なぜ消費者は流行が終わったと感じるのか - C-faculty - 中央大学

前 田 芽 美
4. 調 査 方 法
前 節 で 提 唱 された 仮 説 の 経 験 的 妥 当 性 をテストするために、 都 内 私 立 大 学 の 学 生 を 対
象 に 質 問 票 調 査 を 行 った。 調 査 対 象 を 大 学 生 に 絞 ったのは、できるだけ 年 齢 層 の 幅 を 狭
めるためである。 年 齢 が 近 い 方 が、 流 行 に 対 する 直 観 的 な 視 点 が 似 ていると 考 えられる。
もちろん、 今 回 用 いる 多 母 集 団 同 時 分 析 という 分 析 技 法 上 、 調 査 対 象 の 流 行 に 対 する 感
度 の 差 はある 方 が 好 ましい。しかし、 例 えば 50 代 と 20 代 では 時 代 的 な 経 験 が 異 なる。
体 験 してきた 社 会 的 歴 史 が 大 きく 違 うと、 余 計 なバイアスがかかってしまうかもしれな
い。 同 じ 世 代 を 調 査 対 象 とすることで、そのようなバイアスを 回 避 できるため、ある 程
度 の 統 制 をした 方 が 有 意 な 結 果 が 示 されると 判 断 した。 調 査 の 題 材 には「 食 べるラー 油 」
を 用 いることにした。 選 定 理 由 としては、『 日 経 ヒット 商 品 番 付 1971-2010』 7 に、2010
年 のヒット 商 品 として 掲 載 されており、2012 年 現 在 でこの 商 品 に 関 して、まだ 流 行 し
ていると 感 じる 消 費 者 と、もう 流 行 が 終 わったと 感 じる 消 費 者 の 両 方 が 存 在 すると 考 え
られるためである。 測 定 尺 度 の 作 成 にあたっては、すべての 項 目 について 筆 者 が 独 自 に
開 発 した。
調 査 設 計 の 妥 当 性 の 吟 味 のため、 東 京 都 内 に 通 う 大 学 生 を 対 象 にプリテスト (n=20)
を 行 った 後 、 質 問 票 の 質 問 文 の 更 なる 検 討 、 測 定 尺 度 の 調 整 が 行 われた。
本 テストはプリテスト 同 様 、 東 京 都 内 に 通 う 大 学 生 を 対 象 に 質 問 票 を 用 いた 調 査 を 行
った。なお、 調 査 期 間 は、2012 年 1 月 5 日 ~1 月 11 日 までとし、 質 問 票 については、
紙 面 と WEB 上 で 作 成 したものを 併 用 した。 回 収 された 質 問 票 から、 欠 損 値 のあるもの
や 著 しく 回 答 に 隔 たりのあるものはなく、 有 効 回 答 は 384 ( 有 効 回 答 率 100%) であった。
5. 分 析 結 果
図 1 に 示 されたモデルを、IBM SPSS Statistics 19 及 び Amos 19.0 を 用 いて 共 分 散 構 造
分 析 によって 経 験 的 妥 当 性 を 吟 味 した。 具 体 的 には、 消 費 者 を「 流 行 に 敏 感 / 鈍 感 」に
分 類 し、 多 母 集 団 の 同 時 分 析 を 行 った。なお、「 流 行 に 敏 感 / 鈍 感 」の 分 類 は 質 問 票 上
の 設 問 にて 区 分 した。まず、 信 頼 性 分 析 を 行 ったところ、クロンバックの 係 数 は 以 下
の 表 2 のような 結 果 になった。 若 干 甘 い 基 準 ではあるが、すべての 構 成 概 念 が 基 準 を 満
たしていた。
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日 本 経 済 新 聞 社 が 毎 年 発 表 する「ヒット 商 品 番 付 」をまとめたもの。 消 費 者 動 向 や 世 相 を 踏 ま
えた 上 で、 売 れ 行 き、 開 発 の 着 眼 点 、 価 格 、 産 業 構 造 や 生 活 者 心 理 に 与 えた 影 響 などを 総 合 的 に
判 断 して 日 経 MJ 編 集 部 が 選 定 している。
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