CSCL 環境における協調的教材構築を通した大学生の批判的思考態度 ...
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稲 葉 光 行 (2007) 政 策 科 学 , Vol.14, No. 3, 立 命 館 大 学 政 策 科 学 会 , pp. 13-24.CCTDI における 批 判 的 思 考 態 度 全 体 の 平 均 点 の 有 意 な 向 上 という 結 果 に 結 びついたことが 示 唆 される。5.4 課 題前 述 した 通 り、 面 接 調 査 で 調 査 対 象 者 が 語 った 思 考 プロセスは、CCTDI による 検 定 結 果 の 一 部 と 適 合 しており、 薀 蓄 システム 利 用 が 批 判 的 思 考 態 度 にどのような 影 響 を 与 えるかというメカニズムの 解 明 に 有 益 な 情 報を 提 供 していると 考 えられる。しかし 一 方 で、 調 査 対 象 者 が 語 った 思 考 プロセスによれば、 薀 蓄 システムによって 様 々な 発 言 を 参 照 することで、「 他 人 の 発 言 に 対 する 感 心 」という 現 象 が 起 きている。この 点 から 考 えれば、 薀 蓄 システムの 利 用 者 は、自 己 の 思 考 スタイルや 知 識 に 限 界 があることを 認 識 し、そのことが CCTDI の 要 素 である Cognitive Maturityや、 他 人 の 意 見 を 柔 軟 に 受 け 入 れようとする Open-mindedness の 向 上 に 繋 がるのではないかと 推 測 され、実 際 にそれぞれの 平 均 点 もわずかに 向 上 はしているが、CCTDI による 検 定 結 果 では、これらの 変 化 について有 意 差 は 認 められていない。また CCTDI の 他 の3つの 要 素 、Analyticity、Systematicity、Truth-seeking についても、 面 接 調 査 者 の 一 部 が、なんからの 促 進 効 果 があったのではないかという 印 象 を 持 っていたが、 検 定結 果 には 有 意 な 変 化 として 現 れていない。これらの 点 については 今 後 の 研 究 課 題 である。また 今 回 の 運 用 実 験 の 課 題 として、 薀 蓄 システム 利 用 以 外 の 要 因 のコントロールが 十 分 にできていないという 点 が 挙 げられる。 今 回 は 通 常 の 講 義 の 中 での 運 用 であり、 公 平 さの 問 題 を 回 避 するため、 受 講 生 を 実 験群 と 統 制 群 のように 分 割 するというデザインを 採 用 しなかった。 今 後 は 実 験 室 のような 場 所 で 時 間 を 限 定 した上 で、 受 講 生 をランダムに 実 験 群 と 統 制 群 に 割 り 当 てるなどの 実 験 デザインを 検 討 していきたい。6.まとめ本 論 文 では、 大 学 の 講 義 における <strong>CSCL</strong> として 薀 蓄 システムを 用 いた 実 験 の 結 果 と、そこでの 大 学 生 の 思考 プロセスの 分 析 、およびその 活 動 による 批 判 的 思 考 態 度 の 促 進 効 果 について 議 論 した。CCTDI を 用 いた薀 蓄 システム 利 用 前 と 利 用 後 の 検 定 結 果 では、 批 判 的 思 考 態 度 全 体 と、その 要 素 である Inquisitiveness、および CT Self-confidence の 向 上 に 有 意 差 が 見 られた。また 面 接 調 査 の 結 果 から、 薀 蓄 システムの 利 用 が、これら2つの 要 素 の 向 上 に 関 係 する 思 考 を 誘 発 していることが 示 唆 された。今 後 も、 薀 蓄 システムでの 運 用 実 験 を 継 続 し、CCTDI を 用 いた 批 判 的 思 考 態 度 に 関 する 評 価 とそのメカニズムの 解 明 、および 批 判 的 思 考 に 関 する 他 の 尺 度 を 用 いた 研 究 にも 取 り 組 んで 行 く 予 定 である。謝 辞本 研 究 について 有 益 なコメントを 頂 いた 青 山 学 院 大 学 の 抱 井 尚 子 助 教 授 ,そして 薀 蓄 システムの 利 用 と、アンケート 及 び 面 接 調 査 に 協 力 を 頂 いた、 立 命 館 大 学 政 策 科 学 部 の 学 生 の 皆 さんに 感 謝 します。なお 本 研究 の 一 部 は、 文 部 科 学 省 オープン・リサーチ・センター「デジタル 時 代 のメディアと 映 像 に 関 する 総 合 的 研 究 」、21 世 紀 COE プログラム「 京 都 アート・エンタテインメント 創 成 研 究 」の 支 援 を 受 けた。-8-