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分権型社会における自治体経営の刷新戦略 - 総務省

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分 権 型 社 会 における 自 治 体 経 営 の 刷 新 戦 略<br />

― 新 しい 公 共 空 間 の 形 成 を 目 指 して―<br />

< 概 要 版 ><br />

平 成 17 年 3 月<br />

分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会


分 権 型 社 会 における 自 治 体 経 営 の 刷 新 戦 略<br />

- 新 しい 公 共 空 間 の 形 成 を 目 指 して-<br />

< 概 要 版 ><br />

分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 報 告 書<br />

目<br />

次<br />

1. はじめに( 抄 )………………………………………………………………………… 1<br />

2. 分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 構 成 員 名 簿 …… 2<br />

3. 分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 開 催 実 績 …… 3<br />

4. 分 権 型 社 会 における 自 治 体 経 営 の 刷 新 戦 略<br />

- 新 しい 公 共 空 間 の 形 成 を 目 指 して-< 要 約 >………… 4<br />

5. 多 元 的 で 多 様 な 協 働 の 形 態 ( 活 用 しうる 制 度 ・ 枠 組 みなど)……………………18<br />

6. 分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 報 告 書<br />

所 収 事 例 一 覧 ……20


はじめに( 抄 )<br />

「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 。<br />

今 、 振 り 返 ってみるとこの 言 葉 が、この 研 究 会 の2 年 にわたる 活 動 のキーワードとなり<br />

ました。そもそもの 問 題 意 識 は、これからの 自 治 体 運 営 のあり 方 についての 基 本 となる 新<br />

しい 考 え 方 を 設 定 できないかということでした。<br />

平 成 12 年 の 地 方 分 権 一 括 法 の 施 行 は、 自 治 体 のあり 方 を 原 理 的 に 変 更 しました。 国 か<br />

らの 包 括 的 指 揮 監 督 に 従 う 自 治 体 から、 自 ら 考 えて 実 行 する 自 治 体 に 変 わったのです。 全<br />

国 の 自 治 体 はこの 新 しい 自 治 体 像 に 向 かって 自 らのあり 方 を 前 向 きに 見 直 していくことが<br />

求 められています。ところが 現 状 を 見 ると、 少 子 高 齢 化 による 人 口 減 少 や 国 ・ 地 方 を 通 じ<br />

た 厳 しい 財 政 状 況 が、 自 治 体 関 係 者 に 出 口 のない 閉 塞 感 を 与 えているように 思 います。 自<br />

治 体 をニューパブリックマネジメント(NPM)の 考 え 方 で 改 革 しようとする 動 きが 広 がった<br />

のも、このような 閉 塞 感 の 中 でなんとか 新 しい 自 治 体 運 営 の 理 念 を 求 めようとするところ<br />

からなのでしょう。<br />

この 研 究 会 の 問 題 意 識 は、 住 民 を 顧 客 と 見 る NPM の 考 え 方 を 超 えて、 自 治 体 の 行 政 を 地<br />

域 の 戦 略 本 部 と 位 置 づけ、 住 民 や NPO、 民 間 企 業 など 多 様 な 主 体 と 協 働 して 自 治 体 を 運 営<br />

していくことができないかということです。そのために 必 要 な 条 件 をどのように 整 備 して<br />

いくのかということを 議 論 していこうというのが、この 研 究 会 の 出 発 点 でした。 高 度 成 長<br />

時 代 以 来 、 右 肩 上 がりの 経 済 や 財 源 に 慣 れ、 国 の 指 揮 監 督 の 下 にあったこれまでの 自 治 体<br />

運 営 を、 住 民 に 開 かれた 別 の 原 理 に 転 換 していかなければならないのではないかというこ<br />

となのです。<br />

長 らく 日 本 の 繁 栄 を 支 えてきたいわゆる 団 塊 の 世 代 の 方 々の 職 場 からの 引 退 が 目 前 に<br />

迫 っています。この 活 力 あふれる 世 代 が 大 量 にこれまでの 職 場 から 去 るということは、こ<br />

れからの 日 本 社 会 に 様 々な 影 響 を 与 えるでしょう。 自 治 体 運 営 に 関 して 言 えば、 市 役 所 や<br />

県 庁 などからこの 世 代 が 大 量 に 退 職 することをどう 受 け 止 めていくか、また、 地 域 や 家 庭<br />

に 帰 ってくるこの 世 代 の 人 々に 地 域 の 運 営 にどうやって 参 画 してもらうかが、 大 きな 問 題<br />

となると 思 うのです。<br />

人 が 生 き 生 きとして 地 域 社 会 に 関 わり、また、 自 治 体 運 営 を 持 続 可 能 にしていくために<br />

は、もはや 公 共 を 行 政 のみによって 担 うという 考 え 方 から 脱 しなければなりません。 地 域<br />

の 様 々な 主 体 が 自 治 体 と 協 働 して 公 共 を 担 う「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 こそが、これから<br />

の 自 治 体 運 営 の 基 本 理 念 となるのではないでしょうか。<br />

この 報 告 書 は、 理 念 を 提 示 するとともに 実 例 をあげることによって、 実 際 の 改 革 の 参 考<br />

にしていただくことを 目 的 としています。 研 究 会 として 厳 しい 自 治 体 運 営 の 現 場 にいささ<br />

かでも 知 的 貢 献 ができることを 願 っています。もちろん 改 革 の 手 法 はそれぞれの 自 治 体 に<br />

ふさわしいものでなければなりませんし、この 報 告 書 にすべての 答 えが 書 いてあるわけで<br />

はありません。ただ、 首 長 のリーダーシップと 職 員 の 危 機 意 識 の 共 有 、 弛 まざる 緊 張 感 ・<br />

危 機 感 が 組 織 全 体 として 共 有 されること、2 年 間 の 議 論 で、これが 自 治 体 改 革 の 必 要 条 件<br />

であるということは 確 信 しています。 地 方 分 権 のもたらす 成 果 が 住 民 に 確 信 を 持 って 語 ら<br />

れるようになることを 目 指 して、 全 国 の 自 治 体 が 勇 気 をもって 改 革 に 望 まれることを 願 っ<br />

てやみません。<br />

分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会<br />

座 長 岩 崎 美 紀 子


分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 構 成 員 名 簿<br />

( 敬 称 略 )<br />

(メ ン バ ー)<br />

座 長 岩 崎 美 紀 子 ( 筑 波 大 学 大 学 院 人 文 社 会 科 学 研 究 科 教 授 )<br />

伊 藤 和 彦 ( 宮 城 県 企 画 部 情 報 産 業 振 興 室 長 )<br />

桐 山 徹 郎 ( 生 野 町 長 )<br />

斎 藤 誠 ( 東 京 大 学 大 学 院 法 学 政 治 学 研 究 科 教 授 )<br />

関 口 和 一 ( 株 式 会 社 日 本 経 済 新 聞 社 産 業 部 編 集 委 員 兼 論 説 委 員 )<br />

高 木 勇 三 ( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 常 務 理 事 )<br />

辻 琢 也 ( 政 策 研 究 大 学 院 大 学 教 授 )<br />

中 島 勝 ( 日 本 放 送 協 会 部 外 解 説 委 員 )<br />

永 津 美 裕 ( 北 九 州 市 立 大 学 事 務 局 長 )<br />

名 和 田 是 彦 ( 東 京 都 立 大 学 法 学 部 教 授 )<br />

西 野 晃 透 ( 社 団 法 人 日 本 青 年 会 議 所 前 副 会 頭 )<br />

森 貞 述 ( 高 浜 市 長 )<br />

渡 壁 誠 ( 日 本 電 気 株 式 会 社 政 策 調 査 部 統 括 マネージャー)<br />

(オブザーバー)<br />

高 端 正 幸 ( 財 団 法 人 東 京 市 政 調 査 会 研 究 員 )<br />

( 幹 事 )<br />

高 野 修 一 ( 総 務 省 行 政 管 理 局 管 理 官 )<br />

山 下 哲 夫 ( 総 務 省 行 政 評 価 局 評 価 監 視 官 )<br />

門 山 泰 明 ( 総 務 省 自 治 行 政 局 行 政 課 長 )<br />

久 元 喜 造 ( 前 行 政 課 長 ( 第 1 回 ~ 第 21 回 )<br />

現 総 務 省 大 臣 官 房 審 議 官 ( 地 方 行 政 ・ 地 方 公 務 員 制 度 、 選 挙 制 度 担 当 ))<br />

牧 慎 太 郎 ( 総 務 省 自 治 政 策 課 情 報 政 策 企 画 官 )<br />

松 永 邦 男 ( 総 務 省 自 治 行 政 局 公 務 員 部 公 務 員 課 長 )<br />

上 田 紘 士 ( 前 公 務 員 課 長 ( 第 1 回 ~ 第 21 回 )<br />

現 総 務 省 大 臣 官 房 審 議 官 ( 人 事 ・ 恩 給 局 担 当 ))<br />

高 尾 和 彦 ( 総 務 省 自 治 財 政 局 財 務 調 査 課 長 )<br />

小 川 登 美 夫 ( 前 財 務 調 査 課 長 ( 第 1 回 ~ 第 8 回 )<br />

現 財 団 法 人 地 域 活 性 化 センター 事 務 局 長 )<br />

事 務 局 長 山 﨑 重 孝 ( 総 務 省 自 治 行 政 局 行 政 体 制 整 備 室 長 )<br />

事 務 局 福 田 毅 ( 総 務 省 自 治 行 政 局 行 政 体 制 整 備 室 課 長 補 佐 )<br />

三 橋 一 彦 ( 前 行 政 体 制 整 備 室 課 長 補 佐 ( 第 1 回 ~ 第 14 回 )<br />

現 総 務 省 自 治 行 政 局 公 務 員 部 給 与 能 率 推 進 室 課 長 補 佐 )<br />

穂 積 直 樹 ( 総 務 省 自 治 行 政 局 行 政 体 制 整 備 室 係 長 )<br />

( 役 職 名 は 平 成 17 年 3 月 現 在 )


分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 開 催 実 績<br />

○ 平 成 15 年 度<br />

開 催 日<br />

討 議 テーマ 等<br />

第 1 回 8 月 22 日 ( 金 ) ・ 森 委 員 報 告 、 桐 山 委 員 報 告<br />

第 2 回 9 月 22 日 ( 月 ) ・ 地 方 公 共 団 体 の 行 政 改 革 の 現 状 、 永 津 委 員 報 告<br />

第 3 回 10 月 24 日 ( 金 ) ・ 地 方 公 共 団 体 の 行 政 組 織 運 営 をめぐる 最 近 の 主 な 議 論<br />

・ 地 方 公 共 団 体 における 新 しい 行 政 組 織 運 営 の 改 革 の 取 組 事 例<br />

・ 伊 藤 委 員 報 告<br />

第 4 回 11 月 25 日 ( 火 ) ・ 横 須 賀 市 実 地 調 査<br />

第 5 回 12 月 15 日 ( 月 ) ・ 生 野 町 、 高 浜 市 、 北 九 州 市 、 宮 城 県 の 取 組 及 びその 課 題 等<br />

・ 今 後 の 論 点 整 理 に 向 けたフリートーキング<br />

第 6 回 1 月 27 日 ( 火 ) ・ 国 における 行 政 改 革 の 取 組 等 、 中 間 論 点 整 理 素 案<br />

第 7 回 2 月 24 日 ( 火 ) ・ 民 間 企 業 における 組 織 運 営 の 改 革 等 、 中 間 論 点 整 理 素 案<br />

第 8 回 3 月 23 日 ( 火 ) ・ 中 間 論 点 整 理 案 、 地 方 公 務 員 法 等 の 改 正<br />

○ 平 成 16 年 度<br />

開 催 日<br />

討 議 テーマ・ 報 告 者 等<br />

第 9 回 4 月 9 日 ( 金 ) ・アウトソーシング<br />

第 10 回 4 月 27 日 ( 火 ) ・ 地 域 協 働 、 名 和 田 委 員 報 告<br />

第 11 回 5 月 25 日 ( 火 ) ・ 地 域 協 働 、 齋 藤 委 員 報 告 、 森 委 員 報 告<br />

第 12 回 6 月 8 日 ( 火 ) ・ 地 域 協 働 の 議 論 の 整 理<br />

・ 地 域 協 働 とアウトソーシングとの 関 係<br />

第 13 回 6 月 18 日 ( 金 ) ・アウトソーシングの 議 論 の 整 理<br />

・ 地 域 政 策 ・ 永 津 委 員 報 告<br />

第 14 回 7 月 5 日 ( 月 ) ・ 地 域 協 働 とアウトソーシングの 報 告 書 骨 子<br />

・ 外 部 委 託 (アウトソーシング)について・ 伊 藤 委 員 報 告<br />

第 15 回 8 月 31 日 ( 火 ) ・ 組 織 ・マネジメント、 辻 委 員 報 告<br />

第 16 回 9 月 16 日 ( 木 ) ・ 組 織 ・マネジメント、 辻 委 員 報 告<br />

第 17 回 9 月 30 日 ( 木 ) ・ 人 事 管 理<br />

第 18 回 10 月 15 日 ( 金 ) ・ 組 織 ・マネジメント、 人 事 管 理<br />

実 地 調 査 10 月 19 日 ( 火 ) ・ 静 岡 県 庁 実 地 調 査<br />

実 地 調 査 10 月 28 日 ( 木 ) ・ 福 岡 市 役 所 、 佐 賀 県 庁 実 地 調 査<br />

~ 29 日 ( 金 )<br />

第 19 回 11 月 8 日 ( 月 ) ・ 組 織 ・マネジメント、 人 事 管 理 についての 報 告 書 骨 子 ( 案 )<br />

第 20 回 11 月 26 日 ( 金 ) ・IT の 活 用 、 関 口 委 員 報 告<br />

・ 行 政 評 価<br />

第 21 回 12 月 14 日 ( 火 ) ・ 議 会 、 中 島 委 員 報 告 、 西 野 委 員 報 告<br />

第 22 回 1 月 20 日 ( 木 ) ・ 最 終 報 告 に 向 けた 論 点 整 理<br />

第 23 回 2 月 18 日 ( 金 ) ・ 最 終 報 告 素 案<br />

第 24 回 3 月 18 日 ( 金 ) ・ 最 終 報 告 案 のとりまとめ


分 権 型 社 会 における 自 治 体 経 営 の 刷 新 戦 略<br />

- 新 しい 公 共 空 間 の 形 成 を 目 指 して-<br />

< 要 約 ><br />

分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会<br />

Ⅰ 地 方 自 治 体 を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化<br />

1. 社 会 経 済 情 勢 の 変 化 に 伴 う 経 営 資 源 の 制 約 と 公 共 サービスへの 新 たな 期 待<br />

人 口 減 少 時 代 の 到 来 や 厳 しい 財 政 状 況 などにより、 地 方 自 治 体 の 経 営 資 源 は 制 約 に 直 面 。<br />

一 方 で、 保 育 や 介 護 の 社 会 化 、 安 心 ・ 安 全 な 日 常 生 活 空 間 の 確 保 や 地 域 社 会 を 形 成 する 住<br />

民 間 の 信 頼 や 連 帯 意 識 を 取 り 戻 すことなど、 公 共 空 間 に 対 する 新 たな 意 識 。<br />

2. 国 と 地 方 の 関 係 の 変 更<br />

地 方 自 治 体 の 役 割 の 重 点 は、 自 らの 責 任 と 判 断 で 地 域 ・ 住 民 のニーズに 主 体 的 に 対 応 して<br />

いくことに 転 換 。 国 の 役 割 は、 国 際 社 会 における 国 家 の 存 立 などに 重 点 化 。 地 方 自 治 体 が 自<br />

主 的 ・ 自 律 的 に 自 治 体 経 営 を 行 っていくための 制 度 的 な 障 害 除 去 などの 環 境 整 備 を 行 うこと<br />

がより 重 要 に。<br />

住 民 の 負 担 と 選 択 に 基 づいた、 個 々の 地 域 にふさわしい 総 合 的 な 公 共 サービスを 主 体 的 に<br />

提 供 する「 分 権 型 システム」に 転 換 する 必 要 。<br />

3.「 官 」と「 民 」の 関 係 の 変 化<br />

地 域 では、これまで 主 に 行 政 により 提 供 されてきた 公 共 サービス(= 生 活 する 上 で 必 ず 必<br />

要 であるが、 個 人 では 解 決 ・ 調 達 できないサービス)について、その 提 供 主 体 となりうる 意<br />

欲 と 能 力 を 備 え、かつ、 先 進 性 、 開 拓 性 、 創 造 性 に 富 んだ 多 様 な 主 体 ( 住 民 団 体 、NPO、 企 業<br />

等 )が 登 場 し 始 めており、このような 多 元 的 な 主 体 により 担 われる「 公 共 」(=「 公 共 サービ<br />

ス」とこれに 準 じる「 公 共 的 サービス」の 両 方 を 含 むもの)、いわば「 新 しい 公 共 空 間 」をい<br />

かに 豊 かなものにしていくかが 重 要 。また、 社 会 経 済 情 勢 の 変 化 に 伴 い「 公 共 」の 守 備 範 囲<br />

も 拡 大 。<br />

特 に、 住 民 に 身 近 な 行 政 主 体 である 地 方 自 治 体 においては、「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 に 向<br />

けた 取 組 を 最 も 適 切 かつ 効 果 的 に 行 いうるもの。<br />

1


Ⅱ 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 の 現 状 と 刷 新 の 必 要 性<br />

1. 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 の 改 革 の 取 組<br />

地 方 自 治 体 ではこれまでも、 公 務 員 数 削 減 、 給 与 削 減 など、 行 政 改 革 に 不 断 の 取 組 。<br />

2. 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 の 新 たな 課 題<br />

しかしながら、 環 境 の 変 化 に 適 切 に 対 応 するため、 新 たな 課 題 に 積 極 的 に 取 組 み、 行 政 組 織<br />

運 営 を 刷 新 していく 必 要 。<br />

(1) 行 政 を 中 心 とした 公 共 サービス 提 供 の 限 界<br />

社 会 経 済 情 勢 や 価 値 観 の 変 化 に 伴 い、 多 様 化 ・ 高 度 化 する 住 民 ニーズに 行 政 のみが 対 応 し<br />

ていくのは 質 的 にも 量 的 にも 限 界 。「 地 域 力 」が 低 下 していくことも 懸 念 され、 多 様 な 主 体<br />

が 有 する 活 力 を 結 集 していくことが 重 要 。<br />

(2) 厳 しい 財 政 状 況 や 地 方 公 務 員 の 大 量 退 職 にも 対 応 できる 行 政 体 制 の 整 備<br />

現 在 55から57 歳 のいわゆる「 団 塊 の 世 代 」の 職 員 の 大 量 退 職 を 控 え、 外 部 委 託 等 をさ<br />

らに 積 極 的 に 推 進 することにより、 公 務 員 数 を 削 減 しても、 公 共 サービスを 安 定 的 に 実 施 で<br />

きる 体 制 を 構 築 しておくことが 必 要 。<br />

また、 職 場 から 地 域 に 戻 ってくる 団 塊 の 世 代 のサラリーマンは「 地 域 力 」 向 上 のための 貴<br />

重 な 資 源 と 捉 えることが 可 能 。<br />

(3) 行 政 ニーズに 対 応 した 柔 軟 かつ 機 動 的 な 組 織 編 成 に 向 けた 取 組<br />

地 方 自 治 体 が 地 域 経 営 の 戦 略 本 部 としての 機 能 を 真 に 発 揮 し、 組 織 全 体 として 地 域 ・ 住 民<br />

のニーズに 的 確 に 対 応 していくため、 既 存 の 組 織 の 微 修 正 やすべての 局 部 を 通 じた 一 律 の 削<br />

減 を 超 え、 限 られた 経 営 資 源 を 効 率 的 に 活 用 できる 組 織 のあり 方 の 検 討 が 必 要 。<br />

(4) 職 員 の 能 力 を 最 大 限 に 引 き 出 しうる 人 事 管 理 の 必 要 性<br />

限 られた 職 員 数 で 専 門 的 かつ 高 度 な 行 政 ニーズに 対 応 していくことが 求 められる 現 在 、 単<br />

に 学 歴 と 職 務 経 験 年 数 に 応 じて 職 階 層 が 構 成 されている 組 織 では 対 応 困 難 。<br />

能 力 ・ 実 績 を 重 視 した 人 事 評 価 システムの 早 期 の 確 立 、 地 方 公 務 員 の 給 与 構 造 自 体 の 抜 本<br />

的 な 改 革 、 外 部 人 材 の 能 力 活 用 、 内 部 の 若 手 育 成 ・ 専 門 性 の 向 上 が 必 要 。<br />

(5) 透 明 性 の 確 保 と 説 明 責 任<br />

行 政 に 対 する 住 民 の 受 益 と 負 担 の 関 係 を 明 確 にしていくことが 必 要 。<br />

行 政 活 動 の 過 程 や 成 果 、 課 題 について 積 極 的 に 説 明 責 任 を 果 たし、 認 識 を 共 有 。また、 個 々<br />

の 職 員 の 担 当 業 務 の 全 体 における 位 置 づけを 明 確 化 することにより 意 識 改 革 を 促 進 。<br />

多 くの 地 方 自 治 体 で 導 入 されている 行 政 評 価 を 形 骸 化 させず、マネジメントツールとして<br />

有 効 に 活 用 する 必 要 。<br />

(6) 執 行 機 関 と 議 会 等 との 適 切 なチェック&バランスの 確 保<br />

地 方 自 治 体 の 決 定 権 の 拡 大 に 伴 い、 首 長 の 権 限 行 使 に 対 し、 住 民 、 議 会 、 監 査 委 員 などが<br />

適 切 に 監 視 機 能 を 果 たし、 地 方 自 治 体 の 事 務 処 理 の 適 法 性 、 有 効 性 、 妥 当 性 を 確 保 していく<br />

ことが 一 層 必 要 。<br />

地 方 自 治 体 における 議 会 は、 住 民 自 治 の 根 幹 をなす 機 関 であるという 原 則 を 再 認 識 し、 制<br />

度 、 運 用 の 両 面 にわたり、その 機 能 の 充 実 を 図 る 必 要 。<br />

2


Ⅲ 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 のための 視 点<br />

1. 行 政 の 担 うべき 役 割 の 重 点 化 と「 新 しい 公 共 空 間 」の 担 い 手 の 多 元 化<br />

従 来 の 行 政 を 中 心 とした 公 共 サービスの 限 界 を 打 破 し、 既 存 の 団 体 や 仕 組 みによる 提 供 が 難<br />

しくなったサービスを 提 供 するとともに、 新 しいニーズに 対 応 していくためには、「 公 共 」の<br />

あり 方 を 根 本 的 に 考 え 直 すことが 必 要 。<br />

経 営 資 源 の 限 界 等 により 行 政 のみでは 対 応 しづらくなった「 公 共 」の 領 域 を、 行 政 が 一 定<br />

の 関 わりを 持 ちつつ 新 たに 民 間 企 業 や 住 民 が 担 うことにより、 従 来 の 行 政 のやり 方 だけでは<br />

対 応 できなくなってしまった 領 域 や 内 容 のサービス 提 供 が 可 能 。<br />

行 政 も 民 間 もともに「 公 共 」の 役 割 を 担 えるよう「 公 共 」の 概 念 を 刷 新 し、 地 域 における<br />

様 々な 主 体 がそれぞれの 立 場 で 新 しい「 公 共 」を 担 うことにより、 地 域 にふさわしい 多 様 な<br />

公 共 サービスが 適 切 な 受 益 と 負 担 のもとに 提 供 されるという 公 共 空 間 (=「 新 しい 公 共 空 間 」)<br />

を 形 成 することが 可 能 。<br />

この「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 こそが、 地 方 自 治 体 とその 住 民 が 協 働 して 地 域 経 営 にあた<br />

るローカル・ガバナンスを 実 現 させるための 前 提 となるもの。<br />

「 新 しい 公 共 空 間 」において 行 政 が 担 う 役 割 は、 戦 略 的 な 地 域 経 営 のための 企 画 立 案 や 条<br />

例 制 定 など、「 行 政 」でなければ 対 応 しえない 核 となる 部 分 であり、 地 域 経 営 の 戦 略 本 部 とし<br />

ての 機 能 を 十 分 に 発 揮 するため、 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 を 刷 新 していくことも 必 要 。<br />

2. 行 政 内 部 の 変 革 と 住 民 との 関 係 の 変 革<br />

「 新 しい 公 共 空 間 」のイメージを 前 提 に、 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 を 刷 新 していく 視 点<br />

として、「 行 政 内 部 の 変 革 」と「 行 政 と 住 民 との 関 係 の 変 革 」の 二 つの 変 革 が 重 要 。<br />

「 行 政 と 住 民 との 関 係 の 変 革 」<br />

行 政 においては、 区 域 内 外 に 存 在 する「 公 共 」を 担 う 可 能 性 のある 様 々な 主 体 を 把 握 する<br />

とともにその 特 性 を 活 かし、 地 域 協 働 、 契 約 を 介 した 外 部 委 託 などの 手 法 を 活 用 。<br />

「 行 政 内 部 の 変 革 」<br />

また、 今 後 限 られた 経 営 資 源 を 住 民 ニーズに 応 じて 効 率 的 に 配 分 していくためには、より<br />

機 動 的 かつ 簡 素 で 効 率 的 な 組 織 が 求 められるとともに、 職 員 の 能 力 を 最 大 限 に 引 き 出 しうる<br />

人 事 管 理 や 人 材 育 成 が 必 要 。<br />

さらに、 多 様 かつ 高 度 化 する 行 政 課 題 について 適 切 に 対 応 するために、トップマネジメン<br />

トによる 意 思 決 定 のあり 方 の 改 革 や、 政 策 の 選 択 と 集 中 を 行 うためのマネジメント・ツール<br />

が 必 要 。トップマネジメントサポートのため、また、 住 民 や 議 会 に 対 する 説 明 責 任 を 果 たす<br />

ツールとしても、 行 政 評 価 の 活 用 、ICT の 活 用 が 重 要 。<br />

議 会 においても、 住 民 自 治 の 根 幹 をなし、 地 方 自 治 体 の 基 本 的 な 意 思 決 定 を 行 う 機 関 とし<br />

ての 役 割 を 積 極 的 に 果 たしていくための 刷 新 が 重 要 。<br />

3


Ⅳ 地 方 自 治 体 の 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 の 具 体 的 推 進 手 法<br />

1. 地 域 協 働<br />

(1) 地 域 協 働 の 基 本 的 考 え 方 ( 理 念 型 )<br />

1「 地 域 協 働 」の 概 念<br />

地 域 協 働 とは、「 一 定 の 地 域 を 前 提 として、そこに 存 在 する 住 民 が 参 画 している 多 様 な<br />

主 体 が、 当 該 地 域 が 必 要 とする 公 共 的 サービスの 提 供 を 協 力 して 行 う 状 態 」。<br />

2 地 域 協 働 による 公 共 的 サービス 提 供 のあり 方<br />

地 域 協 働 による 公 共 的 サービスの 提 供 とは、 単 純 に 行 政 から 業 務 の 執 行 のみを 委 託 され、<br />

管 理 ・ 監 督 される 形 態 とは 異 なり、 行 政 と 住 民 、 地 域 団 体 が 公 共 的 目 的 を 共 有 し、 相 互 に<br />

連 携 ・ 分 担 する 関 係 を 想 定 。<br />

3 地 域 協 働 の 主 体<br />

地 域 協 働 の 主 体 は、 住 民 をはじめ、 地 域 内 に 存 在 し 住 民 が 参 画 するさまざまな 団 体 など、<br />

多 様 な 主 体 を 想 定 。<br />

4 参 画 の 段 階<br />

地 域 協 働 による 公 共 的 サービスの 提 供 とは、 公 共 的 サービスの 実 施 のみならず、 計 画 、<br />

決 定 、 執 行 、 評 価 ・ 改 善 のそれぞれの 段 階 において、 行 政 と 相 互 に 連 携 して 行 うことを 想<br />

定 。 各 種 主 体 や 住 民 自 身 が、 公 共 的 サービスのそれぞれの 段 階 に 参 画 する 機 会 が 提 供 され、<br />

現 実 にも 多 様 な 参 加 が 行 われたそれぞれの 段 階 がサイクル 化 することが 理 想 。<br />

a 計 画 ・ 決 定 段 階 における 参 加 の 事 例<br />

b 執 行 段 階 における 参 加 の 事 例<br />

c 評 価 段 階 における 参 加 の 事 例<br />

(2) 住 民 の 活 動 の 公 共 的 展 開<br />

まずは、 熱 意 を 持 った「キーパーソン」となる 人 材 の 発 掘 と 育 成 がポイント。<br />

次 に、 住 民 活 動 を 公 共 的 な 活 動 へと 展 開 することがポイント。 公 共 的 な 活 動 への 住 民 の 参<br />

加 意 欲 は 高 まっているが、まだ 積 極 的 に 地 方 自 治 体 に 働 きかける 住 民 は 少 なく、 現 段 階 では<br />

行 政 がいかに 住 民 に 歩 み 寄 るかが 重 要 。その 際 住 民 の 善 意 をどう 生 かすかが 鍵 。<br />

住 民 参 画 の 促 し 方 には、 趣 味 的 な 領 域 にとどまっている 住 民 の 活 動 を 公 共 的 活 動 の 展 開 に<br />

発 展 する 形 と 当 初 から 公 共 的 活 動 を 志 向 する 住 民 を 公 共 的 活 動 の 主 体 として 組 織 化 する 形<br />

を 想 定 。<br />

さらに 質 の 高 い 地 域 協 働 が 安 定 的 ・ 持 続 的 に 維 持 されるためには、 専 門 的 知 識 を 有 する 人<br />

材 や 事 業 として 継 続 するための 基 盤 ( 資 金 ・ 施 設 等 )が 必 要 。この 観 点 においては、 必 要 に<br />

応 じて「 中 間 支 援 団 体 」を 形 成 していくことが 望 ましい。<br />

(3) 行 政 の 関 わり 方<br />

地 域 協 働 によって 公 共 的 サービスが 提 供 される 場 合 において、そのすべてを 地 域 協 働 によ<br />

り 実 施 することは 現 実 的 ではなく、どの 段 階 を 地 域 協 働 により 行 い、どの 段 階 に 行 政 に 関 わ<br />

ることが 適 切 かは、 具 体 の 主 体 や 地 域 協 働 によって 提 供 しようとしている 事 務 事 業 の 内 容 な<br />

4


どによって 異 なり、 個 別 の 状 況 に 応 じて 手 法 を 選 択 することが 必 要 。<br />

また、 地 域 における 多 様 な 主 体 と 行 政 とを 媒 介 する 組 織 として、まちづくり 協 議 会 や 自 治<br />

協 議 会 を 組 織 したり、 地 方 自 治 法 上 の 地 域 自 治 区 の 地 域 協 議 会 などを 活 用 する 方 法 も 有 効 。<br />

(4) 新 たな 規 範 ・ルール( 私 行 政 法 )の 必 要 性<br />

地 域 協 働 を 行 う 上 では、 地 方 自 治 体 と 地 域 協 働 の 主 体 や 住 民 との 関 係 を 法 的 に 規 定 する、<br />

公 法 / 私 法 の 別 を 前 提 とした 行 政 契 約 や 行 政 私 法 の 考 え 方 を 超 えた、いわば「 私 行 政 法 」を<br />

確 立 、 開 拓 していくことが 制 度 的 な 課 題 。<br />

例 えば、 地 域 協 働 の 主 体 に 対 する 情 報 の 公 開 の 要 請 、 住 民 の 差 別 的 取 扱 いの 禁 止 、 地 域 協<br />

働 の 主 体 によるサービス 提 供 に 係 る 行 政 の 責 任 の 範 囲 やそれを 担 保 するための 監 督 手 法 な<br />

どを 想 定 。<br />

(5) 職 員 の 関 わり 方<br />

地 域 協 働 を 実 践 する 上 で、 個 々の 地 方 公 務 員 の 意 識 が 重 要 。 個 人 レベルでの 活 動 を 超 えて、<br />

むしろ 明 確 に 地 方 公 務 員 の 職 務 と 位 置 付 けることも 考 えられる。この 場 合 、 職 員 の 意 識 改 革<br />

や 資 質 養 成 、 勤 務 体 制 の 整 備 などを、 地 方 自 治 体 として 明 確 に 意 識 して 進 めることが 必 要 。<br />

(6) 地 域 協 働 になじみやすい 公 共 的 サービス 分 野 の 検 討<br />

行 政 との 協 働 により 提 供 される 公 共 的 サービスについては、これになじみやすい 分 野 や 対<br />

象 の 検 討 が 必 要 。<br />

地 域 協 働 になじみやすい 公 共 的 サービス 分 野 の 検 討 に 当 たっては、 行 政 主 導 で 領 域 の 線 引<br />

きを 行 うのではなく、 住 民 参 加 の 下 で 行 われることが、 後 々の 地 域 協 働 を 推 進 する 上 で 重 要 。<br />

2. 行 政 の 多 元 化 ( 主 として 外 部 委 託 )<br />

(1) 外 部 委 託 の 法 的 な 枠 組 みの 整 理<br />

外 部 委 託 の 法 的 性 質 は、 一 般 的 には、 民 法 上 の 請 負 契 約 ( 第 632 条 )もしくは 準 委 任 契<br />

約 ( 第 656 条 )。<br />

履 行 責 任 、 守 秘 義 務 等 の 行 政 と 外 部 委 託 先 との 責 任 については、 現 在 は 私 法 上 の 契 約 によ<br />

り 担 保 されているものが 多 いが、 地 方 自 治 法 等 の 公 法 においても 規 定 を 整 備 しておく 必 要 も。<br />

(2) 実 質 的 な 性 質 分 類 に 基 づく 原 理 ・ 留 意 点 の 明 確 化<br />

外 部 委 託 を1 費 用 対 効 果 ・ 効 率 性 をより 重 視 するものと、2 協 働 ・ 住 民 参 加 などの 政 策 目 的<br />

をより 重 視 するものの 2 類 型 に 分 類 。 適 用 される 原 理 や 留 意 点 を 明 確 化 。<br />

1 費 用 対 効 果 ・ 効 率 性 を 重 視 する 外 部 委 託 ( 経 済 合 理 性 の 視 点 )<br />

この 類 型 では、 行 政 との 関 係 は、 基 本 的 に 市 場 原 理 により 規 律 され、 受 け 手 は、 一 般 競<br />

争 入 札 による 決 定 が 原 則 。ただし、 費 用 対 効 果 ・ 効 率 性 の 確 保 に 留 意 しながら、 局 面 に 応<br />

じて 様 々な 手 法 を 使 い 分 ける 必 要 。<br />

a 対 象 事 務 の 選 定<br />

外 部 委 託 の 対 象 になるかどうかについて、 地 方 自 治 体 の 実 施 している 事 務 事 業 を 総 点<br />

5


検 する 必 要 。 類 似 団 体 との 比 較 を 行 い、 外 部 委 託 についての 総 合 的 な 指 針 ・ 計 画 を 策 定<br />

し、 行 政 評 価 を 活 用 して 点 検 。<br />

b 市 場 化 、 競 争 的 環 境 の 維 持 ・ 整 備<br />

行 政 が 実 施 している 事 務 を 委 託 しやすいように 切 り 分 けたり、 各 部 各 課 で 行 われてい<br />

る 事 務 を 集 約 化 することにより 委 託 。また、 他 の 団 体 との 共 同 アウトソーシングや、 各<br />

施 設 などの 事 務 を 統 合 化 、 長 期 契 約 化 することなどにより、 事 務 事 業 の 執 行 方 法 を 変 え<br />

て 市 場 化 。<br />

c 行 政 の 管 理 ・ 監 督 責 任 、サービス 水 準 の 維 持 、 監 視<br />

行 政 の 管 理 ・ 監 督 責 任 を 適 切 に 果 たし、 外 部 委 託 したサービスの 水 準 を 維 持 ・ 向 上 さ<br />

せるためには、 契 約 上 の 担 保 措 置 、モニタリング・ 評 価 の 仕 組 、 検 査 監 視 体 制 の 整 備 が<br />

必 要 。<br />

d 職 員 の 処 遇 問 題<br />

行 政 側 の 能 力 の 低 下 防 止 のための 担 当 職 員 の 確 保 と、 業 務 量 の 減 少 に 見 合 う 適 正 な 職<br />

員 数 の 管 理 とを 整 合 させることが 必 要 。<br />

e 住 民 はじめ 関 係 者 の 理 解<br />

外 部 委 託 を 実 施 することによって 目 指 している 成 果 や、 外 部 委 託 後 もサービスの 質 が<br />

維 持 ・ 向 上 されること 等 について、 住 民 や 議 会 に 十 分 な 説 明 責 任 を 果 たし、 理 解 を 得 る<br />

ことが 必 要 。<br />

2 協 働 、 住 民 参 加 などの 政 策 目 的 をより 重 視 する 外 部 委 託<br />

この 類 型 では、 行 政 との 関 係 は、 経 済 合 理 性 のみによらず、 共 通 の 社 会 目 標 を 共 有 する<br />

関 係 になり、 受 け 手 の 決 定 に 際 しては、 政 策 上 の 目 的 合 理 性 を 重 視 するため、 随 意 契 約 や<br />

総 合 評 価 方 式 を 活 用 できる 場 合 がある。この 場 合 においても、 効 率 性 の 確 保 に 留 意 する 必<br />

要 。<br />

a 対 象 事 務 の 選 定<br />

協 働 、 住 民 参 加 などの 目 的 に 応 じて 外 部 委 託 という 手 法 を 選 択 するかどうか、また 委<br />

託 するとすれば、 相 手 はどこが 適 切 か 等 について、 検 討 ・ 評 価 。<br />

b 委 託 先 の 選 定 、 説 明 責 任<br />

本 来 的 には 一 般 競 争 入 札 に 向 かないと 考 えられるが、 一 方 で、 独 占 的 に 委 託 が 継 続 さ<br />

れる 可 能 性 もあり、 委 託 先 について 常 に 正 当 性 を 担 保 し、 説 明 責 任 を 果 たすことが 必 要 。<br />

c 住 民 との 関 係 、 行 政 の 責 任 論<br />

外 部 委 託 した 業 務 に 関 して、 行 政 の 責 任 はどこまで 残 るか、 委 託 先 の 責 任 はどこまで<br />

追 及 できるかについて 明 確 に 整 理 しておくことが 必 要 。<br />

(3) 外 部 委 託 契 約 のあり 方<br />

1 一 定 水 準 のサービスの 質 を 確 保 するための 仕 組<br />

サービスの 価 格 だけでなく、 質 を 確 保 するための 規 定 を、 対 象 業 務 の 特 性 に 応 じた 形 で、<br />

契 約 で 担 保 。<br />

2 対 住 民 における 契 約 当 事 者 の 責 任 分 担<br />

住 民 との 関 係 における 責 任 分 担 を 明 確 にし、 契 約 条 項 に 反 映 。<br />

3 守 秘 義 務<br />

6


個 人 情 報 保 護 、 契 約 期 間 終 了 後 の 担 保 などについて、 守 秘 義 務 契 約 において 規 定 するこ<br />

とが 不 可 欠 。<br />

4 妥 当 な 再 委 託 の 範 囲<br />

従 来 の 外 部 委 託 契 約 においては、 丸 投 げを 禁 止 する 趣 旨 から、 再 委 託 を 禁 止 。しかしな<br />

がら、 民 間 企 業 においてグループ 会 社 化 やアウトソーシングなどが 進 展 し、1 社 で 委 託 内<br />

容 を 遂 行 し 得 る 能 力 を 有 する 企 業 が 少 なくなってきており、 従 来 の 再 委 託 の 禁 止 の 条 項 を<br />

修 正 し、 妥 当 な 再 委 託 の 範 囲 を 規 定 する 必 要 。<br />

(4) 多 元 的 な 主 体 ・ 形 態 の 活 用 による 戦 略 的 なアウトソーシングの 推 進<br />

行 政 活 動 の 多 元 化 という 観 点 から、 指 定 管 理 者 制 度 、 地 方 独 立 行 政 法 人 制 度 、 任 期 付 任 用<br />

制 度 などの 制 度 も 活 用 可 能 。<br />

3. 組 織 ・マネジメント、 人 事 管 理<br />

首 長 が 的 確 な 現 状 把 握 と 危 機 意 識 、 強 い 改 革 意 欲 を 持 つとともに、 職 員 も 危 機 意 識 、 改 革 意<br />

欲 を 共 有 することが 何 よりも 重 要 。できない 理 屈 だけを 考 えず、まず 実 施 すること。<br />

(1) 地 方 自 治 体 のビジョンとミッションの 明 確 化<br />

1 事 務 事 業 の 可 視 化 ・ 体 系 化 をもとにした 戦 略 体 系 の 構 築<br />

地 方 自 治 体 の 各 組 織 ( 課 室 、 係 のレベルまで 分 解 )の 目 的 は 何 か、その 目 的 を 達 成 する<br />

ために 具 体 的 に 何 をどこまでやるのかなど、 当 該 組 織 が 所 掌 する 業 務 の 内 容 を 明 確 化 。さ<br />

らに、これを 体 系 化 し、 事 務 事 業 全 体 の 体 系 における 個 々の 事 務 事 業 の 位 置 付 けを 明 確 化 。<br />

このことにより、a 職 員 が 自 らの 担 当 業 務 の 全 体 の 中 での 位 置 づけを 確 認 し、 自 らの 業<br />

務 の 目 的 、 意 味 を 認 識 、bトップが 有 機 的 に 事 務 事 業 全 体 を 把 握 、c 業 務 に 関 する 知 識 ・<br />

ノウハウが 組 織 として 継 承 されること、などが 可 能 。<br />

2 変 革 を 求 める 環 境 要 因 の 積 極 的 かつ 継 続 的 な 把 握 ・ 分 析<br />

政 策 ・ 施 策 ・ 事 務 事 業 の 検 証 を 行 う 際 には、 変 革 を 求 める 要 因 となる 社 会 経 済 情 勢 の 動 向 、<br />

新 たに 対 応 すべき 政 策 課 題 の 把 握 ・ 分 析 が 充 分 に 行 われていることが 前 提 。リサーチ 機 能<br />

を 強 化 。<br />

(2)トップのリーダーシップとそれを 支 えるマネジメントの 強 化<br />

1 首 長 のリーダーシップ<br />

住 民 ニーズを 踏 まえるとともに、 地 域 の 将 来 を 見 据 え、 長 期 的 な 視 点 に 立 った 政 策<br />

の「 選 択 と 集 中 」を 行 うためには、 首 長 の 強 い 改 革 意 欲 とリーダーシップの 発 揮 が 不<br />

可 欠 。 基 本 的 な 方 針 を 指 示 し、 具 体 的 な 実 施 方 法 については 職 員 の 知 識 、 経 験 を 活 用 。<br />

2トップマネジメントサポート 機 能 の 強 化<br />

強 い 改 革 意 欲 を 持 つ 首 長 が 地 方 自 治 体 のミッションの 実 現 に 向 けて、リーダーシップを<br />

発 揮 しやすい 組 織 的 な 環 境 の 整 備 が 重 要 。トップマネージメントサポート 機 能 は、 首 長 の<br />

特 性 に 応 じた 組 織 を 構 築 することが 有 効 。 例 えば、 行 政 経 験 が 豊 富 な 首 長 には 民 間 的 な 発<br />

想 をサポートするための 仕 組 みを 整 備 、 民 間 出 身 の 首 長 には 実 務 面 をサポートするための<br />

仕 組 みを 整 備 するなど。<br />

7


トップマネジメントをサポートする 機 能 として、a 官 房 機 能 の 強 化 、b 首 長 直 属 の 部 局<br />

横 断 的 組 織 の 編 成 、c 経 営 会 議 、d 特 別 職 等 の 活 用 、e 行 政 評 価 の 活 用 、など。<br />

a 官 房 機 能 の 強 化<br />

トップマネジメントをサポートするための 官 房 機 能 の 強 化 として、 情 報 収 集 ・ 情 勢 分<br />

析 ・ 企 画 ・ 戦 略 策 定 部 門 の 機 能 強 化 と 首 長 直 轄 組 織 への 位 置 付 けなどを 行 う 方 策 。<br />

b 首 長 直 属 の 部 局 横 断 的 組 織 の 編 成<br />

首 長 からの 課 題 提 示 に 応 じ、 関 係 部 局 から 知 見 を 有 する 職 員 を 選 抜 して 首 長 直 属 の 部<br />

局 横 断 的 組 織 を 編 成 し、 解 決 方 策 の 立 案 を 行 う 方 策 。<br />

c 経 営 会 議<br />

部 局 間 調 整 の 簡 略 化 、 意 思 決 定 の 迅 速 化 、 首 長 の 総 合 的 判 断 のサポート、 重 要 政 策 に<br />

ついての 情 報 ・ 方 針 共 有 の 観 点 から、 幹 部 職 員 により 構 成 される 経 営 会 議 などを 定 期 的<br />

に 開 催 し、 意 思 決 定 を 行 う 方 策 。<br />

d 特 別 職 等 の 活 用<br />

一 般 職 の 部 局 長 などに 代 えて、 任 期 があり 政 治 的 責 任 を 負 う 特 別 職 のスタッフや 一 般<br />

職 の 任 期 付 職 員 を 積 極 的 に 活 用 し、 期 限 を 定 めて 特 定 のミッションを 付 与 するなどの 方<br />

策 。<br />

e 行 政 評 価 の 活 用<br />

行 政 評 価 をトップにとっての 主 要 なマネジメントツールとして 位 置 付 け。<br />

3トップマネジメントに 対 するチェック 機 能 の 強 化<br />

トップマネジメントの 強 化 に 伴 って、 首 長 の 独 断 専 行 を 事 前 に 防 止 するとともにコンプ<br />

ライアンスを 確 保 する 観 点 から、トップマネジメントに 対 するチェック 機 能 を 確 保 してお<br />

くことも 必 要 。 議 会 、 人 事 委 員 会 、 外 部 監 査 制 度 などの 仕 組 みを 有 効 に 機 能 させることが<br />

重 要 。 第 三 者 機 関 の 設 置 、 民 間 企 業 におけるガバナンスとマネジメントの 分 離 なども 検 討<br />

対 象 であるが、 最 終 的 には、トップマネジメントに 対 するチェック 機 能 は 議 会 と 住 民 自 身<br />

が 担 う 役 割 であることに 留 意 。<br />

(3) 行 政 ニーズへの 迅 速 かつ 的 確 な 対 応 を 可 能 とする 組 織<br />

1 政 策 目 的 対 応 型 組 織<br />

都 道 府 県 における 局 部 数 の 法 定 制 度 廃 止 などを 踏 まえ、 明 確 化 されたビジョン、 構 築 さ<br />

れた 戦 略 体 系 に 基 づき、 効 果 的 ・ 効 率 的 に 事 務 事 業 を 処 理 しうる 組 織 とする 必 要 。<br />

2 応 答 性 の 高 い 柔 軟 な 組 織 編 成<br />

政 策 ・ 施 策 ・ 事 務 事 業 について、 戦 略 策 定 → 実 施 方 針 決 定 → 実 施 → 評 価 → 見 直 しのサイク<br />

ルを 不 断 に 実 施 し、そのサイクルに 応 じて、 組 織 編 成 も 不 断 に 見 直 すことが 重 要 。<br />

3 組 織 階 層 の 簡 素 化<br />

各 部 局 に 付 与 された 権 限 を 適 切 に 行 使 し、 責 任 を 果 たすためにも、 各 職 員 の 責 任 と 権 限<br />

が 明 確 にされ、 意 思 決 定 過 程 も 簡 素 化 された、フラットな 組 織 とすることが 有 効 。<br />

4 組 織 内 分 権 ( 大 規 模 な 組 織 についての 手 法 )<br />

政 策 の 実 行 責 任 が 各 部 局 に 付 与 されることを 前 提 として、 効 果 的 ・ 効 率 的 な 政 策 運 営 の<br />

観 点 から、 政 策 の 決 定 権 限 、 各 部 局 内 の 経 営 資 源 配 分 権 限 および 個 別 分 野 の 経 営 権 限 を 各<br />

部 局 に 委 譲 することが 考 えられる。 組 織 規 模 が 大 きく、 経 営 資 源 配 分 を 総 務 管 理 部 門 が 集<br />

権 的 に 決 定 する 方 式 では 弊 害 が 大 きい 場 合 や、 予 算 等 を 大 幅 に 削 減 しなければならない 場<br />

8


合 などにおいては、 部 局 間 の 予 算 ・ 人 員 等 の 経 営 資 源 の 配 分 は 戦 略 体 系 に 基 づき 全 庁 的 な<br />

観 点 で 行 った 上 で、 各 部 局 内 の 経 営 資 源 配 分 権 限 、 個 別 の 分 野 についての 経 営 権 限 は 各 部<br />

局 に 移 譲 することも 有 効 。<br />

5 出 資 法 人 などの 見 直 し<br />

地 方 自 治 体 の 出 資 法 人 などについて、 廃 止 や 出 資 の 引 上 げを 含 め、その 役 割 を 徹 底 的 に<br />

見 直 し、 整 理 することが 必 要 。その 上 で 存 続 する 必 要 性 のあるものについては 効 率 性 、 有<br />

効 性 を 高 める 必 要 。 指 定 管 理 者 制 度 の 導 入 も 大 きな 契 機 。<br />

6 市 町 村 への 権 限 移 譲<br />

都 道 府 県 と 市 町 村 による 二 重 行 政 を 避 け、 住 民 に 最 も 身 近 なところでの 行 政 を 実 現 する<br />

観 点 から、 可 能 な 限 り 市 町 村 への 事 務 権 限 を 移 譲 。 市 町 村 合 併 に 伴 い、 都 道 府 県 の 事 務 処<br />

理 体 制 も 必 然 的 に 見 直 し。<br />

7 都 道 府 県 の 出 先 機 関 の 見 直 し<br />

できる 限 り 市 町 村 に 事 務 権 限 を 移 譲 することを 前 提 として、 都 道 府 県 の 出 先 機 関 のあり<br />

方 を 抜 本 的 に 検 討 。 計 画 的 かつ 着 実 に 出 先 機 関 の 再 編 に 取 り 組 む 必 要 。<br />

8 地 域 協 働 を 推 進 する 住 民 とのインタフェース<br />

地 域 協 働 により 対 応 することが 適 切 な 分 野 についても、 地 方 自 治 体 は 地 域 協 働 の 主 体 と<br />

なりうる 団 体 などとの 連 携 を 確 保 する 責 務 を 有 し、 担 当 セクションを 明 確 にして、 住 民 と<br />

のインタフェースを 確 立 する 必 要 。<br />

9アウトソーシングによるスリムな 組 織<br />

行 政 として 対 応 する 必 要 がある 分 野 についても、 企 画 立 案 から 実 行 までの 全 てを 行 政 が<br />

行 うのではなく、 行 政 が 実 施 する 方 が 効 果 的 ・ 効 率 的 な 業 務 に 限 定 して 処 理 する 体 制 とす<br />

る 必 要 。 外 部 委 託 の 可 能 性 を 総 点 検 し、 行 政 として 行 うべき 業 務 に 重 点 化 した 組 織 体 制 を<br />

構 築 。 指 定 管 理 者 制 度 についても、 実 質 的 な 市 場 化 テストとしての 機 能 を 果 たすよう 運 用 。<br />

(4) 職 員 の 能 力 を 最 大 限 に 引 き 出 しうる 人 事 管 理 、 人 材 育 成<br />

各 職 員 が 危 機 意 識 を 共 有 し 改 革 の 必 要 性 を 認 識 した 上 で、 組 織 全 体 で 総 力 を 挙 げて 改 革 に<br />

取 り 組 む 必 要 。そのためには、 職 員 の 資 質 が 重 要 であり、その 能 力 を 最 大 限 に 引 き 出 す 能 力<br />

開 発 が 不 可 欠 。<br />

1 研 修 ・ 多 様 な 業 務 経 験 による 人 材 育 成<br />

人 事 管 理 については、 結 果 の 平 等 ではなく、 機 会 の 平 等 を 重 視 し、 職 員 の 意 欲 、 能 力 を<br />

最 大 限 に 引 き 出 すことが 不 可 欠 。 可 能 な 限 り 早 い 段 階 で 対 外 的 に 責 任 を 有 する 立 場 を 経 験<br />

することも 重 要 。<br />

a 積 極 的 な 人 材 登 用 による 育 成<br />

複 数 の 部 局 長 などが 優 れた 業 務 遂 行 能 力 を 認 めた 比 較 的 若 手 の 職 員 について、 課 長 な<br />

どの 管 理 職 ポストを 早 期 に 経 験 させて 管 理 職 としての 業 務 遂 行 能 力 を 評 価 。さらに 上 位<br />

の 職 へ 登 用 。<br />

b 意 欲 に 応 える 人 材 登 用<br />

意 欲 と 能 力 を 有 する 職 員 が 自 ら、より 大 きな 職 責 を 有 するポストにチャレンジできる<br />

ルートを 用 意 。<br />

c 多 様 な 業 務 経 験 を 通 じたキャリアアップシステム<br />

一 定 の 年 齢 に 達 するまでは 多 様 な 業 務 経 験 ( 国 や 他 の 地 方 自 治 体 、 民 間 企 業 等 との 人<br />

9


事 交 流 、 出 先 機 関 でのNPO、 住 民 組 織 との 連 携 )を 積 ませ、 住 民 ニーズに 対 する 意 識 、<br />

コスト 感 覚 、 責 任 感 を 養 うキャリアアップシステムを 確 立 。<br />

d 事 務 吏 員 と 技 術 吏 員 の 区 分 の 廃 止<br />

技 術 職 や 一 般 行 政 職 など 採 用 時 の 区 分 にとらわれず 採 用 後 に 職 務 を 通 じて 発 揮 され<br />

た 能 力 ・ 適 性 に 応 じて 柔 軟 に 登 用 。また、 制 度 上 設 けられている 事 務 吏 員 と 技 術 吏 員 の<br />

区 分 についても 廃 止 を 検 討 する 必 要 。<br />

e キャリアアップシステムの 複 線 化<br />

職 員 の 適 性 ・ 能 力 を 適 切 に 見 極 め、スペシャリストを 育 成 するキャリアアップルート<br />

を 設 けるなど、 人 材 育 成 のためのキャリアアップシステムを 複 線 化 。<br />

f 採 用 方 法 の 多 様 化<br />

地 方 自 治 体 の 職 員 の 年 齢 構 成 の 偏 りを 平 準 化 する 観 点 から、 新 卒 者 を 年 度 当 初 に 採 用<br />

する 方 式 のみならず、 有 能 な 人 材 の 年 度 途 中 での 採 用 など 採 用 方 法 を 多 様 化 する 必 要 。<br />

g 多 様 な 雇 用 形 態 の 活 用<br />

業 務 の 特 性 に 応 じて、 通 常 の 常 勤 職 員 のみならず、 専 門 的 な 知 識 経 験 を 有 する 任 期 付<br />

職 員 、 一 定 期 間 内 に 業 務 終 了 が 見 込 まれる 場 合 あるいは 一 定 期 間 に 限 り 業 務 量 の 増 加 が<br />

見 込 まれる 場 合 に 採 用 可 能 となる 任 期 付 職 員 などの、 多 様 な 雇 用 形 態 を 柔 軟 に 活 用 。<br />

h 登 用 機 会 における 男 女 間 格 差 の 積 極 的 な 是 正<br />

庶 務 関 係 業 務 の 担 当 はもっぱら 女 性 職 員 とするなど、 固 定 観 念 にとらわれた 安 易 な 人<br />

事 管 理 を 廃 止 。これまで 女 性 職 員 が 登 用 されてこなかったポストに、 意 欲 のある 女 性 職<br />

員 を 積 極 的 に 登 用 。 給 与 体 系 の 基 本 的 な 構 造 自 体 も 見 直 し。<br />

2 実 績 評 価 及 び 職 務 遂 行 能 力 評 価 に 基 づく 人 事 管 理<br />

実 績 評 価 及 び 職 務 遂 行 能 力 評 価 の 結 果 を 踏 まえ、 年 功 序 列 のみによらず、 民 間 並 にメリ<br />

ハリのついた 人 事 管 理 、 給 与 への 反 映 。<br />

3 組 織 マネジメントの 刷 新 を 裏 打 ちする 組 織 文 化 の 醸 成<br />

一 部 の 開 明 的 なリーダーのみならず、 通 常 の 職 員 レベルにおいても、 問 題 意 識 が 高 く、<br />

「 失 敗 を 恐 れずに、まずはやってみよう」という 意 識 の 醸 成 などを 始 めとした 意 識 改 革 が<br />

なされることが 必 要 。そのような 意 識 改 革 の 総 和 として、 刷 新 に 向 けた 組 織 文 化 が 醸 成 さ<br />

れることが 必 要 。<br />

4. 行 政 評 価<br />

(1) 地 方 自 治 体 における 行 政 評 価 の 現 状 と 課 題<br />

地 方 自 治 体 における 行 政 評 価 制 度 については、1 評 価 のための 評 価 からの 脱 却 、2 住 民 に<br />

対 する 説 明 責 任 を 果 たすためのツールとしての 活 用 、という 課 題 。<br />

1 評 価 のための 評 価 からの 脱 却<br />

評 価 結 果 が、 予 算 や 組 織 ・ 人 事 管 理 などの 行 政 の 意 思 決 定 の 中 核 において 十 分 に 活 用 さ<br />

れず、 現 場 の 意 識 改 革 や 施 策 ・ 事 業 の 改 善 のツールとしても 有 効 に 機 能 していないことが<br />

多 く、 行 政 評 価 を 行 うこと 自 体 が 自 己 目 的 化 し、 担 当 者 の 負 担 感 が 増 大 。<br />

2 住 民 に 対 する 説 明 責 任 を 果 たすためのツールとしての 活 用<br />

マネジメントツールとして 有 効 に 機 能 しない 場 合 には 行 政 評 価 自 体 が 重 視 されず、 住 民<br />

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に 対 する 説 明 責 任 を 果 たすツールとしての 機 能 も 不 十 分 。<br />

(2) 行 政 評 価 の 目 的 ・ 位 置 づけの 明 確 化 と 手 法 の 再 構 築<br />

行 政 評 価 制 度 を「トップマネジメントのツール」として 明 確 に 位 置 付 け、トップが 掲 げる<br />

政 策 目 標 の 達 成 を 中 核 とする 行 政 マネジメントを 実 現 。1 評 価 の 目 的 ・ 制 度 、2 組 織 上 の 工<br />

夫 、3 評 価 手 法 、の 3 つの 観 点 から、 現 行 の 行 政 評 価 を 刷 新 。<br />

1 評 価 の 目 的 ・ 制 度<br />

a トップの 政 策 方 針 ( 公 約 、マニフェスト 等 )を 中 核 とする 評 価 制 度 の 構 築<br />

トップが 掲 げる 重 要 政 策 の 達 成 状 況 を 測 るツールとして 明 確 に 位 置 付 け。<br />

b 組 織 の 全 事 業 の 可 視 化 ・ 体 系 化 をもとにした 評 価 が 基 本<br />

政 策 ・ 施 策 ・ 事 務 事 業 について 住 民 や 議 会 等 に 対 する 説 明 責 任 を 果 たし、 住 民 や 議 会 な<br />

どの 監 視 のもとに 有 効 性 ・ 効 率 性 ・ 妥 当 性 を 確 保 していく 考 え 方 からは、 全 ての 政 策 ・ 施<br />

策 ・ 事 務 事 業 が 体 系 化 され、その 業 務 が 全 体 の 中 でどう 位 置 付 けられるかも 評 価 され 得<br />

る 制 度 が 構 築 されていることが 必 要 。<br />

c 既 存 の 予 算 、 計 画 、 人 事 管 理 と 評 価 制 度 との 有 機 的 連 携 確 保 が 必 要<br />

トップの 政 策 の 実 現 の 拠 り 所 となる 行 政 評 価 制 度 と、 既 存 の 予 算 や 計 画 、 人 事 管 理 な<br />

どの 制 度 との 有 機 的 連 携 を 確 保 。<br />

d 組 織 の 全 事 業 を 対 象 に 評 価 し、 経 営 資 源 配 分 と 連 携 させる 際 のポイント<br />

ポイント1: 予 算 事 務 事 業 が( 予 算 管 理 ではなく) 行 政 評 価 に 適 した 単 位 に 整 理 されて<br />

いること。( 財 政 部 門 と 行 政 評 価 部 門 との 調 整 が 必 要 )<br />

ポイント2:( 上 記 整 理 を 踏 まえて) 予 算 事 務 事 業 がトップの 政 策 から 始 まる 体 系 ( 戦<br />

略 )に 位 置 付 けられていること。<br />

ポイント3: 戦 略 に 掲 げる 目 標 達 成 の 視 点 から 予 算 編 成 や 組 織 編 制 が 行 われること。<br />

e 有 効 な 行 政 評 価 制 度 の 構 築 には 時 間 と 労 力 の 双 方 が 必 要<br />

戦 略 の 体 系 と 予 算 事 務 事 業 との 関 係 や 単 位 、 意 思 決 定 の 視 点 などが 一 体 化 しているの<br />

は、 数 年 の 改 革 を 重 ねた 経 験 のある 地 方 自 治 体 であり、 実 現 には 労 力 と 時 間 の 双 方 が 必<br />

要 。<br />

2 組 織 上 の 工 夫<br />

a 評 価 担 当 部 局 の 機 能 の 強 化<br />

行 政 評 価 の 客 観 性 、 全 体 の 整 合 性 の 確 保 、 評 価 を 通 じたマネジメント( 政 策 目 標 実 現<br />

のための 方 針 決 定 ・ 横 断 的 課 題 への 対 応 のための 調 整 機 能 など)を 担 う 組 織 を 官 房 組 織<br />

に 位 置 付 けるとともに、 総 務 管 理 部 門 との 調 整 のシステムを 導 入 するなどの 取 組 も 有 効 。<br />

b 組 織 内 の 権 限 移 譲<br />

官 房 機 能 を 強 化 する 一 方 で、 組 織 規 模 が 大 きく 管 理 部 門 による 集 権 的 な 経 営 資 源 配 分<br />

では 弊 害 が 大 きい 場 合 や 予 算 などを 大 幅 に 削 減 しなければならない 場 合 などには、 予<br />

算 編 成 ・ 執 行 に 関 する 権 限 の 一 部 移 譲 、 人 事 ( 定 数 配 置 )に 関 する 権 限 の 一 部 移 譲 、<br />

( 権 限 移 譲 を 前 提 に) 部 門 長 の 責 任 の 明 確 化 、の 視 点 からの 検 討 が 必 要 。<br />

検 討 1 予 算 編 成 ・ 執 行 に 関 する 権 限 の 移 譲<br />

総 枠 として 組 織 に 配 分 された 予 算 の 範 囲 内 で 各 部 局 が 施 策 、 事 業 への 予 算 配<br />

分 を 決 定 する「 枠 配 分 方 式 」に 移 行 することも 有 効 。その 一 方 で 今 後 の 財 政 部<br />

門 の 役 割 としては、 予 算 の 総 枠 や 部 局 への 配 分 額 の 決 定 、トップの 政 策 の 実 現<br />

11


のための 財 政 的 観 点 からの 総 合 調 整 、 及 び 持 続 可 能 な 財 政 を 実 現 する 中 長 期 的<br />

な 方 針 策 定 などがより 重 要 となる。<br />

検 討 2 定 数 配 置 に 関 する 権 限 の 移 譲<br />

定 数 枠 と 配 置 の 双 方 を 人 事 部 門 が 決 定 するのではなく、 今 後 は 人 事 部 門 が 部<br />

局 単 位 で 定 数 を 決 定 ・ 配 分 し、 配 分 後 の 個 々の 職 員 の 配 置 は 部 局 の 権 限 に 移 譲<br />

し 部 局 の 裁 量 と 責 任 に 置 くことが、 人 材 の 適 正 配 置 の 視 点 から 重 要 。<br />

検 討 3 部 門 長 の 責 任 の 明 確 化<br />

予 算 、 人 事 に 関 する 権 限 の 一 部 が 部 局 に 移 譲 されることの 前 提 として、 部 門<br />

長 の 責 任 を 明 確 化 することが 重 要 。<br />

3 評 価 手 法<br />

a トップの 政 策 を 実 現 する 戦 略 体 系 ( 目 的 - 手 段 体 系 )の 構 築<br />

トップが 掲 げる 政 策 の 達 成 状 況 を 評 価 してマネジメントに 活 用 する 際 には、トップの<br />

政 策 - 施 策 - 事 業 の 関 係 が 目 的 - 手 段 の 関 係 に 置 かれるなど、 戦 略 的 な 視 点 から 政 策 体<br />

系 が 整 理 されていることが 前 提 。<br />

b 政 策 の 実 現 の 進 捗 を 測 る 適 切 な 指 標 の 設 定<br />

トップが 掲 げる 政 策 目 標 の 達 成 の 進 捗 を 測 る 際 には、 施 策 ・ 事 業 の 成 果 の 波 及 プロセ<br />

スを 前 提 に、 戦 略 体 系 に 沿 って 適 切 な 段 階 で 複 数 の 指 標 を 設 定 し 進 捗 管 理 がなされてい<br />

ることが 重 要 。<br />

c 行 政 評 価 の 積 極 的 活 用<br />

行 政 評 価 を 真 に 機 能 させるためには、 評 価 過 程 への 住 民 参 加 に 努 めるとともに 評 価 結<br />

果 の 活 用 状 況 を 議 会 へ 報 告 することを 義 務 化 したり、 評 価 結 果 の 活 用 プロセスについて<br />

透 明 性 を 確 保 したりするなど 評 価 結 果 を 活 用 したマネジメントを 実 践 することが 必 要 。<br />

5. ICT の 活 用<br />

(1)ICT 活 用 の 視 点 と 課 題<br />

行 政 組 織 における ICT の 活 用 の 視 点 としては、1 業 務 の 電 子 化 、2 情 報 の 公 開 、3 情 報 の<br />

共 有 がある。<br />

一 方 で、 業 務 の 電 子 化 → 情 報 の 公 開 → 情 報 の 共 有 といった 形 で、ICT の 活 用 が 進 展 するに<br />

つれて、デジタル・デバイドの 解 消 、 情 報 に 対 する 不 当 なアクセス 制 御 、 個 人 情 報 の 保 護 と<br />

いったICT 活 用 に 伴 う 課 題 に 適 切 に 対 処 する 必 要 性 が 高 まることに 留 意 。<br />

(2) 行 政 内 部 の 刷 新 ツールとしてのICT<br />

1トップの 意 思 決 定 の 変 革<br />

ICT を 活 用 した 住 民 ニーズの 把 握 や 現 場 に 近 い 職 員 との 情 報 共 有 を 通 じ、トップの 意 思<br />

決 定 や 政 策 形 成 を 変 革 。<br />

2ICT 化 の 進 展 に 応 じた 組 織 改 編<br />

ICT を 活 用 し、 行 政 内 部 で 同 じ 内 容 の 情 報 が 一 斉 に 各 階 層 で 共 有 化 されることで、 組 織<br />

のフラット 化 を 促 進 することが 可 能 。またアウトソーシングの 進 展 により 組 織 をスリム 化 。<br />

12


(3) 行 政 と 住 民 等 との 関 係 の 刷 新 ツールとしてのICT<br />

1 住 民 志 向 の 簡 素 で 効 率 的 な 行 政 組 織 の 実 現<br />

a ポータル・サイトを 通 じたサービス 提 供<br />

住 民 や 企 業 などが 必 要 とする 情 報 ・サービスを 一 元 的 に 提 供 するWEB 上 のポータ<br />

ル・サイトの 構 築 と 支 所 ・ 出 張 所 や 公 の 施 設 などにポータル・サイトにアクセス 可 能 な<br />

端 末 を 設 置 し、 住 民 に 開 放 。<br />

b 個 々の 住 民 に 対 応 できるバーチャルな 組 織<br />

高 度 なICTを 活 用 することにより、 仮 想 現 実 空 間 に 住 民 オリエンティッドな 行 政 組<br />

織 を 構 築 することが 可 能 。<br />

2 業 務 革 新 と 外 部 委 託 の 推 進<br />

業 務 の 電 子 化 の 前 提 として、 様 式 の 共 通 化 やシステムの 標 準 化 等 が 重 要 。また、ICT を<br />

通 じて、 組 織 内 外 の 膨 大 な 情 報 の 処 理 や 遠 隔 での 処 理 が 効 率 的 になり、 外 部 委 託 のより 積<br />

極 的 な 推 進 が 可 能 。<br />

3 地 域 協 働 の 推 進 (e コミュニティの 実 現 )<br />

ICT を 活 用 し、 地 域 との 情 報 共 有 、コミュニケーションが 活 発 化 することを 通 じて、 地<br />

域 協 働 のより 積 極 的 な 推 進 が 可 能 。ICTを 通 じて 団 体 と 住 民 、 関 係 機 関 とのインタラク<br />

ティブな 関 係 を 構 築 し、 新 たな 協 働 の 形 (eコミュニティ)を 実 現 。<br />

(4)セキュリティの 強 化<br />

1セキュリティ 対 策<br />

個 人 情 報 や 地 方 自 治 体 内 部 の 秘 匿 情 報 などについて、 自 ら 管 理 するための 仕 組 みづくり<br />

( 個 人 情 報 保 護 条 例 の 制 定 等 )が 重 要 。<br />

2システムにおける 情 報 セキュリティ 強 化<br />

個 人 情 報 や 地 方 自 治 体 内 部 の 秘 匿 情 報 などの 漏 洩 対 策 や、 外 部 からの 地 方 公 共 団 体 の<br />

LAN へのアクセスを 制 限 する 対 策 が 必 要 。<br />

3 個 人 の 認 証 機 能<br />

個 人 の 認 証 機 能 を 進 めることで、 住 民 は 様 々なサービスを 効 果 的 に 受 けることが 可 能 。<br />

この 観 点 から、 住 基 カードの 一 層 の 利 活 用 を 期 待 。<br />

(5) 情 報 格 差 (デジタル・デバイド) 対 策<br />

情 報 能 力 が 不 十 分 な 住 民 などに 対 して、 提 供 するサービスの 格 差 を 生 じさせないよう 対 策<br />

を 講 じることが 必 要 。<br />

6. 議 会<br />

(1)「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 を 踏 まえた 議 会 の 刷 新<br />

1「 新 しい 公 共 空 間 」にふさわしい 議 会 のあり 方<br />

「 新 しい 公 共 空 間 」をより 豊 かなものにしていくため、 住 民 の 代 表 としての 議 会 は、 多<br />

様 な 民 意 を 反 映 するとともに、 様 々な 利 害 を 調 整 し、 住 民 の 真 の 代 表 として 地 域 の 意 見 を<br />

集 約 することが 必 要 。<br />

13


2インタフェースとしての 議 員<br />

議 会 の 活 動 や 当 該 団 体 の 施 策 に 関 する 情 報 を 住 民 に 提 供 するとともに、 住 民 から 直 接 、<br />

施 策 に 対 する 批 判 や 意 見 ・ 要 望 などを 聴 取 することで、 議 会 の 政 策 提 言 機 能 ・ 監 視 機 能 を<br />

向 上 させることが 重 要 。<br />

3 議 員 個 人 の 責 任 の 明 確 化 、 自 発 的 な 能 力 向 上 ・ 改 革 推 進<br />

議 員 自 身 が 直 接 住 民 の 声 を 聴 くといったような 議 員 活 動 ( 住 民 との 討 論 会 、 公 聴 会 の<br />

開 催 、 参 考 人 制 度 の 活 用 )を 行 うなど、 議 員 自 身 の 自 発 的 な 変 革 が 不 可 欠 。<br />

また、 個 々の 議 員 の 議 案 に 対 する 賛 否 や 投 票 行 動 を 公 表 し、 議 員 活 動 の 透 明 化 ・ 議 員 個<br />

人 の 責 任 の 明 確 化 を 図 ることも 考 えられる。<br />

(2) 議 会 と 執 行 機 関 の 関 係 の 刷 新<br />

1 政 策 立 案 過 程 における 議 会 の 役 割<br />

重 要 政 策 については、その 立 案 の 段 階 から 議 会 が 一 定 の 役 割 を 果 たすことも 有 効 。<br />

2 行 政 評 価 結 果 の 議 会 への 報 告 の 義 務 づけ<br />

決 算 審 査 の 充 実 のみならず、 議 会 における 政 策 審 議 の 充 実 、 地 方 自 治 体 の 事 務 執 行 に 対<br />

する 議 会 の 監 視 機 能 の 強 化 の 観 点 から、 行 政 評 価 結 果 について、 議 会 に 対 する 報 告 、 説 明<br />

を 義 務 づけ、 審 議 を 求 めることが 有 効 。<br />

3 議 会 事 務 局 の 専 門 性 の 向 上<br />

議 会 の 監 視 力 を 高 めるために、そのサポート 機 能 である 議 会 事 務 局 の 専 門 性 の 向 上 が 必<br />

要 である。 特 に、 議 会 の 政 策 立 案 能 力 をサポートするための 政 策 法 務 能 力 を 有 するスタッ<br />

フを 確 保 する 観 点 から、 任 期 付 職 員 などの 制 度 の 積 極 的 活 用 を 検 討 。<br />

14


多 元 的 で 多 様 な 協 働 の 形 態 ( 活 用 しうる 制 度 ・ 枠 組 みなど)<br />

制 度 ・<br />

枠 組<br />

外<br />

部<br />

委<br />

託<br />

指<br />

定<br />

管<br />

理<br />

者<br />

制<br />

度<br />

地<br />

方<br />

独<br />

立<br />

行<br />

政<br />

法<br />

人<br />

制<br />

度<br />

制 度 ・ 枠 組 の 概 要<br />

特 徴 ・ 効 果 ・メリット<br />

経 済 合 理 性 や 政 策 目 的 の 追 求 のために、 行 ・ 経 済 性 追 求<br />

政 の 内 部 事 務 や 住 民 サービスを、 行 政 の 外 部 に ・ 政 策 目 的 の 追 求<br />

委 託 するもの。<br />

・ 外 部 専 門 性 の 活 用<br />

・ 柔 軟 な 対 応<br />

・ 職 員 の 負 担 軽 減 など<br />

【 留 意 点 】<br />

委 託 後 に 当 該 事 務 がブラックボックス 化 しないよう、すべての 事 務 をアウトソーシン<br />

グするのではなく、 一 部 を 地 方 自 治 体 に 残 しておくことも 重 要 である。また、 外 部 委 託 し<br />

た 事 務 についても 費 用 対 効 果 などを 行 政 が 評 価 する 仕 組 みを 設 けるとともに、 地 方 自 治 体<br />

側 の 担 当 セクションに 当 該 事 務 に 知 見 を 有 する 職 員 を 継 続 的 に 配 置 しておくなどの 体 制 を<br />

構 築 する 必 要 がある。 特 に、 外 部 委 託 業 務 について 技 術 職 員 の 技 術 力 の 更 新 を 図 ることは<br />

今 後 とも 重 要 である。<br />

地 方 自 治 法 第 244 条 の 2 第 3 項 を 根 拠 に、「 公 ・ 柔 軟 な 管 理 運 営<br />

の 施 設 」の 管 理 について、 地 方 自 治 体 の 指 定 を ・ 初 期 投 資 が 少 なく 参 入 リスクが 小<br />

受 けた「 指 定 管 理 者 」が 管 理 を 代 行 する 制 度 。 民 ・ 柔 軟 な 指 定 期 間 の 設 定 が 可 能<br />

間 事 業 者 などの 参 入 が 可 能 。<br />

・ 実 質 的 な 市 場 化 テストの 効 果 など<br />

【 留 意 点 】<br />

指 定 管 理 者 を 公 募 したり、 民 間 企 業 等 から 業 務 委 託 についての 提 案 を 求 める 際 には、<br />

民 間 企 業 などにおいて 業 務 の 受 託 を 検 討 するに 必 要 十 分 な 情 報 を 行 政 から 提 供 するととも<br />

に、 行 政 や 出 資 法 人 などが 行 う 場 合 との 比 較 検 証 過 程 、 民 間 企 業 間 での 選 考 過 程 について<br />

も 透 明 性 を 確 保 する 必 要 がある。<br />

地 方 独 立 行 政 法 人 法 に 基 づく、 公 共 上 確 実 な ・ 効 率 性 及 び 透 明 性 の 向 上<br />

実 施 が 必 要 であり 団 体 が 直 接 実 施 の 必 要 ない 事 ・ 法 人 は 自 律 的 ・ 弾 力 的 な 運 営 が 可 能 など<br />

務 事 業 を 行 う 自 律 性 、 弾 力 性 及 び 透 明 性 を 備 え<br />

た 法 人 制 度 。 対 象 となるのは、 公 立 大 学 ・ 病 院 、<br />

地 方 公 営 企 業 等 。<br />

【 留 意 点 】<br />

地 方 独 立 行 政 法 人 の 具 体 的 な 運 用 は、 設 立 団 体 である 地 方 自 治 体 並 びに 各 法 人 に 委 ねられ<br />

ている 部 分 が 大 きいため、 各 団 体 の 問 題 意 識 のあり 様 によっては、 制 度 を 上 手 く 活 用 するこ<br />

とによって 多 大 な 効 果 を 達 成 することが 可 能 である 反 面 、 単 なる 看 板 の 付 け 替 えに 終 始 して<br />

しまう 場 合 もあることに 留 意 すべきである。


制 度 ・<br />

枠 組<br />

任<br />

期<br />

第 付<br />

3採<br />

条 用<br />

法<br />

制 度 ・ 枠 組 の 概 要<br />

専 門 的 な 知 識 経 験 等 を 有 する 者 について、 選<br />

考 により 任 期 を 定 めて 採 用 することができる 制<br />

度 。( 任 期 :5 年 以 内 )<br />

特 徴 ・ 効 果 ・メリット<br />

・ 専 門 的 な 知 識 経 験 等 を 有 する 者 を 任 期 付 職<br />

員 として 採 用 することで、 行 政 の 高 度 化 ・ 専<br />

門 化 に 対 応 など<br />

任<br />

期<br />

付<br />

第<br />

採<br />

4<br />

条 用<br />

法<br />

短 任<br />

時 期<br />

間 付<br />

勤 採<br />

務 用<br />

職 法<br />

員 第<br />

制 5<br />

度 条<br />

以 下 の 場 合 に、 任 期 付 採 用 を 可 能 に。<br />

1 一 定 期 間 内 に 業 務 終 了 が 見 込 まれる 場 合<br />

2 一 定 期 間 に 限 り 業 務 量 増 加 が 見 込 まれる 場 合<br />

( 任 期 :3 年 以 内 ( 特 に 必 要 と 認 める 場 合 は5 年<br />

以 内 ))<br />

以 下 の 場 合 に、 採 用 を 可 能 に。<br />

1 上 記 第 4 条 の1、2の 場 合<br />

2 対 住 民 サービスを 向 上 する 場 合<br />

3 部 分 休 業 を 取 得 した 職 員 に 代 替 する 場 合<br />

( 任 期 :3 年 以 内 ( 特 に 必 要 と 認 める 場 合 は5 年 以<br />

内 ))<br />

・ 左 記 1、2に 係 る 業 務 について、 行 政 ニーズ<br />

に 的 確 に 対 応 しつつ、 行 政 の 肥 大 化 を 防 止<br />

など<br />

・ 行 政 需 要 への 柔 軟 な 対 応 や 行 政 の 効 率 化<br />

・フルタイムでは 就 労 し 難 かった 者 に 公 務 の 道<br />

を 開 く<br />

・ワークシェアリング 的 な 効 果 など<br />

制 指<br />

度 定<br />

を管<br />

組 理<br />

み者<br />

合 制<br />

わ度<br />

せと<br />

た任<br />

活 期<br />

用 付<br />

採<br />

用<br />

・ 上 記 の 制 度 ・ 枠 組 みの 整 理 を 前 提 として、そ<br />

れらを 組 み 合 わせることによって、より 効 果 を<br />

あげることが 可 能 。<br />

・ 指 定 管 理 者 制 度 と 任 期 付 任 用 をセットにし<br />

て、 例 えば 通 常 の 公 の 施 設 の 管 理 を5 年 後<br />

に 見 直 すことを 予 め 決 めておき、 市 場 化 テス<br />

トを 行 うことも 考 えられる。


分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会 報 告 書<br />

所 収 事 例 一 覧<br />

事 例<br />

№<br />

事 例 名<br />

団 体 名<br />

1 住 民 主 導 による 地 域 計 画 の 策 定 兵 庫 県 生 野 町<br />

2 住 民 主 導 による 地 域 計 画 の 策 定 名 張 市<br />

3 住 民 主 体 の 公 共 的 サービスの 提 供 武 蔵 野 市<br />

4 住 民 主 体 の 公 共 的 サービスの 提 供 草 津 市<br />

5 住 民 主 体 の 公 共 的 サービスの 提 供 茅 野 市<br />

6 行 政 評 価 における 外 部 評 価 機 関 への 市 民 参 加 横 須 賀 市<br />

7 地 域 通 貨 を 媒 介 とした 公 共 的 活 動 への 住 民 参 画 北 九 州 市<br />

8 住 民 等 による 中 間 支 援 団 体 神 奈 川 県 葉 山 町<br />

9 住 民 等 による 中 間 支 援 団 体 三 島 市<br />

10 地 域 自 治 区 上 越 市<br />

11 多 様 な 手 法 による 民 間 活 力 の 活 用 岐 阜 県<br />

12 多 様 な 手 法 による 民 間 活 力 の 活 用 大 阪 府<br />

13 多 様 な 手 法 による 民 間 活 力 の 活 用 高 浜 市<br />

14 バス 事 業 における 管 理 の 委 託 京 都 市<br />

15 NPO・ボランティアへの 委 託 群 馬 県<br />

16 町 内 会 との 協 働 鯖 江 市<br />

17 広 報 作 成 のNPOへの 委 託 犬 山 市<br />

18 職 員 の 配 置 体 制 ・ 採 用 形 態 の 一 体 的 な 見 直 し 船 橋 市<br />

19 NPO 法 人 を 指 定 管 理 者 に 指 定 池 田 市<br />

20 社 会 教 育 施 設 の 管 理 運 営 と 不 登 校 児 童 のケアをNPO 法 人 に 一 体 的 に 外 部 池 田 市<br />

委 託<br />

21 業 務 棚 卸 表 の 活 用 静 岡 県 ほか<br />

22 県 民 満 足 度 調 査 宮 城 県<br />

23 市 民 満 足 度 ・ 重 要 度 調 査 小 田 原 市<br />

24 組 織 改 革 の 立 案 佐 賀 県<br />

25 情 報 収 集 ・ 戦 略 策 定 機 能 の 強 化 と 首 長 直 属 組 織 への 位 置 付 け 岩 手 県<br />

26 クロスファンクショナルチーム 日 産 自 動 車 株 式 会 社<br />

27 部 局 横 断 的 組 織 小 田 原 市<br />

28 経 営 会 議 福 岡 市<br />

29 モーニングミーティング ニューヨーク 市<br />

30 政 令 指 定 都 市 の 区 長 への 任 期 付 職 員 の 登 用 等 川 崎 市<br />

31 民 間 企 業 における 委 員 会 等 設 置 会 社 イオン 株 式 会 社 、<br />

株 式 会 社 西 友 、<br />

ソニー 株 式 会 社 ほか<br />

32 横 割 り 組 織 佐 賀 県<br />

33 組 織 のフラット 化 静 岡 県<br />

34 経 営 資 源 配 分 の 各 部 局 への 移 譲 佐 賀 県<br />

35 出 資 法 人 などの 見 直 し 岩 手 県<br />

36 出 資 法 人 などの 見 直 し 北 九 州 市<br />

37 出 先 機 関 の 見 直 し 岩 手 県<br />

38 地 域 協 働 推 進 体 制 北 九 州 市<br />

39 地 域 協 働 推 進 体 制 名 張 市<br />

40 地 域 協 働 推 進 体 制 福 岡 市<br />

41 住 民 等 との 役 割 分 担 ・ 共 通 目 標 の 設 定 大 阪 府<br />

42 住 民 等 との 役 割 分 担 ・ 共 通 目 標 の 設 定 青 森 県<br />

43 住 民 等 との 役 割 分 担 ・ 共 通 目 標 の 設 定 東 海 市<br />

44 総 務 事 務 のアウトソーシング 静 岡 県<br />

45 総 務 事 務 のアウトソーシング 大 阪 府<br />

46 人 材 育 成 ビジョンと 人 材 育 成 プログラム 三 重 県<br />

47 平 成 16 年 度 人 事 院 勧 告 ( 平 成 16 年 8 月 6 日 ) 人 事 院<br />

48 改 革 を 推 進 する 組 織 文 化 の 醸 成 トヨタ 自 動 車 株 式 会 社<br />

49 知 事 の 政 策 を 中 核 とする 政 策 評 価 岩 手 県


50 幹 部 の 会 議 による 評 価 結 果 のオーソライズ 宮 城 県<br />

51 業 務 棚 卸 表 を 活 用 した 行 政 評 価 静 岡 県<br />

52 評 価 結 果 に 基 づく 予 算 編 成 や 定 数 配 分 の 実 施 佐 賀 県<br />

53 評 価 結 果 に 基 づく 予 算 編 成 や 定 数 配 分 の 実 施 宮 城 県<br />

54 行 政 評 価 制 度 の 構 築 三 重 県<br />

55 行 政 評 価 制 度 の 構 築 静 岡 県<br />

56 「 参 事 」の 設 置 北 海 道<br />

57 「 政 策 推 進 課 」の 設 置 岩 手 県<br />

58 予 算 編 成 システムの 見 直 し 岩 手 県<br />

59 予 算 編 成 システムの 見 直 し 三 重 県<br />

60 予 算 編 成 システムの 見 直 し 北 九 州 市<br />

61 庁 内 分 権 の 推 進 佐 賀 県<br />

62 庁 内 分 権 の 推 進 四 日 市 市<br />

63 部 局 別 予 算 編 成 方 針 秋 田 県<br />

64 政 策 合 意 福 井 県<br />

65 広 島 市 の 仕 事 宣 言 広 島 市<br />

66 戦 略 体 系 の 構 築 静 岡 県<br />

67 戦 略 体 系 の 構 築 岩 手 県<br />

68 指 標 の 設 定 滋 賀 県<br />

69 指 標 の 設 定 岩 手 県<br />

70 指 標 の 設 定 三 重 県<br />

71 指 標 の 設 定 仙 台 市<br />

72 指 標 の 設 定 奈 良 県<br />

73 評 価 結 果 の 議 会 への 報 告 を 義 務 化 宮 城 県<br />

74 評 価 結 果 の 議 会 への 報 告 を 義 務 化 秋 田 県<br />

75 評 価 結 果 の 議 会 への 報 告 を 義 務 化 川 西 市<br />

76 評 価 結 果 の 活 用 プロセスの 透 明 性 を 確 保 三 重 県<br />

77 メール 活 用 による 情 報 伝 達 の 迅 速 化 佐 賀 県<br />

78 出 先 機 関 担 当 者 などとの 遠 隔 会 議 岡 山 県<br />

79 民 間 からCIO(Chief Information Officer)を 登 用 札 幌 市<br />

80 ICT 専 任 職 員 の 充 実 カナダ 政 府<br />

81 電 子 申 請 ・ 行 政 情 報 のポータル・サイト 富 山 県 ・ 富 山 県 内 市 町<br />

村<br />

82 遠 隔 相 談 窓 口 の 設 置 あわら 市<br />

83 多 様 な 情 報 とサービスをオンラインで 提 供 カナダ 政 府<br />

84 不 審 者 情 報 を 瞬 時 に 収 集 し、 地 域 で 共 有 池 田 市<br />

85 業 務 を 集 約 化 し、アウトソーシング 大 阪 府<br />

86 業 務 を 集 約 化 し、アウトソーシング 札 幌 市<br />

87 在 宅 勤 務 者 を 活 用 したバーチャルコールセンター 高 知 県<br />

88 市 政 へ 反 映 することを 目 的 とした 電 子 会 議 室 の 提 供 藤 沢 市<br />

89 市 民 の 声 の「 受 付 から 回 答 まで」をシステム 化 浜 松 市<br />

90 電 子 情 報 の 不 正 記 録 ・ 流 出 を 禁 止 する 個 人 情 報 保 護 条 例 草 加 市<br />

91 二 重 化 とICカードによるセキュリティシステム 宇 治 市<br />

92 個 人 認 証 システムの 導 入 カナダ 政 府<br />

93 ホームページの 閲 覧 支 援 システムを 導 入 岐 阜 県<br />

94 県 政 情 報 ホームページを 音 声 情 報 化 香 川 県<br />

95 市 民 の 声 を 聴 く 会 宇 土 市 議 会<br />

96 全 議 員 が 地 域 に 出 向 き、「 議 会 報 告 会 」を 実 施 宮 城 県 本 吉 町 議 会<br />

97 議 会 独 自 の 情 報 公 開 条 例 制 定 による 透 明 性 の 向 上 東 京 都 千 代 田 区 議 会<br />

98 議 員 の 活 動 を 市 民 に 見 える 形 に 佐 賀 市 議 会<br />

99 主 要 計 画 の 立 案 段 階 において 議 会 への 報 告 を 義 務 付 け 岩 手 県<br />

100 議 会 事 務 局 職 員 の 外 部 からの 登 用 鳥 取 県<br />

101 弁 護 士 と 顧 問 契 約 四 日 市 市 議 会 事 務 局

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