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日本語におけるgap-filler依存関係の構築について - 九州大学文学部 ...

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SRとORの 処 理 負 荷 の 非 対 称 性 に 関 する2つの 仮 説• 構 造 的 距 離 仮 説 (SDH):fillerとgapの 構 造 的 距 離 が 長 いほど処 理 負 荷 が 増 大 するSRORthe reporter ithe reporter ithatthat(gap i )the senatorattackedthe senatorattacked(gap i )• 線 形 的 距 離 仮 説 (LDH):fillerとgapの 線 形 的 距 離 が 長 いほど処 理 負 荷 が 増 大 するSR: the reporter i [ RC that attacked the senator ]OR: the reporter i [ RC that the senator attacked ]3


gap-filler 依 存 関 係主 要 部 後 置 型 言 語 である 日 本 語 では、gapがfillerに 先 行 するgap-filler 依 存 関 係 がある。Ueno & Garnsey (2008):SRとORの 理 解 過 程 について 調 べるERP 実 験SR: [ RC 新 任 の 議 員 を 非 難 した] 記 者 iには 長 年 の 相 棒 が いた。OR: [ RC 新 任 の 議 員 が 非 難 した] 記 者 iには 長 年 の 相 棒 が いた。ORにおいて、・「 非 難 した- 記 者 には」で 持 続 的 な 陰 性 成 分・「 記 者 には」から 文 末 にかけて 持 続 的 な 陽 性 成 分⇒ ORの 方 が 処 理 負 荷 が 大 きい⇒ SDHを 支 持4


gap-filler 依 存 関 係• カフラマン (2011)主 語 分 裂 文 (SC) と 目 的 語 分 裂 文 (OC) を 用 いた 文 節 ごとの 読 み 時 間 実 験SC: [ 去 年 祖 母 を 田 舎 で 介 抱 した]のは 遠 い 親 戚 iだと 母 が 言 った。OC: [ 去 年 祖 母 が 田 舎 で 介 抱 した]のは 遠 い 親 戚 iだと 母 が 言 った。「 介 抱 したのは」 入 力 時 :⇒OCの 方 が 読 み 時 間 が 有 意 に 短 くなった← 分 裂 文 構 造 であることが 判 明 、 構 造 を 構 築 ?⇒ SCの 方 が 処 理 負 荷 が 大 きい⇒ SDHによっては 説 明 できない5


• Kahraman et al. (2011):このような 分 裂 文 の 処 理 には、 予 測 可 能 性 の 差 が 影 響 している 可 能 性 がある。コーパス 分 析 の 結 果 …[ 名 詞 句 -を]+[ 他 動 詞 -のは]という 構 造 に 主 語 がfillerとなったものが 後 続する 確 率 よりも、[ 名 詞 句 -が]+[ 他 動 詞 -のは]という 構 造 に 目 的 語 がfillerとなったものが 後 続する 確 率 の 方 が 高 い(S-gap) 子 どもを 育 てるのは …母 親 だ。( 主 語 )大 変 だ。義 務 だ。…パンダが (O-gap) 食 べるのは …笹 だ。( 目 的 語 )…⇒ 埋 め 込 み 節 内 の 他 動 詞 の 出 現 時 においてはSCよりもOCを 予 測 しやすく、日 本 語 分 裂 文 の 処 理 にはこのような 確 率 に 基 づく「 予 測 可 能 性 」が影 響 を 及 ぼしている 可 能 性 がある。 6


本 実 験 における 比 較• 本 実 験 では 文 脈 を 用 いることによってこのような 予 測 可 能 性 の 差 による 影 響 を 排 除 した 上 でSCとOCの 処 理 負 荷 の 非 対 称 性 について 検 討 する。「この2 人 のうち、」× 明 らかだ。× 大 変 だった。× 気 まぐれだ。竹 内 さん 小 西 さん2 人 の 人 物 を 示 す 絵SC: 去 年 一 郎 を 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。OC: 去 年 一 郎 が 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。文 脈 を 与 えたことにより、SC/OC 以 外 の 構 造 になる 要 素 が 続 くのは 不 自 然⇒ SCもOCも 同 程 度 に 予 測 しやすくなり、「 予 測 可 能 性 」の 差 による影 響 は 排 除 される7


実 験 1: 読 み 時 間 実 験 実 験 文a. SC: 去 年 一 郎 を 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。b. OC: 去 年 一 郎 が 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。⇒ 64セット、128 文 を 作 成第 2 文 節 の 出 現 時 点 でSC/OC 構 造 が 予 測 されることを 防 ぐために、次 のようなダミー 文 を 用 いる。c. SR: 先 月 明 子 を 懸 命 に 救 助 した 安 藤 さんが 黙 り 込 んだ。d. OR: 先 月 明 子 が 懸 命 に 救 助 した 安 藤 さんが 黙 り 込 んだ。ラテン 方 格 法 に 基 づき、ターゲット 文 64 文 (SC/OC 条 件 より32 文 ずつ)、ダミー 文 64 文 (SR 文 /OR 文 より32 文 ずつ)、 計 128 文 のリスト2つに 配 分8


実 験 1: 読 み 時 間 実 験 手 順LinguaTools- 監 修 坂 本 勉 ( 九 州 大 学 大 学 院 人 文 科 学 研 究 院 言 語 学 講 座 ・ 教 授 ) 、 開 発 安 永大 地 ( 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 ・ 東 北 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 ) ・LINO LAB 被 験 者 ペース、 文 節 ごとに 視 覚 呈 示3 回 に1 回 程 度 の 割 合 で 正 誤 判 断 課 題+ この2 人 のうち、 去 年竹 内 さん 小 西 さん一 郎 を 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。「 竹 内 さんが 一 郎 を 介 抱 した。」 〇 or ×9


実 験 1: 読 み 時 間 実 験 予 測竹 内 さん 小 西 さんこの2 人 のうち…SC: 去 年gap 一 郎 を 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。OC: 去 年 一 郎 が gap 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ「 介 抱 したのは」 入 力 時 :分 裂 文 構 造 であることが 判 明 、 構 造 を 構 築⇒SCとOCの 処 理 負 荷 の 非 対 称 性 を 反 映 して 読 み 時 間 の 差 が 観 察される。SDH: SC < OCLDH: OC < SC10


申 し 訳 ございませんが、 結 果 については近 日 公 開 予 定 のため、 非 公 開 とさせていただきます。11


実 験 2:ERP 実 験日 本 語 焦 点 化 分 裂 文 におけるgap-filler 依 存 関 係 の 構 築 時 の脳 活 動 を 観 察 する。 刺 激 および 課 題 : 実 験 1と 同 様+この2 人 のうち、去 年竹 内 さん 小 西 さん2500ms700ms700ms一 郎 を手 厚 く介 抱 したのは竹 内 さんだ。700ms700ms700ms700msISI: 200ms 12


実 験 2:ERP 実 験 予 測竹 内 さん 小 西 さんこの2 人 のうち…SC: 去 年gap 一 郎 を 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ。OC: 去 年 一 郎 が gap 手 厚 く 介 抱 したのは 竹 内 さんだ「 介 抱 したのは」 入 力 時 :分 裂 文 構 造 であることが 判 明 、 構 造 を 構 築⇒gap-filler 統 合 の 処 理 を 反 映 したP600が 観 察 されるSDH: OCの「 介 抱 したのは」においてP600LDH: SCの「 介 抱 したのは」 においてP60013


実 験 2:ERP 実 験 参 加 者 ・ 記 録 方 法 参 加 者日 本 語 母 語 話 者 である 大 学 生 16 人 脳 波 の 記 録 方 法・ 国 際 10-20 法 (Jasper 1958)に 基 づいて、 頭 皮 上 の19カ 所(Fp1, Fp2, F3, F4, C3, C4, P3, P4, O1, O2, F7, F8, T3, T4, T5, T6,Fz, Cz, Pz)に 電 極 を 配 置・ 電 極 間 抵 抗 値 :5kΩ 以 下・ローカットフィルタ:0.03Hz・ハイカットフィルタ:60Hz・サンプリング 周 波 数 :1000Hz14


申 し 訳 ございませんが、 結 果 については近 日 公 開 予 定 のため、 非 公 開 とさせていただきます。15


ご 清 聴 ありがとうございました。参 照 文 献• Ueno, M. & Garnsey, S. M. (2008) An ERP study of the processing ofsubject and object relative clauses in Japanese. Language andCognitive Processes, 23: 646-688.• カフラマン バルシュ (2011)「 日 本 語 及 びトルコ 語 における「 空 所 と 埋 語の 依 存 関 係 」の 処 理 ― 文 処 理 の 逐 次 性 をめぐって―」『 広 島 大 学 教 育 学 研究 科 』• Kahraman, B., Sato, A., Ono, H. & Sakai, H. (2011) Why object cleftsare easier to process than subject clefts in Japanese: Frequency orexpectation? Technical report of IECIE,111, 170: 67-72.16

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