Real-time Biplaneの有用性 - 日立メディコ
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論 文<br />
肝 癌 に 対 するラジオ 波 焼 灼 療 法<br />
― <strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Biplaneの 有 用 性 ―<br />
Radio Frequency Ablation of Hepatic Cancer<br />
− Utility of <strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Biplane−<br />
隈 元 修 一<br />
1)<br />
Syuichi Kumamoto 宮 川 勝 也<br />
2)<br />
Katsuya Miyagawa<br />
風 呂 井 彰<br />
3)<br />
Akira Furoi 白 濱 浩 司<br />
3)<br />
Kouji Shirahama<br />
西 田 卓 爾<br />
3)<br />
Takuji Nishida<br />
1)<br />
肝 属 郡 医 師 会 立 病 院 生 理 機 能 検 査 部<br />
2)<br />
肝 属 郡 医 師 会 立 病 院 放 射 線 科<br />
3)<br />
肝 属 郡 医 師 会 立 病 院 外 科<br />
肝 細 胞 癌 (Hepatocellular Carcinoma)の 治 療 において『 肝 癌 診 療 ガイドライン』が2005 年 に 出 版 され、エビデンスに 基 づく 肝<br />
細 胞 癌 の 治 療 とその 選 択 法 に 一 定 の 方 針 が 示 された 1) 。 近 年 、 経 皮 的 局 所 療 法 においては、エタノール 注 入 療 法 に 代 わりラジオ 波<br />
焼 灼 療 法 (RFA)が 頻 用 されているが、 装 置 の 進 歩 に 伴 い 以 前 に 比 べてより 正 確 に、また、より 安 全 な 範 囲 を 熱 変 性 させることが<br />
可 能 となってきている。<br />
本 稿 では、HI VISION 900のアプリケーションのひとつである<strong>Real</strong>- <strong>time</strong> BiplaneがRFAにおいて 安 全 性 ・ 正 確 性 を 向 上 さ<br />
せると 考 えられることからその 有 用 性 について 述 べる。<br />
“Guide line for hepatic cancer medicine”regarding the treatment of hepatocellular carcinoma was published in 2005,<br />
and a definite guideline was presented in the treatment and its selection method of hepatocellular carcinoma based upon<br />
evidences.<br />
In recent years, the radio frequency ablation (RFA) is frequently used instead of the ethanol injection treatment in<br />
percutaneous local treatment, and in keeping up with the progress of the equipment, this method has made it possible to<br />
conduct thermal denature more accurately and in more extended safety area as compared with those in the past.<br />
This paper describes about the utility of the <strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Biplane, one of the HI VISION 900 applications, since it is<br />
considered to improve the safety and accuracy in the RFA treatment.<br />
Key Words: Hepatocellular Carcinoma, <strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Biplane, Radiofrequency Ablation<br />
1.はじめに<br />
肝 細 胞 癌 の 治 療 において『 肝 癌 診 療 ガイドライン』が2005<br />
年 に 出 版 されエビデンスに 基 づく 肝 細 胞 癌 の 治 療 とその 選 択<br />
法 に 一 定 の 方 針 が 示 されたが、その 中 で 肝 細 胞 癌 の 治 療 は1<br />
肝 切 除 術 2 経 皮 的 局 所 療 法 3 肝 動 脈 塞 栓 療 法 4 肝 移<br />
植 の4つが 推 奨 されている。<br />
大 別 される 治 療 法 の 選 択 基 準 として 肝 細 胞 癌 治 療 アルゴリ<br />
ズムが 推 奨 されており、 局 所 療 法 の 治 療 の 対 象 となるのは 肝<br />
障 害 度 がA、Bで 腫 瘍 数 が 単 発 ~ 2、3 個 の3cm 以 内 (グレー<br />
ドB: 少 なくともレベル2のエビデンスがある)と 記 載 されて<br />
いる 1) 。<br />
肝 癌 に 対 するRFA(Radiofrequency Ablation)は2004 年<br />
4 月 に 保 険 適 用 となったが、2003 年 10 月 に 大 阪 府 で 開 かれた<br />
日 本 肝 臓 学 会 のワークショップ「 肝 がんに 対 する 局 所 療 法 の<br />
長 期 予 後 ― 肝 切 除 との 比 較 」では、 近 畿 大 学 付 属 病 院 や 大 阪<br />
赤 十 字 病 院 ( 大 阪 市 )、 国 立 病 院 機 構 九 州 医 療 センター( 福 岡<br />
市 )など、 全 国 11の 施 設 が 約 8,600 例 のデータを 持 ち 寄 って 局<br />
所 療 法 と 切 除 の 成 績 を 比 較 、 検 討 している。その 結 果 、 小 型<br />
の 癌 で 単 発 、 直 径 2センチ 以 下 の 場 合 、1 施 設 で 局 所 療 法 の 方<br />
が 切 除 より 良 いと 出 たが、 残 る10 施 設 はすべて 差 はなし、 直<br />
径 2 ~ 3センチでは、2 施 設 で 切 除 が 上 回 るとしたが、ほかは<br />
差 がなかったと 報 告 された。<br />
しかし、 肝 癌 は 再 発 が 多 い 点 が 問 題 で、 肝 硬 変 がある 限 り<br />
年 率 5%~ 7%で 癌 が 発 症 すると 言 われている。 一 度 癌 ができ<br />
た 後 は 再 発 率 が 年 15%に 達 し、 再 発 の 繰 り 返 しが 多 い。<br />
また、 再 発 が 確 認 されたあとの 治 療 に 関 しては 局 所 療 法 に<br />
2)<br />
比 べ 再 肝 切 除 の 治 療 成 績 が 優 れているという 報 告 もある<br />
が、 近 年 装 置 の 進 歩 に 伴 い 以 前 に 比 べてより 正 確 に、また、よ<br />
り 安 全 な 範 囲 を 熱 変 性 させることが 可 能 となってきている。<br />
さらに 最 近 では<strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Virtual Sonography( 以 下 RVS) 3)<br />
や 造 影 超 音 波 を 用 いたRVS 下 RFA 4) などは 注 目 を 浴 び 多 く<br />
の 施 設 で 検 討 され 臨 床 的 な 有 用 性 を 高 めている。 今 回 当 院 に<br />
導 入 した 日 立 メディコ 製 HI VISION 900のアプリケーショ<br />
〈MEDIX VOL.52〉 27
ンである<strong>Real</strong>- <strong>time</strong> Biplane( 以 下 RTBi)は、RFAにおける<br />
安 全 性 と 正 確 性 を 向 上 させると 考 えられることからその 有 用<br />
性 について 述 べる。<br />
2. 装 置 の 概 要<br />
2009 年 5 月 当 院 導 入 となった 超 音 波 診 断 装 置 HI VISION<br />
900( 図 1)は、 基 本 性 能 としてHI REZ ※1 、HdTHI ※2 、HI<br />
Compound、HI Zoom、Fine Flow ※3 、そしてオプション 機<br />
能 として<strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Virtual Sonography ※4 、<strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Tissue<br />
Elastography ※5 、Sonazoid 造 影 剤 に 適 応 したコントラス<br />
ト 機 能 、<strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Biplaneを 搭 載 しており 検 査 の 品 質 を 高<br />
めている。 特 にHdTHIにおいては、これまで 利 用 できなかっ<br />
た 低 周 波 結 合 波 を 取 り 扱 える 周 波 数 帯 域 に 加 え、Harmonic<br />
信 号 を 極 限 まで 広 域 帯 化 し 画 像 化 することができ、dTHIよ<br />
りさらに 分 解 能 と 深 部 感 度 が 向 上 しており、これまでにない<br />
鮮 明 な 画 像 を 提 供 してくれることから 大 変 重 宝 している。ま<br />
たFine Flowは、 高 フレームレートで 高 精 細 なカラー 表 示 が<br />
できることから、 通 常 のカラー 表 示 よりも 血 管 からのはみ 出<br />
しが 少 なく 微 細 血 流 の 表 示 が 可 能 となっている。<br />
中 でもRTBiは 標 準 的 な 探 触 子 2 本 を 使 用 してその 名 の 通<br />
りリアルタイムにバイプレーン 表 示 するというもので、 例 えば<br />
穿 刺 用 探 触 子 と 標 準 コンベックス 探 触 子 を 組 み 合 わせて 穿 刺<br />
用 探 触 子 でRFA 治 療 を 行 いながら 標 準 コンベックス 探 触 子 で<br />
別 のアプローチを 行 い 焼 灼 範 囲 を 観 察 することができる。<br />
3.1 RTBiの 特 徴<br />
RTBiの 最 大 の 特 徴 は、2 本 のプローブを 使 用 し 肝 腫 瘍 に 対<br />
し 別 々の 角 度 から 同 時 に 観 察 できることである( 図 2)。 詳 しく<br />
言 えば、 肋 間 走 査 と 肋 骨 弓 下 走 査 の2 方 向 から 結 節 を 観 察 す<br />
ることができるため 結 節 の 位 置 と 周 囲 の 状 況 を 立 体 的 に 捉 え<br />
ることが 可 能 となる。<br />
もちろん 結 節 のみに 限 らず、 周 囲 組 織 、 消 化 管 、 血 管 走 行<br />
等 の 把 握 も2 方 向 でリアルタイムに 観 察 できることから、より<br />
安 全 に、より 正 確 に、そしてより 安 心 してRFAを 行 うことが<br />
できる( 図 3)。<br />
図 2:RTBiのイメージ( 日 立 メディコ 提 供 )<br />
穿 刺 用 探 触 子 と 標 準 コンベックス 探 触 子 で 同 時 に 超 音 波 をあて<br />
結 節 をdetectしているイメージ 図 である。 別 々の 角 度 から 結<br />
節 を 観 察 することができRFA 治 療 においてより 詳 細 な 情 報 が<br />
得 られる。<br />
図 1:HI VISION 900<br />
3. 肝 癌 領 域 へのRTBiの 適 用 と 実 際<br />
当 院 では 肝 細 胞 癌 ( 以 下 HCC)に 対 して 先 ず 経 カテーテル 的<br />
動 脈 塞 栓 療 法 :Transcatheter Arterial Embolization( 以 下<br />
TAE)を 行 い、その 後 治 療 効 果 判 定 で 不 十 分 な 可 能 性 や 明 らか<br />
な 残 存 部 が 確 認 された 際 にRFAを 行 うことを 検 討 している。<br />
RFAに 対 しては、まず 超 音 波 で 病 変 部 の 観 察 が 可 能 であ<br />
るか、 観 察 可 能 であれば 肝 内 の 病 変 部 の 位 置 、 大 きさ 等 の 詳<br />
細 な 情 報 収 集 を 行 う。またCT・MRI、ラボデータといった 他<br />
のmodalityも 含 め 治 療 計 画 を 立 てている。<br />
ひとくちにRFAといっても 腫 瘍 の 位 置 、 大 きさ、 数 、また<br />
超 音 波 診 断 装 置 の 種 類 によってもやり 方 が 異 なってくる。<br />
図 3: 術 中 のイメージ<br />
左 下 の 探 触 子 が 穿 刺 用 探 触 子 (EUP-B512)で 右 上 の 探 触 子 が<br />
標 準 コンベックス 探 触 子 (EUP-C715)である。<br />
3.2 結 節 の 中 心 を 捉 える<br />
結 節 の 中 心 をとらえることができない、またはオーバー<br />
ラップ 穿 刺 法 などにおいて 狙 ったポイントから 外 れたことに<br />
気 付 かずそのままablationすることは、 局 所 再 発 の 可 能 性 が<br />
高 くなることはもちろん、 結 節 周 囲 の 消 化 管 や 胆 のうなどを<br />
熱 損 傷 させ、 経 皮 的 低 侵 襲 治 療 とされているRFAの 特 徴 が<br />
失 われてしまいかねない。<br />
28 〈MEDIX VOL.52〉
ターゲットを 別 々の 角 度 からとらえることができるため、<br />
結 節 の 中 心 をとらえることができているか、 目 標 の 結 節 の 位<br />
置 に 穿 刺 針 の 先 端 があるのかなど、 結 節 をいわば 立 体 的 にと<br />
らえることができ、より 多 くの 情 報 が 得 られる。<br />
これこそRTBiの 利 点 であるが、 実 際 にRTBiを 使 用 した<br />
RFAを 行 うときにどのようなことを 行 っているか、 当 院 での<br />
やり 方 を 紹 介 する。<br />
3.3 RTBiの 注 意 点<br />
RTBiでは、 超 音 波 で 肋 間 走 査 および 肋 骨 弓 下 走 査 の 両 方<br />
で 同 定 が 可 能 であることが 前 提 である。 同 時 に 結 節 が 球 状 で<br />
存 在 しているのか、そうでないのかなど、 結 節 の 形 状 も 事 前<br />
に 確 認 しておく。<br />
またスタッフの 確 保 も 重 要 で、 穿 刺 用 探 触 子 で 穿 刺 を 行 う<br />
医 師 、 標 準 コンベックス 探 触 子 で 肋 骨 弓 下 走 査 を 行 いリアル<br />
タイムBモード 画 像 を 提 供 する 技 師 、 超 音 波 診 断 装 置 の 設 定<br />
を 行 う 技 師 や 看 護 師 、 超 音 波 造 影 剤 を 取 り 扱 う 看 護 師 や 麻 酔<br />
担 当 医 ( 当 院 では 全 身 麻 酔 下 に 行 っている)も 必 要 である。<br />
それぞれのスタッフがRFAの 全 体 的 な 流 れを 把 握 し 責 任 感<br />
を 持 ち 個 々のスキルアップとその 役 割 を 十 分 に 発 揮 すること<br />
が 重 要 で、スタッフ 間 の 連 携 が 必 要 なことは 言 うまでもない。<br />
め 予 測 しておき 術 中 に 混 乱 を 招 くことのないよう 注 意 する。<br />
3.7 全 身 麻 酔 下 で 行 うメリット<br />
(1) 吸 気 ・ 呼 気 においての 結 節 の 見 え 方 の 違 いをコントロール<br />
できるため、 静 止 した 結 節 をターゲットにできる。 特 に 結 節<br />
が 深 部 になれば、 呼 吸 による 結 節 の 動 きがより 大 きくなる。<br />
(2) 穿 刺 中 の 呼 吸 による 肝 の 動 きを 抑 制 することで 穿 刺 中 の<br />
RFAニードルの 直 進 ルートを 確 保 できる。<br />
(3) 局 所 麻 酔 を 控 えることができるため、 穿 刺 部 付 近 の 画 質<br />
の 向 上 につながる。<br />
4.RTBiでRFAを 実 施 したHCCの 治 療 例<br />
( 展 開 針 使 用 時 )<br />
当 院 においてRTBiを 用 いてRFAを 実 施 したHCCの 治 療<br />
例 ( 展 開 針 使 用 時 )を 図 4 ~ 図 8に 示 す。 図 4 ~ 図 6は 超 音 波 画<br />
像 、 図 7、 図 8はCT 画 像 である。<br />
3.4 術 前 での 結 節 の 情 報 収 集<br />
術 前 検 査 において 結 節 の 大 きさ、 位 置 、 形 状 、 数 、 近 辺 の<br />
血 管 や 臓 器 との 位 置 関 係 とその 距 離 等 の 確 認 を 十 分 行 う。<br />
結 節 の 形 状 が 円 形 でない、もしくは3cm 以 上 の 大 きな 結 節<br />
の 場 合 オーバーラップ 穿 刺 法 などの 方 法 でablationを 検 討 す<br />
る。(この 時 点 で 結 節 が 肋 骨 弓 下 と 肋 間 走 査 の 両 Bモードエ<br />
コー 下 において 描 出 不 良 、ターゲットが 明 確 でない 等 の 問 題<br />
があれば 他 の 方 法 での 検 討 を 進 める)<br />
3.5 穿 刺 担 当 者<br />
穿 刺 用 探 触 子 での 操 作 は 通 常 通 り 行 うが、 同 時 に 標 準 コン<br />
ベックス 探 触 子 での 操 作 画 面 にも 目 を 配 りながら 結 節 までの<br />
アプローチを 行 う。<br />
図 4:Pre RFA<br />
Bモードを 用 い 左 半 分 が 穿 刺 用 探 触 子 (EUP-B512)での 肋 間 走 査 画<br />
面 右 半 分 が 肋 骨 弓 下 走 査 での 標 準 コンベックス 探 触 子 (EUP-C715)<br />
両 画 面 においてhaloを 伴 った 結 節 (HCC)が 明 瞭 に 観 察 できる。<br />
3.6 標 準 コンベックスでアプローチを 行 う 担 当 者<br />
肋 骨 弓 下 走 査 についても 通 常 通 り 結 節 が 球 状 であれば、 直<br />
径 が 最 大 径 で 血 管 走 行 と 周 囲 臓 器 との 位 置 や 距 離 を 観 察 し、<br />
境 界 がなるべく 明 瞭 となるよう 描 出 する。<br />
例 ) 穿 刺 ラインはどの 方 向 からなのか?<br />
結 節 に 隣 接 している 大 きな 血 管 はないか?<br />
肺 や 十 二 指 腸 との 位 置 と 距 離 は?<br />
結 節 は 最 大 径 となっているか?<br />
穿 刺 者 が 穿 刺 を 行 う 際 邪 魔 にならないか?<br />
穿 刺 された 際 中 心 を 捉 えているか?<br />
* ここで 注 意 したいことは 標 準 コンベックス 下 においての 穿<br />
刺 針 の 見 え 方 が 結 節 の 位 置 と 穿 刺 のアプローチの 仕 方 によ<br />
りそれぞれ 異 なってくることである。その 時 々のアプローチ<br />
による 標 準 コンベックス 下 での 穿 刺 針 の 見 え 方 をあらかじ<br />
図 5:Development needle<br />
Boston Scientificの 展 開 針 が 左 半 分 の 穿 刺 用 肋 間 走 査 におい<br />
ては 結 節 の 下 縁 から 持 ち 上 げるように 描 出 され、 右 半 分 の 肋 骨<br />
弓 下 走 査 においては 結 節 を 取 り 囲 むように 針 が 展 開 されている<br />
様 子 がわかる。<br />
〈MEDIX VOL.52〉 29
5.まとめ<br />
図 6:Post RFA<br />
結 節 が 焼 灼 されている 様 子 が 肋 間 走 査 と 肋 骨 弓 下 走 査 の 両 方 向<br />
から 観 察 できる。<br />
当 院 におけるRFAにおいてRTBiを 使 用 した 経 皮 的 局 所 療<br />
法 を 紹 介 したが、 大 切 なことはBモードにおいてしっかり<br />
ターゲットとなる 結 節 と 周 囲 の 状 況 の 観 察 ができること、さ<br />
らに 穿 刺 針 がよく 見 えることである。<br />
現 在 活 用 しているHI VISION 900はこのBモード 画 像 に<br />
おいて 鮮 明 な 画 像 を 提 供 してくれる。この 装 置 は 超 音 波 診 断<br />
装 置 のラインナップにおいて 最 高 機 種 で、 基 本 性 能 としても<br />
高 スペックな 装 置 である。リアルタイムBモード 画 像 は、<br />
HdTHIの 技 術 開 発 等 によって 超 音 波 におけるスペックルノ<br />
イズが 極 力 抑 えられ 良 好 な 画 質 となり、 病 変 を 明 瞭 に 描 出 で<br />
きるようになってきている。さらにRFAにおいてRTBiは、そ<br />
れまで 弱 点 とも 言 えるBモード2 次 元 画 像 をカバーし 他 の 角 度<br />
からも 同 時 に 観 察 することにより3 次 元 的 画 像 を 可 能 にした。<br />
当 院 ではRFAにおいてRTBiをはじめ 他 の 方 法 での 選 択 肢<br />
も 考 慮 しているが、 肋 間 走 査 と 肋 弓 下 走 査 が 両 方 とも 明 瞭 に<br />
観 察 できない 結 節 、 局 所 再 発 部 位 のareaやRFA 後 の 凝 固 不<br />
十 分 領 域 のareaに 対 しては、RTBiに 固 執 する 必 要 はなく、<br />
結 節 の 状 況 に 応 じた 最 善 の 方 法 を 選 択 したいと 考 えている。<br />
最 後 に、 肝 癌 に 対 し 経 皮 的 局 所 療 法 のRFAは 今 後 、 穿 刺<br />
針 の 新 たな 開 発 やさまざまなエビデンスにより 適 応 も 変 化 し<br />
ていくことが 考 えられる。これまで 紹 介 してきたようにター<br />
ゲットの 特 徴 に 応 じてRTBiを 含 めたRFA 治 療 というもの<br />
が、 今 後 より 多 くの 医 療 施 設 において 活 躍 していくことを 期<br />
待 したい。<br />
また、 肝 癌 に 限 らず 他 の 領 域 への 活 用 や 応 用 ができないか<br />
などの 検 討 も 行 っていきたいと 考 えている。<br />
図 7:Pre RFA<br />
TAEでリピオドール ※6 注 入 後 のHCC<br />
※1 HI REZ、※2 HdTHI、※3 Fine Flow、※4 <strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Virtual<br />
Sonography、※5 <strong>Real</strong>-<strong>time</strong> Tissue Elastographyは 株 式 会 社<br />
日 立 メディコの 登 録 商 標 です。<br />
※6 リピオドールは 仏 国 ゲルベ 社 の 登 録 商 標 です。<br />
参 考 文 献<br />
1) 科 学 的 根 拠 に 基 づく 肝 癌 診 療 ガイドライン2005 年 版<br />
金 原 出 版 株 式 会 社 .<br />
2) 高 橋 道 郎 , ほか : 消 化 器 疾 患 最 新 の 治 療 2009-2010 肝 細<br />
胞 癌 . 南 江 堂 .<br />
3) 岩 崎 隆 雄 , ほか : 肝 癌 に 対 するラジオ 波 焼 灼 療 法 と<strong>Real</strong><strong>time</strong><br />
Virtual Sonography. MEDIX, 40 : 4-9, 2004.<br />
4) 小 林 功 幸 , ほか : 肝 癌 に 対 するソナゾイド 造 影 剤 超 音 波<br />
ボリュームデータを 用 いた RVS 下 ラジオ 波 焼 灼 療 法 .<br />
MEDIX, 49 : 10-13, 2008.<br />
図 8:Post RFA<br />
RTBiでRFAを 行 った 後 のHCC<br />
30 〈MEDIX VOL.52〉