JAEA-Technology-2010-005.pdf:2.44MB - 日本原子力研究開発機構

6.X線スペクトルの空気層による減弱の評価
6.1 評価方法
本評価では、設定した線質のエネルギースペクトルが照射距離の違いにより、その空気層による
減弱を受けて、平均エネルギーや空気カーマへの換算係数が大きく変化する領域を調査し、線質を
設定した距離と異なる距離を用いる場合における影響を考察した。
空気層の減弱特性は、J.H.Hubbell による文献 7)の質量減弱係数(μ/ρ:cm2 g-1)のデータを用 いて、2keV~10keV と 10keV~150keV の光子エネルギー領域に対するフィッティング関数を(21)
式、(22)式で作成(E:keV)し、(23)式により 1m、2m、3m での 20℃における空気の減弱割合を求
めた。これらの結果を Fig.6-1 に示す。
評価に用いたX線質は、Fig.6-1 に示す空気層に対する減弱割合の特性から、エネルギースペク
トルの領域が、空気層の影響を受けやすい 5keV~15keV の低エネルギー領域のスペクトル(15kV
QI0.6)と空気層の影響が少なくなると予測される 10keV~30keV 領域のスペクトル(30kV QI0.6)
及び 15keV~40keV 領域のスペクトル(40kV QI0.6)を選択した。試験では、基礎フィルタを標準場
と同じにして、X線管焦点からの距離 1m のX線波高分布を Fig.4-1 に示す 1mmφコリメータ付
のパルス波高分析装置で測定し、X線フルエンススペクトルを求めた。次に、(23)式の減弱割合か
ら 2m、3m 距離のX線フルエンススペクトルを計算で求め、1m のスペクトルに対する減弱の度合
いを、スペクトルの変化、平均エネルギーの変化、空気カーマへの換算係数の変化について評価す
ることによって、空気層の影響を考察した。
Attenuation factor for
atmospheric layer
1
0.1
JAEA-Technology 2010-005
0 10 20
Photon energy (keV)
30 40
Fig.6-1 Attenuation factor by air as a function of photon energy
μ / ρ (E) = 10^( - 12.1396(logE) 5 + 47.3216(logE) 4 - 70.4447(logE) 3 +
49.5074(logE) 2-19.0905(logE)+5.5483)
(21)
(2keV~10keV)
μ / ρ (E) = 10^(1.92008(logE) 5 - 16.4869(logE) 4 + 54.7221(logE) 3 -
86.2307(logE) 2+61.9074(logE)-15.1317)
(22)
(10keV~150keV)
-65-
3m
2m
1m