14.02.2015 Views

日本語 - JCIC-Heritage

日本語 - JCIC-Heritage

日本語 - JCIC-Heritage

SHOW MORE
SHOW LESS

Create successful ePaper yourself

Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.

N an M adol<br />

4−2 今 後 の 課 題<br />

ナン・マドール 遺 跡 の 保 護 には 大 きくわけて3つのステークホルダー( 行 政 、ナンマルキと<br />

NGO、 一 部 土 地 所 有 者 )が 存 在 しており、 現 状 ではそれぞれが 別 々に、 料 金 徴 収 、 遺 跡 清 掃 、<br />

トレイル 建 設 等 を 行 っている。この 状 況 で、 遺 跡 保 護 を 組 織 的 に 進 めるためには 以 下 の 課 題 が<br />

あることがわかった。<br />

1<br />

ステークホルダー 間 の 情 報 共 有<br />

各 ステークホルダーが 別 々に 活 動 を 行 っているが、 相 互 に 十 分 な 情 報 共 有 がなされてい<br />

るとは 言 えない。 行 政 によって 土 地 や 遺 跡 が 地 元 住 民 の 手 から 奪 われるのではと 危 惧 する<br />

住 民 もおり、この 不 信 感 は 情 報 共 有 の 不 足 から 生 じていると 考 えられる。3 者 の 間 で 情 報<br />

を 共 有 し、 一 体 となって 遺 跡 保 護 を 進 める 体 制 が 整 備 されていない 点 は、 今 後 の 遺 跡 保 護<br />

を 考 える 上 で 最 大 の 課 題 であると 言 える。 行 政 と 伝 統 的 指 導 者 と 土 地 所 有 者 の3 者 の 協 力<br />

は、 大 規 模 に 遺 跡 を 整 備 し、 観 光 客 を 受 け 入 れるためには 不 可 欠 である。<br />

2<br />

入 場 料 徴 収 制 度 の 整 備<br />

入 場 料 の 徴 収 が 行 政 と 地 元 住 民 の 間 で 話 し 合 われ、 合 意 のもとで 設 定 されたものではな<br />

いため、 多 くの 観 光 客 は 入 場 料 システムに 困 惑 している 現 状 がある。 船 の 場 合 にはナンマ<br />

ルキに3ドル、トレイルを 使 用 する 場 合 は Masao 氏 の 入 場 口 で3ドル、その 他 にも 別 の 場<br />

所 で 入 場 料 を 徴 収 している 住 民 が 存 在 している。また、 地 元 住 民 は 行 政 によって 一 方 的 に<br />

入 場 料 徴 収 の 権 利 とその 収 益 を 奪 われると 危 惧 し、これが 地 元 住 民 が 行 政 に 協 力 すること<br />

を 妨 げている 要 因 であると 思 われた。 今 後 遺 跡 を 保 護 して、 更 なる 観 光 客 を 受 け 入 れるた<br />

めには、 入 場 料 のシステムとともに、それらの 収 益 を 適 切 に 分 配 し 保 護 活 動 などに 活 かす<br />

必 要 がある。<br />

3<br />

地 元 住 民 への 説 明<br />

ナン・マドール 遺 跡 はこれまで 数 多 くの 諸 外 国 の 考 古 学 者 の 手 によって 発 掘 されており、<br />

数 多 くの 遺 物 はこの 場 所 から 持 ち 去 られた。そのため 地 元 住 民 の 間 では、 自 分 たちの 祖 先<br />

の 墓 でもある 遺 跡 に 対 して、 外 国 人 によって 発 掘 され、 遺 物 が 持 ち 去 られたりすることに<br />

対 しての 警 戒 が 強 い。 今 回 の 調 査 前 にも、ナンマルキから、 発 掘 がないのであれば 調 査 を<br />

許 可 すると 伝 えられた。 諸 外 国 の 発 掘 隊 が 行 った 調 査 の 成 果 の 多 くは 地 元 住 民 に 還 元 され<br />

ておらず、 口 承 伝 承 による 歴 史 だけでなく、 科 学 的 調 査 に 基 づいた 歴 史 を 知 る 機 会 を 奪 わ<br />

れた 形 になっていることは、 現 在 地 元 住 民 が 諸 外 国 の 発 掘 隊 に 対 して 不 信 感 を 抱 かせる 要<br />

因 になっているように 思 われた。 今 後 、 国 際 協 力 の 形 で 遺 跡 保 護 にむけて 何 らかの 作 業 が<br />

必 要 な 際 には、 地 元 住 民 に 対 して 事 前 に 十 分 な 説 明 を 行 う 必 要 がある。<br />

また、 諸 外 国 の 発 掘 隊 による 研 究 成 果 のうち 既 に FSM 政 府 に 提 出 されているものについ<br />

ては、 今 後 FSM の HPO によって 整 理 する 動 きもあるらしく、こうした 資 料 は 今 後 、 地 元<br />

37

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!