他 医 より 紹 介 入 院 。 全 身 状 態 が 悪 く、 緊 急 手 術 には 耐 術 できな<br />

いと 判 断 しPTGBD 施 行 後 に 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 したが、 肝 被 膜 損<br />

傷 と 肝 床 部 からの 出 血 が 止 血 できずDCSを 施 行 した。 術 後 第 3 病 日 に<br />

二 期 手 術 を 施 行 した。ガーゼ 培 養 は 陽 性 だった。 止 血 剤 に 感 染 し、1<br />

か 月 半 の 抗 生 剤 治 療 を 要 した。 気 管 切 開 施 行 し、 術 後 第 77 病 日 に 人 工<br />

呼 吸 器 を 離 脱 できた。【 考 察 】 初 回 開 腹 時 に 十 分 な 洗 浄 を 行 う 余 裕 が<br />

ないことが 多 いため 感 染 合 併 の 危 険 が 大 きく、 二 期 手 術 はdeadly…<br />

triadからの 回 復 を 待 ち、24 時 間 ~48 時 間 以 内 のできるだけ 早 期 に 行<br />

われることが 多 い。しかし、 実 際 には48 時 間 以 内 に 血 液 凝 固 能 が 回 復<br />

することは 少 なく、 自 験 例 では3 例 とも3 日 目 に 回 復 傾 向 を 示 した。 消<br />

化 管 穿 孔 等 の 汚 染 を 合 併 していない 症 例 ではパッキングガーゼに 感 染<br />

を 起 こす 危 険 性 が 低 いため、 血 液 凝 固 能 の 回 復 を 待 って 二 期 手 術 を 行<br />

うことも 一 つの 方 法 と 考 えられた。<br />

P12-3 Damagecontrolsurgery 後 ,Resectional<br />

debridementにより 救 命 しえたIIIb 型 肝 損 傷 の1 例<br />

独 立 行 政 法 人 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 香 川 労 災 病 院 外 科<br />

○… 渡 辺 信 之 , 國 土 泰 孝 , 貴 志 美 紀 , 谷 口 文 崇 , 桑 田 和 也 ,<br />

小 林 正 彦 , 木 村 圭 吾 , 村 岡 篤 , 立 本 昭 彦 , 津 村 眞<br />

【はじめに】 肝 損 傷 は, 鈍 的 腹 部 外 傷 の 中 でも 最 も 多 い 損 傷 であり,<br />

日 本 外 傷 学 会 分 類 2008におけるIIIb 型 肝 損 傷 では 大 量 出 血 により 循 環<br />

不 全 を 合 併 する 場 合 が 多 く,また 他 臓 器 損 傷 の 可 能 性 もあるためその<br />

治 療 方 針 の 決 定 には 難 渋 する.…【 症 例 】40 歳 女 性 . 大 型 トラックの 後<br />

方 で 荷 物 の 積 み 下 ろし 作 業 をしていた 時 に,トラックが 後 方 に 動 き 出<br />

し,コンクリート 壁 との 間 に 挟 まれ 受 傷 し 当 院 救 急 搬 送 された. 既 往<br />

歴 に 特 記 事 項 なし. 来 院 時 バイタルサインに 異 常 を 認 めず, 血 液 検 査<br />

上 貧 血 は 認 めなかったが, 徐 々に 意 識 レベル 低 下 , 血 圧 低 下 などショッ<br />

クバイタルとなり,かつ 急 速 輸 液 , 輸 血 に 反 応 を 示 さなくなった.<br />

CT 検 査 では 門 脈 右 枝 からの 著 明 な 血 管 外 漏 出 像 , 大 量 の 腹 腔 内 出 血 ,<br />

右 腸 骨 骨 折 が 認 められ, 経 カテーテル 的 動 脈 塞 栓 術 による 出 血 のコン<br />

トロールは 困 難 と 判 断 し, 緊 急 開 腹 術 となった. 開 腹 所 見 では, 肝 後<br />

区 域 の 断 裂 による 多 量 の 出 血 が 認 められ, 術 中 バイタル 不 安 定 であっ<br />

たことからDamage…control…surgeryとしてperi-hepatic…packing, 縫<br />

合 止 血 術 を 施 行 した.ICU 帰 室 後 , 一 時 的 にバイタルサインの 安 定 が<br />

認 められていたが, 再 出 血 により 全 身 状 態 は 徐 々に 悪 化 . 急 速 輸 液 ,<br />

輸 血 ,カテコラミンなどによる 治 療 に 反 応 認 めず, 保 存 的 治 療 は 限 界<br />

と 考 えられ 再 手 術 を 行 った. 再 手 術 時 には 大 量 輸 液 , 輸 血 にて 状 態 は<br />

比 較 的 安 定 しており,Resectional…debridementおよび 胆 嚢 摘 出 術 に<br />

より 止 血 を 行 った. 術 後 , 下 部 食 道 出 血 により 内 視 鏡 的 止 血 術 ,およ<br />

び 右 大 量 胸 水 による 呼 吸 器 合 併 症 により 胸 腔 ドレナージを 要 したが,<br />

術 後 39 日 目 に 軽 快 退 院 となった.【 結 語 】 今 回 ,CT 検 査 で 門 脈 , 肝 静<br />

脈 損 傷 による 腹 腔 内 出 血 と 診 断 し,Damage…control…surgery 後 ,<br />

Resectional…debridementにより 救 命 しえたIIIb 型 肝 損 傷 の1 例 を 経 験<br />

したため, 文 献 的 考 察 を 踏 まえ 報 告 する.<br />

P12-4 IIIb 型 外 傷 性 肝 損 傷 における 難 治 性 胆 汁 漏 の 治 療 経 験 :<br />

内 視 鏡 的 胆 道 ステント 留 置 術 の 有 用 性<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科<br />

○… 渡 邊 淳 一 郎 , 土 屋 貴 男 , 見 城 明 , 穴 澤 貴 行 , 芳 賀 淳 一 郎 ,<br />

佐 藤 哲 , 佐 藤 直 哉 , 後 藤 満 一<br />

【はじめに】 外 傷 性 肝 損 傷 に 伴 う 胆 汁 漏 は、その 発 症 時 期 、 損 傷 の 部<br />

位 と 数 、 漏 出 に 伴 う 合 併 症 の 程 度 および 患 者 背 景 などを 考 慮 して、そ<br />

れぞれの 症 例 に 応 じた 適 切 な 治 療 選 択 が 求 められる。 今 回 我 々は、 胆<br />

道 損 傷 を 伴 うIIIb 型 外 傷 性 肝 損 傷 に 対 し、 肝 縫 合 術 による 止 血 の 後 に<br />

難 治 性 の 胆 汁 漏 を 認 めたものの、 複 数 回 の 内 視 鏡 的 胆 道 ステント 留 置<br />

術 により 保 存 的 に 治 癒 し 得 た 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】<br />

72 歳 、 男 性 。 自 家 用 車 運 転 中 に 衝 突 事 故 を 起 こし、 当 院 救 急 センター<br />

へ 搬 送 された。IIIb 型 ( 複 雑 深 在 性 損 傷 ) 外 傷 性 肝 損 傷 による 腹 腔 内 出<br />

血 を 認 めたが、 大 量 輸 液 により 血 圧 が 安 定 し、まず 緊 急 血 管 造 影 下 動<br />

脈 塞 栓 術 を 施 行 した。しかしその 後 も 腹 腔 内 血 腫 の 増 大 が 続 き、 腹 部<br />

コンパートメント 症 候 群 をきたしたため、 受 傷 3 日 目 に 緊 急 開 腹 術 を<br />

施 行 した。 開 腹 所 見 では、 肝 内 側 区 域 を 中 心 にIIIb 型 の 肝 損 傷 を 認 め、<br />

その 部 位 より 出 血 及 び 胆 汁 漏 を 認 めた。 肝 縫 合 術 により 止 血 は 得 られ<br />

たが、 胆 汁 漏 の 責 任 部 位 の 修 復 は 困 難 で、 全 身 状 態 も 考 慮 しC-チュー<br />

ブドレナージのみ 施 行 し 終 了 した。 術 後 1ヶ 月 にわたり 胆 汁 漏 が 持 続<br />

するため、 内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 道 造 影 および 内 視 鏡 的 胆 道 ステント 留 置<br />

術 を 施 行 。 複 数 回 のアプローチにて、 前 区 域 枝 、 後 区 域 枝 、 内 側 区 域<br />

枝 それぞれからの 胆 汁 漏 所 見 を 確 認 し、 最 終 的 に3 本 のチューブステ<br />

ントを 留 置 した。 留 置 後 約 2ヶ 月 で 胆 汁 漏 を 認 めなくなり 軽 快 退 院 した。<br />

その4ヶ 月 後 、および6ヶ 月 後 にそれぞれ 胆 汁 漏 を 再 発 したが、それら<br />

の 際 は 内 視 鏡 的 胆 道 ステント 留 置 術 により 比 較 的 短 期 間 で 軽 快 した。<br />

受 傷 後 10ヶ 月 後 以 降 は 胆 汁 漏 を 認 めず、 現 在 良 好 な 経 過 が 得 られてい<br />

る。【 結 語 】 外 傷 性 肝 損 傷 に 伴 う 胆 汁 漏 に 対 する 内 視 鏡 的 胆 道 ステン<br />

ト 留 置 術 は、 胆 道 造 影 により 損 傷 部 位 を 確 認 でき、 適 切 な 場 所 に 複 数<br />

回 にわたり 対 処 が 可 能 な 比 較 的 低 侵 襲 な 治 療 法 であり、 治 療 の 一 選 択<br />

肢 として 有 用 であると 考 えられた。<br />

P12-5 腹 壁 静 脈 結 紮 による 臍 静 脈 シャント 閉 鎖 術 が 有 効 で<br />

あった 肝 性 脳 症 の1 例<br />

1<br />

明 和 病 院 外 科 、 2 明 和 病 院 病 理 科<br />

○… 萩 原 清 貴 1<br />

, 飯 田 洋 也 1<br />

, 前 田 晃 宏 1<br />

, 友 松 宗 史 1<br />

,<br />

別 府 直 仁 1<br />

, 岡 本 亮 1<br />

, 吉 江 秀 範 1<br />

, 生 田 真 一 1<br />

, 岸 本 昌 浩 1<br />

,<br />

木 村 文 彦 1<br />

, 相 原 司 1<br />

, 柳 秀 憲 1<br />

, 光 信 正 夫 1<br />

, 覚 野 綾 子 2<br />

,<br />

山 中 若 樹<br />

1<br />

症 例 は79 歳 、 女 性 。NASHを 基 礎 疾 患 に 持 ち6 年 前 より 肝 細 胞 癌 の 再<br />

発 を 繰 り 返 し、これまでに 経 皮 的 ラジオ 焼 灼 術 を3 回 、TAEを2 回 施 行 。<br />

2011 年 4 月 から、 高 アンモニア 血 症 で 見 当 識 障 害 、 意 識 レベルの 低 下<br />

を 起 こし、アミノレバン 静 脈 注 射 などの 治 療 で 一 時 的 な 改 善 を 認 めて<br />

いたが、 入 退 院 を 繰 り 返 すようになり 日 常 生 活 が 困 難 となった。 腹<br />

部 造 影 CTで 門 脈 から 臍 静 脈 を 通 り 腹 壁 静 脈 に 至 る 拡 張 した 側 副 血 行<br />

路 を 認 め、 腹 壁 静 脈 から 大 腿 静 脈 へ 環 流 していた。 腹 腔 内 の 脾 静 脈 か<br />

ら 左 腎 静 脈 に 至 る 側 副 血 行 路 は 明 らかではなかった。 高 齢 であること<br />

と 全 身 状 態 が 不 良 であったことから 局 所 麻 酔 下 に 腹 壁 静 脈 の 結 紮 を 行<br />

うこととした。 術 前 のAST37U/l、ALT33U/l、 総 ビリルビン1.5mg/<br />

dl、アンモニア162μg/dlであった。 腹 部 USで 頭 側 に2 本 、 尾 側 に2 本<br />

の 腹 壁 静 脈 瘤 を 確 認 し、 頭 側 の2 本 は 臍 静 脈 からの 分 枝 直 後 で、 尾 側<br />

の2 本 は 分 枝 直 後 と 大 腿 静 脈 流 入 部 直 前 で 計 6 箇 所 を 結 紮 した。 術 中 に<br />

1 本 の 腹 壁 静 脈 から 門 脈 圧 を 測 定 しながら1 本 ずつ 結 紮 した。 術 中 門 脈<br />

圧 は29cmから30cmと1cmの 増 加 を 認 めた。アンモニアは 術 後 1 日 目<br />

144μg/dl、 術 後 2 日 目 は76μg/dl、 術 後 7 日 目 は70μg/dlと 著 明 な 低<br />

下 を 認 め、 腹 部 造 影 CT 検 査 で 腹 壁 静 脈 は 閉 塞 し、 大 腿 静 脈 への 環 流<br />

が 消 退 していることを 確 認 した。 腹 水 の 増 量 を 認 めたが、 脾 静 脈 から<br />

左 腎 静 脈 に 至 る 側 副 血 行 路 の 増 悪 や 肝 機 能 の 悪 化 は 認 めず、 現 在 まで<br />

肝 性 脳 症 の 症 状 認 めず 経 過 している。 臍 静 脈 から 腹 壁 静 脈 を 通 り 大 腿<br />

静 脈 に 環 流 する 側 副 血 行 路 を 閉 鎖 することにより 肝 性 脳 症 が 改 善 した<br />

1 例 を 経 験 した。 本 症 例 は 全 身 状 態 を 考 慮 し、 局 所 麻 酔 下 に 簡 便 に 行<br />

える 方 法 を 選 択 し 良 好 な 経 過 を 得 た。 本 邦 で 肝 性 脳 症 に 対 し 腹 壁 静 脈<br />

で 側 副 血 行 路 閉 鎖 を 行 った 報 告 は 少 なく、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて<br />

報 告 する。<br />

-332-


P12-6 プロテインS 欠 損 症 による 門 脈 血 栓 症 を 合 併 した 胆 石<br />

性 胆 嚢 炎 の 一 切 除 例<br />

市 立 豊 中 病 院 外 科<br />

○… 益 池 靖 典 , 野 田 剛 広 , 大 原 信 福 , 岡 本 光 平 , 波 多 豪 ,<br />

藤 野 志 季 , 北 原 知 洋 , 柳 川 雄 大 , 大 島 一 輝 , 永 井 健 一 ,<br />

三 宅 正 和 , 畑 泰 司 , 森 田 俊 治 , 川 西 賢 秀 , 藤 田 淳 也 ,<br />

岩 澤 卓 , 赤 木 謙 三 , 堂 野 恵 三 , 北 田 昌 之<br />

【はじめに】 門 脈 血 栓 症 の 原 因 としては 肝 硬 変 や 摘 脾 術 後 が 多 く、 膵<br />

癌 や 肝 細 胞 癌 などの 腫 瘍 に 伴 うものや 先 天 性 アンチトロンビン3 欠 乏<br />

症 やプロテインS 欠 損 症 などの 凝 固 異 常 により 生 じることが 挙 げられ<br />

る。 今 回 我 々はプロテインS 欠 損 症 による 門 脈 血 栓 症 を 合 併 した 胆 石<br />

性 胆 嚢 炎 の 一 切 除 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 す<br />

る。<br />

【 症 例 】78 歳 女 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し、 総 胆 管 結 石 ・ 胆<br />

嚢 炎 と 診 断 され、 加 療 目 的 に 当 院 内 科 に 転 院 となった。 来 院 時 の 造 影<br />

CTで 胆 嚢 内 に20mm 大 の 結 石 および 浮 腫 性 壁 肥 厚 を 認 め、また 下 部<br />

胆 管 に 小 結 石 を 認 めた。さらに 臍 静 脈 索 から 門 脈 左 枝 分 岐 部 に 及 ぶ 造<br />

影 欠 損 がみられた。 以 上 より 急 性 胆 石 性 胆 嚢 炎 ・ 総 胆 管 結 石 ・ 門 脈 血<br />

栓 症 と 診 断 した。 肝 左 葉 は 早 期 相 で 濃 染 され、 門 脈 左 枝 閉 塞 により 代<br />

償 性 に 動 脈 優 位 の 血 流 分 布 になっているものと 思 われた。 胆 嚢 炎 に 対<br />

しては 抗 生 剤 による 保 存 的 治 療 を 開 始 し、 軽 快 した。 第 7 病 日 に 総 胆<br />

管 結 石 に 対 してERCP・ESTを 施 行 し、 除 石 を 行 った。 門 脈 血 栓 症 に<br />

ついては 第 13 病 日 にワルファリンを2mgより 投 与 開 始 し、 処 方 を 継 続<br />

して 退 院 とした。 外 来 で 経 過 観 察 し、 治 療 開 始 後 40 日 目 の 造 影 CTで<br />

門 脈 血 栓 の 消 失 を 認 めた。 血 液 検 査 結 果 ではAT3、プロテインC 活 性<br />

は 正 常 であり、ループスアンチコアグラントおよび 抗 カルジオリピン<br />

抗 体 陰 性 であったが、プロテインS 活 性 が43%( 正 常 60~127%)と 軽 度<br />

低 下 を 認 めた。 以 上 よりプロテインS 欠 損 症 による 門 脈 血 栓 症 と 診 断<br />

し、 手 術 1 週 間 前 よりワルファリン 休 薬 ・ヘパリン15000 単 位 / 日 投 与<br />

を 行 い、 手 術 6 時 間 前 にヘパリン 投 与 を 中 止 して 残 存 する 胆 嚢 結 石 に<br />

対 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 問 題 なく、 術 後 4 日<br />

目 に 退 院 となった。 術 後 2 日 目 よりワルファリンを 継 続 して 内 服 し、<br />

術 後 3ヶ 月 の 時 点 でCT 上 、 門 脈 血 栓 症 の 再 発 なく 経 過 している。<br />

【 結 語 】プロテインS 欠 損 症 による 門 脈 血 栓 症 を 合 併 した 胆 石 性 胆 嚢<br />

炎 の 一 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 した。 術 前 に 認 めた 門 脈 血 栓 症 に 対<br />

して 抗 凝 固 療 法 を 行 う 事 で 血 栓 を 消 失 させ、 安 全 に 手 術 を 施 行 する 事<br />

ができた。<br />

P12-7 特 発 性 門 脈 圧 亢 進 症 に 対 する 脾 摘 の 効 果<br />

1<br />

久 留 米 大 学 外 科 、 2 久 留 米 大 学 病 院 病 理 部<br />

○… 平 川 雄 介 1<br />

, 緒 方 俊 郎 1<br />

, 野 村 頼 子 1<br />

, 奥 田 康 司 1<br />

,<br />

酒 井 久 宗 1<br />

, 安 永 昌 史 1<br />

, 堀 内 彦 之 1<br />

, 木 下 壽 文 1<br />

,<br />

白 水 和 雄 1 2<br />

, 鹿 毛 政 義<br />

【 背 景 及 び 目 的 】 特 発 性 門 脈 圧 亢 進 症 (IPH)は 比 較 的 稀 な 疾 患 で,… そ<br />

の 病 態 は 未 だに 不 明 である。 診 断 は 容 易 でなく 確 定 診 断 は 肝 生 検 とさ<br />

れている。 当 科 にて 肝 生 検 にてIPHと 診 断 された 症 例 の 臨 床 背 景 及 び<br />

IPHに 対 する 脾 摘 の 効 果 をretrospectiveに 検 討 する。【 対 象 及 び 方 法 】<br />

1999-2011 年 に 当 科 にて 門 脈 圧 亢 進 症 に 対 して 脾 摘 を 施 行 した193 例 中 ,…<br />

肝 生 検 にてIPHと 診 断 された4 例 。 平 均 年 齢 40 歳 ,… 男 性 / 女 性 :…2/2 例 ,…<br />

平 均 WBC…2602…/μl,…Hb…10.2…g/dl,… 血 小 板 数 Plt:…5.5/μl,…Child 分 類 …<br />

(A/B/C:…3/1/0),… 全 例 胃 食 道 静 脈 瘤 合 併 ,… 脾 摘 の 適 応 は,… 難 治 性 胃 食<br />

道 静 脈 瘤 :1 例 ,… 汎 血 球 減 少 :2 例 ,… 門 脈 圧 亢 進 症 :1 例 。 脾 摘 前 後 の 門<br />

脈 圧 亢 進 症 の 変 化 をCT 画 像 による 側 腹 血 行 路 ,… 及 び 上 部 消 化 管 内 視 鏡<br />

検 査 による 胃 食 道 静 脈 瘤 の 変 化 で 評 価 し,… 脾 摘 後 の 血 液 生 化 学 検 査 の<br />

変 化 を 検 討 した。 平 均 観 察 期 間 659 日 。【 結 果 】 脾 重 量 …1057±390g,… 胃<br />

食 道 静 脈 瘤 は 術 後 F 因 子 改 善 1 例 ,…RC…sign 陰 性 化 …1 例 , 術 後 胃 食 道 静 脈<br />

瘤 の 再 発 は 認 めなかった。 側 腹 血 行 路 は 左 胃 静 脈 シャント:2 例 、 脾<br />

腎 シャント:…2 例 で,…1 例 は 脾 摘 時 にシャント 結 紮 ,…その 他 の3 例 はシャ<br />

ント 径 が 縮 小 し,… 術 前 高 アンモニア 血 症 を 認 めた 症 例 は 改 善 した。 脾<br />

摘 後 血 液 検 査 (Pre/… 術 後 1M/…1Y)は 血 小 板 数 :5.6→23.8→14.2 万 、<br />

WBC:… 2350→3525→4666/ul,… Hb:… 9.9→11.0→11.0… g/dl,… TBil:…<br />

1.3→0.6→0.9mg/dl,… Alb:… 3.5→3.5→3.4g/dl,… PT:… 59→62→70 %、<br />

WBC,…PLT,…TBil,…PTは 術 後 1 年 ま で 改 善 し た。 術 後 PA-IgG… は<br />

584→160ng/107に 著 名 に 低 下 した。 術 前 に 見 られた 易 感 染 性 ( 腸 炎 ,…<br />

真 菌 感 染 ),… 易 出 血 ,… 貧 血 は 脾 摘 後 改 善 した。1 例 は 術 後 2 年 以 降 ,… 肝 機<br />

能 低 下 を 認 めた。【 結 語 】IPHに 対 する 脾 摘 は 胃 食 道 静 脈 瘤 ,… 汎 血 球 減<br />

少 などの 門 脈 圧 亢 進 症 状 を 改 善 した。 肝 機 能 は 術 後 短 期 間 は 改 善 した<br />

が 長 期 間 は 持 続 しなかった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P12-8 当 科 で 経 験 した 肝 内 門 脈 大 循 環 短 絡 の2 例<br />

横 浜 掖 済 会 病 院 外 科<br />

○… 中 山 岳 龍 , 森 岡 大 介 , 高 倉 秀 樹 , 三 浦 靖 彦 ,<br />

渡 會 伸 治<br />

( 背 景 ) 先 天 性 門 脈 大 循 環 短 絡 は 非 常 に 稀 で 近 年 画 像 診 断 の 発 達 によっ<br />

て 診 断 頻 度 は 増 加 傾 向 にある。しかしながら 稀 であるためその 治 療 方<br />

針 のgeneral…consensusはまだ 確 立 されていない。( 目 的 ) 当 科 で 経 験 し<br />

た 肝 内 門 脈 大 循 環 短 絡 の2 例 を 報 告 する。( 症 例 報 告 ) 症 例 1…68 歳 女 性 。<br />

特 記 すべき 既 往 歴 はない。 数 か 月 前 からの 全 身 倦 怠 感 及 び 健 康 診 断 で<br />

のCEA 上 昇 から 当 科 に 紹 介 受 診 された。 全 身 精 査 の 結 果 悪 性 疾 患 は<br />

診 断 されなかったが、 腹 部 造 影 CTで 左 門 脈 ( 主 にP3)から 左 肝 静 脈 へ<br />

交 通 する 径 1cmを 超 える 門 脈 大 循 環 短 絡 を 認 めた。 空 腹 時 血 清 NH3の<br />

上 昇 及 びグルタミン 負 荷 試 験 での 血 清 NH3の 異 常 上 昇 を 認 めたため、<br />

外 科 的 短 絡 路 閉 鎖 を 勧 めたがご 本 人 が 希 望 されず 経 過 観 察 となった。<br />

症 例 2…86 歳 女 性 。 近 医 で 糖 尿 病 、 高 血 圧 で 通 院 中 に 貧 血 の 精 査 から 胃<br />

癌 と 診 断 され 当 院 に 紹 介 された。 腹 部 造 影 CTでP4 及 びP5から 中 肝 静<br />

脈 に 交 通 する 血 管 腫 様 の 門 脈 大 循 環 短 絡 を 認 めた。 空 腹 時 及 びグルタ<br />

ミン 負 荷 試 験 でもNH3の 上 昇 を 認 めなかったため 胃 癌 の 手 術 を 行 い<br />

門 脈 大 循 環 短 絡 は 放 置 した。( 結 果 ) 症 例 1は 度 々 肝 性 脳 症 と 思 われる 症<br />

状 を 認 めるが、 症 例 2では 特 に 症 状 を 認 めていない( 考 察 )グルタミン<br />

負 荷 試 験 で 血 清 NH3の 異 常 上 昇 を 認 める 門 脈 大 循 環 短 絡 は 閉 鎖 する<br />

必 要 がある 可 能 性 が 示 唆 された。( 結 語 ) 当 科 で 経 験 した 肝 内 門 脈 大 循<br />

環 短 絡 の2 例 を 報 告 した。 症 例 1に 関 しては 短 絡 路 閉 鎖 を 考 慮 しながら<br />

経 過 観 察 していく 方 針 である。<br />

P13-1 StageII 胆 管 癌 への 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 意 義<br />

1<br />

東 北 大 学 大 学 院 統 合 癌 治 療 外 科 ( 東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外<br />

科 )、 2 東 北 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 ( 東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外<br />

科 )<br />

○… 中 川 圭 1<br />

, 片 寄 友 1<br />

, 伊 関 雅 裕 2<br />

, 土 師 陽 一 2<br />

, 嶋 健 太 郎 2<br />

,<br />

石 田 晶 玄 2<br />

, 深 瀬 耕 二 2<br />

, 大 塚 英 郎 2<br />

, 乙 供 茂 2<br />

, 坂 田 直 昭 2<br />

,<br />

水 間 正 道 2<br />

, 岡 田 岡 田 2<br />

, 林 洋 毅 2<br />

, 森 川 孝 則 2<br />

, 小 野 川 徹 2<br />

,<br />

吉 田 寛 2<br />

, 元 井 冬 彦 2<br />

, 力 山 敏 樹 2<br />

, 江 川 江 川 2<br />

,<br />

2<br />

海 野 倫 明<br />

【 目 的 】 当 科 では 現 在 、 術 前 診 断 がStage…III・IVの 症 例 を 対 象 に、 胆<br />

管 癌 の 局 所 進 行 制 御 を 目 的 としてGemcitabineを 用 いた 術 前 化 学 放 射<br />

学 療 法 の 臨 床 試 験 を 施 行 している。これまでの 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の<br />

経 験 と 当 科 における 胆 管 癌 切 除 例 から、sStage…II 胆 管 癌 の 術 前 療 法 の<br />

意 義 と 可 能 性 について 検 討 した。<br />

【 方 法 ・ 結 果 】2000 年 から2010 年 までに 当 科 で 切 除 を 施 行 し 予 後 を 確<br />

認 し 得 た 胆 管 癌 は280 例 であるが、そのうち 手 術 時 肉 眼 所 見 による 手<br />

術 的 進 行 度 がsStage…IIであったものは43 例 であった。これらは 病 理 診<br />

断 でpStage…I…4 例 (9%),…II…21 例 (49%),…III…13 例 (30%),…IVa…5 例 (12%)で<br />

あった。T 因 子 としてpHinf1b…7 例 ,…pHinf2…1 例 ,…pPanc2…2 例 ,…pPanc1b…<br />

8 例 …と 進 行 例 が 含 まれており、sStageII 症 例 の4 割 は 局 所 進 展 の 評 価 が<br />

困 難 であった。さらに、 手 術 因 子 ではHM 陽 性 (HM1,2)…4 例 DU 陽 性 …4<br />

例 に 対 し、EM 陽 性 は11 例 と 剥 離 面 の 癌 陰 性 化 を 得 られなかった 症 例<br />

が 多 く、sStage…II 症 例 の 組 織 学 的 根 治 度 Aは25 例 (83%)に 留 まってい<br />

る。これに 対 し、 同 時 期 に 術 前 にcStage…IIと 診 断 され、Pilot…studyや<br />

臨 床 試 験 で 術 前 化 学 放 射 線 療 法 を 施 行 した5 例 はいずれもHM0,…DM0,…<br />

EM0,… 組 織 学 的 根 治 度 Aを 得 ている。 術 前 の 化 学 放 射 線 療 法 により、<br />

癌 先 進 部 が 制 御 されることは 病 理 組 織 でも 把 握 しており、こうした 効<br />

果 が 手 術 因 子 に 反 映 されたものと 判 断 する。<br />

【 考 察 】 胆 管 癌 の 術 前 診 断 は 減 黄 前 の 精 査 が 困 難 な 例 をはじめ、<br />

MDCT(Multi… Detector-row… Computed… Tomography) やPOCS<br />

(peroreal…cholangioscopy)を 駆 使 しても 腫 瘍 の 局 在 ・ 進 展 を 正 確 に 診<br />

断 する 事 は 困 難 である。 根 治 度 Aを 期 待 できるcStage…IIの 胆 管 癌 にお<br />

いて、 我 々が 局 所 制 御 を 目 的 に 進 めている 術 前 化 学 放 射 線 療 法 が 有 益<br />

である 事 が 示 唆 される。<br />

-333-


P13-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 ったStageIII/IV 中 下 部 胆 管 癌<br />

における 補 助 化 学 療 法 の 意 義<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 豊 川 秀 吉 , 里 井 壮 平 , 柳 本 泰 明 , 山 本 智 久 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 松 井 陽 一 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)を 施 行 したStage…III/IV 中 下 部 胆 管<br />

癌 切 除 症 例 における 術 後 補 助 化 学 療 法 の 意 義 について 検 討 すること。<br />

【 対 象 と 方 法 】1993-2010 年 11 月 まで 当 科 でPDを 施 行 したStage…III/<br />

IV( 日 本 癌 取 り 扱 い 規 約 ) 中 下 部 胆 管 癌 切 除 症 例 40 名 ( 年 齢 64.5 歳 (46-<br />

80)、 男 : 女 26:14、f…Stage…III:IVa:IVb…19:17:4)を 対 象 とし 術<br />

後 補 助 化 学 療 法 の 効 果 を 検 討 した。 補 助 化 学 療 法 の 適 応 は 原 則 として、<br />

膵 浸 潤 を 伴 う 症 例 もしくはリンパ 節 転 移 を 有 する 症 例 とした。【 結 果 】<br />

全 合 併 症 率 は70%であり 在 院 死 は 認 めずCur…A:B:C… はそれぞれ<br />

50:10:40%であった。 術 後 在 院 日 数 中 央 値 は27.5(10-109) 日 であった。<br />

補 助 化 学 療 法 未 施 行 例 (26 例 、fStage…III:IVa:IVb…13:12:1)では<br />

術 後 補 助 化 学 療 法 施 行 例 (n=14、fStage…III:IVa:IVb…6:5:3)に 比<br />

べて 基 礎 疾 患 を 有 する 割 合 が 高 かったが(p20mm,…em(+)であり、 多 変 量 解<br />

析 では 補 助 化 学 療 法 無 と 腫 瘍 径 >20mmが 有 意 な 因 子 であった(p<<br />

0.05)。【 結 語 】Stage…III/IV 中 下 部 胆 管 癌 に 対 する 術 後 補 助 化 学 療 法<br />

は 有 用 であると 示 唆 された。<br />

P13-3 ヒト 由 来 胆 道 癌 細 胞 を 用 いたphotodynamictherapy<br />

と 抗 癌 剤 の 併 用 効 果 の 検 討<br />

長 崎 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科<br />

○… 野 中 良 和 , 七 島 篤 志 , 阿 保 貴 章 , 野 中 隆 , 富 永 哲 郎 ,<br />

若 田 幸 樹 , 濱 崎 景 子 , 澤 井 照 光 , 永 安 武<br />

【 背 景 】 進 行 胆 管 癌 に 対 する 化 学 療 法 は 新 規 抗 癌 剤 の 登 場 によりその<br />

有 用 性 が 報 告 されており、 放 射 線 療 法 などの 局 所 治 療 を 組 み 合 わせた<br />

集 学 的 治 療 戦 略 が 望 まれている。また、 手 術 症 例 においても 断 端 陽 性<br />

症 例 においては 再 発 の 危 険 性 が 極 めて 高 い 部 位 が 明 らかなことより、<br />

局 所 に 対 する 再 発 防 止 の 治 療 方 法 が 望 まれる。 我 々はphotodynamic…<br />

therapy(PDT)を、 切 除 不 能 胆 道 癌 または 術 後 遺 残 症 例 に 対 する 局 所<br />

制 御 に 有 望 な 治 療 法 と 考 えており、さらには 抗 癌 剤 との 併 用 効 果 につ<br />

いても 期 待 している。 我 々は 新 規 光 感 受 性 薬 剤 Talaporfin…Na(レザ<br />

フィリン)に 着 目 し、 胆 管 癌 局 所 治 療 におけるPDTの 臨 床 応 用 へ 向 け<br />

た 基 礎 的 研 究 を 行 ってきた。 今 回 我 々は 胆 管 癌 細 胞 株 を 用 いて、レザ<br />

フィリン-PDTと 各 種 抗 癌 剤 との 併 用 効 果 の 検 討 をin…vitro 及 びin…vivo<br />

にて 行 った。【 方 法 】モデル1(in…vitro):ヒト 由 来 胆 道 癌 細 胞 (NOZ)<br />

を 培 養 し、 胆 道 癌 に 用 い ら れ る 各 種 抗 癌 剤<br />

(gemcitabine,CDDP,oxaliplatin,5-FU)を24 時 間 接 触 さ せ た 後 、 レ ザ<br />

フ ィ リ ン-PDTを 施 行 し た。PDT 後 24 時 間 の 細 胞 viavilityをMTS…<br />

assayにて 解 析 した。モデル2(In…vivo):ヒト 由 来 胆 道 癌 細 胞 (NOZ)を<br />

ヌードマウス(BALB,c,nu/nu,4W,male)の 背 部 に 皮 下 移 植 し,… 腫 瘍 径 が<br />

7mm 大 の 胆 道 癌 皮 下 移 植 モデルを 作 成 した。 抗 癌 剤 を 腹 腔 内 投 与 し<br />

た 後 レザフィリン-PDTを 施 行 し、72 時 間 後 にマウスをsacrificeし、<br />

腫 瘍 組 織 標 本 の 解 析 をHE 染 色 及 び 各 種 免 疫 染 色 にて 行 った。【 結 果 】<br />

in…vitroにおいては、PDT 単 独 モデルに 比 べ、 各 種 抗 癌 剤 ともにPDT<br />

との 相 乗 効 果 を 認 めたが、 抗 癌 剤 2 剤 併 用 下 ではgemcitabine+<br />

oxaliplatinとの 組 み 合 わせが、 他 の 併 用 と 比 較 し 有 意 に 高 い 殺 細 胞 効<br />

果 における 相 乗 効 果 を 認 めた。in…vivoに お い て は、PDTと<br />

gemcitabine+oxaliplatin 併 用 群 で、 高 いapoptosis 誘 導 効 果 と 増 殖 抑<br />

制 効 果 、 周 囲 血 管 障 害 効 果 が 得 られた。【 結 語 】 胆 道 癌 に 対 する 局 所<br />

治 療 において、レザフィリン-PDTとgemcitabine+oxaliplatinとの 併<br />

用 療 法 は 有 効 なmodalityであり、 今 後 の 臨 床 への 応 用 に 有 用 と 思 われ<br />

た。<br />

P13-4 進 行 胆 管 癌 のhENT1 発 現 とgemcitabineを 用 いた 術<br />

後 補 助 化 学 療 法 による 治 療 効 果 の 相 関 についての 検 討<br />

広 島 大 学 大 学 院 病 態 制 御 医 科 学 講 座 外 科 学<br />

○… 小 林 弘 典 , 村 上 義 昭 , 上 村 健 一 郎 , 首 藤 毅 , 橋 本 泰 司 ,<br />

中 島 亨 , 近 藤 成 , 坂 部 龍 太 郎 , 中 川 直 哉<br />

【 目 的 】 進 行 胆 管 癌 におけるhuman…equilibrative…nucleoside…<br />

transporter…1(hENT1) 発 現 によりgemcitabine(GEM)を 用 いた 術 後<br />

補 助 化 学 療 法 の 抗 腫 瘍 効 果 が 予 測 可 能 かどうかを 後 ろ 向 きに 検 討 した。<br />

【 対 象 】1989 年 から2010 年 まで 当 科 において 手 術 を 施 行 したUICC…<br />

StageII 以 上 の 肝 内 および 肝 外 進 行 胆 管 癌 症 例 105 例 を 対 象 とした。 術<br />

後 補 助 化 学 療 法 としてGEMとS-1の 併 用 療 法 を 施 行 した 症 例 は51 例<br />

で、GEMを700mg/m …2… でday1に 投 与 、S-1を50mg/m …2… でday1-7に 連<br />

続 投 与 しday8-14は 休 薬 で1サイクルとし10サイクル 行 った。 術 後 補<br />

助 化 学 療 法 非 施 行 例 は54 例 であった。【 方 法 】 術 後 パラフィン 切 片 を<br />

用 いhENT1の 免 疫 組 織 染 色 を 行 い 癌 組 織 での 発 現 をGrade0,1,2,3の4<br />

段 階 に 分 けGrade2,3の 癌 細 胞 が50% 以 上 でhENT1 高 発 現 とし、50%<br />

未 満 を 低 発 現 とした。hENT1 発 現 と 臨 床 病 理 学 的 因 子 との 関 係 を 検<br />

討 し、 生 存 率 をKaplan-Meier 法 を 用 いLogrank 検 定 を 行 った。【 結 果 】<br />

hENT1 高 発 現 は74 例 (70%)で 低 発 現 は31 例 (30%)であった。 高 発 現<br />

群 と 低 発 現 群 の 間 に 臨 床 病 理 学 的 因 子 の 差 は 認 めなかった。GEM 投<br />

与 51 例 のうちhENT1 高 発 現 群 は 低 発 現 群 に 比 べ 有 意 に 生 存 率 が 良 好<br />

であった(p=0.008)がGEM 非 投 与 54 例 では 生 存 率 に 差 を 認 めなかっ<br />

た(p=0.894)。【 結 語 】 進 行 胆 管 癌 における 腫 瘍 内 hENT1 発 現 はGEM<br />

を 用 いた 術 後 補 助 化 学 療 法 の 予 後 予 測 に 有 用 である 可 能 性 があると 考<br />

えられた。<br />

P13-5 切 除 断 端 陽 性 胆 管 癌 に 対 する 術 後 放 射 線 治 療 の 有 用 性<br />

聖 隷 三 方 原 病 院 外 科<br />

○… 松 田 武 , 藤 田 博 文 , 木 村 泰 生 , 浅 野 栄 介 , 荻 野 和 功<br />

【 目 的 】 胆 管 癌 手 術 において 切 除 断 端 陽 性 は 重 要 な 予 後 因 子 であるこ<br />

とが 知 られているが、 切 除 断 端 陽 性 例 に 対 する 放 射 線 治 療 の 有 用 性 に<br />

ついては 未 だ 一 定 の 見 解 はない。 当 院 では1990 年 代 より 肝 外 胆 管 癌 に<br />

おける 切 除 断 端 陽 性 例 に 対 して 積 極 的 に 放 射 線 治 療 を 行 ってきた。 今<br />

回 それらの 成 績 について 報 告 する。【 対 象 ・ 方 法 】2000 年 1 月 から2010<br />

年 3 月 までに 当 院 で 施 行 した 肝 外 胆 管 癌 手 術 症 例 56 例 のうち、 切 除 断<br />

端 陽 性 で 術 後 放 射 線 療 法 を 施 行 した11 例 ( 照 射 群 )と、 切 除 断 端 陰 性 で<br />

術 後 放 射 線 治 療 を 施 行 しなかった28 例 ( 非 照 射 群 )の 長 期 成 績 を 比 較 し<br />

た。 切 除 断 端 陽 性 であったが 放 射 線 治 療 を 施 行 しなかった4 例 、 切 除<br />

断 端 陰 性 であったが 放 射 線 治 療 を 施 行 した2 例 、 在 院 死 3 例 は 今 回 の 検<br />

討 から 除 外 した。【 結 果 】 患 者 背 景 の 比 較 では、 年 齢 、 性 別 、 腫 瘍 占<br />

拠 部 位 、 術 式 、 化 学 療 法 の 有 無 等 においては、 両 群 間 で 有 意 な 差 は 認<br />

めなかった。しかし、 病 期 (Stage)は 照 射 群 において 有 意 に 進 行 して<br />

いた。また、 非 照 射 群 では28 例 中 CurA…14 例 、CurB…14 例 、CurC…0 例<br />

であったのに 対 し、 照 射 群 では 全 例 CurCであった。しかし、 生 存 期<br />

間 中 央 値 は 照 射 群 で3.6 年 、 非 照 射 群 で3.2 年 と 全 生 存 率 に 有 意 差 を 認<br />

めなかった(P…=…0.783)。 無 再 発 生 存 期 間 中 央 値 は 照 射 群 で1.2 年 、 非<br />

照 射 群 で5.9 年 であり、 両 群 間 に 有 意 差 を 認 めなかった(P…=…0.400)。<br />

再 発 は 照 射 群 では11 例 中 7 例 (63.6%)、 非 照 射 群 では28 例 中 18 例 (64.3%)<br />

に 認 めたが、そのうち 局 所 再 発 は 照 射 群 で2 例 、 非 照 射 群 で3 例 のみで<br />

あった。 放 射 線 治 療 の 副 作 用 としては、1 例 にGrade…2の 十 二 指 腸 潰 瘍 、<br />

3 例 にGrade…2の 悪 心 を 認 めたのみであった。【 結 論 】 切 除 断 端 陽 性 胆<br />

管 癌 に 対 する 術 後 放 射 線 治 療 は 良 好 な 局 所 制 御 により 予 後 を 改 善 する<br />

可 能 性 が 示 唆 された。<br />

-334-


P13-6 進 行 再 発 胆 道 癌 gemcitabine 治 療 症 例 における<br />

hENT1 発 現 の 検 討<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 腫 瘍 外 科<br />

○… 村 田 哲 洋 , 天 野 良 亮 , 木 村 健 二 郎 , 山 田 靖 哉 , 永 原 央 ,<br />

大 平 雅 一 , 石 川 哲 郎 , 平 川 弘 聖<br />

【 背 景 】 胆 道 癌 は 外 科 的 切 除 が 唯 一 の 根 治 的 治 療 とされているが、 切<br />

除 不 能 進 行 癌 や 切 除 後 の 再 発 例 に 対 しては 化 学 療 法 が 中 心 となり、 胆<br />

道 癌 診 療 ガイドラインでは、 切 除 不 能 進 行 癌 に 対 する 化 学 療 法 として<br />

gemcitabine(GEM)またはTS-1が 推 奨 されている。しかし、その 治 療<br />

成 績 は 未 だ 満 足 できるものではなく、 抗 癌 剤 治 療 の 有 効 性 を 探 ること<br />

が 重 要 課 題 の 一 つであると 考 える。GEMの 効 果 予 測 因 子 については<br />

膵 臓 癌 を 含 めた 他 癌 腫 においていくつかの 報 告 がみられる。 今 回 我 々<br />

はGEMの 細 胞 内 輸 送 蛋 白 であるhuman…equilibrative…nucleoside…<br />

transporter…1…(hENT1)に 着 目 し、 胆 道 癌 におけるhENT1の 発 現 と<br />

GEMの 効 果 との 関 係 について 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】1996 年 5<br />

月 から2011 年 1 月 まで 当 科 にて 加 療 した 進 行 再 発 胆 道 癌 112 例 のうち、<br />

GEM 治 療 を 行 い 永 久 組 織 標 本 がある28 例 を 対 象 とした。 組 織 におけ<br />

るhENT1 発 現 と 予 後 との 関 連 をretrospectiveに 免 疫 組 織 学 的 検 討 を<br />

行 った。【 結 果 】GEM 治 療 を 行 った 進 行 再 発 胆 道 癌 28 例 ( 肝 外 胆 管 癌<br />

18 例 、 胆 嚢 癌 7 例 、 乳 頭 部 癌 3 例 )の 平 均 年 齢 は66.8 歳 、 男 性 17 例 、 女<br />

性 11 例 であった。28 例 中 、hENT1 陽 性 群 は18 例 (64.3%)であった。 生<br />

存 期 間 ではhENT1 陽 性 群 のMSTは11.4ヵ 月 で、 陰 性 群 の4.2ヶ 月 に 比<br />

べ 有 意 に 延 長 していた(p=0.0029)。また、hENT1 陽 性 群 の 無 増 悪 進<br />

行 生 存 期 間 の 中 央 値 は7.7カ 月 で、 陰 性 群 の2.5ヶ 月 に 比 べ 有 意 に 延 長<br />

していた(p=0.0001)。2 群 間 において 臨 床 病 理 学 的 背 景 因 子 に 有 意 差<br />

は 無 く、 生 存 期 間 の 単 変 量 解 析 ではhENT1 発 現 のみが 有 意 差 を 示 し<br />

た 予 後 規 定 因 子 であった。【 結 語 】 進 行 再 発 胆 道 癌 症 例 における<br />

hENT1 高 発 現 は、GEM 治 療 の 効 果 予 測 因 子 として 有 用 であることが<br />

示 唆 された。<br />

P14-1 進 行 胆 嚢 癌 の 浸 潤 先 端 部 におけるチオレドキシン 核 発<br />

現 と 予 後 の 検 討<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学<br />

○… 永 野 元 章 , 甲 斐 真 弘 , 矢 野 公 一 , 今 村 直 哉 , 旭 吉 雅 秀 ,<br />

大 内 田 次 郎 , 大 谷 和 広 , 藤 井 義 郎 , 近 藤 千 博 ,<br />

千 々 岩 一 男<br />

【 目 的 】チオレドキシン…(TRX)…はチオレドキシン 還 元 酵 素 …(TRX-R)…<br />

で 還 元 され, 生 体 内 のレドックス 制 御 を 行 う 蛋 白 質 である.アポトー<br />

シス 抑 制 , 転 写 因 子 の 活 性 化 制 御 や 発 癌 との 関 連 性 も 示 唆 されている.<br />

今 回 , 胆 嚢 癌 におけるTRX 発 現 を 免 疫 組 織 化 学 的 に 検 索 し,その 予<br />

後 因 子 としての 意 義 を 検 討 した.【 対 象 と 方 法 】 当 科 において1990 年<br />

から2006 年 5 月 までに 経 験 した 深 達 度 ss 以 上 の 切 除 進 行 胆 嚢 癌 38 症 例<br />

を 対 象 にTRXとTRX-Rを 免 疫 組 織 化 学 的 に 検 索 し,その 発 現 形 式 や<br />

臨 床 病 理 学 的 因 子 と2011 年 3 月 時 点 での 予 後 について 検 討 した.【 結 果 】<br />

切 除 進 行 胆 嚢 癌 38 例 の 病 理 学 的 因 子 は,1) 胆 嚢 周 囲 進 展 度 (T):T2;<br />

17 例 ,T3;3 例 ,T4;18 例 ,2) 組 織 型 :pap;8 例 ,tub1;7 例 ,<br />

tub2;14 例 ,tub3;6 例 ,その 他 3 例 ,3)stage:II;11 例 ,III;7 例 ,<br />

IVa;8 例 ,IVb;12 例 であった. 全 症 例 において 腫 瘍 細 胞 の 細 胞 質 に<br />

TRXは 発 現 し, 内 29 例 (76%)で 核 にも 発 現 を 認 めた。 核 にTRX 発 現<br />

を 認 めた29 例 のうち13 例 では 腫 瘍 の 浸 潤 先 端 部 においても 核 発 現 を 認<br />

めた.TRX-Rは36 例 で 細 胞 質 のみに 発 現 し 腫 瘍 細 胞 の 核 発 現 は 認 め<br />

なかった。 浸 潤 先 端 部 の 細 胞 質 にTRX-Rの 発 現 を28 例 に 認 めた.TRX<br />

核 発 現 群 において, 浸 潤 先 端 部 での 発 現 群 はそれ 以 外 の 群 と 比 較 して<br />

有 意 に 予 後 不 良 であった(ppN 群 で 予 後 が 良 好 にみえるが, 転 移 陽 性 例 で<br />

は 郭 清 度 合 いに 差 はなかった. 再 発 は19 例 にみられた. 初 回 再 発 部 位<br />

は, 重 複 含 めて, 腹 膜 が7 例 , 肝 臓 が6 例 ,リンパ 節 が5 例 , 局 所 4 例 ,<br />

骨 2 例 であった. 肝 再 発 および 局 所 再 発 は 肝 内 直 接 浸 潤 の 程 度 (pHinf)<br />

とは 相 関 しておらず, 肝 再 発 もすべて 両 葉 多 発 再 発 であった.リンパ<br />

節 再 発 例 もリンパ 節 転 移 がひどい 症 例 ばかりではなかった. 多 変 量 解<br />

析 では, 根 治 度 とpnのみが 独 立 した 予 後 規 定 因 子 であった.pnは 術 前 ,<br />

術 中 にはわからないため, 結 局 根 治 度 A,Bを 目 指 した 手 術 を 行 うこと<br />

のみが 予 後 の 改 善 につながると 思 われた.<br />

-335-


P14-4 pT2 胆 嚢 癌 のリンパ 節 転 移 と 郭 清 に 関 する 考 察<br />

熊 本 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 横 溝 博 , 山 永 成 美 , 木 村 有<br />

【 目 的 と 方 法 】 当 院 にて 根 治 手 術 を 行 ったpT2 胆 嚢 癌 118 例 のリンパ<br />

節 転 移 とその 臨 床 的 意 義 について 考 察 し, 胆 嚢 癌 根 治 手 術 におけるリ<br />

ンパ 節 郭 清 の 効 果 を 検 証 する.【 結 果 】(1)pT2 胆 嚢 癌 118 例 全 体 の5 年<br />

生 存 率 は78%,pN0は86 例 で5 年 生 存 率 は85%,pN1は11 例 で5 年 生 存<br />

率 は71%,pN2は16 例 で5 年 生 存 率 は42%であった.(2)pT2 胆 嚢 癌 にお<br />

いて,5 年 生 存 率 に 最 も 差 の 出 るリンパ 節 転 移 個 数 のカットオフ 値 は2<br />

個 であった.すなわち,リンパ 節 転 移 が 無 いか,あっても2 個 までの<br />

サブグループは107 例 で5 年 生 存 率 は83%でああるのに 対 し,3 個 以 上<br />

のリンパ 節 転 移 を 有 するサブグループは10 例 で5 年 生 存 率 は30%と 不<br />

良 だった(P=0.00000066). (3) 郭 清 されたリンパ 節 の 個 数 は,D0/<br />

D1では 中 央 値 が2 個 であるのに 対 し,D2では 中 央 値 が8 個 であった.<br />

pT2 胆 嚢 癌 において 郭 清 リンパ 節 の 個 数 はカットオフ 値 をいくつに 設<br />

定 しても 生 存 率 の 有 意 差 は 出 なかった.(4)pT1からpT4のいずれにお<br />

いてもリンパ 節 郭 清 度 の 違 い(D0/D1…vs…D2)により 生 存 率 の 有 意 差 は<br />

見 いだせなかったが,pT2ではD2 群 において 生 存 率 が 高 い 傾 向 が 見<br />

られた( 症 例 数 /5 生 率 ;…D2:…91/81%,D0/D1:…27/65%,P=0.054).(5)<br />

さらにpT2において 症 例 をリンパ 節 転 移 の 有 無 により 層 別 化 すると,<br />

pN0のサブグループにおいてD2 群 の 生 存 率 が 有 意 に 高 かった( 症 例 数<br />

/5 生 率 ;…D2:…68/89%,D0/D1:…18/69%,P=0.031).【 考 察 】pT2 胆<br />

嚢 癌 においてリンパ 節 転 移 の 有 無 は 最 大 の 予 後 因 子 である.しかし 上<br />

述 のようにpN1の 生 存 率 はpN2よりもむしろpN0に 近 く,リンパ 節 転<br />

移 個 数 でいえば2 個 までのリンパ 節 転 移 症 例 の 予 後 はやはりpN0に 近<br />

い.これは 初 期 の 軽 微 なリンパ 節 転 移 はD2 郭 清 により 治 癒 に 導 ける<br />

可 能 性 があることを 示 している.またpT2pN0の 症 例 においてD2 郭 清<br />

群 の 予 後 が 有 意 に 良 かったことは,pN0とされた 症 例 の 中 に 通 常 の 顕<br />

微 鏡 レベルでは 検 出 できないmicrometastasisの 症 例 が 含 まれている<br />

ことを 示 唆 しているものと 推 測 される.【 結 論 】pN1あるいは2 個 まで<br />

のリンパ 節 転 移 を 有 するpT2 胆 嚢 癌 は,D2 郭 清 による 根 治 手 術 の 恩<br />

恵 を 最 も 享 受 できるサブグループである.<br />

P14-5 当 科 における 胆 嚢 管 癌 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 附 属 第 三 病 院 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外<br />

科 学 講 座<br />

○… 恩 田 真 二 1<br />

, 兼 平 卓 1<br />

, 藤 岡 秀 一 1<br />

, 岡 本 友 好 1<br />

,<br />

2<br />

矢 永 勝 彦<br />

【はじめに】 近 年 , 胆 嚢 管 癌 はFarrarの 診 断 基 準 を 満 たすもののほか<br />

広 義 の 診 断 基 準 の 普 及 により 報 告 例 が 増 えている. 今 回 , 当 科 で 経 験<br />

した 胆 嚢 管 癌 の 臨 床 病 理 学 的 検 討 を 行 ったので 報 告 する.【 対 象 と 方<br />

法 】2001 年 1 月 から2011 年 10 月 までに 当 院 で 手 術 された 胆 嚢 管 癌 6 例 を<br />

対 象 とし, 臨 床 所 見 , 画 像 診 断 , 治 療 法 , 病 理 学 的 検 索 , 治 療 成 績 を<br />

検 討 した.【 結 果 】 臨 床 所 見 は, 男 女 比 4:2, 平 均 年 齢 76.2(70-83) 歳 ,<br />

初 発 症 状 は, 腹 痛 3 例 , 黄 疸 3 例 であった. 胆 石 は6 例 中 3 例 (50%)に 認<br />

め, 胆 嚢 炎 で 発 症 したのは1 例 であり, 黄 疸 , 胆 管 炎 などで 胆 道 ドレナー<br />

ジを 要 したのは6 例 中 5 例 (83%)であった. 画 像 診 断 にて 胆 嚢 管 癌 と 術<br />

前 診 断 し 得 たのは3 例 (50%)であり, 他 の3 例 は 胆 嚢 癌 または 胆 管 癌 と<br />

診 断 された. 術 式 は, 胆 摘 + 肝 外 胆 管 切 除 が3 例 , 肝 右 葉 切 除 + 肝 外<br />

胆 管 切 除 が1 例 , 肝 左 葉 切 除 + 肝 外 胆 管 切 除 が1 例 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

が1 例 で あ っ た. 病 理 組 織 像 は,5 例 がadenocarcinoma,1 例 が<br />

adenosquamous…carcinomaであり,リンパ 節 転 移 は3 例 に 認 めた. 神<br />

経 周 囲 浸 潤 は 全 例 陽 性 (pn3:4 例 ,pn2:2 例 )であった.Binf3が4 例 ,<br />

Binf1が1 例 であった. 病 期 はFarrarの 診 断 基 準 を 満 たした1 例 がStage…<br />

IIIで, 他 5 例 がStage…IVaで あ っ た.6 例 中 5 例 がfCurC(BM2が4 例 ,<br />

HM2が2 例 ,EM2が2 例 )で,1 例 がfCurBであった. 術 後 補 助 化 学 療 法<br />

は4 例 に 施 行 された. 予 後 は 他 病 死 の2 例 を 除 くと,1 年 生 存 率 50.0%,<br />

3 年 生 存 率 0%と 予 後 不 良 であり, 死 因 は 肝 転 移 または 癌 性 腹 膜 炎 で<br />

あった.【 結 論 】 胆 嚢 管 癌 は 術 前 黄 疸 を 伴 う 進 行 癌 で 発 見 されること<br />

が 多 く, 切 除 例 でもその 解 剖 学 的 特 徴 から 切 除 断 端 陽 性 が 多 かった.<br />

成 績 向 上 のためには 早 期 診 断 , 切 除 断 端 陰 性 手 術 , 術 後 の 補 助 化 学 療<br />

法 が 肝 要 と 考 えられた.<br />

P14-6 原 発 性 胆 嚢 管 癌 の2 例<br />

浦 添 総 合 病 院<br />

○… 伊 志 嶺 朝 成 , 亀 山 眞 一 郎 , 小 網 博 之 , 松 村 敏 信 , 伊 佐 勉<br />

… 我 々は、 比 較 的 稀 な 原 発 性 胆 嚢 管 癌 の2 例 を 経 験 したので 報 告 します.…<br />

症 例 1)75 歳 、 女 性 .2006 年 7 月 、 横 行 結 腸 癌 にて 右 結 腸 切 除 術 施 行 . 中 分<br />

化 腺 癌 pSS,sci,ly1,v0,n1(+),stageIIIa,…2009 年 7 月 転 移 性 肝 癌 に 対 し、 肝<br />

部 分 切 除 、ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した。2010 年 2 月 MDCT、MRIにて<br />

総 胆 管 に 腫 瘍 を 疑 い、2010 年 3 月 ERCP 施 行 . 総 胆 管 結 石 を 認 め 結 石 を<br />

除 去 した. 中 部 胆 管 に 腫 留 陰 影 を 認 め、 生 検 にてfibrous…tissue, 正 常 胆<br />

管 上 皮 の 診 断 . 胆 管 ブラシにてclassIIの 診 断 であった. 胆 管 癌 を 疑 い<br />

2010 年 3 月 転 移 性 肝 癌 に 対 し 肝 部 分 切 除 術 、 胆 嚢 管 腫 瘍 に 対 し 胆 嚢 摘 出 、<br />

胆 管 切 除 、 リ ン パ 郭 清 (D1+12hap)を 施 行 し た. 病 理 )bile…duct:<br />

adenocarcinoma… of… the… bile… duct,tubular… adenocarcinoma… ,welldifferentiated…<br />

med,INFα,ly0,v0,pn0,m,s(-),Hinf0,Binf0,PV0,A0,H0,…<br />

pEM0,stageI、liver:metastatic…liver…tumor,adenocarcinima、 術 後 経<br />

過 良 好 にて 術 後 13 日 目 に 退 院 となった.2010 年 10 月 転 移 性 肝 癌 の 診 断<br />

に 肝 部 分 切 除 術 を 施 行 した. 現 在 、 他 院 にて 治 療 中 です. 症 例 2)72 歳 、<br />

女 性 .2011 年 6 月 、 腹 痛 にて 近 医 受 診 、 腹 部 エコー、 造 影 MDCTにて 胆<br />

嚢 管 に8mmの 腫 瘍 を 認 めた.2011 年 6 月 ERCPにて 胆 嚢 管 合 流 部 付 近 に<br />

小 隆 起 あり、 胆 嚢 管 ・ 胆 嚢 は 造 影 されなかった.ENBDチューブ 留 置<br />

し 胆 汁 細 胞 診 提 出 するも 陰 性 であった.8 月 ERCP、 胆 道 内 視 鏡 にて 胆<br />

嚢 管 ・ 胆 管 合 流 部 に 結 石 はなく、なだらかに 隆 起 する 微 細 乳 頭 状 粘 膜<br />

を 認 めた. 胆 汁 細 胞 診 にてclass3、 生 検 でchronic…inflammatory…change<br />

の 診 断 であった. 胆 嚢 管 腫 瘍 、 胆 嚢 管 癌 疑 いにて2011 年 10 月 胆 嚢 摘 出 術 、<br />

胆 管 切 除 、リンパ 郭 清 (D1+12hap+13a)を 施 行 した. 病 理 )bile…duct…<br />

cancer:adenocarcinoma…of…the…cystic…duct,5x5x15mm,tub1>tub2,ss,<br />

int,INFb,ly0,v0,pn1,pHinf0,pGinf0,pN0,stageII. 術 後 経 過 は 特 に 問 題 な<br />

く 術 後 28 日 目 に 退 院 となった. 現 在 、 外 来 にて 経 過 観 察 中 です. 若 干<br />

の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 します.<br />

P14-7 転 移 性 胆 嚢 癌 切 除 例 の 検 討<br />

兵 庫 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 藤 野 泰 宏 , 千 堂 宏 義 , 仁 和 浩 貴 , 前 田 裕 巳 , 押 切 太 郎 ,<br />

富 永 正 寛<br />

【 背 景 】 転 移 性 胆 嚢 癌 はがんの 終 末 像 として 剖 検 例 では 散 見 されるも<br />

のの、 外 科 的 に 切 除 された 例 は 稀 である。 今 回 2 例 の 転 移 性 胆 嚢 癌 切<br />

除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】1、…30 代 女 性 で 左 乳 癌 に 対 して<br />

乳 房 切 除 術 施 行 1 年 後 に、CTで 多 発 肝 転 移 を 指 摘 された。 全 身 化 学 療<br />

法 を 施 行 予 定 であったが、 胆 石 発 作 を 認 め、 化 学 療 法 施 行 のために 腹<br />

腔 鏡 下 胆 摘 術 施 行 された。 術 前 CT 等 では 胆 嚢 壁 肥 厚 と 胆 嚢 内 結 石 を<br />

認 めた。 術 後 病 理 検 査 では 粘 膜 面 はintactで、 胆 嚢 壁 及 び 周 囲 リンパ<br />

節 に 原 発 巣 類 似 の 腺 癌 を 認 め、 転 移 性 胆 嚢 癌 と 診 断 された。その 後 化<br />

学 療 法 施 行 も1 年 後 にBCSとなった。2、60 代 男 性 で 胸 部 食 道 癌 に 対 し<br />

て 胸 部 食 道 亜 全 摘 術 施 行 。 術 後 2 年 目 に 胆 嚢 腫 瘤 認 め、 胆 嚢 癌 との 診<br />

断 にて 開 腹 術 施 行 された。 腫 瘤 は 横 行 結 腸 及 び 十 二 指 腸 球 部 に 浸 潤 し、<br />

胆 摘 とともにそれらの 部 分 切 除 を 行 った。 腫 瘤 は 壁 外 性 に 発 育 し、 病<br />

理 組 織 学 的 検 査 では 原 発 巣 と 類 似 した 扁 平 上 皮 癌 であり、 転 移 性 胆 嚢<br />

癌 と 診 断 された。その 後 18ヶ 月 目 にBCSとなった。【 結 論 】2 例 の 転 移<br />

性 胆 嚢 癌 切 除 例 を 経 験 した。 予 後 は 極 めて 不 良 であった。<br />

-336-


P15-1 巨 大 腫 瘤 を 形 成 し 広 範 な 脈 管 の 狭 小 化 を 呈 した 胆 嚢 充<br />

実 腺 癌 の1 切 除 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 2<br />

○… 桑 谷 俊 彦 , 平 野 聡 , 松 本 譲 , 和 田 秀 之 , 岡 村 国 茂 ,<br />

楢 崎 肇 , 寺 村 紘 一 , 那 須 裕 也 , 山 吹 匠 , 村 上 慶 洋 ,<br />

海 老 原 裕 磨 , 高 橋 亮 , 野 路 武 寛 , 加 藤 健 太 郎 , 土 川 貴 裕 ,<br />

七 戸 俊 明 , 田 中 栄 一<br />

【はじめに】 巨 大 な 腫 瘤 を 形 成 する 胆 嚢 癌 は 他 臓 器 浸 潤 の 有 無 の 診 断<br />

が 困 難 なことがあり, 手 術 適 応 決 定 に 苦 慮 することが 多 い。 今 回 我 々<br />

は 下 大 静 脈 ・ 門 脈 に 広 範 な 狭 窄 像 を 認 め, 浸 潤 が 疑 われた 胆 嚢 充 実 腺<br />

癌 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】57 歳 女 性 。 黄 疸 を 主 訴 に 近<br />

医 を 受 診 し, 下 大 静 脈 ・ 門 脈 ・ 胆 管 浸 潤 を 伴 う 肝 門 浸 潤 型 の 胆 嚢 癌 で<br />

切 除 不 能 と 診 断 された。 化 学 療 法 を 予 定 されていたが,セカンドオピ<br />

ニオン 目 的 に 当 院 を 受 診 した。CTで 胆 嚢 頚 部 に 約 12cmの 辺 縁 部 が 濃<br />

染 し, 内 部 が 軽 度 造 影 される 腫 瘍 を 認 めた。 前 医 で 浸 潤 と 判 断 された<br />

下 大 静 脈 , 門 脈 は 長 い 距 離 のスムースな 狭 小 化 像 を 呈 しており, 共 に<br />

腫 瘍 の 膨 張 性 発 育 による 圧 排 像 と 考 えられた。 腫 瘍 はERCPで 胆 管 内<br />

に 進 展 し, 腫 瘍 栓 の 形 態 で 閉 塞 像 を 呈 していた。 遠 隔 転 移 を 認 めず,<br />

腫 瘍 は 大 型 ではあるが 膨 張 性 発 育 を 示 し, 周 囲 組 織 への 浸 潤 は 乏 しい<br />

ことから 根 治 切 除 可 能 と 判 断 した。 門 脈 塞 栓 術 後 に 肝 右 葉 ・ 尾 状 葉 ・<br />

胆 管 切 除 および 門 脈 合 併 切 除 ・ 再 建 術 を 施 行 した。 肉 眼 的 に 腫 瘍 は 胆<br />

嚢 内 腔 を 充 満 するように 発 育 し, 一 部 で 総 胆 管 に 突 出 していたが, 周<br />

囲 への 浸 潤 は 認 めなかった。 病 理 組 織 学 的 に 胆 嚢 充 実 腺 癌 の 診 断 で,<br />

med,INFα,ly0,v0,pn0,s(-),Hinf0,Binf0,PV0,A0,N0,T1,StageIで 切 離<br />

断 端 癌 陰 性 であった。 術 後 1 年 を 経 過 し, 無 再 発 生 存 中 である。【 考 察 ・<br />

結 語 】 胆 嚢 充 実 腺 癌 は 胆 道 癌 取 扱 規 約 の 第 4 版 から 導 入 された 稀 な 組<br />

織 型 で, 従 来 , 管 状 腺 癌 低 分 化 型 と 分 類 されていた。その 臨 床 的 特 徴<br />

についての 報 告 は 少 ないが, 本 症 例 同 様 , 膨 張 型 の 形 態 で 浸 潤 傾 向 は<br />

乏 しいとされる。 巨 大 腫 瘤 を 呈 する 胆 嚢 癌 では, 画 像 診 断 上 , 脈 管 の<br />

高 度 な 狭 小 化 像 を 呈 していても, 圧 排 進 展 像 であることがあり, 慎 重<br />

に 根 治 切 除 の 可 能 性 を 追 求 すべきである。<br />

P15-2 急 速 な 進 行 を 認 めた 胆 嚢 腫 瘍 ・ 総 胆 管 腫 瘍 の1 例<br />

1<br />

健 康 保 険 諫 早 総 合 病 院 外 科 、 2 長 崎 大 学 大 学 院 ・ 腫 瘍 ・ 診 断 病<br />

理 学<br />

○… 田 渕 聡 1<br />

, 山 口 広 之 1 2<br />

, 中 島 正 洋<br />

胆 道 系 腫 瘍 は 初 期 では 自 覚 症 状 に 乏 しく、 症 状 が 出 現 した 際 にはリン<br />

パ 管 や 神 経 に 沿 って 転 移 を 起 こし、さらに 増 大 した 癌 が 胆 管 を 閉 塞 す<br />

ると 黄 疸 や 胆 管 炎 を 起 こした 状 態 で 発 見 されることが 多 い。 今 回 、 診<br />

断 に 難 渋 し、 発 見 時 から 画 像 上 急 速 に 進 行 し、 病 理 解 剖 まで 施 行 した<br />

胆 道 系 腫 瘍 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は73 歳 男 性 。 主 訴 は<br />

嘔 吐 ・ 腹 痛 。2011 年 …7 月 、 近 医 の 血 液 検 査 にてAST・ALTの 上 昇 を<br />

認 め、 精 査 目 的 に 当 院 消 化 器 科 入 院 。その 後 の 精 査 で 胆 嚢 内 に 結 石 を<br />

認 め、 胆 嚢 は 軽 度 腫 大 し、 体 部 ~ 底 部 に 壁 肥 厚 を 認 めた。 胆 嚢 腺 筋 症 、<br />

胆 嚢 結 石 、 総 胆 管 結 石 と 診 断 され、EST 施 行 し、 退 院 となった。その<br />

一 ヵ 月 後 、 上 記 主 訴 出 現 し、… 消 化 器 科 受 診 、 黄 疸 ・ 肝 胆 道 系 酵 素 上 昇<br />

を 認 め、 精 査 ・ 加 療 目 的 に 入 院 。 入 院 後 、CTにて 胆 嚢 内 、 胆 管 内 に<br />

炎 症 性 産 物 の 充 満 を 疑 われる 一 方 で 下 部 胆 管 に 腫 瘍 性 病 変 も 疑 われた<br />

ため、 経 乳 頭 的 に 組 織 診 、 細 胞 診 を 繰 り 返 し 行 なったが 悪 性 所 見 は 認<br />

められなかった。その 後 も 化 膿 性 胆 嚢 炎 、 胆 管 炎 様 の 症 状 が 改 善 せず、<br />

腹 部 CTにて 胆 嚢 壁 から 肝 床 にかけて 急 速 に 腫 瘤 性 病 変 が 出 現 し、 肝<br />

膿 瘍 の 合 併 と 考 え、US 下 にPTGBD 施 行 。その 際 の 採 取 した 胆 汁 細 胞<br />

診 でclassII。その 後 も 黄 疸 改 善 せず、 腫 瘤 の 増 大 も 進 行 した。3 回 目<br />

の 胆 汁 細 胞 診 でクラスV。 胆 嚢 腫 瘍 疑 い、 胆 嚢 ・ 総 胆 管 結 石 に 対 する<br />

手 術 目 的 に 外 科 転 科 。 手 術 を 施 行 したところ、 術 中 所 見 としては 腫 瘍<br />

は 肝 右 葉 の 大 半 を 占 めており、 左 葉 、 肝 門 部 にも 浸 潤 を 示 すほどの 巨<br />

大 なもので 切 除 不 能 と 判 断 、 周 囲 のリンパ 節 腫 脹 も 著 明 であり、 総 胆<br />

管 切 開 ・ 採 石 術 施 行 後 、RTBDチューブ 挿 入 し 手 術 終 了 した。 術 後 経<br />

過 として 全 身 状 態 は 徐 々に 増 悪 していき、 術 後 30 日 目 に 永 眠 された。<br />

家 族 の 同 意 を 得 た 上 で 病 理 解 剖 を 行 った。 最 終 的 な 結 果 は 未 だ 出 てい<br />

ないが、 腹 腔 内 は 多 量 の 腹 水 ( 約 5L)を 認 め、 肉 眼 的 には 広 範 囲 な 播<br />

種 病 変 ( 胃 十 二 指 腸 小 腸 ・ 大 腸 腹 壁 、 副 腎 )を 認 め、 腫 瘍 は 胆 嚢 腫<br />

瘍 、 乳 頭 部 腫 瘍 の 重 複 癌 が 疑 われた。 今 回 急 速 な 進 展 を 示 し、 死 後 病<br />

理 解 剖 まで 行 なった 症 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 含 め 報<br />

告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P15-3 膵 頭 部 IMPN 診 断 が 契 機 となりR0 手 術 を 成 し 得 た 進 行<br />

胆 嚢 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

1,2<br />

○… 安 藤 文 彦 , 吉 田 寛 1<br />

, 横 山 正 1<br />

, 平 方 敦 史 1<br />

, 高 尾 嘉 宗 1<br />

,<br />

牧 野 浩 司 1<br />

, 丸 山 弘 1<br />

, 住 吉 宏 樹 1<br />

, 馬 越 通 信 1<br />

, 堀 田 正 啓 1<br />

,<br />

関 奈 紀 1<br />

, 早 川 朋 宏 1 1,2 2<br />

, 松 下 晃 , 内 田 英 二<br />

【はじめに】 今 回 、 我 々は、 手 術 適 応 のある 膵 IPMNの 診 断 が 契 機 と<br />

なり、 術 中 に 確 定 診 断 およびR0 手 術 が 実 施 できた 進 行 胆 嚢 扁 平 上 皮<br />

癌 の1 例 を 経 験 した。 本 症 例 の 病 態 が 非 常 に 稀 であると 考 えられるため、<br />

若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。【 症 例 】77 歳 、 女 性 。2011 年 10 月 、<br />

腹 部 腫 瘤 を 自 覚 し 近 医 受 診 。4cm 大 の 膵 IPMNと 診 断 され、 当 院 に 精<br />

査 加 療 目 的 で 紹 介 となった。CTでは、 膵 頭 部 に 辺 縁 の 造 影 効 果 を 伴<br />

う4.8×3.2cmの 腫 瘤 および 著 明 な 主 膵 管 拡 張 とERCPで 主 乳 頭 開 大 と<br />

粘 液 産 出 がみられたため、 典 型 的 な 主 膵 管 型 の 膵 IPMNと 診 断 した。<br />

また、CTでの 上 記 以 外 の 所 見 として、 境 界 不 明 瞭 な 壁 肥 厚 を 伴 う 胆<br />

嚢 腫 大 と 総 胆 管 拡 張 、MRCPで 肝 門 部 胆 管 の 狭 窄 所 見 がみられたため、<br />

胆 道 系 悪 性 腫 瘍 の 合 併 が 考 慮 されたが、 血 清 の 肝 胆 道 系 酵 素 や<br />

CEA・CA19-9が 正 常 値 であったことなどから、 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎<br />

に 代 表 される 炎 症 性 の 胆 嚢 腫 大 、 膵 IPMNに 伴 う 随 伴 性 の 胆 道 拡 張 所<br />

見 、と 診 断 した。 手 術 適 応 のある 病 態 と 判 断 し、 同 年 11 月 、 亜 全 胃 温<br />

存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (SSPPD)を 実 施 計 画 した。しかし、 術 中 所 見<br />

で 胆 嚢 の 著 明 な 壁 硬 化 と 肝 床 部 および 十 二 指 腸 球 部 への 浸 潤 がみとめ<br />

られ、 迅 速 病 理 診 断 で 扁 平 上 皮 癌 と 診 断 されたため、SSPPDに 肝 床<br />

部 合 併 切 除 を 加 えたHPD+D2 郭 清 の 施 行 となった。 術 直 後 の 血 清<br />

SCC:2.0ng/mlと 高 値 を 示 していた。 最 終 病 理 組 織 診 断 では、 膵 腫 瘍<br />

がAdenoma(IPMA)、 胆 嚢 腫 瘍 はsquamous…cell…carcinoma,…S3,…Hinf2,…<br />

H0,…Binf0,…PV0,…A0,…P0,…N0,…fstageIVa,…surgical…margin(-)、の 結 果 で<br />

あり、R0 手 術 実 施 を 成 し 得 た。 術 後 は、 肝 切 離 面 からの 一 過 性 の 胆<br />

汁 漏 をみたものの 速 やかに 改 善 し、 他 の 合 併 症 なく28 病 日 に 軽 快 退 院<br />

した。 血 清 SCC:0.6ng/mlと 低 下 、 良 好 な 経 過 を 辿 っている。 現 在 、<br />

S-1による 補 助 化 学 療 法 を 実 施 計 画 中 である。<br />

P15-4 胆 嚢 癌 と 胆 嚢 原 発 MALTリンパ 腫 の 衝 突 を 認 めた1 例<br />

1<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科 、 2 国 立 がん 研 究 セン<br />

ター 東 病 院 臨 床 腫 瘍 病 理 部<br />

○… 酒 井 健 司 1<br />

, 後 藤 田 直 人 1<br />

, 加 藤 祐 一 郎 1<br />

, 木 下 敬 弘 1<br />

,<br />

高 橋 進 一 郎 1<br />

, 小 西 大 1<br />

, 木 下 平 1 2<br />

, 小 嶋 基 寛<br />

【 症 例 】80 歳 代 女 性 【 既 往 歴 】3 年 前 に 胃 癌 に 対 して 当 院 で 幽 門 側 胃<br />

切 除 施 行 。【 現 病 歴 】 胃 癌 術 後 、 半 年 毎 に 採 血 、 腹 部 USで 外 来 フォロー<br />

されていた。 腹 部 USで 肝 床 側 の 胆 嚢 体 部 に10mmの 低 エコー 領 域 を<br />

指 摘 され、3か 月 後 の 腹 部 USでも 壁 肥 厚 の 増 大 傾 向 を 認 めたため、 精<br />

査 加 療 目 的 に 入 院 。【 検 査 所 見 】( 血 液 生 化 学 検 査 ) 腫 瘍 マーカーを 含 め<br />

特 記 すべき 異 常 値 はなし。( 腹 部 造 影 CT) 胆 嚢 体 部 から 底 部 にかけての<br />

腹 側 に 限 局 して40mm 大 の 三 日 月 状 の 壁 肥 厚 を 認 め、 動 脈 相 で 淡 く 均<br />

一 に 造 影 され 静 脈 相 にかけて 造 影 効 果 の 減 弱 を 認 めた。【 治 療 方 針 】<br />

黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 が 第 一 に 考 えられたが、 胆 嚢 癌 を 否 定 することは<br />

困 難 であり、 手 術 の 治 療 方 針 とした。【 手 術 】 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 。【 病<br />

理 組 織 学 所 見 】 肉 眼 的 に 病 変 は、 胆 嚢 体 部 …( 病 変 1)と、 胆 嚢 底 部 ( 病<br />

変 2)に2か 所 認 めた。 割 面 は 病 変 1は 黄 白 色 弾 性 軟 の 均 一 な 充 実 成 分 、<br />

病 変 2は 灰 白 色 で 弾 性 硬 、 内 部 に 黄 色 領 域 や 出 血 性 変 化 を 含 む 不 均 一<br />

な 充 実 性 分 を 認 めた。 病 理 組 織 学 的 に 病 変 1は 組 織 学 的 に、<br />

monocytoidな 中 型 の 腫 瘍 細 胞 が 僅 かに 濾 胞 様 構 造 を 残 存 しながら 増<br />

殖 を 認 めた。 腫 瘍 は 胆 嚢 上 皮 内 に 浸 潤 しlymphoepithelial…lesionを 形<br />

成 していた。 免 疫 組 織 染 色 で 腫 瘍 細 胞 はCD20(+)、CD79a(+)、bcl2(+)、<br />

CD10(-)、CyclinD1(-)、bcl1(-)、CD3(-)、CD5(-)であった。 以 上 より、<br />

extranodal…marginal…zone…lymphoma…(MALT…lymphoma)と 診 断 。<br />

また 病 変 2は、 高 分 化 管 状 腺 癌 を 認 め、 腫 瘍 は 漿 膜 下 層 まで 浸 潤 を 認<br />

めた。この2 病 変 が、 標 本 上 において 接 する 所 見 を 認 め、 胆 嚢 癌 と 胆<br />

嚢 原 発 MALTリンパ 腫 の 衝 突 と 診 断 した。【 考 察 】 胆 嚢 原 発 MALTリ<br />

ンパ 腫 は 非 常 に 稀 であるが、 本 症 例 のように 胆 嚢 癌 との 衝 突 している<br />

所 見 を 認 める 報 告 例 はなく、 今 回 極 めて 稀 な 症 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。<br />

-337-


P15-5 胆 嚢 高 分 化 型 粘 液 癌 の1 例<br />

1<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科 、 2 福 井 県 済 生 会 病 院 放 射 線 科<br />

○… 河 野 史 穂 1<br />

, 寺 田 卓 郎 1<br />

, 三 井 毅 1<br />

, 佐 野 周 生 1<br />

, 藤 本 大 裕 1<br />

,<br />

石 田 誠 1<br />

, 宗 本 義 則 1<br />

, 三 浦 將 司 1 2<br />

, 宮 山 士 朗<br />

症 例 は86 歳 女 性 . 高 血 圧 , 慢 性 腎 不 全 , 脳 血 管 性 パーキンソニズムな<br />

どで 当 院 通 院 中 であった.2011 年 6 月 , 一 過 性 の 意 識 障 害 で 当 院 に 救<br />

急 搬 送 された 際 , 原 因 検 索 のCTで 胆 嚢 腫 瘍 を 指 摘 された. 血 液 検 査<br />

では、 貧 血 を 認 めたが 肝 胆 道 系 酵 素 や 腫 瘍 マーカー(CEA、CA19-9、<br />

AFP)は 正 常 範 囲 内 であった. 腹 部 超 音 波 では, 胆 嚢 底 部 から 体 部 に<br />

約 5cm 大 の 内 部 エコー 不 均 一 な 乳 頭 状 腫 瘍 を 認 めた. 胆 嚢 底 部 では 胆<br />

嚢 床 に 接 して1.8cm 程 度 の 周 囲 肝 よりも 高 エコー 部 分 を 認 め、 肝 浸 潤<br />

を 疑 う 所 見 であった.また 胆 嚢 内 には 最 大 2.0cmの 結 石 を 多 数 認 めた.<br />

軽 度 腎 機 能 障 害 のため 単 純 CTのみの 検 索 で 胆 嚢 は 軽 度 腫 大 し, 胆 嚢<br />

体 部 から 底 部 にかけて 内 腔 に 発 育 する 直 径 約 5cmの 不 均 一 な 高 吸 収 を<br />

呈 する 腫 瘍 を 認 めた. 肝 内 胆 管 の 拡 張 はなく,リンパ 節 転 移 や 遠 隔 転<br />

移 を 疑 う 所 見 は 認 めなかった.MRIでは,T1で 低 信 号 ,T2で 内 部 不<br />

均 一 な 高 信 号 を 呈 する 腫 瘍 を 認 め, 拡 散 強 調 画 像 では 拡 散 制 限 を 認 め<br />

た.また, 肝 浸 潤 を 疑 う 肝 実 質 にも 拡 散 制 限 を 認 めた. 胆 嚢 頚 部 には<br />

結 石 が 充 満 していた.MRCPでは 膵 胆 管 合 流 異 常 は 認 めなかった.<br />

FDG-PETでは, 胆 嚢 の 腫 瘍 にSUVmax 早 期 相 13.4, 後 期 相 19.4の 強 い<br />

異 常 集 積 を 認 めた.その 他 の 部 位 に 異 常 集 積 は 認 めなかった. 以 上 ,<br />

肝 浸 潤 を 伴 う 胆 嚢 癌 (cT4N0M0…stage4a)と 診 断 し, 年 齢 なども 考 慮<br />

し 胆 嚢 床 切 除 術 を 施 行 した. 術 中 所 見 では 胆 嚢 底 部 に 肝 浸 潤 を 認 め,<br />

同 部 を 含 めた2cmの 胆 嚢 床 切 除 を 行 った. 腫 瘍 は 肉 眼 的 に 大 きさ5×<br />

5cm, 胆 嚢 底 部 に 充 満 する 柔 らかな 乳 頭 型 の 腫 瘍 で, 胆 嚢 床 に 浸 潤 し<br />

ていた(pHinf2). 病 理 組 織 学 的 には 腫 瘍 は 高 分 化 型 粘 液 癌 が 主 体 で、<br />

一 部 に 高 分 化 型 管 状 腺 癌 , 乳 頭 腺 癌 が 混 在 していた.12cリンパ 節 に<br />

転 移 は 認 めず, 肝 床 側 断 端 に 癌 浸 潤 は 認 めなかった. 胆 嚢 高 分 化 型 粘<br />

液 癌 は, 本 邦 では 胆 嚢 癌 全 体 の0~4%とされ 報 告 例 は 稀 である. 文 献<br />

的 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P15-6 中 下 部 胆 管 癌 と 胆 嚢 癌 の 同 時 性 重 複 癌 の1 例<br />

島 根 県 立 中 央 病 院 外 科<br />

○… 久 保 田 豊 成 , 増 井 俊 彦 , 長 田 絢 子 , 戸 矢 崎 利 也 , 福 垣 篤 ,<br />

青 木 恵 子 , 中 西 保 貴 , 杉 本 真 一 , 高 村 通 生 , 武 田 啓 志 ,<br />

徳 家 敦 夫<br />

症 例 は78 歳 、 女 性 。 尿 の 黄 染 と 皮 膚 のかゆみを 自 覚 し 近 医 受 診 。 黄 疸<br />

を 指 摘 され 当 院 紹 介 。 腹 部 造 影 CT 検 査 で 上 部 総 胆 管 から 肝 内 胆 管 が<br />

著 明 に 拡 張 し、 中 部 総 胆 管 に 造 影 される 壁 肥 厚 を 認 めた。また#13リ<br />

ンパ 節 に 転 移 を 疑 う 所 見 を 認 めた。 胆 嚢 壁 の 肥 厚 も 認 めた。 内 視 鏡 的<br />

逆 行 性 胆 管 膵 管 造 影 で 中 部 総 胆 管 に 途 絶 を 認 め、 同 部 位 のブラッシン<br />

グ 細 胞 診 でadenocarcinomaの 診 断 であった。 胆 嚢 壁 の 肥 厚 に 関 して<br />

は 悪 性 の 可 能 性 も 疑 われたが、 術 前 諸 検 査 での 確 定 診 断 は 困 難 であっ<br />

た。 以 上 から 中 下 部 胆 管 癌 、リンパ 節 転 移 、 胆 嚢 癌 の 疑 いの 診 断 で 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 予 定 した。 開 腹 時 に 胆 嚢 癌 を 強 く 疑 う 所 見 であり、<br />

胆 嚢 摘 出 し、 迅 速 病 理 検 査 に 提 出 したところ、 胆 嚢 癌 の 診 断 であり、<br />

拡 大 胆 嚢 摘 出 術 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 結 果 で 胆<br />

嚢 底 部 と 中 下 部 胆 管 に 腫 瘍 形 成 を 認 め、どちらもadenocarcinomaの<br />

診 断 。 組 織 学 的 に 両 者 に 連 続 性 を 認 めなかったため、 中 下 部 胆 管 癌 と<br />

胆 嚢 癌 の 同 時 性 重 複 癌 と 診 断 された。 胆 道 系 の 重 複 癌 の 報 告 例 は 少 な<br />

く、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P15-7 胆 嚢 原 発 腺 内 分 泌 細 胞 癌 の1 例<br />

市 立 堺 病 院 外 科<br />

○… 山 本 為 義 , 梶 原 淳 , 古 川 陽 菜 , 大 里 浩 樹<br />

胆 嚢 腺 内 分 泌 癌 は 腺 癌 成 分 と 内 分 泌 細 胞 癌 が 混 在 する 稀 な 腫 瘍 である。<br />

今 回 、 腹 部 エコーで 胆 嚢 ポリープを 指 摘 され、 根 治 切 除 後 15カ 月 後 に<br />

癌 死 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は84 歳 女 性 。 近 医 で 胆 嚢<br />

結 石 、 胆 嚢 ポリープの 診 断 で 経 過 観 察 されていたところ、 腹 部 エコー<br />

でポリープの 増 大 傾 向 を 認 めたため、 平 成 18 年 10 月 当 院 紹 介 受 診 した。<br />

腹 部 エコー 検 査 では、 胆 嚢 体 部 に 約 12…x…11…mm 大 の 低 エコーな 広 基<br />

性 結 節 病 変 と5mm 前 後 の 胆 石 を 数 個 認 めた。 腹 部 造 影 CTでは、 胆 嚢<br />

の 結 節 は 全 体 に 造 影 効 果 のある、 約 20mm 大 の 広 基 性 の 低 い 隆 起 性 病<br />

変 として 描 出 され、 表 面 は 微 細 分 葉 状 で 肝 との 境 界 は 一 部 不 明 瞭 であ<br />

るが、 明 らかな 肝 への 浸 潤 所 見 は 認 めなかった。 胆 嚢 癌 を 疑 い、 平 成<br />

19 年 1 月 、 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 ( 肝 外 胆 管 切 除 …+… 胆 嚢 床 肝 切 除 )+…リンパ 節<br />

郭 清 術 を 施 行 した。 術 後 病 理 標 本 は 胆 嚢 体 部 から 頚 部 にかけて 肝 側 に<br />

41…x…22mm 大 の 乳 頭 型 の 腫 瘍 があり、 主 に 粘 膜 内 およびRokitansky-<br />

Ashoff 洞 上 皮 へ 進 展 する 高 分 化 な 管 状 腺 癌 を 認 めたが、 一 部 に 腺 腔 形<br />

成 の 明 らかでない 小 型 細 胞 よりなる 低 分 化 な 腫 瘍 成 分 の、 筋 層 を 超 え<br />

る 浸 潤 を 認 めた。 低 分 化 な 腫 瘍 成 分 は 脈 管 侵 襲 およびリンパ 管 侵 襲 を<br />

認 め、CD56(+),…synaptophysin…(+),…chromogranin-A…(+)であり、<br />

MIB-1およびp53の 陽 性 率 はそれぞれ34%,…50%であった。 以 上 から、<br />

胆 嚢 腺 内 分 泌 癌 、ss,…int,…INFβ,…ly2,…v1,…pn0,…pHinf1a,…pBinf0,…pN0,…<br />

pBM1,…pHM0,…pEM0,…fStage…IIと 診 断 した。 術 後 は 高 齢 のため 補 助 化<br />

学 療 法 を 行 わず 経 過 観 察 していたところ、 術 後 10カ 月 後 に 黄 疸 が 出 現<br />

した。 肝 S4の 約 4cm 大 の 肝 転 移 により 左 右 胆 管 が 泣 き 別 れ 状 態 になっ<br />

ていた。 胆 道 メタリックステントを2 回 挿 入 留 置 し 減 黄 を 行 うも、そ<br />

の 後 多 発 肝 転 移 、リンパ 節 再 発 を 来 たし 術 後 15カ 月 後 に 死 亡 した。 再<br />

発 後 急 速 に 進 行 した 胆 嚢 原 発 腺 内 分 泌 腫 瘍 を 経 験 した。 予 後 不 良 な 組<br />

織 型 と 考 えられ、 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P15-8 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 症 に 合 併 した 胆 嚢 原 発 腺 内 分 泌 細 胞 癌<br />

の1 例<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科<br />

○… 佐 野 周 生 , 寺 田 卓 郎 , 三 井 毅 , 河 野 史 穂 , 藤 本 大 裕 ,<br />

石 田 誠 , 宗 本 義 則<br />

症 例 は77 歳 、 女 性 。2009 年 8 月 頃 より 上 腹 部 の 違 和 感 が 持 続 するため<br />

2010 年 1 月 に 近 医 を 受 診 。 腹 部 超 音 波 検 査 で 胆 嚢 の 隆 起 性 病 変 を 指 摘<br />

され 当 院 へ 紹 介 、 精 査 加 療 目 的 に 入 院 となった。 既 往 歴 に 特 記 すべき<br />

事 はなし。 当 院 初 診 時 の 血 液 検 査 で 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 は 認 めず、<br />

CEA,…CA19-9は 正 常 範 囲 内 であった。 腹 部 超 音 波 検 査 では 胆 嚢 底 部 に<br />

44×33mmの 隆 起 性 病 変 を 認 め、 肝 内 胆 管 および 総 胆 管 は 軽 度 拡 張 し<br />

ていた。 腹 部 造 影 CT 検 査 では 胆 嚢 内 腔 を 充 満 する 不 整 な 隆 起 性 病 変<br />

で 造 影 効 果 を 伴 い 胆 嚢 癌 を 疑 った。 明 らかな 壁 外 浸 潤 やリンパ 節 転<br />

移 ・ 遠 隔 転 移 は 認 めなかった。MRI・ERCPにて 総 胆 管 の 閉 塞 機 転 は<br />

認 めず。 主 膵 菅 は 屈 曲 した 下 部 胆 管 と 合 流 し 胆 管 との 長 い 共 通 管 を 形<br />

成 していた。 以 上 より 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 ( 非 拡 張 型 )に 伴 う 胆 嚢 癌 を 疑<br />

い2010 年 3 月 に 開 腹 手 術 を 施 行 した。 胆 嚢 は 腫 大 、やや 緊 満 するが 腫<br />

瘍 の 壁 外 への 露 出 はなく、また 有 意 なリンパ 節 腫 大 や 肉 眼 的 に 遠 隔 転<br />

移 や 腹 膜 播 腫 は 認 めなかった。No.12cリンパ 節 郭 清 を 含 む 胆 嚢 床 切 除<br />

を 施 行 した。 腫 瘍 は56×46×20mmの 乳 頭 膨 張 型 の 腫 瘍 で 術 中 迅 速 診<br />

断 で 固 有 筋 層 以 深 に 浸 潤 した 高 分 化 型 腺 癌 と 診 断 、 断 端 は 陰 性 であっ<br />

た。またNo.12cリンパ 節 に 転 移 は 認 めなかった。 胆 嚢 内 容 物 は 血 性 混<br />

濁 した 胆 汁 で 細 胞 診 はclass1、 胆 汁 内 のアミラーゼ 値 は1654IU/l、リ<br />

パーゼは5560IU/lと 高 値 であった。 病 理 組 織 学 的 には 胆 嚢 腫 瘍 の 大 部<br />

分 は 高 ~ 中 分 化 型 の 腺 癌 であったが、 一 部 で 異 型 細 胞 の 胞 巣 状 、 充 実<br />

性 に 増 殖 する 部 分 を 認 め、 免 疫 染 色 でNSE、synaptophysinが 陽 性 で<br />

病 理 診 断 は 胆 嚢 腺 内 分 泌 細 胞 癌 (ss,pN0,…Stage2)であった。 術 後 経 過<br />

は 良 好 で 退 院 後 、 術 後 6 週 より 補 助 化 学 療 法 としてGEM(1200mg/<br />

body,…biweekly)を 開 始 、 計 11コース 施 行 した。 現 在 、 腫 瘍 マーカー<br />

の 再 上 昇 やCT 検 査 で 再 発 所 見 は 認 めておらず 外 来 でフォローアップ<br />

中 である。 胆 嚢 腺 内 分 泌 細 胞 癌 は 比 較 的 稀 な 疾 患 で 早 期 よりリンパ 節 、<br />

肝 に 転 移 をきたし 予 後 は 不 良 とされている。 今 回 我 々は 膵 ・ 胆 管 合 流<br />

異 常 症 に 合 併 した 胆 嚢 腺 内 分 泌 細 胞 癌 の 比 較 的 稀 な1 例 を 経 験 したの<br />

で 若 干 の 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-338-


P16-1 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 して 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行<br />

した24 例 の 臨 床 病 理 的 検 討<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 落 合 高 徳 , 藍 原 有 弘 , 伴 大 輔 , 入 江 工 , 工 藤 篤 ,<br />

中 村 典 明 , 田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 目 的 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 は 肝 胆 膵 領 域 の 悪 性 疾 患 のなかでは 比 較 的<br />

まれな 疾 患 で、いまだ 十 分 な 解 析 がなされていない。<br />

【 対 象 】2000~2011 年 の11 年 間 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)、 亜 全 胃 温<br />

存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (SSPPD)または 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

(PPPD)を 施 行 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 24 例 について 検 討 した。<br />

【 結 果 】 全 症 例 の 性 別 は 男 : 女 =17:7、 年 齢 は66±9 歳 、 術 式 はPD8 例 、<br />

PPPD3 例 、SSPPD2 例 で、1,…3,…5 年 生 存 率 は100%,…81.0%,…63.8%、 無 再<br />

発 生 存 率 は 各 々78.6… %,…58.2%,…58.2%だった。 総 合 的 進 行 度 別 で<br />

は,fStage…I,…II,…III,…IVは 各 々6:3:11:4 例 、 組 織 型 は 乳 頭 腺 癌 8 例 、<br />

高 分 化 型 管 状 腺 癌 8 例 、 中 分 化 型 管 状 腺 癌 6 例 、 低 分 化 型 管 状 腺 癌 2 例<br />

だ っ た。 組 織 学 的 膵 臓 浸 潤 (pPanc)はpPanc0:54.2%、pPanc1a:<br />

12.5%…、pPanc1b:20.8%、…pPanc2:12.5%、pPanc3:0%、 組 織 学 的<br />

十 二 指 腸 浸 潤 (pDu)はpDu0:25%、pDu1:12.5%…、pDu2:45.8%、…<br />

pDu3:16.7%、 組 織 学 的 乳 頭 周 囲 進 展 度 (pT)はpT1:25%、pT2:<br />

12.5%、pT3:54.2%、pT4:4.2%だった。リンパ 節 転 移 はpN1:25%、<br />

pN2:0%、pN3:4.2%で、 遠 隔 転 移 を 認 めた 症 例 は 存 在 しなかった。<br />

総 合 的 進 行 度 、pT,N…pPanc…pDu……リンパ 管 浸 潤 … 静 脈 浸 潤 … 神 経 周 囲 浸<br />

潤 … 組 織 型 と 予 後 との 関 連 性 を 検 討 したが、 総 合 的 進 行 度 においての<br />

み 統 計 学 的 有 意 差 を 認 めた。<br />

【 結 論 】 我 々の 検 討 においては、 癌 取 り 扱 い 規 約 に 基 づいた 総 合 的 進<br />

行 度 が 予 後 を 反 映 していた。<br />

P16-2 閉 塞 性 黄 疸 を 来 した 巨 大 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科<br />

大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科<br />

○… 鈴 木 文 武 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 伊 藤 隆 介 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

,<br />

二 川 康 郎 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

, 石 田 裕 一 1<br />

,<br />

2<br />

矢 永 勝 彦<br />

症 例 は63 歳 女 性 。 卵 巣 腫 瘍 で 当 院 産 婦 人 科 かかりつけであったが、<br />

2011 年 10 月 に 経 口 摂 取 不 良 と 下 肢 の 浮 腫 を 主 訴 に 産 婦 人 科 外 来 受 診 し<br />

た。 腹 部 CT 検 査 にて、 十 二 指 腸 下 行 脚 内 部 に 乳 頭 状 構 造 を 伴 う 直 径<br />

12cm 大 の 巨 大 な 腫 瘍 性 病 変 を 認 め、 肝 内 胆 管 の 拡 張 も 認 めていたた<br />

め 当 科 紹 介 受 診 となった。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて、 十 二 指 腸 球 部<br />

から 下 行 脚 にかけて 多 量 の 粘 液 が 貯 留 しており、 下 行 脚 に 腸 管 内 腔 を<br />

ほぼ 占 拠 する 広 基 性 の 巨 大 な 腫 瘍 性 病 変 を 認 めた。 腫 瘍 が 大 きく<br />

ERBDは 施 行 困 難 であった。この 時 に 生 検 された 組 織 からは 悪 性 所 見<br />

は 認 めなかったが、 腫 瘍 が 大 きく 食 物 の 通 過 障 害 と 閉 塞 性 黄 疸 も 来 し<br />

ていたため、 悪 性 を 強 く 疑 い 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 病<br />

理 組 織 診 断 は、 腫 瘍 は 十 二 指 腸 乳 頭 部 より 発 生 した 高 度 の 粘 液 産 生 を<br />

示 す 高 分 化 型 腺 癌 であった。 術 後 経 過 良 好 であり、 術 後 13 日 目 に 退 院<br />

となった。 今 回 我 々は、 閉 塞 性 黄 疸 を 来 した 粘 液 産 生 を 示 す 巨 大 十 二<br />

指 腸 乳 頭 部 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P16-3 胆 石 を 契 機 に 診 断 し 得 た 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の 一 例<br />

産 業 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 厚 井 志 郎 , 荒 瀬 光 一 , 田 村 利 尚 , 皆 川 紀 剛 , 柴 尾 和 徳 ,<br />

日 暮 愛 一 郎 , 山 口 幸 二<br />

症 例 は67 歳 女 性 、 元 来 健 康 であったが、 定 期 健 診 で 胆 石 を 指 摘 され 当<br />

科 を 受 診 した。 血 液 検 査 で 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 ・ 腫 瘍 マーカー(CEA・<br />

CA19-9)の 上 昇 を 認 めた。 腹 部 エコーでは、 胆 嚢 内 に 微 小 結 石 と 胆 泥<br />

の 貯 留 を 認 め、また 総 胆 管 ・ 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 指 摘 された。 腹 部 CT<br />

では、 総 胆 管 ・ 肝 内 胆 管 ・ 主 膵 管 の 拡 張 と 胆 嚢 結 石 を 指 摘 されたが、<br />

Vater 乳 頭 部 の 明 らかな 腫 瘍 は 認 めなかった。MRCPにおいても、 総<br />

胆 管 ・ 主 膵 管 の 拡 張 を 認 めたが、 明 らかな 閉 塞 起 点 は 指 摘 されなかっ<br />

た。 胆 管 ・ 膵 管 拡 張 の 原 因 がはっきりしないため、 上 部 消 化 管 内 視 鏡<br />

検 査 を 施 行 したところ、Vater 乳 頭 部 は 表 面 不 整 ・ 粘 膜 発 赤 し、 腫 瘤<br />

状 に 腫 大 し、 生 検 でAdenocarcinomaの 診 断 を 得 た。EUSでVater 乳<br />

頭 直 上 に6.6mm 大 のlow…echoic…lesionを 認 めた。 以 上 より 十 二 指 腸 乳<br />

頭 部 癌 の 診 断 で、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 病 理 診 断 は<br />

(pT1N0M0stageI)であった。 胆 管 拡 張 、 膵 管 拡 張 を 認 める 症 例 では、<br />

画 像 上 明 らかな 閉 塞 起 点 を 認 めない 場 合 においても 積 極 的 に 上 部 消 化<br />

管 内 視 鏡 検 査 を 施 行 し、 乳 頭 部 の 観 察 が 重 要 である。 無 症 候 性 胆 管 ・<br />

膵 管 拡 張 を 呈 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 を 診 断 し、 手 術 し 得 た 一 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する。<br />

P16-4 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の1 例<br />

1<br />

山 形 県 立 中 央 病 院 外 科 、 2 山 形 県 立 中 央 病 院 病 理 科<br />

○… 山 本 久 仁 治 1<br />

, 櫻 井 直 樹 1<br />

, 飯 澤 肇 1<br />

, 緒 形 真 也 2<br />

,<br />

田 村 元<br />

2<br />

【 症 例 】 症 例 は61 歳 , 男 性 . 右 季 肋 部 ・ 背 部 痛 と 高 熱 を 主 訴 に 近 医 を<br />

受 診 し, 急 性 胆 嚢 炎 の 診 断 で 当 院 消 化 器 内 科 に 紹 介 され 入 院 となった.<br />

入 院 後 , 急 性 膵 炎 を 合 併 したが 保 存 的 に 軽 快 し, 精 査 にて 十 二 指 腸 乳<br />

頭 部 癌 ( 上 部 内 視 鏡 下 生 検 にて 低 分 化 型 腺 癌 )の 診 断 となった. 画 像 上 ,<br />

明 らかな 非 切 除 因 子 を 認 めず, 手 術 適 応 として 外 科 紹 介 となった. 腫<br />

瘍 からのoozingで 吐 血 したため, 絶 食 のまま 外 科 に 転 科 となり, 亜 全<br />

胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 +D2 郭 清 を 施 行 した. 胃 排 泄 遅 延 等 を 認<br />

めたが 術 後 38 日 目 に 退 院 した. 最 終 病 理 結 果 は, 浸 潤 部 は 主 に 紡 錘 形<br />

あるいはrhabdoid-featureを 示 す 類 円 形 細 胞 が 主 体 をなし, 一 見 肉 腫<br />

様 に 見 えるが, 上 皮 内 にtub2 相 当 の 腺 癌 が 残 っており,ここからの 移<br />

行 像 も 見 られ, 特 殊 免 疫 染 色 にて 肉 腫 様 部 分 にcytokeratinを 発 現 し<br />

ていることから,いわゆる 癌 肉 腫 の 診 断 となった(APhD… 露 出 腫 瘤 型 …<br />

35×22mm…med…INFα…ly0…v0…pn0…pPanc2…pDu2…P0…pT4…pN1…H0…M<br />

(-)…fStageIVa…D2…pEM0…fCurA). 退 院 後 11 日 目 に 四 肢 冷 感 , 食 欲 不<br />

振 を 主 訴 に 外 来 受 診 し,Hb7.2の 高 度 貧 血 を 認 めた. 緊 急 CTで 多 発 肝<br />

転 移 , 多 発 残 膵 転 移 , 多 発 リンパ 節 転 移 または 播 種 病 変 を 認 め, 転 移<br />

巣 からの 出 血 による 多 量 の 液 体 貯 留 が 腹 腔 内 に 出 現 していた. 責 任 血<br />

管 が 同 定 できないためIVRによる 止 血 は 断 念 し, 輸 血 等 を 行 ったが 術<br />

後 63 日 目 に 死 亡 された.【 結 語 】 癌 肉 腫 とは, 同 一 の 腫 瘍 内 に 癌 成 分<br />

と 肉 腫 成 分 が 認 められる 腫 瘍 であるが, 十 二 指 腸 乳 頭 部 原 発 は 極 めて<br />

稀 である. 今 回 , 我 々は 術 後 早 期 に 再 発 死 亡 した 症 例 を 経 験 したので,<br />

若 干 の 文 献 的 考 察 を 含 めて 報 告 する.<br />

-339-


P16-5 内 視 鏡 的 乳 頭 切 除 術 による 完 全 切 除 後 に 局 所 再 発 を 来<br />

した 十 二 指 腸 乳 頭 部 粘 膜 癌 の 一 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 泉 谷 康 仁 , 山 本 有 祐 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 , 塩 崎 敦 ,<br />

栗 生 宜 明 , 生 駒 久 視 , 落 合 登 志 哉 , 大 辻 英 吾<br />

【はじめに】 内 視 鏡 的 乳 頭 切 除 術 は、 診 断 と 治 療 を 目 的 に 乳 頭 部 の 腺<br />

腫 や 粘 膜 癌 に 対 して 病 変 部 の 一 括 切 除 を 行 う。ただし、 癌 に 対 する 適<br />

応 は 十 分 なコンセンサスが 得 られていない。 今 回 我 々は 内 視 鏡 的 乳 頭<br />

切 除 術 の 結 果 、 完 全 切 除 を 得 られたにもかかわらず、 後 に 局 所 再 発 を<br />

来 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 粘 膜 癌 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】<br />

58 歳 女 性 . 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 と 診 断 され, 当 院 消 化 器 内 科 で 内 視 鏡 的<br />

乳 頭 切 除 術 を 施 行 された. 病 理 組 織 学 的 所 見 はAdenocarcinoma…<br />

tubulare,…very…well…differentiated,…tub1,…type…0-Isp,…depth…m,…9mm,…<br />

ly0,…v0,…pHM(-),…pVM(-)であった.…2 年 後 に 施 行 した 内 視 鏡 検 査 で 乳<br />

頭 部 に 腫 瘍 性 病 変 を 指 摘 され, 生 検 で 高 分 化 型 腺 癌 を 認 めた. 腫 瘍 マー<br />

カーはCEA…1.8ng/mL…CA19-9…9.3U/mL、 画 像 所 見 上 は 十 二 指 腸 壁 へ<br />

の 進 展 が 疑 われたが、 明 らかな 膵 浸 潤 、リンパ 節 腫 大 、 遠 隔 転 移 を 疑<br />

う 所 見 を 認 めなかった. 当 科 に 手 術 目 的 に 紹 介 され、 亜 全 胃 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 ,D2リンパ 節 郭 清 を 施 行 した. 術 後 経 過 は 良 好 で 術<br />

後 第 26 病 日 に 退 院 した. 病 理 組 織 学 的 所 見 はAdenocarcinoma,…very…<br />

well…differentiated,with…tubular…adenoma,patAcbd,…depth…m,…ly0,…v0,…<br />

n0,…panc0,…DU0,…EM0,…N0であり、 乳 頭 部 内 胆 管 への 進 展 を 認 めた。<br />

内 視 鏡 的 切 除 に 得 られた 組 織 像 と 類 似 していたため, 局 所 再 発 病 変 と<br />

診 断 された.【 考 察 】 近 年 、 胆 膵 管 内 進 展 を 伴 わない 粘 膜 癌 への 内 視<br />

鏡 的 乳 頭 切 除 術 の 拡 大 適 応 の 報 告 が 散 見 される。しかし、 内 視 鏡 的 乳<br />

頭 切 除 術 で 完 全 切 除 を 達 成 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 粘 膜 癌 の 症 例 の 中 にも<br />

本 症 例 のように 局 所 再 発 を 来 す 症 例 が 存 在 するため、 経 過 観 察 には 十<br />

分 な 注 意 が 必 要 であると 考 える。<br />

P16-6 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 補 助 下 乳 頭 切 除 術<br />

1<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 、 2 滋 賀 医 科 大 学 総 合 外 科 学 講 座<br />

○… 塩 見 尚 礼 1<br />

, 仲 成 幸 1<br />

, 赤 堀 浩 也 1<br />

, 来 見 良 誠 2 1<br />

, 谷 徹<br />

【はじめに】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 はかつて 進 行 癌 が 多 く、 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 で 切 除 される 症 例 が 多 かったが、 近 年 内 視 鏡 的 に 切 除 する 症 例<br />

が 増 加 している。しかし 適 応 に 一 定 したものはなく、 致 死 的 な 偶 発 症<br />

の 可 能 性 などの 問 題 がある。 当 科 では 粘 膜 癌 までの 乳 頭 部 腫 瘍 症 例 で<br />

内 視 鏡 的 乳 頭 切 除 を 希 望 しない 患 者 に 対 し、 腹 腔 鏡 補 助 下 十 二 指 腸 乳<br />

頭 切 除 術 を 施 行 しているので 報 告 する。【 術 式 】 臍 より12mmカメラ<br />

ポートを 挿 入 し、 腹 腔 鏡 下 胃 切 除 術 に 準 じて4~5 本 の5mmポートを<br />

挿 入 した。 気 腹 下 にKocherの 受 動 術 を 行 い、 上 腹 部 に7cmの 正 中 切<br />

開 をおいて 十 二 指 腸 下 行 脚 を 創 外 に 出 した。 乳 頭 部 切 除 の 場 合 、 先 に<br />

胆 嚢 摘 出 術 を 行 った 後 、 術 中 胆 道 造 影 用 チューブを 胆 嚢 管 から 挿 入 し<br />

ておいた。このチューブを 手 がかりに 十 二 指 腸 を 長 軸 方 向 に 切 開 し、<br />

乳 頭 部 を 露 出 させた。 約 5mmのマージンをとって 十 二 指 腸 壁 を 全 層<br />

に 切 開 し、 胆 管 、 膵 管 を 露 出 した。 十 分 な 距 離 をとって 切 離 し、それ<br />

ぞれの 断 端 を 術 中 病 理 診 断 に 提 出 した。 断 端 陰 性 を 確 認 した 後 、 十 二<br />

指 腸 粘 膜 と 膵 管 、 胆 管 を 結 節 縫 合 し、それぞれロストチューブを 留 置<br />

した。 十 二 指 腸 壁 を 短 軸 方 向 に 閉 鎖 し、ドレーンを 留 置 して 手 術 を 終<br />

了 した。【 結 果 】これまで 本 術 式 を2 症 例 に 行 った。1 例 は 前 医 で 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 を 薦 められたが 癌 の 確 定 診 断 がつかなかったため 拒 否<br />

され、 当 院 紹 介 となった。もう1 例 は 冠 動 脈 バイパス 後 で 心 機 能 低 下<br />

の 為 、 本 術 式 が 選 択 された。 病 理 診 断 ではいずれも 断 端 陰 性 で、 深 達<br />

度 はmであった。2 症 例 とも 術 後 3 日 目 より 経 口 摂 取 開 始 し、 術 後 10 日<br />

頃 に 退 院 可 能 であった。【 考 察 】 早 期 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 しては、<br />

十 分 なインフォームドコンセントののちに 手 術 術 式 を 選 択 する 必 要 が<br />

ある。 内 視 鏡 的 乳 頭 切 除 術 を 希 望 されないときの 低 侵 襲 手 術 として、<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 乳 頭 切 除 術 は 選 択 肢 として 有 用 であると 考 えられる。<br />

P16-7 当 科 で 経 験 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の3 例<br />

富 山 県 立 中 央 病 院 外 科<br />

○… 金 本 斐 子 , 清 水 康 一<br />

2005 年 ~2011 年 までに 当 科 にて 経 験 した 十 二 指 腸 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の3<br />

例 を 報 告 する。 症 例 1は81 歳 女 性 、 卵 巣 癌 術 後 のfollow…upのCTにて<br />

十 二 指 腸 乳 頭 部 の10mm 大 の 腫 瘤 性 病 変 を 認 めた。 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌<br />

の 診 断 にて 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PPPD) 施 行 。 病 理 診 断 では、<br />

粘 膜 固 有 層 に 浸 潤 するカルチノイド 腫 瘍 で、#17bにリンパ 節 転 移 を<br />

認 めた。 術 後 は 追 加 治 療 なしで 経 過 観 察 中 であるが3 年 11ヵ 月 無 再 発<br />

生 存 中 である。 症 例 2は54 歳 男 性 、 検 診 の 胃 透 視 にて 前 庭 部 の 不 整 像<br />

を 指 摘 された。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 にて 十 二 指 腸 乳 頭 の 腫 大 を 指 摘 、 生<br />

検 にてカルチノイド 腫 瘍 と 診 断 され、PPPD 施 行 。 病 理 診 断 では、 粘<br />

膜 下 層 に 浸 潤 する12×10×8mm 大 の 腫 瘤 で、リンパ 節 転 移 は 認 めな<br />

かった。 術 後 1 年 4ヵ 月 無 再 発 生 存 中 である。 症 例 3は77 歳 女 性 、 急 激<br />

な 貧 血 進 行 を 認 め、 上 部 消 化 管 内 視 鏡 を 施 行 、 十 二 指 腸 乳 頭 の 腫 大 認<br />

めた。 生 検 にて 神 経 内 分 泌 腫 瘍 (NET)と 診 断 され、PPPD 施 行 。 病 理<br />

診 断 では、NET…G3、 固 有 筋 層 に 浸 潤 する41×37×30…mm… 大 の 腫 瘍 で、<br />

リンパ 節 転 移 は 認 めなかった。pT2pN0pM0…pStage2Aにて 経 過 観 察<br />

中 であるが、 術 後 2ヵ 月 無 再 発 生 存 中 である。 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は、 従<br />

来 までは 悪 性 度 により 分 類 され、 各 臓 器 毎 に 基 準 が 異 なっていたが、<br />

2010 年 に 改 定 されたWHO 分 類 では、 消 化 器 系 で 統 一 され、 核 分 裂 度<br />

とKi-67 指 数 により 病 理 組 織 学 的 に 分 類 された。 症 例 1と2は、2010 年<br />

以 前 の 症 例 であるため、2010 年 の 分 類 に 従 い 再 度 検 討 し 直 し 報 告 する。<br />

本 邦 における 全 消 化 管 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 有 病 率 は0.003%とされる。そ<br />

のうち 十 二 指 腸 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は 全 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の13.8%とされ、<br />

十 二 指 腸 での 発 生 部 位 のうち 乳 頭 部 は25%との 報 告 があり 比 較 的 まれ<br />

な 疾 患 である。 当 院 での 経 験 を 踏 まえ、 本 邦 における 症 例 をもとに 文<br />

献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P16-8 多 発 リンパ 節 転 移 を 伴 い 術 前 診 断 に 苦 慮 した 十 二 指 腸<br />

神 経 内 分 泌 腫 瘍 の1 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 、 2 大 阪 市 立 大 学 附 属 病 院 病 理 部<br />

○… 古 川 健 太 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

,<br />

和 田 浩 志 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 若 狭 研 一 2<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

1<br />

【 症 例 】53 歳 、 男 性 【 主 訴 】 上 腹 部 痛 【 現 病 歴 】2010 年 2 月 に 上 腹 部<br />

痛 を 主 訴 として 近 医 に 救 急 搬 送 された。 腹 痛 は 自 然 軽 快 したが、 画 像<br />

検 査 にて 後 腹 膜 腫 瘤 を 指 摘 され、2 月 24 日 に 開 腹 手 術 を 施 行 された。<br />

開 腹 所 見 では、 腫 瘤 が 上 腸 間 膜 動 静 脈 ( 以 下 SMA/SMV)と 十 二 指 腸<br />

水 平 脚 の 間 に 存 在 し、 脈 管 に 強 固 に 癒 着 していたため 摘 出 不 能 で、 生<br />

検 のみ 施 行 された。 生 検 結 果 はparagangliomaの 疑 いであった。 根 治<br />

的 切 除 には 動 静 脈 の 再 建 を 要 するとの 判 断 に、 当 院 に 紹 介 となった。<br />

【 画 像 所 見 】 腹 部 CTではSMA/SMV 背 側 に 接 して28mmの 多 血 性 の<br />

腫 瘤 と、 十 二 指 腸 下 行 脚 周 囲 に8mm~15mmの 結 節 を 数 個 認 め、 前 医<br />

での 病 理 所 見 と 併 せてparagangiiomaおよびその 転 移 と 考 えられた。<br />

さらに 十 二 指 腸 下 行 脚 前 壁 に13mmの 濃 染 部 位 を 認 めたが、 前 述 の 腫<br />

瘤 との 関 係 は 不 明 であった。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 では、 十 二 指 腸 下<br />

行 脚 に 粘 膜 の 発 赤 を 認 めたのみであった。【 手 術 所 見 】2011 年 2 月 に 開<br />

腹 術 を 施 行 した。SMA/SMV 背 側 および 十 二 指 腸 下 行 脚 周 囲 に 数 個<br />

の 腫 瘤 を 認 め、SMV 合 併 切 除 再 建 を 伴 う 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した。<br />

SMAからの 剥 離 は 可 能 で、 切 除 は 不 要 であった。 切 除 標 本 の 肉 眼 所<br />

見 では、 十 二 指 腸 には 下 行 脚 に 粘 膜 の 発 赤 と 小 隆 起 を 認 めるのみで<br />

あった。【 病 理 所 見 】 十 二 指 腸 下 行 脚 の 粘 膜 下 に 扁 平 な 腫 瘤 を 認 め、<br />

神 経 内 分 泌 腫 瘍 (Neuroendocrine…tumor; 以 下 NET)であった。その<br />

他 の 腫 瘤 も 同 様 の 病 理 所 見 で、 十 二 指 腸 下 行 脚 を 原 発 巣 として、 周 囲<br />

に 多 数 のリンパ 節 転 移 を 伴 ったものと 診 断 した。【 術 後 経 過 】 術 後 46<br />

日 目 に 軽 快 退 院 し、 現 在 無 再 発 生 存 中 である。【 考 察 】 本 症 例 では<br />

十 二 指 腸 近 傍 に 多 数 の 結 節 を 認 めていたが、 内 視 鏡 検 査 では 明 らかな<br />

腫 瘤 を 認 めず、 前 医 での 病 理 診 断 から 多 発 リンパ 節 転 移 を 伴 う<br />

paragangliomaとの 術 前 診 断 に 手 術 を 行 った。 切 除 標 本 の 検 索 では、<br />

比 較 的 小 さな 十 二 指 腸 NETを 原 発 巣 として 周 囲 に 大 きなリンパ 節 転<br />

移 を 多 数 伴 ったものであった。NETは2cmまでのものは 悪 性 度 が 低<br />

く 転 移 や 周 囲 への 浸 潤 も 少 ないとされているが、 主 病 巣 が 小 さい 場 合<br />

でも、 比 較 的 大 きく 多 数 の 転 移 巣 を 伴 う 症 例 が 存 在 することも 念 頭 に<br />

おく 必 要 があると 考 えられた。<br />

-340-


P16-9 多 発 性 肝 転 移 を 有 するも 緩 徐 な 経 過 をたどった 十 二 指<br />

腸 乳 頭 部 カルチノイドの 一 例<br />

中 津 市 立 中 津 市 民 病 院 外 科<br />

○… 岸 原 文 明 , 北 川 大 , 佐 々 木 理 人 , 池 田 正 仁<br />

【はじめに】 十 二 指 腸 乳 頭 部 カルチノイドは 神 経 内 分 泌 細 胞 由 来 の 比<br />

較 的 稀 な 腫 瘍 であり、 発 育 が 緩 徐 な 低 悪 性 度 の 腫 瘍 と 考 えられていた<br />

が、 周 囲 臓 器 への 浸 潤 やリンパ 節 転 移 、 肝 への 転 移 を 有 する 悪 性 度 の<br />

高 いものも 報 告 されており、 厳 密 な 悪 性 度 判 断 は 難 しい。 今 回 我 々は、<br />

興 味 深 い 経 過 をたどった 十 二 指 腸 乳 頭 部 カルチノイドの 切 除 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する。【 症 例 】33 歳 男 性 。 幼 少 時 よりvon…<br />

Recklinghausen 病 と 診 断 されていた。2005 年 3 月 に 検 診 で 肝 障 害 を 指<br />

摘 され 前 医 を 受 診 。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて 十 二 指 腸 乳 頭 部 に<br />

2.5cm 大 の 不 整 形 の 隆 起 性 病 変 を 認 め、 生 検 にてカルチノイドと 診 断<br />

されたため、 治 療 目 的 で 当 科 紹 介 となった。 腹 部 CTでは 十 二 指 腸 乳<br />

頭 部 に1.5cm 大 の 腫 瘍 を 認 め、 肝 内 胆 管 より 総 胆 管 の 拡 張 と 主 膵 管 の<br />

拡 張 がみられたが、 明 らかな 他 臓 器 転 移 は 認 めなかった。 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 を 予 定 し 手 術 を 行 ったが、 開 腹 時 に 肝 両 葉 表 面 に 数 mm 大 の<br />

白 色 調 の 小 結 節 を 多 数 認 め、 迅 速 病 理 検 査 の 結 果 、カルチノイドの 肝<br />

転 移 と 診 断 された。 治 癒 切 除 不 能 なため 胆 嚢 摘 出 ( 胆 石 あり)のみ 行 っ<br />

た。 術 後 黄 疸 が 出 現 したため、 術 後 24 日 目 に 内 視 鏡 的 胆 道 ステント 挿<br />

入 術 (EMS)を 行 った。 退 院 後 はUFT 内 服 にて 経 過 観 察 を 行 ったが、<br />

明 らかな 腫 瘍 の 増 大 は 無 かった。2006 年 2 月 以 降 はUFT 内 服 も 自 己 中<br />

断 されていた。 以 後 は 不 定 期 に 当 科 を 受 診 されたが、 腹 部 CT・ 超 音<br />

波 検 査 上 明 らかな 肝 転 移 所 見 は 認 めなかった。2010 年 8 月 に 発 熱 ・ 倦<br />

怠 感 のため 受 診 。 胆 管 ステント 内 腔 への 腫 瘍 のin-growthによる 閉 塞<br />

がみられたためチューブステントを 挿 入 した。CT 上 原 発 巣 は4cmと<br />

増 大 し 周 囲 リンパ 節 腫 大 みられたが、 肝 転 移 明 らかではないため、 同<br />

年 11 月 に 手 術 を 行 った。 開 腹 所 見 では 前 回 の 手 術 時 同 様 に 肝 表 面 に 多<br />

数 の 小 結 節 があり、 迅 速 病 理 では 肝 転 移 と 診 断 されたが、 肝 転 移 の 様<br />

相 が 前 回 手 術 時 と 変 化 無 かったため、リンパ 節 郭 清 をともなう 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った。 術 後 経 過 良 好 で 術 後 21 日 目 に 自 宅 退 院 と<br />

なった。 腫 瘍 は 膵 実 質 に 浸 潤 しており、リンパ 節 転 移 (12/21)も 認 めた。<br />

以 後 、 外 来 経 過 観 察 を 行 なっているが、 術 後 1 年 の 現 在 まで 画 像 上 、<br />

肝 転 移 所 見 は 確 認 されない。<br />

P17-1 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 良 性 胆 道 狭 窄 に 対 する 治 療 と 転<br />

帰<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院<br />

○… 大 黒 聖 二 , 江 崎 稔 , 岸 庸 二 , 奈 良 聡 , 島 田 和 明 ,<br />

小 菅 智 男<br />

【 背 景 と 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)の 短 期 合 併 症 である 膵 液 瘻<br />

や 胃 排 泄 遅 延 については 多 くの 報 告 がなされているが、 晩 期 合 併 症 で<br />

ある 良 性 胆 道 狭 窄 は 稀 であり 治 療 についてのまとまった 報 告 は 少 ない。<br />

PD 術 後 の 良 性 胆 道 狭 窄 の 治 療 について 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】<br />

2001-2010 年 の 間 に 当 科 で 行 われたPD( 幽 門 輪 温 存 、 亜 全 胃 温 存 を 含<br />

む)…635 例 中 、 退 院 後 に 発 症 した 胆 管 炎 あるいは 閉 塞 性 黄 疸 に 対 して<br />

胆 道 ドレナージを 必 要 とし、 胆 道 造 影 所 見 と 臨 床 経 過 から 良 性 胆 道 狭<br />

窄 と 診 断 した12 例 (1.9%)を 対 象 とした。 治 療 法 は 経 皮 経 肝 胆 道 ドレ<br />

ナージ(PTBD)から 挙 上 空 腸 への 内 瘻 化 を 第 一 選 択 とした。【 結 果 】<br />

年 齢 は66 歳 (43-80 歳 )、 男 7・ 女 5 例 、 観 察 期 間 は 術 後 42か 月 (13-100か 月 )、<br />

疾 患 内 訳 は 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 5 例 、 膵 癌 3 例 、 十 二 指 腸 癌 2 例 、<br />

十 二 指 腸 GIST…1 例 、 内 分 泌 腫 瘍 1 例 であった。 全 例 において 術 後 胆 汁<br />

漏 は 認 めず、また、 画 像 上 胆 管 の 血 流 障 害 を 示 唆 する 所 見 は 認 められ<br />

ず、 胆 道 狭 窄 の 原 因 は 不 明 であった。PD 施 行 からPTBD 施 行 までの<br />

期 間 は10か 月 (1-44か 月 )であった。12 例 中 11 例 においてPTBD 後 にプ<br />

ラスティックチューブによる 内 瘻 化 が 可 能 であった。うち2 例 は 胆 道<br />

結 石 を 認 め、 砕 石 することで 治 癒 した。4 例 は 内 瘻 化 チューブ(8-14Fr)<br />

を 継 続 留 置 (1-16ヶ 月 )することで 胆 管 狭 窄 が 軽 快 してチューブを 抜<br />

去 し、その 後 再 狭 窄 を 認 めていない(チューブ 抜 去 後 12-89か 月 経 過 )。<br />

4 例 は 現 在 も 内 瘻 化 チューブを 留 置 中 (10-30ヶ 月 )である。1 例 は 治 療<br />

期 間 中 に 他 癌 を 発 症 したため 金 属 ステントに 交 換 した。… 内 瘻 化 でき<br />

なかった1 例 には 肝 管 空 腸 再 吻 合 を 行 い、その 後 は 再 狭 窄 を 認 めなかっ<br />

た。【 結 論 】PD 後 の 良 性 胆 道 狭 窄 は 経 皮 経 肝 的 に 内 瘻 化 できれば、プ<br />

ラスティックチューブを 長 期 留 置 することで 多 くの 場 合 治 癒 する。…<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P17-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 虚 血 性 胆 管 閉 塞 の1 例<br />

岐 阜 大 学 高 度 先 進 外 科<br />

○… 村 瀬 勝 俊 , 関 野 考 史 , 木 村 真 樹 , 名 知 祥 , 井 原 頌 ,<br />

関 野 誠 史 郎 , 竹 村 博 文<br />

胆 管 空 腸 吻 合 術 後 の 良 性 胆 道 狭 窄 に 対 して、 近 年 はバルーン 拡 張 や<br />

チューブステント 留 置 など 保 存 的 治 療 が 優 先 されることが 多 く、 手 術<br />

による 再 吻 合 がされることは 比 較 的 まれである。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

の3 年 後 に 胆 管 虚 血 によると 思 われる 胆 管 空 腸 吻 合 部 閉 塞 を 来 たし 手<br />

術 を 要 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 63 歳 、 男 性 。3 年 前<br />

無 黄 疸 で 発 見 された 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 ( 術 後 に 異 所 性 膵 と 判 明 )に 対<br />

し、 前 医 で 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 、Child 変 法 再 建 術 を 施 行<br />

された。 術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 胆 管 炎 などの 合 併 症 はなかった。 術 後<br />

3 年 目 に 感 冒 様 症 状 で 近 医 を 受 診 した 際 、 黄 疸 と 肝 機 能 障 害 を 指 摘 さ<br />

れた。 黄 疸 (T.Bil…7.7g/dl)、CTで 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 め、MRCPで 胆<br />

管 空 腸 吻 合 部 の 狭 搾 を 認 めた。 胆 管 空 腸 吻 合 部 狭 搾 に 伴 う 閉 塞 性 黄 疸<br />

の 診 断 で 前 医 に 入 院 となった。 内 視 鏡 で 経 空 腸 的 胆 管 ドレナージを 試<br />

みられるも 空 腸 から 胆 管 へのカニュレーションが 不 可 能 であり 当 院 に<br />

紹 介 となった。 転 院 後 、 消 化 器 内 科 でPTCDが 行 われたが、ドレナー<br />

ジチューブが 逸 脱 し、 胆 汁 性 胸 水 、 胆 汁 性 腹 膜 炎 となった。これらに<br />

対 するドレナージ 後 に 再 度 PTCDを 施 行 し、 内 瘻 化 を 試 みるも 吻 合 部<br />

へのガイドワイヤー 通 過 は 不 可 能 であった。PTCSで 吻 合 部 に 白 色 隆<br />

起 を 認 め 完 全 閉 塞 の 状 態 であった。 内 視 鏡 的 治 療 の 限 界 と 判 断 され、<br />

発 症 から78 日 目 に 手 術 を 行 った。 胆 嚢 床 には 挙 上 空 腸 が 強 く 癒 着 して<br />

いた。 肝 門 部 で 胆 管 空 腸 吻 合 部 周 囲 の 癒 着 を 剥 離 した。 胆 管 空 腸 吻 合<br />

部 は 左 右 肝 管 合 流 部 のやや 尾 側 であり 吻 合 部 は3mm 幅 の 索 状 物 と<br />

なっていた。 明 らかな 腫 瘤 は 認 めなかった。 吻 合 部 を 切 除 し、 左 肝 管<br />

を 切 開 し 吻 合 孔 を 延 長 した 後 に 胆 管 空 腸 再 吻 合 を 行 った。 病 理 組 織 学<br />

的 所 見 で 切 除 した 吻 合 部 には 腫 瘍 性 変 化 、 悪 性 所 見 はなく、 瘢 痕 様 の<br />

高 度 の 線 維 増 生 および 毛 細 血 管 増 生 を 主 体 とした 組 織 であった。 胆 管<br />

虚 血 の 形 態 変 化 に 一 致 しており、 術 後 胆 管 虚 血 に 伴 う 遅 発 性 の 胆 管 閉<br />

塞 と 診 断 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 第 14 病 日 に 退 院 した。 術 後 3か 月 現<br />

在 再 発 は 認 めていない。<br />

P17-3 治 療 に 難 渋 した 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 の 胆 道 狭 窄 にとも<br />

なう 総 胆 管 結 石 ・ 肝 内 結 石 症 の1 例<br />

自 衛 隊 中 央 病 院 外 科<br />

○… 村 山 道 典 , 瀧 端 康 博 , 潟 手 祐 子 , 阿 尾 理 一 , 相 澤 亮 ,<br />

菅 澤 英 一 , 小 川 均 , 小 川 敏 也 , 宇 都 宮 勝 之 , 冨 松 聡 一 ,<br />

井 上 公 俊 , 小 林 秀 紀<br />

症 例 は66 歳 男 性 。 主 訴 は 発 熱 ・ 黄 疸 。60 歳 時 、 胆 嚢 結 石 症 のため 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 されたが、 胆 管 損 傷 のため 開 腹 移 行 となった。<br />

術 後 胆 管 狭 窄 を 合 併 したため、2ヶ 月 後 に 胆 管 空 腸 側 々 吻 合 術 が 行 わ<br />

れた。 以 後 4 年 半 の 間 に6 回 、 総 胆 管 結 石 ・ 胆 管 炎 を 繰 り 返 したため、<br />

総 胆 管 結 石 を 截 石 後 胆 管 狭 窄 部 に 金 属 ステントが 留 置 された。しかし<br />

ながら、9ヶ 月 後 発 熱 ・ 黄 疸 が 再 燃 し、 総 胆 管 結 石 および 左 右 肝 管 に<br />

多 数 の 結 石 が 認 められ、 内 視 鏡 的 経 鼻 胆 道 ドレナージを 留 置 後 、 当 院<br />

当 科 への 紹 介 となった。 経 皮 経 肝 胆 管 ドレナージを 留 置 して 造 影 する<br />

と、 総 胆 管 結 石 とBismuth…II 型 の 胆 管 狭 窄 を 認 め、 挙 上 空 腸 への 造 影<br />

剤 の 流 出 を 認 めた。 内 視 鏡 的 十 二 指 腸 乳 頭 切 開 後 、 経 皮 経 肝 胆 道 鏡 を<br />

用 いて 十 二 指 腸 内 に 結 石 を 排 出 させ 完 全 に 截 石 を 行 った。 経 皮 経 肝 胆<br />

道 造 影 で 十 二 指 腸 への 造 影 剤 の 流 出 は 良 好 となった。 2 年 後 に 発 熱 ・<br />

黄 疸 が 再 燃 し、 肝 内 結 石 の 再 発 を 認 めた。 総 胆 管 内 の 結 石 は 経 乳 頭 的<br />

に 截 石 できたが、 金 属 ステントより 肝 側 にある 肝 内 結 石 を 除 去 できな<br />

かった。また、 肝 右 葉 の 萎 縮 が 認 められたため、 保 存 的 治 療 の 限 界 と<br />

考 え、 肝 外 胆 管 切 除 ・ 肝 内 結 石 截 石 ・ 肝 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した。 結<br />

腸 前 で 挙 上 されていた 胆 管 空 腸 吻 合 部 を 切 離 、 肝 外 胆 管 を 膵 上 縁 で 切<br />

離 し、 胆 道 鏡 で 十 二 指 腸 側 に 結 石 のないことを 確 認 して 閉 鎖 した。 肝<br />

外 胆 管 を 狭 窄 部 より 肝 側 まで 遊 離 し、 金 属 ステントとともに 切 除 した。<br />

肝 内 結 石 を 胆 道 鏡 で 截 石 した 後 、 胆 管 断 端 を 形 成 し、 挙 上 空 腸 を 結 腸<br />

後 ルートに 変 更 して 吻 合 した。 術 後 3 年 経 過 した 現 在 、 結 石 の 再 発 を<br />

認 めていない。 本 例 は 胆 道 損 傷 後 早 期 の 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 して 胆 管<br />

空 腸 吻 合 が 施 行 されていたが、 総 胆 管 結 石 ・ 胆 管 炎 を 繰 り 返 した。そ<br />

の 後 胆 管 狭 窄 部 に 金 属 ステントが 留 置 され 狭 窄 は 解 除 されていたにも<br />

かかわらず、 総 胆 管 結 石 ・ 胆 管 炎 が 再 燃 した。 早 期 に 結 石 形 成 が 認 め<br />

られた 原 因 として、 異 物 のある 胆 管 内 に 胆 管 空 腸 吻 合 部 から 腸 内 細 菌<br />

が 容 易 に 入 り 込 むことが 関 与 していたのではないかと 推 察 した。<br />

-341-


P17-4 治 療 に 難 渋 した 再 発 肝 内 胆 管 結 石 症 例<br />

西 宮 市 立 中 央 病 院 外 科<br />

○… 林 伸 泰 , 相 馬 逸 郎 , 中 野 克 俊 , 桧 垣 直 純 , 村 上 雅 一 ,<br />

林 田 博 人 , 市 原 隆 夫 , 岡 義 雄 , 左 近 賢 人<br />

背 景 : 肝 内 結 石 症 はまれな 疾 患 であるが, 治 療 に 難 渋 することもある。<br />

今 回 我 々は 肝 内 結 石 再 発 症 例 に 対 して 外 科 的 に 経 皮 経 肝 的 にルートを<br />

作 成 した 後 に, 胆 道 鏡 下 に 総 胆 管 の 結 石 を 破 砕 し 摘 出 をなしえた 症 例<br />

を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は70 歳 女 性 。16 年 前 に 多 発 肝 内 結 石 に<br />

対 して 肝 左 葉 切 除 、 胆 管 空 腸 吻 合 を 他 院 で 施 行 されていた。 平 成 22 年<br />

5 月 初 旬 より 発 熱 と 黄 疸 を 主 訴 とし 近 医 受 診 。 同 6 月 精 査 目 的 で 紹 介 と<br />

なった。 来 院 時 の 画 像 所 見 では、 肝 内 胆 管 前 後 区 域 枝 に 結 石 の 充 満 像<br />

と 抹 消 胆 管 の 拡 張 を 認 めた。 多 発 性 の 肝 内 結 石 再 発 による 閉 塞 性 黄 疸<br />

と 診 断 した。 長 期 間 に 及 ぶ 閉 塞 性 黄 疸 のため 胆 汁 性 肝 硬 変 を 合 併 して<br />

いると 思 われた。Child-Pugh 分 類 Bと 肝 機 能 の 低 下 を 認 めた。 軽 度 の<br />

発 熱 、WBCの 上 昇 があり 感 染 徴 候 も 認 めた。B5よりPTCDチューブ<br />

を 挿 入 し 減 黄 を 行 った。 感 染 と 黄 疸 の 軽 快 後 、 挿 入 したPTCDチュー<br />

ブ 径 の 拡 張 を 行 い、 経 皮 的 な 結 石 砕 石 、 除 去 を 行 ったが 充 満 結 石 が 多<br />

く 鉗 子 操 作 スペースの 低 下 から 除 去 には 至 らなかった。 次 に、 体 外 衝<br />

撃 波 (ESWL)による 繰 り 返 しの 砕 石 術 を 行 ったが、 数 個 のみの 砕 石 に<br />

とどまり 充 満 する 多 発 結 石 の 除 去 は 不 可 能 であった。 同 9 月 に 肝 部 分<br />

切 除 術 、 結 石 除 去 、 胆 管 内 チューブ 挿 入 を 施 行 した。 肝 機 能 低 下 から<br />

肝 切 除 は 肝 内 胆 管 の 露 出 できる 最 小 限 の 切 除 とし 可 及 的 な 結 石 除 去 術<br />

とB6より 中 枢 側 に10Frのディープルドレーンを 挿 入 した。 挿 入 後 、<br />

外 瘻 形 成 を 待 って 経 皮 経 肝 内 視 鏡 によるinterventional…radiology<br />

(IVR)を 行 った。 内 視 鏡 は 経 口 胃 カメラを 瘻 孔 より 挿 入 することで、<br />

操 作 性 の 優 れた 鉗 子 を 挿 入 し、 直 視 下 に 破 砕 、 除 去 を 繰 り 返 すことが<br />

できた。その 結 果 、 全 ての 結 石 を 除 去 することが 可 能 となり、 同 11 月<br />

に 退 院 となった。 結 語 : 治 療 に 難 渋 する 肝 内 胆 管 結 石 症 例 に 対 してそ<br />

れぞれの 病 態 に 応 じて 治 療 法 を 組 み 合 せ, 集 約 的 に 治 療 をすすめてい<br />

くことが 重 要 であると 考 える.<br />

P17-5 80 年 間 無 症 状 で 経 過 した、 重 複 総 胆 管 ( 中 隔 形 成 型 )の<br />

一 例<br />

田 岡 病 院 外 科<br />

○… 荒 川 悠 佑 , 加 茂 仁 美 , 山 口 剛 , 角 瀬 裕 子 , 沖 津 奈 津 ,<br />

中 井 義 弘 , 田 代 征 記 , 吉 岡 一 夫<br />

胆 道 系 奇 形 の 中 でも 重 複 胆 管 症 は 極 めて 稀 な 症 例 であり、またその 病<br />

態 は 症 例 により 多 様 であり 複 雑 である。 今 回 の 我 々の 症 例 を 加 えこれ<br />

まで 本 邦 において60 例 の 文 献 的 報 告 があり、これらによる 考 察 を 加 味<br />

して 報 告 する。 症 例 は80 歳 女 性 、これまでに 特 記 すべき 既 往 歴 なし、<br />

上 腹 部 痛 を 主 訴 に 受 診 し、 血 液 検 査 にてALT…104…IU/l,…T-Bil…3.1…mg/<br />

dl,…ALP…460…U/l,… γGTP…188…IU/lと 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 め、 腹 部<br />

CTで 複 数 の1cm 大 超 の 総 胆 管 結 石 及 び 胆 嚢 内 の 結 石 を 指 摘 された。<br />

開 腹 下 に 総 胆 管 切 開 及 び 切 石 術 ならびに 胆 嚢 摘 出 術 を 行 った。 直 視 下<br />

に 総 胆 管 上 部 前 壁 を 切 開 したところ、 重 複 した 胆 管 腔 と 中 隔 を 認 めた。<br />

胆 道 ファイバーにて 確 認 すると、 各 々の 内 腔 は 胆 管 粘 膜 に 覆 われ 十 二<br />

指 腸 乳 頭 の 頭 側 で 合 流 している 所 見 であった。 切 石 後 にRTBDを 留 置<br />

し、 総 胆 管 は 一 期 的 に 閉 鎖 し 手 術 を 終 了 した。 術 後 、RTBDからの 造<br />

影 検 査 でも、 重 複 総 胆 管 (1 型 )が 確 認 された。 本 邦 では 本 症 例 を 含 め<br />

て60 例 の 文 献 的 報 告 があり、 斉 藤 らにより1 型 から4 型 に 分 類 されてお<br />

り、この 症 例 は1 型 ( 中 隔 形 成 型 )に 合 致 した。 報 告 では1 型 :6 例 、2 型<br />

( 分 枝 型 ):11 例 、3 型 ( 分 離 型 ):33 例 (3a 型 :6 例 、3b 型 :27 例 )4 型 ( 混<br />

合 型 ):5 例 、 不 明 :4 例 であった。 胆 管 結 石 の 合 併 は18 例 に 認 められた。<br />

併 存 疾 患 との 関 係 はで、14 例 は 悪 性 腫 瘍 を 伴 い( 胆 嚢 癌 9 例 、 乳 頭 部 癌<br />

1 例 、 胃 癌 3 例 、 膵 頭 部 癌 1 例 )、 胆 嚢 癌 症 例 は 全 例 膵 胆 管 合 流 異 常 を 合<br />

併 し、 胃 癌 症 例 は 全 例 重 複 胆 管 が 胃 に 開 口 しており 胆 汁 ・ 膵 液 による<br />

慢 性 刺 激 による 発 癌 が 示 唆 された。1 型 症 例 では6 例 中 1 例 に 膵 胆 管 合<br />

流 異 常 を 合 併 していたが、 発 癌 を 認 めた 症 例 はなかった。また、 本 症<br />

例 を 含 めて3 例 に 胆 管 結 石 を 合 併 していた。<br />

P17-6 閉 塞 性 胆 管 炎 を 来 たしたCholedococeleの1 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター、 2 日 本 医 科 大 学<br />

外 科<br />

○… 野 村 聡 1<br />

, 水 谷 聡 1<br />

, 鈴 木 英 之 1<br />

, 村 木 輝 1<br />

, 豊 田 哲 鎬 1<br />

,<br />

前 島 顕 太 郎 1<br />

, 小 峯 修 1<br />

, 吉 野 雅 則 1<br />

, 渡 辺 昌 則 1<br />

,<br />

2<br />

内 田 英 二<br />

Choledococeleは 十 二 指 腸 壁 内 で 胆 管 が 嚢 状 に 拡 張 する 疾 患 である。<br />

先 天 性 、 後 天 性 何 れも 存 在 し、 特 に 先 天 性 においては 戸 谷 やAlonso-<br />

Leiが 先 天 性 胆 道 拡 張 症 の3 型 に 分 類 している。 本 症 例 は78 歳 女 性 、 発<br />

熱 、 腹 痛 、 黄 疸 を 主 訴 に 当 院 を 受 診 した。 右 肋 骨 弓 下 に 強 い 圧 痛 があ<br />

り、 血 液 検 査 ではWBC10370、CRP11.26、T-bil12.40、AST115。 腹 部<br />

CT 検 査 ではVater 乳 頭 部 に 嚢 状 の 胆 管 拡 張 と 嚢 内 に 結 石 を 認 めた。 総<br />

胆 管 結 石 による 閉 塞 性 胆 管 炎 の 診 断 で 緊 急 EBDを 施 行 した。 内 視 鏡<br />

所 見 ではVater 乳 頭 粘 膜 下 に 弾 性 軟 の 腫 瘤 性 病 変 を 認 めた。ERC 造 影<br />

によりCholedococeleと 診 断 した。 嚢 内 に 陥 頓 した 結 石 を 認 めた。 膵<br />

胆 管 合 流 異 常 も 見 られた。 肝 内 管 内 での 胆 汁 AMYは2290と 上 昇 して<br />

いた。ENBD 留 置 後 7 日 目 にESTを 施 行 予 定 した。ENBD 造 影 におい<br />

て 嚢 は 消 失 し、 内 視 鏡 ではVater 乳 頭 開 口 部 はチューブによる 物 理 的<br />

壊 死 により 開 大 され 結 石 は 落 下 していた。 二 次 治 療 を 要 せず 改 善 した。<br />

Choledococeleは 胆 石 症 や 膵 炎 を 合 併 しやすく 腹 痛 を 呈 する 例 が 多 い。<br />

本 疾 患 は 膵 胆 管 合 流 異 常 の 合 併 が 稀 であり、 癌 合 併 の 報 告 は 少 ないが、<br />

本 症 例 のように 共 通 管 を 有 する 例 では, 膵 液 の 逆 流 のため 胆 道 癌 の 発<br />

生 に 注 意 が 必 要 である。 有 症 状 症 例 では 胆 汁 ドレナージを 目 的 とした<br />

ESTが 行 われているが、 合 流 異 常 を 有 する 症 例 は 術 後 の 長 期 経 過 観 察<br />

が 必 要 と 考 えられる。<br />

P17-7 胆 管 嚢 胞 腺 癌 ・ 腺 腫 と 診 断 された7 例 の 再 検 討<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 米 内 山 真 之 介 , 豊 木 嘉 一 , 石 戸 圭 之 輔 , 工 藤 大 輔 ,<br />

木 村 憲 央 , 大 橋 大 成 , 鳴 海 俊 治 , 袴 田 健 一<br />

【 背 景 】 嚢 胞 性 膵 腫 瘍 については、1982 年 の 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 …<br />

(IPMN)…についての 発 表 以 来 、 種 々の 報 告 がなされてきた。2006 年 に<br />

はIPMN/MCN 国 際 診 療 ガイドラインが 公 表 され、その 病 態 も 明 らか<br />

にされつつある。 一 方 、 胆 管 にも 乳 頭 状 増 殖 や 粘 液 産 生 を 特 徴 とする<br />

腫 瘍 がIPNBとして 報 告 されているが、 報 告 例 が 少 なく、 未 だ 本 疾 患<br />

の 臨 床 学 的 特 徴 や 病 理 学 的 特 徴 に 関 しては 明 らかになっていない。【 目<br />

的 】 胆 管 嚢 胞 腺 癌 ・ 腺 腫 と 診 断 され 切 除 に 至 った7 例 について、 病 理<br />

学 的 に 再 検 討 を 行 った。さらにこれらに 対 し 免 疫 組 織 化 学 染 色 を 行 い、<br />

病 理 学 的 特 徴 を 再 検 討 した。【 対 象 】 当 教 室 で2000 年 から2010 年 に 手<br />

術 を 施 行 した 胆 管 嚢 胞 腺 癌 ・ 腺 腫 の7 例 を 対 象 とした。 男 性 1 例 、 女 性<br />

6 例 で、 平 均 年 齢 は62 歳 であった。 術 式 の 内 訳 は、 左 三 区 域 切 除 術 1 例 、<br />

拡 大 右 葉 切 除 術 1 例 、 拡 大 左 葉 切 除 術 2 例 、 右 葉 切 除 術 3 例 であった。【 結<br />

果 】 術 後 診 断 は 胆 管 嚢 胞 腺 癌 が4 例 、 胆 管 嚢 胞 腺 腫 が2 例 、 肝 内 胆 管 嚢<br />

胞 が1 例 であった。 再 検 討 の 結 果 、 胆 管 嚢 胞 腺 癌 と 診 断 された1 例 が<br />

IPNBであると 考 えられた。これらの 症 例 に 対 し、 上 皮 成 分 の 細 胞 形<br />

質 を 確 認 するために 免 疫 組 織 化 学 的 に 粘 液 形 質 を 検 討 した。その 結 果 、<br />

MUCシリーズの 染 色 パターンは 一 定 ではなかった。 膵 IPMNと 比 べ<br />

ると、 粘 液 形 質 による 亜 型 分 類 は 困 難 な 傾 向 であると 考 えられた。<br />

-342-


P17-8 胆 管 との 交 通 を 認 めた 胆 管 嚢 胞 腺 腫 の 一 例<br />

1<br />

国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 立 川 病 院 外 科 、 2 慶 應 義 塾 大 学 病<br />

院 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 谷 紀 幸 1<br />

, 北 郷 実 2<br />

, 山 田 暢 1<br />

, 服 部 裕 昭 1<br />

, 秋 山 芳 伸 1<br />

,<br />

1<br />

鈴 木 文 雄<br />

症 例 は58 歳 , 女 性 . 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 救 急 外 来 を 受 診 し 腹 部 超 音 波 検<br />

査 ,CT 検 査 にて 肝 左 葉 に6cm 大 の 多 房 性 嚢 胞 性 腫 瘍 と 胆 管 左 枝 の 拡<br />

張 を 認 めた. 経 皮 嚢 胞 ドレナージを 施 行 し 疼 痛 改 善 した. 嚢 胞 内 容 は<br />

当 初 漿 液 性 であったが 徐 々に 胆 汁 様 に 変 化 した. 後 日 ERCPを 施 行 し<br />

嚢 胞 とB4 胆 管 との 交 通 を 認 めた. 経 皮 嚢 胞 ドレナージ 内 容 と 胆 汁 細<br />

胞 診 , 胆 管 ブラッシング 細 胞 診 はいずれもCLASS…IIであった. 胆 管<br />

嚢 胞 腺 腫 と 診 断 するも, 胆 管 嚢 胞 腺 癌 , 肝 内 胆 管 癌 と 悪 性 の 鑑 別 が 困<br />

難 であること. 経 皮 嚢 胞 ドレナージのクランプにより 腹 痛 を 認 めたこ<br />

とより 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した. 摘 出 標 本 では5cmまでの 多 房 性 嚢 胞 で<br />

構 成 され 胆 汁 色 素 の 沈 着 する 嚢 胞 と 沈 着 していない 嚢 胞 が 認 められた.<br />

病 理 組 織 学 的 所 見 では 円 柱 上 皮 からなり 上 皮 直 下 に 卵 巣 様 間 質 を 認 め<br />

胆 管 嚢 胞 腺 腫 と 診 断 した.また, 胆 汁 色 素 の 沈 着 した 嚢 胞 壁 では 肉 芽<br />

腫 反 応 や 出 血 ・ 石 灰 化 の 沈 着 を 認 め, 周 囲 の 肝 実 質 の 萎 縮 ・ 出 血 ・ 好<br />

中 球 浸 潤 を 伴 っており, 嚢 胞 壁 の 破 綻 とそれに 伴 う 炎 症 反 応 が 起 こっ<br />

たと 推 察 された. 術 前 診 断 が 困 難 で 胆 管 交 通 を 伴 う 稀 な 胆 管 嚢 胞 腺 腫<br />

を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P17-9 早 期 胃 癌 に 合 併 した 胆 管 腺 線 維 腫 の1 例<br />

1<br />

久 留 米 大 学 医 療 センター 外 科 、 2 久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 高 橋 健 二 郎 1<br />

, 内 田 信 治 1<br />

, 岐 部 史 郎 1<br />

, 田 中 克 明 1<br />

,<br />

村 上 直 孝 1<br />

, 石 橋 生 哉 1<br />

, 白 水 和 雄 2 1<br />

, 緒 方 裕<br />

胆 管 腺 線 維 腫 は、 本 邦 での 報 告 が 少 なく、きわめて 稀 な 疾 患 である。<br />

今 回 われわれは 早 期 胃 癌 の 術 前 CTで 肝 内 SOLを 認 め、 肝 部 分 切 除 後<br />

の 病 理 で 胆 管 腺 線 維 腫 と 診 断 した 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例<br />

は67 歳 男 性 。 早 期 胃 癌 術 後 経 過 観 察 中 に 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 で 早 期<br />

胃 癌 を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 で 当 科 紹 介 入 院 。 術 前 精 査 で2cm 大 の<br />

肝 内 SOLを 認 めた。 既 往 は 特 記 事 項 認 めない。 血 液 生 化 学 検 査 では 貧<br />

血 や 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 めず、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 も 認 めなかっ<br />

た。 腹 部 CTで 肝 S5に2cm 大 のdynamicCTで 徐 々に 淡 く 濃 染 される 腫<br />

瘤 性 病 変 を 認 めた。 以 上 より、 早 期 胃 癌 、 肝 内 腫 瘤 の 診 断 で、 腹 腔 鏡<br />

下 胃 全 摘 術 + 肝 S5 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 病 理 で 早 期 胃 癌 psm1…<br />

H0P0M0…pStage…IA…+… 胆 管 腺 線 維 腫 と 診 断 した。 術 後 6POD 肺 動 脈<br />

塞 栓 症 を 発 症 され、 永 眠 された。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P18-1 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 について<br />

山 形 大 学 第 1 外 科<br />

○… 平 井 一 郎 , 木 村 理 , 渡 邊 利 広 , 森 谷 敏 幸 , 手 塚 康 二 ,<br />

藤 本 博 人 , 福 元 剛 , 竹 下 明 子<br />

目 的 : 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 は 良 性 疾 患 で 分 流 手 術 を 行 うことが 多 いが,<br />

術 後 の 胆 管 炎 や 肝 内 結 石 の 合 併 症 が 問 題 である. 本 疾 患 について 検 討<br />

する. 対 象 : 当 科 で 経 験 した14 例 である. 癌 合 併 の 症 例 は 除 外 した.<br />

年 齢 は22~64 歳 . 戸 谷 分 類 では1a,…3 例 ;1c,…4 例 ;IVa,…5 例 ; 非 拡 張 型 ,…<br />

1 例 ; 不 明 ,1 例 であった. 術 式 は1a,…1c,…IVaには 胆 管 切 除 + 胆 道 再 建<br />

を 行 ったが,IVaの1 例 と 胆 管 非 拡 張 症 例 の1 例 は 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

のみとなった. 結 果 : 胆 管 内 胆 汁 のアミラーゼ 値 は169-128525…IU/l,…<br />

リパーゼ6400-337300…IU/l,…CEA1.0-182.5…ng/ml,…CA19-9…5.3-12000…IU/<br />

l. 胆 嚢 内 胆 汁 のアミラーゼ 値 は4600-…438970…IU/l,… リパーゼ9665-…<br />

389000…IU/l,…CEA3.8-99.2…ng/ml,…CA19-9…2-12000…IU/lであった. 組 織<br />

学 的 には 慢 性 胆 嚢 炎 であった. 術 後 早 期 合 併 症 は1a 型 の1 例 に 膵 液 漏<br />

認 めたがドレナージで 軽 快 した.1c 型 の1 例 は 十 二 指 腸 の 通 過 障 害 で<br />

経 口 摂 取 が 遅 れた. 術 後 晩 期 合 併 症 は1a 型 の1 例 は 術 後 4 年 で 肝 内 結 石<br />

出 現 し, 経 皮 的 胆 管 ドレナージルートから 砕 石 した.IV 型 では 大 き<br />

な 口 径 で 吻 合 できた 症 例 には 肝 内 結 石 はないが,3 例 に 肝 内 結 石 が2,…3,…<br />

6 年 で 出 現 した.3 例 とも 小 腸 内 視 鏡 を 行 った. 同 3 例 中 1 例 は 術 前 から<br />

肝 嚢 胞 があり, 胆 管 空 腸 吻 合 後 に 肝 膿 瘍 となり, 後 区 域 切 除 が 必 要 と<br />

なった. 別 の1 例 は 両 葉 の 肝 内 胆 管 の 拡 張 があり, 胆 管 形 成 を 行 うこ<br />

とができなかった.また 他 院 にて 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 に 対 し 胆 管 空 腸<br />

吻 合 術 8 年 後 に 肝 内 結 石 が 発 症 し, 左 葉 切 除 した.その20 年 後 に 肝 内<br />

結 石 が 出 現 した. 本 症 例 に 対 しては 全 身 麻 酔 下 に 胆 管 空 腸 吻 合 の 挙 上<br />

空 腸 より 術 中 内 視 鏡 で 砕 石 し, 腹 壁 に 固 定 してTチューブを 留 置 した.<br />

最 近 では 術 後 に 胆 管 炎 , 肝 内 結 石 の 予 防 にウルソや 茵 陳 蒿 湯 を 投 与 し<br />

ている. 結 語 :IV 型 では 術 後 肝 内 結 石 の 発 生 が 多 く, 肝 門 部 の 胆 管<br />

形 成 を 行 って 胆 道 再 建 する. 肝 嚢 胞 を 有 する 症 例 では 術 後 肝 膿 瘍 に 注<br />

意 する.( 肝 切 除 または 嚢 胞 空 腸 吻 合 という 報 告 がある). 両 葉 の 拡 張<br />

症 例 では 将 来 肝 内 結 石 で 肝 切 除 が 必 要 になる 可 能 性 がある. 肝 内 結 石<br />

の 砕 石 ルートには 経 皮 経 肝 的 , 小 腸 内 視 鏡 , 胆 管 空 腸 吻 合 の 挙 上 空 腸<br />

がある.<br />

P18-2 膵 胆 管 合 流 異 常 症 例 の 検 討<br />

1<br />

板 橋 区 医 師 会 病 院 外 科 、 2 日 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 栗 藤 克 己 1<br />

, 山 崎 洋 子 1<br />

, 万 本 潤 1<br />

, 柏 尾 光 彦 1<br />

, 西 田 茂 1<br />

,<br />

高 山 忠 利<br />

2<br />

10 例 の 膵 胆 管 合 流 異 常 症 例 について 臨 床 病 理 学 的 に 検 討 する。 年 齢 は<br />

48 歳 から79… 歳 、 平 均 64.3 歳 。 男 性 6 例 、 女 性 4 例 。 膵 胆 管 合 流 異 常 を 疑 っ<br />

た 原 疾 患 は、 胆 嚢 結 石 3 例 、 胆 嚢 胆 管 結 石 2 例 、 総 胆 管 結 石 3 例 、 胆 嚢<br />

癌 1 例 、 胆 管 拡 張 症 1 例 だった。 術 前 ERCPは7 例 に 施 行 し、 胆 管 拡 張<br />

を 認 めた 症 例 7 例 、 非 拡 張 症 例 3 例 。 胆 管 膵 管 の 合 流 型 式 は 全 例 胆 管 合<br />

流 型 だった。 術 前 、 術 中 胆 汁 中 アミラーゼ 値 は、508ー209330…IU/l…、<br />

平 均 62106…IU/l…だった。 手 術 は8 例 に 分 流 手 術 を 施 行 した。 病 理 学 的<br />

に 胆 嚢 、 胆 管 に 異 型 を 認 めたのは 胆 嚢 癌 , 拡 張 症 以 外 には 認 めず、1 例<br />

は 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 だった。 先 天 性 胆 管 拡 張 症 例 は、 成 人 、 腹 痛 を<br />

主 訴 として 受 診 、 病 理 学 的 に 早 期 胆 嚢 癌 を 合 併 していた。 膵 胆 管 合 流<br />

異 常 症 は 胆 道 系 悪 性 腫 瘍 との 関 連 において 注 目 されている。 一 方 、 嚢<br />

腫 、 拡 張 胆 管 切 除 後 の 胆 管 癌 の 発 生 例 の 報 告 もあり、 留 意 すべきであ<br />

る。 膵 胆 管 合 流 異 常 に 関 しては、 診 断 基 準 についても 今 なお 検 討 課 題<br />

とされているが、 胆 汁 中 アミラーゼの 値 が 補 助 診 断 の 上 で 重 要 である。<br />

今 回 、さまざまな 疾 患 を 合 併 した 合 流 異 常 症 を 経 験 したので、 文 献 的<br />

考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-343-


P18-3 胆 管 非 拡 張 型 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 の 治 療 戦 略<br />

1<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 京 女 子 医 科 大 学 八 千 代 医 療 セ<br />

ンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 竹 下 信 啓 1<br />

, 太 田 岳 洋 1<br />

, 濱 野 美 枝 2<br />

, 樋 口 亮 太 1<br />

,<br />

谷 澤 武 久 1<br />

, 梶 山 英 樹 1<br />

, 小 貫 建 一 郎 1 1,2<br />

, 植 村 修 一 郎 ,<br />

新 井 田 達 雄 2 1<br />

, 山 本 雅 一<br />

胆 道 癌 のハイリスク 病 変 である 膵 胆 管 合 流 異 常 における 非 拡 張 型 に 対<br />

する 外 科 治 療 として 胆 管 切 除 すべきか 否 かについて 議 論 がなされてい<br />

るものの 未 だ 統 一 見 解 が 得 られていない。 当 教 室 においては 胆 管 炎 や<br />

膵 炎 を 伴 わない 限 りは 胆 嚢 摘 出 術 を 第 一 選 択 としてきたが、その 根 拠<br />

について 臨 床 学 的 特 徴 と 術 後 治 療 成 績 に 基 づいて 報 告 する。 ( 対 象 )<br />

1968 年 ~2011 年 までに 当 教 室 で 外 科 治 療 を 受 けた 膵 胆 管 合 流 異 常 373<br />

例 中 、 胆 管 最 大 径 10mm 以 下 の78 例 を 胆 管 非 拡 張 型 とした。そのうち<br />

癌 非 併 存 の35 例 を 対 象 とした。( 結 果 ) 臨 床 学 的 特 徴 : 臨 床 症 状 として<br />

腹 痛 を 呈 したものが 最 も 多 く27 例 に 認 め、その 原 因 として 胆 石 ・ 胆 管<br />

炎 、 膵 炎 や 胆 嚢 収 縮 に 伴 う 胆 汁 の 膵 管 内 逆 流 によるものなどが 考 えら<br />

れた。 無 症 状 のものは9 例 であった。 胆 嚢 結 石 を8 例 に、 膵 石 を3 例 に<br />

認 めた。 形 態 分 類 ならびに 術 式 : 胆 嚢 摘 出 術 が27 例 ( 腹 腔 鏡 下 9 例 を 含<br />

む)に 肝 外 胆 道 切 除 、 胆 道 再 建 術 が8 例 (PPPD1 例 を 含 む)に 施 行 された。<br />

このうち、ERCPあるいはMRCPで 胆 管 形 態 について 確 認 できた20 例<br />

を 検 討 したところ、 典 型 的 な 非 拡 張 型 を 呈 した10 例 中 9 例 に 胆 嚢 摘 出 術 、<br />

1 例 に 肝 外 胆 道 切 除 ・ 胆 道 再 建 術 が 施 行 された。また、 軽 度 円 柱 状 な<br />

いしは 紡 錘 状 を 呈 した10 例 中 7 例 に 胆 嚢 摘 出 術 、3 例 に 肝 外 胆 道 切 除 ・<br />

胆 道 再 建 術 が 施 行 された。 合 流 形 態 に 関 しては、 胆 管 に 膵 管 が 合 流 す<br />

るものが17 例 であった。 術 後 経 過 : 平 均 観 察 期 間 は、130.1ヶ 月 (1-<br />

311ヶ 月 )であった。 膵 炎 や 胆 管 炎 に 起 因 しない 腹 痛 を 有 した 症 例 では<br />

胆 嚢 摘 出 術 後 に 症 状 が 消 失 した。 胆 嚢 摘 出 術 のみを 受 けた 症 例 のうち<br />

6 例 に 胆 道 シンチグラフィーを 施 行 した。 胆 管 から 十 二 指 腸 へのRIの<br />

移 行 は 速 やかであり 胆 汁 のうっ 滞 所 見 は 認 められなかった。いずれの<br />

術 式 においても 術 後 に 胆 管 癌 の 発 生 ならびに 胆 管 炎 などの 合 併 症 は 認<br />

めていない。( 結 語 ) 胆 管 非 拡 張 型 では 高 率 に 胆 嚢 癌 の 合 併 が 認 められ<br />

るが、 胆 管 癌 の 合 併 は 稀 である。 当 教 室 でも 胆 管 癌 を 発 生 した 症 例 は<br />

経 験 しておらず、 手 術 侵 襲 や 術 後 合 併 症 の 発 生 リスクを 考 慮 すると 胆<br />

管 非 拡 張 型 における 術 式 として 膵 炎 や 胆 管 炎 などを 合 併 しない 限 り 胆<br />

嚢 摘 出 術 が 第 一 選 択 になりうると 考 えている。<br />

P18-4 胆 嚢 腺 筋 腫 症 における 胆 嚢 内 胆 汁 の 高 アミラーゼ 値 と<br />

機 能 的 膵 胆 管 合 流 異 常 現 象 について<br />

京 都 桂 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 間 中 大 , 西 躰 隆 太 , 小 西 小 百 合 , 坂 元 克 考 ,<br />

濱 洲 晋 哉<br />

胆 嚢 腺 筋 腫 症 ( 以 下 ADM)は 胆 嚢 壁 の 増 殖 性 疾 患 であるが、その 原 因<br />

は 未 だ 明 確 ではない。 胆 嚢 癌 合 併 症 例 の 報 告 も 多 く、 増 殖 性 変 化 と 発<br />

癌 の 問 題 が 注 目 されている。 一 方 で、 総 胆 管 非 拡 張 型 膵 胆 管 合 流 異 常<br />

症 は 胆 嚢 癌 の 発 生 が 高 く、 膵 液 の 胆 嚢 内 流 入 による 慢 性 刺 激 が 癌 発 生<br />

に 関 係 していると 考 えられている。 今 回 、ADM 手 術 症 例 で、 術 前 検<br />

査 では 画 像 上 、 形 態 的 な 膵 胆 管 合 流 異 常 を 認 めなかったが、 摘 出 胆 嚢<br />

内 胆 汁 中 のアミラーゼが65000IU/Lと 異 常 高 値 を 示 す 症 例 を 経 験 した。<br />

病 理 組 織 検 査 では、dysplasiaや 癌 組 織 は 認 めなかったが、 高 度 の 壁<br />

肥 厚 を 伴 うADMの 所 見 であった。 形 態 学 的 異 常 を 認 めない 機 能 的 膵<br />

胆 管 合 流 異 常 による 膵 液 流 入 の 慢 性 刺 激 がADMの 発 生 原 因 になって<br />

いる 可 能 性 を 検 討 するため、ADMおよび 胆 石 症 手 術 症 例 80 例 の 胆 嚢<br />

内 胆 汁 を 測 定 し、 組 織 学 的 所 見 とあわせて 報 告 する。<br />

P18-5 当 科 での 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 症 の 術 後 長 期 予 後 の 検 討<br />

東 京 医 科 大 学 病 院 外 科 学 第 三 講 座<br />

○… 許 文 聰 , 土 田 明 彦 , 永 川 祐 一 , 粕 谷 和 彦 , 鈴 木 芳 明 ,<br />

松 土 尊 映 , 菊 池 哲 , 高 橋 恒 輔 , 宮 原 光 興 , 土 方 陽 介 ,<br />

青 木 達 也<br />

【 背 景 】 膵 胆 管 合 流 異 常 症 は、 胆 道 癌 や 胆 嚢 癌 の 高 危 険 因 子 である。<br />

当 科 での 経 験 症 例 からの 長 期 予 後 の 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】<br />

1974 年 ~20011 年 12 月 までに 教 室 で 経 験 した 膵 胆 管 合 流 異 常 症 112 例 を<br />

対 象 とし、 術 式 および 長 期 合 併 症 について 検 討 した。 術 前 にすべての<br />

症 例 でERCPあるいはMRCPを 行 い、 総 胆 管 と 主 膵 管 が 十 二 指 腸 筋 層<br />

の 外 で 合 流 するものを 合 流 異 常 と 診 断 した。 肝 外 胆 管 の 拡 張 の 境 界 は,<br />

肝 外 胆 管 の 最 大 径 が 成 人 10mm 以 下 、 小 児 6mm 以 下 を 非 拡 張 と 定 義 し<br />

た。 基 本 的 術 式 は、 癌 を 合 併 しない 症 例 の 拡 張 型 では、 胆 嚢 + 肝 外 胆<br />

管 切 除 、 非 拡 張 では 胆 嚢 摘 出 術 を 行 った。 胆 道 再 建 は、 肝 管 空 腸 吻 合<br />

もしくは 肝 管 十 二 指 腸 吻 合 を 任 意 に 選 択 した。 癌 を 合 併 した 症 例 では、<br />

進 行 度 に 応 じた 術 式 を 選 択 した。【 成 績 】 症 例 の 年 齢 は2 歳 ~79 歳 であっ<br />

た。 男 女 の 症 例 数 は 男 性 27 例 、 女 性 85 例 であった。 総 胆 管 拡 張 症 例 は<br />

86 例 であり、そのうち 癌 を 合 併 した 症 例 は20 例 であった。それぞれ 進<br />

行 度 に 応 じた 手 術 を 行 った。 癌 を 合 併 しない 総 胆 管 拡 張 症 例 66 例 中 64<br />

例 で 胆 嚢 と 肝 外 胆 管 切 除 を 行 った。この 際 、 胆 道 再 建 方 法 は 肝 管 空 腸<br />

吻 合 47 例 、 肝 管 十 二 指 腸 吻 合 17 例 であった。 肝 管 空 腸 吻 合 の 合 併 症 は、<br />

胆 管 炎 7 例 、 吻 合 部 狭 窄 3 例 、 肝 内 結 石 3 例 、 肝 膿 瘍 1 例 、 膵 炎 ・ 膵 石 3 例 、<br />

術 後 胆 管 癌 1 例 であった。 肝 管 十 二 指 腸 吻 合 では、 胆 管 炎 2 例 、 膵 炎 ・<br />

膵 石 1 例 を 合 併 した。 総 胆 管 非 拡 張 症 例 は26 例 であり 癌 を 合 併 した 症<br />

例 は9 例 であった。 癌 を 合 併 しない16 例 で 胆 嚢 摘 出 のみを 行 ったが、<br />

術 後 1 年 ~37 年 3ヶ 月 の 観 察 期 間 中 、 肝 機 能 障 害 、 胆 管 炎 を 来 たした 症<br />

例 はなく、 胆 管 癌 を 発 症 した 症 例 は1 例 もない。【 結 語 】 肝 管 空 腸 吻 合<br />

に 比 べ 肝 管 十 二 指 腸 吻 合 では 重 篤 な 合 併 症 は 生 じなかった。 術 後 の 遺<br />

残 胆 管 発 癌 の 有 無 は 定 期 的 に 精 査 すべきである。 当 科 では 総 胆 管 非 拡<br />

張 症 例 では 胆 嚢 摘 出 術 のみで 良 好 な 経 過 が 得 られた。<br />

P18-6 先 天 性 胆 管 拡 張 症 への 分 流 手 術 後 に 発 症 した 胆 管 癌 の<br />

3 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 分 野<br />

○… 大 橋 拓 , 若 井 俊 文 , 坂 田 純 , 石 川 博 輔 , 白 井 良 夫<br />

先 天 性 胆 管 拡 張 症 は 高 率 に 胆 道 癌 を 合 併 するため, 拡 張 胆 管 切 除 と 胆<br />

道 再 建 とによる 分 流 手 術 が 標 準 治 療 とされている.しかし, 近 年 , 分<br />

流 手 術 後 の 遺 残 胆 管 に 発 癌 を 認 めた 症 例 の 報 告 が 増 加 している. 当 科<br />

で 経 験 した, 分 流 手 術 後 に 発 症 した 胆 管 癌 3 例 を 報 告 する. 症 例 1.27 歳 ,<br />

女 性 .14 歳 時 に, 当 科 でIV-A 型 先 天 性 胆 管 拡 張 症 に 対 し, 分 流 手 術<br />

を 施 行 した. 強 い 癒 着 のため 膵 内 胆 管 の 拡 張 部 は 一 部 遺 残 した.26 歳<br />

時 に 上 腹 部 不 快 感 と 食 後 の 嘔 気 とを 自 覚 し, 精 査 にて 膵 内 遺 残 胆 管 癌<br />

と 診 断 した. 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 い, 病 理 組 織 診 断 で 十 二 指 腸 浸 潤<br />

を 伴 う 下 部 胆 管 癌 と 診 断 された.リンパ 節 転 移 は 認 めなかった. 合 併<br />

症 なく 術 後 43 日 目 に 退 院 した. 術 後 12か 月 で 再 発 死 亡 した. 症 例 2.44 歳 ,<br />

男 性 . 当 科 でIV-A 型 先 天 性 胆 管 拡 張 症 に 対 し,4 歳 時 に 胆 嚢 十 二 指 腸<br />

吻 合 を 行 い,9 歳 時 に 分 流 手 術 を 行 った.44 歳 時 に 上 腹 部 不 快 感 と 発<br />

熱 を 自 覚 し, 精 査 で 肝 内 側 区 域 の 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 された. 肝 左 3 区<br />

域 切 除 , 門 脈 ・ 右 肝 動 脈 合 併 切 除 を 行 い, 病 理 組 織 診 断 で 門 脈 と 右 肝<br />

動 脈 への 浸 潤 を 伴 う 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 された.リンパ 節 転 移 は 認 めな<br />

かった. 門 脈 切 除 断 端 で 癌 組 織 陽 性 であった. 術 後 , 肝 管 空 腸 吻 合 の<br />

縫 合 不 全 と 肝 切 離 面 からの 胆 汁 漏 とを 認 めたが, 保 存 的 治 療 で 軽 快 し,<br />

術 後 60 日 目 に 退 院 した. 補 助 化 学 療 法 を 行 ったが, 術 後 12か 月 から 腹<br />

壁 , 腹 膜 などに 再 発 を 認 めた. 術 後 35か 月 で 再 発 死 亡 した. 症 例 3.65 歳 ,<br />

男 性 .50 歳 時 に 前 医 で 先 天 性 胆 管 拡 張 症 に 分 流 手 術 が 施 行 された.64<br />

歳 時 から 胆 管 炎 を 繰 り 返 し, 精 査 目 的 に 当 院 紹 介 となった. 精 査 で 左<br />

肝 管 原 発 の 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 した. 術 前 の 造 影 検 査 で, 膵 ・ 胆 管 合<br />

流 異 常 を 認 めたが, 膵 内 ・ 肝 内 の 胆 管 拡 張 は 認 めなかった. 肝 左 3 区<br />

域 切 除 を 行 い, 病 理 組 織 診 断 で 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 を 伴 う 左 肝 管 原<br />

発 の 胆 管 癌 と 診 断 された. 右 肝 管 も 含 め 組 織 学 的 に 癌 遺 残 を 認 めな<br />

かった. 術 後 , 右 肝 管 空 腸 吻 合 部 の 縫 合 不 全 と 胆 管 炎 を 認 めたが 保 存<br />

的 治 療 で 軽 快 し, 術 後 32 日 目 に 退 院 した. 補 助 化 学 療 法 を 行 ったが,<br />

術 後 6か 月 で 右 肝 管 空 腸 吻 合 部 と 腹 腔 内 リンパ 節 に 再 発 を 認 めた. 術<br />

後 9か 月 で 再 発 死 亡 した.<br />

-344-


P18-7 小 児 期 に 嚢 腫 空 腸 吻 合 術 を 受 け、 肝 門 部 胆 管 癌 を 発 症 し<br />

た 先 天 性 総 胆 管 拡 張 症 の40 代 の1 例<br />

1<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 一 般 消 化 器 外 科 、 2 聖 マ<br />

リアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 病 院 病 理 部 、 3 聖 マリアンナ<br />

医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 三 原 良 孝 1<br />

, 中 野 浩 1<br />

, 諏 訪 敏 之 1<br />

, 亀 井 奈 津 子 1<br />

,<br />

石 井 将 光 1<br />

, 戸 部 直 孝 1<br />

, 住 吉 賢 1<br />

, 西 川 徹 1<br />

, 四 万 村 司 1<br />

,<br />

田 中 圭 一 1<br />

, 相 田 芳 夫 2 3<br />

, 大 坪 毅 人<br />

先 天 性 胆 道 拡 張 症 では、そのほとんどが 膵 管 合 流 異 常 を 合 併 し、 膵 液<br />

の 胆 道 内 逆 流 により 高 率 に 胆 道 癌 を 合 併 する。 拡 張 胆 道 切 除 、 胆 管 空<br />

腸 吻 合 による 分 流 手 術 が 標 準 治 療 とされている。 現 在 では、 嚢 腫 空 腸<br />

吻 合 はまれである。 今 回 、 先 天 性 総 胆 管 拡 張 症 に 対 して 嚢 腫 空 腸 吻 合<br />

され 術 後 35 年 後 に 肝 門 部 胆 管 癌 を 発 症 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。 症 例 は、48 歳 の 女 性 。 先 天 性 総 胆 管 拡 張 症 に 対 して、13 歳 時 に 先<br />

天 性 胆 道 拡 張 症 の 手 術 が 施 行 され 詳 細 不 明 であった。 術 後 、 特 に 問 題<br />

なく 経 過 していたが、 近 年 になり、 胆 管 炎 を 繰 り 返 し、 近 医 に 入 退 院<br />

を 繰 り 返 していた。 精 査 したところ、 胆 道 狭 窄 を 認 め 加 療 目 的 に 当 院<br />

紹 介 となった。 血 液 検 査 では、 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 とCA19-9の 上 昇<br />

を 認 めた。CT 検 査 では 肝 内 胆 管 の 拡 張 、 造 影 効 果 をともなった 総 肝<br />

管 の 壁 肥 厚 と 狭 窄 、 総 胆 管 の 拡 張 を 認 めた。この 際 に、 嚢 腫 空 腸 吻 合<br />

されていることが 確 認 された。MRCPでは、 膵 管 は 描 写 されず 膵 管 合<br />

流 異 常 は 確 認 できなかった。 術 前 に、 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 めるために、<br />

PTCD 施 行 した。PTCDからの 造 影 では、 総 胆 管 の 拡 張 を 認 めるが 空<br />

腸 は 造 影 されなかった。また、 胆 汁 細 胞 診 にてClassVを 認 めた。 以<br />

上 より、 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 し、 肝 左 葉 、 尾 状 葉 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除<br />

術 を 方 針 とした。 手 術 は、 肝 左 葉 、 尾 状 葉 、 肝 外 胆 管 、 嚢 腫 空 腸 吻 合<br />

部 を 空 腸 とともに 合 併 切 除 した。 嚢 腫 空 腸 吻 合 部 はR-Y 再 建 されてお<br />

り、そのまま 挙 上 空 腸 に 胆 管 空 腸 吻 合 した。 膵 臓 周 囲 は 炎 症 の 為 か 強<br />

固 に 癒 着 していた。 術 後 、 胆 管 空 腸 吻 合 部 の 縫 合 不 全 、 膵 液 瘻 を 認<br />

めたが、 保 存 的 治 療 にて 改 善 した。 膵 液 瘻 はチューブを 留 置 したまま、<br />

術 後 、 第 36 日 目 に 退 院 となった。その 後 、 膵 液 瘻 も 改 善 しチューブを<br />

抜 去 し、 現 在 外 来 にて 経 過 観 察 中 である。 現 在 でも、 嚢 腫 空 腸 吻 合 術<br />

後 に 胆 道 系 悪 性 腫 瘍 を 発 症 する 症 例 がおり、 術 後 に 胆 管 炎 を 繰 り 返 す<br />

場 合 には、 胆 道 系 の 悪 性 腫 瘍 の 可 能 性 を 考 慮 すべきである。35 年 前 に<br />

嚢 腫 空 腸 吻 合 されており、 注 意 が 必 要 である。<br />

P18-8 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 に 対 する 総 胆 管 空 腸 吻 合 術 後 の 胆<br />

道 狭 窄 に 対 してPpPDを 施 行 した 一 例<br />

1<br />

さいたま 赤 十 字 病 院 外 科 、 2 千 葉 大 学 大 学 院 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 横 山 元 昭 1<br />

, 中 川 宏 治 1<br />

, 藤 田 昌 久 1<br />

, 登 内 昭 彦 1<br />

,<br />

米 浦 直 子 1 2<br />

, 宮 崎 勝<br />

【 症 例 】72 歳 女 性 。【 既 往 歴 】40 年 前 に 先 天 性 胆 道 拡 張 症 に 対 して 総<br />

胆 管 空 腸 吻 合 術 を、20 年 前 に 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 されている。【 現 病 歴 】<br />

悪 心 、 発 熱 、 腹 痛 、 食 欲 不 振 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し、 内 服 薬 を 処 方 さ<br />

れるも 症 状 が 改 善 せず、CA19-9の 高 値 を 認 めたため、 当 科 紹 介 、 入<br />

院 となった。 来 院 時 CTにて 肝 内 胆 管 拡 張 、 総 胆 管 結 石 、 腹 腔 内 膿 瘍<br />

を 認 め、 腹 腔 内 膿 瘍 に 対 して 穿 刺 を 施 行 、 抗 生 剤 で 加 療 するも 胆 管 炎<br />

所 見 の 改 善 を 認 めないため 経 皮 経 肝 胆 道 ドレナージ(PTBD)を 施 行 し<br />

た。 胆 汁 細 胞 診 はClass…II,… 胆 汁 アミラーゼ 値 は39,835…IU/Lと 高 値 だっ<br />

た。PTBDチューブ 造 影 上 、A 型 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 に 対 する 総 胆 管<br />

空 腸 吻 合 術 後 の 吻 合 部 及 び 肝 門 部 胆 管 狭 窄 ・ 総 胆 管 結 石 症 ・ 肝 内 結 石<br />

症 と 診 断 し、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 は 軽 度<br />

の 胃 排 出 遅 延 を 認 めた 以 外 には 特 記 すべき 合 併 症 は 認 めなかった。【 考<br />

察 】 胆 管 拡 張 を 伴 う 膵 管 胆 管 合 流 異 常 症 に 対 しては、 古 くは 嚢 腫 十 二<br />

指 腸 吻 合 などのバイパス 術 が 行 われていたが、 繰 り 返 す 胆 管 炎 や 遺 残<br />

胆 管 からの 癌 発 生 を 鑑 み、 現 在 は 肝 外 胆 管 切 除 と 胆 道 再 建 を 行 う 分 流<br />

手 術 が 標 準 術 式 である。 一 方 、 分 流 手 術 施 行 後 も 肝 内 結 石 症 や 膵 液 排<br />

出 障 害 からの 急 性 膵 炎 などの 晩 期 合 併 症 が 報 告 されている。 本 症 例 は<br />

バイパス 術 後 の 反 復 する 胆 管 炎 から 吻 合 部 ならびに 肝 門 部 の 胆 管 狭 窄<br />

が 生 じ、 結 石 生 成 に 至 ったと 推 察 された。 腹 腔 内 に 高 度 の 癒 着 を 認 め、<br />

肝 外 胆 管 を 全 長 にわたり 剥 離 同 定 することが 困 難 であり、 狭 窄 部 の 切<br />

除 と 胆 汁 ・ 膵 液 の 分 流 を 完 遂 するためには 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 が 必 要 と<br />

判 断 した。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P18-9 当 科 で 治 療 を 行 った 胆 道 閉 鎖 症 例 に 関 する 検 討<br />

1<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 、 2 総 合 南 東 北 病 院 外 科<br />

○… 見 城 朗 1<br />

, 土 屋 貴 男 1<br />

, 木 村 隆 1<br />

, 穴 沢 貴 行 1<br />

, 佐 藤 哲 1<br />

,<br />

芳 賀 淳 一 郎 1<br />

, 佐 藤 直 哉 1<br />

, 齋 藤 拓 朗 1<br />

, 阿 部 幹 2<br />

,<br />

1<br />

後 藤 満 一<br />

【 背 景 】 胆 道 閉 鎖 症 (BA)に 対 する 葛 西 手 術 (Kasai)は 標 準 的 治 療 であ<br />

る。 一 方 、 術 後 6か 月 で 約 60%にT.Bil 正 常 化 が 得 られ、 青 年 期 まで<br />

QOLを 維 持 できる 者 は50% 未 満 と 報 告 されている。また、Kasai 術 後<br />

の 肝 不 全 に 対 する 肝 移 植 は10 年 生 存 率 で85%を 超 え、 治 療 法 として 定<br />

着 している。【 目 的 】 当 科 で 経 験 した 胆 道 閉 鎖 症 症 例 の 治 療 成 績 およ<br />

びKasai 術 後 肝 移 植 例 について 検 討 する 事 。【 症 例 および 方 法 】1985 年<br />

~2010 年 に 当 科 で 治 療 を 行 ったBA37 症 例 中 、 追 跡 が 可 能 であった25<br />

症 例 を 対 象 とした。 葛 西 手 術 後 native…liver 生 存 例 (native…liver 群 )、<br />

Kasai 術 後 移 植 施 行 例 ( 移 植 群 )、 死 亡 例 ( 死 亡 群 )にわけて 検 討 した。【 結<br />

果 】 症 例 数 25 例 …( 男 、 女 =5:20)。Native…liver 群 : 移 植 群 : 死 亡 群<br />

=12:9:4であり、Kasai 手 術 施 行 時 の 日 齢 はそれぞれ66:52:66.5 日<br />

( 中 央 値 )で 差 を 認 めなかった。Kasai 手 術 後 2 年 以 上 肝 移 植 なしに 生 存<br />

可 能 症 例 は16 例 (64%:native…liver 群 12 例 、 移 植 群 4 例 )であり、15 例<br />

(15/16)でKasai 術 後 3カ 月 のT.Bil


P19-2 術 後 補 助 化 学 療 法 の 用 量 強 度 から 進 行 膵 癌 の 治 療 法 選<br />

択 を 再 考 する<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 木 村 康 利 , 今 村 将 史 , 目 黒 誠 , 中 野 正 一 郎 , 中 村 幸 雄 ,<br />

川 本 雅 樹 , 水 口 徹 , 平 田 公 一<br />

【 目 的 】 術 後 補 助 化 学 療 法 の 用 量 強 度 とoncological…outcomeを 検 討 し、<br />

根 治 術 と 化 学 療 法 の 在 り 方 を 再 考 する。【 対 象 】2004 年 1 月 から2010 年<br />

12 月 に 当 科 で 切 除 したstage…III 以 上 の 通 常 型 膵 癌 は93 例 中 、<br />

Gemcitabine( 以 下 、GEM)による 補 助 化 学 療 法 を 自 施 設 にて 施 行 し 用<br />

量 強 度 を 解 析 可 能 であった75 例 。【 検 討 項 目 】1.… 術 後 再 発 もしくは 無<br />

再 発 確 認 時 までのGEM 用 量 強 度 として、GEM 総 投 与 量 の 推 奨 投 与 量<br />

に 対 する 割 合 ;…GEM-dose…intensity(GDI)=GEM 総 投 与 量 /[ 体 表 面<br />

積 ×3000mg/m2× 月 ]を 算 出 した。2.…GDIと 術 後 無 再 発 ・ 全 生 存 期 間 、<br />

多 変 量 解 析 による 術 後 再 発 の 危 険 因 子 を 抽 出 した。3.… 病 期 別 にGDIの<br />

与 える 影 響 を 検 討 し、 治 療 方 針 を 再 考 した。【 結 果 】1.… 平 均 年 齢 67.8 歳 、<br />

男 / 女 性 …38/37 例 、 手 術 術 式 はPPPD/SSPPD/DP…21/33/16 例 、 病 期 は<br />

StageIII/IVa/IVb…23/27/25 例 、R0は89.3%(67/75 症 例 )であった。 観<br />

察 期 間 (months;… 中 央 値 )20mで 全 75 例 中 の 無 再 発 は19 例 、 無 再 発 生<br />

存 期 間 (DFS)は10m、 全 生 存 期 間 (OS)は22mであった。GEMは75 例<br />

中 61 例 で 投 与 され、( 以 下 、 平 均 値 )POD45で 開 始 、12.5m 施 行 され、<br />

総 投 与 量 は17gであった。 再 発 / 無 再 発 症 例 の 平 均 GDIは0.35±0.13/…<br />

0.38±0.29(n.s.)あった。2.…GEM 用 量 強 度 を50% 以 上 に 保 つことが 出 来<br />

た 症 例 (GDI≧0.5,n=15)ではそれ 未 満 (GDI


P19-6 膵 癌 切 除 例 の 術 後 ・ 再 発 後 化 療 内 容 別 検 討<br />

国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 東 海 病 院 外 科<br />

○… 山 本 英 夫 , 早 川 直 和 , 山 本 竜 義 , 籾 山 正 人<br />

日 本 膵 臓 学 会 膵 癌 登 録 報 告 2007では、2001-2004 年 の 膵 臓 癌 の3 年 生 存<br />

率 は23.2%と 以 前 より 延 長 しているが、5 年 生 存 率 では 改 善 傾 向 がみ<br />

られない。 膵 癌 ガイドラインで、 術 後 化 療 はGEMが 推 奨 され、その<br />

他 TS-1やGEM+TS-1の 有 用 性 も 検 討 されている。 今 回 膵 癌 切 除 後 の<br />

抗 癌 剤 治 療 ついて 検 討 したので 報 告 する。 対 象 と 方 法 ; 当 院 で1995 年<br />

から2011 年 までに 切 除 された 膵 癌 42 例 ( 同 時 性 肝 転 移 例 ・ 在 院 死 亡 例<br />

は 除 く)を 対 象 とし、 術 後 補 助 化 療 の 有 無 、 無 再 発 生 存 期 間 、 再 発 有 無 、<br />

再 発 後 化 療 の 有 無 、 再 発 後 生 存 期 間 について 検 討 した。 結 果 ; 頭 部 32<br />

例 、 体 尾 部 10 例 。Stage…III…17 例 、Stage…IVa…16 例 、Stage…IVb…5 例 。<br />

術 後 16 例 にGEMによる 補 助 化 学 療 法 が 行 われ、うち3 例 にTS-1が 併 用<br />

された。 術 後 補 助 化 学 療 法 施 行 例 ・ 非 施 行 例 の1 年 /…3 年 無 再 発 生 存 率<br />

はそれぞれ、20.5%/…20.5%、28.3%/…18.8%で 有 意 差 はなかった。 再 発<br />

後 の 治 療 はGEM…6 例 、GEM+S-1…6 例 、5FUの 肝 動 注 7 例 、 無 治 療 12 例<br />

であった。それぞれの 治 療 群 別 の 再 発 後 1 年 /…3 年 生 存 期 間 ・ 生 存 期 間<br />

中 央 値 は、50.0%/…25.0%・40ヶ 月 、62.5%/…-… %・13ヶ 月 、14.3%/…<br />

0%・5ヶ 月 、8.3%/…8.3%・4ヶ 月 で、GEMあるいはGEM+S-1 治 療 群 の<br />

生 存 期 間 が 長 かった。また 術 後 ・ 再 発 後 も 化 療 が 行 われなかった 無 治<br />

療 群 …(n=10)の 再 発 後 1 年 /…3 年 生 存 率 ・ 生 存 期 間 中 央 値 は10%…/…<br />

10%・2ヶ 月 であったのに 対 し、 術 後 無 化 療 ・ 再 発 後 化 療 群 …(n=12)…<br />

では33.3… %/…22.2%・8ヶ 月 、 術 後 化 療 ・ 再 発 後 化 療 群 …(n=9)では<br />

40.0%/…-%・11ヶ 月 であった。 結 語 ; 膵 癌 術 後 はGEMなどの 補 助 化 療<br />

が 推 奨 され、 再 発 後 可 能 であればGEMないしはGEM+S-1による 化 療<br />

で 生 存 期 間 の 延 長 が 得 られると 思 われる。<br />

P19-7 StageIV 膵 癌 長 期 生 存 例 と 塩 酸 ゲムシタビンの 効 果 に<br />

ついての 検 討<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

○… 伊 藤 直 子 , 新 田 浩 幸 , 高 橋 正 浩 , 高 原 武 志 , 長 谷 川 康 ,<br />

藤 田 倫 寛 , 武 田 大 樹 , 眞 壁 健 二 , 板 橋 英 教 , 若 林 剛<br />

【はじめに】 塩 酸 ゲムシタビン( 以 下 GEM)を 中 心 とした 化 学 療 法 に<br />

より、StageIV 膵 癌 の 予 後 は 以 前 と 比 較 し 改 善 傾 向 を 認 めるが、いま<br />

だに 予 後 不 良 である。GEMを 含 めた 集 学 的 治 療 により 長 期 生 存 がえ<br />

られた 症 例 を 提 示 する。【 症 例 1】48 歳 女 性 。 膵 体 尾 部 腫 瘍 、 肝 転 移 、<br />

両 肺 全 域 の 多 発 肺 転 移 、 横 行 結 腸 肝 彎 曲 部 浸 潤 の 診 断 で、 大 腸 バイパ<br />

ス 術 、 肝 転 移 巣 の 針 生 検 施 行 し 中 分 化 型 腺 癌 の 診 断 であった。 約 1ヶ<br />

月 後 …Th12に 骨 転 移 指 摘 。 免 疫 染 色 、 腫 瘍 マーカーから 膵 癌 と 診 断 し<br />

GEM 療 法 施 行 。8コース 終 了 後 、 総 合 効 果 判 定 PDとなり、S-1 療 法 と<br />

Oxaliplatin/S-1(SOX) 併 用 療 法 に 変 更 。5コース 施 行 後 PDの 診 断 とな<br />

り 膵 癌 指 摘 後 21ヶ 月 で 永 眠 された。【 症 例 2】72 歳 男 性 。 膵 体 部 癌 、 肝<br />

転 移 (S5)、 脾 動 静 脈 浸 潤 の 診 断 てGEM+…S-1 併 用 療 法 ( 以 下 GS 併 用 療<br />

法 )を 施 行 し 原 発 巣 縮 小 、 肝 転 移 巣 消 失 し、17コース 施 行 後 に 脾 合 併<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 、 肝 部 分 切 除 術 施 行 。GS 療 法 再 開 7コース 投 与 後 の<br />

CTで 多 発 肝 転 移 を 認 め… 肝 外 側 区 域 切 除 術 、 肝 S4S8 部 分 切 除 術 施 行 。<br />

術 後 肝 動 注 療 法 開 始 。 再 手 術 2ヶ 月 後 左 大 腿 骨 頭 転 移 指 摘 、その3ヶ 月<br />

後 肝 門 部 にリンパ 節 転 移 出 現 、GS 療 法 を 再 開 したが、 膵 癌 指 摘 後<br />

40ヶ 月 …で 永 眠 された。【 症 例 3】33 歳 男 性 。… 膵 癌 、 多 発 肝 転 移 の 診 断<br />

でGS 療 法 を15コース 施 行 。 縮 小 率 25.1%、 総 合 効 果 SD。 初 回 治 療 後<br />

12ヶ 月 で 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 、 肝 外 側 区 域 部 分 切 除 術 、 脾 合 併 膵 体 尾 部<br />

切 除 術 を 施 行 。 感 受 性 試 験 でGEMに 感 受 性 を 認 めたため、GEM 単 独<br />

療 法 を 継 続 し、 初 回 治 療 から32ヶ 月 現 在 画 像 上 明 らかな 再 発 を 認 めて<br />

いない。またGEMの 細 胞 内 輸 送 蛋 白 であるHuman…equilibrative…<br />

nucleoside…transporter-1( 以 下 hENT-1)の 発 現 を 免 疫 組 織 学 的 に 調 べ<br />

たところ、 陽 性 であった。【 結 語 】 長 期 生 存 がえられた 症 例 を 報 告 した。<br />

当 科 での 他 StageIV 症 例 と 病 理 組 織 学 的 所 見 、hENT-1 発 現 、 再 発 形<br />

式 等 について 比 較 検 討 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P20-1 膵 頭 部 浸 潤 性 膵 管 癌 の 外 科 的 治 療 成 績 と 予 後 因 子 の 検<br />

討<br />

1<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 海 大 学 東 京 病 院 外 科 、 3 弘 前 大 学 病 理<br />

生 命 科 学 講 座 、 4 東 海 大 学 八 王 子 病 院 外 科 、 5 東 海 大 学 病 理 診 断 学<br />

○… 矢 澤 直 樹 1<br />

, 中 郡 聡 夫 1<br />

, 今 泉 俊 秀 2<br />

, 鬼 島 宏 3<br />

, 飛 田 浩 輔 4<br />

,<br />

加 藤 賢 一 郎 1<br />

, 松 山 正 浩 1<br />

, 古 川 大 輔 1<br />

, 村 上 健 太 郎 1<br />

,<br />

平 林 健 一 5<br />

, 小 澤 壯 治 1<br />

, 貞 廣 莊 太 郎 1<br />

, 安 田 聖 栄 1<br />

,<br />

生 越 喬 二 1 1<br />

, 猪 口 貞 樹<br />

【 背 景 】 日 本 膵 臓 学 会 膵 癌 登 録 によると、 通 常 型 膵 頭 部 癌 切 除 例 の<br />

MSTは12.3ヵ 月 、5 年 生 存 率 は13.0%ときわめて 不 良 であり、 予 後 因 子<br />

の 同 定 と 高 悪 性 度 の 病 態 解 明 が 期 待 されている。【 目 的 】 膵 頭 部 浸 潤<br />

性 膵 管 癌 の 手 術 成 績 と 予 後 因 子 を 明 らかにする。【 対 象 】2003 年 5 月 か<br />

ら2009 年 3 月 までに 切 除 された 膵 頭 部 浸 潤 性 膵 管 癌 103 例 。 腺 扁 平 上 皮<br />

癌 8 例 、 退 形 成 癌 2 例 は、 今 回 の 検 討 から 除 外 した。【 方 法 】D2リンパ<br />

節 ・ 後 腹 膜 神 経 叢 郭 清 …(SMA 神 経 叢 は 右 半 周 )…を 伴 う 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 術 を 基 本 術 式 とした。 門 脈 系 静 脈 合 併 切 除 を55 例 …(53.4%)… に 施 行<br />

した。 臨 床 病 理 学 的 因 子 と 予 後 との 関 係 をCox 比 例 ハザードモデルを<br />

用 いて 検 討 した。【 結 果 】 年 齢 中 央 値 は66 歳 …(43-85 歳 )、 男 女 比 は<br />

63:40であった。 平 均 腫 瘍 径 は3.3±1.2…cm。R0 切 除 率 70.9%、リンパ<br />

節 転 移 率 69.9%であった。 全 症 例 のMST、2 年 生 存 率 、5 年 生 存 率 は、<br />

それぞれ、20ヵ 月 、47.1%、14.8%であった。JPS…Stageは、StageI:4<br />

例 …(3.9 %)、StageIII:28 例 …(27.2 %)、StageIVa:49 例 …(47.6 %)、<br />

StageIVb:22 例 …(21.4%)。Stage 別 5 年 生 存 率 は、それぞれ、66.7%、<br />

27.5%、10.4%、4.8%であった。 単 変 量 解 析 では 腫 瘍 最 大 径 …(≦3.0cm…<br />

vs.… >3.0cm)、 組 織 学 的 分 化 度 …(well,…mod…vs.…por)、 浸 潤 増 殖 様 式 …<br />

(INFα,…βvs.…INFγ)、リンパ 管 侵 襲 …(ly0,…1…vs.…ly2,…3)、 静 脈 侵 襲 …(v0,…<br />

1…vs.…v2,…3)、 膵 内 神 経 浸 潤 …(ne0,…1…vs.…ne2,…3)、 十 二 指 腸 浸 潤 …( 陰 性 …<br />

vs.… 陽 性 )、リンパ 節 転 移 …( 陰 性 …vs.… 陽 性 )…が 有 意 な 予 後 因 子 であった。<br />

多 変 量 解 析 では 腫 瘍 最 大 径 …(ハザード 比 1.878、p=0.014)、 組 織 学 的 分<br />

化 度 …(ハザード 比 2.365、p=0.005)、 静 脈 侵 襲 …(ハザード 比 1.833、<br />

p=0.019)、リンパ 節 転 移 …(ハザード 比 1.914、p=0.034)… が 独 立 した 予<br />

後 因 子 として 選 択 された。【 結 論 】 膵 頭 部 浸 潤 性 膵 管 癌 において、 腫<br />

瘍 最 大 径 、 組 織 学 的 分 化 度 、 静 脈 侵 襲 の 程 度 、リンパ 節 転 移 の 有 無 は<br />

重 要 な 予 後 因 子 であった。 中 でも、 組 織 学 的 分 化 度 は 最 も 重 要 な 予 後<br />

因 子 であった。<br />

P20-2 切 除 可 能 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 療 法 の 意 義<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 小 林 病 院<br />

○… 相 本 隆 幸 1<br />

, 内 田 英 二 1<br />

, 中 村 慶 春 1<br />

, 松 下 晃 1<br />

, 勝 野 暁 1<br />

,<br />

張 一 光 1<br />

, 川 本 聖 郎 1<br />

, 山 初 和 也 1<br />

, 小 林 匡<br />

2<br />

( 背 景 と 目 的 ) 切 除 可 能 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 療 法 については 支 持 する<br />

報 告 が 増 加 しているものの、 術 後 補 助 化 学 療 法 に 比 べ 十 分 な 知 見 は 蓄<br />

積 されていない。 今 回 、 当 科 にてgemcitabineによる 術 前 化 学 療 法<br />

(NAC)の 後 、 切 除 術 を 施 行 し、さらに 術 後 補 助 化 学 療 法 を 併 施 した<br />

膵 癌 症 例 の 治 療 成 績 を 検 討 したので 報 告 する。( 対 象 と 方 法 ) 対 象 は<br />

2009 年 10 月 から2010 年 10 月 までにNACを 施 行 した 切 除 症 例 8 例 。 術 前<br />

にgemcitabine…1000mg/m3で1クール 施 行 、 終 了 2 週 間 後 に 切 除 術 。<br />

術 後 1カ 月 目 より 補 助 化 学 療 法 を 開 始 。 腫 瘍 マーカー・ 画 像 所 見 の 推 移 、<br />

切 除 標 本 の 病 理 組 織 学 的 所 見 、 再 発 と 転 帰 、 生 存 期 間 につき 検 討 した。<br />

( 結 果 )NAC 群 は、 年 齢 が48 歳 から78 歳 で、 男 性 4 例 、 女 性 4 例 。 膵 頭<br />

部 癌 7 例 、 膵 体 尾 部 癌 1 例 で、 浸 潤 性 膵 管 癌 7 例 、IPMN 由 来 浸 潤 癌 1 例 。<br />

NAC 施 行 後 、CA19-9 値 は1 例 を 除 く 全 例 で 低 下 し 術 後 さらに 低 下 。<br />

NAC 前 後 で 画 像 所 見 は 全 例 不 変 。 全 例 切 除 可 能 で、 術 式 はSSPPD…7 例 、<br />

DP…1 例 。4 例 にSMV 合 併 切 除 再 建 を 施 行 。 術 後 合 併 症 はみられず、 全<br />

例 で 術 後 補 助 療 法 の 導 入 が 可 能 。 組 織 学 的 にR1を1 例 に 認 めたが、そ<br />

の 他 の 症 例 はR0であった。1 年 生 存 率 は87%だが、3 例 が 術 後 6カ 月 よ<br />

りCA19-9 値 の 上 昇 を 認 め、その 後 、 肝 転 移 や 局 所 再 発 が 確 認 された<br />

ためGemcitabine・S-1(80mg/m3) 併 用 療 法 へ 変 更 。( 結 論 ) 切 除 可 能 膵<br />

癌 に 対 するgemcitabineを 用 いた 術 前 化 学 療 法 は、 術 後 合 併 症 の 頻 度<br />

に 影 響 せず 安 全 性 が 高 いが、 術 後 早 期 からの 再 発 症 例 が 見 られること<br />

から 患 者 選 択 や 長 期 遠 隔 成 績 やレジメンそのものの 検 討 がさらに 必 要<br />

である。<br />

-347-


P20-3 局 所 進 行 膵 癌 に 対 するGemcitabine+S-1を 用 いた 術<br />

前 化 学 療 法<br />

佐 賀 大 学 医 学 部 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 井 手 貴 雄 , 中 村 淳 , 三 好 篤 , 北 原 賢 二 , 能 城 浩 和<br />

【 背 景 と 目 的 】 切 除 可 能 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 する 標 準 的 治 療 は 根 治 切 除<br />

を 含 めた 集 学 的 治 療 であるが、いまだ 満 足 できる 治 療 成 績 は 得 られて<br />

いない。これまでの 手 術 先 行 治 療 は 早 期 再 発 例 や 術 後 補 助 化 学 療 法 施<br />

行 不 能 例 などの 問 題 があり、 近 年 術 前 治 療 の 有 用 性 を 示 唆 する 報 告 が<br />

散 見 される。 今 回 局 所 進 行 膵 癌 に 対 するGemcitabine(GEM)+S-1を 用<br />

いた 術 前 化 学 療 法 の 安 全 性 、 治 療 成 績 について 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】<br />

2010 年 12 月 から2011 年 11 月 までの 切 除 可 能 もしくは 切 除 境 界 膵 癌 15 例 。<br />

術 前 化 学 療 法 (NAC)としてGEM+S-1 療 法 を2コース 施 行 (21 日 1コー<br />

ス)、GEM…1000mg/m2をDay1,…8に 投 与 、S-1…60-100mg/dayを2 週 投<br />

与 1 週 休 薬 とした。S-1 最 終 内 服 日 より2~6 週 で 根 治 切 除 を 施 行 した。<br />

【 結 果 】NAC 施 行 例 は9 例 で、 男 性 3 例 、 女 性 6 例 で、 平 均 65.6 歳 (47-81)、<br />

膵 頭 部 癌 6 例 、 体 尾 部 癌 3 例 であり、cStage…III…2 例 、cStage…IVa…7 例 。<br />

有 害 事 象 としてGrade…2の 好 中 球 減 少 2 例 、Grade…2の 口 内 炎 を1 例 に<br />

認 めた。2 例 は 病 変 進 行 (PD)のため 切 除 不 能 であったが、7 例 (PR…1 例 、<br />

SD…6 例 )は 切 除 可 能 であった( 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 5 例 、 膵 体<br />

尾 部 切 除 2 例 、 門 脈 合 併 切 除 2 例 、 肝 動 脈 切 除 再 建 1 例 )。 術 後 合 併 症 は<br />

ISGPF…Grade…Aの 膵 液 漏 を1 例 認 めたのみであった。 胃 癌 取 り 扱 い 規<br />

約 に 準 じた 組 織 学 的 効 果 判 定 はGrade…1a…6 例 、Grade…2…1 例 であった。<br />

切 除 例 は 全 7 例 無 再 発 生 存 中 であるが、 切 除 不 能 となった2 例 は 何 れも<br />

NAC 開 始 後 7ヶ 月 以 内 に 癌 死 している。【 結 語 】GEM+S-1 術 前 化 学 療<br />

法 は 安 全 に 施 行 可 能 である。 局 所 進 行 膵 癌 に 対 するNACは、 根 治 性<br />

の 向 上 及 びdown…stagingによる 切 除 適 応 の 拡 大 、 手 術 適 格 症 例 の 厳<br />

密 化 に 寄 与 すると 思 われる。<br />

P20-4 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 後 切 除 可 能 となった 切 除 不 能 局 所 進<br />

行 膵 癌 の 経 験<br />

関 西 医 科 大 学 附 属 枚 方 病 院 外 科<br />

○… 柳 本 泰 明 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 山 本 智 久 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 , 權 雅 憲<br />

切 除 不 能 膵 癌 において、 局 所 進 行 膵 癌 は 転 移 性 膵 癌 に 比 べ 比 較 的 治 療<br />

成 績 が 良 いとする 報 告 があるもののいまだ 満 足 のいく 成 績 ではなく、<br />

また 切 除 可 能 となった 症 例 の 報 告 は 極 めて 少 ない。 今 回 切 除 不 能 局 所<br />

進 行 膵 癌 に 対 して 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 後 切 除 可 能 となった7 例 を 経 験 し<br />

たので 報 告 する。 患 者 は 男 性 、 女 性 がそれぞれ2、5 例 、 年 齢 は51-78<br />

歳 であった。 切 除 不 能 の 理 由 としては、 膵 頭 部 症 例 (3 例 )においては<br />

総 肝 動 脈 浸 潤 を 全 例 に 認 め、 内 2 例 に 胃 十 二 指 腸 動 脈 浸 潤 を 認 めた。<br />

膵 体 尾 部 症 例 (4 例 )においては 腹 腔 動 脈 または 上 腸 間 膜 動 脈 浸 潤 を 認<br />

めた。 手 術 までの 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 施 行 期 間 は5-12ヶ 月 であった。 化<br />

学 ( 放 射 線 ) 療 法 後 全 例 で 腫 瘍 マーカーは 低 下 した。 術 式 は、 膵 全 摘 3<br />

例 ( 総 肝 動 脈 および 門 脈 合 併 切 除 )/ 膵 体 尾 部 切 除 ( 総 肝 動 脈 合 併 切 除 1<br />

例 、 結 腸 合 併 切 除 1 例 )/ 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 2 例 ( 門 脈 合 併 切 除 1 例 )であっ<br />

た。 手 術 時 間 は312-621 分 、 出 血 量 355-2692mlで2 例 に 輸 血 を 施 行 した。<br />

リンパ 節 転 移 を1 例 に 認 め、fStageI/III/IVa/IVb:3/1/2/1であった。<br />

組 織 学 的 治 療 効 果 としてEvans 分 類 では、grade…IIIが2 例 、IIbが2 例 、<br />

IIaが2 例 、Ibが1 例 であった。 胃 内 容 排 泄 遅 延 を1 例 に 認 め、 術 後 在 院<br />

日 数 46 日 と 長 期 となったが、その 他 膵 液 漏 を 含 めた 合 併 症 は 認 めず、<br />

在 院 死 なく 再 入 院 は 無 かった。もともと 非 切 除 症 例 であったため 合 併<br />

切 除 が 必 要 となる 症 例 が 多 かったが、 安 全 に 施 行 でき 重 篤 な 合 併 症 は<br />

認 めなかった。 腫 瘍 縮 小 の 結 果 切 除 可 能 となる 症 例 は 稀 であり 長 期 成<br />

績 についてはエビデンスに 乏 しく 安 易 に 手 術 を 勧 めるものではないと<br />

思 われるが、 今 回 3 例 がfStageIであったことは 注 目 すべき 結 果 である<br />

と 思 われた。 根 治 切 除 が 可 能 であり、かつ 全 身 状 態 が 良 好 な 患 者 にお<br />

いては 十 分 な 説 明 の 上 、 手 術 も 選 択 肢 の 一 つになりうる。<br />

P20-5 GS 療 法 による 術 前 化 学 療 法 施 行 後 、R0 手 術 を 施 行 した<br />

borderlineresectable 膵 頭 部 癌 の1 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科<br />

○… 松 下 晃 1<br />

, 山 初 和 也 1<br />

, 清 水 哲 也 1<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

, 吉 岡 正 人 1<br />

,<br />

中 村 慶 春 1<br />

, 相 本 隆 幸 1<br />

, 平 方 敦 史 2<br />

, 横 山 正 2<br />

, 吉 田 寛 2<br />

,<br />

1<br />

内 田 英 二<br />

膵 癌 は 最 も 予 後 不 良 な 悪 性 腫 瘍 の1つであり、 根 治 切 除 後 であっても<br />

高 率 に 再 発 を 来 す。 術 後 補 助 化 学 療 法 が 行 われているが、 満 足 な 結 果<br />

は 得 られていない。 近 年 、 術 前 の 化 学 療 法 、 化 学 放 射 線 療 法 の 治 療 効<br />

果 が 期 待 されている。 当 科 ではGS 療 法 による 術 前 化 学 療 法 を 行 って<br />

いる。 今 回 術 前 化 学 療 法 施 行 後 、R0 手 術 を 施 行 したborderline…<br />

resectable 膵 頭 部 癌 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】78 歳 、 女 性 。<br />

平 成 23 年 5 月 食 欲 不 振 が 出 現 し 当 院 消 化 器 科 を 受 診 、 膵 頭 部 癌 の 診 断<br />

にて 当 院 紹 介 となった。 血 液 生 化 学 検 査 では 肝 機 能 異 常 、 胆 道 系 酵 素<br />

上 昇 と、T-Bil…1.9mg/dlと 軽 度 の 黄 疸 を 認 め、CA19-9…が440.5U/mlと<br />

高 値 であった。 腹 部 CT、MRCP 検 査 では 膵 鉤 部 に3cm 大 の 腫 瘍 と、<br />

尾 側 主 膵 管 、 総 胆 管 の 拡 張 を 認 め、 上 腸 間 膜 静 脈 への 浸 潤 が 疑 われた。<br />

上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 では 十 二 指 腸 2nd…portionに 腫 瘍 浸 潤 による 潰<br />

瘍 性 病 変 を 認 め、 生 検 にてgroup…Vであった。Borderline…resectable…<br />

膵 癌 と 判 断 しERBD 施 行 後 、GEM、S1による 化 学 療 法 (2 投 1 休 )を4コー<br />

ス 施 行 した。CA19-9は50.5…U/mlと 低 下 し、 治 療 開 始 2ヶ 月 後 のCT 検<br />

査 では 腫 瘍 径 は2…cmに 縮 小 した。 化 学 療 法 終 了 1ヶ 月 後 に 手 術 を 施 行<br />

した。 術 中 所 見 では 膵 頭 部 の 腫 瘍 は 上 腸 間 膜 静 脈 に 浸 潤 しており、<br />

亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 、 上 腸 間 膜 静 脈 合 併 切 除 術 を 施 行 し、 再<br />

建 はChild 変 法 にて 行 った。 病 理 組 織 診 断 はtub2+por,…ly1,…v0,…ne1,…<br />

pCHX,…pDU(+),…pN0,…pPCM(-),…pBCM(-)で 病 期 はstage…IIIであった。<br />

術 後 は 順 調 に 軽 快 し、 第 39 病 日 に 退 院 となった。 術 後 3ヶ 月 を 経 過 し<br />

た 現 在 CA19-9は 正 常 化 し、 外 来 通 院 中 である。<br />

P20-6 化 学 療 法 施 行 後 根 治 切 除 しえた16 番 リンパ 節 転 移 陽 性<br />

膵 癌 の 一 例<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 医 歯 学 総 合 研 究 科 腫 瘍 学 講 座 腫 瘍 制 御<br />

学 、 2 鹿 児 島 大 学 フロンティアサイエンス 研 究 推 進 センター<br />

○… 出 先 亮 介 1<br />

, 新 地 洋 之 1<br />

, 前 村 公 成 1<br />

, 又 木 雄 弘 1<br />

, 蔵 原 弘 1<br />

,<br />

桑 畑 太 作 1<br />

, 上 野 真 一 1<br />

, 迫 田 雅 彦 1<br />

, 飯 野 聡 1<br />

, 高 尾 尊 身 2<br />

,<br />

夏 越 祥 次<br />

1<br />

【はじめに】 膵 癌 に 対 しては 切 除 術 が 唯 一 の 根 治 療 法 であるが、 画 像<br />

診 断 が 進 歩 した 現 在 でも 早 期 発 見 される 頻 度 は 依 然 低 く、 診 断 時 に 局<br />

所 進 行 、 遠 隔 転 移 などの 理 由 で 切 除 不 能 となる 症 例 が 多 い。 今 回 、16<br />

番 リンパ 節 転 移 陽 性 膵 癌 に 対 してゲムタシビン+S-1(GS 療 法 )を 施 行<br />

し、 根 治 切 除 しえた 膵 癌 の 一 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 含 め 報 告<br />

する。【 症 例 】65 歳 女 性 。 主 訴 は 特 になし。2010 年 3 月 に 近 医 で 腹 部<br />

エコー 施 行 され 主 膵 管 の 拡 張 を 指 摘 され 当 院 紹 介 された。 精 査 にて 膵<br />

頭 部 に15x15mm… 大 の 腫 瘤 を 認 め、 膵 頭 部 癌 T3N0M0…cStageIIIの 診<br />

断 にて、 同 年 6 月 に 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (SSPPD)の 予 定 で<br />

開 腹 術 を 施 行 した。 術 中 に 径 5mm 大 の16b1intリンパ 節 をサンプリン<br />

グし、 迅 速 病 理 組 織 診 にてadenocarcinoma… の 診 断 であったため、<br />

T4N3(16b1)M1(LYM)…sStageIVbの 診 断 となり、 手 術 適 応 なしと 判<br />

断 し, 化 学 療 法 を 行 う 方 針 となった。 同 年 7 月 よりTS-1(100mg/<br />

body)(2 投 2 休 )+GEM(800mg)の 化 学 療 法 を 開 始 した。 明 らかな 副 作<br />

用 の 出 現 を 認 めず、 化 学 療 法 を12コース 施 行 終 了 時 、 新 たな 遠 隔 転 移<br />

の 出 現 はなく、T3N0M0…StageIIIとダウンステージングを 認 めたため、<br />

2011 年 9 月 にSSPPDを 施 行 し た。 最 終 病 理 組 織 診 断 でpPh,…pTS1<br />

(15x15x10mm),… pT1,(… pCH(-),… pDU(-),… pS(-),… pRP(-),… pPV(-))…<br />

pN0M0…pStageI… であった。 術 後 合 併 症 なく 経 過 し、 術 後 補 助 化 学 療<br />

法 としてゲムシタビンを 投 与 中 であり、 術 後 3カ 月 経 過 した 現 在 無 再<br />

発 生 存 中 である。【まとめ】16b1interリンパ 節 に 転 移 を 認 め 切 除 不 能<br />

となったが、GS 療 法 が 著 効 しダウンステージングを 認 め、 根 治 切 除<br />

できた 貴 重 な1 例 を 経 験 した。 遠 隔 転 移 を 有 する 膵 癌 においても、 化<br />

学 療 法 によってダウンステージングが 得 られ、 根 治 可 能 となりうる 症<br />

例 が 存 在 することも 念 頭 においた 綿 密 なフォローアップが 重 要 である。<br />

-348-


P20-7 化 学 療 法 および 化 学 放 射 線 療 法 によりダウンステージ<br />

を 得 て 切 除 可 能 となった3 例<br />

広 島 市 立 安 佐 市 民 病 院 外 科<br />

○… 佐 伯 修 二 , 矢 野 琢 也<br />

膵 癌 は 根 治 切 除 が 長 期 生 存 を 期 待 できる 治 療 である。1999 年 より 初 診<br />

時 に 切 除 不 能 膵 癌 と 診 断 した21 例 に 対 し 化 学 療 法 または 化 学 放 射 線 療<br />

法 を 行 い、ダウンステージが 得 られ 切 除 を 施 行 し 得 た3 例 を 経 験 した。…<br />

[ 症 例 1] 初 診 時 に 膵 体 部 癌 、 多 発 肝 転 移 と 診 断 しS-1/Gemcitabine 併<br />

用 療 法 を7コース 施 行 後 肝 転 移 は 消 失 し 初 診 時 から8か 月 後 に 膵 体 尾 部<br />

切 除 施 行 。 術 後 2 年 後 に 胸 膜 転 移 を 認 め、3 年 6か 月 後 に 癌 死 。[ 症 例 2]<br />

上 腸 間 膜 動 静 脈 浸 潤 を 伴 うStageIVa 局 所 進 行 膵 癌 に 対 し 化 学 療 法<br />

(S-1/Gemcitabine) 及 びGemcitabineを 用 いた 放 射 線 化 学 療 法 を 施 行 後<br />

腫 瘍 は 縮 小 し 明 らかな 血 管 浸 潤 は 消 失 し 剥 離 可 能 と 判 断 しR0の 根 治<br />

切 除 が 施 行 できた。 現 在 GEMを 用 いた 補 助 化 学 療 法 を 継 続 中 。[ 症 例<br />

3] 上 腸 間 膜 動 脈 浸 潤 を 伴 うStageIVa 局 所 進 行 膵 体 部 癌 に 対 し<br />

Gemcitabineを 用 いた 放 射 線 化 学 療 法 を 施 行 後 、Gemcitabine 単 独 療<br />

法 にて 原 発 巣 はCT 画 像 上 、 縮 小 し 瘢 痕 様 となったため 切 除 を 行 った。<br />

術 後 は 化 学 療 法 を 拒 否 され 経 過 観 察 していたが、 術 後 1.5 年 のCT 検 査<br />

で 肝 転 移 、 骨 転 移 を 認 め、 術 後 約 2 年 で 癌 死 。これらの 症 例 を 提 示 し、<br />

切 除 を 試 みる 時 期 など 切 除 不 能 膵 癌 に 対 する 治 療 strategyを 提 示 する。<br />

P20-8 CPT11で 門 脈 系 浸 潤 が 縮 小 し 門 脈 系 合 併 切 除 pPPDを<br />

行 い 得 た 膵 芽 腫 長 期 生 存 の1 例<br />

八 尾 徳 洲 会 総 合 病 院 肝 臓 外 科 、 小 児 外 科<br />

○… 木 村 拓 也<br />

膵 芽 腫 はまれな 腫 瘍 で10 才 以 下 の 男 児 に 好 発 する。 完 全 摘 出 できれば<br />

予 後 は 良 好 であるが、 不 完 全 摘 出 例 、 転 移 例 では 予 後 不 良 とされてお<br />

り、 外 科 的 治 療 を 中 心 とした 集 学 的 療 法 が 重 要 となる。 門 脈 浸 潤 を 合<br />

併 した 膵 頭 部 原 発 の 膵 芽 腫 に 対 し、CPT11 投 与 で 門 脈 浸 潤 が 縮 小 し<br />

門 脈 系 合 併 切 除 を 伴 う 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 で 長 期 生 存 が 得 ら<br />

れている1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は8 才 の 男 児 で 道 路 で 転 倒<br />

し 腹 部 を 打 撲 し 右 上 腹 部 痛 にて 近 医 を 受 診 した。 腹 部 CTにて 膵 頭 部<br />

に 腫 瘍 を 認 め 当 院 紹 介 となった。 造 影 CTでは 膵 頭 部 に 径 7.5cmの 腫 瘍<br />

を 認 め、 腫 瘍 は 尾 側 へ 連 続 性 に 浸 潤 し、 門 脈 から 上 腸 間 膜 静 脈 周 囲 お<br />

よび 血 管 内 浸 潤 を 認 め 完 全 に 閉 塞 していた。また 肝 門 部 にはリンパ 節<br />

腫 大 を 認 め 転 移 を 疑 った。AFPは0.9ng/mlと 上 昇 を 認 めず、その 他<br />

の 腫 瘍 マーカーの 上 昇 も 認 めなかった。 膵 頭 部 腫 瘍 T4N1M0の 診 断 に<br />

て、 開 腹 腫 瘍 生 検 術 を 施 行 し、 病 理 にて 膵 芽 腫 と 診 断 された。 神 経 芽<br />

腫 98A1プロトコールによる 化 学 療 法 を2クール、3クール 目 はA3プロ<br />

トコールによる 化 学 療 法 を 行 ったが 腫 瘍 サイズの 縮 小 は 認 めなかった。<br />

4クール 目 はIFO/VP-16で 末 梢 血 幹 細 胞 採 取 を 行 った。これにより 腫<br />

瘍 は や や 縮 小 し た た め5ク ー ル 目 はIRO/VP16に 加 え、CBDCA、<br />

THP-ADRを 加 えたITECプロトコールを 行 った。 腫 瘍 は75%ほどに<br />

縮 小 したが 門 脈 系 腫 瘍 浸 潤 に 変 化 は 認 めなかった。そこで<br />

CPT1120mg/m2×5 日 間 、VCR1.0mg/m2を2 週 間 投 与 、1 週 間 休 薬 す<br />

るプロトコールによる 化 学 療 法 を 行 った。1クール 後 腫 瘍 サイズは2/3<br />

となったため、さらに3クール 行 った。この 時 点 で 門 脈 系 腫 瘍 浸 潤 は<br />

縮 小 し、SMVの 開 通 を 認 め、 手 術 適 応 とした。 手 術 所 見 では 後 膵 静<br />

脈 内 の 腫 瘍 塞 栓 が 門 脈 系 へ 浸 潤 しており、 門 脈 系 の 合 併 切 除 ( 前 壁 切<br />

除 ) 連 続 縫 合 閉 鎖 で 血 行 再 建 を 行 った。 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 を 施 行 し、 胃 膵 吻 合 、 胆 管 空 腸 、 幽 門 空 腸 吻 合 を 行 った。 術 後 経 過<br />

は 良 好 で、CPT11を 用 いた 化 学 療 法 を2クール 施 行 後 、 大 量 化 学 療 法<br />

施 行 し、 現 在 3 年 を 経 過 するが 再 発 は 認 めていない。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P21-1 Borderlineresectable 膵 癌 症 例 に 対 する<br />

Gemcitabine+S-1 術 前 化 学 放 射 線 療 法 の 治 療 成 績 と<br />

傾 向<br />

東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科<br />

○… 阿 部 雄 太 , 高 野 公 徳 , 木 原 優 , 横 山 卓 剛 , 尾 野 大 気 ,<br />

島 津 元 秀<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 当 科 で は 動 脈 encasementを 認 め るBorderline…<br />

resectable…(BR) 膵 癌 に 対 して 術 前 化 学 放 射 線 療 法 (NCRT)による 成<br />

績 向 上 を 目 指 している.… 今 回 はこのNCRTの 意 義 を 検 討 する【 対 象 ・<br />

方 法 】2010 年 6 月 から1 年 間 に 診 断 された 上 腸 間 膜 動 脈 または 腹 腔 動 脈<br />

に 明 らかに 接 する(1/3~1/2 周 )BR 膵 癌 6 例 .…NCRTはGEM…400mg/m2<br />

(D1,8,22,29)+S-1…40mg/m2…(D1-14,22-35)+ 通 常 分 割 照 射 …50Gy<br />

(2Gy/5w)で 癌 遺 残 の 可 能 性 が 高 い 主 要 動 脈 周 囲 神 経 叢 に 照 射 野 を<br />

絞 った.…6 週 後 の 再 評 価 で(1)PDでない(2) 有 害 事 象 (AE)を 認 めない 場<br />

合 ,… 再 評 価 後 2~3 週 で 手 術 とした.…【 結 果 】 全 例 NCRTを 完 遂 した.… 再 評<br />

価 ではPR(2 例 ),…SD(2 例 ),…PD(2 例 ).…SD2 例 が 予 定 通 り 手 術 となった.…<br />

PR2 例 は1 例 が 照 射 野 の 広 範 囲 胆 管 高 度 不 正 と 高 度 脂 肪 肝 ,…1 例 が 肝 機<br />

能 障 害 で 予 定 の 手 術 は 行 わずGEM 単 独 投 与 を 継 続 ,… その 後 AE 消 失 に<br />

て 手 術 となった(NCRT 後 14 週 ,…12 週 ). PD…2 例 は 一 旦 手 術 を 断 念 しそ<br />

の 後 GEM 単 独 投 与 (1,000mg/m2)を 継 続 したところ,…1 例 は 主 腫 瘍 PR<br />

と 腫 瘍 マーカー(TM) 陰 性 化 にて 手 術 (NCRT 後 32 週 )となり,… 結 果 5 例<br />

が 手 術 となった.…1 例 は 開 腹 直 後 腹 膜 播 種 結 節 を 認 め 閉 腹 ,…3 例 に 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 ,…1 例 に 膵 全 摘 を 施 行 (4 例 全 例 R0)した.… 治 療 効 果 判 定 は<br />

Grade…3(1 例 ),…Grade…2(2 例 ),…Grade…1-a(1 例 ).… 手 術 データ( 中 央 値 )は<br />

手 術 時 間 668-1170…(919) 分 ,… 出 血 量 1183-3880…(2363)mL,… 術 後 入 院 期 間<br />

36-79…(54) 日 .… 術 後 は 全 例 にGrade…1-2の 白 血 球 減 少 を 認 めるが,…GEM<br />

単 独 補 助 化 学 療 法 (biweekly)を 継 続 した.…1 例 は 術 後 5カ 月 目 に 仮 性 動<br />

脈 瘤 破 裂 で 死 亡 ,…1 例 は 肝 転 移 にて 治 療 開 始 後 13カ 月 で 癌 死 ,…2 例 は 無<br />

再 発 生 存 でNCRT 開 始 より 中 央 値 465 日 である.…【 考 察 】 主 腫 瘍 縮 小 ,…<br />

TM 低 下 患 者 で 病 理 学 的 治 療 効 果 を 認 めた.… 神 経 叢 浸 潤 (PL)は 全 患 者<br />

で 手 術 直 前 の 画 像 上 SDだが,… 主 腫 瘍 縮 小 例 では 神 経 叢 浸 潤 部 位 にも 明<br />

らかな 病 理 学 的 治 療 効 果 を 認 めた.…1 年 以 上 無 再 発 患 者 はともに 主 腫<br />

瘍 縮 小 ,… 腫 瘍 マーカー 陰 性 化 症 例 であったことからこの2つの 要 素 が<br />

続 く 根 治 手 術 の 適 応 患 者 選 別 に 有 用 な 可 能 性 がある.<br />

P21-2 Borderlineresectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 ( 放 射<br />

線 ) 療 法 の 有 用 性<br />

1<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学 、 2 横 浜 市 立 大 学 市 民 総 合 医<br />

療 センター 消 化 器 病 センター 外 科<br />

○… 谷 口 浩 一 1<br />

, 田 中 邦 哉 1<br />

, 松 山 隆 生 1<br />

, 森 隆 太 郎 1<br />

,<br />

武 田 和 永 1<br />

, 熊 本 宜 文 1<br />

, 野 尻 和 典 1<br />

, 杉 田 光 隆 1<br />

,<br />

上 田 倫 夫 2<br />

, 本 間 祐 樹 1<br />

, 大 田 洋 平 1<br />

, 秋 山 浩 利 1<br />

,<br />

1<br />

遠 藤 格<br />

【 背 景 】NCCNガイドラインで 示 されているBorderline…resectable<br />

(BR) 膵 癌 に 対 する 治 療 方 針 は 施 設 間 で 異 なり、 一 定 の 見 解 はない。【 目<br />

的 】BR 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 併 用 切 除 の 治 療 成 績 を<br />

retrospectiveに 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】2001 年 1 月 から2011 年 10 月 ま<br />

での、 切 除 を 企 図 した 浸 潤 性 膵 管 癌 114 例 を 対 象 とした。BRは61 例<br />

(54%)であり、 術 前 化 学 ( 放 射 線 ) 療 法 (NAC)を43 例 に 施 行 した(NAC<br />

群 )。NAC 群 の 内 、NAC 後 遠 隔 転 移 により 非 切 除 となった14 例 ( 開 腹<br />

時 非 切 除 3 例 を 含 む)を 除 いた 切 除 29 例 をNACS 群 、 術 前 治 療 非 施 行 18<br />

例 をSt 群 とし 長 期 成 績 を 比 較 した。また、NACS 群 とSt 群 で 血 管 合 併<br />

切 除 率 、 組 織 学 的 所 見 、R0 切 除 率 、 手 術 成 績 、 術 後 補 助 化 学 療 法 施<br />

行 率 を 比 較 した。【 結 果 】3 年 生 存 率 (NAC 群 33%:St 群 14%)であり<br />

NAC 群 で 良 好 な 傾 向 にあった(P=0.077)。NAC 後 の 非 切 除 例 を 除 い<br />

たNACS 群 ではさらに 長 期 成 績 の 改 善 を 認 め(NACS 群 55%:St 群 14%,…<br />

P=0.001)、NACによるpatient…selectionがその 要 因 と 考 えられた。 一 方 、<br />

NAC 後 非 切 除 となった14 例 のMSTは9ヶ 月 であった。 血 管 合 併 切 除 は<br />

NAC 群 100%( 門 脈 24 例 、 上 腸 間 膜 動 脈 2 例 、 肝 動 脈 2 例 、 腹 腔 動 脈 幹 5 例 )<br />

に 施 行 されており、St 群 61%に 比 較 し 高 率 であった(P=0.001)。 組 織<br />

学 的 所 見 を 比 較 すると、 門 脈 浸 潤 (NAC 群 14%:St 群 50%,…P=0.017)は<br />

NAC 群 で 低 率 であり、R0 切 除 率 はNAC 群 で 高 かった(NAC 群 86%:<br />

St 群 28%,…P


P21-3 当 院 におけるBorderlineresectable 症 例 の 検 討<br />

1<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 、 2 大 阪 市 立 総 合 医 療 セ<br />

ンター 消 化 器 外 科<br />

○… 清 水 貞 利 1<br />

, 塚 本 忠 司 1<br />

, 金 沢 景 繁 1<br />

, 高 台 真 太 郎 1<br />

,<br />

山 添 定 明 1<br />

, 大 平 豪 1<br />

, 中 島 隆 善 1 2<br />

, 西 口 幸 雄<br />

NCCN 膵 癌 ガイドライン2011におけるBorderline…resectableのうち 動<br />

脈 因 子 の 症 例 について 検 討 した. 当 院 ではBorderline…resectable 症 例<br />

に 対 して,2011 年 7 月 以 降 は 術 前 化 学 療 法 を 導 入 しているが,それ 以<br />

前 は 術 前 治 療 をおこなわずに 手 術 を 施 行 してきた. 対 象 は2008 年 4 月<br />

以 降 の 膵 臓 癌 切 除 症 例 45 例 .そのうち 術 前 画 像 診 診 断 において 動 脈 因<br />

子 によるBorderline…resectableと 考 えられた 症 例 は8 例 で, 術 前 化 学<br />

療 法 を 施 行 した1 例 を 除 く7 例 で 検 討 した. 浸 潤 が 疑 われた 動 脈 は, 総<br />

肝 動 脈 1 例 , 上 腸 間 膜 動 脈 6 例 であった. 施 行 した 術 式 はPD4 例 ,DP3<br />

例 で, 癌 遺 残 度 はR0:2 例 ,R1:2 例 ,R2:3 例 であった.R2…3 例 の<br />

うち2 例 はSMA 浸 潤 例 であった.1 年 および2 年 のDFSは,いずれも<br />

57.1%で,Resectableと 考 えられた 症 例 の48.3%と 比 較 し 有 意 差 は 認 め<br />

なかった. 生 存 率 についても1 年 ,2 年 ともに57.1%で,Resectableの<br />

78.3%,50.8%と 比 較 し, 有 意 に 予 後 不 良 というわけではなかった.た<br />

だし,R2に 限 ってみると, 術 後 平 均 生 存 期 間 は6カ 月 と 予 後 は 極 端 に<br />

不 良 であった.R0の2 例 は 術 後 2 年 以 上 生 存 しており,R1は2 症 例 とも<br />

Stage…IVbで,いずれも 局 所 再 発 を 認 めているが, 化 学 療 法 を 施 行 し,<br />

術 後 1 年 生 存 中 である. 膵 臓 癌 は 手 術 のタイミングを 失 えば 長 期 生 存<br />

が 望 めないことから, 術 前 画 像 診 断 においてUnresectableに 近 い 状 態<br />

でなければ, 手 術 を 先 行 してもよいのではないかと 考 えられた. 膵 臓<br />

癌 術 後 早 期 再 発 例 について 検 討 したところ, 術 後 3カ 月 以 内 の 早 期 再<br />

発 症 例 は 膵 臓 癌 切 除 症 例 45 例 中 9 例 であった.そのうちBorderline…<br />

resectableには 含 まれない 小 腸 間 膜 リンパ 節 転 移 症 例 を2 例 認 め,そ<br />

の 予 後 はBorderline…resectable… のR2と 同 様 不 良 であった. 術 前 画 像<br />

診 断 において, 小 腸 間 膜 リンパ 節 転 移 が 疑 われる 症 例 は 切 除 可 能 と 判<br />

断 しても, 術 前 化 学 療 法 の 適 応 ではないかと 考 えられた.<br />

P21-4 広 範 膵 外 神 経 叢 浸 潤 で 切 除 不 能 と 診 断 した 局 所 進 行 膵<br />

頭 部 癌 に 対 し 化 学 放 射 線 療 法 後 に 根 治 切 除 を 施 行 した<br />

1 例<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 II<br />

○… 新 田 健 雄 , 松 本 譲 , 加 藤 健 太 郎 , 土 川 貴 裕 , 田 中 栄 一 ,<br />

七 戸 俊 明 , 平 野 聡<br />

【はじめに】 膵 外 神 経 叢 浸 潤 が 広 範 におよぶ 局 所 進 行 膵 癌 で 手 術 不 能<br />

と 判 断 した 場 合 , 非 手 術 療 法 のみで 治 療 を 完 結 することが 一 般 的 であ<br />

る. 今 回 我 々は, 膵 外 神 経 叢 浸 潤 が 右 肝 動 脈 周 囲 にまで 及 ぶため 切 除<br />

非 適 応 と 診 断 した 局 所 進 行 膵 頭 部 癌 に 対 し, 化 学 放 射 線 療 法 後 に 根 治<br />

切 除 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する. 【 症 例 提 示 】 症 例 は<br />

60 歳 代 の 女 性 .2010 年 3 月 ,CTにて 膵 頭 部 腫 瘤 とともに 総 肝 動 脈<br />

(CHA)から 固 有 肝 動 脈 (PHA), 右 肝 動 脈 (RHA)に 至 るまで 血 管 周 囲<br />

の 軟 部 組 織 濃 度 上 昇 を 認 め, 広 範 な 膵 外 神 経 叢 浸 潤 をともなう 膵 頭 部<br />

癌 で 切 除 非 適 応 と 診 断 した. 同 年 4 月 から 化 学 療 法 (Gemcitabine…<br />

1500mg/body,…S-1…80mg/body)を 施 行 し,2コース 終 了 後 のCTにて 膵<br />

外 神 経 叢 浸 潤 は 残 存 するものの 原 発 巣 の 著 明 な 縮 小 を 認 めた.6ヶ 月<br />

間 の 非 手 術 治 療 期 間 を 行 い, 非 切 除 因 子 の 出 現 がなければ 根 治 手 術 を<br />

行 う 方 針 とし, 放 射 線 治 療 (45G/25Fr)を 併 用 したCRTが 施 行 された.<br />

化 学 療 法 は 当 初 S-1…(80mg/body)の 単 剤 を 投 与 していたが, 肝 機 能 障<br />

害 を 認 めたため,Gemcitabine…(1400mg/body)の 単 剤 投 与 に 変 更 した.<br />

9 月 のCTでは 腫 瘍 の 更 なる 縮 小 を 認 め,CHA 周 囲 の 軟 部 組 織 上 昇 は<br />

若 干 残 存 するものの 明 らかな 遠 隔 転 移 を 認 めなかった. 根 治 切 除 可 能<br />

と 判 断 し, 肝 機 能 障 害 の 軽 快 を 待 って2010 年 12 月 に 亜 全 胃 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 + 門 脈 合 併 切 除 +CHA・PHA・RHA 合 併 切 除 および<br />

挙 上 したRoux-en-Y 脚 の 空 腸 動 脈 とRHAをマイクロ 下 で 吻 合 し 再 建 し<br />

た. 病 理 組 織 学 的 所 見 では, 主 病 変 部 ではわずかなadenocarcinoma<br />

を 散 在 性 に 認 めるも, 腫 瘍 細 胞 変 性 壊 死 を51-90%で 認 め, 化 学 放 射<br />

線 療 法 の 効 果 はGradeIIb…(Evans 分 類 )と 判 定 した.PL(-)であり,<br />

すべての 切 除 断 端 は 陰 性 であった. 術 後 は 特 に 大 きな 合 併 症 なく 経 過<br />

し 退 院 した. 術 後 8か 月 現 在 無 再 発 生 存 中 である.【 結 語 】 広 範 な 膵 外<br />

神 経 叢 浸 潤 のため 診 断 時 に 手 術 適 応 外 の 膵 癌 であっても,CRTなど<br />

の 非 手 術 療 法 が 一 定 期 間 奏 効 した 場 合 には 根 治 切 除 の 可 否 を 検 討 すべ<br />

きと 考 える.<br />

P21-5 局 所 進 行 切 除 不 能 膵 癌 に 対 して、 化 学 放 射 線 療 法 が 奏 功<br />

し 切 除 しえた1 例<br />

1<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 病 院 胆 膵 外 科 、 2 藤 田 保 健 衛 生 大 学 病 院 放<br />

射 線 科<br />

○… 越 智 隆 之 1<br />

, 堀 口 明 彦 1<br />

, 石 原 慎 1<br />

, 伊 東 昌 広 1<br />

, 浅 野 之 夫 1<br />

,<br />

古 澤 浩 一 1<br />

, 津 田 一 樹 1<br />

, 伊 藤 良 太 郎 1<br />

, 志 村 正 博 1<br />

,<br />

清 水 謙 太 郎 1<br />

, 林 千 紘 1<br />

, 加 藤 良 一 2<br />

, 花 岡 良 太 2<br />

,<br />

赤 松 北 斗 2 1<br />

, 宮 川 秀 一<br />

症 例 は71 歳 、 男 性 。 既 往 歴 として、 前 立 腺 肥 大 、 高 脂 血 症 にて 内 服 加<br />

療 中 、また、 糖 尿 病 にてインスリン 自 己 注 射 をしています。 現 病 歴 と<br />

して、2 年 前 に 腹 痛 にて 当 院 受 診 。その 際 に 施 行 された 画 像 所 見 にて、<br />

IPMNを 指 摘 され、その 後 外 来 にて 定 期 的 に 経 過 観 察 されていた。1<br />

年 後 のFollow…USにて 主 膵 管 の 拡 張 を 認 めたため、 精 査 目 的 にて 入 院<br />

となった。CTでは、 主 膵 管 の 拡 張 を 認 め、 膵 鉤 部 に 径 1.9×1.3×1.4cm<br />

の 乏 血 性 腫 瘍 を 認 めた。また 同 腫 瘍 からSMA 背 側 にまで 連 続 し、<br />

SMAを 約 2/3 周 取 り 囲 むように 軟 部 陰 影 を 認 めた。ERCPでは、 膵 頭<br />

部 主 膵 管 での 不 整 狭 窄 像 と 上 流 側 膵 管 の 拡 張 を 認 めた。また 近 接 する<br />

下 部 胆 管 にも 不 整 狭 窄 を 認 めた。 膵 管 狭 窄 部 でのブラッシング 細 胞 診<br />

では 擬 陽 性 であった。これにより 膵 頭 部 癌 、 局 所 高 度 浸 潤 と 判 断 し、<br />

放 射 線 併 用 化 学 療 法 を 施 行 した。 総 放 射 線 量 は60Gy(2Gy/ 回 x30<br />

回 ,day1-5,6W)、 塩 酸 ゲムシタビン600mg/m2(3 投 1 休 )とした。 途 中<br />

塩 酸 ゲムシタビンに 伴 う 間 質 性 肺 障 害 を 来 たし、40Gy 終 了 後 より<br />

TS-1(60mg/m2)に 変 更 。 化 学 放 射 線 療 法 終 了 後 には 腫 瘍 マーカーは<br />

正 常 化 し、FollowCTでも 腫 瘍 は 縮 小 傾 向 を 認 めた。その 後 、TS-1で<br />

の 継 続 化 学 療 法 を4コース 施 行 したあとのFollow…CTにて 腫 瘍 径 は1.2<br />

×1.0×1.0cmと 縮 小 を 認 めた。またSMAを 取 り 囲 んでいた 主 腫 瘍 か<br />

ら 連 続 した 軟 部 陰 影 も1/5 周 程 度 まで 縮 小 傾 向 を 認 めたため、 根 治 術<br />

可 能 と 判 断 し、 手 術 施 行 しました。 術 中 所 見 では、 明 らかな 腹 膜 播 種<br />

転 移 、 肝 転 移 を 認 めませんでした。 放 射 線 を 照 射 したSMA 周 囲 は 弾<br />

性 硬 の 所 見 であったが 剥 離 可 能 であり、 門 脈 合 併 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 にて 根 治 術 施 行 した。 今 回 化 学 療 法 が 奏 功 し。 根 治 手 術 しえた 膵 頭<br />

部 癌 、 局 所 高 度 浸 潤 の1 例 を 経 験 したので 報 告 します。<br />

P21-6 膵 臓 癌 、 腹 膜 播 種 の 診 断 で 手 術 、 化 学 療 法 後 、 長 期 生 存 が<br />

えられている1 症 例<br />

健 康 保 険 人 吉 総 合 病 院<br />

○… 田 浦 尚 宏 , 木 村 正 美 , 水 元 孝 郎<br />

膵 臓 癌 、 腹 膜 播 種 の 診 断 で 手 術 、 化 学 療 法 後 、 長 期 生 存 がえられてい<br />

る1 症 例 を 報 告 する。 症 例 は76 歳 女 性 。 主 訴 は 定 期 的 検 査 異 常 。 現 病<br />

歴 は、 高 血 圧 などで 近 医 通 院 中 、 定 期 的 検 査 目 的 の 腹 部 超 音 波 検 査 で<br />

肝 表 ドーム 直 下 に 腫 瘤 を 認 め、CT 検 査 で 腹 膜 播 種 と 膵 体 尾 部 癌 が 疑<br />

われ 当 院 紹 介 となった。 血 液 検 査 では、CEA 高 値 を 認 めた。 腹 部 超<br />

音 波 検 査 では、 肝 表 に 呼 吸 性 に 肝 臓 と 部 位 が 変 化 する 腫 瘤 を 認 めた。<br />

CT 検 査 では、 肝 表 ドーム 直 下 に 不 整 形 腫 瘤 を 散 在 して 認 めた。 腫 瘤<br />

は 早 期 から 不 整 な 濃 染 像 を 認 め、 腹 膜 から 肝 を 圧 排 していた。また、<br />

膵 体 尾 部 に42×25mm 大 の 腫 瘤 を 認 め、Dynamic…studyではいずれの<br />

相 も 低 吸 収 であった。その 他 、 腹 水 を 認 めた。PET 検 査 では 膵 臓 腫<br />

瘤 と 肝 表 腫 瘤 に 集 積 を 認 めた。 肝 表 腫 瘤 の 組 織 診 を 行 い、 膵 臓 癌 、 腹<br />

膜 播 種 と 診 断 し、 化 学 療 法 (ゲムシタビン)を 行 った。 化 学 療 法 6サイ<br />

クル 施 行 後 の 検 査 で、 腫 瘍 は 膵 体 尾 部 と 肝 表 に 限 局 しているため、 手<br />

術 を 行 った。 手 術 では 膵 体 尾 部 切 除 、 播 種 巣 切 除 を 行 った。 術 後 化 学<br />

療 法 (ゲムシタビン)を5サイクル 施 行 し、 術 後 1 年 経 過 するが 再 発 病 変<br />

は 認 めない。 腹 膜 播 種 を 認 めた 膵 臓 癌 に 対 し 集 学 的 治 療 により 長 期 生<br />

存 をえられており、 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-350-


P21-7 術 後 再 発 しながらも6 年 3ヶ 月 生 存 している 膵 体 尾 部 癌<br />

の1 例<br />

姫 路 聖 マリア 病 院 外 科<br />

○… 三 浦 奈 緒 子 , 横 山 伸 二<br />

【はじめに】 浸 潤 性 膵 管 癌 は 消 化 器 癌 のなかでも 極 めて 予 後 不 良 とさ<br />

れ、 切 除 率 は 約 40%、 切 除 例 ですら5 年 生 存 率 が 約 10%、 生 存 期 間 中<br />

央 値 は8.6ヶ 月 ともいわれている。 今 回 我 々は 膵 体 尾 部 癌 術 後 、 遅 発<br />

性 に 再 発 を 認 めるも、 化 学 療 法 を 施 行 し6 年 3ヶ 月 の 長 期 生 存 を 得 てい<br />

る1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。【 症 例 】<br />

66 歳 男 性 。 膵 体 尾 部 癌 にて 平 成 17 年 9 月 膵 体 尾 部 切 除 術 (D1+α)、 脾<br />

臓 摘 出 術 を 施 行 し た。 術 後 病 理 結 果 よ りtubular…<br />

adenocarcinoma,moderately… differentiated.intermediate,INF<br />

β,ly0,v0,ne1,mpd(-),pPCM(-),pDPM(-),pS(-),pRP(-),pPV(-),pA(-),…<br />

Stage1(pT1,N0),R0と 診 断 。 以 後 外 来 にて 経 過 観 察 を 継 続 し、 画 像 上<br />

再 発 所 見 なく 経 過 したが、 平 成 23 年 1 月 の 腹 部 CTにて 腹 腔 動 脈 根 部 周<br />

囲 の 局 所 再 発 を 疑 われた。CA19-9の 上 昇 傾 向 も 認 めたため、PET-CT<br />

を 施 行 したところ、 同 部 に 取 り 込 みを 認 め、 膵 癌 腹 膜 播 種 による 後 腹<br />

膜 再 発 と 診 断 した。 平 成 23 年 2 月 よりジェムザール 単 剤 による 化 学 療<br />

法 を 開 始 、 貧 血 のために 薬 剤 減 量 も 余 儀 なくされたが、 平 成 23 年 12 月<br />

までに 計 10クール 終 了 した。 平 成 23 年 12 月 上 旬 、 突 然 の 右 腹 痛 が 出 現<br />

し 救 急 外 来 受 診 。 腹 膜 播 種 による 閉 塞 性 イレウスを 疑 い 保 存 的 加 療 を<br />

開 始 するも 軽 快 せず、 入 院 10 日 目 に 緊 急 手 術 を 施 行 した。 癒 着 が 原 因<br />

で 生 じた 索 状 物 による 絞 扼 性 イレウスと 診 断 し 小 腸 部 分 切 除 術 を 施 行 。<br />

トライツ 靭 帯 付 近 に 局 所 再 発 巣 を 認 め、 癌 性 腹 膜 炎 と 診 断 、 今 後 狭 窄<br />

症 状 の 出 現 が 予 想 されたため、 胃 空 腸 バイパス 術 も 追 加 した。 術 後 経<br />

過 良 好 にて 術 後 15 日 目 に 退 院 となり、 今 後 外 来 にて 化 学 療 法 継 続 予 定<br />

である。【まとめ】 今 回 我 々は 膵 体 尾 部 癌 術 後 5 年 3ヶ 月 目 と 遅 発 性 に<br />

再 発 をきたすも、 化 学 療 法 を 中 心 とした 集 学 的 治 療 により6 年 3ヶ 月 の<br />

長 期 生 存 を 得 ている1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて<br />

報 告 する。<br />

P21-8 3 回 の 根 治 的 膵 切 除 が 可 能 であった 浸 潤 性 膵 管 癌 の1 例<br />

昭 和 伊 南 総 合 病 院 外 科<br />

○… 宮 川 雄 輔 , 唐 澤 幸 彦 , 織 井 崇<br />

【 背 景 】 浸 潤 性 膵 管 癌 は 消 化 器 悪 性 腫 瘍 の 中 でも 予 後 不 良 な 癌 である。<br />

切 除 率 は 低 く、たとえ 切 除 出 来 た 場 合 でも 再 発 率 は 高 く、 再 発 後 の 治<br />

療 は 困 難 である。 今 回 我 々は、3 回 の 根 治 的 膵 切 除 が 可 能 であった 浸<br />

潤 性 膵 管 癌 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】…54 歳 女 性 。2008<br />

年 7 月 、 膵 鉤 部 原 発 の 膵 癌 に 対 し、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

(PpPD)を 施 行 された。 術 後 はジェムシタビンを 用 いた 補 助 化 学 療 法<br />

を 施 行 された。2010 年 3 月 のCTで 残 膵 尾 部 に 直 径 9mmの 低 吸 収 域 を<br />

指 摘 された。MRIでは 同 部 位 はT1 強 調 画 像 でlow…intensity、T2 強 調<br />

画 像 でiso…intensityな 腫 瘤 影 として 描 出 された。 画 像 検 査 では 周 囲 臓<br />

器 浸 潤 やリンパ 節 転 移 を 疑 う 所 見 は 認 めず、 同 年 4 月 膵 尾 部 切 除 ( 膵 体<br />

部 、 胃 温 存 )を 施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 で、 患 者 本 人 の 希 望 により<br />

補 助 化 学 療 法 を 行 わずに 経 過 を 観 察 していた。2011 年 2 月 の 腹 部 造 影<br />

CTで 残 膵 体 部 に 嚢 状 構 造 を 伴 う 直 径 25mmの 腫 瘤 影 を 認 めた。FDG…<br />

PETでは 膵 頭 部 に 強 い 集 積 を 認 めたが、 他 臓 器 転 移 、リンパ 節 転 移<br />

は 認 めなかった。 手 術 適 応 と 判 断 し、 同 4 月 に 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した。<br />

術 後 経 過 良 好 で39 病 日 退 院 。 現 在 、ジェムシタビンによる 補 助 化 学 療<br />

法 を 行 いながら 術 後 9カ 月 無 再 発 生 存 中 である。 病 理 組 織 学 検 索 では、<br />

初 回 手 術 時 標 本 、3 回 目 手 術 時 標 本 の 組 織 型 は 破 骨 細 胞 様 巨 細 胞 を 伴<br />

う 未 分 化 癌 、2 回 目 手 術 時 標 本 の 組 織 型 は 高 分 化 型 の 管 状 腺 癌 であった。<br />

いずれの 病 変 も 他 臓 器 浸 潤 やリンパ 節 転 移 は 認 めず、 切 除 断 端 は 陰 性<br />

(R0 切 除 )であった。2 回 目 手 術 時 ( 膵 尾 部 切 除 )の 病 変 は、 膵 断 端 と 病<br />

変 の 距 離 が 離 れていること、 膵 内 に 連 続 した 病 変 を 認 めないこと、 組<br />

織 型 が 異 なることより 新 規 発 癌 であると 考 えられる。3 回 目 手 術 時 ( 膵<br />

全 摘 )の 病 変 は 初 回 手 術 時 病 変 と 組 織 型 が 類 似 しており、 膵 内 転 移 も<br />

しくは 膵 管 内 播 種 の 可 能 性 が 高 いと 考 えている。【 結 論 】 浸 潤 性 膵 管<br />

癌 の 再 発 に 対 しても、 術 前 診 断 でR0 切 除 が 可 能 な 症 例 に 対 しては 積<br />

極 的 な 手 術 を 行 う 意 義 はあるものと 考 えられる。……<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P22-1 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 胃 吻 合 , 膵 空 腸 吻 合 の 術<br />

後 長 期 栄 養 評 価<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 3 講 座<br />

○… 高 橋 恒 輔 , 永 川 裕 一 , 粕 谷 和 彦 , 鈴 木 芳 明 , 菊 池 哲 ,<br />

許 文 聰 , 松 土 尊 映 , 土 方 陽 介 , 土 田 明 彦<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 胃 吻 合 、 膵 空 腸 吻 合 の 遠 隔 時<br />

栄 養 状 態 を 比 較 検 討 した.【 対 象 と 方 法 】 当 院 における 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 症 例 81 例 を 対 象 とした. 当 科 では 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 施 行 例 にお<br />

いて,2006 年 までは 嵌 入 法 による 膵 胃 吻 合 を 行 い( 膵 胃 吻 合 群 :34 例 ),<br />

2007 年 からは 膵 管 空 腸 全 層 吻 合 + 膵 貫 通 密 着 縫 合 を 行 っている( 膵 管<br />

空 腸 吻 合 群 :47 例 ). 遠 隔 時 の 栄 養 評 価 として 術 後 半 年 後 の 体 重 減 少 率 ,<br />

血 中 TP,Alb,T-cho,TG 値 , 糖 尿 病 発 症 および 膵 管 拡 張 の 有 無 について<br />

検 討 した.なお 術 後 半 年 後 の 膵 管 径 が 術 前 CTと 比 較 し1.3 倍 以 上 と<br />

なったものを 膵 管 拡 張 例 とした.【 結 果 】 疾 患 の 内 訳 は 膵 胃 吻 合 群 :( 浸<br />

潤 性 膵 癌 19 例 ,IPMN2 例 , 胆 管 癌 3 例 , 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 9 例 ,SPT1 例 )<br />

膵 管 空 腸 吻 合 群 ( 浸 潤 性 膵 癌 20 例 ,IPMN8 例 , 胆 管 癌 8 例 , 十 二 指 腸<br />

乳 頭 部 癌 7 例 , 膵 内 分 泌 腫 瘍 1 例 ,その 他 3 例 )であった. 術 後 半 年 後 の<br />

体 重 減 少 率 は, 膵 胃 吻 合 群 :12.6±6.9%, 膵 管 空 腸 吻 合 群 :13.9±8.2%<br />

と 明 らかな 差 はなく, 血 中 TPは 膵 胃 吻 合 群 :7.1±0.5,… 膵 管 空 腸 吻 合<br />

群 :6.6±0.8, 血 中 Albは 膵 胃 吻 合 群 :3.9±0.9, 膵 管 空 腸 吻 合 群 :3.4<br />

±0.6,… 血 中 T-choは 膵 胃 吻 合 群 :163.2±29.7,… 膵 管 空 腸 吻 合 群 :128.5±<br />

32.7, 血 中 TG 値 は 膵 胃 吻 合 群 :98.2±28.4, 膵 管 空 腸 吻 合 群 :84.5±<br />

28.3と 有 意 な 差 はなかった.しかし 血 糖 値 は 膵 胃 吻 合 群 :134.5±59.3,<br />

膵 管 空 腸 吻 合 群 :114.7±31.3で,HbA1cは 膵 胃 吻 合 群 :6.8±2.1, 膵<br />

管 空 腸 吻 合 群 :5.9±0.5であり, 糖 尿 病 発 症 率 は 膵 胃 吻 合 群 (16.7%)と,<br />

膵 管 空 腸 吻 合 群 (2.5%)と 比 較 し 膵 胃 吻 合 郡 でやや 高 率 であった.ま<br />

た 主 膵 管 拡 張 率 も 膵 胃 吻 合 :45.4%と 膵 管 空 腸 吻 合 群 :14.2%と 比 較 し<br />

高 率 であった.【 結 語 】 遠 隔 時 栄 養 状 態 の 評 価 から, 嵌 入 法 による 膵<br />

胃 吻 合 は 膵 空 腸 吻 合 と 比 較 し, 膵 機 能 をやや 低 下 させることが 示 唆 さ<br />

れた.<br />

P22-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 胃 吻 合 後 の 栄 養 状 態 の 評<br />

価<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 生 駒 久 視 , 山 本 有 祐 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 , 塩 崎 敦 ,<br />

栗 生 宜 明 , 落 合 登 志 哉 , 大 辻 英 吾<br />

【はじめに】2008 年 より 膵 消 化 管 吻 合 を 膵 胃 吻 合 で 行 い、 以 前 の 膵 腸<br />

吻 合 と 比 較 し 有 意 に 膵 液 瘻 の 発 生 を 減 少 させたことを 報 告 してきた。<br />

しかし、 膵 胃 吻 合 は 中 長 期 的 に 膵 機 能 の 低 下 が 懸 念 されている。そこ<br />

で、 膵 胃 吻 合 再 建 症 例 の 中 期 的 栄 養 状 態 の 評 価 を 行 った。【 方 法 と 対 象 】<br />

2008 年 4 月 から2010 年 12 月 までに 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 膵 胃 吻 合 再 建 を<br />

30 例 に 施 行 した。 原 疾 患 の 再 発 の 有 無 が 栄 養 状 態 に 関 与 すると 考 えら<br />

れるため、そのうちの 原 疾 患 無 再 発 症 例 である18 例 を 対 象 とした。 手<br />

術 成 績 及 び 手 術 施 行 6ヶ 月 後 と 一 年 後 の 栄 養 状 態 、 体 重 減 少 、 脂 肪 肝<br />

の 有 無 、 糖 尿 病 の 有 無 を 含 めた 中 期 的 栄 養 状 態 の 評 価 を 行 った。 単 純<br />

CTにおけるL/S 比 (CT 値 の 肝 臓 / 脾 臓 比 率 )1.1 未 満 を 脂 肪 肝 とした。<br />

【 結 果 】18 例 の 内 訳 は 男 / 女 比 12/6、 平 均 年 齢 68.5(60-81) 歳 、 原 疾 患<br />

は 中 下 部 胆 管 癌 5 例 、 乳 頭 部 癌 4 例 、IPMN4 例 、 膵 癌 3 例 、インスリノー<br />

マ1 例 、SCN1 例 であり、 術 中 所 見 で 正 常 膵 と 評 価 した 症 例 は13 例 (72%)<br />

であった。ISGPF…Grade…B…or…Cの 膵 液 瘻 は2 例 (11%)で 認 めた。 術 後<br />

/ 術 前 体 重 比 の 平 均 は0.92で、 術 後 に 脂 肪 肝 を 発 症 したのは3 例 (17%)<br />

であった。 術 前 非 糖 尿 病 症 例 14 例 は 全 例 術 後 糖 尿 病 発 症 を 認 めなかっ<br />

た。 術 前 糖 尿 病 合 併 症 例 4 例 中 2 例 でインスリン 使 用 量 の 増 加 を 認 めた。<br />

術 後 6ヶ 月 後 と 術 後 1 年 目 の 間 に 体 重 減 少 が 進 んだ 症 例 、 脂 肪 肝 進 行 症<br />

例 、 糖 尿 病 悪 化 症 例 はいずれも 存 在 しなかった。【 考 察 】 膵 胃 吻 合 再<br />

建 後 の 膵 液 瘻 の 発 生 率 は 低 く、 周 術 期 成 績 は 安 定 していた。 一 方 、 膵<br />

胃 吻 合 再 建 後 に 劇 的 な 糖 尿 病 悪 化 や 栄 養 状 態 悪 化 を 来 した 症 例 は 存 在<br />

しなかった。 中 期 的 栄 養 評 価 からも 膵 胃 吻 合 再 建 は 許 容 される 方 法 で<br />

あると 考 えられた。<br />

-351-


P22-3 PD 術 後 の 脂 肪 肝 発 生 についての 検 討<br />

四 国 中 央 病 院 外 科<br />

○… 石 川 正 志 , 松 山 和 男 , 豊 田 剛 , 三 浦 連 人 , 森 本 忠 興<br />

( 目 的 ) 近 年 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 後 の 脂 肪 肝 の 発 生 が 問 題 となっ<br />

ている。 長 期 的 にみれば 膵 腸 吻 合 を 行 った 症 例 の30~50%に 脂 肪 肝 が<br />

発 生 することが 指 摘 されている。 我 々は 手 技 の 簡 便 さや 術 後 経 過 が 良<br />

好 なことから 膵 胃 吻 合 を 行 っているが、 膵 胃 吻 合 後 の 脂 肪 肝 発 生 につ<br />

いての 報 告 は 少 ない。そこでこれまで 経 験 したPD 術 後 膵 胃 吻 合 を 行 っ<br />

た 症 例 における 術 後 脂 肪 肝 発 生 の 要 因 について 検 討 を 行 った。( 手 技 )<br />

膵 胃 吻 合 では 胃 体 下 部 の 前 壁 に6cmの 縦 切 開 、 後 壁 に2cmの 横 切 開 を<br />

おき、 後 壁 から 残 膵 を 胃 に 陥 入 し、 胃 の 前 壁 から 直 視 下 に 胃 の 全 層 と<br />

膵 に 約 20 針 程 度 の 結 節 縫 合 を 行 う。 早 期 に 膵 の 断 端 が 胃 の 粘 膜 により<br />

覆 われることを 避 けるために、3cmのlost…tubeを 膵 管 に 挿 入 している。<br />

その 後 Billroth1 法 で 胃 空 腸 吻 合 を 器 械 にて 追 加 し、 約 15cm 肛 門 側 に<br />

胆 管 空 腸 吻 合 を 置 く。( 対 象 と 成 績 ) 過 去 9 年 間 に71 例 ( 男 42 例 、 女 性 29 例 、<br />

67±10 歳 )の 膵 胃 吻 合 によるPDを 行 った。 疾 患 の 内 訳 は 膵 癌 25 例 、 胆<br />

管 癌 22 例 、 乳 頭 部 癌 8 例 、 良 性 疾 患 16 例 であった。 画 像 上 術 前 の 脂 肪<br />

肝 のある 症 例 はみられなかった。 術 後 膵 液 漏 は6 例 (9%)みられたが、<br />

いずれもgrade…Aであり、 最 近 3 年 間 の 術 後 平 均 在 院 日 数 は18 日 であっ<br />

た。 術 後 1 年 以 上 経 過 している62 例 の 栄 養 状 態 (Alb,T-cho,Che,Hb)は<br />

術 前 後 で 有 意 差 はみられなかった。 体 重 で 約 3kgの 有 意 な 減 少 が 見 ら<br />

れたが、 膵 炎 の 発 症 や 頑 固 な 下 痢 などもまったくみられず、ほぼ 全 症<br />

例 で 術 前 の 生 活 レベルが 維 持 されていた。 術 後 脂 肪 肝 の 発 生 は6 例<br />

(10%)であった。 脂 肪 肝 の 発 生 の 有 無 について 背 景 要 因 、 各 種 血 液 検<br />

査 成 績 、 膵 管 拡 張 や 膵 の 萎 縮 などの 画 像 検 査 を 比 較 検 討 し、 単 変 量 お<br />

よび 多 変 量 解 析 を 行 ったが、いずれも 有 意 なものはみられなかった。<br />

( 結 論 ) 当 科 で 行 っている 膵 胃 吻 合 後 の 脂 肪 肝 の 発 生 頻 度 は 他 の 報 告 に<br />

比 べ 少 なかったが、 発 生 に 関 するrisk…factorは 明 らかなものはみられ<br />

なかった。 当 科 でのPD 症 例 は 長 期 的 にも 良 好 な 栄 養 状 態 が 維 持 され<br />

ており、それが 脂 肪 肝 の 発 生 が 少 ない 理 由 であると 思 われた。<br />

P22-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 脂 肪 肝 にエレンタール 投 与 が<br />

効 果 的 であった1 例<br />

遠 賀 中 間 医 師 会 おんが 病 院<br />

○… 皆 川 亮 介 , 末 廣 剛 敏<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 脂 肪 肝 は30%~40%に 発 生 するとされており、<br />

近 年 その 危 険 因 子 等 に 関 する 報 告 が 散 見 される。 今 回 我 々は 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 後 の 低 栄 養 状 態 、 脂 肪 肝 に 対 しエレンタールによる 栄 養 療<br />

法 が 効 果 的 であった 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は80 歳 の 男 性 、<br />

糖 尿 病 、 高 脂 血 症 のため 近 医 にかかりつけであったが、3ヶ 月 前 より<br />

血 糖 コントロール 不 良 、 体 重 減 少 を 認 めるようになったため 精 査 を<br />

行 ったところ 膵 頭 部 癌 を 認 めた。 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 、 門 脈 再 建 を 伴<br />

う 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した(SMA 神 経 叢 郭 清 あり)。 術 後 病 理<br />

診 断 はWell…differentiated…tubular…adenocarcinoma,…T3,…N0,…M0,…<br />

Stage3であった。 術 後 は 特 に 合 併 症 なく 経 過 し28 日 目 に 自 宅 退 院 と<br />

なった。 退 院 後 は 月 に1 回 外 来 でfollowしていたが、 術 後 4ヶ 月 目 に 低<br />

栄 養 状 態 から 全 身 の 衰 弱 が 進 行 したため、 栄 養 状 態 の 改 善 目 的 に 再 入<br />

院 となった。 再 入 院 時 の 血 液 検 査 データはAlb…2.3g/dl、T-chol…80、<br />

TG…69、ALP…576IU/l、γ-GTP…93IU/l、GOT…33IU/l、GPT…21IU/l、<br />

HbA1c…7.1で、 画 像 検 査 では 肝 臓 のCT 値 が6.4HU、HU 値 の 脾 / 肝 が6.9<br />

と 著 明 な 脂 肪 肝 を 認 めた。 全 身 の 浮 腫 が 著 明 であったためアルブミン<br />

製 剤 を3 日 間 投 与 し、エレンタール、リーバクトの 処 方 を 開 始 したと<br />

ころ、4 週 間 後 にはAlb…3.4g/dl(アルブミン 製 剤 投 与 後 )、T-chol…140、<br />

TG…140、ALP…394IU/l、γ-GTP…39IU/l、GOT…20IU/l、GPT…11IU/l<br />

と 血 液 検 査 データは 改 善 し、 倦 怠 感 の 消 失 、 食 欲 の 著 明 な 改 善 を 認 め<br />

た。 全 身 状 態 が 良 好 となり 退 院 、 以 降 も 外 来 でエレンタールの 投 与 を<br />

継 続 している。 再 退 院 から2ヶ 月 が 経 過 したが 体 重 は3kg 増 加 、 肝 臓<br />

のCT 値 は48.0HU、HU 値 の 脾 / 肝 が0.9と 脂 肪 肝 は 改 善 、 血 液 検 査 デー<br />

タもAlb…3.8g/dl、T-chol…144、TG…132、ALP…387IU/l、γ-GTP…35IU/<br />

l、GOT…30IU/l、GPT…20IU/l、HbA1c…7.1であり、 食 欲 、 全 身 状 態 も<br />

良 好 な 状 態 が 保 たれている。 重 篤 な 低 栄 養 状 態 、 脂 肪 肝 に 消 化 態 栄 養<br />

剤 のエレンタール 投 与 が 効 果 的 であったので 報 告 する。<br />

P22-5 膵 癌 に 対 する 膵 全 摘 術 後 管 理<br />

朝 日 大 学 村 上 記 念 病 院 外 科<br />

○… 森 章 , 川 部 篤 , 中 嶋 早 苗 , 上 田 大 輔 , 久 米 真<br />

背 景 : 膵 管 癌 に 対 する 膵 全 摘 術 は 膵 内 分 泌 外 分 泌 機 能 を 全 廃 させ、 術<br />

後 のQOLを 低 下 させるため、その 適 応 を 慎 重 に 判 断 し、 術 後 管 理 を<br />

厳 密 に 行 う 必 要 がある。 当 科 で 経 験 した 膵 管 癌 に 対 する 膵 全 摘 術 3 例<br />

を 報 告 す る。 症 例 1:65 歳 男 性 BMI…23.0。 膵 頭 部 癌 (pT4,…pPVsp+,…<br />

pN0,…M0,…stage…IVa)と 膵 尾 部 仮 性 嚢 胞 に 対 し 膵 全 摘 、 門 脈 合 併 切 除 、<br />

横 行 結 腸 合 併 切 除 術 施 行 。 術 後 も 食 欲 良 好 で 下 痢 軽 度 、 消 化 剤 を 投 与 。<br />

BMIは 術 後 1ヶ 月 (POM…1)に19.7まで 低 下 、POM…18に22.7まで 回 復 。<br />

肝 CT 値 は60HU 以 上 で 維 持 。 術 後 補 助 化 学 療 法 は 本 人 が 拒 否 、POM…<br />

26 無 再 発 生 存 中 。 症 例 2:46 歳 女 性 BMI…27.9。 膵 頭 体 部 癌 、 総 肝 動 脈 、<br />

門 脈 、 脾 動 静 脈 浸 潤 に 対 して、 術 前 化 学 療 法 GEM+S1を6クール 後 、<br />

腫 瘍 縮 小 効 果 あり、 膵 全 摘 術 施 行 (pT2,…pN0,…M0,…Stage…II)。 術 前 耐<br />

糖 能 異 常 は 認 めず、 術 後 インスリン18 単 位 / 日 を 投 与 。 消 化 剤 止 痢 剤<br />

を 用 い、POM…1から 補 助 化 学 療 法 GEMを 開 始 。POM…3にBMI…18.5ま<br />

で 低 下 、 肝 CT 値 は-12HUに 著 明 低 下 。 食 思 不 振 、 下 痢 が 悪 化 し、プ<br />

レアルブミンは3.6mg/dlに 低 下 、POM…5で 化 学 療 法 中 止 、IVHおよび<br />

経 管 栄 養 を 行 い、 消 化 剤 止 痢 剤 増 量 。POM…7には 食 思 回 復 し、プレ<br />

アルブミン13.5mg/dlに 改 善 。 肝 CT 値 はPOM…10に48HU、POM…16に<br />

60HU、BMIも20.2に 改 善 。POM…19 無 再 発 生 存 中 。 症 例 3:67 歳 男 性<br />

BMI…19.2。 膵 体 頭 部 癌 に 膵 全 摘 施 行 (pT3,…pN1,…M0,…Stage…III)。 血 糖<br />

管 理 摂 食 良 好 でPOM…1から 補 助 化 学 療 法 GEMを 開 始 。 肝 CT 値 は<br />

POM…3に18HUまで 低 下 し 肝 機 能 障 害 出 現 、BMI…14.2,… プレアルブミ<br />

ン8.9mg/dlに 低 下 、 化 学 療 法 を 休 止 、 消 化 剤 止 痢 剤 増 量 し、POM…4<br />

無 再 発 生 存 中 。 結 論 : 膵 管 癌 に 対 する 膵 全 摘 術 後 は、 血 糖 管 理 ととも<br />

に 個 々の 症 例 に 応 じた 栄 養 管 理 が 必 要 であり、 補 助 化 学 療 法 の 施 行 は<br />

慎 重 に 判 断 すべきである。 特 に、 術 後 早 期 に 急 速 に 進 行 する 脂 肪 肝 は、<br />

厳 重 な 栄 養 管 理 で 回 避 できる 可 能 性 がある。<br />

P22-6 膵 全 摘 後 ,NST 外 来 支 援 の 有 効 性<br />

1<br />

秋 田 赤 十 字 病 院 総 合 診 療 科 、 2 秋 田 赤 十 字 病 院 消 化 器 外 科 、<br />

3<br />

秋 田 赤 十 字 病 院 腫 瘍 内 科<br />

○… 古 屋 智 規 1<br />

, 小 棚 木 均 2<br />

, 大 内 慎 一 郎 2<br />

, 吉 川 雅 輝 2<br />

,<br />

澤 田 俊 哉 2<br />

, 最 上 希 一 郎 2<br />

, 岩 崎 渉 2<br />

, 吉 楽 拓 哉 2<br />

,<br />

佐 藤 公 彦 2<br />

, 小 棚 木 圭 2<br />

, 武 藤 理<br />

2,3<br />

膵 全 摘 後 の 代 謝 栄 養 管 理 は 困 難 で 多 領 域 における 専 門 的 かつ 長 期 的 な<br />

支 援 が 必 要 である。 一 方 , 急 性 期 病 院 において 在 院 日 数 の 短 縮 は 必 須<br />

であり, 膵 全 摘 後 であっても 手 術 成 績 の 向 上 に 伴 い 長 期 入 院 は 許 容 さ<br />

れない。 今 回 , 退 院 後 の 代 謝 栄 養 管 理 支 援 を, 管 理 栄 養 士 をはじめと<br />

した 栄 養 サポートチーム(NST)の 多 職 種 メンバーが 連 携 して 対 応 す<br />

ることにより, 良 好 な 経 過 を 得 ることが 出 来 たので 報 告 する。【 症 例 】<br />

50 代 後 半 女 性 。 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 癌 で 膵 全 摘 術 を 行 った。 入 院 中 , 周<br />

術 期 よりNSTが 栄 養 管 理 の 支 援 を 行 い, 経 過 は 順 調 で 術 後 20 日 で 退<br />

院 した。 退 院 後 は 消 化 器 外 科 および 代 謝 科 外 来 受 診 時 に 合 わせて,<br />

NST 担 当 管 理 栄 養 士 , 医 師 ( 肝 胆 膵 外 科 医 ), 検 査 技 師 等 の 多 職 種 連<br />

携 による 外 来 を 開 始 した。その 内 容 と 目 的 は 栄 養 状 態 の 把 握 ・ 管 理 ,<br />

主 治 医 へ 提 案 などであり, 手 法 は, 入 院 時 のNST 回 診 と 同 様 , 患 者<br />

の 栄 養 状 態 評 価 とアセスメント( 主 観 的 包 括 的 評 価 項 目 , 特 に 体 重 増<br />

減 や 消 化 器 症 状 , 脂 肪 便 の 有 無 等 の 疾 患 特 異 的 な 症 状 の 聞 き 取 り, 検<br />

査 値 等 からみた 客 観 的 な 評 価 , 摂 取 熱 量 とその 栄 養 組 成 の 聞 き 取 りと<br />

評 価 , 次 いで, 血 糖 管 理 や 消 化 酵 素 剤 投 与 に 合 わせた 必 要 熱 量 , 栄 養<br />

組 成 の 患 者 , 家 族 および 外 来 診 療 担 当 医 への 助 言 )を 行 い,これを 継<br />

続 して 実 施 した。 術 後 8カ 月 を 経 過 した 時 点 で, 計 8 回 の 外 来 支 援 を 施<br />

行 。 最 終 的 には 高 力 価 の 耐 酸 性 腸 溶 性 膵 酵 素 製 剤 の 発 売 に 合 わせ,そ<br />

の 処 方 助 言 を 行 い, 地 元 への 紹 介 されるにあたり, 紹 介 先 病 院 外 来 担<br />

当 医 への 助 言 も 行 って 同 支 援 を 終 了 した。 膵 全 摘 施 行 患 者 の 退 院 後 に,<br />

外 来 で 中 長 期 的 に 代 謝 栄 養 管 理 を 支 援 , 継 続 することで, 患 者 の 栄 養<br />

状 態 把 握 , 治 療 への 負 担 軽 減 、 予 後 改 善 が 得 られたと 考 えられた。【 研<br />

究 協 力 者 】 秋 田 赤 十 字 病 院 NST<br />

-352-


P22-7 本 学 で 施 行 した 自 家 膵 島 移 植 の3 例<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 未 来 科 学 技 術 共 同 研 究 センター、<br />

3<br />

東 北 大 学 移 植 再 建 内 視 鏡 外 科 、 4 東 北 大 学 統 合 がん 治 療 外 科 学 講<br />

座<br />

○… 坂 田 直 昭 1 2,3<br />

, 後 藤 昌 史 , 元 井 冬 彦 1<br />

, 林 洋 毅 1 1,4<br />

, 中 川 圭 ,<br />

水 間 正 道 1<br />

, 吉 松 軍 平 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

,<br />

大 塚 英 郎 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 岡 田 恭 穂 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

,<br />

力 山 敏 樹 1<br />

, 内 藤 剛 1 1,4<br />

, 片 寄 友 , 江 川 新 一 1<br />

, 里 見 進 3<br />

,<br />

1<br />

海 野 倫 明<br />

自 家 膵 島 移 植 は、 慢 性 膵 炎 など、 良 性 の 膵 疾 患 でありながら 膵 全 摘 術<br />

を 行 った 患 者 に 対 し、 自 己 の 膵 島 を 体 内 に 戻 すことにより、 不 安 定 な<br />

膵 性 糖 尿 病 を 回 避 することができる 治 療 法 である。 膵 動 静 脈 奇 形 は、<br />

膵 炎 との 相 関 が 示 唆 される 稀 な 疾 患 であり、 異 常 血 管 の 破 綻 により、<br />

消 化 管 出 血 、 膵 実 質 への 出 血 と 強 い 腹 痛 を 呈 する。 膵 全 体 に 病 変 が 及<br />

ぶ、あるいは 多 発 病 変 では 膵 全 摘 術 を 選 択 せざるを 得 ない 場 合 がある<br />

が、 腫 瘍 性 病 変 ではなく、 自 家 膵 島 移 植 の 良 い 適 応 疾 患 であると 考 え<br />

られる。 当 科 および 本 学 移 植 再 建 内 視 鏡 外 科 、 糖 尿 病 代 謝 科 、 消 化 器<br />

内 科 、TRセンターの 協 力 の 下 、 東 北 大 学 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 得 た 後 、<br />

膵 動 静 脈 奇 形 患 者 3 例 に 対 して 膵 全 摘 術 と 自 家 膵 島 移 植 を 行 った( 以 後 、<br />

移 植 時 期 より 症 例 1-3と 示 す)。 年 齢 は39-59 歳 。 性 別 はいずれも 男 性 。<br />

全 症 例 に 仮 性 嚢 胞 の 形 成 が 認 められ、いずれも 嚢 胞 内 出 血 が 認 められ<br />

た。 移 植 膵 島 数 は23 万 ―36 万 膵 島 (islet…equivalents)で、 移 植 膵 島 容<br />

積 は0.6-8mLであった。8mLを 移 植 した 症 例 2に 門 脈 塞 栓 、 門 脈 圧 亢 進<br />

症 といった 重 篤 な 合 併 症 が 見 られ、 塞 栓 除 去 術 が 施 行 された。 他 の2<br />

例 については 移 植 中 の 門 脈 圧 上 昇 は 軽 度 で 術 後 の 重 篤 な 合 併 症 は 見 ら<br />

れなかった。 症 例 1は 移 植 後 1 年 が 経 過 し、 耐 糖 能 は 良 好 で、 血 糖 値 の<br />

コントロールは 良 好 である。 症 例 3は 移 植 後 2か 月 で 血 清 、 尿 中 ともに<br />

Cペプチドが 検 出 されている。 血 糖 コントロールも 少 量 のインスリン<br />

投 与 で 良 好 である。 症 例 1、3ともに 低 血 糖 発 作 は 見 られていない。 膵<br />

動 静 脈 奇 形 患 者 に 対 する 膵 全 摘 術 および 自 家 膵 島 移 植 は、 考 慮 すべき<br />

有 効 な 治 療 選 択 枝 であるが、 低 率 ながら 血 栓 性 門 脈 合 併 症 の 報 告 もあ<br />

り、より 安 全 な 手 法 の 確 立 と、 移 植 成 績 向 上 への 工 夫 が 必 要 である。<br />

P22-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 膵 体 積 と 膵 機 能 の 検 討<br />

宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 講 座<br />

○… 矢 野 公 一 , 千 々 岩 一 男 , 近 藤 千 博 , 甲 斐 真 弘 , 藤 井 義 郎 ,<br />

大 谷 和 広 , 大 内 田 次 郎 , 旭 吉 雅 秀 , 永 野 元 章 ,<br />

今 村 直 哉<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 残 膵 体 積 と 膵 内 外 分 泌 機 能 の 変 化 を<br />

術 中 所 見 から 正 常 膵 と 硬 化 膵 の2 群 に 分 類 し 比 較 した.…【 方 法 】 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 後 1 年 間 再 発 無 く,CTと 膵 内 外 分 泌 機 能 検 査 による 経<br />

過 観 察 を 行 うことができた79 例 (PD6 例 ,SSPPD4 例 ,PPPD69 例 )を<br />

対 象 とした. 疾 患 の 内 訳 は 胆 管 癌 23 例 , 膵 癌 20 例 , 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌<br />

13 例 ,IPMN10 例 , 十 二 指 腸 癌 4 例 , 慢 性 膵 炎 4 例 ,その 他 5 例 であった.<br />

正 常 膵 (n=43)と 硬 化 膵 (n=36)は 術 中 肉 眼 所 見 と 触 診 から 判 断 した.<br />

膵 体 積 はCT 画 像 からFujifilm 社 のSYNAPSE…VINCENTを 使 用 して 術<br />

前 , 術 後 1ヶ 月 ,6ヶ 月 ,1 年 の4 点 を 測 定 した.… 同 時 期 にPFD,75g…<br />

OGTTによるinsulinogenic…index(I.I.)とHbA1c… を 測 定 し 比 較 した.…<br />

更 に 膵 体 積 は 術 前 体 積 を100%とした 術 後 1ヶ 月 の 膵 体 積 を35% 以 上 ,<br />

以 下 の2 群 (Large 群 ≧35%,Small 群


P23-2 正 常 膵 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 膵 液 瘻 発 生 予 測<br />

因 子 の 検 討<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 外 科<br />

○… 眞 次 康 弘 , 小 橋 俊 彦 , 大 石 幸 一 , 大 森 一 郎 , 中 原 英 樹 ,<br />

漆 原 貴 , 板 本 敏 行<br />

正 常 膵 症 例 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 膵 液 瘻 発 生 予 測 因 子 につ<br />

いて 検 討 した.【 対 象 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 例 :56 例 (2007.6-2011.10)の<br />

内 soft…pancreas:33 例 .… 術 式 は 全 例 PD-II-A1で 行 なった.…【 方 法 】 膵 液<br />

瘻 …(ISGPF…B+C)… 発 生 有 無 別 に 以 下 の 項 目 について 比 較 した. 検 討 項<br />

目 : 術 前 BMI,… 手 術 時 間 ,… 出 血 量 ,…POD1,3,7のWBC,CRP, 血 清 AMY,D-<br />

AMY,…POD1の 血 清 トリプシン,リパーゼ.【 結 果 】 膵 液 瘻 発 生 率 :<br />

gradeA(n=11:33.3 %),gradeB(n=12:36.4 %),gradeC(n=2:6.1 %).…<br />

単 変 量 解 析 で 以 下 の 項 目 に 有 意 差 を 認 めた; 中 央 値 ( 膵 液 瘻 ありvsな<br />

し)で 示 す.… 術 前 BMI:24.2vs19.8(p


P23-6 嵌 入 法 による 膵 空 腸 端 側 1 層 吻 合 法<br />

1<br />

札 幌 道 都 病 院 外 科 、 2 JR 札 幌 病 院 外 科 、 3 新 札 幌 恵 愛 会 病<br />

院 外 科 、 4 札 幌 東 徳 洲 会 病 院 外 科<br />

○… 秦 史 壯 1<br />

, 西 森 英 史 1<br />

, 池 田 慎 一 郎 1<br />

, 竹 谷 園 生 1<br />

,<br />

平 間 知 美 1<br />

, 矢 嶋 知 己 1<br />

, 鶴 間 哲 弘 2<br />

, 八 十 島 孝 博 3<br />

,<br />

4<br />

北 川 真 吾<br />

はじめに 我 々は 最 近 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 再 建 をChild 変 法 により,<br />

膵 管 ドレナージチューブを 併 用 した 嵌 入 法 による 膵 空 腸 1 層 吻 合 を<br />

行 っている. 本 法 では 膵 断 端 から 微 量 膵 液 は 吻 合 空 腸 内 へドレナージ<br />

されることはもとより, 膵 管 チューブで 体 外 へドレナージされるべき<br />

主 膵 管 膵 液 のチューブ 脇 漏 れも 確 実 に 空 腸 内 へドレナージされる. 腹<br />

腔 内 への 膵 液 漏 出 を 最 大 限 に 防 ぐことを 意 図 した 術 式 である. 今 回 ,<br />

その 吻 合 法 の 詳 細 をビデオで 供 覧 する. 対 象 2010 年 3 月 から2011 年 12<br />

月 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した12 例 に, 膵 管 径 によらず 嵌 入 法 に<br />

よる 膵 管 空 腸 吻 合 術 を 行 った. 男 女 比 6:6,55 歳 ~88 歳 , 平 均 72 歳 .<br />

手 術 手 技 膵 切 離 は 止 血 を 兼 ねて 電 気 メスで 切 離 するが, 止 血 不 可 能 な<br />

血 管 は4-0…PDSで 縫 合 止 血 する. 膵 断 端 は 魚 口 形 成 や 縫 合 閉 鎖 は 行 わ<br />

ない. 膵 実 質 剥 離 は3cm 以 上 行 う. 空 腸 脚 の 空 腸 壁 を 膵 断 端 と 同 様 な<br />

大 きさに 縦 切 開 する. 膵 管 チューブは 膵 管 に 強 固 に 固 定 , 空 腸 脚 断 端<br />

近 傍 から 貫 通 させる 外 瘻 とし, 残 膵 嵌 入 時 の 牽 引 に 利 用 する. 膵 空 腸<br />

吻 合 は、まず 両 側 の 端 側 膵 空 腸 吻 合 の 糸 かける. 空 腸 全 層 - 膵 頭 部 側<br />

側 面 - 膵 尾 部 側 側 面 の 順 に 針 を 進 める.とり 幅 は10-15…mm. 次 に 後 壁<br />

から 空 腸 全 層 - 膵 尾 部 側 後 面 - 膵 頭 部 側 後 面 の 順 に, 前 壁 は 空 腸 漿 膜 筋<br />

層 - 膵 頭 部 側 前 壁 - 膵 尾 部 側 前 壁 の 順 に 運 針 する. 膵 断 面 に 針 はかけな<br />

い. 最 後 に 吻 合 が 確 実 に 行 われているかを 確 認 する. 特 に 後 壁 は 注 意<br />

して 観 察 する.この 後 壁 の 吻 合 を 確 実 なものにするために, 膵 実 質 の<br />

十 分 な 剥 離 は 不 可 欠 である. 膵 実 質 の 空 腸 内 嵌 入 が 不 完 全 と 判 断 され<br />

たら, 空 腸 漿 膜 筋 層 - 膵 実 質 縫 合 を 追 加 する. 成 績 術 後 3 日 目 以 降 に 膵<br />

空 腸 吻 合 部 近 傍 に 留 置 したドレーン 排 液 のアミラーゼ 値 が, 血 清 値 の<br />

3 倍 以 上 となる 症 例 は1 例 のみであった.しかし, 臨 床 症 状 なく 膵 液 瘻<br />

分 類 のGrade…Aであった. 他 の11 例 の 排 液 は 肉 眼 的 にも 漿 液 性 で 黄 白<br />

色 等 に 濁 る 例 はなかった. 結 語 嵌 入 法 による 膵 空 腸 端 側 1 層 吻 合 は,<br />

膵 断 端 や 膵 管 チューブ 脇 漏 れ 膵 液 も 確 実 に 空 腸 内 へドレナージされ,<br />

腹 腔 内 への 膵 液 漏 出 を 最 大 限 に 予 防 することができると 考 える.<br />

P23-7 当 院 における 膵 腸 吻 合 の 工 夫 と 短 期 成 績<br />

京 都 桂 病 院 外 科<br />

○… 西 躰 隆 太 , 間 中 大 , 濱 洲 晋 哉 , 小 西 小 百 合 ,<br />

坂 元 克 考<br />

当 院 では 膵 頭 部 癌 に 対 しては 膵 島 十 二 指 腸 切 除 を、 下 部 胆 管 ~ 乳 頭 部<br />

癌 に 対 しては 幽 門 輪 温 存 膵 島 十 二 指 腸 切 除 を 標 準 術 式 としてきたが、<br />

2009 年 より 亜 全 胃 温 存 膵 島 十 二 指 腸 切 除 に 統 一 している。また、 再 建<br />

については 膵 空 腸 吻 合 、 胆 管 空 腸 全 層 一 層 吻 合 、 結 腸 前 胃 空 腸 吻 合<br />

(IIA)を 標 準 術 式 としている。 当 院 で 膵 頭 部 領 域 の 癌 に 対 する 標 準 手<br />

術 を 受 けた 全 39 症 例 の 膵 空 腸 吻 合 について、 膵 管 径 、 膵 管 ステントの<br />

有 無 、 縫 合 数 とISGPF(International…Study…Group…on…Pancreatic…<br />

Fistula)-Grade…B 以 上 の 膵 液 瘻 との 関 連 を 検 討 した。 前 期 (2009 年 ま<br />

で)の 膵 空 腸 吻 合 は、 膵 管 径 によらず、 膵 管 - 空 腸 粘 膜 を4 針 縫 合 し、<br />

膵 管 不 完 全 外 瘻 ステントを 留 置 した。この 期 間 中 、 主 膵 管 径 が3…mm<br />

以 上 に 拡 張 していた 症 例 は15 例 あり、 術 後 に 膵 液 瘻 を 発 症 した 症 例 は、<br />

膵 管 ステント 逸 脱 が 直 接 の 原 因 となった1 例 と、 門 脈 損 傷 の 関 連 した1<br />

例 の 合 計 2 例 のみであった。 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 の 縫 合 を 密 にすれば、<br />

膵 管 ステントが 省 略 でき、ステントトラブルによる 膵 液 瘻 が 予 防 出 来<br />

ると 考 え、 後 期 (2010 年 以 降 )は 膵 管 - 空 腸 粘 膜 は8 針 に 変 更 しステン<br />

ト 留 置 を 中 止 した。 以 後 の9 例 には 膵 液 瘻 の 発 生 を 認 めなかった。 一 方 、<br />

膵 管 径 が3…mm 未 満 の 場 合 、 前 期 の11 例 中 6 例 と 高 率 に 膵 液 瘻 が 発 生<br />

した。1 例 は 膵 管 ステントの 早 期 逸 脱 が 関 与 したと 考 えられたが、 膵<br />

管 - 空 腸 粘 膜 縫 合 が4 針 では 不 足 している 可 能 性 があると 思 われた。<br />

ステント 留 置 を 中 止 し 膵 管 - 空 腸 粘 膜 縫 合 を8 針 に 変 更 した 後 期 の 成<br />

績 は、4 例 中 1 例 に 膵 液 瘻 を 認 めたのみであった。 現 在 の 膵 管 空 腸 吻 合<br />

の 実 際 の 手 技 について、ビデオを 供 覧 する。 空 腸 の 漿 膜 切 開 を 膵 管 径<br />

に 合 わせて 小 さくすることに 留 意 しており、これにより 膵 管 - 空 腸 粘<br />

膜 縫 合 のadaptationが 良 好 となる。 膵 管 - 空 腸 吻 合 は、 空 腸 全 層 でな<br />

く 粘 膜 のみと 縫 合 している。 膵 腸 吻 合 完 成 時 に、 膵 管 へ 余 分 な 力 が 加<br />

わらず、より 愛 護 的 になると 考 えている。 最 後 に 膵 断 端 が 空 腸 壁 に 陥<br />

入 するように 膵 実 質 - 空 腸 漿 筋 層 縫 合 を 全 周 行 う。 温 存 した 空 腸 漿 膜<br />

面 が 膵 断 端 に 広 く 密 着 し、 膵 液 漏 防 止 に 有 効 に 働 くと 考 えられる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P24-1 細 経 膵 管 に 対 するParachutetechniqueを 用 いた 膵<br />

空 腸 全 層 吻 合<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 岡 本 光 順 , 小 山 勇 , 利 光 靖 子 , 岡 田 克 也 , 合 川 公 康 ,<br />

上 野 陽 介 , 徳 永 裕 貴 , 渡 辺 幸 博 , 宮 澤 光 男<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 管 空 腸 吻 合 の 成 否 は 手 術 成 績 、<br />

特 に 術 後 膵 液 漏 発 生 に 直 接 関 与 すると 考 えられる。 特 に 主 膵 管 が 細 経<br />

である 場 合 には 手 技 の 困 難 な 事 が 多 い。 我 々は 細 経 膵 管 に 対 する 膵 管<br />

空 腸 吻 合 はParashute…techniqueを 用 いた 連 続 縫 合 で 実 施 しているが、<br />

今 回 その 成 績 について 検 討 することを 目 的 とした。<br />

【 対 象 と 方 法 】2007 年 4 月 から2009 年 12 月 まで 施 行 していた 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 における 膵 管 空 腸 吻 合 を 行 わず 完 全 ドレナージによる 膵 空<br />

腸 密 着 縫 合 を 施 行 した13 例 ( 前 期 群 )と、2010 年 1 月 より2011 年 11 月 ま<br />

でに 実 施 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 に 細 経 膵 管 に 対 してParschute…<br />

techniqueを 用 いた 膵 管 空 腸 全 層 吻 合 を 実 施 した23 例 ( 後 期 群 )の 成 績<br />

を 比 較 検 討 した。 検 討 項 目 は 手 術 時 間 、 術 中 出 血 量 、 術 後 在 院 日 数 、<br />

膵 液 漏 (ISGPF) 発 生 頻 度 とした。<br />

【Parachute…techniqueによる 膵 管 空 腸 吻 合 手 技 】 櫛 付 き 膵 管 チュー<br />

ブを 空 腸 に 挿 入 した 後 、 膵 管 と 空 腸 へ5-0プロリンによる2 点 支 持 を 置<br />

く。その 後 、 膵 管 と 空 腸 全 層 に 一 定 の 距 離 を 確 保 して 支 持 糸 の 一 方 よ<br />

り 後 壁 に3…-5 針 の5-0プロリンをParachute 様 に 連 続 的 にかけた 後 に 左<br />

右 の 糸 をゆっくりと 牽 引 することで 後 壁 縫 合 を 完 成 させる。 次 に 櫛 付<br />

き 膵 管 チューブを 膵 管 内 に 挿 入 し 膵 管 空 腸 の 前 壁 縫 合 を 連 続 縫 合 で 行<br />

う。 最 後 に 膵 管 は 切 断 し 最 終 的 にはロストステントが 留 置 された 不 完<br />

全 ドレナージによる 全 周 8 針 以 上 の 膵 管 空 腸 全 層 吻 合 が 完 成 する。<br />

【 成 績 】 手 術 時 間 中 央 値 ( 前 期 群 251 分 、 後 期 群 255 分 )、 術 中 出 血 量 中<br />

央 値 ( 前 期 群 915cc、 後 期 群 370cc)、 術 後 在 院 日 数 中 央 値 ( 前 期 群 23 日 、<br />

後 期 群 15 日 )、 膵 液 漏 Grade…A( 前 期 群 2 例 :15.4%、 後 期 群 3 例 :13%)、<br />

Grade…B/C( 前 期 群 4 例 :30.8%、 後 期 群 0 例 )であり、 手 術 時 間 に 差 は<br />

認 めなかったが、 術 中 出 血 量 (P=0.0135)、 術 後 在 院 日 数 (P=0.0220)、<br />

膵 液 漏 Grade…B/C 発 生 頻 度 (P=0.00478)に 有 意 な 改 善 を 認 めた。<br />

【 結 論 】 細 経 膵 管 に 対 するParachute…techniqueを 用 いた 膵 管 空 腸 全<br />

層 吻 合 は 膵 液 漏 発 生 予 防 に 貢 献 し、 術 後 在 院 日 数 短 縮 にも 役 立 つ 有 用<br />

な 手 技 であると 考 えられた。<br />

P24-2 当 センターおける 膵 腸 吻 合 手 技<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

○… 木 田 裕 之 , 出 口 義 雄 , 高 柳 大 輔 , 中 原 健 太 , 和 田 陽 子 ,<br />

春 日 井 尚 , 田 中 淳 一<br />

はじめに 当 センターでは 年 間 に15-20 例 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 っ<br />

ている。High…volume…centerではないが、 僅 かずつ 手 術 数 は 増 加 して<br />

おり、 手 技 を 見 直 す 意 味 で 我 々の 手 術 成 績 と 留 意 している 点 について<br />

検 討 を 行 った。 対 象 2001 年 に 開 院 後 、2008 年 に 初 めて 年 間 の 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 症 例 が10 例 を 越 えたため、2008 年 1 月 から2011 年 11 月 までを<br />

対 象 期 間 とした。この 間 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 症 例 は59 例 あり、うち 膵<br />

腸 吻 合 症 例 は39 例 であった。 疾 患 は 膵 癌 が16 例 、 胆 管 癌 が11 例 、 十 二<br />

指 腸 乳 頭 部 癌 5 例 、IPMNが3 例 、 慢 性 膵 炎 3 例 であった。 方 法 我 々が<br />

実 際 に 手 術 中 に 特 に 留 意 している 点 は 以 下 のとおりである。・ 膵 臓 の<br />

脱 転 は 最 低 限 にとどめ、 膵 切 離 後 は 授 動 操 作 を 行 なわない。・ 膵 断 面<br />

からの 動 脈 性 出 血 は5-0…PRONOVAを 用 いて 縫 合 止 血 し、そののち 膵<br />

断 面 をソフト 凝 固 でsealingする。・ 膵 管 の 背 側 にある 膵 実 質 が 薄 いと<br />

きはその 部 位 に 外 列 後 列 の 糸 をかけない。・ 膵 管 は8 針 縫 合 する。 膵 管<br />

径 の 太 さで 変 えていない。・ 膵 管 チューブは 不 完 全 ドレナージ 外 瘻 と<br />

して、 固 定 は 空 腸 粘 膜 にのみ1 針 置 く。・ 吻 合 完 了 後 、 大 網 の 巻 き 付 け<br />

などは 行 わない。 結 果 ISGPF 分 類 で 膵 液 瘻 の 無 かったものが25 例 、<br />

grade…Aが5 例 、grade…Bが5 例 、grade…Cが4 例 であった。 臨 床 上 問 題<br />

となるgrade…B+Cは9 例 であり、 発 生 率 は23.1%であった。 特 に 上 記 手<br />

技 を 意 識 し 吻 合 を 行 うようになった2010 年 9 月 からの、17 例 では、<br />

grade…Cは 認 めなかった。17 例 の 平 均 手 術 時 間 は430 分 、 平 均 出 血 量<br />

は591mlであった。また、 術 前 のCTで 判 定 した 膵 管 径 では2mm 未 満<br />

が11 例 、3mm 未 満 が5 例 、3mm 以 上 が1 例 であった。このうち2mm 未<br />

満 の 症 例 でgrade…B…3 例 、2mm 以 上 の 症 例 ではgrade…B 症 例 は 認 めな<br />

かった。まとめ 開 院 以 来 10 年 の 経 過 とともに 手 技 の 変 化 を 経 て 本 手 技<br />

に 至 ったが、 最 近 になりその 成 績 も 安 定 してきた。もっとも 大 切 にし<br />

ていることはすべての 縫 合 ・ 結 紮 を 正 確 に 行 うことであり、そのため<br />

に 必 要 な 工 夫 を 積 み 重 ねている。 今 後 も 症 例 を 蓄 積 し 検 討 を 続 けたい。<br />

-355-


P24-3 当 教 室 での 膵 空 腸 密 着 吻 合 法 の 変 遷 と 成 績<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 橋 本 真 治 , 小 田 竜 也 , 宮 本 良 一 , 高 橋 遍 , 小 林 昭 彦 ,<br />

福 永 潔 , 佐 々 木 亮 孝 , 大 河 内 信 弘<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 膵 液 瘻 は、 各 施 設 で 様 々な 対 策 を<br />

講 じることで、その 発 生 率 は 減 少 してきているが、 未 だに、 多 くの 患<br />

者 や 多 くの 外 科 医 を 悩 ませている。 今 回 、 膵 液 瘻 制 御 のために 当 教 室<br />

で 施 行 されてきた3 種 類 の 膵 空 腸 密 着 吻 合 法 のそれぞれの 膵 液 瘻 発 生<br />

率 について 検 討 した。【 対 象 】2007 年 1 月 から2011 年 10 月 までに 施 行 さ<br />

れた 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 104 例 。( 方 法 )2010 年 4 月 まで 主 流 であった 柿 田<br />

式 密 着 吻 合 (n=45)と 膵 空 腸 前 後 壁 吻 合 (n=31)、それ 以 降 から 現 在 ま<br />

で 施 行 されているBlumgart 変 法 (n=28)の3 種 の 吻 合 法 につき、hard…<br />

pancreas 症 例 (H)とsoft…pancreas… 症 例 (S)に 分 けて、 膵 液 瘻 発 生 頻 度<br />

(Grade…A/B/C:…ISGPF)、ドレーン 留 置 日 数 、 術 後 在 院 日 数 を<br />

retrospectiveに 評 価 をした。【 結 果 】 柿 田 式 (H:20 例 、S:25 例 )/ 前<br />

後 壁 吻 合 (H:5 例 、S:26 例 )/Blumgart 法 (H:13 例 、S:15 例 )の 膵<br />

液 瘻 発 生 率 は 全 体 (Grade…A+B+C)で51% /64% /35% で あ り、<br />

Grade…B+Cの 発 生 率 は38%/35%/14%であった。それぞれのhard…<br />

pancreas 症 例 での 膵 液 瘻 発 生 率 は20%/40%/0%であり、Grade…<br />

B+C 発 生 率 も20%/40%/0%であった。soft…pancreas 症 例 では 膵 液<br />

瘻 発 生 率 は76%/69%/66%であり、Grade…B+C 発 生 率 は、52%/<br />

34%/14%であった。ドレーン 留 置 日 数 ・ 術 後 在 院 日 数 の 中 央 値 は 柿<br />

田 式 / 前 後 壁 /Blumgart 法 で、17/16/5 日 ・23/23/15 日 であった。<br />

【 考 察 】 現 在 、 当 教 室 で 施 行 されているBlumgart 法 の 膵 液 瘻 発 生 頻<br />

度 は、 従 来 の 方 法 の 約 半 数 に 減 少 させることができ、 術 後 在 院 日 数 も<br />

大 幅 に 縮 小 することができた。hard…pancreas 症 例 の 膵 液 瘻 制 御 に 成<br />

功 したが、soft…pancreas 症 例 では、Grade…B+C 発 生 率 は 減 少 してい<br />

るものの、 全 体 の 膵 液 瘻 発 生 率 は 依 然 高 値 であり、 今 後 早 急 に 対 応 し<br />

なければならない 課 題 である。<br />

P24-4 在 院 期 間 短 縮 を 目 指 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 膵 空 腸<br />

吻 合 の 手 技 の 工 夫<br />

1<br />

横 浜 市 立 大 学 附 属 市 民 総 合 医 療 センター 消 化 器 病 センター 外<br />

科 、 2 横 浜 市 立 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学<br />

○… 杉 田 光 隆 1<br />

, 上 田 倫 夫 1<br />

, 谷 口 浩 一 2<br />

, 松 山 隆 生 2<br />

,<br />

森 隆 太 郎 2<br />

, 野 尻 和 典 2<br />

, 熊 本 宜 文 2<br />

, 武 田 和 永 2<br />

,<br />

田 中 邦 哉 2<br />

, 國 崎 主 税 1 2<br />

, 遠 藤 格<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 PD) 後 の 膵 液 瘻 は、 術 後 在 院 期 間<br />

を 延 長 させ、 術 後 出 血 等 の 重 篤 な 合 併 症 を 引 き 起 こす 誘 引 となる。 今<br />

回 、 当 科 におけるPD 後 の 膵 空 腸 吻 合 の 手 技 の 工 夫 を 提 示 し、これら<br />

が 膵 液 瘻 の 発 生 率 の 低 下 および 術 後 在 院 期 間 の 短 縮 に 寄 与 したかを 検<br />

討 する。【 対 象 および 方 法 】2006 年 1 月 ~2011 年 11 月 にPDを 施 行 した<br />

74 例 を 対 象 とした。 当 科 では、PD 時 の 膵 空 腸 吻 合 を 膵 管 空 腸 粘 膜 吻<br />

合 + 貫 通 法 で 行 っている。 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 は5-0モノフィラメント<br />

吸 収 糸 による 外 翻 結 節 縫 合 とし、 正 常 膵 または 主 膵 管 非 拡 張 例 では<br />

5Fr 膵 管 チューブを 約 3cm 長 にしたlost…stentを 留 置 、 硬 化 膵 かつ 主 膵<br />

管 拡 張 例 ではステントを 留 置 していない。2008 年 11 月 まで( 前 期 群 、<br />

n=28)は、 膵 切 離 はメスで 行 い 切 離 面 の 焼 灼 は 行 わず、 閉 鎖 式 持 続 吸<br />

引 式 ドレーンを 膵 空 腸 吻 合 部 前 面 と 胆 管 空 腸 吻 合 部 後 面 に2 本 留 置 し<br />

ていた。2008 年 12 月 以 降 ( 後 期 群 、n=46)は、 膵 切 離 を 電 気 メスある<br />

いはハーモニックで 行 い、 主 膵 管 周 囲 を 除 く 切 離 面 の 凝 固 処 理 を 行 い、<br />

ドレーンは 膵 空 腸 吻 合 部 より 胆 管 空 腸 吻 合 部 後 面 に 通 した1 本 のみと<br />

している。 両 群 とも、ドレーンアミラーゼ 濃 度 を 測 定 し、 原 則 として<br />

術 後 5 日 目 にドレーンを 抜 去 している。これら2 群 における 背 景 因 子 ( 年<br />

齢 、 性 別 、BMI、PNI、 糖 尿 病 合 併 率 、 術 前 減 黄 の 有 無 、 正 常 膵 の 比 率 )、<br />

術 中 因 子 ( 手 術 時 間 、 出 血 量 、 膵 管 ステント 留 置 割 合 )、 術 後 合 併 症 、<br />

膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 ( 膵 液 瘻 の 定 義 はISGPFの 定 義 に 従 う)、および 術 後<br />

平 均 在 院 日 数 を 比 較 し、 後 期 群 で 追 加 した2つの 工 夫 の 有 用 性 を 検 討<br />

した。【 結 果 】 背 景 因 子 には 両 群 間 に 差 を 認 めず、 術 中 因 子 では 膵 管<br />

ステント 留 置 率 が 前 期 群 に 高 い 傾 向 を 認 めたが、 有 意 差 を 認 めなかっ<br />

た。 術 後 膵 液 瘻 発 生 率 は、 全 gradeでは 前 期 群 vs. 後 期 群 で46.4%…vs.…<br />

28.9%、gradeB 以 上 では21.4%…vs.…10.5%と 後 期 群 で 発 生 率 が 低 下 し、<br />

術 後 在 院 期 間 では22.5 日 vs.…15.1 日 と 後 期 群 で 有 意 に 短 縮 された。【 結<br />

語 】 後 期 群 で 行 った2つの 工 夫 は、 膵 液 瘻 の 発 生 率 の 低 減 および 術 後<br />

在 院 期 間 の 短 縮 に 有 用 であった。<br />

P24-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫<br />

済 生 会 横 浜 市 東 部 病 院<br />

○… 伊 藤 康 博<br />

( 背 景 ) 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)は、 他 疾 患 の 手 術 に 比 べ 死 亡 率 、 合<br />

併 症 の 発 生 率 は 高 く 一 度 合 併 症 が 発 生 すると 重 篤 な 経 過 をたどる 可 能<br />

性 がある。なかでも 膵 液 瘻 の 発 生 は 重 篤 な 経 過 を 来 すことがありPD<br />

における 周 術 期 管 理 は 非 常 に 重 要 であり 慎 重 に 行 われている。PDに<br />

おいて 膵 空 腸 吻 合 術 は 重 要 な 位 置 を 占 めており 当 施 設 における 膵 空 腸<br />

吻 合 術 の 工 夫 を 成 績 と 共 に 示 す。( 手 術 手 技 ) 術 式 はPD-IIA-1(D2)を 基<br />

本 とし、 膵 空 腸 吻 合 術 は 全 例 柿 田 式 密 着 吻 合 を 行 っている。 主 膵 管 へ<br />

のステント 留 置 は、 全 例 で 行 い 不 完 全 ドレナージとしている。 日 本 肝<br />

胆 膵 外 科 学 会 高 度 技 能 指 導 医 を 中 心 とした 手 術 、 手 技 の 定 形 化 を 行 っ<br />

ている。まず、アトムチューブを 膵 管 内 に 通 しておき、 密 着 吻 合 用 の<br />

3-0…Proleneを 膵 断 端 から 約 5mm 程 度 離 れた 部 位 で 膵 後 面 から 前 面 へ<br />

貫 通 させる。それに 続 き 空 腸 漿 膜 筋 層 レベルで 膵 断 端 が 完 全 に 覆 われ<br />

る 幅 とする。さらに、その 頭 ・ 尾 側 に 数 針 加 えておく。 一 旦 膵 管 内 の<br />

チューブを 抜 き、5-0…PDSにて 主 膵 管 前 壁 …(12 時 部 位 )に 支 持 糸 をかけ<br />

る、 続 いて9 時 、3 時 とかけ、その 間 に1 針 ずつ 加 え 主 膵 管 を 拡 張 させる。<br />

膵 管 空 腸 吻 合 は、 後 壁 から 始 める。6 時 、7 時 半 、4 時 半 に3 針 と 空 腸 全<br />

層 にかけ 結 紮 後 、 膵 管 チューブを 膵 管 内 に 挿 入 し、 後 壁 の1 糸 にて 結<br />

紮 固 定 する。 先 程 の 前 壁 側 の 糸 をそれぞれ 空 腸 にかけ 順 次 結 紮 し、 膵<br />

管 空 腸 吻 合 を 終 える。 続 いて 密 着 吻 合 用 の3-0…Proleneを 順 次 結 紮 し、<br />

膵 管 空 腸 吻 合 を 終 了 する。 膵 管 ドレナージ 法 についても 着 目 し、 以 前<br />

は 内 瘻 ・ 外 瘻 ともに 術 者 の 裁 量 にて 決 定 していたが 膵 液 瘻 の 来 しやす<br />

い 正 常 膵 においては 外 瘻 を 選 択 している。( 成 績 )2009 年 11 月 から2011<br />

年 11 月 までの 間 に 経 験 したPD40 例 では、ISGPF 分 類 による 膵 液 瘻 は5<br />

例 (12.5%)(grade…A/B/C:3/2/0 例 )であった。 膵 液 瘻 を 来 した 症 例<br />

は 全 例 正 常 膵 かつ 主 膵 管 非 拡 張 例 であった。( 結 語 ) 膵 空 腸 吻 合 法 にお<br />

いて、 手 術 手 技 の 定 形 化 、ドレナージ 法 を 検 討 することで 良 好 な 成 績<br />

が 得 られた。 当 施 設 における 膵 空 腸 吻 合 の 工 夫 をビデオとともに 成 績<br />

についても 示 す。<br />

P24-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 難 治 性 膵 液 瘻 に 対 しIVR 下 に 経<br />

皮 経 腸 膵 管 ドレナージ 造 設 術 を 行 った1 例<br />

愛 知 県 がんセンター 中 央 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 川 合 亮 佑 , 清 水 泰 博 , 佐 野 力 , 千 田 嘉 毅 , 小 森 康 司 ,<br />

二 宮 豪 , 大 澤 高 陽 , 二 村 雄 次<br />

症 例 は62 歳 , 男 性 .…MEN1で 副 甲 状 腺 腫 瘍 摘 出 術 の 既 往 がある.GIF<br />

にて 十 二 指 腸 下 行 脚 に3~9mm 大 の 多 発 する 粘 膜 下 腫 瘍 を 認 め, 生 検<br />

でカルチノイドと 診 断 した. 全 身 検 索 でその 他 に 腫 瘍 を 認 めず,2002<br />

年 1 月 8 日 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った. 今 永 法 で 再 建 し, 膵 - 空 腸<br />

吻 合 は 膵 管 粘 膜 吻 合 で, 膵 管 チューブはlost…stentとした. 術 中 に 総<br />

肝 動 脈 に 直 径 1cmの 動 脈 瘤 を 認 め. 肝 円 索 を 動 脈 瘤 周 囲 に 縫 着 した.<br />

術 後 膵 液 瘻 を 認 め, 術 後 18 日 目 にドレーンより 出 血 したため 同 日 緊 急<br />

血 管 造 影 検 査 を 施 行 した. 総 肝 動 脈 瘤 からの 出 血 と 診 断 し,コイルで<br />

塞 栓 し 止 血 した.さらに 術 後 24 日 目 には 膵 - 空 腸 吻 合 部 から 肝 下 面 に<br />

膿 瘍 を 形 成 し, 経 皮 ドレナージを 要 した.その 後 も 発 熱 とドレーンか<br />

らの 多 量 の 膿 性 排 液 が 続 き,CTとドレーン 造 影 では 膵 腸 吻 合 部 が 離<br />

開 するMajor…leakageと 思 われた.すでに 膵 管 ステントは 逸 脱 しており,<br />

改 善 傾 向 が 見 られないため, 術 後 69 日 目 にIVR 下 に 膵 液 の 外 瘻 化 を 試<br />

みた. 膵 - 空 腸 吻 合 部 ドレーンより 空 腸 内 にバルーンカテーテルを 挿<br />

入 し, 手 前 側 を 造 影 して 主 膵 管 を 描 出 した. 次 に 造 影 された 主 膵 管 を<br />

CTガイド 下 に 左 側 腹 部 背 側 より 穿 刺 し, 主 膵 管 から 膿 瘍 部 を 経 由 し<br />

て 空 腸 内 にガイドワイヤーを 留 置 した.さらに 腹 壁 直 下 の 空 腸 を 右 肋<br />

弓 下 より 穿 刺 し, 主 膵 管 からのガイドワイヤーを 体 外 へ 誘 導 して 経 皮<br />

経 腸 的 に 主 膵 管 内 にカテーテルを 留 置 し 得 た.その 後 膵 液 瘻 は 著 明 に<br />

改 善 し, 術 後 78 日 目 にドレーン 抜 去 が 可 能 となった. 術 後 9 年 7ヶ 月 の<br />

現 在 まで 胆 膵 系 の 合 併 症 を 認 めず. 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 膵 液 瘻 は 時<br />

に 難 治 性 となり, 胆 汁 を 含 む 消 化 液 により 活 性 化 された 膵 液 が 治 癒 を<br />

妨 げる 大 きな 原 因 と 考 えられる.そのため, 膵 液 を 外 瘻 化 させること<br />

が 重 要 であり, 膵 腸 吻 合 部 ドレーン 瘻 孔 を 利 用 できない 場 合 には 膵 管<br />

穿 刺 ドレナージも 考 慮 すべき 方 法 である.<br />

-356-


P24-7 幽 門 輪 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 器 械 吻 合 による 消 化 管 再<br />

建 の 検 討<br />

産 業 医 科 大 学 医 学 部 第 一 外 科<br />

○… 矢 吹 慶 , 皆 川 紀 剛 , 田 嶋 健 秀 , 秋 山 泰 樹 , 厚 井 志 郎 ,<br />

山 内 潤 身 , 荒 瀬 光 一 , 田 村 利 尚 , 井 上 譲 , 金 光 秀 一 ,<br />

鳥 越 貴 行 , 柴 尾 和 徳 , 日 暮 愛 一 郎 , 山 口 幸 二<br />

【はじめに】 近 年 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 においては 自 動 吻 合 器 、 自 動 縫<br />

合 器 の 使 用 が 認 可 されている。 今 回 我 々は 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 術 (PD,SSPPDは 除 く)の 消 化 管 再 建 において 器 械 吻 合 を 導 入 したた<br />

め、 従 来 の 手 縫 い 吻 合 との 比 較 を 含 めた 成 績 について 報 告 する。【 対<br />

象 と 方 法 】 対 象 は2009 年 1 月 から2011 年 10 月 までに 当 科 で 施 行 した 幽<br />

門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 30 例 のうち、 手 縫 い 吻 合 群 (A 群 )は19 例 、<br />

器 械 吻 合 群 (B 群 )は11 例 であった。 再 建 方 式 は 全 例 Child 変 法 で、A 群<br />

では 結 腸 前 で 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 を 施 行 し、 空 腸 空 腸 吻 合 も 全 例 施 行 し<br />

た。B 群 では 結 腸 前 で 自 動 吻 合 器 を 用 いて 残 胃 空 腸 吻 合 を、 自 動 縫 合<br />

器 を 用 いて 空 腸 空 腸 吻 合 を 施 行 した。 両 群 において、 再 建 から 手 術 終<br />

了 までの 時 間 、 出 血 量 、 胃 管 抜 去 時 期 、 食 事 開 始 時 期 、 早 期 胃 内 容 排<br />

泄 遅 延 、 術 後 合 併 症 について 検 討 した。【 結 果 】A 群 B 群 で 年 齢 、 性 別 、<br />

糖 尿 病 の 有 無 、 術 前 血 清 アルブミン 値 を 比 較 したところ、 術 前 血 清 ア<br />

ルブミン 値 はA 群 3.74±0.44、B 群 4.07±0.36と 有 意 差 を 認 めた(p=0.04)<br />

が、それ 以 外 では 患 者 背 景 には 有 意 差 を 認 めなかった。 再 建 開 始 から<br />

手 術 終 了 までの 時 間 はA 群 219.7±50 分 、B 群 188.5±33.0 分 であった<br />

(p=0.05)。 出 血 量 はA 群 647.1±482.1g、B 群 441.8±236.3g(p=0.13)、<br />

胃 管 抜 去 時 期 はA 群 … 術 後 1.3±0.58 日 目 、B 群 … 術 後 1.18±0.60 日 目<br />

(P=0.56)で 共 に 有 意 差 は 認 めなかった。 食 事 開 始 時 期 はA 群 … 術 後 17.7<br />

±11.2 日 目 、B 群 … 術 後 11.1±3.45 日 目 とB 群 で 有 意 に 短 かった(p=0.025)。<br />

胃 内 容 排 泄 遅 延 はA 群 3 例 、B 群 1 例 で 有 意 差 を 認 めなかった(P=0.97)。<br />

術 後 合 併 症 は、A 群 は13 例 ( 膵 液 瘻 6 例 、 腹 腔 内 膿 瘍 6 例 、 出 血 1 例 )、B<br />

群 は3 例 ( 膵 液 瘻 2 例 、 腹 腔 内 膿 瘍 1 例 )であった。【 結 語 】 幽 門 輪 温 存 術<br />

後 の 消 化 管 再 建 においては、 器 械 吻 合 は 手 縫 い 吻 合 よりも 手 術 時 間 が<br />

短 く、 食 事 再 開 時 期 も 早 く、 今 後 も 推 奨 される 術 式 の1つであると 考<br />

えられた。<br />

P24-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 , 輸 入 脚 の 悪 性 狭 窄 に 対 し 金 属 ス<br />

テント 留 置 を 行 った1 例<br />

坂 出 市 立 病 院 外 科<br />

○… 近 藤 昭 宏 , 岡 田 節 雄<br />

大 腸 癌 などによる 消 化 管 悪 性 狭 窄 に 対 して 金 属 ステントの 有 用 性 が<br />

報 告 されているが, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 などの 比 較 的 複 雑 な 再 建 腸<br />

管 の 悪 性 狭 窄 における 金 属 ステントの 使 用 経 験 については 報 告 が 少 な<br />

い. 今 回 われわれは 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 、 輸 入 脚 の 悪 性 狭 窄 に 対 し<br />

金 属 ステント 留 置 を 行 った1 例 を 経 験 したので 報 告 する. 症 例 は64<br />

歳 の 女 性 で2010 年 の7 月 中 旬 に 膵 頭 部 癌 のため 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 ( 再 建 術 式 はPD-IIA 型 )が 施 行 された. 進 行 度 はT4,N2,M0で<br />

StageIVbであった. 補 助 化 学 療 法 として 塩 酸 ゲムシタビンが 投 与 さ<br />

れていた.2011 年 1 月 中 旬 に 嘔 吐 , 腹 痛 , 黄 疸 を 認 め 緊 急 入 院 となった.<br />

入 院 後 の 精 査 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 , 輸 入 脚 の 悪 性 狭 窄 による 閉 塞<br />

性 黄 疸 が 疑 われた. 減 黄 目 的 に 第 20 病 日 にPTCDを 施 行 した. 第 30 病<br />

日 目 に 内 視 鏡 下 に 狭 窄 部 が 再 建 腸 管 の 輸 入 脚 である 確 認 と 狭 窄 の 程 度 ,<br />

距 離 を 評 価 した.それに 基 づき 第 44 病 日 にDouble…balloon…endoscope<br />

(DBE)を 狭 窄 部 直 前 まで 挿 入 し, 狭 窄 部 にガイドワイヤーを 先 行 さ<br />

せnoncoveredの 十 二 指 腸 ステント(22mm×60mm)を 留 置 した. 後 日 ,<br />

PTCDのクランプテストで 黄 疸 の 再 燃 がないことを 確 認 後 PTCDを 抜<br />

去 し 第 76 病 日 に 退 院 となった. 退 院 後 は 黄 疸 もなく 外 来 通 院 で 化 学 療<br />

法 を 継 続 することが 可 能 であった.その 後 ,8 月 末 に 膵 頭 部 癌 の 再 発<br />

により 癌 死 した. 本 症 例 ではDBEを 用 いて 輸 入 脚 の 狭 窄 部 位 に 金<br />

属 ステントを 留 置 することで 症 状 が 著 明 に 改 善 し, 患 者 のQOL 向 上<br />

が 得 られ,さらに 化 学 療 法 の 継 続 が 可 能 となった. 比 較 的 複 雑 な 術 後<br />

再 建 腸 管 の 悪 性 狭 窄 においてもDBEを 用 いて 安 全 に 金 属 ステントが<br />

留 置 でき, 症 状 緩 和 が 可 能 になるものと 考 えられた.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P25-1 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 胃 排 出 能 遅 延 に 関<br />

連 する 因 子 の 検 討<br />

宮 崎 大 学 腫 瘍 機 能 制 御 外 科<br />

○… 今 村 直 哉 , 千 々 岩 一 男 , 大 内 田 次 郎 , 矢 野 公 一 ,<br />

旭 吉 雅 秀 , 永 野 元 章 , 大 谷 和 広 , 藤 井 義 郎 , 甲 斐 真 弘 ,<br />

近 藤 千 博<br />

【 背 景 と 目 的 】 胃 排 出 能 遅 延 …(DGE)…は, 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 術 …(PPPD)… 後 に 発 生 する 合 併 症 の1つで,PPPD… 後 に10-40%の 頻<br />

度 で 認 められ, 患 者 の…QOL… の 低 下 や 入 院 期 間 の 長 期 化 を 招 く.<br />

PPPD… 後 の…DGE… 発 生 に 関 連 する 因 子 を 明 らかにするため 今 回 の 検 討<br />

を 行 った.【 対 象 】2005 年 から2010 年 まで 当 教 室 で 施 行 した 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 症 例 139 例 のうち, 胃 切 除 を 伴 う 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 など…<br />

PPPD… 以 外 の 術 式 を 行 った 症 例 や 脳 梗 塞 後 遺 症 などで…performance…<br />

status…が 不 良 の 症 例 を 除 外 した102 例 を 対 象 とした.【 方 法 】 十 二 指 腸<br />

は 幽 門 輪 より 通 常 4cmで 切 離 し, 右 胃 動 脈 は 根 部 で 結 紮 切 離 ,2 群 リ<br />

ンパ 節 郭 清 と 上 腸 間 膜 動 脈 周 囲 神 経 叢 右 半 周 郭 清 を 行 い, 再 建 は…<br />

Child… 変 法 で 行 った. 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 は 前 結 腸 経 路 か 胃 を 横 行 結 腸<br />

間 膜 左 側 から 直 線 的 に 配 置 した 垂 直 後 結 腸 経 路 のいずれかで 再 建 した.<br />

DGE…の 定 義 は…ISGPS…の 分 類 を 適 用 した.…DGE… 発 生 に 関 連 する 術 前 ・<br />

術 中 ・ 術 後 の 因 子 について 単 変 量 解 析 , 多 変 量 解 析 の 統 計 学 的 検 討 を<br />

行 った.【 結 果 】PPPD…102 例 の 年 齢 中 央 値 は70 歳 , 男 性 61 例 , 悪 性 疾<br />

患 86 例 であった. 全 合 併 症 の 発 生 率 は51%であった.ISGPS… の 定 義<br />

に 基 づく…DGE… 発 生 例 は18 例 …(17.6%)…で,Grade…A/B/C…はそれぞれ…<br />

10/1/7… 例 であった. 臨 床 的 に 問 題 になる…Grade…B・C…は8 例 …(7.8%)…<br />

に 認 められた.DGE… 症 例 では…DGE… のなかった 症 例 と 比 較 し, 有 意<br />

に 静 脈 栄 養 期 間 が 長 く…(13 日 vs.23 日 ,p


P25-3 周 術 期 および 遠 隔 期 成 績 から 見 た 膵 胃 吻 合 法 の 評 価<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 外 科 分 野 、 2 鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 、<br />

3<br />

鹿 児 島 大 学 フロンティアサイエンス 研 究 推 進 センター<br />

○… 新 地 洋 之 1<br />

, 高 尾 尊 身 3<br />

, 前 村 公 成 2<br />

, 又 木 雄 弘 2<br />

, 蔵 原 弘 2<br />

,<br />

桑 畑 太 作 2<br />

, 前 田 光 喜 2<br />

, 飯 野 聡 2<br />

, 迫 田 雅 彦 2<br />

, 上 野 真 一 2<br />

,<br />

2<br />

夏 越 祥 次<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD) 後 周 術 期 における 最 も 重 篤 な 合 併 症 は 膵 液 瘻<br />

であり, 遠 隔 期 における 重 要 な 合 併 症 は 膵 管 閉 塞 ・ 狭 窄 ,および 残 存<br />

膵 内 外 分 泌 機 能 障 害 である。 当 科 ではPD 後 の 膵 再 建 法 として, 胃 切<br />

開 をせずに 膵 管 と 胃 粘 膜 とを 吻 合 する 膵 胃 吻 合 法 を 基 本 再 建 法 として<br />

採 用 し, 現 在 までに326 例 に 行 ってきた。 今 までに 膵 液 瘻 低 減 を 目 指<br />

して 様 々な 工 夫 ・ 改 良 を 加 えた 結 果 ,ハーモニックによる 膵 切 離 , 膵<br />

貫 通 外 列 吻 合 法 , 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 , 内 瘻 ステントによる 膵 胃 吻 合 法 で<br />

良 好 な 成 績 を 得 ている。 今 回 , 膵 胃 吻 合 法 の 周 術 期 および 遠 隔 期 成 績<br />

について,1997 年 より2010 年 までの211 症 例 の 膵 胃 吻 合 症 例 を 解 析 した。<br />

【 成 績 】1) 正 常 膵 142 例 (67%), 硬 化 膵 69 例 (33%)に 対 して 本 法 が 施<br />

行 された。2) 周 術 期 成 績 : 合 併 症 発 症 率 は18%であった。 膵 液 瘻 発 生<br />

率 は,ISGPF…grade…A:26.0%,grade…B:2.0%,grade…C:0%, 胃<br />

排 出 遅 延 (DGE)はISGPS…grade…B&C…7%であった。3) 遠 隔 期 成 績 :<br />

術 後 3 年 以 上 の 長 期 観 察 例 80 例 を 対 象 とした。 遠 隔 期 合 併 症 発 症 率 は<br />

11%であった。とくに 重 篤 な 合 併 症 は 認 めなかった。 残 存 膵 外 分 泌 機<br />

能 評 価 法 として,MRCPにより 術 後 膵 管 径 の 推 移 を 検 討 した 結 果 , 膵<br />

胃 吻 合 部 の 開 存 率 は91%であった。また, 新 たな 糖 尿 病 発 症 率 は5%(4<br />

例 )であった。【 考 察 】 我 々の 行 ってきた 膵 胃 吻 合 では, 周 術 期 の 合 併<br />

症 発 症 は 低 率 で,とくに 重 篤 な 膵 液 瘻 grade…Bがわずか2%と 良 好 な 成<br />

績 であった。 本 法 は, 簡 便 で,とくに 膵 液 瘻 を 起 こしやすい 薄 く 脆 弱<br />

な 正 常 膵 に 対 して, 安 全 確 実 な 膵 再 建 法 である。 一 方 , 遠 隔 期 合 併 症<br />

として 懸 念 が 指 摘 されている 膵 管 狭 窄 に 関 して, 今 回 の 検 討 からは 長<br />

期 にわたり 良 好 な 膵 管 開 存 および 残 膵 機 能 を 維 持 しており, 遠 隔 期 に<br />

おいても 生 理 機 能 上 問 題 のない 優 れた 吻 合 法 であることが 示 唆 された。<br />

P25-4 膵 胃 吻 合 における 吻 合 部 潰 瘍 の 検 討<br />

社 会 保 険 横 浜 中 央 病 院 外 科<br />

○… 吹 野 信 忠 , 大 井 田 尚 継 , 加 納 久 雄 , 三 松 謙 司<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 (PD) 術 後 の 吻 合 部 潰 瘍 は6~25%に 生 じる 合 併<br />

症 の1つである。 当 院 ではPD 施 行 後 の 再 建 方 法 として 膵 胃 吻 合 を 施 行<br />

しており、 術 後 の 吻 合 部 潰 瘍 の 発 生 について 当 院 の 症 例 にて 検 討 を<br />

行 った。【 方 法 】1999 年 12 月 ~2010 年 4 月 までに 当 院 にてPDを 施 行 し<br />

た58 症 例 について 後 ろ 向 き 研 究 を 行 った。 術 後 、 上 部 消 化 管 内 視 鏡 に<br />

て 膵 胃 吻 合 部 の 観 察 を 行 い、 開 口 している 群 (A 群 )としていない 群 (B<br />

群 )の2 群 に 分 け 比 較 検 討 した。【 成 績 】 患 者 背 景 において2 群 間 に 差 を<br />

認 めなかった。 術 後 、H.pylori 感 染 していたのはA 群 では3 例 (10.3%)、<br />

B 群 では4 例 (13.8%)であった。 吻 合 部 潰 瘍 が 発 症 したのはB 群 の1 例<br />

(1.7%)のみであったが、H.pylori 感 染 はなかった。 術 後 吻 合 部 潰 瘍 に<br />

おいて2 群 間 に 有 意 な 差 は 認 められなかった。【 結 論 】 膵 胃 吻 合 による<br />

膵 液 の 胃 内 への 分 泌 は、 術 後 吻 合 部 潰 瘍 を 予 防 する 重 要 な 因 子 の1つ<br />

であると 考 えられた。 術 後 吻 合 部 潰 瘍 の 発 生 を 抑 制 する 目 的 のため、<br />

膵 胃 吻 合 部 の 狭 窄 を 防 止 する 重 要 性 が 示 唆 された。<br />

P25-5 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 , 慢 性 期 における 十 二 指<br />

腸 空 腸 吻 合 部 潰 瘍 の 検 討<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 仲 野 哲 矢 , 黒 崎 功 , 皆 川 昌 広 , 高 野 可 赴 , 渡 辺 隆 興<br />

はじめに: 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PPPD)は 体 重 減 少 , 胃 切 除<br />

後 小 胃 症 状 などを 改 善 し, 手 術 侵 襲 を 軽 減 するとして 急 速 に 普 及 し<br />

た.しかし 胃 を 全 温 存 するため 胃 酸 過 多 による 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 部 潰<br />

瘍 (SU)が 問 題 となり, 時 に 重 症 な 合 併 症 を 励 起 することがある. 今<br />

回 我 々は, 退 院 後 に 発 生 し 輸 血 以 上 の 治 療 を 要 したPPPD 後 SUの4 例 を<br />

提 示 し, 背 景 因 子 について 検 討 を 加 えた. 手 術 術 式 では 全 例 Traverso<br />

変 法 (PPPD-II-A1)で 再 建 した. 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 (DJ)は 端 側 で 吸 収<br />

糸 による 連 続 縫 合 を 行 っている. 胃 は 左 側 腹 部 結 腸 前 に 配 置 , 膵 癌 で<br />

は 神 経 叢 郭 清 を 行 った. 症 例 1-3はH2-blockerを 術 後 継 続 して 服 用 し<br />

ていた. 症 例 1: 早 期 の 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 し 腹 腔 鏡 補 助 下 のPPPD<br />

を 施 行 した. 元 来 リウマチ(RA)のためNSAID,steroidを 服 用 していた<br />

が, 術 後 経 過 良 好 であった.しかし 病 理 で 複 数 個 のリンパ 節 転 移 を 指<br />

摘 されgemcitabine+TS1(GS) 投 与 を 開 始 したところ 貧 血 が 進 行 し,<br />

上 部 消 化 管 内 視 鏡 にて 深 い 吻 合 部 潰 瘍 が 認 められた.SUは 保 存 的 治 療<br />

で 改 善 したが, 吻 合 部 に 高 度 狭 窄 をきたし 再 手 術 を 施 行 した. 症 例 2:<br />

膵 頭 部 癌 切 除 の1 年 半 後 に 肝 転 移 を 認 め 化 学 療 法 (GS)を 施 行 するも,<br />

complianceが 悪 く 本 人 の 希 望 あり 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した.しかし 数<br />

病 日 目 に 腹 膜 炎 を 呈 し, 緊 急 開 腹 にてDJ 部 の 穿 孔 が 確 認 された. 慢<br />

性 化 した 吻 合 部 潰 瘍 の 穿 孔 と 考 えられた. 症 例 3: 膵 頭 部 癌 で 肝 潅 流<br />

化 学 療 法 (5FU) 後 に 外 来 でgemcitabine 投 与 が 行 われていたが, 退 院<br />

後 8ヶ 月 後 に 血 性 吐 物 , 下 血 にてSUが 診 断 された. 以 前 にも 内 視 鏡 検<br />

査 が 行 われており, 観 察 しにくい 位 置 のSUの 存 在 が 考 えられた. 症<br />

例 4:Alcohol 性 慢 性 膵 炎 に 対 してPPPDを 行 ったが, 約 1 年 後 にDJよ<br />

りやや 肛 門 側 の 穿 孔 にて 腹 膜 炎 となり, 緊 急 手 術 が 施 行 された.<br />

Alcohol 多 飲 とそれによる 栄 養 障 害 が 背 景 因 子 と 考 えられた. 考 察 :<br />

SUの 成 因 として 空 腸 のBrunner 腺 欠 落 によるpH 調 節 機 能 の 低 下 など<br />

が 推 定 され, 術 後 の 胃 酸 管 理 の 重 要 性 が 指 摘 されている.しかし 抗 潰<br />

瘍 剤 の 投 与 のみで 完 全 に 予 防 することは 困 難 であり, 患 者 個 々の 病 態<br />

を 把 握 し 注 意 深 い 観 察 が 必 要 である. 特 に 抗 癌 剤 使 用 の 有 無 や 栄 養 状<br />

態 などに 注 意 する 必 要 があると 思 われた.<br />

P25-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 晩 期 合 併 症 に 対 する 外 科 的 治 療<br />

京 都 桂 病 院 外 科<br />

○… 坂 元 克 考 , 間 中 大 , 西 躰 隆 太 , 横 山 大 受 , 神 頭 聡 ,<br />

吉 野 健 史 , 小 西 小 百 合 , 濱 洲 晋 哉<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 晩 期 合 併 症 として 糖 尿 病 、 栄 養 障 害 などがあ<br />

げられ、 頻 度 は 少 ないものの 慢 性 膵 炎 や 胆 管 炎 などを 繰 り 返 すことに<br />

しばしば 認 められる。 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 や 良 性 腫 瘍 などの 予 後 良 好 な<br />

疾 患 に 加 え、 手 術 治 療 / 周 術 期 管 理 成 績 の 向 上 によって 長 期 生 存 の 得<br />

られる 症 例 は 今 後 増 加 すると 思 われる。 今 回 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 長<br />

期 間 経 過 している 症 例 で 繰 り 返 す 膵 炎 発 作 と 胆 管 炎 に 対 し、 外 科 的 治<br />

療 を 行 い 良 好 な 結 果 を 得 たため、 報 告 する。 症 例 1:60 代 、 男 性 。<br />

十 二 指 腸 癌 に 対 し、 今 永 法 再 建 による 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 5 年 。 最<br />

近 2 年 で8 回 の 膵 炎 発 作 による 腹 痛 、 発 熱 で 入 院 を 認 めた。 膵 空 腸 吻 合<br />

部 より 尾 側 の 主 膵 管 に 原 因 不 明 の 狭 窄 を 認 め、 膵 管 空 腸 側 側 吻 合 術 を<br />

施 行 。 術 後 経 過 良 好 で 再 発 は 一 度 も 認 めていない。 症 例 2:80 代 、 女 性 。<br />

十 二 指 腸 癌 に 対 し、 今 永 法 再 建 ( 胃 膵 吻 合 )による 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 後 7 年 。 最 近 3か 月 で 食 事 摂 取 によってすぐに 再 発 する 胆 管<br />

炎 を 繰 り 返 した。 精 査 にて 胆 管 空 腸 吻 合 部 より 肛 門 側 での 食 物 の 停 滞<br />

と 経 口 造 影 剤 の 胆 管 への 逆 流 を 認 め、 逆 行 性 胆 管 炎 を 繰 り 返 す 状 態 と<br />

考 え、 消 化 管 経 路 再 建 術 として 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 部 より 肛 門 側 を 離 断<br />

し、II 型 再 建 へ 変 更 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 胆 管 炎 の 再 燃 は 認 めてい<br />

ない。 悪 性 疾 患 の 存 在 、 再 発 を 否 定 したうえで、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

後 晩 期 合 併 症 に 対 して 外 科 的 治 療 が 有 用 となる 可 能 性 を 考 慮 する 必 要<br />

がある。<br />

-358-


P25-7 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ・Child 変 法 再 建 後 の 挙<br />

上 空 腸 に 潰 瘍 形 成 を 来 した2 例<br />

一 宮 市 立 市 民 病 院 外 科<br />

○… 阪 井 満 , 橋 本 昌 司<br />

症 例 1:57 歳 、 女 性 。 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 して 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 (SSPPD)・Child 変 法 再 建 を 施 行 した。 術 後 、grade…Aの 膵<br />

液 瘻 を 発 症 したが、ドレナージにて 速 やかに 改 善 した。 膵 液 瘻 軽 快 後<br />

の 第 20… 病 日 に 食 事 を 開 始 したところ、 急 激 な 腹 痛 と 嘔 吐 を 来 した。<br />

上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 施 行 したところ、 挙 上 空 腸 に 多 発 潰 瘍 を 認 め<br />

た。 潰 瘍 は、 胃 空 腸 吻 合 部 の 空 腸 側 からBraun 吻 合 までの 範 囲 に 多 発 し、<br />

広 範 な 粘 膜 の 脱 落 が 認 められたが、その 範 囲 は 胃 空 腸 吻 合 部 から<br />

Braun 吻 合 までの 間 に 限 局 していた。PPI 経 静 脈 投 与 と1 週 間 の 絶 食 に<br />

て 治 療 したところ、 速 やかに 軽 快 した。 現 在 、 術 後 10ヶ 月 経 過 。PPI<br />

内 服 を 継 続 しつつ 外 来 通 院 中 である。 症 例 2:61 歳 、 男 性 。 他 院 にて、<br />

膵 頭 部 癌 に 対 して 門 脈 合 併 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ・Child 変<br />

法 再 建 ・ 術 中 照 射 施 行 。その 後 、 転 院 となり 当 科 にて 術 後 補 助 化 学 療<br />

法 を 施 行 していたが、 術 後 5ヶ 月 目 に 突 然 の 腹 痛 にて 救 急 搬 送 された。<br />

消 化 管 穿 孔 の 診 断 のもと、 緊 急 手 術 を 施 行 したところ、 胃 空 腸 吻 合 部<br />

のやや 空 腸 側 に4.5cmにわたる 潰 瘍 穿 孔 を 認 めた。 潰 瘍 を 含 めた 挙 上<br />

空 腸 を 切 除 し、Roux…Y 法 にて 再 建 した。 術 後 は 良 好 に 経 過 したが、<br />

初 回 手 術 より13ヶ 月 後 に 癌 死 した。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 空 腸<br />

潰 瘍 の 頻 度 は 多 くないが、 出 血 や 穿 孔 を 来 す 報 告 もあり、 注 意 が 必 要<br />

である。 当 科 における2 症 例 では、いずれも 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 ・Child 法 再 建 にBraun 吻 合 を 併 施 したことで、 膵 液 や 胆 汁 に<br />

よって 中 和 されない 胃 液 が 挙 上 空 腸 に 流 入 したことが、 潰 瘍 形 成 の 成<br />

因 と 考 えられた。 空 腸 潰 瘍 の 発 生 を 予 防 するためには、 再 建 術 式 の 選<br />

択 や 術 後 の 胃 酸 調 整 に 配 慮 する 必 要 があると 考 えられた。<br />

P26-1 尾 側 膵 切 除 における 膵 断 端 処 理 の 工 夫 と 膵 液 瘻 低 減 に<br />

関 する 検 討<br />

徳 島 大 学 外 科<br />

○… 池 本 哲 也 , 島 田 光 生 , 宇 都 宮 徹 , 居 村 暁 , 森 根 裕 二 ,<br />

森 大 樹 , 花 岡 潤 , 金 本 真 美 , 杉 本 光 司 , 斎 藤 裕 ,<br />

山 田 眞 一 郎 , 浅 野 間 理 仁 , 三 宅 秀 則<br />

【はじめに】 膵 液 瘻 は 未 だ 致 死 的 な 経 過 をたどることのある 重 大 な 合<br />

併 症 であり、 難 治 化 すると 術 後 在 院 日 数 を 延 長 し、 絶 食 、IVH 管 理 を<br />

要 するなど、 術 後 の 患 者 のQoLを 著 しく 低 下 させる。そこで、 膵 液 瘻<br />

の 防 止 を 目 指 した 当 科 における 尾 側 膵 切 除 の 工 夫 を 手 術 成 績 と 共 に 比<br />

較 検 討 し た。【 対 象 ・ 方 法 】2009 年 ~2011 年 の 当 科 に お け るdistal…<br />

pancreatectomy 施 行 症 例 (n=18)。 膵 断 端 の 処 理 方 法 により、 膵 実 質<br />

をメスで 鋭 的 に 切 離 し 主 膵 管 を 刺 通 結 紮 した 群 ( 結 紮 群 :n=5)、メス<br />

で 鋭 的 に 切 離 し 主 膵 管 を5-0PDSで 連 続 縫 合 閉 鎖 したのち 断 端 に<br />

omentum…patchを 行 った 群 (omentum…patch 群 :n=7)、 自 動 縫 合 器 に<br />

て5 分 以 上 かけて 切 離 した 群 ( 器 械 群 :n=6)の3 群 に 分 け、 手 術 成 績 、<br />

合 併 症 、 膵 液 瘻 の 程 度 ・ 頻 度 、 術 後 在 院 日 数 等 をretrospectiveに 比 較<br />

検 討 した。【 結 果 】 全 例 において 再 開 腹 例 、 周 術 期 死 亡 は 認 めなかった。<br />

器 械 群 では 他 群 に 比 し 年 齢 が 有 意 に 若 く( 器 械 群 :omentum…patch 群 :<br />

結 紮 群 =52.3 歳 :…63.4 歳 :68.4 歳 )、 全 例 でsoft…pancreasかつ 良 性 腫 瘍<br />

であったが、 手 術 時 間 、 出 血 量 に3 群 間 で 有 意 差 はなかった。Grade…2<br />

以 上 の 膵 液 瘻 発 症 率 はomentum…patch 群 で 有 意 に 低 く(14.3%、p


P26-4 尾 側 膵 切 除 後 膵 瘻 に 対 する 治 療 の 工 夫 ~ドレーン 留 置<br />

固 定 と 内 視 鏡 的 膵 管 ステントの 有 効 性 ~<br />

杏 林 大 学 外 科 ( 消 化 器 ・ 一 般 )<br />

○… 中 里 徹 矢 , 鈴 木 裕 , 横 山 政 明 , 阿 部 展 次 , 柳 田 修 ,<br />

正 木 忠 彦 , 森 俊 幸 , 杉 山 政 則<br />

【 背 景 】 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 瘻 は 完 全 に 防 止 できない. 我 々は 膵 瘻 に 対<br />

する 工 夫 として、 適 切 な 腹 腔 内 ドレナージのため 縫 合 糸 によりドレー<br />

ン 先 端 を 固 定 しドレーン 逸 脱 を 防 止 し、また、 膵 瘻 発 生 後 の 治 療 とし<br />

て 内 視 鏡 的 膵 管 ステント 留 置 を 行 っている.それぞれの 有 用 性 につい<br />

て 検 討 した.【 対 象 と 方 法 】ドレーン 固 定 の 検 討 は、 尾 側 膵 切 除 術 施<br />

行 84 例 . 膵 断 端 近 傍 ドレーン 固 定 群 (31 例 )と 非 固 定 群 (53 例 )に 分 け 術<br />

後 合 併 症 を 比 較 した. 膵 管 ステント 留 置 の 検 討 は、 尾 側 膵 切 除 後 の 膵<br />

瘻 発 生 例 のうち 内 視 鏡 的 膵 管 ステントを 留 置 した9 例 .ステントは 内<br />

視 鏡 的 経 鼻 膵 管 ドレナージ(ENPD,5Fr)もしくは 膵 管 ステント<br />

(EPD,7Fr)とした. 術 後 ステント 留 置 までの 期 間 、ステント 留 置 期 間 、<br />

治 癒 までの 期 間 、 治 療 効 果 などについてretrospectiveに 検 討 した.【 結<br />

果 】ドレーン 先 端 を 固 定 すると 術 後 の 逸 脱 はなく、 抜 去 時 も 支 障 はな<br />

かった. 術 後 合 併 症 、 膵 瘻 (ISGPF,gradeB/C)は 固 定 群 (7 例 /4 例 )と<br />

非 固 定 群 (16 例 /11 例 )の 間 で 有 意 差 はなかった. 膵 瘻 のため 追 加 ドレ<br />

ナージを 行 った 症 例 は 固 定 群 (0 例 )で 非 固 定 群 (7 例 ; 経 皮 的 5 例 、 手 術<br />

2 例 ;いずれもドレーン 逸 脱 )より 有 意 に 少 なかった. 膵 瘻 治 癒 までの<br />

期 間 は 固 定 群 (20±8 日 )では 非 固 定 群 (31 日 ±22 日 )より 短 い 傾 向 がみ<br />

られた. 留 置 した 膵 管 ステントはENBD4 例 、EPD5 例 . 術 後 からステ<br />

ント 留 置 までの 期 間 は2-57 日 ( 平 均 20 日 ).ステント 留 置 期 間 は7-27 日<br />

( 平 均 15 日 ). 複 数 回 のステント 留 置 が 必 要 であったものは4 例 あった.<br />

腹 腔 ドレーン 抜 去 までの 期 間 は13-128 日 ( 平 均 62 日 )、 術 後 入 院 期 間 は<br />

28-177 日 ( 平 均 72 日 )であった. 膵 管 ステンティングが 有 効 と 考 えられ<br />

た 症 例 は5 例 であった. 無 効 であった4 例 はステント 挿 入 後 も 長 期 にわ<br />

たり 腹 腔 ドレーンが 必 要 であった.【 結 論 】 膵 断 端 近 傍 ドレーンの 先<br />

端 固 定 は 尾 側 膵 切 除 後 のドレナージ 法 として 単 純 であるが 有 用 な 方 法<br />

である. 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 瘻 に 対 する 内 視 鏡 的 ステンティングは 治 療<br />

選 択 肢 の 一 つとして 有 効 である 可 能 性 があると 考 えられた.<br />

P26-5 膵 体 尾 部 切 除 後 膵 液 漏 の 防 止 の 工 夫 ~ネオベール 被 覆<br />

とFibrin-glue 塗 布 の 有 用 性<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 伴 大 輔 , 藍 原 有 弘 , 落 合 高 徳 , 入 江 工 , 工 藤 篤 ,<br />

中 村 典 明 , 田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 目 的 】 膵 体 尾 部 切 除 後 の 膵 液 瘻 は 未 だに 解 決 できない 問 題 である。<br />

膵 断 端 の 閉 鎖 方 法 に 関 してこれまで 様 々な 手 術 手 技 的 工 夫 が 報 告 され<br />

てきたが、 我 々は 膵 液 漏 を 減 らすための 工 夫 として 膵 断 端 にネオベー<br />

ルとFibrin-glueを 塗 布 して 膵 断 端 の 被 覆 を 行 ってきた。その 成 績 と 膵<br />

液 漏 のリスク 因 子 を 検 討 する。<br />

【 方 法 】2006 年 1 月 ~2011 年 10 月 に 行 われた 開 腹 膵 体 尾 部 切 除 55 症 例<br />

( 男 / 女 =28/27、 原 疾 患 : 膵 管 癌 28 例 /IPMN9 例 / 内 分 泌 腫 瘍 8 例<br />

/その 他 10 例 、 術 式 :DP/SPDP/Appleby=37/6/1)を 検 討 した。<br />

全 例 、 膵 離 断 はメスで 鋭 的 に 切 離 し、 主 膵 管 を 閉 鎖 、 膵 断 端 をFishmouse<br />

様 に 手 縫 いで 縫 合 閉 鎖 するという 古 典 的 な 方 法 で 行 った。 上 記<br />

膵 断 端 の 処 理 を 行 った 後 に 断 端 にFibrin-glueを 塗 布 してネオベールを<br />

貼 付 した(Neo 群 ,…n=17) 症 例 と、 特 に 処 置 を 行 わなかった 症 例 ( 非 Neo<br />

群 ,…n=38)を 比 較 検 討 した。 膵 液 漏 はISGPF 分 類 に 従 って 評 価 した。<br />

【 結 果 】 非 Neo 群 の 膵 液 漏 はGrade…A…/…B…/…C…が5/…14…/…1 例 、Neo 群<br />

は5…/…2…/…0 例 であった。Grade…BCを 臨 床 的 膵 液 漏 とすると 非 Neo 群 の<br />

膵 液 漏 率 は39.5%、Neo 群 は11.8%であり(p=0.04)、 術 後 在 院 日 数 の 中<br />

央 値 は 非 Neo 群 18.5 日 、Neo 群 は14.0 日 (p=0.024)でNeo 群 は 有 意 に 良<br />

好 な 成 績 を 示 した。 全 症 例 で 年 齢 、 性 別 、 原 疾 患 、BMI(≧22)、 術 式 、<br />

手 術 時 間 (≧5 時 間 )、 出 血 量 (≧1000ml)、 輸 血 、 主 膵 管 閉 鎖 方 法 ( 縫<br />

合 / 結 紮 )、 断 端 ネオベール 処 置 の 項 目 で 臨 床 的 膵 液 瘻 に 対 するリスク<br />

因 子 解 析 を 行 うと、 断 端 ネオベール 処 置 (OR…0.204,…95%C.I.…0.041~<br />

1.026)が 有 意 であった。<br />

【 結 論 】 膵 体 尾 部 切 除 後 の 断 端 閉 鎖 にネオベール 貼 付 とFibrin-glueを<br />

塗 布 することは 膵 液 漏 の 防 止 に 有 用 であると 思 われる。<br />

P26-6 膵 断 端 非 閉 鎖 法 とネオベールとボルヒールによる 断 端<br />

被 覆 法 を 併 用 した 尾 側 膵 切 除 症 例 の 検 討<br />

岐 阜 市 民 病 院 外 科<br />

○… 松 井 聡 , 足 立 尊 仁 , 田 島 ジェシー 雄<br />

【 目 的 】 当 院 では2007 年 以 降 、 尾 側 膵 切 除 の 際 の 膵 液 漏 発 生 率 の 低 下<br />

を 目 指 し、その 確 実 性 と 簡 便 さから、 膵 切 離 はメスで 鋭 的 に 行 い、 主<br />

膵 管 を 結 紮 後 、 断 端 は 非 閉 鎖 とし( 膵 断 端 非 閉 鎖 法 )、ネオベール(ポ<br />

リグリコール 酸 フェルト)とボルヒール(フィブリン 糊 )で 被 覆 する 方<br />

法 を 試 みている。 今 回 その 成 績 について 検 討 した。【 方 法 】 対 象 は<br />

2007 年 から2011 年 に、 膵 断 端 非 閉 鎖 にてネオベールとボルヒールによ<br />

る 残 膵 断 端 被 覆 を 施 行 されている 尾 側 膵 切 除 症 例 21 例 で、 全 例 ブレイ<br />

クタイプのドレーンを 膵 断 端 と 左 横 隔 膜 下 に 留 置 して 低 圧 持 続 吸 引<br />

バックに 接 続 している。これらの 術 前 診 断 、 術 式 、 手 術 成 績 、 膵 液 漏<br />

の 有 無 について 検 討 した。【 結 果 】 尾 側 膵 切 除 を 行 われた21 症 例 の 年<br />

齢 は 中 央 値 70 歳 (28-81 歳 )、 男 女 比 は 男 性 9 例 、 女 性 12 例 で、 膵 体 部 病<br />

変 が15 例 、 膵 尾 部 病 変 が14 例 ( 重 腹 あり)で、 病 変 は1-2 個 、 大 きさは<br />

中 央 値 2.9cm(1.0-11.7cm)、 術 前 診 断 は 原 発 性 膵 癌 が13 例 、IPMN…3 例 、<br />

MCN…2 例 、 内 分 泌 腫 瘍 …2 例 、 脾 臓 動 脈 瘤 1 例 であった。 術 式 は 膵 体 尾 部 ・<br />

脾 切 除 が19 例 、 脾 温 存 の 膵 体 尾 部 切 除 が2 例 、DP-CARが1 例 で、 他 臓<br />

器 合 併 切 除 を6 例 に 施 行 した。 手 術 時 間 中 央 値 299 分 (105-754 分 )、 出<br />

血 量 は 中 央 値 405ml(143-6158ml)であった。 術 後 のドレーンアミラー<br />

ゼ 最 高 値 は 中 央 値 4364IU/l…(217-159111…IU/l)で 最 高 値 計 測 時 点 が<br />

術 後 2 日 目 以 内 が19 例 で、3 日 目 以 降 の 症 例 は2 例 であった。ISGPF 基<br />

準 で 膵 液 漏 なしに 該 当 する 症 例 は8 例 (38.1%)、Grade…A 症 例 は6 例<br />

(28.6%)は、Grade…B 症 例 が7 例 (33.3%)で、Grade…Cは 認 めなかった<br />

(0%)。 術 後 在 院 日 数 は 中 央 値 19 日 (11-146 日 )で 術 死 ・ 在 院 死 は 認 め<br />

なかった。【 結 語 】21 例 中 14 例 (66.6%)は、ISGPF 基 準 で 膵 液 漏 なし、<br />

あるいはGrade…Aに 該 当 し、 膵 液 漏 に 伴 う 有 害 事 象 を 認 めなかった。<br />

鋭 的 な 膵 切 離 による 主 膵 管 の 確 実 な 同 定 と 結 紮 、 膵 断 端 非 閉 鎖 法 によ<br />

る 膵 断 端 の 血 流 障 害 の 回 避 、 非 閉 鎖 膵 断 端 に 対 するネオベールとボル<br />

ヒールによる 断 端 被 覆 が 尾 側 膵 切 除 の 膵 液 漏 予 防 に 有 効 である 可 能 性<br />

が 示 唆 された。<br />

P26-7 尾 側 膵 切 除 術 における 頭 側 膵 断 端 胃 密 着 縫 合<br />

明 和 病 院 外 科<br />

○… 生 田 真 一 , 相 原 司 , 飯 田 洋 也 , 吉 江 秀 範 , 岡 本 亮 ,<br />

別 府 直 仁 , 柳 秀 憲 , 山 中 若 樹<br />

【 目 的 】 一 般 に 尾 側 膵 切 除 は 膵 頭 切 除 に 比 し 膵 液 瘻 (PF)の 頻 度 が 高<br />

いが、 前 者 は 膵 消 化 管 吻 合 を 要 しない 点 で 後 者 と 異 なる。 今 回 、 尾 側<br />

膵 切 除 におけるPF 予 防 策 としての 頭 側 膵 断 端 胃 密 着 縫 合 の 手 技 と 成<br />

績 について 報 告 する。【 方 法 】 膵 は 原 則 メスにて 鋭 的 に 切 離 し、 極 力<br />

新 鮮 で 平 面 的 な 断 面 を 残 す。 節 付 き 膵 管 チューブを 膵 管 内 に 挿 入 固 定<br />

し、チューブ 対 側 を 胃 後 壁 より 貫 通 させたのち 膵 切 離 面 と 胃 後 壁 漿 膜<br />

筋 層 を4-0モノフィラメント 非 吸 収 糸 で2 層 ( 断 端 の 厚 さによっては1<br />

層 )に 結 節 縫 合 し 密 着 させる。 膵 管 チューブはLost…stentとする。【 成<br />

績 】2005 年 9 月 からの 尾 側 膵 切 除 32 例 中 8 例 ( 膵 癌 4 例 、 粘 液 性 腫 瘍 4 例 )<br />

に 本 法 を 行 った。PFはGrade…Bを1 例 (13%)に 認 めたのみであり、 本<br />

法 を 行 わなかった24 例 (Grade…B…8 例 ,…C…2 例 ;…42%)に 比 べ 低 率 であっ<br />

た。【 結 論 】 本 法 は 手 技 的 にも 簡 便 であり、 膵 管 ドレナージに 加 え 膵<br />

断 面 を 胃 後 壁 で 被 覆 し 死 腔 を 残 さず 密 着 させることでPF 発 生 率 を 低<br />

減 させる 可 能 性 がある。<br />

-360-


P26-8 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 断 端 空 腸 吻 合 術 の 経 験<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 岡 田 健 一 , 谷 眞 至 , 川 井 学 , 廣 野 誠 子 , 宮 澤 基 樹 ,<br />

清 水 敦 史 , 北 畑 裕 司 , 上 野 昌 樹 , 速 水 晋 也 , 重 河 嘉 靖 ,<br />

山 口 俊 介 , 山 上 裕 機<br />

【 背 景 】 我 々は 尾 側 膵 切 除 術 後 における3つの 膵 切 離 法 と 膵 液 瘻 発 生<br />

率 を 比 較 検 討 したが、 膵 液 瘻 を 減 少 させる 有 用 な 方 法 は 認 められな<br />

かった(Fish…mouth 法 44%、バイポーラシザーズ37.7%、 自 動 縫 合 器<br />

35.5%)。 腹 腔 動 脈 合 併 尾 側 膵 切 除 では 膵 液 瘻 から 腹 腔 内 出 血 が 発 生 す<br />

るとIVRによる 止 血 が 困 難 である。このため 尾 側 膵 切 除 における 膵 液<br />

瘻 を 減 少 させる 術 式 の 開 発 は 急 務 である。【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 後 の 膵<br />

断 端 空 腸 吻 合 ( 膵 管 粘 膜 空 腸 全 層 縫 合 )による 膵 液 瘻 発 生 率 の 減 少 。【 対<br />

象 ・ 方 法 】 対 象 は6 例 の 尾 側 膵 切 除 術 施 行 例 で、 通 常 型 膵 管 癌 4 例 、 膵<br />

腺 房 細 胞 癌 1 例 、IPMN1 例 であった。 術 式 は 全 例 に 頭 側 膵 空 腸 吻 合 ( 膵<br />

管 粘 膜 全 層 縫 合 、no…stent、 後 結 腸 経 路 Roux-Y 再 建 )を 併 施 した(Ann…<br />

Surg…2007,…J…Gastrointest…Surg…2007)。3 例 に 門 脈 合 併 切 除 を 施 行 し、<br />

4 例 は 腹 腔 動 脈 合 併 切 除 症 例 であった。 本 術 式 の 有 用 性 及 び 安 全 性 を<br />

検 討 した。【 結 果 】 本 術 式 を 施 行 した6 例 中 4 例 はsoft…pancreasで 平 均<br />

主 膵 臓 管 径 は2.1mmであった。 術 後 ドレーン 腹 水 平 均 アミラーゼ 値 は<br />

POD1:711.8(IU/L)POD3:200.5(IU/L)POD4:206.7(IU/L)であった。<br />

術 後 合 併 症 は 膵 液 瘻 0 例 (ISGPF 基 準 )、 胃 内 容 排 泄 遅 延 0 例 であった。<br />

消 化 管 操 作 に 伴 う 術 後 イレウスなどの 早 期 合 併 症 は 認 めなかった。 頭<br />

側 膵 空 腸 吻 合 とRoux-Y 再 建 、 腸 間 膜 閉 鎖 に 要 した 平 均 時 間 は62 分 で<br />

あった。 全 例 術 後 6カ 月 以 上 経 過 観 察 され、イレウスなどの 晩 期 合 併<br />

症 は 認 めていない。【 考 察 ・ 結 語 】 膵 管 空 腸 粘 膜 全 層 縫 合 による 頭 側<br />

膵 空 腸 吻 合 は 通 常 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 膵 空 腸 吻 合 のテクニックで 安<br />

全 に 施 行 でき、CT 上 も 膵 空 腸 吻 合 部 周 辺 にfluid…collectionをほとんど<br />

認 めず 膵 液 瘻 発 生 率 を 減 少 させる 可 能 性 がある。この 結 果 をうけて、<br />

「 膵 体 尾 部 切 除 術 後 膵 空 腸 吻 合 に 関 する 多 施 設 共 同 無 作 為 化 臨 床 試<br />

験 」(ClinicalTrials.gov…NCT01384617)に 参 加 している。<br />

P26-9 膵 体 尾 部 切 除 術 における 膵 胃 吻 合 の 臨 床 的 効 果<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 柳 本 泰 明 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 山 本 智 久 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP)において、 膵 液 漏 を 含 む 術 後 合 併 症 を<br />

軽 減 すべく、2006 年 6 月 より 膵 切 離 は 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 を 用 いて 行 っ<br />

ている。その 結 果 膵 液 漏 、 全 合 併 症 は 減 少 する 傾 向 にあるものの、さ<br />

らに 合 併 症 を 軽 減 すべく 膵 胃 吻 合 (PG)を 行 い 良 好 な 結 果 が 得 られて<br />

いるので、その 手 技 をビデオで 供 覧 し、さらに 成 績 について 報 告 する。<br />

【 方 法 】 膵 切 離 は 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 を 使 用 し、PGは 柿 田 法 変 法 で<br />

膵 管 胃 全 層 縫 合 (no…stent 法 )を 行 い、 胃 漿 膜 筋 層 にポケットを 作 成 し、<br />

PG 部 を 被 覆 した。2010 年 6 月 以 降 DPを 施 行 したDPCAR4 名 を 除 く34<br />

名 の 内 、 文 書 での 同 意 が 得 られた17 名 に 対 してPGを 施 行 した。 膵 液<br />

漏 関 連 合 併 症 ( 膵 液 漏 :POPF、 胃 内 容 排 泄 遅 延 :DGE、 膵 断 端 fluid…<br />

collection)の 発 生 率 を 検 討 した。 膵 断 端 fluid…collectionは 術 後 3ヶ 月 ま<br />

での 画 像 で 評 価 した。【 結 果 】PGに 要 した 時 間 は35 分 (20-55)であった。<br />

手 術 時 間 中 央 値 は263 分 (197-409)であった。POPFおよび 膵 液 漏 関 連<br />

合 併 症 はともに4/17に 認 め、POPF……Grade…B-Cを1/17に 認 めた。【 結<br />

語 】DPにPGを 付 加 することにより、 膵 液 漏 関 連 合 併 症 は 低 下 する 可<br />

能 性 がある。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P27-1 当 院 における 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN) 手 術 症 例<br />

の 検 討<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 神 藤 修 , 落 合 秀 人 , 嘉 山 貴 文 , 村 上 智 洋 , 片 橋 一 人 ,<br />

鈴 木 昌 八<br />

【 目 的 】 当 院 における 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN) 手 術 症 例 の 治 療<br />

成 績 を 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】 当 院 で2008 年 以 降 に 経 験 したIPMN<br />

手 術 症 例 12 例 ( 男 女 比 8:4、 平 均 年 齢 65.7 歳 )。 主 膵 管 型 、 混 合 型 とも<br />

に6 例 ずつであった。 病 変 の 主 たる 局 在 は 膵 頭 部 から 膵 鈎 部 が5 例 、 膵<br />

体 部 から 膵 尾 部 が7 例 であった。 術 前 診 断 として 腺 癌 (IPMC)と 考 え<br />

たのが9 例 、 腺 腫 (IPMA)と 考 えたものが3 例 であった。 膵 頭 部 から 膵<br />

鈎 部 主 体 の3 例 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)を 行 った。 膵 頭 部 の 巨 大 腫<br />

瘍 が 尾 部 まで 表 層 進 展 していると 考 えられた 症 例 と 膵 頭 部 / 尾 部 に 複<br />

数 病 変 をみた 症 例 に 膵 全 摘 術 (TP)を 施 行 した。 膵 体 尾 部 主 体 の 病 変<br />

を 有 した7 例 には 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP)を 施 行 した。DP7 例 の 膵 切 離 線<br />

は 門 脈 右 縁 4 例 、 門 脈 正 中 1 例 、 門 脈 左 縁 2 例 であった。DP…の2 例 に 合<br />

併 した 膵 頭 部 の 分 枝 型 IPMN 病 変 は、 年 齢 等 を 考 慮 し、 経 過 観 察 とした。<br />

【 成 績 】 術 後 在 院 日 数 中 央 値 は19 日 (10-60)で、 術 後 合 併 症 は 再 手 術<br />

を 要 した 創 離 解 が1 例 、 保 存 的 に 軽 快 した 胆 汁 婁 と 胃 排 泄 遅 延 が1 例 ず<br />

つで 術 死 はなかった。 病 理 組 織 学 的 には 膵 管 上 皮 の 高 度 異 型 1 例 、 腺<br />

腫 1 例 、 非 浸 潤 癌 5 例 、 微 小 浸 潤 癌 4 例 、 浸 潤 癌 1 例 であった。 主 膵 管 断<br />

端 に 過 形 成 変 化 を 認 めた1 例 以 外 は、 切 離 断 端 に 腫 瘍 性 変 化 はなかった。<br />

リンパ 節 転 移 はTPの1 例 を 除 いて 認 められなかった。 他 病 死 1 例 を 除<br />

き 全 例 生 存 中 ( 観 察 期 間 中 央 値 12 月 )であるが、 非 浸 潤 癌 の1 例 に 術 後 2<br />

年 で 肝 転 移 再 発 を 認 めた。【 結 語 】IPMNの 手 術 においては 病 変 の 広<br />

がりを 適 確 に 診 断 し、 適 切 な 切 離 範 囲 を 決 定 することが 重 要 である。<br />

P27-2 膵 IPMN 切 除 例 における 膵 切 除 断 端 陽 性 の 臨 床 的 意 義<br />

に 関 する 検 討<br />

金 沢 大 学 消 化 器 ・ 乳 腺 ・ 移 植 再 生 外 科<br />

○… 牧 野 勇 , 北 川 裕 久 , 中 川 原 寿 俊 , 田 島 秀 浩 , 岡 本 浩 一 ,<br />

酒 井 清 祥 , 古 河 浩 之 , 木 下 淳 , 中 村 慶 史 , 林 泰 寛 ,<br />

尾 山 勝 信 , 井 口 雅 史 , 藤 田 秀 人 , 高 村 博 之 , 二 宮 致 ,<br />

伏 田 幸 夫 , 宮 本 正 俊 , 藤 村 隆 , 太 田 哲 生<br />

【 目 的 】 膵 IPMNの 治 療 に 関 しては, 国 際 診 療 ガイドラインが 普 及 し,<br />

コンセンサスが 得 られつつあるが,ガイドラインの 中 にも 十 分 なエビ<br />

デンスに 基 づいているとはいいがたく, 検 証 が 必 要 な 記 述 が 存 在 する.<br />

今 回 ,その 中 でも, 膵 切 除 時 の 切 除 断 端 における 腫 瘍 残 存 の 臨 床 的 意<br />

義 に 着 目 した.ガイドラインによれば,“ 断 端 に 腺 腫 の 遺 残 が 疑 われ<br />

た 場 合 には 原 則 として 追 加 切 除 は 不 要 だが, 境 界 病 変 以 上 の 異 型 を 有<br />

する 病 変 の 遺 残 が 疑 われる 場 合 には 追 加 切 除 が 推 奨 される”という 内<br />

容 が 記 載 されている. 今 回 , 当 科 の 膵 IPMN 切 除 症 例 のうち 膵 切 除 断<br />

端 に 病 変 の 遺 残 が 疑 われた 症 例 に 関 する 検 討 を 行 い,このガイドライ<br />

ン 項 目 の 是 非 を 検 証 した.【 対 象 と 方 法 】 対 象 は 当 科 で 手 術 が 施 行 さ<br />

れた 膵 IPMN 症 例 35 例 で,そのうちの12 例 において 術 後 の 病 理 診 断 で<br />

膵 切 除 断 端 陽 性 と 診 断 された.これらの12 例 を 用 いて 臨 床 病 理 学 的 検<br />

討 を 行 った.【 結 果 】35 例 の 内 訳 は, 腺 腫 17 例 , 境 界 病 変 2 例 , 上 皮 内<br />

癌 6 例 , 微 小 浸 潤 癌 4 例 , 由 来 浸 潤 癌 6 例 で, 分 枝 型 16 例 , 混 合 型 13 例 ,<br />

主 膵 管 型 4 例 , 断 端 再 発 2 例 であった. 断 端 陽 性 12 例 の 内 訳 は, 腺 腫 6 例 ,<br />

境 界 病 変 1 例 , 上 皮 内 癌 2 例 , 由 来 浸 潤 癌 3 例 で, 断 端 の 病 理 診 断 状 況 は,<br />

腺 腫 10 例 , 上 皮 内 癌 2 例 であった. 行 われていた 術 式 はPD5 例 ,DP6 例 ,<br />

膵 分 節 切 除 1 例 で,いずれの 症 例 も 病 理 診 断 後 の 追 加 切 除 は 行 われな<br />

かった. 断 端 に 腺 腫 成 分 を 認 めた10 例 のうち2 例 に 断 端 再 発 を 認 め,<br />

再 切 除 を 要 した.1 例 目 は 初 回 切 除 4 年 後 に 再 切 除 を 行 い, 由 来 浸 潤 癌<br />

と 診 断 され,2 例 目 は 初 回 切 除 2 年 後 に 再 切 除 を 行 い, 上 皮 内 癌 と 診 断<br />

された.2 例 とも 再 切 除 後 は 無 再 発 生 存 中 である.【 結 語 】 膵 切 除 断 端<br />

に 腺 腫 が 残 存 していた10 症 例 中 , 断 端 再 発 をきたした 症 例 は2 例 であり,<br />

ガイドラインの“ 切 除 断 端 に 腺 腫 がみられた 場 合 の 追 加 切 除 は 不 要 ”<br />

という 内 容 は 許 容 可 能 と 考 えられた.しかし, 両 症 例 も 初 回 切 除 時 に<br />

断 端 に 遺 残 した 病 変 が 腺 腫 であったにもかかわらず, 再 切 除 時 には 癌<br />

化 していたことから, 膵 切 除 断 端 陽 性 症 例 に 対 しては, 厳 重 な 経 過 観<br />

察 が 必 要 であり, 断 端 再 発 が 疑 われた 場 合 には 機 を 逸 することなく 切<br />

除 を 行 う 必 要 があると 考 えられた.<br />

-361-


P27-3 当 院 における 通 常 型 膵 癌 とIPMN 由 来 浸 潤 癌 の 検 討<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 石 本 武 史 , 生 駒 久 視 , 山 本 有 祐 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 ,<br />

小 松 周 平 , 塩 崎 敦 , 栗 生 宜 明 , 中 西 正 芳 , 藤 原 斉 ,<br />

岡 本 和 真 , 落 合 登 志 哉 , 國 場 幸 均 , 大 辻 英 吾<br />

【はじめに】IPMN 由 来 膵 癌 では、 非 浸 潤 癌 の 予 後 は 良 好 であるが 浸<br />

潤 癌 の 予 後 は 不 良 であると 言 われている。しかし 通 常 型 膵 癌 とIPMN<br />

由 来 浸 潤 癌 の 予 後 の 比 較 に 関 してはまだ 一 定 の 見 解 が 得 られていない。<br />

今 回 我 々は 当 科 切 除 例 におけるIPMN 由 来 浸 潤 癌 と 通 常 型 膵 癌 との 臨<br />

床 病 理 学 的 因 子 と 予 後 について 比 較 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】 当<br />

院 で2004 年 から2010 年 に 切 除 し 肉 眼 的 治 癒 切 除 の 得 られた 通 常 型 膵 癌<br />

56 例 とIPMN 由 来 浸 潤 癌 15 例 を 対 象 とし 両 者 の 合 併 例 は 除 外 した。 全<br />

生 存 率 の 算 出 はKaplan-Meier 法 、 比 較 はlog…rank…testを 使 用 した。 臨<br />

床 病 理 学 的 因 子 の 比 較 はχ 二 乗 検 定 を 用 いた。【 結 果 】46 例 に 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 、20 例 に 膵 体 尾 部 切 除 術 、5 例 に 膵 全 摘 術 が 行 われた。<br />

年 齢 ・ 占 拠 部 位 ・ 性 別 ・ 腫 瘍 径 ・リンパ 節 転 移 ・ 再 発 率 ・ 脈 管 侵 襲 ・<br />

局 所 進 展 度 は 両 群 間 で 有 意 差 を 認 めなかった。IPMN 由 来 浸 潤 癌 では<br />

stageI/II/III/IV( 膵 癌 取 扱 い 規 約 第 6 版 に 準 拠 )がそれぞれ1/4/6/4 人<br />

であり、StageIII,IVの 症 例 が 通 常 型 膵 癌 と 比 較 し 有 意 に 少 なかった<br />

(p=0.02)。5 年 生 存 率 は 通 常 型 膵 癌 が19.0%、IPMN 由 来 浸 潤 癌 が<br />

35.5%で 両 群 間 に 有 意 差 を 認 めなかった(p=0.23)。【 考 察 】IPMN 由 来<br />

浸 潤 癌 は 通 常 型 膵 癌 と 比 較 しStageI,II 症 例 が 有 意 に 多 かったが、 両 群<br />

間 では 予 後 に 有 意 差 を 認 めなかった。IPMNの 経 過 観 察 症 例 では 定 期<br />

的 に 適 切 な 画 像 診 断 を 行 い 浸 潤 のタイミングを 見 逃 さず 手 術 を 行 うこ<br />

とが 重 要 である。 今 後 症 例 を 重 ねさらなる 検 討 が 必 要 であると 考 えら<br />

れる。<br />

P27-4 当 科 におけるIPMN 手 術 症 例 の 検 討 と 膵 尾 部 末 端 IPMN<br />

の 手 術 適 応<br />

山 梨 大 学 第 一 外 科<br />

○… 川 井 田 博 充 , 板 倉 淳 , 細 村 直 弘 , 雨 宮 秀 武 , 河 野 寛 ,<br />

松 田 正 徳 , 藤 井 秀 樹<br />

当 院 では2000 年 よりIPMN… の 手 術 適 応 を 主 膵 管 拡 張 7mm 以 上 、 壁 在<br />

結 節 6mm 以 上 、 腫 瘍 径 3cmとしており、2009 年 4 月 から 壁 在 結 節 を 重<br />

視 している。2000 年 より2011 年 3 月 までに36 例 の 手 術 を 施 行 しており、<br />

これらの 症 例 について 検 討 した。【 結 果 】 主 膵 管 型 4 例 を 除 く32 例 に 対<br />

し 主 膵 管 径 、 腫 瘍 径 、 壁 在 結 節 、 腫 瘍 マーカー(CA19-9)の4 項 目 につ<br />

いて 検 討 した。 主 膵 管 径 は 腺 腫 5.4±0.7mm、 非 浸 潤 癌 6.9±1.1mm、<br />

浸 潤 癌 7.3±1.0mmと 癌 で 拡 張 傾 向 を 認 めるものの、 有 意 差 は 認 めな<br />

かった。 腫 瘍 径 は 腺 腫 3.6±0.5cm、 非 浸 潤 癌 で5.7±2.5cm、 浸 潤 癌 で3.1<br />

±0.3cmと 有 意 差 は 認 めなかった。 壁 在 結 節 は 腺 腫 3.5±1.0mm、 非 浸<br />

潤 癌 9.8±3.0mm、 浸 潤 癌 で12.2±1.7mmと 有 意 差 をもって 浸 潤 癌 が 大<br />

きかった。 腫 瘍 マーカーはCA19-9のみ 有 意 差 を 認 め、 腺 腫 21.5±5.2U/<br />

ml、 非 浸 潤 癌 103.7±46.8U/ml、 浸 潤 癌 217.7±60.5U/mlと 癌 の 進 行 と<br />

ともに 有 意 に 高 値 を 示 した。【 結 語 1】 腺 腫 と 非 浸 潤 癌 、 浸 潤 癌 での3<br />

群 間 比 較 では、 壁 在 結 節 とCA19-9において 有 意 差 を 認 め、 腫 瘍 径 や<br />

主 膵 管 径 のみでの 悪 性 度 の 判 断 は 困 難 と 思 われた。しかし 壁 在 結 節 や<br />

CA19-9のみでの 癌 の 診 断 は 不 十 分 であり、 腫 瘍 径 や 主 膵 管 径 の 増 大<br />

するものでは 詳 細 な 検 討 を 要 すると 思 われた。 膵 尾 部 末 端 発 生 は32 例<br />

中 4 例 に 認 められた。これらの 症 例 のうち 腺 腫 2 例 、 腺 癌 2 例 ( 非 浸 潤 癌 )<br />

であった。 腺 癌 2 例 のうちの1 例 に 主 膵 管 拡 張 を 認 め、2 例 とも 腫 瘍 径<br />

は3cm 以 上 であった。 壁 在 結 節 は2 例 とも 認 めず、CA19-9の 上 昇 を1<br />

例 に 認 め 当 科 の 手 術 適 応 とは 合 致 しなかった。【 結 語 2】 膵 尾 部 末 端 の<br />

IPMNの 手 術 適 応 は 膵 頭 部 、 体 部 IPMNと 異 なる 可 能 性 があり 症 例 の<br />

集 積 が 必 要 であると 思 われた。<br />

P27-5 IPMN 治 療 における 国 際 ガイドラインの 妥 当 性 とPET<br />

検 査 の 有 用 性<br />

九 州 がんセンター<br />

○… 前 原 伸 一 郎 , 池 田 泰 治<br />

【 背 景 】 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)は 腺 腫 から 浸 潤 癌 まで 組 織 学<br />

的 多 様 性 に 富 むが、 術 前 の 悪 性 度 診 断 は 困 難 である。IPMN/MCN 国<br />

際 診 療 ガイドラインでは 手 術 適 応 は 主 膵 管 型 、 嚢 胞 径 30mm 以 上 、 壁<br />

在 結 節 ありとされているが、 術 式 によっては 患 者 への 負 担 も 小 さくは<br />

ない。このため、 患 者 の 年 齢 やQOLまで 考 慮 した 外 科 的 治 療 戦 略 が<br />

必 要 と 考 えられる。【 目 的 】IPMN 症 例 における 治 療 戦 略 について 検<br />

討 する。【 対 象 と 方 法 】2007 年 1 月 から2011 年 8 月 までに 当 センターに<br />

てIPMNに 対 して 手 術 が 施 行 された15 例 を 対 象 とし、これらの 臨 床 病<br />

理 学 的 特 徴 について 検 討 を 行 った。 手 術 適 応 はガイドラインに 沿 った<br />

手 術 適 応 症 例 および 膵 炎 を 繰 り 返 す 症 例 とした。【 結 果 】15 例 中 病 理<br />

検 査 結 果 に てcarcinoma(IPMC)は2 例 で あ り、13 例 はadenoma<br />

(IPMA)であった。 経 過 観 察 中 に 腫 瘍 の 増 大 が 見 られ 手 術 に 踏 み 切 っ<br />

た2 症 例 は2 例 ともIPMAであった。 術 式 は 膵 全 摘 が3 例 、 体 尾 部 切 除<br />

(DP)が4 例 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)が8 例 であった。このうちIPMC<br />

の2 例 はDPが1 例 、PDが1 例 であった。FDG-PET(PET)は 術 前 に12 例<br />

に 施 行 され、6 例 で 膵 への 高 度 集 積 を 認 めた。このうち 一 例 は 併 存 す<br />

る 胆 管 癌 への 集 積 であった。IPMCの2 例 はともに 集 積 を 認 めていた。<br />

また、15 例 中 7 例 で 通 常 型 膵 癌 もしくは 他 臓 器 癌 の 合 併 が 認 められた。<br />

【 考 察 】ガイドラインに 準 じて 手 術 適 応 を 決 定 したがIPMCは13%で<br />

あった。 術 前 検 査 としてPETは 感 受 性 が 高 くIPMC2 例 とも 集 積 を 認<br />

めていた。このため、PET 陰 性 症 例 については、IPMAの 可 能 性 が 高<br />

く 患 者 背 景 などによっては 経 過 観 察 も 一 選 択 であったと 考 えられた。<br />

また、 高 率 に 合 併 する 他 臓 器 癌 の 検 索 も 含 めPETは 有 用 と 考 えられた。<br />

さらに 経 過 観 察 していた 症 例 を 手 術 に 踏 み 切 る 適 応 についても 今 後 さ<br />

らに 症 例 を 重 ね 検 討 する 必 要 がある。【 結 語 】 国 際 ガイドラインに 加 え、<br />

PET 検 査 を 導 入 することはIPMNの 治 療 戦 略 を 立 てる 上 で 有 用 となる<br />

ことが 示 唆 された。<br />

P27-6 膵 IPMN( 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 )の 治 療 戦 略 としての<br />

FDG-PETの 意 義<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

○… 谷 田 司 , 江 口 英 利 , 和 田 浩 志 , 川 本 弘 一 , 小 林 省 吾 ,<br />

丸 橋 繁 , 種 村 匡 弘 , 森 正 樹 , 土 岐 祐 一 郎 , 永 野 浩 昭<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)の 中 には 経 過 観 察 可 能<br />

な 症 例 が 少 なからず 存 在 するが、 悪 性 化 potentialを 強 く 持 っている<br />

IPMNも 存 在 するため、それらを 鑑 別 し、 外 科 治 療 の 適 応 を 決 定 する<br />

必 要 がある。 近 年 、 腫 瘍 病 変 の 悪 性 度 診 断 においてFDG-PETは 重 要<br />

な 検 査 となりつつあるが、IPMNにおける 有 用 性 に 関 する 報 告 は 少 な<br />

い。 今 回 われわれは、IPMNの 良 悪 性 鑑 別 におけるFDG-PETの 意 義<br />

を 検 討 することとした。【 対 象 ・ 方 法 】2005 年 8 月 から2010 年 12 月 まで<br />

にFDG-PET 検 査 を 施 行 したIPMN 症 例 のうち、 手 術 または 生 検 にて<br />

組 織 学 的 に 良 悪 性 の 確 定 診 断 が 得 られたIPMN44 例 を 対 象 とし、 術 前<br />

FDG-PETの 良 悪 性 の 鑑 別 における 有 用 性 について 検 討 した。【 結 果 】<br />

IPMN 症 例 の 内 訳 は 主 膵 管 型 7 例 、 分 枝 型 17 例 、 混 合 型 20 例 で、 病 理<br />

診 断 の 内 訳 は、 良 性 ( 腺 腫 、 境 界 病 変 )22 例 、 悪 性 ( 上 皮 内 癌 、 浸 潤 癌 )<br />

22 例 であった。 診 断 方 法 は 手 術 41 例 、 開 腹 生 検 3 例 であった。 良 悪 性<br />

の2 群 において、 症 状 の 有 無 、 膵 管 型 、 主 膵 管 径 は 有 意 差 を 認 めなかっ<br />

たが、 悪 性 例 におけるSUV…maxは 良 性 例 に 比 べ 有 意 に 高 値 を 示 して<br />

いた(4.1±2.8…vs…1.6±0.9、p=0.0002)。また 悪 性 例 では 壁 在 結 節 のあ<br />

る 症 例 が 良 性 例 と 比 較 して 有 意 に 多 く(p


P27-7 幽 門 輪 温 存 脾 温 存 膵 全 摘 術 (PPSPTP)を 施 行 した<br />

IPMN 症 例 の 検 討<br />

富 山 大 学 消 化 器 腫 瘍 総 合 外 科<br />

○… 吉 岡 伊 作 , 澤 田 成 朗 , 松 井 恒 志 , 関 根 慎 一 , 橋 本 伊 佐 也 ,<br />

渡 辺 智 子 , 北 條 荘 三 , 堀 亮 太 , 奥 村 知 之 , 吉 田 徹 ,<br />

長 田 拓 哉 , 島 田 裕 , 塚 田 一 博<br />

膵 全 摘 術 は 膵 内 外 分 泌 機 能 が 著 しく 低 下 することからその 適 応 は 慎 重<br />

に 判 断 すべきと 考 えられるが 多 発 性 の 分 枝 型 IPMNや 主 膵 管 型 IPMN<br />

では 膵 全 摘 術 が 余 儀 なくされる 症 例 が 存 在 する。これまでに 当 科 で 幽<br />

門 輪 温 存 脾 温 存 膵 全 摘 術 (PPSPTP)を 施 行 したIPMN 症 例 3 例 を 経 験<br />

した。< 症 例 1>75 歳 、 女 性 。 直 腸 癌 術 後 の 経 過 観 察 中 に 多 房 性 に 膵<br />

嚢 胞 性 病 変 が 出 現 、IPMNとして 経 過 観 察 していたが 増 大 傾 向 を 示 し<br />

膵 全 体 に 嚢 胞 性 病 変 が 多 発 。 分 枝 型 IPMNの 診 断 で 手 術 施 行 。 主 病 変<br />

切 除 のために 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 するも 断 端 陰 性 が 得<br />

られずPPSPTPを 施 行 。 病 理 では 主 膵 管 型 のIPMAの 診 断 。 術 後 経 過<br />

は 合 併 症 なく 経 過 し46 病 日 退 院 。 退 院 時 の 投 与 インスリンは 速 効 型 イ<br />

ンスリンを 毎 食 前 に5-5-5 単 位 、 持 効 型 インスリン7 単 位 でコントロー<br />

ル。 術 後 2 年 10カ 月 経 過 し 外 来 通 院 中 。< 症 例 2>83 歳 、 男 性 。 下 腹 部<br />

痛 に 対 し 各 種 検 査 中 にCTで 膵 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 。 精 査 にて 多 発 性 の<br />

分 枝 型 IPMNの 診 断 で 手 術 施 行 、 主 病 変 切 除 のために 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 施 行 するも 断 端 陰 性 が 得 られずPPSPTP 施 行 。 病 理 では<br />

多 発 性 の 分 枝 型 IPMC、invasive。 術 後 合 併 症 なく 経 過 し60 病 日 退 院 。<br />

退 院 時 の 投 与 インスリンは 速 効 型 インスリンを 毎 食 前 に6-6-6 単 位 、 持<br />

効 型 インスリン8 単 位 でコントロール。 術 後 3カ 月 経 過 し 外 来 通 院 中 。<br />

< 症 例 3>75 歳 、 男 性 。 糖 尿 病 で 他 院 通 院 中 に 血 糖 コントロール 不 良<br />

となりCTで 膵 腫 瘍 を 指 摘 され 当 科 紹 介 。 膵 頭 部 に3cm 大 結 節 を 伴 う<br />

主 膵 管 型 IPMNの 診 断 でPSPTP 施 行 。 病 理 では 膵 頭 部 に 浸 潤 性 膵 管 癌<br />

を 伴 う 混 合 型 IPMNの 診 断 。 術 後 経 過 は 大 きな 合 併 症 なく 経 過 し45 病<br />

日 退 院 。 退 院 時 の 投 与 インスリンは 速 効 型 インスリンを 毎 食 前 に8-6-6<br />

単 位 、 持 効 型 インスリン6 単 位 でコントロール。< 結 語 > 当 科 で 経 験<br />

したPPSPTP 症 例 は 全 例 胃 排 泄 遅 延 なく 経 口 摂 取 良 好 、 食 事 量 が 安 定<br />

するため 血 糖 コントロールは 概 ね 良 好 であり、 低 血 糖 発 作 も 非 常 に 少<br />

ない。また 膵 外 分 泌 能 低 下 に 対 しても 消 化 剤 内 服 により 栄 養 状 態 は 良<br />

好 に 保 たれた。PPSPTPは 有 用 な 術 式 と 考 えられた。<br />

P27-8 術 前 画 像 で 分 枝 膵 管 との 交 通 を 認 めた 膵 MCNの1 切 除<br />

例<br />

1<br />

医 療 法 人 清 田 病 院 外 科 、 2 琴 似 ロイヤル 病 院 外 科 、 3 北 海 道<br />

大 学 消 化 器 外 科 II、 4 手 稲 渓 仁 会 病 院 外 科 、 5 手 稲 渓 仁 会 病<br />

院 病 理<br />

○… 矢 野 智 之 1<br />

, 山 田 秀 久 1<br />

, 鈴 木 温 2<br />

, 宮 本 正 樹 3<br />

, 安 保 義 恭 4<br />

,<br />

5<br />

篠 原 敏 也<br />

膵 mucinous…cystic…neoplasm…( 以 降 MCN)は 欧 米 では 膵 管 との 交 通 が<br />

みられないとされ, 本 邦 でも 術 前 に 膵 管 との 交 通 が 明 らかになる 症 例<br />

は 少 ない. 今 回 , 術 前 に 分 枝 膵 管 との 交 通 が 明 らかになった 膵 MCN<br />

に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した1 症 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する. 症 例 は26 歳 , 女 性 .1 年 以 上 前 から 時 々 腹 痛 を 訴 えていた.<br />

2011.…10 月 に 上 腹 部 痛 を 主 訴 に 当 院 受 診 し 精 査 目 的 に 入 院 . 血 液 , 生<br />

化 学 的 所 見 では 異 常 を 認 めず.CTでは 膵 体 尾 部 に 約 3cm 大 の 嚢 胞 性<br />

病 変 を 認 め, 被 膜 を 有 し, 内 腔 に 一 部 隔 壁 を 認 めた. 脾 静 脈 と 接 して<br />

いたが 他 臓 器 への 浸 潤 は 認 めなかった.…MRCPでは 嚢 胞 は 隔 壁 を 有<br />

したが 主 膵 管 との 交 通 は 指 摘 できなかった.ERPでは 主 膵 管 の 拡 張 は<br />

なく, 分 枝 膵 管 との 交 通 を 有 する 嚢 胞 性 病 変 が 造 影 された. 乳 頭 の 開<br />

大 は 認 めなかった.EUSでは 膵 体 尾 部 に 被 膜 を 有 し, 境 界 は 比 較 的 明<br />

瞭 で 内 部 にやや 厚 い 隔 壁 を 有 する 多 房 性 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 めcyst…in…<br />

cystで 内 腔 に 向 かって 凸 な 病 変 でありMCNの 術 前 診 断 で 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した. 腹 水 , 播 種 はなく, 腫 瘍 は 球 形<br />

で 被 膜 を 有 していた. 脾 静 脈 を 圧 排 していたが 浸 潤 を 認 めなかった.<br />

術 中 超 音 波 検 査 では 腫 瘍 は 多 房 性 で 比 較 的 厚 めの 隔 壁 を 有 していた.<br />

標 本 造 影 では 主 膵 管 の 分 枝 の 一 部 から 嚢 胞 が 低 圧 でも 容 易 に 造 影 され<br />

た. 術 後 経 過 は 良 好 で 第 10 病 日 に 退 院 した. 病 理 組 織 学 的 検 討 では,<br />

膵 体 尾 部 には 厚 い 線 維 性 被 膜 を 有 する 球 形 の 多 房 性 病 変 を 認 め, 組 織<br />

学 的 には 被 覆 上 皮 は 軽 度 異 型 , 一 部 中 等 度 異 型 を 示 す 粘 液 性 高 円 柱 上<br />

皮 でER(+),PgR(+), αSMA(+)の 卵 巣 様 間 質 を 有 しP53 陰 性 ,<br />

Ki67……labeling…indexは 低 値 でmucinous…cystadenoma…with…mild…to…<br />

moderate…atypiaの 診 断 であった.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P27-9 FDG-PET/CTで 術 前 にmucinous<br />

cystadenocarcinomaと 診 断 可 能 であった 一 切 除 例<br />

埼 玉 医 科 大 学<br />

○… 徳 永 裕 貴 , 上 野 陽 介 , 渡 邊 幸 博 , 岡 田 克 也 , 合 川 公 康 ,<br />

利 光 靖 子 , 岡 本 光 順 , 宮 澤 光 男 , 小 山 勇<br />

症 例 は59 歳 女 性 。 初 診 約 10 年 前 から 人 間 ドックで 膵 異 常 を 指 摘 されて<br />

いたが、 症 状 がないため 放 置 していた。 初 診 2カ 月 前 から 腹 部 腫 瘤 を<br />

触 知 、 自 覚 するようになり 近 医 を 受 診 した。 腹 腔 内 腫 瘍 疑 い 当 院 紹 介<br />

受 診 となった。 初 診 時 、 左 上 腹 部 に 弾 性 軟 の 腫 瘤 を 触 知 したが、 自 発<br />

痛 や 圧 痛 はなかった。 腹 部 CTで 膵 体 部 から 左 側 腹 壁 にかけて 約 9cm<br />

大 の 嚢 胞 性 腫 瘍 病 変 を 認 めた。 腫 瘍 の 内 部 は 大 部 分 が 低 吸 収 で 造 影 効<br />

果 がなく、 腫 瘍 背 側 に 動 脈 相 で 濃 染 する 辺 縁 不 正 な 部 位 があり、 被 膜<br />

と 隔 壁 に 石 灰 化 を 認 めた。MRCPでは 主 膵 管 は 抹 消 まで 保 たれており、<br />

腫 瘤 との 連 続 性 は 認 めなかった。FDG-PET/CTでは 腫 瘍 後 壁 にFDG<br />

高 集 積 を 示 す 部 分 が あ っ た(SUVmax4.7)。 以 上 よ りmucinous…<br />

cystadenocarcinomaの 可 能 性 が 高 いと 判 断 し、 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施<br />

行 した。 摘 出 標 本 で 肉 眼 的 に12cm 大 の 単 房 性 嚢 胞 状 病 変 の 内 腔 に<br />

3cm 大 の 乳 頭 状 の 壁 在 結 節 がみられた。 病 理 組 織 学 的 には 嚢 胞 内 は<br />

様 々の 異 型 度 を 示 す 粘 液 性 円 柱 上 皮 に 覆 われ、 核 の 腫 大 や 細 胞 極 性 の<br />

乱 れが 高 度 であった。 壁 在 結 節 の 部 位 では 高 度 異 型 上 皮 が 複 雑 に 分 岐<br />

する 乳 頭 状 増 殖 を 示 していた。 病 変 の 尾 側 よりで 嚢 胞 壁 間 質 に 卵 巣 間<br />

質 様 の 紡 錘 形 細 胞 (ER+PgR-)の 増 生 が 認 められ、 以 上 の 所 見 より、<br />

mucinous… cystadenocarcinomaと 診 断 さ れ た。mucinous…<br />

cystadenocarcinomaは 比 較 的 稀 な 疾 患 であり、 文 献 的 考 察 を 含 めて<br />

報 告 する。<br />

P28-1 膵 体 部 癌 と 合 併 した 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 にて 膵 体 尾 部 切 除<br />

後 , 異 時 性 多 発 膵 癌 を 認 めた1 例<br />

1<br />

製 鉄 記 念 室 蘭 病 院 外 科 、 2 製 鉄 記 念 室 蘭 病 院 臨 床 病 理 検 査 室<br />

○… 高 橋 瑞 奈 1<br />

, 川 瀬 寛 1<br />

, 本 間 直 健 1<br />

, 早 馬 聡 1<br />

, 長 靖 1<br />

,<br />

仙 丸 直 人 1<br />

, 藤 田 美 莉<br />

2<br />

症 例 は68 歳 の 女 性 .2006 年 7 月 より 膵 尾 部 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 め, 経 過<br />

観 察 中 であった.2008 年 4 月 のCTで 膵 体 部 癌 の 出 現 が 疑 われ,<br />

3PhaseCTを 施 行 したところ, 膵 体 部 に 動 脈 相 で 低 吸 収 域 を 呈 する 径<br />

13×9.8mmの 腫 瘤 と,その 尾 側 主 膵 管 の 拡 張 を 認 めた.また,ERCP<br />

で 膵 尾 部 の 嚢 胞 と 主 膵 管 の 交 通 が 確 認 され、 膵 体 部 癌 を 合 併 した 膵 管<br />

内 乳 頭 粘 液 腫 の 診 断 にて2008 年 8 月 に 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した. 病<br />

理 診 断 は, 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 および 膵 癌 (Pb,…TS1,…T1,…N0,…M0,…StageI,…<br />

ly0,…v0,…ne0,…mpd(-))であった.2011 年 1 月 より 体 重 が 減 少 ,6 月 に 耐<br />

糖 能 異 常 増 悪 と 腫 瘍 マーカー 上 昇 (CA19-9…228U/ml,…SPAN-1…63U/<br />

ml)を 認 めた. 造 影 CTで 膵 頭 部 に 約 10mmの 低 吸 収 域 の 腫 瘤 と,その<br />

尾 側 主 膵 管 の 拡 張 ,#8aリンパ 節 腫 大 を 認 めた.…MRCPおよびERCP<br />

で 主 膵 管 の 狭 窄 と 尾 側 膵 管 の 拡 張 、 下 部 総 胆 管 の 先 細 り 狭 窄 を 認 め,<br />

超 音 波 内 視 鏡 では28mmの 低 エコー 腫 瘤 が 描 出 された. 組 織 診 断 は 得<br />

られなかったが、 残 膵 癌 (T3,…N2,…M0,…StageIVa)を 強 く 疑 い,7 月 に<br />

残 膵 全 摘 を 施 行 した. 病 理 診 断 は, 約 4cmの 腫 瘤 を 形 成 する 慢 性 膵 炎<br />

の 中 央 に12×1mmの 膵 癌 を 認 め,TS1,T1,…CH-,…DU-,…S-,…RP-,…A-,…PL-,…<br />

OO-,…N0,…M0,…StageI,INFβ,…ly0,…v0,…ne0,…mpd(-)…であった. 初 回 の 膵<br />

癌 術 後 から2 年 10か 月 が 経 過 しており, 前 回 手 術 がR0 切 除 であること<br />

から, 再 発 ではなく 異 時 性 多 発 膵 癌 と 思 われた. 術 後 経 過 は 良 好 であ<br />

り, 術 後 18 日 目 に 退 院 となった. 現 在 , 無 再 発 生 存 中 である. 漿 液 性<br />

嚢 胞 腺 腫 と 膵 癌 の 合 併 は 現 在 まで 自 験 例 を 含 め7 例 のみの 報 告 であり,<br />

本 邦 報 告 例 は2 例 であった.また, 浸 潤 性 膵 管 癌 術 後 の5 年 生 存 率 は 不<br />

良 であり, 初 発 膵 癌 術 後 の 残 膵 に 異 時 性 多 発 膵 癌 を 認 め, 根 治 術 が 施<br />

行 されることは 稀 とされている. 本 症 例 は, 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 に 合 併 し<br />

た 膵 癌 術 後 2 年 10カ 月 に, 残 膵 に 異 時 性 多 発 膵 癌 を 認 め 根 治 術 を 施 行<br />

しえた 極 めて 稀 な 症 例 と 思 われた.<br />

-363-


P28-2 胆 管 および 膵 管 狭 窄 を 伴 った 膵 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

1<br />

富 山 市 民 病 院 外 科 、 2 富 山 市 民 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 天 谷 公 司 1<br />

, 吉 川 朱 実 1<br />

, 福 島 亘 1<br />

, 石 川 聡 子 1<br />

, 山 口 貴 久 1<br />

,<br />

寺 井 志 郎 1<br />

, 野 島 直 巳 1<br />

, 廣 澤 久 史 1<br />

, 泉 良 平 1<br />

,<br />

2<br />

斎 藤 勝 彦<br />

症 例 は75 歳 男 性 。 高 血 圧 にて 近 医 通 院 中 に 肝 機 能 障 害 を 指 摘 された。<br />

当 院 内 科 に 紹 介 受 診 予 定 であったが、 前 日 に 腹 痛 と 嘔 吐 を 認 めたため<br />

救 急 外 来 を 受 診 。 血 液 検 査 にて 肝 胆 道 系 酵 素 とアミラーゼの 上 昇 を 認<br />

め、 精 査 加 療 目 的 に 入 院 となった。 腹 部 CT、MRIでは 膵 頭 部 に 全<br />

体 として7cm 大 、 小 嚢 胞 が 集 簇 した 形 態 の 腫 瘤 を 認 め、 総 胆 管 の 圧 排<br />

狭 窄 と 総 胆 管 から 肝 内 胆 管 の 拡 張 、 主 膵 管 のびまん 性 拡 張 を 認 めた。<br />

嚢 胞 内 に 充 実 性 成 分 の 混 在 が 疑 われたが 明 らかな 結 節 状 隆 起 は 認 めな<br />

かった。ERCPでは 主 乳 頭 口 の 開 大 や 膵 管 と 腫 瘍 の 交 通 は 認 めず、 血<br />

液 検 査 で 腫 瘍 マーカーは 正 常 であった。 膵 頭 部 の 混 合 型 膵 管 内 乳 頭<br />

状 粘 液 性 腫 瘍 ( 以 下 IPMN)または 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 ( 以 下 SCA)の 診 断 で<br />

幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 検 査 にて、 腫 瘍<br />

は 肉 眼 的 には 漿 液 を 容 れたスポンジ 様 の 微 小 な 嚢 胞 の 集 簇 よりなり 充<br />

実 部 は 見 られず、 組 織 学 的 には 淡 明 な 立 方 状 細 胞 で 構 成 され 悪 性 を 疑<br />

う 所 見 は 認 めなかった。また、 膵 管 や 胆 管 への 浸 潤 や 交 通 も 認 められ<br />

なかった。 以 上 よりSCAと 診 断 された。 膵 漿 液 性 嚢 胞 腫 瘍 は 比 較<br />

的 まれな 疾 患 であるが、 典 型 的 な 所 見 で 本 疾 患 と 診 断 されれば、ほと<br />

んどが 良 性 であるため 経 過 観 察 される。しかし 近 年 、 多 彩 な 形 態 や 臨<br />

床 像 を 呈 し 診 断 が 困 難 な 例 も 報 告 されている。また、 腫 瘍 径 が 大 きい、<br />

症 状 を 有 する、 悪 性 が 疑 われるような 症 例 では 手 術 を 行 うべきと 考 え<br />

られる。 本 症 例 は、 術 前 検 査 で 悪 性 を 疑 う 所 見 や 膵 管 との 交 通 は 認 め<br />

られなかったものの、 腫 瘍 径 が 大 きく 胆 管 膵 管 の 圧 排 狭 窄 所 見 があっ<br />

たこと、 混 合 型 IPMNが 否 定 できなかったことから 切 除 を 行 なった。<br />

医 中 誌 で 検 索 したところ、 膵 管 狭 窄 を 伴 うSCAは15 例 、 胆 管 狭 窄 を<br />

伴 うSCAは9 例 、 胆 管 と 膵 管 の 狭 窄 を 伴 うSCAは3 例 が 報 告 されてい<br />

るのみであった。 本 症 例 はまれな 病 態 を 呈 したSCAであると 考 えら<br />

れたため 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P28-3 症 状 発 現 の 原 因 が 特 異 的 であった 膵 Solidpseudopapillarytumorの1<br />

例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 八 幡 和 憲 , 長 田 真 二 , 山 田 敦 子 , 加 藤 順 子 , 棚 橋 利 行 ,<br />

今 井 寿 , 佐 々 木 義 之 , 斎 藤 史 朗 , 田 中 善 宏 , 野 中 健 一 ,<br />

高 橋 孝 夫 , 山 口 和 也 , 吉 田 和 弘<br />

【 症 例 】11 歳 、 女 児 。2011 年 4 月 、 腹 痛 にて 前 医 受 診 し、 血 清 AMYの<br />

上 昇 (447IU/L)と 腹 部 CTにて 膵 尾 部 に 腫 瘤 性 病 変 と 軽 度 の 膵 腫 大 を<br />

認 め、 急 性 膵 炎 の 疑 いにて 当 院 小 児 科 に 紹 介 され 精 査 加 療 目 的 にて 同<br />

日 入 院 した。CT 所 見 としては 膵 尾 部 に3.5cm 大 の 球 形 腫 瘤 を 認 め、 辺<br />

縁 に 高 吸 収 域 を 伴 う 低 吸 収 腫 瘤 であり 明 らかな 造 影 効 果 は 認 めなかっ<br />

た。MRIではT1WIにて 中 心 部 低 信 号 で 辺 縁 部 はメトヘモグロビンに<br />

よると 思 われる 高 信 号 部 とヘモジデリンによると 思 われる 低 信 号 帯 を<br />

認 めることから、 新 旧 の 血 液 が 混 在 しているものと 推 察 され、さらに<br />

T2WIにおいても 腫 瘍 中 心 部 は 淡 い 高 信 号 を 呈 し 出 血 に 矛 盾 しない 所<br />

見 であった。FDG-PETでは 膵 尾 部 の 腫 瘤 の 辺 縁 部 に 一 致 して 淡 い<br />

FDGの 集 積 (SUVmax:3.30→3.78)を 認 めたが、 転 移 や 悪 性 を 疑 う 所<br />

見 は 認 め な か っ た。 以 上 よ り 出 血 を 伴 っ たsolid-pseudopapillary…<br />

tumor(SPT)が 疑 われ 当 科 紹 介 となったが、 血 腫 の 衰 退 を 含 めた 短 期<br />

的 経 過 を 観 察 する 方 針 とした。 保 存 的 治 療 により 症 状 は 軽 快 し1ヶ 月<br />

後 に 一 旦 退 院 。 約 4ヶ 月 の 経 過 観 察 にて 腫 瘍 は 明 らかに 縮 小 し 約 1.8cm<br />

大 の 腫 瘍 のみが 遺 残 する 状 況 となった。 腹 痛 症 状 はSPTからの 出 血 に<br />

より 見 かけ 上 腫 瘍 径 が 一 時 的 に 増 大 したためと 判 断 し、 根 治 的 治 療 を<br />

目 的 に9 月 に 温 存 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 上 、 腫 瘤 は 黄 色<br />

調 の 充 実 性 部 分 を 主 体 として 内 部 に 出 血 性 壊 死 を 含 み、 一 部 に 被 膜 を<br />

有 していた。 病 理 組 織 学 的 検 査 では 卵 円 形 核 と 淡 好 酸 性 胞 体 を 有 する<br />

腫 瘍 細 胞 の 胞 巣 状 ・ 索 状 増 殖 を 認 め、 核 分 裂 像 はほとんど 見 られなかっ<br />

た。 免 疫 組 織 学 的 検 査 ではβ-catnin、Cytokeratin、CD56が 陽 性 、<br />

Synaptophysin、Chromograninが 弱 陽 性 であり、SPTと 診 断 された。<br />

術 後 経 過 は 良 好 であり、 第 11 日 目 に 退 院 した。 術 後 3ヶ 月 の 現 在 、 明<br />

らかな 再 発 傾 向 を 認 めていない。【 考 察 】SPTは 若 年 女 性 に 好 発 する<br />

まれな 腫 瘍 であり、 予 後 は 比 較 的 良 好 とされる。 特 に 小 児 に 発 症 した<br />

場 合 、 機 能 温 存 のため 縮 小 手 術 を 考 慮 する 必 要 があるが、10 年 以 上 経<br />

過 後 に 再 発 を 認 める 症 例 もあり、 長 期 の 経 過 観 察 が 必 要 と 思 われた。<br />

P28-4 肝 転 移 を 認 めた 膵 Solid-Pseudopapillarytumorの1<br />

切 除 例<br />

静 岡 県 立 総 合 病 院 外 科<br />

○… 野 村 明 芳 , 大 場 範 行 , 西 岡 裕 次 郎 , 渡 邊 貴 洋 , 京 田 有 介 ,<br />

高 木 正 和 , 伊 関 丈 治<br />

症 例 は40 歳 女 性 で、 心 窩 部 不 快 感 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し、 膵 頭 部 に<br />

40mm 大 の 石 灰 化 を 伴 う 嚢 胞 性 腫 瘤 を 指 摘 された。 膵 Solidpseudopapillary…Tumor(SPT)<br />

疑 いとして 精 査 目 的 に 当 院 へ 紹 介 と<br />

なった。 腹 部 造 影 CTでは 遅 延 相 で 淡 く 造 影 され、 境 界 明 瞭 で 辺 縁 部<br />

優 位 に 粗 大 な 石 灰 化 があり、 内 部 は 不 均 一 で 一 部 出 血 を 認 めた。また<br />

肝 S4、7、8に 計 4 個 の 低 吸 収 の 腫 瘤 を 認 めた。MRIでは 膵 頭 部 に 嚢 胞<br />

性 腫 瘤 を 認 め、 内 部 はT1 強 調 画 像 で 高 信 号 、T2 強 調 画 像 で 低 信 号 で<br />

ある 部 分 を 認 めることより 腫 瘍 内 出 血 が 示 唆 された。 肝 内 はCTと 同<br />

部 位 に 充 実 性 成 分 を 含 んだ 嚢 胞 性 腫 瘤 を 認 めた。FDG-PETでは 膵 頭<br />

部 にSUVmax14のFDG 集 積 を 認 めた。 術 前 診 断 は 膵 SPT、 多 発 肝 転<br />

移 とし、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 、 肝 4/5 部 分 切 除 術 、S8 亜<br />

区 域 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 検 体 の 病 理 組 織 は 出 血 壊 死 を 伴 う 嚢 胞 状<br />

腫 瘍 で 小 型 から 中 型 の 類 円 形 の 核 と 好 酸 性 胞 体 を 持 ち、 充 実 性 、 偽 乳<br />

頭 状 に 増 殖 する 所 見 を 認 めた。 肝 S4/5、8も 膵 と 同 様 の 組 織 像 であ<br />

ることから、 肝 転 移 を 有 した 膵 SPTと 診 断 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 第<br />

20 病 日 に 退 院 した。 膵 SPTのWHO 膵 外 分 泌 腫 瘍 における 悪 性 度 とし<br />

ては、borderlineのカテゴリーに 分 類 されている。 臨 床 的 には 低 悪 性<br />

度 であることが 多 く、 肝 転 移 などの 遠 隔 転 移 をきたす 悪 性 度 の 高 いも<br />

のは 比 較 的 頻 度 が 低 い。 今 回 肝 転 移 を 認 めた1 切 除 例 を 経 験 したため、<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P28-5 超 音 波 内 視 鏡 下 生 検 でのimplantationが 原 因 と 思 われ<br />

る 膵 solid-pseudopapillaryneoplasm 再 発 の1 切 除<br />

例<br />

小 牧 市 民 病 院 外 科<br />

○… 高 見 秀 樹 , 谷 口 健 次<br />

症 例 は36 歳 女 性 。12 歳 時 に 膵 腫 瘍 に 対 して 腫 瘍 核 出 術 を 施 行 され、 病<br />

理 検 査 でsolid-pseudopapillary……neoplasm( 以 下 、SPN)と 診 断 されて<br />

いる。29 歳 時 、 腹 痛 の 精 査 で 膵 頭 部 の 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 された。 経 過<br />

観 察 されていたが、 充 実 性 部 分 の 出 現 と 増 大 傾 向 を 認 めたため、 超 音<br />

波 内 視 鏡 ( 以 下 、EUS) 下 生 検 が 施 行 された。 生 検 の 結 果 、SPN 再 発 と<br />

診 断 、31 歳 時 に 切 除 術 を 行 うことになった。この 女 性 は 画 像 上 膵 体 尾<br />

部 欠 損 症 の 状 態 であり、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 により 膵 臓 が 温 存 できな<br />

い 事 情 があったため、 膵 腫 瘍 の 核 出 術 を 目 指 すこととした。 幸 い 正 常<br />

膵 臓 との 境 界 は 明 瞭 であり、 総 胆 管 は 腫 瘍 に 巻 き 込 まれていたため 合<br />

併 切 除 を 要 したが、 膵 頭 部 は 温 存 する 形 で 径 5cm 大 の 腫 瘍 を 摘 出 しえ<br />

た。 病 理 組 織 検 査 で20 年 前 の 膵 腫 瘍 と 同 一 の 所 見 と 考 えられ、SPNの<br />

再 発 と 診 断 した。 以 後 外 来 で 経 過 観 察 していたが、36 歳 時 に 上 部 内 視<br />

鏡 検 査 で 十 二 指 腸 球 後 部 に 潰 瘍 を 伴 う 粘 膜 下 腫 瘍 様 の 病 変 を 認 め、 生<br />

検 でSPNの 再 発 と 診 断 された。EUSでは 径 16mm 大 、 頂 部 にびらん・<br />

陥 凹 を 認 める 内 部 均 一 な 低 エコーの 腫 瘍 であり、CT、MRIでは 腫 瘍<br />

は 十 二 指 腸 壁 に 位 置 しているものの、 膵 頭 部 との 境 界 は 同 定 可 能 で<br />

あった。SPN 再 再 発 として、 腫 瘍 と 膵 臓 との 剥 離 が 可 能 であれば 十 二<br />

指 腸 部 分 切 除 術 、 剥 離 不 能 であれば 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 予 定 術 式 と<br />

して 手 術 を 行 った。 術 中 所 見 で 腫 瘍 は 十 二 指 腸 壁 に 存 在 し、 近 接 する<br />

膵 臓 とは 境 界 明 瞭 で 剥 離 可 能 であった。 胃 十 二 指 腸 部 分 切 除 術 を 施 行<br />

し、 胃 空 腸 吻 合 術 で 再 建 した。 病 理 検 査 で、SPNは 十 二 指 腸 壁 内 に 限<br />

局 しており、 脈 管 浸 潤 は 認 めなかった。 腫 瘍 の 局 在 から、 前 回 手 術 の<br />

前 に 行 われたEUS 下 生 検 の 際 に、 十 二 指 腸 壁 内 にimplantationをおこ<br />

し、 再 発 を 来 したものと 考 えられた。 術 後 経 過 は 良 好 で、 術 後 5か 月<br />

時 点 では 再 発 所 見 は 認 めていないが、 今 後 長 期 にわたる 経 過 観 察 が 必<br />

要 と 考 えている。 今 回 SPNに 対 するEUS 下 生 検 が 原 因 と 思 われる 再 発<br />

に 対 し、 胃 十 二 指 腸 部 分 切 除 術 で 切 除 しえた 症 例 を 経 験 したので、 文<br />

献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-364-


P28-6 術 後 7 年 経 過 して 発 症 したSolid-pseudopapillary<br />

neoplasm 肝 転 移 の1 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 坂 本 照 尚 , 加 藤 祐 一 郎 , 後 藤 田 直 人 , 高 橋 進 一 郎 ,<br />

小 西 大 , 木 下 平<br />

SPN(solid-papillary…neoplasm)は 稀 な 膵 上 皮 性 腫 瘍 に 異 論 はなく、 膵<br />

外 分 泌 腫 瘍 のおよそ1-2%を 占 めるとされる。ほとんどの 場 合 で 切 除<br />

によって 治 癒 が 得 られるも、 再 発 をきたす 症 例 が 散 見 される。 今 回 我 々<br />

は、SPNに 対 し 膵 体 尾 部 切 除 施 行 後 7 年 経 過 したのちに 出 現 した 肝 転<br />

移 症 例 を 経 験 したので、 当 院 で 経 験 したSPNの 臨 床 病 理 学 的 検 討 を 含<br />

めて 報 告 する。【 症 例 】60 歳 女 性 【 現 病 歴 】2004 年 膵 体 部 に 発 生 した<br />

5cm 超 の 膵 腫 瘍 に 対 し 膵 体 尾 部 切 除 術 が 施 行 された。 病 理 組 織 学 所 見<br />

は 石 灰 化 を 伴 う 赤 褐 色 から 灰 白 調 を 呈 する 充 実 性 腫 瘍 で 異 型 核 と 好 酸<br />

性 胞 体 を 有 する 腫 瘍 細 胞 が 充 実 胞 巣 や 乳 頭 状 に 増 殖 を 示 しSPNと 病 理<br />

診 断 された。2011 年 経 過 CTにて 肝 S7に 腫 瘍 性 病 変 を 指 摘 され、 精 査<br />

加 療 目 的 に 当 科 入 院 となった。【 画 像 】 造 影 Dynamic…CTでは 肝 S7に<br />

多 発 する 最 大 40mmの 動 脈 相 から 平 衡 相 にかけて 内 部 不 均 一 に 淡 く 造<br />

影 される 類 円 形 腫 瘍 が 認 められた。MRIでも 同 様 の 所 見 を 呈 しEOB<br />

の 取 り 込 みは 認 めなかった。USでは 境 界 明 瞭 な 内 部 不 均 一 な 高 エコー<br />

腫 瘤 として 描 出 された。【 経 過 】 臨 床 経 過 よりSPNの 肝 転 移 に 矛 盾 し<br />

ないと 判 断 し、 肝 後 区 域 切 除 術 が 施 行 された。 術 後 18 日 目 に 軽 快 退 院<br />

した。【 病 理 】 暗 赤 色 調 を 主 体 とする38mm 大 の 充 実 性 腫 瘍 で 好 酸 性<br />

胞 体 に 富 む 多 稜 形 細 胞 が 偽 乳 頭 状 配 列 をなして 増 殖 する 形 態 をとり、<br />

SPNの 肝 転 移 と 最 終 診 断 された。【 考 察 】 当 院 開 院 から2011 年 11 月 ま<br />

での 膵 切 除 526 例 中 SPNと 診 断 されのは16 例 ( 約 3%)であった。 平 均 腫<br />

瘍 径 は41.2mmで、16 例 中 7 例 に 組 織 学 的 に 浸 潤 所 見 を 認 めた。いずれ<br />

の 症 例 もリンパ 節 転 移 は 認 めなかった。 全 例 生 存 しているが、 本 症 例<br />

を 含 め2 例 (12.5%)に 再 発 を 認 めた。 本 症 例 以 外 の 再 発 例 は 縮 小 手 術 と<br />

して 核 出 術 が 選 択 され、8 年 後 に 局 所 再 発 している。いずれの 症 例 も<br />

再 切 除 後 の 再 々 発 を 認 めずに 良 好 に 経 過 している。SPNは10 年 以 上 経<br />

ても 再 発 を 認 める 報 告 が 見 られることと、 当 院 の 再 発 した2 症 例 の 経<br />

過 から 長 期 followが 望 ましく、また 良 好 な 成 績 が 期 待 できるため、 再<br />

発 例 に 対 して 積 極 的 に 再 切 除 を 選 択 すべきと 考 えられた。<br />

P28-7 当 科 で 経 験 した 膵 soild-peudopapillarytumor(SPT)<br />

切 除 症 例 の 検 討<br />

市 立 札 幌 病 院 外 科<br />

○… 大 島 隆 宏 , 三 澤 一 仁 , 奥 田 耕 司<br />

膵 soild-peudopapillary…tumor…( 以 下 ,SPT)は, 若 年 女 性 に 発 症 す<br />

る 比 較 的 予 後 良 好 な 疾 患 とされてきたが, 近 年 , 他 臓 器 転 移 や 局 所 再<br />

発 などの 悪 性 の 経 過 を 示 す 報 告 例 が 増 加 しており, 厳 重 な 経 過 観 察 が<br />

必 要 である. 当 院 で 切 除 したSPT 症 例 5 例 について 検 討 した. 症 例 は,<br />

いずれも 女 性 で 年 齢 は21-49 歳 ( 平 均 41 歳 )であった. 発 生 部 位 は 膵 鈎<br />

部 / 膵 頭 部 が2 例 , 膵 体 部 が2 例 , 膵 尾 部 が1 例 であった. 自 覚 症 状 があっ<br />

たのは2 例 で, 黄 疸 1 例 と 背 部 痛 1 例 であった.…2 例 は 自 覚 症 状 なく 検<br />

診 等 で 発 見 された.1 例 は 症 状 の 有 無 が 不 明 であった. 術 前 診 断 し<br />

得 たのは1 例 で, 画 像 所 見 とFNAによるものであった.2 例 では 術 前<br />

に 膵 癌 を 強 く 疑 った.1 例 は 術 中 迅 速 病 理 で 確 定 診 断 し, 縮 小 手 術 が<br />

可 能 となった.1 例 は 大 網 転 移 摘 出 が 先 行 され, 大 網 転 移 の 病 理 組 織<br />

所 見 と 画 像 所 見 から 臨 床 的 に 診 断 された. 術 式 は 各 症 例 で 異 なり,<br />

核 出 術 ,PD,PpPD,DP, 膵 横 断 切 除 であった. 大 網 転 移 を 起 こした<br />

症 例 以 外 の4 例 で 転 移 再 発 はない. 観 察 期 間 は9~130ヶ 月 , 平 均 70ヶ<br />

月 で, 全 例 無 再 発 生 存 中 である. 膵 SPTに 対 しては, 確 実 な 切 除 が<br />

要 求 される 一 方 で, 症 例 に 応 じた 低 侵 襲 な 術 式 が 望 まれる.また, 厳<br />

重 な 術 後 経 過 観 察 が 必 要 である.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P28-8 高 齢 女 性 のSolid-Pseudopapillaryneoplasmの1 例<br />

JA 静 岡 厚 生 連 遠 州 病 院 外 科<br />

○… 田 畑 光 紀 , 鈴 木 正 彦 , 鷲 津 潤 爾 , 浅 羽 雄 太 郎 , 宇 治 誠 人 ,<br />

鳥 居 翔 , 水 上 泰 延<br />

症 例 は74 歳 女 性 。2 型 糖 尿 病 と 慢 性 腎 不 全 療 のため 当 院 内 科 に 通 院 中 、<br />

腹 部 腫 瘤 を 触 知 、 軽 度 圧 痛 を 認 めた。 腹 部 エコーにて 辺 縁 明 瞭 内 部 不<br />

均 一 な10cm 大 の 腫 瘍 を 認 めた。 腹 部 造 影 CTにて 上 腸 間 膜 動 脈 左 腹 側<br />

に113×90×104mmの 造 影 効 果 が 弱 い 腫 瘍 を 認 め、 内 部 は 大 部 分 が 壊<br />

死 様 、 一 部 に 出 血 壊 死 様 の 高 吸 収 域 であった。 内 部 隔 壁 と 充 実 性 部 分<br />

も 認 めた。 周 囲 臓 器 を 圧 排 性 に 増 殖 、 膵 体 部 との 境 界 も 明 瞭 であった。<br />

腹 部 MRIではT1で 高 信 号 の 出 血 壊 死 様 部 分 とT2で 軽 度 高 信 号 の 充 実<br />

性 領 域 を 認 めた。 主 膵 管 の 拡 張 は 認 めなかった。 腹 部 血 管 撮 影 では 腹<br />

腔 動 脈 から 腫 瘤 辺 縁 に 軽 度 の 造 影 を 認 めた。 非 機 能 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 、<br />

Solid-Pseudopapillary…neoplasm(SPN)、またGISTや 血 管 肉 腫 などの<br />

後 腹 膜 腫 瘍 を 考 え、 開 腹 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 所 見 で 腫 瘍 は 膵 体 部<br />

と 連 続 しており、 膵 体 尾 部 脾 臓 合 併 切 除 術 を 施 行 した。 腫 瘍 内 部 は 大<br />

部 分 が 血 液 成 分 で 腫 瘍 辺 縁 に 充 実 部 分 を 認 めた。 病 理 組 織 学 的 に 充 実<br />

性 部 分 では 不 整 のある 類 円 形 の 核 をもつ 低 円 柱 上 細 胞 からなり、 血 管<br />

を 芯 とした 偽 乳 頭 状 配 列 を 示 しておりSPNと 診 断 した。 術 後 経 過 良 好<br />

で2 年 間 再 発 無 く 経 過 している。SPNは 若 年 女 性 に 好 発 する 充 実 性 病<br />

変 に 嚢 胞 状 変 化 をきたす 膵 腫 瘍 として 一 般 的 に 認 知 されているが 男 性<br />

例 や 充 実 成 分 のみ 報 告 例 も 散 見 される。 本 症 例 は 高 齢 女 性 であり 術 前<br />

診 断 に 難 渋 した。 吉 田 らの302 例 の 報 告 では70 歳 以 上 の 女 性 のSPTは7<br />

例 (2.3%)と 比 較 的 まれである。 高 齢 であっても 嚢 胞 性 変 化 を 伴 う 腹<br />

部 腫 瘍 ではSPTも 鑑 別 診 断 として 重 要 である。<br />

P28-9 術 前 診 断 に 超 音 波 ガイド 下 生 検 を 要 した 膵 Solid<br />

PseudopapillaryTumor(SPC)の1 例<br />

横 浜 栄 共 済 病 院<br />

○… 渡 邊 透 , 内 田 恒 之 , 澤 田 幸 一 郎 , 平 沼 知 加 氏 , 加 藤 秀 明 ,<br />

細 川 治<br />

膵 Solid…Pseudopappilary…Tumor( 以 下 SPT)は 比 較 的 まれで 若 年 女 性<br />

に 多 い、 膵 腫 瘍 で 低 悪 性 度 な 腫 瘍 と 考 えられている。 術 前 に 画 像 診 断<br />

で 難 渋 し、 超 音 波 下 生 検 で 診 断 した 膵 頭 部 SPT 症 例 を 報 告 する。 症 例<br />

は20 歳 代 , 女 性 . 既 往 にてんかん,パニック 障 害 あり 内 服 中 .2011 年<br />

6 月 中 旬 より 食 欲 不 振 を 認 めた、 嘔 吐 なし, 体 重 減 少 なし. 前 医 受 診<br />

時 し 腹 部 超 音 波 検 査 で 膵 に 腫 瘤 性 病 変 を 認 め, 精 査 加 療 目 的 に 当 院 紹<br />

介 となった. 来 院 時 の 身 体 所 見 では 右 季 肋 部 中 心 に 手 拳 大 の 腫 瘤 を 触<br />

知 した、 圧 痛 なし. 表 在 リンパ 節 の 腫 脹 触 知 はなかった。 血 液 検 査 デー<br />

タでは、 貧 血 なく 肝 腎 機 能 等 の 異 常 はなく、 各 腫 瘍 マーカーみ 正 常 範<br />

囲 内 であった。 腹 部 造 影 CT 検 査 所 見 : 膵 頭 部 に 境 界 明 瞭 な 径 76mm<br />

大 の 充 実 性 腫 瘤 を 認 めた、 造 影 効 果 は 均 一 でなく、 周 囲 への 浸 潤 傾 向<br />

はなかった. 肝 肺 などへの 転 移 や 周 囲 リンパ 節 の 腫 大 の 所 見 はなかっ<br />

た。 腹 部 MRIではT1 脂 肪 抑 制 像 では 境 界 明 瞭 なやや 分 葉 状 の 低 信 号<br />

腫 瘤 がみられ 内 部 は 比 較 的 均 一 であった。T2では 比 較 的 均 一 高 信 号<br />

な 腫 瘤 であった。MRCPでは 膵 管 、 胆 管 の 圧 迫 所 見 がみられた。Ga<br />

シンチでは 著 明 な 集 積 像 を 示 した。 悪 性 リンパ 腫 との 鑑 別 が 問 題 とな<br />

り、 超 音 波 ガイド 下 腫 瘍 生 検 を 行 い、SPTと 診 断 した。 手 術 は 腫 瘍 は<br />

大 きく、 膵 実 質 と 強 固 に 癒 合 し 核 出 術 はできず. 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 を 施 行 した. 病 理 組 織 学 的 には 小 型 立 方 状 の 均 一 な 腫 瘍 細<br />

胞 が 充 実 性 , 偽 乳 頭 状 増 殖 を 示 し, 腫 瘍 は 膵 実 質 への 浸 潤 傾 向 を 認 め<br />

た. 免 疫 染 色 の 結 果 とあわせSPT… の 診 断 であった. 術 後 は 順 調 に 経<br />

過 し、 第 29 病 日 に 退 院 となった.… 本 症 例 では 術 前 画 像 所 見 がSPTと<br />

しては 典 型 的 でなく、 腫 瘍 占 拠 部 位 も 膵 頭 部 のため 術 前 診 断 をより 正<br />

確 に 行 うために 生 検 が 有 効 であった。<br />

-365-


P29-1 小 児 に 発 生 した 膵 腺 房 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

福 井 大 学 第 一 外 科<br />

○… 森 川 充 洋 , 小 練 研 司 , 村 上 真 , 飯 田 敦 , 片 山 寛 次 ,<br />

山 口 明 夫<br />

今 回 , 小 児 に 発 症 した 膵 腺 房 細 胞 癌 の1 切 除 例 を 経 験 した. 非 常 に 稀<br />

な 疾 患 と 考 えられ 若 干 の 文 献 的 考 察 を 含 め 報 告 する. 症 例 は12 歳 女 性 .<br />

運 動 時 に 上 腹 部 痛 が 出 現 し 紹 介 医 を 受 診 した.CTにて17cm 大 の 巨 大<br />

な 腫 瘤 を 腹 腔 内 に 認 め 精 査 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 となった.CT,MRI 上 ,<br />

膵 頭 部 後 面 あるいは 右 腎 前 傍 腔 を 中 心 に 肝 下 面 から 右 腹 腔 内 を 占 拠 す<br />

る17x17x12cmの 境 界 明 瞭 , 辺 縁 整 な 腫 瘍 性 病 変 を 認 めた. 内 部 は<br />

heterogeneousでcystic…potionを 伴 い,solid…lesionは 造 影 で 不 均 一 に<br />

造 影 された. 胆 管 , 膵 管 の 拡 張 なく, 十 二 指 腸 は 外 側 に 圧 排 されてい<br />

たが 閉 塞 症 状 は 認 められなかった. 大 腸 , 小 腸 は 腫 瘍 の 圧 排 により 左<br />

側 に 大 きく 変 位 しており, 右 尿 管 の 拡 張 は 認 めなかった. 他 臓 器 の 転<br />

移 はCT 上 確 認 されず,PETでも 認 められなかった. 以 上 より, 膵 頭<br />

部 後 面 , 右 腎 前 傍 腔 を 首 座 とする 後 腹 膜 腫 瘍 ( 未 熟 奇 形 腫 等 )を 疑 い,<br />

膵 頭 部 腫 瘍 (solid-pseudopapillary…tumor 等 )を 鑑 別 診 断 とし, 手 術 を<br />

施 行 した. 術 中 所 見 では, 他 の 臓 器 に 浸 潤 を 認 めず, 腫 瘍 は 膵 頭 部 と<br />

の 剥 離 が 不 能 であり, 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した. 術<br />

後 は 合 併 症 なく32 病 日 退 院 した. 病 理 の 結 果 , 膵 頭 部 から 発 生 した<br />

Acinar…cell…carcinomaと 診 断 され, 膵 癌 取 り 扱 い 規 約 に 準 じて,Ph,TS4<br />

(19cm),nodular… type,T3,CH(-),DU(-),S(-),RP(-),A(-),PL(-),OO<br />

(-),N0,M0,stageIIIと 最 終 診 断 した. 現 在 , 術 後 4ヶ 月 無 再 発 生 存 中 で<br />

ある. 膵 腺 房 細 胞 癌 は 膵 癌 の 中 でも 約 0.5%と 発 症 頻 度 は 低 く,さら<br />

に 小 児 での 報 告 は 海 外 報 告 例 を 含 めて 非 常 に 稀 である. 医 中 誌 での 本<br />

邦 での 小 児 の 報 告 例 はなく,PubMedで 検 索 し 得 る 本 邦 からの 報 告 も<br />

2 例 のみである.<br />

P29-2 進 行 胃 癌 と 進 行 膵 癌 の 重 複 癌 と 考 えられた2 切 除 例<br />

春 日 井 市 民 病 院<br />

○… 宮 田 雅 弘 , 山 口 竜 三 , 渡 邊 真 哉 , 會 津 恵 司 , 栗 田 賢 二 ,<br />

馬 場 泰 輔<br />

【はじめに】 胃 と 膵 に 同 時 に 進 行 癌 を 認 めた 場 合 、 重 複 癌 か、 転 移 か<br />

を 鑑 別 することは 化 学 療 法 の 選 択 など、 臨 床 上 、 重 要 である。 鑑 別 の<br />

補 助 診 断 として 免 疫 組 織 化 学 染 色 ( 以 下 、 免 疫 染 色 )を 行 い、 進 行 胃 癌<br />

と 膵 癌 の 同 時 性 重 複 癌 と 考 えた2 切 除 例 を 報 告 する。【 症 例 】 症 例 1:<br />

79 歳 、 男 性 。 主 訴 は 上 腹 部 痛 。 内 視 鏡 検 査 で 胃 体 下 部 後 壁 に2 型 進 行<br />

胃 癌 を 認 めた。 造 影 CTでは、 胃 腫 瘍 と 連 続 のない 膵 体 部 の12mm 大<br />

の 造 影 効 果 に 乏 しい 腫 瘤 性 病 変 認 め、 総 肝 動 脈 、 左 胃 動 脈 、 脾 動 脈 に<br />

浸 潤 を 認 めた。MRCPでは 膵 尾 部 の 膵 管 拡 張 を 認 めた。 以 上 より 胃 癌 、<br />

膵 癌 の 重 複 癌 を 疑 い、 胃 全 摘 術 +DP-CARを 施 行 した。 術 後 肺 炎 を 併<br />

発 したが23POD 退 院 した。 病 理 組 織 学 的 所 見 は 胃 病 変 は 高 分 化 型 腺 癌 、<br />

MP、N0、StageIB、 膵 病 変 は 管 状 腺 癌 中 分 化 型 、T4、N0、StageIVa。<br />

術 後 4カ 月 で 再 発 死 した。 症 例 2:73 歳 、 女 性 。 主 訴 は 食 事 のつかえ 感 。<br />

内 視 鏡 検 査 で 胃 噴 門 部 に2 型 進 行 胃 癌 を 認 めた。 造 影 CTでは、 胃 周 囲<br />

にリンパ 節 腫 大 を 認 めた 他 、 胃 腫 瘍 との 連 続 なく 膵 体 部 に12mm 大 の<br />

造 影 効 果 に 乏 しい 腫 瘤 性 病 変 認 め、 尾 側 の 主 膵 管 の 拡 張 を 伴 っていた。<br />

ERCPでは、 膵 体 部 で 主 膵 管 の 途 絶 を 認 めた。 術 前 は、 重 複 癌 、 膵 転<br />

移 の 鑑 別 はつかなかったが、 胃 全 摘 、 膵 体 尾 部 、 脾 切 除 術 を 施 行 した。<br />

経 過 良 く12POD 退 院 。 病 理 組 織 学 的 所 見 は 胃 病 変 は 高 分 化 型 腺 癌 、<br />

T4a(SE)、N3a、StageIIIC、 膵 病 変 は 管 状 腺 癌 高 分 化 型 、T1( 径<br />

18mm)、N0、StageIであった。S1 内 服 をしたが、 副 作 用 のため 中 止 し、<br />

術 後 7カ 月 の 現 在 、 経 過 観 察 中 である。 症 例 1、2とも 組 織 学 的 所 見 に<br />

加 え、CK7,CK20,villin,CA19-9に 対 する 免 疫 染 色 パターンの 相 違 を 補<br />

助 に 重 複 癌 と 診 断 した。【 結 語 】 進 行 胃 癌 と 進 行 膵 癌 の 重 複 癌 の 切 除<br />

例 の 報 告 は 少 ない。 診 断 の 一 助 に 免 疫 染 色 を 用 い、 重 複 癌 と 診 断 した<br />

2 例 を 経 験 した。<br />

P29-3 肺 腺 扁 平 上 皮 癌 と 膵 頭 部 癌 の 同 時 性 重 複 癌 の1 例<br />

岐 阜 大 学 医 学 部 高 度 先 進 外 科<br />

○… 関 野 誠 史 郎 , 木 村 真 樹 , 村 瀬 勝 俊 , 関 野 考 史<br />

症 例 は74 歳 男 性 。 胸 部 不 快 感 を 主 訴 に 受 診 し、 血 液 検 査 で 胆 道 系 酵 素<br />

の 上 昇 を 認 めたため、 腹 部 CTを 施 行 したところ、 肝 内 胆 管 ・ 総 胆 管<br />

にかけて 拡 張 を 認 め、 胆 管 壁 の 不 整 な 壁 肥 厚 と 造 影 効 果 を 認 めた。ま<br />

た 主 膵 管 の 軽 度 拡 張 を 認 め 膵 頭 部 周 囲 の 脂 肪 織 の 軽 度 濃 度 上 昇 を 認 め<br />

た。ERCPでは 乳 頭 から16mmの 下 部 胆 管 に6mmの 狭 窄 があり、その<br />

上 流 の 胆 管 拡 張 を 認 めた。EUSにて 膵 頭 部 に18.6x13.4mmの 不 整 な 低<br />

エコー 領 域 を 認 め、FNAを 施 行 したところadenocarcinomaと 診 断 さ<br />

れた。また 胸 部 CT 検 査 では 左 肺 尖 部 に18x12mmの 胸 膜 陥 入 像 をとも<br />

なった 不 整 結 節 を 認 め、TBLBではadenosquamous…cell…carcinomaと<br />

診 断 された。 下 部 胆 管 癌 + 左 上 葉 原 発 性 肺 癌 の 診 断 で 亜 全 胃 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 + 胸 腔 鏡 下 肺 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 所 見 では 膵<br />

頭 部 を 首 座 に 下 部 胆 管 まで 及 ぶ 異 型 腺 管 の 浸 潤 増 殖 を 認 め、 胆 管 の 一<br />

部 のみに 腫 瘍 が 露 出 するが、 膵 管 内 に 病 変 が 広 範 に 及 ぶため 浸 潤 性 膵<br />

管 癌 と 診 断 さ れ た。Tubular…adenocarcinoma,moderately…<br />

differentiated… type,pT3,int,INFγ,ly1,v1,ne2,mpd(+),pCH(+),pDU<br />

(-),pS(+),pRP(+),pPV(-),pA(-),pPL(-),pOO(-),pPCM(-),pBCM<br />

(-),pDPM( ‐ ),pN0,stage…IIIであった。 肺 病 変 はTTF-1 陽 性 で 肺 原 発<br />

のadenosquamous…cell…carinomaと 診 断 された。 術 後 合 併 症 はみられ<br />

ず 術 後 37 日 目 に 退 院 した。 現 在 術 後 1 年 経 過 し、 腰 椎 再 発 をきたして<br />

いるが、 外 来 で 経 過 観 察 中 である。 肺 癌 と 膵 癌 の 同 時 性 重 複 例 は 稀<br />

であり、その 治 療 法 に 確 立 したものはないが、 今 回 われわれは 本 症 例<br />

に 対 し、 肺 病 変 と 膵 病 変 の1 期 的 切 除 を 施 行 し、 文 献 的 考 察 を 含 め 報<br />

告 する。<br />

P29-4 膵 癌 肺 転 移 の2 切 除 例<br />

大 垣 市 民 病 院 外 科<br />

○… 米 川 佳 彦 , 磯 谷 正 敏 , 金 岡 祐 次 , 亀 井 桂 太 郎 , 前 田 敦 行 ,<br />

高 山 祐 一 , 奥 野 正 隆 , 砂 川 真 輝 , 大 内 晶<br />

【はじめに】 膵 癌 肺 転 移 の2 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 1】<br />

52 歳 , 男 性 .2006 年 1 月 に 膵 癌 に 対 して 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 を 施 行 した. 病 理 所 見 はtub1,…pT3N1M0…Stage…IIB…(UICC)で 術 後<br />

補 助 化 学 療 法 は 行 なわなかった.54ヶ 月 後 の 胸 部 CTで 右 肺 S2,S6に 最<br />

大 径 22mmの 結 節 影 を2 箇 所 認 めた. 生 検 の 結 果 は 腺 癌 で 膵 癌 の 肺 転<br />

移 と 原 発 性 肺 癌 の 鑑 別 が 困 難 であり, 右 上 葉 切 除 術 および 右 S6 区 域<br />

切 除 術 を 施 行 した. 組 織 学 的 にはTTF-1は 陰 性 で 膵 癌 の 肺 転 移 と 診 断<br />

した. 術 後 補 助 化 学 療 法 としてゲムシタビン(1000mg/m …2… )を6コース<br />

投 与 したが10ヶ 月 で 脳 転 移 を 認 め, 肺 切 除 後 12ヶ 月 ( 膵 切 除 後 68ヶ 月 )<br />

に 原 病 死 した.【 症 例 2】79 歳 , 女 性 .2009 年 4 月 に 膵 癌 に 対 して 膵 体<br />

尾 部 脾 切 除 術 , 左 副 腎 合 併 切 除 を 施 行 した. 病 理 所 見 は<br />

por1,pT3N1M0…Stage…IIB(UICC)で 術 後 補 助 化 学 療 法 としてゲムシタ<br />

ビ ン(1000mg/m …2… )を6コース 投 与 した.20ヶ 月 後 の 胸 部 CTで 右 肺<br />

S2,S3,S8に 最 大 径 14mmの 結 節 影 を4 箇 所 認 めた. 膵 癌 の 肺 転 移 と 原 発<br />

性 肺 癌 の 鑑 別 は 困 難 であり 胸 腔 鏡 下 右 肺 部 分 切 除 術 を 施 行 した. 組 織<br />

学 的 には 膵 癌 の 肺 転 移 として 合 致 する 組 織 像 と 判 断 した. 肺 切 除 後 の<br />

補 助 化 学 療 法 は 本 人 の 希 望 もあり 行 なっていない. 肺 切 除 後 6ヶ 月 ( 膵<br />

切 除 後 31ヶ 月 )の 現 在 , 無 再 発 生 存 中 である.【まとめ】 膵 癌 の 肺 転 移<br />

と 診 断 された 場 合 , 通 常 手 術 適 応 はないと 考 えられるが 原 発 性 肺 癌 と<br />

の 鑑 別 が 困 難 で 腹 腔 内 病 変 を 認 めなかったため 手 術 適 応 とした. 肺 転<br />

移 合 併 でも6~10ヶ 月 の 無 再 発 生 存 期 間 が 得 られており 積 極 的 切 除 も<br />

一 選 択 肢 である.<br />

-366-


P29-5 PancreaticGrooveCarcinoma(PGC)は 特 殊 な 膵 癌<br />

か<br />

日 立 総 合 病 院<br />

○… 上 田 和 光 , 酒 向 晃 弘 , 丸 山 常 彦<br />

Groove 領 域 に 浸 潤 するPGCはGabataらが2003 年 に 報 告 した 比 較 的 新<br />

しい 概 念 の 膵 癌 である。 主 な 症 状 は 十 二 指 腸 狭 窄 や 胆 管 狭 窄 であり、<br />

通 常 型 膵 管 癌 にみられる 主 膵 管 の 拡 張 はみられないことが 多 く、その<br />

ため 術 前 診 断 で 十 二 指 腸 癌 や 下 部 胆 管 癌 、Groove…pancreatitisとの 鑑<br />

別 が 困 難 な 場 合 がある。しかし 副 膵 管 やdorsal…pancreasから 発 生 し<br />

た 膵 癌 との 明 確 な 区 別 がなされていないこともあり、その 臨 床 像 と 治<br />

療 法 ( 術 式 )、 病 理 所 見 、 再 発 形 式 などを 検 討 した 報 告 は 少 ない。 今 回<br />

自 験 例 3 例 を 含 む38 例 の 文 献 的 考 察 を 行 った。 平 均 年 齢 62 歳 、 男 性 / 女<br />

性 17/21 例 、 基 礎 疾 患 (DM、 嚢 胞 、 膵 炎 )との 関 連 性 は 低 い。 胆 管 拡<br />

張 27 例 (71%)、 十 二 指 腸 狭 窄 32 例 (84%)、 主 膵 管 非 拡 張 20 例 (53%)。<br />

CTでは22 例 (58%)に 腫 瘤 像 として 指 摘 され18 例 にenhance 効 果 がみ<br />

られた。 術 前 PGCと 診 断 されたのは11 例 (29%)、 十 二 指 腸 癌 13 例 、 下<br />

部 胆 管 癌 4 例 であった。 治 療 は(PpPD、SSpPD 含 む)PDが33 例 に 施 行<br />

された。 病 理 所 見 はT3/4:…16/6 例 ( 膵 頭 神 経 叢 浸 潤 …5 例 )。N0/1/2:…<br />

6/7/4 例 、 組 織 型 tub1/2:… 13/12 例 、Stage… I/II/III/IV(a/b):…<br />

1/2/14/11…(5/6) 例 、 不 明 10 例 であった。 記 載 がある 再 発 形 式 は11 例<br />

中 5 例 ( 肝 2 例 、PALN1 例 、 肺 1 例 、 不 明 1 例 )。 以 上 よりPGCは 発 生 部<br />

位 に 特 殊 性 がある 他 には 通 常 型 の 浸 潤 性 膵 管 癌 と 明 らかな 差 異 はみら<br />

れなかった。しかし 術 前 診 断 で 十 二 指 腸 癌 や 胆 管 癌 のもとにPDを 行<br />

うと 膵 頭 神 経 叢 の 廓 清 が 不 十 分 となる 可 能 性 がある。そのためPGCを<br />

鑑 別 診 断 に 上 げることや、 術 中 ( 切 除 標 本 ) 所 見 でPGCを 疑 った 場 合 は<br />

神 経 叢 郭 清 を 追 加 することが 重 要 と 考 える。<br />

P29-6 Groovepancreatitisとの 鑑 別 に 苦 慮 したVater 乳 頭<br />

部 癌 の1 切 除 例<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 黒 川 友 博 , 小 林 昭 彦 , 大 和 田 洋 平 , 高 橋 遍 , 福 永 潔 ,<br />

小 田 竜 也 , 佐 々 木 亮 孝 , 大 河 内 信 弘<br />

黄 疸 を 主 訴 に 受 診 した66 歳 男 性 . 腹 部 CTで 胆 管 及 び 膵 管 の 拡 張 を 認 め,<br />

膵 頭 部 腫 瘍 が 疑 われたため,PTCD 留 置 後 当 院 を 紹 介 された. 上 部 消 化<br />

管 内 視 鏡 検 査 では, 十 二 指 腸 乳 頭 部 が 腫 大 し, 粘 膜 が 顆 粒 状 の 変 化 を 呈<br />

し, 腫 瘍 性 の 変 化 と 考 えられたため 肉 眼 的 にVater 乳 頭 部 癌 が 疑 われ<br />

た.しかし, 他 院 と 合 わせて3 回 行 った 生 検 では, 悪 性 所 見 は 認 められず,<br />

胆 汁 細 胞 診 も3 回 とも 陰 性 であったことから 膵 炎 を 否 定 できず, 鑑 別 の<br />

ため 乳 頭 部 生 検 検 体 のIgG4 染 色 も 行 ったが 陰 性 であった. 当 院 でも 造<br />

影 CTによる 精 査 を 再 度 施 行 したところ,pancreas…grooveに 大 きさ<br />

23x27mmの 単 純 相 で 膵 と 等 信 号 からやや 低 信 号 を 示 し, 動 脈 相 では 膵<br />

よりも 造 影 効 果 が 弱 く, 門 脈 相 から 遅 延 相 で 漸 増 性 に 造 影 される 部 位<br />

を 認 めたため, 線 維 化 のある 病 変 を 疑 った.またこの 造 影 部 位 の 内 部 に<br />

主 膵 管 と 考 えられる 管 状 の 構 造 が 認 められ, 末 梢 の 主 膵 管 は8mmと 拡<br />

張 し, 分 枝 膵 管 にも 拡 張 が 認 められた.これらの 漸 増 性 の 造 影 パターン<br />

や 内 部 に 管 腔 構 造 があること,grooveに 位 置 していることから,groove…<br />

pancreatitisを 疑 った.さらに,EUSにおいてもpancreas…grooveに, 高 輝<br />

度 と 低 輝 度 の 混 在 したecho…patternを 呈 する 領 域 が 描 出 されたが, 明 ら<br />

かな 腫 瘍 は 指 摘 出 来 ず, 炎 症 性 変 化 を 疑 った. 以 上 より 膵 頭 部 癌 を 否 定<br />

できないgroove…pancreatitisと 診 断 し, 患 者 と 相 談 の 上 , 膵 炎 の 保 存 的<br />

治 療 を 膵 酵 素 阻 害 剤 ,ステロイドなどで 行 った.しかし2 週 間 経 過 後 も,<br />

軽 快 傾 向 がなかった 為 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した. 切 除 検 体 割 面<br />

においても 明 らかな 腫 瘤 は 指 摘 できなかったが, 病 理 組 織 学 的 診 断 で<br />

はVater 乳 頭 部 および 膵 頭 部 に 高 度 に 浸 潤 し 十 二 指 腸 粘 膜 表 面 から 漿<br />

膜 下 組 織 までに 達 する 高 分 化 ~ 中 分 化 管 状 腺 癌 であり,StageIVaの 膵<br />

頭 部 癌 あるいはstageIVbのVater 乳 頭 部 癌 と 診 断 された. 診 断 に 非 常 に<br />

難 渋 した 症 例 であったため 報 告 する.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P29-7 膵 癌 根 治 手 術 時 に 乳 癌 腹 腔 内 リンパ 節 転 移 が 判 明 した<br />

1 例<br />

1<br />

福 岡 新 水 巻 病 院 外 科 、 2 埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器<br />

外 科<br />

1,2<br />

○… 上 野 陽 介 , 岡 本 光 順 2<br />

, 渡 邉 幸 博 2<br />

, 岡 田 克 也 2<br />

,<br />

利 光 靖 子 2<br />

, 合 川 公 康 2<br />

, 宮 澤 光 男 2 2<br />

, 小 山 勇<br />

症 例 は63 歳 、 女 性 。 乳 癌 を 近 医 で 指 摘 され、 手 術 加 療 目 的 に 当 院 乳 腺<br />

科 を 紹 介 され 受 診 した。<br />

乳 癌 は 左 乳 房 C 領 域 に 存 在 し、5cm 大 であった。 生 検 結 果 では<br />

Invasive…ductal…carcinoma、 免 疫 染 色 ではER 陽 性 、PgR 陰 性 、HER2<br />

陰 性 であった。 乳 癌 根 治 手 術 を 予 定 されたが、 手 術 前 のCT 検 査 で 偶<br />

然 膵 体 部 腫 瘍 を 指 摘 され、 当 科 紹 介 となった。 造 影 CT、MRCPより、<br />

膵 体 部 に 存 在 する35mm 大 の 腫 瘤 を 認 め、 腫 瘤 より 尾 側 膵 は 膵 実 質 の<br />

委 縮 と 膵 管 の 拡 張 が 認 められた。 乳 癌 の 膵 転 移 は 完 全 には 否 定 できな<br />

いものの、 画 像 所 見 上 は 原 発 性 膵 癌 が 最 も 考 えられた。 切 除 可 能 と 考<br />

え、 乳 癌 手 術 に 先 行 して 膵 癌 根 治 手 術 を 行 うこととなった。 手 術 所 見<br />

では、 腹 腔 内 の 明 らかな 播 種 所 見 や 腹 腔 内 他 臓 器 への 転 移 は 認 められ<br />

なかった。 膵 腫 瘍 は 膵 被 膜 への 浸 潤 、 後 方 組 織 浸 潤 、 脾 静 脈 浸 潤 が 疑<br />

われた。 型 通 り 膵 体 尾 部 脾 合 併 切 除 を 施 行 した。 術 後 経 過 に 問 題 なく、<br />

第 10 病 日 に 軽 快 退 院 となった。<br />

病 理 結 果 では 膵 癌 の 診 断 が 得 ることができ11 番 リンパ 節 に 癌 細 胞 を 認<br />

めることからStage…III(Pb,…TS2,…T3,…S( + ),…RP(+),…PV(+),…A( - ), …PL<br />

(+),…OO(-),…PCM(-),…DPM(-),…N1,…M0)とまず 判 断 した。ところが 転<br />

移 陽 性 のリンパ 節 の 組 織 像 は 本 体 の 腫 瘍 組 織 像 とは 異 なっており、 膵<br />

癌 からのリンパ 節 転 移 は 否 定 的 であった。そのため 乳 癌 の 生 検 組 織 像<br />

と 比 較 したところ、 乳 癌 組 織 に 類 似 しており、また 免 疫 染 色 ではER<br />

(+)が 得 られたことより、 乳 癌 からの 腹 腔 内 リンパ 節 転 移 と 最 終 判 断<br />

した。<br />

乳 癌 からの 腹 腔 内 リンパ 節 転 移 に 関 しての 報 告 は 散 見 されるものの、<br />

膵 癌 手 術 で 転 移 が 判 明 した 症 例 の 報 告 はなく、 本 症 例 は 非 常 にまれで<br />

あるものと 考 えられる。<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P29-8 腸 閉 塞 にて 発 症 し、 腸 管 減 圧 の 後 に 手 術 施 行 した 結 腸 浸<br />

潤 膵 尾 部 癌 の 一 例<br />

三 豊 総 合 病 院 外 科<br />

○… 遠 藤 出 , 宇 高 徹 総 , 田 中 真 , 三 好 雄 一 郎 , 伊 藤 麻 衣 子 ,<br />

大 谷 弘 樹 , 久 保 雅 俊 , 水 田 稔 , 白 川 和 豊<br />

症 例 は60 歳 女 性 。 便 秘 、 腹 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 。 緩 下 剤 等 で 加 療 され<br />

るも 改 善 せず、 腹 部 単 純 X 線 所 見 上 Niveau 形 成 も 認 めたため、 腸 閉 塞<br />

疑 いとして 当 院 紹 介 となった。 来 院 時 の 単 純 CT 所 見 上 、 脾 彎 曲 付 近<br />

の 下 行 結 腸 で 狭 窄 所 見 を 認 めたため、 同 日 下 部 消 化 管 内 視 鏡 下 に 経 肛<br />

門 的 イレウスチューブ 挿 入 し、 腸 管 減 圧 を 図 った。これにより 自 覚 症<br />

状 は 改 善 。この 際 の 内 視 鏡 所 見 では 粘 膜 面 に 異 常 所 見 認 めず、 壁 外 病<br />

変 による 狭 窄 が 示 唆 された。 後 日 施 行 の 造 影 CTにて、 膵 尾 部 に 造 影<br />

効 果 の 乏 しい 腫 瘤 陰 影 を 認 め、この 病 変 による 結 腸 への 狭 窄 が 疑 われ<br />

た。 画 像 所 見 上 、 膵 尾 部 癌 が 強 く 疑 われたが、 遠 隔 転 移 示 唆 する 所 見<br />

認 めなかったため、 手 術 の 方 針 とした。 手 術 は 膵 体 尾 部 切 除 術 施 行 。<br />

術 前 より 判 明 していた 結 腸 浸 潤 のほか、 胃 穹 隆 部 にも 一 部 浸 潤 認 め、<br />

胃 及 び 結 腸 の 部 分 切 除 を 併 施 した。 術 後 経 過 は 良 好 で、15 病 日 に 退 院<br />

となった。 腸 閉 塞 を 初 発 症 状 とした 膵 尾 部 癌 の 報 告 は 比 較 的 稀 であ<br />

る。また、 腸 閉 塞 で 発 症 した 場 合 でも、 人 工 肛 門 造 設 の 後 に 待 機 的 手<br />

術 を 行 ったとする 報 告 は 認 めるものの、 経 肛 門 的 イレウスチューブに<br />

よる 腸 管 減 圧 の 後 に 一 期 的 に 手 術 を 施 行 したとの 報 告 は、 検 索 した 限<br />

りでは 認 めなかった。 このたび 我 々は、 腸 閉 塞 を 初 発 症 状 に 発 症 し<br />

た 膵 尾 部 癌 に 対 して、 経 肛 門 的 イレウスチューブによる 腸 管 減 圧 後 に<br />

一 期 的 に 手 術 を 施 行 しえたため、 若 干 の 文 献 検 索 を 含 め、これを 報 告<br />

する。<br />

-367-


P29-9 結 腸 浸 潤 による 閉 塞 性 イレウスで 発 見 され、 穿 孔 性 腹 膜<br />

炎 ・ 敗 血 症 性 ショックを 呈 した 膵 尾 部 癌 の1 例<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 北 村 謙 太 , 金 本 秀 行 , 木 内 亮 太 , 青 木 修 一 , 山 本 立 真 ,<br />

岡 村 行 泰 , 水 野 隆 史 , 杉 浦 禎 一 , 上 坂 克 彦<br />

症 例 は57 歳 、 男 性 。 嘔 気 ・ 嘔 吐 を 主 訴 に 近 医 入 院 。 精 査 で 膵 尾 部 癌 横<br />

行 結 腸 浸 潤 によるイレウスと 診 断 された。 人 工 肛 門 造 設 によるイレウ<br />

ス 解 除 が 予 定 されたが、 手 術 待 機 中 に 突 然 の 腹 痛 ・ 発 熱 を 認 め、 閉 塞<br />

部 口 側 の 大 腸 穿 孔 による 汎 発 性 腹 膜 炎 を 呈 した。そのまま 前 医 で 緊 急<br />

開 腹 ドレナージ 術 ・ 穿 孔 部 結 腸 切 除 術 ・ 回 腸 人 工 肛 門 造 設 術 が 施 行 さ<br />

れた。 術 後 敗 血 症 性 ショックを 呈 し 人 工 呼 吸 器 管 理 、エンドトキシン<br />

吸 着 をはじめとする 長 期 のICU 管 理 が 必 要 とされた。また 術 後 腹 腔 内<br />

膿 瘍 、カテーテルMRSA 感 染 、 薬 剤 性 無 顆 粒 球 症 、 胸 水 貯 留 に 対 する<br />

胸 腔 ドレーン 留 置 、 低 栄 養 、 胃 静 脈 瘤 出 血 による 貧 血 を 合 併 した。 初<br />

回 術 後 2ヶ 月 目 に 当 院 での 治 療 を 希 望 され 転 院 となった。 腹 部 CTでは<br />

大 きさ35mmの 膵 尾 部 癌 の 結 腸 浸 潤 を 認 めた。 当 院 転 院 時 、Alb1.9、<br />

Hb5.9と 低 栄 養 ・ 貧 血 を 認 めた。カテーテル 感 染 による 高 熱 ・ 経 口 摂<br />

取 不 良 に 対 してはカテーテル 抜 去 ・VCM 投 与 で 改 善 が 見 られた。ま<br />

た 脾 静 脈 閉 塞 に 伴 う 胃 静 脈 瘤 からの 出 血 は 難 治 性 で、 間 欠 的 に 出 血 性<br />

ショックを 呈 し、 輸 血 治 療 では 限 界 が 見 られた。 以 上 より 腫 瘍 を 切 除<br />

しなければ 胃 静 脈 瘤 からの 再 出 血 のコントロールは 困 難 であり、 非 切<br />

除 因 子 を 認 めないことから 根 治 手 術 を 行 う 方 針 とした。 開 腹 所 見 で 腹<br />

膜 播 種 ・ 肝 転 移 無 く 膵 体 尾 部 切 除 、 横 行 結 腸 部 分 切 除 術 を 行 った。 脾<br />

門 部 胃 壁 は 静 脈 瘤 により 脆 弱 な 部 分 を 認 め 胃 部 分 切 除 を 併 施 した。 手<br />

術 時 間 4 時 間 13 分 。 出 血 量 2075ml。 術 後 病 理 診 断 はpT4(S+,RP+,PV+<br />

(PVsp),A+(Asp),PL+,OO+( 横 行 結 腸 ))pN1sM0…fStage4aであった。<br />

術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 11 日 目 に 退 院 した。 退 院 後 ジェムザールによる<br />

術 後 補 助 化 学 療 法 を 行 うも、 根 治 術 後 15か 月 目 から 腫 瘍 マーカーが 上<br />

昇 。 腹 部 CT・MRIで 腹 膜 播 種 を 認 め、 現 在 術 後 19ヶ 月 目 で 化 学 療 法<br />

中 である。 膵 癌 の 結 腸 浸 潤 による 閉 塞 性 イレウスの 報 告 は 散 見 される<br />

が、 穿 孔 性 腹 膜 炎 を 呈 した 膵 体 尾 部 癌 は 極 めて 稀 であり、 若 干 の 文 献<br />

的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P30-1 IPMNに 対 し 大 動 脈 弁 置 換 術 を 先 行 させ 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 を 施 行 した 慢 性 腎 不 全 血 液 透 析 患 者 の1 例<br />

1<br />

大 阪 厚 生 年 金 病 院 外 科 、 2 大 阪 厚 生 年 金 病 院 心 臓 血 管 外 科<br />

○… 谷 口 嘉 毅 1<br />

, 森 本 芳 和 1<br />

, 弓 場 健 義 1<br />

, 藤 井 眞 1<br />

, 赤 丸 祐 介 1<br />

,<br />

安 政 啓 吾 1<br />

, 河 野 恵 美 子 1<br />

, 小 西 珠 貴 1<br />

, 田 中 裕 美 子 1<br />

,<br />

笠 島 裕 明 1<br />

, 河 合 賢 二 1<br />

, 大 久 保 悠 祐 1<br />

, 松 浦 玲 1<br />

,<br />

藤 井 弘 通 2<br />

, 笹 子 佳 門 2 1<br />

, 山 崎 芳 郎<br />

【はじめに】 近 年 、 血 液 透 析 療 法 の 進 歩 に 伴 い 慢 性 腎 不 全 患 者 は 増 加<br />

傾 向 にある。 透 析 患 者 は、 細 胞 性 免 疫 能 の 低 下 により 悪 性 腫 瘍 の 高 い<br />

有 病 率 を 示 し、また 凝 固 止 血 異 常 、 創 傷 治 癒 遅 延 、 組 織 脆 弱 性 などの<br />

特 殊 な 病 態 下 にあるため、 術 後 合 併 症 が 生 じる 危 険 性 が 極 めて 高 い。<br />

今 回 我 々は、 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)と 診 断 した 透 析 歴 17 年 の<br />

慢 性 腎 不 全 患 者 において、 大 動 脈 弁 狭 窄 症 (AS)に 対 し 大 動 脈 弁 置 換<br />

術 (AVR)を 先 行 させ、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 一 例 を 経 験 した。<br />

【 症 例 】65 歳 、 男 性 。17 年 前 より 嚢 胞 腎 による 慢 性 腎 不 全 のため 血 液<br />

透 析 (HD)を 導 入 。2006 年 より 腹 部 エコーにて 膵 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 さ<br />

れた。2010 年 10 月 に 膵 の 嚢 胞 径 増 大 と、 嚢 胞 内 に 充 実 性 成 分 を 認 めた。<br />

ERCPによる 細 胞 診 はclassIIIであり、 分 枝 型 IPMNと 診 断 した。 膵 切<br />

除 術 を 予 定 したが、 圧 較 差 63mmHgのASが 併 存 しており、AVRを 先<br />

行 させた。 開 心 術 10 週 後 、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (SSPPD-IIA)<br />

を 施 行 した。 手 術 所 見 は、Ph,…TS2(32mm),… 嚢 胞 型 ,…Tis,…CH(-),…DU(-),…<br />

S( - …RP(-),…PV(-),…A( - …PL(-),…OO(-),…N0,…M0,…Stage0であった。 手<br />

術 時 間 398 分 、 出 血 量 300mlで、 術 中 輸 血 は 施 行 せず。 病 理 組 織 学 的<br />

診 断 では 非 浸 潤 性 IPMNであった。 術 後 は 循 環 ・ 呼 吸 動 態 に 著 変 なく、<br />

術 2 病 日 よりHDを 再 開 した。 出 血 、 感 染 、 膵 液 漏 などの 合 併 症 なく、<br />

術 後 37 日 目 に 軽 快 退 院 した。SSPPDを 施 行 したIPMNを 伴 う 血 液 透 析<br />

患 者 の 一 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P30-2 高 度 の 低 アルブミン 血 症 を 伴 ったIPMCに 対 し 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 を 行 った1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 良 田 大 典 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 山 本 智 久 ,<br />

廣 岡 智 , 山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 ,<br />

松 井 陽 一 , 權 雅 憲<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 :PD)は 高 難 易 度 手 術 とされ、 術 後 合 併 症<br />

の 発 生 頻 度 も 依 然 として 高 率 である。 様 々な 要 因 が 術 後 合 併 症 に 与 え<br />

る 影 響 が 報 告 される 中 、 低 Alb 血 症 の 周 術 期 への 影 響 として 術 後 SSI<br />

の 発 生 リスクを 増 加 させることや 在 院 日 数 の 増 加 などが 報 告 されてい<br />

る。 今 回 われわれは、 高 度 の 低 Alb 血 症 を 伴 ったIPMCに 対 し 術 前 に<br />

消 化 酵 素 剤 を 投 与 し、 栄 養 状 態 が 改 善 され、PDを 安 全 に 施 行 し 得 た1<br />

例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は57 歳 、 男 性 。アルコール 性 肝 硬 変 、<br />

低 Alb 血 症 にて 近 医 通 院 中 、 画 像 検 査 にて 膵 頭 部 に 嚢 胞 性 病 変 および<br />

主 膵 管 の 拡 張 が 指 摘 。 精 査 加 療 目 的 にて 当 院 紹 介 となった。CEA…<br />

11.4ng/ml…,CA19-9…11.4U/ml,…Alb…1.6g/dl。CT,MRIに て 膵 頭 部 に<br />

40mm 大 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 尾 側 膵 管 の 著 明 な 拡 張 を 認 めた。<br />

ERCPを 行 った 際 に、 十 二 指 腸 乳 頭 部 からの 粘 液 の 流 出 が 認 められ、<br />

EUSでは 嚢 胞 壁 の 肥 厚 が 認 められた。 膵 液 細 胞 診 でAdenocarcinoma…<br />

suspected.…の 診 断 であった。 混 合 型 IPMCと 診 断 し、 手 術 予 定 とした。<br />

低 アルブミン 血 症 の 原 因 検 索 をおこなったが、 肝 アシアロシンチグラ<br />

フィーでは 全 肝 受 容 体 量 (Rmax)…0.446mg/minで 活 動 性 慢 性 肝 炎 また<br />

は 軽 度 肝 硬 変 の 診 断 であった。タンパク 漏 出 シンチグラフィーでは 特<br />

に 異 常 所 見 は 認 められなかった。 術 前 に 消 化 酵 素 剤 の 内 服 を 開 始 し、<br />

Alb…2.3g/dlまで 回 復 した 時 点 で 手 術 を 行 った。 術 後 は 特 に 問 題 なく<br />

経 過 し、 術 後 12 日 目 に 退 院 となった。 術 後 もAlb 値 はさらに 改 善 し、<br />

外 来 では3.2g/dlまで 改 善 していた。 本 症 例 は 粘 液 産 生 により 主 膵 管<br />

閉 塞 を 伴 い、 膵 外 分 泌 機 能 低 下 を 介 して 消 化 吸 収 能 力 が 低 下 し 高 度 の<br />

低 Alb 血 症 を 来 たしたと 考 えられた。 手 術 を 行 うことにより、 主 膵 管<br />

閉 塞 が 解 除 され、 膵 外 分 泌 機 能 が 改 善 し、それに 伴 いアルブミン 値 も<br />

改 善 した 可 能 性 がある。 膵 頭 部 病 変 により 主 膵 管 途 絶 を 伴 う 場 合 は、<br />

術 前 に 消 化 酵 素 剤 内 服 を 行 うことにより、 術 前 栄 養 状 態 を 改 善 し、よ<br />

り 安 全 に 手 術 を 行 える 可 能 性 があると 考 えられた。<br />

P30-3 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 にビタミンA 欠 乏 によ<br />

る 夜 盲 症 の1 例<br />

1<br />

龍 ヶ 崎 済 生 会 病 院 、 2 筑 波 大 学 附 属 病 院 消 化 器 外 科 ・ 臓 器 移 植 外<br />

科<br />

○… 松 尾 亮 太 1<br />

, 中 山 健 1 2<br />

, 大 河 内 信 弘<br />

胆 汁 および 膵 液 は 脂 溶 性 ビタミンであるビタミンAの 吸 収 に 非 常 に 重<br />

要 な 役 割 を 果 たす. 吸 収 されたビタミンAは 肝 臓 の 伊 東 細 胞 に 貯 蔵 さ<br />

れる.したがって 肝 胆 膵 機 能 に 影 響 を 及 ぼす 腹 部 手 術 , 特 に 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 などではビタミンAの 吸 収 と 貯 蔵 に 影 響 を 及 ぼすと 思 われ<br />

るが, 実 際 に 腹 部 手 術 後 のビタミンA 欠 乏 症 の 報 告 は 非 常 に 稀 である.<br />

今 回 , 我 々は 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (SSPPD) 術 後 に 胆 管 空 腸<br />

吻 合 部 狭 窄 による 肝 内 胆 管 結 石 , 閉 塞 性 黄 疸 および 慢 性 胆 管 炎 を 併 発<br />

し,ビタミンA 欠 乏 による 夜 盲 を 発 症 した1 例 を 経 験 したので 文 献 的<br />

考 察 を 加 え 報 告 する. 症 例 は,73 歳 , 女 性 .3 年 前 に 膵 管 内 乳 頭 粘 液<br />

性 腫 瘍 (IPMN)に 対 して, 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (SSPPD)を<br />

施 行 された.2 年 前 より, 多 発 肝 内 胆 管 結 石 , 閉 塞 性 黄 疸 および 慢 性<br />

胆 管 炎 を 繰 り 返 していたが, 今 回 , 胆 管 炎 の 急 性 増 悪 のため 入 院 となっ<br />

た. 入 院 時 , 胆 管 炎 による 症 状 のほか, 夜 間 視 力 の 著 しい 低 下 を 認 め<br />

た. 血 清 ビタミンA 値 は 低 値 でありビタミンA 欠 乏 による 夜 盲 症 と 診<br />

断 した. 閉 塞 性 黄 疸 と 胆 管 炎 に 対 して 経 皮 経 肝 胆 道 ドレナージ<br />

(PTCD)を 施 行 したところ, 胆 管 空 腸 吻 合 部 は 高 度 の 狭 窄 を 来 たして<br />

おり, 肝 内 胆 管 に 多 数 の 結 石 を 認 めた. 腹 部 CT 検 査 では 吻 合 部 に 再<br />

発 を 認 めず 術 後 良 性 狭 窄 と 診 断 した.PTCDルートを 拡 張 し 経 皮 経 管<br />

胆 道 鏡 を 施 行 し 管 内 結 石 の 切 石 (PTCSL)を 行 った.さらに, 胆 管 空<br />

腸 吻 合 部 はバルーンによる 拡 張 術 を 施 行 し, 胆 管 炎 および 閉 塞 性 黄 疸<br />

は 改 善 した. 夜 盲 に 関 してはビタミンA5 万 単 位 / 回 を 筋 注 投 与 した 結<br />

果 , 速 やかに 夜 間 視 力 は 正 常 にまで 改 善 した.SSPPD 術 後 胆 管 空 腸<br />

吻 合 部 狭 窄 による 胆 汁 流 出 障 害 による 吸 収 障 害 と, 閉 塞 性 黄 疸 や 慢 性<br />

胆 管 炎 に 伴 う 肝 機 能 低 下 による 貯 蔵 能 の 低 下 が,ビタミンA 欠 乏 の 原<br />

因 として 考 えられた.<br />

-368-


P30-4 術 前 急 性 膵 炎 を 起 こし 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した<br />

1 例<br />

がん 研 有 明 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 筒 井 信 浩 , 斎 浦 明 夫 , 小 野 嘉 大 , 吉 岡 龍 二 , 竹 村 信 行 ,<br />

有 田 淳 一 , 古 賀 倫 太 郎<br />

【はじめに】 術 前 急 性 膵 炎 を 起 こし 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した1<br />

例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】60 代 女 性 。【 現 病 歴 】 全 身 倦 怠 感 、<br />

肝 機 能 異 常 で 経 過 観 察 されていたが、USで 肝 内 胆 管 拡 張 を 認 め 前 医<br />

紹 介 。 精 査 にて 中 部 胆 管 癌 と 診 断 され、このときに 施 行 したERCPに<br />

より 重 症 急 性 膵 炎 ( 重 症 度 1、stage2、CT…grade4、APACHE2…score…7)<br />

を 発 症 したが 保 存 的 加 療 にて 軽 快 し、 当 院 紹 介 となった。 当 院 紹 介 時<br />

のCTでは 膵 周 囲 に 炎 症 像 が 認 められたため、1ヶ 月 間 のインターバル<br />

を 置 いてから 再 度 CT 施 行 。CT 上 炎 症 像 の 変 化 は 認 められなかったが、<br />

これ 以 上 の 延 期 は 困 難 と 考 え 手 術 施 行 した。【 手 術 所 見 】 癒 着 が 高 度<br />

で 炎 症 の 波 及 を 認 め 膵 周 囲 の 動 脈 の 同 定 、 郭 清 は 困 難 であった。また<br />

門 脈 上 の 膵 は 白 色 であり、 高 度 炎 症 後 の 所 見 であった。 膵 下 の 周 囲 組<br />

織 は 鹸 化 し、 粥 状 となっていた。またトライツ 靭 帯 周 囲 も 炎 症 後 のた<br />

め、 高 度 の 癒 着 を 認 めた。 全 体 的 に 癒 着 が 高 度 であったが、 慎 重 に 剥<br />

離 を 行 い 予 定 通 りSSPPD 施 行 し 再 建 はPD-2で 行 った。【 術 後 経 過 】 術<br />

後 は 良 好 であり、 術 後 24 日 目 に 退 院 となった。【 考 察 】 術 前 検 査 での<br />

ERCPは 急 性 膵 炎 の 危 険 性 はあるが、 診 断 上 重 要 な 検 査 であり、まれ<br />

に 重 症 化 することがある。 本 症 例 は 重 症 急 性 膵 炎 の 保 存 的 加 療 後 3ヶ<br />

月 で 手 術 を 施 行 し、 手 術 に 難 渋 したが 特 に 大 きな 合 併 症 なく 退 院 と<br />

なった。ERCP 後 膵 炎 の 発 症 、また 急 性 膵 炎 後 の 手 術 のタイミングに<br />

ついて 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P30-5 食 道 癌 根 治 術 後 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 一 例<br />

市 立 豊 中 病 院<br />

○… 北 原 知 洋 , 堂 野 恵 三 , 藤 野 志 季 , 野 田 剛 広<br />

【はじめに】 食 道 癌 手 術 の 場 合 、 再 建 に 胃 管 を 用 いるのが 一 般 的 であ<br />

るが、 術 後 の 胃 管 血 行 は 手 術 時 に 胃 上 部 の 血 行 が 全 て 処 理 されるため<br />

右 胃 大 網 動 脈 に 依 存 している。 今 回 我 々は 食 道 癌 術 後 に 発 症 した 膵 頭<br />

部 癌 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。【 症 例 】71 歳 男 性 。1997 年 に 他 院 で 食 道 癌 に 対 し 手 術 施 行 され、<br />

後 縦 隔 経 路 で 胃 管 再 建 をされている。2011 年 8 月 上 旬 39 度 の 発 熱 があり、<br />

近 医 を 受 診 した。 内 服 処 方 され 経 過 をみていたが、 食 事 摂 取 不 良 とな<br />

り、8 月 中 旬 前 医 を 再 診 した。 腹 部 CTにて 膵 頭 部 に 腫 瘤 、 総 胆 管 下 部<br />

に 狭 窄 認 め、 血 液 検 査 にて 黄 疸 を 認 めた。… 加 療 目 的 で 当 院 内 科 に 転<br />

院 となり、PTCDを 施 行 し、 減 黄 した。PTCDから 提 出 された 細 胞 診<br />

ではClassIVであった。 膵 頭 部 癌 が 疑 われ 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 となった。<br />

食 道 癌 術 後 であり、 胃 管 再 建 をおこなっていることから、 胃 管 の 血 行<br />

を 考 慮 し、 胃 十 二 指 腸 動 脈 、 胃 大 網 動 静 脈 は 温 存 し、 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 結 果 はIPMCであった。 術 後 経 過 は<br />

良 好 で、 合 併 症 なく 術 後 25 日 目 に 退 院 となった。… 食 道 癌 術 後 症 例 に<br />

対 し 胃 管 血 行 を 温 存 し、 安 全 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 しえた 一 例<br />

を 経 験 した。 社 会 の 高 齢 化 にともない 今 後 このような 症 例 が 増 加 する<br />

と 考 えられる。 以 上 の 症 例 を 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P30-6 幽 門 側 胃 切 除 既 往 症 例 に 対 する 尾 側 膵 切 除 術 の 経 験<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 今 村 将 史 , 木 村 康 利 , 目 黒 誠 , 中 野 正 一 郎 , 三 浦 亮 ,<br />

中 村 幸 雄 , 川 本 雅 樹 , 信 岡 隆 幸 , 水 口 徹 , 古 畑 智 久 ,<br />

平 田 公 一<br />

【はじめに】 通 常 幽 門 側 胃 切 除 時 には 右 胃 動 脈 ・ 右 胃 大 網 動 脈 ・ 左 胃<br />

動 脈 が 切 離 され、 尾 側 膵 切 除 時 には 脾 動 脈 ・ 左 胃 大 網 動 脈 ・ 短 胃 動 脈<br />

が 切 離 される。これらを 同 時 に 施 行 する 際 は 残 胃 血 流 の 問 題 から 胃 全<br />

摘 となる 場 合 が 考 えられる。 今 回 我 々は、 幽 門 側 胃 切 除 術 の 既 往 のあ<br />

る 膵 体 尾 部 癌 症 例 に 対 し、 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行 した3 症 例 を 経 験 した<br />

ので、 術 後 経 過 を 含 めて 報 告 する。【 症 例 】1.77 歳 女 性 。20 年 前 に 胃<br />

潰 瘍 にて 幽 門 側 胃 切 除 +B1 再 建 の 既 往 。IPMNにてフォロー 中 、CT<br />

にて 主 膵 管 拡 張 を 認 めたため 精 査 を 施 行 。 膵 尾 部 に20mm 大 の 腫 瘤 を<br />

認 め、FNAにて 膵 癌 と 診 断 。2.70 歳 男 性 。10 年 前 に 胃 癌 にて 幽 門 側 胃<br />

切 除 +B1 再 建 の 既 往 。 心 窩 部 痛 ・ 嘔 気 を 主 訴 に 前 医 を 受 診 。CTにて<br />

膵 尾 部 に18mm 大 の 腫 瘤 を 認 め、FNAにて 膵 癌 と 診 断 。3.65 歳 女 性 。<br />

8 年 前 に 胃 癌 にて 幽 門 側 胃 切 除 +B1 再 建 の 既 往 。フォローCTにて 膵<br />

体 部 に20mmの 腫 瘤 と 尾 側 膵 管 拡 張 を 認 め、 膵 癌 が 強 く 疑 われた。【 術<br />

前 CT】 全 例 幽 門 側 胃 切 除 後 のため、 右 胃 動 脈 ・ 右 胃 大 網 動 脈 ・ 左 胃<br />

動 脈 は 存 在 しなかった。【 手 術 】 開 腹 にて2 群 リンパ 節 郭 清 を 伴 う 尾 側<br />

膵 切 除 を 施 行 した。 脾 動 脈 は 根 部 で 切 離 し、 短 胃 動 脈 は 胃 壁 側 で 処 理<br />

した。 膵 切 離 は 自 動 縫 合 器 にPGAフェルトを 併 用 して 施 行 した。 尾<br />

側 膵 切 除 後 も 胃 壁 の 色 調 に 変 化 を 認 めず、 胃 血 流 は 保 たれていると 判<br />

断 し 手 術 を 終 了 した。 平 均 手 術 時 間 288 分 、 平 均 出 血 量 283ml。【 術 後<br />

経 過 】 全 例 術 後 1 日 目 より 水 分 開 始 し、3 日 目 より 食 事 開 始 した。 上 腹<br />

部 に 特 異 的 な 症 状 や 他 の 術 後 合 併 症 を 認 めず、 平 均 術 後 19 日 目 に 自 宅<br />

退 院 となった。【まとめ】 検 索 し 得 た 範 囲 では、 幽 門 側 胃 切 既 往 の 症<br />

例 に 対 して 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行 した 際 の 安 全 性 や 合 併 症 などを 報 告 し<br />

た 例 は 存 在 しなかった。 我 々の 症 例 は 幽 門 側 胃 切 後 少 なくとも8 年 経<br />

過 していた。 幽 門 側 胃 切 除 後 長 期 経 過 例 に 対 しては、 胃 を 温 存 したう<br />

えでの 尾 側 膵 切 除 は 安 全 に 施 行 可 能 と 考 えられた。<br />

P30-7 食 道 癌 術 後 に 発 症 した 膵 頭 部 癌 に 対 して 幽 門 輪 温 存 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

名 古 屋 大 学 消 化 器 外 科 2<br />

○… 猪 川 祥 邦 , 野 本 周 嗣 , 末 永 雅 也 , 堀 田 佳 宏 , 奥 村 徳 夫 ,<br />

菱 田 光 洋 , 山 村 和 生 , 林 真 路 , 山 田 豪 , 藤 井 努 ,<br />

杉 本 博 行 , 竹 田 伸 , 小 寺 泰 弘<br />

症 例 は72 歳 男 性 。1996 年 、 他 院 にて 食 道 癌 に 対 して 食 道 亜 全 摘 、 後 縦<br />

隔 経 路 胃 管 再 建 を 施 行 された。 今 回 、 黄 疸 のため 近 医 受 診 、 精 査 で 膵<br />

頭 部 癌 と 診 断 され 手 術 依 頼 にて 当 科 紹 介 受 診 となった。 食 道 外 科 、 形<br />

成 外 科 のバックアップ 体 制 の 上 、2011 年 9 月 、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 、D1 郭 清 、Child 変 法 再 建 を 施 行 した。 動 脈 については 胃<br />

十 二 指 腸 動 脈 および 右 胃 大 網 動 脈 を、 静 脈 については 右 胃 大 網 静 脈 お<br />

よび 胃 結 腸 静 脈 幹 を 温 存 しえた。 術 前 画 像 および 術 中 所 見 では 明 らか<br />

なリンパ 節 転 移 を 認 めておらず、また 血 管 損 傷 のおそれも 考 慮 し#6、<br />

#8および#12のリンパ 節 郭 清 を 省 略 してD1 郭 清 とした。 病 理 組 織 学<br />

的 所 見 にはinvasive…ductal…carcinoma,…tub2,…int,…INFβ,…ly1,…v1,…ne1,…<br />

mpd(-),…pT3,…CH(+),…DU(+),…S( + ),…RP(-),…PV(-),…A( - …PL(-),…OO<br />

(-),…pN0,…pPCM(-),…pBCM(-),…pDPM(+),…fT3N0M(-),…fStageIII,…R1と<br />

診 断 した。 術 後 Grade…Bの 膵 液 瘻 を 認 めたが 保 存 的 に 軽 快 した。 術 後<br />

43 日 目 より 補 助 化 学 療 法 としてTS-1 内 服 を 開 始 、 術 後 45 日 目 に 退 院<br />

され、 現 在 外 来 通 院 中 である。 胃 管 再 建 による 食 道 癌 術 後 患 者 にPD<br />

を 行 う 際 には、1. 胃 管 血 流 を 温 存 してのPD、2. 胃 管 を 栄 養 する 血<br />

管 再 建 を 伴 うPD、3. 胃 管 も 切 除 し 結 腸 もしくは 小 腸 を 用 いての 再 建<br />

を 伴 うPDの3つの 選 択 肢 が 提 唱 されている。 医 学 中 央 雑 誌 および<br />

PubMedを 用 いて 検 索 しえた 限 り、これまで 食 道 癌 術 後 にPDを 施 行<br />

した 症 例 は18 例 を 認 めるが、 未 だに 上 述 2.および3.の 術 式 は 実 際 に<br />

行 われていない。 本 症 例 においては、 右 胃 大 網 静 脈 周 囲 での 前 方 浸 潤<br />

によると 思 われるpDPM(+)の 所 見 を 認 めたため、 結 果 的 には 上 述 2.<br />

も 選 択 肢 となり 得 た 可 能 性 がある。しかし 今 回 術 野 で 剥 離 断 端 陽 性 と<br />

明 らかには 言 えず、 血 管 再 建 に 伴 うリスクを 考 慮 し 血 管 温 存 を 選 択 し<br />

た。 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-369-


P30-8 胃 癌 術 後 再 発 に 対 し 化 学 療 法 が 著 効 し 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 術 を 施 行 した1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 廣 岡 智 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 山 本 智 久 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 井 上 健 太 郎 , 道 浦 拓 , 權 雅 憲<br />

【 症 例 】57 歳 男 性 。2003 年 2 月 他 院 にて 胃 角 部 小 彎 2 型 胃 癌 に 対 し 幽 門<br />

側 胃 切 除 術 (D2 廓 清 、Billoth…I 法 再 建 ) 施 行 。 病 理 結 果 はpoorly…<br />

differentiated…adenocarcinomaでf-stage…IIIbであった。 同 年 3 月 より<br />

TS-1 内 服 開 始 されるも2004 年 10 月 に 肝 十 二 指 腸 間 膜 リンパ 節 転 移 再<br />

発 にて 胆 管 ステント 留 置 し、2004 年 12 月 よりTS-1+CDDP 投 与 開 始 。<br />

2005 年 3 月 よりCPT-11+CDDP 投 与 に 変 更 。2006 年 3 月 まで 化 学 療 法<br />

継 続 されていた。その 後 、ステント 閉 塞 等 あり、2011 年 1 月 当 院 当 科<br />

紹 介 受 診 。 当 院 消 化 器 内 科 にてERCP 行 い、 精 査 するもステント 閉 塞<br />

は 肉 芽 形 成 による 良 性 閉 塞 と 診 断 。しかし 癌 遺 残 の 可 能 性 も 考 えられ<br />

たため2011 年 3 月 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 で<br />

現 在 のところ 再 発 も 認 めていない。<br />

【 手 術 所 見 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 child 変 法 (PDIIA1)、D2 廓 清 および<br />

門 脈 合 併 切 除 術 施 行 。 手 術 時 間 :558…min、 術 中 出 血 :1420cc、 肝 門 部 ・<br />

肝 十 二 指 腸 間 膜 ・ 胃 十 二 指 腸 吻 合 部 周 囲 にかけて 強 固 な 線 維 性 肥 厚 あ<br />

り。 膵 上 縁 にて 門 脈 本 幹 も 強 固 な 癒 着 にて 剥 離 困 難 であり 門 脈 切 除<br />

(1cm)を 要 した。<br />

【 病 理 所 見 】No…residual…adenocarcinoma:…bile…duct…and…pancreas,…<br />

resection.…No…metastasis:…lymph…node,…resection.… 組 織 学 的 効 果 判 定<br />

Grade3.<br />

【 考 察 】 本 邦 での 胃 癌 に 対 する 術 後 化 学 療 法 はTS-1をはじめとした<br />

複 数 の 抗 癌 剤 の 導 入 によりめざましい 発 展 を 遂 げてきている。 本 症 例<br />

のように 再 発 症 例 が 術 後 数 年 を 経 てCRとなり 根 治 手 術 の 対 象 となる<br />

ものが 今 後 さらに 多 く 見 受 けられるようになるのではないかと 思 われ<br />

る。<br />

【 結 語 】 今 回 我 々は 胃 癌 術 後 肝 十 二 指 腸 間 膜 リンパ 節 再 発 に 対 し 化 学<br />

療 法 が 著 効 し、CRとなり 根 治 手 術 が 行 いえた 稀 な 症 例 を 経 験 した。<br />

術 後 再 発 症 例 に 対 する 化 学 療 法 著 効 症 例 に 対 する 外 科 的 治 療 法 の 適 応<br />

に 関 し 更 なる 検 討 が 必 要 と 考 えられた。<br />

P30-9 生 活 習 慣 改 善 プログラムを 行 い 安 全 に 切 除 し 得 た 高 度<br />

肥 満 を 伴 う 膵 頭 部 IPMNの1 例<br />

1<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 、 2 関 西 医 科 大 学 健 康 科 学 センター<br />

○… 豊 川 秀 吉 1<br />

, 里 井 壮 平 1<br />

, 木 村 穣 2<br />

, 柳 本 泰 明 1<br />

, 山 本 智 久 1<br />

,<br />

廣 岡 智 1<br />

, 山 木 壮 1<br />

, 由 井 倫 太 郎 1<br />

, 松 井 陽 一 1<br />

,<br />

1<br />

權 雅 憲<br />

【 症 例 】62 歳 の 男 性 、 高 血 圧 ( 収 縮 期 血 圧 150mmHg 台 、 降 圧 剤 内 服 )、<br />

糖 尿 病 (HbA1c…6.9 %、 経 口 血 糖 降 下 剤 内 服 )の 加 療 中 に 腹 部 エコー<br />

で 膵 頭 部 の 嚢 胞 性 病 変 (42mm)を 指 摘 された。MRCP、EUSにて 結 節<br />

性 病 変 を 伴 わない 分 枝 型 IPMNと 診 断 された。BMI:34.6%と 高 度 肥<br />

満 を 伴 い、 手 術 のリスクを 説 明 すると 経 過 観 察 を 希 望 された。【 臨 床<br />

経 過 】 経 過 観 察 に 伴 い、 医 師 、 管 理 栄 養 士 、 健 康 運 動 指 導 士 、 臨 床 心<br />

理 士 による 集 中 的 な 生 活 習 慣 改 善 プログラム( 運 動 療 法 ・ 栄 養 指 導 ・<br />

認 知 行 動 療 法 )を 行 ない、 減 量 治 療 を 行 った。 約 24ヵ 月 の 経 過 観 察 中<br />

に 腫 瘍 径 は48mm 大 に 増 大 した。この 時 点 で 患 者 はBMI:30.4%にま<br />

で 減 量 に 成 功 し、 血 圧 、 血 糖 コントロールも 良 好 となり( 収 縮 期 血 圧<br />

150mmHg 台 、HbA1c…5.8%)、 高 圧 剤 、 経 口 血 糖 降 下 剤 内 服 を 減 量 で<br />

きた。 腫 瘍 径 増 大 に 伴 い、 手 術 を 希 望 されたために 平 成 23 年 7 月 5 日 に<br />

主 膵 管 を 温 存 が 困 難 であったために 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。<br />

術 後 経 過 は3 日 目 にGrade…A 膵 液 漏 (ISGPF)を 認 めたが、ドレーンを<br />

抜 去 。4 日 目 に 経 口 摂 取 開 始 し、10 日 目 に 退 院 となり、 術 後 は 糖 尿 病<br />

の 悪 化 を 認 めなかった。 最 終 病 理 診 断 は 分 子 型 IPMNで 悪 性 所 見 は 無<br />

かった。【 考 察 】 肥 満 は 術 後 合 併 症 の 危 険 因 子 であり、また 近 年 BMI<br />

高 値 (>25)は 膵 液 漏 の 危 険 因 子 との 報 告 もある。 高 度 肥 満 症 例 に 対 し<br />

て 生 活 習 慣 改 善 プログラムにより 減 量 に 成 功 し、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

後 の 合 併 症 のリスクを 低 減 させ、 安 全 に 施 行 できたと 考 えられた。<br />

P31-1 lipomatouspseudohypertrophyofthe<br />

pancreas(LPP)を 伴 った 乳 頭 部 癌 にPpPDを 施 行 した<br />

1 例<br />

島 根 大 学 医 学 部 附 属 病 院 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 高 井 清 江 , 川 畑 康 成 , 西 健 , 木 谷 昭 彦 , 比 良 英 司 ,<br />

矢 野 誠 司 , 田 島 義 証<br />

症 例 は70 代 女 性 。 既 往 歴 は 高 血 圧 、 糖 尿 病 にて 内 服 加 療 中 。 健 診 での<br />

胸 部 異 常 陰 影 を 契 機 に、 胆 道 拡 張 および 胆 道 気 腫 を 指 摘 され 精 査 が 行<br />

われた。GISにて 十 二 指 腸 乳 頭 部 に 露 出 腫 瘤 型 の 腫 瘍 を 認 め、 生 検 で<br />

中 ~ 高 分 化 腺 癌 の 診 断 であった。EUSでは 腫 瘍 は 膵 実 質 への 浸 潤 なく、<br />

一 部 十 二 指 腸 筋 層 への 浸 潤 が 疑 われた。 腹 部 造 影 CTでリンパ 節 転 移<br />

および 遠 隔 転 移 無 し。MRI/MRCPにて 膵 頭 部 主 膵 管 は 軽 度 拡 張 して<br />

いたがSMA 左 側 で 途 絶 し、 尾 側 膵 管 は 同 定 困 難 であった。 膵 実 質 も<br />

膵 頭 部 のみ 確 認 可 能 で、 膵 体 尾 部 は 脂 肪 置 換 され 肥 大 していた。 以 上<br />

より 膵 体 尾 部 LPPを 伴 った 乳 頭 部 癌 cT3…N0…H0…P0…M(-)…Stage…IIIの<br />

診 断 で、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PPPD-IV-B-2)を 施 行 した。<br />

体 尾 部 膵 実 質 は 肥 大 していたが 視 触 診 およびUSにても 正 常 膵 実 質 と<br />

同 様 であった。 膵 切 離 はSMV 左 側 で 行 ったが 残 膵 側 の 膵 管 は 確 認 で<br />

きず、 切 離 断 端 の 術 中 迅 速 病 理 診 では 微 小 な 膵 管 および 膵 実 質 を 認 め<br />

るも 大 部 分 が 脂 肪 組 織 に 置 換 されていた。しかし 残 膵 には 膵 管 および<br />

膵 実 質 が 残 存 する 可 能 性 を 考 慮 し、 膵 液 の 完 全 ドレナージを 目 的 に 胃<br />

膵 吻 合 を 行 った。 乳 頭 部 癌 の 病 理 組 織 学 的 診 断 はpT1…N0…H0…P0…M(-)…<br />

stage…Iであった。 一 方 、 膵 切 離 断 端 では 腺 房 細 胞 がほとんど 消 失 し<br />

て 正 常 の 脂 肪 組 織 に 置 換 されていたが、 散 在 性 に 正 常 膵 組 織 の 混 在 を<br />

認 め、diffuse…type…LPPと 診 断 した。 術 後 経 過 は 良 好 で、 術 前 より 認<br />

めていた2 型 糖 尿 病 がやや 増 悪 したもののインスリン 投 与 により 良 好<br />

なコントロールが 可 能 であった。 LPPは 非 常 に 稀 な 疾 患 であり、 検<br />

索 し 得 た 限 りその 報 告 は50 例 に 満 たない。 病 因 は 解 明 されておらず、<br />

経 過 や 予 後 についても 不 明 な 点 が 多 い。 本 疾 患 は 膵 外 分 泌 機 能 低 下 を<br />

認 める 症 例 もあるが、 内 分 泌 機 能 は 比 較 的 保 たれていることが 多 い。<br />

よって 自 験 例 のように 膵 頭 部 切 除 を 要 する 際 には 主 膵 管 の 狭 小 化 や 欠<br />

損 を 診 断 し、 病 態 に 応 じた 切 除 ・ 再 建 法 を 考 慮 する 必 要 があると 考 え<br />

られた。また、 体 尾 部 を 可 及 的 に 残 すことで 糖 尿 病 管 理 が 容 易 になる<br />

ことが 示 唆 された。<br />

P31-2 胃 癌 手 術 治 療 後 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の2 例 の 経 験<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 大 阪 南 医 療 センター 外 科<br />

○… 庄 野 嘉 治 , 玉 川 孝 治 , 谷 島 裕 之 , 坂 口 聡 , 石 田 興 一 郎 ,<br />

冨 永 敏 治 , 辻 本 武 宏 , 木 村 正 道 , 辰 林 太 一 , 田 伏 克 惇 ,<br />

堀 内 哲 也<br />

【はじめに】 本 邦 において 胃 癌 に 対 する 手 術 治 療 後 の 長 期 生 存 症 例 は<br />

多 く 認 められ、 術 後 に 膵 頭 部 腫 瘍 の 診 断 にて 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 必<br />

要 とする 症 例 があり、そのリンパ 節 郭 清 や 再 建 方 法 に 慎 重 に 対 応 する<br />

必 要 がある。 今 回 、 我 々は 胃 癌 にて 幽 門 側 胃 切 除 , 胃 全 摘 、R-Y 再 建<br />

を 施 行 し、その 後 に 膵 頭 部 腫 瘍 に 対 して 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)を<br />

施 行 し、 術 後 良 好 な 経 過 であった2 例 について 報 告 する。【 症 例 1】70<br />

歳 … 男 性 .…2002 年 胃 癌 のため 胃 全 摘 術 を 施 行 (StagII)。2010 年 閉 塞 性 黄<br />

疸 のため 精 査 し、 膵 頭 部 癌 の 診 断 にてPDを 施 行 した(pT3N1M0)。<br />

R-Y 再 建 されており、トライツ 靱 帯 から 空 腸 空 腸 吻 合 までのY 脚 は<br />

20cm 程 度 であった。 空 腸 空 腸 吻 合 部 を 切 離 し 断 端 閉 鎖 、PDを 施 行 した。<br />

再 建 は 食 道 吻 合 部 より 肛 門 側 の 空 腸 ループを 用 いて 膵 腸 , 胆 管 空 腸 吻<br />

合 を 行 い、ブラウン 吻 合 を 追 加 した。 術 後 5 日 目 より 食 事 を 開 始 した。<br />

【 症 例 2】70 歳 … 男 性 .…2007 年 胃 癌 のため 幽 門 側 胃 切 除 術 を 施 行<br />

(StageIIIb)。 術 後 補 助 化 学 療 法 を 施 行 した。2010 年 胆 道 系 酵 素 上 昇<br />

のため 精 査 施 行 し、 膵 頭 部 癌 の 診 断 にてPDを 施 行 した(pT3N1M0)。<br />

症 例 1と 同 様 に 空 腸 ループ、ブラウン 吻 合 にて 再 建 を 行 った。 術 後 4 日<br />

目 より 食 事 開 始 した。【 結 語 】 胃 癌 手 術 ,R-Y 再 建 後 の 症 例 において、<br />

PD 並 びに 再 建 について 症 例 に 応 じて 安 全 な 再 建 方 法 を 考 慮 する 必 要<br />

がある。<br />

-370-


P31-3 高 度 肝 機 能 障 害 を 有 する 肝 硬 変 合 併 症 例 に 対 する 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 の 経 験<br />

袋 井 市 立 袋 井 市 民 病 院 外 科<br />

○… 京 兼 隆 典<br />

実 臨 床 において、 肝 硬 変 を 有 する 患 者 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 が 適 応 と<br />

なる 腫 瘍 が 発 生 することはまれではない。その 際 、 耐 術 可 能 かどうか<br />

の 判 断 が 重 要 となるが、 過 去 に 報 告 も 少 なく、その 判 断 基 準 は 明 らか<br />

ではない。 今 回 、 高 度 肝 機 能 障 害 を 有 する 肝 硬 変 合 併 症 例 に 発 生 した<br />

膵 頭 部 神 経 内 分 泌 腫 瘍 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 症 例 を 経<br />

験 したので、 術 後 の 長 期 経 過 を 含 め 報 告 する。 症 例 は74 歳 男 性 。 平 成<br />

5 年 より 近 医 でC 型 慢 性 肝 炎 のため 経 過 観 察 されていた。 膵 頭 部 に 腫<br />

瘤 が 指 摘 され 当 院 紹 介 となった。 腹 部 造 影 CTでは、 膵 頭 部 に 動 脈 相<br />

で 高 度 に 造 影 される40×30mm 大 の 腫 瘍 を 認 め、 近 傍 に 門 脈 に 直 接 流<br />

入 する 径 12mmの 太 いdrainage…veinが 存 在 した。 画 像 所 見 、 血 液 検 査<br />

所 見 より 非 機 能 性 膵 頭 部 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 した。 術 前 検 査 では、Alb…<br />

2.7g/dl、T.Bil…1.4mg/dl、PT…50.4%、ICG15 分 値 40.5%、K 値 0.069で、<br />

肝 障 害 度 C、Child-Pugh 分 類 B(8 点 )であった。また、LsF3CbRC(+)<br />

の 食 道 静 脈 瘤 を 認 めた。 腫 瘍 の 最 大 径 が40mmと 大 きいことより 根 治<br />

的 切 除 が 望 ましいが、 手 術 のリスクも 高 いことを 患 者 と 家 族 に 十 分 説<br />

明 した。EVL 施 行 後 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 大 出 血<br />

はなかったが、リンパ 液 の 漏 出 は 著 しく、 結 紮 を 頻 回 に 行 う 必 要 があっ<br />

た。 術 後 は 約 1 週 間 挿 管 管 理 とした。5PODまで1 日 1,000ml 以 上 のドレー<br />

ン 排 液 が 続 いた。 抜 管 後 は 大 きな 合 併 症 なく 経 過 し、24POD 退 院 と<br />

なった。 術 後 2ヶ 月 目 に 意 識 レベルの 低 下 で 外 来 受 診 。 血 中 アンモニ<br />

アが214μg/dlと 上 昇 していたため 経 口 分 枝 鎖 アミノ 酸 製 剤 の 内 服 を<br />

開 始 した。その 後 意 識 レベルは 改 善 し、 良 好 なPSのもと、 仲 間 と 趣<br />

味 のグラウンドゴルフを 楽 しむ 日 々が 続 いた。 良 好 な 状 態 は 術 後 17ヶ<br />

月 目 まで 続 いたが、この 間 に 施 行 した 検 査 で、ICG15 分 値 56%、K 値 0.034<br />

であった。 術 後 17ヶ 月 を 過 ぎた 頃 より 全 身 倦 怠 感 を 主 訴 に 外 来 を 頻 回<br />

に 受 診 するようになり、 入 退 院 を 繰 り 返 した。18ヶ 月 目 よりT.Bil 値<br />

が2.0mg/dlを 超 え、19ヶ 月 目 より 意 識 レベルの 低 下 、20ヶ 月 目 よりコ<br />

ントロール 困 難 な 腹 水 が 認 められるようになり、22ヶ 月 目 の 外 来 受 診<br />

時 にT.Bil 値 が4.7mg/dlと 上 昇 したため 入 院 としたが、 肝 不 全 が 進 行<br />

し7 日 目 に 死 亡 した。<br />

P31-4 食 道 癌 切 除 ・ 胃 管 再 建 後 に 発 生 した 膵 管 内 乳 頭 状 粘 液 性<br />

腫 瘍 に 対 する 胃 管 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 島 田 和 明 , 大 黒 聖 二 , 岸 庸 二 , 奈 良 聡 , 江 崎 稔 ,<br />

小 菅 智 男<br />

【はじめに】 食 道 癌 術 後 ・ 胃 管 再 建 後 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 が 必 要 な 場<br />

合 は、 胃 管 の 血 流 を 維 持 するために 右 胃 動 脈 や 右 胃 大 網 動 脈 の 温 存 あ<br />

るいは 再 建 が 必 要 となる。 今 回 、 食 道 癌 術 後 経 過 観 察 中 に 発 見 された<br />

膵 管 内 乳 頭 状 粘 液 腫 瘍 に 対 する 胃 管 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 手 術 手 技<br />

をビデオで 供 覧 する。【 症 例 】65 歳 男 性 、2007 年 4 月 食 道 癌 に 対 しサル<br />

ベージ 手 術 として、 右 開 胸 開 腹 食 道 亜 全 摘 、 胸 骨 後 頸 部 食 道 胃 管 吻 合 、<br />

二 領 域 リンパ 節 郭 清 が 行 われた。2011 年 6 月 術 後 経 過 観 察 中 の 画 像 診<br />

断 で 膵 頭 部 嚢 胞 性 病 変 が 増 大 し、10mm 大 の 嚢 胞 内 乳 頭 状 隆 起 を 伴 う<br />

42mm 大 の 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 が 認 められた。 浸 潤 癌 の 所 見 なく、 胃 管<br />

温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 うこととなった。【 手 術 手 技 】 前 回 手 術 創<br />

に 沿 って 上 腹 部 正 中 切 開 で 開 腹 した。 術 中 超 音 波 で 嚢 胞 外 に 浸 潤 する<br />

所 見 は 認 められなかった。Kocher 授 動 後 、 十 二 指 腸 水 平 脚 を 横 行 結<br />

腸 間 膜 から 剥 離 、トライツ 靱 帯 を 開 放 した。 膵 頭 部 下 端 で 上 腸 間 膜 静<br />

脈 の 確 認 し、 胃 結 腸 共 通 幹 を 形 成 する 前 右 結 腸 静 脈 、 右 胃 大 網 静 脈 を<br />

温 存 し、 前 上 膵 十 二 指 腸 静 脈 を 結 紮 切 離 した。 左 胃 大 網 動 脈 から 胃<br />

十 二 指 腸 動 脈 を 温 存 し、 前 上 十 二 指 腸 動 脈 を 切 離 し 腹 腔 動 脈 分 岐 まで<br />

遊 離 した。 門 脈 上 縁 で 膵 切 離 、 膵 断 端 の 腫 瘍 の 陰 性 を 迅 速 診 で 確 認 し<br />

た。 幽 門 輪 から20mmで 十 二 指 腸 を 切 離 した 後 、 肝 十 二 指 腸 間 膜 左 縁<br />

より 分 岐 する 右 胃 動 静 脈 を 温 存 し、 胆 管 左 縁 に 沿 って 肝 十 二 指 腸 靱 帯<br />

から 肝 外 胆 管 を 切 離 した。 後 上 膵 十 二 指 腸 静 脈 を 切 離 し 膵 頭 部 から 門<br />

脈 系 を 遊 離 した。 膵 頭 神 経 叢 を 切 離 、 上 腸 間 膜 動 脈 神 経 叢 を 温 存 し、<br />

最 後 に 空 腸 を 切 離 した。 肉 眼 的 に 胃 管 の 色 調 は 問 題 なかった。Child<br />

変 法 で 再 建 、 膵 管 径 は6mmと 拡 張 し 膵 管 空 腸 吻 合 を 行 った。 手 術 時<br />

間 は6 時 間 54 分 、 出 血 量 は550mlであった。 合 併 症 なく 術 後 10 日 目 に<br />

退 院 した。【 病 理 所 見 】Intraductal…papillary-mucinous…adenoma…with…<br />

moderate…atypiaであった。【まとめ】 食 道 癌 術 後 の 低 悪 性 度 膵 頭 部 腫<br />

瘍 に 対 し、 胃 管 の 血 流 を 温 存 することにより、 虚 血 や 鬱 血 なく 胃 管 温<br />

存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 えた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P31-5 直 腸 癌 異 時 性 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

倉 敷 中 央 病 院 外 科<br />

○… 河 合 隆 之 , 安 近 健 太 郎 , 河 本 和 幸<br />

【はじめに】 大 腸 癌 の 膵 転 移 は 稀 であり、 異 時 性 膵 転 移 の 切 除 症 例 は<br />

さらに 少 ない。 今 回 我 々は 直 腸 癌 術 後 4 年 目 に 異 時 性 膵 転 移 を 来 し、<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 にて 切 除 可 能 であった 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】45 歳 、 男 性 。2007 年 7 月 に 直 腸 癌 (Rb)に 対 して 腹 会 陰 式 直 腸<br />

切 断 術 を 施 行 、 病 理 組 織 学 的 にはtub2,pA,ly1,v1,pN1,p0,H0,M0,pStage<br />

IIIaであった。 術 後 テガフール・ウラシル、ホリナート 内 服 による 補<br />

助 化 学 療 法 を 半 年 間 施 行 した。その 後 2008 年 7 月 に 右 肺 S3に 肺 転 移 を<br />

指 摘 、 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 に 直 腸 癌 肺 転 移 と 診 断 され、<br />

術 後 mFOLFOX6による 化 学 療 法 を 半 年 間 施 行 した。 以 後 無 再 発 にて<br />

経 過 観 察 を 続 けていたが、2011 年 5 月 、 腹 部 CTにて 膵 体 部 に45mm 大<br />

の 腫 瘤 影 を 指 摘 され、 血 液 検 査 においてCEA:9.7ng/ml、<br />

DUPAN-2:670U/mlと 腫 瘍 マ ー カ ー の 上 昇 を 認 め た。PET-CT、<br />

MRCPによる 画 像 検 査 を 行 い、 原 発 性 膵 体 部 癌 cT3,N0,M0,StageIIIと<br />

診 断 され、6 月 に 膵 体 尾 部 切 除 術 D2 郭 清 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 検<br />

査 において、 最 大 径 45mm 大 の 膵 病 巣 は 既 往 の 直 腸 癌 と 肺 転 移 巣 に 類<br />

似 した 中 分 化 型 管 状 腺 癌 の 像 であったが、リンパ 節 に 悪 性 所 見 は 認 め<br />

なかった。 免 疫 染 色 においてCK7 陰 性 、CD20 陽 性 、cdx2 陽 性 であり、<br />

直 腸 癌 異 時 性 膵 転 移 と 診 断 された。 術 後 XELOXによる 化 学 療 法 を 導<br />

入 し、 外 来 にて 無 再 発 経 過 観 察 中 である。【まとめ】 大 腸 癌 の 異 時 性<br />

膵 転 移 は 稀 な 病 態 で、 転 移 性 と 原 発 性 膵 癌 の 術 前 鑑 別 診 断 は 一 般 に 困<br />

難 とされる。 大 腸 癌 膵 転 移 の 切 除 症 例 を 集 計 すると、 大 半 の 症 例 にお<br />

いて 切 除 後 1 年 以 上 の 生 存 が 得 られている。 長 期 生 存 のためにも、 膵<br />

転 移 に 対 する 切 除 術 は 選 択 されるべき 治 療 方 針 であると 考 える。<br />

P31-6 腎 癌 異 時 性 多 発 性 膵 転 移 に 対 し 膵 全 摘 を 施 行 した 二 例<br />

1<br />

川 崎 社 会 保 険 病 院 外 科 、 2 川 崎 社 会 保 険 病 院 内 科 、 3 川 崎 社<br />

会 保 険 病 院 病 理 、 4 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 消 化 器 外<br />

科<br />

○… 土 屋 勝 1<br />

, 新 井 賢 一 郎 1<br />

, 吉 田 公 彦 1<br />

, 岡 野 直 樹 2<br />

,<br />

藤 塚 宜 功 2<br />

, 土 方 一 範 2<br />

, 若 山 恵 3<br />

, 密 田 亜 希 3<br />

, 前 田 徹 也 4<br />

,<br />

石 井 淳 4<br />

, 大 塚 由 一 郎 4 4<br />

, 金 子 弘 真<br />

【はじめに】 腎 癌 は、 肺 、 肝 、 骨 などへの 転 移 の 頻 度 が 高 く 膵 臓 への<br />

転 移 は 比 較 的 まれとされているが、 画 像 診 断 の 向 上 により 膵 転 移 巣 に<br />

対 する 切 除 症 例 も 散 見 される。しかし 治 療 法 に 関 してはQOL… を 考 慮<br />

した 膵 部 分 切 除 にすべきか 根 治 性 を 求 めた 膵 全 摘 にすべきか 定 まった<br />

見 解 はない。 今 回 、 異 時 性 多 発 性 転 移 巣 病 変 に 対 して 膵 全 摘 を 行 った<br />

2 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】73 才 、 女 性 。16 年 前 に 腎 癌 に<br />

対 し 右 腎 摘 出 術 を 施 行 した。12 年 前 に 両 側 肺 転 移 で 肺 部 分 切 除 、6 年<br />

前 に 膵 体 尾 部 転 移 で 膵 体 尾 部 、 脾 臓 合 併 切 除 を 施 行 した。1 年 前 に 膵<br />

転 移 再 発 確 認 したが 肺 にも 転 移 病 変 が 再 発 していたことより、 膵 全 摘<br />

による 腫 瘍 切 除 は 過 大 侵 襲 となると 考 え、IL-2 製 剤 投 与 による 経 過 観<br />

察 とした。しかし 下 血 、 貧 血 が 出 現 し 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 施 行 し<br />

たところ、 転 移 性 膵 腫 瘍 の 十 二 指 腸 浸 潤 による 上 部 消 化 管 出 血 と 診 断<br />

した。 内 視 鏡 下 止 血 のみでは 再 出 血 の 可 能 性 が 高 いと 判 断 し 膵 全 摘 術<br />

による 残 膵 腫 瘍 切 除 を 施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 であったが、 脳 転 移<br />

を 来 し 膵 全 摘 術 後 15か 月 目 に 永 眠 された。【 症 例 2】71 歳 女 性 。7 年 前<br />

に 腎 細 胞 癌 で 左 腎 摘 出 術 を 施 行 している。 経 過 中 に 腹 部 CTで 膵 頭 部<br />

から 膵 尾 部 にかけ 多 発 性 のhypervascularな 腫 瘤 を 認 め 画 像 診 断 にて<br />

膵 転 移 と 診 断 した。 手 術 は 膵 全 摘 、 脾 臓 合 併 切 除 を 施 行 した。 病 理 組<br />

織 学 的 所 見 では 淡 明 細 胞 型 と 診 断 され 腎 細 胞 癌 膵 転 移 と 診 断 した。 膵<br />

切 除 後 再 発 兆 候 は 認 めていない。【 考 察 】 腎 癌 多 発 性 膵 転 移 症 例 の 術<br />

式 選 択 では, 患 者 背 景 などを 十 分 考 慮 することが 必 要 で, 膵 全 摘 術 の<br />

適 応 については 慎 重 でなければならないと 考 える。 症 例 1では 十 二 指<br />

腸 浸 潤 による 消 化 管 出 血 のために 膵 全 摘 手 術 を 施 行 せざるを 得 なかっ<br />

た。また 症 例 2においても 多 発 性 膵 転 移 により 微 小 多 発 転 移 巣 の 存 在<br />

が 考 えられ, 部 分 切 除 では 根 治 切 除 と 成 りえない 可 能 性 があり 得 るた<br />

め 膵 全 摘 を 選 択 したが、いずれも 術 後 重 篤 な 合 併 症 なく 社 会 復 帰 可 能<br />

であった。…【まとめ】 腎 癌 多 発 膵 転 移 の 診 断 が 得 られた 際 には, 積 極<br />

的 に 再 切 除 することにより 長 期 予 後 が 期 待 される 可 能 性 があり、 膵 全<br />

摘 術 も 選 択 肢 の 一 つと 考 えられた。<br />

-371-


P31-7 腎 細 胞 癌 膵 転 移 に 対 する 膵 切 除 の 治 療 成 績<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 森 本 悠 太 , 黒 崎 功 , 中 野 哲 矢 , 滝 澤 一 泰 , 高 野 可 赴 ,<br />

皆 川 昌 広<br />

【はじめに】 転 移 性 膵 腫 瘍 は 膵 悪 性 腫 瘍 の 約 2%を 占 めるが、 多 くは<br />

腎 細 胞 癌 (RCC) 原 発 である.2011 年 までの20 年 間 に 当 科 で 行 われた<br />

転 移 性 膵 腫 瘍 に 対 する 膵 切 除 は8 件 中 7 例 がRCCからの 転 移 であった。<br />

本 研 究 ではこの7 例 に 対 して 臨 床 病 理 学 的 検 討 を 行 い, 手 術 の 適 応 な<br />

どについて 考 察 を 加 えた.【 症 例 】7 例 は 男 性 6 例 、 女 性 1 例 で 再 手 術 時<br />

の 平 均 年 齢 は67 歳 (70 歳 以 上 5 名 )であった。 原 発 は 右 腎 4 例 、 左 腎 3 例<br />

であり、すべて 根 治 的 腎 摘 術 が 施 行 されていた。【 結 果 】RCCの 初 再<br />

発 が 膵 臓 であったものが5 例 、 肺 は2 例 であった。 腎 摘 から 膵 再 発 まで<br />

の 期 間 は 平 均 12.3 年 (3 月 ~22 年 、10 年 以 上 5 例 )で、 単 発 が5 例 、 多 発 (2<br />

か 所 )が2 例 であった。 画 像 上 , 嚢 胞 変 性 を1 例 に 認 め, 膵 嚢 胞 性 疾 患<br />

との 鑑 別 を 要 した. 転 移 部 位 は 体 尾 部 が6 例 で, 膵 頭 部 は1 例 であり,<br />

手 術 は 尾 側 膵 切 除 が6 例 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 1 例 であった. 尾 側 膵 切<br />

除 の1 例 に 腹 腔 鏡 下 手 術 を 行 ったが, 左 腎 摘 後 の 場 合 は 腎 摘 後 の 間 隙<br />

に 尾 側 膵 や 脾 が 落 ち 込 み, 腹 腔 鏡 下 手 術 を 回 避 した. 手 術 時 間 は 平 均<br />

354 分 、 出 血 量 は 平 均 705gr… であった。 膵 と 肺 に 転 移 を 認 めた2 例 中 1<br />

例 は 同 時 期 に 肺 切 除 が 施 行 されたが,1 例 は 膵 転 移 だけが 切 除 された.<br />

これはIFNなどの 治 療 でも 膵 転 移 のみが 増 大 したことによる. 全 例 R1<br />

以 上 のリンパ 節 郭 清 を 施 行 したが,リンパ 節 転 移 を 認 めた 症 例 はな<br />

かった. 術 後 合 併 症 として 仮 性 動 脈 瘤 破 裂 (IVRで 止 血 ), 腹 腔 内 膿 瘍<br />

(ドレナージ 術 施 行 )を 各 1 例 に 認 めた. 膵 液 瘻 はGrade…Bを3 例 , 同 C<br />

を2 例 に 認 めた(ISGPF). 現 在 全 例 生 存 中 であるが, 肺 転 移 非 切 除 の1<br />

例 は, 膵 切 除 前 にはIFNで 肺 病 巣 の 縮 小 を 認 めたものの, 術 後 は 再 増<br />

大 を 認 めたためさらに 抗 癌 剤 治 療 中 である. 他 の 症 例 では 再 発 を 認 め<br />

ていない.【まとめ】GradeB 以 上 の 膵 液 瘻 を 認 めたものの,RCC 膵 転<br />

移 に 対 する 膵 切 除 は 妥 当 である. 術 式 ではリンパ 節 転 移 を 認 めにくい<br />

ことから 腹 腔 鏡 下 手 術 のよい 適 応 であり,さらに 転 移 部 位 によっては<br />

脾 温 存 を 考 慮 すべきと 考 えられた.また 嚢 胞 変 性 をきたす 場 合 があり,<br />

膵 嚢 胞 との 鑑 別 に 注 意 を 要 する.<br />

P31-8 後 腹 膜 原 発 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学<br />

○… 芳 賀 淳 一 郎 , 佐 藤 直 哉 , 佐 藤 哲 , 穴 澤 貴 行 , 見 城 明 ,<br />

土 屋 貴 男 , 後 藤 満 一<br />

【はじめに】 転 移 性 膵 腫 瘍 は 比 較 的 まれな 疾 患 であり、さらに 平 滑 筋<br />

肉 腫 の 膵 転 移 報 告 例 はほとんど 見 られていない。 今 回 われわれは 後 腹<br />

膜 原 発 平 滑 筋 肉 腫 による 膵 転 移 症 例 に 対 し、 外 科 的 切 除 を 施 行 した1<br />

例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】79 歳 、 女 性 。2006 年 に 右 腎 下 極<br />

から 尾 側 、 上 行 結 腸 背 側 に 存 在 した 後 腹 膜 腫 瘍 に 対 し 腫 瘍 摘 出 術 を 施<br />

行 され、 平 滑 筋 肉 腫 と 診 断 された。2008 年 5 月 に 肝 転 移 に 対 し 肝 右 葉<br />

切 除 術 、 同 年 7 月 に 肺 転 移 に 対 し 左 舌 区 、 下 葉 部 分 切 除 術 を 施 行 された。<br />

2011 年 3 月 に 側 腹 部 皮 下 腫 瘍 を 認 め、 摘 出 術 にて 平 滑 筋 肉 腫 皮 下 転 移<br />

と 診 断 された。 同 年 6 月 の 腹 部 CTでは 膵 尾 部 にリング 状 に 造 影 効 果 を<br />

有 する 径 2.3cm 大 の 腫 瘤 を 指 摘 され、 同 部 にFDG-PETの 集 積<br />

(SUVmax:6.4)も 認 められた。 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移 と 診 断 して、2011<br />

年 8 月 に 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 所 見 では、 好 酸 性 細<br />

胞 質 を 有 する 紡 錘 形 細 胞 の 不 規 則 な 交 錯 像 を 認 め、 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移<br />

と 診 断 された。 術 後 経 過 良 好 で 第 9 病 日 に 軽 快 退 院 した。【 考 察 】 転 移<br />

性 膵 腫 瘍 の 頻 度 は 膵 腫 瘍 全 体 の2~3%との 報 告 があり、 通 常 悪 性 腫 瘍<br />

の 全 身 転 移 による 部 分 症 として 出 現 するため 切 除 の 対 象 となることは<br />

少 ない。 平 滑 筋 肉 腫 による 膵 転 移 は 報 告 が 非 常 に 少 なく、 本 邦 で13 例 、<br />

海 外 でも10 例 の 報 告 が 見 られるに 過 ぎず、さらに 後 腹 膜 原 発 平 滑 筋 肉<br />

腫 の 膵 転 移 の 報 告 は1 例 のみであった。また、 転 移 性 膵 腫 瘍 切 除 例 の5<br />

生 率 は25~35%との 報 告 もあるが、その 予 後 は 原 疾 患 によりかなり 差<br />

異 が 見 られ、 多 臓 器 転 移 症 例 でも 転 移 巣 切 除 により 長 期 生 存 となった<br />

報 告 も 散 見 された。 本 症 例 は、 平 滑 筋 肉 腫 の 摘 出 術 から5 年 経 過 の 後<br />

に 膵 転 移 が 認 められ、その 間 に 肝 、 肺 、 皮 下 転 移 巣 切 除 を 施 行 してい<br />

る。 局 所 再 発 は 認 めず、いずれの 転 移 巣 も 根 治 切 除 されていたため、<br />

膵 転 移 巣 も 積 極 的 に 切 除 を 行 い 良 好 な 経 過 が 得 られている。【 結 語 】<br />

転 移 性 膵 腫 瘍 においては、 原 疾 患 と、その 局 所 制 御 を 考 慮 したうえで、<br />

治 療 法 の 選 択 肢 として 外 科 的 切 除 も 検 討 すべきである。<br />

P32-1 高 齢 者 における 膵 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 検<br />

討<br />

九 州 大 学 臨 床 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 上 田 純 二 , 大 塚 隆 生 , 高 畑 俊 一 , 田 中 雅 夫<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 も、High-volume…centerにおいては 安 全<br />

に 施 行 されるようになっているが、 高 齢 者 への 適 応 や 周 術 期 の 問 題 点<br />

などは 不 明 な 点 が 多 い。 今 回 、 我 々は75 歳 以 上 の 高 齢 者 膵 癌 に 対 する<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 治 療 成 績 について 検 討 し、 臨 床 的 意 義 について<br />

考 察 した。【 対 象 と 方 法 】2010 年 1 月 から2011 年 10 月 までに、 膵 癌 に 対<br />

して 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した57 例 について 検 討 した。75 歳 以 上<br />

の 高 齢 者 は11 例 であった。75 歳 未 満 の 患 者 46 例 ( 非 高 齢 者 群 )と、 手 術<br />

成 績 について 比 較 検 討 した。【 結 果 】 年 齢 は、 高 齢 者 群 は78.6±2.9 歳<br />

(75-85 歳 )、 非 高 齢 者 群 は60.8±10.7 歳 (25-74 歳 )であった。 男 女 比 は 高<br />

齢 者 群 で…3/8、 非 高 齢 者 群 で28/18であった。 術 前 の 心 血 管 合 併 症 は<br />

高 齢 者 群 で73%、 非 高 齢 者 群 では26%と 高 齢 者 群 で 有 意 に 高 率 で(p…<br />

=…0.004)、 術 前 のアルブミン 値 (3.5±0.5…vs…3.8±0.4…p=0.03)Hb 値 (11.5<br />

±1.6…vs…12.8±1.5…p=…0.01)は 高 齢 者 群 で 有 意 に 低 かった。 手 術 時 間 は<br />

高 齢 者 群 で496±146 分 、 非 高 齢 者 群 で507±140 分 と 有 意 な 差 を 認 めず<br />

(p=0.818)、 出 血 量 も 有 意 差 を 認 めなかった(1075±759gvs…1032±<br />

601g…p=0.844)。 手 術 関 連 死 亡 は 両 群 において 認 めず、 術 後 の 膵 液 瘻<br />

(GradeBおよびGradeC)は 高 齢 者 群 においては 認 めず、 非 高 齢 者 群 で<br />

は2 例 認 めただけで、 両 群 間 に 有 意 差 は 認 めなかった(p=0.481)。【 考 察 】<br />

膵 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 は、 心 血 管 系 疾 患 の 併 存 が 多 い75 歳<br />

以 上 の 高 齢 者 においても 安 全 に 施 行 できる。<br />

P32-2 当 院 における80 歳 以 上 の 高 齢 者 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 の 検 討<br />

済 生 会 熊 本 病 院 外 科 センター<br />

○… 井 上 耕 太 郎 , 杉 山 眞 一 , 金 光 敬 一 郎<br />

【 背 景 】 高 齢 化 社 会 と 同 様 、 手 術 症 例 の 高 齢 化 も 進 んでいる。 肝 胆 膵<br />

領 域 悪 性 疾 患 に 対 する 手 術 は 侵 襲 が 大 きく、 特 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

(PD,…SSPPD,…PPPD,… 以 下 PD)は、 術 後 合 併 症 の 頻 度 も 高 いため、そ<br />

の 適 応 の 判 断 に 苦 慮 することが 多 々ある。【 目 的 】 当 院 における80 歳<br />

以 上 の 高 齢 者 に 対 するPDを 検 討 し、その 適 応 について 考 察 すること<br />

を 目 的 とした。【 方 法 、 結 果 】2009 年 1 月 から2011 年 12 月 までに 施 行 し<br />

た 悪 性 疾 患 に 対 する 肝 胆 膵 領 域 手 術 218 例 、 特 にPD58 例 を 検 討 した。<br />

80 歳 以 上 の 高 齢 者 に 対 する 手 術 はそれぞれ25 例 (8.72%)、6 例 (10.3%)<br />

であり、 年 々 増 加 傾 向 であった。2011 年 のPD20 例 の 内 80 歳 以 上 の 高<br />

齢 者 に 対 するものは5 例 (25%)であり 特 に 多 かった。 術 後 の 経 過 を 検<br />

討 したところ、 術 後 平 均 在 院 日 数 38.8 日 、 術 後 ISGPF…GradeBの 膵 液<br />

瘻 が2 例 、 胃 内 容 排 出 遅 延 が1 例 で、 高 齢 者 以 外 に 対 するものに 比 較 し<br />

て 遜 色 なかった。 全 症 例 軽 快 し 転 院 あるいは 退 院 した。【 考 察 】 当 院<br />

の80 歳 以 上 の 高 齢 者 に 対 するPDの 適 応 は、1.PS0であること、2. 根<br />

治 が 望 める 手 術 であること、3. 効 果 が 十 分 期 待 できること、4. 本 人<br />

の 意 志 が 明 確 であること、5. 重 要 臓 器 障 害 がないことを 満 たすこと<br />

を 基 本 としている。その 適 応 には 大 きな 問 題 がないと 考 えられた。 今<br />

後 の 手 術 適 応 の 在 り 方 について 考 察 する。<br />

-372-


P32-3 当 院 における 高 齢 者 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 成<br />

績<br />

町 田 市 民 病 院 外 科<br />

○… 薄 葉 輝 之 , 及 川 祥 代 , 橋 爪 良 輔 , 村 上 慶 四 郎 ,<br />

田 中 雄 二 朗 , 大 橋 伸 介 , 篠 原 寿 彦 , 朝 倉 潤 , 飯 野 年 男 ,<br />

水 野 良 児 , 羽 生 信 義<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)は 侵 襲 の 大 きい 手 術 であり、<br />

また 術 後 合 併 症 も 多 い。よって 高 齢 者 に 対 するPDの 適 応 は 慎 重 に 検<br />

討 する 必 要 がある。【 目 的 】 当 院 における80 歳 以 上 の 高 齢 者 に 対 する<br />

PDの 成 績 を 検 討 する。【 対 象 】2004 年 ~2012 年 までに 当 院 でPD(PPPD<br />

も 含 む)を 施 行 した56 例 を 対 象 に80 歳 以 上 の 高 齢 者 9 例 ( 膵 頭 部 癌 5 例 、<br />

下 部 胆 管 癌 3 例 、 乳 頭 部 癌 1 例 )、80 歳 未 満 の 非 高 齢 者 47 例 にわけ、 手<br />

術 時 間 、 出 血 量 、 術 後 合 併 症 、 術 後 在 院 日 数 に 関 して 比 較 検 討 した。【 結<br />

果 】( 高 齢 者 vs 非 高 齢 者 ) 手 術 時 間 ( 分 ):366±68…vs…409±67、 出 血 量<br />

(ml):1909±1782…vs…1972±2283、 膵 液 瘻 (A/B/C):(0/3/0)…vs…<br />

(8/9/3)、 腹 腔 内 出 血 :0…vs…3、 再 手 術 :0…vs…2、 手 術 関 連 死 :0…vs…2、<br />

術 後 在 院 日 数 :26.3±15.9…vs…26.4±21.9。【 結 語 】80 歳 以 上 の 高 齢 者 に<br />

対 するPDの 成 績 は 非 高 齢 者 に 劣 らなかった。<br />

P32-4 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した 術 後 再 発 膵 癌 の1 例<br />

1<br />

福 岡 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 、 2 福 岡 大 学 医 学<br />

部 病 理 学 教 室<br />

○… 新 屋 智 志 1<br />

, 眞 栄 城 兼 清 1<br />

, 佐 々 木 隆 光 1<br />

, 加 藤 大 祐 1<br />

,<br />

濱 田 義 浩 1 1<br />

, 山 下 裕 一<br />

症 例 は65 歳 、 女 性 。2005 年 6… 月 急 性 膵 炎 症 状 を 契 機 に 発 症 、 精 査 目 的<br />

に 当 科 入 院 となった。 腹 部 CTでは 膵 内 に 明 らかな 腫 瘤 像 を 認 めなかっ<br />

たが、 体 部 主 膵 管 に 高 度 拡 張 がみられ、MRCP 像 も 主 膵 管 狭 窄 と 尾 側<br />

主 膵 管 の 拡 張 を 示 した。ERCPにおいて 主 乳 頭 口 に 開 大 を 認 めず、 主<br />

膵 管 像 は 体 部 近 くで 内 腔 の 半 円 形 腫 瘤 像 により 途 絶 していた。EUSで<br />

は 膵 体 部 に 境 界 不 鮮 明 ・ 不 整 型 な10mm 大 低 エコー 充 実 性 腫 瘤 像 とし<br />

て 描 出 された。 以 上 の 所 見 から 比 較 的 早 期 の 通 常 型 もしくは、 特 殊 型<br />

膵 癌 を 疑 い 同 年 8 月 脾 合 併 切 除 + 尾 側 膵 切 除 術 (D1 郭 清 )を 施 行 した。<br />

病 理 診 断 はIntraductal…papillary-mucinous…carcinoma…with…munite…<br />

stromal…invasion,…Pb,…INFα,…ly0,…v0,…pn0,…S( - …RP(-),…PV(-),…A(-);…<br />

pT1,…pN0,…pStage1,…pCM(-),…pDM(-)であった。 術 後 観 察 中 の2008 年 2<br />

月 腫 瘍 マーカーの 上 昇 、US/CTで 残 膵 に 膵 管 拡 張 を 伴 う30mm 径 腫 瘤<br />

像 を 認 めた。EUSでは 残 膵 に 低 エコー 充 実 性 腫 瘤 と 拡 張 した 膵 管 内 の<br />

乳 頭 状 隆 起 が 散 在 性 に 認 められた。ERCPを 行 うと 主 乳 頭 口 の 開 大 と<br />

粘 液 排 出 が 見 られ、 膵 管 像 は 副 膵 管 分 岐 部 近 傍 の 主 膵 管 内 に 乳 頭 状 隆<br />

起 を 示 した。 同 時 に 行 った 膵 液 細 胞 診 の 結 果 はClass5であったため、<br />

残 膵 の 癌 再 発 と 診 断 し 同 年 4 月 残 膵 全 摘 術 (D2 郭 清 ) 兼 胆 管 切 除 、 胆 道<br />

消 化 管 再 建 術 を 行 った。 再 手 術 標 本 の 病 理 診 断 はInvasive…carcinoma…<br />

derived…from…intraductal…papillary-mucinous…carcinoma,…Ph,…INFβ,…<br />

ly1,…v0,…ne0,…CH(-),…DU(-),…S( - …RP(-),…pOO(-),…pBCM(-),…pDPM(-);…<br />

pT1,…pN0,…pStage1であった。2 回 目 手 術 より3 年 8か 月 ( 初 回 より6 年 6<br />

か 月 ) 経 過 した 現 在 、 再 発 なく 外 来 観 察 中 である。 本 例 は、 特 異 な 画 像 ・<br />

病 理 所 見 を 示 していたが、 膵 癌 術 後 の 経 過 観 察 の 在 り 方 および 残 膵 再<br />

発 に 対 する 再 切 除 の 適 応 について 示 唆 に 富 む 症 例 と 考 えられたため、<br />

若 干 の 文 献 的 考 察 を 含 め 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P32-5 膵 癌 術 後 5 年 目 に 出 現 した 超 高 齢 者 の 残 膵 癌 に 対 し、 粒<br />

子 線 治 療 を 施 行 した 一 例<br />

1<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 兵 庫 県 立 粒 子 線 医 療 センター 放 射 線<br />

科<br />

○… 山 下 博 成 1<br />

, 松 本 逸 平 1<br />

, 寺 嶋 千 貴 2<br />

, 新 関 亮 1<br />

, 外 山 博 近 1<br />

,<br />

浅 利 貞 毅 1<br />

, 後 藤 直 大 1<br />

, 田 中 正 樹 1<br />

, 白 川 幸 代 1<br />

, 沢 秀 博 1<br />

,<br />

上 野 公 彦 1<br />

, 高 橋 応 典 1<br />

, 土 田 忍 1<br />

, 木 戸 正 浩 1<br />

, 福 本 巧 1<br />

,<br />

味 木 徹 夫 1<br />

, 村 上 昌 雄 2 1<br />

, 具 英 成<br />

粒 子 線 は 優 れた 線 量 分 布 を 有 し、 消 化 管 毒 性 を 軽 減 しつつ 標 的 病 変 へ<br />

の 高 線 量 照 射 が 可 能 で 膵 癌 治 療 への 応 用 が 期 待 されている。 今 回 、 超<br />

高 齢 者 残 膵 癌 に 対 し、 粒 子 線 治 療 を 施 行 した 一 例 を 経 験 したので 報 告<br />

し、 治 療 選 択 につき 意 見 を 賜 りたい。<br />

症 例 は86 歳 男 性 、ECOG…Performance…Status( 以 下 、PS)…1の 患 者 。<br />

2005 年 12 月 膵 頭 部 癌 にて 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 (pT3…<br />

pN1…M0…fStage…III)。ジェムザール( 以 下 、GEM)…1000mg/m …2… による<br />

術 後 補 助 療 法 を8ヶ 月 間 行 った。<br />

2010 年 6 月 にCA19-9…109U/mLと 上 昇 を 認 めたが、MDCT、FDG-PET<br />

で 明 らかな 異 常 は 認 めなかった。 同 年 12 月 のMDCTで 残 膵 断 端 部 に<br />

φ1.5cmの 腫 瘤 を 指 摘 。 同 部 はFDG-PET… で 高 い 集 積 を 示 し、EUS-<br />

FNAでadenocarcinomaとの 診 断 を 得 た。 初 回 手 術 より5 年 経 過 し、 初<br />

回 手 術 時 に 切 除 断 端 陰 性 であったことより 残 膵 に 新 規 発 生 した 膵 癌 と<br />

診 断 した。その 後 の 精 査 でも 遠 隔 転 移 を 認 めず 切 除 適 応 と 考 えたが、<br />

根 治 には 残 膵 全 摘 が 必 要 であり、インスリン 療 法 によるQOL 低 下 に<br />

加 え、 高 齢 のため 手 術 侵 襲 によるADL 低 下 が 懸 念 された。 患 者 に 十<br />

分 なインフォームドコンセントを 行 い、 兵 庫 県 立 粒 子 線 医 療 センター<br />

で 粒 子 線 治 療 ( 炭 素 イオン 線 照 射 …67.5GyE/25Fr)を 施 行 した。 照 射 後<br />

64 日 目 よりGEM…1000mg/m …2… を1 週 投 与 1 週 休 薬 で 導 入 した。 治 療 開 始<br />

9ヶ 月 後 のCTによる 評 価 はSDであるが、FDG-PETでは 集 積 の 消 失 を<br />

認 め、 治 療 開 始 3,…6,…9ヶ 月 後 のCA19-9はそれぞれ、51,…22,…14U/mLと<br />

経 時 的 に 低 下 した。 照 射 後 6ヶ 月 目 にGrade…3の 貧 血 を 認 め、 計 4 単 位<br />

の 濃 厚 赤 血 球 輸 血 を 要 したが、 現 在 は 貧 血 進 行 を 認 めず 照 射 後 9ヶ 月<br />

の 現 在 、 外 来 で 化 学 療 法 を 継 続 中 である。<br />

本 例 における 治 療 選 択 肢 として、(1) 切 除 、(2) 化 学 療 法 、(3) 化 学 放 射 線<br />

療 法 、(4)BSCが 挙 げられるが、86 歳 と 超 高 齢 でありその 判 断 は 容 易 で<br />

はない。 我 々は、 膵 全 摘 術 は 非 適 応 と 判 断 し、 高 い 局 所 制 御 効 果 が 期<br />

待 できる 粒 子 線 治 療 をまず 選 択 した。 総 線 量 67.5GyEと 高 線 量 である<br />

が、 予 定 通 り 照 射 プロトコールを 完 遂 し、 照 射 後 も 化 学 療 法 を 継 続 し<br />

ている。 現 時 点 で 局 所 制 御 は 良 好 であり、 有 害 事 象 は 許 容 範 囲 内 であ<br />

る。 本 療 法 の 効 果 については、 長 期 の 評 価 と 症 例 集 積 が 必 要 である。<br />

P32-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 肝 硬 変 の2 症 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 二 川 康 郎 , 三 澤 健 之 , 柴 浩 明 , 後 町 武 志 , 鈴 木 文 武 ,<br />

北 村 博 顕 , 伊 藤 隆 介 , 脇 山 茂 樹 , 宇 和 川 匡 , 石 田 祐 一 ,<br />

矢 永 勝 彦<br />

(はじめに) 肝 硬 変 合 併 症 例 は 外 科 領 域 においてハイリスク 群 として 考<br />

慮 される. 特 に 侵 襲 の 大 きい 胆 膵 領 域 手 術 においてはその 適 応 に 関 し<br />

ては 慎 重 にならざるを 得 ない. 今 回 我 々は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行<br />

した 肝 硬 変 症 例 2 例 を 経 験 したので 報 告 する.( 症 例 1)74 歳 男 性 . 閉 塞<br />

性 黄 疸 を 契 機 に 診 断 された 下 部 胆 管 癌 症 例 .HBsAg(+)であり63 歳<br />

時 にHCCに 対 して 肝 S5 部 分 切 除 ,65 歳 時 ,72 歳 時 にS8のHCCに 対 し<br />

てRFAの 既 往 あり.Child-Pugh…6 点 (Grade…A)(PT…89%,…Alb…3.4…g/<br />

dl,…T.Bil…1.6…mg/dl,… 脳 症 .… 腹 水 認 めず),…Plt…9.4 万 /ul,…ICG…31%,… 肝 アシ<br />

アロ 受 容 体 シンチLHL15…0.839…であった.… 郭 清 最 小 限 の 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 が 施 行 された.… 術 中 出 血 は2,410mlで あ っ た.… 病 理 診 断 は<br />

pT4N0M0stageIVa…で 結 果 的 に 根 治 術 を 施 行 し 得 た.… 膵 液 漏 ,… 胆 汁 漏 は<br />

認 めなかった.… 術 後 8 日 目 に 白 血 球 増 多 (12,200/ul)のため 施 行 したCT<br />

にて 上 腸 間 膜 静 脈 内 に 血 栓 を 認 め, ATIIIが40%と 低 値 であったため<br />

にヘパリンとともにATIIIを 投 与 し 抗 凝 固 療 法 を 施 行 した.… 術 後 21 日<br />

目 に 血 栓 の 大 部 分 の 溶 解 を 確 認 した.… 術 後 28 日 目 に 退 院 となった.…( 症<br />

例 2)77 歳 女 性 .… 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて 偶 然 診 断 されたファーター<br />

乳 頭 部 癌 症 例 .…41 歳 時 に 出 産 時 に 輸 血 歴 あり.…HCV 抗 体 38.6.…Child-<br />

Pugh…5 点 (Grade…A)(PT…83%,…Alb…3.6…g/dl,…T.Bil…1.1mg/dl,… 脳 症 .… 腹<br />

水 認 めず),…Plt…5.0 万 /ul,… 肝 アシアロ 受 容 体 シンチLHL15…0.872…であっ<br />

た.… 約 2cm 大 の 腫 瘤 潰 瘍 型 であった.… 郭 清 最 小 限 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 ,… 脾 臓 摘 出 術 が 施 行 された.… 術 中 出 血 は1,770mlであった. 病 理 診 断 は<br />

pT2N1M0stageIII…であった.… 膵 液 漏 ,… 胆 汁 漏 は 認 めなかった.… 術 後 腹 水<br />

貯 留 ,… 低 ナトリウム 血 症 ,… 高 アンモニア 血 症 ,… 摂 食 障 害 をきたし,… 一 旦<br />

術 後 28 日 目 に 退 院 となったが 退 院 後 4 日 目 に 再 入 院 を 要 し,… 全 身 管 理<br />

に 難 渋 した.… 再 入 院 後 57 日 目 に 退 院 となった.( 結 語 ) 肝 硬 変 を 合 併 症 と<br />

して 有 する 症 例 に 対 し… 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 する 場 合 , 術 中 出<br />

血 増 加 ,… 門 脈 血 栓 , 肝 硬 変 の 非 代 償 化 など 致 命 的 な 合 併 症 が 生 じる 可<br />

能 性 がある.…そのため 手 術 適 応 とリンパ 節 郭 清 はなお 慎 重 な 判 断 を,<br />

また 注 意 深 い 術 後 経 過 観 察 を 要 すると 考 えられた.…<br />

-373-


P32-7 膵 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であった 総 肝 動 脈 周 囲 神 経 叢 由<br />

来 の 後 腹 膜 神 経 鞘 腫 の 一 例<br />

厚 生 連 JA 広 島 総 合 病 院 外 科<br />

○… 佐 々 木 秀 , 中 光 篤 志 , 今 村 祐 司 , 香 山 茂 平 , 大 下 彰 彦 ,<br />

加 納 幹 浩 , 中 村 浩 之 , 藤 解 邦 生 , 垰 越 宏 幸 , 山 口 拓 朗 ,<br />

福 田 康 彦<br />

【はじめに】 神 経 鞘 腫 は 末 梢 神 経 のSchwann 細 胞 由 来 の 腫 瘍 であり、<br />

頭 頚 部 および 四 肢 を 好 発 部 位 とし 後 腹 膜 に 発 生 するものは 稀 である。<br />

今 回 、 膵 頭 部 背 側 から 発 生 し 膵 内 に 嵌 入 するように 存 在 したため 術 前<br />

診 断 に 苦 慮 した 後 腹 膜 原 発 神 経 鞘 腫 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】45 歳 男 性 。 検 診 の 胸 部 X 線 写 真 で 異 常 陰 影 を 指 摘 され 当 院 呼<br />

吸 器 科 を 受 診 。CTを 撮 影 したところ 胸 部 には 異 常 を 認 めなかったが、<br />

膵 頭 部 に 周 囲 との 境 界 が 比 較 的 明 瞭 で 緩 徐 に 造 影 される 充 実 性 腫 瘤 を<br />

指 摘 された。MRIではT1WIで 低 信 号 、T2WIでやや 高 信 号 を 呈 して<br />

いた。MRCPでは 胆 管 ・ 主 膵 管 に 異 常 所 見 を 認 めなかった。 形 態 から<br />

通 常 型 膵 癌 は 否 定 的 でありSolid…and…pseudopapillary…tumorや<br />

endocrine…cell…tumorも 考 慮 したが、EUS-FNABにて 間 葉 系 腫 瘍 の 疑<br />

いと 診 断 された。 膵 腫 瘍 と 後 腹 膜 腫 瘍 の 鑑 別 が 困 難 であり 手 術 を 施 行<br />

した。【 手 術 所 見 】 腫 瘍 は 線 維 性 被 膜 に 覆 われ 周 囲 臓 器 への 浸 潤 傾 向<br />

は 認 めなかった。 総 肝 動 脈 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 、 膵 上 縁 の 間 隙 に 嵌 り 込<br />

むように 存 在 しており 被 膜 は 膵 と 強 く 癒 着 していたが 術 中 US 上 も 膵<br />

組 織 との 連 続 性 は 認 められなかったため 核 出 術 を 施 行 し 迅 速 組 織 診 に<br />

て 神 経 鞘 腫 の 診 断 を 得 た。 肉 眼 的 に 総 肝 動 脈 周 囲 組 織 と 腫 瘍 被 膜 が 連<br />

続 していたことから 総 肝 動 脈 周 囲 神 経 叢 に 由 来 するものと 推 察 された。<br />

【 組 織 学 的 所 見 】 免 疫 染 色 に てS100(+)、NSE(-)、GFAP(-)、<br />

chromograninA(-)、c-kit(-)、HMB45(-)で、 低 悪 性 度 神 経 鞘 腫 と 診<br />

断 された。【 考 察 】 後 腹 膜 神 経 鞘 腫 は 稀 な 疾 患 であるが、 膵 周 囲 に 発<br />

生 した 場 合 は 膵 腫 瘍 との 鑑 別 がしばしば 困 難 であり 膵 腫 瘍 の 鑑 別 診 断<br />

の 一 つとして 考 慮 すべき 疾 患 と 考 えられた。<br />

P32-8 後 腹 膜 ganglioneuromaの1 切 除 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

学 講 座<br />

○… 柴 浩 明 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

, 伊 藤 隆 介 1<br />

,<br />

鈴 木 文 武 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

,<br />

石 田 祐 一 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

症 例 は38 歳 、 女 性 。2011 年 4 月 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 当 院 受 診 。 腹 部 超 音<br />

波 では 膵 体 部 背 側 、 上 腸 間 膜 動 脈 右 側 に 接 して30mm 大 、 境 界 明 瞭 で<br />

不 整 形 のhypoechoic…massを 認 めた。 腹 部 MRIではT1WIで 低 信 号 、<br />

T2WIで 一 部 淡 い 高 信 号 を 示 し、 腹 部 造 影 CT… では 境 界 明 瞭 、 内 部 濃<br />

度 均 一 で 軽 度 の 遅 延 濃 染 を 認 めた。MIBGシンチグラフィでは 集 積 を<br />

認 めなかった。 上 部 、 下 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 では 異 常 を 認 めず、 胆 嚢<br />

内 結 石 、 総 胆 管 結 石 も 認 めなかった。 以 上 より 後 腹 膜 腫 瘍 、<br />

ganglioneuroma 疑 いで 腫 瘍 摘 出 術 を 施 行 した。 手 術 は 腹 腔 鏡 下 手 術<br />

で 開 始 したが 上 腸 間 膜 動 脈 との 剥 離 が 困 難 であり、 開 腹 手 術 に 切 り 替<br />

えた。 摘 出 標 本 は35x20mm 大 の 境 界 明 瞭 な 腫 瘍 であった。 病 理 診 断 は、<br />

紡 錘 形 細 胞 の 増 生 が 主 体 で 散 在 性 に 神 経 節 細 胞 が 存 在 しており、<br />

ganglioneuromaの 診 断 であった。 明 らかな 悪 性 所 見 は 認 めなかった。<br />

術 後 半 年 で 心 窩 部 痛 の 再 燃 は 認 めていない。Ganglioneuromaは 交 感<br />

神 経 節 由 来 の 腫 瘍 で、 比 較 的 稀 な 疾 患 であるため 文 献 的 考 察 を 加 えて<br />

報 告 する。<br />

P33-1 経 口 内 視 鏡 を 使 用 し、 後 腹 膜 アプローチにてネクロセク<br />

トミーを 施 行 した 急 性 重 症 膵 炎 の1 例<br />

名 古 屋 共 立 病 院 外 科<br />

○… 寺 下 幸 夫<br />

症 例 は64 歳 、 男 性 。30 年 前 に 胃 潰 瘍 にて 胃 切 除 の 既 往 があった。 喫 煙<br />

は30 本 / 日 x40 年 、アルコールは 毎 日 多 量 に 飲 んでいた。 平 成 23 年 8 月 、<br />

腹 痛 出 現 し、 近 医 より 紹 介 受 診 となった。 血 清 膵 酵 素 上 昇 および、<br />

US,CTにて 膵 周 囲 の 炎 症 所 見 、 腹 水 を 認 め、 急 性 膵 炎 と 診 断 、 入 院 、<br />

加 療 となった。 圧 痛 を 伴 う 上 腹 部 痛 、38℃の 発 熱 を 認 め、WBC=<br />

13800、CRP=27.0、LDH=708、Ca=6.9で、 予 後 因 子 は4 点 、 腹 部 CT<br />

では、 膵 は 腫 大 し、 膵 周 囲 の 脂 肪 濃 度 上 昇 は 結 腸 間 膜 根 から 両 前 腎 傍<br />

腔 に 広 がり、 腎 下 極 の 尾 側 におよび、CTgrade2と 診 断 した。 画 像 上 、<br />

膵 実 質 の 造 影 不 良 域 は 指 摘 しえず、 重 症 急 性 膵 炎 として、 保 存 的 治 療<br />

を 施 行 した。 蛋 白 分 解 酵 素 阻 害 剤 、 抗 菌 剤 を 使 用 し、 第 14 病 日 より 経<br />

口 摂 取 を 開 始 した。 動 注 療 法 、 血 液 浄 化 療 法 は 施 行 しなかった。 全 身<br />

状 態 の 悪 化 は 認 めなかったが、 炎 症 所 見 は 遷 延 し、 第 69 病 日 、 経 皮 的<br />

ドレナージを 施 行 した。 頻 回 に 細 菌 検 査 を 施 行 するも、 培 養 結 果 は 陰<br />

性 で、 感 染 性 膵 壊 死 の 診 断 に 至 らず、 保 存 的 治 療 を 継 続 した。その 後<br />

も 症 状 の 改 善 を 認 めなかったため、 第 102 病 日 、 硬 膜 外 麻 酔 下 に、 経<br />

口 内 視 鏡 を 用 い、 後 腹 膜 アプローチによるネクロセクトミーを 施 行 し<br />

た。 術 後 、 局 所 洗 浄 を 継 続 し、 徐 々に 臨 床 症 状 、 炎 症 所 見 は 改 善 した。<br />

急 性 膵 炎 診 療 ガイドラインでは、 非 感 染 性 膵 壊 死 では 保 存 的 治 療 が 原<br />

則 とされる。 本 症 例 では 頻 回 の 培 養 検 査 で 細 菌 を 検 出 できず、3カ 月<br />

に 及 ぶ 保 存 的 治 療 を 施 行 した。が、 臨 床 症 状 の 改 善 が 認 められず、 外<br />

科 的 治 療 に 踏 み 切 った。 全 身 状 態 が 比 較 的 落 ち 着 いていたこと、 保 存<br />

的 治 療 期 間 が 長 く 病 巣 が 限 局 していたことから、 市 中 病 院 でも、 低 侵<br />

襲 な 治 療 がでも 可 能 であった。 光 学 機 器 の 進 歩 もあり、 腹 腔 鏡 、 経 口<br />

内 視 鏡 を 使 った 手 技 も 普 及 しており、 急 性 膵 炎 の 治 療 に 関 しても 内 視<br />

鏡 を 用 いた 手 技 は 有 用 と 考 えられた。<br />

P33-2 重 症 膵 炎 後 膵 頭 部 嚢 胞 内 出 血 を 来 たし 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 を 施 行 した1 例<br />

関 西 医 科 大 学 枚 方 病 院 外 科<br />

○… 津 田 匠 , 里 井 壯 平 , 柳 本 泰 明 , 豊 川 秀 吉 , 山 本 智 久 ,<br />

良 田 大 典 , 山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 廣 岡 智 , 松 井 洋 一 ,<br />

道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 , 權 雅 憲<br />

症 例 は62 歳 男 性 。 急 性 膵 炎 の 診 断 で 近 医 入 院 加 療 中 であった。 経 過 に<br />

て 膵 頭 部 付 近 に 仮 性 嚢 胞 を 形 成 し、 嚢 胞 内 出 血 を 来 した。 当 初 、 増 悪<br />

傾 向 はなく 保 存 加 療 されたが、 経 過 にて 炎 症 、 膵 酵 素 の 増 悪 を 認 め、<br />

さらに 腹 部 造 影 CTにて 仮 性 嚢 胞 動 脈 瘤 の 形 成 及 び 嚢 胞 内 出 血 も 認 め<br />

たために 血 管 塞 栓 術 を 目 的 に 当 院 に 救 急 搬 送 された。 当 院 にて 血 管 造<br />

影 施 行 したところ、 前 上 膵 十 二 指 腸 動 脈 本 館 の 仮 性 動 脈 瘤 を 認 めた。<br />

これに 対 して、コイル 塞 栓 術 施 行 し、 以 後 問 題 なく 経 過 した。さらに<br />

膵 炎 の 原 因 検 索 を 進 めたところ、 主 膵 管 結 石 を 認 め、 今 回 の 膵 炎 の 原<br />

因 と 考 えられた。 今 後 、 再 出 血 や 膵 炎 再 燃 の 可 能 性 もあり、 外 科 転 科<br />

のうえ 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した。 術 後 経 過 は 問 題 なく、 術 後 17 日<br />

目 にリハビリ 目 的 で 転 院 となった。 現 在 、 術 後 半 年 を 経 過 するが、 再<br />

発 なく 外 来 通 院 されている。 仮 性 嚢 胞 は 急 性 膵 炎 ・ 慢 性 膵 炎 の10~<br />

15%に 合 併 すると 報 告 され、 嚢 胞 内 への 出 血 はそのうち2~10%と 比<br />

較 的 稀 な 病 態 である。 治 療 法 としては 手 術 もしくはIVRがある。 近 年<br />

はIVRでの 治 療 報 告 が 散 見 されるが、 単 独 での 治 療 では 根 治 的 には 不<br />

十 分 との 報 告 もある。 今 回 、 我 々はIVR 及 び 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 併 用<br />

し、 良 好 な 結 果 を 得 られたので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-374-


P33-3 特 異 な 画 像 所 見 を 呈 した 限 局 性 膵 炎 の 一 例<br />

山 口 大 学<br />

○… 飯 田 通 久 , 上 野 富 雄 , 新 藤 芳 太 郎 , 橋 本 憲 輝 , 前 田 祥 成 ,<br />

坂 本 和 彦 , 鈴 木 伸 明 , 吉 村 清 , 為 佐 卓 夫 , 岡 正 朗<br />

症 例 71 歳 女 性 。 糖 尿 病 のフォロー 中 に 検 診 目 的 でCT 施 行 したところ、<br />

膵 頭 体 移 行 部 に 多 房 性 の 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 された。 分 枝 型 IPMN 疑 わ<br />

れたが、12mmで 壁 在 結 節 を 認 めず、 経 過 観 察 となった。3ヵ 月 後 のフォ<br />

ローCTで 病 変 の 増 大 と 充 実 性 成 分 の 出 現 を 認 めたため、 精 査 目 的 で<br />

当 院 紹 介 となった。 病 変 はCTの 動 脈 相 で 造 影 効 果 に 乏 しい24mm 大<br />

の 充 実 性 腫 瘤 で 内 部 に 単 房 性 嚢 胞 を 有 していた。ERCPでは 主 膵 管 に<br />

腫 瘤 による 圧 排 像 をみとめるものの、 明 らかな 狭 細 像 を 認 めず、 嚢 胞<br />

部 分 と 主 膵 管 の 交 通 は 認 められなかった。 血 液 検 査 上 、アミラーゼの<br />

軽 度 上 昇 を 認 めるものの、 腫 瘍 マーカー、IgG4はすべて 正 常 範 囲 で<br />

あった。PET 検 査 で 腫 瘍 部 に 一 致 してSUV…5.1と 高 集 積 部 を 認 めた。<br />

急 激 に 増 大 していること、PETで 集 積 を 認 めることからIPMC、もし<br />

くは 膵 管 癌 を 疑 い、 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標<br />

本 では 腫 瘤 内 は 著 明 な 線 維 化 を 認 めたが、 内 部 に 小 葉 構 造 の 残 存 を 認<br />

め、 腫 瘤 形 成 性 膵 炎 が 疑 われた。 病 理 所 見 では 膵 臓 の 間 質 に 線 維 化 と<br />

著 明 なリンパ 球 浸 潤 を 認 めlymphoplasmacytic…sclerosing…pancreatitis<br />

(LPSP) 様 であったが、IgG4 陽 性 細 胞 は 少 数 に 認 めるのみであった。<br />

病 理 学 的 には 自 己 免 疫 性 膵 炎 (AIP)である 可 能 性 が 示 唆 されたが、 膵<br />

管 狭 細 像 を 認 めず、 診 断 基 準 ではAIPに 該 当 しなかった。 考 察 腫 瘤<br />

形 成 性 膵 炎 は 慢 性 膵 炎 によるものと、 慢 性 膵 炎 を 伴 わず 限 局 性 の 炎 症<br />

を 来 たすものがある。 後 者 の 多 くはAIPと 考 えられているが、AIP 以<br />

外 の 限 局 性 膵 炎 も 報 告 されている。 本 症 例 は 病 理 所 見 でLPSP 様 であっ<br />

たものの、 先 行 する 嚢 胞 性 病 変 から 発 生 していること、 主 膵 管 の 狭 細<br />

像 を 認 めなかったことから 典 型 的 なAIPではなく、AIPの 亜 系 の 可 能<br />

性 が 疑 われた。<br />

P33-4 待 機 的 に 手 術 を 行 った 膵 仮 性 嚢 胞 の 一 例<br />

鹿 児 島 市 医 師 会 病 院 外 科<br />

○… 川 村 秀 尚 , 門 野 潤 , 石 崎 直 樹 , 井 上 真 岐 , 川 井 田 啓 介 ,<br />

中 薗 俊 博 , 渡 邉 照 彦 , 大 迫 政 彦 , 田 畑 峰 雄<br />

膵 仮 性 嚢 胞 破 裂 は 出 血 を 伴 い、 緊 急 の 処 置 、 手 術 を 要 することが 報 告<br />

されている。 今 回 、 膵 仮 性 嚢 胞 破 裂 に 対 し 待 機 的 に 手 術 を 行 った 症 例<br />

を 経 験 し 報 告 する。 症 例 は62 歳 、 男 性 、 主 訴 は 左 下 肢 腫 脹 、 紹 介 医 の<br />

CTで 膵 尾 部 に 嚢 胞 性 病 変 、 腹 水 貯 留 を 認 め、IPMNの 破 裂 を 疑 われた。<br />

血 清 アミラーゼ、リパーゼも 高 値 で 急 性 膵 炎 も 否 できなかった。 当 院<br />

入 院 後 、ERPで 膵 尾 部 に 膵 管 と 交 通 する21mm 大 の 嚢 胞 性 病 変 と、 造<br />

影 剤 の 膵 外 への 流 出 を 認 めた。 膵 管 外 瘻 チューブを 留 置 した。 腹 水 ア<br />

ミラーゼは32647IU/lで、 腹 水 は 嚢 胞 破 裂 が 原 因 と 考 えられた。 外 瘻<br />

チューブからの 造 影 剤 注 入 後 のCTでも 膵 外 への 造 影 剤 の 漏 出 を 認 め<br />

た。 外 瘻 後 、 腹 水 は 減 少 したが、 炎 症 が 完 全 に 沈 静 しなかったこと、<br />

IPMNが 完 全 に 否 定 出 来 なかったため 手 術 を 行 った。 膵 液 瘻 は 閉 鎖 し<br />

ていたが 膵 体 尾 部 脾 合 併 切 除 術 を 行 った。 病 理 所 見 で 腫 瘍 性 病 変 は 認<br />

めず、 膵 仮 性 嚢 胞 と 診 断 された。 膵 仮 性 嚢 胞 は 出 血 を 伴 うことが 多 く、<br />

緊 急 TAE、 手 術 を 要 することが 多 い。 出 血 が 無 く、 腹 膜 炎 が 軽 度 で<br />

あれば、 本 症 例 の 如 く 膵 管 外 瘻 を 行 い、 待 機 的 に 手 術 することも 可 能<br />

である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P33-5 特 異 な 経 過 を 示 した 膵 体 尾 部 仮 性 嚢 胞 内 出 血 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 由 井 倫 太 郎 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 山 本 智 久 ,<br />

廣 岡 智 , 山 木 壮 , 松 井 陽 一 , 權 雅 憲<br />

患 者 は43 歳 、 男 性 で、2011 年 3 月 22 日 に 腹 痛 あり 前 医 を 受 診 。 急 性 膵<br />

炎 の 診 断 にて 緊 急 入 院 、 保 存 的 加 療 を 施 行 されていたが 軽 快 傾 向 なく<br />

3 月 23 日 に 当 院 救 命 救 急 センターへ 紹 介 となった。 既 往 歴 は 喘 息 、ア<br />

ルコール 歴 はワイン0.5 杯 / 日 。 入 院 時 所 見 は、 体 温 37.6℃、 心 拍 数 90<br />

回 / 分 、 血 圧 150/93、 呼 吸 回 数 20 回 / 分 、SpO2:95%(room…air)、<br />

心 窩 部 から 臍 部 にかけて 圧 痛 を 認 めた。 重 傷 度 判 定 は 予 後 因 子 3 点 、<br />

CTgradeは2 点 、 画 像 上 からは 明 らかな 原 因 を 認 めず 特 発 性 重 症 膵 炎<br />

と 診 断 した。 第 2 病 日 にCT 上 膵 炎 所 見 増 悪 した 為 、 動 注 療 法 を5 日 間<br />

施 行 し、その 後 は 徐 々に 状 態 改 善 していたが、 第 21 病 日 にショック 状<br />

態 に 陥 りCT 施 行 すると 腹 腔 内 に 造 影 剤 流 出 を 伴 う 巨 大 血 腫 と 大 量 の<br />

復 水 を 認 めた。 直 ちに 血 管 造 影 施 行 したところ 左 胃 動 脈 下 極 枝 の 分 枝<br />

血 管 からの 造 影 剤 の 血 管 外 漏 出 を 認 め、 左 胃 動 脈 塞 栓 術 施 行 し 止 血 を<br />

得 た。その 後 再 出 血 を 認 めることなく 経 過 していたが 第 44 病 日 に 行 っ<br />

たフォローCTで 血 腫 の 急 激 な 縮 小 を 認 めた 為 、 上 部 消 化 管 内 視 鏡 施<br />

行 したところ 胃 体 上 部 大 彎 後 壁 と 血 腫 との 間 に 交 通 を 認 めた。 保 存 的<br />

加 療 施 行 していたが 第 48 病 日 に 大 量 吐 血 ありショック 状 態 に 陥 り 血 管<br />

造 影 施 行 するも 出 血 点 は 不 明 で 自 然 止 血 していた。この 時 点 で、 保 存<br />

的 加 療 は 困 難 と 判 断 し 外 科 紹 介 となり 第 56 病 日 に 膵 体 尾 部 切 除 、 胃 瘻<br />

孔 部 閉 鎖 術 を 施 行 した。 嚢 胞 内 に 開 存 している 動 脈 を 確 認 し 結 紮 、 胃<br />

体 上 部 大 彎 後 壁 には 約 4cmの 穿 通 部 を 認 めた。 術 後 膵 液 漏 をみとめる<br />

ものの 経 過 は 良 好 であったが 術 後 70 病 日 に 再 度 吐 血 した。 上 部 消 化 管<br />

内 視 鏡 からは 瘻 孔 閉 鎖 部 からの 出 血 を 思 わせる 所 見 、CTからは 脾 動<br />

脈 断 端 の 動 脈 瘤 を 認 め 血 管 造 影 施 行 。 脾 動 脈 断 端 部 仮 性 動 脈 瘤 からの<br />

胃 穿 破 であり 塞 栓 術 にて 止 血 を 得 た。その 後 は 問 題 なく 経 過 し 第 93 病<br />

日 に 前 医 へと 転 院 となった。 現 在 術 後 6カ 月 であるが 特 に 問 題 なく 経<br />

過 している。 急 性 膵 炎 の 炎 症 波 及 による 血 管 破 綻 による 膵 仮 性 嚢 胞 内<br />

出 血 後 に 嚢 胞 胃 瘻 孔 を 形 成 し、 再 出 血 に 対 して 根 治 切 除 術 を 施 行 した<br />

1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P33-6 慢 性 膵 炎 、 脾 動 脈 瘤 、 膵 仮 性 嚢 胞 に 対 し 門 脈 バイパスを<br />

併 用 した1 手 術 例<br />

佐 久 総 合 病 院 外 科<br />

○… 大 久 保 浩 毅 , 結 城 敬 , 松 浦 正 徒 , 長 谷 川 健<br />

慢 性 膵 炎 およびアルコ-ル 性 膵 炎 急 性 増 悪 を 繰 り 返 す 患 者 に 対 し 門 脈<br />

系 バイパスを 併 用 した1 手 術 例 を 報 告 する。<br />

【 症 例 】50 歳 代 、 男 性 。 繰 り 返 すアルコ-ル 性 膵 炎 増 悪 、 膵 仮 性 嚢 胞<br />

に 嚢 胞 内 出 血 および 脾 動 脈 瘤 の 合 併 を 認 めたため、 両 者 を 考 慮 し 外 科<br />

的 治 療 ( 膵 体 尾 部 切 除 術 )を 選 択 した。 開 腹 所 見 にて、 腹 腔 内 は 胃 の 浮<br />

腫 性 変 化 が 強 く、 膵 炎 のため 脾 静 脈 閉 塞 により 胃 大 網 静 脈 を 主 体 に 側<br />

副 血 行 路 が 非 常 に 発 達 していた。 更 に 膵 周 囲 、 特 に 膵 体 部 から 尾 部 側<br />

の 組 織 は 非 常 に 硬 く、 脾 動 脈 の 容 易 な 先 行 処 理 は 困 難 であった。また<br />

視 野 展 開 のために 胃 大 網 静 脈 をはじめとする 側 副 血 行 路 を 先 行 切 離 し<br />

てかざるおえなかった。よって、 静 脈 系 の 先 行 処 理 に 伴 う、うっ 血 を<br />

軽 減 する 目 的 で、 右 胃 大 網 静 脈 系 と 左 大 伏 在 静 脈 とをアンスロンカテ<br />

-テルを 使 用 しバイパスした。 術 中 、 前 方 より 静 脈 系 の 処 理 に 際 し 左<br />

上 腹 部 側 のうっ 血 もカテ-テルに 軽 減 され、うっ 血 により 剥 離 面 等 か<br />

らの 持 続 的 な 出 血 は 認 めなかった。 脾 静 脈 を 根 部 で 処 理 、 膵 切 離 を 先<br />

行 させた。 脾 動 脈 の 根 部 の 処 理 は 周 囲 組 織 が 非 常 に 硬 く、 通 常 の 剥 離<br />

では 困 難 であったためCusaを 使 用 した。 脾 動 脈 周 囲 を 露 出 し、 動 脈<br />

根 部 で 結 紮 切 離 した。 術 中 出 血 量 は700mlであった。<br />

【 結 語 】 慢 性 炎 症 により 脾 動 脈 の 先 行 処 理 ができない 場 合 あるいは 膵<br />

体 部 背 側 に 容 易 にアプロ-チできない 場 合 、 前 方 より 静 脈 先 行 処 理 せ<br />

ざるおえない。この 場 合 、 動 脈 の 流 入 血 により、うっ 血 による 出 血 量<br />

の 増 加 、 胃 の 浮 腫 性 変 化 の 増 悪 が 懸 念 される。 術 中 門 脈 系 バイパスを<br />

併 用 することで、 前 方 からの 静 脈 先 行 処 理 がうっ 血 のリスクなく 安 心<br />

してできる 利 点 があるものと 思 われた。<br />

-375-


P33-7 異 時 性 に 腹 腔 内 出 血 と 消 化 管 出 血 を 合 併 した 膵 仮 性 嚢<br />

胞 の 一 例<br />

せんぽ 東 京 高 輪 病 院 外 科<br />

○… 坂 田 宏 樹 , 中 沢 祥 子 , 高 橋 里 奈 , 白 木 孝 之 , 豊 田 宏 之 ,<br />

小 山 広 人<br />

仮 性 膵 嚢 胞 に 合 併 した 出 血 ( 消 化 管 出 血 、 腹 腔 内 出 血 、 嚢 胞 内 出 血 )は<br />

頻 度 こそ 少 ないものの、 重 篤 な 経 過 をたどることも 多 い。 今 回 、 仮 性<br />

膵 嚢 胞 による 腹 腔 内 出 血 に 対 して 膵 体 尾 部 ・ 脾 切 除 を 施 行 し、その 約<br />

2 年 後 にVater 乳 頭 口 を 介 した 膵 体 部 動 脈 瘤 からの 消 化 管 出 血 を 来 た<br />

した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は39 歳 男 性 でアルコール 性 慢<br />

性 膵 炎 の 既 往 を 持 ち、2 年 前 に 仮 性 嚢 胞 に 関 連 した 腹 腔 内 出 血 により<br />

緊 急 膵 体 尾 ・ 脾 切 除 が 施 行 されている。 突 然 の 上 腹 部 痛 と 吐 血 を 主 訴<br />

に 当 院 受 診 し、 上 部 内 視 鏡 でVater 乳 頭 開 口 部 からの 出 血 を 認 めた。<br />

腹 部 造 影 CTでは 再 発 膵 仮 性 嚢 胞 と 隣 接 する 膵 体 部 の 小 動 脈 瘤 が 主 膵<br />

管 に 穿 破 した 事 による 出 血 が 疑 われ、 緊 急 動 脈 塞 栓 術 により 止 血 を 得<br />

ている。その 後 、 待 機 的 に 膵 体 部 の 追 加 切 除 を 行 い、 以 降 は 仮 性 嚢 胞<br />

の 再 発 や 出 血 は 認 めていない。<br />

P33-8 下 血 で 発 症 した 膵 仮 性 嚢 胞 内 出 血 によるhemosuccus<br />

pancreaticusの1 切 除 例<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 循 環 器 ・ 呼 吸 器 ・ 消 化 器 疾 患 制 御 学 、 2 鹿 児<br />

島 大 学 大 学 院 人 体 がん 病 理 学<br />

○… 吉 川 弘 太 1<br />

, 菰 方 輝 夫 1<br />

, 島 元 裕 一 1<br />

, 北 薗 巌 1<br />

, 基 俊 介 1<br />

,<br />

東 美 智 代 2 1<br />

, 井 本 浩<br />

【はじめに】Hemosuccus…pancreaticusは 膵 管 を 経 由 し 十 二 指 腸 乳 頭<br />

からの 消 化 管 出 血 を 呈 する 比 較 的 稀 な 病 態 であり, 膵 炎 の 重 篤 な 合 併<br />

症 の 一 つである. 今 回 , 下 血 の 精 査 で 膵 仮 性 嚢 胞 内 出 血 による<br />

hemosuccus…pancreaticusが 判 明 し, 緊 急 IVR(interventional…<br />

radiology)により 止 血 を 得 た 後 に 待 機 的 に 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 を 施 行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】 大 酒 家 の55 歳 , 男<br />

性 . 約 6 年 前 に 慢 性 膵 炎 と 診 断 された. 約 1カ 月 前 より 腹 痛 ・ 背 部 痛 の<br />

再 燃 及 び 下 血 が 出 現 し 近 医 受 診 した. 血 液 検 査 でHb…3.8g/dlと 高 度 貧<br />

血 を 認 め, 上 ・ 下 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 で 明 らかな 出 血 源 は 同 定 されな<br />

かった.CTで 胃 十 二 指 腸 動 脈 の 仮 性 動 脈 瘤 が 疑 われ, 精 査 加 療 目 的<br />

で 当 科 紹 介 入 院 となった. 入 院 時 CTでは 膵 仮 性 嚢 胞 内 出 血 が 示 唆 さ<br />

れる 造 影 剤 の 血 管 外 漏 出 像 (extravasasion)を 認 めた. 出 血 部 位 の 同<br />

定 及 び 出 血 コントロール 目 的 で 緊 急 IVRを 施 行 した. 前 上 膵 十 二 指 腸<br />

動 脈 からの 出 血 が 判 明 し,コイル 塞 栓 にて 止 血 を 得 た. 膵 仮 性 嚢 胞 内<br />

出 血 によるhemosuccus…pancreaticus, 慢 性 膵 炎 に 伴 う 下 部 胆 管 及 び<br />

膵 頭 部 主 膵 管 の 高 度 狭 窄 と 診 断 し, 待 機 的 に 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 を 施 行 した. 膵 は 炎 症 性 変 化 のため 周 囲 組 織 と 高 度 に 癒 着 してお<br />

り, 特 に 門 脈 からは 剥 離 困 難 であった. 膵 鉤 部 に 一 部 切 り 込 むかたち<br />

で 膵 切 除 し, 門 脈 は 温 存 した. 再 建 はmodified…child 法 とした. 残 膵<br />

に 膵 石 が 多 数 残 存 することより 膵 管 ドレナージも 充 分 行 う 必 要 がある<br />

と 判 断 して, 拡 張 主 膵 管 を 長 軸 方 向 に 切 開 し 残 膵 主 膵 管 空 腸 側 々 吻 合<br />

とした. 術 後 経 過 は 良 好 で 第 22 病 日 に 軽 快 退 院 し, 術 後 5カ 月 現 在 除<br />

痛 が 得 られ 膵 内 外 分 泌 機 能 も 保 持 されている.【まとめ】 膵 仮 性 嚢 胞<br />

内 出 血 は 慢 性 膵 炎 の 重 篤 な 合 併 症 の 一 つであるが, 緊 急 IVRによる 止<br />

血 後 , 待 機 的 に 外 科 治 療 を 行 うことで 良 好 な 経 過 を 得 られたと 考 えた.…<br />

P34-1 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例 ー 慢 性 腎 不 全 下 の 集 学 的 治<br />

療 ー<br />

1<br />

江 東 病 院 消 化 器 センター 外 科 、 2 昭 和 大 学 医 学 部 消 化 器<br />

一 般 外 科<br />

○… 加 藤 博 久 1<br />

, 仁 科 晴 弘 1<br />

, 清 水 喜 徳 1<br />

, 村 井 紀 元 1<br />

,<br />

大 橋 直 樹 1<br />

, 松 井 伸 朗 1<br />

, 佐 藤 篤 1 2<br />

, 村 上 雅 彦<br />

( 緒 言 ) 初 診 時 Cr5.7の 慢 性 腎 不 全 患 者 に 対 し、 手 術 / 放 射 線 照 射 / 化 学<br />

療 法 を 施 行 し、 比 較 的 良 好 な 経 過 を 得 ている 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 を 経 験 し<br />

たので 報 告 する。( 症 例 )60 歳 代 、 女 性 。 肝 機 能 障 害 を 主 訴 に 当 院 消 化<br />

器 内 科 受 診 、 膵 頭 部 癌 の 診 断 で 当 科 転 科 。( 既 往 歴 ) 糖 尿 病 / 糖 尿 病 性 腎<br />

症 / 高 血 圧 ( 検 査 所 見 )WBC4790,…Hb9.1,…HbA1c6.2,…T-Bil0.9,…AST206,…<br />

ALT230,…ALP3130,…γGTP756,…BUN52.5,…Cr5.7,…K3.6,…CEA2.9,…CA19-9…<br />

1.0,…DUPAN2>1600.…Plain…CT/MRIにて 総 胆 管 ・ 膵 管 の 拡 張 を 認 め 膵<br />

頭 部 に3cm 大 の 腫 瘤 が 疑 われた。 明 らかなリンパ 節 腫 大 や 遠 隔 転 移 は<br />

見 られなかった。ERCPでは 膵 頭 部 に 不 整 な 膵 管 / 胆 管 狭 窄 像 を 認 め<br />

たが、EST 後 の 乳 頭 生 検 ではGroup2だった。ERBD/ERPD 挿 入 。( 手<br />

術 経 過 ) 以 上 より、 膵 頭 部 癌 と 診 断 。 術 後 透 析 導 入 を 考 慮 する 方 針 で、<br />

2010 年 12 月 SSPPD-II 施 行 。 術 後 軽 度 膵 液 漏 みられたが 保 存 的 に 軽 快 。<br />

全 身 浮 腫 著 明 で 尿 毒 症 症 状 ( 嘔 気 ) 認 めたため 経 腸 栄 養 とするも、 頻 回<br />

の 下 痢 にてIVH 管 理 併 用 し 徐 々に 軽 快 。 偽 膜 性 腸 炎 も 発 症 したが、<br />

VCMにて 加 療 。 結 果 的 に 周 術 期 透 析 は 回 避 され、 術 後 51 病 日 に 独 歩<br />

退 院 となった。( 病 理 診 断 ) 膵 頭 部 に4x3.5x3cmの 結 節 型 腫 瘤 を 認 め、<br />

小 腺 管 を 形 成 する 中 分 化 なtubular…adenocarcinomaと 伴 に50% 以 上 が<br />

角 化 を 伴 う 核 異 型 の 目 立 つSCC 及 び 一 部 粘 表 皮 癌 が 混 在 する<br />

adenosquamous…carcinomaと 診 断 。 郭 清 リンパ 節 に 転 移 はないものの、<br />

標 本 膵 周 囲 リンパ 節 に 転 移 を 認 めた(3/16)。ly2,v2,ne2,RP-。( 術 後 経<br />

過 ) 慢 性 腎 不 全 のため 化 学 療 法 は 困 難 と 判 断 し、 病 理 結 果 から 局 所 再<br />

発 抑 制 目 的 で2011.2より 放 射 線 照 射 (50Gy) 施 行 。2011.6…MRIにて 多 発<br />

肝 転 移 を 認 めたため、 十 分 なICの 上 、 低 用 量 化 学 療 法 を 開 始<br />

(GEM400mg+CDDP10mg/3W、TS-1…20mg/day…2W 投 与 1W 休 )した。<br />

2011.10…MRIで 肝 転 移 巣 の 縮 小 を 認 めるも 腹 水 / 浮 腫 増 強 したため 透 析<br />

導 入 。レジメをGEM600mg+CDDP40mg/3Wに 変 更 したが、 自 尿<br />

1L/dayみられるため、 腎 保 護 目 的 にてCDDP→CPT11に 変 更 し 治 療<br />

を 継 続 している。( 結 語 ) 比 較 的 稀 な 腺 扁 平 上 皮 膵 癌 に 対 し、 慢 性 腎 不<br />

全 を 考 慮 しつつ 集 学 的 治 療 を 施 行 しえた1 例 を 経 験 した。<br />

P34-2 動 脈 塞 栓 術 が 有 効 であった 膵 動 静 脈 奇 形 の 一 例<br />

1<br />

順 天 堂 医 院 肝 胆 膵 外 科 、 2 順 天 堂 医 院 放 射 線 科<br />

○… 佐 藤 剛 1<br />

, 石 崎 陽 一 1<br />

, 内 藤 滋 俊 1<br />

, 市 田 洋 文 1<br />

, 塚 田 暁 1<br />

,<br />

徳 川 友 彦 1<br />

, 森 岡 研 介 1<br />

, 藤 原 典 子 1<br />

, 吉 本 次 郎 1<br />

,<br />

須 郷 広 之 1<br />

, 今 村 宏 1<br />

, 桑 鶴 良 平 2<br />

, 川 崎 誠 治<br />

1<br />

膵 動 静 脈 奇 形 (AVM)は 国 内 外 で70 数 例 の 報 告 しかない 稀 な 疾 患 であ<br />

る。 治 療 には 外 科 的 切 除 と 非 観 血 的 な 経 カテーテル 的 動 脈 塞 栓 術<br />

(TAE)があるが、 一 定 の 見 解 は 得 られていない。 今 回 我 々はTAEが<br />

有 効 であった 膵 動 静 脈 奇 形 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は64<br />

歳 男 性 。2006 年 に 十 二 指 腸 潰 瘍 の 既 往 がある。2009 年 11 月 、2011 年 9<br />

月 に 下 血 、 貧 血 のため 近 医 に 入 院 。Vater 乳 頭 部 近 傍 に 隆 起 があり、<br />

その 粘 膜 からoozingを 認 め、 焼 灼 止 血 を 行 い 軽 快 退 院 した。2011 年 10<br />

月 に 再 び 下 血 を 認 め、 近 医 に 緊 急 入 院 。 同 日 施 行 したGIFでVater 乳<br />

頭 部 近 傍 の 隆 起 した 粘 膜 よりoozingを 認 めた。 腹 部 ダイナミックCTで、<br />

膵 頭 部 に 早 期 相 で 動 脈 と 同 程 度 に 濃 染 される 病 変 を 認 め、 膵 動 脈 瘤 が<br />

疑 われ 当 科 を 紹 介 受 診 。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 も 検 討 されたが、 侵 襲 が<br />

過 大 になることを 考 慮 しTAEを 行 う 方 針 となり、11 月 上 旬 に 入 院 と<br />

なった。 腹 部 血 管 造 影 では、 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 (IPDA)、 前 上 膵 十 二<br />

指 腸 動 脈 (ASPDA)の 領 域 に 濃 染 像 を 認 め、 早 期 の 門 脈 への 還 流 が 認<br />

められたため 膵 動 静 脈 奇 形 (AVM)が 疑 われた。ASPDAからAIPDA、<br />

PIPDAにコイリングを 行 った。4 日 後 に 施 行 したGIFで 焼 灼 部 位 に<br />

oozingが 見 られたため、 追 加 でTAEを 行 う 方 針 とした。2 回 目 の 血 管<br />

造 影 で、ASPDA、PIPDAに 追 加 のコイリングを 施 行 した。 翌 日 の 採<br />

血 でHb6.1と 貧 血 を 認 め、 再 度 、 緊 急 でGIFを 施 行 した。AVMからの<br />

出 血 は 認 められなかったが、 十 二 指 腸 に3か 所 のびらん、 潰 瘍 があり<br />

出 血 源 と 思 われた。 同 日 深 夜 に 下 血 があり 血 圧 が80 台 まで 低 下 したが、<br />

AVMからの 出 血 ではなく、TAEの 影 響 で 虚 血 に 陥 った 十 二 指 腸 粘 膜<br />

のびらん, 潰 瘍 からの 出 血 が 原 因 と 考 えられたため、 保 存 的 治 療 を 選<br />

択 した。その 後 、 下 血 や 貧 血 の 進 行 はなく 二 回 目 のTAEから8 日 後 に<br />

GIFを 施 行 。 粘 膜 からの 出 血 はなく、また 十 二 指 腸 のびらん、 潰 瘍 は<br />

軽 快 していた。 経 口 摂 取 開 始 後 も、 出 血 の 徴 候 を 認 めず 退 院 となった。<br />

現 在 , 当 科 外 来 通 院 中 であるが、TAEを 行 っても 出 血 を 繰 り 返 した<br />

という 報 告 もあり、 今 後 も 厳 重 な 経 過 観 察 が 必 要 と 考 えられた。 結 語 :…<br />

TAEにより 軽 快 した 難 治 性 の 出 血 を 繰 り 返 した 膵 AVMの1 例 を 経 験<br />

した。<br />

-376-


P34-3 胃 十 二 指 腸 潰 瘍 を 繰 り 返 し 発 症 した 膵 頭 部 動 静 脈 奇 形<br />

の1 例<br />

九 州 労 災 病 院 外 科<br />

○… 西 岡 泰 信 , 中 島 洋 , 福 山 時 彦 , 佐 伯 潔 , 森 田 圭 介 ,<br />

鬼 塚 幸 治 , 北 原 光 太 郎 , 中 村 賢 二 , 八 谷 泰 孝 , 平 野 豊<br />

症 例 は42 歳 男 性 で、 主 訴 は 心 窩 部 痛 。 特 記 すべき 既 往 はなく、 飲 酒 歴<br />

は 機 会 飲 酒 。2~3 年 前 に 心 窩 部 痛 があり 近 医 を 受 診 し 多 発 性 の 胃 十 二<br />

指 腸 潰 瘍 の 診 断 で、 抗 潰 瘍 薬 の 投 与 を 受 けたが 改 善 がなく、 以 後 当 院<br />

の 救 急 外 来 を 受 診 し 消 化 性 潰 瘍 の 診 断 で 投 薬 を 受 けていたが 改 善 がな<br />

かった。 平 成 22 年 12 月 に 当 院 内 科 で 精 査 を 受 け、CTスキャンで 右 胃<br />

大 網 動 脈 や 前 ・ 後 上 膵 十 二 指 腸 動 脈 から 上 腸 間 膜 静 脈 へ 流 入 する 拡 張<br />

蛇 行 した 脈 管 がみられ 膵 頭 部 AVMの 診 断 で、このために 仮 性 嚢 胞 を<br />

合 併 した 膵 炎 により 胃 十 二 指 腸 潰 瘍 を 繰 り 返 していたものと 考 えられ<br />

た。 退 院 後 も 心 窩 部 痛 が 増 強 し 緊 急 入 院 し、 膵 頭 部 の 仮 性 嚢 胞 の 増 大<br />

があり、 疼 痛 コントロールに 難 渋 したため 炎 症 の 軽 減 を 待 って 手 術 を<br />

施 行 した。 手 術 は 十 二 指 腸 球 部 ・ 膵 頭 部 周 囲 は 炎 症 性 変 化 と 拡 張 した<br />

脈 管 のため、 剥 離 と 止 血 に 難 渋 するも 門 脈 は 温 存 して 亜 全 胃 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 しえた。 膵 AVMは 血 管 塞 栓 術 や 結 紮 術 などの<br />

膵 を 温 存 する 治 療 法 も 報 告 されているが、 切 除 術 が 根 治 的 で 有 効 とさ<br />

れ 今 回 は 切 除 術 を 選 択 した。 胃 十 二 指 腸 潰 瘍 を 繰 り 返 し 発 症 した 膵 頭<br />

部 動 静 脈 奇 形 (AVM)の1 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告<br />

する。<br />

P34-4 十 二 指 腸 動 静 脈 奇 形 による 十 二 指 腸 出 血 に 対 し 亜 全 胃<br />

温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1 例<br />

新 潟 県 立 中 央 病 院 外 科<br />

○… 鈴 木 晋 , 青 野 高 志 , 金 子 和 弘 , 丸 山 智 宏<br />

消 化 管 動 静 脈 奇 形 は 消 化 管 出 血 の 原 因 として 欧 米 では 多 数 の 報 告 が<br />

みられるが 本 邦 ではその 例 は 少 なく、なかでも、 十 二 指 腸 動 静 脈 奇 形<br />

は 極 めてまれである。 今 回 我 々は、 十 二 指 腸 出 血 を 引 き 起 こし、 緊 急<br />

手 術 で 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した 十 二 指 腸 動 静 脈 奇 形 の<br />

1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は50 歳 、 女 性 。2010 年 10 月 に 検<br />

診 で 鉄 欠 乏 性 貧 血 を 指 摘 され 精 査 施 行 。CTで、 胃 十 二 指 腸 動 脈 瘤 、<br />

十 二 指 腸 動 静 脈 奇 形 指 摘 されたが、 無 症 状 のため 経 過 観 察 されていた。<br />

2011 年 10 月 に 血 便 を 主 訴 に 当 院 内 科 入 院 。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 にて 十 二<br />

指 腸 下 行 脚 に 出 血 を 伴 う 露 出 血 管 あり、 凝 固 止 血 した。 血 管 造 影 では<br />

前 上 膵 十 二 指 腸 動 脈 および 分 枝 に 拡 張 あり、 十 二 指 腸 下 行 脚 が 濃 染 さ<br />

れ、 早 期 から 門 脈 が 描 出 された。また、 胃 十 二 指 腸 動 脈 に 動 脈 瘤 認 め<br />

られた。 治 療 として 前 上 膵 十 二 指 腸 動 脈 の 分 枝 をコイルで 塞 栓 した。<br />

塞 栓 治 療 1 週 間 後 、 十 二 指 腸 下 行 脚 の 前 回 と 同 じ 部 位 から 再 出 血 あり、<br />

止 血 不 能 にて 外 科 紹 介 。 緊 急 で 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 施 行 し<br />

た。 手 術 所 見 では 十 二 指 腸 下 行 脚 付 近 の 後 腹 膜 に 血 腫 を 認 めたが、そ<br />

の 他 異 常 所 見 認 めなかった。 手 術 時 間 310 分 、 出 血 量 500mlであった。<br />

術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 21 病 日 に 退 院 した。 病 理 所 見 では 十 二 指 腸 下 行<br />

脚 を 中 心 に 動 静 脈 の 増 生 、 拡 張 が 認 められ、これらの 変 化 は 十 二 指 腸<br />

出 血 部 まで 連 続 していた。 本 疾 患 では、 流 入 血 管 が 多 岐 におよび 側<br />

副 血 行 路 が 発 達 していることから 動 脈 塞 栓 で 根 治 を 得 ることが 難 しく、<br />

根 治 には 外 科 的 切 除 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P34-5 十 二 指 腸 GISTに 対 する 手 術 治 療 成 績 の 検 討<br />

1<br />

慶 應 義 塾 大 学 医 学 部 外 科 、 2 川 崎 市 立 川 崎 病 院 外 科<br />

○… 藤 崎 洋 人 1<br />

, 北 郷 実 1<br />

, 相 浦 浩 一 2<br />

, 田 邉 稔 1<br />

, 河 地 茂 行 1<br />

,<br />

板 野 理 1<br />

, 篠 田 昌 宏 1<br />

, 八 木 洋 1 1<br />

, 北 川 雄 光<br />

【 目 的 】 十 二 指 腸 GISTは 比 較 的 稀 な 疾 患 であるため, 当 院 での 手 術<br />

治 療 成 績 を 報 告 する.【 対 象 】2001 年 11 月 から2011 年 10 月 までに 当 院<br />

で 切 除 した 十 二 指 腸 GISTの6 症 例 .【 結 果 】 年 齢 中 央 値 は60.0 歳 (50-77<br />

歳 )で, 男 性 3 例 , 女 性 3 例 . 術 前 に 内 視 鏡 下 生 検 で 確 定 診 断 し 得 たの<br />

は2 例 で, 術 式 は 十 二 指 腸 部 分 切 除 が4 例 , 幽 門 側 胃 切 除 が1 例 , 幽 門<br />

輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PpPD)が1 例 であった.6 例 中 の1 例 は 同 時<br />

性 肝 転 移 を 認 めた 症 例 であり, 十 二 指 腸 部 分 切 除 および 肝 部 分 切 除 を<br />

施 行 した. 原 発 腫 瘍 は 下 十 二 指 腸 角 に3cm 大 であったが, 病 理 で 核 分<br />

裂 像 数 が…15/50…HPFであり 高 リスクに 分 類 された. 術 後 にグリベッ<br />

クを 開 始 したが, 術 後 17ヶ 月 で 肝 転 移 再 発 を 認 めた.その 後 もグリベッ<br />

クを 継 続 し, 術 後 120ヶ 月 間 無 増 悪 生 存 中 である. 腫 瘍 径 が6cmで 高<br />

リスクに 分 類 された1 例 は, 術 後 18ヶ 月 で 肝 転 移 再 発 を 認 めた. 再 発<br />

が 確 認 された 時 点 でグリベックを 開 始 し, 腫 瘍 は 増 大 傾 向 にあるもの<br />

の 術 後 31ヶ 月 生 存 中 である. 腫 瘍 径 が14cmで 高 リスクに 分 類 された1<br />

例 は, 結 腸 間 膜 および 門 脈 に 浸 潤 しており, 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 (PpPD)および 結 腸 右 半 切 除 、 門 脈 楔 状 切 除 を 施 行 した. 本 症 例<br />

は 病 理 で1 個 にリンパ 節 転 移 (No.13a)を 認 めた. 術 後 補 助 化 学 療 法 と<br />

してグリベックを 内 服 し, 術 後 3ヶ 月 間 無 再 発 生 存 中 である.その 他<br />

の3 例 は, 腫 瘍 径 が5cm 以 下 で 核 分 裂 像 数 も 少 なく 低 リスクに 分 類 され,<br />

それぞれ79ヶ 月 ,73ヶ 月 ,60ヶ 月 と 無 再 発 生 存 中 である.【まとめ】6<br />

症 例 中 3 例 が 病 理 で 高 リスクに 分 類 された.そのうち2 例 は 術 後 肝 転 移<br />

再 発 を 認 め,1 例 はリンパ 節 転 移 を 認 めた. 高 リスクの 術 後 補 助 化 学<br />

療 法 として2 例 に, 肝 転 移 再 発 に 対 して1 例 にグリベックが 投 与 され,<br />

6 例 全 例 生 存 中 である.<br />

P34-6 大 腸 癌 十 二 指 腸 転 移 の 一 切 除 例<br />

旭 川 医 科 大 学 外 科 学 講 座 消 化 器 病 態 外 科 学 分 野<br />

○… 今 井 浩 二 , 唐 崎 秀 則 , 渡 邉 賢 二 , 永 生 高 広 , 谷 口 雅 彦 ,<br />

河 野 透 , 古 川 博 之<br />

症 例 は70 代 男 性 。2007 年 4 月 に 当 科 で 上 行 結 腸 癌 と 早 期 胃 癌 に 対 し 右<br />

半 結 腸 切 除 D3と 胃 部 分 切 除 を 施 行 。 病 理 は 上 行 結 腸 癌 がmod.…pSS…<br />

ly1…v1…pN2(#211…4/8)…pStageIIIb、 胃 癌 がwell…T1(M)…ly0…v0…<br />

pStageIAであった。 術 後 補 助 化 学 療 法 としてFOLFIRI…8コース 施 行<br />

した 後 、 近 医 で 経 過 観 察 されていた。2009 年 より 徐 々にCEAが 上 昇 し、<br />

全 身 検 索 を 行 ったが 明 らかな 転 移 再 発 を 認 めず、2010 年 になっても<br />

CEAの 上 昇 は 続 いたため、 近 医 で7 月 よりS-1による 化 学 療 法 を 行 って<br />

いた。2011 年 8 月 上 腹 部 痛 、 黒 色 便 を 認 め 近 医 受 診 、 上 部 消 化 管 内<br />

視 鏡 検 査 にて 十 二 指 腸 下 行 脚 、 乳 頭 部 対 側 に2 型 腫 瘍 を 認 めたため、9<br />

月 原 発 性 十 二 指 腸 癌 疑 いの 診 断 で 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 となった。 術<br />

前 のCT、MRIで 腫 瘍 は 肝 S6に 直 接 浸 潤 しており、 結 腸 癌 肝 転 移 の<br />

十 二 指 腸 浸 潤 の 可 能 性 も 考 えられたが、 他 の 非 切 除 因 子 はなくR0 手<br />

術 が 可 能 と 考 えられ、 手 術 適 応 とした。2011 年 10 月 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 (PPPD-IIA-1) 施 行 。 術 後 結 果 は 良 好 で、 合 併 症 無 く<br />

術 後 第 12 日 に 退 院 した。 病 理 検 査 結 果 では 腫 瘍 は 中 分 化 型 腺 癌 で、 粘<br />

膜 面 に 潰 瘍 を 形 成 しているが 潰 瘍 周 辺 は 正 常 十 二 指 腸 粘 膜 で 覆 われた<br />

粘 膜 下 腫 瘍 の 形 態 をとっており、 既 往 の 大 腸 癌 と 腫 瘍 形 態 が 酷 似 して<br />

いた。また、ケラチンプロファイルや 他 の 免 疫 染 色 の 結 果 も 既 往 の 大<br />

腸 癌 と 同 一 で、 上 行 結 腸 癌 の 転 移 が 第 一 に 考 えられた。 転 移 経 路 とし<br />

ては、 既 往 の 大 腸 癌 は 腫 瘍 自 体 の 進 達 度 はSSであったが、リンパ 節<br />

#211に 転 移 を 認 め、リンパ 節 の 外 にまで 広 がって 腫 瘍 増 殖 、 結 節 形<br />

成 がみられているため、 播 種 による 局 所 再 発 が 十 二 指 腸 と 肝 臓 に 接 し<br />

て 結 節 を 形 成 して 浸 潤 したと 考 えられた。 大 腸 癌 の 転 移 臓 器 は 肝 、 肺 、<br />

リンパ 節 等 が 多 く、 消 化 管 への 転 移 は 少 ない。なかでも 大 腸 癌 の 十 二<br />

指 腸 転 移 の 報 告 はさらに 稀 であり 報 告 する。<br />

-377-


P34-7 十 二 指 腸 原 発 横 紋 筋 肉 腫 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施<br />

行 後 , 膵 胃 吻 合 部 再 発 に 対 し 追 加 切 除 を 施 行 した1 例<br />

虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 佐 藤 朝 日 , 橋 本 雅 司 , 佐 々 木 一 成 , 森 山 仁 , 松 田 正 道 ,<br />

渡 邊 五 朗<br />

症 例 はC 型 肝 炎 に 対 し10 年 前 にIFN 治 療 歴 のある63 歳 男 性 .… 下 血 のた<br />

め 近 医 を 受 診 し,… 右 上 腹 部 に 腫 瘤 を 触 知 され 当 院 紹 介 受 診 .… 血 液 検 査<br />

上 ,… 貧 血 と 炎 症 反 応 の 上 昇 を 認 めたが 腫 瘍 マーカー(CEA,…CA19-9)の<br />

上 昇 は 認 めず.… 腹 部 超 音 波 検 査 で 右 季 肋 下 に65mm 大 の 充 実 性 腫 瘤 を<br />

認 め,… 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 で 十 二 指 腸 球 部 に 巨 大 な 潰 瘍 を 伴 う 隆 起<br />

性 病 変 を 認 めた.… 生 検 では 悪 性 所 見 は 認 めなかった.… 腹 部 造 影 CT 検 査<br />

では 十 二 指 腸 壁 から 膵 頭 部 にかけ 浸 潤 する 造 影 効 果 不 均 一 の65mmの<br />

不 整 形 腫 瘤 を 認 めた.… 遠 隔 転 移 は 認 めなかった. 進 行 十 二 指 腸 癌 を 疑<br />

い 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 膵 - 胃 ,… 胆 管 - 空 腸 ,… 胃 - 空 腸 吻 合 )を 施<br />

行 .…desmin(+),α-SMA(+),…MyoD1(+)と 電 子 顕 微 鏡 でのprimitiveな<br />

Z-bandの 存 在 より 十 二 指 腸 原 発 多 形 性 横 紋 筋 肉 腫 と 診 断 された.…MIB-<br />

1…indexは40% 程 度 ,…リンパ 節 転 移 は 認 めず,… 切 除 断 端 は 陰 性 であった.…<br />

術 後 より 腸 球 菌 ,… 緑 膿 菌 などを 起 炎 菌 とする 肝 膿 瘍 による 弛 張 熱 を 繰<br />

り 返 し,… 長 期 にわたる 抗 生 剤 投 与 とドレナージを 要 した.… 肝 膿 瘍 の<br />

フォローのため 術 後 4ヶ 月 目 に 撮 影 した 腹 部 造 影 CTにて,… 膵 胃 吻 合 部<br />

の 胃 内 腔 に 突 出 する29mm 大 の 境 界 明 瞭 ・ 造 影 効 果 不 均 一 な 腫 瘤 を 認<br />

め,…10 日 間 で39mmまで 増 大 した. 膵 胃 追 加 切 除 を 施 行 .… 病 理 学 的 に<br />

desmin(-),… α-SMA(+),…MyoD1(-),…MIB-1…indexは50% 程 度 となって<br />

おり,… 前 回 切 除 した 腫 瘍 よりも 脱 分 化 が 進 んでいた.… 横 紋 筋 肉 腫 は 泌<br />

尿 生 殖 器 ,… 頭 頸 部 などに 好 発 する 小 児 で 頻 度 の 高 い 軟 部 悪 性 腫 瘍 で,…<br />

本 来 骨 格 筋 のない 部 位 からも 発 生 する.… 組 織 学 的 に 胎 児 型 ・ 胞 巣 型 ・<br />

多 形 型 に 分 類 され,… 多 形 型 だけは40 歳 前 後 の 成 人 の 四 肢 に 比 較 的 多 く<br />

発 生 することが 知 られる.… 本 例 のように 消 化 管 に 発 生 した 症 例 の 報 告<br />

は 数 例 しかないが,… 再 発 時 に 悪 性 度 が 高 い 病 変 となる 可 能 性 を 考 慮 し<br />

た 一 括 的 な 切 除 が 重 要 であると 考 えられた.…<br />

P34-8 胆 膵 悪 性 腫 瘍 を 含 む 消 化 器 系 多 重 癌 :3-8 重 複 癌 を 切 除<br />

しえた4 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 島 田 哲 也 , 黒 崎 功 , 高 野 可 赴 , 滝 沢 一 泰 , 森 本 悠 太 ,<br />

皆 川 昌 広<br />

【はじめに】 胆 膵 悪 性 腫 瘍 を 含 む3 重 複 以 上 の 異 時 性 多 重 癌 は 稀 であり,<br />

特 に 複 数 の 消 化 器 手 術 既 往 がある 場 合 , 胆 膵 疾 患 に 対 する 切 除 ・ 再 建<br />

術 式 , 郭 清 範 囲 を 慎 重 に 決 定 する 必 要 がある. 今 回 , 胆 道 癌 3 例 , 膵<br />

癌 2 例 を 含 む 計 4 例 (3 重 複 癌 1 例 ,4 重 複 癌 2 例 ,8 重 複 癌 1 例 )の 多 重 癌 切<br />

除 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】 男 性 2 例 , 女 性 2 例 で 最 終 手 術<br />

時 の 平 均 年 齢 は72 歳 . 第 一 癌 から 最 終 癌 発 生 までの 期 間 は21 年 から42<br />

年 で 平 均 32 年 . 個 々の 詳 細 をみると, 症 例 1( 異 時 性 3 重 複 癌 ): 胃 癌 ,<br />

胆 嚢 癌 術 後 , 膵 体 部 癌 に 対 し 膵 体 尾 部 切 除 術 が 施 行 された. 症 例 2(4<br />

重 複 癌 ): 胃 癌 , 多 発 結 腸 癌 術 後 , 多 発 性 早 期 十 二 指 腸 癌 に 対 し<br />

pancreas-sparing…duodenectomy 施 行 し, 術 後 病 理 診 断 で 十 二 指 腸 癌<br />

に 加 え 同 時 性 のSS 胆 嚢 癌 ,リンパ 節 転 移 陽 性 と 診 断 された. 症 例 3( 異<br />

時 性 4 重 複 癌 ): 乳 癌 , 胃 癌 ( 膵 脾 合 併 胃 全 摘 ), 子 宮 頸 癌 術 後 , 膵 頭 部<br />

癌 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 が 施 行 された. 症 例 4(Lynch 症 候 群 , 異<br />

時 性 8 重 複 癌 ): 胃 癌 , 計 4 回 の 結 腸 ・ 直 腸 癌 , 胆 嚢 癌 術 後 , 十 二 指 腸<br />

乳 頭 部 癌 , 同 時 性 の 早 期 食 道 癌 が 発 見 され 前 者 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 術 , 後 者 に 対 し 内 視 鏡 的 切 除 術 が 施 行 された. 全 例 に 胃 癌 の 既 往 あ<br />

り, 特 に 胃 全 摘 後 の2 例 は 周 術 期 の 栄 養 管 理 が 重 要 であった.3 例 に 胆<br />

嚢 癌 が 含 まれており, 術 前 診 断 ができなかった1 例 を 除 きいずれも 肝<br />

床 切 除 , 肝 外 胆 管 切 除 術 が 施 行 され 全 例 ss 癌 であった. 胆 膵 悪 性 腫 瘍<br />

の 術 式 選 択 は 確 実 な 癌 のクリアランスを 念 頭 に 置 き, 今 までの 手 術 既<br />

往 と 手 術 侵 襲 を 考 慮 した 郭 清 範 囲 の 決 定 ,かつ 既 存 の 再 建 臓 器 を 確 実<br />

に 温 存 する 必 要 があった. 症 例 4を 除 く3 例 で 塩 酸 ゲムシタビンによる<br />

術 後 補 助 化 学 療 法 が 施 行 された. 予 後 について, 症 例 1は 膵 切 除 1か 月<br />

後 に 傍 大 動 脈 リンパ 節 再 発 をきたし 術 後 7か 月 後 に 再 発 死 したが, 他<br />

は 症 例 2,3,4それぞれ 術 後 23か 月 ,1か 月 ,18…か 月 無 再 発 生 存 中 である.<br />

【まとめ】 一 般 的 に3 重 複 癌 以 上 の 多 重 癌 は 予 後 不 良 であるが, 異 時<br />

性 の 胆 道 癌 術 後 症 例 2 例 は23か 月 ,18か 月 無 再 発 生 存 中 であり, 慎 重<br />

なfollow-upをもとに 異 時 性 重 複 癌 であっても 過 不 足 のない 手 術 が 重<br />

要 と 思 われた.<br />

P34-9 十 二 指 腸 憇 室 出 血 に 対 しIVRにて 救 命 しえた1 例<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学<br />

○… 有 馬 浩 太 , 生 田 義 明 , 高 森 啓 史 , 中 原 修 , 黒 木 秀 幸 ,<br />

中 川 茂 樹 , 美 馬 浩 介 , 今 井 克 憲 , 新 田 英 利 , 近 本 亮 ,<br />

土 居 浩 一 , 石 河 隆 敏 , 別 府 透 , 馬 場 秀 夫<br />

【はじめに】 十 二 指 腸 憩 室 の 頻 度 は 多 いが、 臨 床 上 問 題 となることは<br />

少 なく、 十 二 指 腸 憩 室 出 血 は 稀 である。 今 回 、 十 二 指 腸 水 平 脚 部 憩 室<br />

からの 大 量 出 血 に 対 してCTおよび 血 管 造 影 にて 出 血 源 を 同 定 し、<br />

IVR 下 のコイル 塞 栓 にて 救 命 しえた1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 考 察<br />

を 加 えて 報 告 する。【 症 例 】85 歳 、 女 性 。 平 成 23 年 9 月 26 日 早 朝 、 大 量<br />

下 血 し、その 後 気 分 不 良 および 顔 面 蒼 白 を 認 め 近 医 に 救 急 搬 送 された。<br />

腹 部 造 影 CTにて、 膵 頭 部 の 仮 性 動 脈 瘤 および 十 二 指 腸 への 造 影 剤 の<br />

血 管 外 漏 出 が 疑 われ、 仮 性 動 脈 瘤 穿 破 に 伴 う 上 部 消 化 管 出 血 の 疑 いで<br />

精 査 加 療 目 的 に 当 院 に 転 院 となった。 当 院 搬 送 時 、 出 血 性 ショック 状<br />

態 であり、RCC…10 単 位 、FFP…10 単 位 の 輸 血 を 行 った。 造 影 CTにて<br />

膵 十 二 指 腸 動 脈 の 末 梢 より 出 血 を 認 め、 同 部 位 での 仮 性 動 脈 瘤 形 成 が<br />

疑 われた。 緊 急 血 管 造 影 を 施 行 したところ、 後 上 膵 十 二 指 腸 動 脈 より<br />

造 影 剤 の 血 管 外 漏 出 像 と、 十 二 指 腸 内 への 造 影 剤 の 流 出 を 認 め、 同 部<br />

位 をコイルにて 塞 栓 を 行 った。コイル 塞 栓 後 はICUにて 管 理 したが、<br />

血 圧 も 安 定 し、コイル 塞 栓 後 3 日 目 にICU 退 室 した。コイル 塞 栓 後 8 日<br />

目 に 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 施 行 したところ、 十 二 指 腸 水 平 脚 に 憩 室 を<br />

認 めた。 内 視 鏡 施 行 時 には 明 らかな 出 血 は 認 めなかった。 血 管 造 影 の<br />

所 見 とあわせて、 仮 性 動 脈 瘤 が 十 二 指 腸 憩 室 内 に 穿 破 し、そのために<br />

十 二 指 腸 出 血 を 来 たしたと 考 えられた。コイル 塞 栓 後 17 日 目 に 軽 快 転<br />

院 となった。【まとめ】 十 二 指 腸 憩 室 は 結 腸 憩 室 に 次 いで 多 い 消 化 管<br />

憩 室 である。 十 二 指 腸 憩 室 は 十 二 指 腸 閉 塞 、 胆 石 症 、 胆 管 園 、 膵 炎 な<br />

どを 合 併 することはあるが、 大 量 出 血 を 来 すことはまれである。 十 二<br />

指 腸 憩 室 出 血 の 治 療 法 は 内 視 鏡 やIVRによる 止 血 法 が 報 告 されている。<br />

いかなる 治 療 法 を 選 択 するかは 個 々の 症 例 の 状 況 により 異 なるが、 本<br />

症 例 は 搬 送 時 の 循 環 動 態 も 悪 く、 超 高 齢 であったが、IVR 下 のコイル<br />

塞 栓 による 止 血 が 可 能 で 救 命 することができた。<br />

P35-1 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 および 脾 摘 を 施 行 した 結 腸 癌<br />

同 時 性 肝 転 移 および 脾 リンパ 管 腫 の1 例<br />

1<br />

永 寿 総 合 病 院 内 視 鏡 手 術 センター、 2 慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化<br />

器 外 科<br />

○… 大 島 剛 1 1,2 1<br />

, 板 野 理 , 愛 甲 聡<br />

症 例 は59 歳 女 性 。 下 部 消 化 管 内 視 鏡 でS 状 結 腸 癌 を 認 め、CTでは 造 影<br />

効 果 がring…enhancementである 低 吸 収 、 多 発 肝 腫 瘤 と 多 発 脾 腫 瘤 を<br />

認 めた。S 状 結 腸 癌 、 同 時 性 多 発 肝 転 移 および 多 発 脾 転 移 の 診 断 でS<br />

状 結 腸 切 除 、 膀 胱 部 分 切 除 術 、 子 宮 ・ 両 側 卵 巣 切 除 、および 小 腸 部 分<br />

切 除 が 施 行 された。 病 理 組 織 検 査 では、S 状 結 腸 癌 、Moderately…<br />

differentiated…tubular…adenocarcinoma…(tub2…≧…tub1),…int,…INFb,…SE,…<br />

ly1,…v1,… リンパ 節 転 移 陰 性 であった。 第 9 術 後 病 日 に 吻 合 部 - 左 総 腸 骨<br />

静 脈 瘻 による 出 血 性 ショックを 認 め 緊 急 ハルトマン 術 を 施 行 された。<br />

その 後 、FOLFILI…+…Bevacizumabを 計 8クール 施 行 された 後 に、 小 腸<br />

穿 孔 、 膀 胱 穿 通 、 骨 盤 内 膿 瘍 を 認 め 小 腸 部 分 切 除 術 を 施 行 された。 穿<br />

孔 部 には 局 所 再 発 は 認 めず、Bevacizumabの 副 作 用 による 小 腸 穿 孔 と<br />

考 えられた。 以 後 、FOLFIRIが2クール 施 行 され、 多 発 肝 転 移 は、 多<br />

発 脾 転 移 は、それぞれpartial…response、stable…diseaseであった。 今 回 、<br />

多 発 肝 転 移 (S6に2ヶ 所 、S5に1ヶ 所 、S8に2ヶ 所 )、 多 発 脾 転 移 ( 計 7ヶ 所 )<br />

の 術 前 診 断 で 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 および 脾 摘 を 施 行 した。 中 下 腹<br />

部 に 計 3 回 の 手 術 歴 があったが、 右 季 肋 下 に10cmの 小 切 開 を 先 行 して<br />

直 視 下 および 腹 腔 鏡 下 にワーキングスペースを 確 保 し、 腹 腔 鏡 および<br />

用 手 補 助 下 に 切 除 が 可 能 であった。 手 術 時 間 は320 分 、 出 血 量 は<br />

1160mlで 輸 血 は 不 要 であった。 術 後 経 過 は 問 題 なく 退 院 した。 病 理<br />

組 織 検 査 では 肝 腫 瘤 は 大 腸 癌 肝 転 移 として 矛 盾 はなかったが、 脾 腫 瘤<br />

は、 好 酸 性 のproteinous…fluidや 泡 沫 細 胞 を 含 む 拡 張 が 顕 著 な 嚢 胞 状<br />

の 腔 が 密 に 分 布 し、その 間 に 既 存 の 脾 臓 組 織 の 介 在 を 認 める 所 見 でリ<br />

ンパ 管 腫 の 診 断 であった。 今 回 、polysurgery 症 例 に 対 し, 手 術 手 順<br />

の 工 夫 によりMinimum…invasive…surgeryが 実 施 し 得 た 症 例 を 経 験 し<br />

たので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-378-


P35-2 肝 硬 変 、 巨 脾 に 伴 う 進 行 性 の 血 小 板 減 少 症 に 対 し 脾 摘 を<br />

行 った1 例<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 伊 藤 孝 , 松 林 潤 , 光 吉 明 , 中 村 直 人 , 余 語 覚 匡 ,<br />

鬼 頭 祥 悟 , 花 本 浩 一 , 中 山 雄 介 , 平 良 薫 ,<br />

土 井 隆 一 郎<br />

症 例 は55 歳 男 性 。 慢 性 肝 障 害 、 血 小 板 減 少 、 耐 糖 能 異 常 を 指 摘 されて<br />

以 来 当 院 消 化 器 科 にて 定 期 的 にフォローアップされていた。 各 種 肝 炎<br />

ウイルスは 陰 性 、アルコール 飲 酒 歴 もなく 自 己 抗 体 も 陰 性 で、ITPな<br />

ど 血 液 疾 患 も 否 定 的 、 最 終 的 には 肝 生 検 の 結 果 、NASHとされていた<br />

が、 当 初 より 脾 腫 も 認 めていた。 血 小 板 減 少 と 脾 腫 は 徐 々に 進 行 し、<br />

血 小 板 は3-4 万 /mm³ 程 度 、 脾 腫 に 関 しても 触 診 で 左 肋 弓 下 に 大 きく<br />

触 れるようになり、 出 血 傾 向 の 出 現 が 危 惧 されたため、 脾 機 能 亢 進 に<br />

よる 血 小 板 減 少 に 対 し 開 腹 下 に 脾 臓 摘 出 術 を 行 った。 開 腹 所 見 として、<br />

肝 臓 は 辺 縁 鈍 で 表 面 は 豆 板 状 で 凹 凸 著 明 、 肝 硬 変 の 所 見 であった。 最<br />

大 20cm 以 上 の 巨 脾 であり 脱 転 困 難 であったので、 腹 側 脾 門 部 よりア<br />

プローチしたが 周 囲 に 細 かな 側 副 血 行 路 が 発 達 しており、また 血 小 板<br />

も 少 ない 状 況 で 大 量 の 術 中 出 血 (2900g)を 余 儀 なくされた。 摘 出 した<br />

脾 臓 の 重 量 は2kgであった。 術 後 大 出 血 の 可 能 性 があったためしばら<br />

くは 集 中 治 療 室 で 管 理 を 行 い、 一 時 的 な 膵 液 瘻 と 創 感 染 を 生 じたが 経<br />

過 良 好 にて 退 院 となった。 術 後 の 血 小 板 は 順 調 に 増 加 し、 一 時 60 万 /<br />

mm³まで 達 したが、その 後 は20-30 万 /mm³ 前 後 で 推 移 し、 安 定 した。<br />

白 血 球 も 一 時 的 に 高 値 を 示 したが、 徐 々に 正 常 化 した。 今 回 我 々は、<br />

2kgに 及 ぶ 巨 大 な 脾 腫 に 対 し、 血 小 板 3-4 万 /mm³という 状 況 で 脾 臓 摘<br />

出 術 を 行 ったが、その 適 応 と 手 技 、 術 後 のデータ 推 移 について 若 干 の<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P35-3 IVRにて 治 療 困 難 であり、 腹 腔 鏡 下 脾 臓 摘 出 術 を 施 行 し<br />

た 脾 動 脈 瘤 の 一 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 山 木 壮 , 柳 本 泰 明 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 山 本 智 久 ,<br />

廣 岡 智 , 由 井 倫 太 郎 , 松 井 陽 一 , 權 雅 憲<br />

今 回 我 々は、IVRにて 治 療 困 難 であった 脾 動 脈 瘤 に 対 して、 腹 腔 鏡 下<br />

脾 臓 摘 出 術 を 行 った 症 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 含 めて<br />

報 告 する。[ 症 例 ]69 歳 女 性 [ 既 往 歴 ] 子 宮 筋 腫 摘 出 術 (30 歳 )[ 現<br />

病 歴 ] 健 康 診 断 の 腹 部 X 線 検 査 にて 左 上 腹 部 石 灰 化 を 指 摘 された。 前<br />

医 にて 腹 部 CT 検 査 を 施 行 したところ、 径 2.5cm 大 の 脾 動 脈 瘤 を 指 摘 さ<br />

れ、 加 療 目 的 で 当 院 放 射 線 科 に 紹 介 受 診 された。 当 院 で 行 った 血 管 造<br />

影 では、 脾 動 脈 はまず 下 極 枝 を 分 枝 したのちに、 上 ・ 中 枝 を 分 枝 する<br />

という 形 態 であり、 瘤 は 脾 動 脈 の 下 極 枝 分 枝 後 、 上 ・ 中 枝 分 枝 までの<br />

部 分 の 拡 張 した 嚢 状 瘤 であった。IVRでは 完 全 塞 栓 が 困 難 であること、<br />

塞 栓 を 行 うと80-90%の 脾 梗 塞 を 生 じる 可 能 性 が 高 いことから、IVRは<br />

断 念 され、 外 科 的 治 療 目 的 で 当 科 に 紹 介 となった。[ 治 療 経 過 ] 動 脈<br />

瘤 は 脾 動 脈 上 極 枝 にあり、 瘤 切 除 ・ 血 行 再 建 は 困 難 と 判 断 し、 術 式 は<br />

腹 腔 鏡 下 脾 臓 摘 出 術 とした。 手 術 は 仰 臥 位 ・ 開 脚 位 で 行 い、 臍 部 カメ<br />

ラポートを 含 めて5ポートにて 行 った。 膵 尾 部 下 縁 で 膵 後 面 を 後 腹 膜<br />

から 受 動 し 膵 上 縁 に 至 り、 膵 をテーピングした 後 、 膵 上 縁 で 脾 動 脈 を<br />

同 定 した。 脾 動 脈 の 上 極 枝 、 下 極 枝 をそれぞれクリッピングし、 脾 静<br />

脈 は 膵 尾 部 左 縁 で 自 動 縫 合 器 にて 切 離 した。 標 本 は 臍 部 創 を 約 3cmに<br />

延 長 し、 摘 出 した。 術 後 経 過 は 特 に 合 併 症 なく、 術 後 4 日 目 に 退 院 さ<br />

れた。 病 理 所 見 では、 内 膜 の 肥 厚 、 硝 子 化 ・ 石 灰 化 などによる 粥 腫 形<br />

成 を 認 め、 動 脈 硬 化 性 の 動 脈 瘤 の 所 見 であった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P35-4 手 術 治 療 を 余 儀 なくされた、 脾 動 脈 起 始 部 動 脈 瘤 の2 例<br />

米 沢 市 立 病 院 外 科<br />

○… 菊 池 智 宏 , 菅 野 博 隆 , 北 村 正 敏<br />

脾 動 脈 瘤 は 腹 部 内 臓 動 脈 瘤 の 中 では 頻 度 が 高 く、 発 生 部 位 は 脾 動 脈 末<br />

梢 が 多 く 起 始 部 は 少 ない。 治 療 法 は 血 管 内 治 療 が 選 択 されることが 多<br />

いが、 今 回 手 術 治 療 を 施 行 した 脾 動 脈 起 始 部 動 脈 瘤 の2 例 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する。【 症 例 1】62 歳 、 女 性 。 主 訴 は 背 部 痛 。 高 血 圧 の 既 往 あ<br />

り 妊 娠 歴 は3 妊 3 産 。 現 病 歴 は、 背 部 痛 にて 近 医 より 当 院 紹 介 。 精 査 に<br />

て 脾 動 脈 根 部 に 存 在 する 径 25mmの 未 破 裂 動 脈 瘤 と 診 断 され、 治 療 適<br />

応 と 思 われた。 治 療 法 としては 血 管 内 治 療 を 検 討 したが、 局 在 が 脾 動<br />

脈 分 岐 起 始 部 にて 手 術 を 施 行 。 総 肝 動 脈 、 腹 腔 動 脈 、 脾 動 脈 を 剥 離 露<br />

出 し、 各 動 脈 を 遮 断 すると 脾 動 脈 末 梢 の 血 流 は 触 診 および 血 流 計 で 減<br />

弱 しており、 動 脈 瘤 結 紮 のみではなく、 動 脈 瘤 切 除 + 血 行 再 建 を 施 行<br />

した。 経 過 良 好 で 術 後 9 日 に 退 院 。【 症 例 2】66 歳 男 性 。 糖 尿 病 の 既 往<br />

あり。 腹 痛 を 認 め 当 院 救 急 外 来 を 受 診 。 来 院 時 血 圧 低 下 と 貧 血 あり 緊<br />

急 CT 施 行 したところ、 腹 腔 内 出 血 および 脾 動 脈 起 始 部 から 遠 位 部 に<br />

11.5…X…9.0cmの 動 脈 瘤 を 認 め、 巨 大 脾 動 脈 破 裂 と 診 断 された。ICU 入<br />

室 後 血 圧 、 脈 拍 安 定 していたが、 再 出 血 の 危 険 ありコイルによる 動 脈<br />

塞 栓 術 を 施 行 したものの、 腹 部 膨 満 による 呼 吸 状 態 低 下 あり、 翌 日 手<br />

術 施 行 。 脾 動 脈 起 始 部 より 膵 尾 部 まで 長 径 11.5cmの 脾 動 脈 瘤 を 認 め、<br />

遠 位 部 に 破 裂 あったが 活 動 性 出 血 は 認 めず。 膵 体 尾 部 と 動 脈 瘤 は 強 固<br />

に 癒 着 し 剥 離 は 困 難 にて 脾 動 脈 瘤 および 膵 体 尾 部 切 除 、 脾 臓 摘 出 術 を<br />

施 行 。 経 過 良 好 で 術 後 31 日 に 退 院 。【まとめ】 脾 動 脈 瘤 の 好 発 部 位 は<br />

主 枝 ~ 脾 門 部 にかけて 多 く、 自 験 例 の 如 く 起 始 部 は5%と 稀 である。<br />

治 療 適 応 は、 死 亡 率 の 高 い 破 裂 例 や 径 2cm 以 上 の 例 などである。 治 療<br />

法 は 血 管 内 治 療 が 選 択 されることが 多 いが、 発 生 部 位 や 大 きさなどに<br />

より 手 術 を 選 択 する 症 例 も 認 める。 術 式 では、 結 紮 術 や 切 除 再 建 、 脾<br />

臓 摘 出 (+ 膵 切 除 ) 等 を 動 脈 瘤 の 状 況 にて 選 択 しているが、 症 例 1では<br />

末 梢 脾 動 脈 の 血 流 測 定 により、 動 脈 瘤 切 除 + 血 行 再 建 を 選 択 し、 症 例<br />

2では 部 位 や 膵 との 癒 着 などにより 膵 体 尾 部 切 除 、 脾 臓 摘 出 術 を 余 儀<br />

なくされた。 自 験 例 の 如 き 局 在 が 脾 動 脈 起 始 部 で 血 管 内 治 療 が 困 難 も<br />

しくは 無 効 例 の 動 脈 瘤 に 対 しては、 当 初 より 手 術 治 療 も 検 討 すべき 思<br />

われた。<br />

P35-5 脾 巨 大 動 脈 瘤 破 裂 に 対 し、 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した1 例<br />

大 阪 警 察 病 院 外 科<br />

○… 新 野 直 樹 , 鳥 正 幸 , 上 島 成 幸 , 赤 松 大 樹 , 西 田 俊 朗<br />

脾 動 脈 瘤 は、 画 像 診 断 技 術 の 向 上 に 伴 い、 偶 然 発 見 される 機 会 が 多 く<br />

なった。しかし 一 方 では、 稀 な 疾 患 であり、 臨 床 症 状 に 乏 しく、 破 裂<br />

によるショック 状 態 で 発 見 される 場 合 もある。 破 裂 した 際 には、 時 に<br />

致 死 的 となる。 今 回 我 々は、 脾 巨 大 動 脈 瘤 破 裂 に 対 し、 緊 急 手 術 を 行<br />

い 救 命 しえた 一 例 を 経 験 したので、 報 告 する。<br />

症 例 は59 歳 、 女 性 。 下 垂 体 腺 腫 、 末 端 肥 大 症 に 対 し、 当 院 脳 神 経 外 科<br />

入 院 中 。 起 床 後 突 然 の 血 圧 低 下 、 腹 痛 、 意 識 消 失 あり、CTにて 直 径<br />

8cmの 巨 大 脾 動 脈 瘤 、 血 性 腹 水 の 貯 留 を 認 め、 脾 動 脈 瘤 破 裂 と 診 断 。<br />

塞 栓 術 は 不 成 功 に 終 わり、 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 となった。 同 日 緊 急 手<br />

術 を 施 行 。 術 中 所 見 として、 動 脈 瘤 は 膵 体 尾 部 と 炎 症 性 に 固 着 し、 一<br />

塊 となっていた。このため、 動 脈 瘤 ・ 膵 体 尾 部 合 併 切 除 術 となった。<br />

術 後 経 過 は 概 ね 良 好 で、 膵 液 瘻 等 の 合 併 を 認 めず、 第 27 病 日 、 退 院 と<br />

なった。<br />

脾 動 脈 瘤 は、 腹 腔 内 臓 血 管 に 発 生 する 動 脈 瘤 としては 最 も 多 く、 剖 検<br />

例 の0.01~0.2%に 発 見 される。 男 女 比 は1:3と 女 性 に 多 く、 平 均 年 齢<br />

は48.8 歳 である。 破 裂 しない 限 りは 臨 床 症 状 に 乏 しく、 上 腹 部 不 定 愁<br />

訴 を 訴 えるにとどまるが、2~10%の 確 率 で 破 裂 し、 破 裂 時 の 死 亡 率<br />

は25~36%と 非 常 に 高 い。また、 近 年 ではIVRの 発 達 により、 非 侵 襲 的 、<br />

迅 速 な 止 血 も 試 みられているが、 動 脈 血 流 遮 断 に 伴 う 脾 機 能 の 低 下 や<br />

留 置 コイル 逸 脱 による 隣 接 主 動 脈 の 閉 塞 も 懸 念 されている。 本 症 例 の<br />

ような 巨 大 動 脈 瘤 では、 脾 臓 もしくは 膵 体 尾 部 との 合 併 切 除 もやむを<br />

得 ないと 考 えられる。<br />

塞 栓 術 が 困 難 であった 脾 巨 大 動 脈 瘤 破 裂 に 対 し、 緊 急 手 術 を 行 い 救 命<br />

しえた 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

-379-


P35-6 動 脈 塞 栓 後 に 用 手 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 温 存 脾 臓 摘 出 を 施 行<br />

した 脾 動 静 脈 瘻 の1 例<br />

岐 阜 大 学 高 度 先 進 外 科<br />

○… 木 村 真 樹 , 關 野 考 史 , 關 野 誠 史 郎 , 名 知 祥 , 村 瀬 勝 俊 ,<br />

竹 村 博 文<br />

症 例 は56 歳 女 性 で、 左 側 腹 部 痛 を 自 覚 し 近 医 を 受 診 した。 腹 痛 は 内 服<br />

薬 で 改 善 したが1 週 間 後 に 増 悪 し 近 医 を 再 受 診 した。CTで20mmの 脾<br />

動 脈 瘤 と 脾 梗 塞 を 指 摘 され、ヘパリン 投 与 が 開 始 された。1 週 間 後 に<br />

腹 痛 が 増 悪 したのでCTを 再 検 すると 脾 動 脈 瘤 が35mmと 急 速 に 増 大<br />

しており、 塞 栓 術 の 目 的 で 当 院 放 射 線 科 を 紹 介 された。1ヵ 月 前 に 齲<br />

歯 の 治 療 歴 を 有 していたため 感 染 性 動 脈 瘤 も 否 定 できず 全 身 検 索 を 施<br />

行 された。 心 エコーでは 僧 帽 弁 検 索 断 裂 があり 治 癒 過 程 の 感 染 性 心 内<br />

膜 炎 の 合 併 が 疑 われた。 脳 MRIで 左 IC-PC 部 の 脳 動 脈 瘤 を 指 摘 された<br />

が 感 染 性 動 脈 瘤 は 否 定 的 であった。 当 院 での 造 影 CTおよび 血 管 造 影<br />

検 査 で 脾 動 静 脈 瘻 と 診 断 され、 同 部 位 の 感 染 の 可 能 性 は 否 定 できな<br />

かったが 急 激 に 増 大 していたため 脾 動 脈 塞 栓 術 を 施 行 された。 脾 動 静<br />

脈 瘻 の 血 流 が 消 失 したことが 確 認 されたが、3 日 後 に 腹 部 エコーで 血<br />

流 の 出 現 が 確 認 された。 再 度 脾 動 脈 を 塞 栓 したが 膵 内 血 管 からの 血 流<br />

が 確 認 され、 脾 臓 摘 出 が 必 要 と 判 断 されて 当 科 を 紹 介 された。 手 術 は<br />

上 腹 部 正 中 に8cmの 切 開 をおいて 用 手 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 温 存 脾 臓 摘 出 術<br />

(HALS… -… Splenectomy:Hand… Assisted… Laparoscope… Surgery… -…<br />

Splenectomy)を 施 行 した。 手 術 時 間 は210 分 、 出 血 量 は150gであった。<br />

術 後 経 過 は 良 好 で10 日 目 に 退 院 となった。 比 較 的 まれな 脾 動 静 脈 瘻 に<br />

対 してHALSで 膵 温 存 脾 臓 摘 出 術 を 施 行 し 良 好 な 経 過 を 得 たので 報 告<br />

する。<br />

P35-7 血 行 再 建 を 行 った 固 有 肝 動 脈 瘤 の1 例<br />

静 岡 医 療 センター<br />

○… 佐 藤 琢 爾 , 野 中 勇 志 , 中 嶋 慎 治 , 宮 原 利 行 , 角 泰 廣<br />

(はじめに) 肝 動 脈 瘤 は 破 裂 する 可 能 性 があり 外 科 的 治 療 か<br />

Interventional…radiology( 以 下 IVR)が 行 われるのが 一 般 的 である。 外<br />

科 的 治 療 では 肝 血 流 を 維 持 するために 動 脈 瘤 切 除 および 血 行 再 建 が 行<br />

われる。 本 邦 で 血 行 再 建 において 小 腸 動 脈 を 用 いた 再 建 例 はこれまで<br />

に 報 告 されていない。 今 回 我 々は、 固 有 肝 動 脈 瘤 に 対 して 小 腸 動 脈 を<br />

用 いた 外 科 的 治 療 を 施 行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。( 症 例 )70 歳<br />

代 男 性 。2009 年 1 月 に 腹 痛 を 主 訴 に 来 院 した。 腹 部 CTで 腹 腔 動 脈 領 域<br />

に 炎 症 性 変 化 を 認 めた。 精 査 で 結 節 性 多 発 動 脈 炎 と 診 断 、ステロイド<br />

内 服 治 療 を 開 始 した。 同 年 2 月 の 腹 部 血 管 造 影 検 査 で 固 有 肝 動 脈 から<br />

左 右 肝 動 脈 の 分 岐 にかけて15mm 大 の 嚢 状 の 動 脈 瘤 を 認 めた。 腹 部<br />

CTでは 瘤 内 は 血 栓 化 されていたため 経 過 観 察 を 行 った。 約 2 年 後 の 腹<br />

部 CTでは 瘤 内 の 血 流 が 増 加 していた。 腹 部 血 管 造 影 検 査 で 固 有 肝 動<br />

脈 瘤 の 大 きさに 変 化 はなかったが、 瘤 内 の 血 流 増 加 を 認 めたため 破 裂<br />

の 危 険 が 増 加 したと 考 えた。 動 脈 瘤 が 嚢 状 であり、IVRでのcoilingは<br />

困 難 であると 判 断 し、 外 科 的 切 除 および 血 行 再 建 術 を 行 った。 固 有 肝<br />

動 脈 瘤 は 総 肝 動 脈 と 強 い 癒 着 があり 剥 離 困 難 であったため、 左 右 肝 動<br />

脈 および 総 肝 動 脈 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 で 切 離 し、 動 脈 瘤 を 切 除 した。 血<br />

行 再 建 には 小 腸 動 脈 の 分 岐 グラフトを 選 択 した。 総 肝 動 脈 と 胃 十 二 指<br />

腸 動 脈 を 端 々 吻 合 し、 分 岐 グラフトを 新 たな 固 有 肝 動 脈 として 総 肝 動<br />

脈 と 側 端 吻 合 し、 左 右 肝 動 脈 はそれぞれ 端 々 吻 合 再 建 した。 術 後 の 腹<br />

部 CT…angioで 肝 動 脈 血 流 は 良 好 に 保 たれており 退 院 した。 全 経 過 を<br />

通 じて 肝 障 害 は 認 めなかった。( 考 察 )1. 瘤 切 除 後 の 血 行 再 建 の 方 法 に<br />

は 一 定 の 見 解 は 未 だない。 本 症 例 では 小 腸 動 脈 分 岐 グラフトを 採 取 使<br />

用 し、その 結 果 は 良 好 である。2. 本 邦 のこれまでの 症 例 は 自 家 静 脈 グ<br />

ラフトや 有 茎 の 胃 十 二 指 腸 動 脈 、 脾 動 脈 、 左 胃 動 脈 、 左 胃 大 網 動 脈 を<br />

血 行 再 建 に 利 用 しているが、 小 腸 動 脈 を 利 用 した 報 告 はない。( 結 語 )<br />

小 腸 動 脈 を 血 行 再 建 に 利 用 した 固 有 肝 動 脈 瘤 切 除 の1 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 する。<br />

P35-8 胆 管 メタリックステント 過 長 による 十 二 指 腸 潰 瘍 に 対<br />

して 内 視 鏡 下 ステント 切 断 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 東 京 病 院<br />

○… 趙 斌 , 元 吉 誠 , 中 田 博 , 伊 藤 和 幸 , 高 井 彩 ,<br />

後 藤 振 一 郎<br />

78 歳 の 女 性 5か 月 前 に 背 部 痛 で 近 医 を 受 診 、 膵 癌 、 閉 塞 性 黄 疸 の<br />

診 断 で 当 科 に 紹 介 。 精 査 で 膵 頭 部 から 体 部 にかけて 上 腸 間 膜 動 脈 浸 潤<br />

している 膵 癌 を 認 めた。StageIVaで、 切 除 適 応 外 でゲムザールによ<br />

る 化 学 療 法 を 開 始 。 黄 疸 に 対 してPTCDを 行 ったが、2か 月 後 に<br />

PTCD 経 由 で 胆 管 メタリックステント(Noncovered…Wallstent)による<br />

内 ろう 化 に 変 更 。しかし、Vater 乳 頭 よりの 露 出 が 長 いので、 十 二 指<br />

腸 潰 瘍 を 起 こした。これに 対 して 上 部 消 化 管 内 視 鏡 下 でAPC…(Argon…<br />

plasma…coagulation)によるステント 切 断 を 行 った。 流 量 は2.0l/Min, 出<br />

力 は40W、V/O…300Dとの 設 定 で30 分 以 内 に 切 断 できた。 切 断 中 およ<br />

び 切 断 後 には 合 併 症 がなかった。その 後 十 二 指 腸 潰 瘍 も 軽 快 。 胆 管<br />

メタリックステント 挿 入 後 のトラブルシューテイングとしてAPCが<br />

有 用 と 考 え、 文 献 を 考 察 しながら 報 告 する。<br />

P35-9 S 状 結 腸 軸 捻 転 症 と 肝 左 葉 形 成 不 全 との 関 連 性 につい<br />

ての 検 討<br />

1<br />

亀 田 総 合 病 院 外 科 、 2 牧 田 総 合 病 院 外 科<br />

○… 林 賢 1<br />

, 新 谷 隆 2<br />

, 草 薙 洋 1<br />

, 太 田 智 之 1<br />

, 高 賢 樹 1<br />

,<br />

山 田 成 寿 1<br />

, 加 納 宣 康<br />

1<br />

【 背 景 】 肝 左 葉 形 成 不 全 は 先 天 的 な 肝 葉 の 発 達 異 常 で, 時 に 胃 軸 捻 転<br />

症 の 合 併 を 認 めるとの 報 告 がある. 一 方 で, 肝 左 葉 形 成 不 全 と 結 腸 軸<br />

捻 転 症 との 関 連 についての 報 告 は 極 めて 稀 である。そこで 今 回 我 々は,<br />

S 状 結 腸 軸 捻 転 症 と 肝 左 葉 形 成 不 全 との 関 連 性 について 検 討 した.【 方<br />

法 】 対 象 は2000 年 1 月 から2011 年 12 月 までの11 年 間 にS 状 結 腸 軸 捻 転<br />

症 に 対 し 手 術 を 施 行 した24 例 . 術 前 に 施 行 したCTを 用 い,<br />

CTvolumetryにより 肝 左 葉 (S2,3) 容 積 ( 以 下 LSV), 全 肝 容 積 ( 以 下<br />

TLV)を 測 定 し,LSVがTLVに 占 める 割 合 を 算 出 した 後 , 標 準 肝 容 積<br />

( 以 下 SLV)と 比 較 ・ 検 討 した.SLVは2.223×BW(Kg)0.426×BH(cm)<br />

0.682(Urata…K…et…al.…Hepatology,…1995;…21(5):…1317-21)より 算 出 した.<br />

また,Leelaudomlipi…Sら(Liver…Transpl,…2002;…8(7):…612-4)による<br />

と 生 体 肝 移 植 ドナーの 平 均 LSV/TLVは17±4%であったことから<br />

LSV/TLV×100


P36-1 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 前 3DDIC-CT1485<br />

例 の 検 討<br />

労 働 者 健 康 福 祉 機 構 東 北 労 災 病 院 外 科<br />

○… 野 村 良 平 , 澤 田 健 太 郎 , 柴 原 みい, 松 村 勝 , 安 本 明 浩 ,<br />

武 藤 満 完 , 生 澤 史 江 , 松 村 直 樹 , 西 條 文 人 , 武 者 宏 明 ,<br />

高 橋 賢 一 , 豊 島 隆 , 舟 山 裕 士 , 徳 村 弘 実<br />

目 的 : 当 科 では 胆 嚢 結 石 症 (GBS)および 総 胆 管 結 石 症 (CBDS)に 対 し<br />

術 前 検 査 として3D…DIC-CTで 総 胆 管 結 石 症 の 診 断 と 副 肝 管 の 有 無 を<br />

検 討 している。また 腹 腔 鏡 下 手 術 時 にはルーチン 術 中 胆 道 造 影 (IOC)<br />

を 行 っている。 今 回 、3D…DIC-CTの 有 用 性 をIOCと 比 較 し 検 討 した。<br />

対 象 :2001 年 4 月 からの10 年 間 に 当 科 で3D……DIC-CTを 施 行 した1485 例<br />

を 検 討 した。 術 中 に、IOCの 結 石 像 の 有 無 で 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 また<br />

は 腹 腔 鏡 下 総 胆 管 切 石 術 を 追 加 した。 結 果 :1485 例 中 、3D…DIC-CT<br />

で 副 肝 管 を37 例 (2.5%)に 認 めた。IOCでCBDSと 確 定 診 断 されたもの<br />

は146 症 例 (9.8%)あった。3D-DIC…CTからみると、CDBS 像 (+)と 診<br />

断 したのは140 例 で、うちIOCでCDBSのなかったものは15 例 (10.7%)<br />

であった。 一 方 、3D-DIC…CTでCDBS 像 (-)としたのは1345 例 で、う<br />

ちIOCでCBDSが 発 見 されたのは21 例 (1.6%)であった。したがって、<br />

総 胆 管 結 石 症 の 術 前 検 査 として、3D…DIC-CTの 感 度 は85.6%(125/<br />

146)、 特 異 度 は98.9%(1324/1339)であった。<br />

P36-2 当 院 における 内 視 鏡 的 胆 道 手 術 後 の 胆 道 系 合 併 症 に 関<br />

する 検 討<br />

富 士 宮 市 立 病 院 外 科<br />

○… 奥 村 拓 也 , 鈴 木 憲 次<br />

【はじめに】 当 院 では 急 性 胆 嚢 炎 に 対 し 早 期 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 以<br />

下 LSC)を 行 ってきた。 今 回 我 々は、 内 視 鏡 的 胆 道 手 術 術 後 の 胆 道 系<br />

合 併 症 について 検 討 した。【 対 象 】2007 年 1 月 より 当 院 でLSCもしくは<br />

腹 腔 鏡 下 胆 管 切 開 術 を 行 った450 例 のうち、 胆 道 系 合 併 症 を 来 した13 例 。<br />

【 結 果 】 術 式 はLSC7 例 、 腹 腔 鏡 下 総 胆 管 切 石 術 6 例 (LSC 術 後 異 時 性<br />

総 胆 管 結 石 1 例 含 む)であった。LSCでの 胆 汁 瘻 は、 漏 斗 部 に3 例 、 後<br />

区 域 2 例 、 胆 嚢 床 部 小 胆 管 と 胆 嚢 管 移 行 部 にそれぞれ1 例 ずつ 認 め、い<br />

ずれの 症 例 も 胆 嚢 頸 部 の 硬 化 を 認 めた。 術 中 に 胆 汁 瘻 が 発 覚 したもの<br />

は、 後 区 域 2 例 、 移 行 部 と 漏 斗 部 1 例 ずつであり、 後 区 域 胆 管 の 修 復 は、<br />

腹 腔 鏡 下 に 縫 合 閉 鎖 したものと 開 腹 しT-tubeを 挿 入 したものであっ<br />

た。 移 行 部 胆 汁 瘻 にはC-tubeを 留 置 した。 胆 嚢 床 部 小 胆 管 と 漏 斗 部 は<br />

持 続 吸 引 腹 腔 ドレナージのみとした。 術 後 胆 汁 瘻 が 持 続 した 後 区 域 1<br />

例 と 漏 斗 部 2 例 に 内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 管 造 影 ( 以 下 ERC)を 行 い、 漏 斗 部<br />

2 例 に 内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 管 ドレナージ( 以 下 ERBD)を 行 い、 数 日 で 胆<br />

汁 瘻 消 失 した。 後 区 域 1 例 はカニュレーション 不 能 であった。この 症<br />

例 は 後 日 胆 汁 瘻 消 失 したが、 後 区 域 が 萎 縮 していた。 胆 管 ドレナージ<br />

を 必 要 としなかった2 例 は、 漏 斗 部 胆 汁 瘻 であった。 総 胆 管 結 石 例 の<br />

胆 汁 瘻 部 は 縫 合 部 5 例 、 胆 嚢 床 1 例 に 認 めた。 縫 合 部 胆 汁 瘻 の 術 式 はい<br />

ずれもprimary…closureであった。 自 然 消 失 したものは2 例 で、 膿 瘍 を<br />

形 成 した2 例 と 胆 汁 瘻 持 続 する1 例 にERCを 行 い、 明 らかな 胆 汁 瘻 を<br />

認 めた2 例 にERBDを 行 った。 胆 嚢 床 胆 汁 瘻 症 例 は、LSC 術 後 異 時 性<br />

総 胆 管 結 石 で 開 腹 総 胆 管 切 開 +T-tube 挿 入 術 を 行 った 症 例 で、 胆 嚢 床<br />

の 癒 着 剥 離 時 に 肝 実 質 損 傷 に 起 因 するものであった。【 考 察 】 今 回 の<br />

検 討 では、いわゆるclassical…injuryはなかった。 胆 管 損 傷 した2 例 は<br />

いずれも 後 区 域 であり、 胆 嚢 頚 部 硬 化 症 例 の 剥 離 時 には 後 区 域 胆 管 に<br />

注 意 を 払 う 必 要 がある。 胆 汁 瘻 症 例 には 適 切 な 腹 腔 ドレナージが 必 要<br />

で、 持 続 する 場 合 にはERBDが 有 効 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P36-3 当 院 におけるLap-C 術 中 胆 道 損 傷 症 例 の 検 討<br />

広 島 市 立 広 島 市 民 病 院 外 科<br />

○… 香 川 哲 也 , 塩 崎 滋 弘 , 松 川 啓 義 , 藤 原 康 宏<br />

腹 腔 鏡 下 手 術 が 飛 躍 的 に 普 及 した 今 日 においても,Lap-Cでの 胆 道 損<br />

傷 は 最 も 注 意 すべき 合 併 症 の1つである. 当 院 ではこれまでに,Lap-C<br />

術 中 胆 道 損 傷 を6 例 経 験 した.これらの 臨 床 経 過 , 対 処 法 , 予 後 を 提<br />

示 する.【 症 例 1】21 歳 女 性 , 胆 嚢 腺 筋 症 に 対 してLap-C 施 行 . 術 後 2<br />

日 目 に 胆 汁 漏 生 じ 再 手 術 を 行 うと, 損 傷 部 位 は 総 胆 管 の 小 穿 孔 であっ<br />

た. 単 純 縫 合 閉 鎖 で 治 癒 した.【 症 例 2】37 歳 女 性 , 胆 嚢 ポリープ. 術<br />

後 3 日 目 にERCPにて 総 胆 管 完 全 離 断 と 診 断 . 胆 管 胆 管 端 々 吻 合 を 施<br />

行 し 軽 快 したが, 後 に 胆 管 吻 合 部 狭 窄 を 生 じ 胆 管 空 腸 吻 合 を 施 行 した.<br />

【 症 例 3】59 歳 女 性 , 胆 嚢 結 石 症 による 急 性 胆 嚢 炎 で 手 術 を 施 行 . 術<br />

後 4 日 目 に 胆 汁 漏 にて 再 手 術 , 総 胆 管 に 穿 孔 を 認 めた. 単 純 縫 合 閉 鎖<br />

にて 軽 快 した.【 症 例 4】42 歳 男 性 , 胆 嚢 ポリープ. 術 後 5 日 目 に 再 手 術 ,<br />

肝 床 部 からの 胆 汁 漏 出 あり 単 純 縫 合 閉 鎖 にて 軽 快 .【 症 例 5】39 歳 女 性 ,<br />

胆 嚢 結 石 症 による 急 性 胆 嚢 炎 で 手 術 施 行 . 術 中 に 総 胆 管 を 誤 認 し3/4<br />

周 損 傷 した. 開 腹 移 行 し 胆 管 胆 管 端 々 吻 合 施 行 し 軽 快 した.【 症 例 6】<br />

42 歳 女 性 , 胆 嚢 結 石 症 頸 部 嵌 頓 にて 高 度 炎 症 あり. 術 中 に 総 胆 管 を 誤<br />

認 ,1/4 周 損 傷 , 開 腹 移 行 し1 次 縫 合 を 行 った. 良 好 な 経 過 であった.<br />

P36-4 安 全 にLap-Cを 行 うための 手 技 の 標 準 化 ならびに 困 難<br />

症 例 に 対 する 対 処 法<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 倉 田 昌 直 , 本 田 五 郎 , 奥 田 雄 紀 浩 , 小 林 信 ,<br />

鶴 田 耕 二<br />

【 目 的 】 安 全 にLap-Cを 行 うための 手 技 の 標 準 化 について, 処 理 する<br />

べき 構 造 物 を 的 確 に 認 識 するためのコツ, 注 意 点 を 示 すとともに, 特<br />

に 術 中 胆 管 損 傷 を 起 こす 可 能 性 の 高 い 胆 管 走 向 異 常 例 , 高 度 炎 症 例 ,<br />

胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 例 を 供 覧 する.【 胆 嚢 の 基 本 解 剖 と 剥 離 層 の 理 解 】 胆<br />

嚢 壁 は 外 側 から 漿 膜 , 漿 膜 下 層 (ss), 固 有 筋 層 , 粘 膜 に 分 けられる.<br />

更 に 当 院 ではssを 主 に 脂 肪 組 織 で 構 成 される 外 層 (ss-o)と 脈 管 と 線 維<br />

組 織 により 構 成 される 内 層 (ss-i)とに 分 類 している.このss-oとss-iと<br />

の 間 をss-oからss-iをはぎ 取 る 様 に 操 作 することでss-iより 外 側 の 構 造<br />

物 である 胆 管 , 胆 嚢 動 脈 , 肝 実 質 を 損 傷 することがなくなり 安 全 に<br />

Lap-Cを 行 うことができる.【 術 前 検 査 】Lap-Cで 損 傷 する 可 能 性 の 高<br />

い 胆 管 はそのほとんどが 南 回 りの 右 後 区 域 胆 管 枝 ( 副 肝 管 )であること<br />

から, 術 前 に 南 回 り 胆 管 を 拾 い 上 げることが 肝 要 である. 当 院 では 副<br />

肝 管 が 胆 嚢 管 や 漏 斗 部 に 合 流 する 症 例 以 外 はすべてLap-Cの 適 応 とし<br />

ている.【 標 準 手 技 】はじめに 胆 嚢 頚 部 右 側 でRouviere 溝 を 確 認 し,<br />

総 胆 管 から 右 肝 管 , 後 区 域 胆 管 の 位 置 と 胆 嚢 管 との 位 置 関 係 をおおよ<br />

そ 把 握 し,Rouviere 溝 よりやや 頭 側 の 漿 膜 を 切 開 して 頚 部 で 右 側 の<br />

ss-iを 露 出 させる. 左 葉 側 ではCalot 三 角 を 展 開 し 同 様 にss-iを 露 出 させ,<br />

右 葉 側 の 剥 離 層 と 連 続 させトンネリングさせる.この 後 に 胆 嚢 管 に 向<br />

かって 剥 離 を 進 めて 胆 嚢 管 を 完 全 に 露 出 させる. 途 中 で 露 出 する 胆 嚢<br />

動 脈 はss-iへ 流 入 するのを 確 認 できた 場 合 を 除 いて 切 離 しない.トン<br />

ネリングさせた 層 を 胆 嚢 床 に 向 かって 剥 離 すると 完 全 にCalot 三 角 は<br />

開 放 され,いわゆるCritical…view…of…safetyが 確 保 できる. 胆 嚢 管 , 胆<br />

嚢 動 脈 の 切 離 はこの 状 態 にしてから 行 う. 高 度 炎 症 例 でもss-oを 肝 臓<br />

側 に 残 すように 剥 離 することで 短 時 間 にかつ 安 全 に 胆 嚢 床 より 胆 嚢 を<br />

剥 離 することが 可 能 である. 南 回 り 副 肝 管 を 有 する 症 例 であっても,<br />

これに 遭 遇 することなく 安 全 にLap-Cが 施 行 しえるが, 胆 嚢 管 や 漏 斗<br />

部 に 副 肝 管 が 合 流 する 症 例 では 胆 嚢 の 一 部 が 遺 残 しないよう 慎 重 に 適<br />

応 を 判 断 している.<br />

-381-


P36-5 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Lap-C)における 術 中 胆 管 損 傷 例 の<br />

当 科 での 対 応<br />

帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター<br />

○… 山 崎 将 人 , 幸 田 圭 史 , 鈴 木 正 人 , 手 塚 徹 , 小 杉 千 弘 ,<br />

今 井 健 一 郎 , 村 田 聡 一 郎 , 平 野 敦 史 , 岡 野 美 々,<br />

白 神 梨 沙 , 板 垣 亮 平 , 安 田 秀 喜<br />

【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Lap-C)における 術 中 胆 管 損 傷 例 を 検 討<br />

し 予 防 処 置 、 対 処 法 につき 考 察 した。【 対 象 】2004 年 7 月 から2011 年 6<br />

月 までのLap-C…244 例 中 術 中 胆 管 損 傷 を 来 たした2 例 である。【 症 例 1】<br />

50 歳 女 性 、 高 血 圧 、 糖 尿 病 等 にて 通 院 中 、 右 季 肋 部 痛 を 訴 え、 急 性 胆<br />

嚢 炎 の 診 断 でPTGBD 施 行 した。DIC 併 発 し 保 存 的 治 療 にて 改 善 後 、<br />

第 37 病 日 手 術 を 施 行 した。 胆 嚢 炎 による 炎 症 を 認 め 切 離 が 胆 嚢 頸 部 と<br />

なったため 下 流 での 胆 嚢 管 切 離 が 試 みられたが 実 際 は 三 管 合 流 部 直 下<br />

での 離 断 となった。 胆 嚢 摘 出 後 損 傷 に 気 づき 総 肝 管 ・ 総 胆 管 端 々 吻 合<br />

を 行 った。… 術 後 糖 尿 病 の 管 理 、 指 導 、リハビリを 要 したが、 縫 合 不<br />

全 等 の 合 併 症 なく 術 後 第 43 病 日 退 院 した。 術 後 6 年 経 過 良 好 である。【 症<br />

例 2】78 歳 女 性 、 背 部 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 、 胆 嚢 総 胆 管 管 結 石 の 診 断<br />

にて 紹 介 となった。 右 前 後 枝 は 胆 嚢 管 と 共 通 管 を 形 成 するanomalyを<br />

認 め、 総 胆 管 結 石 採 石 ・ERBD 後 Lap-Cを 行 った。 胆 嚢 頸 部 背 側 剥 離<br />

時 に 胆 汁 の 流 出 を 認 めた 為 Dome…downにて 胆 摘 後 、 前 枝 胆 管 の 壁 損<br />

傷 を 確 認 した。 損 傷 が 軽 度 であったため 結 節 縫 合 後 ボルヒールを 散 布<br />

し 修 復 した。 翌 日 のドレーン 排 液 T-Bilは5.2mg/dlと 高 値 を 示 したが<br />

その 後 の 排 液 は 少 なくCTでも 溜 まり 無 く 第 4 病 日 ドレーンを 抜 去 し 第<br />

8 病 日 退 院 した。 術 後 病 理 にて 平 坦 型 の 高 分 化 腺 癌 を 認 めたが 再 切 除<br />

せず 経 過 観 察 となった。 術 1 年 後 、 右 肝 内 胆 管 は3.5mmと 僅 かに 拡 張<br />

を 認 めるが 明 らかな 再 発 所 見 や 肝 酵 素 の 上 昇 、 胆 管 炎 症 状 は 認 めない。<br />

【 予 防 処 置 ・ 対 処 法 】 症 例 1では 胆 嚢 管 剥 離 を 胆 嚢 側 から 行 う 事 が 望<br />

ましく、 炎 症 で 隔 離 困 難 例 では、 亜 全 摘 し 胆 嚢 管 移 行 部 を 縫 合 閉 鎖 す<br />

べきと 考 えられた。 症 例 2では 術 前 総 胆 管 結 石 に 注 意 がはらわれ 術 前<br />

の 胆 嚢 壁 肥 厚 所 見 がおろそかとなってしまったが 振 り 返 ってみても 癌<br />

の 診 断 は 困 難 と 思 われた。 胆 管 損 傷 の 予 防 としてはDome…downでの<br />

胆 嚢 剥 離 を 初 めから 行 っていれば 防 げた 可 能 性 があった。 対 処 法 は 症<br />

例 1,2 共 に 損 傷 に 見 合 った 修 復 が 行 われたと 考 える。【まとめ】 癌 合 併<br />

や 胆 管 分 枝 形 態 などの 術 前 診 断 や 炎 症 症 例 への 注 意 が 必 要 である。 胆<br />

管 損 傷 時 は 見 落 としなく 損 傷 形 態 を 診 断 しその 程 度 に 応 じた 対 策 が 重<br />

要 である。<br />

P36-6 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 胆 管 損 傷 防 止 のメルク<br />

マール‐ 肝 十 二 指 腸 間 膜 におけるUラインとSライン<br />

三 菱 京 都 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 尾 池 文 隆 , 濱 口 雄 平 , 有 光 竜 樹 , 瀬 尾 智 , 岡 田 憲 幸<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 胆 管 損 傷 は0.5%~0.8%と 高 く、 導 入 か<br />

ら20 年 以 上 経 過 した 現 在 も 減 少 していない。 日 本 内 視 鏡 外 科 のアン<br />

ケートによると 最 も 頻 度 の 高 い 部 位 は 総 胆 管 損 傷 である。 当 院 でも、<br />

総 胆 管 を 胆 嚢 管 と 誤 認 し、 右 肝 動 脈 を 胆 嚢 動 脈 と 誤 認 する 重 大 な 術 中<br />

損 傷 事 例 が 起 こった。 総 胆 管 は 肝 門 部 肝 管 (4 穴 )まで 切 除 されており、<br />

直 ちに 空 腸 吻 合 による 修 復 を 行 った。 右 肝 動 脈 も 再 建 ができないほど<br />

の 距 離 が 切 除 されていたが、 肝 門 板 は 完 全 離 断 されておらず 左 肝 動 脈<br />

からの 側 副 血 行 があり 肝 壊 死 には 至 らなかった。 再 発 防 止 のため 詳 細<br />

な 検 討 を 行 い、 教 訓 を 得 たので 報 告 する。 Critical…View…Methodな<br />

ど 多 くの 損 傷 防 止 手 技 が 報 告 されているが、いったん 総 胆 管 を 胆 嚢 管<br />

と 誤 認 すれば、 途 中 で 誤 りに 気 づくことは 困 難 である。 本 症 例 でも 手<br />

術 メンバーは 胆 嚢 床 からの 胆 汁 漏 と 考 えており、 応 援 医 師 に 指 摘 を 受<br />

けるまで 総 胆 管 を 切 断 していることに 気 付 いていなかった。 腹 腔 内 に<br />

入 った 最 初 の 段 階 で、 最 小 限 の 牽 引 ・ 剥 離 のうちに、 胆 嚢 管 、 総 胆 管<br />

と 胆 嚢 動 脈 の 位 置 関 係 を 概 略 把 握 することが 重 要 であり、その 中 でも<br />

総 胆 管 を 意 識 することが 不 可 欠 である。 肝 十 二 指 腸 間 膜 の 右 縁 はfree…<br />

edgeとなっているが、 左 縁 は 境 界 無 く 小 網 に 連 続 するため、 総 胆 管<br />

が 実 際 よりも 左 にあるように 錯 覚 する。よいメルクマールとなるのが、<br />

胆 嚢 床 右 縁 、 内 側 区 域 実 質 の 下 縁 、 肝 円 索 左 縁 が 形 作 るUラインである。<br />

このUの 底 が 左 右 肝 管 合 流 部 にあたり、 総 肝 管 ・ 総 胆 管 の 軸 を 知 るこ<br />

とができる。 次 に、 胆 嚢 体 部 から 頸 部 のたるみ、 肝 十 二 指 腸 間 膜 右 縁<br />

で 形 作 るSラインを 意 識 する。 胆 嚢 漏 斗 部 胆 嚢 管 移 行 部 を 示 すSライ<br />

ンのくびれを 維 持 するように 胆 嚢 頸 部 を 手 前 に 引 きながら 左 右 に 牽 引<br />

してCalot 三 角 の 剥 離 を 行 う。 胆 嚢 頸 部 を 頭 側 へ 押 し 付 ける 形 でSライ<br />

ンを 引 き 伸 ばしてしまうと 胆 嚢 管 と 総 胆 管 が 一 直 線 になりその 境 界 は<br />

わからなくなる。 炎 症 ・ 癒 着 、 牽 引 などの 手 術 操 作 自 体 により、 解 剖<br />

誤 認 のリスクは 増 加 するが、Uライン、Sラインを 同 定 して 肝 門 部 全<br />

体 のオリエンテーションに 立 ち 戻 ることで 胆 管 損 傷 を 避 けることがで<br />

きる。<br />

P36-7 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 による 胆 管 損 傷 の 経 験 と 教<br />

訓<br />

慶 應 義 塾 大 学 外 科<br />

○… 板 野 理 , 田 邉 稔 , 河 地 茂 行 , 篠 田 昌 宏 , 北 郷 実 ,<br />

藤 崎 洋 人 , 藤 村 知 賢 , 門 多 由 恵 , 永 滋 教 , 香 月 優 亮 ,<br />

田 中 真 之 , 筒 井 りな, 大 平 正 典 , 北 川 雄 光<br />

【 症 例 】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 による 胆 管 損 傷 を 経 験 より, 注 意<br />

すべき 症 例 および 術 中 の 注 意 点 について 報 告 する.【 症 例 】54 歳 , 女 性 .<br />

胆 嚢 結 石 症 に 対 して, 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 行 った.SILS(TM)<br />

ポート(Covidien)を 臍 部 創 に 挿 入 し,その 脇 より 挿 入 した 鉗 子 にて 胆<br />

嚢 底 部 を 挙 上 し 視 野 を 確 保 した. 胆 嚢 に 炎 症 は 特 に 認 めなかった. 胆<br />

嚢 管 周 囲 の 漿 膜 を 切 開 後 ,Calotの 三 角 部 を 背 側 より 剥 離 中 に 結 合 織<br />

を 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 にて 切 離 する 際 ,その 先 端 にて 総 肝 管 を 損 傷 し<br />

た. 開 腹 移 行 して 胆 嚢 摘 出 を 終 了 後 , 損 傷 部 位 を 一 次 縫 合 閉 鎖 し<br />

RTBDチューブを 挿 入 して 手 術 を 終 了 した. 術 後 , 軽 度 の 胆 管 狭 窄 が<br />

認 められたが,EBDチューブの 長 期 留 置 にて 保 存 的 に 軽 快 した.【 考<br />

察 】 当 院 では 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 の 際 ,Calotの 三 角 の 展 開 は<br />

主 に 背 側 から 行 うことにしているが, 当 症 例 は 胆 嚢 頸 部 が 総 胆 管 に 対<br />

し 背 側 よりに 位 置 しており,なかなか 剥 離 が 進 まなかった. 通 常 の 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ではこのような 場 合 , 腹 側 からの 確 認 ,アプロ―チ<br />

を 行 うのであるが, 単 孔 式 であるが 故 の 視 野 および 鉗 子 フォーメー<br />

ションの 変 更 を 怠 ったのが 今 回 の 原 因 と 考 えられた.また 超 音 波 凝 固<br />

切 開 装 置 も 臍 部 ポートからでは 操 作 部 に 対 し 直 角 にアプローチしがち<br />

であり, 先 端 での 副 損 傷 には 注 意 が 必 要 と 思 いわれた.【 結 語 】 単 孔<br />

式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 では, 通 常 法 以 上 に 多 方 向 からの 確 認 などの 基<br />

本 に 忠 実 な 操 作 が 重 要 である.また, 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 の 使 用 法 に<br />

は 注 意 が 必 要 と 思 われた.<br />

P37-1 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 緊 急 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科<br />

○… 多 賀 谷 信 美 , 大 矢 雅 敏<br />

急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 治 療 指 針 としてガイドラインでは、 緊 急 ・ 早 期 手<br />

術 が 推 奨 されているが、 施 設 の 事 情 ( 初 期 治 療 医 の 判 断 )、 術 者 の 経 験 、<br />

麻 酔 科 の 状 況 によっては、PTGBDの 有 無 を 伴 う 待 機 手 術 ( 慢 性 胆 嚢 炎<br />

の 状 況 )を 余 儀 なくされるのが 現 状 である。 今 回 、 我 々は 急 性 胆 嚢 炎<br />

と 診 断 され、24 時 間 以 内 に 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した 症 例 を 経 験<br />

し、 良 好 な 経 過 を 得 たので、その 手 術 手 技 をVTRにて 報 告 する。 全<br />

身 麻 酔 下 、 仰 向 位 ( 頭 高 位 、 右 高 位 )にて 手 術 を 開 始 し、 臍 部 に12mm、<br />

心 窩 部 に5mm、 右 肋 骨 弓 下 に2 本 の5mmを 挿 入 した。 胆 嚢 を 挙 上 し、<br />

胆 嚢 頸 部 を 把 持 、 展 開 した。まず、 胆 嚢 頸 部 の 背 側 に 剥 離 を 開 始 し、<br />

それを 胆 嚢 管 移 行 部 へと 連 続 させ、 胆 嚢 ― 胆 嚢 管 移 行 部 を 浮 かせるよ<br />

うに 剥 離 した。 胆 嚢 管 および 胆 嚢 動 脈 を 同 定 、 剥 離 し、Critical…view…<br />

of…safetyを 得 た 後 に、 胆 嚢 動 脈 を 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 (LCS)にて 切 離<br />

し、 胆 嚢 管 はクリッピング 後 に 切 離 した。 胆 嚢 を 肝 床 部 よりLCSにて<br />

切 離 し、 臍 部 より 摘 出 した。 出 血 や 胆 汁 漏 出 のないことを 確 認 し、 臍<br />

部 を2 層 に 縫 合 閉 鎖 した。 胆 嚢 展 開 時 に 胆 嚢 壁 は 脆 弱 で 易 出 血 性 であっ<br />

たが、 手 術 時 間 の 延 長 はなく、 術 後 経 過 は 非 炎 症 性 症 例 と 差 がなく、<br />

早 期 退 院 が 可 能 であった。 消 化 器 内 科 医 との 連 携 、 併 存 疾 患 のコント<br />

ロール、 手 術 体 制 が 整 えば、 患 者 の 早 期 社 会 復 帰 につながるため、 急<br />

性 胆 嚢 炎 に 対 し、 積 極 的 に 緊 急 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 すべきであ<br />

る。<br />

-382-


P37-2 当 院 での 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

岡 山 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 山 野 寿 久 , 平 井 隆 二<br />

当 院 では、 以 前 から 急 性 胆 嚢 炎 に 対 して、 早 期 手 術 を 原 則 とし、また、<br />

合 併 症 を 起 こさない 手 術 を 心 がけている。 当 院 では、2009 年 1 月 から<br />

2011 年 8 月 までに、391 例 の 胆 嚢 摘 出 術 を 行 っているが、この 内 、 急 性<br />

胆 嚢 炎 に 対 して 行 った 胆 嚢 摘 出 術 は、108 例 であった。この108 例 のう<br />

ち92 例 (85.2%)に 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 行 っている。 男 性 64 例 、 女 性<br />

28 例 、 年 齢 中 央 値 は69.5 才 。 発 症 後 日 数 中 央 値 3 日 、 手 術 時 間 中 央 値<br />

153 分 、 開 腹 移 行 症 例 を16 例 (17.4%)に 認 めた。 術 後 合 併 症 を8 例 (8.7%)<br />

に 認 めた。 内 容 は、 軽 微 な 胆 管 損 傷 1 例 、 術 後 胆 汁 漏 1 例 、 輸 血 を 要 し<br />

た 出 血 1 例 、 呼 吸 器 合 併 症 3 例 、 腸 炎 2 例 であった。 術 後 在 院 日 数 中 央<br />

値 5 日 であった。 当 院 で 通 常 行 っている 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下<br />

胆 嚢 摘 出 術 につき 報 告 する。<br />

P37-3 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 早 期 腹 腔 鏡 手 術 症 例 の 検 討<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

○… 高 柳 大 輔 , 木 田 裕 之 , 出 口 義 雄 , 竹 原 雄 介 , 春 日 井 尚 ,<br />

田 中 淳 一<br />

【はじめに】2005 年 の「 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎 に 対 するガイドライン、<br />

第 一 版 」で 急 性 胆 嚢 炎 に 対 して 早 期 手 術 が 推 奨 され、 当 院 でも 可 能 な<br />

限 り 早 期 手 術 を 行 ってきた。ガイドラインでは 早 期 手 術 を 発 症 から72<br />

時 間 ~96 時 間 と 定 義 しているが、 実 際 の 臨 床 では 発 症 からの 経 過 が 不<br />

明 な 症 例 などもあり、96 時 間 を 超 えて 手 術 を 行 う 症 例 も 多 い。 早 期 手<br />

術 を 行 った 症 例 と 準 早 期 手 術 (96~168 時 間 )を 行 った 症 例 を 比 較 し、<br />

準 早 期 手 術 の 妥 当 性 を 検 討 した。【 対 象 ・ 方 法 】2008 年 5 月 から2011 年<br />

12 月 までに 手 術 を 施 行 した41 例 を 対 象 とし、 早 期 手 術 群 (n=33)、 準<br />

早 期 手 術 群 (n=8)をretrospectiveに 検 討 した。 重 症 度 はガイドライン<br />

の 定 義 に 従 い 身 体 所 見 、 採 血 、 画 像 所 見 から 判 定 した。【 結 果 】 性 別 ( 男<br />

/ 女 )は 早 期 群 :21/12、 準 早 期 群 :4/4…p=0.478。 平 均 年 齢 は 早 期 :<br />

62.3 歳 、 準 早 期 群 :61.1 歳 p=0.829。 重 症 度 早 期 群 : 軽 症 11 例 / 中 等<br />

症 14 例 / 重 症 8 例 、 準 早 期 群 : 軽 症 2 例 / 中 等 症 5 例 / 重 症 1 例 …p=0.575。<br />

開 腹 移 行 率 早 期 群 2 例 (6.06%、 中 等 症 2 例 )、 準 早 期 群 0 例 (0%)…<br />

p=0.475。 手 術 時 間 早 期 群 :139 分 、 準 早 期 群 :139 分 …p=0.992。 出<br />

血 量 早 期 群 :203ml、 準 早 期 群 :91.3ml…p=0.241。 術 中 胆 道 造 影 早<br />

期 群 :26 例 (78.7%)、 準 早 期 群 :8 例 (100%)…p=0.152。 術 後 在 院 日 数 早<br />

期 群 :5.86 日 、 準 早 期 群 :5.75 日 …p=0.973。 術 後 合 併 症 早 期 群 :2 例 ( 無<br />

気 肺 、 胆 汁 漏 )、 準 早 期 群 :1 例 ( 胆 汁 瘻 ) p=0.530。 性 別 、 年 齢 、 重<br />

症 度 、 開 腹 移 行 率 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 術 中 胆 道 造 影 、 術 後 在 院 日 数 、<br />

術 後 合 併 症 において 準 早 期 手 術 は 早 期 手 術 と 比 べ 有 意 差 を 認 めなかっ<br />

た。【 結 語 】 発 症 96 時 間 を 超 えた 急 性 胆 嚢 炎 も 患 者 の 状 態 や 施 設 の 体<br />

制 が 整 えば、 早 期 手 術 と 同 様 に 手 術 を 行 う 事 は 可 能 であると 考 えられ<br />

た。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P37-4 当 院 における 急 性 胆 嚢 炎 早 期 手 術 の 検 討<br />

JA 広 島 総 合 病 院 外 科<br />

○… 垰 越 宏 幸 , 中 光 篤 志 , 今 村 祐 司 , 佐 々 木 秀 , 香 山 茂 平 ,<br />

加 納 幹 浩 , 中 村 浩 之 , 藤 解 邦 生 , 山 口 拓 朗 ,<br />

福 田 康 彦<br />

【 目 的 】 急 性 胆 管 炎 ・ 胆 嚢 炎 診 療 ガイドラインが 作 成 され、2008 年 よ<br />

り 当 院 でも 急 性 胆 嚢 炎 に 対 して 積 極 的 に 早 期 手 術 を 行 う 方 針 としてい<br />

る。2006 年 -2011 年 の 手 術 成 績 から、 当 院 における 急 性 胆 嚢 炎 早 期 手<br />

術 を 評 価 し 改 善 点 を 検 討 した。【 方 法 】2006 年 6 月 -2011 年 5 月 の5 年 間<br />

に 急 性 胆 嚢 炎 を 診 断 ・ 治 療 され 当 院 で 手 術 を 行 った275 例 について、<br />

発 症 から 手 術 までの 期 間 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 開 腹 移 行 率 、 術 後 合 併<br />

症 、 術 後 在 院 日 数 、を 比 較 検 討 した。【 結 果 】2006-2007 年 (101 症 例 )<br />

および2008 年 -2011 年 (164 症 例 )、の2 群 に 分 類 したところ、それぞれ、<br />

発 症 から 手 術 まで29.9 日 、28.9 日 、 平 均 手 術 時 間 142.9 分 、142.0 分 、 平<br />

均 出 血 量 53.1ml、58.1ml、 開 腹 移 行 率 8.8%、5.4%、 術 後 合 併 症 発 症 率<br />

12.6%、8.5%、 術 後 平 均 在 院 日 数 10.5 日 、7.8 日 、であった。また、 手<br />

術 までの 期 間 により、3 日 (72 時 間 ) 以 内 (40 症 例 )、4 日 以 降 (235 症 例 )、<br />

の2 群 に 分 類 したところ、 平 均 手 術 時 間 138.6 分 、143.0 分 、 平 均 出 血 量<br />

73.0ml、53.2ml、 開 腹 移 行 率 8.6%、6.5%、 術 後 合 併 症 発 症 率 10.0%、<br />

10.2%、 術 後 平 均 在 院 日 数 9.9 日 、8.7 日 、であった。【 考 察 】ガイドラ<br />

イン 導 入 以 降 、 開 腹 移 行 率 、 術 後 合 併 症 発 症 率 、 術 後 在 院 日 数 が 低 下<br />

しており、 手 術 時 期 の 適 正 化 が 図 られたと 考 えられる。しかし 手 術 ま<br />

での 平 均 期 間 に 差 はなく、 早 期 手 術 の 適 応 を 拡 大 できる 可 能 性 がある。<br />

発 症 から72 時 間 以 内 に 手 術 を 行 った 症 例 では、 出 血 量 や 開 腹 移 行 率 が<br />

若 干 高 値 となっているが、 術 後 合 併 症 発 症 率 、 術 後 在 院 日 数 に 差 はな<br />

く、 治 療 期 間 が 短 縮 されたものと 考 えられた。【 結 語 】 当 院 における<br />

急 性 胆 嚢 炎 治 療 方 針 について 検 討 した。<br />

P37-5 急 性 胆 嚢 炎 ガイドラインの 検 証 ― 重 症 急 性 胆 嚢 炎 に 早<br />

期 腹 腔 鏡 下 手 術 は 適 応 となるか―<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 外 科<br />

○… 浅 井 浩 司 , 渡 邉 学 , 松 清 大 , 斉 藤 智 明 , 児 玉 肇 ,<br />

萩 原 令 彦 , 草 地 信 也<br />

【はじめに】 急 性 胆 嚢 炎 症 例 においてガイドライン 発 刊 前 後 の 臨 症 経<br />

過 の 変 化 と 早 期 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (early…laparoscopic…<br />

cholecystectomy: 以 下 、ELC)に 関 する 検 討 を 重 症 度 別 に 行 い、 特 に<br />

重 症 急 性 胆 嚢 炎 に 対 するELCの 適 応 に 関 する 検 討 を 行 ったので 報 告 す<br />

る。【 対 象 と 方 法 】 当 科 で 経 験 した 急 性 胆 嚢 炎 症 例 のうち 総 胆 管 結 石<br />

合 併 例 を 除 いた202 例 において、ガイドライン 発 刊 前 後 ( 以 下 、 前 期 と<br />

後 期 )の 因 子 解 析 を 行 い、ELCと 待 機 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (delayed…<br />

laparoscopic…cholecystectomy: 以 下 、DLC)の 比 較 検 討 を 行 った。【 結<br />

果 】 対 象 202 例 のガイドラインに 準 じた 重 症 度 の 内 訳 は、 軽 症 41 例<br />

(20.3%)、 中 等 症 95 例 (47.0%)、 重 症 66 例 (32.7%)であった。ELC 施 行<br />

率 は 前 期 で37.9%( 軽 症 47.4%、 中 等 症 37.7%、 重 症 32.3%)、 後 期 で<br />

73.7%( 軽 症 86.4%、 中 等 症 61.9%、 重 症 80.0%)であり、 後 期 ではELCが<br />

有 意 に 多 い 結 果 となった。ELCではいずれの 重 症 度 においても 術 前 待<br />

機 期 間 ・ 総 入 院 期 間 が 有 意 に 短 い 結 果 となった。 開 腹 移 行 率 はELC 全<br />

体 で16.9%( 軽 症 0%、 中 等 症 19.6%、 重 症 35.7%)とDLC 全 体 の9.8%( 軽<br />

症 0%、 中 等 症 18.4%、 重 症 16.7%)と 比 較 し 高 率 であったが 両 群 間 に 有<br />

意 差 は 認 めなかった。 術 後 合 併 症 はELC 全 体 で5.4%( 軽 症 0%、 中 等 症<br />

6.5%、 重 症 7.9%)に 対 しDLCは 全 体 で9.8%( 軽 症 0%、 中 等 症 13.2%、 重<br />

症 7.1%)であり、 両 群 間 に 有 意 差 は 認 められなかった。 重 症 例 に 対 す<br />

るELCはDLCと 比 較 し 開 腹 移 行 率 は 高 率 であるものの、 術 中 総 胆 管<br />

損 傷 は 認 めず、 術 後 合 併 症 は 同 等 で 術 後 胆 汁 漏 は 認 めなかった。【 結 語 】<br />

ガイドライン 発 刊 後 では 有 意 にELCの 増 加 、 術 前 待 機 期 間 ・ 総 入 院 期<br />

間 の 短 縮 を 認 めた。 重 症 急 性 胆 嚢 炎 に 対 するELCは、 術 中 ・ 術 後 合 併<br />

症 からみて 安 全 に 施 行 可 能 であり 適 応 はあるものと 考 えられ、 積 極 的<br />

に 施 行 すべきと 考 えられた。また、ELCにより 有 意 な 術 前 待 機 期 間 ・<br />

総 入 院 期 間 の 短 縮 につながることが 明 らかとなった。<br />

-383-


P37-6 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 安 全 性 向 上 を 目 指 した 術 中 ドッ<br />

プラー 血 流 計 による 血 管 同 定<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 保 健 学 科 、 3 鹿 児 島 大 学<br />

フロンティアサイエンス 研 究 推 進 センター<br />

○… 前 村 公 成 1<br />

, 新 地 洋 之 2<br />

, 又 木 雄 弘 1<br />

, 蔵 原 弘 1<br />

, 桑 畑 太 作 1<br />

,<br />

前 田 光 喜 1<br />

, 飯 野 聡 1<br />

, 迫 田 雅 彦 1<br />

, 上 野 真 一 1<br />

, 高 尾 尊 身 3<br />

,<br />

1<br />

夏 越 祥 次<br />

【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 最 も 一 般 的 に 行 われている 内 視 鏡 下 手<br />

術 の 一 つである。ほぼ 定 型 化 された 術 式 だが、 特 にCalot 三 角 周 囲 の<br />

血 管 ならびに 胆 嚢 管 を 切 離 前 に 明 確 にすることは、 本 術 式 における 重<br />

要 なポイントである。 我 々は 胆 道 ・ 膵 の 開 腹 手 術 時 にドップラー 血 流<br />

計 を 用 いて 血 管 の 術 中 リアルタイム 同 定 を 導 入 し、 安 全 な 手 法 につい<br />

て 検 討 しているが、 今 回 その 手 技 を 応 用 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 時 にお<br />

けるCalot 三 角 周 囲 の 術 中 血 管 同 定 を 試 みた3 例 について 報 告 する。【 症<br />

例 と 方 法 】 症 例 1は61 歳 女 性 、 症 例 2は93 歳 女 性 、 症 例 3は61 歳 男 性 で<br />

いずれも 胆 嚢 結 石 症 であり、 全 例 術 前 造 影 CTにて 肝 動 脈 系 および 胆<br />

嚢 動 脈 の 同 定 を 行 い、 胆 道 系 の 走 行 はMRCPにて 確 認 した。 症 例 1お<br />

よび2は4ポートのアメリカンスタイルで、 症 例 3は3ポートでそれぞれ<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 行 った。 胆 嚢 頚 部 からCalot 三 角 の 処 理 の 際 、<br />

腹 腔 鏡 用 専 用 プローブを 上 腹 部 正 中 のポートより 挿 入 し、 接 続 した 血<br />

流 計 を 用 いて 術 中 の 血 管 同 定 を 行 った。Critical…view…of…safetyの 確 認<br />

とともに 胆 嚢 動 脈 、 胆 嚢 管 の 処 理 を 行 い、 胆 嚢 を 摘 出 した。【 結 果 】<br />

術 前 CTでは3 例 とも 胆 嚢 周 囲 における 右 肝 動 脈 を 確 認 したが、 胆 嚢 動<br />

脈 を 確 実 に 同 定 し 得 たのは1 例 のみであった。いずれも 腹 腔 内 に 高 度<br />

な 癒 着 や 胆 嚢 の 慢 性 炎 症 所 見 等 はみられなかった。ドップラー 血 流 計<br />

による 術 中 の 脈 管 検 索 では、 全 例 で 右 肝 動 脈 の 走 行 位 置 を 確 認 できた。<br />

胆 嚢 動 脈 は 術 前 CTで 指 摘 し 得 た1 例 を 含 む2 例 で 同 定 が 可 能 であった。<br />

胆 嚢 管 と 動 脈 は 明 瞭 に 判 別 することができた。 全 例 確 実 に 血 管 の 処 理<br />

と 胆 嚢 管 の 処 理 が 行 え、 安 全 に 手 術 は 終 了 した。3 例 とも 術 後 5 日 以 内<br />

に 退 院 となり、 術 後 合 併 症 は 認 めていない。【 結 論 】 腹 腔 鏡 用 専 用 の<br />

細 径 プローブを 用 いたドップラー 血 流 計 によりCalot 三 角 周 囲 の 右 肝<br />

動 脈 や 胆 嚢 動 脈 を 術 中 リアルタイムに 安 全 に 同 定 することが 可 能 で<br />

あった。 本 手 技 は 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 中 の 胆 道 損 傷 や 予 期<br />

せぬ 出 血 を 回 避 する 上 で 大 変 有 用 な 方 法 であると 思 われ、 今 後 さらに<br />

症 例 を 重 ねて 精 度 を 高 めてゆく 価 値 があると 考 えられた。<br />

P37-7 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 術 前 臍 部 処 置 の 意 義<br />

江 東 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 清 水 喜 徳 , 加 藤 博 久 , 大 橋 直 樹 , 松 井 伸 朗 , 佐 藤 篤 ,<br />

仁 科 晴 弘<br />

はじめに】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 胆 石 症 手 術 のstandard…methodとし<br />

て 広 く 認 知 ・ 施 行 されている 術 式 である。しかし、 小 切 開 創 で 施 行 さ<br />

れる 手 術 手 技 であるにもかかわらず 臍 部 創 にSSIが 発 生 することが 稀<br />

にあり、 創 傷 治 癒 の 過 程 で 瘢 痕 化 やケロイドなどへ 進 展 する 症 例 も 時<br />

としてみうけられる。この 臍 部 創 にSSIが 発 生 する 原 因 としては 併 存<br />

する 胆 嚢 炎 の 程 度 や 胆 嚢 の 摘 出 方 法 などにも 左 右 されるが、 臍 自 体 の<br />

汚 れ( 汚 染 )もその 発 生 原 因 の 一 因 となる 可 能 性 がある。そこで、 今 回 、<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 症 例 の 臍 創 部 のSSI 発 生 について、 術 前 のイソジ<br />

ンゲルによる 臍 部 処 置 が 臍 創 部 のSSI 発 生 防 止 に 有 用 であるか 否 かを<br />

検 討 したので 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】2011 年 5 月 から2011 年 10 月 まで<br />

の6ヵ 月 間 に 当 科 で 施 行 された 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 症 例 37 例 を 対 象 と<br />

した。 術 前 のイソジンゲルによる 臍 部 処 置 施 行 の 有 無 をrandomizeに<br />

2 群 にふり 分 け、 処 置 を 行 った 群 を 処 置 群 (16 例 )、 処 置 を 行 わなかっ<br />

た 群 を 非 処 置 群 (21 例 )とし、この2 郡 間 での 臍 創 部 のSSI 発 生 について<br />

prospectiveに 検 討 した。 臍 処 置 は 手 術 の12 時 間 前 にイソジンゲルを<br />

臍 部 に 塗 布 し 透 明 被 覆 材 (OPSITE…FLEXIFIX)でカバーして 臍 部 を<br />

イソジンゲルで 浸 漬 し、 手 術 直 前 にこれを 除 去 した。【 結 果 】 両 群 間 ( 処<br />

置 群 …vs… 非 処 置 群 )での 患 者 背 景 は、 年 齢 ( 歳 ):57.8±19.0…vs…63.2±<br />

13.5、 性 別 比 ( 男 / 女 ):6/10…vs…8/13、 糖 尿 病 合 併 例 :2/16…vs…2/21、<br />

BMI:24.0±5.8…vs…24.3±3.3といずれも 差 は 認 められなかった。 臍 創<br />

部 のSSI 発 生 数 は 処 置 群 …vs… 非 処 置 群 :1/16…vs…0/21と 両 群 間 で 有 意 差<br />

は 認 められなかった(p=0.868)。【 結 語 】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 において<br />

は、 臍 創 部 のSSI 発 生 防 止 を 目 的 とした 術 前 のイソジンゲルによる 臍<br />

部 処 置 の 有 用 性 は 認 められなかった。したがって、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出<br />

術 施 行 予 定 症 例 では 術 前 の 臍 部 処 置 は 不 要 であると 考 えられた。<br />

P37-8 臍 部 ジグザグ 切 開 による 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 の 試 み<br />

独 立 行 政 法 人 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 長 崎 労 災 病 院 外 科<br />

○… 川 下 雄 丈 , 岩 田 亨 , 森 内 俊 紀 , 平 山 昂 仙<br />

【はじめに】 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 は 優 れた 整 容 性 から 注 目 を 集 めている。<br />

しかし、 狭 い 操 作 領 域 のため 手 技 に 一 定 の 困 難 性 があり、さらに 施 設<br />

毎 に 術 式 の 多 様 性 があるのが 現 状 と 思 われる。 我 々は 蜂 須 賀 らの 開 発<br />

した 臍 部 ジグザグ 切 開 による 単 孔 式 手 術 を 胆 嚢 摘 出 術 に 導 入 するに<br />

至 った。 本 法 は 臍 部 陥 凹 領 域 にZ 型 切 開 を 加 え、 広 い 術 野 空 間 を 確 保<br />

する 術 式 である。 今 回 本 法 を 応 用 した 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 を 経 験 し 良 好<br />

な 結 果 を 得 たので、 手 術 手 技 を 供 覧 する。【 症 例 】 経 臍 的 腹 腔 鏡 手 術<br />

を 施 行 した 最 近 の 胆 嚢 摘 出 術 5 例 。 臍 部 にジグザグ 切 開 を 施 し4cmの<br />

筋 膜 切 開 の 後 にプラットフォームとしてEZアクセスないし<br />

GelPOINTを 装 着 し3ポートを 留 置 。5mm 硬 性 鏡 にて 腹 腔 内 を 観 察 し<br />

つつ 操 作 はパラレル 法 にて 施 行 。 特 に 屈 曲 鉗 子 も 必 要 としない。<br />

GelPOINT 使 用 時 には1cm 筋 膜 切 開 を 延 長 すれば4ポート 法 によるほ<br />

ぼ 従 来 型 の 手 術 操 作 が 可 能 であった。 術 中 造 影 施 行 例 を 含 め 手 術 時 間<br />

は 平 均 95 分 であり、 創 痛 も 比 較 的 軽 微 でジグザグ 切 開 部 は 経 時 的 に 臍<br />

中 心 に 嵌 入 していき 整 容 性 は 極 めて 良 好 であった。【 結 語 】 臍 部 ジグ<br />

ザグ 切 開 を 応 用 した 経 臍 的 胆 嚢 摘 出 術 は、 最 小 の 皮 切 長 で 大 きな 開 創<br />

力 および 術 野 空 間 が 得 られ、かつ 高 い 整 容 性 が 得 られる 有 用 なアプ<br />

ローチと 考 えられた。<br />

P38-1 術 前 3D-CTに 基 づいた 右 肝 静 脈 灌 流 域 切 除 の 安 全 性 と<br />

有 用 性 の 検 討<br />

九 州 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 増 田 稔 郎 , 調 憲 , 吉 屋 匠 平 , 武 藤 純 , 的 野 る 美 ,<br />

間 野 洋 平 , 戸 島 剛 男 , 橋 本 直 隆 , 森 田 和 豊 , 萱 島 寛 人 ,<br />

池 上 徹 , 吉 住 朋 晴 , 前 原 喜 彦<br />

【はじめに】 右 肝 静 脈 を 圧 排 、または 浸 潤 した 肝 腫 瘍 に 対 する 術 式 と<br />

して、 肝 静 脈 うっ 血 を 回 避 しつつ 根 治 性 を 得 るため、われわれは<br />

3D-CTによる 術 前 計 画 に 基 づいた 右 肝 静 脈 灌 流 域 切 除 を 行 っている。<br />

今 回 、3D-CTに 基 づいた 右 肝 静 脈 灌 流 域 切 除 の 安 全 性 と 有 用 性 を 検 討<br />

した。【 対 象 】3D-CTによる 術 前 計 画 を 行 い、 右 肝 静 脈 潅 流 域 切 除 を<br />

施 行 した 肝 癌 7 例 。【 方 法 】1. 術 前 計 画 における、 右 肝 静 脈 潅 流 域 切<br />

除 の 残 肝 量 を 肝 右 葉 切 除 の 残 肝 量 と 比 較 した。2. 右 肝 静 脈 潅 流 域 切<br />

除 後 の 術 後 短 期 成 績 を 検 討 した。【 結 果 】1) 平 均 年 齢 は59.6±15.4 歳 、<br />

平 均 腫 瘍 径 は3.5±1.0…cmであった。2)3D-CTによる 右 肝 静 脈 潅 流 域 切<br />

除 の 予 測 残 肝 量 は614±196g、 予 測 残 肝 率 は57.8±10.4%で、 右 葉 切 除<br />

と 比 較 して 平 均 178…ml…(16.7%)… の 残 肝 量 が 増 加 した。3) 平 均 手 術 時<br />

間 は387.4±88.7 分 、 平 均 出 血 量 は668±428…mlで、 輸 血 は 行 わなかった。<br />

4)7 例 全 例 で 切 除 断 端 は 陰 性 であった。5) 術 前 予 測 の 平 均 切 除 肝 重 量<br />

は446.3±158g、 実 際 の 平 均 切 除 肝 重 量 は502±157gで、 術 前 予 測 との<br />

誤 差 率 は5.0±5.4%であった。6) 術 後 の 総 ビリルビンの 最 高 値 は1.8±0.7…<br />

mg/dl…(0.8-3.1…mg/dl)、ASTは404±91.3…IU/L(247-495…IU/L)、ALT<br />

は391±158.7…IU/L(96-579…IU/L)で、 術 後 平 均 在 院 日 数 は14±7 日 …<br />

(8-25 日 )… であった。【まとめ】 術 前 3D-CTシミュレーションに 基 づい<br />

た 右 肝 静 脈 灌 流 域 肝 切 除 は、 右 肝 静 脈 に 接 する 腫 瘍 に 対 して、 腫 瘍 根<br />

治 性 と 肝 機 能 温 存 の 両 面 を 満 足 させうる 術 式 である。<br />

-384-


P38-2 肝 静 脈 のドレナージ 領 域 を 指 標 とした 選 択 的 肝 区 域 切<br />

除 (VDGH)~ 一 般 市 中 病 院 での 経 験<br />

王 子 総 合 病 院 外 科<br />

○… 狭 間 一 明 , 岩 井 和 浩 , 浅 野 賢 道 , 飯 村 泰 昭 , 佐 藤 暢 人 ,<br />

京 極 典 憲<br />

現 在 選 択 的 な 肝 区 域 切 除 では 切 除 予 定 部 を 支 配 する 肝 動 脈 と 門 脈 を 同<br />

時 に 阻 血 することによって 出 現 する 肝 実 質 の 阻 血 域 を 指 標 として 肝 切<br />

除 が 行 われることが 一 般 的 であり、 肝 静 脈 のドレナージ 領 域 を 指 標 と<br />

した 選 択 的 肝 区 域 切 除 は 一 般 的 ではない。Venous…drainage…guided…<br />

selective…hepatectomy( 以 下 VDGH)は 肝 静 脈 のドレナージ 領 域 を 視 覚<br />

化 し、 肝 切 離 の 指 標 とする 肝 切 除 の 手 技 である。 肝 静 脈 のみを 阻 血 し<br />

ても 門 脈 系 がドレナージシステムとして 機 能 するため 肝 表 面 にはうっ<br />

血 領 域 は 現 れない。 肝 静 脈 と 肝 動 脈 とを 同 時 に 阻 血 することによって<br />

はじめて 当 該 肝 静 脈 のドレナージ 領 域 の 視 覚 化 が 可 能 となる。 手 術 手<br />

技 の 実 際 に 関 して、 肝 動 脈 、 門 脈 の 剥 離 と 阻 血 は 比 較 的 容 易 であるが<br />

肝 静 脈 の 露 出 には 工 夫 が 必 要 である。 門 脈 枝 は 肝 静 脈 ドレナージ 領 域<br />

の 間 を 走 行 するため、 通 常 の 肝 切 離 時 に 肝 静 脈 が 露 出 するのと 同 様 に<br />

VDGHの 肝 切 離 面 においては、 門 脈 枝 が 露 出 することとなる。 肝 切 除<br />

の 実 際 の 適 応 については 右 肝 静 脈 切 離 を 伴 う 拡 大 後 区 域 切 除 、 右 下 肝<br />

静 脈 切 離 を 伴 うS6 切 除 、 中 肝 静 脈 切 離 を 伴 う 拡 大 左 葉 切 除 などに<br />

適 応 可 能 と 考 えられる。 当 科 ではこれまでVDGHを5 例 施 行 、 術 式<br />

の 内 訳 は 右 肝 静 脈 切 離 を 伴 う 拡 大 後 区 域 切 除 3 例 、 中 肝 静 脈 切 離 を 伴<br />

う 拡 大 左 葉 切 除 2 例 であった。 男 性 4 例 、 女 性 1 例 。 年 齢 は64 歳 ~84 歳 。<br />

転 移 性 肝 腫 瘍 3 例 、HCC2 例 。 手 術 時 間 は105 分 から182 分 ( 結 腸 同 時 切<br />

除 症 例 を 含 む)。 出 血 量 は405mlから3030mlであった。 全 症 例 で 術 中<br />

術 後 合 併 症 はみられずに 安 全 に 施 行 され、 当 科 の 肝 切 除 クリニカルパ<br />

スで 管 理 された。 当 院 は 病 床 数 440 床 の 一 般 病 院 であるが、 当 科 で 施<br />

行 されたVDGH 症 例 について 検 討 を 加 え、 手 技 の 要 点 について 概 説 す<br />

る。<br />

P38-3 2 個 肝 癌 に 対 する 系 統 切 除 の 意 義<br />

日 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 中 山 壽 之 , 高 山 忠 利 , 檜 垣 時 夫 , 緑 川 泰 , 荒 牧 修 ,<br />

山 崎 慎 太 郎 , 梶 原 崇 弘 , 青 木 優<br />

【 背 景 と 目 的 】 複 数 肝 癌 に 対 する 系 統 切 除 の 有 効 性 は 未 だ 明 確 ではな<br />

い。 本 報 告 では2 個 の 肝 癌 に 対 する 系 統 切 除 の 意 義 を 検 討 する。【 方 法 】<br />

1990 年 から2011 年 までに 初 回 肝 切 除 を 施 行 された 肝 細 胞 癌 802 例 中 、<br />

腫 瘍 数 2 個 であった129 例 を 対 象 とした。 男 性 110、 女 性 19、 年 齢 中 央<br />

値 67 歳 。2 個 腫 瘍 に 対 し、 全 て 系 統 切 除 群 ( 一 括 系 統 または 亜 区 域 ×2)<br />

といずれか 部 分 切 除 群 ( 系 統 + 部 分 または 部 分 ×2)に 分 類 し 比 較 検 討<br />

した。【 結 果 】 全 て 系 統 切 除 群 は17 例 、いずれか 部 分 切 除 群 は112 例 で<br />

あった。 患 者 背 景 で 年 齢 、 性 別 、BMI、 喫 煙 歴 、 飲 酒 歴 、HBs 抗 原 、<br />

HCV 抗 体 、 血 小 板 数 、 血 清 アルブミン 値 、プロトロンビン 値 、AFP 値 、<br />

PIVKA-II 値 、ICG15 分 値 、 肝 障 害 度 に 有 意 な 差 を 認 めなかった。 手<br />

術 因 子 で 手 術 時 間 、 出 血 量 、Pringle 血 流 遮 断 時 間 、 開 胸 、 輸 血 量 に<br />

有 意 差 を 認 めなかった。 腫 瘍 因 子 で 腫 瘍 最 大 径 、 肝 硬 変 、 脈 管 侵 襲 に<br />

有 意 差 を 認 めず。 術 後 合 併 症 に 有 意 差 を 認 めず。 全 て 系 統 切 除 群 と 部<br />

分 切 除 群 の3 年 および5 年 累 積 生 存 は60.3%、63.%および36.4%、45.5%<br />

で 有 意 な 差 を 認 めなかった(p=0.441)。【 結 語 】 今 回 の 検 討 では2 個 腫<br />

瘍 に 対 する 系 統 切 除 は 予 後 に 有 意 な 影 響 を 与 えていなかった。 今 後 は<br />

症 例 数 を 増 加 し 切 除 範 囲 、 無 再 発 生 存 に 関 する 影 響 を 検 討 する 予 定 で<br />

ある。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P38-4 肝 切 除 術 前 経 皮 経 肝 門 脈 塞 栓 術 (PTPE) 施 行 症 例 の 検<br />

討<br />

鳥 取 大 学 医 学 部 第 一 外 科<br />

○… 遠 藤 財 範 , 徳 安 成 郎 , 本 城 総 一 郎 , 吉 本 美 和 , 広 岡 保 明 ,<br />

池 口 正 英<br />

( 目 的 ) 肝 切 除 前 の 経 皮 経 肝 門 脈 塞 栓 術 (PTPE)の 適 応 と 有 効 性 につき<br />

検 討 した。( 対 象 と 方 法 ) 対 象 は 当 科 にて2007 年 1 月 ~2011 年 10 月 の 期 間<br />

に、 肝 切 除 前 にPTPEを 施 行 した16 症 例 。 対 象 年 齢 は41~80 歳 。この<br />

うち 肝 細 胞 癌 症 例 13 例 、 肝 門 部 胆 管 癌 症 例 1 例 、 転 移 性 肝 癌 2 例 であっ<br />

た。15 症 例 に 対 して 門 脈 右 枝 、1 症 例 に 対 して 門 脈 左 枝 をフィブリン<br />

糊 あるいは 無 水 エタノールなどにて 塞 栓 術 が 施 行 された。PTPEの 施<br />

行 前 と 約 3 週 間 後 に、 肝 機 能 評 価 とCTによる 検 索 をそれぞれに 行 った。<br />

( 結 果 )いずれの 症 例 もPTPE 前 のChild-Pugh 分 類 はAであり、ICG-R<br />

値 は7~30%、 肝 障 害 度 Aは10 例 、Bは6 例 であった。いずれの 症 例 も<br />

PTPEに 伴 う 合 併 症 は 認 められず。PTPE 前 の 予 定 切 除 率 は45~76%<br />

であり、PTPE 後 の 予 定 切 除 率 は26~81%であった。1 症 例 はPTPE 直<br />

後 より 門 脈 血 流 再 還 流 により 予 定 切 除 率 が 目 標 に 到 達 しなかったため、<br />

再 PTPEを 行 った。また、1 症 例 はPTPE 後 の 腫 瘍 進 展 等 の 理 由 にて、<br />

肝 切 除 が 不 能 であった。(まとめ)PTPEは 安 全 に 行 える 手 技 で 有 効 性<br />

は 示 唆 されたが、その 適 応 に 関 してはまだ 不 明 瞭 な 点 が 多 い。 今 回 の<br />

我 々の 検 討 では、ICG-R 値 と 残 肝 予 定 量 との 関 連 は 認 められなかった。<br />

更 に 安 全 にかつ 手 術 適 応 の 拡 大 に 向 け、 肝 予 備 能 や 繊 維 化 マーカー、<br />

更 には 腫 瘍 因 子 を 含 めた 検 討 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

P38-5 ソフト 凝 固 を 駆 使 したGlisson 一 括 処 理 による 系 統 的<br />

肝 S7 亜 区 域 切 除<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 病 センター 外 科<br />

○… 岡 田 克 也 , 宮 澤 光 男 , 合 川 公 康 , 利 光 靖 子 , 岡 本 光 順 ,<br />

小 山 勇<br />

近 年 、 亜 区 域 切 除 は、ICG 蛍 光 法 や、 術 中 超 音 波 造 影 法 など 新 しい 亜<br />

区 域 同 定 法 が 開 発 され 応 用 されている。しかし 操 作 にやや 難 渋 する 症<br />

例 はあるものの、 肝 門 処 理 による 三 次 分 枝 の 同 定 は 可 能 であり、 当 院<br />

では 系 統 的 亜 区 域 切 除 の 際 、Glisson 一 括 処 理 を 行 っている。 今 回 、<br />

剥 離 や 肝 離 断 にVIO…systemソフト 凝 固 を 用 いた 肝 S7 亜 区 域 切 除 の 一<br />

例 を 供 覧 する。【 症 例 】58 歳 男 性 、S7の 約 4cm 大 の 単 発 の 肝 細 胞 癌 。<br />

背 景 肝 はアルコール 性 脂 肪 肝 でnonBnonC、 肝 障 害 度 Aである。【 方 法 】<br />

逆 L 字 切 開 で 開 腹 、 胆 摘 施 行 し 肝 右 葉 を 受 動 。まず 肝 門 部 を 剥 離 し 右<br />

肝 管 をテーピング。Glisson 周 囲 の 剥 離 は 鈍 的 に 行 うが 肝 実 質 からの<br />

出 血 をみた 際 には、 胆 管 を 損 傷 せぬようソフト 凝 固 で 適 時 止 血 を 行 い<br />

つつ 剥 離 を 進 める。 次 いで 前 区 域 枝 をテーピングした 後 、 後 区 域 枝 を<br />

テーピング。Rouvier 溝 に 沿 うよに 剥 離 を 進 めS6 枝 をテーピングした<br />

後 、 後 区 域 枝 から 尾 状 突 起 部 への 枝 を 認 めたため、これを 避 けるよう<br />

に 後 区 域 枝 とS6 枝 テープの“ 引 き 算 ”で、 背 側 へ 向 かうS7 枝 をテー<br />

ピングした。S7 枝 のテストクランプで 阻 血 域 を 同 定 、 腫 瘍 が 同 部 に<br />

含 まれることを 確 認 した。 全 肝 阻 血 は 施 行 せず。 肝 離 断 は 主 にキュー<br />

サーを 用 い、 中 等 度 以 下 の 太 さの 静 脈 やGlissonはソフト 凝 固 のバイ<br />

クランプ、バイポーラーを 用 いsealingし 切 離 、 肝 実 質 や 静 脈 壁 から<br />

の 止 血 にもソフト 凝 固 を 用 いた。 離 断 側 からS7 枝 のテープを 同 定 し<br />

肝 離 断 側 へ 抜 き、S7 枝 を 根 部 で 結 紮 切 離 した。【 結 果 】 手 術 時 間 271 分 、<br />

出 血 量 742ml、 輸 血 無 し。 術 後 経 過 良 好 で 第 12 病 日 軽 快 退 院 となった。<br />

【 考 察 】S7Glisson 枝 はより 背 側 へ 走 行 するため 肝 門 からの 同 定 は 容<br />

易 でないが、ソフト 凝 固 を 駆 使 することで 到 達 可 能 であった。また 硬<br />

変 肝 においては 肝 門 からのS7Glisson 枝 への 到 達 が 困 難 な 場 合 が 多 い<br />

と 考 えられるが、 一 定 の 肝 門 剥 離 の 後 に 肝 離 断 を 先 行 させるなどの 工<br />

夫 が 必 要 となる。<br />

-385-


P38-6 当 科 での 安 全 丁 寧 な 拡 大 肝 切 除 術 を 目 指 した 工 夫<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 松 井 康 輔 , 海 堀 昌 樹 , 石 崎 守 彦 , 坂 口 達 馬 , 松 島 英 之 ,<br />

中 竹 利 知 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 肝 葉 切 除 ・ 拡 大 肝 切 除 における 手 術 手 技 を 供 覧 。【 対 象 】<br />

2010 年 までに 原 発 性 肝 癌 肝 葉 切 除 以 上 術 式 96 例 、 転 移 性 肝 癌 肝 葉 切 除<br />

以 上 51 例 に 行 った。 術 式 決 定 はアシアロ 推 定 安 全 残 肝 機 能 評 価 を 行 う。<br />

残 存 肝 機 能 術 前 シミュレーションは、 造 影 CTより 構 築 した 脈 管 およ<br />

び 肝 実 質 3D 画 像 と …99m… Tc-GSA…SPECT 画 像 の3D-fusion 画 像 において 切<br />

除 予 定 線 を 引 き、 切 除 肝 ・ 残 存 肝 容 積 および 肝 機 能 GSA-Rmax 算 定 を<br />

同 一 画 像 にて 算 出 可 能 とした。【 手 術 手 技 】1) 脱 転 操 作 : 右 副 腎 剥 離<br />

において 副 腎 背 側 IVC 腹 側 に 短 肝 静 脈 処 理 後 に 血 管 テープを 通 し、 牽<br />

引 を 行 いながら 電 気 凝 固 にて 一 気 に 切 離 、 切 離 後 の 副 腎 を 連 続 縫 合 閉<br />

鎖 、もしくは 出 血 点 が 限 局 されている 場 合 はAquamantys …TM …Bipolar…<br />

Sealerにて 凝 固 止 血 している。 片 葉 脱 転 不 可 能 な 巨 大 肝 癌 および 通 常<br />

の 脱 転 可 能 症 例 に 対 してもLiver…hanging…maneuverをほぼ 全 例 行 う。<br />

通 常 の 葉 切 除 では 脱 転 操 作 後 、 右 葉 切 除 では 右 肝 静 脈 をテーピング、<br />

左 葉 切 除 以 上 では 左 側 よりのアプローチのみでアランチウス 管 切 離 後<br />

肝 静 脈 IVC 間 より 左 中 肝 静 脈 共 通 幹 一 括 もしくは 左 中 別 々にテーピン<br />

グ 行 う。2) 実 質 切 離 : 超 音 波 外 科 吸 引 装 置 (CUSA)および<br />

Aquamantys …TM… Bipolarを 使 用 。Aquamantys …TM …Bipolarは 従 来 型 水 流<br />

滴 下 式 バイポーラとのRCTを 行 った 結 果 、 有 意 に 切 離 スピード・ 時 間 ・<br />

出 血 量 ・ 結 紮 回 数 が 少 なかった。3) 自 動 縫 合 器 使 用 : 大 腸 癌 と 転 移 性<br />

肝 癌 同 時 切 除 の 場 合 には、 先 に 肝 切 除 を 行 うが、 葉 切 除 において 肝 門<br />

部 グリソン 一 括 を、 右 葉 切 除 の 場 合 には2 次 分 枝 を 剥 離 確 認 し、エン<br />

ドステープラーを 用 いて 行 う。 左 葉 切 除 の 場 合 には、 術 中 胆 管 造 影 後<br />

に 右 肝 管 の 左 胆 管 への 流 入 ないことを 確 認 後 一 括 処 理 する。また 肝 静<br />

脈 処 理 もエンドステープラーで 切 離 。4) 胆 汁 漏 の 検 索 には 赤 外 線 カメ<br />

ラシステムを 用 いたリークテスト 施 行 。【 考 察 】CTとの 融 合 画 像 で 検<br />

出 される 推 定 残 肝 GSA-Rmaxは、 特 に 拡 大 切 除 において 精 密 に 障 害 肝<br />

の 術 前 耐 術 能 評 価 が 可 能 。 術 後 肝 不 全 を 発 生 させない 安 全 推 定 残 肝<br />

GSA-Rmaxは0.150mg/min 以 上 必 要 。 肝 切 除 術 を 安 全 に 行 うためには<br />

個 々の 症 例 によりバリエーションに 富 んでいるため 丁 寧 確 実 な 手 術 手<br />

技 が 必 須 である。<br />

P38-7 術 前 ・ 術 中 ナビゲーションを 用 いた 肝 葉 切 除 術<br />

大 阪 医 科 大 学 附 属 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 井 上 善 博 , 林 道 廣 , 米 田 浩 二 , 朝 隈 光 弘 , 廣 川 文 鋭 ,<br />

宮 本 好 晴 , 内 山 和 久<br />

肝 臓 外 科 では、 術 前 の 腫 瘍 の 局 在 と 進 展 範 囲 、 脈 管 との 位 置 関 係 の 立<br />

体 的 把 握 、 術 中 の 肝 切 除 範 囲 の 可 視 化 は 高 難 度 手 術 達 成 に 必 要 な 情 報<br />

である。 近 年 、 近 赤 外 光 を 利 用 した 可 視 化 法 としてIndocyanine…<br />

green…(ICG)を 用 いた 蛍 光 法 が 普 及 しつつある。ICGを 投 与 し760-<br />

780nmの 近 赤 外 光 を 照 射 すると、ICG 分 子 のエネルギー 状 態 が 高 くな<br />

り、 照 射 した 近 赤 外 光 よりも 波 長 の 長 い800-850nmの 波 長 の 近 赤 外 域<br />

蛍 光 を 放 出 する。このICGの 蛍 光 特 性 と 胆 汁 排 泄 性 を 利 用 することに<br />

より、 術 中 胆 道 造 影 や 肝 癌 の 手 術 時 診 断 を 施 行 することが 可 能 で、さ<br />

らに 肝 区 域 染 色 や 胆 汁 鬱 滞 領 域 の 描 出 に 応 用 することも 可 能 になった。<br />

さらに、HyerEye…Medical…System…(HEMS)では、 近 赤 外 領 域 に 感 度<br />

を 有 するCCDカメラを 搭 載 することにより、 近 赤 外 光 と 可 視 光 カラー<br />

を 同 時 に 捉 えることが 出 来 る。これらの 手 技 はいずれも 簡 便 施 行 でき<br />

て、 既 存 の 技 術 と 併 用 することで 肝 胆 道 手 術 の 術 中 ナビゲーション、<br />

正 確 性 向 上 に 寄 与 すると 考 えられる。【 方 法 】 術 前 に 画 像 解 析 アナラ<br />

イザー(Synapse…VincentTM)を 用 いた3D 構 築 し、 切 除 肝 容 量 、 腫 瘍<br />

と 脈 管 との 位 置 関 係 を 把 握 して、 肝 切 離 線 をシミュレーションする。<br />

術 中 、 肝 切 除 に 先 立 って 切 除 予 定 側 の 支 配 グリソン 系 脈 管 を 同 定 、 遮<br />

断 し、ICG 溶 液 を 静 脈 内 注 射 する。HEMSを 用 いて 肝 表 面 をリアルタ<br />

イムに 観 察 しながら、 蛍 光 染 色 部 位 を 温 存 領 域 としてマーキングし、<br />

CUSA 等 を 用 いて 系 統 的 肝 切 除 を 行 った。【 結 果 】 術 前 に 画 像 構 築 す<br />

ることにより 厳 密 な 肝 切 除 量 の 測 定 ができ、 術 中 には、HEMSの 利 用<br />

により 従 来 の 方 法 に 比 してより 明 確 に 目 的 とする 領 域 を 描 出 可 能 であ<br />

り、リアルタイムに 観 察 できることで 切 離 範 囲 の 同 定 も 容 易 であった。<br />

【 結 語 】 術 前 に 画 像 解 析 アナライザー(Synapse…VincentTM)を 用 い<br />

たシミュレーション、 術 中 にHyperEye…Medical…Systemを 用 いたICG<br />

蛍 光 法 による 系 統 的 肝 切 除 は、 正 確 性 を 向 上 させる 方 法 として 有 用 で<br />

あると 思 われる。<br />

P38-8 One-way 方 式 による 肝 中 央 2 区 域 切 除 術<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科<br />

○… 棚 橋 義 直 , 加 藤 悠 太 郎 , 竹 浦 千 夏 , 香 川 幹 , 吉 田 淳 一 ,<br />

所 隆 昌 , 杉 岡 篤<br />

【 緒 言 】 当 科 における 定 型 的 肝 区 域 切 除 では,グリソンはすべて 肝 門<br />

部 で 確 保 し 変 色 域 を 確 認 したうえで, 肝 切 離 は 肝 静 脈 を 頭 側 から 尾 側<br />

に 向 かってレネック 被 膜 を 温 存 する 層 で 剥 離 露 出 しながら, 左 側 から<br />

右 側 に 向 かう 一 方 向 (One-way)で 行 うこととしている.この 操 作 によ<br />

り, 術 者 , 助 手 ともに 良 好 な 視 野 のもとで 平 坦 な 肝 切 離 面 を 得 ること<br />

ができる. 今 回 は 中 央 2 区 域 切 除 の 術 式 をビデオで 供 覧 する.【 症 例 】<br />

45 歳 、 男 性 。B 型 慢 性 肝 炎 にて 他 院 で 経 過 観 察 中 、 造 影 CT 検 査 にて<br />

肝 S4/8に 最 大 径 8cmの 早 期 濃 染 像 を 認 めたため 当 科 紹 介 受 診 。 肝 細 胞<br />

癌 の 診 断 で 手 術 予 定 となる。【 術 式 】 胆 嚢 板 胆 摘 後 に 前 区 域 グリソン,<br />

後 区 域 グリソンを 確 保 する. 肝 円 索 頭 側 で 臍 静 脈 板 と 肝 実 質 の 間 を 剥<br />

離 し,UPグリソン 起 始 部 右 縁 に 交 通 させることで 内 側 区 域 グリソン<br />

を 確 保 する. 中 肝 静 脈 と 右 肝 静 脈 の 間 を 剥 離 したのちアランチウス 板<br />

頭 側 端 において 中 ・ 左 肝 静 脈 共 通 幹 を 確 保 する. 前 区 域 および 内 側 区<br />

域 グリソンを 遮 断 して 中 央 2 区 域 の 変 色 を 確 認 する。 肝 切 離 を 左 肝 静<br />

脈 根 部 頭 側 より 開 始 し, 本 症 例 ではfissure…veinを 十 分 露 出 温 存 しな<br />

がら 左 頭 側 から 右 尾 側 に 向 かって 一 方 向 に 肝 切 離 を 進 めた. 臍 静 脈 板<br />

を 露 出 して 右 側 に 剥 離 を 進 め, 中 肝 静 脈 根 部 に 至 りこれを 切 離 する.<br />

臍 静 脈 板 から 連 続 的 に 肝 門 板 を 露 出 して 前 区 域 グリソン 根 部 に 到 達 し,<br />

これを 結 紮 切 離 する. 前 区 域 と 尾 状 葉 との 境 界 を 切 離 して 右 肝 静 脈 根<br />

部 に 至 り, 末 梢 方 向 に 右 肝 静 脈 を 剥 離 ・ 露 出 する. 前 後 区 域 境 界 面 の<br />

肝 切 離 を 右 尾 側 方 向 に 進 め, 中 央 2 区 域 切 除 が 完 了 する.【 結 語 】 本 術<br />

式 により 良 好 な 視 野 のもとで, 各 種 の 定 型 的 肝 区 域 切 除 が 可 能 となる.<br />

P38-9 安 全 な 肝 中 央 二 区 域 切 除 をめざして<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 迫 田 雅 彦 , 上 野 真 一 , 飯 野 聡 , 南 幸 次 , 安 藤 慶 ,<br />

川 崎 洋 太 , 蔵 原 弘 , 又 木 雄 弘 , 前 村 公 成 , 新 地 洋 之 ,<br />

夏 越 祥 次<br />

肝 中 央 二 区 域 切 除 は 内 側 区 域 と 前 区 域 を 系 統 的 に 切 除 する 術 式 である<br />

が、 肝 門 部 の 脈 管 処 理 法 等 、 解 剖 学 的 な 煩 雑 さより 様 々な 問 題 点 に 遭<br />

遇 する。 今 回 、 当 科 における 肝 中 央 二 区 域 切 除 術 を 紹 介 するとともに、<br />

その 術 式 における 注 意 点 および 術 中 術 後 の 合 併 症 についても 供 覧 する。<br />

【 手 術 手 技 】 逆 T 字 型 切 開 またはJ 字 型 切 開 による 開 腹 ( 開 胸 )を 行 い、<br />

右 葉 はほぼ 完 全 脱 転 する。 基 本 的 に 腫 瘍 圧 排 による 影 響 または 解 剖 学<br />

的 問 題 がなければ、 前 後 区 域 へのグリソンはそれぞれ 一 括 でテーピン<br />

グを 行 い、 仮 結 紮 やクランプで 前 後 区 域 間 のデマルケーションを 確 認<br />

するが、グリソン 前 区 域 枝 の 切 離 は 肝 実 質 切 離 中 に 行 っている。 実 質<br />

切 離 は 左 側 から 開 始 し、 内 側 区 域 へのグリソン 処 理 は 実 質 切 離 面 で 行<br />

い、 左 中 肝 静 脈 分 岐 部 付 近 まで 進 め 右 側 の 実 質 切 離 に 移 る。 右 側 の 実<br />

質 切 離 は 右 肝 静 脈 を 露 出 させながら 進 め、グリソン 前 後 区 分 岐 部 を 確<br />

認 後 、 前 区 域 グリソンを 切 離 する。 中 肝 静 脈 切 離 は 実 質 切 離 の 最 後 の<br />

方 で 行 い 摘 出 を 終 了 する。【 結 果 】2000 年 以 降 、 肝 中 央 二 区 域 切 除 は<br />

23 例 ( 肝 細 胞 癌 :16 例 、 転 移 性 肝 癌 :4 例 、 肝 内 胆 管 癌 :1 例 、 肝 嚢 胞<br />

腺 癌 :1 例 、 肝 原 発 MALTリンパ 腫 :1 例 )。 平 均 手 術 時 間 は452(346<br />

-787) 分 、 平 均 術 中 出 血 量 は2615(790-9505)ml、 平 均 術 後 在 院 日 数<br />

は24(10-90) 日 であった。2 例 は、 尾 状 葉 全 摘 のための 併 施 であったが、<br />

うち1 例 で 後 区 域 変 位 による 右 肝 静 脈 のout…flow…blockにより 出 血 量 増<br />

加 あり。 術 後 胆 汁 漏 は4 例 に 認 め、うち1 例 は 難 治 性 で 数 ヶ 月 間 のドレ<br />

ナージを 必 要 とした。【 結 語 】 肝 中 央 二 区 域 切 除 は、 肝 門 部 の 複 雑 な<br />

処 理 を 必 要 とし、 肝 実 質 切 離 も 二 面 と 広 範 囲 に 及 ぶので、 侵 襲 を 伴 い<br />

周 術 期 合 併 症 も 多 いとされている。 当 科 におけるこれまでの 経 験 より、<br />

ポイントと 思 われる 点 を 供 覧 する。<br />

-386-


P39-1 ICG 蛍 光 法 による 肝 細 胞 癌 同 定<br />

1<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 、 2 磐 田 市 立 病 院 外 科<br />

○… 森 田 剛 文 1<br />

, 坂 口 孝 宣 1<br />

, 平 出 貴 乗 1<br />

, 柴 崎 泰 1<br />

, 鈴 木 淳 司 1<br />

,<br />

福 本 和 彦 1<br />

, 稲 葉 圭 介 1<br />

, 鈴 木 昌 八 2 1<br />

, 今 野 弘 之<br />

【 背 景 】Indocyanine…green(ICG)は 近 赤 外 光 を 照 射 することで 蛍 光<br />

を 生 じ、センチネルリンパ 節 生 検 などに 応 用 されてきた。 近 年 、 術 前<br />

肝 機 能 検 査 のために 投 与 されたICGが 手 術 時 の 肝 腫 瘍 同 定 に 有 用 であ<br />

る、との 報 告 がなされつつある。【 目 的 】 肝 細 胞 癌 手 術 症 例 において、<br />

ICG 蛍 光 法 による 術 野 観 察 、 切 除 標 本 観 察 の 有 用 性 と 注 意 点 を 明 らか<br />

にする。【 方 法 】 対 象 は2008 年 4 月 以 降 に 当 院 で 手 術 を 施 行 された 肝 細<br />

胞 癌 症 例 のうち、ICG 蛍 光 法 を 用 いた58 例 で、 術 前 に 同 定 された 病 変<br />

は76 結 節 。 術 前 2-28 日 に 肝 機 能 検 査 としてICG…0.5mg/kgを 静 脈 内 投<br />

与 した。 赤 外 観 察 カメラシステム(PDE,… 浜 松 ホトニクス)を 用 いて 術<br />

野 、 切 除 標 本 の 観 察 を 行 った。 術 前 検 査 で 指 摘 されていなかった 部 位<br />

に 発 光 領 域 を 認 めた 場 合 には、マーキングし 病 理 学 的 検 索 を 行 った。<br />

【 結 果 】ICG 蛍 光 法 により、( 術 前 画 像 診 断 で 指 摘 されていた76 病 変 の<br />

うち)73 病 変 が 同 定 された。 術 野 から 同 定 できたものは47 病 変 、 切 除<br />

検 体 に 割 を 入 れてから 同 定 できたものは26 病 変 だった。ICG 蛍 光 法 に<br />

より、 術 前 同 定 病 変 以 外 に35 個 の 蛍 光 領 域 を 認 めた。それら 蛍 光 領 域<br />

の 病 理 組 織 学 的 検 討 を 行 ったところ、 肝 細 胞 癌 6 病 変 ( 最 小 で2mm、<br />

異 形 性 結 節 2 病 変 を 認 めたが、 残 り27 病 変 に 関 しては 胆 汁 栓 や 嚢 胞 な<br />

ど 非 腫 瘍 性 病 変 だった。【 考 察 】ICG 蛍 光 法 は 微 小 肝 細 胞 癌 の 同 定 に<br />

有 用 だが、 肝 細 胞 癌 の 中 にはICG 蛍 光 法 で 同 定 できないものが 少 数 あ<br />

り、また 蛍 光 領 域 は 必 ずしも 悪 性 の 病 変 とは 限 らない。<br />

P39-2 ICG 蛍 光 法 と 色 素 注 入 法 の 併 用 による 担 癌 門 脈 支 配 領<br />

域 の 同 定 、 肝 部 分 切 除 術 の 工 夫<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 余 語 覚 匡 , 中 山 雄 介 , 光 吉 明 , 伊 藤 孝 , 鬼 頭 祥 悟 ,<br />

花 本 浩 一 , 平 良 薫 , 大 江 秀 明 , 土 井 隆 一 郎<br />

【 諸 言 】 肝 亜 区 域 切 除 を 行 う 際 など、 術 中 超 音 波 ガイド 下 に 門 脈 を 穿<br />

刺 ・ 色 素 注 入 によって 門 脈 支 配 領 域 を 同 定 する 場 合 がある。 我 々は 超<br />

音 波 ガイド 下 、 門 脈 にインジゴカルミンとICGの 混 合 液 を 注 入 するこ<br />

とによってインジコカルミン 単 独 の 場 合 よりもdemarcation…line 同 定<br />

を 容 易 とし、 担 癌 領 域 支 配 門 脈 領 域 をより 明 瞭 化 した 肝 切 除 術 が 可 能<br />

となるように 工 夫 しているので 報 告 する。【 症 例 】37 歳 男 性 、 直 腸 癌<br />

多 発 肝 転 移 (Rs-Ra,tub2,pSS,pN1,cH2,cP0,cM0,fStage4)に 対 し、 腹 腔<br />

鏡 下 低 位 前 方 切 除 術 施 行 後 にmFOLFOX6+BVを6コース 行 った。 画<br />

像 評 価 上 、 化 学 療 法 の 前 後 でS4 結 節 は 径 約 10mmからほぼ 消 退 、S5 結<br />

節 は 径 約 10mmから6mm、S7 結 節 は 径 約 10mmから6mm、S8 結 節 は<br />

径 約 12mmから8mm、と 腫 瘍 縮 小 効 果 を 得 たためS4、S5、S7の 腫 瘍<br />

に 対 し 肝 部 分 切 除 術 、S8の 腫 瘍 に 対 し 開 腹 下 RFA 術 を 行 った。 術 中<br />

超 音 波 ガイド 下 にS5の 腫 瘍 領 域 を 支 配 する 門 脈 3 次 分 枝 に23G 針 によ<br />

り 穿 刺 し、インジゴカルミンとICGの 混 合 液 ( 各 々4mg/ml,0.025mg/<br />

ml)5mlを 緩 徐 に 注 入 した。 色 素 によるdemarcation…lineは 不 明 瞭 で<br />

あったが、 近 赤 外 線 カメラ(PDE-neo)を 検 出 器 として 用 いることで 明<br />

瞭 な 担 癌 門 脈 支 配 領 域 の 蛍 光 とdemarcation…lineを 確 認 し 同 定 するこ<br />

とが 可 能 であった。これに 基 づき 肝 表 面 から 実 質 切 離 を 先 行 させたの<br />

ちグリソン 鞘 を 露 出 、 肝 部 分 切 除 術 を 行 った。【 結 語 】 術 中 超 音 波 ガ<br />

イド 下 門 脈 穿 刺 ・ 色 素 注 入 による 門 脈 支 配 領 域 同 定 の 際 、インジゴカ<br />

ルミンとICGの 混 合 液 (インジゴカルミン:ICG=160:1の 溶 液 比 )を<br />

同 時 に 注 入 することで 簡 便 かつ 非 侵 襲 的 にdemarcation…line 同 定 感 度<br />

を 向 上 させ、 担 癌 門 脈 支 配 領 域 を 確 認 することができる。これは 区 域<br />

切 除 や 亜 区 域 切 除 など、 腫 瘍 を 含 むグリソン 領 域 をより 正 確 に 系 統 的<br />

切 除 するための 一 助 となる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P39-3 術 中 ICG 蛍 光 法 による 手 術 ナビゲーションが 有 用 で<br />

あった 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 坂 口 達 馬 , 海 堀 昌 樹 , 石 崎 守 彦 , 松 井 康 輔 , 松 島 英 之 ,<br />

權 雅 憲<br />

【はじめに】 近 年 、ICG 蛍 光 法 を 用 いた 手 術 ナビゲーションが 肝 癌 に<br />

おいて 臨 床 応 用 されている。ICG 蛍 光 法 は 術 中 胆 道 造 影 の 他 、 小 さな<br />

肝 癌 を 同 定 するのに 有 用 とされる。 今 回 、 視 触 診 および 術 中 USにお<br />

いて 同 定 困 難 であった 肝 内 胆 管 細 胞 癌 を、ICG 蛍 光 法 にて 同 定 し 得 た<br />

1 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。【 症 例 】 57 歳 、 女 性 。<br />

既 往 歴 に 特 記 事 項 なく、 肝 機 能 異 常 を 認 めず、HBs 抗 原 陰 性 、HCV<br />

抗 体 陰 性 で、AFP、CEA、CA19-9の 腫 瘍 マーカーは 基 準 値 以 下 であり、<br />

術 前 ICG15 分 停 滞 率 は9.6%であった。 腹 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 し、US<br />

にて 肝 左 葉 外 側 区 に 末 梢 胆 管 の 拡 張 を 認 めたため 当 科 紹 介 となった。<br />

造 影 CTでは 末 梢 胆 管 の 拡 張 の 他 に 左 肝 管 分 岐 本 幹 に 約 2cmの 不 均 一<br />

濃 染 部 が 認 められたものの、 造 影 US、MRIで 腫 瘤 像 は 指 摘 できなかっ<br />

た。FDG-PETで 左 葉 外 側 区 域 に 腫 瘤 状 の 集 積 を 認 め(SUVmax…3.7)、<br />

胆 管 細 胞 癌 を 疑 い 開 腹 手 術 を 施 行 した。 腫 瘍 は 視 認 、 触 知 できなかっ<br />

た。 術 中 USでも 腫 瘤 像 は 指 摘 できず、 胆 管 の 拡 張 像 を 認 めた。 外 側<br />

区 域 に 胆 管 周 囲 の 高 エコー 像 を 伴 う 所 見 あり、その 領 域 を 赤 外 観 察 カ<br />

メラシステムPDEを 用 いて 観 察 したところ 蛍 光 の 白 色 発 色 が 確 認 さ<br />

れた。 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 し、 切 除 標 本 内 に 腫 瘍 を 認 め、 病 理 検 査 か<br />

ら 中 分 化 型 の 胆 管 細 胞 癌 と 診 断 された。【 考 察 】ICG 蛍 光 法 は 肝 細 胞<br />

癌 や 転 移 性 肝 癌 での 有 用 性 が 報 告 されているが、 胆 管 細 胞 癌 における<br />

報 告 は 少 ない。 肝 癌 が 描 出 される 機 序 としては 胆 汁 排 拙 障 害 を 画 像 化<br />

していることが 挙 げられる。 肝 内 胆 管 癌 症 例 においても 同 様 の 機 序 に<br />

よるICG 停 滞 が 考 えられ、 手 術 ナビゲーションとして 有 用 であると 思<br />

われた。<br />

P39-4 ICG- 赤 外 観 察 カメラシステム(PDE)を 用 いた 肝 細 胞<br />

癌 肝 外 病 変 の 同 定<br />

浜 松 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 鈴 木 淳 司 , 坂 口 孝 宣 , 平 出 貴 乗 , 柴 崎 泰 , 森 田 剛 文 ,<br />

福 本 和 彦 , 稲 葉 圭 介 , 今 野 弘 之<br />

【 背 景 ・ 目 的 】Photodynamic…Eye(PDE、 浜 松 ホトニクス)は 発 光 ダ<br />

イオードによるIndocyanine…green(ICG)の 蛍 光 励 起 と 観 察 が 一 体 化<br />

した 装 置 である。ICGが 肝 細 胞 癌 (HCC)に 特 異 的 に 集 積 する 性 質 を 利<br />

用 し、 近 年 、 肝 表 微 小 HCCの 術 中 同 定 に 同 技 術 が 応 用 されている。<br />

今 回 、 肝 外 再 発 / 浸 潤 HCCの 根 治 切 除 に 同 技 術 が 寄 与 するか 調 査 した。<br />

Preliminaryな 経 験 ではあるがその 結 果 を 報 告 する。【 方 法 】 対 象 は<br />

2009 年 5 月 ~2011 年 3 月 に 施 行 した 肝 細 胞 癌 に 対 する 外 科 切 除 42 例 中 、<br />

肝 外 再 発 / 肝 外 浸 潤 病 変 に 対 して 切 除 を 施 行 した2 例 。 術 前 (1~14 日<br />

前 )にルーチンで 行 う 肝 機 能 検 査 (ICG 停 滞 率 ・ 消 失 率 )としてICG<br />

(0.5mg/Kg 体 重 )を 経 静 脈 投 与 し、 術 中 、 肝 外 病 変 からのICG 蛍 光 を<br />

PDEで 検 出 した。【 成 績 】 症 例 1は73 歳 、 男 性 。 肝 S7に 局 在 する 径 4cm<br />

のHCCに 対 して 肝 右 葉 切 除 施 行 後 2 年 6カ 月 後 に、 右 肝 静 脈 右 側 に 径<br />

1cmの 肝 外 再 発 を 認 めた。 術 中 、 高 度 な 癒 着 と 小 さい 腫 瘍 径 のために<br />

肝 外 病 変 への 到 達 に 難 渋 したが、PDEで 認 識 したICG 蛍 光 をガイドに<br />

肝 外 病 変 への 剥 離 、 露 出 が 可 能 となり、 完 全 切 除 が 完 遂 できた。 症 例<br />

2は58 歳 、 男 性 。 肝 S6に 局 在 する 径 1cmのHCCに 加 え、 同 時 性 右 副 腎<br />

転 移 から 連 続 する 下 大 静 脈 (IVC) 内 腫 瘍 栓 を 認 めた。 腫 瘍 栓 からの<br />

ICG 蛍 光 はIVC 壁 外 から 副 腎 と 連 続 した 形 で 明 瞭 に 同 定 でき、ICG 蛍<br />

光 をガイドにIVCにサイドクランプをかけることによって、 内 腔 を 開<br />

放 することなく 腫 瘍 栓 の 完 全 切 除 、IVC 再 建 が 可 能 となった。【 結 論 】<br />

肝 外 再 発 / 肝 外 浸 潤 HCCの 術 中 同 定 に、PDEを 用 いたICG 蛍 光 法 は 非<br />

常 に 有 用 であった。 腫 瘍 の 大 きさや 浸 潤 範 囲 を 容 易 に 同 定 することが<br />

でき、 蛍 光 陽 性 部 分 を 完 全 切 除 することで 根 治 切 除 が 可 能 となった。<br />

高 度 進 行 HCC、 特 に 肝 外 病 変 への 外 科 的 切 除 の 意 義 はControversial<br />

であるが、 完 全 切 除 による 長 期 生 存 例 の 報 告 もあり、ICG 法 を 用 いた<br />

肝 外 病 変 の 外 科 的 切 除 の 意 義 を 検 討 するにあたり、 更 なる 症 例 の 蓄 積<br />

が 必 要 である。<br />

-387-


P39-5 マルチモダリティ 画 像 のFusionImaging 技 術 を 利 用<br />

した 早 期 肝 癌 切 除 の 試 み<br />

高 松 赤 十 字 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 山 岡 竜 也 , 廣 瀬 哲 朗 , 福 山 啓 太 , 西 村 充 孝<br />

EOBプリモビストMRI(EOB)により 早 期 肝 癌 や 類 似 小 病 変 が 数 多 く<br />

発 見 され、 鋭 敏 なモダリティと 評 価 されるが、 鋭 敏 さゆえ 肝 癌 偽 陽 性<br />

症 例 も 混 じる。 今 回 我 々はEOB 動 脈 相 では 等 信 号 、 遅 延 相 では 低 信<br />

号 として 描 出 される 一 方 で、 肝 ダイナミックCT 及 びCTA/CTAPで<br />

は 全 く 描 出 なく、ソナゾイド 造 影 超 音 波 検 査 でもvascular…phaseでや<br />

や 低 エコーに 描 出 もKuppfer…phaseで 明 瞭 な 欠 損 像 を 呈 さないS8 横 隔<br />

膜 ドーム 部 の 小 腫 瘍 を 経 験 した。 超 音 波 上 局 在 決 定 が 難 しく 生 検 はな<br />

されず、 経 過 観 察 も 一 法 と 捉 えられたが 患 者 の 強 い 希 望 あり 手 術 にて<br />

全 生 検 した。Volume…Navigation …TM… (VN)はGE…healthcare 社 のLOGIQ…<br />

E9に 搭 載 された 超 音 波 画 像 とCT・MRIなどマルチモダリティの 画 像<br />

とがFusion……Imagingにより 比 較 検 討 できる 装 置 である。 術 中 超 音 波<br />

検 査 のみでは 局 在 決 定 に 無 理 が 予 想 され、 術 前 にVNを 用 いEOB 像 と<br />

超 音 波 像 をfusionさせることで 局 在 確 定 ができる 確 認 をした。 手 術 中<br />

腫 瘍 は 触 知 せず、ソナゾイド 造 影 超 音 波 検 査 にても 確 定 像 は 得 られず、<br />

いくつかのやや 低 エコーを 示 す 候 補 のみ 描 出 された。そこに 術 中 VN<br />

を 用 いることでEOB 像 に 局 在 一 致 した 超 音 波 像 を 確 定 ・マーキング<br />

でき、 術 前 癌 の 確 定 診 断 なく、 以 前 にEOB 肝 癌 偽 陽 性 病 変 も 体 験 し<br />

ていることから、 全 生 検 として 十 分 なmarginを 作 成 しての 肝 部 分 切<br />

除 を 施 行 した。 病 理 結 果 では15mm 大 の 境 界 不 明 瞭 型 高 分 化 型 肝 癌 で<br />

あった。 現 在 Open…MRIや 近 赤 外 蛍 光 ガイドは 別 として、 術 中 超 音 波<br />

検 査 で 局 在 判 定 できぬ 小 病 変 に 対 する 手 術 navigationには 難 渋 する。<br />

解 剖 指 標 を 利 用 して「あるはずの 部 位 」を 含 む 切 除 は 可 能 であるが、<br />

癌 でない 場 合 や 残 肝 機 能 が 不 良 な 場 合 には 過 大 侵 襲 ともなりえる。<br />

VNを 用 いれば、 術 中 に 他 モダリティ 画 像 をfusionさせることで 局 在<br />

確 定 ・ 切 除 が 可 能 である。 現 在 肝 癌 の 標 準 術 式 は 求 肝 性 門 脈 流 低 下 に<br />

よるIMが 理 論 的 背 景 となる 亜 区 域 切 除 であるが、 今 後 このような 早<br />

期 肝 癌 の 切 除 が 増 加 すると 考 えられ、 至 適 術 式 にも 一 考 の 余 地 がある<br />

かと 捉 える。<br />

P39-6 造 影 CT 検 査 と 磁 気 センサーを 用 いた 超 音 波 検 査 との 統<br />

合 画 像 を 肝 切 除 における 術 中 超 音 波 検 査 に 応 用 した 経<br />

験<br />

1<br />

日 本 大 学 医 学 部 消 化 器 外 科 、 2 日 本 大 学 医 学 部 消 化 器 肝<br />

臓 内 科<br />

○… 加 茂 知 久 1<br />

, 松 田 年 1<br />

, 山 形 基 夫 1<br />

, 宋 圭 男 1<br />

, 林 成 興 1<br />

,<br />

高 杉 知 明 1<br />

, 五 十 嵐 雅 仁 1<br />

, 三 原 良 明 1<br />

, 田 部 井 英 憲 1<br />

,<br />

森 田 祥 子 1<br />

, 高 山 由 理 子 1<br />

, 藤 井 雅 志 1<br />

, 高 山 忠 利 1<br />

,<br />

2<br />

小 川 眞 広<br />

( 目 的 ) 肝 臓 外 科 領 域 では 術 前 の 術 式 シミュレーションや 残 肝 機 能 の 予<br />

測 が 重 要 である。 仮 に 術 前 シミュレーションが 正 しく 行 われたとして<br />

も 正 確 な 肝 離 断 面 を 術 中 に 維 持 、 修 正 する 技 術 は 容 易 ではない。 磁 気<br />

センサー 対 応 超 音 波 装 置 によりCT 検 査 、MRI 検 査 と 同 断 面 で 比 較 検<br />

討 が 可 能 になり、 術 中 超 音 波 検 査 時 にも 総 合 画 像 診 断 が 可 能 となった<br />

ためその 使 用 経 験 を 報 告 する。( 対 象 ・ 方 法 ) 使 用 装 置 は、 超 音 波 診 断<br />

装 置 :GEヘルスケア 社 製 LOGIQE9,S8、CT 検 査 : 東 芝 メディカルシ<br />

ステムズ 社 製 Aquilion…64…CXである。CT 検 査 では、ザイオソフト 株<br />

式 会 社 製 ziostation2を 用 いて 肝 実 質 や 門 脈 の 自 動 抽 出 、 区 域 分 割 を 行<br />

い 新 たにCTのスライスデータ(16bit…DICOM…Data)として 保 存 しこの<br />

dataを 超 音 波 検 査 に 用 いた.( 結 果 )CT 画 像 を 通 常 の 画 像 と 門 脈 枝 や 肝<br />

区 域 のごとにソフトで 分 離 し 超 音 波 装 置 に 入 力 を 行 う。その 後 関 心 領<br />

域 の 色 分 けを 行 い 重 ね 合 わせ 画 像 を 作 成 することでreferenceのCT 画<br />

像 が 肝 区 域 分 類 を 行 った 画 像 として 表 示 可 能 となった。 本 画 像 を 使 用<br />

することで 門 脈 が 描 出 されない 画 像 でも 常 に 門 脈 支 配 域 が 把 握 可 能 で<br />

治 療 シミュレーションとして 非 常 に 有 用 であることが 有 用 であるこが<br />

確 認 された。また、 腫 瘍 内 の 血 流 分 布 の 割 合 も 表 示 されることより 術<br />

前 イメージとしても 重 要 であった。GPS 機 能 を 利 用 することで 術 中 エ<br />

コー 時 の 腫 瘍 の 位 置 把 握 にも 反 映 されることが 確 認 された。( 考 察 ) 本<br />

システムを 術 前 シミュレーションに 使 用 することで 肝 切 除 に 必 要 な 情<br />

報 を 得 ることができ、 術 中 超 音 波 検 査 時 にも 腫 瘍 の 局 在 、 切 離 予 定 ・<br />

温 存 予 定 の 脈 管 を 繰 り 返 し 確 認 することができた。 肝 切 除 術 の 安 全 性<br />

の 向 上 に 寄 与 すると 思 われた。<br />

P39-7 低 管 電 圧 CTを 用 いた3D 画 像 シュミレーション<br />

(SynapseVincent:SV)の 経 験<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 清 水 崇 行 , 下 田 貢 , 村 山 梓 , 小 菅 崇 之 , 加 藤 正 人 ,<br />

窪 田 敬 一<br />

【 目 的 】SVでは 一 般 的 に120kvpの 管 電 圧 CT…(120kvp…CT)を 使 用 し<br />

ているが、 門 脈 細 分 枝 の 描 出 は 未 だ 不 十 分 である。 一 方 80kVpの 低 管<br />

電 圧 CT(80kVp…CT)では 造 影 コントラストが 良 好 と 報 告 されている。<br />

今 回 我 々は、 従 来 の120kvp…CTと80kvp…CTとを 比 較 し80kvp…CTの 有<br />

用 性 を 検 討 した。【 方 法 】2011 年 10 月 から12 月 まで 当 科 で 施 行 した 肝<br />

切 除 術 前 の 患 者 4 例 を 対 象 とし、 術 前 の120kvp…CTと80kvp…CTでSV<br />

を 用 い3D 画 像 構 築 をおこなった。 評 価 は 門 脈 本 幹 からの 自 動 抽 出 で<br />

何 分 枝 まで 可 能 であるかとした。【 結 果 】4 例 の 内 訳 は 全 例 男 性 で 診 断<br />

はHCCであった。 平 均 年 齢 は68.2 歳 。ICGR15 値 は 中 央 値 12%、 全 例<br />

Child-Pugh 分 類 Aであった。SVによる 画 像 比 較 では、120kvp…CTで<br />

は 門 脈 本 幹 からの 自 動 抽 出 で 描 出 可 能 な 細 分 枝 は 平 均 3 分 枝 ( 図 1)まで<br />

で、80kvp…CTでは 平 均 5 分 枝 まで 抽 出 可 能 であった( 図 2)。また 内 1 例<br />

に 関 しては 低 管 電 圧 CTで7 分 枝 まで 描 出 が 可 能 であった。【 結 論 】 低<br />

管 電 圧 CTで 門 脈 細 分 枝 の 自 動 描 出 可 能 となり、 術 前 の 正 確 な 血 管 構<br />

築 と 構 築 時 間 の 短 縮 が 期 待 される。<br />

P39-8 肝 細 胞 癌 肝 切 除 例 における 術 中 門 脈 圧 測 定 と 術 前 造 影<br />

超 音 波 検 査 による 肝 静 脈 到 達 時 間 測 定 の 有 用 性<br />

明 和 病 院 外 科<br />

○… 相 原 司 , 飯 田 洋 也 , 生 田 真 一 , 柳 秀 憲 , 山 中 若 樹<br />

【はじめに】 肝 硬 変 例 では 造 影 超 音 波 検 査 で 肝 静 脈 到 達 時 間 が 早 くな<br />

ることが 報 告 されている。 今 回 我 々は 術 中 に 門 脈 圧 (PVP)を 測 定 した<br />

肝 細 胞 癌 切 除 例 でその 短 期 成 績 をretrospectiveに 解 析 し、PVP 測 定 と<br />

造 影 超 音 波 検 査 で 肝 静 脈 到 達 時 間 (HVAT) 測 定 の 意 義 を 検 討 した。<br />

【 対 象 ・ 方 法 】2006 年 1 月 から2011 年 11 月 までにPVPを 測 定 し 胆 道 再<br />

建 を 伴 わない 肝 細 胞 癌 手 術 症 例 193 例 を 対 象 とした。 検 討 1:…PVP…<br />

20cm…H2O 以 上 (H 群 )69 例 と 未 満 (L 群 )123 例 の2 群 に 分 け、 術 式 、 手<br />

術 時 間 、 出 血 量 、 在 院 日 数 、 術 後 合 併 症 ( 術 後 腹 水 300ml 以 上 / 日 ( 術<br />

後 腹 水 )、 頂 値 2.0mg/dl 以 上 の 高 ビリルビン 血 症 (H-Bil)、 手 術 部 位 感<br />

染 症 (SSI))の 頻 度 につき 検 討 した。 検 討 2: 術 前 ソナゾイド 造 影 超 音<br />

波 検 査 を 施 行 した13 例 で、 肝 動 脈 、 門 脈 、HVATとPVPの 相 関 関 係<br />

を 検 討 した。【 成 績 】 検 討 1: 平 均 年 齢 H66.1…vs…L68.1、 性 別 ( 男 性 / 女 性 )<br />

H(45/24)vs…L(96/27)、 背 景 肝 (HBV…or…HCV 陽 性 /その 他 )H(57/12)<br />

vs…L(91/32)、Child-Pugh(A/B 以 上 )…H(52/17)vs…L(114/9)、 術 式 は( 区<br />

域 切 除 以 上 / 亜 区 域 切 除 以 下 )H(21/48)vs…L(74/49)であった。…H 群 と<br />

L 群 の 間 に 手 術 時 間 、 出 血 量 、 在 院 日 数 、 術 後 合 併 症 に 有 意 差 を 認 め<br />

なかったが、 外 側 区 切 除 と 部 分 切 除 を 除 いた 亜 区 域 切 除 以 上 144 例 で<br />

は 出 血 量 ( 中 央 値 H 群 1320g…vs…L 群 680g、…p=0.0428)と 術 後 腹 水 (H 群<br />

30/39…vs…L 群 25/105)がH 群 で 有 意 に 多 かった。 検 討 2:13 例 のPVPの<br />

平 均 は19.4cmH…2…O(13.0か ら29.0)で、PVPとHVATと の 間 に 相 関<br />

(r=0.585,…p=0.034)を 認 めた。HVATはH 群 30.4 秒 、L 群 35.0 秒 と 有 意<br />

に(p=0.031)H 群 で 早 くH 群 はすべて32 秒 以 下 であった。【 結 語 】1. 術<br />

中 PVP 測 定 は 肝 予 備 能 を 把 握 する 補 助 手 段 、 術 後 合 併 症 の 予 知 手 段 と<br />

して 意 義 がある。2. 造 影 超 音 波 検 査 によるHVATの 計 測 は 低 侵 襲 で 術<br />

前 PVP 値 の 予 測 に 有 用 と 考 えられる。<br />

-388-


P39-9 術 中 造 影 超 音 波 検 査 が 同 定 ・ 切 除 に 有 用 であったC 型 肝<br />

硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

公 立 岩 瀬 病 院 外 科<br />

○… 佐 藤 佳 宏 , 斎 藤 敬 弘 , 小 出 紀 正 , 遠 藤 久 仁 , 伊 東 藤 男 ,<br />

三 浦 純 一<br />

【はじめに】 肝 硬 変 症 例 では 性 質 の 異 なる 複 数 の 結 節 が 存 在 するため<br />

術 中 超 音 波 検 査 で 肝 癌 の 同 定 が 困 難 な 症 例 がある。 今 回 我 々は 通 常 の<br />

術 中 超 音 波 検 査 で 同 定 できず、ソナゾイド 造 影 を 行 うことにより 同 定<br />

し 切 除 し 得 たC 型 肝 硬 変 合 併 肝 癌 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症<br />

例 】72 歳 、 女 性 。C 型 肝 硬 変 ・ 食 道 静 脈 瘤 で 治 療 歴 あり。 肝 外 側 区 域<br />

の 肝 外 発 育 型 肝 癌 に 対 しTAEの 既 往 あり。1 年 5カ 月 後 のCTでTAE 部<br />

に 再 発 像 は 認 めなかったが、 肝 S7 表 面 近 くに 径 8mmの 早 期 で 造 影 さ<br />

れ 晩 期 でwash…outする 腫 瘤 を 認 め 肝 癌 と 考 えられた。 体 表 からの 腹<br />

部 超 音 波 検 査 で 同 定 できず 外 科 治 療 目 的 に 当 科 を 紹 介 された。 腹 水 少<br />

量 あ り。TB1.0mg/dl,…AST56IU/L,…ALT51IU/L,…GGT34IU/L,…Plt9.2<br />

万 /μl,…Alb2.8g/dl,…PT63.4%,ICGR15…46%,… 肝 障 害 度 C。AFP98ng/ml,…<br />

PIVKA-2…16mAU/ml。 本 人 ・ 家 族 と 数 回 の 話 し 合 いの 結 果 肝 切 除 で<br />

の 治 療 を 選 択 した。【 手 術 】 開 腹 後 の 超 音 波 検 査 では 肝 右 葉 内 に2 個 の<br />

結 節 を 認 めたがCTに 一 致 するS7 結 節 は 同 定 できなかった。ソナゾイ<br />

ド 投 与 後 のKupper 相 で 初 めて 肝 S7 表 面 近 くの 結 節 を 同 定 し、ソナゾ<br />

イド 再 投 与 により 早 期 濃 染 とwash…outを 確 認 し 部 分 切 除 を 施 行 した。<br />

さらにKupper 相 で 肝 外 側 区 域 辺 縁 のTAE 部 近 傍 に2カ 所 のdefectを 認<br />

めたため 同 部 も 部 分 切 除 を 施 行 した。 他 の 肝 右 葉 の2 個 の 結 節 は<br />

Kupper 相 で 欠 損 像 とはならず 再 生 結 節 と 判 断 した。【 病 理 】 肝 S7 腫 瘤<br />

は 高 分 化 ( 一 部 中 分 化 型 ) 肝 細 胞 癌 であり、 外 側 区 域 TAE 部 辺 縁 には<br />

中 分 化 型 肝 細 胞 癌 の 結 節 を 認 め、TAE 部 と 連 続 性 のない 高 分 化 型 肝<br />

細 胞 癌 結 節 も 認 め、これらはKupper 相 での 欠 損 部 に 一 致 していた。【 経<br />

過 】 経 過 は 良 好 で 術 後 18 日 に 退 院 となった。【 結 語 】 肝 硬 変 肝 癌 症 例<br />

において 術 中 造 影 超 音 波 検 査 は 肝 癌 同 定 ・ 切 除 に 有 用 と 考 えられた。<br />

P40-1 左 側 胆 嚢 を 伴 ったC 型 肝 硬 変 、 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講<br />

座<br />

○… 柴 浩 明 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

, 伊 藤 隆 介 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

,<br />

北 村 博 顕 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 石 田 祐 一 1<br />

,<br />

三 澤 健 之 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

症 例 は61 歳 男 性 。10 年 前 にC 型 慢 性 肝 炎 を 指 摘 され、 抗 ウイルス 治 療<br />

を 施 行 、HCV-RNA 陰 性 化 。 経 過 観 察 中 に 肝 S4を 中 心 とする 直 径<br />

35mmの 肝 細 胞 癌 を 指 摘 され、 肝 動 脈 塞 栓 化 学 療 法 を 施 行 後 に 肝 切 除<br />

術 目 的 で 当 科 受 診 となった。 肝 動 脈 塞 栓 化 学 療 法 のCTでは、 左 中 肝<br />

静 脈 分 岐 部 に 直 径 35mmの 肝 細 胞 癌 を 認 め、また 門 脈 左 枝 一 次 分 枝 ま<br />

で 門 脈 腫 瘍 栓 を 認 めた。 中 肝 静 脈 は 腫 瘍 に 圧 排 されており 同 定 困 難 で<br />

あった。 術 前 ICGR15は5%と 残 肝 予 備 能 は 良 好 だったため、 肝 拡 大 左<br />

葉 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 所 見 では 左 側 胆 嚢 であり、 胆 嚢 動 脈 は 中 肝<br />

動 脈 より 分 岐 していた。また、 肝 管 よりB2、B3、B4が 独 立 分 枝 する<br />

破 格 を 伴 っていた。 門 脈 腫 瘍 栓 は 門 脈 右 枝 まで 進 展 を 認 めたため、 腫<br />

瘍 栓 を 除 去 してから 門 脈 を 縫 合 閉 鎖 した。 病 理 診 断 はpT4、StageIVa、<br />

surgical…margin(-)であった。 術 後 、 胆 管 狭 窄 による 高 ビリルビン 血<br />

症 となったため、 術 後 第 22 病 日 に 胆 管 狭 窄 部 解 除 、 形 成 を 施 行 した。<br />

術 中 所 見 では 肝 左 葉 胆 管 枝 の 切 離 部 位 が 狭 窄 したと 考 えられた。その<br />

後 全 身 状 態 改 善 し 初 回 手 術 術 後 第 46 病 日 に 退 院 となった。しかしなが<br />

ら 切 除 3ヶ 月 後 に 残 肝 に 再 発 を 認 め、 術 6ヶ 月 後 に 癌 死 した。 今 回 、 比<br />

較 的 稀 である 左 側 胆 嚢 を 伴 ったC 型 肝 硬 変 、 肝 細 胞 癌 、 門 脈 腫 瘍 栓 症<br />

例 に 対 し 肝 拡 大 左 葉 切 除 術 を 施 行 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 す<br />

る。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P40-2 自 然 退 縮 を 示 した 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科 学 、 2 宮 崎 大 学 腫 瘍 再 生 病<br />

態 学 分 野<br />

○… 濱 田 剛 臣 1<br />

, 大 谷 和 広 1<br />

, 南 史 朗 1<br />

, 近 藤 千 博 1<br />

, 春 山 幸 洋 2<br />

,<br />

田 中 弘 之 2 1<br />

, 千 々 岩 一 男<br />

[はじめに] 悪 性 腫 瘍 の 自 然 退 縮 はきわめて 稀 で 全 癌 患 者 の6-10 万 例<br />

に1 例 といわれている. 肝 細 胞 癌 (HCC)における 報 告 例 も 散 見 される<br />

が,その 機 序 は 不 明 である. 今 回 , 門 脈 血 流 障 害 を 伴 う 腫 瘍 消 退 が 起<br />

こったと 考 えられたHCC 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する.[ 症 例 ]85<br />

歳 男 性 .C 型 肝 炎 経 過 観 察 中 にUSで 肝 S8に3cm 大 のモザイク 状 腫 瘤 を<br />

指 摘 され 受 診 した.AFP…3353…ng/ml,PIVKA-II…236…MAU/mlと 腫 瘍<br />

マーカーの 上 昇 を 認 め,CTでは 肝 S8に 動 脈 相 で 濃 染 され, 門 脈 相 か<br />

ら 平 衡 相 にかけてwash…outされる4cm 大 の 腫 瘤 を 認 めた.MRIでは<br />

T2 強 調 画 像 で 高 信 号 , 拡 散 強 調 画 像 で 拡 散 低 下 ,EOB 造 影 では 動 脈<br />

相 から 門 脈 相 にかけての 造 影 効 果 と 肝 細 胞 相 での 信 号 低 下 を 認 めた.<br />

血 管 造 影 では 肝 動 脈 A8を 栄 養 血 管 とした 腫 瘍 濃 染 像 と 腫 瘍 から 中 肝<br />

静 脈 へのAVシャントが 認 められ,CTAPでは 腫 瘍 部 および 周 辺 の 門<br />

脈 血 流 低 下 を 認 めた. 以 上 の 所 見 からHCCと 診 断 し 肝 切 除 を 予 定 した.<br />

術 直 前 に 腫 瘍 マーカーを 再 検 したところAFP…391.8…ng/ml,PIVKA-II…<br />

31…MAU/mlと 低 下 しており,USでも 腫 瘍 径 が1.5cmに 縮 小 していた.<br />

自 然 退 縮 の 可 能 性 も 考 慮 したが, 癌 細 胞 の 残 存 が 否 定 できないため 肝<br />

前 区 域 切 除 術 を 施 行 した. 切 除 標 本 の 病 理 学 的 検 索 では, 腫 瘤 部 には<br />

組 織 球 やリンパ 球 集 簇 を 含 む 慢 性 炎 症 細 胞 浸 潤 と 軽 度 の 線 維 化 が 認 め<br />

られたが, 腫 瘍 細 胞 の 残 存 は 認 められなかった.また, 腫 瘤 部 内 外 に<br />

は 門 脈 狭 窄 像 , 閉 塞 像 が 認 められ, 病 変 部 における 門 脈 閉 塞 の 関 与 が<br />

示 唆 された. 現 在 , 術 後 2ヶ 月 経 過 しているが 再 発 の 徴 候 は 認 めてい<br />

ない.[ 考 察 ] 本 例 では 切 除 組 織 中 に 明 らかな 腫 瘍 細 胞 は 認 められな<br />

かったものの, 臨 床 経 過 , 腫 瘍 マーカー 高 値 , 画 像 所 見 からHCCの<br />

自 然 退 縮 と 診 断 した. 組 織 学 的 に 腫 瘍 部 および 周 囲 肝 組 織 の 門 脈 閉 塞<br />

像 が 認 められており, 門 脈 閉 塞 による 腫 瘍 血 流 低 下 が 自 然 退 縮 の 一 因<br />

と 推 察 された. 本 邦 既 報 告 例 16 例 を 検 討 したところ, 右 葉 に 存 在 する<br />

こと, 腫 瘍 径 3cm 以 上 , 腫 瘍 マーカーの 著 明 な 上 昇 , 脈 管 侵 襲 像 が 特<br />

徴 的 に 認 められ, 本 例 も 類 似 した 所 見 を 有 していた.[ 結 語 ] 自 然 退<br />

縮 したHCCの1 切 除 例 を 経 験 した. 門 脈 閉 塞 による 血 流 低 下 が 腫 瘍 退<br />

縮 に 関 与 している 可 能 性 が 示 唆 された.<br />

P40-3 完 全 内 臓 逆 位 症 を 伴 った 肝 細 胞 癌 に 対 する1 切 除 例<br />

福 岡 市 民 病 院 外 科<br />

○… 東 貴 寛 , 内 山 秀 昭 , 伊 藤 心 二 , 枝 川 愛 , 江 頭 明 典 ,<br />

江 口 大 彦 , 川 中 博 文 , 奥 山 稔 朗 , 立 石 雅 宏 , 是 永 大 輔 ,<br />

竹 中 賢 治<br />

完 全 内 臓 逆 位 症 は 正 常 に 対 して 解 剖 が 鏡 面 像 的 関 係 にある 稀 な 先 天 性<br />

奇 形 であり、 完 全 内 臓 逆 位 症 に 肝 細 胞 癌 が 合 併 した 報 告 は 稀 である。<br />

術 中 手 技 に 関 しては 臓 器 の 位 置 関 係 が 左 右 逆 転 していることによる 誤<br />

認 に 注 意 しなければならないが、 術 前 の 血 管 造 影 や 術 中 超 音 波 が 有 用<br />

であり、 脈 管 系 の 十 分 な 把 握 により 通 常 通 りの 手 術 が 可 能 である。 症<br />

例 は66 歳 、 女 性 で、S5 肝 門 部 を 圧 迫 する4cm 大 の 肝 細 胞 癌 、C 型 肝 硬<br />

変 で 治 療 目 的 に 当 科 紹 介 となった。 初 診 時 、 黄 疸 を 認 めた。 胸 部 単 純<br />

X 線 検 査 にて 右 胸 心 を 認 め、 腹 部 CTにて 腹 腔 内 臓 器 全 体 が 左 右 逆 に<br />

存 在 しており、 完 全 内 臓 逆 位 症 と 診 断 した。 肝 障 害 度 B、Child-<br />

PughBであり、 腫 瘍 マーカーはAFP47.2ng/ml、PIVKA-II25.0mAU/<br />

mlであった。 閉 塞 性 黄 疸 を 来 たし、 腹 水 を 中 等 量 みとめたため、 肝<br />

移 植 の 治 療 も 提 示 したが 切 除 を 強 く 希 望 したため、 腫 瘍 核 出 、 胆 嚢 摘<br />

出 術 を 施 行 した。 左 肋 弓 下 切 開 に 上 腹 部 正 中 切 開 を 加 えたL 字 切 開 で<br />

開 腹 した。 腹 水 が 中 等 量 存 在 し、 背 景 肝 は 肝 硬 変 を 呈 していた。 腫 瘍<br />

はS5 肝 門 部 に 存 在 し 左 右 肝 管 を 圧 迫 、 末 梢 胆 管 が 拡 張 していた。ま<br />

ず 胆 嚢 摘 出 を 行 い、Cantlie 線 に 沿 って 肝 を 切 離 し 腫 瘍 の 右 側 縁 に 到<br />

達 した。 左 右 肝 管 をテーピングし 腫 瘍 を 肝 管 から 剥 離 した。S5の 上<br />

方 から 肝 切 離 を 行 い、 腫 瘍 の 左 側 縁 に 到 達 し、S5の 一 部 をつけた 腫<br />

瘍 核 出 術 を 行 った。 術 後 は 難 治 性 腹 水 に 苦 渋 したが 術 後 59 日 目 に 自 宅<br />

退 院 となった。 今 回 我 々は、 完 全 内 臓 逆 位 症 に 合 併 した 肝 細 胞 癌 に 対<br />

して 通 常 通 り 切 除 を 行 った1 例 を 経 験 したので、 術 中 のビデオ 映 像 と<br />

あわせて 報 告 する。<br />

-389-


P40-4 種 々の 解 剖 学 的 変 異 を 伴 った 完 全 内 臓 逆 位 を 伴 う 非 B<br />

非 C 肝 細 胞 癌 切 除<br />

山 梨 大 学 1 外 科<br />

○… 松 田 政 徳 , 雨 宮 秀 武 , 細 村 直 弘 , 川 井 田 博 充 , 大 菊 正 人 ,<br />

藤 井 秀 樹<br />

症 例 は62 歳 、 男 性 。 腹 部 超 音 波 検 査 にて 肝 腫 瘤 を 指 摘 され 入 院 。 以 前<br />

より 完 全 内 臓 逆 位 を 指 摘 されていた。 糖 尿 病 に 治 療 中 。 腹 部 手 術 歴 な<br />

し、 輸 血 歴 なし。アルコール 多 飲 歴 あり。 貧 血 、 黄 疸 なく 胸 腹 部 所 見<br />

に 内 臓 逆 位 に 伴 う 所 見 以 外 著 変 なし。HBsAg(-)…、HBcAb(+)、<br />

HCVAb(-)、ICG-R15は12.5% で 肝 障 害 度 A。AFP2.8…(L3…0% )、<br />

PIVKA-II…135mAU/ml。CTでは( 以 下 画 像 、 患 者 所 見 は 鏡 面 像 とし<br />

て 記 述 )、 肝 の 外 側 区 域 は 腫 大 し、 内 側 区 域 は 委 縮 ( 低 形 成 )していた。<br />

前 区 域 に 最 大 径 2.5cmの 肝 細 胞 癌 (HCC)と 思 われる 腫 瘤 が 存 在 した。<br />

尾 状 葉 および 肝 部 下 大 静 脈 は 欠 損 し、 肝 静 脈 は 肝 上 部 の 下 大 静 脈 に 流<br />

入 していた。 下 半 身 の 大 静 脈 は 後 腹 膜 部 を 上 行 し、 奇 静 脈 として 上 大<br />

静 脈 に 流 入 していた。 膵 体 部 は 欠 損 し、 多 脾 症 を 認 めた。EOB-MRI<br />

にて 前 区 域 のHCC 以 外 に、 肝 細 胞 相 で 外 側 区 域 S3に0.7cmの 低 信 号 像<br />

を 認 めた。 血 管 造 影 下 CTでは 前 区 域 と 外 側 区 域 の 腫 瘤 はHCCとして<br />

矛 盾 のない 所 見 を 呈 した。また、 右 肝 静 脈 は 前 区 域 と 後 区 域 の 境 界 を<br />

走 行 せず 両 区 域 内 に 分 枝 が 存 在 した。 血 管 造 影 ではCHAはSMAから<br />

分 岐 し、CHAはすぐPHAとGDAに 分 岐 し、PHAはRHAとLHAに 分<br />

枝 し、RHAの 末 梢 に 腫 瘍 像 を 認 めた。また、 腹 腔 動 脈 からはLGAと<br />

SAが 分 岐 し、LGAとLHAは 吻 合 を 形 成 していた。 手 術 は、 逆 T 字 切<br />

開 で 開 腹 した。 肝 は 肝 硬 変 に 近 い 像 を 呈 し 内 側 区 域 は 委 縮 していた。<br />

術 中 造 影 エコーにて 前 区 域 とS3の 腫 瘍 を 確 認 した。 右 冠 状 間 膜 を 切<br />

離 すると 尾 状 葉 とIVCがないため 肝 の 背 側 に 手 が 挿 入 可 能 であった。<br />

胆 嚢 摘 出 後 、 肝 門 部 で 全 ての 脈 管 をテーピングした。 右 肝 静 脈 が 前 後<br />

区 域 の 境 界 にないため、 流 入 動 脈 を 遮 断 し、 前 区 門 脈 をインジゴで 染<br />

色 し 切 除 範 囲 を 決 定 した。 術 者 は 患 者 の 左 側 に 立 ち、 左 手 での 右 肝 を<br />

挙 上 し 全 肝 阻 血 下 に 切 除 を 行 った。 肝 静 脈 からの 出 血 等 、 通 常 の 肝 切<br />

除 と 比 較 して 特 別 の 困 難 はなかった。さらにS3の 部 分 切 除 を 行 った。<br />

手 術 時 間 は480 分 、 出 血 量 279mlであった。 詳 細 な 術 前 術 中 画 像 解 析<br />

により 安 全 に 手 術 が 可 能 であった。 切 除 腫 瘍 は 双 方 とも 組 織 像 の 似 た<br />

中 分 化 型 HCCで、 脈 管 浸 潤 は 明 らかではないが、S3 腫 瘍 は 肝 内 転 移<br />

が 否 定 できなかった。 順 調 に 経 過 し 第 13 病 日 退 院 した。<br />

P40-5 門 脈 分 岐 異 常 による 左 側 胆 嚢 症 例 に 対 して 肝 切 除 術 を<br />

施 行 した1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 大 森 亜 紀 子 , 小 寺 由 人 , 有 泉 俊 一 , 高 橋 豊 , 加 藤 孝 章 ,<br />

米 田 五 大 , 片 桐 聡 , 山 本 雅 一<br />

【 症 例 】72 歳 女 性 。 【 現 病 歴 】38 歳 時 に 輸 血 を 受 け、65 歳 時 に 初 め<br />

て 慢 性 C 型 肝 炎 を 指 摘 された。 経 過 観 察 中 の 定 期 検 査 の 超 音 波 にて 肝<br />

腫 瘍 を 指 摘 され 加 療 目 的 に 当 科 へ 紹 介 入 院 となった。 入 院 時 現 症 に 特<br />

記 すべきものはなく、 採 血 データでは 軽 度 のトランスアミナーゼの 上<br />

昇 以 外 に 腫 瘍 マーカーを 含 め 異 常 値 を 認 めなかった。【 経 過 】 画 像 診<br />

断 では、 超 音 波 にてS2、S3の 境 界 領 域 に 直 径 25mmの 内 部 に 一 部 低 エ<br />

コー 域 を 伴 う 高 エコーの 腫 瘍 を 認 め、 脂 肪 成 分 の 豊 富 な 高 分 化 型 の 肝<br />

細 胞 癌 と 考 えられた。CT、3DCTにて 腫 瘍 は 外 側 区 域 にあり、 加 え<br />

て 門 脈 分 岐 異 常 を 認 めた。 門 脈 の 分 岐 形 態 は、 門 脈 本 幹 より 後 区 域 枝<br />

が 先 行 分 岐 し、 次 いで 前 区 域 枝 が 分 岐 していた。 門 脈 左 枝 はP4を 欠<br />

いていた。また、 胆 嚢 は 肝 円 索 の 左 側 に 位 置 していた。 腫 瘍 生 検 を 施<br />

行 し、 高 分 化 型 肝 細 胞 癌 の 診 断 を 得 た。 肝 細 胞 癌 に 対 して 手 術 を 施 行 。<br />

開 腹 すると、 胆 嚢 は 肝 円 索 の 腹 側 に 位 置 していた。 胆 嚢 摘 出 後 、グリ<br />

ソン 鞘 を 開 放 すると 門 脈 外 側 区 域 枝 を 認 めた。 腫 瘍 が 外 側 区 域 に 存 在<br />

することを 確 認 したのち 外 側 区 域 切 除 術 を 施 行 した。( 本 症 例 は 内 側 区<br />

域 を 欠 如 しているため 実 際 には 左 葉 切 除 と 同 等 である。) 術 後 経 過 は 良<br />

好 であった。【 結 語 】 左 側 胆 嚢 はまれな 先 天 奇 形 である。しかしながら、<br />

左 側 胆 嚢 の 範 疇 にはいるもののうち、 発 生 学 的 に 奇 形 を 生 じているも<br />

ののほかに、 本 症 例 のように 門 脈 分 岐 異 常 に 伴 い 見 かけ 上 胆 嚢 が 左 側<br />

に 位 置 している 症 例 がある。 自 験 例 及 び 諸 家 の 報 告 からも 門 脈 分 岐 異<br />

常 とそれに 伴 う 左 側 胆 嚢 は 稀 な 異 常 ではない。そして、これらの 破 格<br />

は 肝 切 除 の 際 に 重 要 な 所 見 である。そのため、 術 前 画 像 診 断 にて 左 側<br />

胆 嚢 を 認 めた 際 には 門 脈 分 岐 異 常 が 存 在 する 可 能 性 も 考 え、 精 査 を 進<br />

めることが 肝 要 と 思 われた。 今 回 、 門 脈 分 岐 異 常 による 左 側 胆 嚢 症 例<br />

に 対 して 肝 切 除 術 を 施 行 した1 例 を 経 験 したため、 文 献 的 考 察 を 含 め<br />

て 報 告 する。<br />

P40-6 下 右 肝 静 脈 温 存 、 上 右 肝 静 脈 とそのドレナージ 領 域 を 含<br />

む 合 理 的 拡 大 肝 S8 切 除 術 の1 例<br />

徳 島 大 学 外 科 学<br />

○… 花 岡 潤 , 島 田 光 生 , 宇 都 宮 徹 , 森 根 裕 二 , 居 村 暁 ,<br />

池 本 哲 也 , 森 大 樹 , 杉 本 光 司 , 斉 藤 裕 , 山 田 眞 一 郎 ,<br />

浅 野 間 理 仁<br />

【 症 例 】77 歳 、 男 性 。 交 通 事 故 による 精 査 のCTで 肝 S7/8に3.5cmの<br />

腫 瘍 を 認 めHCCの 診 断 にて 当 科 紹 介 となった。【CT】 肝 S7/8、 上 右<br />

肝 静 脈 根 部 を 取 り 巻 くように3.5cmの 多 結 節 癒 合 型 でhigh-low-low…<br />

patternを 示 す 腫 瘍 を 認 める。【 血 液 検 査 及 び 肝 アシアロシンチ】PT…<br />

126.9%、HPT…99.4%、ICGR15…11.4%、HCV-Ab… 陽 性 、AFP…5ng/ml、<br />

PIVKA-II…105mAU/ml、LHL15…0.931。【3D-volumetry】 全 肝 1172ml。<br />

右 葉 切 除 では 残 肝 223ml…(19.1%)。S8 灌 流 領 域 は 上 右 肝 静 脈 を 包 含 、<br />

従 来 の 解 剖 学 的 S7までせり 出 すように 存 在 し、 上 右 肝 静 脈 も 切 除 領<br />

域 に 含 まれる。【 問 題 点 1】Volumetryにおける 門 脈 前 区 域 灌 流 領 域 決<br />

定 の 是 非 について。 予 定 術 式 は【 術 式 選 択 】CTで5mmの 下 右 肝 静<br />

脈 あり。 下 右 肝 静 脈 ドレナージ 領 域 温 存 、S8 灌 流 領 域 + 上 右 肝 静 脈<br />

ドレナージ 領 域 切 除 で 残 肝 は777ml、66.3%の 残 肝 となり 本 術 式 を 施 行 。<br />

【 術 後 CT 及 び 血 液 検 査 】 残 肝 に 鬱 血 領 域 を 認 めず。トランスアミナー<br />

ゼ 異 常 の 遷 延 なし。【 問 題 点 2】 静 脈 ドレナージ 領 域 切 除 の 意 義 につい<br />

て。【 結 語 】3D-volumetryを 用 いた 下 右 肝 静 脈 ドレナージ 領 域 温 存 、<br />

上 右 肝 静 脈 とそのドレナージ 領 域 を 含 む 合 理 的 拡 大 肝 S8 切 除 術 を 施<br />

行 しえた。<br />

P40-7 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 施 行 後 に 肝 梗 塞 ・ 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 と<br />

なったが 救 命 し 右 3 区 域 切 除 し 得 た 巨 大 肝 細 胞 癌 の1<br />

例<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 新 田 英 利 , 別 府 透 , 土 居 浩 一 , 中 川 茂 樹 , 美 馬 浩 介 ,<br />

岡 部 弘 尚 , 今 井 克 憲 , 中 原 修 , 生 田 義 明 , 近 本 亮 ,<br />

石 河 隆 敏 , 高 森 啓 史 , 馬 場 秀 夫<br />

症 例 は54 歳 男 性 。 未 治 療 のC 型 慢 性 肝 炎 。 心 窩 部 痛 の 精 査 中 に 巨 大 肝<br />

腫 瘍 を 認 めたためCT、MRIにて 右 肝 全 体 を 占 める 約 20cm 大 の 肝 細 胞<br />

癌 (HCC)と 診 断 し、 右 門 脈 腫 瘍 栓 (Vp3)と 外 側 区 域 に 肝 内 転 移 と 思 わ<br />

れる 結 節 が 散 見 された(T4N0M0…Stage…IVA)。 肝 右 3 区 域 切 除 を 予 定<br />

していたが、ICGR15:15.2%、アシアロLHL15:0.908、 非 癌 部 肝 体<br />

積 切 除 率 40.6%、アシアロSPECT-CT…fusionを 用 いた 機 能 的 肝 切 除 率<br />

は40.6%であり 切 除 はハイリスクと 考 えられた。 門 脈 右 枝 は 腫 瘍 栓 に<br />

より 完 全 に 閉 塞 されており、 経 過 中 に 左 肝 の 機 能 、 体 積 が 改 善 する 可<br />

能 性 があったため、まず 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 (TACE)を 行 い 経 過 をみ<br />

る 予 定 とした。 肝 動 脈 化 学 塞 栓 術 (TACE)を 左 右 肝 動 脈 からシスプラ<br />

チン120mg、リピオドール、ジェルパート、およびゼラチンスポンジ<br />

細 片 を 用 いて 施 行 した。 右 肝 に 対 しては 腫 瘍 中 心 にマイルドなTACE<br />

予 定 であったが 過 度 の 塞 栓 となった。 翌 日 から 乏 尿 、 血 尿 となり、 採<br />

血 データーでは 高 カリウム 血 症 、 高 LDH 血 症 、 血 清 クレアチニン 値<br />

の 上 昇 、 代 謝 性 アシドーシスの 所 見 を 認 めた。 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 と 診 断<br />

し 血 液 透 析 を 開 始 した。 週 4 回 の 血 液 透 析 を 継 続 し、 徐 々に 腎 機 能 は<br />

改 善 した。3ヶ 月 後 、アシアロLHL15:0.910、 非 癌 部 肝 体 積 切 除 率<br />

35.6%、アシアロSPECT-CT…fusionを 用 いた 機 能 的 肝 切 除 率 は25.8%<br />

であり 肝 右 3 区 域 切 除 可 能 と 判 断 し 施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 合 併<br />

症 なく 退 院 した。 術 後 11ヶ 月 現 在 、 残 肝 の 肝 内 転 移 はTACEによりコ<br />

ントロール 良 好 で 無 再 発 生 存 中 である。 固 形 癌 の 治 療 後 に 発 症 する 腫<br />

瘍 崩 壊 症 候 群 は 非 常 にまれであり、またその 救 命 率 も 低 い。 特 に<br />

HCCにおけるTACE 後 の 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 の 報 告 例 は5 例 と 少 ない。し<br />

かし 近 年 はソラフェニブによる 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 の 報 告 も 増 えてきてお<br />

り、 今 後 巨 大 HCCにおける 治 療 はこれらを 念 頭 におく 治 療 が 必 要 と<br />

思 われる。<br />

-390-


P40-8 診 断 に 難 渋 した 肝 細 胞 腺 腫 の 腹 腔 鏡 を 用 いた 一 切 除 例<br />

済 生 会 八 幡 総 合 病 院<br />

○… 柿 本 忠 俊 , 植 田 茂 , 野 本 健 一<br />

【はじめに】 診 断 に 難 渋 した 肝 細 胞 腺 腫 の、 腹 腔 鏡 を 用 いた 一 切 除 例<br />

を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】44 歳 女 性 。 右 下 腹 部 痛 を 主 訴 に 来 院 、<br />

急 性 虫 垂 炎 と 診 断 されたが 同 時 期 の 腹 部 エコーにて 肝 S3から 尾 側 へ<br />

突 出 する 径 40mm 大 の 腫 瘤 影 を 認 めた。 良 悪 性 の 判 断 が 困 難 であった<br />

ため、さらにソナゾイド 造 影 エコー・ 腹 部 造 影 CTおよびプリモビス<br />

ト 造 影 MRIを 追 加 した。ソナゾイド 造 影 CTでは、 血 管 相 では 肝 実 質<br />

とほぼ 同 様 の 濃 染 を 認 めたが 後 血 管 相 では 明 らかな 欠 損 像 を 認 めな<br />

かった。また 造 影 CTでは 境 界 明 瞭 な 充 実 性 腫 瘤 を、プリモビスト 造<br />

影 MRIでは 平 衡 相 で 淡 い 取 り 込 みを 認 めた。さらに 血 液 検 査 上 も<br />

AFP…2.0ng/ml……PIVKA219mAU/mlと 上 昇 を 認 めず 悪 性 の 可 能 性 は 低<br />

いと 判 断 したが、 確 定 診 断 にはおよばなかったため 腹 腔 鏡 下 肝 部 分 切<br />

除 術 を 施 行 し、 手 術 時 間 109 分 ・うち 肝 切 除 時 間 21 分 で 終 了 した。 術<br />

後 病 理 結 果 からは 肝 細 胞 の 異 型 性 ・ 核 分 裂 像 はほとんど 認 めず、<br />

L-FABP1 染 色 陰 性 で あ っ た た め、HNF1α…inactivated…type…<br />

Adenomaと 診 断 した。【まとめ】 肝 細 胞 腺 腫 は 若 年 女 性 に 多 く、 欧 米<br />

では 経 口 避 妊 薬 の 内 服 と 関 連 する 疾 患 として 知 られるまれな 疾 患 であ<br />

る。 平 均 年 齢 は33.3 歳 と 若 く、 男 女 比 は2:3と 女 性 に 多 い。 腫 瘍 の 発<br />

生 部 位 としては 右 葉 に 単 発 する 例 が 多 いが 多 発 例 も 認 められ、 大 きさ<br />

も10cm 以 上 のものが 約 半 数 を 占 めるとされる。 欧 米 と 比 較 し 本 邦 で<br />

は 男 性 例 が 比 較 的 多 く、 経 口 避 妊 薬 の 関 与 が 少 ないとされている。 治<br />

療 面 で 最 も 重 要 なのは 高 分 化 型 肝 細 胞 癌 と 肝 細 胞 腺 腫 の 鑑 別 である。<br />

以 前 のCT・エコーでは 困 難 であったが、 近 年 ソナゾイド 造 影 エコー<br />

およびプリモビスト 造 影 MRIの 発 達 に 伴 い 悪 性 細 胞 の 有 無 を 判 断 しう<br />

るまでになってきている。 治 療 は、 約 30%に 腫 瘍 内 出 血 を 認 めること、<br />

また 約 5%に 悪 性 化 を 認 めることから 外 科 的 切 除 が 推 奨 されている。<br />

本 症 例 では、ソナゾイド 造 影 エコーおよびプリモビスト 造 影 MRIにて<br />

悪 性 所 見 は 認 めなかったものの 確 定 診 断 には 至 らず 手 術 施 行 となり、<br />

術 後 病 理 所 見 から 確 定 診 断 を 得 ることができた。さらに、 腹 腔 鏡 下 で<br />

行 うことで、 低 侵 襲 で 有 用 な 治 療 を 行 えたと 考 える。<br />

P41-1 ソラフェニブ 使 用 経 験 からみたTACEとソラフェニブ<br />

投 与 の 位 置 づけ<br />

兵 庫 県 立 がんセンター<br />

○… 前 田 裕 巳 , 富 永 正 寛 , 仁 和 浩 貴 , 押 切 太 郎 , 千 堂 宏 義 ,<br />

藤 野 泰 宏<br />

(はじめに)ソラフェニブは 現 在 、 局 所 療 法 の 適 応 のない 進 行 肝 細 胞 癌<br />

症 例 に 対 し 用 いられているが,わが 国 ではほとんどの 場 合 TACEなど<br />

局 所 療 法 を 繰 り 返 した 後 の 高 度 進 行 例 であり,ソラフェニブの 有 効 性<br />

を 検 証 する 前 に 中 止 を 余 儀 なくされる 症 例 も 多 い. 我 々は 局 所 療 法 の<br />

適 応 のない 進 行 肝 癌 症 例 の 中 でもTACEの 回 数 の 比 較 的 少 ない 症 例 に<br />

対 してもTACE1 週 間 後 に 計 画 的 に 投 与 し 長 期 継 続 を 図 っている.( 対<br />

象 と 方 法 )2011 年 11 月 30 日 までに 当 科 でソラフェニブを 開 始 した 患 者<br />

38 例 ( 男 / 女 35 例 /3 例 , 平 均 年 齢 68.4 歳 ,…HB/HC/NBNC:11 例 /15 例 /12<br />

例 )について 検 討 した.ソラフェニブ 開 始 理 由 としては, 肝 外 病 変 (E)12<br />

例 , 門 脈 腫 瘍 栓 術 後 (P)3 例 , 肝 内 病 変 に 対 するTACE 不 応 23 例 (TACE3<br />

回 以 上 (C):12 例 ,TACE2 回 まで(F)11 例 )であった.この 中 でTACE2 回<br />

目 までにTACE 不 応 と 判 断 し, 計 画 的 にソラフェニブ 開 始 となった 症<br />

例 に 着 目 し, 投 与 期 間 , 中 止 理 由 , 効 果 を 他 の3 群 とretrospectiveに 比 較<br />

した.( 結 果 ) 投 与 期 間 は,E 群 148±203 日 ,P 群 161±67 日 ,C 群 157±94 日 ,F<br />

群 160±98 日 で 有 意 差 はなかった. 投 与 中 止 例 は,E 群 9 例 ,C 群 7 例 F 群 4 例<br />

で, 中 止 理 由 はE 群 では9 例 中 4 例 ,…C 群 では7 例 中 5 例 ,F 群 では4 例 中 3 例 が<br />

原 病 悪 化 であった. 中 止 の 理 由 となった 有 害 事 象 としては, 肝 障 害 をE<br />

群 ,C 群 で 各 2 例 ずつ, 消 化 管 出 血 をE 群 ,F 群 で 各 1 例 ずつ 認 めた. 有 効 性 に<br />

ついては 全 体 でCR/PR/SD/PD/NE:2/2/13/17/5であった。SD 以 上<br />

の 有 効 例 は,E 群 では12 例 中 3 例 (25%)であったが,C 群 では11 例 中 5 例<br />

(45%),F 群 では13 例 中 9 例 (69%)で,C 群 F 群 で 有 効 例 を 多 く 認 めた.…C 群<br />

/F 群 ではTACEの1 週 間 後 にソラフェニブを 計 画 的 に 開 始 した 症 例 を<br />

4 例 /8 例 含 み,TACE 後 早 期 のソラフェニブ 併 用 が 有 効 と 考 えられ<br />

た.(まとめ)ソラフェニブ 投 与 までの 前 治 療 歴 が 長 く,TACEを 繰 り 返<br />

していたC 群 では12 例 中 3 例 が60 日 未 満 で 中 止 となり, 長 期 投 与 継 続 が<br />

困 難 な 症 例 が 多 かった. 比 較 的 早 い 段 階 でTACE 不 応 を 判 断 し,TACE<br />

後 短 期 間 のうちにソラフェニブを 併 用 することで, 長 期 コントロール<br />

が 可 能 となり,ソラフェニブ 有 効 例 を 増 やせる 可 能 性 が 示 唆 された. 今<br />

後 も 継 続 してF 群 の 有 効 性 を 検 証 してゆきたい。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P41-2 肝 切 除 術 後 の 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 するsorafenib 治 療 の<br />

検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 浦 江 憲 吾 , 堀 内 彦 之 , 木 下 壽 文 , 白 水 和 雄<br />

日 本 肝 臓 学 会 によるコンセンサスに 基 づく 肝 細 胞 癌 治 療 アルゴリズム<br />

の 中 にソラフェニブの 適 応 が 明 記 された. 今 回 , 我 々は, 外 科 切 除 術<br />

後 の 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 しソラフェニブを 投 与 した 症 例 の 検 討 を 行 った.<br />

【 対 象 】 平 成 21 年 7 月 から 当 科 でソラフェニブを 投 与 した 肝 切 除 術 後<br />

の 再 発 肝 細 胞 癌 で, 肝 機 能 や 全 身 状 態 が 良 好 で, 高 度 な 門 脈 浸 潤 や 遠<br />

隔 転 移 のある 肝 細 胞 癌 や 局 所 療 法 の 適 応 のない 肝 細 胞 癌 を 適 応 とした.<br />

用 法 ・ 容 量 は,ソラフェニブ…800…mg/ 日 で, 全 身 状 態 や 副 作 用 に 応<br />

じて400~600…mg/ 日 に 減 量 した.【 結 果 】 年 齢 は,43 歳 から77 歳 ,<br />

全 例 男 性 で, 背 景 肝 炎 因 子 は,HBV…2 例 ,HCV…3 例 で,Child-Puugh<br />

分 類 は, 全 例 Aであった. 投 与 方 法 で, 副 作 用 のために 個 人 判 断 で 休<br />

薬 期 間 が 長 くなる 患 者 さんには, 連 日 投 与 から5 日 / 週 ( 週 休 2 日 ) 内 服<br />

に 変 更 し, 長 期 間 継 続 投 与 が 可 能 となった. 副 作 用 では, 手 足 皮 膚 反<br />

応 が 全 例 に 認 められ,Grade…2が4 例 ,Grade…1が1 例 , 腹 部 症 状 が2 例 で,<br />

それぞれGrade1と2, 肝 障 害 1 例 でGrade…1, 高 血 圧 2 例 でGrade…2であっ<br />

た. 手 足 皮 膚 反 応 での 投 与 中 止 例 はなく, 継 続 できない 症 例 haGrade…<br />

2の 腹 部 症 状 1 例 のみであった. 投 与 中 止 原 因 の 副 作 用 として 手 足 皮 膚<br />

反 応 が 問 題 として 挙 げられるが, 皮 膚 の 角 化 肥 厚 や 皮 膚 硬 結 部 位 など<br />

投 与 前 状 態 の 観 察 と 手 足 のケア( 角 質 除 去 や 保 湿 ・スキンケアなど)を<br />

行 い, 物 理 的 な 刺 激 の 軽 減 に 努 めることで 対 応 した. 医 師 , 看 護 師 間<br />

の 連 携 を 図 り, 面 談 , 問 診 や 生 活 指 導 を 密 に 取 り 入 れ, 行 った.2 年<br />

以 上 投 与 生 存 の 症 例 を2 例 経 験 した.【まとめ】・ 外 科 切 除 後 の 再 発 肝<br />

細 胞 癌 …5 例 にソラフェニブを 使 用 した.・SD(stable…disease)を 目 標 と<br />

した 治 療 法 ではあるが, 薬 剤 の 減 量 , 休 薬 , 投 与 方 法 の 変 更 ・ 工 夫<br />

や 副 作 用 対 策 をすることで,2 年 以 上 の 長 期 加 療 ができ, 薬 効 を 引<br />

き 出 すコツとなると 考 えられた.・…『 副 作 用 対 策 の 成 功 』は『 治 療 の<br />

成 功 』と 言 っても 過 言 ではないと 言 われるように 患 者 さん, 看 護 師 と<br />

医 師 との 連 携 が 何 よりも 大 切 な 治 療 法 であると 考 えられた.<br />

P41-3 肝 静 脈 侵 襲 および 遠 隔 転 移 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に 対 し、 放 射<br />

線 照 射 とSorafenib 療 法 が 有 効 であった1 例<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 肝 胆 膵 外 科 学<br />

○… 西 岡 孝 芳 , 竹 村 茂 一 , 坂 田 親 治 , 上 西 崇 弘 , 浦 田 順 久 ,<br />

大 畑 和 則 , 金 田 和 久 , 栄 政 之 , 野 沢 彰 紀 , 久 保 正 二<br />

【 症 例 】 症 例 は70 歳 、 男 性 。1992 年 にC 型 慢 性 肝 炎 を 指 摘 され、インター<br />

フェロン 療 法 が 行 われたが、 無 効 であった。2007 年 4 月 に 肝 S8 肝 細 胞<br />

癌 に 対 し、 肝 部 分 切 除 術 が 施 行 された。 病 理 検 査 の 結 果 、3.0…x…2.5cm、<br />

中 分 化 型 肝 細 胞 癌 、vp0、im0、 肝 硬 変 であった。その 後 、 肝 内 再 発<br />

に 対 し、4 回 の 肝 動 脈 塞 栓 術 (TACE)が 行 われた。2009 年 末 に 右 仙 腸<br />

関 節 部 骨 転 移 がみられたため、 同 部 に 放 射 線 照 射 (36Gy)が 施 行 された。<br />

さらに1 回 のTACEが 施 行 されたが、2010 年 7 月 のTACE(6 回 目 )の 際<br />

には 肝 内 多 発 病 巣 と 中 肝 静 脈 腫 瘍 栓 がみられ、 特 に 肝 静 脈 腫 瘍 栓 への<br />

治 療 効 果 は 乏 しかった。そこで、まず 中 肝 静 脈 腫 瘍 栓 に 対 し 放 射 線 照<br />

射 (50Gy)を 施 行 後 、Sorafenib 療 法 を 開 始 した。 皮 膚 病 変 や 肝 機 能 障<br />

害 がみられたため、400mg/ 日 の 間 歇 投 与 となったものの、2011 年 12<br />

月 現 在 も 投 与 継 続 中 である。Sorafenib 療 法 開 始 直 後 、 肋 骨 転 移 や 肺<br />

転 移 が 確 認 されたものの、その 後 、 中 肝 静 脈 腫 瘍 栓 は 著 明 に 縮 小 、 遠<br />

隔 転 移 巣 も 縮 小 し、さらに 明 らかな 肝 内 濃 染 像 はみられなくなった。<br />

2010 年 4 月 ( 肝 静 脈 腫 瘍 栓 に 対 する 放 射 線 照 射 とSorafenib 療 法 開 始 前 )<br />

にはα-fetoprotein(AFP)が6844…ng/ml、PIVKA-IIが19352…AU/mlと<br />

最 高 値 であったが、 徐 々に 低 下 し、 現 在 、AFPが115.7…ng/ml、<br />

PIVKA-IIが175…AU/mlとなり、 肝 静 脈 腫 瘍 栓 、 遠 隔 転 移 および 肝 内<br />

病 巣 が 制 御 された 状 態 となっている。【まとめ…】 肝 静 脈 腫 瘍 栓 、 遠 隔<br />

転 移 、 肝 内 多 発 病 巣 がみられる 肝 細 胞 癌 症 例 に 対 し、 放 射 線 照 射 と<br />

Sorafenib 療 法 が 有 効 であった1 例 を 経 験 した。<br />

-391-


P41-4 ソラフェニブを 含 む 各 種 治 療 が 著 効 した 切 除 不 能 進 行<br />

肝 細 胞 癌 の1 例<br />

慶 應 義 塾 大 学 外 科<br />

○… 永 滋 教 , 篠 田 昌 宏 , 田 邉 稔 , 河 地 茂 行 , 板 野 理 ,<br />

北 郷 実 , 八 木 洋 , 西 山 亮 , 藤 崎 洋 人 , 三 原 規 奨 ,<br />

門 多 由 恵 , 藤 村 知 賢 , 大 平 正 典 , 香 月 優 亮 , 田 中 真 之 ,<br />

筒 井 りな, 北 川 雄 光<br />

症 例 は83 歳 、 男 性 。2007 年 に 膵 体 部 癌 (T2N1M0,…stageIII)に 対 して 膵<br />

体 尾 側 切 除 を 施 行 。2010 年 4 月 、 定 期 検 査 にて 肝 細 胞 癌 (Image…Mt(2)<br />

-A(2)13mm,…23mm,…T3N0M0,…stageIII)を 指 摘 された。 生 検 において<br />

低 分 化 型 肝 細 胞 癌 、 一 部 CK19 陽 性 であり、EtiologyはHBV(-),…HCV(-)<br />

であった。 腫 瘍 の 局 在 から 根 治 切 除 には 拡 大 右 葉 切 除 が 必 要 であった<br />

が、ICG21%であり、 年 齢 、 残 肝 容 積 から 切 除 不 能 と 判 断 した。 主 腫<br />

瘍 は 右 主 グリソン 枝 腹 側 に 接 し、 造 影 MRI 上 グリソン 枝 側 に 腫 瘍 濃 染<br />

を 認 めたが、 腹 側 領 域 に 濃 染 は 乏 しかった。そこでまず 濃 染 部 分 の 塞<br />

栓 を 目 的 に 肝 動 脈 塞 栓 術 (TACE)を 施 行 の 上 、 引 き 続 き 非 塞 栓 部 分 に<br />

経 皮 ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した。しかしviable…HCCの 出 現 は 防 げず、<br />

その 後 肝 動 注 療 法 …(5FU…250mg/body…24h…5 日 間 , CDDP…10mg/body…<br />

iv,… 計 2Kr)も 試 みたが 肺 転 移 出 現 、 門 脈 腫 瘍 栓 出 現 (PV3,…PV5)の 高 度<br />

進 行 状 態 となった。また、 血 小 板 減 少 などの 副 作 用 が 強 いため 動 注 化<br />

学 療 法 を 断 念 した。 肝 外 病 変 、Vp3のため2011 年 1 月 よりソラフェニ<br />

ブ400…mg/ 日 、2011 年 2 月 より800…mg/ 日 を 開 始 したところ、 腫 瘍 マー<br />

カーが 激 減 し(AFP…41,948…ng/ml→1…ng/ml)、 画 像 上 も 腫 瘍 性 病 変 を<br />

指 摘 できなくなった。 軽 度 の 高 血 圧 や 下 痢 症 状 程 度 しか 目 立 った 副 作<br />

用 は 出 現 しておらず、 降 圧 剤 投 与 や 内 服 量 減 量 などにて 対 処 可 能 で<br />

あった。 現 在 もソラフェニブ 投 与 中 であり、 明 らかな 再 燃 所 見 を 認 め<br />

ていない。 本 例 においては 進 行 肝 癌 に 各 種 の 治 療 を 行 ったことで 良 好<br />

な 成 績 が 得 られた 可 能 性 がある。ソラフェニブの 効 果 は 一 般 にSD…<br />

(disease…stabilization)と 認 識 されているが、 他 の 治 療 と 併 用 すること<br />

でPR、CR 等 の 奏 功 例 が 得 られるか 今 後 検 討 する 必 要 がある。<br />

P41-5 術 後 急 速 に 再 発 進 行 したVv3 肉 腫 様 肝 細 胞 癌 にソラ<br />

フェニブを 投 与 した 一 例<br />

大 分 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 實 藤 健 作 , 福 澤 謙 吾 , 岩 城 堅 太 郎 , 岡 本 正 博 ,<br />

甲 斐 成 一 郎 , 若 杉 健 三<br />

【はじめに】 肝 細 胞 癌 に 於 いて 肉 腫 様 変 化 は 従 来 稀 であると 考 えられ<br />

ていたが、IVR 治 療 の 普 及 と 共 に 散 見 されるようになった。 肉 腫 様 変<br />

化 をきたした 肝 細 胞 癌 は 血 行 性 転 移 ・リンパ 行 性 転 移 の 頻 度 が 高 く 急<br />

速 に 浸 潤 性 に 増 大 する 特 徴 を 持 ち、 非 常 に 予 後 不 良 な 形 態 である。 今<br />

回 我 々は 術 後 急 速 に 再 発 進 行 したVv3 肉 腫 様 肝 細 胞 癌 に 対 し、ソラ<br />

フェニブを 投 与 した 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】80 歳 女 性 、<br />

かかりつけ 医 にて 胆 道 系 酵 素 異 常 を 指 摘 され、USにて 肝 腫 瘤 を 認 め<br />

精 査 目 的 に 紹 介 。 受 診 時 検 査 所 見 ではB 型 肝 炎 既 感 染 パターンで、<br />

AFP/PIVKAII:16.46ng/dl/880mAU/mlと 上 昇 を 認 めた。 画 像 上 、<br />

右 肝 静 脈 腫 瘍 栓 を 伴 うS4,S5,S8を 中 心 とした 最 大 径 11.2cmの 腫 瘍 と 右<br />

肺 S10に13mmの 結 節 を 認 め、 原 発 性 肝 細 胞 癌 T4N0M1stageIVbと 診<br />

断 した。 以 上 よりIAcall 水 溶 液 によるTAIを 施 行 したが、 主 腫 瘍 は 増<br />

大 傾 向 にあった。 新 たな 遠 隔 転 移 を 認 めなかったため、 拡 大 肝 中 央 二<br />

区 域 切 除 術 (S4,S5,S7,S8, 尾 状 葉 全 切 )+B6 胆 道 再 建 + 下 大 静 脈 腫 瘍 栓<br />

除 去 術 施 行 した。 切 除 標 本 の 大 部 分 でspindle…cellを 認 め、 肉 腫 様 肝 細<br />

胞 癌 と 診 断 した。 術 後 経 過 良 好 であったが、46POD 腹 腔 内 播 種 再 発 、<br />

肝 内 多 発 転 移 、 下 大 静 脈 腫 瘍 栓 を 認 めた。ネクサバール400mg/body<br />

の 投 与 を 開 始 したが、 腫 瘍 進 展 による 閉 塞 性 黄 疸 を 来 したためERBD<br />

留 置 し 減 黄 後 、ソラフェニブの 投 与 再 開 。ソラフェニブ 投 与 にて 腫 瘍<br />

マーカーは 低 下 したが、 主 腫 瘍 は+25%の 増 大 を 認 めPDの 評 価 であっ<br />

た。 次 第 に 全 身 倦 怠 感 ・ 食 思 不 振 が 出 現 し、 術 後 99 日 目 に 原 疾 患 にて<br />

死 亡 退 院 した。【 結 語 】 術 後 急 速 に 再 発 進 行 したVv3 肉 腫 様 肝 細 胞 癌<br />

に 対 しソラフェニブを 投 与 した 一 例 を 経 験 した。 肉 腫 様 肝 細 胞 癌 に 対<br />

するソラフェニブ 投 与 の 報 告 は 無 くここに 報 告 する。<br />

P41-6 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 肝 切 除 術 とゲムシタビンによる 抗<br />

がん 剤 治 療 の 成 績<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科<br />

○… 谷 合 信 彦 1<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

, 水 口 義 昭 1<br />

, 吉 岡 正 人 1<br />

,<br />

清 水 哲 也 1<br />

, 上 田 純 志 1<br />

, 真 々 田 裕 宏 1 1<br />

, 内 田 英 二<br />

【 目 的 】 肝 内 胆 管 癌 はその 乏 血 性 、リンパ 行 性 転 移 形 態 、さらに 胆 管<br />

浸 潤 などから 肝 細 胞 癌 と 違 い、 手 術 療 法 が 唯 一 の 治 療 とされてきた。<br />

しかし、 背 景 肝 が 障 害 肝 ではないにもかかわらず、 進 行 例 が 多 く 手 術<br />

適 応 外 であることも 少 なくない。 今 回 、 当 院 における 肝 内 胆 管 癌 に 対<br />

する 治 療 戦 略 を 検 討 した。【 方 法 】1997~2011 年 の15 年 間 における 当 院<br />

で 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 された128 例 を 対 象 とした。その 内 訳 は 手 術 例 43 例 、<br />

抗 癌 剤 治 療 (GEM)17 例 、 無 治 療 ( 胆 道 ドレナージなど 姑 息 的 治 療 のみ)<br />

46 例 であった。それぞれの 生 存 率 を 比 較 するとともに、 術 後 再 発 後 抗<br />

癌 剤 治 療 例 10 例 を 含 む 抗 癌 剤 治 療 例 27 例 の 治 療 効 果 を 検 討 した。【 成<br />

績 】それぞれの 内 訳 は 平 均 年 齢 67 歳 、65 歳 、71 歳 。 男 女 比 は23:21、<br />

10:7、36:29であった。 手 術 例 の3、5 生 存 率 はともに40.7%。 抗 癌 剤<br />

治 療 例 、 無 治 療 例 は6ヵ 月 、1 年 生 存 率 がそれぞれ67.5%、67.5%、<br />

30.5%、10.2%と 有 意 に 治 療 例 が 高 かった(P=0.0003)。 術 後 再 発 後 抗 癌<br />

剤 治 療 例 と 初 回 抗 癌 剤 治 療 例 の1 年 、2 年 生 存 率 はそれぞれ70.0%、<br />

46.7%、67.5%、45.0%と 差 はなかった。 手 術 例 の 内 訳 は、 腫 瘤 形 成 型<br />

27 例 、 胆 管 浸 潤 型 13 例 、 胆 管 内 発 育 型 3 例 で、 術 式 は 右 葉 切 除 以 上 11 例 、<br />

左 葉 切 除 以 上 19 例 、 左 3 区 域 切 除 3 例 、その 他 10 例 で、 肝 管 空 腸 吻 合 を<br />

22 例 に 併 施 した。 年 齢 、 性 別 、Stage 分 類 、 肉 眼 分 類 、 肝 管 空 腸 吻 合<br />

の 有 無 、 手 術 時 間 、 術 中 出 血 量 など 有 意 な 予 後 因 子 はなかった。【 結 論 】<br />

肝 内 胆 管 癌 は 手 術 により 満 足 できる 生 存 率 を 得 れる。さらにゲムシタ<br />

ビンによる 化 学 療 法 は 有 意 に 予 後 を 改 善 していた。 術 後 再 発 例 の 投 与<br />

により 生 存 率 をより 改 善 可 能 と 考 える。<br />

P41-7 GEM+CDDP 療 法 が 奏 功 し 切 除 が 可 能 となった 局 所 進<br />

行 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

1<br />

福 井 県 済 生 会 病 院 外 科 、 2 福 井 県 済 生 会 病 院 内 科 、 3 福 井 県<br />

済 生 会 病 院 病 理 部<br />

○… 石 田 誠 1<br />

, 三 井 毅 1<br />

, 寺 田 卓 郎 1<br />

, 宗 本 義 則 1<br />

, 藤 澤 克 憲 1<br />

,<br />

三 浦 将 司 1<br />

, 渡 邊 弘 之 2 3<br />

, 須 藤 嘉 子<br />

【はじめに】 切 除 不 能 肝 内 胆 管 癌 に 対 し 欧 米 ではGEM+CDDP 併 用<br />

療 法 が 標 準 治 療 となりつつある。 今 回 われわれはGEM+CDDP 併 用<br />

療 法 が 著 効 し 切 除 が 可 能 となった 局 所 進 行 肝 内 胆 管 癌 の1 例 を 経 験 し<br />

たため 報 告 する。【 症 例 】71 歳 、 女 性 。 会 社 の 検 診 にて 肝 機 能 異 常 を<br />

指 摘 され 近 医 受 診 し 肝 腫 瘍 を 指 摘 され 当 院 紹 介 された。 血 液 検 査 では<br />

胆 道 系 酵 素 の 異 常 高 値 と、 腫 瘍 マーカーの 異 常 高 値 (CA19-9;2667、<br />

DUPAN2;12722)を 認 めた。 腹 部 CTにて 肝 左 葉 外 側 区 域 と 内 側 区 域 、<br />

尾 状 葉 にまたがる 最 大 径 9.5cm 大 の 乏 血 性 の 腫 瘍 を 認 め、 末 梢 の 肝 内<br />

胆 管 の 拡 張 を 認 めた。 下 大 静 脈 を 強 く 背 側 に 圧 排 し 浸 潤 が 疑 われ、 同<br />

時 に 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 リンパ 節 への 明 らかな 転 移 を 認 めたことから<br />

StageIVBの 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 、 手 術 適 応 外 と 判 断 しGEM+CDDP 併<br />

用 療 法 を 開 始 した。 治 療 開 始 5ヶ 月 後 、 腫 瘍 径 は5cm 大 まで 縮 小 しリ<br />

ンパ 節 転 移 は 残 るものの 下 大 静 脈 への 圧 排 はほぼ 消 失 した。 腫 瘍 マー<br />

カーもCA19-9;32、DUPAN2;238まで 低 下 し、 治 療 効 果 PRと 判 断<br />

した。しかしながらその 後 腫 瘍 マーカー 値 は 徐 々に 上 昇 傾 向 を 示 し、<br />

画 像 上 も 増 悪 傾 向 を 示 したため 外 科 的 切 除 を 行 った。 左 尾 状 葉 を 含 め<br />

て 拡 大 肝 左 葉 切 除 、リンパ 節 郭 清 を 施 行 した。 術 中 、 腫 瘍 背 側 にて 一<br />

部 下 大 静 脈 壁 への 浸 潤 を 認 めたため 楔 状 に 合 併 切 除 した。 病 理 学 的 検<br />

索 にて 腫 瘤 形 成 型 の 肝 内 胆 管 癌 、 中 分 化 型 腺 癌 、リンパ 節 転 移 陽 性<br />

(12p,…1/9)、T3N1M0、StageIVBと 診 断 した。 術 後 腫 瘍 マーカーは 正<br />

常 域 に 下 降 したが、 難 治 性 の 胆 汁 漏 を 併 発 しドレナージ 治 療 中 である。<br />

【 考 察 】 局 所 進 行 肝 内 胆 管 癌 に 対 してGEM+CDDP 併 用 療 法 は 忍 容<br />

性 が 高 く、 外 科 切 除 の 介 入 によりさらなる 予 後 向 上 が 期 待 できると 考<br />

えられた。<br />

-392-


P41-8 GEM/TS-1を 先 行 した 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

中 国 労 災 病 院 外 科<br />

○… 太 田 浩 志 , 福 田 三 郎 , 中 島 一 記<br />

症 例 は67 歳 女 性 。2011 年 7 月 上 旬 、 腹 痛 を 主 訴 に 当 院 救 急 外 来 受 診 。<br />

血 液 検 査 で、AST…217…IU/L,…ALT…280…IU/L,…ALP…2035…IU/L,…GTP…<br />

1032…IU/L,T.BIL…4.4…mg/dlと 肝 機 能 異 常 と 黄 疸 を 認 めた。 腹 部 CTで、<br />

肝 S4~5の 肝 門 部 に 辺 縁 がやや 濃 染 し、 内 部 の 染 まりが 乏 しい8×8cm<br />

大 の 腫 瘍 を 認 めた。MRCPでは 腫 瘍 にによる 総 胆 管 の 圧 排 と 肝 内 胆 管<br />

の 拡 張 を 認 めた。ERBDチューブを 留 置 し 減 黄 を 行 い、 腫 瘍 生 検 にて<br />

cholangiocarcinoma…と 診 断 された。CTで 肝 門 部 および 大 動 脈 周 囲 に<br />

10mm 大 のリンパ 節 腫 大 を 認 めており、リンパ 節 転 移 を 伴 う 肝 内 胆 管<br />

癌 が 疑 われたので、GEM/TS-1…による 化 学 療 法 を 先 行 させた。2クー<br />

ル 施 行 後 、CA19-9は5383.4U/mlから441.8…U/mlに 低 下 し、 画 像 上 も<br />

腫 瘍 は5×4.5cm 大 に 著 明 に 縮 小 した。GEM/TS-1は 有 効 と 判 断 して、<br />

9 月 中 旬 、 手 術 施 行 。 開 腹 にて 腫 瘍 への 大 網 の 巻 き 込 みを 認 めたが、<br />

腹 膜 播 種 、 腹 水 は 認 めず。#16リンパ 節 のサンプリングで 転 移 を 認 めず。<br />

また 腫 瘍 の 総 胆 管 への 直 接 浸 潤 もなかったため、 肝 S4a+S5 切 除 およ<br />

び 胃 小 弯 周 囲 リンパ 節 および#12、#8a、#13aリンパ 節 の 郭 清 を 施 行<br />

した。 病 理 の 結 果 、 腫 瘍 は 広 範 囲 の 壊 死 を 伴 う 低 分 化 型 腺 癌 よりなり、<br />

癌 細 胞 周 囲 には 高 度 の 慢 性 炎 症 細 胞 の 浸 潤 を 伴 っていた。 脈 管 浸 潤 は<br />

認 めず。リンパ 節 への 転 移 は 認 めなかった。 術 後 は 合 併 症 なく 経 過 は<br />

良 好 で13 日 目 軽 快 退 院 。 退 院 後 、GEM/TS-1を 再 開 し、 現 在 、 腫 瘍 マー<br />

カーは 正 常 化 している。<br />

肝 内 胆 管 癌 は、 外 科 切 除 のみが 有 効 な 治 療 法 であるが、 術 前 にGEM/<br />

TS-1を 短 期 投 与 が 著 効 し 縮 小 手 術 が 可 能 となった。 肝 内 胆 管 癌 の 治<br />

療 戦 略 の1つとして 意 義 があるのではないかと 考 えられた。<br />

P42-1 一 週 間 で 帰 る 肝 切 除 パス-ERAS 概 念 の 導 入 とその 成<br />

果 -<br />

都 立 墨 東 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 脊 山 泰 治 , 松 田 真 輝 , 宮 田 陽 一 , 梅 北 信 孝<br />

【 目 的 】 術 後 早 期 回 復 プログラム(enhanced…recovery…after…<br />

surgery;…ERAS)の 有 用 性 が 大 腸 癌 手 術 において 報 告 されている。 当<br />

院 では、 周 術 期 の 肝 切 除 版 ERASを 考 案 し、その 概 念 に 基 づいた 肝 切<br />

除 パスを 作 成 し 導 入 したので、その 成 果 について 検 討 した。【 方 法 】<br />

肝 切 除 の 周 術 期 管 理 に、 術 前 カウンセリング、 早 期 胃 管 抜 去 、 画 像 ナ<br />

ビゲーションの 活 用 、 腹 腔 鏡 を 利 用 した 創 縮 小 の 試 み、 真 皮 縫 合 によ<br />

る 閉 創 、ドレーンの 早 期 抜 去 、 肝 切 除 パスの 導 入 、 経 口 補 水 の 活 用 、<br />

早 期 離 床 の 促 進 、 退 院 基 準 、 外 来 ケアなどを 新 たに 追 加 もしくは 強 化<br />

し、 肝 切 除 版 ERASとした。 肝 切 除 パスにはERASの 要 素 を 可 能 な 限<br />

り 取 り 入 れた。 具 体 的 には 外 来 における 術 前 カウンセリング、 早 期 胃<br />

管 抜 去 、 真 皮 縫 合 、ドレーン 早 期 抜 去 、 経 口 補 水 の 活 用 、 術 後 早 期 離<br />

床 の 具 体 的 目 標 、1 週 間 退 院 の 目 標 設 定 である。【 対 象 】 当 院 で 施 行 し<br />

た 胆 道 再 建 を 伴 わない 肝 切 除 症 例 で、2011 年 2 月 から8 月 にERASによ<br />

る 周 術 期 管 理 をした26 例 (ERAS 群 )と、2009 年 1 月 から2010 年 8 月 まで<br />

の 従 来 管 理 の36 例 ( 対 照 群 )の 成 績 を 比 較 検 討 した。80 歳 以 上 、ハイリ<br />

スク 症 例 、 血 小 板 10 万 以 下 の 肝 硬 変 症 例 は 対 象 外 とした。【 成 績 】 二<br />

群 間 の 患 者 背 景 、 原 疾 患 の 比 率 、 肝 障 害 度 、 手 術 成 績 に 差 はなかった。<br />

術 後 在 院 日 数 は 対 照 群 で 平 均 10.6±3.6 日 、 中 央 値 10 日 (…5-21 日 )に 対 し、<br />

ERAS 群 では 平 均 7.2±1.3 日 、 中 央 値 7 日 (…6-10 日 )と 有 意 に 短 縮 された。<br />

合 併 症 率 は 対 照 群 の28%に 対 しERAS 群 では8%と 有 意 に 減 少 した。 術<br />

後 7 日 以 内 の 退 院 は 対 照 群 の17%(6/36)に 対 し、ERAS 群 で は73%<br />

(19/26)で 可 能 だった。 肝 切 除 パスは 肝 切 除 版 ERASを 遂 行 する 上 で、<br />

医 師 、 医 療 スタッフ、 患 者 間 の 情 報 共 有 が 可 能 となり 有 用 であった。【 結<br />

論 】ERASに 基 づいた 肝 切 除 パスは 有 用 であり、 術 後 7 日 退 院 が 標 準<br />

化 できる 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P42-2 教 室 における 肝 切 除 クリニカルパスの 現 状<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管 理 学 、<br />

3<br />

大 阪 大 学 付 属 病 院 看 護 部<br />

○… 古 賀 睦 人 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

,<br />

江 口 英 利 1<br />

, 種 村 匡 弘 1 1,2<br />

, 梅 下 浩 司 , 中 土 居 智 子 3<br />

,<br />

鹿 島 泰 子 3<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 森 正 樹 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

【 背 景 】クリニカルパス( 以 下 パス)は 多 職 種 のかかわるチーム 医 療 に<br />

おいて、 効 率 化 、 患 者 間 における 診 療 の 均 質 化 、 質 の 担 保 を 目 的 に 導<br />

入 される。 教 室 では2002 年 7 月 より 肝 切 除 に 対 してパスを 導 入 し、5 回<br />

の 改 訂 を 経 て、 現 在 では 原 則 として 胆 道 再 建 を 要 さない 肝 切 除 全 例 を<br />

対 象 としている。パス 導 入 による 均 質 化 については 通 常 バリアンスの<br />

評 価 で 検 討 が 可 能 だが、 臨 床 上 の 有 用 性 、すなわち 医 療 従 事 者 が 実 際<br />

にパスに 求 めている 情 報 や 支 援 とは 異 なる 可 能 性 がある。 今 回 、パス<br />

に 関 するアンケートを 行 い、その 有 用 性 に 関 して 検 討 した。【 方 法 】<br />

肝 切 除 パスを 使 用 した 医 師 36 名 と 看 護 師 59 名 を 対 象 に、 患 者 説 明 、 周<br />

術 期 管 理 、 教 育 などの10 項 目 の 有 用 性 に 関 するアンケートを 行 い、 医<br />

療 従 事 者 間 で 比 較 検 討 した。【 結 果 】 全 体 の87%がパスの 全 般 的 な 有<br />

用 性 を 認 めていた。 患 者 説 明 、 患 者 の 入 院 生 活 の 理 解 度 では 看 護 師 の<br />

83-69%がその 有 用 性 を 評 価 していたのに 対 し、 医 師 では 約 半 数 であっ<br />

た(p


P42-4 肝 細 胞 癌 手 術 治 療 における 分 枝 鎖 アミノ 酸 補 充 療 法 の<br />

有 用 性 の 検 討<br />

弘 前 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学<br />

○… 石 戸 圭 之 輔 , 豊 木 嘉 一 , 工 藤 大 輔 , 木 村 憲 央 , 大 橋 大 成 ,<br />

鳴 海 俊 治 , 袴 田 健 一<br />

【 目 的 】 肝 硬 変 治 療 において、 分 枝 鎖 アミノ 酸 補 充 療 法 の 有 用 性 が 報<br />

告 されている。 今 回 、 肝 硬 変 を 有 する 肝 細 胞 癌 手 術 治 療 における 周 術<br />

期 分 枝 鎖 アミノ 酸 補 充 療 法 の 有 用 性 を 検 討 した。【 方 法 】 肝 硬 変 を 有<br />

する 肝 細 胞 癌 患 者 の 待 機 手 術 に 対 して、 術 前 7 日 前 から 術 後 3ヶ 月 まで<br />

分 枝 鎖 アミノ 酸 として 肝 不 全 用 経 口 栄 養 剤 であるアミノレバンEN(1<br />

包 :…210kcal)を1 日 2 包 、 午 前 中 と 就 寝 前 にlate…evening…snackとして1<br />

包 ずつ 摂 取 させた。 同 栄 養 剤 を 投 与 していない 群 を 対 象 群 として、 同<br />

療 法 の 有 用 性 をretrospectiveに 比 較 検 討 した。【 結 果 】アミノレバン<br />

ENが 術 前 および 術 後 に 投 与 された 症 例 は10 症 例 であった。 内 訳 は 男<br />

性 8 例 、 女 性 2 例 、 平 均 年 齢 は65.9±8.0 歳 であった。 肝 硬 変 の 成 因 はC<br />

型 肝 硬 変 5 例 、B 型 肝 硬 変 2 例 、アルコール 性 肝 硬 変 1 例 、 不 明 が1 例 で<br />

あった。Child-…Pugh 分 類 は 全 例 でA、ICG15 分 値 は 平 均 19.0%であった。<br />

血 中 アルブミン 値 は 術 前 の 平 均 4.3g/dlであったものが、 術 後 7 日 目 に<br />

平 均 3.3g/dlと 最 低 値 を 示 すものの、その 後 は 速 やかに 改 善 傾 向 をみせ、<br />

術 後 1ヶ 月 で 平 均 4.2g/dlとほぼ 術 前 の 値 と 同 等 に 回 復 していた。 同 栄<br />

養 剤 を 投 与 していないアミノレバン 非 投 与 群 では 術 後 2 週 間 、および<br />

術 後 1ヶ 月 の 血 清 Alb 値 が 有 意 に 低 く、アミノレバン 投 与 群 に 比 べ 血<br />

清 Alb 値 回 復 が 遅 れることが 明 らかなった( 術 後 2 週 間 :…3.36g/dl…vs…<br />

3.83g:dl,…p=0.011,… 術 後 1ヶ 月 :…3.55g/dl…vs…4.17g/dl,…p=0.001)。また<br />

合 併 症 発 生 率 はアミノレバン 投 与 群 で 有 意 に 低 かった(10.0%…vs…<br />

48.3%,…p=0.032)。アミノレバン 非 投 与 群 の 主 な 合 併 症 としては 術 後 胸<br />

腹 水 貯 留 と 肺 炎 、 創 感 染 等 の 感 染 性 合 併 症 であった。 術 後 在 院 日 数 の<br />

比 較 ではアミノレバン 投 与 群 で 有 意 に 短 かった(10.8 日 …vs…15.9 日 ,…<br />

p=0.048)。…【 結 論 】 肝 硬 変 を 有 する 肝 細 胞 癌 手 術 治 療 において 分 枝 鎖<br />

アミノ 酸 補 充 療 法 は、 術 後 肝 機 能 、および 全 身 状 態 の 早 期 回 復 という<br />

点 で 極 めて 有 用 なものと 考 えられた。<br />

P42-5 拡 大 肝 葉 切 除 における 免 疫 増 強 栄 養 剤 の 有 用 性<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 門 田 一 晃 , 高 橋 進 一 郎 , 加 藤 祐 一 郎 , 後 藤 田 直 人 ,<br />

木 下 敬 弘 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

【はじめに】 肝 門 部 胆 管 癌 などの 拡 大 肝 葉 切 除 術 は 比 較 的 安 全 に 行 わ<br />

れるようになり 切 除 率 も 向 上 しているが、 現 在 でも 腹 部 手 術 のうち 最<br />

も 大 きな 手 術 の1つであり、 他 の 消 化 器 手 術 に 比 べてリスクは 高 い。<br />

今 回 、 我 々は 肝 門 部 胆 管 癌 などで 拡 大 肝 葉 切 除 術 を 施 行 する 患 者 に 術<br />

前 に 免 疫 増 強 栄 養 剤 (インパクト)を 投 与 し、 拡 大 肝 葉 切 除 術 における<br />

免 疫 増 強 栄 養 剤 の 有 用 性 を 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】2009 年 12 月 から<br />

2011 年 9 月 までの 拡 大 肝 葉 切 除 18 例 で、 術 前 インパクト 投 与 9 例 (I 群 )<br />

と 同 時 期 の 非 投 与 9 例 (R 群 )の2 群 間 に 分 けて 比 較 検 討 した。インパク<br />

ト 内 服 は 術 前 5 日 間 、1 日 750mlを 目 標 に 飲 用 しインパクト 投 与 コンプ<br />

ライアンス、インパクト 投 与 前 後 の 血 液 データ(WBC、TP、Alb)、I<br />

群 とR 群 における 術 後 合 併 症 発 生 頻 度 について 比 較 検 討 した。【 結 果 】<br />

年 齢 、 性 別 、BMIの 患 者 背 景 に 有 意 差 は 認 めなかった。また 腫 瘍 進 行<br />

度 、 手 術 時 間 、 出 血 量 でも 両 群 間 に 有 意 差 はなかった。I 群 のアンケー<br />

ト 調 査 では 魚 油 臭 が 気 になるなど、 味 の 問 題 があったが9 例 中 8 例 は 目<br />

標 量 の3750mlを 内 服 できた。 術 後 合 併 症 について、I 群 に1 例 ( 胆 管 炎 )、<br />

R 群 に5 例 ( 肝 不 全 :1 例 、 縫 合 不 全 :1 例 、 肺 炎 :1 例 、 胆 管 炎 :2 例 )<br />

認 めたが 有 意 差 はなかった。 術 後 の 血 液 データの 比 較 では、 白 血 球 数<br />

が 術 後 3 日 目 (I 群 :6500±1078/R 群 :10344±4489)と 術 後 7 日 目 (I 群 :<br />

7777±2677/R 群 :11171±3470)でI 群 に 有 意 に 少 なかった。ただし、<br />

他 の 血 液 データでは 有 意 差 は 認 めなかった。【 考 察 ・ 結 語 】インパク<br />

ト 投 与 コンプライアンスは 良 好 であった。これは 拡 大 肝 葉 切 除 を 受 け<br />

るという 高 度 侵 襲 手 術 に 対 する 意 識 があるため 目 標 量 に 達 したことが<br />

考 えられた。また、インパクト 内 服 により 過 剰 炎 症 を 抑 制 し、 有 意 差<br />

はないものの 重 症 合 併 症 減 少 を 期 待 できると 考 えた。しかし 症 例 数 が<br />

少 なく、 今 後 症 例 を 積 み 重 ね、さらなる 検 討 が 必 要 とおもわれる。<br />

P42-6 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 のストレスの 少 ない 麻 酔 の<br />

効 果 について<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 朴 景 華 , 北 順 二 , 礒 幸 博 , 加 藤 正 人 , 下 田 貢 ,<br />

澤 田 登 起 彦 , 窪 田 敬 一<br />

合 成 麻 薬 レミフェンタニルは 短 時 間 作 用 性 の 利 点 から、 近 年 の 全 身 麻<br />

酔 に 多 く 使 用 され、 術 中 の 血 圧 変 動 を 抑 制 することでストレスの 少 な<br />

い 麻 酔 が 可 能 となっている。 目 的 と 方 法 レミフェンタニル 導 入 移 行 期<br />

である2007 年 の 前 年 である2006 年 1 年 間 に 施 行 した 肝 細 胞 癌 に 対 する<br />

肝 切 除 術 40 例 (レミフェンタニル 群 :R 群 )と2009 年 1 年 間 の52 例 (フェ<br />

ンタニル 群 :F 群 )との 臨 床 成 績 を 比 較 し、 術 中 および 術 後 の 尿 量 と<br />

平 均 血 糖 値 、インスリン 使 用 量 を 検 討 した。また、 術 中 バイタルの 安<br />

定 群 33 例 と 非 安 定 群 59 例 とに 分 けて 両 群 間 を 比 較 検 討 した。 結 果 年 齢<br />

(R 群 …vs.…F 群 =68…vs.70 歳 )、ICGR15(15…vs.13.5%)、 出 血 量 (570…<br />

vs.552ml)、 血 清 Alb 値 (3.2…vs.3.2mg/dl)、 血 清 Cr. 値 (0.74…vs.0.7)、<br />

HbA1c 値 (5.3…vs.5.2)に 有 意 差 は 見 られなかったが、 手 術 時 間 (254…<br />

vs.332 分 :P


P43-1 胆 管 侵 襲 を 伴 う 肝 細 胞 癌 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科<br />

○… 中 村 典 明 , 入 江 工 , 伴 大 輔 , 落 合 高 徳 , 工 藤 篤 ,<br />

田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 における 胆 管 侵 襲 は 比 較 的 まれであり、その 病 態 も<br />

明 らかではない。 今 回 我 々は 当 科 で 施 行 した 肝 細 胞 癌 切 除 例 から 胆 管<br />

侵 襲 陽 性 例 を 検 討 した。【 対 象 】2000 年 4 月 から2011 年 10 月 までに 施 行<br />

した 初 回 肝 切 除 症 例 (503 例 )のうち、 病 理 学 的 に 胆 管 侵 襲 陽 性 であっ<br />

た27 例 (5.4%)について 検 討 した。b1/b2/b3/b4は16/1/7/3でありb1 群<br />

16 例 (59.2%)、b2 以 上 群 11 例 (40.8%)であった。【 結 果 】 男 女 比 ;24:<br />

3。 平 均 年 齢 65.9 才 (49-85 才 )。HBV/HCV/アルコールが5/12/2であっ<br />

た。4 例 に 黄 疸 を 認 め、 減 黄 処 置 を 必 要 とした。7 例 (25.9%)にTACE<br />

やRF 等 術 前 治 療 が 行 われていた。 肝 障 害 度 はA/B/C17/8/2、Child-<br />

PughはA/B/Cが22/4/1であった。b2 以 上 群 では 黄 疸 を 呈 する(4 例 ;<br />

36.4%)ことがあり、 肝 予 備 能 の 評 価 には 注 意 を 要 する。 術 式 別 では<br />

葉 切 除 以 上 を17 例 に 施 行 し、10 例 で 断 端 陽 性 。 病 理 学 的 には、igが11<br />

例 (40.7%)と 多 く、また16 例 のeg 中 、11 例 (69%)にfc-infを 認 めた。24<br />

例 (88.9%)ではvp 陽 性 (vp1/2/3/4…;…12/7/5/0)であった。 肉 眼 型 は、<br />

多 結 節 融 合 型 と 塊 状 型 が 各 々12 例 5 例 であった。 分 化 度 では 高 分 化 / 中<br />

分 化 / 低 分 化 が1/12/14と 低 分 化 が 多 い 傾 向 にあった。11 例 に 断 端 陽 性<br />

を 認 めたが、8 例 において 切 離 面 において 陽 性 であり、 胆 管 断 端 陽 性<br />

は1 例 のみであった。b2 以 上 群 の1 例 で 胆 管 への 直 接 浸 潤 を 認 めたが、<br />

その 他 は 腫 瘍 栓 であり 胆 管 への 浸 潤 は 認 められなかった。b2 以 上 群<br />

では、6 例 (54.5%)にvp2 以 上 を 認 めるのに 対 し、b1 群 では、6 例 (35.3%)<br />

と、b2 以 上 群 でvp2 以 上 の 肉 眼 的 門 脈 侵 襲 を 多 く 伴 う 傾 向 があった。<br />

観 察 期 間 中 14 例 が 死 亡 し、 全 例 に 病 理 学 的 vpを 認 めた。 一 方 5 年 以 上<br />

長 期 生 存 しえた 症 例 は 現 時 点 では6 例 であり、b1/b2 以 上 は5 例 /1 例 で<br />

あった。【 考 察 とまとめ】 胆 管 侵 襲 を 伴 う 肝 細 胞 癌 においては、ig 型<br />

発 育 といった 被 膜 形 成 の 乏 しい 症 例 が 多 く、 葉 切 除 以 上 の 肝 切 除 を 施<br />

行 したが、 多 くは 肝 切 離 面 で 断 端 陽 性 であった。また 胆 管 内 腫 瘍 栓 で<br />

は 先 進 部 で 癌 の 浸 潤 なく 胆 管 温 存 可 能 と 考 えられたが、 胆 管 へ 直 接 浸<br />

潤 した 症 例 や 肝 内 腫 瘍 巣 の 指 摘 できない 症 例 もあり、 切 除 範 囲 の 決 定<br />

は 慎 重 に 行 うべきである。<br />

P43-2 胆 管 腫 瘍 栓 で 診 断 された 腫 瘍 本 体 の 局 在 が 不 明 な 肝 細<br />

胞 癌 の1 例<br />

高 松 市 民 病 院 外 科<br />

○… 小 笠 原 卓 , 福 田 洋 , 井 内 正 裕 , 黒 田 武 志 , 三 崎 伯 幸 ,<br />

四 方 祐 子 , 和 田 大 助<br />

68 歳 , 男 性 , 以 前 平 成 16 年 に 胃 全 摘 術 を 施 行 されていた. 今 回 , 平 成<br />

23 年 3 月 8 日 に 発 熱 , 右 側 腹 部 痛 , 黄 疸 , 肝 機 能 障 害 を 認 めた. 画 像 所<br />

見 より 胆 嚢 総 胆 管 結 石 , 肝 内 胆 管 拡 張 を 認 め, 胆 嚢 総 胆 管 結 石 による<br />

閉 塞 性 黄 疸 , 急 性 胆 嚢 胆 管 炎 の 診 断 のもと, 平 成 23 年 3 月 9 日 に 胆 嚢 摘<br />

出 術 , 総 胆 管 切 開 切 石 術 を 施 行 した. 術 中 胆 道 鏡 検 査 にて 右 肝 管 本 幹<br />

内 に 腫 瘍 栓 を 認 めた. 腫 瘍 栓 の 生 検 結 果 より 肝 細 胞 癌 の 診 断 に 至 った.<br />

一 旦 総 胆 管 から 後 区 域 胆 管 にRTBDチューブを 挿 入 して 外 婁 とし, 改<br />

めて 画 像 診 断 を 行 い, 肝 細 胞 癌 の 加 療 を 行 う 方 針 とした. 術 後 の<br />

RTBDチューブ 造 影 では 後 区 域 胆 管 は 描 出 されるものの, 前 区 域 胆 管<br />

は 描 出 されなかった.またダイナミックCTでは 後 区 域 門 脈 枝 が 描 出<br />

されず,さらに 肝 細 胞 癌 の 腫 瘍 本 体 は 腫 瘤 として 指 摘 できなかった.<br />

腫 瘍 本 体 の 局 在 は 同 定 できなかったが, 右 肝 管 の 胆 管 腫 瘍 栓 を 来 し,<br />

右 門 脈 腫 瘍 栓 が 疑 われたため, 肝 細 胞 癌 の 主 体 は 肝 右 葉 に 存 在 するも<br />

のと 判 断 し, 平 成 23 年 4 月 19 日 に 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した. 右 前 区 域<br />

胆 管 は 末 梢 まで 腫 瘍 栓 を 認 め, 閉 塞 性 胆 管 炎 の 状 態 であった.また 門<br />

脈 右 枝 には 腫 瘍 栓 は 認 めず, 胆 管 炎 の 波 及 または 胆 管 腫 瘍 栓 による 右<br />

門 脈 枝 分 岐 部 で 狭 窄 の 様 相 を 呈 していた. 胆 管 内 の 腫 瘍 栓 は 認 めるも<br />

のの, 切 除 標 本 の 切 片 においても, 腫 瘤 としての 肝 細 胞 癌 の 主 座 は 同<br />

定 できなかった. 今 回 , 胆 管 内 腫 瘍 栓 で 診 断 に 至 ったが, 切 除 標 本 に<br />

おいても 腫 瘍 本 体 が 局 在 不 明 であった 肝 細 胞 癌 の 比 較 的 稀 な 症 例 を 経<br />

験 したので, 若 干 の 文 献 的 考 察 をふまえ 報 告 する.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P43-3 胆 管 内 腫 瘍 栓 にて 閉 塞 性 黄 疸 を 来 たした 肝 細 胞 癌 の1<br />

切 除 例<br />

1<br />

社 会 保 険 船 橋 中 央 病 院 外 科 、 2 社 会 保 険 船 橋 中 央 病 院 消 化 器<br />

内 科 、 3 帝 京 大 学 医 学 部 病 理 学 講 座<br />

○… 野 村 悟 1<br />

, 小 笠 原 猛 1<br />

, 加 藤 佳 瑞 紀 2 3<br />

, 近 藤 福 雄<br />

肝 細 胞 癌 はしばしば 門 脈 および 肝 静 脈 に 浸 潤 して 腫 瘍 栓 を 形 成 するこ<br />

とはよく 知 られているが、 胆 管 内 に 発 育 浸 潤 して 腫 瘍 栓 を 形 成 するこ<br />

とも 稀 にあり、 胆 道 系 悪 性 腫 瘍 との 術 前 鑑 別 診 断 に 難 渋 することがあ<br />

る。 今 回 、 我 々は 閉 塞 性 黄 疸 にて 発 症 した、 胆 管 内 腫 瘍 栓 を 伴 った 肝<br />

細 胞 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

症 例 は68 歳 の 女 性 。1998 年 に 当 科 で 胆 石 症 に 対 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出<br />

術 を 施 行 した 既 往 有 り。 高 血 圧 、 気 管 支 喘 息 などで 当 院 内 科 に 通 院 加<br />

療 中 であったが、2010 年 9 月 に 心 窩 部 痛 および 肝 機 能 異 常 を 認 めたた<br />

めに 腹 部 超 音 波 および 造 影 CTを 施 行 したところ、 総 胆 管 結 石 の 診 断<br />

にてERCP 下 に 採 石 をした。 一 旦 は 症 状 の 改 善 を 認 めたものの、 再 び<br />

2011 年 3 月 に 同 様 の 心 窩 部 痛 および 肝 機 能 異 常 を 認 めたために 腹 部 超<br />

音 波 および 造 影 CTを 施 行 したところ、 肝 内 胆 管 拡 張 と 胆 管 内 腫 瘤 を、<br />

更 には 肝 S7に 長 径 80mm 大 のwash-out…patternを 呈 する 腫 瘍 を 認 めた。<br />

採 血 データ 上 は 肝 胆 道 系 酵 素 の 著 明 な 上 昇 と 総 ビリルビンが3.5mg/dl<br />

と 黄 疸 を 認 めた。 腫 瘍 マーカーはPIVKA-IIが7410mAU/mlと 著 明 な<br />

上 昇 を 認 め た が、AFP、CEA、CA19-9は 正 常 範 囲 内 で あ っ た。<br />

ERCP 上 は 後 区 域 胆 管 に 狭 窄 所 見 を 認 め、 透 亮 像 を 呈 していたが 結 石<br />

は 採 石 されなかった。 胆 汁 および 胆 管 ブラシ 細 胞 診 では 悪 性 所 見 を 認<br />

めなかった。 肝 細 胞 癌 か 肝 内 胆 管 癌 か、もしくは 混 合 型 肝 癌 かの 確 定<br />

診 断 が 困 難 であったために 狙 撃 的 肝 生 検 を 施 行 したところ、 中 分 化 型<br />

肝 細 胞 癌 との 病 理 診 断 結 果 であった。 以 上 より 後 区 域 胆 管 腫 瘍 栓 を 伴<br />

う 肝 細 胞 癌 の 診 断 にて2011 年 4 月 に 右 肝 切 除 術 を 施 行 した。 右 肝 管 根<br />

部 にて 胆 管 切 離 し、 総 肝 管 より 末 梢 側 には 肉 眼 的 腫 瘍 遺 残 がないこと<br />

を 確 認 して 断 端 閉 鎖 処 理 をした。 手 術 時 間 は5 時 間 21 分 、 出 血 量 は<br />

750gであった。 術 後 は 胆 汁 瘻 を 合 併 するも 保 存 的 に 軽 快 して 第 35 病<br />

日 に 退 院 となった。 摘 出 標 本 上 は 長 径 85mm 大 の 境 界 明 瞭 な 被 膜 を 有<br />

する 腫 瘍 および 後 区 域 胆 管 内 に 腫 瘍 栓 を 認 めた。 病 理 組 織 学 的 所 見 は<br />

中 分 化 型 肝 細 胞 癌 で、 胆 道 内 腫 瘍 栓 は 肝 細 胞 癌 からの 腫 瘍 栓 であった。<br />

背 景 肝 は 正 常 であった。 術 後 約 8ヶ 月 が 経 過 した2011 年 12 月 末 現 在 ま<br />

で 無 再 発 経 過 観 察 中 である。<br />

P43-4 CABGの 既 往 があり 右 心 房 内 腫 瘍 栓 を 伴 う 肝 細 胞 癌 に<br />

対 し 高 度 低 体 温 / 人 工 心 肺 下 に 拡 大 肝 左 葉 切 除 術 を 行 っ<br />

た1 例<br />

仙 台 厚 生 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 中 村 啓 之 , 山 内 淳 一 郎 , 近 藤 典 子 , 安 食 隆 , 高 見 一 弘 ,<br />

笠 井 明 大 , 池 田 知 也 , 桜 井 博 仁 , 石 山 秀 一<br />

【はじめに】CABG 後 で 右 心 房 …(RA)…・ 総 胆 管 …(CBD)… 内 に 腫 瘍 栓 …<br />

(TT)…を 有 する 肝 細 胞 癌 …(HCC)…に 対 し、 胸 骨 縦 切 開 せずに 人 工 心 肺<br />

を 接 続 し、 循 環 停 止 中 高 度 低 体 温 にして 拡 大 肝 左 葉 切 除 、TT 摘 出 を<br />

行 った1 例 を 報 告 する.【 症 例 】66 歳 男 性 .47 歳 時 CABG…(4 枝 病 変 )…<br />

施 行 後 .…HBVキャリアで 肝 障 害 度 B、Child-Pugh 分 類 B…(8 点 ).CT<br />

上 肝 左 葉 に 最 大 径 7cmの 腫 瘍 があり 下 大 静 脈 …(IVC)…からRA 内 および<br />

左 肝 内 胆 管 からCBD 内 にもTTを 認 めた. 人 工 心 肺 を 用 いた 肝 切 除 が<br />

必 要 と 考 えたが 胸 部 3D-CT 上 CABG 時 のグラフト1 本 が 胸 骨 直 下 を 走<br />

行 しており、 胸 骨 縦 切 開 はグラフト 損 傷 の 危 険 があるため 人 工 心 肺 は<br />

腋 窩 静 脈 …( 上 大 静 脈 )・ 大 腿 静 脈 …(IVC)…から 脱 血 し、 大 腿 動 脈 に 送 血<br />

することとした. 手 術 は 左 肝 管 を 分 岐 部 で 切 開 し、TTを 摘 出 . 肝 門<br />

部 で 中 肝 動 脈 ・ 左 肝 動 脈 を 切 離 し、 門 脈 左 枝 を 切 離 . 肝 の 支 持 間 膜 を<br />

切 離 後 、 左 右 の 下 大 静 脈 靱 帯 を 切 離 し、 右 下 肝 静 脈 を 含 む 全 ての 短 肝<br />

静 脈 を 切 離 . 正 中 で 横 隔 膜 を 自 動 縫 合 器 にて 切 離 、IVC・RAを 直 視<br />

下 においた. 両 葉 阻 血 下 に 肝 切 離 施 行 . 中 肝 静 脈 …(MHV)…は 温 存 とし、<br />

左 肝 管 にTT 認 めたためSpiegel 葉 は 切 除 とし、 背 側 肝 をIVC 腹 側 で 切<br />

離 . 人 工 心 肺 接 続 後 、 直 腸 温 / 血 液 温


P43-5 肝 内 静 脈 シャントを 認 めた 中 肝 静 脈 浸 潤 を 伴 う 肝 内 胆<br />

管 癌 の1 切 除 例<br />

株 式 会 社 日 立 製 作 所 日 立 総 合 病 院 外 科<br />

○… 酒 向 晃 弘 , 上 田 和 光 , 丸 山 常 彦<br />

左 葉 に 発 生 した 肝 内 胆 管 癌 の 中 肝 静 脈 浸 潤 症 例 は、これを 切 除 すると<br />

前 区 域 領 域 のうっ 血 を 来 すことがあり、 左 3 区 域 切 除 が 考 慮 される。<br />

今 回 、 我 々は、 中 肝 静 脈 浸 潤 を 伴 う 肝 内 胆 管 癌 に 対 して、 中 肝 静 脈 と<br />

右 肝 静 脈 のシャントを 肝 静 脈 造 影 により 確 認 でき、より 安 全 に 拡 大 肝<br />

左 葉 切 除 を 施 行 できたので 報 告 する。 症 例 は、76 歳 の 男 性 で、 高 血 圧<br />

で 通 院 中 に 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 指 摘 され、 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 にて 当<br />

院 外 科 に 紹 介 。CT, DIC-CTでは、 腫 瘍 は 左 葉 内 を 中 心 に 発 育 し、<br />

左 横 隔 膜 浸 潤 を 伴 い、No12pの 腫 大 を 認 めた。 左 肝 管 は 完 全 閉 塞 し 右<br />

肝 管 への 浸 潤 が 疑 われた。 左 肝 動 脈 は 腫 瘍 に 巻 き 込 まれ、 右 肝 動 脈 分<br />

岐 部 まで 達 していた。 左 門 脈 は 完 全 閉 塞 するも 合 流 部 までは 達 してい<br />

なかった。 左 肝 静 脈 はほぼ 閉 塞 し、 中 肝 静 脈 も 浸 潤 が 強 く 疑 われた。<br />

また、 肝 左 葉 は、 左 門 脈 、 左 肝 管 閉 塞 により、 萎 縮 していた。 以 上 よ<br />

り、 肝 内 胆 管 癌 、S3( 横 隔 膜 ),…Hinf3,…H0,…Ginf0,…Panc0,…Du0,…PV3,…A3,…<br />

P0,…N2(No12p),Stage4aと 術 前 診 断 した。ICG15 分 値 は、11%であり、<br />

T-Bil…1.8、Liver…Damage…A。 予 定 肝 切 除 量 は、 左 三 区 域 で58.9%、 拡<br />

大 肝 左 葉 で24.2%であった。 右 肝 静 脈 造 影 では、シャントから 中 肝 静<br />

脈 抹 消 が 明 瞭 に 描 出 された。 左 三 区 域 切 除 目 的 に、 前 区 域 門 脈 の 塞 栓<br />

術 も 考 慮 したが、 肝 内 シャントが 明 らかであり、 拡 大 肝 左 葉 切 除 の 方<br />

針 とした。 術 中 所 見 では、 左 側 横 隔 膜 への 浸 潤 があり、 合 併 切 除 した。<br />

IVCへは 腫 瘍 が 近 接 しているものの 外 膜 を 温 存 する 層 で 容 易 に 剥 離 可<br />

能 であったため、 左 中 肝 静 脈 のみの 切 離 とした。 胆 管 は 前 後 分 岐 で 切<br />

離 した。 残 肝 は、 明 らかなうっ 血 所 見 なく、 胆 道 再 建 し 手 術 を 終 えた<br />

( 手 術 時 間 :10 時 間 30 分 、 出 血 量 :1930g)。 術 後 は、 創 部 のSSIを 認<br />

めたが、 大 きな 合 併 症 なく 第 22 病 日 に 退 院 した。 腫 瘍 浸 潤 による 肝 内<br />

静 脈 シャントをきたした 稀 な 症 例 であり 若 干 の 文 献 的 考 察 とともに 報<br />

告 する。<br />

P43-6 下 大 静 脈 合 併 切 除 にて 根 治 切 除 が 可 能 であった 肝 内 胆<br />

管 癌 の1 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 分 野 II<br />

○… 溝 田 知 子 , 野 路 武 寛 , 山 吹 匠 , 高 橋 亮 , 村 上 慶 洋 ,<br />

海 老 原 裕 摩 , 加 藤 健 太 郎 , 松 本 譲 , 土 川 貴 裕 , 七 戸 俊 明 ,<br />

田 中 栄 一 , 平 野 聡<br />

【 緒 言 】 大 型 の 肝 内 胆 管 癌 (CCC)ではしばしば 下 大 静 脈 (IVC) 浸 潤 を<br />

伴 うが,その 切 除 に 際 しては 治 癒 切 除 の 可 能 性 を 含 めた 慎 重 な 症 例 選<br />

択 とIVC 再 建 に 関 する 術 式 の 十 分 なプランニングが 必 須 である. 今 回<br />

我 々は,IVC 合 併 切 除 再 建 を 併 施 して 根 治 切 除 が 可 能 であったCCCの<br />

1 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】60 歳 代 女 性 . 健 診 の 超 音 波 検 査<br />

にて 肝 に 腫 瘤 性 病 変 を 指 摘 された.CTでは, 八 つ 頭 状 を 呈 する 最 大<br />

径 60mmの 腫 瘍 が 肝 右 尾 状 葉 から 右 葉 前 後 区 域 にかけて 存 在 し, 門 脈<br />

右 枝 ・ 中 肝 静 脈 浸 潤 の 他 ,IVCに1/3~1/2 周 性 の 浸 潤 が 疑 われた.<br />

US 上 , 腫 瘍 に 接 するIVC 壁 に 肥 厚 像 を 認 め, 腫 瘍 のIVC 浸 潤 を 強 く 疑 っ<br />

た. 明 らかな 遠 隔 転 移 を 認 めず, 肝 拡 大 右 葉 ・ 尾 状 葉 切 除 , 中 肝 静 脈<br />

合 併 切 除 , 胆 管 切 除 , 門 脈 ・IVC 合 併 切 除 にて 根 治 的 切 除 が 可 能 であ<br />

ると 診 断 した.IVCの 合 併 切 除 は 最 大 でも1/2 周 であり, 左 腎 静 脈 グ<br />

ラフトによるパッチ 再 建 が 可 能 と 判 断 した. 手 術 は 左 大 腿 静 脈 から 左<br />

鎖 骨 下 静 脈 へのV-V…bypassを 準 備 し, 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 に 転 移 の<br />

ないことを 術 中 迅 速 診 断 で 確 認 後 , 切 除 に 臨 んだ. 膵 周 囲 , 肝 十 二 指<br />

腸 間 膜 を 肝 外 胆 管 とともに 郭 清 後 , 肝 実 質 切 除 を 開 始 し, 中 肝 静 脈 合<br />

併 切 除 しつつIVCに 至 ると 腫 瘍 はIVCの7~11 時 方 向 ( 約 1/3 周 性 )で 約<br />

4cmにわたり 高 度 に 癒 着 し, 浸 潤 と 判 断 した.IVCを 浸 潤 部 の 前 後 で<br />

完 全 遮 断 し, 約 1/3 周 性 に 切 除 した 後 , 左 腎 静 脈 グラフトを 用 いてパッ<br />

チ 再 建 した.IVC 頭 側 の 遮 断 は 左 肝 静 脈 流 入 部 の 尾 側 で 行 えたことか<br />

ら 血 行 動 態 の 不 安 定 化 はなく,V-V…bypassは 使 用 しなかった. 手 術<br />

時 間 は13 時 間 37 分 , 出 血 量 は2490mlであった. 術 後 に 重 篤 な 合 併 症<br />

はなく, 患 者 は 術 後 30 日 で 自 宅 退 院 した. 病 理 所 見 では…USでの 壁 肥<br />

厚 部 に 一 致 してCCCがIVC 壁 に 浸 潤 し, 一 部 で 壁 を 貫 通 して 内 腔 に 達<br />

する 像 が 認 められた. 患 者 は 術 後 9ヶ 月 を 経 過 した 現 在 , 無 再 発 生 存<br />

中 である.【 結 語 】IVC 合 併 切 除 例 に 対 するパッチ 再 建 は 周 到 な 準 備<br />

を 行 うことで 比 較 的 安 全 に 施 行 可 能 と 考 える.IVC 浸 潤 を 伴 う 高 度 進<br />

行 CCCでも 切 除 後 の 長 期 生 存 例 を 経 験 しており, 非 切 除 因 子 がない<br />

限 り 積 極 的 にIVC 合 併 切 除 を 伴 う 根 治 的 切 除 を 考 慮 すべきであると 考<br />

えられた.<br />

P43-7 下 大 静 脈 を 合 併 切 除 した 肝 内 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

1<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 外 科 、 2 茨 城 県 立 中 央 病 院 心 臓 外 科 、 3 茨<br />

城 県 立 中 央 病 院 病 理<br />

○… 栗 原 知 多 流 1<br />

, 阿 部 秀 樹 1<br />

, 永 井 秀 雄 1<br />

, 島 村 淳 一 1<br />

,<br />

秋 島 信 二 2<br />

, 斉 藤 仁 昭 3<br />

, 飯 島 達 夫 3 1<br />

, 吉 見 富 洋<br />

下 大 静 脈 を 合 併 切 除 した 肝 内 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例 肝 内 胆 管 癌 の 腫 瘤 形<br />

成 型 のうち 腺 扁 平 上 皮 癌 の 報 告 は 稀 である。 今 回 、 下 大 静 脈 を 合 併 切<br />

除 し、 肉 眼 的 根 治 切 除 しえたので 報 告 する。 症 例 は37 歳 男 性 で、3ヶ<br />

月 以 上 続 く、 乾 性 咳 嗽 および 体 重 減 少 (6kg/3ヶ 月 )を 主 訴 に 前 医 受 診<br />

した。CTで 巨 大 な 肝 腫 瘍 を 認 め、 腫 瘍 マーカーも 上 昇 しており、 肝<br />

癌 疑 いで 当 院 紹 介 受 診 となった。CTでは 肝 右 葉 後 区 域 を 主 体 として<br />

130mm×80mm×180mmの 内 部 が 低 吸 収 で 辺 縁 を 主 体 として 増 強 さ<br />

れる 腫 瘤 が 認 められた。 肝 部 下 大 静 脈 と 右 肝 静 脈 は 腫 瘍 によって 浸 潤<br />

されていた。また 腫 瘍 から 離 れたS8に8mmの 肝 内 転 移 を 認 め、 肝<br />

十 二 指 腸 間 膜 内 のリンパ 節 の 腫 大 を 認 めた。 右 副 腎 に 腫 瘍 の 直 接 浸 潤<br />

を 認 めた。 術 前 評 価 としては、Child-Pugh…A…(6 点 )、ICG 試 験 … 補 正<br />

R15…3%,…3%であり、 肝 機 能 は 良 好 で、 拡 大 右 肝 切 除 、 心 嚢 切 開 ・ 心<br />

嚢 内 下 大 静 脈 クランプ、 肝 上 部 ・ 肝 部 下 静 脈 合 併 切 除 、 右 副 腎 切 除 施<br />

行 した。POD8にCTで 総 腸 骨 静 脈 から 左 右 外 腸 骨 静 脈 に 下 肢 静 脈 血<br />

栓 を 認 めたためワーファリンの 内 服 を 開 始 した。 術 後 補 助 化 学 療 法 と<br />

してジェムザールを 投 与 した。 術 後 5ヶ 月 間 再 発 なく 経 過 している。<br />

下 大 静 脈 合 併 切 除 の 再 建 は 術 後 速 やかに 化 学 療 法 を 導 入 することを 意<br />

図 して、 行 わなかった。 腺 扁 平 上 皮 癌 の 予 後 は 腺 癌 に 比 べてより 不 良<br />

であった。<br />

P43-8 巨 大 副 腎 皮 質 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

JA 長 野 厚 生 連 北 信 総 合 病 院 外 科 、 2 諏 訪 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 藤 森 芳 郎 1<br />

, 梶 川 昌 二<br />

2<br />

症 例 は65 歳 、 男 性 。2011 年 3 月 に 胃 腸 炎 にて 近 医 を 受 診 した 際 に 右 上<br />

腹 部 に 小 児 頭 大 の 腫 瘤 を 指 摘 され、 当 院 紹 介 となった。 正 中 から 右 腹<br />

部 に 巨 大 な 弾 性 硬 の 腫 瘤 を 触 知 した。 両 下 腿 は 浮 腫 が 著 明 であった.<br />

血 液 検 査 では、 低 タンパク、 低 アルブミン 血 症 を 認 めたが、 腫 瘍 マー<br />

カー(CA19-9,CEA,AFP,PIVKA-2)は 正 常 であった。 腹 部 超 音 波 検 査<br />

では 多 胞 性 巨 大 肝 腫 瘤 を 認 めた。CT 検 査 では 肝 右 葉 全 体 を 占 める<br />

20cm 以 上 の 腫 瘤 を 認 め、 不 均 一 な 造 影 効 果 を 認 めた。MRI 検 査 では<br />

20×26cm 大 の 腫 瘤 で、 内 部 intensityは 不 均 一 で、 造 影 にて 不 均 一 に<br />

造 影 された。 壊 死 性 変 化 や 出 血 が 疑 われた。 腹 部 血 管 造 影 検 査 では 腫<br />

瘤 はhypervascularで、 門 脈 は 本 幹 で 閉 塞 を 認 めた。 側 副 路 を 介 して<br />

門 脈 左 枝 が 描 出 された。 下 大 静 脈 は 圧 排 、 狭 小 化 を 認 めた。FDG-<br />

PETでは 腫 瘤 に 一 致 して 糖 代 謝 の 亢 進 (SUV…Max:19.9)が 認 められた。<br />

以 上 より 肝 細 胞 癌 や 肉 腫 系 悪 性 腫 瘍 が 疑 われた。 一 方 大 腸 内 視 鏡 検 査<br />

にて 直 腸 RSに6×3cm 大 の1 型 、 高 分 化 管 状 腺 癌 の 合 併 を 認 めた。<br />

5 月 に 開 腹 術 を 行 った。 腫 瘤 は 後 腹 膜 ・ 肝 後 区 域 に 存 在 し 大 腸 、 十 二<br />

指 腸 を 腹 尾 側 に 圧 排 するように 存 在 した。 前 方 アプローチにて 肝 右 葉<br />

切 除 術 を 行 った。 門 脈 、 下 大 静 脈 に 浸 潤 はなく 剥 離 温 存 可 能 であった。<br />

術 中 出 血 量 7000g、 切 除 重 量 3.81kgであった。 術 後 経 過 は 順 調 で 第 11<br />

病 日 退 院 となった。<br />

病 理 診 断 では 副 腎 皮 質 癌 の 肝 臓 への 浸 潤 と 判 断 された。<br />

なお 直 腸 癌 は2 期 的 に 腹 腔 鏡 補 助 下 高 位 前 方 切 除 術 が7 月 に 行 われた。<br />

比 較 的 稀 な 巨 大 副 腎 皮 質 癌 の 切 除 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 え<br />

て 報 告 する。<br />

-396-


P43-9 VP4 肝 細 胞 癌 切 除 後 1 年 半 後 に 胃 癌 切 除 術 を 行 った 一<br />

例<br />

宇 部 興 産 中 央 病 院 外 科<br />

○… 平 木 桜 夫 , 河 岡 徹 , 松 隈 聰 , 原 田 俊 夫 , 福 田 進 太 朗<br />

症 例 は 現 在 77 歳 の 女 性 。15 年 前 よりHCV 陽 性 肝 炎 で 内 科 的 治 療 を 受<br />

けていた。6 年 前 に 肝 S2…HCCに 対 するRFA 治 療 、その 後 2009 年 春 頃<br />

より 血 中 PIVKA…II 値 の 漸 増 を 認 め、 内 科 的 治 療 を 継 続 されるも 徐 々<br />

に 増 悪 し、2010 年 1 月 に 当 科 紹 介 初 診 となった。 紹 介 時 、 画 像 所 見 上<br />

肝 外 側 区 域 を 中 心 に 不 整 形 腫 瘍 、 門 脈 臍 部 から 本 幹 及 び 右 枝 内 に 達 す<br />

る 腫 瘍 塞 栓 を 認 めた。2009 年 11 月 、2010 年 1 月 と 化 学 塞 栓 治 療 (TACE)<br />

が 行 われていた。 肝 機 能 は 良 好 で、かつ 肝 左 葉 は 萎 縮 傾 向 であった。<br />

切 除 可 能 と 考 え2010 年 2 月 に 手 術 を 行 った。Benz 切 開 で 開 腹 し 肝 左 葉<br />

切 除 術 を 行 った。 肝 十 二 指 腸 靭 帯 は 副 血 行 路 が 発 達 し 易 出 血 であった<br />

ため 胆 嚢 剥 離 後 、 肝 実 質 離 断 、 肝 静 脈 離 断 を 先 行 し 最 後 に 左 グリソン<br />

のみとした 状 態 で 門 脈 左 枝 を 露 出 し 切 開 後 、 門 脈 内 腫 瘍 を 可 及 的 に 摘<br />

出 した。TACEの 影 響 か 腫 瘍 栓 の 除 去 は 困 難 で、 特 に 門 脈 右 枝 からの<br />

逆 血 が 不 良 であったが 切 除 再 建 は 困 難 で 完 全 摘 出 は 断 念 した。 術 後 に<br />

繰 り 返 し 行 ったCTでは 門 脈 右 枝 内 に 陰 影 欠 損 を 認 めるものの 増 大 傾<br />

向 、 早 期 造 影 所 見 はなく、 残 肝 内 門 脈 血 流 は 良 好 であった。 術 後 経 過<br />

中 PIVKA…II 値 は 基 準 値 内 であった。2011 年 6 月 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査<br />

で 胃 角 小 湾 に0-IIc 型 胃 癌 が 発 見 された。 組 織 型 は 中 から 低 分 化 腺 癌 、<br />

sm 浸 潤 が 疑 われ 内 視 鏡 的 治 療 は 困 難 との 再 紹 介 であった。この 時 点<br />

で 肝 機 能 は 変 わらず 良 好 、 明 らかな 残 肝 再 発 病 変 は 認 めず、 肝 手 術 前<br />

から 存 在 する 脾 腫 、 脾 機 能 亢 進 による 汎 血 球 減 少 、RCsign 陽 性 のF3<br />

食 道 静 脈 瘤 が 存 在 した。 術 式 決 定 に 非 常 に 悩 んだが、 結 局 2011 年 8 月<br />

にD1の 胃 全 摘 、 脾 臓 摘 出 術 を 行 った。 病 理 診 断 は 中 分 化 腺 癌 、 深 達<br />

度 sm1、n0 治 癒 切 除 、 術 後 脾 静 脈 血 栓 を 認 めたものの 経 過 は 良 好 で 肝 、<br />

胃 病 変 共 に 明 らかな 再 発 を 認 めず 経 過 観 察 中 である。HCCの 門 脈 内<br />

腫 瘍 栓 の 完 全 摘 出 は 時 として 困 難 な 場 合 があり、 血 管 と 共 に 切 除 し 再<br />

建 すべしとの 報 告 もみられるが、 現 実 的 には 難 しいことも 多 い。ただ<br />

腫 瘍 栓 の 一 部 が 残 存 した 状 態 では 早 期 の 再 発 は 必 発 であり、かかる 状<br />

態 での 胃 癌 治 療 法 の 選 択 は 万 人 の 一 致 するところではないのかもしれ<br />

ない。 当 科 で 行 った 治 療 についてのご 批 判 を 仰 ぎたい。<br />

P44-1 末 梢 型 および 肝 門 浸 潤 型 肝 内 胆 管 癌 の 特 徴 と 予 後 の 相<br />

違<br />

宮 崎 大 学 医 学 部 腫 瘍 機 能 制 御 外 科<br />

○… 大 谷 和 広 , 千 々 岩 一 男 , 永 野 元 章 , 甲 斐 真 弘 , 矢 野 公 一 ,<br />

大 内 田 次 郎 , 今 村 直 哉 , 旭 吉 雅 秀 , 藤 井 義 郎 ,<br />

近 藤 千 博<br />

【 目 的 】 末 梢 型 および 肝 門 浸 潤 型 肝 内 胆 管 癌 において, 両 者 の 特 徴 や<br />

予 後 の 違 いを 明 らかにする.【 方 法 】 肝 内 胆 管 癌 切 除 34 例 を 末 梢 型 21<br />

例 および 肝 門 浸 潤 型 13 例 に 分 類 し, 臨 床 病 理 学 的 因 子 および 治 療 成 績<br />

を 比 較 した. 分 類 は 術 前 画 像 検 査 所 見 により 行 い, 末 梢 型 は 腫 瘍 が 肝<br />

内 に 限 局 しているもの, 肝 門 浸 潤 型 は 腫 瘍 が 左 右 肝 管 を 含 む 肝 外 胆 管<br />

へ 及 んでいるものと 定 義 した.【 結 果 】 末 梢 型 では 肝 炎 ウイルス 陽 性<br />

例 …(33%…vs.…8%,…p=0.0686)が 多 い 傾 向 にあり, 背 景 肝 における 肝 硬 変<br />

例 が 有 意 に 多 かった…(20%…vs.…0%,…p=0.0368). 肝 門 浸 潤 型 では 肝 内 結<br />

石 合 併 例 …(0%…vs.…31%,…p=0.0034), 黄 疸 例 …(0%…vs.…15%,…p=0.0442)が<br />

多 く, 術 前 のALP 値 …(281…IU/l…vs.…429…IU/l,…p=0.0361),CA19-9 値 …(35…<br />

U/ml…vs.…687…U/ml,…p=0.0203)が 有 意 に 高 値 であった. 腫 瘍 の 肉 眼 分<br />

類 は 末 梢 型 で 腫 瘤 形 成 型 が19 例 …(90%)と 大 部 分 を 占 めたのに 対 し,<br />

肝 門 浸 潤 型 では 腫 瘤 形 成 型 + 胆 管 浸 潤 型 が7 例 …(54%)と 多 かった. 術<br />

式 は, 末 梢 型 で, 区 域 以 下 切 除 …7 例 , 右 葉 切 除 …4 例 , 右 三 区 域 切 除 …1 例 ,<br />

左 葉 切 除 …9 例 , 肝 門 浸 潤 型 では 区 域 以 下 切 除 …1 例 ( 外 側 区 域 切 除 後 の<br />

内 側 区 域 切 除 ), 右 葉 切 除 …3 例 , 左 葉 切 除 …9 例 と,いずれも 葉 切 除 が<br />

中 心 で, 系 統 的 リンパ 節 廓 清 は 肝 門 浸 潤 型 で 多 く 行 われていた…(57%…<br />

vs.…85%,…p=0.0126). 治 癒 切 除 率 …(76%…vs.…67%,…p=0.2072)に 差 はな<br />

かった. 切 除 例 全 体 の5 年 全 生 存 率 は41%で 末 梢 型 …(49%)と 肝 門 浸 潤<br />

型 …(29%)の 間 に 差 はなかった…(p=0.6642). 多 変 量 解 析 による 独 立 予<br />

後 因 子 は 切 除 例 全 体 でリンパ 節 転 移 , 肝 内 転 移 , 術 前 CEA 値 , 末 梢<br />

型 ではリンパ 節 転 移 ,CEA 値 , 有 症 状 , 背 景 肝 の 肝 硬 変 , 肝 門 浸 潤<br />

型 でCEA 値 ,CA19-9 値 であった.5 年 無 再 発 生 存 率 は 切 除 例 全 体 で<br />

37%, 末 梢 型 56%, 肝 門 浸 潤 型 17%だが 有 意 差 はなかった…(p=0.0843).<br />

再 発 部 位 は 末 梢 型 で 肝 内 転 移 が80%と 優 位 で 肝 門 浸 潤 型 ではリンパ 節<br />

および 遠 隔 他 臓 器 …(45%)と 局 所 …(36%)が 優 位 であった.【 結 論 】 末 梢<br />

型 と 肝 門 浸 潤 型 では 臨 床 病 理 学 的 特 徴 や 予 後 因 子 に 若 干 の 違 いがあっ<br />

たが 生 存 率 には 差 はなかった. 両 者 間 で 再 発 形 式 が 異 なっており, 術<br />

後 経 過 観 察 において 留 意 すべきと 考 えられた.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P44-2 リンパ 節 転 移 陰 性 腫 瘤 形 成 型 肝 内 胆 管 癌 における 予 後<br />

因 子 の 検 討<br />

1<br />

大 阪 市 立 大 学 大 学 院 肝 胆 膵 外 科 、 2 石 切 生 喜 病 院 外 科<br />

1,2<br />

○… 上 西 崇 弘 , 竹 村 茂 一 1<br />

, 坂 田 親 治 1<br />

, 浦 田 順 久 1<br />

,<br />

大 畑 和 則 1<br />

, 金 田 和 久 1<br />

, 栄 政 之 1<br />

, 野 沢 彰 紀 1<br />

, 山 本 隆 嗣 2<br />

,<br />

1<br />

久 保 正 二<br />

【 背 景 】 腫 瘤 形 成 型 肝 内 胆 管 癌 (MF-ICC)はリンパ 節 転 移 が 認 められ<br />

なければ,その 切 除 成 績 は 比 較 的 良 好 である.…【 方 法 】1990 年 以 降 に<br />

根 治 切 除 が 施 行 されたMF-ICC…48 例 のうちリンパ 節 転 移 が 陰 性 であっ<br />

た61 例 を 対 象 として, 無 再 発 生 存 率 および 累 積 生 存 率 に 関 与 する 因 子<br />

を 検 討 した.【 成 績 】 肝 内 転 移 陽 性 13 例 の3 年 無 再 発 生 存 率 は17%であ<br />

り, 陰 性 48 例 の47%と 比 較 して 有 意 に 不 良 であった。また, 腫 瘍 径<br />

3cm 未 満 であった19 例 の3 年 無 再 発 生 存 率 は62%であり, 腫 瘍 径 3cm<br />

以 上 であった42 例 の32%に 比 して 有 意 に 良 好 であった. 多 変 量 解 析 で<br />

は 肝 内 転 移 陽 性 のみが 独 立 した 再 発 予 測 因 子 として 選 択 された.さら<br />

に 肝 内 転 移 陽 性 13 例 の3 年 累 積 生 存 率 は37%であり,5 年 以 上 生 存 例 は<br />

経 験 しておらず, 陰 性 48 例 の3 年 および5 年 累 積 生 存 率 の71%および<br />

47%と 比 較 して 有 意 に 不 良 であった。 単 変 量 解 析 では 肝 内 転 移 陽 性 以<br />

外 に 肝 漿 膜 浸 潤 陽 性 および 腫 瘍 径 3cm 以 上 の 症 例 で 有 意 に 累 積 生 存 率<br />

が 低 率 であったが, 多 変 量 解 析 では 肝 内 転 移 のみが 早 期 死 亡 の 独 立 予<br />

測 因 子 であった.【 結 語 】MF-ICCはリンパ 節 転 移 が 陰 性 であっても,<br />

肝 内 転 移 が 認 められれば,その 切 除 成 績 は 極 めて 不 良 あった. 肝 内 転<br />

移 陽 性 例 では 標 準 的 な 術 後 化 学 療 法 の 確 立 が 必 要 と 考 えられた.<br />

P44-3 腫 瘤 形 成 型 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 切 除 成 績 の 検 討<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 山 田 晃 正 , 後 藤 邦 仁 , 五 十 嵐 佑 子 , 富 原 英 生 , 橘 高 弘 忠 ,<br />

高 橋 秀 典 , 大 東 弘 明 , 石 川 治<br />

【 緒 言 / 目 的 】 腫 瘤 形 成 型 肝 内 胆 管 癌 (MF-ICC)に 対 する 治 療 は、 肝<br />

切 除 +リンパ 節 郭 清 が 第 一 選 択 とされているが、 新 規 抗 癌 剤 の 導 入 で<br />

保 存 的 治 療 成 績 も 向 上 しつつあり、 今 までの 治 療 戦 略 を 見 直 すべき 時<br />

期 にさしかかっている。 今 回 は 切 除 例 の 治 療 成 績 から、 今 後 の 方 向 性<br />

を 見 出 すことを 目 的 とした。【 対 象 / 方 法 】2011 年 末 までに 肝 切 除 が 施<br />

行 され、 組 織 学 的 にMF-ICC( 混 合 型 / 細 胆 管 細 胞 癌 を 除 く)とconfirm<br />

された100 例 ( 平 均 62.7 歳 , 男 / 女 =71/29, 根 治 切 除 / 姑 息 切 除 =81/19)を 対<br />

象 とし、リンパ 節 転 移 (LN) 別 の 治 療 成 績 と、 術 後 補 助 療 法 の 効 果 に<br />

ついて 検 討 を 行 った。【 結 果 / 考 察 】 根 治 切 除 例 の1/3/5 年 累 積 生 存 率<br />

は84/51/43%であり、 姑 息 切 除 例 (47/11/0%)に 比 し 予 後 良 好 であった。<br />

根 治 切 除 例 中 LN(-) 例 (N=64)の5 年 OS/DFSは56/57%で 比 較 的 良 好<br />

あったが、LN(+) 例 (N=17)では 全 例 3 年 以 内 に 再 発 をきたし、 再 肝 切<br />

除 を 行 い 得 た1 例 を 除 き 全 例 3 年 以 内 に 原 病 死 した。LN(-) 例 の 再 発 部<br />

位 は62%(16/26)が 肝 内 のみであるのに 対 し、LN(+) 例 は88%(14/16)<br />

が 肝 外 再 発 を 伴 っていた。LN(-) 例 に 対 する 術 後 補 助 療 法 別 には、 肝<br />

動 注 例 (5Fu,N=12)と 全 身 化 学 療 法 例 (GEM,N=8)の3 年 DFSが 各 々<br />

83/82%で、 切 除 単 独 例 (50%,N=44)に 比 し 有 意 に 良 好 であった。 一 方 、<br />

LN(+) 例 ではリンパ 節 転 移 個 数 別 ( 単 発 / 複 数 )/ 転 移 部 位 別 ( 近 傍<br />

[12+8 番 ]/ 遠 隔 [16 番 ])で 生 存 率 に 大 きな 差 を 認 めなかった。LN(+)<br />

例 に 対 する 術 後 補 助 療 法 別 の1 年 DFSは 切 除 単 独 (N=10)/ 肝 動 注<br />

(N=3)/ 全 身 化 学 療 法 (GEM,N=4)=33/33/25%でほぼ 同 等 であった。<br />

一 方 、1 年 OSは60/33/75% で 全 身 化 学 療 法 に よ り 若 干 のsurvival…<br />

benefitが 得 られる 可 能 性 は 示 唆 されるものの、 局 所 進 行 の 非 切 除 全<br />

身 化 学 療 法 施 行 例 (N=23)の1 年 OS(51%)と 同 等 であった。【 結 語 】 新<br />

規 抗 癌 剤 の 登 場 により、LN(-) 例 では 肝 動 注 / 全 身 化 学 療 法 による 再<br />

発 予 防 の 可 能 性 が 示 唆 されたが、systemic…diseaseとして 扱 うべきLN<br />

(+) 例 に 対 しては、 肝 切 除 の 意 義 は 極 めて 限 定 的 と 言 わざるを 得 ない。<br />

MF-ICCの 治 療 戦 略 上 、リンパ 節 転 移 状 況 の 正 確 な 把 握 、 術 前 化 療 に<br />

よる 切 除 適 応 症 例 の 選 別 、 更 に 強 力 な 全 身 化 療 の 開 発 等 が 今 後 の 課 題<br />

と 思 われた。<br />

-397-


P44-4 肝 内 胆 管 癌 の 切 除 成 績 と 所 属 リンパ 節 郭 清 意 義 につい<br />

ての 検 討<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 消 化 器 外 科 学 分 野 II<br />

○… 村 上 慶 洋 , 平 野 聡 , 田 中 栄 一 , 七 戸 俊 明 , 土 川 貴 裕 ,<br />

松 本 譲 , 加 藤 健 太 郎 , 野 路 武 寛 , 海 老 原 裕 麿 , 高 橋 亮 ,<br />

山 吹 匠 , 寺 村 紘 一 , 那 須 裕 也 , 楢 崎 肇 , 岡 村 国 茂<br />

【 緒 言 】 癌 取 扱 い 規 約 では 肝 内 胆 管 癌 における 所 属 リンパ 節 転 移 と 大<br />

動 脈 周 囲 リンパ 節 ( 以 下 PAN) 転 移 はいずれも 遠 隔 転 移 とみなされて<br />

いる。 当 科 では 所 属 リンパ 節 転 移 陽 性 例 でもPAN 陽 性 でなければ 郭<br />

清 を 伴 う 切 除 の 意 義 があるものと 考 え、 肝 転 移 、 腹 膜 播 種 、PAN 陽<br />

性 でないものを 根 治 手 術 の 適 応 としてきた。【 対 象 と 方 法 】1998 年 9 月<br />

~2009 年 10 月 に 根 治 手 術 を 施 行 した 肝 内 胆 管 癌 48 例 を 対 象 とした。 術<br />

中 16b1 領 域 の 徹 底 したサンプリングを 行 い、 迅 速 組 織 診 で 転 移 陰 性<br />

を 確 認 した 後 、 根 治 切 除 を 行 った。これらの 症 例 の 患 者 因 子 、 手 術 /<br />

治 療 因 子 、 腫 瘍 因 子 と 長 期 予 後 の 関 連 について 生 存 解 析 を 行 った。【 結<br />

果 】 根 治 切 除 を 施 行 した48 例 の3 生 および5 生 存 率 はそれぞれ53%,<br />

32%, 生 存 期 間 中 央 値 (MST)は38ヶ 月 であった。R0 切 除 を 目 的 とし<br />

て 肝 動 脈 合 併 切 除 を5 例 (17%)、 肝 静 脈 合 併 切 除 を8 例 (17%)、 門 脈 合<br />

併 切 除 を8 例 (17%)、 胆 管 切 除 を38 例 (79%)に 施 行 し、41 例 (85%)に<br />

R0 手 術 を 施 行 した。 多 変 量 解 析 では 術 中 輸 血 の 有 無 が 独 立 した 予 後<br />

規 定 因 子 として 抽 出 されたが、 所 属 リンパ 節 転 移 の 有 無 は 予 後 規 定 因<br />

子 とはならなかった。【 結 語 】 肝 内 胆 管 癌 においてはPAN 陰 性 であれば、<br />

所 属 リンパ 節 転 移 が 陽 性 であってもその 郭 清 を 含 めた 癌 遺 残 のない 積<br />

極 的 な 切 除 を 行 う 意 義 があるものと 考 えられた。<br />

P44-5 肝 内 胆 管 癌 切 除 例 の 予 後 因 子 の 検 討<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 山 本 有 祐 , 生 駒 久 視 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 , 塩 崎 敦 ,<br />

栗 生 宜 明 , 落 合 登 志 哉 , 大 辻 英 吾<br />

【はじめに】 近 年 、 肝 内 胆 管 癌 に 対 する 手 術 成 績 は 向 上 しているもの<br />

の、 必 ずしも 満 足 できる 成 績 ではない。 当 院 での 肝 内 胆 管 癌 切 除 例 に<br />

対 する 予 後 因 子 を 解 析 し 治 療 戦 略 を 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】1995 年<br />

~2009 年 に 当 院 で 肝 内 胆 管 癌 に 対 し 手 術 を 施 行 し 肉 眼 的 治 癒 切 除 の 得<br />

られた41 例 を 対 象 とした。 背 景 因 子 ( 年 齢 、 性 別 )、 術 前 因 子 ( 術 前 腫<br />

瘍 マーカー 値 、 肝 炎 ウイルスマーカー)、 手 術 因 子 ( 肝 外 胆 管 切 除 の 有<br />

無 、リンパ 節 郭 清 の 有 無 )、 病 理 学 的 因 子 ( 肉 眼 型 、 分 化 度 、 腫 瘍 径 、<br />

発 育 様 式 、 漿 膜 浸 潤 、 血 管 侵 襲 、 胆 管 侵 襲 、 切 除 断 端 、リンパ 節 転 移 、<br />

肝 内 転 移 、 肝 硬 変 の 有 無 )について 予 後 との 関 連 を 検 討 した。 全 生 存<br />

率 の 算 出 はKaplan-Meier 法 、 比 較 はlog…rank…test、 多 変 量 解 析 はCox<br />

比 例 ハザードモデルを 使 用 した。【 結 果 】 腫 瘤 形 成 (MF) 型 が26 例 、<br />

腫 瘤 形 成 + 胆 管 周 囲 浸 潤 (MF+PI) 型 が13 例 、 胆 管 周 囲 浸 潤 (PI) 型 が1 例 、<br />

胆 管 内 発 育 (IG) 型 が1 例 であった。13 例 でHCV 抗 体 陽 性 であり、6 例<br />

は 硬 変 肝 であった。21 例 に 肝 外 胆 管 切 除 を 施 行 し、30 例 にリンパ 節 郭<br />

清 を 併 施 した。5 年 生 存 率 は39.5%、 生 存 期 間 中 央 値 は51.2か 月 であった。<br />

多 変 量 解 析 ではMF+PI 型 (p=0.001)、 腫 瘍 径 60mm 以 上 (p=0.021)、<br />

HCV 抗 体 陽 性 (p=0.038)が 独 立 した 予 後 規 定 因 子 であった。【 考 察 】<br />

MF+PI 型 、 腫 瘍 径 60mm 以 上 、HCV 抗 体 陽 性 例 は 切 除 だけでは 長 期<br />

生 存 を 期 待 できない 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

P44-6 当 院 における 肝 内 胆 管 癌 の 治 療 成 績 および 予 後 因 子 の<br />

検 討<br />

1<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 肝 移 植 外 科 、 2 横 浜 市 大 附 属 市 民 総 合 医<br />

療 センター 消 化 器 病 センター 外 科<br />

○… 平 谷 清 吾 1<br />

, 松 山 隆 生 1<br />

, 谷 口 浩 一 1<br />

, 森 隆 太 郎 1<br />

,<br />

野 尻 和 典 1<br />

, 熊 本 宜 文 1<br />

, 武 田 和 永 1<br />

, 上 田 倫 夫 2<br />

,<br />

杉 田 光 隆 2<br />

, 田 中 邦 也 1 1<br />

, 遠 藤 格<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 肝 内 胆 管 癌 の 最 も 有 効 な 治 療 法 は 外 科 切 除 であるが,<br />

発 見 時 には 進 行 例 が 多 く, 外 科 切 除 成 績 は 依 然 不 良 である. 当 院 で 経 験<br />

した 肝 内 胆 管 癌 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 因 子 を 検 討 し 治 療 方 針 を 検 討 す<br />

る.【 対 象 と 方 法 】1992 年 4 月 から2011 年 12 月 までに 当 科 で 経 験 した 肝<br />

内 胆 管 癌 129 例 中 , 切 除 75 例 ,そのうち 胆 管 内 発 育 型 …(IG)… 症 例 , 在 院 死 亡<br />

症 例 , 腹 膜 播 種 症 例 , 遠 隔 転 移 症 例 を 除 いた60 例 を 対 象 とし, 臨 床 病 理 学<br />

的 因 子 を 用 いて 単 変 量 , 多 変 量 解 析 による 予 後 因 子 解 析 を 行 った.【 結<br />

果 】 対 象 の 肉 眼 型 分 類 は 腫 瘤 形 成 型 …(MF)…32 例 , 腫 瘤 形 成 型 + 胆 管 浸<br />

潤 型 …(MF+PI)…22 例 , 胆 管 浸 潤 型 (PI)6 例 であった.リンパ 節 転 移 を24 例<br />

(40%)に 認 めた. 全 症 例 の5 年 生 存 率 は39.6%で 生 存 期 間 中 央 値 ( 以 下<br />

MST)は…36.5ヶ 月 であった. 肉 眼 型 別 の3 年 生 存 率 は 腫 瘤 形 成 型 (MF)<br />

で64.8%, 腫 瘤 形 成 型 + 胆 管 浸 潤 型 (MF+PI)で38.6%, 胆 管 浸 潤 型 (PI)で<br />

0%であった. 単 変 量 解 析 では, 肝 門 浸 潤 の 有 無 (5 生 率 : 肝 門 浸 潤 (+)<br />

=8.4%, 肝 門 浸 潤 …( - )=51.4%,P=0.005), 癌 の 存 在 範 囲 (Hr)(5 生 率 :<br />

Hr4=0%,Hr3 以 下 =43.7%,P


P45-2 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 治 療 成 績<br />

近 畿 大 学 医 学 部 付 属 病 院 外 科<br />

○… 石 川 原 , 中 多 靖 幸 , 山 崎 満 夫 , 安 田 武 生 , 中 居 卓 也 ,<br />

竹 山 宜 典<br />

腹 腔 鏡 下 手 術 は 低 侵 襲 手 術 とされ、 術 後 の 管 理 や 入 院 日 数 の 短 縮 など<br />

開 腹 手 術 に 比 べ 優 位 な 点 は 多 い。 肝 臓 手 術 は 出 血 のコントロールなど<br />

特 殊 性 が 高 い 手 術 であることから、 安 全 性 を 確 保 することは 他 臓 器 の<br />

手 術 と 比 べて 重 要 な 要 素 であり、 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 通 常 の 手 術 と 言<br />

えるに 至 っていない。また、 肝 臓 は 実 質 臓 器 であることから、 切 除 標<br />

本 を 取 り 出 すときにそれ 相 応 の 切 開 を 加 える 必 要 がある。 肝 臓 の 腹 腔<br />

鏡 手 術 には、ポート 操 作 のみで 行 うもの、 片 手 を 腹 腔 内 に 入 れて 補 助<br />

するのも、 腹 腔 鏡 操 作 をした 後 に 開 腹 し 創 を 最 小 限 にするものなどが<br />

含 まれている。 新 しいデバイスが 登 場 するようになり、ポート 操 作 の<br />

みで 手 術 を 行 うことが 容 易 になってきた。しかし、 完 全 腹 腔 鏡 手 術 を<br />

目 指 す 必 要 性 は 十 分 に 検 討 されていない。 完 全 腹 腔 鏡 手 術 の 優 位 性 を<br />

中 心 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 について 検 討 する。 過 去 五 年 に 腹 腔 鏡 を 用 い<br />

た 肝 切 除 は52 例 であった。その 内 手 術 中 に 肝 切 以 外 の 処 置 をしていな<br />

い41 例 を 対 称 に 検 討 した。 完 全 腹 腔 鏡 手 術 11 例 ( 手 が 入 らない 手 術 創<br />

部 は5cm 以 下 )、HALS 下 手 術 23 例 ( 片 手 のみを 入 れる 手 術 創 は7cm)、<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 手 術 8 例 (7cm 以 上 で 気 腹 をせずに 肝 切 したもの)に 分 け<br />

て、その 手 術 成 績 を 比 較 検 討 した。それぞれの 選 択 は 術 者 にゆだねら<br />

れ、 手 術 中 に 術 式 を 変 更 したものもある。 手 術 の 結 果 としての 検 討 項<br />

目 は、 手 術 時 間 ・ 出 血 ・ 輸 血 の 有 無 ・ 第 1 病 日 CRP・ 術 後 在 院 日 数 ・<br />

合 併 症 の 有 無 を 上 げた。 完 全 腹 腔 鏡 で 行 った 手 術 は 第 1 病 日 CRPが 低<br />

い 傾 向 にあった。CRPは 手 術 侵 襲 の 評 価 項 目 として 報 告 されており、<br />

完 全 腹 腔 鏡 で 行 うことが 侵 襲 を 軽 減 している 可 能 性 がある。しかし、<br />

他 の 項 目 に 有 意 差 を 認 めないことから、 今 回 の 検 討 ではその 優 位 性 は<br />

不 確 定 である。 今 後 、 更 に 症 例 を 積 み 重 ねた 上 でより 詳 細 な 検 討 が 必<br />

要 と 思 われた。<br />

P45-3 これまで 経 験 した 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 術 の 治 療 成 績<br />

と 合 併 症<br />

JA 広 島 総 合 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 大 下 彰 彦 , 佐 々 木 秀 , 中 光 篤 志 , 山 口 拓 朗 , 垰 越 宏 幸 ,<br />

藤 解 邦 生 , 中 村 浩 之 , 加 納 幹 浩 , 香 山 茂 平 , 今 村 祐 司 ,<br />

福 田 康 彦<br />

【はじめに】2010 年 4 月 より 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 一 部 保 険 収 載 され、<br />

機 器 の 進 歩 や 手 技 の 工 夫 などにより 急 速 に 拡 大 傾 向 にある。これまで<br />

に17 症 例 経 験 したので、その 治 療 成 績 と 合 併 症 について 報 告 する。【 対<br />

象 と 方 法 】2007 年 3 月 から2011 年 12 月 までに 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 に 肝 切 除<br />

を 施 行 した17 例 。 前 任 の 広 島 大 学 病 院 で15 例 、 当 院 で2 例 経 験 し、そ<br />

の 術 式 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 在 院 日 数 、 合 併 症 などについて 検 討 した。<br />

【 結 果 】 患 者 は 平 均 62.5 歳 、 男 性 8 例 、 女 性 9 例 。 原 疾 患 は、 肝 細 胞 癌<br />

11 例 、 転 移 性 肝 腫 瘍 4 例 、 良 性 肝 腫 瘍 2 例 であった。 肝 切 除 術 式 は、 部<br />

分 切 除 11 例 、 外 側 区 域 切 除 6 例 で、 部 分 切 除 の2 例 を 完 全 腹 腔 鏡 下 (1 例<br />

はSingle-incision…laparoscopic…surgery)で 行 った。 腫 瘍 占 拠 部 位 はS2<br />

からS8まで 様 々で、 従 来 腹 腔 鏡 下 手 術 が 困 難 と 思 われていたS7、S8、<br />

S4aの 症 例 は4 例 であった。 術 前 の 肝 障 害 度 はAが13 例 、Bが4 例 で、<br />

ICG-R15の 平 均 は11.1%であった。また、 中 下 腹 部 に 開 腹 の 既 往 があっ<br />

たのは8 例 であった。 平 均 手 術 時 間 は276 分 、 出 血 量 は156ml、 術 後 在<br />

院 日 数 は8.1 日 であった。 切 除 標 本 の 平 均 腫 瘍 径 は21.2mm、surgical…<br />

margin…11.9mm、 肝 切 除 重 量 は105gであった。 術 後 合 併 症 を2 例 ( 難<br />

治 性 腹 水 1 例 、 胆 汁 漏 1 例 )に 認 めた。 胆 汁 漏 合 併 症 例 は、 深 部 の<br />

Glissonを 前 凝 固 の 後 LCSで 処 理 したことが 原 因 と 考 えられた。それ<br />

以 降 の 症 例 では、 深 部 のGlissonに 対 して 開 腹 下 と 同 様 の 結 紮 もしく<br />

はHem-o-lockで 処 理 することにより 胆 汁 漏 を 認 めていない。【 結 語 】<br />

これまでの 経 験 より、 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 術 は 安 全 に 施 行 可 能 と 考<br />

えられた。 速 やかな 社 会 復 帰 などメリットも 多 く、 手 技 の 改 善 により<br />

合 併 症 の 少 ない 有 用 な 術 式 と 考 える。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P45-4 当 院 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 導 入<br />

福 井 県 立 病 院 外 科<br />

○… 前 田 一 也 , 西 田 洋 児<br />

(はじめに) 近 年 , 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 施 行 する 施 設 が 徐 々に 増 えつつあ<br />

る. 当 院 でも 肝 疾 患 に 対 する 低 侵 襲 治 療 として 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 導 入<br />

したので,その 適 応 , 手 技 に 関 して 報 告 する.( 適 応 ) 本 術 式 の 導 入 に<br />

あたり, 安 全 性 を 最 優 先 とし 適 応 を 以 下 に 限 定 して 行 っている. 当 院<br />

での 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 適 応 は 腫 瘍 径 が5cm 以 下 で, 腫 瘍 の 局 在 が 肝 の<br />

辺 縁 , 肝 表 面 ,または 外 側 区 域 , 肝 予 備 能 良 好 例 としている.また 術<br />

式 は, 左 葉 系 に 対 してはCUSA,バイポーラを 使 用 しながら 完 全 鏡 視<br />

下 に 行 っている. 右 葉 系 に 対 しては 腹 腔 鏡 下 に 肝 授 動 を 行 い, 肝 切 除<br />

は 小 開 腹 下 に 行 う 方 法 を 標 準 として 行 っている.( 成 績 )2010 年 12 月 か<br />

ら 現 在 までに7 例 ( 完 全 腹 腔 鏡 下 4 例 , 腹 腔 鏡 補 助 下 3 例 )に 施 行 した.<br />

症 例 内 訳 は, 男 性 3 例 , 女 性 4 例 で 平 均 年 齢 64 歳 であった. 腫 瘍 側 因 子<br />

としては, 原 発 性 肝 癌 が3 例 , 転 移 性 肝 癌 が4 例 で, 部 位 はS2/3が4 例 ,<br />

S4/8が2 例 ,S6が1 例 であった. 平 均 手 術 時 間 は205±50 分 , 平 均 出 血<br />

量 は190±67mL, 術 後 平 均 在 院 日 数 は9±3.4 日 で, 現 在 まで 術 中 , 術<br />

後 に 大 きな 合 併 症 はなく 安 全 に 施 行 できている.( 結 語 ) 当 院 では 現 在<br />

のところ 適 応 を 限 定 した 範 囲 で 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 施 行 している. 少 な<br />

くとも 手 術 創 を 縮 小 して 侵 襲 を 小 さくするという 面 では 有 用 であった<br />

と 考 えている.また 症 例 によっては, 従 来 の 開 腹 手 術 と 比 較 して, 鏡<br />

視 下 , 気 腹 下 での 手 術 操 作 にメリットがあると 実 感 できている. 今 後<br />

は 腹 腔 鏡 補 助 下 と 併 せて 完 全 鏡 視 下 の 肝 切 除 についても 適 応 を 拡 げて<br />

いきたいと 考 えている.<br />

P45-5 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 手 技 と 成 績<br />

埼 玉 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 小 倉 俊 郎 , 岸 真 也 , 網 倉 克 己 , 坂 本 裕 彦<br />

【 背 景 】 近 年 、 内 視 鏡 技 術 の 進 歩 や 各 種 デバイスの 発 展 により、 肝 腫<br />

瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 手 術 が 増 加 傾 向 にある。 当 院 においても2009 年 か<br />

ら 本 格 的 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 導 入 しており、その 基 本 術 式 と 成 績 に<br />

ついて 述 べる。【 対 象 と 方 法 】2009 年 2 月 から2011 年 9 月 までに 経 験 し<br />

た 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 12 例 について 検 討 した。【 手 術 手 技 】 肝 切 除 につい<br />

ては 全 例 、 完 全 腹 腔 鏡 下 に 部 分 切 除 を 行 った。 腫 瘍 が 主 に 右 葉 に 位 置<br />

する 場 合 は 左 半 側 臥 位 とし、 主 に 左 葉 に 位 置 する 場 合 は 仰 臥 位 とした。<br />

3~5ポートを 用 いて 手 術 操 作 を 施 行 。 術 中 超 音 波 にて 病 変 を 確 認 し<br />

マーキング、 授 動 は 必 要 に 応 じて 施 行 した。Pringle 法 は 行 わずに<br />

Energy…device(EnsealまたはHarmonicなど)を 用 いて 肝 切 離 を 施 行 し<br />

た。【 結 果 】 原 疾 患 は 肝 細 胞 癌 が6 例 、 原 発 を 大 腸 癌 とする 転 移 性 肝 腫<br />

瘍 が6 例 であった。 転 移 性 肝 腫 瘍 のうち、 同 時 性 が3 例 、 異 時 性 が3 例<br />

であり、 同 時 性 の 症 例 はすべて 一 期 的 切 除 を 行 い、 同 時 性 大 腸 病 変 に<br />

対 しては1 例 を 腹 腔 鏡 下 、2 例 を 開 腹 で 施 行 。 平 均 年 齢 :61.9 歳 (30-77 歳 )、<br />

男 女 比 …8:4、 平 均 腫 瘍 数 :1.2 個 (1-2 個 )、 平 均 腫 瘍 径 :1.9cm(0.5-4.4cm)、<br />

平 均 手 術 時 間 :152 分 (60-355 分 )、surgical…marginは12 例 中 1 例 で 病 理<br />

学 的 にpositive 疑 いで 他 はnegative、 平 均 出 血 量 :173ml(1-713ml)、<br />

術 後 平 均 在 院 日 数 :10.8 日 (6-18 日 )であった。 術 後 合 併 症 は 全 症 例 に<br />

おいて 認 めなかった。【 考 察 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 により 手 術 侵 襲 の 軽 減<br />

が 図 られ、 合 併 症 なく 在 院 日 数 の 短 縮 が 可 能 となった。 腹 腔 鏡 手 術 の<br />

導 入 にあたってはまず、アプローチが 容 易 である 肝 表 の 小 病 変 を 対 象<br />

とすることで 安 全 に 施 行 することが 可 能 であり、 以 後 の 適 応 拡 大 へと<br />

つながると 考 えられる。<br />

-399-


P45-6 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

群 馬 大 学 臓 器 病 態 外 科<br />

○… 須 納 瀬 豊 , 平 井 圭 太 郎 , 宮 前 洋 平 , 吉 成 大 介 , 戸 塚 統 ,<br />

戸 谷 裕 之 , 小 川 博 臣 , 塚 越 浩 志 , 高 橋 憲 史 , 田 中 和 美 ,<br />

竹 吉 泉<br />

当 科 では 岩 手 医 科 大 学 の 方 法 にならい2010 年 より 腹 腔 鏡<br />

下 肝 切 除 を 導 入 した。 限 られた 症 例 数 はであるが、 現 時 点 での 短 期 成<br />

績 を 報 告 する。< 対 象 と 方 法 > 当 院 では 導 入 の 初 期 には 腹 腔 鏡 補 助 下<br />

肝 切 除 を、10 例 以 降 は 症 例 により 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 導 入 した。 適<br />

応 は( 主 に 補 助 下 )10cm 以 下 で 複 雑 な 脈 管 の 再 建 および 広 汎 なリンパ<br />

節 郭 清 を 必 要 としないものとした。 対 象 疾 患 は 肝 細 胞 癌 …9 例 、 胆 管 細<br />

胞 癌 …2 例 、 転 移 性 肝 癌 5 例 、その 他 の 腫 瘍 4 例 であった。 術 式 は 肝 葉 切<br />

除 + 胆 管 切 除 が2 例 、 肝 葉 切 除 が2 例 、 肝 区 域 ・ 亜 区 域 切 除 が8 例 、 肝<br />

部 分 切 除 が8 例 であった。そのうち、 腹 腔 鏡 下 に 肝 臓 の 脱 転 ・ 受 動 を<br />

行 い、 肝 切 除 は7~11cmの 小 切 開 創 から 行 う 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切 除 が13<br />

例 で、 腹 腔 鏡 下 に 肝 臓 の 脱 転 ・ 受 動 を 行 い、そのまま 肝 切 除 を 行 う 完<br />

全 腹 腔 下 肝 切 除 が7 例 であった。 手 術 時 間 は 平 均 6 時 間 6 分 、 平 均 出 血<br />

量 は678g、RCC 輸 血 は1 例 に 要 したが、おおむね 開 腹 手 術 と 変 わらな<br />

いデーターであった。 術 後 合 併 症 は 胆 汁 ろうを1 例 、 遷 延 性 黄 疸 を1 例 、<br />

誤 嚥 性 肺 炎 を1 例 に 認 めたが、 他 に 重 篤 な 合 併 症 はなかった。 点 滴 を<br />

要 した 日 数 は 平 均 7 日 、 平 均 在 院 日 数 は 術 後 12 日 で、ともに 開 腹 手 術<br />

より 短 い 傾 向 にあった。また、 原 則 的 に 硬 膜 外 カテーテルを 留 置 した<br />

が、 追 加 投 与 したモルヒネの 量 もそれ 以 前 に 行 った 開 腹 手 術 症 例 より<br />

少 ない 傾 向 であった。 手 術 手 技 としては、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切 除 は 臍 部<br />

カメラポートを 含 め4ポート、 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 は5ポートとし、 右<br />

葉 系 の 切 除 は 左 半 側 臥 位 、 左 葉 系 の 切 除 は 仰 臥 位 とした。 肝 周 囲 間 膜<br />

を 切 離 して、プリングルは 耐 圧 チューブをエンサークルしてポート 脇<br />

から 体 外 に 導 出 ・ 牽 引 した。 原 則 ラジオ 波 前 凝 固 を 行 い、 肝 切 離 には<br />

CUSAを、 凝 固 止 血 にはsoft 凝 固 モードでモノポーラー 止 血 装 置 を 用<br />

いた。 脈 管 の 切 離 には 随 時 、 器 械 縫 合 器 を 用 いた。 標 本 の 摘 出 は、 腹<br />

腔 鏡 補 助 下 手 術 では 正 中 もしくは 右 肋 弓 下 の 小 開 腹 創 を、 完 全 腹 腔 鏡<br />

下 切 除 は 原 則 的 に 臍 部 の 創 を 延 長 して 摘 出 した。 腹 腔 鏡 下<br />

肝 切 除 は、おおむね 許 容 される 手 技 と 考 えられた。しかし、 当 科 では<br />

経 験 症 例 が 少 なく、 安 全 性 や 有 効 性 の 評 価 にはさらなる 検 討 が 必 要 と<br />

思 われる。<br />

P45-7 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 現 況 と 工 夫<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 石 崎 守 彦 , 海 堀 昌 樹 , 松 井 康 輔 , 中 竹 利 知 , 松 島 英 之 ,<br />

坂 口 達 馬 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 当 院 で 施 行 した 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 例 の 現 況 、 特 に 肝 硬 変 症 例 、<br />

他 臓 器 癌 同 時 切 除 症 例 、 再 肝 切 除 症 例 などへの 取 り 組 みについての 報<br />

告 、ならびに 肝 硬 変 症 例 についての 開 腹 例 と 鏡 視 下 例 との 比 較 検 討 を<br />

行 った。【 方 法 】2002 年 から2011 年 11 月 までに 施 行 した 腹 腔 鏡 下 肝 切<br />

除 23 例 について 検 討 した。 高 度 肝 硬 変 合 併 症 例 、 大 腸 癌 同 時 切 除 症 例 、<br />

再 肝 切 除 症 例 等 についてビデオ 供 覧 する。また 同 時 期 に 施 行 し 根 治 切<br />

除 の 得 られたICG-R15 値 35% 以 上 の 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 肝 切 除 例 の 開<br />

腹 と 鏡 視 下 手 術 との 臨 床 背 景 因 子 および 短 期 成 績 について 比 較 検 討 を<br />

行 った。【 結 果 】 全 23 例 の 背 景 因 子 は 男 女 比 17:6、 平 均 年 齢 68.6±<br />

16.3( 中 央 値 70.0) 歳 、ICG-R15は 平 均 値 22.8±13.9( 中 央 値 168、 最 大 値<br />

51.8)と 比 較 的 高 値 、 対 象 は 転 移 性 肝 癌 が2 例 、 肝 細 胞 癌 が21 例 、うち<br />

2 例 が 再 肝 切 除 例 であった。 平 均 腫 瘍 径 2.4±1.0(2.0)cm、 平 均 腫 瘍 数 1.1<br />

±0.4(1.0) 個 、 術 式 は 部 分 切 除 が21 例 で 外 側 区 域 切 除 が2 例 、 平 均 手 術<br />

時 間 257±95(260) 分 、 平 均 出 血 量 100±140(20)ml、 平 均 術 後 在 院 日<br />

数 10.7±4.6(9.5) 日 、 合 併 症 は 全 例 認 めず、 無 再 発 生 存 期 間 中 央 値<br />

35.5ヵ 月 、5 年 生 存 率 72.9%であった。 肝 硬 変 症 例 においても<br />

VIOsystemやAquamantyTM…Bipolarを 用 いる 事 により 合 併 症 なく 施<br />

行 し 得 た。また 大 腸 癌 同 時 切 除 例 においては 大 腸 外 科 医 と 連 携 しポー<br />

ト 数 を 増 やす 事 なく 安 全 に 同 時 切 除 を 施 行 し 得 た。 再 肝 切 除 症 例 にお<br />

いては 癒 着 剥 離 に 時 間 は 要 するものの 合 併 症 等 は 認 めず、 従 来 の 開 腹<br />

再 肝 切 除 に 比 べ 早 期 退 院 可 能 であった。ICG-R15 値 35% 以 上 の 肝 硬 変<br />

症 例 の 比 較 ( 開 腹 8 例 、 鏡 視 下 7 例 )においては、 背 景 因 子 において 両 群<br />

間 で 有 意 差 は 認 められなかったが、 鏡 視 下 群 で 有 意 に 出 血 量 が 少 なく<br />

術 後 在 院 日 数 も 短 かった。【 考 察 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 開 腹 手 術 と 比<br />

べ 根 治 性 ・ 安 全 性 においても 劣 っておらず、 特 にその 低 侵 襲 性 は 肝 硬<br />

変 症 例 おいて 有 用 と 考 えられた。また 鏡 視 下 手 術 の 普 及 に 伴 い 他 臓 器<br />

癌 同 時 切 除 例 や 再 肝 切 除 症 例 なども 今 後 増 加 するものと 思 われ、 症 例<br />

を 集 積 し 検 討 する 予 定 である。<br />

P45-8 当 科 における 鏡 視 下 肝 切 除 術 での 様 々な 工 夫<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科<br />

○… 川 野 陽 一 1<br />

, 谷 合 信 彦 1<br />

, 吉 岡 正 人 1<br />

, 中 村 慶 春 1<br />

,<br />

松 本 智 司 1<br />

, 松 下 晃 1<br />

, 水 口 義 昭 1<br />

, 清 水 哲 也 1<br />

, 上 田 純 志 1<br />

,<br />

真 々 田 裕 宏 1<br />

, 吉 田 寛 2 1<br />

, 内 田 英 二<br />

( 緒 言 ) 鏡 視 下 肝 切 除 術 (Lap-H)は、 保 険 収 載 後 、わが 国 において 劇 的<br />

な 普 及 を 認 めているが、 腫 瘍 局 在 部 位 や 患 者 背 景 により 手 技 の 難 易 度<br />

が 変 化 することなど、 開 腹 術 に 比 し 多 様 性 を 持 った 手 術 手 技 となるた<br />

め、 手 術 手 技 やデバイスなどにいまだ 多 くの 改 良 点 を 必 要 とする。 当<br />

科 では、Lap-Hを 安 全 かつ 安 定 して 行 うため、さらには 適 応 を 拡 大 す<br />

る 目 的 で、 使 用 デバイスなどに 対 し 様 々な 工 夫 を 行 っているのでビデ<br />

オで 供 覧 する。( 症 例 と 手 技 )1999 年 1 月 ~2011 年 11 月 までに 計 52 例 に 対<br />

してLap-Hを 施 行 している。2009 年 12 月 より 汎 用 性 鏡 視 下 手 術 用 スポ<br />

ンジスペーサー(セクレア)、2010 年 9 月 よりグローブ 併 用 下 プリング<br />

ル 法 、 同 年 12 月 よりVIO…systemを 使 用 している。 最 近 では、5mmポー<br />

ト 創 を 利 用 したプリングル 法 、 肝 離 断 辺 縁 への 釣 り 糸 固 定 、CUSA、<br />

BiClamp、…I/O 電 極 などによる 肝 離 断 、セクレアを 加 工 しての 使 用 な<br />

どの 工 夫 、 右 葉 系 切 除 時 にはレビテーターを 利 用 した 体 位 固 定 なども<br />

行 っている。( 結 果 )セクレアにより 周 囲 臓 器 や 肝 実 質 の 愛 護 的 かつ 効<br />

果 的 な 圧 排 による 安 定 した 術 野 の 展 開 と 肝 離 断 時 の 容 易 な 圧 迫 止 血 が<br />

可 能 となり、 肝 切 離 時 の 出 血 コントロールには、プリングル 法 による<br />

流 入 血 遮 断 が 有 用 であった。さらに、 種 々 手 技 の 工 夫 により、 安 定 し<br />

た 鏡 視 下 肝 切 除 術 が 可 能 となり、 今 後 の 適 応 拡 大 をスムーズに 行 える<br />

と 考 えている。( 結 語 )Lap-Hは、その 低 侵 襲 性 と 手 技 の 安 定 化 の 達 成<br />

などにより、 肝 切 除 術 の 一 般 的 手 技 として 普 及 していくものと 考 えら<br />

れるが、さらなる 安 全 性 の 担 保 や 適 応 拡 大 のためには、 今 後 も 手 技 、<br />

デバイスなどの 改 良 、 工 夫 を 要 すると 考 えられた。<br />

P45-9 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 の 導 入<br />

大 阪 労 災 病 院 外 科<br />

○… 金 よう 国 , 清 水 潤 三 , 松 浦 雄 祐 , 長 谷 川 順 一 ,<br />

根 津 理 一 郎<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 は 各 種 デバイス・ 鏡 視 下 手 術 手 技 の 進<br />

歩 と 相 まって 急 速 に 普 及 しつつある。 当 科 では2008 年 6 月 にラジオ 波<br />

焼 灼 術 (RFA) 非 適 応 症 例 に 対 して 腹 腔 鏡 下 マイクロ 波 焼 灼 術 (MCT)<br />

を 導 入 した 後 に 上 腹 部 の 開 腹 歴 がなく、 腫 瘍 が 肝 辺 縁 の 肝 表 面 に 局 在<br />

した 症 例 に 適 応 を 限 定 し 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 をこれまで24 例 に 施 行 してき<br />

た。 今 回 我 々は、2011 年 7 月 以 降 に 導 入 した 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除<br />

症 例 2 例 について 報 告 する。【 手 術 手 技 】での 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 時 の 手 術<br />

体 位 は 開 脚 位 を 基 本 とし、 術 者 は 脚 間 に 立 ち、 臍 部 よりカメラポート<br />

を 挿 入 , 計 4-5 本 のトロカールを 腫 瘍 部 位 に 応 じて 挿 入 し 施 行 している。<br />

鏡 視 下 用 マイクロ 波 凝 固 装 置 を 使 用 し 肝 切 離 線 を 前 凝 固 した 後 、 肝 実<br />

質 の 浅 層 は 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 (LCS)を 使 用 し 切 離 、グリソン 鞘 近 傍<br />

の 肝 実 質 深 層 は 鏡 視 下 用 CUSAを 使 用 している。 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域<br />

切 除 時 は、 肝 円 索 を 結 紮 切 離 し、これを 牽 引 することで 視 野 を 展 開 し、<br />

肝 門 部 グリソン・ 左 肝 静 脈 は 自 動 縫 合 器 を 使 用 して 肝 実 質 と 伴 に 一 括<br />

切 離 している。【 症 例 1】75 歳 … 男 性 。C 型 慢 性 肝 炎 で 経 過 観 察 中 に 発 症<br />

した 肝 S2 単 発 ・ 径 30mmの 肝 細 胞 癌 症 例 。 身 長 :161cm… 体 重 :62Kg…<br />

BMI:24.0………Child-Pugh…A(5 点 )… 肝 障 害 度 …A 手 術 時 間 :97 分 … 出 血 :<br />

少 量 ………SSI(-)……… 術 後 在 院 日 数 :8 日 。【 症 例 2】65 歳 … 男 性 。C 型 慢 性 肝<br />

炎 で 経 過 観 察 中 に 発 症 した 肝 S3 単 発 ・ 径 20mmの 肝 細 胞 癌 症 例 。 身 長 :<br />

174cm… 体 重 :72Kg…BMI:23.8………Child-Pugh…A(5 点 )… 肝 障 害 度 …A…… 手<br />

術 時 間 :75 分 …… 出 血 :40ml………SSI(-)……… 術 後 在 院 日 数 :8 日 。 【 結 語 】…<br />

当 科 での 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 症 例 2 例 は、それまでに 当 科 で 経 験<br />

した 腹 腔 鏡 下 肝 部 分 切 除 22 例 ( 平 均 手 術 時 間 :200.6 分 … 平 均 出 血 量 :<br />

209.6…ml)と 比 較 して 手 術 時 間 も 短 く 出 血 も 少 量 で、 術 中 術 後 合 併 症<br />

なく 安 全 に 施 行 できた。 当 科 では 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 をMCTから 始 め、<br />

その 後 適 応 を 限 定 して 肝 部 分 切 除 を 導 入 した。 手 術 手 技 が 安 定 し、 術<br />

式 の 定 型 化 に 努 め 後 に 肝 外 側 区 域 切 除 を 導 入 し 良 好 な 結 果 が 得 られた。<br />

現 在 まで 区 域 切 除 以 上 の 術 式 に、 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 を 導 入 していない<br />

が、 今 後 はさらに 症 例 を 重 ねて 適 応 を 検 討 すべきと 考 えられた。<br />

-400-


P46-1 当 センターでの 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 現 況 と 課 題<br />

昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 消 化 器 センター<br />

○… 春 日 井 尚 , 田 中 淳 一 , 高 柳 大 輔 , 木 田 裕 之 , 出 口 義 雄 ,<br />

工 藤 進 英<br />

【はじめに】 当 センターでこれまでに 施 行 した 鏡 視 下 肝 切 除 43 例 52 病<br />

変 の 成 績 を 示 す。【 成 績 】 術 式 は 部 分 切 除 43 例 (HALS(H)5、 腹 腔 鏡 補<br />

助 下 (A)15、 完 全 鏡 視 下 (P)23)、 外 側 区 域 切 除 6 例 (A1、P5)、 左 葉 切<br />

除 1 例 (A)、 右 葉 切 除 2 例 (A1、P1)であった。2009 年 以 降 の 完 全 鏡 視<br />

下 率 は63.9%(23/36)で、2 度 鏡 視 下 肝 切 除 を 行 った 症 例 も3 例 あった。<br />

疾 患 の 内 訳 は 転 移 性 肝 腫 瘍 34、HCC16、 血 管 腫 、FNH、 肝 内 結 石 症<br />

が 各 1であった。 部 分 切 除 の 平 均 腫 瘍 径 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 術 後 在<br />

院 日 数 は2.2(0.4-5)cm、197(53-441) 分 、275.9(0-830)ml、9.8(4-34) 日<br />

であり、S7,0%(0/6)、S8,28%(2/7)、S4,33%(2/6)で 完 全 鏡 視 下 率 が<br />

低 かった。 外 側 区 域 切 除 、 左 葉 切 除 、 右 葉 切 除 では 各 々 手 術 時 間 ( 分 )<br />

321(194-398)、393、765(670-859)、 出 血 量 (ml)344(65-673)、1251、<br />

2395(1450-3341) 術 後 在 院 日 数 ( 日 )9.8(8-14)、30、10.5(10-11)であった。<br />

部 分 切 除 、 左 葉 切 除 で 胆 汁 漏 を1 例 ずつ 認 めたが 保 存 的 に 改 善 した。【 手<br />

技 】いずれの 手 術 も 肝 流 入 血 遮 断 は 行 わず、 肝 切 離 は 主 にTissueLink<br />

やバイクランプで 凝 固 しながら 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 等 で 行 い、3mm<br />

以 上 の 脈 管 に 対 しては 適 宜 clippingを 併 用 した。また 系 統 的 切 除 では<br />

グリッソンおよび 肝 静 脈 根 部 の 切 離 にはlinear…stapler…(white…<br />

cartridge)を 使 用 した。【 結 語 】 経 験 症 例 数 の 増 加 とともに 完 全 鏡 視 下 、<br />

系 統 的 切 除 も 増 加 してきた。 肝 悪 性 腫 瘍 は 再 切 除 の 機 会 も 多 く、 鏡 視<br />

下 肝 切 除 はpolysurgeryを 容 易 にする 手 段 として 重 要 性 が 増 すと 考 え<br />

られた。 一 方 、 系 統 切 除 における 手 術 時 間 の 短 縮 、 部 分 切 除 の 系 統 化 、<br />

S7-8での 完 全 鏡 視 下 率 の 向 上 が 今 後 の 課 題 と 考 えられた。<br />

P46-2 市 中 病 院 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 導 入 ー 補 助 下 部 分<br />

切 除 から 完 全 鏡 視 下 右 葉 切 除 まで<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 埼 玉 病 院 外 科 、 2 慶 応 義 塾 大 学 医 学 部 一 般 消 化 器 外<br />

科<br />

○… 早 津 成 夫 1<br />

, 板 野 理 2<br />

, 松 山 正 浩 1<br />

, 重 信 敬 夫 1<br />

, 増 岡 義 人 1<br />

,<br />

津 和 野 伸 一 1<br />

, 柳 在 勲 1<br />

, 吉 竹 公 子 1<br />

, 石 塚 裕 人 1<br />

,<br />

1<br />

原 彰 男<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 はこの 数 年 急 速 に 普 及 し、 当 初 、 多 くは<br />

大 規 模 な 病 院 のみで 行 われていたものが、 徐 々に 市 中 病 院 でも 施 行 さ<br />

れるようになった。 当 院 でも 平 成 23 年 度 より 本 格 的 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除<br />

を 導 入 、 補 助 下 手 術 から 完 全 鏡 視 下 手 術 に 移 行 し、これまでに 右 葉 切<br />

除 を 含 め7 例 を 経 験 した。 当 院 での 手 術 手 技 を 供 覧 し、 導 入 後 の 初 期<br />

成 績 を 提 示 する。【 方 法 】 平 成 22 年 5 月 から 平 成 23 年 11 月 までに 当 院 で<br />

行 った 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 7 例 を 検 討 した。 平 均 年 齢 は75.7 歳 、 男 女 比 は3:<br />

4。 全 例 が 肝 細 胞 癌 。 背 景 肝 はHCVが4 例 。ウイルス 陰 性 が3 例 。 肝 障<br />

害 度 はAが3 例 、Bが4 例 。 術 式 はS3、S6、S5/8の 部 分 切 除 が 各 1 例 、<br />

外 側 区 域 切 除 が3 例 、 右 葉 切 除 が1 例 であった。 初 期 の2 例 (S6の 部 分<br />

切 除 と、 外 側 区 域 切 除 の1 例 )を 腹 腔 鏡 補 助 下 手 術 で 行 ったが、 残 りの<br />

5 例 はいずれも 完 全 鏡 視 下 手 術 で 行 った。 肝 離 断 は、BiClamp、IO 電 極 、<br />

RITA 等 による 前 凝 固 の 後 …Sonosurg…X…、CUSA、 等 を 適 宜 使 い 分 け<br />

て 行 った。【 結 果 】 平 均 手 術 時 間 228.4±60.6 分 、 出 血 量 194.1±288.9ml、<br />

術 後 在 院 日 数 9.0±2.0 日 、 合 併 症 は 全 例 で 認 めなかった。【 考 察 】 市 中<br />

病 院 でも、 慎 重 に 症 例 を 選 択 し 段 階 を 追 ってステップアップすること<br />

で、 安 全 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を 導 入 できた。 今 後 も 安 全 を 担 保 しつつ、<br />

症 例 を 蓄 積 させながら 適 応 を 拡 大 していきたいと 考 える。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P46-3 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 治 療 成 績 と 適 応 拡 大 への 取 り 組 み<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 野 尻 和 典 , 田 中 邦 哉 , 杉 田 光 隆 , 上 田 倫 夫 , 武 田 和 永 ,<br />

松 山 隆 生 , 谷 口 浩 一 , 熊 本 宜 文 , 森 隆 太 郎 , 遠 藤 格<br />

【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 手 技 を 供 覧 し 治 療 成 績 を 評 価 、 適 応 拡 大 の 可<br />

能 性 を 考 察 する。【 適 応 】 完 全 腹 腔 鏡 下 切 除 は 外 側 区 域 の 病 変 、<br />

S4a,S5,S6の 大 きさ3…cm 以 下 の 表 在 性 病 変 とし, 補 助 下 切 除 は 上 記 以<br />

外 で 鏡 視 下 の 肝 授 動 , 小 開 腹 直 視 下 の 肝 実 質 切 離 が 可 能 な 病 変 とした。<br />

【 症 例 1】59 歳 男 性 。S 状 結 腸 癌 同 時 性 両 葉 多 発 肝 転 移 (10 病 変 )。 完<br />

全 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 を 施 行 。 肝 実 質 切 離 はCUSA,…Tissue…Link,…<br />

BiClampを 使 用 。グリソン 鞘 、 左 肝 静 脈 は 自 動 縫 合 器 を 用 いて 切 離 。<br />

手 術 時 間 399 分 、 出 血 量 50ml、 術 後 8 日 目 に 退 院 。【 症 例 2】76 歳 男 性 。<br />

肝 細 胞 癌 (HCV),…Sg3 単 発 ,22mm。 背 景 肝 は 慢 性 肝 炎 。Pringle 法 によ<br />

る 阻 血 下 にCUSA,…Tissue…Linkを 使 用 し 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 Sg3 切 除 術 施<br />

行 。 手 術 時 間 274 分 ,… 出 血 量 179ml,… 術 後 5 日 目 に 退 院 。【 結 果 】2007 年 1<br />

月 から2011 年 11 月 に 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 を71 例 に 施 行 した。 肝 細 胞 癌 は38<br />

例 、 転 移 性 肝 癌 21 例 、その 他 12 例 であり、 術 後 合 併 症 は4 例 (5.6%)、<br />

在 院 日 数 中 央 値 は7 日 であった。… 術 式 別 では 部 分 ・ 外 側 区 域 切<br />

除 がpure…24 例 、hybrid…26 例 、open…60 例 、 手 術 時 間 (245 分 …vs…314 分 …<br />

vs…296 分 )、 合 併 症 発 生 率 (4%…vs…5%…vs…11.7%)は 差 がなく、 出 血 量<br />

(50ml…vs…315ml…vs…466ml)、 在 院 日 数 (4 日 …vs…7 日 …vs…10 日 )はpure 群<br />

がhybrid、openに 比 較 し 良 好 であった。 区 域 ・ 葉 切 除 はpure 症 例 が<br />

なく、hybrid…10 例 、open…152 例 。 手 術 時 間 (394 分 …vs…374 分 )、 出 血 量<br />

(617ml…vs…580ml)、 合 併 症 発 生 率 (10%…vs…21.7%)、 在 院 日 数 (7 日 …vs…<br />

11 日 )いずれも 差 はなかった。… 肝 硬 変 合 併 肝 細 胞 癌 のLap 群 と<br />

Open 群 の 比 較 では 手 術 時 間 (305 分 …vs…405 分 ), 出 血 量 (400ml…vs…<br />

800ml), 合 併 症 発 生 率 (0%…vs…33.3%), 在 院 日 数 (8 日 …vs…15 日 )のいず<br />

れもLap 群 が 良 好 であった。… 両 葉 多 発 肝 転 移 のLap 群 とOpen 群<br />

で 手 術 時 間 (325 分 …vs…395 分 ), 出 血 量 (147ml…vs…533ml), 合 併 症 発 生<br />

率 ( 0 % …vs…20.6%), 在 院 日 数 (7 日 …vs…13 日 )のいずれもLap 群 が 良 好 で<br />

あった。【 結 語 】Pureでの 外 側 区 域 切 除 、 部 分 切 除 はHybrid、 開 腹 と<br />

比 較 し 安 全 に 施 行 可 能 。 肝 機 能 不 良 HCC、 両 葉 多 発 肝 転 移 に 対 して<br />

も 適 応 拡 大 の 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

P46-4 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 : 系 統 的 切 除 への 適 応 拡<br />

大<br />

東 京 医 科 大 学 八 王 子 医 療 センター<br />

○… 高 野 公 徳 , 阿 部 雄 太 , 尾 野 大 気 , 横 山 卓 剛 , 木 原 優 ,<br />

島 津 元 秀<br />

【はじめに】 先 進 医 療 で 行 われていた 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 (LH)は2010<br />

年 4 月 の 保 険 収 載 に 伴 い、 国 内 での 症 例 数 が 急 増 している。 当 院 でも<br />

2007 年 11 月 よりLHを 施 行 し2011 年 11 月 までに28 例 を 経 験 、 徐 々に 定<br />

型 化 、 標 準 化 しつつある。 今 回 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 につい<br />

て 報 告 する。【 適 応 と 方 法 】 当 院 でのLHの 適 応 は、 肝 臓 初 回 手 術 で、<br />

腫 瘍 径 5cm 以 下 、 腫 瘍 個 数 3 個 以 下 、 切 除 術 式 ( 系 統 的 、 非 系 統 的 など)<br />

の 決 定 は 従 来 の 術 式 選 択 基 準 と 同 じとし、 該 当 する 手 術 が 腹 腔 鏡 手 術<br />

で 可 能 であると 判 断 した 症 例 としている。LH 開 始 当 初 は 肝 授 動 を 鏡<br />

視 下 で 行 い、 肝 実 質 切 離 は 小 開 腹 切 開 をおいて 直 視 下 に 行 う 腹 腔 鏡 補<br />

助 下 (LAH)で 導 入 したが、 症 例 数 を 重 ねるにつれ 全 ての 操 作 を 鏡 視<br />

下 に 施 行 する 完 全 腹 腔 鏡 下 (PLH)、や 用 手 補 助 腹 腔 鏡 手 術 (HALS)に<br />

移 行 しつつある。 術 式 も 部 分 切 除 から 区 域 切 除 などの 系 統 的 切 除 の 症<br />

例 も 増 えてきている。【 結 果 】 全 肝 切 除 症 例 138 例 中 、28 例 (20%)に<br />

LHを 施 行 した。 症 例 の 内 訳 は 肝 細 胞 癌 12 例 、 転 移 性 肝 癌 12 例 、その<br />

他 4 例 であった。 術 式 別 ではPLH14 例 ( 部 分 12 例 、 外 側 区 域 2 例 )、<br />

LAH8 例 ( 部 分 5 例 、 外 側 区 域 1 例 、 拡 大 後 区 域 1 例 、 左 葉 1 例 )、HALS6<br />

例 ( 部 分 2 例 、 亜 区 域 切 除 2 例 、 外 側 区 域 1 例 、 後 区 域 1 例 )であった。<br />

LH 症 例 の 手 術 時 間 は298±121 分 、 術 中 出 血 量 は271±455…g、 術 後 在<br />

院 日 数 は12.1±7.5… 日 、 合 併 症 は3 例 ( 胆 汁 漏 2 例 、 後 出 血 1 例 )であった。<br />

同 時 期 に 施 行 した 胆 道 再 建 を 伴 わないHr1 以 下 の 開 腹 肝 切 除 症 例 56 例<br />

(Hr0:HrS:Hr1=34%:36%:30%)においてはそれぞれ392±145… 分 、<br />

1058±1910…g、21±23.9… 日 、7 例 であり、 当 院 におけるLHの 成 績 は 開<br />

腹 手 術 と 比 較 し、 低 侵 襲 手 術 という 点 では、 良 好 な 結 果 が 得 られた。【 結<br />

語 】 肝 臓 手 術 においても、 開 腹 手 術 と 比 較 して、 内 視 鏡 外 科 手 術 は 低<br />

侵 襲 であり、 今 後 も 安 全 性 と 根 治 性 を 担 保 しつつ、 適 応 を 拡 大 してい<br />

ける 有 用 な 術 式 と 考 えられた。<br />

-401-


P46-5 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 における 肝 切 離 の 工 夫 と 成 績<br />

済 生 会 福 岡 総 合 病 院<br />

○… 副 島 雄 二 , 伊 地 知 秀 樹<br />

【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 においては、 出 血 のコントロールが 困 難 なこ<br />

と、 肝 切 離 面 の 角 度 の 確 保 が 難 しいことなどから、 通 常 の 開 腹 肝 切 除<br />

と 異 なる 肝 切 離 法 (プレ 凝 固 、Pringleなし、 自 動 縫 合 器 による 肝 切 離<br />

など)をとらざるを 得 ないことが 多 い。 我 々は、 完 全 腹 腔 鏡 下 におい<br />

ても、 通 常 の 開 腹 肝 切 離 と 同 様 な 肝 切 離 を 目 指 してきた。 今 回 、 完 全<br />

腹 腔 鏡 下 肝 切 除 における 工 夫 とその 成 績 を 検 討 した。【 方 法 】2010 年 4<br />

月 ~2012 年 1 月 までに12 例 の 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 ( 補 助 下 6 例 、 完 全 腹 腔 鏡<br />

下 6 例 )を 行 った。 患 者 の 平 均 年 齢 67 才 、 男 / 女 6/6でHCC8 例 、 転 移<br />

性 肝 癌 3 例 、 胆 管 内 乳 頭 腺 癌 1 例 であった。 腫 瘍 の 占 拠 部 位 はS2(n=3)、<br />

S3(n=5)、S4(n=1)、S6(n=3)、であり 平 均 腫 瘍 径 は2.7cm(1.0-6.5cm)<br />

で 腫 瘍 個 数 は 全 例 1 個 であった。 全 例 Child…A、 肝 障 害 度 Aであった。<br />

肝 硬 変 を5 例 に 認 めた。 術 式 は 外 側 区 域 切 除 (n=4: 前 半 n=2、 後 半<br />

n=2))、 部 分 切 除 (n=5: 前 半 n=1、 後 半 n=4)、 左 葉 切 除 (n=1: 前 半<br />

n=1)、 拡 大 左 葉 切 除 (n=1: 後 半 n=1)で 前 半 5 例 は 腹 腔 鏡 補 助 下 で 肝<br />

脱 転 後 、 小 開 腹 をおきCUSA、ソフト 凝 固 で 直 視 下 に 通 常 の 肝 切 離 を<br />

行 った。 後 半 7 例 (1 例 で 腹 腔 鏡 補 助 下 拡 大 左 葉 切 除 )では 完 全 腹 腔 鏡 下<br />

を 原 則 とし、CUSA、 腹 腔 鏡 用 ソフト 凝 固 、バイクランプを 基 本 デバ<br />

イスとして 用 い 通 常 の 開 腹 肝 切 離 と 同 様 に 肝 切 離 を 行 った。 肝 円 索 は<br />

エンドサージリトラクターで 牽 引 、 切 離 部 の 両 端 に3-0オペポリック<br />

スをかけ 肝 切 離 面 を 展 開 し、 太 い 血 管 処 理 はHem-O-Lock、 血 管 クリッ<br />

プ、 自 動 縫 合 器 を 用 いて 行 った。【 結 果 】 前 半 5 例 と 後 半 7 例 の 平 均 手<br />

術 時 間 227 分 vs.…365 分 、 出 血 量 220ml…vs.…672mlで 後 半 2 例 に4 単 位 、2<br />

単 位 の 輸 血 を 要 した。 肝 切 離 面 の 癌 浸 潤 は 全 例 陰 性 であった。 術 後 合<br />

併 症 は 後 半 群 で 胆 汁 漏 を1 例 に 認 めた。【 結 論 】 未 だ 発 展 途 上 であるが<br />

完 全 腹 腔 鏡 下 でも 通 常 の 肝 切 離 に 近 い 肝 切 離 が 可 能 である。 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 では 適 切 な 肝 切 離 面 の 展 開 とデバイスの 角 度 、こまめな 止 血 が 重<br />

要 である。<br />

P46-6 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の 技 術 的 困 難 症 例 への 対 応<br />

函 館 五 稜 郭 病 院 外 科<br />

○… 舩 渡 治 , 菅 野 将 史 , 板 橋 英 教 , 中 嶋 潤 , 小 川 雅 彰 ,<br />

早 川 善 郎 , 小 林 慎 , 高 金 明 典<br />

【 目 的 】 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 が 保 険 収 載 され、 低 侵 襲 手 術 として 広 く 普 及<br />

しはじめている。 今 後 は 安 全 性 を 考 慮 し 手 術 の 定 型 化 を 目 指 すべきと<br />

考 える。 当 科 で 施 行 した 肝 病 変 に 対 する 腹 腔 鏡 ( 補 助 ) 下 肝 切 除 を 検 討<br />

した。【 対 象 】 完 全 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 …(pure-LH)…29 例 (うちRFA 併 用 3 例 )、<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 肝 切 除 (Hybrid)5 例 の 計 34 例 を 検 討 した。【 適 応 】 肝 表<br />

層 または 外 側 区 域 の 病 変 、 外 側 区 およびS6の 辺 縁 や 突 出 型 の 病 変 は<br />

直 径 5cm 以 下 、 突 出 型 でない 肝 表 層 の 病 変 は3cm 以 下 。【 手 術 方 法 】<br />

肝 切 離 はVIO…system(Biclamp)と 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 を 使 用 する。 腫<br />

瘍 が 少 し 深 部 にある 場 合 はCUSAを 使 用 する。RFAによる<br />

precoagulationを 行 い 出 血 防 止 を 行 う。 腫 瘍 深 部 を 凝 固 し、 再 発 防 止<br />

に 努 めている。 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 導 入 当 初 は 全 例 …pure-LH…を 目 標 とし<br />

て 開 始 した。 症 例 を 重 ねるにつれ、pure-LH… で 施 行 困 難 例 は 積 極 的<br />

に 腹 腔 鏡 補 助 下 へと…convertした。【 結 果 】 手 術 時 間 中 央 値 はpure-LH…<br />

154 分 、 補 助 下 263 分 、 出 血 量 中 央 値 はpure-LH…27…ml、 補 助 下 367…ml。<br />

術 後 平 均 在 院 日 数 は10.4 日 (5-27)であった。 疾 患 は 肝 細 胞 癌 (HCC)19<br />

例 、 転 移 性 肝 腫 瘍 13 例 ( 大 腸 癌 転 移 11 例 、 肺 癌 転 移 1 例 、 胆 管 癌 転 移 1 例 )、<br />

他 良 性 腫 瘍 2 例 であった。 大 腸 癌 の 同 時 性 肝 転 移 3 例 に 対 し 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 大 腸 切 除 を 同 時 に 施 行 した。 切 離 困 難 な 症 例 は、S7の 背 側 付 近 腫<br />

瘍 で 視 野 展 開 が 困 難 な 場 合 やS6の 深 部 位 置 の 切 離 ラインが 複 雑 とな<br />

る 場 合 であり、 現 在 は 腹 腔 鏡 補 助 下 に 移 行 し 行 っている。【 結 語 】 腹<br />

腔 境 下 肝 切 除 は 低 侵 襲 で、 安 全 性 が 確 保 できれば 患 者 のメリットが 大<br />

きいと 術 式 と 思 われる。 視 野 展 開 が 困 難 な 場 合 や 切 離 ラインが 複 雑 と<br />

なる 場 合 は 手 技 が 定 型 化 し 安 全 に 行 えるようになるまでは 積 極 的 に 腹<br />

腔 鏡 補 助 下 に 移 行 するべきである。<br />

P46-7 当 科 における 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 の 導 入 と 現 況<br />

岡 山 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 平 井 隆 二 , 山 野 寿 久<br />

当 院 では 平 成 22 年 6 月 より 腹 腔 鏡 下 ( 補 助 下 ) 肝 切 除 を 導 入 し、 平 成<br />

23 年 11 月 までに14 例 を 施 行 したので 現 況 を 報 告 するとともに 最 近 施 行<br />

した 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 のビデオを 供 覧 する。 対 象 患 者 の 平 均 年<br />

令 は67 歳 (45~81)で、 疾 患 はHCCが6 例 、 転 移 性 肝 癌 が7 例 、 肝 内 結<br />

石 症 が1 例 であった。 腫 瘍 サイズは 平 均 2.9…cm(1.2~4.8)で、 腫 瘍 個 数<br />

は1 個 が10 例 、2 個 が2 例 ,8 個 が1 例 であった。 完 全 内 視 鏡 下 を6 例 、 補<br />

助 下 を8 例 に 施 行 した。 病 変 の 存 在 部 位 はS2:3 例 ,…S3…:3 例 、 外 側 区 域 :<br />

2 例 、S4;1 例 、S5:1 例 、S6:1 例 、S7:2 例 、S8:1 例 で あ っ た。S8<br />

の1 例 は 胸 腔 鏡 下 に 施 行 した。 術 式 は、 部 分 切 除 が5 例 ( 左 葉 切 除 との<br />

同 時 例 を 含 む)、 外 側 区 域 切 除 が5 例 、 亜 区 域 切 除 (S6,…S3)が2 例 、 後<br />

区 域 切 除 が1 例 、 左 葉 切 除 が1 例 、 右 葉 切 除 が1 例 であった。 平 均 手 術<br />

時 間 は389 分 (144~602)であった。 平 均 出 血 量 は834ml(50~2000)であっ<br />

た。 合 併 症 は3 例 にあり、 胆 汁 漏 を1 例 、 誤 嚥 性 肺 炎 が1 例 、 創 感 染 が1<br />

例 であった。 胆 汁 漏 を 起 こした 症 例 はENBDを 挿 入 し 術 後 11 日 目 に 退<br />

院 した。 術 後 在 院 日 数 は 平 均 14.0 日 (7~53)で12 例 は14 日 以 内 に 退 院 し<br />

た。( 症 例 ビデオ)70 代 、 男 性 。 肝 S7に3cm 大 のHCCを2 個 指 摘 され、 紹<br />

介 入 院 。ICGR15 分 値 は15%と 良 好 で、CTによる 体 積 計 算 にて 肝 右 葉<br />

は39%と 比 較 的 小 さかったので、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 を 施 行 した。<br />

肝 の 授 動 は5ポートで 行 い、 右 肋 弓 下 に10cmの 皮 膚 切 開 を 置 いて、 直<br />

視 下 にて 肝 門 処 理 を 行 い、グリソン 右 枝 を 結 紮 した。 肝 の 離 断 は<br />

hanging…maneuver…を 用 いて、CUSAとLCS、その 他 のenergy…device<br />

を 用 い、 腹 腔 鏡 補 助 下 及 び 直 視 下 に 行 った。グリソン 前 枝 と 後 枝 を 離<br />

断 中 に 結 紮 切 離 し、 右 肝 静 脈 は 自 動 縫 合 器 にて 切 離 した。 手 術 時 間 7<br />

時 間 38 分 、 出 血 量 800mlであった。 術 後 経 過 良 好 で7 日 目 に 退 院 した。<br />

結 語 ; 腹 腔 鏡 下 ( 補 助 下 ) 肝 切 除 は 症 例 を 選 べば 術 後 経 過 は 良 好 で 低 侵<br />

襲 であり 有 用 である。<br />

P46-8 肝 細 胞 癌 に 対 する 集 学 的 鏡 視 下 手 術<br />

佐 賀 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 三 好 篤 , 中 村 淳 , 井 手 貴 雄 , 北 原 賢 二 , 能 城 浩 和<br />

我 々の 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 方 針 は 肝 癌 診 療 マニュアルの 治 療 アルゴ<br />

リズムに 従 っており、 肝 切 除 に 関 しては 肝 予 備 能 上 可 能 な 症 例 に 対 し<br />

ては 系 統 的 肝 切 除 を 原 則 としているが、2009 年 より 集 学 的 治 療 として<br />

様 々な 症 例 に 鏡 視 下 手 術 の 導 入 を 行 なっている。1.… 系 統 的 切 除 に 関 し<br />

ては 外 側 区 域 切 除 に 関 しては 完 全 鏡 視 下 手 術 で 行 なうが、それ 以 外 の<br />

系 統 的 切 除 に 関 しては 可 能 であれば 補 助 下 で 行 なう。2.… 肝 予 備 能 不 良<br />

症 例 に 関 する 部 分 切 除 は 原 則 として 完 全 鏡 視 下 肝 部 分 切 除 手 術 を 行 な<br />

う。3.… 多 発 症 例 や 腫 瘍 が 深 部 に 存 在 する 症 例 に 対 してはRFAを 併 用<br />

するが、 経 皮 的 アプローチが 困 難 な 症 例 には 鏡 視 下 RFAを 行 なう。4.…<br />

脾 機 能 亢 進 を 伴 う 症 例 に 対 しては 鏡 視 下 に 脾 臓 摘 出 を 施 行 し、 同 時 性<br />

に 鏡 視 下 肝 部 分 切 除 を 行 なう。5.… 再 発 症 例 に 対 しても 前 回 手 術 の 対 側<br />

葉 に 腫 瘍 が 存 在 するなど 癒 着 が 軽 度 であることが 予 想 される 場 合 は 鏡<br />

視 下 で 行 なう。 鏡 視 下 手 術 の 適 応 は 原 則 として 腫 瘍 径 5cmとし、2009<br />

年 4 月 から2011 年 11 月 まで34 例 の 肝 細 胞 癌 に 対 して 鏡 視 下 手 術 を 行<br />

なっているが、 合 併 症 として 胆 汁 瘻 、 門 脈 血 栓 を1 例 ずつ 認 めたのみ<br />

であり 比 較 的 安 全 に 施 行 可 能 と 考 えられた。これらの 肝 細 胞 癌 に 対 す<br />

る 我 々の 鏡 視 下 での 様 々な 取 り 組 みをビデオで 供 覧 する。<br />

-402-


P47-1 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 初 回 肝 切 除 術 の 検 討<br />

大 阪 医 科 大 学 附 属 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 井 上 善 博 , 林 道 廣 , 鱒 渕 真 介 , 山 本 誠 士 , 山 名 秀 典 ,<br />

茅 野 新 , 米 田 浩 二 , 朝 隈 光 弘 , 廣 川 文 鋭 , 宮 本 好 晴 ,<br />

内 山 和 久<br />

【 背 景 】 大 腸 癌 の 転 移 形 式 としてはカスケード 理 論 で 提 唱 されている<br />

ように 肝 臓 が 最 も 多 く、 次 に 肺 が 多 く、 局 所 、 脳 、 腹 膜 、リンパ 節 な<br />

どと 続 く。 大 腸 癌 と 診 断 された 時 点 で 約 25%の 症 例 では 肝 転 移 を 伴 っ<br />

ており、さらに 残 りの40-50%では 術 後 3 年 以 内 に 肝 転 移 を 発 生 する。<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 術 の 有 効 性 は 確 立 しているが、 肝 切 除 後<br />

の50-80%の 症 例 では 術 後 再 発 を 認 め、 約 50%に 発 生 する 残 肝 再 発 は 生<br />

命 予 後 に 大 きく 影 響 すると 考 えられている。そのため 多 くの 論 文 で 肝<br />

切 除 術 に 関 して 議 論 されているが、 肝 切 除 範 囲 や 切 除 断 端 距 離 に 関 し<br />

ての 報 告 は 少 なく、コンセンサスは 未 だ 得 られていない。【 目 的 】 大<br />

腸 癌 肝 転 移 症 例 の 無 再 発 生 存 を 中 心 とした 予 後 や 残 肝 再 発 に 関 する 因<br />

子 をretrospectiveに 解 析 し、 肝 切 除 範 囲 や 切 除 断 端 距 離 による 術 後 の<br />

影 響 を 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】 大 阪 医 科 大 学 附 属 病 院 、 一 般 ・ 消 化<br />

器 外 科 教 室 において1995 年 から2009 年 までに 初 回 肝 切 除 術 を 施 行 した<br />

大 腸 癌 肝 転 移 症 例 108 例 を 対 象 とし、 臨 床 病 理 学 的 因 子 および 手 術 に<br />

おける 肝 切 除 範 囲 や 切 除 断 端 距 離 と、 無 再 発 生 存 期 間 や 生 存 期 間 との<br />

関 連 を 検 討 した。また、それらの 術 式 による 再 発 形 式 への 関 連 も 検 討<br />

した。【 結 果 】 肝 切 除 術 後 の 独 立 した 予 後 規 定 因 子 は 肝 切 除 術 後 の<br />

CA19-9…(P…=…0.046)と 再 発 の 有 無 (P…=…0.0249)であり、 無 再 発 生 存 期<br />

間 の 規 定 因 子 は 原 発 巣 の 深 達 度 (P…=…0.003)、 肝 切 除 術 後 のCA19-9…(P…<br />

=…0.014)であった。 肝 切 除 範 囲 や 切 除 断 端 距 離 は 予 後 、 無 再 発 生 存 期<br />

間 や 残 肝 再 発 と 関 連 を 認 めなかった。 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の 残 肝 再 発 形<br />

式 は 多 区 域 性 に 再 発 することが 多 く 断 端 再 発 は 少 なかった。 残 肝 再 発<br />

を 来 たした 症 例 において、 再 肝 切 除 を 中 心 とした 治 療 群 は 無 治 療 より<br />

有 意 に 予 後 は 改 善 された(P…


P47-5 大 腸 癌 異 時 性 肝 転 移 と 腹 膜 播 種 再 発 に 対 し 切 除 を 施 行<br />

した2 例 の 検 討<br />

1<br />

自 治 医 大 さいたま 医 療 センター 外 科 、 2 秩 父 市 立 病 院 医 療 地 域<br />

連 携 室<br />

○… 加 藤 高 晴 1<br />

, 野 田 弘 志 1<br />

, 神 山 英 範 2<br />

, 渡 部 文 昭 1<br />

,<br />

柿 澤 奈 緒 1<br />

, 遠 山 信 幸 1 1<br />

, 小 西 文 雄<br />

【 背 景 】 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 の 第 一 は 外 科 的 切 除 であるが、 腹<br />

膜 播 種 再 発 を 伴 った 場 合 、 肝 転 移 巣 及 び 腹 膜 播 種 巣 に 対 する 切 除 術 の<br />

有 効 性 を 明 確 に 示 す 報 告 は 無 い。 大 腸 癌 においては 全 ての 癌 巣 の 摘 除<br />

が 治 癒 への 唯 一 の 手 段 であり 限 局 した 播 種 巣 の 切 除 は 考 慮 されるべき<br />

であるが、その 治 療 的 意 義 は 不 明 である。 今 回 、 腹 膜 播 種 再 発 を 伴 う<br />

異 時 性 肝 転 移 再 発 を 来 たした 大 腸 癌 に 対 し 切 除 を 行 った 症 例 を 検 討 し<br />

その 意 義 を 検 証 した。【 対 象 】2001 年 から2011 年 の 間 に 当 院 で 施 行 し<br />

た 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 161 症 例 中 、 腹 膜 播 種 再 発 と 肝 転 移 再 発 を 同 時 に<br />

認 め 切 除 した2 例 。【 症 例 1】50 歳 代 … 男 性 。2007 年 12 月 、S 状 結 腸 癌 に<br />

対 して 腹 腔 鏡 補 助 下 S 状 結 腸 切 除 D3 郭 清 術 を 施 行 (tub1,…pSS,…pN0,…ly0,…<br />

v3)。 術 後 5カ 月 で10 個 の 肝 転 移 を 認 め 切 除 。ゼローダ8コース 施 行 。<br />

初 回 手 術 後 18カ 月 で 肝 、 肺 に 再 発 ありそれぞれ 切 除 。ゼローダ8コー<br />

ス 施 行 。 初 回 手 術 後 29カ 月 で 肝 転 移 と 腹 膜 播 種 再 発 を 認 め、 肝 部 分 切<br />

除 、 腹 膜 播 種 (P1) 切 除 を 施 行 。XELOX…8コース 施 行 。 初 回 手 術 後 43<br />

カ 月 で 肝 転 移 、 腹 膜 播 種 (P3)を 認 め 切 除 不 能 と 診 断 。…XELOX+Bev<br />

開 始 し 有 再 発 生 存 中 。【 症 例 2】70 歳 代 … 男 性 。2007 年 12 月 に 下 行 結 腸 、<br />

S 状 結 腸 の 多 発 癌 に 対 して 結 腸 左 半 切 除 D2 郭 清 術 施 (1.tub2,…pSS…pN1…<br />

ly2,…v1,…2.tub1,…pSM,…pN0,…ly0,…v0,…3.tub1,…pSM,…PN0,…ly1,…v0)。 補 助 化<br />

学 療 法 は 未 施 行 。 初 回 手 術 後 30カ 月 で 肝 転 移 再 発 を 認 め、 肝 部 分 切 除<br />

および 術 中 に 確 認 した 腹 膜 播 種 (P1) 切 除 を 施 行 。XELOX8コース 施 行 。<br />

現 在 、 肝 および 播 種 巣 切 除 後 17か 月 ( 初 回 手 術 後 48か 月 )を 経 過 して 無<br />

再 発 生 存 中 。【 考 察 】 大 腸 癌 術 後 の 腹 膜 播 種 再 発 症 例 の 予 後 は 不 良 だが、<br />

今 回 の 症 例 では 腹 膜 播 種 再 発 の 診 断 後 、 症 例 1で19カ 月 の 有 再 発 生 存 を、<br />

症 例 2で17カ 月 の 無 再 発 生 存 が 得 られており、 外 科 的 切 除 と 術 後 化 学<br />

療 法 の 組 み 合 わせが 有 効 と 考 えられた。【 結 語 】 大 腸 癌 切 除 後 の 異 時<br />

性 肝 転 移 および 腹 膜 播 種 再 発 を 同 時 に 切 除 した2 例 を 経 験 した。 腹 膜<br />

播 種 再 発 を 伴 った 症 例 でも、 腹 膜 播 種 巣 が 限 局 していれば、 肝 切 除 お<br />

よび 腹 膜 播 種 巣 の 外 科 的 切 除 を 行 い、さらに 化 学 療 法 を 行 うことで 生<br />

存 期 間 の 延 長 を 期 待 できる 可 能 性 があることが 示 唆 された。<br />

P47-6 肝 外 病 変 のコントロールが 可 能 であったために 肝 切 除<br />

を 実 施 した 進 行 大 腸 癌 肝 転 移 の3 例<br />

帝 京 大 学 溝 口 病 院 外 科<br />

○… 杉 山 保 幸 , 細 川 勇 一<br />

肝 外 病 変 のコントロールが 可 能 と 判 断 したために 肝 切 除 を 実 施 した 進<br />

行 大 腸 癌 の3 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】70 歳 代 の 男 性 で、<br />

肝 転 移 、 腹 膜 転 移 を 伴 うS 状 結 腸 癌 に 対 してmFOLFOX6 療 法 を8コー<br />

ス 実 施 したところ、 肝 転 移 巣 の 腫 瘍 径 は 変 化 なかったが 腹 水 貯 留 が 消<br />

失 したためS 状 結 腸 切 除 術 を 施 行 した。その 後 、mFOLFOX6+ベバ<br />

シズマブ(Bev) 療 法 を4コース 実 施 してから 肝 左 葉 切 除 術 を 行 った。<br />

術 中 の 肉 眼 所 見 では 腹 腔 内 に 播 種 性 結 節 の 残 存 が 散 見 され、 切 除 した<br />

肝 転 移 巣 の 病 理 組 織 学 的 検 索 でもviableな 癌 細 胞 が 確 認 された。 術 後<br />

にセツキシマブを8 回 投 与 後 、TS-1+PSKを 約 8か 月 間 投 与 し、その<br />

後 無 治 療 で11か 月 が 経 過 するが、… 腹 膜 再 発 や 新 病 変 の 出 現 を 認 めてい<br />

ない。【 症 例 2】60 歳 代 の 女 性 で、 子 宮 体 部 後 壁 へ 直 接 浸 潤 し、かつ 右<br />

肺 に2 個 の 転 移 を 伴 う 直 腸 S 状 部 癌 と 診 断 されたため、FOLFOX4を3<br />

コース 実 施 した。その 結 果 、 原 発 巣 と 子 宮 体 部 との 境 界 が 明 瞭 となり、<br />

肺 転 移 巣 も 縮 小 したため、 子 宮 全 摘 ・ 両 側 附 属 器 合 併 切 除 を 伴 う 低 位<br />

前 方 切 除 術 を 実 施 した。ところが、3か 月 後 に 肝 転 移 、 左 肺 転 移 、 骨<br />

盤 腔 内 局 所 再 発 が 認 められたため、Bevを 併 用 したmFOLFOX6 療 法<br />

を9コース 実 施 したところ、 左 肺 と 骨 盤 腔 内 の 病 変 は 消 失 した。 肝 転<br />

移 巣 はPET-CTでFDGの 集 積 は 認 めなかったものの 腫 瘍 径 が 不 変 で<br />

あったため、 肝 左 葉 切 除 と 肝 S6 部 分 切 除 を 行 った。 病 理 組 織 学 的 に<br />

は 粘 液 性 基 質 を 残 すのみで、 癌 細 胞 は 認 められなかった。 術 後 9か 月<br />

後 に 肺 転 移 に 対 して 胸 腔 鏡 下 肺 部 分 切 除 術 を 実 施 したが、その 後 17か<br />

月 間 、 新 病 変 の 出 現 は 認 めていない。【 症 例 3】50 歳 代 の 女 性 で、S 状<br />

結 腸 癌 および 同 時 性 肺 ・ 肝 ・ 腹 膜 転 移 に 対 してまずS 状 結 腸 切 除 、 腹<br />

膜 播 種 切 除 、 肝 右 葉 切 除 を 実 施 し、その1か 月 後 に 胸 腔 鏡 下 肺 部 分 切<br />

除 を 行 って 癌 の 遺 残 はなくなった(R0)。mFOLFOX6+Bev 療 法 を 開<br />

始 したが、3か 月 後 に 残 肝 再 発 を 認 めた。 化 学 療 法 を 継 続 したところ、<br />

他 の 部 位 にPET-CTでFDGの 集 積 はないもののCEAが 緩 徐 に 上 昇 す<br />

るため 肝 尾 状 葉 切 除 、S4 部 分 切 除 を 実 施 した。 病 理 検 索 ではviableな<br />

癌 細 胞 が 確 認 された。【 結 語 】 肝 以 外 の 複 数 臓 器 に 転 移 のある 進 行 大<br />

腸 癌 症 例 の 肝 切 除 の 決 定 は 容 易 ではない。<br />

P47-7 化 学 療 法 が 不 応 となった 大 腸 癌 多 発 肝 転 移 に 対 する 肝<br />

切 除<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 北 東 大 督 , 庄 雅 之 , 野 見 武 男 , 赤 堀 宇 広 , 山 戸 一 郎 ,<br />

童 仁 , 川 口 千 尋 , 安 田 里 司 , 木 下 正 一 , 金 廣 裕 道 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【 緒 言 】 近 年 の 大 腸 癌 化 学 療 法 の 進 歩 は 目 覚 ましいが、 一 方 でhigh…<br />

volume…centerでは 切 除 可 能 と 思 われる 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 が 一 般 病 院<br />

で 化 学 療 法 を 導 入 され、 化 学 療 法 が 不 応 となってからhigh…volume…<br />

centerに 紹 介 されるといった 現 象 を 生 み 出 している。 当 科 ではこれら<br />

の 症 例 に 対 しても 積 極 的 に 切 除 を 行 ない、 残 肝 再 発 にも 積 極 的 に 再 肝<br />

切 除 を 行 なっている。 症 例 及 び 手 術 のビデオを 供 覧 する。【 症 例 1】46<br />

歳 、 女 性 。 直 腸 S 状 部 癌 術 後 8カ 月 目 の 異 時 性 肝 転 移 症 例 。5か 所 の 肝<br />

転 移 あり、 他 院 でFOLFOX+bevacizumabを 導 入 。12クール 施 行 し<br />

PDとなり 当 科 紹 介 となった。 肝 切 除 を 施 行 し、FOLFILI+<br />

cetuximabの 術 後 補 助 療 法 を 施 行 した。5カ 月 目 に 残 肝 再 発 を2か 所 認<br />

め、 再 肝 切 除 を 施 行 。その6カ 月 後 に10か 所 の 残 肝 再 発 を 認 め、 再 々<br />

肝 切 除 を 施 行 した。【 症 例 2】58 歳 、 女 性 。 直 腸 S 状 部 癌 、 同 時 性 肝 転<br />

移 症 例 。 右 葉 に5か 所 の 肝 転 移 あり、 他 院 で 原 発 巣 手 術 後 にFOLFOX<br />

を8クール 施 行 。PRとなるもgrade3の 末 梢 神 経 症 状 が 出 現 し5FU/<br />

LV、 次 いでUFT/Uzelに 変 更 したところ、PDとなり 当 科 紹 介 。15か<br />

所 の 転 移 に 対 して 切 除 を 行 なった。その 後 はIRISによる 術 後 補 助 療 法<br />

を 行 ったが 半 年 後 に4か 所 の 再 発 を 認 め 再 肝 切 除 を 施 行 した。【 症 例 3】<br />

52 歳 、 女 性 。 直 腸 S 状 部 癌 、 同 時 性 両 葉 多 発 転 移 症 例 。 他 院 で 切 除 不<br />

能 と 判 断 されFOLFOX+cetuximabを11クール 施 行 、いったんPRと<br />

なる。その 後 、 原 発 巣 の 閉 塞 症 状 あり 原 発 巣 切 除 し、FOLFILI+<br />

bevacizumabを 導 入 。しかしPDとなり 当 科 に 紹 介 。30か 所 の 多 発 肝<br />

転 移 に 対 して 右 葉 切 除 +15か 所 の 肝 部 分 切 除 を 施 行 した。【まとめ】<br />

切 除 可 能 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 し 化 学 療 法 を 行 ない、 不 応 となってか<br />

ら 切 除 するのでは、 最 初 から 切 除 する 場 合 に 比 べて 再 発 後 の 治 療 の 選<br />

択 肢 を 狭 める 上 に、 高 額 な 医 療 費 、 化 学 療 法 による 肝 障 害 など 問 題 が<br />

多 い。 当 科 では 切 除 可 能 症 例 に 対 しては 基 本 的 に 術 前 化 学 療 法 は 施 行<br />

せず 切 除 を 先 行 している。<br />

P47-8 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 術 における 胆 汁 漏 の 予 測<br />

因 子 に 関 する 検 討<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

学 講 座<br />

○… 春 木 孝 一 郎 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 石 田 祐 一 1<br />

, 藤 原 佑 樹 1<br />

,<br />

古 川 賢 英 1<br />

, 飯 田 智 憲 1<br />

, 満 山 喜 宣 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

,<br />

二 川 康 郎 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 小 川 匡 市 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

,<br />

2<br />

矢 永 勝 彦<br />

( 目 的 ) 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 術 は 最 も 有 効 な 治 療 法 のひとつで<br />

ある。… 肝 切 除 術 後 の 合 併 症 は 手 術 手 技 ・ 器 具 が 発 達 した 現 在 減 少 傾<br />

向 にあるが、 胆 汁 漏 は 依 然 として 約 4-8%の 症 例 に 合 併 する。… 胆 汁 漏<br />

は 入 院 期 間 を 延 長 するだけでなく、 感 染 を 伴 い、 時 として 重 症 化 する<br />

こともあるため 原 因 の 解 明 とともに 発 症 の 予 測 と 早 期 対 策 が 重 要 と<br />

なってくる。 今 回 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 例 における 胆 汁 漏 の 予<br />

測 因 子 の 検 討 を 行 った。…( 対 象 ・ 方 法 )2000 年 1 月 から2010 年 12 月 に 当<br />

科 で 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 初 回 肝 切 除 93 例 中 ,データ 解 析 が<br />

可 能 であった84 例 を 対 象 とし, 年 齢 、 性 別 、 術 前 化 学 療 法 の 有 無 、 肝<br />

転 移 時 期 、 最 大 径 、 転 移 個 数 、 転 移 分 布 、 術 式 、Couinaud 分 類 の<br />

Segment1 及 び4の 切 除 の 有 無 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 術 中 輸 血 の 有 無 、<br />

術 後 1 日 目 の 白 血 球 数 、 好 中 球 数 、リンパ 球 数 、 単 球 数 、 血 小 板 数 、<br />

総 ビリルビン 値 に 関 し、 胆 汁 漏 発 生 をend-pointとして 単 変 量 及 び 多<br />

変 量 解 析 を 行 った。 各 連 続 変 数 は 平 均 値 を 参 考 にクラス 分 けした。( 結<br />

果 ) 胆 汁 漏 の 発 生 は7 例 (8%)の 症 例 に 認 めた。 単 変 量 解 析 では、65 歳<br />

未 満 (p=0.0070)、 手 術 時 間 300 分 以 上 (p=0.0346)、 術 中 出 血 1,000g 以<br />

上 (p=0.0204)、 系 統 切 除 (p=0.0195)、 術 中 輸 血 (p=0.0480)、 術 後 単 球<br />

500/μl 未 満 (p=0.0246)が 有 意 な 胆 汁 漏 発 生 因 子 であった。 多 変 量 解<br />

析 では、 術 後 単 球 500/μl 未 満 (p=0.0208)が 有 意 な 胆 汁 漏 発 生 因 子 で<br />

あった。( 結 語 )… 術 後 単 球 数 は 術 後 胆 汁 漏 の 予 測 因 子 となりうる 可 能 性<br />

がある。<br />

-404-


P47-9 右 肝 円 索 を 伴 う 大 腸 癌 多 発 肝 転 移 に 対 して、 肝 切 除 術 を<br />

施 行 した1 例<br />

岐 阜 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 栃 井 航 也 , 林 昌 俊 , 飯 田 豊 , 小 久 保 健 太 郎 ,<br />

井 本 盛 允<br />

【 症 例 】74 歳 、 女 性 。 平 成 22 年 5 月 上 部 直 腸 癌 に 対 して、 腹 腔 鏡 下 高<br />

位 前 方 切 除 術 を 施 行 した。 総 合 所 見 は、Ra,type2,40x35mm,pSS,tub2,l<br />

y0,v0,pN0,H0,P0,M0,fStageII,CurAであった。 術 後 補 助 化 学 療 法 は 施<br />

行 せず、 外 来 にて 経 過 観 察 していたが、 術 後 6か 月 のCT 検 査 で 多 発 肝<br />

転 移 を 指 摘 された。EOB-MRI 検 査 で10~20mm 大 の 計 9 個 (S2/3;4 個 、<br />

S4;1 個 、S5;1 個 、S6;2 個 、S8;1 個 )の 肝 転 移 を 認 めた。CTで、<br />

門 脈 分 岐 異 常 を 認 めた。 門 脈 臍 部 が 欠 損 し、 門 脈 左 枝 からP2、P3が<br />

分 岐 し、P4は 前 区 域 枝 から 分 岐 していた。 右 肝 円 索 、 左 側 胆 嚢 が 疑<br />

われた。【 手 術 】 逆 L 字 切 開 にて 右 開 胸 、 開 腹 した。 右 肝 円 索 、 左 側<br />

胆 嚢 を 認 めた。 術 中 超 音 波 検 査 (ソナゾイド 造 影 併 用 )にて 肝 転 移 巣 及<br />

び 門 脈 の 走 行 を 確 認 した。 門 脈 左 枝 は 臍 部 を 形 成 せず、P2、P3に 分<br />

岐 していた。 右 門 脈 臍 部 を 認 めた。 術 中 胆 道 造 影 では、B2、B3が 合<br />

流 し、 左 肝 管 となっていた。 肝 S2+S3 切 除 、 肝 部 分 切 除 術 を 施 行 した。<br />

手 術 時 間 ;414 分 、 出 血 ;235g【 病 理 組 織 学 的 検 査 】 中 分 化 腺 癌 を 認 め、<br />

大 腸 癌 肝 転 移 の 所 見 であった。 肝 転 移 巣 9 個 、 最 大 径 2cm… →…H2<br />

(GradeB)【 術 後 経 過 】 合 併 症 なく 術 後 経 過 良 好 で、 術 後 19 日 目 から 化<br />

学 療 法 を 開 始 した。 現 在 、 術 後 1 年 経 過 し、 転 移 、 再 発 徴 候 は 認 めて<br />

いない。【 結 語 】 右 肝 円 索 は 肝 内 門 脈 分 岐 異 常 を 伴 う 稀 な 解 剖 学 的 変<br />

異 である。 肝 切 除 の 際 には、 術 前 及 び 術 中 に 肝 動 脈 、 門 脈 、 肝 静 脈 、<br />

胆 管 の 解 剖 を 十 分 に 把 握 し、 残 肝 血 流 を 温 存 するように 術 式 選 択 する<br />

ことが 必 要 である。 右 肝 円 索 、 門 脈 分 岐 異 常 を 伴 う 大 腸 癌 多 発 肝 転 移<br />

に 対 して、 肝 切 除 術 を 施 行 した1 例 を 経 験 したので、 報 告 する。<br />

P48-1 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 化 学 療 法 後 肝 切 除 の 成 績 と 安 全<br />

性<br />

鳥 取 市 立 病 院 外 科<br />

○… 瀬 下 賢 , 大 石 正 博 , 水 野 憲 治<br />

目 的 と 方 法 :1994 年 1 月 から2011 年 8 月 までに 当 科 で 肝 切 除 を 行 った 大<br />

腸 癌 肝 転 移 症 例 63 例 (27-82 歳 、 男 性 42 例 、 女 性 21 例 )で 肝 切 除 成 績 と<br />

その 予 後 因 子 を 検 討 した。FOLFOX/FOLFIRI 療 法 導 入 前 の 前 期 群<br />

(1994-2003):…23… 例 、 導 入 後 の 後 期 群 (2004-2011):…40 例 の 肝 切 除 症 例<br />

の 肝 切 除 成 績 を 比 較 した。さらに 後 期 群 のうち 化 学 療 法 後 肝 切 除 をお<br />

こなったNAC 群 (n=12)とcontrol 群 (n=24)に 分 け、 術 前 化 学 療 法 の 効<br />

果 判 定 、 安 全 性 、 術 後 成 績 を 解 析 した。 結 果 : 肝 切 除 術 後 の5 年 生 存<br />

率 は51.7%。2004 年 以 降 の 後 期 群 の5 年 生 存 率 は63.8%であり 前 期 群 の<br />

39.2%と 比 べ 有 意 に(P=0.018) 生 存 期 間 が 延 長 した。 術 後 化 学 療 法 は<br />

79%の 症 例 に 施 行 。 肝 再 発 を40%に, 肝 外 再 発 を49%に 認 めた。 肝 切 除<br />

術 後 の 生 存 に 寄 与 するPrognotic…factorは 単 変 量 解 析 ではH 分 類 、<br />

Grade 分 類 、 残 肝 再 発 、 肝 外 再 発 、FOLFOX/FOLFIRI 療 法 であった。<br />

多 変 量 解 析 での 独 立 した 予 後 因 子 は 残 肝 再 発 、 肝 外 再 発 、Grade 分 類<br />

で あ っ た。 肝 切 除 前 化 学 療 法 12 例 の 内 訳 はmFOLFOX6:5 例 ,…<br />

mFOLFOX6+BV:2 例 ,… XELOX+BV:… 1 例 ,… FOLFIRI:1<br />

例 ,FOLFIRI+Cet:1 例 ,…5Fu 動 注 +CPT-11:1 例 ,…CDDP+5Fu 動 注 :1<br />

例 であり 中 央 値 6.5コース(2-35) 施 行 した。 術 前 の 肝 機 能 ではNAC 群 /<br />

control 群 AST:41.5IU/l…/25.1IU/l,…Plt16.2/25.8で 有 意 差 を、 肝 切 除 術<br />

後 検 査 ではAST:676.3IU/l…/358.5IU/l,…Plt…12.1/18.6で 有 意 差 を 認 めた。<br />

しかし 手 術 時 間 :276.2mim/241min…、 出 血 量 485.7ml/380.4ml 在 院<br />

日 数 30.1 日 /25.1 日 と 有 意 差 は 認 めなかった。NAC 群 の 術 後 合 併 症 は<br />

腹 腔 内 膿 瘍 3 例 、 胸 水 貯 留 3 例 、 敗 血 症 2 例 、 胆 道 再 建 後 の 胆 汁 漏 1 例 で<br />

あった。RECIST 効 果 判 定 はCR/PR/SD/PD=1/5/5/1であった。 術 後<br />

成 績 は 観 察 期 間 中 央 値 15.5ヶ 月 (6-78ヶ 月 )で 無 再 発 生 存 5 例<br />

(6,8,8,13,78M), 死 亡 5 例 、 残 肝 再 発 5 例 、 肺 転 移 6 例 、リンパ 節 転 移 3 例<br />

であった。 結 語 : 切 除 不 能 の 大 腸 癌 肝 転 移 や, 残 肝 再 発 や 肝 外 再 発 の<br />

頻 度 が 高 い 多 発 肝 転 移 症 例 に 対 して 肝 切 除 術 前 化 学 療 法 は 必 要 と 考 え<br />

られた。 手 術 時 間 、 出 血 量 、 在 院 日 数 などもcontrol 群 と 比 較 し 有 意<br />

差 はなく 術 前 化 学 療 法 後 肝 切 除 術 は 安 全 に 施 行 可 能 と 思 われた。<br />

FOLFOX+BV/Cetをおこない10クール 以 前 で 肝 切 除 をおこなうのが<br />

妥 当 と 思 われた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P48-2 転 移 性 肝 癌 に 対 する 多 剤 併 用 化 学 療 法<br />

(FOLFOX,FOLFILI,XELOX, 分 子 標 的 薬 など)+ 肝 切 除<br />

の 成 績 と 安 全 性<br />

香 川 県 立 中 央 病 院 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 泉 貞 , 岡 智<br />

【はじめに】 近 年 の 新 規 大 腸 がん 化 学 療 法 の 開 発 は 目 覚 ましく、 奏 効<br />

率 ・ 生 存 率 とも 大 きな 改 善 を 認 めている。そのため 以 前 は 非 切 除 と 思<br />

われた 転 移 性 肝 癌 が 切 除 可 能 となった 症 例 も 少 なからず 経 験 する。【 目<br />

的 】 転 移 性 肝 癌 に 対 し、FOLFOX・FOLFILI・XELOX・ 分 子 標 的 薬<br />

などを 使 用 することの 有 用 性 と 肝 切 除 に 影 響 を 及 ぼす 副 次 的 変 化 を 明<br />

らかにすること。【 対 象 ・ 方 法 】 当 院 において、2008 年 から 肝 切 除 前<br />

にFOLFOX・FOLFILI・XELOX・ 分 子 標 的 薬 など 新 規 化 学 療 法 を 施<br />

行 した14 例 ( 手 術 数 は17 回 )を 対 象 とした。 評 価 項 目 は、 化 学 療 法 前 後<br />

での 血 液 ・ 生 化 学 的 変 化 、CTでの 腫 瘍 縮 小 率 、CTでの 肝 臓 volume 比 ・<br />

脾 臓 volume 比 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 術 後 合 併 症 、 化 学 療 法 効 果 判 定 、<br />

背 景 肝 組 織 、 再 発 率 、 生 存 率 など。【 結 果 】 肝 切 除 前 に 施 行 された 主<br />

な 化 学 療 法 は、FOLFOX6 例 、FOLFILI6 例 、XELOX2 例 、<br />

sLV/5FU2 例 ( 重 複 例 もあり)であった。 肝 切 除 前 の 化 学 療 法 投 与 期 間<br />

はおよそ3~6か 月 で、 術 前 約 1か 月 の 休 薬 期 間 をおいた。CTなどでは<br />

50% 以 上 において 縮 小 効 果 を 認 めた。 手 術 に 際 し 問 題 となる 血 液 毒 性<br />

はgrade1~2 程 度 で、 手 術 延 長 を 要 した 症 例 はなかった。 基 本 術 式 は<br />

部 分 切 除 だが、2 区 域 切 除 が1 例 、1 区 域 切 除 が6 例 に 行 われていた。 効<br />

果 判 定 としてgrade2~3を50% 以 上 に 認 めた。 背 景 肝 は、うっ 血 肝 を2 例 、<br />

脂 肪 化 を3 例 、 肝 炎 所 見 を2 例 に 認 めた。 再 発 臓 器 は、 肝 臓 が 最 も 多 く、<br />

再 肝 切 除 は2 例 において 施 行 した。 観 察 期 間 は 短 いものの、 現 時 点 で<br />

は2 例 が 癌 死 した 以 外 、 無 再 発 生 存 中 である。【まとめ】… 新 規 抗 がん 剤<br />

レジメは、 高 い 奏 効 率 と 腫 瘍 壊 死 効 果 を 呈 し、 転 移 性 肝 癌 においても<br />

その 有 効 性 が 改 めて 示 された。 背 景 肝 においては、 比 較 的 高 い 割 合 で<br />

肝 障 害 を 背 景 肝 に 認 めたが、 術 後 肝 機 能 障 害 の 遷 延 などもなく 安 全 性<br />

が 示 された。 生 存 率 などについては 現 在 評 価 中 である。なお、 症 例 は<br />

現 在 も 集 積 中 である。<br />

P48-3 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 する 新 規 化 学 療 法 後 肝 切 除 例 の<br />

検 討<br />

広 島 市 立 広 島 市 民 病 院 外 科<br />

○… 塩 崎 滋 弘 , 松 川 啓 義 , 藤 原 康 宏 , 丁 田 泰 宏 , 金 澤 卓 ,<br />

原 野 雅 生 , 小 島 康 知 , 大 野 聡 , 二 宮 基 樹<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 して 最 近 FOLFOX、FOLFIRIなど 新 規 抗<br />

癌 剤 や 分 子 標 的 薬 の 併 用 にて 切 除 率 および 生 存 率 の 向 上 が 報 告 される<br />

ようになった。 化 学 療 法 によって 切 除 不 能 症 例 が 切 除 可 能 となるケー<br />

スも 認 められる。 今 回 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 症 例 の 成 績 を 検 討 するととも<br />

に、 化 学 療 法 施 行 後 に 肝 切 除 を 行 った 症 例 についてその 成 績 、 安 全 性<br />

などについて 検 討 した。【 対 象 】 当 科 でmFOLFOX6が 開 始 された<br />

2005 年 1 月 ~2011 年 10 月 までの 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 症 例 は60 例 で68 回 の 切<br />

除 が 行 われていた。 原 発 、 転 移 巣 の 同 時 切 除 は19 例 、 異 時 切 除 は49 例<br />

であった。60 例 のうち 化 学 療 法 を 先 行 して 肝 切 除 を 行 った 症 例 は11 例<br />

であった。【 結 果 】60 例 の1、3、5 年 累 積 生 存 率 はそれぞれ97.7、83.6、<br />

77.2%であり、それ 以 前 の 症 例 と 比 べ 有 意 に 良 好 であった(1985-2005<br />

年 の1、3、5 年 累 積 生 存 率 はそれぞれ81.6、44.9、29.6%)。 化 学 療 法<br />

を 先 行 した11 症 例 の 肝 転 移 GradeはAが6 例 、Bが2 例 、Cが3 例 であった。<br />

Grade…Aには 初 回 治 療 時 肺 転 移 併 発 例 、 腹 膜 播 種 併 発 例 、 緊 急 手 術 例<br />

が1 例 ずつ 認 められた。ほか3 例 のGrade…A 症 例 も 両 葉 多 発 例 であった。<br />

施 行 さ れ た 化 学 療 法 は9 例 がFOLFOXで あ り、Cetuximab、<br />

Panitumumabがそれぞれ1 例 ずつ 併 用 されていた。ほか<br />

FOLFIRI+Cetuximab、UFT+LVがそれぞれ1 例 ずつ 施 行 されていた。<br />

肝 切 除 はFOLFOX、FOLFIRIの6-8クール 後 に 行 われており、 最 終 化<br />

学 療 法 時 から 肝 切 除 までの 期 間 は 平 均 44.2 日 であった。 肝 切 除 時 、 転<br />

移 巣 が 消 失 し 転 移 個 数 が 減 少 した 症 例 は11 例 中 6 例 に 認 められた。 肝<br />

切 除 による 合 併 症 は 胸 水 貯 留 が1 例 のみでほか 重 篤 な 合 併 症 は 認 めず、<br />

術 後 14.4 日 で 退 院 していた。 観 察 期 間 は 短 いが 肺 再 発 、 肝 肺 再 発 例 2<br />

例 を 含 め 全 例 生 存 している。【 結 語 】 新 規 化 学 療 法 を 併 用 することに<br />

よって 肝 転 移 切 除 例 の 生 存 率 の 向 上 が 認 められた。 切 除 困 難 症 例 に 対<br />

してもこれらの 積 極 的 な 化 学 療 法 を 加 えることによって 肝 切 除 可 能 と<br />

なり、 予 後 が 改 善 されることが 期 待 される。<br />

-405-


P48-4 新 規 化 学 療 法 導 入 以 降 における 化 学 療 法 後 に 肝 切 除 を<br />

行 った 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 症 例 の 検 討<br />

JA 広 島 総 合 病 院 外 科<br />

○… 中 村 浩 之 , 中 光 篤 志 , 今 村 祐 司 , 佐 々 木 秀 , 香 山 茂 平 ,<br />

大 下 彰 彦 , 加 納 幹 浩 , 藤 解 邦 生 , 垰 越 宏 幸 , 山 口 拓 朗 ,<br />

福 田 康 彦<br />

【 目 的 】 新 規 化 学 療 法 (FOLFOX,FOLFIRI) 導 入 以 降 , 化 学 療 法 後 に<br />

肝 切 除 を 行 った 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の 治 療 成 績 について 検 討 .【 対 象 と<br />

方 法 】 肝 切 除 術 前 化 学 療 法 施 行 31 例 を 対 象 ( 平 均 年 齢 65 歳 , 男 女 比<br />

20:11,ケモ 群 ). 同 時 期 の 術 前 化 学 療 法 非 施 行 14 例 を 対 照 群 ( 平 均 年<br />

齢 71 歳 , 男 女 比 9:5,C 群 )として 比 較 検 討 . 単 変 量 (Log…rank…test)・<br />

多 変 量 解 析 (Cox…proportional…hazard…model)で 予 後 因 子 を 検 討 .【 結<br />

果 】(ケモ 群 ) 肝 転 移 度 H1/2/3…21/9/1 例 . 肝 転 移 Grade…A/B/C…15/13/3<br />

例 . 肝 切 除 時 肝 外 転 移 10 例 (32%)で, 内 5 例 に 合 併 切 除 を 施 行 ( 肺 2 例 ,<br />

横 隔 膜 ・ 後 腹 膜 リンパ 節 ・ 腹 膜 播 種 1 例 ). 肝 転 移 形 式 は 同 時 性 19 例 ,<br />

異 時 性 12 例 . 肝 切 除 術 式 は 部 分 切 除 11 例 , 亜 区 域 切 除 以 上 20 例 . 肝 切<br />

除 術 前 化 学 療 法 のレジメンはFOLFOX…and/or…FOLFIRI…22 例 , 内<br />

bevacizumab 併 用 10 例 ,その 他 (sLV5FUなど)9 例 .Grade…3/4の 有 害<br />

事 象 は8 例 (26%)で( 血 液 毒 性 7 例 , 末 梢 神 経 障 害 1 例 ), 薬 剤 の 減 量 や<br />

休 薬 で 軽 快 . 術 後 合 併 症 5 例 (16%)で, 肝 不 全 など 重 篤 なものなし.<br />

術 後 化 学 療 法 は28 例 (90%)に 施 行 . 肝 切 除 術 後 再 発 17 例 (55%)で, 残<br />

肝 再 発 12 例 中 4 例 に 再 肝 切 除 を,2 例 にRFAを 施 行 .( 同 時 性 肝 転 移 症<br />

例 ) 原 発 巣 との 同 時 切 除 1 例 , 異 時 切 除 18 例 . 異 時 切 除 の 適 応 は,<br />

NAC…9 例 , 多 発 6 例 , 巨 大 2 例 ,その 他 1 例 . 術 前 化 学 療 法 コース 数 中<br />

央 値 6コース(2-50), 原 発 巣 切 除 からの 待 機 期 間 中 央 値 23 週 間 (4-109).<br />

画 像 上 CR…1 例 ,PR…9 例 ,SD…5 例 ,PD…4 例 で, 奏 功 率 52.6%. 病 理 学<br />

的 CR…2 例 .(ケモ 群 とC 群 との 比 較 )ケモ 群 は 同 時 肝 切 除 が 有 意 に 少 な<br />

く, 転 移 個 数 が 有 意 に 多 かった(P


P48-8 術 前 化 学 療 法 を 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 術 前 門<br />

脈 塞 栓 術 は 安 全 に 施 行 可 能 か<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 佐 々 木 義 之 , 長 田 真 二 , 浅 井 竜 一 , 徳 丸 剛 久 , 棚 橋 利 行 ,<br />

太 和 田 昌 宏 , 今 井 寿 , 斎 藤 史 朗 , 田 中 善 宏 , 野 中 健 一 ,<br />

高 橋 孝 夫 , 山 口 和 也 , 吉 田 和 弘<br />

【はじめに】 大 腸 がん 肝 転 移 に 対 しては 積 極 的 な 化 学 療 法 や 肝 切 除 が<br />

施 行 されている。 大 腸 癌 肝 転 移 の 切 除 においても、 術 前 門 脈 塞 栓 術<br />

(PVE)を 施 行 し、 残 肝 容 量 の 増 大 を 図 ることがある。 今 回 、 化 学 療<br />

法 施 行 後 の 大 腸 がん 肝 転 移 においても 安 全 に 術 前 PVEが 可 能 である<br />

かを 検 討 した。【 方 法 】 当 院 にて2005 年 4 月 以 降 選 択 された 術 前 PVE<br />

症 例 18 例 ( 転 移 性 肝 癌 4、 肝 細 胞 癌 8、 胆 管 癌 4、その 他 2)を 対 象 。 肝 再<br />

生 に 対 する 化 学 療 法 の 影 響 を 観 察 するため、2 区 域 以 上 切 除 症 例 の 外<br />

側 区 域 増 大 率 を 算 出 。【 結 果 】1.PVE 後 肝 切 除 が 不 可 能 であったのは3 例 、<br />

転 移 性 肝 癌 1 症 例 で 腹 水 の 出 現 、2 例 は 残 肝 容 積 不 足 にて 縮 小 切 除 を 選<br />

択 。2.PVE 後 合 併 症 は、 腹 腔 内 出 血 、 創 離 解 が1 例 。3.PVE 後 34±10 日<br />

目 に 手 術 。 化 学 療 法 は 最 終 投 与 後 63.5±59.2 日 にPVEを 施 行 。4. 残 肝<br />

増 大 率 は6.7±4.7%で、 転 移 性 肝 癌 例 は8.9±6.4%と 高 い。5.PVE 施 行<br />

直 前 の 血 糖 値 と 増 大 率 には 負 の 相 関 関 係 あり(P=0.025)。ICGR15と、<br />

負 の 相 関 傾 向 (P=0.07)あり。6.PVE 後 の 転 移 性 肝 癌 増 大 率 は0.7±1.5%。<br />

PVE 前 後 の 平 均 ICGR15 値 は、それぞれ13.1±6.2%、12.8%±8.6%。7. 肝<br />

切 除 後 外 側 区 増 大 は、PVE 群 は1 週 間 目 でPVE 前 の1.52±0.16 倍 、 手 術<br />

前 の1.31±0.14 倍 で、PVEなし 群 1.53±0.12 倍 に 比 べPVE 前 は 差 がなく<br />

(P=0.46) 手 術 前 は 有 意 に 増 大 率 が 低 かった(P=0.014)。180 日 後 では、<br />

平 均 2.23±0.35 倍 であった。またPVE 群 では、PVE 前 との 比 較 で 平 均<br />

1.86±0.084 倍 であり、PVEなし 群 では 平 均 2.42±0.26 倍 でありPVE 群<br />

の 方 が 有 意 に(P=0.005) 増 大 率 が 低 かった。また、 術 前 化 学 療 法 群 で<br />

は 平 均 2.14±0.37 倍 であり、 化 学 療 法 非 施 行 群 では2.41±0.28であり 有<br />

意 差 は 認 められず(p=0.16)。8. 残 肝 再 発 は、PVE 群 は3 例 全 例 、 他 は8<br />

例 中 3 例 (37.5%)に 認 められた。 残 肝 再 発 までの 期 間 は、PVE 群 で236<br />

±97.8 日 、PVEなし 群 で289±187 日 であり 有 意 差 なし(P=0.34)。 増 大<br />

率 と 残 肝 再 発 の 関 連 は 認 められず。【 結 論 】 大 腸 がん 肝 転 移 に 対 して<br />

化 学 療 法 を 施 行 された 後 の 術 前 PVEは、 安 全 に 施 行 可 能 であると 考<br />

えられるが、 肝 切 除 後 の 残 肝 増 大 率 の 低 下 をきたし、 再 発 も 多 く 認 め<br />

られたため、 症 例 を 厳 格 に 選 定 すべきである。<br />

P48-9 集 学 的 治 療 により 長 期 無 再 発 生 存 が 得 られた 胃 癌 多 発<br />

肝 転 移 の 一 例<br />

福 岡 東 医 療 センター 外 科<br />

○… 前 田 貴 司 , 河 野 麻 優 子 , 井 口 友 宏 , 根 東 順 子 , 野 添 忠 浩 ,<br />

江 崎 卓 弘<br />

【はじめに】 胃 癌 の 肝 転 移 例 に 対 する 肝 切 除 の 意 義 については、 大 腸<br />

癌 と 異 なり、 切 除 率 が 低 く 残 肝 再 発 率 も 高 く 評 価 は 定 まっていない。<br />

特 に 多 発 肝 転 移 例 での 長 期 生 存 例 は 皆 無 に 等 しいのが 現 状 である。 今<br />

回 、 我 々は 胃 癌 の 同 時 性 両 葉 多 発 肝 転 移 に 対 して、 集 学 的 治 療 により<br />

長 期 無 再 発 生 存 を 得 た 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】60 歳 、 男 性 。 膀 胱 腫 瘍 および 尿 管 結 石 の 精 査 中 に 多 発 肝 腫 瘍<br />

を 指 摘 され、 当 科 紹 介 。CTで 肝 外 側 区 域 に 径 9cm,…S8/7に 径 7cm,…S8<br />

に 径 2cmの 腫 瘍 を 認 めた。 傍 大 動 脈 および 肝 門 部 リンパ 節 の 腫 大 は 認<br />

めなかった。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて、 胃 体 下 部 から 胃 角 部 小 彎 に<br />

3 型 の 腫 瘍 を 認 め、 生 検 にてGroup…5、 高 分 化 腺 癌 であった。CEAは<br />

96.7…ng/mlと 高 値 であった。 他 に 原 発 巣 を 認 めず、 同 時 性 多 発 肝 転 移<br />

を 伴 う 胃 癌 の 診 断 で、 開 腹 下 に 幽 門 側 胃 切 除 、 肝 外 側 区 域 切 除 および<br />

肝 S8 部 分 切 除 、 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 手 術 時 間 は440 分 、 術 中 出 血<br />

量 は850mlであった。 病 理 検 査 では、 胃 の 原 発 巣 は 中 分 化 腺 癌 、s,…<br />

INF-β,…int,…ly3,…v2,…pPM(-),…pDM(-)で、3 番 にリンパ 節 転 移 を 認 めた。<br />

膀 胱 癌 の 手 術 を 施 行 した 後 、 術 後 3ヵ 月 後 よりTS-1…(120mg/day)を 開<br />

始 し、4 週 投 与 、2 週 休 薬 で1 年 間 投 与 した。 副 作 用 は 特 に 認 めなかった。<br />

術 後 約 4 年 の 現 在 まで 再 発 はなく、 腫 瘍 マーカーも 陰 性 のままで、 無<br />

症 状 で 外 来 経 過 観 察 中 である。<br />

【 考 察 】 胃 癌 肝 転 移 に 対 する 肝 切 除 の 予 後 因 子 としては、 原 発 巣 の 深<br />

達 度 、 漿 膜 浸 潤 、リンパ 節 転 移 度 、 脈 管 侵 襲 、 肝 転 移 時 期 、 肝 転 移 個<br />

数 、 転 移 巣 最 大 径 、 切 除 断 端 などが 挙 げられている。 長 期 生 存 例 の 報<br />

告 は 単 発 肝 転 移 例 がほとんどであり、 本 症 例 のように 両 葉 に 多 発 する<br />

巨 大 肝 転 移 の 切 除 例 の 長 期 無 再 発 生 存 例 はきわめて 稀 であると 思 われ<br />

る。 今 後 は、 胃 癌 肝 転 移 例 における 肝 切 除 の 適 応 となる 症 例 の 選 択 と、<br />

多 発 例 や 残 肝 再 発 例 における 局 所 治 療 や 肝 動 注 療 法 を 含 めた 化 学 療 法<br />

などの 集 学 的 治 療 による 新 たな 治 療 戦 略 の 確 立 が 望 まれる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P49-1 肝 切 除 前 化 学 療 法 が 非 癌 肝 組 織 と 術 後 経 過 に 与 える 影<br />

響 に 関 する 検 討<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科<br />

○… 西 山 潔 , 前 島 理 , 西 川 誠 , 木 村 暁 史 , 川 原 林 伸 昭 ,<br />

初 瀬 一 夫 , 内 藤 善 久 , 神 藤 英 二 , 上 野 秀 樹 , 橋 口 陽 二 郎 ,<br />

長 谷 和 生 , 山 本 順 司<br />

【 背 景 】 化 学 療 法 の 進 歩 は 転 移 性 大 腸 癌 症 例 の 治 療 成 績 向 上 に 大 きく<br />

寄 与 してきたが、 近 年 肝 切 除 例 においては、それによる 肝 障 害 が 指 摘<br />

されており、 手 術 死 亡 や 合 併 症 に 影 響 を 与 えるとする 報 告 がみられる。<br />

【 目 的 】 術 前 後 の 臨 床 情 報 と 切 除 肝 組 織 所 見 を 検 討 し、 肝 切 除 前 化 学<br />

療 法 が 非 癌 部 と 術 後 経 過 に 与 える 影 響 について 検 討 する。【 対 象 と 方<br />

法 】 当 院 での2008 年 以 降 の 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 症 例 のうち、 肝 切 除 前 に<br />

OxaliplatinかIrinotecanを 含 む 化 学 療 法 を 施 行 さ れ た18 症 例<br />

(FOLFOX:16 例 、FOLFIRI:3 例 、XELOX:1 例 、 重 複 あり。 平 均 7.7<br />

±3.5サイクル 施 行 )について、 周 術 期 の 臨 床 病 理 学 的 因 子 、 術 後 のア<br />

ウトカムと 切 除 肝 の 病 理 組 織 学 的 障 害 度 ( 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 障<br />

害 :NAFLD、 類 洞 拡 張 を 検 討 した。【 結 果 】NAFLD 活 動 性 スコア:<br />

NASは 平 均 2.29±1.40(0-2:10 例 、3:5 例 、5:2 例 )、 類 洞 拡 張 スコア:<br />

SOSは2.18±0.81(1:4 例 、2:6 例 、3:7 例 )であった。 術 後 の 在 院 死<br />

はなく、 合 併 症 は 胆 汁 瘻 1 例 ( 在 院 日 数 66 日 )、 胆 管 狭 窄 1 例 ( 同 29 日 )で、<br />

それぞれNAS:0、SOS:2とNAS:2、SOS:3であった。 合 併 症 例<br />

を 除 くと 平 均 在 院 日 数 は11.1 日 であった。NAS 低 値 群 (2 以 下 )とNAS<br />

高 値 群 (3 以 上 )で 比 較 すると、 術 前 ICG15 分 値 はそれぞれ10.2±2.7… %、<br />

14.2±4.2… %と 有 意 に 低 値 群 が 低 かった(p


P49-3 根 治 切 除 不 能 大 腸 癌 に 対 して 全 身 化 学 療 法 後 に 肝 切 除<br />

を 行 った 大 腸 癌 肝 転 移 の5 例<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 ・ 乳 腺 外 科<br />

○… 大 石 幸 一 , 大 森 一 郎 , 小 橋 俊 彦 , 眞 次 康 弘 , 中 原 英 樹 ,<br />

板 本 敏 行<br />

近 年 の 大 腸 癌 化 学 療 法 の 進 歩 により 切 除 不 能 大 腸 癌 の 予 後 は 向 上 し、<br />

また 高 い 抗 腫 瘍 効 果 は 切 除 不 能 大 腸 癌 肝 転 移 においても 化 学 療 法 後 に<br />

切 除 可 能 となる 症 例 が 散 見 されるようになった。2004 年 1 月 から2010<br />

年 12 月 までに 当 院 臨 床 腫 瘍 科 で… 全 身 化 学 療 法 を 行 った 同 時 性 肝 転 移<br />

をともなう 根 治 切 除 不 能 大 腸 癌 68 例 のうち、 全 身 化 学 療 法 後 に 肝 切 除<br />

の 適 応 となった5 例 (7%)を 経 験 した。 平 均 年 齢 は52.6 歳 で 男 性 3 例 、 女<br />

性 2 例 。 根 治 切 除 不 能 の 理 由 は、 多 発 肝 転 移 が2 例 で 腹 膜 播 種 が3 例 、<br />

骨 転 移 が1 例 であった。 原 発 巣 切 除 は 先 行 切 除 が3 例 で、 化 学 療 法 後 の<br />

肝 切 除 と 同 時 切 除 が2 例 であった。 化 学 療 法 のレジメンはオキサリプ<br />

ラチンを 含 むFOLFOXまたはXELOXをファーストラインとして 使 用<br />

し、3 例 にアバスチンを 併 用 した。その 内 2 例 はオキサリプラチンの 有<br />

害 事 象 のためFOLFILIまたはsLV…5FU2… へ 変 更 した。 化 学 療 法 後 に<br />

肝 切 除 の 適 応 となった 理 由 は 肝 転 移 以 外 の 転 移 巣 がないか 変 化 がない<br />

症 例 あるいは 肝 転 移 の 腫 瘍 径 の 縮 小 と 個 数 の 減 少 により 肝 切 除 可 能 と<br />

なった 症 例 に 肝 切 除 を 施 行 した。 全 身 化 学 療 法 により3 症 例 52 病 変 に<br />

画 像 上 CRを 認 め、その 内 1 症 例 8 病 変 にpCRを 認 めた。 画 像 上 CR52 病<br />

変 のうち 術 中 同 定 不 可 能 で 切 除 しなかった 病 変 ( 見 過 ごし 病 変 )は28 病<br />

変 (54%)であった。 画 像 上 CR52 病 変 のうち 術 中 9 病 変 (17%)は 同 定 可<br />

能 で 切 除 し、そのうちpCRは5 病 変 (56%)であった。 画 像 上 腫 瘍 遺 残<br />

(viable)と 診 断 し 切 除 した22 病 変 のうち3 病 変 (14%)がpCRであった。<br />

大 腸 癌 の 治 療 開 始 から 約 5 年 の 長 期 生 存 例 を2 例 に 認 めたが、 肝 切 除 後<br />

1 年 以 上 の 経 過 観 察 ができた2 例 ともに 早 期 再 発 を 認 めた。 肝 転 移 を 伴<br />

う 根 治 切 除 不 能 大 腸 癌 に 対 して 化 学 療 法 を 行 い、 奏 功 した 症 例 に 対 す<br />

る 肝 切 除 の 意 義 については、 今 後 症 例 を 重 ねて 検 討 すべき 課 題 と 思 わ<br />

れた。 特 に、 見 過 ごし 病 変 に 対 する 厳 重 な 経 過 観 察 が 必 要 で、 二 期 的<br />

肝 切 除 も 視 野 に 入 れて 治 療 計 画 を 立 てる 必 要 があると 考 えている。<br />

P49-4 分 子 標 的 治 療 薬 併 用 化 学 療 法 を 行 い 切 除 可 能 となった<br />

GradeB,C 転 移 性 肝 癌 の5 例<br />

大 分 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 岩 城 堅 太 郎 , 福 澤 謙 吾 , 實 藤 健 作 , 岡 本 正 博 ,<br />

甲 斐 成 一 郎 , 若 杉 健 三<br />

【はじめに】 近 年 、 我 が 国 では、 肝 転 移 症 例 の40~50%に 肝 切 除 が 行<br />

われ、その 約 70%に 治 癒 切 除 が 施 行 されている。 大 腸 癌 治 療 ガイドラ<br />

インによれば、 肝 転 移 症 例 のGrade 別 5 年 生 存 率 ( 肝 切 除 例 、 非 切 除 例 )<br />

はそれぞれGrade…A…(52.9%,…14.3%),…Grade…B…(29.6%,…7.7%),…Grade…<br />

C…(10.4%,…0.0%)で、いずれも 肝 切 除 による 予 後 の 改 善 が 期 待 できる。<br />

我 々が 経 験 したGrade…B,…C 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 して 分 子 標 的 治 療 薬<br />

併 用 化 学 療 法 を 行 い 肝 切 除 術 を 施 行 した5 症 例 を 報 告 する。【 症 例 】 平<br />

均 年 齢 は60.8 歳 で、 同 時 性 肝 転 移 4 例 、 異 時 性 肝 転 移 1 例 。 肝 転 移<br />

Gradeは、Grade…Bが2 例 (いずれもH2)、Grade…Cが3 例 (H2が1 例 、…H3<br />

が2 例 )。 化 学 療 法 開 始 から 肝 切 除 まで、 平 均 11.6ヶ 月 で、 原 発 巣 との<br />

同 時 切 除 は1 例 のみであった。… 施 行 した 化 学 療 法 は、FOLFOX+BV:…<br />

2 例 、FOLFOX+BV,… FOLFIRI+BV,… CPT-11+C-mab:… 1 例 、<br />

XELOX+BV:…1 例 、XELOX+BV,…FOLFIRI+P-mab:…1 例 であった。<br />

肝 切 除 は、1 期 的 切 除 が4 例 (そのうち 術 前 門 脈 塞 栓 術 を2 例 に 施 行 )で、<br />

2 期 的 肝 切 除 が1 例 であった。 切 除 標 本 による 組 織 学 的 効 果 判 定 では、<br />

2/3 以 上 の 変 性 壊 死 を 認 めたGrade…2を4 切 除 に 認 めた。いずれの 症 例<br />

においても 化 学 療 法 による 肝 障 害 として 有 意 な 変 化 は 認 められなかっ<br />

た。 全 観 察 期 間 は 平 均 24.8ヶ 月 で、 初 回 肝 切 除 後 の 観 察 期 間 は 平 均<br />

13.2ヶ 月 で、5 例 中 3 例 で 無 再 発 生 存 中 であった。【 考 察 】 今 回 の5 症 例<br />

では 平 均 2 年 以 上 の 生 存 が 得 られており、 肝 切 除 により 予 後 の 延 長 が<br />

期 待 できると 考 えられた。 全 症 例 にて 化 学 療 法 による 肝 障 害 は 認 めら<br />

れず、 門 脈 塞 栓 術 や2 期 的 切 除 を 組 み 合 わせることにより 安 全 に 切 除<br />

可 能 と 考 えられた。 長 期 無 再 発 症 例 では、 治 療 効 果 が 得 られている 比<br />

較 的 早 期 の 段 階 で 肝 切 除 を 施 行 しており、この 段 階 での 肝 切 除 が 予 後<br />

改 善 に 有 効 である 可 能 性 が 示 唆 された。【まとめ】 分 子 標 的 治 療 薬 併<br />

用 化 学 療 法 を 行 い 切 除 可 能 となったGrade…B,…C 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の5<br />

例 を 経 験 した。 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 対 して、 根 治 的 肝 切 除 術 を 目 的 と<br />

した 集 学 的 治 療 を 行 うことにより、 予 後 改 善 が 期 待 できると 考 えられ<br />

た。<br />

P49-5 結 腸 GISTの 多 発 肝 転 移 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した1 例<br />

愛 媛 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 伊 藤 英 太 郎 , 藤 山 泰 二 , 米 永 吉 邦 , 渡 邊 常 太 , 串 畑 史 樹 ,<br />

高 田 泰 次<br />

今 回 、 結 腸 原 発 GISTの 多 発 肝 転 移 に 対 しイマチニブとスニチニブを<br />

投 与 したのち 肝 切 除 を 施 行 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】36 歳 の 女 性 。 平 成 23 年 1 月 下 行 結 腸 GISTに 対 し、 前 医 で 切 除<br />

術 を 施 行 された。 切 除 標 本 にて 病 変 の 大 きさは11.4×6.9cm、 核 分 裂<br />

数 は7/50HPFs。 病 変 は 完 全 切 除 されたが 高 リスクに 分 類 された。 術<br />

後 のCTで 肝 に 多 発 する 低 濃 度 の 陰 影 を 認 め、この 時 点 で 肝 転 移 を 疑 っ<br />

た。イマチニブ400mg/ 日 を 開 始 したが、 副 作 用 で 好 中 球 減 少 がみら<br />

れたため 適 宜 休 薬 しながら 投 与 を 行 っていた。 術 後 8か 月 のCTで、 尾<br />

状 葉 を 占 める45mm 大 の 病 変 をはじめ 肝 両 葉 に7か 所 以 上 の 転 移 が 認<br />

められた。イマチニブ 耐 性 と 判 断 し、スニチニブ20mg/ 日 へ 変 更 した。<br />

その1ヶ 月 後 、 画 像 上 転 移 巣 は 変 化 を 認 めずSDであった。 根 治 を 目 指<br />

した 肝 切 除 を 行 うべきと 判 断 し、 平 成 23 年 12 月 拡 大 左 葉 切 除 、 尾 状 葉<br />

切 除 、 右 葉 部 分 切 除 術 を 施 行 した。<br />

【 手 術 】 開 腹 時 、 腹 水 なく 腹 膜 播 種 は 認 めなかった。 転 移 病 巣 は 尾 状<br />

葉 に45mm 大 1か 所 、S3とS4にそれぞれ20mm 大 1ケ 所 ずつ、 右 葉 に3<br />

~10mmの 転 移 を 複 数 個 所 認 めた。 尾 状 葉 の 転 移 巣 は 下 大 静 脈 を 圧 排<br />

するも 剥 離 可 能 であった。 右 葉 の 転 移 巣 はエコーとPDEカメラを 用<br />

いて 検 索 し、それぞれ 部 分 切 除 を 行 い 確 認 しうる 転 移 は 全 て 切 除 した。<br />

【 考 察 】GISTの 肝 転 移 はイマチニブなどの 分 子 標 的 薬 単 独 での 根 治<br />

は 困 難 であり 外 科 的 切 除 が 第 一 選 択 となるが、 切 除 後 の 再 発 率 が 高 い<br />

ため 手 術 と 分 子 標 的 治 療 を 組 み 合 わせた 集 学 的 治 療 が 必 要 とされてい<br />

る。 分 子 標 的 治 療 の 術 前 療 法 としての 意 義 や 手 術 のタイミング、 多 発<br />

肝 転 移 に 対 する 術 式 の 選 択 など 今 後 解 決 すべき 課 題 も 多 く、 文 献 的 考<br />

察 を 加 え 本 症 例 を 報 告 する。<br />

P49-6 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 後 の 補 助 化 学 療 法 の 検 討<br />

北 九 州 市 立 医 療 センター 外 科<br />

○… 阿 部 祐 治 , 松 永 浩 明 , 西 原 一 善 , 中 野 徹 , 光 山 昌 珠<br />

【 目 的 】 大 腸 癌 治 療 ガイドラインでは 大 腸 癌 肝 転 移 根 治 術 後 の 補 助 化<br />

学 療 法 は 確 立 されていないが、2005 年 に 新 規 抗 癌 剤 の 導 入 後 、 現 実 に<br />

はこれら 薬 剤 も 補 助 化 学 療 法 として 使 用 されている。 当 科 における<br />

2005 年 以 降 の 肝 切 除 症 例 に 対 する 化 学 療 法 の 効 果 を、2005 年 以 前 の 肝<br />

動 注 化 学 療 法 施 行 例 と 対 比 して 検 討 した。【 方 法 】1992 年 ―2010 年 の<br />

初 回 肝 切 除 は245 例 で、 肝 切 除 時 点 でCur…Bが 得 られ 周 術 期 に 化 学 療<br />

法 が 施 行 された 症 例 のうち、2005 年 ―2010 年 の58 例 と2005 年 以 前 の 術<br />

後 肝 動 注 化 学 療 法 (5-FU…10g 以 上 投 与 ) 施 行 42 例 を 対 象 とした。 周 術<br />

期 に 新 規 抗 癌 剤 3サイクル 以 上 投 与 された(N 群 )26 例 、 経 口 抗 癌 剤 投<br />

与 (O 群 )28 例 、 肝 動 注 化 学 療 法 (H 群 )46 例 である。 化 学 療 法 別 の 生 存<br />

率 ・ 全 再 発 ・ 残 肝 再 発 ・ 肝 外 再 発 、および 再 発 後 の 化 学 療 法 の 効 果 に<br />

ついて 検 討 した。 生 存 率 ・ 再 発 率 の 算 出 にはKaplan-Meier 法 (Wilcoxon<br />

検 定 )を 用 い、P


P49-7 肝 障 害 を 伴 い 急 速 進 展 した 大 腸 癌 同 時 性 肝 転 移 残 肝 再<br />

発 例 に 対 しCetuximabが 奏 効 した1 例<br />

1<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 消 化 器 センター 外 科 、 2 東 邦 大 学<br />

医 療 センター 大 森 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 久 保 田 喜 久 1<br />

, 大 塚 由 一 郎 1<br />

, 田 村 晃 1<br />

, 石 井 淳 1<br />

,<br />

前 田 徹 也 1<br />

, 片 桐 敏 雄 1<br />

, 小 池 淳 一 1<br />

, 赤 坂 喜 清 2<br />

,<br />

平 野 孝 幸 2<br />

, 羽 鳥 努 2<br />

, 大 久 保 陽 一 郎 2<br />

, 渋 谷 和 俊 2<br />

,<br />

1<br />

金 子 弘 真<br />

【 症 例 】 症 例 は30 歳 台 の 男 性 。 直 腸 癌 (Ra,…tub2~por1)の 診 断 、CEA…<br />

850.3で、 腹 部 CTでは 最 大 径 54mm、30 個 以 上 の 両 葉 に 散 在 するH3 肝<br />

転 移 を 認 めた。 切 除 不 能 肝 転 移 に 対 しmFOLOFOX6、<br />

FOLFIRI+bevacizumabを 先 行 し、 肝 転 移 は 著 明 に 縮 小 、CR 病 変 も<br />

認 め、CEAは7.1まで 低 下 した。 原 発 巣 切 除 を 先 行 したのちに2 期 的 に<br />

肝 切 除 を 施 行 した。 術 式 は 外 側 区 域 切 除 + 後 区 域 切 除 + 部 分 切 除 とし、<br />

術 中 造 影 超 音 波 で 確 認 できないCR 病 変 は 切 除 しなかった。 術 後 補 助<br />

療 法 としてUFT+oral…LVを 開 始 した。 肝 切 除 2ヶ 月 後 に 上 腹 痛 、 全<br />

身 倦 怠 感 を 訴 え 受 診 、 血 液 検 査 で はPlt9 万 、AST148、ALT98、<br />

LDH5766、T-bil1.6、D-bil0.5、CEA71.5であり、 腹 部 CT 検 査 にて 多<br />

発 性 残 肝 再 発 を 認 めた。また 食 道 静 脈 瘤 も 認 め、 肝 腫 瘍 の 急 速 進 展 に<br />

伴 う 肝 障 害 と 判 断 した。KRAS 野 生 型 で、 肝 機 能 障 害 も 認 めたことか<br />

らcetuximab 単 剤 を 開 始 、 血 液 所 見 の 著 明 な 改 善 を 認 めたためCPT-11<br />

を 追 加 し、CEAは7.1まで 低 下 したが、11 回 施 行 しPDとなった。この<br />

間 の 有 害 事 象 はgrade2のざ 瘡 様 皮 疹 のみであった。その 後 食 道 静 脈<br />

瘤 出 血 を 繰 り 返 し、 化 学 療 法 は 継 続 できず 残 肝 再 発 から8ヶ 月 、 初 診<br />

時 から29ヶ 月 で 死 亡 した。【 考 察 】 近 年 、 新 規 抗 癌 剤 や 分 子 標 的 薬 の<br />

導 入 に 伴 い、 集 学 的 治 療 も 変 化 しつつあり 予 後 の 向 上 が 図 られている。<br />

特 に 切 除 不 能 、 再 発 例 における 予 後 の 改 善 は 著 しく、 中 でも 分 子 標 的<br />

薬 の 役 割 は 大 きいと 考 えられる。 大 腸 癌 転 移 性 腫 瘍 に 対 する<br />

cetuximabの 有 用 性 は 多 数 報 告 されており、 中 でも 本 症 例 のごとく 臓<br />

器 障 害 を 伴 った 転 移 性 腫 瘍 に 対 してのcetuximabの 有 効 性 や 安 全 性 の<br />

報 告 は 散 見 される。【 結 語 】 肝 障 害 を 伴 い、 急 速 、 多 発 性 といった 予<br />

後 不 良 と 考 えられる 残 肝 再 発 例 に 対 しcetuximabが 奏 功 し、かつ 安 全<br />

に 施 行 できた 症 例 を 経 験 した。<br />

P49-8 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 不 能 例 における 外 科 的 治 療 戦 略 <br />

田 附 興 風 会 医 学 研 究 所 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 川 本 浩 史 , 寺 嶋 宏 明 , 戸 田 怜 , 井 上 善 景 , 門 野 賢 太 郎 ,<br />

吉 冨 摩 美 , 飯 田 拓 , 尾 崎 信 弘<br />

【はじめに】 近 年 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 不 能 例 に 対 しconversion…therapy<br />

と 呼 ばれる 治 療 戦 略 が 浸 透 しつつあるが、 今 回 術 前 化 学 療 法 および 門<br />

脈 塞 栓 術 を 用 いることにより 原 発 巣 、 肝 転 移 巣 ともに 肉 眼 的 治 癒 切 除<br />

に 持 ち 込 めた4 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】(1)…32 歳 ・ 男 性 。<br />

直 腸 S 状 部 癌 ・ 同 時 性 肝 転 移 (H2N2,… 肝 転 移 GradeC)。mFOLFOX6を<br />

8コース 施 行 。 術 前 門 脈 塞 栓 を 行 うも 残 肝 volumeの 増 大 が 不 十 分 で<br />

あったため、 原 発 巣 切 除 時 にTIPE( 経 回 腸 静 脈 的 門 脈 塞 栓 術 )による<br />

門 脈 塞 栓 を 施 行 し、4 週 後 に 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 に 持 ち 込 めた。 術 後 化<br />

学 療 法 (UFT/Uzel)を1 年 間 施 行 し、 肝 切 除 後 3 年 間 無 再 発 生 存 中 であ<br />

る。(2)…63 歳 ・ 男 性 。 上 行 結 腸 癌 ・ 同 時 性 肝 転 移 (H1N1,… 肝 転 移<br />

GradeA)。 原 発 巣 切 除 後 、mFOLFOX6+Cmabを12コ ー ス、<br />

LV/5FU+Cmabを2コース 施 行 。TIPE7 週 後 に 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 に 持<br />

ち 込 めた。 術 前 化 学 療 法 による 骨 髄 抑 制 が 遷 延 し、 術 後 化 学 療 法 は 導<br />

入 せず。 肝 切 除 4ヶ 月 後 に 両 側 の 肺 転 移 認 め、 各 々 外 科 的 切 除 を 施 行<br />

し た。(3)…60 歳 ・ 男 性 。 直 腸 癌 (Ra)・ 同 時 性 肝 転 移 (H2N2,… 肝 転 移<br />

GradeC)。mFOLFOX6+Cmabを6コース 後 、 一 期 的 に 腹 腔 鏡 補 助 下<br />

直 腸 低 位 前 方 切 除 術 + 肝 部 分 切 除 術 (7ヶ 所 )+ 術 中 RFA 施 行 。<br />

mFOLFOX6+Cmabによる 術 後 補 助 化 学 療 法 を 施 行 し、 肝 切 除 後 4ヶ<br />

月 無 再 発 生 存 中 である。(4)…61 歳 ・ 男 性 。S 状 結 腸 癌 ・ 同 時 性 肝 転 移<br />

(H3N2,… 肝 転 移 GradeC)。 両 葉 多 発 肝 転 移 のためtwo-stage…operation<br />

の 適 応 と 考 え、mFOLFOX6+Cmab…6コース 施 行 した 後 、 腹 腔 鏡 補 助<br />

下 直 腸 高 位 前 方 切 除 術 、 外 側 区 域 (2ヶ 所 のうちの1ヶ 所 )および 左 尾 状<br />

葉 (1ヶ 所 )の 転 移 巣 に 対 してのRFA、およびTIPEを1st…operationとし<br />

て 行 い、4 週 後 に 肝 右 葉 切 除 術 + 尾 状 葉 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 外 側<br />

区 域 のRFA 未 施 行 部 位 についてはviable…lesionの 残 存 も 疑 われたが、<br />

S2-S3グリソン 根 部 に 位 置 することから、エタノール 注 入 のみにとど<br />

めた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P50-1 腹 腔 鏡 下 肝 外 側 区 域 切 除 にて 診 断 しえた、 興 味 深 い 画 像<br />

を 呈 したFNHの1 例<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 名 古 屋 医 療 センター<br />

○… 田 中 晴 祥 , 初 野 剛 , 木 下 満 , 長 谷 川 和 也 , 石 原 博 雅 ,<br />

高 野 奈 緒 , 下 山 理 史 , 中 山 裕 史 , 片 岡 政 人 , 近 藤 建<br />

【 症 例 】41 歳 男 性 【 既 往 歴 】 起 立 性 蛋 白 尿 ・A 型 肝 炎 【 生 活 歴 】 海 外<br />

渡 航 歴 あり、 輸 血 歴 あり、 飲 酒 なし、ヘテロセクシャル【 現 病 歴 】<br />

2010 年 秋 頃 より 咳 嗽 出 現 し、 改 善 なく 経 過 、2011 年 2 月 下 旬 に 帯 状 疱<br />

疹 に 罹 患 している。3 月 上 旬 に 咳 嗽 悪 化 し、 労 作 時 呼 吸 困 難 が 出 現 した。<br />

カリニ 肺 炎 と 診 断 され、 治 療 を 開 始 されたが、その 際 にHIV 感 染 症 が<br />

発 覚 した。 入 院 時 に 施 行 されたCTで 肝 左 葉 に 腫 瘍 が 認 められ、HIV<br />

感 染 症 の 治 療 及 び、 肝 腫 瘍 の 精 査 目 的 で 当 院 に 紹 介 受 診 となった。【 経<br />

過 】CTでは 肝 外 側 区 域 に5cm 大 の 比 較 的 境 界 が 明 瞭 な 低 吸 収 領 域 が<br />

認 められており、 動 脈 層 で 結 節 状 に 濃 染 し、 静 脈 層 では 周 囲 肝 実 質 と<br />

同 程 度 の 造 影 効 果 となり、リング 状 の 造 影 効 果 が 認 められた。 単 純<br />

MRIでは 不 均 一 な 低 信 号 、T2では 淡 い 高 信 号 、 動 脈 層 ではつよく 造<br />

影 され、 平 衡 層 では 一 部 wash…out、 肝 細 胞 層 でも 低 信 号 と 高 信 号 が<br />

混 在 していた。 造 影 エコーでは 早 期 層 で 造 影 効 果 をつよく 認 め、クッ<br />

パー 層 でも 造 影 効 果 が 認 められていた。 腹 部 血 管 造 影 では 血 流 豊 富 の<br />

腫 瘍 として 確 認 された。いわゆる 車 輻 様 血 管 造 影 は 確 認 できなかった。<br />

鑑 別 として、FNH、fibrolamellar…hepatocellular…carcinoma、カポジ<br />

肉 腫 、 悪 性 リンパ 腫 などが 鑑 別 に 挙 げられたこと、また 徐 々に 心 窩 部<br />

の 鈍 痛 を 訴 えるため、 診 断 / 治 療 目 的 に 腹 腔 鏡 下 外 側 区 域 切 除 述 を 施<br />

行 したところ、FNHと 診 断 された。【 考 察 】 興 味 深 い 画 像 を 呈 した、<br />

非 典 型 的 なFNHの 一 例 を 経 験 した。 術 前 診 断 に 苦 慮 したが、 腹 腔 鏡<br />

下 切 除 により 診 断 と 治 療 を 兼 ねることができたことは 意 義 深 いと 考 え<br />

る。<br />

P50-2 肝 reactivelymphoidhyperplasiaの1 例<br />

宇 部 興 産 中 央 病 院 外 科<br />

○… 河 岡 徹 , 平 木 桜 夫 , 福 田 進 太 郎<br />

肝 reactive…lymphoid…hyperplasia( 以 下 、RLH)は 非 常 に 稀 な 疾 患 であ<br />

る。 今 回 、われわれは 術 後 病 理 組 織 診 断 で 肝 RLHと 診 断 した1 例 を 経<br />

験 したのでこれを 報 告 する。 症 例 は70 歳 女 性 。 主 訴 は 特 にない。 高 血<br />

圧 ・ 糖 尿 病 の 既 往 があるが、 膠 原 病 を 含 めた 慢 性 炎 症 性 疾 患 は 認 めず。<br />

HBV(-)・HCV(-)。 平 成 22 年 9 月 に、たまたま 行 った 腹 部 超 音 波 検 査<br />

で 肝 S6-7に10x14mm 大 の 腫 瘤 を 指 摘 され、 当 院 を 紹 介 受 診 した。<br />

EOB・プリモビストMRIで 腫 瘤 は 早 期 にring 状 にわずかに 造 影 され、<br />

肝 細 胞 造 影 相 では 造 影 されなかった。PET-CTでSUVは5.49と 集 積 を<br />

認 めたが、それ 以 外 に 病 変 を 指 摘 しなかった。 各 種 腫 瘍 マーカーは 基<br />

準 値 内 であった。 上 下 部 内 視 鏡 検 査 でも 異 常 を 認 めなかった。 経 皮 経<br />

肝 針 生 検 を 行 ったが、 一 部 にリンパ 球 が 集 簇 しており、T 細 胞 ・B 細<br />

胞 が 混 在 しているものの、 悪 性 リンパ 腫 や 肝 細 胞 癌 ・ 胆 管 癌 などを 示<br />

唆 する 所 見 は 認 めず、 確 定 診 断 には 至 らなかった。 腫 瘍 が1か 月 後 に<br />

22mm 大 に 増 大 したため、 診 断 的 治 療 を 行 うべく、 手 術 ( 肝 後 区 域 切<br />

除 術 )を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 検 索 ではリンパ 濾 胞 の 増 生 を 認 める<br />

のみで 個 々のリンパ 球 の 異 型 は 少 なく、bclの 過 剰 発 現 もなく、<br />

polyclonalな 増 殖 であったため、 肝 RLHと 確 定 診 断 した。 現 在 、 術 後<br />

1 年 経 過 しているが 再 発 を 認 めていない。RLHは 眼 窩 ・ 消 化 管 ・ 皮 膚 ・<br />

甲 状 腺 などの 全 身 の 各 種 臓 器 からの 報 告 例 があるが、 肝 臓 では 稀 であ<br />

り、 本 邦 でも 今 まで20 数 例 の 報 告 があるのみである。 疾 患 自 体 が 確 定<br />

していないため、pseudolymphomaやnodular…lymphoid…lesionなどの<br />

名 称 で 報 告 される 例 も 多 い。 中 年 以 降 の 女 性 によく 認 められ、 実 際 は<br />

20mm 以 下 の 小 腫 瘤 で 発 見 されることが 多 く、 術 前 確 定 診 断 を 行 うこ<br />

とは 困 難 である。 予 後 は 良 好 であり、これまでに 再 発 例 の 報 告 はない。<br />

珍 しい 疾 患 ではあるが、 本 疾 患 の 存 在 を 認 識 することにより、 針 生 検<br />

などで 経 過 観 察 を 含 めた 適 切 な 対 処 を 選 択 できる 可 能 性 もある。<br />

-409-


P50-3 肝 原 発 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 四 講 座<br />

○… 竹 村 晃 , 後 藤 悦 久 , 中 地 健 , 佐 谷 徹 郎 , 片 野 素 信 ,<br />

田 渕 崇 文<br />

症 例 は80 歳 女 性 。 近 医 にて 胆 石 症 、 高 血 圧 、 高 脂 血 症 を 加 療 中 に 定 期<br />

の 血 液 検 査 で 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 が 認 められた。そのため 前 医 で 腹 部<br />

超 音 波 検 査 を 施 行 したところ 肝 内 胆 管 拡 張 と 肝 腫 瘤 を 指 摘 され 当 院 を<br />

紹 介 受 診 した。 腹 部 造 影 CT 検 査 で 肝 S5~8に 辺 縁 に 造 影 効 果 を 持 つ 径<br />

5cm 大 の 不 整 な 低 吸 収 域 が 認 められ、その 末 梢 側 の 肝 内 胆 管 は 拡 張 し<br />

ていた。 腫 瘍 マーカーはAFP、PIVKA-2は 正 常 範 囲 内 であったが、<br />

CEA:9.2、CA19-9:481.1と 上 昇 が 認 められた。 消 化 管 精 査 では 異 常<br />

を 認 めず、 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 で 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 摘 出 病 変 の<br />

病 理 組 織 診 断 にて 腺 扁 平 上 皮 癌 、pT3N0M0…stage3と 診 断 された。 術<br />

後 胆 汁 漏 が 発 症 したが 経 皮 的 ドレナージのみで 軽 快 し 退 院 となった。<br />

術 後 、 一 旦 腫 瘍 マーカーは 正 常 範 囲 まで 低 下 したものの、 約 4カ 月 後<br />

に 腫 瘍 マーカーの 再 上 昇 が 認 められCT 所 見 で 腸 間 膜 根 部 リンパ 節 へ<br />

の 転 移 が 認 められた。その 時 点 で 化 学 療 法 の 導 入 を 予 定 したが、ご 本<br />

人 とご 家 族 ともに 了 承 を 得 られなかったため 現 在 も 経 過 観 察 中 である。<br />

肝 内 胆 管 癌 の 一 亜 型 である 肝 原 発 腺 扁 平 上 皮 癌 はまれな 疾 患 である。<br />

今 回 、われわれは 肝 原 発 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので 若 干<br />

の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P50-4 結 腸 浸 潤 を 伴 った 肝 原 発 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

1<br />

国 立 国 際 医 療 研 究 センター 国 府 台 病 院 外 科 、 2 国 立 国 際 医 療<br />

研 究 センター 国 府 台 病 院 消 化 器 科 、 3 国 立 国 際 医 療 研 究 セン<br />

ター 国 府 台 病 院 中 央 検 査 部<br />

○… 池 田 真 美 1<br />

, 小 林 正 典 2<br />

, 今 村 雅 俊 2<br />

, 石 田 剛 3<br />

,<br />

1<br />

青 柳 信 嘉<br />

【 緒 言 】 結 腸 浸 潤 による 下 血 で 発 見 された 右 上 腹 部 腫 瘤 で、 術 前 画 像<br />

診 断 がつかなかった 症 例 を 経 験 した。<br />

【 症 例 】 生 来 健 康 な69 歳 女 性 。 約 半 年 前 頃 から 周 囲 より 体 重 減 少 を 指<br />

摘 されていたが 自 覚 症 状 なし。 数 日 前 からの 下 血 を 認 めて 受 診 された。<br />

CTにて 直 径 約 12cmの 単 発 腫 瘍 を 指 摘 された。 境 界 明 瞭 だが 横 行 結 腸<br />

に 接 しておりこれが 下 血 の 原 因 と 考 えられた。 肝 は 内 側 区 から 前 区 域<br />

で 接 しており 胆 嚢 は 萎 縮 していた。 血 流 豊 富 でHCCや 転 移 の 造 影 パ<br />

ターンは 呈 さず。ガドリニウム 造 影 MRIにてT1 強 調 で 間 よりも 低 信 号 、<br />

T2で 肝 より 高 信 号 を 認 めた。 血 管 造 影 では 腹 腔 動 脈 で 腫 瘍 頭 側 の 実<br />

質 が 濃 染 し、 上 腸 間 膜 動 脈 造 影 で 右 結 腸 動 脈 などからの 増 生 した 血 管<br />

で 腫 瘍 尾 側 の 濃 染 を 認 めた。late…phaseで 門 脈 に 直 接 流 入 する、 太 く<br />

増 生 した 血 管 を 複 数 認 めた。<br />

WBC…10800/μl、Hb…9.6g/dl、CRP10.2と 炎 症 反 応 の 上 昇 と 貧 血 を 認<br />

めた。 肝 炎 ウイスルマーカーは 陰 性 、 肝 機 能 はAlb…3.2g/dl、PT…<br />

87.6%、T-bil…0.4mg/dL、ICGR15 分 値 16.0%、 腫 瘍 マ ー カ ー はCEA…<br />

1.6ng/ml、CA19-9…7.7U/ml、PIVKA-2…20mAU/ml、AFP…4ng/ml、<br />

と 正 常 範 囲 内 であったが、IL-2R… は916U/mlと 軽 度 上 昇 していた。<br />

HCCやCCC 以 外 の 肝 腫 瘍 、 非 典 型 的 胆 嚢 癌 、GISTなどの 間 葉 系 腫 瘍<br />

と 原 発 部 位 も 定 かではなく、 様 々な 意 見 があがって 確 定 診 断 つかず。<br />

待 機 的 手 術 予 定 であったが、 数 日 で 下 血 の 悪 化 を 認 め、 静 脈 性 出 血 と<br />

考 えられたためTAEでの 止 血 は 困 難 と 判 断 して 準 緊 急 手 術 を 行 った。<br />

右 半 結 腸 切 除 ・ 肝 S4.5 非 系 統 的 切 除 施 行 。 手 術 時 間 11 時 間 13 分 、 出 血<br />

量 3890ml。 開 腹 時 、 腹 水 を 少 量 認 めたが 播 種 や 周 囲 リンパ 節 腫 大 を<br />

認 めず。 横 行 結 腸 や 大 網 には 浸 潤 していた。 標 本 は 被 膜 に 覆 われ 弾 性<br />

硬 、 割 面 は 白 色 充 実 性 で 一 部 壊 死 して 膿 瘍 形 成 があった。 病 理 結 果 は、<br />

肝 原 発 の 腺 扁 平 上 皮 癌 であった。 術 後 経 過 は 良 好 で19POD 退 院 となっ<br />

た。<br />

【 結 語 】 肝 原 発 の 腺 扁 平 上 皮 癌 はまれであり、そのうち 扁 平 上 皮 成 分<br />

が 主 であるものは 更 に 少 ない。 他 の 報 告 例 と 比 較 して 発 表 する。<br />

P50-5 肝 原 発 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

1<br />

東 京 女 子 医 大 、 2 東 京 女 子 医 大 八 千 代 医 療 センター<br />

○… 藤 田 泉 1<br />

, 樋 口 亮 太 1<br />

, 太 田 岳 洋 1<br />

, 梶 山 英 樹 1<br />

, 谷 澤 武 久 1<br />

,<br />

植 村 修 一 郎 1<br />

, 有 泉 俊 一 1<br />

, 中 野 雅 行 2 1<br />

, 山 本 雅 一<br />

【はじめに】 肝 原 発 扁 平 上 皮 癌 は 極 めてまれで,また 進 行 した 状 態 で<br />

発 見 されることが 多 く, 予 後 は 非 常 に 悪 いとされている. 今 , 肝 機 能 障 害<br />

を 契 機 に 発 見 された 肝 原 発 扁 平 上 皮 癌 の1 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る.【 症 例 】 症 例 は43 歳 男 性 で、 検 診 で 肝 機 能 異 常 を 指 摘 され 当 院 紹<br />

介 受 診 となった. 既 往 歴 ・ 家 族 歴 はともに 特 記 すべきものなく, 飲 酒 は<br />

ビ ー ル500cc/ 日 で あ っ た. 自 覚 症 状 は な く, 来 院 時 AST122IU/<br />

L,ALT195IU/L,ALP748IU/Lと 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 めた. 腹 部 超 音<br />

波 検 査 では 肝 S4に40mm 大 の 等 エコーな 腫 瘍 を 認 め, 腫 瘍 の 末 梢 胆 管 は<br />

6mm 程 度 に 拡 張 していた. 腹 部 CT 検 査 では,S4に40mm 大 の 造 影 効 果 の<br />

乏 しい 腫 瘍 を 認 めた.MRIではT1 強 調 画 像 で 低 信 号 ,T2 強 調 画 像 で 軽 度<br />

の 高 信 号 を 示 す 腫 瘍 で,Gd-EOB-DTPA 造 影 では 取 り 込 みの 低 下 を 認<br />

めた.ERCPでは 左 胆 管 は 造 影 されず, 右 肝 管 にも 約 1cmの 狭 細 像 を 認<br />

め, 入 院 中 に 閉 塞 性 黄 疸 を 来 たしたためENBD 留 置 によるドレナージ<br />

を 要 した.ブラッシング 細 胞 診 でClass5の 結 果 であった.…PETで 全 身 検<br />

索 を 行 ったが, 明 らかな 遠 隔 転 移 認 めず, 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 で 拡 大 左 葉<br />

尾 状 葉 切 除 , 肝 外 胆 道 再 建 術 を 施 行 した. 病 理 組 織 所 見 では 大 部 分 が 角<br />

化 や 細 胞 間 橋 を 伴 う 扁 平 上 皮 癌 で 一 部 腺 管 構 造 を 認 めるものの, 明 ら<br />

か な 腺 癌 成 分 は な く 肝 原 発 扁 平 上 皮 癌 (H2,Eg,Fc-<br />

,s0,n0,vp3,vv0,b4,binf+)と 診 断 した.… 術 後 は 経 過 良 好 で 第 18 病 日 退 院 と<br />

なり, 現 在 FPによる 化 学 療 法 を 施 行 中 である.【まとめ】 肝 内 胆 管 扁 平<br />

上 皮 癌 は 比 較 的 稀 な 疾 患 で, 肺 癌 や 口 腔 , 頸 部 癌 などの 転 移 性 腫 瘍 の 割<br />

合 が 高 く, 肝 原 発 のものは 非 常 に 稀 である.…1983-2011 年 の 医 中<br />

誌 ,PubMedで“ 扁 平 上 皮 癌 ”“ 肝 腫 瘍 ”,“squamous…cell…carcinoma”<br />

“Liver”をKey…wordに 検 索 したところ 切 除 例 の 報 告 はは7 例 のみで<br />

あり, 貴 重 な 症 例 と 思 われたため, 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する.<br />

P50-6 術 前 診 断 し 得 なかった 巨 大 肝 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

東 京 都 保 健 医 療 公 社 多 摩 南 部 地 域 病 院 外 科<br />

○… 出 雲 渉 , 畑 地 健 一 郎 , 桂 川 秀 雄 , 重 松 恭 祐<br />

【はじめに】カルチノイドは 神 経 内 分 泌 細 胞 から 発 生 した 腫 瘍 で、 本<br />

邦 における 十 二 指 腸 カルチノイドは 全 消 化 管 カルチノイドの14.9%を<br />

占 め、 直 腸 、 胃 についで 多 く 認 められている。 今 回 我 々は、 術 前 診 断<br />

し 得 なかった 巨 大 肝 腫 瘍 が、 術 後 の 病 理 学 的 検 索 により 十 二 指 腸 カル<br />

チノイドの 肝 転 移 であった1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】 症 例<br />

は45 歳 男 性 。 健 診 の 腹 部 超 音 波 検 査 にて 肝 腫 瘍 を 指 摘 され、 精 査 を 施<br />

行 。 飲 酒 歴 はなく 肝 炎 ウイルスは 陰 性 で、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 も 見 ら<br />

れなかった。CTにて 肝 左 葉 に 長 径 8cmの 嚢 胞 成 分 を 主 体 とした、 一<br />

部 に 造 影 効 果 を 認 める 充 実 性 成 分 をともなった 腫 瘍 が 認 められ、 門 脈<br />

左 枝 は 閉 塞 し、 中 肝 静 脈 は 一 部 圧 排 されていた。MRIでも 肝 左 葉 に<br />

T1で 低 信 号 、T2で 高 信 号 を 認 める 長 径 8cmの 嚢 胞 成 分 を 主 体 とした、<br />

一 部 に 造 影 効 果 を 認 める 充 実 性 成 分 をともなった 腫 瘍 が 認 められた。<br />

MRCPでは 腫 瘍 と 胆 管 の 間 に 交 通 は 認 めず、 末 梢 胆 管 の 拡 張 も 見 られ<br />

なかった。 上 ・ 下 部 内 視 鏡 検 査 では 表 層 性 胃 炎 、 結 腸 ポリープを 認 め<br />

るのみで 明 らかな 腫 瘍 性 病 変 は 見 られなかった。 以 上 より 粘 液 性 嚢 胞<br />

腺 癌 、または 内 部 の 中 心 壊 死 を 伴 った 肝 細 胞 癌 を 疑 い 手 術 施 行 とした。<br />

術 中 所 見 では 肝 左 葉 に 腫 瘍 を 触 知 し、 十 二 指 腸 球 部 前 壁 に1cm 大 の 粘<br />

膜 下 腫 瘍 を 認 めたため、 十 二 指 腸 部 分 切 除 術 + 拡 大 肝 左 葉 切 除 術 を 施<br />

行 とした。 術 後 の 病 理 学 的 検 索 では 肝 腫 瘍 、 十 二 指 腸 粘 膜 下 腫 瘍 とも<br />

に 大 小 不 同 の 類 円 形 の 核 を 有 する 腫 瘍 細 胞 が 充 実 胞 巣 状 、 索 状 構 造 を<br />

取 り 増 殖 しており、 免 疫 染 色 ではシナプトフィジン 陽 性 、クロモグラ<br />

ニンA 陽 性 、NSE 陽 性 、CD56 陰 性 であった。 以 上 より 十 二 指 腸 カル<br />

チノイドの 肝 転 移 と 診 断 とされた。 術 後 半 年 後 に 肝 内 に 再 発 を 認 めた<br />

ため5-FU 動 注 療 法 を 実 施 し、44ヵ 月 Stable…diseaseで 経 過 中 である。<br />

【まとめ】 術 前 診 断 し 得 なかった 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 し 切 除 術 を 施 行 し、<br />

術 後 の 病 理 学 的 検 索 により 十 二 指 腸 カルチノイドの 肝 転 移 と 診 断 され<br />

た1 例 を 経 験 した。 肝 腫 瘍 を 認 めた 際 にはカルチノイドの 可 能 性 も 念<br />

頭 に 置 き 全 身 検 索 をする 必 要 があると 思 われ、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加<br />

えて 報 告 する。<br />

-410-


P50-7 術 前 診 断 が 困 難 であった 肝 原 発 MALTリンパ 腫 の1 切<br />

除 例<br />

1<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 東 横 病 院 消 化 器 病 センター、 2 聖 マリア<br />

ンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 星 野 博 之 1<br />

, 佐 々 木 貴 浩 1<br />

, 瀬 上 航 平 1<br />

, 小 林 慎 二 郎 1<br />

,<br />

小 泉 哲 1 2<br />

, 大 坪 毅 人<br />

肝 原 発 の 悪 性 リンパ 腫 は 稀 な 疾 患 であり、MALTリンパ 腫 となる<br />

とさらに 稀 で、 画 像 上 他 の 疾 患 との 鑑 別 が 困 難 であることが 多 い。 今<br />

回 我 々は 術 前 診 断 が 困 難 であった 肝 原 発 MALTリンパ 腫 の1 切 除 例 を<br />

経 験 したので 報 告 する。 症 例 は76 歳 の 男 性 。 膵 嚢 胞 性 疾 患 のため 当<br />

科 外 来 にてフォローされていた。2010 年 頃 より 腫 瘍 マーカー(CA19-9)<br />

の 上 昇 を 認 め、2011 年 5 月 に 精 査 のため 腹 部 CTを 施 行 したところ 肝 S5<br />

にφ3.5×2.5cm 大 の 腫 瘤 性 病 変 を 認 めた。 造 影 CT 上 はhigh-low-lowを<br />

呈 し 肝 細 胞 癌 が 疑 われた。MRIでは、 肝 S5… 胆 嚢 床 にT1 強 調 画 像 でや<br />

や 低 信 号 、T2 強 調 画 像 で 淡 い 高 信 号 を 呈 する 病 変 を 認 めた。また、<br />

拡 散 強 調 画 像 で 高 信 号 、プリモビストによる 造 影 では 早 期 に 濃 染 、そ<br />

の 後 wash…outを 認 め、CT 同 様 に 肝 細 胞 癌 が 疑 われた。FDG-PET 検 査<br />

では 肝 S5にFDGの 強 い 集 積 を 認 め、 集 積 の 程 度 から 胆 管 細 胞 癌 が 疑<br />

われた。また 他 部 位 には 明 らかな 異 常 集 積 は 認 めなかった。 以 上 の<br />

画 像 所 見 より 肝 細 胞 癌 、 胆 管 細 胞 癌 が 疑 われ2011 年 6 月 下 旬 、 肝 S5 切<br />

除 術 施 行 した。 腫 瘍 はφ4.1×2.3cmの 灰 白 色 、 境 界 明 瞭 であった。 免<br />

疫 染 色 上 、CD20(+)、CD3(-)、CD10(+/-)、Bcl-2(-)、CyclinD1(-)を<br />

示 しMALT…lymphomaと 診 断 された。 術 後 経 過 は 良 好 で 第 11 病 日 退<br />

院 となった。 術 後 化 学 療 法 は 施 行 していないが、5ヶ 月 経 った 現 在 で<br />

も 再 発 は 認 めていない。 非 常 に 稀 な 肝 原 発 MALTリンパ 腫 について<br />

文 献 的 考 察 も 加 えて 報 告 する。<br />

P50-8 術 前 HCCと 診 断 した 肝 原 発 MALTリンパ 腫 の1 切 除 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科<br />

○… 橋 口 真 征 , 上 野 真 一 , 迫 田 雅 彦 , 飯 野 聡 , 蔵 原 弘 ,<br />

南 幸 次 , 安 藤 慶 , 川 崎 洋 太 , 前 村 公 成 , 又 木 雄 弘 ,<br />

桑 畑 太 作 , 前 田 光 喜 , 新 地 洋 之 , 夏 越 祥 次<br />

症 例 は、71 歳 男 性 で 体 重 減 少 を 主 訴 に 近 医 受 診 し、 肝 S4に 腫 瘤 性 病<br />

変 を 指 摘 され 当 院 紹 介 となった。 術 前 の 画 像 検 査 では、 単 純 CTで 肝<br />

S4に4cm 大 の 低 吸 収 の 腫 瘤 がみられ、 肝 ダイナミックCTの 早 期 に 淡<br />

く 造 影 され、 後 期 に 肝 実 質 より 低 吸 収 となった。CT-APでは 腫 瘤 部<br />

は 門 脈 血 流 欠 損 域 として 描 出 された。MRIでは、 腫 瘤 はT1 強 調 画 像<br />

では 低 信 号 、T2 強 調 画 像 ではわずかに 高 信 号 を 呈 し、Gd-EOB-DTPA<br />

造 影 の 動 脈 相 で 全 体 が 淡 く 造 影 され、 門 脈 相 から 平 衡 相 にかけて 肝 実<br />

質 に 比 べ 低 信 号 を 示 した。 以 上 の 所 見 より 高 分 化 肝 細 胞 癌 が 疑 われた。<br />

しかし、 腹 部 超 音 波 検 査 では 腫 瘍 は 境 界 不 明 瞭 、 辺 縁 不 整 で 全 体 に 高<br />

エコーを 呈 し、 内 部 に 低 エコー 域 を 有 する 腫 瘤 として 描 出 された。 腹<br />

部 超 音 波 検 査 からは 肝 内 胆 管 癌 や 血 管 腫 も 疑 われた。 肝 炎 ウイルス 検<br />

索 で、HBs 抗 原 陰 性 、HBs 抗 体 陽 性 でありHBV-DNAは 検 出 されなかっ<br />

た。HCV 抗 体 陰 性 であった。 肝 機 能 は 肝 障 害 度 :A、Child-pugh…<br />

score:A(5 点 ),indocyanin…reen…15 分 停 滞 率 (ICG…R…15 値 ):6%…と 良 好<br />

であった。 腫 瘍 マーカーはCEA…:1.0、CA19-9:6.0、PIVKA-2:28、<br />

AFP:2.5と 全 て 正 常 範 囲 内 であった。 高 分 化 型 肝 細 胞 癌 の 術 前 診 断 で、<br />

肝 中 央 二 区 域 切 除 を 行 った。 手 術 所 見 では 腹 水 や 腹 膜 播 腫 、リンパ 節<br />

腫 脹 は 認 められなかった。 肝 の 非 腫 瘍 部 は 平 滑 軟 の 正 常 肝 であった。<br />

腫 瘍 の 大 きさは4x2cmで、 割 面 は 白 色 の 充 実 成 分 と 肝 実 質 でまだら 様<br />

であり、 被 膜 や 隔 壁 は 認 められなかった。 病 理 組 織 検 査 では、 門 脈 域<br />

を 中 心 にびまん 性 に 小 型 リンパ 球 の 浸 潤 を 認 めた。 免 疫 染 色 では、 浸<br />

潤 する 小 型 リンパ 球 のうち 多 数 がCD20、bcl-2 陽 性 のBリンパ 球 であり、<br />

CD3、CD4、CD5、CD10、Cyclin…D1は 陰 性 であり、 肝 原 発 MALTリ<br />

ンパ 腫 と 診 断 した。 肝 原 発 MALTリンパ 腫 の 本 邦 報 告 例 は30 例 未 満<br />

と 少 なく、 非 常 に 稀 な 疾 患 であるとともに、 特 徴 的 な 画 像 所 見 に 乏 し<br />

く 術 前 診 断 が 困 難 とされる。 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P51-1 成 人 発 症 肝 未 分 化 肉 腫 の 切 除 例<br />

鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科 学<br />

○… 南 幸 次 , 上 野 真 一 , 迫 田 雅 彦 , 飯 野 聡 , 安 藤 慶 ,<br />

前 村 公 成 , 又 木 雄 弘 , 蔵 原 弘 , 新 地 洋 之 , 夏 越 祥 次<br />

症 例 1:50 歳 女 性 、 右 側 腹 部 痛 を 主 訴 に 来 院 。 腹 部 CTおよびMRIで 肝<br />

右 葉 に 径 6cm 大 の 隔 壁 を 伴 う 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。 病 変 の 内 部<br />

に 一 部 充 実 性 成 分 が 存 在 した。 腹 部 血 管 造 影 では 一 部 軽 度 造 影 効 果 を<br />

認 めたが 全 体 としては 乏 血 性 の 腫 瘍 であった。 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の 診 断 で<br />

肝 右 葉 切 除 実 施 。 病 理 所 見 は 巨 細 胞 を 伴 う 紡 錘 状 の 腫 瘍 細 胞 の 増 殖 を<br />

認 め、 免 疫 染 色 でCD68、α―1antichymotrypsin 陽 性 であり 非 上 皮 性<br />

由 来 と 考 え 肝 未 分 化 肉 腫 の 診 断 。 術 後 経 過 も 無 再 発 で 生 存 中 である。<br />

症 例 2:51 歳 女 性 、 心 窩 部 痛 ・ 体 動 時 痛 主 訴 に 前 医 受 診 。 腹 部 超 音 波<br />

検 査 ・CT 検 査 にて 肝 右 葉 に 充 実 成 分 を 伴 う12cm 大 の 嚢 胞 性 病 変 指 摘<br />

され 当 科 紹 介 。PETでも 同 病 変 の 充 実 性 部 分 に 強 い 集 積 を 認 め 胆 管<br />

嚢 胞 腺 癌 の 診 断 にて 拡 大 右 葉 切 除 術 実 施 。 病 理 所 見 では 紡 錘 形 から 多<br />

形 性 を 有 する 腫 瘍 細 胞 の 増 殖 を 認 め、 免 疫 染 色 ではvimentin、<br />

glypican3 陽 性 の 他 は 血 管 や 神 経 、 筋 のマーカーは 陰 性 であり 肝 未 分<br />

化 肉 腫 の 診 断 であった。 術 後 経 過 は 良 好 であったが、 切 除 5か 月 で 急<br />

速 な 局 所 再 発 ならびに 右 側 胸 腔 胸 膜 播 種 を 認 め 化 学 療 法 実 施 も 効 果 認<br />

めず 死 亡 された。 肝 未 分 化 肉 腫 は 成 人 での 発 症 は 稀 であり 術 前 診 断 に<br />

苦 慮 することも 多 い。 治 療 は 外 科 切 除 が 第 一 選 択 となるが 局 所 再 発 ・<br />

転 移 を 認 めることもありその 予 後 は 不 良 である。 文 献 的 考 察 を 加 えて<br />

報 告 する。<br />

P51-2 右 肺 ・ 上 大 静 脈 ・ 横 隔 膜 浸 潤 を 来 した 肝 原 発 癌 肉 腫 の 一<br />

切 除 例<br />

石 切 生 喜 病 院 外 科<br />

○… 山 本 隆 嗣 , 田 中 肖 吾<br />

症 例 は64 才 、 女 性 。50 才 時 に 右 乳 癌 、54 才 時 に 子 宮 癌 の 手 術 既 往 歴 が<br />

ある。 三 週 間 前 からの 乾 性 咳 嗽 を 主 訴 に 来 院 した。 胸 部 X-Pで 右 下 肺<br />

野 に 異 常 陰 影 が 見 られ、 胸 部 CTで 右 下 肺 野 から 肝 右 葉 に14x12x22cm<br />

の 雪 達 磨 様 のlow…densityの 腫 瘍 陰 影 を 認 めた。 精 査 の 為 外 来 通 院 中 、<br />

腫 瘍 の 胸 腔 内 出 血 でショックを 来 し、 近 医 で 輸 血 と 右 横 隔 動 脈 の<br />

TACE 施 行 され、 当 院 に 入 院 となった。 入 院 時 血 液 検 査 ではTP:…6.2g/<br />

dL、Alb:…2.9g/dL、T-bil…AST:…14…IU/L、ALT:…13…IU/L、LDH:…<br />

291…IU/L、GTP:…103IU/L、WBC:…6310/μL、RBC:…352x10 …4… /μL、<br />

Plt:…29x10 …4… /μL、PT:…82.9%、Cre:…0.6mg/dL、AFP:…4.6ng/mL、<br />

PIVKA-II:…40…mAU/mL、CEA:…1.6ng/mL、CA19-9:…1027…U/mL、<br />

CA125:… 861.1U/mL、CYFRA:… 2.5ng/mL、ProGPR:… 57pg/mL、<br />

HCVAb・HBsAg・HBcAb・HBsAb 陰 性 、 抗 核 抗 体 :…160 倍 、 抗 ミト<br />

コンドリア 抗 体 陰 性 、ICG15 分 値 :…3%であった。Dynamic…CTでは 腫<br />

瘍 は 右 肝 動 脈 と 右 横 隔 動 脈 から 栄 養 されており、PET-CTで 左 頚 部 、<br />

縦 隔 リンパ 節 に 高 SUVを 認 めた。 富 血 管 性 の 肝 原 発 悪 性 腫 瘍 と 診 断 、<br />

再 出 血 による 突 然 死 の 回 避 と 放 射 線 化 学 療 法 施 行 時 の 腫 瘍 容 量 軽 減 目<br />

的 で、 開 胸 開 腹 下 で 右 肺 下 葉 ・ 肝 右 葉 切 除 、 右 横 隔 膜 ・ 上 大 静 脈 部 分<br />

切 除 を 施 行 した。 術 後 、 両 側 胸 水 が 遷 延 していたが 利 尿 剤 により 軽 快<br />

した。 術 後 、S-1 内 服 と 縦 隔 リンパ 節 ・ 上 大 静 脈 切 除 部 への 放 射 線 照<br />

射 を 行 い、リンパ 節 の 増 大 は 認 めていない。 腫 瘍 は、 低 分 化 型 腺 癌 と<br />

肉 腫 様 紡 錘 細 胞 が 混 じり、 腺 癌 部 はCytokeratin…(CK)…7 陽 性 、CK…20<br />

陰 性 で 肉 腫 様 部 はCK…7、CK…20 共 に 陰 性 であった。 非 腫 瘍 部 には 慢<br />

性 の 炎 症 像 は 見 られなかった。 肝 癌 肉 腫 はまれな 腫 瘍 で 予 後 不 良 の 腫<br />

瘍 でもあるが、 報 告 例 の 一 部 には 長 期 生 存 を 得 ているものがあり、 放<br />

射 線 化 学 療 法 が 発 達 している 現 在 、 集 学 的 な 治 療 を 行 う 為 にも 自 験 例<br />

の 様 に 切 除 術 は 一 考 すべき 治 療 であると 考 えられた。<br />

-411-


P51-3 肉 腫 成 分 を 含 む 肝 内 胆 管 癌 および 混 合 型 肝 癌 の2 例<br />

1<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 神 戸 大 学 病 理 診 断 科<br />

○… 浦 出 剛 史 1<br />

, 木 戸 正 浩 1<br />

, 福 本 巧 1<br />

, 土 田 忍 1<br />

, 田 中 基 文 1<br />

,<br />

蔵 満 薫 1<br />

, 味 木 徹 夫 1<br />

, 松 本 逸 平 1<br />

, 新 関 亮 1<br />

, 外 山 博 近 1<br />

,<br />

上 野 公 彦 1<br />

, 川 上 史 2<br />

, 竹 内 真 衣 2<br />

, 伊 藤 智 雄 2<br />

,<br />

1<br />

具 英 成<br />

肉 腫 様 変 化 を 伴 う 肝 癌 は 原 発 性 肝 癌 の 約 4~13%と 報 告 され、 高 度 に<br />

血 行 性 やリンパ 行 性 転 移 を 来 しやすく 予 後 不 良 とされ、 有 効 な 治 療 法<br />

は 確 立 されていない。 中 でも 肝 内 胆 管 癌 や 混 合 型 肝 癌 に 肉 腫 成 分 を 含<br />

むのは 極 めて 稀 である。 今 回 このような 症 例 を 経 験 したので 若 干 の 考<br />

察 を 加 え 報 告 する。 症 例 1:62 歳 男 性 。1995 年 にC 型 肝 炎 と 診 断 され<br />

INF 治 療 にてSVR。2009 年 11 月 に 肝 S7/8に1 週 間 で1.8cmから3.2cmと<br />

急 速 増 大 する 腫 瘤 を 認 め、PIVKAII240mAU/mlと 高 値 、 画 像 上 肝 細<br />

胞 癌 と 診 断 し、TACEを 施 行 し 奏 効 した。2011 年 1 月 に 肝 S7の 他 部 位<br />

に1.5cmの 新 病 変 を 認 めた。 腫 瘍 マーカーは 正 常 範 囲 、 動 脈 相 で 辺 縁<br />

が 淡 く 造 影 され、 門 脈 相 ~ 平 衡 相 では 遅 延 性 にリング 状 の 造 影 効 果 を<br />

示 し、 中 心 部 は 造 影 効 果 を 認 めなかった。 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 し、<br />

TACE 後 病 変 も 含 め 肝 後 区 域 切 除 術 を 施 行 した。 新 病 変 は 肉 眼 的 に 境<br />

界 不 明 瞭 な2.5cm 大 の 灰 白 色 の 充 実 性 腫 瘍 で、 病 理 組 織 学 的 所 見 で 互<br />

いに 癒 合 する 索 状 構 造 を 主 体 として 腺 腔 形 成 と 紡 錘 形 を 示 す 細 胞 が 混<br />

在 しており、 免 疫 染 色 でCAM5.2、CK7は 陽 性 、HepPar1は 陰 性 であっ<br />

た。 部 分 的 に 肉 腫 様 形 態 を 示 す 低 分 化 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 された。 尚<br />

TACE 後 の 腫 瘍 は 完 全 に 壊 死 していた。 術 後 4ヶ 月 で 大 動 脈 周 囲 リン<br />

パ 節 転 移 が 出 現 し、GC 療 法 を 開 始 。 画 像 上 PRで、 現 在 も 治 療 継 続 中<br />

である。 症 例 2:53 歳 女 性 。 突 然 の 激 しい 上 腹 部 痛 が 出 現 し、 精 査 に<br />

て 肝 S5を 主 とした6.6cm 大 の 腫 瘍 を 認 めた。CTでは 尾 側 の 一 部 は 肝<br />

細 胞 癌 と 考 えられる 造 影 態 度 を 示 したが、その 他 の 部 分 は 出 血 壊 死 巣<br />

と 考 えられた。MRIでは 早 期 濃 染 する 部 分 以 外 では 遅 延 性 の 造 影 効 果<br />

や 腫 瘍 内 部 の 出 血 を 認 めた。AFP120798ng/ml、PIVKAII217mAU/<br />

mlと 高 値 を 認 めた。 肝 S4,5,6 切 除 術 を 施 行 した。 肉 眼 的 に 最 大 径 7.7cm<br />

の 白 色 の 多 結 節 充 実 性 腫 瘍 で 内 部 に 壊 死 が 散 見 された。 病 理 組 織 学 的<br />

検 査 では 肝 細 胞 癌 と 肝 内 胆 管 癌 の 成 分 が 混 在 して 認 められ 一 部 に 未 分<br />

化 な 腫 瘍 細 胞 が 充 実 性 に 増 殖 していた。 免 疫 染 色 にてhepatocyteおよ<br />

びCK19のいずれも 陽 性 であり、 組 織 型 は 混 合 型 肝 癌 であったが、 一<br />

部 粘 液 腫 状 背 景 に 紡 錘 型 異 型 細 胞 の 増 殖 や 骨 分 化 巣 も 混 在 する 肉 腫 成<br />

分 を 認 めた。 現 在 、 厳 重 に 経 過 観 察 中 である。<br />

P51-4 肝 細 胞 癌 と 鑑 別 を 要 した 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の 一 切 除 例<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 田 口 昌 延 , 俵 藤 正 信 , 森 嶋 計 , 三 木 厚 , 遠 藤 和 洋 ,<br />

兼 田 裕 司 , 小 泉 大 , 藤 原 岳 人 , 清 水 敦 , 佐 田 尚 宏 ,<br />

安 田 是 和<br />

症 例 は50 歳 女 性 。2011 年 1 月 に 検 診 の 腹 部 エコー 検 査 で 肝 腫 瘤 を 指 摘<br />

される。 近 医 を 受 診 しCT 検 査 、MRI 検 査 を 施 行 したところ、 肝 細 胞<br />

癌 が 疑 われ、 同 年 3 月 に 当 院 へ 紹 介 受 診 となった。 身 体 所 見 では 下 腹<br />

部 正 中 に 帝 王 切 開 の 手 術 痕 を 認 める 以 外 に 特 記 事 項 はなかった。 血 液<br />

検 査 所 見 でも 異 常 は 認 めなかった。 肝 炎 ウィルスマーカーはHBs 抗 原 、<br />

HCV 抗 体 は 陰 性 であったが、HBs 抗 体 、HBc 抗 体 が 陽 性 でHBVの 既<br />

感 染 を 示 した。 腹 部 エコー 検 査 では 肝 S4 表 面 に24×15mm 大 の 内 部 均<br />

一 な 低 エコー 腫 瘤 を 認 めた。 造 影 エコー 検 査 ではvascular…phaseは 早<br />

期 より 強 い 濃 染 が 得 られ、post-vascular…phaseで 欠 損 像 を 呈 した。 腹<br />

部 造 影 CT 検 査 では 主 病 変 ( 肝 S4)は 動 脈 相 で 高 吸 収 、 平 衡 相 で 低 吸 収<br />

を 示 した。 腹 水 やリンパ 節 腫 大 は 認 めなかった。 腹 部 造 影 MRI 検 査<br />

(EOB)では 肝 細 胞 造 影 相 で 低 信 号 として 描 出 された。T2 強 調 像 から<br />

血 管 腫 は 否 定 された。 以 上 の 検 査 から 肝 細 胞 癌 と 診 断 し、 開 腹 手 術 の<br />

方 針 とした。 上 腹 部 正 中 切 開 で 開 腹 した。 肝 S4 表 面 に 腫 瘤 を 認 めた。<br />

表 面 は 正 常 の 肝 被 膜 で 覆 われており、 弾 性 硬 であった。 術 中 に 造 影 エ<br />

コー(ソナゾイドを 使 用 )を 行 ったところ、 早 期 動 脈 相 で 著 明 な 血 流 を<br />

認 め、Kupffer 相 で 欠 損 像 を 呈 した。 肝 細 胞 癌 にしては 血 流 が 豊 富 す<br />

ぎる 印 象 であった。その 他 、 肝 内 には 腫 瘍 を 疑 う 病 変 は 認 めなかった。<br />

腫 瘍 から2cmほどのsurgical…marginを 確 保 して 肝 S4a 切 除 を 行 った。<br />

術 後 3 日 目 に 食 事 を 開 始 し、とくに 合 併 症 なく 術 後 10 日 目 に 退 院 した。<br />

腫 瘍 の 割 面 を 観 察 すると、 大 きさは2cm、 灰 白 色 と 赤 褐 色 の 部 分 が 混<br />

じり、 境 界 は 明 瞭 で 被 膜 は 認 めなかった。 病 理 組 織 学 的 には 豊 富 な 血<br />

管 成 分 を 中 心 とし、 平 滑 筋 様 細 胞 とわずかな 脂 肪 成 分 で 構 成 される 肝<br />

血 管 筋 脂 肪 腫 と 診 断 した。 背 景 肝 は 正 常 であった。 今 回 我 々は、 単 発<br />

の 肝 腫 瘍 に 対 して 肝 細 胞 癌 と 診 断 し 切 除 を 行 ったが、 術 後 の 病 理 組 織<br />

学 的 検 査 で 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 と 診 断 した 一 例 を 経 験 した。 肝 細 胞 癌 との<br />

鑑 別 が 困 難 であったため、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P51-5 造 影 超 音 波 検 査 が 診 断 に 有 用 であった 肝 血 管 筋 脂 肪 腫<br />

の 一 例<br />

1<br />

りんくう 総 合 医 療 センター 外 科 、 2 りんくう 総 合 医 療 セン<br />

ター 中 央 検 査 部<br />

○… 藤 井 仁 1<br />

, 位 藤 俊 一 1<br />

, 水 野 均 1<br />

, 飯 干 泰 彦 1<br />

, 山 村 憲 幸 1<br />

,<br />

人 羅 俊 貴 1<br />

, 藤 井 亮 知 1<br />

, 大 橋 朋 史 1<br />

, 中 川 敬 也 1<br />

,<br />

三 宅 啓 介 1<br />

, 今 北 正 美 2 1<br />

, 伊 豆 蔵 正 明<br />

【はじめに】 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 は 血 管 、 平 滑 筋 、 脂 肪 成 分 がさまざまな<br />

比 率 で 存 在 するため、 画 像 診 断 において 他 の 肝 腫 瘍 と 鑑 別 困 難 なこと<br />

がある。 一 般 に 画 像 診 断 で 有 用 な 所 見 として、CT,MRI 検 査 での 脂 肪<br />

成 分 の 同 定 の 他 に、 血 管 造 影 検 査 でのvascularityの 評 価 やdrainage…<br />

veinの 確 認 なども 知 られているが、 血 管 造 影 検 査 は 侵 襲 的 で 煩 雑 な 検<br />

査 である 点 が 問 題 となる。 今 回 われわれは、 造 影 超 音 波 検 査 による 腫<br />

瘍 血 流 の 評 価 が 診 断 に 有 用 であった 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の 一 例 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する。【 症 例 】69 歳 女 性 。 血 便 を 主 訴 に 近 医 受 診 し、 精 査 で<br />

大 腸 腫 瘍 と 肝 腫 瘍 を 指 摘 され、 治 療 目 的 で 当 科 紹 介 となった。 腫 瘍 マー<br />

カーではCEA,…CA19-9,…AFP,…PIVKA-2はいずれも 正 常 域 であった。<br />

大 腸 内 視 鏡 検 査 で 肝 弯 曲 部 にほぼ 全 周 性 の2 型 病 変 認 め、 生 検 にて<br />

Group…5,…tub…2と 診 断 された。また 腹 部 超 音 波 検 査 B…modeで 肝 S2 下 面<br />

に32×29mm 大 の 低 エコー 腫 瘤 を 認 め、 造 影 CT 検 査 では 同 部 位 にring<br />

状 に 濃 染 する 腫 瘍 を 認 めた。MRI 検 査 では 早 期 濃 染 washoutを 示 し、<br />

T2 強 調 画 像 で 中 間 信 号 強 度 を 認 め、 内 部 に 脂 肪 成 分 を 認 めた。CTAP<br />

では 動 脈 早 期 相 で 強 い 濃 染 を 認 めた。 大 腸 癌 肝 転 移 、 肝 細 胞 癌 もしく<br />

は 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 を 疑 い、 大 腸 癌 に 対 する 手 術 時 に 造 影 超 音 波 検 査 で<br />

観 察 の 上 、 開 腹 下 肝 生 検 により 術 式 決 定 の 方 針 とした。ソナゾイドを<br />

用 いた 術 中 造 影 超 音 波 検 査 において、vascular…phaseで 腫 瘍 から 肝 静<br />

脈 内 に 流 入 する 太 いドレナージ 血 管 を 明 瞭 に 観 察 でき、 肝 血 管 筋 脂 肪<br />

腫 と 判 断 した。 最 終 的 には 術 中 肝 生 検 で 病 理 学 的 にも 肝 血 管 筋 脂 肪 腫<br />

と 診 断 し、 結 腸 右 半 切 除 のみ 施 行 した。【 結 語 】 造 影 超 音 波 検 査 は 簡<br />

便 で 低 侵 襲 であり、vascular…phaseでの 腫 瘍 血 流 の 評 価 により、 肝 血<br />

管 筋 脂 肪 腫 の 診 断 に 有 用 なモダリティの 一 つである 可 能 性 が 示 唆 され<br />

た。<br />

P51-6 原 発 性 小 腸 癌 及 び 肝 転 移 に 併 発 した 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の<br />

1 手 術 例<br />

1<br />

埼 玉 県 立 がんセンター 消 化 器 外 科 、 2 埼 玉 県 立 がんセン<br />

ター 病 理 診 断 科<br />

○… 二 宮 理 貴 1<br />

, 坂 本 裕 彦 1<br />

, 大 渕 康 弘 1<br />

, 網 倉 克 己 1<br />

,<br />

田 中 洋 一 1<br />

, 西 村 ゆう 2 2<br />

, 黒 住 昌 史<br />

症 例 は61 歳 女 性 、1994 年 に 胃 癌 に 対 して 胃 全 摘 及 び 膵 体 尾 脾 合 併 切 除<br />

術 を 施 行 され、 転 移 ・ 再 発 なく 経 過 していた。2010 年 7 月 頃 より 上 腹<br />

部 痛 が 出 現 、 近 医 での 採 血 でAFP 高 値 を 指 摘 された。 上 部 消 化 管 内<br />

視 鏡 にて 食 道 空 腸 吻 合 部 より 約 15cm 肛 門 側 の 空 腸 に 全 周 性 の3 型 腫 瘍<br />

が 認 められ、 腹 部 造 影 CTで 小 腸 壁 の 全 周 性 肥 厚 と、 周 囲 リンパ 節 腫<br />

大 が 認 められた。また、 肝 外 側 区 域 に 約 8cm 大 、 肝 S8に 約 1cm 大 の 腫<br />

瘍 が 確 認 され、 腹 部 造 影 MRIでもこの 二 つの 肝 腫 瘍 は 小 腸 癌 の 肝 転 移<br />

に 矛 盾 するものではなかった。 挙 上 空 腸 に 発 生 した 原 発 性 小 腸 癌 及 び<br />

肝 転 移 (S2/3,S8)の 診 断 で 手 術 を 施 行 した。 肝 外 側 区 域 切 除 及 び 肝 部<br />

分 切 除 (S8)を 先 行 した。 胃 全 摘 の 再 建 はρ 型 Roux-Y 再 建 にダブルト<br />

ラクト 吻 合 が 追 加 されていた。 腫 瘍 はρ 吻 合 部 に 存 在 し、ダブルトラ<br />

クトの 肛 門 側 及 びY 脚 吻 合 部 の 小 腸 にそれぞれ 浸 潤 して 瘻 孔 形 成 を<br />

伴 っており、 横 行 結 腸 間 膜 に 浸 潤 していた。 横 行 結 腸 部 分 切 除 とリン<br />

パ 節 郭 清 とともに 挙 上 空 腸 切 除 を 行 い、ダブルトラクトを 温 存 して<br />

Roux-Y 再 建 とした。 病 理 診 断 では 空 腸 癌 はmoderately…differentiated…<br />

adenocarcinomaで、 肝 S8の 腫 瘍 は 空 腸 癌 の 同 時 性 転 移 であったが、<br />

外 側 区 域 の 腫 瘍 の 組 織 像 は 平 滑 筋 細 胞 、 脂 肪 細 胞 、 血 管 、 大 型 異 型 細<br />

胞 からなり、 免 疫 染 色 にてHMB45 及 びα-SMA 陽 性 であり 血 管 筋 脂 肪<br />

腫 の 診 断 であった。 画 像 診 断 では 肝 転 移 と 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 を 鑑 別 する<br />

ことは 困 難 であった。 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 は 本 邦 で 約 200 例 程 度 の 報 告 と<br />

比 較 的 稀 な 疾 患 とされている。 原 発 性 小 腸 癌 及 び 同 時 性 肝 転 移 に 併 発<br />

した 肝 血 管 筋 脂 肪 腫 の1 手 術 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

-412-


P51-7 肝 原 発 pseudolymphomaの 一 例<br />

倉 敷 中 央 病 院<br />

○… 安 近 健 太 郎 , 河 合 隆 之 , 石 田 諒 , 山 口 和 盛 , 岡 部 道 雄 ,<br />

鶴 田 淳 , 守 本 芳 典 , 河 本 和 幸 , 伊 藤 雅 , 小 笠 原 敬 三<br />

【 背 景 】 近 年 疾 患 概 念 が 確 立 されつつある 非 常 に 稀 な 肝 原 発<br />

pseudolymphomaの 一 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報<br />

告 する。【 症 例 】 53 歳 女 性 【 現 病 歴 】 特 に 自 覚 症 状 なく 定 期 検 査 と<br />

して 近 医 で 施 行 された 腹 部 超 音 波 検 査 にて 肝 S3にhypoechoic…massを<br />

指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 当 院 紹 介 受 診 となった。【 既 往 歴 】 子 宮 外<br />

妊 娠 、 腸 捻 転 、 癒 着 性 腸 閉 塞 【 血 液 検 査 所 見 】CBC,… 生 化 学 検 査 、 腫<br />

瘍 マーカー、 感 染 症 に 特 記 すべき 所 見 なし。【 画 像 所 見 】CTでは 肝 左<br />

葉 外 側 区 に 肝 実 質 と 比 して 単 純 で 等 吸 収 、 動 脈 相 でやや 低 吸 収 、 門 脈<br />

相 で 低 吸 収 を 呈 する 内 部 均 一 で 径 1.2…x…1.0cmの 腫 瘤 性 病 変 を 認 めた。<br />

MRIでDWI- 高 信 号 、ADC- 低 値 、T2WI-やや 高 信 号 、T1WI- 低 信 号 、<br />

in→opposed…phaseで 信 号 低 下 なし。 動 脈 優 位 相 - 早 期 濃 染 を 示 さず、<br />

肝 細 胞 相 -defectとなった。 腹 部 ソナゾイドエコー 検 査 でearly…<br />

vascular…phaseで 均 一 に 染 影 、Kuppfer…phaseで 欠 損 あり。PET-CT:<br />

肝 左 葉 外 側 区 腫 瘍 に 高 集 積 像 あり(SUVmax=3.74)。 有 意 な 腫 大 / 集 積<br />

を 呈 するLNなし。 脾 臓 に 腫 大 や 異 常 集 積 なく、 骨 髄 への 異 常 集 積 なし。<br />

GIF,…CFにて 上 部 ・ 下 部 消 化 管 に 明 らかな 異 常 所 見 なし。 肝 生 検 : 腫<br />

瘍 部 :…s/o…Follicular…lymphoma. 非 腫 瘍 部 :…Normal…liver…tissue. 骨<br />

髄 生 検 :No…malignancy… であった。 上 記 所 見 に 基 づき 肝 濾 胞 性 リン<br />

パ 腫 の 診 断 にて 肝 外 側 区 域 切 除 施 行 した。【 病 理 組 織 診 断 】 結 節 の 中<br />

にapoptosisが 目 立 つ 発 達 した 胚 中 心 を 有 する 濾 胞 が 認 められ、 大 型<br />

のリンパ 球 の 割 合 が 高 く、また 形 質 細 胞 の 混 在 が 目 立 つ。Dutcher’s…<br />

bodyを 有 する 形 質 細 胞 は 認 められず、lymphoepithelial…lesionと 言 え<br />

るような 所 見 なし。 免 疫 染 色 では、 胚 中 心 はCD10+,…bcl-2-の 反 応 性<br />

patternを 示 し、 免 疫 グ ロ ブ リ ン はIgG+で あ り、 κ、 λ に<br />

monoclonalityは 認 められなかった。 他 のmarkerも 含 め、 積 極 的 に<br />

malignant…lymphomaとしうる 免 疫 染 色 結 果 は 得 られず、IgG1>IgG4<br />

でIgG4…related…diseaseも 否 定 的 な 所 見 であった。 肝 では 上 記 所 見 に<br />

加 え、 分 子 生 物 学 的 にIgH 再 構 成 がでないような 症 例 に 関 して<br />

pseudolymphomaと 言 う 形 で 報 告 されている。【 最 終 診 断 ・ 治 療 】 肝<br />

原 発 pseudolymphoma。 追 加 治 療 なく 経 過 観 察 。<br />

P51-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 14 年 後 に 生 じた 肉 芽 腫 性 肝 膿 瘍 の1<br />

例 : 長 期 follow-upにおける 盲 点<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 森 本 悠 太 , 黒 崎 功 , 中 野 哲 矢 , 滝 澤 一 泰 , 高 野 可 赴 ,<br />

皆 川 昌 広<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 後 10 年 以 上 生 存 例 に 対 する 経<br />

過 観 察 についての 議 論 はほぼない. 今 回 我 々は 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対<br />

するPDの14 年 後 に 発 症 した 肉 芽 腫 性 肝 膿 の1 例 を 経 験 した. 転 移 性 肝<br />

腫 瘍 として 肝 切 除 を 加 えたが, 術 前 画 像 診 断 の 注 意 点 や 発 生 のメカニ<br />

ズムなどについて 考 察 を 加 えた.【 症 例 】68 歳 , 男 性 . 前 医 にて54 歳 時 に<br />

十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 で 全 胃 温 存 PD,PPPD-IVB-1( 膵 胃 吻 合 )が 施 行 さ<br />

れ,T3N0M0, 治 癒 切 除 であった. 術 後 11 年 目 , 肝 S6に 肝 膿 瘍 が 生 じたが, 抗<br />

生 物 質 投 与 と 経 皮 経 肝 的 膿 瘍 ドレナージで 軽 快 した 既 往 がある.その<br />

後 も 前 医 外 来 に 通 院 していたが, 特 に 感 染 性 疾 患 のepisodeは 認 めな<br />

かった. 術 後 14 年 目 に 施 行 された 腹 部 エコーで 肝 S7の 腫 瘤 が 指 摘 され,<br />

精 査 治 療 目 的 に 当 院 を 紹 介 受 診 した. 経 過 中 に 発 熱 や 腹 痛 はみられず,<br />

血 液 検 査 上 ,WBC…5890/ul,…CRP…0.38…mg/dlと 炎 症 所 見 に 乏 しかっ<br />

た.CEA…8.5…ng/mlと 若 干 高 値 であった. 初 診 時 に 初 めてHbA1c…11.4%<br />

の 糖 尿 病 が 指 摘 された.USでは 内 部 は 粒 状 高 エコーで 周 囲 低 エコーで<br />

あった.MRIではS7の 腫 瘤 は 径 7.5cmで,T1で 低 信 号 ,…T2で 高 信 号 , 肝 細<br />

胞 造 影 相 で 低 信 号 であった.Dynamic…CTでは 早 期 濃 染 と 遷 延 性 濃 染 が<br />

あり,リング 状 の 強 濃 染 が 認 められた. 前 医 で 施 行 されたCT 上 35x35…<br />

mmであったが,64x45…mm… に 増 大 していた.PET-CTでは 腫 瘍 全 体 に<br />

FDGの 強 い 集 積 を 認 めた.また 膵 胃 吻 合 は 閉 塞 しており, 著 明 な 主 膵 管<br />

拡 張 が 認 められた. 以 上 からS7-8の 転 移 性 肝 癌 / 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 し<br />

た. 手 術 は 右 葉 切 除 術 ( 胆 管 非 再 々 建 ), 膵 胃 吻 合 切 除 の 上 膵 管 空 腸 吻 合<br />

を 施 行 した. 摘 出 標 本 の 病 理 では 非 腫 瘍 性 でマクロファージ 優 位 の 著<br />

明 な 炎 症 細 胞 浸 潤 , 線 維 化 , 肉 芽 組 織 がみられた.また 腫 瘤 内 に 菌 塊 が 散<br />

見 され, 肉 芽 腫 性 肝 膿 瘍 と 診 断 された. 肝 膿 瘍 の 既 往 がありPD 術 後 の 繰<br />

り 返 す 胆 管 炎 を 背 景 に 生 じた 感 染 性 の 肝 腫 瘤 と 考 えられた.【まとめ】<br />

本 例 の 特 徴 は 肝 膿 瘍 としての 自 他 覚 所 見 が 欠 落 していたこと, 画 像 所<br />

見 の 多 くが 悪 性 疾 患 を 示 していたこと, 長 期 に 渡 って 糖 尿 病 が 存 在 し<br />

たことなどである. 再 建 術 式 や 耐 糖 能 異 常 と 何 らかの 関 連 性 があるこ<br />

とが 想 定 される. 肝 膿 瘍 は 時 期 により 多 彩 な 画 像 所 見 を 示 し, 特 にPD 後<br />

の 経 過 観 察 には 注 意 を 要 する.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P51-9 直 腸 消 化 管 間 質 腫 瘍 術 後 に 合 併 し, 肝 転 移 との 鑑 別 に 苦<br />

慮 した 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 の1 例<br />

名 古 屋 市 立 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 松 尾 洋 一 , 佐 藤 幹 則 , 越 智 靖 夫 , 安 田 顕 , 高 橋 広 城 ,<br />

若 杉 健 弘 , 舟 橋 整 , 沢 井 博 純 , 岡 田 祐 二 , 木 村 昌 弘 ,<br />

竹 山 廣 光<br />

【 背 景 】 肝 炎 症 性 偽 腫 瘍 ( 肝 inflammatory…pseudotumor; 以 下 ,IPT)<br />

は, 炎 症 細 胞 の 浸 潤 と 線 維 性 結 合 織 の 増 生 を 特 徴 とする 炎 症 性 腫 瘍 で,<br />

肝 悪 性 腫 瘍 との 鑑 別 を 要 するまれな 疾 患 である. 今 回 , 我 々は 直 腸 消<br />

化 管 間 質 腫 瘍 ( 以 下 ,GIST) 術 後 に 発 症 し,GIST 肝 転 移 との 鑑 別 が 困<br />

難 であった 肝 IPT…の1… 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】74 歳 , 男 性 .<br />

2000 年 4 月 に 直 腸 GIST(leiomyosarcoma)の 診 断 で 腹 仙 骨 式 直 腸 切 断<br />

術 を 施 行 している.2009 年 4 月 , 経 過 観 察 のCTで 肝 S8に14mm 大 の 低<br />

吸 収 領 域 を 認 め 転 移 が 疑 われた.EOBプリモビストMRIでも 同 様 に<br />

腫 瘤 を 認 め,4 相 で 低 信 号 であった.FDG-PET 検 査 でも 同 部 位 に 高 集<br />

積 像 を 認 めた. 同 年 6 月 のCTで 腫 瘍 は19mmと 増 大 傾 向 を 示 し,3 相<br />

でも 造 影 されない 低 吸 収 域 を 中 心 部 に 認 めた. 以 上 より 直 腸 GIST 肝<br />

転 移 の 術 前 診 断 で 肝 部 分 切 除 術 (S8)を 施 行 した. 腫 瘍 は 比 較 的 境 界<br />

明 瞭 な 結 節 性 病 変 で, 病 理 組 織 学 的 検 査 では, 多 数 のリンパ 球 や 形 質<br />

細 胞 を 高 度 に 伴 う, 紡 錘 形 から 多 稜 形 の 線 維 芽 細 胞 様 の 増 生 を 認 め<br />

IPTと 診 断 された.【 考 察 】 消 化 管 …GISTに 関 連 した 肝 IPTの 報 告 は 自<br />

験 例 を 合 わせて4 例 が 報 告 されている. 同 時 性 3 例 , 異 時 性 1 例 ( 自 験 例 )<br />

で, 平 均 年 齢 は66.2 歳 (46-74), 性 別 は 男 性 2 人 , 女 性 2 人 であった. 消<br />

化 管 GISTは 胃 , 十 二 指 腸 , 小 腸 , 直 腸 ( 自 験 例 )がそれぞれ1 例 で,す<br />

べての 症 例 で 転 移 が 疑 われ 肝 切 除 が 施 行 されている. 近 年 , 画 像 診 断<br />

の 向 上 によりIPTの 報 告 を 多 数 認 めるようになったが, 悪 性 疾 患 との<br />

鑑 別 は 必 ずしも 容 易 でなく, 今 回 もFDG-PET 検 査 が 陽 性 であること<br />

より 転 移 を 疑 った.…GIST 術 後 に 発 症 したIPTの 報 告 は 極 めてまれで<br />

あり, 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P52-1 腹 腔 鏡 下 に 切 除 した 肝 副 葉 の 一 例<br />

三 田 市 民 病 院 外 科<br />

○… 松 本 拓 , 尾 崎 貴 洋 , 松 本 晶 子 , 西 村 透 , 藤 田 恒 憲 ,<br />

藤 原 英 利 , 和 田 隆 宏<br />

症 例 は38 歳 の 男 性 。2 年 前 より 肝 機 能 障 害 を 指 摘 され、 当 院 内 科 でフォ<br />

ローされていた。H22 年 12 月 に 腹 部 CTを 行 ったところ、 左 上 腹 部 に<br />

腫 瘤 を 認 めたため 加 療 目 的 に 当 院 外 科 紹 介 となった。 腹 部 は 平 坦 かつ<br />

軟 で 腫 瘍 は 触 知 しなかった。 血 液 所 見 では、LAP…144、…ALP…2116と<br />

高 値 であった。 腫 瘍 マーカーの 上 昇 は 認 めなかった。 腹 部 造 影 CTで<br />

は 肝 左 葉 外 側 区 域 より 突 出 し、 静 脈 相 まで 造 影 効 果 を 受 ける80mm 大<br />

の 類 円 形 腫 瘤 を 認 めた。 以 上 から 血 管 腫 を 疑 い、 破 裂 の 危 険 性 もある<br />

ため 腹 腔 鏡 手 術 を 施 行 した。 腹 腔 鏡 所 見 では、 肝 S2と 腫 瘍 は 薄 い 肝<br />

実 質 および 線 維 性 の 被 膜 で 連 続 しており、 内 部 に 走 行 する 血 管 を 認 め<br />

た。 同 部 をlinear…Staplerで 切 離 して 標 本 を 摘 出 した。 術 後 の 病 理 所<br />

見 ではグリソン 鞘 、 肝 静 脈 の 軽 度 の 拡 大 を 認 めるものの 肝 小 葉 構 造 は<br />

正 常 に 認 め、 肝 副 葉 と 診 断 された。 術 後 経 過 は 良 好 で、 血 液 所 見 も 術<br />

後 正 常 化 した。まれな 肝 副 葉 を 腹 腔 鏡 下 に 切 除 した 症 例 を 経 験 したの<br />

で 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-413-


P52-2 肝 Mucinouscysticneoplasm(MCN)の1 例<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科<br />

○… 安 井 和 也 , 安 原 功 , 須 井 健 太 , 児 島 亨 , 丸 山 昌 伸 ,<br />

仁 熊 健 文 , 三 村 哲 重<br />

【はじめに】 近 年 胆 管 の 嚢 胞 性 腫 瘍 は、 膵 の 嚢 胞 性 腫 瘍 との 類 似 性 が<br />

指 摘 されている。 膵 ではIPMNとMCNの 疾 患 概 念 が 確 立 されつつあ<br />

るが、 胆 管 の 嚢 胞 性 腫 瘍 は 比 較 的 稀 であり、 明 確 な 疾 患 概 念 の 確 立 に<br />

は 至 っていない。 今 回 我 々は 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の 疑 いにて 切 除 を 施 行 し、<br />

肝 MCNと 診 断 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】70 代 女 性 。2010 年 8 月 、 食 後 の 胸 やけを 主 訴 に 近 医 受 診 、 腹<br />

部 CTで 胆 嚢 壁 の 肥 厚 及 び 肝 内 側 区 域 に 嚢 胞 性 腫 瘍 を 認 めたため、 精<br />

査 加 療 目 的 に 紹 介 となった。 血 液 検 査 では 黄 疸 や 炎 症 所 見 を 認 めず、<br />

腫 瘍 マーカーはCEA、CA19-9、AFPいずれも 正 常 範 囲 であった。US<br />

では 境 界 明 瞭 な 嚢 胞 性 腫 瘤 が、 胆 嚢 を 圧 排 するように 存 在 していた。<br />

CTでは38×33mmの 単 房 性 嚢 胞 性 腫 瘤 を 肝 S4に 認 めた。 内 部 は 不 均<br />

一 で 隔 壁 を 伴 い、 一 部 に 軽 度 の 造 影 効 果 を 持 つ 充 実 成 分 を 認 めた。<br />

MRIでは 周 囲 胆 管 の 拡 張 や、 明 らかな 胆 管 との 連 続 性 は 認 めなかった。<br />

PET 検 査 でも 同 部 位 に 集 積 を 認 めなかった。 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の 術 前 診<br />

断 にて 手 術 施 行 した。 術 中 所 見 は、 肝 S4に 胆 嚢 を 圧 排 するような 嚢<br />

胞 性 腫 瘍 を 認 めた。 術 中 エコーでは 内 部 は 充 実 性 であり、 嚢 胞 内 容 は<br />

不 均 一 であった。 血 管 浸 潤 は 認 めなかった。 肝 S4.S5 切 除 、 胆 嚢 摘 出<br />

術 を 施 行 した。 病 理 では、 線 維 性 被 膜 で 囲 まれた 大 小 の 嚢 胞 を 認 め、<br />

内 部 に 多 量 の 粘 液 を 産 生 する 上 皮 を 認 めた。 嚢 胞 間 間 質 への 腺 管 の 浸<br />

潤 も 認 めadenocarcinomaと 診 断 、 周 囲 胆 管 との 連 続 性 を 認 めないこと、<br />

一 部 に 卵 巣 様 間 質 を 認 めたことから 肝 MCNと 診 断 した。 術 後 約 1 年 3ヶ<br />

月 再 発 兆 候 なく 生 存 中 である。 過 去 当 院 での 胆 管 嚢 胞 腺 腫 ・ 腺 癌 切 除<br />

例 を 含 め 検 討 を 行 い、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P52-3 消 化 器 癌 術 後 の 原 発 性 肝 放 線 菌 症 の1 例<br />

1<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院 外 科 、 2 岡 山 済 生 会 総 合 病 院 病 理<br />

○… 三 村 太 亮 1<br />

, 仁 熊 健 文 1<br />

, 庄 司 良 平 1<br />

, 児 島 亨 1<br />

, 三 村 哲 重 1<br />

,<br />

2<br />

能 勢 聡 一 郎<br />

症 例 は72 才 男 性 。 基 礎 疾 患 として 拡 張 型 心 筋 症 と 心 房 細 動 あり。 他 院<br />

にて2000 年 に 回 盲 腸 部 癌 にて 右 半 結 腸 切 除 ・2005 年 に 十 二 指 腸 癌 にて<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 されている。2010 年 に 血 糖 コントロール 不 良<br />

の 精 査 にて 行 われたCTにて、 肝 S4/8に8cm 大 の 境 界 明 瞭 な 低 吸 収 腫<br />

瘤 性 病 変 を 認 め、 精 査 加 療 目 的 で 当 院 に 紹 介 受 診 された。 腹 部 USで<br />

も 同 部 にやや 高 エコー 辺 縁 不 整 で 境 界 明 瞭 な 病 変 を 認 め、 十 二 指 腸 癌<br />

(ないし 大 腸 癌 )の 肝 転 移 再 発 の 診 断 にて 肝 中 央 2 区 域 切 除 を 行 う 方 針<br />

とした。 術 中 所 見 では、 腫 瘤 は 横 隔 膜 を 貫 き 右 肺 下 葉 まで 浸 潤 してお<br />

り 一 塊 となっていたため 横 隔 膜 合 併 切 除 ・ 右 肺 下 葉 部 分 切 除 も 行 なっ<br />

た。 切 除 標 本 では 肝 S4/8を 中 心 とした 白 色 調 の 境 界 明 瞭 な 病 変 を 認<br />

めた。… 病 理 組 織 学 的 診 断 では、 腫 瘤 の 大 部 分 は 繊 維 化 であり、 繊 維<br />

化 の 間 に 多 数 の 好 中 球 浸 潤 を 伴 った 小 膿 瘍 を 散 見 し、 膿 瘍 の 辺 縁 に 棍<br />

棒 状 の 菌 体 を 認 め 肝 放 線 菌 症 と 診 断 した。 放 線 菌 症 は 慢 性 化 膿 性 肉 芽<br />

腫 性 疾 患 で 画 像 検 査 では 悪 性 疾 患 との 鑑 別 がしばしば 問 題 となる。 肝<br />

原 発 の 放 線 菌 症 の 報 告 は 極 めてまれであり、その 報 告 の 多 くは 本 症 例<br />

のごとく 胆 道 再 建 術 後 で、 消 化 管 に 常 在 する 放 線 菌 が 逆 行 性 経 胆 管 的<br />

に 肝 に 感 染 して 発 症 すると 考 えられている。 本 例 は、 既 往 の 消 化 器 癌<br />

の 単 発 性 肝 転 移 病 変 と 診 断 し、 肝 切 除 術 を 施 行 したが、 病 理 所 見 より<br />

放 線 菌 による 線 維 化 した 化 膿 性 肉 芽 腫 と 判 明 したまれな1 例 であった。<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P52-4 腹 腔 鏡 補 助 下 に 切 除 した 肝 内 胆 管 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

岩 手 医 科 大 学 外 科 学 講 座<br />

○… 武 田 大 樹 , 新 田 浩 幸 , 眞 壁 健 二 , 長 谷 川 康 , 伊 藤 直 子 ,<br />

高 原 武 志 , 高 橋 正 浩 , 若 林 剛<br />

症 例 は59 才 男 性 。 上 腹 部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 。 腹 部 超 音 波 検 査 にて<br />

肝 左 葉 に 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され 当 院 消 化 器 肝 臓 内 科 紹 介 。 造 影 CTで<br />

は 肝 左 葉 に 長 径 約 60mmの 内 部 濃 度 不 均 一 で 一 部 高 濃 度 を 示 す 部 分 を<br />

有 する 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。EOB-MRIでは 腫 瘤 の 造 影 効 果 は 認 めず、<br />

T2 強 調 像 で 辺 縁 がHigh…intensity…、 内 部 はLow…intensityを 示 す 部 分<br />

があり、T1 強 調 像 で 内 部 がややHigh…intensityを 示 し、 出 血 を 伴 う 嚢<br />

胞 性 病 変 が 疑 われた。MRCPでは 左 肝 管 からB4にかけて 胆 管 との 連<br />

続 した 嚢 胞 性 病 変 を 疑 われたが、ERCPでは 左 肝 管 に 狭 窄 とその 抹 消<br />

の 拡 張 を 認 めるが、 腫 瘤 性 病 変 は 造 影 されず 胆 管 との 交 通 は 確 認 でき<br />

なかった。IDUSでは 内 部 は 大 半 を 充 実 性 成 分 が 占 めていることが 確<br />

認 された。 胆 管 の 生 検 、ブラッシング 細 胞 診 、 胆 汁 細 胞 診 では 悪 性 像<br />

は 確 認 されなかった。FDG-PETではわずかな 集 積 を 認 めるのみであっ<br />

た。 以 上 より、 肝 内 胆 管 嚢 胞 線 腫 の 診 断 で、 悪 性 も 否 定 できないため<br />

手 術 の 方 針 とした。 手 術 は 腹 腔 鏡 補 助 下 に 施 行 した。 腹 腔 鏡 下 に 肝 左<br />

葉 を 授 動 した 後 、 上 腹 部 正 中 に10cmの 小 切 開 をおき、 小 開 腹 操 作 を<br />

行 った。Hanging…maneuverを 併 用 し、 肝 左 葉 切 除 を 施 行 した。 手 術<br />

時 間 は308 分 、 出 血 量 は178mlであった。 腫 瘤 は 周 囲 と 境 界 明 瞭 な 被<br />

膜 を 有 し、 内 部 は 一 部 に 乳 頭 状 構 造 を 示 す 粘 液 産 生 を 伴 う 細 胞 成 分 を<br />

認 めるが 悪 性 像 は 認 められずHepatobiliary…cystadenomaの 診 断 で<br />

あった。 肝 内 胆 管 嚢 胞 腺 腫 は 肝 嚢 胞 性 疾 患 の 約 5% 以 下 に 認 められる、<br />

比 較 的 稀 な 疾 患 である。 本 邦 での 報 告 例 は 自 検 例 を 含 め62 例 で、 男 女<br />

比 は18:44と 女 性 に 多 い 傾 向 がある。 肝 嚢 胞 性 疾 患 の 良 悪 性 は、 画 像<br />

上 では 鑑 別 が 困 難 であることが 多 く、 血 中 CA19-9 値 は 悪 性 でも 正 常<br />

値 であることが 多 い。 肝 切 除 以 外 の 治 療 では 再 発 、 悪 性 化 の 報 告 もあ<br />

ることより、 内 部 に 隔 壁 や 結 節 性 病 変 を 認 めた 場 合 、 根 治 切 除 を 目 指<br />

した 外 科 的 切 除 が 第 一 選 択 となる。 今 回 我 々は 腹 腔 鏡 補 助 下 に 切 除 し<br />

た 肝 内 胆 管 嚢 胞 腺 腫 の1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え<br />

て 報 告 する。<br />

P52-5 胆 道 疾 患 の 既 往 のない 若 年 性 肝 内 結 石 症 の1 切 除 例<br />

横 浜 労 災 病 院 外 科<br />

○… 松 村 聡 , 田 崎 健 太 郎 , 篠 藤 浩 一 , 大 島 郁 也 ,<br />

尾 崎 正 彦<br />

症 例 は 生 来 健 康 な39 歳 男 性 。 健 診 の 腹 部 超 音 波 検 査 で10mm 大 の 胆 嚢<br />

ポリープを 指 摘 され、 当 院 消 化 器 内 科 紹 介 受 診 した。 腹 部 造 影 CT 検 査 、<br />

MRI 検 査 にてB2 胆 管 末 梢 の 拡 張 とその 中 枢 側 に8mm 大 までの 胆 管 結<br />

石 を 指 摘 された。 内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 道 造 影 検 査 にてB2 胆 管 内 に 透 亮<br />

像 を 認 め、その 末 梢 胆 管 の 拡 張 を 認 めた。ブラシ 細 胞 診 、 胆 汁 細 胞 診<br />

ともにclass2であった。また、 胆 管 の 分 岐 は 正 常 型 であり、 胆 管 拡 張<br />

症 は 認 めなかった。 経 内 視 鏡 的 に 砕 石 を 試 みたが 困 難 であったため、<br />

手 術 を 施 行 した。 術 中 超 音 波 検 査 で 拡 張 した 胆 管 はB2のみであった<br />

が 結 石 がB2 根 部 まで 存 在 したため、 外 側 区 域 切 除 を 施 行 した。また<br />

胆 嚢 摘 出 術 を 付 加 し 胆 道 造 影 を 施 行 、 残 肝 胆 管 に 結 石 や 病 変 がないこ<br />

とを 確 認 した。 術 後 経 過 良 好 にて 術 後 第 7 病 日 に 軽 快 退 院 した。 病 理<br />

組 織 学 検 査 結 果 では、 肝 内 胆 管 に10mm 大 までのコレステロール 結 石<br />

と 末 梢 胆 管 の 拡 張 を 認 めた。 胆 管 上 皮 は 結 石 部 に 中 等 度 のdysplasia<br />

を 認 めたが、 明 らかな 悪 性 所 見 は 認 めなかった。また 肝 実 質 も 軽 度 の<br />

脂 肪 変 性 を 認 めるが、 萎 縮 は 認 めなかった。また 胆 嚢 ポリープはコレ<br />

ステロールポリープであった。<br />

合 流 異 常 などの 胆 道 疾 患 の 既 往 のない 若 年 者 の 肝 内 結 石 症 は 比 較 的 稀<br />

であり、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-414-


P52-6 先 天 性 胆 道 拡 張 症 に 対 する 分 流 手 術 後 の 肝 内 結 石 に 対<br />

し 肝 切 除 を 施 行 した3 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 付 属 柏 病 院 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

学 講 座 消 化 器 外 科<br />

○… 斉 藤 良 太 1<br />

, 島 田 淳 一 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 田 辺 義 明 1<br />

,<br />

遠 山 洋 一 1<br />

, 柳 沢 暁 1<br />

, 小 林 進 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

先 天 性 胆 道 拡 張 症 においては, 膵 ・ 胆 管 合 流 異 常 による 膵 液 ・ 胆 汁 の<br />

相 互 逆 流 により 胆 道 系 と 膵 に 様 々な 合 併 症 , 特 に 胆 道 癌 を 合 併 するこ<br />

とより,その 治 療 として 肝 外 胆 管 切 除 , 胆 道 再 建 (いわゆる 分 流 手 術 )<br />

が 標 準 術 式 とされる.しかし 分 流 手 術 後 の 長 期 経 過 において 肝 内 結 石<br />

の 発 症 や 胆 管 消 化 管 吻 合 部 狭 窄 などの 問 題 点 が 指 摘 されている. 先 天<br />

性 胆 道 拡 張 症 に 対 する 分 流 手 術 後 に 発 症 した 肝 内 結 石 に 対 し, 肝 切 除<br />

を 施 行 した3 例 を 経 験 したので 報 告 する. 症 例 1は62 歳 男 性 . 先 天 性 胆<br />

道 拡 張 症 に 対 する 分 流 手 術 後 2 年 で 肝 内 結 石 を 併 発 し 胆 管 形 成 , 肝 管<br />

空 腸 再 吻 合 による 除 石 術 を 施 行 した.その16 年 後 に 左 葉 型 の 肝 内 結 石<br />

を 再 発 し, 肝 左 葉 切 除 , 肝 門 部 胆 管 切 除 を 施 行 した. 症 例 2は32 歳 女 性 .<br />

胆 道 拡 張 症 に 対 する 内 瘻 術 後 20 年 で 肝 内 結 石 を 併 発 し, 分 流 手 術 を 施<br />

行 した.その9 年 後 に 左 葉 型 の 肝 内 結 石 を 再 発 し, 肝 外 側 区 域 切 除 ,<br />

肝 内 結 石 除 去 を 施 行 した. 症 例 3は56 歳 男 性 . 分 流 手 術 後 10 年 で 肝 内<br />

結 石 を 併 発 し, 胆 管 形 成 , 肝 管 空 腸 再 吻 合 による 除 石 術 を 施 行 した.<br />

その6 年 後 に 両 葉 型 の 肝 内 結 石 の 再 発 および 肝 内 胆 管 癌 を 併 発 したた<br />

め, 拡 大 肝 右 葉 切 除 , 肝 門 部 胆 管 切 除 を 施 行 した.3 症 例 ともに 結 石<br />

の 再 発 を 認 めず, 症 例 3は 肝 内 胆 管 癌 の 再 発 により 術 後 15ヶ 月 にて 死<br />

亡 したが, 残 る2 例 は 術 後 27ヶ 月 , 術 後 51ヶ 月 で 健 在 である. 先 天 性<br />

胆 道 拡 張 症 に 対 する 分 流 手 術 後 に 発 生 する 肝 内 結 石 は 再 発 を 繰 り 返 し,<br />

また 胆 道 癌 発 生 の 要 因 となるため 慎 重 な 経 過 観 察 を 必 要 とする. 分 流<br />

手 術 後 に 再 発 する 肝 内 結 石 では, 肝 切 除 による 結 石 除 去 が 有 効 である.<br />

P52-7 魚 骨 穿 通 による 肝 膿 瘍 の1 例<br />

1<br />

鹿 児 島 厚 生 連 病 院 外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 消 化 器 外 科 ・ 乳 腺 甲 状<br />

腺 外 科 学 、 3 今 村 病 院 放 射 線 科<br />

○… 小 倉 芳 人 1<br />

, 田 辺 寛 1<br />

, 横 枕 直 哉 1<br />

, 實 操 二 1<br />

, 西 島 浩 雄 1<br />

,<br />

前 之 原 茂 穂 1<br />

, 夏 越 祥 次 2<br />

, 志 村 武 3 3<br />

, 西 田 博 利<br />

【はじめに】 通 常 、 魚 骨 を 誤 嚥 した 場 合 には 自 然 に 排 泄 されるため 消<br />

化 管 穿 孔 ・ 穿 通 することは 稀 である。 今 回 我 々は 魚 骨 が 十 二 指 腸 から<br />

肝 臓 に 穿 通 し 肝 膿 瘍 を 形 成 したと 考 えられた1 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。【 症 例 】 症 例 は60 歳 ・ 男 性 。 主 訴 は 腹 痛 ・ 胃 部 不 快 感 。1980 年 頃 、<br />

交 通 外 傷 による 開 腹 術 の 既 往 が 認 められた。また、 従 来 より 魚 骨 を 食<br />

べる 習 慣 が 認 められた。 現 病 歴 は2011 年 3 月 、1 週 間 前 より 続 く 腹 痛 を<br />

主 訴 に 前 医 を 受 診 した。 受 診 時 、 上 腹 部 に 著 明 な 圧 痛 と 炎 症 反 応 の 上<br />

昇 が 認 められ、CTにて 肝 S3-4に 径 7cm 大 の 肝 膿 瘍 が 認 められた。 更 に、<br />

肝 膿 瘍 内 部 に 線 状 の 高 吸 収 域 が 認 められ、 魚 骨 の 存 在 が 疑 われた。ま<br />

た、 上 部 内 視 鏡 検 査 にて 十 二 指 腸 球 部 に 潰 瘍 性 病 変 が 認 められ、 同 部<br />

より 魚 骨 が 穿 通 したと 考 えられた。 以 上 より 魚 骨 穿 通 による 肝 膿 瘍 と<br />

診 断 した。 肝 膿 瘍 に 対 し 経 皮 的 膿 瘍 ドレナージ 術 を 施 行 し 炎 症 反 応 の<br />

軽 減 を 図 った 後 、 魚 骨 摘 出 を 含 めた 外 科 治 療 を 勧 められ、2011 年 4 月<br />

当 院 入 院 した。2011 年 4 月 手 術 を 施 行 し、 開 腹 時 、 肝 S4はやや 硬 く 暗<br />

赤 色 に 軽 度 腫 大 し、その 部 分 に 鶏 卵 大 の 膿 瘍 が 認 められた。 術 中 US<br />

にて 肝 膿 瘍 ・ 魚 骨 と 思 われる 陰 影 を 確 認 した 後 、 肝 膿 瘍 部 を 切 開 する<br />

と、 白 色 の 少 量 の 膿 汁 が 流 出 し、 中 から 魚 骨 と 思 われる 約 2cmの 長 さ<br />

の 異 物 が 認 められた。 異 物 を 摘 出 すると 共 に、 肝 切 除 は 行 なわずドレ<br />

ナージ 術 を 施 行 し 手 術 を 終 了 した。 摘 出 した 異 物 は 約 2cmの 長 さの 半<br />

透 明 の 石 灰 物 で、 魚 骨 と 考 えられた。 術 後 、 症 状 の 再 燃 もなく2011 年<br />

4 月 末 退 院 した。 外 来 にて 定 期 的 に 通 院 治 療 中 で、 肝 膿 瘍 も 徐 々に 縮<br />

小 し、 炎 症 反 応 の 再 燃 も 認 められない。【 考 察 】 魚 骨 による 穿 孔 ・ 穿<br />

通 は 食 道 ・ 胃 ・ 回 腸 ・ 横 行 結 腸 ・S 状 結 腸 に 多 く 認 められ、 腹 腔 内 膿<br />

瘍 や 肛 門 周 囲 膿 瘍 が 多 く 報 告 されている。しかし、 本 症 例 のように 肝<br />

膿 瘍 を 来 すことは 極 めてまれである。 今 回 我 々は 十 二 指 腸 を 穿 通 し 肝<br />

膿 瘍 を 形 成 したと 考 えられた1 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を<br />

加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P52-8 側 副 血 行 路 に 発 生 し 開 腹 手 術 により 治 療 し 得 た 肝 動 脈<br />

瘤 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 坂 口 達 馬 , 海 堀 昌 樹 , 石 崎 守 彦 , 松 井 康 輔 , 松 島 英 之 ,<br />

權 雅 憲<br />

【はじめに】 肝 動 脈 瘤 は 比 較 的 稀 な 疾 患 であるが、 腹 部 内 臓 動 脈 瘤 の<br />

うち 脾 動 脈 瘤 に 次 いで 多 いとされ 近 年 では 医 原 性 の 仮 性 瘤 が 増 加 して<br />

いるとされる。 文 献 上 、 出 血 性 ショックを 伴 った 破 裂 例 の 死 亡 率 は<br />

20-82%とされ 迅 速 な 対 応 が 必 要 な 疾 患 である。 今 回 、 医 原 性 と 考 え<br />

られる、 側 副 血 行 路 に 発 生 し 開 腹 手 術 により 治 療 し 得 た 仮 性 肝 動 脈 瘤<br />

の1 例 を 経 験 した。【 症 例 】 患 者 は67 歳 、 男 性 。38 歳 時 に 胆 嚢 摘 出 術 の<br />

既 往 があり、45 歳 時 からHCV 抗 体 陽 性 を 指 摘 され 近 医 にて 経 過 観 察<br />

中 であった。 腹 部 超 音 波 検 査 で 肝 腫 瘤 を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 にて<br />

当 院 紹 介 となった。 造 影 CTで 肝 門 部 に 動 脈 相 、 門 脈 相 、 平 衡 相 のい<br />

ずれの 時 相 でも 動 脈 と 等 しい 濃 度 で 造 影 される 腫 瘤 像 が 認 められ、 肝<br />

動 脈 瘤 と 診 断 した。 血 管 造 影 で 右 肝 動 脈 を 認 めず、 左 肝 動 脈 から 右 葉<br />

へ 側 副 血 行 路 の 発 達 が 認 められ、 側 副 血 行 路 に8×5mmの 瘤 形 成 を 認<br />

めた。 径 カテーテル 塞 栓 術 (TAE)による 塞 栓 術 を 試 みたが、 血 管 の<br />

蛇 行 、 狭 細 化 のためTAEは 施 行 困 難 であり 開 腹 術 を 選 択 した。 瘤 は<br />

門 脈 臍 部 右 側 に 認 められ、 流 入 ・ 流 出 路 を 結 紮 し 瘤 を 摘 出 した。 病 理<br />

検 査 で 瘤 壁 は 内 膜 の 肥 厚 を 認 め、 中 膜 および 外 膜 は 欠 損 しており 仮 性<br />

動 脈 瘤 と 診 断 した。【 考 察 】 未 破 裂 の 肝 動 脈 瘤 のうち、 仮 性 瘤 は 自 然<br />

な 血 栓 化 が 期 待 できず 全 例 が 治 療 対 象 とされ、 特 に 医 原 性 の 肝 動 脈 瘤<br />

は 仮 性 瘤 が 多 く 破 裂 の 頻 度 が 高 い。 本 症 例 では 胆 嚢 摘 出 術 後 の 合 併 症<br />

として 医 原 性 の 仮 性 瘤 形 成 を 疑 い 破 裂 の 危 険 を 考 慮 した。 治 療 として、<br />

最 近 では 低 侵 襲 であり 血 管 造 影 に 引 き 続 いて 施 行 できるTAEの 有 用<br />

性 が 広 く 認 められているが、 本 症 例 では 開 腹 手 術 により 治 療 し 得 た。<br />

側 副 血 行 路 に 発 生 した 肝 動 脈 瘤 の 報 告 例 は 極 めてまれであり、 若 干 の<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P53-1 胆 管 と 交 通 を 有 した 単 純 性 肝 嚢 胞 に 対 し 単 孔 式 腹 腔 鏡<br />

下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 にて 治 癒 し 得 た1 例<br />

板 橋 中 央 総 合 病 院<br />

○… 松 本 浩 次 , 畑 中 正 行<br />

症 例 は75 歳 , 女 性 .2010 年 9 月 下 旬 より 突 然 右 季 肋 部 痛 が 出 現 し, 当 院 受<br />

診 , 精 査 加 療 目 的 で 緊 急 入 院 となる. 入 院 後 腹 部 超 音 波 検 査 , 腹 部 CT 検 査<br />

で, 肝 右 葉 を 中 心 に20cm 大 の 単 純 性 肝 嚢 胞 を 指 摘 された. 経 皮 的 ドレ<br />

ナージを 施 行 したが, 胆 汁 成 分 を 含 有 した 多 量 の 嚢 胞 液 が 吸 引 され, 内<br />

視 鏡 下 逆 行 性 胆 管 造 影 では, 肝 内 胆 管 と 嚢 胞 の 交 通 が 確 認 された. 本 症<br />

例 に 対 し 単 孔 式 に 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 とともに、 術 中 嚢 胞 腔 内 胆<br />

汁 漏 出 部 が 同 定 されたため,その 部 を 縫 合 閉 鎖 した. 術 後 , 経 過 良 好 にて<br />

退 院 となった. 今 回 ,… 胆 管 と 交 通 を 有 した 単 純 性 肝 嚢 胞 に 対 し 単 孔 式 腹<br />

腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 にて 治 癒 し 得 た1 例 を 経 験 したので 報 告 する.<br />

-415-


P53-2 φ3cm 大 の 小 さな 孤 立 性 肝 嚢 胞 により 進 行 性 の 肝 内 胆<br />

管 拡 張 像 を 呈 した 一 例<br />

医 療 法 人 明 和 病 院<br />

○… 岡 本 亮 , 飯 田 洋 也 , 生 田 真 一 , 相 原 司 , 山 中 若 樹<br />

【はじめに】 通 常 非 寄 生 虫 性 の 肝 嚢 胞 は 無 症 状 で、 胆 管 拡 張 像 を 呈 す<br />

ることは 稀 である。 今 回 φ3cm 大 の 小 さな 孤 立 性 肝 嚢 胞 により 進 行 性<br />

の 肝 内 胆 管 拡 張 像 を 呈 した 一 例 を 経 験 したため 報 告 する。【 症 例 】60<br />

歳 代 、 女 性 。 左 乳 癌 術 後 にて 当 院 外 科 外 来 通 院 中 であった。 定 期 検 査<br />

にて 施 行 した 血 液 検 査 にて 胆 道 系 酵 素 異 常 を 認 めたため 追 加 検 査 を 実<br />

施 した。なお、 炎 症 所 見 、 黄 疸 は 認 めなかった。 腹 部 エコー・ 腹 部<br />

CTでは 以 前 より 認 めていた 肝 S4の3cm 大 の 孤 立 性 肝 嚢 胞 が 軽 度 増 大<br />

し、 約 8か 月 前 に 比 べ 肝 左 葉 の 肝 内 胆 管 拡 張 が 著 明 となっていた。 嚢<br />

胞 内 部 には 腫 瘤 性 病 変 を 認 めなかった。 腹 部 造 影 MRIでは 嚢 胞 部 位 で<br />

の 胆 管 狭 窄 像 を 認 めた。 進 行 性 の 胆 管 狭 窄 から 胆 管 癌 の 存 在 を 否 定 で<br />

きないと 考 え、 腹 腔 鏡 補 助 下 に 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 は<br />

良 好 で 合 併 症 なく 術 後 9 日 目 に 退 院 となった。 病 理 組 織 学 的 検 査 では<br />

嚢 胞 壁 に 悪 性 所 見 を 認 めなかった。 狭 窄 と 考 えられた 胆 管 部 位 は 異 型<br />

に 乏 しい 胆 管 上 皮 に 覆 われ 繊 維 性 肥 厚 に 乏 しく 悪 性 所 見 を 認 めなかっ<br />

た。これらの 結 果 から 肝 嚢 胞 の 圧 迫 による 胆 管 狭 窄 像 を 呈 したものと<br />

考 えられた。【まとめ】 本 邦 での 胆 管 拡 張 を 来 した 肝 嚢 胞 例 の 報 告 で<br />

は 平 均 嚢 胞 径 は10cm 程 度 であり、 孤 立 性 嚢 胞 例 では 巨 大 な 肝 門 部 例<br />

やS4.5に 多 い 傾 向 にあった。 本 症 例 のように 比 較 的 小 さな 肝 嚢 胞 でも<br />

胆 管 拡 張 像 を 呈 すること 可 能 性 があることを 念 頭 において 慎 重 な 診 断<br />

と 低 侵 襲 で 再 発 率 の 低 い 治 療 手 段 の 選 択 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

P53-3 アメーバ 性 肝 膿 瘍 の 一 例<br />

1<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター、 2 秩 父 市 立 病 院 地 域 医<br />

療 連 携 室<br />

○… 柿 澤 奈 緒 1<br />

, 野 田 弘 志 1<br />

, 神 山 英 範 2<br />

, 長 谷 川 芙 美 1<br />

,<br />

加 藤 高 晴 1<br />

, 渡 部 文 昭 1<br />

, 遠 山 信 幸 1 1<br />

, 小 西 文 雄<br />

症 例 は50 歳 台 男 性 、 最 近 の 海 外 渡 航 歴 なし。38℃ 台 の 発 熱 、 腹 痛 、 下<br />

痢 があり、 近 医 で 感 冒 の 処 方 を 受 けたが 改 善 しないため、 発 症 10 日 後<br />

に 前 医 へ 紹 介 された。WBC…28800…/μl、CRP…28…mg/dl、AST…234…<br />

mU/ml、ALT…197…mU/mlと、 炎 症 反 応 と 肝 酵 素 の 上 昇 を 認 め、 腹 部<br />

CT 検 査 で 肝 右 葉 に5cm 大 の 腫 瘍 を 指 摘 された。アメーバ 性 肝 膿 瘍 の<br />

疑 い(のちに 血 清 抗 体 価 上 昇 あり、 確 定 診 断 )で、 抗 生 剤 を 投 与 された<br />

が、39℃の 発 熱 が 持 続 したため、 経 皮 的 ドレナージを 施 行 された。1<br />

週 間 後 のCT 検 査 で 膿 瘍 の 増 大 があり、ドレナージ 不 良 との 判 断 で<br />

チューブを 交 換 したが、 造 影 剤 の 肝 表 面 への 漏 出 があり、 膿 瘍 破 裂 と<br />

診 断 された。その 後 血 圧 低 下 、 意 識 レベルの 低 下 があり、また 貧 血 が<br />

進 行 したため、 止 血 目 的 にTAEを 施 行 したが、 改 善 なく、 治 療 目 的<br />

に 当 院 へ 搬 送 された。ICU 管 理 下 で 気 管 挿 管 、 昇 圧 剤 を 投 与 したが、<br />

血 圧 が 維 持 できず、 内 科 的 治 療 困 難 と 判 断 し、 出 血 コントロール 目 的<br />

に 緊 急 手 術 を 施 行 した。 開 腹 すると 淡 血 性 の 腹 水 を 多 量 に 認 め、 肝 後<br />

区 域 がもろく 血 腫 と 一 塊 となっていた。 可 及 的 に 血 腫 を 除 去 し、タオ<br />

ルを 詰 めて 止 血 し、 閉 腹 した。 術 後 7 日 目 に 止 血 ガーゼを 除 去 した 際 、<br />

肝 表 面 からの 出 血 はなく、 肝 切 除 はせずに 終 了 した。しかしその 後 も<br />

発 熱 が 続 き、CT 検 査 で 新 たな 膿 瘍 の 出 現 を 確 認 し、CTガイド 下 ドレ<br />

ナージを 施 行 した。 経 口 摂 取 が 進 まず、 療 養 目 的 で 術 後 39 日 目 に 転 院<br />

した。 軽 快 し 一 旦 退 院 したが、 数 回 の 発 熱 を 繰 り 返 し、 肝 膿 瘍 再 燃 の<br />

診 断 で、 抗 生 剤 投 与 と 再 度 のCTガイド 下 ドレナージを 行 ったが、 軽<br />

快 せず、 初 回 術 後 8ヵ 月 で 治 療 目 的 に 当 院 に 再 度 入 院 した。CT 検 査 で<br />

は 肝 後 区 域 に 隔 壁 をもつ 内 部 低 吸 収 の 腫 瘤 を 認 めた。 右 葉 は 委 縮 し 左<br />

葉 は 肥 大 していた。 膿 瘍 は 慢 性 化 しており、 開 腹 手 術 が 必 要 と 判 断 し、<br />

肝 右 葉 切 除 を 施 行 した。 開 腹 すると 肝 周 囲 に 高 度 な 癒 着 を 認 め、さら<br />

に 膿 瘍 は 横 隔 膜 と 強 固 に 癒 着 していた。 現 在 はドレーンから 感 染 性 腹<br />

水 があり、 加 療 中 である。 今 回 われわれはアメーバ 性 肝 膿 瘍 で 巨 大 肝<br />

膿 瘍 を 形 成 し、 緊 急 止 血 術 を 行 うとともに、 術 後 難 治 性 の 肝 膿 瘍 に 対<br />

して 右 葉 切 除 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 をふ<br />

まえて 報 告 する。<br />

P53-4 術 前 診 断 に 苦 慮 した 肝 エキノコックス 症 の 一 例<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 保 田 智 彦 , 川 野 陽 一 , 上 田 純 志 , 山 初 和 也 , 清 水 哲 也 ,<br />

水 口 義 昭 , 吉 岡 正 人 , 松 下 晃 , 中 村 慶 春 , 谷 合 信 彦 ,<br />

相 本 隆 幸 , 真 々 田 裕 宏 , 内 田 英 二<br />

背 景 )エキノコックスは 主 として 肝 に 病 巣 を 形 成 する 寄 生 虫 症 である<br />

が, 近 年 国 際 規 模 で 環 境 汚 染 が 懸 念 され, 新 興 ・ 再 興 感 染 症 として 注<br />

目 されている 人 畜 共 通 寄 生 虫 疾 患 である. 診 断 は 血 清 検 査 と 共 に, 腹<br />

部 CT・MRIなどの 画 像 検 査 において 石 灰 化 を 伴 う 多 発 肝 のう 胞 が 特<br />

徴 とされるが, 肝 嚢 胞 ・のう 胞 性 腺 腫 との 鑑 別 が 困 難 な 例 も 存 在 する.<br />

今 回 術 前 に 血 清 検 査 ・ 画 像 検 査 で 確 定 診 断 が 得 られず, 術 後 病 理 結 果<br />

でエキノコックス 症 と 診 断 した 一 例 を 経 験 したので, 多 少 の 文 献 的 考<br />

察 を 加 えて 報 告 する. 症 例 )シリア 人 ,40 代 , 男 性 . 約 1 年 前 から 食 後<br />

の 腹 痛 と 腹 部 膨 満 感 があり, 検 診 でのCTにて 肝 左 葉 に 嚢 胞 性 病 変 を<br />

指 摘 され, 精 査 目 的 で 当 院 紹 介 となった.CT 検 査 では, 肝 外 側 域 に<br />

長 径 9cmの 多 房 性 嚢 胞 を 認 め, 頭 側 と 隔 壁 に 多 発 性 の 石 灰 化 を 伴 って<br />

いた 為 ,エキノコックス 症 ・ 粘 液 性 のう 胞 腺 腫 などが 疑 われた.<br />

ELISA 法 によるエキノコックス 血 清 検 査 の 結 果 陰 性 であった.PET-<br />

CTでは 腫 瘤 の 壁 部 分 に 明 らかなFDG 集 積 は 認 めず,MRIでは 石 灰 化<br />

病 変 に 接 して,T1WIで 筋 と 等 信 号 強 度 ,T2WIで 中 心 は 高 信 号 の 充<br />

実 性 構 造 が 認 められたため, 粘 液 性 のう 胞 腺 腫 の 可 能 性 が 疑 われた.<br />

確 定 診 断 は 得 られなかったが, 有 症 状 であり 患 者 希 望 があったため 切<br />

除 の 方 針 となった. 手 術 所 見 では 腹 腔 内 に 腹 水 や 腹 膜 転 移 巣 は 認 めず,<br />

背 景 肝 は 正 常 肝 であり, 肝 外 側 域 に 萎 縮 と 壁 の 厚 い 突 出 する 腫 瘤 を 認<br />

めていた. 肝 左 葉 切 除 術 で 摘 出 された 標 本 には 多 発 する 嚢 胞 を 認 め,<br />

病 理 結 果 で 虫 体 と 共 に 肝 臓 組 織 と 連 続 し 線 帷 性 壁 を 有 するのう 胞 性 病<br />

変 を 認 めたため,エキノコックス 症 と 診 断 した. 術 後 経 過 は 良 好 であ<br />

り, 現 在 再 発 ・ 転 移 の 兆 候 認 めず, 外 来 で 経 過 観 察 となっている. 結<br />

語 )エキノコックスの 診 断 は 血 清 検 査 により 確 定 診 断 されることが 多<br />

いが, 血 清 検 査 が 陰 性 であっても, 罹 患 地 域 出 身 の 患 者 の 嚢 胞 性 疾 患<br />

に 対 してはエキノコックス 症 も 疑 って 精 査 を 行 い, 手 術 施 行 時 には 内<br />

容 物 を 漏 らさずに 完 全 摘 出 することが 重 要 であると 考 えられた.<br />

P53-5 右 肝 円 索 ( 右 側 門 脈 臍 部 )の 術 前 診 断 が 術 式 選 択 に 影 響<br />

した 肝 内 結 石 合 併 肝 膿 瘍 の1 切 除 例<br />

大 同 病 院<br />

○… 鈴 木 和 志 , 宇 野 雄 祐 , 河 原 健 夫<br />

【はじめに】 右 肝 円 索 ( 右 側 門 脈 臍 部 )は 比 較 的 まれな 解 剖 学 的 先 天 異<br />

常 である。 右 肝 円 索 を 術 前 診 断 せず 通 常 の 定 型 的 術 式 で 肝 切 除 に 挑 め<br />

ば 問 題 が 生 じることがあり、その 術 前 診 断 と 肝 内 の 脈 管 構 造 の 把 握 は<br />

極 めて 重 要 である。 今 回 我 々は、 門 脈 臍 部 周 囲 に 胆 管 癌 を 疑 う 陰 影 を<br />

認 めた 肝 S3の 肝 内 結 石 合 併 肝 膿 瘍 に 対 し、 通 常 解 剖 なら 左 葉 切 除 を<br />

考 慮 するところだが 右 肝 円 索 の 術 前 診 断 により、 左 3 区 域 切 除 を 回 避<br />

すべく 術 前 に 肝 針 生 検 を 施 行 し 切 除 範 囲 を 縮 小 した 症 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 する。【 症 例 】71 歳 、 男 性 。【 主 訴 】 発 熱 。【 既 往 歴 】30 年 以 上<br />

前 に 胆 石 性 胆 嚢 炎 にて 胆 嚢 摘 出 術 を 受 けその 数 年 後 に 胆 管 の 手 術 ( 詳<br />

細 不 明 )を 受 けた。 以 後 胆 管 炎 症 状 にて 他 院 で 数 回 入 院 治 療 歴 あり。【 現<br />

病 歴 】 発 熱 と 心 窩 部 の 皮 膚 発 赤 ・ 圧 痛 にて 近 医 受 診 し 精 査 ・ 加 療 目 的<br />

にて 当 院 へ 紹 介 。【 検 査 所 見 と 治 療 経 過 】CTで 肝 S3に 肝 膿 瘍 の 所 見 を<br />

認 めB3 胆 管 内 に 結 石 像 を 認 めた。B3 下 流 部 門 脈 臍 部 周 囲 に 低 吸 収 域<br />

を 認 め、 炎 症 を 第 一 に 考 えるが 胆 管 癌 の 可 能 性 を 否 定 できない 所 見 で<br />

あった。 胆 摘 後 で 左 側 胆 嚢 の 所 見 は 不 明 だったが 門 脈 臍 部 より 右 前 区<br />

域 門 脈 枝 が 分 岐 しており、 肝 静 脈 との 関 係 などから 右 肝 円 索 と 診 断 し<br />

た。 門 脈 右 後 区 域 枝 は 独 立 先 行 分 岐 していた。また 画 像 所 見 から 胆 管<br />

空 腸 吻 合 術 の 既 往 が 示 唆 された。 門 脈 臍 部 周 囲 の 所 見 を 癌 と 考 えれば<br />

通 常 解 剖 なら 左 葉 切 除 が 検 討 されるが、 右 肝 円 索 で 門 脈 臍 部 を 切 除 す<br />

れば 左 3 区 域 切 除 となるため 残 肝 機 能 が 問 題 になり、また 胆 管 空 腸 吻<br />

合 術 後 での 肝 門 部 操 作 の 煩 雑 さも 問 題 であり、 術 前 の 良 悪 性 診 断 目 的<br />

に 同 部 位 に 対 し 経 皮 的 肝 針 生 検 を 施 行 した。 生 検 結 果 は 良 性 だったが<br />

炎 症 を 繰 り 返 す 肝 内 結 石 合 併 肝 膿 瘍 であり、 肝 外 側 区 域 切 除 を 予 定 術<br />

式 とし 手 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 第 12 病 日 に 軽 快 退 院 した。<br />

【まとめ】 右 肝 円 索 には 左 側 胆 嚢 が 合 併 することが 多 く 診 断 の 助 けと<br />

なるが、 本 症 例 は 胆 摘 後 であったことと 肝 膿 瘍 と 胆 管 空 腸 吻 合 の 存 在<br />

のため 右 肝 円 索 の 術 前 診 断 は 比 較 的 難 しかったと 考 えられた。 癌 の 確<br />

定 診 断 がない 状 況 で 左 3 区 域 切 除 への 拡 大 手 術 は 過 大 侵 襲 であり、 術<br />

前 に 針 生 検 を 行 うことで 最 小 限 の 術 式 を 選 択 しえた 症 例 を 経 験 した。<br />

-416-


P53-6 Infliximab 投 与 下 Crohn 病 患 者 における 難 治 性 MRSA<br />

肝 膿 瘍 に 対 する 肝 S8 切 除 の1 例<br />

1<br />

東 京 大 学 医 学 部 肝 胆 膵 、 人 工 臓 器 移 植 外 科 、 2 社 会 保 険 中 央 総<br />

合 病 院 外 科 、 3 埼 玉 医 科 大 学 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

1,2<br />

○… 冨 樫 順 一 , 菅 原 寧 彦 1<br />

, 赤 松 延 久 3<br />

, 田 辺 麻 美 2<br />

,<br />

伊 地 知 正 賢 2<br />

, 日 下 浩 二 2<br />

, 柴 崎 正 幸 2<br />

, 万 代 恭 嗣 2<br />

,<br />

1<br />

國 土 典 宏<br />

背 景 :Crohn 病 における 肝 膿 瘍 は 非 常 に 稀 であるが、その 治 療 が 遅 れ<br />

た 場 合 にはきわめて 予 後 不 良 であり 高 い 死 亡 率 に 関 連 することが 報 告<br />

されており、とても 重 要 な 合 併 症 である。ここで 我 々はInfliximab 投<br />

与 下 Crohn 病 患 者 における 難 治 性 MRSA 肝 膿 瘍 に 対 し 肝 S8 切 除 が 著 効<br />

した1 例 を 報 告 する。 症 例 : 症 例 はCrohn 病 の31 歳 男 性 。 腸 管 の 病 勢<br />

は 寛 解 中 で 安 定 し 外 来 通 院 中 であった。 維 持 療 法 として 計 9 回 の<br />

Infliximab 投 与 が 施 行 されていたが、 突 然 の 高 熱 を 主 訴 に 来 院 し 白 血<br />

球 20400およびCRP25.0と 上 昇 を 伴 って 緊 急 入 院 となった。 入 院 当 初<br />

のCT 検 査 ではS8を 占 めるφ50mm 大 の 肝 膿 瘍 を 示 した。 速 やかに 経<br />

皮 経 肝 膿 瘍 ドレナージPTADが 施 行 され、 排 液 培 養 結 果 ではMRSAが<br />

確 認 された。しかしながら、バンコマイシンVCM1.0g/dやテイコプ<br />

ラニンTEIC400mg/dをさらに 併 用 するも 無 効 、 膿 瘍 ドレナージ 不 良<br />

巣 に 対 し 複 数 のPTADカテーテル 挿 入 やサイズアップ 再 挿 入 などの<br />

interventional… 治 療 を 繰 り 返 したにもかかわらず、40℃の 発 熱 が 遷 延<br />

し 臨 床 経 過 は 改 善 せず 難 渋 、むしろ 悪 化 の 一 途 をたどった。その 結 果 、<br />

内 科 治 療 に 抵 抗 を 示 していたため 肝 S8 切 除 による 根 治 術 を 選 択 した。<br />

術 中 炎 症 の 影 響 によるS8 中 心 の 肝 表 面 の 軽 度 癒 着 を 認 めるも 明 らか<br />

な 出 血 傾 向 はなく、エコーを 用 い 感 染 巣 を 露 出 することなく 慎 重 に 切<br />

除 を 行 った。MHV、RHV 本 幹 は 膿 瘍 と 長 く 接 し、またP8 根 部 ともグ<br />

リソンの 各 々とすべて 膿 瘍 がほぼ 接 する 状 況 であった。 手 術 時 間 は8<br />

時 間 30 分 、 出 血 は900g( 腹 水 含 )であった。 術 後 は4POD 一 時 胃 内 容 停<br />

滞 も 軽 快 、すみやかに 全 身 状 態 は 回 復 し、 合 併 症 なく 内 科 転 科 となっ<br />

た。 術 後 3カ 月 経 過 もCT 上 残 肝 に 膿 瘍 は 認 めなかった。 結 論 :ドレナー<br />

ジによる 治 療 は 細 菌 性 肝 膿 瘍 に 対 する 標 準 的 治 療 であるけれども、 膿<br />

瘍 の 外 科 的 な 除 去 が 免 疫 抑 制 下 の 患 者 や 古 典 的 治 療 に 抵 抗 を 示 すよう<br />

な 症 例 に 対 して 考 慮 されるべきであることが 本 症 例 では 示 唆 された。<br />

今 回 、 手 術 ビデオを 供 覧 し 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 肝 膿 瘍 に 対 する 肝<br />

切 除 例 を 報 告 する。<br />

P53-7 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 腺 内 分 泌 癌 の 一 切 除<br />

例<br />

市 立 函 館 病 院 外 科<br />

○… 田 原 宗 徳 , 山 名 大 介 , 江 本 慎 , 加 藤 雅 志 , 笠 島 浩 之 ,<br />

原 豊 , 倉 内 宣 明 , 遠 山 茂 , 木 村 純<br />

【 背 景 】 胆 管 、 胆 嚢 を 原 発 とする 腺 内 分 泌 癌 の 報 告 は 稀 であるが、さ<br />

らに 肝 臓 を 主 座 とするものはさらに 報 告 が 少 ない。 今 回 、 画 像 診 断 で<br />

肝 細 胞 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 肝 原 発 腺 内 分 泌 癌 を 経 験 したので 報 告<br />

する。<br />

【 症 例 】50 歳 女 性 、 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 、 腹 部 超 音 波 検 査 で<br />

肝 腫 瘍 を 認 めたため 当 院 紹 介 となった。CTで 肝 左 葉 を 占 拠 する 境 界<br />

明 瞭 な 類 円 形 の15cmの 腫 瘍 を 認 めた。 腫 瘍 内 には 発 達 した 栄 養 血 管<br />

を 認 め、 造 影 動 脈 相 で 不 均 一 に 造 影 され、 門 脈 ・ 平 衡 相 で 洗 い 出 しを<br />

認 めた。 左 肝 静 脈 の 根 部 と 門 脈 臍 部 は 圧 排 を 受 けていたが、 腫 瘍 栓 は<br />

なし、リンパ 節 腫 大 はなく、 遠 隔 転 移 も 認 めなかった。MRIではT1<br />

低 信 号 、T2 不 均 一 に 高 信 号 で、EOB 動 脈 相 で 不 均 一 に 染 まり、 後 期<br />

相 で 洗 い 出 し 像 を 認 めた。 腹 部 超 音 波 検 査 では 被 膜 を 伴 う 内 部 不 均 一<br />

なモザイク 状 を 呈 していた。 背 景 にB 型 ・C 型 肝 炎 はなく 肝 予 備 能 は<br />

保 たれており、 腫 瘍 マーカーはAFP7.1ng/ml、PIVKA-II…57mAU/ml、<br />

CEA…1.9…ng/ml、CA19-9…26…U/ml、SCC…0.9ng/mlであった。 上 部 、<br />

下 部 消 化 管 に 病 変 を 認 めなかった。 以 上 の 所 見 から 肝 細 胞 癌 を 疑 い 肝<br />

左 葉 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 重 量 は1.05Kg。<br />

【 病 理 組 織 検 査 】 腫 大 した 類 円 形 核 、 好 酸 性 の 胞 体 をもつ 異 型 細 胞 が<br />

乳 頭 状 、 管 状 に 増 生 。 一 部 に 顆 粒 状 のクロマチンを 持 つ 多 稜 形 の 細 胞<br />

が 見 られる。 免 疫 染 色 で 前 者 はMAC1 陽 性 、 後 者 はchromograninA<br />

陽 性 。Synaptophysin 一 部 陽 性 、CD56 弱 陽 性 であり、 腺 癌 と 神 経 内<br />

分 泌 癌 が 共 存 している 状 態 であった。<br />

【 考 察 】 肝 原 発 の 腺 内 分 泌 癌 は 稀 で 報 告 は 少 ない。 起 源 に 関 しては 肝<br />

臓 の 幹 細 胞 から 発 生 したという 説 や 肝 細 胞 癌 、 胆 管 細 胞 癌 から 転 化 し<br />

たという 説 などがあり 定 まっていない。<br />

【 結 語 】 肝 原 発 の 腺 内 分 泌 癌 を 経 験 したので 報 告 した。 症 例 の 蓄 積 が<br />

この 腫 瘍 の 起 源 や 性 質 を 明 らかにするものと 期 待 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P53-8 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 が 示 唆 された1 例<br />

1<br />

福 岡 大 学 病 院 外 科 学 講 座 消 化 器 外 科 、 2 福 岡 大 学 病 理 学 講 座<br />

○… 石 井 文 規 1<br />

, 乗 富 智 明 1<br />

, 山 内 靖 1<br />

, 和 田 義 人 1<br />

, 林 博 之 2<br />

,<br />

鍋 島 一 樹 2 1<br />

, 山 下 裕 一<br />

【はじめに】 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は 肺 や 消 化 管 での 報 告 例 は 散 見 されるが、<br />

肝 原 発 は 非 常 にまれで 予 後 不 良 とされている。 今 回 、 我 々は 術 前 診 断<br />

で 肝 細 胞 癌 と 診 断 し 腹 空 鏡 補 助 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 を 施 行 したが、 病<br />

理 組 織 学 的 検 査 で 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 された 一 例 を 経 験 したので 文<br />

献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。【 現 病 歴 】 症 例 は65 歳 男 性 。 高 血 圧 とア<br />

ルコール 性 肝 障 害 の 診 断 で 近 医 クリニックにてフォローアップされて<br />

いた。 腹 部 超 音 波 検 査 、CT 検 査 で 肝 S2に 腫 瘍 を 指 摘 され、 当 院 紹 介 。<br />

CTでは 早 期 濃 染 する 多 血 性 の 腫 瘍 で、EOBMRIでは 後 期 層 で 一 部 取<br />

り 込 みを 認 めた。 肝 細 胞 癌 の 診 断 で 手 術 目 的 に 入 院 となった。【 入 院<br />

後 経 過 】 肝 細 胞 癌 の 診 断 で 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 外 側 区 域 切 除 術 施 行 。 手 術<br />

診 断 では 肝 細 胞 癌 、 多 結 節 癒 合 型 、Eg,Fc(+),Fc-Inf(-),Sf(+),S0,N0,V<br />

p0, Vv0,Va0,B0,IM0,P0,SM(-)CHLF…sT2N0M0…sStageIIで あ っ た。<br />

術 後 の 経 過 良 好 で 合 併 症 なく、 第 10 病 日 に 退 院 となった。【 病 理 結 果 】<br />

病 理 組 織 学 的 検 査 では、 異 型 細 胞 の 増 殖 、 不 整 な 胞 巣 、 索 状 構 造 を 呈<br />

していた。 免 疫 染 色 では、クロモグラニンA 陽 性 、シナプトシン 陽 性 、<br />

CD56 陽 性 であった。WHO…Classification…of…tumours…of…the…Digestive…<br />

system.…4th…edition,2010に 従 いneuroendocrine…tumor(NET…G1)と 診<br />

断 された。【まとめ】 肝 原 発 の 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は 非 常 にまれで、 医 学<br />

中 央 雑 誌 で「 肝 臓 」、「 神 経 内 分 泌 腫 瘍 」をキーワードに 検 索 すると20<br />

例 程 度 であった。 画 像 所 見 のみで 確 定 診 断 をつけることは 困 難 である<br />

が、 多 血 性 で 比 較 的 大 きな 腫 瘍 が 多 いとされている。また、 病 理 所 見<br />

では 高 異 型 度 の 内 分 泌 細 胞 からなり 壊 死 巣 やロゼット 構 造 を 伴 う 大 結<br />

節 状 やシート 状 を 呈 する。 充 実 性 、 急 速 に 増 殖 し、 早 期 より 脈 管 侵 襲<br />

と 転 移 を 来 すとされる。 術 後 にPET-CTにて 全 身 検 索 を 行 ったが 肝 外<br />

病 変 はなく、 肝 原 発 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 した。<br />

P53-9 胆 石 発 作 精 査 で 偶 然 認 められた 肝 嚢 胞 腺 癌 の1 切 除 例<br />

済 生 会 八 幡 総 合 病 院 外 科<br />

○… 植 田 茂 , 野 本 健 一 , 松 股 孝<br />

【はじめに】 今 回 我 々は 胆 石 発 作 の 精 査 の 腹 部 CTで 偶 然 認 めた 肝 嚢<br />

胞 腺 癌 の 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】74 歳 男 性 。C 型 肝<br />

炎 と 指 摘 されるも 特 に 加 療 歴 のない 患 者 。 心 窩 部 痛 に 近 医 受 診 し、エ<br />

コー 検 査 にて 胆 石 を 認 めたため 当 科 を 紹 介 受 診 。 腹 部 造 影 CT 施 行 し<br />

たところ 肝 S4に 嚢 胞 様 病 変 を 認 めたが、2 年 半 前 に 施 行 されていたCT<br />

では 単 純 嚢 胞 様 だったものが 明 らかに 増 大 しかつ 不 整 形 となっていた。<br />

腹 部 症 状 は 消 失 していたが、 精 査 加 療 目 的 に 入 院 。 腹 部 エコー・<br />

MRCPにて 充 実 性 病 変 を 伴 う 嚢 胞 性 腫 瘍 であり、 肝 内 胆 管 との 交 通 が<br />

疑 われたためERCP 施 行 。 十 二 指 腸 乳 頭 口 からの 粘 液 流 出 を 認 め、 造<br />

影 にて 明 らかな 腫 瘍 と 胆 管 の 交 通 は 認 めないものの、 総 肝 管 および 右<br />

肝 管 は 腫 瘍 により 圧 排 されていた。 右 肝 管 のブラッシング 細 胞 診 を 施<br />

行 したところClasIV、 腺 癌 疑 いという 結 果 であった。その 他 各 種 検 査<br />

にて 明 らかな 遠 隔 転 移 なく、 上 下 消 化 管 にも 異 常 を 認 めなかったため、<br />

手 術 適 応 と 判 断 。 肝 中 央 二 区 域 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 の 病 理 学<br />

的 検 査 の 結 果 、 一 部 signet-ring…cell…carcinomaを 含 む 低 分 化 腺 癌 の 像<br />

を 呈 する 肝 嚢 胞 腺 癌 と 診 断 された。 切 除 断 端 は 陰 性 であった。 術 直 後<br />

より 胸 水 貯 留 あり 人 工 呼 吸 管 理 となったものの3PODには 抜 管 した。<br />

5PODより 食 事 を 再 開 し、9PODに 全 抜 糸 を 施 行 。 特 に 大 きな 問 題 な<br />

く17PODに 自 宅 退 院 となった。 術 後 3カ 月 まで 特 に 副 作 用 なくジェム<br />

ザール 投 与 …(3 週 投 与 1 休 薬 )…によるadjuvant…chemotherapyを3コース<br />

施 行 したが、 小 脳 梗 塞 で 入 院 するなど 全 身 状 態 が 万 全 ではなかったた<br />

め 終 了 。 術 後 6ヵ 月 現 在 、 再 発 を 認 めていない。【まとめ】 肝 嚢 胞 腺 癌<br />

は 確 定 診 断 が 困 難 な 疾 患 であるが、 肝 切 除 は 有 用 な 治 療 手 段 であると<br />

考 えられた。<br />

-417-


P54-1 肝 細 胞 癌 症 例 における 血 清 抗 体 の 検 出<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 久 保 田 喜 久 , 島 田 英 昭 , 大 塚 由 一 郎 , 田 村 晃 , 土 屋 勝 ,<br />

前 田 徹 也 , 片 桐 敏 雄 , 石 井 淳 , 金 子 弘 真<br />

【 背 景 と 目 的 】 癌 患 者 血 清 中 に 誘 導 される 腫 瘍 抗 原 特 異 的 IgG 抗 体 は、<br />

比 較 的 早 期 から 検 出 できるため 治 療 効 果 判 定 や 手 術 後 の 再 発 リスクを<br />

評 価 できる 腫 瘍 マーカーとして 有 用 である 可 能 性 が 高 い。すでに 血 清<br />

p53 抗 体 検 査 が、 食 道 癌 や 大 腸 癌 において 保 険 適 応 となり 実 地 臨 床 に<br />

貢 献 している。 本 研 究 では、 癌 関 連 抗 原 として 報 告 されている 各 種 の<br />

癌 抗 原 に 対 する 血 清 抗 体 検 出 ELISAシステムを 開 発 して 肝 細 胞 癌 症<br />

例 における 新 しい 腫 瘍 マーカーとしての 可 能 性 を 検 討 した。<br />

【 対 象 と 方 法 】 研 究 目 的 に 購 入 した 肝 細 胞 癌 患 者 50 症 例 の 血 清 を 対 象<br />

とした。 独 自 に 開 発 したELISAシステムにより 各 種 血 清 抗 体 の 有 無<br />

を 解 析 した。 解 析 対 象 分 子 は、HSP40,…p90,…p53,…Galectin-1,…Annexin…<br />

II,… Sui… I,… NY-ESO-1,… HCC-22-5,… Cyclin… B1,… Prx6,… HCA25a,… HSP70,…<br />

RalA,…p62,…c-myc,…KM-HN-1の16 種 類 である。 各 抗 原 分 子 のcDNAを<br />

クローニングして 精 製 した 抗 原 ペプチドを 標 的 としたELISA 系 を 確<br />

立 した。 健 常 者 74 名 の 抗 体 価 の 平 均 値 +3SDを 基 準 値 として 陽 性 率 を<br />

算 出 した。<br />

【 結 果 と 考 察 】 血 清 抗 体 の 陽 性 率 が10% 以 上 である 抗 原 は、<br />

Galectin-1,…Sui…I,…NY-ESO-1,…HCC-22-5,…Cyclin…B1,…HCA25a,…HSP70,…<br />

RalA,…p62,…KM-HN-1の10 種 類 であった。 健 常 者 における 陽 性 率 はい<br />

ずれも3% 未 満 であった。 作 成 したELISA 系 により、 患 者 血 清 中 のIgG<br />

抗 体 を 検 出 することに 成 功 した。 健 常 者 における 偽 陽 性 率 は 診 療 上 許<br />

容 できるレベルと 思 われる。 今 後 、 手 術 症 例 における 手 術 前 後 の 抗 体<br />

価 の 変 化 や 肝 硬 変 患 者 における 発 癌 前 後 の 抗 体 価 の 変 化 について 検 討<br />

してゆく 予 定 である。<br />

【 謝 辞 】 本 研 究 は、 科 学 技 術 振 興 機 構 の「 独 創 的 シーズ 展 開 事 業 」で<br />

あり、…( 株 ) 医 学 生 物 学 研 究 所 の 橋 口 理 宏 、 桑 島 明 子 、 村 上 昭 弘 、 中 村<br />

絵 里 香 、 大 塚 誠 子 との 共 同 研 究 である。<br />

P54-2 ラット 肝 虚 血 再 灌 流 障 害 モデルにおけるαリポ 酸 誘 導<br />

体 の 効 果 とそのメカニズムについて<br />

大 分 大 学 医 学 部 第 一 外 科<br />

○… 増 田 崇 , 岩 下 幸 雄 , 川 野 雄 一 郎 , 小 森 陽 子 , 平 下 禎 二 郎 ,<br />

江 口 英 利 , 矢 田 一 宏 , 太 田 正 之 , 北 野 正 剛<br />

【 目 的 】 肝 臓 外 科 手 術 において 虚 血 再 灌 流 障 害 は 憂 慮 すべき 病 態 の 一<br />

つである。 肝 に 虚 血 が 加 わると 低 酸 素 状 態 による 障 害 に 加 え、 血 流 再<br />

開 時 に、Kupffer 細 胞 が 活 性 化 し、TNFαを 含 む 様 々なサイトカイン、<br />

活 性 酸 素 種 (ROS)を 放 出 し、 好 中 球 の 類 洞 集 積 を 促 進 し、 最 終 的 に 肝<br />

実 質 細 胞 の 細 胞 死 を 引 き 起 こす。 抗 酸 化 物 質 がこの 病 態 を 改 善 するこ<br />

と が 報 告 さ れ て い る。Dihydrolipoyl…histidinate…zinc…complex…<br />

(DHLHZn)は 抗 酸 化 作 用 を 有 するαリポ 酸 を 改 良 し、 生 体 内 でより<br />

安 定 かつ 強 力 な 抗 酸 化 作 用 を 発 揮 するαリポ 酸 誘 導 体 である。 今 回 わ<br />

れわれは、ラット 肝 虚 血 再 灌 流 モデルにおいてDHLHZnの 投 与 によ<br />

り 強 力 な 肝 障 害 抑 制 効 果 を 認 めることを 見 出 し、そのメカニズムにつ<br />

いて 検 討 したので 報 告 する。【 方 法 】Wisterラットを 用 い、45 分 間 肝<br />

虚 血 後 、6 時 間 再 灌 流 しモデルを 作 成 した。DHLHZn(10mg/kg,…i.p.)<br />

投 与 群 (I/R+DHLHZn 群 )、 生 理 食 塩 水 のみ 投 与 した 群 (I/R 群 )、 肝 虚<br />

血 せず 単 開 腹 のみ 行 った 群 (sham 群 )の3 群 …(n=10)に 分 けた。 組 織 学<br />

的 検 査 、 血 清 炎 症 性 サイトカイン、 肝 酵 素 レベルならびに 肝 組 織 好 中<br />

球 浸 潤 度 (MPO)にて 肝 障 害 の 程 度 を 評 価 した。 更 にDHLHZnのメカ<br />

ニズムを 検 討 するため 肝 組 織 のBio-plexリン 酸 化 タンパク 分 析 を 行 っ<br />

た。【 結 果 】I/R+DHLHZn 群 はI/R 群 と 比 較 し、 著 明 に 組 織 学 的 肝 障<br />

害 の 軽 減 を 認 めた。また、 血 清 AST、ALT、 炎 症 性 サイトカイン(TNF<br />

α、IL6)、MPOは 有 意 に 低 値 を 認 めた。リン 酸 化 タンパク 分 析 では、<br />

I/R 群 で 有 意 にMAPK(ERK1/2、JNK、p38)およびNF-κBのリン 酸<br />

化 が 亢 進 していたのに 対 し、I/R+DHLHZn 群 ではp38…MAPKおよび<br />

NF-κBのリン 酸 化 が 有 意 に 抑 制 されていた。【 結 論 】αリポ 酸 誘 導 体<br />

DHLHZnは 肝 虚 血 再 灌 流 障 害 を 抑 制 した。p38…MAPKおよびNF-κB<br />

経 路 を 介 する 炎 症 性 サイトカイン 発 生 の 抑 制 がメカニズムの1つとし<br />

て 考 えられた。<br />

P54-3 肝 温 虚 血 再 還 流 障 害 における 脾 臓 由 来 のIL-17Aは 肝<br />

臓 への 好 中 球 遊 走 を 促 進 し、 臓 器 障 害 に 関 与 する。<br />

山 梨 大 学 第 1 外 科<br />

○… 河 野 寛 , 原 倫 , 古 屋 信 二 , 平 山 和 義 , 藤 井 秀 樹<br />

【 目 的 】サイトカインIL-17Aは、 好 中 球 の 炎 症 ならびに 組 織 障 害 部<br />

位 への 遊 走 を 制 御 している。これまでの 検 討 で、IL-17Aのノックア<br />

ウトマウス(-/-)において、I/R 亜 急 性 期 の 肝 温 虚 血 再 還 流 (I/R) 障 害<br />

が 軽 減 する 事 実 を 報 告 した。 今 回 、I/RでのIL-17A 産 生 と 臓 器 障 害 発<br />

症 における 脾 臓 の 役 割 を 検 討 した。【 方 法 】wild-typeならびにIL17-/-<br />

を 用 いて90 分 間 の 肝 部 分 (70%;medial…largest…lobe)I/Rモデルを 作<br />

成 した。 経 時 的 に 検 体 を 採 取 し、 血 清 ALT 値 、 肝 障 害 、 好 中 球 の 浸 潤 、<br />

MPO 活 性 、MIP-2 発 現 を 検 討 した。さらに、WT 群 において、 脾 摘 を<br />

行 い 門 脈 血 中 IL-17A 値 、 肝 好 中 球 数 と 肝 障 害 を 検 討 した。さらに、 肝<br />

臓 と 脾 臓 リンパ 球 の 細 胞 内 IL-17A 発 現 をフローサイトメトリー 法 に<br />

より 検 討 した。【 結 果 】WT 群 のALT 値 は、6 時 間 ( 急 性 期 )と20 時 間 ( 亜<br />

急 性 期 )で2 峰 性 のピークを 認 めたが、IL-17A-/- 群 では 急 性 期 のみに<br />

ピークを 認 めた。 急 性 期 においては 両 群 で 肝 細 胞 障 害 、ALT 値 に 差<br />

を 認 めなかった。 一 方 、 亜 急 性 期 においては、IL17A-/- 群 でWT 群 と<br />

比 較 し 肝 細 胞 障 害 とALT 値 ともに 有 意 に 減 少 していた。 肝 臓 での<br />

MIP-2 発 現 、MPO 活 性 ならびに 好 中 球 数 もIL17-/- 群 でWT 群 と 比 較 し<br />

有 意 に 減 少 していた。WTの 脾 摘 群 において、 非 脾 摘 群 と 比 較 し、 門<br />

脈 血 中 IL-17A 値 は 有 意 に 低 下 し、 肝 内 の 好 中 球 数 の 有 意 な 減 少 と、 肝<br />

障 害 の 軽 減 を 認 めた。 肝 臓 遊 走 リンパ 球 でのIL-17A 発 現 はほとんど<br />

認 めず、 脾 臓 リンパ 球 では、その 発 現 が 上 昇 していた。【 考 察 】 脾 臓<br />

由 来 のIL-17Aは、I/R 後 の 亜 急 性 期 における 肝 への 好 中 球 遊 走 に 関 与<br />

し、 肝 障 害 発 症 機 序 において 重 要 な 因 子 である 事 実 が 解 明 された。<br />

P54-4 Gd-EOBMRIの 肝 細 胞 相 で 高 信 号 を 呈 し、OATP-1B 蛋<br />

白 の 発 現 がみられた 肝 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

明 和 病 院 外 科 、 2 明 和 病 院 病 理 診 断 部<br />

○… 友 松 宗 史 1<br />

, 飯 田 洋 也 1<br />

, 前 田 晃 宏 1<br />

, 別 府 直 仁 1<br />

,<br />

吉 江 秀 範 1<br />

, 生 田 真 一 1<br />

, 岸 本 昌 浩 1<br />

, 木 村 文 彦 1<br />

, 相 原 司 1<br />

,<br />

柳 秀 憲 1<br />

, 覚 野 綾 子 2<br />

, 山 中 若 樹<br />

1<br />

【はじめに】 典 型 的 な 肝 細 胞 癌 (HCC)はGd-EOB-DTPA…enhanced…<br />

MRI(EOB-MRI)によって、 肝 細 胞 相 で 低 信 号 を 呈 するが、 一 部 の<br />

HCCでは 高 信 号 となることが 知 られている。 今 回 、EOB-MRIの 肝 細<br />

胞 相 で 高 信 号 を 呈 した 非 典 型 的 なHCCを 切 除 した 後 、 再 発 した 病 変<br />

が 肝 細 胞 相 で 低 信 号 を 呈 していた 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症<br />

例 】60 歳 代 男 性 。 高 血 圧 、 高 脂 血 症 、アルコール 性 肝 炎 、 糖 尿 病 で 近<br />

医 通 院 中 に 肝 S4に16mmの 腫 瘍 を 認 めた。ラジオ 波 焼 灼 術 (RFA)を 施<br />

行 したが、1 年 6ヶ 月 後 のCTでRFA 部 の 局 所 再 発 を 認 めたため 当 院 紹<br />

介 となった。 拡 大 肝 左 葉 切 除 術 、 尾 状 葉 切 除 術 を 施 行 した。 初 発 時 の<br />

肝 S4の4.2cm、1.7cm、1.3cmの 腫 瘍 はいずれも、 腹 部 造 影 CTで 早 期<br />

相 で 濃 染 され、 平 衡 相 で 等 吸 収 域 であった。EOB-MRIのDynamic…<br />

studyではCTと 同 様 、 早 期 相 では 濃 染 所 見 を 示 し、 平 衡 相 で 等 信 号 と<br />

なった。 肝 細 胞 相 ではいずれの 結 節 も 高 信 号 を 呈 した。 術 後 1 年 で 肝<br />

S8に 再 発 を 認 めた。 再 発 時 の 肝 S8の2.3cmの 腫 瘍 は、CTで 周 囲 が 早<br />

期 相 で 濃 染 され、 平 衡 相 で 等 吸 収 域 で、 内 部 に 造 影 効 果 のない 腫 瘍 で<br />

あった。EOB-MRIのDynamic…studyで、 周 囲 が 早 期 相 では 濃 染 所 見<br />

を 示 し、 平 衡 相 で 等 信 号 となった。 肝 細 胞 相 では 低 信 号 を 呈 しており、<br />

典 型 的 なHCCの 所 見 であった。 初 発 時 の 切 除 標 本 は、いずれの 腫 瘍<br />

も 高 分 化 型 のHCCで 血 管 腫 様 の 類 洞 拡 張 を 認 めた。 胆 汁 産 生 は 認 め<br />

なかった。また、OATP-1B 蛋 白 の 発 現 が 認 められた。 再 発 時 の 切 除<br />

標 本 は、 中 分 化 型 のHCCであった。【 考 察 】EOB-MRIの 肝 細 胞 相 で 高<br />

信 号 を 呈 する 腫 瘍 のなかには、 胆 汁 産 生 のあるHCC(Green…<br />

hepatoma)や、また 一 部 の 高 分 化 型 肝 癌 があるといわれている。 今 回 、<br />

同 一 症 例 で 性 質 の 異 なるHCCが、 異 時 性 に 出 現 した 興 味 深 い 症 例 を<br />

経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-418-


P54-5 肝 細 胞 癌 におけるEOB、ICGの 取 り 込 みメカニズム<br />

1<br />

浜 松 医 科 大 学 第 二 外 科 、 2 磐 田 市 立 総 合 病 院 外 科<br />

○… 柴 崎 泰 1<br />

, 坂 口 孝 宣 1<br />

, 平 出 貴 乗 1<br />

, 森 田 剛 文 1<br />

, 鈴 木 淳 司 1<br />

,<br />

福 本 和 彦 1<br />

, 稲 葉 圭 介 1<br />

, 鈴 木 昌 八 2<br />

, 今 野 弘 之<br />

1<br />

【 背 景 】EOB 造 影 MRIは 肝 腫 瘍 診 断 に 有 用 で、 多 くの 肝 細 胞 癌 (HCC)<br />

は 肝 細 胞 相 で 低 信 号 を 呈 するが、 時 に 高 信 号 を 呈 す。また、 多 くの<br />

HCCはICG 取 り 込 み 後 に 蓄 積 する 特 性 を 持 ち、 蛍 光 観 察 による<br />

navigation…surgeryも 行 われている。 有 機 アニオンであるEOB・ICG<br />

は 種 々のtransporterにより 肝 細 胞 に 取 り 込 み・ 排 泄 をされるが、<br />

HCCにおけるEOB 信 号 強 度 とICG 蛍 光 パターンとの 関 係 に 基 づいた 解<br />

析 はされていない。【 目 的 】HCCにおけるEOB・ICGの 取 り 込 み 排 泄<br />

メカニズムの 検 証 【 対 象 】 現 在 までにEOB 造 影 MRIとICG 蛍 光 観 察 双<br />

方 が 施 行 されたHCC 切 除 27 例 。 平 均 年 齢 71.1 歳 、 男 女 比 18 対 9【 方 法 】<br />

EOB-MRI 肝 細 胞 相 (E 肝 相 ) 画 像 および 術 後 検 体 割 面 ICG 画 像 観 察 像 と<br />

取 り 込 みtransporter(OATP1B3,…NTCP)、 排 泄 transporter(MRP2,…<br />

MDR1,…MRP3)の 免 疫 組 織 学 的 所 見 との 関 連 を 検 討 した。【 結 果 】E 肝<br />

相 で 周 囲 肝 組 織 と 比 し 等 信 号 以 上 をEH 群 、 低 信 号 をEL 群 、ICG 観 察<br />

上 腫 瘍 割 面 の 蛍 光 発 色 領 域 が50% 以 上 をIH 群 、それ 以 下 のものをIL<br />

群 とした 所 、4 群 間 に 有 意 な 相 関 関 係 を 認 めた( 表 1)。 背 景 因 子 に 有 意<br />

差 なし。OATP1B3 発 現 に 有 意 差 を 認 めた( 図 1)がNTCPでは 有 意 差 な<br />

し。MRP2はEOBに 関 して 有 意 差 認 めた( 図 2)がMDR1、MRP3は 有 意<br />

差 なし。また 蛍 光 免 疫 染 色 でICGの 局 在 に 一 致 したMRP2の 発 現 が 確<br />

認 された( 図 3)。【 結 語 】HCCでは 取 り 込 みにOATP1B3、 排 泄 には<br />

MRP2がEOB,…ICG 共 通 して 関 与 する。<br />

P54-6 ヒト 膵 癌 におけるPCA-1/ALKBH3 発 現 の 意 義 と 新 規<br />

治 療 への 展 望<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 山 戸 一 郎 , 庄 雅 之 , 野 見 武 男 , 赤 堀 宇 広 , 北 東 大 督 ,<br />

童 仁 , 川 口 千 尋 , 安 田 里 司 , 木 下 正 一 , 金 廣 裕 道 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【 目 的 】PCA-1(Prostate…Cancer…Antigen-1/ALKBH3)は 前 立 腺 癌 よ<br />

り 同 定 された 遺 伝 子 であり, 前 立 腺 癌 組 織 に 特 異 的 に 高 発 現 し, 分 化<br />

度 , 浸 潤 等 に 関 与 すると 報 告 されている. 今 回 ,ヒト 膵 癌 における<br />

PCA-1の 役 割 と 新 規 治 療 の 可 能 性 について 検 討 した.【 方 法 ・ 結 果 】<br />

膵 癌 切 除 症 例 116 例 を 対 象 とし,PCA-1 発 現 を 免 疫 組 織 染 色 により 検<br />

討 した. 膵 癌 組 織 において,PCA-1は 全 例 で 発 現 を 認 めた. 腫 瘍 細 胞<br />

における 陽 性 率 で 高 発 現 群 (57 例 )と 低 発 現 群 (59 例 )に 分 類 すると,T<br />

因 子 (T4 高 発 現 群 :29.8%, 低 発 現 群 :10.2%,P=0.0079), 進 行 度 (UICC…<br />

stage…I,II,III,IV; 高 発 現 群 :12,…51,…25,…13%, 低 発 現 群 :24,…64,…9,…3%,<br />

P=0.0017)および 予 後 (P=0.036)との 間 に 有 意 な 相 関 を 認 めた.すなわ<br />

ち 局 所 浸 潤 例 ,stage 進 行 例 において 有 意 にPCA-1 発 現 率 が 高 く,<br />

PCA-1は 膵 癌 の 増 殖 , 予 後 において 重 要 な 役 割 をもつ 可 能 性 が 示 唆 さ<br />

れた.また,ヒト 膵 癌 株 PANC-1およびMIAPaCa-2においてPCA-1を<br />

knock…downした 結 果 , 有 意 な 細 胞 増 殖 抑 制 と 膵 癌 細 胞 のapoptosis 誘<br />

導 が 得 られ, 更 にmRNAおよびタンパクレベルでの 腫 瘍 由 来 VEGFの<br />

低 下 を 確 認 できた. 次 にSCIDマウスにPANC-1 皮 下 腫 瘍 モデルを 作 製<br />

しPCA-1…siRNAによる 治 療 効 果 について 検 討 した 結 果 , 有 意 な 抗 腫<br />

瘍 効 果 を 得 ることができた.また, 治 療 群 におけるTUNEL 染 色 の 増 強 ,<br />

Ki67およびVEGF 発 現 の 低 下 を 認 め,in…vivoにおいてもPCA-1…knock…<br />

downによるapoptosis 誘 導 , 細 胞 増 殖 の 抑 制 ,VEGFの 抑 制 効 果 を 得<br />

ることができた.【 結 語 】 今 回 初 めて, 膵 癌 におけるPCA-1 発 現 の 臨<br />

床 的 意 義 とともに,PCA-1 阻 害 による 治 療 効 果 を 確 認 した.PCA-1を<br />

標 的 とした 新 規 膵 癌 治 療 の 可 能 性 が 示 唆 された.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P54-7 ヒト 膵 癌 におけるSTAT5の 発 現 、 活 性 化 の 意 義<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科<br />

○… 松 下 晃 1<br />

, 山 初 和 也 1<br />

, 川 本 聖 郎 1<br />

, 清 水 哲 也 1<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

,<br />

吉 岡 正 人 1<br />

, 中 村 慶 春 1<br />

, 相 本 隆 幸 1<br />

, 平 方 敦 史 2<br />

, 横 山 正 2<br />

,<br />

吉 田 寛 2 1<br />

, 内 田 英 二<br />

膵 癌 の 予 後 は 不 良 であり、その 治 療 は 非 常 に 困 難 である。signal…<br />

transducers…and…activators…of…transcription…(STAT)…は7 種 類 のファ<br />

ミリーを 持 つサイトカイン、および 増 殖 因 子 受 容 体 により 活 性 化 され<br />

る 細 胞 内 蛋 白 である。そのなかでSTAT3は 膵 癌 において 発 現 、 活 性<br />

化 が 確 認 され、その 増 殖 、 浸 潤 との 関 連 が 報 告 されている。 一 方 、<br />

STAT5は 白 血 病 、 乳 癌 、 前 立 腺 癌 、 頭 頚 部 癌 、 肝 細 胞 癌 で 恒 常 的 に<br />

活 性 化 しており 癌 細 胞 の 増 殖 、アポトーシス、 浸 潤 、epithelialmesenchymal…transition…(EMT)…への<br />

関 与 が 示 唆 されている。しかし<br />

膵 癌 においてはSTAT5の 発 現 、 活 性 化 、その 役 割 は 明 らかではない。<br />

そこで 我 々はヒト 膵 癌 におけるSTAT5A、5Bの 発 現 、 活 性 化 につい<br />

て 検 討 を 行 った。RT-PCR 法 にてヒト 膵 癌 細 胞 株 AsPC-1、Capan-1、<br />

PANC-1、MIA-PaKa-2のSTAT5A、5BのmRNA 発 現 を 検 討 したとこ<br />

ろ 全 て の 細 胞 株 にSTAT5A、5B…mRNA 発 現 が 認 められた。また<br />

Western…Blot 法 による 検 討 では 全 ての 細 胞 株 でSTAT5A、5B 蛋 白 の<br />

発 現 が 認 められた。さらに 両 蛋 白 の 活 性 化 についてconfocal…<br />

microscopyにより 検 討 したところ、PANC-1にてSTAT5A、STAT5B<br />

蛋 白 の 活 性 化 を 示 す 癌 細 胞 核 内 での 発 現 が 確 認 された。ヒト 膵 癌 組 織<br />

28 例 のパラフィン 切 片 を 用 いた 免 疫 組 織 学 的 検 討 ではSTAT5Aの 活<br />

性 化 を 示 す 膵 癌 細 胞 の 核 内 での 発 現 は39%で 認 められた(11/28)…のに<br />

対 して、STAT5Bでは71%(20/28)であった。 臨 床 病 理 学 的 検 討 では<br />

STAT5Bの 核 内 発 現 とdpm 陽 性 率 との 関 連 が 認 められた。 以 上 のこ<br />

とより 膵 癌 においてSTAT5A、5B…mRNA、 蛋 白 の 発 現 、 活 性 化 が 確<br />

認 された。またヒト 膵 癌 組 織 においてはSTAT5Bの 活 性 化 が 認 められ、<br />

その 浸 潤 との 関 連 が 示 唆 された。<br />

P54-8 膵 癌 に 対 する 分 子 標 的 治 療 の 現 状<br />

群 馬 大 学 大 学 院 病 態 総 合 外 科 学<br />

○… 久 保 憲 生 , 鈴 木 秀 樹 , 渡 辺 亮 , 新 木 健 一 郎 , 佐 々 木 滋 ,<br />

桑 野 博 行<br />

【 背 景 】2001 年 より 膵 癌 に 対 してゲムシタビンの 投 与 が 適 応 となり、<br />

非 切 除 膵 癌 患 者 の 生 存 中 央 値 は7.8カ 月 ( 膵 癌 登 録 報 告 2007)と、 適 応<br />

前 の3.5カ 月 (1990 年 )よりも 改 善 を 認 めており、 膵 癌 に 対 する 標 準 化<br />

学 療 法 としてゲムシタビンの 投 与 が 行 われてきた。2011 年 7 月 に 分 子<br />

標 的 薬 のエルロチニブが、 治 癒 切 除 不 能 な 膵 癌 に 対 してゲムシタビン<br />

と 併 用 での 投 与 が 認 可 され、 今 後 の 生 存 期 間 延 長 への 寄 与 が 期 待 され<br />

る。【 対 象 】 膵 癌 に 対 するエルロチニブの 投 与 が 認 可 されてから 現 在<br />

までに、 切 除 不 能 膵 癌 3 症 例 にエルロチニブの 投 与 を 開 始 した。 治 療<br />

適 応 は、 肺 疾 患 の 既 往 のない 全 身 状 態 良 好 (PS0-1)な 切 除 不 能 膵 癌 患<br />

者 とし、 年 齢 ・ 性 別 ・ 喫 煙 歴 は 問 わずに 治 療 の 適 応 とした。【 結 果 】<br />

投 与 開 始 後 早 期 に、 肺 転 移 の 軽 度 縮 小 と 空 洞 を 伴 う 変 化 を1 例 に 認 めた。<br />

他 症 例 に 関 しては 治 療 期 間 が 短 く、 腫 瘍 病 勢 の 評 価 は 行 えていない。<br />

ゲムシタビンとエルロチニブの 併 用 投 与 により、 間 質 性 肺 炎 のriskは<br />

8.5%と 比 較 的 高 値 となっているが、 現 在 までに 間 質 性 肺 炎 を 発 症 し<br />

た 症 例 は 認 めない。1 例 において 顔 面 や 胸 背 部 の 挫 創 様 皮 疹 は 認 めて<br />

いるが、ステロイド 剤 の 外 用 にて 認 容 できる 程 度 となり、エルロチニ<br />

ブの 投 与 が 継 続 できている。 胃 空 腸 バイパス 術 後 の 患 者 で、 重 度 の 下<br />

痢 にてエルロチニブの 投 与 継 続 が 困 難 となった 症 例 があるが、 投 与 中<br />

止 により 症 状 の 改 善 を 得 ている。 皮 膚 及 び 消 化 器 症 状 以 外 では、 治 療<br />

継 続 困 難 となる 副 作 用 は 認 めていない。【 結 語 】エルロチニブの 適 応<br />

拡 大 に 伴 い、 膵 癌 患 者 の 予 後 改 善 が 期 待 される。エルロチニブの 投 与<br />

開 始 後 の 経 過 、 副 作 用 について、 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-419-


P54-9 膵 癌 の”invasionprocess”に 関 与 する 遺 伝 子 の 同 定<br />

-MUC16とmesothelin<br />

和 歌 山 医 大 第 二 外 科<br />

○… 清 水 敦 史 , 廣 野 誠 子 , 谷 眞 至 , 川 井 学 , 岡 田 健 一 ,<br />

宮 澤 基 樹 , 北 畑 裕 司 , 山 上 裕 機<br />

【 背 景 と 目 的 】 膵 癌 の 浸 潤 過 程 に 関 与 する 遺 伝 子 の 研 究 は 多 くされて<br />

いるが, 臨 床 応 用 につながる 遺 伝 子 群 はほとんどない. 今 回 われわれ<br />

は 網 羅 的 遺 伝 子 発 現 解 析 を 用 いて 膵 癌 における 浸 潤 過 程 に 関 与 する 遺<br />

伝 子 群 の 同 定 を 試 みた.さらに 同 定 された 遺 伝 子 よりMUC16と<br />

mesothelinに 着 目 し, 膵 癌 における 発 現 , 相 互 作 用 , 浸 潤 解 析 を 行 っ<br />

た.【 対 象 と 方 法 】 浸 潤 癌 とPancreatic…intreaneoplastic…neoplasia<br />

(PanIN)-3を 同 時 に 認 める 凍 結 切 片 5サンプルから,マイクロダイセ<br />

クションにより 別 個 に 細 胞 を 回 収 しそれぞれのRNAを 抽 出 し,<br />

GeneChip…Human…U133…plus…2.0…array(Affymetrix 社 )を 用 い 網 羅 的<br />

遺 伝 子 発 現 解 析 を 行 った. 同 定 された 遺 伝 子 よりMUC16と<br />

mesothelinについて 膵 癌 切 除 症 例 103 例 を 対 象 に 免 疫 組 織 染 色 解 析 を<br />

行 った.また, 膵 癌 細 胞 株 PK9を 用 いてMUC16 抑 制 株 を 作 成 し,<br />

invasion…assayを 行 い, 浸 潤 能 を 検 討 した。【 結 果 】 同 一 個 体 の 浸 潤 癌<br />

とPanIN-3のマイクロアレイデータを 比 較 し,5pairすべてにおいて,<br />

浸 潤 癌 でup-regulateした 遺 伝 子 18 個 を 同 定 した(fold…change…1.5 以 上 ,<br />

平 均 強 度 差 …100 以 上 ,P


P55-4 肝 門 部 胆 管 癌 に 対 するグリソン 鞘 アプローチを 用 いた<br />

門 脈 ・ 肝 動 脈 合 併 切 除 を 伴 う 肝 切 除 術<br />

1<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 肝 脾 外 科 、 2 藤 田 保 健 衛 生 大 学 胆 膵 外 科<br />

○… 加 藤 悠 太 郎 1<br />

, 所 隆 昌 1<br />

, 棚 橋 義 直 1<br />

, 吉 田 淳 一 1<br />

,<br />

古 田 晋 平 1<br />

, 香 川 幹 1<br />

, 竹 浦 千 夏 1<br />

, 杉 岡 篤 1<br />

, 伊 東 昌 広 2<br />

,<br />

浅 野 之 夫 2<br />

, 堀 口 明 彦 2 2<br />

, 宮 川 秀 一<br />

【 緒 言 】 肝 門 部 胆 管 癌 はplate…systemを 含 むグリソン 鞘 の 癌 であり,<br />

切 除 の 安 全 性 と 根 治 性 を 高 めるためには,グリソン 鞘 アプローチによ<br />

り,plate…systemのen…bloc 切 除 と 癌 占 拠 部 位 の 遠 隔 から 近 傍 に 向 かう<br />

合 理 的 な 郭 清 操 作 が 有 用 である. 当 科 では、 門 脈 ・ 肝 動 脈 合 併 切 除 を<br />

伴 う 切 除 では 癌 と 浸 潤 脈 管 をen…blocに 切 除 するため、 膵 側 郭 清 操 作<br />

は 癌 占 拠 部 位 より 可 及 的 中 枢 で 中 断 し、 肝 側 郭 清 操 作 として、 全 ての<br />

操 作 に 先 行 して 癌 浸 潤 のない 末 梢 グリソンを 確 保 し、その 中 で 門 脈 、<br />

肝 動 脈 、 胆 管 および 周 囲 結 合 織 を 分 離 ・ 確 保 した 後 に 肝 切 離 を 行 って<br />

いる。【 術 式 】 肝 ( 拡 大 ) 右 葉 + 尾 状 葉 全 切 除 術 。 肝 十 二 指 腸 間 膜 の 郭<br />

清 は 動 門 脈 左 右 分 岐 部 を 露 出 せず 本 幹 レベルまでとする。 肝 側 の 郭 清<br />

は、アランチウス 板 の 確 保 の 後 、 癌 浸 潤 のないUPのグリソン 起 始 部<br />

右 縁 からアランチウス 板 尾 側 端 の 腹 側 で 左 枝 グリソンを 確 保 する.こ<br />

のグリソン 内 で 動 門 脈 を 確 保 し、 引 き 算 方 式 に 胆 管 および 周 囲 結 合 織<br />

を 確 保 する。アランチウス 板 頭 側 端 で 左 中 肝 静 脈 共 通 幹 を 確 保 し、 左<br />

枝 グリソンに 向 かって 頭 側 より 肝 切 離 を 進 め,アランチウス 板 腹 側 に<br />

達 する.アランチウス 板 を 頭 側 端 で 切 断 して 左 尾 状 葉 とアランチウス<br />

板 を 肝 切 離 面 へ 引 き 出 して 肝 切 離 終 了 後 、 予 め 確 保 した 胆 管 と 結 合 織 、<br />

末 梢 および 中 枢 の 門 脈 、 肝 動 脈 を 切 離 してen…bloc 切 除 が 完 了 し、 血<br />

管 再 建 に 移 る。 肝 左 三 区 域 + 尾 状 葉 全 切 除 。Calotの 三 角 を 破 壊 する<br />

ことなく, 癌 浸 潤 のない 部 位 で 後 区 域 グリソンを 確 保 し、 同 グリソン<br />

内 で 門 脈 、 肝 動 脈 およびそれ 以 外 の 胆 管 を 含 む 結 合 織 を 可 及 的 末 梢 部<br />

で 確 保 する.この 後 は 肝 門 部 に 一 切 触 れずに、 左 尾 状 葉 の 脱 転 、 左 中<br />

肝 静 脈 共 通 幹 確 保 の 後 に、 後 区 域 グリソン 切 離 予 定 部 位 に 向 かって 肝<br />

切 離 を 右 肝 静 脈 根 部 よりこれに 沿 って 頭 側 から 行 う。 肝 切 離 終 了 後 、<br />

左 中 肝 静 脈 共 通 幹 、 後 区 域 胆 管 ・ 周 囲 結 合 織 、 末 梢 と 中 枢 で 確 保 され<br />

た 門 脈 ・ 肝 動 脈 の 順 に 切 離 して 血 管 を 含 めたen…bloc 切 除 が 終 了 し、<br />

血 管 再 建 に 移 る。【 結 語 】グリソン 鞘 アプローチを 利 用 することで 動<br />

門 脈 合 併 切 除 を 伴 う 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 がより 安 全 かつ 根 治 的 となると<br />

考 えられる。<br />

P55-5 当 科 における 門 脈 塞 栓 術 症 例 の 検 討<br />

山 口 大 学<br />

○… 前 田 祥 成 , 爲 佐 卓 夫 , 坂 本 和 彦 , 橋 本 憲 輝 , 徳 光 幸 生 ,<br />

新 藤 芳 太 郎 , 飯 田 通 久 , 鈴 木 伸 明 , 上 野 富 雄 ,<br />

岡 正 朗<br />

【 緒 言 】 大 量 肝 切 除 において 耐 術 不 能 または 境 界 症 例 と 判 断 した 症 例<br />

に 対 し、 門 脈 塞 栓 術 (PVE)を 施 行 している。また、PVE 後 に 画 像 に<br />

よる 残 肝 容 積 による 評 価 だけでなく、アシアロシンチを 用 いた 残 肝 機<br />

能 による 評 価 も 施 行 している。 今 回 PVE 症 例 をretrospectiveに 検 討 し<br />

た。【 対 象 ・ 方 法 】2006 年 ~2011 年 のPVE28 例 を 対 象 とした。 肝 切 除<br />

の 適 応 はICG15 分 値 15% 以 下 、 残 肝 容 積 または 残 肝 機 能 40% 以 上 とし、<br />

それを 逸 脱 もしくは 境 界 症 例 にPVEを 施 行 した。 値 は 平 均 値 ( 最 小 - 最<br />

大 )を 使 用 した。【 結 果 】 予 定 した 術 式 は 右 葉 切 除 ( 拡 大 含 む)21 例 、 右<br />

3 区 域 切 除 3 例 、その 他 4 例 であった。 男 女 比 は19:9、 平 均 年 齢 は65.4<br />

歳 であった。ICG15 分 値 の 平 均 は 塞 栓 前 12.5%、 後 13.5%、アシアロシ<br />

ンチによるICG 換 算 値 は 塞 栓 前 14.0%、 後 14.8%で、 実 測 ICGとアシア<br />

ロ 換 算 ICGに 差 はなく、 塞 栓 前 後 での 肝 機 能 に 差 は 認 めなかった。<br />

CTによる 残 肝 ボリューム 評 価 は 塞 栓 前 37.8%、 後 48.1%で10.3% 増 大 …<br />

(p=0.01)、アシアロシンチによる 残 肝 機 能 は 塞 栓 前 37.8%、 後 54.0%で<br />

16.2% 増 大 …(p5.0U/ml(p=0.011)、 術<br />

後 CA19-9>37U/ml(p=0.022)。 多 変 量 解 析 : 男 性 (p=0.037,…HR=3.3…<br />

95%CI…1.1-17.4)、 分 化 度 mod/por(p=0.024,…HR=2.4…95%CI…1.1-5.4)、<br />

R1(p=0.047,…HR=2.7…95%CI…1.0-6.7)、 術 後 CA19-9>37U/ml(p=0.039,…<br />

HR…3.5…95%CI…1.1-10.0)。<br />

【 結 語 】RFS 独 立 危 険 因 子 として 分 化 度 mod/por、OS 独 立 危 険 因 子<br />

として 男 性 ・ 分 化 度 mod/por・R1・ 術 後 CA19-9>37U/mlが 抽 出 された。<br />

既 存 の 報 告 と 比 べてN,…Pancが 予 後 因 子 とならなかった。<br />

-421-


P55-8 肝 外 胆 管 癌 におけるリンパ 節 転 移 分 類 法 の 検 討<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 坂 田 純 , 若 井 俊 文 , 白 井 良 夫 , 大 橋 拓<br />

【 目 的 】リンパ 節 転 移 は, 肝 外 胆 管 癌 における 重 要 な 予 後 規 定 因 子 の<br />

一 つである. 肝 外 胆 管 癌 において,リンパ 節 転 移 部 位 ( 以 下 , 転 移 部 位 ),<br />

リンパ 節 転 移 個 数 ( 以 下 , 転 移 個 数 ),lymph…node…ratio( 転 移 個 数 /<br />

検 索 個 数 )の 何 れが 予 後 指 標 として 有 用 であるかを 検 討 する.【 方 法 】<br />

根 治 切 除 後 の 病 理 検 索 で 胆 管 断 端 浸 潤 癌 陰 性 であった 肝 外 胆 管 癌 109<br />

症 例 を 対 象 とした. 術 式 の 内 訳 は, 肝 切 除 ( 肝 葉 以 上 )+ 肝 外 胆 管 切 除<br />

47 例 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ( 幽 門 輪 温 存 を 含 む)38 例 , 肝 外 胆 管 切 除 15 例 ,<br />

肝 切 除 + 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 9 例 であった.リンパ 節 郭 清 の 範 囲 はD2を<br />

基 本 とした. 転 移 部 位 は 胆 道 癌 取 扱 い 規 約 第 5 版 に 従 って 分 類 した.<br />

転 移 個 数 ,lymph…node…ratioに 関 しては,Cox 比 例 ハザードモデルを<br />

用 いてcutoff 値 を 決 定 した. 転 移 部 位 別 , 転 移 個 数 別 ,lymph…node…<br />

ratio 別 に 術 後 遠 隔 成 績 を 比 較 し た. 単 変 量 (Kaplan-Meier 法 ,log…<br />

rank 法 ), 多 変 量 (Cox 比 例 ハザードモデル) 解 析 を 行 った. 観 察 期 間<br />

の 中 央 値 は88か 月 であった.【 成 績 】リンパ 節 検 索 個 数 は, 総 数 が<br />

2860 個 , 患 者 一 人 当 たりの 中 央 値 が24 個 であった.リンパ 節 転 移 陰 性<br />

は68 例 , 転 移 陽 性 は41 例 であり, 両 群 の 予 後 に 差 を 認 めた(P


P56-4 肝 門 部 胆 管 癌 における 南 回 りB3の1 例<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 細 川 勇 , 清 水 宏 明 , 木 村 文 夫 , 吉 留 博 之 , 大 塚 将 之 ,<br />

加 藤 厚 , 吉 富 秀 幸 , 古 川 勝 規 , 竹 内 男 , 高 屋 敷 吏 ,<br />

久 保 木 知 , 鈴 木 大 亮 , 宮 崎 勝<br />

肝 門 部 胆 管 癌 において 安 全 で 根 治 的 な 手 術 を 施 行 するうえで 術 前 に 門<br />

脈 に 対 する 胆 管 の 立 体 的 位 置 関 係 を 把 握 しておくことが 非 常 に 重 要 で<br />

ある. 今 回 われわれは, 比 較 的 まれな 胆 管 の 変 異 である 門 脈 臍 部 の 尾<br />

側 をB3が 走 行 する 南 回 りB3の1 例 を 経 験 したので 報 告 する. 症 例 は71<br />

歳 , 男 性 . 右 季 肋 部 痛 を 主 訴 に 前 医 を 受 診 し,CT,MRCP 等 より 胆 管<br />

癌 が 疑 われ 当 院 紹 介 となった. 精 査 にて 上 部 胆 管 から 肝 門 部 胆 管 にか<br />

けて 右 側 優 位 に 進 展 する 乳 頭 状 の 腫 瘍 を 認 め,Bismuth…3a 型 の 肝 門<br />

部 胆 管 癌 の 診 断 となり, 門 脈 塞 栓 後 に 肝 右 葉 切 除 , 尾 状 葉 切 除 , 胆 管<br />

切 除 術 を 施 行 した.MDCTで 南 回 りB3の 診 断 であり, 術 前 の 癌 の 進<br />

展 度 診 断 から, 肝 臓 側 胆 管 はB3 分 岐 部 の 左 肝 管 で 切 離 した. 南 回 り<br />

B3はおよそ3.3-6%に 認 められる 比 較 的 まれな 胆 管 の 変 異 で,B3すべ<br />

てが 南 回 りの 症 例 と,B3bのみが 南 回 りの 症 例 が 存 在 し, 南 回 りB3は<br />

門 脈 臍 部 前 面 の 肝 実 質 (いわゆるブリッジ) 内 もしくはその 尾 側 を 走 行<br />

するとされている.また,さらにまれな 変 異 としてB2+3が 南 回 りの<br />

症 例 やB2が 南 回 りの 症 例 が 報 告 されている. 肝 門 部 胆 管 癌 における<br />

右 側 肝 切 除 においては 南 回 りB3を 術 前 に 診 断 しえない 場 合 , 術 後 に<br />

重 篤 な 合 併 症 を 引 き 起 こす 可 能 性 があるため 十 分 な 注 意 が 必 要 である.<br />

肝 門 部 胆 管 癌 において, 南 回 りB3のようなまれな 胆 管 の 変 異 が 存 在<br />

することを 認 識 し,MDCTで 術 前 に 門 脈 に 対 する 胆 管 の 立 体 的 位 置<br />

関 係 を 把 握 することが 安 全 で 根 治 的 な 手 術 を 施 行 するうえで 非 常 に 重<br />

要 である.<br />

P56-5 正 中 弓 状 靱 帯 による 腹 腔 動 脈 圧 迫 症 候 群 を 伴 った 下 部<br />

胆 管 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

1<br />

大 分 大 学 消 化 器 外 科 、 2 大 分 大 学<br />

○… 矢 田 一 宏 1<br />

, 小 森 陽 子 1<br />

, 川 野 雄 一 郎 1<br />

, 増 田 崇 1<br />

,<br />

江 口 英 利 1<br />

, 岩 下 幸 雄 1<br />

, 太 田 正 之 1 2<br />

, 北 野 正 剛<br />

【はじめに】 腹 腔 動 脈 圧 迫 症 候 群 (Celiac…artery…compression…<br />

syndrome:CACS)は 広 義 に 腹 腔 動 脈 起 始 部 の 狭 窄 を 来 した 状 態 を 示<br />

すが, 正 中 弓 状 靱 帯 の 肥 厚 がその 原 因 の6 割 を 占 める. 肝 血 流 は 膵 アー<br />

ケード・ 胃 十 二 指 腸 動 脈 ・ 固 有 肝 動 脈 を 介 して 維 持 されるが, 本 症 候<br />

群 を 伴 った 症 例 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 する 場 合 は 胃 十 二 指 腸 動<br />

脈 切 離 による 肝 血 流 途 絶 が 問 題 となる. 我 々はCACSを 伴 った 下 部 胆<br />

管 癌 に 対 して 安 全 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 し 得 た 症 例 を 経 験 した<br />

ので 供 覧 する.【 症 例 】60 代 女 性 , 主 訴 は 肝 機 能 異 常 .CT・ERCPに<br />

て 下 部 胆 管 に 閉 塞 像 を 認 めた.またCTで 腹 腔 動 脈 起 始 部 が 狭 小 化 し<br />

ており, 正 中 弓 状 靱 帯 の 肥 厚 が 原 因 と 考 えられた. 膵 前 ・ 後 面 アーケー<br />

ドは 拡 張 しており 上 腸 間 膜 動 脈 経 由 の 血 行 発 達 が 認 められた. 遠 隔 転<br />

移 所 見 なく 根 治 手 術 可 能 と 考 え, 以 下 3 点 に 留 意 し 手 術 に 臨 んだ.1)<br />

正 中 弓 状 靱 帯 の 切 離 ,2)… 胃 十 二 指 腸 動 脈 ・ 総 肝 動 脈 ・ 固 有 肝 動 脈 の<br />

血 流 量 測 定 ,3)… 靱 帯 切 離 後 の 肝 血 流 不 良 の 場 合 の 血 行 再 建 .【 手 術 】<br />

Kocher 授 動 , 肝 十 二 指 腸 間 膜 展 開 ののち 各 血 管 をtaping, 腹 腔 動 脈<br />

起 始 部 まで 同 定 した. 腹 腔 動 脈 起 始 部 は 肥 厚 した 正 中 弓 状 靱 帯 に 覆 わ<br />

れており,これを 切 離 したところ 径 2mm 程 度 の 細 い 腹 腔 動 脈 を 露 出<br />

できた. 正 中 弓 状 靱 帯 の 切 離 直 後 の 超 音 波 血 流 計 による 血 流 量 測 定 で,<br />

切 離 前 に 微 量 であった 固 有 肝 動 脈 血 流 量 の 改 善 を 認 めたため, 予 定 通<br />

り( 亜 全 胃 温 存 ) 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した.ただし 再 建 直 前 に 血<br />

流 量 を 確 認 したところ, 固 有 肝 動 脈 の 再 度 の 流 量 低 下 を 認 めたため 血<br />

行 再 建 が 必 要 と 判 断 , 拡 張 蛇 行 していた 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 断 端 と, 胃<br />

十 二 指 腸 動 脈 断 端 を 端 々 吻 合 した. 吻 合 後 の 血 流 量 測 定 では 固 有 肝 動<br />

脈 の 十 分 な 血 流 を 確 認 できたため,Child 変 法 による 再 建 を 施 行 した.<br />

病 理 組 織 結 果 は 低 分 化 腺 癌 ,T2(SS)N0M(-),StageIIであった. 術 後 ,<br />

血 行 不 全 による 肝 不 全 の 兆 候 はなく,GradeB 膵 液 瘻 を 認 めたものの<br />

保 存 的 に 加 療 し 軽 快 した.【 考 察 と 結 論 】CACSを 伴 った 症 例 に 対 し<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 する 場 合 には, 正 中 弓 状 靱 帯 切 離 のみで 肝<br />

血 流 が 保 てない 場 合 まで 考 慮 し, 血 行 再 建 についても 十 分 な 準 備 が 必<br />

要 と 考 えられた.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P56-6 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 起 源 の 総 肝 動 脈 が 膵 頭 部 を 貫 通 してい<br />

た 中 下 部 胆 管 癌 に 対 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1<br />

例<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 酒 井 久 宗 , 緒 方 俊 郎 , 川 原 隆 一 , 石 川 博 人 , 久 下 亨 ,<br />

安 永 昌 史 , 堀 内 彦 之 , 奥 田 康 司 , 木 下 壽 文 ,<br />

白 水 和 雄<br />

症 例 は70 歳 の 男 性 で、 肝 胆 道 酵 素 異 常 を 契 機 に 中 下 部 胆 管 腫 瘍 と 診 断<br />

され 手 術 目 的 に 入 院 。 術 前 画 像 診 断 では、 中 下 部 胆 管 に30mm 大 の 腫<br />

瘤 性 病 変 を 認 めた。Dynamic…CTにて 総 肝 動 脈 が 上 腸 間 膜 動 脈 より 分<br />

岐 するhepatomesenteric…typeの 肝 動 脈 分 岐 変 異 があり、さらに 総 肝<br />

動 脈 が 上 腸 間 膜 静 脈 の 背 側 から 膵 鈎 部 にいたり、 膵 頭 部 実 質 内 を 貫 通<br />

する 走 行 異 常 がみられた。 手 術 では 膵 実 質 を 剥 離 、 総 肝 動 脈 を 温 存 し、<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 施 行 した。 腹 腔 動 脈 …(CA)…と 上 腸 間 膜 動 脈 …(SMA)…<br />

の 分 岐 形 態 のなかで、CHAがSMAから 分 岐 する、いわゆる 肝 腸 間 膜<br />

動 脈 幹 …(Hepatomesenteric…trunk)… の 頻 度 は0.4%… から3%と 報 告 され、<br />

その 頻 度 は 少 ない。さらに 本 症 例 のように、SMAから 分 岐 したCHA<br />

が 膵 頭 部 実 質 内 を 貫 通 する 症 例 は 稀 である。 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 から 分 岐<br />

する 総 肝 動 脈 は、 膵 実 質 を 貫 通 する 走 行 異 常 を 伴 う 場 合 があり、 膵 頭<br />

部 領 域 の 手 術 においては、 術 前 にその 解 剖 学 的 分 岐 ・ 走 行 変 異 を 十 分<br />

に 把 握 しておくことが 重 要 である。…<br />

P56-7 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 由 来 の 総 肝 動 脈 が 膵 内 を 走 行 していた<br />

胆 管 腺 内 分 泌 細 胞 癌 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した1<br />

例<br />

1<br />

前 橋 赤 十 字 病 院 消 化 器 病 センター、 2 群 馬 大 学 医 学 部 臓 器 病 態<br />

外 科 学<br />

○… 荒 川 和 久 1<br />

, 小 川 哲 史 1<br />

, 安 東 立 正 1<br />

, 富 澤 直 樹 1<br />

,<br />

小 林 克 己 1<br />

, 須 藤 雄 仁 1<br />

, 長 谷 川 智 行 1<br />

, 浜 野 郁 美 1<br />

,<br />

五 十 嵐 隆 通 1<br />

, 中 澤 拓 郎 1 1<br />

, 竹 吉 泉<br />

症 例 は85 歳 、 男 性 。 閉 塞 性 黄 疸 を 契 機 に 下 部 胆 管 癌 と 診 断 され、 手 術<br />

目 的 に 当 院 に 紹 介 となった。ERC 検 査 では 乳 頭 部 近 くの 下 部 胆 管 に<br />

径 10mmの 腫 瘤 を 認 め、その 部 分 で 胆 管 は 閉 塞 していた。 腹 部 CT 検<br />

査 では 下 部 胆 管 に 造 影 効 果 を 伴 う 径 10mmの 腫 瘤 を 認 めた。また、 総<br />

肝 動 脈 が 上 腸 間 膜 動 脈 から 分 岐 する 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 の 変 異 があり、 総<br />

肝 動 脈 は 膵 頭 部 実 質 内 を 走 行 していた。 腫 瘍 と 総 肝 動 脈 とは 離 れてい<br />

て、 動 脈 浸 潤 を 疑 う 所 見 はなかった。 総 肝 動 脈 を 温 存 しても 根 治 性 は<br />

保 たれると 判 断 し、 膵 実 質 から 動 脈 を 剥 離 、 温 存 しながら 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 には 胆 管 原 発 の 腺 内 分 泌 細 胞 癌 で<br />

あった。 動 脈 剥 離 面 への 腫 瘍 の 浸 潤 ・ 露 出 はなかった。 肝 動 脈 には 高<br />

頻 度 に 走 行 変 異 があり、 膵 頭 部 領 域 の 手 術 ではその 解 剖 学 的 変 異 を 把<br />

握 しておくことは 手 術 を 安 全 に 施 行 し、また 術 後 の 合 併 症 を 予 防 する<br />

上 でも 重 要 である。その 際 には 手 術 の 根 治 性 と 肝 血 流 の 維 持 なども 考<br />

慮 しなければならない。 今 回 われわれは、 総 肝 動 脈 が 上 腸 間 膜 動 脈 か<br />

ら 分 岐 する 肝 腸 間 膜 動 脈 幹 の 変 異 を 有 し、その 肝 動 脈 が 膵 頭 部 実 質 内<br />

を 走 行 する 症 例 に 対 して 肝 動 脈 を 温 存 しながら 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を<br />

施 行 した。さらに 腫 瘍 の 組 織 型 は 胆 管 原 発 腺 内 分 泌 細 胞 癌 と 比 較 的 稀<br />

なものであった。 本 例 における 肝 動 脈 走 行 変 異 と 組 織 型 との 関 連 はな<br />

かったと 考 えられるが、 稀 な 解 剖 変 異 と 稀 な 疾 患 が 併 存 した 症 例 を 経<br />

験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-423-


P56-8 門 脈 後 区 域 枝 独 立 分 岐 型 における 後 区 域 胆 管 の 走 行 部<br />

位 と 臨 床 的 意 義 に 関 する 検 討<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 奥 田 雄 紀 浩 , 本 田 五 郎 , 倉 田 昌 直 , 小 林 信<br />

【はじめに】 右 門 脈 の 分 岐 様 式 は 通 常 型 以 外 に 左 前 後 3 分 枝 型 と 後 区<br />

域 (pP) 独 立 分 岐 型 の 頻 度 が 比 較 的 高 い. 一 方 , 後 区 域 胆 管 (PBD)に<br />

は 門 脈 右 枝 または 前 区 域 枝 の 頭 側 を 背 側 から 腹 側 に 向 けて 走 行 する<br />

supraportal…typeと, 門 脈 右 枝 または 前 区 域 枝 の 頭 側 を 走 行 しない<br />

infraportal…type(IP)が 存 在 する. 今 回 門 脈 のpP 独 立 分 岐 型 とIPPBD<br />

との 関 係 を 調 べ, 臨 床 的 意 義 について 考 察 した.【 対 象 】2010 年 7 月 か<br />

ら2011 年 11 月 に 当 科 で 肝 胆 膵 領 域 の 手 術 を 行 った 症 例 のうち, 画 像 検<br />

査 で 門 脈 ・ 胆 管 の 分 岐 形 態 ・ 走 行 部 位 が 評 価 可 能 であった290 例 を 対<br />

象 とした. 画 像 検 査 として, 胆 管 非 拡 張 症 例 では 主 にMRI 検 査 におけ<br />

るT2 強 調 画 像 の 前 額 断 とEOB-プリモビスト 造 影 検 査 における 肝 細 胞<br />

相 の 画 像 を 用 い, 胆 管 拡 張 症 例 ではこれらに 加 えて 造 影 CT 検 査 の 画<br />

像 を 用 いて 門 脈 の 分 岐 形 態 と 後 区 域 胆 管 の 走 行 部 位 の 評 価 を 行 った.<br />

【 結 果 】pP 独 立 分 岐 型 は30 例 (10.3%)に 認 めた.うちIPPBDを21 例<br />

(70%)に 認 め,その 他 の 門 脈 分 岐 形 態 での 計 17 例 (6.5%)と 比 較 して 有<br />

意 に 高 頻 度 であった(p


P57-3 術 後 急 速 な 転 帰 をたどった 胆 管 充 実 腺 癌 の 一 例<br />

友 愛 会 豊 見 城 中 央 病 院 外 科<br />

○… 大 田 守 仁<br />

胆 道 癌 の 病 理 組 織 において 充 実 腺 癌 (solid…<br />

adenocaricinoma)は 比 較 的 稀 な 組 織 型 で、 胆 嚢 癌 症 例 でいくつか 報 告<br />

があるが 胆 管 癌 ではあまり 見 られない。 今 回 我 々は、 根 治 切 除 後 、 肝<br />

再 発 で 急 速 な 転 帰 をたどった 胆 管 充 実 腺 癌 の 一 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。< 症 例 >79 歳 男 性 。 狭 心 症 、Af、 糖 尿 病 、 脳 梗 塞 既 往 の 合 併<br />

症 あり。 発 熱 で 当 院 内 科 を 受 診 し、 閉 塞 性 黄 疸 による 胆 管 炎 と 診 断 。<br />

腹 部 造 影 CTにて 膵 内 胆 管 に 境 界 不 明 瞭 な 腫 瘍 性 病 変 を 認 め、ERCP<br />

時 の 細 胞 診 でclassVであり 下 部 胆 管 癌 と 診 断 した。MRI、PET 検 査 で<br />

明 らかな 遠 隔 転 移 、 播 種 病 変 認 めず 手 術 目 的 で 外 科 に 紹 介 となった。<br />

< 経 過 >T4(Panc2),N0のStageIVaの 術 前 診 断 で、PPPD―IIA―1 施<br />

行 した( 手 術 時 間 6’30、 出 血 980ml)。freshな 閉 塞 性 膵 炎 の 所 見 があ<br />

りやや 操 作 に 手 間 取 ったが、 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 転 移 、 肝 転 移 、 播 種<br />

は 認 めずR0 手 術 を 施 行 した。 術 後 はPOD2からヘパリン 開 始 したが 出<br />

血 もなく、 低 Na 血 症 認 めた 以 外 、 膵 液 瘻 もなく 経 過 は 良 好 でPOD27<br />

に 退 院 となった。 病 理 検 査 では、 腫 瘍 細 胞 は 小 型 、 均 一 で 充 実 性 敷 石<br />

状 に 配 列 しており、 小 腺 管 構 造 が 散 見 されsolid…adenocaricinomaと 診<br />

断 。Panc3,Du3,ly1,v0で#13に1 個 のみLN… metaありN1,HM0,EM0,…<br />

pn0:pStageIVaで 根 治 術 を 施 行 しえた。< 退 院 後 > 本 人 、 家 族 の 希<br />

望 もあり 術 後 補 助 化 学 療 法 (GEM)をPOD60から 開 始 。1コース 施 行 後 、<br />

倦 怠 感 や 腫 瘍 マーカー 高 値 を 認 めたため 腹 部 CT 施 行 したところ 肝 両<br />

葉 に 大 小 無 数 の 転 移 病 巣 を 認 めた。 緩 和 外 来 に 紹 介 しBSCを 行 ったが、<br />

転 移 巣 はさらに 急 速 に 増 大 しPOD150に 肝 不 全 で 永 眠 された。 胆 道 癌 における 充 実 腺 癌 の 組 織 分 類 は 比 較 的 新 しく、 臨 床 的 な 特<br />

徴 についての 報 告 はまだ 少 ない。 本 例 のように 急 速 な 経 過 をとるケー<br />

スもあり、 今 後 も 症 例 の 積 み 重 ねを 望 みたい。<br />

P57-4 長 期 無 再 発 後 10 年 目 に 肝 転 移 を 認 めた 胆 管 癌 の1 例<br />

北 里 大 学 外 科<br />

○… 河 野 蓉 子 , 石 井 健 一 郎 , 田 島 弘 , 鎌 田 弘 樹 , 片 桐 寛 之 ,<br />

隈 元 雄 介 , 渡 邊 昌 彦<br />

長 期 無 再 発 後 10 年 目 に 肝 転 移 を 認 めた 胆 管 癌 の1 例 を 経 験 したので 報<br />

告 する. 現 病 歴 :2000 年 , 健 診 で 肝 機 能 障 害 を 指 摘 されたことをきっか<br />

けに 精 査 したところ 胆 管 癌 を 認 め 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PpPD)<br />

及 び2 群 リンパ 節 郭 清 を 施 行 された. 病 理 結 果 ではtubular…<br />

adenocarcinomaであった(ly1…v1…pn3…d0…panc1…n0).また 肝 側 の 胆 管 は<br />

左 右 の 肝 管 で 切 離 したがその 断 端 には 異 型 腺 管 を 認 めた. 術 後 は 補 助<br />

化 学 療 法 は 行 わなかったが 腫 瘍 マーカーの 上 昇 や 画 像 上 の 再 発 徴 候 は<br />

認 めなかった. 術 後 10 年 9ヶ 月 後 のフォローの 採 血 ・CTにてCA19-9の<br />

軽 度 上 昇 (67.3U/mL) 及 び 肝 S4の 転 移 を 思 わせる 占 拠 性 病 変 を 認 め<br />

た.MRI-EOB 上 でも 転 移 性 肝 癌 を 疑 う 所 見 であった. 消 化 管 精 査 でも 悪<br />

性 病 変 は 認 めなかったため 肝 生 検 を 施 行 したところ 胆 管 癌 の 肝 転 移 と<br />

して 矛 盾 しない 所 見 であった.そのため 化 学 療 法 を 予 定 したが 肝 転 移<br />

巣 の 急 速 な 増 大 による 閉 塞 性 黄 疸 となりPTBDを 挿 入 した 後 に 塩 酸 ゲ<br />

ムシタビンとTS-1を 導 入 したものの2コース 後 に 状 態 が 悪 化 し 永 眠 と<br />

なった. 結 語 : 長 期 無 再 発 後 10 年 目 に 肝 転 移 を 認 めた 胆 管 癌 の1 例 を 経<br />

験 した. 診 断 後 は 急 速 な 進 行 を 認 め 再 発 に 対 する 十 分 な 加 療 がしえな<br />

かった. 胆 管 癌 患 者 が 術 後 5 年 以 上 無 再 発 生 存 している 場 合 にも 十 分 な<br />

長 期 にわたる 経 過 観 察 を 必 要 とし,また 迅 速 な 対 応 が 必 要 であること<br />

が 示 唆 された.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P57-5 同 時 多 発 性 に 広 範 囲 胆 管 癌 および 胆 嚢 癌 を 合 併 した1<br />

例<br />

島 根 大 学 医 学 部 消 化 器 総 合 外 科<br />

○… 藤 井 雄 介 , 比 良 英 司 , 川 畑 康 成 , 矢 野 誠 司 ,<br />

田 島 義 証<br />

症 例 は75 歳 男 性 。 高 血 圧 にて 近 医 通 院 加 療 中 、 血 液 検 査 で 胆 道 系 酵 素<br />

の 上 昇 を 認 め、 精 査 にて 胆 管 腫 瘍 疑 われ 当 科 紹 介 となる。 血 液 生 化 学<br />

検 査 ではAlP(307IU/L)とLAP(48IU/L)のみ 異 常 高 値 を 示 した。CT<br />

およびMRIで 胆 管 内 部 (Bi~m)の 隆 起 性 病 変 と、 末 梢 側 胆 管 の 拡 張 を<br />

認 めた。 胆 嚢 壁 は 軽 度 に 不 整 肥 厚 し 内 部 に 小 結 石 を 多 数 認 め、 総 肝 動<br />

脈 周 囲 リンパ 節 腫 大 を 認 めた。EUSでは、Biを 中 心 にBmsまで 乳 頭 状<br />

隆 起 性 病 変 を 認 めるも 壁 外 進 展 なし(fm)。 胆 嚢 内 部 には 明 らかな 隆<br />

起 性 病 変 を 認 めなかった。ERCPにて 膵 胆 管 合 流 異 常 なし。 以 上 から<br />

中 部 胆 管 癌 (Bi-ms,T1,N2,cStageIII)と 診 断 。 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 (PPPD-IIA1,D2+)を 施 行 した。 腫 瘍 は 肝 門 部 胆 管 (Br~l)まで<br />

進 展 を 認 め、2 回 の 追 加 切 除 で 断 端 陰 性 を 確 保 (Bmisp,T1,N2,sStageIII)。<br />

胆 嚢 内 には 胆 泥 および 小 結 石 が 充 満 し、 小 隆 起 性 病 変 が 多 発 するも 壁<br />

外 への 浸 潤 を 認 めず(Gbf,T1,N0,sStageI)、 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 とした。 病<br />

理 組 織 診 断 では 広 範 囲 胆 管 癌 (Bims,pap,fm,N0,fStage…I)および 多 発 胆<br />

嚢 癌 (Gbf,pap,m,N0,fStage…I)で、 両 者 に 連 続 性 はなく 多 発 胆 道 癌 と 診<br />

断 された。 術 後 、SSIを 合 併 するも 保 存 的 に 軽 快 し、 術 後 40 日 目 に 自<br />

宅 退 院 。 補 助 化 学 療 法 は 行 うことなく、 術 後 5カ 月 無 再 発 生 存 中 である。<br />

本 例 は 胆 管 ・ 胆 嚢 の 胆 道 系 同 一 臓 器 内 に 同 じ 組 織 型 の 癌 の 重 複 を 認 め<br />

たため 胆 道 多 発 癌 と 診 断 した。 胆 道 重 複 癌 は 現 在 まで 約 50 例 が 本 邦 で<br />

報 告 され、その 多 くが 胆 嚢 ・ 胆 管 多 発 癌 症 例 であった。 本 例 は 術 前 に<br />

胆 嚢 壁 肥 厚 は 指 摘 されていたが 胆 泥 ・ 胆 石 充 満 により 多 発 癌 の 確 定 診<br />

断 に 至 らなかった。 胆 道 系 の 重 複 ・ 多 発 癌 の 頻 度 は19~22%と 他 臓 器<br />

重 複 癌 と 変 わりないが、 胆 道 悪 性 腫 瘍 の 外 科 的 治 療 法 は 腫 瘍 の 存 在 部<br />

位 ・ 進 展 度 に 大 きく 左 右 され、 術 中 にその 治 療 方 針 を 変 更 することは<br />

困 難 と 考 えられる。この 事 から 胆 道 系 の 悪 性 腫 瘍 の 場 合 は 多 発 癌 も 考<br />

慮 した 詳 細 な 術 前 精 査 が 必 要 と 考 えられた。 以 上 より 我 々が 経 験 した<br />

同 時 多 発 胆 道 癌 症 例 を 含 めて、 胆 道 系 悪 性 腫 瘍 における 多 発 癌 も 考 慮<br />

した 詳 細 な 術 前 精 査 の 必 要 性 、その 治 療 法 について、 文 献 的 考 察 を 加<br />

えて 報 告 する。<br />

P57-6 胆 管 小 細 胞 癌 の1 例<br />

1<br />

宇 都 宮 社 会 保 険 病 院 外 科 、 2 自 治 医 科 大 学 附 属 病 院<br />

○… 谷 口 理 丈 1<br />

, 佐 久 間 康 成 2<br />

, 藤 原 岳 人 1<br />

, 太 田 学 1<br />

,<br />

安 田 寿 彦 1<br />

, 佐 田 尚 宏 2<br />

, 安 田 是 和<br />

2<br />

症 例 は66 歳 の 女 性 。ネフローゼ 症 候 群 にて 当 院 腎 臓 内 科 フォロー 中 に<br />

黄 疸 を 指 摘 され 当 院 消 化 器 内 科 受 診 。 腹 部 CTで 肝 内 胆 管 の 拡 張 と 下<br />

部 胆 管 に 腫 瘤 像 を 認 めた。また 膵 頭 部 背 側 に1cm 大 のリンパ 節 腫 脹 が<br />

認 められた。ERCPでは 下 部 胆 管 の 全 周 性 狭 窄 を 認 め、 生 検 後 に<br />

ENBDチューブを 留 置 した。 胆 管 生 検 では 異 型 は 軽 度 であったが、<br />

P53がびまん 性 に 陽 性 となる 上 皮 片 があり 低 異 型 度 の 腺 癌 をみている<br />

と 考 えられた。ERBDに 交 換 する 際 、 再 度 胆 管 生 検 を 行 ったところ、<br />

小 細 胞 癌 と 診 断 された。リンパ 節 転 移 を 伴 う 下 部 胆 管 癌 の 診 断 のもと、<br />

手 術 は 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った。 病 理 組 織 学 的 には 腫<br />

瘤 の 大 部 分 が 小 細 胞 癌 の 浸 潤 性 増 殖 像 を 示 し、 上 皮 の 一 部 に 高 分 化 腺<br />

癌 の 像 が 認 められた。 術 後 合 併 症 なく、 第 18 病 日 に 退 院 した。 術 後 4<br />

カ 月 現 在 も 健 在 であるが、 多 発 リンパ 節 腫 脹 を 認 め 再 発 が 疑 われてい<br />

る。 胆 管 小 細 胞 癌 の 報 告 例 は 極 めてまれであるため、 経 験 した1 例 を<br />

報 告 する。<br />

-425-


P57-7 胆 管 原 発 非 機 能 性 神 経 内 分 泌 癌 ( 小 細 胞 癌 )の1 例<br />

都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 小 平 佳 典 , 本 田 五 郎 , 倉 田 昌 直 , 小 林 信 , 奥 田 雄 紀 浩 ,<br />

鶴 田 耕 二<br />

【 症 例 】53 歳 男 性 。 尿 の 濃 染 と 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 前 医 を 受 診 した。 閉<br />

塞 性 黄 疸 と 肝 機 能 障 害 を 指 摘 され、ERCP 検 査 では 十 二 指 腸 乳 頭 部 へ<br />

の 腫 瘍 の 露 出 はなかったが、 造 影 所 見 より 下 部 胆 管 に 隆 起 性 病 変 を 認<br />

め、 胆 管 擦 過 細 胞 診 で 小 細 胞 癌 が 認 められた。CTでは 十 二 指 腸 乳 頭<br />

部 付 近 に 十 二 指 腸 内 腔 に 突 出 する2cm 大 の 腫 瘤 を 認 めたがリンパ 節 転<br />

移 や 遠 隔 転 移 を 認 めなかったため、 確 定 診 断 の 必 要 性 も 含 めて 切 除 の<br />

適 応 ありと 判 断 し、 腹 腔 鏡 下 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 し<br />

た。 組 織 学 的 にN/C 比 の 高 い 細 胞 が、ロゼット 構 造 をとりながら 密 に<br />

増 殖 しており、 免 疫 染 色 で 神 経 内 分 泌 性 マーカー(chromogranin,syn<br />

aptophysin,CD56,MIB-1) 陽 性 で 腫 瘍 内 に 腺 癌 成 分 は 認 めなかったた<br />

め、 胆 管 原 発 非 機 能 性 神 経 内 分 泌 癌 ( 小 細 胞 癌 )と 診 断 した。 腫 瘍 は 一<br />

部 で 胆 管 壁 の 筋 層 を 超 えて 膵 実 質 に2mm 程 度 浸 潤 し、 膵 頭 後 部 に5 個<br />

の 微 小 なリンパ 節 転 移 を 認 めた。 術 後 は 胆 管 炎 による 一 時 的 な 発 熱 を<br />

認 めた 以 外 に 膵 液 瘻 などその 他 の 合 併 症 は 認 めず 経 過 良 好 であったが、<br />

術 後 40 日 目 のCT 検 査 で 多 発 肝 転 移 を 認 めた。その 後 cisplatin…+…<br />

irinotecan 併 用 療 法 を 導 入 し 転 移 巣 は 縮 小 傾 向 である。【 考 察 】 胆 管 原<br />

発 非 機 能 性 神 経 内 分 泌 癌 ( 小 細 胞 癌 )は 本 邦 では 本 例 を 含 めて34 例 の 報<br />

告 を 認 めるのみで 稀 な 疾 患 である。またその 多 くは 腺 癌 成 分 を 含 む 腺<br />

内 分 泌 細 胞 癌 で、pureな 小 細 胞 癌 として 報 告 されているのは5 例 のみ<br />

である。 遠 隔 転 移 としては 肝 転 移 が 最 も 多 く、 術 後 1 年 以 内 に 癌 死 す<br />

る 例 が 多 く 予 後 不 良 である。<br />

P57-8 下 部 胆 管 原 発 小 細 胞 癌 の 一 例<br />

国 立 病 院 機 構 福 山 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 木 村 裕 司 , 稲 垣 優 , 北 田 浩 二 , 徳 永 尚 之 , 西 江 学 ,<br />

濱 野 亮 輔 , 常 光 洋 輔 , 岩 垣 博 巳<br />

[ 症 例 ]59 歳 、 女 性 。40.3 度 の 発 熱 、 全 身 倦 怠 感 があり 近 医 を 受 診 し、<br />

胆 道 感 染 疑 いにて 当 院 内 科 紹 介 となった。 腹 部 CTにて 下 部 胆 管 に 結<br />

節 を 認 め、 内 腔 は 狭 窄 し、その 肝 側 での 総 胆 管 、 肝 内 胆 管 の 拡 張 、 胆<br />

嚢 腫 大 を 指 摘 された。 翌 日 、ERCPを 施 行 し、 下 部 胆 管 に2cm 大 の 表<br />

面 不 整 な 隆 起 病 変 を 認 め、IDUSではlow…echoicな 隆 起 病 変 で 最 狭 窄<br />

部 は 全 周 性 に 病 変 を 認 めた。 下 部 胆 管 狭 窄 部 擦 過 細 胞 診 にて 小 細 胞 癌<br />

を 強 く 疑 うとの 結 果 であり、 下 部 胆 管 原 発 小 細 胞 癌 の 診 断 で、 当 科 に<br />

て 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 およびリンパ 節 郭 清 を 行 った。 切 除 標<br />

本 では 下 部 胆 管 に 全 周 性 で20×15mm 大 の 結 節 浸 潤 型 腫 瘍 を 認 め、 病<br />

理 組 織 学 的 検 索 では 小 型 でN/C 比 の 高 い 細 胞 が、 一 部 ロゼット 様 構 造<br />

を 認 め、 充 実 性 に 増 生 する 像 を 呈 していた。 免 疫 組 織 学 的 検 索 で 腫 瘍<br />

細 胞 のほとんどでCD56が 陽 性 であった。 胆 道 癌 取 扱 い 規 約 に 従 い<br />

Bile…duct…ca:Small…cell…carcinoma,Bim,circ,2.0×1.5cm, 結 節 浸 潤<br />

型 ,fm,ly0,v0,INFβ,pHinf0,H0,pGinf0,pPanc1,pDu0,pPV0,pA0,P0,N0,pH<br />

M0,pEM0,pDM0…pT2…pN0…H0…P0…M(-)…StageII…と 診 断 した。 術 後 経<br />

過 は 良 好 で 第 30 病 日 に 外 科 退 院 となった。 術 後 補 助 化 学 療 法 は 内 科 に<br />

て、 肺 小 細 胞 癌 化 学 療 法 レジメンに 基 づきEP(etoposide+…cisplatin)<br />

療 法 を4クール 施 行 した。 術 後 17ヶ 月 が 経 過 し、 無 再 発 生 存 中 である。<br />

[ 考 察 ] 胆 道 系 原 発 の 悪 性 腫 瘍 は 大 多 数 が 腺 癌 で、 小 細 胞 癌 は 極 めて<br />

稀 である。 胆 管 原 発 の 小 細 胞 癌 は、 悪 性 度 が 高 く、 術 後 急 速 に 転 移 、<br />

再 発 を 来 すことが 多 いため 予 後 は 極 めて 不 良 であると 報 告 されている。<br />

また、 術 前 に 胆 管 原 発 小 細 胞 癌 の 診 断 を 得 られた 症 例 の 報 告 も 比 較 的<br />

稀 である。 化 学 療 法 においても、 肺 小 細 胞 癌 に 準 じたレジメンで 効 果<br />

が 期 待 できるとの 報 告 も 見 られるが、 一 定 の 評 価 が 得 られていないの<br />

が 現 状 である。 今 回 、 我 々は、 術 前 のERCP 検 査 時 に 施 行 した 胆 管 内<br />

擦 過 細 胞 診 において 小 細 胞 癌 と 診 断 され、 治 癒 切 除 後 、 肺 小 細 胞 癌 に<br />

準 じた 化 学 療 法 を 施 行 し、 良 好 な 成 績 を 得 ることができた 下 部 胆 管 原<br />

発 小 細 胞 癌 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P57-9 下 部 胆 管 癌 と 膵 管 内 粘 液 腺 癌 の 同 時 性 重 複 癌 に 対 する<br />

一 切 除 例<br />

大 分 県 立 病 院 外 科<br />

○… 梅 田 健 二 , 足 立 英 輔 , 小 川 聡<br />

【 背 景 】… 膵 管 内 粘 液 腫 瘍 (IPMN)は、 男 性 の 膵 頭 部 に 好 発 し、 同 時 性 、<br />

異 時 性 の 多 臓 器 重 複 癌 症 例 が 多 いことが 知 れているが、 胆 管 癌 との 重<br />

複 例 は 稀 である。 今 回 われわれは、 下 部 胆 管 癌 と 膵 管 内 粘 液 腺 癌<br />

(IPMC)の 同 時 重 複 癌 の 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】…63 歳<br />

男 性 、 胸 部 不 快 感 あり、 近 医 を 受 診 したところ、 肝 機 能 異 常 、 黄 疸 を<br />

認 めた。 腹 部 CT、 腹 部 超 音 波 検 査 にて 膵 頭 部 癌 が 疑 われ、 当 科 紹 介<br />

となった。T-bil…10.8mg/dlと 閉 塞 性 黄 疸 を 認 めた。 胆 道 系 酵 素 も 上 昇<br />

し、 腫 瘍 マーカーはCA19-9…340.5U/ml、SPAN-1…78U/mlと 高 値 であっ<br />

た。 腹 部 CTでは、 主 膵 管 の 拡 張 および 動 脈 相 で 膵 頭 部 に3.0x2.5cmの<br />

造 影 効 果 の 乏 しい 腫 瘤 を 認 め、 膵 頭 部 癌 が 疑 われた。MRIでも、 動 脈<br />

相 で2.1x1.6cmの 早 期 濃 染 像 を 認 めたが、 膵 頭 部 の 膵 内 胆 管 の 壁 に 造<br />

影 効 果 が 見 られ、 下 部 胆 管 癌 による 膵 浸 潤 がもっとも 考 えられた。 減<br />

黄 を 行 い、 全 身 状 態 の 改 善 を 図 ったのちに、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 を 施 行 した。 病 理 結 果 は、 下 部 胆 管 癌 、tubular…<br />

adenocarcinoma,well…diff.,…patBim,…ss,…tub1,…int,…INFb,…ly2,…v1,…pn2お<br />

よび、 膵 管 内 粘 液 腺 癌 、TS1,…pT1,…int,…INFb,…ly0,…v0,…ne1であった。<br />

術 後 補 助 化 学 療 法 を 開 始 し、 術 後 7ヶ 月 再 発 所 見 なく 経 過 している。【…<br />

まとめ】 下 部 胆 管 癌 と 膵 管 内 粘 液 腺 癌 の 同 時 重 複 癌 の1 切 除 例 を 経 験<br />

した。 当 院 5 年 間 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 症 例 において、 肝 外 胆 管 腫 瘍 と<br />

膵 腫 瘍 の 重 複 症 例 を 報 告 する。…<br />

P58-1 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 との 鑑 別 が 困 難 だった 胆 嚢 腺 扁 平<br />

上 皮 癌 の1 例<br />

呉 共 済 病 院 外 科<br />

○… 長 谷 諭 , 河 毛 利 顕 , 浦 部 和 秀 , 武 藤 毅 , 片 山 晃 子 ,<br />

田 原 浩 , 布 袋 裕 士 , 前 田 佳 之<br />

【 緒 言 】 胆 嚢 癌 と 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 は 画 像 での 鑑 別 が 困 難 である。<br />

我 々は 術 前 の 画 像 診 断 では 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の 可 能 性 が 示 唆 され、<br />

術 後 病 理 結 果 にて 腺 扁 平 上 皮 癌 だった 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】72 歳 、 男 性 。 主 訴 は 腹 痛 、 嘔 吐 。 既 往 歴 は 虫 垂 炎 手 術 、5 年<br />

前 から 慢 性 関 節 リウマチにてステロイドと 免 疫 抑 制 剤 の 内 服 をされて<br />

いた。2010 年 8 月 、 腹 痛 、 嘔 吐 が 出 現 し、 近 医 で 高 ビリルビン 血 症 を<br />

指 摘 され、 当 院 消 化 器 内 科 紹 介 となった。CTで 下 部 胆 管 に 結 石 をみ<br />

とめ、 肝 S4の 胆 嚢 床 に、 胆 嚢 に 接 して 径 21mm 大 の 辺 縁 が 造 影 される<br />

腫 瘤 様 陰 影 をみとめた。 肝 膿 瘍 と 腫 瘍 の 可 能 性 が 考 えられた。 同 日<br />

ERCPを 施 行 され、チューブステントが 留 置 された。 第 5 病 日 のCTで<br />

も 腫 瘤 様 陰 影 に 変 化 はみられず、 辺 縁 のみが 造 影 される 低 吸 収 像 とし<br />

てみられた。 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 による 壁 内 膿 瘍 の 可 能 性 が 示 唆 され<br />

た。 第 9 病 日 にEPBDによる 総 胆 管 結 石 採 石 が 行 われた。 第 16 病 日 の<br />

MRIでは、 胆 嚢 に 接 して 胆 嚢 床 の 肝 内 に 進 展 する 構 造 がみられた。 胆<br />

嚢 壁 の 構 造 は 保 たれており、CTで 指 摘 された 腫 瘤 様 陰 影 について 膿<br />

瘍 は 否 定 的 となった。 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 と 胆 嚢 癌 が 鑑 別 にあげられ<br />

たが、MRIでも 造 影 されない 低 信 号 を 呈 しており、 胆 嚢 癌 よりも 黄 色<br />

肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の 可 能 性 が 考 えられた。しかし 癌 の 可 能 性 も 否 定 でき<br />

ないため、 同 年 9 月 に 手 術 を 行 った。 術 中 所 見 で 肝 床 部 に 浸 潤 する 胆<br />

嚢 癌 が 疑 われた。 腫 瘍 の 一 部 を 迅 速 病 理 に 提 出 して 腺 癌 との 診 断 にて、<br />

胆 嚢 、 肝 S4a,S5、 肝 外 胆 管 切 除 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 検 索 では 胆<br />

嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 でpT4,N0,H0,P0,M(-),Stage4aだった。 組 織 型 に 扁 平<br />

上 皮 成 分 が 含 まれており、 腫 瘍 の 中 心 部 に 高 度 の 線 維 化 がみられたこ<br />

とで、 術 前 CT、MRIでは 腫 瘍 の 造 影 効 果 が 低 く、 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢<br />

炎 との 鑑 別 を 困 難 にしていたもの 考 察 された。 術 後 4ヵ 月 のCTで 肝 転<br />

移 をみとめ、ジェムザールを 投 与 して 副 作 用 はみとめなかったが、 本<br />

人 希 望 にて1 回 のみの 投 与 となった。 術 後 10ヶ 月 、 多 発 肝 転 移 肺 転 移<br />

にて 死 亡 された。【 結 語 】 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 は 全 胆 嚢 癌 の 内 の5~10%<br />

に 認 められる。 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 との 鑑 別 が 困 難 だった 胆 嚢 腺 扁 平<br />

上 皮 癌 の1 例 を 経 験 した。<br />

-426-


P58-2 胆 嚢 癌 と 診 断 され 外 科 切 除 が 行 われた 胆 嚢 良 性 疾 患 13<br />

例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

1<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科 、 2 国 立 がん 研 究 セ<br />

ンター 中 央 病 院 病 理 診 断 部<br />

○… 堀 周 太 郎 1<br />

, 島 田 和 明 1<br />

, 大 黒 聖 二 1<br />

, 岸 庸 二 1<br />

, 奈 良 聡 1<br />

,<br />

江 崎 稔 1<br />

, 小 菅 智 男 1 2<br />

, 平 岡 伸 介<br />

【 目 的 】 画 像 診 断 技 術 が 向 上 した 現 在 でも、 胆 嚢 癌 と 胆 嚢 良 性 疾 患 の<br />

鑑 別 は 時 に 困 難 である。 胆 嚢 癌 の 術 前 診 断 で 外 科 切 除 が 行 われた 胆 嚢<br />

良 性 疾 患 に 対 し 臨 床 病 理 学 的 な 特 徴 を 明 らかにする。【 方 法 】 当 院 で<br />

2004 年 1 月 から2010 年 12 月 までに、 胆 嚢 癌 の 診 断 で 外 科 切 除 が 行 われ<br />

た88 例 のうち、 最 終 病 理 診 断 が 良 性 胆 嚢 疾 患 と 判 明 した 症 例 について、<br />

臨 床 的 背 景 、 画 像 所 見 、 術 式 、 病 理 所 見 及 び 術 後 経 過 を 検 討 した。【 結<br />

果 】 胆 嚢 癌 の 術 前 診 断 で 外 科 切 除 が 行 われた 胆 嚢 良 性 疾 患 は13 例<br />

(15%)であった。 平 均 年 齢 は65.2 歳 で、 性 別 は 男 性 9 例 、 女 性 4 例 であっ<br />

た。3 例 が 黄 疸 で 発 症 し 減 黄 処 置 を 要 した。7 例 で 腹 痛 の 既 往 を 認 めた<br />

が、 血 液 生 化 学 検 査 で 炎 症 反 応 の 異 常 を 呈 したのは1 例 であった。<br />

CA19-9… が 高 値 を 示 す 症 例 が2 例 (15%) 認 められた。CTや 腹 部 超 音 波 、<br />

MRIの 画 像 所 見 は12 例 (92%)で 胆 嚢 壁 の 造 影 効 果 を 伴 う 肥 厚 を 呈 し、<br />

5 例 (38%)で 肝 内 直 接 浸 潤 、5 例 (38%)で 肝 外 胆 管 浸 潤 、1 例 で 十 二 指<br />

腸 浸 潤 所 見 が 認 められた。4 症 例 で 拡 大 肝 右 葉 切 除 が 予 定 され 経 皮 経<br />

肝 門 脈 塞 栓 術 が 行 われた。いずれの 症 例 も 画 像 診 断 で 胆 嚢 癌 が 疑 われ、<br />

術 前 に 細 胞 診 、 組 織 診 は 行 われなかった。 術 式 は 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 7 例<br />

(54%)、 拡 大 右 葉 切 除 術 3 例 (23%)が 行 われた。3 例 は 術 中 所 見 で 胆 嚢<br />

癌 の 診 断 が 否 定 され、 単 純 胆 嚢 摘 出 術 が 行 われた。 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 が<br />

行 われた7 例 中 、 肝 外 胆 管 切 除 は2 例 に 行 われた。 平 均 手 術 時 間 は378<br />

分 で 出 血 量 の 中 央 値 は542mlであった。1 例 にGrade…Bの 膵 液 瘻 を 認 め<br />

たが、 他 は 重 篤 な 合 併 症 を 認 めなかった。 術 後 在 院 日 数 の 中 央 値 は16<br />

日 であった。 病 理 診 断 は5 例 (38%)が 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 、7 例 (54%)<br />

が 慢 性 胆 嚢 炎 、1 例 が 胆 嚢 腺 筋 症 であった。 画 像 診 断 で 指 摘 された 胆<br />

嚢 壁 肥 厚 は 病 理 組 織 学 的 には 肉 芽 腫 を 伴 う 膿 瘍 (6 例 )、 肉 芽 腫 (3 例 )、<br />

Rokitansky-Aschoff…Sinusの 増 生 (1 例 )と 炎 症 性 の 線 維 増 生 (1 例 )で<br />

あった。8 例 に 胆 石 の 合 併 を 認 めた。【 結 論 】 画 像 診 断 では 胆 嚢 癌 と 良<br />

性 炎 症 性 疾 患 を 鑑 別 できず15%の 症 例 で 外 科 切 除 が 行 われた。 術 前 細<br />

胞 ・ 組 織 診 断 は 技 術 的 にも 困 難 で、 手 術 の 安 全 性 を 考 慮 すると 現 時 点<br />

では 診 断 的 切 除 もやむを 得 ないと 思 われた。<br />

P58-3 胆 嚢 癌 を 否 定 しえなかった 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の1 切<br />

除 例<br />

名 古 屋 第 一 赤 十 字 病 院 一 般 消 化 器 外 科<br />

○… 服 部 正 興 , 宮 田 完 志 , 湯 浅 典 博 , 竹 内 英 司 , 三 宅 秀 夫 ,<br />

永 井 英 雅 , 井 村 仁 郎 , 河 合 奈 津 子 , 川 上 次 郎 , 青 山 広 希 ,<br />

植 木 美 穂 , 浅 井 宗 一 郎 , 工 野 玲 美 , 張 丹 , 岩 瀬 まどか,<br />

山 下 浩 正 , 小 林 陽 一 郎<br />

【 症 例 】62 歳 男 性 【 主 訴 】スクリーニング 超 音 波 で 以 上 を 指 摘 【 現 病<br />

歴 】 脳 梗 塞 、 高 血 圧 、 糖 尿 病 で 近 医 経 過 観 察 中 の 腹 部 超 音 波 で 胆 嚢 に<br />

異 常 を 指 摘 され、2011 年 5 月 当 院 を 紹 介 受 診 した。CEA3.0ng/ml、<br />

CA19-9…320.9U/ml。CTで 胆 嚢 粘 膜 は 比 較 的 均 一 に 造 影 されたが、 胆<br />

嚢 管 粘 膜 は 不 整 で、 胆 嚢 体 ・ 頚 部 、 胆 嚢 管 優 位 に 乏 血 性 でわずかに 小<br />

嚢 胞 構 造 を 伴 う 壁 肥 厚 を 認 めた。この 壁 肥 厚 は 周 囲 の 肝 実 質 、 門 脈 本<br />

幹 から 門 脈 右 枝 、 右 肝 動 脈 、 十 二 指 腸 に 進 展 していた。 胆 嚢 管 、 胆 嚢<br />

内 に 結 石 を 認 めた。 肝 内 胆 管 と 総 胆 管 の 経 度 拡 張 を 認 めた。EUSでは<br />

胆 嚢 に 結 石 が 充 満 したため、 胆 嚢 壁 の 評 価 は 不 十 分 であった。MPCP<br />

では 胆 嚢 管 の 途 絶 像 を 認 めた。ERCP、 胆 汁 細 胞 診 は 行 っていない。<br />

2か 月 後 に 施 行 したCTで、 壁 肥 厚 進 展 範 囲 は、 門 脈 本 幹 の 約 半 周 にわ<br />

たり、 左 右 分 岐 部 の 頭 側 に 及 んでいた。 胃 十 二 指 腸 壁 肥 厚 も 増 強 し、<br />

胃 の 拡 張 も 生 じていた。CA19-9は1498U/mlと 上 昇 した。A. 胆 嚢 粘 膜<br />

面 の 均 一 な 造 影 、B. 小 嚢 胞 構 造 を 伴 う 壁 肥 厚 、C. 胆 嚢 管 結 石 の 存 在 に<br />

より 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 を 考 慮 したが、A. 経 時 的 に 腫 瘍 マーカーの 上<br />

昇 を 認 め、B. 病 変 の 増 大 を 伴 うことから 胆 嚢 管 癌 の 合 併 を 否 定 できな<br />

い 以 上 、これ 以 上 経 過 観 察 での 悪 化 は 切 除 限 界 を 超 えると 判 断 し、<br />

2011 年 7 月 肝 右 葉 尾 状 葉 切 除 、 胃 十 二 指 腸 部 分 切 除 、 門 脈 切 除 再 建 、<br />

胆 管 空 腸 吻 合 、 胃 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した。 手 術 時 間 899 分 、 出 血 量<br />

1950mlであった。 経 過 はおおむね 良 好 で、 術 後 33 日 に 退 院 した。 切<br />

除 標 本 では 胆 嚢 頚 部 から 胆 嚢 管 に 黄 褐 色 の 結 石 の 嵌 頓 を 認 め、 周 囲 組<br />

織 は 膿 状 を 呈 していた。 病 理 組 織 学 的 に 全 層 性 に 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 を<br />

認 めたが、 悪 性 像 はなく、 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 と 診 断 された。 黄 色<br />

肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 はしばしば 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 で、また 併 存 するこ<br />

ともあり 診 断 に 苦 慮 する。 今 回 我 々は 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 を 疑 いつつ、<br />

悪 性 を 否 定 できなかった 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P58-4 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 膿 瘍 形 成 性 黄 色 肉 芽 腫<br />

性 胆 嚢 炎 の1 例<br />

1<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 一 般 消 化 器 外 科 、 2 同<br />

病 院 病 院 病 理 部 、 3 聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 諏 訪 敏 之 1<br />

, 戸 部 直 孝 1<br />

, 三 原 良 孝 1<br />

, 亀 井 奈 津 子 1<br />

,<br />

石 井 将 光 1<br />

, 住 吉 賢 1<br />

, 西 川 徹 1<br />

, 四 万 村 司 1<br />

, 田 中 圭 一 1<br />

,<br />

中 野 浩 1<br />

, 相 田 芳 夫 2 3<br />

, 大 坪 毅 人<br />

今 回 われわれは 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 膿 瘍 形 成 性 黄 色 肉 芽 腫<br />

性 胆 嚢 炎 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は80 代 , 男 性 。 初 診 の1<br />

カ 月 ほど 前 より 吐 気 , 嘔 吐 出 現 し 近 医 受 診 , 内 服 加 療 にて 経 過 観 察 さ<br />

れるも 症 状 改 善 せず。また1カ 月 で 約 5kgの 体 重 減 少 も 認 め 当 科 紹 介 ,<br />

精 査 加 療 目 的 で 即 入 となった。 入 院 時 の 現 症 は, 発 熱 はなく 下 腹 部<br />

に 軽 度 の 圧 痛 を 認 めるのみであった。 血 液 検 査 所 見 ではCRP5.96mg/<br />

dlと 上 昇 していた 以 外 , 特 記 事 項 なく, 腫 瘍 マーカーはCEA,CA19-9<br />

はいずれも 正 常 値 であった。 腹 部 超 音 波 で 胆 嚢 壁 の 肥 厚 を 認 め 頸 部 に<br />

結 石 を 認 めた。 壁 の 一 部 は 腫 瘍 性 に 肥 厚 し 胃 壁 と 腫 瘍 の 境 界 は 不 明 瞭<br />

であった。 腹 部 CTで 胆 嚢 壁 より 壁 外 性 に 発 育 する 腫 瘍 性 病 変 を 認 め<br />

腫 瘍 と 胃 壁 の 境 界 は 不 明 瞭 で 浸 潤 が 疑 われた。また 腫 瘍 による 胃 の 通<br />

過 障 害 を 認 めた。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 で 幽 門 の 変 形 を 認 めfiber 通 過 は<br />

困 難 であった。 十 二 指 腸 球 部 粘 膜 の 発 赤 を 認 めたが, 明 らかな 腫 瘍 性<br />

病 変 は 認 めなかった。 以 上 より 確 定 診 断 には 至 らなかったものの, 第<br />

一 に 胆 嚢 癌 (cT4,cN2cM0,cStageIVb)を 疑 った。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

+ 肝 床 部 切 除 術 を 予 定 し, 開 腹 手 術 を 行 った。 肝 門 部 に 小 手 拳 大 の 腫<br />

瘍 を 触 知 し 腫 瘍 は 胃 前 庭 部 から 十 二 指 腸 下 行 脚 かけて,また 横 行 結 腸<br />

とも 癒 着 を 認 めた。 肝 動 脈 , 門 脈 は 強 固 に 癒 着 し 剥 離 に 難 渋 した。 肝<br />

床 切 除 の 際 , 胆 管 の 断 端 より 膿 の 流 出 を 認 めた。 腫 瘍 と 膵 頭 部 は 剥 離<br />

可 能 であったため, 膵 切 除 はせず 肝 床 部 切 除 + 肝 外 胆 道 切 除 + 幽 門 側<br />

胃 切 除 術 で 腫 瘍 を 摘 出 した。 摘 出 標 本 で 胆 嚢 壁 の 著 明 な 肥 厚 を 認 めた。<br />

胆 嚢 内 腔 に 膿 の 貯 留 を 認 め 頸 部 には 結 石 が 陥 頓 していた。 病 理 組 織 学<br />

的 には 肥 厚 した 胆 嚢 壁 にXanthogranuromatous…inflammationを 認 め,<br />

膿 瘍 形 成 を 伴 っていた。 明 らかな 悪 性 所 見 は 認 めなかった。 黄 色 肉 芽<br />

腫 性 胆 嚢 炎 は 胆 嚢 壁 の 著 明 な 肥 厚 を 伴 う 胆 嚢 炎 の 一 亜 型 で 発 生 頻 度 は<br />

全 胆 嚢 摘 出 例 の3.3~4.7%とされている。 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 で 拡 大<br />

手 術 が 施 行 されることも 多 い。 今 回 われわれは 膿 瘍 形 成 性 黄 色 肉 芽 腫<br />

性 胆 嚢 炎 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P58-5 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の<br />

1 例<br />

豊 橋 医 療 センター 外 科<br />

○… 野 村 尚 弘 , 市 原 透<br />

症 例 は79 歳 、 男 性 。 右 季 肋 部 痛 にて 近 医 受 診 し、 胆 石 、 胆 嚢 炎 の 診 断<br />

で 保 存 的 治 療 を 施 行 後 、 手 術 目 的 で 当 院 紹 介 となった。 造 影 CTにて、<br />

胆 嚢 の 腫 大 、 胆 嚢 壁 のびまん 性 肥 厚 と、 肥 厚 した 壁 内 にRokitansky-<br />

Aschoff…sinus 様 の 低 吸 収 域 を 認 め、 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎<br />

(Xanthogranulomatous…cholecystisis; 以 下 XGC)を 第 一 に 疑 った。し<br />

かし、CA19-9が25,340…U/mlと 異 常 高 値 であったため、 胆 嚢 癌 の 可 能<br />

性 を 考 えFDG-PETを 施 行 したところ、 胆 嚢 壁 全 体 に 異 常 集 積<br />

(SUVmax15.9)を 認 めた。 以 上 より、XGCまたは 胆 嚢 癌 を 疑 ったが、<br />

確 定 診 断 は 困 難 で 開 腹 手 術 を 施 行 した。 胆 嚢 を 全 層 切 除 で 摘 出 し 術 中<br />

迅 速 病 理 検 査 に 提 出 したところ、 悪 性 所 見 はなくXGCと 診 断 された。<br />

永 久 標 本 による 最 終 病 理 診 断 でも 悪 性 所 見 はなく、XGCの 診 断 であっ<br />

た。XGCは 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 で、 拡 大 手 術 がなされることがし<br />

ばしばある。 今 回 、 術 中 迅 速 病 理 検 査 にて 診 断 し 過 大 侵 襲 を 加 えるこ<br />

となく 治 療 しえたXGCの1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

-427-


P58-6 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 慢 性 胆 嚢 炎 の 一 切 除 例<br />

製 鉄 記 念 八 幡 病 院<br />

○… 金 城 直 , 杉 町 圭 史 , 牧 野 一 郎 , 東 秀 史<br />

【はじめに】 術 前 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 慢 性 胆 嚢 炎 の1 切 除<br />

例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】63 歳 男 性 、 腹 痛 ・ 発 熱 を 繰 り 返 し、<br />

胆 石 を 認 めたことから、 精 査 加 療 目 的 に 当 院 紹 介 となった。 入 院 時 、<br />

右 季 肋 部 痛 に 圧 痛 認 めず、Murphy 陰 性 であった。 血 液 検 査 所 見 では<br />

TB…0.9mg/dL、AST…21IU/L、ALT…27IU/L、LDH…135IU/L、ALP…<br />

423IU/L、γGTP…129IU/Lと 肝 胆 道 系 酵 素 の 軽 度 上 昇 を 認 めたが、<br />

CEA、CA19-9は 正 常 であった。 腹 部 超 音 波 検 査 では 胆 嚢 内 腔 に 隆 起<br />

した 全 周 性 の 壁 肥 厚 と 胆 嚢 内 の 小 結 石 、 胆 泥 を 認 めた。 腹 部 CT、<br />

MRIでは 胆 嚢 の 全 周 性 の 壁 肥 厚 を 認 め、 肝 内 胆 管 の 拡 張 はないものの<br />

総 肝 管 の 圧 排 ・ 狭 窄 、 一 部 脂 肪 織 の 混 濁 を 認 め、MRCPでは 総 肝 管 の<br />

不 整 な 狭 小 化 を 認 めた。ERCPでは 総 肝 管 のなだらかな 狭 小 化 を 認 め<br />

るも、 壁 不 整 は 認 めず、 伸 展 は 良 好 であった。 胆 汁 細 胞 診 では<br />

classIIIaであった。 術 前 診 断 は 慢 性 胆 嚢 炎 であったが、 胆 嚢 癌 も 否 定<br />

し 得 なかったため、 肝 外 胆 管 切 除 再 建 の 準 備 も 行 って 開 腹 手 術 を 施 行<br />

した。 術 中 所 見 では 肝 門 部 、 肝 床 部 へ 癒 着 した、 壁 肥 厚 を 伴 う 胆 嚢 を<br />

認 めた。また 胆 嚢 管 リンパ 節 は 弾 性 硬 に 触 知 したものの、 肝 十 二 指 腸<br />

間 膜 やNo8のリンパ 節 は 触 知 しなかった。 胆 道 系 の 損 傷 に 十 分 注 意 し<br />

ながら 胆 嚢 管 周 囲 およびcalot’s…triangleの 慎 重 に 剥 離 を 行 い、 胆 嚢<br />

摘 出 術 を 施 行 、 術 中 迅 速 組 織 診 断 にて 膿 瘍 形 成 を 伴 う 慢 性 胆 嚢 炎 との<br />

診 断 で、その 後 の 病 理 組 織 診 断 でも 同 様 であった。 術 後 経 過 は 良 好 で<br />

あった。 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P58-7 胆 嚢 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 の5<br />

例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 医 学 部 附 属 病 院 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科<br />

○… 中 尾 圭 介 , 伴 大 輔 , 藍 原 有 弘 , 落 合 高 徳 , 入 江 工 ,<br />

工 藤 篤 , 中 村 典 明 , 田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 背 景 】 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 嚢 炎 (Xanthogranulomatous…cholecystitis:<br />

以 下 XGC)は 胆 嚢 炎 の 一 亜 型 であるが、 多 彩 な 画 像 所 見 を 呈 するため<br />

に 確 定 診 断 が 困 難 なことがある。 胆 嚢 壁 に 肉 芽 腫 を 形 成 し 他 臓 器 への<br />

浸 潤 傾 向 を 示 すため 周 囲 組 織 への 炎 症 波 及 が 高 度 な 場 合 、 胆 嚢 癌 との<br />

鑑 別 が 問 題 となる。<br />

【 方 法 】2000 年 1 月 から2011 年 12 月 までに 当 科 で891 例 の 胆 嚢 摘 出 術 が<br />

施 行 され、 胆 嚢 癌 53 例 、 胆 石 症 および 良 性 疾 患 が838 例 であった。 術<br />

後 病 理 組 織 学 的 にXGCと 診 断 された 症 例 は7 例 に 認 められ、その 中 で<br />

術 前 に 胆 嚢 癌 との 鑑 別 に 難 渋 したXGCの5 例 について 検 討 した。<br />

【 結 果 】 男 性 3 例 、 女 性 2 例 。 年 齢 の 中 央 値 は69 歳 。いずれの 症 例 も、<br />

術 前 画 像 検 査 で 胆 嚢 癌 を 否 定 できず 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 が 施 行 された。 術<br />

中 迅 速 病 理 学 的 検 査 で 悪 性 所 見 を 認 めず、 最 終 病 理 検 査 でXGCと 診<br />

断 された。<br />

【 症 例 】65 歳 男 性 。 近 医 で 胆 嚢 ポリープについて 経 過 観 察 されていた。<br />

心 窩 部 痛 にて 近 医 を 受 診 し、 各 種 検 査 により 胆 嚢 癌 が 疑 われ 当 院 を 紹<br />

介 された。 腫 瘍 マーカーはCEA、CA19-9、DUPAN2いずれも 上 昇 なく、<br />

腹 部 超 音 波 検 査 、CT、MRIで 胆 嚢 壁 の 全 周 性 肥 厚 と 肝 床 の 胆 嚢 壁 が<br />

不 明 瞭 となり 肝 床 側 への 浸 潤 が 疑 われた。 腹 部 血 管 造 影 検 査 では 肥 厚<br />

した 胆 嚢 壁 内 に 嚢 胞 状 領 域 を 認 め、PETでは 軽 度 集 積 (SUV…max…5.3)<br />

を 認 めた。XGCの 可 能 性 もあると 考 えられたが、 胆 嚢 癌 の 可 能 性 を<br />

否 定 できないため 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 術 中 迅 速 病 理 学 的 検 査<br />

では 悪 性 所 見 を 認 めず、 最 終 病 理 検 査 でXGCと 診 断 された。<br />

【 考 察 】XGCは 全 胆 嚢 摘 出 例 の3~5%に 認 められ、50~60 歳 に 好 発 す<br />

る 比 較 的 まれな 炎 症 性 疾 患 で、 男 性 にやや 多 い 傾 向 にある。また<br />

XGCの7.5~12.5%に 胆 嚢 癌 の 併 存 を 認 めるとされる。 術 中 迅 速 病 理 学<br />

的 検 査 では 癌 併 存 を 診 断 できないこともあるため、 術 式 選 択 には 更 な<br />

る 議 論 の 余 地 がある。<br />

【 結 語 】 胆 嚢 癌 との 鑑 別 に 難 渋 したXGCの5 例 を 経 験 したので 文 献 的<br />

考 察 を 含 めて 報 告 する。<br />

P59-1 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 46 症 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

北 九 州 市 立 医 療 センター 外 科<br />

○… 松 永 浩 明 , 林 晃 史 , 古 賀 裕 , 中 原 千 尋 , 古 賀 健 一 郎 ,<br />

斎 村 道 代 , 田 辺 嘉 高 , 渡 部 雅 人 , 末 原 伸 泰 , 阿 南 敬 生 ,<br />

西 原 一 善 , 阿 部 祐 治 , 岩 下 俊 光 , 中 野 徹 , 光 山 昌 珠<br />

十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 は 比 較 的 予 後 良 好 な 疾 患 であるが、 予 後 因 子 に 基 づ<br />

いた 合 理 的 な 治 療 戦 略 が 望 まれている。 今 回 は 当 院 で 経 験 した46 症 例<br />

について 予 後 因 子 について 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】 男 性 17 例 、 女 性<br />

29 例 、 平 均 年 齢 は68 歳 であった。… 大 きさ、 肉 眼 型 、 組 織 型 、 神 経 浸 潤 、<br />

脈 管 浸 潤 、リンパ 節 転 移 、 膵 浸 潤 、 十 二 指 腸 浸 潤 、stage、 予 後 を 評<br />

価 した。【 結 果 】1)StageはI…11 例 、II…12 例 、III…13 例 、IVA8 人 、IVB<br />

は2 人 で5 年 生 存 率 はI88%、II100%、III…30%、IVA…42%、IVB…0%であっ<br />

た。2) 予 後 因 子 に 関 しては、 肉 眼 型 、 組 織 型 、 間 質 量 、INF、 神 経 や<br />

十 二 指 腸 浸 潤 は 有 意 差 無 く、リンパ 節 転 移 (+:5 生 44%、-:79%、p<br />

=0.0037)、リンパ 管 浸 潤 (+:5 生 :42%、-:83%、p=0.011)、 血<br />

管 浸 潤 (+:5 生 33%…、-:73…%、p=0.0002)、 大 きさ(2cm


P59-3 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 切 除 例 の 予 後 予 測 因 子 の 検 討 と 治 療<br />

方 針<br />

1<br />

名 古 屋 大 学 医 学 部 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学 、 2 名 古 屋 セン<br />

トラル 病 院 外 科<br />

○… 末 永 雅 也 1<br />

, 藤 井 努 1<br />

, 山 田 豪 1<br />

, 奥 村 徳 夫 1<br />

, 杉 本 博 行 1<br />

,<br />

野 本 周 嗣 1<br />

, 竹 田 伸 1<br />

, 中 尾 昭 公 2 1<br />

, 小 寺 泰 弘<br />

【 目 的 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 予 後 予 測 因 子 を 検 討<br />

し、 外 科 治 療 方 針 について 考 察 する。【 対 象 】 当 科 にて1975 年 4 月 から<br />

2011 年 11 月 に 経 験 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 切 除 例 80 例 【 結 果 】PD…37 例 、<br />

PPPD…34 例 、SSPPD…3 例 、PHRSD…5 例 、TP…1 例 が 施 行 された。 周 囲<br />

進 展 度 t1/t2/t3/t4はそれぞれ16 例 /15 例 /37 例 /11 例 であった。リンパ<br />

節 転 移 は 切 除 例 の46.8%に 認 め、n0/n1/n2/n3は42 例 /17 例 /16 例 /4 例<br />

であった。 総 合 的 進 行 度 fStageI/II/III/IVa/IVbは14 例 /10 例 /32 例 /18<br />

例 /5 例 で、5 年 生 存 率 は90.0%/40.5%/41.6%/32.1%/0%であった。 予 後<br />

予 測 因 子 に 関 する 単 変 量 解 析 では、 露 出 腫 瘤 型 以 外 の 肉 眼 型 、 組 織 学<br />

的 十 二 指 浸 潤 陽 性 、t2 以 上 、 組 織 学 的 リンパ 節 転 移 陽 性 、 組 織 学 的 リ<br />

ンパ 管 浸 潤 陽 性 、 組 織 学 的 静 脈 浸 潤 陽 性 、 組 織 学 的 神 経 周 囲 浸 潤 陽 性<br />

の 各 群 において、 有 意 に 予 後 が 不 良 であった。 多 変 量 解 析 ではリンパ<br />

節 転 移 陽 性 が 独 立 した 予 後 不 良 予 測 因 子 であった(ハザード 比 …2.32、<br />

P=…0.034)。リンパ 節 転 移 陽 性 例 のみの 解 析 では、5 年 生 存 率 は22.3%<br />

であった。リンパ 節 転 移 はt2 以 上 の 周 囲 進 展 度 では63 例 中 35 例 (55.6%)<br />

に 認 められた。またt1 症 例 では、 深 達 度 mでは 転 移 を 認 めなかったの<br />

に 対 し、 深 達 度 がodの 場 合 7 例 中 2 例 (28.6%)に 転 移 を 認 めた。また、<br />

リンパ 節 転 移 陽 性 例 の54.1%(20/37 例 )はn2 以 上 であった。PHRSDを<br />

施 行 した 症 例 にはリンパ 節 転 移 は 認 められなかった。【 考 察 】 深 達 度<br />

od 以 上 ではリンパ 節 転 移 を 高 頻 度 に 認 め、リンパ 節 転 移 陽 性 例 は 予<br />

後 不 良 であった。t2 以 上 ではn2 症 例 も 認 めるため、D2 郭 清 を 伴 う 術<br />

式 が 必 要 である。また、t1であっても 深 達 度 odではリンパ 節 転 移 の 可<br />

能 性 がある。 現 時 点 では 病 理 学 的 深 達 度 mを 確 実 に 術 前 に 診 断 するこ<br />

とは 困 難 であるとされており、T1と 術 前 診 断 された 症 例 でも 縮 小 手<br />

術 ではなく 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 選 択 することが 妥 当 である<br />

P59-4 膵 頭 部 領 域 癌 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 長 期 成 績<br />

国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 秦 正 二 郎 , 島 田 和 明 , 大 黒 聖 二 , 岸 庸 二 , 奈 良 聡 ,<br />

江 崎 稔 , 小 菅 智 男<br />

【 目 的 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 する 一 般 的 な 根 治 術 式 である 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 の 当 院 における 長 期 成 績 ・ 予 後 因 子 を 解 析 する。【 方 法 】 対<br />

象 は1998 年 1 月 から2008 年 12 月 までに、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 して 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 った60 例 。 臨 床 病 理 学 的 因 子 ( 年 齢 ・ 性 別 ・ 術 前<br />

減 黄 の 有 無 ・ 術 前 CA…19-9 値 ・ 幽 門 輪 温 存 の 有 無 ・ 腫 瘍 の 肉 眼 型 ・ 組<br />

織 学 的 分 化 度 ・ 腫 瘍 径 ・リンパ 節 転 移 ・ 膵 浸 潤 ・ 十 二 指 腸 浸 潤 ・ 神 経<br />

浸 潤 ・リンパ 管 浸 潤 ・ 静 脈 浸 潤 ・ 局 所 癌 遺 残 度 )と 術 後 生 存 期 間 に 関<br />

して、 単 変 量 解 析 及 び 多 変 量 解 析 を 行 った。【 結 果 】フォローアップ<br />

期 間 の 中 央 値 は58ヶ 月 。 門 脈 合 併 切 除 を 要 した 症 例 はなかった。 術 後<br />

30 日 以 内 の 死 亡 を1 例 認 めた。3 年 生 存 率 、5 年 生 存 率 はそれぞれ<br />

75.3%、73.4%であった。 予 後 因 子 に 関 して 単 変 量 解 析 を 行 ったところ、<br />

腫 瘍 の 肉 眼 型 ( 潰 瘍 の 有 無 )(p=0.013)、 腫 瘍 径 (2cm 未 満 …vs…2cm 以 上 )<br />

(p=0.015)、リンパ 節 転 移 有 無 (p=0.019)、 膵 浸 潤 有 無 (p=0.016)、の4<br />

因 子 で 予 後 に 有 意 差 を 認 めた。この4 因 子 に 関 して、 多 変 量 解 析 を 行 っ<br />

たところ、 腫 瘍 径 2cm 以 上 が 有 意 な 予 後 不 良 因 子 であった(p=0.029、<br />

Odds 比 …0.199、95%CI…0.027-0.865)。【 結 論 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 す<br />

る 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 は、 安 全 かつ 良 好 な 予 後 が 期 待 できる、 標 準 術 式<br />

と 考 えられる。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 行 った 症 例 の 中 では、 様 々な 臨 床<br />

病 理 学 的 因 子 のうち、 腫 瘍 径 のみが 有 用 な 予 後 予 測 因 子 であった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P59-5 当 院 における 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 の 治 療 成 績<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 大 平 正 典 , 北 郷 実 , 田 邊 稔 , 河 地 茂 行 , 板 野 理 ,<br />

篠 田 昌 宏 , 八 木 洋 , 北 川 雄 光<br />

【 目 的 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 における 治 療 法 、 病 理 診 断 および 予 後 因<br />

子 を 検 証 し、 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 の 治 療 成 績 、 特 に 縮 小 治 療 の 適 応 に<br />

関 し 検 討 する。【 対 象 】1986 年 から2011 年 に 当 院 で 切 除 され、 最 終 病<br />

理 検 査 で 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 と 診 断 された57 例 を 対 象 とした。 術 前 診 断<br />

は 腺 腫 10 例 、 炎 症 2 例 、 腺 癌 45 例 であった。 治 療 法 は 内 視 鏡 的 乳 頭 切<br />

除 術 (EP:4 例 )、 経 十 二 指 腸 的 乳 頭 切 除 術 (3 例 )、 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 (PpPD:50 例 )であった。【 結 果 】 術 前 病 理 診 断 が 腺<br />

腫 であった2 例 と 腺 癌 であった2 例 に 対 してEPが 行 われた。いずれの<br />

症 例 も 術 前 のEUSおよびIDUSにて 膵 管 と 十 二 指 腸 進 展 を 認 めず、 術<br />

後 病 理 診 断 も 同 様 であり 術 後 再 発 を 認 めなかった。 術 前 病 理 診 断 で 悪<br />

性 と 診 断 されなかった12 例 のうち5 例 では 術 後 病 理 検 査 で 腺 癌 と 診 断<br />

され、かつ 膵 臓 、 十 二 指 腸 への 組 織 学 的 浸 潤 、またはリンパ 節 転 移 を<br />

認 めた。いずれも 術 前 EUSおよびIDUSにて 管 腔 内 進 展 が 疑 われたた<br />

め 縮 小 治 療 の 適 応 がないと 判 断 しPpPDが 行 われた。 術 前 検 査 にて 悪<br />

性 所 見 を 認 めなくても 詳 細 な 進 展 度 および 深 達 度 検 索 が 治 療 法 選 択 に<br />

必 要 であることが 示 唆 された。またT2 症 例 において16 例 中 7 例 にリン<br />

パ 節 転 移 を 認 め、うち3 例 は2 群 以 上 のリンパ 節 転 移 を 認 めた。 術 前 に<br />

組 織 浸 潤 が 疑 われるT2 以 上 の 症 例 に 対 してD2 郭 清 を 伴 うPpPDが 必<br />

要 であると 考 えられた。【 結 語 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 腫 瘍 の 治 療 選 択 として、<br />

EUSやIDUSによる 進 展 度 および 深 達 度 検 査 は 腺 腫 およびT1 腺 癌 症 例<br />

における 内 視 鏡 治 療 および 局 所 切 除 などの 縮 小 手 術 の 適 応 判 断 に 有 用<br />

であると 考 えられた。また 術 前 膵 、 十 二 指 腸 浸 潤 が 疑 われるような 症<br />

例 は 術 前 に 悪 性 所 見 が 得 られなくても 根 治 切 除 が、T2 以 上 の 症 例 は<br />

D2 郭 清 を 伴 うPpPDが 必 要 であると 考 えられた。<br />

P59-6 十 二 腸 乳 頭 部 癌 の 再 発 因 子 および 再 発 形 式 についての<br />

検 討<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 金 森 淳 , 加 藤 祐 一 郎 , 後 藤 田 直 人 , 木 下 敬 弘 ,<br />

高 橋 進 一 郎 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

目 的 :1993 年 から2011 年 までに 当 科 にて 切 除 した 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 86<br />

例 ( 男 性 52 例 , 女 性 34 例 . 平 均 年 齢 65 歳 )を 対 象 とし、 術 後 再 発 因 子 お<br />

よび 再 発 形 式 について 検 討 した。 結 果 : 術 式 は 経 十 二 指 腸 的 乳 頭 部 切<br />

除 7 例 / 膵 温 存 十 二 指 腸 切 除 3 例 /PPPD17 例 /SSPPD56 例 /PD3 例 。 肉 眼<br />

型 は 非 露 出 腫 瘤 型 20 例 / 露 出 腫 瘤 型 40 例 / 腫 瘤 潰 瘍 型 13 例 / 潰 瘍 腫 瘤 型 6<br />

例 / 潰 瘍 型 7 例 であった。 組 織 型 はpap8 例 /tub1…37 例 /tub2…31 例 /tub3…<br />

7 例 /sig1 例 /asc1 例 /Invasive…micropapillary…type1 例 、 深 達 度 はm 癌<br />

13 例 /od 癌 8 例 /od< 癌 65 例 であった。リンパ 節 転 移 (pN)は51%(44 例 )<br />

に 認 め、 深 達 度 別 ではm 癌 0%,od 癌 25%(2 例 ),od< 癌 65%(42 例 )で<br />

あった. 膵 浸 潤 (pPanc) 陽 性 は48%(41 例 )、 十 二 指 腸 浸 潤 (pDu) 陽 性<br />

は73%(63 例 )であった。 再 発 は38%(od 癌 1 例 /od< 癌 33 例 )に 認 め、 肝 ・<br />

リンパ 節 ・ 腹 膜 再 発 が 多 かった。 経 十 二 指 腸 的 乳 頭 部 切 除 例 7 例 の 内 、<br />

姑 息 切 除 の1 例 を 除 き6 例 全 例 m 癌 であり、 再 発 は 認 めていない。 再 発<br />

因 子 は 単 変 量 解 析 では、 年 齢 65 歳 以 上 / 深 達 度 od


P59-7 当 センターにおける 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 に 対 する 外 科 切<br />

除 の 長 期 成 績<br />

栃 木 県 立 がんセンター 外 科<br />

○… 齋 藤 智 明 , 白 川 博 文 , 富 川 盛 啓 , 尾 澤 巌 , 尾 形 芳 朗 ,<br />

菱 沼 正 一<br />

目 的 : 栃 木 県 立 がんセンターにおける 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の 切 除 成 績 を<br />

明 らかにする. 対 象 :1988 年 ~2010 年 に 当 センターで 切 除 された 十 二<br />

指 腸 乳 頭 部 癌 29 例 を 対 象 とした. 全 例 に 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 および 今 永 再 建 が 施 行 されていた. 結 果 : 男 : 女 =14 例 :15 例 , 年<br />

齢 は 平 均 66 歳 (45-85 歳 ), 術 前 CEA 値 は 平 均 2.8ng/ml(0.7-15ng/<br />

ml),CA19-9 値 4771U/ml(0.5 以 下 -136919U/ml). 平 均 手 術 時 間 455<br />

分 (255-851 分 ), 術 中 出 血 量 908ml(311-2129ml).pStageは,I…/…II…<br />

/…III…/…IV:6 例 /…9 例 /…13 例 /…1 例 であった. 術 後 成 績 において,3/5 年<br />

生 存 率 は70.6%…/…52.2%, 中 央 値 101ヶ 月 であり,Disease…specificで 検<br />

討 すると,3/5 年 生 存 率 は,76.2%…/…60.6%,そして 術 後 無 再 発 生 存 期<br />

間 中 央 値 は109ヶ 月 と 良 好 な 切 除 成 績 であった. 術 後 再 発 は9 例 に 認 め,<br />

初 回 再 発 形 式 は 肝 転 移 が6 例 (66.7%)と 最 も 多 く,さらにそのうち5 例<br />

は 多 発 性 であった. 腹 膜 播 種 再 発 も5 例 あり,このうち 肝 転 移 伴 う 症<br />

例 とSMA 周 囲 リンパ 節 転 移 を 伴 う 症 例 を3 例 に 認 め,うち1 例 は 肝 転 移 ,<br />

腹 膜 播 種 およびSMA 周 囲 リンパ 節 転 移 を 併 存 していた. 再 発 治 療 は<br />

化 学 療 法 が3 例 に 施 行 されていたが 奏 功 は 不 良 で, 再 発 からの 平 均 生<br />

存 期 間 は11ヶ 月 , 中 央 値 は7ヶ 月 であった.まとめ: 十 二 指 腸 乳 頭 部<br />

癌 は 切 除 により 長 期 生 存 も 期 待 しうる 一 方 , 再 発 時 には 病 変 が 全 身 性<br />

に 広 範 に 広 がっている 状 態 で 発 見 される 頻 度 が 高 く 有 効 な 治 療 法 も 乏<br />

しい. 今 後 , 進 行 再 発 症 例 での 治 療 成 績 向 上 が 求 められる.<br />

P59-8 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 の 術 後 再 発 危 険 因 子 を 考 慮 した 治 療<br />

戦 略<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター 中 国 がんセン<br />

ター<br />

○… 伊 禮 俊 充 , 種 村 匡 弘 , 本 明 慈 彦 , 若 原 誠 , 朴 美 和 ,<br />

井 上 雅 史 , 文 正 浩 , 平 岡 和 也 , 木 下 尚 弘 , 西 谷 暁 子 ,<br />

清 水 洋 祐 , 富 永 春 海 , 畑 中 信 良 , 吉 川 幸 伸 , 上 池 渉<br />

【 背 景 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 ( 以 下 VK)は、 胆 道 癌 のなかでは 比 較 的 予<br />

後 良 好 とされる。しかし、 根 治 切 除 を 施 行 し 得 た 症 例 でも 再 発 例 を 散<br />

見 し、 有 効 な 術 後 補 助 療 法 の 確 立 が 急 務 である。 同 時 に 再 発 リスクの<br />

高 い 症 例 を 効 率 的 に 選 択 しクローズフォローアップを 行 う 必 要 がある。<br />

本 研 究 では、VKの 術 後 再 発 危 険 因 子 を 探 求 し、 治 療 戦 略 について 検<br />

討 した。【 対 象 と 症 例 】1995 年 1 月 から2011 年 6 月 までに 当 院 で 根 治 度<br />

AもしくはB 手 術 を 施 行 し 得 たVK…14 例 ( 平 均 年 齢 67.1 歳 、 男 性 7 人 、 女<br />

性 7 人 )を 対 象 とした。 平 均 観 察 期 間 は52.3カ 月 (6-161カ 月 )。 術 式 は 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)9 例 、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PpPD)5 例 で<br />

全 例 D2リンパ 節 郭 清 が 実 施 されていた。【 結 果 】 病 理 組 織 学 的 検 討 では、<br />

平 均 腫 瘍 径 は25.3mm(8-50mm)。 分 化 度 はwell/papillary/<br />

moderately/poorly:…5/4/4/1 例 。T 因 子 ( 胆 道 癌 取 扱 規 約 第 5 版 )は<br />

T1/2/3/4:…4/3/6/1 例 。14 例 中 5 例 に 所 属 リンパ 節 転 移 を 認 めた(N1/2:…<br />

2/3 例 )。pStage…1/2/3/4a/4b:…4/3/4/2/1 例 。 術 後 補 助 化 学 療 法 を 追<br />

加 した 症 例 はなかった。3 年 、5 年 生 存 率 は 共 に67.7%。5 例 に 術 後 再 発<br />

を 認 めた( 肝 転 移 再 発 :5 例 、 肝 + 肺 転 移 再 発 :2 例 )。 再 発 2 例 に 対 し<br />

gemcitabineによる 化 学 療 法 を 追 加 したが 無 効 で、 再 発 5 例 全 員 癌 死 し<br />

た( 術 後 9-50カ 月 で 死 亡 )。 危 険 因 子 の 解 析 では、リンパ 節 転 移 の 存 在<br />

のみが 生 存 期 間 、 再 発 に 対 し 有 意 な 危 険 因 子 であり(p=0.002)、 同 じ<br />

Stage3 症 例 であってもリンパ 節 転 移 を 認 めた 症 例 は 全 例 再 発 し、リン<br />

パ 節 転 移 のない2 症 例 では 術 後 7,52ヶ 月 の 現 在 無 再 発 生 存 中 である。<br />

その 他 の 臨 床 病 理 学 的 因 子 ( 腫 瘍 径 、 腫 瘍 分 化 度 、 肉 眼 形 態 、ly/v 因 子 、<br />

術 式 など)は 生 存 、 再 発 の 有 意 な 危 険 因 子 とはなっていなかった。【 結<br />

語 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 切 除 例 の 検 討 では、リンパ 節 転 移 の 有 無 が 無 再<br />

発 生 存 に 寄 与 する 危 険 因 子 であり、リンパ 節 転 移 のある 症 例 では、ク<br />

ローズフォローアップだけでなく、 術 後 補 助 療 法 を 積 極 的 に 追 加 すべ<br />

きであり、 現 在 進 行 中 の 臨 床 試 験 により、エビデンスの 高 い 術 後 補 助<br />

療 法 の 確 立 が 熱 望 される。<br />

P59-9 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 十 二 指 乳 頭 部 癌 、 十 二 指<br />

腸 癌 40 例 の 検 討<br />

仙 台 オープン 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 佐 藤 龍 一 郎 , 及 川 昌 也 , 矢 澤 貴 , 小 山 淳 , 柿 田 徹 也 ,<br />

本 多 博 , 土 屋 誉<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 および 十 二 指 腸 癌 は、 解 剖 学 的 な 特<br />

徴 から 比 較 的 早 期 から 症 状 が 出 やすく、 上 部 内 視 鏡 検 査 で 発 見 できる<br />

という 特 徴 がある。ともに 十 二 指 腸 に 発 生 する 悪 性 腫 瘍 であるが、 比<br />

較 的 稀 な 疾 患 であることから 治 療 成 績 、 予 後 因 子 の 差 異 は 明 らかでは<br />

ない。そこで 当 院 にて 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)を 施 行 した40 例 の 臨<br />

床 病 理 学 的 特 徴 を 解 析 した。【 対 象 】2000~2011 年 に 当 科 でPDが 施 行<br />

された 乳 頭 部 癌 35 例 および 十 二 指 腸 癌 5 例 。【 結 果 】 乳 頭 部 癌 症 例 は 男<br />

性 : 女 性 =19:16 名 、 平 均 年 齢 70.3 歳 (56-83)で 平 均 観 察 期 間 が44.4か<br />

月 (4-128)。 最 大 腫 瘍 径 は 平 均 22mm(9-44mm)、Stage…I/II/III/IV…<br />

10/6/9/10であった。 初 発 症 状 としては 黄 疸 / 肝 機 能 異 常 が12 例 、 腹<br />

痛 11 例 、 急 性 膵 炎 3 例 、 体 重 減 少 3 例 、 発 熱 1 例 、 無 症 状 5 例 で、86%で<br />

何 らかの 症 状 を 認 めていた。 組 織 深 達 度 の 進 行 に 伴 いリンパ 節 転 移 が<br />

有 意 に 増 加 しT1:…1/11…(9%),…T2:…5/10(50%),…T3:…8/11(72%),…T4:…<br />

2/3(66%)であった。 腫 瘍 最 大 径 とリンパ 節 転 移 の 有 無 には 有 意 差 は<br />

認 められなかった。 進 行 症 例 中 の6 例 に 再 発 を 認 め、 全 症 例 の 無 再 発<br />

生 存 期 間 はそれぞれ1:3:5 年 生 存 率 で97%:80%:80%であった。 一<br />

方 、 十 二 指 腸 癌 は5 例 。 男 性 : 女 性 =3:2 名 、 平 均 年 齢 64.6 歳 (51-76)、<br />

平 均 観 察 期 間 28.8か 月 (1-71)。 最 大 腫 瘍 径 は 平 均 53(20-110)mmと 乳 頭<br />

部 癌 より 大 型 であった。 初 発 症 状 としては 心 窩 部 痛 4 例 、 無 症 状 1 例 で<br />

あった。2 例 に 再 発 を 認 め、 局 所 再 発 (8ヶ 月 ),… 肝 転 移 再 発 (48ヶ 月 )そ<br />

れぞれ15ヶ 月 、71ヶ 月 で 死 亡 した。【 考 察 】 乳 頭 部 癌 は 胆 道 閉 塞 を 主<br />

とした 症 状 が 比 較 的 早 期 に 顕 性 化 しやすく、 早 期 で 発 見 された 症 例 で<br />

は 再 発 の 危 険 は 低 かった。 一 方 、 十 二 指 腸 癌 は 進 行 しての 発 見 が 多 い<br />

ことを 反 映 して 予 後 不 良 である 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

P60-1 Intraductalpapillaryneoplasmofthebileduct<br />

(IPNB) 切 除 例 の 検 討<br />

山 口 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学<br />

○… 橋 本 憲 輝 , 為 佐 卓 夫 , 前 田 祥 成 , 坂 本 和 彦 , 岡 正 朗<br />

【はじめに】 近 年 、 胆 管 内 に 乳 頭 状 増 殖 を 示 す 腫 瘍 はIPNBと 称 され、<br />

膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 、 粘 液 性 嚢 胞 膵 腫 瘍 と 類 似 したものとして 注 目<br />

されているが、 疾 患 概 念 や 分 類 を 含 め 不 明 な 点 が 多 い。 従 来 の 粘 液 産<br />

生 胆 管 腫 瘍 や 肝 内 胆 管 癌 の 胆 管 内 発 育 型 腫 瘍 、 胆 管 嚢 胞 腺 腫 ・ 癌 など<br />

がIPNBに 含 まれる。【 対 象 】 当 科 にて2001 年 以 降 に 経 験 したIPNB7 例<br />

の 臨 床 的 病 理 学 的 特 徴 について 検 討 した。【 結 果 】 平 均 年 齢 は74.5 歳 で、<br />

男 : 女 は5:2であった。 肉 眼 所 見 では 嚢 胞 内 乳 頭 状 腫 瘍 が5 例 、 胆 管<br />

拡 張 を 伴 う 腫 瘤 性 病 変 が2 例 であった。 術 式 は 拡 大 右 葉 切 除 が2 例 、 拡<br />

大 左 葉 切 除 が2 例 、 拡 大 左 葉 切 除 + 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 が1 例 、 左 葉 切 除<br />

+ 胃 部 分 切 除 が1 例 、 右 3 区 域 切 除 が1 例 で、リンパ 節 郭 清 は 全 例 で 施<br />

行 した。 病 理 組 織 学 的 検 査 では 高 分 化 型 腺 癌 が5 例 、 中 ~ 低 分 化 型 腺<br />

癌 が2 例 、 粘 液 腺 癌 が1 例 で、 粘 液 産 生 は3 例 に 認 めた。 周 囲 への 進 展<br />

度 はt1が2 例 、t2が4 例 (ss:3 例 、Panc1a:1 例 )、t4が1 例 (si)であった。<br />

リンパ 節 転 移 は1 例 のみに 認 めた。 全 例 で 広 範 な 胆 管 内 水 平 進 展 を 認<br />

めたが、 胆 管 断 端 は 陰 性 であった。 治 癒 切 除 を 施 行 した6 例 は 無 再 発 ( 平<br />

均 無 再 発 期 間 63.8カ 月 )であった。 再 発 した1 例 は、 初 回 手 術 時 に 近 接<br />

臓 器 浸 潤 ( 胃 、 小 網 )を 認 め、 組 織 型 が 粘 液 腺 癌 で、 切 除 脂 肪 織 断 端 が<br />

陽 性 であった。 術 後 3カ 月 目 に 肝 内 再 発 および 播 種 再 発 を 生 じ、 術 後 1<br />

年 5カ 月 で 死 亡 した。【まとめ】IPNBに 対 し 治 癒 切 除 が 可 能 であった<br />

症 例 では 再 発 を 認 めず、 長 期 予 後 が 良 好 であることが 示 唆 された。<br />

-430-


P60-2 当 院 で 経 験 した 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB)の2 切 除 例<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 大 島 稔 , 上 村 淳 , 野 毛 誠 示 , 前 田 典 克 , 柏 木 裕 貴 ,<br />

山 本 尚 樹 , 赤 本 伸 太 郎 , 藤 原 理 朗 , 岡 野 圭 一 , 臼 杵 尚 志 ,<br />

鈴 木 康 之<br />

症 例 1:80 歳 代 女 性 。 右 季 肋 部 痛 、 腹 満 感 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し、 肝<br />

嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され 精 査 加 療 目 的 で 当 院 を 紹 介 された。 造 影 CTで<br />

肝 左 葉 に 直 径 11cmの 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 嚢 胞 壁 に 造 影 効 果 を 伴 う<br />

15mm 大 の 小 結 節 を2か 所 指 摘 された。 肝 嚢 胞 性 病 変 内 小 結 節 はFDG-<br />

PETで 異 常 集 積 を 認 めた。 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 し、 病 理 組 織 学 的 検<br />

査 で 胆 管 嚢 胞 腺 癌 と 診 断 された。また 肝 嚢 胞 性 病 変 は 肝 内 胆 管 との 交<br />

通 は 明 らかではなかったが 卵 巣 様 間 質 を 認 めなかったため、WHO 分<br />

類 のintraductal…papillary…neoplasm…with…high-grade…intraepithelial…<br />

neoplasiaと 診 断 した。 術 後 2カ 月 現 在 、 無 再 発 生 存 中 である。 症 例 2:<br />

60 歳 代 男 性 。 以 前 より 肝 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 されていたが、 増 大 傾 向 で<br />

あり 手 術 を 希 望 され 当 科 を 受 診 した。 造 影 CTで 肝 外 側 区 に 直 径 5.5cm<br />

の 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 嚢 胞 壁 に18mm 大 の 小 結 節 を 認 めた。FDG-<br />

PETでは 肝 嚢 胞 性 病 変 壁 に 異 常 集 積 を 認 めた。 肝 左 様 切 除 を 施 行 し、<br />

病 理 組 織 学 的 検 査 で 胆 管 嚢 胞 腺 癌 と 診 断 された。 肝 嚢 胞 性 病 変 は 肝 内<br />

胆 管 との 交 通 が 明 らかであり、また 卵 巣 様 間 質 を 認 めなかったため、<br />

intraductal… papillary… neoplasm… with… high-grade… intraepithelial…<br />

neoplasiaと 診 断 した。 術 後 4カ 月 現 在 、 無 再 発 生 存 中 である。 肝 癌 取<br />

扱 い 規 約 第 5 版 における 胆 管 嚢 胞 腺 癌 はWHO 分 類 (2010)では<br />

intraductal…papillary…neoplasmあるいはMCNに 分 類 され、 肝 内 胆 管<br />

との 交 通 があり、 卵 巣 様 間 質 を 認 めないことがintraductal…papillary…<br />

neoplasm…of…bile…duct…(IPNB)の 特 徴 とされている。IPNBの2 切 除 例 を、<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P60-3 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 の1 例<br />

東 京 医 科 大 学 病 院 消 化 器 ・ 小 児 外 科<br />

○… 土 方 陽 介 , 永 川 裕 一 , 松 土 尊 映 , 高 橋 恒 輔 , 宮 原 光 興 ,<br />

許 文 聰 , 菊 池 哲 , 鈴 木 芳 明 , 粕 谷 和 彦 , 土 田 明 彦<br />

症 例 は62 歳 男 性 。 心 窩 部 痛 と 嘔 吐 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 。 肝 逸 脱 酵 素 と<br />

胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 め、CTでは 総 胆 管 から 肝 内 胆 管 にかけ 著 明 な<br />

拡 張 を 認 めた。ERCPでは 胆 管 内 に 所 々 透 亮 像 を 認 め、バルーンでク<br />

リーニングすると 粘 液 の 排 出 を 認 めた。POCSでは 後 区 域 枝 起 始 部 近<br />

傍 に 毛 細 血 管 を 伴 う 乳 頭 状 の 隆 起 性 病 変 を 認 め、 生 検 結 果 はadenoma、<br />

胆 汁 細 胞 診 はClass…3bであった。 以 上 より 粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 と 診 断 し<br />

た. 腫 瘍 は 後 区 域 枝 のみで 前 区 域 枝 , 右 肝 管 の 粘 膜 は 正 常 であったが,<br />

後 区 域 枝 起 始 部 近 傍 に 腫 瘍 が 存 在 したことから 術 式 は 肝 右 葉 切 除 とし<br />

た. 病 理 検 査 所 見 ではIntraductal…papillary…adenomaであり 胆 管 内 乳<br />

頭 状 腫 瘍 (IPNB)と 診 断 した. 免 疫 染 色 では 異 形 細 胞 にp53が 弱 陽 性 を<br />

示 しki-67の 陽 性 細 胞 は 一 部 のみであった。IPNBは 近 年 注 目 されてい<br />

るが,その 症 例 数 は 少 なく 臨 床 病 理 学 的 特 徴 は 不 明 な 点 が 多 い. 一 方 ,<br />

IPNBは 悪 性 の 頻 度 が 高 いとされているが 自 験 例 では 腺 腫 であった。<br />

病 理 学 的 特 徴 を 中 心 に 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P60-4 粘 液 産 生 性 肝 内 胆 管 乳 頭 状 腺 腫 の 一 例<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 山 田 圭 吾 , 谷 口 弘 毅 , 坂 木 桃 子 , 松 村 博 臣 , 藤 信 明 ,<br />

大 垣 雅 晴 , 竹 中 温<br />

患 者 は76 歳 の 男 性 。2011 年 4 月 に 心 窩 部 不 快 感 を 自 覚 した。 同 年 6 月 に<br />

前 医 を 受 診 し, 腹 部 超 音 波 検 査 にて, 肝 S4およびS5の 肝 内 胆 管 に 限<br />

局 した, 径 10mm 程 の 拡 張 を 認 めた。<br />

同 年 6 月 , 精 査 ・ 加 療 目 的 に 当 院 消 化 器 科 を 受 診 した。 採 血 上 , 明 ら<br />

かな 異 常 所 見 を 認 めず, 腫 瘍 マーカーは,CEA…2.2,CA19-9…4と 正 常 範<br />

囲 内 であった。CTおよびMRCPでは, 肝 S4とS5の 境 界 部 に 径 2cmほ<br />

どの, 多 房 性 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。 病 変 は 内 側 区 域 肝 内 胆 管 と 交 通<br />

していた。 明 かな 充 実 成 分 は 認 めなかった。 肝 門 部 周 囲 リンパ 節 に 明<br />

らかな 腫 大 を 認 めなかった。 分 枝 型 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 を 疑 う 所 見 で<br />

あった。ERCPでは, 拡 張 胆 管 は 造 影 されなかった。 胆 道 鏡 検 査 では<br />

総 胆 管 内 腔 に 異 常 所 見 を 認 めなかった。 胆 汁 細 胞 診 では,<br />

Adenocarcionoma…cannot…be…ruled…outの 診 断 であった。PETでは,<br />

明 らかなFDGの 取 り 込 みを 認 めなかった。<br />

以 上 より, 術 前 診 断 は 粘 液 産 生 性 肝 内 胆 管 腫 瘍 とした。ICG 検 査 では,<br />

15 分 値 15.5%と 軽 度 高 値 を 認 めたことと, 悪 性 の 可 能 性 が 低 いことを<br />

考 慮 し, 同 年 8 月 に 肝 S4 区 域 切 除 術 および 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 手<br />

術 時 間 は2 時 間 5 分 , 出 血 量 は1075mlであった。 病 理 結 果 は,<br />

Intraductal…papillary…neoplasm…(adenoma…with…sever…atypia)…of…the…<br />

bile…duct(IPNB),…Rt,…m,…S4,…4cm,…pSM,…NL…の 診 断 であった。 術 後 は<br />

外 来 にて 経 過 観 察 のみとした。12 月 現 在 , 再 発 を 認 めず 良 好 に 経 過 中<br />

である。<br />

粘 液 産 生 性 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 は, 比 較 的 新 しい 疾 患 概 念 として 近 年 報<br />

告 例 を 散 見 する。 同 疾 患 概 念 確 立 の 一 助 となると 考 え, 自 験 例 を 報 告<br />

する。<br />

P60-5 出 血 性 肝 嚢 胞 と 鑑 別 を 要 した 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB)<br />

の1 例<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 I<br />

○… 柿 坂 達 彦 , 中 西 一 彰 , 横 尾 英 樹 , 蒲 池 浩 文 , 敦 賀 陽 介 ,<br />

神 山 俊 哉 , 武 冨 紹 信<br />

【 背 景 】 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 …intraductal…papillary…neoplasm…of…the…bile…<br />

duct…(IPNB)… は 胆 管 内 腔 に 乳 頭 状 増 殖 を 示 す 胆 管 上 皮 性 腫 瘍 であり、<br />

WHO 分 類 では 胆 道 嚢 胞 性 腫 瘍 のひとつとして 分 類 された。 今 回 、 出<br />

血 性 肝 嚢 胞 と 鑑 別 を 要 したIPNBの 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症<br />

例 】 症 例 は65 歳 、 男 性 。 腹 痛 を 主 訴 に 前 医 を 受 診 し、 腹 部 CTで 肝 右<br />

葉 を 占 める 出 血 性 肝 嚢 胞 の 診 断 となった。 貧 血 の 進 行 、 病 巣 の 増 大 を<br />

認 めていたため、 肝 動 脈 塞 栓 による 止 血 術 を2 回 施 行 された。 有 症 状<br />

の 出 血 を 繰 り 返 す 肝 嚢 胞 で 悪 性 疾 患 も 否 定 できないため、 手 術 目 的 に<br />

当 科 紹 介 入 院 となった。 腹 部 は 平 坦 ・ 軟 で 圧 痛 なく、 肝 は 触 知 せず。<br />

肝 機 能 はChild-Pugh 分 類 でA、ICGR15は14.0%で、liver…damageはA<br />

であった。AFP、PIVKA…II、CEA、CA19-9はすべて 正 常 値 であった。<br />

腹 部 CTにて 前 区 域 ・S4に13cm 大 の 比 較 的 厚 い 壁 に 被 包 化 された 嚢 胞<br />

を 認 めた。 内 部 に 単 純 CTにて 高 吸 収 域 を 示 す 構 造 を 認 め 血 腫 と 考 え<br />

られた。 明 らかに 増 強 される 充 実 性 構 造 は 認 めなかった。 嚢 胞 内 容 は<br />

T1・T2 強 調 像 でそれぞれhigh…intensityを 呈 し、 出 血 成 分 を 反 映 して<br />

いると 考 えられた。 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 を 予 定 したが 残 肝 が 小 さいため<br />

門 脈 塞 栓 術 を 施 行 し、18 日 後 に 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 、 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行<br />

した。 術 中 の 胆 管 造 影 にて 嚢 胞 内 に 造 影 剤 の 流 入 を 認 め、 胆 管 との 交<br />

通 を 認 めた。 手 術 時 間 は5 時 間 5 分 、 出 血 量 は240mlであった。 切 除 標<br />

本 の 肉 眼 所 見 では 凝 血 塊 が 充 満 した 大 小 の 嚢 胞 性 病 変 が 多 発 していた。<br />

組 織 所 見 では、 大 型 の 嚢 胞 に 上 皮 の 裏 装 を 認 めなかったが、 小 嚢 胞 に<br />

好 酸 性 胞 体 の 上 皮 が 裏 装 しており、 一 部 低 乳 頭 状 構 造 をとって 内 腔 に<br />

増 生 していた。 上 皮 細 胞 の 免 疫 染 色 はCK7,…CK19 陽 性 で 胆 管 上 皮 由 来<br />

で あ り、IPNB、oncocytic…type、intermediate-grade…intraepithelial…<br />

neoplasiaの 診 断 となった。 上 皮 を 認 めない 大 型 嚢 胞 部 分 も 同 一 の 腫<br />

瘍 と 考 えた。 特 に 合 併 症 なく 経 過 し、 術 後 13 日 目 に 退 院 となった。【ま<br />

とめ】IPNB 病 変 は 胆 道 出 血 を 呈 する 場 合 があり、 本 症 例 は 出 血 性 肝<br />

嚢 胞 と 鑑 別 困 難 な 病 態 を 呈 したと 考 えられた。 出 血 を 伴 う 嚢 胞 性 病 変<br />

の 中 には 腫 瘍 成 分 が 混 在 している 可 能 性 があり 注 意 を 要 する。<br />

-431-


P60-6 7 年 間 経 過 を 追 えた 肝 内 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB)の1<br />

切 除 例<br />

1<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 、 2 磐 田 市 立 総 合 病 院 外 科<br />

○… 平 出 貴 乗 1<br />

, 坂 口 孝 宣 1<br />

, 柴 崎 泰 1<br />

, 森 田 剛 文 1<br />

, 鈴 木 敦 司 1<br />

,<br />

福 本 和 彦 1<br />

, 稲 葉 圭 介 1<br />

, 鈴 木 昌 八 2 1<br />

, 今 野 弘 之<br />

今 回 、 我 々は 肝 のう 胞 と 肝 内 胆 管 拡 張 を7 年 間 の 経 過 観 察 した 後 、の<br />

う 胞 から 腫 瘍 性 病 変 に 変 化 したため 手 術 切 除 を 行 い、 胆 管 内 乳 頭 状 腫<br />

瘍 (intraductal…papillary…neoplasm…of…the…bile…duct:IPNB)と 診 断 し<br />

た1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は77 歳 、 男 性 。2000 年 に 右 背 部<br />

および 季 肋 部 痛 を 主 訴 に 受 診 。 肝 臓 および 腎 臓 にのう 胞 を 認 め、 腹 部<br />

CT 検 査 等 で 経 過 観 察 されていた。2004 年 、 肝 のう 胞 から 連 続 する 右<br />

後 区 域 の 胆 管 の 拡 張 を 認 め、 胆 汁 細 胞 診 も 施 行 したが 悪 性 所 見 はなく、<br />

原 因 不 明 とされた。その 後 の 経 過 観 察 中 にLemmel 症 候 群 を 契 機 に 発<br />

症 した 繰 り 返 す 総 胆 管 結 石 、 胆 管 炎 に 対 して4 回 の 内 視 鏡 的 切 石 術 が<br />

施 行 された。2010 年 になり、それまでのう 胞 として 経 過 観 察 していた<br />

病 変 に 腫 瘍 様 の 充 実 性 成 分 が 出 現 したため、 繰 り 返 す 総 胆 管 結 石 症 と<br />

肝 病 変 に 対 して 手 術 を 行 うこととした。2011 年 4 月 、 肝 右 葉 切 除 、 肝<br />

外 胆 管 切 除 、 胆 道 再 建 術 を 施 行 した。 病 理 所 見 では 拡 張 した 肝 内 胆 管<br />

内 に 異 形 性 の 乏 しい 円 柱 上 皮 細 胞 が 乳 頭 管 状 に 増 殖 して、 限 局 性 に 内<br />

腔 を 充 満 している 像 を 認 めた。 粘 液 およびサイトケラチンの 免 疫 染 色<br />

プ ロ フ ァ イ ル で はCK7,MUC1,MUC5AC,MUC6,CDX-2は 陽 性 、<br />

CK20,MUC2は 陰 性 であったが、 詳 細 な 病 理 学 的 検 討 の 結 果 、IPMNgastric…type<br />

様 の 形 態 の 非 常 に 高 分 化 な 乳 頭 状 腺 管 癌 と 診 断 した。<br />

IPNBは 比 較 的 まれな 疾 患 であるため、 術 前 の 確 定 診 断 が 困 難 なこと<br />

も 多 い。 病 理 組 織 学 的 観 点 や 臨 床 的 位 置 付 けを 含 む 疾 患 概 念 は 議 論 も<br />

多 く、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P60-7 肺 転 移 をきたした 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 の1 例<br />

尾 道 市 立 市 民 病 院 外 科<br />

○… 村 田 年 弘 , 中 井 肇<br />

【はじめに】 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 ( 以 下 IPNB)は 大 型 胆 管 内 に 腫 瘍 細 胞<br />

が 乳 頭 状 に 増 殖 し、しばしば 粘 液 産 生 や 胆 管 拡 張 がみられることが 多<br />

く、 境 界 病 変 あるいは 低 悪 性 度 の 組 織 像 を 呈 する。 予 後 は 通 常 型 の 肝<br />

内 胆 管 癌 と 比 して 比 較 的 良 好 であり、 他 臓 器 に 転 移 することはまれで<br />

ある。 今 回 我 々は 肺 転 移 をきたしたIPNBの1 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。【 症 例 】 症 例 は84 歳 、 男 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 当 院 受 診 、 血 液 検<br />

査 にて 肝 機 能 障 害 を 認 め、 精 査 加 療 目 的 に 入 院 となった。 腹 部 US 検<br />

査 にて 肝 左 葉 に 大 きさ4cm 大 の 腫 瘤 を 認 め、 肝 内 胆 管 は 拡 張 し、 内 部<br />

に 乳 頭 状 の 腫 瘍 を 認 めた。CTでは 左 葉 の 腫 瘤 は 造 影 効 果 を 有 しており、<br />

左 肝 管 内 に 粘 液 と 考 えられる 像 を 認 めた。MRIではT2 強 調 画 像 で 境<br />

界 不 明 瞭 な 高 信 号 を 示 す 病 変 として 描 出 され、 拡 散 強 調 像 では 高 信 号<br />

を 呈 していた。ERCPではB2,3,4の 肝 内 胆 管 は 拡 張 し、 血 腫 が 乳 頭 部<br />

から 排 出 された。 以 上 から 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 し、 手 術 を 行 った。 手 術<br />

は 肝 左 葉 + 左 尾 状 葉 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除 およびリンパ 節 郭 清 、 右 肝 管<br />

空 腸 吻 合 を 行 った。 摘 出 標 本 において 肝 内 胆 管 には 粥 状 の 腫 瘍 が 充 満<br />

しており、 表 層 進 展 は 認 めなかった。 病 理 検 査 にて 腫 瘍 は 胆 管 内 を 進<br />

展 するように 高 分 化 型 腺 癌 の 増 生 を 認 めるも、 肝 実 質 には 浸 潤 を 認 め<br />

ず、IPNBと 診 断 された。しかし、Vp0、Vv1、Va0と 血 管 侵 襲 を 認 め<br />

た。 免 疫 染 色 にてMUC-1,MUC-2 陰 性 であり、MUC-5AC 一 部 陽 性 、<br />

MUC-6 陽 性 でGastric…typeのIPNBと 考 えられた。 術 前 の 胸 部 CTにて<br />

左 肺 S6に5mm 大 の 結 節 を 認 めていたが 小 さいため 経 過 観 察 としてい<br />

た。しかし 結 節 は7ヶ 月 後 には7mm 大 、9ヶ 月 後 には8mm 大 と 徐 々に<br />

増 大 してきたため 悪 性 疾 患 を 考 え 手 術 を 施 行 した。 手 術 は 左 肺 の 区 域<br />

切 除 を 行 った。 病 理 結 果 にて 粘 液 産 生 性 の 腫 瘍 を 認 め、IPNBと 同 様<br />

の 形 態 像 を 呈 しており 転 移 と 考 えられた。【まとめ】 悪 性 度 が 低 いと<br />

されているIPNBであるが 本 症 例 のように 肺 転 移 をきたすことがある<br />

ため 厳 重 なる 経 過 観 察 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

P60-8 左 肝 管 に 発 生 したIntraductalpapillaryneoplasmof<br />

thebileduct(IPNB)の 一 切 除 例<br />

田 附 興 風 会 医 学 研 究 所 北 野 病 院 消 化 器 センター 外 科<br />

○… 戸 田 怜 , 寺 嶋 宏 明 , 飯 田 拓 , 川 本 浩 史 , 井 上 善 景 ,<br />

門 野 賢 太 郎 , 吉 冨 摩 美 , 野 村 明 成 , 上 田 修 吾 ,<br />

尾 崎 信 弘<br />

症 例 は66 歳 、 女 性 。 近 医 での 血 液 検 査 にて 肝 酵 素 の 上 昇 を 認 めたため、<br />

当 院 消 化 器 内 科 を 紹 介 受 診 された。 腹 部 CTで 脂 肪 肝 と 胆 石 を 指 摘 さ<br />

れたが、 特 に 症 状 を 認 めなかったため 経 過 観 察 となった。 初 診 から5ヶ<br />

月 経 過 後 、 患 者 が 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 施 行 を 希 望 し、 術 前 胆 管 分 岐<br />

形 態 評 価 のため 腹 部 MRIを 施 行 したところ、 左 肝 管 内 の 腫 瘍 性 病 変 と<br />

左 肝 内 胆 管 拡 張 を 認 めた。EUS、IDUSでも 左 肝 管 内 に 腫 瘍 性 病 変 を<br />

認 め、 同 部 位 の 生 検 結 果 では 腺 癌 が 最 も 疑 われた。 各 種 画 像 検 査 で 左<br />

肝 管 内 腫 瘍 は 左 肝 動 脈 や 門 脈 への 明 らかな 浸 潤 はなく、ERCでも 右<br />

肝 管 や 総 肝 管 への 明 らかな 進 展 は 認 められなかった。なお 腫 瘍 からの<br />

粘 液 の 過 剰 産 生 を 示 唆 する 所 見 は 内 視 鏡 的 には 明 らかではなかった。<br />

以 上 より 左 肝 管 主 座 の 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 し、 左 肝 内 胆 管 内 にENBD<br />

を 留 置 して 胆 管 内 減 圧 を 行 った 後 、 肝 左 葉 切 除 及 び 左 尾 状 葉 切 除 、 肝<br />

外 胆 管 切 除 術 、リンパ 節 郭 清 を 施 行 した。 術 中 所 見 では 明 らかな 脈 管<br />

浸 潤 やリンパ 節 腫 大 はなく、 胆 管 は 前 後 区 域 枝 分 岐 部 付 近 の 右 肝 管 で<br />

切 離 し、 術 中 迅 速 組 織 診 で 切 離 胆 管 断 端 ( 右 肝 管 および 総 胆 管 断 端 )の<br />

癌 陰 性 を 確 認 した。 胆 道 再 建 は 後 結 腸 性 に 挙 上 したRoux-enY 脚 と 右<br />

肝 管 との 端 側 吻 合 にて 行 なった。 摘 出 標 本 では 左 肝 管 内 に 軟 らかい 乳<br />

頭 状 の 隆 起 性 病 変 を 認 め、 左 肝 管 に 狭 窄 を 来 していた。 組 織 学 的 には<br />

胆 管 内 に 乳 頭 状 の 上 皮 の 増 殖 を 認 め、 異 型 はそれほど 目 立 たず、 間 質<br />

浸 潤 も 明 らかではなく、Intraductal…papillary…neoplasm…of…the…bile…<br />

duct…(IPNB),…low…grade,…gastric…typeと 診 断 された。なお 酵 素 抗 体 法<br />

ではMUC6 陽 性 であった。 術 後 経 過 は 良 好 で、 特 に 重 篤 な 合 併 症 なく<br />

第 25 病 日 に 退 院 し、 現 在 元 気 に 社 会 復 帰 している。IPNBは 膵 の<br />

intraductal…papillary…mucinous…neoplasm…(IPMN)と 類 似 するとされ<br />

る 比 較 的 稀 な 疾 患 であり、 今 回 その 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P60-9 胆 管 内 乳 頭 腫 瘍 (IPNB)の1 例<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 統 合 がん<br />

治 療 外 科 学 講 座<br />

○… 土 屋 朗 之 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

,<br />

水 間 正 道 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

, 大 塚 英 郎 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 林 洋 毅 1<br />

,<br />

1,2<br />

中 川 圭 , 岡 田 恭 穂 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

,<br />

力 山 敏 樹 1 1,2<br />

, 片 寄 友 , 江 川 新 一 1 1<br />

, 海 野 倫 明<br />

胆 管 内 乳 頭 腫 瘍 (intraductal…papillary…neoplasm…of…the…bile…duct:…<br />

IPNB)は、 胆 管 内 に 乳 頭 状 の 増 殖 を 示 す 腫 瘍 の 新 しい 概 念 である。 今<br />

回 、われわれはIPNBと 診 断 された 肝 内 胆 管 腫 瘍 の1 例 を 経 験 したので<br />

報 告 する。 症 例 は74 才 、 女 性 。 一 過 性 の 黄 疸 を 自 覚 し、 近 医 を 受 診 。<br />

腹 部 超 音 波 検 査 にて 肝 内 胆 管 の 拡 張 が 指 摘 され、 当 院 に 紹 介 となった。<br />

腹 部 CT 検 査 にて 肝 内 胆 管 B3の 限 局 性 拡 張 と、 拡 張 部 より 中 枢 側 胆 管<br />

に 軟 部 陰 影 が 認 められた。ERCP 検 査 では、B3の 限 局 性 拡 張 と 粘 液 と<br />

思 われる 透 亮 像 が 確 認 された。 胆 管 内 超 音 波 検 査 下 で 腫 瘍 部 の 擦 過 細<br />

胞 診 が 施 行 され、Adenocarcinomaと 診 断 された。 上 部 消 化 管 内 視 鏡<br />

検 査 で、 十 二 指 腸 乳 頭 からの 粘 液 排 出 ははっきりと 認 められないもの<br />

の、 粘 液 産 生 肝 内 胆 管 癌 の 術 前 診 断 にて、 肝 左 葉 切 除 術 および<br />

Spiegel 葉 切 除 術 が 施 行 された。B3 分 岐 部 直 後 の 胆 管 内 に、 乳 頭 状 に<br />

増 殖 する24×9mmの 腫 瘍 が 認 められた。 腫 瘍 の 病 理 組 織 所 見 は、 明<br />

瞭 な 核 小 体 を 有 する 異 型 細 胞 が、 胆 管 走 行 に 沿 って 乳 頭 状 、 腺 管 状 に<br />

増 殖 している 像 が 認 められた。 粘 液 産 生 性 の 細 胞 が 増 殖 する 領 域 と、<br />

粘 液 に 乏 しい 異 型 細 胞 が 増 殖 する 領 域 とが 混 在 し、 後 者 が 優 勢 で 細 胞<br />

分 裂 像 も 散 見 された。 間 質 への 明 らかな 浸 潤 のない 分 化 型 腺 癌 の 像 で、<br />

IPNB,…mucinous…typeと 診 断 となった。 免 疫 染 色 所 見 はAE1/AE3(+),…<br />

MUC1(+,…focal),…MUC2(+,…focal),…MUC5AC(+,…partially),…MUC6(+,…<br />

partially)…CK7(+),…CK19(+),…CK20(-)と 粘 液 産 生 腫 瘍 を 示 唆 する 所<br />

見 であった。 術 後 は 特 に 合 併 症 無 く 経 過 し、 第 17 病 日 に 退 院 となった。<br />

IPNBは 膵 IPMNとの 相 同 性 から、 外 科 的 治 癒 切 除 後 の 良 好 な 予 後 が<br />

期 待 されるが、 新 しい 疾 患 概 念 であり 長 期 予 後 の 評 価 は 今 後 の 症 例 の<br />

蓄 積 が 必 要 であると 考 えられる。<br />

-432-


P61-1 診 断 に 苦 慮 した 胆 嚢 腫 瘍 の1 例<br />

NTT 西 日 本 大 阪 病 院 外 科<br />

○… 金 致 完 , 東 野 健 , 門 田 卓 士 , 今 岡 真 義<br />

症 例 は63 歳 男 性 。 近 医 で 胆 石 症 と 診 断 され 手 術 目 的 で 紹 介 受 診 。 既 往<br />

に 高 血 圧 と 糖 尿 病 があった。 主 訴 は 心 窩 部 痛 で、 前 医 を 退 院 後 も1か<br />

月 程 、 症 状 を 繰 り 返 していた。 受 診 時 の 血 液 検 査 では 白 血 球 は8900/<br />

μl、CRP…3.5mg/dlで、 腫 瘍 マーカー(CEA…3.9…ng/ml,…CA19-9…5…U/<br />

ml)は 正 常 範 囲 内 であった。 腹 部 単 純 CTで 大 きさ90mm…x…40mmと 壁<br />

肥 厚 を 伴 う 胆 嚢 腫 大 を 認 め、 複 数 の 胆 石 を 認 めた。 胆 石 、 慢 性 胆 嚢 炎<br />

の 診 断 で 開 腹 手 術 を 行 った。 胆 嚢 は 横 行 結 腸 と 十 二 指 腸 に 被 覆 され 強<br />

固 に 固 着 して 手 拳 大 の 固 い 腫 瘤 を 形 成 し、 胆 嚢 は 直 視 できず 胆 嚢 付 着<br />

部 の 肝 床 部 には 白 色 状 の 変 化 を 伴 っていた。 悪 性 疾 患 を 強 く 疑 い、 経<br />

肝 的 に 穿 刺 吸 引 細 胞 診 を 行 ったが 炎 症 細 胞 のみであった。 白 色 状 に 変<br />

化 した 肝 実 質 部 位 とリンパ 節 8aを 摘 出 し、 後 日 、 病 理 診 断 で 確 認 する<br />

ことにした。 術 中 所 見 から 胆 嚢 癌 の 肝 浸 潤 、 横 行 結 腸 、 十 二 指 腸 浸 潤<br />

が 疑 われ、 切 除 には 拡 大 右 葉 切 除 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 、 横 行 結 腸 部 分<br />

切 除 が 最 低 限 必 要 と 考 えられた 為 、 切 除 を 行 わず 閉 腹 した。 後 日 、 肝<br />

実 質 は 瘢 痕 組 織 のみでリンパ 節 に 悪 性 細 胞 を 認 めなかった。 術 後 、 再<br />

評 価 の 腹 部 造 影 CTでは 胆 嚢 体 部 から 底 部 にかけ 不 均 一 な 壁 肥 厚 を 認<br />

め、FDG-PET/CTで 同 部 位 はSUV-max…7.9と 高 値 を 示 した。また、<br />

腫 瘍 マーカーはDUPAN-2が1300と 高 値 であった 点 から、 病 理 診 断 で<br />

確 定 には 至 らなかったものの 胆 嚢 癌 の 可 能 性 が 高 いと 考 え、 患 者 に 十<br />

分 なinformed…consentを 行 い、GEM…1000mg/m2 の 投 与 (3 週 投 与 1<br />

週 休 薬 )を 施 行 した。5クール 後 の 評 価 のCTで、 胆 嚢 壁 の 肥 厚 は 軽 度<br />

残 るもの、 胆 嚢 は 全 体 的 に 著 明 に 縮 小 しPRと 診 断 した。また、FDG-<br />

PET/CTでは 異 常 集 積 は 消 失 し、DUPAN-2も 正 常 範 囲 内 となった。<br />

切 除 可 能 と 判 断 し、 再 開 腹 を 行 った。 肝 床 切 除 、D2 郭 清 を 行 い、 横<br />

行 結 腸 については 胆 嚢 と 連 続 した 部 位 に 腫 瘤 を 触 知 した 為 、 小 範 囲 の<br />

合 併 切 除 を 行 い 病 変 部 位 を 摘 出 することができた。 病 理 検 査 の 結 果 、<br />

gangrenous…cholecystitis…with…adenomyomatous…hyperplasiaと 診 断<br />

された。 診 断 に 苦 慮 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P61-2 胆 嚢 漿 膜 下 層 に 発 生 した 線 毛 性 前 腸 性 嚢 胞 の1 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 宮 前 眞 人 , 生 駒 久 視 , 山 本 有 祐 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 ,<br />

塩 崎 敦 , 栗 生 宜 明 , 落 合 登 志 哉 , 大 辻 英 吾<br />

【はじめに】 膵 臓 ではintraductal…papillary…mucinous…neoplasm( 膵<br />

IPMN)の 疾 患 概 念 が 確 立 され、 世 界 的 に 受 け 入 れられている。 一 方 、<br />

胆 管 にも 膵 IPMNと 類 似 の 腫 瘍 が 発 生 し、 粘 液 産 生 性 胆 管 腫 瘍 が 膵<br />

IPMNの 胆 管 カウンターパートとなる 可 能 性 が 報 告 された。 現 在 、 画<br />

像 上 胆 道 周 囲 に 嚢 胞 状 に 描 出 される 病 変 に 注 目 が 集 まっている。 今 回<br />

我 々は 極 めてまれな 胆 嚢 周 囲 に 発 生 した 線 毛 性 前 腸 性 嚢 胞 (ciliated…<br />

foregut…cyst:…CFC)を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告<br />

する。【 症 例 】50 歳 男 性 、 肝 ヘモクロマトーシスの 経 過 観 察 中 、 肝 S8<br />

に 肝 細 胞 癌 を 指 摘 された。 切 除 目 的 に 当 科 紹 介 となった。 一 方 、CT…<br />

USで 胆 嚢 頚 部 に 隣 接 する3cm 大 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。MRIにおい<br />

て 内 部 はT1 強 調 画 像 で 低 信 号 、T2 強 調 画 像 で 高 信 号 を 呈 した。 胆 嚢<br />

内 部 との 境 界 が 明 瞭 に 保 たれていたため、 胆 嚢 に 隣 接 した 嚢 胞 性 病 変<br />

を 疑 った。 肝 S8 亜 区 域 切 除 、 嚢 胞 性 病 変 を 一 括 切 除 する 形 で 胆 嚢 摘<br />

出 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 診 断 では、 多 列 繊 毛 上 皮 に 裏 打 ちされ 平 滑<br />

筋 組 織 を 伴 う 単 房 性 嚢 胞 が 胆 嚢 頚 部 から 胆 嚢 管 にかけて 胆 嚢 漿 膜 下 層<br />

に 存 在 し、 胆 嚢 内 腔 との 交 通 を 認 めず、 胆 嚢 漿 膜 下 層 に 発 生 したCFC<br />

と 診 断 した。【 考 察 】CFCは 胎 児 期 前 腸 の 遺 残 に 由 来 する 嚢 胞 で, 通<br />

常 横 隔 膜 上 で 気 管 や 食 道 嚢 胞 として 散 見 され、 横 隔 膜 下 に 存 在 するこ<br />

とは 稀 とされている。 胆 嚢 に 発 生 したCFCは 検 索 しえた 限 り 数 例 の<br />

報 告 があるのみであった。 今 後 胆 道 周 囲 の 嚢 胞 性 病 変 について 症 例 の<br />

集 積 と 検 討 を 行 うに 当 たり、 貴 重 な1 症 例 であると 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P61-3 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 胆 嚢 線 維 性 ポリープの<br />

1 例<br />

鹿 児 島 市 立 病 院 外 科<br />

○… 槐 島 健 太 郎 , 濱 田 信 男 , 伊 藤 欣 司 , 安 田 洋 , 中 村 登<br />

今 回 、 我 々は 術 前 に 胆 嚢 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 胆 嚢 線 維 性 ポリー<br />

プを 経 験 した。 患 者 は69 歳 、 男 性 。38 歳 時 に 直 腸 癌 に 対 し 直 腸 切 断 術<br />

が 施 行 された 既 往 がある。 平 成 23 年 6 月 の 検 診 にて 胆 嚢 腫 瘍 を 指 摘 され、<br />

精 査 加 療 目 的 にて 当 院 受 診 となった。 腹 部 エコーでは 胆 嚢 底 部 に<br />

9mm 大 の 音 響 陰 影 を 伴 わない 高 エコーの 隆 起 性 病 変 を 認 めた。 腹 部<br />

CTでは 胆 嚢 底 部 遊 離 腹 腔 側 に15mm 大 の 造 影 効 果 のある 腫 瘍 を 認 め<br />

た。 明 らかなリンパ 節 腫 大 、 遠 隔 転 移 は 認 めなかった。MRIでは 腫 瘍<br />

はT1で 低 信 号 、T2で 比 較 的 低 信 号 であった。MRCPでは 明 らかな 胆<br />

管 の 走 行 異 常 や 膵 胆 管 合 流 異 常 は 認 められなかった。 腫 瘍 マーカーは<br />

CEA:2.5ng/ml、CA19-9:3.7U/mlと 正 常 であった。 腺 腫 、 胆 嚢 ポリー<br />

プとの 鑑 別 は 困 難 で、 悪 性 の 可 能 性 も 除 外 できなかったため、 平 成 23<br />

年 10 月 12 日 、まず 開 腹 下 にアプローチし 胆 嚢 摘 出 術 を 行 い、 悪 性 の 場<br />

合 は 肝 床 部 切 除 +リンパ 節 廓 清 、 必 要 に 応 じて 胆 管 切 除 まで 行 う 方 針<br />

として 手 術 を 施 行 した。 上 腹 部 正 中 切 開 にて 開 腹 し、 胆 嚢 を 摘 出 した。<br />

胆 嚢 内 腔 を 展 開 し 確 認 したところ、 腫 瘍 は16x12x10mm 大 の 分 葉 状 の<br />

有 茎 性 ポリープであった。 茎 は 細 く 糸 状 で、 悪 性 であったとしても 漿<br />

膜 下 への 浸 潤 は 肉 眼 的 にはないと 判 断 し 追 加 手 術 は 行 わなかった。 病<br />

理 組 織 学 的 検 索 では、 表 面 は 明 らかな 異 型 、 浸 潤 様 増 殖 を 認 めない 立<br />

法 円 柱 状 皮 で 覆 われ、 間 質 は 浮 腫 状 で 繊 維 芽 細 胞 の 増 生 が 認 められ、<br />

線 維 性 ポリープと 診 断 された。 胆 嚢 線 維 性 ポリープは 稀 な 疾 患 で、 良<br />

性 ではあるが 巨 大 化 する 傾 向 がある。このため 胆 嚢 癌 と 診 断 され 手 術<br />

が 行 われた 症 例 も 少 なくなく、 画 像 診 断 が 発 達 した 現 在 でも、 術 前 確<br />

定 診 断 を 下 すに 至 らない 症 例 がほとんどである。 本 症 について 文 献 的<br />

考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P61-4 20mm 大 の 胆 嚢 コレステロールポリープの1 例<br />

芳 賀 赤 十 字 病 院<br />

○… 高 木 徹 , 俵 藤 正 信<br />

症 例 は47 歳 、 女 性 。 数 年 前 から 胆 嚢 ポリープを 近 医 で 指 摘 され、 増 大<br />

傾 向 のため 当 院 に 紹 介 された。 腹 部 超 音 波 で 胆 嚢 底 部 の 肝 床 側 に 直 径<br />

20mm 大 の 隆 起 性 で 内 部 均 一 ・ 等 エコーの 腫 瘍 を 認 めた。 胆 嚢 壁 への<br />

浸 潤 像 や 腫 瘍 内 部 血 流 は 認 めなかった。 腹 部 造 影 CTでは 腫 瘍 の 壁 外<br />

浸 潤 所 見 や 造 影 効 果 を 認 めず 周 囲 リンパ 節 腫 脹 も 認 めなかった。PET<br />

検 査 では 同 部 に 集 積 は 認 めず、MRCPでは 膵 胆 管 合 流 異 常 が 疑 われた。<br />

若 年 で20mm 大 の 胆 嚢 腫 瘍 で 増 大 傾 向 、 膵 胆 管 合 流 異 常 が 背 景 の 胆 嚢<br />

癌 ( 粘 膜 または 筋 相 浸 潤 )を 考 え、 開 腹 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 の 方 針 とした。<br />

術 中 超 音 波 検 査 では 胆 嚢 底 部 ・ 肝 床 側 に 桑 実 状 で 肝 実 質 へ 浸 潤 のない<br />

20mmの 胆 嚢 腫 瘍 を 認 めた。 術 中 胆 道 造 影 では 胆 嚢 管 は 左 肝 管 から 分<br />

枝 していたが 膵 胆 管 合 流 異 常 は 認 めなかった。 肝 床 を 一 部 切 除 するよ<br />

うに 拡 大 胆 摘 術 を 施 行 した。 術 中 迅 速 診 断 では 悪 性 所 見 は 認 めずリン<br />

パ 郭 清 は 施 行 しなかった。 永 久 病 理 では 胆 嚢 コレステロールポリープ<br />

の 診 断 であった。 胆 嚢 コレステロールポリープは 胆 嚢 良 性 腫 瘍 では 最<br />

頻 出 で 通 常 10mm 以 下 である、20mmは 非 常 に 稀 であり 文 献 的 考 察 を<br />

加 えて 報 告 する。<br />

-433-


P61-5 胆 嚢 動 静 脈 奇 形 の 一 切 除 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学<br />

○… 前 田 栄 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

,<br />

丸 橋 繁 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

1<br />

永 野 浩 昭<br />

【 背 景 】 動 静 脈 奇 形 は、 動 脈 と 静 脈 が 毛 細 血 管 網 を 介 さずに 異 常 吻 合<br />

を 生 じる 先 天 性 疾 患 であり、その 多 くは 脳 や 脊 髄 といった 中 枢 神 経 系<br />

に 発 症 するが、 肺 や 脾 臓 など、すべての 部 位 に 発 生 する 可 能 性 がある。<br />

その 中 でも 胆 嚢 動 静 脈 奇 形 の 報 告 例 は 極 めて 少 ない。【 症 例 】28 歳 女 性 。<br />

20 歳 頃 より 時 折 上 腹 部 痛 を 認 めていたが 放 置 していた。28 歳 時 に 施 行<br />

された 腹 部 超 音 波 検 査 で、 胆 嚢 壁 の 血 流 異 常 を 指 摘 されて 当 院 紹 介 受<br />

診 となった。 腹 部 超 音 波 検 査 では、 胆 嚢 周 囲 に 拡 張 して 蛇 行 した 形 態<br />

異 常 を 示 す 管 腔 構 造 を 認 めた。カラードプラ 検 査 において、 胆 嚢 頸 部<br />

付 近 の 管 腔 内 では 動 脈 波 形 を 示 し、 胆 嚢 底 部 に 移 行 するに 従 い 乱 流 波<br />

形 を 呈 していた。 造 影 CTでは 右 肝 動 脈 から 拡 張 した 胆 嚢 動 脈 の 分 枝<br />

を 認 め、 胆 嚢 壁 を 取 り 囲 む 管 腔 内 は 動 脈 相 から 濃 染 され、 胆 嚢 頸 部 で<br />

は 胆 嚢 動 脈 と 並 走 する 太 い 流 出 静 脈 が 存 在 した。 腹 部 血 管 造 影 検 査 で<br />

は、 右 肝 動 脈 より 分 岐 する 胆 嚢 動 脈 が 拡 張 して 蛇 行 しながら 胆 嚢 壁 に<br />

沿 って 下 降 した 後 、 胆 嚢 底 部 にかけ 異 常 血 管 網 を 形 成 し、 胆 嚢 壁 を 上<br />

行 し 総 胆 管 から 左 右 胆 管 周 囲 にかけて 静 脈 叢 に 移 行 してから 肝 内 門 脈<br />

が 描 出 されることが 観 察 された。 以 上 より、 胆 嚢 に 発 生 した 動 静 脈 奇<br />

形 と 診 断 した。 妊 娠 ・ 出 産 にともなう 血 行 動 態 の 変 化 によって、 異 常<br />

血 管 の 破 裂 や 門 脈 圧 亢 進 症 を 来 たす 可 能 性 を 考 慮 して 胆 嚢 摘 出 術 を 施<br />

行 した。 術 中 所 見 では 胆 嚢 頸 部 に 拡 張 した 胆 嚢 動 脈 とそれに 並 走 する<br />

流 出 静 脈 を 認 め、いずれも 拍 動 を 触 知 した。また、 胆 嚢 底 部 に 拍 動 性<br />

の 拡 張 した 血 管 塊 を 認 めた。 胆 嚢 管 、 胆 嚢 動 脈 及 び 流 出 静 脈 を 胆 嚢 管<br />

レベルで 結 紮 切 離 し、 胆 嚢 摘 出 を 行 った。 病 理 学 的 所 見 では 胆 嚢 壁 の<br />

漿 膜 下 層 に 異 常 拡 張 を 示 す 血 管 が 見 られ、エラスチカ・ワンギーソン<br />

染 色 にて 静 脈 壁 の 特 徴 である 弾 性 繊 維 を 含 む 部 分 と、 動 脈 壁 の 特 徴 で<br />

ある 平 滑 筋 を 含 む 脈 管 を 連 続 性 に 認 め、 胆 嚢 動 静 脈 奇 形 と 診 断 した。<br />

【 結 語 】 胆 嚢 動 静 脈 奇 形 に 関 する 報 告 は 極 めて 少 なく、 検 索 し 得 た 範<br />

囲 では 肝 細 胞 癌 の 治 療 中 に 偶 発 的 に 発 見 された2 例 と、 特 発 性 胆 嚢 穿<br />

孔 に 併 存 した1 例 に 関 してのみであった。 胆 嚢 動 静 脈 奇 形 の 一 例 を 経<br />

験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P61-6 術 前 診 断 しえた 胆 嚢 動 脈 瘤 の1 例<br />

流 山 中 央 病 院 外 科<br />

○… 猪 瀬 悟 史 , 村 山 実 , 佐 竹 昌 也 , 国 吉 昇<br />

【 緒 言 】 胆 嚢 動 脈 瘤 は 急 性 胆 嚢 炎 に 伴 う 胆 道 出 血 の 原 因 の1つとして<br />

報 告 されている 比 較 的 稀 な 疾 患 である。 今 回 、 急 性 胆 嚢 炎 の 術 前 精 査<br />

時 に 発 見 された、 胆 道 出 血 を 認 めない 胆 嚢 動 脈 瘤 の1 切 除 例 を 経 験 し<br />

たので 報 告 する。【 症 例 】60 代 、 男 性 。2009 年 3 月 、 上 腹 部 痛 を 主 訴 に<br />

当 科 を 受 診 した。 血 液 生 化 学 検 査 では 白 血 球 数 、CRP、 肝 胆 道 系 酵 素<br />

の 上 昇 を 認 め、 腹 部 超 音 波 検 査 では 内 腔 に 多 数 の 結 石 を 認 め、 胆 嚢 の<br />

腫 大 、 壁 肥 厚 が 著 明 で、 急 性 胆 嚢 炎 の 診 断 で 入 院 した。 腹 部 造 影 CT<br />

検 査 では 腹 部 超 音 波 検 査 と 同 様 の 所 見 に 加 え、 血 管 構 築 像 にて 右 肝 動<br />

脈 から 分 岐 する 胆 嚢 動 脈 起 始 部 に 動 脈 瘤 を 確 認 した。 以 上 の 所 見 から<br />

胆 嚢 動 脈 瘤 を 併 発 した 急 性 胆 嚢 炎 と 診 断 し 手 術 を 施 行 した。 手 術 所 見<br />

では 胆 嚢 は 腫 大 、 壁 肥 厚 が 著 明 で、 大 網 の 癒 着 も 強 く 剥 離 に 難 渋 した。<br />

まず 胆 嚢 動 脈 を 動 脈 瘤 より 末 梢 側 で 結 紮 切 離 し、 底 部 から 頚 部 に 向 か<br />

い 胆 嚢 を 剥 離 し 摘 出 し、 右 肝 動 脈 をテーピングしたのち 胆 嚢 動 脈 瘤 の<br />

切 離 にとりかかった。 動 脈 瘤 は 右 肝 動 脈 と 癒 着 し 壁 が 菲 薄 化 しており、<br />

剥 離 中 に 噴 出 性 出 血 をきたしたが、 右 肝 動 脈 を 一 時 的 にクランプし 止<br />

血 したのち、 胆 嚢 動 脈 を 起 始 部 で 結 紮 切 離 し 動 脈 瘤 も 切 除 した。 術 中<br />

出 血 量 は330mlであった。 切 除 標 本 所 見 では 胆 嚢 内 腔 に 結 石 が 充 満 し、<br />

粘 膜 面 は 壊 死 性 変 化 をきたしていたが、 出 血 は 認 めなかった。 病 理 組<br />

織 学 的 所 見 では、 胆 嚢 壁 に 全 層 性 の 強 い 炎 症 細 胞 浸 潤 を 認 めた。 胆 嚢<br />

動 脈 瘤 は 術 中 に 壁 損 傷 し 出 血 をきたしたことや、もともと 壁 が 菲 薄 化<br />

していたことなどから 病 理 組 織 学 的 診 断 は 行 えなかった。 術 後 経 過 は<br />

良 好 で、 第 7 病 日 に 退 院 した。【 結 語 】 胆 嚢 動 脈 瘤 は 損 傷 により 術 中 出<br />

血 の 原 因 になりうるものと 考 えられる。 本 症 例 では 術 前 診 断 として 腹<br />

部 造 影 CT 検 査 が 有 用 であった。 比 較 的 稀 な 胆 嚢 動 脈 瘤 の1 例 を 経 験 し<br />

たので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P61-7 胆 嚢 摘 出 後 のtraumaticneuromaの1 例<br />

1<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 ・ 消 化 器 外 科 、<br />

2<br />

秩 父 市 立 病 院 地 域 医 療 連 携 室<br />

○… 福 井 太 郎 1<br />

, 野 田 弘 志 1<br />

, 渡 部 文 昭 1<br />

, 神 山 英 範 2<br />

,<br />

1<br />

小 西 文 雄<br />

症 例 は70 歳 代 , 女 性 . 既 往 歴 に25 年 前 に 開 腹 での 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 さ<br />

れていた.2006 年 に 胆 道 系 酵 素 上 昇 を 契 機 に 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変<br />

(PBC)と 診 断 され, 肝 庇 護 薬 内 服 で 経 過 観 察 されていたが, 通 院 を 自<br />

己 中 断 していた.2010 年 4 月 に 再 度 通 院 を 希 望 され,その 際 の 腹 部 超<br />

音 波 検 査 で 総 胆 管 に 腫 瘤 影 と 胆 道 拡 張 を 認 めた. 入 院 精 査 を 行 い, 造<br />

影 CT 検 査 では 中 部 胆 管 に 最 大 径 12mmの 腫 瘤 を 認 めた. 胆 管 造 影 ,<br />

IDUSでは 中 部 胆 管 内 腔 に 突 出 する15mm 大 の 腫 瘤 が 描 出 された. 擦<br />

過 ・ 胆 汁 細 胞 診 はいずれも 陰 性 .EUSで 胆 嚢 管 分 岐 部 付 近 に 腫 瘤 を 認<br />

め, 結 節 状 で 表 面 平 滑 , 内 部 エコーは 不 均 一 であり, 胆 管 壁 由 来 と 思<br />

われた.FDG…PET-CT 検 査 では 胆 管 にSUV…max… 早 期 …3.4, 後 期 3.0の<br />

集 積 と 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 に 集 積 があった. 血 液 検 査 では 黄 疸 なく,<br />

PBCに 伴 う 軽 度 の 肝 障 害 を 認 めたが, 腫 瘍 マーカーの 上 昇 はなかった.<br />

鑑 別 で 胆 嚢 摘 出 後 の 良 性 の 線 維 性 変 化 の 可 能 性 も 考 慮 された. 無 症 状<br />

であったが,PET-CT 検 査 で 集 積 があり, 胆 道 系 の 悪 性 腫 瘍 が 否 定 で<br />

きないため, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)の 可 能 性 を 念 頭 に 入 れ 開 腹 手 術<br />

を 施 行 した. 腫 瘍 は 周 囲 への 浸 潤 はなく, 肝 外 胆 管 を 切 除 し, 腫 瘤 を<br />

術 中 迅 速 診 断 に 提 出 すると, 神 経 腫 の 診 断 であった.PDを 回 避 し 胆<br />

管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した. 術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 18 日 目 に 退 院 し, 外<br />

来 経 過 観 察 中 である.… 最 終 病 理 診 断 は 迅 速 診 断 と 同 じくtraumatic…<br />

neuromaであった. 肝 胆 道 系 に 発 生 する 本 症 は 比 較 的 まれな 疾 患 であ<br />

るが,その 多 くは 胆 嚢 摘 出 術 後 など 胆 道 系 の 手 術 後 に 発 生 し, 胆 嚢 管<br />

や 胆 管 周 囲 の 神 経 切 断 が 原 因 とされる. 時 に 黄 疸 を 来 して 発 見 される<br />

ことがある. 術 前 診 断 は 困 難 とされている. 本 例 も 術 前 診 断 を 確 定 で<br />

きず 手 術 を 施 行 している.また, 手 術 既 往 のない 症 例 の 発 症 も 報 告 さ<br />

れており,さらに 診 断 を 困 難 にしている. 術 前 診 断 に 関 しては, 経 口<br />

的 胆 管 内 視 鏡 (POCS)での 観 察 や 生 検 が 有 用 であったとする 報 告 もあ<br />

る. 本 症 は 良 性 疾 患 であり, 過 大 な 手 術 侵 襲 を 避 ける 上 でも, 慎 重 な<br />

術 前 評 価 が 必 要 となる. 画 像 的 特 徴 を 中 心 に 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え<br />

て 報 告 する.<br />

P61-8 保 存 的 に 治 癒 した 腹 部 鈍 的 外 傷 による 胆 嚢 壁 内 血 腫 の<br />

1 例<br />

1<br />

東 京 北 社 会 保 険 病 院 消 化 器 センター 外 科 、 2 東 京 北 社 会 保 険 病<br />

院 放 射 線 診 断 科<br />

○… 岡 村 淳 1<br />

, 松 下 公 治 1<br />

, 米 神 裕 介 1<br />

, 住 永 佳 久 1<br />

,<br />

2<br />

牧 田 幸 三<br />

腹 部 鈍 的 外 傷 による 胆 嚢 の 単 独 損 傷 は 稀 であるが,…そのなかでも 胆 嚢<br />

壁 内 血 腫 の 報 告 は 本 邦 において 数 例 のみである.… 報 告 では、 治 療 法 と<br />

していずれも 手 術 が 選 択 されていたが,… 今 回 我 々は 保 存 的 に 治 癒 し 得<br />

た1 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する.… 症 例 は15 歳 ,…<br />

男 性 .… サッカーの 試 合 中 に 転 倒 し,… ボールの 上 に 倒 れる 様 にして 腹 部<br />

を 強 打 した.… 来 院 時 バイタルサインは 安 定 しており,… 右 季 肋 部 に 軽 度<br />

の 圧 痛 を 認 めたが,… 腹 膜 刺 激 症 状 は 認 めなかった.… 血 液 検 査 上 は 軽 度<br />

の 肝 逸 脱 酵 素 ,… 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 めたが,… 炎 症 反 応 の 上 昇 ,… 貧 血 は<br />

認 めなかった.… 腹 部 CT 検 査 では 胆 嚢 の 腫 大 ,… 全 周 性 の 壁 の 浮 腫 状 肥 厚 ,…<br />

壁 内 の 高 吸 収 を 示 す 陰 影 を 認 め,… 胆 嚢 壁 内 血 腫 と 診 断 した.… 臨 床 所 見<br />

が 安 定 していたため,… 保 存 的 治 療 を 行 った.… 保 存 的 治 療 で 腹 部 所 見 は<br />

消 失 し,… 検 査 所 見 の 悪 化 も 認 めず,… 受 傷 後 7 日 目 に 退 院 となった.… 受 傷<br />

後 1ヶ 月 の 画 像 所 見 では,… 壁 の 肥 厚 は 残 存 していたが 血 腫 は 消 失 して<br />

いた.… 受 傷 後 3ヶ 月 の 画 像 所 見 では,… 異 常 所 見 を 認 めなかった.<br />

-434-


P62-1 胆 道 再 々 建 術 施 行 例 の 背 景 疾 患 と 手 術 成 績 の 検 討<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 吉 田 優 子 , 味 木 徹 夫 , 上 野 公 彦 , 沢 秀 博 , 大 坪 出 ,<br />

村 上 冴 , 篠 崎 健 太 , 新 関 亮 , 外 山 博 近 , 木 戸 正 浩 ,<br />

松 本 逸 平 , 福 本 巧 , 具 英 成<br />

【はじめに】 胆 道 疾 患 における 胆 管 空 腸 吻 合 術 後 の 胆 道 再 々 建 術 は、<br />

胆 管 周 囲 の 高 度 癒 着 に 伴 う 術 中 出 血 量 の 増 加 や 術 後 合 併 症 が 多 く、ま<br />

た 吻 合 部 の 再 狭 窄 を 来 す 率 が 高 いとの 報 告 もあり、 特 に 良 性 胆 管 狭 窄<br />

に 対 しての 手 術 適 応 には 慎 重 を 期 す 必 要 がある。 今 回 我 々は、 自 験 例<br />

での 胆 道 再 々 建 術 施 行 症 例 において、 疾 患 背 景 、 手 術 成 績 について 比<br />

較 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】2000 年 から2010 年 の 間 に、<br />

当 科 で 胆 道 再 々 建 術 を 施 行 した7 例 を 対 象 とし、 胆 道 再 々 建 術 施 行 理<br />

由 が 悪 性 疾 患 であった5 例 を 悪 性 群 、 良 性 疾 患 であった2 例 を 良 性 群 と<br />

し、 手 術 関 連 因 子 について 比 較 検 討 を 行 った。【 結 果 】 男 女 比 は2:5、<br />

平 均 年 齢 61 歳 (30-77)、 初 回 から2 回 目 手 術 までの 期 間 は1-252ヶ 月 。 初<br />

回 胆 道 再 建 術 の 理 由 は、 先 天 性 総 胆 管 拡 張 症 3 例 、 胆 管 癌 ・IPNB・ 肝<br />

膿 瘍 ・ 良 性 胆 管 狭 窄 が 各 1 例 であった。また、 胆 道 再 々 建 術 を 実 施 し<br />

た 理 由 は、 肝 門 部 胆 管 癌 2 例 、 中 部 胆 管 癌 1 例 、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 1 例 、<br />

IPNB 再 発 1 例 、 良 性 胆 管 狭 窄 2 例 であった。 胆 道 再 々 建 術 施 行 時 の 術<br />

式 は、 肝 切 除 術 2 例 ( 拡 大 左 葉 切 除 1 例 ・ 左 葉 切 除 1 例 )、 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 2 例 、 肝 管 空 腸 再 吻 合 3 例 であった。 平 均 手 術 時 間 は、540±133<br />

分 (338-781)[ 良 性 :409 分 、 悪 性 :593 分 (p=0.25)]、 平 均 出 血 量 1182<br />

±660ml(205-2232)[ 良 性 :895ml、 悪 性 :1297ml(p=0.70)]、 平 均 術<br />

後 在 院 日 数 は50±36 日 (14-108)[ 良 性 :16 日 、 悪 性 :64 日 (p=0.05)]<br />

であった。 合 併 症 は、 吻 合 部 縫 合 不 全 3 例 、 術 後 胆 管 炎 2 例 であったが、<br />

いずれも 保 存 的 加 療 で 軽 快 した。 悪 性 群 …5 例 のうち2 例 は 術 後 再 発 の<br />

ため 原 病 死 したが、その 他 の3 例 および 良 性 群 2 例 は 現 在 吻 合 部 再 狭 窄<br />

を 認 めていない。【 結 語 】 胆 道 再 々 建 術 は、 操 作 が 煩 雑 で 手 術 時 間 が<br />

長 く 出 血 量 も 多 かったが、 重 篤 な 合 併 症 を 伴 わず 安 全 に 施 行 できてい<br />

た。そのため、 悪 性 疾 患 に 対 しては 手 術 を 施 行 せざるを 得 ないが、 繰<br />

り 返 す 胆 道 再 建 術 後 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 しての 手 術 適 応 は、 慎 重 に 行 う<br />

べきであると 考 えられた。<br />

P62-2 術 前 診 断 が 困 難 であった 肝 被 膜 下 腫 瘤 の 一 例<br />

横 須 賀 共 済 病 院 外 科<br />

○… 三 宅 謙 太 郎 , 舛 井 秀 宣 , 千 葉 創 , 峯 岸 裕 蔵 , 大 西 宙 ,<br />

高 橋 直 行 , 川 口 大 輔 , 伊 藤 慎 吾 , 小 西 隆 之 , 高 川 亮 ,<br />

南 裕 太 , 成 井 一 隆 , 盛 田 知 幸 , 福 島 忠 男 , 茂 垣 雅 俊 ,<br />

長 堀 薫<br />

症 例 は67 歳 男 性 。 半 年 前 に 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行<br />

し、その 際 胆 道 造 影 で 非 拡 張 型 の 膵 胆 管 合 流 異 常 (komi…IIb)を 認 めた<br />

ため 外 来 で 経 過 観 察 中 であった。 半 年 後 のMRI 検 査 で 肝 S5,8 辺 縁 被 膜<br />

下 にT1、T2 共 に 内 部 に 淡 いhigh…intensity…areaが 混 在 した…25mm 大<br />

のlow…intensity…area…を 認 めた。 発 熱 、 疼 痛 、 炎 症 反 応 上 昇 など 感 染<br />

徴 候 を 示 唆 する 所 見 はなく、 画 像 所 見 からは 肉 芽 腫 やSFT、 血 腫 など<br />

の 良 性 病 変 を 疑 ったがさらに 半 年 後 のMRIでは52mm 大 と 増 大 傾 向 で<br />

ありdynamicCT 検 査 では 早 期 相 、 後 期 相 共 にわずかに 造 影 される<br />

52x17mm 大 の 腫 瘍 を 認 めた。 周 囲 の 肝 実 質 との 境 界 は 不 明 瞭 であり、<br />

周 囲 肝 実 質 は 早 期 で 濃 染 し、 後 期 でiso…densityを 伴 い 被 膜 下 腫 瘍 に 伴<br />

う 圧 排 所 見 を 認 めた。 増 大 傾 向 にあることから 悪 性 腫 瘍 の 可 能 性 もあ<br />

り 外 科 治 療 の 方 針 とした。 右 肋 弓 下 切 開 で 開 腹 すると 肝 S5,8 表 面 に 右<br />

横 隔 膜 、 肝 の 両 者 に 強 固 に 癒 着 する 腫 瘤 を 認 めた。 癒 着 していた 横 隔<br />

膜 を 全 層 合 併 切 除 し、 肝 右 葉 を 授 動 後 に 腫 瘤 の 癒 着 していた 肝 を<br />

Microtaze®で 切 離 線 上 を 焼 灼 後 にCUSA、TissueLink®を 用 いてドー<br />

ム 状 に 無 阻 血 下 に 部 分 切 除 した。 検 体 の 中 心 には 結 石 を 認 め、その 周<br />

囲 に 膿 瘍 、さらにその 外 側 に 周 囲 浸 潤 性 の 肉 芽 組 織 を 認 めた。 病 理 学<br />

的 にも 悪 性 所 見 は 認 めず、 腹 腔 内 落 下 結 石 による 横 隔 膜 下 膿 瘍 であっ<br />

た。 腹 腔 内 落 下 結 石 は 術 後 に 腹 腔 内 膿 瘍 を 形 成 する 可 能 性 があり、 本<br />

症 例 のように 自 覚 症 状 に 乏 しい 例 も 存 在 することから、 術 中 に 可 能 な<br />

限 り 回 収 する 必 要 がある。 術 前 診 断 が 困 難 であった 肝 被 膜 下 腫 瘤 の 一<br />

例 を 経 験 したため 文 献 的 に 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P62-3 胆 嚢 炎 による 胆 嚢 穿 孔 の 特 徴 と 予 後<br />

飯 塚 病 院<br />

○… 播 本 憲 史 , 梶 山 潔 , 永 田 茂 行 , 由 茅 隆 文 , 長 家 尚<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 胆 嚢 穿 孔 は 胆 嚢 炎 の 中 でも 稀 な 病 態 であるが、 急 性 腹<br />

症 として 発 症 し、 迅 速 な 対 応 が 必 要 となる。 今 回 その 臨 床 的 特 徴 と 予<br />

後 を 明 らかにすることを 目 的 に、 当 院 での 胆 嚢 穿 孔 症 例 を 解 析 した。<br />

【 対 象 ・ 方 法 】 当 院 において 胆 嚢 炎 による 胆 嚢 穿 孔 に 対 して 胆 嚢 摘 出<br />

術 を 施 行 された29 例 (1994 年 1 月 ~2011 年 12 月 )を 対 象 とし、 臨 床 病 理<br />

学 的 検 討 を 行 なった。【 結 果 】 平 均 年 齢 72 歳 (34~91 歳 )、 男 性 23 例 、<br />

女 性 6 例 、ASAスコアは2:3:4=7(24%):17(59%):5(17%)、PS3 以<br />

上 は8 例 (28%)がであった。 胆 嚢 穿 孔 のNiemeimerの 分 類 ではtypeI 腹<br />

膜 炎 13 例 、typeII 胆 嚢 周 囲 膿 瘍 10 例 、typeIII 瘻 孔 形 成 6 例 ( 十 二 指 腸 瘻<br />

5 例 、 横 行 結 腸 瘻 1 例 )であった。 胆 嚢 周 囲 膿 瘍 2 例 は 経 過 中 に 腹 膜 炎 を<br />

きたし 緊 急 手 術 となった。 症 状 の 訴 えが 不 能 な 患 者 が 多 く、 診 断 には<br />

造 影 CTが 有 用 であった。 発 症 から 治 療 開 始 までの 期 間 は 中 央 値 4 日 (0<br />

日 ~97 日 )、 入 院 から 手 術 までの 期 間 は 中 央 値 2 日 (0 日 ~20 日 )であった。<br />

完 全 瘻 孔 形 成 症 例 は 待 機 的 手 術 を 行 い、それ 以 外 は 全 例 緊 急 手 術 を<br />

行 った。 術 式 は 全 例 胆 嚢 摘 出 術 を 行 い、2 例 のみ 腹 腔 鏡 下 にて 完 遂 した。<br />

平 均 手 術 時 間 168 分 、 平 均 出 血 量 611ml、 胆 石 を 認 めなかったものは<br />

15 例 (51.7%)と 多 かった。 病 理 組 織 学 的 検 査 では 全 例 炎 症 性 変 化 を 認 め、<br />

胆 嚢 癌 は2 例 (6.9%)であった。 平 均 在 院 日 数 28 日 、 在 院 死 亡 3 例 (10.3%)<br />

で あ り、physiological…and…operative…score…for…the…enumeration…of…<br />

mortality…and…mobidity…(POSSUM)スコアで 求 めた 予 想 死 亡 率 60% 以<br />

上 は 全 員 死 亡 で あ っ た。 合 併 症 は20 例 (68.9%)に 発 生 し、clavien…<br />

grade…IV 以 上 は8 例 (27.5%)で、III 以 下 に 比 べ 有 意 にPOSSUMスコア<br />

が 高 値 であった。【 結 論 】 胆 嚢 穿 孔 は 重 篤 な 全 身 合 併 症 を 有 する 高 齢<br />

者 に 多 く、 迅 速 的 確 な 診 断 が 重 要 であり、 予 後 予 測 にはPOSSUMス<br />

コアが 有 用 であると 思 われた。<br />

P62-4 非 穿 孔 性 胆 嚢 炎 により 発 症 した 漏 出 性 胆 汁 性 腹 膜 炎 の<br />

1 例<br />

JA 岐 阜 揖 斐 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 小 森 充 嗣 , 土 屋 十 次 , 立 花 進 , 熊 澤 伊 和 生 , 西 尾 公 利 ,<br />

佐 野 仁 哉 , 安 福 至<br />

【はじめに】 胆 石 や 胆 嚢 穿 孔 が 明 らかでない 漏 出 性 胆 汁 性 腹 膜 炎 は 本<br />

邦 で 自 験 例 を 含 め11 例 で 極 めて 稀 である。その 病 態 ・ 治 療 について 文<br />

献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。【 症 例 】82 歳 、 男 性 。 受 診 1 日 前 から 続 く 強<br />

い 腹 痛 、 発 熱 (37.9℃)を 主 訴 に 当 院 内 科 を 受 診 された。 血 液 検 査 及 び<br />

腹 部 CT, 超 音 波 検 査 を 施 行 され 白 血 球 8000/micro-l,CRP1.23mg/dlと<br />

軽 度 炎 症 所 見 (その 他 明 らかな 血 液 データ 異 常 は 認 めなかった), 胆 嚢<br />

壁 , 肝 十 二 指 腸 間 膜 及 び 右 腎 周 囲 の 著 明 な 浮 腫 , 肝 周 囲 の 高 度 腹 水 を<br />

認 め, 右 上 腹 部 に 腹 膜 刺 激 症 状 も 併 発 していたため 急 性 壊 死 性 胆 嚢 炎<br />

を 疑 われ 当 科 紹 介 , 手 術 目 的 で 入 院 となった。 開 腹 すると 胆 嚢 周 囲 に<br />

は 多 量 の 胆 汁 が 貯 留 し, 術 前 のCTの 如 く 肝 十 二 指 腸 間 膜 及 び 右 腎 周<br />

囲 の 著 明 な 浮 腫 を 認 め 浮 腫 部 の 漿 膜 を 一 部 切 開 すると 胆 汁 が 漏 出 して<br />

きた。 胆 嚢 壁 は 一 部 暗 赤 色 に 変 化 し 同 部 の 壊 死 に 伴 う 穿 孔 を 疑 い, 胆<br />

嚢 を 用 手 的 に 圧 迫 するも 変 色 部 からの 胆 汁 の 漏 出 は 認 めなかった。 以<br />

上 より 非 穿 孔 性 胆 嚢 炎 のもと 手 術 は 胆 嚢 摘 出 術 及 びドレナージ 術 を 行<br />

い 終 了 とした。 術 後 の 経 過 は 良 好 で12PODに 退 院 となった。 病 理 学<br />

的 検 索 でも 明 らかな 穿 孔 部 は 認 めず, 漿 膜 下 層 の 肥 厚 と 脂 肪 織 炎 の 所<br />

見 を 認 めるのみであった。【 考 察 ・ 結 語 】 自 験 例 は 明 らかな 穿 孔 部 は<br />

認 めないものの 広 範 囲 に 胆 汁 漏 出 を 認 めた。 開 腹 所 見 にあるように 胆<br />

嚢 壁 が 一 部 分 虚 血 性 変 化 を 認 めていることから 同 部 RASの 脆 弱 化 が<br />

引 き 金 となり 周 囲 に 胆 汁 の 漏 出 を 引 き 起 こしたと 考 えられた。 過 去 の<br />

報 告 にもあるように 本 症 は 高 齢 者 に 発 症 することが 多 く 全 身 状 態 の 悪<br />

化 を 回 避 するためにも 適 切 な 時 期 を 逸 せず 手 術 を 含 めた 加 療 を 行 う 必<br />

要 があると 思 われた。<br />

-435-


P62-5 胆 嚢 総 肝 管 瘻 、 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 同 時 に 伴 うMirizzi 症 候<br />

群 の1 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター、 2 日 本 医 科 大<br />

学 外 科<br />

○… 村 木 輝 1<br />

, 鈴 木 英 之 1<br />

, 水 谷 聡 1<br />

, 星 野 有 哉 1<br />

, 渡 辺 昌 則 1<br />

,<br />

2<br />

内 田 英 二<br />

Mirizzi 症 候 群 は 胆 嚢 炎 手 術 においては 稀 に 遭 遇 する 疾 患 であり、 単<br />

純 な 胆 嚢 摘 出 術 では 術 後 に 思 わぬ 合 併 症 を 来 すことも 周 知 の 通 りであ<br />

る。 今 回 、 我 々は 胆 嚢 総 肝 管 瘻 と 同 時 に 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 も 伴 う<br />

Mirizzi 症 候 群 を 経 験 した。 術 式 選 択 ・ 術 中 所 見 を 中 心 に 報 告 する。【 症<br />

例 】 症 例 76 歳 男 性 。20 年 前 より 胆 嚢 内 結 石 を 指 摘 されていた。 数 ヶ 月<br />

前 より 黄 疸 が 出 現 し 当 院 受 診 。 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 めたが 炎 症 反 応<br />

は 軽 度 であった。 腹 部 CTでは3cm 大 の 胆 嚢 頚 部 結 石 と 胆 嚢 壁 の 肥 厚 、<br />

肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 めた。ERCPでは 胆 嚢 頚 部 結 石 による 総 肝 管 の 圧<br />

排 ・ 狭 窄 および 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 確 認 した。 胆 嚢 と 総 肝 管 、 十 二 指 腸<br />

に 瘻 孔 の 形 成 もみた。ENBDチューブを 挿 入 し 減 黄 を 図 った。 胆 管 ・<br />

胆 汁 の 病 理 学 的 検 討 では 悪 性 所 見 はなかった。Mirizzi 症 候 群 の 診 断<br />

で 開 腹 手 術 を 行 った。 胆 嚢 は 硬 化 し、3 管 合 流 部 は 炎 症 により 一 塊 と<br />

なっていた。 頚 部 において 十 二 指 腸 とも 強 固 に 癒 着 しており、 穿 通 部<br />

位 と 判 断 した。 底 部 より 剥 離 を 開 始 し、 十 二 指 腸 瘻 の 体 部 側 で 胆 嚢 を<br />

切 開 、 結 石 除 去 後 に 末 梢 側 で 胆 嚢 を 切 除 すると、 頚 部 は 総 肝 管 および<br />

十 二 指 腸 と 別 個 に 穿 通 していた。 胆 道 ファイバーで 総 胆 管 内 に 遺 残 結<br />

石 がないことを 確 認 後 、この 穿 通 部 からTチューブを 挿 入 した。 胆 嚢<br />

十 二 指 腸 瘻 を 破 壊 せずにTチューブ 挿 入 部 以 外 を 縫 合 閉 鎖 した。 経 過<br />

は 順 調 で 合 併 症 はなかった。【 考 察 】 胆 嚢 胆 管 瘻 、 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を<br />

同 時 に 伴 うMirizzi 症 候 群 の 報 告 は 稀 である。 狭 窄 起 点 や 穿 通 部 位 の<br />

詳 細 な 確 認 にはERCPが 有 用 であった。 両 瘻 孔 が 近 傍 に 位 置 していた<br />

こと、 内 胆 汁 瘻 の 形 成 によりドレナージ 効 果 を 得 ていたことより、<br />

十 二 指 腸 瘻 は 温 存 した。Mirizzi 症 候 群 の 術 式 として 胆 嚢 部 分 切 除 、<br />

結 石 除 去 後 の 胆 嚢 頚 部 閉 鎖 法 、patch…graft 法 が 知 られているが、 高 度<br />

の 炎 症 や 胆 管 欠 損 が 大 きい 場 合 には 胆 道 再 建 を 初 めとして 臨 機 応 変 に<br />

再 建 法 を 選 択 しなければならない。 本 疾 患 の 手 術 にあたっては、<br />

ERCP、 造 影 CTなどの 検 査 で 事 前 に 胆 道 系 の 解 剖 を 把 握 し、 合 併 症<br />

を 起 こさぬよう 準 備 することが 重 要 である。<br />

P62-6 急 性 胆 嚢 炎 から 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 形 成 し 胆 石 性 イレウ<br />

スを 発 症 した 一 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科 学 講 座<br />

○… 千 田 峻 , 岡 田 良 , 八 島 玲 , 小 山 善 久 , 竹 之 下 誠 一<br />

症 例 は68 歳 男 性 。 胆 石 症 にて 当 科 で 待 期 手 術 予 定 であったが、 本 人 の<br />

仕 事 の 都 合 上 先 延 ばしになっていた。 平 成 23 年 11 月 26 日 腹 痛 嘔 吐 を 主<br />

訴 に 当 院 救 急 外 来 受 診 。 腹 部 超 音 波 検 査 で 胆 嚢 腫 大 と 胆 嚢 内 結 石 認 め<br />

た。WBC,CRPの 上 昇 もあり 急 性 胆 嚢 炎 の 診 断 で 入 院 を 勧 めたが 本 人<br />

拒 否 され 外 来 で 抗 生 剤 CFTXの 点 滴 後 に 帰 宅 した。11 月 27 日 再 度 受 診 。<br />

CTで 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 および 空 腸 に 嵌 頓 した3cm 程 度 の 胆 石 を 認 めそ<br />

れによる 胆 石 性 イレウスと 診 断 し 入 院 となった。 入 院 後 に 径 鼻 胃 管 を<br />

挿 入 し 減 圧 をはかったが、 保 存 的 治 療 ではこれ 以 上 の 改 善 は 期 待 でき<br />

ず11 月 28 日 臨 時 手 術 と な っ た。Treiz 靭 帯 か ら80cmの 箇 所 に45×<br />

54mmの 胆 石 が 嵌 頓 しており 同 診 断 にて 胆 嚢 摘 出 術 、 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻<br />

孔 閉 鎖 術 、 総 胆 管 切 石 術 、 胆 石 性 イレウス 解 除 術 施 行 。 病 理 では 胆 嚢<br />

粘 膜 にびらん、 出 血 を 認 め 急 性 胆 嚢 炎 に 矛 盾 せず、 漿 膜 側 と 十 二 指 腸<br />

に 炎 症 性 肉 芽 の 形 成 を 認 め 瘻 孔 部 と 判 断 された。 今 回 我 々は 急 性 胆 嚢<br />

炎 から 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 形 成 し 胆 石 性 イレウスを 発 症 した 一 例 を 経 験<br />

した。 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P62-7 当 院 における 後 期 高 齢 者 、 超 高 齢 者 に 対 する 急 性 胆 管 炎<br />

治 療 の 現 状<br />

イムス 富 士 見 総 合 病 院 外 科<br />

○… 福 田 千 文<br />

【 目 的 】 当 院 での75 歳 以 上 の 高 齢 者 の 中 等 症 以 上 の 急 性 胆 管 炎 症 例 を<br />

検 討 する。【 対 象 】2009 年 5 月 から2011 年 11 月 までにERCPによる 初 期<br />

治 療 を 行 った 中 等 症 以 上 の 急 性 胆 管 炎 症 例 32 例 。【 方 法 】 後 期 高 齢 者<br />

群 ( 以 下 A 群 )20 例 と 超 高 齢 者 群 ( 以 下 B 群 )12 例 の2 群 にわけ、 原 疾 患 ( 良<br />

悪 性 、 胆 石 症 、 総 胆 管 結 石 症 の 有 無 )、 初 期 治 療 の 方 法 、ドレナージ<br />

後 の 手 術 に 関 して 検 討 した。ドレナージ 方 法 としてENBDを 選 択 した<br />

場 合 の 認 知 症 と 自 己 抜 去 の 相 関 に 関 しても 検 討 した。【 結 果 】 原 疾 患<br />

における 悪 性 疾 患 例 はA 群 3 例 (15%)、B 群 3 例 (25%)であった。 良 性<br />

疾 患 では 胆 管 結 石 が 多 く、 画 像 上 または 手 術 時 に 胆 管 結 石 が 証 明 でき<br />

たものはA 群 14 例 (82.3%)、B 群 8 例 (88.9%)であった。 胆 摘 術 後 はA 群<br />

3 例 (17.6%)、B 群 では 認 めなかった。 初 回 治 療 はA 群 の11 例 (55%)に<br />

ドレナージのみ 施 行 、9 例 (45%)にEPBD 後 採 石 術 を 行 っていた。こ<br />

れに 対 しB 群 では 初 回 治 療 で10 例 (83%)にドレナージのみが 選 択 され<br />

ており、 初 回 に 採 石 まで 施 行 したのは2 例 (17%)であった。 原 疾 患 が<br />

悪 性 であることや、 全 身 状 態 不 良 、 認 知 症 を 合 併 し 家 族 が 積 極 的 治 療<br />

を 望 まない、などの 理 由 で、 初 回 にERBDチューブ 留 置 によるドレナー<br />

ジのみを 施 行 し 根 本 治 療 まで 至 らなかった 症 例 がA 群 で3 例 (15%)、B<br />

群 で4 例 (33%)でB 群 の2 例 はドレナージに 成 功 したものの、 心 不 全 で1<br />

例 、 摂 食 障 害 に 伴 う 全 身 状 態 悪 化 で1 例 が 在 院 死 した。 認 知 症 合 併 率 は、<br />

A 群 5 例 (25%)、B 群 6 例 (50%)であった。ENBD 施 行 例 (A 群 12 例 、B 群<br />

3 例 )のうち 自 己 抜 去 があった 症 例 はA 群 で3 例 (25%)、B 群 で1 例<br />

(33.3%)であり、すべての 症 例 で 認 知 症 がみられた。 治 療 後 手 術 施 行<br />

例 はA 群 10 例 (うち2 例 は 悪 性 でPpPD 施 行 )B 群 5 例 (うち1 例 は 悪 性 で<br />

PpPD 施 行 )で、 術 死 在 院 死 はみられなかった。【 考 察 】 初 期 治 療 では<br />

後 期 高 齢 者 で 内 視 鏡 的 採 石 を 積 極 的 に 行 っていたが、 超 高 齢 者 では 内<br />

視 鏡 的 採 石 は 少 なかった。これは 超 高 齢 者 において、 長 時 間 の 鎮 静 に<br />

危 険 があると 判 断 したことが 要 因 と 考 えられ、 開 腹 手 術 を 選 択 する 症<br />

例 もみられた。ENBDの 自 己 抜 去 例 は 認 知 症 者 に 高 率 にみられ、 初 回<br />

ERBDドレナージが 有 用 と 考 えられた。<br />

P62-8 心 血 管 疾 患 合 併 患 者 の 胆 嚢 摘 出 術 例 の 検 討<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 大 坪 出 , 味 木 徹 夫 , 上 野 公 彦 , 篠 崎 健 太 , 吉 田 優 子 ,<br />

村 上 冴 , 沢 秀 博 , 外 山 博 近 , 新 関 亮 , 松 本 逸 平 ,<br />

木 戸 正 浩 , 土 田 忍 , 福 本 巧 , 具 英 成<br />

背 景 と 目 的 高 齢 化 に 伴 い、 心 血 管 疾 患 合 併 患 者 の 胆 嚢 摘 出 術 症 例 が<br />

増 加 している。 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Lap-C)の 場 合 、 抗 凝 固 薬 を 休 薬<br />

後 に 待 機 手 術 を 行 うが、 早 期 手 術 が 必 要 な 症 例 では 十 分 な 休 薬 期 間 を<br />

おけない 場 合 もある。また、 開 心 術 後 症 例 では 腹 部 血 管 のグラフト 採<br />

取 後 の 問 題 や 整 容 性 が 重 要 でない 場 合 が 多 いなどの 理 由 で 開 腹 手 術 を<br />

選 択 する 例 が 多 い。 当 科 は 大 学 病 院 という 特 殊 性 から 心 血 管 疾 患 合 併<br />

患 者 の 胆 嚢 摘 出 術 例 が 多 いため、その 臨 床 的 特 徴 と 問 題 点 につき 検 討<br />

した。 方 法 2009~2011 年 の 間 に 良 性 疾 患 で 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した<br />

Lap-C…120 例 、 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 (OC)48 例 のうち、 心 血 管 系 疾 患 に 対 し<br />

て 抗 凝 固 薬 内 服 ・Coronary…intervention・ 開 心 術 いずれかの 既 往 歴<br />

のある29 例 (17.3%)を 対 象 とし 検 討 した。 結 果 男 女 比 は17:12、 平<br />

均 年 齢 67.3 歳 (43-81 歳 )であった。 待 機 手 術 が25 例 、 緊 急 手 術 が4 例 で<br />

あった。 抗 凝 固 薬 の 内 訳 はアスピリンが16 例 、ワルファリンカリウム<br />

が13 例 、チクロピジン 塩 酸 塩 が1 例 、シロスタゾールが2 例 で( 重 複 あり)、<br />

抗 凝 固 薬 非 内 服 2 例 であった。 術 前 ヘパリン 化 は9 例 に 行 った。Lap-C<br />

を17 例 に 施 行 、その 内 1 例 が 高 度 癒 着 のため 開 腹 へ 移 行 した。12 例 が<br />

開 腹 胆 嚢 摘 出 術 を 行 ったが、その 主 な 背 景 は 解 離 性 大 動 脈 瘤 術 後 が3 例 、<br />

弁 置 換 術 後 が2 例 、 冠 動 脈 バイパス 術 後 が2 例 、Coronary…intervention<br />

後 が2 例 、 心 機 能 低 下 があり 麻 酔 科 より 開 腹 術 を 依 頼 2 例 、Mirizzi 症<br />

候 群 が1 例 であった。 術 中 出 血 量 はLap-Cでは 平 均 12.5ml(10‐50ml)で、<br />

OCでは 平 均 204.2ml(10 ‐ 840ml)であった。 術 後 合 併 症 は 創 部 感 染 の<br />

みで、 心 血 管 系 の 合 併 症 は 認 めなかった。29 例 全 体 の 平 均 入 院 期 間 は<br />

13.1 日 (5 ‐ 28 日 )で、 心 血 管 系 疾 患 非 合 併 例 より 長 かった。 結 論 抗<br />

凝 固 薬 内 服 患 者 の 心 血 管 疾 患 合 併 例 では 開 腹 手 術 選 択 例 が 多 く、 入 院<br />

期 間 が 延 長 していたが 重 篤 な 合 併 症 を 認 めず、 高 度 心 機 能 低 下 例 にお<br />

いて 開 腹 術 を 選 択 することは 妥 当 な 選 択 肢 であると 考 えられた。<br />

-436-


P63-1 静 岡 県 立 静 岡 がんセンターにおけるDP-CARの 手 術 成<br />

績<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 杉 浦 禎 一 , 上 坂 克 彦 , 金 本 秀 行 , 水 野 隆 史 , 岡 村 行 泰 ,<br />

山 本 立 真 , 青 木 修 一 , 木 内 亮 太 , 蘆 田 良 , 木 原 康 宏 ,<br />

前 平 博 充<br />

目 的 : 当 科 で 施 行 しているDP-CARの 短 期 ・ 長 期 の 手 術 成 績 について<br />

検 討 する。 対 象 と 方 法 :2011 年 7 月 までに 当 科 で 施 行 した、 膵 体 尾 部<br />

癌 に 対 する 膵 体 尾 部 切 除 術 は61 例 、そのうち12 例 がDP-CARであった。<br />

これらDP-CAR 群 を 通 常 の 体 尾 部 切 除 群 (DP 群 )と 術 前 、 術 中 、 術 後<br />

因 子 について 比 較 検 討 した。DP-CARの 適 応 はCTで 腫 瘍 が 膵 体 部 に<br />

存 在 し 腹 腔 動 脈 幹 、 総 肝 動 脈 に 浸 潤 もしくは 剥 離 を 行 った 時 に 腫 瘍 が<br />

露 出 する 可 能 性 が 高 いと 判 断 した 場 合 とした。 上 腸 間 膜 動 脈 に 浸 潤 を<br />

認 めた 場 合 は 手 術 適 応 なしとしている。 結 果 : 手 術 時 間 、 出 血 量 ( 中<br />

央 値 )はDP 群 とDP-CAR 群 で250 分 、326 分 (p=0.038)、475ml、902ml<br />

(p=0.001)とDP-CAR 群 で 有 意 に 多 かった。 門 脈 合 併 切 除 はDP 群 で4%、<br />

DP-CAR 群 で25%とDP-CAR 群 が 有 意 に 多 く(p=0.048)、 他 臓 器 合 併<br />

切 除 はそれぞれ22%、50%と 差 を 認 めないもののDP-CAR 群 に 多 い 傾<br />

向 があった(p=0.056)。DP 群 とDP-CAR 群 で 全 合 併 症 (Clavien-Dindo…<br />

IIIa 以 上 )は66%、92%(p=0.151)、 膵 液 瘻 (grade…B 以 上 )43%、42%<br />

(p=0.940)、 術 後 在 院 期 間 21 日 、25 日 (p=0.377)と 有 意 差 を 認 めなかっ<br />

た。 両 群 に 在 院 死 亡 は 認 めなかった。… 術 後 の 病 理 診 断 はDP 群 とDP-<br />

CAR 群 でR1 切 除 率 10%、42%(p=0.019)とDP-CAR 群 で 有 意 にR1 切 除<br />

率 が 高 く、リンパ 節 転 移 率 55%、83%(p=0.102)と 有 意 差 を 認 めない<br />

もののDP-CAR 群 で 高 値 である 傾 向 があった。 無 再 発 生 存 期 間 中 央 値<br />

は18.7ヶ 月 、3.8ヶ 月 (p=0.005)とDP 群 が 良 好 であった。 全 生 存 期 間 中<br />

央 値 は28.1ヶ 月 、15.8ヶ 月 (p=0.105)とDP 群 が 良 好 な 傾 向 であったが、<br />

統 計 学 的 には 有 意 差 を 認 めなかった。 結 語 :DP-CARはDPと 比 較 し<br />

有 意 差 は 認 めないものの、 極 めて 高 い 合 併 症 発 生 率 であった。また、<br />

DP-CAR…の 適 応 となる 症 例 はDP 群 よりも 進 行 している 場 合 が 多 く、<br />

R1 切 除 率 も 高 いためにその 術 後 成 績 は 満 足 できるものではない。<br />

P63-2 当 科 における 腹 腔 動 脈 合 併 尾 側 膵 切 除 (DP-CAR)の 手<br />

術 成 績<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 学 II<br />

○… 岡 村 国 茂 , 平 野 聡 , 松 本 譲 , 加 藤 健 太 郎 , 土 川 貴 裕 ,<br />

七 戸 俊 明 , 田 中 栄 一<br />

【 背 景 / 目 的 】 膵 体 部 癌 は 解 剖 学 的 に 腹 腔 動 脈 やその 分 岐 部 に 近 接 し<br />

ており, 直 接 浸 潤 だけでなく, 周 囲 神 経 叢 浸 潤 により 腹 腔 神 経 叢 や 神<br />

経 節 に 進 展 をきたし, 非 切 除 とされることが 多 い.そのような 局 所 進<br />

行 膵 体 部 癌 症 例 に 対 して 当 科 では…en-bloc…celiac…axis…resection…(DP-<br />

CAR)を 適 用 し, 動 脈 周 囲 神 経 叢 や 両 側 腹 腔 神 経 節 を 左 Gerota 筋 膜 ,<br />

左 副 腎 とともに 切 除 する 根 治 手 術 を 行 ってきた. 当 科 における 手 術 成<br />

績 と 合 併 症 について 検 討 する.【 対 象 と 方 法 】1998 年 4 月 から2010 年 12<br />

月 までに 当 科 でDP-CARを 施 行 した 局 所 進 行 膵 体 部 癌 56 例 . 男 性 28 例 ,<br />

女 性 28 例 , 年 齢 の 中 央 値 は64(51-85) 歳 . 手 術 適 応 は 総 肝 動 脈 ・ 腹 腔<br />

動 脈 ・ 脾 動 脈 根 部 に 浸 潤 あるいは 近 接 する 膵 体 部 癌 で, 肝 ・ 腹 膜 転 移 ,<br />

大 動 脈 周 囲 リンパ 節 転 移 がなく, 胃 十 二 指 腸 動 脈 ・ 上 腸 間 膜 動 脈<br />

(SMA)が 温 存 可 能 な 症 例 とした. 術 前 診 断 でSMA 周 囲 神 経 叢 浸 潤 は<br />

半 周 までにとどまる 例 を 適 応 とし, 神 経 叢 は 浸 潤 部 対 側 から 剥 離 を 開<br />

始 して 根 部 までの 全 周 を 切 除 した.【 結 果 】 手 術 時 間 , 術 中 出 血 量 の<br />

中 央 値 はそれぞれ443…(272-1037…) 分 ,978…(350-15970)…mlで,52 例<br />

(93%)でR0 手 術 が 可 能 であった. 門 脈 合 併 切 除 は36… 例 (64%), 他 臓<br />

器 合 併 切 除 は13 例 (23%)に 行 った. 術 後 合 併 症 は34… 例 (61%)に 発 症 し,<br />

このうち 膵 液 瘻 (ISGPF 分 類 GradeB 以 上 )は26 例 (50%), 腹 腔 動 脈 合<br />

併 切 除 に 起 因 する 虚 血 性 合 併 症 は7 例 (13%)に 認 めた. 全 症 例 の1 年 生<br />

存 率 76%,3 年 生 存 率 41%,5 年 生 存 率 36%,MSTは24.9ヶ 月 であった.<br />

Stage 別 の5 年 生 存 率 はStageIIIで62%,StageIVaで38%であった. 再<br />

発 形 式 は 肝 転 移 16 例 , 腹 膜 転 移 10 例 , 肺 転 移 5 例 , 局 所 再 発 4 例 であり,<br />

遠 隔 転 移 での 再 発 が 多 かった.【まとめ】DP-CARは 進 行 膵 体 部 癌 に<br />

対 しほぼ 満 足 のいく 局 所 制 御 能 を 有 するが, 遠 隔 転 移 例 への 何 らかの<br />

対 策 が 必 要 である.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P63-3 当 院 における 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 するDP-CARの 治 療 成<br />

績 と 合 併 症<br />

大 分 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 福 澤 謙 吾 , 實 藤 健 作 , 岩 城 堅 太 郎 , 岡 本 正 博 ,<br />

甲 斐 成 一 郎 , 若 杉 健 三<br />

【はじめに】DP-CARは 腹 腔 神 経 叢 周 囲 に 浸 潤 した 局 所 進 行 膵 癌 に 対<br />

し 選 択 されるが 合 併 症 の 発 生 率 も 高 く、 術 後 管 理 に 難 渋 することも 多<br />

い。 今 回 我 々は、 平 成 14 年 ( 当 院 で 術 後 補 助 化 学 療 法 として 塩 酸 ジェ<br />

ムシタビン(GEM)を 開 始 ) 以 降 の 膵 体 尾 部 癌 切 除 症 例 に 対 する 通 常 の<br />

DPとDP-CARの 術 後 合 併 症 と 治 療 成 績 を 比 較 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】<br />

平 成 14 年 ~23 年 に 当 院 で 施 行 した 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 する 膵 体 尾 部 切 除<br />

36 症 例 。 検 討 項 目 : 臨 床 病 理 学 的 因 子 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 術 後 合 併<br />

症 、 後 遺 症 、 術 後 補 助 化 学 療 法 の 忍 容 性 、 生 存 率 等 に 関 し 検 討 を 行 う。<br />

【 結 果 】DP-CAR 症 例 は9 例 (DP 全 体 の25%)でp-stage4aが8 例 、4bが1<br />

例 であった。DP…(n=27)のp-stageはstage…1、3、4a、4bが 各 2、7、9、<br />

9 例 。DP-CARでの 付 加 手 術 は 胃 全 摘 2 例 、 右 肝 動 脈 再 建 が1 例 。 手 術<br />

時 間 はDP-CAR… で 有 意 に 長 く(363 分 …vs.…262 分 )、 出 血 量 も 多 かった<br />

(781g…vs.…286g)。Stage…4 症 例 での 組 織 学 的 R0 率 は、DP-CAR…、DP<br />

共 に78%。 術 後 膵 液 瘻 (grade…B 以 上 )はDP-CAR…67%…vs.…DP…38%、 胃<br />

虚 血 障 害 はDP-CAR…29%…vs.…DP…4%とDP-CARで 多 く 発 生 した。また<br />

4 年 前 より 胃 虚 血 障 害 の 予 防 目 的 で 術 前 に 総 肝 動 脈 塞 栓 術 を 施 行 して<br />

いるがコイル 逸 脱 による 固 有 肝 動 脈 の 閉 塞 を1 例 に 認 めた。 術 後 の 下<br />

痢 は 塩 酸 ロペラミドを 要 する 頻 度 がDP-CARで 有 意 に 高 かったが<br />

(67%…vs.…12%)、 経 時 的 に 軽 快 傾 向 であった。DP-CARでの 手 術 関 連<br />

死 亡 、 在 院 死 亡 は 認 めなかった。DP-CAR 後 の 補 助 化 学 療 法 GEM(18<br />

回 投 与 )の 完 遂 率 ( 現 在 投 与 中 の 者 を 除 く)は86%と 良 好 。 治 療 成 績 :<br />

膵 体 尾 部 癌 全 体 の5 年 生 存 率 は43%であった。DP-CAR…vs.…DPで1 年<br />

71%、81%、2 年 54%、57%、3 年 36%、46%、5 年 36%、46%。Stage…<br />

4aに 限 るとMSTはDP-CARで1148 日 、DPで640 日 。Stage4aで 観 察 期<br />

間 3 年 以 上 の 症 例 で3 年 以 上 生 存 はDP-CARで6 人 中 3 人 、DPでは3 人 中<br />

0 人 であった。【 結 語 】DP-CARは、 膵 液 瘻 や 胃 虚 血 障 害 などの 合 併 症<br />

管 理 に 注 意 を 要 するが、 術 後 の 補 助 化 学 療 法 の 忍 容 性 も 十 分 で 腹 腔 神<br />

経 叢 周 囲 に 癌 浸 潤 が 及 ぶstage4aの 局 所 進 行 膵 体 尾 部 癌 に 対 する 術 式<br />

として 有 用 である。<br />

P63-4 膵 頭 部 アーケードの 解 剖 学 的 バリエーションにより 術<br />

後 虚 血 性 多 発 胃 潰 瘍 を 発 症 したDP-CARの1 例<br />

1<br />

市 立 函 館 病 院 消 化 器 病 センター 消 化 器 外 科 、 2 市 立 函 館 病<br />

院 放 射 線 科<br />

○… 倉 内 宣 明 1<br />

, 田 原 宗 徳 1<br />

, 加 藤 雅 志 1<br />

, 江 本 慎 1<br />

, 笠 島 浩 行 1<br />

,<br />

原 豊 1<br />

, 鈴 木 伸 作 1<br />

, 小 川 肇 2 1<br />

, 木 村 純<br />

【 背 景 】 進 行 膵 癌 に 対 するDistal…pancreatectomy…with…celiac…axis…<br />

resection (DP-CAR)は 胃 の 虚 血 を 予 防 するために 術 前 に 左 胃 動 脈 お<br />

よび 総 肝 動 脈 の 血 行 遮 断 処 置 を 行 う. 我 々は 当 初 切 除 不 能 と 診 断 した<br />

膵 体 部 癌 が 放 射 線 化 学 療 法 後 に 縮 小 し, 血 行 遮 断 後 にDP-CARを 施 行<br />

したが, 虚 血 性 多 発 胃 潰 瘍 を 発 症 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する.<br />

【 症 例 】70 歳 代 女 性 が 心 窩 部 から 背 部 にかけての 痛 みを 自 覚 し, 当 院<br />

消 化 器 内 科 を 受 診 した. 腹 腔 , 脾 , 総 肝 動 脈 浸 潤 を 認 めるT4N0M0の<br />

進 行 膵 体 部 癌 のため 化 学 療 法 を 選 択 ,Gemcitabine…1000mg… 週 1 回 3 投<br />

1 休 を6コースと 放 射 線 照 射 治 療 を 行 った. 腫 瘍 は 縮 小 し, 腹 腔 鏡 検 査<br />

で 腹 膜 播 種 なく,FDG-PETにて 遠 隔 転 移 を 認 めなかったため, 外 科<br />

的 切 除 とした. 総 肝 動 脈 と 左 胃 動 脈 をコイル 塞 栓 したときの 所 見 で,<br />

後 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 が 腹 腔 動 脈 根 部 から 分 岐 していた. 初 診 から 約 9ヵ<br />

月 , 化 学 療 法 開 始 から8ヵ 月 後 の 平 成 22 年 11 月 にDP-CARを 施 行 した.<br />

腹 腔 動 脈 と 上 腸 管 膜 動 脈 の 根 部 を 露 出 し, 下 横 隔 膜 動 脈 を 露 出 温 存 ,<br />

総 肝 動 脈 と 脾 動 脈 の 分 岐 部 まで 腹 腔 動 脈 を 慎 重 に 露 出 したが 後 下 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 はなかった. 総 肝 動 脈 切 開 で 胃 十 二 指 腸 動 脈 側 からの 十<br />

分 な 逆 血 を 認 めたので,DP-CARを 施 行 した. 術 後 1 日 目 に 腹 腔 動 脈<br />

造 影 を 行 ったが 後 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 を 認 めなかった. 術 後 3 日 から 流<br />

動 食 を 開 始 し, 術 後 2 週 には 退 院 準 備 状 態 となった.しかし 術 後 18 日<br />

目 に 血 性 嘔 吐 あり, 翌 日 の 内 視 鏡 検 査 で 多 発 胃 潰 瘍 と 診 断 し, 絶 食 ,<br />

抗 潰 瘍 治 療 に 専 念 した.その 後 潰 瘍 は 徐 々に 軽 快 したが 嘔 吐 が 止 まら<br />

ず、 胃 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した. 経 過 中 の 四 肢 廃 用 性 萎 縮 に 対 するリハ<br />

ビリで 術 後 236 日 に 療 養 型 施 設 に 転 院 した. 初 回 血 管 造 影 を 再 読 影 す<br />

ると, 腹 腔 動 脈 根 部 から 分 岐 しているように 見 えた 後 下 膵 十 二 指 腸 動<br />

脈 は 脾 動 脈 根 部 から 分 岐 する 背 膵 動 脈 の 分 岐 であった.この 走 行 が 腹<br />

腔 動 脈 幹 に 重 なっており, 画 像 の 条 件 を 変 えることで 判 明 した.【ま<br />

とめ】 膵 頭 部 アーケードの 分 岐 異 常 はまれにあり, 注 意 する 必 要 があ<br />

る.<br />

-437-


P63-5 DP-CAR 合 併 症 および 術 前 化 学 療 法 との 関 連 性 に 関 す<br />

る 検 討<br />

1<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 北 大 学 大 学 院 統 合 癌 治 療 外 科<br />

○… 乙 供 茂 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

,<br />

大 塚 英 郎 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 水 間 正 道 1<br />

, 岡 田 恭 穂 1 1,2<br />

, 中 川 圭 ,<br />

林 洋 毅 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 内 藤 剛 1<br />

, 力 山 敏 樹 1<br />

,<br />

1,2<br />

片 寄 友 , 江 川 新 一 1 1,2<br />

, 海 野 倫 明<br />

Distal…pancreatectomy…with…en-bloc…celiac…axis…resection(DP-CAR)<br />

は、 黄 疸 などの 初 期 症 状 に 乏 しく 早 期 発 見 が 困 難 な 膵 体 尾 部 癌 におい<br />

て、 手 術 治 療 としての 最 後 の 望 みとなる 術 式 である。しかし 術 前 画 像<br />

診 断 の 段 階 で 上 腸 間 膜 動 脈 神 経 叢 浸 潤 あるいは 胃 十 二 指 腸 動 脈 から 固<br />

有 肝 動 脈 周 囲 への 浸 潤 を 認 める 場 合 や、 開 腹 時 における 癌 性 腹 膜 炎 な<br />

どによって、 適 応 となる 症 例 は 限 局 的 である。また 当 科 では2006 年 よ<br />

り 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 療 法 (NAC)を 開 始 し、GEM 単 剤 、GEM+S1<br />

(GS) 併 用 などの 治 療 効 果 に 関 して 検 討 を 重 ねてきた。NACには、そ<br />

の 影 響 による 術 後 合 併 症 の 懸 念 があり、 今 回 NACを 開 始 して 以 降 の<br />

DP-CARにおける 術 後 合 併 症 に 関 して 検 討 を 行 った。 対 象 は2006 年 11<br />

月 から2011 年 12 月 に 当 科 で 行 ったDP-CAR…16 例 。15 例 が 浸 潤 性 膵 管 癌 、<br />

1 例 がIPMN 由 来 浸 潤 癌 であった。NAC 群 10 例 を 含 む 全 例 がKarnofsky…<br />

Index…90-100であった。 平 均 手 術 時 間 は516 分 、 平 均 出 血 量 は2120ml<br />

であった。これに 対 し、 同 時 期 に 膵 癌 に 対 してDP(CARなし)を 行 っ<br />

た 症 例 の 平 均 手 術 時 間 は324 分 、 平 均 出 血 量 は1090mlでいずれもDP 症<br />

例 が 有 意 に 低 かった…( 手 術 時 間 p


P63-9 切 除 不 能 膵 頭 部 癌 に 対 する 姑 息 的 手 術 症 例 の 検 討<br />

熊 本 市 民 病 院 外 科<br />

○… 杉 田 裕 樹 , 田 嶋 ルミ 子 , 沖 野 哲 也 , 横 山 幸 生 , 山 下 裕 也 ,<br />

馬 場 憲 一 郎<br />

【 背 景 】 膵 頭 部 癌 は 外 科 的 切 除 が 唯 一 の 根 治 的 治 療 法 であるが、 診 断<br />

時 にはすでに 局 所 進 行 あるいは 遠 隔 転 移 等 により 切 除 不 能 な 場 合 が 多<br />

い。その 場 合 、 患 者 のQOLを 重 視 した 治 療 法 が 選 択 されなければな<br />

らない。 胆 道 閉 塞 および 消 化 管 閉 塞 に 対 するバイパス 手 術 は 以 前 から<br />

なされてきたが、 放 射 線 療 法 、 化 学 療 法 に 加 え 胆 管 金 属 ステントおよ<br />

び 消 化 管 金 属 ステントの 選 択 枝 が 存 在 する 今 、 有 用 性 の 再 検 討 が 必 要<br />

かもしれない。 我 々は 当 院 にて 行 われた 姑 息 的 手 術 症 例 について 検 討<br />

した。【 患 者 および 結 果 】 当 院 で2001 年 から2011 年 までに 外 科 的 手 術<br />

が 施 行 された 膵 頭 部 癌 31 症 例 の 内 PDは16 例 ( 平 均 年 齢 62.6)、 姑 息 的<br />

手 術 は15 例 ( 平 均 年 齢 65.5)( 胃 空 腸 吻 合 のみ5 例 、 胆 管 空 腸 吻 合 のみ2 例 、<br />

その 両 方 8 例 )であった。 姑 息 的 手 術 症 例 の 内 11 例 に 化 学 療 法 、4 例 に<br />

放 射 線 療 法 を 行 った。 術 後 生 存 期 間 の 中 央 値 はPD18か 月 (CI:15.56-<br />

20.44)に 対 し 姑 息 的 手 術 8か 月 (CI:4.62-11.38)であった(p=0.02)。 手<br />

術 死 亡 はPD0 例 (0%)、 姑 息 的 手 術 1 例 (6.7%)、 術 後 合 併 症 はPD10… 例<br />

(62.5%)、 姑 息 的 手 術 4 例 (26.7%).… 姑 息 的 手 術 がなされた 症 例 におい<br />

て 術 後 平 均 入 院 日 数 23.3、 術 後 再 閉 塞 は 胃 空 腸 吻 合 部 狭 窄 の1<br />

例 (6.7%)であった。 高 齢 者 の 術 後 合 併 症 は 多 く、また 術 後 生 存 期 間 も<br />

短 い 傾 向 が 見 られた。【 結 語 】 切 除 不 能 膵 頭 部 癌 において 胆 管 空 腸 胃<br />

空 腸 バイパス 手 術 は 有 用 であると 思 われるが、 症 例 毎 に 術 式 を 選 択 す<br />

る 必 要 があると 思 われた。<br />

P64-1 当 科 における 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)に 対 する<br />

手 術 成 績 の 検 討<br />

1<br />

慶 応 義 塾 大 学 医 学 部 一 般 消 化 器 外 科 、 2 川 崎 市 立 川 崎 病 院 外<br />

科<br />

○… 香 月 優 亮 1<br />

, 北 郷 実 1<br />

, 相 浦 浩 一 2<br />

, 田 邉 稔 1<br />

, 河 地 茂 行 1<br />

,<br />

板 野 理 1<br />

, 篠 田 昌 宏 1<br />

, 八 木 洋 1<br />

, 藤 崎 洋 人 1<br />

, 三 原 規 奨 1<br />

,<br />

西 山 亮 1<br />

, 門 多 由 恵 1<br />

, 藤 村 知 賢 1<br />

, 永 滋 教 1<br />

, 筒 井 りな 1 ,<br />

田 中 真 之 1<br />

, 大 平 正 典 1 1<br />

, 北 川 雄 光<br />

( 背 景 、 目 的 )… 当 科 におけるIPMN 切 除 例 の 病 理 学 的 所 見 と 手 術 成 績 に<br />

ついて 検 討 した。( 対 象 、 方 法 ) 対 象 は1991 年 から 当 科 において 切 除 さ<br />

れたIPMN36 例 について 病 理 所 見 と 予 後 をretrospectiveに 検 証 し、 治<br />

療 成 績 について 検 討 した。( 結 果 ) 平 均 年 齢 は68 歳 (55 歳 ~79 歳 )、 男 女<br />

比 は26:10。 術 式 は 膵 全 摘 が3 例 、 膵 体 尾 部 切 除 14 例 、 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 16 例 、 膵 局 所 切 除 3 例 。 術 後 観 察 期 間 の 平 均 は71.5ヶ 月 。IPMN 切<br />

除 症 例 36 例 の 病 理 所 見 は、 過 形 成 2 例 、 腺 腫 17 例 、 腺 癌 17 例 ( 非 浸 潤 癌<br />

5 例 、 微 小 浸 潤 癌 9 例 、 浸 潤 癌 3 例 )。 最 大 主 膵 管 径 と 拡 張 分 枝 膵 管 径 の<br />

比 較 より 主 膵 管 優 位 型 (M)と 分 枝 膵 管 優 位 型 (B)に 分 類 するとM 型 14<br />

例 、B 型 22 例 。M 型 の14 例 中 9 例 (64%)に 腺 癌 を 認 め、その 内 訳 は 非 浸<br />

潤 癌 3 例 、 微 小 浸 潤 癌 5 例 、 浸 潤 癌 1 例 であった。B 型 では22 例 中 8 例<br />

(36%)に 腺 癌 を 認 め、 悪 性 の 頻 度 はM 型 より 低 く、その 内 訳 は 非 浸 潤<br />

癌 2 例 、 微 小 浸 潤 癌 4 例 、 浸 潤 癌 2 例 であった。B 型 の 平 均 主 膵 管 径 、<br />

嚢 胞 径 、 壁 在 結 節 径 は 腺 癌 でそれぞれ9mm(4~18mm)、32mm(23~<br />

43mm)、14mm(0~41mm)で、 腺 腫 、 過 形 成 例 ではそれぞれ7mm(3<br />

~15mm)、32mm(10~59mm)、3.9mm(0~19mm)であった。B 型 で<br />

5mm 以 上 の 結 節 は 腺 癌 で7 例 (88%)、 腺 腫 で5 例 (36%)であった。リン<br />

パ 節 転 移 はM 型 の 浸 潤 癌 1 例 に 認 めた。 転 帰 に 関 して 原 病 死 は 浸 潤 癌<br />

の2 例 に 認 めた。1 例 はB 型 で3 年 の 経 過 観 察 にて 浸 潤 癌 に 進 行 し 術 後<br />

21か 月 で 原 病 死 。もう1 例 はM 型 の 浸 潤 癌 で 術 後 早 期 に 遠 隔 転 移 を 認<br />

め20か 月 で 原 病 死 となり、 浸 潤 癌 で 予 後 不 良 であった。IPMN 切 除 例<br />

36 例 における 他 病 死 を 含 めた 腺 癌 、 腺 腫 ( 過 形 成 を 含 む)の5 年 生 存 率<br />

はそれぞれ80.3%、100%であった。( 結 論 )…M 型 と5mm 以 上 のB 型 が 手<br />

術 適 応 となり 浸 潤 癌 ではリンパ 節 郭 清 が 必 要 である。 切 除 された<br />

IPMNの 予 後 は 微 小 浸 潤 癌 までは 良 好 であったが、 浸 潤 癌 まで 進 行 す<br />

ると 再 発 や 遠 隔 転 移 を 認 め 予 後 不 良 となるため 浸 潤 癌 で 症 例 には 通 常<br />

型 膵 癌 同 様 術 後 補 助 法 を 検 討 する 必 要 がある。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P64-2 膵 頭 部 ・ 尾 部 の 同 時 性 多 発 腫 瘍 に 対 しMiddlepreservingpancreatectomyを<br />

施 行 した4 例<br />

1<br />

新 潟 大 学 医 歯 学 総 合 病 院 消 化 器 ・ 一 般 外 科 、 2 長 岡 赤 十 字 病<br />

院 外 科<br />

○… 佐 藤 大 輔 1<br />

, 黒 崎 功 1<br />

, 皆 川 昌 広 1<br />

, 高 野 可 赴 1<br />

, 滝 沢 一 泰 1<br />

,<br />

森 本 悠 太 1<br />

, 仲 野 哲 矢 1<br />

, 長 谷 川 潤 2 2<br />

, 小 川 洋<br />

【はじめに】Middle-preserving…pancreatectomy(MPP)は 膵 全 摘 を 避<br />

けることにより、 術 後 の 膵 機 能 温 存 が 期 待 されるが、 機 能 温 存 と 根 治<br />

性 の 両 立 が 問 題 となる。 今 回 我 々は 膵 多 発 腫 瘍 に 対 しMPPを 施 行 し<br />

た4 例 を 経 験 したので、その 適 応 と 臨 床 的 意 義 について 考 察 を 加 えた。<br />

【 症 例 と 手 技 】4 例 とも 男 性 で 平 均 年 齢 68 歳 (61-75 歳 )。 膵 頭 部 と 膵 尾<br />

部 の 同 時 性 多 発 腫 瘍 (3 例 はIntraductal…papillary…mucinous…neoplasm<br />

の 多 発 例 で、1 例 は 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 と 膵 尾 部 のIPMNの 合 併 例 )の 術<br />

前 診 断 に 対 して 膵 頭 部 ・ 尾 部 の 同 時 切 除 を 行 い、 約 7~8cmの 膵 体 部<br />

を 温 存 した。 術 前 画 像 診 断 にて 膵 体 部 に 向 かう 動 脈 枝 の 存 在 を 確 認 し<br />

た。 尾 側 膵 断 端 の 処 理 は、2 例 は 結 節 縫 合 にて 閉 鎖 、2 例 は 自 動 縫 合 器<br />

にて 離 断 した。 膵 空 腸 吻 合 は、3 例 にno…stentで 行 った。 膵 管 粘 膜 吻<br />

合 が2 例 、 嵌 入 法 が2 例 であった。 手 術 時 間 は 平 均 430 分 (355-564 分 )、<br />

出 血 量 は 平 均 671ml(350-1124ml)であった。2 例 に 尾 側 膵 断 端 にgrade…<br />

Bの 膵 液 瘻 を 認 めたが、 膵 腸 吻 合 部 の 膵 液 瘻 はなかった。1 例 に 感 染<br />

性 膵 壊 死 を 認 め 長 期 ドレナージを 要 した。 残 院 日 数 は 平 均 43.8 日 (26-75<br />

日 )であった。アルコール 性 肝 障 害 を 有 する1 例 でHbA1cの 微 増 が 観<br />

察 されているが、 全 例 経 口 血 糖 降 下 薬 、インスリン 未 治 療 で 経 過 して<br />

いる。3 例 は 無 再 発 生 存 中 であるが、 膵 頭 部 に 浸 潤 癌 を 認 め、かつ2 群<br />

リンパ 節 転 移 陽 性 であった1 例 は、 多 発 肺 転 移 を 来 した。【 考 察 】<br />

MPPは 術 式 として 従 来 の 膵 頭 切 除 および 尾 側 膵 切 除 を 組 み 合 わせた<br />

ものである。 膵 切 離 断 端 が2か 所 に 生 じ、2 例 に 尾 側 膵 断 端 の 膵 液 瘻 、<br />

1 例 に 尾 側 膵 断 端 の 感 染 性 膵 壊 死 を 認 めたことより 尾 側 断 端 の 処 理 や<br />

温 存 される 膵 体 部 の 血 流 の 確 保 に 注 意 すべきであると 思 われた. 温 存<br />

できる 膵 体 部 は 腫 瘍 の 良 悪 性 や 進 展 度 に 関 連 するが,これまでの 経 験<br />

から 最 短 7cm 長 でもインスリン 治 療 を 要 する 糖 尿 病 発 生 は 認 めず、 膵<br />

内 分 泌 機 能 も 温 存 できていると 考 えられた. 浸 潤 癌 を 認 めた1 例 は 局<br />

所 再 発 はないが 多 臓 器 再 発 を 認 め、 浸 潤 癌 や 通 常 型 膵 癌 合 併 例 などに<br />

対 しては 慎 重 に 適 応 を 考 慮 するべきと 思 われる。 膵 多 発 腫 瘍 に 対 する<br />

MPPは 術 後 QOLの 維 持 という 観 点 から 有 用 な 術 式 であると 思 われた。<br />

P64-3 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 破 裂 の1 例<br />

1<br />

済 生 会 富 山 病 院 外 科 、 2 富 山 大 学 大 学 院 医 学 薬 学 研 究 部 消 化<br />

器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科<br />

○… 坂 東 正 1 2<br />

, 塚 田 一 博<br />

【 緒 言 】 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMT)は 近 年 増 加 していると 思 わ<br />

れるが、 自 然 破 裂 の 報 告 は 極 めて 稀 である。 今 回 我 々は、IPMTの 破<br />

裂 状 態 に 対 して 手 術 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので、 臨 床 上 興 味 深 い<br />

症 例 と 考 え 報 告 する。【 症 例 】 76 歳 、 女 性 。 既 往 歴 に 肺 塞 栓 症 があり<br />

当 院 内 科 に 通 院 しワーファリンを 服 用 中 のほか 高 血 圧 症 に 対 しても 内<br />

服 治 療 中 であった。2009 年 6 月 、 嗄 声 が 出 現 したため 精 査 の 一 環 とし<br />

て 行 われたCT 検 査 にて 偶 然 に 膵 および 周 囲 の 異 常 所 見 が 指 摘 された。<br />

2009 年 7 月 外 科 紹 介 となり 入 院 となった。 血 液 検 査 ではCA19-0が59U/<br />

mlと 軽 度 上 昇 し、 白 血 球 4500、CRP0.5mg/dlと 軽 度 の 炎 症 所 見 が 認<br />

められた 他 は 特 に 異 常 を 認 めなかった。US、CT、EUSとMRIでは 膵<br />

体 部 由 来 の 嚢 胞 性 腫 瘍 および 破 裂 による 嚢 胞 内 溶 の 網 嚢 内 貯 留 と 考 え<br />

られる 所 見 が 認 められた。 血 管 造 影 検 査 では 特 に 異 常 所 見 は 認 められ<br />

なかった。 自 然 破 裂 した 状 態 のIPMTと 診 断 し、 入 院 後 よりワーファ<br />

リンをヘパリンに 代 替 えし 手 術 予 定 とした。【 手 術 】 2011 年 8 月 に 手<br />

術 を 施 行 した。 開 腹 所 見 では、 腹 膜 播 種 や 肝 転 移 の 所 見 は 認 められな<br />

かった。 網 嚢 内 に 大 量 の 粘 液 様 物 質 が 認 められ、これらは 可 及 的 に 摘<br />

出 した。 膵 体 部 に 約 4cmの 嚢 胞 性 病 変 を 認 め 悪 性 所 見 は 明 らかではな<br />

いものの 単 純 な 嚢 胞 の 破 裂 ではなく 腫 瘍 性 病 変 と 考 えられたため、 膵<br />

体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 播 種 の 危 険 性 等 を 考 慮 し 腹 腔 内 を 大 量 の 生<br />

理 食 塩 水 で 洗 浄 し 手 術 を 終 了 した。【 病 理 診 断 】 分 枝 が 主 占 居 部 位 で<br />

主 膵 管 にも 進 展 する 大 部 分 がTisの 低 悪 性 度 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 で<br />

破 裂 破 綻 をきたしていた。 破 綻 部 では 周 囲 脂 肪 織 内 に 粘 液 の 拡 散 が 見<br />

られ 粘 液 瘤 状 態 となっていた。 膵 癌 取 扱 い 規 約 に 当 てはめると、Pb、<br />

TS3、cystic…type、41x33x20mm、ly0、v0、ne0、S(+)、RP(-)、PV<br />

(-)、A(-)、PL(-)、PCM(-)、DPM 不 明 であった。なお 併 存 副 病 変 と<br />

して 約 3mmの 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 も 認 められた。【まとめ】 稀 な 自 然 破<br />

裂 をきたしたIPMTに 対 して 手 術 治 療 を 行 った 症 例 を 経 験 した。 術 後<br />

は 併 施 した 脾 摘 の 影 響 による 血 小 板 増 多 と 原 因 不 明 の 発 熱 が 遷 延 した<br />

が、 現 在 まで 約 2 年 半 以 上 術 後 補 助 化 学 療 法 は 施 行 しておらず 無 再 発<br />

生 存 で 外 来 通 院 中 である。<br />

-439-


P64-4 爪 楊 枝 の 十 二 指 腸 穿 通 が 契 機 となって 発 見 された 膵 頭<br />

部 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 腫 の1 切 除 例<br />

1<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 学 講 座 、 2 国 立 病 院 機 構 滋 賀 病 院 外 科<br />

○… 赤 堀 浩 也 1<br />

, 塩 見 尚 礼 1<br />

, 仲 成 幸 1<br />

, 来 見 良 誠 2 1<br />

, 谷 徹<br />

【はじめに】 膵 嚢 胞 性 腫 瘍 の 術 前 診 断 ・ 手 術 適 応 に 関 しては、 判 断 に<br />

窮 する 症 例 が 多 い。 異 物 の 消 化 管 穿 通 に 伴 う 症 状 で 偶 発 的 に 画 像 検 査<br />

から 発 見 された 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 腫 の1 手 術 症 例 を 経 験 したので 報<br />

告 する。【 症 例 】68 歳 男 性 。 食 思 不 振 と 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 。<br />

CT 検 査 にて 膵 頭 部 に 径 3cm 大 の 嚢 胞 性 腫 瘤 を 指 摘 。また 門 脈 への 直<br />

接 浸 潤 が 疑 われた。MRI…T1でiso…intensity,…T2でhigh…intensity,…DW1<br />

で 高 信 号 に 描 出 される 嚢 胞 性 腫 瘤 を 認 めた。CTおよびERCPにて 主<br />

膵 管 の 拡 張 や 嚢 胞 との 交 通 は 認 めなかった。GFで 胃 前 庭 部 の 膨 らみ<br />

悪 く 壁 外 性 圧 迫 所 見 が 疑 われたほか、 十 二 指 腸 球 部 にびらん 性 変 化 を<br />

認 めた。 十 二 指 腸 球 部 粘 膜 の 生 検 でびらんと 出 血 を 認 め、 多 数 の 好 中<br />

球 を 含 む 炎 症 細 胞 浸 潤 を 認 めたが、 腫 瘍 性 病 変 は 認 めなかった。 腫 瘍<br />

マーカーはCEAのみ6.4と 高 値 示 した。 以 上 から 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫<br />

瘍 の 術 前 診 断 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 施 行 した。 術 中 所 見 は、 胃 小 弯 か<br />

ら 肝 十 二 指 腸 間 膜 にかけて 広 範 囲 に 組 織 肥 厚 とリンパ 節 腫 大 を 認 めた。<br />

肝 尾 状 葉 の 一 部 、 左 肝 動 脈 および 胃 前 庭 部 小 弯 側 後 壁 が 強 固 に 癒 着 し<br />

ていた。また 膵 頭 部 腫 瘍 の 門 脈 との 癒 着 も 強 固 で、 肝 尾 状 葉 部 分 切 除<br />

+ 門 脈 合 併 切 除 術 施 行 。 切 除 した 胃 小 弯 側 に 約 6cmの 爪 楊 枝 ( 先 端 は<br />

肝 尾 状 葉 内 )を 認 めた。 爪 楊 枝 の 迷 入 部 位 ( 膵 頭 部 、 肝 尾 状 葉 、 肝 臓 と<br />

癒 着 した 結 合 組 織 )には、 出 血 、 形 質 細 胞 、 好 酸 球 、 好 中 球 浸 潤 を 伴 っ<br />

た 繊 維 性 肉 芽 組 織 が 形 成 されていたが、 化 膿 性 炎 症 所 見 は 認 めなかっ<br />

た。 郭 清 したリンパ 節 に 悪 性 所 見 認 めず、 門 脈 浸 潤 が 疑 われた 部 位 は<br />

肉 芽 組 織 であった。【 結 語 】 術 前 診 断 が 困 難 だった、 爪 楊 枝 の 十 二 指<br />

腸 穿 通 を 伴 う 膵 頭 部 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 腫 の1 切 除 例 を 経 験 した。<br />

P64-5 IPMC, 胃 癌 , 大 腸 癌 の 同 時 性 早 期 3 重 複 癌 の1 例<br />

西 美 濃 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 水 谷 憲 威 , 飯 田 辰 美 , 高 橋 啓 , 岡 田 将 直<br />

【 症 例 】77 歳 女 性 。2011 年 6 月 , 胃 集 団 検 診 のUGIにて 胃 角 部 に 隆 起<br />

性 病 変 を 指 摘 された。 近 医 で 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 行 われ, 胃 角 部<br />

小 弯 に 腫 瘍 を 指 摘 され, 生 検 の 結 果 , 胃 癌 (tub1)と 診 断 された。 手 術<br />

目 的 にて 当 院 を 紹 介 された。 腹 部 エコー,CTにて 膵 頭 部 に 約 30mm<br />

大 の 多 房 性 病 変 が 認 められた。 胃 内 視 鏡 検 査 で 胃 角 部 小 弯 に 約 6cm 大<br />

の0-IIa 病 変 が 認 められた(tub1)。 大 腸 内 視 鏡 検 査 で 上 行 結 腸 に 約 2cm<br />

大 の0-IIc+IIa 病 変 が 認 められた(tub1)。MRCPにて 膵 頭 部 に 多 房 性<br />

の 嚢 胞 性 病 変 が 認 められ, 分 枝 型 IPMNの 所 見 であった。ERCPにて<br />

Vater 乳 頭 から 粘 液 の 流 出 が 認 められ, 生 検 の 結 果 ,IPMNと 診 断 さ<br />

れた。2011 年 7 月 , 大 腸 癌 に 対 してEMRを 行 った 後 ,IPMNと 早 期 胃<br />

癌 に 対 して 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った。 病 理 組 織 診 断 は, 大 腸 はtu<br />

b1,pM,int,INFa,ly0,v0,pHM0,pVM0,pStage0, 胃 はtub1~pap,pT1a,int,<br />

INFa,ly1,v1,pN0,pPM0,pDM0,pStageIA, 膵 は 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 癌<br />

(IPMC),minimally…invasive,Ph,pTS2, 嚢 胞 型 ,pT2,pCH(-),pDU(-),<br />

pS(-),pRP(-),pN0,pPCM(-),pBCM(-),INFβ,ly0,v0,ne0,mpd(-),<br />

pStageIIであった。【 考 察 】 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)は 膵 管 内 に<br />

粘 液 産 生 上 皮 が 乳 頭 状 に 増 殖 する 腫 瘍 で, 腺 腫 より 非 浸 潤 癌 , 微 小 浸<br />

潤 癌 ,さらに 由 来 浸 潤 癌 へと 進 展 する 疾 患 である。 自 験 例 はIPMC<br />

(IPMN 由 来 の 微 小 浸 潤 癌 )であった。 日 本 膵 臓 学 会 によるIPMNの 全<br />

国 集 計 では,IPMN 由 来 膵 癌 は17%,IPMN 併 存 膵 癌 は4%とされる。<br />

IPMNと 他 臓 器 の 悪 性 腫 瘍 の 合 併 ( 同 時 性 ・ 異 時 性 )は 約 19%と 報 告 さ<br />

れ, 比 較 的 頻 度 が 高 い。 消 化 器 癌 が 約 79%を 占 め,なかでも 胃 癌 , 大<br />

腸 癌 が 多 いとされる。ところが,IPMC(IPMN)と 重 複 癌 …をキーワー<br />

ドに 医 学 中 央 雑 誌 にて 検 索 (1983 年 ~2010 年 )を 行 ったところ,3 重 複<br />

癌 以 上 の 合 併 の 報 告 例 は3 例 のみ( 会 議 録 は 除 く)であった。IPMC<br />

(IPMN)の3 重 複 癌 以 上 の 合 併 は 非 常 にまれであると 思 われた。 胃 癌<br />

は 壁 深 達 度 pT1aであったが,tub1~papのほかにpor,sig,mucと 多 彩<br />

な 組 織 像 が 認 められ, 興 味 深 いと 思 われた。<br />

P64-6 直 腸 癌 術 後 、IPMCに 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 、<br />

早 期 胃 癌 に 対 して 幽 門 側 胃 切 除 を 行 った3 重 複 癌 の1 例<br />

岐 阜 大 学 第 1 外 科<br />

○… 関 野 考 史 , 木 村 真 樹 , 村 瀬 勝 俊 , 関 野 誠 史 郎 ,<br />

竹 村 博 文<br />

【はじめに】IPMTは 他 臓 器 悪 性 腫 瘍 を 合 併 することが 多 いとされて<br />

いるが、3 重 複 癌 は 稀 である。また 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後<br />

に 胃 癌 に 対 して 幽 門 側 胃 切 除 を 行 った 報 告 は 少 なく、 再 建 方 法 に 一 考<br />

を 要 する。【 症 例 】60 歳 代 の 男 性 である。7 年 前 に 直 腸 癌 に 対 し 腹 会 陰<br />

式 直 腸 切 断 術 が 施 行 された。 病 理 検 査 結 果 でStageIIIbであり、 術 後<br />

補 助 化 学 療 法 として5FU+ロイコボリンを6サイクル 施 行 された。 術<br />

前 のCTおよびMRIで 膵 頭 部 のIPMTが 指 摘 されていた。 径 25mmであ<br />

きらかな 壁 在 結 節 はなく 経 過 観 察 とした。 経 過 観 察 中 のCTおよび<br />

MRIで 増 大 傾 向 および 壁 在 結 節 を 指 摘 されたため、 手 術 適 応 として5<br />

年 前 ( 直 腸 癌 術 後 2 年 )に 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (Child 変 法 によ<br />

る 再 建 )が 施 行 された。 病 理 検 査 でIntraductal…papillary-mucinous…<br />

carcinoma,ch(-),du(-),s(-),rp(-),pv(-),a(-),pl(-),oo(-),ly0,v0,ne0,mpd<br />

(+),n0と 診 断 された。その1 年 後 術 後 定 期 検 査 目 的 の 上 部 消 化 管 内 視<br />

鏡 検 査 で 前 庭 部 小 弯 側 にIIc+IIa 病 変 認 められ、sm 浸 潤 が 疑 われたため、<br />

幽 門 側 胃 切 除 術 が 行 われた。 胃 空 腸 吻 合 部 の 空 腸 を 約 5cmにわたり 合<br />

併 切 除 した。 残 胃 に 結 腸 後 経 路 で 空 腸 を 端 々 吻 合 した。 輸 入 脚 は 挙 上<br />

空 腸 の 右 側 壁 に 吻 合 し た。 病 理 検 査 結 果 tub2( ><br />

por2),pSM,ly0,v0,pN0,pStageIAであった。 胃 切 除 後 4 年 の 現 在 あきら<br />

かな 再 発 の 徴 候 なく 経 過 観 察 中 である。【まとめ】IPMTには 重 複 癌<br />

があることを 念 頭 におき 密 に 経 過 観 察 する 必 要 がある。また 幽 門 輪 温<br />

存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 であっても 幽 門 側 胃 切 除 は 安 全 に 施 行 できた。<br />

P64-7 間 質 の 硝 子 化 を 伴 ったIPMNの 一 切 除 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 北 口 和 彦 , 加 藤 祐 一 郎 , 後 藤 田 直 人 , 木 下 敬 弘 ,<br />

高 橋 進 一 郎 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

症 例 は70 歳 の 男 性 。 咽 頭 違 和 感 、 嗄 声 にて 発 見 された 下 咽 頭 癌 に 対 し<br />

て 放 射 線 治 療 が 行 われたが、その 精 査 中 に 胃 癌 と 膵 体 部 嚢 胞 性 病 変 を<br />

同 時 に 指 摘 された。 膵 病 変 は、CTにて 小 石 灰 化 を 伴 う20mm 大 の 多<br />

房 性 嚢 胞 性 腫 瘤 として 捉 えられ、 小 嚢 胞 が 集 簇 する 形 状 を 呈 していた。<br />

CT 単 独 では 漿 液 性 嚢 胞 腫 瘍 を 最 も 考 える 所 見 であったが、MRI<br />

(MRCP)ではブドウの 房 状 を 呈 し、また 主 膵 管 との 連 続 性 も 認 められ<br />

たことよりIPMNと 診 断 された。 明 らかなmural…noduleは 認 められな<br />

かったが、 腫 瘤 被 膜 に 遷 延 性 の 造 影 効 果 の 増 強 を 認 め、IPMCが 疑 わ<br />

れた。 下 咽 頭 癌 に 関 しては、 放 射 線 治 療 が 奏 効 しCRが 得 られたため、<br />

胃 癌 、 膵 嚢 胞 性 病 変 に 対 して 外 科 的 切 除 を 行 う 方 針 となり、 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 膵 病 変 は 肉 眼 的 には22×18mm 大 の 多 房 性 嚢<br />

胞 性 腫 瘤 であり、 内 部 には 無 色 透 明 な 粘 液 の 存 在 が 認 められた。 組 織<br />

学 的 には 丈 の 低 い 円 柱 上 皮 に 裏 打 ちされた 嚢 胞 を 認 め、 周 囲 間 質 に 硝<br />

子 化 を 伴 っていた。 浸 潤 像 などの 明 らかな 悪 性 所 見 は 認 められず、 鑑<br />

別 診 断 として 漿 液 性 嚢 胞 腫 瘍 、 変 性 の 加 わったIPMN、リンパ 管 腫 な<br />

どが 考 えられた。 免 疫 染 色 を 施 行 すると、 嚢 胞 上 皮 はCK7(+)、CK20<br />

(-)、CEA(-)、CA19-9(+)、 間 質 はGFAP(-)、S100(-)、D2-40(+)、<br />

CD34(-)との 結 果 であった。 病 変 の 辺 縁 部 には 異 型 に 乏 しい 高 円 柱 状 、<br />

乳 頭 状 の 増 生 を 伴 う 成 分 が 認 められ、この 変 化 を 腫 瘍 性 と 考 えると、<br />

何 らかの 反 応 性 変 化 にて 間 質 の 増 生 、 硝 子 化 を 来 したIPMNを 最 も 疑<br />

う 所 見 であった。 間 質 の 硝 子 化 を 伴 うIPMNについては、 本 邦 におい<br />

てその 報 告 例 は 少 なく、 調 べ 得 る 限 りでは 平 林 らが 報 告 した<br />

Oncocytic…typeにおける3 例 のみであり、 稀 な 病 態 であると 考 えられた。<br />

また、 文 献 的 にもSolid-pseudopapillary…tumorや 嚢 胞 性 神 経 内 分 泌 腫<br />

瘍 とは 異 なり、IPMNにおける 間 質 の 硝 子 化 は 非 典 型 的 であるとされ、<br />

その 原 因 や 病 態 については 不 明 な 点 が 多 いと 考 えられた。 今 後 も 症 例<br />

を 蓄 積 し、 検 討 を 重 ねることが 肝 要 であると 考 えられ、 今 回 その 一 切<br />

除 例 を 経 験 したため 報 告 する。<br />

-440-


P64-8 間 質 にinvasivehigh-gradespindlecellcarcinoma<br />

を 呈 したIPMNの 一 例<br />

1<br />

相 模 原 協 同 病 院 外 科 、 2 相 模 原 協 同 病 院 診 療 部 病 理 診 断 科<br />

○… 篠 美 和 1<br />

, 河 野 悟 1<br />

, 磐 井 佑 輔 1<br />

, 佐 々 木 一 憲 1<br />

, 若 林 正 和 1<br />

,<br />

藤 平 大 介 1<br />

, 小 池 卓 也 1<br />

, 船 津 健 太 郎 1<br />

, 保 刈 岳 雄 1<br />

,<br />

相 崎 一 雄 1<br />

, 高 野 靖 悟 1 2<br />

, 風 間 暁 男<br />

症 例 は74 歳 男 性 。 上 腹 部 痛 にて 来 院 、 腹 部 USにて 膵 頭 部 に 低 エコー<br />

腫 瘤 を 認 め、 入 院 精 査 となった。 腹 部 CTにて 膵 頭 部 に 低 濃 度 の 腫 瘤<br />

があり、 末 梢 膵 管 の 拡 張 を 認 めたため、 膵 頭 部 癌 と 診 断 し、 膵 頭 十 二<br />

指 腸 切 除 を 行 った。 腫 瘍 は 膵 頭 部 に 存 在 し、 大 きさは3.5x3.4x2.0cm<br />

であり、 肉 眼 的 には 膵 管 内 腫 瘍 の 形 態 を 示 していた。 組 織 学 的 に 膵 管<br />

内 にポリープ 状 に 増 生 する 腫 瘍 で 表 層 は 高 円 柱 上 皮 および 化 生 性 の 扁<br />

平 上 皮 に 被 覆 されているが、 細 胞 や 核 異 形 は 認 めなかった。 間 質 は 錯<br />

綜 ないしherring-bone…patternを 示 す 紡 錘 形 細 胞 の 一 部 がCK…AE1/<br />

AE3に 陽 性 で 上 皮 系 への 分 化 を 示 していた。また 高 円 柱 上 皮 から 成 る<br />

管 腔 構 造 が 増 生 する 部 位 を 認 め、 間 質 内 にも 同 様 の 腺 管 構 造 が 巻 き 込<br />

まれていた。 以 上 の 所 見 からintraductal…papillary-mucinous…cystic…<br />

neoplasm(IPMN)にinvasive…high-grade…spindle…cell…neoplasmを 伴 っ<br />

たものと 考 えられた。 膵 臓 のmucinous…cystic…neoplasm(MCN)では<br />

間 質 が 増 生 し、いわゆるsarcomatoid…carcinomaを 合 併 することが 報<br />

告 されているが、 極 めて 稀 なIPMNの 合 併 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。<br />

P65-1 当 院 における 膵 IPMN 手 術 症 例 の 検 討<br />

愛 媛 県 立 中 央 病 院 一 般 消 化 器 外 科<br />

○… 西 正 暁 , 河 崎 秀 樹 , 藤 井 正 彦 , 大 谷 広 美 , 原 田 雅 光<br />

【 方 法 】2007 年 3 月 か ら2011 年 9 月 に 手 術 施 行 し た 膵 IPMN25 例 を<br />

retrospectiveに 検 討 した。【 結 果 】 年 齢 は71.1±7.0 歳 。 性 別 は 男 性 17 例 、<br />

女 性 8 例 。 分 枝 型 9 例 、 混 合 型 13 例 、 主 膵 管 型 3 例 であった。 術<br />

式 はSSPPD…12 例 、DP……11 例 、TP1 例 、SSPPD+DP…1 例 であった。リ<br />

ンパ 節 郭 清 はD0…5 例 、D1…8 例 、D2…12 例 。 病 理 診 断 はIPMA…8 例 、<br />

IPMB…7 例 、IPMC…10 例 (non-invasive…7 例 、invasive…3 例 )であった。<br />

分 枝 膵 管 型 IPMN…9 例 中 、IPMA…6 例 、IPMB…2 例 、IPMC…1 例 であった。<br />

壁 在 結 節 を3 症 例 に 認 め、IPMB…2 例 、IPMCはPET-CTでSUV…max…3.7<br />

のFDG 集 積 を 伴 う28mm 大 の 壁 在 結 節 を 有 する1 例 であった。 混 合 型<br />

IPMN…13 例 中 、IPMB…5 例 、IPMC8 例 であった。 主 膵 管 型 IPMN…3 例 は、<br />

IPMA…2 例 、IPMC(non-…invasive)1 例 。であった。リンパ 節 転 移 を 認<br />

めたのは、 術 前 よりIPMCを 疑 い、SSPPD…(D2)を 施 行 した 混 合 型<br />

IPMN…1 例 のみであった。 主 膵 管 ・ 混 合 型 の 主 膵 管 径 はIPMA…12.0±2.8…<br />

cm、IPMB…9.6±4.0cm、IPMC…11.7±4.7cmで 有 意 差 は 認 めなかった。<br />

PET-CTにおけるSUV…maxはIPMA、IPMB、IPMC…3 群 間 で 有 意 差 は<br />

認 めなかったが、SUV…max…3.7 以 上 の 症 例 は、IPMCが 多 い 傾 向 を 認<br />

めた(p


P65-4 高 齢 者 における 再 発 膵 管 内 乳 頭 状 粘 液 腺 癌 (IPMC): 残 膵<br />

全 摘 の 適 応 をどう 判 断 するか<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 仲 野 哲 矢 , 黒 崎 功 , 皆 川 昌 広 , 高 野 可 赴 , 滝 沢 一 泰 ,<br />

森 本 悠 太<br />

【はじめに】IPMCは 高 齢 者 男 性 に 好 発 し, 治 癒 切 除 後 でも 残 膵 に 再<br />

発 する. 一 般 に 緩 徐 な 発 育 を 示 すが, 増 大 速 度 が 速 く, 周 囲 臓 器 進 展<br />

や 高 度 リンパ 節 転 移 を 示 す 例 も 少 なくない. 本 例 は77 歳 時 にIPMN 由<br />

来 浸 潤 癌 にて 広 範 囲 膵 体 尾 部 切 除 が 施 行 されていたが,IPMCの 残 膵<br />

再 発 に 対 して…80 歳 時 に 残 膵 全 摘 が 施 行 された. 本 報 告 では 経 過 を 詳<br />

細 に 分 析 し,QOLや 病 理 などの 点 から2 回 目 手 術 の 妥 当 性 について 考<br />

察 を 加 えた.【 症 例 】 以 前 から 狭 心 症 (PCI 後 ), 糖 尿 病 (インスリン 投 与 )<br />

のため 前 医 に 通 院 していた.76 歳 時 に 急 激 な 体 重 減 少 のため 精 査 を 受<br />

け, 膵 体 尾 部 のIPMNを 指 摘 された. 腫 瘍 径 は 半 年 間 で 明 らかな 増 大<br />

を 認 め( 径 11cm),IPMN 由 来 浸 潤 癌 として 当 院 に 紹 介 となった. 手<br />

術 は 膵 体 尾 部 切 除 + 胃 部 分 切 除 + 左 半 結 腸 切 除 が 施 行 された. 病 理 で<br />

はT4( 胃 浸 潤 , 結 腸 間 膜 )/N0/M0であり, 治 癒 切 除 であった.その 約<br />

2 年 後 に 残 膵 に 主 膵 管 型 のIPMNが 指 摘 され, 腹 痛 などの 症 状 を 訴 え<br />

るようになった. 本 人 の 希 望 もあり 経 過 観 察 をしていたが, 病 変 は 徐 々<br />

に 増 大 してきたため 悪 性 病 変 であることを 念 頭 に 病 状 を 説 明 した 結 果 ,<br />

残 膵 全 摘 を 施 行 した( 初 回 手 術 から3 年 6 月 後 ,80 歳 ). 術 後 2 病 日 目 に<br />

遺 残 した 大 網 からの 出 血 があり, 抗 凝 固 療 法 中 であるために 止 血 術 を<br />

施 行 .その 後 胃 蠕 動 能 回 復 遅 延 (GDA)とそれに 起 因 する 嚥 下 性 肺 炎<br />

のため,PSは 悪 化 . 約 5ヶ 月 の 入 院 の 後 自 宅 退 院 となった.GDAは 糖<br />

尿 病 による 末 梢 神 経 障 害 , 手 術 侵 襲 , 周 囲 組 織 との 癒 着 が 想 定 された.<br />

再 発 病 変 の 病 理 はIMPC(invasive,…pap-tub1…with…mucinous…<br />

carcinoma)で,T2,…N0,…M0であった. 現 在 経 口 摂 取 は 概 ね 良 好 であり,<br />

栄 養 指 導 に 重 点 を 置 いて 月 1 回 の 外 来 診 察 に 通 院 している.ADLは2<br />

回 目 手 術 前 PS1, 術 後 はPS2 程 度 と 悪 化 した.【まとめ】 高 齢 者 におけ<br />

る 悪 性 IPMCは,ADLや 腫 瘍 の 特 質 によって 慎 重 に 決 定 されなければ<br />

ならない. 本 例 では 十 二 指 腸 を 温 存 した 残 膵 摘 出 が 可 能 であったと 思<br />

われた.<br />

P65-5 IPMC 術 後 残 膵 癌 に 対 し、 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した2 例<br />

1<br />

財 団 法 人 仙 台 市 医 療 センター 仙 台 オープン 病 院 外 科 、 2 財 団 法<br />

人 仙 台 市 医 療 センター 仙 台 オープン 病 院 消 化 器 内 科<br />

○… 深 瀬 正 彦 1<br />

, 及 川 昌 也 1<br />

, 柿 田 徹 也 1<br />

, 本 多 博 1<br />

, 小 山 淳 1<br />

,<br />

佐 藤 龍 一 郎 1<br />

, 矢 澤 貴 1<br />

, 土 屋 堯 裕 1<br />

, 大 石 弥 生 1<br />

,<br />

川 崎 修 平 1<br />

, 野 田 裕 2 1<br />

, 土 屋 誉<br />

IPMN 外 科 治 療 の 経 験 が 蓄 積 されるに 伴 い、 切 除 後 中 長 期 に 生 じた 残<br />

膵 病 変 の 報 告 が 増 えている。 当 院 でも、IPMC 術 後 の 残 膵 に 発 生 した<br />

通 常 型 膵 管 癌 に 対 し、 残 膵 全 摘 術 を 施 行 した2 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。【 症 例 1】70 歳 代 、 男 性 。 膵 尾 部 の 分 枝 膵 管 型 IPMNの 経 過 観 察<br />

中 に、 糖 尿 病 コントロールの 悪 化 と 腫 瘍 マーカー 上 昇 を 伴 ったため 精<br />

査 目 的 に 紹 介 。 膵 尾 部 に40mm 大 の 充 実 成 分 を 伴 う 多 房 性 腫 瘤 を 認 め<br />

IPMCを 疑 い 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 、 切 除 標 本 でIPMNとの 移 行 帯 を 伴<br />

う 浸 潤 癌 を 確 認 した。pS(+)、pRP(+)、…pPVsp(+)のT4、StageIVa<br />

進 行 癌 であった。 術 後 経 過 観 察 中 、 初 回 手 術 から4 年 6か 月 の 時 点 で 腫<br />

瘍 マーカーが 漸 増 し、CTにて 残 膵 ( 膵 頭 部 )の 腫 瘤 影 と 門 脈 狭 小 像 を<br />

確 認 。 残 膵 再 発 の 診 断 で 残 膵 全 摘 、 門 脈 合 併 切 除 を 施 行 。 再 手 術 の 切<br />

除 標 本 ではIPMN 併 存 浸 潤 癌 の 病 理 診 断 を 得 た。【 症 例 2】60 歳 代 、 男 性 。<br />

アルコール 性 膵 炎 の 治 療 経 過 中 に 腫 瘍 マーカー 上 昇 と 体 重 減 少 認 め 当<br />

院 紹 介 。 膵 鉤 部 に35mm 大 の 内 部 に 乳 頭 状 隆 起 を 伴 う 嚢 胞 性 病 変 を 認<br />

めIPMCの 診 断 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 。 病 理 所 見 上 は 浸 潤 癌 の 所<br />

見 であった。 術 後 2 年 2か 月 で、 残 膵 にCTでの 低 吸 収 域 とその 尾 側 の<br />

膵 管 拡 張 認 め、 残 膵 再 発 の 診 断 で 再 切 除 を 施 行 。 膵 の 部 分 温 存 を 試 み<br />

たが、 術 中 迅 速 診 断 で 複 数 の 病 変 認 めため 残 膵 全 摘 を 選 択 した。 切 除<br />

標 本 ではIPMN 併 存 浸 潤 癌 の 診 断 であったが、 主 病 変 とは 離 れて 膵 尾<br />

部 にIPMCも 存 在 していた。【 考 察 】 IPMNは 緩 徐 に 発 育 する 疾 患 で<br />

あり、IPMN 由 来 浸 潤 癌 であっても 通 常 型 膵 管 癌 に 比 して 比 較 的 予 後<br />

良 好 とする 報 告 が 多 い。しかしながら、 同 時 / 異 時 性 を 含 め 通 常 型 膵<br />

管 癌 が10% 前 後 、 他 臓 器 癌 が10-30% 合 併 すると 報 告 されており、 多 中<br />

心 性 の 発 癌 を 考 えて 慎 重 なfollow…upが 必 要 と 思 われた<br />

P65-6 仮 性 膵 嚢 胞 と 鑑 別 を 要 した 巨 大 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 の 一<br />

切 除 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学<br />

○… 長 谷 川 慎 一 郎 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

,<br />

小 林 省 吾 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

土 岐 祐 一 郎 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

膵 嚢 胞 性 病 変 は 嚢 胞 内 上 皮 のない 仮 性 嚢 胞 と 真 性 嚢 胞 に 大 別 され、そ<br />

の 診 断 に 苦 慮 する。また 真 性 膵 嚢 胞 の 大 半 は 腫 瘍 性 嚢 胞 であり 適 切 な<br />

診 断 と 治 療 が 必 要 である。 今 回 我 々は、 膵 炎 に 伴 う 仮 性 嚢 胞 として 経<br />

過 観 察 されていた 径 30cmに 及 ぶ 巨 大 膵 嚢 胞 性 病 変 に 対 して 膵 体 尾 部<br />

切 除 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は46 歳 、 女 性 。 平<br />

成 11 年 6 月 に 膵 炎 を 発 症 し、 近 医 受 診 。その 際 に 腹 部 CTにて 膵 尾 部 に<br />

径 7cmの 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され、 大 量 の 飲 酒 歴 および 膵 炎 の 既 往 から<br />

仮 性 膵 嚢 胞 と 診 断 された。 平 成 12 年 3 月 、 嚢 胞 径 の 増 大 を 認 め、 経 皮<br />

的 ドレナージおよびピシバニール 注 入 を 施 行 された。 嚢 胞 は 一 旦 縮 小<br />

を 認 めたが 再 度 増 大 傾 向 を 示 し、 腹 痛 および 腹 部 膨 満 感 が 出 現 したた<br />

め、 平 成 22 年 12 月 当 院 紹 介 受 診 となった。 造 影 CTでは、 膵 体 尾 部 に<br />

長 径 18cm 大 の 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。MRIでも 膵 体 尾 部 にT1W1<br />

で 低 信 号 、T2W1で 高 信 号 を 示 す 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 認 めたが、 嚢 胞<br />

内 に 充 実 性 結 節 は 認 めなかった。PET-CTではFDGの 異 常 集 積 を 認 め<br />

ず、 腫 瘍 マーカーも 正 常 範 囲 内 であった。 有 症 状 であり、 性 別 ・ 年 齢 ・<br />

画 像 診 断 上 も 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 (MCN:…Mucinous…Cystic…Neoplasm)<br />

の 可 能 性 を 考 慮 し、 外 科 的 切 除 の 方 針 とした。 手 術 所 見 では、 巨 大 嚢<br />

胞 性 病 変 により 胃 は 頭 側 に、 横 行 結 腸 は 尾 側 に 圧 排 されており、 門 脈<br />

の 同 定 は 不 可 能 であった。そこで 腫 瘤 下 縁 を 切 開 し、 用 手 的 に 拳 上 し<br />

て 門 脈 左 縁 で 膵 を 切 離 し、 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した。 膵 断 端 は、 空 腸<br />

と 膵 管 粘 膜 吻 合 を 付 加 し 手 術 を 終 了 した。 摘 出 標 本 は 長 径 30cm 大 の<br />

内 部 に 粘 液 を 含 んだ 多 房 性 嚢 胞 性 腫 瘤 で、 嚢 胞 内 液 のアミラーゼは 正<br />

常 値 であった。 病 理 組 織 学 的 には 粘 液 産 生 傾 向 を 示 す 円 柱 上 皮 が 嚢 胞<br />

壁 を 裏 打 ちしており、 一 部 卵 巣 様 間 質 を 認 めMCNと 診 断 した。 術 後<br />

一 過 性 に 膵 液 漏 を 認 めたが 保 存 的 加 療 にて 軽 快 し、 術 後 35 日 目 に 退 院<br />

となった。 病 歴 や 嗜 好 歴 より 仮 性 膵 嚢 胞 が 疑 われる 症 例 であっても 腫<br />

瘍 性 膵 嚢 胞 の 可 能 性 を 念 頭 に 置 いて 診 断 ・ 治 療 を 行 うことが 必 要 であ<br />

る。<br />

P65-7 10 年 間 のフォローアップ 後 に 切 除 した 膵 粘 液 性 嚢 胞 腺<br />

腫 の1 例<br />

1<br />

釧 路 労 災 病 院 外 科 、 2 釧 路 労 災 病 院 病 理<br />

○… 砂 原 正 男 1<br />

, 小 笠 原 和 宏 1<br />

, 草 野 満 夫 1<br />

, 高 橋 達 郎<br />

2<br />

膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 (mucinous…cystic…neoplasm:…MCN)<br />

は 中 年 女 性 の 膵 体 尾 部 に 好 発 し、 病 理 組 織 学 的 に 卵 巣 様 間 質 の 存 在 が<br />

診 断 に 必 要 とされている。 本 腫 瘍 は 病 変 が 小 さい 場 合 、 結 節 がない 場<br />

合 などは 経 過 観 察 可 能 との 意 見 もあるが、 基 本 的 にはmalignant…<br />

potentialを 有 することから 切 除 すべきと 考 えられている。< 症 例 > 患<br />

者 は74 歳 女 性 。 既 往 歴 、 家 族 歴 に 特 記 すべき 事 項 なし。2000 年 5 月 か<br />

ら 径 4cm 大 の 膵 尾 部 腫 瘍 にて 外 来 で 経 過 観 察 していた。 腫 瘍 は 徐 々に<br />

増 大 し、2004 年 には 径 7cmとなり、 手 術 を 勧 めるも 拒 否 された。2009<br />

年 10 月 から 心 窩 部 つかえ 感 が 出 現 し、 精 査 にてMCNを 疑 い、2010 年 1<br />

月 、 膵 体 尾 部 脾 合 併 切 除 を 施 行 した。 腫 瘍 は 厚 い 線 維 性 被 膜 を 有 する<br />

径 11cmの 嚢 胞 で、 上 皮 は 異 型 に 乏 しい 粘 液 産 生 性 上 皮 であり、 卵 巣<br />

様 間 質 を 一 部 に 認 め(エストロゲンレセプター(+),…プロゲステロンレ<br />

セプター(+))、 粘 液 性 嚢 胞 腺 腫 (mucinous…cystadenoma:…MCA)と<br />

診 断 された。< 考 察 >MCN…はslow…growingな 腫 瘍 と 考 えられている<br />

が、adenoma-carcinoma…sequenceが 示 唆 されており、 悪 性 化 する 可<br />

能 性 があること、 悪 性 例 では 予 後 不 良 であること、 術 前 の 良 悪 性 の 鑑<br />

別 診 断 は 困 難 であることなどから 手 術 が 推 奨 されている。MCN 症 例<br />

の 中 には 何 らかの 事 情 により 切 除 せずに 経 過 観 察 となるものもあると<br />

思 われるが、そのような 場 合 に 最 終 的 に 手 術 が 行 われたとする 報 告 は<br />

比 較 的 まれであり、 自 然 史 については 不 明 な 点 が 多 い。 本 例 では10 年<br />

間 の 経 過 観 察 にて 嚢 胞 径 が4cmから11cmへと 増 大 したが、 組 織 学 的<br />

にはMCAであった。このように 緩 徐 な 発 育 を 示 すMCNに 対 し、 画 像<br />

検 査 をしながら 長 期 間 の 経 過 観 察 をした 後 に 切 除 した1 例 を 経 験 した<br />

ので、その 自 然 史 解 明 の 一 助 になると 考 え、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え<br />

て 報 告 する。<br />

-442-


P65-8 膵 管 内 管 状 腺 腫 の1 切 除 例<br />

JA 長 野 厚 生 連 篠 ノ 井 総 合 病 院 外 科<br />

○… 坂 口 博 美 , 五 明 良 仁<br />

まれな 膵 管 内 管 状 腺 腫 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する. 症 例 は67 歳 の 女<br />

性 .… 主 訴 は 体 重 減 少 .… 検 診 で 体 重 減 少 …(2 年 間 に9Kg)… があり 精 査 目 的<br />

で 当 科 に 紹 介 となった.… 既 往 歴 ,… 家 族 歴 では 高 血 圧 症 で 近 医 に 通 院 し<br />

ている 以 外 に 特 記 すべきことなし.… 自 覚 症 状 はなかった.… 腹 部 CT 検 査<br />

では 膵 頭 部 に 大 きさ3cm 大 の 嚢 胞 状 の 腫 瘤 を 認 めた.… 境 界 は 比 較 的 明<br />

瞭 で 内 部 に 乳 頭 状 に 増 殖 した 充 実 成 分 を 伴 い 主 膵 管 と 交 通 しているよ<br />

うに 見 えた.… 膵 体 尾 部 の 主 膵 管 は 拡 張 しており,… 主 膵 管 型 の 膵 管 内 乳<br />

頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)を 疑 った.…ERCP 検 査 では 主 乳 頭 の 開 大 と 粘 液 の<br />

排 出 を 認 め,… 頭 部 主 膵 管 内 に 粘 液 によると 思 われる 透 亮 像 と 乳 頭 状 隆<br />

起 を 認 めた.… 尾 側 膵 管 は 著 名 に 拡 張 しているが 乳 頭 状 隆 起 は 頭 部 に 限<br />

局 していた.…IDUSでは 門 脈 すぐ 尾 側 の 膵 管 内 までわずかに 片 側 性 の 壁<br />

肥 厚 を 認 め,… 主 膵 管 型 のIPMNを 疑 った.…また 下 部 胆 管 の 壁 外 性 の 締 め<br />

付 け 狭 窄 像 も 認 めた.… 血 液 検 査 所 見 では 腫 瘍 マーカーがCEA…6.8ng/ml<br />

と 軽 度 の 上 昇 を 認 める 以 外 に 特 に 異 常 値 を 認 めなかった.… 膵 管 内 の 乳<br />

頭 状 隆 起 からの 生 検 ,… 膵 管 上 皮 の 擦 過 細 胞 診 および 膵 液 細 胞 診 検 査 で<br />

は 悪 性 像 は 認 めなかったが,… 体 重 減 少 ,…CEAの 上 昇 などから 主 膵 管 型<br />

の 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 癌 …(IPMC)…を 疑 い 手 術 を 施 行 した.… 腫 瘍 は 膵 頭<br />

部 に 柔 らかいな 腫 瘤 として 触 知 した.… 膵 前 方 組 織 ,… 後 方 組 織 への 浸 潤<br />

はなかった.… また,… 明 らかな 肝 転 移 ,… 腹 膜 播 種 性 転 移 は 認 めなかった.…<br />

亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 …(SSPPD-IIA-3)…を 行 った.… 術 後 は 軽 度<br />

の 膵 液 漏 を 合 併 したが 次 第 に 軽 快 し,… 第 30 病 日 に 退 院 した.… 切 除 標 本<br />

の 病 理 組 織 検 査 では,… 腫 瘍 は 嚢 胞 内 に 管 状 異 型 腺 管 が 増 殖 しており,…<br />

構 造 異 型 ,… 細 胞 異 型 は 軽 度 で 膵 管 内 管 状 腺 腫 …(ITA)…と 診 断 した.… 膵 管<br />

内 管 状 腫 瘍 …(ITT)…は 膵 癌 取 扱 い 規 約 第 6 版 では,… 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫<br />

瘍 の 中 でその 他 の 腫 瘍 として 扱 われている.… 構 造 異 型 および 細 胞 異 型<br />

の 程 度 により 腺 腫 …(ITA)…と 腺 癌 …(ITC)…に 分 けられる.…まれな 腫 瘍 で<br />

報 告 例 は 少 なく,…その 臨 床 病 理 学 的 特 性 については 十 分 に 明 らかにさ<br />

れていない.… 我 々はIPMCを 疑 い 手 術 を 施 行 したが,… 病 理 組 織 学 的 には<br />

ITAであった1 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する…<br />

P65-9 膵 管 内 管 状 腺 腫 (intraductaltubularadenoma)の1<br />

切 除 例<br />

JA 北 海 道 厚 生 連 札 幌 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 谷 岡 利 朗 , 岡 田 邦 明 , 石 津 寛 之<br />

症 例 は80 歳 の 男 性 。 近 医 で 撮 影 したCTで 膵 体 部 に 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、<br />

精 査 加 療 目 的 に 当 院 を 紹 介 された。 初 診 時 の 血 液 生 化 学 検 査 では 高 脂<br />

血 症 と 耐 糖 能 異 常 (HbA1c…8.3%)を 認 めるのみで、 膵 酵 素 (S-Amy…<br />

39IU/L,…P-Amy…22IU/L,…lipase…27IU/L)、 腫 瘍 マーカー(CEA…3.2ng/<br />

ml,…CA19-9…11.7U/ml)ともに 異 常 を 認 めなかった。 腹 部 エコーでは 内<br />

部 に 結 節 を 伴 う 多 房 性 の 嚢 胞 を 認 めた。 造 影 CTでは 嚢 胞 は7cm 大 で<br />

分 葉 状 であり 壁 は 不 整 に 肥 厚 し、 主 膵 管 と 連 続 していた。また 膵 頭 部<br />

の 主 膵 管 は1.5cmに 拡 張 していた。 周 囲 への 浸 潤 、リンパ 節 の 腫 大 は<br />

認 めなかった。MRIでも 同 様 に 分 葉 状 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 嚢 胞 内 に<br />

腫 瘤 像 を 認 めた。 胆 管 には 異 常 を 認 めなかった。EUSでは 膵 頭 体 移 行<br />

部 で 分 枝 膵 管 は 嚢 胞 状 に 拡 張 し、 分 枝 膵 管 内 に 乳 頭 状 の 腫 瘤 を 認 めた。<br />

ERCPでは 乳 頭 は 開 大 しており、 拡 張 した 主 膵 管 内 に 粘 液 貯 留 を 認 め<br />

た。 細 胞 診 はclass…Iであった。 混 合 型 IPMCの 術 前 診 断<br />

(cTis,cN0,cM0,cStage0)で 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的<br />

検 査 では、 拡 張 した 膵 管 内 に 増 殖 した 腫 瘍 を 認 め、 腫 瘍 の 一 部 は 乳 頭<br />

状 であるが 管 状 異 形 腺 管 が 主 体 の 像 を 呈 しており、 膵 管 内 管 状 腺 腫<br />

(intraductal…tubular…adenoma:ITA)と 診 断 された。ITAは 膵 癌 取 扱<br />

い 規 約 ( 第 6 版 )では 膵 管 内 管 状 腺 癌 とともに 膵 管 内 管 状 腫 瘍<br />

(intraductal…tubular…neoplasms:ITNs)に 分 類 されている。ITNsは<br />

2010 年 のWHO 分 類 で はintraductal…tubulopapillary…neoplasms<br />

(ITPNs)と 新 しく 分 類 されており、 未 確 定 な 要 素 が 多 い 概 念 である。<br />

ITNsの 報 告 例 は 少 なく 極 めてまれな 疾 患 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P66-1 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 におけるmTOR、IGF-1R 発 現 につい<br />

ての 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

1<br />

大 分 大 学 第 一 外 科 、 2 大 分 大 学<br />

○… 小 森 陽 子 1<br />

, 矢 田 一 宏 1<br />

, 太 田 正 之 1<br />

, 増 田 崇 1<br />

,<br />

川 野 雄 一 郎 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 岩 下 幸 雄 1 2<br />

, 北 野 正 剛<br />

【 は じ め に 】Mammalian…target…of…rapamycin…(mTOR)お よ び<br />

Insulin-like…growth…factor-1…receptor…(IGF-1R)は 腫 瘍 の 増 殖 、 浸 潤 お<br />

よび 転 移 に 関 連 する 因 子 であり、 近 年 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 においても、<br />

mTOR 阻 害 薬 、IGF-1R 阻 害 薬 の 有 効 性 が 確 認 されている。 今 回 我 々は、<br />

膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 におけるmTOR、IGF-1Rの 発 現 と、 臨 床 病 理 学 的<br />

因 子 の 関 係 について 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 】 当 科 における 膵<br />

神 経 内 分 泌 腫 瘍 切 除 症 例 25 例 (1984 年 11 月 ~2011 年 3 月 )。【 方 法 】 腫 瘍<br />

組 織 におけるmTOR、phospho-mTOR…(p-mTOR)、IGF-1Rの 免 疫 染<br />

色 を 行 った。それらの 発 現 と2000 年 WHO 旧 分 類 、2010 年 WHO 新 分 類<br />

および 臨 床 病 理 学 的 因 子 の 関 係 について、カイ2 乗 検 定 およびフィッ<br />

シャー 直 接 確 率 法 を 用 いて 統 計 学 的 検 定 を 行 った。【 結 果 】25 例 中 、<br />

WHO 旧 分 類 の 高 分 化 型 神 経 内 分 泌 腫 瘍 、 高 分 化 型 神 経 内 分 泌 癌 、 低<br />

分 化 型 神 経 内 分 泌 癌 はそれぞれ15 例 、8 例 、2 例 で、WHO 新 分 類<br />

GradingにおいてG1、G2、G3はそれぞれ20 例 、4 例 、1 例 であった。<br />

mTOR、p-mTOR、IGF-1Rの 陽 性 率 はそれぞれ12%(3 例 )、44%(11 例 )、<br />

88%(22 例 )で、mTOR、IGF-1Rは 臨 床 病 理 学 的 因 子 と 関 連 を 認 めな<br />

かった。p-mTORは、 周 囲 組 織 浸 潤 (p=0.007)、 核 分 裂 数 (p=0.048)、<br />

WHO 旧 分 類 (p=0.01)の3つの 因 子 と 関 連 を 認 めた。また 有 意 差 はみら<br />

れなかったが、p-mTORはリンパ 節 転 移 も 関 連 を 認 めた(p=0.072)。【 結<br />

語 】p-mTORの 発 現 は 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 悪 性 度 と 関 連 があると 考 え<br />

られた。<br />

P66-2 膵 消 化 管 内 分 泌 腫 瘍 (GEP-NETs)の 集 学 的 治 療 におけ<br />

る 外 科 的 意 義<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科<br />

○… 勝 田 絵 里 子 , 工 藤 篤 , 藍 原 有 弘 , 落 合 高 徳 , 入 江 工 ,<br />

伴 大 輔 , 中 村 典 明 , 田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 目 的 】 本 研 究 はGEP-NETsの 適 切 な 治 療 指 針 を 決 める 最 重 要 因 子 を<br />

明 らかにすることが 目 的 である。【 対 象 と 方 法 】2001 年 7 月 ~2011 年 7<br />

月 の11 年 間 の 当 院 を 受 診 した95 例 中 初 回 治 療 81 例 のGEP-Netsにつき、<br />

無 再 発 生 存 率 DFS、 全 生 存 率 OSに 影 響 を 与 える 因 子 をレトロスペク<br />

ティブに 解 析 した。 術 前 診 断 には 造 影 CT、 必 要 に 応 じてオクトレオ<br />

チドシンチを 施 行 した。【 結 果 】81 例 の 内 、 男 性 46 人 、 女 性 35 人 。 機<br />

能 性 腫 瘍 16 例 、 平 均 年 齢 は61 歳 であった。 膵 - 十 二 指 腸 NET(PD-NETs)<br />

は43 例 、その 他 の 消 化 管 NET(GE-NETs)が38 例 であった。 初 回 根 治<br />

手 術 は65 例 、TAEが12 例 、 化 学 療 法 は21 例 、Paliative 手 術 5 例 、オク<br />

トレオチドは16 人 に 投 与 されていた。GE-NETsは 高 齢 男 性 、 原 発 巣<br />

の 最 大 腫 瘍 径 が 大 きく、Ki-67が 平 均 23%でPD-NETsの8.5%に 比 べて<br />

有 意 に 高 値 であり(p=0.02)、 肝 外 転 移 が 多 かった。 初 回 根 治 手 術 が 可<br />

能 な 場 合 には、OSが 有 意 に 良 好 であった(p


P66-3 外 科 的 治 療 を 施 行 した 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の4 例<br />

別 府 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 平 下 禎 二 郎 , 松 本 敏 文 , 廣 重 彰 二<br />

【はじめに】 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は 比 較 的 まれな 疾 患 であり、その 組 織<br />

学 的 分 類 の 変 化 や 治 療 の 進 歩 により 非 常 に 注 目 されている。 今 回 われ<br />

われは 外 科 的 治 療 を 施 行 した 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の4 例 について 報 告 す<br />

る。【 症 例 1】49 歳 の 女 性 で、 多 発 肝 転 移 を 伴 う 膵 頭 部 腫 瘍 を 指 摘 され、<br />

2005 年 5 月 当 院 に 紹 介 された。 肝 腫 瘍 の 生 検 にて 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診<br />

断 し、 化 学 療 法 、 肝 動 注 を 行 った。 肝 転 移 は 消 失 し、 膵 腫 瘍 のみとなっ<br />

たため、2006 年 7 月 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した(NET…<br />

G1、T3N0M1stageIV)。2008 年 4 月 多 発 肝 転 移 を 認 め、 化 学 療 法 を 施<br />

行 している。【 症 例 2】73 才 の 男 性 で、2004 年 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 に 対 し、<br />

幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した(NET…G1、T2N0M0Stage…<br />

IIa)。2010 年 6 月 CTにて 後 腹 膜 に25mmの 再 発 病 変 を 認 め、 切 除 した。<br />

11 月 には 腹 腔 動 脈 腹 側 と 肝 S7に 再 発 を 認 め、 化 学 療 法 を 施 行 し、2011<br />

年 11 月 現 在 生 存 中 である。【 症 例 3】84 歳 の 男 性 で、 膵 体 部 腫 瘍 と 膵 管<br />

拡 張 を 認 め、2009 年 8 月 当 科 に 紹 介 された。9 月 に 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施<br />

行 し、 病 理 検 査 にて 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 し、 大 動 脈 周 囲 リンパ 節 転<br />

移 を 伴 っていた(NET…G2、T3NxM1StageIV)。 術 後 に 補 助 化 学 療 法<br />

は 行 わず、2011 年 11 月 現 在 無 再 発 生 存 中 である。【 症 例 4】73 才 の 女 性<br />

で、2011 年 9 月 に 膵 体 部 腫 瘍 を 指 摘 され、 当 科 に 紹 介 された。2011 年<br />

11 月 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 し、 病 理 検 査 にて 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断<br />

した(NET…G2、T2N0M0StageIIa)。 現 在 外 来 にて 経 過 観 察 中 である。<br />

【 結 語 】 外 科 的 治 療 を 施 行 した 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の4 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 した。<br />

P66-4 門 脈 内 腫 瘍 塞 栓 を 伴 った 非 機 能 性 膵 内 分 泌 癌 の1 例<br />

1<br />

社 会 保 険 宮 崎 江 南 病 院 外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 大 学 院 医 歯 学 総 合 研<br />

究 科 消 化 器 ・ 乳 腺 甲 状 腺 外 科<br />

1,2<br />

○… 立 野 太 郎 , 前 村 公 成 2<br />

, 又 木 雄 弘 2<br />

, 飯 野 聡 2<br />

, 迫 田 雅 彦 2<br />

,<br />

新 地 洋 之 2<br />

, 上 野 真 一 2 2<br />

, 夏 越 祥 次<br />

膵 内 分 泌 腫 瘍 は 膵 腫 瘍 全 体 の 約 2% 前 後 と 比 較 的 まれな 腫 瘍 で,その<br />

内 分 泌 活 性 により 機 能 性 内 分 泌 腫 瘍 と 非 機 能 性 内 分 泌 腫 瘍 に 分 類 され<br />

る. 非 機 能 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 は 膵 内 分 泌 腫 瘍 の15~20%をしめるとされ<br />

る. 最 近 は 画 像 診 断 の 進 歩 で 偶 然 発 見 される 無 症 候 性 腫 瘍 が 増 加 して<br />

いる. 我 々は 今 回 , 糖 尿 病 の 精 査 中 に 偶 然 発 見 された 門 脈 内 腫 瘍 塞 栓<br />

を 伴 う 非 機 能 性 膵 内 分 泌 癌 の1 例 を 経 験 したので, 文 献 的 考 察 を 加 え<br />

て 報 告 する. 症 例 は80 歳 男 性 , 前 立 腺 癌 ,S 状 結 腸 憩 室 穿 孔 , 喉 頭 癌<br />

の 既 往 あり. 糖 尿 病 の 精 査 中 に 撮 影 された 腹 部 造 影 CTにて 膵 頭 部 に<br />

8.5×6.5cm 大 の 内 部 が 不 均 一 に 造 影 される 充 実 性 腫 瘤 性 病 変 を 認 め,<br />

門 脈 本 幹 に 上 下 9cmに 及 ぶ 腫 瘍 塞 栓 を 伴 っていた. 上 部 消 化 管 内 視 鏡<br />

検 査 では 胃 ・ 十 二 指 腸 潰 瘍 認 めず, 十 二 指 腸 下 行 脚 に 狭 窄 を 認 めなかっ<br />

た.CEA,CA19-9,AFP, エ ラ ス タ ー ゼ1,Span-1,IgG4は 正 常 ,<br />

DUPAN-2は220U/mLと 軽 度 高 値 ,QFT 検 査 は 判 定 保 留 ,HbA1Cは<br />

11.1%と 著 明 な 高 値 であった.CT 上 十 二 指 腸 及 び 総 胆 管 への 浸 潤 を 認<br />

めたが 通 過 障 害 , 黄 疸 は 認 めず, 臨 床 像 が 膵 管 癌 と 異 なっており, 内<br />

分 泌 癌 , 悪 性 リンパ 腫 , 結 核 等 が 考 えられた. 開 腹 生 検 を 行 ったとこ<br />

ろ, 高 分 化 内 分 泌 癌 の 診 断 であった. 免 疫 染 色 ではインスリン 陰 性 ,<br />

グルカゴン 及 びガストリンは 弱 陽 性 であった. 術 後 経 過 に 問 題 なく,<br />

現 在 ソマトスタチン・アナログによる 治 療 を 施 行 中 である.<br />

P66-5 膵 Mixedductal-endocrinecarcinomaの1 切 除 例<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター 消 化 器 病 センター<br />

○… 渡 邉 幸 博 , 岡 本 光 順 , 徳 永 裕 貴 , 上 野 陽 介 , 岡 田 克 也 ,<br />

利 光 靖 子 , 合 川 公 康 , 宮 澤 光 男 , 小 山 勇<br />

膵 外 分 泌 腫 瘍 と 内 分 泌 腫 瘍 が 同 腫 瘍 内 に 混 在 するMixed…exocrineendocrine…carcinomaはWHO<br />

分 類 にて 定 義 されており、 膵 腫 瘍 の 中 で<br />

は 非 常 に 稀 な 疾 患 である。 今 回 我 々は、 術 前 にFDG-PETにて 強 い 集<br />

積 を 認 める 膵 腫 瘍 に 対 して 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 し、 病 理 組 織 学 的 検<br />

査 にて 膵 管 癌 成 分 と 内 分 泌 細 胞 癌 が 混 在 するMixed…ductal-endocrine…<br />

carcinomaと 診 断 した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は52 歳 、 男 性 。<br />

検 診 の 腹 部 エコー 検 査 にて 左 腎 癌 を 疑 われ 近 医 を 受 診 し、CTにて 膵<br />

体 部 に 腫 瘤 を 指 摘 されて 当 科 紹 介 受 診 となった。 腹 部 CTにて 膵 体 部 に、<br />

動 脈 相 で 造 影 効 果 を 認 めず、 門 脈 相 ・ 遅 延 相 において 造 影 効 果 のある<br />

境 界 不 明 瞭 な2.5×2.2cmの 腫 瘤 を 認 め、 主 膵 管 の 拡 張 と 脾 静 脈 の 閉 塞<br />

を 認 めた。Diffusion…MRIで 腫 瘍 は 著 明 な 高 信 号 を 示 し、FDG-PETで<br />

はSUVmax…9.7と 強 い 取 り 込 みを 認 めた。 明 らかな 遠 隔 転 移 は 認 めな<br />

かった。 以 上 より 膵 体 部 癌 の 診 断 にて、 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。<br />

病 理 組 織 学 的 検 査 では 腺 腔 様 構 造 を 形 成 する 膵 管 癌 と、 低 分 化 内 分 泌<br />

細 胞 癌 の 成 分 が 混 在 しており、Mixed…ductal-endocrine…carcinomaと<br />

診 断 した。Mixed…ductal-endocrine…carcinomaの 本 邦 報 告 例 は 少 なく<br />

稀 な 疾 患 であり、 画 像 的 特 徴 や 臨 床 病 理 学 的 特 徴 は 明 らかになってお<br />

らず、 予 後 や 術 後 の 補 助 化 学 療 法 も 確 立 していない。 術 前 に 診 断 がつ<br />

くことは 少 なく、 一 般 的 に 膵 管 癌 の 方 が 内 分 泌 細 胞 癌 よりも 予 後 が 不<br />

良 なことから 膵 管 癌 成 分 に 対 して 補 助 化 学 療 法 を 行 うことが 多 い。し<br />

かしながら 膵 管 癌 の 占 める 割 合 や 内 分 泌 細 胞 癌 の 分 化 度 によっても 腫<br />

瘍 の 性 質 は 変 わると 考 えられ、 今 後 の 症 例 の 蓄 積 により 個 々の 腫 瘍 に<br />

あったテーラーメイド 治 療 の 確 立 が 必 要 と 思 われた。<br />

P66-6 集 学 的 治 療 により 長 期 生 存 が 得 られている 同 時 性 多 発<br />

肝 転 移 を 伴 う 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 一 例<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 中 村 広 太 , 庄 雅 之 , 赤 堀 宇 広 , 木 下 正 一 , 中 島 祥 介<br />

【 目 的 】 外 科 手 術 , 化 学 療 法 , 血 管 塞 栓 術 等 の 集 学 的 治 療 により, 長<br />

期 生 存 の 得 られている 同 時 性 肝 転 移 を 伴 う 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の 一 例 を<br />

経 験 したので, 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する.【 臨 床 経 過 】 症 例 は47 才 ,<br />

男 性 .2007 年 7 月 , 背 部 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 .CT 検 査 にて 膵 癌 が 疑 わ<br />

れ, 当 院 紹 介 . 膵 体 尾 部 に70mm 大 の 低 濃 度 腫 瘤 に 加 え, 肝 両 葉 の 結<br />

節 影 (11か 所 , 最 大 25mm)を 認 めた. 膵 腫 瘤 は 周 囲 濃 染 を 伴 う 乏 血 性<br />

腫 瘍 であり, 膵 体 尾 部 癌 , 多 発 肝 転 移 と 診 断 . 原 発 巣 に 対 し 同 年 10 月<br />

に 膵 体 尾 部 切 除 術 施 行 . 術 後 肝 転 移 巣 に 対 し5FU 大 量 肝 動 注 療 法 を3<br />

回 施 行 したが, 縮 小 効 果 を 認 めなかった. 術 後 病 理 結 果 はWell…<br />

differenciated…endocrine…carcinoma,…int…INFβ,ly2,v1,ne3,s(+),rp<br />

(+),pcm(-),bcm(±).No.8aにリンパ 節 転 移 を 認 めた. 術 後 6 週 目<br />

よりcisplatin(CDDP)によるTACEを 計 6 回 ( 計 750mg) 施 行 .また 全 身<br />

化 学 療 法 として 術 後 7 週 目 からgemcitabine(GEM)1000mg/m …2… を 計 12<br />

クール 施 行 . 顕 著 な 肝 転 移 巣 の 縮 小 効 果 を 認 めた(5か 所 に 減 少 , 最 大<br />

7mm).その 後 S-1…(120mg/ 日 ,4 週 投 与 2 週 休 薬 )に 変 更 し2クール 施<br />

行 したが, 肝 転 移 巣 は 再 度 増 悪 (10ヶ 所 に 増 加 , 最 大 径 12mm)した.<br />

そのためCDDPによるTACE… を 再 度 2 回 ( 計 260mg) 施 行 . 効 果 に 乏 し<br />

かったため,GEMを 再 開 し, 徐 々に 再 度 縮 小 を 認 めた.さらに<br />

CDDP 肝 動 注 2 回 追 加 ( 計 200mg)とGEM…を 継 続 し,7か 月 間 縮 小 を 維 持 .<br />

GEM+Octreotide(20mg,4 週 毎 ) 併 用 療 法 に 切 り 替 え,さらに7か 月 間<br />

無 増 悪 .その 後 Octreotide 単 独 療 法 に 変 更 したが,18か 月 間 無 増 悪 で<br />

ある. 現 在 治 療 開 始 後 4 年 2か 月 経 過 し, 直 近 32か 月 間 は 十 分 なQOL<br />

を 保 ちつつ, 無 増 悪 生 存 中 であり, 完 全 社 会 復 帰 している. 最 近 の 臨<br />

床 試 験 (NEJM…2011:364;501,…NEJM…2011:364;514)では, 切 除 不<br />

能 膵 内 分 泌 腫 瘍 の 無 増 悪 生 存 期 間 は 新 規 薬 剤 (Sunitinib,…Everolimus)<br />

によっても11か 月 前 後 と 報 告 されており, 本 症 例 の 経 過 は 良 好 である<br />

と 思 われた.【 結 語 】 多 発 肝 転 移 を 伴 う 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 対 して, 原 発<br />

切 除 および 肝 転 移 に 対 する 局 所 治 療 及 び 全 身 化 学 療 法 ,Octreotide 療<br />

法 等 の 集 学 的 治 療 によって, 良 好 なコントロール 及 び 長 期 生 存 が 得 ら<br />

れている1 例 を 経 験 した.<br />

-444-


P66-7 インスリノーマ 初 回 切 除 後 19 年 を 経 過 し 治 療 抵 抗 性 と<br />

なった 症 例 に 対 してスニチニブが 奏 効 した1 例<br />

東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学<br />

○… 吉 松 軍 平 , 坂 田 直 昭 , 林 洋 毅 , 石 田 晶 玄 , 深 瀬 耕 二 ,<br />

乙 供 茂 , 大 塚 英 郎 , 水 間 正 道 , 岡 田 恭 穂 , 中 川 圭 ,<br />

森 川 孝 則 , 小 野 川 徹 , 吉 田 寛 , 元 井 冬 彦 , 内 藤 剛 ,<br />

力 山 敏 樹 , 片 寄 友 , 江 川 新 一 , 海 野 倫 明<br />

膵 内 分 泌 腫 瘍 の 進 行 は 緩 徐 であるが、 再 発 を 繰 り 返 すため 治 療 に 難 渋<br />

する。 今 回 、われわれはインスリノーマの 多 発 肝 転 移 症 例 に 対 して19<br />

年 間 の 長 期 にわたり 多 様 な 治 療 を 行 い、 治 療 抵 抗 性 となるも、スニチ<br />

ニブが 奏 効 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は76 才 、 女 性 。<br />

1992 年 に 低 血 糖 発 作 が 出 現 し、インスリノーマの 診 断 を 受 けて、 膵 頭<br />

部 腫 瘍 核 出 術 が 施 行 された。5 年 間 の 無 再 発 期 間 の 後 、1997 年 から 肝<br />

転 移 再 発 が 認 められるようになり、4 回 の 肝 切 除 、マイクロ 波 凝 固 療<br />

法 (MCT)を 組 み 合 わせた 局 所 療 法 が 行 われた。2004 年 11 月 より 局 所<br />

療 法 だけでは 血 清 インスリン 値 の 制 御 が 困 難 となったため、オクトレ<br />

オチドの 投 与 が 開 始 となり、 以 後 2 回 の 肝 転 移 巣 のラジオ 波 焼 灼 療 法<br />

(RFA)を 行 われたものの、 一 時 は 病 勢 の 制 御 を 得 るに 至 った。しかし、<br />

2008 年 4 月 に 肝 転 移 巣 の 増 大 が 再 度 確 認 され、テモゾロミドを 追 加 投<br />

与 するも 効 果 がなく、 以 後 、4 回 の 肝 切 除 、RFAが 施 行 された。 最 終<br />

的 に、2011 年 6 月 に 施 行 された 肝 右 葉 切 除 と 肝 S2/3 部 分 切 除 にて 肉 眼<br />

的 には 遺 残 なく 再 発 巣 を 切 除 できたものの、 術 中 腹 水 細 胞 診 にて 腫 瘍<br />

細 胞 が 認 められ、 血 清 インスリン 値 は 術 直 後 に 一 時 正 常 値 化 したが<br />

(6.0pg/mL)、 術 後 1ヵ 月 には36.2pg/mLと 再 上 昇 した。 患 者 の 治 療 意<br />

欲 が 強 く、PSも 良 いことから、スニチニブ(4 週 投 与 2 週 休 薬 )の 投 与<br />

を 開 始 した。 骨 髄 抑 制 と 出 血 傾 向 により、12.5mg/dayまで 減 量 を 余<br />

儀 なくされたものの2011 年 11 月 のインスリン 値 は7.2pg/mLと 減 少 し、<br />

現 在 も 正 常 域 に 制 御 され、 低 血 糖 発 作 も 見 られていない。 本 症 例 は 合<br />

計 9 回 の 肝 切 除 、ないしはMCT/RFAによる 局 所 療 法 の 他 、オクトレ<br />

オチド、テモゾロミドの 投 与 によっても 腫 瘍 の 進 行 制 御 が 困 難 となっ<br />

ていた。しかし、スニチニブの 投 与 により、 血 清 インスリン 値 の 正 常<br />

化 を 得 るに 至 った。スニチニブは 海 外 でのphaseIII 試 験 で 無 増 悪 生 存<br />

期 間 の 延 長 が 確 認 されており、 本 邦 でも 今 後 治 療 の 選 択 肢 の 一 つとし<br />

て 期 待 される。<br />

P66-8 膵 ・ 十 二 指 腸 同 時 多 発 性 NETとの 鑑 別 が 困 難 であった<br />

遠 隔 転 移 を 伴 う 十 二 指 腸 NETの1 例<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 ・ 地 域 がんセンター 外 科<br />

○… 北 條 大 輔 , 阿 部 秀 樹 , 永 井 秀 雄 , 長 田 梨 比 人 ,<br />

栗 原 知 多 流 , 赤 繁 徹 , 島 村 淳 一 , 工 藤 宏 樹 , 川 崎 晋 司 ,<br />

相 馬 大 介 , 吉 見 富 洋<br />

膵 十 二 指 腸 …NET…(neuroendocrine…tumor)…は、 術 前 診 断 で 肝 転 移 ・<br />

遠 隔 転 移 を 伴 わないと 診 断 された 場 合 、 積 極 的 な 切 除 手 術 の 適 応 とさ<br />

れる。 症 例 は44 歳 女 性 。 間 欠 的 黒 色 便 と 貧 血 を 主 訴 として 精 査 を 行 っ<br />

たところ、 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 を 伴 う 多 発 性 十 二 指 腸 粘 膜 下 腫 瘍 (4…<br />

個 )と 診 断 された。 十 二 指 腸 腫 瘤 はすべて…5…cm… 以 下 と 小 さく、 腫 大<br />

した 傍 大 動 脈 リンパ 節 ……2 個 は 点 在 したため 根 治 手 術 を 目 的 に 開 腹 し<br />

た。 十 二 指 腸 部 分 切 除 、 膵 部 分 切 除 二 カ 所 、 腫 大 傍 大 動 脈 リンパ 節 摘<br />

出 二 個 を 施 行 した。 組 織 診 断 は 十 二 指 腸 / 膵 原 発 高 分 化 型 神 経 内 分 泌<br />

腫 瘍 とそのリンパ 節 転 移 であった。 半 年 後 の 経 過 観 察 …PET/CT…で、<br />

膵 内 腫 瘤 を 二 個 認 めた。 傍 大 動 脈 に 腫 大 リンパ 節 は 認 めなかった。 膵 …<br />

NET…の 同 時 多 発 病 変 を 考 え、PpPD…を 施 行 した。 組 織 診 断 では 膵 周<br />

囲 …NET… 三 個 とともに、 膵 周 囲 に 多 発 リンパ 節 転 移 を 認 めた。 今 回 、<br />

pM1,…pStage…IV…の 十 二 指 腸 …NET…に 対 し、 二 回 の 手 術 を 施 行 した。<br />

初 回 は、 非 上 皮 性 腫 瘍 の 質 的 診 断 が 摘 出 前 に 困 難 なこと、を 契 機 とし<br />

た。 二 回 目 は、 膵 頭 十 二 指 腸 領 域 腫 瘤 の 局 在 が、 十 二 指 腸 壁 内 か、 膵<br />

頭 周 囲 リンパ 節 か、 膵 内 腫 瘤 か、 画 像 診 断 で 困 難 なこと、を 契 機 とし<br />

た。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P66-9 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 に 苦 慮 した 肝 転 移 ・リンパ 節 転 移 を<br />

伴 った 十 二 指 腸 カルチノイドの 一 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 術 期 管 理<br />

学<br />

○… 山 中 千 尋 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

,<br />

江 口 英 利 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

,<br />

森 正 樹 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

【はじめに】 今 回 我 々は、 肝 細 胞 癌 の 治 療 歴 を 有 していた 為 に、 診 断<br />

に 苦 慮 した 十 二 指 腸 カルチノイドの 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症<br />

例 】65 歳 女 性 。 平 成 11 年 S6/7の 肝 細 胞 癌 に 対 し、 他 院 にて 肝 後 区 域<br />

切 除 術 施 行 。 平 成 14 年 、 平 成 19 年 に 肝 内 再 発 に 対 してTACE 施 行 。 平<br />

成 21 年 にも 肝 内 再 発 を 来 たし、 以 降 TACEを2 回 、PEITを5 回 、RFA<br />

を1 回 施 行 された。 平 成 23 年 5 月 、 胃 小 弯 のリンパ 節 腫 大 を 認 め、 肝 細<br />

胞 癌 リンパ 節 転 移 と 診 断 し、ソラフェニブを 導 入 するも 副 作 用 にて 継<br />

続 不 可 能 であったため、6 月 セカンドオピニオン 目 的 にて 当 院 紹 介 受 診 。<br />

腹 部 造 影 CTでは、 肝 S4に 早 期 濃 染 とwashoutを 呈 する 複 数 の 結 節 と、<br />

S3に 突 出 する 集 簇 した 結 節 を 認 め、 肝 細 胞 癌 の 肝 内 多 発 再 発 と 考 え<br />

られた。また 十 二 指 腸 水 平 脚 に1.5cmの 多 血 性 結 節 を 認 めた。 胃 小 弯<br />

から 総 肝 動 脈 周 囲 に 複 数 のリンパ 節 腫 大 を 認 め、 肝 細 胞 癌 のリンパ 節<br />

転 移 と 考 えられたが、 十 二 指 腸 腫 瘍 からの 転 移 も 鑑 別 診 断 として 考 え<br />

られた。 以 上 より、 肝 内 病 巣 に 対 してTACEを 先 行 し、 同 時 に 十 二 指<br />

腸 の 精 査 を 行 う 方 針 とした。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて、 十 二 指 腸 下<br />

行 脚 乳 頭 対 側 に15mm 大 の 粘 膜 下 腫 瘍 を 認 め、 生 検 にて 異 型 細 胞 の 集<br />

簇 を 認 め、 免 疫 組 織 染 色 ではcytokeratine(AE1+AE3) 陽 性 、CD56 陽 性 、<br />

synaptophysin 陽 性 、HAS 陰 性 であり、 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 した。<br />

肝 腫 瘍 およびリンパ 節 転 移 は 神 経 内 分 泌 腫 瘍 由 来 の 可 能 性 も 否 定 でき<br />

なかったため、9 月 13 日 手 術 を 施 行 した。 手 術 所 見 では、 胃 小 弯 から<br />

総 肝 動 脈 周 囲 に 腫 大 したリンパ 節 を4 個 認 め、これらを 摘 除 した。ま<br />

た 肝 S3に 肝 外 に 突 出 するTACE 無 効 病 巣 と、 近 傍 の 肝 表 面 に 腹 膜 播 種<br />

巣 を 認 め、 播 種 病 変 摘 除 と 肝 S3 部 分 切 除 術 を 施 行 。 最 後 に 十 二 指 腸<br />

部 分 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 検 査 では、 類 円 型 核 を 有 する 腫 瘍 細<br />

胞 が 胞 巣 状 、 索 状 に 増 生 し、 固 有 筋 層 までの 浸 潤 を 認 め、 十 二 指 腸 カ<br />

ルチノイドと 診 断 した。また 肝 、リンパ 節 、 播 種 病 変 も 同 様 の 所 見 で<br />

あり、 十 二 指 腸 カルチノイドの 転 移 と 診 断 した。【 結 語 】 肝 細 胞 癌 の<br />

治 療 歴 を 有 していてもカルチノイドと 考 えられる 病 変 がある 場 合 には、<br />

組 織 学 的 診 断 を 行 い、 治 療 方 針 を 決 定 することが 重 要 である。<br />

P67-1 SASItestで 手 術 適 応 と 術 式 が 決 定 できた 非 インスリ<br />

ノーマ 膵 原 性 低 血 糖 症 の2 例<br />

1<br />

関 西 電 力 病 院 外 科 、 2 関 西 電 力 病 院 病 理 部<br />

○… 細 田 洋 平 1<br />

, 金 沢 景 文 1<br />

, 池 田 温 至 1<br />

, 江 嵜 秀 和 1<br />

, 河 本 泉 1<br />

,<br />

井 上 直 也 1<br />

, 粟 根 雅 章 1<br />

, 恒 川 昭 二 1<br />

, 滝 吉 郎 1<br />

, 今 村 正 之 1<br />

,<br />

河 合 潤<br />

2<br />

( 背 景 ) 選 択 的 動 脈 内 刺 激 薬 注 入 法 (SASI…test)は、 機 能 性 NETの 外 科<br />

的 切 除 術 のための 術 前 診 断 法 として 有 用 であることが 明 らかにされて<br />

きた。 我 々は 低 血 糖 症 状 を 主 訴 に 受 診 し、 術 前 のSASI…testで 手 術 適<br />

応 と 術 式 が 決 定 できた 非 インスリノーマ 膵 原 性 低 血 糖 症 の2 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する。( 症 例 1)50 歳 女 性 。 意 識 消 失 、 異 常 行 動 ( 玄 関 で 排<br />

尿 する)を 主 訴 に 近 医 を 受 診 。 空 腹 時 血 糖 は45mg/dlと 低 血 糖 を 認 めた。<br />

画 像 検 査 では 膵 内 に 腫 瘍 は 指 摘 できず、SASI…testでは 脾 動 脈 根 部 か<br />

らの 刺 激 で 有 意 反 応 をみとめ、 膵 体 尾 部 からのインスリン 分 泌 過 剰 と<br />

診 断 し、 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 検 査 では 内 分 泌<br />

細 胞 の 増 殖 像 を 多 数 認 め、それらの 大 部 分 はインスリン 染 色 が 陽 性 で<br />

あった。 細 胞 異 型 は 認 めず、 一 部 には 腺 房 細 胞 のmetaplasiaが 示 唆 さ<br />

れた。( 症 例 2)25 歳 女 性 。 起 床 遅 延 と 計 算 力 の 低 下 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 。<br />

空 腹 時 血 糖 は48mg/dlと 低 血 糖 を 認 めた。 画 像 検 査 で 膵 内 に 腫 瘍 は 指<br />

摘 できなかった。SASI…testでは 膵 体 部 領 域 で 有 意 反 応 を 認 め、この<br />

領 域 でのインスリン 分 泌 過 剰 と 診 断 して 開 腹 術 を 行 った。 術 中 は 視 診 、<br />

触 診 、エコーで 膵 内 に 腫 瘤 を 指 摘 できなかった。SASI…testの 結 果 に<br />

従 い 膵 中 央 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 検 査 では2 箇 所 の 径 1mmの 結<br />

節 病 変 と 周 囲 のラ 島 の 増 殖 を 認 めた。 導 管 に 連 続 して 膵 島 細 胞 集 団<br />

(ductroinsular…complex)が 形 成 されており、nesidioblastosisと 診 断 し<br />

た。 免 疫 染 色 ではinsuline(+)>glucagon(+)>somatostatin(+)であっ<br />

た。( 考 察 ) 非 インスリノーマ 膵 原 性 低 血 糖 症 は 稀 な 疾 患 で、 治 療 には<br />

膵 切 除 が 有 効 とされている。 手 術 に 際 しては 根 治 性 とともに 残 膵 機 能<br />

の 温 存 が 求 められ、そのためには 局 在 診 断 が 重 要 となってくる。 画 像<br />

検 査 のみで 局 在 診 断 は 困 難 であり、SASI…testによる 局 在 診 断 をおこ<br />

なうことが 肝 要 であると 考 えられる。( 結 語 ) 今 回 、われわれはSASI…<br />

testにより 手 術 適 応 と 術 式 が 決 定 でき、 根 治 性 の 高 い 治 療 が 可 能 で<br />

あった 非 インスリノーマ 膵 原 性 低 血 糖 症 の2 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。<br />

-445-


P67-2 異 所 性 ガストリノーマの1 切 除 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外<br />

科<br />

○… 篠 原 万 里 枝 1<br />

, 柴 浩 明 2<br />

, 古 川 賢 英 2<br />

, 北 村 博 顕 2<br />

,<br />

鈴 木 文 武 2<br />

, 伊 藤 隆 介 2<br />

, 後 町 武 志 2<br />

, 二 川 康 郎 2<br />

,<br />

脇 山 茂 樹 2<br />

, 石 田 祐 一 2<br />

, 三 澤 健 之 2 1<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

症 例 は63 歳 、 女 性 。 主 訴 は 嘔 吐 、 心 窩 部 痛 及 び 黒 色 便 。 既 往 歴 として<br />

1996 年 に 脳 腫 瘍 に 対 して 当 院 脳 神 経 外 科 にて 腫 瘍 摘 出 術 を 施 行 してい<br />

る。2010 年 12 月 より 黒 色 便 を 認 めたため 前 医 受 診 、 上 部 消 化 管 内 視 鏡<br />

検 査 を 施 行 したところ、 多 発 性 の 十 二 指 腸 びらんを 認 めた。 血 液 検 査<br />

では 高 ガストリン 血 症 を 認 めたため、ガストリノーマの 疑 いで 当 院 紹<br />

介 受 診 となった。 腹 部 超 音 波 では 膵 頭 部 背 側 に 径 20mmの 境 界 明 瞭 な<br />

豊 富 な 血 流 を 有 する 充 実 性 のhypoechoic…tumorを 認 めた。 膵 実 質 と<br />

の 連 続 性 は 不 明 瞭 であった。 腹 部 造 影 CTでは 膵 鉤 部 尾 側 に 膵 実 質 と<br />

ほぼ 同 等 の 造 影 効 果 を 示 す16mmの 充 実 性 腫 瘍 を 認 めた。 腹 部 MRIで<br />

はT2WI、DWIで 不 均 一 な 淡 い 高 信 号 を 呈 する 腫 瘍 であった。 超 音 波<br />

内 視 鏡 では 膵 鉤 部 近 傍 の 後 腹 膜 に 豊 富 な 血 流 を 有 する20mm 径 の 腫 瘍<br />

であり、 内 分 泌 腫 瘍 の 疑 いであった。 血 清 ガストリン 値 50,000pg/ml<br />

と 異 常 高 値 を 示 した。 以 上 より、ガストリノーマの 疑 いで 開 腹 手 術 を<br />

行 った。 術 中 所 見 では 腫 瘍 は 膵 内 または 十 二 指 腸 内 にあり、 膵 および<br />

十 二 指 腸 からの 切 離 は 困 難 と 判 断 し 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。<br />

病 理 診 断 では22x22x18mmの 境 界 明 瞭 な 充 実 性 腫 瘍 で、 膵 および 十 二<br />

指 腸 壁 外 に 位 置 していた。ガストリン 免 疫 染 色 陽 性 で、リンパ 節 転 移<br />

を 認 めたため、 悪 性 ガストリノーマと 診 断 した。 血 清 ガストリン 値 は<br />

術 後 61…pg/mlまで 低 下 、 術 後 約 5ヶ 月 で 再 発 なく 経 過 良 好 である。また、<br />

MEN-1 型 遺 伝 子 解 析 では 変 異 を 認 めていない。ガストリノーマは、<br />

膵 内 分 泌 腫 瘍 としてはインスリノーマに 次 ぐ 頻 度 であるが、 異 所 性 ガ<br />

ストリノーマと 呼 ばれる 膵 外 および 十 二 指 腸 外 、リンパ 節 原 発 以 外 の<br />

ものは、 全 てのガストリノーマのわずか5.6%にすぎない。 今 回 、 異<br />

所 性 ガストリノーマという 稀 な 一 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 え<br />

て 報 告 する。<br />

P67-3 胃 潰 瘍 治 療 経 過 中 に 発 見 され 腫 瘍 核 出 術 を 施 行 し 得 た<br />

膵 鈎 部 ガストリノーマの1 例<br />

山 陰 労 災 病 院 外 科<br />

○… 山 根 祥 晃 , 高 屋 誠 吾 , 高 木 雄 三 , 福 田 健 治 , 豊 田 暢 彦 ,<br />

野 坂 仁 愛<br />

【はじめに】 膵 内 分 泌 腫 瘍 ( 膵 NET)のうち 非 家 族 性 膵 ガストリノー<br />

マは50~90%が 悪 性 とされ、 約 90%は 所 謂 膵 頭 部 を 中 心 とする<br />

gastrinoma…triangleに 認 めることから 従 来 より 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 が<br />

選 択 される 報 告 が 散 見 される。 今 回 我 々は 膵 鈎 部 ガストリノーマに 核<br />

出 術 を 施 行 し 得 た 症 例 を 経 験 し 報 告 する。【 症 例 】60 代 、 男 性 。 既 往 歴 ・<br />

家 族 歴 : 特 記 事 項 なし。 現 病 歴 : 某 年 3 月 嘔 吐 下 痢 続 き 近 医 で 加 療 も<br />

軽 快 せず、CTで 幽 門 ~ 十 二 指 腸 球 部 の 壁 肥 厚 、 内 視 鏡 検 査 で 噴 門 部<br />

潰 瘍 と 幽 門 狭 窄 所 見 あり 同 4 月 に 紹 介 入 院 、PPIにて 症 状 改 善 し 退 院 。<br />

同 年 7 月 内 視 鏡 検 査 で 幽 門 輪 前 壁 潰 瘍 を 認 め、 空 腹 時 血 清 ガストリン<br />

値 670pg/mlと 高 値 で、ガストリノーマ 疑 にて 精 査 目 的 に 再 入 院 。 画<br />

像 所 見 : 内 視 鏡 ) 十 二 指 腸 水 平 脚 までに 明 らかな 粘 膜 下 腫 瘍 を 認 めず。<br />

腹 部 CT) 膵 鈎 部 に 浅 在 性 で1.3cm 径 の 早 期 濃 染 を 伴 う 腫 瘍 像 。 血 管 造<br />

影 ) 上 腸 間 膜 動 脈 造 影 では 明 らかな 腫 瘍 血 管 新 生 認 めないが、<br />

capillary~venous…phaseにて 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 領 域 に 腫 瘍 に 一 致 した<br />

濃 染 像 。 腹 腔 動 脈 ・ 総 肝 動 脈 造 影 では 肝 内 に 明 らかな 濃 染 像 認 めず、<br />

脾 静 脈 から 門 脈 に 異 常 所 見 認 めず。 以 上 より 膵 鈎 部 ガストリノーマと<br />

診 断 。 同 年 10 月 開 腹 術 施 行 。 手 術 所 見 )Kocher 授 動 に 続 きSMVテーピ<br />

ング 後 、 膵 鈎 部 のSMV 背 側 表 面 に 露 出 する 腫 瘍 を 確 認 、Sonosurgに<br />

て 核 出 術 施 行 。 病 理 組 織 所 見 ) 索 状 ~ 胞 巣 状 の 腫 瘍 細 胞 が 密 集 、 細 い<br />

血 管 性 の 網 目 状 間 質 伴 い、 腫 瘍 細 胞 は 比 較 的 均 一 な 類 円 形 核 を 有 し 異<br />

型 は 乏 しく 好 塩 基 性 で 顆 粒 状 胞 体 を 認 める。 免 疫 組 織 化 学 にてシナプ<br />

トフィジン 陽 性 、クロモグラニンA 陽 性 、ガストリン 一 部 陽 性 、Ki67<br />

標 識 率


P67-6 完 全 腹 腔 鏡 下 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 核 出 術 の 経 験<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

○… 三 澤 健 之 , 北 村 博 顕 , 伊 藤 隆 介 , 古 川 賢 英 , 柴 浩 明 ,<br />

二 川 康 郎 , 脇 山 茂 樹 , 石 田 祐 一 , 矢 永 勝 彦<br />

【はじめに】 当 科 では 先 進 医 療 認 定 ( 先 085- 第 180 号 )を 受 け、これま<br />

で 良 性 または 良 悪 性 境 界 病 変 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 尾 側 切 除 術 を34 例 に<br />

施 行 し、 良 好 な 成 績 を 報 告 してきた。この 経 験 を 生 かして、 今 回 、 膵<br />

体 部 に 発 生 した 非 機 能 性 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 (pNET)に 対 し、 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 に 腫 瘍 核 出 術 を 施 行 したのでその 手 技 の 実 際 を 工 夫 と 注 意 点 を 含<br />

めて 呈 示 する。【 症 例 】55 歳 、 男 性 。 既 往 歴 なし。 検 診 で 偶 然 、 膵 体<br />

部 腫 瘍 を 指 摘 された。 当 科 における 精 査 の 結 果 、 膵 体 部 に 径 12mmの<br />

充 実 性 腫 瘤 を 認 めた。 造 影 CTの 動 脈 相 では 著 明 な 造 影 効 果 を 呈 したが、<br />

血 液 検 査 ではホルモンの 過 剰 産 生 は 認 めなかった。ERPでは 主 膵 管 に<br />

浸 潤 像 などの 異 常 はなく、またEUSでは 腫 瘍 と 主 膵 管 との 距 離 は<br />

4mmであった。 以 上 からな、 非 機 能 性 pNETと 術 前 診 断 し、 完 全 鏡 視<br />

下 に 腫 瘍 核 出 術 を 試 みた。なお、 主 膵 管 損 傷 に 備 え、 術 前 日 に 経 鼻 的<br />

膵 管 ステントを 留 置 した。【 手 術 】5 本 のポートを 使 用 した。 胃 結 腸 間<br />

膜 を 切 離 して 網 嚢 を 解 放 、 胃 の 背 側 で 膵 体 部 を 広 く 露 出 した。 膵 表 面<br />

に 腫 瘍 の 隆 起 が 認 められず、その 局 在 は 超 音 波 プローブによる 検 索 で<br />

確 認 した。 腫 瘍 の 核 出 は 電 気 メス、ハーモニック、メリーランドによ<br />

るfructureを 用 いて 慎 重 に 行 った。 途 中 、 膵 実 質 からの 出 血 に 悩 まさ<br />

れたが、 圧 迫 によって 対 応 した。また、 腫 瘍 に1 針 、 吊 り 糸 をかけ、<br />

これを 牽 引 することによって 良 好 な 視 野 を 得 た。 核 出 術 終 了 後 に 経 鼻<br />

的 に 留 置 されていた 膵 管 ステントより 膵 管 造 影 を 行 い、 膵 管 損 傷 の 無<br />

いことを 確 認 した。 核 出 部 ( 膵 実 質 欠 損 部 )にはフィフリン 糊 とネオ<br />

ベールシートを 塗 布 した。 左 横 隔 膜 下 にドレーンを1 本 留 置 し、 手 術<br />

を 終 了 した。【 結 果 】 手 術 時 間 240 分 、 出 血 量 50ml、 術 後 4 日 目 に 食 事<br />

を 開 始 、 術 後 5 日 目 にドレーンを 抜 去 、 患 者 は 合 併 症 なく 術 後 8 日 目 に<br />

退 院 した。 病 理 診 断 はwell…differentiated…pNETであった。 術 後 観 察<br />

期 間 4カ 月 で 再 発 および 合 併 症 なし。【 結 語 】pNETに 対 する 完 全 腹 腔<br />

鏡 下 腫 瘍 核 出 術 は 有 用 であるが、 局 在 診 断 や 主 膵 管 損 傷 に 対 する 配 慮<br />

が 必 要 である。<br />

P67-7 巨 大 嚢 胞 を 伴 った 非 機 能 性 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 の1 例<br />

大 分 大 学 第 一 外 科<br />

○… 江 口 英 利 , 小 森 陽 子 , 岩 下 幸 雄 , 太 田 正 之 , 矢 田 一 宏 ,<br />

川 野 雄 一 郎 , 平 下 禎 二 郎 , 増 田 崇 , 北 野 正 剛<br />

【はじめに】 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 (PNET)の17%は 嚢 胞 を 伴 うとされ、<br />

嚢 胞 を 伴 うことは 必 ずしも 稀 なことではない。しかし、PNETに<br />

10cmを 超 える 嚢 胞 を 伴 う 症 例 は 極 めて 少 ない。 今 回 、 巨 大 嚢 胞 を 伴 っ<br />

たPNETを 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】49 歳 女 性 。2011 年 6 月 食 事<br />

のつかえ 感 、 左 上 腹 部 の 圧 迫 感 、 食 欲 低 下 を 認 め、8 月 の 定 期 健 診 の<br />

上 部 消 化 管 透 視 検 査 にて 胃 の 圧 排 所 見 を 認 めたため、 前 医 を 受 診 、 腹<br />

部 CT 検 査 で 左 上 腹 部 に 径 15cm 大 の 嚢 胞 性 腫 瘍 を 認 め、 精 査 加 療 目 的<br />

で 当 科 紹 介 となった。 腹 部 CT 検 査 にて 膵 体 尾 部 に15×14cm 大 の 嚢 胞<br />

性 腫 瘤 を 認 め、 壁 肥 厚 、 一 部 石 灰 化 をきたしており、 嚢 胞 壁 には2.0cm<br />

大 の 壁 在 結 節 を 有 していた。 腹 部 MRI 検 査 にて、 腫 瘍 内 部 はT2で 高<br />

信 号 ,T1で 筋 より 高 信 号 , 脂 肪 より 低 信 号 を 呈 しており、 被 膜 形 成<br />

も 認 めた。また、CT 同 様 に 壁 在 結 節 を 認 め、 造 影 効 果 、 拡 散 制 限 を 伴 っ<br />

ていた。CT、MRIともに 明 らかな 膵 管 の 拡 張 は 認 めず、 周 囲 臓 器 浸<br />

潤 の 所 見 は 認 めなかった。 以 上 より、 粘 液 性 嚢 胞 性 腫 瘍 (MCN)と 術<br />

前 診 断 し、 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 には、 嚢 胞 壁 お<br />

よび 内 腔 に 比 較 的 均 一 な 小 型 の 核 と 好 酸 性 の 胞 体 を 持 つ 腫 瘍 細 胞 がリ<br />

ボン 状 または 索 状 に 増 殖 しており、 壁 内 結 節 には 腫 瘍 増 殖 と 出 血 ・ 壊<br />

死 を 認 めた。 免 疫 染 色 ではchromogranin…A 陽 性 、synaptophysin 陽 性 、<br />

β-catenin 陽 性 であった。 以 上 より、PNETと 診 断 した。MIB-1 指 数<br />

は2% 以 下 、 核 分 裂 像 は 強 拡 10 視 野 中 2 個 未 満 で、WHO 新 分 類 …G1で<br />

あった。【 結 語 】 膵 嚢 胞 性 腫 瘍 を 認 めた 場 合 にはMCNやsolid…<br />

pseudopapillary…neoplasm…(SPN)の 鑑 別 診 断 にPNETも 考 慮 すべきと<br />

考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P67-8 7cmの 膵 頭 部 嚢 胞 性 腫 瘍 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

中 頭 病 院 外 科<br />

○… 砂 川 宏 樹 , 卸 川 智 文 , 大 城 直 人<br />

目 的 : 近 年 、 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 報 告 が 散 見 されるように<br />

なってきている。 目 指 すところは 低 侵 襲 手 術 であるが 技 術 的 な 困 難 さ<br />

があり、その 術 式 は 定 型 化 に 至 っていない。 各 症 例 でのアプローチや<br />

術 式 などは 工 夫 を 要 する 事 が 多 い。 今 回 我 々は7cmと 比 較 的 大 きな 膵<br />

頭 部 腫 瘍 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 施 行 したので 報 告 する。<br />

症 例 :29 歳 の 女 性 。 膵 頭 部 に7cmの 大 きな 嚢 胞 性 腫 瘍 と 内 部 に 結 節 所<br />

見 を 認 めた。ERCPで 主 膵 管 との 交 通 を 認 め、 非 常 に 若 年 であるが 分<br />

岐 膵 管 型 のIPMNが 疑 われた。 手 術 は 開 脚 位 で 行 った。トロカールを<br />

臍 部 、 左 右 の 臍 横 、 左 右 中 季 肋 線 上 にそれぞれ 留 置 した。 基 本 的 に<br />

LADGに 準 じた。 大 網 を 切 開 し、 網 嚢 腔 内 に 入 った。 右 胃 大 網 動 静 脈<br />

の 切 離 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 の 切 離 、 右 胃 動 脈 の 切 離 、 十 二 指 腸 の 切 離 、<br />

膵 のトンネリングを 行 った。トライツ 靭 帯 を 切 離 後 、 内 側 アプローチ<br />

で 空 腸 背 側 を 剥 離 していき 空 腸 を 切 離 。 空 腸 を 右 側 へ 移 した。 膵 頭 部<br />

の 腫 瘍 によりSMVは 圧 排 されていたが、 上 腸 間 膜 動 静 脈 を 下 方 に 索<br />

引 し、かつ 膵 頭 部 を 右 側 へ 展 開 しながら 慎 重 に 血 管 シーリングシステ<br />

ムで 剥 離 ・ 切 離 していった。 胆 管 を 切 離 したあと、 膵 臓 を 切 離 し 標 本<br />

摘 出 し 迅 速 病 理 診 断 を 行 った。 再 建 は 腹 腔 鏡 下 で 胆 管 空 腸 、 膵 管 陥 入<br />

法 と 柿 田 式 密 着 縫 合 を 行 った。 胃 空 腸 吻 合 は 臍 部 より 施 行 した。 手 術<br />

時 間 は486 分 で 出 血 量 は 少 量 であった。 今 回 の 手 術 のポイントは1)… 胃<br />

結 腸 間 の 十 分 な 授 動 、2)… 左 側 からのトライツの 切 離 、3)… 切 除 最 終 で<br />

の 膵 管 切 離 、の3つだと 思 われた。 結 語 :7cmの 大 きな 嚢 胞 性 腫 瘍 であっ<br />

たが 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 完 遂 できた。<br />

P67-9 嚢 胞 変 性 した 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 施 行 した 脾 摘 を 伴 う 完 全<br />

腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

四 日 市 社 会 保 険 病 院<br />

○… 湯 澤 浩 之 , 梅 枝 覚<br />

嚢 胞 変 性 した 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 施 行 した 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 をビデ<br />

オで 供 覧 する。( 症 例 ) 特 に 既 往 歴 が 無 い71 歳 の 男 性 。 平 成 22 年 10 月 に<br />

健 診 目 的 の 腹 部 超 音 波 検 査 で 膵 尾 部 嚢 胞 と 胆 嚢 腺 筋 症 を 指 摘 され 当 院<br />

内 科 受 診 。CT,…MRIで 膵 尾 部 に15mm 大 、 膵 体 部 に10mm 大 の 多 房 性<br />

嚢 胞 を 認 めた。 主 膵 管 に 異 常 所 見 は 無 く、 嚢 胞 内 に 充 実 部 分 を 認 めな<br />

かった。 多 発 性 膵 嚢 胞 の 診 断 で 経 過 観 察 とされた。 本 年 5 月 腹 痛 を 訴<br />

え 再 診 。CT,MRCPで 膵 尾 部 の 多 房 性 嚢 胞 は20mmに 増 大 しており、<br />

嚢 胞 内 に 充 実 部 分 を 認 めた。 膵 体 部 の 嚢 胞 の 性 状 に 変 化 は 無 かった。<br />

膵 液 細 胞 診 はclassIであったが、 尾 部 の 嚢 胞 性 病 変 の 悪 性 化 を 否 定 で<br />

きないため 手 術 を 施 行 した。 良 悪 性 境 界 病 変 と 判 断 し、 脾 摘 を 伴 う 腹<br />

腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 および 胆 嚢 摘 出 術 を 選 択 した。 右 半 側 臥 位 で 臍 部<br />

と 左 季 肋 部 に 計 4 本 のトロッカー(12mm 径 2 本 5mm 径 2 本 )を 挿 入 した。<br />

術 中 エコー 下 に 体 部 側 の 嚢 胞 の 位 置 を 確 認 した。 膵 を 後 腹 膜 から 剥 離 。<br />

脾 動 静 脈 はクリッピングしリガシュアーで 凝 固 切 離 。 自 動 縫 合 器 で 膵<br />

体 部 を 切 離 した 後 、 尾 側 膵 と 脾 を 後 腹 膜 から 剥 離 。 臍 部 創 を 延 長 し 標<br />

本 を 摘 出 した。 右 季 肋 部 にポートを 追 加 して 胆 嚢 摘 出 術 も 行 い 手 術 を<br />

終 えた。 手 術 時 間 は4 時 間 36 分 、 出 血 量 37mlであった。 術 後 合 併 症 は<br />

認 めず、 第 14 病 日 に 退 院 した。 術 後 病 理 検 索 で、 尾 部 の 多 房 性 嚢 胞 は<br />

嚢 胞 変 性 した 低 悪 性 度 の 内 分 泌 腫 瘍 であった。( 結 語 ) 完 全 腹 腔 鏡 下 の<br />

脾 摘 を 伴 う 膵 体 尾 部 切 除 術 は、 本 症 例 のような 膵 体 尾 部 の 良 悪 性 境 界<br />

病 変 に 対 しる 選 択 枝 の 一 つになり 得 ると 考 える。<br />

-447-


P68-1 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 の 検 討<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター、 2 日 本 医 科 大<br />

学 外 科<br />

○… 星 野 有 哉 1<br />

, 鈴 木 英 之 1<br />

, 中 村 慶 春 2<br />

, 水 谷 聡 1<br />

, 村 木 輝 1<br />

,<br />

2<br />

内 田 英 二<br />

【 目 的 】 近 年 良 性 から 低 悪 性 度 の 膵 腫 瘍 に 対 し 腹 腔 鏡 下 手 術 が 行 われ、<br />

良 好 な 成 績 が 報 告 されている。われわれは 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 を2007 年<br />

から 導 入 し、 現 在 まで7 例 に 施 行 したのでその 術 式 ・ 成 績 を 報 告 する。<br />

【 適 応 】80 歳 未 満 で、 膵 管 癌 を 除 く 膵 体 尾 部 腫 瘍 、T2 以 下 の 十 二 指<br />

腸 乳 頭 部 癌 のうちICを 得 られた 症 例 。【 原 疾 患 】 膵 粘 液 性 嚢 胞 腺 腫 4 例 、<br />

インスリノーマ2 例 、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 1 例 。【 術 式 】 膵 腫 瘍 核 出 術 1 例 、<br />

尾 側 膵 切 除 術 (Lap-DP)5 例 (うち1 例 は 脾 臓 ・ 脾 動 静 脈 温 存 術 式 )、 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-PD)を1 例 。【 成 績 】(1) 膵 粘 液 性 嚢 胞 腺 腫 : 平<br />

均 年 齢 44.6(29-76) 歳 、 腫 瘍 径 平 均 11(7-15)cm。 手 術 時 間 は 平 均 321<br />

(295-339) 分 、 出 血 量 は 平 均 105(50-200)ml、 術 後 在 院 日 数 は 平 均 8.8<br />

(7-10) 日 。(2)インスリノーマ(1):63 歳 、 男 性 。 脾 臓 ・ 脾 動 静 脈 温 存 の<br />

Lap-DPを 施 行 。 手 術 時 間 488 分 、 出 血 量 200ml。 術 後 在 院 日 数 6 日 。イ<br />

ンスリノーマ(2):27 歳 、 男 性 。 膵 腫 瘍 核 出 術 。 手 術 時 間 202 分 、 出 血<br />

量 は 少 量 、 術 後 在 院 日 数 7 日 。(3) 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 :72 歳 ・ 女 性 。<br />

Lap-PDを 施 行 。 手 術 時 間 558 分 、 出 血 量 100ml、 術 後 在 院 日 数 は20 日 。<br />

全 例 開 腹 移 行 はなく、 輸 血 も 行 わなかった。また 術 後 合 併 症 を 来 さず<br />

に 退 院 した。【 結 語 】 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 は 開 腹 手 術 とは 異 なった 解 剖 学<br />

的 立 体 感 覚 が 要 求 されるが、 拡 大 視 効 果 による 精 細 な 手 術 が 可 能 で、<br />

出 血 量 は 少 なく 安 全 な 手 術 と 考 えられる。また 整 容 性 にも 優 れ 術 後 創<br />

痛 も 少 ない。 今 後 癌 の 手 術 として 適 応 拡 大 できるかどうかが 課 題 であ<br />

る。<br />

P68-2 安 全 な 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 うための 膵 切<br />

離 と 再 建 術 の 工 夫<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 清 水 哲 也 , 中 村 慶 春 , 松 本 智 司 , 吉 岡 正 人 , 松 下 晃 ,<br />

山 初 和 也 , 田 尻 孝 , 内 田 英 二<br />

【 緒 言 】 教 室 では 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 を 現 在 まで87 例 に 施 行 し、 安 全 で<br />

確 実 な 手 術 法 の 確 立 を 目 指 し 手 技 の 改 良 に 努 めてきた。 腹 腔 鏡 下 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-PD)では、 膵 切 離 に 伴 う 切 離 断 端 からの 出 血 と<br />

膵 管 内 の 膵 液 の 腹 腔 内 飛 散 に 伴 うseedingが 問 題 となる。また 膵 消 化<br />

管 吻 合 は 術 後 の 膵 液 瘻 の 発 生 に 直 結 するため、 外 科 医 が 安 心 できる 手<br />

術 手 技 としなければ 術 式 の 標 準 化 は 難 しい。われわれは 切 離 断 端 を 閉<br />

鎖 するために 自 動 縫 合 器 (ELS)を 用 いて 膵 臓 を 切 離 している。また 膵<br />

吻 合 は 膵 切 離 部 の 直 上 に 作 製 した4cmの 小 切 開 創 から 開 腹 術 と 同 様 の<br />

吻 合 を 直 視 下 に 行 っている。そしてこれらの 手 法 は 腹 腔 鏡 下 膵 中 央 切<br />

除 術 (Lap-CP)にも 応 用 している。【 手 技 】 完 全 鏡 視 下 で 膵 頭 部 の 遊 離<br />

とtunnelingを 行 い、 膵 をELSで 切 離 する。 即 、 気 腹 を 止 め、 小 切 開<br />

創 から 直 視 下 に 膵 断 端 の 主 膵 管 に 掛 っているステープルを 除 去 し 膵 管<br />

チューブを 挿 入 後 外 瘻 とする。 手 袋 法 で 再 び 完 全 鏡 視 下 に 切 除 操 作 と<br />

肝 管 空 腸 吻 合 を 完 了 し、 再 び 気 腹 を 止 め 小 切 開 創 から 膵 吻 合 を 直 視 下<br />

に 柿 田 式 変 法 で 行 う。 小 切 開 創 の 直 下 に 膵 切 離 部 があるため、 膵 実 質<br />

や 膵 管 への 運 針 および 結 紮 を 開 腹 術 と 同 様 に 確 実 に 施 行 することが 可<br />

能 である。【 結 語 】 膵 体 部 は 脊 椎 の 前 方 を 騎 乗 し、 腹 壁 から 非 常 に 近<br />

い 位 置 に 存 在 しているため、 小 切 開 創 からでも 容 易 に 膵 切 離 断 端 へア<br />

プローチすることが 可 能 となる。もともと 小 切 開 創 は 切 除 臓 器 を 体 外<br />

に 取 り 出 すために 必 要 な 切 開 創 であり、 本 手 法 はそれを 膵 切 離 断 端 の<br />

直 上 に 作 製 することで 膵 吻 合 に 利 用 している。 本 法 は、 本 術 式 の 標 準<br />

化 に 大 きく 貢 献 し 得 ると 考 えている。<br />

P68-3 膵 腫 瘍 に 対 する 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 術<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 新 関 亮 , 松 本 逸 平 , 外 山 博 近 , 白 川 幸 代 , 山 下 博 成 ,<br />

田 中 正 樹 , 後 藤 直 大 , 沢 秀 博 , 浅 利 貞 毅 , 高 橋 応 典 ,<br />

木 戸 正 浩 , 土 田 忍 , 上 野 公 彦 , 味 木 徹 夫 , 福 本 巧 ,<br />

具 英 成<br />

腹 腔 鏡 手 術 は 急 速 な 進 歩 を 遂 げており、その 適 応 は 肝 胆 膵 領 域 にも<br />

拡 がっている。 膵 腫 瘍 も 例 外 ではなく、すでに 浸 潤 性 膵 管 癌 へと 適 応<br />

を 広 げている 報 告 もあるが、 本 術 式 は 現 時 点 では 保 険 収 載 されておら<br />

ず、 適 応 も 定 まっていない。 我 々は2007 年 3 月 から 鏡 視 下 膵 手 術 を<br />

導 入 し、これまでに23 例 に 手 術 を 行 った。 適 応 はIPMN、MCN、SCN、<br />

LEC、NETなどの 良 性 、 低 悪 性 度 膵 腫 瘍 としており、 浸 潤 性 膵 管 癌<br />

は 適 応 外 としている。 精 度 の 高 い 術 前 検 査 と 正 確 な 術 前 診 断 は 適 応 と<br />

術 式 決 定 のために 不 可 欠 である。 我 々は 手 術 の 安 全 性 の 確 保 とチーム<br />

の 技 術 向 上 のために 段 階 的 に 手 術 を 導 入 した。 初 期 の 症 例 では 鏡 視 下<br />

に 膵 の 授 動 を 行 い、 小 開 腹 創 から 直 視 下 に 膵 切 離 を 行 った。 次 に 用 手<br />

補 助 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 術 (HALS-DP)を 導 入 し、 自 動 縫 合 器 を 用 いて<br />

膵 の 体 内 切 離 を 行 った。 現 在 では 完 全 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 術 を 標 準 術 式<br />

としており、 膵 の 授 動 を 内 側 から 外 側 へと 行 う、“ 内 側 アプローチ”<br />

を 基 本 としている。 手 術 の 早 期 に 脾 動 静 脈 の 同 定 と 処 理 が 行 えること<br />

が 利 点 であり、さらに 脾 の 授 動 を 手 術 の 最 終 段 階 に 行 うことにより、<br />

不 要 な 出 血 を 避 けることが 出 来 る。これまでに 行 った 鏡 視 下 尾 側 膵 切<br />

除 術 の 経 験 と 適 応 、 手 術 の 実 際 をビデオで 供 覧 する。<br />

P68-4 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 におけるpitfallについて<br />

虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 松 田 正 道 , 渡 邊 五 朗 , 橋 本 雅 司 , 佐 々 木 一 成<br />

【 目 的 】2010 年 10 月 より 当 科 では、 膵 体 尾 部 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 尾<br />

側 膵 切 除 術 を14 例 に 施 行 した。 右 半 側 臥 位 での 手 術 操 作 を 基 本 にして<br />

きたが、 門 脈 前 面 の 剥 離 の 際 に、 腫 瘍 ・ 門 脈 間 距 離 が 予 想 よりも 短 い<br />

印 象 を 持 つに 至 った。そこで 右 側 臥 位 への 体 位 変 換 により、 門 脈 ・ 腫<br />

瘍 間 距 離 が 短 縮 するのではないかと 考 え、CTを 用 いた 客 観 的 な 評 価<br />

を 試 みた。【 対 象 および 方 法 】 膵 体 尾 部 腫 瘍 15 例 を 対 象 とした。 検 査<br />

の 同 意 を 得 た 上 で、 仰 臥 位 と 右 側 臥 位 でCTを 撮 影 し、 体 位 変 換 に 伴<br />

う 腫 瘍 ・ 門 脈 間 の 変 位 距 離 を 求 めた。CTはMulti…Detector-row…CT…<br />

(MDCT)を 用 い、5mmスライスで 再 構 成 を 行 った。【 結 果 】 仰 臥 位 で<br />

の 腫 瘍 ・ 門 脈 間 距 離 は24.9~126.3mm( 中 央 値 76.4mm)、 右 側 臥 位 では<br />

20.7~85.9mm( 中 央 値 59.7mm)で、 右 側 臥 位 への 体 位 変 換 により 腫 瘍 ・<br />

門 脈 間 距 離 は、2.4~44.0mm( 中 央 値 12.8mm) 短 縮 することが 確 認 され<br />

た。【 考 察 】 開 腹 手 術 では、 門 脈 を 直 上 やや 右 から 見 下 ろす 視 野 にな<br />

るが、 腹 腔 鏡 下 では 左 足 方 から 見 上 げる 視 野 となる。また 膵 体 尾 部 を<br />

後 腹 膜 から 遊 離 する 操 作 が 先 行 し、 膵 を 腹 側 へと 挙 上 した 状 態 で 門 脈<br />

前 面 を 剥 離 するために、 脾 静 脈 が 左 腹 側 へ 吊 り 上 げられ、 上 腸 間 膜 静<br />

脈 ・ 脾 静 脈 が 直 線 化 する。 加 えて 今 回 の 検 討 で 得 られたように、 右 半<br />

側 臥 位 では 門 脈 ・ 腫 瘍 間 距 離 が 短 縮 するため、 上 腸 間 膜 静 脈 本 幹 を 脾<br />

静 脈 本 幹 と 誤 認 し 切 断 する 危 険 性 があると 考 えられる。この 事 象 は 腹<br />

腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 を 施 行 する 際 の 重 大 なpitfallとなりうると 考 えられ<br />

たので、 図 解 とともにビデオを 供 覧 し 発 表 する。<br />

-448-


P68-5 鏡 視 下 膵 体 尾 部 切 除 術 における 視 野 展 開 , 郭 清 の 標 準 化<br />

への 試 み<br />

長 野 市 民 病 院<br />

○… 成 本 壮 一 , 林 賢 , 関 仁 誌 , 吉 澤 一 貴 , 宗 像 康 博<br />

はじめに 胃 癌 における 鏡 視 下 手 術 が 標 準 化 され, 一 般 病 院 にも 普 及 し<br />

ている. 膵 臓 外 科 においても 鏡 視 下 手 術 は 普 及 しつつある.われわれ<br />

は, 膵 臓 手 術 に 鏡 視 下 手 術 を 導 入 するにあたり, 同 じ 上 腹 部 手 術 であ<br />

る 胃 切 除 術 の 方 法 を 取 り 入 れ, 若 干 の 工 夫 を 加 えているのでその 方 法<br />

をビデオで 供 覧 し, 報 告 する. 術 式 患 者 は 仰 臥 位 , 開 脚 位 として, 術<br />

者 は 脚 間 に 立 つ.ポートは 臍 , 右 側 腹 部 , 左 側 腹 部 , 左 季 肋 下 の4ポー<br />

トで 完 全 腹 腔 鏡 下 に 行 う. 網 のう 開 放 後 , 膵 下 縁 から 上 腸 間 膜 静 脈 ,<br />

脾 静 脈 を 確 認 する. 膵 上 縁 の 郭 清 は 胃 切 除 術 におけるcentral…<br />

approachと 同 様 に 行 い, 総 肝 動 脈 , 左 胃 動 脈 , 脾 動 脈 を 確 認 する.<br />

郭 清 時 , 胃 は2-0 糸 により, 胃 後 壁 を 体 上 部 , 下 部 , 前 庭 部 の3 点 で 挙<br />

上 している.これにより 胃 を 鉗 子 で 把 持 することなく, 安 定 して 挙 上<br />

することができる. 脾 動 脈 , 脾 静 脈 をクリップして 切 離 する. 膵 切 離<br />

はエンドGIA…Duetを 用 いている. 膵 脾 脱 転 は 内 側 から 膵 を 挙 上 しな<br />

がら 行 い, 開 腹 手 術 同 様 ,はく 離 層 は 症 例 に 応 じて 適 宜 変 更 している.<br />

最 後 に 脾 臓 を 後 腹 膜 からはく 離 する. 標 本 は 臍 の 創 を 延 長 して 摘 出 し<br />

ている. 成 績 現 在 までに 膵 IPMNと 膵 癌 の2 例 行 った. 手 術 時 間 は 平<br />

均 356 分 . 出 血 量 は 平 均 85ml. 術 後 合 併 症 は 乳 び 腹 水 を1 例 に 認 めた.<br />

膵 液 瘻 はなかった. 結 語 鏡 視 下 手 術 は 膵 臓 外 科 においても 安 全 に 導 入<br />

できる. 同 じ 上 腹 部 手 術 で,すでに 確 立 された 胃 切 除 術 にならえば 郭<br />

清 を 伴 う 症 例 にも 充 分 応 用 できると 考 える.<br />

P68-6 鏡 視 下 に 脾 温 存 膵 切 除 し 得 た2 例<br />

社 会 医 療 法 人 共 愛 会 戸 畑 共 立 病 院 外 科<br />

○… 新 田 智 之 , 谷 脇 智 , 宗 宏 伸<br />

【はじめに】 膵 尾 部 インスリノーマおよび 膵 体 尾 部 漿 液 嚢 胞 腺 腫 に 対<br />

し 完 全 鏡 視 下 に 脾 温 存 膵 切 除 し 得 た2 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症<br />

例 1】68 歳 女 性 。 繰 り 返 す 低 血 糖 発 作 の 精 査 にて 膵 尾 部 に11×7mm 大<br />

の 多 血 管 性 腫 瘤 を 認 めた。 血 管 造 影 検 査 と 併 せインスリノーマと 診 断<br />

し、 腹 腔 鏡 下 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 組 織 学 的 にてIslet…<br />

cell…tumor,…Insulinomaと 診 断 。 術 後 は 低 血 糖 発 作 も 完 全 消 失 し、 約<br />

30ヶ 月 経 過 する 現 在 も 糖 尿 病 なく、 再 発 や 転 移 も 認 めていない。【 症<br />

例 2】69 歳 女 性 。 腹 部 エコー 異 常 にて 紹 介 。CTにて 膵 体 尾 部 に40×<br />

68mm 大 、 内 部 に 嚢 胞 性 変 化 を 伴 う 多 血 性 の 腫 瘍 を 認 めたが、 明 らか<br />

な 脾 動 静 脈 への 浸 潤 は 認 めなかった。ERPにて 主 膵 管 との 交 通 は 認 め<br />

ず、MRIにてT2WIにて 不 均 一 な 高 信 号 を 示 し 嚢 胞 性 主 体 の 病 変 と 判<br />

断 した。 腹 腔 鏡 下 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 し、 組 織 学 的 には 充 実<br />

性 部 分 主 体 、 嚢 胞 性 部 分 が 混 在 した 漿 液 嚢 胞 腺 腫 の 診 断 となった。 術<br />

後 合 併 症 なく 経 過 し 現 在 も 再 発 等 は 認 めていない。【まとめ】 症 例 1は<br />

膵 尾 部 側 より、 症 例 2は 膵 体 部 側 よりアプローチを 開 始 し 血 管 処 理 を<br />

行 った。 両 者 とも 内 視 鏡 下 手 術 用 自 動 縫 合 器 にて 膵 圧 挫 後 に 切 離 を 行<br />

い、ともに 膵 液 瘻 等 の 合 併 症 は 認 めなかった。 術 中 の 状 況 に 応 じた 血<br />

管 アプローチが 安 全 かつ 確 実 であると 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P68-7 膵 内 副 脾 に 発 生 した 膵 類 表 皮 嚢 胞 に 対 して、 腹 腔 鏡 下 膵<br />

尾 部 切 除 ( 脾 温 存 )を 施 行 した1 例<br />

九 州 大 学 病 院 別 府 病 院<br />

○… 柴 田 浩 平<br />

( 患 者 )50 代 の 女 性 。めまい、 動 悸 などの 自 律 神 経 失 調 症 状 の 増 悪 を 主<br />

訴 に 初 診 。4 年 前 から 膵 尾 部 に1cm 大 の 嚢 胞 を 指 摘 されていた。 血 液<br />

検 査 では 血 清 インスリン 値 が23.5U/mlと 高 値 であり、 造 影 CT、MRI<br />

で 内 部 に 結 節 を 伴 う15mm 大 の 嚢 胞 を 認 めた。Cystic…islet…cell…tumor<br />

を 鑑 別 する 目 的 で、SACIテストを 施 行 。 脾 動 脈 でインスリン 値<br />

5.5U→60.4U/ml(30 分 後 )のステップアップを 認 めた。Insulinoma 疑 い<br />

で 手 術 を 施 行 した。( 腹 腔 鏡 下 膵 尾 側 切 除 ( 脾 温 存 )) 臍 からHasson 型 ト<br />

ロッカー、 左 右 上 腹 部 に4 本 のトロッカーを 留 置 した(10mmポートは<br />

膵 切 離 を 意 識 して 左 上 腹 部 に1 本 、 他 は5mm)。 網 嚢 を 開 放 し、 短 胃<br />

動 静 脈 を 切 離 、 膵 下 縁 でtoldt…fasciaを 求 めて 剥 離 を 施 行 、 膵 体 部 上 縁<br />

で 脾 動 静 脈 を 確 認 して 温 存 し、toldt…fascia 剥 離 層 と 連 続 させた。 脾 門<br />

部 で 脾 動 静 脈 と 膵 尾 部 との 交 通 枝 を 払 いながら 剥 離 を 行 い、 膵 尾 部 を<br />

頭 側 に 脱 転 ・ 挙 上 した。ネオベールを 装 着 したEndo…GIA…60mm…ブルー<br />

カートリッジで 切 離 し、 臍 部 から 標 本 を 回 収 した。ドレーンを 切 離 面<br />

近 傍 に 留 置 して、 手 術 を 終 了 した。( 術 後 経 過 ) 術 後 膵 液 瘻 を 合 併 して、<br />

ドレナージを 行 ったが、 術 後 45 日 目 に 完 治 し、 退 院 した。 自 律 神 経 失<br />

調 症 状 は、 著 明 改 善 した。( 病 理 所 見 )Epidermoid…cyst…arising…in…an…<br />

intrapancreatic…accessory…spleenの 診 断 で、 切 除 標 本 内 にIslet…cell…<br />

hyperplasiaを 認 めた。HyperplasiaのInsulin 産 生 性 については、 現 在<br />

検 討 中 である。( 結 語 ) 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 は 十 分 安 全 に 施 行 できる<br />

術 式 であり、 早 期 の 保 険 収 載 が 望 まれる。<br />

P68-8 膵 Solidpseudopapillaryneoplasmに 対 し 腹 腔 鏡 補<br />

助 下 脾 温 存 膵 体 尾 部 部 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

1<br />

大 分 大 学 消 化 器 外 科 、 2 大 分 大 学<br />

○… 川 崎 貴 秀 1<br />

, 岩 下 幸 雄 1<br />

, 太 田 正 之 1<br />

, 小 森 陽 子 1<br />

,<br />

川 野 雄 一 郎 1<br />

, 増 田 崇 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 矢 田 一 宏 1<br />

,<br />

北 野 正 剛<br />

2<br />

【はじめに】 膵 solid…pseudopapillary…neoplasm( 以 下 SPN)は 比 較 的 稀<br />

な 膵 腫 瘍 である。 若 年 女 性 に 好 発 し 予 後 良 好 であるが、 治 療 には 腫 瘍<br />

の 完 全 切 除 を 必 要 とする。 今 回 われわれは、 若 年 女 性 に 発 生 した 膵<br />

SPNに 対 し、 用 手 補 助 下 に 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 (Warshaw 手 術 )を<br />

行 った 一 例 を 報 告 する。【 症 例 】24 歳 女 性 。 検 診 の 胸 部 単 純 写 真 にて<br />

上 腹 部 に 異 常 陰 影 を 指 摘 され 精 査 加 療 目 的 に 当 院 を 受 診 した。 腹 部<br />

CT・MRIにて 膵 体 尾 部 に 最 大 径 62mmの 辺 縁 に 粗 大 石 灰 化 を 伴 う 境<br />

界 明 瞭 腫 瘍 を 認 め、 膵 SPNと 診 断 した。 脾 静 脈 根 部 は 腫 瘍 に 圧 排 され、<br />

脾 静 脈 の 温 存 は 不 可 能 と 思 われた。2011 年 7 月 用 手 補 助 下 に 腹 腔 鏡 下<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 (Warshaw 手 術 )を 施 行 した。 短 胃 動 静 脈 を 確 実 に 温<br />

存 し、 膵 腫 瘍 を 脾 動 静 脈 とともに 切 除 ・ 摘 出 した。ドップラー 血 流 計<br />

にて 脾 表 面 は60% 程 度 の 血 流 低 下 を 認 めるものの、 色 調 の 変 化 もなく、<br />

脾 温 存 可 能 と 判 断 した。 術 後 7 日 目 に 施 行 した 腹 部 造 影 CTでは 脾 梗 塞<br />

の 所 見 なく、 短 胃 動 脈 より 脾 への 良 好 な 血 流 を 認 めた。 膵 断 端 から 膵<br />

液 瘻 を 認 めたものの 保 存 的 に 軽 快 した。 病 理 組 織 学 的 にαアンチトリ<br />

プシン 陽 性 、NSE 陽 性 であり、 膵 SPNと 診 断 した。【 結 語 】 膵 SPNに<br />

対 する 腹 腔 鏡 下 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 は 根 治 性 と 整 容 性 を 兼 ね 備 えた<br />

極 めて 有 用 な 術 式 と 思 われた。<br />

-449-


P68-9 腹 腔 鏡 下 脾 動 静 脈 脾 温 存 尾 側 膵 切 除 術 の1 例<br />

福 井 県 立 病 院 外 科<br />

○… 西 田 洋 児 , 前 田 一 也<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 は 既 に 良 性 疾 患 に 対 する 低 侵 襲 手<br />

術 として 認 知 されており, 低 侵 襲 を 目 指 す 立 場 から 脾 臓 を 温 存 する 手<br />

術 も 多 く 行 われてきている. 当 院 でも2011 年 より 膵 良 性 疾 患 に 対 して<br />

腹 腔 鏡 下 手 術 を 導 入 し 良 好 な 結 果 を 得 ている. 今 回 , 我 々は 膵 尾 部 イ<br />

ンスリノーマに 対 して 脾 動 静 脈 及 び 脾 臓 を 温 存 する 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切<br />

除 術 を 施 行 し 良 好 な 結 果 を 得 たので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 す<br />

る.【 症 例 】 症 例 は56 歳 , 女 性 .2011 年 10 月 低 血 糖 による 意 識 障 害 に<br />

て 当 院 へ 救 急 搬 送 され, 腹 部 造 影 CT 検 査 にて 膵 尾 部 に 多 血 性 腫 瘤 を<br />

指 摘 された. 精 査 の 結 果 , 膵 尾 部 インスリノーマが 疑 われたため2011<br />

年 11 月 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行 した. 手 術 は 全 身 麻 酔 下 に 臍 部 に<br />

open…laparoscopyにて15mmポートを 挿 入 し 気 腹 , 左 右 季 肋 下 及 び 臍<br />

部 左 頭 側 に5mmポート, 臍 部 右 頭 側 に12mmポートを 挿 入 し 計 5ポー<br />

トにて 施 行 した. 脾 動 静 脈 ・ 脾 臓 を 温 存 し, 術 中 エコーにて 腫 瘍 を 確<br />

認 し 膵 尾 側 を 切 離 した. 切 離 標 本 はバッグに 収 納 し 臍 部 15mmポート<br />

部 より 体 外 に 摘 出 した. 手 術 時 間 は4 時 間 50 分 , 出 血 量 は 少 量 であった.<br />

術 後 経 過 は 良 好 で, 膵 液 瘻 なく 術 後 第 13 病 日 に 退 院 となった. 病 理 組<br />

織 学 的 には 膵 尾 部 に0.8cm 大 の 比 較 的 境 界 明 瞭 な 黄 白 色 結 節 を 認 め,<br />

組 織 では 一 部 でロゼット 形 成 を 認 めていた.また 免 疫 組 織 化 学 的 に 腫<br />

瘍 細 胞 はchromograninA(+),insulin(+),somatostatin( 一 部 +),<br />

glucagon(-),gastrin(-),serotonin(-),MIB1…index…0.1%でありイン<br />

スリノーマと 診 断 された. 現 在 , 低 血 糖 発 作 の 出 現 なく 外 来 経 過 観 察<br />

中 である.【 結 語 】 膵 尾 部 インスリノーマに 対 して 脾 動 静 脈 及 び 脾 臓<br />

を 温 存 する 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行 し 良 好 な 結 果 を 得 た. 膵 良 性<br />

疾 患 に 対 する 腹 腔 鏡 下 脾 動 静 脈 脾 温 存 尾 側 膵 切 除 術 は 安 全 に 施 行 可 能<br />

であり, 整 容 性 および 機 能 温 存 , 低 侵 襲 性 の 面 で 有 用 な 術 式 と 思 われ<br />

た.<br />

P69-1 慢 性 膵 炎 に 対 する 外 科 的 治 療 (Frey 手 術 / 膵 切 除 )<br />

1<br />

社 会 医 療 法 人 千 代 田 病 院 外 科 、 2 福 岡 大 学 医 学 部 病 理 学 講<br />

座<br />

○… 緒 方 賢 司 1 2<br />

, 濱 田 義 浩<br />

【 背 景 】 慢 性 膵 炎 の 外 科 的 治 療 は 膵 管 減 圧 術 と 膵 切 除 に 大 別 され、 膵<br />

頭 部 に 病 変 の 主 座 を 認 めた 場 合 はFrey 手 術 、Beger 手 術 、( 亜 ) 全 胃 温<br />

存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 が 施 行 されている。これらの 手 術 では 術 後 の 除 痛<br />

効 果 や 膵 機 能 に 差 はなく、 術 後 在 院 日 数 でFrey 手 術 に 優 位 性 があるが、<br />

長 期 予 後 では 変 わりなくFrey 術 後 の 再 手 術 例 も 報 告 され、 現 時 点 で<br />

は 各 施 設 で 術 式 を 選 択 している。 慢 性 膵 炎 の 外 科 的 治 療 例 は、ほとん<br />

どがアルコール 性 であり 年 齢 も 若 く 働 き 盛 りの 症 例 が 多 い。 今 回 の 提<br />

示 する 症 例 に 適 切 な 外 科 治 療 は 何 であったか 御 討 論 いただきたい。【 症<br />

例 】49 歳 、 男 性 。10 年 前 より 膵 炎 での 治 療 歴 あり。2008.11 月 に 慢 性<br />

膵 炎 の 急 性 増 悪 で 入 院 。CTで 膵 頭 部 に 著 明 な 石 灰 化 と 膵 石 、 膵 周 囲<br />

の 炎 症 像 、 膵 頭 部 に 限 局 した 造 影 効 果 の 低 下 と 総 胆 管 の 軽 度 拡 張 を 認<br />

めた。PET-CTでは 異 常 集 積 を 認 めず 内 科 的 治 療 にて 退 院 。 今 回 、 心<br />

窩 部 ・ 背 部 痛 と 発 熱 で 紹 介 。CTで 膵 頭 部 の 主 膵 管 内 に 数 珠 状 に 多 発<br />

する 膵 石 と 頭 部 に54mmの 仮 性 嚢 胞 を 認 めた。 体 部 の 主 膵 管 内 にも 膵<br />

石 が 存 在 し 体 尾 部 の 主 膵 管 は3.7mm。 総 胆 管 は 嚢 胞 に 圧 排 され 上 部 で<br />

拡 張 し 胆 嚢 も 腫 大 。 以 前 と 同 様 に 膵 頭 部 の 造 影 効 果 は 低 下 していた。<br />

血 管 系 は 圧 排 所 見 のみで 狭 窄 や 側 副 血 行 路 を 認 めなかった。 採 血 で 腫<br />

瘍 マーカーは 正 常 、 自 己 免 疫 生 膵 炎 も 否 定 的 であった。【 治 療 】 減 黄<br />

目 的 で 仮 性 膵 嚢 胞 に 対 しEUS 下 穿 刺 ドレナージを 施 行 。 細 胞 診 で 悪 性<br />

所 見 なく、 細 菌 も 検 出 されなかった。 経 口 摂 取 開 始 後 に 膵 内 ・ 外 分 泌<br />

機 能 検 査 を 施 行 。 膵 外 分 泌 機 能 は 正 常 であったがインスリン 分 泌 能 は<br />

やや 低 下 。 穿 刺 ドレナージ1ヶ 月 後 に 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を<br />

施 行 した。 再 建 はSSPPD-IIで 行 い、 術 中 に 膵 体 部 の 主 膵 管 を 長 軸 方<br />

向 に 切 開 し 膵 石 を 除 去 後 に 吻 合 した。 腹 腔 内 ドレーンは5 日 後 に 抜 去<br />

し7 日 目 から 水 分 、 経 口 摂 取 を 開 始 した。 退 院 までは4 週 間 程 度 要 した<br />

が、 合 併 症 なく 糖 尿 病 薬 の 使 用 もなく 社 会 復 帰 可 能 であった。 病 理 組<br />

織 では 膵 実 質 は 広 範 囲 に 破 壊 され、 膵 石 が 嵌 頓 していた 主 膵 管 は 炎 症<br />

性 細 胞 を 伴 う 肉 芽 組 織 に 取 り 囲 まれており、 膵 管 上 皮 には 軽 度 の 再 生<br />

異 型 を 認 めた。<br />

P69-2 当 科 における 慢 性 膵 炎 手 術 症 例 の 臨 床 的 検 討<br />

飯 塚 病 院 外 科<br />

○… 梶 山 潔 , 播 本 憲 史 , 由 茅 隆 文 , 永 田 茂 行 , 長 家 尚<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 慢 性 膵 炎 に 対 しては、 保 存 的 治 療 や 内 視 鏡 的 治 療 が 第<br />

一 選 択 とされている。しかしながら、これらの 治 療 が 無 効 あるいは 不<br />

能 な 場 合 、 外 科 的 治 療 が 選 択 される。 今 回 、 我 々は 当 科 における 慢 性<br />

膵 炎 外 科 手 術 症 例 を 解 析 し、 術 式 選 択 について 検 討 した。【 対 象 ・ 方 法 】<br />

2008 年 1 月 から2011 年 12 月 までに、 慢 性 膵 炎 のため 当 科 にて 外 科 手 術<br />

を 施 行 した6 例 を 対 象 とし、 臨 床 的 検 討 を 行 なった。【 結 果 】 患 者 平 均<br />

年 齢 は55.2 歳 (41~68 歳 )。 男 性 6 例 、 女 性 0 例 であった。 成 因 は、アルコー<br />

ル 性 5 例 、 膵 嚢 胞 性 病 変 1 例 。 外 科 手 術 前 に 内 視 鏡 的 治 療 を 施 行 しえた<br />

のは2 例 のみであった。 手 術 術 式 は、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

(SSPPD)2 例 、 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP)2 例 、 膵 管 減 圧 術 (Frey 手 術 )2 例<br />

であった。SSPPDについては、 慢 性 炎 症 による 癒 着 のため、 特 に 門<br />

脈 および 上 腸 間 膜 静 脈 から 膵 頭 部 を 剥 離 する 際 、 慎 重 は 操 作 が 必 要 で<br />

あった。ISGPF…グレードB 以 上 の 術 後 膵 液 瘻 はなかった。 術 後 平 均 観<br />

察 期 間 が24.6ヶ 月 と 短 いが、 全 例 、 膵 炎 の 再 燃 あるいは 疼 痛 の 出 現 は<br />

なかった。 術 後 内 分 泌 機 能 障 害 ( 糖 尿 病 )については、 術 前 よりあった<br />

糖 尿 病 の 軽 度 悪 化 が1 例 、 新 たな 糖 尿 病 ( 軽 度 )の 出 現 が1 例 、 術 前 と 変<br />

らず 糖 尿 病 なしが4 例 。 外 分 泌 機 能 障 害 ( 慢 性 下 痢 )は0 例 であった。【 結<br />

語 】 慢 性 膵 炎 に 対 しては、 病 変 の 主 座 、 主 膵 管 拡 張 の 程 度 、 基 礎 疾 患<br />

等 をふまえ、 安 全 性 を 十 分 考 慮 した 術 式 選 択 が 重 要 と 思 われた。 治 療<br />

効 果 と 安 全 性 からは、 膵 管 減 圧 術 は 非 常 に 有 用 な 術 式 と 考 えられた。<br />

P69-3 慢 性 膵 炎 に 対 する 膵 管 ドレナージ 手 術 の 治 療 成 績 と 術<br />

後 膵 機 能 の 検 討<br />

1<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 医 科 学 外 科 、 2 千 葉 県 地 方 独 立 行 政 法 人 さんむ<br />

医 療 センター、 3 安 芸 市 民 病 院 外 科<br />

○… 中 川 直 哉 1<br />

, 村 上 義 昭 1<br />

, 上 村 健 一 郎 1<br />

, 首 藤 毅 1<br />

,<br />

橋 本 泰 司 1<br />

, 中 島 亨 1<br />

, 森 藤 雅 彦 2<br />

, 中 村 浩 之 1<br />

, 湯 浅 吉 夫 3<br />

,<br />

三 好 信 和 3<br />

, 大 毛 宏 喜 1<br />

, 末 田 泰 二 郎<br />

1<br />

【 背 景 】 慢 性 膵 炎 は 代 償 期 の 持 続 疼 痛 や 繰 り 返 す 急 性 膵 炎 発 作 ととも<br />

に 進 行 性 に 膵 内 外 分 泌 機 能 低 下 を 来 たし 非 代 償 期 の 膵 機 能 荒 廃 に 至 る<br />

難 治 性 疾 患 である。 近 年 、 慢 性 膵 炎 に 対 し 膵 機 能 荒 廃 前 の 早 期 外 科 的<br />

治 療 による 膵 機 能 保 持 効 果 が 期 待 されているが、その 術 後 膵 機 能 につ<br />

いては 未 だ 議 論 の 余 地 がある。【 対 象 と 方 法 】 代 償 期 ・ 慢 性 膵 炎 に 対<br />

する 膵 管 ドレナージ 手 術 49 例 を 対 象 ( 観 察 期 間 中 央 値 26ヶ 月 )。 平 均 年<br />

齢 52 歳 、 男 女 比 43:6、アルコール 性 32 例 (65%)、 膵 頭 部 に 炎 症 性 腫<br />

瘤 を 認 める19 例 にFrey 手 術 、 認 めない30 例 にPartington 手 術 を 施 行 。<br />

膵 外 分 泌 機 能 はクロレラ 産 生 13C 標 識 混 合 中 性 脂 肪 呼 気 試 験 の7 時 間<br />

13C 累 積 回 収 率 で 評 価 し、 回 収 率 5% 未 満 を 膵 外 分 泌 機 能 障 害 (EPI)<br />

(Surgery…2009)、 膵 内 分 泌 機 能 はHbA1c≧6.1%または 糖 尿 病 治 療 例<br />

を 耐 糖 能 異 常 ありとした。 膵 管 ドレナージ 手 術 の 短 期 手 術 成 績 および<br />

術 後 長 期 の 除 痛 、 急 性 膵 炎 抑 制 効 果 、 術 後 膵 内 外 分 泌 機 能 を 検 討 。【 結<br />

果 】 手 術 時 間 中 央 値 235 分 、 出 血 量 中 央 値 350ml、mortality…0%、<br />

morbidity…37%、Clavien 分 類 3 以 上 22%、 膵 液 瘻 (ISGPF…grade…B,C)<br />

16%、 再 手 術 例 なく 術 後 入 院 期 間 中 央 値 18 日 。 術 前 疼 痛 症 例 の 除 痛 率<br />

89%、 急 性 膵 炎 抑 制 率 94%。 術 後 膵 外 分 泌 機 能 についてEPIは 遠 隔 期<br />

に56%。 術 前 耐 糖 能 異 常 群 (32%)は 術 前 耐 糖 能 正 常 群 と 比 較 し、 有 意<br />

に 術 後 7 時 間 13C 累 積 回 収 率 が 低 下 (3.5±0.9%vs6.8±0.8%,P=.010)、 術<br />

前 耐 糖 能 異 常 群 では 有 意 に 術 後 EPI 発 症 率 が 高 率 …(83%vs39%,P=.016)。<br />

術 後 糖 尿 病 治 療 を 要 したのは39%。 術 前 耐 糖 能 正 常 群 では87%が 術 後<br />

遠 隔 期 に 糖 尿 病 治 療 を 要 さず、 術 前 耐 糖 能 異 常 群 では 全 例 遠 隔 期 に 糖<br />

尿 病 治 療 を 要 した。 術 後 EPI、 術 後 糖 尿 病 治 療 について 術 前 ・ 周 術 期<br />

因 子 の 単 変 量 解 析 を 行 うと、いずれも 術 前 耐 糖 能 異 常 のみが 有 意 な 因<br />

子 ( 術 後 EPI:P=.016、 術 後 糖 尿 病 治 療 :P


P69-4 膵 石 症 に 併 発 した 仮 性 嚢 胞 が 後 腹 膜 腔 へ 穿 破 した1 例<br />

石 切 生 喜 病 院 外 科<br />

○… 田 中 肖 吾 , 倉 島 夕 紀 子 , 上 西 崇 弘 , 山 本 隆 嗣<br />

【 症 例 】 患 者 は60 歳 代 , 男 性 . 平 成 23 年 10 月 下 旬 左 季 肋 部 痛 , 発 熱 を<br />

主 訴 に 近 医 を 受 診 . 腎 周 囲 に 液 体 貯 留 を 指 摘 され, 精 査 加 療 目 的 に 当<br />

院 へ 紹 介 となった. 受 診 時 左 側 腹 部 の 疼 痛 および 圧 痛 を 伴 っていたも<br />

のの 反 跳 痛 や 筋 性 防 御 は 認 めなかった. 血 液 検 査 では 炎 症 所 見 の 著 明<br />

な 亢 進 および 血 清 アミラーゼ 値 の 上 昇 を 認 めた. 腹 部 Dynamic…CT 像<br />

上 , 膵 体 部 から 尾 部 にかけて 主 膵 管 内 に 結 石 を 多 数 認 め,その 尾 側 に<br />

嚢 胞 を 形 成 していた.そして 嚢 胞 に 連 続 するように 腎 前 筋 膜 を 越 えて<br />

左 腎 および 副 腎 周 囲 への 広 がりを 認 めた.また 脾 静 脈 は 閉 塞 し, 右 胃<br />

大 網 静 脈 への 側 副 血 行 路 を 認 めた. 以 上 より 膵 仮 性 嚢 胞 の 後 腹 膜 への<br />

穿 破 と 診 断 し,11 月 に 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した. 標 本 割 面 で<br />

は 主 膵 管 内 に 膵 石 散 在 し, 尾 部 背 側 に 嚢 胞 を 認 めた. 病 理 組 織 学 的 に<br />

嚢 胞 壁 は 線 維 性 結 合 織 で 形 成 されており, 仮 性 膵 嚢 胞 と 診 断 した. 背<br />

景 膵 は 慢 性 膵 炎 で 異 型 細 胞 は 認 めなかった. 術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 10<br />

日 目 で 退 院 となった. 膵 仮 性 嚢 胞 は 胃 や 大 腸 への 穿 通 , 腹 腔 への 穿 孔<br />

などを 来 たすことがあるが, 後 腹 膜 腔 へ 穿 破 することは 非 常 にまれで<br />

ある. 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P69-5 膵 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 腫 瘤 形 成 性 膵 炎 の 一 例<br />

田 附 興 風 会 北 野 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 吉 冨 摩 美 , 飯 田 拓 , 門 野 賢 太 郎 , 寺 嶋 宏 明 ,<br />

尾 崎 信 弘<br />

症 例 は50 代 女 性 。 慢 性 C 型 肝 炎 に 対 して 施 行 された 腹 部 超 音 波 検 査 で、<br />

膵 頭 部 に 径 13mmの 低 エコー 腫 瘤 を 指 摘 された。 腹 部 ダイナミック<br />

CTでは 造 影 効 果 に 乏 しく、MRIではT1W1で 低 信 号 、T2W1で 僅 かに<br />

高 信 号 を 呈 した。PET-CTでは、 同 部 位 に 軽 度 集 積 (SUV3.6)を 認 めた。<br />

ERCPでは 膵 管 の 不 整 や 狭 窄 を 認 めず、 膵 液 細 胞 診 でも 悪 性 所 見 は 認<br />

めなかった。 分 枝 由 来 の 膵 癌 を 疑 い、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 施<br />

行 した。<br />

摘 出 標 本 では15mm 大 の 黄 白 色 、 辺 縁 整 な 腫 瘤 を 認 め、 病 理 所 見 では<br />

同 腫 瘤 内 に 悪 性 所 見 は 認 めず、リンパ 球 、 形 質 細 胞 を 主 体 とした 炎 症<br />

細 胞 浸 潤 と 線 維 化 、 閉 塞 性 静 脈 炎 が 認 められた。 限 局 性 の 自 己 免 疫 性<br />

膵 炎 が 示 唆 される 所 見 であったが、IgG4 陽 性 細 胞 はIgG 陽 性 細 胞 の<br />

10% 以 下 であった。 膵 癌 との 術 前 鑑 別 診 断 および 病 理 学 的 診 断 が 非 常<br />

に 困 難 であった 腫 瘤 形 成 性 膵 炎 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を<br />

含 め 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P69-6 早 期 膵 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 慢 性 膵 炎 の1 切 除 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講<br />

座<br />

○… 岩 瀬 亮 太 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

,<br />

伊 藤 隆 介 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

, 春 木 孝 一 郎 1<br />

,<br />

藤 原 佑 樹 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 石 田 祐 一 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

【 症 例 】43 歳 男 性 。 健 康 診 断 の 腹 部 超 音 波 検 査 で10mm 大 の 膵 体 部 腫<br />

瘍 を 指 摘 され、 当 科 紹 介 となった。 既 往 歴 に 特 記 すべきことなし。 腹<br />

部 MRIにて 膵 体 部 での 主 膵 管 不 明 瞭 化 と 尾 側 膵 管 軽 度 拡 張 を 認 め、 造<br />

影 CTでは 膵 体 部 に 最 大 径 10mmの 造 影 増 強 効 果 不 明 瞭 な 結 節 病 変 を<br />

認 めた。 腫 瘍 マーカーはCEA…5.5…ng/ml、CA19-9…12…U/ml、<br />

DUPAN2…25…U/mlで 正 常 範 囲 内 であった。 腹 部 超 音 波 では、 膵 体 部<br />

に 最 大 8mm、 不 整 形 のhypoecoic…tumorを 認 め、 内 部 には 血 流 を 認 め<br />

なかった。ERCPでは 体 部 膵 管 の 狭 窄 と 尾 側 膵 管 拡 張 を 認 め、EUSで<br />

も8mm 大 の 不 整 形 のhypoecoic…tumorと 尾 側 膵 管 拡 張 を 認 めた。 以 上<br />

の 所 見 より 膵 体 部 癌 の 診 断 にて 膵 体 尾 部 脾 切 除 術 を 行 った。 病 理 診 断<br />

では、 主 膵 管 内 に 濃 縮 した 膵 液 の 貯 留 、 膵 管 円 柱 上 皮 の 脱 落 がみられ、<br />

10x11mm 大 の 不 整 形 結 節 状 の 線 維 化 巣 、 肉 芽 腫 形 成 を 認 めた。 悪 性<br />

所 見 を 認 めず、 慢 性 膵 炎 の 診 断 であった。【まとめ】 慢 性 膵 炎 は 時 と<br />

して 膵 癌 との 術 前 鑑 別 診 断 が 困 難 となることがある。 今 回 、 我 々は 早<br />

期 膵 癌 との 鑑 別 が 困 難 であった 慢 性 膵 炎 の1 切 除 例 を 経 験 したので 文<br />

献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P69-7 硬 化 性 胆 管 炎 を 合 併 したIgG4 関 連 自 己 免 疫 性 膵 炎 の 一<br />

例<br />

市 立 藤 井 寺 市 民 病 院 外 科<br />

○… 浦 田 順 久 , 金 田 和 久 , 栄 政 之 , 寺 倉 政 伸<br />

【はじめに】 肝 門 部 胆 管 癌 と 鑑 別 が 困 難 である 良 性 の 胆 道 狭 窄 の 疾 患<br />

として、 近 年 IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 が 注 目 されている。ステロイド<br />

に 著 効 する 疾 患 であり、 不 必 要 な 手 術 を 避 けるためにも 術 前 の 診 断 が<br />

非 常 に 重 要 である。 今 回 我 々は、IgG4 関 連 自 己 免 疫 性 膵 炎 及 び 硬 化<br />

性 胆 管 炎 と 診 断 し、 外 科 的 切 除 を 回 避 できた 症 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。【 症 例 】82 歳 、 男 性 。 高 血 圧 症 で 近 医 通 院 中 、 胆 道 系 酵 素 の 上<br />

昇 を 指 摘 され、 当 院 へ 紹 介 された。 血 液 生 化 学 検 査 上 、ALP…1055…<br />

IU/L,… γGTP…675…mg/dLと 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 が 認 められたが、T-Bil…<br />

0.8…mg/dLと 基 準 値 範 囲 内 であった。 腹 部 CT 像 において、 左 肝 内 胆<br />

管 の 拡 張 像 が 認 められたが、 明 らかな 腫 瘤 性 病 変 は 認 めなかった。 腹<br />

部 MRI 像 上 、CT 同 様 に 左 肝 内 胆 管 の 拡 張 と 膵 実 質 のびまん 性 腫 大 が<br />

認 められた。PET-CT 像 上 、 左 肝 内 胆 管 および 膵 実 質 にそれぞれ<br />

SUVmax…5.0と5.3の 異 常 集 積 が 認 められた。 胆 管 癌 や 膵 癌 の 可 能 性 を<br />

考 え、ERCPを 施 行 したが、 明 らかな 胆 管 壁 の 不 整 、 膵 管 途 絶 像 およ<br />

び 腫 瘤 像 は 認 めなかった。 擦 過 細 胞 診 の 結 果 はClassIであった。 血 液<br />

検 査 においてCA19-9は239…U/mLと 上 昇 しており、 膵 炎 マーカーは 異<br />

常 高 値 であった。 画 像 所 見 ならびに 細 胞 診 で 悪 性 所 見 がなく、 良 性 胆<br />

道 狭 窄 の 可 能 性 も 考 えられた。 血 清 IgGが1817…mg/dL、 血 清 IgG4が<br />

245…mg/dLと 上 昇 しており、IgG4 関 連 自 己 免 疫 性 膵 炎 とその 肝 外 病<br />

変 である 硬 化 性 胆 管 炎 の 合 併 と 診 断 し、ステロイド 導 入 目 的 に 入 院 と<br />

なった。ステロイド 内 服 開 始 後 より 速 やかに 胆 道 系 酵 素 は 減 少 し、 画<br />

像 上 も 膵 実 質 のびまん 性 腫 大 および 膵 被 膜 様 構 造 は 消 失 し、 肝 内 胆 管<br />

拡 張 の 改 善 が 認 められた。 現 在 、 維 持 量 としてPSL…5mg 内 服 中 であり、<br />

明 らかな 再 燃 は 認 めていない。【 考 察 】 肝 内 胆 管 癌 と 良 性 胆 管 狭 窄 の<br />

鑑 別 に 難 渋 することは 少 なくない。 各 種 検 査 で 完 全 に 悪 性 を 否 定 しき<br />

れずに、 最 終 的 に 外 科 的 切 除 を 選 択 せざるを 得 ない 場 合 も 多 い. 良 悪<br />

の 確 診 を 得 られない 症 例 では、 自 験 例 のようにIgG4 関 連 自 己 免 疫 性<br />

膵 炎 に 合 併 する 硬 化 性 胆 管 炎 も 鑑 別 疾 患 にあげる 必 要 があると 思 われ<br />

た。<br />

-451-


P69-8 悪 性 疾 患 を 疑 い 外 科 的 切 除 を 施 行 した 自 己 免 疫 性 膵 炎<br />

の2 例<br />

鹿 児 島 市 医 師 会 病 院 外 科<br />

○… 井 上 真 岐 , 門 野 潤 , 石 崎 直 樹 , 田 畑 峯 雄<br />

自 己 免 疫 性 膵 炎 (AIP)は2006 年 に 診 断 基 準 が 改 定 され、より 多 くの 症<br />

例 が 報 告 されるようになった。しかし、 膵 癌 ・ 胆 管 癌 などの 悪 性 疾 患<br />

との 鑑 別 が 困 難 で、 確 定 診 断 に 苦 慮 することも 多 い。 今 回 、 手 術 を 行 っ<br />

た 自 己 免 疫 性 膵 炎 の2 例 を 経 験 したので、その 臨 床 像 を 報 告 する。【 症<br />

例 1】 橋 本 病 の 既 往 のある49 歳 男 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し<br />

たが 異 常 所 見 なく 経 過 観 察 中 であった。 症 状 持 続 するため、 約 1か 月<br />

後 に 紹 介 医 を 受 診 した 際 、 肝 機 能 異 常 を 指 摘 され 当 院 消 化 器 内 科 へ 紹<br />

介 入 院 。 画 像 所 見 上 、 下 部 胆 管 に 限 局 した 狭 窄 および 膵 臓 のびまん 性<br />

の 腫 大 を 認 めた。 血 清 IgG4は11100mg/Lと 上 昇 を 認 め、 自 己 免 疫 性<br />

膵 炎 に 伴 う 胆 管 狭 窄 を 疑 ったが、 胆 汁 細 胞 診 で 陽 性 像 を 認 めた 為 、 胆<br />

管 癌 合 併 を 疑 い 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織<br />

学 的 には 悪 性 所 見 なくAIPと 診 断 した。【 症 例 2】71 歳 女 性 。 肝 細 胞 癌<br />

に 対 しRFAを 施 行 された 既 往 があり、 当 院 消 化 器 内 科 で 外 来 フォロー<br />

中 であった。 定 期 検 査 のため 撮 影 したCTで 膵 頭 部 に 約 2cmの 腫 瘤 を<br />

認 め、MRIではT1WIで 低 信 号 、T2WIで 淡 い 高 信 号 を 示 した。ERCP<br />

にて 膵 頭 部 に 限 局 した 主 膵 管 の 高 度 狭 窄 を 認 め、 尾 側 では7mmと 拡<br />

張 を 認 めた。 採 血 上 はγグロブリンの 分 画 が 上 昇 していたが、C 型 肝<br />

硬 変 によるものと 判 断 した。 膵 液 細 胞 診 では 陰 性 であったが 膵 癌 が 否<br />

定 し 得 ず、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的<br />

検 索 にてIgG4 陽 性 の 炎 症 性 細 胞 浸 潤 を 認 め、 悪 性 所 見 はなくAIPと 診<br />

断 した。 術 後 に 測 定 したIgG4は263mg/dlと 高 値 であった。いずれの<br />

症 例 も 術 後 経 過 は 良 好 で、 外 来 にて 経 過 観 察 中 である。【まとめ】 症<br />

例 1は 画 像 上 はAIPと 診 断 したが、 胆 汁 細 胞 診 陽 性 であり 手 術 を 行 った。<br />

異 型 細 胞 は 結 果 的 には 炎 症 性 変 化 によるものであったと 考 えられた。<br />

症 例 2はAIPの 膵 管 所 見 に 非 定 型 的 で 膵 腫 大 もなく、 画 像 診 断 は 困 難<br />

であったが、 高 γグロブリン 血 症 を 伴 う 膵 腫 瘍 ではAIPも 念 頭 におき<br />

IgG4を 追 加 測 定 する 必 要 があったと 考 えられた。<br />

P70-1 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 、Roux-en-Y 再 建 は<br />

DGEを 減 少 させるか<br />

京 都 第 2 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 森 村 玲 , 谷 口 弘 毅 , 小 林 利 行 , 岡 島 航 , 原 田 恭 一 ,<br />

坂 木 桃 子 , 山 田 圭 吾 , 松 村 博 臣 , 藤 信 明 , 大 垣 雅 晴 ,<br />

竹 中 温<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 胃 内 容 排 泄 遅 延 (DGE)は、 入 院 期 間<br />

を 延 長 させるやっかいな 合 併 症 の 一 つである。DGEを 減 らすために<br />

様 々な 工 夫 がなされているが、 器 械 吻 合 によるRoux-en-Y 再 建 がDGE<br />

を 減 少 させるという 報 告 が 散 見 される。 今 回 我 々は、 器 械 吻 合 による<br />

Roux-en-Y 再 建 法 と 従 来 の 空 腸 single…loopでの 再 建 法 との 比 較 検 討 を<br />

行 ったので 報 告 する。【 対 象 および 方 法 】2009 年 4 月 から2011 年 10 月 ま<br />

でに 施 行 した 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 症 例 50 例 を 対 象 とした。 性<br />

別 は 男 性 21 例 、 女 性 29 例 で 平 均 年 齢 は66.5 歳 であった。50 例 のうち、<br />

Billroth-2 法 に 準 じた 形 で 挙 上 空 腸 と 残 胃 を 吻 合 したのは23 例 で、<br />

Roux-en-Y 再 建 を 施 行 したものは2010 年 8 月 以 降 の27 例 であった。 当<br />

院 での 再 建 法 は、 膵 胃 吻 合 (PD-4B-2)を 採 用 しており、 胃 空 腸 吻 合 は<br />

いずれの 場 合 も、 結 腸 前 に 挙 上 した 空 腸 を 残 胃 と 器 械 を 用 いて 吻 合 し<br />

ている。【 結 果 】DGEの 発 現 頻 度 は、 空 腸 single…loop 群 で23 例 中 4 例<br />

(17.4%)、Roux-en-Y 群 で27 例 中 4 例 (14.8%)と 有 意 差 を 認 めなかった<br />

(p=0.889)。 食 事 開 始 時 期 は、 空 腸 single…loop 群 で8.9 日 、Roux-en-Y<br />

群 で8.4 日 と 有 意 差 を 認 めなかった(p=0.819)。また、 在 院 期 間 も 空<br />

腸 single…loop 群 で24.1 日 、Roux-en-Y 群 で22.7 日 と 有 意 差 を 認 めなかっ<br />

た(p=0.659)。 全 例 でgradeB 以 上 の 膵 液 瘻 を 認 めなかった。【 結 論 】<br />

当 院 でのretrospectiveな 比 較 検 討 では、Roux-en-Y 再 建 法 によりDGE<br />

の 発 生 を 抑 えることは 困 難 であると 考 えられた。もちろん 前 向 きラン<br />

ダム 化 比 較 臨 床 試 験 によるRoux-en-Y 再 建 法 の 有 用 性 の 確 認 が 必 要 で<br />

あるが、DGEを 抑 えるために、さらなる 工 夫 が 必 要 と 考 えられた。<br />

P70-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 消 化 管 吻 合 部 狭 窄 の 臨 床<br />

的 問 題 点<br />

福 井 大 学 第 一 外 科<br />

○… 村 上 真 , 小 練 研 司 , 廣 野 靖 男 , 飯 田 敦 , 片 山 寛 次 ,<br />

山 口 明 夫<br />

はじめに: 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)の 術 後 長 期 的 な 合 併 症 として 膵 消<br />

化 管 吻 合 の 吻 合 部 狭 窄 があるが、 慢 性 膵 炎 の 像 を 呈 し 臨 床 症 状 に 乏 し<br />

く 議 論 されることは 少 ない. 今 回 われわれは、PD 術 後 の 吻 合 部 狭 窄<br />

の 要 因 とそれらが 術 後 の 残 膵 の 萎 縮 や 栄 養 状 態 に 与 える 影 響 を<br />

retorospectiveに 検 討 したので 報 告 する. 対 象 と 方 法 :1990 年 1 月 以 降<br />

当 科 でPDもしくはPpPDで 膵 胃 もしくは 膵 空 腸 吻 合 を 施 行 され1 年 以<br />

上 経 過 した110 例 を 対 象 とした. 残 膵 の 膵 管 拡 張 と 術 前 膵 管 径 、 吻 合 法 、<br />

再 建 法 、 縫 合 不 全 の 関 係 を 検 討 した. 次 に 術 後 1 年 目 における 残 膵 の<br />

萎 縮 度 、 栄 養 パラメーター、 体 重 を 測 定 し 術 前 と 比 較 し、 残 膵 の 主 膵<br />

管 径 との 関 係 を 検 討 した. 膵 の 萎 縮 度 は 膵 断 面 から 主 膵 管 の 部 分 を 除<br />

いた 膵 断 面 積 を 用 いた. 結 果 : 全 症 例 における 術 後 の 膵 管 拡 張 は<br />

36.8%であった. 術 前 の 膵 管 径 が3mm 未 満 の 正 常 膵 で58.0%、 膵 吻 合<br />

の 膵 管 嵌 入 法 で61.3%に 有 意 差 を 持 って 術 後 膵 管 拡 張 を 認 めた<br />

(P=0.0082,…P=0.0062). 縫 合 不 全 を 来 した 症 例 でも50%に 膵 管 拡 張 を<br />

認 めたが、 有 意 差 はなかった. 測 定 可 能 であった49 例 の 残 膵 萎 縮 率 は<br />

平 均 26.3±27.4%であった. 術 前 膵 管 径 と 術 後 膵 管 径 の 拡 張 の 有 無 で4<br />

グループに 分 け 比 較 すると、 術 前 術 後 ともに 膵 管 拡 張 がない 症 例 の 膵<br />

萎 縮 率 は7.3±16.6%でも 最 も 少 なく、 術 前 に 膵 管 拡 張 がない 正 常 膵 が<br />

術 後 膵 管 拡 張 を 来 すと34.9±24.0%と 有 意 差 を 持 って 萎 縮 率 は 高 値 で<br />

あった. 術 前 術 後 ともに 膵 管 拡 張 がない 症 例 のタンパク 質 、アルブミ<br />

ンは、 術 前 より 慢 性 膵 炎 を 有 する 症 例 より 良 好 な 値 を 示 し、 退 院 時 よ<br />

り 平 均 で3.9%の 体 重 増 加 を 認 めた.それ 以 外 のグループはすべて 術<br />

前 体 重 にまで 復 さなかった. 結 語 : 膵 管 消 化 管 吻 合 は 一 度 吻 合 部 狭 窄<br />

を 来 すと 縫 合 不 全 と 異 なり 慢 性 的 に 残 膵 萎 縮 が 進 行 するため、 患 者 の<br />

QOL 低 下 に 繋 がる 恐 れが 高 い. 今 後 、 狭 窄 を 来 さない 吻 合 法 の 改 良<br />

と 狭 窄 の 早 期 診 断 と 治 療 の 確 立 が 望 まれる.…<br />

P70-3 術 後 逆 行 性 胆 管 炎 予 防 を 目 的 とした, 膵 頭 十 二 指 腸 切<br />

除 ・ 膵 胃 吻 合 後 の 消 化 管 再 建 の 工 夫<br />

1<br />

霧 島 市 立 医 師 会 医 療 センター 外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 循 環 器 ・ 呼 吸<br />

器 ・ 消 化 器 疾 患 制 御 学<br />

○… 風 呂 井 彰 1<br />

, 久 米 村 秀 1<br />

, 本 高 浩 徐 1<br />

, 二 渡 久 智 1<br />

,<br />

菰 方 輝 夫 2 2<br />

, 井 本 浩<br />

(はじめに) 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ( 以 下 PD) 後 の 術 後 胆 管 炎 は9.2~33%に<br />

発 生 するといわれており,その 発 生 原 因 として 胆 管 空 腸 吻 合 部 の 狭 窄<br />

に 伴 う 胆 汁 の 流 出 障 害 と 逆 行 性 のものがあげられている. 我 々はこの<br />

逆 行 性 胆 管 炎 に 注 目 し 手 術 手 技 の 改 良 を 加 えたので 報 告 する.( 対 象 と<br />

方 法 ) 我 々はこれまでPD 術 後 の 再 建 法 として 膵 胃 吻 合 後 ,B-1 式 に 胃<br />

空 腸 吻 合 , 胆 管 空 腸 の 順 に 吻 合 してきたが, 逆 行 性 と 思 われる 胆 管 炎<br />

を 経 験 することが 少 なくなかったため, 膵 胃 吻 合 後 ,B-2 式 に 胆 管 空 腸 ,<br />

胃 空 腸 の 順 に 吻 合 する 方 法 を 採 用 し, 術 後 胆 管 炎 やその 他 の 術 後 合 併<br />

症 について 検 討 した. 対 象 はH22 年 7 月 からH23 年 10 月 まで 当 院 で 行 っ<br />

たPD14 例 で, 中 下 部 胆 管 癌 12 例 , 膵 頭 部 癌 2 例 である.なお, 膵 胃 吻<br />

合 は 虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科 渡 邊 らの 嵌 入 法 で 行 っており, 殆 どの 症 例<br />

で 逆 行 性 経 肝 胆 道 ドレナージを 体 外 に 誘 導 し, 術 後 3 週 間 以 降 抜 去 し<br />

ている.また 膵 管 チューブは 不 完 全 外 瘻 とし, 空 腸 断 端 から 栄 養 チュー<br />

ブを 挿 入 留 置 , 術 後 1 日 目 から 経 管 栄 養 を 行 っている.( 成 績 ) 術 後 観 察<br />

期 間 は1ヶ 月 ~1 年 3か 月 と 短 いが, 中 部 胆 管 癌 および 膵 頭 部 癌 それぞ<br />

れ1 例 が 術 後 9か 月 目 ,3か 月 目 に 多 発 肝 転 移 で 再 発 した 以 外 無 再 発 で<br />

ある. 術 後 合 併 症 (3/14=21%)は, 空 腸 栄 養 皮 膚 漏 の 脱 落 , 輸 出 脚 症<br />

候 群 , 網 嚢 腔 膿 瘍 がそれぞれ1 例 で 在 院 死 は 無 い. 他 に 原 因 が 無 い 高<br />

熱 と 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 伴 う 場 合 を 術 後 胆 管 炎 と 定 義 した 場 合 , 観<br />

察 期 間 内 には 術 後 胆 管 炎 は 経 験 していない. 合 併 症 のあった3 例 及 び<br />

入 院 中 の1 例 を 除 く 術 後 平 均 在 院 日 数 は28.8 日 である.なお, 我 々は<br />

術 後 1 日 目 及 び4 日 目 にWinslow 孔 から 左 肝 下 面 に 留 置 したドレーン<br />

( 以 下 W) 及 び 網 嚢 腔 内 に 留 置 したドレーン( 以 下 B)のアミラーゼ 測 定<br />

を 行 いドレーン 抜 去 の 目 安 としているが,1 日 目 平 均 W/B…=…849/1303…<br />

IU/L(N=12),4 日 目 平 均 W/B… =… 23/381… IU/L(N=12) で,<br />

International…Study…Group…on…Pancreatic…Fistulaの 基 準 ではGrade…A<br />

が3 例 でGrade…B 以 上 は 経 験 していない.<br />

-452-


P70-4 膵 切 除 術 における 周 術 期 感 染 対 策<br />

新 潟 県 立 がんセンター 新 潟 病 院 外 科<br />

○… 野 村 達 也 , 土 屋 嘉 昭<br />

【 目 的 】 膵 切 除 術 においてはSSIが 高 率 に 発 症 し 重 篤 となる 可 能 性 が<br />

ある。 当 科 で 行 ってきた 膵 切 除 における 周 術 期 感 染 対 策 とその 成 績 を<br />

検 討 する。【 手 術 方 法 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 後 の 再 建 方 法 は 膵 管<br />

空 腸 粘 膜 吻 合 を 全 例 にno-stent 法 で 行 っている。 消 化 管 の 再 建 は<br />

Billroth…II 法 再 建 からRoux-en-Y 法 をとりいれて、 膵 癌 症 例 ではすべ<br />

て 前 結 腸 ルートとしている。 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP)は 自 動 縫 合 器 によ<br />

る 膵 切 離 を 基 本 としている。【 周 術 期 感 染 対 策 】 腹 腔 内 に 異 物 を 残 さ<br />

ないために 吸 収 糸 を 用 いる。 開 腹 後 に 創 縁 に 密 着 するリングドレープ<br />

を 用 いて 創 の 汚 染 を 防 ぐ。 手 術 前 に 胆 汁 培 養 を 提 出 する、または 手 術<br />

時 に 胆 汁 培 養 を 提 出 する。 予 防 的 抗 生 剤 は、 従 来 は 術 当 日 のみの 投 与<br />

としてきたが、4 日 間 投 与 としている。 縫 合 には 抗 菌 縫 合 糸 を 用 いる。<br />

閉 腹 前 腹 腔 内 洗 浄 は 従 来 の2L 程 度 から5L 以 上 へ 増 量 。ドレーンは 持<br />

続 吸 引 式 のドレーンを 採 用 し、 術 後 早 期 に 抜 去 する。 閉 創 前 に<br />

syringe…pressureにて 創 洗 浄 施 行 。 抗 菌 縫 合 糸 にて 真 皮 縫 合 にて 創 閉<br />

鎖 。 皮 下 脂 肪 の 多 い 症 例 には 皮 下 へ 持 続 吸 引 ドレーン 留 置 。【 結 果 】<br />

2007 年 から2011 年 までのPD145 例 、DP61 例 を 対 象 とした。PD 症 例 で<br />

はSSIは63 例 (43%)。ISGPF…gradeB、Cの 膵 液 瘻 は21 例 (14%)。 前 期<br />

77 例 と 後 期 68 例 で 手 術 成 績 を 比 較 。 膵 液 漏 は 前 期 14 例 (18%)、 後 期 7<br />

例 (10%)と 差 はなかった。SSIは 前 期 40 例 52%、 後 期 23 例 34%と 有 意 に<br />

減 少 した(P=0.03)。 切 開 部 SSIは 前 期 18 例 23%、 後 期 8 例 12%と 減 少 し<br />

た(P=0.08)。DP 症 例 ではSSIは17 例 (28%)。 膵 液 瘻 は10 例 (16%)。 前<br />

期 27 例 と 後 期 34 例 で 手 術 成 績 を 比 較 。 膵 液 漏 は 前 期 3 例 (11%)、 後 期 7<br />

例 (20%)と 差 はなかった。SSIは 前 期 7 例 26%、 後 期 10 例 29%と 差 はな<br />

かった。【 結 語 】 膵 切 除 における 我 々の 行 ってきた 周 術 期 感 染 対 策 は、<br />

従 来 からSSIが 高 頻 度 であるPDにおいて 有 効 であった。<br />

P70-5 膵 頭 切 除 例 での 予 防 的 抗 菌 薬 と 感 染 性 合 併 症 、 分 離 菌 と<br />

の 関 係 ―FMOX 数 日 投 与 とCEZ1 日 投 与 の 比 較 ―<br />

1<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科 、 2 東 海 大 学 八 王 子 病 院 外 科 、 3 東 海 大<br />

学 東 京 病 院 外 科<br />

○… 古 川 大 輔 1<br />

, 中 郡 聡 夫 1<br />

, 矢 澤 直 樹 1<br />

, 加 藤 加 藤 1<br />

,<br />

村 上 健 太 郎 1<br />

, 松 山 正 浩 1<br />

, 山 田 美 鈴 1<br />

, 和 泉 秀 樹 2<br />

,<br />

飛 田 浩 輔 2 3<br />

, 今 泉 俊 秀<br />

【 目 的 】 膵 頭 部 癌 の 膵 頭 切 除 の 予 防 的 抗 菌 薬 としてFMOXの 数 日 投<br />

与 とCEZの1 日 投 与 での 術 後 感 染 性 合 併 症 の 頻 度 、 分 離 菌 の 種 類 、 感<br />

受 性 について 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】2007 年 1 月 ~2011 年 9 月 までの<br />

膵 頭 部 癌 に 対 して 膵 頭 切 除 または 膵 全 摘 を 施 行 した120 例 を 対 象 とし<br />

た。 内 訳 は 予 防 的 抗 菌 薬 にFMOXを 投 与 した83 例 ( 膵 頭 切 除 81 例 、 膵<br />

全 摘 2 例 )と、CEZを 投 与 した37 例 ( 膵 頭 切 除 33 例 、 膵 全 摘 4 例 )ついて、<br />

術 後 感 染 性 合 併 症 の 頻 度 、 分 離 菌 の 種 類 、 抗 菌 薬 感 受 性 について 検 討<br />

した。FMOXは 平 均 4.0 日 (1~5 日 ) 投 与 され、CEZは 術 前 1 回 投 与 と 術<br />

中 3 時 間 毎 の 追 加 投 与 のみで 術 後 には 投 与 しなかった。【 結 果 】 術 後 感<br />

染 性 合 併 症 はFMOX 群 で38 例 (45.7%)、CEZ 群 で12 例 (32.4%)に 発 生 し、<br />

SSIはFMOX 群 で27 例 (32.5%)、CEZ 群 で15 例 (43.2%)であったが、 臓<br />

器 SSIに 限 ると25 例 (30%)と10 例 (27%)と 同 程 度 であった。 術 野 外 感<br />

染 はFMOX 群 で14 例 (16%)、CEZ 群 で7 例 (19%)であった。Grade…B 以<br />

上 の 膵 液 ろうは14 例 (16%)と12 例 (32%)であった。 主 な 術 後 分 離 菌 は<br />

FMOX 群 で69 菌 種 、CEZ 群 で83 菌 種 が 検 出 され、FMOX 群 とCEZ 群<br />

でのそれぞれの 内 訳 はEnterococcus 属 が24%と14%、Enterobacter 属<br />

が11%と12%、CNSが20%と8%、Staphyrococcus…aereusが7%と4%、<br />

Pseudomonas…aeruginosaが11% と3%、Cornebacterium 属 が7% と4%、<br />

Bacteroides 属 が3%と6%であった。MRSAはそれぞれ5%と3%に 検 出<br />

された。FMOX 群 とCEZ 群 での 分 離 菌 の 各 種 抗 菌 薬 に 対 する 耐 性 の<br />

割 合 はIPMで は32% と13%(p=0.001)、PCGは62% と49%(p=0.06)、<br />

ABPCは66% と57%(p=0.19)、PIPCは41% と21%(p=0.002)、CEZは<br />

71%と54%(p=0.013)、CTMは80%と38%(p


P70-8 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 におけるSSI 発 生 に 関 する 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 センター 外 科<br />

○… 武 岡 奉 均 , 宮 本 敦 史 , 中 森 正 二 , 浅 岡 忠 史 , 山 本 和 義 ,<br />

安 井 昌 義 , 大 宮 英 泰 , 池 永 雅 一 , 宮 崎 道 彦 , 平 尾 素 宏 ,<br />

高 見 康 二 , 藤 谷 和 正 , 三 嶋 秀 行 , 辻 仲 利 政<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 症 例 におけるSSIの 危 険 因 子 及 び 術<br />

前 の 減 黄 処 置 とSSIとの 関 連 について 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】2007 年<br />

10 月 から2011 年 2 月 までに 当 科 で 施 行 したPD 施 行 例 107 例 を 対 象 とし<br />

た。 疾 患 は 膵 頭 部 癌 54 例 、 膵 管 内 乳 頭 粘 液 腺 腫 17 例 、 胆 管 癌 14 例 、<br />

十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 11 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 6 例 、その 他 5 例 であった。 術 前<br />

胆 道 ドレナージを 施 行 した 症 例 は44 例 (41.1%)で、 内 訳 はPTCD7 例 、<br />

ERBD21 例 、ENBD16 例 であった。 対 象 107 例 のうち 術 前 ・ 術 中 胆 汁<br />

培 養 検 査 で 菌 の 検 出 を 認 めた35 例 を 保 菌 群 とした。 一 方 、 術 前 ・ 術 中<br />

胆 汁 培 養 検 査 で 菌 の 検 出 を 認 めなかった6 例 と 術 前 減 黄 処 置 が 施 行 さ<br />

れなかった63 例 を 合 わせた69 例 を 非 保 菌 群 とした。 性 別 、 年 齢 、 保 菌<br />

の 有 無 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 糖 尿 病 の 有 無 、 術 中 輸 血 の 有 無 、 術 前<br />

Alb、 術 前 BMI、 術 中 最 低 体 温 とSSIの 発 生 について 両 群 間 で 比 較 検<br />

討 した。【 結 果 】 対 象 107 例 のうちSSIは49 例 (45.8%)に 認 め、 内 訳 は 表<br />

層 感 染 4 例 、 臓 器 ・ 体 腔 45 例 ( 膵 液 漏 30 例 、 遺 残 膿 瘍 11 例 、 胆 汁 漏 3 例 、<br />

縫 合 不 全 1 例 )であった。 単 変 量 解 析 で 保 菌 の 有 無 、 出 血 量 において 統<br />

計 学 的 有 意 差 を 認 めた(p


P71-4 柿 田 式 密 着 吻 合 とロストステントを 用 いる 膵 空 腸 吻 合<br />

上 尾 中 央 総 合 病 院 外 科<br />

○… 陳 孟 鳳 , 峯 田 章 , 水 谷 知 央 , 宮 内 邦 浩<br />

【 目 的 】High…volume…centerでない 施 設 で 膵 空 腸 吻 合 を 安 全 かつ 確 実<br />

にしかも 再 現 性 をもって 行 うため 若 干 の 工 夫 を 行 っている。その 実 際<br />

をビデオで 供 覧 する。【 方 法 】ゾンデを 主 膵 管 に 挿 入 し 走 行 を 確 認 後<br />

ピオクタニンペンで 膵 表 面 にマーキングする。 空 腸 側 に 膵 断 面 を 密 着<br />

させる 位 置 をマーキングする。 膵 管 の 位 置 に 合 わせ 空 腸 の 小 孔 を 開 け<br />

る 位 置 をマーキングする。 小 孔 は 針 糸 で 漿 膜 筋 層 を 吊 り 上 げ 電 気 メス<br />

凝 固 切 開 で 切 離 し 粘 膜 層 を 更 に 針 糸 で 吊 り 上 げ 切 離 する。3-0アスフ<br />

レックス( 弱 湾 )を 膵 背 側 から 腹 側 へ 貫 通 させる( 門 脈 ・ 脾 静 脈 の 損 傷<br />

を 避 けるため)。 膵 断 面 からの 距 離 は1cm、 主 膵 管 より 頭 側 に1ないし<br />

2 針 、 尾 側 に2ないし3 針 かける。 空 腸 側 のかけ 幅 は 膵 断 面 の 約 1.5 倍 と<br />

する。この 間 隔 ・ 位 置 を 正 確 に 守 るため 膵 表 面 と 空 腸 にやはりマーキ<br />

ングする。 膵 空 腸 吻 合 は6-0PDSを 用 いる。 膵 管 12 時 に 針 糸 をかけ 腹<br />

側 に 軽 く 吊 り 上 げ 膵 管 内 腔 を 確 認 する。9 時 、3 時 の 膵 管 膵 実 質 及 び 空<br />

腸 全 層 に 針 糸 をかけ 頭 尾 側 に 引 き 膵 管 後 壁 中 央 を 確 認 する。6 時 の 膵<br />

管 膵 実 質 と 空 腸 全 層 に 針 糸 をかけかける(bite 約 3mm)。9 時 と6 時 間 、<br />

6 時 と3 時 の 間 1 針 ずついれる。 前 立 ちが 摂 子 2 本 で 空 腸 を 引 き 寄 せ 術 者<br />

が 膵 空 腸 吻 合 糸 を 結 紮 する。9 時 と3 時 は 支 持 糸 として 残 し6 時 の 針 糸<br />

は 切 らずに 後 のロストステント 固 定 用 に 残 す。 前 壁 の 吻 合 は 内 腔 の<br />

patencyを 小 児 用 直 角 ケリー 鉗 子 で 逐 一 確 認 し 膵 管 膵 実 質 を 通 した12<br />

時 の 針 糸 を 空 腸 側 に 通 し、9 時 と12 時 の 間 、12 時 と3 時 の 間 に1 針 ずつ<br />

加 える。2.5cmに 形 成 した 膵 管 チューブの 膵 臓 側 1cmの 箇 所 に 残 して<br />

おいた6 時 の 針 糸 を 貫 通 させ 膵 管 空 腸 吻 合 部 に 挿 入 し 結 紮 固 定 する。<br />

前 壁 3 針 の 膵 空 腸 吻 合 糸 を 術 者 が 結 紮 する。 最 後 に 密 着 吻 合 糸 を 術 者<br />

が 結 紮 する。フィブリン 糊 を 膵 空 腸 吻 合 に 噴 霧 し 後 面 に 大 網 を 置 く。<br />

ドレーンは 吻 合 部 前 後 面 に 留 置 する。【 結 果 】この 方 法 で13 例 の 膵 空<br />

腸 吻 合 を 行 い 膵 液 瘻 無 し3 例 、ISGPF 分 類 Aが7 例 、Bが3 例 であった。【 結<br />

論 】ISGPF 分 類 B 以 上 をゼロにするためには 膵 断 面 と 空 腸 密 着 度 を 更<br />

に 上 げる 必 要 があると 考 えられた。<br />

P71-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 膵 空 腸 吻 合 部 Internalstentは<br />

膵 液 漏 を 減 らすか<br />

1<br />

山 形 大 学 医 学 部 第 一 外 科 、 2 Mayo Clinic<br />

○… 森 谷 敏 幸 1<br />

,Clancy…Clark 2 , 桐 原 裕 次 郎 2<br />

,<br />

Michael…Kendrick 2 ,Kaye…Reid…Lombardo 2 ,Florencia…Que 2 ,<br />

Michael…Farnell 2<br />

【 背 景 と 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)… 後 の 膵 液 漏 は 重 大 な 術 後 合<br />

併 症 である. 膵 空 腸 吻 合 ステント(Internal…stent)は 膵 液 漏 減 少 のた<br />

めの 有 用 な 手 段 と 考 えられている. 膵 空 腸 吻 合 ステントの 膵 液 漏 に 対<br />

する 有 効 性 を 明 らかにすることを 目 的 とした.【 患 者 と 方 法 】 対 象 患<br />

者 は1999 年 1 月 から2010 年 9 月 までMayo…Clinic…(MN,…USA)で1 人 の 術<br />

者 により 施 行 された553 例 のPD 症 例 . 研 究 デザインは 後 ろ 向 き 研 究 .<br />

Mayo…Clinicでは2008 年 まで 全 例 にStentを 留 置 し,それ 以 降 は 全 例<br />

Stentを 留 置 しなかった.…Stent 群 とNo…stent 群 の2 群 間 で 術 後 膵 液 漏<br />

およびその 他 術 後 合 併 症 の 頻 度 を 両 群 間 で 比 較 した. 膵 液 漏 の 定 義 は<br />

ISGPFのGrade…B,Cとした.【 結 果 】 膵 液 漏 の 発 生 頻 度 はStent 群 で9.6%…<br />

(43/449),No…stent 群 で12.5%…(13/104)であった(p=0.385). 術 後 30<br />

日 以 内 死 亡 率 はStent 群 0.7%…(3/449),No…stent 群 1.0%…(1/104)であっ<br />

た.Stent… 群 の4 例 でInternal…stentの 遺 残 や 迷 入 のため 内 視 鏡 的 ステ<br />

ント 抜 去 術 を 施 行 した. 膵 液 漏 高 危 険 群 であるSoft…pancreas 症 例<br />

(n=64)での 膵 液 漏 はStent 群 31.7%…(13/41),…No…stent 群 17.4%…(4/23),…<br />

(p=0.203)および 小 主 膵 管 症 例 (3mm 以 下 ,n=167)ではStent 群 17.7%…<br />

(23/130),…No…stent 群 24.3%…(9/37),…(p=0.376)といずれも 有 意 差 を 認<br />

めなかった.【 結 語 と 考 察 】Internal…stentは 膵 液 漏 減 少 に 寄 与 しなかっ<br />

た.Internal…stentは 遺 残 や 迷 入 の 危 険 性 がある.Stent 留 置 の 長 所 と<br />

して 主 膵 管 の 長 期 開 存 や 長 期 の 外 分 泌 機 能 維 持 が 挙 げられるが, 今 回<br />

はそれらについての 検 討 はしなかったため 更 なる 検 討 が 必 要 である.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P71-6 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PpPD) 後 膵 管 空 腸 吻 合<br />

部 ロストステントの 残 膵 内 迷 入 による 難 治 性 膵 炎 の1<br />

例<br />

板 橋 中 央 総 合 病 院 外 科<br />

○… 畑 中 正 行 , 松 本 浩 次<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 施 行 時 の 膵 管 空 腸 吻 合 部 へのロストステント 挿 入 は<br />

一 般 に 広 く 行 われている 手 技 である。 今 回 われわれは 膵 腸 ロストステ<br />

ントの 残 存 膵 への 迷 入 によると 考 えられた 難 治 性 膵 炎 症 例 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する。 症 例 は46 歳 男 性 。2006 年 に 下 部 胆 管 癌 に 対 し 幽 門 輪 温<br />

存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PpPD)を 施 行 。 手 術 時 の 膵 管 径 は2mm、 正 常 膵<br />

であり 膵 腸 吻 合 は 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 で 行 い4Frの 節 付 膵 管 チューブを<br />

ロストステントとして 留 置 した。 術 後 の 経 過 は 良 好 で 術 後 17 日 目 に 退<br />

院 となった。 術 後 gemcitabineによる 補 助 化 学 療 法 を 行 っていたが<br />

2008 年 初 旬 より 食 後 の 上 腹 部 痛 、 背 部 痛 等 の 膵 炎 症 状 を 認 めるように<br />

なり 同 年 に2ヶ 月 間 の 入 院 加 療 を 行 った。なお 入 院 時 のCTでは 残 膵 の<br />

ロストステントの 残 存 を 認 め、 膵 尾 部 に 仮 性 膵 嚢 胞 を 伴 っていたが 保<br />

存 的 に 消 失 、 症 状 の 軽 快 をみた。 入 院 中 、 膵 腸 吻 合 部 のロストステン<br />

トが 膵 炎 の 原 因 と 考 え 内 視 鏡 下 の 抜 去 を 試 みたが、 膵 腸 ロストステン<br />

トの 確 認 不 能 でありやむなく 断 念 した。また2009 年 にも 同 様 の 膵 炎 症<br />

状 を 認 め 入 院 となり、PpPD 施 行 後 2 年 3ヶ 月 目 に 開 腹 下 の 膵 腸 ロスト<br />

ステント 抜 去 を 行 った。 前 回 の 術 創 に 沿 って 開 腹 し、 癒 着 を 剥 離 して<br />

ゆき、 膵 腸 吻 合 部 近 傍 の 空 腸 に 到 達 。 空 腸 に 横 切 開 をおき、 術 中 レン<br />

トゲンイメージを 使 用 しながら 残 膵 内 に 迷 入 していたロストステント<br />

を 細 径 鉗 子 にて 摘 除 した。ロストステントは 劣 化 、 閉 塞 しており 術 後 、<br />

膵 炎 症 状 は 消 失 した。 膵 腸 吻 合 時 のロストステント 留 置 は 一 般 に 広 く<br />

施 行 されている 手 術 手 技 ではあるが、 長 期 間 残 存 したり、まれに 本 症<br />

例 のように 膵 炎 症 状 をきたしステントの 摘 除 を 余 儀 なくされることも<br />

ある。 本 例 のように 膵 管 拡 張 のない 場 合 は 膵 管 外 瘻 チューブとしたり、<br />

膵 管 拡 張 症 例 ではステントなしで 膵 腸 吻 合 を 行 うなどの 配 慮 が 必 要 で<br />

ある。<br />

P71-7 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 11 年 目 に 膵 管 チューブの 遺 残 と<br />

陥 頓 膵 石 により 膵 炎 を 発 生 した1 例<br />

豊 橋 市 民 病 院 一 般 外 科<br />

○… 平 松 和 洋 , 加 藤 岳 人 , 柴 田 佳 久 , 駒 屋 憲 一<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)は 膵 頭 部 癌 に 対 する 標 準 的 な 外 科 治 療 であ<br />

るが、 従 来 その 生 存 率 の 低 さから 晩 期 の 合 併 症 が 顧 みられることは 稀<br />

であった。 近 年 、その 手 術 成 績 の 向 上 に 伴 い 長 期 生 存 例 が 散 見 され、<br />

術 後 晩 期 の 合 併 症 も 経 験 する 機 会 が 増 加 するものと 予 想 される。PD<br />

後 の 晩 期 の 合 併 症 としては 体 重 減 少 、 耐 糖 能 障 害 、 胆 管 炎 などが 知 ら<br />

れているが、 膵 炎 についての 報 告 は 少 ない。 我 々は 膵 癌 に 対 してPD<br />

を 施 行 、 主 膵 管 の 完 全 チューブドレナージ( 胃 内 ロストステント) 下 の<br />

胃 膵 吻 合 による 再 建 を 行 った 症 例 で、 術 後 11 年 目 に 膵 管 チューブ 遺 残<br />

とこれを 核 とした 膵 石 の 陥 頓 から 膵 炎 を 発 症 した1 例 を 経 験 したので<br />

報 告 する。 症 例 は71 歳 女 性 。1999 年 に 膵 未 分 化 癌 に 対 して 亜 全 胃 温 存<br />

PDと 主 膵 管 の 完 全 チューブドレナージ( 胃 内 ロストステント) 下 の 胃<br />

膵 吻 合 を 施 行 。 術 後 経 過 良 好 で 退 院 後 5 年 以 上 再 発 なく、2007 年 には<br />

フォローアップのCTで 膵 管 チューブの 遺 残 と 堆 積 した 膵 石 を 確 認 し<br />

ていた。 臨 床 症 状 もなく、 臨 床 検 査 値 に 異 常 がなかったため 経 過 観 察<br />

となっていた。2010 年 9 月 に 腹 痛 とアミラーゼ 値 の 軽 度 上 昇 が 初 めて<br />

出 現 。CT 上 変 化 なく 症 状 も 自 然 に 軽 快 したため 外 来 にて 経 過 観 察 し<br />

ていたが、10 月 になると 再 び 症 状 が 悪 化 。CTで 膵 周 囲 への 液 体 貯 留<br />

と 仮 性 のう 胞 が 出 現 したため 急 性 膵 炎 の 治 療 のため 入 院 となった。 膵<br />

炎 に 対 する 保 存 治 療 のみで 仮 性 のう 胞 は 消 失 し、 腹 痛 や 臨 床 検 査 値 は<br />

軽 快 した。 膵 管 チューブの 閉 塞 や、 堆 積 した 膵 石 が 原 因 となった 膵 炎<br />

と 考 えられたため、まず 内 視 鏡 的 に 膵 管 チューブの 抜 去 を 試 みた。し<br />

かし 抜 去 困 難 であったため、12 月 に 待 機 的 に 全 身 麻 酔 下 に 開 腹 、 胃 前<br />

壁 を 切 開 し 観 察 すると、 膵 管 チューブは 非 吸 収 糸 (プロリン)で 固 定 さ<br />

れていた。これを 抜 糸 すると 用 手 的 に 容 易 に 堆 積 、 陥 頓 した 膵 石 と 膵<br />

管 チューブを 抜 去 できた。さらにその 奥 の 遺 残 した 膵 石 も 鑷 子 や 鋭 匙<br />

などで 可 及 的 に 除 去 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 12 日 で 退 院 。 術 後 1<br />

か 月 後 のCTでは 膵 石 の 遺 残 はほとんどなく、 術 後 1 年 の 現 在 、 膵 炎 の<br />

再 燃 はない。<br />

-455-


P71-8 PPPD 後 の 膵 液 漏 由 来 難 治 性 腹 腔 内 出 血 に 対 し 起 死 回<br />

生 の 処 置 で 助 かった 症 例<br />

盛 岡 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 川 村 英 伸<br />

【はじめに】 下 部 胆 管 癌 のPPPD 後 に 膵 空 腸 縫 合 不 全 による 腹 腔 内 出<br />

血 を 発 症 し、 計 3 回 のTAEを 施 行 するも 出 血 を 繰 り 返 した 症 例 に 対 し、<br />

Lost…stentが 膵 液 漏 を 助 長 していると 判 断 し、 内 視 鏡 的 にStentを 抜 去<br />

したところ、 出 血 がとまり 無 事 退 院 となった 症 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。【 対 象 】 症 例 は74 才 、 女 性 。 下 部 胆 管 癌 にてPPPDを 施 行 し、<br />

Traverso 変 法 (PPPD-IIA-1)にて 再 建 した。 膵 空 腸 吻 合 は 膵 管 空 腸 粘<br />

膜 吻 合 (8 針 )にて 行 い、5Frの 膵 管 チューブをLost…stentとして 挿 入 し<br />

た。【 結 果 】 術 後 のドレーンAMY 値 は4432…U/lをピークに 漸 減 してい<br />

たが、WBC、CRP 高 値 が 持 続 していた。 術 後 13 病 日 、ドレーンより<br />

出 血 を 認 め、 緊 急 Angiography 施 行 し 胃 十 二 指 腸 動 脈 断 端 からの 出 血<br />

を 認 め、Coiling 施 行 。18 病 日 、 再 びドレーンより 出 血 あり、 総 肝 動<br />

脈 からの 出 血 を 認 め、coiling 施 行 。27 病 日 、3 度 目 の 出 血 があり、<br />

AngiographyではExtravasation 不 明 であったが、 膵 背 動 脈 の 枝 を<br />

Coilingした。その 後 も 何 度 か 出 血 したが 輸 血 で 対 応 し、 家 族 には 危<br />

険 な 状 態 であることをICした。32 病 日 、Lost…stentが 栓 となり 膵 液 漏<br />

の 原 因 となっていると 考 え、 内 視 鏡 下 に 抜 去 したところその 後 の 出 血<br />

がとまった。ドレーン 造 影 を 頻 回 に 行 い、 瘻 孔 の 縮 小 を 待 ち66 病 日 ド<br />

レーン 抜 去 。70 病 日 無 事 退 院 となった。【まとめ】 本 症 例 では、PPPD<br />

後 の 膵 液 漏 による 腹 腔 内 出 血 の 原 因 として、Lost…stentの 内 腔 が 閉 塞<br />

し、これが 吻 合 部 の 栓 となり 膵 液 漏 を 助 長 していると 考 えられた。 膵<br />

管 空 腸 吻 合 に 用 いるLost…stentは 内 腔 閉 塞 により 膵 液 漏 の 原 因 となる<br />

ことがあり、 膵 管 径 を 考 慮 したサイズ 選 択 をするか、Lostにせず 外 瘻<br />

にするのが 安 全 と 考 えられる。<br />

P71-9 膵 空 腸 吻 合 における 新 たな 工 夫 (Polyethylene<br />

GlycolicAcidFeltの 有 用 性 の 検 討 )<br />

1<br />

健 康 保 険 八 代 総 合 病 院 外 科 、 2 熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 倉 本 正 文 1<br />

, 池 嶋 聡 1<br />

, 馬 場 秀 夫 2 1<br />

, 島 田 信 也<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)は 消 化 器 外 科 手 術 のなかで<br />

最 も 難 易 度 が 高 い 手 術 の 一 つである. 近 年 , 手 術 技 術 の 向 上 及 び 術 後<br />

管 理 の 進 歩 により 安 全 性 は 向 上 してきたが,それでも 術 後 合 併 症 は 依<br />

然 として 高 い.なかでも 術 後 膵 液 瘻 (POPF)は 発 生 頻 度 も 高 く,しか<br />

も 他 の 重 篤 な 合 併 症 のtriggerとなっているといわれている. 従 って,<br />

POPFの 発 生 率 を 減 少 させることは 極 めて 重 要 であると 考 えられる.<br />

我 々は 膵 空 腸 吻 合 において, 柔 らかく 裂 け 易 い 膵 実 質 表 面 にPGA…felt…<br />

(Polyethylene…Glycolic…Acid…Felt)…をfibrin…sealantで 貼 付 したのち 膵<br />

空 腸 縫 合 を 行 っている. 今 回 そのPOPF 予 防 効 果 について 検 討 した.<br />

【 方 法 】2007 年 4 月 から2011 年 8 月 までに 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 施 行 した<br />

46 例 を 検 討 対 象 とした.2010 年 3 月 以 降 のPGA…feltを 使 用 した16 例<br />

(PGA 群 )とそれ 以 前 の 対 照 群 30 例 を 比 較 検 討 した.【 結 果 】POPF 発<br />

生 率 は 全 体 で39.1%(18/46),Grade 別 にみるとGradeA:23.9%(11/46),<br />

GradeB:15.2%(7/46),GradeC:0%…であった. 症 例 群 別 では,PGA<br />

群 :total…31.3%(5/16),GradeA…25.0%(4/16),GradeB…6.3%(1/16),<br />

Control 群 :total… 43.3 %(13/30),GradeA… 23.3 %(7/30),GradeB…<br />

20.0%(6/30)で,PGA 群 でPOPFの 発 生 率 が 低 下 し て お り, 特 に<br />

GradeBの 発 生 率 が 低 下 していた.【 結 語 】PGA…feltを 使 用 した 膵 空 腸<br />

吻 合 は, 柔 らい 膵 表 面 にPGA…feltによる 人 工 的 な 被 膜 を 形 成 させ, 縫<br />

合 をより 強 固 なものにすることができると 考 えられる.さらにPGA…<br />

feltがpledgetsの 役 割 を 果 たし, 縫 合 糸 刺 入 部 の 膵 組 織 を 保 護 し,か<br />

つ 間 隙 からの 膵 液 漏 を 防 止 すると 考 えられる. 特 にGradeB 以 上 の<br />

POPF 発 生 率 を 低 下 させたことは 臨 床 的 に 極 めて 有 用 であると 考 えら<br />

れた.<br />

P72-1 尾 側 膵 切 除 における 膵 液 漏 はゼロにできるのか<br />

佐 賀 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 中 村 淳 , 北 原 賢 二 , 井 手 貴 雄 , 三 好 篤 , 能 城 浩 和<br />

教 室 では 膵 体 尾 部 の 良 性 / 低 悪 性 度 腫 瘍 に 対 して 積 極 的 な 腹 腔 鏡 下 膵<br />

体 尾 部 切 除 を 施 行 している。 脾 摘 を 伴 う 場 合 の 術 式 の 工 夫 としては1)<br />

膵 脾 の 脱 転 を 行 わない 内 側 アプローチ、2) 脾 動 脈 の 先 行 切 離 、3) 十 分<br />

な 膵 実 質 圧 挫 後 のstaplerによる 膵 切 離 、である。 特 に3)は 最 も 悩 ま<br />

しい 合 併 症 である 膵 液 漏 対 策 として 重 要 である。これまで 施 行 した 腹<br />

腔 鏡 下 膵 遠 位 側 切 除 症 例 は13 例 であり、 十 分 な…informed…consentの<br />

もとで 手 術 を 施 行 した。 原 疾 患 の 内 訳 は、IPMN…1 例 、 SPT…1 例 、 膵<br />

内 分 泌 腫 瘍 2 例 、 MCN…1 例 、 脾 動 脈 瘤 1 例 、 胃 癌 による 胃 全 摘<br />

時 の 尾 側 膵 & 脾 切 除 7 例 で、 胃 全 摘 時 以 外 の 膵 切 除 術 ではこれま<br />

でに1 例 の 膵 液 漏 も 認 めなかった。この 中 で、IPMNの1 例 は 脾 臓 温 存<br />

の 尾 側 膵 切 除 であった。また、MCNの1 例 は 直 径 22cmの 巨 大 腫 瘍 で<br />

あったが 術 式 を 工 夫 することで 腹 腔 鏡 補 助 下 の 尾 側 膵 切 除 が 十 分 可 能<br />

であった。 膵 切 離 のポイントとしては、a)…staplerによる 膵 切 離 前 に、<br />

5 分 以 上 ( 約 10 分 )の 膵 実 質 圧 挫 を 行 うことで 可 及 的 に 膵 実 質 を 非 薄 化<br />

させること、b)…staplerによる 膵 切 離 時 も5 分 以 上 かけゆっくりと 噛 み<br />

込 んでいき、 膵 被 膜 の 損 傷 を 避 けること、である。 実 際 の 手 技 をビデ<br />

オで 示 す。 平 均 手 術 時 間 278 分 、 平 均 出 血 量 106g、 平 均 術 後 在 院 期 間<br />

9 日 であった。また、その 他 の 合 併 症 も 認 めなかった。 腹 腔 鏡 下 膵 体<br />

尾 部 切 除 は 低 侵 襲 であり 整 容 面 において 有 用 な 術 式 であるが、 膵 切 離<br />

法 の 工 夫 により 合 併 症 ( 特 に 膵 液 漏 )も 劇 的 に 減 少 させた。<br />

P72-2 膵 尾 側 切 除 術 後 膵 液 瘻 の 臨 床 的 検 討<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 災 害 医 療 センター 消 化 器 ・ 乳 腺<br />

外 科<br />

○… 真 崎 純 一 , 伊 藤 豊 , 石 黒 深 幸 , 北 條 暁 久 , 大 森 敬 太 ,<br />

石 橋 雄 二 , 渡 辺 慶 史 , 若 林 和 彦<br />

( 目 的 ) 膵 尾 側 切 除 後 の 膵 液 瘻 はしばしば 問 題 となる。 膵 尾 側 切 除 術 後<br />

の 膵 液 瘻 について 検 討 した。( 対 象 )2002 年 から2011 年 にかけて、43 例<br />

の 膵 尾 側 切 除 術 症 例 を 経 験 した。うち 膵 液 瘻 を 認 めたのは9 例 であった。<br />

43 症 例 の 内 訳 は、 膵 腫 瘍 22 例 、 胃 癌 10 例 、その 他 9 例 であった。( 方 法 )<br />

膵 液 瘻 を 認 めなかったものをA 群 、 認 めたものをB 群 とした。 手 術 因<br />

子 として、 膵 管 切 離 法 ・ 膵 管 処 理 法 ・ 膵 断 端 処 理 法 ・ドレーン 留 置 位<br />

置 を 設 定 した。 患 者 因 子 として 膵 実 質 の 硬 さ・ 膵 管 拡 張 の 有 無 ・<br />

BMI・ 糖 尿 病 の 有 無 を 設 定 した。 結 果 として 残 膵 活 性 ( 術 後 3 日 目 のド<br />

レーンAMY…x 排 液 量 )・ISGPF…grade・ドレーン 留 置 期 間 ・ 在 院 日 数<br />

を 検 討 した。( 成 績 ) 全 症 例 の 内 Hard…pancは1 例 のみで、 膵 液 瘻 は 認 め<br />

なかった。 膵 管 拡 張 を 認 めた 症 例 はなかった。 膵 切 離 法 は2 例 を 除 き<br />

尖 刀 であり、B 群 も 全 て 尖 刀 であった。 膵 管 処 理 法 は7 例 (A 群 6 例 :<br />

end-GIA、roticulator、ナイロン2 例 、モノフレン、black…silk、B 群 1 例 :<br />

膵 管 を 結 さつ 出 来 ず)を 除 き3-0 絹 糸 であった。 膵 断 端 処 理 法 は4 例 を<br />

除 きfish…mouth 法 であり、B 群 も 全 て 同 様 であった。ドレーン 留 置 位<br />

置 については、 大 きな 差 異 を 認 めなかった。BMIについては 差 を 認 め<br />

なかった。 糖 尿 病 有 病 者 はA 群 では6.8%であったのに 対 してB 群 では<br />

22%であった。 残 膵 活 性 はA 群 はは102609に 対 しB 群 は635627と 高 値<br />

であった。 在 院 日 数 に 差 はなかった。ドレーン 留 置 期 間 はA 群 19 日 に<br />

対 しB 群 27 日 であった。B 群 のISGPF…gradeはA3 例 、B1 例 、C1 例 であっ<br />

た。( 結 論 )43 例 の 膵 体 尾 部 切 除 の 内 、9 例 の 膵 液 瘻 を 認 めた。 尖 刀 によ<br />

る 膵 切 離 、3-0 絹 糸 による 膵 管 処 理 、fish…mouth 法 による 膵 断 端 処 理<br />

法 は 膵 液 瘻 に 寄 与 せず、 妥 当 な 方 法 であり、 膵 管 結 さつは 必 須 である。<br />

糖 尿 病 は 膵 液 瘻 のhigh…risk 群 である。 残 膵 活 性 は 膵 液 瘻 の 予 測 因 子 と<br />

成 り 得 る。また、B 郡 の 方 がドレーン 留 置 期 間 は 延 長 はするが、 適 切<br />

なドレナージを 行 えば、A 郡 とB 郡 で 在 院 日 数 に 差 は 認 めなかった。<br />

-456-


P72-3 尾 側 膵 切 除 術 における 膵 液 瘻 の 発 生 要 因 とその 対 策<br />

鳥 取 大 学 病 態 制 御 外 科 学<br />

○… 奈 賀 卓 司 , 畑 田 智 子 , 谷 口 健 次 郎 , 池 口 正 英<br />

【 目 的 】 近 年 ,… 膵 切 除 手 術 は 比 較 的 安 全 に 行 われるようになってきた.…<br />

しかし,… 尾 側 膵 切 除 術 における 膵 液 瘻 の 発 生 率 は 依 然 として 高 く,… 未<br />

だ 軽 減 させる 方 法 は 確 立 されていない.… 今 回 ,… 膵 液 瘻 発 生 の 危 険 因 子<br />

を 検 討 したので 報 告 する.【 対 象 と 方 法 】 対 象 は,…2002 年 から2011 年 ま<br />

でに 当 科 で 行 った 尾 側 膵 切 除 症 例 56 例 である. 疾 患 の 内 訳 は 膵 癌 24 例 ,<br />

IPMC…4 例 ,MCN…3 例 ,…SPT…7 例 ,… 膵 内 分 泌 腫 瘍 2 例 ,… 腎 癌 膵 転 移 1 例 ,… 腫<br />

瘤 形 成 性 膵 炎 …2 例 ,… 膵 損 傷 3 例 ,… 胃 癌 膵 浸 潤 4 例 ,… 膵 嚢 胞 4 例 ,… 後 腹 膜 腫 瘍 2<br />

例 である.… 膵 液 瘻 の 発 生 率 を,… 手 術 要 因 と 患 者 要 因 とに 分 けて 検 討 し<br />

た.【 結 果 】… 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 は,…20 例 …(35%)…であった. 手 術 要 因 と<br />

して 膵 の 切 離 法 別 では,メス35%,… 電 気 メス33%,…LCS…40%,… 自 動 縫 合<br />

器 …33%,…CUSA…50%であり 有 意 な 差 は 認 めなかった.… 膵 の 切 離 面 の 厚<br />

さは,… 膵 液 瘻 を 起 こした 症 例 で16.0mm,… 起 こさない 症 例 の12.5mmに 比<br />

較 し 有 意 に 厚 かった.… 特 に 自 動 縫 合 器 での 切 離 においては,15mmを<br />

超 えると 全 例 膵 液 瘻 を 起 こしたが,…15mm 以 下 の 症 例 では9%であった.…<br />

その 他 の 切 離 法 では, 切 離 面 の 厚 い 方 がやや 膵 液 瘻 が 多 いが,… 有 意 な<br />

差 は 見 られなかった.drain… アミラーゼ 値 は,… 術 後 1 日 目 ,3 日 目 とも<br />

に 膵 液 瘻 を 起 こした 例 で 有 意 に 高 値 であった.drainの 種 類 ,… 手 術 時 間 ,…<br />

出 血 量 では 差 は 見 られなかった.… 患 者 要 因 としては,… 膵 液 瘻 を 起 こし<br />

た 症 例 では 有 意 にBMI 値 が 高 かった(24.8…:…20.1).…アルブミン 値 ,…Hgb<br />

値 ,…HbA1c 値 で 差 は 見 られなかった.【 結 語 】 尾 側 膵 切 除 術 において,<br />

切 離 面 の 厚 さが1.5…cm 以 下 の 症 例 であれば, 自 動 縫 合 器 を 使 用 するこ<br />

とによって, 膵 液 瘻 の 発 生 を 低 下 させることが 出 来 た.… 切 離 面 の 厚 さ<br />

が1.5…cmを 超 える 症 例 においては,… 逆 に 膵 液 瘻 の 発 生 率 が 高 く,… 別 の 切<br />

離 方 法 を 選 択 するべきであると 考 えられた.BMI 値 の 高 い 症 例 は 膵 液<br />

瘻 の 発 生 に 特 に 注 意 する 必 要 がある.<br />

P72-4 尾 側 膵 切 除 における 合 併 症 と 膵 切 離 管 理 の 工 夫<br />

八 王 子 消 化 器 病 院 外 科<br />

○… 鈴 木 修 司 , 梶 理 史 , 小 池 伸 定 , 原 田 信 比 古 , 鈴 木 衛 ,<br />

今 泉 俊 秀<br />

【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 は 膵 液 瘻 や 腹 腔 内 膿 瘍 を 起 こし、 治 療 に 難 渋 する<br />

場 合 がある。 膵 切 離 法 も 自 動 吻 合 器 、 手 縫 いについても 議 論 が 分 かれ<br />

ている。 今 回 我 々は 当 院 で 尾 側 膵 切 除 を 施 行 した 症 例 を 検 討 した。【 方<br />

法 】 対 象 は20011 年 9 月 までに 当 院 で 尾 側 膵 切 除 を 施 行 した99 例 で、 男<br />

性 59 例 、 女 性 40 例 である。これらを 硬 化 膵 51 例 (A 群 )と 正 常 膵 48 例 (B<br />

群 )に 分 けて 検 討 した。 当 院 での 尾 側 膵 切 除 の 手 技 は 周 囲 を 剥 離 後 切<br />

除 予 定 線 の 体 部 寄 りに 膵 上 縁 、 下 縁 に 支 持 糸 をかけ、メスで 膵 を 切 離<br />

し、 膵 管 を 確 実 に 結 紮 し、 膵 断 端 実 質 をrunning…sutureや 水 平 マット<br />

レスで 縫 合 閉 鎖 を 行 って、 膵 断 端 に 閉 鎖 ドレーンを 挿 入 している。 膵<br />

断 端 は 阻 血 に 留 意 して 残 膵 の 止 血 のための 圧 挫 は 行 わず、 出 血 点 の 最<br />

小 限 の 止 血 のみ 行 った。【 成 績 】 対 象 全 体 では 男 性 59 例 、 女 性 40 例 で、<br />

平 均 年 齢 は65.4 歳 であった。 背 景 因 子 ではA/B 群 は 男 性 34/37、 女 性<br />

14/24 例 で、 平 均 年 齢 は67.3 歳 /63.3 歳 であった。 対 象 疾 患 はA 群 では<br />

膵 癌 24 例 、IPMN18 例 、MCN5 例 、 慢 性 膵 炎 4 例 であった。B 群 は 胃 癌<br />

36 例 、 胃 GIST2 例 、SCT4 例 、その 他 6 例 であった。 両 群 では 出 血 量 、<br />

手 術 時 間 、 在 院 日 数 に 有 意 にB 群 が 多 く、 延 長 を 認 めた。 全 体 の 合 併<br />

症 では 膵 液 瘻 4 例 (4%)、 膵 断 端 膿 瘍 6 例 (6.1%) 腹 腔 内 膿 瘍 3 例 (3%)、<br />

膵 炎 / 仮 性 嚢 胞 / 消 化 管 うっ 滞 各 3 例 (3%)、 乳 糜 腹 水 1 例 (1%)であった。<br />

断 端 膿 瘍 6 例 では 保 存 的 加 療 で 軽 快 したが、 腹 腔 内 膿 瘍 3 例 は 追 加 ドレ<br />

ナージを 要 した。A/B 群 のMorbidityは14 例 (27.5%)/7 例 (14.6%)で 有<br />

意 差 は 認 めなかった。 合 併 症 ではA/B 群 の 膵 液 瘻 3/1 例 、 膵 断 端 膿 瘍<br />

2/4 例 、 腹 腔 内 膿 瘍 3/0 例 、 膵 炎 1/2 例 、 仮 性 嚢 胞 3/0 例 、 膵 炎 1/2 例 、<br />

消 化 管 うっ 滞 2/1 例 、 腹 水 1/0 例 で 有 意 差 は 認 めなかったが、 硬 化 膵 に<br />

おいて 多 い 傾 向 を 認 めた。【 結 論 】 尾 側 膵 切 除 において、 鋭 的 な 膵 切 離 、<br />

膵 管 の 確 実 な 処 理 、 断 端 閉 鎖 、 断 端 阻 血 の 留 意 によって 全 症 例 の 膵 液<br />

瘻 は4 例 (4%)と 少 なかったが、 合 併 症 は 硬 化 膵 において 多 い 傾 向 を 示<br />

した。 膵 切 離 においては 鋭 的 切 離 、 手 縫 いは 安 価 で、feasibleである<br />

と 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P72-5 膵 尾 側 切 除 術 における 至 適 切 離 法 の 検 討 ~120 例 の<br />

retrospectivestudy~<br />

東 北 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 森 川 孝 則 , 元 井 冬 彦 , 石 田 晶 玄 , 深 瀬 耕 二 , 大 塚 英 郎 ,<br />

乙 供 茂 , 坂 田 直 昭 , 水 間 正 道 , 岡 田 恭 穂 , 中 川 圭 ,<br />

林 洋 毅 , 吉 田 寛 , 内 藤 剛 , 力 山 敏 樹 , 片 寄 友 ,<br />

江 川 新 一 , 海 野 倫 明<br />

膵 尾 側 切 除 術 後 膵 瘻 の 対 策 として 各 種 デバイスを 用 いた 膵 切 離 法 や,<br />

膵 消 化 管 吻 合 などのアプローチが 報 告 されているが, 確 実 に 術 後 膵 漏<br />

を 予 防 できる 膵 断 端 処 理 法 は 確 立 されていない.いずれrandomized…<br />

prospective…studyによりどの 方 法 が 最 も 膵 瘻 予 防 に 効 果 があるか 解<br />

明 されるものと 考 えられるが, 膨 大 な 症 例 と 時 間 を 要 する 試 験 である<br />

が 故 に,その 選 択 肢 の 検 討 も 慎 重 に 行 う 必 要 がある. 当 科 での 膵 断 端<br />

処 理 は,conventionalな 縫 合 閉 鎖 を 中 心 として 行 っているが, 自 動 縫<br />

合 器 および 消 化 管 吻 合 も 状 況 に 応 じて 使 用 しており,これら 断 端 処 理<br />

法 による 膵 瘻 予 防 効 果 ついて,retrospectiveに 検 討 したので 報 告 する.<br />

[ 対 象 ]2007 年 1 月 から2011 年 12 月 まで 当 科 にて 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行<br />

した120 例 . 男 性 61 例 , 女 性 59 例 , 平 均 年 齢 59.4 歳 .[ 結 果 ] 膵 断 端 閉<br />

鎖 法 は, 手 縫 い 縫 合 閉 鎖 86 例 , 自 動 縫 合 器 22 例 , 膵 消 化 管 吻 合 10 例 ,<br />

そして 閉 鎖 不 能 例 が2 例 であり,この2 例 は 腹 腔 動 脈 幹 合 併 切 除 (DP-<br />

CAR)を 行 った 症 例 であった. 膵 瘻 は60 例 (50.0%)に 認 められ,<br />

GradeA…38 例 (31.6%),GradeB…16 例 (13.3%),GradeC…6 例 (5.0%)で<br />

あった.GradeBC 発 症 因 子 を 単 変 量 解 析 で 検 討 するとDP-CARが 有 意<br />

な 発 症 因 子 であり(p=0.027),DP-CAR…12 例 を 除 いた108 例 を 対 象 と<br />

して 断 端 閉 鎖 法 による 術 後 膵 瘻 発 症 率 を 検 討 した. 術 後 膵 瘻 全 体 でみ<br />

ると, 膵 消 化 管 吻 合 が 自 動 縫 合 器 と 比 較 し 有 意 に 発 症 率 が 低 かったが,<br />

Grade…BCに 限 るといずれの 群 間 にも 有 意 な 差 は 認 められなかった.<br />

これは, 合 併 症 発 症 率 および 術 後 在 院 日 数 でも 同 様 であり,これら3<br />

つの 断 端 閉 鎖 法 のうちいずれの 方 法 においても 優 位 性 は 確 認 できな<br />

かった.[ 結 語 ] 術 後 膵 瘻 を 検 討 する 際 にDP-CARは 除 外 して 検 討 す<br />

る 必 要 があった. 今 回 の 検 討 では, 膵 断 端 閉 鎖 法 による 膵 瘻 予 防 の 有<br />

効 性 は 見 いだせず, 膵 管 ステントやサンドスタチン 投 与 などの 術 前 ・<br />

術 後 介 入 も 含 めた 検 討 が 必 要 と 考 えられた.<br />

P72-6 当 院 での 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 対 策<br />

1<br />

勤 医 協 中 央 病 院 外 科 、 2 道 東 勤 医 協 釧 路 協 立 病 院 外 科<br />

○… 吉 田 信 1<br />

, 高 梨 節 二 1<br />

, 原 隆 志<br />

2<br />

【 背 景 】 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 は 術 後 経 過 を 左 右 する 重 要 な 合 併 症 である.<br />

特 に 尾 側 膵 切 除 では 通 常 膵 管 拡 張 がないほぼ 正 常 膵 組 織 の 切 除 となる<br />

ため 危 険 性 は 高 い. 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 については 研 究 会 アンケー<br />

ト 集 計 で 平 均 15.8%と 報 告 されているが, 当 院 では32.0%と 高 い 発 生 率<br />

である. 膵 液 瘻 の 危 険 因 子 を 明 らかにしてその 対 策 を 検 討 する.【 対<br />

象 ・ 方 法 】1993 年 1 月 ~2011 年 11 月 までに 当 院 で 行 われた 尾 側 膵 切 除<br />

100 例 を 対 象 とし, 膵 疾 患 群 53 例 , 胃 疾 患 群 47 例 の2 群 に 分 けて 諸 因 子<br />

について 比 較 検 討 を 行 った. 膵 液 瘻 の 定 義 をドレーン 排 液 中 アミラー<br />

ゼ 濃 度 …5000…IU/L 以 上 あるいは, 明 らかに 膵 液 が 混 入 していると 考 え<br />

られる 排 液 が 持 続 し,ドレーン 留 置 が…2… 週 間 以 上 に 及 ぶものとした.<br />

【 結 果 】 全 症 例 での 膵 液 瘻 は32 例 (32%)にみられ, 膵 疾 患 群 は16 例<br />

(30%), 胃 疾 患 群 は16 例 (34%)と 発 生 頻 度 に 差 はなかった. 両 群 の 背<br />

景 因 子 では 膵 疾 患 群 でBMIが 高 く, 糖 尿 病 の 併 存 が 多 かった(P


P72-7 当 院 における 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 に 関 する 検 討<br />

九 州 中 央 病 院 外 科<br />

○… 濱 津 隆 之 , 長 谷 川 博 文 , 二 宮 瑞 樹<br />

【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 術 後 の 合 併 症 で 重 要 なのは 膵 液 瘻 であり、 発 生 率<br />

は10~50% 程 度 と 報 告 されている。 近 年 、 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 が 普 及 し<br />

てきており、 自 動 縫 合 器 による 膵 離 断 法 もさかんである。 当 院 ではメ<br />

スによる 膵 切 除 を 施 行 しており、 従 来 型 の 膵 離 断 術 における 膵 液 瘻 を<br />

検 討 した。【 方 法 】2000 年 4 月 から2011 年 6 月 までに 施 行 した 尾 側 膵 切<br />

除 術 33 例 のうち、 術 死 1 例 (3%)を 除 く32 例 を 対 象 とした。 男 性 16 例 、<br />

女 性 16 例 、 年 齢 中 央 値 67 歳 (39-77)。… 検 討 因 子 は 糖 尿 病 、 出 血 量 、 輸 血 、<br />

手 術 時 間 など。【 結 果 】 症 例 の 内 訳 は 膵 管 癌 (21 例 )、IPMN(3 例 )、 内<br />

分 泌 腫 瘍 (2 例 )、 胃 癌 (2 例 )、MCN(1 例 )、 自 己 免 疫 性 膵 炎 (1 例 )、そ<br />

の 他 (2 例 )であり、 悪 性 26 例 (81%)、 良 性 6 例 (19%)であった。 術 式 は<br />

膵 体 尾 部 切 除 + 脾 臓 摘 出 術 ( 胃 癌 2 例 では 胃 全 摘 も 併 施 )。 膵 離 断 はメ<br />

スにて 鋭 的 に 行 い、 主 膵 管 は4-0 非 吸 収 糸 による 貫 通 結 紮 を 含 む2 重 結<br />

紮 とし、 膵 実 質 は 魚 口 型 縫 合 閉 鎖 。 腹 腔 内 ドレーンはWinslow 孔 およ<br />

び 膵 断 端 周 囲 にペンローズドレーン 左 横 隔 膜 下 にプリーツドレーンを<br />

留 置 した。 糖 尿 病 は10 例 (30%)、 出 血 量 の 中 央 値 は627ml、 輸 血 は4 例<br />

(13%)、 手 術 時 間 の 中 央 値 は228 分 、 膵 液 瘻 は8 例 (25%)でありgradeA<br />

は2 例 、gradeBは6 例 であったがgradeCは 認 めなかった。 在 院 死 が1<br />

例 (3%)あった。 膵 液 瘻 以 外 の 術 後 合 併 症 としては 腹 腔 内 膿 瘍 、 創 感 染 、<br />

MRSA 腸 炎 、ARDSなど。 膵 液 瘻 を 含 んだ 全 術 後 合 併 症 発 生 率 は44%<br />

であった。 膵 液 瘻 発 生 に 関 して、 年 齢 、 性 別 、 糖 尿 病 の 有 無 、 手 術 時<br />

間 、 輸 血 の 有 無 、 出 血 量 はいずれも 有 意 差 を 認 めなかった。 術 後 合 併<br />

症 なしの 平 均 在 院 日 数 は24 日 であり、 合 併 症 発 生 症 例 の42 日 より 短<br />

かった。【 考 察 】 当 院 におけるデータは、 閉 鎖 式 ドレーンを 使 用 して<br />

いないので、ISGPSの 定 義 でなく、 採 血 や 臨 床 症 状 、ドレーンの 性 状<br />

での 膵 液 瘻 判 断 であった。このことと、 症 例 数 が32 例 と 少 なかったこ<br />

とが 今 回 の 解 析 に 影 響 を 及 ぼしたことは 否 めない。しかし 膵 液 瘻 発 生<br />

率 や 全 合 併 症 率 、 在 院 日 数 などは、 他 の 報 告 とそれほど 遜 色 がないと<br />

判 断 した。<br />

P72-8 尾 側 膵 切 除 の 膵 切 離 法 とその 成 績 : 過 去 5 年 間<br />

藤 田 保 健 衛 生 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 伊 東 昌 広 , 堀 口 明 彦 , 石 原 慎 , 浅 野 之 夫 , 古 澤 浩 一 ,<br />

津 田 一 樹 , 伊 藤 良 太 郎 , 林 千 紘 , 越 智 隆 之 , 清 水 謙 太 郎 ,<br />

宮 川 秀 一<br />

現 在 、 全 国 的 に 膵 体 尾 部 切 除 後 の 膵 液 漏 は 未 だ 高 率 に 発 生 している。<br />

当 科 でもこの 合 併 症 を 回 避 するために、 現 在 まで 膵 切 離 にはメスを 用<br />

いて 切 除 し、その 後 主 膵 管 のみを 結 紮 する 方 法 から、 近 年 自 動 吻 合 機<br />

を 用 いた 切 離 方 法 ヘと 変 遷 してきている。 今 回 我 々は、 近 年 の 成 績<br />

と 今 後 の 方 針 について 検 討 した。 方 法 :2006 年 から2011 年 3 月 までの<br />

膵 体 尾 部 切 除 施 行 32 例 平 均 年 齢 は、65.5 歳 . 男 女 比 は9:8。 疾 患 では、<br />

膵 癌 21 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 3 例 、 膵 嚢 胞 性 疾 患 (IPMT,…MCT,SPT)7 例 …<br />

,GIST…1 例 。 術 式 別 には、 膵 体 尾 部 切 除 (DP)+D2…22 例 、DP-CAR…<br />

4 例 、 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 …4 例 、da…Vinci 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 は2 例 で<br />

ある。 断 端 処 理 法 では 全 例 自 動 吻 合 機 (エシロン60mmグリーンカー<br />

トリッジ、15 分 法 ) 全 例 の32 例 。 結 果 : 術 式 別 手 術 時 間 はDP-CARが<br />

持 つとも 長 く355min.でDP+D2…は325+23min、…da…Vinci…DP…322.5min、…<br />

脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 …295+15min… であった。 出 血 量 もda…Vinciにて 少<br />

量 のみの 出 血 であった。DP-CARとDP+D2では、223+85mlと 変 わ<br />

らず、 廓 清 の 有 無 にて 有 意 差 を 認 めた。 術 後 経 過 は、 問 題 となる 膵 液<br />

瘻 は9 例 に 認 め(28%)、 術 後 出 血 も1 例 に 認 めた。 考 察 : 文 献 的 に 膵 体<br />

尾 部 切 除 後 の 膵 液 瘻 は 問 題 となり、その 断 端 の 処 理 方 法 も、 魚 口 型 閉<br />

鎖 でも29%、staplerによる 閉 鎖 29%に 膵 液 瘻 を 認 め 断 端 閉 鎖 方 法 によ<br />

る 有 意 差 を 認 めなかったとの 報 告 もあり, 膵 体 尾 部 切 除 術 後 の 膵 液 瘻<br />

の 発 生 頻 度 は 頻 度 は 高 く,それに 起 因 した 合 併 症 は 術 死 に 至 ることが<br />

あるため, 膵 液 瘻 の 減 少 につながる 新 たな 膵 断 端 処 理 法 を 考 案 するこ<br />

とが 必 要 であると 考 えられた。…<br />

P73-1 血 小 板 無 力 症 を 合 併 した 膵 嚢 胞 性 病 変 に 腹 腔 鏡 下 膵 体<br />

尾 部 切 除 術 を 施 行 した1 例<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学<br />

○… 桂 宜 輝 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 小 林 省 吾 1<br />

,<br />

丸 橋 繁 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 土 岐 祐 一 郎 1<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

1<br />

永 野 浩 昭<br />

【はじめに】 血 小 板 無 力 症 とは、 血 小 板 凝 集 因 子 (GPIIb/IIIa)の 欠 損<br />

/ 低 下 により、 止 血 異 常 をきたす 先 天 性 血 小 板 機 能 異 常 症 である。 通<br />

常 は 治 療 を 要 さないが、 外 科 的 措 置 を 要 する 場 合 には、 血 小 板 輸 血 に<br />

て 対 応 するが、 過 去 の 頻 回 の 輸 血 歴 により 抗 血 小 板 抗 体 を 有 すると、<br />

通 常 の 血 小 板 輸 血 に 不 応 となる。 今 回 我 々は、 血 小 板 無 力 症 を 合 併 し<br />

た 膵 嚢 胞 性 病 変 に 対 して 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した 症 例 を 経<br />

験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】60 歳 女 性 。 既 往 歴 に 血 小 板 無 力 症 があり、 幼 少 時 に3 回 、 出<br />

産 時 に1 回 の 血 小 板 輸 血 歴 を 有 していた。2010 年 3 月 、 下 腹 部 痛 を 主 訴<br />

に 近 医 受 診 し、 腹 部 超 音 波 検 査 にて 膵 体 尾 部 に 膵 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 さ<br />

れ、 経 過 観 察 となっていたが、2011 年 3 月 、 腫 瘍 が 増 大 傾 向 であるため、<br />

6 月 当 科 紹 介 受 診 となった。 腹 部 CT 及 び 腹 部 MRIで 膵 体 尾 部 に4.5cm<br />

大 の 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 主 膵 管 の 拡 張 や 壁 在 結 節 を 認 めなかっ<br />

た。PET-CTで 膵 病 変 に 異 常 集 積 を 認 めず、 遠 隔 転 移 疑 う 異 常 集 積 も<br />

認 めなかった。 以 上 より、 分 枝 型 IPMNと 考 え、 増 大 傾 向 を 認 めるた<br />

めに、 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 術 前 のMPHA 法 ・<br />

ELISA 法 ・Modified…Rapid…MAIPA 法 にて 抗 血 小 板 抗 体 は 陰 性 であっ<br />

たが、FCM 法 で 抗 HLA 抗 体 が 陽 性 であったため、HLA 適 合 血 小 板 を<br />

術 当 日 朝 に20 単 位 、 術 中 に20 単 位 持 続 投 与 することにより、 術 中 の 止<br />

血 異 常 を 認 めず、 出 血 量 は20mlであった。 術 翌 日 にさらにHLA 適 合<br />

血 小 板 を20 単 位 持 続 投 与 し、 術 後 出 血 などの 合 併 症 も 認 めず、 経 過 は<br />

良 好 で 術 後 15 日 目 に 退 院 となった。 病 理 組 織 検 査 では2cm 程 度 の 嚢 胞<br />

状 に 拡 張 した 多 房 性 の 病 変 を 認 め、 嚢 胞 壁 は 単 層 の 立 方 上 皮 に 被 覆 さ<br />

れており、macrocystic…serous…cystadenomaと 診 断 した。<br />

【 結 語 】 抗 HLA 抗 体 陽 性 の 血 小 板 無 力 症 を 有 する 症 例 に 対 して、<br />

HLA 適 合 血 小 板 を 輸 血 することにより、 安 全 に 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切<br />

除 術 を 施 行 し 得 た1 例 を 経 験 した。<br />

P73-2 腹 腔 鏡 補 助 下 脾 合 併 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した 膵 原 発<br />

Lymphoepithelialcystの1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 柳 本 泰 明 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 山 本 智 久 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 , 權 雅 憲<br />

近 年 、 外 科 手 術 における 低 侵 襲 化 による 術 後 患 者 QOLの 向 上 を 目 指<br />

し 鏡 視 下 手 術 は 目 覚 ましい 発 展 を 遂 げてきた。 消 化 器 疾 患 のみならず、<br />

2010 年 度 より 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 が 保 険 適 応 となったが、 膵 切 除 に 対 す<br />

る 保 険 適 応 は 認 められていないため 当 院 では 医 学 倫 理 委 員 会 の 承 認 を<br />

得 て 病 院 負 担 で 実 施 できる 体 制 をとっている。 今 回 , 我 々は… 嚢 胞 性<br />

膵 尾 部 腫 瘍 に 対 して, 腹 腔 鏡 補 助 下 脾 合 併 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した1…<br />

例 を 経 験 したので 報 告 する. 症 例 は53… 歳 の 男 性 で, 会 社 健 診 にて 膵<br />

尾 部 腫 瘤 を 指 摘 されたため 当 院 に 紹 介 となった。 既 往 歴 および 家 族 歴<br />

に 特 記 すべき 事 項 は 認 めなかった。 腹 部 CTにて 造 影 効 果 のない 約<br />

4cm 大 の 嚢 胞 性 腫 瘍 を 認 め、MRIではT2にて 高 信 号 、T1にてやや 高<br />

信 号 であった。 超 音 波 内 視 鏡 検 査 にて 充 実 性 腫 瘍 と 思 われ、 穿 刺 吸 引<br />

細 胞 診 を 施 行 したところ 悪 性 の 所 見 は 認 めず 扁 平 上 皮 細 胞 ならびに 軽<br />

度 の 核 不 整 を 示 す 腺 細 胞 集 塊 を 認 めた。 積 極 的 に 悪 性 を 疑 う 所 見 は 認<br />

めないものの 確 定 診 断 を 含 め 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。<br />

開 脚 位 とし、ポートは4 本 とした。 小 網 を 開 放 し、ペンローズドレー<br />

ンを 胃 背 側 に 通 して 腹 壁 に 固 定 することで、 胃 を 愛 護 的 に 挙 上 し 視 野<br />

確 保 が 容 易 にできる 方 法 を 採 用 した。 膵 の 切 離 は 自 動 吻 合 器 を 用 いて<br />

行 った。 手 術 時 間 337 分 、 出 血 量 51mlであった。GradeA 膵 液 瘻 を 認<br />

めたが、 術 後 3 日 目 にドレーン 抜 去 とし、その 後 発 熱 など 認 めず 術 後 6<br />

日 目 に 退 院 となった。 病 理 組 織 検 査 結 果 にてLymphoepithelial…cystの<br />

診 断 であった。 外 来 でのCTにて 腹 腔 内 のfluid…collectionを 認 めたが、<br />

感 染 がないことから 現 在 慎 重 に 経 過 観 察 を 行 っている。 膵 原 発<br />

Lymphoepithelial…cystは 比 較 的 稀 な 疾 患 であり 術 前 診 断 は 困 難 なこと<br />

が 多 く、 確 定 診 断 のためには 切 除 を 余 儀 なくするケースがある。 腹 腔<br />

鏡 補 助 下 膵 尾 部 切 除 術 は、 低 侵 襲 で 安 全 に 行 うことが 可 能 であり、 良<br />

性 膵 嚢 胞 性 疾 患 を 鑑 別 診 断 として 念 頭 に 置 く 場 合 は 積 極 的 に 導 入 すべ<br />

きであると 考 えられた。<br />

-458-


P73-3 膵 管 が 嚢 胞 様 拡 張 を 認 めIPMNと 術 前 診 断 した<br />

retentioncystの1 例<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 天 神 和 美 , 小 林 慎 二 郎 , 上 原 悠 也 , 嶋 田 仁 , 三 浦 和 裕 ,<br />

大 島 隆 一 , 片 山 真 史 , 櫻 井 丈 , 小 泉 哲 , 朝 倉 武 士 ,<br />

大 坪 毅 人<br />

【 緒 言 】 今 回 我 々は 膵 尾 部 膵 管 に 嚢 胞 様 拡 張 を 認 め、 形 態 的 にIPMN<br />

と 鑑 別 がつかなかったretention…cystの1 例 を 経 験 した。【 症 例 】70 歳<br />

代 の 男 性 。 飲 酒 歴 あり。 慢 性 C 型 肝 炎 にて 近 医 通 院 中 であった。 経 過<br />

観 察 目 的 に 施 行 した 腹 部 超 音 波 検 査 で 主 膵 管 の 拡 張 を 認 め、MRCPで<br />

主 膵 管 の 拡 張 を 認 めたので 精 査 加 療 目 的 に 当 院 に 紹 介 となった。 血 液<br />

検 査 では 特 記 すべき 異 常 を 認 めなかった。 腫 瘍 マーカーも 正 常 値 で<br />

あった。 腹 部 超 音 波 検 査 では 膵 体 部 の 主 膵 管 径 は4.6mm、 膵 尾 部 に 最<br />

大 径 4mmの 嚢 胞 が 集 族 していた。 腹 部 造 影 CT 所 見 では 膵 尾 部 に 主 膵<br />

管 と 連 続 する 複 数 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。MRCPでは 膵 尾 部 にT1 強<br />

調 像 で 低 信 号 、T2 強 調 像 で 高 信 号 を 呈 する 嚢 胞 を 複 数 認 めた。 以 上<br />

より 膵 IPMNと 診 断 し 膵 体 尾 部 切 除 、 脾 臓 摘 出 術 を 施 行 した。 術 後<br />

Grade…Aの 膵 液 瘻 を 認 めたが、 第 22 病 日 に 前 医 へ 転 院 となった。 病 理<br />

組 織 学 的 検 査 所 見 ; 嚢 胞 性 病 変 はいずれも 正 常 のduct…cellに 似 た 単 層<br />

立 方 上 皮 に 裏 打 ちされており、ごく 一 部 にglycogen-richなclear…cell<br />

が 認 められた。 上 皮 細 胞 は 明 らかな 異 型 や 乳 頭 状 構 造 、 粘 液 産 生 は 認<br />

めなかった。 免 疫 組 織 学 的 検 査 で、CK7、8、18、19に 陽 性 、CA19-9<br />

に 局 所 陽 性 、CEAに 陰 性 を 示 した。 以 上 より 膵 漿 液 性 嚢 胞 腫 瘍 (SCN)、<br />

simple…cystなどが 鑑 別 に 挙 げられたが、 飲 酒 歴 があったことから 慢<br />

性 膵 炎 に 続 発 したretention…cystと 最 終 的 に 診 断 した。【 考 察 ・ 結 語 】<br />

貯 留 嚢 胞 は 嚢 胞 内 腔 面 に 上 皮 細 胞 に 裏 打 ちされる 真 性 嚢 胞 で、 慢 性 膵<br />

炎 に 合 併 することで 知 られている。 膵 嚢 胞 性 病 変 (SCN、MCN、<br />

IPMN、 仮 性 嚢 胞 、 貯 留 嚢 胞 )はしばしば 術 前 鑑 別 診 断 に 難 渋 するこ<br />

とがあり、これらの 疾 患 を 念 頭 におき、 慎 重 に 診 断 を 進 めていく 必 要<br />

があると 痛 感 させられた。<br />

P73-4 胃 癌 及 び 肝 門 部 胆 管 癌 術 後 に 発 生 した 膵 原 発 MPNST<br />

の1 例<br />

1<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科 、 2 防 衛 医 科 大 学 校 病 理<br />

○… 前 島 理 1<br />

, 梶 原 由 規 1<br />

, 西 川 誠 1<br />

, 木 村 暁 史 1<br />

, 西 山 潔 1<br />

,<br />

川 原 林 伸 昭 1<br />

, 初 瀬 一 夫 1<br />

, 緒 方 衝 2<br />

, 島 崎 英 幸 2<br />

,<br />

長 谷 和 生 1 1<br />

, 山 本 順 司<br />

症 例 は62 歳 女 性 。 既 往 歴 として 平 成 17 年 に 胃 癌 ( 噴 門 側 胃 切 除 。U,T3<br />

(SE)N0H0P0M0…StageII)、 平 成 19 年 に 肝 門 部 胆 管 癌 ( 左 3 区 域 切 除 、<br />

右 肝 動 門 脈 再 建 術 。BsBrlBmBi,tub1,T2N0M0…StageII)。そのほかに<br />

子 宮 筋 腫 にて 子 宮 全 摘 術 を 受 けている。 経 過 観 察 中 であったが、 平 成<br />

21 年 1 月 のCTにて 膵 体 尾 部 に3.5cm 大 の 腫 瘤 が 出 現 した。 胃 癌 リンパ<br />

節 再 発 を 疑 い 手 術 目 的 に 当 科 入 院 となった。 血 液 検 査 ではHb…11.8g/<br />

dlと 軽 度 の 貧 血 を 認 める 他 には 異 常 はなかった。 腫 瘍 マーカーも 正 常<br />

範 囲 内 であった。 入 院 後 の 腹 部 造 影 CTでは 膵 体 部 に 被 膜 様 構 造 をも<br />

つ4cm 大 の 内 部 不 均 一 に 造 影 される 球 状 の 腫 瘤 を 認 め、 尾 側 の 主 膵 管<br />

の 拡 張 を 認 めた。PET-CTでは 右 甲 状 腺 に 集 積 があり、 膵 腫 瘤 への 集<br />

積 は 軽 度 であった。MRIではT1low、T2highで 緩 徐 に 造 影 される 腫<br />

瘤 であり、 膵 由 来 の 可 能 性 が 考 えられた。 以 上 から 膵 周 囲 リンパ 節 転<br />

移 または 膵 腫 瘍 の 術 前 診 断 で 膵 体 尾 部 切 除 術 ( 脾 摘 、 胃 部 分 切 除 )を 施<br />

行 した。 開 腹 所 見 では 腫 瘍 は 膵 由 来 と 考 えられ、 胃 体 部 大 彎 に 強 固 に<br />

癒 着 していた。 術 中 エコーでは 充 実 性 で、 明 らかな 嚢 胞 や 壊 死 所 見 は<br />

見 られなかった。 切 除 標 本 では 腫 瘍 割 面 は 白 色 調 充 実 性 であり、 明 ら<br />

かな 浸 潤 傾 向 は 認 めなかった。 病 理 組 織 学 的 には 粘 液 腫 変 化 を 背 景 と<br />

した 結 節 性 腫 瘍 が 膵 実 質 を 巻 き 込 むように 見 られ、 免 疫 組 織 化 学 的 に<br />

腫 瘍 細 胞 はvimentin 陽 性 、cytokeratin,…desmin,…CD117(c-kit) 陰 性 で<br />

あ り、S-100 蛋 白 、CD34に 一 部 陽 性 を 示 し、MPNST(malignant…<br />

peripheral…nerve…sheath…tumor)の 可 能 性 が 最 も 考 えられた。 右 甲 状<br />

腺 癌 に 対 してヨード 治 療 を 受 けているが、 術 後 2 年 8カ 月 経 過 した 現 在<br />

再 発 兆 候 を 認 めていない。MPNSTは 軟 部 組 織 悪 性 腫 瘍 の 約 5%を 占 め<br />

るまれな 腫 瘍 である。 胃 癌 及 び 肝 門 部 胆 管 癌 術 後 に 発 生 した 膵 原 発 の<br />

MPNSTの1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P73-5 原 発 性 膵 腫 瘍 と 鑑 別 が 困 難 であった 脾 静 脈 腫 瘍 栓 を<br />

伴 った 食 道 胃 接 合 部 癌 術 後 脾 門 部 リンパ 節 再 発 の 一 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 越 智 史 明 , 生 駒 久 視 , 山 本 有 祐 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 ,<br />

塩 崎 敦 , 栗 生 宜 明 , 落 合 登 志 哉 , 大 辻 英 吾<br />

【はじめに】 原 発 性 膵 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 脾 静 脈 腫 瘍 栓 を 伴 った<br />

食 道 胃 接 合 部 癌 術 後 脾 門 部 リンパ 節 再 発 の 一 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。【 症 例 】64 歳 、 女 性 。2007 年 6 月 食 道 胃 接 合 部 癌 に 対 し 食 道 亜 全 摘<br />

術 、 胸 骨 後 経 路 胃 管 再 建 を 施 行 したUE,…3 型 ,…por1…>…tub2…>por2,…T2<br />

(SS),…N3,…H0,…P0,…M1(No.111)Stage…4: 胃 癌 取 扱 い 規 約 第 13 版 に 準 拠 )。<br />

2011 年 3 月 のCTで 膵 体 部 に 径 35mmの 造 影 効 果 に 乏 しい 領 域 を 認 めた<br />

が 主 膵 管 の 拡 張 は 伴 っていなかった。PETでは 同 部 位 にのみ 異 常 集<br />

積 を 認 めた。 原 発 性 膵 癌 と 診 断 し2011 年 6 月 膵 体 尾 部 切 除 術 を 行 った。<br />

病 理 では 辺 縁 に 一 部 リンパ 組 織 の 集 族 を 伴 う 腫 瘍 性 病 変 を 膵 外 に 認 め、<br />

同 部 位 から 連 続 する 脾 静 脈 腫 瘍 栓 を 認 めた。 腫 瘍 は 髄 様 充 実 性 で 管 状<br />

の 腺 管 構 造 を 示 し 既 往 の 胃 食 道 接 合 部 癌 の 組 織 像 と 類 似 していた。<br />

従 って、 胃 癌 のリンパ 節 再 発 と 診 断 した。 現 在 術 後 6カ 月 無 再 発 生 存<br />

中 である。【 考 察 】 本 症 例 では 術 前 の 画 像 診 断 で 膵 癌 として 矛 盾 しな<br />

い 所 見 が 多 く 膵 管 拡 張 を 伴 っていない 点 がincompatibleであった。<br />

従 って 膵 癌 と 胃 癌 のリンパ 節 転 移 病 巣 を 鑑 別 することは 困 難 で 切 除 に<br />

よって 初 めて 診 断 が 得 られた。 術 前 診 断 が 膵 癌 あるいは 胃 癌 のリンパ<br />

節 転 移 のいずれでも 腫 瘍 を 切 除 するには 膵 体 尾 部 切 除 術 が 必 要 であっ<br />

た。しかし 膵 切 除 が 安 全 に 行 えるようになった 今 日 でも 切 除 に 伴 うリ<br />

スクは 存 在 する。 一 方 胃 癌 リンパ 節 再 発 に 対 する 切 除 によって 得 られ<br />

る 腫 瘍 制 御 効 果 は 不 明 である。 仮 に 胃 癌 のリンパ 節 であると 診 断 が 得<br />

られていれば 切 除 以 外 に 化 学 療 法 を 行 うという 治 療 や 切 除 前 に 化 学 療<br />

法 を 先 行 して 他 に 転 移 再 発 病 変 の 出 現 を 観 察 した 可 能 性 が 存 在 する。<br />

従 って 術 前 診 断 はクリニカルコースを 左 右 する 重 要 な 意 味 を 持 ってい<br />

たと 考 えられる。 本 症 例 のように 癌 の 既 往 を 持 つ 症 例 では 経 過 観 察 中<br />

に 新 病 変 が 現 れた 場 合 転 移 再 発 病 変 である 可 能 性 を 念 頭 に 置 いて 診 療<br />

を 進 める 必 要 がある。<br />

P73-6 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であった 膵 漿 液<br />

性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

東 京 歯 科 大 学 市 川 総 合 病 院 外 科<br />

○… 星 本 相 淳 , 松 井 淳 一<br />

画 像 所 見 にて 嚢 胞 径 の 増 大 傾 向 を 示 し, 嚢 胞 と 膵 管 との 間 に 交 通 を 認<br />

めたことから, 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 との 鑑 別 が 困 難 であった 膵 漿 液<br />

性 嚢 胞 腺 腫 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する. 症 例 は65 歳 女 性 .7 年 前 よ<br />

り 膵 頭 部 の 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 認 め, 経 過 観 察 中 であった.MRCPに<br />

て 嚢 胞 性 病 変 の 一 部 に 増 大 を 認 めたため, 腹 部 CTを 施 行 したところ,<br />

膵 頭 部 に 腹 腔 側 に 突 出 する25mm 大 の 嚢 胞 と, 膵 鉤 部 に 隔 壁 に 造 影 効<br />

果 を 有 する 多 房 性 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた.ERCPでは 膵 頭 部 主 膵 管 の<br />

狭 窄 と 尾 側 膵 管 の 拡 張 を 認 め, 主 膵 管 と 嚢 胞 の 間 には 交 通 が 確 認 され<br />

た. 以 上 の 所 見 から 分 枝 型 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 と 診 断 した.CT,US<br />

にて 明 らかな 壁 在 結 節 は 認 めなかったものの, 嚢 胞 径 の 増 大 を 認 めた<br />

ことから 手 術 適 応 と 判 断 し, 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 し<br />

た. 切 除 標 本 では 膵 頭 部 に 最 大 径 25mmの 比 較 的 大 型 の 嚢 胞 部 分 と 数<br />

mm 大 の 小 嚢 胞 が 集 簇 した 蜂 巣 状 構 造 が 混 在 していた. 病 理 組 織 学 的<br />

には 大 型 の 嚢 胞 は 小 型 円 形 核 を 有 する 立 方 状 の 細 胞 が 一 層 に 配 列 し,<br />

細 胞 質 は 淡 明 でmacrocystic…serous…cystadenomaの 所 見 であった.ま<br />

た, 小 型 の 嚢 胞 性 部 分 もPAS 染 色 でグリコ-ゲン 顆 粒 を 有 し, 上 皮 及<br />

び 上 皮 内 腔 はAlcian-blue… 染 色 で 陰 性 で 粘 液 産 生 は 認 められないこと<br />

からserous…cystadenoma,…macrocystic…dominant…typeと 診 断 した.<br />

-459-


P73-7 “ 超 ” 微 小 膵 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の1 例<br />

愛 知 県 厚 生 連 豊 田 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 高 木 健 司 , 塩 見 正 哉 , 伊 藤 哲<br />

膵 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 (SCN)は, 膵 嚢 胞 性 腫 瘍 の4~10%を 占 める 比 較 的<br />

まれな 病 変 であり, 比 較 的 大 きな 病 変 ( 平 均 6cm 大 )として 見 つかるこ<br />

とが 多 い.また, 発 生 起 源 として 腺 房 細 胞 もしくは 中 枢 膵 導 管 に 由 来<br />

している 可 能 性 はなく, 中 心 腺 房 細 胞 から 小 葉 間 導 管 にいたるまでの<br />

末 梢 導 管 のうちのいずれかの 可 能 性 が 高 いと 推 察 されている. 今 回<br />

我 々は, 術 前 画 像 で 腫 瘤 像 を 認 めなかった 主 膵 管 内 の“ 超 ” 微 小 SCN<br />

の1 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】43 才 男 性 . 繰 り 返 す 膵 炎 と<br />

CTにて 限 局 的 な 尾 側 膵 の 腫 大 と 膵 管 拡 張 を 認 めたため 当 院 紹 介 と<br />

なった.CTでは, 膵 尾 側 に 限 局 した 造 影 不 良 域 と 軽 度 腫 大 を 認 め,<br />

尾 側 膵 管 は 拡 張 していたが, 明 らかな 腫 瘤 像 を 認 めなかった.<br />

MRI,EUSでも, 尾 側 膵 管 の 拡 張 を 認 めるものの, 腫 瘤 像 は 認 めなかっ<br />

た.PET-CTでは, 膵 に 有 意 な 取 り 込 みを 認 めなかった.ERCPでは,<br />

膵 尾 部 主 膵 管 に 狭 窄 像 を 認 め,その 部 分 より 尾 側 膵 管 の 拡 張 が 認 めら<br />

れた. 膵 管 擦 過 細 胞 診 ではclassII, 膵 液 細 胞 診 では 擬 陽 性 であった.<br />

微 小 膵 癌 も 否 定 できず, 膵 炎 を 繰 り 返 していた 事 から, 膵 体 尾 部 切 除<br />

術 を 施 行 した. 切 除 標 本 では, 主 膵 管 内 にわずかに 突 出 した 微 小 病 変<br />

を 認 めた. 病 理 組 織 所 見 は, 膵 尾 部 の 膵 管 内 に 管 腔 状 , 一 部 乳 頭 状 に<br />

発 育 する 軽 度 異 型 を 伴 った 立 方 状 膵 管 上 皮 が 認 められ, 病 変 は 膵 管 内<br />

に 限 局 していた. 免 疫 染 色 の 結 果 は,PAS 染 色 ,dPAS 染 色 で 一 部 陽<br />

性 であり,SCNと 診 断 した.<br />

P73-8 主 膵 管 狭 窄 を 伴 った 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 の 一 例<br />

愛 知 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 安 田 顕 , 有 川 卓 , 田 嶋 久 子 , 中 尾 野 生 , 藤 崎 宏 之 ,<br />

安 藤 景 一 , 伊 藤 暢 宏 , 小 竹 克 博 , 永 田 博 , 野 浪 敏 明<br />

症 例 は45 歳 、 女 性 。 心 窩 部 痛 、 背 部 痛 を 主 訴 に 当 院 消 化 器 内 科 を 受 診<br />

した。CTで 膵 頭 部 に 嚢 胞 性 病 変 とその 尾 側 の 主 膵 管 の 拡 張 を 認 め、<br />

精 査 目 的 に 入 院 となった。EUSでは 膵 頭 部 に25mm 大 の 隔 壁 構 造 をも<br />

つ 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。 嚢 胞 内 部 に 結 節 は 存 在 しなかった。 膵 体 部 主<br />

膵 管 の 拡 張 を 認 めた。ERPでは 膵 頭 部 主 膵 管 の 滑 らかな 狭 窄 を 認 め、<br />

その 尾 側 の 主 膵 管 は 拡 張 していた。IDUSでは 主 膵 管 の 狭 窄 部 に 一 致<br />

して、 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた。IDUSでも 嚢 胞 内 部 に 結 節 は 認 めなかった。<br />

以 上 のような 検 査 結 果 からIPMNと 診 断 した。ERP 時 に 施 行 した 狭 窄<br />

部 のブラシ 細 胞 診 が 疑 陽 性 であったため、 悪 性 の 可 能 性 も 否 定 できず、<br />

亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した。 術 後 には 胃 空 腸 吻 合 部 の 狭<br />

窄 を 認 め 内 視 鏡 的 拡 張 術 を2 回 施 行 し、 第 80 病 日 退 院 となった。 術 後<br />

の 病 理 組 織 学 的 検 査 では、 膵 頭 部 に 多 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 嚢 胞 内 腔 は<br />

一 層 の 異 型 に 乏 しい 立 方 上 皮 に 裏 打 ちされ、 一 部 に 乳 頭 状 の 上 皮 の 増<br />

生 を 認 め、 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 と 診 断 した。 主 膵 管 の 狭 窄 は 嚢 胞 による 圧<br />

排 が 原 因 であったが、 主 膵 管 狭 窄 および 尾 側 膵 管 の 拡 張 を 伴 う 膵 漿 液<br />

性 嚢 胞 腺 腫 は 比 較 的 稀 であり、 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P73-9 膵 全 摘 を 行 ったIPMNとSCNの 合 併 例<br />

1<br />

木 沢 記 念 病 院 外 科 、 2 木 沢 記 念 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 寺 澤 耕 祐 1<br />

, 吉 田 直 優 1<br />

, 竹 内 賢 1<br />

, 伊 藤 由 裕 1<br />

, 坂 下 文 夫 1<br />

,<br />

山 本 淳 史 1<br />

, 堀 田 亮 輔 1<br />

, 渡 邉 卓 1<br />

, 佐 治 重 豊 1<br />

, 尾 関 豊 1<br />

,<br />

2<br />

松 永 研 吾<br />

はじめに: 膵 漿 液 性 嚢 胞 腫 瘍 SCNの 経 過 観 察 中 に 主 膵 管 の 著 明 な 拡 張<br />

と 胃 瘻 形 成 をきたしたIPMNに 対 し、 膵 全 摘 術 を 施 行 した 症 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する。<br />

症 例 :83 歳 の 女 性 。2005 年 にCTで 膵 SCNを 指 摘 され、 以 後 経 過 観 察<br />

されていた。2009 年 には 主 膵 管 の 拡 張 からIPMNを 指 摘 されたが、そ<br />

の 後 は 通 院 していなかった。2011 年 3 月 から 腹 痛 を 自 覚 したため 当 院<br />

消 化 器 科 を 受 診 した。 血 液 検 査 では 軽 度 の 貧 血 Hb9.0g/dlおよび 低 ア<br />

ルブミン 血 症 Alb2.3g/dlを 認 め、CA19-9は84IU/lと 軽 度 上 昇 していた。<br />

上 部 消 化 管 内 視 鏡 では 胃 前 庭 部 小 弯 に 瘻 孔 形 成 と 粘 液 の 排 出 を 認 めた。<br />

腹 部 CTでは 膵 頭 下 部 に51x31mm 大 のSCNと 考 えられる 蜂 巣 状 腫 瘤 が<br />

あり、 主 膵 管 は 膵 頭 部 から 体 部 にかけて 最 大 径 31mmに 拡 張 し、 尾 部<br />

主 膵 管 および 分 枝 膵 管 も 拡 張 していた。FDG-PETでは 拡 張 した 主 膵<br />

管 周 囲 にSUVmax4.6の 集 積 を 認 めた。 明 らかなリンパ 節 転 移 や 肝 転<br />

移 はみられなかった。 膵 尾 部 の 温 存 は 困 難 と 考 え、 膵 全 摘 術 および 幽<br />

門 側 1/2 胃 切 除 術 を 予 定 した。 術 中 超 音 波 検 査 で 膵 頭 部 主 膵 管 は 著 明<br />

に 拡 張 し、 膵 管 壁 から 内 腔 に 向 かう 乳 頭 状 ないし 絨 毛 状 の 隆 起 と 粘 液<br />

エコーが 描 出 された。 隆 起 は 拡 張 した 副 膵 管 Santoriniに 連 続 していた。<br />

総 肝 動 脈 は 門 脈 の 背 側 を 走 行 するanomalyがみられた。 門 脈 脾 静 脈 合<br />

流 部 は 膵 管 胃 瘻 形 成 部 に 近 いため 炎 症 性 線 維 化 が 強 く、 剥 離 に 難 渋 し<br />

て 門 脈 壁 が 薄 くなった。 授 動 した 脾 および 膵 体 尾 部 の 重 さで 牽 引 され<br />

たため、 剥 離 により 菲 薄 化 した 門 脈 が 裂 けて 出 血 した。そこで 門 脈 再<br />

建 を 併 施 した。 消 化 管 再 建 は 胆 管 空 腸 吻 合 、 胃 空 腸 吻 合 の 順 に 行 った。<br />

CH(-),…DU(-),…S( - …RP(-),…PV(-),…A( - …PL(-),…OO(+) 胃 …,T1or4。 手<br />

術 時 間 7 時 間 50 分 、 出 血 量 は 腹 水 の 漏 出 が 多 く、2,825mlとなった。 術<br />

後 は 血 糖 コントロールに 難 渋 したが、 第 51 病 日 に 退 院 した。 病 理 診 断<br />

はIPMCおよびSCAで、リンパ 節 転 移 は 認 めなかった。 術 後 7か 月 の<br />

現 在 、 通 院 治 療 中 である。<br />

結 語 : 膵 IPMNとSCNの 稀 な 合 併 例 を 経 験 した。IPMNの 拡 がりから<br />

膵 全 摘 術 を 施 行 した。 術 中 、 総 肝 動 脈 と 門 脈 の 稀 な 走 行 anomalyがみ<br />

られた。<br />

P74-1 膵 solid-pseudopapillarytumorの1 例<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科<br />

○… 中 島 慎 介 , 丸 橋 繁 , 江 口 英 利 , 和 田 浩 志 , 川 本 弘 一 ,<br />

小 林 省 吾 , 種 村 匡 弘 , 土 岐 祐 一 郎 , 森 正 樹 ,<br />

永 野 浩 昭<br />

膵 Solid…Pseudopapillary…Tumor(SPT)は 若 年 女 性 に 好<br />

発 する 低 悪 性 度 の 稀 な 膵 腫 瘍 とされる. 治 療 方 針 は, 手 術 での 腫 瘍 完<br />

全 摘 除 であり, 術 式 としては 良 性 では 核 出 術 , 悪 性 では 膵 切 除 が 基 本<br />

とされ, 予 防 的 なリンパ 節 郭 清 は 不 要 とされている. 今 回 われわれは,<br />

腹 腔 鏡 補 助 下 に 膵 体 尾 部 切 除 を 行 ったSPT 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る.< 症 例 >20 歳 女 性 . 高 度 肥 満 (BMI35), 耐 糖 能 異 常 , 続 発 性 無 月<br />

経 , 甲 状 腺 機 能 低 下 ,パニック 障 害 にて 加 療 中 であった. 耐 糖 能 異 常<br />

が 増 悪 したため 施 行 したCTにて, 膵 体 部 に35mm 大 の 乏 血 性 腫 瘤 を<br />

認 めた.MRIではT1WIで 低 信 号 ,T2WIで 高 信 号 であるがT2 信 号 は<br />

高 くなく, 嚢 胞 腺 腫 は 否 定 的 . 造 影 効 果 は 膵 実 質 と 同 程 度 . 主 膵 管 の<br />

拡 張 を 認 めなかった.PETでは 軽 度 のFDG 集 積 (SUVmax4.0)を 認 め,<br />

膵 内 分 泌 腫 瘍 の 疑 いではあるものの 悪 性 所 見 を 否 定 できない 結 果 で<br />

あった. 周 囲 リンパ 節 の 郭 清 を 含 む 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行<br />

した. 軽 度 の 膵 液 瘻 と 創 部 感 染 を 認 めたが,おおむね 経 過 は 良 好 で,<br />

術 後 45 日 目 に 退 院 と な っ た. 病 理 診 断 はsolid-pseudopapillary…<br />

neoplasmであり, 被 膜 浸 潤 , 膵 周 囲 組 織 への 浸 潤 を 認 めなかった.<br />

リンパ 節 転 移 を 認 めなかった.< 考 察 >SPTは 低 悪 性 腫 瘤 と 考 えられ<br />

ているが, 報 告 では14~18%の 悪 性 例 を 認 めるため, 外 科 的 治 療 の 適<br />

応 となっている. 腫 瘍 の 完 全 摘 除 によって5 年 生 存 率 は95.5%と 予 後<br />

は 良 好 であり,リンパ 節 転 移 の 頻 度 も1.3%と 低 い.このことから 予<br />

防 的 なリンパ 節 廓 清 は 不 要 で, 縮 小 手 術 が 推 奨 されていることより,<br />

鏡 視 下 手 術 の 良 い 適 応 と 考 えられる. 画 像 検 査 のみではSPTの 最 終 診<br />

断 は 困 難 であり,EUS-FNAなどの 組 織 診 が 有 用 とされるが, 本 症 例<br />

はパニック 障 害 を 合 併 しており 施 行 が 困 難 であった. 本 学 術 集 会 では,<br />

現 在 までに 当 院 で 経 験 したSPT 切 除 症 例 5 例 を 合 わせ, 文 献 的 考 察 を<br />

加 えて 報 告 する.<br />

-460-


P74-2 自 然 経 過 で 腫 瘍 が 縮 小 し 臓 器 機 能 温 存 手 術 にて 切 除 し<br />

えた 膵 Solid-pseudopapillaryneoplasmの1 例<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 消 化 器 外 科 学<br />

○… 信 岡 大 輔 , 篠 浦 先 , 吉 田 一 博 , 浦 野 真 一 , 内 海 方 嗣 ,<br />

佐 藤 太 祐 , 吉 田 龍 一 , 楳 田 祐 三 , 貞 森 裕 , 八 木 孝 仁 ,<br />

藤 原 俊 義<br />

【 症 例 】14 歳 女 性 。 上 腹 部 痛 にて 救 急 外 来 を 受 診 した 前 医 にて 膵 頭 部<br />

腫 瘤 を 指 摘 され、 超 音 波 内 視 鏡 下 穿 刺 吸 引 細 胞 診 (EUS-FNA)を 含 め<br />

た 精 査 にてSolid-pseudopapillary…neoplasm(SPN)と 診 断 されたため<br />

手 術 目 的 に 当 科 紹 介 となった。 前 医 初 診 時 のCTでは23mmの 充 実 性<br />

腫 瘍 で 主 膵 管 に 近 接 していたため 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 が 必 要 と 考 えら<br />

れたが、 約 1ヶ 月 半 後 の 当 科 初 診 時 には 腫 瘍 径 15mmに 縮 小 しており、<br />

さらに1ヶ 月 半 の 手 術 待 期 中 に11mmにまで 縮 小 し、 主 膵 管 との 間 の<br />

距 離 も10mmに 拡 大 した。このため 術 式 は 臓 器 機 能 温 存 を 図 り 膵 鉤 部<br />

切 除 術 を 選 択 し、 腫 瘍 および 主 膵 管 を 露 出 することなく 安 全 に 施 行 可<br />

能 であった。 術 後 は 軽 微 な 膵 液 瘻 を 認 めたが、 保 存 的 に 治 癒 した。 病<br />

理 組 織 学 的 には 最 大 径 13mmの 膵 SPNで 明 らかな 悪 性 所 見 を 認 めな<br />

かった。 以 後 厳 重 に 経 過 観 察 中 であるが、 現 在 まで 半 年 間 再 発 を 認 め<br />

ていない。【 考 察 】 本 症 例 は、 腹 痛 にて 前 医 を 受 診 した 際 のMRI・T1<br />

強 調 画 像 で 腫 瘍 内 部 に 不 均 一 な 高 信 号 を 示 していることから、この 時<br />

には 腫 瘍 内 に 微 小 な 出 血 を 伴 って 見 かけ 上 増 大 していた 腫 瘍 が、その<br />

後 の 自 然 経 過 で 血 液 成 分 が 吸 収 されることで 腫 瘍 サイズの 縮 小 を 認 め<br />

たものと 推 察 された。 膵 SPNの 手 術 術 式 に 関 しては 一 定 の 見 解 は 無 く、<br />

リンパ 節 郭 清 を 伴 う 定 型 的 膵 切 除 術 から 核 出 術 をはじめとする 縮 小 手<br />

術 までが 個 々の 症 例 に 応 じて 幅 広 く 選 択 されているのが 現 状 である。<br />

本 症 例 は 嚢 胞 成 分 を 伴 わない 腫 瘍 が 自 然 経 過 で 縮 小 し 最 終 的 に 臓 器 機<br />

能 温 存 手 術 が 可 能 となった 症 例 であり、 今 後 長 期 間 の 厳 重 な 経 過 観 察<br />

を 要 するものの、 膵 SPNに 対 する 術 式 選 択 を 考 慮 する 際 に 示 唆 を 与 え<br />

る 症 例 と 考 え、 報 告 する。<br />

P74-3 膵 頭 部 巨 大 動 脈 瘤 の1 切 除 例<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 上 村 淳 , 岡 野 圭 一 , 野 毛 誠 示 , 前 田 典 克 , 大 島 稔 ,<br />

柏 木 裕 貴 , 山 本 尚 樹 , 赤 本 伸 太 郎 , 藤 原 理 朗 ,<br />

谷 内 田 真 一 , 高 間 雄 大 , 萩 池 昌 信 , 臼 杵 尚 志 ,<br />

鈴 木 康 之<br />

腹 部 内 臓 動 脈 瘤 は 稀 な 疾 患 であり、その 治 療 方 法 については 確 立 した<br />

ものはないのが 現 状 である。 今 回 我 々は 巨 大 な 膵 頭 部 動 脈 瘤 に 対 して<br />

幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 す<br />

る。 症 例 は60 歳 代 、 男 性 。 心 窩 部 痛 、 腹 満 感 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 した<br />

ところ、CTで 膵 頭 部 動 脈 瘤 を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 と<br />

なった。 高 血 圧 、 虫 垂 炎 の 既 往 有 り。 腹 部 外 傷 、 膵 炎 の 既 往 は 無 し。<br />

喫 煙 は50 本 ×40 年 。 機 会 飲 酒 程 度 。3D-CTで 胃 十 二 指 腸 動 脈 から 膵 頭<br />

部 アーケードを 介 して 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 までのびまん 性 の 拡 張 、 屈 曲 、<br />

蛇 行 の 中 に73mm、13mm、12mm 大 の 多 発 する 動 脈 瘤 を 認 めた。 腹<br />

腔 動 脈 から 総 肝 動 脈 は 著 しく 狭 小 化 しており、 固 有 肝 動 脈 は 背 側 膵 動<br />

脈 ~ 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 を 介 して 血 流 を 受 けていると 考 えられた。 未 破<br />

裂 膵 頭 部 動 脈 瘤 の 診 断 で 発 生 部 位 ・ 大 きさからIVRは 行 わず、 待 機 的<br />

に 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 に 胃 十 二 指 腸 動 脈<br />

をクランプし、エコーで 肝 血 流 を 確 認 したところ、 総 肝 動 脈 からの 血<br />

流 が 確 認 されたために 血 行 再 建 は 行 わなかった。 術 後 7 日 目 に 下 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 の 断 端 から 出 血 しIVR 困 難 なため、 開 腹 止 血 術 を 行 った。<br />

その 後 経 過 は 良 好 で 術 後 40 日 目 に 軽 快 退 院 した。 病 理 組 織 所 見 では、<br />

壁 は 部 分 的 に 高 度 の 器 質 化 を 伴 いながら 肥 厚 し、 大 部 分 は 線 維 性 肉 芽<br />

様 の 像 を 示 しており、 弾 性 線 維 や 壁 構 造 が 明 瞭 では 無 かった。 動 脈 の<br />

層 構 造 が 明 らかな 部 位 では 高 度 の 内 膜 肥 厚 や 石 灰 化 などが 認 められ、<br />

粥 状 動 脈 硬 化 症 に 伴 う 動 脈 瘤 の 像 であった。 腹 部 内 臓 動 脈 瘤 は 全 動 脈<br />

瘤 の0.1~0.2%と 稀 な 病 態 で、 発 生 部 位 としては 脾 動 脈 が50% 以 上 を 占 め、<br />

次 いで 肝 動 脈 が20%、 上 腸 間 膜 動 脈 が8%、 腹 腔 動 脈 が4%と 続 く。 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 や 胃 十 二 指 腸 動 脈 に 発 生 するものはそれぞれ 約 2%と 言<br />

われている。また 有 症 状 のもの、 増 大 傾 向 にあるもの、 最 大 径 が<br />

20mm 以 上 のものは 治 療 適 応 とされている。 膵 頭 部 動 脈 瘤 の 成 因 とし<br />

て 腹 腔 動 脈 根 部 閉 塞 が 約 半 数 に 関 連 しているとの 報 告 もあり、 本 症 例<br />

における 術 式 の 選 択 と 併 せて、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P74-4 術 前 診 断 に 難 渋 し 治 療 方 法 の 選 択 に 苦 慮 した 膵 腫 瘍 ・ 多<br />

発 肝 転 移 の 症 例<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 消 化 器 外 科 学<br />

○… 奥 村 徳 夫 , 藤 井 努 , 末 永 雅 也 , 山 田 豪 , 田 中 千 恵 ,<br />

大 橋 紀 文 , 中 山 吾 郎 , 杉 本 博 行 , 小 池 聖 彦 , 野 本 周 嗣 ,<br />

藤 原 道 隆 , 竹 田 伸 , 小 寺 泰 弘<br />

【 症 例 】53 歳 、 男 性 【 既 往 歴 】 特 記 すべきものなし【 現 病 歴 】 心 窩 部<br />

違 和 感 で 近 医 受 診 。 膵 腫 瘍 を 指 摘 され 当 院 消 化 器 内 科 を 紹 介 受 診 と<br />

なった。【 造 影 CT】 膵 頭 部 に 径 7cmの 腫 瘍 性 病 変 を 認 め、 早 期 相 で 辺<br />

縁 が 不 均 一 に 造 影 され、 中 心 部 は 低 吸 収 のままであった。 肝 に 多 発 腫<br />

瘤 が 認 められた。【MRI】 腫 瘍 内 部 は 不 均 一 で 壊 死 を 疑 い、 辺 縁 部 に<br />

は 不 正 な 充 実 成 分 が 認 められた。CT・MRIからは 通 常 型 膵 管 癌 よりは、<br />

SPN・ 膵 内 分 泌 腫 瘍 (PNET)と 多 発 肝 転 移 が 疑 われた。【 腹 部 超 音 波<br />

検 査 】 膵 頭 部 に 境 界 明 瞭 な 腫 瘍 性 病 変 を 認 め、 内 部 には 壊 死 と 思 われ<br />

る 無 エコー 領 域 を 認 めた。 辺 縁 の 実 質 成 分 にはカラーシグナルを 認 め、<br />

腫 瘍 内 部 に 流 入 する 比 較 的 太 い 血 管 を 多 数 認 めた。 同 所 見 からは<br />

PNETが 第 一 に 疑 われた。【EUS】 境 界 は 明 瞭 、 内 部 エコーは 不 均 一<br />

で 壊 死 も 混 在 し 石 灰 化 が 認 められた。 造 影 にて 辺 縁 部 は 造 影 直 後 から<br />

染 まり、 持 続 する 造 影 効 果 を 認 めた。 造 影 後 カラードプラでは 点 状 ・<br />

斑 状 の 信 号 を 認 めた。 同 所 見 からは、 典 型 的 なPNETよりは 血 流 が 乏<br />

しく、 造 影 動 態 からはSPNが 考 えられた。【EUS-FNA】 低 分 化 な 癌<br />

の 像 で 神 経 内 分 泌 への 分 化 は 認 められなかった。これらの 検 査 結 果 か<br />

らは 確 定 診 断 に 至 らず、したがって 化 学 療 法 の 方 針 も 決 定 できなかっ<br />

た。 治 療 方 針 の 検 討 のため 外 科 へ 依 頼 となった。 絶 対 的 手 術 適 応 では<br />

ないが、 患 者 の 強 い 希 望 により 手 術 を 施 行 する 方 針 となった。【 治 療<br />

方 針 】 開 腹 して 腫 瘍 生 検 を 施 行 し、その 結 果 をもとに 手 術 内 容 を 決 定<br />

する。PNET: 原 発 巣 の 切 除 を 施 行 し、その 後 肝 臓 に 対 して 集 学 的 治<br />

療 を 施 行 する。SPN: 一 般 的 には 切 除 の 適 応 と 判 断 し、 肝 転 移 巣 を 含<br />

めた 原 発 巣 をできる 限 り 切 除 する。 膵 癌 : 切 除 の 適 応 なし。バイパス<br />

手 術 の 適 応 。【 手 術 所 見 】 肝 転 移 巣 を 術 中 迅 速 病 理 に 提 出 。 腺 扁 平 上<br />

皮 癌 からの 転 移 巣 との 診 断 を 得 たため、 胆 管 空 腸 吻 合 ・ 胃 空 腸 吻 合 術<br />

を 施 行 した。【 考 察 】 多 発 肝 転 移 症 例 ではあるが 術 前 に 病 理 学 的 確 定<br />

診 断 を 得 られず、 手 術 時 の 診 断 によって 術 式 の 判 断 が 分 かれる 症 例 を<br />

経 験 した。いかなる 術 中 診 断 にも 対 応 できる 計 画 を 持 って 手 術 に 臨 む<br />

ことが 肝 要 であると 思 われた。<br />

P74-5 腎 癌 術 後 膵 転 移 の3 切 除 例<br />

順 天 堂 大 学 医 学 部 附 属 順 天 堂 医 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 中 山 昇 , 石 崎 陽 一 , 伊 古 田 正 憲 , 大 森 聡 , 塚 田 暁 ,<br />

森 岡 研 介 , 今 村 宏 , 川 崎 誠 治<br />

腎 癌 は 血 行 転 移 をきたしやすく 初 診 時 に 他 臓 器 転 移 を 認 める 症 例 にお<br />

いて 予 後 は 極 めて 不 良 である。しかし 比 較 的 まれである 膵 転 移 は 長 期<br />

の 潜 伏 期 間 を 経 て 発 症 し、 外 科 的 切 除 によって 良 好 な 予 後 が 期 待 され<br />

る 場 合 がある。 今 回 我 々は 腎 癌 の 膵 転 移 に 対 し 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 し<br />

た3 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 1は64 歳 女 性 、 左 腎 癌 に 対 し 左 腎<br />

摘 出 術 施 行 ( 病 理 : 不 明 )。その5 年 4ヶ 月 後 に 右 腎 癌 及 び 下 大 静 脈 腫 瘍<br />

栓 を 認 め 右 腎 摘 出 術 及 び 下 大 静 脈 合 併 切 除 を 施 行 した( 病 理 :clear…<br />

cell…RCC,G2,INFβ,T3b,N0,M0,stage3)。 初 回 手 術 より7 年 7ヶ 月 後 、 性<br />

器 出 血 を 主 訴 に 来 院 、 膣 入 口 部 に 腫 瘍 を 認 め、 生 検 にて 腎 癌 膣 転 移 の<br />

診 断 、 術 前 精 査 目 的 に 施 行 した 腹 部 造 影 CTにて 膵 尾 部 に40mm 大 の<br />

腫 瘤 を 認 めた。 腎 癌 膵 転 移 ・ 膣 転 移 の 診 断 にて、 膵 尾 部 切 除 及 び 膣 壁<br />

腫 瘍 切 除 術 を 施 行 し、 病 理 結 果 はいずれも 腎 癌 の 転 移 であった。 術 後<br />

1 年 8ヶ 月 後 に 肺 転 移 を 認 め、その1 年 3ヶ 月 後 に 死 亡 した。 症 例 2は83<br />

歳 男 性 、 右 腎 癌 に 対 し 右 腎 摘 出 術 を 施 行 ( 病 理 :clear…cell…RCC,…G2…<br />

,INFβ、T3a,…N0,…M0…stage3)、その6 年 8ヶ 月 後 、 定 期 検 査 で 施 行 し<br />

た 腹 部 造 影 CTにて 膵 体 部 に20mm 大 の 辺 縁 に 造 影 効 果 のある 腫 瘤 を<br />

認 め、また 超 音 波 内 視 鏡 にて 内 部 低 エコーな 腫 瘤 を 認 め、ソナゾイド<br />

で 強 い 造 影 効 果 を 認 めた。 非 機 能 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 又 は 腎 細 胞 癌 の 膵 転<br />

移 の 疑 いにて、 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 し、 病 理 結 果 は 腎 癌 の 転 移 であっ<br />

た。 術 後 2 年 8ヶ 月 経 過 し、 現 在 生 存 中 である。 症 例 3は57 歳 男 性 、<br />

右 腎 癌 に 対 し 右 腎 摘 出 ( 病 理 :clear…cell…RCC,…G1,…T1b,…n0…stage1)を<br />

施 行 した。その5 年 11ヵ 月 後 、 経 過 観 察 中 にCEAの 上 昇 を 認 め、 腹 部<br />

造 影 CT 検 査 を 施 行 。 膵 尾 部 に 早 期 相 で 濃 染 される16mm 大 の 腫 瘤 を<br />

指 摘 され、 非 機 能 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 又 は 腎 細 胞 癌 の 膵 転 移 の 疑 いにて 膵<br />

尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 結 果 は 腎 癌 の 転 移 であった。 術 後 4ヶ 月<br />

が 経 過 し 外 来 にて 経 過 観 察 している。 腎 癌 の 既 往 のある 膵 腫 瘍 症 例 は、<br />

転 移 の 可 能 性 を 念 頭 に 置 き、 孤 立 性 転 移 の 場 合 は 良 好 な 予 後 が 期 待 で<br />

きるため、 積 極 的 に 切 除 をすべきと 考 えられた<br />

-461-


P74-6 肺 癌 術 後 孤 立 性 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

天 理 よろづ 相 談 所 病 院 腹 部 一 般 外 科<br />

○… 藤 浩 明 , 佐 々 木 勉 , 奥 村 晋 也 , 政 野 裕 紀 , 待 本 貴 文 ,<br />

古 山 裕 章 , 吉 村 玄 浩<br />

【はじめに】 肺 癌 膵 転 移 は 多 臓 器 転 移 を 伴 うなど 高 度 に 進 行 した 状 態<br />

で 発 見 されることが 多 く、 切 除 可 能 となる 症 例 はきわめて 少 ない。【 症<br />

例 】55 歳 男 性 。3 年 前 に 左 肺 癌 ( 扁 平 上 皮 癌 )stageIIbに 対 して 左 肺 全<br />

摘 出 術 が 施 行 され、 以 降 経 過 観 察 となっていた。フォローのPET-CT<br />

検 査 にて 膵 尾 部 および11 番 リンパ 節 に 異 常 集 積 を 認 め、 造 影 CT 検 査<br />

では 膵 尾 部 に10mm 径 の 早 期 相 で 造 影 効 果 の 乏 しい 腫 瘤 をおよび 短 径<br />

10mm 大 の11 番 リンパ 節 腫 脹 が 認 められた。 経 過 中 、 扁 平 上 皮 癌 、 腺<br />

癌 及 び 膵 特 異 的 腫 瘍 マーカーはいずれも 陰 性 であった。 原 発 性 膵 癌 の<br />

診 断 のもと 当 科 紹 介 となり、 膵 体 尾 部 および 脾 臓 合 併 切 除 (D2 郭 清 お<br />

よびSMA 神 経 叢 左 半 周 郭 清 )を 行 った。 病 理 検 査 の 結 果 、 膵 尾 部 の 主<br />

病 巣 及 び 腫 大 リンパ 節 は 肺 癌 の 転 移 との 診 断 であった。 術 後 膵 液 瘻 を<br />

きたしたが、 保 存 的 に 軽 快 し、 退 院 となった。 現 在 化 学 療 法 を 行 い、<br />

無 再 発 生 存 中 である。【 考 察 および 結 語 】 今 回 我 々は 肺 癌 術 後 に 孤 立<br />

性 膵 転 移 をきたし 切 除 した 症 例 を 経 験 した。 本 邦 における 肺 癌 膵 転 移<br />

の 切 除 報 告 例 は 稀 であり、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P74-7 術 前 診 断 し 得 た 子 宮 原 発 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移 の1 切 除 例<br />

1<br />

北 里 研 究 所 病 院 外 科 、 2 北 里 研 究 所 病 院 病 理 診 断 部<br />

○… 鈴 木 慶 一 1<br />

, 井 上 正 純 1<br />

, 金 田 宗 久 1<br />

, 大 作 昌 義 1<br />

,<br />

浅 沼 史 樹 1<br />

, 山 田 好 則 1 2<br />

, 森 永 正 二 郎<br />

症 例 は77 歳 , 女 性 .11 年 前 , 子 宮 原 発 平 滑 筋 肉 腫 の 診 断 で 腹 式 子 宮 全<br />

摘 ・ 両 側 付 属 器 切 除 術 を 施 行 された. 以 降 , 定 期 的 に 経 過 観 察 されて<br />

いた. 初 回 手 術 より6 年 後 に 右 肺 下 葉 に11mmの 腫 瘤 を 指 摘 された.<br />

気 管 支 鏡 ・ 胸 部 CT 等 で 経 過 を 追 っていたが 徐 々に 腫 瘍 増 大 を 認 めた<br />

ため 右 肺 下 葉 切 除 術 を 施 行 した. 病 理 組 織 診 断 では 子 宮 平 滑 筋 肉 腫 の<br />

肺 転 移 であった. 今 回 初 回 手 術 より11 年 目 に 動 悸 ・ 冷 汗 を 自 覚 し 軽 度<br />

の 貧 血 を 呈 していたため 全 身 検 索 をしたところ, 上 部 内 視 鏡 検 査 で 体<br />

上 部 後 壁 の 中 心 陥 凹 を 伴 う 粘 膜 下 腫 瘍 を 認 め, 出 血 を 伴 っていた. 病<br />

理 組 織 診 では 平 滑 筋 肉 腫 であった.さらに 腹 部 USでは 膵 頭 部 に 径<br />

1.9cmの 境 界 明 瞭 ・ 内 部 やや 不 均 一 の 腫 瘤 を 認 めた.MRIではT1/T2<br />

ともlow…intensityで 造 影 効 果 を 認 めなかった.ERCPでは 主 膵 管 に 明<br />

らかな 異 常 は 認 めなかった.FDG-PET 検 査 では 同 部 位 に 中 等 度 の 集<br />

積 を 認 めた(SUV…4.08).EUS-FNAを 施 行 した 所 , 異 形 を 伴 う 紡 錘 形<br />

細 胞 の 束 状 の 集 塊 を 認 め 子 宮 原 発 平 滑 筋 肉 腫 の 膵 転 移 に 矛 盾 しないと<br />

の 診 断 を 得 た. 以 上 より 子 宮 原 発 平 滑 筋 肉 腫 の 胃 壁 内 転 移 と 膵 頭 部 転<br />

移 と 診 断 し, 胃 部 分 切 除 および 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行<br />

した. 膵 頭 部 の 切 除 標 本 は 境 界 不 明 瞭 な 白 色 調 腫 瘤 であり, 病 理 組 織<br />

学 的 検 査 では 異 形 の 高 度 な 紡 錘 形 の 腫 瘍 細 胞 が 束 状 に 増 殖 し 錯 綜 して<br />

いる 像 が 認 められた. 十 二 指 腸 浸 潤 , 胆 管 浸 潤 , 主 膵 管 浸 潤 は 認 めな<br />

かった. 前 回 切 除 された 標 本 と 比 較 し, 転 移 性 の 膵 平 滑 筋 肉 腫 と 診 断<br />

した.… 転 移 性 膵 腫 瘍 は 臨 床 では 約 3%, 剖 検 例 では6%~21.6%との 報<br />

告 が 有 り, 比 較 的 少 数 であるが 時 に 日 常 診 療 で 遭 遇 しうる 頻 度 である.<br />

原 発 巣 は 胃 ・ 肺 ・ 肝 外 胆 管 が 多 とされる. 平 滑 筋 肉 腫 膵 転 移 は 医 中 誌<br />

で1991 年 から 検 索 したかぎりで7 例 認 めた.このうち 子 宮 原 発 は1 例 の<br />

みで, 極 めて 稀 な 症 例 と 思 われた. 自 験 例 のごとく 術 後 10 年 以 上 経 ち<br />

再 発 する 症 例 も 有 り, 緩 徐 に 進 行 することもある. 長 期 に 渡 るfollow…<br />

upと 可 能 な 限 り 切 除 の 方 針 とすることが 長 期 生 存 に 重 要 な 戦 略 と 思<br />

われた.<br />

P74-8 腎 細 胞 癌 術 後 3 年 目 に 再 発 し 切 除 した 膵 転 移 の1 例<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

学 講 座<br />

○… 柴 浩 明 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

,<br />

伊 藤 隆 介 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

,<br />

石 田 祐 一 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

症 例 は62 歳 、 男 性 。3 年 前 に 他 院 で5cm 大 の 右 腎 細 胞 癌 に 対 し 右 腎 摘<br />

出 術 を 施 行 、 以 降 前 医 に 外 来 通 院 していた。2011 年 4 月 、 膵 体 部 に<br />

3cm 大 の 腫 瘍 性 病 変 を 指 摘 されたため 当 科 紹 介 受 診 。 腹 部 造 影 CTでは、<br />

膵 体 部 に 直 径 35mmのhypervascular…tumorを 認 め、 腹 部 MRIで は<br />

T1WIで 内 部 信 号 の 低 下 、T2WIで 不 均 一 な 低 および 高 信 号 域 が 混 在<br />

していた。 超 音 波 内 視 鏡 では、 膵 体 部 に 径 30mmの 内 部 不 均 一 、 境 界<br />

明 瞭 なhypoechoic…tumoと 尾 側 膵 管 の 拡 張 を 認 めた。 門 脈 、 脾 動 静 脈<br />

への 浸 潤 は 認 めなかった。 腫 瘍 周 辺 の 血 流 著 明 なためFNAは 施 行 せず。<br />

ERCPで、 主 膵 管 は 膵 頭 体 移 行 部 で 途 絶 していた。PET-CTでは、 膵<br />

体 部 腫 瘍 に 一 致 して、やや 不 均 一 な 異 常 集 積 を 認 めた。 以 上 より、 腎<br />

細 胞 癌 膵 転 移 の 診 断 で 膵 体 尾 部 ・ 脾 合 併 切 除 を 施 行 した。 摘 出 標 本 で<br />

は 計 20mm 大 の 境 界 明 瞭 で 出 血 を 伴 う 乳 白 色 の 腫 瘍 を 認 めた。 病 理 組<br />

織 検 査 では、 淡 明 な 細 胞 質 を 有 する 腫 瘍 が、 胞 巣 状 に 増 生 しており<br />

clear…cell…renal…cell…carcinomaの 転 移 病 巣 と 診 断 した。 腎 細 胞 癌 の 膵<br />

転 移 は 比 較 的 まれであるが、 切 除 により 良 好 な 予 後 が 期 待 できるため、<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P75-1 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (4ポ-トによる)と 単 孔 式 腹 腔 鏡<br />

下 胆 嚢 摘 出 術 の 比 較 ・ 検 討<br />

産 業 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 秋 山 泰 樹 , 荒 瀬 光 一 , 井 上 譲 , 皆 川 紀 剛 , 柴 尾 和 徳 ,<br />

日 暮 愛 一 郎 , 山 口 幸 二<br />

【はじめに】 現 在 、 当 科 では 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 手 術 を 積 極 的 に 行 ってい<br />

る。 今 回 、 我 々は 当 科 における 従 来 の4ポ-トによる 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘<br />

出 術 と 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 について 比 較 ・ 検 討 した。【 方 法 】<br />

2009 年 1 月 より2011 年 10 月 まで 当 科 で 施 行 した 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は<br />

206 例 で、 従 来 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (4ポート)50 例 (A 群 )と 単 孔 式 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 156 例 (B 群 )であり、 両 群 につき 手 術 時 間 、 合 併 症 、<br />

入 院 期 間 、 術 後 1 日 目 の 採 血 データなどの 比 較 検 討 を 行 った。【 結 果 】<br />

性 別 はA 群 で 男 性 18 例 、 女 性 32 例 、B 群 で 男 性 68 例 、 女 性 88 例 、 平 均<br />

年 齢 はそれぞれ60.7 歳 (33-83)、59.7 歳 (16-91)であった。BMIの 平 均 は、<br />

それぞれ23.3%、23.4%であった。A 群 で2 例 (4%)がポートを 追 加 、1<br />

例 で 開 腹 へ 移 行 した。B 群 では5 例 (3.2%)がポートを 追 加 、1 例 が 開 腹<br />

へ 移 行 した。 合 併 症 はA 群 では 認 めなかったが、B 群 で 胆 汁 漏 を1 例 、<br />

脳 梗 塞 を1 例 認 めた。 平 均 手 術 時 間 はA 群 では190 分 、B 群 では148.8 分<br />

で 有 意 にB 群 の 方 が 短 かった(P=0.000007)。 出 血 量 はA 群 で49.2ml、B<br />

群 で23.4mlであった(P=0.19)。 術 後 1 日 目 の 白 血 球 はA 群 で6532/μl、<br />

B 群 で6700/μl(P=0.67)、CRPはA 群 で1.37mg/dl、B 群 で1.28mg/dl<br />

(P=0.85)であった。そのほか 肝 胆 道 系 酵 素 でも 有 意 差 はなかった。 術<br />

後 の 平 均 入 院 期 間 はA 群 で5.96 日 、B 群 で5.98 日 (P=0.97)であった。【ま<br />

とめ】 単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 は 従 来 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (4ポート)に 比<br />

較 し、 手 術 時 間 が 有 意 に 短 く、 安 全 性 も 遜 色 なかった。<br />

-462-


P75-2 2 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (DoubleIncision<br />

LaparoscopicCholecystectomy)-プラス1portの<br />

有 用 性 について-<br />

八 尾 市 立 病 院 外 科<br />

○… 橋 本 和 彦 , 佐 々 木 洋 , 横 山 茂 和<br />

【はじめに】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は, 近 年 急 速 に 普 及 しており,<br />

当 院 でも2010 年 8 月 から 導 入 した.しかし, 安 全 性 , 手 術 時 間 の 延 長 , 若 手<br />

医 師 の 執 刀 の 機 会 が 減 るなどの 問 題 点 もある.そこで 当 科 では,SILS…<br />

port…TM…に1port(5mm)を 追 加 した2 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Double…<br />

Incision…Laparoscopic…Cholecystectomy, 以 下 DILC)を13 例 に 施 行 した<br />

ので, 短 期 成 績 を 報 告 する.【 対 象 】2010 年 10 月 ~2011 年 10 月 までに 当<br />

科 でDILCを 施 行 した13 例 を 対 象 とした. 性 別 は 男 性 5 例 , 女 性 8 例 で, 年 齢<br />

の 中 央 値 51 歳 (33-81),…BMIの 中 央 値 23.7(19-26.8)であった. 手 術 は, 臍 部<br />

を 小 切 開 後 にSILS…port …TM… を 挿 入 し, 上 腹 部 に5mm…portを 挿 入 した. 腹<br />

腔 鏡 は5mm 硬 性 鏡 を 使 用 した.【 結 果 】 手 術 時 間 の 中 央 値 は83 分 (52-<br />

107)で,…portの 追 加 症 例 および 開 腹 移 行 例 はなし.…critical…view…of…<br />

safetyを 全 例 で 確 認 した. 全 例 で 出 血 量 は 少 量 , 術 後 合 併 症 なし. 術 後 在<br />

院 日 数 の 中 央 値 は5 日 (4-7)であった. 従 来 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (3port<br />

または4portを 使 用 )に 比 べ, 整 容 性 に 優 れていた.【まとめ】DILCは,…<br />

単 孔 式 とほぼ 同 等 の 整 容 性 を 保 ちつつ, 従 来 式 と 同 様 の 手 術 操 作 で,… 安<br />

全 に 施 行 できる. 追 加 する1ポートについても,… 細 径 ポートや 細 径 鉗 子<br />

を 使 用 することで,より 整 容 性 を 高 めることを 検 討 している.<br />

P75-3 急 性 期 病 院 における 単 項 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 適 応<br />

医 誠 会 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 谷 川 隆 彦 , 秋 山 洋 介 , 樋 口 一 郎 , 山 本 真<br />

(はじめに) 当 院 は319 床 の 中 規 模 急 性 期 病 院 である。 年 間 約 250 例 の 全<br />

身 麻 酔 手 術 を 行 い、このうちの 約 70 例 が 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (Lap-C)<br />

である。 二 次 救 急 に 対 応 しているため 入 院 患 者 の 約 4 割 が 救 急 搬 送 を<br />

含 む 予 定 外 入 院 であり、Lap-C 症 例 の 約 4 割 が 急 性 腹 症 や 胆 嚢 炎 で 入<br />

院 となった 予 定 外 手 術 症 例 である。 一 方 、 昨 年 度 の 肝 胆 膵 外 科 学 会 の<br />

ミニシンポジウムにおいて 報 告 された 単 項 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 単<br />

孔 Lap-C)についての23 演 題 中 、 単 項 式 手 術 適 応 に 胆 嚢 炎 症 例 を 除 外<br />

した 報 告 は9 題 で、 炎 症 の 有 無 を 問 わないとする 報 告 は4 題 であった。<br />

そこで、 当 院 にて 単 項 式 Lap-Cを 導 入 した2011 年 7 月 から 半 年 間 に 行 っ<br />

たLap-C 症 例 32 例 を 対 象 に、 胆 嚢 炎 の 有 無 を 中 心 に 手 術 術 式 について<br />

検 討 した。( 結 果 )Lap-C 症 例 32 例 中 、 予 定 手 術 症 例 が20 例 、 予 定 外 手<br />

術 症 例 が12 例 であった。 予 定 外 手 術 症 例 中 4 例 に 経 皮 経 肝 胆 嚢 ドレナー<br />

ジ(PTGBD)、2 例 に 総 胆 管 結 石 の 合 併 により 内 視 鏡 的 結 石 除 去 術<br />

(EST)を 必 要 とした。 単 孔 Lap-CはSILSポートを 使 用 し、 基 本 的 に 術<br />

中 胆 道 造 影 を 行 っている。 単 項 Lap-C 症 例 15 例 中 ( 平 均 手 術 時 間 128 分 )、<br />

3 例 が 予 定 外 手 術 症 例 ( 同 142 分 )でそのうち1 例 がPTGBD 症 例 、1 例 が<br />

EST 症 例 であった。3ポートLap-C 症 例 8 例 中 ( 同 92 分 )、2 例 が 予 定 外<br />

手 術 症 例 ( 同 91 分 )。4ポートLap-C 症 例 9 例 中 ( 同 132 分 )、7 例 が 予 定 外<br />

手 術 症 例 ( 同 145 分 )でそのうち3 例 がPTGBD 症 例 、1 例 がEST 症 例 で<br />

あった。 手 術 後 から 退 院 までの 日 数 については、 入 院 前 のADLが 影<br />

響 しており 術 式 による 差 は 認 めなかった。( 考 察 ) 当 院 における 単 項<br />

Lap-Cの 適 応 については、 導 入 当 初 、 非 胆 嚢 炎 症 例 に 限 っていたが7<br />

例 目 以 降 は 適 応 拡 大 が 可 能 であった。 手 術 時 間 は 予 定 外 手 術 症 例 の4<br />

ポート 例 が 最 も 長 い 結 果 となったが、この 理 由 として 胆 嚢 頚 部 に 強 い<br />

炎 症 所 見 を 認 める 症 例 でマルチポートを 選 択 し、なかでも4ポート 例<br />

は 胆 嚢 頚 部 が 総 胆 管 に 接 していた 症 例 が 多 かったためと 考 えられた。<br />

現 在 では、 高 度 胆 嚢 炎 症 例 以 外 は 単 項 式 Lap-Cを 標 準 術 式 とし、 炎 症<br />

の 程 度 に 応 じて 追 加 ポートで 対 応 可 能 と 考 えているが、 客 観 的 な 適 応<br />

基 準 が 必 要 と 思 われる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P75-4 高 齢 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 検 討<br />

岡 谷 市 民 病 院 外 科<br />

○… 荒 居 琢 磨 , 佐 近 雅 宏 , 阿 達 竜 介 , 三 輪 史 郎 , 澤 野 紳 二 ,<br />

百 瀬 芳 隆<br />

【 背 景 】 近 年 、 少 子 高 齢 化 が 急 速 に 進 む 中 で 高 齢 者 に 対 する 手 術 件 数<br />

が 増 加 している。 高 齢 者 に 対 しての 手 術 適 応 は 加 齢 に 伴 う 耐 術 能 の 低<br />

下 による 合 併 症 の 危 険 性 を 考 慮 した 判 断 が 必 要 であると 考 えられる。<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (LC)は1992 年 に 保 険 適 応 となって 以 来 急 速 に 普<br />

及 し、 近 年 では 非 炎 症 例 のみならず 急 性 胆 嚢 炎 においてもLCが 安 全<br />

に 施 行 可 能 であることが 示 された。 当 科 では 年 齢 に 関 わらず、 良 性 胆<br />

嚢 疾 患 に 対 してはLCを 第 1 選 択 として 行 っている。【 目 的 】 高 齢 者 の<br />

良 性 胆 嚢 疾 患 に 対 するLCの 有 用 性 と 安 全 性 について 検 討 を 行 った。<br />

【 症 例 】2010 年 7 月 から2011 年 12 月 までに 当 院 にてLCが 施 行 された81<br />

症 例 ( 緊 急 手 術 12 症 例 を 含 む)を 対 象 とした。 男 性 44 例 、 女 性 37 例 、 平<br />

均 年 齢 66.3 歳 。 開 腹 コンバート 症 例 は3 例 (3.7%)であり、いずれも 緊<br />

急 手 術 症 例 であった。 対 象 症 例 のうち、A 群 (75 歳 未 満 、n=54)、B 群 (75<br />

歳 以 上 、n=27)の2 群 間 で 患 者 背 景 、 手 術 成 績 について 比 較 検 討 した。<br />

【 結 果 】 術 前 基 礎 疾 患 ( 高 血 圧 症 、 脳 血 管 障 害 、 心 疾 患 、 糖 尿 病 )の 保<br />

有 率 はA 群 が40.7%、B 群 が63.0%であり、 統 計 学 的 有 意 差 はないもの<br />

のB 群 が 高 い 傾 向 にあり(p=0.06)、 術 前 PS(performance…status)およ<br />

びASA-PS(ASA…physical…status)はそれぞれA 群 が 平 均 0.2、1.3、B 群<br />

が 平 均 1.0、1.8で 有 意 にB 群 が 高 かった(p


P75-6 当 院 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 における 開 腹 移 行 症 例 の 検<br />

討<br />

国 立 水 戸 医 療 センター<br />

○… 小 崎 浩 一 , 湯 沢 賢 治 , 桂 一 憲 , 加 藤 丈 人 , 小 山 田 尚 ,<br />

寺 島 徹 , 小 泉 雅 典 , 植 木 浜 一<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (LC)の 手 術 適 応 は、 手 術 手 技 の 進<br />

歩 と 手 術 機 器 の 開 発 により、その 適 応 は 拡 大 されてきている。 文 献 に<br />

よれば、LCでの 開 腹 移 行 率 は1.8-17.2%( 平 均 6.2%)とされ、そして、<br />

LCにおける 開 腹 移 行 の 重 要 な 因 子 として、 急 性 胆 嚢 炎 ・ 腹 部 手 術 既<br />

往 ・ 男 性 ・ 高 齢 者 ・ 超 音 波 検 査 上 の 胆 嚢 壁 の 肥 厚 が 挙 げられているが、<br />

確 定 的 なものではない。このように、LCにおける 開 腹 移 行 の 術 前 予<br />

測 は 困 難 で、まず 腹 腔 鏡 下 である 程 度 剥 離 操 作 を 行 い、 開 腹 移 行 の 判<br />

断 を 行 わなければならない。この 術 中 の 判 断 は 術 者 個 人 や 施 設 により<br />

異 なっており、 統 一 したものはない。<br />

【 目 的 】 当 院 のLC 症 例 を 検 討 し、 開 腹 移 行 になった 原 因 を 分 析 ・ 検<br />

討 することにより、 当 施 設 における 開 腹 の 適 応 を 求 めた。<br />

【 方 法 および 対 象 】2007 年 4 月 から 現 在 までに 施 行 したLC451 例 ( 年<br />

齢 :21~93 歳 、 男 性 220 例 ・ 女 性 231 例 )を 対 象 とした。<br />

【 結 果 】 開 腹 移 行 例 は34 例 (7.5%)で、その 内 訳 は、1) 術 中 出 血 :4 例 、2)<br />

高 度 炎 症 ・ 高 度 癒 着 によるCalot 三 角 部 の 剥 離 困 難 :25 例 、3) 胆 嚢 壁<br />

の 肥 厚 のため、 鉗 子 での 胆 嚢 そのものの 把 持 が 困 難 :5 例 、であった。<br />

LC 群 の 年 齢 は60.5±34.7 歳 、 開 腹 移 行 例 群 は65.6±12.0 歳 で、 有 意 を<br />

もって 開 腹 移 行 群 で 年 齢 が 高 かった(p=0.03)。また 性 別 ではLC 群 で<br />

男 性 198 例 、 女 性 219 例 に 対 し、 開 腹 移 行 例 で 男 性 22 例 、 女 性 12 例 で、<br />

男 性 患 者 で 有 意 をもって 開 腹 への 移 行 例 が 多 かった(p


P76-1 肝 細 胞 癌 切 除 後 の 全 生 存 率 、 無 再 発 生 存 率 、2 年 以 内 再<br />

発 率 の 危 険 因 子 は<br />

鳥 取 市 立 病 院 外 科<br />

○… 大 石 正 博 , 瀬 下 賢 , 加 藤 大 , 水 野 憲 治<br />

背 景 ) 肝 細 胞 癌 切 除 後 の 予 後 因 子 を 検 討 することは、 再 発 肝 癌 に 対 す<br />

る 治 療 選 択 の 指 標 となる。( 対 象 )1994 年 から2011 年 5 月 までに、 当 院 で<br />

行 われた 肝 細 胞 癌 切 除 症 例 129 例 を 対 象 とした。( 方 法 )75 歳 以 上 、 男 性 、<br />

HBs 陽 性 、HCV 陽 性 、ICGR15>15%、AFP>30、2cm 以 上 、5cm 以 上 、<br />

多 発 、 被 膜 なし、 脈 管 浸 潤 陽 性 、stage…III、IV、 非 解 剖 学 的 切 除 の 項<br />

目 を 危 険 因 子 とし、 以 下 の 検 討 を 行 った。1)… 全 生 存 率 単 変 量 解 析 は、<br />

Kaplan…Meier 法 でLog-Rank…testを 行 い、 多 変 量 解 析 はCox’s…<br />

proportional…hazards…modelで 行 った。2)… 無 再 発 生 存 率 全 生 存 率 と 同<br />

じ 解 析 。3)…2 年 以 内 再 発 率 2 年 以 内 再 発 例 (55 例 )と 無 再 発 例 (44 例 )の<br />

間 で、 単 変 量 解 析 と し てchi-square…testを 行 い、 多 変 量 解 析 は<br />

Multiple…logistic…regression…analysisで 行 った。( 結 果 )1)… 単 変 量 解 析 で<br />

は、 脈 管 浸 潤 陽 性 、HCV 陽 性 、stage…III、IVが 有 意 な 危 険 因 子 となっ<br />

たが、 多 変 量 解 析 では 脈 管 浸 潤 陽 性 (hazard…rate…4.60,…p=.000)、HCV<br />

陽 性 (hazard…rate…2.95,…p=.001)のみが、 危 険 因 子 なった。2)… 単 変 量<br />

解 析 では、 脈 管 浸 潤 陽 性 、stage…III、IV、5cm 以 上 が 有 意 な 危 険 因 子<br />

となったが、 多 変 量 解 析 では 脈 管 浸 潤 陽 性 (hazard…rate…2.50,…p=.001)、<br />

HCV 陽 性 (hazard…rate…1.70,…p=.025)、5cm 以 上 (hazard…rate…1.32,…<br />

p=.032)が、 危 険 因 子 となった。3)… 単 変 量 解 析 では、 脈 管 浸 潤 陽 性 、<br />

stage…III、IV、AFP>30、5cm 以 上 、 多 発 が 有 意 な 危 険 因 子 となった<br />

が、 多 変 量 解 析 では 脈 管 浸 潤 陽 性 (Odds…rate…5.65,…p=.000)のみが 危 険<br />

因 子 なった。( 結 語 ) 脈 管 侵 襲 陽 性 が、 術 後 の 全 期 間 (2 年 以 内 再 発 率 、<br />

無 再 発 生 存 率 、 全 生 存 率 )を 通 して、 有 意 な 危 険 因 子 となった。<br />

P76-2 当 院 における 肝 細 胞 癌 手 術 症 例 の 検 討<br />

住 友 別 子 病 院<br />

○… 小 林 一 泰<br />

平 成 17 年 4 月 から 平 成 23 年 3 月 にかけて 当 院 にて 手 術 したHCCは、41<br />

例 であり。 男 性 29 例 、 女 性 12 例 、 平 均 年 齢 69 歳 であった。 術 式 は、<br />

Hr0:21 例 、Hrs=3 例 、Hr1:7 例 、Hr2:10 例 であった。B 型 肝 炎 :8 例 、<br />

C 型 肝 炎 :20 例 、B+C 肝 炎 :1 例 、nonBnonC:12 例 。 全 体 の5 年 生 存<br />

率 は、40%であった。 大 きさ2cm 以 下 :41.6%、2~5cm:44%、5cm<br />

以 上 :21%で 有 意 差 は、みられなかった。 脈 管 浸 潤 の 有 無 でみてみる<br />

と 無 :50%、 有 :23%で 有 意 差 はみられなかったが、p=0.067で 脈<br />

管 浸 潤 の 無 い 方 が 予 後 が 良 い 傾 向 がみられた。 切 除 断 端 陽 性 は5 例 あり、<br />

2 例 は 前 治 療 歴 があり、2 例 は 肝 予 備 能 から 系 統 切 除 ができなかったも<br />

のであった。AFP200 未 満 、200 以 上 でみるとAFP200 未 満 :47%、<br />

AFP200 以 上 :29%でp=0.088でAFP200 未 満 の 症 例 の 方 が 予 後 が 良 い<br />

傾 向 がみられた。PIVKAII…100 未 満 :53%、100 以 上 :39%で 有 意 差<br />

はみられなかった。 合 併 症 は、 膵 炎 6 例 、 胸 水 3 例 、 腹 水 3 例 、 門 脈 血<br />

栓 1 例 、 横 膜 下 膿 瘍 1 例 、drain 感 染 1 例 、ARDS1 例 、 脳 梗 塞 1 例 、 胃<br />

十 二 指 腸 潰 瘍 2 例 、 腎 不 全 1 例 であった。 在 院 死 はみられなかった。1<br />

年 以 内 の 死 亡 例 は3 例 で、 多 発 症 例 、リンパ 節 転 移 のあった 症 例 、 肝<br />

内 転 移 のある 症 例 であった。 腫 瘍 径 5cm 以 上 の 症 例 、 脈 管 浸 潤 のある<br />

症 例 、AFP>200の 症 例 に 対 して 術 後 補 助 療 法 を 検 討 していく 必 要 が<br />

あると 思 われた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P76-3 肝 切 除 術 後 CRPピーク 値 による 肝 細 胞 癌 の 予 後 予 測<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講<br />

座<br />

○… 柴 浩 明 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 藤 原 佑 樹 1<br />

, 伊 藤 隆 介 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

,<br />

後 町 武 志 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 春 木 孝 一 郎 1<br />

,<br />

岩 瀬 亮 太 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 石 田 祐 一 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

,<br />

2<br />

矢 永 勝 彦<br />

( 目 的 ) 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 術 は 最 も 有 効 な 治 療 法 のひとつである<br />

が、 手 術 手 技 、 器 具 が 発 達 した 今 日 においても 未 だ 再 発 が 多 く、 予 後<br />

予 測 因 子 についての 検 討 が 必 要 である。 近 年 の 報 告 より、 肝 細 胞 癌 の<br />

再 発 、 予 後 には 周 術 期 の 炎 症 性 変 化 が 関 与 していることが 推 測 される<br />

ため、 術 後 CRP 値 と 予 後 について 解 析 した。( 対 象 と 方 法 )2001 年 1 月 か<br />

ら2008 年 12 月 までに 当 科 で 施 行 された 肝 細 胞 癌 に 対 する 肝 切 除 102 例<br />

中 、 他 臓 器 癌 の 合 併 切 除 、MCT、RFA 等 局 所 療 法 の 付 加 がなく、か<br />

つデータ 解 析 、 術 後 経 過 が 追 跡 可 能 であった73 例 を 対 象 とし、 年 齢 、<br />

性 別 、 肝 炎 ウイルス、ICGR15、GPS、 術 式 、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 背<br />

景 肝 、T 因 子 、SSI、 肺 合 併 症 、 胆 汁 漏 、 術 後 CRPピーク 値 と 無 再 発<br />

生 存 、 生 存 期 間 の 関 係 について 解 析 した。( 結 果 ) 多 変 量 解 析 で、 無 再<br />

発 生 存 では 肺 合 併 症 あり(p=0.0183)、T3またはT4(p=0.0022)が、 生<br />

存 期 間 では 女 性 (p=0.0141)、ICGR15 高 値 (p=0.0093)、 肺 合 併 症 あり<br />

(p=0.0411)、T3またはT4(p=0.0012)、 術 後 CRPピーク 高 値 (p=0.0131)<br />

が 独 立 した 予 後 悪 化 因 子 であった。 術 後 CRPピーク 値 の 検 討 では、 高<br />

値 群 で 出 血 量 (p=0.0088)、RC 輸 血 量 (p=0.0073)、 肺 合 併 症 (p=0.0243)<br />

が 多 かった。( 考 察 ) 術 後 CRPピーク 高 値 は 有 意 な 予 後 不 良 因 子 であっ<br />

た。 術 後 炎 症 を 軽 減 させる 手 術 、 周 術 期 管 理 を 心 がけることにより 予<br />

後 を 改 善 できる 可 能 性 がある。<br />

P76-4 肝 細 胞 癌 患 者 における 術 後 早 期 肝 不 全 と 再 発 に 関 する<br />

検 討<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 井 口 公 太 , 波 多 野 悦 朗 , 山 中 健 也 , 中 村 公 治 郎 ,<br />

成 田 匡 大 , 長 田 博 光 , 石 井 隆 道 , 田 浦 康 二 朗 ,<br />

上 本 伸 二<br />

【はじめに】 術 前 肝 機 能 や 肝 切 除 量 が 術 後 肝 不 全 に 影 響 することは 明<br />

らかである。 一 方 、 肝 細 胞 癌 …(HCC)…における 術 後 肝 不 全 の 再 発 への<br />

影 響 は 明 らかではない。International…Study…Group…of…Liver…Surgery<br />

は 術 後 肝 不 全 を「 術 後 5 日 目 以 降 の 総 ビリルビン 上 昇 ・プロトロンビ<br />

ン 時 間 延 長 」と 定 義 づけた…(Surgery,…2011)。 本 定 義 にて 術 後 5 日 から<br />

10 日 までの 肝 不 全 を 術 後 早 期 肝 不 全 …(ELF)…とし、ELFとHCC 術 後 再<br />

発 との 関 連 を 検 討 した。【 方 法 】2006 年 より2010 年 までのHCC 肝 切 除<br />

症 例 の 内 、 在 院 死 症 例 を 除 いた287 例 を 対 象 とした 後 向 きコホート 研<br />

究 を 行 った。Child-Pugh(CP) 分 類 、ICG15R、 血 小 板 数 、 腫 瘍 マーカー、<br />

術 式 、 出 血 量 を 術 前 ・ 術 中 因 子 とし、ELF、 分 化 度 、ステージ、 根 治<br />

度 、 肝 線 維 化 を 術 後 因 子 として 抽 出 し、 術 後 因 子 における 無 再 発 生 存<br />

期 間 …(DFS)…との 関 連 を 検 討 した。【 結 果 】ELF/ 非 ELF 群 :…89/198 例<br />

であった。DFS 中 央 値 はELF/ 非 ELF 群 :…325/564 日 (P=0.0018)、ハザー<br />

ド 比 (HR):…1.61…(95%CI:…1.17-2.20)で、ELF 群 が 早 期 に 再 発 した。 術<br />

後 因 子 における 多 変 量 解 析 ではELFとステージが 有 意 にDFSに 関 連<br />

し、…ELFはHR:1.59…(95%CI:…1.15-2.17,…P=0.0052)であった。ELF/<br />

非 ELF 群 に 群 間 差 を 認 めたため、 術 前 ・ 術 中 因 子 の 影 響 を 考 慮 して、<br />

DFSに 関 連 が 認 められなかったCP 分 類 とICG15Rを 除 く 因 子 を 追 加 し<br />

た 多 変 量 解 析 を 行 っ た。ELFは、HR:1.44…(95%CI:…1.01-2.03,…<br />

P=0.041)であり、ステージに 続 く 独 立 した 術 後 再 発 予 測 因 子 であった。<br />

【 結 論 】 肝 細 胞 癌 における 肝 切 除 術 後 早 期 の 肝 不 全 症 例 は、 術 後 再 発<br />

と 有 意 に 関 連 する。 術 後 再 発 予 防 のためにも、 術 後 早 期 肝 不 全 の 制 御<br />

は 重 要 な 課 題 である。<br />

-465-


P76-5 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 疾 患 における 肝 細 胞 癌 に 対 す<br />

る 外 科 治 療 の 遠 隔 成 績<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 分 野<br />

○… 若 井 俊 文 , 坂 田 純 , 白 井 良 夫<br />

【 目 的 】 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 疾 患 ( 以 下 NAFLD)における 肝 細 胞<br />

癌 に 対 する 外 科 治 療 成 績 を 明 らかにする.【 方 法 】1990 年 1 月 から2007<br />

年 12 月 までに 当 科 で 肝 細 胞 癌 の 診 断 で 肝 切 除 が 施 行 された317 例 中<br />

HBs 抗 原 単 独 陽 性 群 ( 以 下 ,B 群 )61 例 ,HCV 抗 体 単 独 陽 性 群 ( 以 下 ,C<br />

群 )147 例 , 以 下 に 示 すNAFLD 診 断 基 準 を 満 たした17 例 (NAFLD 群 )<br />

を 抽 出 した.NAFLD 診 断 基 準 は,Kleinerらの 報 告 に 準 じて,1)アル<br />

コール 摂 取 量


P76-9 破 裂 肝 細 胞 癌 切 除 後 の 長 期 予 後 の 検 討<br />

大 阪 市 立 大 学 肝 胆 膵 外 科 学<br />

○… 野 沢 彰 紀 , 竹 村 茂 一 , 上 西 崇 弘 , 坂 田 親 治 , 浦 田 順 久 ,<br />

大 畑 和 則 , 金 田 和 久 , 栄 政 之 , 西 岡 孝 芳 , 久 保 正 二<br />

【 目 的 】 原 発 性 肝 癌 取 扱 い 規 約 第 5 版 補 訂 版 では 肝 細 胞 癌 ( 肝 癌 ) 破 裂<br />

例 はT4(StageIV…)に 分 類 されているが、 通 常 の 肝 切 除 例 のStage…IV<br />

の 無 再 発 生 存 率 や 累 積 生 存 率 に 比 較 して 低 くないと 報 告 されている。<br />

当 科 においても、 破 裂 後 長 期 生 存 、 長 期 無 再 発 の 症 例 も 少 なくない。<br />

そこで、 当 科 における 肝 癌 破 裂 例 の 切 除 成 績 を 検 討 した.【 方 法 】<br />

1991 年 から2011 年 9 月 末 までに 当 科 で 破 裂 肝 癌 に 対 して 肝 切 除 が 施 行<br />

された15 例 を 対 象 として、 破 裂 時 の 破 裂 因 子 を 除 いた 進 行 度 分 類 を 評<br />

価 すると、StageIVAは2 例 、StageIVBは2 例 (H 群 )であり、StageII・<br />

IIIは11 例 であった(L 群 )。(1)これら2 群 の 切 除 成 績 を 比 較 検 討 した。<br />

(2)ま た、L 群 と 非 破 裂 StageII・III 肝 癌 切 除 617 例 、 お よ びH 群<br />

StageIV2 例 と 非 破 裂 StageIVA 肝 癌 切 除 43 例 との 切 除 成 績 を 比 較 検 討<br />

した。【 結 果 】(1)H 群 とL 群 の 年 齢 、 性 別 、 肝 炎 ウイルス 感 染 率 、 血 液<br />

生 化 学 的 検 査 所 見 に 差 は 認 められなかった。H 群 はL 群 より 腫 瘍 径 が<br />

大 きく、 肉 眼 的 門 脈 浸 潤 例 が 多 かったが、 腫 瘍 個 数 に 差 は 認 められな<br />

かった。 術 式 間 に 差 は 認 められず、H 群 はすべて 低 分 化 型 肝 癌 であり、<br />

病 理 学 的 門 脈 浸 潤 が 認 められたが、L 群 では 中 分 化 型 肝 癌 が 多 く、 病<br />

理 学 的 門 脈 浸 潤 例 は 少 なかった。 非 癌 部 の 病 理 組 織 に 差 は 認 められな<br />

かった。L 群 の 無 再 発 および 累 積 生 存 率 はH 群 のそれらに 比 較 して 有<br />

意 に 高 値 であった。(2)L 群 とStageII・III 非 破 裂 例 の 無 再 発 および 累 積<br />

生 存 率 に 差 は 認 められなかった。なお、 症 例 数 が 少 ないものの、H 群<br />

StageIVA 例 の 無 再 発 および 累 積 生 存 率 はStageIVA 非 破 裂 例 のそれら<br />

に 比 較 して 低 値 であった。 以 上 より、 破 裂 時 、 破 裂 因 子 を 除 く 進 行 度<br />

分 類 がII・IIIであった 症 例 の 術 後 成 績 は 非 破 裂 StageII・III 症 例 と 同<br />

等 であった。 一 方 、StageIV 症 例 の 成 績 は 不 良 であった。【 結 論 】 破<br />

裂 肝 癌 においては、 破 裂 時 の 破 裂 因 子 を 除 いた 進 行 度 分 類 が 重 要 であ<br />

り、それがStageII・IIIである 症 例 では、 積 極 的 な 外 科 治 療 にて 長 期<br />

生 存 が 期 待 できる。<br />

P76-10 肝 細 胞 癌 術 後 の 長 期 無 再 発 症 例 の 検 討<br />

旭 中 央 病 院 外 科<br />

○… 三 瀬 祥 弘 , 田 中 信 孝 , 古 屋 隆 俊 , 野 村 幸 博 , 永 井 元 樹 ,<br />

松 本 尊 嗣<br />

【 目 的 】 肝 細 胞 癌 (HCC)に 対 する 手 術 成 績 は 飛 躍 的 に 向 上 したが、<br />

無 再 発 生 存 率 は 依 然 低 い。 当 科 で16 年 間 に 手 術 治 療 を 行 ったHCC 症<br />

例 を 後 ろ 向 きに 検 証 し、 長 期 無 再 発 例 を 早 期 再 発 群 と 比 較 し、 術 後 再<br />

発 に 寄 与 する 因 子 について 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】1994 年 から<br />

2009 年 に 初 発 HCCに 対 し 根 治 手 術 を 施 行 した134 例 を 対 象 とした。 術<br />

後 5 年 以 上 無 再 発 であった< 無 再 発 群 >と、2 年 以 内 に 再 発 した< 早 期<br />

再 発 群 >につき、 患 者 因 子 ( 年 齢 、 性 別 、 背 景 肝 、 肝 予 備 能 〔ICGR15<br />

分 値 、Child 分 類 〕)、 腫 瘍 因 子 ( 径 、 個 数 、AFP、 分 化 度 、 被 膜 ・ 脈 管<br />

侵 襲 有 無 、 病 理 学 的 切 除 断 端 浸 潤 有 無 )、 手 術 因 子 ( 系 統 的 切 除 有 無 、<br />

手 術 時 間 、 出 血 量 、 輸 血 有 無 、 合 併 症 有 無 )を 比 較 した。【 結 果 】 観 察<br />

期 間 中 央 値 は34ヶ 月 (9-210ヶ 月 )で、 無 再 発 群 が14 例 ( 無 再 発 期 間 中 央<br />

値 :80ヶ 月 〔61-210ヶ 月 〕)、 早 期 再 発 群 が67 例 ( 無 再 発 期 間 中 央 値 :<br />

10ヶ 月 〔2-23ヶ 月 〕)であった( 表 )。 因 子 の 検 討 では、 脈 管 浸 潤 あり( 無<br />

再 発 群 : 早 期 再 発 群 =1:23,…p=0.0246)、 輸 血 あり( 無 再 発 群 : 早 期<br />

再 発 群 =0:12,…p=0.0258)の 症 例 が 早 期 再 発 群 で 有 意 に 多 かった。また、<br />

腫 瘍 破 裂 の 既 往 は 無 再 発 群 でのみ2 例 認 めた。【 結 語 】HCC 術 後 長 期<br />

無 再 発 症 例 では 脈 管 浸 潤 症 例 が 少 なく 輸 血 例 がない。また、 破 裂 症 例<br />

であっても 適 切 な 根 治 術 により 長 期 無 再 発 期 間 が 得 られる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P77-1 高 齢 者 肝 細 胞 癌 に 対 する 手 術 適 応 と 遠 隔 成 績<br />

1<br />

八 尾 徳 洲 会 総 合 病 院 肝 臓 センター 肝 臓 外 科 、 2 八 尾 徳 洲 会 総<br />

合 病 院 肝 臓 センター 肝 臓 内 科<br />

○… 木 村 拓 也 1<br />

, 松 田 康 雄 1 2<br />

, 鯉 田 五 月<br />

高 齢 者 肝 細 胞 癌 症 例 の 増 加 により、 高 齢 者 に 対 する 外 科 的 治 療 はます<br />

ます 増 えていくと 考 えられる。 高 齢 者 肝 細 胞 癌 に 対 する 外 科 的 治 療 の<br />

経 験 を 逆 方 視 的 に 検 討 し 遠 隔 成 績 から 手 術 適 応 の 妥 当 性 を 検 討 したの<br />

で 報 告 する。 対 象 および 方 法 対 象 は 過 去 30 年 間 に 我 々が 治 療 を 行 った<br />

肝 細 胞 癌 初 発 手 術 症 例 で、75 才 以 上 を 高 齢 者 群 (n=41: 平 均 年 齢 79.0 才 )<br />

とし、65 才 未 満 を 若 年 者 群 (n=257: 平 均 年 齢 56.7 才 )とした。 術 前 因<br />

子 としてアルブミン(g/dl)、 総 ビリルビン(mg/dl)、PT(%)、ICG15(%)、<br />

4 型 コラーゲン7S(ng/ml)、AFP(ng/ml)を、 術 中 因 子 として 手 術 時<br />

間 (min)、 切 除 範 囲 (Hr)、 出 血 量 (ml)、 切 除 重 量 (g)を、 術 後 因 子 と<br />

して 治 療 を 要 した 在 院 中 の 合 併 症 および 遠 隔 成 績 を 検 討 した。 結 果 術<br />

前 因 子 では 高 齢 者 群 で 若 年 者 群 と 比 較 しアルブミン(4.0vs3.8)が 有 意<br />

に 高 値 で、 総 ビリルビン(0.7vs0.9)、PT(89.1vs96.4)、4 型 コラーゲン<br />

7S(6.0vs7.6)は 有 意 に 低 値 であった。しかしAFP、ICG15は2 群 間 に 有<br />

意 差 は 認 めなかった。 術 中 因 子 として 手 術 時 間 (307vs380)が 高 齢 者 群<br />

で 若 年 者 群 と 比 較 し 有 意 に 短 かったが、 出 血 量 、 肝 切 除 重 量 に2 群 間<br />

で 有 意 差 を 認 めなかった。また 葉 切 除 以 上 の 拡 大 切 除 群 が 高 齢 者 群 で<br />

は15 例 (37%)、 若 年 者 群 では71 例 (28%)であった。 術 後 因 子 として 術<br />

後 早 期 の 治 療 を 要 した 合 併 症 を 高 齢 者 群 16 例 (39%)に 認 め、 術 後 せん<br />

妄 を 含 めた 精 神 障 害 関 連 が7 例 と 最 も 多 く 認 められた。また 若 年 者 群<br />

では59 例 (23%)に 認 め、 肝 不 全 が22 例 と 最 も 多 かった。 遠 隔 成 績 は 高<br />

齢 者 群 、 若 年 者 群 が5 年 生 存 率 40%、55%で、10 年 生 存 率 が20%、<br />

30%で 有 意 差 を 認 めなかった。 結 語 高 齢 者 肝 細 胞 癌 では 拡 大 切 除 症 例<br />

が 若 年 者 群 より 多 く 認 めたにもかかわらず、 術 後 の 遠 隔 成 績 は 若 年 者<br />

群 と 比 較 し 有 意 差 を 認 めなかった。 従 って 肝 切 除 において 年 齢 は 予 後<br />

規 定 因 子 とはならず、 術 後 早 期 の 合 併 症 は 多 く 認 められるが、 高 齢 者<br />

においても 積 極 的 な 肝 切 除 は 予 後 の 改 善 が 期 待 できると 考 えられた。<br />

P77-2 高 齢 者 肝 細 胞 癌 に 対 する 鏡 視 下 ラジオ 波 凝 固 療 法 の 治<br />

療 効 果 と 安 全 性 の 解 析<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 土 居 浩 一 , 別 府 透 , 近 本 亮 , 今 井 克 憲 , 林 洋 光 ,<br />

新 田 英 利 , 中 原 修 , 生 田 義 明 , 石 河 隆 敏 , 高 森 啓 史 ,<br />

馬 場 秀 夫<br />

【はじめに】 近 年 我 が 国 では 高 齢 化 が 進 むにつれて 後 期 高 齢 者 の 肝 細<br />

胞 癌 患 者 数 は 増 加 傾 向 にある。 小 型 肝 細 胞 癌 に 対 するラジオ 波 凝 固 療<br />

法 は、 低 侵 襲 かつ 切 除 に 近 い 根 治 性 が 得 られる 治 療 法 である。 腫 瘍 が<br />

肝 表 に 露 出 する 場 合 や 消 化 管 や 胆 嚢 に 隣 接 するケースや 横 隔 膜 下 など<br />

の 場 所 に 存 在 する 腫 瘍 には 鏡 視 下 アプローチが 有 用 である。 今 回 我 々<br />

は 後 期 高 齢 者 における 鏡 視 下 ラジオ 波 凝 固 療 法 の 安 全 性 と 治 療 成 績 に<br />

ついて 解 析 した。【 方 法 】2000 年 2 月 ~2009 年 12 月 の 間 に 鏡 視 下 ラジオ<br />

波 凝 固 療 法 が 施 行 された 肝 細 胞 癌 患 者 280 例 を 対 象 とした。 治 療 適 応<br />

は 腫 瘍 径 3cm 以 下 ( 肝 表 在 性 は4cm 以 下 )、 腫 瘍 個 数 3 個 以 下 とした。<br />

横 隔 膜 下 の 腫 瘍 に 対 しては 胸 腔 鏡 下 に、それ 以 外 の 腫 瘍 に 対 しては 腹<br />

腔 鏡 下 に 治 療 を 行 った。 高 齢 者 (70 歳 以 上 …n=168)と 非 後 期 高 齢 者 (70<br />

歳 未 満 …n=112)との 間 で、5 年 累 積 生 存 率 、 術 後 合 併 症 の 頻 度 につい<br />

て 比 較 検 討 した。また 累 積 生 存 率 に 影 響 する 因 子 について 単 変 量 解 析<br />

および 多 変 量 解 析 を 行 った。【 結 果 】1.… 術 中 に 赤 血 球 輸 血 を 必 要 とし<br />

た 症 例 はなかった。2.… 術 後 合 併 症 頻 度 は 両 群 で5.1%であり、 高 齢 者 に<br />

特 有 の 合 併 症 は 無 かった。 治 療 に 伴 うseedingは 両 群 とも 存 在 しなかっ<br />

た。3.… 術 後 在 院 日 数 は 後 期 高 齢 者 11.5 日 、 非 後 期 高 齢 者 12.4 日 と 差 が<br />

なかった。4.… 高 齢 者 と 非 高 齢 者 の3 年 累 積 生 存 率 は73%:70%、5 年 累<br />

積 生 存 率 は57%:52%と 同 等 であった。また 非 高 齢 者 における 累 積 生<br />

存 率 に 影 響 を 与 える 因 子 について 多 変 量 解 析 を 行 うと 非 高 齢 者 群 では<br />

AFP…(400ng/ml 以 下 vs401ng/ml 以 上 )、PIVKA…II…(40mAU/ml 以 下<br />

vs…41mAU/ml 以 上 )、 腫 瘍 径 …(20mm 以 下 vs…21mm 以 上 )、 腫 瘍 個<br />

数 (1 個 vs2 個 以 上 )、HCV( 陽 性 vs 陰 性 ) 初 回 治 療 が、 高 齢 者 群 で<br />

はAFP…(400ng/ml 以 下 vs401ng/ml 以 上 )、 腫 瘍 径 …(20mm 以 下 vs…<br />

21mm 以 上 )、HCV( 陽 性 vs 陰 性 )、アプローチ( 腹 腔 鏡 vs… 胸 腔 鏡 )が 抽<br />

出 された。【 結 語 】 肝 細 胞 癌 に 対 する 鏡 視 下 熱 凝 固 療 法 は 低 侵 襲 治 療<br />

であり、 高 齢 者 にも 安 全 性 が 確 保 され、 根 治 性 の 高 い 治 療 であること<br />

が 示 唆 された。<br />

-467-


P77-3 80 歳 以 上 の 高 齢 者 の 肝 癌 手 術 の 実 際<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 藤 信 明 , 大 垣 雅 晴 , 松 村 博 臣 , 柿 原 直 樹 , 森 村 玲 ,<br />

山 田 圭 吾 , 坂 木 桃 子 , 原 田 恭 二 , 岡 島 航 , 小 林 利 行 ,<br />

谷 口 弘 毅<br />

【はじめに】 近 年 、 高 齢 者 の 手 術 例 が 増 加 するにつれ 肝 切 除 例 も 同 様<br />

の 傾 向 にある。 今 回 、 当 科 における 高 齢 者 の 肝 癌 手 術 例 を 臨 床 病 理 学<br />

的 に 検 討 した。【 方 法 】2007 年 1 月 から2011 年 9 月 までに 当 科 で 施 行 し<br />

た 原 発 性 肝 癌 手 術 例 は73 例 であった。2009 年 3 月 までの27ヵ 月 間 の12<br />

例 を 前 期 群 、2009 年 4 月 以 降 の30ヵ 月 間 の61 例 を 後 期 群 とし、 臨 床 病<br />

理 学 的 検 討 を 行 った。【 結 果 】 年 齢 は 前 期 群 63.4… ±…15.4…(Mean… ±…<br />

SD) 歳 、 後 期 群 71.0… ±…10.8 歳 で、 男 女 比 は10/2、46/15であった。 前<br />

期 群 では80 歳 以 上 の 高 齢 者 はなく、 後 期 群 では 同 高 齢 者 は11 例 (18.0%)<br />

であった。よって、 後 期 群 の80 歳 以 上 の 高 齢 者 (11 例 )と 非 高 齢 者 (50 例 )<br />

で 検 討 を 進 めた。 術 式 では、 部 切 、 亜 区 域 切 、 区 域 切 、 葉 切 以 上 の 例<br />

数 は 非 高 齢 者 で 各 々24 例 (48.0%)、9 例 (18.0%)、5 例 (10.0%)、12 例<br />

(24.0%)、 高 齢 者 で6 例 (54.5%)、1 例 (9.1%)、1 例 (9.1%)、3 例 (27.2%)と、<br />

高 齢 者 で 亜 区 域 切 の 少 ない 傾 向 にあった。 開 胸 併 施 は、 非 高 齢 者 で9<br />

例 (18.0%)、 高 齢 者 で2 例 (18.1%)と 差 を 認 めなかった。 癌 腫 では 肝 内<br />

胆 管 癌 例 が 非 高 齢 者 で7 例 (14.0%)、 高 齢 者 で0 例 であった。 術 死 在 院<br />

死 は、 両 者 ともに 認 めなかった。【 結 語 】 実 際 、 高 齢 者 の 肝 切 除 例 は<br />

増 加 しており、 開 胸 併 施 も 非 高 齢 者 と 同 様 の 割 合 で 施 行 されていた。<br />

しかし、 亜 区 域 切 除 例 や 肝 内 胆 管 癌 切 除 例 は 少 ない 傾 向 にあった。<br />

P77-4 ウイルス 肝 炎 治 療 中 に 発 生 した 若 年 者 ( 未 成 年 者 ) 肝 細<br />

胞 癌 の1 切 除 例<br />

国 立 病 院 機 構 仙 台 医 療 センター 外 科<br />

○… 成 島 陽 一 , 島 村 弘 宗 , 武 田 和 憲<br />

【はじめに】 若 年 者 の 肝 細 胞 癌 は 極 めてまれであり、 過 去 10 年 間 の<br />

全 国 原 発 性 肝 癌 追 跡 調 査 報 告 をみると 同 時 期 に 登 録 された 肝 細 胞 癌 症<br />

例 のうち20 歳 以 下 の 症 例 は 全 体 の0.07~0.20%にすぎない。 今 回 、 我 々<br />

は 診 断 時 18 歳 男 子 の 肝 細 胞 癌 手 術 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 病<br />

歴 ・ 経 過 】4 歳 時 に 肝 障 害 を 指 摘 、HBs 抗 原 (+),…HBe 抗 原 (+),…HBe 抗<br />

体 (-)…のB 型 慢 性 肝 炎 と 診 断 。10 歳 時 からインターフェロン 療 法 を 行 い、<br />

HBs 抗 原 の 低 下 、HBe 抗 体 の 上 昇 を 認 めたがsero-conversionには 至 ら<br />

なかった。13 歳 時 からラミブジン 内 服 開 始 。このころ 時 々AFPが100<br />

以 上 の 高 値 になることがあったが、 数 ヶ 月 後 には 正 常 に 復 していた。<br />

18 歳 時 にはHBs(-)、HBe 抗 体 (+)となった。7 月 にAFP…183.8と 上 昇 あ<br />

り、 超 音 波 検 査 では 肝 に 腫 瘍 性 病 変 は 確 認 できなかった。10 月 には<br />

AFP…220.6,…PIVKAII…56.0と 上 昇 。CTにて 肝 に 結 節 性 の 病 変 を 初 めて<br />

確 認 した。CTでは 肝 S3に 表 面 にやや 突 出 するような 球 形 の 径 25mm<br />

大 の 結 節 性 病 変 があり、 単 純 では 低 吸 収 、 造 影 早 期 では 不 整 形 に 造 影<br />

され、 後 期 相 では 軽 度 低 吸 収 を 示 した。MRIではT1 低 信 号 、T2で 淡<br />

い 高 信 号 、 造 影 では 早 期 に 造 影 増 強 効 果 とwashoutを 示 すことから 肝<br />

細 胞 癌 と 診 断 された。 単 発 で 肝 表 面 に 近 いため 手 術 適 応 となり、11 月<br />

(19 歳 時 )に 肝 外 側 区 域 切 除 術 を 施 行 した。【 標 本 ・ 病 理 所 見 】 肉 眼 的<br />

には 単 純 結 節 型 。 組 織 学 的 には 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 で 漿 膜 浸 潤 、 脈 管 浸<br />

潤 は 認 めず、 背 景 肝 は 新 犬 山 分 類 のF2/A1 相 当 と 診 断 された。 術 後 1<br />

年 経 過 しているが 再 発 はなく、またラミブジンは 継 続 中 でHBV-DNA<br />

は 検 出 されていない。【 考 察 】20 歳 未 満 の 肝 細 胞 癌 症 例 の 報 告 は、 本<br />

症 例 と 同 様 にB 型 肝 炎 関 連 のものが 多 い。また、AFP、PIVKAIIが 高<br />

値 のことが 多 い 点 、 診 断 時 にすでに 腫 瘍 径 が 大 きい、あるいは 多 発 し<br />

ていることがある 点 、 背 景 肝 は 肝 硬 変 に 移 行 しておらず 比 較 的 線 維 化<br />

が 軽 度 である 点 が 特 徴 である。 本 症 例 はB 型 肝 炎 の 治 療 中 にAFPの 上<br />

昇 とともに 肝 細 胞 癌 が 発 生 したが、sero-conversion 後 の 数 年 後 に 発 生<br />

した 若 年 者 の 肝 細 胞 癌 の 報 告 もあり、B 型 肝 炎 では 若 年 時 からの 定 期<br />

的 なスクリーニングの 継 続 が 重 要 と 考 えられる。<br />

P77-5 術 前 診 断 に 難 渋 した 若 年 者 非 B 非 C 肝 細 胞 癌 の 一 例<br />

北 里 大 学 東 病 院 外 科<br />

○… 鎌 田 弘 樹 , 石 井 健 一 郎 , 中 村 和 徳 , 河 又 寛 , 藁 谷 美 奈 ,<br />

田 島 弘 , 片 桐 寛 之 , 隈 元 雄 介 , 渡 邊 昌 彦<br />

術 前 画 像 診 断 が 困 難 で、 肝 生 検 にて 診 断 がつかず、 手 術 後 の 病 理 組 織<br />

にて 肝 細 胞 癌 と 診 断 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は38 歳 男<br />

性 。2007 年 に 検 診 の 腹 部 超 音 波 にて 肝 臓 に6×5cm 大 の 腫 瘤 を 指 摘 さ<br />

れた。 近 医 を 受 診 し、 肝 血 管 腫 が 疑 われたため、 同 年 4 月 に 当 院 消 化<br />

器 内 科 紹 介 受 診 となった。 腹 部 超 音 波 では、 肝 臓 は 脂 肪 肝 の 所 見 で、<br />

肝 S2/S3に 不 均 一 に 高 エコーを 呈 する 分 葉 状 の 腫 瘍 を 認 め、 一 部 内 部<br />

に 類 円 形 の 低 エコー 領 域 を 認 めた。エコー 上 はHemangiomaやHCCが<br />

疑 われた。 腹 部 MRIでは 肝 左 葉 にT2W1で 淡 い 高 信 号 を 示 す 腫 瘤 を 認<br />

め、 内 部 に 一 部 T1W1でやや 低 信 号 、 脂 肪 抑 制 T2W1で 高 信 号 を 示 す<br />

領 域 を 認 めた。MRI 上 はFNHを 疑 う 所 見 であった。 各 種 肝 炎 ウィル<br />

スマーカーは 陰 性 であった。 診 断 のため 肝 生 検 が 施 行 されたが、 悪 性<br />

所 見 は 認 めず、FNHの 疑 いで、 外 来 で 経 過 観 察 されていた。CT 上 内<br />

部 に 被 膜 を 有 し、 遷 延 性 の 造 影 効 果 を 伴 う 腫 瘍 を 認 めたため、2011 年<br />

6 月 当 科 へ 手 術 依 頼 となった。8 月 に 手 術 目 的 に 入 院 となり、 腹 腔 鏡 下<br />

肝 外 側 区 域 切 除 で 手 術 開 始 するも、 腫 瘍 と 十 二 指 腸 が 癒 着 しており、<br />

開 腹 移 行 し、 外 側 区 域 切 除 を 行 った。 病 理 所 見 は 約 6.5cmの 緑 色 調 腫<br />

瘤 で、 胆 汁 性 を 伴 う、greenish…simple…nodular…typeのHCCであった。<br />

非 癌 部 はF0であった。2002 年 から2003 年 の 全 国 原 発 性 肝 癌 追 跡 調 査<br />

報 告 では、40 歳 未 満 は 全 体 の0.9%であり、 非 常 にまれである。40 歳<br />

以 下 の 肝 細 胞 癌 では89パーセントがB 型 肝 炎 関 連 という 報 告 もある。<br />

若 年 者 では 腹 痛 などで 発 症 し、 発 見 時 には 進 行 している 多 く、 本 症 例<br />

の 様 に 比 較 的 緩 徐 な 経 過 をたどったものはまれである。 若 干 の 文 献 的<br />

考 察 を 加 え、 報 告 する。<br />

P77-6 Budd-Chiari 症 候 群 を 背 景 に 若 年 発 症 した 多 血 性 肝 腫<br />

瘍 の 一 例 <br />

1<br />

愛 知 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 増 子 記 念 病 院<br />

○… 藤 崎 宏 之 1<br />

, 安 田 顕 1<br />

, 有 川 卓 1<br />

, 永 田 博 1<br />

, 小 竹 克 博 1<br />

,<br />

黒 川 剛 2<br />

, 野 浪 敏 明<br />

1<br />

【 症 例 】24 歳 男 性 【 主 訴 】なし。【 既 往 ・ 併 存 疾 患 】2003 年 8 月 …Budd-<br />

Chiari 症 候 群 の 診 断 。11 月 当 院 放 射 線 科 にてIVR 下 にIVC 膜 様 閉 塞 部<br />

穿 破 、バルーン 拡 張 後 EMS 留 置 。2007 年 2 月 ステント 狭 窄 に 対 し 再 度<br />

ステント 留 置 。……【 現 病 歴 】2008 年 12 月 フォローアップCT、EOB-MRI<br />

にてHCC(S5:φ25mm 単 発 、cstage2) 指 摘 され2 月 当 科 受 診 。…【 血 液<br />

生 化 学 】AFP1116.1ng/ml……ICGR15…2.0%…Child-Pugh…score…A(5)【 手<br />

術 】 腹 腔 鏡 下 肝 部 分 切 除 術 手 術 時 間 178min 出 血 量 20ml【 病 理 】<br />

Hepatocelluler…carcinoma……mod.diff.…trabecular…type…eg…fc(+)…fc-inf<br />

(+)…sf(-)…s0…vp0…vv0…va0…b0…sm(-)…im0…f4…LC…fstage2……【 結 語 】 比 較 的<br />

稀 な、Budd-Chiari 症 候 群 に 合 併 したHCCを 経 験 したので 文 献 的 考 察<br />

を 加 え 報 告 する。…<br />

-468-


P77-7 正 常 肝 に 生 じた 肝 細 胞 癌 切 除 症 例 の 検 討<br />

兵 庫 県 立 がんセンター<br />

○… 千 堂 宏 義 , 仁 和 浩 貴 , 押 切 太 郎 , 前 田 裕 巳 , 藤 野 泰 宏 ,<br />

富 永 正 寛<br />

【はじめに】 正 常 肝 より 発 生 する 肝 細 胞 癌 は 稀 であり、その 報 告 例 は<br />

少 ない。 今 回 、 当 院 での 正 常 肝 に 生 じた 肝 細 胞 癌 切 除 症 例 の 患 者 およ<br />

び 腫 瘍 の 背 景 因 子 、 臨 床 病 理 学 的 特 徴 、 再 発 の 有 無 を 検 討 した。【 対 象 】<br />

2007 年 1 月 から2011 年 11 月 までに 当 院 で 行 った 肝 細 胞 癌 切 除 症 例 222 例<br />

のうち、 背 景 肝 の 病 理 組 織 所 見 が 正 常 肝 (A0,…F0)であった12 例 (5.4%)…<br />

(TACE 後 1 例 を 含 む)を 対 象 とした。【 結 果 】 平 均 年 齢 67 歳 (43~82 歳 )、<br />

男 性 10 例 、 女 性 2 例 と 男 性 に 多 く、 腫 瘍 占 居 部 位 は 左 葉 / 右 葉 / 左 & 右<br />

葉 :3/7/2で 右 葉 に 多 かった。 腫 瘍 個 数 は 単 発 が10 例 、 腫 瘍 径 5cm 以<br />

上 が8 例 、 平 均 腫 瘍 径 は6.9cm(1.5~14cm)と 単 発 で 比 較 的 大 きな 腫 瘍<br />

が 多 かった。 組 織 学 的 分 化 度 は 高 …/… 高 > 中 …/… 中 > 高 …/… 中 …/… 中 > 低 …/…<br />

未 分 化 :1/1/1/6/2/1で 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 の 割 合 が 多 く、 脈 管 侵 襲 Vp<br />

(+)が7 例 で、 半 数 以 上 の 症 例 がVp(+)であった。 肝 炎 ウィルスマー<br />

カー(-)が7 例 、HBcAb(+)・HBsAb(+)のB 型 肝 炎 既 感 染 症 例 が5 例 、<br />

C 型 肝 炎 症 例 はなかった。 飲 酒 歴 なしが9 例 で 非 飲 酒 者 の 割 合 が 多 く、<br />

合 併 症 では 糖 尿 病 …/… 高 血 圧 …/… 高 脂 血 症 :7/7/2、 糖 尿 病 + 高 血 圧 :6 例 、<br />

脂 肪 肝 :1 例 、 合 併 症 なし 症 例 は4 例 であった。BMIが25 以 上 の 肥 満 症<br />

例 は1 例 で、 糖 尿 病 や 高 血 圧 などの 合 併 症 はなかった。 肝 切 除 後 経 過<br />

では 腫 瘍 遺 残 症 例 が1 例 、 再 発 あり 症 例 は5 例 で、 半 数 例 は 無 再 発 であっ<br />

た。 再 発 あり 症 例 5 例 のうち、6カ 月 以 内 に 再 発 した 早 期 再 発 症 例 は3<br />

例 で、 全 て 腫 瘍 径 の 大 きなVp(+)の 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 で、それぞれB<br />

型 肝 炎 既 感 染 症 例 、 糖 尿 病 + 高 血 圧 症 例 、 肥 満 症 例 であった。また、<br />

B 型 肝 炎 既 感 染 症 例 5 例 のうち 無 再 発 症 例 は1 例 のみで、 無 再 発 症 例 6<br />

例 のうち5 例 が 肝 炎 ウィルスマーカー(-)であった。 腫 瘍 マーカーにつ<br />

いては 一 定 の 傾 向 を 認 めなかった。【 考 察 】 正 常 肝 に 生 じた 肝 細 胞 癌<br />

は 糖 尿 病 や 高 血 圧 の 合 併 症 例 が 多 かった。また、 進 行 例 が 多 く、 腫 瘍<br />

の 悪 性 度 も 高 いことが 示 唆 され、B 型 肝 炎 既 感 染 症 例 では 再 発 率 が 高<br />

かった。<br />

P77-8 自 己 免 疫 性 肝 炎 、 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 overlap<br />

syndromeに 合 併 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

府 中 病 院 外 科<br />

○… 岩 内 武 彦 , 竹 内 一 浩<br />

症 例 は70 歳 男 性 。2009 年 7 月 に 腹 部 膨 満 にて 当 院 初 診 となった。 腹 部<br />

CTにて 多 量 の 腹 水 と 肝 の 萎 縮 認 め、 肝 硬 変 に 伴 う 腹 水 と 診 断 された。<br />

肝 炎 ウイルスはHBV 陰 性 、HCV 陰 性 であったが、 抗 核 抗 体 陽 性 、 抗<br />

ミトコンドリア 抗 体 陽 性 で、γグロブリンも 高 値 を 認 め、 自 己 免 疫 性<br />

肝 炎 (AIH)、 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 (PBC)のoverlap…syndromeが 疑 わ<br />

れた。 肝 生 検 にてAIH、PBCのoverlap…syndromeと 診 断 され、 以 後<br />

外 来 にてプレドニゾロン、UDCA 内 服 加 療 中 であった。2011 年 8 月 、<br />

腹 部 …dynamic…MRIにて 肝 S7 辺 縁 に 早 期 相 で 高 信 号 、 平 衡 相 で 比 較 的<br />

低 信 号 を 呈 する 径 26mm 大 の 腫 瘤 像 を 認 めた。AFP…3ng/ml、PIVKA-<br />

II…22mAU/mlで 腫 瘍 マーカー 高 値 は 認 めなかったがMRI 像 より 肝 細<br />

胞 癌 と 診 断 した。 肝 障 害 度 Bで、 単 発 の 肝 細 胞 癌 であることから、<br />

2011 年 9 月 、 肝 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 術 中 所 見 では 肝 臓 は 表 面 不 整 で、<br />

辺 縁 は 鋭 で 慢 性 肝 炎 の 所 見 であった。 病 理 組 織 学 的 所 見 はwell…<br />

differentiated…hepatocellular…carcinoma,…trabecular…type,…eg,…fc(+),…<br />

fc-inf(-),sf(-),s0,N0,vp0,vv0,va0,b0,P0,sm(-),CH、 最 終 診 断 はT2N0M0、<br />

Stage…IIであった。 非 癌 部 は 結 合 組 織 に 偽 胆 管 とリンパ 球 が 入 り 込 み、<br />

またも 門 脈 域 でほぼ 正 常 胆 管 が 破 綻 しており、AIH、PBCの 所 見 を 認<br />

めた。 経 過 は 良 好 にて 術 後 8 日 目 に 退 院 となった。PBCの 肝 細 胞 癌 の<br />

発 生 率 は7.4% 程 度 という 報 告 もあり、 比 較 的 高 率 である。AIHのそれ<br />

はPBCに 比 べると 低 いとされてきたが、 近 年 ステロイド 治 療 の 奏 功 に<br />

伴 い 長 期 観 察 例 が 増 加 するにつれて 肝 細 胞 癌 合 併 の 報 告 が 散 見 される<br />

ようになった。しかしAIH、PBCのoverlap…syndromeに 合 併 した 肝<br />

細 胞 癌 の 報 告 は 比 較 的 稀 である。 今 回 我 々はAIH、PBCのoverlap…<br />

syndromeに 合 併 した 肝 細 胞 癌 の1 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察<br />

を 加 えて 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P77-9 自 己 免 疫 性 肝 炎 を 合 併 した 肝 細 胞 癌 切 除 後 8 年 目 に 再<br />

発 し 急 速 な 増 大 を 示 した1 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外<br />

科 、 3 寿 英 会 内 田 病 院<br />

○… 上 田 純 志 1<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 真 々 田 裕 宏 1<br />

, 谷 合 信 彦 1<br />

,<br />

吉 岡 正 人 1<br />

, 平 方 敦 史 2<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

, 水 口 義 昭 1<br />

,<br />

清 水 哲 也 1<br />

, 内 田 英 一 3 3<br />

, 内 田 英 二<br />

自 己 免 疫 性 肝 炎 は, 自 己 免 疫 性 機 序 により 自 己 肝 細 胞 に 対 する 免 疫 応<br />

答 の 寛 容 が 破 綻 し, 持 続 的 な 肝 細 胞 障 害 を 特 徴 とする 肝 疾 患 である。<br />

肝 細 胞 癌 の 合 併 はまれとされてきたがステロイド 投 与 による 予 後 改 善<br />

と 長 期 観 察 例 の 増 加 により, 合 併 例 の 報 告 が 増 加 している。 今 回 、 我 々<br />

は 自 己 免 疫 性 肝 炎 を 伴 った 肝 細 胞 癌 術 後 8 年 目 に 再 発 し、 急 速 な 増 大<br />

を 示 し 肝 不 全 に 陥 った 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は83 歳 女 性 。<br />

主 訴 は 呼 吸 困 難 。 既 往 歴 は10 年 前 より 自 己 免 疫 性 肝 炎 にてステロイド<br />

治 療 施 行 。8 年 前 、 肝 細 胞 癌 に 対 してS8 亜 区 域 切 除 術 施 行 。 自 己 免 疫<br />

性 肝 炎 に 関 しては、ステロイド 徐 々に 減 量 し、 現 在 ウルソデオキシコー<br />

ル 酸 のみ 近 医 で 投 与 中 。 半 年 前 、 腹 部 CT 施 行 し 明 らかな 再 発 所 見 は<br />

認 めなかった。 数 日 前 より 呼 吸 苦 あり 来 院 。 入 院 時 現 象 はバイタルサ<br />

インに 特 記 事 項 なし。SpO2の 軽 度 低 下 を 認 めた。 胸 部 聴 診 所 見 にて<br />

右 肺 野 の 呼 吸 音 源 弱 を 認 めた。 腹 部 所 見 では 前 回 手 術 の 創 を 認 めるの<br />

みで 特 記 事 項 なし。 胸 部 レントゲン 写 真 にて 右 側 胸 水 貯 留 を 認 めた。<br />

腹 部 CTにて 肝 右 葉 を 占 める 巨 大 な 腫 瘤 を 認 めた。 肝 細 胞 癌 再 発 と 診<br />

断 し、 肝 動 脈 塞 栓 術 を 施 行 するが 著 効 せず。1ヶ 月 後 、 肝 不 全 を 呈 し<br />

永 眠 された。<br />

P77-10 自 己 免 疫 性 肝 炎 に 合 併 した 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 を<br />

施 行 した3 例<br />

1<br />

大 阪 労 災 病 院 外 科 、 2 大 阪 労 災 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 松 浦 雄 祐 1<br />

, 清 水 潤 三 1<br />

, 金 よう 国 1<br />

, 長 谷 川 順 一 1<br />

,<br />

三 輪 秀 明 2<br />

, 根 津 理 一 郎<br />

1<br />

【 目 的 】 自 己 免 疫 性 肝 炎 (AIH)からの 発 癌 は 比 較 的 稀 とされているが、<br />

近 年 その 報 告 例 が 散 見 される。AIHを 伴 う 肝 細 胞 癌 (HCC)に 対 して<br />

肝 切 除 術 を 施 行 した3 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】 女 性 。58<br />

歳 時 より 肝 炎 を 指 摘 されていた。69 歳 時 、AIH 疑 いにて 当 院 受 診 。<br />

HBs 抗 原 陰 性 、HCV 抗 体 陰 性 、 抗 核 抗 体 (ANA)×320 倍 で 臨 床 的 に<br />

AIHと 診 断 。 初 診 時 CTにて 肝 S4/8に 腫 瘤 を 指 摘 され 血 管 腫 としてフォ<br />

ローしていたが、70 歳 時 CTにて 腫 瘤 の 増 大 認 め、EOB-MRIにてHCC<br />

と 診 断 し、 肝 内 側 区 域 切 除 術 施 行 した。 病 理 は 高 分 化 型 肝 細 胞 癌 であっ<br />

た。 術 後 1 年 経 過 するも 再 発 なし。【 症 例 2】 女 性 。30 歳 時 にAIHと 診<br />

断 され、PSL10mg 内 服 フォロー 中 、65 歳 時 にCTにて 肝 S5に 腫 瘤 を 指<br />

摘 。EOB―MRIにてHCCと 診 断 され、 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 S5 部 分 切 除 術<br />

施 行 した。 病 理 は 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 であった。 術 後 1 年 経 過 するも 再<br />

発 なし。【 症 例 3】 女 性 。61 歳 時 にAIHと 診 断 され、PSL10mg 内 服 フォ<br />

ロー 中 、68 歳 時 にCTにて 肝 S3に 腫 瘤 を 指 摘 された。EOB-MRIにて<br />

HCCと 診 断 され、RFA 施 行 するも 門 脈 近 傍 のため 完 全 焼 却 できず、<br />

フォローCTにて 同 部 位 の 再 発 を 認 めたため 肝 左 葉 切 除 術 施 行 した。<br />

病 理 結 果 は 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 であった。 術 後 3ヶ 月 も 再 発 なし。【 考 察 】<br />

当 院 で2006 年 から 現 在 までHCCに 対 して 肝 切 除 を 施 行 した250 例 のう<br />

ち3 例 がAIHに 合 併 したHCCであった。3 例 とも 背 景 肝 は 肝 硬 変 像 を<br />

示 しており、AIHからの 肝 発 癌 は 稀 であるが、 繊 維 化 が 進 行 した 症 例<br />

は 定 期 的 に 画 像 評 価 を 行 うことが 必 要 であると 考 えられた。<br />

-469-


P77-11 大 腸 癌 術 後 の 転 移 性 肝 癌 の 診 断 で 紹 介 された 非 B 非 C<br />

型 肝 細 胞 癌 の2 例<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 龍 知 記 , 高 見 裕 子 , 立 石 昌 樹 , 和 田 幸 之 , 才 津 英 樹<br />

【はじめに】 大 腸 癌 術 後 に 肝 腫 瘍 を 認 めた 場 合 、 転 移 性 肝 癌 ではとの<br />

先 入 観 のため、 非 B 非 C 型 肝 細 胞 癌 ( 以 下 HCC)と 診 断 することは 困 難<br />

なことが 多 い。 今 回 我 々は、 他 院 より 大 腸 癌 術 後 の 転 移 性 肝 癌 との 診<br />

断 で 紹 介 されたが、 術 後 病 理 組 織 診 断 でHCCであった2 例 を 経 験 した<br />

ので 紹 介 する。【 症 例 1】79 才 、 男 性 。2007 年 11 月 に 他 院 にて 直 腸 癌 に<br />

対 して 低 位 前 方 切 除 術 を 施 行 された。 術 前 より 肝 腫 瘤 は 指 摘 されてい<br />

たが、2008 年 1 月 のSPIO-MRIにてS7に18mm 大 の 腫 瘤 を 認 め 転 移 性 肝<br />

癌 が 疑 われた。mFOLFOX 療 法 を7クール 施 行 するも 不 変 であったた<br />

めに、2008 年 7 月 に 手 術 目 的 で 当 院 紹 介 となった。CT、MRIにてS7に<br />

造 影 早 期 相 でenhanceされ 後 期 相 でwash…outされる24mm 大 の 境 界 明<br />

瞭 な 腫 瘤 を 認 め 画 像 所 見 からはHCCが 疑 われた。2008 年 9 月 に 開 胸 下<br />

マイクロ 波 凝 固 壊 死 療 法 (MCN)を 行 ったが、 肝 はblue…liverを 呈 して<br />

おり、 術 後 病 理 組 織 診 は 中 分 化 型 HCCであった。【 症 例 2】44 才 女 性 。<br />

2010 年 7 月 に 他 院 にて 下 行 結 腸 癌 に 対 して 左 半 結 腸 切 除 術 を 施 行 され<br />

た。 術 後 にZELOXによる 補 助 化 学 療 法 を 施 行 するも、 有 害 事 象 のた<br />

めに8クールで 終 了 した。2011 年 6 月 にCTでS8に32mm 大 の 腫 瘤 を 認<br />

めたため、 転 移 性 肝 癌 が 疑 われ 当 院 紹 介 となった。CT、MRIにてS8<br />

に 腫 瘍 の 辺 縁 を 中 心 に 内 部 は 不 均 一 に 造 影 され、 後 期 相 でwash…out<br />

される34mm 大 の 腫 瘍 を 認 めた。アシアロ 肝 シンチの 結 果 より 系 統 的<br />

切 除 は 困 難 と 判 断 され、2011 年 7 月 にS8 部 分 切 除 を 行 った。 肝 はblue…<br />

liverを 呈 しており、 術 後 病 理 組 織 診 断 は 中 ~ 低 分 化 型 HCCであっ<br />

た。 【 結 論 】2 症 例 はいずれも 非 B 非 Cで、アルコール 多 飲 歴 、 糖 尿 病 、<br />

自 己 免 疫 疾 患 等 の 既 往 はなく、HCC 発 癌 のリスクを 考 慮 し 難 い 症 例<br />

であったこと、また 直 前 に 大 腸 がん 手 術 の 既 往 があったことから<br />

HCCと 診 断 することが 困 難 であった。 近 年 、 非 B 非 C 型 HCC 症 例 が 増<br />

加 しており、たとえ 大 腸 癌 術 後 であっても 先 入 観 を 持 たずに 画 像 を 忠<br />

実 に 読 影 することが 重 要 であると 改 めて 考 えさせられた 症 例 であった<br />

ので 報 告 した。<br />

P78-1 当 科 で 施 行 した 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 13 例 の 検 討<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 坂 口 達 馬 , 海 堀 昌 樹 , 石 崎 守 彦 , 松 井 康 輔 , 松 島 英 之 ,<br />

松 井 陽 一 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】 各 種 画 像 診 断 の 進 歩 により 肝 嚢 胞 の 発 見 機 会 は 増 加 している。<br />

治 療 については、1980 年 以 前 は 手 術 療 法 が 基 本 であり、1980 年 以 降 は<br />

低 侵 襲 性 や 簡 便 性 から、 超 音 波 ガイド 下 経 皮 的 ドレナージや 薬 物 注 入<br />

療 法 などがfirst…choiceの 治 療 法 とされてきたが、 再 発 や 頻 回 の 穿 刺 に<br />

よる 逆 行 性 感 染 、 薬 物 による 炎 症 性 物 質 の 沈 殿 や 副 作 用 の 問 題 が 危 惧<br />

される。 一 方 で1991 年 以 降 、 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 開 窓 術 が 行 われるように<br />

なり、 再 発 率 の 低 さと 低 侵 襲 性 を 兼 ね 備 える 点 で 現 在 ではfirst…choice<br />

の 術 式 と 考 えられる。しかしながら 嚢 胞 位 置 や 手 術 技 量 により 適 応 は<br />

限 定 される 他 、 合 併 症 や 再 発 率 は 開 腹 術 と 比 較 して 多 いとされる。 当<br />

科 での 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 の 合 併 症 、 再 発 率 について 検 討 した。<br />

【 対 象 および 方 法 】2007 年 から2011 年 11 月 までに 肝 嚢 胞 に 対 し 腹 腔 鏡<br />

下 天 蓋 切 除 術 を 施 行 した13 例 を 対 象 とした。 男 性 4 例 、 女 性 9 例 であり、<br />

平 均 年 齢 は78 歳 、 肝 嚢 胞 最 大 径 は32cm、 全 例 が 腹 痛 など 有 症 状 であっ<br />

た。 腹 腔 鏡 下 に 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 による 嚢 胞 天 蓋 切 除 を 行 い、アル<br />

ゴンビームコアギュレーターによる 嚢 胞 内 腔 面 の 粘 膜 焼 却 、また2010<br />

年 以 降 はソフト 凝 固 電 気 メス(VIO…system)を 用 いた 内 腔 面 の 粘 膜 焼<br />

却 を 行 った。【 結 果 】1 例 は 多 発 性 腎 嚢 胞 を 伴 う 成 人 性 多 発 性 肝 嚢 胞 で<br />

あり、 術 中 出 血 から 開 腹 術 へと 移 行 し 肝 外 側 区 域 切 除 術 を 施 行 した。<br />

他 12 例 の 平 均 手 術 時 間 は127 分 、 術 後 平 均 在 院 期 間 は5 日 であった。 腹<br />

腔 鏡 下 に 施 行 した12 例 のうち2 例 で 再 発 を 認 め、1 例 では 複 数 回 の 穿 刺<br />

吸 引 、1 例 では 再 手 術 を 要 した。2010 年 以 降 のVIO…systemを 用 いた4<br />

症 例 においては 合 併 症 を 認 めず、 現 在 のところ 再 発 を 認 めていない。<br />

【 考 察 】 文 献 上 、 開 腹 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 の 再 発 率 は、 画 像 上 で<br />

17.6%、 症 状 としては5.9から13%とされる。 我 々の 検 討 では、 腹 腔 鏡<br />

下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 は 低 侵 襲 であり 再 発 率 も 開 腹 下 の 嚢 胞 天 蓋 切 除 術<br />

に 劣 らなかった。しかしながら 術 中 合 併 症 としての 大 出 血 から 開 腹 術<br />

へ 移 行 した1 例 を 経 験 し、 注 意 を 要 すると 思 われた。またVIO…system<br />

による 粘 膜 焼 却 は 安 全 かつ 有 用 な 方 法 と 考 えられた。<br />

P78-2 当 科 における 巨 大 肝 嚢 胞 に 対 する 腹 腔 鏡 手 術<br />

東 京 医 科 大 学<br />

○… 高 野 公 徳 , 阿 部 雄 太 , 尾 野 大 気 , 横 山 卓 剛 , 木 原 優 ,<br />

島 津 元 秀<br />

【はじめに】 肝 嚢 胞 の 治 療 適 応 は 限 られているが、 有 症 状 の 巨 大 肝 嚢<br />

胞 に 対 しては 症 状 の 緩 和 目 的 で 手 術 を 施 行 することがあり、 低 侵 襲 治<br />

療 という 観 点 からも 腹 腔 鏡 手 術 のよい 適 応 と 考 える。 今 回 当 院 におけ<br />

る 巨 大 肝 嚢 胞 に 対 する 腹 腔 鏡 手 術 について 検 討 したので 報 告 する。【 対<br />

象 】2008 年 3 月 より 当 院 で 施 行 した 巨 大 肝 嚢 胞 に 対 する 腹 腔 鏡 手 術 8 例 。<br />

【 方 法 】 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 においては 基 本 4~5ポートを 挿 入<br />

し、 電 気 メスで 嚢 胞 壁 を 穿 刺 、 嚢 胞 内 容 を 可 及 的 に 吸 引 する。 嚢 胞 壁<br />

は 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 を 用 いて 可 及 的 に 切 除 していき、 比 較 的 太 い 脈<br />

管 はクリップ 結 紮 、または 縫 合 閉 鎖 ( 自 動 縫 合 器 または 腔 内 結 紮 )して<br />

切 離 する。ドレーンは 原 則 留 置 し、 排 液 が200ml 以 下 になったら 抜 去<br />

している。【 結 果 】7 例 に 肝 嚢 胞 天 蓋 切 除 術 、1 例 に 肝 外 側 区 域 切 除 を<br />

施 行 した。ポート 数 は4-6 個 で 平 均 4.3 個 、 手 術 時 間 は82-273 分 で 平 均<br />

176 分 、 術 後 在 院 日 数 は4-15 日 で 平 均 8.5 日 であった。 合 併 症 は 肝 外 側<br />

区 域 切 除 術 を 施 行 した1 例 に 胆 汁 漏 を 認 め、ENBDですみやかに 改 善 し、<br />

術 後 15 日 目 に 軽 快 退 院 された。また 遷 延 性 腹 水 が2 例 に 認 められたが<br />

ドレーンを 抜 去 しても 特 に 問 題 なく 軽 快 された。 観 察 期 間 は11ヶ 月 か<br />

ら3 年 9ヶ 月 で、 全 例 症 状 の 改 善 が 見 られ、 症 状 の 再 発 を 認 めていない。<br />

【 結 語 】 巨 大 肝 嚢 胞 に 対 する 腹 腔 鏡 手 術 は、 低 侵 襲 であり、 在 院 期 間<br />

も 短 期 間 で、 症 状 の 改 善 は 良 好 であった。 肝 嚢 胞 で 手 術 にいたる 症 例<br />

は 比 較 的 稀 ではあるが、 症 状 が 強 ければ 本 手 術 の 施 行 を 考 慮 すべきで<br />

あると 考 えられた。<br />

P78-3 著 明 な 腹 部 膨 満 を 伴 う 多 発 性 肝 嚢 胞 症 例 をどう 扱 う<br />

かLigaSureを 用 いた 可 及 的 嚢 胞 開 窓 術 の 有 用 性 に<br />

ついて<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 秦 浩 一 郎 , 岡 村 裕 輔 , 八 木 真 太 郎 , 小 川 晃 平 , 川 口 道 也 ,<br />

海 道 利 実 , 上 本 伸 二<br />

多 発 性 肝 嚢 胞 は 常 染 色 体 優 性 遺 伝 病 で、 半 数 が 多 発 性 嚢 胞 腎 を 合 併 す<br />

るが 肝 機 能 は 良 好 に 保 たれることが 多 く、 通 常 治 療 対 象 となることは<br />

少 ない。1) 慢 性 的 な 腹 部 膨 満 、 周 囲 臓 器 の 圧 背 症 状 、2)… 急 性 破 裂 か<br />

嚢 胞 内 部 への 出 血 、3) 稀 ではあるが 腹 水 、 閉 塞 性 黄 疸 、 肝 静 脈 閉 塞 等<br />

が 手 術 適 応 となる。 今 回 、 著 明 な 腹 部 膨 満 を 伴 う 多 発 性 肝 嚢 胞 に 対 し<br />

LigaSure…を 用 いた 可 及 的 嚢 胞 開 窓 術 を 施 行 した2 例 を 提 示 し、 治 療 法<br />

選 択 の 是 非 について 議 論 したい。1)…54 歳 … 男 性 。20 年 前 より 健 診 USに<br />

て 指 摘 。2 年 前 嚢 胞 感 染 併 発 し1 年 前 に 嚢 胞 内 吸 引 ・エタノール 注 入 受<br />

けたが 症 状 改 善 なく 当 科 紹 介 。 上 記 術 後 は 嚢 胞 感 染 から 敗 血 症 に 陥 っ<br />

たり、 遷 延 する 腹 水 貯 留 など 認 めたが 軽 快 し、 外 来 にて 経 過 観 察 中 で<br />

ある。2)…44 歳 … 男 性 。 慢 性 的 な 腹 部 膨 満 を 主 訴 に 近 医 受 診 。 肝 動 脈 塞<br />

栓 術 受 けたが 症 状 徐 々に 増 悪 し 当 科 紹 介 。 上 記 術 後 はやはり 腹 水 貯 留<br />

続 くも 利 尿 剤 で 調 節 可 能 で、 外 来 にて 経 過 観 察 中 である。 共 に 穿 刺 ・<br />

排 液 、エタノール 注 入 や 肝 動 脈 塞 栓 術 が 無 効 であった 症 例 である。 術<br />

後 にも 胆 汁 漏 の 合 併 なく、 画 像 上 10~20%のmass-reduction…と 症 状 の<br />

軽 快 が 得 られ、 社 会 復 帰 可 能 となったことから、 有 用 な 術 式 であると<br />

考 えている。<br />

-470-


P78-4 本 邦 における 多 発 肝 嚢 胞 症 に 対 する 外 科 的 治 療 の 実 態<br />

1<br />

筑 波 大 学 消 化 器 外 科 ・ 移 植 外 科 、 2 東 北 大 学 臓 器 移 植 医 療 部<br />

○… 小 川 光 一 1<br />

, 福 永 潔 1<br />

, 川 岸 直 樹 2 1<br />

, 大 河 内 信 弘<br />

【 背 景 】 多 発 肝 嚢 胞 症 は 肝 内 に 多 数 の 嚢 胞 を 形 成 する 比 較 的 まれな 遺<br />

伝 性 疾 患 であり, 症 例 集 積 が 困 難 なため, 治 療 適 応 および 治 療 方 法 の<br />

選 択 に 苦 慮 することがある.【 目 的 】 全 国 アンケート 調 査 により 本 邦<br />

における 多 発 肝 嚢 胞 症 の 外 科 治 療 の 実 態 を 明 らかにする.【 成 績 】, 多<br />

発 肝 嚢 胞 症 に 対 し 外 科 的 治 療 を 施 行 された100 例 ( 複 数 回 治 療 を 含 めの<br />

べ 治 療 数 110 件 )を 対 象 とした. 男 女 比 6:19, 平 均 年 齢 61.8 歳 , 治 療<br />

適 応 となった 主 な 症 状 は 腹 部 膨 満 73%, 腹 痛 28%であった. 術 式 の 内<br />

訳 は 嚢 胞 開 窓 術 53 件 (48.2%), 肝 切 除 術 44 件 (40%), 肝 移 植 13 件 (11.8%)<br />

であった. 平 均 手 術 時 間 はそれぞれ208.6±110.6 分 ,335.9±96.2 分 ,<br />

1103.8±579.1 分 , 平 均 出 血 量 ( 嚢 胞 内 容 液 含 む)は419.3±869.6ml,1358.1<br />

±1839ml,14521.8±15846.2ml, 平 均 術 後 在 院 日 数 は20.3±19.5 日 ,26.2<br />

±19.8 日 ,51.5±38.9 日 であった. 合 併 症 発 生 率 はそれぞれ28.3%,<br />

31.8%,61.5%,さらにClavien 分 類 GradeIIIb 以 上 の 合 併 症 発 生 率 はそ<br />

れぞれ1.9%,9.1%,15.4%であった. 治 療 効 果 の5 年 継 続 率 はそれぞれ<br />

72.1%,80.0%,84.6%であり, 各 術 式 間 に 有 意 差 は 認 められなかった.<br />

多 発 肝 嚢 胞 症 では 病 型 分 類 (I 型 : 限 局 した 領 域 に 大 きな 嚢 胞 が 存 在 ,<br />

II 型 : 嚢 胞 がびまん 性 に 存 在 するが 肝 実 質 が1 区 域 以 上 残 存 ,III 型 :<br />

無 数 の 嚢 胞 が 肝 両 葉 を 占 拠 し 肝 実 質 がほとんど 残 存 しない)が 用 いら<br />

れ,I 型 には 嚢 胞 開 窓 術 ,II 型 には 肝 切 除 術 ,III 型 には 肝 移 植 が 良 い<br />

適 応 とされている. 本 研 究 での 病 型 別 の 治 療 効 果 5 年 継 続 率 は,I 型 に<br />

対 する 嚢 胞 開 窓 術 79.0%(n=22)…,II 型 に 対 する 肝 切 除 術 90.2%(n=21)…<br />

,III 型 に 対 する 肝 移 植 100%(n=6, 移 植 合 併 症 による 早 期 死 亡 2 例 を 除<br />

く)と 良 好 であった.【 結 論 】 多 発 肝 嚢 胞 症 に 対 する 外 科 的 治 療 は, 病<br />

型 別 治 療 適 応 の 遵 守 により 良 好 な 治 療 成 績 を 得 ることができる.<br />

P78-5 胆 管 内 粘 液 貯 留 に 伴 う 肝 機 能 障 害 を 契 機 に 発 見 された<br />

胆 管 交 通 性 肝 嚢 胞 の1 例<br />

春 日 部 中 央 総 合 病 院 外 科<br />

○… 馬 場 健 , 秋 元 俊 亮 , 小 菅 誠 , 鈴 木 英 之 , 松 田 実<br />

症 例 は80 歳 男 性 。38 度 台 の 発 熱 、 腹 痛 および 食 思 不 振 を 主 訴 に 近 医 受<br />

診 。 血 液 検 査 上 肝 機 能 障 害 、 高 ビリルビン 血 症 を 認 め 当 科 紹 介 となっ<br />

た。 当 科 受 診 時 解 熱 し 症 状 消 失 していたが、 点 滴 静 注 胆 嚢 胆 管 造 影<br />

(DIC-CT)にて 著 明 に 拡 張 した 総 胆 管 および、 総 胆 管 内 に 長 軸 方 向 に<br />

鋳 型 状 の 陰 影 欠 損 部 を 認 め、 肝 臓 ・ 脾 臓 ・ 腎 臓 に 小 嚢 胞 が 散 在 してい<br />

た。 当 科 入 院 後 施 行 した 内 視 鏡 的 逆 行 性 膵 胆 管 造 影 (ERCP)では、 膵<br />

管 の 狭 窄 や 途 絶 は 認 めなかったが、 著 明 に 拡 張 した 総 胆 管 を 確 認 した。<br />

また 総 胆 管 内 へ 造 影 剤 注 入 時 陰 影 欠 損 部 がわずかに 総 胆 管 上 流 へ 移 動<br />

した。 腫 瘍 マーカーはCEAのみ16.0ng/mlと 高 値 であり、 術 前 施 行 し<br />

た 上 部 消 化 管 内 視 鏡 ・ 下 部 消 化 管 内 視 鏡 では 異 常 を 認 めなかった。 著<br />

者 らは 本 症 例 を 巨 大 総 胆 管 結 石 症 と 診 断 し、 内 視 鏡 的 治 療 の 危 険 性 を<br />

考 慮 し 開 腹 総 胆 管 切 開 、 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 術 中 総 胆 管 を 切 開 す<br />

ると、 胆 汁 の 良 好 な 流 出 はなく、ゼリー 状 物 質 が 総 胆 管 内 を 浮 遊 して<br />

いた。ゼリー 状 物 質 除 去 後 、 胆 管 内 を 胆 道 鏡 で 観 察 すると 総 胆 管 およ<br />

び 肝 内 胆 管 に 胆 管 狭 窄 部 や 胆 管 壁 肥 厚 を 認 めず、 肝 内 胆 管 に 肝 嚢 胞 と<br />

の 交 通 を 確 認 した。 手 術 は 総 胆 管 を 単 純 閉 鎖 し 終 了 とし、ゼリー 状 粘<br />

液 物 質 を 細 胞 診 に 提 出 したが、Class1で 悪 性 を 示 唆 する 所 見 は 得 られ<br />

なかった。また 術 後 施 行 したPET-CTでは 肝 門 部 を 含 め 有 意 異 常 集 積<br />

は 認 めなかった。 本 症 例 は 術 前 DIC-CTおよびERCPにて 確 認 できな<br />

かった 胆 管 内 粘 液 貯 留 を 伴 った 胆 管 交 通 性 肝 嚢 胞 を 術 中 胆 道 鏡 で 診 断<br />

した 稀 な 症 例 であり、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P78-6 肝 嚢 胞 腺 癌 との 鑑 別 に 難 渋 した 血 管 腫 様 成 分 を 伴 った<br />

巨 大 肝 嚢 胞 の1 例<br />

京 都 府 立 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 西 村 真 澄 , 生 駒 久 視 , 山 本 有 祐 , 森 村 玲 , 村 山 康 利 ,<br />

小 松 周 平 , 塩 崎 敦 , 栗 生 宜 明 , 中 西 正 芳 , 市 川 大 輔 ,<br />

藤 原 斉 , 岡 本 和 真 , 落 合 登 志 哉 , 國 場 幸 均 ,<br />

大 辻 英 吾<br />

【はじめに】 肝 嚢 胞 性 病 変 において、 嚢 胞 壁 の 肥 厚 、 結 節 成 分 の 存 在 、<br />

嚢 胞 内 出 血 を 疑 わせる 所 見 は、 一 般 的 に 悪 性 を 示 唆 する 所 見 であると<br />

いわれている。 今 回 われわれは、 術 前 画 像 所 見 で 嚢 胞 壁 の 肥 厚 、 壁 在<br />

結 節 成 分 の 存 在 、 嚢 胞 内 出 血 が 疑 われ、 肝 嚢 胞 腺 癌 との 鑑 別 に 難 渋 し<br />

た 血 管 腫 様 成 分 を 伴 った 巨 大 肝 嚢 胞 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

【 症 例 】68 歳 、 男 性 。 糖 尿 病 で 近 医 通 院 中 、 腹 部 超 音 波 検 査 で 肝 内 に<br />

巨 大 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され、 当 院 紹 介 となった。 腹 部 は 平 坦 軟 で 腫 瘤<br />

を 触 知 しなかった。 腫 瘍 マーカーはいずれも 陰 性 であったが、 腹 部 造<br />

影 CTで、 肝 右 葉 に 径 15cm 大 の 境 界 明 瞭 な 腫 瘤 性 病 変 を 認 めた。 腫 瘤<br />

内 部 には 造 影 効 果 を 伴 う 壁 肥 厚 及 び 壁 在 結 節 を 有 する 嚢 胞 成 分 を 認 め<br />

た。 嚢 胞 内 部 には 不 均 一 に 造 影 される 領 域 を 認 め、 嚢 胞 内 出 血 が 疑 わ<br />

れた。 腹 部 MRIでは 嚢 胞 内 腔 は 不 均 一 な 信 号 を 呈 していた。FDG-<br />

PETでは 異 常 集 積 を 認 めなかった。 以 上 の 所 見 より、 嚢 胞 腺 癌 ある<br />

いは 嚢 胞 腺 腫 の 術 前 診 断 で 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 横 隔 膜 と 強 固 に<br />

癒 着 していたため、 嚢 胞 腺 癌 の 横 隔 膜 浸 潤 の 可 能 性 を 考 慮 し 横 隔 膜 を<br />

一 部 合 併 切 除 した。 病 理 組 織 診 断 では、 嚢 胞 周 囲 はコレステロール 肉<br />

芽 腫 と 厚 い 線 維 化 を 認 め、 一 部 石 灰 化 を 伴 っていた。 嚢 胞 内 部 の 大 半<br />

は 凝 血 塊 で、 一 部 に 血 管 腫 様 の 血 管 新 生 変 化 を 認 め、 血 管 腫 様 成 分 を<br />

伴 った 肝 嚢 胞 と 診 断 した。 悪 性 所 見 は 認 められなかった。【 考 察 】 自<br />

験 例 のような 血 管 腫 様 成 分 を 伴 った 肝 嚢 胞 は 稀 な 疾 患 であるが、 肝 嚢<br />

胞 性 病 変 の 鑑 別 として 考 慮 する 必 要 があると 考 える。<br />

P78-7 Kasabach-Merritt 症 候 群 への 移 行 が 危 惧 された 再 発<br />

肝 巨 大 血 管 腫 の1 切 徐 例<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 循 環 器 ・ 呼 吸 器 ・ 消 化 器 制 御 学<br />

○… 基 俊 介 , 菰 方 輝 夫 , 北 薗 巌 , 吉 川 弘 太 , 井 本 浩<br />

【はじめに】 肝 血 管 腫 は、 肝 の 良 性 間 葉 系 腫 瘍 の 中 でも 最 も 頻 度 が 高<br />

く、 直 径 が4cm 以 上 のものは 巨 大 血 管 腫 と 定 義 されている。 多 くは 無<br />

症 状 のことが 多 く 経 過 観 察 とされるが、 腫 瘍 破 裂 の 可 能 性 が 高 いもの、<br />

腫 瘍 の 増 大 傾 向 を 呈 するもの、Kasabach-Merritt… 症 候 群 を 呈 した 場<br />

合 や、 移 行 する 危 険 性 がある 場 合 、また、 悪 性 疾 患 との 鑑 別 が 困 難 な<br />

症 例 は、 肝 切 除 が 選 択 される。 今 回 われわれは、 凝 固 線 溶 系 に 異 常 が<br />

あり、Kasabach-Merritt 症 候 群 へ 移 行 する 危 険 を 伴 った 再 発 肝 巨 大 血<br />

管 腫 の1 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】63 歳 、 男 性 。 既 往 歴<br />

として、20 年 前 に 他 院 で 肝 血 管 腫 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した( 詳 細 不 明 )。<br />

平 成 23 年 10 月 に、 上 腹 部 膨 満 感 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 したところ、 腹 部<br />

超 音 波 検 査 にて 肝 右 葉 を 占 める 巨 大 な 肝 腫 瘍 を 認 めたため 当 院 紹 介 と<br />

なった。 造 影 CTでは、 腫 瘍 は 不 均 一 な 造 影 効 果 を 認 め、 大 きさは 最<br />

大 27cmあった。MRIではT1 強 調 画 像 において 肝 腫 瘍 はlow…densityで<br />

あり、T2 強 調 画 像 ではhigh…densityであった。 肝 予 備 能 は、 肝 障 害 度<br />

A、ICG(R)15…1.9%、アシアロ 肝 シンチグラムLHL15…0.49、HH15…0.96<br />

と 良 好 であった。【 手 術 】 肝 右 葉 を 占 拠 する 巨 大 肝 腫 瘍 で 脱 転 操 作 が<br />

困 難 であったため、 右 開 胸 を 追 加 した。 肝 門 部 で 脈 管 個 別 処 理 を 行 い、<br />

さらに 心 嚢 を 切 開 し、 右 心 房 直 下 および 肝 下 部 下 大 静 脈 をテーピング<br />

し、 完 全 肝 血 流 遮 断 法 を 用 いた。 十 分 な 視 野 展 開 とともに、 前 方 アプ<br />

ローチにて 切 除 可 能 であった。 手 術 時 間 は10 時 間 57 分 で、 自 己 血 輸 血<br />

400cc、RCC…8 単 位 、FFP…14 単 位 を 投 与 した。 摘 出 肝 腫 瘍 の 大 きさは<br />

37×20×10cmで、 重 量 は3710gであり、 病 理 所 見 は 海 綿 状 血 管 腫 であっ<br />

た。 術 後 経 過 は 良 好 で、 第 18 病 日 に 軽 快 退 院 した。【 結 論 】 巨 大 肝 腫<br />

瘍 に 対 する 肝 切 除 では、 開 胸 操 作 の 追 加 による 十 分 な 視 野 展 開 と 共 に、<br />

完 全 肝 血 流 遮 断 法 を 用 いた 血 行 遮 断 で、 安 全 に 切 徐 しうると 考 えらら<br />

れた。<br />

-471-


P78-8 嚢 胞 形 成 を 伴 う 肝 海 綿 状 血 管 腫 の1 切 除 例<br />

1<br />

順 天 堂 大 学 医 学 部 附 属 練 馬 病 院 外 科 、 2 順 天 堂 大 学 医 学 部 附 属<br />

練 馬 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 石 山 隼 1<br />

, 町 田 理 夫 1<br />

, 北 畠 俊 顕 1<br />

, 藤 澤 稔 1<br />

, 児 島 邦 明 1<br />

,<br />

2<br />

松 本 俊 治<br />

症 例 は73 歳 , 女 性 .2011 年 8 月 の 健 康 診 断 で 胸 部 異 常 陰 影 を 指 摘 され<br />

当 院 を 受 診 された. 胸 部 CTで 巨 大 な 肝 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され 精 査 と<br />

なった.CT 上 は 肝 後 区 域 に 造 影 効 果 のある 約 2.4cmの 壁 在 結 節 と, 隔<br />

壁 を 伴 う10cm 大 の 肝 嚢 胞 性 病 変 を 認 めた. 壁 在 結 節 はCTAPでは 造<br />

影 効 果 はなく,CTHAで 点 状 の 濃 染 域 を 含 んでいた.MRI,MRCPで<br />

は 肝 後 区 域 に 主 座 を 置 く 約 10cm 大 の 隔 壁 を 有 する 多 房 性 嚢 胞 性 腫 瘤<br />

を 認 めた. 隔 壁 はT1WIで 高 信 号 を 示 し, 壁 在 結 節 の 存 在 もCT 同 様<br />

に 疑 われた. 嚢 胞 の 内 容 液 はT1WIで 淡 い 高 信 号 ,DWIでも 高 信 号 を<br />

示 し, 胆 管 との 交 通 は 見 られなかった. 血 管 造 影 では 嚢 胞 性 病 変 に 一<br />

致 して 無 血 管 領 域 を 認 めたが, 明 らかな 腫 瘍 濃 染 像 は 見 られなかった.<br />

腫 瘍 マーカーはCA19-9が136.1…U/mlと 高 値 であった. 以 上 より 肝 嚢<br />

胞 腺 腫 あるいは 肝 嚢 胞 腺 癌 の 疑 いで 手 術 を 施 行 した. 手 術 所 見 では 腫<br />

瘍 は 肝 S7を 中 心 に 存 在 し, 周 囲 への 癒 着 , 浸 潤 はなく, 肝 部 分 切 除<br />

術 を 施 行 した. 切 除 検 体 は 最 大 径 12cm 大 の 単 房 性 の 嚢 胞 で, 一 部 内<br />

腔 側 に 出 血 性 の 壁 肥 厚 が 存 在 した. 組 織 学 的 には 海 綿 状 血 管 腫 の 所 見<br />

で, 充 実 性 腫 瘍 は 認 めなかった. 嚢 胞 内 容 は 陳 旧 性 出 血 による 泥 状 の<br />

内 容 液 で,CEAは13.2…ng/ml,CA19-9は99999.9…U/ml 以 上 と 高 値 であっ<br />

た. 肝 海 綿 状 血 管 腫 は 肝 臓 で 認 められる 最 も 多 い 非 上 皮 性 腫 瘍 である<br />

が, 肝 嚢 胞 を 併 存 することは 比 較 的 稀 である. 嚢 胞 壁 に 海 綿 状 血 管 腫<br />

が 発 生 したか,または 通 常 の 海 綿 状 血 管 腫 があり, 同 病 変 が 嚢 胞 性 の<br />

病 変 を 形 成 した 可 能 性 が 考 えられた.<br />

P78-9 巨 大 肝 血 管 腫 に 対 する 肝 切 除<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 付 属 病 院 外<br />

科<br />

○… 平 方 敦 史 1<br />

, 吉 田 寛 1<br />

, 横 山 正 1<br />

, 牧 野 浩 司 1<br />

, 丸 山 弘 1<br />

,<br />

松 下 晃 2<br />

, 高 尾 嘉 宗 1<br />

, 住 吉 宏 樹 1<br />

, 馬 越 通 信 1<br />

, 堀 田 正 啓 1<br />

,<br />

関 奈 紀 1<br />

, 早 川 朋 宏 1 2<br />

, 内 田 英 二<br />

肝 血 管 腫 は 肝 良 性 腫 瘍 の 中 で 最 も 多 く 遭 遇 する 疾 患 であり、 治 療 を 必<br />

要 とするものは 多 くない。しかし10…cm…を 超 える 様 な 巨 大 な 肝 血 管 腫<br />

は 腹 部 症 状 や 凝 固 異 常 を 呈 する 場 合 があり 治 療 を 要 する。 肝 血 管 腫 は<br />

背 景 肝 が 正 常 である 場 合 が 多 く、 比 較 的 安 全 に 肝 切 除 が 施 行 できるも<br />

のと 思 われる。しかし 肝 血 管 腫 は 巨 大 になるにつれて 手 術 リスクが 増<br />

加 し、 凝 固 障 害 の 発 症 リスクも 増 加 する。このため 巨 大 肝 血 管 腫 を 発<br />

見 した 場 合 は、 切 除 を 中 心 とした 加 療 を 早 急 に 考 慮 すべきであると 思<br />

われる。 今 回 、 肝 右 葉 を 占 める 巨 大 肝 血 管 腫 に 対 して 肝 切 除 を 施 行 し<br />

たので 紹 介 する。 症 例 は53 歳 女 性 で、 腹 部 膨 満 感 と 食 欲 不 振 のため 当<br />

科 受 診 となった。CT、MRIにて 肝 右 葉 に 径 27cmの 巨 大 肝 血 管 腫 を 認<br />

め、 下 大 静 脈 を 含 め 周 囲 臓 器 を 圧 排 していた。 術 前 採 血 にて 血 小 板 は<br />

11.3 万 /μlと 減 少 、FDP、Dダイマーは52.1μg/ml、23.64μg/mlとそ<br />

れぞれ 上 昇 し、 凝 固 系 の 異 常 を 示 していた。 以 上 より 加 療 の 適 応 と 考<br />

え、 肝 切 除 に 至 った。 逆 T 字 切 開 にてアプローチし、 開 胸 をせずに 視<br />

野 を 確 保 した。 肝 右 葉 を 脱 転 すべく 肝 腎 間 膜 を 切 離 する 際 、 血 管 腫 が<br />

一 部 破 裂 し 出 血 したため、anterior…approachにて 肝 切 離 を 行 うこと<br />

とした。Pringle 法 にて 流 入 血 流 をコントロールし、 前 方 より 肝 切 離<br />

を 開 始 。 血 管 腫 に 到 達 した 後 、 血 管 腫 に 沿 って 切 離 を 進 めた。 血 管 腫<br />

は 肝 右 葉 からSpiegel 葉 、 門 脈 臍 部 近 傍 まで 達 していたが、 首 座 は 後<br />

区 域 であった。 肝 切 離 中 、 血 管 腫 からの 出 血 量 が 増 加 したためCell…<br />

Saverにて 血 液 を 回 収 した。 血 管 腫 は 右 Glisson 本 幹 、 前 区 域 Glissonを<br />

圧 排 していたが 慎 重 に 剥 離 し、 後 区 域 Glissonのみを 結 紮 切 離 した。<br />

その 後 右 肝 静 脈 を 自 動 縫 合 器 で 切 離 し、 短 肝 静 脈 を 結 紮 切 離 。 血 管 腫<br />

を 摘 出 した。 手 術 時 間 は5 時 間 58 分 、 出 血 量 は7035mlであった。 術 後<br />

は 特 に 問 題 なく 経 過 し、 第 10 病 日 に 退 院 なった。 巨 大 肝 血 管 腫 に 対 し<br />

肝 切 除 を 施 行 したが、 血 管 腫 からの 出 血 コントロール、 圧 排 された 脈<br />

管 の 理 解 が 重 要 であると 思 われた。<br />

P78-10 増 大 傾 向 が 否 定 し 得 ず, 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉 切 除 術 を<br />

施 行 した 症 候 性 肝 血 管 腫 の1 例<br />

1<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 東 京 医 療 センター 外 科 、 2 慶 應 義 塾 大<br />

学 医 学 部 外 科<br />

○… 浦 上 秀 次 郎 1<br />

, 板 野 理 2 1<br />

, 松 本 純 夫<br />

【 症 例 】45 歳 , 男 性 .10 年 前 の 健 診 では 肝 臓 に 異 常 指 摘 なし. 今 年 度<br />

の 健 診 で96mm 大 の 肝 血 管 腫 を 指 摘 . 以 前 より2-3ヶ 月 に1 回 程 度 心 窩<br />

部 ~ 右 側 腹 部 痛 を 自 覚 するとのことで 他 院 から 紹 介 受 診 . 血 液 検 査 で<br />

肝 機 能 , 血 液 凝 固 能 , 腫 瘍 マーカーなど 異 常 所 見 なし. 腹 部 造 影 CT<br />

検 査 で 右 後 区 域 に 右 肝 静 脈 根 部 に 接 して 約 90mm 超 大 の 肝 血 管 腫 に 矛<br />

盾 しない 所 見 . 出 血 徴 候 なし. 明 らかな 悪 性 を 示 唆 する 所 見 なし.3<br />

カ 月 後 のCT 検 査 所 見 も 同 様 であったが, 疼 痛 ・ 疝 痛 の 頻 度 の 悪 化 を<br />

自 覚 . 念 のために 施 行 したFDG-PET 検 査 も 肝 血 管 腫 として 矛 盾 せず.<br />

明 らかな 悪 性 所 見 を 認 めず. 他 に 腹 痛 の 原 因 となり 得 る 検 査 所 見 なし.<br />

誘 因 なく 認 める 腹 痛 からの 離 脱 を 目 的 に, 手 術 を 施 行 .【 手 術 】 体 位<br />

は 左 半 側 臥 位 . 胆 摘 , 右 肝 動 脈 , 門 脈 右 枝 処 理 . 肝 血 管 腫 を 介 して 右<br />

葉 は 右 副 腎 , 後 腹 膜 , 右 横 隔 膜 に 広 範 囲 に 癒 着 しており, 血 管 腫 損 傷<br />

による 出 血 に 十 分 注 意 しながらこれを 剥 離 . 右 葉 脱 転 の 後 , 約 12cm<br />

小 開 腹 を 右 季 肋 下 におき, 腹 腔 鏡 補 助 下 に 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 . 出 血<br />

量 585ml, 手 術 時 間 8 時 間 35 分 .【 経 過 】 術 後 AST/ALT=2000…U/l 超 を<br />

呈 したが 肝 庇 護 剤 投 与 で 改 善 . 経 口 摂 取 開 始 後 38℃の 発 熱 を 認 めたが<br />

CT 検 査 で 異 常 を 認 めず. 術 後 9 日 目 に 軽 快 退 院 . 術 後 2カ 月 現 在 , 軽<br />

度 の 創 痛 を 伴 うが 疝 痛 発 作 は 認 めていない. 病 理 組 織 所 見 は 海 綿 状 血<br />

管 腫 の 像 を 呈 し, 周 囲 肝 組 織 との 境 界 は 比 較 的 明 瞭 な 部 分 が 多 いが 部<br />

分 的 にはやや 不 明 瞭 であるものの, 悪 性 所 見 は 認 めず.【 考 察 】 肝 血<br />

管 腫 はほとんどが 無 症 状 であり, 剖 検 時 や 画 像 検 査 時 に 偶 然 発 見 され<br />

ることが 多 いが,4cm 以 上 のものを 巨 大 肝 血 管 腫 と 定 義 し, 症 状 を 伴<br />

うことがあるとも 言 われている. 以 前 の 健 診 で 異 常 指 摘 がないことか<br />

ら 増 大 傾 向 を 否 定 し 得 ず, 症 候 性 を 呈 した 巨 大 肝 血 管 腫 の1 腹 腔 鏡 手<br />

術 例 を 経 験 した.<br />

P78-11 肝 巨 大 血 管 腫 の 手 術 経 験<br />

1<br />

土 浦 協 同 病 院 外 科 、 2 東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 総 合 外 科<br />

○… 伊 東 浩 次 1<br />

, 滝 口 典 聡 1<br />

, 平 沼 進 1<br />

, 田 中 真 二 2<br />

,<br />

有 井 滋 樹<br />

2<br />

最 近 6 年 間 に9 例 の 肝 巨 大 血 管 腫 の 手 術 例 を 経 験 したので 報 告 する。9<br />

例 中 8 例 が 女 性 であり、 大 きさも9 例 中 7 例 が10cm 以 上 の 巨 大 な 腫 瘍 で<br />

あった。10cm 以 下 の 症 例 であった1 例 は 肝 外 発 育 型 で、もう1 例 は 増<br />

大 傾 向 を 認 めた9.3cm 大 の 症 例 であった。6 例 で 肝 葉 切 除 が 施 行 され、<br />

肝 外 発 育 型 の1 例 では 腹 腔 鏡 下 の 肝 切 除 が 施 行 された。 組 織 型 は8 例 が<br />

cavernous…hemangiomaであったが1 例 はcapillary…hemangiomaであり、<br />

肝 細 胞 癌 との 術 前 鑑 別 診 断 が 問 題 となった。Capillary…hemangioma<br />

を 除 く8 例 の 平 均 年 齢 は48 歳 で、 比 較 的 若 年 に 多 かった。 肝 葉 切 除 特<br />

に 右 葉 切 除 の 際 には、hanging 用 のテーピングを 併 用 した 前 方 切 除 が<br />

有 用 であった。 症 例 1…45 歳 女 性 。2002 年 5 月 の 検 診 で 肝 腫 瘤 を 指 摘 され、<br />

近 医 受 診 。 肝 後 区 域 の7cm 大 の 血 管 腫 を 指 摘 され 経 過 観 察 となる。そ<br />

の 後 次 第 に 増 大 し、2004 年 4 月 及 び11 月 にTAEを 施 行 した。2005 年 6<br />

月 には15cm 大 まで 腫 瘍 が 増 大 し 当 科 を 紹 介 された。 術 前 、 貧 血 、 血<br />

小 板 減 少 、FDP 及 びDダイマーの 上 昇 を 認 め、Kasabach-Merritt 症 候<br />

群 と 呈 した。8 月 下 旬 、hanging…maneuverを 用 いた 前 方 アプローチで<br />

肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 は1550gで、 術 後 血 液 データも 改<br />

善 し、 第 17 病 日 退 院 。 症 例 2…75 歳 女 性 。2005 年 5 月 検 診 のエコーで 肝<br />

左 葉 の 腫 瘍 を 指 摘 され、CTで 血 管 腫 と 診 断 され 経 過 を 観 察 していた。<br />

2006 年 4 月 に 右 下 腹 部 痛 と 腫 瘍 の 増 大 を 認 め、 当 科 に 紹 介 となった。<br />

S2に9.1cm、S5/6に6.4cmの 肝 外 発 育 型 血 管 腫 を 認 め、 同 年 5 月 腹 腔 鏡<br />

下 肝 部 分 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 第 11 病 日 退 院 となる。<br />

-472-


P79-1 肝 細 胞 癌 術 後 再 発 に 対 するCOX-2 阻 害 剤 Meloxicam<br />

投 与 162 例 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 龍 知 記 , 高 見 裕 子 , 立 石 昌 樹 , 和 田 幸 之 , 才 津 英 樹<br />

【 背 景 と 目 的 】 肝 細 胞 癌 ( 以 下 HCC)は 術 後 高 率 に 再 発 するため、そ<br />

の 予 後 を 向 上 させるためには 従 来 の 早 期 発 見 、 早 期 治 療 に 加 え、 再 発<br />

抑 制 療 法 が 極 めて 重 要 である。 今 回 われわれは、HCC 術 後 再 発 に 対<br />

してCOX-2 阻 害 剤 を 投 与 し、その 再 発 抑 制 効 果 について 検 討 したので<br />

報 告 する。 【 対 象 と 方 法 】2006 年 12 月 から2010 年 12 月 までにHCC 術<br />

後 再 発 に 対 してCOX-2 阻 害 剤 (Meloxicam…15mg/day)を 投 与 した236<br />

例 中 、 当 院 で 初 回 手 術 (マイクロ 波 凝 固 壊 死 療 法 または 肝 切 除 )を 施 行<br />

した162 例 を 対 象 として、 投 与 開 始 から 半 年 後 の 画 像 評 価 にてその 抗<br />

腫 瘍 効 果 をmodified…RECIST 基 準 を 用 いて 判 定 し、COX-2 阻 害 剤 の 治<br />

療 効 果 が 術 後 生 存 率 の 向 上 に 寄 与 するかどうかを 検 討 した。162 例 の<br />

平 均 年 齢 は68.4 歳 、 男 女 比 は4:1、 背 景 肝 はHCV116 例 、HBV20 例 、<br />

非 B 非 C 型 22 例 、 肝 機 能 はChild-Pugh…A146 例 、B16 例 、 投 与 開 始 時 の<br />

平 均 腫 瘍 個 数 は1.8 個 (1-25 個 )、 平 均 腫 瘍 径 は11.0mm(7-27mm)であっ<br />

た。…【 結 果 】Meloxicam 投 与 半 年 後 の 治 療 効 果 はCRが3 例 、PRが10 例 、<br />

SDが49 例 、PDが96 例 で あ り、 奏 効 率 (CR+PR)は8.2%、Tumor…<br />

control…rate(CR+PR+SD)は39.2%であった。162 例 中 123 例 に 追 加 治<br />

療 を 行 ったが、PD 群 (86 例 )ではMeloxicam 内 服 開 始 から 再 治 療 まで<br />

の 平 均 観 察 期 間 が295 日 であったのに 対 し、CR+PR+SD 群 (37 例 )は<br />

625 日 であった(P


P79-5 肝 切 除 後 の 再 発 に 対 する 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法 (TACE)の<br />

予 後 予 測 因 子<br />

1<br />

慶 應 義 塾 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 、 2 慶 應 義 塾 大 学 放 射 線 診 断<br />

科<br />

○… 筒 井 りな 1 , 板 野 理 1<br />

, 田 邉 稔 1<br />

, 河 地 茂 行 1<br />

, 篠 田 昌 宏 1<br />

,<br />

北 郷 実 1<br />

, 八 木 洋 1<br />

, 小 黒 草 太 2<br />

, 井 上 政 則 2<br />

, 中 塚 誠 之 2<br />

,<br />

橋 本 統 2<br />

, 栗 林 幸 夫 2 1<br />

, 北 川 雄 光<br />

【 緒 言 】 肝 細 胞 癌 の 治 療 は 飛 躍 的 に 進 歩 してきており、 現 在 、 有 効 な<br />

治 療 法 として 確 立 されているのは、 手 術 療 法 、 肝 動 脈 化 学 塞 栓 療 法<br />

(TACE)、 局 所 療 法 である。 肝 細 胞 癌 は 肝 内 微 小 転 移 巣 からの 再 発 と<br />

多 中 心 性 再 発 があり、その 再 発 率 は 非 常 に 高 い。 再 発 および 再 々 発 に<br />

対 し 繰 り 返 し 治 療 を 施 行 している 症 例 では、その 治 療 法 の 選 択 は 確 立<br />

されていない。 今 回 我 々は、 手 術 施 行 後 の 再 発 肝 細 胞 癌 症 例 に 対 し、<br />

TACE、 局 所 療 法 ( 手 術 を 含 む)を 施 行 した 群 に 層 別 化 し、その 予 後 予<br />

測 因 子 について 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 ・ 方 法 】2007 年 7 月 以 降<br />

にTACEを 施 行 した 全 128 例 を 遡 り、 当 院 にて、 初 回 治 療 として 肝 切<br />

除 を 施 行 し、その 後 に 再 発 を 来 した 肝 細 胞 癌 患 者 38 例 を 対 象 とした。<br />

対 象 患 者 は、 術 後 再 発 に 対 する 治 療 としてTACE 群 および 局 所 療 法 ( 手<br />

術 療 法 、ラジオ 波 焼 灼 療 法 、マイクロ 波 凝 固 壊 死 療 法 ) 群 の2 群 に 分 類<br />

した。 今 回 は 術 後 再 発 に 対 しTACEを 施 行 した26 例 に 対 し、その 初 回<br />

再 発 期 間 および 再 発 に 対 してTACEを 施 行 した 後 の 再 発 期 間 と、 病 理<br />

組 織 学 的 因 子 との 相 関 関 係 を 検 討 した。【 結 果 】 患 者 は 男 34 例 、 女 4 例<br />

の 計 38 例 で、 背 景 肝 疾 患 はHBV…10 例 、HCV…16 例 、アルコール 性 肝<br />

硬 変 …6 例 、NASH…3 例 、 不 明 3 例 で あ っ た。Child-Pugh…A……36 例 、<br />

Child-Pugh…B……2 例 であった。 手 術 療 法 後 の 初 回 再 発 に 対 し、TACE<br />

施 行 群 26 例 に 関 して、その 初 回 再 発 期 間 は、Stage3/4 期 (TNM 分 類 )、<br />

隔 壁 形 成 あり(Sf…+)、 門 脈 侵 襲 あり(Vp+)にて 有 意 に 短 かった。また、<br />

TACE 施 行 後 の 再 発 (2 回 目 )に 対 して、TACE 施 行 群 は16 例 であり、<br />

その 再 発 期 間 は、 門 脈 侵 襲 あり(Vp+)、 肝 内 転 移 あり(im+)にて 有 意<br />

に 短 かった。 尚 、 初 回 再 発 に 対 してTACEを 施 行 した7 例 、 初 回 再 発<br />

に 対 して 局 所 療 法 を 施 行 した1 例 については 現 時 点 で 再 発 を 認 めてい<br />

ないが、 今 後 さらなる 経 過 観 察 が 必 要 であると 思 われた。【 考 察 ・ 結 語 】<br />

病 理 組 織 学 的 所 見 による 門 脈 侵 襲 の 有 無 は、 再 発 期 間 に 影 響 する 因 子<br />

としての 有 意 性 が 示 唆 された。 今 後 さらなる 症 例 の 集 積 を 行 い、 初 回<br />

手 術 療 法 後 の 再 発 に 対 するTACEの 有 効 性 について 検 証 する 余 地 があ<br />

ると 考 えられた。<br />

P79-6 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 する 再 肝 切 除 術 の 治 療 成 績<br />

横 浜 市 立 大 学 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 熊 本 宜 文 , 田 中 邦 哉 , 野 尻 和 典 , 森 隆 太 郎 , 谷 口 浩 一 ,<br />

松 山 隆 生 , 武 田 和 永 , 上 田 倫 夫 , 杉 田 光 隆 , 遠 藤 格<br />

【 目 的 】 当 科 では、 肝 細 胞 癌 術 後 再 発 症 例 に 対 して、 肝 機 能 が 保 たれ、<br />

肝 切 除 で 根 治 性 の 得 られる 場 合 には 肝 切 除 を 施 行 している。 今 回 、 肝<br />

細 胞 癌 術 後 再 発 症 例 に 対 する 再 肝 切 除 術 の 治 療 成 績 とその 有 効 性 を 検<br />

討 した。【 方 法 】1992 年 から2011 年 までに 当 科 で 施 行 された 肝 切 除 症<br />

例 388 例 中 、 治 癒 切 除 症 例 338 例 を 対 象 とした。【 結 果 】338 例 中 203 例<br />

(60.1%)が 再 発 し、そのうち29 例 に 再 肝 切 除 を 施 行 した。 再 肝 切 除 (RH)<br />

群 29 例 と、 初 回 肝 切 除 (IH) 群 338 例 と 比 較 すると、RH 群 では 有 意 に<br />

最 大 腫 瘍 径 が 小 さく、 腫 瘍 個 数 が 少 なく、 脈 管 浸 潤 も 少 ない 傾 向 にあっ<br />

た。1 年 、3 年 、5 年 生 存 率 はRH 群 で96.9%、79.9%、55.0%、IH 群 で<br />

91.5%、71.9%、53.3%であり、 両 群 に 有 意 差 を 認 めなかった。 再 肝<br />

切 除 症 例 の 予 後 不 良 因 子 は 初 回 肝 切 除 時 のvp 陽 性 (Hazard 比 13.5……p<<br />

0.011)と、 再 発 時 血 小 板 12 万 /μl 以 下 (Hazard 比 6.34…p


P79-9 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除 術 をお<br />

こなった2 例<br />

愛 知 医 科 大 学<br />

○… 有 川 卓 , 安 田 顕 , 藤 崎 宏 之 , 小 竹 克 博 , 永 田 博 ,<br />

野 浪 敏 明<br />

【はじめに】 肝 細 胞 癌 は 初 回 治 療 後 も 再 発 の 頻 度 が 高 く 複 数 回 の 治 療<br />

を 要 することが 多 い。 再 発 時 の 治 療 の 選 択 も 種 々の 条 件 により 多 様 で<br />

ある。そして 再 発 時 治 療 の 効 果 が 肝 細 胞 癌 の 予 後 を 大 きく 左 右 する。<br />

今 回 、 我 々は 門 脈 腫 瘍 栓 (PVTT)を 伴 う 再 発 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 切 除<br />

術 をおこなった2 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】76 才 、 男 性 。6<br />

年 前 にC 型 慢 性 肝 炎 、S8 単 発 HCCの 診 断 で 肝 部 分 切 除 術 施 行 。 翌 年 に<br />

S5に 再 発 しTACE 施 行 。フォローアップCTで 前 区 域 にPVTTを 伴 う<br />

再 発 HCC(S8)を 認 めた。 術 前 肝 予 備 能 はChild-Pugh…5 点 、ICG…R15は<br />

5.1%と 保 たれていた。PVTTは 前 後 区 域 分 岐 部 にまで 達 しており 術 前<br />

PVTTに 対 して 放 射 線 照 射 を 行 なった。 治 療 は 肝 右 葉 切 除 術 を 行 い 術<br />

後 経 過 は 良 好 で18 日 目 に 退 院 。 現 在 術 後 無 再 発 生 存 中 (1 年 )であ<br />

る。 【 症 例 2】69 才 、 男 性 。4 年 前 にS6 単 発 HCCの 診 断 で 肝 部 分 切 除<br />

術 を 施 行 。1 年 後 に 多 発 再 発 を 認 めTACEを5 回 繰 り 返 していた。 最 後<br />

のTACE 後 3ヶ 月 後 のCTで 肝 右 葉 に 多 発 再 発 と 右 門 脈 本 幹 に 達 する<br />

PVTTを 認 めた。 術 前 肝 予 備 能 はChild-Pugh…5 点 、ICG…R15は17.8%で<br />

あった。 本 例 も 術 前 にPVTTに 放 射 線 照 射 を 行 なった。 手 術 待 機 中 に<br />

急 速 な 腫 瘍 の 増 悪 を 認 めたがPVTTの 進 展 は 認 めなかった。 術 中 所 見<br />

で 外 側 区 域 にも 数 個 の 小 病 変 を 認 めたが 拡 大 右 葉 切 除 術 を 行 い、 外 側<br />

区 域 の 病 変 は 術 後 の 回 復 を 待 って2 期 的 に 治 療 する 方 針 とした。 術 後<br />

経 過 は 良 好 で11 日 目 に 退 院 。した。【まとめ】PVTTを 伴 う 再 発 肝 細<br />

胞 癌 の2 例 に 対 して 肝 予 備 能 も 保 たれていたので 術 前 PVTTに 放 射 線<br />

照 射 を 行 い 肝 切 除 術 を 行 なった。 特 に 術 後 合 併 症 も 無 く 経 過 良 好 で<br />

あった。1 例 は 現 在 も 無 再 発 生 存 中 である。【 結 語 】PVTTを 伴 うよう<br />

な 高 度 進 行 再 発 肝 細 胞 癌 においても 肝 予 備 能 が 許 せば 積 極 的 な 肝 切 除<br />

により 予 後 の 改 善 が 期 待 される。<br />

P79-10 5 回 の 切 除 により 腫 瘍 制 御 中 のHCCの1 例<br />

横 浜 労 災 病 院 外 科<br />

○… 田 崎 健 太 郎 , 大 島 郁 也 , 篠 藤 浩 一 , 松 村 聡 ,<br />

尾 崎 正 彦<br />

症 例 は46 歳 、 女 性 。2005 年 3 月 の 検 診 目 的 の 腹 部 超 音 波 検 査 にて、 肝<br />

左 葉 に 腫 瘤 性 病 変 を 指 摘 された。 肝 炎 マーカーは 陰 性 で、 腫 瘍 マーカー<br />

の 上 昇 (PIVKA…1930mAU/ml、AFP…143.6ng/ml)を 認 めたことから<br />

精 査 目 的 に 当 院 紹 介 受 診 。 腹 部 超 音 波 検 査 では、 肝 S2を 中 心 とした<br />

境 界 明 瞭 な4cm 大 の 低 エコー 域 を 認 めた。 血 管 造 影 CTでは、CTAに<br />

て 造 影 早 期 から 造 影 効 果 の 増 強 する4cm 大 の 腫 瘤 を 肝 外 側 区 域 に 認 め<br />

た。 原 発 性 肝 細 胞 癌 を 疑 い2005 年 6 月 に 肝 拡 大 外 側 区 域 切 除 術 ( 初 回 )<br />

施 行 した。 切 除 標 本 の 病 理 所 見 は 中 分 化 型 HCCであった。BMI…31.4<br />

であり 腹 部 超 音 波 による 肝 臓 の 検 索 が 困 難 であること、 気 管 支 喘 息 の<br />

既 往 のあることを 考 慮 してMRIによる 定 期 的 な 経 過 観 察 を 行 っていた。<br />

2007 年 6 月 のMRIにて 肝 S4に 腫 瘤 を 認 め、 採 血 上 PIVKA…98.0mAU/ml<br />

と 上 昇 認 めたために、HCC 再 発 の 診 断 にて2007 年 8 月 に 肝 部 分 切 除 術<br />

(2 回 目 ) 施 行 した。 病 理 学 的 には 中 分 化 型 HCCであった。2008 年 7 月<br />

のMRIにて 肝 S8に 腫 瘤 を 認 め、 採 血 上 PIVKA…82.0mAU/mlと 上 昇 認<br />

めたために、HCC 再 発 の 診 断 にて2008 年 8 月 に 肝 部 分 切 除 術 (3 回 目 )<br />

施 行 した。 病 理 学 的 には 中 分 化 型 HCCであった。またこの 際 原 発 性<br />

肺 癌 に 対 してVATSも 施 行 した。2009 年 1 月 のMRIにて 肝 S8に 腫 瘤 を<br />

認 め、 採 血 上 PIVKA…63.0mAU/mlと 上 昇 認 めた。この 腫 瘤 は 腹 部 超<br />

音 波 にて 描 出 可 能 であったこと、および 気 管 支 喘 息 が 憎 悪 していたこ<br />

ともあり、2009 年 2 月 にPEIT 施 行 した。PIVKAは 低 下 していたが<br />

2009 年 3 月 のMRIにて 腫 瘤 増 大 傾 向 となったことから、HCC 再 発 の 診<br />

断 にて2009 年 4 月 に 肝 部 分 切 除 術 (4 回 目 ) 施 行 した。 病 理 学 的 には 中 分<br />

化 型 HCCであった。2010 年 5 月 のMRIにて 肝 S8に 腫 瘤 を 認 め、 採 血 上<br />

PIVKA…45.0mAU/mlと 上 昇 認 めたために、HCC 再 発 の 診 断 にて2010<br />

年 7 月 に 肝 部 分 切 除 術 (5 回 目 ) 施 行 した。 病 理 学 的 には 中 分 化 型 HCC<br />

であった。 最 終 手 術 から1 年 4ヶ 月 後 の 現 在 、 明 らかなる 再 発 兆 候 を 認<br />

めていない。HCCに 対 するRepeat…Hepatectomyの 有 用 性 が 報 告 され<br />

ているが、5 回 以 上 の 切 除 を 行 っている 報 告 は 認 められない。 早 期 診<br />

断 早 期 治 療 が 奏 功 したRepeat…Hepatectomy… を 行 ったHCCの1 例 を 経<br />

験 したので 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P79-11 重 粒 子 線 治 療 後 の 肝 細 胞 癌 に 対 し 肝 切 除 を 施 行 した1<br />

例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 武 内 祥 子 , 有 泉 俊 一 , 小 竹 将 , 山 本 伸 , 米 田 五 大 ,<br />

加 藤 孝 章 , 大 森 亜 紀 子 , 高 橋 豊 , 小 寺 由 人 , 片 桐 聡 ,<br />

江 川 裕 人 , 山 本 雅 一<br />

症 例 は79 歳 、 男 性 。 平 成 9 年 に 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 炎 (NASH)、<br />

糖 尿 病 と 診 断 された。 平 成 22 年 7 月 に 溶 血 性 貧 血 と 肝 腫 瘍 を 認 めた。<br />

肝 腫 瘍 は50mm 大 の 被 膜 を 有 する 腫 瘍 で、 造 影 CT 早 期 相 で 高 吸 収 、<br />

後 期 相 で 低 吸 収 となり、 肝 細 胞 癌 と 診 断 した。 肝 機 能 はChild-PughA、<br />

AFP6、PIVKA48であった。 併 存 疾 患 として 頻 回 の 輸 血 を 必 要 とする<br />

溶 血 性 貧 血 認 めた。 骨 髄 穿 刺 行 うも 確 定 診 断 には 至 らなかった。 溶 血<br />

性 貧 血 を 合 併 することから、 重 粒 子 線 治 療 を 行 った。45GyE/2 回 。<br />

有 害 事 象 なし。 腫 瘍 は 縮 小 傾 向 認 め、 治 療 後 7ヵ 月 のCTで28mm 大 ま<br />

で 縮 小 し、 造 影 CT 早 期 相 で 低 吸 収 であり、PIVKAは 正 常 範 囲 内 まで<br />

低 下 した。しかし、 平 成 23 年 7 月 ( 治 療 後 10カ 月 )、 造 影 CT 早 期 相 で 内<br />

部 が 高 吸 収 となり、PIVKAの 上 昇 を 認 めた。 腫 瘍 に 遺 残 があるため<br />

当 科 入 院 と な っ た。 肝 機 能 はChild-PughA、ICG22%、AFP5、<br />

PIVKA236であった。 造 影 CTで 腫 瘍 径 は2.7cm、 動 脈 相 で 高 吸 収 、 平<br />

衡 相 で 低 吸 収 、また 腫 瘍 周 囲 の 非 腫 瘍 部 は 動 脈 相 で 低 吸 収 、 平 衡 相 で<br />

高 吸 収 であった。EOB-MRIでは 肝 細 胞 相 で 取 り 込 み 低 下 を 認 めた。<br />

3DCTによる 予 想 後 区 域 量 は97mlであった。 診 断 時 、 溶 血 性 貧 血 は 改<br />

善 していた。 重 粒 子 線 治 療 後 の 遺 残 病 変 に 対 して、 肝 後 区 域 切 除 術 施<br />

行 。 後 区 域 は 著 名 に 萎 縮 し、 切 除 標 本 95gであった。 周 囲 に 炎 症 性 瘢<br />

痕 組 織 認 めた。 切 除 標 本 で 肉 眼 的 に 腫 瘍 径 21mm、 単 純 結 節 周 囲 増 殖 型 。<br />

病 理 組 織 学 的 には 索 状 型 肝 細 胞 癌 を 認 めた。 術 後 経 過 良 好 で、 合 併 症<br />

なく 退 院 。 今 回 、 重 粒 子 線 治 療 後 の 遺 残 肝 細 胞 癌 に 対 し 肝 切 除 を 施 行<br />

した1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P80-1 当 科 における 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 成 績 と 術 前<br />

TACEの 意 義<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講 座 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科<br />

大 学 外 科 学 講 座<br />

○… 脇 山 茂 樹 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

,<br />

伊 藤 隆 介 1<br />

, 後 町 武 志 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

,<br />

石 田 祐 一 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

【 背 景 】 径 10cm 以 上 の 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 する 根 治 的 治 療 法 は 肝 切 除<br />

に 限 られるが、その 合 併 症 や 予 後 は 必 ずしも 満 足 できるものではない。<br />

また 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 する 術 前 TACEの 意 義 についても 明 らかではな<br />

い。【 目 的 】 当 科 における 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 する 治 療 成 績 及 び 術 前<br />

TACEの 意 義 を 検 討 する。【 対 象 ・ 方 法 】2000 年 1 月 から2010 年 3 月 ま<br />

でに 肝 切 除 術 を 施 行 した 初 発 肝 細 胞 癌 中 、 腫 瘍 径 10cm 以 上 (Group…I:<br />

n=14)と5cm 以 下 の 初 発 肝 細 胞 癌 切 除 症 例 (Group…II:n=104)につき、<br />

1) 手 術 因 子 、 生 存 率 、 無 再 発 生 存 率 、 合 併 症 発 生 率 につき 比 較 検 討 。2)…<br />

Group…Iの 予 後 不 良 因 子 を 検 討 。3)Group…I( 術 前 TACE 施 行 群 :n=4…/…<br />

TACE 未 施 行 群 :n=10)における 術 前 TACEの 意 義 を 検 討 。【 結 果 】1)<br />

Group…IではGroup…IIに 比 して、 有 意 に 手 術 時 間 が 長 く、 出 血 及 び 輸<br />

血 量 が 多 かった(P


P80-2 当 科 における10cm 以 上 の 巨 大 肝 細 胞 癌 切 除 例 の 検 討<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科<br />

○… 入 江 工 , 中 村 典 明 , 藍 原 有 弘 , 伴 大 輔 , 落 合 高 徳 ,<br />

工 藤 篤 , 田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 対 象 と 方 法 】2000 年 4 月 から2011 年 10 月 までに, 当 科 における 肝 細<br />

胞 癌 初 回 切 除 508 例 のうち 大 きさが10cm 以 上 の 巨 大 肝 細 胞 癌 47 例 につ<br />

いて 臨 床 病 理 学 的 特 徴 と 予 後 について 検 討 した.【 結 果 】 年 齢 :68<br />

(35-84) 歳 , 男 / 女 :37/10 例 ,HBV/HCV:14/13 例 ,Child-PughA/B:<br />

43/4,ICG15R:13.1(4-67.4)%, 背 景 肝 NL/CH/LC:10/26/11, 単 発 /<br />

複 数 :28/19, 最 大 径 :11.0(10.0-26.0)cm,AFP:92.8(2.3-430300),<br />

PIVKAII:9430(1-427940), 切 除 範 囲 Hr0/S/1/2:2/1/9/29/6,vp+vv<br />

(+):40 例 (85.1%),pSM(+):13 例 (27.7%), 全 例 MST:45.5ヶ 月 ,<br />

3/5 年 生 存 率 :50.2/37.6%であった.AFP400 以 上 /400 未 満 でMST:<br />

21.1/85.5ヶ 月 (p=0.08), 顕 微 鏡 的 脈 管 浸 潤 (+)/(-)でMST:45.3/10.6<br />

カ 月 (p=0.50), 単 発 / 複 数 でMST:85.5/45.3ヶ 月 (p=0.51),pSM(+)/<br />

(-)でのみMST:17.6/85.5ヶ 月 (p=0.02)と 有 意 差 を 認 めた.【 結 語 】<br />

10cm 以 上 の 巨 大 HCC 切 除 例 の 大 多 数 に 顕 微 鏡 的 脈 管 浸 潤 を 認 めたが,<br />

十 分 なSMが 確 保 されていれば 予 後 が 期 待 できる.<br />

P80-3 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 切 除 の 工 夫<br />

1<br />

遠 賀 中 間 医 師 会 おんが 病 院 救 急 総 合 診 療 科 、 2 遠 賀 中 間 医 師 会<br />

おんが 病 院 外 科<br />

○… 末 廣 剛 敏 1<br />

, 皆 川 亮 介 2 2<br />

, 杉 町 圭 蔵<br />

【はじめに】 肝 臓 は 沈 黙 の 臓 器 といわれ、 巨 大 化 して 初 めて 発 見 され<br />

る 肝 腫 瘍 も 少 なくない。 今 回 、われわれが 通 常 行 っている 巨 大 肝 腫 瘍<br />

に 対 する 肝 切 除 の 工 夫 について 症 例 を 提 示 し 報 告 する。【 方 法 】われ<br />

われが 行 っている 肝 切 除 時 の 皮 膚 切 開 は 剣 状 突 起 から 臍 上 部 まで 上 腹<br />

部 正 中 切 開 を 長 くおき、そこより 右 へ 肋 骨 と 腸 骨 の 中 間 まで 延 ばす 逆<br />

L 字 切 開 である。 左 方 へは 皮 膚 切 開 は 伸 ばさず 開 胸 も 併 用 しない。また、<br />

吊 り 上 げ 法 は 術 中 に 肝 臓 と 下 大 静 脈 の 間 に 幅 5mmの 布 テープを2 本 通<br />

して 行 っており、 状 況 に 応 じて 脱 転 を 先 行 させる 場 合 と 脱 転 に 先 行 し<br />

てテープを 通 す 場 合 とがある。 切 除 は 虚 血 15 分 開 放 5 分 の 繰 り 返 しで、<br />

CUSAもしくはペアンにて 施 行 している。【 症 例 1】80 歳 女 性 。HCV 陽<br />

性 。 肝 右 葉 全 体 を 占 める12x17cmの 肝 細 胞 癌 に 対 し 拡 大 右 葉 切 除 を 施<br />

行 。 逆 L 字 切 開 で 開 腹 し 左 方 への 切 開 ならびに 開 胸 は 行 なわなかった。<br />

右 葉 を 十 分 に 脱 転 し 下 大 静 脈 前 面 の 短 肝 静 脈 を 半 周 以 上 に 渡 り 処 理 し<br />

た 後 にテープを 通 し 吊 り 上 げ 切 除 を 行 った。 手 術 時 間 235 分 、 出 血 量<br />

250g。【 症 例 2】82 歳 男 性 。HCV 陽 性 。 下 大 静 脈 への 腫 瘍 栓 を 伴 う 肝<br />

右 葉 に 径 10cmの 肝 細 胞 癌 。リピオドリゼーション 施 行 し 腫 瘍 栓 縮 小<br />

後 に 拡 大 右 葉 切 除 術 施 行 。 逆 L 字 切 開 で 開 腹 し 左 方 への 切 開 ならびに<br />

開 胸 は 行 なわなかった。ある 程 度 脱 転 しテープを 通 し 短 肝 静 脈 処 理 後<br />

吊 り 上 げ 切 除 施 行 。 手 術 時 間 305 分 …、 出 血 量 :460g【 症 例 3】70 歳 女 性 。<br />

門 脈 、 下 大 静 脈 を 巻 き 込 む 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 し 右 三 区 域 切 除 門 脈 下 大<br />

静 脈 合 併 切 除 人 口 血 管 再 建 施 行 。 逆 L 字 切 開 に 左 方 への 切 開 を 加 えた<br />

が 開 胸 は 行 なわなかった。テープで 吊 り 上 げ 切 除 後 に 右 葉 を 脱 転 し 下<br />

大 静 脈 とともに 切 除 した。 手 術 時 間 716 分 、 出 血 量 820g。【 症 例 4】49<br />

歳 男 性 。HCV 陽 性 。 肝 右 葉 の 径 16cmの 肝 細 胞 癌 に 対 し 肝 拡 大 右 葉 切<br />

除 術 施 行 。 逆 L 字 切 開 で 開 腹 し 左 方 への 切 開 ならびに 開 胸 は 行 なわな<br />

かった。 右 葉 を 十 分 に 脱 転 後 テープを 通 し 吊 り 上 げ 切 除 施 行 。 手 術 時<br />

間 485 分 、 出 血 量 960g。【まとめ】われわれの 巨 大 腫 瘍 に 対 する 肝 切<br />

除 時 に 行 っている 工 夫 をビデオを 含 めて 紹 介 する。<br />

P80-4 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 切 除 におけるhanging<br />

maneuverの 有 用 性 について<br />

札 幌 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 目 黒 誠 , 水 口 徹 , 川 本 雅 樹 , 中 村 幸 雄 , 太 田 盛 道 ,<br />

今 村 将 史 , 西 舘 敏 彦 , 木 村 康 利 , 古 畑 智 久 ,<br />

平 田 公 一<br />

【 背 景 】 巨 大 肝 腫 瘍 では 腫 瘍 への 栄 養 血 管 の 発 達 から 肝 切 離 中 の 出 血<br />

量 増 大 や 肝 脱 転 操 作 の 手 技 的 困 難 性 などが 問 題 となる。 巨 大 肝 腫 瘍 に<br />

対 する 肝 切 除 術 において 肝 切 離 を 先 行 させる 前 方 アプローチ 法 は 腫 瘍<br />

からの 揉 み 出 しによる 腫 瘍 散 布 を 低 減 できるメリットが 期 待 されてい<br />

る.われわれは 以 前 より 前 方 アプローチ 法 に 際 し 可 能 な 症 例 には<br />

hanging…maneuver 法 を 用 いて 肝 離 断 をしている.【 目 的 】 巨 大 肝 腫 瘍<br />

に 対 する 肝 切 除 症 例 の 特 徴 と 手 術 手 技 を 検 討 する.【 対 象 と 方 法 】<br />

2003 年 4 月 から2011 年 6 月 までに 当 科 で 施 行 した 巨 大 肝 腫 瘍 ( 径 10cm 以<br />

上 ) 切 除 症 例 29 例 ( 男 性 20 例 )と 腫 瘍 径 10cm 未 満 296 例 について 検 討 し<br />

た.【 結 果 】10cm 以 上 群 の 平 均 年 齢 は61.3±12.8 歳 であった.…HCC17 例 ,<br />

転 移 性 肝 癌 3 例 , 肝 血 管 腫 3 例 , 肝 エキノコックス 症 3 例 ,CCC1 例 , 血 管 筋 脂<br />

肪 腫 1 例 ,embryonal…sarcoma1 例 で, 平 均 最 大 腫 瘍 径 は127±24mmで<br />

あった. 平 均 手 術 時 間 は503±248 分 ,… 平 均 出 血 量 は1,253±1,148…gであっ<br />

た.…10cm 未 満 ( 平 均 最 大 腫 瘍 径 35±19…mm) 群 では 有 意 に, 平 均 手 術 時<br />

間 は373±154 分 と 短 く, 出 血 量 は536±563…gと 少 なかった(p<<br />

0.001).10cm 以 上 群 の 術 式 の 内 訳 はHr1=8 例 ,Hr2=19 例 ,Hr3=2 例 であっ<br />

た.…10cm 以 上 群 で 肝 離 断 時 にhanging…maneuver(modifiedを 含 む)を<br />

用 いた 症 例 は15/29(52%)であった. 術 後 合 併 症 は 術 後 胆 汁 瘻 2 例 , 創 離<br />

開 2 例 , 胸 水 貯 留 4 例 .10cm 以 上 群 のHr2 症 例 19 例 中 ,hanging…maneuver<br />

を 用 いた 症 例 13 例 (68%)と 未 施 行 群 6 例 とで 出 血 量 の 比 較 をすると<br />

1,017±556…vs.…2,358±2,275…gで 有 意 にhanging…maneuver 施 行 群 で 少<br />

なかった(p


P80-6 巨 大 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 右 三 区 域 切 除<br />

千 葉 大 学 臓 器 制 御 外 科 学<br />

○… 竹 内 男 , 清 水 宏 明 , 吉 留 博 之 , 大 塚 将 之 , 加 藤 厚 ,<br />

吉 富 秀 幸 , 古 川 勝 規 , 高 屋 敷 吏 , 久 保 木 知 , 鈴 木 大 亮 ,<br />

中 島 正 之 , 宇 野 秀 彦 , 高 橋 誠 , 木 村 文 夫 , 宮 崎 勝<br />

【 緒 言 】 大 型 の 肝 腫 瘍 に 対 する 肝 右 三 区 域 切 除 は、 特 に 右 肝 に 首 座 を<br />

おく 腫 瘍 が 内 側 区 域 に 進 展 して 門 脈 臍 部 に 迫 っているような 症 例 では<br />

よい 適 応 となる。 手 術 手 技 としては 肝 門 部 の 脈 管 の 処 理 、 右 肝 の 脱 転<br />

と 短 肝 静 脈 処 理 、 肝 離 断 、 主 肝 静 脈 処 理 に 要 約 される。また、 腫 瘍 が<br />

左 Glisson 鞘 に 接 して 存 在 している 場 合 には 左 肝 管 が 全 長 にわたって<br />

露 出 され 胆 管 損 傷 による 術 後 の 胆 汁 瘻 と 胆 管 狭 窄 が 危 惧 されるため、<br />

当 科 では 基 本 的 に 胆 管 内 ステントを 留 置 している。 本 術 式 に 対 する 基<br />

本 手 技 をビデオで 供 覧 する。【 症 例 】62 歳 、 女 性 。8 年 前 に 胃 GISTに<br />

対 して 胃 部 分 切 除 の 既 往 あり。10cmを 越 える 肝 腫 瘤 を 指 摘 され 当 科<br />

紹 介 。CTでは 肝 右 葉 から 内 側 区 域 にかけて 早 期 相 より 造 影 される 最<br />

大 径 15cm 大 の 腫 瘍 を 認 めた。GIST 肝 転 移 の 診 断 で 肝 右 三 区 域 切 除 を<br />

企 図 したが 残 肝 容 量 が190cm …3… と 不 足 しており、 右 門 脈 塞 栓 術 を 施 行<br />

し 残 肝 容 量 が371…cm …3… まで 肥 大 し、 切 除 に 臨 んだ。 肝 門 処 理 では 肝<br />

十 二 指 腸 間 膜 左 側 の 剥 離 は 必 要 以 上 に 行 わず 右 肝 動 脈 を 結 紮 切 離 、 左<br />

右 門 脈 をtapingした 後 に 右 門 脈 を 結 紮 した。 右 肝 の 脱 転 では 短 肝 静 脈<br />

処 理 を 十 分 に 行 い、RHV・MHVの 間 にhanging…maneuver 用 の<br />

penroseドレンを 挿 入 した。 続 いて 門 脈 臍 部 を 開 き 内 側 区 域 へ 向 かう<br />

脈 管 を 処 理 し、Pringle 下 にCUSAを 用 いて 肝 切 離 開 始 。 左 肝 管 の 剥<br />

離 を 丁 寧 に 進 め 右 肝 管 、 右 門 脈 を 切 離 。 続 いてhangingにて 肝 を 挙 上<br />

し 出 血 をコントロールしながら 肝 切 離 を 進 め、MHV、RHVを 処 理 し<br />

標 本 を 摘 出 した。 胆 道 リークテストを 行 い、 胆 管 狭 窄 予 防 のためステ<br />

ントを 留 置 した。 手 術 時 間 は3 時 間 47 分 、Pringle 時 間 は27 分 、 出 血 量<br />

は770gで 無 輸 血 であった。 胆 管 ステントは 術 後 3ヶ 月 で 抜 去 し、 現 在<br />

imatinib 服 用 中 で 無 再 発 である。【 結 語 】 慎 重 な 右 肝 脱 転 操 作 と<br />

hanging…maneuverを 用 いた 肝 挙 上 によって 安 全 に 手 術 施 行 可 能 で<br />

あった。 本 例 のように 腫 瘍 が 左 Glisson 鞘 に 近 接 している 場 合 、 左 肝<br />

管 を 温 存 するために 細 心 の 注 意 を 払 って 剥 離 操 作 を 進 めることが 肝 要<br />

で、 標 本 摘 出 後 に 必 ず 胆 管 リークテストを 行 って 術 後 胆 汁 瘻 発 症 を 予<br />

防 し、 狭 窄 が 懸 念 される 場 合 は 胆 管 ステントを 留 置 して 胆 道 内 の 減 圧<br />

を 図 ると 共 に 狭 窄 を 予 防 することが 必 要 である。<br />

P80-7 当 院 での 巨 大 肝 腫 瘍 3 切 除 例<br />

川 口 市 立 医 療 センター 外 科<br />

○… 水 谷 貴 久 , 中 林 幸 夫 , 関 根 速 子 , 成 廣 哲 史 , 平 松 友 雅 ,<br />

渡 部 通 章 , 大 塚 正 彦<br />

当 院 で 施 行 した3 例 の 巨 大 肝 腫 瘍 切 除 例 を 報 告 する.【 症 例 1】50 代 , 男<br />

性 . 転 移 性 肝 癌 .< 経 過 > 直 腸 癌 による 腸 閉 塞 で 入 院 .… 肝 右 葉 に11×<br />

10cmの 単 発 肝 転 移 あり. 経 肛 門 的 イレウス 管 挿 入 時 の 穿 孔 でS 状 結 腸<br />

に 双 孔 式 人 工 肛 門 造 設 . 全 身 状 態 改 善 後 , 直 腸 切 除 術 施 行 .< 直 腸 病 理 ><br />

moder-diff.adenoca.…tub2,a1,ly1,v1,inf…b.T3N2H2M0,stage4< 検 査 所 見<br />

>ICG14%, 肝 障 害 度 A,…CEA…23.7ng/ml,CA19-9…4.1U/ml< 肝 切 除 > 肝<br />

転 移 に 対 する 術 前 化 学 療 法 としてmFOLFOX6を5コース 施 行 したが<br />

腫 瘍 は21×19cmに 増 大 . 直 腸 切 除 後 7.5ヶ 月 後 に 拡 大 肝 右 葉 切 除 術 施<br />

行 . 切 除 肝 重 量 :2860g. 出 血 量 :2455g. 手 術 時 間 :8 時 間 54 分 . 胆 汁 漏 を<br />

生 じたがENBD 留 置 により 軽 快 し53 日 目 に 退 院 .【 症 例 2】70 代 , 男 性 . 原<br />

発 性 肝 癌 .< 経 過 > 右 鼠 径 ヘルニアにて 紹 介 . 肝 機 能 障 害 を 認 め 精 査 追<br />

加 . 腹 部 CTで 肝 右 葉 に21×11×11cmの 単 発 肝 細 胞 癌 を 認 めた.< 検 査<br />

所 見 >HBs 抗 原 (-)HCV 抗 体 (-),アルコール 多 飲 歴 なし.ICG9.4%, 肝<br />

障 害 度 A,…AFP49048ng/ml,CEA6.3ng/ml,CA19-9…111.4U/ml,< 肝 切 除<br />

> 鼠 径 ヘルニア 修 復 術 を 先 行 し,11 日 後 に 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 . 切 除 肝<br />

重 量 :3050g. 出 血 量 :10170g. 手 術 時 間 :7 時 間 2 分 < 病 理 >poorly…diff.…<br />

hepatocellular…carcinoma.Eg,fc+,fc-inf+,sf-,s0,vp0,vv0,va0,b0,im0,SM-<br />

,T3N0M0,stage3 合 併 症 なく 術 後 17 日 目 に 退 院 .【 症 例 3】60 代 , 男 性 . 転<br />

移 性 肝 癌 .< 経 過 > 右 上 腹 部 腫 瘤 にて 近 医 を 受 診 . 腹 部 CTにて 肝 外 側 区<br />

域 に17×12cmの 単 発 腫 瘤 を 認 めた. 腹 部 造 影 CT, 大 腸 内 視 鏡 検 査 等 に<br />

てS 状 結 腸 癌 , 肝 転 移 と 診 断 した.< 検 査 所 見 >ICG8.8%, 肝 障 害 度 A,…<br />

AFP5.8ng/ml,CEA102.6ng/ml,CA19-9…0.6U/ml,< 手 術 > 一 期 的 に 高 位<br />

前 方 切 除 術 、 肝 左 葉 切 除 術 施 行 . 切 除 肝 重 量 :2190g. 出 血 量 :1900g. 手<br />

術 時 間 :9 時 間 2 分 < 大 腸 病 理 >moder…diff.…tublar…adenoca.tub2,int.inf…<br />

b,ly1,v1,T3N1H2M0,stage4. 術 後 麻 痺 性 イレウスとなったが, 保 存 的 に<br />

軽 快 , 術 後 23 日 目 に 退 院 . 肝 腫 瘍 に 対 する 治 療 選 択 は, 肝 外 病 変 , 肝 予 備 能 ,<br />

脈 管 浸 潤 , 腫 瘍 数 , 腫 瘍 径 にて 決 定 される. 症 例 は3 例 全 て, 単 発 病 変 , 肝 障<br />

害 度 Aで 切 除 可 能 と 判 断 した. 各 々の 術 式 の 工 夫 を 含 め, 若 干 の 文 献 的<br />

考 察 を 加 え 報 告 する.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P80-8 IVCを 圧 排 する 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 し,TAEおよびTIPE<br />

後 に 右 肝 切 除 した1 例<br />

山 梨 大 学 第 一 外 科<br />

○… 雨 宮 秀 武 , 松 田 政 徳 , 大 菊 正 人 , 細 村 直 弘 , 川 井 田 博 充 ,<br />

板 倉 淳 , 藤 井 秀 樹<br />

【はじめに】 巨 大 肝 細 胞 癌 に 対 する 根 治 的 治 療 は 肝 切 除 であるが, 過<br />

大 な 肝 切 除 による 術 後 肝 不 全 や 低 い 治 癒 切 除 率 から 予 後 は 不 良 である.<br />

肝 切 除 にIVR 治 療 や 放 射 線 療 法 など 併 用 した 集 学 的 治 療 が 必 要 とされ<br />

る. 今 回 , 我 々は,3 回 のTAEとTIPEを 施 行 した 後 に, 無 輸 血 で 右<br />

肝 切 除 により 根 治 切 除 が 可 能 であった 症 例 を 経 験 したので 報 告 する.<br />

【 症 例 】70 歳 , 男 性 .2010 年 8 月 , 健 診 の 腹 部 超 音 波 検 査 で, 右 肝 に<br />

約 15cmの 腫 瘤 を 指 摘 され, 当 院 第 一 内 科 を 受 診 した.HCV 抗 体 陰 性 ,<br />

HBs 抗 原 陰 性 ,HBc 抗 体 陰 性 で, 糖 尿 病 とアルコール 多 飲 歴 があった.<br />

腹 部 CT 検 査 , 腹 部 MRI 検 査 により 肝 細 胞 癌 と 診 断 された. 腫 瘍 径 は<br />

18x14cmで 単 発 だった. 同 年 9 月 , 手 術 目 的 で 当 科 を 紹 介 受 診 した.<br />

CT-volumetryで 右 肝 は50.1%,ICG-R15は17.9%だった. 右 肝 の 巨 大<br />

な 肝 細 胞 癌 は,IVCを 高 度 に 圧 排 し 肝 切 除 時 に 大 量 出 血 が 予 想 される<br />

ことも 考 慮 し,TAEによる 腫 瘍 の 縮 小 をはかり, 肝 切 除 を 施 行 する<br />

方 針 とした. 計 3 回 のTAEにより, 肝 細 胞 癌 は15x12cmに 縮 小 し, 同<br />

時 に 禁 酒 および 糖 尿 病 コントロールにより,ICG-R15は10.9%まで 改<br />

善 した. 新 規 病 変 の 出 現 はなく,2011 年 2 月 ,TIPE 施 行 し, 同 年 3 月 ,<br />

hanging…maneuverを 併 用 した 右 肝 切 除 を 施 行 した. 手 術 時 間 は690 分 ,<br />

腹 水 を 含 め 出 血 量 は2020mlで 無 輸 血 だった. 術 後 6か 月 経 過 し, 無 再<br />

発 生 存 中 である.【 考 察 】 巨 大 肝 細 胞 癌 の 非 切 除 例 の 予 後 は 極 めて 不<br />

良 である. 長 期 予 後 をめざすには, 膨 大 な 腫 瘍 量 の 一 括 摘 徐 が 必 要 で<br />

ある.しかし, 巨 大 肝 細 胞 癌 の 肝 切 除 には, 腹 壁 , 横 隔 膜 への 浸 潤 ,<br />

IVCの 圧 排 , 肝 動 脈 以 外 からの 栄 養 血 管 の 存 在 , 脱 転 が 困 難 など, 視<br />

野 展 開 が 不 十 分 になり 大 量 出 血 が 危 惧 されること, 広 汎 な 肝 切 除 によ<br />

る 術 後 肝 不 全 など 問 題 点 が 多 い.IVCを 圧 排 する 原 発 性 肝 癌 に 対 する<br />

右 肝 切 除 は 大 量 出 血 の 危 険 があるとの 報 告 もある. 大 量 出 血 や 輸 血 は,<br />

術 後 合 併 症 による 短 期 的 な 予 後 だけでなく, 再 発 に 関 する 長 期 的 な 予<br />

後 にも 関 与 するとされている. 今 回 我 々は, 大 量 出 血 の 予 想 される 巨<br />

大 肝 細 胞 癌 に 対 し,TAEによる 腫 瘍 の 縮 小 ,さらにTIPEによる 切 除<br />

量 の 減 少 をはかり, 根 治 的 な 右 肝 切 除 が 無 輸 血 で 安 全 に 施 行 すること<br />

ができた.<br />

P80-9 エリスロポイエチン 産 生 による 多 血 症 を 伴 った 巨 大 肝<br />

細 胞 癌 の1 切 除 経 験<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 臓 器 再 生 外 科 学 講 座<br />

○… 佐 藤 直 哉 , 土 屋 貴 男 , 見 城 明 , 穴 澤 貴 行 , 芳 賀 淳 一 郎 ,<br />

佐 藤 哲 , 木 村 隆 , 斎 藤 拓 朗 , 後 藤 満 一<br />

肝 細 胞 癌 の 腫 瘍 随 伴 性 症 候 群 として 赤 血 球 増 多 症 が 知 られ, 全 体 の3<br />

~12%に 合 併 するといわれている.その 病 態 は 不 明 な 点 が 多 いが, 腫 瘍<br />

が 産 生 するエリスロポイエチン( 以 下 EPO)が 関 与 しているとする 報<br />

告 がある. 今 回 我 々は 高 EPO 血 症 による 多 血 症 を 伴 う 肝 細 胞 癌 の1 切<br />

除 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】69 歳 男 性 . 肝 炎 ウイルス 感 染<br />

の 既 往 無 く, 飲 酒 歴 は 機 会 飲 酒 程 度 で 喫 煙 歴 もなかった.【 現 病 歴 】 主<br />

訴 は 認 めず, 検 診 で 肝 機 能 異 常 を 指 摘 され, 腹 部 USにて 肝 右 葉 に 巨 大 腫<br />

瘤 認 め, 精 査 目 的 に 当 科 紹 介 となった. 腹 部 造 影 dynamic…CTでは 肝 右 葉<br />

前 区 域 を 占 める14cm 大 の 腫 瘍 性 病 変 を 認 め, 右 横 隔 膜 下 に 突 出 してい<br />

た. 腫 瘍 は 中 心 壊 死 を 伴 い, 辺 縁 が 動 脈 相 で 濃 染 され 平 衡 相 でwash…out<br />

される 造 影 効 果 を 認 めた. 血 液 生 化 学 的 所 見 では 腫 瘍 マーカーが<br />

AFP13050ng/ml,PIVKA-2…15866mAU/mlと 著 明 に 高 値 を 示 し,さらに<br />

赤 血 球 数 719 万 /mm3,Hb16.8g/dl,Hct52.0%, 血 清 EPO…89.5mU/mlと 上<br />

昇 を 認 めた. 以 上 から 多 血 症 と 高 EPO 血 症 を 伴 う 肝 細 胞 癌 の 診 断 にて<br />

外 科 的 切 除 の 方 針 となった.【 入 院 経 過 】 腫 瘍 が 中 肝 静 脈 を 左 方 に 圧<br />

排 し,さらに 部 分 的 にumbilical…portionにも 近 接 していたが, 術 式 は 肝 左<br />

葉 内 側 域 の 腹 側 を 出 来 るだけ 温 存 する 拡 大 肝 右 葉 切 除 術 ( 切 除 率<br />

58.7%)とした. 逆 L 字 切 開 にて 開 腹 したが, 腫 瘍 が 巨 大 であり 肝 右 葉 の<br />

脱 転 操 作 に 制 限 があったため, 前 方 アプローチにて 肝 切 離 を 行 った. 病<br />

理 組 織 所 見 では 腫 瘍 は 被 膜 を 有 し,かつ 末 梢 門 脈 に 浸 潤 を 伴 う 中 分 化<br />

型 肝 細 胞 癌 の 診 断 であった. 術 後 の 多 血 症 改 善 と 血 清 EPO 値 の 正 常 化<br />

を 認 めたことから 腫 瘍 より 産 生 されたEPOが 多 血 症 の 原 因 であると<br />

診 断 した. 術 後 21 日 目 に 軽 快 退 院 され, 術 後 2ヶ 月 現 在 無 再 発 生 存 中 であ<br />

る.【 考 察 】 過 去 の 報 告 によれば, 肝 細 胞 癌 においてEPO 産 生 による<br />

多 血 症 合 併 症 例 の 予 後 は, 発 症 後 1 年 に 満 たず 極 めて 不 良 である.ただし<br />

治 療 法 毎 に 検 討 してみると, 外 科 的 切 除 例 の 中 には 長 期 生 存 例 も 認 め<br />

られ, 動 脈 塞 栓 療 法 例 と 比 較 すると 若 干 予 後 は 改 善 されていた.【 結 語 】<br />

EPO 産 生 性 肝 細 胞 癌 は 診 断 時 に 腫 瘍 径 が 大 きいことが 多 く 肝 切 除 の<br />

難 易 度 は 高 いが, 可 能 な 限 り 安 全 な 術 前 計 画 のもと 外 科 的 切 除 が 望 ま<br />

しいと 思 われた.<br />

-477-


P80-10 ゴルフの 練 習 を 契 機 に 広 範 な 被 膜 下 血 腫 をきたした 肝<br />

細 胞 癌 破 裂 の1 例<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 嘉 山 貴 文 , 鈴 木 昌 八 , 落 合 秀 人 , 村 上 智 洋 , 片 橋 一 人 ,<br />

神 藤 修<br />

腹 腔 内 出 血 を 惹 き 起 こすことなく、 肝 被 膜 下 出 血 に 留 まる 肝 細 胞 癌 破<br />

裂 の 症 例 報 告 は 少 ないが、 適 切 な 治 療 法 を 講 じないと 早 期 に 腹 膜 再 発<br />

を 生 じる 危 険 性 がある。 我 々はゴルフの 練 習 後 に 広 範 な 被 膜 下 血 腫 を<br />

きたした 肝 細 胞 癌 破 裂 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は47 歳 の<br />

男 性 。20 年 前 にB 型 肝 炎 キャリアであることを 指 摘 されたが 放 置 して<br />

いた。3 年 前 に 肝 機 能 障 害 を 指 摘 されたが、 画 像 的 に 肝 内 に 腫 瘍 性 病<br />

変 なく、 定 期 的 な 経 過 観 察 は 行 われなかった。 平 成 22 年 8 月 、ゴルフ<br />

の 練 習 から 帰 宅 後 に 突 然 の 上 腹 部 ~ 右 背 部 痛 があり、 近 医 を 受 診 した。<br />

腹 部 CTにて 肝 S7を 主 座 とした 肝 細 胞 癌 の 破 裂 による 腹 腔 内 出 血 と 考<br />

え、 他 院 に 転 送 され 右 肝 動 脈 塞 栓 術 を 施 行 された。その 後 状 態 が 安 定<br />

し、 手 術 目 的 で 当 院 紹 介 となった。PIVKA-IIは1130…mAU/mlと 上 昇<br />

していた。 当 院 での 腹 部 CTおよびMRIでは、S7を 中 心 とした8cm 大<br />

の 肝 細 胞 癌 と 右 横 隔 膜 下 血 腫 を 認 め、1 月 後 に 肝 細 胞 癌 破 裂 の 診 断 で<br />

開 腹 した。 腹 腔 内 には 血 性 腹 水 はなかったが、 肝 右 葉 被 膜 は 大 量 の 血<br />

性 貯 留 物 で 緊 満 していた。 肝 S7 腫 瘍 部 は 横 隔 膜 と 強 固 に 癒 着 していた。<br />

腫 瘍 細 胞 の 散 布 を 防 ぐため、 肝 拡 大 右 葉 切 除 および 右 横 隔 膜 部 分 切 除<br />

術 を 施 行 し、en…blocに 切 除 した( 切 除 検 体 2350g)。 病 理 組 織 学 的 には、<br />

肝 S7に 発 生 した 中 分 化 型 肝 細 胞 癌 が 右 横 隔 膜 下 の 裸 区 域 に 破 裂 し 大<br />

きな 被 膜 下 血 腫 を 形 成 していたが、 横 隔 膜 への 直 接 浸 潤 はなかった。<br />

経 過 は 良 好 で 術 後 19 日 目 に 退 院 した。 肝 切 除 後 1 年 2 月 、 腫 瘍 マーカー<br />

の 上 昇 なく、 無 再 発 生 存 中 である。 同 様 な 症 例 の 文 献 的 考 察 を 加 えて<br />

報 告 する。<br />

P80-11 肝 内 破 裂 した 肝 細 胞 癌 の1 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科<br />

○… 八 島 玲 , 千 田 峻 , 岡 田 良 , 小 山 善 久 , 竹 之 下 誠 一<br />

肝 細 胞 癌 の 破 裂 は 死 亡 率 が50%にも 及 ぶ 予 後 不 良 な 病 態 で、 肝 細 胞<br />

癌 の 死 亡 原 因 の 約 10%を 占 める。。 今 回 我 々は 肝 細 胞 癌 からの 出 血 が<br />

肝 内 のみにとどまり、TAEにて1 次 止 血 を 行 われた 後 に 当 科 に 紹 介 さ<br />

れ、 待 機 的 に 肝 切 除 を 行 った 症 例 を 経 験 したのでする。 症 例 は73 歳<br />

の 男 性 。ウイルス 性 肝 炎 の 既 往 なく、アルコールは 機 会 飲 酒 。7 月 18<br />

日 夜 、 急 な 背 部 痛 を 愁 訴 に 夜 間 診 療 所 を 受 診 、 肝 機 能 異 常 を 指 摘 され<br />

後 日 近 医 診 を 指 示 された。7 月 20 日 に 近 医 を 受 診 し 発 熱 も 指 摘 され、<br />

精 査 加 療 目 的 に 当 院 消 化 器 内 科 を 紹 介 され 受 診 した。 初 診 時 の 腹 部 超<br />

音 波 検 査 では 肝 臓 に 内 部 不 均 一 な 低 エコー 腫 瘍 を 認 め、 肝 膿 瘍 も 疑 わ<br />

れたため 同 日 入 院 した。CTにて 右 葉 前 区 とS4に 高 吸 収 を 示 す 部 分 と<br />

その 周 囲 に 低 吸 収 示 す 部 分 が 混 在 した 病 変 を 認 め、 膿 瘍 あるいは 肝 内<br />

出 血 した 肝 細 胞 癌 が 疑 われた。 腫 瘍 マーカーではPIVKA2が262と 上<br />

昇 しており、 造 影 超 音 波 ではS8に40mm 大 の 低 エコー 腫 瘍 を 認 め、<br />

HCCに 典 型 的 な 造 影 パターンが 得 られた。CT 所 見 と 併 せて、 同 部 の<br />

肝 細 胞 癌 の 破 裂 による 肝 被 膜 下 ・ 肝 実 質 に 限 局 した 出 血 と 診 断 された。<br />

また、 針 生 検 を 施 行 された 結 果 、 中 分 化 型 の 肝 細 胞 癌 と 診 断 された。<br />

7 月 27 日 IVRにてA8よりTAIおよびTACEを 施 行 された。 手 術 目 的 に8<br />

月 2 日 当 科 紹 介 され 初 診 。 手 術 に 際 しては 病 変 の 首 座 のS8のみならず、<br />

癌 細 胞 の 散 布 の 可 能 性 がある 肝 内 出 血 が 及 んだ 部 分 も 含 めて 切 除 する<br />

ことにした。8 月 23 日 に 肝 右 葉 に 対 してPTPEを 行 い、9 月 8 日 に 手 術<br />

を 施 行 。 開 腹 所 見 では 肝 皮 膜 は 保 たれており 腹 腔 内 への 出 血 の 所 見 は<br />

なかった。 発 症 から 約 50 日 を 経 過 していたため 肝 内 の 血 腫 はほとんど<br />

吸 収 されており、 術 中 超 音 波 検 査 でも 血 腫 の 跡 と 思 われる 低 エコー 領<br />

域 をわずかに 認 めるのみであった。 術 式 は 拡 大 肝 右 葉 切 除 術 + 肝 S4a<br />

部 分 切 除 術 となった。 術 後 経 過 はおおむね 良 好 であった。 肝 細 胞 癌<br />

の 終 末 期 像 として 肝 細 胞 癌 の 破 裂 による 腹 腔 内 出 血 はよく 知 られてい<br />

るが、 肝 内 への 出 血 は 珍 しい。 本 性 例 は 出 血 が 肝 の 皮 膜 下 にとどまっ<br />

ており、 肝 内 の 出 血 部 位 もen…blockに 切 除 されており、 比 較 的 良 好 な<br />

予 後 が 期 待 できると 思 われる。<br />

P81-1 多 発 肝 膿 瘍 に 対 して 術 前 エンドトキシン 吸 着 療 法 を 施<br />

行 した 肝 内 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 皆 川 昌 広 , 黒 崎 功 , 高 野 可 赴 , 滝 沢 一 泰 , 森 本 悠 太 ,<br />

仲 野 哲 矢<br />

【 背 景 】 胆 道 癌 においては 不 適 切 な 胆 道 ドレナージが 肝 切 除 を 困 難 に<br />

する 場 合 ある. 今 回 , 肝 S4に 発 生 した 無 黄 疸 の 肝 内 胆 管 癌 に 対 し 左<br />

側 からのドレナージを 施 行 され、 膿 瘍 形 成 まで 到 った 症 例 を 経 験 した.<br />

本 症 例 は 敗 血 症 性 ショックまで 呈 したため 術 前 エンドトキシン 吸 着 療<br />

法 を 施 行 し、 病 態 の 安 定 を 図 りつつ 切 除 となった. 本 報 告 にて 術 前 管<br />

理 上 の 問 題 点 および 手 術 手 技 的 な 工 夫 , 注 意 点 などについてビデオを<br />

使 った 供 覧 したい.【 症 例 】 症 例 は72 歳 女 性 、 肝 機 能 異 常 により 近 医<br />

にて 精 査 したところ、CT 上 左 肝 管 腫 瘤 による 胆 管 閉 塞 および 門 脈 臍<br />

部 から 末 梢 の 造 影 不 良 があり、 肝 内 胆 管 癌 + 門 脈 浸 潤 が 疑 われた. 胆<br />

管 拡 張 に 対 する 処 置 として 前 医 にて 術 前 に 肝 左 葉 からPCTDが 留 置 さ<br />

れたところ、 肝 膿 瘍 形 成 と 持 続 性 の 発 熱 が 出 現 、さらに 術 前 待 機 中 に<br />

敗 血 症 を 発 症 した.ICU 管 理 としてPMXを 施 行 、 病 態 の 安 定 を 待 ち、<br />

ICU 入 室 から3 日 後 に 拡 大 左 葉 切 除 を 施 行 した.【 手 術 手 順 】 膵 頭 部 脱<br />

転 からNo13リンパ 節 郭 清 ・ 総 胆 管 切 離 後 、No12リンパ 節 を 郭 清 、 肝<br />

動 脈 を 前 後 枝 まで 露 出 した 後 に 左 肝 動 脈 を 結 紮 切 離 した. 門 脈 の 左 右<br />

分 岐 部 付 近 に 腫 瘍 浸 潤 していると 判 断 、 浸 潤 部 門 脈 を 切 離 し、 肝 切 離<br />

前 に 門 脈 再 建 を 先 行 させた. 肝 脱 転 を 行 い、 中 左 肝 静 脈 根 部 にテーピ<br />

ング、 器 械 にて 肝 静 脈 を 切 離 した. 血 行 処 理 先 行 後 、 肝 切 離 を 行 い 最<br />

後 に 右 胆 管 を 切 離 した. 胆 管 断 端 陰 性 を 確 認 、 胆 道 再 建 を 行 い 手 術 を<br />

終 了 した( 手 術 時 間 9:03、 出 血 量 780ml).【 病 理 ・ 術 後 】 膿 瘍 形 成 を<br />

伴 う 胆 管 癌 (wel,mod)で、 門 脈 は 周 囲 の 高 度 線 維 化 による 炎 症 性 狭 窄<br />

であった. 術 後 、 深 部 血 栓 症 を 発 症 したがそれ 以 外 の 合 併 症 はなく 退<br />

院 した.【まとめ】 敗 血 症 まで 呈 した 多 発 肝 膿 瘍 合 併 肝 内 胆 管 癌 に 対 し、<br />

血 行 処 理 先 行 の 拡 大 左 葉 切 除 術 を 行 った 症 例 を 経 験 した. 肝 門 部 に 癒<br />

合 性 炎 症 が 伴 っており、 慎 重 な 肝 門 部 処 理 を 要 した.また 膿 瘍 形 成 が<br />

ある 場 合 、 菌 の 血 行 流 入 をしないような 慎 重 な 肝 操 作 が 必 要 など、 通<br />

常 の 胆 管 癌 手 術 に 比 べ、 注 意 すべき 点 が 多 かった. 我 々は 肝 内 ・ 肝 門<br />

部 胆 管 癌 に 関 しては 血 行 処 理 を 先 行 させるようにしているが、 今 回 、<br />

血 行 処 理 を 先 行 させた 術 式 が 有 用 であったと 考 えられる 症 例 であった.<br />

P81-2 術 前 胆 汁 細 胞 診 で 扁 平 上 皮 癌 細 胞 が 検 出 された、 肝 内 胆<br />

管 癌 ( 腺 扁 平 上 皮 癌 )の1 切 除 例<br />

大 阪 府 済 生 会 吹 田 病 院<br />

○… 岩 崎 寿 光 , 寒 原 芳 浩 , 寺 井 祥 雄<br />

【 症 例 】65 歳 男 性 。【 現 病 歴 】 嘔 吐 ・ 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 当 院 受 診 。 黄 疸 、<br />

右 季 肋 部 に 圧 痛 を 認 め、 入 院 精 査 となる。 血 液 検 査 で 炎 症 反 応 、 直 接<br />

型 優 位 のビリルビン 値 の 上 昇 、 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 、CA19-9… 値 (335U/<br />

ml)… の 上 昇 を 認 めた。 腹 部 造 影 CT 検 査 で 肝 門 部 左 側 に 境 界 不 明 瞭 な<br />

径 4cmの 低 濃 度 域 を 認 めた。 肝 内 胆 管 は 拡 張 、 総 肝 管 内 に 造 影 される<br />

陰 影 を 認 め、 出 血 ・ 腫 瘍 を 疑 った。リンパ 節 転 移 は 認 めず。ERCPで、<br />

左 肝 管 から 総 肝 管 に 渡 り 長 径 …22mm… に 及 ぶ 透 瞭 像 を 認 めた。ENBD…<br />

tube… を 右 葉 胆 管 に 留 置 した。 採 取 した 胆 汁 は 血 性 で、 異 型 扁 平 上 皮<br />

細 胞 を 孤 立 性 から 小 集 塊 状 に 認 めた。 腺 系 の 異 型 細 胞 は 認 めず。 肝<br />

S4 原 発 の 肝 内 胆 管 癌 で 総 肝 管 まで 胆 管 内 進 展 を 来 たした、 肝 内 胆 管<br />

癌 と 診 断 した。 組 織 型 は 悪 性 度 が 高 い 扁 平 上 皮 癌 を 疑 った。 平 成 22 年<br />

12 月 20 日 に 開 腹 術 を 行 った。【 手 術 所 見 】 肝 S4 原 発 腫 瘍 は 径 6cm 大 に<br />

及 び、S5に 径 3cm 大 の 肝 内 転 移 病 変 を 認 めた。 術 中 超 音 波 検 査 にて 右<br />

肝 管 内 と 総 胆 管 内 に 腫 瘍 の 胆 管 内 進 展 を 確 認 した。 明 らかなリンパ 節<br />

転 移 は 認 めなかった。 拡 大 肝 左 葉 切 除 ・ 尾 状 葉 合 併 切 除 ・ 胆 道 再 建 を<br />

施 行 、 胆 管 断 端 は 総 胆 管 ・ 右 肝 管 ともに 陰 性 であった。【 病 理 組 織 診 断 】<br />

S4 主 腫 瘍 は 管 状 、 乳 頭 状 、 索 状 に 増 殖 する 部 分 と 角 化 を 伴 い 敷 石 状<br />

に 増 殖 する 部 分 が 混 在 。 腺 癌 ・… 扁 平 上 皮 癌 の 成 分 が 混 在 する 腺 扁 平<br />

上 皮 癌 であった。【 退 院 後 経 過 】 術 後 、ドレーン 刺 入 部 膿 瘍 膿 形 成 、<br />

幽 門 通 過 障 害 を 認 めたが 保 存 的 対 応 で 改 善 し、 第 50 病 日 に 退 院 。 術 後<br />

4ヶ 月 にCA19-9 値 が 再 上 昇 、CTにて 肝 内 に 転 移 病 巣 を 認 めた。S-1… 内<br />

服 を 開 始 後 、CA19-9 値 は 一 時 的 に、 基 準 値 に 低 下 したが、4ヶ 月 後 に<br />

は 再 上 昇 、 肝 転 移 巣 も 漸 増 している。 現 在 外 来 にて 経 過 観 察 中 である。<br />

【 結 語 】 本 症 例 は、 術 前 胆 汁 細 胞 診 にて 胆 管 扁 平 上 皮 癌 が 疑 われ、 手<br />

術 適 応 について 検 討 を 要 した。 病 理 組 織 診 断 は 胆 管 腺 扁 平 上 皮 癌 で<br />

あった。 懸 念 された 如 く、 早 期 に 肝 内 に 再 発 したが、S-1 内 服 にて 再<br />

発 進 展 を 幾 分 制 御 できている。 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

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P81-3 PSCの 経 過 中 に 肝 門 部 胆 管 癌 と 術 前 診 断 し 手 術 を 施<br />

行 した1 例<br />

香 川 労 災 病 院 外 科<br />

○… 桑 田 和 也 , 國 土 泰 孝 , 貴 志 美 紀 , 谷 口 文 崇 , 渡 辺 信 之 ,<br />

小 林 正 彦 , 木 村 圭 吾 , 村 岡 篤 , 立 本 昭 彦 , 津 村 眞<br />

本 邦 では 欧 米 と 比 べると 頻 度 は 低 いものの 約 4% 程 度 PSCから 胆 管 癌<br />

が 生 じると 報 告 されている。 今 回 われわれは、PSCの 経 過 中 に 肝 門 部<br />

胆 管 癌 と 診 断 し、 手 術 を 行 った1 例 を 経 験 したため 報 告 する。 症 例 は、<br />

66 歳 女 性 。 主 訴 は 背 部 痛 であった。 某 年 7 月 主 訴 を 自 覚 し、 近 医 を 受 診 。<br />

腹 部 超 音 波 検 査 で 胆 嚢 結 石 症 を 指 摘 され、 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 受 診 と<br />

なった。 術 前 精 査 の 腹 部 造 影 CT 検 査 で 胆 嚢 結 石 症 と 肝 左 葉 外 側 区 域<br />

の 胆 管 拡 張 を 認 めたため、 胆 管 拡 張 の 精 査 目 的 に 当 科 入 院 となった。<br />

入 院 後 、ERCPを 施 行 した。 左 肝 管 分 岐 部 付 近 で 狭 窄 していたため 右<br />

肝 管 にERBDチューブを 留 置 し 胆 道 ドレナージを 施 行 した。 後 日 精 査<br />

目 的 にPTCDを 左 葉 拡 張 胆 管 に 施 行 した。PTCD 挿 入 部 より 胆 道 鏡 を<br />

用 い、 左 肝 管 分 岐 部 の 生 検 を 行 ったが 悪 性 所 見 は 認 めなかった。<br />

UDCAの 内 服 により、 左 肝 管 根 部 の 狭 窄 も 改 善 したためPTCDチュー<br />

ブを 抜 去 後 退 院 となった。その 後 も 経 過 良 好 であり 翌 年 の2 月 に 胆 嚢<br />

結 石 症 に 対 して 開 腹 下 胆 嚢 摘 出 術 及 び 肝 生 検 を 施 行 した。 手 術 時 の 肝<br />

生 検 組 織 はPSCの 沈 静 期 を 疑 うものであったために 再 度 術 後 UDCAの<br />

内 服 で 経 過 観 察 を 行 った。 初 診 時 より3 年 後 の6 月 、フォローの 腹 部<br />

CT 検 査 で 再 度 著 名 な 肝 左 葉 の 胆 管 拡 張 を 認 めた。 内 科 入 院 後 ERCP<br />

を 施 行 するも 胆 嚢 摘 出 後 の 術 後 変 化 のため 内 視 鏡 下 胆 道 造 影 が 行 えな<br />

かった。PTCDを 施 行 し、 胆 汁 細 胞 診 でclass4を 認 めた。 肝 門 部 胆 管<br />

癌 と 術 前 診 断 し 同 年 10 月 28 日 肝 左 葉 切 除 術 及 ぶ 胆 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行<br />

した。 病 理 結 果 は、 結 節 浸 潤 型 , 高 分 化 腺 癌 ,INF:β,ly2,v1,pn2,ss,<br />

pHinf0,pGinf0,pPanc0,pDu0,pHM0,pDM0,pEM1,pT4pN2M(-),fstage4a<br />

であった。 術 後 経 過 は 良 好 であり、 第 30 病 日 軽 快 退 院 となった。 今 回<br />

われわれはPSCの 経 過 中 に 胆 管 癌 が 生 じこれを 術 前 診 断 し 手 術 を 施 行<br />

した1 例 を 経 験 した。PSCの 経 過 中 に 胆 管 癌 が 生 じることは 比 較 的 ま<br />

れであり、また 術 前 に 診 断 し 手 術 を 行 った1 例 を 経 験 したためこれを<br />

報 告 する。<br />

P81-4 肝 吸 虫 症 に 合 併 した 肝 内 胆 管 癌 の1 例<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 松 林 潤 , 平 良 薫 , 伊 藤 孝 , 余 語 覚 匡 , 鬼 頭 祥 吾 ,<br />

花 本 浩 一 , 中 山 雄 介 , 大 江 秀 明 , 光 吉 明 ,<br />

土 井 隆 一 郎<br />

症 例 は62 歳 , 男 性 . 健 診 にて 胆 道 系 酵 素 上 昇 を 指 摘 され, 精 査 加 療 目<br />

的 にて 当 院 を 受 診 . 腹 部 超 音 波 検 査 や 造 影 CT 検 査 の 結 果 , 肝 左 葉 に<br />

径 3cmの 造 影 効 果 不 良 な 腫 瘤 性 病 変 と,その 近 傍 に 拡 張 した 肝 内 胆 管<br />

が 見 られ, 肝 内 胆 管 癌 が 疑 われた.ERCP 検 査 では 総 胆 管 は 細 く、さ<br />

らに 腫 瘤 による 左 肝 管 の 途 絶 が 見 られた. 胆 汁 細 胞 診 検 査 ではClass…<br />

2であったが, 多 くの 肝 吸 虫 の 虫 卵 が 認 められた.そのため 駆 虫 薬 で<br />

あるPraziquantelを2 日 間 内 服 した. 肝 吸 虫 症 に 合 併 した 肝 内 胆 管 癌<br />

と 考 え 肝 左 葉 切 除 術 を 施 行 した. 切 除 標 本 では 左 葉 のほとんどを 白 色<br />

の 腫 瘍 組 織 が 占 め, 病 理 組 織 学 的 検 査 では 低 分 化 型 腺 癌 であった. 肝<br />

吸 虫 や 虫 卵 そのものの 所 見 は 認 められなかったが, 胆 管 内 の 壊 死 物 資<br />

や 虫 卵 の 結 晶 化 を 思 わせる 所 見 などが 確 認 された.また 腫 瘍 周 囲 には<br />

リンパ 球 浸 潤 や 線 維 性 架 橋 を 伴 う 線 維 化 が 生 じており, 慢 性 胆 管 炎 後<br />

変 化 が 見 られた. 胆 管 内 には 結 石 などその 他 慢 性 炎 症 の 原 因 となるも<br />

のはなく, 本 症 例 は 肝 吸 虫 症 による 慢 性 炎 症 が 胆 管 癌 発 生 に 関 連 した<br />

と 考 えられた. 本 邦 では 肝 吸 虫 症 に 合 併 した 胆 管 癌 の 報 告 は5 例 だが,<br />

タイに 生 息 するタイ 肝 吸 虫 は 胆 管 癌 との 関 連 が 疫 学 的 に 証 明 されてお<br />

り, 胆 管 癌 に 対 する 第 一 群 の 発 癌 因 子 として 分 類 されている. 肝 吸 虫<br />

は 世 界 的 には 東 南 アジアに 多 く, 日 本 では 琵 琶 湖 湖 畔 , 利 根 川 などの<br />

淡 水 魚 を 宿 主 としており, 淡 水 魚 の 生 食 で 人 に 侵 入 し, 胆 管 , 胆 嚢 に<br />

寄 生 する. 成 虫 の 寿 命 は10 年 から20 年 で, 産 卵 された 虫 卵 は 糞 便 に 混<br />

じり 排 出 される. 虫 体 数 が 増 えると 胆 管 閉 塞 や 胆 汁 鬱 滞 を 引 き 起 こし,<br />

胆 管 周 囲 の 慢 性 炎 症 を 伴 い, 黄 疸 などの 症 状 が 出 現 する.この 慢 性 炎<br />

症 が 癌 化 につながるとされている. 治 療 法 としては 駆 虫 薬 の 内 服 であ<br />

る. 本 患 者 は 滋 賀 県 在 住 で, 幼 少 期 から20 年 程 前 までフナの 生 食 の 嗜<br />

好 歴 があった.このように 淡 水 魚 の 生 食 歴 などがあれば 糞 便 検 査 や<br />

十 二 指 腸 液 検 査 などを 行 い, 虫 卵 や 肝 吸 虫 の 寄 生 を 認 めた 場 合 , 駆 虫<br />

すると 共 に 胆 管 癌 合 併 の 可 能 性 を 考 慮 する 必 要 があると 考 えられる.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P81-5 病 理 組 織 学 的 に 肝 細 胞 癌 との 鑑 別 が 問 題 となった 肝 内<br />

胆 管 癌 の1 例<br />

名 古 屋 第 二 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 永 井 英 雅 , 宮 田 完 志 , 湯 浅 典 博 , 竹 内 英 司 , 後 藤 康 友 ,<br />

三 宅 秀 夫 , 服 部 正 興 , 井 村 仁 郎 , 川 上 次 郎 , 河 合 奈 津 子 ,<br />

青 山 広 希 , 植 木 美 穂 , 浅 井 宗 一 郎 , 工 野 玲 美 , 張 丹 ,<br />

岩 瀬 まどか, 山 下 浩 正<br />

症 例 は61 歳 男 性 . 他 院 から 急 性 膵 炎 のため 当 院 に 紹 介 され, 外 来 で 経<br />

過 観 察 中 に 肝 機 能 障 害 を 認 めた。 精 査 の 結 果 、 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 され<br />

当 科 に 紹 介 となった。 血 液 生 学 検 査 ではT.Bil1.5と 顕 著 な 黄 疸 は 認 め<br />

なかった。 腫 瘍 マーカーはCEA…1.3,CA19-9…10.1。HBV,…HCVともに<br />

感 染 は 認 めなかった。 腹 部 造 影 CTでは 肝 左 尾 状 葉 を 占 める 大 きさ 約<br />

4cmの 腫 瘤 を 認 めた。 造 影 早 期 にはlow…density, 遅 延 相 で 軽 度 に 造<br />

影 される 腫 瘍 であった。また、この 腫 瘍 から 連 続 して 左 肝 管 , 総 肝 管<br />

内 に 進 展 する 腫 瘍 像 を 認 め, 左 葉 の 肝 内 胆 管 は 拡 張 していた。 遠 隔 転<br />

移 、リンパ 節 転 移 は 認 めなかった。MRIで 腫 瘍 はT1 強 調 で 軽 度 low…<br />

intensity、…T2 強 調 では 軽 度 high…intensityであった。ERCPでは 右 肝 管<br />

から 三 管 合 流 部 の 上 流 に 陰 影 欠 損 をみとめ、 左 肝 管 は 描 出 されなかっ<br />

た。 以 上 より、 肝 門 部 胆 管 へ 胆 管 内 に 進 展 する 肝 左 尾 状 葉 に 発 生 した<br />

肝 内 胆 管 癌 と 診 断 した。 肝 拡 大 左 葉 , 尾 状 葉 , 肝 外 胆 管 切 除 再 建 を 施<br />

行 した。 切 除 標 本 の 肉 眼 所 見 では、 腫 瘍 の 割 面 は 白 色 で 左 尾 状 葉 を 占<br />

拠 するように 発 育 しており、 左 肝 管 から 左 右 肝 管 合 流 部 の 胆 管 内 には<br />

腫 瘍 栓 が 充 満 していた。 病 理 組 織 学 的 には 胞 巣 を 形 成 する 異 型 上 皮 が、<br />

尾 状 様 を 占 拠 するように 増 殖 していた。 異 型 上 皮 は 好 酸 性 の 胞 体 が 豊<br />

かで、 胞 体 内 に 球 状 硝 子 体 に 類 似 した 封 入 体 様 構 造 が 散 見 された。 核<br />

は 明 瞭 な 核 小 体 を1 個 含 み 類 縁 形 で、 一 部 に 大 型 異 型 核 が 混 在 し、 多<br />

くが 封 入 体 様 構 造 のため 偏 在 していた。 腫 瘍 の 主 座 および 細 胞 形 態 か<br />

ら 肝 細 胞 癌 が 疑 われた。しかし、 免 疫 染 色 では、 肝 細 胞 特 異 抗 原 であ<br />

るHepPar1(-)、CK7(+)であることから 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 した。 腺<br />

管 形 成 がなく 低 分 化 で、 最 終 診 断 はIntrahepatic…cholangiocarcinoma,…<br />

,… im(-),… ig,… fc(-),… fc-inf(-),… sf(-),… s1,n0,vp0,vv1,va0,b3,p0,sm(-),… f0,…<br />

pT3N0M0,stageIIIとした。 本 症 例 は 病 理 組 織 学 的 に 肝 細 胞 癌 の 特 徴<br />

とされる 球 状 硝 子 体 様 の 細 胞 質 内 封 入 体 を 認 め、 非 常 に 肝 細 胞 癌 に 類<br />

似 した 形 態 を 示 したが、 免 疫 染 色 から 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 した。<br />

P81-6 転 移 性 肝 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 肝 内 胆 管 癌 の 一 例<br />

済 生 会 唐 津 病 院 外 科<br />

○… 力 丸 竜 也 , 山 懸 基 維 , 園 田 孝 志<br />

肝 腫 瘍 の 術 前 診 断 において、 肝 内 胆 管 癌 と 転 移 性 肝 癌 や 硬 化 性 血 管 腫<br />

などとの 鑑 別 は 画 像 上 困 難 である。 今 回 上 行 結 腸 癌 術 後 約 11 年 目 に 肝<br />

腫 瘤 を 認 め、 手 術 を 施 行 し、 術 後 病 理 検 査 にて 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 され<br />

た 一 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は84 歳 男 性 。2000 年 8 月 8 日 に 上<br />

行 結 腸 癌 ・ 肝 転 移 (S7)に 対 して、 右 半 結 腸 切 除 術 ・ 肝 部 分 切 除 術 を<br />

施 行 した。2001 年 1 月 30 日 に 肝 再 発 (S5)に 対 し、 肝 部 分 切 除 施 行 した。<br />

2005 年 6 月 18 日 に、 左 肺 癌 に 対 し 左 肺 下 葉 切 除 術 施 行 した(Stage…IA)。<br />

2009 年 3 月 より 前 立 腺 癌 にてホルモン 療 法 施 行 され、 外 来 経 過 観 察 中<br />

であった。2011 年 1 月 18 日 のフォローアップの 胸 腹 部 CTにて、 肝 外 側<br />

区 域 に1.5cm 大 の 濃 染 腫 瘤 を 認 めた。 肝 内 胆 管 癌 の 可 能 性 もあり、 同<br />

年 2 月 7 日 に 肝 外 側 区 域 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 病 理 検 査 では、 腫 瘤 形<br />

成 型 の 肝 内 胆 管 癌 と 診 断 された。 現 在 のところ 再 発 所 見 は 認 めていな<br />

い。 以 上 、 転 移 性 肝 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 肝 内 胆 管 癌 の 一 例 を 経 験<br />

したので、 文 献 的 考 察 を 含 めて 報 告 する。<br />

-479-


P81-7 肝 血 管 腫 との 鑑 別 が 困 難 でフォローされた、 肝 内 胆 管 癌<br />

の2 症 例<br />

琉 球 大 学 第 一 外 科<br />

○… 赤 松 道 成 , 白 石 祐 之 , 長 濱 正 吉 , 西 巻 正<br />

一 般 的 に 肝 血 管 腫 と 肝 内 胆 管 癌 はエコー、CTなどの 画 像 所 見 にて 鑑<br />

別 可 能 で、 術 前 診 断 に 難 渋 することは 少 ない。 今 回 我 々は 画 像 所 見 上<br />

肝 血 管 腫 が 疑 われてフォローされた、 肝 内 胆 管 癌 の2 症 例 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する。 症 例 1は50 代 男 性 。 検 診 の 腹 部 超 音 波 検 査 で 肝 左 葉 外<br />

側 区 に 約 4~5cmの 腫 瘍 を 指 摘 され、 血 管 腫 が 疑 われた。 以 後 毎 年 腹<br />

部 超 音 波 検 査 でフォローされたが、 著 変 を 認 めなかった。17 年 目 、フォ<br />

ローの 腹 部 超 音 波 検 査 で 腫 瘍 の 増 大 傾 向 を 認 めた。 精 査 目 的 で 施 行 し<br />

た 腹 部 超 音 波 、CTで 約 7~8cmと 増 大 傾 向 を 認 めた。ダイナミック<br />

CTでは 動 脈 相 で 腫 瘍 は 造 影 され、 門 脈 相 で 造 影 剤 の 排 出 遅 延 を 認 めた。<br />

肝 内 胆 管 癌 、 肝 細 胞 癌 、 血 管 腫 、 限 局 性 結 節 性 過 形 成 、 炎 症 性 偽 腫 瘍<br />

が 考 えられたが 臨 床 経 過 、 画 像 所 見 からは 術 前 確 定 診 断 にはいたらな<br />

かった。しかしPETで 同 部 に 明 瞭 な 異 常 集 積 を 認 め、 悪 性 を 否 定 で<br />

きなかったため 手 術 を 施 行 した。 手 術 は 拡 大 肝 左 葉 切 除 、リンパ 節 郭<br />

清 術 を 施 行 した。 病 理 結 果 で 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 となった。 症 例 2は50<br />

代 男 性 。 検 診 の 超 音 波 検 査 にて 肝 S5に 腫 瘤 を 認 め、 肝 血 管 腫 疑 いで<br />

紹 介 となった。 当 院 にて 施 行 した 造 影 CTでは 早 期 相 にて 辺 縁 の 強 い<br />

増 強 効 果 を 認 め、 遅 延 性 濃 染 を 示 した。そのため 当 院 でも 肝 血 管 腫 と<br />

診 断 し 外 来 フォローとなった。しかし1 年 後 のフォローのCTにて 腫 瘍<br />

の 増 大 傾 向 を 認 め、 悪 性 が 否 定 できないことから 腹 腔 鏡 補 助 下 肝 右 葉<br />

切 除 術 を 施 行 した。 病 理 結 果 で 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 となった。 肝 血 管 腫<br />

をフォローする 際 には、 肝 内 胆 管 癌 の 可 能 性 も 念 頭 に 置 く 必 要 がある。<br />

P81-8 根 治 術 後 , 急 速 な 進 行 を 認 めたAFP 高 値 の 肝 内 胆 管 癌 の<br />

1 例<br />

北 里 大 学 外 科<br />

○… 牛 久 秀 樹 , 石 井 健 一 郎 , 田 島 弘 , 鎌 田 弘 樹 , 片 桐 寛 之 ,<br />

隈 元 雄 介 , 渡 邊 昌 彦<br />

【 症 例 】…70 歳 … 男 性 【 主 訴 】 発 熱 , 右 季 肋 部 痛 【 現 病 歴 】 右 季 肋 部 痛 が<br />

出 現 し 放 置 していたが3ヶ 月 後 増 強 したため 右 季 肋 部 痛 と 発 熱 を 主 訴<br />

に 近 医 を 受 診 した. 腹 部 CTにて 肝 右 葉 に 径 10cm 大 の 腫 瘤 を 認 めさらに<br />

腫 瘍 マーカーの 高 値 も 認 めていたため 当 院 を 紹 介 受 診 となった. 画 像<br />

所 見 や 腫 瘍 マーカー(AFP1800…CEA81.3…PIVKAII…1800)より 混 合 性<br />

肝 癌 が 疑 われまた 前 医 の 画 像 所 見 に 比 べ 比 較 的 急 速 に 進 行 している 所<br />

見 も 認 められたため 来 院 後 9 日 目 に 準 緊 急 的 に 肝 右 葉 切 除 術 +リンパ<br />

節 郭 清 を 施 行 した. 一 部 横 隔 膜 浸 潤 が 疑 われ 合 併 切 除 とした。 病 理 で<br />

は 一 部 hepatoid…patternを 呈 する 部 位 は 認 めるものの 免 疫 染 色 で<br />

hepatocytoは 陰 性 であり 大 部 分 は 未 分 化 ~ 低 分 化 のICCであったため<br />

cholangiocarcinoma(ly0…Vp1…Vv1…b0)と 診 断 された. 術 後 経 過 は 良 好<br />

で 術 後 13 日 目 に 退 院 となった.…adjuvant…chemotherapyの 方 針 であっ<br />

たが、2011 年 2 月 2 日 の 胸 部 X 線 上 著 明 な 右 胸 水 貯 留 を 認 めたため、 同<br />

日 緊 急 入 院 となった.【 入 院 後 経 過 】 入 院 後 、 胸 腔 ドレーンを 挿 入 し<br />

たところ 血 性 胸 水 を 約 1000ml 認 め, 細 胞 診 ではclass…4であった. 手 術 時<br />

のドレーン 挿 入 部 や 胸 腔 ドレーン 挿 入 部 の 皮 下 に 腫 瘤 形 成 を 認 め 生 検<br />

を 施 行 したところ 腹 壁 転 移 の 所 見 であった.その 後 状 態 は 急 速 に 悪 化<br />

し 生 検 施 行 後 10 日 目 に 永 眠 となった.【 剖 検 】 肝 臓 内 、 肺 実 質 、リン<br />

パ 節 には 明 らかな 転 移 は 認 めなかった. 肝 切 離 部 及 び 右 胸 腔 内 は 壊 死<br />

性 の 脆 い 腫 瘤 で 充 満 しており 腫 瘍 内 出 血 が 認 められた. 右 胸 腔 内 に 充<br />

満 した 腫 瘍 により、 右 肺 は 圧 排 されていた.【 考 察 】 手 術 時 , 根 治 的 な<br />

切 除 術 を 施 行 しえたにもかかわらずその 後 急 速 な 進 行 を 認 めた 肝 内 胆<br />

管 癌 の 一 例 を 経 験 した. 臨 床 的 には 混 合 性 肝 癌 が 疑 われたものの 腫 瘍<br />

内 にhepatocytoは 陰 性 であり 病 理 学 的 には 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 であっ<br />

た.<br />

P81-9 間 質 性 肺 炎 加 療 中 にみつかった 細 胆 管 細 胞 癌 の1 例<br />

那 覇 市 立 病 院<br />

○… 友 利 寛 文 , 山 城 和 也 , 宮 国 孝 男 , 比 嘉 宇 郎<br />

細 胆 管 細 胞 癌 は,Hering 管 または 細 胆 管 から 発 生 する 稀 な 腫 瘍 である。<br />

今 回 間 質 性 肺 炎 治 療 中 に 細 胆 管 細 胞 癌 を 指 摘 された 症 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 する。 症 例 は,70 代 男 性 で 間 質 性 肺 炎 加 療 中 に 胸 部 CT 検 査 に<br />

て 肝 腫 瘍 を 指 摘 された。 当 初 血 管 腫 と 診 断 していたが, 徐 々に 大 きく<br />

なることMRI 検 査 を 追 加 することで 細 胆 管 細 胞 癌 を 疑 われ 外 科 紹 介 と<br />

なった。 腫 瘍 はS4に 主 座 のある6cm 大 の 腫 瘤 であった。 肝 機 能 , 肝 予<br />

備 能 に 異 常 なく 細 胆 管 細 胞 癌 の 術 前 診 断 にて 拡 大 肝 左 葉 切 除 とリンパ<br />

節 廓 清 を 行 なった。 摘 出 標 本 では6×4cm 大 の 灰 白 色 で 充 実 性 の 腫 瘤<br />

を 認 めた。 組 織 学 的 には 粘 液 を 認 めず 免 疫 染 色 のEMA 染 色 にて 細 胆<br />

管 細 胞 癌 に 特 徴 的 な 所 見 を 示 したため 細 胆 管 細 胞 癌 と 診 断 した。 術 後<br />

は 経 過 良 好 にて 術 後 15 日 目 に 退 院 となった。 細 胆 管 細 胞 癌 は, 術 前 に<br />

肝 細 胞 癌 や 胆 管 細 胞 癌 と 診 断 されることも 多 い 腫 瘍 として 報 告 されて<br />

いる。まれな 細 胆 管 細 胞 癌 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P81-10 胆 嚢 出 血 と 胆 管 炎 を 伴 う 胆 管 細 胞 癌 の 肝 切 除 後 に 生 検<br />

部 胸 壁 再 発 を 切 除 し 得 えた 一 例<br />

1<br />

千 葉 市 立 海 浜 病 院 外 科 、 2 同 内 科<br />

○… 宮 澤 康 太 郎 1<br />

, 吉 岡 茂 1<br />

, 若 月 一 雄 1<br />

, 片 岡 雅 彰 1<br />

, 外 岡 亨 1<br />

,<br />

橋 場 隆 裕 1<br />

, 太 枝 良 夫 1<br />

, 北 和 彦 2<br />

, 齋 藤 博 文 2<br />

,<br />

野 本 裕 正<br />

2<br />

( 初 めに)これまで 肝 細 胞 癌 の 生 検 部 再 発 の 切 除 報 告 はあるものの、 肝<br />

内 胆 管 癌 に 関 しての 生 検 後 再 発 の 切 除 報 告 は 少 ない。 今 回 、 胆 管 炎 ・<br />

胆 嚢 出 血 を 併 発 した 胆 管 細 胞 癌 に 対 して 内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 管 ドレナー<br />

ジにて 経 皮 的 ドレナージ 治 療 を 回 避 し、 主 腫 瘍 と 生 検 部 再 発 に 対 し2<br />

度 の 手 術 にわたり 切 除 し 得 えた 胆 管 細 胞 癌 胸 壁 再 発 の 一 例 を 経 験 した<br />

ため 報 告 する。( 症 例 )77 歳 男 性 。 既 往 として2 型 糖 尿 病 を 長 期 患 い4 年<br />

前 に 心 筋 梗 塞 にてPCI 施 行 。3 年 前 に 脳 梗 塞 による 右 不 全 麻 痺 を 持 つ。<br />

( 現 病 歴 )2 月 より 便 秘 と 腹 痛 を 自 覚 し 加 療 受 けるも 悪 化 傾 向 を 認 め 近<br />

医 入 院 。 発 熱 ・ 胆 管 炎 ・ 肝 膿 瘍 ・DIC 診 断 にて 当 院 紹 介 搬 送 。CTで<br />

は 胆 石 、 胆 嚢 出 血 と 総 胆 管 拡 張 を 認 めた。 抗 凝 固 剤 内 服 中 であったた<br />

め、 内 科 より 内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 管 ドレナージにて 救 命 し 得 た。 治 療 中<br />

に 胸 椎 骨 髄 炎 を 合 併 し、 長 期 臥 床 ・ 抗 生 剤 投 与 を 行 い 改 善 したが、1ヵ<br />

月 後 のCTにて 胆 嚢 を 巻 き 込 む 肝 発 育 性 腫 瘍 を 認 め、 肝 生 検 にて 低 分<br />

化 型 腺 癌 の 診 断 となった。 腫 瘍 マーカーはCA19-9…2900…IU/mLに 上<br />

昇 した。( 手 術 ) 胆 嚢 と 横 行 結 腸 に 浸 潤 する 肝 S5を 主 座 とした8cm 大 の<br />

胆 管 細 胞 癌 に 対 して 緊 急 入 院 2ヶ 月 後 に 肝 中 央 2 区 域 切 除 + 横 行 結 腸 部<br />

分 切 除 を 施 行 し、 長 期 臥 床 のための 筋 力 低 下 に 対 してリハビリ 後 に59<br />

病 日 に 転 院 となり、 転 院 先 より 退 院 となった。( 病 理 結 果 ) 壊 死 ・ 出 血<br />

を 伴 い、 胆 嚢 壁 ・ 結 腸 壁 に 高 度 な 連 続 性 浸 潤 を 認 める 低 分 化 型 管 状 腺<br />

癌 であった。( 術 後 経 過 ) 外 来 にて 心 筋 梗 塞 ・ 脳 梗 塞 合 併 にて 日 常 生 活<br />

動 作 も 低 く、 本 人 は 強 く 化 学 療 法 を 拒 否 したため、 外 来 にて 経 過 観 察<br />

行 っていたが、 手 術 後 4ヶ 月 が 経 過 した 後 、CA19-9…172…IU/mLと 腫<br />

瘍 マーカーの 再 上 昇 を 認 めた。 画 像 上 、 第 8 肋 間 からの 生 検 部 と 一 致<br />

した 腫 瘤 性 病 変 を 認 め、 生 検 部 再 発 と 診 断 した。( 手 術 )4.5cm 大 の 胸 壁<br />

再 発 に 対 して 右 開 胸 第 8 肋 骨 合 併 腫 瘤 切 除 施 行 。 経 過 好 にて 退 院 となっ<br />

た。( 病 理 結 果 ) 低 分 化 型 管 状 腺 癌 であり、 転 移 として 矛 盾 しない 結 果<br />

であった。( 再 手 術 後 経 過 ) 初 回 手 術 から8か 月 経 過 する 現 在 、 画 像 上 腹<br />

腔 内 ・ 胸 壁 の 再 発 を 認 めず、 腫 瘍 マーカーも 正 常 の 状 態 である。<br />

-480-


P81-11 末 梢 胆 管 から 発 生 した 胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆 管 癌 の1 切<br />

除 例<br />

東 海 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 山 田 美 鈴 , 中 郡 聡 夫 , 古 川 大 輔 , 村 上 健 太 郎 , 矢 澤 直 樹 ,<br />

加 藤 賢 一 郎 , 安 田 聖 栄 , 生 越 喬 二<br />

【はじめに】 胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆 管 癌 は、 大 型 胆 管 から 発 生 するため<br />

末 梢 胆 管 の 拡 張 を 呈 し 嚢 胞 状 形 態 をとることは 少 ない。また 嚢 胞 状 形<br />

態 を 呈 する 肝 内 胆 管 癌 の 多 くは 粘 液 産 生 例 である。 今 回 、 末 梢 胆 管 に<br />

発 生 し 嚢 胞 状 形 態 を 呈 した 粘 液 非 産 生 の 肝 内 胆 管 癌 の 一 例 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する。【 症 例 】69 歳 、 女 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 当 院 を 受 診 した。<br />

血 液 生 化 学 検 査 では 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 めた。 腫 瘍 マーカーは<br />

CA19-9、CEA…ともに 正 常 範 囲 内 であった。 腹 部 超 音 波 検 査 では、 肝<br />

S4に 胆 嚢 に 接 するように20mm 大 の 類 円 形 で 境 界 明 瞭 な 等 ~ 高 エコー<br />

腫 瘤 に 描 出 され、 内 部 に 音 響 陰 影 を 伴 う 強 エコー 像 を 伴 っていた。<br />

CTでは 嚢 胞 性 病 変 の 中 に、 動 脈 相 から 門 脈 相 まで 持 続 する 造 影 効 果<br />

を 有 する 乳 頭 状 隆 起 で 占 められていた。MRIでは、 病 変 はT2 強 調 画<br />

像 で 淡 い 高 信 号 、 拡 散 強 調 画 像 で 著 明 な 高 信 号 を 呈 した。 嚢 胞 内 に 粘<br />

液 成 分 はなかった。ERCPでは 嚢 胞 性 病 変 は 描 出 されず、また 左 葉 の<br />

肝 内 胆 管 は 軽 度 拡 張 していたが 狭 窄 はなかった。 胆 汁 細 胞 診 では<br />

ClassVであった。 胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 で 肝 左 葉 切 除 を 施<br />

行 した。 肉 眼 的 病 理 所 見 では 肝 S4に 肝 外 に 突 出 するように 嚢 胞 が 存<br />

在 し、 内 部 に 乳 頭 状 の 腫 瘤 が 存 在 していた。 嚢 胞 内 には 砂 粒 状 の 結 石<br />

が 充 満 し、 左 葉 の 胆 管 内 には 胆 泥 が 存 在 していた。 粘 液 は 認 めなかっ<br />

た。 病 理 組 織 学 的 には 嚢 胞 壁 は 胆 管 壁 であり、 隆 起 性 病 変 は 一 部 に 微<br />

小 浸 潤 を 認 める 乳 頭 腺 癌 であった。 腫 瘍 は 広 範 囲 の 胆 管 に 上 皮 内 進 展<br />

していた。【 考 察 】 本 症 例 の 嚢 胞 形 成 の 機 序 としてさらなる 末 梢 胆 管<br />

が 存 在 しないほどの 末 梢 の 胆 管 から 発 生 し、 腫 瘍 の 増 大 とともに 胆 管<br />

壁 が 嚢 胞 状 に 拡 張 したと 考 えられた。<br />

P82-1 胆 管 内 腫 瘍 栓 を 伴 い 肝 内 胆 管 癌 との 鑑 別 を 要 した 異 時<br />

性 大 腸 癌 肝 転 移 の1 切 除 例<br />

徳 島 市 民 病 院 外 科<br />

○… 小 林 愛 貴 美 , 三 宅 秀 則 , 金 村 普 史 , 松 本 規 子<br />

(はじめに) 大 腸 癌 術 後 異 時 性 肝 転 移 巣 が 胆 管 内 に 発 育 し、 限 局 的 に<br />

肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 め 肝 内 胆 管 癌 との 鑑 別 を 要 した 症 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 する。( 症 例 )69 歳 、 男 性 。 右 肺 転 移 を 伴 った 上 行 結 腸 癌 に 対 して、<br />

2010 年 7 月 9 日 に 右 半 結 腸 切 除 、D3 郭 清 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 診<br />

断 はtub2でA,…3 型 ,…45mm,…pSS,…INFα,…ly3,…v1,…pN1,…fStage4であった。<br />

右 肺 腫 瘍 に 対 してはPET 検 査 実 施 後 9 月 22 日 に 胸 腔 鏡 下 右 肺 部 分 切 除<br />

を 行 った。 病 理 組 織 学 的 にも 大 腸 癌 の 肺 転 移 であった。 術 後 補 助 化 学<br />

療 法 としてXELOX 療 法 を11 月 1 日 より 開 始 した。 化 学 療 法 継 続 中 の<br />

2011 年 4 月 の 腹 部 エコー 検 査 および 造 影 CT 検 査 で、 肝 S5に2.0cm 大 の<br />

腫 瘍 性 病 変 とB5の 拡 張 を 認 めた。ERCP 検 査 では 右 肝 管 内 にfilling…<br />

defectが 認 められ 胆 管 内 腫 瘍 栓 が 疑 われた。PET-CTでは 肝 腫 瘍 に 一<br />

致 して 異 常 集 積 (SUVmax7.4)を 認 めた。 腫 瘍 マーカーは 全 経 過 を 通<br />

して 正 常 範 囲 内 であり、 今 回 入 院 時 はCEA;1.2ng/ml、CA19-9;8.3U/<br />

mlであった。 以 上 の 所 見 より、 肝 内 胆 管 癌 、 大 腸 癌 肝 転 移 の 両 方 が<br />

疑 われ、 経 過 からは 肝 転 移 の 可 能 性 が 高 いと 判 断 した。 化 学 療 法 によ<br />

る 肝 障 害 でICGR15は12.5%とやや 不 良 であったが、 手 術 は 肝 右 葉 切 除<br />

術 を 行 った。 切 除 肝 では 肝 S5に1.7cm 大 の 腫 瘍 と 右 肝 管 内 に 発 育 した<br />

腫 瘍 栓 を 認 めた。 病 理 学 的 診 断 では、 高 円 柱 状 異 型 細 胞 の 癒 合 腺 管 状<br />

増 殖 からなり、 中 心 壊 死 が 目 立 ち 中 分 化 型 の 管 状 腺 癌 像 で 胆 管 癌 の 像<br />

とは 異 なり 大 腸 癌 の 肝 転 移 と 診 断 された。(まとめ) 当 症 例 では 経 過 よ<br />

り 肝 転 移 を 疑 ったが、 大 腸 癌 肝 転 移 は 胆 管 浸 潤 を 来 すことは 少 なく、<br />

胆 管 内 腫 瘍 栓 やそれに 伴 った 限 局 性 胆 管 拡 張 を 伴 った 場 合 、 術 前 に 肝<br />

内 胆 管 癌 と 鑑 別 して 確 定 診 断 を 得 るのは 困 難 な 場 合 が 多 い。 手 術 は 原<br />

発 巣 切 除 後 の 化 学 療 法 による 肝 障 害 も 考 慮 しなければならぬが、 系 統<br />

的 肝 切 除 が 必 要 であると 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P82-2 総 肝 管 まで 伸 展 する 胆 管 内 腫 瘍 栓 を 伴 い 肝 両 葉 に 巨 大<br />

転 移 巣 を 形 成 した 転 移 性 肝 癌 の1 切 除 例<br />

稲 沢 市 民 病 院 外 科<br />

○… 久 納 孝 夫 , 尾 上 重 巳 , 吉 田 克 嗣 , 加 藤 健 司<br />

胆 管 内 腫 瘍 栓 を 伴 う 転 移 性 肝 腫 瘍 は 稀 であるが、 手 術 を 含 めた 治 療 方<br />

針 を 決 定 するためには 注 意 すべき 転 移 形 式 である。 今 回 我 々は、 両 葉<br />

に 大 きな 転 移 巣 を 形 成 したうえに 総 肝 管 まで 胆 管 内 腫 瘍 栓 が 伸 展 して<br />

いた 直 腸 癌 術 後 の 転 移 性 肝 癌 の 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症<br />

例 】70 歳 女 性 。 既 往 歴 に 糖 尿 病 、 高 血 圧 、5 年 前 に 直 腸 癌 の 手 術 歴 あ<br />

り(Rb、2 型 、 中 分 化 型 腺 癌 、a2、n(-))。 平 成 23 年 5 月 より 心 窩 部 不<br />

快 感 出 現 。6 月 近 医 受 診 。 診 察 および 超 音 波 検 査 で 腫 瘤 を 認 め、 当 科<br />

紹 介 。 心 窩 部 に 手 拳 大 の 腫 瘤 触 知 。 血 液 検 査 で、 耐 糖 能 異 常 、 貧 血 な<br />

どの 他 、ALP1961、CEA39.5 等 の 異 常 を 認 めた。 精 査 で 肝 外 側 区 域 ( 門<br />

脈 臍 部 に 接 す)に10cm 超 の 腫 瘍 と 後 区 域 ( 一 部 前 区 域 にかかる)にも<br />

10cm 超 の 腫 瘍 を 認 め、また、 肝 内 胆 管 の 拡 張 と 肝 門 部 胆 管 に 軽 度 造<br />

影 される 腫 瘤 を 認 めた。 肝 門 部 リンパ 節 転 移 ないし 後 区 域 転 移 巣 から<br />

伸 展 する 胆 管 内 腫 瘍 栓 が 疑 われた。 黄 疸 は 発 症 していないが、 胆 管 閉<br />

塞 が 起 こりかけていると 推 測 され 化 学 療 法 の 継 続 性 が 不 確 実 であり、<br />

切 除 の 方 針 とした。 平 成 23 年 8 月 手 術 施 行 。 肝 外 側 区 域 の 腫 瘍 は 門 脈<br />

臍 部 に 接 していたが、 内 側 区 域 の 血 流 を 温 存 し 外 側 区 域 切 除 。 肝 門 部<br />

の 腫 瘍 は 胆 管 内 腫 瘍 栓 で 後 区 域 転 移 巣 から 連 続 していた。 腫 瘍 栓 下 流<br />

で 胆 管 切 離 し、 腫 瘍 栓 を 含 む 胆 管 を 周 囲 より 剥 離 し 左 肝 管 、 前 枝 を 切<br />

離 した 後 、 門 脈 頭 側 を 抜 き、 一 塊 に 拡 大 後 区 域 切 除 術 で 摘 出 。 左 肝 管 ・<br />

前 区 域 胆 管 空 腸 吻 合 再 建 した。 術 後 軽 度 の 胆 汁 漏 と 創 染 認 めたが、 軽<br />

快 退 院 。 術 後 4カ 月 の 現 在 、 再 発 なく、 腫 瘍 マーカーも 正 常 化 し、 通<br />

院 でTS-1 内 服 による 補 助 療 法 を 施 行 中 。【 考 察 】 本 症 例 は 両 葉 に 巨 大<br />

転 移 巣 があるうえに 肝 門 部 で 胆 管 狭 窄 をきたす 腫 瘍 を 認 めたため、 初<br />

期 治 療 方 針 決 定 が 難 しかった。 残 肝 を 如 何 に 残 して 胆 管 内 腫 瘍 栓 を 含<br />

めた 肝 切 除 を 行 うかに 工 夫 が 必 要 で、どの 病 変 も 切 除 マージンを 十 分<br />

取 ることは 不 可 能 と 考 え、 内 側 区 域 と 前 区 域 の 大 部 分 ・ 尾 状 葉 の 大 部<br />

分 を 残 し 病 変 をできるだけ 一 塊 に 切 除 する 様 に 心 がけた。 近 年 、 術 前<br />

検 査 の 機 器 の 発 展 、 手 術 手 技 の 改 善 や 化 学 療 法 の 進 歩 が 目 覚 ましく、<br />

個 々の 症 例 に 応 じた 治 療 法 を 計 画 することが 大 切 である。<br />

P82-3 肝 内 胆 管 癌 と 術 前 診 断 した 胆 管 内 発 育 を 伴 う 大 腸 癌 転<br />

移 性 肝 癌 の1 例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 加 藤 順 子 , 長 田 真 二 , 山 田 敦 子 , 棚 橋 利 行 , 八 幡 和 憲 ,<br />

今 井 寿 , 佐 々 木 義 之 , 吉 田 和 弘<br />

【 症 例 】74 歳 男 性 。 平 成 19 年 8 月 に 直 腸 癌 ・ 総 胆 管 結 石 のため、 他 院<br />

にて 低 位 前 方 切 除 術 +D3 郭 清 、 胆 嚢 摘 出 術 + 結 石 除 去 +T…tube 留 置 。<br />

直 腸 癌 (tub1,…pSE,…pN0,…int,…ly1,…v0,…PM0,…DM0,…Stage2)に 対 して 術 後<br />

補 助 療 法 は 選 択 されていない。 平 成 23 年 1 月 の 腹 部 CTにて 肝 内 側 区 域<br />

に 限 局 した 胆 管 拡 張 がみられたが 明 らかな 腫 瘍 性 病 変 を 認 めず、 血 液<br />

検 査 上 も γ-GTPの 軽 度 上 昇 、CEAが2.9(ng/ml)、CA19-9が2.8(U/<br />

ml)で、Du-PAN-2やSpan-1も 正 常 であったため 経 過 観 察 。しかし 同<br />

年 4 月 の 造 影 CT 再 評 価 にて 肝 S4 背 側 に、 動 脈 相 で 淡 くリング 状 濃 染 の<br />

みられる15mm 大 の 低 吸 収 域 を 確 認 。さらに 同 腫 瘍 はMRCPにて 左 胆<br />

管 ( 内 側 区 域 )に20×10mm 大 の 欠 損 像 として 描 出 されるに 至 り、 肝 内<br />

胆 管 癌 との 診 断 のもと 手 術 目 的 にて 当 科 に 紹 介 。なお 上 ・ 下 部 消 化 管<br />

精 査 では 異 常 所 見 を 認 めていない。 同 年 9 月 に 開 腹 手 術 したところ、<br />

腹 膜 播 種 やリンパ 節 転 移 を 疑 う 所 見 を 伴 わず、 腫 瘍 は 内 側 区 域 胆 管 本<br />

幹 に2cmほどの 硬 結 として 触 知 したが 腹 腔 内 への 露 出 なし。 周 辺 脈 管<br />

への 侵 襲 なく、 左 肝 管 断 端 を 術 中 迅 速 検 査 にて 悪 性 所 見 のないことを<br />

確 認 した 上 で 左 葉 切 除 術 を 選 択 した。 切 除 標 本 では 同 部 にみられる<br />

15mm 大 の 白 色 調 結 節 は 胆 管 内 にも 乳 頭 状 に 充 満 ・ 突 出 しており、 肝<br />

内 胆 管 癌 として 矛 盾 のない 肉 眼 所 見 であった。しかし 病 理 組 織 学 的 検<br />

査 では、adenocarcinoma…(well~moderately…differentiated…type)で、<br />

免 疫 染 色 ではCK20(+)、CK19(+)、CK7(+)、CA19-9( 一 部 陽 性 )にて、<br />

最 終 的 には 大 腸 癌 肝 転 移 と 診 断 。 術 後 経 過 は 良 好 で 補 助 化 学 療 法 なく<br />

3カ 月 再 発 はみられていない。【 考 察 】 画 像 所 見 では、 肝 内 胆 管 癌 と 転<br />

移 性 肝 癌 の 鑑 別 は 一 般 的 にも 困 難 とされている。 本 症 例 も、 切 除 標 本<br />

肉 眼 所 見 上 も 肝 内 胆 管 癌 に 合 致 する 所 見 であったが、 病 理 検 索 、 特 に<br />

免 疫 染 色 にて 大 腸 癌 由 来 の 腫 瘍 と 診 断 されるに 至 っている。 併 存 する<br />

胆 管 拡 張 は、 肝 内 胆 管 癌 で 主 にみられる 所 見 であることに 加 え、 転 移<br />

性 肝 癌 では10%とされてきたため 診 断 の 一 助 であったが、 近 年 の 詳 細<br />

な 検 討 では 転 移 性 肝 癌 でも44%に 胆 管 浸 潤 がみられたとされている。<br />

今 回 の 症 例 の 経 験 につき、 画 像 所 見 上 の 特 徴 も 踏 まえ、 文 献 的 考 察 と<br />

ともに 報 告 する。<br />

-481-


P82-4 肝 実 質 転 移 を 伴 わないS 状 結 腸 癌 肝 転 移 の 一 切 除 例<br />

1<br />

函 館 厚 生 院 函 館 中 央 病 院 外 科 、 2 手 稲 渓 仁 会 病 院 消 化 器 病 セン<br />

ター 消 化 器 外 科<br />

○… 三 井 潤 1<br />

, 児 嶋 哲 文 1<br />

, 平 口 悦 郎 1<br />

, 橋 田 秀 明 1<br />

, 吉 岡 達 也 1<br />

,<br />

田 中 公 貴 1 2<br />

, 安 保 義 恭<br />

【 症 例 】49 歳 男 性 .【 現 病 歴 】 糖 尿 病 , 高 血 圧 , 慢 性 腎 不 全 ( 維 持 透 析 ,<br />

週 3 回 )にて 他 院 通 院 中 であった. 平 成 23 年 3 月 の 定 期 検 査 のCTにて 肝<br />

腫 瘍 を 指 摘 され,4 月 当 院 内 科 に 紹 介 された.【 既 往 歴 】 平 成 16 年 ,S<br />

状 結 腸 癌 にてS 状 結 腸 切 除 術 (pSI,…pN0,…cM1,…fStageIV), 平 成 20 年 に<br />

吻 合 部 再 発 にて 再 度 S 状 結 腸 切 除 術 (pSI,…pN0,…cM0,…fStageII)を 施 行 さ<br />

れ て い る.【 血 液 検 査 所 見 】HBs 抗 原 陰 性 ,HCV 抗 体 陰 性 .<br />

T-Bil,GOT,GPTは 正 常 , 腫 瘍 マーカーはCEA,CA19-9,AFP,PIVKA-II<br />

のいずれも 正 常 であった.【 画 像 検 査 所 見 】 単 純 CTにて 門 脈 前 区 域 枝<br />

分 岐 部 から 前 上 区 域 枝 末 梢 にかけて 腹 側 に 索 状 のsoft…density…massを<br />

認 め, 動 脈 相 では 周 囲 の 濃 染 像 を 認 めた.また, 肝 右 前 上 区 域 末 梢 の<br />

胆 管 拡 張 を 認 め, 肝 内 胆 管 癌 もしくは 転 移 性 肝 腫 瘍 の 胆 管 周 囲 進 展 を<br />

疑 った.ERCPでは,B8 胆 管 内 に 乳 頭 状 に 発 育 する 腫 瘍 を 疑 う 陰 影 欠<br />

損 像 を 認 め, 胆 管 擦 過 細 胞 診 でclassV…adenocarcinomaであった.【 方<br />

針 】CT,ERCPの 結 果 から, 胆 管 浸 潤 成 分 を 伴 う 胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆<br />

管 癌 と 診 断 し, 維 持 透 析 例 ではあるが 十 分 なインフォームドコンセン<br />

トを 行 った 上 , 拡 大 肝 右 葉 尾 状 葉 切 除 胆 管 切 除 術 の 方 針 とした. 門 脈<br />

右 枝 に 対 してPTPEを 施 行 し, 拡 大 肝 右 葉 切 除 後 の 予 定 残 肝 volumeは…<br />

807ml, 残 肝 率 は51.7%,ICGK 値 0.200,ICG15 分 値 が3.5%であった.【 手<br />

術 】PTPEの5 週 間 後 に 拡 大 肝 右 葉 尾 状 葉 切 除 胆 管 切 除 術 を 施 行 した.<br />

手 術 時 間 は10 時 間 29 分 , 出 血 量 は1550mlであった.【 術 後 経 過 】 合 併<br />

症 無 く26 日 目 に 退 院 となった.【 病 理 検 査 所 見 】 腫 瘍 は 門 脈 系 の 脈 管<br />

内 に 腫 瘍 塞 栓 を 形 成 しながら, 前 区 域 から 前 上 区 域 のグリソン 鞘 に<br />

沿 って 進 展 していた.また, 胆 管 上 皮 を 置 換 するように 進 展 し, 一 部<br />

胆 管 内 腔 へ 乳 頭 状 に 発 育 していたが, 肝 実 質 への 浸 潤 は 認 めなかった.<br />

免 疫 化 学 染 色 では, 腫 瘍 はCK7 陰 性 ,CK20 陽 性 であり, 大 腸 癌 由 来<br />

の 細 胞 と 推 察 され, 原 発 巣 の 病 理 像 と 類 似 することからS 状 結 腸 癌 肝<br />

転 移 と 診 断 した.【 考 察 】 肝 実 質 浸 潤 を 伴 わない 大 腸 癌 肝 転 移 の 報 告 は,<br />

検 索 した 限 り9 例 のみであり, 自 験 例 は, 転 移 性 肝 腫 瘍 としては 稀 な<br />

進 展 形 式 と 考 えられ, 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

P82-5 大 腸 癌 術 後 肝 肺 転 移 再 発 にたいする 集 学 的 治 療 による<br />

長 期 生 存 の1 例<br />

福 島 労 災 病 院 外 科<br />

○… 宮 澤 正 紹 , 楡 井 東 , 福 原 光 朗 , 石 井 恒 , 添 田 暢 俊 ,<br />

樋 口 光 徳 , 又 吉 一 仁 , 武 藤 淳<br />

(はじめに) 大 腸 癌 肝 肺 転 移 に 対 し 外 科 的 手 術 は 長 期 予 後 の 改 善 できる<br />

治 療 法 で、 肝 肺 切 除 の 手 術 手 技 向 上 により 安 全 性 が 確 立 されてきた。<br />

また 切 除 不 能 大 腸 癌 に 対 する 化 学 療 法 や 焼 灼 療 法 などの 治 療 法 の 多 様<br />

化 と 進 歩 により 生 存 率 の 向 上 が 期 待 される。 今 回 、 術 前 全 身 化 学 療<br />

法 が 奏 功 していたが 肝 転 移 再 増 殖 再 発 、 肺 転 移 を 認 めたため 肝 切 除 、<br />

肺 切 除 を 行 い 長 期 生 存 中 の1 例 を 経 験 し 報 告 する。( 症 例 )66 歳 男 性 ( 既<br />

往 歴 )DM2 型 内 服 加 療 ( 現 病 歴 ) 平 成 16 年 10 月 S 状 結 腸 癌 にてS 状<br />

結 腸 切 除 施 行 。( 他 院 ) 平 成 19 年 肝 S7に 肝 転 移 を 指 摘 され、 平 成 19 年<br />

2 月 経 皮 的 RFA 施 行 。その 後 、 近 医 にてTS-1 内 服 (1 年 )。 平 成 20<br />

年 5 月 … 肝 S8 再 発 を 認 めた。 全 身 化 学 療 法 は 希 望 せず。 平 成 20 年 5 月 ~<br />

平 成 21 年 7 月 まで 肝 動 注 化 学 療 法 施 行 。カテーテル 閉 塞 にて 終 了 。そ<br />

の 後 、 全 身 化 学 療 法 と な る。FORFIRI ~FORFOX/<br />

BV ~XELOX …~その 後 、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 。 肝 転 移<br />

巣 の 増 大 と 多 発 肺 転 移 巣 出 現 。 平 成 22 年 10 月 当 科 紹 介 。PET―CTな<br />

ど 精 査 にて 肝 転 移 巣 は 萎 縮 した 肝 右 葉 をほとんど 占 拠 、 肺 転 移 巣 は 最<br />

大 径 2cmで 数 個 認 めた。 大 きさ 病 勢 を 考 慮 し、またK-ras 遺 伝 子 型 判<br />

定 を 目 的 に 平 成 22 年 12 月 開 胸 開 腹 にて 拡 大 肝 右 葉 切 除 (IVC 楔 状 合<br />

併 切 除 ) 施 行 した。 手 術 時 間 ;9 時 間 、 出 血 量 ;…550mlK-ras 遺 伝 子 検<br />

査 ; wild…typeと 判 明 。 術 後 、 経 過 は 両 下 肢 の 浮 腫 が 続 いたが、 利<br />

尿 剤 などによる 保 存 的 加 療 にて 軽 快 。 術 後 約 1ヶ 月 程 にて 一 時 退<br />

院 。 平 成 23 年 3 月 VATS 予 定 であったが、 術 数 日 前 東 日 本 大 震 災 に<br />

遭 遇 。 延 期 、3 月 下 旬 にVATS 施 行 。( 左 多 発 ) 部 分 切 除 6 箇 所 。 転<br />

移 巣 合 計 8 個 。 術 後 はパンニツムマブによる 全 身 化 学 療 法 継 続 中 。(お<br />

わりに) 今 回 、 我 々は 術 前 全 身 化 学 療 法 、 局 所 療 法 などが 奏 功 してい<br />

たが 肝 転 移 再 発 、 多 発 肺 転 移 にたいし 肝 、 肺 切 除 した 大 腸 癌 多 発 肝 肺<br />

転 移 の1 切 除 例 を 経 験 した。… 今 後 、さらなる 化 学 療 法 ・ 分 子 標 的 薬<br />

の 開 発 や 積 極 的 な 肝 切 除 術 、 放 射 線 療 法 などの 集 学 的 治 療 法 により 大<br />

腸 癌 肝 肺 転 移 症 例 も 長 期 予 後 が 期 待 できる 可 能 性 があると 思 われた。<br />

P82-6 門 脈 本 幹 腫 瘍 栓 を 合 併 した 大 腸 がん 肝 転 移 の1 例<br />

鎌 ケ 谷 総 合 病 院 外 科<br />

○… 山 本 穰 司<br />

( 症 例 )77 歳 女 性 ( 主 訴 ) 腹 痛 ( 現 病 歴 )2010 年 12 月 、 腹 痛 を 主 訴 に 来 院 、<br />

腹 部 造 影 CTで、 進 行 大 腸 がんと 思 われる 腫 瘤 を 右 下 腹 部 に 認 めると<br />

ともに、 肝 右 葉 を 占 拠 する 腫 瘍 性 病 変 、および、 門 脈 右 枝 から 門 脈 本<br />

幹 内 に 腫 瘍 を 認 めた。 腫 瘍 マーカーCEAは、415.0ng/mlと 上 昇 して<br />

いた。( 治 療 経 過 ) 同 年 12 月 22 日 、 右 半 結 腸 切 除 、リンパ 節 郭 清 術 施 行 。<br />

その3 週 間 後 、 肝 右 葉 切 除 、 右 副 腎 摘 出 、 門 脈 腫 瘍 栓 摘 出 術 を 行 った。<br />

腹 膜 播 種 はなかった。 病 理 組 織 所 見 は、 高 度 静 脈 浸 潤 を 伴 う 高 分 化 型<br />

腺 癌 であり、 肝 転 移 ・ 副 腎 転 移 ・ 門 脈 腫 瘍 栓 であった。 患 者 は、 術 後<br />

2 週 間 で 退 院 し、 外 来 で、オキサリプラチン+S-1の 化 学 療 法 を 施 行 し<br />

ていたが、3クール 終 了 後 、 腹 水 貯 留 ・ 黄 疸 が 出 現 、 転 移 性 肝 腫 瘍 再<br />

発 で、 術 後 4カ 月 で 死 亡 した。 門 脈 腫 瘍 栓 は、 肝 細 胞 癌 においては 組<br />

織 学 的 に 比 較 的 よく 見 られる 所 見 であるが、 転 移 性 肝 腫 瘍 においては<br />

まれであり、 特 にVP4といわれる 門 脈 本 幹 腫 瘍 栓 を 伴 う 肝 腫 瘍 の 切 除<br />

症 例 は、 過 去 18 年 の 文 献 検 索 でも、5 例 と 少 なく、その 予 後 も 極 めて<br />

予 後 不 良 である。 今 回 、 我 々は、 上 行 結 腸 癌 の 転 移 性 肝 腫 瘍 ・ 門 脈 本<br />

幹 腫 瘍 栓 症 例 に 対 して、 二 期 的 に、 右 半 結 腸 切 除 、 肝 右 葉 切 除 、その<br />

後 に 化 学 療 法 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P82-7 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 大 腸 癌 肝 転 移 の1 例<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 石 毛 文 隆 , 趙 明 浩 , 山 本 宏 , 貝 沼 修 , 太 田 拓 実 ,<br />

朴 成 進 , 有 光 秀 仁 , 池 田 篤 , 早 田 浩 明 , 鍋 谷 圭 宏 ,<br />

滝 口 伸 浩 , 永 田 松 夫<br />

はじめに) 大 腸 癌 肝 転 移 において 肉 眼 レベルでの 門 脈 浸 潤 や 門 脈 腫 瘍<br />

栓 は 比 較 的 稀 である。 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 大 腸 癌 肝 転 移 の 予 後 は 悪 く、<br />

手 術 しない 場 合 、 平 均 で3.8カ 月 との 報 告 もある。 今 回 我 々は 門 脈 腫<br />

瘍 栓 を 伴 う 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 し 根 治 術 を 施 行 しえた 一 例 を 経 験 したの<br />

で、これに 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。 症 例 )69 歳 、 男 性 。<br />

2009 年 6 月 に 他 院 にて、 胃 全 摘 出 術 (p-stageIA:T1a・N0・M0)と 右<br />

半 結 腸 切 除 術 (p-StageIIIB:SS・N3・M0)を 施 行 。その 後 前 医 にて 経<br />

過 観 察 されていたが、2011 年 10 月 のCTにて、 肝 後 区 域 にφ36mm 大<br />

の 腫 瘍 と 右 後 区 域 枝 本 幹 に 腫 瘍 栓 を 認 め、 精 査 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 。<br />

CEA:42と 高 値 で、ICG(15 分 値 ):8.2、Child-Pugh 分 類 :Aであった。<br />

転 移 性 肝 癌 の 診 断 にて、 後 区 + 前 背 側 区 域 切 除 術 を 施 行 した。 結 果 )<br />

病 理 組 織 診 断 は、Metastatic…adenocarcinoma,…compatible…with…<br />

metastasis…from…colon…cancer,…of…the…liver、 肝 癌 取 扱 い 規 約 上 、H1,…<br />

St-P,…3cm,…ig,…fc(-),…fc-inf(-),…sf(-),…s0,…vp3,…vv0,…va0,…b1SM(-)(0.5mm)<br />

であった。… 術 後 経 過 は 良 好 で 第 12 病 日 に 軽 快 退 院 となっている。 考 察 )<br />

文 献 的 考 察 では、 門 脈 腫 瘍 栓 を 伴 う 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 して 根 治 的 手 術<br />

を 行 った 報 告 は22 例 認 めた。 術 後 の 予 後 は6カ 月 から52カ 月 と、 良 好<br />

な 生 命 予 後 が 得 られる 場 合 もあり、 積 極 的 に 手 術 療 法 を 考 えても 良 い<br />

と 思 われた。 本 症 例 は 術 後 補 助 化 学 療 法 を 施 行 しておらず、 術 後 2カ<br />

月 間 再 発 を 認 めていないが、 大 腸 癌 肝 転 移 において 肝 切 除 後 の 補 助 化<br />

学 療 法 として 確 立 したものはなく、 門 脈 腫 瘍 栓 の 症 例 においても 同 様<br />

である。 今 後 さらなる 症 例 を 蓄 積 し 検 討 していかなければならないと<br />

考 えられた。<br />

-482-


P82-8 当 科 における 大 腸 癌 肝 転 移 再 発 に 対 する2 回 目 肝 切 除<br />

の 成 績<br />

東 京 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 高 橋 道 郎 , 長 谷 川 潔 , 大 場 大 , 佐 藤 彰 一 , 井 上 陽 介 ,<br />

金 子 順 一 , 青 木 琢 , 阪 本 良 弘 , 菅 原 寧 彦 , 國 土 典 宏<br />

【 背 景 】 肝 切 除 は 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 唯 一 の 根 治 的 治 療 法 だが、 高<br />

率 に 再 発 をきたす。 再 発 に 対 する2 回 目 肝 切 除 の 有 効 性 は、いまだ 十<br />

分 に 明 らかになっていない。【 当 科 の 方 針 】 肝 転 移 再 発 を 指 摘 された<br />

時 点 で、 可 能 であれば 肝 切 除 を 考 慮 する。 多 発 病 変 には 複 数 の 非 系 統<br />

的 切 除 を、 両 葉 多 発 病 変 には 片 肝 切 除 + 対 側 の 部 分 切 除 を、 必 要 あれ<br />

ば 術 前 門 脈 塞 栓 術 を 行 う。 原 則 、 術 中 RFAは 併 用 しない。 肝 外 病 変<br />

に 関 しては、 病 変 がコントロールできていると 判 断 された 場 合 は、 切<br />

除 の 適 応 とする。 術 前 化 学 療 法 は 切 除 不 能 例 や、 肝 門 部 リンパ 節 転 移<br />

など 肺 以 外 の 遠 隔 転 移 を 認 める 症 例 に 行 っている。【 成 績 】1994 年 か<br />

ら2011 年 6 月 まで、402 例 の 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 に 初 回 肝 切 除 を 行 った。<br />

このうち2 回 目 肝 切 除 を 行 ったのは111 例 であった。2 回 目 肝 切 除 にお<br />

いて、 腫 瘍 数 の 中 央 値 は2 個 、 最 大 腫 瘍 径 の 中 央 値 は2.4cm、H 因 子 内<br />

訳 はH1:97 例 (87%)、H2:14 例 (13%)だった。H3は 認 めなかった。<br />

初 回 肝 切 除 から2 回 目 肝 切 除 までの 期 間 の 中 央 値 は222 日 であった。2<br />

回 目 肝 切 除 時 を 起 算 として、5 年 生 存 率 56.2%、5 年 無 再 発 生 存 率 23.8%<br />

だった。 予 後 に 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる21 項 目 について、 単 変 量 解<br />

析 を 行 い、その 中 でP


P83-2 大 腸 癌 肝 転 移 術 後 再 発 危 険 因 子 の 同 定 とその 対 策<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 山 戸 一 郎 , 庄 雅 之 , 野 見 武 男 , 赤 堀 宇 広 , 北 東 大 督 ,<br />

童 仁 , 川 口 千 尋 , 安 田 里 司 , 木 下 正 一 , 金 廣 裕 道 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【はじめに】 大 腸 癌 肝 転 移 治 療 の 基 本 は 肝 切 除 であるが, 肝 切 除 後 再<br />

発 をきたす 症 例 も 少 なくない. 今 回 ,われわれは 大 腸 癌 肝 転 移 初 回 治<br />

癒 切 除 後 再 発 の 危 険 因 子 を 検 討 した.【 方 法 】1990 年 から2010 年 まで<br />

に 当 科 において, 初 回 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 し 治 癒 切 除 を 施 行 した136 症<br />

例 を 対 象 とした. 肝 切 除 後 5 年 以 上 再 発 を 認 めない 症 例 を 無 再 発 群 (NR<br />

群 )とし, 再 発 群 (R 群 )との 臨 床 病 理 学 的 特 徴 を 統 計 学 的 に 解 析 し,<br />

危 険 因 子 を 同 定 した.また, 肝 切 除 後 1 年 以 内 の 再 発 症 例 は 特 に 予 後<br />

不 良 (pEOB-<br />

MRI> 造 影 CTであった( 症 例 2). 化 学 療 法 により 画 像 上 消 失 した 腫 瘍<br />

は, 全 肝 薄 切 肉 眼 所 見 でもP.O.し 得 なかった( 症 例 1).EOB-MRIは<br />

80%で 微 小 病 変 を 捉 え 得 た( 症 例 1,3,4,5). 結 論 : 微 小 肝 転 移 はEOB-<br />

MRIで 概 ね 検 出 可 能 であったが, 検 出 出 来 ない 病 巣 があることを 念 頭<br />

に 置 く 必 要 があると 考 えられた.<br />

P83-5 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 における 腫 瘍 周 囲 微 小 癌 病 変 の 局 在<br />

に 関 する 検 討<br />

1<br />

長 崎 大 学 大 学 院 移 植 ・ 消 化 器 外 科 、 2 広 州 市 第 一 人 民 病 院<br />

○… 翁 傑 鋒<br />

1,2<br />

, 曽 山 明 彦 1<br />

, 高 槻 光 寿 1<br />

, 村 岡 いづみ 1 , 原 貴 信 1<br />

,<br />

山 口 泉 1<br />

, 田 中 貴 之 1<br />

, 木 下 綾 華 1<br />

, 大 野 慎 一 郎 1<br />

,<br />

足 立 智 彦 1<br />

, 伊 藤 信 一 郎 1<br />

, 山 之 内 考 彰 1<br />

, 藤 田 文 彦 1<br />

,<br />

金 高 賢 悟 1<br />

, 黒 木 保 1<br />

, 江 口 晋<br />

1<br />

【 背 景 】 近 年 の 化 学 療 法 の 発 達 は、 大 腸 癌 肝 転 移 症 例 の 切 除 率 の 向 上<br />

に 繋 がっているが、 切 除 に 際 して 治 癒 切 除 を 得 るために 必 要 なマージ<br />

ンに 関 しては、 長 く 議 論 されているにも 関 わらず、 未 だ 明 らかとはなっ<br />

ていない。 肉 眼 的 治 癒 切 除 後 再 発 の 一 因 として 肝 内 の 腫 瘍 周 囲 微 小 癌<br />

病 変 の 存 在 が 考 えられる。【 目 的 】 大 腸 癌 肝 転 移 における 主 腫 瘍 周 囲<br />

の 微 小 癌 病 変 を 検 索 し、それらと 術 前 画 像 診 断 との 関 係 を 明 らかにす<br />

る。【 対 象 と 方 法 】 当 科 にて 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 切 除 例 のうち、 化<br />

学 療 法 施 行 後 に 切 除 施 行 された13 例 を 対 象 とした。( 検 討 1) 主 腫 瘍 より<br />

1mm 以 上 離 れており、 径 が1mm 未 満 の 細 胞 集 塊 を 微 小 癌 病 変 と 定 義 し、<br />

その 局 在 をパラフィン 切 片 を 用 いた 免 疫 組 織 化 学 染 色 (CEA、CK20)<br />

にて 評 価 。 主 腫 瘍 最 大 割 面 での 腫 瘍 周 囲 微 小 癌 病 変 の 個 数 、 主 腫 瘍 と<br />

の 最 大 距 離 を 測 定 した。( 検 討 2) 腹 部 造 影 CTによる 腫 瘍 の 形 態 をその<br />

辺 縁 の 形 状 から、INFα、β、γの3 種 類 に 分 類 。 辺 縁 が 最 も 平 滑 で<br />

あるものをINFα、 最 も 不 整 なものをINFγとした(Yamaguchi,…et…al.…<br />

World…J…Surg.…2002;26:1122-5)。 各 分 類 と 微 小 癌 病 変 の 局 在 の 関 連<br />

性 を 検 討 した。【 結 果 】( 検 討 1) 主 腫 瘍 のCEA 陽 性 率 は、11/13 例 (85%)、<br />

CK20 陽 性 率 9/13 例 …(69%)。 微 小 癌 病 変 は、CEA、CK20いずれか 陽<br />

性 となった11 例 において 検 索 し、9/11 例 (82%)に 認 めた。 病 変 数 は、<br />

症 例 により1~17 病 変 と 幅 があった。 微 小 癌 病 変 までの 距 離 は1.0~<br />

16.0mmであった。( 検 討 2) 腫 瘍 サイズの 変 化 は、 化 学 療 法 前 後 で<br />

-27mmから+23mmの 範 囲 であった。CTによる 主 腫 瘍 形 態 分 類 は 化 学<br />

療 法 施 行 前 INFα7 例 、β2 例 、γ2 例 であったが、 施 行 後 、6 例 で 形 態<br />

が 変 化 した(α→β…3 例 、α→γ…1 例 、β→α…1 例 、γ→α…1 例 )。 化<br />

学 療 法 施 行 前 の 分 類 がINFγであった2 例 は、 微 小 癌 病 変 を 各 々10、<br />

17 病 変 と 多 数 認 めた。 主 腫 瘍 から 最 も 離 れた 微 小 癌 病 変 (16mm)は、<br />

化 学 療 法 前 INFγ 分 類 の 症 例 に 認 めた。【 結 語 】 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 す<br />

る 切 除 には、 主 腫 瘍 周 囲 の 微 小 癌 病 変 の 存 在 を 念 頭 に 切 除 マージンを<br />

設 定 する 必 要 がある。 特 に 化 学 療 法 施 行 前 CTによる 形 態 評 価 でINF<br />

γの 症 例 では、 化 学 療 法 後 でも 微 小 癌 病 変 が 複 数 存 在 する 可 能 性 があ<br />

る。<br />

-484-


P83-6 大 腸 癌 異 時 性 肝 転 移 (H3・GradeC)に 対 し、 肝 中 央 2 区<br />

域 切 除 ・ 肝 S2/3 部 分 切 除 術 施 行 後 3 年 無 再 発 生 存 を 得<br />

た1 例<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 海 藤 章 郎 , 高 橋 進 一 郎 , 加 藤 祐 一 郎 , 後 藤 田 直 人 ,<br />

木 下 敬 弘 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

症 例 は72 歳 女 性 。S 状 結 腸 癌 ・ 肝 転 移 (H1)に 対 しS 状 結 腸 切 除 (D3)・<br />

肝 部 分 切 除 (S5) を 施 行 。pSS,N1,H1(GradeA),P0,M0,CY0…<br />

pStageIV ( 大 腸 癌 取 扱 い 規 約 第 7 版 ),…Dukes…Dであった。 術 後 補 助<br />

化 学 療 法 なし(JCOG…0603 手 術 単 独 群 )で 外 来 経 過 観 察 中 、 術 後 5カ 月<br />

のCT・MRIにて 肝 S8/4:7cm,…S3/2:6cm,S4/5:6cm,…S5:6cm,…S8:<br />

2cm,1cm、 計 6カ 所 の 多 発 肝 転 移 を 認 めた(H3、GradeC)。 肝 予 備 能 は<br />

肝 障 害 度 :A,Child-Pugh 分 類 :A,ICG15R:4.4%であり、 根 治 切 除 可<br />

能 と 考 えられたため 翌 月 肝 中 央 2 区 域 切 除 、 肝 S2/3 部 分 切 除 術 を 施 行<br />

した。 肝 中 央 2 区 域 切 除 は、 門 脈 臍 部 右 側 にてMHAを 結 紮 ・ 切 離 し<br />

G4をLinear…staplerで 処 理 した。 肝 離 断 の 後 MHVをLinear…staplerで<br />

処 理 。RHVを 根 部 から 露 出 しながら 前 後 区 域 間 を 肝 離 断 、 前 区 域 脈<br />

管 を 処 理 した。 背 景 肝 はSteatosisで、 肝 阻 血 時 間 :163 分 , 肝 切 除 重 量 :<br />

860g, 手 術 時 間 :459 分 , 出 血 量 :4907ml, 輸 血 量 :RCC14Uであった。<br />

術 後 経 過 は 良 好 で 第 11 病 日 に 退 院 した。 病 理 結 果 は 大 腸 癌 肝 転 移 で 切<br />

離 断 端 は 陰 性 であった。 術 後 補 助 化 学 療 法 としてmFOLFOX6を12 回<br />

施 行 した。 初 回 手 術 の16カ 月 後 ( 肝 転 移 巣 手 術 の10ヶ 月 後 ) 新 たに 発 見<br />

された 直 腸 癌 に 対 しHartmann 手 術 を 施 行 し、 病 理 結 果 は<br />

pA,N1,H0,P0,M0…pStage…IIIa,Dukes…Cであった。 現 在 肝 転 移 巣 手 術 後<br />

36カ 月 ( 初 回 手 術 後 42カ 月 ) 無 再 発 生 存 中 である。【まとめ】 大 腸 癌 肝<br />

転 移 GradeCは 切 除 例 のMST20.5か 月 、5 生 率 9.9%と 報 告 され( 山 口 ら,<br />

2006)、 予 後 不 良 である。 当 科 では、 切 除 可 能 性 がmarginalな 症 例 に<br />

は 術 前 化 学 療 法 を 行 いdown-stagingを 図 っているが 本 症 例 は 本 人 の<br />

希 望 により 切 除 を 先 行 し 比 較 的 長 期 の 無 再 発 生 存 を 得 た。 治 療 戦 略 を<br />

考 えるうえで 示 唆 に 富 む 症 例 と 考 えられた。<br />

P83-7 切 除 困 難 な 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 無 遺 残 を 目 指 した 肝<br />

切 除 と 経 皮 的 ラジオ 波 焼 灼 療 法 (RFA)の 併 用 の 検 討<br />

岐 阜 市 民 病 院 外 科<br />

○… 足 立 尊 仁 , 松 井 聡 , 田 島 ジェシー 雄<br />

大 腸 癌 肝 転 移 の 治 療 法 は, 肝 切 除 前 に 化 学 療 法 を 行 い, 切 除 不 可 能 肝<br />

転 移 症 例 が 切 除 可 能 となる 場 合 も 報 告 されている. 一 方 で, 化 学 療 法<br />

による 肝 機 能 障 害 から 肝 切 除 容 量 が 制 限 されてくる 場 合 もある. 当 院<br />

では, 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 する 治 療 方 針 として, 切 除 可 能 例 に 対 しては<br />

積 極 的 に 切 除 してきたが, 腫 瘍 径 3cm 以 下 かつ3 個 以 下 の 深 部 病 変 に<br />

ついてはRFAを 施 行 した 例 もあった.その 成 績 と 最 近 施 行 した 切 除<br />

困 難 な 肝 転 移 症 例 に 施 行 した 肝 切 除 とRFAの 併 用 例 につき 検 討 した<br />

ので 報 告 する.【 対 象 】RFA 単 独 施 行 例 については,2001 年 から2006<br />

年 までの 当 院 でRFAを 施 行 した 腫 瘍 径 3cm 以 下 かつ3 個 以 下 の 大 腸 癌<br />

肝 転 移 23 症 例 ( 同 時 性 肝 転 移 9 例 , 異 時 性 肝 転 移 14 例 )を 対 象 とした.<br />

また, 肝 切 除 +RFA 症 例 については2006 年 から2010 年 の5 例 ( 同 時 性<br />

肝 転 移 4 例 , 異 時 性 肝 転 移 1 例 )を 対 象 とした.【 方 法 】RFAは 経 皮 的<br />

にUS…guide 下 に 行 った。 肝 切 除 +RFA 症 例 では,RFA 後 2 週 間 目 に 肝<br />

切 除 を 施 行 した.【 結 果 】A)RFA 単 独 施 行 例 :1)RFA 合 併 症 ;<br />

Biloma…1 例 , 肝 膿 瘍 1 例 .2) 累 積 肝 内 再 発 率 ;1 年 …55.4%,2 年 …62.5%,<br />

3 年 以 降 73.8%. 累 積 肝 局 所 再 発 率 ;1 年 25.6%,2 年 以 降 29.3%, 腫 瘍 径<br />

0~20mm…10%,21~30mm…92%.3) 累 積 生 存 率 ;1 年 …90.4%,3 年 …48.8%,<br />

5 年 …32.5%.B) 肝 切 除 +RFA 例 1) 術 前 肝 機 能 ;ICGR15…1 例 のみ21.2%<br />

と 高 値 ,liver…damage… 全 例 A.2) 術 前 化 学 療 法 の 有 無 ; 有 …2 例 ,3) 術<br />

後 補 助 化 学 療 法 の 有 無 ; 有 …2 例 .4) 転 移 個 数 ;3 個 …1 例 ,4 個 …1 例 ,5 個 …<br />

1 例 ,10 個 以 上 …2 例 .5) 術 式 ; 外 側 区 域 切 除 …2 例 , 右 葉 切 除 2 例 , 左 葉<br />

切 除 …1 例 .6) 累 積 肝 内 再 発 率 ;1 年 …60%,3 年 以 降 …80%.7) 累 積 生 存 率 ;<br />

1 年 …100%,2 年 …80%,3 年 …80%,5 年 …0%.【 考 察 】1) 大 腸 癌 肝 転 移 に<br />

対 するRFAの 適 応 は, 肝 局 所 再 発 率 より20mm 以 下 がよいと 考 えられ<br />

た.2) 切 除 困 難 例 においても 肝 切 除 とRFAを 併 用 することにより 無<br />

遺 残 にできる 可 能 性 が 示 唆 された.3) 肝 切 除 +RFA 症 例 では, 肝 内<br />

再 発 も 多 く, 術 後 補 助 療 法 の 検 討 や 肝 切 除 範 囲 ( 葉 切 除 以 上 など)と 術<br />

後 肝 機 能 障 害 の 程 度 について 検 討 が 必 要 である.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P83-8 腹 腔 鏡 下 ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した 大 腸 癌 肝 転 移 の1<br />

例<br />

市 立 吹 田 市 民 病 院 外 科<br />

○… 村 上 昌 裕<br />

大 腸 癌 肝 転 移 に 対 してラジオ 波 焼 灼 術 の 有 効 性 は 確 立 していないが、<br />

20mm 以 下 の 病 変 など 適 応 を 限 定 すれば 局 所 制 御 率 は 良 好 とする 報 告<br />

も 多 い。 今 回 、 経 皮 的 なラジオ 波 焼 灼 術 が 困 難 であった 大 腸 癌 肝 転 移<br />

に 対 し、 腹 腔 鏡 下 にラジオ 波 焼 灼 術 を 行 った 症 例 を 報 告 する。 症 例 は<br />

74 歳 、 女 性 。2009 年 5 月 、 同 時 性 多 発 肝 転 移 (S6に21mmと15mm、S2<br />

に8mm、 計 3 個 )を 伴 う 横 行 結 腸 癌 に 対 して 腹 腔 鏡 下 横 行 結 腸 切 除 術<br />

を 施 行 した。 原 発 巣 切 除 後 、UFT/LV 内 服 を2コース 施 行 したところ、<br />

肝 転 移 病 巣 は 著 明 な 縮 小 を 認 め、その 後 患 者 の 希 望 もあり 無 治 療 にて<br />

経 過 観 察 となった。2010 年 3 月 肝 S6の 肝 転 移 病 巣 の 増 大 傾 向 (12mm)<br />

を 認 めたため、 肝 切 除 術 を 勧 めるも 拒 否 されたため、4 月 に 経 皮 的 ラ<br />

ジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した。6 月 肝 S2に 再 発 (12mm)を 認 めたが、 病 変<br />

が 胃 壁 に 接 しているため、 通 常 の 経 皮 的 なラジオ 波 焼 灼 術 は 困 難 と 判<br />

断 。 他 院 での 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 も 治 療 方 法 の 一 つとして 勧 めたが、こ<br />

れも 拒 否 されたため、 腹 腔 鏡 下 にラジオ 波 焼 灼 術 を 予 定 した。 全 身 麻<br />

酔 下 に3ポートで 気 腹 後 に 腹 腔 内 を 観 察 し、 腹 膜 播 種 などの 異 常 が 無<br />

いことに 加 え、 肝 転 移 病 変 を 確 認 し、 肝 臓 と 胃 壁 との 間 にエンドリト<br />

ラクターを 留 置 して 焼 灼 部 位 から 十 分 に 距 離 をとりラジオ 波 焼 灼 術 を<br />

施 行 した。10 月 、さらに 肝 S5に 肝 転 移 再 発 (15mm)を 認 めたが、 胆 嚢<br />

や 結 腸 などと 病 変 が 近 いため、 再 度 腹 腔 鏡 下 手 術 にて 癒 着 を 剥 離 し、<br />

周 囲 臓 器 から 病 変 を 離 した 後 、ラジオ 波 焼 灼 術 を 施 行 した。いずれも<br />

合 併 症 なく、 術 後 2 日 目 に 退 院 。 現 在 、 術 後 18カ 月 経 過 し 肝 転 移 の 再<br />

発 なく 制 御 良 好 であるが、 肺 転 移 が 出 現 し 放 射 線 治 療 中 である。… 最<br />

近 では 大 腸 癌 肝 転 移 に 対 して 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 が 比 較 的 侵 襲 も 少 なく<br />

最 適 な 治 療 法 となってきたが、 本 症 例 では 患 者 の 希 望 もありラジオ 波<br />

焼 灼 術 を 選 択 した。 経 皮 的 なラジオ 波 焼 灼 術 では 肝 表 面 に 近 い 腫 瘍 は<br />

焼 灼 が 不 十 分 となることがあるが、 腹 腔 鏡 下 のラジオ 波 焼 灼 術 では 治<br />

療 中 の 肝 表 面 の 変 化 を 観 察 でき、また 周 囲 臓 器 を 病 変 から 離 すことで、<br />

十 分 に 焼 灼 することが 可 能 である。 肝 表 面 に 近 い 腫 瘍 の 局 所 制 御 とし<br />

て 腹 腔 鏡 下 のラジオ 波 焼 灼 術 も 有 用 な 選 択 肢 の 一 つであると 考 えられ<br />

た。<br />

P83-9 子 宮 平 滑 筋 肉 腫 術 後 肝 転 移 に 対 するラジオ 波 ・ 化 学 療 法<br />

後 の 局 所 再 発 例 にSalvageSurgeryを 行 った1 例<br />

1<br />

佐 々 木 研 究 所 附 属 杏 雲 堂 病 院 外 科 、 2 佐 々 木 研 究 所 附 属 杏 雲 堂<br />

病 院 消 化 器 肝 臓 内 科<br />

○… 川 本 潤 1<br />

, 三 浦 世 樹 1<br />

, 深 田 忠 臣 1<br />

, 佐 藤 新 平 2<br />

,<br />

2<br />

小 尾 俊 太 郎<br />

【はじめに】しばしば 臨 床 で 経 験 される 平 滑 筋 肉 腫 肝 転 移 に 対 する 治<br />

療 法 は、 外 科 的 切 除 、 腫 瘍 焼 灼 療 法 や 化 学 療 法 などが 挙 げられるが、<br />

標 準 的 治 療 法 は 未 だ 確 立 されていないのが 現 状 である。 特 に、 平 滑 筋<br />

肉 腫 肝 転 移 に 対 する 腫 瘍 焼 灼 療 法 は、 対 象 腫 瘍 の 大 きさ、 個 数 や 存 在<br />

位 置 等 に 対 する 適 応 基 準 が 定 まっていない。 今 回 我 々は、 子 宮 平 滑 筋<br />

肉 腫 術 後 、2cmの 単 発 性 肝 転 移 に 経 皮 経 肝 的 ラジオ 波 焼 灼 術 (RFA)を<br />

行 った 後 の 局 所 再 発 に 対 し、Salvage…Surgeryを 行 った 症 例 を 経 験 し<br />

たので 報 告 する。【 症 例 】 症 例 は59 歳 、 女 性 。 子 宮 平 滑 筋 肉 腫 の 診 断 で、<br />

腹 式 単 純 子 宮 全 摘 出 、 両 側 付 属 器 切 除 術 を 施 行 された。 術 後 2ヶ 月 の<br />

腹 部 造 影 CTで 肝 S4に 大 きさ2cmの 異 時 性 単 発 肝 転 移 を 認 め、RFAを<br />

行 った。 治 療 後 1 週 の 評 価 CTで 完 全 焼 灼 が 確 認 されたために 退 院 と<br />

なった。その 後 、 再 発 予 防 目 的 にIAP(IFP…3000mg/m2、THP…50mg/…<br />

m2、CDDP…70mg/…m2) 療 法 を3コース 行 ったが、RFA 治 療 後 5ヶ 月 の<br />

腹 部 造 影 CTで、 肝 S4 焼 灼 領 域 周 囲 に 造 影 効 果 のあるviable…lesionを<br />

認 め、 腫 瘍 径 が4.5cmと 増 大 傾 向 を 示 していたために、PD(Progressive…<br />

Disease)と 判 断 され 当 科 紹 介 となった。 腹 部 造 影 CT(3D 血 管 構 築 像 )<br />

で、 肝 転 移 はA4aおよびA5より 血 流 を 受 けており、 胆 嚢 に 接 して 存<br />

在 していた。 上 記 診 断 で 肝 中 央 下 区 域 切 除 、 胆 嚢 摘 出 術 を 行 った。 術<br />

後 経 過 は 概 ね 良 好 で 退 院 され、 肝 切 除 後 半 年 現 在 、 明 らかな 再 発 は 認<br />

めていない。【 考 察 】 平 滑 筋 肉 腫 は 非 常 に 予 後 不 良 の 疾 患 であり、 特<br />

に 肝 転 移 症 例 における 局 所 療 法 としての 肝 切 除 術 と 腫 瘍 焼 灼 療 法 の 適<br />

応 基 準 は 確 立 されていない。 今 回 は、 平 滑 筋 肉 腫 肝 転 移 局 所 療 法 につ<br />

いて 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-485-


P84-1 【 演 題 取 下 】<br />

P84-2 機 能 性 膵 ガストリノーマと 多 発 肝 転 移 を 同 時 切 除 した<br />

1 例<br />

昭 和 大 学 藤 が 丘 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 水 上 博 喜 , 日 比 健 志<br />

症 例 )76 歳 、 女 性 。2012 年 2 月 頃 より 腹 痛 を 自 覚 した。6 月 に 全 身 倦 怠<br />

感 が 出 現 し、 近 医 を 受 診 したこところ、 多 発 肝 腫 瘤 を 認 め、 当 院 に 紹<br />

介 受 診 予 定 であった。7 月 に 急 激 な 腹 痛 が 出 現 し、 緊 急 入 院 となった。<br />

上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて 十 二 指 腸 潰 瘍 を 認 めた。その 後 の 精 査 にて、<br />

膵 体 部 に 直 径 10mmの 腫 瘤 と 肝 S4を 中 心 に 両 葉 多 発 肝 腫 瘍 をみとめ、<br />

EUS-FNA、 肝 生 検 ともにガストリノーマと 診 断 した。 血 中 ガスト<br />

リン 値 は、33410pg/mlであった。9 月 に 肝 右 葉 に 直 径 10mmの 腫 瘤 が<br />

2ヶ 所 残 存 するものの、 拡 大 左 葉 切 除 と 膵 尾 部 切 除 、 脾 臓 摘 出 を 行 った。<br />

血 中 ガストリン 値 は753pg/mlに 低 下 した。11 月 に 残 肝 腫 瘍 に 対 し 塞<br />

栓 術 を 行 い、12 月 よりソマトスタチンアナログ 製 剤 の 投 与 を 開 始 した。<br />

十 二 指 腸 潰 瘍 は 改 善 傾 向 であった。まとめ) 膵 ガストリノーマと 多 発<br />

肝 転 移 を 同 時 切 除 し、 残 肝 腫 瘍 に 集 学 的 な 治 療 を 行 った 稀 な 症 例 を 経<br />

験 した。 同 疾 患 は 治 療 報 告 が 少 なく、 貴 重 な 症 例 と 思 われ、 若 干 の 文<br />

献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P84-3 急 速 に 進 行 した 消 化 管 内 分 泌 細 胞 癌 肝 破 裂 の1 例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科<br />

○… 伊 藤 浩 光 , 中 尾 圭 介 ,アディクリスナ ラマ, 藍 原 有 弘 ,<br />

伴 大 輔 , 入 江 工 , 落 合 高 徳 , 工 藤 篤 , 中 村 典 明 ,<br />

田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

症 例 は38 歳 男 性 。 平 成 23 年 3 月 上 旬 に 上 腹 部 痛 と 便 潜 血 陽 性 を 主 訴 に<br />

近 医 受 診 。 右 季 肋 部 に 腫 瘤 を 触 知 、 腹 部 CTにて 肝 両 葉 に 最 大 径 5cm<br />

の 乏 血 性 腫 瘍 を 複 数 認 め、 転 移 性 肝 腫 瘍 の 診 断 にて 当 院 紹 介 となった。<br />

CEA・CA19-9の 上 昇 を 認 めたため、 下 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 施 行 。<br />

横 行 結 腸 に 半 周 性 の2 型 病 変 を 認 め、 結 腸 癌 (T,…Type…2,…cSE,…cN1,…<br />

cH3,…cP0,…cM0)cStage…IVと 診 断 された。この 時 の 組 織 では 低 分 化 腺<br />

癌 と 診 断 されたが 免 疫 染 色 では 内 分 泌 細 胞 癌 を 示 唆 する 所 見 も 認 めら<br />

れた。 原 発 巣 切 除 先 行 の 方 針 となり、3 月 下 旬 に 横 行 結 腸 部 分 切 除 術<br />

を 施 行 した。 術 後 第 8 病 日 より、 乳 び 腹 水 、 貧 血 の 進 行 を 認 め、 第 11<br />

病 日 ドレーンより 血 性 の 排 液 が 流 出 したためCT 検 査 を 施 行 した。 腫<br />

瘍 は 急 速 に 増 大 しており、 左 葉 外 側 区 に 位 置 する 表 面 に 突 出 した 腫 瘍<br />

の 辺 縁 から 下 方 に 高 濃 度 の 血 腫 が 認 められ、 腫 瘍 破 裂 による 出 血 が 疑<br />

われた。 門 脈 腫 瘍 塞 栓 も 疑 われたため、インターベンションによる 止<br />

血 は 高 リスクかつ 困 難 と 判 断 し、 緊 急 手 術 となった。 手 術 施 行 したと<br />

ころ、 肝 外 側 区 の 腫 瘍 はやわらかく 崩 れており、free…ruptureの 状 態<br />

であった。 崩 れた 腫 瘍 を 可 及 的 に 切 除 し、 有 効 な 止 血 が 得 られた。そ<br />

の 後 、 肝 動 注 療 法 (5FU…1500mg) 開 始 するも2 週 間 後 のCT 検 査 で 転 移<br />

巣 のさらなる 増 大 を 認 めたため 肝 動 注 療 法 を 中 止 した。 最 終 的 な 病 理<br />

免 疫 染 色 の 結 果 、 神 経 内 分 泌 細 胞 癌 と 診 断 されたため、サンドスタチ<br />

ン 投 与 を 開 始 。また 腺 癌 の 局 在 も 認 めたためmFOLFOX6の 全 身 投 与<br />

を 開 始 した。その 後 、 他 院 で 治 療 が 継 続 されたものの 効 果 に 乏 しく、<br />

術 後 3ヶ 月 で 死 亡 となった。 神 経 内 分 泌 腫 瘍 は 高 頻 度 に 肝 転 移 を 生 じ、<br />

同 時 性 ・ 異 時 性 を 含 め30~80%とも 言 われているが、 進 行 は 比 較 的 緩<br />

徐 とされいる。 本 症 例 は、2010 年 版 WHO 分 類 でNECもしくMANEC<br />

に 相 当 すると 考 えられたが、 肝 破 裂 をきたした 症 例 は 極 めて 珍 しく、<br />

文 献 による 考 察 を 加 えながら 報 告 する。<br />

P84-4 多 発 肝 転 移 をきたした 後 腹 膜 原 発 カルチノイド 腫 瘍 の<br />

一 例<br />

成 田 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 代 市 拓 也 , 清 水 善 明 , 伊 藤 勝 彦 , 西 谷 慶<br />

症 例 は63 歳 女 性 。 下 腹 部 痛 を 主 訴 に 当 院 紹 介 受 診 。CTにて 仙 骨 前 面<br />

の 後 腹 膜 に 径 45mm 大 の 腫 瘍 を 認 めたため、2007 年 3 月 、 腫 瘍 摘 出 術<br />

を 施 行 した。 腫 瘍 の 組 織 像 は、N/C 比 が 高 く 比 較 的 小 型 、 均 一 で、ク<br />

ロマチンに 濃 染 する 核 を 有 する 異 型 細 胞 が 索 状 ~ 網 状 の 増 生 パターン<br />

を 呈 し、 免 疫 染 色 にて 神 経 内 分 泌 マーカーであるChromograninA、<br />

CD56が 陽 性 を 示 した。 病 理 結 果 と 他 臓 器 、 特 に 消 化 管 に 異 常 を 認 め<br />

ないことより 後 腹 膜 原 発 のカルチノイド 腫 瘍 と 診 断 した。 術 後 無 治 療<br />

にて 経 過 観 察 を 行 っていたが、4 年 後 に 肝 右 葉 を 中 心 に 多 発 する 腫 瘍<br />

を 認 めたため、カルチノイド 腫 瘍 の 肝 転 移 を 疑 い、2011 年 6 月 、 拡 大<br />

肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 では 腫 瘍 に 対 する 免 疫 染 色 にて 神<br />

経 内 分 泌 マーカーであるChromograninA、Synaptophysin、CD56が<br />

いずれも 陽 性 を 示 しカルチノイド 腫 瘍 の 肝 転 移 と 診 断 した。 術 後 、 神<br />

経 内 分 泌 癌 の 治 療 に 準 じてCPT-11+CDDP 療 法 を 施 行 することと<br />

なったが、3クール 終 了 した 段 階 で 再 発 を 認 めていない。カルチノイ<br />

ド 腫 瘍 は 神 経 内 分 泌 細 胞 に 由 来 する 腫 瘍 でほとんどが 消 化 管 原 発 であ<br />

り、 後 腹 膜 原 発 の 報 告 は 極 めてまれである。また、 転 移 性 カルチノイ<br />

ド 腫 瘍 に 対 する 治 療 は 原 発 腫 瘍 の 治 療 と 同 様 、 外 科 的 切 除 が 第 一 選 択<br />

となるが、 転 移 例 の 中 でも 肝 転 移 は 予 後 不 良 とされ、 治 療 に 難 渋 する<br />

場 合 も 少 なくない。 今 回 、 我 々は 後 腹 膜 原 発 カルチノイド 腫 瘍 切 除 後<br />

に 多 発 肝 転 移 をきたし 拡 大 肝 右 葉 切 除 術 を 施 行 した 一 例 を 経 験 したの<br />

で、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-486-


P84-5 腺 様 嚢 胞 癌 肝 転 移 に 対 して 肝 切 除 術 を 施 行 した2 例<br />

1<br />

佐 世 保 市 立 総 合 病 院 、 2 長 崎 大 学 病 院 腫 瘍 外 科<br />

○… 飛 永 修 一 1<br />

, 角 田 順 久 1<br />

, 阿 保 貴 章 2 2<br />

, 七 島 篤 志<br />

【はじめに】 腺 様 嚢 胞 癌 は 唾 液 腺 や 気 管 支 などに 認 められる 悪 性 腫 瘍<br />

である。 緩 徐 に 進 行 するが 晩 期 にしばしば 遠 隔 転 移 をきたすため 長 期<br />

にわたる 経 過 観 察 が 必 要 とされている。 化 学 療 法 の 有 用 性 は 明 らかで<br />

ないことから 転 移 巣 に 対 する 治 療 は 切 除 可 能 であれば 切 除 を 行 うとす<br />

る 報 告 が 多 い。 今 回 腺 様 嚢 胞 癌 術 後 に 肝 転 移 をきたし 切 除 した2 症 例<br />

を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】77 歳 男 性 。14 年 前 に 気 管 腺 様 嚢 胞<br />

癌 に 対 し 気 管 管 状 切 除 術 施 行 。 経 過 中 、 転 移 性 肺 腫 瘍 に 対 し 肺 部 分 切<br />

除 術 を2 度 施 行 された。 今 回 経 過 観 察 中 に 多 発 する 肝 腫 瘍 を 指 摘 され<br />

精 査 。 腹 部 造 影 CTで 肝 S5,6に3.5cm、 肝 S4に1.5cmの 不 整 な 低 濃 度 腫<br />

瘤 をみとめ、さらに10mm 前 後 の 小 病 変 を4か 所 認 めた。 肝 拡 大 後 区<br />

域 切 除 術 + 肝 S4 部 分 切 除 術 と 深 部 病 変 にはラジオ 波 焼 灼 術 施 行 し 術 後<br />

は 順 調 に 経 過 した。 病 理 診 断 で 腺 様 嚢 胞 癌 の 肝 転 移 と 診 断 された。 術<br />

後 4 年 の 無 再 発 生 存 を 得 ることができた。【 症 例 2】63 歳 男 性 。8 年 前 に<br />

皮 膚 腺 様 嚢 胞 癌 に 対 し 手 術 施 行 。 経 過 中 、 転 移 性 肺 腫 瘍 に 対 し 左 肺 全<br />

摘 術 が 施 行 された。 今 回 肝 機 能 異 常 を 指 摘 され 精 査 目 的 に 腹 部 造 影<br />

CT 施 行 。 肝 S4,5,8に2 個 の 隣 接 するそれぞれ35mm 大 の 腫 瘍 を 指 摘 さ<br />

れた。 右 肝 切 除 術 施 行 し 術 後 経 過 は 良 好 であった。 病 理 診 断 にて 腺 様<br />

嚢 胞 癌 の 肝 転 移 と 診 断 された。 現 在 術 後 3か 月 経 過 している。【まとめ】<br />

腺 様 嚢 胞 癌 肝 転 移 に 対 する 報 告 は 少 ないものの 切 除 により 良 好 な 予 後<br />

が 期 待 できるとの 報 告 がなされている。 有 効 な 化 学 療 法 が 確 立 してい<br />

ない 現 時 点 では 完 全 切 除 が 可 能 な 肝 転 移 巣 に 対 しては 切 除 が 最 も 望 ま<br />

しい 手 段 であると 考 えられた。<br />

P84-6 胆 道 癌 術 後 肝 転 移 再 発 症 例 に 対 する 外 科 切 除 と 予 後 因<br />

子 の 検 討<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 上 腹 部 外 科<br />

○… 本 多 正 幸 , 加 藤 祐 一 郎 , 後 藤 田 直 人 , 木 下 敬 弘 ,<br />

高 橋 進 一 朗 , 小 西 大 , 木 下 平<br />

【 背 景 】 胆 道 癌 肝 転 移 に 対 する 外 科 切 除 後 の 長 期 生 存 例 が 報 告 されて<br />

いる。 当 院 では 胆 道 癌 の 肝 転 移 再 発 症 例 では、 肝 転 移 が2 個 以 下 で 耐<br />

術 可 能 であれば 基 本 的 に 切 除 を 行 ない、3 個 以 上 または 耐 術 不 可 能 な<br />

際 は 化 学 療 法 を 施 行 している。【 目 的 】 胆 道 癌 術 後 肝 転 移 再 発 症 例 の<br />

治 療 成 績 を 解 析 し、 外 科 的 切 除 の 妥 当 性 および 予 後 因 子 を 検 討 する。<br />

【 対 象 および 方 法 】1993 年 4 月 ~2011 年 3 月 に 当 院 で 行 われた 胆 道 癌 術<br />

後 で、 初 回 再 発 が 肝 臓 に 限 局 した 症 例 19 例 を 対 象 とし、 治 療 成 績 を 後<br />

方 視 的 に 検 討 した。【 結 果 】 男 性 / 女 性 は8/11 例 で 年 齢 中 央 値 は66…(31-<br />

83) 歳 であった。 原 発 巣 は 胆 管 癌 11 例 、 乳 頭 部 癌 5 例 、 胆 嚢 癌 3 例 で、<br />

初 回 術 式 は 肝 外 胆 管 切 除 術 2 例 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 12 例 、 胆 道 再 建<br />

を 伴 う 肝 切 除 術 3 例 および 他 院 で 施 行 された 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 1 例 であっ<br />

た。 肝 転 移 再 発 に 対 する 外 科 的 切 除 は19 例 中 7 例 に 施 行 され、 非 切 除<br />

群 全 例 に 化 学 療 法 が 施 行 された。 無 再 発 生 存 期 間 中 央 値 は10.3(1.8-43)<br />

か 月 、 全 生 存 期 間 中 央 値 は19.2(4.3-175)か 月 、また 肝 転 移 再 発 からの<br />

生 存 期 間 中 央 値 は9.5(0.7-132)か 月 であった。 全 生 存 期 間 について 予<br />

後 因 子 を 検 討 すると、 単 変 量 解 析 で 肝 再 発 切 除 (P=0.021)、 分 化 型 (P<br />


P84-9 中 咽 頭 癌 肝 転 移 の1 切 除 例<br />

岐 阜 大 学 腫 瘍 外 科<br />

○… 山 田 敦 子 , 長 田 真 二 , 徳 丸 剛 久 , 安 福 至 , 今 井 寿 ,<br />

佐 々 木 義 之 , 高 橋 孝 夫 , 山 口 和 也 , 吉 田 和 弘<br />

頭 頚 部 癌 の 発 生 頻 度 は 癌 全 体 の 約 5%とされており、 中 咽 頭 癌 は 頭 頚<br />

部 悪 性 腫 瘍 の 約 10% 前 後 と 頻 度 は 低 い。 今 回 我 々は 中 咽 頭 癌 の 肝 転 移<br />

の1 切 除 例 を 経 験 したため 報 告 する。【 症 例 】53 歳 男 性 。2008 年 9 月 頃<br />

に 左 頚 部 腫 瘤 を 自 覚 し 近 医 受 診 し 精 査 ・ 治 療 目 的 にて2009 年 1 月 に 当<br />

院 耳 鼻 科 に 紹 介 された。MRIでは 左 舌 扁 桃 が 腫 大 し 左 頚 部 に 転 移 を 疑<br />

うリンパ 節 腫 大 を 多 数 認 め、PET-CT 上 でも 同 部 の 集 積 が 確 認 された。<br />

また 生 検 から 扁 平 上 皮 癌 との 結 果 から 中 咽 頭 癌 (T1-2N2bM0…Stage4)<br />

との 診 断 で 化 学 療 法 (Monthly…CDDP/5FU 療 法 )を 同 年 2 月 から3 月 ま<br />

でに2クール 施 行 したところ、 原 発 巣 はPRであったがリンパ 節 の 縮 小<br />

が 得 られた。 同 年 4 月 に 左 頚 部 郭 清 術 を 施 行 された 上 で、 術 後 に 放 射<br />

線 化 学 療 法 (Daily…CDDP8mg/Body+ 頚 部 40~50Gy、 原 発 部 60Gy)を1<br />

クール 追 加 され、 外 来 にて 画 像 による 経 過 観 察 されることとなった。<br />

2010 年 3 月 の 造 影 CTおよびPET-CTにて 肝 S4に 約 13mm 大 、20mm 大 、<br />

S8に 約 13mm 大 の 結 節 影 でいずれも 動 脈 相 でのリング 状 濃 染 と 平 衡 相<br />

での 内 部 の 淡 い 遷 延 性 濃 染 を 伴 う 肝 転 移 を 疑 う 所 見 があり、 化 学 療 法<br />

(Monthly…CDDP150mg+5-FU1450mg)を2クールおこなった。その 後<br />

免 疫 療 法 活 性 化 自 己 リンパ 球 注 入 療 法 とTS-1(120mg/ 日 、2 週 投 与 1 週<br />

休 薬 )の 併 用 にて 転 移 巣 は 最 大 径 20mmから9.4mmとなったが、2011<br />

年 1 月 の 評 価 にて 再 度 増 大 傾 向 に 転 じた。PET-CTでは 他 臓 器 に 遠 隔<br />

転 移 は 確 認 しえず、ご 本 人 の 強 い 希 望 を 踏 まえて 手 術 目 的 にて 当 科 へ<br />

紹 介 。 十 分 な 説 明 のもと、2011 年 3 月 に 肝 内 側 区 域 +S5 切 除 術 を 施 行<br />

した。 術 後 経 過 は 良 好 で13 日 目 に 退 院 となった。 病 理 所 見 としては、<br />

核 不 整 を 伴 い 一 部 で 角 化 傾 向 を 示 す 異 型 上 皮 細 胞 がシート 状 に 増 殖 し<br />

ており 扁 平 上 皮 癌 の 肝 転 移 として 矛 盾 しないとの 結 果 であった。 術 後<br />

はTS-1による 抗 癌 剤 治 療 を 継 続 し 経 過 観 察 されている。【 考 察 】 医 学<br />

中 央 雑 誌 で 検 索 した 範 囲 内 では 咽 頭 癌 の 肝 転 移 の 切 除 例 の 報 告 は 確 認<br />

できなかったが、 転 移 性 肝 腫 瘍 の 治 療 方 針 につき 議 論 するべく、 文 献<br />

的 報 告 を 踏 まえ 報 告 する。<br />

P84-10 根 治 手 術 後 早 期 に 骨 転 移 をきたした 肝 転 移 を 伴 う 小 腸<br />

GIST 再 々 発 の 一 例<br />

住 友 重 機 械 健 康 保 険 組 合 浦 賀 病 院 外 科<br />

○… 前 田 慎 太 郎 , 若 林 康 夫 , 奥 野 厚 志<br />

GIST 転 移 様 式 では 局 所 再 発 、 腹 膜 播 種 、 肝 転 移 が 多 く 骨 転 移 は 稀 で<br />

ある。 今 回 、 小 腸 GISTの 再 々 発 ( 肝 転 移 を 含 む) 手 術 後 早 期 に、 骨 転<br />

移 を 認 めた 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は78 歳 女 性 。2004 年 小<br />

腸 GISTに 対 し 空 腸 下 行 結 腸 部 分 切 除 施 行 。2005 年 腸 間 膜 再 発 で 下 行<br />

結 腸 部 分 切 除 施 行 。その 際 イマチニブ 投 与 を 開 始 した。2008 年 局 所 再 々<br />

発 の 診 断 となるも 手 術 治 療 は 希 望 せず、イマチニブ 継 続 投 与 を 行 った。<br />

2011 年 局 所 再 発 巣 の 増 大 、 肝 転 移 の 診 断 となり 当 院 紹 介 となった。 根<br />

治 術 の 適 応 と 判 断 し、 空 腸 、 十 二 指 腸 第 4 部 切 除 術 、 肝 S7 部 分 切 除 術<br />

施 行 した。 術 後 経 過 は 良 好 にて 術 後 23 日 目 に 退 院 となった。 病 理 検 査<br />

でもGIST 再 発 の 診 断 でありエクソン11の 変 異 も 認 められ 術 後 はイマ<br />

チニブ 投 与 再 開 を 行 った。その2カ 月 後 に 下 肢 神 経 症 状 の 出 現 を 認 め、<br />

画 像 検 査 で 胸 椎 転 移 の 診 断 となった。 本 症 ではGIST 局 所 再 々 発 、 肝<br />

転 移 の 診 断 で 根 治 術 可 能 と 判 断 し、 肝 切 除 を 伴 う 根 治 術 を 施 行 した。<br />

GISTの 骨 転 移 症 例 報 告 数 はまだ 少 ないが、 高 リスク 群 のGIST、 特 に<br />

長 期 経 過 においては 骨 転 移 の 可 能 性 を 念 頭 に 置 き、 治 療 法 の 選 択 を 行<br />

う 事 が 考 慮 される。 若 干 の 文 献 的 検 索 を 加 え 報 告 する。<br />

P85-1 PBCに 対 する 生 体 部 分 肝 移 植 術 後 の 再 発 、 長 期 予 後 に<br />

ついての 検 討<br />

岡 山 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 内 海 方 嗣 , 吉 田 一 博 , 信 岡 大 輔 , 佐 藤 太 祐 , 吉 田 龍 一 ,<br />

楳 田 祐 三 , 篠 浦 先 , 貞 森 裕 , 八 木 孝 仁 , 藤 原 俊 義<br />

【はじめに】 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 (PBC)は 成 人 生 体 肝 移 植 の 適 応 疾 患<br />

のひとつであり 唯 一 の 根 治 的 な 治 療 とされている。 術 後 20~30%の 症<br />

例 に 再 発 すると 報 告 されているが 予 後 は 比 較 的 良 好 である。 生 体 肝 移<br />

植 後 についての 報 告 は 少 なく 再 発 の 危 険 因 子 、 予 後 予 測 因 子 について<br />

は 不 明 な 点 が 多 い。【 目 的 】PBCで 生 体 肝 移 植 術 を 行 った 症 例 に 対 し<br />

て 検 査 所 見 、 再 発 の 危 険 因 子 、 予 後 因 子 についての 検 討 を 目 的 とした。<br />

【 対 象 と 方 法 】1996 年 8 月 から2010 年 12 月 までPBCの 診 断 で 生 体 部 分<br />

肝 移 植 術 を 行 った26 症 例 を 対 象 としretrospectiveに 解 析 をおこなった。<br />

【 結 果 】 平 均 年 50 歳 、23 例 が 女 性 でありAMA 陰 性 、 抗 M2 抗 体 陰 性 症<br />

例 は3 例 に 認 めた。 術 後 免 疫 抑 制 剤 はFK、ステロイド、MMFを 使 用<br />

した。 胆 道 系 合 併 症 は14 例 、 急 性 拒 絶 は13 例 (50%)に 認 めた。 観 察 期<br />

間 :1ヶ 月 ~184ヶ 月 ( 中 央 値 82.8ヶ 月 )。5 年 生 存 率 は80.8%であった。<br />

肝 生 検 で 確 認 された 再 発 は7 例 に 認 めた。 危 険 因 子 として 有 意 差 のあ<br />

るものは 認 めなかった。ドナーは 血 縁 ドナー17 例 、 非 血 縁 ドナー9 例<br />

であった。 血 縁 ドナー(17 例 )と 非 血 縁 (9 例 )ドナーの 再 発 率 は23%と<br />

33%で 術 後 生 存 率 は88%と66%であった(P=0.15)。さらにHLAミス<br />

マッチ 数 についての 再 発 率 、 生 存 率 や 死 亡 症 例 についての 解 析 もおこ<br />

なった。【 結 論 】ドナーにより 生 存 率 、 再 発 率 の 相 違 を 認 めたが 有 意<br />

な 結 果 は 見 られなかった。 症 例 数 が 少 なく 有 意 な 再 発 の 危 険 因 子 、 予<br />

後 予 測 因 子 は 得 られなかった。PBCの 生 体 部 分 肝 移 植 術 後 は 再 発 例 6<br />

例 みとめたが 全 例 生 存 中 であり 生 体 肝 移 植 により 良 好 な 予 後 が 期 待 で<br />

きる。<br />

P85-2 当 施 設 における 小 児 ABO 血 液 型 不 適 合 肝 移 植 の 成 績 と<br />

rituximab 投 与 法 の 変 遷<br />

1<br />

自 治 医 科 大 学 移 植 外 科 、 2 自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 岡 田 憲 樹 1<br />

, 眞 田 幸 弘 1<br />

, 山 田 直 也 1<br />

, 脇 屋 太 一 1<br />

,<br />

井 原 欣 幸 1<br />

, 浦 橋 泰 然 1<br />

, 笹 沼 英 紀 2<br />

, 藤 原 岳 人 2<br />

,<br />

佐 久 間 康 成 2<br />

, 清 水 敦 2<br />

, 俵 藤 正 信 2<br />

, 安 田 是 和 2<br />

,<br />

水 田 耕 一<br />

2<br />

【 目 的 】 近 年 rituximabと 血 漿 交 換 などの 術 前 処 置 によりABO 血 液 型<br />

不 適 合 肝 移 植 の 成 績 の 向 上 が 報 告 されている。しかし、 小 児 生 体 肝 移<br />

植 におけるABO 血 液 型 不 適 合 移 植 における 報 告 は 少 ない。そこで、<br />

当 施 設 における 小 児 ABO 血 液 型 不 適 合 肝 移 植 の 対 策 および 合 併 症 と<br />

成 績 を 検 討 する。【 対 象 と 方 法 】2001 年 5 月 ~2011 年 7… 月 までに、 当 施<br />

設 では192 回 (187 例 )の 定 時 肝 移 植 ( 緊 急 肝 移 植 を 除 く)を 施 行 した。そ<br />

の 内 、ABO 不 適 合 肝 移 植 は29 回 (28 例 )で 全 体 の15%であった。ABO<br />

血 液 型 不 適 合 肝 移 植 対 策 として、 抗 ドナー 抗 体 16 倍 以 下 を 目 標 に 術 前<br />

血 漿 交 換 を 行 った。またrituximabは2004 年 1 月 より2 歳 以 上 の 症 例 を<br />

対 象 に 投 与 を 開 始 し、 初 期 は375mg/m …2… 2 例 、 中 期 は50mg/m …2… 2 例 、<br />

現 在 は200mg/m …2… で8 例 投 与 している。【 結 果 】 主 な 術 後 合 併 症 は、<br />

急 性 拒 絶 反 応 12 例 (41%)、CMV 感 染 症 15 例 (48%)、Pneumocystis 肺<br />

炎 1 例 、 難 治 性 胆 管 炎 1 例 、 血 球 貪 食 症 候 群 1 例 などであった。 生 存 率<br />

は89%(25 例 )であり、ABO 一 致 ・ 適 合 例 (98%)に 比 べ 有 意 に 低 かっ<br />

た(P


P85-3 当 施 設 における 体 重 6kg 以 下 の 低 体 重 児 に 対 する 生 体<br />

肝 移 植 の 検 討<br />

1<br />

自 治 医 科 大 学 移 植 外 科 、 2 自 治 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 山 田 直 也 1<br />

, 眞 田 幸 弘 1<br />

, 岡 田 憲 樹 1<br />

, 脇 屋 太 一 1<br />

,<br />

井 原 欣 幸 1<br />

, 浦 橋 泰 然 1<br />

, 笹 沼 英 紀 2<br />

, 清 水 敦 2<br />

, 藤 原 岳 人 2<br />

,<br />

佐 久 間 康 成 2<br />

, 俵 藤 正 信 2<br />

, 安 田 是 和 2 1<br />

, 水 田 耕 一<br />

【 目 的 】 新 生 児 を 含 む 低 体 重 児 に 対 する 生 体 肝 移 植 では 手 術 手 技 が<br />

困 難 であることに 加 え、 周 術 期 管 理 やgraft(ドナー) 選 択 などの 問 題<br />

があり、また 予 後 に 関 する 報 告 は 少 ない。 今 回 、 当 施 設 で 体 重 6kg 以<br />

下 の 低 体 重 児 に 対 して 施 行 した 小 児 生 体 肝 移 植 について 検 討 したため、<br />

報 告 する。【 対 象 】 当 施 設 で2001 年 5 月 から2011 年 12 月 までに 施 行 した<br />

小 児 生 体 肝 移 植 211 例 ( 再 移 植 6 例 )のうち、 移 植 時 recipient 体 重 6kg 以<br />

下 の14 例 (6.6%)を 対 象 にした。 原 疾 患 は 胆 道 閉 鎖 症 8 例 、 新 生 児 ヘモ<br />

クロマトーシス2 例 、 劇 症 肝 炎 2 例 、CPS1 欠 損 症 1 例 、 胆 汁 うっ 滞 性 肝<br />

硬 変 1 例 であった。【 結 果 】Graft…はleft…lateral…segment…graft…8 例 、S2…<br />

monosegment…graft…4… 例 、reduced…S2…monosegment…graft…2 例 で、 平<br />

均 GRWRは3.6%(GV/SLV…88.5%)だった。1 例 を 術 後 22… 日 目 に 脳 出 血<br />

で 失 ったが、その 他 は 全 例 生 存 中 であり、 生 存 率 、グラフト 生 存 率 と<br />

もに92.8%( 平 均 追 跡 期 間 ;3.59 年 )であった。 移 植 時 に 閉 腹 できず、<br />

二 期 的 に 閉 腹 を 行 った 症 例 を1 例 (7.1%) 認 めた。 外 科 的 合 併 症 は、 肝<br />

静 脈 狭 窄 0 例 、 門 脈 吻 合 部 狭 窄 1 例 (7.1%)、 肝 動 脈 血 栓 症 2 例 (14.2%)、<br />

胆 管 空 腸 吻 合 部 狭 窄 2 例 (14.2%)であった。 体 重 は 移 植 時 平 均 4.5kg<br />

(2.6kg~6.0kg)から1 年 後 で 平 均 8.7kg(6.1~10.9kg)と 良 好 な 身 体 発 育 を<br />

認 めた。また、 術 後 1 年 時 の 平 均 GV/SLVは96.1%であり、 良 好 な 肝<br />

再 生 を 認 めた。【 結 語 】 6kg 以 下 の 低 体 重 児 に 対 しても 生 体 肝 移 植 は<br />

安 全 に 施 行 され、 予 後 は 良 好 であり、 外 科 的 合 併 症 の 頻 度 も 体 重 6kg<br />

以 上 の 症 例 と 差 はなかった。 当 施 設 では 低 体 重 児 のgraft 選 択 は<br />

GRWR


P85-7 臓 器 移 植 法 改 正 後 、 脳 死 肝 移 植 医 療 はどう 変 わったか<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科<br />

○… 海 道 利 実 , 小 倉 靖 弘 , 小 川 晃 平 , 藤 本 康 弘 , 秦 浩 一 郎 ,<br />

八 木 真 太 郎 , 伊 藤 孝 司 , 内 田 洋 一 朗 , 富 山 浩 司 ,<br />

上 本 伸 二<br />

【 目 的 】 臓 器 移 植 法 改 正 後 の 脳 死 肝 移 植 医 療 の 変 化 につき 検 討 した。<br />

【 方 法 】 当 科 では2010 年 7 月 の 法 改 正 以 降 2011 年 11 月 までの 間 に27 回<br />

のドナー 情 報 があり、うち14 例 ドナー 手 術 を 行 い、12 例 が 脳 死 肝 移 植<br />

に 至 った。これらの 経 験 をもとに 検 討 した。<br />

【 結 果 】1) 脳 死 肝 移 植 症 例 数 : 全 国 では、 法 改 正 前 67 例 、 法 改 正 後 66<br />

例 と、 年 間 5.2 例 から49.5 例 と 約 10 倍 に 増 加 。 当 科 でも、 法 改 正 前 17 例 、<br />

法 改 正 後 10 例 と、 年 間 1.3 例 から9.0 例 と 約 7 倍 に 増 加 。(2011 年 11 月 現 在 )。<br />

2) 当 科 脳 死 肝 移 植 症 例 ならびに 原 疾 患 :18 才 未 満 のドナーからの 優 先<br />

選 択 1 例 を 除 く11 例 が 成 人 症 例 。 原 疾 患 は、12 例 中 4 例 が 原 発 性 硬 化 性<br />

胆 管 炎 で、うち3 例 が 両 親 からの2 度 の 移 植 後 の 再 々 移 植 。C 型 肝 硬 変<br />

4 例 、 代 謝 性 肝 疾 患 2 例 、 原 発 性 胆 汁 性 肝 硬 変 と 劇 症 肝 不 全 各 1 例 。<br />

3) 点 数 ・ 待 機 日 数 ・MELDスコア:6 例 が8 点 または9 点 。 全 症 例 の 登<br />

録 後 の 待 機 日 数 中 央 値 は907 日 (3-4567)であったが、8 点 または9 点 症<br />

例 は 当 該 点 数 となってから6 日 (2-11)と、 高 得 点 となれば 短 い 待 機 日<br />

数 で 脳 死 移 植 の 可 能 性 有 り。MELDスコア 中 央 値 は27(13-40)。<br />

4)グラフト:12 例 中 6 例 が 分 割 移 植 。 世 界 的 にも 明 確 な 適 応 基 準 はなく、<br />

当 科 ではドナー 体 重 とレシピエント 体 重 比 が1.5 倍 以 上 の 基 準 で、 積<br />

極 的 に 分 割 移 植 を 選 択 。<br />

5) 冷 保 存 時 間 : 全 症 例 の 平 均 冷 保 存 時 間 は552 分 (320-731)と、 全 例 ほ<br />

ぼ12 時 間 以 内 で 移 植 可 。 全 肝 移 植 症 例 (n=5)および 分 割 肝 移 植 と 減 量<br />

移 植 症 例 (n=7)の 平 均 冷 保 存 時 間 は 各 々483 分 、601 分 。<br />

6) 脳 死 ・ 生 体 移 植 選 択 アルゴリズムの 変 化 : 脳 死 ドナーの 増 加 に 伴 い、<br />

劇 症 肝 不 全 と 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 において 変 化 あり。 劇 症 肝 不 全 では、<br />

可 及 的 に 緊 急 生 体 肝 移 植 を 回 避 すべく、 期 限 を 決 めてhigh…flow…HDF<br />

等 による 内 科 的 治 療 を 継 続 する。 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 では、 移 植 後 グ<br />

ラフト 不 全 危 険 因 子 は、MELD24 以 上 と1 親 等 ドナーからの 移 植 であ<br />

ることより(Egawa…et…al.…Am…J…Tr…2011)、 脳 死 肝 移 植 が 望 ましい。<br />

したがって、 患 者 の 状 態 が 許 せば 脳 死 移 植 を 優 先 する。<br />

【 結 語 】 法 改 正 後 、 脳 死 肝 移 植 症 例 が 飛 躍 的 に 増 加 し、 劇 症 肝 不 全 や<br />

原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 において 生 体 肝 移 植 との 選 択 アルゴリズムが 変 化<br />

した。<br />

P86-1 肝 癌 治 療 における 肝 移 植 の 意 義<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科<br />

○… 海 道 利 実 , 小 倉 靖 弘 , 小 川 晃 平 , 藤 本 康 弘 , 秦 浩 一 郎 ,<br />

伊 藤 孝 司 , 八 木 真 太 郎 , 内 田 洋 一 朗 , 富 山 浩 司 ,<br />

上 本 伸 二<br />

【 目 的 】 肝 癌 治 療 における 肝 移 植 の 意 義 について 検 討 した。<br />

【 方 法 】 対 象 は1999 年 から2011 年 10 月 までに 当 科 で 肝 細 胞 癌 に 対 し 生<br />

体 肝 移 植 を 施 行 した196 例 。2006 年 までは 遠 隔 転 移 や 脈 管 浸 潤 がなけ<br />

れば 腫 瘍 径 や 個 数 に 制 限 を 設 けず、2007 年 以 降 は 多 変 量 解 析 にて 得 ら<br />

れた3つの 再 発 独 立 危 険 因 子 を 全 て 満 たす 新 基 準 ( 最 大 径 5cm 以 下 かつ<br />

10ヶ 以 下 かつDCP400mAU/mL 以 下 )に 基 づいて 移 植 適 応 を 決 定 。1)<br />

全 症 例 の 生 存 率 ・ 再 発 率 、2) 新 基 準 内 外 生 存 率 ・ 再 発 率 、3) 肝 癌 に 対<br />

する 前 治 療 の 有 無 ならびに 前 治 療 別 生 存 率 ・ 再 発 率 、4) 再 発 有 無 別 生<br />

存 率 、5)2002 年 までの59 例 と2003 年 以 降 の137 例 における 術 後 早 期 死<br />

亡 率 ( 移 植 後 90 日 以 内 )、につき 検 討 した。<br />

【 結 果 】1) 全 症 例 の1/3/5 年 生 存 率 は85/73/70%、1/3/5 年 再 発 率 は<br />

8/12/14%。2) 新 基 準 内 外 の1/3/5 年 生 存 率 は 各 々87/83/82%、<br />

79/48/41%、 新 基 準 内 外 の1/3/5 年 再 発 率 は 各 々1/3/4%、29/49/52%<br />

と、ともに 新 基 準 内 で 有 意 に 良 好 であった(p


P86-4 敗 血 症 を 呈 した 亜 急 性 型 劇 症 肝 炎 に 対 する 脳 死 肝 移 植<br />

の 経 験<br />

新 潟 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 三 浦 宏 平 , 佐 藤 好 信 , 小 海 秀 央 , 大 矢 洋<br />

亜 急 性 型 劇 症 肝 炎 に 対 しては 肝 移 植 が 唯 一 有 効 な 治 療 法 として 確 立<br />

されている。 凝 固 能 の 低 下 や 脳 症 など 全 身 状 態 の 極 めて 不 良 な 例 が 多<br />

く、 肝 移 植 までの 代 謝 環 境 の 維 持 ・ 改 善 を 目 的 に 血 漿 交 換 や 持 続 的 血<br />

液 濾 過 透 析 などの 人 口 肝 補 助 療 法 が 行 われる。しかし 術 前 に 敗 血 症 を<br />

呈 した 症 例 では 移 植 後 の 成 績 が 不 良 であるため、 手 術 を 回 避 せざるを<br />

得 ない 場 合 が 多 い。 今 回 我 々は、 敗 血 症 を 呈 した 亜 急 性 型 劇 症 肝 炎 に<br />

対 し 脳 死 肝 移 植 を 施 行 し 救 命 し 得 たので 報 告 する。 症 例 は62 歳 、 男 性 。<br />

糖 尿 病 と 高 血 圧 の 既 往 症 があった。 感 冒 薬 内 服 後 に 発 熱 、 全 身 倦 怠 感 、<br />

尿 濃 染 を 自 覚 し 近 医 を 受 診 した。 精 査 にて 薬 剤 性 亜 急 性 型 劇 症 肝 不 炎<br />

として 加 療 を 開 始 されるも 改 善 なく、 肝 移 植 目 的 に 当 院 に 転 院 した。<br />

当 初 、 実 弟 2 人 がドナー 候 補 となったが、それぞれHBc 抗 体 陽 性 、 脂<br />

肪 肝 であったため 過 小 グラフトではあったが 姉 を 最 終 的 なドナーに 決<br />

定 しつつ 脳 死 移 植 への 登 録 も 行 った。 転 院 後 は 連 日 の 血 漿 交 換 を 施 行<br />

し 生 体 肝 移 植 に 向 けて 全 身 状 態 の 安 定 をはかっていた。 経 過 中 に 脳 症<br />

の 増 悪 を 認 め 緊 急 手 術 を 予 定 したが、 同 時 に 呼 吸 不 全 、 腎 不 全 を 呈 し<br />

極 めて 全 身 状 態 が 不 良 であったため 手 術 は 延 期 された。この 時 点 で 施<br />

行 した 血 液 培 養 は 陰 性 であった。 持 続 的 血 液 濾 過 透 析 、 人 工 呼 吸 器 管<br />

理 にて 加 療 中 に 脳 死 肝 移 植 の 打 診 があり、 緊 急 で 脳 死 肝 移 植 を 施 行 し<br />

た。 手 術 直 前 に 採 取 した2 回 目 の 血 液 培 養 が 陽 性 であったことが 手 術<br />

後 に 判 明 したため、 結 果 的 には 敗 血 症 の 状 態 での 肝 移 植 となった。 術<br />

後 早 期 より 持 続 的 血 液 濾 過 透 析 、エンドトキシン 吸 着 療 法 を 開 始 した。<br />

また 静 脈 内 留 置 カテーテルの 頻 回 の 交 換 や 免 疫 抑 制 剤 のトラフ 値 を 可<br />

能 な 限 り 低 値 に 抑 える 等 の 対 策 を 講 じ、 敗 血 症 状 態 から 比 較 的 速 やか<br />

に 離 脱 した。 部 分 肝 ではなく 全 肝 移 植 であったことも 免 疫 能 の 早 期 復<br />

古 に 寄 与 したものと 考 える。その 後 致 命 的 な 合 併 症 を 生 じることなく<br />

経 過 し 軽 快 退 院 した。 敗 血 症 を 呈 した 症 例 に 対 する 肝 移 植 の 成 績 は 極<br />

めて 不 良 であるが、 術 後 の 集 中 管 理 により 改 善 し 救 命 し 得 た。<br />

P86-5 肝 細 胞 癌 における 肝 移 植 の 現 状 と 課 題 - 非 脳 死 移 植 施<br />

設 の 苦 悩<br />

1<br />

弘 前 大 学 先 進 移 植 再 生 医 学 講 座 、 2 弘 前 大 学 小 児 外 科 、 3 弘<br />

前 大 学 消 化 器 外 科<br />

1,3 2,3<br />

○… 鳴 海 俊 治 , 梅 原 実 , 豊 木 嘉 一 3<br />

, 石 戸 圭 之 輔 3<br />

,<br />

工 藤 大 輔 3<br />

, 木 村 憲 央 3<br />

, 須 貝 道 博 2 2,3<br />

, 袴 田 健 一<br />

【 緒 言 】HCCに 対 する 肝 移 植 は 究 極 の 治 療 法 である。しかしながら<br />

本 邦 の 肝 移 植 は 生 体 ドナーに 依 存 しており、 脳 死 肝 移 植 の 新 しいレシ<br />

ピエント 選 択 基 準 では 慢 性 肝 不 全 ではMELD25を 超 えないと 移 植 出<br />

来 る 可 能 性 は 少 ない。 当 科 における 症 例 を 基 に 本 邦 のHCCに 対 する<br />

肝 移 植 の 問 題 点 を 論 じたい。【 対 象 と 方 法 】1994 年 から2011 年 に 当 科<br />

で 施 行 した 肝 移 植 42 例 のうちHCC5 症 例 および 他 施 設 で 移 植 され 当 科<br />

でフォローしている2 症 例 を 対 象 として 検 討 した。【 結 果 】HCCが 保<br />

険 適 応 以 前 に1 例 。 保 険 適 応 以 降 に 保 険 適 応 外 で 肝 移 植 を 施 行 したの<br />

は4 例 。 非 代 償 性 肝 硬 変 を 伴 わない1 例 で 基 金 を 用 い、ミラノ 逸 脱 の1<br />

例 を 自 費 で 施 行 した。1 例 は14 歳 児 に 発 症 した 非 ウイルス 性 の 成 人 型<br />

肝 細 胞 癌 症 例 でMELD6 点 。1 例 がB 型 肝 炎 、 他 3 例 はC 型 肝 炎 に 続 発 し<br />

たHCCで、C-P…score/MELDはそれぞれA/9、C/13、C/15、B/12であっ<br />

た。1 例 を 門 脈 血 栓 、1 例 をTMAで 失 った。 他 3 名 は 現 在 までに 再 発 は<br />

認 められておらず、2 例 でIFNによるウイルス 治 療 を 行 っている。 渡<br />

航 移 植 (ミラノ 外 )の1 例 は3 年 無 再 発 生 存 中 。ミラノ 外 症 例 で 他 施 設 に<br />

て 移 植 された1 例 は2 年 で 移 植 肝 再 発 し、 肝 切 除 後 骨 転 移 出 現 。 集 学 的<br />

治 療 にて3 年 5ヶ 月 の 生 存 が 得 られている。【 考 察 】HCCに 対 する 肝 移<br />

植 の 有 用 性 は 明 白 である。しかしながら、 現 行 の 保 険 適 応 範 囲 内 で 肝<br />

移 植 を 施 行 できる 症 例 は 限 られている。 非 代 償 性 肝 硬 変 でないために、<br />

切 除 やRFAを 繰 り 返 しているうちにミラノ 基 準 を 逸 脱 する 症 例 や、<br />

判 定 から「1ヶ 月 以 内 」に 手 術 予 定 を 組 んでも、 予 定 通 りに 施 行 できず、<br />

直 前 に 他 の 予 定 手 術 の 変 更 を 余 儀 なくされる 場 合 も 考 えられ、 麻 酔 科<br />

や 手 術 場 との 協 力 体 制 が 不 可 欠 である。また 適 当 なドナーがなく、 脳<br />

死 登 録 してもMELD25 点 でかつミラノ 基 準 を 満 たすHCC 症 例 は 非 常<br />

に 限 られていると 考 えられる。また25 点 に 達 すると 全 身 状 態 は 非 常 に<br />

不 良 となり、 脳 死 移 植 登 録 施 設 への 搬 送 の 手 段 や 時 期 の 決 定 が 難 しい。<br />

更 なる 移 植 施 設 の 拡 大 が 求 められる。HCCに 対 する 移 植 を 増 やすた<br />

めにもドナーアクションが 不 可 欠 であると 考 えられる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P86-6 Hepatoblastomaに 対 する 治 療 戦 略 ー 肝 移 植 の 適 応 と<br />

タイミング<br />

1<br />

弘 前 大 学 小 児 外 科 、 2 弘 前 大 学 移 植 再 生 医 学 講 座 、 3 弘 前 大 学 消<br />

化 器 外 科 、 4 弘 前 大 学 小 児 科<br />

○… 梅 原 実 1<br />

, 鳴 海 俊 治 2<br />

, 須 貝 道 博 1<br />

, 豊 木 嘉 一 3<br />

,<br />

石 戸 圭 之 輔 3<br />

, 工 藤 大 輔 3<br />

, 木 村 憲 央 3<br />

, 小 林 完 1<br />

,<br />

照 井 君 典 4<br />

, 伊 藤 悦 朗 4 1,3<br />

, 袴 田 健 一<br />

肝 芽 腫 の 治 療 には 腫 瘍 の 全 摘 出 が 重 要 であり、 肝 移 植 は 有 効 な 治 療 法<br />

の 一 つとされ 本 邦 でも 保 険 適 応 となった.しかし、その 適 応 とタイミ<br />

ングは 難 しい。 今 回 我 々は 初 回 治 療 より2 年 10ヶ 月 の 間 に 二 度 の 肝 切<br />

除 と 化 学 療 法 CITA、ITEC 施 行 にても 再 発 を 繰 り 返 し 肝 移 植 となっ<br />

た 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は3 歳 男 性 。 感 冒 にて 近 医 受 診<br />

時 に 肝 腫 大 を 指 摘 。 精 査 にて 肝 腫 瘍 、 腫 瘍 マーカーの 著 明 な 上 昇<br />

(AFP236536ng/ml)を 認 めた。 腫 瘍 生 検 にて 肝 芽 腫 の 診 断 。 評 価 は<br />

PRETEXT…III。 化 学 療 法 (CITA)3コース 施 行 後 に 肝 右 3 区 域 切 除 術 施<br />

行 。 術 後 CITA2コース 施 行 。1 年 3ヶ 月 後 、CTにて 肝 切 離 面 に 肝 芽 腫<br />

再 発 を 認 め、 再 度 腫 瘍 切 除 術 を 施 行 された。 術 後 化 学 療 法 として<br />

ITEC4コース 施 行 。さらに10ヶ 月 後 AFPの 上 昇 を 認 め、PET-CTにて<br />

肝 切 離 面 に 陽 性 集 積 、 再 再 発 の 診 断 。CPT-11による 術 前 化 学 療 法 2クー<br />

ル 施 行 した 後 、 祖 母 をドナーとする 生 体 肝 移 植 術 を 施 行 した。 切 除 標<br />

本 の 病 理 組 織 所 見 はcombined…fetal…and…embryonal…epithelial…type。<br />

今 回 の 症 例 について 肝 移 植 の 適 応 とそのタイミングを 検 討 する。<br />

P87-1 発 熱 および 白 血 球 増 多 を 呈 した 胆 嚢 癌 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 岩 国 医 療 センター 外 科<br />

○… 金 谷 信 彦 , 森 廣 俊 昭 , 青 木 秀 樹<br />

【 症 例 】47 歳 , 女 性 .【 主 訴 】 発 熱 【 現 病 歴 】 発 熱 , 右 季 肋 部 痛 で 近<br />

医 受 診 し, 腹 部 エコーで 腹 部 腫 瘤 を 指 摘 され, 当 科 紹 介 となった.【 入<br />

院 時 現 症 】38℃の 発 熱 , 右 季 肋 部 に 約 10cm 大 の 圧 痛 を 伴 う 腫 瘤 を 触<br />

知 した.【 入 院 時 血 液 検 査 】 白 血 球 数 …21200/μl,CRP…17.27mg/dl.<br />

CEA/CA19-9といった 腫 瘍 マーカーは 正 常 であったが,IL-2receptor<br />

が2570U/ml…と 上 昇 していた. 炎 症 反 応 上 昇 が 続 いていたため, 腫 瘍<br />

によるG-CSFの 産 生 を 疑 い, 測 定 したところ,82.1pg/mlと 高 値 を 呈<br />

していた.【 腹 部 造 影 CT】 胆 嚢 底 部 にわずかに 連 続 性 を 認 めるものの,<br />

ほとんどが 胆 嚢 壁 外 に 進 展 を 認 める 径 8.5cmの 内 部 不 均 一 で 低 濃 度 が<br />

目 立 つ 腫 瘤 を 認 めた.その 腫 瘤 は 胆 嚢 動 脈 からの 栄 養 血 管 が 存 在 し,<br />

胆 嚢 由 来 の 腫 瘍 が 疑 われた. 腫 瘍 は 十 二 指 腸 ・ 肝 ・ 膵 ・ 横 行 結 腸 を 圧<br />

排 していたが 浸 潤 は 明 らかではなかった.その 頭 側 に 主 腫 瘍 と 明 らか<br />

に 連 続 しない 径 4cm 大 の 腫 瘤 を 認 め,リンパ 節 転 移 が 疑 われた.【MRI/<br />

MRCP】 肝 内 転 移 , 胆 管 の 狭 窄 ・ 不 整 は 認 めなかった.【EUS-FNA】<br />

悪 性 リンパ 腫 ・ 内 分 泌 腫 瘍 も 鑑 別 に 挙 がったため,EUS-FNAを 施 行 し,<br />

未 分 化 なcarcinomaと 診 断 された. 以 上 より 胆 嚢 癌 T3<br />

(S2,Hinf0,H0,Binf0,PV0,A0,P0),N1(12c):StageIIIと 診 断 した.【 手 術 】<br />

肝 S4a+S5 部 分 切 除 ,D2 郭 清 , 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した. 主 腫 瘍 と 十 二<br />

指 腸 は 強 固 に 癒 着 していたため, 十 二 指 腸 部 分 切 除 を 追 加 した.【 病<br />

理 所 見 】 胆 嚢 底 部 に10…cm 大 の 充 実 性 で, 中 心 部 が 壊 死 した 腫 瘤 を 認<br />

めた.また 粘 膜 内 に 乳 頭 状 に 増 殖 する 腺 癌 成 分 をごく 一 部 認 めたが,<br />

主 体 は 肉 腫 様 の 形 態 を 示 す 未 分 化 な 成 分 であった. 免 疫 染 色 では…<br />

AE1/3,CAM5.2といったcytokeratinが 陽 性 であった. 十 二 指 腸 切 除 標<br />

本 は 粘 膜 下 まで 腫 瘍 が 浸 潤 していた.T3(se,pHinf1a),N1(12c):<br />

StageIIIと 診 断 した.【 術 後 経 過 】 術 後 4 日 目 には 解 熱 し, 術 後 7 日 目<br />

には 白 血 球 数 も 正 常 化 し, 軽 度 の 膵 液 漏 を 認 めたが 術 後 14 日 目 で 退 院<br />

された.【 考 察 】 発 熱 および 白 血 球 増 多 を 呈 した 胆 嚢 癌 1 切 除 例 を 経 験<br />

したので, 考 察 を 加 えて 報 告 する.<br />

-491-


P87-2 左 胃 動 脈 を 用 いて 左 肝 動 脈 再 建 を 行 った 胆 嚢 癌 に 対 す<br />

る 肝 膵 切 除 の1 例<br />

滋 賀 県 立 成 人 病 センター 外 科<br />

○… 中 村 直 彦 , 尾 川 諒 太 郎 , 木 田 裕 也 , 本 庄 真 彦 , 中 川 淳 ,<br />

矢 澤 武 史 , 川 村 純 一 郎 , 原 田 英 樹 , 山 本 秀 和 ,<br />

財 間 正 純<br />

「はじめに」 右 肝 切 除 + 左 肝 動 脈 再 建 の 適 応 は 限 定 的 であるが、 進 行<br />

胆 嚢 癌 において 適 応 となることがある。しかし、 十 二 指 腸 側 への 進 展<br />

のため、 時 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 併 施 せざるを 得 ないことがある。<br />

このような 際 には、 左 肝 動 脈 再 建 方 法 が 困 難 である。 我 々は 左 胃 動 脈<br />

- 左 肝 動 脈 の 端 々 吻 合 を 行 った 肝 膵 切 除 症 例 を 経 験 したので 供 覧 する。<br />

「 症 例 」40 代 女 性 。 閉 塞 性 黄 疸 を 主 訴 に 受 診 。 高 度 の 局 所 進 行 胆 嚢 癌<br />

で 手 術 適 応 なしと 判 断 され、Gemcitabineによる 化 学 療 法 を 施 行 。 一<br />

時 PRであったが、12か 月 後 にPDとなりTS-1に 変 更 となる。 再 び、 一<br />

時 PRであったが、6か 月 目 に 増 悪 傾 向 がみられ、 手 術 目 的 で 外 科 紹 介<br />

となった。「 手 術 所 見 」 高 度 の 肝 十 二 指 腸 間 膜 進 展 を 伴 う 胆 嚢 癌 に 対 し、<br />

肝 右 3 区 域 切 除 + 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 。リンパ 節 転 移 のため 総<br />

肝 動 脈 は 根 部 で 切 離 を 余 儀 なくされ、 左 肝 動 脈 は 左 胃 動 脈 と 端 々 吻 合 。<br />

門 脈 再 建 は 手 術 手 技 上 、 肝 切 除 に 先 行 させる 必 要 があり、 端 々 吻 合 は<br />

不 可 能 で、 左 腎 静 脈 グラフト 再 建 を 施 行 した。「 結 果 」 術 後 経 過 は 良<br />

好 で、 現 在 術 後 8か 月 で 外 来 にてTS-1による 化 学 療 法 を 続 行 中 である。<br />

「 考 察 」 通 常 の 血 管 分 岐 であれば、 左 肝 動 脈 再 建 を 要 する 胆 嚢 癌 手 術<br />

において、 左 胃 動 脈 の 切 除 をも 要 する 手 術 適 応 症 例 は 想 定 し 得 ないの<br />

で、 左 胃 動 脈 との 端 々 吻 合 は 有 用 な 再 建 術 式 と 考 えられる。また、 有<br />

効 な 化 学 療 法 が 開 発 されるに 従 って、 当 初 切 除 適 応 外 と 判 断 された 化<br />

学 療 法 のresponderが、いわゆるadjuvant…surgeryとして 外 科 に 紹 介<br />

されてくる 症 例 も 想 定 され、 従 来 極 めて 限 局 的 であった 右 肝 切 除 + 左<br />

肝 動 脈 再 建 術 式 についても、 十 分 に 検 討 しておく 必 要 があると 考 えら<br />

れる。<br />

P87-3 巨 大 リンパ 節 転 移 郭 清 のための 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 と 術<br />

後 補 助 化 学 療 法 にて6 年 超 無 再 発 生 存 中 の 進 行 胆 嚢 癌<br />

の1 例<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 外 科<br />

○… 立 石 昌 樹 , 高 見 裕 子 , 龍 知 記 , 和 田 幸 之 , 才 津 秀 樹<br />

今 回 我 々は13aリンパ 節 転 移 を 伴 う 胆 嚢 癌 に 対 して 肝 床 部 肝 切 除 兼<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 し、 術 後 Gemcitabineによる 補 助 化 学 療 法<br />

を 追 加 することで 術 後 6 年 3ヶ 月 無 再 発 生 存 中 である1 例 を 経 験 したの<br />

で 報 告 する。【 症 例 】59 歳 女 性 。 上 腹 部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 しエコー<br />

にて 膵 頭 部 に 腫 瘤 を 認 め 精 査 を 施 行 。 診 断 は12b2リンパ 節 転 移 (3cm<br />

大 )、13aリンパ 節 転 移 (6cm 大 )を 伴 う 胆 嚢 癌 ( 肝 床 部 浸 潤 疑 い)であっ<br />

た。 明 らかな 遠 隔 転 移 や 腹 膜 播 種 、 門 脈 ・ 動 脈 浸 潤 の 所 見 がなく 根 治<br />

術 の 可 能 性 があると 判 断 し、2005 年 8 月 に 手 術 を 施 行 した。 腹 膜 播 種 ・<br />

肝 転 移 の 所 見 は 認 めなかったが 胆 嚢 底 部 腹 側 の 漿 膜 には 癌 の 露 出 を 認<br />

めた。16 番 リンパ 節 をサンプリングし 術 中 迅 速 診 にて 陰 性 を 確 認 した<br />

後 、 肝 床 部 を1cm 合 併 切 除 し、また13aリンパ 節 転 移 郭 清 のために 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 D2 郭 清 を 施 行 した。なお12b2リンパ 節 が 門 脈 に 強<br />

固 に 癒 着 しており 門 脈 を 一 部 合 併 切 除 した。 最 終 診 断 は 胆 嚢 癌 pT4(se…<br />

Hinf1a…Binf0…PV1…A0)…pN2…H0…P0…M(-)…fStageIVaであった。 術 後 補<br />

助 化 学 療 法 としてGemcitabine850mg/m2、1~3 週 投 与 1 週 休 薬 を 術 後<br />

3 年 10ヶ 月 施 行 した。 現 在 術 後 6 年 3ヶ 月 無 再 発 生 存 中 。【 考 察 】 胆 嚢 癌<br />

は 肝 床 部 から 肝 実 質 への 浸 潤 、 肝 十 二 指 腸 間 膜 への 浸 潤 、 肝 門 部 から<br />

膵 頭 部 リンパ 節 転 移 など 多 彩 な 病 態 を 示 すために 進 行 胆 嚢 癌 に 対 する<br />

根 治 手 術 は 非 常 にリスクが 高 く、このためリンパ 節 転 移 郭 清 を 目 的 と<br />

した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 適 応 についてもいまだ 意 見 の 統 一 が 無 い。さ<br />

らに 外 科 的 治 療 だけでは 胆 嚢 癌 治 療 成 績 の 改 善 には 限 界 があり、<br />

Gemcitabine 登 場 以 前 の 全 国 集 計 において2 群 リンパ 節 転 移 を 伴 う 胆<br />

嚢 癌 の5 年 生 存 率 は10~13%と 比 較 的 不 良 である。この 予 後 の 改 善 に、<br />

進 行 再 発 胆 道 癌 において2005 年 保 険 収 載 されたGemcitabineの 有 用 性<br />

が 期 待 できる。【 結 語 】 進 行 した 胆 嚢 癌 でもR0を 目 指 した 手 術 を 施 行 し、<br />

これにGemcitabineによる 術 後 補 助 化 学 療 法 を 加 えるという 集 学 的 治<br />

療 により、 長 期 生 存 が 期 待 できる 可 能 性 がある。<br />

P87-4 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 消 化 器 外 科<br />

○… 北 村 博 顕 , 柴 浩 明 , 鈴 木 文 武 , 伊 藤 隆 介 , 後 町 武 志 ,<br />

二 川 康 郎 , 脇 山 茂 樹 , 三 澤 健 之 , 石 田 祐 一 ,<br />

矢 永 勝 彦<br />

【はじめに】 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 は、 発 生 頻 度 1~7%と 比 較 的 稀 な 疾 患<br />

である。また 浸 潤 傾 向 も 強 く 切 除 不 能 な 事 も 多 く 予 後 不 良 とされてい<br />

る。【 症 例 】72 歳 女 性 で、 上 腹 部 痛 の 精 査 中 に 胆 嚢 腫 瘍 を 指 摘 され、<br />

加 療 目 的 で 当 院 受 診 した。 前 医 にて 定 期 的 に 腹 部 USが 施 行 されており、<br />

半 年 前 の 検 査 では 少 量 の 胆 泥 を 認 めるのみであった。 来 院 時 の 腹 部 造<br />

影 CT・…MRI 検 査 では 胆 嚢 底 部 を 中 心 とする 壁 肥 厚 及 び 一 部 壁 の 不 整<br />

を 認 めた。 術 前 画 像 検 査 から 胆 嚢 癌 と 診 断 、 鑑 別 診 断 として 黄 色 肉 芽<br />

腫 性 胆 嚢 炎 が 挙 げられた。 進 行 胆 嚢 癌 の 診 断 で 開 腹 手 術 を 施 行 、 開 腹<br />

所 見 は 周 囲 臓 器 への 炎 症 性 癒 着 を 認 めたが 術 中 迅 速 病 理 診 断 で、 胆 嚢<br />

管 断 端 陰 性 ・ 胆 のう 管 リンパ 節 陰 性 であり 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。<br />

病 理 組 織 学 診 断 では 胆 嚢 の 大 部 分 でシート 状 に 増 生 した 角 化 した 異 型<br />

細 胞 を 認 め 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 と 診 断 した。90×45mm,Gfbn, 慢 性 炎 症 型 ,<br />

結 節 浸 潤 型 ,ss,pHinf0,pH0,pBinf0,pV0,pA0,pT2N0M0…Stage2。 術 後 経<br />

過 は 良 好 で 術 後 第 14 病 日 に 軽 快 退 院 した。 術 後 の 補 助 化 学 療 法 として、<br />

外 来 にてTS-1(100mg/day)を 施 行 しているが、 術 後 4.5ヵ 月 の 時 点 で<br />

再 発 は 認 めていない。【まとめ】 今 回 、 急 性 胆 嚢 炎 の 症 状 があったため、<br />

早 期 に 診 断 し 拡 大 胆 嚢 摘 出 術 にて 切 除 し 得 た 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P87-5 急 速 な 進 行 を 来 した 胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例<br />

国 立 病 院 機 構 嬉 野 医 療 センター 外 科<br />

○… 柴 崎 信 一 , 荒 木 政 人 , 古 川 克 郎 , 岡 忠 之<br />

胆 嚢 腺 扁 平 上 皮 癌 は 全 胆 嚢 癌 の5-10%と 報 告 されている。 外 科 的 切 除<br />

による 長 期 生 存 例 も 報 告 されているが、 局 所 浸 潤 傾 向 が 強 く、その 切<br />

除 後 の 予 後 は 不 良 とされている。 今 回 、 急 速 な 進 行 を 示 した 胆 嚢 腺 扁<br />

平 上 皮 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

症 例 は62 歳 女 性 、 右 季 肋 部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し、 腹 部 超 音 波 、 腹<br />

部 CT 検 査 にて 胆 嚢 の 腫 大 、 不 整 な 壁 肥 厚 がみられ、 急 性 胆 嚢 炎 を 伴<br />

う 胆 嚢 癌 を 疑 い、 精 査 加 療 目 的 にて 当 院 紹 介 となった。 腹 部 造 影 CT<br />

にて 胆 嚢 頸 部 に 造 影 効 果 を 有 する 不 整 な 腫 瘤 を 認 め、また 腫 瘍 に 隣 接<br />

する 肝 床 部 は 不 整 に 造 影 され、 肝 浸 潤 を 伴 う 胆 嚢 癌 と 診 断 した。 腫 瘍<br />

は 総 肝 管 および 右 肝 動 脈 に 近 接 しており 肝 門 浸 潤 が 疑 われ、 手 術 術 式<br />

は 拡 大 肝 右 葉 切 除 以 上 が 妥 当 と 判 断 し、 術 前 門 脈 右 枝 塞 栓 術 を 実 施 し<br />

た。2 週 間 後 の 腹 部 CTにて 門 脈 塞 栓 術 の 効 果 が 得 られ、 右 三 区 域 切 除<br />

を 実 施 した 場 合 の 残 肝 容 積 は23.6%から29.1%と 増 加 していた。また、<br />

肝 浸 潤 部 の 腫 瘍 は 著 明 に 増 大 していたが、 肝 予 備 能 は 保 たれており、<br />

切 除 可 能 と 判 断 し、 手 術 を 実 施 した。 術 式 は 拡 大 肝 右 葉 切 除 、 肝 外 胆<br />

管 切 除 とした。 病 理 診 断 はAdenosquamous…carcinoma,…ly2,…v2,…pn1,…<br />

pHinf3γ,…pN2,…H0,P0,M(-),Stage4bであった。<br />

-492-


P87-6 胆 嚢 扁 平 上 皮 癌 の1 切 除 例<br />

東 京 都 立 駒 込 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 柳 嘉 典 , 本 田 五 郎 , 倉 田 昌 直 , 小 林 信 , 奥 田 雄 紀 浩 ,<br />

鶴 田 耕 二<br />

症 例 は70 歳 代 の 女 性 。【 現 病 歴 】 発 熱 と 腹 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し 精<br />

査 で 横 行 結 腸 浸 潤 を 伴 う 胆 嚢 癌 と 診 断 され、 手 術 目 的 に 当 院 へ 紹 介 さ<br />

れた。 入 院 時 の 身 体 所 見 で38℃ 台 の 発 熱 を 認 め、 右 季 肋 部 に 腫 瘤 を 触<br />

知 し 同 部 位 に 疼 痛 を 認 めた。 採 血 で 高 い 炎 症 反 応 と 胆 道 系 酵 素 の 上 昇<br />

を 認 めた。 腹 部 CTで 胆 嚢 体 部 から 底 部 にかけて93×80mm 大 の 腫 瘤<br />

を 認 め、 肝 臓 、 横 行 結 腸 、 腹 壁 との 境 界 は 不 明 瞭 で 十 二 指 腸 とも 接 し<br />

ており、 周 囲 への 浸 潤 が 疑 われた。 根 治 的 切 除 が 困 難 な 可 能 性 も 危 惧<br />

されたが、 発 熱 ・ 疼 痛 ・ 炎 症 所 見 高 値 が 持 続 しているため 開 腹 手 術 を<br />

施 行 した。【 手 術 】 所 属 リンパ 節 の 腫 大 はなく、 腹 膜 播 種 を 認 めず、<br />

腹 水 洗 浄 細 胞 診 も 陰 性 であった。 腫 瘍 と 腹 壁 および 十 二 指 腸 との 間 は<br />

剥 離 可 能 で 浸 潤 はなかったが、 肝 臓 と 横 行 結 腸 に 直 接 浸 潤 を 認 めた。<br />

肝 S4a+S5 切 除 、 横 行 結 腸 合 併 切 除 、2 群 リンパ 節 郭 清 を 施 行 した。 手<br />

術 時 間 322 分 、 出 血 量 990mlであった。 術 後 遷 延 する 胆 管 炎 を 認 めた<br />

が 保 存 的 に 軽 快 して 退 院 した。【 病 理 組 織 診 断 】 腫 瘍 は 高 度 の 角 化 を<br />

伴 いながら 増 殖 する 角 化 型 のpureな 扁 平 上 皮 癌 で、 癌 真 珠 や 異 角 化<br />

を 伴 う 大 小 不 整 な 胞 巣 を 形 成 し、 線 維 化 を 伴 って 浸 潤 性 に 増 殖 してい<br />

た。 肝 臓 および 横 行 結 腸 に 浸 潤 していたが、 明 らかなリンパ 節 転 移 は<br />

認 めなかった。 取 扱 い 規 約 はGbf、12×10×9cm、St(+)、well…diff.…<br />

SCC…(Keratinizing…type)、pT4(si)、INFα、med、ly2、v2、pn2、<br />

pHinf3、pBinf0、pPV0、pA0、pN0、P0、H0、M(-)、fStageIVa、<br />

D2、pBM0、pHM0、pEM0、fCurAであった。【 予 後 】 術 後 6か 月 の<br />

時 点 で、S-1による 術 後 補 助 化 学 療 法 を 継 続 しており、 無 再 発 生 存 中<br />

である。【まとめ】 胆 嚢 のpureな 扁 平 上 皮 癌 は 胆 嚢 癌 全 体 の1-5%と 稀<br />

である。その 多 くは 進 行 癌 で 見 つかるために 予 後 不 良 とされる。 今 回<br />

我 々は 巨 大 な 腫 瘤 として 見 つかり 切 除 可 能 であった1 例 を 経 験 したの<br />

で 文 献 的 考 察 とともに 報 告 する。<br />

P87-7 胆 嚢 多 型 癌 の1 切 除 例<br />

富 山 県 済 生 会 高 岡 病 院 外 科<br />

○… 島 田 雅 也<br />

症 例 は77 歳 女 性 . 認 知 症 にて 在 宅 介 護 を 受 けていた. 嘔 気 と 食 欲 不 振<br />

を 主 訴 に 救 急 外 来 受 診 .CT 検 査 にて 胆 嚢 頚 部 ~ 体 部 にかけて 不 整 な<br />

壁 肥 厚 を 認 め, 肝 床 部 との 境 界 も 不 明 瞭 であったことより, 胆 嚢 癌 が<br />

疑 われ 当 科 紹 介 受 診 . 腹 部 超 音 波 検 査 では, 胆 嚢 内 腔 の 拡 大 と 全 周 性<br />

壁 肥 厚 を 認 めた.ERCP 検 査 も 施 行 したが, 胆 嚢 管 はわずかに 造 影 され,<br />

胆 嚢 管 合 流 部 付 近 の 擦 過 細 胞 診 は 陰 性 であった.CT 検 査 では 明 らか<br />

なリンパ 節 の 腫 大 もなく, 切 除 可 能 胆 嚢 癌 の 疑 診 で 開 腹 手 術 を 施 行 し<br />

た. 開 腹 すると, 胆 嚢 は 弾 性 硬 で, 底 部 で 結 腸 肝 彎 に 強 固 に 癒 着 し 浸<br />

潤 を 疑 った.まず#12cリンパ 節 をsamplingし 迅 速 病 理 診 断 に 提 出 し<br />

たところ 陰 性 であったため, 根 治 が 得 られると 判 断 し 結 腸 合 併 切 除 を<br />

伴 う 胆 嚢 摘 出 術 を 行 なった. 胆 嚢 の 迅 速 病 理 診 断 で, 悪 性 の 診 断 を 得<br />

たが, 垂 直 方 向 ・ 水 平 方 向 ともに 断 端 浸 潤 は 認 めず, 根 治 手 術 を 施 行<br />

しえた. 病 理 組 織 学 的 検 査 所 見 で, 底 部 に 高 分 化 腺 癌 , 体 部 には 紡 錘<br />

形 細 胞 を 混 じる 扁 平 上 皮 癌 類 似 の 低 分 化 癌 が11x10cmにわたり 広 範 に<br />

増 殖 していた. 免 疫 染 色 で, 底 部 の 腺 癌 部 分 はCK7,8が 陽 性 で, 体 部<br />

にかけてCK5,6,Vimentinが 陽 性 の 部 分 に 移 行 する 部 分 を 認 めた. 以 上<br />

より, 底 部 の 腺 癌 を 基 盤 に 扁 平 上 皮 成 分 や 肉 腫 様 成 分 を 有 する 病 変 が<br />

発 生 したと 考 えられた. 本 例 は,”いわゆる 胆 嚢 癌 肉 腫 ”と 類 似 して<br />

いるが, 腺 癌 , 扁 平 上 皮 癌 , 間 葉 系 腫 瘍 の3 成 分 が 混 在 したため 多 形<br />

癌 (pleomorphic…carcinoma)と 診 断 し た. 最 終 病 期 診 断 は,<br />

S0Hinf0H0Binf0PV0A0P0N0;Stage-Iであった. 術 後 経 過 は 良 好 で,<br />

術 後 1 年 では 再 発 を 認 めていない. 胆 嚢 での 多 形 癌 症 例 は 極 めて 稀 と<br />

考 えられたため, 若 干 の 文 献 的 考 察 を 含 め 報 告 する.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P87-8 AFP 産 生 胆 道 癌 の1 剖 検 例<br />

1<br />

佐 世 保 中 央 病 院 外 科 、 2 佐 世 保 中 央 病 院 病 理<br />

○… 重 政 有 1<br />

, 清 水 輝 久 1<br />

, 久 永 真 1<br />

, 草 場 隆 史 1<br />

, 羽 田 野 和 彦 1<br />

,<br />

梶 原 啓 司 1<br />

, 佐 々 木 伸 文 1<br />

, 碇 秀 樹 1<br />

, 國 崎 忠 臣 1<br />

,<br />

2<br />

米 満 伸 久<br />

α-Fetoprotein( 以 下 AFP)を 産 生 する 腹 部 腫 瘍 のほとんどは 胃 癌 であ<br />

り、 胆 道 癌 の 報 告 はまれである。 今 回 われわれはAFP 産 生 胆 道 癌 を<br />

経 験 したので 報 告 する。 症 例 は73 歳 女 性 。 平 成 21 年 5 月 腹 痛 を 主 訴 に<br />

近 医 受 診 し、 肝 門 部 腫 瘤 を 指 摘 され 精 査 加 療 目 的 で 紹 介 された。 初 診<br />

時 腫 瘍 マーカーはCEA…3.69…ng/ml、CA19-9…5.8…U/ml、AFP…55.9ng/<br />

mlとAFPが 高 値 であった。 腹 部 CTで 胆 嚢 に 一 致 する 部 分 に 径 4cmの<br />

腫 瘤 陰 影 を 認 め、 肝 、 結 腸 との 境 界 が 不 明 瞭 で 浸 潤 が 疑 われた。 肝<br />

十 二 指 腸 間 膜 周 囲 に 径 7cmのリンパ 節 腫 大 を 認 め、 大 動 脈 周 囲 には<br />

1cm 大 のリンパ 節 腫 大 を 多 数 認 めた。 総 胆 管 や 膵 管 の 拡 張 はなく、 腹<br />

水 も 認 めなかった。 以 上 から 高 度 進 行 胆 嚢 癌 と 考 え、 外 科 的 治 療 は 困<br />

難 と 判 断 し 抗 癌 剤 治 療 を 開 始 した。Gemcitabine…1000mg/m2、3 投 1<br />

休 を5クール 行 った。5ヶ 月 後 の 腹 部 CTでは 胆 嚢 腫 瘍 は 増 大 傾 向 をみ<br />

とめ、 肝 十 二 指 腸 間 膜 リンパ 節 は 縮 小 傾 向 を 認 めたが 総 肝 動 脈 周 囲 に<br />

新 たなリンパ 節 腫 大 を 認 めた。また 腹 水 の 出 現 を 認 めた。 食 事 摂 取 は<br />

困 難 となり、 腹 水 貯 留 に 対 して 腹 水 穿 刺 を 行 ったところ 細 胞 診 は<br />

classVであった。AFP 値 は790.6ng/mlとさらに 上 昇 していた。 黄 疸 に<br />

対 してstentを 留 置 したが、 徐 々に 全 身 状 態 悪 化 し 初 診 時 から6ヶ 月 後<br />

に 永 眠 。 剖 検 で 腫 瘍 は 胃 、 十 二 指 腸 、 小 腸 、 大 腸 、 膵 へ 浸 潤 し 一 塊 と<br />

なっていた。 胆 嚢 内 には 径 2cm 混 成 石 を5 個 認 めた。 胆 嚢 、 胆 管 粘 膜<br />

は 白 色 調 の 腫 瘍 で 置 換 され 組 織 学 的 には 低 分 化 腺 癌 の 所 見 であった。<br />

免 疫 組 織 学 的 染 色 ではCEA 陽 性 部 分 とAFP 陽 性 部 分 が 混 在 していた。<br />

多 発 性 肝 転 移 、 癌 性 腹 膜 炎 を 伴 っていた。AFP 陽 性 胆 道 癌 の 報 告 例<br />

は80 例 程 度 で、 約 半 数 の 症 例 は 初 診 時 に 肝 転 移 をともない、 手 術 が 施<br />

行 された 症 例 は 半 数 に 満 たない。Gemcitabineを 用 いた 併 用 療 法 が 有<br />

効 であった 報 告 もあることから 今 後 適 切 な 化 学 療 法 の 選 択 が 重 要 と 思<br />

われる。<br />

P87-9 胆 嚢 carciosarcomaの1 切 除 例<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科 、 2 国 立 病 院 機 構 九<br />

州 医 療 センター 臨 床 研 究 センター<br />

○… 和 田 幸 之 1<br />

, 高 見 裕 子 1<br />

, 立 石 昌 樹 1<br />

, 龍 知 記 1 1,2<br />

, 才 津 秀 樹<br />

症 例 は、68 才 、 男 性 。2009 年 6 月 、 飲 酒 転 倒 にて 近 医 受 診 した 際 、<br />

たまたま 精 査 にて 胆 嚢 腫 瘍 を 指 摘 され、 当 科 外 来 紹 介 受 診 となった。<br />

CT 検 査 にて、 胆 嚢 壁 は 肥 厚 し 胆 嚢 内 腔 は 腫 瘍 で 占 拠 されていた。さ<br />

らに、 胆 嚢 床 から 連 続 して 肝 S4a、S5にかけて 多 結 節 状 に 腫 瘍 が 癒 合<br />

するように 拡 がっており、 肝 浸 潤 を 認 めた。Gd 造 影 では、 腫 瘍 辺 縁<br />

は 通 常 の 胆 嚢 癌 よりも 軽 度 ではあるが 早 期 から 濃 染 を 示 し、 平 衡 相 ま<br />

で 遷 延 していた。また、 門 脈 前 枝 にdefectを 認 め、 腫 瘍 先 進 部 は 門 脈<br />

右 前 枝 にわずかではあるが 及 んでいたため 腫 瘍 塞 栓 の 可 能 性 が 疑 われ<br />

た。 血 管 造 影 検 査 にて、 胆 嚢 動 脈 より 栄 養 されるtumor…stainを 認 め、<br />

門 脈 造 影 ではP5 欠 損 像 を 認 め 腫 瘍 塞 栓 あるいは 門 脈 内 血 栓 が 疑 われ<br />

たが 鑑 別 は 困 難 であった。 腫 瘍 マーカーはCEA…3.0…ng/ml,…CA19-9…17…<br />

IU/mlと 基 準 値 内 であった。 以 上 より、 肝 浸 潤 を 伴 った 胆 嚢 癌 の 術 前<br />

診 断 にて 肝 拡 大 右 葉 +S4a 合 併 切 除 術 、 門 脈 腫 瘍 塞 栓 摘 出 術 、D2リン<br />

パ 節 郭 清 を 施 行 した。 門 脈 前 枝 腫 瘍 栓 摘 出 術 を 行 い、さらに 術 中 に 門<br />

脈 臍 部 を 確 認 したところ、 腫 瘍 塞 栓 を 孤 立 性 に 認 めたため、 肝 円 索 を<br />

解 放 して 腫 瘍 栓 摘 出 を 行 った。 術 後 病 理 組 織 診 断 では、 胆 嚢 内 膜 周 辺<br />

に 限 局 的 にadenocarcinoma 成 分 を 認 めたが、 肝 へ 浸 潤 する 成 分 のほ<br />

とんどは 紡 錘 細 胞 からなるsarcomatous…componentであったため、<br />

carcinosarcomaと 診 断 した。 摘 出 した 門 脈 前 枝 の 塞 栓 成 分 は 腫 瘍 塞 栓<br />

であり、 孤 立 性 の 門 脈 臍 部 塞 栓 も 腫 瘍 細 胞 集 塊 からなる 腫 瘍 塞 栓 で<br />

あ っ た。 最 終 診 断 は、carcinosarcoma,…int,…INFb,…ly2,…v0,…pn1,…sx,…<br />

pHinf3gamma,… pBinf0,… pPV3,… pA0,… pT4,… pBM0,… pHM0,… pEM0,… n0,…<br />

pStageIVaであった。 術 後 、ジェムザールによる 補 助 化 学 療 法 を 導 入 し、<br />

現 在 2 年 6ヶ 月 経 過 するも 無 再 発 生 存 している。 胆 嚢 carcinosarcomaは<br />

比 較 的 稀 な 疾 患 であり、 詳 細 な 画 像 所 見 が 得 られたため 報 告 した。<br />

-493-


P87-10 術 前 診 断 が 困 難 であった 平 坦 浸 潤 型 胆 嚢 癌 の 一 例<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 白 井 祥 睦 , 柴 浩 明 , 古 川 賢 英 , 北 村 博 顕 , 伊 藤 隆 介 ,<br />

鈴 木 文 武 , 後 町 武 志 , 二 川 康 郎 , 脇 山 茂 樹 , 石 田 祐 一 ,<br />

三 澤 健 之 , 矢 永 勝 彦<br />

【 症 例 】72 歳 女 性 。5 年 前 に 直 腸 癌 に 対 して 低 位 前 方 切 除 術 ( 中 分 化 型<br />

腺 癌 、T2,N0,M0,stage1)を 施 行 されている。 既 往 歴 は 血 小 板 減 少 性 紫<br />

斑 病 (ステロイド 内 服 )と 心 筋 梗 塞 。また 以 前 より 胆 嚢 内 結 石 症 と 胆 嚢<br />

壁 の 軽 度 肥 厚 も 指 摘 されている。1 年 前 に 胆 嚢 床 近 傍 に 径 4…cm…の 腫 瘤<br />

を 指 摘 されたが 自 然 縮 小 したため 炎 症 性 偽 腫 瘍 と 診 断 し 経 過 観 察 して<br />

いた。 経 過 観 察 中 、 右 季 肋 部 痛 、 右 背 部 痛 を 認 め、 急 性 胆 嚢 炎 と 診 断 、<br />

待 期 的 手 術 予 定 とした。 腹 部 CT、MRIともに 胆 嚢 頸 部 の 結 石 および<br />

炎 症 が 原 因 と 考 えられる 軽 度 の 壁 肥 厚 を 認 めるのみで、 明 らかな 悪 性<br />

所 見 は 認 めなかった。 腹 腔 鏡 手 術 で 開 始 したが、2 回 の 開 腹 手 術 歴 が<br />

あり 癒 着 が 強 く、また 胆 嚢 周 囲 の 炎 症 も 高 度 であったため 開 腹 胆 嚢 摘<br />

出 術 にコンバートした。 摘 出 した 胆 嚢 には 明 らかな 腫 瘤 性 病 変 を 認 め<br />

なかったが、 病 理 診 断 は 永 久 標 本 で 平 坦 浸 潤 型 高 分 化 型 腺 癌 (Well…<br />

differentiated…tubular…adenocarcinoma,…pT3(se)…pNX…M0…Stage3)で、<br />

胆 嚢 管 切 除 断 端 陽 性 であった。2 週 間 後 に 肝 床 切 除 術 、 胆 管 切 除 術 、<br />

肝 管 十 二 指 腸 吻 合 、D2 郭 清 を 施 行 した。 最 終 病 理 診 断 は 高 分 化 型 腺<br />

癌 (pT3…pN0…Mx…stage3)であった。 術 後 合 併 症 なく、 術 後 第 19 病 日<br />

に 軽 快 退 院 した。【まとめ】 本 症 例 は 直 腸 癌 術 後 、 炎 症 性 偽 腫 瘍 の 診<br />

断 で 長 期 間 にわたり 経 過 観 察 していたが、 平 坦 浸 潤 型 であったためか<br />

明 らかな 悪 性 所 見 は 認 めず、 急 性 胆 嚢 炎 治 療 の 際 に 進 行 胆 嚢 癌 になっ<br />

て 診 断 されたと 考 えられたため、 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P87-11 胆 嚢 原 発 扁 平 上 皮 癌 の1 例<br />

国 保 直 営 総 合 病 院 君 津 中 央 病 院 外 科<br />

○… 小 林 壮 一 , 海 保 隆 , 柳 沢 真 司 , 外 川 明 , 新 村 兼 康 ,<br />

岡 本 亮 , 西 村 真 樹 , 富 田 啓 介 , 古 川 新 , 中 川 綾 子<br />

本 疾 患 は 非 常 に 稀 な 疾 患 であり、 本 邦 においても 報 告 例 は 少 ない。 今<br />

回 、 我 々は 胆 嚢 扁 平 上 皮 癌 の1 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を<br />

含 めて 報 告 する。 症 例 は67 歳 、 男 性 。 食 後 の 腹 部 膨 満 を 主 訴 に 近 医 受<br />

診 、 腹 部 US 施 行 、 胆 嚢 の 不 均 一 な 壁 肥 厚 を 認 め、 肝 臓 実 質 への 浸 潤<br />

像 も 認 められ、 胆 嚢 癌 の 疑 いにて 当 院 紹 介 受 診 となった。 腹 部 US 上 、<br />

胆 嚢 内 腔 に 隆 起 し、 肝 臓 に 浸 潤 する、 腫 瘍 内 に 血 流 を 伴 うtumorを 認<br />

めた。 腹 部 造 影 CTでは 頸 部 から 体 部 にかけて 不 均 一 に 造 影 される<br />

tumorを 認 め、 胆 嚢 頸 部 リンパ 節 の 腫 大 も 認 めており、 塊 状 型 胆 嚢 癌<br />

の 診 断 であった。また、 肝 臓 実 質 への 浸 潤 も 強 く 疑 われた。 採 血 上 、<br />

CEA、CA19-9 等 の 腫 瘍 マーカーの 上 昇 は 認 められなかった。 以 上 よ<br />

り 診 断 は 胆 嚢 癌 、 塊 状 型 、S1,…Hnf3,…Binf0,…Binf0,…PV0,…A0,…P0,…N1,…<br />

StageIVaの 診 断 にて 肝 中 央 下 区 域 切 除 + 肝 外 胆 管 切 除 +リンパ 節 郭 清<br />

+ 肝 管 空 腸 吻 合 術 施 行 した。 手 術 所 見 としては 胆 嚢 漿 膜 側 への 浸 潤 は<br />

明 らかではなく、 胆 管 への 浸 潤 も 認 められず、また1 群 リンパ 節 以 外<br />

の 腫 脹 は 認 めず、sStageIVaと 考 えられた。 切 除 標 本 は 内 腔 に 突 出 す<br />

る 一 部 壊 死 を 伴 った 塊 状 型 の 黄 白 色 調 の 約 5×6cmのtumorを 認 め、<br />

結 石 は 認 められなかった。 断 面 病 理 結 果 はsquamous…cell…carcinoma,…<br />

poorly… differentiated… type,… Gb,… ss,… int,… INFc,… ly1,… v1,… pn0,… hinf1b,…<br />

binf0,…pv0,…a0,…pN1,…bm0,…hm0,…em0,…fStageIIIであった。 組 織 の 主 体 は<br />

focalな 角 化 を 認 める 低 分 化 型 扁 平 上 皮 癌 であり、 明 らかな 腺 管 構 造<br />

を 認 めず、 純 粋 な 扁 平 上 皮 癌 と 診 断 された。 胆 嚢 原 発 の 扁 平 上 皮 癌 は<br />

非 常 に 稀 な 疾 患 であり、 胆 嚢 癌 全 体 の1% 前 後 に 認 められる。また、<br />

StageIII 以 上 の 胆 嚢 癌 そのものが 予 後 不 良 であるが、 文 献 的 には 扁 平<br />

上 皮 癌 の 場 合 、 通 常 の 腺 癌 に 比 べて 更 に 予 後 不 良 との 報 告 例 が 多 い。<br />

術 後 補 助 化 学 療 法 の 選 択 を 含 めて、 今 後 症 例 の 積 み 重 ねが 必 要 と 思 わ<br />

れた。<br />

P88-1 膵 粘 液 性 腫 瘍 のカウンターパートとしての 胆 管 嚢 胞 性<br />

腫 瘍 の 検 討 :IPNBならびにMCN<br />

鹿 児 島 大 学 消 化 器 ・ 甲 状 腺 外 科 学<br />

○… 安 藤 慶 , 上 野 真 一 , 迫 田 雅 彦 , 飯 野 聡 , 南 幸 次 ,<br />

蔵 原 弘 , 又 木 雄 弘 , 前 村 公 成 , 新 地 洋 之 , 夏 越 祥 次<br />

膵 臓 における 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 IPMNや 卵 巣 様 間 質 Ovarian…like…<br />

stromaを 特 徴 とする 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 MCNと 同 様 の 疾 患 概 念 が 肝 にお<br />

いても 確 立 されつつある。 当 科 において 切 除 した 胆 管 嚢 胞 性 腫 瘍 8 例<br />

について 臨 床 病 理 学 的 因 子 、 胃 腸 型 粘 液 形 質 の 発 現 (MUC2、CDX2、<br />

CK20)、 予 後 について 検 討 を 行 った。 肉 眼 的 に 肝 癌 取 扱 い 規 約 の 胆 管<br />

内 発 育 型 を 示 すものが5 例 あり、そのうち3 例 でムチン 産 生 亢 進 を 認 め<br />

た。それ 以 外 の3 例 は 嚢 胞 腺 腫 型 であった。 病 理 学 的 には、 胆 管 内 発<br />

育 型 はすべて 胆 管 との 交 通 が 確 認 され 乳 頭 状 腫 瘍 であった。 一 方 、 嚢<br />

胞 腺 腫 型 の2 例 は 良 性 で、うち1 例 に 卵 巣 様 間 質 が 認 められた。 残 る1<br />

例 は 嚢 胞 腺 癌 と 診 断 されたが、MRI 上 胆 管 との 交 通 も 疑 われていた。<br />

胃 腸 型 粘 液 形 質 の 発 現 については、 胆 管 内 発 育 型 の5 例 中 3 例 でMUC2、<br />

CK20の 発 現 を 認 め、intraductal…papillary…neoplasm…of…the…bile…duct…<br />

(IPNB)と 考 えられた。 嚢 胞 腺 腫 の2 例 では、これらの 発 現 は 認 められ<br />

なかった。しかし、 嚢 胞 腺 癌 と 診 断 された1 例 はMUC2、CDX2、<br />

CK20のすべてが 発 現 しており、 嚢 胞 腺 癌 ではなくIPNBの 癌 化 の 可 能<br />

性 も 推 測 された。 予 後 については、IPNBが 示 唆 される4 症 例 は 非 常 に<br />

良 好 であった。これまで 取 り 扱 規 約 上 、CCC…(intraductal…growth…<br />

type)とbile…duct…cystoadenoma(ca)と 分 類 さ れ て き た 腫 瘍 に は、<br />

IPNBとMCNの 概 念 に 一 致 するものも 少 なくない。しかし、これらの<br />

疾 患 概 念 の 確 立 は 未 だ 十 分 ではなく、 今 後 、 多 数 例 での 検 討 が 望 まれ<br />

る。<br />

P88-2 右 肝 管 内 粘 液 産 生 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

福 島 県 立 医 科 大 学 器 官 制 御 外 科<br />

○… 岡 田 良 , 千 田 峻 , 斎 藤 元 伸 , 八 島 玲 , 佐 久 間 浩 ,<br />

小 山 善 久 , 竹 之 下 誠 一<br />

【はじめに】 今 回 我 々は 粘 液 産 生 胆 管 癌 と 診 断 された、 比 較 的 稀 な 肝<br />

内 胆 管 癌 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】61 歳 、 男 性 。10 年 前<br />

から 肝 機 能 障 害 を 指 摘 されていたが、 精 査 を 受 けず 放 置 されていた。<br />

2011 年 5 月 心 窩 部 痛 を 主 訴 にA 病 院 を 受 診 され、 血 液 検 査 および 腹 部<br />

CT 検 査 にて 肝 内 SOLを 指 摘 された。B 病 院 に 紹 介 となり、 腹 部 US、<br />

造 影 CT、MRI 検 査 を 施 行 され、 肝 門 部 付 近 に 直 径 約 5cmの 腫 瘤 性 病<br />

変 を 認 め、 胆 管 拡 張 を 伴 っていた。 血 液 検 査 にて 腫 瘍 マーカー<br />

CA19-9の 上 昇 を 認 めた。 精 査 加 療 目 的 に 当 院 に 紹 介 となった。EUS,…<br />

ERCPにてB6に 乳 頭 状 構 造 を 思 わせる 陰 影 像 を 認 め、その 末 梢 胆 管 の<br />

拡 張 が 確 認 された。 胆 汁 細 胞 診 にてClassV,…adenocarcinomaと 診 断 さ<br />

れた。 肝 内 胆 管 癌 の 診 断 にて、2011 年 7 月 肝 右 葉 切 除 術 、リンパ 節 郭<br />

清 術 を 施 行 さ れ た。 病 理 学 的 にintraductal…papillary…<br />

adenocarcinomaof…the…intrahepatic…bile…ductと 診 断 された。 術 後 経 過<br />

良 好 にて 現 在 、 社 会 復 帰 している。【まとめ】 病 理 診 断 にて 肝 内 粘 液<br />

産 生 胆 管 癌 と 診 断 された 症 例 を 経 験 した。 粘 液 産 生 胆 管 癌 は 比 較 的 稀<br />

な 疾 患 であり、 本 疾 患 に 関 する 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

-494-


P88-3 下 部 胆 管 癌 術 後 に 発 生 した 肝 粘 液 癌 の1 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 植 村 修 一 郎 , 樋 口 亮 太 , 太 田 岳 洋 , 谷 澤 武 久 , 梶 山 英 樹 ,<br />

小 貫 建 一 郎 , 山 本 雅 一<br />

症 例 は70 歳 男 性 。1997 年 に 当 院 で 下 部 胆 管 癌 に 対 して 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 後 (pap,T1,N0,Stage1)、 外 来 経 過 観 察 中 であった。<br />

2010 年 3 月 に 定 期 検 査 で 施 行 した 腹 部 超 音 波 検 査 でS7/6に3cm 大 の 境<br />

界 不 明 瞭 な 高 エコー 域 を 認 めたため、 精 査 目 的 に 当 科 入 院 となった。<br />

CTでは 肝 S7/6に3.5cm 大 の 内 部 に 点 状 の 石 灰 化 を 伴 う 辺 縁 不 整 な 低<br />

吸 収 域 を 認 め、 動 脈 相 、 門 脈 相 で 造 影 されず、 平 衡 相 で 淡 い 造 影 効 果<br />

を 認 めた。MRIではT1 強 調 画 像 で 不 均 一 な 低 信 号 、T2 強 調 画 像 で 不<br />

均 一 な 高 信 号 を 示 し、dynamic…studyで 遅 延 性 に 淡 い 造 影 効 果 を 認 め、<br />

肝 細 胞 相 ではEOB 取 り 込 みを 認 めなかった。 以 上 より 肝 内 胆 管 癌 疑<br />

いで 同 年 6 月 に 拡 大 後 区 域 切 除 を 施 行 した。 病 理 所 見 で 高 円 柱 状 の 異<br />

型 の 高 度 な 腫 瘍 細 胞 の 配 列 し、 腺 管 構 造 をとる 部 分 と、 豊 富 な 粘 液 塊<br />

に 癌 細 胞 の 集 団 が 散 在 、 細 線 維 性 隔 壁 の 形 成 をみる 部 分 が 混 在 してお<br />

り、poorly… differentiated… cholangiocellular… carcinoma,mucinous…<br />

carcinoma,…40mm×32mm…,vp0,b1,sm(-)と 診 断 された。 術 後 経 過 良 好<br />

にて 第 18 病 日 に 退 院 となった。 退 院 後 2011 年 7 月 よりS-1による 術 後 補<br />

助 化 学 療 法 を 開 始 したが、9 月 に 肝 S8に1cm 大 の 再 発 を 認 め、ジェム<br />

ザールに 変 更 した。2011 年 1 月 には5.6cmと 増 大 傾 向 を 認 めた。その 後<br />

再 びS-1による 化 学 療 法 を 継 続 したが、さらに 増 加 、 増 大 を 認 め 同 年 7<br />

月 ( 術 後 13カ 月 )に 永 眠 ( 癌 死 )された。1983-2011 年 の 医 学 中 央 雑 誌 で<br />

「 肝 内 胆 管 癌 」「 粘 液 癌 」をkey…wordに 検 索 したところ4 件 が 報 告 さ<br />

れているのみであり 希 少 な 報 告 と 思 われたので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を<br />

加 え 報 告 する。<br />

P88-4 粘 液 産 生 胆 管 癌 の1 切 除 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 東 医 療 センター 外 科<br />

○… 碓 井 健 文 , 塩 澤 俊 一 , 金 達 浩 , 土 屋 玲 , 猪 瀬 悟 史 ,<br />

会 澤 雅 樹 , 増 田 俊 夫 , 小 川 健 治<br />

症 例 は70 歳 , 女 性 。 糖 尿 病 , 高 血 圧 症 にて 当 院 内 科 通 院 中 , 平 成 23<br />

年 2 月 に 腹 部 超 音 波 検 査 で 肝 腫 瘍 が 疑 われ 当 科 に 紹 介 された。 腹 部 に<br />

圧 痛 や 腫 瘤 は 触 知 せず。 血 液 生 化 学 検 査 では 異 常 所 見 なく, 腫 瘍 マー<br />

カーも 正 常 値 であった。 腹 部 超 音 波 ・CT 検 査 では 肝 S3に 内 部 に 充 実<br />

成 分 を 伴 う 約 3cmの 嚢 胞 性 腫 瘤 を 認 め,MRIではT1 強 調 で 低 信 号 ,<br />

T2 強 調 で 高 信 号 を 示 し, 嚢 胞 内 の 充 実 成 分 も 高 信 号 を 呈 した。 嚢 胞<br />

性 腫 瘤 の 末 梢 側 に 肝 内 胆 管 拡 張 を 伴 い, 胆 管 との 交 通 が 疑 われた。 以<br />

上 より, 肝 左 葉 の 嚢 胞 性 腫 瘍 の 診 断 で 同 年 4 月 に 肝 左 葉 切 除 術 ,リン<br />

パ 節 郭 清 を 施 行 した。 切 除 標 本 の 割 面 で 嚢 胞 は 単 房 性 で 淡 黄 色 の 粘 液<br />

で 満 たされ, 内 部 に18mmの 乳 頭 状 腫 瘤 を 認 め, 嚢 胞 と 胆 管 との 交 通<br />

を 認 めた。 病 理 組 織 学 的 にはpapillary…adenocarcinomaで, 明 らかな<br />

卵 巣 様 間 質 は 認 めず, 粘 液 産 生 胆 管 癌 と 診 断 した。 術 後 経 過 は 良 好 で,<br />

第 12 病 日 に 退 院 した。 比 較 的 まれな 粘 液 産 生 胆 管 癌 の1 例 を 経 験 した<br />

ので, 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P88-5 粘 液 産 生 胆 管 癌 術 後 腹 膜 播 腫 切 除 の1 例<br />

道 東 勤 医 協 釧 路 協 立 病 院 外 科<br />

○… 原 隆 志<br />

粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 は 臨 床 的 に 認 識 し 得 るほどの 多 量 の 粘 液 を 産 生 する<br />

比 較 的 稀 な 腫 瘍 で、 外 科 切 除 後 の 予 後 は 比 較 的 良 好 とされている。 今<br />

回 、 本 症 術 後 の 腹 膜 播 腫 に 対 して3 年 6カ 月 、5 年 7カ 月 目 に 切 除 を 施 行<br />

した 症 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。 症 例 :70 歳 男<br />

性 、2006 年 2 月 粘 液 産 生 胆 管 癌 の 診 断 で 肝 左 葉 + 尾 状 葉 + 肝 外 胆 管 切<br />

除 を 施 行 ( 他 院 )。 術 後 経 過 観 察 中 2008 年 8 月 腹 部 CTにて 骨 盤 内 及 び 腹<br />

腔 内 に 多 胞 性 嚢 胞 性 病 変 と 小 結 節 が 出 現 、2009 年 2 月 病 変 の 増 大 を 認<br />

め 胆 管 癌 術 後 の 腹 膜 播 腫 と 診 断 され 当 院 を 紹 介 となる。TS-1による<br />

抗 癌 剤 治 療 を 開 始 したが 奏 功 せず、 更 なる 増 大 傾 向 を 認 め 患 者 様 が 腫<br />

瘤 を 自 覚 、 圧 迫 感 を 訴 え 切 除 を 希 望 されたため2009 年 8 月 手 術 を 施 行 。<br />

腹 腔 内 には 黄 色 の 粘 液 塊 のような 結 節 が 多 発 しており、これらを 可 及<br />

的 に 切 除 した。 切 除 標 本 の 病 理 結 果 は 胆 管 癌 の 腹 膜 播 腫 性 転 移 で 粘 液<br />

癌 の 診 断 であった。 他 臓 器 転 移 やリンパ 節 転 移 、 肝 内 再 発 の 所 見 は 認<br />

めなかった。 術 後 ジェムザールによる 化 学 療 法 を 開 始 した。2011 年 腹<br />

腔 内 に 同 様 の 腫 瘤 が 明 らかとなり、 患 者 様 が 切 除 を 希 望 されたため 同<br />

年 9 月 十 分 な 説 明 の 上 で 再 度 腫 瘍 の 可 及 的 切 除 を 施 行 した。 播 腫 巣 の<br />

一 部 は 右 鼠 径 管 に 入 り 込 み、 外 鼠 径 ヘルニアを 呈 していたため、これ<br />

も 引 き 抜 くように 切 除 した。 病 理 結 果 は 前 回 同 様 胆 管 癌 の 腹 膜 播 腫 で<br />

粘 液 癌 の 診 断 であった。 他 臓 器 転 移 やリンパ 節 転 移 、 肝 内 再 発 は 認 め<br />

ていない。 術 後 はTS-1を 再 開 し、 現 在 のところ 元 気 に 外 来 通 院 を 継<br />

続 している。 考 察 : 粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 はその 病 態 から 特 徴 的 な 臨 床 像<br />

を 呈 する 比 較 的 稀 な 疾 患 であり、 切 除 後 の 予 後 は 一 般 的 に 良 好 である<br />

とされている。 一 方 で 腫 瘍 の 播 腫 によるPTBD 瘻 孔 再 発 や 腹 膜 播 腫 な<br />

どの 報 告 もあり 注 意 を 要 し、 腹 膜 播 腫 を 来 した 症 例 は 予 後 不 良 との 報<br />

告 もある。 本 症 例 では 術 後 3 年 6カ 月 、5 年 7カ 月 での 腹 膜 播 腫 巣 の 外 科<br />

的 切 除 によって 比 較 的 良 好 な 経 過 を 得 ることができており、 本 症 にお<br />

いては 腹 膜 播 腫 に 対 しても 積 極 的 外 科 切 除 が 有 効 な 可 能 性 がある。<br />

P88-6 IPNBの 術 前 診 断 にて 治 癒 切 除 された 胆 管 内 発 育 型 肝 内<br />

胆 管 細 胞 癌 の1 例<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 腫 瘍 制 御 学 消 化 器 外 科 学 、 2 鹿 児 島 大 学 医 学 部 保 健 学<br />

科<br />

○… 肥 後 直 倫 1<br />

, 前 村 公 成 1<br />

, 新 地 洋 之 2<br />

, 又 木 雄 弘 1<br />

,<br />

桑 畑 太 作 1<br />

, 出 先 亮 介 1<br />

, 飯 野 聡 1<br />

, 迫 田 雅 彦 1<br />

, 上 野 真 一 1<br />

,<br />

1<br />

夏 越 祥 次<br />

【はじめに】intraductal…papillary…neoplasm…of…the…bile…duct(IPNB)<br />

は 比 較 的 稀 な 疾 患 であるが、 今 回 IPNBと 診 断 され 治 癒 切 除 となった<br />

胆 管 内 発 育 型 肝 内 胆 管 癌 の1 症 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 含 め 報<br />

告 する.【 症 例 】69 歳 … 女 性 . 腹 部 膨 満 感 ・ 背 部 痛 ・ 右 季 肋 部 痛 を 認 め<br />

近 医 を 受 診 し、 胆 管 炎 の 診 断 で 入 院 となった. 当 科 紹 介 時 は 腹 部 症 状<br />

なく、 血 液 検 査 所 見 の 正 常 で、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 もなかった. 腹 部<br />

造 影 CTにて 肝 S4に 径 約 3cmの 多 房 性 嚢 胞 性 の 腫 瘍 と 一 部 に 壁 の 肥 厚<br />

を 認 め、 内 部 に 結 節 状 構 造 を 指 摘 された.MRCPでも 同 様 にB4とそ<br />

の 分 枝 の 拡 張 を 認 め、 内 部 に 充 実 性 成 分 を 認 めた.ERCPではB4から<br />

線 状 の 透 亮 像 を 認 め、 粘 液 産 生 を 疑 われた. 以 上 より 肝 S4のIPNBの<br />

診 断 にて 肝 左 葉 切 除 、 胆 嚢 摘 出 手 術 を 施 行 した. 病 理 所 見 では 拡 張 し<br />

た 胆 管 内 に 乳 頭 状 腫 瘍 を 認 め、 浸 潤 はわずかで 肝 内 胆 管 細 胞 癌 胆 管 内<br />

発 育 型 と 診 断 された. 胆 管 切 除 断 端 にはBil-IN2 相 当 の 異 型 上 皮 細 胞<br />

を 認 めたが 癌 浸 潤 はなかった. 術 後 経 過 は 良 好 で、 無 再 発 生 存 中 であ<br />

る.【 考 察 】 近 年 、 胆 管 内 腔 に 乳 頭 状 発 育 を 示 す 一 群 の 胆 管 上 皮 性 腫<br />

瘍 を 総 称 して 胆 管 内 乳 頭 腫 瘍 intraductal…papillary…neoplasm…of…the…<br />

bile…duct(IPNB)と 呼 ぶことが 提 唱 されている. 本 症 例 においても 拡<br />

張 した 胆 管 内 に 結 節 状 の 腫 瘍 と、ERCPの 胆 管 内 透 亮 像 の 画 像 所 見 よ<br />

り 術 前 にIPNBと 診 断 された. 切 除 標 本 、 病 理 所 見 ともに 明 らかな 粘<br />

液 貯 留 は 確 認 できなかったがIPNBと 考 えてよい 所 見 であった. 異 型<br />

細 胞 は 胆 管 上 皮 に 沿 って 広 く 存 在 しており、 正 確 な 進 展 度 診 断 の 必 要<br />

性 が 示 唆 された.【まとめ】IPNBと 判 断 された 胆 管 内 発 育 型 の 胆 管 細<br />

胞 癌 を 経 験 した. 本 疾 患 は 浸 潤 傾 向 が 少 なく 予 後 も 良 好 とされるが、<br />

腫 瘍 の 正 確 な 進 展 範 囲 の 把 握 に 十 分 留 意 する 必 要 がある.<br />

-495-


P88-7 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の3 切 除 例<br />

1<br />

藤 沢 市 民 病 院 外 科 、 2 藤 沢 市 民 病 院 病 理<br />

○… 松 尾 憲 一 1<br />

, 簾 田 康 一 郎 1<br />

, 田 鍾 寛 1<br />

, 春 田 浩 一 1<br />

,<br />

土 屋 伸 広 1<br />

, 田 中 優 作 1<br />

, 佐 藤 渉 1<br />

, 石 部 敦 士 1<br />

, 山 岸 茂 1<br />

,<br />

権 藤 俊 一 2 1<br />

, 仲 野 明<br />

【 背 景 と 目 的 】 第 18 回 全 国 原 発 性 肝 癌 追 跡 調 査 報 告 によると、 肝 内 胆<br />

管 嚢 胞 腺 癌 は 原 発 性 肝 癌 の0.13%と 稀 な 疾 患 である。 今 回 我 々は3 例<br />

の 切 除 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】80 歳 男 性 で、4 年 前 か<br />

ら 前 立 腺 癌 に 対 して 他 院 で 加 療 されていたが、CTで 多 房 性 の 嚢 胞 性<br />

肝 腫 瘍 を 指 摘 され 紹 介 となった。 径 6cmの 腫 瘍 はSpiegel 葉 に 存 在 し、<br />

内 部 に 造 影 効 果 のある25mm 大 の 結 節 性 病 変 を 認 めた。ERCPでB1の<br />

末 梢 と 嚢 胞 の 交 通 が 認 められた。 臨 床 的 な 粘 液 産 生 はなく、 胆 管 拡 張<br />

は 認 めなかった。 前 立 腺 癌 の 予 後 が3 年 以 上 見 込 めるということから<br />

胆 管 嚢 胞 腺 癌 の 診 断 でSpiegel 葉 切 除 を 施 行 した。 最 終 病 理 診 断 は、<br />

胆 管 嚢 胞 腺 癌 であった。 術 後 3ヶ 月 目 のCTで 傍 大 動 脈 リンパ 節 転 移 を、<br />

認 め、 腹 膜 播 種 から 癌 性 腹 水 が 出 現 し、 術 後 9カ 月 で 癌 死 した。【 症 例<br />

2】77 歳 女 性 で、 健 診 のGFで 早 期 胃 癌 が 発 見 され 手 術 目 的 に 紹 介 され<br />

た。 術 前 のCTで 肝 S6…から 右 尾 状 葉 にかけて 径 5cmの 嚢 胞 性 病 変 あり、<br />

内 部 に 造 影 効 果 のある30mm 大 の 結 節 性 病 変 を 認 めた。ERCPでは、<br />

乳 頭 から 粘 液 の 排 出 を 認 め、また 肝 内 胆 管 ・ 総 胆 管 の 拡 張 があり、 嚢<br />

胞 とB6…の 末 梢 が 交 通 していた。 早 期 胃 癌 と 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の 診 断 で、<br />

まず 幽 門 側 胃 切 除 に 右 門 脈 塞 栓 術 を 併 施 し、2 期 的 に 右 肝 切 除 を 施 行<br />

した。 最 終 病 理 診 断 では、 胃 癌 はT1N0M0:pStageIAで、 胆 管 嚢 胞<br />

腺 癌 であった。 術 後 10カ 月 、 無 再 発 生 存 中 。【 症 例 3】74 歳 男 性 で、3<br />

年 前 に 喉 頭 癌 (T2N1M0)で 放 射 線 化 学 療 法 を 施 行 され、CR 継 続 中 で<br />

あった。 健 診 のUSで 肝 左 葉 に 径 8.5cm 大 の 内 部 に 造 影 効 果 のある<br />

30mm 大 の 壁 在 結 節 を 伴 う 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 紹<br />

介 された。ERCPでは、 臨 床 的 に 明 らかな 粘 液 産 生 も 胆 管 拡 張 も 認 めず、<br />

嚢 胞 との 交 通 は 認 めなかった。 胆 管 嚢 胞 腺 癌 の 診 断 で、 肝 左 葉 切 除 を<br />

施 行 した。 最 終 病 理 診 断 は、 胆 管 嚢 胞 腺 癌 であった。 術 後 6カ 月 、 無<br />

再 発 生 存 中 。3 症 例 ともに 卵 巣 様 間 質 は 認 めなかった。【まとめ】 近 年 、<br />

胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 (IPNB)という 疾 患 概 念 が 注 目 されているが、 未 だ<br />

その 概 念 は 確 立 していない。 上 記 3 症 例 がIPNBの 一 亜 型 に 相 当 するの<br />

か 不 明 だが、 稀 な 疾 患 であり 十 分 な 症 例 検 討 が 必 要 であると 考 え、 免<br />

疫 染 色 を 追 加 して 報 告 する。<br />

P88-8 粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 との 鑑 別 を 要 した 孤 立 性 肝 内 胆 管 拡<br />

張 症 の1 例<br />

岩 国 医 療 センター 外 科<br />

○… 青 木 秀 樹 , 森 廣 俊 昭 , 金 谷 信 彦<br />

79 歳 女 性 。76 歳 時 近 医 で 胆 管 拡 張 を 指 摘 され、ERCPで 左 肝 管 周 囲 に<br />

腫 瘤 および 粘 液 を 認 めたため 更 なる 精 査 を 勧 められるも 拒 否 され、 放<br />

置 されていた。その 後 特 に 症 状 もなく、 胆 管 拡 張 にも 大 きな 変 化 はな<br />

かったが、 再 度 精 査 を 勧 められて 当 院 を 受 診 。ERCPでは 左 肝 管 から<br />

総 肝 管 にかけて 粘 液 によると 思 われる 造 影 剤 のdefectと 胆 管 拡 張 およ<br />

び 内 側 区 域 に 向 けて 重 複 胆 嚢 を 思 わせる 嚢 状 の 拡 張 した 胆 管 を 認 めた。<br />

胆 汁 細 胞 診 はclass2が1 回 、3が1 回 であった。EUS/IDUSでは 左 肝 管<br />

に 径 5mmほどのhypoechoic…massを 認 め、 腫 瘤 が 疑 われたが、 経 口 胆<br />

道 鏡 でのbiopsyでは 悪 性 所 見 は 認 めなかった。また 嚢 状 の 拡 張 した 胆<br />

管 には 粘 膜 の 不 整 等 の 所 見 はなかった。 血 液 生 化 学 検 査 ではCEA…/<br />

CA19-9…/DUPAN-2…/SPAN-1といった 腫 瘍 markerを 含 めて 正 常 で、<br />

ICGR15…6.5%と 肝 機 能 も 良 好 であった。 今 までの 経 過 および 今 回 の 精<br />

査 結 果 から、 明 らかな 悪 性 所 見 は 認 めないものの、 粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍<br />

が 疑 われ、 嚢 状 の 拡 張 胆 管 もその 結 果 とも 考 えられたため、 治 療 方 針<br />

を 尾 状 葉 を 含 む 肝 左 葉 切 除 とした。 術 中 左 肝 管 根 部 の 迅 速 病 理 診 断 で<br />

悪 性 所 見 無 く、 胆 管 切 除 は 行 わなかった。リンパ 節 郭 清 は 行 った。 術<br />

後 経 過 は 多 少 のせん 妄 と 尿 路 感 染 を 認 めたのみで、 術 後 13 日 目 に 退 院<br />

された。 病 理 報 告 では、 左 肝 管 には 腫 瘤 性 病 変 はみられなかった。 嚢<br />

状 の 拡 張 した 胆 管 内 にも 粘 液 が 付 着 し 炎 症 性 肉 芽 組 織 が 隆 起 性 に 見 え<br />

る 部 分 もあるが、 腫 瘍 性 変 化 ははっきりせず、 明 らかな 筋 層 は 認 めな<br />

いため 胆 嚢 とは 判 断 できないとの 回 答 であった。 結 局 、 腫 瘍 とは 断 定<br />

できず、 孤 立 性 肝 内 胆 管 拡 張 症 と 診 断 したが、 総 胆 管 拡 張 も 認 めたた<br />

め 戸 谷 分 類 のtype…Vに 当 たるか 否 かは 判 断 が 難 しいと 思 われた。 病<br />

変 の 遺 残 の 可 能 性 も 考 え、 外 来 follow…up 中 であるが、いまのところ<br />

明 らかな 再 発 所 見 は 見 られていない。<br />

P88-9 肝 門 部 胆 管 に 発 生 した 粘 液 産 生 性 隆 起 性 病 変 の1 手 術<br />

例<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 坂 木 桃 子 , 谷 口 弘 毅 , 小 林 利 行 , 原 田 恭 一 , 岡 島 航 ,<br />

山 田 圭 吾 , 森 村 玲 , 松 村 博 臣 , 藤 信 明 , 大 垣 雅 晴 ,<br />

竹 中 温<br />

粘 液 産 生 胆 管 腫 瘍 は、 胆 管 内 に 乳 頭 状 に 発 育 し 粘 液 による 胆 管 の 拡 張<br />

を 伴 い、 臨 床 病 理 学 的 に 膵 IPMNに 類 似 する 腫 瘍 として 注 目 されてい<br />

る。 今 回 我 々は、 肝 門 部 胆 管 に 発 生 した 粘 液 産 生 性 病 変 に 対 し、 外 科<br />

的 切 除 により 良 好 な 経 過 を 得 たのでここに 報 告 する。 症 例 は62 才 男 性 。<br />

黄 疸 を 主 訴 に 受 診 し、 血 液 生 化 学 検 査 にてT.bil…9.4mg/dl,…AST…88IU/<br />

L,…ALT…204IU/L,…ALP…668IU/L,γ-GTP…509IU/Lと 肝 胆 道 系 酵 素 の 上<br />

昇 を 認 めた。CEA…0.3ng/ml,…CA19-9…21U/ml,…AFP…6ng/ml,…PIVKAII…<br />

50mAU/mlと 腫 瘍 マーカーの 上 昇 は 認 めなかった。 腹 部 造 影 CTでは、<br />

左 右 肝 管 近 位 部 から 総 胆 管 、 中 部 胆 管 にかけて 不 均 等 な 軽 度 の 壁 肥 厚<br />

と 微 小 な 隆 起 性 病 変 を 認 めた。ERCPを 施 行 したところ、 左 右 肝 管 合<br />

流 部 に 粘 液 塊 による 陰 影 欠 損 を 認 めたが、 粘 液 のため 詳 細 な 観 察 は 困<br />

難 であった。ERBDチューブを 留 置 し 減 黄 ののち 胆 道 鏡 を 施 行 したと<br />

ころ、 左 右 肝 管 合 流 部 に 乳 頭 状 腫 瘍 を 認 め、そこから 右 肝 管 に 不 整 粘<br />

膜 が 連 続 していた。この 際 の 胆 汁 細 胞 診 では、シート 状 や 乳 頭 状 の 粘<br />

液 含 有 細 胞 を 認 めた。 以 上 より、ductectatic…typeの 粘 液 産 生 胆 管 腫<br />

瘍 と 診 断 し 手 術 を 施 行 した。 術 中 、 総 胆 管 に 切 開 を 加 え、 肝 門 部 胆 管<br />

にポリープ 状 の 腫 瘍 を 肉 眼 的 に 確 認 した。 腫 瘍 は 限 局 していたため、<br />

切 除 範 囲 は 肝 外 胆 管 のみにとどめ、 両 側 断 端 は 術 中 迅 速 病 理 診 断 に 提<br />

出 し、 断 端 陰 性 を 確 認 した。D1リンパ 節 郭 清 、 胆 嚢 摘 出 ののち 左 右<br />

肝 管 空 腸 吻 合 を 行 い 手 術 を 終 了 した。 摘 出 した 肝 門 部 胆 管 には 表 面 平<br />

滑 で 境 界 明 瞭 な 褐 色 の 亜 有 茎 性 ポリープ 状 隆 起 を 認 めた。 組 織 学 的 に<br />

は 粘 液 の 集 塊 であり、ポリープ 周 囲 の 粘 膜 内 には 円 柱 上 皮 の 乳 頭 状 増<br />

生 巣 を 認 め、 上 皮 細 胞 は 豊 富 な 粘 液 を 含 み、 軽 度 から 中 等 度 の、 核 の<br />

腫 大 と 極 性 の 乱 れを 有 したが、 明 瞭 な 癌 とする 異 型 は 確 認 できず、<br />

Dysplasia…of…the…bile…ductと 診 断 された。 郭 清 リンパ 節 に 異 常 は 認 め<br />

なかった。 胆 管 内 乳 頭 状 腫 瘍 が 疑 われた 肝 門 部 胆 管 に 発 生 した 粘 液 産<br />

生 性 隆 起 性 病 変 の1 手 術 例 を 報 告 する。<br />

P88-10 肝 膿 瘍 と 鑑 別 を 要 した 肝 粘 液 癌 の1 切 除 例<br />

沖 縄 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 豊 見 山 健 , 知 花 朝 美<br />

(はじめに) 肝 粘 液 癌 は 癌 細 胞 による 多 量 の 細 胞 外 粘 液 産 生 による 結 節<br />

性 あるいは 塊 状 の 粘 液 瘤 の 形 成 特 徴 とする 肝 内 胆 管 癌 の 一 組 織 型 であ<br />

る. 原 発 性 肝 癌 取 扱 い 規 約 では 特 殊 型 に 分 類 され 極 めてまれと 記 載 さ<br />

れている. 今 回 我 々は 肝 粘 液 癌 切 除 症 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を<br />

加 えて 報 告 する.( 症 例 )70 歳 代 女 性 ( 主 訴 ) 発 熱 、 腹 痛 ( 既 往 歴 ) 高 血 圧 、<br />

大 腸 穿 孔 腹 膜 炎 手 術 、 腹 壁 瘢 痕 ヘルニア 手 術 ( 現 病 歴 )5 年 前 に 大 腸 手<br />

術 2 回 と4 年 前 に 腹 壁 瘢 痕 ヘルニア 手 術 を 他 院 で 受 けている.その 際 に<br />

肝 腫 瘍 指 摘 されていたが 放 置 していた. 今 回 、39 度 台 の 発 熱 と 上 腹 部<br />

痛 を 主 訴 に 当 院 受 診 した. 上 腹 部 に 圧 痛 あり、WBC7600、CRP11であっ<br />

た. 腹 部 超 音 波 検 査 では 肝 内 胆 管 拡 張 あり、 肝 S4に 石 灰 化 を 伴 う 内<br />

部 エコー 不 均 一 の70mm 大 腫 瘤 認 め、 腹 部 CT 検 査 では 辺 縁 不 整 で 内<br />

部 不 均 一 な 低 濃 度 腫 瘤 であった. 肝 膿 瘍 が 疑 われ 入 院 した.( 経 過 ) 保<br />

存 的 治 療 で 症 状 や 血 液 検 査 所 見 は 改 善 したが 画 像 所 見 は 変 わらず、 腫<br />

瘍 が 疑 われた. 肝 生 検 ではMucinous…tumorと 診 断 された. 前 医 から<br />

の 情 報 では3 年 前 の 超 音 波 検 査 でS4に 約 40mm 大 の 嚢 胞 性 腫 瘤 認 めた<br />

とのことであった. 当 院 での 画 像 所 見 では 増 大 していた. 肝 粘 液 性 腫<br />

瘍 の 診 断 で 切 除 術 を 行 った. 術 後 胆 汁 ろう、 腹 腔 内 膿 瘍 などを 合 併 し<br />

たが 軽 快 退 院 した. 術 後 病 理 組 織 検 査 ではMucinous…adenocarcinoma<br />

と 診 断 した.( 考 察 ) 性 別 、 発 症 年 齢 は 一 般 の 肝 内 胆 管 癌 と 大 差 ないと<br />

されるが 報 告 例 が 少 なく 不 明 な 点 も 多 い. 画 像 検 査 では 多 量 の 粘 液 が<br />

胆 管 腔 内 に 充 満 するため、 超 音 波 検 査 では 高 エコーの 中 に 低 エコーを<br />

有 する 辺 縁 不 整 な 腫 瘍 として 描 出 され、CT 検 査 では 腫 瘍 内 部 は 低 吸<br />

収 で 周 囲 はわずかに 造 影 効 果 を 認 める.MRI 検 査 ではT1 強 調 画 像 で<br />

低 信 号 、T2 強 調 画 像 で 高 信 号 な 腫 瘍 として 認 められる. 治 療 は 通 常<br />

の 肝 内 胆 管 癌 に 準 じ 外 科 的 切 除 が 選 択 される. 一 般 に 肝 内 胆 管 癌 の 予<br />

後 は 不 良 であるが、 肝 粘 液 癌 は 急 速 に 腫 瘍 が 増 大 し、 更 に 予 後 は 不 良<br />

とされている.( 結 語 ) 肝 粘 液 癌 の1 切 除 例 を 経 験 した. 今 後 も 再 発 に 対<br />

し 十 分 なFollowが 必 要 と 考 えている.<br />

-496-


P89-1 胆 嚢 摘 出 後 に 発 症 した 上 部 胆 管 癌 と 鑑 別 困 難 であった<br />

良 性 胆 管 狭 窄 の1 例<br />

岐 阜 市 民 病 院 外 科<br />

○… 田 島 ジェシー 雄 , 足 立 尊 仁 , 松 井 聡<br />

症 例 は64 歳 , 女 性 .【 主 訴 】 肝 機 能 異 常 .【 既 往 歴 】2 年 前 に 胆 石 性 胆<br />

嚢 で 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 . 糖 尿 病 .【 現 病 歴 】 糖 尿 病 治 療 中 , 肝 機<br />

能 異 常 を 指 摘 された.CTで 腹 水 貯 留 と 肝 内 胆 管 の 拡 張 , 三 管 合 流 部<br />

で 長 径 2cmにわたり 軟 部 濃 度 腫 瘤 を 認 めた.ERCPで 上 部 ~ 左 右 肝 管<br />

にかけて 胆 管 狭 窄 と 肝 内 胆 管 拡 張 を 認 めた.EUSで 肝 門 部 に<br />

24x14mm 大 の 辺 縁 不 整 な 低 エコー 腫 瘍 を 認 めた. 腫 瘍 の 肝 側 や 右 肝<br />

動 脈 への 浸 潤 をわずかに 認 めた. 腹 水 細 胞 診 陰 性 , 胆 汁 細 胞 診 classII,<br />

胆 管 生 検 悪 性 所 見 認 めなかった. 画 像 上 胆 管 癌 も 否 定 できず,PTPE 後 ,<br />

肝 拡 大 右 葉 切 除 , 肝 外 胆 肝 切 除 , 胆 管 空 腸 吻 合 を 施 行 した. 病 理 組 織<br />

学 的 検 索 では, 悪 性 所 見 を 認 めず, 胆 管 粘 膜 間 質 は 膠 原 化 を 伴 う 繊 維<br />

化 により 高 度 の 肥 厚 を 認 め, 前 回 の 結 紮 糸 に 対 する 異 物 性 偽 腫 瘍 を 認<br />

めた. 胆 摘 後 には 炎 症 性 偽 腫 瘍 や 胆 嚢 管 神 経 腫 などによる 良 性 胆 管<br />

狭 窄 をきたすことがあり, 原 因 を 十 分 に 考 慮 し 治 療 法 を 選 択 すべきで<br />

ある.<br />

P89-2 自 己 免 疫 性 膵 炎 を 伴 わない 中 下 部 胆 管 潰 瘍 を 来 たした<br />

IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 の1 例<br />

兵 庫 県 立 尼 崎 病 院 外 科<br />

○… 吉 川 潤 一 , 白 潟 義 晴<br />

現 在 、IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 ( 以 下 、IgG4-SC)は 臨 床 診 断 基 準 が 作 成<br />

されつつあるが、その 報 告 例 はいまだ 多 くはなく 症 例 の 集 積 が 望 まれ<br />

る. 我 々は、 以 前 当 科 で 原 因 不 明 の 慢 性 胆 管 炎 として 症 例 報 告 した1<br />

例 を 病 理 学 的 に 再 検 討 したところ、 自 己 免 疫 性 膵 炎 ( 以 下 、AIP)を 伴<br />

わないIgG4-SCであることが 判 明 したので 新 たに 得 られた 知 見 を 主 体<br />

として 文 献 的 考 察 とともに 再 報 告 する. 症 例 は80 歳 女 性 、 生 来 健 康 .<br />

右 季 肋 部 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 し、 胆 道 系 酵 素 上 昇 と 胆 嚢 および 上 部 胆<br />

管 の 拡 張 を 指 摘 され 胆 管 癌 の 疑 いで 当 科 入 院 となった. 身 体 所 見 では<br />

黄 疸 は 認 めず、 右 季 肋 部 圧 痛 を 認 めた. 血 液 検 査 では 胆 道 系 酵 素 の 軽<br />

度 上 昇 とCRP 高 値 を 認 めたが、 総 ビリルビン 値 、CEA 値 および<br />

CA19-9 値 は 正 常 範 囲 であった. 造 影 CT 検 査 では 胆 嚢 および 上 部 胆 管<br />

の 拡 張 を 認 めたが、 明 らかな 腫 瘤 は 胆 管 および 膵 に 認 めなかった.<br />

MRCPでは 中 下 部 胆 管 の 狭 窄 を 認 めたが、 膵 管 には 異 常 を 認 めなかっ<br />

た. 胆 嚢 ドレナージの 際 に 施 行 した 経 皮 経 肝 胆 嚢 造 影 検 査 では 下 部 胆<br />

管 は 造 影 されず、また 胆 汁 細 胞 診 は 陰 性 であった. 悪 性 を 完 全 には 否<br />

定 できないため、 門 脈 切 除 を 伴 う 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した. 病<br />

理 学 的 検 討 の 結 果 、 悪 性 所 見 は 認 めず、 長 さ2cm 深 さ5mmに 及 ぶ 中<br />

下 部 胆 管 潰 瘍 部 およびその 周 囲 の 胆 管 壁 には、 高 度 なリンパ 球 および<br />

形 質 細 胞 の 浸 潤 と 線 維 化 、 閉 塞 性 静 脈 炎 を 認 めた. 免 疫 組 織 化 学 的 染<br />

色 を 施 行 したところ 同 潰 瘍 部 およびその 周 辺 部 に、IgG4 陽 性 形 質 細<br />

胞 を 多 数 認 め、CD25 陽 性 細 胞 も 多 数 認 めた.また 炎 症 および 潰 瘍 の<br />

主 座 は 膵 外 胆 管 であり 潰 瘍 部 から 膵 へ 炎 症 波 及 はあるもののAIPを 疑<br />

う 所 見 は 切 除 標 本 内 には 乏 しかった。 以 上 から、AIPを 伴 わない<br />

IgG4-SCと 診 断 した.IgG4-SCはAIPとの 合 併 例 が 多 く、 特 に 下 部 胆<br />

管 狭 窄 例 はAIPによる 膵 病 変 が 原 因 で 下 部 胆 管 狭 窄 を 来 たしているこ<br />

とが 多 いが、 本 症 例 はそれらとは 異 なると 考 えられる.AIPを 伴 わな<br />

いIgG4-SCは 報 告 が 少 なく、 胆 管 潰 瘍 を 伴 うIgG4-SCの 報 告 はわれわ<br />

れが 調 べた 範 囲 では 本 症 例 が 初 めてであった.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P89-3 肝 内 胆 管 癌 の 術 前 診 断 にて 肝 切 除 術 を 施 行 したIgG4 関<br />

連 硬 化 性 胆 管 炎 の1 例<br />

中 津 市 立 中 津 市 民 病 院 外 科<br />

○… 北 川 大 , 岸 原 文 明 , 佐 々 木 理 人 , 岡 崎 寛 士 , 岡 田 敏 子 ,<br />

廣 石 和 章 , 白 水 章 夫 , 福 山 康 朗 , 池 田 正 仁<br />

【 背 景 】 近 年 、 硬 化 性 胆 管 炎 の 中 にも 自 己 免 疫 性 膵 炎 に 類 似 して 血 中<br />

IgG4 濃 度 が 上 昇 する 症 例 があることが 報 告 され、 胆 管 癌 との 鑑 別 、<br />

治 療 法 について 関 心 が 高 まっている。【 症 例 】 患 者 は81 歳 男 性 。16 年<br />

前 に 胃 癌 に 対 して 幽 門 側 胃 切 除 術 、Billroth-II 再 建 を 施 行 後 、 近 医 に<br />

て 経 過 観 察 されていたが、 右 上 腹 部 痛 が 出 現 し 腹 部 エコー 検 査 にて 肝<br />

内 胆 管 癌 が 疑 われ 当 院 紹 介 となった。 血 液 検 査 上 、 肝 ・ 胆 道 系 酵 素 の<br />

異 常 、 炎 症 所 見 は 認 めず、 腫 瘍 マーカーも 正 常 値 であった。 術 前 に 血<br />

中 IgG4は 測 定 しなかった。 腹 部 エコー 検 査 では、 肝 外 側 区 域 に 径 1.5cm<br />

大 の 低 エコー 腫 瘤 、 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 め、MRIにて 腫 瘤 は 漸 増 性 に<br />

造 影 された。CTでは 腫 瘤 の 同 定 が 困 難 であった。 以 上 より、 肝 内 胆<br />

管 癌 の 術 前 診 断 にて 肝 左 葉 切 除 術 、 胆 嚢 摘 出 術 、 肝 門 部 リンパ 節 郭 清<br />

術 を 施 行 した。 切 除 標 本 にて 肝 内 胆 管 (B2)に 接 して 径 2cm 大 の 白 色 調 、<br />

弾 性 硬 の 腫 瘤 を 認 めた。 病 理 組 織 検 査 では、 胆 管 周 囲 にリンパ 球 、 形<br />

質 細 胞 の 浸 潤 を 認 め、 線 維 化 、 閉 塞 性 静 脈 炎 を 伴 っていた。 免 疫 組 織<br />

化 学 染 色 ではIgG4 陽 性 形 質 細 胞 が 認 められ、IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎<br />

と 診 断 された。【 考 察 】IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 は 膵 病 変 を 合 併 しない<br />

場 合 には 肝 内 胆 管 癌 との 鑑 別 が 困 難 であり、しばしば 肝 切 除 術 を 施 行<br />

される。 本 症 例 では、 膵 病 変 を 認 めないことに 加 え、 胃 癌 術 後 により<br />

内 視 鏡 的 逆 行 性 胆 管 造 影 が 施 行 できなかったこと、 金 属 によるアーチ<br />

ファクトにて 画 像 検 査 に 精 度 を 欠 いたことが 術 前 診 断 に 影 響 した 可 能<br />

性 がある。しかし、 血 中 IgG4 値 は 診 断 に 有 用 な 場 合 もあり 術 前 に 測<br />

定 すべきであったと 考 えられる。IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 の 治 療 には<br />

ステロイド 投 与 が 有 効 とされており、 正 確 な 術 前 診 断 により 外 科 的 治<br />

療 が 回 避 できた 可 能 性 がある。【 結 語 】 肝 内 胆 管 癌 を 疑 う 症 例 では、<br />

IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 の 可 能 性 も 念 頭 において 術 前 検 査 を 行 うべきで<br />

ある。<br />

P89-4 術 前 診 断 に 難 渋 したIgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 の1 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 武 蔵 小 杉 病 院 消 化 器 病 センター、 2 日 本 医 科 大<br />

学 外 科<br />

○… 水 谷 聡 1<br />

, 鈴 木 英 之 1<br />

, 星 野 有 哉 1<br />

, 黒 田 誠 司 1<br />

, 村 木 輝 1<br />

,<br />

前 島 顕 太 郎 1<br />

, 吉 野 雅 則 1<br />

, 小 峯 修 1<br />

, 渡 辺 昌 則 1<br />

,<br />

1<br />

内 田 英 二<br />

肝 門 部 胆 管 狭 窄 の 原 因 疾 患 の 多 くは 胆 管 癌 であるが、 他 の 疾 患 が 原 因<br />

となる 場 合 もあり、 確 定 診 断 に 難 渋 するケースも 少 なくない。 本 症 例<br />

は 黄 疸 により 発 症 した 肝 門 部 胆 管 狭 窄 である。 胆 嚢 炎 に 対 するLap-C<br />

の 既 往 がある。 血 液 検 査 AST:236,ALT:473、ALP:998、γGT:<br />

1093…IU/l、T-bil:7.0、D-bil:5.45mg/dl、WBC:8420/μl、CRP:0.75mg/<br />

dl、CEA:1.9ng/ml、CA19-9:5、DUPAN2:27、Span1:1.0…U/ml、<br />

IgG4:110、IgG:1535mg/dl、IgG4/IgG:7.2%、P-ANCA-、 抗 ミ ト<br />

コンドリア 抗 体 -、 抗 核 抗 体 -、 抗 平 滑 筋 抗 体 -。 腹 部 CT 胆 嚢 摘 出 後 。<br />

肝 門 部 から 総 肝 管 にかけて 胆 管 壁 の 全 周 性 肥 厚 と 造 影 後 期 相 での 造 影<br />

効 果 を 認 める。 胆 管 狭 窄 の 近 傍 に 前 回 手 術 の 胆 嚢 管 閉 鎖 クリップあり。<br />

リンパ 節 腫 脹 なし。【 腹 部 MRI】 肝 門 部 から 上 部 総 肝 管 (Bp-Bs)にか<br />

けて 胆 管 のテーパリング 状 狭 窄 像 を 認 める。 壁 肥 厚 部 は、T1、T2 強<br />

調 像 において 低 信 号 腫 瘤 として 確 認 できた。 拡 散 強 調 像 では 同 部 位 に<br />

異 常 所 見 なし。【ERCP】MRCPと 同 様 に 狭 窄 像 を 認 める。テーパリ<br />

ングは 左 右 肝 管 二 次 分 枝 近 傍 に 達 し、Bismuth2と 診 断 した。 狭 窄 部<br />

位 での 胆 管 擦 過 細 胞 診 はclass3であった。 胆 管 生 検 では 有 益 な 採 取 は<br />

できなかった。【PET…CT】 肝 門 部 に 一 致 して 限 局 性 の 集 積 を 認 めた<br />

(SUVmax=6.1)。 術 前 鑑 別 診 断 として 胆 管 癌 、IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎<br />

(IgG4-SC)、PSC、 虚 血 性 胆 管 狭 窄 、 胆 嚢 炎 随 伴 所 見 、Amputation…<br />

neuromaなどが 挙 がったが、 確 定 診 断 には 至 らなかった。 胆 管 癌 を 否<br />

定 できないために 肝 拡 大 右 葉 切 除 術 + 胆 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した。 病<br />

理 学 的 検 討 では 狭 窄 胆 管 の 間 質 に 形 質 細 胞 を 初 めとした 炎 症 性 細 胞 浸<br />

潤 の 増 生 と 免 疫 染 色 においてIgG4 抗 体 陽 性 形 質 細 胞 を 多 数 認 めた。<br />

軽 度 肥 大 した 神 経 線 維 束 は 認 めるものの、 炎 症 性 狭 窄 の 原 因 ではな<br />

かった。 本 症 例 の 注 目 すべき 点 は、1 胆 管 以 外 にIgG4…sclerosing…<br />

diseaseの 画 像 所 見 がなかった。2 血 清 IgG4が 正 常 であった。3 既 往 に<br />

胆 嚢 炎 に 対 するLap…Cを 行 っており、 胆 管 狭 窄 の 原 因 としての 鑑 別 疾<br />

患 が 多 岐 にわたった。 今 後 の 課 題 も 提 示 し、 症 例 を 報 告 する。<br />

-497-


P89-5 肝 門 部 胆 管 癌 と 鑑 別 が 困 難 であった 限 局 性 良 性 肝 門 部<br />

胆 管 狭 窄 の1 例<br />

国 民 健 康 保 険 坂 下 病 院 外 科<br />

○… 近 藤 眞 治 , 高 木 健 司<br />

症 例 は58 歳 男 性 。 糖 尿 病 と 高 脂 血 症 の 既 往 あり。2011 年 4 月 の 人 間 ドッ<br />

クで 肝 機 能 異 常 を 指 摘 され 当 院 を 受 診 した。 無 黄 疸 であったが 胆 道 系<br />

酵 素 の 上 昇 を 認 めた。 腫 瘍 マーカーは 正 常 で、γグロブリン 分 画 は 正<br />

常 であった。 腹 部 超 音 波 検 査 では 右 肝 管 の 軽 度 拡 張 を 認 めたが、 胆 嚢<br />

結 石 と 胆 管 結 石 を 認 めなかった。DIC-CTでは 肝 門 部 で 狭 窄 を 伴 い 軽<br />

度 拡 張 した 左 肝 管 と 左 尾 状 葉 胆 管 が 造 影 されたが、 右 肝 管 は 造 影 され<br />

なかった。MDCTでは 右 肝 管 の 肝 門 部 合 流 部 で、わずかに 造 影 され<br />

る 狭 窄 部 を 認 めたが 壁 肥 厚 はなく、 腫 瘤 形 成 や 胆 管 周 囲 リンパ 節 の 腫<br />

大 を 認 めなかった。ERCPでは 右 肝 管 の 肝 門 部 合 流 部 に 限 局 性 の 高 度<br />

狭 窄 を 認 めたが 壁 不 整 は 明 らかでなく、2 回 の 胆 汁 細 胞 診 は 陰 性 であっ<br />

た。 良 性 の 胆 管 狭 窄 も 鑑 別 診 断 に 挙 げられたが、 肝 門 部 胆 管 癌 が 否 定<br />

できないため、 十 分 なICの 下 に 肝 右 葉 尾 状 葉 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除 術<br />

を 施 行 した。 術 後 の 合 併 症 はなく、 術 後 第 18 病 日 に 退 院 した。 摘 出 標<br />

本 では 右 肝 管 合 流 部 には 炎 症 瘢 痕 様 所 見 は 見 られたが、 粘 膜 に 腫 瘍 性<br />

病 変 を 認 めなかった。 病 理 組 織 学 的 所 見 では 胆 管 上 皮 に 悪 性 所 見 はな<br />

く、 胆 管 周 囲 に 少 量 のリンパ 球 浸 潤 を 認 めるのみで、ごく 軽 度 の 非 特<br />

異 的 炎 症 所 見 のみであった。 良 性 胆 道 狭 窄 には 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 や、<br />

IgG4 関 連 硬 化 性 胆 管 炎 、 好 酸 球 性 胆 管 炎 、 黄 色 肉 芽 腫 性 胆 管 炎 、 肝<br />

内 胆 管 結 石 、 胆 管 周 囲 のう 胞 などが 原 因 として 上 げられているが、 本<br />

症 例 はどれにも 当 てはまらない、 稀 な 良 性 の 限 局 性 肝 門 部 胆 管 狭 窄 で<br />

あると 考 えられた。<br />

P89-6 肝 門 部 胆 管 癌 と 鑑 別 困 難 であったFollicular<br />

cholangitisの1 例<br />

1<br />

岡 山 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 疫 学 ・ 衛 生 学 分 野 、 2 岡 山<br />

済 生 会 総 合 病 院 外 科<br />

○… 井 筒 将 斗 1<br />

, 須 井 健 太 2<br />

, 仁 熊 健 文 2 2<br />

, 三 村 哲 重<br />

【はじめに】 良 性 胆 道 狭 窄 症 の 約 10% 程 度 は 術 前 診 断 では 良 悪 の 診 断<br />

が 付 かず 外 科 的 切 除 を 施 行 されていることが 知 られている. 良 性 胆 道<br />

狭 窄 症 を 来 たす 疾 患 としてはPrimary…sclerosing…cholangitisや<br />

immunogloblin…G4-related…sclerosing…cholangitisなどが 知 られている<br />

が, 近 年 いわゆるFollicular…cholangitisと 呼 ばれる 疾 患 が 注 目 を 集 め<br />

ている. 今 回 ,われわれは 術 前 に 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 し 切 除 したが 病<br />

理 検 査 ではFollicular…cholangitisと 診 断 された1 例 を 経 験 したので 文 献<br />

的 考 察 を 交 えて 報 告 する.【 症 例 】67 歳 女 性 . 全 身 倦 怠 感 を 主 訴 に 近<br />

医 受 診 , 肝 機 能 悪 化 ・ 黄 疸 認 めたため 当 院 紹 介 受 診 となった. 精 査 の<br />

結 果 左 肝 管 から 下 部 胆 管 まで 狭 窄 及 び 壁 肥 厚 , 肝 十 二 指 腸 間 膜 内 のリ<br />

ンパ 節 腫 脹 認 めた.ERCP 施 行 し 胆 管 擦 過 細 胞 診 でclass3であり 画 像<br />

上 から 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 し 腫 瘍 の 進 展 範 囲 から 根 治 のために 肝 左 3<br />

区 域 切 除 が 必 要 と 判 断 , 門 脈 左 枝 ・ 前 区 域 枝 塞 栓 術 を 先 行 させ, 肝 左 3<br />

区 域 切 除 ・リンパ 節 郭 清 ・ 胆 管 空 腸 吻 合 術 施 行 した. 病 理 結 果 は 胆 管<br />

壁 は 多 数 のリンパ 濾 胞 形 成 を 伴 う 線 維 増 生 により 肥 厚 しておりIgG4<br />

陽 性 細 胞 は 極 わずかであることからFollicular…cholangitisの 診 断 で<br />

あった.【まとめ】Follicular…cholangitisとはこれまでの 良 性 胆 道 狭 窄<br />

症 では 分 類 できない 病 態 で, 肝 門 部 胆 管 癌 切 除 例 の 約 1.1% 程 度 と 推 測<br />

されている. 病 理 学 的 には 分 節 状 の 狭 窄 を 示 し, 上 皮 には 異 常 を 認 め<br />

ず 胆 管 周 囲 の 繊 維 化 , 胚 中 心 性 のリンパ 濾 胞 形 成 を 認 める 疾 患 である.<br />

本 邦 をはじめ 世 界 的 にも 報 告 例 の 少 ないFollicular…cholangitisの1 例 を<br />

経 験 した. 今 後 はさらなる 診 断 精 度 の 向 上 を 目 指 す 必 要 があると 考 え<br />

られた.<br />

P89-7 十 二 指 腸 下 行 脚 穿 孔 例 に 対 する 術 式 の 工 夫 -Lemmel 症<br />

候 群 に 対 する 術 式 の 応 用 -<br />

1<br />

藤 崎 病 院 外 科 、 2 日 本 歯 科 大 学 外 科 、 3 日 本 大 学 医 学 部 消<br />

化 器 外 科<br />

○… 藤 崎 滋 1<br />

, 高 階 幹 1<br />

, 富 田 凉 一 2 3<br />

, 高 山 忠 利<br />

十 二 指 腸 下 行 脚 において 穿 孔 をきたしたことはまれであり、 診 断 が 難<br />

しい 場 合 があり、 同 時 に 治 療 法 に 工 夫 が 必 要 である。69 歳 男 性 。 主 訴<br />

は 腰 痛 、 右 季 肋 部 。 平 成 17 年 12 月 下 旬 から 本 年 1 月 初 旬 まで、 転 倒 し<br />

第 12 胸 椎 圧 迫 骨 折 をきたし、 当 院 整 形 外 科 入 院 。 本 年 1 月 16 日 、 食 後<br />

に 嘔 気 ・ 嘔 吐 あり、1 月 19 日 、 当 院 外 科 外 来 受 診 、 発 熱 38.2 度 、 右 季<br />

肋 部 に 圧 痛 みられたが 反 跳 圧 痛 は 軽 微 であった。 白 血 球 数 25200,…CRP…<br />

11.38と 上 昇 していた。 画 像 診 断 上 、 遊 離 ガス 像 や 腹 腔 内 貯 留 液 はみ<br />

られなかったが、 臨 床 経 過 から 十 二 指 腸 潰 瘍 の 穿 孔 、 限 局 性 腹 膜 炎 の<br />

可 能 性 を 考 え、 入 院 し 保 存 療 法 ( 禁 飲 食 、 抗 生 剤 点 滴 、 胃 管 挿 入 し 減 圧 、<br />

ベッド 上 安 静 ) 施 行 した。 入 院 後 2 日 目 たっても 腹 膜 刺 激 症 状 は 弱 いが、<br />

解 熱 されないため、 腹 部 CT、 腹 部 エコー 施 行 。 腹 腔 内 遊 離 ガス 像 あ<br />

りと 判 断 し、 消 化 管 穿 孔 を 考 え 開 腹 手 術 施 行 。 十 二 指 腸 下 行 脚 周 囲 に<br />

膿 瘍 形 成 、Kocher… 授 動 にて、 十 二 指 腸 下 行 脚 背 側 に 穿 孔 部 を 確 認 。<br />

十 二 指 腸 憩 室 の 穿 孔 を 考 えた。 穿 孔 部 閉 鎖 、 十 二 指 腸 空 腸 吻 合 ・<br />

Roux…Y 再 建 (Lemmel 症 候 群 に 対 し 演 者 らの 行 っている 術 式 )、 腹 膜<br />

炎 ドレナージを 施 行 した。 術 後 、 単 純 閉 鎖 部 leakage、 吻 合 部 狭 窄 み<br />

られたが、 保 存 的 に 穿 孔 部 は 閉 鎖 し、 吻 合 部 の 通 過 障 害 は 軽 快 した。<br />

術 後 4 週 目 より 食 事 開 始 し、 術 後 40 日 目 に 退 院 した。 十 二 指 腸 第 2 部 の<br />

穿 孔 はまれであり 診 断 が 難 しいこと、 穿 孔 部 に 食 物 を 通 過 させないこ<br />

とを 目 的 としたRoun-en-Y…duodenojejunostomy(Lemmel 症 候 群 術 式<br />

の 応 用 )は 有 効 であると 考 えられた。<br />

P89-8 術 前 診 断 に 難 渋 した 巨 大 十 二 指 腸 Brunner 腺 腫 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 福 山 医 療 センター 外 科<br />

○… 徳 永 尚 之 , 稲 垣 優 , 北 田 浩 二 , 木 村 裕 司 , 西 江 学 ,<br />

濱 野 亮 輔 , 常 光 洋 輔 , 岩 垣 博 巳<br />

【 症 例 】66 歳 男 性 。 上 腹 部 違 和 感 とタール 便 を 主 訴 に 他 院 受 診 され、<br />

上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて 十 二 指 腸 球 部 の 潰 瘍 瘢 痕 による 変 形 を 指 摘<br />

されたが 明 らかな 出 血 源 なしと 診 断 された。 更 なる 精 査 目 的 に 当 院 紹<br />

介 受 診 となり 再 度 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 を 施 行 。 十 二 指 腸 下 行 脚 乳 頭<br />

側 に 内 腔 を 約 半 周 占 める 粘 膜 下 腫 瘍 様 隆 起 性 病 変 が 認 められ、 肛 側 は<br />

主 乳 頭 との 連 続 も 疑 われたが 内 腔 の 狭 小 化 により 全 体 像 の 把 握 は 困 難<br />

であった。 上 部 消 化 管 造 影 検 査 にても 同 部 位 に 境 界 明 瞭 で 比 較 的 表 面<br />

平 滑 な 約 7cm 大 の 陰 影 欠 損 像 が 描 出 され、 超 音 波 内 視 鏡 検 査 (EUS)で<br />

も 主 座 は 下 行 脚 の 粘 膜 下 層 から 筋 層 の 可 能 性 が 高 いと 診 断 された。<br />

EUS 下 に 吸 引 細 胞 診 を 施 行 したがclassIIと 悪 性 所 見 は 得 られず、 質 的<br />

診 断 確 定 も 困 難 であった。 以 上 より 病 変 主 座 は 十 二 指 腸 下 行 脚 である<br />

と 考 えられたが、 造 影 CTにては 淡 く 造 影 される 結 節 部 は 十 二 指 腸 水<br />

平 脚 付 近 に 描 出 され、それより 肛 側 でも 十 二 指 腸 内 腔 の 拡 張 が 認 めら<br />

れ、さらにMRIにて 十 二 指 腸 壁 に 沿 う 様 にT1 強 調 像 でlow…intencity<br />

な 領 域 がTreiz 靭 帯 近 傍 まで 連 続 している 所 見 が 認 められた。 広 汎 な<br />

壁 内 進 展 もしくは 多 発 の 可 能 性 も 否 定 できず、GISTを 強 く 疑 い、 亜<br />

全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 では 十 二 指 腸 下 行<br />

脚 から 亜 有 茎 性 に 発 育 した7.8x4.0cmの 巨 大 ポリープを 認 め、 一 部 に<br />

びらんや 中 心 陥 凹 といった 悪 性 を 否 定 できない 所 見 も 認 められたが、<br />

病 理 組 織 学 的 所 見 では 腫 瘍 内 にはBrunner 腺 の 高 度 な 増 生 を 認 め、 悪<br />

性 所 見 には 乏 しい 結 果 であった。Ki-67 陽 性 細 胞 も 一 部 存 在 しており、<br />

過 形 成 よりはadenomaを 疑 うとの 最 終 結 果 で、 十 二 指 腸 Brunner 腺 腫<br />

(adenoma)と 診 断 を 確 定 した。【 考 察 】 消 化 管 病 変 の 主 座 において 内<br />

視 鏡 所 見 と 画 像 所 見 の 整 合 性 がとれない 場 合 は 有 茎 性 腫 瘍 の 消 化 管 内<br />

における 移 動 の 可 能 性 も 念 頭 におく 必 要 があると 思 われた。Brunner<br />

腺 腫 は 多 くは 良 性 の 過 形 成 で3cm 以 下 との 報 告 が 多 いが、adenomaか<br />

らadenocarcinomaへの 経 時 的 変 化 をみせた 症 例 の 報 告 もあり、 腫 瘍<br />

径 が 大 きく 有 症 状 の 症 例 に 対 しては、 悪 性 の 混 在 の 可 能 性 も 念 頭 に 置<br />

き、 積 極 的 な 外 科 切 除 も 治 療 の 選 択 枝 になり 得 ると 考 えられた。<br />

-498-


P89-9 乳 頭 形 成 術 の 検 討<br />

山 形 大 学 第 一 外 科<br />

○… 竹 下 明 子 , 平 井 一 郎 , 森 谷 敏 幸 , 渡 邊 利 広 , 福 元 剛 ,<br />

木 村 理<br />

Vater 乳 頭 部 は 解 剖 学 的 に 複 雑 な 場 所 であり, 乳 頭 部 病 変 の 手 術 は,<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 要 することが 多 い.しかし, 病 変 によっては 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 では 侵 襲 が 過 大 であるため, 当 科 では 様 々な 乳 頭 部<br />

の 病 変 に 対 して 乳 頭 切 除 および 乳 頭 形 成 を 行 なっている. 今 回 過 去 10<br />

年 間 に 乳 頭 形 成 術 を 施 行 した10 例 について 検 討 した.【 症 例 】21~82<br />

歳 ( 平 均 59.4 歳 )の 男 性 9 例 , 女 性 1 例 である. 疾 患 の 内 訳 は 乳 頭 部 癌 4 例 ,<br />

腺 腫 3 例 , 乳 頭 炎 1 例 ,カルチノイド1 例 ,divisum…1 例 である. 乳 頭 部<br />

癌 の4 例 はいずれもm 癌 であり,このうち2 例 は 術 後 の 病 理 組 織 検 査 で<br />

癌 と 診 断 された.また, 術 中 迅 速 病 理 組 織 検 査 によって 全 例 の 切 除 断<br />

端 陰 性 を 確 認 している.【 手 術 】 乳 頭 切 除 術 + 乳 頭 形 成 8 例 , 乳 頭 形 成<br />

1 例 , 副 乳 頭 形 成 1 例 を 施 行 した. 手 術 時 間 は 平 均 311 分 , 出 血 量 は 平<br />

均 124mlであった. 乳 頭 形 成 術 はまず 乳 頭 部 対 側 の 十 二 指 腸 壁 を 切 開<br />

し, 胆 嚢 管 にAtom…tubeを 挿 入 して, 乳 頭 の 胆 管 開 口 部 を 確 認 する.<br />

膵 管 の 開 口 部 を 確 認 し, 膵 管 tubeなどを 挿 入 してlumenを 確 保 してお<br />

く. 挿 入 したtubeをガイドとして 腫 瘍 を 切 除 する. 乳 頭 形 成 は 胆 管 径<br />

が 細 い 場 合 には 胆 管 を 切 り 上 げていき 十 分 な 太 さを 確 保 し 全 周 性 に 胆<br />

管 粘 膜 と 十 二 指 腸 粘 膜 を 縫 合 する. 同 様 に 膵 管 粘 膜 と 十 二 指 腸 粘 膜 と<br />

を 縫 合 し, 胆 管 粘 膜 と 膵 管 粘 膜 の 間 も2~3 針 縫 合 する. 胆 管 には 最 初<br />

に 挿 入 したAtom…tubeをそのまま 留 置 し, 膵 管 には 膵 管 tubeなどを 挿<br />

入 しlost…stentとしている.【 経 過 】 術 後 経 過 は 良 好 であり, 軽 度 の 肝<br />

機 能 障 害 や 胃 排 出 遅 延 を 認 めた 症 例 でも 平 均 26 日 で 退 院 している. 長<br />

期 経 過 としては 腫 瘍 性 病 変 に 対 して 乳 頭 切 除 術 および 乳 頭 形 成 を 行<br />

なった8 例 のうち, 乳 頭 癌 症 例 2 例 に 再 発 を 認 め 経 過 観 察 しているが,<br />

その 他 の6 症 例 に 再 発 は 認 めていない.また, 乳 頭 形 成 部 の 狭 窄 や 胆<br />

管 炎 , 膵 炎 の 発 生 なども 認 めていない.【 結 語 】 乳 頭 形 成 術 は 症 例 を<br />

適 切 に 選 択 することで, 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 回 避 することが 可 能 で<br />

あり 有 用 な 術 式 と 考 えられる.<br />

P89-10 十 二 指 腸 副 乳 頭 カルチノイドの1 例<br />

豊 田 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 深 見 保 之 , 水 野 敬 輔 , 世 古 口 英 , 小 林 聡 , 渡 邉 博 行 ,<br />

伊 藤 哲 , 冨 田 明 宏 , 大 西 桜 , 門 松 由 佳 , 白 月 遼 ,<br />

塩 見 正 哉<br />

【はじめに】 直 腸 GISTの 術 前 検 査 で 偶 然 発 見 された 十 二 指 腸 副 乳 頭<br />

カルチノイドの 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】70 歳 の 男 性 で,<br />

便 秘 を 主 訴 に 前 医 受 診 し 直 腸 壁 外 性 GISTと 診 断 され, 手 術 目 的 で 当<br />

院 紹 介 となった. 造 影 CT 検 査 で 下 部 直 腸 を 圧 排 する70mm 大 の 骨 盤<br />

内 腫 瘍 を 認 め 内 部 壊 死 を 伴 っていた.また 同 時 に 十 二 指 腸 乳 頭 側 に<br />

15mm 大 の 造 影 効 果 を 伴 う 腫 瘍 を 認 めた. 直 腸 はEUS 下 FNAを 施 行 し<br />

GISTと 確 定 診 断 された. 十 二 指 腸 の 腫 瘍 は 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 で<br />

十 二 指 腸 副 乳 頭 に15mm 大 の 粘 膜 下 腫 瘍 を 認 め, 生 検 でクロモグラニ<br />

ンA 陽 性 を 示 しカルチノイドと 術 前 診 断 した. 以 上 から 直 腸 GIST,<br />

十 二 指 腸 副 乳 頭 カルチノイドの 診 断 で2 期 的 手 術 を 予 定 した.まずは<br />

じめ 直 腸 GISTに 対 し 腹 会 陰 式 直 腸 切 断 術 を 施 行 し, 術 後 経 過 良 好 で<br />

術 後 第 12 病 日 に 一 度 退 院 した. 続 いて 十 二 指 腸 副 乳 頭 カルチノイドに<br />

対 しリンパ 節 郭 清 を 伴 う 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した.<br />

【 結 語 】 十 二 指 腸 副 乳 頭 カルチノイドは 他 部 位 に 生 じたカルチノイド<br />

に 比 べ,リンパ 節 転 移 の 頻 度 が 高 いと 報 告 されており, 系 統 的 リンパ<br />

節 郭 清 を 伴 った 術 式 を 考 慮 すべきである.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P89-11 胃 全 摘 術 後 8 年 目 に 腹 腔 内 腫 瘤 を 契 機 に 診 断 された 憩<br />

室 内 結 石 を 伴 う 十 二 指 腸 傍 乳 頭 憩 室 の1 例<br />

日 本 赤 十 字 社 和 歌 山 医 療 センター 外 科<br />

○… 横 山 智 至 , 桑 原 道 郎<br />

【はじめに】 十 二 指 腸 傍 乳 頭 憩 室 は 存 在 しても 治 療 対 象 になることは<br />

ほとんどないが, 胆 管 炎 ・ 膵 炎 などのLemmel 症 候 群 を 繰 り 返 す 場 合 , 憩<br />

室 自 体 が 出 血 , 憩 室 炎 , 穿 孔 などの 合 併 症 を 伴 う 場 合 , 経 過 観 察 中 に 結 石<br />

が 形 成 される 場 合 などは 手 術 適 応 となる. 今 回 我 々は, 胃 癌 術 後 の 経 過<br />

観 察 中 に 腹 腔 内 腫 瘤 を 契 機 に 診 断 された 憩 室 内 結 石 を 伴 う 十 二 指 腸 傍<br />

乳 頭 憩 室 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する.【 症 例 】75 歳 男 性 .8 年 前 に 胃<br />

癌 にて 胃 全 摘 , 脾 摘 術 施 行 .(por1,se,n0,stageII) 近 医 で 腹 部 超 音 波 検 査<br />

にて 膵 頭 部 に 径 40mm 大 の 腫 瘤 を 認 め, 精 査 目 的 に 当 科 紹 介 .CT,MRIで<br />

は 十 二 指 腸 下 行 脚 背 側 , 膵 頭 部 右 側 近 傍 に40mm 大 の 腫 瘤 を 認 めた.ま<br />

た 腫 瘤 の 壁 外 圧 排 によると 思 われる 総 胆 管 拡 張 も 認 めた. 単 純 CTでは<br />

低 吸 収 域 と 高 吸 収 域 とが 数 層 に 重 なった 同 心 円 状 を 示 していた.3 年 前<br />

のCTでも 同 部 位 に20mm 大 の 同 様 の 病 変 を 認 めた. 自 覚 症 状 無 く, 血 液<br />

生 化 学 検 査 でも 腫 瘍 マーカーの 軽 度 上 昇 を 認 めるのみであった. 断 端<br />

神 経 腫 や 神 経 原 性 腫 瘍 など 緩 徐 な 増 大 傾 向 を 有 する 腫 瘍 性 病 変 などが<br />

強 く 疑 われたが 確 定 診 断 には 至 らなかった. 最 終 的 に 胃 癌 再 発 を 含 め<br />

悪 性 の 可 能 性 も 否 定 できず, 十 分 なインフォームドコンセントのもと<br />

手 術 施 行 . 開 腹 所 見 では 腫 瘤 は 比 較 的 周 囲 と 境 界 明 瞭 , 弾 性 軟 で 内 部 に<br />

硬 結 を 触 知 .また 膵 実 質 とは 連 続 しておらず, 十 二 指 腸 下 行 脚 背 側 と 直<br />

接 連 続 していた. 腫 瘤 の 壁 を 一 部 切 開 し 内 腔 を 確 認 すると 黄 褐 色 調 の<br />

胆 泥 を 含 む2cm 前 後 の 結 石 を 多 数 認 め, 乳 頭 部 を 直 接 確 認 できた. 以 上<br />

より 憩 室 内 結 石 を 伴 う 十 二 指 腸 傍 乳 頭 憩 室 と 診 断 . 乳 頭 部 を 確 認 しな<br />

がら 胆 管 , 膵 管 を 損 傷 しないように 憩 室 を 完 全 切 除 した. 胆 摘 術 施 行 後 ,<br />

胆 嚢 管 より 術 中 胆 道 造 影 にて 胆 管 , 膵 管 等 の 狭 窄 の 無 いことを 確 認 し<br />

手 術 終 了 した. 術 後 第 8 病 日 軽 快 退 院 した.【 結 語 】 術 前 診 断 が 困 難 であっ<br />

た 憩 室 内 結 石 を 伴 う 十 二 指 腸 傍 乳 頭 憩 室 を 経 験 した. 本 症 例 では 胃 全<br />

摘 術 後 のRoux-en-Y 再 建 によって 十 二 指 腸 がblind…loopとなり, 腸 管 内<br />

容 とくに 胆 汁 がうっ 滞 し,このことが 十 二 指 腸 憩 室 内 における 結 石 の<br />

形 成 機 転 およびそれに 伴 う 憩 室 増 大 に 関 与 したのではと 類 推 された.…<br />

P90-1 MRCP 欠 損 像 の 偽 病 変 について: 特 に 総 胆 管 の 欠 損 像 を<br />

中 心 に<br />

社 会 保 険 桜 ヶ 丘 総 合 病 院 外 科<br />

○… 石 田 航 太 , 石 井 雄 二 , 鈴 木 俊 雅<br />

胆 膵 領 域 でMRIが 汎 用 されるようになったが、MRCPの 登 場 によると<br />

ころが 大 きい。 従 来 のERCPに 比 較 し 非 侵 襲 であり、またDIC-CTの<br />

ようなヨード 造 影 剤 を 使 用 する 必 要 もなく 安 全 性 が 確 保 された 検 査 法<br />

である。また、 機 材 および 撮 影 法 などの 進 歩 に 伴 いMRCPの 精 度 は 増<br />

してきたが、どうしても 偽 病 変 の 存 在 に 遭 遇 する。そこで 日 常 的 診 療<br />

において 特 に 総 胆 管 結 石 の 診 断 にMRCPの 検 査 頻 度 は 高 いが、どのよ<br />

うな 偽 病 変 が 存 在 するのかを 検 討 した。 平 成 21 年 11 月 から 平 成 23 年 11<br />

月 までの 期 間 に 当 院 で 施 行 されたMRCP 検 査 は343 例 である。そのう<br />

ち 他 の 検 査 法 との 組 み 合 わせにより 総 胆 管 における 偽 病 変 と 診 断 され<br />

たのは12 例 (3.5%)であった。 代 表 的 なのは、 解 剖 学 的 変 位 に 関 連 し、<br />

右 肝 動 脈 が 総 胆 管 の 後 方 を 横 断 したときに 生 ずる 圧 迫 による 陰 影 欠 損<br />

像 を 呈 した5 例 ( 部 位 と 直 線 状 の 欠 損 像 で 鑑 別 )、またphnemobiliaによ<br />

るものと 思 われる 欠 損 像 が4 例 、さらに 胆 汁 の 物 理 的 な 流 れによる 欠<br />

損 像 と 考 えられた3 例 であった。 結 語 :MRCPの 偽 病 変 と 考 えられた<br />

欠 損 像 について 当 院 で 施 行 された 症 例 から 検 討 した 結 果 、 前 述 した 三<br />

つの 原 因 が 考 えられた。<br />

-499-


P90-2 術 中 蛍 光 胆 道 造 影 にて 副 肝 管 を 同 定 し 得 た、 胆 嚢 結 石 症<br />

の1 例<br />

1<br />

新 潟 県 厚 生 連 糸 魚 川 総 合 病 院 外 科 、 2 木 戸 病 院 外 科 、 3 富<br />

山 大 学 医 学 薬 学 研 究 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 ・ 総 合 外 科<br />

○… 田 澤 賢 一 1<br />

, 小 島 博 文 1<br />

, 土 屋 康 紀 1<br />

, 山 岸 文 範 1<br />

,<br />

新 保 雅 宏 2<br />

, 吉 岡 伊 作 3<br />

, 嶋 田 裕 3 3<br />

, 塚 田 一 博<br />

患 者 は63 歳 、 男 性 。 夜 間 の 心 窩 部 痛 にて 発 症 、 当 院 内 科 受 診 、 胆 嚢 結<br />

石 症 と 診 断 された。 発 症 時 のWBC14,500、CRP10.4と 高 度 の 炎 症 を 認 め、<br />

術 前 ERCP 検 査 で、 胆 嚢 管 とB6 胆 管 が 合 流 、 副 肝 管 の 存 在 が 疑 われた。<br />

開 腹 手 術 を 施 行 、 胆 嚢 周 囲 は 強 固 に 癒 着 、 肉 眼 的 に 胆 嚢 管 周 囲 の 解 剖<br />

学 的 確 認 が 困 難 であった。 術 前 にインドシアニングリーン(ICG) 原 液<br />

1mlを 静 注 、 術 中 蛍 光 胆 道 造 影 施 行 、PDEカメラにて、 蛍 光 発 色 する<br />

胆 嚢 管 と 同 部 に 合 流 するB6 胆 管 ( 副 肝 管 )を 同 定 、B6 胆 管 を 損 傷 する<br />

こと 無 く、 末 梢 側 で 胆 嚢 管 を 処 理 、 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した( 総 胆 管 結<br />

石 あり、 総 胆 管 切 開 排 石 、Tチューブドレン 挿 入 )。 術 後 経 過 は 良 好 で、<br />

術 後 1 年 半 を 経 過 、 結 石 の 再 発 、B6 胆 管 の 狭 窄 を 認 めない。 蛍 光 胆 道<br />

造 影 は 静 注 したICGが 胆 汁 中 に 排 泄 、 赤 外 線 照 射 による 蛍 光 をPDEカ<br />

メラで 捉 える、 新 しい 術 中 胆 道 造 影 法 で、 剥 離 操 作 を 要 せず、 胆 管 を<br />

透 見 することができる。 術 中 蛍 光 胆 道 造 影 にて 副 肝 管 を 同 定 、 安 全 に<br />

胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 できた 症 例 を 経 験 したので、 報 告 する。<br />

P90-3 胆 管 空 腸 吻 合 術 後 の 胆 管 合 併 症 に 対 するダブルバルー<br />

ン 内 視 鏡 の 有 用 性<br />

1<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 、 2 東 京 医 科 歯 科 大 学 消 化<br />

器 内 科<br />

○… 松 永 浩 子 1<br />

, 中 村 典 明 1<br />

, 入 江 工 1<br />

, 伴 大 輔 1<br />

, 落 合 高 徳 1<br />

,<br />

工 藤 篤 1<br />

, 田 中 真 二 1<br />

, 岡 田 英 理 子 2<br />

, 鈴 木 伸 治 2<br />

,<br />

荒 木 昭 博 2<br />

, 渡 邉 守 2 1<br />

, 有 井 滋 樹<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 胆 管 空 腸 吻 合 部 の 合 併 症 として、<br />

吻 合 部 狭 窄 に 伴 う 肝 内 結 石 や 胆 管 炎 の 発 症 などが 挙 げられる。 従 来 は<br />

開 腹 による 外 科 的 治 療 や、 経 皮 経 肝 的 処 置 による 保 存 的 治 療 が 行 われ<br />

てきた。Roux-Y 再 建 後 の 胆 道 狭 窄 では 内 視 鏡 的 処 置 は 困 難 とされ、<br />

いずれの 治 療 法 も 満 足 いくものではない。しかし 近 年 、ダブルバルー<br />

ン 内 視 鏡 (DBE-ERCP)を 用 いた 治 療 の 有 用 性 が 報 告 され、 当 院 でも<br />

DBE-ERCPを 用 いた 治 療 を 行 っている。そこで 今 回 我 々は 胆 管 空 腸<br />

吻 合 後 の 胆 管 合 併 症 に 対 するDBE-ERCPの 有 用 性 について 報 告 する。<br />

【 対 象 】2009 年 1 月 から2011 年 12 月 までにRoux-Y 再 建 による 胆 管 空 腸<br />

吻 合 術 後 の 胆 管 合 併 症 に 対 し 当 院 でDBEを 用 いて 治 療 した16 例 を 対<br />

象 とした。【 結 果 】DBE-ERCPは 手 技 的 には 安 定 しており、 対 象 とし<br />

た16 例 のうち15 例 が 吻 合 部 まで 到 達 可 能 であった。10 例 に 肝 内 結 石 を<br />

認 め9 例 で 摘 出 可 能 であった。DBE-ERCPの 合 併 症 は15 例 中 1 例 で 胆<br />

管 炎 を 併 発 したが、 保 存 的 治 療 にて 軽 快 した。また 胆 管 空 腸 吻 合 部 拡<br />

張 例 6 例 のうち1 例 に 吻 合 部 再 狭 窄 を 生 じたが、DBE-ERCPを 再 施 行<br />

し 治 療 可 能 であった。 全 症 例 の 入 院 平 均 期 間 は 約 4 日 であった。 症 例<br />

を 提 示 する。【 症 例 1】78 歳 男 性 。 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 に 対 し 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 施 行 した。 術 後 2 年 5カ 月 にて 肝 内 結 石 を 指 摘 され、<br />

DBE-ERCPを 施 行 し 胆 管 空 腸 吻 合 部 狭 窄 を 認 めた。 吻 合 部 を 内 視 鏡<br />

的 に 拡 張 し 採 石 を 施 行 した。【 症 例 2】44 歳 男 性 。 膵 頭 部 癌 に 対 して<br />

PD 施 行 した。 術 後 1 年 9カ 月 に 胆 管 炎 、 残 膵 腫 瘤 の 精 査 を 目 的 に 入 院 し、<br />

DBE-ERCPにて 吻 合 部 狭 窄 を 認 め 拡 張 術 を 施 行 した。 胆 管 炎 は 軽 快<br />

し 残 膵 癌 に 対 し 残 膵 切 除 を 施 行 した。【 症 例 3】36 歳 女 性 。 先 天 性 胆 管<br />

拡 張 症 に 対 し、 胆 管 切 除 、 胆 管 空 腸 吻 合 施 行 した。 術 後 4 年 8カ 月 に<br />

CTで 肝 門 部 腫 瘤 を 疑 われDBE-ERCPを 施 行 した。 肝 内 胆 管 に 結 石 像<br />

を 認 め 採 石 を 試 みるも 結 石 が 多 く 断 念 し、 開 腹 手 術 にて 採 石 した。【ま<br />

とめ】 従 来 内 視 鏡 的 治 療 が 困 難 であったRoux-Y 再 建 腸 管 に 対 して、<br />

DBE-ERCPを 用 いた 検 査 、 治 療 の 有 効 性 について 報 告 した。 本 法 は<br />

低 侵 襲 な 治 療 として 安 全 かつ 有 効 な 方 法 であり、 今 後 さらに 発 展 して<br />

いくものと 考 えられた。<br />

P90-4 肝 胆 道 シンチグラフィにより 描 出 しえた 胆 道 気 管 支 瘻<br />

の1 例<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 清 水 敦 , 俵 藤 正 信 , 佐 久 間 康 成 , 笹 沼 英 紀 , 藤 原 岳 人 ,<br />

遠 藤 和 洋 , 田 口 昌 延 , 眞 田 幸 弘 , 森 嶋 計 , 笠 原 尚 哉 ,<br />

三 木 厚 , 志 村 国 彦 , 兼 田 裕 司 , 佐 田 尚 宏 , 安 田 是 和<br />

【 初 めに】 胆 道 気 管 支 瘻 は 稀 な 病 態 で 先 天 性 の 他 、 後 天 性 の 原 因 とし<br />

ては 肝 胆 道 系 疾 患 やその 治 療 または 外 傷 に 伴 うものが 知 られている。<br />

肝 門 部 胆 管 癌 に 対 し 切 除 ・ 放 射 線 治 療 を 行 い 約 3 年 後 に 生 じた 胆 道 気<br />

管 支 瘻 を 肝 胆 道 シンチグラフィにより 描 出 しえた 症 例 を 報 告 する。【 症<br />

例 】77 歳 男 性 【 主 訴 】 発 熱 【 既 往 歴 】 膀 胱 癌 、 前 立 腺 肥 大 症 、 糖 尿 病 、<br />

脂 質 異 常 症 、 緑 内 障 、 白 内 障 術 後 【 家 族 歴 】 糖 尿 病 ( 母 )【 現 病 歴 】18<br />

年 前 より 日 本 に 在 住 しているペルーの 日 系 1 世 。2008 年 食 欲 不 振 で 近<br />

医 を 受 診 した。 肝 機 能 障 害 の 精 査 をうけ 肝 門 部 胆 管 癌 と 診 断 された。<br />

当 科 に 紹 介 され 減 黄 ならびに 糖 尿 病 コントロール 後 の2008 年 7 月 に 拡<br />

大 肝 右 葉 切 除 ・ 胆 管 切 除 を 施 行 した。 神 経 周 囲 浸 潤 が 著 明 であり 術 後<br />

に 放 射 線 治 療 を 局 所 に 追 加 した。 外 来 で 約 3 年 経 過 観 察 されていた 間<br />

に 胆 管 炎 、 食 道 静 脈 瘤 破 裂 、 誤 嚥 性 肺 炎 のため 入 院 加 療 が 行 われてい<br />

た。2011 年 6 月 より 右 肺 炎 を 繰 り 返 すようになり8 月 に 入 院 した。 当 初<br />

は 誤 嚥 による 気 道 感 染 を 疑 っていたが、 入 院 後 に 痰 が 濃 い 黄 色 に 変 化<br />

し 胆 汁 痰 を 考 えた。【 検 査 】( 入 院 時 血 液 検 査 )WBC…9400…/μl,…Hb…10.8…<br />

g/dl,…Plt…23.5×10 …4 …/μl,…CRP…8.2…g/dl,…Alb…2.0…g/dl,…T-bil…1.6…g/dl,…<br />

AST…15…mU/ml,…ALT…7…mU/ml,…AlP…657…mU/ml,…GGT…64…mU/ml( 喀<br />

痰 培 養 )E.coli(CT) 右 横 隔 膜 下 膿 瘍 、 右 肺 炎 、 右 胸 水 が 認 められた。<br />

(DIC-CT) 横 隔 膜 下 膿 瘍 にビリスコピンの 貯 留 を 認 めたが、 瘻 管 は 描<br />

出 しえなかった。( 肝 胆 道 シンチグラフィ) 胆 管 空 腸 吻 合 部 付 近 から 頭<br />

側 方 向 に 横 隔 膜 を 超 え 右 下 葉 気 管 支 へと 続 くアイソトープ 流 出 経 路 が<br />

描 出 され、 胆 道 気 管 支 瘻 と 診 断 された。【 治 療 経 過 】 横 隔 膜 下 膿 瘍 に<br />

対 し 開 胸 開 腹 ドレナージ 術 を 施 行 した。 胆 道 気 管 支 瘻 の 閉 鎖 に 伴 い 肺<br />

炎 は 軽 快 し 退 院 した。 肝 胆 道 シンチの 再 検 査 では 胆 道 気 管 支 瘻 は 描 出<br />

されなかった。【 結 語 】 肝 胆 道 シンチクラフィは 高 感 度 に 胆 汁 の 排 泄 ・<br />

移 行 を 追 跡 することが 可 能 な 検 査 でDIC-CTにても 指 摘 しえない 胆 道<br />

気 管 支 瘻 を 描 出 することが 可 能 であり 有 用 であった。<br />

P90-5 当 院 における 総 胆 管 結 石 症 に 合 併 した 急 性 胆 管 炎 症 例<br />

に 対 するERCPの 検 討<br />

1<br />

福 岡 徳 洲 会 病 院 消 化 器 内 科 、 2 福 岡 大 学 医 学 部 外 科 学 講 座 消<br />

化 器 外 科<br />

○… 山 下 兼 史 1 2<br />

, 山 下 裕 一<br />

【 目 的 】 急 性 胆 管 炎 は 急 性 期 の 適 切 な 処 置 が 重 要 であり、 本 邦 の 急 性<br />

胆 管 炎 診 療 ガイドラインでは 中 等 症 以 上 は 迅 速 な 胆 道 ドレナージを 推<br />

奨 している。 今 回 我 々は 当 院 にてERCPを 施 行 した 総 胆 管 結 石 症 に 合<br />

併 した 急 性 胆 管 炎 症 例 について 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】2009 年<br />

12 月 から2011 年 11 月 までの2 年 間 に 当 院 ERCPを 施 行 した 総 胆 管 結 石<br />

症 に 合 併 した 急 性 胆 管 炎 症 例 170 例 とした。そのうち、 来 院 後 24 時 間<br />

以 内 にERCPを 施 行 した 緊 急 群 は110 例 、24 時 間 以 降 にERCPを 施 行 し<br />

た 待 機 群 は60 例 であった。 臨 床 的 背 景 因 子 ・ 重 症 度 ・ 合 併 症 ・ 在 院 日<br />

数 について2 群 間 で 比 較 検 討 を 行 った。【 結 果 】 平 均 年 齢 は 緊 急 群 :<br />

70.0 歳 、 待 機 群 :70.0 歳 であった。(NS) 来 院 後 からERCP 開 始 までの 平<br />

均 時 間 は 緊 急 群 :11.6 時 間 、 待 機 群 :76.1 時 間 であった。(P


P90-6 十 二 指 腸 憩 室 内 乳 頭 開 口 症 例 について<br />

1<br />

日 本 歯 科 大 学 外 科 、 2 藤 崎 病 院 外 科 、 3 日 本 大 学 医 学 部 小<br />

児 ・ 乳 腺 内 分 泌 外 科 、 4 福 島 県 立 医 科 大 学 腫 瘍 生 体 治 療 学<br />

○… 富 田 凉 一 1<br />

, 藤 崎 滋 2<br />

, 杉 藤 公 信 3<br />

, 櫻 井 健 一 3<br />

, 越 永 従 道 3<br />

,<br />

4<br />

柴 田 昌 彦<br />

【 目 的 】 十 二 指 腸 憩 室 症 において 憩 室 内 乳 頭 開 口 症 例 は 少 ない。これ<br />

まで、 十 二 指 腸 憩 室 内 乳 頭 開 口 症 例 は、 傍 乳 頭 憩 室 症 例 として 報 告 さ<br />

れることが 多 い。 今 回 、 本 症 例 の 臨 床 的 特 徴 について 分 析 した。【 対<br />

象 と 方 法 】 十 二 指 腸 憩 室 症 において 憩 室 内 乳 頭 開 口 症 例 7 例 ( 男 性 5 例 、<br />

女 性 2 例 、53~89 歳 、 平 均 70.0 歳 )を 対 象 として、その 臨 床 的 特 徴 につ<br />

いて 検 討 した。【 成 績 】 性 別 は 男 性 が 女 性 の2.5 倍 を 占 めた。 入 院 時 症<br />

状 は、 黄 疸 が38.5%で 最 も 多 かった。 臨 床 検 査 所 見 は、GOT・GPT 高<br />

値 が36.4%で 最 も 多 かった。 総 胆 菅 径 は、0.8~2.1cmであり、 平 均 1.7cm<br />

であった。 結 石 の 存 在 部 位 は、 胆 嚢 ・ 総 胆 管 結 石 が57.2%で 最 も 多 かっ<br />

た。 結 石 の 種 類 は、ビリルビンCa 石 が57.2%で 最 も 多 かった。 胆 嚢 内<br />

細 菌 検 査 は5 例 に 行 われ、 全 例 が 陽 性 であった。 細 菌 の 種 類 は、 大 腸<br />

菌 が27.3%で 最 も 多 かった。【 結 論 】 十 二 指 腸 憩 室 内 乳 頭 開 口 症 例 は、<br />

男 性 で 黄 疸 や 肝 機 能 障 害 を 呈 することが 多 く、 総 胆 管 に 結 石 を 認 める<br />

症 例 が 半 数 以 上 に 認 められた。そして、 胆 道 感 染 によると 考 えられる<br />

ビリルビンCa 石 が 半 数 以 上 認 められた。<br />

P90-7 生 体 吸 収 性 素 材 を 用 いた 胆 管 再 生 療 法<br />

1<br />

埼 玉 医 科 大 学 国 際 医 療 センター、 2 奈 良 県 立 医 科 大 学 住 居 医 学<br />

○… 合 川 公 康 1<br />

, 宮 澤 光 男 1<br />

, 岡 田 克 也 1<br />

, 上 野 陽 介 1<br />

,<br />

利 光 靖 子 1<br />

, 岡 本 光 順 1<br />

, 山 口 茂 樹 1<br />

, 小 山 勇 1<br />

,<br />

2<br />

筏 義 人<br />

肝 胆 膵 領 域 の 外 科 治 療 は、 胆 道 の 切 除 再 建 が 必 要 となる 場 合 が 多 い。<br />

胆 道 再 建 は 胆 管 腸 吻 合 が 一 般 的 であるが、この 術 式 は、 乳 頭 部 のもつ<br />

逆 流 防 止 機 能 を 廃 絶 させるため、 術 後 に 様 々な 有 害 事 象 を 併 発 する。<br />

乳 頭 部 機 能 を 温 存 した 理 想 的 な 治 療 法 とは、 胆 管 病 変 部 を 切 除 し、そ<br />

の 部 分 の 胆 管 を 何 らかの 代 用 素 材 で 置 換 する 方 法 である。 現 在 まで<br />

に、 肝 外 胆 管 を 置 換 、 再 建 する 代 用 素 材 は、Gore-Texなど 人 工 血 管<br />

用 の 非 吸 収 性 素 材 や、ブタ 小 腸 の 粘 膜 下 組 織 (SIS)などの 吸 収 性 素 材<br />

が 報 告 されているが、これらの 素 材 は、 様 々な 問 題 があり 理 想 的 では<br />

ない。 そこで 我 々は、 人 工 的 に 合 成 された 吸 収 性 素 材 の 生 体 吸 収 性<br />

ポリマー(Bioabsorbable…polymer…;…BAP)により 胆 管 を 置 換 できない<br />

かを 検 討 した。 このBAPは、ポリ 乳 酸 とポリカプロラクトンの<br />

50:50 共 重 合 体 で 作 製 した 繊 維 をポリグリコール 酸 の 繊 維 で 補 強 した<br />

ものであり、 生 体 内 において 約 8 週 間 で 完 全 に 加 水 分 解 されるように<br />

設 計 されている。BAPのAir…porosityは95% 以 上 となっていて、 細 胞<br />

が 素 材 内 に 入 りやすく、 再 生 の 足 場 に 適 した 構 造 となっている。 本<br />

BAPは 胆 管 再 建 に 利 用 されている 他 の 代 用 素 材 と 比 較 して、 裂 けに<br />

くく、 操 作 性 に 優 れていて、 完 全 な 人 工 物 であり 人 畜 共 通 感 染 症 の 問<br />

題 はない。 胆 管 欠 損 部 にパッチ 状 、もしくは 環 状 に 間 置 移 植 した 場<br />

合 、 約 3-4ヶ 月 でnative 同 様 の 胆 管 組 織 を 再 生 させることが 可 能 であ<br />

る。 外 部 より 細 胞 を 播 種 する 必 要 もなく、 様 々な 形 状 に 加 工 できる 理<br />

想 的 な 素 材 である。 我 々が 開 発 した 生 体 吸 収 性 ポリマーによる 胆 管<br />

再 生 療 法 の 詳 細 とその 臨 床 応 用 の 可 能 性 を 紹 介 したい。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P90-8 磁 石 圧 迫 吻 合 により 閉 塞 解 除 を 行 った 胆 管 空 腸 吻 合 術<br />

後 吻 合 部 狭 窄 の1 例<br />

1<br />

久 留 米 大 学 外 科 、 2 佐 賀 社 会 保 険 病 院 外 科<br />

○… 丸 山 祐 一 郎 1<br />

, 清 松 和 光 2<br />

, 吉 富 宗 宏 1<br />

, 川 原 隆 一 1<br />

,<br />

1<br />

木 下 壽 文<br />

磁 石 圧 迫 吻 合 術 ( 山 内 法 )は 低 侵 襲 な 消 化 管 吻 合 術 とし<br />

て 徐 々に 認 知 されつつある。 胆 管 系 に 関 しては 近 年 、 肝 移 植 後 の 胆 管<br />

狭 窄 に 対 しての 報 告 例 が 散 見 される。 今 回 われわれは 胆 管 空 腸 吻 合 術<br />

後 の 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 し 本 法 による 胆 管 空 腸 吻 合 術 を 行 い 良 好 な 経 過<br />

を 得 た 症 例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。 < 症 例<br />

> 47 歳 、 男 性 .… 胆 石 胆 のう 炎 の 診 断 にて 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行<br />

中 、 総 肝 管 離 断 .… 胆 管 空 腸 吻 合 術 、Roux-Y 再 建 施 行 .… 術 後 縫 合 不 全 、<br />

胆 管 狭 窄 から 閉 塞 性 黄 疸 を 発 症 した.… 経 皮 経 肝 胆 道 ドレナージ<br />

(PTBD)を 施 行 し、 後 日 透 視 下 内 瘻 化 を 試 みるも 不 可 能 であった.… そ<br />

の 後 、 胆 道 鏡 や 経 口 的 シングルバルーン 小 腸 内 視 鏡 などあらゆる 方 法<br />

を 用 いて 内 瘻 化 を 試 みたが 不 可 能 であった. 十 分 インフォームドコ<br />

ンセントを 行 った 後 に 既 報 のごとく(Hepatogastroenterology…2009;…<br />

56) 山 内 法 にて 胆 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した.…PTBDルートから 子 磁 石 を<br />

肝 門 部 まで 進 め, 続 いて 小 腸 内 視 鏡 を 用 いて 親 磁 石 を 胆 管 空 腸 吻 合 部<br />

まで 誘 導 した.… 磁 石 が 引 き 合 うことを 確 認 し 手 技 を 終 了 した.… 翌 日 に<br />

は 両 磁 石 が 密 着 していることを 確 認 、4 週 目 に 内 瘻 化 に 成 功 した.……<<br />

考 察 > 術 後 良 性 胆 管 狭 窄 に 対 し、 瘢 痕 性 癒 着 は 必 至 であり、 難 易 度<br />

の 高 い 手 術 になることも 多 く、 開 腹 再 手 術 を 選 択 する 際 は 慎 重 になら<br />

ざるを 得 ない.… 内 瘻 化 困 難 症 例 に 対 して 本 法 は 低 侵 襲 かつ 有 用 な 方 法<br />

であると 考 えられる.… 聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 放 射 線 科<br />

の 山 内 栄 五 郎 先 生 との 共 同 症 例 報 告 である。<br />

P90-9 術 後 胆 道 狭 窄 に 対 するステント 留 置 の 有 用 性 について<br />

NTT 西 日 本 大 阪 病 院 外 科<br />

○… 東 野 健 , 金 致 完 , 今 岡 真 義<br />

術 後 の 良 性 胆 道 狭 窄 及 び 合 併 症 の 治 療 には 難 渋 することが 多 い。 当 科<br />

でステント 留 置 術 を 施 行 した5 症 例 を 検 討 した。 原 疾 患 / 手 術 はHCC/<br />

肝 切 除 3 例 、 自 己 免 疫 性 膵 炎 / 経 皮 的 肝 膿 瘍 ドレナージ1 例 、 胆 管 癌 / 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 1 例 であった。HCCの3 例 は、(1) 肝 切 除 と 肝 動 注 、さ<br />

らに 再 発 への5 回 のTACE 後 に 中 部 胆 管 狭 窄 と 肝 機 能 障 害 、(2)3 回 目 の<br />

肝 切 除 後 に 胆 管 狭 窄 と 胆 汁 漏 出 、(3)TACE8 回 後 に 肝 切 除 を 施 行 した<br />

後 に 中 部 胆 管 の 狭 窄 と 胆 汁 漏 、をそれぞれ 来 たした 症 例 であった。 症<br />

例 (1)(2)には 内 視 鏡 にERBDチューブを 留 置 し、 症 状 の 改 善 を 得 た。<br />

症 例 (3)はPTCD 施 行 後 にEMSを 留 置 し、 残 肝 再 発 で 現 病 死 するまで<br />

QOLは 保 たれた。 自 己 免 疫 性 膵 炎 例 (4)は、 肝 膿 瘍 を 発 症 し、 経 皮 的<br />

ドレナージを 施 行 したが 難 治 性 で、 下 部 胆 管 の 狭 窄 を 認 めたため、 胆<br />

汁 うっ 滞 の 関 連 を 考 えてERBDチューブを 留 置 したところ 膿 瘍 は 消 失<br />

した。 胆 管 癌 例 (5)は 術 後 3 年 10ヶ 月 目 に 肝 右 葉 の 多 発 性 膿 瘍 を 発 症 し、<br />

抗 生 剤 で 改 善 せず、 拡 張 した 右 肝 内 胆 管 がDIC-CTで 描 出 されないた<br />

めPTCDを 施 行 した。 膿 瘍 は 消 退 したが、 肝 門 部 胆 管 の 広 汎 な 狭 窄 を<br />

認 めたため、EMSを 前 ・ 後 区 域 胆 管 枝 - 吻 合 部 にそれぞれ 留 置 した。<br />

1 年 6ヶ 月 後 に 左 葉 に 膿 瘍 の 再 燃 、 左 肝 管 の 糸 状 狭 窄 を 認 めたため3 本<br />

目 のEMSを 留 置 した。その 後 も 胆 管 炎 は 再 燃 し、 結 局 術 後 5 年 11ヶ 月<br />

に 肝 不 全 で 死 亡 した。 術 後 の 胆 道 狭 窄 は 病 態 が 多 岐 にわたっているが、<br />

症 状 の 改 善 のためステントの 留 置 を 要 する 場 合 がある。 良 性 狭 窄 に 対<br />

するEMSの 有 用 性 は 議 論 のある 所 で、 短 期 予 後 は 良 いものの、 長 期<br />

成 績 は 良 好 でない。 自 検 例 でも 短 命 に 終 わった(3)はQOLが 維 持 され<br />

たが、(5)は 十 分 な 成 果 が 得 られなかった。 近 年 は 内 視 鏡 的 手 法 が 発 達<br />

し、 多 様 な 対 応 が 可 能 となっている。 自 検 例 (1)(2)(4)はチューブス<br />

テントで 良 好 な 結 果 が 得 られた。 定 期 的 な 交 換 や 抜 去 後 の 再 燃 などの<br />

問 題 点 はあるが、できるだけチューブステントの 適 用 を 図 るべきであ<br />

ると 考 える。<br />

-501-


P90-10 後 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 瘤 塞 栓 術 後 に 発 生 した 虚 血 性 胆 管<br />

狭 窄 の 一 例<br />

新 松 田 会 愛 宕 病 院 ( 高 知 ) 外 科<br />

○… 大 海 研 二 郎<br />

虚 血 性 胆 管 狭 窄 ( 以 下 本 症 )は 肝 十 二 指 腸 間 膜 郭 清 や 十 二 指 腸 温 存 膵 頭<br />

切 除 などの 術 後 に 散 見 されることがあるが、 膵 頭 部 アーケード 内 の 動<br />

脈 瘤 塞 栓 術 後 に 発 生 することはまれである。 今 回 当 科 では、 後 下 膵<br />

十 二 指 腸 動 脈 ( 以 下 PIPDA) 瘤 塞 栓 術 後 に 発 生 した 本 症 を 経 験 したの<br />

で 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。 症 例 は62 歳 、 男 性 。 既 往 歴 にサルコ<br />

イドーシス・ 正 常 圧 水 頭 症 (V-Pshunt)がある。 平 成 22 年 12 月 PIPDA<br />

の 動 脈 瘤 破 裂 に 対 してPIPDA-coiling+ASPDA 分 枝 coiling+PSPDA<br />

分 枝 塞 栓 術 を 施 行 された。 術 後 経 過 は 良 好 であったが、 平 成 23 年 12 月<br />

2 日 右 上 腹 部 痛 にて 受 診 。 血 液 生 化 学 的 所 見 にて 急 性 閉 塞 性 化 膿 性 胆<br />

管 炎 を 呈 し、 腹 部 CTにて 肝 内 外 胆 管 拡 張 と 下 部 胆 管 に 全 周 性 壁 肥 厚<br />

像 を 認 めた。 緊 急 ERCにて 下 部 胆 管 に 長 さ 数 ミリの 全 周 性 狭 窄 を 認<br />

めたが 減 黄 できなかったため、PTBDにて 減 黄 を 行 った。 胆 汁 細 胞 診<br />

陰 性 、 腫 瘍 マーカーcut-off 値 以 下 にて 悪 性 疾 患 の 可 能 性 は 低 いと 考 え、<br />

全 身 状 態 改 善 ののち、PTBDルートよりbiliary…stent(Flexima7Fr7cm)<br />

留 置 ( 末 梢 側 は 経 乳 頭 十 二 指 腸 内 )を 行 ない 軽 快 退 院 となった。 本 症 例<br />

について、 診 断 ・ 治 療 方 針 について、 議 論 したい。<br />

P90-11 Lynch 症 候 群 (HNPCC)の 異 時 性 多 発 胆 管 癌 の1 例<br />

国 立 病 院 機 構 岩 国 医 療 センター<br />

○… 森 廣 俊 昭 , 青 木 秀 樹 , 金 谷 信 彦<br />

【はじめに】Lynch 症 候 群 (HNPCC)は、 最 も 頻 度 の 高 い 大 腸 遺 伝 性<br />

腫 瘍 である。 大 腸 以 外 の 多 臓 器 にも 発 癌 リスクを 有 するため、 適 切 な<br />

サーベイランスにより 癌 死 を 回 避 することが 期 待 される。Lynch 症 候<br />

群 の 胆 管 癌 に 対 するサーベイランス 方 向 はまだ 確 立 されていないが、<br />

今 回 経 過 観 察 中 に 胆 管 癌 を2 回 発 症 し 切 除 し 得 た 症 例 を 経 験 したので<br />

報 告 する。【 症 例 】75 歳 、 男 性 。【 既 往 歴 】54 歳 時 、 上 行 結 腸 および 横<br />

行 結 腸 多 発 癌 (3 病 変 、StageIV)にて 拡 大 右 半 結 腸 切 除 と 肝 部 分 切 除<br />

術 ( 他 院 )。72 歳 時 、S 状 結 腸 癌 (StageI)にて 大 腸 亜 全 摘 術 施 行 ( 当 院 )、<br />

遺 伝 子 検 査 にてLynch 症 候 群 と 診 断 。73 歳 時 、 肝 門 部 胆 管 癌 にて 拡 大<br />

肝 左 葉 切 除 術 ( 当 院 )。【 家 族 歴 】 兄 (3 男 ):43 歳 時 に 大 腸 癌 、 兄 (4 男 ):<br />

69 歳 時 に 大 腸 癌 、 長 男 :23 歳 時 に 直 腸 癌 と34 歳 時 に 大 腸 癌 。 改 定 アム<br />

ステルダム 診 断 基 準 を 満 たす。【 現 病 歴 】72 歳 時 にHNPCCと 診 断 。 経<br />

過 観 察 中 にビリルビン 上 昇 とCTで 下 部 胆 管 に 腫 瘤 を 指 摘 された。【 現<br />

症 】 眼 球 結 膜 と 皮 膚 に 黄 染 あり、 腹 部 は 平 坦 軟 で 腫 瘤 を 触 知 しなかっ<br />

た。【 血 液 検 査 】T-bil…6.29mg/dl、D-bil…3.43mg/dl…、AST…234U/l、<br />

ALT…375U/l、ALP…1392U/l、LAP…338U/l、 γ-GTP…1455U/l、CEA…<br />

2.7ng/ml、CA19-9…9.3U/ml、DUPAN-2…430U/l、SPAN-1…22U/l【 画<br />

像 検 査 】 腹 部 超 音 波 検 査 で 下 部 胆 管 拡 張 、CTで 総 胆 管 下 部 に 造 影 効<br />

果 を 認 める26mm 大 の 辺 縁 分 葉 状 の 腫 瘍 あり。EUSでも 乳 頭 状 の 腫 瘍<br />

を 確 認 した。【 手 術 】 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 施 行 。Grade…A<br />

の 膵 液 漏 あったが 保 存 的 に 軽 快 し、 術 後 26 日 目 に 退 院 した。【 病 理 組 織 】<br />

乳 頭 浸 潤 型 …20mm…tub2>tub1>tub3…patBi…ss…pN0…StageII【 免 疫 染<br />

色 】MLH1 変 異 (-)、MSH2 変 異 (+)であり、Lynch 症 候 群 関 連 発 癌 で<br />

あると 考 えられた。【 術 後 経 過 】gemcitabineによる 術 後 補 助 化 学 療 法<br />

を 施 行 中 。 術 後 8か 月 で 再 発 や 新 たな 発 癌 は 認 めていない。【 考 察 】2<br />

度 の 胆 管 癌 はともに 早 期 発 見 と 治 療 ができた。Lynch 症 候 群 のサーベ<br />

イランス 中 に、 大 腸 以 外 の 発 癌 も 念 頭 に 置 いておくことが 重 要 と 考 え<br />

られた。<br />

P91-1 肝 切 除 後 の 難 治 性 胆 汁 漏 に 対 しエタノールによる<br />

biliaryablationが 有 効 であった 一 例<br />

1<br />

日 本 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 2 日 本 医 科 大 学 多 摩 永 山 病 院<br />

○… 清 水 哲 也 1<br />

, 吉 田 寛 2<br />

, 真 々 田 裕 宏 1<br />

, 谷 合 信 彦 1<br />

,<br />

吉 岡 正 人 1<br />

, 川 野 陽 一 1<br />

, 水 口 義 昭 1<br />

, 上 田 純 志 1<br />

,<br />

中 村 慶 春 1<br />

, 相 本 隆 幸 1<br />

, 有 馬 保 生 1 1<br />

, 内 田 英 二<br />

肝 切 除 後 の 胆 汁 漏 は 治 療 に 難 渋 する 場 合 がありその 対 処 が 重 要 である。<br />

肝 切 除 後 の 難 治 性 胆 汁 漏 に 著 効 したエタノールによる…biliary…ablation<br />

の 一 例 を 報 告 する。 症 例 は75 歳 男 性 。S1を 中 心 としてS7685に 入 り 込<br />

む 肝 細 胞 癌 にて 拡 大 後 区 域 切 除 後 を 施 行 したところ、 術 直 後 より 胆 汁<br />

漏 を 認 めた。 胆 汁 漏 は 肝 離 断 面 のドレーンより1 日 約 150mlありドレ<br />

ナージを 継 続 していたが、その 量 は 一 向 に 減 少 しなかった。 術 後 32 日 、<br />

肝 離 断 面 ドレーンの 造 影 を 行 なったところ 前 区 域 胆 管 が 造 影 されたが<br />

総 胆 管 は 描 出 されなかった。ERCPでも 総 胆 管 と 前 区 域 枝 の 連 絡 なく、<br />

前 区 域 胆 管 枝 は 離 断 されENBDの 挿 入 は 不 可 能 であった。PTCDも 試<br />

したが 胆 管 拡 張 なく 挿 入 できなかったため、 術 後 46 日 開 腹 下 に 前 区 域<br />

胆 管 にRTBDを 挿 入 し、 胆 汁 をドレナージした。 約 7ヶ 月 間 、 外 来 フォ<br />

ローでRTBDより 胆 汁 ドレナージを 継 続 したが、RTBD 造 影 ではこれ<br />

までと 同 様 に 前 区 域 胆 管 は 総 胆 管 と 連 絡 なく 総 胆 管 へのRTBD 経 路 か<br />

らのカニュレーションも 不 可 能 であった。 肝 切 除 後 7ヶ 月 経 過 し 残 肝<br />

肥 大 は 十 分 と 考 え、 胆 汁 漏 の 根 絶 を 目 標 に 離 断 された 前 区 域 胆 管 枝 に<br />

エタノールを 用 いbiliary…ablationを 行 う 方 針 とした。RTBDの 前 区 域<br />

胆 管 の 造 影 剤 の 注 入 量 と 患 者 本 人 の 症 状 から1 回 の 注 入 エタノール 量<br />

を 決 定 し、 週 5 回 1 日 10 分 のbiliary…ablationを 行 なった。ablation 前 は1<br />

日 100ml 以 上 あったドレナージ 胆 汁 量 は23 回 目 のablation 後 に1 日 10ml<br />

以 下 となり、RTBDのクランプが 可 能 となった。2 日 間 のRTBDクラ<br />

ンプ 後 も 症 状 出 現 なく 腹 腔 内 液 体 貯 留 も 画 像 上 なく、RTBD 抜 去 が 可<br />

能 と な っ た。RTBD 抜 去 後 の フ ォ ロ ー ア ッ プMRIで は、biliary…<br />

ablationを 行 なった 前 区 域 肝 実 質 の 著 明 な 萎 縮 を 認 め、 肝 膿 瘍 の 形 成<br />

はなかった。エタノールによるbiliary…ablationは 術 後 の 総 胆 管 や 腸 管<br />

と 離 断 された 難 治 性 胆 汁 漏 に 有 効 な 治 療 法 であると 考 えられる。<br />

P91-2 胆 道 手 術 後 のduodenogastricreflux(DGR)とDGRの<br />

食 道 への 影 響<br />

近 畿 大 学 医 学 部 外 科<br />

○… 橋 本 直 樹<br />

胃 十 二 指 腸 液 が 胃 内 に 逆 流 する 現 象 Duodenogastric…reflux(DGR)は、<br />

健 常 人 においても 早 朝 や 食 後 には、 自 然 に 起 こる 現 象 である。しかし、<br />

胆 摘 や 胆 道 再 建 などの 胆 道 手 術 を 受 けた 人 々は、 悪 心 、 胆 汁 性 嘔 吐 、<br />

上 腹 部 痛 などのDGRに 起 因 する 症 状 が、しばしばみられる。そこで<br />

胆 管 十 二 指 腸 吻 合 (CD)6 例 、 胆 摘 9 例 を 対 象 に、 術 後 1 年 以 内 に 胆 道 シ<br />

ンチを 施 行 した。DGRは、0: 幽 門 へのシンチの 逆 流 (-) 1: 幽 門<br />

部 のみへの 逆 流 有 り 2: 胃 体 部 へのシンチの 逆 流 有 り、3: 胃 体 、 噴<br />

門 部 へのシンチの 逆 流 あり、4: 食 道 への 逆 流 あり、として 分 類 した。<br />

CD 症 例 では、6 例 中 4 例 にDGRを 認 め、grade3:1 例 、grade2:1 例 、<br />

grade1:2 例 であった。 胆 摘 例 では、DGRは2 例 に 認 め、いづれも<br />

grade1であった。 以 上 より、 胆 管 十 二 指 腸 吻 合 や 胆 摘 ではDGRが 高<br />

頻 度 にみられた。この 原 因 としては、 胆 嚢 摘 出 によるreservoier 機 能<br />

の 喪 失 やgate…keeperとしてのoddi 括 約 筋 の 除 去 により、 胆 汁 は、 食<br />

物 の 刺 激 により、 間 欠 的 に 排 出 するのではなく、 連 続 的 に 排 出 され、<br />

また 総 胆 管 開 口 部 は 元 の 位 置 よりも 球 部 に 近 くなり、 総 胆 管 が 十 二 指<br />

腸 へ 開 口 する 角 度 の 変 化 がみられることなどによる。 近 年 、スウェー<br />

デンでは 胆 道 手 術 後 のDGRより 下 部 食 道 癌 が 生 じる 可 能 性 が 報 告 さ<br />

れている。そこで、ラットに 胃 全 摘 を 行 い 食 道 十 二 指 腸 吻 合 を 作 成 し、<br />

十 二 指 腸 液 の 食 道 への 逆 流 モデルを 作 成 し、 術 後 35 週 目 に 犠 死 させ、<br />

食 道 を 採 取 すると、 食 道 粘 膜 のdysplasia,100%,SCC33%,ADC30%を 認<br />

めた。 十 二 指 腸 液 逆 流 により 下 部 食 道 組 織 中 のCOX2,PGE2,PCNALI<br />

が 高 値 を 呈 した。 以 上 より 胆 道 手 術 後 、かなりの 比 率 においてDGR<br />

が 生 じており、 長 期 に 食 道 粘 膜 が 十 二 指 腸 液 に 曝 されると、<br />

dysplasia,cancerを 引 き 起 こす 可 能 性 もあり、 十 分 な 胃 、 食 道 のfollow…<br />

upが 必 要 であると 思 われた。<br />

-502-


P91-3 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 を 合 併 したMirizzi 症 候 群 の1 切 除 例<br />

山 口 大 学 大 学 院 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科 学<br />

○… 新 藤 芳 太 郎 , 上 野 富 雄 , 橋 本 憲 輝 , 飯 田 通 久 , 前 田 祥 成 ,<br />

坂 本 和 彦 , 鈴 木 伸 明 , 為 佐 卓 夫 , 吉 村 清 , 岡 正 朗<br />

【 症 例 】66 歳 男 性 。 平 成 19 年 7 月 に 胆 石 、 胆 嚢 炎 の 診 断 にて 保 存 的 加<br />

療 を 受 けた。 平 成 23 年 4 月 微 熱 、 全 身 倦 怠 感 を 主 訴 に 当 院 内 科 紹 介 受 診 。<br />

血 液 検 査 所 見 ではWBC…5050/μl、CRP…7.62と 軽 度 炎 症 反 応 を 認 め、<br />

T-Bil…1.3mg/dl、D-bil…0.6mg/dl、AST…66IU/l、ALT…124IU/l、ALP…<br />

1784IU/l、γ-GTP…1435IU/lと 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 を 認 めた。 腹 部 造<br />

影 CT 検 査 では 肝 内 胆 管 から 総 肝 管 は 軽 度 拡 張 しており、pneumobilia<br />

を 認 めた。 胆 嚢 内 は 結 石 で 充 満 しており、 胆 嚢 壁 の 肥 厚 、 胆 嚢 十 二 指<br />

腸 瘻 を 疑 った。MRCP 検 査 では 総 胆 管 内 に 明 らかな 陰 影 欠 損 は 指 摘 で<br />

きず、 左 右 肝 管 合 流 部 から 三 管 合 流 部 までの 総 肝 管 の 限 局 性 の 狭 窄 を<br />

認 め、 明 らかな 腫 瘍 は 指 摘 できず、 炎 症 による 狭 窄 が 疑 われた。<br />

ERCP 検 査 では 上 部 胆 管 に3cm 程 度 のスムースな 狭 窄 を 認 め、 狭 窄 部<br />

付 近 より 胆 嚢 から 十 二 指 腸 に 造 影 剤 が 流 出 しており、 胆 嚢 ・ 胆 管 ・<br />

十 二 指 腸 の 瘻 孔 形 成 が 確 認 された。 以 上 より 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 、Mirizzi<br />

症 候 群 と 診 断 され、 手 術 目 的 に 当 科 入 院 となった。 手 術 所 見 では 胆 嚢<br />

は 萎 縮 硬 化 し、… 十 二 指 腸 と 強 固 に 癒 着 しており 胆 嚢 十 二 指 腸 瘻 が 確 認<br />

された。 胆 嚢 は 総 胆 管 と 一 塊 になっており、 結 石 周 囲 で 胆 嚢 壁 を 切 開<br />

して15mm 大 の 結 石 を4 個 摘 出 した。 胆 嚢 壁 と 総 肝 管 は 大 きく 交 通 し、<br />

胆 嚢 総 肝 管 瘻 を 形 成 していた。 胆 嚢 摘 出 術 および 瘻 孔 部 を 含 めた 十 二<br />

指 腸 楔 状 切 除 を 施 行 した。 総 肝 管 の 欠 損 部 は 大 きいため、 総 肝 管 空 腸<br />

側 々 吻 合 (Roux-en…Y 再 建 )および 胆 道 ドレナージ( 外 瘻 )を 施 行 した。<br />

胆 嚢 の 病 理 所 見 では、 腫 瘍 成 分 はなく… 粘 膜 に 炎 症 細 胞 浸 潤 を 認 めた。…<br />

術 後 合 併 症 なく 軽 快 退 院 した。【 結 語 】 胆 石 症 に 内 胆 汁 瘻 が 合 併 する<br />

ことはよく 知 られているが、 重 複 瘻 孔 の 報 告 はまれである。 今 回 我 々<br />

は 重 複 瘻 孔 のMirizzi 症 候 群 の1 切 除 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考<br />

察 を 加 え 報 告 する。<br />

P91-4 胆 嚢 結 腸 瘻 を 併 発 した 胆 嚢 肝 管 の1 例<br />

神 戸 労 災 病 院<br />

○… 椋 棒 英 世 , 山 本 正 博<br />

【 緒 言 】 胆 嚢 結 腸 瘻 を 併 発 した 胆 嚢 肝 管 に 対 して 手 術 を 施 行 した 症 例<br />

を 経 験 したので, 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する.【 症 例 】87 歳 … 女<br />

性 【 主 訴 】 右 側 腹 部 痛 【 既 往 歴 】 脳 梗 塞 【 現 病 歴 】 平 成 23 年 7 月 に 右<br />

側 腹 部 痛 を 主 訴 に 当 院 外 来 を 受 診 した. 入 院 時 の 腹 部 CT 検 査 で 胆 石<br />

性 胆 嚢 炎 に 加 え, 胆 管 の 走 行 異 常 が 疑 われた. 追 加 のMRCP 検 査 及 び<br />

ERCP 検 査 で 胆 嚢 横 行 結 腸 瘻 を 併 発 した 胆 嚢 肝 管 ( 石 原 分 類 3-A)と 診<br />

断 し, 保 存 的 加 療 を 開 始 し 軽 快 を 得 た. 胆 嚢 結 石 症 や 胆 嚢 結 腸 瘻 によ<br />

る 慢 性 的 な 炎 症 を 繰 り 返 しており, 総 胆 管 本 幹 にERBD…tubeを 挿 入 後 ,<br />

手 術 の 方 針 とした.【 手 術 所 見 】 胆 嚢 と 横 行 結 腸 間 の 強 固 な 癒 着 を 剥<br />

離 後 、 結 腸 部 分 切 除 ・ 胆 嚢 結 石 除 去 ・ 胆 嚢 底 部 部 分 切 除 術 を 施 行 した.<br />

また 胆 嚢 肝 管 のドレナージ 領 域 が 肝 右 葉 後 区 域 であることを 考 慮 し,<br />

胆 嚢 肝 管 の 結 紮 は 併 施 しなかった.【 術 後 経 過 】 術 後 経 過 は 順 調 で 第<br />

27 病 日 に 軽 快 退 院 となった.【 考 察 】 胆 嚢 肝 管 は 胆 嚢 に 開 口 する 肝 管<br />

の 総 称 で, 先 天 性 異 常 走 行 胆 管 の 稀 な1 型 である.この 胆 管 は 胆 摘 に<br />

よって 不 可 避 的 に 切 離 され,その 処 理 を 誤 ると 重 篤 な 合 併 症 をきたす<br />

可 能 性 があるため, 胆 摘 の 際 には 本 症 を 念 頭 に 置 くべきである.また<br />

石 原 らが 推 奨 する 分 類 によって 胆 摘 時 の 胆 嚢 肝 管 の 処 理 法 が 異 なって<br />

おり, 術 前 の 胆 道 系 の 解 剖 学 的 変 異 の 把 握 とその 術 式 選 択 が 重 要 と 考<br />

えられた.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P91-5 術 前 に 診 断 し 得 た 特 発 性 胆 嚢 穿 孔 による 胆 汁 性 腹 膜 炎<br />

の1 例<br />

足 利 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 岸 田 憲 弘 , 平 畑 忍 , 前 田 大 , 瀧 川 穣 , 藤 崎 真 人 ,<br />

高 橋 孝 行 , 戸 倉 英 之 , 尾 之 内 誠 基 , 平 田 玲 , 松 田 圭 央 ,<br />

田 中 佑 貴 , 細 田 篤 志<br />

症 例 は80 歳 , 女 性 . 高 血 圧 と 一 過 性 脳 虚 血 発 作 のため 近 医 に 通 院 中<br />

であった. 来 院 前 日 から 心 窩 部 痛 を 自 覚 しており, 腹 部 全 体 の 痛 みと<br />

嘔 吐 が 出 現 したため, 近 医 を 受 診 . 急 性 腹 症 の 診 断 で 当 院 へ 救 急 搬 送<br />

された. 明 らかな 外 傷 歴 はなかった. 腹 部 は 板 状 硬 で 全 体 に 圧 痛 を 認<br />

め, 血 液 検 査 では 炎 症 反 応 が 高 値 であり, 腎 障 害 も 認 められた. 黄 疸<br />

や 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 は 認 めなかった.…CTでは 明 らかなfree…airは 認<br />

めなかったが, 中 等 量 の 腹 水 , 胆 嚢 の 縮 小 と 壁 肥 厚 , 胆 嚢 壁 の 連 続 性<br />

が 一 部 絶 たれている 所 見 を 認 め, 胆 嚢 穿 孔 を 疑 った. 超 音 波 ガイド 下<br />

に 腹 水 穿 刺 を 施 行 したところ, 胆 汁 様 の 粘 稠 度 の 高 い 腹 水 を 吸 引 . 胆<br />

嚢 穿 孔 による 胆 汁 性 腹 膜 炎 と 診 断 し, 緊 急 手 術 を 施 行 した. 開 腹 所<br />

見 で, 腹 腔 内 に 胆 汁 様 の 粘 稠 度 に 富 んだ 無 臭 の 腹 水 を 認 め, 胆 嚢 の 色<br />

調 は 黒 く 虚 血 性 の 変 化 を 示 しており, 壁 は 脆 弱 で, 胆 嚢 体 部 に 約 1cm<br />

大 の 穿 孔 部 を 認 めた. 全 消 化 管 を 検 索 したが, 明 らかな 穿 孔 部 は 認 め<br />

ず, 術 前 診 断 通 り, 胆 嚢 穿 孔 による 胆 汁 性 腹 膜 炎 と 診 断 . 胆 嚢 摘 出 ,<br />

洗 浄 ドレナージ 術 を 施 行 した. 術 後 はMRSA 腸 炎 を 合 併 したが,バン<br />

コマイシンの 内 服 で 軽 快 した.また, 反 応 性 の 右 胸 水 に 対 してドレナー<br />

ジを 要 したが,それら 以 外 は 明 らかな 合 併 症 を 認 めずに 経 過 した. 病<br />

理 所 見 では, 胆 嚢 には 境 界 明 瞭 な11×6mmの 粘 膜 欠 損 を 認 め, 粘 膜<br />

欠 損 部 では 胆 嚢 壁 全 層 が 壊 死 に 陥 っており, 胆 嚢 漿 膜 面 にはフィブリ<br />

ン 析 出 と 好 中 球 の 浸 潤 を 認 めた. 明 らかな 腫 瘍 は 認 めず, 胆 石 も 認 め<br />

なかった. 虚 血 性 変 化 による 胆 嚢 壊 死 として 矛 盾 しない 所 見 であった<br />

が, 壊 死 性 変 化 で 血 管 病 変 については 明 瞭 な 所 見 は 得 られなかっ<br />

た。 文 献 上 , 特 発 性 胆 嚢 穿 孔 は 比 較 的 稀 な 病 態 であり,60 歳 以 上 の<br />

高 齢 者 や 高 血 圧 , 脳 梗 塞 などの 末 梢 循 環 不 全 をきたしやすい 基 礎 疾 患<br />

を 持 つ 症 例 に 多 く 発 生 し, 本 症 例 も 虚 血 性 疾 患 の 既 往 を 有 していた.<br />

術 前 から 胆 嚢 穿 孔 と 確 定 診 断 できていた 症 例 は 比 較 的 少 なく, 腹 膜 炎<br />

の 診 断 のみで 緊 急 手 術 となる 症 例 が 多 い. 今 回 , 我 々は 術 前 に 胆 嚢 穿<br />

孔 による 胆 汁 性 腹 膜 炎 と 診 断 がついた1 例 を 経 験 したため, 若 干 の 文<br />

献 的 考 察 を 加 え 報 告 する.<br />

P91-6 肝 門 部 郭 清 後 に 生 じた 胆 管 壊 死 に 対 し 二 期 的 再 建 術 を<br />

施 行 した1 例<br />

1<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 、 2 公 立 森 町 病 院 、 3 磐 田 市 立 総 合 病 院<br />

○… 福 本 和 彦 1<br />

, 坂 口 孝 宣 1<br />

, 平 出 貴 乗 1<br />

, 柴 崎 泰 1<br />

, 森 田 剛 文 1<br />

,<br />

鈴 木 淳 司 1<br />

, 稲 葉 圭 介 1<br />

, 太 田 茂 安 2<br />

, 鈴 木 昌 八 3<br />

,<br />

今 野 弘 之<br />

1<br />

【 症 例 】68 歳 女 性 。 慢 性 下 痢 に 対 しステロイド 治 療 中 に 急 性 胆 嚢 炎 発<br />

症 。PTGBDが 施 行 された。 胆 汁 細 胞 診 にて 胆 嚢 癌 を 指 摘 され 当 科 と<br />

なる。 深 達 度 SS 胆 嚢 癌 の 術 前 診 断 にて 肝 S4a+5 切 除 術 ,… 肝 門 部 リンパ<br />

節 郭 清 施 行 。 肝 外 胆 管 は 温 存 。PTGBDチューブが 経 胸 的 に 留 置 され<br />

ていたため,… 横 隔 膜 を 含 めた 瘻 孔 切 除 も 行 った。 術 後 6 日 目 に 右 胸 水 穿<br />

刺 したところ,… 胆 汁 が 吸 引 され 胆 汁 漏 および 横 隔 膜 縫 合 不 全 と 診 断 し<br />

た。ENBDや 胸 腔 ドレナージによる 保 存 的 治 療 を 試 みたが,… 改 善 なく<br />

術 後 19 日 目 に 開 胸 開 腹 による 修 復 術 を 行 った。 開 腹 すると 胆 管 は 膵 上<br />

縁 から 左 右 肝 管 合 流 部 付 近 まで 壊 死 していた。 炎 症 が 高 度 であり,… 虚<br />

血 範 囲 同 定 困 難 であったため,… 十 二 指 腸 側 胆 管 は 膵 上 縁 やや 尾 側 で 縫<br />

合 閉 鎖 、 肝 門 側 はRTBDおよび 肝 管 外 瘻 各 1 本 の 胆 管 チューブを 左 右<br />

胆 管 に 留 置 、 計 4 本 の 胆 管 チューブで 胆 汁 を 完 全 外 瘻 とした。 左 右 肝<br />

管 からの 肝 管 外 瘻 チューブは 大 網 を 有 茎 性 に 挙 上 してロール 状 に 巻 き<br />

つけて 腹 腔 外 へ 出 した。 有 径 大 網 の 先 端 は 横 隔 膜 瘻 孔 縫 合 閉 鎖 部 に 縫<br />

合 してパッチ 修 復 に 用 いた。 栄 養 改 善 のために 小 腸 瘻 も 作 成 した。 胆<br />

汁 性 胸 膜 炎 ・ 急 性 膿 胸 は 胼 胝 掻 爬 ・ 胸 腔 洗 浄 ドレナージを 行 った。 術<br />

後 炎 症 はコントロールされ1カ 月 後 に 転 院 。 転 院 先 で3カ 月 間 栄 養 改 善<br />

を 図 った 後 に 当 科 へ 再 転 院 し,… 二 期 的 肝 管 空 腸 吻 合 術 を 施 行 した。 外<br />

瘻 チューブ 周 囲 の 大 網 が 良 い 目 安 となり,… 肝 管 断 端 を 容 易 に 同 定 し 得<br />

た。RTBDは 温 存 、 新 たな 尾 側 胆 管 チューブを 経 空 腸 肝 管 縫 合 部 的 に<br />

空 腸 経 由 で 留 置 した。 術 後 経 過 は 良 好 でドレーン,… 胆 管 チューブを 全<br />

て 抜 去 した 状 態 で21 日 目 に 退 院 ,… 現 在 も 元 気 に 過 ごしている。【 考 察 】<br />

肝 門 部 リンパ 節 郭 清 後 に 温 存 した 胆 管 が 虚 血 に 陥 り 術 後 狭 窄 を 来 した<br />

症 例 報 告 は 散 見 されるが,… 胆 管 壊 死 まで 至 った 報 告 はない。 我 々は 壊<br />

死 胆 管 の 再 建 術 式 として 一 期 的 修 復 を 行 わず 一 旦 ,… 胆 汁 を 完 全 外 瘻 と<br />

し,… 炎 症 コントロールと 栄 養 状 態 改 善 を 図 った4カ 月 後 に 肝 管 空 腸 吻<br />

合 術 を 二 期 的 に 行 い 安 全 に 修 復 できた。 本 症 例 では 有 茎 性 に 挙 上 した<br />

大 網 は 再 建 に 際 し 局 所 炎 症 コントロールの 点 で 有 用 であったと 考 えら<br />

れる。<br />

-503-


P91-7 胆 嚢 癌 術 後 の 良 性 門 脈 閉 塞 と 難 治 性 胆 道 感 染 に 対 して、<br />

IVR 及 び 手 術 にて 治 療 し 得 た1 症 例<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 八 千 代 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 濱 野 美 枝 , 鬼 澤 俊 輔 , 岡 野 雄 介 , 石 井 雅 之 , 山 本 伸 ,<br />

新 井 田 達 雄<br />

【 症 例 】76 歳 男 性 【 既 往 歴 】H9. S 状 結 腸 癌 H.12 胆 嚢 結<br />

石 症 に 対 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 このときの 病 理 にて 胆 嚢 癌 を 診 断 さ<br />

れたため、 胆 嚢 床 切 除 + 肝 外 胆 道 切 除 再 建 術 を 施 行 。( 他 院 )【 現 病 歴 】<br />

H.21~22 年 までに 肝 膿 瘍 、 胆 管 炎 の 診 断 にて 入 退 院 を 繰 り 返 していた。<br />

症 状 軽 快 しないため 精 査 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 となった。 当 院 入 院 時 も<br />

39 度 台 の 発 熱 が 続 いていたため、 胆 道 閉 塞 による 胆 管 炎 の 診 断 にて、<br />

PTCD 施 行 した。 胆 道 造 影 にて 吻 合 部 狭 窄 は 認 めなかったが 挙 上 空 腸<br />

に 凝 血 塊 を 認 めた。 精 査 のためのCTにて 門 脈 閉 塞 を 診 断 、 肝 十 二 指<br />

腸 間 膜 を 郭 清 したため 挙 上 空 腸 に 側 副 血 行 路 ができ、その 部 位 の 静 脈<br />

瘤 からの 出 血 で 挙 上 空 腸 が 閉 塞 し、 胆 汁 鬱 滞 をきたしたものと 考 えら<br />

れた。H.22.7.6…IVR 下 に 門 脈 ステント 挿 入 、 周 囲 の 側 副 血 行 路 をコイ<br />

ルで 遮 断 した。 術 後 、 門 脈 血 流 は 再 開 し、 経 過 は 良 好 であった。 外 来<br />

にて 経 過 観 察 となったが、 約 半 年 後 のH.23.1 月 に 肝 膿 瘍 を 再 発 した。<br />

入 院 し、 膿 瘍 ドレナージを 行 ったが、 肝 膿 瘍 は 軽 快 せず、 他 の 場 所 に<br />

も 膿 瘍 形 成 をきたした。CT、 血 管 造 影 等 で 血 流 精 査 を 行 ったが 門 脈 、<br />

動 脈 とも 血 流 は 良 好 であった。そのため、 再 度 PTCD 施 行 、PTCDか<br />

らの 造 影 で 吻 合 部 狭 窄 は 認 められなかったが、 挙 上 空 腸 の 造 影 剤 の 流<br />

出 が 不 良 であり、 挙 上 空 腸 での 胆 汁 鬱 滞 による 胆 道 内 圧 上 昇 が 今 回 の<br />

病 態 ではないかと 考 えられた。この 間 、 肝 不 全 の 増 悪 もあり、 他 の 治<br />

療 では 改 善 傾 向 がなかったため、 挙 上 空 腸 の 切 除 を 行 うこととなった。<br />

3 月 28 日 手 術 施 行 。 開 腹 すると、 挙 上 空 腸 から 先 の 小 腸 が 癒 着 で 一 塊<br />

となっており、 消 化 液 の 鬱 滞 の 原 因 となっていた。 癒 着 剥 離 を 行 い、<br />

挙 上 空 腸 ― 十 二 指 腸 吻 合 を 行 った。 術 後 は 肝 不 全 も 改 善 し、 肝 膿 瘍 の<br />

再 発 もなく 経 過 良 好 で 通 院 中 である。【 結 語 】 今 回 、 我 々は 胆 嚢 癌 術<br />

後 の 良 性 門 脈 閉 塞 をIVRで 治 療 後 、 難 治 性 胆 道 感 染 に 対 して 手 術 にて<br />

治 療 し 得 た1 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P91-8 胆 管 癌 に 対 するPpPD 術 後 4 年 目 に 膵 管 ロストステント<br />

が 胆 管 空 腸 吻 合 部 に 嵌 入 し 肝 膿 瘍 をきたした1 例<br />

1<br />

福 山 市 民 病 院 外 科 、 2 岡 山 労 災 病 院 外 科<br />

1,2<br />

○… 大 村 泰 之 , 日 置 勝 義 1<br />

, 野 島 洋 樹 1<br />

, 佐 々 木 寛 1<br />

,<br />

井 谷 史 嗣 1<br />

, 金 仁 洙 1 1<br />

, 高 倉 範 尚<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 膵 消 化 管 吻 合 において、 膵 管 粘 膜 吻 合 は 一 般<br />

的 に 行 われるようになったが、ステント 留 置 の 是 非 、 内 瘻 (ロストス<br />

テント)なのか 外 瘻 なのかについては 十 分 な 結 論 は 出 ていない。 筆 者<br />

らは 当 初 2003 年 までは 胆 管 ・ 膵 管 ともに 外 瘻 としていたが、そののち<br />

膵 管 はロストステントとし、 胆 管 ステントから 透 視 下 に 抜 去 しながら<br />

造 影 することによって 胆 管 、 膵 吻 合 部 の 確 認 が 可 能 となると 考 え 外 瘻<br />

としていた。2006 年 からは 膵 管 は 不 完 全 内 瘻 とし、 胆 管 については 拡<br />

張 があればno…stent、 拡 張 がなければ 不 完 全 内 瘻 としていた。 今 回 、<br />

我 々は 下 部 胆 管 癌 に 対 してPpPD-IIを 行 い 膵 管 ロストステントとした<br />

症 例 において 術 後 4 年 で、 肝 門 右 側 の 肝 膿 瘍 とその 膿 瘍 に 嵌 入 した 膵<br />

管 チューブが 確 認 された 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は63 才<br />

男 性 で2006 年 5 月 に 下 部 胆 管 癌 、T2…N1…M0に 対 してPpPDを 行 い。 膵<br />

管 はロストステント、 胆 管 は 外 瘻 とした。 特 に 合 併 症 なく 経 過 し、 定<br />

期 的 に 外 来 フォローとしていた。 再 発 なく 経 過 良 好 であったが、フォ<br />

ローのCTでは 膵 管 チューブが 膵 空 腸 吻 合 部 に 留 まったままであった。<br />

術 後 4 年 1カ 月 の2010 年 6 月 に 発 熱 を 主 訴 に 来 院 。 胆 管 炎 、 肝 膿 瘍 など<br />

を 疑 いCTを 撮 影 したところ、 胆 管 空 腸 吻 合 部 に 接 する 肝 門 部 右 側 に<br />

周 辺 が 造 影 され、 肝 膿 瘍 と 思 われるLDAとそれに 嵌 入 する 膵 管 チュー<br />

ブが 確 認 された。 脱 落 膵 管 ステントが 胆 管 空 腸 吻 合 部 に 嵌 入 し、 物 理<br />

的 な 胆 管 壁 障 害 にておこった 生 じた 肝 膿 瘍 と 判 断 し、Single…balloon<br />

内 視 鏡 にてステントを 抜 去 した。 抜 去 後 は 速 やかに 発 熱 、 炎 症 反 応 、<br />

画 像 所 見 も 改 善 し、ステント 抜 去 後 3 日 目 に 退 院 となった。 現 在 、 胆<br />

管 癌 、 肝 膿 瘍 ともに 再 発 なく 外 来 フォロー 中 である。 我 々が 検 索 す<br />

る 限 り 同 様 の 合 併 症 は 報 告 されておらず、 膵 管 ロストステントによる<br />

稀 な 合 併 症 と 考 え 報 告 する。<br />

P92-1 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 治 療 の 導 入 と 臨 床 および<br />

組 織 学 的 効 果<br />

1<br />

国 立 病 院 機 構 災 害 医 療 センター 消 化 器 乳 腺 外 科 、 2 国 立 病 院 機 構<br />

災 害 医 療 センター 放 射 線 治 療 科<br />

○… 伊 藤 豊 1<br />

, 石 橋 雄 次 1<br />

, 大 森 敬 太 1<br />

, 真 崎 純 一 1<br />

, 石 黒 深 幸 1<br />

,<br />

渡 邊 善 史 1<br />

, 若 林 和 彦 1 2<br />

, 福 田 一 郎<br />

【 目 的 】 進 行 性 膵 癌 に 対 し 化 学 放 射 線 治 療 (CRT)を 導 入 したので、<br />

その 臨 床 効 果 と 組 織 学 的 効 果 について 検 討 する。【 対 象 】2010 年 、 当<br />

院 の 放 射 線 機 器 が 一 新 され、 放 射 線 治 療 医 の 着 任 を 機 に、 進 行 性 膵 癌<br />

に 対 し、 術 前 CRTを 導 入 した。 治 療 はS1を80mg/m2を3 週 間 投 与 、 同<br />

時 に3D-CRTによる50Gyを5 週 間 の 照 射 を 行 った。Helical…CTおよび<br />

PET-CT,…MRIの 評 価 を 行 い、 切 除 可 能 の 診 断 例 には 切 除 を 実 施 した。<br />

効 果 不 良 例 は2 次 化 学 療 法 を 実 施 した。【 成 績 】11 例 に 実 施 した。 占 居<br />

部 位 は 頭 部 6 例 、 体 部 4 例 、 尾 部 1 例 であった。 年 齢 は40~76 歳 、 平 均<br />

66 歳 であった。 治 療 前 の 画 像 診 断 では、いずも 局 所 進 行 し 門 脈 浸 潤 を<br />

認 めた 進 行 度 4aであった。11 例 のうち、1 例 が 消 化 器 症 状 が 強 く30Gy<br />

で 終 了 、S1 内 服 は3 週 間 治 療 で 終 了 、その 他 は 完 遂 した。 治 療 終 了 後<br />

の 画 像 評 価 では、 門 脈 浸 潤 の 改 善 1 例 、 肝 転 移 の1 例 を 確 認 。RECIST<br />

評 価 ではCR…0 例 、PR1 例 、SD…9 例 、PD…1 例 であった。 開 腹 手 術 は<br />

CRT 終 了 後 4~8 週 間 の 待 機 して 実 施 した。 上 腸 間 膜 静 脈 2 次 分 岐 浸 潤<br />

症 例 のSD…1 例 をのぞき9 例 は 開 腹 した。 開 腹 時 に5mmの 肝 転 移 が 確 認<br />

されたのは2 例 であった。 根 治 切 除 の7 例 はPD1 例 が2400gの 出 血 を 認<br />

めた 以 外 、800g 以 下 の 出 血 で 無 輸 血 で 実 施 できた。 肉 眼 的 に 門 脈 浸<br />

潤 ありと 診 断 し 門 脈 再 建 を5 例 に 行 った。ダウンステージは2 期 2 例 、3<br />

期 が2 例 に 確 認 できた。 切 除 標 本 から 得 られた 組 織 学 的 効 果 はgrade…0<br />

(1 例 )、1a(2 例 )、1b(1 例 )、2a(2 例 )、3(1 例 )であった。【 結 論 】S1 内<br />

服 の3D-CRTを 導 入 により、11 例 中 4 例 のダウンステージを 得 ること<br />

ができた。CRT 後 でも 出 血 を 増 加 することなく 切 除 が 可 能 であった。<br />

P92-2 動 脈 浸 潤 Borderlineresectable 膵 癌 に 対 する 術 前 治<br />

療 と 手 術 時 期 に 関 する 検 討<br />

千 葉 県 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 貝 沼 修 , 山 本 宏 , 趙 明 浩 , 太 田 拓 実 , 朴 成 進 ,<br />

有 光 秀 仁<br />

【 背 景 】Borderline…resectable(BR) 膵 癌 は 血 管 と 腫 瘍 の 関 係 から 定 義<br />

されるが、 門 脈 全 周 性 やDP-CAR 可 能 な 症 例 は 術 前 治 療 なしでも 切 除<br />

は 可 能 であるのに 対 し、SMAの 神 経 叢 やGDA 根 部 近 くに 浸 潤 してい<br />

る 症 例 では 術 前 治 療 によりDown-stageされないと 切 除 できない。し<br />

かし 術 前 治 療 後 のresectabilityの 可 否 については 明 確 な 基 準 がないの<br />

が 現 状 である。 今 回 われわれは 動 脈 浸 潤 を 伴 うBR 膵 癌 切 除 例 のCT 像<br />

と 切 除 標 本 の 病 理 所 見 を 対 比 し、 新 たな 知 見 を 得 たので 報 告 する。【 対<br />

象 と 方 法 】BR 膵 癌 を 次 のように 定 義 した。 遠 隔 転 移 がなく(1) 門 脈 全<br />

周 性 接 触 、 狭 窄 を 認 めるが 再 建 可 能 (2) 腹 腔 動 脈 、 総 肝 動 脈 浸 潤 を<br />

認 めるが、DP-CARにて 切 除 可 能 (3)SMAに180 度 以 下 で 小 範 囲 の<br />

接 触 。2006 年 以 降 の 膵 癌 切 除 141 例 でこの 定 義 にあてはまる 症 例 は20<br />

例 で、(1)8 例 (2)7 例 (3)5 例 である。この 内 術 前 に 化 学 療 法 または<br />

( 化 学 ) 放 射 線 療 法 を 施 行 した 症 例 は11 例 であり(BR-neo 群 ) 残 り9 例 は<br />

手 術 先 行 (BR-SF 群 )で 行 った。また 動 脈 浸 潤 を 伴 う(2)(3) 症 例 におい<br />

て 動 脈 と 腫 瘍 の 接 触 角 が1/2 周 以 上 をA、1/4 周 ~1/2 周 未 満 をB、1/4<br />

周 以 下 をCと 定 義 した。【 結 果 】 主 腫 瘍 の 大 きさはBR-neo 群 において<br />

平 均 35mmから25mmに 縮 小 した(p=0.0027).また 動 脈 との 関 係 では<br />

BR-neo 群 において 治 療 前 は(A/B/C=5/1/1)であったが、 治 療 後 は(A/<br />

B/C/=2/0/5)と 大 きくC 症 例 が 増 加 した。BR-SF 群 は 全 例 がAであった。<br />

最 終 的 にAと 判 定 した 症 例 7 例 では 動 脈 もしくは 同 部 位 の 神 経 叢 に 浸<br />

潤 が 全 例 で 認 められたのに 対 し、Cと 判 定 した6 例 で 軽 度 な 神 経 叢 浸<br />

潤 を1 例 に 認 めるのみであった。BR-neoでは7 例 全 例 がR0であったの<br />

に 対 し、BR-SFではR0/R1/R2が3/1/1であった。2 年 生 存 率 はBR-neo…<br />

60%,…BR-SF…17%…とBR-neoで 良 好 な 傾 向 にあった。【 結 語 】 動 脈 浸 潤<br />

を 疑 うBR 膵 癌 では 術 前 治 療 を 行 い、 血 管 との 接 触 が1/4 以 下 になれば<br />

切 除 可 能 と 判 断 されると 考 えられた。<br />

-504-


P92-3 BorderlineResectable 膵 癌 に 対 する 長 期 集 学 的 術 前<br />

治 療 法 の 意 義 の 検 討<br />

大 阪 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 江 口 英 利 , 丸 橋 繁 , 小 林 省 吾 , 川 本 弘 一 , 和 田 浩 志 ,<br />

種 村 匡 弘 , 森 正 樹 , 土 岐 祐 一 郎 , 永 野 浩 昭<br />

膵 癌 治 療 の 目 的 は 予 後 改 善 であることは 言 うまでもないが、NCCNに<br />

よるBorderline…Resectable 膵 癌 は「 半 数 の 症 例 が 外 科 切 除 出 来 る 程 度<br />

の 画 像 所 見 」との 意 味 合 いで 定 義 されており、 切 除 不 可 能 な 症 例 や 切<br />

除 可 能 であっても 切 除 が 予 後 改 善 に 寄 与 しない 症 例 をも 包 含 している。<br />

膵 癌 に 対 する 化 学 療 法 の 選 択 肢 が 増 えつつある 今 日 、 切 除 が 予 後 改 善<br />

に 本 当 に 寄 与 する 症 例 を 選 別 することは 重 要 である。 我 々は<br />

Resectable 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 (CRT)の 豊 富 な 経 験 を 活<br />

かし、Borderline…Resectable 症 例 にも 積 極 的 にCRTを 行 い、さらに 半<br />

年 ~1 年 の 長 期 化 学 療 法 を 継 続 した 上 で 根 治 切 除 を 行 う 長 期 集 学 的 治<br />

療 を 行 ってきた。【 対 象 と 方 法 】07 年 1 月 から11 年 10 月 までに 大 阪 大 学<br />

附 属 病 院 にてBorderline…Resectable 膵 癌 と 診 断 された 症 例 で、40~<br />

50Gyの 放 射 線 治 療 とGEMまたはGEM+S-1によるCRTを 施 行 した 症<br />

例 を 対 象 とした。Borderlineの 定 義 は、CTにて 腫 瘍 が 主 要 動 脈 ( 上 腸<br />

間 膜 動 脈 、 腹 腔 動 脈 、 肝 動 脈 、ただし 体 尾 部 腫 瘍 の 場 合 は 胃 十 二 指 腸<br />

動 脈 を 含 む)に 明 らかに 接 しているものの180 度 未 満 の 症 例 で 遠 隔 転 移<br />

の 無 いものとし、DP-CAR、 門 脈 切 除 再 建 、 下 大 静 脈 切 除 再 建 で 切 除<br />

出 来 る 症 例 はResectableと 診 断 し 除 外 した。【 切 除 適 応 の 判 定 】CRT<br />

終 了 後 に 化 学 療 法 を 継 続 しながら 定 期 的 にCTを 行 い、Resectableと<br />

判 定 ( 動 脈 浸 潤 が 陰 性 化 )またはCRT 終 了 後 6ヶ 月 以 上 にわたって 主 病<br />

変 に 増 大 傾 向 が 無 く 遠 隔 転 移 も 認 めない 場 合 は 根 治 術 を 施 行 した。【 結<br />

果 】 対 象 症 例 は13 例 で、 男 : 女 =9:4、 平 均 年 齢 は67.0±10.7 歳 であっ<br />

た。Borderlineと 診 断 した 理 由 は 腹 腔 動 脈 ~ 肝 動 脈 浸 潤 2 例 、 上 腸 間<br />

膜 動 脈 浸 潤 9 例 、 両 方 の 浸 潤 2 例 であった。13 例 中 2 例 はCRT 終 了 後 に<br />

遠 隔 転 移 を 認 め、6 例 はCRT 終 了 後 6ヶ 月 以 内 に 主 病 巣 の 増 大 を 認 め<br />

たため 切 除 不 適 応 と 判 定 されたが、5 例 には 切 除 術 を 施 行 しえた。 切<br />

除 症 例 の 治 療 開 始 から 切 除 までの 期 間 は11.6±5.8ヶ 月 であった。 切 除<br />

症 例 に 周 術 期 合 併 症 はなかった。13 例 の3 年 生 存 率 は48.9%、 切 除 例 で<br />

は100%であった。【 考 察 】Borderline…Resectable 膵 癌 に 対 して 長 期 集<br />

学 的 治 療 を 行 い、 切 除 適 応 症 例 を 正 確 に 選 ぶことが 予 後 改 善 に 繋 がる<br />

可 能 性 が 示 唆 された。<br />

P92-4 Borderlineresectable 膵 癌 に 対 する 術 前 S-1 併 用 放<br />

射 線 療 法 ・ 臨 床 試 験 における 課 題<br />

国 立 がん 研 究 センター 東 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 高 橋 進 一 郎 , 小 西 大 , 木 下 敬 弘 , 後 藤 田 直 人 ,<br />

加 藤 祐 一 郎 , 木 下 平<br />

【 目 的 】Borderline…resectable 膵 癌 (BR 膵 癌 )に 対 する 術 前 S-1 併 用 放<br />

射 線 療 法 (S-1/RT)pilot…studyの 現 状 を 検 証 し 多 施 設 共 同 臨 床 試 験 の<br />

課 題 を 検 討 する。【 方 法 】H14-20 浸 潤 性 膵 管 癌 切 除 133 例 の 検 討 でBR<br />

膵 癌 は 切 除 可 能 膵 癌 と 比 較 し 予 後 不 良 (MST;…BR 膵 癌 …16m、 切 除 可<br />

能 膵 癌 …25m)かつ 局 所 再 発 が 高 頻 度 (BR 膵 癌 …48%、 切 除 可 能 膵 癌 …<br />

31%)であった 事 から2010 年 9 月 よりBR 膵 癌 に 対 し 術 前 S-1/RTのpilot…<br />

studyを 行 っている。BR 膵 癌 の 定 義 は(1) 門 脈 ・ 上 腸 間 膜 静 脈 の 両 側<br />

性 浸 潤 、(2) 上 腸 間 膜 動 脈 に 腫 瘍 が180 度 以 下 の 範 囲 で 接 する、(3) 総 肝<br />

動 脈 に 腫 瘍 が180 度 以 下 の 範 囲 で 接 する、(4) 腹 腔 動 脈 に 腫 瘍 が180 度 以<br />

下 の 範 囲 で 接 する、とした。 正 確 な 癌 遺 残 度 診 断 のため 標 本 を 色 分 け<br />

しインキングした( 膵 切 除 断 端 、RP 面 、 門 脈 切 痕 、SMA 剥 離 断 端 )。<br />

2011 年 10 月 までにBR 膵 癌 と 診 断 された7 例 の 治 療 状 況 について 検 証 し<br />

多 施 設 共 同 研 究 における 課 題 を 検 討 する。【 成 績 】BR 膵 癌 7 例 の 当 該<br />

脈 管 は6 例 がSMA、1 例 がCHAであった。その 内 文 書 による 同 意 を 得<br />

た6 例 にS-1/RTが 施 行 され、1 例 は 患 者 選 択 によりGemcitabine 全 身 化<br />

学 療 法 が 行 われた。S-1/RT 後 切 除 例 は2 例 、S-1/RT 後 開 腹 したが 肝<br />

転 移 ・ 腹 膜 転 移 の 為 非 切 除 が2 例 、S-1/RT 施 行 中 が2 例 であった。 切<br />

除 例 はいずれもR0 切 除 であった。S-1/RT 後 早 期 に 撮 像 したCTによる<br />

切 除 可 能 性 診 断 、 拡 大 郭 清 を 行 った 場 合 の 難 治 性 腹 水 、 比 較 的 多 い 転<br />

移 によるPD 脱 落 例 、 等 の 問 題 点 を 経 験 した。BR 膵 癌 の 多 施 設 共 同 臨<br />

床 試 験 では、 本 邦 の 実 情 に 即 したBR 膵 癌 の 定 義 (DP-CAR 症 例 を 含 め<br />

るか、 門 脈 浸 潤 例 の 程 度 )、 適 格 性 及 び 評 価 判 定 に 厳 格 を 期 するため<br />

の 画 像 ・ 病 理 中 央 診 断 、 治 療 効 果 を 反 映 する 適 切 な 治 療 効 果 判 定 時 期 、<br />

安 全 性 を 考 慮 した 手 術 実 施 期 間 ・ 術 式 設 定 (リンパ 節 ・ 神 経 叢 郭 清 程<br />

度 等 ) 等 の 合 意 形 成 が 必 要 と 考 えられた。【 結 論 】BR 膵 癌 に 対 する 術<br />

前 S-1/RTでは 転 移 による 非 切 除 例 を 一 定 頻 度 で 認 めたが 切 除 例 はい<br />

ずれもR0 切 除 が 可 能 であった。BR 膵 癌 の 臨 床 試 験 では 厳 格 な 適 格 性<br />

が 重 要 であり、さらに 癌 遺 残 度 病 理 診 断 、 安 全 性 を 担 保 する 術 式 等 で<br />

の 合 意 形 成 が 必 要 と 思 われた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P92-5 当 科 における 切 除 不 能 局 所 進 行 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学<br />

放 射 線 治 療 の 検 討<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 木 下 正 一 , 庄 雅 之 , 野 見 武 男 , 赤 堀 宇 広 , 山 戸 一 郎 ,<br />

童 仁 , 北 東 大 督 , 川 口 千 尋 , 安 田 里 司 , 金 廣 裕 道 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【 目 的 】 切 除 不 能 局 所 進 行 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 治 療 の 成 績 を<br />

検 討 した.【 対 象 】2007 年 10 月 から2010 年 12 月 までに 当 科 で 加 療 を 行 っ<br />

た 切 除 不 能 膵 癌 78 例 を 対 象 とした.【 結 果 】 切 除 不 能 膵 癌 74 例 の 生 存<br />

期 間 中 央 値 MST( 月 )は11M,1 年 生 存 率 47%であった. 切 除 不 能 理 由 別<br />

のMSTは, 肝 転 移 (33 例 )7.8M, 局 所 進 行 (30 例 )16.4M, 腹 膜 その 他 (11<br />

例 )11Mであり, 肝 転 移 例 の 予 後 は 局 所 進 行 例 に 比 し, 有 意 に 不 良 で<br />

あった(P=0.0003). 一 次 治 療 別 ではGEM:37 例 ,S-1:9 例 ,…GEM+S-1<br />

(GS):21 例 ,…GEM/ 放 射 線 治 療 (GEM/Rad):7 例 で, 各 々MST8.7M,…<br />

12.4M,12.5M,16.4Mであり,GSおよびGEM/Rad 治 療 はGEMに 比 し,<br />

有 意 に 良 好 であった.また 局 所 進 行 例 のみでは,GS 一 次 治 療 11 例 の<br />

予 後 は26.6M,GEM(8 例 )12Mに 比 し, 有 意 に 良 好 であった(P=0.027).<br />

局 所 進 行 例 のうち4 例 (13%)では 化 学 療 法 が 奏 功 し,その 後 に 膵 切 除<br />

を 行 った. 切 除 前 治 療 の 内 訳 は,GS3 例 とGEM/Rad1 例 であった.GS<br />

療 法 3 例 にはさらにGEM/Radを 追 加 した 後 に 膵 切 除 を 行 った.2 例 に<br />

門 脈 あるいは 右 半 結 腸 の 合 併 切 除 を 要 したが,いずれもN0かつR0で<br />

あった. 術 前 治 療 期 間 は3-11Mであった. 治 療 開 始 後 MSTは26M(17-<br />

38)であり, 比 較 的 良 好 であった.1 例 は38M 無 再 発 生 存 中 である.【 結<br />

語 】 切 除 不 能 進 行 膵 癌 に 対 する 化 学 放 射 線 療 法 は 有 用 な 治 療 法 の 可 能<br />

性 が 示 唆 され,… 症 例 を 集 積 して 検 討 すべきと 考 えられた.… 局 所 進 行 膵<br />

癌 に 対 しては,GS 療 法 の 奏 功 率 が 比 較 的 高 く,また 奏 功 例 の 中 に 腫<br />

瘍 縮 小 後 膵 切 除 により 長 期 生 存 が 得 られるものもあり, 妥 当 であると<br />

思 われた.<br />

P92-6 当 院 における 膵 頭 部 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 後<br />

の 切 除 成 績<br />

静 岡 県 立 総 合 病 院 外 科<br />

○… 京 田 有 介 , 伊 関 丈 治 , 大 場 範 行<br />

諸 言 膵 癌 に 対 し、 切 除 が 根 治 を 得 られる 唯 一 の 治 療 法 であるが、 切 除<br />

例 の5 年 生 存 率 は10% 前 後 と 予 後 不 良 である。このことは 切 除 単 独 の<br />

治 療 の 限 界 を 示 唆 しているとも 考 えられる。 近 年 治 療 成 績 の 向 上 を 目<br />

指 して 様 々な 集 学 的 治 療 が 行 われており、 今 回 我 々は 当 院 における 膵<br />

頭 部 癌 に 対 する 術 前 化 学 放 射 線 療 法 後 の 切 除 成 績 を 報 告 する。 対 象<br />

2001 年 11 月 から2011 年 5 月 まで 当 院 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した72<br />

例 の 内 34 例 に 対 して 術 前 化 学 放 射 線 療 法 後 に 切 除 を 行 った。これらの<br />

患 者 を 今 回 の 研 究 の 対 象 とした。 成 績 背 景 は 男 性 15 例 (44%)、 女 性 19<br />

例 (56%)、 年 齢 の 平 均 値 は69 歳 (45 歳 -84 歳 )であった。 術 前 照 射 量 は<br />

30Gy(3Gy10 回 )とした。 術 前 化 学 療 法 としてgemcitabineを 顆 粒 球 減<br />

少 に 配 慮 しながら300mg…3 回 で 開 始 したが、 副 作 用 を 確 認 しながら 適<br />

宜 増 減 した。 術 後 補 助 化 学 療 法 を26 例 (76%)に 施 行 した。 術 式 は4 例<br />

(12%)にPDを、30 例 (88%)にPPPDを 施 行 した。 門 脈 合 併 切 除 、 再 建<br />

を10 例 (29%)に 施 行 した。 最 終 病 期 はStage1、2、3、4がそれぞれ4 例 、<br />

1 例 、14 例 、15 例 であった。R0 手 術 が26 例 (76%)、R1 手 術 が8 例 (24%)<br />

であった。 膵 切 除 断 端 陽 性 、 膵 周 囲 剥 離 面 陽 性 をそれぞれ4 例 (12%)、<br />

に 認 めた。リンパ 節 転 移 を17 例 (50%)に 認 めた。 在 院 死 は 認 めなかっ<br />

た。 術 後 の 腹 腔 内 膿 瘍 に 対 してドレナージ 術 を2 例 (6%)に 施 行 したが、<br />

それ 以 外 の 合 併 症 は 保 存 的 に 軽 快 した。 全 症 例 の3 年 、5 年 生 存 率 はそ<br />

れぞれ44.7%、26.1%であった。また 解 析 の 結 果 、R1 手 術 、リンパ 節<br />

転 移 が 有 意 に 予 後 不 良 因 子 としてあげられた。 結 語 膵 頭 部 癌 に 対 する<br />

術 前 化 学 放 射 線 療 法 は 重 篤 な 合 併 症 もなく 安 全 に 施 行 可 能 である。<br />

-505-


P92-7 術 前 化 学 放 射 線 療 法 を 施 行 した 切 除 可 能 局 所 進 行 膵 体<br />

尾 部 癌 の1 例<br />

1<br />

金 沢 医 科 大 学 一 般 ・ 消 化 器 外 科 、 2 金 沢 医 科 大 学 放 射 線 科 、<br />

3<br />

金 沢 医 科 大 学 病 理<br />

○… 上 田 順 彦 1<br />

, 甲 斐 田 大 資 1<br />

, 大 西 敏 雄 1<br />

, 富 田 泰 斗 1<br />

,<br />

大 野 由 夏 子 1<br />

, 野 口 美 樹 1<br />

, 舟 木 洋 1<br />

, 木 南 伸 一 1<br />

, 表 和 彦 1<br />

,<br />

中 野 泰 治 1<br />

, 小 坂 健 夫 1<br />

, 的 場 宗 孝 2 3<br />

, 野 島 孝 之<br />

【はじめに】これまで 化 学 療 法 や 化 学 放 射 線 療 法 は 主 として 切 除 不 能<br />

あるいは 再 発 膵 癌 に 対 しておこなわれてきた。 一 方 、 切 除 可 能 膵 癌 に<br />

対 する 術 前 治 療 としての 位 置 付 けは 不 明 確 である。 今 回 、 切 除 可 能 局<br />

所 進 行 膵 体 尾 部 癌 に 対 して 化 学 放 射 線 療 法 (NACRT) 後 に 切 除 した1<br />

例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】60 歳 代 、 男 性 。【 主 訴 】 上 腹 部 痛 。<br />

【 現 病 歴 】1か 月 前 から 主 訴 を 認 めた。 近 医 で 膵 体 部 に 腫 瘤 を 指 摘 さ<br />

れ 当 科 に 紹 介 となった。【 現 症 】 臍 周 囲 に 軽 度 の 圧 痛 あり。【 血 液 検 査 】<br />

CEA…14.0…ng/mL,…CA19-9…362.4…U/mLであった。【 画 像 所 見 】 腹 部<br />

CT: 膵 体 尾 部 に 約 30mm 大 で 造 影 効 果 の 不 良 な 腫 瘍 性 病 変 を 認 めた。<br />

腫 瘍 は 膵 実 質 から 背 側 に 浸 潤 していた。PET-CT: 腫 瘍 に 一 致 して<br />

FDGの 集 積 を 認 め、SUV 値 は4.06であった。 膵 後 方 浸 潤 を 伴 った 膵 癌<br />

と 診 断 した。 切 除 可 能 であるが、 根 治 を 目 指 してNACRTを 施 行 した。<br />

【 方 法 】 腫 瘍 とその 後 方 浸 潤 部 、 右 側 はSMA 右 側 までを 含 む 範 囲 に4<br />

門 照 射 total40Gyおこない、その 後 周 囲 の 線 量 を 減 らして7 門 定 位 照 射<br />

で12Gy 追 加 し、 計 26 回 52Gy 照 射 した。また 照 射 に 合 わせてTS-1を<br />

120mg/ 日 、5 投 2 休 で 投 与 した。 有 害 事 象 は 認 めなかった。【NACRT<br />

の 効 果 】 照 射 終 了 後 5 週 間 で 手 術 を 行 った。この 間 CA19-9は362から<br />

63.2と 低 下 した。CTによる 判 定 では 腫 瘍 の 大 きさは 変 わらなかった<br />

がPET-CTではFDGの 集 積 は 認 めなくなった。【 手 術 】 腎 前 筋 膜 の 背<br />

側 に 入 り、その 層 を 維 持 しながら 膵 体 尾 部 を 起 こし 切 除 した。リンパ<br />

節 郭 清 はD1とNo.7,9,14p,14dをpick…upした。【 病 理 所 見 】 腫 瘍 部 分 は<br />

広 範 囲 に 線 維 化 に 陥 っており、その 中 にviableな 癌 細 胞 が 散 在 性 に 残<br />

存 していた。 脾 動 脈 周 囲 に2か 所 膵 外 神 経 浸 潤 と 脾 静 脈 浸 潤 も 認 めた。<br />

病 理 診 断 は2.5×1.7×4.0cm,…tub2,…sci,…pS(-),…pRP(-),…pPVsp(+),…pA<br />

(-),… pPLspa(+),… pOO(-),… pT4,… pN(-),… cM0,… fStageIVa,… pPCM(-),…<br />

cBCM(-),…pDPM(-),…R0であった。NACRTの 効 果 判 定 はGrade2であっ<br />

た。【 予 後 】 術 後 はGEMを3 週 投 与 1 週 休 薬 で 継 続 し、9カ 月 経 過 して<br />

再 発 の 兆 候 はない。【 結 語 】 切 除 可 能 局 所 進 行 膵 体 尾 部 癌 に 対 して 術<br />

前 化 学 放 射 線 療 法 と 根 治 手 術 の 併 用 で、より 根 治 性 を 高 めることがで<br />

きる 可 能 性 が 示 唆 された。<br />

P92-8 切 除 不 能 の 局 所 進 行 膵 癌 に 対 して 化 学 放 射 線 療 法 を 行<br />

い、ダウンステージと 診 断 され、 術 後 2 年 が 経 過 した1 例<br />

1<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 検 診 部 消 化 器 検 診 科 、 2 大 阪 府 立 成 人<br />

病 センター 肝 胆 膵 内 科 、 3 大 阪 府 立 成 人 病 センター 外 科 、 4 大<br />

阪 府 立 成 人 病 センター 放 射 線 治 療 科 、 5 関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 井 岡 達 也 1 1,2<br />

, 片 山 和 宏 , 高 橋 秀 典 3<br />

, 大 東 弘 明 3<br />

,<br />

中 村 聡 明 4<br />

, 西 山 謹 司 4<br />

, 柳 本 泰 明 5<br />

, 里 井 壯 平 5<br />

,<br />

5<br />

權 雅 憲<br />

症 例 は70 歳 代 の 女 性 。 主 訴 はなし。 既 往 歴 :50 歳 子 宮 筋 腫 、63 歳 脳 内<br />

出 血 、 喫 煙 歴 なし。 家 族 歴 に 特 記 事 項 なし。 経 過 : 高 血 圧 のため 近 医<br />

経 過 観 察 中 、 膵 体 部 腫 瘍 を 指 摘 され、 平 成 21 年 8 月 27 日 に 当 科 を 受 診<br />

した。 造 影 腹 部 CT 検 査 にて、 膵 体 部 に 径 3.5cmの 乏 血 性 腫 瘍 を 認 め、<br />

腹 腔 動 脈 浸 潤 陽 性 から 切 除 不 能 と 診 断 された。 体 外 US 下 膵 腫 瘍 生 検<br />

にて 中 分 化 腺 癌 と 確 定 診 断 された。 標 準 的 治 療 としてゲムシタビン<br />

(G) 単 独 または5FU 併 用 化 学 放 射 線 療 法 (CRT)、 次 いで 研 究 的 治 療 に<br />

ついて 説 明 し、 後 者 を 選 択 された。 平 成 21 年 9 月 16 日 からG+S1を 併 用<br />

CRTを 開 始 した(G…834mg/…S1…80mg/…2W1R/…1.8Gy*28=50.4Gy)。 経<br />

過 中 、グレード4の 好 中 球 減 少 を 認 めたため、 規 定 によりS1を60mgに<br />

減 量 した。 他 の 有 害 事 象 は、グレード1の 下 痢 および 食 欲 不 振 のみで<br />

あった。 同 年 11 月 19 日 から、GS 併 用 療 法 を 維 持 量 にして 再 開 した(G…<br />

1390mg/…S1…80mg/…2W1R)。 経 過 中 、 好 中 球 減 少 にて、 規 定 によりG…<br />

1088mgに 減 量 した。 膵 腫 瘍 は、6 週 間 後 に1.5cmに、12 週 間 後 に1.0cm<br />

に 縮 小 した。18 週 間 後 には 腹 腔 動 脈 周 囲 の 軟 部 組 織 の 濃 度 上 昇 が 不 明<br />

瞭 となり、 合 同 検 討 会 にて 複 数 の 外 科 医 により、ダウンステージと 診<br />

断 された。 患 者 の 都 合 により、 平 成 22 年 2 月 25 日 に 関 西 医 科 大 学 にて、<br />

膵 体 尾 部 切 除 ( 脾 摘 、 胆 嚢 摘 出 、 総 肝 動 脈 合 併 切 除 )がおこなわれた。<br />

病 理 組 織 所 見 は、Pb,…10x…5mm,…infiltrative…type,…Invasive…ductal…<br />

carcinoma,…moderately…differentiated…tubular…carcinoma,…scirrhous…<br />

type(post-CRT),… INF-γ(post-……CRT),… ly1,… v0,… ne1,… mpd(-),… pT1<br />

(post-CRT),…p S( - …pRP(-1),…pPVsp(-1),…pAce(-),…p P L( - …pPCM(-),…<br />

pBCM(-),…pDCM(-),…pN0,… 治 療 効 果 判 定 …Evans…IIb 以 上 、T1N0M0:…<br />

fStage…Iであった。 同 年 4 月 8 日 から、 術 後 補 助 療 法 として6ヶ 月 間 のG<br />

単 独 療 法 (1300mg/…2W1R)が 追 加 された。 術 後 3カ 月 に1 回 の 造 影 腹 部<br />

CT 検 査 、1 年 に1 回 の 全 身 PET 検 査 を 追 加 しているが、 再 発 所 見 を 認<br />

めない。なお、 患 者 のPSは0で、 下 痢 なども 認 めない。【まとめ】 切<br />

除 不 能 の 局 所 進 行 膵 癌 に 対 して、GS 併 用 化 学 放 射 線 療 法 およびGS 併<br />

用 療 法 をおこない、 根 治 的 膵 体 尾 部 切 除 を 経 て、2 年 間 無 再 発 の 症 例<br />

を 経 験 した。<br />

P92-9 膵 頭 部 領 域 癌 に 対 する 上 腸 間 膜 動 脈 周 囲 リンパ 節 郭 清<br />

の 問 題 点<br />

近 畿 大 学 医 学 部 外 科<br />

○… 橋 本 直 樹<br />

膵 悪 腫 瘍 の 外 科 的 手 術 において、その 根 治 性 追 求 のため 上 腸 間 膜 動 脈<br />

(SMA) 周 囲 の 郭 清 が 行 われている。 全 郭 清 を 行 うと 術 後 の 消 化 吸 収<br />

障 害 が 高 度 となる 欠 点 がある。その 原 因 解 明 について 以 下 の 実 験 をし<br />

た。( 方 法 ) 雑 種 成 犬 を 用 い、SMA 周 囲 のDenervation(De 群 )<br />

(n=8),Control 群 (n=6)を 作 成 した。 術 後 、 毎 週 、 体 重 および 便 の 性 状<br />

を 調 べ、 第 4 週 にD-xyloseテスト、 術 後 5 週 目 、Denervation 群 の 小 腸<br />

組 織 、 絨 毛 、gut…peptide(VIP,サブスタンスP,セロトニン)に 対 する 影<br />

響 を 検 討 するために、 両 群 を 開 腹 し、 小 腸 組 織 を 採 取 し、 小 腸 の 組 織<br />

像 、 小 腸 粘 膜 の 湿 重 量 、 蛋 白 量 、brush…border…enzyme(Alp 活 性 、γ<br />

-GTP 活 性 )、 組 織 中 のVIP,substance…P,serotoninを 測 定 した。( 結 果 )1.<br />

便 の 性 状 および 体 重 :De 群 は 術 後 2 週 目 まで 水 様 性 下 痢 であったが、<br />

次 第 に 改 善 傾 向 がみられ、4 週 目 には 軟 便 となった。しかし、 術 前 の<br />

体 重 を100%とするとControl 群 は、1 週 目 93% 以 後 漸 増 し、4 週 目 には、<br />

97%となった。 一 方 、De 群 は1 週 目 87% 以 後 、 漸 減 し、3 週 目 には<br />

79%,4 週 目 には82%となり 賓 回 の 下 痢 を 伴 う 体 重 の 低 下 がみられた。<br />

2.D-xylose:De 群 はControl 群 に 比 し 有 意 に 低 値 を 呈 した。3. 小 腸 組<br />

織 のbrush…border…enzyme:De 群 はControl 群 に 比 し、 有 意 に 低 値 を<br />

呈 し た。4.gut…peptide(VIP,Serotonin,Substance…P):De 群 はControl<br />

群 に 比 し 有 意 に 高 値 を 呈 した。5、 湿 重 量 、 蛋 白 量 :いづれもDe 群 は<br />

Control 群 に 比 し 有 意 に 低 値 を 呈 した。( 結 語 )SMA…denervation 後 、 小<br />

腸 粘 膜 の 湿 重 量 、 蛋 白 量 の 有 意 な 低 下 、brush…border…enzyme(Alp,<br />

γ-GTP)の 有 意 な 低 下 、gut…peptideのVIP,…Substance…P,…Serotoninの<br />

有 意 な 上 昇 がみられた。これらが、SMA…denervation 後 の 消 化 急 不 良<br />

の 一 因 となっていることが 示 唆 された。<br />

P92-10 術 前 放 射 線 化 学 療 法 後 切 除 し 病 理 学 的 CRであった 膵<br />

扁 平 上 皮 癌 の 一 例<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 医 学 部 付 属 病 院 肝 胆 膵 総 合 外 科<br />

○… 三 浦 智 也 , 伴 大 輔 , 藍 原 有 弘 , 入 江 工 , 落 合 高 徳 ,<br />

工 藤 篤 , 中 村 典 明 , 田 中 真 二 , 有 井 滋 樹<br />

【 背 景 】 近 年 の 化 学 療 法 の 進 歩 により、 膵 癌 に 対 する 術 前 化 学 療 法 後<br />

切 除 可 能 となる 報 告 が 増 え、その 意 義 が 注 目 されている。 今 回 我 々は<br />

膵 扁 平 上 皮 癌 に 対 し 術 前 放 射 線 化 学 療 法 を 施 行 し 切 除 し 得 た 一 例 を 経<br />

験 し 報 告 する。【 症 例 】64 歳 男 性 。 腹 痛 、 血 便 にて 近 医 受 診 し、 膵 頭<br />

部 に 径 3cm 大 の 乏 血 性 腫 瘤 を 認 め、 十 二 指 腸 浸 潤 、 上 腸 間 膜 動 静 脈 浸<br />

潤 を 伴 う 膵 頭 部 癌 と 診 断 された。 十 二 指 腸 から 生 検 し 切 除 不 能 膵 扁 平<br />

上 皮 癌 として 放 射 線 化 学 療 法 を 施 行 した。(TS1…100mg/ 日 (day1~21)、<br />

cisplatin120mg/ 日 day8の4 週 間 1クール 施 行 し、 総 線 量 50Gyの 放 射 線<br />

治 療 を 併 用 。2クール 目 は 骨 髄 抑 制 にてTS1のみ 投 与 。) 治 療 終 了 後 3カ<br />

月 後 のCT 検 査 にて 著 明 な 縮 小 効 果 を 認 めCRと 診 断 し、 亜 全 胃 温 存 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 、 上 腸 間 膜 静 脈 合 併 切 除 を 施 行 し 切 除 した。 充 分 な 側<br />

副 血 行 路 の 発 達 があり 再 建 は 行 わなかった。 病 理 所 見 では 主 病 変 は 瘢<br />

痕 組 織 に 置 換 されており 腫 瘍 細 胞 を 認 めず 病 理 学 的 CRと 診 断 された。<br />

現 在 もTS-1 単 剤 内 服 継 続 にて、 発 症 後 約 18カ 月 、 術 後 約 10カ 月 にお<br />

いて 無 再 発 生 存 中 である。【まとめ】 極 めて 稀 な 膵 扁 平 上 皮 癌 切 除 不<br />

能 症 例 に 対 し 放 射 線 化 学 療 法 後 切 除 施 行 し、 病 理 学 的 CRを 得 た 症 例<br />

を 経 験 し 報 告 する。<br />

-506-


P93-1 病 理 学 的 ts1 膵 癌 20 例 の 検 討<br />

静 岡 県 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 宮 川 亨 平 , 京 田 有 介 , 渡 辺 昌 也 , 大 端 考 , 大 場 範 行 ,<br />

高 木 正 和 , 伊 関 丈 治<br />

近 年 画 像 診 断 の 進 歩 に 伴 い、 病 理 学 的 最 大 腫 瘍 径 2cm 以 下 の 小 膵 癌<br />

(ts1)の 症 例 が 増 えてきている。なかでもpStageI 症 例 では 比 較 的 良 好<br />

な 予 後 が 期 待 されているが、 他 臓 器 の 早 期 癌 と 比 べると 満 足 すべきも<br />

のではない。 今 回 、 当 科 で 経 験 した 組 織 学 的 ts1 膵 癌 症 例 に 対 し、そ<br />

の 特 徴 について 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】1997~2010 年 の 間 での<br />

当 科 における 浸 潤 性 膵 管 癌 切 除 124 例 のうち 組 織 学 的 にts1であった20<br />

例 を 対 象 とした。 男 女 比 は 男 性 14 例 、 女 性 6 例 、 平 均 年 齢 は68 歳 、 病<br />

変 主 座 は 膵 頭 部 16 例 、 膵 体 尾 部 4 例 であった。 症 例 のpStageはI…10 例 、<br />

II…0 例 、III…7 例 、IVa…3 例 であった。 組 織 型 は 高 分 化 型 腺 癌 1 例 、 中 分<br />

化 型 腺 癌 15 例 、 低 分 化 型 腺 癌 2 例 、 腺 扁 平 上 皮 癌 1 例 、 粘 液 癌 1 例 であっ<br />

た。5 年 生 存 率 47%、3 年 以 上 /3 年 未 満 の 無 再 発 生 存 中 9 例 /2 例 と 膵<br />

臓 癌 全 体 に 比 べて 良 好 であった。13 例 については 術 前 CRTが 施 行 さ<br />

れていたが、この 症 例 群 での5 年 生 存 率 は50%と 有 意 差 は 認 められな<br />

かった。CRT 前 後 でのCT 上 の 腫 瘍 径 の 縮 小 効 果 は 軽 度 であった。 術<br />

後 組 織 学 的 診 断 ではR0…16 例 、R1…4 例 であった。R0かつpStageIの8 例<br />

の 中 で、pPCM(+)が2 例 存 在 したものの5 年 生 存 率 は75.0%と 良 好 で<br />

あった。【 結 論 】ts1 膵 癌 の 中 でpStageI 症 例 に 対 しては、 病 理 学 的 膵<br />

切 除 断 端 (pPCM)を 陰 性 にすることが 重 要 な 課 題 である。 一 方 ts1で<br />

あっても、pStageIII・IVの 症 例 に 関 してはその 遠 隔 成 績 は 比 較 的 不<br />

良 であり、 術 後 化 学 療 法 が 必 須 と 考 えられた。また 術 前 CRT 実 施 の<br />

有 無 による 遠 隔 成 績 の 差 は 確 認 しえなかった。<br />

P93-2 StageI 膵 癌 7 切 除 例 の 病 理 学 的 検 討<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 赤 須 玄 , 木 下 壽 文 , 堀 内 彦 之 , 安 永 昌 史 , 久 下 亨 ,<br />

石 川 博 人 , 川 原 隆 一 , 丸 山 祐 一 郎 , 御 鍵 和 弘 , 川 嶋 裕 資 ,<br />

吉 富 宗 宏 , 北 里 雄 平<br />

【はじめに】 膵 癌 はStage…Iであっても5 年 生 存 率 は52.5%(1991~2000)<br />

に 過 ぎず, 他 の 癌 腫 に 比 べ 予 後 不 良 なのが 現 状 である.そこで,より<br />

長 期 予 後 を 期 待 できるような 絞 り 込 みを 目 的 として, 当 科 で 経 験 した<br />

Stage…I 膵 癌 について 病 理 学 的 所 見 と 予 後 との 検 討 を 行 った.【 対 象 】<br />

2000 年 1 月 ~2009 年 12 月 までに 当 科 で 経 験 したStage…I 膵 癌 で 切 除 後 3 年<br />

以 上 の 経 過 観 察 が 可 能 であった7 例 …(IPMCは 除 く)を 対 象 とした. 平<br />

均 年 齢 は70.7 歳 で, 男 性 5 例 , 女 性 2 例 であった. 占 拠 部 位 はPhが2 例 ,<br />

Pbtが5 例 であった. 術 式 はPDが1 例 ,DPが5 例 ,TPが1 例 であった.<br />

術 中 放 射 線 照 射 を2 例 に 行 っており, 術 後 補 助 化 学 療 法 は4 例 に 行 って<br />

いる.1 例 が 術 後 病 理 組 織 学 的 検 索 で 癌 遺 残 (R1)を 認 めた.3 年 以 内<br />

の 再 発 による 原 病 死 はR1の1 例 を 含 む3 例 で, 他 病 死 は 認 めなかった.<br />

全 体 のMSTは1099 日 で,3 年 生 存 率 は57.1%であった.【 結 果 】 腫 瘍 径<br />

は10~18mmで, 組 織 型 は 高 分 化 型 が1 例 , 中 分 化 型 が5 例 , 高 ~ 中 分 化<br />

型 が1 例 であった. 間 質 量 は 髄 様 型 が1 例 , 中 間 型 が3 例 , 硬 性 型 が3 例<br />

であった. 浸 潤 増 殖 様 式 (INF)はINFβが5 例 ,INFγが2 例 であった.<br />

リンパ 管 浸 潤 (ly)が7 例 , 静 脈 浸 潤 (v)が6 例 , 膵 内 神 経 浸 潤 (ne)が4 例<br />

にみられた. 膵 管 内 進 展 (MPD)は1 例 にみられた. 組 織 型 , 間 質 量 ,<br />

INF,ly,v,ne,MPDでは 生 存 例 と 再 発 死 亡 例 に 明 らかな 差 は 認 められな<br />

かったが, 腫 瘍 径 を15mm 以 下 と15mmより 大 きなものとで 大 別 した<br />

ところ 生 存 例 と 再 発 死 亡 例 で 差 が 認 められた(P≦0.05).【 結 語 】 当 院<br />

でのStage…I 膵 癌 の 予 後 も 必 ずしも 良 好 ではないが, 少 なくとも 腫 瘍<br />

径 15mm 以 下 であることで 長 期 予 後 が 期 待 できると 考 えられた.また,<br />

Stage…I 膵 癌 であっても 長 期 予 後 を 得 るにはR0 手 術 が 必 須 である.<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P93-3 StageI 膵 癌 切 除 症 例 に 関 する 検 討<br />

自 治 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 兼 田 裕 司 , 佐 田 尚 宏 , 田 口 昌 延 , 笠 原 尚 哉 , 森 嶋 計 ,<br />

遠 藤 和 洋 , 小 泉 大 , 笹 沼 英 紀 , 佐 久 間 康 成 , 清 水 敦 ,<br />

俵 藤 正 信 , 安 田 是 和<br />

【 背 景 ・ 目 的 】 近 年 の 画 像 診 断 の 進 歩 は 膵 癌 発 見 率 の 上 昇 に 寄 与 して<br />

いるが、 膵 癌 の 早 期 発 見 は 未 だに 困 難 であり、Stage…Iで 外 科 的 切 除<br />

に 至 る 症 例 は 少 ないのが 現 状 である。 今 回 我 々は、 当 院 でのStage…I<br />

膵 癌 切 除 症 例 について 検 討 した。【 対 象 ・ 方 法 】2000 年 1 月 から2011 年<br />

10 月 までの 間 に 当 院 で 経 験 した 膵 癌 切 除 例 110 例 のうち、pStage…I( 膵<br />

癌 取 扱 い 規 約 第 6 版 )でIPMC 症 例 を 除 く8 例 ( 管 状 腺 癌 6 例 、 低 分 化 腺<br />

癌 1 例 、 内 分 泌 癌 1 例 )を 対 象 とし、 術 前 腫 瘍 マーカー、 術 前 病 理 診 断 、<br />

術 後 再 発 の 有 無 について 検 討 した。【 結 果 】 男 性 4 例 、 女 性 4 例 、 平 均<br />

年 齢 58.3 歳 、 腫 瘍 の 存 在 部 位 は 膵 頭 部 2 例 、 膵 体 部 6 例 で 平 均 腫 瘍 径 は1.4…<br />

cm、 術 式 は 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 2 例 、 膵 体 尾 部 切 除 術 6 例 で<br />

あった。 画 像 診 断 に 至 った 契 機 は、 偶 発 癌 4 例 、 腹 痛 精 査 2 例 、 急 性 膵<br />

炎 精 査 1 例 、 高 血 糖 精 査 1 例 であった。 術 前 のCEAが 高 値 (≧4.5…ng/<br />

ml)であった 症 例 は0 例 ( 陽 性 率 0%)、CA19-9が 高 値 (≧36…U/ml)であっ<br />

た 症 例 は4 例 ( 陽 性 率 50%)、DUPAN-IIが 高 値 (≧150…U/ml)であった<br />

症 例 は0 例 ( 陽 性 率 0%)であった。 術 前 病 理 診 断 で 悪 性 所 見 を 認 めた 症<br />

例 は 超 音 波 内 視 鏡 下 吸 引 生 検 (EUS-FNA)を 施 行 した1 例 のみであっ<br />

た。 膵 液 細 胞 診 は4 症 例 に 対 して 合 計 5 回 施 行 されているが、いずれも<br />

悪 性 所 見 を 認 めなかった。 術 後 再 発 を 認 めたのは2 症 例 で、それぞれ<br />

術 後 5 年 、 術 後 7 年 で 残 膵 再 発 を 認 めた。【 考 察 】 腫 瘍 マーカーでは<br />

CA19-9が 比 較 的 陽 性 率 が 高 かった。 膵 液 細 胞 診 の 陽 性 例 はなく、<br />

Stage…I 膵 癌 での 診 断 的 有 用 性 は 低 いと 考 えられ、EUS-FNAの 評 価 が<br />

必 要 である。 再 発 症 例 では 術 後 5 年 以 降 に 再 発 を 認 めた。【 結 論 】 早 期<br />

膵 癌 が 疑 われる 症 例 では 腫 瘍 マーカー・ 膵 液 細 胞 診 陰 性 例 が 大 多 数 で、<br />

EUS-FNAやTotal…biopsy 目 的 で 外 科 的 切 除 を 考 慮 する 必 要 がある。<br />

膵 癌 切 除 例 では 消 化 器 癌 の 一 般 的 な 術 後 観 察 期 間 である5 年 以 降 も<br />

follow…upが 必 要 である。<br />

P93-4 Stage0-II 膵 癌 切 除 例 の 臨 床 病 理 学 的 検 討<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 落 合 秀 人 , 村 上 智 洋 , 片 橋 一 人 , 神 藤 修 , 鈴 木 昌 八<br />

< 目 的 > 当 科 で 切 除 した 比 較 的 早 期 の 膵 癌 (Stage…0-II)を 臨 床 病 理 学<br />

的 に 検 討 し、その 特 徴 を 明 らかにする。< 対 象 ・ 方 法 >2005 年 5 月 か<br />

ら2011 年 11 月 までの 期 間 に 当 科 でR0-1の 膵 切 除 術 を 施 行 した 膵 癌 40 例<br />

のうち、 詳 細 な 検 討 可 能 なStage0-IIの14 例 (Stage…0:4 例 、I:2 例 、<br />

II:8 例 )について 臨 床 病 理 学 的 に 検 討 した。< 結 果 > 年 齢 は45-84 歳 ( 平<br />

均 66.4 歳 )で、 男 女 比 は7:7。 観 察 期 間 は2-56ヵ 月 ( 中 央 値 15ヵ 月 )で、<br />

膵 頭 部 癌 5 例 、 膵 体 尾 部 癌 9 例 であった。 併 存 症 は 糖 尿 病 が8 例 と 最 も<br />

多 く、ついで 高 血 圧 の6 例 であった。14 例 中 10 例 が 無 症 状 で、 検 診 も<br />

しくは 他 疾 患 の 経 過 観 察 中 に 画 像 所 見 ( 膵 管 拡 張 のみ2 例 、 腫 瘤 像 + 膵<br />

管 拡 張 8 例 )で 指 摘 された。 切 除 術 式 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 5 例 、 膵 体<br />

尾 部 切 除 術 9 例 。 組 織 型 はIPMCが7 例 であり、 浸 潤 性 膵 管 癌 は 管 状 腺<br />

癌 6 例 、PanIN-3が1 例 であった。Stage…I,IIの10 例 ではts1が3 例 ( 最 小<br />

は 浸 潤 性 膵 管 癌 で7mm)、ts2が7 例 、リンパ 節 転 移 は1 例 のみであっ<br />

たが、 脈 管 侵 襲 または 神 経 浸 潤 が5 例 に 認 められた。Stage…0-IIの3 年<br />

生 存 率 は 約 63%であり、4 例 で 再 発 した。また 浸 潤 性 膵 管 癌 Stage…Iの<br />

1 例 は、リンパ 管 および 神 経 浸 潤 が 高 度 であり、 術 後 13ヶ 月 で 局 所 お<br />

よび 腹 膜 播 種 再 発 し、 術 後 27ヵ 月 で 癌 死 した。Stage…III 以 上 との 差 が<br />

認 められたのは 有 症 状 率 、DMの 併 存 率 と、 全 生 存 率 および 無 再 発 生<br />

存 率 であったが、IPMC7 例 を 除 いた 膵 管 癌 のみ7 例 の 検 討 では、 無 再<br />

発 生 存 および 全 生 存 率 での 有 意 差 は 認 められなかった。< 結 語 ><br />

Stage…0-II 膵 癌 はStage…III,IVに 比 べ、 有 意 に 予 後 が 良 いことが 示 され<br />

たが、 浸 潤 性 膵 管 癌 の 症 例 がまだ 少 なく、さらなる 蓄 積 が 必 要 である。<br />

また 症 状 のない 症 例 が 約 71%と 多 く、 発 見 率 を 向 上 させるには 無 症 状<br />

での 画 像 評 価 が 必 須 であり、 特 にDM 症 例 のスクリーニングが 重 要 で<br />

あると 考 えられた。<br />

-507-


P93-5 1cm 以 下 小 膵 癌 の2 例<br />

1<br />

足 利 赤 十 字 病 院 外 科 、 2 足 利 赤 十 字 病 院 放 射 線 診 断 科 、 3 足<br />

利 赤 十 字 病 院 検 査 部<br />

○… 瀧 川 穣 1<br />

, 前 田 大 1<br />

, 藤 崎 真 人 1<br />

, 松 田 圭 央 1<br />

, 岸 田 憲 弘 1<br />

,<br />

佐 藤 浩 三 2<br />

, 潮 田 隆 一 2 3<br />

, 清 水 和 彦<br />

【 緒 言 】 膵 癌 の 予 後 は 非 常 に 厳 しく、 根 治 切 除 できたとしても 長 期 生<br />

存 症 例 は 限 られている。 唯 一 長 期 生 存 の 可 能 性 は 早 期 と 考 えられる 微<br />

小 膵 癌 を 発 見 切 除 することである。 今 回 我 々は2 例 の1cm 以 下 Stage…I<br />

膵 癌 を 切 除 し 得 たのでこれを 報 告 する。【 症 例 】 症 例 1は79 歳 男 性 、2<br />

年 前 の 直 腸 癌 切 除 後 の 経 過 観 察 CTにて 主 膵 管 拡 張 を 指 摘 された。<br />

MDCTでは 主 膵 管 狭 窄 部 に 一 致 して 造 影 効 果 の 異 なる 領 域 を 認 めた<br />

が、 腫 瘍 として 認 識 できなかった。EUSで 同 部 位 に11mm 大 の 低 エコー<br />

腫 瘤 を 認 め、ERCPにて 膵 頭 部 主 膵 管 に5mm 長 の 高 度 狭 窄 像 あり、 擦<br />

過 細 胞 診 にてClass…IV、 膵 頭 部 癌 と 診 断 した。 全 胃 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 D2 郭 清 を 施 行 し、 病 理 検 査 にて 膵 頭 部 に9mmの 高 分<br />

化 型 管 状 腺 癌 、pT1N0M0…Stage…I( 膵 癌 取 り 扱 い 規 約 第 6 版 )と 診 断 し<br />

た。 現 在 術 後 4ヶ 月 で 外 来 にて 補 助 化 学 療 法 施 行 中 である。 症 例 2は76<br />

歳 女 性 、 近 医 の 腹 部 US…にて 膵 体 尾 部 主 膵 管 拡 張 を 指 摘 され、 当 院 を<br />

受 診 。MDCTで 膵 体 尾 部 主 膵 管 の 高 度 拡 張 と、その 中 枢 側 に15mm 大<br />

の 腫 瘍 を 認 め、EUSにて 同 部 位 に11mmの 低 エコー 腫 瘤 を 認 めた。<br />

ERCPで 膵 体 部 主 膵 管 の9mm 長 の 高 度 狭 窄 像 あり、 同 部 位 よりの 擦 過<br />

細 胞 診 がClass…IIIであったが、 腺 癌 も 否 定 できないとのコメントもあ<br />

り、 臨 床 的 に 膵 癌 と 診 断 した。 尾 側 膵 切 除 術 D2 郭 清 を 行 い、 病 理 学<br />

的 検 索 にて10mm 大 の 高 分 化 型 管 状 腺 癌 を 認 め、pT1N0M0…Stage…Iと<br />

診 断 した。【 考 察 】 文 献 的 にStage…I 膵 癌 は5 年 生 存 率 が6… 割 程 度 あり、<br />

それ 以 上 の 進 行 癌 と 比 較 して 明 らかによいと 考 えられ、TS1の 中 でも<br />

更 に 小 さな10mm 以 下 のものは、 長 期 予 後 が 期 待 できる。しかしなが<br />

ら 膵 癌 登 録 のデータによると、 通 常 型 膵 癌 の 中 で10mm 以 下 の 切 除 例<br />

は 全 体 の1% 以 下 しかない。 今 回 の2 例 は 画 像 的 に 主 膵 管 拡 張 を 指 摘 さ<br />

れ、 精 査 にて 膵 癌 が 確 定 した。MDCTで 腫 瘍 として 認 識 困 難 な 場 合<br />

でもわずかに 造 影 効 果 が 異 なる 領 域 を 認 めた。 膵 管 拡 張 などの 副 次 的<br />

所 見 を 見 逃 さず、 積 極 的 にEUSやERCPを 含 めた 精 査 をすることが 微<br />

小 膵 癌 の 発 見 、 切 除 につながると 考 えられた。<br />

P93-6 膵 管 狭 窄 の7 年 にわたる 経 過 観 察 後 に 膵 癌 を 認 めpTis<br />

にて 切 除 しえた1 例<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 佐 々 木 一 樹 , 高 橋 秀 典 , 大 東 弘 明 , 五 十 嵐 佑 子 ,<br />

富 原 英 生 , 橘 高 弘 忠 , 真 貝 竜 史 , 本 告 正 明 , 後 藤 邦 仁 ,<br />

岸 健 太 郎 , 能 浦 真 吾 , 山 田 是 正 , 藤 原 義 之 , 大 植 雅 之 ,<br />

矢 野 雅 彦 , 石 川 治<br />

【 症 例 】70 歳 代 / 女 性 。2003 年 、 前 医 で 膵 管 狭 窄 を 指 摘 され、 精 査 目<br />

的 で 当 院 受 診 。2004 年 5 月 ERCP 施 行 。 頭 側 膵 管 に2か 所 狭 窄 、 及 びそ<br />

の 尾 側 膵 管 の 拡 張 ( 径 8mm)を 拡 張 を 認 めるも、 腫 瘤 像 は 認 めなかった。<br />

膵 管 ブラシ 擦 過 細 胞 診 、 及 び、 膵 液 細 胞 診 とも 陰 性 であった。 以 後 、<br />

3-4か 月 毎 にエコー、1 年 毎 にMRCPにて 経 過 観 察 された。2011 年 4 月<br />

MRCPにて 体 部 膵 管 が9mm 大 と 拡 張 の 増 強 を 認 めた。 血 液 検 査 にて<br />

P-Amy:53IU/l、エラスターゼ:282ng/dl、と 軽 度 上 昇 、 腫 瘍 マーカー<br />

では、CA19-9:21…U/mlと 正 常 範 囲 内 であった。CTでは、MPDの 拡<br />

張 のみで、 明 らかなSOLは 認 めなかった。 精 査 目 的 に2011 年 8 月<br />

ERP・EUS 施 行 。EUSでは、 膵 管 は 膵 頭 部 で15mmにわたって 狭 窄 し<br />

ており、 狭 窄 部 位 近 傍 に 嚢 胞 性 変 化 も 伴 っており、 拡 張 した 分 枝 膵 管<br />

と 考 えられた。ERPにて 膵 頭 部 に2か 所 の 限 局 性 狭 窄 像 を 認 め、 尾 側<br />

狭 細 部 より 尾 側 膵 管 は 拡 張 し 体 尾 部 付 近 まで 径 10mm 程 度 の 著 明 な 拡<br />

張 ・ 蛇 行 を 認 めた。 膵 液 細 胞 診 にてadenocarcinomaと 診 断 された。<br />

以 上 より 膵 癌 と 診 断 し、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 開 腹 時 、 膵<br />

体 部 頭 側 漿 膜 面 に8mm 大 の 硬 結 を 認 め、 術 前 に 認 められた2カ 所 の 狭<br />

窄 の 尾 側 狭 窄 部 位 に 一 致 すると 考 えられ、これを 含 めた 頭 体 部 切 除 と<br />

した。なお、 術 中 迅 速 診 断 では 膵 切 除 断 端 陰 性 であった。 組 織 学 的 所<br />

見 では、Ductal…carcinoma…in…situ(PanIN…3),Phb[pTis] CIS,…ly0,…<br />

v0,…ne0,…pCH(-),…pDU(-),…pS(-),…pRP(-),…PV(-),…A( - …pPL(-),…pOO(-),…<br />

pPCM(-),…pBCM(-),…pDPM(-)であった。 腫 瘍 の 主 座 は 狭 細 化 した 頭<br />

部 主 膵 管 から 体 部 主 膵 管 であり、 膵 管 内 に 限 局 する 高 度 異 型 上 皮 の 乳<br />

頭 状 増 殖 をみとめた。【まとめ】 膵 管 狭 窄 の7 年 にわたる 経 過 観 察 後 に<br />

膵 液 細 胞 診 陽 性 となり、 早 期 膵 癌 [pTis]として 切 除 しえた1 例 を 経<br />

験 した。 膵 管 の 限 局 性 不 整 狭 窄 像 は 膵 癌 を 疑 う 所 見 であり、たとえ 初<br />

回 の 膵 液 細 胞 診 で 悪 性 所 見 を 認 めなかったとしても、 定 期 的 な 画 像 診<br />

断 による 経 過 観 察 が 必 要 であり、 画 像 の 変 化 を 厳 密 にとらえ、 膵 液 細<br />

胞 診 を 実 施 することで 早 期 膵 癌 も 診 断 できることが 示 唆 された。<br />

P93-7 主 膵 管 、 分 枝 膵 管 にPanIN 病 変 を 伴 う 限 局 性 主 膵 管 狭 窄<br />

の1 例<br />

1<br />

防 衛 医 科 大 学 校 外 科 、 2 防 衛 医 科 大 学 校 病 院 病 理<br />

○… 西 川 誠 1<br />

, 初 瀬 一 夫 1<br />

, 前 島 理 1<br />

, 川 原 林 伸 昭 1<br />

, 木 村 暁 史 1<br />

,<br />

西 山 潔 1<br />

, 緒 方 衝 2<br />

, 長 谷 和 生 1 1<br />

, 山 本 順 司<br />

症 例 は66 歳 女 性 。 平 成 19 年 健 康 診 断 を 受 診 した 際 に 施 行 された 腹 部 超<br />

音 波 検 査 にて、 膵 尾 部 に 低 エコーのmassを 指 摘 され、CTで 末 梢 側 膵<br />

管 の 拡 張 を 認 めたため 当 院 紹 介 受 診 となった。 胆 石 症 に 対 して 腹 腔 鏡<br />

下 胆 嚢 摘 出 術 の 既 往 があった。 血 液 検 査 では 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 は 認<br />

めず、アミラーゼは112IU/lと 正 常 範 囲 内 であった。 腫 瘍 マーカーは<br />

CA19-9のみ102U/mlと 高 値 を 示 した。IgG、IgG4ともに 正 常 範 囲 内 で<br />

あった。 腹 部 Dynamic…CTでは 膵 体 部 から 尾 部 にかけて、 最 大 7mm 程<br />

度 の 主 膵 管 の 拡 張 を 認 めたが、 明 らかな 腫 瘤 性 病 変 は 認 めなかった。<br />

MRCPでは 膵 体 部 に11mmに 渡 って 主 膵 管 が 途 絶 し、 末 梢 主 膵 管 及 び<br />

分 枝 膵 管 の 拡 張 を 認 めた。ERPでも 同 様 に 膵 体 部 主 膵 管 の 途 絶 を 認 め、<br />

尾 部 主 膵 管 は 造 影 されなかった。 膵 液 細 胞 診 はclassIIIであった。<br />

PETでは 狭 窄 部 位 に 異 常 集 積 は 認 めなかった。 以 上 から 膵 体 部 癌 の<br />

可 能 性 を 第 一 に 考 え、 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 切 除 標 本 でも 肉 眼<br />

的 に 腫 瘍 は 同 定 できなかった。 病 理 組 織 学 的 には 体 部 の 主 膵 管 拡 張 が<br />

始 まる 部 分 で、1cmに 渡 り 主 膵 管 内 腔 に 微 小 乳 頭 状 変 化 が 認 められた。<br />

高 円 柱 状 細 胞 が 核 の 挙 上 を 伴 いつつ 内 腔 を 被 覆 しており、 免 疫 組 織 化<br />

学 的 にはCEAが 内 腔 面 表 装 及 び 一 部 細 胞 質 に 陽 性 であることから<br />

PanIN-2( 異 型 過 形 成 )に 相 当 すると 考 えられた。また、そのほかの 分<br />

枝 膵 管 にもPanIN-1Aから1B 相 当 の 上 皮 増 生 及 び 化 生 が 見 られた。<br />

種 々の 程 度 の 細 胞 異 型 や 各 異 型 、 重 層 化 を 呈 する 膵 管 上 皮 病 変 は<br />

PanINの 概 念 で 捉 えられており、 膵 癌 の 前 癌 病 変 とも 考 えられている。<br />

今 回 主 膵 管 、 分 枝 膵 管 の 双 方 にPanIN 病 変 を 認 め、 明 らかな 腫 瘤 形 成<br />

はないにもかかわらず 尾 側 膵 管 の 拡 張 をきたした 症 例 を 経 験 した。ご<br />

く 早 期 の 膵 癌 を 見 ていると 考 えられ、 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P93-8 膵 炎 後 に 発 症 した 局 所 進 行 膵 癌 の1 例<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 氷 室 佑 季 子 , 庄 雅 之 , 赤 堀 宇 広 , 木 下 正 一 ,<br />

中 島 祥 介<br />

【 目 的 】 反 復 するアルコール 性 膵 炎 経 過 中 に 発 症 し, 診 断 が 困 難 であっ<br />

た 局 所 進 行 膵 体 部 癌 に 対 し, 他 臓 器 合 併 切 除 にて 根 治 切 除 し 得 た1 例 を<br />

経 験 したので 報 告 する.【 臨 床 経 過 】 症 例 は68 歳 , 男 性 . 多 量 飲 酒 の 既 往<br />

と 繰 り 返 す 心 窩 部 痛 を 認 めていた。 消 化 器 内 科 にて, 平 成 18 年 にアル<br />

コール 性 膵 炎 後 の 巨 大 仮 性 嚢 胞 に 対 して 経 胃 的 ドレナージ 及 び 内 瘻 化<br />

が 行 われた. 以 後 慢 性 膵 炎 ,アルコール 性 肝 障 害 に 対 して 経 過 観 察 され<br />

ていた. 平 成 20 年 , 膵 尾 部 に20mm 大 の 新 たな 嚢 胞 を 認 めたが, 経 過 観<br />

察 されていた. 平 成 22 年 には37mmに 増 大 していた. 平 成 23 年 3 月 に 吐 血<br />

にて 再 診 . 上 部 消 化 管 内 視 鏡 で 精 査 したところ, 嚢 胞 内 瘻 チューブと<br />

は 別 部 位 の, 胃 体 中 部 後 壁 の 壁 外 圧 迫 性 膨 隆 部 から 出 血 を 認 めた.<br />

CA19-9が200と 高 値 であり,CTで 胃 壁 肥 厚 を 認 めたものの, 胃 粘 膜 面 に<br />

腫 瘍 性 病 変 は 無 く,EUS 上 は 第 4 層 以 深 の 壁 肥 厚 であった. 膵 尾 部 嚢 胞 が<br />

縮 小 していたことから, 膵 嚢 胞 の 胃 壁 穿 破 およびそれに 伴 う 炎 症 性 の<br />

壁 肥 厚 と 診 断 され, 一 旦 経 過 観 察 となった. 同 年 6 月 にCA19-9…1030と<br />

上 昇 を 認 め,7 月 に 壁 肥 厚 部 が 増 大 し 胃 と 膵 の 境 界 が 不 明 瞭 となった.8<br />

月 にFNAで 同 肥 厚 部 を 生 検 した 結 果 ,adenocarcinomaが 検 出 され, 胃 壁<br />

浸 潤 を 伴 う 局 所 進 行 膵 体 部 癌 と 診 断 され, 手 術 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 と<br />

なった.9 月 に 手 術 を 施 行 した. 腫 瘍 の 胃 壁 直 接 浸 潤 により 胃 体 上 部 ま<br />

で 壁 肥 厚 を 認 め,また 脾 弯 曲 寄 りの 横 行 結 腸 に 約 10cmに 渡 り 浸 潤 して<br />

いたため, 術 式 は 膵 体 尾 部 切 除 , 胃 全 摘 , 横 行 結 腸 合 併 切 除 術 を 施 行 . 術 後<br />

経 過 は 良 好 で, 膵 液 瘻 なく, 術 後 14 日 目 に 軽 快 退 院 となった. 病 理 診<br />

断 では, 腫 瘍 は 膵 体 部 から 膵 外 性 に 発 育 し, 胃 漿 膜 面 から 広 く 漿 膜 下<br />

層 へ, 一 部 は 粘 膜 近 くまで 浸 潤 していた. 最 終 診 断 はpap><br />

tub2,pS+,pRP+,pPVsp-,pAsp-,OO(+,stomach),schirrous… type,INF<br />

γ,ly2,v1,ne2,mpd-,pPCM(-),pDPM(-),N1+(No.18),StageIVaで あ っ<br />

た. 術 後 腫 瘍 マーカーは 陰 性 化 した. 現 在 ,ゲムシタビンとS-1 併 用 療 法<br />

による 術 後 補 助 化 学 療 法 を 行 っている. 再 発 兆 候 は 認 められていない.<br />

【 結 語 】 今 回 アルコール 性 膵 炎 の 経 過 中 に 発 症 し, 診 断 に 苦 慮 した 局<br />

所 進 行 膵 癌 の 一 例 を 経 験 した. 積 極 的 な 他 臓 器 合 併 切 除 により, 根 治<br />

手 術 が 可 能 となった.<br />

-508-


P93-9 肝 移 植 後 の 膵 癌 発 癌 例 の 検 討<br />

1<br />

熊 本 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 熊 本 大 学 大 学 院 移 植 外 科 学<br />

○… 黒 木 秀 幸 1<br />

, 高 森 啓 史 1<br />

, 生 田 義 明 1<br />

, 中 原 修 1<br />

, 李 光 鐘 2<br />

,<br />

武 市 卒 之 2<br />

, 近 本 亮 1<br />

, 土 井 浩 一 1<br />

, 石 河 隆 敏 1<br />

, 別 府 透 1<br />

,<br />

阿 曽 沼 克 弘 2<br />

, 猪 股 裕 紀 洋 2 1<br />

, 馬 場 秀 夫<br />

背 景 : 肝 移 植 後 には 免 疫 抑 制 剤 の 投 与 が 必 要 であり、 発 癌 も 一 つの 問<br />

題 となる。 対 象 と 方 法 : 肝 移 植 後 膵 癌 について 過 去 の 報 告 例 に 自 験 例<br />

2 例 を 加 え、 臨 床 病 理 学 的 特 徴 を 検 討 した。 結 果 :2000 年 から2011 年<br />

までにPubmedにて 検 索 し 得 た 肝 移 植 8115 例 のうち、 移 植 後 の 発 癌 は<br />

802 例 (9.9%)に 認 められた。 皮 膚 癌 が371 例 (46.3%)と 最 も 多 く、 次 い<br />

で 悪 性 リンパ 腫 130 例 (16.2%)、 肺 癌 64 例 (8.0%)であり、 膵 癌 は10 例<br />

(1.2%)の 報 告 を 認 めた。 臨 床 経 過 が 記 載 されていた 報 告 例 2 例 に 自 験<br />

例 2 例 を 加 え 肝 移 植 後 の 膵 癌 症 例 を 検 討 した。 平 均 年 齢 は45.5 歳 (26…-…<br />

60 歳 )。 男 女 比 は、3…/…1であった。 肝 移 植 前 の 背 景 肝 は、 報 告 例 2 例<br />

は 原 発 性 硬 化 性 胆 管 炎 で、 自 験 例 2 例 はB 型 肝 硬 変 であった。 移 植 後<br />

から 膵 癌 発 癌 までの 平 均 期 間 は、36.8ヶ 月 (10ヶ 月 から84カ 月 )であっ<br />

た。 自 験 例 2 例 の 膵 癌 発 見 時 のstageは、stage…IVaとstage…IVbであった。<br />

膵 癌 に 対 する 治 療 は、 報 告 例 2 例 では 放 射 線 治 療 + 化 学 療 法 1 例 、 緩 和<br />

治 療 1 例 で、 自 験 例 2 例 では、 根 治 手 術 1 例 、 化 学 療 法 1 例 であった。 生<br />

命 予 後 は、 報 告 例 2 例 では 各 々 膵 癌 発 見 後 、4ヵ 月 後 、5ヵ 月 後 に 死 亡 し、<br />

自 験 例 2 例 では、4ヵ 月 および8ヵ 月 現 在 生 存 中 である。 考 察 : 日 本 に<br />

おける 膵 癌 発 癌 は 約 0.01%であり、 肝 移 植 後 には120 倍 となる。 肝 移 植<br />

後 膵 癌 症 例 は、 通 常 発 癌 に 比 し 若 年 傾 向 にあった。 移 植 後 膵 癌 発 癌 の<br />

平 均 期 間 は 約 3 年 で、 発 見 時 には 全 てstage…IVの 進 行 癌 で、 根 治 術 実<br />

施 例 は1 例 のみであった。 肝 移 植 後 膵 癌 に 対 する 治 療 は 通 常 発 癌 と 同<br />

様 に 可 能 であるが、 報 告 例 の 生 命 予 後 は 平 均 4.5ヵ 月 と 不 良 であった。<br />

結 語 ; 肝 移 植 後 状 態 は 膵 癌 発 癌 の 高 危 険 群 と 考 えられ、 移 植 後 は 定 期<br />

的 な 画 像 検 査 が 必 要 である。<br />

P94-1 膵 癌 診 療 ガイドラインの 検 証<br />

神 戸 市 医 療 センター 中 央 市 民 病 院 外 科<br />

○… 水 本 雅 己 , 細 谷 亮 , 橋 田 裕 毅 , 瓜 生 原 健 嗣 , 貝 原 聡<br />

【 目 的 】 進 行 膵 癌 における 術 後 GEM 投 与 の 効 果 に 基 づいて 手 術 適 応<br />

を 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】 膵 癌 手 術 症 例 464 例 (うち 切 除 例 291 例 )を<br />

対 象 とし、 進 行 度 、GEM 投 与 の 有 無 …(GEM…157 例 ,… 非 GEM…307 例 )に<br />

より 層 別 化 し、 予 後 を 検 討 した。【 結 果 】(1)… 切 除 症 例 :5 生 率 …27%,…<br />

MST…19mで あ っ た。GEM 群 で は5 生 率 25%,…MST…29mで あ り、 非<br />

GEM 群 の23%,…13mに 比 べ 予 後 の 改 善 を 認 めた(…p


P94-4 EOB-MRIの 膵 癌 術 前 診 断 における 有 用 性<br />

静 岡 県 立 静 岡 がんセンター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 山 本 立 真 , 杉 浦 禎 一 , 青 木 修 一 , 木 内 亮 太 , 岡 村 行 泰 ,<br />

水 野 隆 史 , 金 本 秀 行 , 上 坂 克 彦<br />

目 的 と 背 景 )Gd-EOB-DTPAを 用 いたMRI( 以 下 EOB-MRI)は 近 年 原 発<br />

性 ・ 転 移 性 肝 癌 の 検 出 能 に 関 して、 特 に1cm 以 下 の 小 病 変 において 有<br />

用 性 が 示 唆 されている。 膵 癌 診 療 ガイドライン(2009 年 版 )において 膵<br />

癌 のTNM 診 断 にはMDCTとEUSが 推 奨 されているがEOB-MRIに 関<br />

する 記 載 は 未 だ 無 い。 今 回 膵 癌 術 前 患 者 におけるEOB-MRIの 肝 転 移<br />

検 出 能 を 前 向 きに 検 討 した。 対 象 と 方 法 ) 当 院 で 浸 潤 性 膵 管 癌 と 診 断<br />

され、 切 除 を 予 定 された342 例 を 対 象 とした。この 内 腹 部 超 音 波 検 査<br />

とMDCTでTNM 診 断 を 行 った2002 年 10 月 ~2010 年 10 月 までの286 名 を<br />

前 期 群 と 定 義 しMDCTの 肝 転 移 診 断 能 を 後 ろ 向 きに 検 討 した。2010<br />

年 11 月 以 降 ( 後 期 群 、56 名 )は こ れ に 加 え てEOB-MRIを 施 行 し、<br />

MDCTとEOB-MRIの 肝 転 移 診 断 能 を 前 向 きに 評 価 した。MDCTと<br />

EOB-MRIの 両 者 で 肝 転 移 ありと 診 断 された 症 例 は 非 切 除 と 判 断 し、<br />

MDCTでは 肝 転 移 と 診 断 されずEOB-MRIでのみ 肝 転 移 が 疑 われた 症<br />

例 は 開 腹 し 肝 病 変 を 病 理 組 織 学 的 に 検 討 した。 結 果 ) 前 期 群 では 開 腹<br />

したが 切 除 不 能 と 判 断 されたのは48 例 (17%)で、 内 肝 転 移 による 非 切<br />

除 は19 例 であり 肝 転 移 診 断 におけるMDCTの 陰 性 反 応 予 測 値 (NPV)<br />

は93%であった。 後 期 群 における 非 切 除 症 例 は8 例 (14%)で、 内 肝 転<br />

移 症 例 は5 例 であり 後 期 群 におけるMDCTのNPVは91%であった。<br />

EOB-MRIでのみ 肝 転 移 が 疑 われた 症 例 は4 例 存 在 し、 内 3 例 (5mm、<br />

5mm、12mm)で 病 理 学 的 に 肝 転 移 と 診 断 され、1 例 は 血 管 腫 (7mm)<br />

であった。 前 期 群 、 後 期 群 を 併 せたMDCTのNPVは93%、 有 効 度 93%<br />

であった。EOB-MRIのNPVは96%、 偽 陽 性 率 は2.0%、 有 効 度 は95%<br />

であった。EOB-MRIで 診 断 不 可 能 であった2 病 変 (5mm、7mm)は 何<br />

れも 肝 表 に 存 在 した。 結 語 )MDCTに 加 えてEOB-MRIを 用 いる 事 によ<br />

り 膵 癌 肝 転 移 の 検 出 能 は 向 上 する 可 能 性 がある。 但 し、1 例 とはいえ<br />

EOB-MRI 偽 陽 性 症 例 も 存 在 したことから、1cm 以 下 の 血 管 腫 との 鑑<br />

別 には 注 意 を 要 する。<br />

P94-5 術 前 のFDG-PET(SUV 値 )は 浸 潤 性 膵 管 癌 の 予 後 およ<br />

び 再 発 を 予 測 するマーカーとなり 得 る<br />

久 留 米 大 学 医 学 部 外 科<br />

○… 北 里 雄 平 , 安 永 昌 史 , 木 下 壽 文 , 吉 富 宗 宏 , 赤 須 玄 ,<br />

御 鍵 和 弘 , 川 原 隆 一 , 石 川 博 人 , 久 下 亨 , 堀 内 彦 之<br />

【 目 的 】 膵 癌 におけるFDG-PETの 有 用 性 については 諸 家 の 報 告 がある.<br />

今 回 我 々は 膵 癌 切 除 症 例 を 用 いて 術 前 に 撮 影 したFDG-PET(SUV 値 )<br />

と 病 理 組 織 因 子 ,および 再 発 や 予 後 との 関 連 について 検 討 した。【 対<br />

象 と 方 法 】2004 年 3 月 から2010 年 3 月 までにFDG-PETを 施 行 し, 外 科<br />

的 切 除 された 浸 潤 性 膵 管 癌 41 例 を 対 象 とし, 背 景 因 子 および 病 理 組 織<br />

因 子 ごとのSUV 値 の 有 意 差 を 検 討 した.さらにSUVmaxの 中 央 値<br />

(SUVmax…3.40)を 用 いてSUV 高 値 群 (SUV≧3.40),SUV 低 値 群 (SUV<br />


P94-8 腹 腔 鏡 検 査 におけるδ-ALAを 用 いた 光 線 力 学 的 検 索 併<br />

用 - 微 小 腹 膜 播 種 検 出 における 有 用 性 -<br />

大 阪 府 立 成 人 病 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 富 原 英 生 , 高 橋 秀 典 , 大 東 弘 明 , 佐 々 木 一 樹 ,<br />

五 十 嵐 佑 子 , 橘 高 弘 忠 , 真 貝 竜 史 , 本 告 正 明 , 後 藤 邦 仁 ,<br />

岸 健 太 郎 , 能 浦 真 吾 , 山 田 晃 正 , 藤 原 義 之 , 大 植 雅 之 ,<br />

矢 野 雅 彦 , 石 川 治<br />

< 背 景 >δ-アミノレヴリン 酸 (ALA)の 代 謝 産 物 プロトポルフィリン<br />

9は 癌 細 胞 に 蓄 積 しUV 光 で 励 起 され 赤 色 蛍 光 を 発 する 性 質 を 有 し, 光<br />

線 力 学 的 診 断 (PDD)に 利 用 される.< 症 例 >66 歳 , 女 性 . 膵 体 尾 部 癌 :<br />

T4N0M0-cStage4a, 肝 門 浸 潤 型 肝 内 胆 管 癌 :T4N0M0-cStage4aの 同<br />

時 性 重 複 癌 と 診 断 された.まず 膵 体 尾 部 癌 に 対 し 術 前 化 学 放 射 線 療 法<br />

(Gemcitabine1000mg/m …2… ×3 回 +RT60Gy/25Fr)を 施 行 し, 非 切 除 因<br />

子 の 出 現 がないことを 確 認 の 上 , 胆 管 癌 に 対 しても 術 前 CRT<br />

(Gemcitabine1000mg/m …2… ×2 回 +RT50Gy/25Fr)を 施 行 した. 術 前 再<br />

評 価 の 画 像 診 断 では 非 切 除 因 子 のないことが 確 認 されたが,さらに 微<br />

小 遠 隔 転 移 の 検 索 の 目 的 でALAによるPDDを 併 用 した 診 断 的 腹 腔 鏡<br />

検 査 を 施 行 した. 検 査 2 時 間 前 にALA(1g/body)を 経 口 内 服 した. 内<br />

視 鏡 systemはD-light…system(Karl…Storz)を 用 いた. 腹 腔 内 を 通 常 観<br />

察 し, そ の 後 蛍 光 観 察 (excitation,375-445nm;fluorescence…<br />

emission,450nm-)にて 検 索 したところ, 通 常 観 察 では 識 別 困 難 であっ<br />

た 微 細 な(1mm) 赤 色 蛍 光 を 発 する 結 節 をDouglas 窩 に2 箇 所 認 め, 術<br />

中 迅 速 組 織 診 断 にてAdenocarcinomaと 診 断 された.< 結 語 >ALAに<br />

よるPDD 併 用 診 断 的 腹 腔 鏡 検 査 にて, 通 常 観 察 では 同 定 困 難 であっ<br />

た1mm 弱 の 腹 膜 播 種 を 同 定 し 得 た1 例 を 経 験 した. 切 除 適 応 の 判 定 に<br />

おいて, 細 胞 診 のみならず 組 織 診 での 確 認 が 望 ましい.しかし, 術 前<br />

治 療 施 行 例 では 転 移 病 巣 の 縮 小 によって,その 存 在 診 断 がより 困 難 と<br />

なる 可 能 性 も 考 えられる. 微 小 病 巣 を 検 出 可 能 にする 本 法 の 併 用 は,<br />

より 的 確 な 切 除 適 応 例 の 判 例 において 有 用 と 思 われる.<br />

P94-9 膵 頭 部 癌 切 除 症 例 における 病 理 学 的 門 脈 浸 潤 陽 性 例 の<br />

検 討<br />

北 海 道 大 学 消 化 器 外 科 II<br />

○… 寺 村 紘 一 , 平 野 聡 , 松 本 譲 , 野 路 武 寛 , 加 藤 健 太 郎 ,<br />

土 川 貴 裕 , 七 戸 俊 明 , 田 中 栄 一<br />

【 背 景 】 最 近 , 膵 頭 部 癌 の 門 脈 浸 潤 例 はborderline…resectableとされ<br />

るなど, 各 施 設 でその 手 術 適 応 は 様 々であり, 浸 潤 例 に 関 して 詳 細 な<br />

検 討 が 必 要 である.【 目 的 】 当 科 の 膵 頭 部 癌 切 除 症 例 を 対 象 に 病 理 学<br />

的 門 脈 浸 潤 陽 性 (pPV+) 例 を 陰 性 (pPV-) 例 と 比 較 し, 臨 床 的 相 違 を 明<br />

らかにし, 予 後 に 影 響 する 因 子 を 検 索 すること.【 対 象 ・ 方 法 】1999<br />

年 か ら2009 年 に 根 治 切 除 を 行 っ た 膵 頭 部 癌 112 例 をpPV- 群 68 例 と<br />

pPV+ 群 44 例 に 分 け, 臨 床 病 理 学 的 27 因 子 や 再 発 部 位 を 比 較 検 討 した.<br />

【 結 果 】pPV- 群 ,pPV+ 群 のMSTはそれぞれ19.2m,11.4m(p=0.0002),<br />

50%DFSは12.6m,6.5m(p=0.0001)であった. 臨 床 病 理 学 的 27 因 子 の 両<br />

群 間 での 比 較 を 単 変 量 解 析 で 行 い, 有 意 差 のあった(p


P95-2 術 前 診 断 に 難 渋 した 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 川 原 隆 一 , 堀 内 彦 之 , 野 北 英 史 , 赤 司 昌 謙 , 北 里 雄 平 ,<br />

吉 富 宗 宏 , 赤 須 玄 , 御 鍵 和 弘 , 石 川 博 人 , 久 下 亨 ,<br />

木 下 壽 文<br />

【 症 例 】74 歳 男 性 、 直 腸 ポリープにて 腹 部 CTにて 主 膵 管 拡 張 認 め 精<br />

査 にて 膵 腫 瘍 と 診 断 され 紹 介 となった。 既 往 歴 に 高 血 圧 症 肺 気 腫 を 認<br />

める。 家 族 歴 に 特 記 事 項 なし。 腹 部 理 学 所 見 では 腫 瘤 は 触 知 困 難 であっ<br />

た。 血 液 生 化 学 所 見 ではAlb…3.91…g/dlと 低 値 を 示 した。 腫 瘍 マーカー<br />

はCEA…4.7ng/ml、CA19-9…37.6U/l、Dupan2…29U/ml、Span1…16U/ml<br />

であった。 腹 部 CTでは 膵 頭 体 部 移 行 部 に13mm 大 の 境 界 不 明 瞭 な 低<br />

吸 収 域 を 認 め 膵 癌 と 考 えられた、 尾 側 の 主 膵 管 は 拡 張 していた。 足 側<br />

に10mm 大 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 分 枝 膵 管 の 拡 張 やpseudocystも 考 え<br />

られた。ERCPでは 膵 体 部 に 不 正 な 閉 塞 部 位 を 認 め、 細 胞 診 、 組 織 診<br />

にて 悪 性 細 胞 は 認 めなかった。EUSでは 膵 体 部 に21.7×22mmの 辺 縁<br />

不 整 のlow…echoic…lessionを 認 めた。 主 膵 管 は 拡 張 していた。MRIでは<br />

腫 瘍 の 診 断 は 困 難 であったが、 尾 側 膵 管 の 拡 張 と、 嚢 胞 性 病 変 があり、<br />

閉 塞 起 点 があることは 考 えられた。PETでは 膵 体 部 にSUV…max:…2.6…<br />

→…2.5であった。【 手 術 所 見 】 病 変 は 門 脈 の 直 上 に3×2cmの 硬 い 腫 瘤<br />

を 触 知 した。 脾 臓 を 含 め 膵 尾 部 より 膵 を 脱 転 し、 門 脈 ・ 動 脈 の 確 認 を<br />

行 ったが、 原 因 不 明 の 血 圧 低 下 を 認 め、アナフィラキシーショックと<br />

考 えられ、 手 術 を 中 断 した。 一 時 間 後 手 術 を 再 開 するも 易 出 血 状 態 に<br />

なっていた。 断 端 が 陽 性 になる 可 能 性 もあり 膵 全 摘 も 考 慮 したが、<br />

ショック 状 態 であり、 膵 を 腫 瘍 辺 縁 より2cmの 胃 十 二 指 腸 動 脈 右 側 に<br />

て 切 離 し、 膵 体 尾 部 切 除 術 を 行 った。【 病 理 所 見 】 膵 体 部 を 主 体 に 白<br />

色 充 実 性 病 変 を 認 め、 病 変 は 拡 張 した 主 膵 管 内 を 尾 側 まで 進 展 してい<br />

た。 紡 錘 形 ,… 多 形 性 の 細 胞 がmyxomatousな 間 質 を 伴 い 増 殖 している<br />

sarcomatous…componentと、 大 小 不 同 の 腺 腔 形 成 を 呈 する 異 型 腺 管 の<br />

増 殖 しているtubular…adenocarcinoma…componentが 主 体 で、 巨 細 胞<br />

の 出 現 は 僅 か 認 めた。Vimentin・CK7・CAM5.2が 陽 性 であった。 術<br />

中 凍 結 標 本 では 明 らかな 病 変 はみられなかったが,…パラフィンにて 少<br />

量 のcancer…cellを 認 め、PCM(+)と な っ た。Carcinoma…of…the…<br />

pancreas,…anaplastic…carcinoma,…spindle…cell…type.……【まとめ】 術 前 診<br />

断 に 苦 慮 した 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例 を 経 験 した。 文 献 的 考 察 を 加 え 報<br />

告 する。<br />

P95-3 急 激 な 転 帰 を 来 たした 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 切 除 例<br />

長 岡 中 央 綜 合 病 院 外 科<br />

○… 北 見 智 恵<br />

【はじめに】 退 形 成 性 膵 管 癌 は 膵 癌 の 中 では 比 較 的 まれで、 悪 性 度 が<br />

非 常 に 高 く 予 後 不 良 な 疾 患 である。 今 回 われわれは 多 形 細 胞 型 退 形 成<br />

性 膵 管 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】 症 例 は77 歳 女 性 。<br />

高 血 圧 で 通 院 中 の 近 医 にて 軽 度 の 貧 血 を 指 摘 され 精 査 となった。 自 覚<br />

症 状 は 認 めず、 左 上 腹 部 に 可 動 性 良 好 な 腫 瘤 を 触 知 した。 血 液 生 化 学<br />

検 査 ではRBC…379x104/ul,…Hb…11.1…g/dl,…Fe…28…ug/dlと 貧 血 を 認 める<br />

ほか 異 常 所 見 は 認 めなかった。 腫 瘍 マーカーはCEA…10.0…ng/<br />

ml, CA19-9…1215.5…U/mlと 上 昇 していた。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 で 胃 体<br />

部 後 壁 の 壁 外 性 圧 排 を 認 めた。CTで 膵 体 部 に3cm 大 の 後 期 相 で 弱 く<br />

造 影 される 腫 瘤 を 認 め、その 尾 側 に6cm 超 の 嚢 胞 性 腫 瘤 を 認 めた。 嚢<br />

胞 内 部 濃 度 は 比 較 的 高 く、 腫 瘍 壊 死 、 出 血 が 疑 われた。 膨 張 性 発 育 を<br />

示 す 膵 体 部 癌 の 診 断 で、 手 術 の 方 針 とした。 開 腹 所 見 では 腫 瘍 が 胃 後<br />

壁 、 結 腸 間 膜 に 浸 潤 し、 脾 静 脈 は 完 全 に 閉 塞 していた。 膵 体 尾 部 切 除 、<br />

脾 摘 、 胃 全 摘 、 横 行 結 腸 部 分 切 除 、 左 副 腎 摘 出 にて 腫 瘍 を 切 除 した。<br />

切 除 標 本 は7.5x7cm、 境 界 不 明 瞭 な 腫 瘤 部 分 と、 被 膜 に 覆 われた 出 血<br />

壊 死 部 分 から 構 成 されていた。 病 理 組 織 学 的 所 見 は 腫 瘍 の 大 部 分 が 多<br />

形 細 胞 、 紡 錘 細 胞 、 巨 細 胞 からなる 未 分 化 な 肉 腫 瘍 成 分 で、 一 部 高 分<br />

化 型 の 管 状 腺 癌 が 混 在 していた。 多 形 細 胞 が 優 位 であることから 多 形<br />

細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 と 診 断 された。 一 旦 退 院 したものの、 術 後 1カ<br />

月 半 で 著 明 な 腹 水 が 出 現 、 癌 性 腹 膜 炎 で 術 後 72 日 目 に 死 亡 された。【 考<br />

察 】 退 形 成 性 膵 管 癌 は 一 般 的 に 化 学 療 法 や 放 射 線 治 療 は 効 果 が 低 いた<br />

め、 外 科 的 切 除 が 第 1 選 択 とされている。しかし 本 例 のように 切 除 後<br />

早 期 に 再 発 死 亡 する 症 例 が 多 く、 切 除 後 の 集 学 的 な 治 療 のStrategyが<br />

今 後 必 要 であると 考 えられた。<br />

P95-4 GEM/S-1 併 用 療 法 が 奏 功 しPRとなりPPPDを 施 行 し<br />

得 た 破 骨 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

弘 前 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 室 谷 隆 裕 , 石 戸 圭 之 輔 , 豊 木 嘉 一 , 工 藤 大 輔 , 木 村 憲 央 ,<br />

鳴 海 俊 治 , 袴 田 健 一<br />

【はじめに】 退 形 成 性 膵 管 癌 (anaplastic…carcinoma)は 膵 癌 取 り 扱 い<br />

規 約 では 浸 潤 性 膵 管 癌 の1 型 として 分 類 され、その 発 生 頻 度 は 膵 癌 全<br />

体 の0.16%と 比 較 的 稀 な 腫 瘍 であり、 一 般 的 に 予 後 不 良 とされている。<br />

今 回 我 々はGEM/S-1 併 用 療 法 が 奏 功 しPRとなり 全 胃 幽 門 輪 温 存 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 し 得 た 破 骨 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例 を 経 験<br />

したので 報 告 する。【 症 例 】60 歳 男 性 。 食 欲 不 振 と 体 重 減 少 を 主 訴 に<br />

前 医 を 受 診 。CA19-9:306.7U/mlと 高 値 を 示 し、CT、MRIにて 膵 頭<br />

部 に7cm 大 の 腫 瘍 を 指 摘 された。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 にて 十 二 指 腸<br />

下 行 脚 に 露 出 する 腫 瘍 を 認 め、 同 部 位 からの 生 検 にてanaplastic…<br />

carcinomaの 診 断 を 得 て、 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 となった。CT 上 上 腸<br />

間 膜 動 脈 への 浸 潤 を 認 めたため、 根 治 切 除 困 難 と 判 断 しGEM/S-1 療<br />

法 を 施 行 した。GEM/S-1 療 法 6コース 後 のCTにて 腫 瘍 は75mmから<br />

46mmへ 縮 小 し、SMAとの 境 界 は 明 瞭 となったことから、 治 療 効 果<br />

はPRと 判 断 。 根 治 切 除 可 能 と 判 断 し、 全 胃 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 、D2、 門 脈 合 併 切 除 を 施 行 した。 病 理 組 織 学 的 検 査 では 腫 瘍<br />

は 大 小 不 同 の 不 整 形 核 を 有 する 非 常 に 低 分 化 な 癌 細 胞 からなり、 破 骨<br />

細 胞 に 類 似 した 多 核 巨 細 胞 を 多 数 伴 っていた。 免 疫 組 織 染 色 にて<br />

CD68 陽 性 であり、 破 骨 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 と 診 断 された。 膵 癌 取<br />

り 扱 い 規 約 第 6 版 に 従 うとPh,TS2(32mm),…int,…INFβ,ly1…,v1,…ne1,…CH<br />

(-),… DU(+),… S( + ),… RP(+),… PV(-),… A( - ), … PL(-),… OO(-),… pPCM(-),…<br />

pBCM(-),…pDPM(+),…mpd(-),…pT3pN2cM0,…fstage…IVa,…D2,…R1という<br />

所 見 であった。【まとめ】 退 形 成 性 膵 管 癌 は 急 速 な 膨 張 性 発 育 を 特 徴<br />

とし、 診 断 時 にはすでに 巨 大 な 腫 瘤 となっていることも 多 く、その 予<br />

後 は 不 良 とされている。 一 方 で 組 織 型 によっては 長 期 生 存 例 の 報 告 も<br />

散 見 される。 退 形 成 性 膵 管 癌 に 対 する 化 学 療 法 は 通 常 型 膵 管 癌 に 準 じ<br />

てgemcitabineを 用 いたという 報 告 例 が 散 見 されるが、 奏 功 例 が 少 な<br />

いのが 現 状 であり、また 退 形 成 性 膵 管 癌 に 対 して 術 前 化 学 療 法 を 施 行<br />

したという 報 告 例 はない。 今 回 術 前 GEM/S-1 併 用 療 法 が 奏 功 しPPPD<br />

を 施 行 し 得 た 破 骨 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 を 経 験 したので、 文 献 的 考 察<br />

を 加 えて 報 告 する。<br />

P95-5 多 形 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

岩 手 県 立 磐 井 病 院<br />

○… 中 西 史<br />

退 形 成 性 膵 管 癌 は 浸 潤 性 膵 管 癌 の1 型 であり、2007 年 膵 癌 全 国 登 録 調<br />

査 において 膵 腫 瘍 27,335 例 中 38 例 (0.1%)と 稀 な 疾 患 であり、 平 均 生 存<br />

期 間 3.3ヶ 月 、1 年 生 存 率 14.1%と 予 後 不 良 である。 今 回 、 閉 塞 性 黄 疸<br />

と 糖 尿 病 の 悪 化 を 契 機 に 発 見 された 多 形 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 の1 例<br />

を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 は71 歳 、 女 性 。 高 血 圧 と 糖 尿 病 で 近 医<br />

通 院 中 であったが、 糖 尿 病 の 増 悪 と 黄 疸 の 出 現 、 腹 部 超 音 波 検 査 で 胆<br />

管 および 主 膵 管 の 拡 張 を 認 め、 当 院 紹 介 受 診 。 造 影 CT 検 査 では 膵 頭<br />

部 に、 辺 縁 が 不 整 に 増 強 され、 内 部 に 低 吸 収 域 を 伴 う3cm 大 の 腫 瘤 を<br />

認 めた。 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 では 十 二 指 腸 乳 頭 は 著 明 に 発 赤 腫 大 し<br />

ており、ERCで 下 部 胆 管 の 狭 窄 を 認 め、ENBDを 留 置 。この 際 、 十 二<br />

指 腸 乳 頭 部 の 生 検 および 胆 汁 細 胞 診 を 施 行 したが、いずれも 悪 性 所 見<br />

を 認 めなかった。 膵 管 造 影 および 膵 液 細 胞 診 は 施 行 されていなかった。<br />

確 定 診 断 には 至 らなかったものの、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 もしくは 膵 頭 部<br />

癌 が 強 く 疑 われ、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 組 織 では 多 形<br />

細 胞 、 巨 細 胞 、 紡 錘 細 胞 が 混 在 しており、 一 部 に 低 分 化 腺 癌 の 成 分 も<br />

認 め、 多 形 細 胞 型 退 形 成 性 膵 管 癌 と 診 断 された。pT3,pN1<br />

(17b),sM0,StageIIIで あ っ た。 術 後 は 通 常 型 膵 管 癌 と 同 様 に<br />

Gemcitabineによる 補 助 化 学 療 法 を6Cycles 施 行 、 術 後 6ヶ 月 現 在 無 再<br />

発 生 存 中 である。<br />

-512-


P95-6 退 形 成 性 膵 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

盛 岡 市 立 病 院 外 科 、 2 岩 手 医 科 大 学 外 科<br />

1,2<br />

○… 藤 田 倫 寛 , 須 藤 隆 之 1 1,2 1,2<br />

, 武 田 大 樹 , 石 橋 正 久 ,<br />

1,2<br />

梅 邑 晃 , 真 壁 健 二 2<br />

, 長 谷 川 康 2<br />

, 伊 藤 直 子 2<br />

, 高 原 武 志 2<br />

,<br />

高 橋 正 浩 2<br />

, 新 田 浩 幸 2 2<br />

, 若 林 剛<br />

退 形 成 性 膵 癌 は 従 来 未 分 化 癌 とされていたもので、 非 常 にまれな 腫 瘍<br />

であり 本 邦 では 膵 癌 全 体 の0.5-1.0%とされる。 今 回 、 膵 頭 部 退 形 成 性<br />

膵 癌 の1 切 除 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。 症<br />

例 は82 歳 、 男 性 。 約 1 年 前 から 労 作 時 の 息 切 れを 自 覚 し、 当 院 呼 吸 器<br />

科 を 受 診 した。 貧 血 と 閉 塞 性 黄 疸 を 認 め 消 化 器 内 科 にて 精 査 を 施 行 し<br />

たところ、 腹 部 造 影 CT 検 査 において 動 脈 相 で 不 均 一 に 造 影 され 十 二<br />

指 腸 に 浸 潤 する 巨 大 な 腫 瘍 を 認 め、 上 部 消 化 管 内 視 鏡 検 査 で 十 二 指 腸<br />

内 腔 に 浸 潤 する 病 変 を 認 めた。 十 二 指 腸 病 変 の 生 検 で、 高 分 化 型 管 状<br />

腺 癌 (tub1)にVimentin…(+)…の 間 葉 系 異 型 細 胞 の 混 在 を 認 め、 膵 頭 部<br />

退 形 成 性 膵 癌 の 診 断 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 腫 瘍 は10x12…<br />

cm…、 病 理 組 織 診 断 は、pleomorphic…type,…spidle…cell…type,…giant…cell…<br />

typeの 混 在 した 腫 瘍 で、その 一 部 に 腺 癌 構 造 が 見 られた。 免 疫 組 織 染<br />

色 ではVimentin…(3+),…EMA…(3+),…Cytokeratin…7…(2+),…Cytokeratin…<br />

AE1AE3…(2+),…CA19-9…(3+),…E-cadherin…(+),…α1-antitrypsin…(+)で<br />

退 形 成 性 膵 癌 の 診 断 であった。 術 後 経 過 は 順 調 に 経 口 摂 取 を 開 始 して<br />

いたが、 第 12 病 日 に 脳 梗 塞 を 発 症 し 永 眠 された。<br />

P95-7 免 疫 組 織 染 色 にて 確 定 診 断 された 膵 腺 房 細 胞 癌 症 例 の<br />

検 討<br />

国 保 君 津 中 央 病 院 外 科<br />

○… 外 川 明 , 海 保 隆 , 新 村 兼 康 , 小 林 壮 一 , 柳 澤 真 司 ,<br />

岡 本 亮 , 西 村 真 樹 , 土 屋 俊 一<br />

【 著 言 】 膵 腺 房 細 胞 癌 は 膵 癌 の1~2%を 占 める 比 較 的 希 な 疾 患 。【 症<br />

例 1】34 歳 女 性 。 健 診 超 音 波 検 査 で 膵 体 部 腫 瘤 指 摘 。CT: 膵 体 部 腫 瘍<br />

の 境 界 比 較 的 明 暸 で 造 影 剤 では 濃 染 せず。ERCP: 主 膵 管 狭 窄 。 血 管<br />

造 影 : 脾 静 脈 への 浸 潤 を 疑 い 膵 体 部 癌 と 診 断 。< 手 術 > 膵 体 尾 部 脾 合<br />

併 切 除 術 。< 摘 出 標 本 > 腫 瘍 は 黄 白 色 充 実 性 20X20X18…mm。 境 界 比<br />

較 的 明 暸 。< 病 理 >TS1 結 節 型 Stage…I 免 疫 組 織 染 色 :α-anti-trypsin…<br />

(+)、 α-anti-chymotrypsin…(+)、CD58…(+)、CAM… 5.2…(+)、<br />

synaptophysin…(+/-)。nonfunctioning…islet…cell…tumorの 性 質 を 有 し<br />

た 膵 腺 房 細 胞 癌 。5 年 9カ 月 、 無 再 発 生 存 。【 症 例 2】27 歳 女 性 。 不 定 愁<br />

訴 検 査 で 膵 尾 部 に 腫 瘍 指 摘 。CT: 膵 尾 部 に 石 灰 化 を 伴 う 腫 瘍 指 摘 、<br />

粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 疑 い。 膵 体 尾 部 脾 合 併 切 除 術 。< 摘 出 標 本 > 石 灰 化 を<br />

伴 う 線 維 性 被 膜 で 囲 まれ、 中 心 部 は 壊 死 を 来 たした 腫 瘍 、<br />

65X60X30mm。 < 病 理 >TS4 結 節 型 T2N0M0…StageII、 α-antichymotrypsin…(+)、synaptophysin…(+/-)。5<br />

年 、 無 再 発 生 存 。【 症 例 3】<br />

76 歳 男 性 。 糖 尿 病 精 査 中 膵 体 部 に 腫 瘍 指 摘 。CT: 膵 体 部 18mm 腫 瘍 。<br />

超 音 波 内 視 鏡 下 生 検 施 行 。 α-anti-chymotrypsin…(+)、acinar…cell…<br />

carcinoma。 膵 体 尾 部 脾 合 併 切 除 術 。< 摘 出 標 本 >17X17X17mm。<<br />

病 理 >TS1、 結 節 型 、T1N0M0…Stage…I、α-anti-chymotrypsin…(+)。<br />

8カ 月 、 無 再 発 生 存 。【 考 察 】 症 例 1と2はいずも 術 前 診 断 では 確 定 に 至<br />

らず、 術 後 免 疫 組 織 染 色 にて 膵 腺 房 細 胞 癌 と 診 断 。 症 例 3では 術 前 生<br />

検 にて 確 定 診 断 された。 画 像 検 査 では 特 徴 的 所 見 なく 確 定 診 断 には 免<br />

疫 組 織 染 色 が 必 要 不 可 欠 。 近 年 超 音 波 内 視 鏡 下 生 検 により 膵 腫 瘍 も 確<br />

定 診 断 が 得 られる 例 も 増 加 。 膵 腺 房 細 胞 癌 も 念 頭 に 置 き 免 疫 組 織 染 色<br />

が 必 要 。 術 後 補 助 化 学 療 法 施 行 せず 無 再 発 生 存 。【 結 語 】 疫 組 織 染 色<br />

にて 膵 腺 房 細 胞 癌 と 診 断 された3 例 を 報 告 。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P95-8 多 彩 な 組 織 像 を 呈 した 膵 癌 の1 例<br />

1<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 、 2 聖 マリアンナ 医 科<br />

大 学 臨 床 病 理 学 教 室<br />

○… 吉 田 有 徳 1<br />

, 小 林 慎 二 郎 1<br />

, 上 原 悠 也 1<br />

, 三 浦 和 裕 1<br />

,<br />

片 山 真 史 1<br />

, 櫻 井 丈 1<br />

, 小 泉 哲 1<br />

, 朝 倉 武 士 1<br />

, 有 泉 泰 2<br />

,<br />

高 木 正 之 2 1<br />

, 大 坪 毅 人<br />

【 緒 言 】 退 形 成 性 膵 管 癌 の 発 生 頻 度 は 膵 癌 中 約 0.16%と 稀 な 腫 瘍 であり、<br />

予 後 が 不 良 な 膵 癌 とされている。 今 回 我 々は 同 一 腫 瘍 内 に 多 彩 な 組 織<br />

型 の 異 型 細 胞 像 有 し、 急 速 に 進 行 した 膵 癌 の1 例 を 経 験 した。【 症 例 】<br />

62 歳 の 男 性 。 検 診 で 膵 尾 部 に25mm 大 の 腫 瘍 性 病 変 が 認 められ 精 査 加<br />

療 目 的 で 当 院 に 紹 介 となった。 血 液 検 査 では 異 常 値 は 認 めなかった。<br />

また 腫 瘍 マーカーはCA19-9が47.2と 上 昇 していた。 当 院 でのCT 検 査<br />

所 見 は 膵 尾 部 に 均 一 な 低 吸 収 な 腫 瘍 で、 径 が 約 40mm 大 に 増 大 してい<br />

た。MRI 検 査 のダイナミック 造 影 において 乏 血 性 腫 瘤 で、 拡 散 強 調 像<br />

でリング 状 に 強 い 高 信 号 を 呈 していた。FDG-PETでは 同 腫 瘍 の<br />

SUVmaxは 早 期 23.0、 遅 延 像 で31.5と 強 い 集 積 を 認 めた。 以 上 から 膵<br />

尾 部 癌 と 診 断 、 明 らかな 遠 隔 臓 器 およびリンパ 節 転 移 は 認 めなかった<br />

ので 手 術 適 応 と 判 断 し、 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した。 手 術 所 見 で 胃 後 面<br />

のごく 一 部 に 浸 潤 が 疑 われたので 胃 を 一 部 合 併 切 除 した。 病 理 組 織 学<br />

的 検 査 で 低 分 化 な 管 状 腺 癌 が 主 体 であったが, 多 形 な 退 形 成 性 膵 管 癌<br />

と、 扁 平 上 皮 癌 様 成 分 が 混 在 していた。 最 終 診 断 は 退 形 成 性 膵 管 癌 ;<br />

pT3N1M0…pStageIIIと 診 断 した。 術 後 3カ 月 のCT 検 査 にて 多 発 肝 転 移<br />

と 肺 転 移 が 出 現 した。 化 学 療 法 の 方 針 となり、ジェムザールを 施 行 し<br />

た。しかし 転 移 性 肝 癌 および 門 脈 腫 瘍 栓 に 伴 う 肝 不 全 が 進 行 したため<br />

化 学 療 法 は 中 止 となった。その 後 緩 和 治 療 となったが、 術 後 4カ 月 後<br />

に 死 亡 した。【 考 察 ・ 結 語 】 扁 平 上 皮 癌 、 退 形 成 性 膵 管 癌 ともに 上 皮<br />

性 由 来 ( 腺 癌 からの 分 化 )が 発 生 機 序 として 考 えられている。 本 症 例 は<br />

管 状 腺 癌 、 扁 平 上 皮 癌 様 成 分 、 退 形 成 性 膵 管 癌 の3つの 組 織 型 が 混 在<br />

した 稀 な 症 例 であり 特 殊 型 膵 癌 の 発 生 過 程 を 考 察 し 得 る 貴 重 な 症 例 と<br />

考 えられた。<br />

P95-9 周 囲 臓 器 および 皮 下 組 織 に 浸 潤 した 膵 癌 に 対 し 根 治 切<br />

除 が 可 能 であった1 例<br />

関 西 電 力 病 院 外 科<br />

○… 江 嵜 秀 和 , 粟 根 雅 章 , 滝 吉 郎 , 今 村 正 之<br />

症 例 は70 歳 代 男 性 で、 主 訴 は 心 窩 部 痛 。40 歳 代 に 胃 癌 で 幽 門 側 胃 切 除<br />

を 施 行 。2 年 前 、 腹 部 超 音 波 検 査 で 膵 体 部 ~ 尾 部 に 直 径 約 4.5mmの 膵<br />

管 拡 張 像 を 指 摘 された。ERCPで 同 部 に 主 膵 管 の 不 整 狭 窄 像 を 認 めた<br />

が、CTやMRIでは 腫 瘤 像 は 明 らかではなかった。 膵 癌 疑 いの 診 断 の<br />

もとに 開 腹 したが、 術 中 超 音 波 検 査 や 触 診 では 腫 瘤 はなく、 膵 生 検 を<br />

施 行 するも 悪 性 所 見 を 得 られず 閉 腹 。その 後 は 経 過 観 察 を 予 定 してい<br />

たが 来 院 されず。 今 回 、 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 来 院 。CTで 膵 体 部 から 胃<br />

十 二 指 腸 吻 合 部 、 横 行 結 腸 、 肝 下 面 、 腹 壁 に 達 する 直 径 約 4cmの 腫 瘍<br />

を 認 め、 皮 下 腫 瘍 生 検 結 果 は 中 分 化 管 状 腺 癌 。 局 所 進 行 膵 癌 と 診 断 し、<br />

非 切 除 因 子 を 認 めなかったため、 膵 体 尾 部 切 除 術 、 胃 亜 全 摘 術 、 横 行<br />

結 腸 部 分 切 除 術 、 肝 部 分 切 除 術 、 腹 壁 合 併 切 除 術 を 施 行 した。 腹 腔 洗<br />

浄 細 胞 診 では 悪 性 所 見 を 認 めず。 腸 管 の 再 建 はRoux-Y 法 で 行 い、 腹<br />

壁 欠 損 部 の 再 建 は 前 外 側 大 腿 筋 膜 遊 離 皮 弁 術 を 施 行 した。 病 理 所 見 で<br />

は、 高 分 化 型 腺 癌 が 直 径 36mmの 腫 瘤 を 形 成 し、 腹 壁 の 皮 下 組 織 、 腹 筋 、<br />

肝 組 織 、 膵 組 織 、 十 二 指 腸 壁 に 浸 潤 していたが 断 端 陰 性 でリンパ 節 転<br />

移 も 認 めず。 構 造 破 壊 のため 膵 組 織 由 来 との 確 証 は 得 られなかったが、<br />

状 況 より 膵 癌 と 診 断 した。 前 回 手 術 時 の 微 小 病 変 が 増 大 、 進 展 した 可<br />

能 性 が 高 いが、 再 発 した 膵 癌 が 根 治 的 に 切 除 されることは 極 めて 稀 で<br />

ある。 周 囲 臓 器 だけでなく、 腹 筋 や 皮 下 組 織 にまで 直 接 浸 潤 した 膵 癌<br />

の 根 治 切 除 を 施 行 し、 遊 離 皮 弁 術 による 腹 壁 再 建 が 可 能 であった 興 味<br />

ある1 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-513-


P95-10 自 己 免 疫 性 膵 炎 の 経 過 中 に 発 症 した 膵 頭 部 癌 の1 例<br />

市 立 宇 和 島 病 院 外 科<br />

○… 岡 田 倫 明 , 清 地 秀 典 , 水 本 哲 也<br />

自 己 免 疫 性 膵 炎 (Autoimmune…pancreatitis:AIP)は、 中 高 年 の 男 性<br />

に 多 く、 高 γグロブリン 血 症 、 高 IgG(IgG4) 血 症 や 自 己 抗 体 の 存 在 、<br />

ステロイド 治 療 に 反 応 するなど、 自 己 免 疫 機 序 の 関 与 が 示 唆 される 膵<br />

炎 と 言 われている。 従 来 びまん 性 とされていた 主 膵 管 狭 細 像 は、 臨 床<br />

診 断 基 準 2006で 限 局 性 であってもAIPに 含 まれるようになり、 限 局 性<br />

膵 管 狭 細 像 を 呈 するAIPと 膵 癌 の 鑑 別 あるいは 合 併 が 注 目 されている。<br />

今 回 、AIPにてステロイド 投 与 の 経 過 中 に 発 症 した 膵 頭 部 癌 を 経 験 し<br />

たので、 文 献 的 考 察 を 加 えて 症 例 を 報 告 する。 症 例 は74 歳 男 性 。7 年<br />

前 に 閉 塞 性 黄 疸 で 発 症 したAIPに 対 してステロイド 療 法 をうけ 維 持 量<br />

を 内 服 していた。2011 年 5 月 、 閉 塞 性 黄 疸 、 胆 管 炎 を 発 症 し、 内 視 鏡<br />

的 に 治 療 されていたが、その 後 も 反 復 する 胆 管 炎 のため、 当 院 へ 紹 介<br />

受 診 した。 採 血 では 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 、IgG4:64mg/dl、CA19-9:<br />

332.mg/dlであり、 造 影 CTでは 膵 頭 部 に 早 期 相 で 等 ~ 低 吸 収 、 後 期 相<br />

で 均 一 な 高 吸 収 の 腫 瘤 を 認 めた。MRCPでは 膵 内 胆 管 の 狭 窄 による 総<br />

胆 管 、 肝 内 胆 管 の 拡 張 と 膵 頭 部 膵 管 狭 細 像 に 加 え 体 尾 部 の 膵 管 の 拡 張<br />

を 認 めた。 胆 汁 細 胞 診 や 乳 頭 生 検 では 悪 性 所 見 はなく、 限 局 性 AIPと<br />

診 断 しステロイド 投 与 にて 治 療 を 行 った。しかし、ステロイドに 反 応<br />

乏 しく、 胆 管 炎 を 再 度 発 症 し 胆 管 狭 窄 は 改 善 しなかった。 膵 癌 を 否 定<br />

できないために 膵 頭 部 十 二 指 腸 切 除 を 行 った。 病 理 診 断 では 腫 瘤 部 に<br />

高 ~ 中 分 化 型 管 状 腺 癌 を 認 め、 背 景 膵 組 織 にはAIPの 所 見 を 認 めた。<br />

限 局 性 AIPは 膵 癌 と 鑑 別 に 難 渋 する 事 が 多 い。また、 近 年 、AIPの 膵<br />

癌 併 発 例 が 散 見 されるようになり、 原 因 としてAIPによる 慢 性 炎 症 や<br />

ステロイド 長 期 投 与 による 免 疫 抑 制 作 用 が 発 癌 させる 可 能 性 が 指 摘 さ<br />

れている。AIPの 経 過 中 であっても 膵 癌 を 念 頭 に 置 いた 診 断 、 治 療 が<br />

必 要 と 思 われた。<br />

P95-11 sistermaryJoseph’snoduleを 呈 した 進 行 膵 体 部<br />

癌 の1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 赤 司 昌 謙 , 石 川 博 人 , 野 北 英 史 , 川 嶋 裕 資 , 久 下 亨 ,<br />

堀 内 彦 之 , 木 下 壽 文 , 白 水 和 雄<br />

症 例 は63 歳 女 性 。2011 年 2 月 頃 より 左 側 腹 部 痛 が 出 現 し、 近 医 受 診 。<br />

左 水 腎 症 を 指 摘 され 同 年 3 月 当 院 泌 尿 器 科 紹 介 。 原 因 精 査 を 行 われ 膵<br />

体 部 に 腫 瘍 性 病 変 を 認 めたため 当 科 紹 介 入 院 となった。EUS 下 FNA<br />

ではadenocarcinomaが 検 出 され、CT 上 、 左 腎 、 脾 、 大 動 脈 近 傍 へ 進<br />

展 し、 多 発 遠 隔 転 移 を 伴 うstage4bの 膵 体 部 癌 の 診 断 であった。 同 年 4<br />

月 に 胆 管 空 腸 吻 合 術 、 胃 空 腸 吻 合 術 、 術 中 照 射 を 施 行 後 、 外 来 にてゲ<br />

ムシタビンの 化 学 療 法 を 継 続 していた。 同 年 10 月 、コントロール 不 良<br />

の 腹 水 に 対 してデンバーシャント 造 設 したが、その 際 に 臍 部 の 硬 結 を<br />

指 摘 された。CT 上 同 部 位 腫 瘤 性 病 変 を 認 め、 穿 刺 吸 引 細 胞 診 にて<br />

adenocarcinomaが 検 出 され、Sister…Mary…Joseph’s…nodule( 転 移 性<br />

臍 癌 )と 診 断 した。 内 臓 悪 性 腫 瘍 の 臍 転 移 はまれな 病 態 であるが、 予<br />

後 不 良 な 徴 候 の 一 つと 言 われている。 今 回 我 々は、 臍 転 移 を 来 たした<br />

膵 癌 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。<br />

P96-1 膵 縮 小 手 術 についての 検 討<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 生 田 義 明 , 高 森 啓 史 , 中 原 修 , 黒 木 秀 幸 , 中 川 茂 樹 ,<br />

美 馬 浩 介 , 岡 部 弘 尚 , 今 井 克 憲 , 林 洋 光 , 新 田 英 俊 ,<br />

近 本 亮 , 土 居 浩 一 , 石 河 隆 敏 , 別 府 透 , 馬 場 秀 夫<br />

【 目 的 】 近 年 、 膵 病 変 に 対 する 画 像 診 断 の 進 歩 と 膵 嚢 胞 性 腫 瘍 の 疾 患<br />

概 念 の 普 及 により、 低 悪 性 度 病 変 や 良 悪 性 境 界 病 変 に 対 する 膵 縮 小 手<br />

術 が 導 入 されてきている。 膵 頭 体 部 の 限 局 性 病 変 に 対 する 十 二 指 腸 温<br />

存 膵 頭 切 除 術 (DPPHR)や 膵 中 央 切 除 術 (MP)は 低 侵 襲 であり、 膵 内 外<br />

分 泌 機 能 温 存 の 観 点 から 有 用 である。 今 回 、 膵 縮 小 手 術 の 適 応 と 安 全<br />

性 について 検 討 した。【 対 象 と 方 法 】2005 年 から2011 年 に 当 科 で 膵 縮<br />

小 切 除 を 行 った7 例 を 対 象 とした。 膵 縮 小 手 術 の 適 応 疾 患 は、 画 像 上<br />

浸 潤 を 認 めないIPMN、 転 移 を 認 めないPNETとした。 術 後 短 期 成 績<br />

として 術 後 合 併 症 を、 長 期 成 績 として 糖 尿 病 発 症 、 栄 養 状 態 および 生<br />

存 成 績 を 検 討 した。【 結 果 】 膵 縮 小 手 術 の 術 式 として、MPを4 例 、<br />

DPPHRを3 例 に 施 行 した。 対 象 疾 患 は、MP 施 行 4 例 では、IPMN2 例 、<br />

膵 原 発 脂 肪 肉 腫 1 例 、PNET1 例 で、DPPHR 施 行 3 例 では、IPMN2 例 、<br />

PNET1 例 であった。 縮 小 手 術 例 の 平 均 手 術 時 間 は537 分 、 平 均 出 血 量<br />

は871mlであった。 術 後 病 理 診 断 は、IPMNでは 腺 腫 3 例 、cis1 例 で、<br />

PNETは、G1:2 例 であり、 全 例 でリンパ 節 および 遠 隔 転 移 を 認 めな<br />

かった。 術 後 合 併 症 に 関 しては、MP4 例 中 、Grade…Aの 膵 液 瘻 を1 例<br />

に 認 めるのみであった。 一 方 、DPPHRでは3 例 全 例 に 膵 液 瘻 (Grade…A:<br />

1 例 、Grade…B:2 例 )を 認 めた。 糖 尿 病 の 発 症 は2 例 (28.6%)に 認 めたが、<br />

インスリンによるコントロールを 要 したのは1 例 のみであった。 術 後<br />

6ヵ 月 後 の 体 重 減 少 は 平 均 0.1kgであった。 栄 養 状 態 の 指 標 として、 術<br />

前 後 の 血 清 コレステロールは171mg/dlから211…mg/dl、 総 蛋 白 は7…g/<br />

dlから7.1g/dl、アルブミン 値 は4.1…g/dlから4.5…g/dlと 改 善 した。また、<br />

術 後 平 均 観 察 期 間 は22.8ヶ 月 で、 全 例 生 存 中 である。【 結 語 】 膵 縮 小<br />

手 術 は、 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 が 高 く、 周 術 期 管 理 に 注 意 を 要 するが、 長<br />

期 的 にみれば、 体 重 変 化 もなく 臓 器 機 能 が 温 存 でき、 低 悪 性 度 病 変 や<br />

良 悪 性 境 界 病 変 に 対 しては、 有 用 な 術 式 であると 考 えられた。<br />

P96-2 SSPPDとPPPDの 比 較<br />

熊 本 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 木 村 有 , 横 溝 博 , 山 永 成 美<br />

【 背 景 】 当 院 では、1995 年 に 全 胃 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PPPD)<br />

を 導 入 した。 術 後 摂 食 量 の 増 加 が 認 められるなど、QOLが 改 善 した。<br />

その 後 、 徐 々に 適 応 を 拡 大 し2000 年 より、ほぼ 全 疾 患 に 標 準 術 式 とし<br />

て 取 り 入 れた。しかし、DGEのため 長 期 絶 食 と 胃 瘻 長 期 留 置 が 新 た<br />

な 問 題 となった。そこで2004 年 より、 早 期 の 摂 食 開 始 ・ 胃 管 抜 去 を 目<br />

的 として、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (SSPPD)を 取 り 入 れた。【 方<br />

法 】2000 年 1 月 より2011 年 5 月 まで、 当 院 で 施 行 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

術 は165 例 、 内 訳 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)…23 例 、PPPD…42 例 、<br />

SSPPD…100 例 、であった。PPPDとSSPPDをretrospectiveに 解 析 した。<br />

PPPDを 施 行 し た42 例 (PPPD 群 )とSSPPDを 施 行 し た100 例 (SSPPD<br />

群 )を 対 象 とし、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 胃 減 圧 管 の 留 置 期 間 、 術 後 の 絶<br />

食 期 間 、 術 後 在 院 日 数 、TPN 施 行 率 について 検 討 を 行 った。【 結 果 】<br />

PPPD 群 における 術 後 胃 減 圧 管 挿 入 期 間 は44.7 日 であったのに 対 し、<br />

SSPPD 群 では1.18 日 であり、SSPPD 群 で 有 意 に 短 かった(p


P96-3 膵 癌 の 化 学 療 法 および 予 後 に 対 する 喫 煙 の 影 響<br />

奈 良 県 立 医 科 大 学 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 川 口 千 尋 , 庄 雅 之 , 木 下 正 一 , 安 田 里 司 , 北 東 大 督 ,<br />

童 仁 , 山 戸 一 郎 , 赤 堀 宇 広 , 野 見 武 男 , 中 島 祥 介<br />

【 背 景 】 膵 癌 は 悪 性 度 が 高 く 予 後 不 良 の 疾 患 であり、 予 後 改 善 のため<br />

手 術 ・ 化 学 療 法 を 中 心 とした 集 学 的 治 療 が 行 われている。 喫 煙 は 膵 癌<br />

の 危 険 因 子 であるが。 近 年 では 抗 がん 剤 の 代 謝 への 関 与 、 血 液 毒 性 の<br />

発 生 頻 度 への 影 響 等 により、 治 療 効 果 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が 示 唆 さ<br />

れている。【 目 的 】 今 回 我 々は、 当 科 にて 治 療 を 行 った 切 除 ・ 非 切 除<br />

膵 癌 に 関 して、 喫 煙 歴 とその 患 者 背 景 、 化 学 療 法 への 影 響 、および 予<br />

後 の 関 連 の 有 無 をretrospectiveに 検 討 した。【 対 象 】2004 年 6 月 から<br />

2010 年 6 月 の 間 に 当 科 にて 膵 癌 と 診 断 され、 治 療 を 開 始 した156 例 を 対<br />

象 とした。101 例 は 切 除 例 、55 例 は 非 切 除 例 であった。 初 診 時 に 問 診<br />

を 行 い、その 時 点 で 喫 煙 を 行 っているものをcurrent…smoker、それ<br />

以 前 に 禁 煙 したものをex-smoker、 喫 煙 歴 のないものをnever…smoker<br />

と 分 類 した。またex-smokerとnever…smokerをあわせてnon-smoker<br />

とした。【 結 果 】current…smokerは 男 性 が 多 く 発 症 年 齢 が 若 く、 化 学<br />

療 法 前 の 白 血 球 数 、 好 中 球 数 が 高 かった。Median……survival…time…<br />

(MST)… はnon-smokerに 比 し 有 意 に 短 か っ た(15.5…vs…21.1months,…<br />

p=0.0308)。 喫 煙 者 に 特 異 的 な 臨 床 的 ・ 病 理 学 的 特 徴 は 見 いだせなかっ<br />

たが、 手 術 患 者 では 術 後 肝 再 発 、 手 術 不 能 患 者 では 切 除 不 能 理 由 に 肝<br />

転 移 が 多 かった。Gemcitabineを 中 心 とする 術 後 補 助 化 学 療 法 ( 計 18<br />

回 投 与 )において、current…smokerでは 好 中 球 減 少 症 の 発 生 頻 度 が 有<br />

意 に 少 なかったが、 化 学 療 法 の 期 間 ・ 薬 剤 投 与 量 に 差 はなく、 無 再 発<br />

期 間 にも 影 響 は 及 ぼさなかった。Ex-smokerを 禁 煙 期 間 にて 分 類 する<br />

と、 禁 煙 5 年 以 下 と 禁 煙 6 年 以 上 でMSTに 差 が 生 じた(12.3…vs…<br />

21.3months, 有 意 差 はなし)。【 結 論 】 喫 煙 歴 は 膵 癌 の 予 後 にも 寄 与 し<br />

ている 可 能 性 が 示 唆 された。 喫 煙 が 化 学 療 法 に 及 ぼす 影 響 については<br />

明 らかでなかった。<br />

P96-4 切 除 不 能 膵 癌 に 対 するメシル 酸 ナファモスタット 併 用<br />

塩 酸 ゲムシタビン 療 法 における 予 後 因 子 の 検 討<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 古 川 賢 英 , 宇 和 川 匡 , 岩 瀬 亮 太 , 春 木 孝 一 郎 , 藤 原 佑 樹 ,<br />

北 村 博 顕 , 鈴 木 文 武 , 伊 藤 隆 介 , 後 町 武 志 , 柴 浩 明 ,<br />

二 川 康 郎 , 脇 山 茂 樹 , 石 田 祐 一 , 三 澤 健 之 ,<br />

矢 永 勝 彦<br />

< 背 景 > 切 除 不 能 膵 癌 に 対 して 化 学 療 法 は 最 も 有 効 な 治 療 法 であるが、<br />

その 予 後 は 依 然 として 不 良 であり、 予 後 因 子 について 検 討 が 必 要 であ<br />

る。… 現 在 、 当 科 において 切 除 不 能 膵 癌 に 対 するメシル 酸 ナファモス<br />

タット 併 用 塩 酸 ゲムシタビン 療 法 の 臨 床 試 験 を 進 行 中 であり、 良 好 な<br />

成 績 を 報 告 している。 今 回 、 切 除 不 能 膵 癌 に 対 するメシル 酸 ナファモ<br />

スタット 併 用 塩 酸 ゲムシタビン 療 法 における 予 後 因 子 について 検 討 し<br />

た。< 方 法 >2007 年 2 月 から2010 年 11 月 に 当 科 で 切 除 不 能 膵 癌 に 対 す<br />

るメシル 酸 ナファモスタット 併 用 塩 酸 ゲムシタビン 療 法 を 施 行 した41<br />

例 ( 平 均 年 齢 63.1[38-79] 歳 、 男 : 女 =30:11)を 対 象 とし、 年 齢 、 性 別 、<br />

BMI、 主 訴 、 糖 尿 病 の 有 無 、 減 黄 の 有 無 、 肝 転 移 の 有 無 、 腹 膜 播 種 の<br />

有 無 、 原 発 部 位 、 化 学 療 法 前 リンパ 球 数 、CRP 値 、CEA 値 、CA19-9<br />

値 について 生 存 をend-pointとして 単 変 量 、 多 変 量 解 析 を 行 った。<<br />

結 果 > 単 変 量 解 析 では、 主 訴 が 黄 疸 以 外 (p=0.0201)、 腹 膜 播 種 あり<br />

(p=0.0365)、 リ ン パ 球 数 高 値 (2,000/μl、p=0.0146)、CRP 高 値 (1…<br />

mg/dl 以 上 、p=0.0136)、CEA 高 値 (5…ng/ml 以 上 、p=0.0114)、<br />

CA19-9 高 値 (500…U/ml 以 上 、p=0.0175)が 有 意 な 予 後 不 良 因 子 であった。<br />

多 変 量 解 析 では、 主 訴 が 黄 疸 以 外 (p=0.002)、 腹 膜 播 種 あり(p=0.0326)、<br />

リンパ 球 数 高 値 (p 切 除 不 能 膵 癌 に 対 するメシル 酸 ナファモス<br />

タット 併 用 塩 酸 ゲムシタビン 療 法 において、 主 訴 が 黄 疸 か 否 か、 腹 膜<br />

播 種 の 有 無 、リンパ 球 数 、CA19-9が 予 後 予 測 因 子 となりうると 示 唆<br />

された。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P96-5 非 切 除 膵 癌 に 対 する 消 化 管 バイパス 術 の 検 討<br />

島 根 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 総 合 外 科<br />

○… 西 健 , 川 畑 康 成 , 門 馬 浩 行 , 高 井 清 江 , 比 良 英 司 ,<br />

矢 野 誠 司 , 田 島 義 証<br />

【 背 景 】 膵 癌 は 診 断 時 に 既 に 切 除 不 能 であることも 多 く、 消 化 管 閉 塞<br />

や 胆 道 閉 塞 を 合 併 していることがよく 経 験 される。このような 症 例 で<br />

はQOLを 保 ちつつ 化 学 療 法 を 継 続 することが 大 切 で、その 手 段 とし<br />

て 消 化 管 バイパス 術 がある。 当 科 では 積 極 的 にバイパス 術 を 行 ってお<br />

り、 近 年 は 腹 腔 鏡 手 術 例 も 増 えている。 今 回 、 非 切 除 膵 癌 に 対 するバ<br />

イパス 術 の 意 義 について、 後 ろ 向 きに 検 討 した。【 対 象 】2006 年 4 月 ~<br />

2011 年 7 月 までの 切 除 不 能 膵 癌 79 例 ( 膵 頭 部 癌 17、 膵 体 尾 部 癌 11、 男 女<br />

比 50:29)【 結 果 】28 例 にバイパス 術 を 施 行 した。 手 術 の 内 訳 は 胃 空 腸<br />

吻 合 術 27 例 (うち 胆 道 バイパス 追 加 :9、その 他 の 手 技 追 加 :4)、 回 腸<br />

結 腸 吻 合 が1 例 であった。 開 腹 術 が15 例 で、 腹 腔 鏡 ( 補 助 下 ) 手 術 を13<br />

例 に 施 行 。28 例 中 12 例 に、 予 防 的 な 胃 空 腸 吻 合 術 ( 消 化 管 閉 塞 症 状 は<br />

ないが、 術 前 ・ 術 中 所 見 にて 今 後 閉 塞 が 予 想 されるもの)を 施 行 した。<br />

腹 腔 鏡 手 術 群 では 開 腹 群 と 比 べ、 手 術 時 間 に 有 意 差 はなかったが、 出<br />

血 量 が 有 意 に 減 少 した( 中 央 値 0ml…vs…460ml、p


P96-7 残 膵 再 発 し 切 除 したmixedacinar-ductalcarcinoma<br />

の1 例<br />

JA 厚 生 連 旭 川 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 庄 中 達 也 , 稲 垣 光 裕 , 折 茂 達 也<br />

症 例 は70 代 女 性 。 心 窩 部 痛 精 査 のCTで 膵 尾 部 に 一 部 solid…component…<br />

を 伴 う 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、ERCP 上 は 体 尾 部 の 主 膵 管 の 拡 張 像 を 認 め<br />

た。 手 術 として 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 、および 十 二 指 腸 、 空 腸 、 横 行 結<br />

腸 部 分 切 除 を 施 行 した。 病 理 診 断 では 乳 頭 状 増 殖 示 す 領 域 と 腺 房 様 構<br />

造 示 す 領 域 が 混 在 して 認 め、Alucian…Blue 染 色 では 一 部 濃 染 される 領<br />

域 を 認 めた。 免 疫 染 色 ではα1アンチトリプシンが 陽 性 。MUC5ACは<br />

ごく 一 部 のみの 染 色 であった。…CEA・MUC1 染 色 は 陽 性 であった。<br />

シナプトフィジン 染 色 、クロモグラニン 染 色 は 陰 性 であった。 以 上 よ<br />

りmixed…acinar-ductal…carcinomaと 診 断 した。 術 後 1 年 3カ 月 の 定 期<br />

CT 検 査 で 膵 頭 部 にLDAを 指 摘 、PETでも 同 部 位 に 集 積 像 を 認 めた。<br />

EUSでは 主 膵 管 内 に 低 信 号 領 域 が 存 在 。ERPではVater 乳 頭 近 傍 に 主<br />

膵 管 の 狭 窄 像 と 下 部 胆 管 の 圧 排 像 を 認 めた。 胆 管 より 生 検 を 施 行 した<br />

ところ 腺 癌 が 疑 われ、 術 後 1 年 5カ 月 目 に 幽 門 輪 温 存 残 膵 全 摘 術 を 施 行<br />

した。 病 理 診 断 は 初 回 の 切 除 標 本 と 同 様 であった。Mixed…acinarductal…carcinoma…<br />

はWHOの 膵 癌 の 分 類 上 、acinar…cell…neoplasmsの<br />

亜 分 類 として 分 類 されている。 本 邦 での 報 告 例 は4 例 のみであり、 検<br />

索 した 範 囲 内 では 残 膵 再 発 し 切 除 しえたmixed…acinar-ductal…<br />

carcinomaの 報 告 例 は 見 当 たらない。 非 常 にまれなmixed…acinarductal…carcinomaの<br />

残 膵 再 発 例 につき 文 献 的 考 案 も 含 め 報 告 する。<br />

P96-8 腹 腔 内 を 移 動 する 腫 瘤 として 発 見 された 膵 粘 液 癌 の1<br />

例<br />

1<br />

足 利 赤 十 字 病 院 外 科 、 2 足 利 赤 十 字 病 院 検 査 部<br />

○… 松 田 圭 央 1<br />

, 前 田 大 1<br />

, 瀧 川 穣 1<br />

, 岸 田 憲 弘 1<br />

, 藤 崎 真 人 1<br />

,<br />

高 橋 孝 行 1<br />

, 平 畑 忍 1<br />

, 戸 倉 英 之 1<br />

, 尾 之 内 誠 基 1<br />

, 平 田 玲 1<br />

,<br />

田 中 佑 貴 1<br />

, 細 田 篤 志 1 2<br />

, 清 水 和 彦<br />

症 例 は61 歳 、 女 性 。1 年 前 に 移 動 性 のある 腹 部 腫 瘤 を 主 訴 に 近 医 を 受<br />

診 した。その 際 施 行 した 腹 部 CT 検 査 で、 右 側 腹 部 に50×60mm 大 の<br />

石 灰 化 を 伴 う 内 部 不 均 一 腫 瘤 を 認 めた。 腹 部 超 音 波 検 査 で 再 現 性 がな<br />

く 経 過 観 察 となったが、1 年 後 、 腹 部 違 和 感 を 伴 うため 再 検 査 された。<br />

画 像 上 、 前 回 指 摘 の 腹 部 腫 瘤 とその 増 大 傾 向 が 疑 われ、 精 査 加 療 目 的<br />

に 当 科 へ 紹 介 となった。 身 体 所 見 では、 体 位 によって 右 上 腹 部 から 左<br />

側 腹 部 へ 移 動 する 鶏 卵 大 の 硬 い 腫 瘤 を 触 れる。 血 液 検 査 上 、 軽 度 の 貧<br />

血 を 認 める 以 外 、 腫 瘍 マーカーも 正 常 値 で 特 記 すべき 所 見 はなかった。<br />

腹 部 超 音 波 所 見 は、 膵 頭 部 に 乏 血 性 の 内 部 不 均 一 な 低 エコー 腫 瘤 を 認<br />

め、 膵 管 の 拡 張 を 伴 っていた。 左 側 臥 位 で、 腫 瘍 は 大 動 脈 より 左 側 へ<br />

移 動 した。 十 二 指 腸 鏡 所 見 は、 十 二 指 腸 下 行 脚 より 水 平 脚 に 粘 液 産 生<br />

を 伴 う 腫 瘍 の 浸 潤 があり、 膵 頭 部 腫 瘍 の 十 二 指 腸 穿 破 と 考 えられた。<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 方 針 で 開 腹 し、 膵 頭 部 腫 瘍 が 緩 い 間 膜 に 覆 われ、<br />

椎 体 を 左 右 に 容 易 に 乗 り 越 えることを 確 認 した。 最 終 病 理 結 果 は 膵 粘<br />

液 癌 であり、 脈 管 侵 襲 、 十 二 指 腸 浸 潤 陽 性 であったが、その 他 の 浸 潤<br />

は 認 めなかった。ゲムシタビンを 中 心 とした 術 後 補 助 化 学 療 法 を 行 い、<br />

術 後 1 年 3カ 月 無 再 発 生 存 中 である。 膵 臓 は 後 腹 膜 に 存 在 し、 膵 頭 神 経<br />

叢 により 腹 腔 動 脈 や 上 腸 間 膜 動 脈 に 固 定 され、さらに 下 部 総 胆 管 が 膵<br />

内 を 走 行 するため、 通 常 、 移 動 性 はないといわれている。 膵 腫 瘍 で 可<br />

動 性 のある 症 例 は 稀 であり、 医 学 中 央 雑 誌 で「 移 動 性 」「 膵 臓 腫 瘍 」<br />

をキーワードに 検 索 した 結 果 、 数 例 の 報 告 があるのみであった。 膵 頭<br />

部 の 可 動 性 の 原 因 として、 加 齢 に 伴 う 後 腹 膜 組 織 の 緩 み、 膵 頭 部 周 囲<br />

の 組 織 癒 合 が 疎 であること、 膵 頭 部 腫 瘍 が 後 方 浸 潤 より 前 方 浸 潤 が 優<br />

位 な 場 合 などが 因 子 として 挙 げられている。 本 症 例 の 膵 頭 部 腫 瘍 も 可<br />

動 性 が 確 認 されたが、その 理 由 として、 腫 瘤 の 発 育 が 緩 徐 であったこ<br />

と、やせており 十 二 指 腸 と 後 腹 膜 の 伸 展 が 良 好 であったことが 推 測 さ<br />

れた。 我 々は 今 回 、 体 位 変 換 にて 容 易 に 移 動 する 膵 癌 が、その 性 質 ゆ<br />

えに 確 定 診 断 に 至 らず、1 年 以 上 経 過 した 後 、 切 除 し 得 た 一 例 を 経 験<br />

したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P96-9 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 閉 塞 性 膵 炎 に 対 して 再 手 術 を<br />

施 行 した1 例<br />

国 立 病 院 機 構 別 府 医 療 センター 外 科<br />

○… 松 本 敏 文 , 平 下 禎 二 朗 , 廣 重 彰 二<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 において 膵 消 化 管 吻 合 部 狭 窄 ・ 閉 塞<br />

による 膵 管 内 圧 上 昇 に 起 因 する 閉 塞 性 膵 炎 は 晩 期 合 併 症 の1つである。<br />

治 療 として 最 近 は 内 視 鏡 的 に 膵 管 内 ステント 挿 入 の 報 告 が 散 見 される<br />

が、 今 回 内 視 鏡 的 治 療 が 奏 効 せず 手 術 療 法 を 施 行 した1 例 を 報 告 する。<br />

【 症 例 】30 歳 代 男 性 。 大 酒 家 。6 年 前 にGroove 膵 炎 の 診 断 のもと 他 医<br />

で 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PPPD-IIA-1)を 施 行 された。その<br />

後 も 禁 酒 できずアルコール 多 飲 による 慢 性 膵 炎 の 急 性 増 悪 を 繰 り 返 し<br />

ていた。 平 成 23 年 6 月 、 膵 性 胸 腹 水 を 伴 った 急 性 膵 炎 の 診 断 で 当 院 に<br />

入 院 となった。 保 存 的 加 療 で 膵 炎 は 軽 快 したが 胸 腹 水 は 貯 留 したまま<br />

であったのでサンドスタチンを 投 与 して 消 失 した。 経 口 摂 取 を 再 開 し<br />

たところ 膵 空 腸 吻 合 部 近 傍 に 仮 性 嚢 胞 を 形 成 する 膵 炎 の 再 燃 を 認 めた。<br />

ダブルバルーン 内 視 鏡 下 に 膵 空 腸 吻 合 部 の 拡 張 、ステント 挿 入 術 を 試<br />

みたが 吻 合 部 はほぼ 閉 塞 しており 施 行 できず、EUS 下 に 経 胃 膵 管 ドレ<br />

ナージを 試 みたがチューブの 留 置 ができず 膵 管 減 圧 に 至 らなかった。<br />

同 年 10 月 に 当 科 転 科 し 膵 管 減 圧 手 術 を 施 行 した。【 手 術 所 見 】 膵 空 腸<br />

吻 合 部 の 直 上 、 挙 上 空 腸 と 肝 下 面 に 囲 まれるように 仮 性 嚢 胞 を 認 め、<br />

膵 実 質 と 空 腸 の 癒 合 の 上 半 分 が 離 開 状 態 であった。 背 面 の 門 脈 、 脾 静<br />

脈 との 癒 着 は 強 固 であったが 剥 離 できたために、 膵 空 腸 吻 合 部 の 切 除<br />

を 行 い 膵 胃 吻 合 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 良 好 で 術 後 29 日 目 に 自 宅 退 院<br />

した。 現 在 、 禁 酒 指 導 中 である。【 考 察 】 膵 管 狭 窄 ・ 閉 塞 にともなう<br />

膵 炎 は 膵 管 減 圧 をしなければ 再 燃 が 起 こりやすく、 膵 機 能 が 退 廃 する<br />

前 に 膵 管 減 圧 処 置 が 考 慮 されるべきである。 本 症 例 ではPartington 手<br />

術 を 準 備 して 手 術 に 臨 んだが 膵 空 腸 吻 合 部 の 遊 離 に 成 功 したために、<br />

閉 塞 している 膵 管 を 含 む 吻 合 部 の 切 除 を 行 い、 膵 胃 吻 合 を 施 行 した<br />

(PPPD-IVB-2に 変 更 となる)。PPPDであれば 膵 体 部 と 胃 後 壁 を 容 易<br />

に 吻 合 できる。【 結 語 】PPPDでの 膵 空 腸 吻 合 部 狭 窄 ・ 閉 塞 に 対 して<br />

膵 胃 吻 合 への 移 行 再 手 術 は 検 討 されるべき 膵 管 減 圧 手 術 と 思 われた。<br />

P97-1 1 型 多 発 性 内 分 泌 腫 瘍 患 者 の 多 発 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 対<br />

する 手 術<br />

沖 縄 県 立 中 部 病 院 外 科<br />

○… 村 上 隆 啓<br />

症 例 は40 歳 女 性 。 多 発 性 内 分 泌 腫 瘍 (MEN)の 家 族 歴 なし。 検 診 にて<br />

膵 に 多 発 性 腫 瘍 を 認 め、その 後 の 精 査 にてMEN…type1の 診 断 。 副 甲<br />

状 腺 全 摘 術 および 自 家 移 植 後 、 膵 への 精 査 加 療 目 的 にて 当 院 紹 介 受 診 。<br />

臨 床 症 状 なく、 各 種 膵 内 分 泌 検 査 値 に 異 常 ないものの、 超 音 波 および<br />

CTにて 膵 頭 部 から 尾 部 にかけてびまん 性 に 少 なくとも18 個 の 腫 瘍 を<br />

認 め(3mm~21mm)、EUS-FNAにて 非 機 能 性 膵 内 分 泌 腫 瘍 の 診 断 とな<br />

る。 膵 全 摘 を 避 けて 腫 瘍 を 完 全 切 除 するため、 術 前 および 術 中 の<br />

mappingをもとに、 門 脈 右 側 縁 から1cm 膵 頭 部 側 での 膵 体 尾 部 切 除 と<br />

2カ 所 の 膵 頭 部 核 出 術 を 施 行 した。 術 後 病 理 では、Non-functioning…<br />

well…differentiated…endocrine…tumorであり、5mm 以 上 のものは 体 尾<br />

部 に3 個 (7,15,15mm)、 頭 部 に1 個 (12mm) 認 め、いずれも 被 膜 浸 潤 、<br />

血 管 浸 潤 、 神 経 浸 潤 を 認 めず、Ki-67 陽 性 率 は2%であった。この 他<br />

5mm 以 下 のmicroadenomaが 多 数 存 在 し た が、mitosisを 認 め ず、<br />

Ki-67 陽 性 率 も


P97-2 術 前 診 断 に 難 渋 した 膵 腫 瘍 を 伴 う 多 発 性 内 分 泌 腫 瘍 症<br />

(MEN)1 型 の1 例<br />

自 治 医 科 大 学 附 属 さいたま 医 療 センター 一 般 ・ 消 化 器 外 科<br />

○… 福 井 太 郎 , 野 田 弘 志 , 渡 部 文 昭 , 遠 山 信 幸 ,<br />

小 西 文 雄<br />

症 例 は50 歳 代 、 男 性 .2005 年 に 健 診 で20mm 大 の 膵 腫 瘤 を 指 摘 され,<br />

当 院 紹 介 となったが, 内 科 における 精 査 で 手 術 適 応 なしと 診 断 され,<br />

外 来 経 過 観 察 となっていた.2010 年 の 腹 部 CT 検 査 で 腫 瘍 の 増 大 傾 向<br />

あり, 再 度 , 精 査 を 行 った. 腹 部 造 影 CT 検 査 で, 腫 瘍 は 膵 頸 部 に<br />

30mm 大 で 内 部 に 造 影 効 果 を 伴 う 隔 壁 を 有 する 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 とし<br />

て 描 出 された. 内 視 鏡 的 逆 行 性 膵 管 造 影 では 主 膵 管 の 圧 排 はあるが,<br />

腫 瘍 への 連 続 性 はなく, 超 音 波 内 視 鏡 検 査 では 嚢 胞 内 に 一 部 結 節 を 認<br />

めた.FDG…PET-CT 検 査 では 腫 瘤 全 体 的 にSUV…max…3.7の 集 積 を 認<br />

めた. 膵 液 の 細 胞 診 で 悪 性 細 胞 は 認 めなかった. 鑑 別 診 断 として<br />

macrocystic…typeのSCN,MCN,SPN,IPMNが 挙 げ ら れ た.PET-CT 検<br />

査 で 集 積 を 認 め, 悪 性 の 可 能 性 があり,ERCP 後 膵 炎 をはじめ 膵 炎 を<br />

繰 り 返 していたため, 手 術 を 施 行 する 方 針 とした.また, 精 査 の 入 院<br />

中 に 高 カルシウム 血 症 およびintactPTH 上 昇 があり, 副 甲 状 腺 機 能 亢<br />

進 症 と 診 断 された. 画 像 上 , 右 下 極 1 腺 の 副 甲 状 腺 腺 腫 を 認 めた. 家<br />

族 歴 を 再 度 、 詳 細 に 聴 取 したところ, 長 女 が 下 垂 体 プロラクチノーマ<br />

で 手 術 を 受 けており, 本 症 例 が 多 発 性 内 分 泌 腫 瘍 症 (MEN)1 型 の 可 能<br />

性 が 示 唆 された。 膵 腫 瘍 はインスリンおよびガストリンの 分 泌 異 常 は<br />

認 めず, 画 像 検 査 上 は 膵 NETにとしては 非 典 型 的 であった.また 副<br />

甲 状 腺 も 画 像 上 , 過 形 成 ではないことから 非 典 型 的 であったが, 総 合<br />

的 に 判 断 してMEN1 型 を 強 く 疑 った. 手 術 は 膵 中 央 切 除 術 および 右 上<br />

下 副 甲 状 腺 摘 除 施 行 した。 術 後 ,ISGPF…Grade…Bの 膵 液 瘻 を 来 したが,<br />

保 存 的 に 軽 快 した. 高 カルシウム 血 症 も 軽 快 し、 術 後 30 日 目 に 退 院 し<br />

た. 病 理 組 織 検 査 所 見 は, 膵 腫 瘍 はPNET, 副 甲 状 腺 腫 瘍 は 過 形 成 で<br />

あり,…MEN1 型 と 診 断 した. 今 後 , 厳 重 な 他 臓 器 の 経 過 観 察 を 行 いつつ,<br />

遺 伝 子 スクリーニングを 行 うか 否 か 検 討 中 である. 膵 NETは, 壊 死<br />

や 変 性 によりしばしば 嚢 胞 を 伴 い, 嚢 胞 性 腫 瘍 と 鑑 別 が 困 難 となるこ<br />

とを 経 験 する.MEN1 型 の 場 合 , 非 機 能 性 腫 瘍 も 一 定 の 割 合 で 存 在 し、<br />

治 療 方 針 については, 産 生 されるホルモンに 応 じて 悪 性 度 が 異 なり,<br />

後 の 異 時 性 病 変 の 出 現 の 可 能 性 も 高 く, 慎 重 な 治 療 方 針 の 決 定 が 必 要<br />

である.<br />

P97-3 膵 頭 部 MCNと 診 断 したneuroendocrinetumorの 一<br />

例<br />

1<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科 、 2 和 歌 山 県 立 医 科 大 学 臨 床 検<br />

査 医 学<br />

○… 宮 本 篤 1<br />

, 谷 眞 至 1<br />

, 川 井 学 1<br />

, 北 畑 裕 司 1<br />

, 廣 野 誠 子 1<br />

,<br />

岡 田 健 一 1<br />

, 宮 澤 基 樹 1<br />

, 中 村 靖 司 2<br />

, 安 岡 弘 直 2<br />

,<br />

1<br />

山 上 裕 樹<br />

【 諸 言 】 膵 内 分 泌 腫 瘍 は 神 経 内 分 泌 細 胞 由 来 の 腫 瘍 の 総 称 であり、 頻<br />

度 は 膵 腫 瘍 全 体 の1~2%と 比 較 的 稀 な 疾 患 である。また、 嚢 胞 化 を 呈<br />

することもみられ、その 場 合 には、 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 (MCN)や 膵 漿<br />

液 性 嚢 胞 腫 瘍 (SCN)などの 他 の 嚢 胞 性 疾 患 との 鑑 別 を 要 する。 今 回 、<br />

我 々は、 膵 頭 部 の 嚢 胞 性 病 変 に 対 し、 術 前 MCNと 診 断 し、 手 術 療 法<br />

を 施 行 した 結 果 、neuroendocrine…tumorであった 一 例 を 経 験 したので、<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。【 症 例 】66 歳 女 性 。 平 成 23 年 6 月 、 心 窩<br />

部 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 した。US、MRCPにて 膵 頭 部 の 嚢 胞 性 病 変<br />

を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 当 科 紹 介 受 診 となった。CT 上 、 膵 頭 部<br />

に32mm 大 の 多 房 性 の 嚢 胞 性 病 変 を 認 め、 壁 肥 厚 と 内 部 に 一 部 充 実 性<br />

成 分 を 認 めた。MRCPでも 同 様 の 所 見 であり、MRI 高 b 値 拡 散 強 調 像<br />

で 同 部 位 は 高 信 号 を 示 した。 超 音 波 内 視 鏡 検 査 では、 同 部 位 に34mm<br />

大 の 嚢 胞 性 病 変 として 認 め、ソナゾイド 造 影 では 造 影 効 果 を 受 け、<br />

cyst…in…cystの 所 見 を 認 め、mural…noduleを 認 めた。ERPでは、 主 膵<br />

管 に 異 常 所 見 を 認 めず、 嚢 胞 性 病 変 は 描 出 されなかった。 血 液 検 査 所<br />

見 では 腫 瘍 マーカーCA19-9、CEA、CA125、DYPAN-2は 全 て 正 常 範<br />

囲 内 であった。 以 上 より、 術 前 診 断 は、 膵 頭 部 のMCNを 第 一 に 考 え、<br />

鑑 別 診 断 としてSCN、あるいはIPMNを 挙 げた。 平 成 23 年 8 月 24 日 、<br />

幽 門 輪 切 除 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 術 後 経 過 に、ISGPF 分 類<br />

GradeAの 膵 液 瘻 を 認 めたが、 保 存 的 に 軽 快 。POD14に 軽 快 退 院 となっ<br />

た。 病 理 組 織 学 診 断 は、Ph,TS2(25mm),nodular…type,pPCM(-),pBCM<br />

(-),pDPM(-),R0,Well-differentiated…endocrine…tumor(neuroendocrine…<br />

tumor,G1),medullary…type,INFa,ly0,v0,ne0,mpd(-)であった。 免 疫 学<br />

的 染 色 では、CD56(+),chromograninA(+),synaptophysin(+)であっ<br />

た。【 結 語 】 各 種 画 像 検 査 の 結 果 より、 術 前 に 膵 頭 部 に 発 症 したMCN<br />

と 診 断 したが、 病 理 診 断 の 結 果 neuroendocrine…tumorであった 一 例<br />

を 経 験 した。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P97-4 IPMAと 非 機 能 性 膵 内 分 泌 癌 の 重 複 例<br />

伊 南 行 政 組 合 昭 和 伊 南 総 合 病 院 外 科<br />

○… 唐 澤 幸 彦 , 宮 川 雄 輔 , 織 井 崇<br />

非 機 能 性 膵 内 分 泌 癌 は 比 較 的 稀 な 疾 患 であるが 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 腫<br />

(IPMA)の 診 断 で 経 過 観 察 中 に 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腺 癌 (IPMC)を 強 く<br />

疑 い 手 術 を 施 行 したところ 非 機 能 性 内 分 泌 癌 が 合 併 していた1 例 を 経<br />

験 したので 報 告 する。 症 例 は65 歳 、 女 性 。 約 1 年 半 前 に 急 性 膵 炎 を 発<br />

症 し 内 科 に 入 院 。CTで 主 膵 管 の 拡 張 を 認 め 膵 頭 部 、 尾 部 を 中 心 に 多<br />

発 する 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 (IPMN)が 確 認 されたがはっきりとした<br />

壁 在 結 節 や 腫 瘤 形 成 は 認 めなかった。 以 後 、 定 期 的 に 外 来 通 院 されて<br />

いたがfollow…up…CTで 膵 体 尾 部 の 膵 管 内 から 実 質 にかけて 広 範 囲 に 充<br />

実 性 腫 瘤 形 成 が 疑 われ 当 科 紹 介 となった。PETでは 明 らかな 集 積 を<br />

認 めず、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 もなかったが 浸 潤 癌 化 したIPMCを 強 く<br />

疑 った。 術 前 に 膵 炎 が 再 燃 したためCTを 施 行 したところ 膵 体 部 の 主<br />

膵 管 内 に 認 められていた 腫 瘍 が 確 認 されず、 拡 張 した 膵 管 像 のみが 認<br />

められた。しかし、MRI(T2WI)では 主 膵 管 内 は 液 体 成 分 より 低 信 号<br />

であり 膵 管 の 拡 張 ではなく 腫 瘍 壊 死 の 可 能 性 が 高 いと 診 断 された。 腫<br />

瘍 の 局 在 がはっきりせず、 紹 介 時 のCTでは 広 範 囲 に 及 んでいる 可 能<br />

性 があったこと、また 膵 頭 部 にも20mm 大 のIPMNを 認 めていること<br />

から 膵 全 摘 術 が 妥 当 と 判 断 し 施 行 した。 摘 出 標 本 では 膵 体 部 から 尾 部<br />

は 棍 棒 状 に 硬 化 腫 大 しており 尾 部 の 膵 管 から 実 質 に 腫 瘍 を 認 めたが 膵<br />

炎 の 合 併 からか 境 界 は 不 明 瞭 であった。 主 膵 管 は 著 しく 拡 張 しており<br />

粘 液 の 貯 留 を 認 めたが 膵 体 部 の 主 膵 管 内 には 腫 瘍 性 病 変 を 認 めなかっ<br />

た。 病 理 組 織 検 査 では 膵 尾 部 を 中 心 に45mm 大 の 内 分 泌 癌 が 認 められ、<br />

well…differentiated…endocrine…carcinoma,…ly0,…v2,…ne0,…s( + ),…rp(+),…<br />

PVsp(+),…N1,…StageIVaと 診 断 された。 免 疫 染 色 ではsynaptophysin<br />

陽 性 ,… Chromogranin… A 陰 性 でInsulin,… Glucagon,… Pancreatic…<br />

polypeptide,…Somatostatin,…Gastrin,…Serotonin,…ACTHはすべて 陰 性 で<br />

あり 非 機 能 性 と 診 断 された。 主 膵 管 は 上 皮 が 脱 落 しており 線 維 性 の 肥<br />

厚 を 認 めた。 腺 癌 組 織 は 確 認 されなかった。 本 症 例 ではCT 像 が 多 様<br />

に 変 化 しており、またIPMAを 合 併 した 興 味 ある1 例 と 考 えられた。<br />

P97-5 結 腸 浸 潤 を 伴 う 十 二 指 腸 内 分 泌 細 胞 癌 の1 切 除 例<br />

1<br />

八 尾 市 立 病 院 外 科 、 2 八 尾 市 立 病 院 病 理 診 断 科<br />

○… 横 山 茂 和 1<br />

, 佐 々 木 洋 1<br />

, 橋 本 和 彦 1<br />

, 竹 田 充 伸 1<br />

,<br />

俊 山 礼 志 1<br />

, 福 田 周 一 1<br />

, 内 藤 敦 1<br />

, 松 本 伸 治 1<br />

, 徳 岡 優 佳 1<br />

,<br />

井 出 義 人 1<br />

, 松 山 仁 1<br />

, 森 本 卓 1<br />

, 福 島 幸 男 1<br />

, 野 村 孝 1<br />

,<br />

芝 郁 恵 2<br />

, 竹 田 雅 司<br />

2<br />

[ 現 病 歴 ] 平 成 23 年 3 月 末 近 医 にて 右 上 腹 部 腫 瘤 を 主 訴 に 近 医 受 診 し、<br />

当 院 紹 介 初 診 となった。[ 身 体 所 見 ] 右 上 腹 部 に 可 動 性 有 する7cm 大<br />

の 腫 瘤 を 触 知 。 圧 痛 みとめず。[ 血 液 検 査 ]WBC5200/μL、Hb13.9g/<br />

dL、 総 ビ リ ル ビ ン0.6mg/dl、AST23IU/L、ALT14…IU/L…、<br />

ALP175IU/L、CEA1.4ng/mL、CA19-9…10U/mL[ 腹 部 CT] 胃 門 幽<br />

門 前 庭 部 、 十 二 指 腸 球 部 、 膵 頭 部 の 間 に 径 8x7.5cmの 腫 瘤 性 病 変 あり。<br />

横 行 結 腸 浸 潤 を 認 める。 膵 頭 部 浸 潤 認 めるも 主 膵 管 ・ 胆 管 に 及 ばず。<br />

胃 前 庭 部 から 十 二 指 腸 球 部 の 神 経 内 分 泌 腫 瘍 、GISTなどが 疑 われた。<br />

[ 腹 部 MRI] 同 部 位 にT1 強 調 で 低 信 号 、T2 強 調 で 辺 縁 中 間 、 内 部 不<br />

均 一 な 高 信 号 であり、 造 影 にて 辺 縁 部 が 濃 染 された。[ 内 視 鏡 ] 胃 前<br />

庭 部 から 十 二 指 腸 球 部 後 壁 に 連 なる 巨 大 な 潰 瘍 性 病 変 を 認 め、 生 検 に<br />

て 不 整 型 の 大 型 の 核 をもつ 異 型 細 胞 が 充 実 性 に 増 殖 する 低 分 化 腺 癌 疑<br />

い。 以 上 より 十 二 指 腸 球 部 を 中 心 とする 悪 性 腫 瘍 の 診 断 のもと、2011<br />

年 4 月 中 旬 に 手 術 施 行 した。[ 手 術 所 見 ] 腹 膜 転 移 、 肝 転 移 みとめず、<br />

十 二 指 腸 球 部 中 心 に10cm 大 の 腫 瘤 があり、 結 腸 肝 湾 曲 に 浸 潤 を 認 めた。<br />

結 腸 右 半 切 除 ともなう 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 施 行 し、 術 後 経 過 良 好 にて<br />

術 後 27 日 目 に 退 院 となった。[ 病 理 所 見 ] 十 二 指 腸 球 部 に 表 面 粗 造 な<br />

周 堤 様 隆 起 と 深 い 潰 瘍 を 形 成 する5.2x3.2cmを 認 めた。 割 面 では 膵 頭<br />

部 から 横 行 結 腸 壁 に 達 する7.7x7.2cmの 白 色 充 実 性 腫 瘍 。 核 小 体 の 目<br />

立 つ 類 円 形 から 軽 度 不 整 形 の 大 型 核 をもつN/C 比 の 高 い 異 型 細 胞 が 充<br />

実 性 無 構 造 にあるいは 索 ・ 充 実 性 胞 巣 を 形 成 し、 浸 潤 増 殖 する 腫 瘍 で<br />

あった。 免 疫 染 色 ではsynaptophysin 陽 性 、chromograninA 陽 性 で 神<br />

経 内 分 泌 性 腫 瘍 と 診 断 した。リンパ 節 転 移 認 めず。 術 後 半 年 、 再 発 徴<br />

候 認 めていない。[ 考 察 ] 十 二 指 腸 乳 頭 部 内 分 泌 細 胞 癌 は2 年 生 存 率<br />

15%と 一 般 に 予 後 不 良 とされているが、 乳 頭 部 を 除 いた 十 二 指 腸 原 発<br />

内 分 泌 細 胞 癌 は 報 告 例 が 少 なく、 予 後 のコンセンサスは 得 られていな<br />

い。 他 臓 器 合 併 切 除 により 根 治 切 除 を 施 行 できた 十 二 指 腸 原 発 内 分 泌<br />

細 胞 癌 につき 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

-517-


P97-6 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 した 径 6cmの 膵 内 分<br />

泌 癌 の 一 例<br />

高 島 平 中 央 総 合 病 院<br />

○… 江 下 恒 統<br />

近 年 膵 腫 瘍 に 対 しても 良 性 または 良 悪 性 境 界 病 変 を 中 心 に 腹 腔 鏡 下 手<br />

術 の 報 告 が 増 加 しているが、 広 く 普 及 しているとは 言 えない。 今 回 膵<br />

内 分 泌 腫 瘍 に 対 して 腹 腔 鏡 下 手 術 を 施 行 したので 報 告 する。 患 者 は65<br />

歳 の 女 性 で、 健 康 診 断 の 腹 部 超 音 波 検 査 で 膵 腫 瘍 指 摘 され 紹 介 となっ<br />

た。 腹 部 造 影 CTで 膵 体 部 に 早 期 層 で 濃 染 される6cmの 富 血 管 性 腫 瘍<br />

を 認 め、 非 機 能 性 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 した。 膵 内 分 泌 腫 瘍 の 良 悪 性 の 鑑<br />

別 は 術 前 には 困 難 であるが、2cmを 超 える 腫 瘍 は 悪 性 の 可 能 性 があり、<br />

径 6cmの 本 例 は 悪 性 の 可 能 性 が 十 分 にあるためD2 郭 清 が 必 要 と 考 え<br />

られた。 膵 体 部 腫 瘍 の 場 合 、その 郭 清 範 囲 は 鏡 視 下 でも 標 本 とen…<br />

blockに 取 れる#11、#18を 除 くと 全 て 正 中 に 存 在 し(#14,12,8)、 腹<br />

腔 鏡 下 手 術 では 摘 出 のための 小 切 開 創 が 必 要 な 事 から、7cmの 小 切 開<br />

創 が 必 要 な 本 例 では、その 創 からD2 郭 清 可 能 と 考 えられ、 腹 腔 鏡 補<br />

助 下 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 をD2 郭 清 で 施 行 した。 術 後 経 過 良 好 に7 日 目<br />

に 退 院 した。 病 理 はwell-differentiated…adenocarcinomaで、3 年 経 過<br />

した 現 在 再 発 を 認 めていない。 膵 内 分 泌 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 手 術 は<br />

一 つの 選 択 肢 と 考 えられた。<br />

P97-7 主 膵 管 途 絶 を 来 したセロトニン 陽 性 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍<br />

の1 切 除 例<br />

浜 松 医 療 センター 外 科<br />

○… 田 村 浩 章 , 西 脇 由 朗 , 福 島 久 貴 , 池 松 禎 人<br />

症 例 は50 歳 代 、 男 性 。 高 血 圧 症 にて 内 服 加 療 を 受 けていた。 近 医 で 施<br />

行 された 腹 部 超 音 波 検 査 で 膵 管 拡 張 を 認 め、 造 影 CTにて 膵 頭 部 に 造<br />

影 効 果 を 有 する 径 7mm 大 の 腫 瘤 を 認 めたため 精 査 加 療 目 的 にて 当 院<br />

を 受 診 した。 理 学 所 見 では 黄 疸 や 腹 痛 はなく 腹 部 は 平 坦 、 軟 で 圧 痛 は<br />

なかった。 血 液 検 査 では 炎 症 所 見 はなく 肝 胆 道 系 酵 素 、アミラーゼ 値<br />

およびHbA1cは 正 常 であった。 腫 瘍 マーカーはCEA、CA19-9ともに<br />

正 常 であった。 内 分 泌 ホルモンはインスリン4.1μU/ml、ガストリン<br />

130pg/mlと 正 常 であった。 腹 部 超 音 波 検 査 では 拡 張 した 主 膵 管 の 膵<br />

頭 部 側 途 絶 部 に 低 エコーの 小 病 変 が 疑 われた。MRIでは 脂 肪 抑 制 T1<br />

強 調 像 で 膵 頭 部 に 径 6~7mm 程 度 の 円 形 に 近 い 低 信 号 病 変 が 疑 われた。<br />

腹 部 造 影 CT 検 査 では 膵 頭 部 の 主 膵 管 に 近 接 して 径 7mm 程 度 の 造 影 効<br />

果 を 有 する 腫 瘤 を 認 め、 主 膵 管 は 同 部 位 から 尾 部 にかけて7mm 程 度<br />

に 拡 張 しており 周 囲 膵 実 質 の 著 明 な 萎 縮 を 伴 っていた。ERCPでは 主<br />

膵 管 は 膵 頭 部 で 比 較 的 急 峻 に 狭 窄 ・ 途 絶 していた。 膵 腫 瘤 はPETで<br />

は 描 出 されなかった。 遠 隔 臓 器 に 腫 瘍 性 病 変 は 認 めなかった。 以 上 よ<br />

り 膵 内 分 泌 腫 瘍 を 第 1に 疑 い、 幽 門 輪 切 除 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行<br />

した。 摘 出 標 本 の 病 理 学 的 検 索 では 膵 頭 部 の 主 膵 管 近 傍 に 径 6mmの<br />

腫 瘍 を 認 め、 腫 瘍 は 線 維 化 を 伴 って 索 状 から 小 胞 巣 状 に 浸 潤 増 殖 し 主<br />

膵 管 に 狭 窄 を 来 していた。 免 疫 染 色 ではクロモグラニンA、シナプト<br />

フィジン、CD56およびセロトニンで 陽 性 であった。リンパ 節 転 移 は<br />

なく、リンパ 管 侵 襲 、 膵 内 神 経 浸 潤 もなかったが 軽 微 な 静 脈 侵 襲 を 認<br />

めた。 以 上 より 高 分 化 型 神 経 内 分 泌 腫 瘍 と 診 断 した。 本 症 例 は 膵 頭 部<br />

の 主 膵 管 近 傍 から 発 生 したと 考 えられる 径 6mmのセロトニン 陽 性 膵<br />

神 経 内 分 泌 腫 瘍 の1 切 除 例 であり、 線 維 化 を 伴 った 腫 瘍 が 浸 潤 性 に 広<br />

がり、 結 果 として 主 膵 管 に 狭 窄 を 来 したと 考 えられた。 主 膵 管 の 狭 窄<br />

を 伴 い 造 影 効 果 を 有 する 膵 小 腫 瘍 性 病 変 ではセロトニン 陽 性 膵 神 経 内<br />

分 泌 腫 瘍 の 可 能 性 を 考 慮 する 必 要 がある。<br />

P97-8 主 膵 管 完 全 閉 塞 のためERCP 時 にガイドワイヤーが 膵<br />

管 から 逸 脱 した 小 型 膵 頭 部 内 分 泌 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

京 都 第 二 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 小 林 利 行 , 森 村 玲 , 岡 島 航 , 原 田 恭 一 , 坂 木 桃 子 ,<br />

山 田 圭 吾 , 松 村 博 臣 , 藤 信 明 , 大 垣 雅 晴 , 谷 口 弘 毅 ,<br />

竹 中 温<br />

はじめに:ERCPは 膵 ・ 胆 道 系 疾 患 の 診 断 および 治 療 に 有 用 であり 広<br />

く 施 行 されているが、 膵 炎 ・ 消 化 管 穿 孔 などの 合 併 症 をきたす 可 能 性<br />

のある 侵 襲 の 大 きい 検 査 である。 合 併 症 が 起 こった 場 合 、 開 腹 時 期 の<br />

判 断 や 周 術 期 管 理 に 難 渋 する 場 合 がある。 今 回 術 前 のERCP 時 にガイ<br />

ドワイヤー 膵 管 から 逸 脱 した 症 例 に 対 して 待 機 的 に 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

を 行 い 炎 症 にて 難 渋 した 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。 症 例 :63 才 女<br />

性 。 既 往 歴 : 糖 尿 病 、 高 血 圧 、アルコール 多 飲 歴 あり。 尿 路 結 石 で<br />

CT 施 行 された 際 に 偶 然 主 膵 管 の 拡 張 を 指 摘 された。MRCPでは 膵 頭<br />

部 で 主 膵 管 が 途 絶 し、 末 梢 膵 管 の 拡 張 を 認 めたものの、 閉 塞 部 周 囲 に<br />

腫 瘤 像 を 指 摘 することができなかった。EUSでは6mmに 拡 張 した 膵<br />

管 の 乳 頭 側 に 径 8mmの 低 エコー 域 を 認 めた。 膵 癌 の 可 能 性 を 否 定 で<br />

きず、ERCPを 施 行 した。 主 膵 管 は 完 全 閉 塞 しており、 主 膵 管 閉 塞 部<br />

の 突 破 を 試 みた 際 にガイドワイヤ-が 膵 管 から 逸 脱 し、 約 2 週 間 の 治<br />

療 を 要 した。 膵 液 細 胞 診 では 確 診 が 得 られず、PET/CTを 施 行 した。<br />

膵 頭 部 ~ 体 部 の 背 側 部 分 に 軽 度 集 積 (SUV=3.4)を 認 めたが、 膵 頭 部 で<br />

は 腫 瘍 と 穿 孔 後 の 炎 症 と 鑑 別 が 困 難 であった。 通 常 型 膵 管 癌 疑 いとし<br />

て 外 科 的 切 除 の 方 針 とした。 術 式 :SSPPD、D2。5 時 間 53 分 。 出 血 量 :<br />

2496g。 輸 血 :RCC8U、FFP6U。 手 術 所 見 :ERCP 後 49 日 目 。 膵 周 囲<br />

および 後 腹 膜 にはけん 化 した 組 織 が 多 数 認 められ、V 周 囲 でも 炎 症 に<br />

よる 癒 着 が 高 度 であったため、 癒 着 剥 離 の 際 に 出 血 量 が 増 加 し 手 術 は<br />

難 渋 した。 病 理 所 見 :chromogranin 染 色 陽 性 であり、 高 分 化 型 内 分<br />

泌 癌 (TS1(10mm),…T1,…n1)と 診 断 した。 考 察 :…ERCP 後 に 膵 損 傷 をき<br />

たした 症 例 で 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 する 場 合 、なるべく 炎 症 を 消 褪<br />

させてから 手 術 を 施 行 したいが、 悪 性 疾 患 であることを 考 慮 すると1<br />

日 も 早 い 手 術 が 望 まれる。 安 全 に 手 術 が 施 行 できると 判 断 する 明 確 な<br />

指 標 はなく、 今 後 も 検 討 が 必 要 である。まとめ: 主 膵 管 が 完 全 閉 塞 を<br />

きたしたためにERCP 時 にガイドワイヤーが 膵 管 から 逸 脱 した 小 型 膵<br />

頭 部 内 分 泌 腫 瘍 の1 切 除 例 を 経 験 した。<br />

P97-9 約 4 年 の 経 過 で 緩 徐 に 主 膵 管 拡 張 を 来 たした 膵 頭 部 非<br />

機 能 性 神 経 内 分 泌 癌 の1 例<br />

新 潟 県 立 がんセンター 新 潟 病 院 外 科<br />

○… 小 海 秀 央 , 土 屋 嘉 昭 , 野 村 達 也 , 金 子 耕 司 , 神 林 智 寿 子 ,<br />

松 木 淳 , 丸 山 聡 , 中 川 悟 , 瀧 井 康 公 , 薮 崎 裕 ,<br />

佐 藤 信 昭 , 梨 本 篤<br />

症 例 は39 歳 男 性 。2007 年 検 診 の 腹 部 エコーにて 主 膵 管 拡 張 を 指 摘 され、<br />

以 後 緩 徐 に 主 膵 管 拡 張 が 進 行 するため、2011 年 6 月 精 査 加 療 目 的 に 当<br />

院 を 紹 介 受 診 した。アルコール 摂 取 は 機 会 飲 酒 程 度 で 膵 炎 の 既 往 はな<br />

い。 自 覚 症 状 は 認 めず、 血 液 所 見 でも 糖 尿 病 はなく、 各 種 腫 瘍 マーカー<br />

も 正 常 であった。CTでは 主 膵 管 全 体 に 著 明 な 拡 張 および 膵 体 尾 部 の<br />

膵 実 質 の 萎 縮 を 認 めるほか、 腫 瘤 としてははっきりしないが 膵 頭 部 に<br />

造 影 される 境 界 不 明 瞭 な 領 域 を 認 めた。MRIでは 膵 頭 部 にT1W1 低 信<br />

号 、T2W1 等 信 号 で 早 期 から 持 続 濃 染 する15mm 大 の 領 域 を 認 めた。<br />

径 40mm 大 に 拡 張 した 主 膵 管 内 に 結 節 性 病 変 はなく、また 明 らかな 膵<br />

胆 管 合 流 異 常 は 認 めなかった。FDG-PETでは 膵 を 含 めて 異 常 集 積 は<br />

認 めなかった。なおERCP、EUSは 嘔 吐 反 射 が 非 常 に 強 いため 施 行 さ<br />

れなかった。 膵 管 拡 張 の 原 因 を 特 定 できないが、 膵 腫 瘍 を 否 定 できず、<br />

また 膵 管 拡 張 による 膵 実 質 の 萎 縮 および 機 能 低 下 を 来 たしうるため 手<br />

術 適 応 とした。 開 腹 所 見 では 膵 頭 部 に 固 い 腫 瘤 を 触 知 し、 術 中 エコー<br />

で 膵 頭 部 の 主 膵 管 の 腹 側 に 接 して15mm 大 の 低 エコー 性 腫 瘤 が 描 出 さ<br />

れ、ソナゾイドエコーでは 内 部 に 豊 富 な 血 流 を 認 めた。 他 に 明 らかな<br />

転 移 所 見 は 認 めなかった。 膵 頭 部 腫 瘍 による 壁 外 性 の 主 膵 管 圧 迫 が 主<br />

膵 管 拡 張 の 原 因 と 判 断 し、 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 を 施 行 した。<br />

病 理 組 織 検 査 では 膵 実 質 から 膵 管 周 囲 に 浸 潤 する 腫 瘍 で、 免 疫 染 色 で<br />

はchromogranin…A 陽 性 、synaptophysin 陽 性 であり、 高 分 化 型 神 経 内<br />

分 泌 癌 、NETG2と 診 断 された。 膵 神 経 内 分 泌 腫 瘍 では、 通 常 型 膵 管<br />

癌 に 比 して 膵 管 の 狭 窄 や 拡 張 を 来 たすことは 少 なく、 本 例 のように 長<br />

い 時 間 経 過 で 著 明 な 主 膵 管 拡 張 を 認 めた 例 は 稀 である。 本 症 例 では 体<br />

外 式 エコー、CT、MRIでは 腫 瘍 の 存 在 の 確 定 には 至 らず、 術 中 エコー<br />

で 腫 瘍 の 存 在 を 確 認 できた。EUSが 施 行 できていればEUS-FNAも 含<br />

めて 術 前 から 診 断 を 確 定 でき、さらに 膵 管 拡 張 が 軽 度 の 段 階 から 腫 瘍<br />

の 存 在 を 確 認 できた 可 能 性 がある。<br />

-518-


P98-1 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 切 除 術 における 手 術 侵 襲 に 関 する 検 討<br />

1<br />

大 阪 大 学 消 化 器 外 科 、 2 大 阪 大 学 周 手 術 期 管 理 学<br />

○… 岸 本 朋 也 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

,<br />

小 林 省 吾 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

土 岐 裕 一 郎 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 手 術 は、 技 術 の 進 歩 、 新 しいデバイスの 開 発 など<br />

により 安 全 、 確 実 に 行 えるようになってきた。 各 種 臓 器 において 適 応<br />

疾 患 も 次 第 に 拡 大 され、その 安 全 性 ・ 低 侵 襲 性 については、これまで<br />

に 数 多 く 報 告 されている。 近 年 、 膵 臓 における 良 性 疾 患 、 低 悪 性 度 腫<br />

瘍 に 対 しても 先 進 医 療 として 腹 腔 鏡 手 術 が 行 われるようになってきた。<br />

しかし、まだ 症 例 数 は 少 なく、 開 腹 手 術 に 対 するそのリスク・ 侵 襲 性<br />

を 比 較 、 検 討 した 報 告 はほとんど 行 われていない。 今 回 われわれは、<br />

膵 切 除 における 腹 腔 鏡 手 術 と 開 腹 手 術 における 侵 襲 性 の 比 較 、 検 討 を<br />

行 った。【 対 象 と 方 法 】 対 象 は2008 年 から2011 年 に 腹 腔 鏡 補 助 下 膵 切<br />

除 を 施 行 した 患 者 17 名 ( 腹 腔 鏡 群 )および 同 時 期 に 開 腹 手 術 を 行 った 患<br />

者 20 名 ( 開 腹 群 )とし、 対 象 疾 患 は 両 群 ともに 良 性 疾 患 、 低 悪 性 度 腫 瘍<br />

とした。 手 術 リスク 評 価 はE-PASSを 用 いて 術 前 リスクスコア、 手 術<br />

リスクスコア、 総 合 リスクスコアを 算 出 し、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 術 後<br />

在 院 日 数 、 術 後 ピークWBC、CRPの 比 較 を 行 った。【 結 果 】 両 群 間 で<br />

術 前 リスクスコアに 差 は 認 めなかった(p=0.855)。 手 術 リスクスコア、<br />

総 合 リスクスコアはともに 腹 腔 鏡 群 で 有 意 に 低 かった(いずれもp<<br />

0.001)。 腹 腔 鏡 群 、 開 腹 群 それぞれにおいて、 手 術 時 間 は271 分 、254<br />

分 で 有 意 差 はなく(p=0.437)、 出 血 量 は212ml、252mlと 有 意 に 腹 腔 鏡<br />

群 で 少 なかった(p=0.01)。また 平 均 術 後 在 院 日 数 は30.3 日 、31.1 日 で<br />

あり 有 意 差 はなかった(p=0.419)。 術 後 ピークWBC、ピークCRPは 腹<br />

腔 鏡 群 でやや 低 い 傾 向 にあるものの 有 意 差 はなかった(それぞれ<br />

p=0.329、p=0.503)。【まとめ】E-PASSによる 評 価 と 術 後 在 院 日 数 は<br />

相 関 することが 数 多 く 報 告 されているが、 今 回 の 検 討 では 有 意 差 は 認<br />

めなかった。また、ピークWBC、CRPとも 相 関 は 認 めなかった。し<br />

かし、 腹 腔 鏡 手 術 において 有 意 な 手 術 時 間 の 延 長 はなく、 出 血 量 も 少<br />

なかったことや、E-PASSによるリスク 評 価 では 開 腹 群 と 比 べ 有 意 に<br />

低 い 結 果 であったことからも、 積 極 的 な 腹 腔 鏡 手 術 の 導 入 を 検 討 する<br />

べきであると 考 えられた。<br />

P98-2 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 の 手 技 とその 成 績<br />

1<br />

大 分 大 学 第 一 外 科 、 2 大 分 大 学<br />

○… 太 田 正 之 1<br />

, 矢 田 一 宏 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 岩 下 幸 雄 1<br />

,<br />

平 下 禎 二 郎 1<br />

, 増 田 崇 1<br />

, 川 野 雄 一 郎 1<br />

, 小 森 陽 子 1<br />

,<br />

2<br />

北 野 正 剛<br />

【はじめに】 当 科 では1993 年 より 膵 の 良 性 病 変 あるいは 低 悪 性 度 の 腫<br />

瘍 性 病 変 に 対 して 腹 腔 鏡 下 手 術 を 施 行 してきた。 今 回 、 当 科 で 施 行 し<br />

た 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 施 行 症 例 の 手 技 を 示 し、またその 成 績 を 検 討<br />

したので 報 告 する。【 方 法 】1994 年 6 月 より2011 年 10 月 までに 当 科 で28<br />

例 に 腹 腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行 した。 平 均 年 齢 61 歳 、 男 性 11 例 、 女<br />

性 17 例 で 平 均 腫 瘍 径 は3.1cmであった。 病 変 の 術 前 診 断 は 嚢 胞 性 腫 瘍<br />

17 例 、 神 経 内 分 泌 腫 瘍 11 例 であった。 体 位 は 右 半 側 臥 位 で、 臍 下 部 な<br />

いしは 臍 左 上 からカメラポートを 挿 入 し4~5ポートで 手 術 を 施 行 した。<br />

膵 体 尾 部 を 後 腹 膜 より 十 分 に 剥 離 後 、 脾 動 脈 を 結 紮 切 離 し、 膵 実 質 を<br />

自 動 縫 合 器 により 切 離 、 脾 臓 を 温 存 しない 場 合 には、 最 後 に 脾 臓 の 剥<br />

離 を 行 った。【 結 果 】 初 期 の1 例 (4%)で 癒 着 などのため 開 腹 手 術 に 移<br />

行 した。また 脾 臓 の 温 存 はインスリノーマの3 例 およびSPNの1 例 で 施<br />

行 した。 平 均 手 術 時 間 274 分 、 出 血 量 165mlであった。 術 後 合 併 症 と<br />

してGrade…Bの 膵 液 瘻 を3 例 (11%)に 認 め、いずれも 脾 温 存 症 例 であっ<br />

た。 他 の 症 例 の 術 後 経 過 は 良 好 であり、 平 均 術 後 在 院 日 数 は14 日 であっ<br />

た。【 結 語 】 膵 の 良 性 病 変 あるいは 低 悪 性 度 の 腫 瘍 性 病 変 に 対 する 腹<br />

腔 鏡 下 尾 側 膵 切 除 術 は 安 全 に 施 行 可 能 と 考 えられた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P98-3 仮 想 内 視 鏡 による 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 藤 森 聰 , 村 上 雅 彦 , 青 木 武 士 , 小 池 礼 子 , 榎 並 延 太 ,<br />

古 泉 友 丈 , 草 野 智 一 , 松 田 和 広 , 加 藤 貴 史<br />

【 背 景 】 膵 疾 患 に 対 する 鏡 視 下 手 術 は、 近 年 の 手 術 手 技 および 器 械 の<br />

進 歩 に 伴 い、 膵 良 性 疾 患 の 患 者 のみならず 膵 悪 性 腫 瘍 の 患 者 に 対 して<br />

も 低 侵 襲 手 術 として 適 応 が 広 がりつつある。 教 室 では 仮 想 内 視 鏡 を 用<br />

いたナビゲーション 手 術 を 施 行 している。これらは 手 術 前 治 療 計 画 を<br />

改 善 し、 外 科 医 の 手 術 技 術 を 向 上 させ、 複 雑 な 手 術 操 作 を 容 易 に 経 験<br />

することを 可 能 とする。この 可 視 化 システムを 用 いることで、 外 科 医<br />

は 鏡 視 下 操 作 中 における 実 際 の 解 剖 を 術 前 に 理 解 することが 可 能 とな<br />

る。【 対 象 と 方 法 】2009 年 6 月 から2011 年 9 月 まで12 例 の 鏡 視 下 膵 体 尾<br />

部 切 除 術 (LDP)を 施 行 。 導 入 当 初 は 適 応 を 良 性 ・ 悪 性 境 界 病 変 に 限 定<br />

していたが、 鏡 視 下 手 技 の 安 定 化 に 伴 い2010 年 から 小 膵 癌 (TS1)に 限<br />

り、 膵 悪 性 腫 瘍 への 適 応 を 拡 大 した。 全 症 例 に 対 し 造 影 CT 検 査 を 行 い、<br />

VINCENT( 富 士 フィルムメディカル、 東 京 )を 用 いて 画 像 処 理 された。<br />

術 前 に 適 切 なポート 位 置 を 確 認 し、このソフトの 仮 想 内 視 鏡 機 能 を 用<br />

いて 膵 周 囲 の 解 剖 学 的 構 造 は 再 構 築 され 可 視 化 した。 外 科 医 は 術 前 に<br />

鏡 視 下 操 作 中 の 切 除 位 置 を 仮 想 した 視 野 から 認 識 できた。【 結 果 】 仮<br />

想 内 視 鏡 を 用 いて、 全 症 例 に 対 し 術 前 にナビゲーション 手 術 が 行 われ<br />

た。 実 際 の 手 術 では 開 腹 手 術 に 移 行 した 症 例 はなく、 腹 腔 鏡 手 術 で 完<br />

遂 した。ナビゲーション 手 術 により 適 切 なポート 位 置 と 最 適 な 手 術 操<br />

作 を 選 択 することが 可 能 となり、 特 に 仮 想 内 視 鏡 により、 従 来 の<br />

3D-CT 画 像 から 得 ることのできなかった、 膵 周 囲 の 動 脈 ・ 門 脈 や 他 の<br />

重 要 脈 管 の 位 置 をあらゆる 角 度 から 確 認 することが 可 能 となった。【 結<br />

語 】 仮 想 内 視 鏡 によるナビゲーション 手 術 は、LDPにおける 解 剖 学 的<br />

位 置 の 理 解 を 深 め、 外 科 医 の 手 技 をより 安 全 確 実 なものとする。<br />

P98-4 23cm 大 の 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾<br />

部 切 除 術<br />

東 京 医 科 大 学 外 科 学 第 3 講 座<br />

○… 菊 池 哲 , 永 川 裕 一 , 粕 谷 和 彦 , 松 土 尊 映 , 鈴 木 芳 明 ,<br />

許 文 聰 , 高 橋 耕 輔 , 土 方 陽 介 , 土 田 明 彦<br />

【 背 景 】 近 年 、 膵 良 性 ・ 低 悪 性 度 病 変 に 対 する 腹 腔 鏡 下 膵 手 術 が 普 及<br />

してきている 一 方 、その 手 術 適 応 は 一 定 の 見 解 を 得 られていない。ま<br />

た 嚢 胞 性 疾 患 においては、 嚢 胞 径 のどこまでを 腹 腔 鏡 下 の 適 応 とする<br />

か 問 題 の 一 つとなる。 今 回 我 々は23cm 大 の 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 に 対 し<br />

腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 し、そのビデオを 供 覧 する。【 症 例 】<br />

症 例 は26 歳 女 性 。 近 医 にて 精 査 し、 膵 体 部 から 尾 部 にかけて23cm 大<br />

の 巨 大 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 を 指 摘 され 当 院 紹 介 となった。 嚢 胞 は 巨 大 で<br />

あったが、 脾 動 脈 根 部 近 傍 では 腫 瘍 は 接 しておらず、 腹 腔 鏡 下 のアプ<br />

ローチで 脾 動 脈 の 処 理 、 膵 切 離 が 可 能 と 判 断 したため、 腹 腔 鏡 下 での<br />

手 術 を 選 択 した。【 手 術 手 技 】 左 半 側 臥 位 とし、5ポートにて 行 った。<br />

胃 大 彎 から 胃 脾 間 膜 を 処 理 後 、 膵 体 部 背 側 を 剥 離 、 脾 動 脈 根 部 を 膵 背<br />

面 より 同 定 しクリップ 後 切 離 した。 次 に 切 離 ラインで 脾 静 脈 をクリッ<br />

プ 後 切 離 しendoGIAにて 膵 を 切 離 した。 嚢 胞 背 面 はEndo…Retractorに<br />

て 拳 上 することで 良 好 な 視 野 が 得 られLCSにて 剥 離 を 行 った。しかし、<br />

脾 上 極 の 脱 転 は 腹 腔 鏡 下 では 困 難 であったため、 下 腹 部 に 小 切 開 を 開<br />

け、 用 手 補 助 下 に 脾 の 脱 転 を 行 った。 摘 出 する 際 、 膵 実 質 より 嚢 胞 に<br />

向 けPTCDチューブを 挿 入 し、 漏 れないように 内 溶 液 を 吸 引 し、 嚢 胞<br />

を 縮 小 させ 小 切 開 部 より 摘 出 した。 手 術 時 間 は443 分 。 出 血 量 は<br />

130mlで、 術 後 合 併 症 はなく 術 後 10 日 目 に 退 院 となった。 病 理 結 果 は<br />

mucinous…cyst…adenomaであった。【 結 論 】 巨 大 な 膵 嚢 胞 性 病 変 に 対<br />

しても 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 は 比 較 的 良 好 な 視 野 が 得 られ、 安 全 に<br />

摘 出 が 可 能 であると 考 えられた。<br />

-519-


P98-5 30 代 女 性 の 膵 SolidPseudopapillary<br />

Neoplasm(SPN)に 対 し 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施<br />

行 した2 例<br />

三 井 記 念 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 阿 部 勇 人 , 南 村 圭 亮 , 真 船 健 一<br />

膵 Solid…Pseudopapillary…Neoplasm(SPN)は 若 年 女 性 に 多 い 良 悪 性 境<br />

界 病 変 である。 我 々は 膵 体 尾 部 に 発 生 した30 代 女 性 のSPNに 対 し 腹 腔<br />

鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した2 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】<br />

36 歳 女 性 。 健 診 の 胃 透 視 検 査 にて 胃 の 圧 排 像 を 認 め 外 来 受 診 。US/<br />

EUS: 膵 尾 部 に3.8cmの 内 部 不 均 一 な 低 エコー 腫 瘤 、CT: 内 部 不 均 一<br />

で 石 灰 化 を 伴 う 低 吸 収 の 腫 瘤 、MRCP: 嚢 胞 性 病 変 で 膵 管 に 異 常 所 見<br />

なし。 膵 尾 部 のSPNを 疑 い、 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 施 行 。 病 理 結 果<br />

では 厚 い 石 灰 化 した 被 膜 に 包 まれた 充 実 成 分 と 凝 血 を 容 れる 嚢 胞 成 分<br />

が 混 在 する 腫 瘍 を 認 めた。 免 疫 組 織 化 学 的 にはNSE(+),α<br />

1-antitrypsin(+),vimentin(+),chromograninA(-)であり、SPNと 診 断<br />

した。 術 後 膵 液 瘻 (gradeB)を 認 めたが、ドレーン 管 理 にて 保 存 的 に<br />

軽 快 し 術 後 53 日 目 に 退 院 となった。また 病 理 組 織 学 的 に 脈 管 侵 襲 を 認<br />

めたが 術 後 6ヶ 月 で 再 発 を 認 めない。【 症 例 2】30 歳 女 性 。5 年 前 より 膵<br />

尾 部 腫 瘍 を 指 摘 されていたが、 経 過 観 察 となっていた。 当 科 でのセカ<br />

ンドオピニオン 受 診 ののち 手 術 希 望 となった。US/CT/EUS: 膵 尾 部<br />

に3.4cmの 辺 縁 に 石 灰 化 を 伴 う 充 実 成 分 を 伴 う 嚢 胞 性 病 変 、MRI:<br />

T1WI/ 高 信 号 T2WI/ 低 信 号 。SPN 疑 いとして、 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部<br />

切 除 術 施 行 。 病 理 結 果 では 石 灰 化 した 被 膜 に 覆 われた 多 房 性 嚢 胞 性 腫<br />

瘍 であり、 細 胞 異 型 に 乏 しい 所 見 であった。 免 疫 組 織 化 学 的 にはNSE<br />

(±),α1-antitrypsin(±),vimentin(±),chromograninA(-),…<br />

synaptophysin(-)であり、SPNに 矛 盾 しない 所 見 であった。 術 後 膵 液<br />

瘻 (GradeA)を 認 めたが、 術 後 30 日 に 退 院 となった。【まとめ】 若 年 女<br />

性 に 多 い 低 悪 性 度 のSPNに 対 する 腹 腔 鏡 手 術 は 低 侵 襲 でかつ 美 容 面 で<br />

も 有 用 である。しかし、 自 動 縫 合 器 による 膵 切 離 の 安 全 性 は 報 告 され<br />

ているものの、 本 2 症 例 のように 一 定 の 確 率 で 術 後 に 軽 症 の 膵 液 瘻 が<br />

認 められるため、より 確 実 な 膵 切 離 法 が 求 められる。また、 脈 管 侵 襲<br />

などの 再 発 のリスク 因 子 を 時 に 認 めることもあるため 慎 重 な 術 後 経 過<br />

観 察 が 必 要 である。<br />

P98-6 腹 腔 鏡 下 膵 中 央 切 除 術 (Lap-CP)の 手 術 手 技 について<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 山 初 和 也 , 中 村 慶 春 , 松 本 智 司 , 田 尻 孝 , 内 田 英 二<br />

【 緒 言 】 当 教 室 では、 低 侵 襲 術 式 として 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 を2004 年 に<br />

導 入 し、 現 在 まで…87 例 に 施 行 しその 有 用 性 について 報 告 してきた。<br />

今 回 低 侵 襲 術 式 であり、なおかつ 機 能 温 存 効 果 も 併 せ 持 つ 腹 腔 鏡 下 膵<br />

中 央 切 除 術 (Lap-CP)に 対 する 我 々の 手 術 手 技 の 工 夫 点 について 報 告<br />

する。【 適 応 】Lap-CPは、 膵 内 分 泌 腫 瘍 や 膵 嚢 胞 性 疾 患 などの 低 悪 性<br />

度 腫 瘍 性 病 変 が、 膵 頸 部 から 膵 体 部 右 側 に 存 在 し、 核 出 術 の 適 応 がな<br />

い 場 合 に 施 行 される。 浸 潤 性 膵 管 癌 に 対 する 適 応 はない。【 手 術 手 技 】<br />

体 位 は 仰 臥 位 ・ 開 脚 で 固 定 され、トロッカーは5 本 (15mm 径 1 本 、<br />

12mm 径 1 本 、5mm 径 3 本 ) 使 用 する。 網 嚢 前 壁 を 切 開 し、 膵 頸 部 と 膵<br />

体 尾 部 の 前 面 を 露 出 する。 総 肝 動 脈 と 胃 十 二 指 腸 動 脈 起 始 部 を 露 出 し、<br />

膵 頸 部 上 縁 から 遊 離 しておく。 膵 下 縁 は 膵 頸 部 から 膵 体 部 にかけて 幅<br />

広 く 遊 離 し、 背 側 に 存 在 する 上 腸 間 膜 静 脈 と 脾 静 脈 を 十 分 に 露 出 した<br />

のちに、 門 脈 前 面 に 沿 ってtunnelingを 施 行 する。 自 動 縫 合 器 を 用 い<br />

て 膵 頸 部 を 切 離 し、 切 除 側 の 膵 断 端 を 前 方 に 挙 上 しながら 右 側 から、<br />

膵 体 部 を 脾 動 静 脈 よりenergy…device( 主 に 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 )で 遊<br />

離 していく。われわれは 吻 合 側 の 膵 切 離 も 自 動 縫 合 器 を 用 いて 行 って<br />

いる。これにより 腫 瘍 細 胞 のseedingの 原 因 となりえる 膵 管 内 膵 液 の<br />

腹 腔 内 飛 散 を 予 防 でき、また 膵 切 離 に 伴 う 出 血 を 軽 減 することが 可 能<br />

となる。 膵 消 化 管 吻 合 は、 教 室 の 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-<br />

PD) 手 法 と 同 様 に、 膵 切 離 断 端 の 直 上 に 約 4cmの 小 切 開 創 を 作 製 し 直<br />

視 下 に 縫 合 する。 膵 管 にかかっているステープルを 取 り 外 し、 柿 田 変<br />

法 で 胃 膵 吻 合 を 行 う。 膵 体 部 は 脊 椎 を 騎 乗 するため 比 較 的 前 方 に 位 置<br />

し 腹 壁 からの 距 離 が 近 く、 吻 合 部 の 膵 断 端 から 脾 臓 側 に 向 かって<br />

2-3cmに 渡 り 膵 後 面 を 遊 離 しておくことで、 小 切 開 創 からも 容 易 に 膵<br />

断 端 にアプローチすることができる。 腹 腔 内 を 洗 浄 したのちに 閉 鎖 式<br />

ドレーンを 留 置 し 手 技 を 終 了 する。【 結 語 】 本 術 式 は、 鏡 視 下 手 術 の<br />

低 侵 襲 性 ・ 整 容 性 だけではなく、 機 能 温 存 効 果 も 併 せ 持 つ 有 用 な 術 式<br />

である。 当 科 における 手 術 手 技 の 手 順 および 工 夫 点 を 報 告 した。<br />

P98-7 若 年 女 性 に 発 生 した 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍 に 対 して 腹<br />

腔 鏡 下 膵 中 央 切 除 術 (Lap-CP)を 施 行 した1 例<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 高 和 英 , 中 村 慶 春 , 山 初 和 也 , 松 本 智 司 , 吉 岡 正 人 ,<br />

松 下 晃 , 清 水 哲 也 , 内 田 英 二<br />

【 緒 言 】 教 室 では 現 在 まで 腹 腔 鏡 下 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (Lap-PD)、<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 、 膵 中 央 切 除 術 (Lap-CP)、 核 出 術 を 合 わせて91 例 に<br />

施 行 してきた。その 中 でLap-CPは、 核 出 術 の 適 応 とならない 膵 頸 部<br />

と 膵 体 部 右 側 の 低 悪 性 度 腫 瘍 に 対 する 機 能 温 存 術 式 として 有 用 な 術 式<br />

であると 思 われる。 今 回 若 年 女 性 に 発 生 した 膵 管 内 乳 頭 粘 液 性 腫 瘍<br />

(IPMN)に 対 して 施 行 したLap-CPについて、 術 中 所 見 を 中 心 に 報 告 す<br />

る。【 症 例 】 症 例 は29 歳 の 女 性 で、 身 長 159cm、 体 重 48kg、BMI19kg/<br />

m2であった。 腹 痛 の 精 査 で 施 行 した 腹 部 超 音 波 検 査 で 膵 体 部 に4.5cm<br />

大 の 腫 瘍 を 指 摘 された。 精 査 にて 分 枝 型 IPMNと 診 断 され 腹 腔 鏡 下 手<br />

術 目 的 で 当 院 に 紹 介 された。 症 状 を 有 し、 若 年 で 比 較 的 大 きな 腫 瘍 で<br />

あったことから 手 術 適 応 と 考 え、 嚢 胞 内 部 に 結 節 病 変 はなく 乳 頭 腺 腫<br />

と 診 断 しLap-CPを 予 定 術 式 とした。( 術 中 所 見 ) 体 位 は 仰 臥 位 で、ト<br />

ロッカーは5 本 使 用 した。 網 嚢 前 壁 を 切 開 し 膵 臓 の 前 面 を 露 出 した 後 に、<br />

膵 体 部 下 縁 の 漿 膜 を 腫 瘍 の 局 在 する 部 位 を 越 えて 左 側 まで 十 分 に 切 開<br />

した。 上 腸 間 膜 静 脈 ・ 門 脈 ・ 脾 静 脈 ・ 総 肝 動 脈 を 膵 臓 から 剥 離 し、 自<br />

動 縫 合 器 (ELS)で 膵 頚 部 を 切 離 した。 左 側 の 膵 切 離 断 端 を 把 持 し、 前<br />

方 に 挙 上 しながら 脾 動 静 脈 を 膵 臓 から 左 側 の 膵 切 離 予 定 部 を 越 えるま<br />

で 遊 離 し、 同 様 にELSで 左 側 の 膵 体 部 を 切 離 した。その 切 離 断 端 の 直<br />

上 の 腹 壁 を4cm 切 開 し、 切 除 標 本 を 取 り 出 した 後 に 同 創 から 直 視 下 に<br />

膵 胃 吻 合 を 施 行 した。 手 術 時 間 は408 分 、 出 血 量 は60mlであった。( 術<br />

後 経 過 ) 合 併 症 としてgradeAの 膵 液 漏 を 認 めたが、 保 存 的 に 軽 快 し 第<br />

26 病 日 に 退 院 した。 切 除 標 本 の 病 理 組 織 検 査 では 乳 頭 腺 腫 と 診 断 され<br />

た。【 結 語 】 本 術 式 は 再 建 術 を 必 要 とするため 術 式 の 標 準 化 には 吻 合<br />

操 作 における 工 夫 が 必 要 である。 今 回 報 告 した 手 法 は 当 科 のLap-PD<br />

の 手 法 を 応 用 したものである。 膵 切 離 部 位 に 合 わせて 小 切 開 創 を 作 製<br />

し、 術 後 の 膵 液 瘻 に 直 結 する 膵 消 化 管 吻 合 を 直 視 下 に 施 行 することが<br />

できるため、 鏡 視 下 手 術 の 低 侵 襲 性 を 損 なうことなく 外 科 医 が 安 心 し<br />

て 手 術 を 遂 行 することができる 手 法 であると 考 えられた。<br />

P98-8 膵 腫 瘍 核 手 術 : 手 技 の 工 夫 と 術 後 膵 機 能<br />

神 戸 大 学 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 白 川 幸 代 , 松 本 逸 平 , 外 山 博 近 , 新 関 亮 , 浅 利 貞 毅 ,<br />

後 藤 直 大 , 田 中 正 樹 , 山 下 博 成 , 沢 秀 博 , 上 野 公 彦 ,<br />

高 橋 応 典 , 土 田 忍 , 木 戸 正 浩 , 味 木 徹 夫 , 福 本 巧 ,<br />

具 英 成<br />

【 背 景 と 目 的 】 膵 腫 瘍 核 出 術 (EN)は、 低 侵 襲 かつ 機 能 温 存 に 優 れるが、<br />

適 切 な 症 例 選 択 と 術 中 膵 管 損 傷 や 術 後 膵 液 瘻 等 の 合 併 症 対 策 が 重 要 で<br />

ある。そのため 主 膵 管 に 腫 瘍 が 近 接 した 症 例 では 定 型 的 膵 切 除 が 選 択<br />

されることも 少 なくない。 当 科 での 主 膵 管 近 接 例 に 対 するENの 手 技<br />

の 工 夫 と、 術 後 膵 機 能 について 報 告 する。【 適 応 と 対 象 】ENで 根 治 性<br />

が 得 られると 診 断 し、 主 膵 管 狭 窄 や 閉 塞 所 見 のない 膵 腫 瘍 を 適 応 とし<br />

た。15 例 ( 男 性 7 例 、 女 性 8 例 、 平 均 年 齢 62 歳 、 平 均 腫 瘍 径 23mm、 局 在 :<br />

膵 頭 部 7 例 、 体 尾 部 8 例 、 診 断 : 内 分 泌 腫 瘍 9 例 (インスリノーマ8 例 )、<br />

十 二 指 腸 GIST2 例 、MCN1 例 、SPN1 例 、lymphoepithelial…cyst1 例 、<br />

脂 肪 壊 死 1 例 ) 中 、 主 膵 管 近 接 7 例 ( 頭 部 6 例 、 体 部 1 例 )で 術 前 に 膵 管 ス<br />

テントを 留 置 した。【 手 術 手 技 】 要 点 は、 術 前 膵 管 ステント 留 置 と、<br />

生 食 滴 下 型 バイポーラーの 使 用 である。 術 前 膵 管 ステント 留 置 により、<br />

術 中 USで 主 膵 管 と 腫 瘍 の 位 置 関 係 が 明 瞭 に 把 握 できる。また 生 食 滴<br />

下 型 バイポーラーは 止 血 能 に 優 れ、 良 好 な 視 野 のもと 腫 瘍 辺 縁 に 沿 っ<br />

たfineな 操 作 が 可 能 となり、 正 常 膵 組 織 へのダメージを 最 小 限 にでき<br />

る。【 術 後 合 併 症 】 主 膵 管 までの 平 均 距 離 は 膵 管 ステント 留 置 例 、 非<br />

留 置 例 で2.5mm、7.2mmであった。ISGPF 分 類 による 膵 液 瘻 はステン<br />

ト 留 置 例 でGrade…A…3 例 、B…1 例 、 非 留 置 例 でA…2 例 、B…2 例 であった。<br />

ステント 留 置 の1 例 で 術 中 主 膵 管 を 損 傷 し 術 後 膵 液 瘻 (Grade…B )を 来<br />

たしたが、ステントが 治 療 的 にも 有 効 であった。【 術 後 膵 内 分 泌 機 能 】<br />

術 後 6ヶ 月 までにインスリノーマの2 例 で 血 糖 コントロールが 悪 化 し、<br />

うち1 例 で 血 糖 降 下 剤 内 服 を 要 した。 術 前 および 術 後 6ヶ 月 のHbA1c<br />

はインスリノーマ 例 では 平 均 4.5→5.3(%)と 上 昇 し、 非 インスリノー<br />

マ 例 では5.1→5.1(%)と 変 化 がなかった。【 結 語 】 主 膵 管 近 接 例 におい<br />

ても 術 前 膵 管 ステント 留 置 により 安 全 にENが 可 能 である。 膵 頭 部 病<br />

変 では 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 回 避 でき 低 侵 襲 性 のメリットが 大 きい。<br />

また 機 能 温 存 の 面 でも、 当 科 で 術 前 糖 尿 病 を 認 めない 尾 側 膵 切 除 52 例<br />

を 検 討 したところHbA1cは6ヶ 月 で 平 均 5.4→6.2(%)と 有 意 に 上 昇 、<br />

27%に 新 規 糖 尿 病 を 認 めており、ENは 膵 内 分 泌 機 能 温 存 に 優 れてい<br />

ると 考 えられた。<br />

-520-


P98-9 嚢 胞 性 膵 腫 瘍 に 対 する 腹 腔 鏡 下 腫 瘍 核 出 術 の 有 用 性<br />

昭 和 大 学<br />

○… 古 泉 友 丈 , 村 上 雅 彦 , 青 木 武 士 , 榎 並 延 太 , 小 池 礼 子 ,<br />

藤 森 聡 , 伊 達 博 三 , 和 田 友 祐 , 加 藤 貴 史<br />

【はじめに】われわれは2009 年 6 月 より 腹 腔 鏡 下 膵 切 除 術 を 導 入 。 腹<br />

腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 を 中 心 に 現 在 まで19 例 経 験 、その 有 用 性 と 安 全 性<br />

について 報 告 してきた。 今 回 、 低 侵 襲 性 や 機 能 温 存 を 考 慮 した 腹 腔 鏡<br />

下 膵 腫 瘍 核 出 術 を2 例 経 験 したので 手 術 のコツとその 有 用 性 について<br />

報 告 したい。【 適 応 ・ 方 法 】 術 前 検 査 で 良 性 もしくは 低 悪 性 と 考 えら<br />

れる、 膵 外 突 出 型 の 腫 瘍 を 適 応 としている。また、 腫 瘍 が 主 膵 管 と 近<br />

接 している 場 合 は 適 応 外 とした。 仰 臥 位 、 基 本 は5ポートにて、 膵 被<br />

膜 ならびに 腫 瘍 壁 を 特 殊 鉗 子 で 把 持 し、 熱 凝 固 デバイスを 用 いて 腫 瘍<br />

壁 周 囲 に 沿 って 丹 念 で 繊 細 な 剥 離 ならびに 切 離 を 行 った。 腫 瘍 に 流 入<br />

していると 思 われる 索 状 物 に 関 してはcliping 処 理 し 切 離 した。 核 出 腫<br />

瘍 は 回 収 バックにて 取 出 し、 術 中 迅 速 病 理 診 断 を 行 い、 悪 性 所 見 のな<br />

いことを 確 認 している。【 症 例 1】60 歳 女 性 、 膵 体 部 2.5cmと 尾 部 3cm<br />

の 突 出 する 分 枝 型 IPMNを 認 め 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切 除 + 核 出 術 を 施 行 。<br />

手 術 時 間 155 分 、 出 血 量 少 量 、 術 後 在 院 日 数 は9 日 、 膵 液 瘻 GradeA,B<br />

等 の 合 併 症 なく 退 院 。 病 理 診 断 は 分 枝 型 IPMAであった。【 症 例 2】59<br />

歳 女 性 、 膵 頭 部 前 面 3cmの 突 出 する 分 枝 型 IPMNを 認 め 腹 腔 鏡 下 膵 腫<br />

瘍 核 出 術 を 施 行 。 手 術 時 間 145 分 、 出 血 少 量 、 術 後 在 院 日 数 は11 日 、<br />

GradeAの 膵 液 瘻 を 認 めたが、 問 題 なく 退 院 。 病 理 診 断 は 分 枝 型<br />

IPMAであった。【 結 語 】 腹 腔 鏡 下 膵 腫 瘍 核 出 術 は 低 侵 襲 で 術 後 経 過<br />

も 良 好 であった。 適 応 が 限 定 される 術 式 であるが、 機 能 温 存 が 可 能 で<br />

あり 安 全 で 有 用 な 術 式 と 考 えられた。<br />

P99-1 外 傷 性 膵 損 傷 に 対 する 手 術 治 療 例 37 例 の 検 討 - 術 後 経<br />

過 に 寄 与 する 因 子 の 考 察<br />

旭 中 央 病 院 外 科<br />

○… 三 瀬 祥 弘 , 田 中 信 孝 , 古 屋 隆 俊 , 野 村 幸 博 , 永 井 元 樹 ,<br />

吉 田 幸 弘 , 加 賀 谷 英 生 , 松 本 尊 嗣 , 櫻 岡 佑 樹 , 村 山 智 紀 ,<br />

小 池 大 助 , 須 原 正 光 , 唐 崎 隆 弘 , 原 田 有 三 , 大 矢 周 一 郎 ,<br />

瀬 尾 明 彦 , 福 元 健 人<br />

【 背 景 と 対 象 】 外 傷 性 膵 損 傷 は 稀 な 病 態 であるため 症 例 の 蓄 積 が 難 し<br />

く、 治 療 成 績 についてまとまった 報 告 は 少 ない。1979 年 から2011 年 の<br />

間 に 当 院 で 外 傷 性 膵 損 傷 に 対 し 手 術 治 療 を 行 った37 例 ( 年 齢 中 央 値 :<br />

35 歳 、 男 性 :26 例 、 女 性 :11 例 )を 検 証 し、 術 後 経 過 に 寄 与 する 因 子<br />

について 考 察 した。【 結 果 】 日 本 外 傷 学 会 分 類 に 基 づくと、I 型 :13 例 、<br />

II 型 :9 例 、III 型 :15 例 であった。16 例 で 膵 外 臓 器 損 傷 を 合 併 していた。<br />

受 傷 から 手 術 までに 要 した 時 間 中 央 値 は14 時 間 で、 手 術 適 応 根 拠 は、<br />

画 像 診 断 :22 例 、 腹 膜 炎 症 状 :10 例 、shock…vital:5 例 であった。 術<br />

式 はドレナージ:12 例 、 損 傷 部 縫 合 閉 鎖 :6 例 、 膵 切 除 :18 例 ( 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 :2 例 、 膵 体 尾 部 切 除 〔DP〕:8 例 、Letton…&…Wilson〔L-<br />

W〕:8 例 )、ガーゼパッキング:1 例 であった。 死 亡 例 を2 例 認 めた。<br />

入 院 日 数 中 央 値 はI 型 :30 日 、II 型 :60 日 、III 型 :37 日 で、 損 傷 形 態<br />

による 差 を 認 めなかった。I・II 型 では 受 傷 から 手 術 の 時 間 と 入 院 日<br />

数 に 相 関 が 認 められた( 図 )。III 型 の 入 院 日 数 中 央 値 はDP 施 行 7 例 :33<br />

日 、L-W 施 行 7 例 :49 日 で 両 群 に 差 を 認 めなかった。【 結 語 】 膵 管 損 傷<br />

を 伴 わない 外 傷 性 膵 損 傷 では、 迅 速 な 診 断 による 手 術 適 応 が 経 過 を 左<br />

右 する。 膵 管 損 傷 例 に 対 する 膵 空 腸 吻 合 術 は、 術 後 入 院 日 数 を 延 長 せ<br />

ず 積 極 的 に 施 行 しうる。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P99-2 単 施 設 における 外 傷 性 膵 損 傷 の 検 討<br />

1<br />

東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 一 般 ・ 消 化 器 外 科 、 2 東 邦 大 学<br />

医 療 センター 大 森 病 院 総 合 診 療 ・ 急 病 センター 外 科 、 3 東 邦 大<br />

学 医 療 センター 大 森 病 院 救 命 救 急 センター<br />

○… 鏡 哲 1<br />

, 田 村 晃 1<br />

, 大 塚 由 一 郎 1<br />

, 土 屋 勝 1<br />

, 久 保 田 嘉 久 1<br />

,<br />

石 井 淳 1<br />

, 前 田 徹 也 1<br />

, 片 桐 敏 雄 1<br />

, 本 田 喜 子 2<br />

, 島 田 長 人 2<br />

,<br />

吉 原 克 則 3<br />

, 島 田 英 昭 1 1<br />

, 金 子 弘 真<br />

膵 損 傷 は 腹 部 外 傷 の 中 で 比 較 的 稀 な 疾 患 であり、1 施 設 で 経 験 する 症<br />

例 数 はごく 少 ない。また、 他 臓 器 損 傷 を 伴 っていることが 多 く、 診 断 ・<br />

治 療 に 苦 慮 することが 多 い。… 当 院 における 過 去 5 年 間 で 経 験 した 外 傷<br />

性 膵 損 傷 5 例 の 治 療 方 針 、 術 式 などにつきretrospectiveに 検 討 した。…<br />

平 均 年 齢 は39.6 歳 で 全 例 が 男 性 であった。 受 傷 機 転 は 鈍 的 外 傷 4 例 、<br />

鋭 的 外 傷 1 例 であった。3 例 が 来 院 時 ショックを 呈 していた。 内 視 鏡 的<br />

逆 行 性 膵 管 造 影 (ERP)は 来 院 時 ショック 状 態 でなかった2 例 に 施 行 し、<br />

2 例 ともに 主 膵 管 損 傷 を 認 めた。 腹 腔 内 臓 器 に 限 れば 単 独 損 傷 は1 例 で、<br />

そのほかの4 例 は 他 の 腹 腔 内 臓 器 損 傷 を 合 併 していた。その 内 訳 は、<br />

十 二 指 腸 1 例 、 肝 2 例 、 結 腸 1 例 、 腎 2 例 、 大 動 脈 1 例 、( 症 例 重 複 あり)で<br />

あった。 膵 損 傷 分 類 2008は、I 型 1 例 、II 型 1 例 、IIIb 型 3 例 であった。<br />

開 腹 手 術 は、 出 血 性 ショック3 例 、 腹 膜 炎 1 例 に 行 った。そのうちの1<br />

例 に 術 前 TAEを 施 行 した。 開 腹 手 術 4 例 のうち、 膵 損 傷 分 類 I 型 の1 例<br />

はドレナージのみ、II 型 の1 例 には 単 純 縫 合 のみ、IIIb 型 2 例 には 膵 尾<br />

部 切 除 とドレナージ 術 を 施 行 した。ドレナージ 術 のIIIb 型 はその 後 4<br />

回 の 開 腹 手 術 を 行 ったが、 敗 血 症 のため 死 亡 した。その 他 の3 例 は、<br />

特 に 合 併 症 なく 退 院 された。また、 非 開 腹 症 例 のIIIb 型 1 例 は 内 視 鏡<br />

的 経 鼻 膵 管 ドレナージ(ENPD)を 施 行 し 保 存 的 に 改 善 し 退 院 された。<br />

外 傷 性 膵 損 傷 治 療 の 鍵 となるのは、 主 膵 管 損 傷 の 有 無 にあるとされる<br />

が、その 正 確 な 診 断 にはERPが 最 適 と 考 える。また、 他 臓 器 損 傷 の 把<br />

握 も 生 命 予 後 を 考 えた 治 療 方 針 を 決 定 する 上 で 重 要 な 要 因 であり、 全<br />

身 状 態 とのバランスを 考 えた 治 療 方 針 が 必 要 である。<br />

P99-3 当 院 における 外 傷 性 膵 損 傷 症 例 の 検 討<br />

都 立 広 尾 病 院 外 科<br />

○… 原 義 明 , 中 島 康 , 中 野 智 継 , 川 上 雅 代 , 塩 入 貞 明 ,<br />

小 林 隆 , 安 野 正 道 , 南 智 仁<br />

(はじめに) 外 傷 性 膵 損 傷 に 対 する 治 療 方 針 、 術 式 は、 特 に 重 症 例 につ<br />

いてはいまだ 確 立 されておらず、 施 設 により、また 症 例 ごとにより 様 々<br />

である。 当 院 における、 今 までの 膵 損 傷 症 例 の 治 療 方 法 、 経 過 につき<br />

検 討 した。( 対 象 と 方 法 )2001 年 から2011 年 までに 当 院 で 経 験 した 膵 外<br />

傷 15 例 ( 男 性 7 例 、 女 性 8 例 )につき、 術 式 、 経 過 などにつき 検 討 した。( 結<br />

果 ) 平 均 年 齢 40.1 歳 。 鈍 的 外 傷 12 例 、 鋭 的 外 傷 3 例 。 膵 損 傷 分 類 はI 型 4 例 、<br />

II 型 5 例 、IIIa 型 2 例 、IIIb 型 4 例 。 腹 腔 内 単 独 膵 外 傷 は7 例 (46.7%)で、4<br />

例 (26.7%)で 骨 折 、 血 気 胸 など 腹 腔 外 外 傷 を、また8 例 (53.3%)で 肝 、 脾 、<br />

胃 、 十 二 指 腸 、 門 脈 など 腹 腔 内 他 臓 器 損 傷 を 同 時 に 認 めた。 他 臓 器 損<br />

傷 では 十 二 指 腸 が5 例 (33.3%)と 最 も 多 かった。 手 術 は12 例 (80%;I 型<br />

2 例 、II 型 4 例 、IIIa 型 2 例 、IIIb4 例 )で 施 行 し、I 型 2 例 、II 型 1 例 は 保 存<br />

的 治 療 のみで 治 癒 した。 手 術 例 のうち、I 型 の2 例 は 膵 損 傷 に 対 しては<br />

特 に 処 置 せず。II 型 の4 例 、およびIIIa 型 の1 例 で 膵 縫 合 を 行 った。IIIa<br />

型 のもう1 例 は 腹 腔 内 出 血 に 対 してガーゼパッキングを 行 ったが、 術<br />

直 後 に 死 亡 。IIIb 型 の4 例 は 十 二 指 腸 損 傷 を 伴 う 膵 頭 部 断 裂 の2 例 に 対<br />

して2 期 的 にPD(2 例 )を 施 行 、 膵 頭 部 断 裂 のみの1 例 に2 期 的 にLetton<br />

&Wilson 手 術 を 施 行 、 体 部 断 裂 の1 例 に 対 して 体 尾 部 切 除 を 行 った。<br />

転 帰 については、 腹 腔 内 多 臓 器 損 傷 を 伴 う2 例 (いずれもIIIa 型 )でそ<br />

れぞれ 術 直 後 、 術 後 10 日 目 で 死 亡 したほかは、IIIb 型 の4 例 を 含 め 生<br />

存 退 院 した。( 結 論 ) 膵 外 傷 では 他 臓 器 損 傷 を 伴 っていることが 多 く、<br />

当 院 での 経 験 症 例 では 約 半 数 に 腹 腔 内 多 臓 器 損 傷 を 認 めた。 他 臓 器 の<br />

損 傷 修 復 のため 開 腹 手 術 となる 症 例 が 多 いが、I 型 に 対 しては 特 に 処<br />

置 せず、II 型 は 膵 縫 合 あるいは 無 処 置 でいずれも 軽 快 している。 膵 管<br />

断 裂 を 伴 う 重 症 例 は 再 建 を2 期 的 に 行 うことでいずれも 良 好 な 経 過 を<br />

得 ている。<br />

-521-


P99-4 当 院 における 外 傷 性 膵 損 傷 (3b 型 )4 例 の 検 討 <br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科<br />

○… 中 村 直 人 , 光 吉 明 , 伊 藤 孝 , 松 林 潤 , 余 語 覚 匡 ,<br />

鬼 頭 祥 悟 , 花 本 浩 一 , 中 山 雄 介 , 平 良 薫 ,<br />

土 井 隆 一 郎<br />

外 傷 性 膵 損 傷 においては 迅 速 な 診 断 と 適 切 な 治 療 法 の 選 択 が 大 きく 予<br />

後 を 左 右 する。 当 院 で 経 験 した 外 傷 性 膵 損 傷 (3b 型 )の4 例 を 報 告 する。<br />

症 例 1:57 歳 女 性 。 軽 トラック 走 行 中 にガードレールに 衝 突 、ハンド<br />

ルで 腹 部 を 打 撲 し 当 院 に 救 急 搬 送 された。 搬 送 時 の 循 環 動 態 は 安 定 。<br />

腹 部 CTおよびUSで 膵 頭 体 部 移 行 部 付 近 に 膵 実 質 と 主 膵 管 の 断 裂 と 血<br />

腫 形 成 を 認 めた。 膵 体 尾 部 脾 摘 術 を 施 行 し、 術 後 膵 液 漏 や 腹 膜 炎 を 呈<br />

することなく 良 好 に 経 過 して28 日 目 に 退 院 した。 症 例 2:10 歳 女 性 。<br />

学 校 で 鬼 ごっこをしているときに 前 のめりに 転 倒 して 木 の 根 に 腹 部 を<br />

打 撲 し、 救 急 搬 送 された。 搬 送 時 の 循 環 動 態 は 安 定 。 腹 部 CTおよび<br />

USで 膵 頭 部 実 質 の 断 裂 を 認 めた。 膵 体 尾 部 脾 摘 術 を 施 行 し、 術 後 経<br />

過 は 良 好 にて73 日 目 に 退 院 した。 症 例 3:21… 歳 男 性 。キックボクシン<br />

グの 練 習 中 に 腹 部 に 膝 蹴 りを 受 け、 当 院 救 急 外 来 を 受 診 した。 来 院 時<br />

の 循 環 動 態 は 安 定 。 腹 部 CTおよびUSで 膵 頭 部 実 質 の 不 全 断 裂 と 主 膵<br />

管 の 完 全 断 絶 を 認 めた。 膵 体 尾 部 空 腸 吻 合 術 を 施 行 。 術 後 限 局 性 の 膵<br />

液 漏 を 発 症 したが 保 存 的 に 治 癒 、42 日 目 に 退 院 した。 症 例 4:85 歳 男 性 。<br />

脳 梗 塞 後 遺 症 に 対 しバイアスピリン 内 服 中 であった。 自 宅 にて 転 倒 し、<br />

上 腹 部 を 机 の 角 で 強 打 、 倒 れているところを 訪 問 ヘルパーが 発 見 し、<br />

当 院 救 急 搬 送 となった。 搬 送 時 はショック 状 態 で、 造 影 CTおよびUS<br />

で 膵 頭 部 完 全 離 断 と 体 部 実 質 の 広 範 囲 挫 滅 、 後 腹 膜 や 結 腸 間 膜 内 に 大<br />

量 出 血 を 認 めた。 血 圧 維 持 困 難 にてすぐに 腹 腔 内 止 血 術 および 膵 体 尾<br />

部 脾 摘 術 を 施 行 した。 術 後 、 胃 潰 瘍 からの 出 血 により 内 視 鏡 的 止 血 術<br />

を 要 したが 概 ね 経 過 良 好 にて40 日 で 退 院 した。 主 膵 管 損 傷 を 伴 う 膵 損<br />

傷 は 全 例 手 術 適 応 であり、 膵 機 能 温 存 の 点 では 可 能 であれば 膵 胃 吻 合<br />

や 膵 空 腸 吻 合 が 望 ましいが 術 式 選 択 は 決 して 容 易 ではない。 大 きな 術<br />

後 合 併 症 や 耐 糖 能 異 常 をおこすことなく 救 命 しえた3b 型 外 傷 性 膵 損<br />

傷 の4 例 の 診 断 、 術 式 選 択 、 術 後 経 過 に 関 して 報 告 する。<br />

P99-5 3b 型 鈍 的 膵 損 傷 の2 例<br />

県 立 広 島 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 沖 本 将 , 眞 次 康 弘 , 大 森 一 郎 , 大 石 幸 一 , 小 橋 俊 彦 ,<br />

中 原 英 樹 , 漆 原 貴 , 板 本 敏 行<br />

【 諸 言 】 腹 部 外 傷 のなかで 膵 損 傷 は 比 較 的 稀 であり、 主 膵 管 損 傷 を 伴<br />

う 膵 損 傷 に 関 する 診 断 ・ 治 療 指 針 は 確 立 してない。 今 回 、われわれは<br />

3b 型 鈍 的 膵 損 傷 の2 例 を 経 験 したので 術 式 について 若 干 の 考 察 を 加 え<br />

報 告 する。【 症 例 1】25 歳 女 性 。 転 落 外 傷 のため 当 院 救 急 搬 送 された。<br />

膵 体 部 損 傷 (3b 型 )の 診 断 で 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 ( 脾 動 静 脈 温 存 )を 施<br />

行 した( 術 後 膵 液 瘻 :gradeA…)。 経 過 良 好 にて 術 後 11 日 目 に 整 形 外 科<br />

転 科 、 術 後 21 日 目 に 退 院 したが、 術 後 70 日 目 の 腹 部 造 影 CT 検 査 で 仮<br />

性 膵 嚢 胞 、 仮 性 脾 動 脈 瘤 、 脾 静 脈 狭 窄 を 指 摘 された。IVRにて 脾 動 脈<br />

コイル 塞 栓 術 を 施 行 し 軽 快 した。【 症 例 2】56 歳 女 性 。 転 落 外 傷 のため<br />

当 院 救 急 搬 送 された。 膵 体 部 損 傷 (3b 型 )および 肝 損 傷 (3b 型 )の 診 断<br />

でIVRによる 止 血 を 試 みたが 困 難 であったため、 大 動 脈 遮 断 バルーン<br />

カテーテルを 挿 入 後 に 緊 急 手 術 を 施 行 した。 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 およ<br />

び 肝 縫 合 止 血 術 を 施 行 した( 術 後 膵 液 瘻 :gradeA)。 術 後 経 過 は 良 好<br />

で 術 後 77 日 目 に 退 院 となり、 現 在 まで 経 過 良 好 である。【 考 察 】 膵 体<br />

部 損 傷 (3b 型 )の 術 式 に 関 する 明 らかな 選 択 基 準 はなく 症 例 に 応 じて<br />

慎 重 に 選 択 する 必 要 がある。 術 式 として 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 、 脾 温 存<br />

膵 体 尾 部 切 除 、Letton-Wilson 法 、Martin 法 などがある。 症 例 1では 健<br />

康 若 年 者 で 重 大 な 他 臓 器 合 併 症 がなく、 循 環 動 態 も 安 定 していたため<br />

脾 動 静 脈 を 温 存 した 脾 温 存 膵 体 尾 部 切 除 術 を 選 択 したが、 遅 発 性 に 仮<br />

性 脾 動 脈 瘤 、 脾 静 脈 狭 窄 を 形 成 した。 鈍 的 損 傷 による 動 静 脈 を 含 む 膵<br />

周 囲 組 織 の 圧 挫 損 傷 の 可 能 性 もあり、 脾 動 静 脈 を 処 理 するWarshaw<br />

法 の 選 択 も 考 えられた。 症 例 2は 腹 腔 内 大 量 出 血 を 伴 う 多 臓 器 損 傷 で<br />

あり、 時 間 短 縮 が 要 求 され 脾 合 併 膵 体 尾 部 切 除 術 を 適 応 した。【 結 語 】<br />

3b 型 鈍 的 膵 損 傷 の2 例 を 経 験 し、1 例 に 遅 発 性 の 仮 性 動 脈 瘤 、 静 脈 狭<br />

窄 を 合 併 した。 主 膵 管 損 傷 を 合 併 した 膵 損 傷 手 術 例 の 報 告 はいまだ 少<br />

なく、 多 施 設 で 症 例 を 集 積 して 術 式 を 検 討 することが 望 まれる。<br />

P99-6 当 科 で 経 験 した3b 型 膵 外 傷 の2 例<br />

公 立 置 賜 総 合 病 院 外 科<br />

○… 長 谷 川 繁 生 , 小 澤 孝 一 郎 , 東 敬 之 , 神 尾 幸 則 , 横 山 森 良 ,<br />

木 村 真 五 , 橋 本 敏 夫 , 薄 場 修 , 豊 野 充<br />

(はじめに)3b 型 膵 外 傷 は、 膵 実 質 と 主 膵 管 の 損 傷 と 定 義 され、その<br />

診 断 、 治 療 が 困 難 な 症 例 が 多 い。 今 回 、 我 々は、2 例 の3b 型 膵 外 傷 を<br />

経 験 し、それぞれ 手 術 的 治 療 と 保 存 的 治 療 で 軽 快 したので 報 告 する。<br />

( 症 例 )1).69 歳 男 性 、 主 訴 は 腹 痛 、 現 病 歴 2006 年 3 月 25 日 軽 トラッ<br />

クを 運 転 中 に 事 故 に 遭 い、 当 院 救 命 センターを 受 診 し、 腹 腔 内 出 血 の<br />

診 断 で 緊 急 開 腹 術 を 施 行 した。 開 腹 所 見 では、 膵 頭 部 が 明 らかに 断 裂<br />

していた。 膵 頭 部 を4-0PDSで 縫 合 閉 鎖 の 後 に、 体 尾 部 の 主 膵 管 に4Fr<br />

の 膵 管 チューブを 挿 入 し、 小 腸 と 吻 合 し、 次 いで 小 腸 と 膵 実 質 を 縫 合<br />

した。 術 後 経 過 は 良 好 で4 月 30 日 に 独 歩 退 院 となった。2)76 歳 男 性 、<br />

主 訴 背 部 痛 既 往 歴 心 房 細 動 、 鬱 血 性 心 不 全 。 現 病 歴 2010 年 7<br />

月 7… 日 朝 、 自 宅 で 自 転 車 を 足 場 として 棚 上 の 物 を 取 ろうとして 後 ろ 向<br />

きに 転 倒 し、 棚 上 の 物 (10kg 相 当 )が 腹 部 に 落 下 し、 背 部 痛 を 訴 えて、<br />

当 院 ERを 受 診 した。ERでは、 腰 椎 L1の 圧 迫 骨 折 の 診 断 で 帰 宅 させた。<br />

2 日 目 腹 痛 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 し、アミラーゼ 高 値 とCTで 膵 損 傷 を 指<br />

摘 され、 当 院 外 科 に 紹 介 となり、MRCP,CTで 主 膵 管 損 傷 が 疑 われる<br />

3b 型 膵 損 傷 として2010 年 7 月 9… 日 緊 急 入 院 となった。 鬱 血 性 心 不 全 な<br />

ど 合 併 症 の 著 しい 症 例 であり、 保 存 的 に 経 過 をみて、4 日 後 の7 月 13 日<br />

にERCPを 施 行 し、 主 膵 管 の 断 裂 を 確 認 後 、その 断 裂 部 を 超 えて 膵 管<br />

チューブを 挿 入 した。 保 存 的 治 療 を 継 続 して、58 病 日 に 独 歩 退 院 となっ<br />

た。( 考 察 )3b 型 膵 外 傷 の2 例 を 経 験 したので 報 告 した。1 例 は 腹 腔 内 出<br />

血 を 伴 い、 緊 急 手 術 を 施 行 し、1 例 は、 主 膵 管 断 裂 を 認 めたが、 膵 管<br />

チューブによる 保 存 的 治 療 が 奏 功 して、 軽 快 した。3b 型 膵 外 傷 につ<br />

いては、 最 近 では 当 科 で 経 験 したような 保 存 的 治 療 が 選 択 される 場 合<br />

もあり、 若 干 の 文 献 的 な 考 察 も 含 めて 報 告 する。<br />

P99-7 術 中 膵 管 ステントおよび 腹 腔 ドレナージ 術 により 膵 切<br />

除 を 回 避 し 得 た3b 型 外 傷 性 膵 損 傷 の1 例<br />

健 康 保 険 人 吉 総 合 病 院 外 科<br />

○… 水 元 孝 郎 , 田 浦 尚 宏 , 木 村 正 美<br />

症 例 は20 歳 男 性 。2011 年 7 月 、 乗 用 車 の 助 手 席 に 乗 車 中 、4トントラッ<br />

クと 正 面 衝 突 し 胸 腹 部 を 強 打 して 近 医 へ 救 急 搬 送 となった。 緊 急 CT<br />

にて 腹 腔 内 液 体 貯 留 とフリーエアー、 膵 実 質 の 造 影 不 良 域 、 左 鎖 骨 骨<br />

折 が 認 められた。 外 傷 性 消 化 管 損 傷 、 膵 損 傷 および 腹 腔 内 出 血 の 疑 い<br />

にて 当 院 へ 紹 介 搬 送 となった。 搬 送 時 、 血 圧 70/45mmHg、 脈 拍 120<br />

回 /min、 腹 部 全 体 に 圧 痛 、 筋 性 防 御 を 認 めた。 造 影 CTでフリーエアー<br />

を 伴 う 腹 腔 内 液 体 貯 留 を 認 め、 膵 頭 部 の 造 影 不 良 域 、 胃 十 二 指 腸 動 脈<br />

からの 造 影 剤 血 管 外 漏 出 の 所 見 もみられ、 緊 急 手 術 を 行 った。 開 腹 所<br />

見 では 腹 腔 内 に 多 量 の 血 腫 を 認 め、 十 二 指 腸 は 離 断 し 腸 管 内 容 物 が 漏<br />

出 していた。 膵 頭 部 は 足 側 約 2/3が 裂 挫 しており、 胃 十 二 指 腸 動 脈 か<br />

らの 出 血 を 認 めた。 動 脈 の 結 紮 止 血 後 に 洗 浄 し 確 認 したところ、 膵 は<br />

完 全 離 断 には 至 っておらず、 十 二 指 腸 下 降 脚 を 開 放 して 乳 頭 部 側 より<br />

膵 管 にチュービングして 造 影 すると、 膵 管 は 体 尾 部 まで 造 影 された。<br />

3b 型 膵 損 傷 と 考 えられたが 膵 実 質 温 存 が 可 能 と 判 断 し、 離 断 した 十 二<br />

指 腸 を 吻 合 し、 胆 嚢 摘 除 後 に 胆 道 チュービング、 膵 管 ステント 留 置 、<br />

腸 瘻 造 設 、 腹 腔 内 ドレナージを 行 い 手 術 を 終 了 した。 手 術 時 間 は4 時 間 、<br />

出 血 量 は 血 腫 を 含 めて1450gであった。 術 後 、 膵 液 瘻 を 認 め、 腹 腔 内<br />

膿 瘍 の 形 成 もみられたが、ドレナージにより 限 局 化 され、 徐 々に 改 善<br />

を 認 めた。 経 腸 栄 養 を 早 期 から 開 始 し、 術 後 16 日 目 より 食 事 を 開 始 し<br />

たが 問 題 はなかった。 入 院 経 過 中 にエコーおよびCTで 観 察 を 行 ったが、<br />

限 局 した 仮 性 膵 嚢 胞 は 増 大 なく 経 過 は 良 好 で 術 後 53 日 目 に 退 院 となっ<br />

た。 本 症 例 は3b 型 膵 損 傷 であり、 広 範 膵 体 尾 部 切 除 や 主 膵 管 再 建 膵<br />

吻 合 、Letton-Wilson 手 術 などの 術 式 検 討 が 必 要 な 症 例 と 思 われたが、<br />

出 血 性 ショックを 来 たし 短 時 間 の 手 術 が 望 ましいことと 若 年 者 であり<br />

将 来 の 膵 機 能 温 存 を 考 え、 本 術 式 を 選 択 した。 今 回 われわれは 術 中 膵<br />

管 ステントおよび 腹 腔 ドレナージ 術 により 膵 切 除 を 回 避 し 得 た3b 型<br />

外 傷 性 膵 損 傷 の 症 例 を 経 験 したため、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告<br />

する。<br />

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P99-8 若 年 性 外 傷 性 膵 損 傷 の2 例<br />

磐 田 市 立 総 合 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 村 上 智 洋 , 落 合 秀 人 , 嘉 山 貴 文 , 神 藤 修 , 鈴 木 昌 八<br />

外 傷 性 膵 損 傷 において 治 療 方 針 を 決 定 する 重 要 な 因 子 に 主 膵 管 損 傷 が<br />

ある. 今 回 我 々は, 若 年 性 外 傷 性 膵 損 傷 の2 例 に 対 し, 主 膵 管 損 傷 を<br />

ERPで 評 価 した 後 に, 治 療 法 を 選 択 し 良 好 な 結 果 を 得 たため 報 告 する.<br />

症 例 1…13 歳 男 性 自 転 車 搭 乗 中 に 転 倒 し, 左 上 腹 部 をハンドルで 殴 打 .<br />

その 後 , 嘔 吐 と 増 悪 する 腹 痛 が 出 現 し, 当 科 受 診 となった. 血 液 生 化<br />

学 検 査 所 見 :WBC…14100…/μL,CRP…8.41…mg/dL, 血 清 アミラーゼ<br />

1061…IU/Lの 高 値 を 認 めた. 画 像 所 見 :【 造 影 CT】 膵 尾 部 に 線 状 の 低<br />

吸 収 域 と 胃 体 部 背 側 ,ダグラス 窩 に 腹 水 を 認 め, 膵 損 傷 と 診 断 した.<br />

【MRCP】 主 膵 管 の 損 傷 が 疑 われたが 不 明 瞭 であった.【ERP】 主 膵<br />

管 にCTでの 膵 実 質 損 傷 部 に 一 致 したわずかなpoolingを 認 めたが, 全<br />

長 にわたって 描 出 され, 膵 外 への 造 影 剤 の 流 出 は 認 めなかった. 膵 損<br />

傷 分 類 IIIa(Pt)と 診 断 し, 絶 食 ・ 補 液 ・ 抗 生 剤 ・ 蛋 白 分 解 酵 素 阻 害 薬<br />

による 保 存 的 治 療 を 行 った. 第 6 病 日 から 経 口 摂 取 を 開 始 し, 第 12 病<br />

日 に 退 院 した. 受 傷 後 3 年 現 在 , 腹 部 症 状 や 膵 仮 性 嚢 胞 の 形 成 はみら<br />

れていない. 症 例 2……16 歳 女 性 サッカーの 試 合 中 , 他 選 手 と 接 触 し 上<br />

腹 部 を 殴 打 . 当 院 救 急 搬 送 となった. 血 液 生 化 学 検 査 所 見 :WBC…<br />

12600…/μL, 血 清 アミラーゼ199…IU/Lの 高 値 を 認 めた. 画 像 所 見 :【 腹<br />

部 US】 膵 体 部 に 帯 状 の 低 エコー 域 を 認 めた.【 腹 部 CT】 膵 体 部 に 造<br />

影 効 果 の 弱 い 不 整 な 領 域 と 出 血 を 認 め, 膵 断 裂 と 診 断 した.【MRCP】<br />

主 膵 管 評 価 は 困 難 であった.【ERP】 膵 体 部 で 主 膵 管 からの 造 影 剤 の<br />

漏 出 を 認 め,それより 尾 側 の 主 膵 管 は 造 影 されなかった. 膵 損 傷 分 類<br />

IIIb(Pb)と 診 断 し, 開 腹 した. 手 術 時 の 所 見 では, 主 膵 管 は 完 全 に 断<br />

裂 しており, 直 接 縫 合 も 不 可 能 と 判 断 ,Letton&Wilson 法 にて 再 建 し<br />

た. 合 併 症 なく 術 後 21 日 に 退 院 した. 術 後 1 年 半 経 過 した 現 在 もサッ<br />

カー 選 手 として 活 躍 している. 外 傷 性 膵 損 傷 ではMRPによる 膵 管 評<br />

価 は 不 充 分 なことが 多 く, 可 能 であればERPによる 評 価 が 望 ましい.<br />

文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する.<br />

P99-9 早 期 膵 胃 吻 合 術 により 膵 温 存 と 早 期 退 院 し 得 た 肝 挫 傷<br />

合 併 膵 断 裂 の1 例<br />

茨 城 西 南 医 療 センター 病 院 外 科<br />

○… 伊 藤 博 道<br />

膵 外 傷 は 重 篤 な 膵 液 漏 や 後 腹 膜 膿 瘍 などが 高 率 に 合 併 するため 手 術 の<br />

タイミングを 逸 することの 無 いよう 注 意 すべき 臓 器 損 傷 の 一 つである。<br />

今 回 我 々は、 肝 挫 傷 と 膵 体 部 断 裂 を 伴 う 多 発 外 傷 の 受 傷 後 36 時 間 後 に<br />

主 膵 管 の 完 全 断 裂 に 対 し 緊 急 手 術 を 施 行 し、 膵 胃 吻 合 が 術 後 合 併 症 の<br />

予 防 と 早 期 退 院 に 有 効 であった1 例 を 報 告 する。【 症 例 】15 歳 女 性 。ハ<br />

ンドル 外 傷 にて 近 医 に 救 急 車 で 搬 送 、 腹 部 CTで 肝 挫 傷 及 び 膵 断 裂 を<br />

疑 われ 当 院 へ 転 送 となった。 輸 液 に 対 しresponderであったが 画 像 上<br />

当 初 腹 腔 内 出 血 をみとめ、 肝 挫 傷 に 対 する 塞 栓 療 法 の 適 応 を 見 極 めな<br />

がら 経 過 観 察 とした。 腹 腔 内 出 血 と 高 サイトカイン 血 症 を 推 定 し、 輸<br />

血 、 止 血 剤 とメシル 酸 ガベキサート 投 与 を 開 始 し、ビアペネムとソマ<br />

トスタチンアナログも 投 与 した。 翌 日 、 腹 膜 刺 激 は 比 較 的 軽 度 であっ<br />

たが、2 日 目 には 軽 度 腹 膜 刺 激 症 状 をみとめ、 血 清 アミラーゼ 値 の 上<br />

昇 をみとめた。 膵 断 裂 に 対 し、 緊 急 開 腹 手 術 施 行 。 腹 腔 内 に 約<br />

1000m1の 血 液 をみとめた。 断 裂 部 は 門 脈 左 縁 であった。 未 だ 汚 染 と<br />

鹸 化 は 認 めなかった。 頭 側 膵 は 細 い 主 膵 管 を 結 紮 し、タココンブ …R… で<br />

被 覆 。 尾 側 膵 は 胃 と 吻 合 した。 膵 胃 吻 合 の 上 下 に 閉 鎖 式 ドレナージを<br />

おき、 総 胆 管 にTチューブ、 栄 養 目 的 のチューブ 空 腸 瘻 を 挿 入 して 手<br />

術 を 終 了 した。 術 後 は 順 調 に 回 復 し、8PODから 経 口 摂 取 を 開 始 し、<br />

術 後 21 日 目 に 退 院 し、 速 やかな 学 業 復 帰 と 同 年 度 の 高 校 受 験 が 可 能 と<br />

なった。 外 傷 性 膵 断 裂 においては 早 急 に 的 確 な 治 療 が 行 わなければ 膵<br />

液 漏 を 併 発 し 数 ヶ 月 の 入 院 を 要 し 重 症 化 すれば 多 臓 器 不 全 へとつなが<br />

る。ことに 若 年 者 の 外 傷 では、 的 確 な 判 断 が 鈍 り 治 療 が 長 期 化 すると、<br />

その 後 のQOL 落 とし 人 生 を 決 定 づけてしまう 可 能 性 すらある。 膵 断<br />

裂 が 疑 われ 全 身 状 態 が 安 定 している 患 者 では 早 急 に 主 膵 管 の 損 傷 程 度<br />

を 把 握 し、 的 確 な 手 術 術 式 を 決 定 し 施 行 することが 重 要 であると 考 え<br />

られた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P100-1 当 院 における 膵 切 除 後 出 血 症 例 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 名 古 屋 医 療 センター<br />

○… 長 谷 川 和 也 , 初 野 剛 , 田 中 晴 祥 , 木 下 満 , 石 原 博 雅 ,<br />

近 藤 建<br />

【 目 的 】 当 院 における 膵 切 除 後 出 血 症 例 を 検 討 し、 術 式 、 危 険 因 子 、<br />

治 療 方 法 、 予 後 についての 検 討 を 行 う。<br />

【 対 象 と 方 法 】2002 年 7 月 から2011 年 10 月 までに 膵 切 除 術 施 行 された<br />

152 例 を 対 象 とし、 膵 頭 部 切 除 (PD、PpPD、SSPPDなど)117 例 、 膵<br />

体 尾 部 切 除 (DP)28 例 、その 他 ( 膵 全 摘 、 核 出 術 )7 例 であった。<br />

【 成 績 】 術 後 出 血 を 生 じた 症 例 は4 例 (2.6%)でPD…4 例 、DP…0 例 、その<br />

他 0 例 であった。4 例 の 内 3 例 は 消 化 管 出 血 として 発 症 し、1 例 は 腹 腔 内<br />

出 血 として 発 症 した。 経 過 中 に1 例 は 死 亡 した。また4 例 の 内 、 下 部 胆<br />

管 癌 が3 例 、 膵 乳 頭 状 粘 液 産 生 性 癌 (IPMC)が1 例 であった。 全 例 血 管<br />

塞 栓 術 (IVR)が 施 行 されているが、4 例 の 内 2 例 はIVR 前 に 緊 急 開 腹 手<br />

術 施 行 された。いずれの 症 例 も 動 脈 瘤 が 認 められており、 胃 十 二 指 腸<br />

動 脈 断 端 (1 例 )、 胆 嚢 動 脈 断 端 (2 例 )、 右 胃 大 網 動 脈 (1 例 )であった。<br />

また 全 症 例 において 術 後 の 膵 液 漏 は 明 らかではなかった。<br />

【 結 論 】 膵 切 除 後 出 血 の 原 因 は 腹 腔 内 感 染 や 手 術 時 の 動 脈 の 外 膜 損 傷<br />

などにより 動 脈 瘤 が 形 成 され、それが 破 綻 または 消 化 管 へ 穿 破 するこ<br />

とが 多 いと 考 えられた。 潜 在 性 の 膵 液 漏 は 否 定 できないが、 今 回 の 検<br />

討 では 必 ずしも 術 後 膵 液 漏 とは 相 関 しないことが 示 唆 された。まずは<br />

IVRによる 塞 栓 が 有 用 であると 考 えられた。<br />

P100-2 膵 切 術 後 の 腹 腔 内 動 脈 出 血 の 検 討<br />

名 古 屋 市 立 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 岡 田 祐 二 , 松 尾 洋 一 , 舟 橋 整 , 竹 山 廣 光<br />

【 目 的 】… 膵 切 除 後 の 合 併 症 のうち、 最 も 生 命 を 脅 かす 合 併 症 として、<br />

腹 腔 内 出 血 が 挙 げられる。 今 回 我 々は、 膵 切 除 後 に 発 生 した 腹 腔 内 動<br />

脈 出 血 症 例 を 検 討 するとともに、 関 係 する 臨 床 的 因 子 、 治 療 方 法 、 予<br />

後 などについて 検 討 を 行 った。【 方 法 】 当 科 において、2003 年 1 月 から<br />

2010 年 12 月 までに 施 行 された、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 …(PD)…81 例 、 及 び<br />

膵 尾 側 切 除 …(DP)…54 例 の 合 計 …135 例 を 対 象 とした。なお、 術 後 の 膵 液<br />

瘻 の 有 無 については、 術 後 ドレーン 排 液 中 のアミラーゼが 評 価 可 能 な<br />

PD…61 例 、DP…40 例 の 合 計 101 例 を 対 象 とした。【 成 績 】 腹 腔 内 出 血 を<br />

生 じた 症 例 は…4… 例 …(…2.9…%)…で、PD…2… 例 、DP…2… 例 であった。3… 例 は<br />

生 存 、1… 例 は 死 亡 であった。…また101 例 中 …60 例 (59.4%)に 術 後 膵 液 瘻<br />

が 発 生 した。その 内 、Grade…B…は…27… 例 (26.7…%)Grade…C…は…5… 例 (5.0…<br />

%)であった。 以 下 に 症 例 を 供 覧 する。 症 例 1.…64 歳 男 性 、 胃 癌 の 膵 浸<br />

潤 のため 胃 全 摘 +PD+ 横 行 結 腸 部 分 切 除 施 行 。 術 後 7 日 目 に 出 血 、 再<br />

開 腹 。 膵 全 摘 術 を 施 行 。 症 例 2.…48 歳 男 性 、 主 膵 管 型 IPMNでDPを 施 行 、<br />

POPFに 対 して 持 続 洗 浄 を 施 行 、 術 後 36 日 目 に 出 血 、IVR 行 い、 塞 栓<br />

した。 総 肝 動 脈 からの 出 血 であった。 症 例 3.…74 歳 女 性 、 十 二 指 腸 乳 頭<br />

部 癌 に 対 して、PD 施 行 。 術 後 6 日 目 に 突 然 出 血 、IVR 行 い 総 肝 動 脈 を<br />

コイルにて 塞 栓 した。 症 例 4.…63 歳 女 性 、 膵 体 尾 部 癌 に 対 して、DP 施 行 。<br />

術 後 10 日 目 にドレーン 抜 去 を 行 った。その2 時 間 後 に 心 肺 停 止 状 態 で<br />

発 見 され、IVR 施 行 で、 総 肝 動 脈 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 を 塞 栓 した。 脳 死<br />

と 判 定 され、 術 後 19 日 目 死 亡 退 院 となった。【 結 論 】 膵 液 瘻 は、 膵 切<br />

除 後 の 腹 腔 内 出 血 のリスクファクターと 考 えられた。 突 然 の 腹 腔 内 出<br />

血 に 対 しては、まずIVRにてTAEを 試 み、 止 血 不 十 分 の 際 は 開 腹 止<br />

血 を 考 慮 する。ドレーン 抜 去 後 に 突 然 の 出 血 をきたす 症 例 もあるため、<br />

ドレーン 抜 去 後 は 十 分 な 観 察 が 必 要 と 考 えられた。<br />

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P100-3 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 に 下 血 を 主 訴 に 繰 り 返 し 発 症 し<br />

た 仮 性 肝 動 脈 瘤 の1 例<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 山 本 智 久 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 , 松 井 陽 一 ,<br />

權 雅 憲<br />

64 歳 、 男 性 。 皮 膚 黄 染 を 主 訴 に 近 医 を 受 診 。 肝 機 能 障 害 、 閉 塞 性 黄 疸<br />

疑 いにて 精 査 加 療 目 的 にて 当 院 紹 介 となった。ERCPにて 中 上 部 胆 管<br />

の 狭 窄 を 認 め、 細 胞 診 にてAdenocarcinomaを 認 めたため、 中 上 部 胆<br />

管 癌 と 診 断 した。 肝 外 胆 管 切 除 術 を 予 定 していたが、No.13リンパ 節<br />

腫 大 が 認 められ、 術 中 迅 速 病 理 にて 転 移 との 診 断 であったため、 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 :PD)を 行 った。 術 後 3 日 目 のドレーン 排 液<br />

AMYは55292…U/ml… であり 術 後 膵 液 瘻 と 判 断 したが、 感 染 兆 候 が 認<br />

められず、その 後 短 切 を 開 始 し、 術 後 14 日 目 に 抜 去 となった。その 後<br />

も 感 染 兆 候 なく 経 過 し、 術 後 21 日 目 に 退 院 となった。 退 院 後 30 日 目 に<br />

下 血 を 主 訴 に 受 診 。Hb5.9g/dlと 低 値 を 認 め 入 院 となった。 上 部 消 化<br />

管 内 視 鏡 検 査 では 異 常 所 見 は 認 めず、 輸 血 にて 対 応 を 行 っていたが、<br />

貧 血 が 改 善 せず、CTを 撮 影 したところ、 右 肝 動 脈 領 域 に 動 脈 瘤 が 認<br />

められた。 緊 急 血 管 造 影 にて 止 血 処 置 ( 右 肝 動 脈 塞 栓 )を 施 行 し、 問 題<br />

なく 経 過 され 退 院 となった。さらに 退 院 後 23 日 目 に 再 度 軽 度 下 血 を 主<br />

訴 に 来 院 。 軽 度 貧 血 の 進 行 を 認 め、CTにて 仮 性 動 脈 瘤 再 発 ( 左 右 肝 動<br />

脈 分 岐 部 )を 認 めたため 再 度 血 管 造 影 にて 止 血 術 ( 総 肝 動 塞 栓 )を 施 行<br />

した。 肝 機 能 の 一 時 的 な 悪 化 は 認 めたものの、その 後 は 順 調 に 経 過 さ<br />

れ 退 院 となった。 膵 空 腸 吻 合 部 腹 側 にfluid…collectionが 認 められ、 膵<br />

液 瘻 が 持 続 していると 考 えダブルバルーンERCPにて 膵 管 空 腸 吻 合 部<br />

の 拡 張 術 を 試 みたが 不 可 であった。その 後 は 特 に 問 題 なく 経 過 され、<br />

現 在 外 来 フォローを 行 っている。 今 回 、 我 々はPD 後 遅 発 性 に 下 血 を<br />

主 訴 に 繰 り 返 し 発 症 した 仮 性 動 脈 瘤 を 経 験 した。PD 後 高 度 の 膵 液 瘻<br />

を 認 めた 患 者 に 対 しては 仮 性 動 脈 瘤 の 発 生 を 中 長 期 的 にフォローする<br />

必 要 があり、また 出 血 症 状 があった 場 合 は、 仮 性 動 脈 瘤 の 検 索 をすべ<br />

きであると 考 えられた。<br />

P100-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 仮 性 動 脈 瘤 破 裂 の 検 討<br />

中 国 労 災 病 院 外 科<br />

○… 福 田 三 郎 , 中 島 一 記 , 太 田 浩 志<br />

当 院 で 経 験 した 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 仮 性 動 脈 瘤 破 裂 の3 例 について<br />

検 討 した。【 症 例 1】69 歳 男 性 。 中 下 部 胆 管 癌 に 対 してSSPPD 施 行 。<br />

術 後 3 日 、6 日 目 の 膵 吻 合 部 ドレーン 排 液 中 アミラーゼは、それぞれ<br />

255…IU/L、3118…IU/L…で、 術 後 7 日 目 にドレーン 抜 去 。 術 後 15 日 目 に<br />

RTBDチューブから 間 欠 的 な 血 性 胆 汁 を 認 めた。 術 後 20 日 目 、ベッド<br />

サイドで 失 神 転 倒 あり。CTにて 固 有 肝 動 脈 に 仮 性 動 脈 瘤 を 認 めた。<br />

同 日 、IVRにて 固 有 肝 動 脈 の 塞 栓 術 施 行 。 塞 栓 術 後 、 多 発 性 肝 膿 瘍 を<br />

認 めたが、 術 後 55 日 目 に 軽 快 退 院 。【 症 例 2】72 歳 男 性 。 膵 癌 に 対 して<br />

SSPPD 施 行 。 術 後 3 日 、6 日 目 の 膵 吻 合 部 ドレーン 排 液 中 アミラーゼは、<br />

それぞれ20…IU/L、9…IU/L…で、 術 後 9 日 目 にドレーン 抜 去 。 術 後 20 日 目 、<br />

膵 管 チューブから 血 性 膵 液 を 少 量 認 めた。 術 後 21 日 目 、 発 熱 とRTBD<br />

チューブからも 血 性 胆 汁 の 排 液 あり。CTにて、 総 肝 動 脈 に 仮 性 動 脈<br />

瘤 を 認 め、 同 日 、IVRにて 総 肝 動 脈 の 塞 栓 術 を 施 行 。 塞 栓 術 後 のCT<br />

で 肝 梗 塞 と 思 われる 大 小 の 低 濃 度 域 を 認 めたが、 術 後 55 日 目 軽 快 退 院 。<br />

【 症 例 3】78 歳 男 性 。 上 中 下 部 胆 管 癌 に 対 してSSPPD 施 行 。 術 後 3 日 、<br />

6 日 目 の 膵 吻 合 部 ドレーン 排 液 中 アミラーゼは、それぞれ772…IU/L、<br />

14…IU/Lで 問 題 なかったが、 術 後 胃 空 腸 吻 合 部 の 縫 合 不 全 を 認 めたた<br />

めドレーンを 残 して 保 存 的 治 療 を 行 っていた。 術 後 26 日 目 膵 管 チュー<br />

ブから 少 量 の 血 性 排 液 を 認 めた。CTで 肝 動 脈 仮 性 動 脈 瘤 が 疑 われ、<br />

IVRを 試 みたがカニュレーションができず 塞 栓 術 は 断 念 した。 術 後 30<br />

日 目 、 膵 吻 合 部 ドレーンからも 血 性 排 液 を 認 めたため、 緊 急 開 腹 、 肝<br />

動 脈 結 紮 、 残 膵 全 摘 、 胃 空 腸 吻 合 部 の 再 吻 合 を 施 行 し、 術 後 100 日 目<br />

軽 快 退 院 。【まとめ】 仮 性 動 脈 瘤 破 裂 の 原 因 として、 膵 液 漏 以 外 に 手<br />

術 操 作 による 動 脈 壁 の 脆 弱 化 、 腹 腔 内 の 炎 症 などが 挙 げられるが、い<br />

わゆるsentinel…bleedingは 重 要 なサインと 考 えられた。このようなサ<br />

インが 認 められた 場 合 は、 可 及 的 速 やかなdynamic…CTでの 検 索 と 血<br />

管 造 影 での 確 認 および 塞 栓 術 を 行 うことが 大 切 と 考 えられた。また、<br />

IVR 困 難 な 場 合 は 躊 躇 せず 開 腹 術 を 考 慮 すべきであると 考 えられた。<br />

P100-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 後 の 肝 動 脈 仮 性 動 脈 瘤 に 対 する 血<br />

管 内 治 療 :Stent-supportedCoilEmbolizationの 有<br />

用 性<br />

新 潟 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 仲 野 哲 矢 , 黒 崎 功 , 皆 川 昌 広 , 高 野 可 赴 , 渡 辺 隆 興<br />

はじめに: 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD) 後 の 動 脈 系 血 管 合 併 症 では, 肝 動<br />

脈 に 発 生 する 仮 性 動 脈 瘤 がもっともpopularである. 多 くの 場 合 の 第<br />

一 選 択 の 治 療 は 血 管 造 影 下 塞 栓 術 であるが, 時 に 肝 壊 死 や 強 い 肝 障 害<br />

をきたすことがあり, 注 意 が 必 要 である.これに 対 して 最 近 では<br />

expandable…metallic…stentを 併 用 し た 塞 栓 術 (Stent-supported…Coil…<br />

Embolization,…SSCM)が 適 応 されるようになり, 肝 動 脈 の 血 流 を 維 持<br />

したまま 塞 栓 ができるようになってきた. 本 研 究 ではSSCMを 施 行 し<br />

た3 例 を 検 討 し, 施 行 する 上 での 注 意 点 や 問 題 点 について 考 察 を 加 えた.<br />

【 症 例 1】 拡 大 右 葉 切 除 +PD 後 の 患 者 であり, 膵 液 瘻 と 同 部 からの 出<br />

血 のため 術 後 5 日 目 に 膵 管 外 瘻 術 を 施 行 していた.その 後 ,minorな 出<br />

血 を 繰 り 返 すため, 放 射 線 科 に 予 めSSCMを 相 談 していたところ,32<br />

病 日 目 に 総 肝 動 脈 仮 性 瘤 の 破 裂 を 認 めSSCMを 施 行 した.【 症 例 2】 症<br />

例 2は 悪 性 IPMNに 対 するPD 後 数 病 日 目 に 僅 かなherald…bleedingが 観<br />

察 されていた. 膵 液 瘻 はなかったが 注 意 して 経 過 観 察 していたところ<br />

8 病 日 目 に 出 血 を 来 たし,CTにて 固 有 肝 動 脈 の 仮 性 瘤 が 認 められた.<br />

SSCMにて 止 血 した.【 症 例 3】 胆 管 癌 に 対 するPD 後 から 膵 液 瘻 を 認<br />

めていた.Herald…bleedingを 認 め,15 病 日 目 のCTで 胃 十 二 指 腸 動 脈<br />

(GDA) 断 端 近 傍 の 総 肝 動 脈 瘤 と 判 断 された.SSCMを 施 行 するも1 週<br />

間 後 に 再 出 血 . 膵 腸 吻 合 部 を 離 断 して 外 瘻 としたが, 完 全 に 出 血 が 判<br />

明 しなかったため 再 度 血 管 造 影 を 施 行 したところ, 右 肝 動 脈 の 仮 性 瘤<br />

が 指 摘 され, 塞 栓 術 にて 止 血 を 得 た. 最 初 にSSCMの 対 象 となったの<br />

はGDAの 断 端 であった 可 能 性 があるが, 画 像 を 見 直 してもその 時 点<br />

では 右 肝 動 脈 には 病 変 は 認 めなかった.3 症 例 ともSSCM 後 に 肝 機 能<br />

は 正 常 を 保 ち,またこれによる 合 併 症 は 認 めなかった. 考 察 :SSCM<br />

はPD 後 の 肝 動 脈 仮 性 瘤 に 対 して 非 常 に 有 用 な 治 療 方 法 であるが, 極<br />

めて 緊 急 性 が 高 い 場 合 には 十 分 に 対 応 できない 場 合 も 考 えられる. 術<br />

後 経 過 観 察 ではherald…bleedingなどの 理 学 的 所 見 にも 十 分 に 注 意 を 払<br />

うこと,さらに 放 射 線 科 医 と 緊 密 に 連 携 することが 肝 要 と 思 われた.…<br />

P100-6 尾 側 膵 切 除 後 の 腹 腔 内 出 血 に 対 する 診 断 と 治 療 法 ー 造<br />

影 CTとIVR 治 療 の 有 用 性 についてー<br />

三 重 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科<br />

○… 栗 山 直 久 , 熊 本 幸 司 , 大 澤 一 郎 , 岸 和 田 昌 之 , 濱 田 賢 司 ,<br />

水 野 修 吾 , 臼 井 正 信 , 櫻 井 洋 至 , 田 端 正 己 ,<br />

伊 佐 地 秀 司<br />

【はじめに】 尾 側 膵 切 除 における 最 も 重 篤 な 合 併 症 の 一 つとして 術 後<br />

腹 腔 内 出 血 (postpancreatectomy…hemorrhage:PPH)がある。 一 般 的<br />

には 膵 液 瘻 や 腹 腔 内 膿 瘍 が 原 因 となって 仮 性 動 脈 瘤 が 形 成 され、それ<br />

が 破 裂 し 出 血 が 起 こると 考 えられ、 早 急 な 診 断 と 治 療 が 必 要 である。<br />

そこで 我 々が 経 験 したPPHについて 早 期 診 断 法 と 適 切 な 治 療 法 につ<br />

いて 検 討 を 行 った。【 対 象 と 方 法 】2005 年 1 月 ~2011 年 12 月 に 施 行 した<br />

84 例 の 尾 側 膵 切 除 中 PPHは5 例 (5.9%) 認 め、これらについて 発 症 時 期 、<br />

出 血 部 位 、 診 断 法 、 膵 液 瘻 の 有 無 、ショックの 有 無 、 治 療 法 について<br />

検 討 した。 膵 液 瘻 … の 診 断 に はInternational…Study…Group…on…<br />

Pancreatic…Fistula(ISGPF;…grade…A/B/C)の 基 準 を 用 い,…grade…B… 以<br />

上 を 膵 液 瘻 とした。またPPH… の 診 断 にはInternational…Study…Group…<br />

on…Pancreatic…Surgery(ISGPS)のPPH 基 準 を 用 い,…grade… 分 類 (A,B,C)<br />

を 行 なった。【 結 果 】 発 症 時 期 は13~150 日 ( 平 均 52 日 )で、 出 血 部 位 は<br />

脾 動 脈 4 例 、 胃 十 二 指 腸 動 脈 1 例 であった。 診 断 法 は 全 例 造 影 CTで 確<br />

定 診 断 可 能 であり、PPH 前 に 膵 液 瘻 と 診 断 されていた 症 例 は4 例 (80%)<br />

であった。 症 状 として 腹 痛 を 認 めたものは2 例 (40%)で、ショックを<br />

呈 した 症 例 は2 例 (40%)であった。 治 療 法 としては 全 例 動 脈 塞 栓 術 や<br />

ステント 挿 入 などによるInterventional…radiology(IVR)で 治 療 するこ<br />

とが 可 能 で、 全 例 救 命 することが 出 来 た。またPPH 分 類 ではgrade…B<br />

が2 例 (40%)、Cが3 例 (60%)であった。【 考 察 】 尾 側 膵 切 除 後 症 例 で 膵<br />

液 瘻 を 発 症 し、 経 過 中 に 腹 痛 やショック 症 状 を 認 めた 場 合 はPPHの 可<br />

能 性 が 高 いため、 速 やかに 造 影 CTを 施 行 し、PPHと 診 断 されればま<br />

ずIVR 治 療 が 第 一 選 択 と 考 えられる。<br />

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P100-7 膵 切 除 後 動 脈 出 血 に 対 するIVRを 応 用 した 治 療 成 績<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 外 科<br />

○… 中 島 亨 , 村 上 義 昭 , 上 村 健 一 郎 , 首 藤 毅 , 橋 本 泰 司 ,<br />

坂 部 龍 太 郎 , 中 川 直 哉 , 末 田 泰 二 郎<br />

【 目 的 】 膵 切 除 術 後 の 膵 液 瘻 や 腹 腔 内 膿 瘍 に 伴 う 腹 腔 内 ・ 消 化 管 出 血<br />

は、 死 亡 率 の 高 い 重 篤 な 合 併 症 の 一 つであり、 特 に 動 脈 出 血 はその 治<br />

療 成 績 が 膵 切 除 術 のmortalityを 左 右 するといえる。 当 科 での 膵 切 除<br />

術 後 動 脈 出 血 に 対 するIVRを 応 用 した 治 療 成 績 をretrospectiveに 検 証<br />

した。【 対 象 と 方 法 】1992 年 8 月 から2011 年 8 月 までの 膵 切 除 術 …441 例 ( 膵<br />

頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)…314 例 、 膵 体 尾 部 切 除 術 (DP)…107 例 、 膵 中 央<br />

切 除 術 (MP)…20 例 )を 対 象 とした。 術 後 動 脈 出 血 に 対 して、IVRによ<br />

る 動 脈 塞 栓 術 を 第 一 選 択 とし、その 臨 床 背 景 と 治 療 成 績 を 検 討 した。<br />

【 結 果 】 膵 切 除 後 動 脈 出 血 は441 例 中 12 例 (2.7%)に 認 め、PD…9 例 (2.9%)、<br />

DP…2 例 (1.9%)、MP…1 例 (5%)であり、 膵 液 瘻 合 併 は11 例 (92%)であった。<br />

出 血 部 位 は 胃 十 二 指 腸 動 脈 (GDA)5 例 、 総 肝 動 脈 (CHA)3 例 、 脾 動 脈<br />

(SA)3 例 、 上 腸 間 膜 動 脈 1 例 であり、10 例 はIVRによる 動 脈 塞 栓 術 (CHA<br />

塞 栓 5 例 、GDA 塞 栓 2 例 、SA 塞 栓 2 例 、SA-CHA 塞 栓 1 例 )を 行 い9 例 は<br />

止 血 した。1 例 は 出 血 当 初 Vitalの 変 動 軽 微 であり 吻 合 部 潰 瘍 を 疑 い 内<br />

視 鏡 検 査 を 施 行 した 後 、IVRを 行 い、IVR 中 に 心 停 止 をきたした。 初<br />

期 のGDA…1 例 とSMA…1 例 は 開 腹 止 血 術 を 行 い、GDA 症 例 は 膵 消 化 管<br />

再 吻 合 を 要 し、SMA 症 例 は 術 中 大 動 脈 閉 塞 バルーン(IABO)を 使 用 し<br />

て 止 血 し、 残 膵 全 摘 を 要 した。 止 血 後 合 併 症 はIVR 後 ではCHA 塞 栓<br />

による 肝 梗 塞 1 例 、 肝 膿 瘍 2 例 を 認 めたが、ドレナージ 等 にて 軽 快 した。<br />

開 腹 止 血 後 ではSMA 閉 塞 1 例 、 膵 消 化 管 再 吻 合 後 膵 液 瘻 1 例 を 認 めた。<br />

膵 切 除 術 441 例 で1 例 の 術 死 を 経 験 し、mortality…0.2%であった。【 結 論 】<br />

膵 切 除 術 後 動 脈 出 血 に 対 するIVRを 応 用 した 治 療 成 績 は 比 較 的 良 好 で<br />

あり、 再 手 術 を 回 避 できる 第 一 選 択 の 治 療 法 と 思 われる。<br />

P100-8 動 脈 血 行 再 建 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 術 後 出 血 に 対 しカ<br />

バードステントで 止 血 し 救 命 できた1 例<br />

1<br />

東 京 医 科 歯 科 大 学 肝 胆 膵 ・ 総 合 外 科 、 2 東 京 医 科 歯 科 大 学 放<br />

射 線 科<br />

○… 古 山 貴 基 1<br />

, 伴 大 輔 1<br />

, 藍 原 有 弘 1<br />

, 落 合 高 徳 1<br />

, 入 江 工 1<br />

,<br />

工 藤 篤 1<br />

, 中 村 典 明 1<br />

, 田 中 真 二 1<br />

, 岸 野 光 浩 2<br />

,<br />

1<br />

有 井 滋 樹<br />

【 背 景 】 膵 切 除 術 後 出 血 (Postpancreatectomy…hemorrhage;PPH)は、<br />

致 命 的 になり 得 る 重 大 な 合 併 症 の 一 つである。 今 回 我 々は 膵 頭 十 二 指<br />

腸 切 除 後 2 回 の 致 命 的 な 腹 腔 内 出 血 を 合 併 したが、カバードステント<br />

を 血 管 内 に 挿 入 し、 救 命 し 得 た1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】<br />

62 歳 、 男 性 。 倦 怠 感 、 嘔 気 を 主 訴 に 前 医 を 受 診 したところ、 黄 疸 を 指<br />

摘 された。 精 査 の 結 果 膵 頭 部 癌 と 診 断 され、 当 科 受 診 された。 術 前<br />

CTでは 膵 頭 部 に3cm 大 の 乏 血 性 腫 瘍 を 認 めた。また 腹 腔 動 脈 根 部 に<br />

狭 窄 を 疑 う 所 見 を 認 めたが、 画 像 上 腹 腔 動 脈 の 造 影 は 良 好 であった。<br />

2011 年 8 月 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 行 った。 術 中 、 胃 十 二 指 腸 動 脈<br />

(GDA)をテストクランプしたところ 肝 動 脈 の 血 流 が 消 失 したため 弓<br />

状 靭 帯 症 候 群 を 疑 い、 腹 腔 動 脈 を 根 部 まで 追 求 し 弓 状 靭 帯 を 切 離 した<br />

が 血 流 の 改 善 がなく、 腹 腔 動 脈 の 器 質 的 閉 塞 と 判 断 した。GDAは 腫<br />

瘍 の 浸 潤 があり 温 存 できないため、 肝 血 流 維 持 のため 右 大 伏 在 静 脈 グ<br />

ラフトを 採 取 して 右 総 腸 骨 動 脈 からGDA 断 端 をバイパスし 血 行 再 建<br />

を 行 った。 術 後 6 日 目 にドレーンより 出 血 を 認 め、 緊 急 で 血 管 造 影 を<br />

施 行 したところ、GDA 断 端 とグラフト 吻 合 部 より 出 血 を 認 めた。 右<br />

肝 動 脈 はGDAの 直 上 で 分 岐 していたため 右 肝 動 脈 および 総 肝 動 脈 を<br />

コイル 塞 栓 した 後 、グラフトから 左 肝 動 脈 にかけてカバードステント<br />

を 留 置 し、 止 血 と 同 時 に 左 肝 動 脈 への 血 流 を 温 存 した。 術 後 27 日 目 に<br />

ステント 近 位 端 からの 再 出 血 を 認 め、カバードステントをさらに 近 位<br />

側 へステントインステントで 留 置 し、 止 血 した。その 後 は 膵 液 瘻 、 腹<br />

腔 内 膿 瘍 、 敗 血 症 の 治 療 に 長 期 を 要 したが、ドレナージ 等 で 保 存 的 に<br />

軽 快 し、 再 出 血 も 認 めなかった。 術 後 3か 月 経 過 し 退 院 となった。【 考<br />

察 】 積 極 的 なIVRにより 救 命 し 得 た 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 出 血 の1 例 を<br />

経 験 した。 本 症 例 は 腹 腔 動 脈 低 形 成 症 例 に 対 する 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術<br />

の 血 行 再 建 術 式 、および 術 後 出 血 に 対 するIVRの 手 法 の 点 から 示 唆 に<br />

富 む 症 例 であり、 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P100-9 血 管 内 ステント 留 置 が 有 効 であった 膵 頭 十 二 指 腸 切 除<br />

後 の 門 脈 血 流 低 下 を 伴 うGDA 出 血 の1 例<br />

東 京 女 子 医 大 病 院 消 化 器 病 センター 外 科<br />

○… 小 貫 建 一 郎 , 樋 口 亮 太 , 太 田 岳 洋 , 谷 澤 武 久 , 梶 山 英 樹 ,<br />

植 村 修 一 郎 , 山 本 雅 一<br />

症 例 は64 歳 男 性 。 膵 頭 部 癌 の 診 断 にて2011 年 5 月 中 旬 に 膵 頭 十 二 指 腸<br />

切 除 術 (PD)を 施 行 した。 術 中 所 見 では 膵 は 正 常 膵 、 膵 管 は 径 1mm 程<br />

度 と 極 めて 細 く、5 号 膵 管 外 瘻 チューブを 留 置 するも 膵 腸 吻 合 に 難 渋<br />

をした。 術 後 膵 液 漏 を 認 め、 腹 腔 内 膿 瘍 を 発 症 したため、 数 回 にわた<br />

り 膿 瘍 ドレナージを 施 行 していたが、 第 33 病 日 に 腹 腔 内 に 留 置 してい<br />

たドレーンより 多 量 の 出 血 を 認 めた。 直 ちに 血 管 造 影 を 施 行 したとこ<br />

ろ、 総 肝 動 脈 の 攣 縮 を 認 め、 固 有 肝 動 脈 の 血 流 は 良 好 であったことよ<br />

りGDA 断 端 よりの 出 血 と 判 断 した。 上 腸 間 膜 動 脈 造 影 からの 間 接 的<br />

門 脈 造 影 では、 門 脈 血 流 の 著 明 な 低 下 を 認 めたため、 肝 動 脈 塞 栓 を 行 っ<br />

てしまった 場 合 に 肝 不 全 のリスクが 高 いと 考 え、 出 血 部 位 の 止 血 と 肝<br />

動 脈 血 流 の 温 存 の た め、 冠 動 脈 用 の3×19mmGraftMasterStent<br />

(Covered…Stent)を 総 肝 動 脈 から 左 右 肝 動 脈 分 岐 部 にかけて 留 置 した。<br />

留 置 後 より 再 出 血 は 無 く、 肝 膿 瘍 や 肝 不 全 等 の 合 併 症 を 認 めなかった<br />

が、 敗 血 症 、 真 菌 血 症 を 発 症 し、その 後 の 治 療 に 難 渋 をした。Stent<br />

留 置 施 行 後 140 日 目 の 造 影 CTにて 肝 動 脈 の 血 流 は 良 好 である。<br />

Coverd…Stentの 使 用 により 止 血 しえた 症 例 は 医 学 中 央 雑 誌 1980 年 から<br />

2011 年 まででステント・ 術 後 出 血 のkey…wordにて 検 索 した 結 果 、 僅<br />

かに2 例 を 認 めるのみであり( 会 議 録 除 く)、 稀 な 症 例 と 考 えられる。<br />

PD 術 後 に 生 じる 仮 性 動 脈 瘤 からの 出 血 に 対 しては、 金 属 コイルによ<br />

る 仮 性 動 脈 瘤 の 塞 栓 や 動 脈 塞 栓 が 一 般 的 であるが、 門 脈 血 流 が 低 下 し<br />

ている 場 合 は 肝 動 脈 塞 栓 を 行 うと 肝 不 全 の 発 症 が 危 惧 される。 今 回<br />

我 々はPD 後 門 脈 血 流 低 下 を 伴 うGDA 仮 性 動 脈 瘤 出 血 に 対 して 血 管 内<br />

Coverd…Stent 留 置 が 有 効 であった1 例 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考<br />

察 を 加 え 報 告 する。<br />

P100-10 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 に 生 じた 仮 性 動 脈 瘤 に 対 しステ<br />

ント 留 置 にて 止 血 しえた1 例<br />

国 立 病 院 機 構 呉 医 療 センター・ 中 国 がんセンター 外 科<br />

○… 井 上 雅 史 , 種 村 匡 弘 , 吉 川 幸 伸 , 畑 中 信 良 , 富 永 春 海 ,<br />

木 下 尚 弘 , 清 水 洋 祐 , 平 岡 和 也 , 西 谷 暁 子 , 伊 禮 俊 充 ,<br />

文 正 浩 , 朴 美 和 , 若 原 誠 , 本 明 慈 彦 , 上 池 渉<br />

【はじめに】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 、PD) 後 に 生 じる 腹 腔 内 出 血<br />

の 原 因 はほとんどが 膵 腸 縫 合 不 全 に 起 因 する 仮 性 動 脈 瘤 からの 出 血 で<br />

ある。 発 生 頻 度 は 少 ないが 致 死 的 な 合 併 症 であり、 止 血 はIVRによる<br />

肝 動 脈 塞 栓 術 が 施 行 されることが 多 い。しかし、 止 血 と 引 き 換 えに 肝<br />

血 流 遮 断 により 肝 梗 塞 を 併 発 し、 致 死 的 肝 不 全 状 態 に 陥 る 危 険 性 も 十<br />

分 ある。 今 回 われわれは、 胃 十 二 指 腸 動 脈 結 紮 部 の 仮 性 動 脈 瘤 の 切 迫<br />

破 裂 に 対 しステント 留 置 により 止 血 、 救 命 できた 症 例 を 経 験 したので<br />

報 告 する。【 症 例 】62 歳 、 男 性 。 閉 塞 性 黄 疸 の 診 断 で 近 医 より 当 院 紹<br />

介 となった。 精 査 の 結 果 下 部 胆 管 癌 と 診 断 し、PDを 行 いChild 変 法 再<br />

建 にて 再 建 した。 術 後 3 日 目 のドレーン 排 液 アミラーゼ 値 は406IU/<br />

L,CTにて 膵 空 腸 吻 合 部 に 少 量 の 液 貯 留 あり。ISGPF 基 準 GradeBの 膵<br />

液 漏 と 診 断 した。 術 後 14 日 目 CTで 腹 腔 内 膿 瘍 形 成 を 認 めた 為 、 膵 空<br />

腸 吻 合 部 、 左 皮 下 、 直 腸 膀 胱 窩 にCTガイド 下 穿 刺 ドレナージを 施 行<br />

した。その 後 、 腹 部 症 状 は 軽 快 し 解 熱 もしてきたが、ドレーン 排 液 の<br />

アミラーゼ 値 は52847IU/Lと 高 値 であった。 術 後 33 日 目 膵 空 腸 吻 合 部<br />

ドレーンから 血 性 排 液 多 量 にあり。ダイナミックCTで 仮 性 動 脈 瘤 出<br />

血 が 疑 われた。 緊 急 血 管 造 影 で 胃 十 二 指 腸 動 脈 断 端 に7mm 大 の 仮 性<br />

瘤 を 認 めた。 径 3mm× 長 さ16mmの 冠 動 脈 止 血 用 カバーステント<br />

(Jostent…GRAFTMASTER)で 瘤 をカバーした。 肝 動 脈 造 影 で 瘤 消 失<br />

得 られ、 肝 血 流 も 維 持 できた。ステント 留 置 翌 日 の 肝 機 能 はGOT/<br />

GPT=21/15IU/l,T-bil=0.5mg…/dlでその 後 も 悪 化 は 認 めなかった。 術<br />

後 67 日 目 ドレーン 抜 去 し 術 後 74 日 目 退 院 となった。【 考 察 】PD 術 後 の<br />

膵 液 漏 には 仮 性 瘤 発 症 、 出 血 に 対 する 緊 急 処 置 はIVRによる 動 脈 塞 栓<br />

術 が 第 一 選 択 である。しかし、 塞 栓 の 範 囲 によっては 肝 血 流 を 全 遮 断<br />

してしまうリスクが 高 い。 本 症 例 の 様 に 感 染 巣 近 傍 での 出 血 に 対 しス<br />

テント 挿 入 には 議 論 の 余 地 はあるが、 肝 血 流 を 温 存 し、 止 血 、 救 命 で<br />

きた。 検 索 した 限 りでは 本 症 例 のようにカバードステントを 留 置 し 止<br />

血 した 症 例 が 海 外 で2 例 報 告 されており、 経 過 も9か 月 まで 追 われてい<br />

る。PD 術 後 に 生 じた 仮 性 動 脈 瘤 からの 出 血 の 症 例 に 対 して 本 手 技 は<br />

有 用 であると 考 えられた。<br />

-525-


P101-1 当 科 における 膵 体 尾 側 切 除 術 の 成 績<br />

獨 協 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 下 田 貢 , 村 山 梓 , 小 菅 崇 之 , 礒 幸 博 , 加 藤 正 人 ,<br />

北 順 二 , 澤 田 登 起 彦 , 窪 田 敬 一<br />

膵 体 尾 部 切 除 後 の 膵 液 漏 は 未 だ 高 率 に 発 生 している。 膵 液 漏 は 在 院 日<br />

数 の 延 長 のみならず 今 日 においても 致 死 的 合 併 症 となる。 近 年 さまざ<br />

まなデバイスが 開 発 され 膵 切 除 にも 使 用 されているが、 未 だ 一 定 の 見<br />

解 が 得 られていない。 対 象 と 方 法 :2000 年 4 月 から2011 年 10 月 まで 当<br />

科 で 経 験 した 膵 体 尾 側 切 除 症 例 を 対 象 とした。 当 科 では2011 年 7 月 か<br />

らは 機 械 切 離 法 を 導 入 しており、 切 離 法 の 違 いによる 膵 液 ろう 発 症 を<br />

検 討 した。 結 果 : 膵 体 尾 側 術 施 行 例 は52 例 で、 男 性 32 例 、 女 性 20 例 で<br />

あった。 平 均 年 齢 は61.2 歳 で 疾 患 の 内 訳 は 悪 性 疾 患 が28 例 ( 膵 管 癌 24 例 、<br />

腺 扁 平 上 皮 癌 3 例 、islet…cell…carcinoma…1 例 )、 良 性 は24 例 ( 慢 性 膵 炎 5 例 、<br />

insulinoma…4 例 、 嚢 胞 3 例 、NET…3 例 、solid…pseudo…tumor…2 例 、<br />

MCT,… colon… meta,… carcinoid,… Xanthogranulomatous,… glucagonoma,…<br />

IPMAそれぞれ1 例 )であった。… 術 式 は 体 尾 部 切 除 + 脾 摘 術 49 例 、 脾<br />

温 存 体 尾 部 切 除 3 例 ( 全 例 腹 腔 鏡 )であった。 膵 断 端 処 理 は、 従 来 法 ( 電<br />

メス 切 離 + 膵 管 結 紮 +フィッシュマウス 縫 合 )が45 例 、 機 械 切 離 法 7 例<br />

( 腹 腔 鏡 下 3 例 、 開 腹 4 例 )であった。 術 後 grade…B 以 上 の 膵 液 ろうは10<br />

例 (19.2%)であった。8 例 は 従 来 法 で 残 り2 例 は 機 械 切 離 法 であり 両 群<br />

に 有 意 差 は 認 めなかった(p=0.500)しかし、 従 来 法 は 全 例 Grade…Cで<br />

機 械 切 離 法 は2 例 ともGrade…Bであった。 結 語 : 症 例 数 は 少 ないものの、<br />

膵 体 尾 部 切 除 術 における 機 械 切 離 法 は 重 篤 な 膵 液 ろうを 予 防 する 可 能<br />

性 が 示 唆 された。<br />

P101-2 当 院 における 尾 側 膵 切 除 における 膵 液 瘻 症 例 に 関 する<br />

検 討<br />

山 形 県 立 中 央 病 院 外 科<br />

○… 盛 直 生 , 櫻 井 直 樹 , 山 本 久 仁 治 , 飯 澤 肇<br />

【はじめに】 尾 側 膵 切 除 は 膵 疾 患 における 原 発 巣 切 除 のみならず、 他<br />

疾 患 に 伴 う 合 併 切 除 としても 行 われ、 依 然 膵 液 瘻 は 避 けて 通 れない 合<br />

併 症 と 思 われる。【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 における 膵 液 瘻 防 止 に 有 効 な 膵<br />

切 離 法 と 膵 液 瘻 の 治 療 経 過 に 関 わる 因 子 を 明 らかにする。【 対 象 及 び<br />

方 法 】 対 象 は2006~2010 年 に 当 科 にて 尾 側 膵 切 除 が 行 われた40 例 を 対<br />

象 とした( 原 発 巣 切 除 :24 例 合 併 切 除 :16 例 )。ISGPFにおける<br />

Grade…B 以 上 の 膵 液 瘻 の 発 生 について、 性 別 、 年 齢 、BMI、 腹 腔 内 脂<br />

肪 量 ( 臍 の 高 さで 測 定 )、 膵 の 厚 さ( 門 脈 直 上 で 測 定 )、 血 清 アルブミン<br />

値 、リンパ 球 数 、 術 前 ヘモグロビン 値 、 術 者 (スタッフもしくはレジ<br />

デント)、 手 術 時 間 、 出 血 量 、 原 発 巣 切 除 または 合 併 切 除 、 膵 被 膜 及<br />

び 実 質 処 理 方 法 ( 鋭 的 切 離 のみ、またはデバイス 使 用 )、 主 膵 管 処 理 ( 結<br />

紮 処 理 、または 同 定 できず)、 抗 生 物 質 投 与 期 間 、ドレーン 本 数 との<br />

関 連 を、さらにGradeB 以 上 の 膵 液 瘻 症 例 についても 比 較 的 早 期 に 改<br />

善 する 症 例 の 特 徴 を 調 べた。【 結 果 】GradeB 以 上 の 膵 液 瘻 発 生 につい<br />

ては10 例 (25%)あり、 上 記 の 因 子 と 明 らかな 関 連 はみられなかった。<br />

また 膵 液 瘻 発 生 症 例 の 入 院 期 間 に 関 連 する 因 子 としては、 門 脈 直 上 の<br />

膵 の 厚 さが 厚 い 症 例 がやや 入 院 期 間 が 長 期 化 する 傾 向 にあった。 主 膵<br />

管 の 処 理 法 、 膵 実 質 の 処 理 方 法 については 明 らかな 違 いはみられな<br />

かった。【 考 察 】 膵 液 瘻 を 防 止 するための 処 理 方 法 や 他 の 関 連 因 子 は<br />

明 らかではなかったが、 膵 実 質 の 厚 い 症 例 については 膵 液 瘻 発 生 のリ<br />

スクを 考 慮 し 手 術 を 行 う 必 要 があると 考 えられた。<br />

P101-3 超 音 波 エラストグラフィを 用 いた 膵 硬 度 測 定 と 術 後 膵<br />

液 瘻 との 関 連 性 の 検 討<br />

1<br />

愛 媛 大 学 肝 胆 膵 ・ 移 植 外 科 、 2 愛 媛 大 学 第 3 内 科<br />

○… 羽 田 野 雅 英 1<br />

, 渡 邊 常 太 1<br />

, 村 上 朱 里 1<br />

, 竹 林 孝 晃 1<br />

,<br />

伊 藤 英 太 郎 1<br />

, 井 上 仁 1<br />

, 米 永 吉 邦 1<br />

, 高 井 昭 洋 1<br />

,<br />

三 好 明 文 1<br />

, 藤 山 泰 二 1<br />

, 串 畑 史 樹 1<br />

, 小 泉 光 仁 2<br />

,<br />

熊 木 天 児 2 1<br />

, 高 田 泰 次<br />

【 緒 言 】 近 年 、 超 音 波 診 断 装 置 の 進 歩 により 組 織 の 弾 性 を 歪 み 率 の 違<br />

いから 画 像 化 するエラストグラフィが 開 発 され、 肝 臓 領 域 での 報 告 が<br />

散 見 されるが、 膵 臓 外 科 の 領 域 での 報 告 はない。また、 膵 硬 度 が 術 後<br />

膵 液 瘻 のrisk…factorとして 挙 げられることはよく 知 られている。 今 回<br />

我 々は、 術 中 超 音 波 エラストグラフィを 用 いた 膵 硬 度 測 定 と 術 後 膵 液<br />

瘻 との 関 連 性 を 検 討 したため 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】2010 年 7 月 から<br />

2011 年 11 月 までに、 当 院 において 膵 切 除 の 際 に 術 中 エラストグラフィ<br />

を 施 行 しえた20 例 を 対 象 とした。エラストグラフィは 手 術 中 に 膵 切 離<br />

部 ( 門 脈 直 上 )にて 測 定 し、3 度 の 測 定 の 平 均 値 を 採 用 した。また 膵 病<br />

変 部 も 測 定 した。 膵 液 瘻 の 評 価 はISGPF 基 準 (Grade…A,…B,…Cすべて 含<br />

む)に 準 じた。 膵 液 瘻 の 危 険 因 子 といわれる 年 齢 、BMI、 手 術 時 間 、<br />

出 血 量 、 膵 外 分 泌 能 (PFD…test)、 膵 内 分 泌 能 (IRI、C-ペプチド)、<br />

HbA1c 値 についても 検 討 した。【 結 果 】20 例 の 疾 患 内 訳 は 膵 癌 6 例 、<br />

IPMN5 例 、 胆 管 癌 5 例 、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 2 例 、 慢 性 膵 炎 1 例 、SCT1<br />

例 であった。 術 式 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PpPD、SSpPDを 含 む)が14 例 、<br />

膵 体 尾 部 切 除 が6 例 であった。 膵 切 離 部 のエラストグラフィの 平 均 値<br />

は2.02(1.24~3.04)であった。 肉 眼 的 に 正 常 膵 と 診 断 した14 例 の 平 均<br />

値 は1.79、 慢 性 膵 炎 は3.89、 膵 癌 部 は5.32であった。 膵 液 瘻 (Grade…A,…B,…<br />

Cすべて 含 む)は11 例 (55%)に 認 められた。 膵 液 瘻 の 有 無 で2 群 に 分 け<br />

ると、2 群 間 においてエラストグラフィ 値 と 術 前 IRI 値 に 有 意 差 を 示 し<br />

た。【 結 語 】 術 中 エラストグラフィにより 膵 硬 度 の 数 値 化 は 可 能 であっ<br />

た。 術 後 膵 液 瘻 の 発 生 に 関 連 してエラストグラフィが 有 用 である 可 能<br />

性 が 示 唆 された。<br />

P101-4 膵 臓 癌 切 除 症 例 における 術 後 膵 液 漏 予 測 因 子 のスコア<br />

化<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科 学 講<br />

座<br />

○… 藤 原 佑 樹 1<br />

, 三 澤 健 之 1<br />

, 後 町 武 1<br />

, 春 木 孝 一 郎 1<br />

,<br />

古 川 賢 英 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

, 伊 藤 隆 介 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

,<br />

脇 山 茂 樹 1<br />

, 石 田 祐 一 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

[ 目 的 ]… 膵 癌 における 術 後 膵 液 漏 …(POPF)… は、 手 術 手 技 ・ 器 具 が 発<br />

達 した 現 在 においても 重 要 な 合 併 症 の 一 つである。そのため、POPF<br />

の 予 測 因 子 の 検 討 は 早 期 対 策 、 早 期 治 療 のために 重 要 である。そこで<br />

今 回 、 膵 癌 切 除 症 例 におけるPOPF 予 測 因 子 について 検 討 した。[ 対<br />

象 と 方 法 ]2005 年 1 月 から2010 年 12 月 に 当 科 で 施 行 した 膵 癌 に 対 する<br />

膵 切 除 67 例 中 、 膵 全 摘 術 を 施 行 した3 例 を 除 く64 例 …[ 平 均 年 齢 65.7(27-<br />

84) 歳 、 男 : 女 =39:25]を 対 象 とし、 年 齢 、 性 別 、 術 式 、 合 併 切 除<br />

の 有 無 、 出 血 量 、 手 術 時 間 、Body…mass…index、 糖 尿 病 の 有 無 、 背 景 膵 、<br />

周 術 期 の 輸 血 の 有 無 、TNM 分 類 、 術 前 減 黄 の 有 無 、 術 前 ・ 術 後 (POD1)<br />

白 血 球 ・リンパ 球 値 、 術 前 ・ 術 後 (POD1) 血 清 アミラーゼ・ 総 蛋 白 ・<br />

アルブミン・CRP 値 につきPOPF 発 生 (Grade…B,…C)をend-pointとして<br />

単 変 量 、 多 変 量 解 析 を 行 い、 有 意 な 因 子 を 用 いてPOPF 発 生 のリスク<br />

因 子 のスコア 化 を 試 みた。[ 結 果 ]… 単 変 量 解 析 において、 男 性<br />

(p=0.0316)、 術 後 CRP 高 値 …(p=0.0314)…が 有 意 なPOPF 発 生 因 子 であっ<br />

た。 一 方 、 多 変 量 解 析 では 有 意 な 因 子 は 認 めなかった。 性 別 ( 男 性 )、<br />

術 後 CRP 高 値 (CRP… >8.0…mg/dl)の 何 れも 認 めなかった 群 (Score…0,…<br />

n=14)、どちらかを 認 めた 群 (Score…1,…n=31)、 何 れも 認 めた 群 (Score…<br />

2,…n=19)に 分 け、POPF 発 生 の 有 無 について 検 討 したところ、ロジス<br />

ティック 解 析 においてScore…2 群 が 有 意 に 術 後 膵 液 漏 の 発 生 が 多 かっ<br />

た(p=0.0482)。[ 結 語 ]… 性 別 および 術 後 CRP 値 によるスコアは 術 後 膵<br />

液 漏 発 生 の 予 測 因 子 となりうる 可 能 性 がある。<br />

-526-


P101-5 尾 側 膵 切 除 における 当 院 のコンベンショナルな 膵 断 端<br />

処 理 法 とその 成 績<br />

高 知 医 療 センター 消 化 器 外 科<br />

○… 志 摩 泰 生 , 上 月 章 史 , 住 吉 辰 朗 , 齋 坂 雄 一 , 石 川 忠 則 ,<br />

田 中 公 章<br />

[ 目 的 ] 当 院 での 尾 側 膵 切 除 における 膵 断 端 処 理 法 を 紹 介 し、その 成<br />

績 について 報 告 する。[ 方 法 ] 膵 切 離 はメスで 行 い、 膵 断 端 の 止 血 は<br />

5-0PDSあるいは 電 気 メスで 行 う。 主 膵 管 を5-0PDSで 連 続 縫 合 で 閉 鎖 。<br />

4-0PDSで 膵 断 端 を 魚 口 形 に 連 続 縫 合 を 行 う。 開 院 の2005 年 3 月 から<br />

2011 年 10 月 までに 膵 疾 患 に 対 し、 本 法 で 尾 側 膵 切 除 術 を 施 行 した63 例<br />

を 対 象 とした。…[ 結 果 ] 男 性 28 例 、 女 性 35 例 。 年 齢 70.1 歳 (21-87)。 疾<br />

患 は 浸 潤 性 膵 管 癌 45 例 、IPMN6 例 、MCT4 例 、 腺 房 細 胞 癌 3 例 、その<br />

他 5 例 であった。 合 併 切 除 は23 例 に 施 行 し、 胃 12 例 、 結 腸 5 例 、 副 腎 4 例 、<br />

腎 ( 部 分 )2 例 、 空 腸 1 例 、 腹 腔 動 脈 合 併 切 除 は6 例 、 門 脈 再 建 は3 例 に 施<br />

行 した( 重 複 あり)。 手 術 時 間 中 央 値 160 分 (55-365)。 出 血 量 318ml(0-<br />

1125)。 輸 血 は5 例 (8%)に 施 行 。 合 併 症 は7 例 (11%)に 発 生 し、 膵 液 瘻<br />

4 例 (6%)、 胃 壊 死 ( 再 手 術 )1 例 、 胃 潰 瘍 1 例 、せん 妄 1 例 であった。 術<br />

後 在 院 日 数 は13 日 (9-124)。 膵 液 瘻 4 例 は、GradeA1 例 、GradeB3 例 で<br />

あった。GradeBの3 例 の 概 要 は、 症 例 1は 結 腸 、 副 腎 、 噴 門 側 胃 切 除<br />

を 併 施 。 膵 断 端 に 厚 みと 硬 化 があり、 連 続 縫 合 はできず、 結 節 縫 合 で<br />

魚 口 形 に 縫 合 した。 症 例 2は 他 院 で 横 行 結 腸 癌 のため 右 半 結 腸 切 除 後 で、<br />

その 吻 合 部 に 大 網 および 胃 体 下 部 大 弯 が 強 固 に 癒 着 しており、 大 網 動<br />

脈 を 損 傷 した。 脾 動 脈 根 部 で 神 経 叢 浸 潤 を 認 め、 腹 腔 動 脈 を 合 併 切 除<br />

すると、 胃 上 部 の 血 流 が 悪 くなったため、 噴 門 側 胃 切 除 も 併 施 。 膵 の<br />

切 離 はASPDAから5mm 程 度 左 側 で 行 った。 主 膵 管 も 膵 断 端 も 通 常 通<br />

り 処 理 できたが、 膵 鉤 部 の 膵 管 の 損 傷 が 膵 液 瘻 の 原 因 と 考 えられた。<br />

症 例 3は 胃 、 左 腎 の 部 分 切 除 を 併 施 した。 膵 液 瘻 の 原 因 は 不 明 。[ 結 語 ]<br />

膵 液 瘻 の 発 生 は4 例 (6%)であった。 本 法 はコンベンショナルな 方 法 で<br />

あるが、コストもかからず、 開 腹 下 での 膵 断 端 処 理 としては、 優 れて<br />

いると 考 えられた。 膵 液 瘻 をさらに 減 少 させるためには、 膵 断 端 に 厚<br />

みと 硬 化 がある 場 合 は、 特 に 慎 重 な 処 置 が 必 要 で、また 尾 側 膵 亜 全 摘<br />

術 の 際 は、 膵 鉤 部 の 細 い 膵 管 も 可 及 的 に 縫 合 する 必 要 があると 考 えら<br />

れた。<br />

P101-6 教 室 における 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 術 の 膵 切 離 法 と 手 術 成<br />

績 の 検 討<br />

昭 和 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科 学 教 室<br />

○… 小 池 礼 子 , 村 上 雅 彦 , 青 木 武 士 , 和 田 友 祐 , 山 下 剛 史 ,<br />

松 田 和 広 , 草 野 智 一 , 古 泉 友 丈 , 藤 森 聡 , 榎 並 延 太 ,<br />

加 藤 貴 史<br />

【 背 景 】 教 室 では2009 年 6 月 から 本 格 的 に 導 入 して 以 降 現 在 まで12 例<br />

の 鏡 視 下 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 しており、 膵 切 離 には 全 例 自 動 縫 合 器<br />

を 使 用 している。また、 膵 液 瘻 対 策 として 大 動 物 実 験 を 行 い 膵 切 離 断<br />

端 の 縫 合 強 度 を 組 織 学 的 に 検 討 してきた。 今 回 教 室 における 鏡 視 下 尾<br />

側 膵 切 除 術 症 例 の 膵 切 離 法 と 使 用 したデバイス、 手 術 および 周 術 期 成<br />

績 、 膵 液 瘻 、SSIの 有 無 を 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 と 方 法 】2005<br />

年 1 月 から2012 年 10 月 までに 施 行 した 鏡 視 下 膵 切 除 症 例 20 例 のうち、<br />

自 動 縫 合 器 にて 膵 切 離 を 行 った12 例 の 鏡 視 下 尾 側 膵 切 除 症 例 につき 検<br />

討 し た。 自 動 縫 合 器 の 内 訳 はEchelonTM3 例 、Endo-GIATM2 例 、<br />

Duet…TRSTM7 例 であった。 手 術 成 績 は 手 術 時 間 、 出 血 量 について、<br />

周 術 期 成 績 は 食 事 開 始 日 、ドレーン 抜 去 日 数 、 術 後 在 院 日 数 について、<br />

合 併 症 は 膵 液 瘻 、SSIの 有 無 について 検 討 した。 大 動 物 実 験 では、ミ<br />

ニブタを 用 いたDuet…TRSTMの 縫 合 強 度 を、0、2.5、5 分 に 設 定 した<br />

staple 時 間 におけるそれぞれの 切 離 断 端 の 組 織 学 的 評 価 に 基 づき 検 討<br />

した。【 結 果 】 患 者 背 景 は 平 均 年 齢 60.9 歳 、 男 女 比 5 対 7で、 全 例 正 常<br />

膵 であった。 手 術 時 間 、 出 血 量 の 平 均 は212 分 、272g、 食 事 開 始 日 、<br />

ドレーン 抜 去 日 数 、 術 後 在 院 日 数 の 平 均 は6.3 日 、3.5 日 、16.8 日 であっ<br />

た。 膵 液 瘻 はgradeA3 例 (25%)、gradeB2 例 (17%)で、その 他 7 例 (58%)<br />

には 見 られなかった。またSSIは 全 例 見 られなかった。 大 動 物 実 験 では、<br />

staple 時 間 5 分 の 群 で、 膵 切 離 断 端 の 組 織 学 的 なsealedを 確 認 した。【 結<br />

語 】 自 動 縫 合 器 の 特 徴 を 把 握 し 膵 切 離 法 を 工 夫 することで、 鏡 視 下 尾<br />

側 膵 切 除 は、 安 全 に 導 入 可 能 な 術 式 と 考 えられた。また 今 後 の 症 例 に<br />

おいて、 大 動 物 実 験 の 結 果 を 踏 まえstaple 時 間 を5 分 に 設 定 し 膵 切 離<br />

を 行 うことで、 更 なる 膵 液 瘻 の 発 症 抑 制 が 可 能 であることが 期 待 され<br />

た。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P101-7 尾 側 膵 切 除 術 における 自 動 縫 合 器 切 離 法 の 有 用 性<br />

川 崎 市 立 川 崎 病 院 外 科<br />

○… 市 東 昌 也 , 相 浦 浩 一<br />

【 目 的 】 尾 側 膵 切 除 術 ( 以 下 、DP)では 術 後 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 が 高 く、<br />

安 全 で 確 実 に 膵 断 端 を 閉 鎖 することは 重 要 な 課 題 である。 近 年 われわ<br />

れは 自 動 縫 合 器 による 膵 断 端 処 理 を 行 っているので、その 臨 床 成 績 を<br />

報 告 する。【 対 象 ・ 方 法 】2001 年 5 月 より2011 年 11 月 までの 間 に 膵 臓 原<br />

発 疾 患 に 対 しDPを 施 行 した 症 例 26 例 を 対 象 とした。 疾 患 は 浸 潤 性 膵<br />

管 癌 13 例 、IPMN4 例 、MCN2 例 、 内 分 泌 腫 瘍 3 例 、その 他 4 例 であった。<br />

2010 年 8 月 までに 行 っていた 主 膵 管 結 紮 + 膵 断 端 縫 合 閉 鎖 ( 従 来 法 )19<br />

例 ( 脾 温 存 2 例 を 含 む)と2010 年 9 月 より 施 行 しているDuet…TRS(60-4.8)…<br />

による 自 動 縫 合 器 切 離 法 ( 現 法 )7 例 ( 腹 腔 鏡 下 2 例 を 含 む)を 背 景 因 子<br />

( 年 齢 、 性 別 、 原 疾 患 、 膵 硬 化 度 )、 手 術 因 子 ( 手 術 時 間 、 出 血 量 )、 膵<br />

液 瘻 の 有 無 、 術 後 ドレーン 挿 入 日 数 、 術 後 在 院 日 数 、 膵 液 瘻 以 外 の 合<br />

併 症 の 有 無 について 検 討 した。 従 来 法 はメスにて 膵 切 離 後 、 主 膵 管 を<br />

結 紮 し、 断 端 を 手 縫 いで 結 節 縫 合 閉 鎖 した。 現 法 の 手 技 は 腸 鉗 子 によ<br />

る5 分 間 の 膵 実 質 圧 挫 の 後 に5-10 分 かけて 切 離 することを 基 本 とした。<br />

ドレーンは 原 則 として 筒 型 チューブを 閉 鎖 式 で 挿 入 した。 膵 液 瘻 の 定<br />

義 はISGPF 基 準 に 従 った。【 結 果 】 従 来 法 と 現 法 を 比 較 すると 背 景 因 子 、<br />

手 術 因 子 に 有 意 差 を 認 めなかったが、 出 血 量 は 現 法 で 少 ない 傾 向 に<br />

あった。いわゆるsoft…pancreasは 従 来 法 で63.1%(12/19 例 )、 現 法 で<br />

100%(7/7 例 )であった。 膵 液 瘻 の 発 生 は 従 来 法 ではGrade…A…2 例 、<br />

Grade…B…3 例 であり、 現 法 ではGrade…A… が1 例 のみであった。 術 後 ド<br />

レーン 挿 入 日 数 は 従 来 法 13.8±9.6 日 、 現 法 8.5±2.3 日 であり 現 法 で 短<br />

い 傾 向 にあった。 術 後 在 院 日 数 は 従 来 法 22.7±9.9 日 、 現 法 16±3.7 日<br />

であり、 現 法 で 有 意 に 短 縮 していた。 膵 液 瘻 以 外 の 合 併 症 として 従 来<br />

法 で1 例 呼 吸 不 全 による 手 術 関 連 死 を 認 めた。【 結 語 】 現 法 は 簡 便 、 確<br />

実 な 手 技 であり、 有 用 な 切 離 ・ 縫 合 法 であると 考 える。<br />

P101-8 自 動 縫 合 器 を 用 いた 尾 側 膵 切 除 の 成 績 と 膵 液 瘻 発 生 要<br />

因 の 検 討<br />

香 川 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 岡 野 圭 一 , 上 村 淳 , 野 毛 誠 示 , 前 田 典 克 , 大 島 稔 ,<br />

柏 木 裕 貴 , 山 本 尚 樹 , 赤 本 伸 太 郎 , 藤 原 理 朗 , 臼 杵 尚 志 ,<br />

鈴 木 康 之<br />

( 目 的 ) 当 科 では 尾 側 膵 切 除 において 自 動 縫 合 器 を 用 いた5 分 間 の 緩 徐<br />

圧 迫 法 (Slow…Flattening…Technique)を 報 告 し、 膵 切 離 を 行 ってきた。<br />

本 法 は 簡 便 な 手 技 であり、 比 較 的 容 易 に 習 熟 出 来 るが、 一 定 の 頻 度 で<br />

膵 液 瘻 (PF)の 発 生 を 認 めている。 自 動 縫 合 器 切 離 法 によるPF 発 生 の<br />

要 因 を 検 討 し、 当 科 でのPF 対 策 に 関 して 報 告 する。( 方 法 )2006 年 より<br />

2011 年 までの 尾 側 膵 切 除 39 症 例 に 対 して、 本 法 による 膵 切 離 を 施 行 し<br />

た。ドレーン( 閉 鎖 式 低 圧 持 続 吸 引 式 )を 膵 切 離 断 端 に 留 置 し、ルーズ<br />

ループ 法 で 固 定 している。PF 発 生 に 影 響 を 与 える 因 子 して 切 離 部 位 、<br />

切 離 部 の 膵 厚 、 膵 性 状 、BMI,…アルブミン 値 、 術 後 ドレーン 中 アミラー<br />

ゼ 値 などを 含 む 項 目 を 検 討 した。( 結 果 ) 平 均 年 齢 は70 歳 、 男 女 比 は<br />

24:15であった。 疾 患 は 浸 潤 性 膵 管 癌 15 例 、 嚢 胞 性 膵 疾 患 10 例 、<br />

PNET…5 例 、 膵 転 移 3 例 、 そ の 他 6 例 で あ っ た。Clinical…PF(ISGPF…<br />

Grade…B+C)を10 例 (Grade…B…9 例 ,…C…1 例 )、25%に 認 めた。 術 前 ・ 術<br />

中 因 子 15 項 目 の 単 変 量 および 多 変 量 解 析 では、 膵 臓 の 切 離 部 位 での 厚<br />

さ(16mm 以 上 )、 出 血 量 (1000ml 以 上 )が 有 意 な 因 子 であった。PF 症<br />

例 の 術 後 ドレーン 中 アミラーゼの 推 移 を 検 討 すると、 術 後 1 日 目 に<br />

4000U/L 以 上 の 高 値 を 示 したものは5 例 (50%)であり、その 他 の 症 例<br />

は3 日 目 以 降 に 上 昇 あるいは 感 染 の 顕 著 化 を 認 めており、 手 術 操 作 に<br />

よる 機 械 的 損 傷 と 異 なった 機 序 によるPFのパターンが 示 唆 された。<br />

対 策 としては 切 離 厚 16mm 以 上 の 膵 に 対 しては、 自 動 縫 合 器 の 特 殊<br />

カートリッジ 選 択 (extra-thick…black…cartridge…2.25-3.0mm)、 抗 生 剤<br />

使 用 によるPF 感 染 対 策 などを 開 始 している。( 結 語 ) 自 動 縫 合 器 を 用 い<br />

た 膵 体 尾 部 切 除 の 膵 液 瘻 発 生 危 険 因 子 は 切 離 部 位 における 膵 臓 の 厚 さ<br />

と 出 血 量 である。<br />

-527-


P101-9 膵 の 厚 みに 応 じた 切 離 法 での 膵 液 漏 予 防 と 術 後 CT 所<br />

見 による 膵 液 漏 予 測<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 消 化 器 ・ 一 般 外 科<br />

○… 小 林 慎 二 郎 , 天 神 和 美 , 吉 田 有 徳 , 上 原 悠 也 , 三 浦 和 裕 ,<br />

大 島 隆 一 , 片 山 真 史 , 櫻 井 丈 , 小 泉 哲 , 朝 倉 武 士 ,<br />

大 坪 毅 人<br />

【 緒 言 】 膵 体 尾 部 切 除 のおける 膵 液 漏 は 重 篤 化 こそしにくいが, 患 者<br />

のQOLを 損 ない, 化 学 療 法 開 始 の 遅 れも 生 じうる. 今 回 膵 体 尾 部 切 除 術<br />

における 膵 液 漏 発 生 の 予 防 と 予 測 について 膵 切 離 法 と 術 後 のCT 所 見<br />

に 着 目 した 検 討 を 行 った.【 対 象 と 方 法 】 膵 体 尾 部 切 除 術 症 例 50 例 を<br />

対 象 とし,retrospectiveに 検 討 した. 膵 液 漏 が 発 生 した 症 例 を 膵 液 漏 群 ,<br />

発 生 しなかった 症 例 を 非 発 生 群 として 術 前 のBMI 及 び 膵 の 厚 さ,… 膵 切<br />

離 法 ,… 手 術 時 間 及 び 出 血 量 , 術 後 のCT 所 見 , 術 後 ドレーンアミラーゼ 値<br />

などについて 比 較 した.… 膵 切 離 法 はメス,エシェロン,GIAなどを 用 いて<br />

いた.メスでは 膵 切 離 後 に 主 膵 管 を 縫 合 閉 鎖 し,fish…mouthにて 断 端 処<br />

理 を 付 加 した. 器 械 を 用 いた 切 離 法 では,10 分 以 上 挫 滅 しながら 切 離 を<br />

行 っていた.CT 検 査 は 術 後 7 日 目 に 施 行 し, 膵 周 囲 に 不 整 な 液 体 貯 留 と<br />

脂 肪 織 濃 度 上 昇 を 認 めるものをacute…pancreatitis…type(APtype)とし<br />

た.【 結 果 】 膵 液 漏 は50 例 中 15 例 (30%)に 発 生 した. 膵 液 漏 の 有 意 な 発<br />

生 因 子 は 術 後 2 日 目 の ド レ ー ンAMY 値 (P


P102-2 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 教 育 のための 上 腸 間 膜 動 脈 周 囲<br />

処 理 に 関 するテクニック<br />

1<br />

聖 マリアンナ 医 科 大 学 横 浜 市 西 部 病 院 、 2 聖 マリアンナ 医 科 大 学<br />

消 化 器 一 般 外 科<br />

○… 石 橋 一 慶 1<br />

, 中 野 浩 1<br />

, 三 原 良 孝 1<br />

, 諏 訪 敏 之 1<br />

, 戸 部 直 孝 1<br />

,<br />

四 万 村 司 1<br />

, 田 中 圭 一 1 2<br />

, 大 坪 毅 人<br />

緒 言 : 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)の 教 育 にあたっては、 出 血 量 少 なく、<br />

疾 患 と 病 態 別 に 上 腸 間 膜 動 脈 (SMA) 周 囲 の 処 理 を 教 育 する 必 要 があ<br />

ると 考 えられる。 特 に 門 脈 系 浸 潤 膵 頭 部 癌 、 門 脈 系 非 浸 潤 膵 頭 部 癌 、<br />

下 部 胆 管 癌 などの 病 態 に 応 じた 処 理 を 習 得 する 必 要 があると 考 えられ<br />

る。 今 回 、 我 々の 行 っているPD 時 のSMA 周 囲 処 理 法 の 手 技 をビデオ<br />

にて 供 覧 する。 方 法 :2010 年 4 月 から2011 年 12 月 までの 期 間 に 当 院 に<br />

て 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 幽 門 輪 温 存 を 含 む)を 施 行 した29 例 について、<br />

SMA 周 囲 処 理 の 概 要 を 報 告 する。 手 術 はすべてVideo…Camera…<br />

Supporter…System…TVS-1( 高 砂 )にてビデオ 録 画 した。 門 脈 系 浸 潤 膵<br />

頭 部 癌 には、 全 例 、 中 尾 らのmesenteric…approachに 準 じて 手 術 を 開<br />

始 したが、 中 結 腸 動 脈 は 基 本 的 には 温 存 し、 門 脈 - 下 大 静 脈 バイパス<br />

は 用 いず、 完 全 前 方 アプローチではなく、Kocher’s…maneuverも 併<br />

施 した 方 法 でSMA 周 囲 処 理 を 行 った。 非 門 脈 系 浸 潤 膵 頭 部 癌 には1st…<br />

jejunal…arterial…approachにて 手 術 を 開 始 し、 第 1 空 腸 動 脈 を 結 紮 した<br />

のちに、IPDAを 結 紮 切 離 した。 膵 頭 部 癌 症 例 には、1st…jejuna…<br />

arterial…approachに 引 き 続 き、 左 側 よりIPDAレベルに1 本 のSMAテー<br />

ピングを 行 い、そしてKocher’s…maneuverに 引 き 続 き 右 腹 腔 神 経 叢<br />

郭 清 と 同 時 にSMA 根 部 に2 本 目 のSMAテーピングを 施 行 した。 下 部<br />

胆 管 癌 に 対 しては、IPDA 結 紮 は 左 側 からでなく、Kocher’s…<br />

maneuverに 引 き 続 きSMA 右 側 の 膵 頭 神 経 叢 を 切 離 し、SMA 右 側 か<br />

らIPDA 結 紮 を 施 行 した。 胆 管 癌 症 例 にはSMAテーピングは 行 ってい<br />

ない。 結 果 : 上 記 のSMA 周 囲 処 置 により、 上 腸 間 膜 静 脈 合 併 切 除 、<br />

末 梢 側 は2 穴 の 門 脈 血 行 再 建 を 含 むPDを 出 血 量 181mlにて 施 行 し 得 た<br />

症 例 を 経 験 した。 結 語 : 出 血 量 の 少 ないPDを 施 行 するには 疾 患 、 病<br />

態 に 応 じたSMA 周 囲 処 理 が 必 要 と 考 えられ、この 点 を 常 にビデオ 録<br />

画 して 教 育 する 必 要 があると 考 えられた。<br />

P102-3 門 脈 分 岐 形 態 からみた 膵 頭 部 領 域 の 安 全 な 静 脈 アプ<br />

ローチ 法<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 2 外 科<br />

○… 宮 澤 基 樹 , 谷 眞 至 , 川 井 学 , 廣 野 誠 子 , 岡 田 健 一 ,<br />

清 水 敦 司 , 北 畑 裕 司 , 上 野 昌 樹 , 速 水 晋 也 , 重 河 嘉 靖 ,<br />

山 口 俊 介 , 山 上 裕 機<br />

【 目 的 】 膵 頭 部 領 域 の 外 科 手 術 の 際 の 出 血 の 原 因 の 一 つに、 門 脈 の 小<br />

分 枝 の 損 傷 がある。 膵 切 症 例 の3D-CT…portographyによる 門 脈 分 岐 形<br />

態 について 検 討 し、 膵 頭 部 領 域 外 科 手 術 における 安 全 な 静 脈 アプロー<br />

チ 法 について 述 べる。【 方 法 】 当 教 室 において2009 年 1 月 から2010 年 6<br />

月 までの 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 または 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した120 例<br />

のうち、 評 価 困 難 な20 例 を 除 く 計 100 例 の 術 前 CTをAquariusNET<br />

(TeraRecon 社 製 )で3D 構 築 し、 胃 結 腸 静 脈 幹 (GCT)、 後 上 膵 十 二 指<br />

腸 静 脈 (PSPDV)、 上 腸 間 膜 静 脈 (SMV)のjejunal…branchの 分 岐 形 態<br />

について 調 べた。【 結 果 】GCTの 分 岐 形 態 で 最 多 は 右 胃 大 網 静 脈<br />

(RGEV)+ 前 上 膵 十 二 指 腸 静 脈 (ASPDV)+ 右 副 結 腸 静 脈 (SRCV)の3 分<br />

枝 から 構 成 されるパターンで68%であった。GCT 長 は 平 均 5.8mm…(0-<br />

15.7mm)であった。PSPDVは 門 脈 後 面 かつ 膵 内 のレベルでの 分 岐 す<br />

るパターンが7%であった。SMVのjejunal…branchは20%で 上 間 膜 動 脈<br />

(SMA) 前 面 を 通 過 し、そのうちの50%がSMVと 脾 静 脈 の 合 流 部 へ 流<br />

入 した。このようなjejunal…branchの 分 岐 パターンの 場 合 、 静 脈 径 が<br />

ileal…branchと 同 等 かより 大 きかった。【 結 語 】GCT 長 は 短 く、 次 の 手<br />

順 で 出 血 のないGCTの 結 紮 切 離 を 行 っている。1.SRCV 切 離 とGCT 根<br />

部 下 縁 の 剥 離 2.ASPDV 切 離 とGCT 根 部 右 側 の 剥 離 3.GCT 根 部 の 結 紮<br />

切 離 。また、PSPDVの 処 理 の 際 には 前 面 や 後 面 から 分 岐 する 場 合 が<br />

少 なからずあるので、 損 傷 しないように 留 意 している。jejunal…<br />

branchがSMA 前 面 を 通 過 した 場 合 、 膵 鉤 部 がんでSMV 浸 潤 があって<br />

も、jejunal…branchへの 浸 潤 がなく、 温 存 できる 可 能 性 がある。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P102-4 当 院 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 ドレーン 管 理 の 検 討<br />

松 下 記 念 病 院 外 科<br />

○… 伊 藤 忠 雄<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)は 術 後 膵 液 瘻 (POPF)や 腹 腔 内 膿 瘍 など 重<br />

篤 な 合 併 症 を 引 き 起 こす 可 能 性 があり、 周 術 期 においてドレーン 管 理<br />

は 重 要 な 位 置 を 占 めている。 近 年 ではドレーン 排 液 中 のアミラーゼを<br />

測 定 し 低 値 であれば 早 期 に 抜 去 する 方 がPOPFや 腹 腔 内 膿 瘍 の 頻 度 を<br />

低 下 させるとの 報 告 も 増 えており、 当 院 でも2009 年 より 膵 離 断 を 尖 刃<br />

からハーモニックスカルペルへ 変 更 しドレーン 排 液 中 のアミラーゼが<br />

低 値 で 臨 床 的 にも 問 題 ないと 判 断 された 症 例 に 関 しては 可 及 的 早 期<br />

( 術 後 7 日 目 まで)にドレーンを 抜 去 する 方 針 へと 変 更 した。 早 期 抜 去<br />

導 入 後 のドレーン 抜 去 時 期 、 合 併 症 や 術 後 在 院 日 数 につき<br />

retrospectiveに 検 討 したので 報 告 する。【 対 象 】2009 年 1 月 以 降 に 当 院<br />

でPDを 施 行 した18 例 。【 術 式 】 全 例 SSPPD(Child 変 法 再 建 ・ 膵 管 空 腸<br />

粘 膜 吻 合 )を 行 った。ドレーンはウインスロー 孔 および 膵 空 腸 吻 合 部<br />

の2か 所 に 留 置 し 術 後 1 日 目 ・3 日 目 ・6 日 目 に 排 液 中 のアミラーゼを 測<br />

定 した。【 結 果 】 平 均 年 齢 は64.6 歳 。 術 後 平 均 在 院 日 数 はPOPF(-) 群<br />

で は21.5 日 、POPF(+) 群 で は58.3 日 。Grade…BのPOPFは3 例 (16.7%)<br />

に 認 めたがいずれsoft…pancreasであった。POPF(-) 群 では 排 液 中 のア<br />

ミラーゼは1 日 目 が 高 値 ( 平 均 1385U/l)でも3 日 目 には 低 値 ( 平 均<br />

151.1U/l)となり6 日 目 もさらに 漸 減 していた。POPF(+) 群 では6 日 目<br />

に 全 例 で 高 値 となっていたが、3 日 目 には 一 旦 低 値 となっていた 症 例<br />

も 認 められた。 膵 空 腸 吻 合 部 ドレーンは 術 後 平 均 7.5 日 目 に 抜 去 され<br />

ていたがドレーン 再 挿 入 や 経 皮 的 ドレナージを 要 した 症 例 はなく、 在<br />

院 死 および 再 手 術 症 例 も 認 めなかった。【 考 察 】PD 術 後 のドレーン 早<br />

期 抜 去 は 多 くの 施 設 で 導 入 されてきていると 思 われるが 抜 去 の 時 期 や<br />

基 準 に 関 しては 様 々な 議 論 がある。 術 後 3・4 日 目 の 排 液 中 アミラーゼ<br />

が 問 題 なければ 抜 去 しているとする 報 告 もみられるがドレーン 抜 去 後<br />

に 再 挿 入 や 経 皮 的 ドレナージを 必 要 とした 症 例 も 含 まれており、 一 般<br />

病 院 での 導 入 には 慎 重 にならざるを 得 ない。 当 院 においては 術 後 6 日<br />

目 までに 排 液 中 アミラーゼが 高 値 を 示 さなかった 症 例 でPOPFをきた<br />

した 症 例 はなく、この 時 期 までのドレーン 留 置 は 有 用 であると 思 われ<br />

た。<br />

P102-5 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 術 後 ドレーン 早 期 抜 去 基 準 の 検 討<br />

広 島 大 学 病 態 制 御 外 科<br />

○… 上 村 健 一 郎 , 村 上 義 昭 , 首 藤 毅 , 橋 本 泰 司 , 中 島 亨 ,<br />

近 藤 成 , 大 毛 宏 喜 , 末 田 泰 二 郎<br />

[ 緒 言 ] 近 年 , 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 後 早 期 Drain 抜 去 は 術 後 感 染<br />

性 合 併 率 低 下 に 有 用 との 報 告 もああるが、その 抜 去 基 準 は 未 だ 明 らか<br />

でない.[ 目 的 ]… 当 科 のPD・ 膵 管 胃 粘 膜 吻 合 (PD-PG) 症 例 を 検 討 し 短<br />

期 手 術 成 績 及 び 術 後 早 期 Drain 抜 去 基 準 を 明 らかにすることを 目 的 と<br />

した.[ 対 象 ]…PD-PG 連 続 200 症 例 ,PPPD…84%.Drainは 閉 鎖 式 (Soft…<br />

Pleats…Drain)[ 検 討 項 目 ] 合 併 症 率 Clavien-Dindo 分 類 Grade3 以 上 (CD<br />

分 類 ),… 膵 液 瘻 ISGPF 基 準 ,… 臨 床 的 膵 液 瘻 予 測 因 子 析 :…DrainAMY<br />

(D-AMY),…Drain 排 液 色 (DC),…WBC,…CRP,…ALB,…AMY, 最 高 体 温 (BT)<br />

を 単 変 量 ・ 多 変 量 解 析 し 早 期 Drain 抜 去 基 準 を 検 討 .[ 結 果 ]… 手 術 時 間<br />

375 分 , 出 血 量 980ml, 輸 血 率 17%. 合 併 症 率 CD 分 類 :…18 例 (9%). 膵 液 瘻 :<br />

44 例 (22%)…[Grade…A…29 例 ,…B…12 例 ,…C…3 例 ]. 手 術 死 亡 1 例 (0.5%). 臨 床<br />

的 膵 液 瘻 予 測 因 子 は 単 変 量 解 析 でD-AMY… 値 術 2,…3,…4,…5 日 ,…DC 暗 赤 色<br />

術 1,3,4 日 ,…WBC 術 …3,4 日 ,CRP… 術 3,…4 日 ,BT 術 3,4,5 日 が 有 意 因 子 …(p<<br />

0.05). 術 4 日 の 多 変 量 解 析 ではDC 暗 赤 色 (P=0.01,Odds 比 9.8,95%CI…1.7-<br />

58.3),CRP 値 (P=0.03,Odds 比 1.2,95%CI…1.1-1.4)が 有 意 因 子 で あ っ<br />

た.CRP 値 ROC 曲 線 cut-off 値 15.6mg/dl, 感 度 80%,… 特 異 度 87%,AUC0.89.…<br />

術 4 日 DC 淡 黄 色 か つCRP


P102-6 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 クリニカルパスの 有 用 性<br />

横 須 賀 共 済 病 院 外 科<br />

○… 南 裕 太 , 舛 井 秀 宣 , 三 宅 謙 太 郎 , 川 口 大 輔 , 伊 藤 慎 吾 ,<br />

小 西 隆 行 , 高 川 亮 , 成 井 一 隆 , 盛 田 知 幸 , 福 島 忠 男 ,<br />

茂 垣 雅 俊 , 長 堀 薫<br />

【 目 的 】 近 年 、 肝 胆 膵 外 科 領 域 においてもクリニカルパス( 以 下 パス)<br />

の 導 入 が 進 んできた。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 (PD)は、 他 の 消 化 器 外 科 手<br />

術 と 比 較 して 術 後 合 併 症 が 高 頻 度 であり、それに 伴 い 入 院 期 間 が 長 期<br />

化 する 場 合 もあり、パスの 導 入 がされてない 施 設 もいまだに 多 い。 当<br />

院 では2006 年 11 月 以 降 、 電 子 カルテの 導 入 に 伴 い、PDのパスを 作 成<br />

し 運 用 し、 順 次 パス 内 容 の 改 訂 を 行 っている。 今 回 我 々はPDの 短 期<br />

成 績 を 検 討 し、 当 院 におけるPDのパスの 有 用 性 を 検 討 した。【 対 象 と<br />

方 法 】2002 年 から2011 年 11 月 までにPDまたはPPPDを 施 行 した108 例<br />

を 対 象 とした。パス 運 用 症 例 の 群 とパス 非 運 用 症 例 の 群 に 分 け、 術 前 、<br />

術 中 因 子 検 討 し、 術 後 短 期 成 績 として、 合 併 症 の 有 無 、 食 事 開 始 日 数 、<br />

ドレーン 抜 去 日 数 、 術 後 在 院 日 数 を 両 群 間 で 比 較 した。【 結 果 】パス<br />

内 容 は 退 院 日 を 設 定 せず、flexibleに 対 応 できるものとし、POD1、<br />

POD3にドレーンアミラーゼを 測 定 し、POD17までの 設 定 とした。 運<br />

用 当 初 は 食 事 開 始 をPOD7に 設 定 したが、 改 訂 に 伴 い、 現 在 はPOD4<br />

に 食 事 開 始 となっている。パス 運 用 例 は57 例 であった。 患 者 背 景 では<br />

パス 非 運 用 群 にPPPD 症 例 と、 膵 空 腸 吻 合 の 外 瘻 症 例 が 有 意 に 多 かっ<br />

た。 手 術 時 間 はパス 運 用 群 で479±72 分 、5 年 以 上 群 で430±74 分 と 有<br />

意 にパス 運 用 群 が 長 かった。 出 血 量 は 有 意 差 を 認 めなかったが、 輸 血<br />

例 はパス 運 用 群 で17 例 (29.8%)、パス 非 運 用 群 で24 例 (47.1%)であり、<br />

有 意 にパス 非 運 用 例 に 多 く 認 めた。 術 後 短 期 成 績 では、ISGPF 基 準<br />

GradeBCの 膵 液 瘻 発 生 率 はパス 運 用 群 15 例 、パス 非 運 用 群 15 例 であり、<br />

有 意 差 を 認 めなかった。 食 事 開 始 日 数 、ドレーン 抜 去 日 数 、 術 後 在 院<br />

日 数 は 全 てパス 運 用 群 で 有 意 に 短 縮 していた。また、パス 運 用 群 の 中<br />

でも 近 年 になるに 従 い、 食 事 開 始 日 数 が 短 縮 し、 術 後 在 院 日 数 も 短 縮<br />

する 傾 向 にあった。【 結 語 】PDのパスの 定 着 は 可 能 で、パスを 運 用 改<br />

訂 することにより 更 なる 術 後 在 院 日 数 の 短 縮 が 図 れると 思 われ、 当 院<br />

におけるPDのパスは 有 用 であると 思 われた。<br />

P102-7 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 クリニカルパスの 導 入 後 のアウト<br />

カム 達 成 率 の 時 期 的 変 遷 - 過 去 7 年 間 の 経 験 -<br />

関 西 医 科 大 学<br />

○… 山 木 壮 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 山 本 智 久 ,<br />

廣 岡 智 , 由 井 倫 太 郎 , 松 井 陽 一 , 權 雅 憲<br />

【 目 的 】クリニカルパス( 以 下 CP)の 導 入 は 医 療 の 標 準 化 、チーム 医<br />

療 の 実 践 や 医 療 安 全 に 有 用 であるとされる。 当 院 では2004 年 6 月 より<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 ( 以 下 PD)に 対 して、 周 術 期 の 統 一 した 管 理 基 準<br />

とCPを 導 入 してきた。 今 回 導 入 後 、7 年 間 のアウトカムの 変 遷 を 検 討<br />

する。【 方 法 】 対 象 は2004 年 6 月 から2010 年 1 月 までのPD 連 続 182 例 と<br />

した。CPのアウトカム 設 定 は 当 院 で 独 自 に 設 定 し、 胃 管 抜 去 ( 術 後 1 日 )、<br />

予 防 的 抗 生 剤 中 止 ( 術 後 2 日 以 内 )、ドレーン 抜 去 ( 術 後 6 日 以 内 )、 食 事<br />

開 始 ( 術 後 7 日 以 内 )、 退 院 ( 術 後 14 日 以 内 )とした。アウトカム 達 成 率<br />

の 比 較 を 年 次 毎 ,または 症 例 50 例 毎 に 行 い、CPおよび 周 術 期 管 理 基 準<br />

導 入 の 影 響 、 術 後 管 理 標 準 化 に 至 る 過 程 について 検 討 した。【 結 果 】<br />

アウトカムの 達 成 率 を1 年 ごとに 比 較 すると、CPを 導 入 した2004 年 か<br />

ら 徐 々にアウトカムの 達 成 率 が 改 善 し、2007 年 以 降 は、 退 院 日 を 除 く<br />

すべてのアウトカム 達 成 率 は90%を 超 えて 安 定 した。また、 症 例 50 例<br />

毎 に 同 様 の 検 討 を 行 うと、 約 50 症 例 の 使 用 後 よりアウトカム 達 成 率 は<br />

90% 程 度 まで 改 善 し、 安 定 した( 表 参 照 )【 考 察 】CP 使 用 後 約 50~100 例 、<br />

または 約 3 年 間 の 使 用 で、アウトカムの 達 成 率 は 安 定 し、PDの 周 術 期<br />

管 理 の 標 準 化 がなし 得 たと 考 えられた。<br />

和 歌 山 県 立 医 科 大 学 第 二 外 科<br />

○… 北 畑 裕 司 , 川 井 学 , 谷 眞 至 , 廣 野 誠 子 , 岡 田 健 一 ,<br />

宮 澤 基 樹 , 清 水 敦 史 , 上 野 昌 樹 , 速 水 晋 也 , 山 口 俊 介 ,<br />

山 上 裕 機<br />

【 目 的 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD) 施 行 例 で, 術 前 減 黄 の 功 罪 を 検 討<br />

する. 術 前 胆 道 ドレナージの 有 効 性 に 関 するRCTではドレナージ 群<br />

では 術 前 合 併 症 を 含 めた 全 合 併 症 は, 非 ドレナージ 群 と 比 較 して 有 意<br />

に 高 く, 術 前 減 黄 をルーチンに 行 うべきではないとの 報 告 がある(N…<br />

Engl…J…Med…2010).しかし、 手 術 待 機 時 間 が 長 い 場 合 は、 閉 塞 性 黄<br />

疸 例 において 肝 機 能 障 害 の 悪 化 防 止 に 術 前 ドレナージは 必 須 と 考 える.<br />

【 方 法 】2005 年 4 月 から2010 年 12 月 に 教 室 で 施 行 したPD 施 行 292 例 を<br />

対 象 . 減 黄 処 置 を 施 行 は127 例 . 減 黄 方 法 と 術 後 合 併 症 の 関 係 を<br />

retrospectiveに 検 討 . 減 黄 方 法 の 内 訳 : 外 瘻 群 60 例 (ENBD9 例 ,<br />

PTCD41 例 ,PTGBD10 例 ), 内 瘻 群 67 例 (ERBD).【 結 果 】 術 前 減 黄<br />

中 胆 管 炎 の 発 症 は、 外 瘻 1 例 (0.02%), 内 瘻 15 例 (22.4%)と 内 瘻 群 で 高<br />

かった(P=0.003).… 全 術 後 合 併 症 の 発 生 は 外 瘻 群 18 例 (30%), 内 瘻 群 33<br />

例 (49%)と 内 瘻 群 で 高 かった(P=0.027).さらにISGPFによる 術 後 膵<br />

液 瘻 の 発 生 頻 度 も 内 瘻 群 で 高 かった( 外 瘻 群 13 例 :21.7%(GradeA…6 例 ,<br />

GradeB…7 例 ), 内 瘻 群 26 例 :38.8%(GradeA…12 例 ,GradeB…10 例 ,<br />

GradeC…4 例 );P=0.036).また, 減 黄 中 胆 管 炎 の 発 症 を 認 めなかった<br />

111 例 中 41 例 (37%)で 術 後 合 併 症 を 認 めたが, 減 黄 中 胆 管 炎 の 発 症 を<br />

認 めた 全 16 例 中 10 例 (63%)で 術 後 合 併 症 を 認 めた. 減 黄 中 胆 管 炎 の 発<br />

症 を 認 めた 症 例 は, 認 めなかった 症 例 に 比 し, 術 後 合 併 症 を 有 意 に 発<br />

症 した(P=0.05).さらに 内 瘻 群 で 減 黄 中 胆 管 炎 の 発 症 を 認 めた15 例 中<br />

術 後 合 併 症 を 認 めた9 例 では, 減 黄 処 置 から 手 術 までの 平 均 期 間 は<br />

29.11 日 であり, 術 後 合 併 症 を 認 めなかった6 例 の17.16 日 と 比 較 して、<br />

減 黄 処 置 から 手 術 までの 期 間 は 長 かった.また, 外 瘻 群 と 術 前 減 黄 を<br />

施 行 しなかった 群 との 比 較 では, 全 術 後 合 併 症 , 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 に<br />

おいて 差 を 認 めなかった.【 結 語 】PD 症 例 において, 内 瘻 による 胆 管<br />

ドレナージは 減 黄 中 胆 管 炎 を 発 症 する 危 険 性 が 高 く、 術 後 合 併 症 の 発<br />

生 頻 度 も 高 くなる. 外 瘻 による 胆 管 ドレナージを 施 行 することで, 術<br />

前 減 黄 が 必 要 な 症 例 においても 周 術 期 合 併 症 を 制 御 することができる<br />

可 能 性 があり, 術 前 減 黄 において 内 瘻 による 胆 管 ドレナージは 十 分 に<br />

症 例 を 検 討 する 必 要 がある.<br />

P102-9 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 における 周 術 期 管 理 の 変 遷 と 術 後<br />

合 併 症<br />

関 西 医 科 大 学 外 科<br />

○… 山 本 智 久 , 里 井 壯 平 , 豊 川 秀 吉 , 柳 本 泰 明 , 廣 岡 智 ,<br />

山 木 壮 , 由 井 倫 太 郎 , 道 浦 拓 , 井 上 健 太 郎 , 松 井 陽 一 ,<br />

權 雅 憲<br />

【 目 的 】( 幽 門 輪 温 存 ) 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 ( 以 下 :PD)は 高 難 易 度 手 術 と<br />

され、SSIを 含 む 術 後 合 併 症 の 発 生 頻 度 も 依 然 として 高 率 である。 超<br />

音 波 凝 固 切 開 装 置 ( 以 下 :FOCUS)は 低 温 でより 確 実 な 切 離 凝 固 が 可<br />

能 であり、 縫 合 糸 使 用 本 数 や 出 血 量 の 低 下 に 有 用 であることを 報 告 し<br />

てきた(JHBPS2011)。われわれは、PDの 周 術 期 管 理 において、 予 防<br />

的 抗 菌 剤 投 与 期 間 を 術 当 日 含 め 術 後 3 日 間 投 与 ( 前 期 :71 例 )から、 術<br />

後 2 日 間 投 与 で 終 了 するよう 変 更 し( 中 期 :74 例 )、さらに 手 術 に<br />

FOCUSを 導 入 することとした( 後 期 :57 例 )。これらの 周 術 期 管 理 の<br />

変 化 が、 術 後 合 併 症 に 与 える 影 響 について 検 討 を 行 った。【 方 法 】<br />

2006 年 4 月 から2011 年 4 月 までPDを 行 なった 連 続 202 例 を 対 象 とした。<br />

術 式 はPDIIA1 法 にて 行 い、 柿 田 法 変 法 で 膵 管 空 腸 吻 合 を 行 った。 予<br />

防 的 抗 菌 剤 は 全 例 にCMZを 採 用 した。【 結 果 】 全 群 間 の 背 景 因 子 で、<br />

悪 性 疾 患 率 、 基 礎 疾 患 併 存 率 、など 差 はなかったが、 手 術 時 間 は 後 期<br />

において 有 意 に 短 かった(479…vs…447…vs…423min,P


P103-1 地 方 一 線 大 病 院 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 現 状 と 今<br />

後 の 課 題<br />

日 本 赤 十 字 社 和 歌 山 医 療 センター 外 科<br />

○… 横 山 智 至 , 桑 原 道 郎<br />

【 背 景 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)は 最 も 難 易 度 の 高 い 手 術 の 一 つで<br />

あり 手 術 関 連 死 亡 は1~4%であるものの、 術 後 合 併 症 は30~50%とい<br />

まだ 高 率 である。そのためhigh…volume…centerであるかどうかが 議 論<br />

されている。 地 方 一 般 病 院 の 現 状 としてPDの 成 績 と 今 後 の 課 題 を 検<br />

討 した。【 対 象 ・ 方 法 】2004 年 1 月 から2011 年 12 月 までに 当 科 で 施 行 し<br />

た88 例 を 対 象 とし、 短 期 手 術 成 績 を 中 心 に 検 討 した。【 結 果 】 男 性 62 例 、<br />

女 性 26 例 、 平 均 年 齢 66 歳 (40 歳 ~83 歳 )。 疾 患 の 内 訳 は、 膵 癌 43 例 、 胆<br />

管 癌 22 例 、 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 8 例 、 膵 IPMN6 例 (うち 癌 化 2 例 )、 腫 瘤<br />

形 成 性 膵 炎 ・ 膵 嚢 胞 4 例 、 十 二 指 腸 癌 3 例 、 膵 内 分 泌 腫 瘍 1 例 、 膵<br />

AVM1 例 。 術 式 はPD86 例 、PpPD2 例 。うち 門 脈 合 併 切 除 10 例 (11.3%)。<br />

再 建 方 法 は 膵 胃 吻 合 74 例 、 膵 腸 吻 合 14 例 。 平 均 手 術 時 間 498 分 (283-898)、<br />

平 均 出 血 量 1262ml(278-4267)、 術 中 輸 血 有 り41 例 、 無 し47 例 。 術 後 平<br />

均 在 院 日 数 43.1 日 (22-150)、 在 院 死 は1 例 (1.1%)。 術 後 合 併 症 は32 例<br />

(36.3%)で 認 め、その 内 訳 は 膵 液 瘻 8 例 (gradeA:1 例 、gradeB:7 例 、<br />

gradeC:0 例 )、 胃 内 容 排 泄 遅 延 (DGE)7 例 、 腹 腔 内 膿 瘍 6 例 、 創 感 染 4<br />

例 、 肝 管 空 腸 縫 合 不 全 1 例 など。 再 手 術 は2 例 。( 膵 胃 吻 合 部 閉 塞 による<br />

慢 性 膵 炎 の1 例 およびデスモイド 腫 瘍 1 例 )【 結 語 】PDは 地 方 一 般 病 院<br />

では 合 併 症 の 多 い 術 式 の 一 つである。 当 科 では 当 初 より 膵 胃 吻 合 基 本<br />

としており 膵 液 瘻 発 生 率 は9%であったが、 術 後 合 併 症 36%はhigh…<br />

volume…centerと 比 較 しても 発 生 頻 度 は 高 いと 思 われた。より 一 層 の<br />

術 後 合 併 症 の 減 少 や 術 後 QOL 向 上 のため、 更 なる 手 術 手 技 、 周 術 期<br />

管 理 の 向 上 が 必 要 であると 思 われた。<br />

P103-2 初 心 者 にも 容 易 な 膵 空 腸 吻 合 を 目 指 して<br />

1<br />

浜 松 医 科 大 学 第 2 外 科 、 2 磐 田 市 立 総 合 病 院 外 科<br />

○… 坂 口 孝 宣 1<br />

, 平 出 貴 乗 1<br />

, 柴 崎 泰 1<br />

, 森 田 剛 文 1<br />

, 鈴 木 淳 司 1<br />

,<br />

福 本 和 彦 1<br />

, 稲 葉 圭 介 1<br />

, 鈴 木 昌 八 2 1<br />

, 今 野 弘 之<br />

【 背 景 】 膵 空 腸 吻 合 は 空 腸 孔 を 広 げすぎない、 膵 管 や 空 腸 粘 膜 を 損 傷<br />

なく 確 実 に 拾 うことが 肝 要 である。 今 回 は、 初 心 者 にも 容 易 にできる<br />

膵 空 腸 吻 合 法 の 要 点 について 述 べる。【 方 法 】 膵 実 質 はメスで 鋭 的 離 断 、<br />

ソフト 凝 固 や 血 管 縫 合 糸 縫 合 にて 断 面 止 血 する。4-0 血 管 縫 合 糸 によ<br />

る 柿 田 式 膵 実 質 空 腸 漿 膜 筋 層 縫 合 後 、5-0…monofilament 吸 収 糸 による<br />

膵 管 空 腸 全 層 吻 合 を 行 う。 膵 管 拡 張 例 は 後 列 7、 前 列 5の12、 非 拡 張 例<br />

は 各 5、3の8 針 。0、6、3、9 時 ( 頭 尾 腹 背 ) 方 向 の4 端 を、 膵 管 と 膵 実 質<br />

間 の 剥 離 を 避 けるように 膵 管 内 腔 から 膵 実 質 方 向 へ 運 針 。 可 能 な 限 り<br />

漿 膜 面 に 針 を 刺 通 させて 実 質 を 多 めにとる。 空 腸 孔 は、 助 手 が 持 った<br />

モスキート 鉗 子 を 空 腸 側 壁 吻 合 予 定 部 にあて、 術 者 がモスキートに 電<br />

気 メス 通 電 させて 作 成 。 助 手 はモスキート 先 端 を0、6 時 方 向 にむけて<br />

先 端 をわずかに 開 き、 術 者 は 膵 管 縫 合 両 端 針 の 膵 管 内 腔 側 針 にて 空 腸<br />

内 腔 から 外 へ 運 針 。9 時 の 縫 合 は、 空 腸 粘 膜 を 確 実 に 拾 うために9 時 に<br />

先 端 をむけた 助 手 のモスキートの 又 をめざし、 膵 管 実 質 側 の 針 にて 空<br />

腸 外 から 内 腔 へ 運 針 する。この 後 、 後 列 の 縫 合 追 加 。0-9、9-6 時 間 に<br />

膵 管 内 腔 、 膵 実 質 、 空 腸 漿 膜 面 、 空 腸 内 腔 に 片 端 針 で 運 針 。 次 いで 両<br />

端 糸 にて 膵 管 内 腔 から 実 質 へむけた 前 列 膵 側 のみの 運 針 を 行 って 把 持 。<br />

膵 側 運 針 終 了 後 に 術 者 が 後 列 吻 合 糸 を 結 紮 。5-0…monofilamentを 後 壁<br />

吻 合 部 付 近 の 空 腸 粘 膜 に 縫 合 結 紮 し、 同 糸 で 経 空 腸 的 に 留 置 した 膵 管<br />

tubeを 固 定 。その 後 、 前 列 側 両 端 針 の 膵 内 腔 側 針 にて 空 腸 内 腔 から 外<br />

へ 運 針 。 前 列 運 針 終 了 後 、 術 者 が 結 紮 。 吻 合 部 前 後 壁 にフィブリノゲ<br />

ンシートを 貼 付 保 護 後 、 柿 田 式 糸 を 術 者 が 結 紮 して 吻 合 終 了 。【 成 績 】<br />

本 方 法 導 入 後 、 初 心 者 施 行 2 例 を 含 めた5 例 で、 洗 浄 のみで 対 応 可 能 だっ<br />

たGrade…Bの 膵 液 漏 1 例 を 認 めたのみである。【 結 論 】 本 方 法 を 用 いれば、<br />

初 心 者 でも 確 実 な 膵 空 腸 吻 合 が 可 能 であろう。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P103-3 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 における 膵 空 腸 貫 通 密 着 吻 合 法 - 手<br />

技 の 定 型 化 を 加 えた 吻 合 難 易 度 軽 減 の 工 夫 ‐<br />

広 島 市 立 広 島 市 民 病 院 外 科<br />

○… 松 川 啓 義 , 塩 崎 滋 弘 , 藤 原 康 宏 , 大 野 聡 , 小 島 康 知 ,<br />

原 野 雅 生 , 金 澤 卓 , 丁 田 泰 宏 , 二 宮 基 樹<br />

【 緒 言 】 手 技 を 定 型 化 した 膵 空 腸 貫 通 密 着 吻 合 法 により、soft…<br />

pancreasの 膵 実 質 の 運 針 や 細 径 膵 管 の 縫 合 も 膵 硬 化 ・ 膵 管 拡 張 例 と 同<br />

等 の 難 易 度 で 行 え 有 用 なため 手 技 を 供 覧 する。【 方 法 】 膵 空 腸 貫 通 密<br />

着 吻 合 法 の 定 型 化 した 手 順 は、 膵 実 質 貫 通 - 空 腸 漿 膜 筋 層 縫 合 :3-0…モ<br />

ノフィラメント 非 吸 収 糸 の 直 針 を 用 いて 膵 実 質 全 幅 に 通 針 ・ 貫 通 させ、<br />

空 腸 の 漿 膜 筋 層 に 幅 広 く 縫 合 し、 膵 管 頭 側 と 尾 側 に 結 節 で 計 4 針 縫 合<br />

する。 膵 管 空 腸 全 層 縫 合 :6-0…モノフィラメント 吸 収 糸 を 用 いて 膵 管<br />

断 端 を 正 面 視 し 腹 側 の 位 置 を12 時 として、1,… 先 ず 膵 管 後 壁 がわかりや<br />

すくするため 膵 管 の 前 壁 中 央 12 時 の 位 置 に 糸 をかけ 挙 上 牽 引 する。2,…<br />

3 時 と9 時 の 膵 管 と 空 腸 全 層 を 縫 合 し 両 端 の 支 持 糸 とする。3,… 後 壁 6 時<br />

の 位 置 を 縫 合 し 後 壁 中 央 の 支 持 糸 とする。4,…9 時 と6 時 および3 時 と6 時<br />

の 間 に 膵 管 径 に 合 わせて 均 等 にそれぞれ1~3 針 縫 合 する。5,…3 時 と9 時<br />

の 両 端 は 残 し 後 壁 の 縫 合 糸 を 結 紮 する。6,… 主 膵 管 径 が5mm 未 満 の 場<br />

合 は 膵 管 ステントを 挿 入 し6 時 の 結 紮 糸 で 固 定 する。7,… 前 に 膵 管 の12<br />

時 にかけた 縫 合 糸 を 空 腸 にもかけ 前 壁 中 央 とする。8,…9 時 と12 時 およ<br />

び3 時 と12 時 の 間 に 後 壁 と 同 様 に 均 等 にそれぞれ1~3 針 縫 合 する。 全<br />

ての 膵 管 空 腸 縫 合 糸 を 結 紮 する。 最 後 に 膵 実 質 貫 通 縫 合 糸 を 結 紮 して<br />

膵 断 端 と 空 腸 を 密 着 させる。 膵 実 質 2 列 縫 合 から 現 在 の 貫 通 密 着 吻 合<br />

法 に 変 更 し、Grade…B,…C 膵 液 瘻 、 仮 性 動 脈 瘤 出 血 は 特 にsoft…pancreas<br />

の 症 例 で 減 少 した。また 消 化 器 外 科 専 門 医 修 練 者 が 施 行 した 膵 空 腸 貫<br />

通 密 着 吻 合 の 膵 液 瘻 発 生 率 は、 指 導 医 施 行 例 に 比 べ 有 意 差 はなかった。<br />

【 考 察 】 貫 通 密 着 吻 合 法 は 膵 実 質 縫 合 が 結 紮 されない 状 態 で 膵 管 空 腸<br />

吻 合 をするため、 膵 管 後 方 に 充 分 な 視 野 ・スペースを 保 ち 確 実 な 膵 管<br />

の 運 針 が 可 能 である。また 直 針 で 膵 全 幅 に 通 針 する 膵 実 質 の 縫 合 操 作<br />

も 膵 実 質 を 膵 管 の 前 後 2 列 縫 合 に 比 べ 簡 素 で、 運 針 や 結 紮 操 作 の 際 に<br />

縫 合 針 や 縫 合 糸 による 膵 実 質 の 裂 創 や 挫 滅 も 来 しにくい。 手 技 を 定 型<br />

化 しさらに 助 手 の 手 順 も 統 一 することにより、 術 者 の 技 量 による 大 き<br />

な 差 異 なく 施 行 可 能 である。【 結 語 】 手 技 を 定 型 化 した 貫 通 密 着 吻 合<br />

法 は、 吻 合 の 難 度 も 軽 減 され 安 全 で 有 用 な 膵 空 腸 吻 合 法 と 考 えられる。<br />

P103-4 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 後 の 連 続 縫 合 による 膵 管 空 腸 粘 膜 吻<br />

合 法<br />

独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 横 浜 医 療 センター 外 科<br />

○… 関 戸 仁 , 松 田 悟 郎 , 清 水 哲 也 , 後 藤 晃 紀 , 行 田 悠 ,<br />

森 康 一 , 堀 井 伸 利<br />

【 背 景 】 結 節 縫 合 による 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 は、 時 間 を 要 し 高 価 な 糸 を<br />

多 数 必 要 とする。そこで 最 近 、 連 続 縫 合 による 吻 合 法 を 実 践 している。<br />

【 目 的 】 連 続 縫 合 による 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法 を 検 討 する。【 手 術 手 技 】<br />

膵 消 化 管 吻 合 は、 膵 管 膵 実 質 空 腸 全 層 吻 合 ( 粘 膜 吻 合 )、 端 側 、 連 続 縫<br />

合 で 行 う。 縫 合 糸 は6-0…PDS-IIを 使 用 する。 膵 管 12° 方 向 に 片 端 針 で<br />

針 糸 をかけ、これを 牽 引 し 膵 管 口 を 視 認 しやすくする。 次 に6° 方 向 に<br />

片 端 針 で 内 外 外 内 にかけ、 結 紮 する。この 糸 の 結 紮 結 節 のみが 吻 合 口<br />

内 に 残 存 する。この 糸 はのちにLost…stentの 固 定 に 使 用 する。この 糸<br />

のすぐわきに 両 端 針 で 内 外 、 内 外 にかけ、 結 紮 する。この 針 糸 を 用 い<br />

て6°から9° 方 向 と6°から3° 方 向 にそれぞれ 連 続 縫 合 する。はじめに6°<br />

方 向 にかけた 糸 でlost…stentを 固 定 する。9° 方 向 と3° 方 向 にそれぞれ<br />

両 端 針 を 外 内 内 外 にかけ 結 紮 し、 連 続 縫 合 してきた 糸 と 結 紮 する。 新<br />

たにかけた 針 糸 でそれぞれ9°から12°、3°から12°に 外 内 内 外 に 連 続 縫<br />

合 する。 初 めに12 方 向 にかけた 針 糸 を 空 腸 側 に 内 外 でかけ、 結 紮 し、<br />

それぞれを 連 続 縫 合 してきた 糸 と 結 紮 し、 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 を 完 成 す<br />

る。【 対 象 】 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 66 例 中 14 例 に 本 法 行 った。【 結 果 】 本 法<br />

により 手 術 時 間 有 意 に 短 縮 した。 膵 液 瘻 (GradeB)は、やや 減 少 した。<br />

【 結 語 】 連 続 縫 合 による 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 法 は 有 用 と 思 われる。<br />

-531-


P103-5 DuctilePenetratingMethodにおけるディスポー<br />

ザブル 型 吻 合 補 助 器 の 開 発<br />

山 口 大 学 医 学 部 消 化 器 ・ 腫 瘍 外 科<br />

○… 上 野 富 雄 , 坂 本 和 彦 , 鈴 木 伸 明 , 飯 田 通 久 , 中 尾 光 宏 ,<br />

新 藤 芳 太 郎 , 岡 正 朗<br />

【 背 景 ・ 目 的 】“Soft…pancreas”における 膵 管 空 腸 粘 膜 吻 合 を 確 実 に<br />

行 うため、 新 規 の 運 針 であるDuctile…Penetrating…Method…(DPM)を<br />

発 案 した。DPMとは 主 膵 管 を 含 む 周 囲 組 織 に、 主 膵 管 に 対 し“ 外 か<br />

ら 内 ”で 刺 入 し、 従 来 のように 主 膵 管 から 針 を 抜 くことなく、そのま<br />

ま 主 膵 管 腔 を 貫 通 させ、 今 度 は“ 内 から 外 ”に 針 の 彎 曲 に 沿 って 反 対<br />

側 の 周 囲 組 織 外 へと 針 糸 を 貫 き、このとき 主 膵 管 腔 内 に 係 留 した 糸 を<br />

管 腔 外 に 引 き 出 すことにより、 主 膵 管 の 長 軸 方 向 にはより 深 く、 周 囲<br />

組 織 にはそれと 同 程 度 に 幅 広 く、 確 実 に 縫 合 糸 を 配 列 する 方 法 である。<br />

今 回 、 我 々は、DPMを 臨 床 応 用 するために、 単 回 使 い 捨 て 型 の 吻 合<br />

補 助 器 を 試 作 したので 報 告 する。<br />

【 方 法 】DPMを 可 能 にする 内 径 1mmの 主 膵 管 に 挿 入 可 能 な 細 さで、<br />

かつ 挿 入 後 その 径 を 拡 張 させる 強 度 を 発 揮 する 吻 合 補 助 器 を、 金 属 一<br />

体 型 (Cタイプ)、 樹 脂 一 体 型 ディスポ 先 端 + 金 属 製 本 体 (Aタイプ)、<br />

針 管 インサート 型 樹 脂 ディスポ 先 端 + 金 属 製 本 体 (Bタイプ)として 作<br />

製 した。Aタイプは 高 速 射 出 成 形 技 術 を 利 用 し、 細 経 で 長 さを 有 した<br />

先 端 ループとボリュームのある 金 属 接 続 部 分 を 有 するような 先 端 プロ<br />

トタイプである。 一 方 、タイプBは 針 管 と 縫 合 糸 をカシメた 微 細 部 品<br />

と 樹 脂 とをインサート 成 形 した 先 端 プロトタイプである。ビーグル 犬<br />

5 頭 で 膵 切 離 面 でのintactの 主 膵 管 径 、 拡 張 主 膵 管 径 と 正 常 膵 管 に 対<br />

する 比 、ならびにDPMを 行 った 際 の 膵 切 離 面 からの 主 膵 管 に 対 する<br />

糸 の 係 留 長 を 計 測 した。<br />

【 結 果 】イヌにおけるintactの 主 膵 管 径 は0.72±0.15mmであった。C<br />

タイプ、Aタイプ、Bタイプでそれぞれ1.76±0.36mm、1.30±0.29mm、<br />

1.48±0.28mmまで 拡 張 された。 拡 張 比 はCタイプで2.54±0.15 倍 、Aタ<br />

イプで1.87±0.19 倍 、Bタイプで2.21±0.21 倍 であった。 膵 切 離 面 から<br />

の 係 留 長 は、Cタイプでは2.44±0.19mm、Aタイプでは2.66±0.19mm<br />

であり、BタイプではDPMができなかった。CタイプとAタイプの 両<br />

者 間 には 有 意 差 を 認 めなかった。<br />

【 結 語 】AタイプはDPM… を 行 うには 十 分 程 度 に 主 膵 管 が 拡 張 でき、<br />

係 留 する 糸 の 奥 行 きも 十 分 であった。 今 後 、Aタイプをディスポーザ<br />

ブル 型 吻 合 補 助 器 とし、DPMの 臨 床 研 究 を 行 う 予 定 である。<br />

P103-6 術 式 選 択 に 苦 慮 した 高 齢 者 の 一 例 ~ 尾 部 にIPMNを 合<br />

併 した 近 位 膵 体 部 癌<br />

兵 庫 県 立 西 宮 病 院 外 科<br />

○… 柏 崎 正 樹 , 濱 直 樹 , 矢 野 浩 司<br />

膵 尾 部 の 分 枝 型 IPMNと 膵 頭 体 部 近 位 の 膵 管 癌 の 合 併 を 認 め、 術 式 決<br />

定 に 苦 慮 した 高 齢 者 の1 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 】84 歳 男 性<br />

【 主 訴 】 主 膵 管 拡 張 【 現 病 歴 】 糖 尿 病 で 近 医 通 院 中 、 血 糖 コントロー<br />

ルの 悪 化 を 契 機 に 施 行 された 腹 部 USにて 主 膵 管 の 拡 張 を 指 摘 され、<br />

当 院 へ 紹 介 された。【 術 前 検 査 】 腹 部 造 影 CT; 膵 頭 体 部 移 行 部 から 上<br />

流 に 最 大 径 約 12mmの 主 膵 管 拡 張 を 認 め、 膵 尾 部 に 径 約 32mm 大 の 嚢<br />

胞 性 病 変 を 認 めた。 近 位 体 部 には 動 脈 相 で 低 濃 度 、 門 脈 相 から 静 脈 相<br />

で 造 影 効 果 を 受 ける 腫 瘤 を 認 めた。 有 意 なリンパ 節 腫 大 は 認 めなかっ<br />

た。 腹 部 単 純 MRI; 膵 近 位 体 部 にT1 強 調 画 像 で 低 信 号 、 拡 散 強 調 画<br />

像 でごく 淡 い 高 信 号 を 呈 する 径 10mm 大 の 腫 瘤 を 認 めた。 膵 尾 部 に 嚢<br />

胞 性 病 変 を 認 め、 壁 の 一 部 は 拡 散 強 調 画 像 でやや 高 信 号 を 呈 した。<br />

ERP; 近 位 体 部 で 主 膵 管 の 途 絶 を 認 め、 尾 側 の 拡 張 した 主 膵 管 も 一 部<br />

描 出 された。ガイドワイヤーが 通 過 せずIDUSは 施 行 できなかった。<br />

膵 液 細 胞 診 ; 陰 性 。CEA…3.4…ng/ml,…CA19-9…0.1…U/ml。【 術 前 診 断 】<br />

近 位 体 部 に 径 約 10mm 大 の 膵 管 癌 が、 膵 尾 部 には 径 32mm 大 の 分 枝 型<br />

IPMNが 存 在 すると 診 断 した。IPMNの 良 悪 性 の 鑑 別 は 困 難 であった。<br />

【 術 式 選 択 】 高 齢 者 であり、IPMNが 良 性 である 可 能 性 を 考 慮 し、TP<br />

あるいは 膵 頭 部 尾 部 分 割 切 除 は 可 能 な 限 り 避 けるべく 術 式 を 検 討 した。<br />

1)まず 遠 位 体 部 で 膵 を 離 断 し、 頭 側 断 端 迅 速 診 と 尾 部 膵 管 内 洗 浄 細 胞<br />

診 を 施 行 する。< 細 胞 診 陽 性 であれば 尾 部 温 存 不 可 、 細 胞 診 陰 性 かつ<br />

断 端 陰 性 であれば 尾 部 は 温 存 可 > 両 者 共 陰 性 であったので、2) 続 いて<br />

近 位 体 部 癌 の 切 除 を 施 行 し、< 頭 側 断 端 陰 性 が 確 保 できればDPを、<br />

確 保 できなければPDを 選 択 > 頭 側 断 端 陰 性 が 得 られたため 最 終 的 に<br />

DPを 施 行 した。【 病 理 診 断 】Invasive…ductal…carcinoma;…INFβ,…ly0,…<br />

v0,…ne0,…mpd(+);…CH(-)DU(-)S(-)RP(-)PV(-)A(-)PL(-)OO(-)PCM<br />

(-)BCM(-)DPM(-);…pT1N0M0,…Stage…I、 尾 部 病 変 はIPMA。【 術 後 経<br />

過 】Grade…Bの 膵 液 瘻 を 合 併 したが 第 33 病 日 に 退 院 した。【 考 察 】 近<br />

位 の 膵 体 部 癌 はどこまでDP 可 能 か、 尾 部 IPMAは 切 除 不 要 であったか、<br />

膵 体 部 温 存 術 式 を 選 択 すべきであったか、 等 について 議 論 があると 考<br />

えられた。<br />

P103-7 術 前 ENPD 挿 入 を 行 った 膵 体 尾 部 切 除 術 の2 例<br />

名 古 屋 市 立 大 大 学 院 ・ 消 化 器 外 科 学<br />

○… 高 山 悟 , 坂 本 雅 樹 , 松 尾 洋 一 , 竹 山 廣 光<br />

< 始 めに> 膵 体 尾 部 切 除 術 は 一 般 に 膵 頭 部 切 除 術 に 比 し 術 後 膵 液 瘻 の<br />

頻 度 が 高 く、その 割 合 は 半 数 以 上 ともいわれている。 今 回 我 々はこの<br />

合 併 症 を 減 らす 試 みとして 腹 腔 鏡 下 膵 体 尾 部 切 除 術 の2 症 例 に 対 し 術<br />

前 にEndoscopic…nasopancreatic…drainage(ENPD)チューブ 留 置 を 試<br />

みたのでここに 紹 介 する。< 症 例 >1 例 目 は59 歳 男 性 IPMN 症 例 、2 例<br />

目 は41 歳 女 性 MCAの 症 例 であった。 共 に 手 術 前 日 にENPDを 挿 入 し、<br />

手 術 当 日 に 膵 炎 を 起 こしていない 事 を 確 認 の 後 手 術 を 行 っている。 手<br />

術 は 腹 腔 鏡 下 に 膵 体 尾 部 ・ 脾 臓 の 剥 離 受 動 及 び 脾 動 静 脈 の 切 離 までを<br />

腹 腔 鏡 下 に 行 い 体 尾 部 の 切 断 を 小 開 腹 下 に 行 うものである。 膵 断 端 は<br />

ENPDの 位 置 をX 線 イメージ 下 で 確 認 しながらDuetで 切 断 している。<br />

< 結 果 > 一 例 目 は 膵 切 離 部 にENPDがかからないよう 術 中 引 き 抜 いた<br />

ため、 側 孔 から 膵 液 が 腸 管 内 に 流 出 し、 術 後 のENPDからの 膵 液 流 出<br />

が 確 認 できなくなってしまった。また 腹 腔 内 に 留 置 した 膵 断 端 ドレー<br />

ンのアミラーゼ 値 も 高 値 で 術 後 膵 液 瘻 が 確 認 された。2 例 目 も 残 念 な<br />

がらENPDの 流 出 は 認 められたが 同 様 に 膵 液 瘻 を 起 こしてしまった。<br />

< 考 察 > 術 前 のENPD 留 置 は 術 後 膵 液 瘻 のriskを 軽 減 させ 有 効 である<br />

との 報 告 も 散 見 されているが、 我 々の 症 例 では 膵 液 瘻 の 防 止 効 果 は 確<br />

認 できなかった。 但 し 膵 液 瘻 の 悪 化 防 止 に 寄 与 した 可 能 性 までは 否 定<br />

できないと 考 える。< 結 語 > 膵 体 尾 部 切 除 術 に 対 する 術 前 ENPD 挿 入<br />

は 膵 液 瘻 防 止 には 寄 与 しなかったが、 悪 化 防 止 の 効 果 はある 可 能 性 が<br />

あり、 今 後 症 例 を 増 やし 引 き 続 き 検 討 していきたい<br />

P103-8 膵 管 癒 合 不 全 を 合 併 した 膵 尾 部 癌 に 対 する 尾 側 膵 切 除<br />

後 膵 液 漏 に 対 し, 膵 管 ステント 留 置 が 有 用 であった1<br />

例<br />

旭 川 厚 生 病 院 外 科<br />

○… 折 茂 達 也 , 庄 中 達 也 , 稲 垣 光 裕<br />

症 例 は70 歳 代 の 男 性 . 腹 痛 あり 当 院 消 化 器 科 を 受 診 した.CTで 胆 嚢<br />

内 に 結 石 と 膵 尾 部 に2cmの 境 界 不 明 瞭 な 腫 瘤 を 認 め,EUSでも 膵 尾 部<br />

に2cmの 低 エコー 像 を 認 めた.ERCPでは 胆 石 を 認 めたが 主 膵 管 は 造<br />

影 されず、MRCPでは 胆 石 と 主 膵 管 が 膵 尾 部 で 途 絶 している 所 見 を 認<br />

めた. 膵 尾 部 の 腫 瘤 に 対 してEUS-FNAを 施 行 し 中 分 化 型 腺 癌 の 結 果<br />

であった. 膵 尾 部 癌 , 胆 石 症 の 診 断 で 膵 体 尾 部 脾 切 除 , 胆 嚢 摘 出 術 を<br />

施 行 した. 膵 断 端 の 処 理 は 主 膵 管 を 結 紮 し,fish…mouthに 閉 鎖 した.<br />

経 過 良 好 で 術 後 7 日 目 に 食 事 開 始 となったが, 術 後 9 日 目 に 膵 断 端 ド<br />

レーンのアミラーゼが50830…IU/lとなり 食 事 を 止 め, 術 後 11 日 目 に 膵<br />

断 端 ドレーンのアミラーゼが332500…IU/lとなり 以 後 連 日 ドレーンか<br />

ら100~200mlの 排 液 が 続 いた. 絶 食 , 中 心 静 脈 栄 養 管 理 としたが 膵 液<br />

漏 の 改 善 傾 向 がないため, 内 視 鏡 的 に 膵 管 ステントを 留 置 し,この 時<br />

の 膵 管 造 影 で 主 乳 頭 から 主 膵 管 は 造 影 されず 副 乳 頭 より 主 膵 管 が 造 影<br />

される 膵 管 癒 合 不 全 を 確 認 した.また 経 鼻 で 経 腸 栄 養 チューブを<br />

Treitz 靭 帯 の 部 位 まで 挿 入 し 経 腸 栄 養 を 開 始 した. 膵 管 ステント 留 置<br />

後 より 膵 断 端 のドレーン 流 出 量 は 著 明 に 減 少 し, 術 後 57 日 目 に 膵 断 端<br />

のドレーンを 抜 去 し, 術 後 61 日 目 に 軽 快 退 院 した. 通 常 膵 臓 は 腹 側 膵<br />

と 背 側 膵 の2つの 原 基 よりなり 両 原 基 がやがて 癒 合 するが,2つの 膵 原<br />

基 が 癒 合 せず 分 離 したままの 状 態 や, 両 膵 原 基 が 癒 合 した 場 合 でも 腹<br />

側 膵 管 系 と 背 側 膵 管 系 に 交 通 がないと 膵 管 癒 合 不 全 となる. 正 常 膵 の<br />

場 合 , 膵 液 の 大 部 分 は 主 乳 頭 より 排 泄 されるが, 膵 管 癒 合 不 全 では,<br />

より 大 きな 膵 組 織 である 背 側 膵 の 全 分 泌 液 が 副 乳 頭 から 排 泄 されるこ<br />

とになる. 副 乳 頭 は 主 乳 頭 より 開 口 径 が 狭 いため, 相 対 的 に 膵 液 の 排<br />

泄 障 害 が 起 こり、 閉 塞 性 膵 障 害 を 起 こしやすいとされている. 膵 管 癒<br />

合 不 全 の 頻 度 は 欧 米 では6~10%、 本 邦 では1%とまれであるが、 本 症 例<br />

のような 膵 管 癒 合 不 全 を 伴 った 症 例 に 尾 側 膵 切 除 を 施 行 する 場 合 は 膵<br />

液 の 排 泄 障 害 に 伴 う 膵 液 漏 の 可 能 性 が 高 いと 考 えられ,より 慎 重 な 対<br />

応 が 必 要 であると 考 えられた.<br />

-532-


P103-9 経 乳 頭 的 膵 管 ドレナージにて 早 期 に 治 癒 し 得 た 膵 体 尾<br />

部 切 除 後 難 治 性 膵 液 瘻<br />

淀 川 キリスト 教 病 院<br />

○… 武 部 敦 志 , 小 松 昇 平 , 宗 慎 一 , 岩 崎 武<br />

はじめに 尾 側 膵 切 除 術 における 膵 断 端 の 処 理 はさまざまな 方 法 が 試<br />

されてきたが 膵 液 瘻 の 発 生 頻 度 は 今 もなお 高 率 である。 膵 液 瘻 の 治 療<br />

には 入 院 期 間 の 多 大 な 延 長 を 要 し、 特 に 感 染 を 合 併 した 場 合 は 出 血 な<br />

どの 致 死 的 合 併 症 をきたすこともあるため 有 効 かつ 迅 速 な 治 療 法 の 選<br />

択 が 重 要 である。 今 回 我 々は 経 乳 頭 的 膵 管 ドレナージを 行 い 良 好 な 経<br />

過 が 得 られた 術 後 難 治 性 膵 液 瘻 を 経 験 したのでこれを 報 告 する。 症 例<br />

1…56 才 女 性 膵 粘 液 性 嚢 胞 腫 瘍 にて 膵 体 尾 部 切 除 施 行 膵 切 離 は 上 腸<br />

間 膜 静 脈 (SMV) 左 縁 で 自 動 吻 合 器 (Duet…TRS)にておこなった。 術 後<br />

ISGPF…Grade…Aの 膵 液 瘻 を 認 めたが 術 後 8 日 目 に 腹 腔 ドレーンが 抜 去<br />

され 術 12 日 で 退 院 となった。 術 後 8ヶ 月 目 に 上 腹 部 痛 を 訴 え 腹 部 CTに<br />

て 径 5.0cmの 仮 性 嚢 胞 を 認 めた。 経 内 視 鏡 的 膵 管 造 影 検 査 にて 嚢 胞 は<br />

造 影 されなかったがドレナージチューブの 嚢 胞 への 挿 入 は 可 能 で 経 鼻<br />

膵 管 ドレナージをおこなった。 混 濁 した 膵 液 の 流 出 を 認 め 処 置 後 7 日<br />

に 嚢 胞 は 消 失 した。 症 例 2…71 才 女 性 転 移 性 膵 腫 瘍 にて 膵 体 尾 部 切 除<br />

施 行 膵 切 離 はSMV 上 で 自 動 吻 合 器 (Duet…TRS)にておこなった。 術<br />

後 早 期 より 膵 断 端 に 挿 入 した 腹 腔 ドレーにより 混 濁 した 排 液 が 持 続 し、<br />

術 後 6 日 目 には 腹 腔 内 膿 瘍 を 形 成 した。 膵 液 瘻 の 診 断 にてドレーン 入<br />

れ 替 えや 膿 瘍 腔 の 洗 浄 をおこなったが 軽 快 せず 術 後 110 日 目 に 内 視 鏡<br />

治 療 がおこなわれた。 膵 管 造 影 にて 膿 瘍 腔 は 造 影 されずカテーテルの<br />

膿 瘍 腔 への 挿 入 も 不 能 だったため 膵 管 ステント(EPS)の 留 置 にとど<br />

まったが 処 置 後 7 日 目 には 炎 症 は 軽 快 し 膿 瘍 腔 も 消 失 した。まとめ 膵<br />

尾 側 切 除 後 の 膵 液 瘻 に 対 する 内 視 鏡 治 療 が 有 用 だった2 症 例 について<br />

報 告 した。 内 視 鏡 的 膵 管 造 影 検 査 にて 瘻 孔 が 同 定 できない 場 合 でも 良<br />

好 な 治 療 効 果 が 得 られ 尾 側 膵 切 除 後 の 膵 液 瘻 治 療 における 膵 管 減 圧 の<br />

重 要 性 が 示 唆 された。 欧 米 に 比 べ 本 治 療 は 本 邦 において 一 般 的 とはい<br />

えないが、その 高 い 治 療 効 果 より 積 極 的 に 活 用 していくべきと 考 えら<br />

れた。<br />

P104-1 診 断 に 苦 慮 した 膵 原 発 hamartomaの1 例<br />

1<br />

鹿 児 島 大 学 大 学 院 医 歯 学 総 合 研 究 科 腫 瘍 学 講 座 消 化 器<br />

外 科 、 2 鹿 児 島 大 学 医 学 部 保 健 学 科 、 3 鹿 児 島 大 学 フロンティア<br />

サイエンス 研 究 推 進 センター・ 先 端 医 療 開 発 分 野<br />

○… 松 下 大 輔 1<br />

, 新 地 洋 之 2<br />

, 前 村 公 成 1<br />

, 又 木 雄 弘 1<br />

,<br />

迫 田 雅 彦 1<br />

, 上 野 真 一 1<br />

, 高 尾 尊 身 3 1<br />

, 東 夏 越 祥 次<br />

今 回 、 増 大 傾 向 を 示 す 膵 嚢 胞 性 腫 瘍 に 対 しIntrapapillary…mucinous…<br />

carcinoma(IPMC)を 疑 い 幽 門 輪 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PpPD)を 施<br />

行 し、 最 終 診 断 にて 膵 原 発 hamartomaであった1 例 を 経 験 したので 若<br />

干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。 症 例 は68 歳 、 男 性 。2008 年 5 月 に 検<br />

診 目 的 の 腹 部 造 影 CTにて 膵 鈎 部 に4cm 大 の 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 を 指 摘<br />

されるも 経 過 観 察 となる。2010 年 2 月 、 超 音 波 内 視 鏡 (Endoscopic…<br />

ultrasoudscopy:EUS)にて 最 大 径 は2.5cmと 縮 小 を 認 めるも 嚢 胞 内 に<br />

結 節 状 成 分 を 指 摘 された。 同 年 9 月 には 同 結 節 の 増 大 傾 向 を 認 め…た。<br />

CT、MRで はSerous…cyst…adenomaやLipoma、Dermoid…cyst 等 の 良<br />

性 嚢 胞 性 病 変 が 考 えられたが、EUS,A-USでは 増 大 する 結 節 成 分 を 伴<br />

う 多 房 性 嚢 胞 性 病 変 でありIPMCを 否 定 できず12 月 にPpPDを 施 行 し<br />

た。 経 過 観 察 期 間 中 で 明 らかな 自 覚 症 状 はなく、 末 梢 血 ・ 生 化 学 検 査 、<br />

腫 瘍 マーカー(CEA、CA19-9)に 異 常 は 認 めなかった。 術 中 所 見 として、<br />

膵 鈎 部 に 弾 性 ・ 軟 の 腫 瘍 を 触 知 した。 周 囲 に 癒 着 なく 容 易 に 切 除 しえ<br />

た。 切 除 標 本 では 膵 鈎 部 に 黄 色 の 脂 肪 組 織 様 成 分 からなる4x4cm 大 の<br />

境 界 明 鏡 な 結 節 性 病 変 を 認 めた。その 内 部 には 最 大 径 …15mmの 小 嚢<br />

胞 状 構 造 が 散 在 していた。 組 織 学 的 には 脂 肪 様 成 分 は 成 熟 した 脂 肪 組<br />

織 であり、 小 嚢 胞 成 分 は 周 囲 に 軽 度 の 線 維 化 を 伴 った 拡 張 した 腺 管 構<br />

造 の 集 簇 であった。 免 疫 染 色 では 腺 管 上 皮 はcytokeratin…7、<br />

cytokeratin…19が 陽 性 でcytokeratin…20は 陰 性 であった。また、 脂 肪 組<br />

織 はS100が 陽 性 であったがMIB-1 陽 性 細 胞 はほとんど 認 められなかっ<br />

た。 以 上 より 膵 原 発 のhamartomaと 診 断 した。 術 後 37ヵ 月 現 在 も 無<br />

再 発 生 存 中 である。 膵 原 発 hamartomaは 非 常 に 稀 な 疾 患 であり、<br />

PubMedで 検 索 したところ17 例 の 報 告 があるのみであった。 今 回 非 常<br />

に 稀 な 疾 患 を 経 験 したのでこれを 報 告 する。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P104-2 Beckwith-Wiedemann 症 候 群 、インスリノーマに<br />

対 し 十 二 指 腸 温 存 膵 頭 切 除 、 体 尾 部 腫 瘍 核 出 術 を 施 行<br />

した1 例<br />

1<br />

帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 外 科 、 2 帝 京 大 学 ちば 総 合<br />

医 療 センター 第 三 内 科 、 3 帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 病<br />

理 部<br />

○… 今 井 健 一 郎 1<br />

, 幸 田 圭 史 1<br />

, 山 崎 将 人 1<br />

, 鈴 木 正 人 1<br />

,<br />

手 塚 徹 1<br />

, 小 杉 千 弘 1<br />

, 村 田 聡 一 郎 1<br />

, 平 野 敦 史 1<br />

,<br />

岡 野 美 々 1 , 板 垣 亮 平 1<br />

, 白 神 梨 沙 1<br />

, 安 田 秀 喜 1<br />

,<br />

田 中 輝 行 2<br />

, 井 上 大 輔 2<br />

, 山 崎 一 人 3 3<br />

, 石 田 康 生<br />

Beckwith-Wiedemann 症 候 群 は11p15.5を 責 任 遺 伝 子 座 とする 常 染 色<br />

体 劣 性 遺 伝 病 である。 過 成 長 症 候 群 の1つとされ、 巨 舌 、 腹 壁 欠 損 、<br />

過 成 長 を 三 主 徴 とする。 症 例 は20 才 、 女 性 。Beckwith-Wiedemann<br />

症 候 群 、 新 生 児 低 血 糖 、 精 神 発 達 遅 滞 、てんかん、 総 胆 管 拡 張 症 、 腸<br />

回 転 異 常 症 術 後 などの 診 断 で 他 院 でフォローされていた。20 才 を 機 に<br />

当 院 内 科 を 受 診 した 際 、 頻 回 のてんかん 発 作 、BS…66mg/dlの 所 見 か<br />

ら 低 血 糖 を 疑 われて 入 院 となった。75gOGTTでは 過 剰 なインスリン<br />

分 泌 を 認 めた。 低 血 糖 発 作 に 対 してブドウ 糖 静 注 で 症 状 が 改 善 した。<br />

造 影 CTで 膵 全 体 の 腫 大 と 膵 尾 部 に 突 出 する1.2cm 大 の 富 血 性 の 腫 瘍 を<br />

認 め、 頭 部 にも 多 発 する 数 mm 大 の 富 血 性 の 腫 瘍 を 認 めた。 選 択 的 動<br />

脈 内 Ca 負 荷 試 験 では 膵 頭 部 領 域 でのIRIのジャンプアップを 認 めた。<br />

多 発 インスリノーマの 診 断 で 開 腹 手 術 を 施 行 した。 術 中 所 見 で 膵 全 体<br />

の 腫 大 と 膵 体 尾 部 に4か 所 の 結 節 性 病 変 を 認 めた。 腸 回 転 異 常 症 術 後<br />

で 小 腸 が 強 固 に 癒 着 、 固 定 されていたため、 空 腸 拳 上 による 再 建 は 困<br />

難 と 判 断 した。 十 二 指 腸 温 存 膵 頭 切 除 、 膵 体 尾 部 腫 瘍 核 出 術 を 施 行 し<br />

た。 再 建 は 肝 管 十 二 指 腸 吻 合 、 膵 十 二 指 腸 粘 膜 吻 合 を 施 行 した。 病 理<br />

学 組 織 学 的 に 多 中 心 性 発 生 を 示 す 多 発 インスリノーマと 診 断 された。<br />

術 後 、インスリン 過 剰 分 泌 の 改 善 を 認 め、 低 血 糖 発 作 は 消 失 した。<br />

Grade…Bの 膵 液 漏 に 難 渋 したがドレーンワークで 対 処 し、 術 後 82 日 で<br />

退 院 となった。<br />

P104-3 膵 原 発 炎 症 性 筋 繊 維 芽 細 胞 性 腫 瘍 ( 炎 症 性 偽 腫 瘍 )の 一<br />

例<br />

岡 山 済 生 会 総 合 病 院<br />

○… 丸 山 昌 伸 , 仁 熊 健 文 , 児 島 亨 , 三 村 哲 重<br />

炎 症 性 筋 繊 維 芽 細 胞 性 腫 瘍 は 炎 症 性 細 胞 浸 潤 と 筋 線 維 芽 細 胞 を 主 体 と<br />

する 病 変 で, 膵 臓 原 発 の 炎 症 性 線 維 芽 細 胞 性 腫 瘍 は 極 めてまれである.<br />

今 回 われわれは, 膵 臓 原 発 の 炎 症 性 線 維 芽 細 胞 性 腫 瘍 の1 例 を 経 験 し<br />

たので 報 告 する. 症 例 50 歳 代 女 性 . 心 窩 部 痛 を 主 訴 として 近 医 を 受<br />

診 した. 内 視 鏡 検 査 にて 膵 臓 腫 瘍 を 指 摘 され, 精 査 目 的 に 当 科 を 受 診<br />

した. 腹 部 CT 検 査 では, 膵 体 部 腹 側 に9mmの 腫 瘤 をみとめ, 造 影<br />

CT 検 査 で 腫 瘍 は 動 脈 , 門 脈 相 では 周 囲 よりやや 低 吸 収 , 平 衡 相 では<br />

やや 高 吸 収 であった.MRI 検 査 で, 腫 瘍 はT1WI/T2WIとも 低 信 号 で<br />

あった.PET 検 査 では, 同 部 位 への 異 常 集 積 は 認 めなかった. 画 像<br />

検 査 より 膵 癌 の 可 能 性 も 否 定 できず, 膵 体 尾 部 切 除 術 を 施 行 した. 術<br />

中 , 膵 体 部 下 縁 の 腹 膜 にわずかに 浸 潤 する10mm 大 の 腫 瘍 を 認 め,リ<br />

ンパ 節 の 腫 大 は 認 めなかった. 病 理 検 査 では, 境 界 明 瞭 な 灰 白 色 充 実<br />

性 の 腫 瘍 で, 腫 瘍 の 主 体 は 異 型 性 の 乏 しい 紡 錘 形 細 胞 であり, 酵 素 抗<br />

体 法 ではAlpha-SMA(+)と 筋 繊 維 への 分 化 が 示 唆 された.これらの 細<br />

胞 にまじって 中 等 度 のリンパ 球 浸 潤 を 認 め,inflammatory…<br />

myofibroblastic…tumor… と 診 断 した. 術 後 合 併 症 なく 良 好 に 経 過 し,<br />

術 後 23 日 目 に 退 院 した. 膵 臓 原 発 炎 症 性 筋 繊 維 芽 細 胞 性 腫 瘍 の 報 告 は<br />

極 めて 少 なく, 文 献 的 考 察 を 加 え, 報 告 する.<br />

-533-


P104-4 膵 頭 部 癌 に 合 併 した 膵 尾 部 炎 症 性 偽 腫 瘍 の1 切 除 例<br />

大 阪 市 立 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 中 島 隆 善 , 塚 本 忠 司 , 金 沢 景 繁 , 清 水 貞 利 , 高 台 真 太 郎 ,<br />

山 添 定 明 , 森 本 純 也 , 大 平 豪<br />

症 例 は60 歳 代 、 男 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 前 医 受 診 、 血 液 検 査 にて 血 清<br />

アミラーゼ 値 の 上 昇 、CTおよび 腹 部 超 音 波 検 査 にて 膵 頭 部 の 腫 瘍 性<br />

病 変 および 主 膵 管 の 拡 張 を 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 当 院 を 紹 介 受 診<br />

となった。 当 院 での 腹 部 超 音 波 検 査 にて 膵 頭 部 の3cm 大 の 腫 瘍 性 病 変<br />

のほかに 膵 尾 部 に2.5cm 大 の 低 エコー 領 域 を 認 め、Dynamic…CT 検 査<br />

では 膵 頭 部 の 腫 瘍 性 病 変 とその 末 梢 側 の 主 膵 管 の 拡 張 に 加 え、 膵 尾 部<br />

に 主 膵 管 に 連 続 する 腫 瘍 性 病 変 を 認 めた。 膵 頭 部 の 病 変 に 対 して<br />

EUS-FNAを 施 行 、 細 胞 診 にてadenocarcinomaと 診 断 された。PET-<br />

CT 検 査 を 施 行 したところ、 膵 頭 部 とは 別 に、 尾 部 にも 有 意 な 異 常 集<br />

積 が 認 められ、 膵 頭 部 癌 と 膵 尾 部 癌 の 重 複 癌 を 疑 って 手 術 を 施 行 した。<br />

手 術 時 所 見 にて 膵 尾 部 の 腫 瘍 は 硬 い 腫 瘤 として 触 知 し、 脾 彎 曲 部 の 結<br />

腸 間 膜 への 直 接 浸 潤 が 疑 われた。 一 方 、 膵 頭 部 の 腫 瘍 は 門 脈 浸 潤 が 疑<br />

われ、 手 術 は 膵 全 摘 、 横 行 結 腸 部 分 切 除 および 門 脈 合 併 切 除 を 行 った。<br />

病 理 組 織 学 検 査 にて、 膵 頭 部 の 腫 瘍 は 低 分 化 型 腺 癌 と 診 断 された。 一<br />

方 、 膵 尾 部 では 拡 張 した 膵 管 とその 周 囲 には 炎 症 性 変 化 が 認 められた。<br />

同 部 位 の 膵 実 質 では 萎 縮 が 目 立 ち、 外 分 泌 腺 は 脱 落 し、 繊 維 化 が 広 汎<br />

に 認 められるものの、 悪 性 を 示 唆 する 所 見 は 認 められなった。 以 上 よ<br />

り 膵 頭 部 癌 および 膵 尾 部 炎 症 性 偽 腫 瘍 と 診 断 された。 膵 における 炎 症<br />

性 偽 腫 瘍 は 比 較 的 まれで、 自 験 例 は 膵 頭 部 癌 に 合 併 していた。 自 験 例<br />

に 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P104-5 MRI 拡 散 強 調 画 像 とFDG-PETで 悪 性 も 示 唆 された、リ<br />

ンパ 管 拡 張 を 伴 った 膵 の 限 局 性 炎 症 性 変 化 の1 例<br />

名 古 屋 第 一 赤 十 字 病 院<br />

○… 三 宅 秀 夫 , 永 井 英 雅 , 服 部 正 興<br />

症 例 は80 歳 女 性 、 右 背 部 痛 を 主 訴 に 当 院 受 診 。 腹 部 に 腫 瘤 等 は 触 知 せ<br />

ず、 血 液 検 査 上 CRP…1.4mg/dL、リパーゼ70…IU/L…と 軽 度 高 値 を 示 し<br />

た 以 外 は 異 常 を 認 めず、 腫 瘍 マーカーの 上 昇 も 認 めなかった。CTで、<br />

膵 鈎 部 に 最 大 7mmの 管 状 の 嚢 胞 性 構 造 が 連 なるような 病 変 が 描 出 さ<br />

れ、 周 囲 に 早 期 相 で 膵 実 質 よりlow…densityの 充 実 性 の 領 域 を 認 め、<br />

全 体 で25mm 大 の 腫 瘤 ととらえられた。 分 枝 型 のIPMNや 限 局 性 炎 症<br />

性 変 化 が 考 えられた。 体 外 式 のUSでは 上 記 病 変 は 不 鮮 明 であった。<br />

MRIでは 管 状 の 嚢 胞 性 構 造 の 周 囲 の 腫 瘤 はT1WIで 膵 実 質 よりも 低 侵<br />

号 、T2WIで 等 侵 号 を 呈 した。DWIで 同 部 位 は 軽 度 なから 拡 散 の 低 下<br />

を 認 めた。PETでは 膵 鈎 部 腫 瘤 にFDGの 集 積 を 認 め、 早 期 像 でMAX-<br />

SUVが5.7で、 遅 延 像 では7.0と 集 積 が 上 昇 した。 確 定 診 断 は 困 難 であっ<br />

たが、MRI-DWIとFDG-PETの 所 見 からは 悪 性 も 否 定 できず、また、<br />

患 者 さんの 希 望 があり、 亜 全 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。<br />

リンパ 節 郭 清 は1 群 のみ 施 行 した。 切 除 標 本 では、 肉 眼 的 に 病 変 は、<br />

やや 小 葉 構 造 の 委 縮 した 褐 色 調 の 領 域 としてとらえられ、 内 部 に 小 嚢<br />

胞 状 構 造 を 認 めた。 組 織 学 的 には、 同 部 位 はリンパ 管 拡 張 を 伴 った 軽<br />

度 の 炎 症 性 変 化 で、 炎 症 細 胞 浸 潤 は 血 管 周 囲 性 で、IgG4 陽 性 細 胞 は<br />

認 めなかった。 術 後 経 過 は 良 好 で、 術 後 18 日 目 に 退 院 された。<br />

P104-6 急 性 腹 症 で 発 症 し 嚢 胞 性 膵 疾 患 との 鑑 別 が 必 要 であっ<br />

たが 腹 腔 鏡 下 手 術 が 奏 効 したlymphangiomaの 一 例<br />

1<br />

神 戸 赤 十 字 病 院 外 科 、 2 神 戸 赤 十 字 病 院 病 理 部<br />

○… 石 堂 展 宏 1<br />

, 大 鶴 徹 1<br />

, 西 村 健 1<br />

, 湯 浅 壮 司 1<br />

, 田 村 竜 二 1<br />

,<br />

岡 本 貴 大 1<br />

, 門 脇 嘉 彦 1<br />

, 森 隆 1 2<br />

, 高 橋 卓 也<br />

症 例 は21 歳 、 女 性 。2011 年 9 月 初 旬 、 激 しい 上 腹 部 痛 を 主 訴 に 当 院 外<br />

来 を 受 診 された。 腹 部 超 音 波 検 査 で 左 上 腹 部 に58x40x33mmの 多 房 性<br />

嚢 胞 性 腫 瘤 を 指 摘 され、MRIではT2WIでhigh…intensity,…T1WIでlow…<br />

intensityであった。 特 記 すべき 既 往 歴 はなく、 血 液 検 査 上 も 著 変 を 認<br />

めず、 一 旦 は 経 過 観 察 となったが、 腹 痛 が 軽 減 しないため、 手 術 目 的<br />

に 入 院 となった。 腹 腔 鏡 下 腫 瘍 摘 出 術 が 施 行 された。 嚢 胞 性 腫 瘍 は 約<br />

6cmでTreiz 靭 帯 部 の 十 二 指 腸 水 平 脚 ~ 空 腸 起 始 部 の 腸 間 膜 に 存 在 し、<br />

内 容 腋 は 漿 液 性 ・ 透 明 であった。 嚢 胞 壁 は 十 二 指 腸 漿 膜 の 一 部 と 膵 鉤<br />

部 下 縁 に 固 着 しており、 膵 鉤 部 との 切 離 にはend-cutterを 使 用 した。<br />

術 後 は 上 腹 部 痛 は 消 失 し、 術 後 9 日 目 に 退 院 となった。 摘 出 標 本 は、<br />

隔 壁 を 伴 う 多 房 性 嚢 胞 で、 充 実 部 分 や 腫 瘍 性 病 変 は 認 められなかった。<br />

D2-40 及 びCD31が 陽 性 であり、lymphangiomaと 診 断 された。 多 房 性<br />

嚢 胞 内 腔 の 裏 打 ち 上 皮 の 破 綻 が 一 部 に 認 められ、 何 らかの 機 転 による<br />

小 嚢 胞 の 嚢 包 内 破 裂 が 原 因 であったと 推 測 された。 激 しい 上 腹 部 痛 で<br />

発 症 したlymphangiomaの 症 例 を 経 験 したので、 若 干 の 文 献 的 考 察 を<br />

加 え、 報 告 する。<br />

P104-7 膵 リンパ 上 皮 嚢 胞 の1 例<br />

大 分 県 立 病 院 外 科<br />

○… 小 川 聡 , 梅 田 健 二 , 米 村 祐 輔 , 小 西 晃 造 , 足 立 英 輔<br />

膵 リンパ 上 皮 嚢 胞 は 主 に 中 年 男 性 に 発 生 する 比 較 的 稀 な 良 性 嚢 胞 性 疾<br />

患 であり、 絶 対 的 手 術 適 応 はない。しかし、 術 前 に 悪 性 腫 瘍 を 否 定 で<br />

きずに 切 除 されることも 少 なくない。 今 回 われわれは、 術 前 に 確 定 診<br />

断 が 得 られず 手 術 を 施 行 した 膵 リンパ 上 皮 嚢 胞 の1 例 を 経 験 したので<br />

報 告 する。 症 例 は67 歳 、 男 性 。 主 訴 は 右 下 腹 部 痛 。 消 化 器 内 科 初 診 時<br />

の 腹 部 所 見 では 圧 痛 なく 腫 瘤 は 触 知 しなかった。 血 液 生 化 学 検 査 では、<br />

炎 症 反 応 や 肝 ・ 胆 道 系 ・ 膵 酵 素 などの 上 昇 はなく、CEA:6.7ng/ml、…<br />

CA19-9


P104-8 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した 膵 内 副 脾 発 生<br />

epithelialcystの 一 例<br />

JA 尾 道 総 合 病 院 外 科<br />

○… 福 田 敏 勝 , 山 口 恵 美 , 高 橋 元 , 田 口 和 浩 , 浜 岡 道 則 ,<br />

住 谷 大 輔 , 山 木 実 , 中 原 雅 浩 , 則 行 敏 生 , 倉 西 文 仁 ,<br />

黒 田 義 則<br />

症 例 は、40 歳 代 、 女 性 。 当 院 婦 人 科 にて 子 宮 内 膜 症 の 術 後 フォロー<br />

目 的 で 施 行 したCT 検 査 にて 膵 尾 部 に 造 影 効 果 のある1.9cm 径 の 腫 瘤 を<br />

認 めた。MRIでは 膵 尾 部 腫 瘤 内 に 嚢 胞 成 分 を 含 み、 嚢 胞 内 に 隔 壁 を 認<br />

めた。 超 音 波 内 視 鏡 検 査 では 腫 瘤 は 充 実 成 分 と 嚢 胞 成 分 からなり、 充<br />

実 成 分 は 脾 臓 と 等 エコー 強 度 であった。 膵 内 副 脾 鑑 別 のためにスズコ<br />

ロイドシンチグラフィーを 行 ったが、 腫 瘤 には 集 積 を 認 めなかった。<br />

嚢 胞 性 膵 疾 患 、 充 実 性 膵 腫 瘍 の 嚢 胞 変 性 を 疑 い、 診 断 加 療 目 的 に 腹 腔<br />

鏡 下 膵 尾 部 切 除 術 を 施 行 した。 病 理 診 断 で、 多 房 性 の 嚢 胞 壁 は 線 維 性<br />

結 合 織 からなり、 内 腔 面 は 扁 平 上 皮 や 立 方 上 皮 によって 被 覆 されてい<br />

た。 嚢 胞 の 周 囲 には 脾 組 織 を 認 めることから、 膵 尾 部 の 膵 内 副 脾 に 発<br />

生 したepithelial…cystと 診 断 した。 術 後 経 過 は 良 好 で 術 後 10 日 目 に 軽<br />

快 退 院 した。<br />

… 副 脾 は 約 10%の 頻 度 で 認 められ、 存 在 部 位 としては 脾 門 部 付 近 が 最<br />

も 多 い。 膵 内 副 脾 も 比 較 的 多 いが、 嚢 胞 形 成 する 頻 度 は 低 い。 膵 内 副<br />

脾 に 嚢 胞 を 形 成 した 症 例 では、 嚢 胞 成 分 を 有 する 膵 腫 瘍 との 鑑 別 が 問<br />

題 となり、 術 前 に 確 定 診 断 をつけることは 困 難 な 症 例 が 多 い。 今 回 、<br />

われわれは 膵 尾 部 に 存 在 した 嚢 胞 性 腫 瘍 に 対 して、 腹 腔 鏡 下 膵 尾 部 切<br />

除 術 を 施 行 し、 膵 内 副 脾 に 発 生 したepithelial…cystと 診 断 した 症 例 を<br />

経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P104-9 術 前 診 断 可 能 であった 膵 内 副 脾 に 発 生 した<br />

epidermoidcystの1 例<br />

山 梨 大 学 第 一 外 科<br />

○… 大 菊 正 人 , 細 村 直 弘 , 雨 宮 秀 武 , 川 井 田 博 充 , 河 野 寛 ,<br />

松 田 政 徳 , 板 倉 淳 , 藤 井 秀 樹<br />

症 例 は44 歳 女 性 。2007 年 の 人 間 ドッグにて 膵 尾 部 腫 瘤 を 指 摘 され、 当<br />

院 消 化 器 内 科 紹 介 受 診 。 精 査 CTにて 膵 尾 部 に25mm 大 の 嚢 胞 性 病 変<br />

を 認 めた。 単 純 CTでは 境 界 明 瞭 で 高 濃 度 に 描 出 され 内 部 の 濃 度 は 均<br />

一 であり 高 粘 調 な 内 容 と 思 われた。 造 影 CTにおいては 嚢 胞 内 部 の 造<br />

影 効 果 は 全 くなく、 嚢 胞 周 囲 組 織 は 脾 臓 と 等 濃 度 の 造 影 効 果 を 示 した。<br />

MRIにおいてはT1W1で 淡 い 高 信 号 、T2W1で 著 明 な 高 信 号 を 呈 し、<br />

嚢 胞 周 囲 には 脾 臓 と 等 信 号 を 示 す 三 日 月 状 の 領 域 が 認 められた。<br />

SPIOによる 造 影 MRIでは 三 日 月 状 の 領 域 に 信 号 低 下 を 認 めた。 以 上<br />

より 膵 内 副 脾 に 発 生 したepidermoid…cystと 診 断 され、 経 過 観 察 の 方<br />

針 となった。 以 降 外 来 にてfollow…upされていたが、2008 年 より 自 己<br />

判 断 で 中 断 。2010 年 7 月 の 近 医 での 検 診 において 嚢 胞 の 増 大 を 指 摘 され、<br />

再 度 当 院 紹 介 。 嚢 胞 は45mm 大 に 増 大 しており、 悪 性 疾 患 の 可 能 性 も<br />

考 えられたため2011 年 2 月 膵 体 尾 部 切 除 を 施 行 された。 病 理 組 織 所 見<br />

では 嚢 胞 は 繊 維 性 の 厚 い 壁 構 造 を 有 し 内 腔 は 重 層 扁 平 上 皮 で 被 われて<br />

いた。 嚢 胞 の 背 景 組 織 には 脾 に 相 当 する 構 造 が 認 められ、 膵 内 副 脾 に<br />

発 生 したepidermoid…cystと 診 断 された。 副 脾 の 発 生 頻 度 は 人 口 の 約<br />

10%とされ、 本 症 例 のように 膵 尾 部 にみられる 頻 度 は 副 脾 症 例 のうち<br />

約 20%とされる。 脾 臓 組 織 は 管 腔 を 欠 くため 嚢 胞 の 発 生 は 稀 であり、<br />

副 脾 に 発 生 するepidermoid…cystは 非 常 に 稀 な 疾 患 で 術 前 に 正 確 に 診<br />

断 されることは 少 なく、 膵 嚢 胞 、 漿 液 性 嚢 胞 腺 腫 、 粘 液 性 嚢 胞 腺 腫 の<br />

診 断 で 切 除 され 病 理 所 見 にて 確 定 診 断 されることが 多 い。 画 像 診 断 で<br />

は 周 囲 に 脾 臓 組 織 の 存 在 を 確 認 することが 術 前 診 断 の 一 助 となり、<br />

SPIO 造 影 は 膵 内 副 脾 を 鑑 別 する 上 で 有 用 である。しかし、 副 脾 成 分<br />

が 少 ない 症 例 ではSPIO 造 影 でも 鑑 別 は 難 しく、 本 症 例 が 術 前 診 断 可<br />

能 であったのは 副 脾 成 分 が 多 かったことに 起 因 する。epidermoid…<br />

cystは 良 性 疾 患 であり 画 像 による 診 断 ができれば 経 過 観 察 とされるが<br />

本 症 例 のように 増 大 傾 向 を 示 す 症 例 もあるため 慎 重 に 経 過 を 追 うこと<br />

が 重 要 である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P104-10 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 症 例 の 経 験<br />

1<br />

大 津 赤 十 字 病 院 外 科 、 2 大 津 赤 十 字 病 院 病 理<br />

○… 平 良 薫 1<br />

, 余 語 覚 匡 1<br />

, 松 村 潤 1<br />

, 花 本 浩 一 1<br />

, 鬼 頭 祥 悟 1<br />

,<br />

中 山 雄 介 1<br />

, 大 江 秀 明 1<br />

, 光 吉 明 1<br />

, 白 瀬 智 之 2<br />

,<br />

1<br />

土 井 隆 一 郎<br />

膵 腺 扁 平 上 皮 癌 は 組 織 学 的 に 腺 癌 成 分 と 扁 平 上 皮 成 分 が 相 接 あるいは<br />

混 在 しており、 扁 平 上 皮 成 分 が 全 体 の30% 以 上 を 占 める 腫 瘍 と 定 義 さ<br />

れている。 膵 腫 瘍 の 中 でも 稀 な 腫 瘍 であり、 報 告 では 膵 腫 瘍 の1~2%<br />

前 後 される。また、 腫 瘍 増 大 も 早 く、 進 行 例 で 見 つかるケースも 多 い。<br />

今 回 我 々は、 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 症 例 を 経 験 したので 報 告 する。【 症 例 1】<br />

64 歳 男 性 。1カ 月 前 から 心 窩 部 の 不 快 感 を 自 覚 していた 腹 部 満 感 も 加<br />

わり 近 医 受 診 した。エコー、CTでの 精 査 にて 膵 尾 部 に 腫 瘍 指 摘 され、<br />

肝 には 多 発 する 腫 瘍 を 認 め、 中 等 量 の 腹 水 も 認 めた。 治 療 目 的 に 紹 介<br />

受 診 となったが、 急 速 に 全 身 状 態 悪 化 し、 初 発 症 状 から2カ 月 未 満 で<br />

死 亡 となった。【 症 例 2】70 歳 女 性 。 右 季 肋 部 痛 を 主 訴 に 近 医 受 診 。エ<br />

コーにて 肝 内 腫 瘍 指 摘 され、 精 査 加 療 目 的 に 紹 介 受 診 となる。CTでは、<br />

膵 尾 部 に 多 血 性 で 内 部 壊 死 を 伴 う30mm 大 腫 瘍 を 認 め、 多 発 する 肝 転<br />

移 、 肺 転 移 を 伴 っていた。 初 発 症 状 から 約 1カ 月 で 死 亡 となった。【 症<br />

例 3】77 歳 男 性 。 発 熱 を 主 訴 に 近 医 受 診 した。エコーで 肝 膿 瘍 を 指 摘<br />

されたため、 治 療 目 的 に 当 院 紹 介 受 診 された。 抗 生 剤 投 与 で 肝 膿 瘍 は<br />

軽 快 したが、 初 発 症 状 から 約 2カ 月 後 のフォローCTで 膵 頭 部 に 腫 瘍 を<br />

指 摘 された。 内 部 には 小 嚢 胞 成 分 を 含 み、low…densityな 腫 瘍 であった。<br />

術 前 の 膵 液 細 胞 診 では、ClassIIであった。 増 大 傾 向 である 膵 頭 部 腫<br />

瘍 であり、 膵 癌 を 疑 い、 亜 胃 温 存 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 を 施 行 した。 全<br />

症 例 とも 腺 癌 成 分 と 扁 平 上 皮 成 分 を 含 む 腺 扁 平 上 皮 癌 と 診 断 された。<br />

術 後 経 過 は 良 好 であった。【 考 察 】 膵 腺 扁 平 上 皮 癌 例 は 腫 瘍 増 大 が 早 く、<br />

浸 潤 性 膵 管 癌 と 比 較 しても 予 後 不 良 な 疾 患 である。 平 均 生 存 期 間 は 切<br />

除 例 で6カ 月 、 非 切 除 例 では1.5カ 月 と 報 告 されている。 治 療 法 としては、<br />

外 科 切 除 が 第 一 であるが、 来 院 時 に 既 に 高 度 進 行 していることも 少 な<br />

くなく、 手 術 可 能 例 であれば 早 めの 治 療 を 行 うことが 望 ましい。 貴 重<br />

な 症 例 を 経 験 したので、 臨 床 所 見 、 画 像 所 見 、 病 理 所 見 を 供 覧 する。<br />

P105-1 高 度 技 能 専 門 医 制 度 下 における 高 度 技 能 医 修 練 施 設 と<br />

外 科 修 練 者<br />

九 州 がんセンター 消 化 器 外 科<br />

○… 池 田 泰 治 , 前 原 伸 一 郎<br />

【はじめに】 高 度 技 能 専 門 医 制 度 のもと、 高 度 技 能 医 修 練 施 設 と 高 度<br />

技 能 指 導 医 が 認 定 開 始 され、4 年 が 経 過 しようとしている。また、 昨<br />

年 は 初 めて 高 度 技 能 専 門 医 も 誕 生 し、 肝 胆 膵 外 科 を 目 指 す 若 手 医 師 に<br />

とっては 魅 力 ある 資 格 になっている。しかしながら、その 一 方 で、 高<br />

度 技 能 専 門 医 を 目 指 しても 施 設 や 指 導 医 などの 事 情 で 望 みが 叶 わない<br />

若 手 外 科 医 も 多 数 存 在 する。【 目 的 】 福 岡 市 民 病 院 (2008 年 6 月 より 高<br />

度 技 能 医 修 練 施 設 B)および 九 州 がんセンター( 高 度 技 能 医 修 練 施 設 申<br />

請 中 )での4 年 間 の 経 緯 を 振 り 返 り、 肝 胆 膵 の 外 科 の 向 上 発 展 に 対 して、<br />

高 度 技 能 専 門 医 制 度 が 若 手 外 科 医 にどのような 影 響 を 及 ぼしたかにつ<br />

いて 検 討 する。【 結 果 】2005 年 より2011 年 3 月 までの 福 岡 市 民 病 院 在 職<br />

中 の 若 手 外 科 医 (4 人 )と2011 年 4 月 から 九 州 がんセンター 在 職 中 の 若 手<br />

外 科 医 (1 人 )が 高 度 技 能 専 門 医 制 度 と 関 わっており、5 人 中 、 肝 胆 膵 外<br />

科 医 を 志 している 若 手 外 科 医 は4 人 であった。 福 岡 市 民 病 院 では 年 間<br />

30~60 例 の 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 がおこなわれた。また 九 州 がんセン<br />

ターにおいては2011 年 に 高 難 度 肝 胆 膵 外 科 手 術 を50 例 以 上 施 行 、 現 在<br />

高 度 技 能 医 修 練 施 設 に 申 請 中 である。 高 度 技 能 専 門 医 制 度 が 始 まった<br />

年 の2008 年 4 月 以 降 は3 人 の 肝 胆 膵 外 科 医 を 目 指 す 若 手 外 科 医 が 肝 胆 膵<br />

外 科 診 療 を 中 心 に 行 なっている。 高 度 技 能 専 門 医 制 度 開 始 前 後 5 人 の<br />

若 手 外 科 医 は 現 在 1: 消 化 器 外 科 医 として 診 療 、2: 指 導 医 取 得 、3:<br />

指 導 医 取 得 を 目 指 し 他 病 院 で 修 練 中 、4: 専 門 医 取 得 申 請 中 、5: 指 導<br />

医 を 目 指 し 当 院 で 修 練 中 である。 肝 胆 膵 外 科 を 志 す 若 手 外 科 医 が 高 度<br />

技 能 専 門 医 制 度 とどのように 関 わってきたか 解 明 し、 今 後 の 制 度 のあ<br />

り 方 についても 検 討 する。<br />

-535-


P105-2 肝 臓 外 科 における 肝 胆 膵 高 度 技 能 医 の 教 育 と 評 価 にお<br />

ける 検 討<br />

1<br />

関 西 医 科 大 学 外 科 、 2 大 阪 医 科 大 学 消 化 器 外 科 、 3 近 畿 大<br />

学 外 科 、 4 大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 5 大 阪 市 立 大 学 大<br />

学 院 肝 胆 膵 外 科 学<br />

○… 松 井 康 輔 1<br />

, 海 堀 昌 樹 1<br />

, 權 雅 憲 1<br />

, 林 道 廣 2<br />

, 内 山 和 久 2<br />

,<br />

中 居 卓 也 3<br />

, 永 野 浩 昭 4 5<br />

, 久 保 正 二<br />

【 目 的 】 肝 臓 外 科 における 肝 胆 膵 高 度 技 能 医 に 必 要 な 技 術 の 習 得 にあ<br />

たり、 手 術 手 技 レベルの 客 観 的 な 評 価 方 法 はなく、 指 導 医 間 および 施<br />

設 間 での 格 差 が 存 在 するのが 現 状 である。 今 回 、 肝 臓 外 科 に 必 要 な 技<br />

術 に 対 する 評 価 表 を 作 成 し、 施 設 間 の 習 得 技 術 の 統 一 を 図 ることを 目<br />

的 とした。【 方 法 】Winckelらの 提 唱 する、 手 術 の 各 ステップを 細 か<br />

く 分 類 し 指 導 者 がそれぞれのステップを 具 体 的 に 評 価 するシステム、<br />

STSAF(Structured…Technical…Skills…Assessment…Form)をもとに、<br />

肝 臓 外 科 における 肝 胆 膵 高 度 技 能 医 に 必 要 な 技 術 に 対 する 評 価 表 を 作<br />

成 した。 評 価 項 目 は、 大 項 目 として(A) 肝 切 除 術 ( 全 般 的 評 価 )、(B) 手<br />

術 評 価 表 、(C) 解 剖 学 的 理 解 度 、(D)Traineeの4 項 目 に 分 け、その 項 目<br />

に 対 する 小 項 目 を 作 成 した。 評 価 基 準 として1 点 : 未 熟 ( 専 修 医 )、2 点 :<br />

許 容 ( 外 科 専 門 医 )、3 点 : 平 均 点 ( 消 化 器 外 科 専 門 医 )、4 点 : 良 好 ( 消<br />

化 器 外 科 指 導 医 )、5 点 : 優 秀 ( 肝 胆 膵 高 度 技 能 指 導 医 )の5 段 階 に 設 定<br />

した。 評 価 は5 大 学 において 自 己 および 指 導 者 でそれぞれ 評 価 を 行 い、<br />

その 評 価 の 関 係 と 経 時 的 推 移 について 検 討 した。【 結 果 】 自 己 指 導 者<br />

間 評 価 の 関 係 および 経 時 的 推 移 には3パターンが 存 在 した。(1)… 評 価 初<br />

期 における 自 己 と 指 導 医 との 評 価 に 乖 離 を 認 めるものの、 経 時 的 推 移<br />

において 自 己 と 指 導 医 との 評 価 が 近 似 。(2) 自 己 と 指 導 医 の 評 価 が 乖 離<br />

しているが、いずれも 指 導 医 評 価 が 上 方 へ 同 様 の 推 移 が 見 られる。こ<br />

れらの2つのパターンは 何 れも 手 術 手 技 評 価 が 良 好 に 行 われている 結<br />

果 と 考 えられた。(3) 評 価 に 乖 離 の 見 られる 場 合 は、 指 導 医 の 評 価 の 乖<br />

離 が 増 大 する、もしくは 自 己 および 指 導 者 評 価 が 低 下 傾 向 であり、こ<br />

のパターンは 評 価 に 問 題 がある 場 合 もしくは 手 術 手 技 の 習 得 が 見 られ<br />

ない 場 合 と 考 えられた。【 結 語 】 今 回 、 手 術 手 技 評 価 表 を 使 用 するこ<br />

とにより、 手 術 手 技 の 修 得 度 の 客 観 的 な 評 価 が 可 能 であったものの、<br />

手 術 手 技 の 難 易 度 や 評 価 時 期 によるばらつきが 存 在 し、 更 なる 検 討 が<br />

必 要 であると 考 えられた。しかしながら、 評 価 表 を 使 用 することによ<br />

り 多 施 設 間 において 肝 臓 外 科 における 肝 胆 膵 高 度 技 能 医 に 必 要 な 統 一<br />

した 技 術 の 習 得 が 可 能 になると 考 えられた。<br />

P105-3 実 験 用 ミニブタを 用 いた 臓 器 移 植 技 術 トレーニング<br />

1<br />

自 治 医 科 大 学 移 植 外 科 、 2 自 治 医 科 大 学 先 端 医 療 技 術 開 発 セ<br />

ンター 医 療 技 術 トレーニング 部 門<br />

○… 眞 田 幸 弘 1<br />

, 浦 橋 泰 然 1<br />

, 脇 屋 太 一 1<br />

, 梅 原 実 1<br />

, 井 原 欣 幸 1<br />

,<br />

岡 田 憲 樹 1<br />

, 山 田 直 也 1<br />

, 水 田 耕 一 1 2<br />

, 菱 川 修 司<br />

【 背 景 】 臓 器 移 植 は、 若 手 外 科 医 が 執 刀 医 として 経 験 するのは 難 しい<br />

手 術 である。しかし、 臓 器 摘 出 から 血 行 再 建 まで 幅 広 い 手 術 手 技 を 網<br />

羅 する 臓 器 移 植 手 術 は、 様 々な 消 化 器 外 科 手 術 に 応 用 できるため、そ<br />

の 習 得 は 若 手 外 科 医 であって 極 めて 有 用 と 考 えられる。 当 施 設 では<br />

2010 年 6 月 より、 大 型 実 験 動 物 (ミニブタ)を 用 いて 小 腸 移 植 と 多 内 臓<br />

移 植 を 施 行 してきた。 臨 床 を 前 提 とした 手 術 手 技 トレーニングや 臓 器<br />

移 植 シミュレーションとしての 有 用 性 について 検 討 したので 報 告 する。<br />

【 対 象 と 方 法 】2010 年 6 月 より2011 年 6 月 までに 自 治 医 科 大 学 先 端 医 療<br />

技 術 開 発 センターにて、ブタを 用 いて 異 所 性 自 己 小 腸 移 植 9 回 と 多 内<br />

臓 移 植 2 回 を 施 行 した。 異 所 性 自 己 小 腸 移 植 はグラフト 小 腸 として<br />

100-150cmの 回 腸 を 摘 出 し、 灌 流 後 、 腹 部 大 動 脈 と 下 大 静 脈 に 端 側 吻<br />

合 し、 再 灌 流 した。 多 内 臓 移 植 は2 頭 のブタを 用 いて、グラフトとし<br />

て 胃 、 十 二 指 腸 、 小 腸 、 大 腸 、 肝 臓 、 胆 嚢 、 膵 臓 を 摘 出 し、 灌 流 後 、<br />

臓 器 摘 出 されたレシピエントの 腹 部 大 動 脈 に 端 側 吻 合 、 下 大 静 脈 に<br />

端 々 吻 合 し、 再 灌 流 した。【 結 果 】グラフト 臓 器 摘 出 や 臓 器 移 植 時 の<br />

血 行 再 建 は 卒 後 7-12 年 目 医 師 が 行 った。 異 所 性 自 己 小 腸 移 植 のグラフ<br />

ト 小 腸 摘 出 時 間 は 平 均 90 分 であった。グラフト 血 管 の 動 脈 径 、 静 脈 径<br />

は 平 均 4.2mm、9.8mmであり、 吻 合 時 間 は 平 均 16 分 、13 分 であった。<br />

多 内 臓 移 植 のグラフト 多 臓 器 摘 出 時 間 は 平 均 129 分 であり、グラフト<br />

灌 流 時 間 、バックテーブル 時 間 は 平 均 33 分 、17 分 であった。グラフト<br />

血 管 の 動 脈 、 静 脈 吻 合 時 間 は 平 均 12 分 、7 分 であった。 全 例 で 再 灌 流<br />

後 に 良 好 な 臓 器 血 流 が 得 られた。【 結 語 】 実 験 用 ミニブタを 用 いた 小<br />

腸 移 植 と 多 内 臓 移 植 は、 臓 器 移 植 の 技 術 トレーニングとして 有 用 であ<br />

ると 思 われた。また、 将 来 的 な 多 内 臓 移 植 の 準 備 や 脳 死 ドナー 臓 器 摘<br />

出 シミュレーションの 役 割 も 果 たせるため、 有 用 なトレーニングと 思<br />

われた。<br />

P105-4 フィンランドの 肝 胆 膵 外 科 医 トレーニング<br />

1<br />

熊 本 大 学 消 化 器 外 科 、 2 熊 本 市 医 師 会 熊 本 地 域 医 療 センター<br />

○… 橋 本 大 輔 1<br />

, 高 森 啓 史 1<br />

, 広 田 昌 彦 2 1<br />

, 馬 場 秀 夫<br />

背 景 : 筆 頭 演 者 は2011 年 4 月 から2012 年 3 月 の 間 、 北 欧 フィンランドで<br />

第 二 の 規 模 を 誇 るTampere…University…Hospital(TUH)の 肝 胆 膵 外 科<br />

グループに 留 学 した。フィンランドは 膵 疾 患 が 多 く 発 生 し、 急 性 膵 炎<br />

の 罹 患 率 は 日 本 の3 倍 である。また 膵 癌 の 罹 患 率 は 日 本 と 同 等 であるが、<br />

悪 性 疾 患 による 死 亡 の 第 3 位 であり 消 化 器 癌 の 中 ではトップである。<br />

つまりフィンランドでは 消 化 器 外 科 の 中 でも 肝 胆 膵 外 科 医 は 重 要 な 位<br />

置 を 占 め、 若 手 の 教 育 も 日 本 同 様 に 重 要 である。 目 的 と 方 法 :フィン<br />

ランドの 肝 胆 膵 外 科 の 教 育 制 度 、 医 療 制 度 、 勤 務 医 の 現 状 について、<br />

アンケート 結 果 など 共 に 述 べ、 我 が 国 において 工 夫 すべきことを 考 察<br />

する。 結 果 :フィンランドの 基 礎 教 育 はOECD( 経 済 協 力 開 発 機 構 )の<br />

評 価 で 世 界 トップレベルであり、とくに 読 解 力 、 数 学 、 科 学 などの 学<br />

力 が 優 れている。 医 学 部 は6 年 制 でMD/PhDプログラムを 採 用 してお<br />

り、 卒 後 臨 床 のキャリアが 途 切 れることはない。 国 家 資 格 としての 消<br />

化 器 外 科 専 門 医 制 度 が 整 備 されており、 外 科 レジデントとしての6 年<br />

間 の 規 定 のトレーニングと 試 験 が 課 せられている。 医 療 機 関 はセン<br />

ター 化 されており、 継 続 的 かつ 効 率 的 な 教 育 が 行 われている。TUH<br />

は 人 口 47 万 人 の 地 域 をカバーしており、 肝 胆 膵 領 域 の 癌 手 術 はほぼ 全<br />

例 ここで 行 われる。2009 年 は 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 35 件 、 膵 尾 側 切 除 術<br />

16 件 、 肝 切 除 術 14 件 などが 行 われた。 女 性 医 師 が 活 躍 しており、 特 に<br />

TUHでは 肝 胆 膵 外 科 手 術 は 主 に2 名 の 女 性 外 科 医 により 行 われていた。<br />

また5 名 の 外 科 医 ( 専 門 医 2 名 、レジデント3 名 )にアンケートを 行 い、<br />

一 日 の 就 業 時 間 は 平 均 7 時 間 40 分 、 年 間 の 休 暇 は 平 均 6.5 週 間 であった。<br />

また 男 性 にも 認 められる9ヶ 月 間 の 産 前 産 後 休 業 など、 子 育 ての 支 援<br />

も 手 厚 い。 結 語 :フィンランドではレベルの 高 い 基 礎 教 育 、 効 率 的 医<br />

学 教 育 が 専 門 医 教 育 にまで 生 きていると 思 われる。 一 方 フィンランド<br />

と 比 較 して、 高 度 技 能 専 門 医 制 度 など 日 本 の 肝 胆 膵 外 科 教 育 システム<br />

はよく 整 備 されている。 我 が 国 でも 女 性 医 師 の 割 合 は 増 えており、 女<br />

性 にも 働 きやすい 環 境 を 整 えることで 肝 胆 膵 外 科 を 志 望 しやすくなる<br />

のではないだろうか。<br />

P105-5 新 規 開 発 した 手 術 用 マイクロ 波 凝 固 切 開 装 置<br />

(MWCX)の 肝 胆 膵 外 科 領 域 への 応 用<br />

1<br />

滋 賀 医 科 大 学 外 科 、 2 滋 賀 医 科 大 学 総 合 外 科 学 講 座<br />

○… 塩 見 尚 礼 1<br />

, 仲 成 幸 1<br />

, 赤 堀 浩 也 1<br />

, 来 見 良 誠 2<br />

, 谷 徹<br />

1<br />

【はじめに】 我 々は 第 三 のエネルギーデバイスであるマイクロ 波 を 用<br />

いた 新 しい 手 術 器 具 (マイクロ 波 凝 固 切 開 装 置 、 以 下 MWCX)の 試 作 ,<br />

開 発 を 行 ってきた。 肝 胆 膵 外 科 手 術 では 栄 養 血 管 の 切 離 、リンパ 節 廓<br />

清 のみならず 肝 臓 や 膵 臓 など 実 質 臓 器 切 離 などの 手 術 手 技 が 必 要 とな<br />

る。これらの 肝 胆 膵 外 科 手 術 手 技 に 対 するMWCXの 有 用 性 について<br />

報 告 する。【 方 法 】スライディング 型 、ハサミ 型 の 開 腹 手 術 用 MWCX<br />

を 用 いて 以 下 の 実 験 を 行 った。(1) 血 管 のシーリング 能 :ブタより26 本<br />

の 動 静 脈 をMWCXで 切 離 し、 生 体 での 止 血 能 とバースト 圧 を 測 定 した。<br />

(2)リンパ 管 のシーリング 能 :ブタを 用 い, 電 気 メス,ハーモニック<br />

スカルペル,リガシュア,MWCXを 使 ってリンパ 漏 の 有 無 をPDE( 浜<br />

松 ホトニクス 社 )によるICG 蛍 光 染 色 法 で 検 討 した。 鼠 径 部 リンパ 管<br />

を 採 取 、シーリングし、そのバースト 圧 を 測 定 した。(3) 生 体 での 肝 臓 、<br />

膵 臓 の 切 離 能 :ブタやビーグル 犬 を 全 身 麻 酔 下 に 開 腹 して 肝 部 分 切 除<br />

術 、 脾 臓 合 併 切 除 を 伴 う 膵 体 尾 部 切 除 、 胆 嚢 摘 出 術 を 行 った。【 結 果 】<br />

(1) 血 管 のシーリング 能 : 動 脈 のバースト 圧 は 平 均 957.8…mmHg、 静<br />

脈 のバースト 圧 は 平 均 691.9…mmHgであった。(2)リンパ 管 のシーリン<br />

グ 能 :…MWCXは 他 のエネルギーデバイス 同 様 電 気 メスに 比 べて 有 意<br />

にリンパ 管 漏 が 少 なかった。シーリングしたリンパ 管 のバースト 圧 は<br />

平 均 300…mmHgであった。(3) 生 体 での 肝 臓 、 膵 臓 の 切 離 能 : 他 のデバ<br />

イスを 用 いることなく、 肝 切 除 、 膵 切 除 、 主 要 血 管 の 切 離 が 可 能 であっ<br />

た。 術 後 1 週 間 目 に 再 開 腹 したが、 腹 腔 内 出 血 , 膵 炎 などの 所 見 を 認<br />

めなかった。 膵 管 のシーリング 圧 は 平 均 320cmH2Oであった。【 考 察 】<br />

我 々が 作 成 したハサミ 型 MWCXはブタ、ビーグル 犬 において 安 全 に<br />

肝 胆 膵 外 科 手 術 を 行 うことが 可 能 であり、 次 世 代 の 手 術 機 器 として 期<br />

待 される。<br />

-536-


P105-6 肝 切 除 術 および 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 におけるハーモ<br />

ニックFOCUSの 有 用 性 について<br />

尾 道 市 立 市 民 病 院 外 科<br />

○… 中 井 肇 , 村 田 年 弘<br />

当 科 では2010 年 4 月 より、 肝 切 除 術 および 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 に 超 音<br />

波 凝 固 切 開 装 置 であるハーモニックFOCUSを 使 用 している。 従 来 の<br />

超 音 波 凝 固 切 開 装 置 に 比 して 剥 離 操 作 等 が 容 易 で、 形 状 的 ( 開 創 鉗 子<br />

型 形 状 )に 使 用 しやすく、またCavitationも 少 ないといわれている。 肝<br />

切 除 術 においては、 肝 授 動 時 の 間 膜 切 離 に 使 用 することにより、 止 血<br />

効 果 だけでなく、リンパ 漏 も 予 防 できると 考 えられる。 肝 実 質 切 離 時<br />

には、 細 い 血 管 処 理 はハーモニックFOCUSを 使 用 すれば 不 要 で、ま<br />

た 胆 管 もシールドされるといわれており、Clamp…crushing…methodを<br />

行 いながら、 結 紮 回 数 を 減 少 させることができる。 主 幹 肝 静 脈 に 沿 っ<br />

た 肝 実 質 剥 離 、 血 管 処 理 にもハーモニックFOCUSを 使 用 でき、 有 用<br />

である。 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 において、 膵 切 離 は、 主 膵 管 はメスで 切<br />

離 するが、 他 部 位 はハーモニックFOCUSにて 行 っている。これによ<br />

り 膵 離 断 面 からの 出 血 がほとんどなく、また 分 枝 膵 管 からの 膵 液 漏 に<br />

対 する 予 防 効 果 もあると 考 えられる。リンパ 節 郭 清 時 にもハーモニッ<br />

クFOCUS 使 用 することにより、リンパ 漏 の 減 少 効 果 が 期 待 され、 上<br />

腸 間 膜 動 脈 周 囲 の 郭 清 時 に 特 に 有 用 であった。 以 上 の 点 を 踏 まえて、<br />

ハーモニックFOCUSを 使 用 した 肝 切 除 術 、 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 の 手<br />

術 手 技 をビデオにて 供 覧 するとともに、その 有 用 性 について 検 討 した。<br />

P105-7 肝 胆 膵 領 域 悪 性 腫 瘍 術 後 の 静 脈 血 栓 塞 栓 症 予 防 に 対 す<br />

る 低 分 子 ヘパリンの 安 全 性 に 関 する 検 討<br />

1<br />

大 阪 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 大 阪 大 学 大 学 院 周 手 術 期 管<br />

理 学<br />

○… 岩 上 佳 史 1<br />

, 川 本 弘 一 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 和 田 浩 志 1<br />

,<br />

小 林 省 吾 1<br />

, 丸 橋 繁 1<br />

, 種 村 匡 弘 1<br />

, 梅 下 浩 司 2<br />

, 森 正 樹 1<br />

,<br />

土 岐 祐 一 郎 1 1<br />

, 永 野 浩 昭<br />

【 背 景 】 腹 部 悪 性 腫 瘍 に 対 する 手 術 後 合 併 症 として、 静 脈 血 栓 塞 栓 症<br />

(venous…thromboembolism;VTE)が 知 られている。VTEは、 深 部 静<br />

脈 血 栓 症 (deep…vein…thrombosis;DVT)と 肺 動 脈 血 栓 塞 栓 症<br />

(pulmonary…thromboembolism;PTE)を 合 わせた 概 念 で、 深 部 静 脈<br />

の 血 栓 は、 肺 動 脈 血 栓 塞 栓 症 を 引 き 起 こし、 時 として 致 命 的 であるた<br />

め、DVTおよびPTEを 総 合 的 に 予 防 することが 肝 要 とされており、<br />

実 際 、「 肺 血 栓 塞 栓 症 および 深 部 静 脈 血 栓 症 の 診 断 、 治 療 、 予 防 に 関<br />

するガイドライン(2009 年 改 訂 版 )」では、 周 術 期 のVTE 予 防 が 推 奨<br />

されている。 特 に 肝 胆 膵 領 域 悪 性 腫 瘍 に 対 する 手 術 の 多 くは、 消 化 器<br />

外 科 専 門 医 修 練 カリキュラムの 高 難 度 手 術 に 該 当 し、 手 術 侵 襲 が 大 き<br />

く、 本 来 VTE 発 症 の 高 リスク 群 と 考 えられるが、VTE 予 防 に 対 する<br />

抗 凝 固 薬 の 使 用 は、 同 時 に 術 後 出 血 のリスクを 増 大 させる 恐 れがあり、<br />

現 在 まで 本 領 域 では 薬 剤 を 用 いたVTE 予 防 が 徹 底 されていないのが<br />

現 状 である。 近 年 、 低 分 子 ヘパリンであるエノキサパリンのVTE 予<br />

防 効 果 が 確 認 され、 整 形 外 科 領 域 等 ですでに 使 用 が 開 始 されている。<br />

そこで 今 回 の 検 討 では、 肝 胆 膵 領 域 悪 性 腫 瘍 術 後 におけるエノキサパ<br />

リン 投 与 の 安 全 性 について 解 析 することを 目 的 とした。【 方 法 】 当 科<br />

において 肝 胆 膵 領 域 悪 性 腫 瘍 の 手 術 を 受 ける 患 者 のうち、40 歳 以 上 、<br />

Child-Pugh 分 類 Aを 適 格 基 準 とした。ドレーンからの 出 血 が 疑 われる<br />

症 例 、 術 前 ワーファリンを 内 服 していて、 周 術 期 にヘパリンに 置 換 し<br />

た 症 例 等 は 除 外 した。エノキサパリンの 投 与 は 添 付 文 書 に 従 い、 術 後<br />

2 日 目 から9 日 目 まで8 日 間 投 与 した。2011 年 4 月 から11 月 までの8か 月 間 、<br />

投 与 例 は15 例 であった。 主 要 評 価 項 目 は 出 血 事 象 発 現 率 ( 術 後 30 日 目<br />

までの 大 出 血 および 小 出 血 )とし、 副 次 評 価 項 目 をVTE 発 生 率 、 有 害<br />

事 象 の 発 現 率 とした。【 結 果 】 術 後 7 日 目 の 止 血 検 査 では、PT%=83.1<br />

±10.6、APTT=30.1±4.1と 正 常 範 囲 内 であった。いずれの 症 例 も 出<br />

血 等 の 副 作 用 は 認 めなかった。いずれの 症 例 もVTEを 疑 わせる 所 見<br />

は 認 めなかった。【 結 語 】 肝 胆 膵 領 域 悪 性 腫 瘍 術 後 でも、エノキサパ<br />

リンは 安 全 に 投 与 できる 可 能 性 が 示 唆 された。 当 結 果 を 踏 まえて、 現<br />

在 、 安 全 性 に 対 する 観 察 研 究 を 開 始 している。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P105-8 肝 胆 膵 手 術 周 術 期 における 中 心 静 脈 カテーテル 由 来 血<br />

流 感 染 の 危 険 因 子<br />

1<br />

東 北 大 学 大 学 院 消 化 器 外 科 学 、 2 東 北 大 学 大 学 院 統 合 がん 治<br />

療 外 科 学<br />

○… 水 間 正 道 1<br />

, 林 洋 毅 1<br />

, 中 川 圭 2<br />

, 岡 田 恭 穂 1<br />

, 森 川 孝 則 1<br />

,<br />

大 塚 英 郎 1<br />

, 乙 供 茂 1<br />

, 坂 田 直 昭 1<br />

, 深 瀬 耕 二 1<br />

, 石 田 晶 玄 1<br />

,<br />

吉 田 寛 1<br />

, 小 野 川 徹 1<br />

, 元 井 冬 彦 1<br />

, 内 藤 剛 1<br />

, 力 山 敏 樹 1<br />

,<br />

片 寄 友 2<br />

, 江 川 新 一 1 1<br />

, 海 野 倫 明<br />

( 背 景 ) 高 侵 襲 を 伴 うことが 多 い 肝 胆 膵 手 術 の 周 術 期 においては、 循 環<br />

作 動 薬 を 代 表 とする 種 々の 薬 剤 や 高 カロリー 輸 液 の 投 与 、 末 梢 静 脈 確<br />

保 困 難 な 症 例 の 血 管 確 保 などの 目 的 で 中 心 静 脈 カテーテル(CVC)の<br />

留 置 される 頻 度 が 他 領 域 手 術 よりも 高 いと 考 えられる。しかし、CVC<br />

は 挿 入 時 の 合 併 症 やカテーテル 由 来 血 流 感 染 (CRBSI)といった 問 題 が<br />

あり、CRBSIの 発 生 は 他 合 併 症 の 誘 発 や 医 療 費 の 増 大 にも 影 響 する。<br />

今 回 、 肝 胆 膵 手 術 周 術 期 における 中 心 静 脈 カテーテル 由 来 のCRBSIの<br />

頻 度 と 危 険 因 子 について 検 討 したので 報 告 する。( 対 象 と 方 法 )2009 年 1<br />

月 から2011 年 5 月 まで, 当 科 で 施 行 した 肝 胆 膵 手 術 症 例 478 例 のうち 術<br />

前 及 び 麻 酔 導 入 時 にCVCを 挿 入 した369 例 を 対 象 とした。CRBSI 発 生<br />

頻 度 は1000カテーテル 挿 入 日 数 当 たりのCRBSI 数 で 算 出 した。また、<br />

CRBSIの 有 無 別 に 患 者 背 景 因 子 ( 年 齢 , 性 別 ,BMI、 糖 尿 病 )および 手<br />

術 因 子 ( 膵 ・ 胆 道 再 建 , 出 血 量 , 手 術 時 間 、 術 中 輸 血 , 縫 合 不 全 , 胆<br />

汁 漏 , 膵 液 漏 , 表 層 切 開 創 SSI, 深 部 切 開 創 SSI, 臓 器 / 体 腔 SSI,CVカテー<br />

テル 留 置 期 間 )についてカイ2 乗 検 定 またはWilcoxon 検 定 にて 単 変 量<br />

解 析 し、さらにロジスティック 回 帰 による 多 変 量 解 析 を 行 った。( 結 果 )<br />

CRBSIは 肝 胆 膵 手 術 全 体 では12.5 件 /1000 日 の 頻 度 で 発 生 しており、<br />

膵 胆 道 再 建 ありの 症 例 では13.6 件 /1000 日 、 膵 胆 道 再 建 なしの 症 例 で<br />

は9.2 件 /1000 日 の 頻 度 であった。 単 変 量 解 析 では 両 群 間 において 膵 胆<br />

道 再 建 (p=0.0063)、 出 血 量 (p=0.0479)、 手 術 時 間 (p=0.0149)、 膵 液 漏<br />

(p=0.0270), 深 部 切 開 創 SSI(p=0.0110), 臓 器 / 体 腔 SSI(p=0.0191)…、CV<br />

カテーテル 留 置 期 間 (p


P105-10 地 域 連 携 を 活 用 し 術 中 迅 速 診 断 を 可 能 にした 膵 頭<br />

十 二 指 腸 切 除 術<br />

1<br />

新 潟 臨 港 病 院 外 科 、 2 新 潟 大 学 大 学 院 医 歯 学 総 合 研 究 科 消 化<br />

器 ・ 一 般 外 科 、 3 新 潟 市 民 病 院 病 理<br />

○… 渡 辺 隆 興 1<br />

, 小 林 孝 1<br />

, 畠 山 悟 1<br />

, 皆 川 昌 広 2<br />

, 高 野 可 赴 2<br />

,<br />

黒 崎 功 2 3<br />

, 橋 立 英 樹<br />

【はじめに】がん 対 策 基 本 法 が 制 定 されて 以 来 , 地 域 基 幹 病 院 のみな<br />

らず 中 規 模 病 院 にも 高 い 水 準 の 癌 医 療 が 求 められている.また、 肝 胆<br />

膵 疾 患 の 多 くはなお 手 術 的 切 除 を 基 本 治 療 としており, 手 術 の 安 全 性<br />

のみならず 治 療 成 績 の 向 上 も 求 められている. 本 院 は 入 院 病 床 数 199<br />

床 で 年 間 手 術 件 数 は 約 400 件 であり, 病 理 医 は 勤 務 していない.しか<br />

し 肝 胆 膵 疾 患 手 術 では 術 中 迅 速 病 理 診 断 が 必 要 な 場 合 が 多 い.そこで<br />

地 域 基 幹 病 院 との 連 携 により 術 中 病 理 診 断 を 可 能 にした. 本 報 告 では<br />

本 院 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 術 (PD)への 取 り 組 み 方 および 成 績 を<br />

示 し, 中 規 模 病 院 における 膵 頭 十 二 指 腸 切 除 の 実 態 に 考 察 を 加 えた.<br />

【 症 例 と 患 者 選 択 の 方 針 】2001 年 以 降 に 施 行 されたPDは28 例 であり,<br />

男 性 12 例 ; 女 性 16 例 で 平 均 年 齢 は68 歳 であった. 疾 患 の 内 訳 は 膵 癌 13<br />

例 , 十 二 指 腸 乳 頭 部 癌 5 例 , 下 部 胆 管 癌 10 例 であった. 患 者 選 択 : 重<br />

大 な 他 臓 器 疾 患 や 高 度 進 行 癌 ( 膵 癌 におけるborderline…resectable 以 上<br />

の 病 変 や 肝 膵 同 時 切 除 を 要 する 胆 道 癌 ) 以 外 の 疾 患 を 対 象 とした. 高<br />

齢 者 は 除 外 していない.またリンパ 節 郭 清 はD2 以 上 を 行 い, 必 要 に<br />

応 じて 門 脈 合 併 切 除 を 施 行 した.【 結 果 】 平 均 手 術 時 間 は425 分 , 術 中<br />

出 血 量 は833グラムであった. 門 脈 合 併 切 除 は8 例 (30%)に 施 行 した.<br />

切 除 断 端 の 術 中 迅 速 は8 例 に 施 行 した. 迅 速 病 理 診 断 は 採 取 から 診 断<br />

の 連 絡 まで 約 40-50 分 を 要 したが, 手 術 の 進 行 に 大 きな 影 響 はなかった.<br />

手 術 死 亡 や 在 院 死 はなかったが 右 肝 動 脈 仮 性 動 脈 瘤 による 出 血 を1 例<br />

に 経 験 した. 同 症 例 は 高 次 機 能 病 院 との 連 携 により 塞 栓 術 にて 止 血 し<br />

た.その 他 画 像 学 的 連 携 は8 例 で 連 携 してきた.27 例 における3 年 生 存<br />

率 は73%(n=8),5 年 生 存 率 は31%(n=2), 生 存 期 間 中 央 値 は56ヶ 月 で<br />

あった. 膵 癌 に 対 する 術 後 補 助 療 法 も 積 極 的 に 行 っている.【まとめ】<br />

膵 頭 十 二 指 腸 切 除 は 注 意 深 い 術 後 管 理 を 要 する 手 術 であるが, 症 例 を<br />

選 択 と 地 域 連 携 の 活 用 により 妥 当 な 治 療 成 績 を 得 ることが 可 能 である.<br />

P106-1 当 科 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 成 績<br />

立 川 綜 合 病 院 外 科<br />

○… 小 林 隆<br />

【 目 的 】2009… 年 8… 月 より 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (SILC)を 導 入 し,<br />

2011… 年 9 月 まで70 例 に 施 行 . 当 科 の 成 績 を 報 告 .【 適 応 】1 例 目 から19<br />

例 目 までは 無 症 候 性 胆 石 症 , 胆 嚢 良 性 腫 瘍 、 軽 度 胆 嚢 炎 後 の 胆 石 症 を<br />

適 応 .20… 例 目 から 重 症 急 性 胆 嚢 炎 以 外 の 胆 石 症 についても 適 応 .【 手<br />

術 手 技 】 体 位 は 仰 臥 位 開 脚 位 . 術 者 が 患 者 の 左 側 , 助 手 兼 スコピスト<br />

が 脚 間 に 位 置 . 皮 切 は 約 2.5cm…の 臍 部 縦 切 開 .1… 例 目 から 第 9… 例 目 は<br />

multi-trocar 法 、10… 例 目 か ら はmulti-channel…port 法 (SILS…Port,…<br />

Covidien 社 )… で 行 った。52 例 目 からはラッププロテクターミニ+EZ<br />

アクセス( 八 光 メディカル)を 使 用 。【 症 例 と 結 果 】70… 例 の 内 訳 は 胆 石<br />

症 66… 例 ( 症 候 性 61… 例 , 無 症 候 性 5… 例 ), 胆 嚢 ポリープ3… 例 ( 3 … 例 ともコ<br />

レステロールポリープ). 無 石 胆 嚢 炎 1 例 。 男 性 :32… 例 , 女 性 38… 例 .<br />

平 均 年 齢 64… 歳 . 手 術 時 間 中 央 値 123… 分 . 出 血 量 少 量 . 単 孔 式 で 完 遂<br />

した 症 例 は59… 例 (84%),1…ポート 追 加 した 症 例 は6 例 ,2ポート 追 加 1 例 、<br />

開 腹 移 行 は4 例 であった.ポート 追 加 の 理 由 は 炎 症 が 高 度 で 胆 嚢 剥 離<br />

が 困 難 であるため、が6 例 , 鉗 子 が 届 かない 症 例 が1… 例 . 開 腹 移 行 の<br />

理 由 としては 出 血 による 止 血 困 難 症 例 が1 例 、 胆 嚢 管 癌 の 合 併 が1 例 、<br />

高 度 炎 症 による 剥 離 困 難 例 が1 例 、 十 二 指 腸 損 傷 が 疑 われた 症 例 が1 例 。<br />

術 後 合 併 症 は1… 例 で 右 横 隔 膜 下 膿 瘍 を、1 例 で 創 部 皮 下 膿 瘍 を 認 めた<br />

がいずれもドレナージで 軽 快 . 術 後 在 院 期 間 中 央 値 4… 日 .SILC 導 入<br />

直 前 の 従 来 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 70 例 と 比 較 すると 手 術 時 間 は 延 長<br />

(123…min…vs…70…min,…p


P106-4 低 コストで 導 入 可 能 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

佐 野 病 院 消 化 器 センター<br />

○… 生 本 太 郎 , 吉 川 清<br />

現 在 、 単 孔 式 による 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 胆 嚢 摘 出 手 術 における 標 準<br />

術 式 の 一 つとして 定 着 しつつあるが、 単 孔 式 専 用 のポートや 特 殊 な 鉗<br />

子 を 要 するために 従 来 法 (4ポート)による 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 に 比 べ<br />

高 コストである 点 がデメリットとして 指 摘 されている。 我 々はこの 問<br />

題 を、 従 来 法 に 用 いる 器 材 をそのまま 使 用 することにより 解 決 してい<br />

る。 具 体 的 には12mmと5mmのトロッカーを1 本 ずつ 使 用 し、 残 る2 本<br />

の 鉗 子 を 直 接 腹 壁 に 穿 刺 している。 鉗 子 およびエネルギーデバイスは<br />

すべて 従 来 法 と 同 じものを 使 用 している。 単 孔 式 専 用 の 特 殊 な 機 材 を<br />

使 用 しないため 新 たに 器 材 を 購 入 する 必 要 がなく、 新 たな 器 具 の 使 用<br />

法 に 習 熟 する 手 間 も 発 生 しない。さらに 文 字 どおりの”Reduced…<br />

port…surgery”となるため、 使 用 するトロッカーの 本 数 が 従 来 法 より<br />

少 なくなる。その 結 果 として 器 材 コストは 専 用 品 を 使 用 した 場 合 はも<br />

ちろんのこと、4ポートの 従 来 法 よりもさらに 低 く 抑 えられるため、<br />

単 孔 式 手 術 を 積 極 的 に 導 入 しようというインセンティブにもなる。ま<br />

た 単 孔 式 手 術 では 鉗 子 やスコープの 干 渉 による 可 動 制 限 が 問 題 となる<br />

が、 胆 嚢 摘 出 に 関 する 限 り 可 動 制 限 による 困 難 さは 感 じていない。 抄<br />

録 提 出 時 点 でこの 方 法 による133 例 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 経<br />

験 しており、 有 用 な 方 法 と 思 われるので 報 告 する。<br />

P106-5 従 来 法 からのスムースな 導 入 を 目 指 した、SILSポート<br />

®を 用 いた 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

米 沢 市 立 病 院 外 科<br />

○… 菅 野 博 隆 , 北 村 正 敏 , 菊 地 智 宏<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (TANKO-LC)は 低 侵 襲 性 や 美 容 上 の 利 点<br />

より 注 目 され、 器 具 や 手 技 の 進 歩 とともに 導 入 が 進 んでいる。<br />

TANKO-LCには 様 々な 方 法 があるが、SILSポート®(コヴィディエン<br />

社 )は、ポートセッティングの 容 易 さや 気 腹 漏 れが 少 ないなど 導 入 し<br />

やすい 利 点 がある 一 方 、トロカール 孔 同 士 の 距 離 が 短 く、 鉗 子 等 の 干<br />

渉 が 手 技 上 問 題 とされている。 当 院 では 従 来 法 からのスムースな 導 入<br />

を 目 指 したSILSポート®を 用 いたTANKO-LCを 施 行 しているので、<br />

ビデオで 供 覧 する。 臍 部 に 縦 に 約 2.5cmの 皮 切 を 加 え 開 腹 し、SILSポー<br />

ト®を 挿 入 するが、3 個 のトロカール 孔 が11 時 (A 孔 )、3 時 (B 孔 )、7 時<br />

(C 孔 )となるようにポートの 向 きを 調 整 し、C 孔 より5mmフレキシブ<br />

ルスコープを 挿 入 する。 右 肋 骨 弓 直 上 の 肋 間 よりMini…loop…retractor<br />

を 刺 入 、 胆 嚢 底 部 を 把 持 し 腹 側 へ 牽 引 する。A 孔 より 屈 曲 把 持 鉗 子 、<br />

B 孔 より 電 気 メス 等 を 挿 入 し、 前 者 を 左 手 、 後 者 を 右 手 に 持 ち、 胆 嚢<br />

頚 部 把 持 鉗 子 を 術 者 左 方 向 に 引 くことで 胆 嚢 頚 部 が 患 者 左 側 に 展 開 さ<br />

れ、 右 側 よりCarot 三 角 、 胆 嚢 管 右 側 を 十 分 剥 離 する。 次 にA 孔 より<br />

電 気 メス、B 孔 より 把 持 鉗 子 に 入 れ 替 え 前 者 を 右 手 で、 後 者 を 左 手 で<br />

持 ち 右 腕 を 左 腕 の 上 から 交 差 させ、 把 持 鉗 子 を 術 者 右 方 向 に 引 き 胆 嚢<br />

頚 部 を 患 者 右 側 に 展 開 し、 左 側 よりCarot 三 角 、 胆 嚢 管 左 側 を 剥 離 する。<br />

Critical…viewを 十 分 露 出 した 後 、A 孔 より 右 手 でクリップを 挿 入 し 胆<br />

嚢 管 と 胆 嚢 動 脈 をクリッピング 後 切 離 する。その 後 はA 孔 より 右 手 に<br />

持 った 超 音 波 切 開 装 置 にて 同 一 視 野 で 胆 嚢 底 部 まで 肝 床 より 胆 嚢 を 剥<br />

離 しポート 創 より 胆 嚢 を 摘 出 する。ドレーンは 挿 入 せず、ポート 創 を<br />

縫 合 閉 鎖 し 手 術 を 終 了 する。 上 記 の 方 法 を2011 年 6 月 より28 例 に 施 行<br />

したが、 手 術 時 間 や 在 院 期 間 は 従 来 法 と 差 が 無 く 偶 発 症 を 認 めず 安 全<br />

に 施 行 できた。 本 法 は 両 腕 をクロスさせることでトラクションをかけ<br />

る 把 持 鉗 子 を 絶 えず 左 手 で、 電 気 メスやクリップ、 超 音 波 切 開 装 置 を<br />

右 手 で 操 作 できるため、 従 来 法 の 操 作 と 違 和 感 が 少 なく、トロカール<br />

孔 の 位 置 と 左 右 の 手 の 牽 引 方 向 により 鉗 子 等 が 干 渉 しづらくなり、 臍<br />

部 ポートよりの 操 作 に 慣 れてしまえば 従 来 法 からスムースに 移 行 でき<br />

る 有 用 な 方 法 と 思 われた。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P106-6 Retroandnormogrademethodによる 低 コストで<br />

安 全 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

三 菱 京 都 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 瀬 尾 智 , 有 光 竜 樹 , 濱 口 雄 平 , 尾 池 文 隆 , 岡 田 憲 幸<br />

【はじめに】 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は、 整 容 性 の 優 越 性 から 患 者<br />

満 足 度 を 充 足 し 急 速 な 広 がりをみせているが、 鉗 子 操 作 が 特 殊 で 難 易<br />

度 が 高 いだけでなく 専 用 の 器 具 を 必 要 としコスト 的 にも 不 利 な 面 があ<br />

る。 今 回 われわれは、Retro…and…normograde…methodを 用 いて 低 コス<br />

トで 安 全 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 定 型 化 が 可 能 となったため 報<br />

告 する。【 適 応 】 急 性 胆 嚢 炎 を 合 併 していない 胆 石 症 および 胆 のうポ<br />

リープ 症 例 を 適 応 としている。【 手 術 手 技 】 臍 部 に2.5cmの 縦 切 開 を 加<br />

え、12mmポート1 本 、5mmポート2 本 を 刺 入 したEZアクセスを 装 着<br />

する。カメラは 軟 性 鏡 を 用 い、 鉗 子 類 は 従 来 使 用 していたものを 使 用<br />

している。 手 術 の 基 本 操 作 は3ポート 法 と 全 く 同 じであるが、まず 胆<br />

嚢 を 拳 上 し 胆 嚢 壁 に 沿 って 剥 離 操 作 を 続 けcritical…viewを 露 出 する。<br />

胆 嚢 動 脈 を 超 音 波 凝 固 切 開 装 置 で 切 離 し、 胆 嚢 管 は5mmクリップで<br />

閉 鎖 後 切 離 している。この 時 点 でcalot 三 角 前 面 にガーゼを 置 き<br />

Retrograde…methodは 終 了 す る。 続 い て い わ ゆ るdome…down…<br />

techniqueを 用 いてnormogradeに 胆 嚢 床 からの 剥 離 を 行 う。 術 者 の 左<br />

手 で 胆 嚢 漿 膜 の 切 離 縁 を 拳 上 すると、 胆 嚢 自 体 の 重 さによって 切 離 ラ<br />

インに 適 切 なカウンタートラクションを 得 ることが 出 来 る。 剥 離 操 作<br />

をcalot 三 角 前 面 に 置 いたガーゼに 向 かって 行 う 事 で 安 全 に 摘 出 が 完<br />

了 する。この 術 式 を 導 入 するために 新 規 購 入 した 器 材 はEZアクセス<br />

のみである。【 結 果 】2011 年 1 月 から2011 年 10 月 の10か 月 間 に 単 孔 式 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を18 例 施 行 した。 疾 患 の 内 訳 は 胆 石 症 16 例 、 胆 嚢 ポ<br />

リープ2 例 であった。 全 例 でポートやミニループリトラクターの 追 加 、<br />

開 腹 術 移 行 を 認 めなかった。 全 例 術 後 合 併 症 は 認 めなかった。 平 均 手<br />

術 時 間 は93 分 (43-153 分 )、 出 血 量 は 全 例 少 量 、 平 均 術 後 在 院 日 数 は3.5<br />

日 であった。【 結 語 】Retro…and…normograde…methodを 用 いることに<br />

より 低 コストで 安 全 な 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 が 施 行 可 能 であると<br />

考 えられた。<br />

P106-7 最 新 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 デバイス SPIDERSURGICAL<br />

SYSTEM<br />

1<br />

東 邦 大 学 大 森 病 院 消 化 器 センター 外 科 、 2 University of<br />

California, San Diego<br />

1,2<br />

○… 片 桐 敏 雄 , 道 躰 隆 行 2<br />

, 合 川 公 康 2<br />

, 金 子 弘 真 1<br />

,<br />

サンティアゴ ホーガン 2<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 手 術 は 整 容 性 に 優 れた 点 から 低 侵 襲 外 科 の 各 領 域 におい<br />

て 急 速 にその 適 応 を 拡 大 し, 手 術 例 も 増 加 してきている.しかしなが<br />

ら, 鉗 子 の 相 互 干 渉 やTrianglationの 確 保 , 術 野 展 開 などの 解 決 すべ<br />

き 問 題 を 多 数 残 しており, 依 然 として 手 術 の 技 術 的 難 易 度 が 高 い 点 が<br />

挙 げられる.SPIDER…Surgical…System( 以 下 SPIDER)は 現 在 米 国 に<br />

て 臨 床 で 用 いられている 最 新 の 単 孔 式 手 術 デバイスであり, 現 状 での<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 手 術 の 問 題 点 を 解 決 している 数 少 ない 機 器 と 言 える. 米<br />

国 University…of…California,…San…Diego( 以 下 UCSD)でSPIDERを 用 い<br />

単 孔 式 胆 嚢 摘 出 術 を 経 験 した.この 動 物 実 験 および 臨 床 経 験 から<br />

SPIDERにおける 使 用 時 の 注 意 点 を 示 し,さらに 今 後 の 単 孔 式 腹 腔 鏡<br />

手 術 の 方 向 性 を 考 察 した.SPIDERは 左 右 2 本 の 可 変 式 アームが 筒 状<br />

のシースに 格 納 されており,シースを 腹 腔 内 に 挿 入 した 後 , 左 右 のアー<br />

ムを 展 開 する.プラットフォームからアームへ 鉗 子 を 挿 入 することが<br />

可 能 で,アームの 先 端 から 様 々な 鉗 子 類 が 使 用 できる. 胆 嚢 摘 出 術 で<br />

は,いわゆるPure 単 孔 にて 胆 嚢 摘 出 術 が 可 能 である. 本 体 のプラッ<br />

トフォームには5mm 硬 性 鏡 を 挿 入 するための 孔 と5mmの 鉗 子 を 挿 入<br />

するための 孔 を 併 せ 持 つ.…5mm 鉗 子 孔 からの 把 持 鉗 子 を 用 いて 胆 嚢<br />

底 部 を 把 持 し 頭 側 へ 挙 上 し 胆 嚢 頸 部 を 展 開 する. 左 右 のアームにて<br />

Trianglationを 確 保 しながら 胆 嚢 の 剥 離 や 切 離 操 作 を 行 い, 胆 嚢 を 摘<br />

出 する. 現 在 までの 臨 床 例 では, 術 中 , 術 後 に 重 大 な 合 併 症 は 認 めな<br />

かった.SPIDERは 左 右 のアームが 自 在 に 動 くことで 鉗 子 の 相 互 干 渉<br />

がなくTrianglationも 良 好 に 保 持 できる 有 用 な 手 術 デバイスであり,<br />

単 孔 式 腹 腔 鏡 手 術 の 欠 点 を 克 服 した 次 世 代 の 単 孔 式 腹 腔 鏡 手 術 を 担 う<br />

可 能 性 のある 手 術 デバイスであると 考 えられた.<br />

-539-


P106-8 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 単 孔 Lap-C)の 教 育 におけ<br />

る 当 院 の 工 夫<br />

亀 田 総 合 病 院 外 科<br />

○… 高 賢 樹 , 山 田 成 寿 , 太 田 智 之 , 林 賢 , 草 薙 洋 ,<br />

加 納 宣 康<br />

【はじめに】 現 在 、 整 容 性 を 利 点 として 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 単<br />

孔 Lap-C)が 広 まりつつあるが、その 手 技 は 難 易 度 の 高 いことが 問 題<br />

となっている。しかし 当 院 では 術 者 としての 条 件 設 定 、 症 例 の 選 択 、<br />

手 技 の 固 定 化 により 積 極 的 に 若 手 を 術 者 とする 方 針 とした。これらの<br />

工 夫 と 結 果 を 報 告 する。【 工 夫 】 当 院 では 単 孔 Lap-Cの 術 者 となるた<br />

めに 従 来 法 のLap-C 術 者 として 完 遂 30 例 以 上 および 動 物 ( 豚 )での 単 孔<br />

Lap-Cの 経 験 を 必 須 としている。 実 際 の 手 術 では 炎 症 が 軽 度 以 下 の 症<br />

例 を 対 象 とし、 手 技 の 工 夫 は 場 面 によってトロカーのローテーション<br />

や 鉗 子 の 位 置 を 決 め、 誰 でも 同 じ 手 術 ができるようにしている。【 対<br />

象 ・ 方 法 】 当 科 で 単 孔 Lap-Cの 術 者 である 医 師 3 名 が2009.11 月 以 後 に<br />

施 行 したLap-C…62 例 ( 単 孔 34、 従 来 法 28)を 対 象 とした。それぞれの 経<br />

歴 はA(16 年 目 Lap-C 経 験 150 例 以 上 、 内 視 鏡 外 科 学 会 技 術 認 定 医 )、<br />

B(11 年 目 Lap-C 経 験 100 例 程 度 )、C(8 年 目 Lap-C 経 験 80 例 程 度 )で<br />

ある。Aが 教 育 者 としてB,Cを 順 に 指 導 し、 各 々10 例 以 上 は 経 験 させ<br />

る 予 定 としている。 以 上 の 条 件 で 各 術 者 における 単 孔 と 従 来 法 を 比 較<br />

した。 比 較 項 目 は 年 齢 、BMI、 手 術 時 間 、ポート 挿 入 までの 時 間 、 出<br />

血 量 、 術 後 入 院 期 間 、 合 併 症 の 有 無 とした。【 結 果 】Aではすべての<br />

項 目 で 有 意 差 を 認 めず。Bでは 単 孔 で 出 血 量 が 少 なかった。Cでは 単<br />

孔 で 入 院 期 間 が 短 かった。 単 孔 で 臍 創 感 染 を1 例 認 めた。【 考 察 】 炎 症<br />

が 軽 度 以 下 でも 難 易 度 が 高 そうな 症 例 は 従 来 法 を 選 択 する 傾 向 があり、<br />

有 意 差 の 原 因 の 一 つと 考 えられた。 症 例 の 選 択 に 偏 りがあるにせよ、<br />

単 孔 Lap-Cは 従 来 法 にくらべ 劣 っていないことが 示 された。 症 例 の 選<br />

択 、 適 切 な 教 育 によって 若 手 医 師 でも 単 孔 Lap-Cを 安 全 に 施 行 できる<br />

と 考 えられた。 当 院 では 今 後 、BもAと 同 様 に 後 輩 を 指 導 する 予 定 で<br />

あり、 最 終 的 に 条 件 を 満 たす 若 手 外 科 医 すべてに 単 孔 Lap-Cを 執 刀 し<br />

てもらう 予 定 である。<br />

P106-9 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 の 急 性 炎 症 反 応 についての<br />

検 討<br />

国 家 公 務 員 共 済 組 合 連 合 会 虎 の 門 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 福 井 雄 大 , 佐 々 木 一 成 , 松 田 正 道 , 橋 本 雅 司 ,<br />

渡 邊 五 朗<br />

【 目 的 】 腹 空 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (LC)は, 術 後 入 院 期 間 の 短 縮 や 術 後 疼<br />

痛 の 緩 和 , 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 (OC)に 対 する 死 亡 率 の 低 さから,その 発<br />

表 から 数 年 も 経 たないうちに 胆 嚢 摘 出 術 のgold…standardとなった.<br />

LCのそれらの 利 点 は, 皮 切 と 腹 壁 破 壊 の 減 少 に 起 因 する 術 後 炎 症 反<br />

応 の 軽 減 によるものであると 考 えられている. 近 年 , 腹 腔 内 アクセス<br />

ポート 創 の 数 や 大 きさを 減 らす 単 孔 式 腹 空 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (SILC)が<br />

開 発 され, 従 来 のLCに 対 して 術 後 の 整 容 性 に 優 れているため 急 速 に<br />

普 及 している. 現 時 点 で,OCとLCにおける 術 後 炎 症 反 応 の 比 較 はあ<br />

るが,SILCがLCに 比 べて 術 後 炎 症 反 応 を 減 少 させるか 否 かは 明 らか<br />

でない. 今 回 ,SILCがLCに 比 べて 術 後 炎 症 反 応 を 減 少 させるか 否 か<br />

を 明 らかにするために,SILCとLCにおける 術 後 の 体 温 ,CRP, 白 血<br />

球 について 比 較 した.【 方 法 】 当 院 で2007 年 4 月 から2011 年 5 月 までに<br />

同 一 術 者 が 行 なった83 例 のSILC 群 と145 例 のLC 群 について 後 ろ 向 き<br />

に 解 析 した(2009 年 7 月 以 降 は 全 例 SILCにて 施 行 ).…SILCがLCに 比 べ<br />

て 術 後 炎 症 反 応 を 減 少 させるのか 否 かを 正 しく 評 価 するために, 急 性<br />

胆 嚢 炎 や 急 性 胆 管 炎 症 例 , 術 前 CRP 陽 性 例 , 過 去 に 上 腹 部 の 手 術 既 往<br />

のある 症 例 , 術 式 を 移 行 した 症 例 , 術 後 合 併 症 例 は 分 析 から 除 外 して<br />

いる. 周 術 期 管 理 はSILCとLCともに 同 様 に 行 なった. 血 液 検 体 は 術 前 ,<br />

手 術 2 時 間 後 ,24 時 間 後 ,48 時 間 後 に 採 取 した.【 結 果 】 年 齢 、 性 別 、<br />

適 応 疾 患 と 術 前 の 体 温 ,CRP, 白 血 球 についてはいずれも 両 群 間 に 差<br />

を 認 めなかった. 手 術 当 日 の 体 温 , 手 術 24 時 間 後 と48 時 間 後 のCRP,<br />

手 術 当 日 の 白 血 球 に 関 して 有 意 にSILC 群 で 低 かった.【 結 語 】SILCは<br />

従 来 のLCに 比 べて 整 容 性 だけでなく 侵 襲 性 の 面 でも 優 れているとい<br />

える.<br />

P106-10 有 石 胆 嚢 合 併 総 胆 管 結 石 症 に 対 する 経 乳 頭 的 採 石 術<br />

後 の「 単 孔 式 」 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 位 置 付 け<br />

帝 京 大 学 ちば 総 合 医 療 センター 外 科<br />

○… 今 井 健 一 郎 , 幸 田 圭 史 , 山 崎 将 人 , 鈴 木 正 人 , 手 塚 徹 ,<br />

小 杉 千 弘 , 村 田 聡 一 郎 , 平 野 敦 史 , 岡 野 美 々, 板 垣 亮 平 ,<br />

白 神 梨 沙 , 安 田 秀 喜<br />

【 目 的 】ガイドラインでは 経 乳 頭 的 採 石 術 + 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 が 推<br />

奨 度 Bとなっている 有 石 胆 嚢 合 併 総 胆 管 結 石 症 治 療 における 単 孔 式 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 位 置 づけを 検 討 する。【 方 法 】2009 年 1 月 から2011<br />

年 12 月 までに 当 院 外 科 で 有 石 胆 嚢 合 併 総 胆 管 結 石 症 に 対 して 経 乳 頭 的<br />

総 胆 管 結 石 採 石 術 + 従 来 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 従 来 群 )を 行 った 症 例<br />

は13 例 で、 経 乳 頭 的 総 胆 管 結 石 採 石 術 + 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 ( 単<br />

孔 群 )を 行 った 症 例 は11 例 であった。 従 来 群 、 単 孔 群 で、 鏡 視 下 手 術<br />

完 遂 率 、 術 中 出 血 量 、 手 術 時 間 、 術 後 合 併 症 、 術 後 在 院 日 数 、 経 乳 頭<br />

的 総 胆 管 結 石 採 石 術 を 含 めた 総 入 院 日 数 を 比 較 した( 中 央 値 )。【 結 果 】<br />

鏡 視 下 手 術 完 遂 率 は、 従 来 群 、 単 孔 群 でともに100%であった。 従 来<br />

群 1 例 で 術 中 総 肝 管 損 傷 が 発 生 し 鏡 視 下 で 修 復 した。 単 孔 群 2 例 でポー<br />

ト 追 加 を 必 要 とした。 出 血 量 は 両 群 ともに10ml 以 下 であった。 手 術<br />

時 間 は 従 来 群 98 分 、 単 孔 群 118 分 であった。 術 後 合 併 症 は 両 群 でみら<br />

れなかった。 術 後 在 院 日 数 は 従 来 群 、 単 孔 群 ともに3 日 であった。 経<br />

乳 頭 的 総 胆 管 結 石 採 石 術 を 含 めた 総 入 院 日 数 は 従 来 群 15 日 、 単 孔 群 14<br />

日 であった。【 結 論 】 有 石 胆 嚢 合 併 総 胆 管 結 石 症 における 経 乳 頭 的 総<br />

胆 管 結 石 採 石 術 後 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 においては、 胆 嚢 自 体 の 炎 症<br />

は 軽 度 である 場 合 が 多 く、 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 良 い 適 応 であ<br />

ると 思 われた。<br />

P106-11 急 性 胆 嚢 炎 に 対 するPTGBD、PTGBA 後 の 単 孔 式 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 経 験<br />

獨 協 医 科 大 学 越 谷 病 院 第 1 外 科<br />

○… 多 賀 谷 信 美 , 大 矢 雅 敏<br />

「 目 的 」 急 性 胆 嚢 炎 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 早 期 手 術 が 推 奨 さ<br />

れているが、 待 機 手 術 を 余 儀 なくされる 場 合 がある。 待 機 により 慢 性<br />

萎 縮 性 胆 嚢 炎 の 状 態 になり、 腹 腔 鏡 下 のアプローチは 困 難 な 場 合 が 多<br />

い。 今 回 、 我 々は 急 性 胆 嚢 炎 に 対 し、PTGBD、PTGBA 施 行 後 に 単<br />

孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した 症 例 を 経 験 したので 手 術 手 技 上 の<br />

問 題 点 やコツについて 報 告 する。「 方 法 」2つの 方 法 にてアプローチし<br />

た。1)… 臍 部 に 約 2cmの 縦 切 開 を 置 き、 手 袋 法 にて5mmのポートを3 本<br />

挿 入 し、さらに 右 上 腹 部 に3mmのポートを 刺 入 し、3mmのポートよ<br />

り 挿 入 した 細 径 内 視 鏡 観 察 下 に 胆 嚢 摘 出 を 行 う、2)… 臍 部 に 約 2…cmの<br />

縦 切 開 を 手 袋 にて 被 覆 し、Endo-Grabにて 胆 嚢 を 挙 上 した 上 で、 臍 部<br />

創 のみから3 本 の5mmポート 挿 入 し、5mm 腹 腔 鏡 観 察 下 に 胆 嚢 摘 出 を<br />

行 った。「 結 果 」PTGBDの 影 響 と 思 われる 腹 腔 内 の 癒 着 や 胆 嚢 の 慢 性<br />

炎 症 性 変 化 により 手 術 操 作 に 難 渋 した。 胆 嚢 の 把 持 が 極 めて 困 難 、<br />

PTGBDの 瘻 孔 の 閉 鎖 、 総 肝 管 への 炎 症 性 変 化 の 波 及 、 右 肝 動 脈 が 胆<br />

嚢 頸 部 に 近 接 など 諸 条 件 を 克 服 し、 肝 床 部 に 一 部 胆 嚢 を 残 す 形 の 胆 嚢<br />

摘 出 術 を 行 った。 術 後 経 過 は 良 好 であった。PTGBA 症 例 は 胃 癌 に 対<br />

する 腹 腔 鏡 下 術 後 であり、 癒 着 が 存 在 したが、Endo-Grabの 使 用 にて<br />

胆 嚢 頸 部 やCalot 三 角 の 処 理 が 安 全 に 施 行 可 能 となった。「 結 語 」 本 例<br />

のごとき 症 例 に 対 しても、 結 果 的 には 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 手 術 は 可 能 で<br />

あったが、 偶 発 症 や 合 併 症 を 避 ける 観 点 より、 議 論 の 分 かれる 症 例 と<br />

考 えられる。 新 たなデバイスの 登 場 により、 適 応 症 例 は 増 えると 思 わ<br />

れる。<br />

-540-


P107-1 脳 室 - 腹 腔 シャント 留 置 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘<br />

出 術 の 経 験<br />

産 業 医 科 大 学 第 一 外 科<br />

○… 荒 瀬 光 一 , 山 内 潤 身 , 上 原 智 仁 , 田 村 利 尚 , 井 上 譲 ,<br />

金 光 秀 一 , 皆 川 紀 剛 , 鳥 越 貴 行 , 柴 尾 和 徳 , 日 暮 愛 一 郎 ,<br />

山 口 幸 二<br />

脳 室 - 腹 腔 シャント( 以 下 V-Pシャント) 留 置 中 の 患 者 に 腹 腔 鏡 下 手 術 を<br />

施 行 する 場 合 、 腹 腔 内 圧 上 昇 によるシャントチューブ 逆 流 、チューブ<br />

感 染 などの 可 能 性 を 懸 念 せざるを 得 ない。 今 回 我 々はV-Pシャント 留<br />

置 中 の 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的<br />

考 察 を 加 えて 報 告 する。【 症 例 1】16 歳 、 女 性 。0 歳 時 に 脊 髄 髄 膜 瘤 ・<br />

水 頭 症 に 対 しV-Pシャント 造 設 術 を 施 行 され、 当 院 脳 神 経 外 科 通 院 中<br />

だった。10 歳 時 から 胆 嚢 結 石 症 を 指 摘 され 経 過 観 察 されていたが、 右<br />

季 肋 部 痛 出 現 し、 精 査 後 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 入 院 。 腹 部 エコー・<br />

CT・MRCPで 胆 嚢 結 石 症 と 診 断 され 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施<br />

行 した。 手 術 開 始 前 に、イメージ 下 にシャントチューブの 走 行 を 確 認<br />

し、 前 胸 部 でチューブを 露 出 してクランプした 後 に 気 腹 した。シャン<br />

トチューブが 腹 腔 内 左 側 寄 りに 留 置 されているのを 確 認 し、チューブ<br />

損 傷 のないよう 手 術 を 進 めた。 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 終 了 後 気 腹 を 解 除 し<br />

た 後 にシャントチューブのクランプを 解 除 し、シャントチューブ 先 端<br />

からの 髄 液 の 排 出 を 確 認 した。 術 後 経 過 は 良 好 でチューブトラブルや<br />

脳 疾 患 の 増 悪 は 認 めなかった。【 症 例 2】59 歳 、 男 性 。59 歳 時 にくも 膜<br />

下 出 血 による 正 常 圧 水 頭 症 に 対 し 逆 流 防 止 弁 付 きのV-Pシャント 造 設<br />

術 を 施 行 され、 当 院 脳 神 経 外 科 通 院 中 だった。 総 胆 管 結 石 症 ・ 胆 嚢 結<br />

石 症 に 対 し 当 院 内 科 で 内 視 鏡 的 治 療 後 、 手 術 目 的 に 当 科 紹 介 入 院 され、<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 気 腹 後 シャントチューブが 腹 腔 内 左<br />

側 寄 りに 留 置 されているのを 確 認 し、チューブ 損 傷 のないよう 手 術 を<br />

終 了 した。 術 後 経 過 は 良 好 でチューブトラブルや 脳 疾 患 の 増 悪 は 認 め<br />

なかった。シャントバルブの 特 性 を 把 握 し、 適 切 な 感 染 対 策 をとれば、<br />

V-Pシャント 留 置 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は 安 全 に 施 行 可 能<br />

と 考 えられた。<br />

P107-2 DIC-CTにて 胆 嚢 管 の 合 流 異 常 を 同 定 できたLap-Cの<br />

2 例 ~ 開 腹 移 行 症 例 と 完 遂 症 例<br />

1<br />

仙 台 徳 洲 会 病 院 外 科 、 2 東 北 大 学 病 院 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 神 賀 貴 大 1 2<br />

, 海 野 倫 明<br />

【はじめに】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 において 術 前 に 胆 嚢 管 を 同 定 するこ<br />

とは 非 常 に 重 要 であり、 特 に 胆 嚢 管 の 走 行 に 変 異 がある 症 例 では 胆 管<br />

損 傷 や 開 腹 移 行 を 回 避 するために 必 須 である。 胆 嚢 管 を 同 定 する 方 法<br />

にはMRCP、ERCP、DIC-CTなどあるが、DIC-CTが 低 侵 襲 で 最 も 感<br />

度 がいいと 報 告 されている。 今 回 、 胆 嚢 管 の 走 行 異 常 を 術 前 にDIC-<br />

CTで 指 摘 できた 症 例 を2 例 経 験 した。【 症 例 】< 症 例 1>62 歳 男 性 、 腹<br />

部 超 音 波 検 査 にて 胆 嚢 内 に 胆 泥 を 認 め、 時 々 右 上 腹 部 痛 があったため<br />

手 術 適 応 となった。DIC-CTでは 後 区 域 枝 が 左 肝 管 に 合 流 し、 胆 嚢 管<br />

は 前 区 域 枝 と 左 肝 管 の 合 流 部 に 頭 側 から 合 流 する 形 態 であった。 胆 嚢<br />

に 圧 迫 されて 左 肝 管 が 狭 くなっており、その 末 梢 胆 管 が 拡 張 していた。<br />

慢 性 胆 嚢 炎 のある 症 例 で 剥 離 操 作 が 非 常 に 困 難 であり、 超 音 波 凝 固 切<br />

開 装 置 にて 左 肝 管 を 完 全 切 離 した。 術 中 胆 道 造 影 にて 左 肝 管 の 損 傷 が<br />

明 らかとなり、 開 腹 術 へ 移 行 した。 胆 嚢 管 根 部 の 損 傷 部 位 を 修 復 し、<br />

左 肝 管 と 空 腸 を 吻 合 した。< 症 例 2>62 歳 女 性 、 時 々 胆 石 発 作 がある<br />

ということで 手 術 適 応 となった。MRCPでは 胆 嚢 管 は 描 出 されたが、<br />

胆 嚢 管 は 同 定 できなかった。DIC-CTでは 胆 嚢 管 が 右 肝 管 に 合 流 する<br />

走 行 異 常 を 同 定 できた。 腹 腔 鏡 下 で 右 肝 管 を 狭 窄 ・ 損 傷 せずに 胆 嚢 管<br />

を 切 離 することができた。【 考 察 】 症 例 1は 胆 嚢 管 の 合 流 形 態 をDIC-<br />

CTにて 把 握 できたが、 慢 性 胆 嚢 炎 による 困 難 な 剥 離 操 作 に 加 えて 胆<br />

嚢 による 圧 排 による 癒 着 のために 左 肝 管 の 損 傷 が 生 じた。 腹 腔 鏡 下 で<br />

胆 嚢 摘 出 術 を 完 遂 することが 非 常 に 困 難 な 症 例 であり、DIC-CTの 所<br />

見 から 判 断 してはじめから 開 腹 術 を 行 うべきであった。 症 例 2は<br />

MRCPのみで 手 術 を 行 った 場 合 、 胆 嚢 管 の 同 定 は 困 難 であったと 考 え<br />

られ、DIC-CTが 非 常 に 有 用 な 症 例 であった。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P107-3 胃 瘻 造 設 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 の 経 験<br />

1<br />

東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 肝 胆 膵 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 外 科<br />

学 講 座<br />

○… 伊 藤 隆 介 1<br />

, 柴 浩 明 1<br />

, 古 川 賢 英 1<br />

, 北 村 博 顕 1<br />

, 鈴 木 文 武 1<br />

,<br />

後 町 武 志 1<br />

, 二 川 康 郎 1<br />

, 脇 山 茂 樹 1<br />

, 石 田 祐 一 1<br />

,<br />

三 澤 健 之 1 2<br />

, 矢 永 勝 彦<br />

症 例 は82 歳 女 性 。 脳 梗 塞 後 遺 症 に 対 する 長 期 療 養 目 的 で 前 医 入 院 し、<br />

2 年 前 に 胃 瘻 を 造 設 し 経 管 栄 養 を 行 っていた。 発 語 は 不 可 だが 意 思 の<br />

疎 通 は 可 能 。2011 年 4 月 に 胆 石 発 作 あるも 保 存 的 に 改 善 し 経 過 観 察 し<br />

ていた。5 月 に 胆 石 性 膵 炎 を 発 症 したため 当 院 に 緊 急 転 院 。ERBDを<br />

施 行 し、 膵 炎 改 善 後 に 前 医 に 転 院 した。 胆 嚢 内 には 小 結 石 を 多 数 認 め<br />

たが、 悪 性 所 見 はなく、 総 胆 管 結 石 を 複 数 認 めた。 左 上 腹 部 に 胃 瘻 が<br />

造 設 されていたが、その 他 に 開 腹 歴 はなく 内 服 薬 もなかった。2か 月 後 、<br />

待 期 的 に 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 と 内 視 鏡 下 総 胆 管 結 石 採 石 術 目 的 で 再 び<br />

当 院 に 転 院 となった。 全 身 麻 酔 導 入 後 に、 気 腹 時 の 胃 瘻 の 脱 落 に 備 え<br />

て、 胃 瘻 をバルーン 尿 道 カテーテルに 入 れ 替 えた。 手 術 は4ポートで<br />

施 行 。 気 腹 圧 は 最 大 8mmHgとした。 気 腹 すると 胃 壁 は 胃 瘻 挿 入 部 周<br />

囲 のみで 癒 着 しており 腹 壁 に 拳 上 されたが 瘻 孔 の 損 傷 はなく、 視 野 は<br />

通 常 の 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 と 同 等 に 良 好 であった。 術 中 操 作 において<br />

も 同 様 に 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 し 得 た。 術 後 経 過 は 良 好 であり、 経 腸 栄 養<br />

を 開 始 。 術 後 第 3 病 日 にERCPを 行 い、EST 中 切 開 施 行 後 に 総 胆 管 結<br />

石 採 石 術 を 施 行 した。 病 理 結 果 でも 悪 性 所 見 はなく、 第 7 病 日 に 抜 鈎<br />

し 前 医 転 院 となった。 高 齢 化 やその 他 の 疾 患 による 経 口 摂 取 不 能 患 者<br />

に 対 する 胃 瘻 造 設 の 増 加 に 伴 い、 今 後 このような 症 例 も 散 見 されるよ<br />

うになると 考 えられる。 気 腹 に 伴 う 瘻 孔 部 の 損 傷 などのリスクが 想 定<br />

されるが、 本 症 例 では 問 題 なく 手 術 を 終 了 することができた。 胃 瘻 造<br />

設 を 伴 う 長 期 療 養 患 者 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 経 験 したので、<br />

若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P107-4 治 療 に 難 渋 した 胆 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 、<br />

胆 汁 瘻 の1 例<br />

社 会 保 険 横 浜 中 央 病 院 外 科<br />

○… 加 納 久 雄 , 吹 野 信 忠 , 三 松 謙 司 , 大 井 田 尚 継<br />

腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 は、 良 性 胆 道 疾 患 とくに 胆 石 症 に 対 する 標 準 術 式<br />

として 確 率 されるに 至 った。しかし、 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 にはなかった 合<br />

併 症 も 認 められるようになった。その 中 でも 胆 管 損 傷 は、 重 大 な 合 併<br />

症 である。 今 回 われわれは、 胆 石 症 に 対 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施<br />

行 し、 術 後 胆 汁 瘻 を 来 たし、 治 療 に 難 渋 した1 例 を 経 験 したので 報 告<br />

する。( 症 例 )27 歳 、 男 性 。( 主 訴 ) 心 窩 部 痛 。( 現 病 歴 ) 初 診 の2、3 年 前 か<br />

ら 心 窩 部 痛 を 自 覚 し 近 医 を 受 診 し 胆 石 症 の 診 断 は 受 けていた。 心 窩 部<br />

痛 が 出 現 し、 平 成 22 年 6 月 当 院 内 科 受 診 。 胆 石 発 作 の 診 断 になり 手 術<br />

適 応 ありと 診 断 され 外 科 依 頼 になる。( 入 院 時 現 症 ) 身 長 176cm、 体 重<br />

112kg、BMI…36.1、 腹 部 の 症 状 は 軽 快 していた。 入 院 時 検 査 成 績 は 異<br />

常 を 認 めなかった。 画 像 診 断 では、 胆 嚢 頚 部 、 底 部 に 結 石 を 認 めた。( 入<br />

院 後 経 過 ) 平 成 22 年 7 月 胆 石 症 に 診 断 にて 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 し<br />

た。 術 中 に 胆 汁 の 漏 出 は 認 めなかった。しかし、 術 後 第 1 病 術 にドレー<br />

ンより 胆 汁 の 漏 出 を 認 めたため、 術 後 第 3 病 日 に 再 手 術 1を 施 行 した。<br />

肝 門 部 の 右 胆 管 から 胆 汁 の 漏 出 を 認 めたため 単 純 閉 鎖 を 行 った。しか<br />

し、 胆 汁 の 漏 出 を 再 び 認 めた。その 後 、ENBDを 試 みたが 挿 入 ができ<br />

なかった。 平 成 22 年 9 月 再 手 術 2を 施 行 した。 術 式 は 胆 管 空 腸 吻 合 術 を<br />

施 行 した。しかし、 縫 合 不 全 を 来 たす。 平 成 22 年 12 月 、 透 視 下 に 胆 管<br />

側 、 挙 上 腸 管 側 にカニュレーションを 行 い、 平 成 23 年 2 月 に 自 作 T-<br />

チューブを 挿 入 した。 平 成 23 年 7 月 に15Fr.の 市 販 T-チューブを 挿 入 し<br />

た。 平 成 23 年 10 月 に 最 終 的 にT-チューブを 抜 去 した。( 考 察 ) 腹 腔 鏡 下<br />

胆 嚢 摘 出 後 の 胆 管 損 傷 は 経 験 値 に 左 右 されるという 報 告 が 多 く、 解 剖<br />

学 的 理 解 不 足 から 胆 管 離 断 を 起 こす 型 、または、 胆 管 損 傷 型 では、 電<br />

気 メスによる 熱 損 傷 は 腹 腔 鏡 下 の 手 術 特 有 と 考 えられ、 術 中 には 症 状<br />

はなく 遅 発 性 に 症 状 を 来 すことも 報 告 されている。また、 再 手 術 例 の<br />

15-40%に 再 々 手 術 を 行 ったとの 報 告 もある。(まとめ) 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘<br />

出 術 による 胆 道 損 傷 に 対 しては、 低 侵 襲 手 術 にこだわらず 安 全 に 確 実<br />

な 処 置 を 迅 速 に 行 うことが 重 要 と 考 えられた。<br />

-541-


P107-5 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 早 期 にクリップによる 良 性 胆 管<br />

狭 窄 を 来 した 一 例<br />

1<br />

慈 恵 医 大 葛 飾 医 療 センター 外 科 、 2 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 消 化<br />

器 外 科<br />

○… 飯 田 智 憲 1<br />

, 河 野 修 三 1<br />

, 畑 太 悟 1<br />

, 野 尻 卓 也 1<br />

, 吉 田 和 彦 1<br />

,<br />

2<br />

矢 永 勝 彦<br />

症 例 は52 歳 男 性 。 胆 石 症 に 対 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 (LC)を 施 行 し<br />

て 術 後 3 日 で 軽 快 退 院 した。 術 後 18 日 頃 から 全 身 倦 怠 感 と 胃 部 不 快 感<br />

が 出 現 し、 時 折 白 色 便 を 認 めるようになったため 外 来 受 診 した。 来 院<br />

時 T-Bil…3.8…mg/dl、D-Bil…2.4…mg/dl、AST…166…IU/L、ALT…488…IU/L、<br />

ALP…1,341…IU/L、γGTP…1,641…IU/Lと 上 昇 しており、 閉 塞 性 黄 疸 と<br />

それに 伴 う 肝 機 能 障 害 の 診 断 にて 精 査 加 療 目 的 で 緊 急 入 院 となった。<br />

MRCP、 造 影 CTにて 肝 内 胆 管 の 拡 張 と 肝 外 胆 管 の 狭 窄 所 見 を 認 め、<br />

狭 窄 部 位 はクリップ 近 傍 であり、 周 囲 に 淡 い 造 影 効 果 を 示 す 軟 部 陰 影<br />

と 周 囲 脂 肪 織 濃 度 の 軽 度 上 昇 を 認 めたことからクリップによる 肉 芽 腫<br />

が 原 因 の 良 性 胆 管 狭 窄 ないし 術 中 のクリッピングによる 胆 管 狭 窄 が 疑<br />

われた。そのため、 術 中 ビデオを 再 確 認 したところ、 充 分 なcritical…<br />

windowを 出 した 後 に 胆 管 を 切 離 しており、 今 回 の 黄 疸 は 前 者 による<br />

ものと 判 断 し、 減 黄 目 的 にERBDチューブを 留 置 した。その 際 の<br />

ERCPでの 所 見 からも 胆 管 外 圧 迫 による 閉 塞 性 黄 疸 が 疑 われた。<br />

ERBD 留 置 後 は 順 調 に 減 黄 が 図 られ 軽 快 退 院 となった。 胆 石 症 に 対 す<br />

るLCは 現 在 標 準 術 式 として 確 立 されているが、 鏡 視 下 という 特 殊 な<br />

環 境 での 手 術 であるため、 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 と 比 べ 特 殊 な 合 併 症 が 存 在<br />

し、 近 年 その 数 も 増 加 傾 向 にある。 特 にLCのクリップに 起 因 するも<br />

のとして、 胆 管 損 傷 、 血 管 損 傷 、 遅 発 性 のものとして 胆 管 結 石 、 胆 管<br />

狭 窄 などがあるが、 本 症 例 のように 術 後 早 期 に 胆 管 狭 窄 を 来 す 症 例 は<br />

比 較 的 まれである。 良 性 胆 管 狭 窄 の 治 療 として 内 視 鏡 的 バルーン 拡 張<br />

術 、 胆 道 ステント、 手 術 療 法 などが 挙 げられるが、 本 症 例 はERBD<br />

チューブ 留 置 にて 良 好 な 減 黄 が 図 られており、 今 後 の 臨 床 経 過 にて 抜<br />

去 ないし 交 換 を 行 う 予 定 である。 今 回 われわれは、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出<br />

術 後 早 期 にクリップによる 良 性 胆 管 狭 窄 を 来 した 一 例 を 経 験 したので<br />

文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P107-6 腹 腔 鏡 器 具 の 微 小 部 品 を 腹 腔 内 に 紛 失 し 腹 腔 鏡 下 で 摘<br />

出 し 得 た 一 例<br />

関 西 労 災 病 院 消 化 器 外 科<br />

○… 向 井 洋 介 , 中 平 伸 , 武 田 裕 , 革 島 洋 志 , 小 野 寿 子 ,<br />

濱 中 美 千 子 , 内 山 千 恵 子 , 金 村 剛 志 , 竹 野 淳 , 鈴 木 玲 ,<br />

中 田 健 , 三 木 宏 文 , 加 藤 健 志 , 田 村 茂 行<br />

症 例 は69 歳 男 性 。 心 房 細 動 にて 当 院 循 環 器 内 科 にてアブレーション 施<br />

行 、 術 後 2 日 目 に 心 窩 部 痛 出 現 。CT、 採 血 にて 急 性 胆 嚢 炎 と 診 断 され<br />

術 後 ワーファリン 内 服 中 であったことから 超 音 波 ガイド 下 経 皮 的 胆 嚢<br />

穿 刺 吸 引 施 行 された。 術 後 半 年 間 ワーファリン 内 服 が 必 要 とされてい<br />

たため 今 回 半 年 後 に 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 術 中 所 見 では 胆<br />

嚢 周 囲 の 炎 症 による 癒 着 が 激 しく 剥 離 に 難 渋 した。 手 術 中 、 鉗 子 の 把<br />

持 が 悪 く 別 の 鉗 子 に 取 り 換 えて 手 術 を 行 った。このときも 鉗 子 を 確 認<br />

したが 不 具 合 の 原 因 は 確 認 できなかった。 胆 嚢 摘 出 し 閉 腹 後 、 把 持 鉗<br />

子 の 点 検 を 再 度 行 うと 鉗 子 の 先 端 リベット 片 が 紛 失 しており 把 持 に 不<br />

具 合 が 生 じていたことが 確 認 された。 術 前 点 検 の 際 には 異 常 は 確 認 さ<br />

れていなかった。 術 野 以 外 を 丹 念 に 探 したが 発 見 できず。 閉 腹 後 であっ<br />

たため 腹 部 レントゲンにて 確 認 したところ、 胆 嚢 摘 出 時 に 用 いた 金 属<br />

クリップ 以 外 に 高 濃 度 の 陰 影 認 めたため 腹 腔 内 に 遺 残 している 可 能 性<br />

が 高 いと 判 断 した。 全 身 麻 酔 中 であったため 本 人 説 明 は 術 後 行 うこと<br />

とし、 家 族 説 明 を 行 い 再 度 腹 腔 鏡 下 に 異 物 除 去 術 を 行 った。レントゲ<br />

ンの 高 濃 度 部 位 と 一 致 する 部 位 にリベットを 発 見 し 摘 出 した。 術 後 レ<br />

ントゲンにて 高 濃 度 部 位 の 消 失 を 確 認 。 術 後 本 人 にも 説 明 を 行 ったが<br />

理 解 は 良 好 で、 術 後 経 過 も 問 題 なく 退 院 となった。 国 内 においてカー<br />

ルストルツ 社 製 鉗 子 の 先 端 リベット 片 が 体 内 に 残 存 した 件 数 は 平 成 14<br />

年 からの 報 告 で3 件 。 体 内 残 存 による 有 害 事 象 等 については 上 記 3 件 と<br />

も 有 害 事 象 の 報 告 はない。また 海 外 でもリベット 片 の 残 存 による 同 様<br />

の 有 害 事 象 報 告 はない。カールストルツ 社 製 の 鉗 子 は30 症 例 もしくは<br />

使 用 開 始 から1 年 が 交 換 の 目 安 とされているが 今 回 の 鉗 子 はその 期 間<br />

よりかなり 長 く 使 用 されていた。 昨 今 腹 腔 鏡 下 手 術 の 増 加 により 今 回<br />

のような 事 例 が 起 こりうる 可 能 性 は 否 定 できない。 器 具 の 取 扱 いなど<br />

若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P107-7 当 科 における 先 天 性 胆 道 拡 張 症 の 腹 腔 鏡 下 手 術<br />

日 本 医 科 大 学 外 科<br />

○… 清 水 哲 也 , 中 村 慶 春 , 内 田 英 二 , 松 本 智 司 , 吉 岡 正 人 ,<br />

松 下 晃 , 水 口 義 昭 , 山 初 和 也 , 田 尻 孝<br />

【はじめに】 先 天 性 胆 道 拡 張 症 は 良 性 疾 患 でありながら 胆 道 癌 発 生 の<br />

リスクがあり、 診 断 後 は 早 期 に 胆 管 切 除 と 分 流 手 術 の 治 療 が 必 要 とな<br />

るが、その 手 術 には 胆 管 切 除 、Roux-Y 作 成 、 肝 管 空 腸 吻 合 などの 手<br />

術 手 技 を 必 要 とするため、 腹 腔 鏡 下 手 術 の 普 及 は 十 分 とは 言 えない。<br />

当 科 では 先 天 性 胆 道 拡 張 症 に 対 する 鏡 視 下 手 術 を、2004 年 5 月 から15<br />

例 経 験 してきたため、 術 式 の 手 順 を 中 心 に 供 覧 する。【 術 式 】 体 位 は<br />

仰 臥 位 で、トロッカーは4 本 使 用 する。 拡 張 胆 管 を 左 側 から 周 囲 組 織 ・<br />

肝 動 脈 ・ 門 脈 より 遊 離 し、 膵 上 縁 に 到 達 する。 膵 内 胆 管 は、 主 にフッ<br />

ク 型 の 電 気 メスで 膵 組 織 から 遊 離 していくが、 腹 腔 鏡 の 拡 大 視 効 果 に<br />

より 剥 離 層 の 同 定 は 容 易 である。 膵 管 合 流 部 近 傍 のnarrow…segment<br />

で 膵 内 胆 管 を 切 離 し、 以 降 拡 張 部 胆 管 を 前 方 に 挙 上 し 総 肝 管 まで 遊 離<br />

する。 続 いて 胆 嚢 を 遊 離 し 総 肝 管 を 切 離 する。 肝 管 空 腸 吻 合 はRoux…<br />

en-Yで 右 肋 弓 下 を6cm 切 開 し 直 視 下 で 行 っていたが、 最 近 では 小 切 開<br />

を 置 かず 腹 腔 鏡 下 に 肝 管 空 腸 吻 合 を 行 っている。【 成 績 】 手 術 時 間 は<br />

平 均 370 分 、 出 血 量 は 平 均 162mlで 輸 血 施 行 例 はなかった。 肝 管 空 腸<br />

吻 合 縫 合 不 全 を2 例 に 認 めたが 保 存 的 に 軽 快 した。 術 後 在 院 日 数 の 中<br />

央 値 は11 日 であった。【 結 語 】 本 術 式 は、 基 本 的 にフック 型 の 電 気 メ<br />

スとwound…retractorのみで 施 行 することができ、 出 血 量 や 術 後 在 院<br />

日 数 において 比 較 的 良 好 な 成 績 であると 考 えられた。また 先 天 性 胆 道<br />

拡 張 症 は 女 性 の 若 年 者 に 診 断 されることが 多 く、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術<br />

とほぼ 同 様 の 切 開 創 で 施 行 することができることから、 整 容 上 の 観 点<br />

においても 本 術 式 は 有 用 であると 思 われた。<br />

P107-8 腹 腔 内 ドレーンルートより 誘 導 したカテーテルを 対 外<br />

へ 誘 導 しPTCD 施 行 できた1 例<br />

久 留 米 大 学 外 科<br />

○… 吉 富 宗 宏 , 川 原 隆 一 , 北 里 雄 平 , 佐 藤 寿 洋 , 安 永 昌 史 ,<br />

赤 須 玄 , 御 鍵 和 弘 , 酒 井 久 宗 , 川 嶋 裕 資 , 石 川 博 人 ,<br />

久 下 亨 , 堀 内 彦 之 , 奥 田 康 司 , 木 下 壽 文<br />

症 例 )71 歳 , 男 性 。 肝 細 胞 癌 に 対 して 肝 左 葉 切 除 施 行 。 術 後 7 日 目 胆 汁<br />

瘻 と 診 断 し 適 宜 腹 腔 内 ドレーンを 交 換 洗 浄 行 った。 膿 瘍 腔 の 縮 小 に 伴<br />

い 腹 腔 内 ドレーンルートより 胆 管 縫 合 閉 鎖 部 のリークと 残 肝 の 肝 内 胆<br />

管 が 描 出 された。 今 後 の 胆 管 狭 窄 を 想 定 してPTCD 手 技 による 胆 管<br />

チューブステントを 計 画 するも, 胃 全 摘 術 後 で 内 視 鏡 ルートから 試 み<br />

るも 困 難 であった。 超 音 波 検 査 では 肝 内 胆 管 拡 張 なく 描 出 ないた<br />

め,PTCDの 補 助 のため 困 難 ではあったが 腹 腔 内 ルートより 目 標 胆 管<br />

へカテーテルを 誘 導 した。 超 音 波 下 および 透 視 下 にカテーテルを 目 標<br />

にPTCDを 試 みたが,カテーテルにあたるも 胆 管 径 が 小 さくガイドワ<br />

イヤーの 誘 導 は 困 難 であった。やむを 得 ず,ガイドワイヤーの 反 対 側<br />

( 硬 い 方 を) 肝 外 , 対 外 へ 向 けて 腹 腔 内 ルートより 胆 管 を 介 して 右 横 隔<br />

膜 下 の 腹 腔 内 へガイドワイヤーおよびカテーテルを 誘 導 した。 右 肋 間<br />

に 小 開 腹 ( 約 5cm)を 加 え 対 外 へカテーテルを 誘 導 しこのルートを 介 し<br />

てPTCDカテーテルを 胆 管 内 へ 留 置 した。 条 件 が 揃 わなければできな<br />

いが, 考 慮 すべき 手 技 のひとつと 考 えられた。 現 在 , 内 外 瘻 管 理 行 い 今<br />

後 チューブ 抜 去 を 検 討 していく 予 定 である。<br />

-542-


P107-9 腹 部 CT/ 超 音 波 検 査 で 診 断 し 腹 腔 鏡 下 副 脾 摘 出 術 を<br />

行 った 副 脾 茎 捻 転 による 急 性 腹 症 の 一 例<br />

京 都 大 学 肝 胆 膵 移 植 外 科<br />

○… 内 田 洋 一 朗 , 田 浦 康 二 朗 , 高 折 恭 一 , 波 多 野 悦 朗 ,<br />

岩 永 康 裕 , 長 田 博 光 , 上 本 伸 二<br />

【はじめに】 副 脾 茎 捻 転 に 伴 う 副 脾 梗 塞 は 非 常 に 稀 な 疾 患 ではあるが、<br />

若 年 者 の 急 性 腹 症 の 鑑 別 診 断 として 念 頭 におくべき 疾 患 とされる。 今<br />

回 、 術 前 に 診 断 しえた 副 脾 茎 捻 転 の 一 例 を 経 験 した。【 症 例 】42 歳 女 性 。<br />

糖 尿 病 ・ 気 管 支 喘 息 ・ 気 分 障 害 ・ 摂 食 障 害 ・ 狭 心 症 などで 当 院 内 科 に<br />

て 加 療 中 、2011 年 10 月 下 旬 に 急 性 虫 垂 炎 を 発 症 し 腹 腔 鏡 下 虫 垂 切 除 術<br />

により 軽 快 した。 同 年 12 月 中 旬 に 左 側 腹 部 痛 が 出 現 し 持 続 ( 階 段 昇 降<br />

時 など)するため 当 院 内 科 受 診 、 左 側 腹 部 に 限 局 性 圧 痛 ・ 反 跳 痛 があり、<br />

採 血 検 査 で 炎 症 反 応 の 上 昇 を 認 めた。 造 影 CT 検 査 により、10 月 下 旬<br />

のCT 検 査 で 指 摘 されていた 副 脾 内 部 に 造 影 効 果 がほとんどなく、 辺<br />

縁 組 織 には 境 界 不 明 瞭 な 淡 い 造 影 効 果 があり、 左 結 腸 傍 溝 および 副 脾<br />

周 囲 にfluid…collectionを 認 めた。 腹 部 超 音 波 検 査 では、 圧 痛 の 最 強 点<br />

と 一 致 して、 脾 臓 の 尾 側 に 接 して16mm 大 のhigh…echoic…lesion… とそ<br />

の 周 囲 にlow…echoic…lesionを 認 め、 内 部 に 血 流 シグナルを 確 認 できな<br />

かった。 副 脾 茎 捻 転 による 急 性 腹 症 が 疑 われ 当 科 紹 介 受 診 、 副 脾 茎 捻<br />

転 ・ 梗 塞 の 診 断 で 同 日 緊 急 手 術 を 行 った。 腹 腔 鏡 下 に 検 索 すると、 左<br />

上 腹 部 、 脾 下 極 周 囲 に 少 量 の 腹 水 および 大 網 と 腹 壁 との 癒 着 を 認 めた。<br />

同 部 を 剥 離 すると、 暗 赤 色 の 副 脾 が 露 出 し、 自 動 縫 合 器 で 副 脾 茎 部 を<br />

切 離 し、 腹 腔 鏡 下 副 脾 摘 出 術 を 施 行 した。 副 脾 の 大 きさは<br />

17x16x15mm 大 であり、 病 理 組 織 学 的 に 赤 脾 髄 のうっ 血 を 認 め、 副 脾<br />

茎 捻 転 の 像 として 矛 盾 はなかった。 術 後 合 併 症 なく 術 後 7 日 目 に 退 院<br />

した。【 考 察 】 副 脾 茎 捻 転 は 自 然 解 除 した 例 でも 再 燃 の 可 能 性 が 高 く、<br />

茎 内 血 管 破 綻 により 大 量 出 血 ・ショックを 呈 した 症 例 が 報 告 されてお<br />

り、 有 症 状 例 では 摘 出 術 の 適 応 と 考 えられている。 報 告 例 では 副 脾 の<br />

大 きさは2~13cm( 平 均 6.4cm)で、 術 前 診 断 は 困 難 とされている。 本<br />

症 例 は 長 径 17mmと 報 告 例 では 最 小 であったが、 腹 部 CT・ 超 音 波 検<br />

査 で 術 前 診 断 が 可 能 であり、 腹 腔 鏡 下 副 脾 摘 出 術 により 良 好 な 臨 床 経<br />

過 を 得 られたので 報 告 する。<br />

P108-1 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 後 に 診 断 された 胆 嚢 癌 症 例 の 検 討<br />

国 立 病 院 機 構 名 古 屋 医 療 センター 外 科<br />

○… 木 下 満 , 田 中 晴 祥 , 初 野 剛 , 長 谷 川 和 也<br />

【はじめに】 胆 石 胆 嚢 炎 や 胆 嚢 ポリープに 対 し 術 前 診 断 で 良 性 疾 患 と<br />

して 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 し、 病 理 結 果 にて 胆 嚢 癌 と 診 断 される 症 例 は 約<br />

1%との 報 告 がある。 今 回 我 々は 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 症 例 において 術<br />

前 に 良 性 と 診 断 し、 術 後 悪 性 腫 瘍 と 診 断 された 症 例 の 検 討 を 行 った。<br />

【 対 象 と 方 法 】2002 年 9 月 ~2011 年 9 月 までの9 年 間 で 胆 石 胆 嚢 炎 、 胆<br />

嚢 ポリープなどの 良 性 疾 患 に 対 して 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した<br />

785 例 のうち 病 理 結 果 で 胆 嚢 癌 と 診 断 された10 例 (1.27%)についてそ<br />

の 術 前 及 び 術 後 診 断 、 治 療 法 、 予 後 を 検 討 した。 開 腹 胆 嚢 摘 出 術 症 例<br />

や 術 前 より 胆 嚢 癌 を 疑 った 症 例 は 除 外 した。【 結 果 】10 例 のうち5 例 が<br />

m 癌 、5 例 が 進 行 癌 であった。m 癌 : 術 前 診 断 は1 例 が 肝 嚢 胞 開 窓 術 に<br />

合 併 切 除 した 症 例 、2 例 が 胆 石 胆 嚢 炎 、2 例 が 胆 嚢 ポリープ。 術 後 診 断<br />

では 全 て 粘 膜 内 癌 であったが、1 例 m-RAS…ssであった。 追 加 治 療 に 関<br />

しては2 例 で 腹 腔 内 に 胆 汁 漏 出 を 認 めたために 術 後 TS-1 内 服 とした。<br />

3 例 は 追 加 切 除 しなかった。 進 行 癌 : 術 前 診 断 は4 例 が 胆 石 胆 嚢 炎 、1<br />

例 は 胆 嚢 ポリープ。 術 後 診 断 は 全 てssであった。 胆 嚢 ポリープ 症 例 は<br />

肝 床 切 除 及 びS5 切 除 +リンパ 節 郭 清 施 行 し、4 年 無 再 発 生 存 中 である。<br />

胆 石 胆 嚢 炎 症 例 の1 例 は 肝 床 切 除 及 びリンパ 節 郭 清 施 行 し、 術 後 TS-1<br />

内 服 したが 肺 転 移 をきたし2 年 半 後 に 死 亡 した。 他 の1 例 は 肝 床 切 除 及<br />

びS4,5 合 併 切 除 +リンパ 節 郭 清 施 行 し、 術 後 GEM 単 剤 投 与 し2 年 無 再<br />

発 生 存 中 である。 残 る2 例 は 追 加 切 除 せず、1 例 は 術 後 GEM 単 剤 投 与<br />

し1 年 無 再 発 生 存 中 であり、1 例 は 経 過 観 察 とし6カ 月 後 に 死 亡 した。【 結<br />

論 】 画 像 診 断 の 進 歩 に 伴 い 術 前 に 胆 嚢 癌 と 診 断 できる 症 例 は 多 々ある<br />

が、 早 期 癌 の 発 見 は 困 難 な 症 例 が 少 なからずあり、 常 に 悪 性 腫 瘍 を 念<br />

頭 に 置 いて 治 療 に 当 たっていく 必 要 がある。また1cmを 超 える 胆 嚢 ポ<br />

リープ 症 例 では 胆 嚢 癌 を 認 めており 開 腹 を 選 択 することも 一 つの 手 段<br />

である。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

P108-2 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 胆 嚢 癌 に 対 し 右 肝 動 脈 塞 栓 後 に<br />

追 加 切 除 施 行 した 一 例<br />

労 働 者 健 康 福 祉 機 構 千 葉 労 災 病 院 外 科<br />

○… 中 台 英 里 , 草 塩 公 彦 , 飯 田 文 子 , 鈴 木 大 , 松 本 正 成 ,<br />

宇 田 川 郁 夫 , 深 尾 立<br />

【 諸 言 】 胆 嚢 摘 出 術 後 に 胆 嚢 癌 と 診 断 されるいわゆるIncidental…<br />

Gallbladder…cancerは 胆 嚢 摘 出 術 の0.3~1.0%に 認 められ、 深 達 度 SS 以<br />

上 の 症 例 や 胆 嚢 管 断 端 陽 性 症 例 に 対 しては 追 加 切 除 による 予 後 の 改 善<br />

が 示 されている。しかし 追 加 手 術 では、 初 回 手 術 による 高 度 の 癒 着 の<br />

ため、 手 技 の 安 全 性 と 手 術 の 根 治 性 の 両 立 が 問 題 となる。 特 に 腹 腔 鏡<br />

下 胆 嚢 摘 出 術 後 の 追 加 手 術 では、 胆 嚢 管 と 胆 嚢 動 脈 に 用 いたクリップ<br />

による 炎 症 のために 右 肝 動 脈 と 胆 管 との 間 に 癒 着 が 起 こり、 剥 離 操 作<br />

に 難 渋 することが 多 い。 今 回 我 々は、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 に 胆 嚢 癌<br />

と 診 断 された 症 例 に 対 して 術 前 右 肝 動 脈 塞 栓 術 の 後 に 追 加 切 除 術 を 施<br />

行 したので 報 告 する。【 症 例 】67 歳 男 性 、 胆 石 胆 嚢 炎 に 対 し 腹 腔 鏡 下<br />

胆 嚢 摘 出 術 施 行 後 、 胆 嚢 癌 と 診 断 された。 病 理 診 断 は 胆 嚢 管 原 発 の 高<br />

分 化 型 管 状 腺 癌 で、 異 型 細 胞 が 粘 膜 全 面 に 広 がり、 大 部 分 は 粘 膜 内 病<br />

変 であったが、RAsinusからの 筋 層 、 漿 膜 下 層 への 浸 潤 が 散 見 された。<br />

深 達 度 SS 胆 嚢 癌 の 診 断 となり、 肝 床 部 切 除 、 肝 外 胆 管 切 除 、リンパ<br />

節 廓 清 を 予 定 した。 腹 部 造 影 CT 検 査 にて、 胆 嚢 動 脈 と 胆 嚢 管 処 理 に<br />

用 いたクリップが 右 肝 動 脈 に 近 接 しており、 術 中 右 肝 動 脈 損 傷 回 避 と<br />

郭 清 度 保 持 を 目 的 に、 右 肝 動 脈 塞 栓 術 施 行 した。 右 肝 動 脈 はSMAか<br />

ら 分 岐 しており、 末 梢 のクリップ 近 傍 とSMAからの 分 岐 部 の2か 所 に<br />

コイル 塞 栓 行 い、25 日 後 手 術 施 行 。 手 術 所 見 では、 右 肝 動 脈 が 胆 管 右<br />

側 を 伴 走 しており、 血 管 周 囲 の 炎 症 は 非 常 に 強 く、 剥 離 困 難 であった。<br />

胆 管 切 離 と 同 レベルで 右 肝 動 脈 も 結 紮 切 離 行 い、Calot 三 角 の 確 実 な<br />

郭 清 が 可 能 となった。 追 加 標 本 には 癌 遺 残 を 認 めなかった。【 結 語 】<br />

Incidental…Gallbladder…cancerに 対 する 追 加 切 除 の 目 的 は 切 除 断 端 の<br />

陰 性 化 とリンパ 節 郭 清 とにあるが、 手 術 操 作 中 最 も 肝 要 な 部 分 に 最 も<br />

強 固 な 癒 着 を 来 しており、 安 全 性 確 保 のため 本 来 の 切 除 ラインよりも<br />

縮 小 手 術 となることが 懸 念 される。 追 加 手 術 における 安 全 性 と 根 治 性<br />

両 立 のための 工 夫 の 一 つとして、 術 前 肝 動 脈 塞 栓 術 の 有 用 性 が 示 唆 さ<br />

れた。<br />

P108-3 ソフト 凝 固 を 用 いた 早 期 胆 嚢 癌 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢<br />

全 層 切 除 術<br />

1<br />

NTT 西 日 本 九 州 病 院 外 科 、 2 熊 本 大 学 消 化 器 外 科<br />

○… 富 安 真 二 朗 1<br />

, 岡 部 和 利 1<br />

, 佐 野 収 1<br />

, 山 中 剛 1<br />

, 別 府 透 2<br />

,<br />

馬 場 秀 夫<br />

2<br />

【 背 景 】 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 後 判 明 した 早 期 胆 嚢 癌 症 例 の 検 討 からリ<br />

ンパ 節 腫 大 のない 深 達 度 mpまでの 早 期 胆 嚢 癌 は 断 端 陰 性 であれば 腹<br />

腔 鏡 下 胆 嚢 全 層 切 除 も 可 能 と 考 えられる.… 胆 嚢 癌 の 深 達 度 診 断 を 正 確<br />

に 行 うことは 困 難 で 術 中 にss 胆 嚢 癌 と 診 断 されリンパ 節 郭 清 が 必 要 と<br />

なることもあり,… 胆 嚢 癌 疑 診 例 には 原 則 的 には 開 腹 手 術 が 推 奨 されて<br />

いる.…しかし 高 齢 者 や 全 身 状 態 不 良 の 患 者 さんでは 早 期 胆 嚢 癌 であれ<br />

ば 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 全 層 切 除 も 許 容 されると 思 われる.【 症 例 】 急 性 白 血<br />

病 合 併 80 歳 男 性 .… 汎 血 球 減 少 ( 白 血 球 700/μl,…Hb7.5…g/dl,… 血 小 板 2.1 万 /<br />

μl)あり,… 急 性 白 血 病 に 対 する 化 学 療 法 前 の 造 影 CTにて 胆 嚢 底 部 に 径<br />

2cm 大 の 隆 起 性 病 変 を 認 めた.【 手 術 手 技 】 術 中 エコーにて 深 達 度 がss<br />

以 深 で 無 いことを 確 認 し,…できるだけ 胆 嚢 を 把 持 しないようにしなが<br />

ら,…Calot 三 角 を 剥 離 し,… 胆 嚢 動 脈 を 同 定 し,… 胆 嚢 管 は 三 管 合 流 部 付 近 で<br />

12cリンパ 節 をen…blocに 摘 出 するように 剥 離 し,… 切 断 する.… 胆 嚢 動 脈 も<br />

切 断 後 ,… 胆 嚢 底 部 より 胆 嚢 床 をボール 型 電 極 のソフト 凝 固 で 凝 固 しつ<br />

つ 全 層 で 切 離 し,… 胆 嚢 間 膜 も 切 離 するが 前 枝 グリソン 鞘 に 切 り 込 まな<br />

いようにして 胆 嚢 を 全 層 で 摘 出 する.【まとめ】 本 術 式 は,… 深 達 度 mp<br />

までの 胆 嚢 体 底 部 病 変 で,… 高 齢 者 や 全 身 状 態 不 良 の 患 者 において 適 応<br />

になるのではないかと 考 えられる.<br />

-543-


P108-4 完 全 内 臓 逆 位 を 伴 った 胆 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘<br />

出 術 の 経 験<br />

東 住 吉 森 本 病 院<br />

○… 伊 藤 得 路 , 酒 部 克 , 清 田 誠 志 , 金 沢 源 一 , 吉 田 佳 世 ,<br />

木 下 正 彦 , 馬 場 由 香 里 , 岡 井 主 , 田 中 宏<br />

完 全 内 臓 逆 位 を 伴 った 胆 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 経 験 した<br />

ので 報 告 する【 症 例 】51 歳 。 男 性 。 心 窩 部 痛 を 主 訴 に 救 急 外 来 を 受 診<br />

した。 腹 部 所 見 としては 心 窩 部 から 左 季 肋 部 に 圧 痛 を 認 めた。 血 液 検<br />

査 では 白 血 球 が12590/μlと 上 昇 を 認 めたが、 肝 機 能 検 査 値 は 正 常 範<br />

囲 内 であった。 胸 部 X 線 像 上 右 胸 心 、 腹 部 単 純 CT 像 上 完 全 内 臓 逆 位<br />

を 認 めた。また、 胆 嚢 内 には 多 数 の 小 結 石 と 胆 嚢 壁 肥 厚 を 認 めた。 完<br />

全 内 臓 逆 位 に 合 併 した 胆 石 、 胆 嚢 炎 と 診 断 し 抗 生 剤 投 与 による 保 存 的<br />

治 療 でいったん 症 状 は 軽 快 したが、2 日 後 に 再 びT.bil、 肝 酵 素 の 上 昇<br />

を 伴 う 腹 痛 が 再 燃 した。 腹 部 単 純 CT 検 査 、MRCP 検 査 、DIC-CT 検 査<br />

にて 胆 嚢 内 結 石 は 認 めるが 総 胆 管 結 石 は 認 めなかったので 炎 症 所 見 の<br />

改 善 後 、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。ポートは 臍 から12mmのカ<br />

メラポート、 剣 状 突 起 の 尾 側 正 中 より 肝 円 索 左 側 に12mmポートを 挿<br />

入 した。 胆 嚢 との 位 置 関 係 を 確 認 した 後 に 心 窩 部 ポートと 同 じ 高 さの<br />

左 季 肋 部 に5mmポート、 左 側 腹 部 に5mmポートを 挿 入 し4ポートで 手<br />

術 を 行 った。 術 者 は 患 者 の 右 側 に 立 ち、 右 手 を 主 としたdouble-hand…<br />

techniqueで 鉗 子 操 作 を 行 った。 胆 嚢 は 萎 縮 しており 大 網 が 軽 度 癒 着<br />

していた。 癒 着 剥 離 をし、 胆 嚢 管 、 胆 嚢 動 脈 を 同 定 し、 胆 嚢 管 から 順<br />

に 処 理 した。 胆 嚢 剥 離 の 際 に 鉗 子 とカメラが 接 線 方 向 となり 剥 離 に 難<br />

渋 したものの 術 中 合 併 症 なく 遂 行 できた。 手 術 時 間 は2 時 間 55 分 、 術<br />

中 出 血 量 は3mlであった。 術 後 経 過 は 良 好 であり 術 6 病 日 目 に 軽 快 退<br />

院 した。【まとめ】 完 全 内 臓 逆 位 に 伴 った 胆 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆<br />

嚢 摘 出 術 を 経 験 したので 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。<br />

P108-5 腹 腔 鏡 で 初 めて 気 づいた 左 側 胆 嚢 に 対 し、 吊 り 上 げ 式<br />

腹 腔 鏡 下 胆 摘 を 施 行 した1 例<br />

茨 城 県 立 中 央 病 院 ・ 地 域 がんセンター 外 科<br />

○… 小 田 有 哉 , 阿 部 秀 樹 , 永 井 秀 雄 , 北 條 大 輔 , 長 田 梨 比 人 ,<br />

赤 繁 徹 , 栗 原 知 多 流 , 島 村 淳 一 , 工 藤 宏 樹 , 川 崎 晋 司 ,<br />

相 馬 大 介 , 吉 見 富 洋<br />

左 側 胆 嚢 に 発 症 した 胆 嚢 結 石 症 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 摘 が、これまで<br />

しばしば 報 告 されている。 患 者 は42 歳 女 性 。 腹 痛 を 主 訴 に 当 院 救 急<br />

外 来 を 受 診 した。 保 存 的 治 療 で 症 状 が 一 旦 治 まったのち、 術 前 検 査 と<br />

して 造 影 CT、MRCP…を 施 行 したうえで 吊 り 上 げ 式 腹 腔 鏡 下 胆 摘 を 施<br />

行 した。 臍 下 部 ポートから 腹 腔 鏡 を 挿 入 した 時 点 で、 肝 円 索 より 左<br />

側 に 胆 嚢 が 位 置 していることに 初 めて 気 づいた。 通 常 白 線 付 近 に 留 置<br />

する 心 窩 部 ポートを、 肝 円 索 より 十 分 左 方 になるよう、 左 肋 弓 下 に 留<br />

置 した。Normograde…cholecystectomy…を 行 った。 胆 嚢 管 を 露 出 する<br />

目 的 でCalot…の 三 角 部 に 操 作 が 及 んだ 際 は、 胆 嚢 管 の 間 近 に 右 肝 管 を<br />

認 めた。 術 中 胆 道 造 影 を 行 い、 胆 道 損 傷 のないことを 確 認 した。 手<br />

術 終 了 後 、 術 前 画 像 を 検 討 して 右 門 脈 臍 部 を 確 認 した。 右 肝 管 は 右 門<br />

脈 臍 部 の 尾 側 を 走 行 していた。 左 側 胆 嚢 の 診 断 方 法 とその 亜 分 類 につ<br />

いて 文 献 的 考 察 を 加 え、 腹 腔 鏡 下 胆 摘 の 術 前 に 必 要 な 情 報 を 検 討 した。<br />

P108-6 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した 重 複 胆 嚢 の1 例<br />

岐 阜 県 総 合 医 療 センター 外 科<br />

○… 前 田 健 一 , 國 枝 克 行 , 河 合 雅 彦 , 種 田 靖 久 ,<br />

松 橋 延 壽<br />

症 例 は76 歳 、 女 性 。 以 前 より 指 摘 されていた 胆 嚢 結 石 の 経 過 観 察 目 的<br />

の 腹 部 エコーにて、 胆 嚢 結 石 以 外 に 胆 嚢 頚 部 に 低 エコーの 腫 瘤 を 指 摘<br />

され 精 査 目 的 に 当 院 紹 介 となった。ERCPにて 総 胆 管 より 分 岐 する2<br />

本 の 胆 嚢 管 は 描 出 されたが、 胆 嚢 頚 部 の 低 エコー 腫 瘤 は 描 出 できな<br />

かった。DIC-CT・MRCPにて 重 複 胆 嚢 を 指 摘 された。 手 術 は、4 孔 式<br />

の 腹 腔 鏡 下 胆 のう 摘 出 術 を 施 行 した。 漿 膜 を 共 有 した 重 複 胆 嚢 を 認 め、<br />

それぞれ 胆 嚢 管 を 容 易 に 同 定 できた。 胆 嚢 管 をそれぞれクリッピン<br />

グ・ 切 離 し、 一 括 して 重 複 胆 嚢 を 摘 出 した。 術 後 経 過 は 良 好 であった。<br />

稀 な 胆 嚢 の 先 天 的 形 態 異 常 である 重 複 胆 嚢 の1 例 を 経 験 したので 若 干<br />

の 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する。<br />

P108-7 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 施 行 中 に 偶 然 診 断 した 右 側<br />

肝 円 索 ・ 左 側 胆 嚢 の1 例<br />

1<br />

大 分 大 学 医 学 部 第 1 外 科 、 2 大 分 大 学<br />

○… 川 野 雄 一 郎 1<br />

, 岩 下 幸 雄 1<br />

, 川 崎 貴 秀 1<br />

, 小 森 陽 子 1<br />

,<br />

平 下 禎 二 郎 1<br />

, 増 田 崇 1<br />

, 江 口 英 利 1<br />

, 矢 田 一 宏 1<br />

,<br />

太 田 正 之 1<br />

, 北 野 正 剛<br />

2<br />

【はじめに】 門 脈 の 発 生 において 右 臍 静 脈 は 胎 生 6 週 頃 に 消 退 し、 左<br />

臍 静 脈 が 残 存 し 肝 円 索 となるが、 右 側 肝 円 索 は 左 臍 静 脈 が 消 退 し、 右<br />

臍 静 脈 が 残 存 することによって 発 生 すると 考 えられている。 右 側 肝 円<br />

索 症 例 に 対 する 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 では、 下 垂 する 肝 円 索 が 視 野 の 妨<br />

げになることが 多 い。【 症 例 】71 歳 、 女 性 。【 主 訴 】 心 窩 部 違 和 感 【 現<br />

病 歴 】5 年 前 に 前 医 にて 急 性 胆 嚢 炎 の 診 断 にて 経 皮 経 胆 嚢 ドレナージ<br />

術 を 施 行 され 軽 快 したが、 最 近 になり 心 窩 部 違 和 感 を 自 覚 し 当 院 を 受<br />

診 した。【 造 影 CT 所 見 】 胆 嚢 頚 部 に7mm 大 の 結 石 を 数 個 認 めた。 門<br />

脈 臍 部 は 中 肝 静 脈 よりも 右 側 に 位 置 していた。DIC-CTでは 胆 管 の 走<br />

行 異 常 は 認 めず、 胆 嚢 は 総 胆 管 の 右 側 に 位 置 し 左 側 胆 嚢 を 疑 わせる 所<br />

見 は 認 めなかった。 術 前 検 査 では 右 側 肝 円 索 ・ 左 側 胆 嚢 結 石 症 の 診 断<br />

に 至 らず、 通 常 の 胆 嚢 結 石 症 と 考 えて 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施<br />

行 した。【 手 術 所 見 】 下 腹 部 正 中 の 卵 管 結 紮 術 後 の 手 術 瘢 痕 に 沿 って<br />

2.5cmの 皮 切 を 置 き、SILSTMポートを 挿 入 した。 胆 嚢 は 肝 円 索 の 左<br />

側 に 位 置 し、 肝 円 索 は 門 脈 右 前 区 域 枝 に 付 着 する 右 側 肝 円 索 であった。<br />

右 側 肝 円 索 のため、 胆 嚢 やCalotの 三 角 部 に 肝 円 索 が 下 垂 ・ 被 覆 して<br />

いたが、 通 常 の 操 作 でCalot 三 角 部 の 剥 離 ・ 展 開 をすることができた。<br />

胆 嚢 床 は 肝 円 索 の 左 側 に 位 置 しており、 腹 腔 鏡 と 鉗 子 が 交 差 し 手 術 操<br />

作 を 制 限 していた。そのため、SILSTMポートを60 度 回 転 させてトロッ<br />

カーの 位 置 を 変 えることで 操 作 性 は 改 善 した。 胆 管 の 走 行 異 常 はなく、<br />

通 常 通 り 胆 嚢 摘 出 術 を 行 い、 術 中 ・ 術 後 合 併 症 もなく 経 過 は 良 好 であっ<br />

た。【 結 語 】 右 側 肝 円 索 ・ 左 側 胆 嚢 に 対 する 単 孔 式 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出<br />

術 においては、 剥 離 鉗 子 用 トロッカーを3 時 、11 時 に 位 置 させること<br />

が 有 用 であった。<br />

-544-


P108-8 胆 嚢 捻 転 症 の1 例<br />

関 西 労 災 病 院<br />

○… 浜 中 美 千 子 , 中 平 伸 , 武 田 裕 , 革 島 洋 志 , 向 井 洋 介 ,<br />

小 野 寿 子 , 内 山 千 恵 子 , 金 村 剛 志 , 竹 野 淳 , 鈴 木 玲 ,<br />

中 田 健 , 三 木 宏 文 , 加 藤 健 志 , 田 村 茂 行<br />

胆 嚢 捻 転 症 は 肝 床 部 との 固 定 が 不 十 分 な 遊 走 胆 嚢 が 胆 嚢 頸 部 、 胆 嚢 管<br />

で 捻 転 し 血 行 障 害 をきたし 胆 嚢 に 急 激 な 壊 死 性 変 化 を 来 す 比 較 的 稀 な<br />

疾 患 である。 今 回 、 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 で 治 療 し 得 た 胆 嚢 捻 転 症 の1<br />

例 を 経 験 したので 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する。80 代 女 性 。 右 側 腹 部<br />

痛 を 主 訴 に 当 院 へ 救 急 搬 送 され、 精 査 加 療 目 的 に 同 日 緊 急 入 院 となっ<br />

た。 入 院 時 現 症 、 身 長 142cm、 体 重 35kg、 血 圧 153/64、 脈 拍 86/ 分 、<br />

体 温 37.9℃、 腹 部 所 見 では 右 側 腹 部 に 腫 瘤 を 触 知 し、 右 季 肋 部 から 右<br />

下 腹 部 にかけて 圧 痛 、 腹 部 全 体 に 筋 性 防 御 を 認 めた。 血 液 検 査 所 見 で<br />

は、WBC14800/μl、CRP10.9mg/dlと 炎 症 反 応 上 昇 を 認 め、 総 ビリ<br />

ルビン1.3mg/dlと 軽 度 上 昇 を 認 めたが、 肝 胆 道 系 酵 素 の 上 昇 は 認 めな<br />

かった。 腹 部 CT 所 見 では 胆 嚢 は 下 方 に 偏 位 し 著 明 な 胆 嚢 腫 大 と 壁 肥<br />

厚 を 認 めたが 胆 石 は 認 めなかった。また 肝 表 面 に 腹 水 貯 留 を 認 めた。<br />

以 前 施 行 されていたCTから 遊 走 胆 嚢 と 考 えられ、 胆 嚢 捻 転 症 が 疑 わ<br />

れた。 同 日 、 緊 急 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 した。 腹 腔 内 は 右 腎 摘 後 、<br />

左 巨 大 卵 巣 嚢 腫 摘 出 術 後 の 影 響 もあり 肝 外 側 、 横 行 結 腸 の 頭 側 は 癒 着<br />

しており 肝 外 側 に 血 性 腹 水 の 貯 留 を 認 めた。 胆 嚢 は 暗 赤 色 で 著 明 に 腫<br />

大 しており、 頸 部 で 癒 着 による 索 状 物 により 捻 転 していた。 癒 着 を 剥<br />

離 し、 胆 嚢 管 の 時 計 回 り270℃の 捻 転 を 解 除 し 胆 嚢 を 摘 出 した。 胆 嚢<br />

は 肝 下 面 とわずかに 付 着 するのみでほとんど 遊 離 した 状 態 であった。<br />

病 理 組 織 学 的 所 見 は 出 血 を 伴 う 壊 疽 性 胆 嚢 炎 の 所 見 であった。 術 後 多<br />

発 脳 梗 塞 を 合 併 したが 保 存 的 に 軽 快 し 第 19 病 日 に 退 院 となった。 本 症<br />

の 解 剖 学 的 特 徴 から、 捻 転 を 解 除 すれば 胆 嚢 床 、 胆 嚢 管 の 剥 離 操 作 は<br />

ほとんど 必 要 とせず 胆 嚢 摘 出 術 を 施 行 でき、 本 症 は 比 較 的 高 齢 女 性 に<br />

好 発 するとされていることから、 低 侵 襲 な 腹 腔 鏡 下 胆 嚢 摘 出 術 が 有 用<br />

であると 考 えられた。<br />

P108-9 ExpressLDステントの 一 期 的 挿 入 - 肝 胆 膵 外 科 医 に<br />

よる 経 皮 経 肝 胆 道 ステント 挿 入<br />

埼 玉 医 大 総 合 医 療 センター 肝 胆 膵 外 科<br />

○… 赤 松 延 久 , 辛 宣 廣 , 駒 込 昌 彦 , 石 田 隆 志 , 小 沢 文 明<br />

【 背 景 】 近 年 、 手 術 不 能 悪 性 腫 瘍 による 閉 塞 性 黄 疸 に 対 しては 消 化 器<br />

内 科 医 による 内 視 鏡 的 なself-expanding…metallic…stentが 主 流 となりつ<br />

つ あ る。 当 科 で はballoon-expanding…metallic…stent…(Express…LD…<br />

stent)を 用 いた 経 皮 一 期 的 挿 入 を 積 極 的 に 行 っており 良 好 な 成 績 を 得<br />

ているので 報 告 する【 方 法 】 型 のごとく 超 音 波 、X 線 透 視 ガイド 下 に<br />

胆 管 にガイドワイヤー 挿 入 後 8Frシースを 挿 入 し、シースを 通 して<br />

Express…LDステントを 挿 入 後 、バルーン 拡 張 を 施 行 する。ポイント<br />

はシェファードフックカテーテルなどを 駆 使 して 狭 窄 部 を 確 実 にパス<br />

する、ガイドワイヤーをextra…stiffワイヤーに 置 換 する、シースを 確<br />

実 に 狭 窄 部 を 超 えるまで 挿 入 する、 狭 窄 部 を 正 確 にマーキングするこ<br />

と。 実 際 の 手 技 をビデオで 供 覧 する。【 結 果 】 手 術 不 能 悪 性 腫 瘍 によ<br />

る 閉 塞 性 黄 疸 症 例 計 71 例 に 対 し、 一 期 的 に 経 皮 胆 道 ステント(Express…<br />

LD…stent)の 挿 入 を 施 行 した。ステントは 全 例 で 適 切 に 挿 入 され( 一 期<br />

成 功 率 94%)、 出 血 、 誤 留 置 、 逸 脱 な 手 技 に 関 連 した 合 併 症 は 認 めなかっ<br />

た。 手 技 に 要 した 時 間 は43±16 分 であった。 肝 門 部 閉 塞 20 例 で、 内 11<br />

例 はY 字 ステントによる 全 肝 、9 例 は 片 葉 ドレナージ、 残 る51 例 は 遠<br />

位 胆 管 閉 塞 であった。67 例 97%において 良 好 な 減 黄 を 得 た。ステント<br />

閉 塞 を18 例 (13%)に 認 め、 合 併 症 を16 例 に 認 めた( 胆 管 炎 12 例 、 胆 嚢<br />

炎 2 例 、 膵 炎 2 例 )。 平 均 ステント 開 存 期 間 165±144 日 、 平 均 生 存 期 間<br />

180±156 日 、6ヶ 月 、12ヶ 月 の 開 存 率 は80%、66%、 生 存 率 は38%、<br />

16% で あ っ た。【 結 語 】Express…LD…stentを 用 い た 一 期 的 balloonexpanding…metallic…stent<br />

挿 入 法 は、 内 視 鏡 的 ステントに 比 して、カ<br />

ニュレーション 困 難 、 消 化 管 再 建 後 などの 理 由 による 留 置 不 能 がなく<br />

簡 便 、 確 実 に 施 行 可 能 である。 一 期 的 挿 入 により 患 者 負 担 面 からも 何<br />

ら 遜 色 なく、 誤 留 置 、 逸 脱 を 認 めない 点 で 優 れている。<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

-545-


司 会 ・ 座 長 ・ 特 別 発 言 ・ディスカッサント 索 引<br />

あ<br />

落 合 登 志 哉 … P4-1~7<br />

相 原 司 … P77-1~11<br />

相 本 隆 幸 … P97-1~9<br />

青 木 達 哉 … ES1-1-1~3<br />

浅 井 浩 司 … P73-1~9<br />

浅 野 武 秀 … SL3-2-1~4<br />

味 木 徹 夫 … PD6-1~3<br />

跡 見 裕 … ES1-1-1~3<br />

新 井 田 達 雄 … MSY5-1~9<br />

有 井 滋 樹 … PD1-1~10<br />

有 泉 俊 一 … P79-1~11<br />

安 藤 久 實 … ES3-1~3<br />

安 保 義 恭 … P67-1~9<br />

い<br />

飯 田 敦 … P106-1~11<br />

飯 田 洋 也 … P3-1~9<br />

猪 飼 伊 和 夫 … SL3-4-1~4<br />

池 松 禎 人 … P88-1~10<br />

伊 佐 地 秀 司 … SY3-1~6<br />

石 原 慎 … P52-1~8<br />

石 川 原 … P96-1~9<br />

板 倉 淳 … P18-1~9<br />

伊 藤 壽 記 … MVW6-1~6<br />

伊 藤 博 … P47-1~9<br />

猪 股 裕 紀 洋 … VW4-1~6<br />

今 泉 俊 秀 … SL1-3-1~4<br />

今 村 宏 … P5-1~8<br />

う<br />

上 田 順 彦 … MVW13-1~6<br />

上 西 崇 弘 … P76-1~10<br />

上 野 真 一 … P44-1~6<br />

上 村 健 一 郎 … P65-1~9<br />

内 田 英 二 … MSY12-1~9<br />

内 田 信 治 … P75-1~9<br />

打 波 宇 … P54-1~9<br />

内 山 和 久 … VW1-1~7<br />

宇 都 宮 徹 … P38-1~9<br />

梅 澤 昭 子 … P107-1~9<br />

海 野 倫 明 … SY2-1~6<br />

え<br />

江 川 新 一 … PD7-1~3<br />

江 川 裕 人 … MVW10-1~5<br />

江 口 晋 … MSY11-1~9<br />

江 口 英 利 … P21-1~8<br />

お<br />

大 河 内 信 弘 … MSY2-1~9<br />

太 田 岳 洋 … MVW12-1~6<br />

太 田 哲 生 … SY3-1~6<br />

大 段 秀 樹 … MSY2-1~9<br />

大 塚 将 之 … MSY7-1~10<br />

大 坪 毅 人 … SL3-1-1~4<br />

大 橋 秀 一 … SL3-7-1~6<br />

大 東 弘 明 … PS-1~3,VC-1~3<br />

岡 正 朗 … PD3-1~9<br />

岡 野 圭 一 … P72-1~8<br />

岡 本 英 三 … PL-1<br />

岡 本 好 司 … P84-1~10<br />

岡 本 友 好 … P55-1~8<br />

長 田 真 二 … P101-1~11<br />

小 澤 文 明 … P29-1~9<br />

小 野 山 裕 彦 … P104-1~10<br />

か<br />

海 道 利 実 … MSY10-1~9<br />

貝 沼 修 … P50-1~8<br />

貝 原 聡 … P85-1~7<br />

海 堀 昌 樹 … MVW12-1~6<br />

春 日 井 尚 … P46-1~8<br />

粕 谷 和 彦 … P28-1~9<br />

片 山 寛 次 … SL3-7-1~6<br />

金 沢 景 繁 … P45-1~9<br />

金 子 弘 真 … SL3-1-1~4,SY4-1~7<br />

兼 松 隆 之 … ES2-1~3<br />

金 丸 太 一 … P37-1~8<br />

金 光 敬 一 郎 … P22-1~9<br />

加 納 宣 康 … SY4-1~7<br />

神 山 俊 哉 … MSY11-1~9,<br />

PD5-1~2<br />

川 口 義 弥 … P95-1~11<br />

川 崎 誠 治 … SY1-1~7<br />

川 中 博 文 … P35-1~9<br />

き<br />

北 順 二 … P59-1~9<br />

北 川 透 … P93-1~9<br />

北 川 裕 久 … PS-1~3<br />

木 戸 正 浩 … P1-1~9<br />

木 下 壽 文 … SL1-3-1~4<br />

木 村 泰 三 … WS4-1~6<br />

木 村 康 利 … P103-1~9<br />

木 村 理 … PD3-1~9<br />

く<br />

具 英 成 … SY1-1~7<br />

串 畑 史 樹 … MVW8-1~6<br />

久 保 正 二 … PD4-1~7<br />

窪 田 敬 一 … PS-1~3,WS2-1~6<br />

隈 元 雄 介 … P31-1~8<br />

来 見 良 誠 … P12-1~8<br />

黒 木 保 … P71-1~9<br />

黒 崎 功 … P56-1~9<br />

こ<br />

高 済 峯 … P7-1~9<br />

後 藤 満 一 … VW1-1~7<br />

小 西 大 … P64-1~8<br />

小 山 勇 … MSY8-1~9<br />

小 山 田 尚 … P66-1~9<br />

權 雅 憲 … PD1-1~10<br />

近 藤 匡 … P60-1~9<br />

近 藤 千 博 … MVW11-1~6<br />

さ<br />

斎 浦 明 夫 … MSY3-1~9<br />

齋 藤 洋 一 … PA-1<br />

櫻 井 直 樹 … P14-1~7<br />

佐 々 木 洋 … PD5-1~2<br />

佐 田 尚 宏 … SL3-3-1~4<br />

里 井 壯 平 … MSY1-1~9<br />

佐 藤 四 三 … P81-1~11<br />

佐 藤 好 信 … VC-1~3<br />

佐 野 圭 二 … PD5-1~2<br />

澤 田 鉄 二 … P16-1~9<br />

し<br />

塩 澤 俊 一 … P57-1~9<br />

塩 見 尚 礼 … P48-1~9<br />

島 田 和 明 … VC-1~3<br />

嶋 田 紘 … SY1-1~7<br />

島 田 光 生 … SL1-1-1~4<br />

嶋 田 裕 … RW-1~8<br />

島 津 元 秀 … PD2-1~7<br />

島 村 弘 宗 … MSY1-1~9<br />

清 水 康 一 … P49-1~8<br />

下 田 貢 … P30-1~9<br />

庄 雅 之 … P92-1~10<br />

調 憲 … MVW7-1~6<br />

新 地 洋 之 … P70-1~8<br />

す<br />

萱 原 正 都 … MVW3-1~9<br />

菅 原 寧 彦 … VW4-1~6<br />

杉 岡 篤 … MSY4-1~7<br />

杉 山 政 則 … VW3-1~6<br />

鈴 木 康 之 … VW3-1~6<br />

た<br />

田 浦 康 二 朗 … P6-1~8<br />

-546-


妙 中 直 之 … P87-1~11<br />

高 尾 尊 身 … SL3-3-1~4<br />

高 折 恭 一 … SL3-5-1~8<br />

高 崎 健 … PD1-1~10<br />

高 田 泰 次 … VW4-1~6<br />

高 槻 光 寿 … P91-1~8<br />

髙 橋 秀 典 … P25-1~7<br />

高 畑 俊 一 … MVW13-1~6<br />

高 原 武 志 … MVW8-1~6<br />

髙 見 裕 子 … P53-1~9<br />

高 村 博 之 … P42-1~8<br />

高 森 啓 史 … P19-1~7<br />

滝 吉 郎 … P89-1~11<br />

竹 田 伸 … MVW3-1~9<br />

武 田 裕 … P98-1~9<br />

武 冨 紹 信 … WS2-1~6<br />

竹 山 宜 典 … WS3-1~7<br />

田 代 裕 尊 … P86-1~6<br />

田 中 邦 哉 … MSY9-1~9<br />

田 中 真 二 … MSY10-1~9,PS-1~3<br />

田 中 宏 … P15-1~8<br />

田 邉 稔 … VC-1~3<br />

谷 眞 至 … MSY7-1~10<br />

谷 合 信 彦 … MVW5-1~9<br />

谷 口 英 治 … SL3-8-1~5<br />

種 村 匡 弘 … P20-1~8<br />

田 端 正 己 … MVW4-1~8<br />

ち<br />

千 々 岩 一 男 … PD2-1~7<br />

つ<br />

塚 田 一 博 … SY2-1~6<br />

塚 本 忠 司 … MVW14-1~5<br />

土 田 明 彦 … MSY5-1~9<br />

て<br />

寺 嶋 宏 明 … PD6-1~3<br />

と<br />

土 井 隆 一 郎 … PD7-1~3<br />

堂 野 恵 三 … P39-1~9<br />

遠 山 洋 一 … P2-1~9<br />

徳 村 弘 実 … SL3-6-1~4,WS4-1~6<br />

飛 田 浩 輔 … P94-1~10<br />

富 永 正 寛 … P11-1~8<br />

豊 田 真 之 … P108-1~9<br />

鳥 正 幸 … P27-1~9<br />

な<br />

中 居 卓 也 … P78-1~11<br />

永 井 秀 雄 … WS3-1~7<br />

永 川 宅 和 … SY3-1~6<br />

永 川 裕 一 … P26-1~9<br />

中 郡 聡 夫 … WS3-1~7<br />

中 島 祥 介 … WS1-1~6<br />

永 野 浩 昭 … PD5-1~2<br />

中 村 雅 史 … PD8-1~3<br />

中 村 隆 司 … P74-1~8<br />

中 森 正 二 … MSY8-1~9<br />

中 山 和 道 … PD2-1~7<br />

七 島 篤 志 … MVW4-1~8<br />

に<br />

新 田 隆 士 … P51-1~9<br />

新 田 浩 幸 … PD8-1~3<br />

二 村 雄 次 … SY2-1~6<br />

の<br />

野 家 環 … SL3-6-1~4<br />

野 浪 敏 明 … PD4-1~7<br />

は<br />

袴 田 健 一 … PD6-1~3<br />

橋 爪 誠 … SY4-1~7<br />

橋 本 雅 司 … P68-1~9<br />

蓮 池 康 徳 … P24-1~8<br />

波 多 野 悦 朗 …<br />

MVW7-1~6<br />

初 瀬 一 夫 … MVW9-1~6<br />

花 崎 和 弘 … CW-1~9<br />

林 道 廣 … MSY6-1~10<br />

針 原 康 … PD8-1~3,SL3-4-1~4<br />

ひ<br />

平 井 一 郎 … MSY12-1~9<br />

平 田 公 一 … ES3-1~3<br />

廣 野 誠 子 … P32-1~8<br />

ふ<br />

藤 井 秀 樹 … VW2-1~7<br />

藤 川 貴 久 … P105-1~10<br />

藤 本 康 二 … P34-1~9<br />

藤 原 俊 義 … RW-1~8<br />

古 川 博 之 … VW1-1~7<br />

へ<br />

別 府 透 … WS1-1~6<br />

ほ<br />

星 野 高 伸 … P62-1~8<br />

細 谷 亮 … VW3-1~6<br />

堀 内 彦 之 … P40-1~8<br />

堀 口 明 彦 … PD6-1~3<br />

本 田 五 郎 … PD8-1~3<br />

ま<br />

前 川 博 … P99-1~9<br />

幕 内 雅 敏 … SL1-1-1~4<br />

松 井 淳 一 … PD7-1~3<br />

松 井 陽 一 … P83-1~9<br />

松 田 政 徳 … MSY6-1~10<br />

松 本 逸 平 … P23-1~7<br />

松 本 譲 … P69-1~8<br />

み<br />

三 浦 文 彦 … MVW9-1~6<br />

三 澤 健 之 … MSY4-1~7<br />

水 口 徹 … P41-1~8<br />

宮 川 秀 一 … SL1-2-1~4<br />

宮 川 眞 一 … VC-1~3<br />

宮 崎 耕 治 … VW2-1~7<br />

宮 澤 光 男 … CW-1~9<br />

む<br />

村 上 義 昭 … PD7-1~3<br />

も<br />

元 井 冬 彦 … P63-1~9<br />

森 俊 幸 … SL3-8-1~5<br />

守 瀬 善 一 … P8-1~8<br />

森 本 修 邦 … P90-1~11<br />

森 本 芳 和 … P9-1~8<br />

門 田 守 人 … SL1-2-1~4<br />

や<br />

八 木 孝 仁 … MVW11-1~6<br />

安 田 武 生 … P33-1~8<br />

安 田 是 和 … MVW10-1~5<br />

矢 永 勝 彦 … ES2-1~3<br />

柳 澤 暁 … P13-1~6<br />

柳 本 泰 明 … P102-1~9<br />

藪 下 和 久 … P82-1~10<br />

山 上 裕 機 … PS-1~3<br />

山 内 靖 … P17-1~9<br />

山 口 幸 二 … PD3-1~9<br />

山 口 真 彦 … MSY9-1~9<br />

山 崎 修 … P80-1~11<br />

山 﨑 純 也 … P61-1~8<br />

山 崎 将 人 … MVW6-1~6,P36-1~7<br />

山 下 裕 一 … WS4-1~6<br />

山 田 晃 正 … MVW5-1~9<br />

山 田 靖 哉 … P10-1~8<br />

山 中 若 樹 … PD4-1~7<br />

山 本 順 司 … WS1-1~6<br />

山 本 為 義 … P58-1~7<br />

山 本 雄 造 … WS2-1~6<br />

よ<br />

吉 田 寛 … SL3-2-1~4<br />

吉 田 雅 博 … MVW14-1~5<br />

吉 留 博 之 … P43-1~9<br />

-547-


り<br />

力 山 敏 樹 … MSY3-1~9<br />

竜 崇 正 … VW2-1~7<br />

わ<br />

若 林 剛 … SL3-5-1~8<br />

和 田 慶 太 … P100-1~10<br />

A<br />

Asano,…Takehide…VS4-1~5<br />

B<br />

Belghiti,…Jacques…VS1-1~6<br />

C<br />

Chen,…Miin-Fu… MVW1-1~6<br />

Cherqui,…Daniel…VS4-1~5<br />

Choi,…Dong…Wook…<br />

MVW2-1~5,SL2-1~8<br />

D<br />

Dong,…Jiahong… VS4-1~5<br />

E<br />

Egawa,…Shinichi… MVW2-1~5<br />

K<br />

Kawarada,…Yoshifumi… VS3-1~4<br />

Kim,…Sun-Whe… VS3-1~4<br />

Kiuchi,…Tetsuya… MVW1-1~6<br />

Kokudo,…Norihiro…VS1-1~6<br />

L<br />

Lee,…Sung-Gyu… VS2-1~5<br />

M<br />

Miyazaki,…Masaru…<br />

VS2-1~5<br />

N<br />

Nagino,…Masato…VS2-1~5<br />

T<br />

Takada,…Tadahiro…<br />

Tanaka,…Masao…VS3-1~4<br />

Traverso,…L.…William…<br />

SL2-1~8<br />

VS3-1~4<br />

U<br />

Uemoto,…Shinji…VS1-1~6<br />

W<br />

Wakabayashi,…Go…VS4-1~5<br />

-548-


筆 頭 演 者 索 引<br />

あ<br />

合 川 公 康 … MSY4-4,P90-7<br />

相 原 司 … P39-8<br />

相 本 隆 幸 … P20-2<br />

青 木 修 一 … PD1-5<br />

青 木 武 士 … SY4-7<br />

青 木 秀 樹 … P88-8<br />

青 笹 季 文 … P1-9<br />

青 野 高 志 … P26-2<br />

赤 司 昌 謙 … P95-11<br />

赤 須 玄 … P93-2<br />

赤 津 知 孝 … MSY4-5<br />

赤 堀 宇 広 … P19-3<br />

赤 堀 浩 也 … P64-4<br />

赤 松 延 久 … P108-9<br />

赤 松 道 成 … P81-7<br />

秋 山 泰 樹 … P75-1<br />

浅 井 浩 司 … P37-5<br />

浅 井 竜 一 … P6-7<br />

朝 倉 武 士 … P23-3<br />

淺 野 間 理 仁 … MSY6-8<br />

浅 利 貞 毅 … MVW9-6<br />

味 木 徹 夫 … SY2-4<br />

蘆 田 良 … P4-4<br />

足 立 尊 仁 … P83-7<br />

足 立 智 彦 … MSY4-2<br />

穴 澤 貴 行 … MSY11-9<br />

阿 部 勇 人 … P98-5<br />

阿 部 祐 治 … P49-6<br />

阿 部 雄 太 … P21-1<br />

阿 保 貴 章 … MSY11-1,MSY12-9<br />

天 池 寿 … P3-6<br />

天 野 穂 高 … SL1-3-3<br />

天 野 良 亮 … MSY8-8<br />

天 谷 公 司 … P28-2<br />

網 倉 克 己 … SY1-6<br />

雨 宮 秀 武 … P80-8<br />

荒 居 琢 磨 … P75-4<br />

荒 川 和 久 … P56-7<br />

荒 川 悠 佑 … MSY6-1,P17-5<br />

新 木 健 一 郎 … MVW14-3<br />

荒 瀬 光 一 … P107-1<br />

有 泉 俊 一 … PD1-1<br />

有 川 卓 … P79-9<br />

有 馬 浩 太 … P34-9<br />

有 本 明 … P7-6<br />

安 藤 慶 … P88-1<br />

安 藤 文 彦 … P15-3<br />

安 藤 公 隆 … PD7-3<br />

い<br />

飯 田 文 子 … P2-8<br />

飯 田 拓 … MVW7-3<br />

飯 田 智 憲 … P107-5<br />

飯 田 洋 也 … CW-6<br />

飯 田 通 久 … P33-3<br />

飯 田 義 人 … P8-7<br />

飯 野 聡 … MSY6-4<br />

飯 室 勇 二 … ES2-2<br />

井 岡 達 也 … P92-8<br />

伊 神 剛 … PD2-5,WS2-4<br />

五 十 嵐 佑 子 … P10-4<br />

生 田 真 一 … P26-7<br />

生 田 義 明 … P96-1<br />

井 口 公 太 … P76-4<br />

生 本 太 郎 … P106-4<br />

池 上 徹 … MVW1-2<br />

池 田 哲 夫 … PD8-3,SL3-1-2,<br />

WS3-6<br />

池 田 直 也 … VW1-1<br />

池 田 真 美 … P50-4<br />

池 田 泰 治 … P105-1<br />

池 本 哲 也 … P26-1<br />

伊 古 田 正 憲 … P49-2<br />

生 駒 久 視 … P22-2,P48-5<br />

石 井 淳 … P6-6<br />

石 井 剛 弘 … P22-9<br />

石 井 博 道 … MVW11-2<br />

石 井 文 規 … P53-8<br />

石 川 忠 則 … P4-3<br />

石 川 原 … P45-2<br />

石 川 博 補 … P70-6<br />

石 川 正 志 … P22-3<br />

石 毛 文 隆 … P82-7<br />

石 崎 守 彦 … MSY5-8,MVW7-2,<br />

P45-7,PD5-1<br />

石 崎 陽 一 … MVW6-1<br />

石 沢 武 彰 … SY4-6<br />

石 田 航 太 … P90-1<br />

石 田 隆 志 … P7-1<br />

石 田 誠 … P41-7<br />

石 田 晶 玄 … VW3-4<br />

石 戸 圭 之 輔 … P42-4,VC-3<br />

石 堂 展 宏 … P104-6<br />

石 橋 一 慶 … P102-2<br />

伊 志 嶺 朝 成 … P14-6<br />

石 本 武 史 … P27-3<br />

石 山 隼 … P78-8<br />

泉 貞 … P48-2<br />

泉 谷 康 仁 … P16-5<br />

出 雲 渉 … P50-6<br />

礒 幸 博 … MSY3-1<br />

板 野 理 … P36-7,SL3-5-5<br />

板 橋 英 教 … P8-6,P84-7<br />

井 筒 将 斗 … P89-6<br />

井 手 貴 雄 … P20-3<br />

伊 藤 英 太 郎 … P49-5<br />

伊 藤 勝 彦 … P9-1<br />

伊 東 浩 次 … P78-11<br />

伊 藤 心 二 … P6-2<br />

伊 藤 孝 … P35-2<br />

伊 藤 忠 雄 … P102-4<br />

伊 藤 得 路 … P108-4<br />

伊 藤 直 子 … P19-7<br />

伊 藤 博 道 … P99-9<br />

伊 藤 浩 光 … P84-3<br />

伊 東 昌 広 … P72-8,SL3-5-8<br />

伊 藤 康 博 … P24-5<br />

伊 藤 豊 … P92-1<br />

伊 藤 隆 介 … P107-3<br />

稲 垣 均 … MVW11-6<br />

稲 垣 優 … MVW5-3<br />

稲 葉 圭 介 … P79-3<br />

井 上 耕 太 郎 … P32-2<br />

井 上 真 岐 … P69-8<br />

井 上 雅 史 … P100-10<br />

井 上 陽 介 … WS2-1<br />

井 上 善 博 … P38-7<br />

井 上 善 景 … PD5-2<br />

井 上 善 博 … P47-1<br />

猪 川 祥 邦 … P30-7<br />

猪 瀬 悟 史 … P61-6<br />

今 井 克 憲 … WS1-5<br />

今 井 健 一 郎 … P104-2,P106-10<br />

今 井 浩 二 … P34-6<br />

今 井 寿 … P2-7<br />

今 村 直 哉 … P25-1<br />

今 村 将 史 … P30-6<br />

入 江 工 … P80-2<br />

伊 禮 俊 充 … P59-8<br />

岩 内 武 彦 … P77-8<br />

岩 上 佳 史 … P105-7<br />

岩 城 堅 太 郎 … P49-4<br />

岩 崎 寿 光 … P81-2<br />

岩 瀬 亮 太 … P69-6<br />

う<br />

上 坂 克 彦 … SL1-2-2,SY2-1<br />

上 島 成 幸 … P5-6<br />

上 田 和 光 … P29-5<br />

植 田 茂 … P53-9<br />

上 田 純 志 … P77-9<br />

-549-


上 田 純 二 … P32-1<br />

上 田 順 彦 … P92-7<br />

上 田 倫 夫 … MSY8-4<br />

上 西 崇 弘 … P44-2<br />

上 野 公 彦 … SL3-7-6<br />

上 野 真 一 … MSY2-2<br />

上 野 富 雄 … P103-5<br />

上 野 昌 樹 … MSY10-9<br />

上 野 陽 介 … P29-7<br />

上 村 健 一 郎 … P102-5<br />

植 村 修 一 郎 … P88-3<br />

上 村 淳 … P74-3<br />

牛 久 秀 樹 … P81-8<br />

碓 井 健 文 … P88-4<br />

臼 井 正 信 … P45-1<br />

薄 葉 輝 之 … P32-3<br />

内 田 信 治 … MSY5-9<br />

内 田 博 喜 … P19-4<br />

内 田 洋 一 朗 … P107-9<br />

打 波 宇 … MVW4-5<br />

内 山 哲 之 … P9-8<br />

内 山 秀 昭 … P1-3<br />

宇 都 宮 徹 … P1-1<br />

内 海 方 嗣 … P85-1<br />

宇 野 雄 祐 … P3-9<br />

梅 田 健 二 … P57-9<br />

楳 田 祐 三 … PS-1<br />

梅 原 実 … P86-6<br />

浦 江 憲 吾 … P41-2<br />

浦 上 淳 … SL3-7-1<br />

浦 上 秀 次 郎 … P78-10<br />

浦 田 順 久 … P69-7<br />

浦 出 剛 史 … P51-3<br />

え<br />

永 滋 教 … P41-4<br />

永 生 高 広 … MSY7-7<br />

江 川 新 一 … MVW2-2,SL1-3-4<br />

江 口 晋 … VS1-5<br />

江 口 英 利 … P67-7,P92-3<br />

江 嵜 秀 和 … P95-9<br />

江 崎 稔 … SY2-3<br />

江 下 恒 統 … P97-6<br />

枝 元 良 広 … P1-7<br />

榎 並 延 太 … PD1-6<br />

江 畑 智 希 … SY2-6,VS2-2<br />

遠 藤 出 … P29-8<br />

遠 藤 格 … SL1-2-1<br />

遠 藤 財 範 … P38-4<br />

遠 藤 芳 克 … VC-1<br />

お<br />

尾 池 文 隆 … MSY6-9,P36-6<br />

翁 傑 鋒 … P83-5<br />

大 石 幸 一 … P49-3<br />

大 石 正 博 … P76-1<br />

大 菊 正 人 … P104-9<br />

大 久 保 恵 太 … P96-6<br />

大 久 保 浩 毅 … P33-6<br />

大 黒 聖 二 … P17-1<br />

大 澤 一 郎 … P4-2<br />

大 澤 高 陽 … MSY9-1<br />

大 下 彰 彦 … P45-3<br />

大 島 剛 … P35-1<br />

大 島 聡 … P75-9<br />

大 島 隆 宏 … P28-7<br />

大 島 奈 々… WS3-7<br />

大 島 稔 … P60-2<br />

大 城 幸 雄 … MVW10-1<br />

太 田 篤 … P57-2<br />

大 田 耕 司 … WS3-4<br />

太 田 岳 洋 … VW2-5<br />

太 田 哲 生 … ES3-1<br />

太 田 徹 哉 … P80-5<br />

太 田 浩 志 … P41-8<br />

太 田 正 之 … P98-2,SL3-5-2<br />

大 田 守 仁 … P57-3<br />

大 平 正 典 … P59-5<br />

大 谷 和 広 … P44-1<br />

大 塚 隆 生 … PD3-4<br />

大 塚 英 郎 … MSY10-6<br />

大 塚 将 之 … PD2-7<br />

大 塚 由 一 郎 … P7-3,SL3-1-3<br />

大 坪 出 … P62-8<br />

大 西 一 朗 … MVW13-3<br />

大 場 大 … WS1-1<br />

大 橋 拓 … P18-6<br />

大 橋 大 成 … P56-2<br />

大 海 研 二 郎 … P90-10<br />

大 村 泰 之 … P91-8<br />

大 森 亜 紀 子 … P40-5<br />

大 森 一 郎 … P12-1<br />

大 森 敬 太 … P10-6<br />

大 和 田 洋 平 … MSY7-2<br />

岡 井 主 … P65-3<br />

小 笠 原 卓 … P43-2<br />

岡 田 克 也 … MVW8-4,P38-5<br />

岡 田 健 一 … P26-8<br />

緒 方 賢 司 … P69-1<br />

岡 田 恭 穂 … PD3-9<br />

緒 方 俊 郎 … MSY11-8<br />

岡 田 倫 明 … P95-10<br />

岡 田 憲 樹 … P85-2<br />

岡 田 祐 二 … P100-2<br />

岡 田 良 … P88-2<br />

岡 野 圭 一 … P101-8<br />

岡 部 弘 尚 … PD1-8<br />

岡 村 国 茂 … P63-2<br />

岡 村 圭 祐 … MSY8-6<br />

岡 村 淳 … P61-8<br />

岡 村 行 泰 … MSY2-9<br />

岡 本 光 順 … P24-1<br />

岡 本 亮 … P53-2<br />

小 川 光 一 … P78-4<br />

小 川 聡 … P104-7<br />

沖 本 将 … P99-5<br />

奥 田 雄 紀 浩 … P56-8<br />

奥 野 正 隆 … PD2-4<br />

奥 村 拓 也 … P36-2<br />

奥 村 徳 夫 … P74-4<br />

小 倉 俊 郎 … P45-5<br />

小 倉 芳 人 … P52-7<br />

長 田 真 二 … MSY1-1<br />

小 田 竜 也 … CW-1<br />

小 田 有 哉 … P108-5<br />

越 智 隆 之 … P21-5<br />

越 智 史 明 … P73-5<br />

落 合 高 徳 … P16-1<br />

落 合 登 志 哉 … MSY2-5<br />

落 合 秀 人 … P93-4<br />

乙 供 茂 … P63-5<br />

小 貫 建 一 郎 … P100-9<br />

小 野 嘉 大 … PD6-2<br />

折 茂 達 也 … P103-8<br />

恩 田 真 二 … P14-5<br />

か<br />

甲 斐 真 弘 … PD2-2<br />

海 藤 章 郎 … P83-6<br />

海 道 利 実 … P85-7,P86-1<br />

貝 沼 修 … P92-2<br />

貝 原 聡 … PD1-7<br />

海 保 隆 … MSY10-2<br />

海 堀 昌 樹 … MSY2-1,P47-4,<br />

PD1-9,WS1-4<br />

鏡 哲 … P99-2<br />

香 川 幹 … MVW7-4<br />

香 川 哲 也 … P36-3<br />

柿 坂 達 彦 … P60-5<br />

柿 澤 奈 緒 … P53-3<br />

柿 本 忠 俊 … P40-8<br />

梶 理 史 … P25-2<br />

梶 山 潔 … P69-2<br />

梶 山 英 樹 … MSY6-10<br />

柏 崎 正 樹 … P103-6<br />

春 日 井 尚 … P46-1<br />

粕 谷 和 彦 … P83-4<br />

片 岡 雅 章 … P9-6<br />

片 桐 聡 … MVW11-1,SL1-1-1<br />

片 桐 敏 雄 … P106-7<br />

片 寄 友 … VS2-3,WS1-6<br />

香 月 優 亮 … P64-1<br />

-550-


勝 田 絵 里 子 … P66-2<br />

桂 宜 輝 … P73-1<br />

加 藤 厚 … VW1-7<br />

加 藤 順 子 … P82-3<br />

加 藤 孝 章 … MVW10-2<br />

加 藤 高 晴 … P47-5<br />

加 藤 博 久 … P34-1<br />

加 藤 正 人 … P70-7<br />

加 藤 祐 一 郎 … P55-2<br />

加 藤 悠 太 郎 … MVW10-4,P55-4,<br />

VS4-2<br />

門 多 由 恵 … RW-1<br />

門 野 賢 太 郎 … MSY7-5<br />

門 野 潤 … P42-3<br />

門 脇 晋 … PS-2<br />

門 脇 嘉 彦 … MSY7-6<br />

金 沢 景 繁 … VW1-4<br />

金 本 斐 子 … P16-7<br />

金 森 淳 … P59-6<br />

金 谷 信 彦 … P87-1<br />

金 岡 祐 次 … MSY3-5<br />

金 子 順 一 … VW4-5<br />

兼 田 裕 司 … P93-3<br />

金 村 普 史 … P11-8<br />

金 本 秀 行 … MVW9-1<br />

加 納 久 雄 … P107-4<br />

鎌 田 弘 樹 … P77-5<br />

蒲 池 浩 文 … P55-3<br />

神 賀 貴 大 … P107-2<br />

亀 高 尚 … MVW11-3<br />

加 茂 知 久 … P39-6<br />

蒲 原 行 雄 … CW-5<br />

萱 原 正 都 … ES1-1-1<br />

嘉 山 貴 文 … P80-10<br />

唐 澤 幸 彦 … P97-4<br />

河 合 隆 之 … P31-5<br />

川 合 亮 佑 … P24-6<br />

川 井 田 博 充 … P27-4<br />

河 岡 徹 … P50-2<br />

川 口 千 尋 … P96-3<br />

川 口 雅 彦 … MVW6-6<br />

川 口 米 栄 … MVW13-6<br />

川 崎 貴 秀 … P68-8<br />

川 下 雄 丈 … P37-8<br />

川 嶋 裕 資 … RW-3<br />

川 瀬 仁 … P7-8<br />

川 田 洋 憲 … SL3-8-3<br />

河 地 茂 行 … MVW10-3<br />

川 野 雄 一 郎 … P108-7<br />

川 野 陽 一 … MSY11-2,P45-8<br />

川 原 隆 一 … P95-2<br />

川 村 秀 尚 … P33-4<br />

川 村 英 伸 … P71-8<br />

川 本 弘 一 … MSY7-10<br />

川 本 潤 … P83-9<br />

川 本 浩 史 … P49-8<br />

川 本 雅 樹 … P83-1<br />

菅 野 将 史 … MVW14-5<br />

菅 野 博 隆 … P106-5<br />

き<br />

木 内 亮 太 … P55-7<br />

菊 池 哲 … P98-4<br />

菊 池 智 宏 … P35-4<br />

岸 庸 二 … WS2-3<br />

岸 田 憲 弘 … P91-5<br />

岸 原 文 明 … P16-9<br />

岸 本 朋 也 … P98-1<br />

岸 和 田 昌 之 …<br />

SY3-5<br />

北 順 二 … SY1-3<br />

木 田 裕 之 … P24-2<br />

北 川 大 … P89-3<br />

北 川 裕 久 … VS3-2<br />

北 口 和 彦 … P64-7<br />

北 郷 実 … MSY1-6,MSY12-5<br />

北 里 雄 平 … P94-5<br />

北 城 秀 司 … SL3-6-3<br />

北 田 浩 二 … P5-8<br />

北 畑 裕 司 … P102-8<br />

北 原 知 洋 … P30-5<br />

北 見 智 恵 … P95-3<br />

北 村 謙 太 … P29-9<br />

北 村 博 顕 … P87-4,P101-11<br />

橘 高 弘 忠 … MSY8-5<br />

木 戸 正 浩 … MVW5-4<br />

鬼 頭 祥 悟 … P10-5<br />

木 下 綾 華 … P42-8<br />

木 下 正 一 … P92-5,WS3-1<br />

木 下 正 彦 … P9-2<br />

木 下 満 … P108-1<br />

木 原 康 宏 … PD4-4<br />

君 島 映 … MSY7-9,VW3-3<br />

金 致 完 … P61-1<br />

木 村 暁 史 … MVW11-5<br />

木 村 健 二 郎 …<br />

MSY12-8<br />

木 村 拓 也 … P20-8,P77-1<br />

木 村 憲 央 … MSY10-7<br />

木 村 真 樹 … P35-6<br />

木 村 康 利 … P19-2,SL3-2-1<br />

木 村 有 … P96-2<br />

木 村 裕 司 … P57-8<br />

木 村 理 … ES3-2<br />

許 文 聰 … P18-5<br />

京 兼 隆 典 … P31-3<br />

尭 天 一 亨 … RW-2<br />

京 田 有 介 … P92-6<br />

清 田 誠 志 … P47-3<br />

金 よう 国 … P45-9<br />

金 城 直 … P58-6<br />

く<br />

釘 山 統 太 … P11-7<br />

日 下 部 治 郎 … MVW11-4<br />

工 藤 篤 … MSY10-1,RW-8<br />

工 藤 大 輔 … WS1-3<br />

工 藤 宏 樹 … P75-8<br />

久 納 孝 夫 … P82-2<br />

久 保 憲 生 … P54-8<br />

久 保 秀 文 … P3-1<br />

久 保 木 知 … VW2-2<br />

久 保 田 豊 成 … P15-6<br />

久 保 田 喜 久 … P49-7,P54-1<br />

熊 本 宜 文 … P79-6<br />

倉 内 宣 明 … MVW14-4,P63-4,<br />

SL3-8-1<br />

倉 田 昌 直 … P36-4<br />

蔵 満 薫 … MVW1-3<br />

倉 本 正 文 … P71-9<br />

栗 藤 克 己 … P18-2<br />

栗 原 知 多 流 … P43-7<br />

栗 山 直 久 … P100-6<br />

黒 川 友 博 … P29-6<br />

黒 木 秀 幸 … P93-9<br />

黒 崎 功 … VW2-6<br />

桑 田 亜 希 … P57-1<br />

桑 田 和 也 … P81-3<br />

桑 谷 俊 彦 … P15-1<br />

け<br />

槐 島 健 太 郎 … P61-3<br />

見 城 朗 … P18-9<br />

こ<br />

小 池 礼 子 … P101-6<br />

小 泉 哲 … MSY10-3,MVW12-1<br />

古 泉 友 丈 … P98-9<br />

高 和 英 … P98-7<br />

高 賢 樹 … P106-8<br />

高 済 峯 … MVW4-8,P7-4<br />

厚 井 志 郎 … P16-3<br />

高 台 真 太 郎 … MVW12-4,P1-2<br />

河 野 史 穂 … P15-5<br />

河 野 寛 … P54-3<br />

河 野 蓉 子 … P57-4<br />

古 賀 睦 人 … P42-2<br />

古 賀 倫 太 郎 … MSY1-9<br />

小 海 秀 央 … P97-9<br />

國 土 泰 孝 … PD8-2<br />

小 崎 浩 一 … P75-6<br />

児 島 亨 … MVW3-9<br />

小 島 正 之 … MVW12-3<br />

小 菅 智 男 … ES1-2-3<br />

-551-


小 竹 将 … P6-5<br />

小 寺 由 人 … MSY9-2<br />

後 藤 邦 仁 … MVW4-4<br />

後 藤 直 大 … VW3-1<br />

小 西 隆 行 … P106-2<br />

小 橋 俊 彦 … P47-2<br />

小 林 愛 貴 美 … P82-1<br />

小 林 聡 … MSY3-8<br />

小 林 一 泰 … P76-2<br />

小 林 恵 子 … P10-2<br />

小 林 省 吾 … MSY3-3<br />

小 林 信 … P71-3<br />

小 林 慎 二 郎 … P101-9<br />

小 林 壮 一 … P87-11<br />

小 林 隆 … P9-4,P106-1<br />

小 林 剛 … SY1-7<br />

小 林 利 行 … P97-8<br />

小 林 弘 典 … P13-4<br />

小 平 佳 典 … P57-7<br />

米 田 浩 二 … MVW8-6<br />

小 森 充 嗣 … P62-4<br />

小 森 陽 子 … P66-1<br />

小 山 善 久 … SL3-7-4<br />

小 山 田 尚 … P2-5<br />

近 藤 昭 宏 … P24-8<br />

近 藤 千 博 … SY1-2<br />

近 藤 眞 治 … P89-5<br />

近 藤 成 … MVW6-5<br />

さ<br />

斎 浦 明 夫 … MSY3-2<br />

齋 藤 智 明 … P59-7<br />

斉 藤 良 太 … P52-6<br />

佐 伯 修 二 … P20-7<br />

酒 井 健 司 … P15-4<br />

酒 井 久 宗 … P56-6<br />

阪 井 満 … P25-7<br />

坂 木 桃 子 … P88-9<br />

坂 口 孝 宣 … P103-2<br />

坂 口 達 馬 … P39-3,P52-8,P78-1<br />

坂 口 博 美 … P65-8<br />

坂 田 純 … P55-8<br />

坂 田 直 昭 … P22-7<br />

坂 田 宏 樹 … P33-7<br />

酒 部 克 … P63-8<br />

坂 本 和 彦 … MSY10-4<br />

坂 元 克 考 … P25-6<br />

坂 本 照 尚 … P28-6<br />

阪 本 良 弘 … MSY3-7<br />

櫻 井 直 樹 … P14-3<br />

酒 向 晃 弘 … P43-5<br />

迫 田 雅 彦 … P5-5,P38-9<br />

佐 々 木 章 … SL3-1-4<br />

佐 々 木 一 樹 … P93-6<br />

佐 々 木 一 成 … CW-8<br />

佐 々 木 滋 … MSY12-1<br />

佐 々 木 秀 … P32-7<br />

佐 々 木 義 之 … P48-8<br />

笹 沼 英 紀 … VW4-1<br />

貞 森 裕 … VW4-6<br />

里 井 壯 平 … MSY1-5<br />

佐 藤 朝 日 … P34-7<br />

佐 藤 剛 … P34-2<br />

佐 藤 彰 一 … P4-7<br />

佐 藤 大 輔 … P64-2<br />

佐 藤 琢 爾 … P35-7<br />

佐 藤 直 哉 … P80-9<br />

佐 藤 佳 宏 … P39-9<br />

佐 藤 龍 一 郎 … P59-9<br />

眞 田 幸 弘 … P105-3<br />

實 藤 健 作 … P41-5<br />

佐 野 周 生 … P15-8<br />

佐 野 力 … P6-1<br />

澤 田 成 朗 … MSY5-3<br />

し<br />

塩 崎 滋 弘 … P48-3<br />

塩 見 尚 礼 … P16-6,P105-5<br />

鹿 野 敏 雄 … MVW13-1<br />

重 政 有 … P87-8<br />

市 東 昌 也 … P101-7<br />

篠 美 和 … P64-8<br />

篠 崎 健 太 … MSY7-4<br />

篠 田 昌 宏 … VS1-6<br />

篠 藤 浩 一 … P3-3<br />

篠 原 万 里 枝 … P67-2<br />

柴 浩 明 … P32-8,P40-1,P74-8,<br />

P76-3<br />

柴 尾 和 徳 … SY4-3<br />

柴 崎 信 一 … P87-5<br />

柴 崎 泰 … P54-5<br />

柴 田 浩 平 … P68-7<br />

志 摩 泰 生 … P101-5<br />

島 田 和 明 … P31-4<br />

島 田 哲 也 … P34-8<br />

島 田 雅 也 … P87-7<br />

島 村 弘 宗 … P55-6<br />

清 水 明 … P5-1<br />

清 水 敦 … P90-4<br />

清 水 敦 史 … P54-9<br />

清 水 貞 利 … P21-3<br />

清 水 潤 三 … P5-4<br />

清 水 崇 行 … P39-7<br />

清 水 哲 也 … P68-2,P91-1,P107-7<br />

清 水 尚 … P9-3<br />

清 水 宏 明 … SL1-2-3,VS2-1<br />

清 水 康 仁 … MVW14-2<br />

清 水 泰 博 … PD3-1<br />

清 水 善 明 … VW2-3<br />

清 水 喜 徳 … P37-7<br />

下 田 貢 … P101-1<br />

庄 雅 之 … PS-3<br />

庄 中 達 也 … P96-7<br />

庄 野 嘉 治 … P31-2<br />

白 井 祥 睦 … P87-10<br />

白 石 祐 之 … MSY5-1<br />

白 川 幸 代 … P98-8<br />

白 川 博 文 … MSY8-3<br />

調 憲 … MSY2-7<br />

新 関 亮 … P68-3<br />

新 地 洋 之 … MSY1-8,MVW9-2,<br />

P25-3<br />

神 藤 修 … P27-1<br />

新 藤 芳 太 郎 … P91-3<br />

新 野 直 樹 … P35-5<br />

新 村 兼 康 … VW2-4<br />

新 屋 智 志 … P32-4<br />

す<br />

末 永 雅 也 … P59-3<br />

末 廣 剛 敏 … P80-3<br />

菅 原 元 … WS4-6<br />

杉 浦 禎 一 … P63-1<br />

杉 岡 篤 … VS1-2<br />

杉 田 裕 樹 … P63-9<br />

杉 田 光 隆 … P24-4<br />

杉 原 正 大 … P5-2<br />

杉 町 圭 史 … P79-8<br />

杉 本 光 司 … MSY12-7<br />

杉 本 元 一 … MSY8-1<br />

杉 山 眞 一 … MVW4-3<br />

杉 山 保 幸 … P47-6<br />

須 郷 広 之 … P6-4<br />

鈴 木 淳 司 … P39-4<br />

鈴 木 和 志 … P53-5<br />

鈴 木 慶 一 … P74-7<br />

鈴 木 修 司 … MSY12-2,MVW3-6,<br />

P72-4<br />

鈴 木 晋 … P34-4<br />

鈴 木 伸 明 … P23-5<br />

鈴 木 秀 樹 … P48-7<br />

鈴 木 文 武 … P16-2<br />

鈴 木 裕 … MSY12-3<br />

首 藤 毅 … PD7-1,WS3-5<br />

砂 川 秀 樹 … PD7-2<br />

砂 川 宏 樹 … P67-8<br />

砂 原 正 男 … P65-7<br />

角 南 栄 二 … P75-5<br />

須 納 瀬 豊 … P45-6<br />

住 吉 辰 朗 … P11-6<br />

諏 訪 敏 之 … P58-4<br />

-552-


せ<br />

瀬 尾 智 … P106-6<br />

関 崇 … PD4-3<br />

関 戸 仁 … P103-4<br />

関 根 慎 一 … RW-4<br />

関 根 速 子 … P10-7<br />

関 野 誠 史 郎 … P29-3<br />

関 野 考 史 … P64-6<br />

瀬 下 賢 … P48-1<br />

脊 山 泰 治 … P42-1<br />

千 田 嘉 毅 … MVW3-8<br />

千 堂 宏 義 … P77-7,P102-1<br />

そ<br />

副 島 雄 二 … P46-5<br />

曽 山 明 彦 … MSY10-5<br />

た<br />

平 良 薫 … P104-10<br />

田 浦 尚 宏 … P21-6<br />

垰 越 宏 幸 … P37-4<br />

高 井 清 江 … P31-1<br />

高 折 恭 一 … VS4-5<br />

高 木 健 司 … P73-7<br />

高 木 徹 … P61-4<br />

高 田 忠 敬 … PA-1<br />

高 槻 光 寿 … VW4-3<br />

高 野 可 赴 … MSY7-1,RW-6<br />

高 野 公 徳 … MSY6-2,P46-4,<br />

P78-2<br />

高 橋 健 二 郎 … P17-9<br />

高 橋 恒 輔 … P22-1<br />

高 橋 進 一 郎 … P92-4<br />

高 橋 秀 典 … SY3-6<br />

高 橋 正 浩 … VW4-4<br />

高 橋 瑞 奈 … P28-1<br />

高 橋 道 郎 … P82-8<br />

高 橋 祐 … MVW4-7<br />

高 橋 豊 … MVW5-9,P8-1<br />

高 橋 亮 … PD3-2<br />

高 畑 俊 一 … WS3-3<br />

高 原 武 志 … MSY6-5<br />

高 見 秀 樹 … P28-5<br />

高 村 博 之 … P76-7<br />

高 森 啓 史 … MSY1-2<br />

多 賀 谷 信 美 … MSY4-6,P37-1,<br />

P106-11,SL3-6-2<br />

高 屋 敷 吏 … SL3-7-5<br />

高 柳 大 輔 … P37-3<br />

高 山 悟 … P103-7<br />

高 山 忠 利 … SL1-1-4<br />

瀧 川 穣 … P93-5<br />

田 口 昌 延 … P51-4<br />

武 石 一 樹 … P6-3<br />

武 市 卒 之 … P1-6<br />

武 内 祥 子 … P79-11<br />

竹 内 男 … P80-6<br />

竹 内 聖 … P12-2<br />

武 岡 奉 均 … P70-8<br />

竹 下 明 子 … P89-9<br />

竹 下 信 啓 … P18-3<br />

武 田 和 永 … P85-5<br />

竹 田 伸 … SL3-3-3<br />

武 田 大 樹 … P52-4<br />

武 田 裕 … MVW8-2<br />

武 冨 紹 信 … SY1-1<br />

武 部 敦 志 … P103-9<br />

竹 村 晃 … P50-3<br />

竹 村 信 行 … P63-7<br />

田 崎 健 太 郎 … P79-10<br />

田 澤 賢 一 … P90-2<br />

田 島 ジェシー 雄 … P89-1<br />

田 島 秀 浩 … MSY9-4<br />

田 島 弘 … MSY8-7<br />

田 代 裕 尊 … PD4-1<br />

多 田 正 晴 … P106-3<br />

立 石 昌 樹 … P87-3<br />

立 野 太 郎 … P66-4<br />

田 中 栄 一 … SL1-2-4<br />

田 中 香 織 … P71-1<br />

田 中 邦 哉 … MSY9-9,VW1-6<br />

田 中 淳 一 … SL3-2-4<br />

田 中 肖 吾 … P69-4<br />

田 中 真 二 … MSY2-3,SL3-4-1<br />

田 中 晴 祥 … P50-1<br />

田 中 宏 … MVW5-7<br />

田 中 正 樹 … MSY1-3<br />

田 中 真 之 … PD2-3<br />

田 中 守 嗣 … P10-8<br />

棚 橋 義 直 … P38-8<br />

谷 紀 幸 … P17-8<br />

谷 眞 至 … MSY1-7<br />

谷 合 信 彦 … MSY5-7,P5-3,P41-6<br />

谷 岡 利 朗 … P65-9<br />

谷 川 隆 彦 … P75-3<br />

谷 口 英 治 … SL3-8-2<br />

谷 口 浩 一 … P21-2<br />

谷 口 理 丈 … P57-6<br />

谷 口 雅 彦 … PD4-7<br />

谷 口 嘉 毅 … P30-1<br />

谷 田 司 … P27-6<br />

種 村 彰 洋 … P85-4<br />

種 村 匡 弘 … MSY12-6<br />

田 畑 光 紀 … P28-8<br />

田 端 正 己 … MSY3-4<br />

田 原 宗 徳 … P53-7<br />

田 渕 聡 … P15-2<br />

田 村 利 尚 … MVW1-6<br />

田 村 浩 章 … P97-7<br />

爲 佐 卓 夫 … MSY2-8<br />

ち<br />

近 本 亮 … MVW5-1<br />

千 田 峻 … P62-6<br />

千 葉 斉 一 … PD1-4<br />

趙 明 浩 … SL3-1-1,SL3-5-6,<br />

VS4-3<br />

趙 斌 … P35-8<br />

陳 孟 鳳 … P71-4<br />

つ<br />

塚 本 忠 司 … MVW8-1<br />

辻 田 英 司 … SY1-4<br />

津 田 匠 … P33-2<br />

土 川 貴 裕 … MVW2-3<br />

土 田 忍 … MVW12-6<br />

土 屋 貴 男 … SY2-5<br />

土 屋 朗 之 … P60-9<br />

土 屋 勝 … P31-6<br />

筒 井 信 浩 … P30-4<br />

筒 井 りな… P79-5<br />

堤 宏 介 … RW-7<br />

敦 賀 陽 介 … P55-1<br />

て<br />

出 口 真 彰 … P2-3<br />

出 口 義 雄 … P8-8<br />

出 先 亮 介 … P20-6<br />

寺 澤 耕 祐 … P73-9<br />

寺 下 幸 夫 … P33-1<br />

寺 嶋 宏 明 … MVW4-6<br />

寺 田 卓 郎 … WS4-5<br />

寺 村 紘 一 … P94-9<br />

天 神 和 美 … P73-3<br />

と<br />

土 居 浩 一 … P77-2<br />

土 居 幸 司 … P3-4<br />

童 仁 … PD6-1<br />

東 野 健 … P90-9<br />

遠 山 洋 一 … MSY9-3<br />

冨 樫 順 一 … P53-6<br />

外 川 明 … P95-7<br />

徳 永 尚 之 … P89-8<br />

徳 永 裕 貴 … P27-9<br />

徳 光 幸 生 … P8-4<br />

徳 山 泰 治 … P9-5<br />

所 隆 昌 … MVW7-1,SY4-4<br />

戸 田 孝 祐 … P8-2<br />

戸 田 怜 … P60-8<br />

栃 井 航 也 … P47-9<br />

飛 田 浩 輔 … P94-2<br />

-553-


飛 永 修 一 … P84-5<br />

戸 部 直 孝 … P23-4<br />

富 川 盛 啓 … MVW3-2<br />

富 田 凉 一 … P90-6<br />

富 原 英 生 … P94-8<br />

富 安 真 二 朗 … P108-3<br />

豊 見 山 健 … P88-10<br />

友 松 宗 史 … P54-4<br />

友 利 寛 文 … P81-9<br />

外 山 博 近 … MSY12-4<br />

豊 川 秀 吉 … P13-2,P30-9<br />

豊 木 嘉 一 … MSY11-6<br />

鳥 正 幸 … MVW2-4<br />

な<br />

仲 成 幸 … MSY4-7<br />

奈 賀 卓 司 … P72-3<br />

中 居 卓 也 … MSY9-5<br />

中 井 肇 … P105-6<br />

永 井 英 雅 … P81-5<br />

中 尾 昭 公 … VS3-3<br />

中 尾 圭 介 … P58-7<br />

中 川 圭 … P13-1<br />

中 川 茂 樹 … MSY11-5<br />

中 川 直 哉 … P69-3<br />

中 郡 聡 夫 … SY3-1<br />

中 里 徹 矢 … P26-4<br />

中 島 亨 … P100-7<br />

中 島 慎 介 … P74-1<br />

中 島 隆 善 … P104-4<br />

中 島 洋 … MVW4-1<br />

永 田 茂 行 … P11-2<br />

中 田 岳 成 … WS2-5<br />

中 台 英 里 … P108-2<br />

中 竹 利 知 … MSY6-3,P8-5<br />

長 谷 諭 … P58-1<br />

中 西 史 … P95-5<br />

仲 野 哲 矢 … P25-5,P65-4,P100-5<br />

永 野 浩 昭 … VS2-4<br />

中 野 浩 … MSY9-8<br />

永 野 元 章 … P14-1<br />

中 村 育 夫 … P86-3<br />

中 村 広 太 … P66-6<br />

中 村 淳 … P72-1<br />

中 村 直 人 … P99-4<br />

中 村 直 彦 … P87-2<br />

中 村 典 明 … P43-1<br />

中 村 啓 之 … P43-4<br />

中 村 浩 之 … P48-4<br />

中 村 雅 史 … SL3-3-4<br />

中 村 幸 雄 … CW-4<br />

中 村 慶 春 … PD8-1,SL3-2-3,<br />

VS4-4,WS3-2<br />

中 村 隆 司 … P95-1<br />

仲 本 嘉 彦 … CW-9<br />

中 森 正 二 … SL3-3-1<br />

中 山 岳 龍 … P12-8<br />

中 山 昇 … P74-5<br />

中 山 壽 之 … P38-3<br />

梛 野 正 人 … ES3-3<br />

名 取 健 … MVW3-5<br />

七 島 篤 志 … MSY2-4,MSY3-9,<br />

VS1-1<br />

奈 良 聡 … P94-3<br />

楢 崎 肇 … P4-1<br />

成 島 道 樹 … P10-1<br />

成 島 陽 一 … P77-4<br />

鳴 海 俊 治 … P86-5<br />

成 本 壮 一 … P68-5<br />

に<br />

仁 熊 健 文 … MVW7-6<br />

西 健 … P96-5<br />

西 正 暁 … P65-1<br />

西 岡 孝 芳 … P41-3<br />

西 岡 泰 信 … P34-3<br />

西 川 誠 … P93-7<br />

西 田 洋 児 … P68-9<br />

西 躰 隆 太 … P11-1,P23-7<br />

西 野 仁 惠 … MVW7-5<br />

西 原 一 善 … MVW3-1<br />

西 村 真 澄 … P78-6<br />

西 山 潔 … P49-1<br />

新 田 健 雄 … P21-4<br />

新 田 智 之 … P68-6<br />

新 田 英 利 … P40-7<br />

新 田 浩 幸 … SL3-4-4,VW1-3<br />

二 宮 豪 … MSY7-8<br />

二 宮 理 貴 … P51-6<br />

の<br />

野 北 英 史 … RW-5<br />

野 沢 彰 紀 … P76-9<br />

野 路 武 寛 … MVW4-2,WS4-2<br />

野 島 洋 樹 … P10-3<br />

野 尻 和 典 … P46-3<br />

野 田 剛 広 … MVW13-4<br />

野 中 良 和 … P13-3<br />

信 岡 大 輔 … P74-2<br />

野 見 武 男 … P79-4<br />

野 村 明 芳 … P28-4<br />

野 村 聡 … P17-6<br />

野 村 悟 … P43-3<br />

野 村 達 也 … P70-4<br />

野 村 尚 弘 … P58-5<br />

野 村 良 平 … P36-1<br />

は<br />

芳 賀 淳 一 郎 … P31-8<br />

萩 原 清 貴 … P12-5<br />

朴 景 華 … P42-6<br />

朴 成 進 … MSY4-1<br />

狭 間 一 明 … P38-2<br />

橋 口 真 征 … P50-8<br />

橋 本 和 彦 … P75-2<br />

橋 本 真 治 … P24-3<br />

橋 本 大 輔 … P105-4<br />

橋 本 直 樹 … P91-2,P92-9<br />

橋 本 憲 輝 … P60-1<br />

橋 本 雅 司 … WS4-3<br />

蓮 池 康 徳 … P82-9<br />

長 谷 川 和 也 … P100-1<br />

長 谷 川 潔 … SL3-4-3<br />

長 谷 川 繁 生 … P99-6<br />

長 谷 川 慎 一 郎 … P65-6<br />

長 谷 川 康 … MSY5-4<br />

秦 浩 一 郎 … P78-3<br />

秦 正 二 郎 … P59-4,PD6-3<br />

秦 史 壯 … P23-6<br />

畑 中 正 行 … P71-6<br />

波 多 野 悦 朗 … VS1-4<br />

羽 田 野 雅 英 … P101-3<br />

蜂 谷 裕 之 … P1-5<br />

服 部 正 興 … P58-3<br />

羽 鳥 隆 … PD3-7,SL1-3-2,<br />

SY3-4<br />

花 岡 潤 … P40-6<br />

馬 場 泰 輔 … P59-2<br />

馬 場 健 … P78-5<br />

馬 場 裕 之 … P71-2<br />

濱 田 剛 臣 … P40-2<br />

濱 津 隆 之 … P72-7<br />

浜 中 美 千 子 … P108-8<br />

濱 野 美 枝 … P91-7<br />

林 賢 … MVW14-1,P35-9,<br />

SL3-6-4<br />

林 伸 泰 … P17-4<br />

林 洋 毅 … PD2-1<br />

林 泰 寛 … MSY11-3<br />

林 洋 光 … P4-6<br />

早 津 成 夫 … P46-2<br />

速 水 晋 也 … MSY11-4<br />

原 隆 志 … P88-5<br />

原 義 明 … P99-3<br />

原 田 耕 平 … P4-5<br />

播 本 憲 史 … P62-3<br />

春 木 孝 一 郎 … P47-8<br />

伴 大 輔 … P26-5<br />

坂 東 正 … P64-3<br />

-554-


ひ<br />

日 置 勝 義 … MSY7-3<br />

檜 垣 栄 治 … P5-7<br />

東 貴 寛 … P40-3<br />

東 垂 水 久 美 子 … MSY8-2<br />

樋 口 亮 太 … PD2-6,WS2-6<br />

肥 後 直 倫 … P88-6<br />

久 下 亨 … PD3-8<br />

土 方 陽 介 … P60-3<br />

日 高 匡 章 … P8-3<br />

氷 室 佑 季 子 … P93-8<br />

旭 吉 雅 秀 … P23-1<br />

平 井 一 郎 … P18-1<br />

平 井 隆 二 … P46-7<br />

平 出 貴 乗 … P60-6<br />

平 方 敦 史 … P78-9<br />

平 川 雄 介 … P12-7<br />

平 木 桜 夫 … P43-9<br />

平 城 守 … P2-9<br />

平 下 禎 二 郎 … P66-3<br />

平 谷 清 吾 … P44-6<br />

平 野 聡 … VS3-4<br />

平 松 和 洋 … P71-7<br />

廣 岡 智 … P30-8,P94-6<br />

廣 川 文 鋭 … VW1-2<br />

廣 野 誠 子 … PD3-5<br />

ふ<br />

深 瀬 耕 二 … WS2-2<br />

深 瀬 正 彦 … P65-5<br />

深 見 保 之 … P89-10<br />

吹 野 信 忠 … P25-4<br />

福 井 太 郎 … P61-7,P97-2<br />

福 井 雄 大 … P106-9<br />

福 澤 謙 吾 … P63-3<br />

福 島 健 太 郎 … MVW13-5<br />

福 島 大 造 … P1-8<br />

福 田 三 郎 … P100-4<br />

福 田 千 文 … P62-7<br />

福 田 敏 勝 … P104-8<br />

福 本 和 彦 … P91-6<br />

福 本 巧 … PD1-10,VS1-3<br />

福 元 剛 … P105-9<br />

藤 信 明 … P77-3<br />

藤 浩 明 … P74-6<br />

藤 井 幸 治 … MSY6-6<br />

藤 井 努 … PD3-3<br />

藤 井 仁 … P51-5<br />

藤 井 雄 介 … P57-5<br />

藤 井 義 郎 … MSY11-7<br />

藤 岡 ひかる… CW-3<br />

藤 川 貴 久 … P7-5<br />

藤 崎 滋 … P89-7<br />

藤 崎 洋 人 … P34-5<br />

藤 崎 宏 之 … P77-6<br />

藤 澤 稔 … MVW3-7<br />

藤 田 泉 … P50-5<br />

藤 田 倫 寛 … P95-6<br />

藤 田 博 文 … VW3-2<br />

藤 野 泰 宏 … P14-7<br />

藤 森 聰 … P98-3<br />

藤 森 芳 郎 … P43-8<br />

藤 原 佑 樹 … P101-4<br />

二 川 康 郎 … P32-6<br />

舩 渡 治 … P46-6<br />

古 川 賢 英 … P96-4<br />

古 川 健 太 … P16-8<br />

古 川 大 輔 … P70-5<br />

古 澤 徳 彦 … MSY2-6<br />

古 瀬 純 司 … ES1-2-1<br />

古 屋 智 規 … P22-6<br />

古 山 貴 基 … P100-8<br />

風 呂 井 彰 … P70-3<br />

へ<br />

別 府 透 … SL3-5-3<br />

別 府 直 仁 … P83-3<br />

ほ<br />

北 條 大 輔 … P66-8<br />

北 東 大 督 … P47-7<br />

星 野 有 哉 … P68-1<br />

星 野 博 之 … P50-7<br />

星 本 相 淳 … P73-6<br />

細 川 勇 … P56-4<br />

細 川 勇 一 … P2-1<br />

細 田 洋 平 … P67-1<br />

細 村 直 弘 … P19-1<br />

堀 周 太 郎 … P58-2<br />

堀 井 勝 彦 … MSY6-7<br />

堀 口 明 彦 … SL3-3-2,SY4-5<br />

本 田 五 郎 … SY4-2,VS4-1<br />

本 多 正 幸 … P84-6<br />

ま<br />

前 島 理 … P73-4<br />

前 田 敦 行 … MSY5-6,VW2-7<br />

前 田 一 也 … P45-4<br />

前 田 健 一 … P108-6<br />

前 田 栄 … P61-5<br />

前 田 慎 太 郎 … P84-10<br />

前 田 貴 司 … P48-9<br />

前 田 徹 也 … MVW3-3<br />

前 田 典 克 … P84-8<br />

前 田 裕 巳 … P41-1<br />

前 田 祥 成 … P55-5<br />

前 原 伸 一 郎 … P27-5<br />

前 村 公 成 … MSY4-3,P37-6,<br />

VS3-1<br />

牧 野 勇 … P27-2<br />

真 崎 純 一 … P72-2<br />

増 井 俊 彦 … P94-10<br />

益 池 靖 典 … P12-6<br />

増 田 崇 … P54-2<br />

増 田 稔 郎 … P38-1<br />

又 木 雄 弘 … MVW6-2,P67-4<br />

松 井 恒 志 … P79-2<br />

松 井 康 輔 … MVW5-2,P38-6,<br />

P105-2<br />

松 井 聡 … P26-6<br />

松 井 淳 一 … PD3-6<br />

松 浦 雄 祐 … P77-10<br />

松 尾 憲 一 … P88-7<br />

松 尾 洋 一 … P51-9<br />

松 尾 亮 太 … P30-3<br />

松 川 啓 義 … P103-3<br />

眞 次 康 弘 … P23-2<br />

松 下 晃 … P20-5,P54-7<br />

松 下 大 輔 … P104-1<br />

松 島 英 之 … P11-4<br />

松 田 圭 央 … P96-8<br />

松 田 武 … P13-5<br />

松 田 真 輝 … MVW5-6<br />

松 田 政 徳 … P40-4<br />

松 田 正 道 … P68-4<br />

松 土 尊 映 … MVW6-3<br />

松 永 浩 明 … P59-1<br />

松 永 浩 子 … P90-3<br />

松 林 潤 … P81-4<br />

松 村 聡 … P52-5<br />

松 本 逸 平 … MVW2-5,SL3-5-4<br />

松 本 浩 次 … P53-1<br />

松 本 潤 … WS4-1<br />

松 本 譲 … VS2-5<br />

松 本 拓 … P52-1<br />

松 本 敏 文 … P96-9<br />

松 山 隆 生 … CW-2,MSY3-6<br />

間 中 大 … P18-4<br />

丸 口 塁 … P6-8<br />

丸 橋 繁 … VW4-2<br />

丸 山 昌 伸 … P104-3<br />

丸 山 祐 一 郎 … P90-8<br />

み<br />

三 浦 宏 平 … P86-4<br />

三 浦 世 樹 … P3-2<br />

三 浦 智 也 … P92-10<br />

三 浦 奈 緒 子 … P21-7<br />

三 澤 一 仁 … P56-9<br />

三 澤 健 之 … MSY8-9,MVW9-5,<br />

P67-6,SL3-2-2<br />

-555-


水 上 博 喜 … P84-2<br />

水 口 徹 … MVW1-5,P1-4<br />

水 口 義 昭 … SL3-8-4,WS4-4<br />

水 谷 聡 … P89-4<br />

水 谷 貴 久 … P80-7<br />

水 谷 憲 威 … P64-5<br />

水 野 修 吾 … MVW1-4<br />

水 野 隆 史 … VC-2,WS1-2<br />

水 間 正 道 … P105-8<br />

水 元 孝 郎 … P99-7<br />

水 本 雅 己 … P94-1<br />

三 瀬 祥 弘 … P76-10,P99-1<br />

溝 田 知 子 … P43-6<br />

三 井 潤 … P82-4<br />

皆 川 紀 剛 … VW3-5<br />

皆 川 昌 広 … MVW5-5,MVW12-2,<br />

P81-1<br />

皆 川 亮 介 … P22-4<br />

南 幸 次 … P51-1<br />

南 裕 太 … P102-6<br />

南 村 圭 亮 … P9-7<br />

三 原 良 孝 … P18-7<br />

三 村 太 亮 … P52-3<br />

宮 川 亨 平 … P93-1<br />

宮 川 眞 一 … ES2-3<br />

宮 川 雄 輔 … P21-8<br />

三 宅 謙 太 郎 … P62-2<br />

三 宅 秀 夫 … P104-5<br />

宮 澤 康 太 郎 … P81-10<br />

宮 澤 正 紹 … P82-5<br />

宮 澤 光 男 … P7-7,PD4-2<br />

宮 澤 基 樹 … P102-3<br />

宮 田 辰 徳 … MVW10-5<br />

宮 田 雅 弘 … P29-2<br />

宮 田 陽 一 … P76-6<br />

宮 原 利 行 … P2-2<br />

宮 原 光 興 … P7-2<br />

宮 前 眞 人 … P61-2<br />

宮 本 篤 … P97-3<br />

宮 本 敦 史 … P48-6<br />

三 好 篤 … P46-8<br />

三 輪 史 郎 … P101-10<br />

む<br />

向 井 洋 介 … P107-6<br />

向 井 亮 太 … P7-9<br />

椋 棒 英 世 … P91-4<br />

武 藤 雄 太 … P56-3<br />

村 上 冴 … P56-1<br />

村 上 隆 啓 … P97-1<br />

村 上 智 洋 … P99-8<br />

村 上 真 … P70-2<br />

村 上 昌 裕 … P83-8<br />

村 上 義 昭 … MSY1-4<br />

村 上 慶 洋 … P44-4<br />

村 木 輝 … P62-5<br />

村 瀬 勝 俊 … P17-2<br />

村 田 哲 洋 … P13-6<br />

村 田 年 弘 … P60-7<br />

村 山 梓 … P76-8<br />

村 山 道 典 … P17-3<br />

室 屋 大 輔 … P3-8<br />

室 谷 隆 裕 … P95-4<br />

め<br />

目 黒 誠 … MSY5-5,P80-4<br />

も<br />

望 月 泉 … VW3-6<br />

基 俊 介 … P78-7<br />

元 井 冬 彦 … SY3-3<br />

森 章 … P22-5<br />

森 誠 治 … P26-3<br />

盛 直 生 … P101-2<br />

森 隆 太 郎 … MSY5-2<br />

森 岡 大 介 … P82-10<br />

森 川 孝 則 … P72-5<br />

森 川 充 洋 … P29-1<br />

守 瀬 善 一 … SL3-4-2,SY4-1<br />

森 田 和 豊 … PD4-6<br />

森 田 泰 弘 … CW-7<br />

森 田 剛 文 … P39-1<br />

森 根 裕 二 … MSY10-8<br />

森 廣 俊 昭 … P90-11<br />

森 村 玲 … P70-1<br />

森 本 修 邦 … MVW13-2<br />

森 本 悠 太 … P31-7,P51-8<br />

森 谷 敏 幸 … P71-5<br />

門 田 一 晃 … P42-5<br />

門 田 和 之 … P11-3<br />

や<br />

八 木 真 太 郎 … P86-2<br />

谷 澤 武 久 … SL3-7-3<br />

矢 澤 直 樹 … P20-1<br />

八 島 玲 … P80-11<br />

安 井 和 也 … P52-2<br />

安 田 顕 … P73-8<br />

保 田 智 彦 … P53-4<br />

安 近 健 太 郎 … P51-7<br />

安 永 昌 史 … MVW8-3<br />

矢 田 一 宏 … P56-5<br />

矢 永 勝 彦 … SL1-1-3<br />

柳 嘉 典 … P87-6<br />

柳 本 泰 明 … P20-4,P26-9,P73-2<br />

矢 野 公 一 … P22-8<br />

矢 野 智 之 … P27-8<br />

矢 吹 慶 … P24-7<br />

山 上 裕 機 … SL1-3-1<br />

山 岡 竜 也 … P39-5<br />

山 木 壮 … P35-3,P102-7<br />

山 口 俊 介 … P79-7<br />

山 崎 将 人 … P36-5<br />

山 下 兼 史 … P90-5<br />

山 下 博 成 … P32-5<br />

山 下 洋 市 … MVW6-4<br />

山 田 敦 子 … P84-9<br />

山 田 圭 吾 … P60-4<br />

山 田 滋 … ES1-2-2<br />

山 田 眞 一 郎 … MVW8-5<br />

山 田 豪 … SY3-2<br />

山 田 晃 正 … P44-3<br />

山 田 直 也 … P85-3<br />

山 田 美 鈴 … P81-11<br />

山 戸 一 郎 … P54-6,P83-2<br />

山 中 潤 一 … SL1-1-2<br />

山 中 千 尋 … P66-9<br />

山 根 祥 晃 … P67-3<br />

山 野 寿 久 … P37-2<br />

山 初 和 也 … P98-6<br />

山 吹 匠 … PD4-5<br />

山 本 久 仁 治 … P16-4<br />

山 本 穰 司 … P82-6<br />

山 本 隆 嗣 … P51-2<br />

山 本 立 真 … P94-4<br />

山 本 為 義 … P15-7<br />

山 本 智 久 … P100-3,P102-9<br />

山 本 尚 樹 … MVW5-8<br />

山 本 英 夫 … P19-6<br />

山 本 雅 一 … ES2-1<br />

山 本 道 宏 … SL3-8-5<br />

山 本 悠 司 … P3-7<br />

山 本 有 祐 … P44-5<br />

八 幡 和 憲 … P28-3<br />

ゆ<br />

由 井 倫 太 郎 … P33-5<br />

湯 澤 浩 之 … P67-9<br />

よ<br />

代 市 拓 也 … P84-4<br />

余 語 覚 匡 … P39-2<br />

横 尾 英 樹 … MVW12-5<br />

横 溝 博 … P14-4<br />

横 山 智 至 … P89-11,P103-1<br />

横 山 茂 和 … P97-5<br />

横 山 隆 秀 … MVW9-4<br />

横 山 正 … MVW3-4<br />

横 山 直 行 … SL3-7-2<br />

横 山 伸 二 … P2-6<br />

横 山 政 明 … VW1-5<br />

横 山 元 昭 … P18-8<br />

-556-


横 山 森 良 … P14-2<br />

横 山 幸 浩 … PD1-3<br />

吉 岡 伊 作 … P27-7<br />

吉 岡 正 人 … MVW9-3<br />

吉 岡 龍 二 … P94-7<br />

吉 川 弘 太 … P33-8<br />

吉 川 潤 一 … P89-2<br />

吉 川 大 太 郎 … P2-4<br />

吉 田 純 … P65-2<br />

吉 田 正 … P75-7<br />

吉 田 寛 … SY2-2<br />

吉 田 信 … P72-6<br />

吉 田 優 子 … P62-1<br />

吉 田 有 徳 … P95-8<br />

吉 田 龍 一 … P85-6<br />

吉 冨 摩 美 … P69-5<br />

吉 富 宗 宏 … P107-8<br />

吉 留 博 之 … MSY9-7<br />

吉 松 軍 平 … P66-7<br />

米 内 山 真 之 介 … P17-7<br />

米 川 佳 彦 … P29-4<br />

四 方 田 隆 任 … P3-5<br />

J<br />

Jang,…Jin-Young… MVW2-1,SL2-6<br />

K<br />

Kim,…Sun-Whe… SL2-5<br />

M<br />

Miyakawa,…Shuichi… SL2-3<br />

W<br />

Wang,…Hee…Jung…MVW1-1,SL2-8<br />

Y<br />

Yamamoto,…Masakazu… SL2-2<br />

Yamaue,…Hiroki… SL2-1,SL2-4,SL2-7<br />

り<br />

力 丸 竜 也 … P81-6<br />

力 山 敏 樹 … VW2-1<br />

龍 知 記 … P77-11,P79-1<br />

良 田 大 典 … P30-2<br />

わ<br />

若 井 俊 文 … P76-5<br />

脇 山 茂 樹 … P80-1<br />

和 田 慶 太 … P63-6<br />

和 田 浩 志 … SY1-5<br />

和 田 幸 之 … MSY9-6,P87-9<br />

和 田 渉 … P11-5<br />

渡 辺 亮 … P67-5<br />

渡 辺 剛 … PD1-2<br />

渡 邊 淳 一 郎 … P12-4<br />

渡 辺 隆 興 … P105-10<br />

渡 邊 透 … P28-9<br />

渡 辺 信 之 … P12-3<br />

渡 邉 学 … SL3-6-1<br />

渡 邉 幸 博 … P66-5<br />

C<br />

Cherqui,…Daniel…SL3-5-1<br />

D<br />

Dong,…Jiahong… SL3-5-7<br />

F<br />

Fujimoto,…Jiro… PL-1<br />

-557-


協 賛 一 覧<br />

寄 付<br />

旭 化 成 ファーマ 株 式 会 社<br />

あすか 製 薬 株 式 会 社<br />

アステラス 製 薬 株 式 会 社<br />

アストラゼネカ 株 式 会 社<br />

アルフレッサ ファーマ 株 式 会 社<br />

栄 研 化 学 株 式 会 社<br />

エーザイ 株 式 会 社<br />

エスエス 製 薬 株 式 会 社<br />

MSD 株 式 会 社<br />

エルメッドエーザイ 株 式 会 社<br />

大 塚 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 大 塚 製 薬 工 場<br />

小 野 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

化 研 生 薬 株 式 会 社<br />

科 研 製 薬 株 式 会 社<br />

キッセイ 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

杏 林 製 薬 株 式 会 社<br />

協 和 発 酵 キリン 株 式 会 社<br />

グラクソ・スミスクライン 株 式 会 社<br />

クラシエ 製 薬 株 式 会 社<br />

興 和 株 式 会 社<br />

佐 藤 製 薬 株 式 会 社<br />

サノフィ・アベンティス 株 式 会 社<br />

沢 井 製 薬 株 式 会 社<br />

参 天 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 三 和 化 学 研 究 所<br />

塩 野 義 製 薬 株 式 会 社<br />

ゼリア 新 薬 工 業 株 式 会 社<br />

第 一 三 共 株 式 会 社<br />

大 正 製 薬 株 式 会 社<br />

大 日 本 住 友 製 薬 株 式 会 社<br />

大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

武 田 バイオ 開 発 センター 株 式 会 社<br />

武 田 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

田 辺 三 菱 製 薬 株 式 会 社<br />

中 外 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 ツムラ<br />

帝 人 ファーマ 株 式 会 社<br />

テルモ 株 式 会 社<br />

トーアエイヨー 株 式 会 社<br />

東 和 薬 品 株 式 会 社<br />

富 山 化 学 工 業 株 式 会 社<br />

鳥 居 薬 品 株 式 会 社<br />

日 本 イーライリリー 株 式 会 社<br />

日 本 化 薬 株 式 会 社<br />

日 本 ケミファ 株 式 会 社<br />

日 本 新 薬 株 式 会 社<br />

日 本 製 薬 株 式 会 社<br />

日 本 臓 器 製 薬 株 式 会 社<br />

日 本 たばこ 産 業 株 式 会 社<br />

日 本 ベーリンガーインゲルハイム 株 式 会 社<br />

ニプロファーマ 株 式 会 社<br />

ノバルティス ファーマ 株 式 会 社<br />

バイエル 薬 品 株 式 会 社<br />

ファイザー 株 式 会 社<br />

扶 桑 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

ブリストル・マイヤーズ 株 式 会 社<br />

マイラン 製 薬 株 式 会 社<br />

丸 石 製 薬 株 式 会 社<br />

マルホ 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 ミノファーゲン 製 薬<br />

Meiji…Seikaファルマ 株 式 会 社<br />

持 田 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 ヤクルト 本 社<br />

ロート 製 薬 株 式 会 社<br />

わかもと 製 薬 株 式 会 社<br />

兵 庫 医 科 大 学 第 一 外 科 同 窓 会 会 員<br />

共 催 セミナー<br />

大 塚 製 薬 株 式 会 社<br />

科 研 製 薬 株 式 会 社<br />

コヴィディエン…ジャパン 株 式 会 社<br />

CSLベーリング 株 式 会 社<br />

塩 野 義 製 薬 株 式 会 社<br />

ジョンソン・エンド・ジョンソン 株 式 会 社<br />

大 鵬 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

中 外 製 薬 株 式 会 社<br />

日 本 イーライリリー 株 式 会 社<br />

富 士 フイルムメディカル 株 式 会 社<br />

ブリストル・マイヤーズ 株 式 会 社<br />

メルクセローノ 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 ヤクルト 本 社<br />

機 器 展 示 ・ 書 籍 展 示<br />

株 式 会 社 アムコ<br />

科 研 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 京 都 医 療 設 計<br />

コヴィディエン…ジャパン 株 式 会 社<br />

ジェイティック 株 式 会 社<br />

ジョンソン・エンド・ジョンソン 株 式 会 社<br />

住 友 ベークライト 株 式 会 社<br />

創 作 器 械 ミドリジャ スギウラ<br />

高 砂 医 科 工 業 株 式 会 社<br />

日 機 装 株 式 会 社<br />

日 本 臓 器 製 薬 株 式 会 社<br />

NPO 法 人 パンキャンジャパン<br />

株 式 会 社 ヘリオサージカル<br />

株 式 会 社 ホギメディカル<br />

瑞 穂 医 科 工 業 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 メディカルプログレス<br />

株 式 会 社 ガリバ-<br />

株 式 会 社 紀 伊 國 屋 書 店<br />

株 式 会 社 神 陵 文 庫<br />

丸 善 株 式 会 社<br />

広 告<br />

アストラゼネカ 株 式 会 社<br />

小 野 薬 品 工 業 株 式 会 社<br />

コヴィディエン…ジャパン 株 式 会 社<br />

ジョンソン・エンド・ジョンソン 株 式 会 社<br />

大 日 本 住 友 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 ツムラ<br />

鳥 居 薬 品 株 式 会 社<br />

日 本 製 薬 株 式 会 社<br />

ノバルティス…ファーマ 株 式 会 社<br />

NPO 法 人 パンキャンジャパン<br />

日 立 アロカメディカル 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 ベネシス<br />

宮 野 医 療 器 株 式 会 社<br />

持 田 製 薬 株 式 会 社<br />

株 式 会 社 やよい<br />

(2012 年 4 月 1 日 現 在 )<br />

※ 敬 称 略<br />

第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会 を 開 催 するにあたり、 上 記 の 企 業 ・ 団 体 ・ 個 人 の 方 々をはじめとして、 皆<br />

様 の 多 大 なるご 協 力 ならびにご 厚 情 を 賜 りました。この 場 をお 借 りして 厚 く 御 礼 申 し 上 げます。<br />

第 24 回 日 本 肝 胆 膵 外 科 学 会 ・ 学 術 集 会<br />

会 長 藤 元 治 朗<br />

-558-

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