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単細胞動物ミドリゾウリムシと緑藻クロレラとの細胞 ... - 日本原生動物学会

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126原 生 動 物 学 雑 誌 第 41 巻 第 2 号 2008 年Fig. 9. Photomicrographs of P. bursaria OS1w cells pulse-labeled with symbiotic Chlorella sp. cells isolated fromP. bursaria OS1g cells (A) and with C. saccharophilastrain C-169 cells (B). Paramecia were observed 3 h aftermixing. Note that the symbiotic Chlorella sp. cells arelocalized close to the host cell surface (arrows), whereasC. saccharophila C-169 cells are not. Ma, Macronucleus.From Kodama and Fujishima, 2007. See color figure inon-line publication.されていた(Nishihara et al., 1996; Reisser et al., 1982;Weis, 1980)。 今 回 、 我 々が 調 べたクロレラのうち、Con A 結 合 能 とクロレラ 除 去 細 胞 への 再 共 生 能 を 持 つ株 は 無 かったが、C. sorokiniana, strain C-212にはWGAが 結 合 し、クロレラ 除 去 細 胞 に 再 共 生 することができた (Table 1)。そこで、WGAでC-212 株 の 細 胞壁 をマスクした 後 、クロレラ 除 去 細 胞 と 混 合 し、 再共 生 率 への 影 響 を 調 べたところ、コントロールの 未処 理 のクロレラと 比 較 して 再 共 生 率 に 有 意 差 は 見 られなかった。これらの 結 果 は、クロレラの 細 胞 内 共生 能 力 は 細 胞 壁 の 糖 組 成 とは 無 関 係 であり、 食 胞 から 脱 出 後 に 宿 主 細 胞 表 層 直 下 に 接 着 する 能 力 の 有 無で 決 定 されることを 強 く 示 している (Kodama andFujishima, 2007)。 洲 崎 らはクロレラ 除 去 細 胞 に3 種 の酵 母 菌 (Saccharomyces cerevisiae, Rhodutorula rubra,Yarrowia lipolytica)を 与 え、 食 胞 に 取 り 込 まれた 酵 母菌 がその 後 、 宿 主 細 胞 表 層 に 定 着 するか、 宿 主 細 胞内 で 分 裂 増 殖 できるか、 宿 主 細 胞 質 に 維 持 されるか、 細 胞 内 共 生 を 成 立 させるかを 調 べた。その 結果 、R. rubraとY. lipolyticaは 宿 主 の 細 胞 表 層 に 定 着 して 増 殖 し、 再 び 共 生 クロレラが 与 えられるまでは、安 定 した 細 胞 内 共 生 を 確 立 させた。 一 方 S. cerevisiaeは 細 胞 表 層 には 定 着 せず、1 週 間 から10 日 後 に 自 然に 消 失 したと 報 告 している (Suzaki et al., 2003)。これらの 結 果 は、クロレラ 以 外 でも 宿 主 細 胞 表 層 に 接 着する 能 力 があれば、ミドリゾウリムシに 共 生 可 能 であることを 示 している。ノース 型 であると 報 告 されていた(Takeda et al.,1988)。そこで、アルカリ 溶 液 処 理 を 行 った 各 種 クロレラの 細 胞 壁 と 未 処 理 のクロレラの 細 胞 壁 に 対 するAlexa flour 488で 標 識 した3 種 のレクチン (Con A; マンノースと 結 合 、GS-IIとWGA; Nアセチルグルコサミンと 結 合 ) の 結 合 性 を 調 べ、rigid wallの 糖 組 成 とミドリゾウリムシとの 共 生 能 の 有 無 との 相 関 を 調 べた。その 結 果 、アルカリ 溶 液 処 理 の 有 無 に 関 わらず、クロレラのレクチン 結 合 性 とミドリゾウリムシとの 共生 能 の 有 無 には 相 関 は 見 られなかった (Table 1)。山 田 (1994) は、クロレラウイルスのクロレラへの感 染 能 と、クロレラの 共 生 能 の 関 係 について 考 察 している。クロレラウイルスは、 日 本 各 地 の 淡 水 湖 沼河 川 に 頻 繁 に 存 在 しているウイルスで、ミドリゾウリムシやヒドラなどと 細 胞 内 共 生 を 営 んでいたクロレラにしか 感 染 しない。ウイルスの 宿 主 となるクロレラは 細 胞 表 面 に 特 徴 があり (クロレラウイルスによって 認 識 されるレセプターの 存 在 や 酵 素 による 分解 性 )、これがミドリゾウリムシやヒドラとの 共 生 関係 の 樹 立 にも 重 要 な 因 子 となると 考 察 している。クロレラのミドリゾウリムシへの 共 生 能 の 有 無 が、クロレラウイルスの 感 染 能 の 有 無 とも 関 係 があるのかどうかは 大 変 興 味 深 い。一 方 、 過 去 の 研 究 では、クロレラの 細 胞 壁 をCon Aでマスクすると、 再 共 生 率 が 低 下 するという 報 告 が5. PV 膜 の 性 質共 生 クロレラを 包 むPV 膜 は 宿 主 の 食 胞 膜 由 来 であるが、 両 者 の 性 質 は 大 きく 異 なる。1. 食 胞 膜 には1つ以 上 のクロレラが 包 まれているが、PV 膜 にはクロレラが1つだけ 包 まれている。2. 食 胞 膜 の 直 径 は 食 胞 内のクロレラの 数 によって 変 化 する (2.1-12.9 μm) が、PV 膜 の 直 径 はクロレラの 細 胞 分 裂 時 以 外 はほとんど変 化 しない (2.5-4.5 μm)。3. 食 胞 膜 には 宿 主 の 原 形 質流 動 に 伴 う 移 動 が 見 られるが、PV 膜 には 見 られない。4. 食 胞 膜 には 分 化 に 伴 う 膜 構 造 の 変 化 が 見 られるが、PV 膜 には 見 られない。5. 食 胞 膜 には 宿 主 のリソソームが 融 合 するためAcPase 活 性 が 検 出 されるが、PV 膜 にはリソソームが 融 合 しないためAcPase 活性 が 検 出 されない (Reisser, 1992)。なぜPV 膜 がリソソーム 融 合 を 阻 止 できるか、どのようにPV 膜 を 通 じて 宿 主 と 共 生 クロレラ 間 の 物 質 交 換 がなされているかは 未 だに 明 らかになっていない。PV 膜 の 性 質 に 関しては 多 くの 点 が 不 明 瞭 なままである。我 々は、ミドリゾウリムシを 恒 明 条 件 下 でタンパク 質 合 成 阻 害 剤 のシクロヘキシミドで 処 理 すると、24 時 間 以 内 にPV 膜 が 同 調 して 膨 潤 し ( 我 々はこの 現象 をsynchronous PV-swelling, 略 してSPVSと 呼 んでいる)、SPVSが 誘 導 されると8 割 以 上 のクロレラが 消 化されることを 明 らかにした (Fig. 10B, Kodama andFujishima, 2008)。シクロヘキシミド 処 理 後 48 時 間 た

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