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1.VDL モード 3 の音声・データ通信性能評価実験 - ENRI

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電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 4 回 平 成 16 年 6 月 )1.VDL <strong>モード</strong> 3 の 音 声 ・データ 通 信 性 能 評 価 実 験航 空 システム 部 ※ 中 谷 泰 欣 北 折 潤 加 藤 敏 塩 地 誠 * 津 田 良 雄 *** 管 制 システム 部 ** 早 稲 田 大 学 大 学 院1. はじめに航 空 管 制 用 の 次 世 代 対 空 無 線 システムとして 国 際 民間 航 空 機 関 (ICAO)が 標 準 及 び 勧 告 方 式 (SARPs) [1]を 定 めている VHF デジタルリンク(VDL)<strong>モード</strong> 3(VDL3)は、 現 行 のアナログ 対 空 無 線 の 代 替 として 我が 国 及 び 米 国 においてその 導 入 が 検 討 されている。当 所 では、 平 成 12 年 度 から 16 年 度 までの 5 カ 年 計画 で VDL3 実 験 システムの 研 究 を 進 めており、これまで、 電 波 干 渉 実 験 [2][3][4] 、データ 及 び 音 声 通 信 性 能 評価 [5][6] 、 並 びに 飛 行 実 験 を 実 施 してきた。 本 稿 では、データ 及 び 音 声 通 信 の 基 礎 評 価 及 び 飛 行 実 験 の 結 果 について 報 告 する。名 を 割 り 当 てる。1 つのユーザーグループに 収 容 可 能なユーザー 数 ( 航 空 機 数 )は 最 大 60 までである。2V2D ( 音 声 2ch+データ2ch )ユーザーグループA( 管 制 セクター1 )チャンネル 例 : 120.101 チャンネル 例 :120.102音 声1グループあたり60 機 まで 対 応 可 能60 機 を 超 えると 、 61 機 目 以 降 の航 空 機 は 音 声 通 信 のみ 可 能データA音 声B音 声パイロットCデータDデータ音 声データTDMAスロット1つの 周 波 数( 例 : 120.100MHz )ユーザーグループB( 管 制 セクター2 )2. VDL3 の 概 要VDL3 は 時 分 割 多 重 通 信 (TDMA)の 技 術 を 利 用 し、1 つの 周 波 数 (25kHz 帯 域 幅 )に 音 声 またはデータを最 大 4 チャンネルまで 収 容 することができる。VDL3 音 声 通 信 の 特 徴 は、1パイロットが 送 信 中 でも 管 制 官 が 割 り 込 み 可 能 であり、スタックマイクロフォンが 発 生 しても 管 制 官 の 通 信 はブロックされない2パイロットの 連 続 送 信 時 間 が 35 秒 間 に 制 限 される3 管 制移 管 による 通 信 先 の 変 更 ( 次 チャンネルへの 切 換 )を自 動 処 理 することができる4 音 声 送 信 中 の 送 話 者 情報 を 把 握 できる―― 等 である。また、データ 通 信 の 特徴 は、14 種 類 のデータ 優 先 順 位 に 基 づく 伝 送 制 御 2予 約 割 当 方 式 による 迅 速 かつ 確 実 な 伝 送 3 強 力 な 誤り 訂 正 符 号 による 伝 送 データの 保 証 ――などであり、現 行 の DSB-AM VHF 対 空 無 線 及 び ACARS データ通 信 に 比 べ、 格 段 に 優 れた 機 能 を 有 している。図 1 は、VDL3 を 2V2D( 音 声 2ch 及 びデータ 2ch)の<strong>モード</strong>で 運 用 した 場 合 の 概 念 図 を 示 す。 現 行 のアナログ 通 信 では、 管 制 セクター 毎 に 個 別 の 周 波 数 が 割 り当 てられ、かつ、ACARS 等 のデータ 通 信 用 の 周 波 数が 別 途 必 要 であるが、VDL3 では 1 つの 周 波 数 で、2つの 管 制 セクターの 音 声 及 びデータ 通 信 を 同 時 に 行うことができる。 図 1 の 例 では、VDL3 が 送 受 信 する 周波 数 は 120.1MHz であるが、 両 管 制 セクターの 通 信 を区 別 するため、 便 宜 上 ユーザーグループ A には120.101 を、グループ B には 120.102 というチャンネル管 制 セクター1 担 当管 制 官VDL<strong>モード</strong>3 地 上 局音 声 データ データ 音 声管 制 セクター2 担 当図 1 VDL3 運 用 概 念 図 (2V2D の 場 合 )3. VDL3 実 験 システム当 所 が 開 発 した VDL3 実 験 システムは、 地 上 局 及 び機 上 局 装 置 各 2 式 並 びに 地 上 センター 局 1 式 から 成 る。図 2 にその 構 成 を 示 す。地 上 局 及 び 機 上 局 装 置 は、それぞれ 同 一 機 能 の 5つのユニットで 構 成 され、パラメータ 設 定 でどちらとしても 動 作 させることができる。 両 者 の 違 いは 防 振 台 の有 無 だけである。これにより、1 地 上 局 と 3 機 上 局 の 通信 実 験 も 可 能 としている。また、 実 験 目 的 として、1リンクモニター 機 能 2 受 信状 況 をリアルタイムにグラフ 表 示 する 機 能 3 詳 細 な 通信 ログを 収 集 ・ 保 存 する 機 能 4データ 通 信 のシナリオを 設 定 し 実 行 する 機 能 5 飛 行 中 の 航 空 機 の 位 置 を 地図 上 に 表 示 する 機 能 ――などを 付 加 している。実 験 システムの 主 な 仕 様 を 表 1 に 示 す。


VDL3 機 上 局RFRFVDL3 地 上 局MODEMMODEMVOICE TDMATDMA VOICECOMCOM地 上 センター 局ATNルータ凡 例RF : 高 周 波 部MODEM : 変 復 調 部ATNルータTDMA : TDMA 制 御 部COM : 通 信 処 理 部VOICE : 音 声 処 理 部図 2 実 験 システム 構 成表 1 実 験 システム 仕 様項 目 仕 様基 本 機 能ICAO SARPs 及 び VDL3 Manual(Doc9805) 準 拠送 信 出 力15 W (42dBm)BER が 悪 化 していくとある 点 から 急 激 に 伝 送 遅 延 時 間が 増 大 した。これは BER の 悪 化 に 伴 い、 受 信 データの 誤 りが 訂 正 不 能 となり 再 送 を 繰 り 返 すことに 起 因 し、データ 長 が 長 い 15seg の 場 合 が 1seg に 比 べてより 大きな 影 響 を 受 けている。図 5は 伝 送 遅 延 時 間 の 定 義 を 示 す。 本 稿 で 言 う 伝 送遅 延 時 間 は、1 送 信 データ 要 求 から4データ 受 信 までの 時 間 とし、ACK の 伝 送 に 要 する 時 間 4-5を 含まない。アップリンク送 信 データデータ 長 : 15seg送 達 確 認 : なし優 先 度 : 0データ 数 : 100送 信 待 機 : 1.5secATTVDL3地 上 局VAR ATTATTVDL3機 上 局図 3 BER 特 性 実 験 構 成ダウンリンク送 信 データデータ 長 : 1 or 15seg送 達 確 認 : 有 り優 先 度 : 0データ 数 : 100送 信 待 機 : なし送 受 信 周 波 数 118~136.975 MHz(25 kHz 間 隔 ・ 室 内 実 験 時 )システムコンフィグレーション136.900 及 び 136.925 MHz( 飛 行 実 験 時 )2V2D 及 び 3V1D最 小 受 信 感 度 -103.2 dBm( 誤 り 訂 正 前 BER=10 -3 時 の 実 測 値 )4. データ 通 信 性 能 基 礎 評 価 ( 室 内 実 験 )VDL3 のデータ 通 信 性 能 に 関 する 基 礎 評 価 を 室 内実 験 で 実 施 した。 評 価 項 目 は、1 受 信 レベル 対 ビットエラーレート(BER)2BER 対 伝 送 遅 延 3BER 対 スループット4データ 優 先 度 別 伝 送 遅 延 ――である。 以 下 、2 及 び4について 結 果 を 説 明 する。なお、VDL3 で 定義 する BER はすべて 誤 り 訂 正 前 の 値 である。4.1 BER 対 伝 送 遅 延ケーブル 接 続 した VDL3 地 上 局 及 び 機 上 局 の 双 方から 繰 り 返 しデータ 送 信 を 行 い、 可 変 減 衰 器 で 受 信 入力 レベルを 段 階 的 に 変 化 させ、BER 対 伝 送 遅 延 時 間を 測 定 した。 地 上 局 からは 15seg 1 のデータを 送 達 確 認(ACK)なしで 送 信 し、 機 上 局 からは 1seg または 15segのデータを ACK ありで 繰 り 返 し 送 信 した。このときの 通信 負 荷 率 は 94% 以 上 であった。実 験 構 成 及 びパラメータを 図 3 に、 測 定 結 果 を 図 4に 示 す。 図 4 のグラフの 緑 の 線 は 15seg のデータ 送 信の 場 合 の、 赤 の 線 は 1seg データ 送 信 の 場 合 の BER に対 する 伝 送 遅 延 時 間 を 示 す。BER が 1x10 -3 よりも 良 好な 状 態 の 伝 送 遅 延 時 間 ( 累 積 95% 値 )は、15seg で 約3.7 秒 、1seg の 場 合 は 約 2 秒 でほぼ 一 定 しているが、1 1seg(segment)はTDMAスロット1 個 分 の 長 さのデータ(62byte)を 示 す。15seg は 62byte×15 個 で 930byte である。Delay (Cumulative95% time) [s]30252015105機 上 局地 上 局15segデータ 送 信 遅 延( 累 積 95% 値 )BER vs Delay (Sleep=1.5 MSG=100)00 1.00E-3 1.00E-2 1.00E-1送 信 データランダムアクセスMバースト 送 信予 約 要 求Mバースト 受 信予 約 割 当BER図 4 BER 対 伝 送 遅 延 グラフ予 約 応 答 受 信Mバースト 受 信予 約 応 答Mバースト 送 信▲1seg 95%15seg 95%1segデータ 送 信 遅 延( 累 積 95% 値 )( 注 意 )1ダウンリンクデータ 送信 の 遅 延 時 間 を 示 す2 通 信 路 上 の 通 信 負荷 率 は94% 以 上3 遅 延 時 間 は 予 約 要求 から 地 上 局 受 信 までの 時 間 ( 送 達 確 認 の 時間 を 含 まない )V/Dバースト 送 信V/Dバースト 送 信総 遅 延 時 間15segデータの 場※ 印合 は15 回 繰 り 返 しデータ 送 信 ※V/Dバースト 受 信V/Dバースト 受 信データ 受 信▲送 達 確 認 受 信V/Dバースト 受 信送 達 確 認V/Dバースト 送 信V/Dバースト 送 信12 34 5遅 延 時 間 ( 送 達 確 認 に 要 する 時 間 を 除 く )図 5 ダウンリンク 伝 送 遅 延 の 定 義4.2 データ 優 先 度 別 伝 送 遅 延次 に 3 種 類 の 優 先 度 を 割 り 当 てたデータを 混 在 させ


て 繰 り 返 し 送 信 した 場 合 の、それぞれの 優 先 度 別 伝 送遅 延 時 間 を 測 定 した。 実 験 構 成 は 図 6 のとおり 1 地 上局 と 3 機 上 局 をケーブル 接 続 し、 機 上 局 毎 にそれぞれ異 なるデータ 優 先 度 を 設 定 した。また、 比 較 のため 全機 上 局 が 同 一 優 先 度 ( 低 )の 場 合 の 測 定 も 行 った。アップリンクATTVDL3地 上 局送 信 データ1 データ 長 : 15seg2 送 達 確 認 : なし3 優 先 度 : 0 ( 低 )4 データ 数 : 1005 送 信 待 機 (sleep):1 ~ 3sec(0.5step )ATTVDL3機 上 局 111 or 152あり3 0 ( 低 )41005なし結 合 器ATTVDL3機 上 局 2ダウンリンク11 or 152あり3 0 ( 低 ) or1 ( 中 )41005なし図 6 優 先 度 別 伝 送 遅 延 実 験 構 成ATTVDL3機 上 局 311 or 152あり3 0 ( 低 ) or2 ( 高 )41005なし4.2.1 負 荷 率 対 伝 送 遅 延図 7 は、1seg データをダウンリンク 通 信 した 場 合 の 負荷 率 毎 のデータ 優 先 度 別 遅 延 時 間 を 示 す。 低 優 先 度データの 伝 送 遅 延 は、 負 荷 率 の 上 昇 に 伴 って 増 大 しているが、 中 及 び 高 優 先 度 データの 伝 送 遅 延 は 一 定している。 低 優 先 度 データのみ 伝 送 遅 延 が 増 大 しているのは、 負 荷 率 を 制 御 するための 地 上 局 からのアップリンクデータの 優 先 度 ( 低 )と 同 じ 優 先 度 のダウンリンクデータのみが、アップリンクデータと 競 合 し 影 響 を 受 けたためと 考 えられる。伝 送 遅 延 (sec)5040302010083.8% 88.7% 92.3% 93.2% 93.9%通 信 負 荷 率 (%)図 7 負 荷 率 対 伝 送 遅 延 グラフ低 優 先 度中 優 先 度高 優 先 度中 優 先 度 の 線 は 高優 先 度 の 線 と 重 なっている4.2.2 伝 送 区 間 別 伝 送 遅 延同 じく1seg データをダウンリンク 通 信 した 場 合 に 要 する 伝 送 遅 延 時 間 について、 伝 送 区 間 別 に 解 析 したところ 図 8 に 示 すグラフが 得 られた。 各 棒 グラフは 3 種 類 の実 験 シナリオごとに 機 上 局 1、2、3 の 順 に 遅 延 時 間 を 示している。シナリオ 6 の 負 荷 率 は 93.2%、シナリオ 10 は83.8%であった。いずれの 結 果 も「2-3 予 約 割 当 」の 部 分 のみが 大きく 変 化 しており、ダウンリンク 通 信 の 伝 送 遅 延 はほぼTDMA スロットの 予 約 割 当 に 要 する 時 間 で 決 まることが分 った。遅 延 時 間 (sec)8.007.006.005.004.003.002.001.000.00低 低 低 低 中 高 低 中 高1 2 3 1 2 3 1 2 31 1 1 6 6 6 10 10 10上 段 :データ 優 先 度 / 中 段 : 機 上 局 No./ 下 段 :シナリオNo.図 8 伝 送 区 間 別 伝 送 遅 延 グラフ5. 音 声 通 信 性 能 基 礎 評 価 ( 室 内 実 験 )4-5 送 達 確 認3-4データ 送 信2-3 予 約 割 当1-2 予 約 要 求室 内 実 験 にて VDL3 音 声 通 信 性 能 に 関 する 基 礎 評価 を 行 った。 評 価 項 目 は、1ボコーダ(vocoder) 2 処 理時 間 2システム(end to end) 遅 延 時 間 3 電 波 干 渉 時 の受 信 音 声 4 音 声 品 質 客 観 的 評 価 ――である。 以 下 、2及 び4について 評 価 方 法 及 び 結 果 を 述 べる。5.1 システム 遅 延 時 間送 信 アナログ 音 声 が VDL3 送 信 機 でデジタル 信 号に 変 換 され、それが VDL3 受 信 機 でアナログ 音 声 に 復号 され 出 力 されるまでの 時 間 (システム 遅 延 時 間 )を 測定 した。VDL3 の 音 声 通 信 におけるシステム 遅 延 時 間の 基 準 値 は、ICAO VDL3 マニュアル [7] で 250ms 以 内であることと 定 められている。図 9 に 測 定 結 果 を 示 す。 結 果 は 208ms であり 基 準 を十 分 満 足 するものであった。5.2 音 声 品 質 (PESQ) 評 価音 声 品 質 を 客 観 的 に 評 価 し MOS 3 値 に 近 似 した 品 質スコアを 得 ることができるとされる PESQ 4 ツールを 使 用して VDL3 の 音 声 品 質 を 評 価 した。 伝 送 区 間 はエラーフリーの 状 態 から BER=4.4%までの 9 種 類 とし、スコアを 比 較 するため、DSB-AM アナログ 対 空 無 線 機 及 び2 voice coder の 略 であり、アナログ 音 声 を 圧 縮 デジタル 符 号 に 変換 し、またはデジタル 符 号 をアナログ 音 声 に 復 元 する。3 Mean Opinion Score 主 観 的 評 価 を 統 計 処 理 し 平 均 評 点 を 得 る4 Perceptual Evaluation of Speech Quality: 音 声 品 質 の 知 覚 的 評価 用 アルゴリズム(ITU-T Recommendation P.862)


携 帯 電 話 についても 評 価 した。 評 価 に 使 用 した 音 声 は、PESQ ツールに 標 準 で 用 意 されているアメリカ 人 による英 語 及 び 日 本 人 による 日 本 語 の 各 3 種 類 、 並 びに 当所 が 作 成 した 男 女 管 制 官 によるサンプル 音 声 ( 管 制 用語 )とした。VDL3をオンライン 評 価 した 際 の 実 験 構 成 は 図 10のとおりであり、PESQ ツールは VoIP の 音 声 品 質 評 価 に使 用 されている Agilent 社 の VQT J1981A を 用 いた。136.9MHzVDL3地 上 局送 信 音 声VDL3 の PESQ LQ(Listening Quality) 5 スコアは 3.12 であり、 現 行 のアナログ 対 空 無 線 機 には 劣 るものの、 第 2世 代 の PDC 方 式 の 携 帯 電 話 よりは 若 干 良 い 結 果 であった。なお、MOS 評 価 の 品 質 スコアでは、3 はまあ 良い(Fair)、4 は 良 い(Good)と 定 義 されている。6. 飛 行 実 験VDL3 の 実 際 の 運 用 環 境 である 飛 行 中 の 航 空 機 と地 上 局 間 のデータ 及 び 音 声 通 信 を 評 価 するため、 当所 の 実 験 用 航 空 機 に VDL3 機 上 局 を 搭 載 し 飛 行 実 験を 行 った。 図 12 は VDL3 機 上 局 の 搭 載 状 況 を 示 す。高 周 波 部VDL3機 上 局受 信 音 声変 復 調 部図 9 システム 遅 延 時 間 測 定 結 果208msシステム 遅 延 時 間TDMA 制 御 部音 声 処 理 部( 最 下 段 )通 信 処 理 部( データ 処 理 部 )通 信 処 理 部( 表 示 部 )図 12 VDL3 機 上 局 搭 載 状 況ATTATT評 価 音 声1PESQ TOOL 標 準 音 声2 管 制 官 による 管 制 用 語VDL3地 上 局VDL3機 上 局三 沢送 信 音 声PESQTOOLAgilent VQT J1981A図 10 音 声 品 質 評 価 実 験 構 成受 信 音 声三 沢 コース岩 沼 地 上 局SDE R100コース仙 台4.504.00大 宮 コース3.50PESQ LQ3.002.50大 宮2.001.501.00Vocoder onlyVDLVDL/BER=0.05%VDL/BER=0.1%VDL/BER=1.0%VDL/BER=1.8%VDL/BER=2.6%VDL/BER=3.0%VDL/BER=3.2%VDL/BER=4.4%機 種 またはBERVHF700/TRV76BVHF22A/TRV76B携 帯 電 話 FOMA携 帯 電 話 PDC調 布 地 上 局図 13 飛 行 経 路再 送 なし再 送 発 生電 波 的 見 通 範 囲図 11 音 声 品 質 評 価 (PESQ LQ) スコアPESQツール 標 準 音 声 による 評 価 結 果 を 図 11に 示 す。5 より MOS 値 に 近 いスコアを 得 るため PESQ のスコア(x)を 次 式により 補 正 した 値 。x>1.7 のときPESQ LQ=-0.157268x 3 +1.386609x 2 -2.504699x+2.023345


VDL3 地 上 局 は、 当 所 岩 沼 分 室 及 び 調 布 本 所 に 設置 し、 図 13 に 示 す 仙 台 空 港 を 中 心 とした 3 本 の 経 路 を飛 行 した。 飛 行 高 度 は、 大 宮 コース FL180、 三 沢 コース FL150、SDE R100 コース 10,500feet とした。 飛 行 実験 では、1 受 信 レベル2BER3 位 相 誤 差 4 伝 送 遅 延5 音 声 品 質 ――の 5 項 目 について 評 価 を 行 った。6.1 受 信 レベル図 14は 大 宮 コースにおける 受 信 レベル 特 性 を 示 す。緑 色 の 線 はアウトバウンド 飛 行 の 場 合 、 赤 色 の 線 はインバウンド 飛 行 時 の 受 信 レベルを 示 し、 紫 色 及 び 青 色の 点 はそれぞれのフレームエラーの 発 生 を 表 している。いずれの 場 合 も 受 信 レベルが-100dBm 以 下 、 岩 沼 地上 局 から 120NM 以 遠 でフレームエラーが 多 発 しているが、これは 計 算 上 の 電 波 的 見 通 し 距 離 (123NM)とほぼ 一 致 している。Sendai Omiya Iwanuma Station ALT=18,000feet-60インバウンド-80線 が 調 布 局 の BER 特 性 であり、それぞれ 3NM 毎 の 区間 平 均 を 表 している。 岩 沼 局 から 24~126NM の 範 囲では 両 者 の BER が 1x10 -3 以 下 であり、どちらの 局 との通 信 も 可 能 である。なお 35NM 付 近 の 調 布 局 の BERの 悪 化 は、 空 中 線 の 放 射 パターンによって 生 じたナルによる 受 信 レベルの 落 ち 込 みが 原 因 と 考 えられる。6.3 伝 送 遅 延図 16 は、 岩 沼 地 上 局 及 び 機 上 局 の 双 方 から 1seg データを 繰 り 返 し 送 信 した 場 合 の、 三 沢 コースにおける伝 送 遅 延 の 距 離 別 グラフである。それぞれ 平 均 値 及び 累 積 95% 値 を 示 している。アップリンク、ダウンリンクとも 140NM 付 近 までは 概ね 一 定 の 伝 送 遅 延 を 維 持 しており、アップリンクの 場 合で0.38 秒 、ダウンリンクの 場 合 で1.23 秒 (いずれも 95%累 積 値 ・ 負 荷 率 53%)であった。 伝 送 遅 延 が 一 定 している 区 間 では、データ 受 信 が 1 回 目 で 成 功 し 再 送 が 発生 していない。なお、このコースの 計 算 上 の 電 波 的 見通 し 距 離 は 144NM であり、これとほぼ 同 等 のデータ 通信 覆 域 を 有 していることが 確 認 できた。RCV Power (dBm)-100-120-60-80-100OutboundInboundOutbound_BFEInbound_BFEアウトバウンド-1200 20 40 60 80 100 120 140 160Distance(NM)図 14 岩 沼 局 受 信 レベル 特 性 ( 仙 台 - 大 宮 間 )Block Frame Errordelay (s)108642010864Up meanUp 95thDown meanDown 95thSendai -> Misawa FL150アップリンク 伝 送 遅 延ダウンリンク 伝 送 遅 延2BER at IwanumaBFE at IwanumaBER at ChofuBFE at ChofuSendai -> Omiya FL1800 20 40 60 80 100 120 140 160Distance(NM)図 16 伝 送 遅 延 ( 仙 台 - 三 沢 間 )Bit Error Rate1.00E-0飛 行 方 向1.00E-11.00E-21.00E-31.00E-41.00E-50 20 40 60 80 100 120 140 160Distance from Iwanuma St. (NM)岩 沼 局調 布 局図 15 BER 特 性 ( 仙 台 - 大 宮 間 )6.2 BER 特 性図 15 は 大 宮 コースの 岩 沼 局 及 び 調 布 局 との 通 信 における BER 特 性 を 示 す。 赤 色 の 線 が 岩 沼 局 、 青 色 のBlock Frame Error6.4 音 声 品 質35 秒 間 を 1 フレームとする 男 女 管 制 官 による 管 制 用語 のサンプル 音 声 を、VDL3 によりアップリンクまたはダウンリンク 伝 送 し、 受 信 した 音 声 品 質 を PESQ ツールで 評 価 した。 図 17 は、 三 沢 コースをアウトバウンド 飛 行した 際 に、 機 上 局 で 受 信 したアップリンク 音 声 をフレーム 毎 に 評 価 した PESQ LQ スコアを 示 す。 評 価 は 岩 沼地 上 局 から 100NM 以 遠 で 行 った。 図 に 示 す 区 間 のPESQ LQ スコアは、 若 干 の 変 動 はあるものの、その 平均 は 3.30 と 高 いスコアが 得 られた。また、 受 信 レベルの 低 下 による BER の 悪 化 のためデータ 受 信 が 不 可 能


になった( 図 17 Frame Error x 部 分 )あとも、 音 声 受 信 はできており、ボコーダの 高 い 誤 り 訂 正 能 力 を 確 認 できた。なお、 飛 行 実 験 で 評 価 した 音 声 品 質 スコアは、PESQ ツール 標 準 のサンプル 音 声 を 使 用 していないため、MOS 値 としては 取 り 扱 うことはできない。PESQ LQ5432Sendai -> Misawa Uplink Voice PESQ LQ190 100 110 120 130 140 150 160Distance(NM)Frame ErrorReceived PowerPESQ LQ図 17 アップリンク 音 声 品 質 スコア( 仙 台 - 三 沢 間 )7. VDL <strong>モード</strong> 2 との 比 較-70-80-90-100-110-120当 所 では 平 成 7 年 度 から 13 年 度 にかけて VDL <strong>モード</strong> 2 の 研 究 を 実 施 し、VDL2 実 験 システムの 開 発 及び 評 価 [8] を 行 っているので、このとき 得 られた VDL2 のデータ 通 信 性 能 の 評 価 結 果 と VDL3 の 結 果 とを 比 較 してみる。 但 し、 同 一 条 件 のもとで 実 験 を 行 っているわけではないため、 当 該 比 較 は 類 似 する 実 験 結 果 を 対 比させたものである。7.1 伝 送 遅 延 時 間VDL2 の 伝 送 遅 延 時 間 は、402byte のデータを 通 信負 荷 率 10%の 環 境 でダウンリンク 伝 送 した 場 合 、4 秒 弱(95% 累 積 値 )、 負 荷 率 が 20%では 6 秒 程 度 の 遅 延 であった。 一 方 、VDL3 は 930byte のデータを 94%の 高負 荷 率 の 環 境 下 でダウンリンク 伝 送 した 場 合 でも、その 遅 延 時 間 は 約 3.7 秒 ( 同 )であった。これは、 両 者 のアクセス 方 式 の 違 いに 起 因 する。VDL2 の CSMA によるアクセス 方 式 は、 他 の 通 信 が 既に 行 われていると、 一 定 時 間 待 ったあと、 再 度 、 送 信 手続 きに 入 るため、 通 信 負 荷 率 がある 程 度 以 上 になると、急 激 に 伝 送 遅 延 が 大 きくなりスループットが 低 下 する。これに 比 べ、VDL3 の TDMA による 予 約 割 当 方 式 では、 高 負 荷 率 の 状 態 でも 極 端 な 遅 延 時 間 の 増 加 にはつながらない。また、VDL3 にはデータの 優 先 度 別 送信 制 御 機 能 も 有 しているため、100%に 近 い 通 信 負 荷率 であっても、 高 優 先 度 のデータは 確 実 な 伝 送 が 保RCV Power (dBm)証 される。7.2 有 効 覆 域VDL2の 飛 行 実 験 においても、VDL3と 同 様 のコースを 同 一 高 度 で 飛 行 し 有 効 覆 域 の 評 価 を 行 っているため、 三 沢 コースにおける 両 データを 比 較 してみた。電 波 的 見 通 し 距 離 144NM に 対 して、SARPs に 規 定する 特 定 誤 り 率 6 を 満 足 する VDL2 の 有 効 覆 域 は120NM、VDL3 は 138NM であった。VDL3 の 覆 域 が15%ほど 広 い 結 果 となっているが、BER の 算 出 単 位 がVDL2 は 10NM、VDL3 は 3NM と 異 なるため、 有 効 覆域 としてはほぼ 同 等 と 考 えられる。 但 し、VDL3 の 誤 り訂 正 能 力 はVDL2よりも 高 い 7 ため、 伝 送 路 が 同 じBER環 境 にある 場 合 には、VDL3 の 方 が 覆 域 は 広 い。8. まとめ以 上 、 当 所 が 開 発 した VDL3 実 験 システムを 使 用 したデータ 通 信 性 能 及 び 音 声 通 信 性 能 の 基 礎 評 価 、 並びに 飛 行 実 験 による 通 信 性 能 評 価 等 の 結 果 について報 告 した。 得 られた 結 果 はいずれも ICAO SARPs の 規定 を 満 足 するものであった。また、 簡 単 ではあるがVDL2 の 評 価 結 果 との 比 較 を 行 い、VDL3 の 優 位 性 を確 認 することができた。今 年 度 は VDL3 の 研 究 の 最 終 年 度 として、 実 験 システムの 一 部 性 能 向 上 、ATN 連 接 実 験 、FAA 開 発 システムとのインターオペラビリティ 評 価 、 飛 行 実 験 を 含 むVDL3 総 合 評 価 、さらに 管 制 官 による VDL3 評 価 等 を計 画 している。参 考 文 献[1] ICAO, ANNEX 10, VOLUME III COMMUNICATIONSYSTEMS, PART I, CHAPTER 6, 2001.[2]北 折 他 , “VDL <strong>モード</strong> 3 の 電 波 干 渉 実 験 ”, 第 3 回 電 子 航 法研 究 所 研 究 発 表 会 講 演 概 要 , pp.5-8, 2003.[3] J.Kitaori, “VDL Mode 3 to DSB-AM Interference Test”, ICAOAMCP WGB/12, 2002.[4] Y.Nakatani, J.Kitaori, “Impacts of Radio Interference on VDLMode 3”, ICAO AMCP WGB/14, 2003.[5] S.Kato, “Development and Evaluation of VDL Mode 3 System inJapan”, ICAO ACP WGM/8, 2003[6]北 折 他 , “VHF デジタルリンク<strong>モード</strong> 3 システムの 基 礎 実 験 ”,電 子 航 法 研 究 所 報 告 , No.108, 2004.[7] ICAO, DOC 9805, Manual on VHF Digital Link (VDL) Mode 3,2002[8]加 藤 他 , “VHF デジタルリンクの 研 究 ”, 要 望 研 究 報 告 , 2002.6 VDL2 は 誤 り 訂 正 後 の BER が 1×10 -4 、VDL3 は 誤 り 訂 正 前BER が 1×10 -3 と 規 定 されている。 両 者 はほぼ 同 等 。7 VDL2はリードソロモン・RS(255,249) 符 号 により 最 大 3byteまで、VDL3 は 同 (72,62)により 5byte まで 誤 り 訂 正 可 能 。

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