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Title [書評] 廣田義人著『東アジア工作機械工業の技術形成 ... - ARRIDE

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書 評ことはもちろんのこと 現 地 の 技 術 者 を 日 本 に 招 いて教 育 ・ 訓 練 をしている。このほか 伊 東 [2002, 93]は,韓 国 の 有 力 工 作 機 械 企 業 である 統 一 重 工 業 には1998年 ですら 日 本 人 技 術 者 が 常 時 40 名 在 職 していたという 驚 くべき 事 実 を 指 摘 している。第 2に 技 術 形 成 ということで, 様 々な 角 度 から 分析 をしているが,ここまで 情 報 が 集 まれば 技 術 形 成とは 何 かについてメルクマールを 設 定 して 分 析 してみると,さらに 明 確 にみえてくるものがあるであろう。たとえば 模 倣 からスタートした 日 本 の 工 作 機 械企 業 が,1960 年 代 半 ばに「 人 間 が 直 接 操 作 することを 前 提 として 設 計 された 旋 盤 の 最 後 にして 空 前 の 傑作 」と 絶 賛 された 池 貝 鉄 工 のA20 旋 盤 を 開 発 したときが,まさに 日 本 の 工 作 機 械 技 術 が 新 たなステージに 入 ったときであり,それを 成 功 させた 鍵 は 豊 富 な人 材 であった[ 伊 東 2003, 4, 7]。この 時 期 には 池 貝鉄 工 ばかりでなく 大 隈 鉄 工 所 でも 優 れた 工 作 機 械 が開 発 され,その 後 の 日 本 の 工 作 機 械 工 業 全 盛 の 礎 を築 いた。このような 開 発 が 相 次 いで 行 われたのは 需要 が 見 込 まれたことがある。 供 給 サイドの 豊 富 な 人材 ( 技 術 者 , 技 能 者 )と 需 要 サイドは 工 作 機 械 工 業の 裏 と 表 に 相 当 する 関 係 にあり 一 体 であることがわかる。 本 書 が 分 析 対 象 としたなかでインドネシアの工 作 機 械 工 業 だけが 例 外 的 に 成 功 しなかった。 成 功した 台 湾 , 韓 国 , 中 国 が 工 作 機 械 工 業 の 育 成 をスタートさせた 時 期 は 需 要 も 確 保 されていたが 人 材 も 日 本の 支 援 を 受 けながら 企 業 内 外 において 供 給 され 表 裏のバランスがとれていた。これに 対 してインドネシアが 工 作 機 械 工 業 の 育 成 を 始 めた 時 は, 需 要 とバランスした 人 材 が 供 給 されていたのかどうかが 検 討 される 必 要 があるのではないだろうか。その 点 も 含 めて 今 後 のさらなる 分 析 にも 期 待 したい。文 献 リスト伊 東 誼 1997. 「 日 本 の 係 わったアジアにおける 高 等 工 業教 育 を 振 り 返 って」『 日 本 機 械 学 会 誌 』 第 100 巻 第939 号 117-140.――― 2002. 「 韓 国 ・ 台 湾 の 工 作 機 械 事 情 4」『 機 械 と 工具 』 第 46 巻 第 4 号 .――― 2003. 『 物 つくり 立 国 への 道 標 ―― 欧 米 先 進 技 術を 凌 駕 した 池 貝 鉄 工 製 A20 型 普 通 旋 盤 ――』 私 家 版 .(アジア 経 済 研 究 所 新 領 域 研 究 センター)53

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