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12. 発話音声から算出する脳活性度指数の信頼性 - ENRI

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電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )<br />

作 業 信 頼 性 評 価 技 術 と 有 効 性 検 証 実 験 計 画<br />

CEM 値 の 差 異 を 低 減 解 消 することが 可 能 であれば,<br />

実 用 的 には 好 ましい 一 歩 の 前 進 となる。しかしなが<br />

ら, 現 実 問 題 として 診 断 感 度 の 評 価 は 容 易 ではなく,<br />

我 々は, 差 異 の 解 消 を 目 的 としたパラメータの 調 整<br />

が, 本 来 第 一 に 求 めるべき 診 断 感 度 の 低 下 に 終 わら<br />

ないように 注 意 しなければならない。<br />

このことは, 性 差 等 に 係 る 対 応 においても 同 様 で<br />

ある。<br />

4. おわりに<br />

筆 者 は, 例 えば, 一 個 人 に 限 定 し,そのデータを<br />

予 め 蓄 積 し,これに 合 わせてパラメータを 調 整 し,<br />

その 特 定 される 個 人 の 覚 醒 度 等 心 身 状 態 を 評 価 す<br />

る 発 話 音 声 分 析 装 置 を 実 現 することは, 現 状 の 技 術<br />

の 延 長 上 において 十 分 に 可 能 であると 考 えている。<br />

図 4 CFF 値 と CEM 値 の 相 互 相 関 係 数 ( 部 分 )<br />

この 等 高 線 図 において 横 軸 は 埋 込 み 遅 延 時 間 であり,<br />

縦 軸 は 発 展 遅 延 時 である。この 等 高 線 図 は, 一 人 の 被 験<br />

者 データより, 上 記 パラメータに 加 えて 埋 込 み 遅 延 次<br />

元 ,SiCECA-ε, 等 々のパラメータを 設 定 し 作 成 した。<br />

色 の 濃 い 部 分 が,CFF 値 の 変 化 と CEM 値 の 変 化 の 相 互<br />

相 関 係 数 値 が 0.4 以 上 の 部 分 である。<br />

において, 見 た 目 で 凡 そ 8〜9 割 の 部 分 において 相<br />

互 相 関 係 数 値 は 0.4 以 下 であり, 特 に 疲 労 の 検 出 を<br />

目 的 として 発 話 音 声 を 収 録 していた 訳 ではなかっ<br />

た 状 況 においては, 本 当 に 幸 運 であった。<br />

3. その 他 の CEM 値 誤 差 要 因<br />

現 時 点 において, 上 記 に 加 えて 更 に, 単 純 な 音 韻<br />

の 発 話 においては, 母 音 の 違 いにより 算 出 される<br />

CEM 値 は 異 なり, 子 音 を 伴 う 場 合 には, 子 音 の 差 異<br />

も CEM 値 の 差 異 の 原 因 となることが 確 認 されてい<br />

る。また, 朗 読 音 声 から 算 出 される CEM 値 は, 朗 読<br />

内 容 による 差 異 を 含 む 可 能 性 があり, 想 起 ・ 換 呼 音<br />

声 から 算 出 される CEM 値 は,その 想 起 や 換 呼 に 係 る<br />

作 業 の 負 荷 状 態 に 依 存 する。<br />

CEM 値 には, 性 差 が 存 在 することもほぼ 明 らかで<br />

あり, 年 齢 による 差 異 の 存 在 の 可 能 性 も 無 視 はでき<br />

ない。<br />

母 音 や 子 音 の 差 異 ,また 朗 読 カードにおける 音 韻<br />

構 成 の 差 異 については,SiCECA 信 号 処 理 パラメー<br />

タの 設 定 に 依 存 して,それらの 差 異 の 大 きさや CEM<br />

値 の 大 小 関 係 が 変 化 すると 思 われる 状 況 が 確 認 さ<br />

れている。CEM 値 の 算 出 は, 発 話 者 の 覚 醒 度 等 の 心<br />

身 状 態 の 定 量 化 にある 訳 で,その 求 める 機 能 に 対 す<br />

る 診 断 感 度 を 維 持 しながら, 音 韻 構 成 等 に 起 因 する<br />

しかしながら, 筆 者 が 実 現 を 望 む 発 話 音 声 分 析 装<br />

置 は,より 平 均 的 な 人 間 像 に 対 して 適 用 可 能 な 心 身<br />

状 態 評 価 装 置 である。 発 話 音 声 分 析 装 置 は, 平 均 的<br />

な 人 間 像 を 想 定 した 旧 来 の 予 防 安 全 装 置 へのアン<br />

チテーゼを 目 指 した 物 ではあるが, 完 全 に 個 人 情 報<br />

に 依 存 する 装 置 では 世 に 役 立 つ 物 では 有 り 得 ない。<br />

発 話 音 声 分 析 装 置 における 平 均 的 な 人 間 像 は, 時 間<br />

や 環 境 に 対 して 常 に 変 化 する,その 動 物 的 ・ 人 間 的<br />

なダイナミズムを 平 均 的 に 有 することを 指 しての<br />

平 均 的 な 人 間 像 である。 想 定 すべき 平 均 的 な 人 間 像<br />

は,その 人 間 の 置 かれた 環 境 等 ,その 状 況 から 切 り<br />

離 されたものでは 有 り 得 ない。<br />

発 話 音 声 分 析 装 置 の 信 頼 性 の 向 上 においては, 未<br />

だ 明 らかにしなければならない 点 が,ハードウェア,<br />

ソフトウェア,またその 利 用 者 として 想 定 する 人 間<br />

の 特 性 等 において, 無 数 に 残 されていると 思 われる。<br />

これからも 一 つ 一 つの 成 果 が 積 み 上 がる 様 に 研<br />

究 開 発 を 続 けて 行 きたいと 考 えている。<br />

文 献<br />

[1] 塩 見 “ 発 話 分 析 から 考 える 脳 機 能 モデル” 感 性<br />

工 学 研 究 論 文 集 ,Vol.4,No.1, Feb.2004.<br />

[2] 塩 見 , 他 : 発 話 音 声 による 疲 労 状 態 評 価 検 証 実<br />

験 の 手 法 と 結 果 , 日 本 人 間 工 学 会 第 35 回 関 東 支<br />

部 大 会 , Oct.2005.<br />

[3] 塩 見 , 他 : 発 話 音 声 によるトラック 運 転 手 の 心<br />

身 状 態 評 価 手 法 と 結 果 , 日 本 人 間 工 学 会 第 36 回<br />

関 東 支 部 大 会 , Dec.2005.<br />

[4] 塩 見 , 他 : 二 種 類 の 作 業 中 発 話 音 声 のカオス 性<br />

の 変 化 , 日 本 人 間 工 学 会 第 49 回 大 会 , Jun.2008.<br />

[5] http://www.siceca.org<br />

第 9 回 電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 − 4− 平 成 21 年 6 月<br />

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