なぜ消費者は流行が終わったと感じるのか - C-faculty - 中央大学

たがって、 以 下 の 仮 説 を 提 唱 する。
前 田 芽 美
H1 : 流 行 に 敏 感 な 人 の「 知 覚 新 奇 性 」は「 知 覚 流 行 終 息 度 」に 負 の 影 響 を 与 える。
H2 : 流 行 に 鈍 感 な 人 の「 知 覚 新 奇 性 」は「 知 覚 流 行 終 息 度 」に 負 の 影 響 を 与 える。
H3 : 流 行 に 鈍 感 な 人 より、 流 行 に 敏 感 な 人 の 方 が、「 知 覚 新 奇 性 」が「 知 覚 流 行 終 息
度 」に 強 い 負 の 影 響 を 与 える。
前 節 で 説 明 したトリクルダウン・セオリーでは、 自 分 より 下 位 グループに 模 倣 される
と、 上 位 グループは 下 位 グループとの 差 別 化 のための 工 夫 をする。つまり、 消 費 者 は 自
分 よりも 流 行 に 鈍 感 だと 感 じている 他 人 が 流 行 している 製 品 を 使 用 し 始 めると、 流 行 の
終 わりを 知 覚 すると 考 えられる。そしてその 傾 向 は、 模 倣 される 立 場 にある 上 位 グルー
プほど、つまり 流 行 に 敏 感 な 人 々ほど 強 いと 考 えられる。したがって、 以 下 の 仮 説 を 提
唱 する。
H4 : 流 行 に 敏 感 な 人 にとって、「 流 行 に 鈍 感 な 人 への 普 及 感 」は、「 知 覚 流 行 終 息 度 」
に 正 の 影 響 を 与 える。
H5 : 流 行 に 鈍 感 な 人 にとって、「 流 行 に 鈍 感 な 人 への 普 及 感 」は、「 知 覚 流 行 終 息 度 」
に 正 の 影 響 を 与 える。
H6 : 流 行 に 鈍 感 な 人 より、 流 行 に 敏 感 な 人 の 方 が、「 流 行 に 鈍 感 な 人 への 普 及 感 」が
「 知 覚 流 行 終 息 度 」に 強 い 正 の 影 響 を 与 える。
加 藤 (2003) は、 消 費 者 は 社 会 と 他 者 のつながりによって 自 分 の 購 買 の 妥 当 性 を 判 断
するとした。その 上 で、 多 くの 購 買 行 動 は、 世 間 で 話 題 になっている 製 品 の 消 費 に 自 分
も 参 加 して、 大 衆 の 仲 間 入 りをしたいという 共 鳴 によって 起 こると 述 べている。 個 人 と
して 行 動 する 場 合 よりも、 大 衆 の 中 の 一 員 として 行 動 する 方 が、 個 人 的 な 責 任 を 問 われ
ないため、 消 費 者 は、 大 衆 の 中 の 方 が 気 軽 に 行 動 できるのである。 加 藤 は、それが 消 費
者 の 流 行 参 加 意 図 につながるとしている。つまり、 周 囲 の 人 間 がその 製 品 を 使 用 してい
れば、 自 分 も 使 用 したくなり、また、 皆 が 使 用 しているから 堂 々と 自 分 も 使 用 できると
いうことである。 水 野 (2009) が 指 摘 するように、 流 行 の 機 能 は 社 会 的 な「 安 全 シェル
ター」なのである。そのため、 周 囲 の 人 間 が 流 行 している 製 品 を 使 用 しなくなったと 感
じると、そのシェルターからはじき 出 されることを 恐 れた 消 費 者 は、 流 行 が 終 わったと
知 覚 すると 考 えられる。
また、 購 買 選 択 時 に 他 者 の 影 響 を 強 く 受 ける 消 費 者 は、 購 買 選 択 時 の 意 思 決 定 におい
て、 自 身 の 基 準 だけでなく、 時 に 友 人 ・ 知 人 といった 他 者 の 基 準 を 参 考 にする ( 三 浦 ,
2008)。これは 裏 を 返 せば、 購 買 選 択 時 に 他 者 の 影 響 を 受 けにくい 消 費 者 ( 情 報 を 発 信
する 側 、すなわち 採 用 者 カテゴリーでいえばイノベーターやアーリーアダプター) は、
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