熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System
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7実験結果<br />
7-1)cDNAマイクロアレイ解析を用いた<br />
腫瘍拒絶抗原候補遺伝子の選定<br />
共同研究者である東京大学医科学研究所ヒトゲノムセンターの中村祐輔博士らが、<br />
スキルス胃癌患者20例の癌部と非癌部のRNAをそれぞれ抽出し、24,030種類の<br />
遺伝子についてcDNAマイクロアレイ解析を行った。そのデータの供与を受けて解<br />
析し、20例中10例以上の患者で非癌部より癌部で5倍以上発現が増加している遺<br />
伝子を12種類選び出した(図5)。選んだ12種類の遺伝子の正常組織での発現を確<br />
認後、Secretcdprotcinacidicandrichincystci、(SPARC)を腫瘍特異抗原の候<br />
補として選んだ(図6)。<br />
その結果、SPARC遺伝子は20例(発現情報があった症例は13例)中11例にお<br />
いて、非癌部に比べて癌部で5倍以上の発現がみられる遺伝子であった。また、正<br />
常および胎生期の組織では、脂肪組織、乳腺、卵巣、脊髄、精巣、子宮、胎盤など<br />
に少量発現していたが、スキルス胃癌の癌部では正常胃粘膜と比較して平均13万倍<br />
以上と、発現が著明に増加している遺伝子であった。<br />
図S<br />
ReIatIveexpresslonrate<br />
Awmge<br />
10,000<br />
88●22.9<br />
蓬<br />
88823.2<br />
888●29.731<br />
8888133,359<br />
88888121,529<br />
●●●16.3<br />
888●8.79<br />
●<br />
7.6<br />
5.6<br />
88●93,279<br />
88●28.2<br />
●●●6.7<br />
図5.スキルス胃癌のcDNAマイクロアレイ解析データの解析<br />
これらの遺伝子は、スキルス胃癌患者20例中10例以上で、非癌部より癌部で5倍以上の発現増<br />
加がみられる遺伝子である。この中から、SPARCを免疫療法の標的抗原の候補として選んだ。SPARC<br />
遺伝子は、20例中11例において非癌部より癌部で5倍以上(平均133,359倍)の発現増加が認め<br />
られる遺伝子であった。<br />
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