1 番号 影響 014 大項目 急性障害 中項目 生殖系 小項目 不妊 タイトル ...

番 号 影 響 014大 項 目 急 性 障 害中 項 目 生 殖 系小 項 目 不 妊タイトル 急 性 照 射 による 雄 生 殖 細 胞 の 変 化 と 回 復Effects of acute irradiation on concentrations andmolphological aberrations of sperms in monkey and hamsterキーワード 精 子 数 、 精 子 の 形 態 異 常 、カニクイザル、ハムスター概 要精 巣 の 精 原 細 胞 は 放 射 線 感 受 性 が 高 く、 急 性 被 ばくにより、 精 子 数 が 減 少 することが 知られている。 生 殖 細 胞 の 反 応 を 調 べるために、カニクイザルおよびゴールデンハムスターの 雄 性 生 殖 細 胞 の 精 子 濃 度 とサルの 精 子 頭 部 形 態 的 異 常 の 出 現 頻 度 を 調 べた。精 子 濃 度 は、 精 巣 に1~3Gy 急 照 射 後 、 精 子 濃 度 は、サルでは 14-17 週 目 、ハムスターでは6 週 目 に 最 小 値 となったが、その 後 回 復 した。 精 子 濃 度 の 最 小 値 と 線 量 の 間 の 相関 は、ハムスターでは 明 瞭 であったが、サルでは 必 ずしも 明 瞭 ではなかった。サルの 精 子 頭 部 形 態 異 常 は、 精 子 濃 度 の 減 少 よりも 早 く 現 れ、 照 射 後 6~8 週 目 に 最 高値 を 示 したが、16~20 週 目 にはほぼ 照 射 前 のレベルにまで 回 復 した。 頭 部 形 態 異 常 精 子の 出 現 頻 度 ( 最 高 値 )は、0~2Gy までは 線 量 に 比 例 して 直 線 的 に 増 加 した。精 子 濃 度 の 変 動 は、 雄 性 生 殖 細 胞 の 放 射 線 障 害 と 回 復 の 指 標 として 利 用 可 能 であると 思われる。詳 細精 巣 内 で 精 子 形 成 を 担 う 細 胞 の 中 で 精 原 細 胞 は 放 射 線 の 感 受 性 が 高 く、 放 射 線 の 急 性 被ばくにより、 線 量 によっては 精 子 数 が 減 少 する。 国 内 における 放 射 線 被 ばく 事 故 でも、 一時 的 な 精 子 数 の 減 少 が 見 られたことが 知 られている。このようなヒトの 生 殖 細 胞 の 反 応 を解 析 するためのモデル 実 験 系 としてカニクイザルとゴールデンハムスターを 用 い、 雄 性 生殖 細 胞 の 放 射 線 照 射 後 の 精 子 濃 度 と 精 子 頭 部 の 形 態 的 異 常 を 経 時 的 に 調 べた。カニクイザルの 雄 の 精 巣 にセシウム 137γ 線 ( 精 巣 局 部 照 射 、0.25 Gy/ 分 )またはX 線 急 照 射 ( 精 巣 局 部 照 射 、0.32Gy/ 分 )を 1、2、3Gy 照 射 した。その 後 、 経 時 的 に電 気 射 精 により 精 液 を 採 取 し、1 精 子 濃 度 および 2 精 子 形 態 異 常 ( 頭 部 の 形 態 的 異 常 など)の 出 現 頻 度 を 測 定 した。またゴ-ルデンハムスタ-の 精 巣 にX 線 を 照 射 (0.47-0.48 Gy/ 分 )した 後 、 経 時 的に 精 巣 上 体 尾 部 を 採 取 し、 液 体 培 地 の 入 ったホ-ルグラス 内 に 入 れてハサミで 細 切 し、 精子 懸 濁 液 を 作 成 して、 精 子 濃 度 を 測 定 した。(1) カニクイザルの 雄 性 生 殖 細 胞 の 放 射 線 感 受 性カニクイザルの 精 子 濃 度 は 照 射 (1~3 Gy) 後 、 経 時 的 に 減 少 し14~17 週 目に 最 低 となったが、その 後 、 緩 やかに 回 復 し、 照 射 後 約 36~41 週 目 には 照 射 前 の1

レベルにまで 回 復 した( 図 1)。照 射 後 にカニクイザルの 精 子 に 見 られた 頭 部 形 態 異 常 の 出 現 頻 度 は、 照 射 後 6~8週 目 に 最 高 を 示 したが、その 後 次 第 に 減 少 し、 照 射 後 16~20 週 でほぼ 照 射 前 のレベルにまで 回 復 した( 図 2)。 頭 部 形 態 異 常 精 子 の 出 現 頻 度 ( 最 高 値 )は、2Gy までは 線 量 に 比 例 して 直 線 的 に 増 加 した( 図 3)。(2) ハムスターの 雄 生 殖 細 胞 の 放 射 線 感 受 性2 Gy のX 線 を 照 射 されたゴ-ルデンハムスタ-の 精 子 濃 度 は6 週 目 に 最 低 値 を 示し、その 後 、9 週 目 以 降 に 対 照 レベルにまで 回 復 した( 図 4)。また 精 子 濃 度 は0.5~3 Gy の 線 量 域 で 線 量 の 増 加 にともない 直 線 的 に 低 下 する 傾 向 が 認 められた( 図5)。以 上 の 結 果 から、 放 射 線 精 巣 局 部 への 放 射 線 急 照 射 (1~3Gy) 後 の 精 子 濃 度 の 減 少 と精 子 頭 部 形 態 異 常 の 増 加 は 一 過 性 であり、 一 定 の 期 間 を 経 て 精 子 形 成 が 再 開 して 照 射 前 のレベルに 回 復 することが 分 かった。このことから 精 子 濃 度 の 変 動 は、 雄 性 生 殖 細 胞 の 放 射線 障 害 と 回 復 の 指 標 として 利 用 可 能 であると 思 われる。図 表(Okamoto: J.Reprod.Develop., 40 (1994) より)2

3(Kitazume et al.: J.Radiat.Res., 29 (1988) より)2(Kitazume et al.: J.Radiat.Res., 29 (1988) より)45(Okamoto: Exp. Anim., 41 (1992) より)(Okamoto: Exp. Anim., 41 (1992) より)3

文 献1. Kitazume,M.,Okamoto,M. and Nakai,S. Abnormal sperm in crab-eatingmonkeys after acute testicular γ-irradiation. J. Radiat. Res., 29, (1988),97-103.2. Okamoto, M, Fertilizing Ability In Vitro of Golden Hamster Spermatozoa afterAcute Testicular X-irradiation , Exp. Anim., 41,1,(1992), 33-38.3. Okamoto, M, Annual Sperm Concentration Variation in Semen Collected byElectroejaculation in the Cynomologus Monkey, Exp. Anim, 43, 1, (1994),25-31.4. Okamoto, M, Decrease and Recovery of Ejaculated Sperm Concentrationafter Acute testicular Gamma-Ray Irradiation in Cynomolgus Monkeys(Macaca Fascicularis), J. Reprod. Develop., 40, (1994), 207-212.4