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大学の講義棟における災害時避難に関する一考察 ... - 日本地震工学会

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・ 授 業 前 後 の 時 間 では 階 段 、 扉 の 付 近 が 多 くの 人 で 混 み 合 っている。避 難 シミュレーションは、 市 販 のソフトウェアbuilding EXODUS 26) を 使 用 した。 本 ソフトウェアでは、図 3のように 人 の 専 有 面 積 を50cm×50cmのノードと 呼 ばれる 正 方 形 でモデル 化 し、 各 ノードをアークと呼 ばれる 線 で 結 んで 人 の 移 動 可 能 方 向 を 表 現 している。1つのノードには、 同 時 に1 人 しか 存 在 し 得 ず、人 はアークに 沿 って 移 動 する。 人 の 移 動 速 度 は、 避 難 安 全 検 証 法 に 関 する 告 示 27) で 定 められている 学 校における 階 段 以 外 の 歩 行 速 度 78m/ 分 (=1.3m/s)を 参 考 に、 多 少 幅 を 持 たせて1.2~1.5m/sを 乱 数 で 与 えることにした。 移 動 方 向 は 設 定 した 出 口 に 向 かうものとした。4 章 でも 述 べるが、 本 ソフトウェアは 最 初 からそれぞれの 人 が 出 て 行 く 出 口 を 指 定 しなければならないという 制 約 がある。したがって、 混 雑 具 合 に 応 じて 途 中 で 出 口 を 選 択 し 直 すということはできない。そのため、 本 シミュレーションは、 当 初 から 逃 げる 出 口 を 本 人 が 決 めている 場 合 の 結 果 を 示 すことになり、途 中 で 経 路 変 更 する 場 合 に 関 する 考 察 は 今 後 の 課 題 としたい。固 定 されている 机 は 障 害 物 として 扱 い、そこには 図 3のノードを 設 定 しない。その 他 の 通 路 や 階 段 と 教室 すべてにノードを 設 定 した。なお、 通 常 、 図 2(a)の 左 側 出 口 Aの 扉 は 同 時 に2 人 、 右 側 出 口 Bの 扉 は 同 時 に1 人 が 通 れるように 扉 が 開けてあるので、シミュレーションでもその 条 件 とした。また、 図 2(b)の2 階 および3 階 の 右 側 階 段 Bは 非 常口 として 設 定 されており、 廊 下 から 階 段 Bに 出 るには 鉄 の 内 扉 を 開 ける 必 要 がある。この 扉 は 同 時 に1 人通 れるものと 設 定 した。 各 教 室 には 前 後 2カ 所 に 出 口 があり、それぞれ 同 時 に1 人 通 れるものとした。3. 現 状 に 対 する 避 難 シミュレーションシミュレーションを 行 うに 際 し、まず 学 生 に 対 してアンケート 調 査 を 行 った。 実 験 対 象 講 義 棟 で 実 際に 受 講 している 学 生 に 授 業 後 に 回 答 してもらい、その 場 で 回 収 した。 内 容 は 講 義 棟 の 講 義 室 を 含 むさまざまな 場 所 にいる 場 合 に、 両 端 2 箇 所 にある 階 段 や 扉 のどちらへ 逃 げるかを 問 うものである。 計 85 人 から得 られたアンケート 結 果 の 傾 向 を 以 下 に 示 す。・ 避 難 方 向 としては、 今 いる 場 所 から 近 い 階 段 や 扉 からの 避 難 がほとんどである。しかし、4~7%は 他方 向 を 答 える 学 生 がいた。・ 同 じ 距 離 に2つの 扉 がある 場 合 においては、キャンパスのメインストリート 側 ( 図 2の 左 , 出 口 A)に多 くの 人 が 避 難 する 傾 向 にある。これは 普 段 メインストリート 側 を 使 っている 学 生 が 多 いため、 慣 れている 方 向 に 逃 げる 傾 向 があるためだと 考 えられる。この 調 査 は 平 常 時 に 聞 いた 意 見 のため、 災 害 時 の 行 動 とは 差 があるものと 考 えられるが、 特 異 な 結 果でもないと 考 えられる。よって、 各 部 屋 から 近 い 方 の 階 段 もしくは 扉 を 使 用 し、2 階 と3 階 の 中 央 の 部 屋からは 半 分 ずつ 左 側 出 口 Aと 右 側 出 口 Bから 避 難 する、という 状 況 をまず 基 本 ケースとして 設 定 した。そして、2 階 と3 階 の 中 央 の 部 屋 からは、すべてメインストリート 側 の 出 口 Aから 避 難 するケースを、 次 章で 検 討 することとした。この 講 義 棟 の 使 用 状 況 を 調 べると、2009 年 度 にもっとも 受 講 人 数 が 多 かったのは、 月 曜 午 前 10:40からの 講 義 時 間 で1663 名 であった。この 時 間 帯 の 教 室 配 当 と 受 講 人 数 は 図 4のようになっており、この 条 件 ( 現状 ケースとする)の 下 で 避 難 シミュレーションを 行 った。また、 最 も 条 件 の 厳 しいケースについても 検討 するため、 各 部 屋 の 定 員 (1 階 は 各 84 名 、2 階 と3 階 は 各 215 名 )いっぱい 人 が 入 っているという 条 件 ( 人数 最 大 ケースとする)でもシミュレーションを 行 った。これは、 現 状 ケースでは 教 室 利 用 状 況 が 不 規 則なため、 均 等 に 各 部 屋 が 利 用 されている 場 合 の 避 難 状 況 について 検 討 するためである。図 5に 現 状 ケース、 図 6に 人 数 最 大 ケースの 避 難 完 了 率 の 時 間 変 化 を 示 す。それぞれ、 全 体 の 避 難 完 了率 に 加 え、そのうち 出 口 Aを 使 った 人 と 出 口 Bを 使 った 人 のグラフも 表 示 した。避 難 完 了 時 間 は、 図 5に 示 した 現 状 ケースでは23 分 、 図 6に 示 した 人 数 最 大 ケースでは48 分 であった。どちらの 図 も、 時 間 経 過 に 伴 って 傾 きが2 回 変 化 していることがわかる。 最 初 の 数 分 ( 図 5で3 分 、 図 6で8分 )が 一 番 傾 きが 大 きく、これを 図 ではⅠ 期 とした。 次 に 少 し 傾 きの 小 さな 時 間 ( 図 5で19 分 まで、 図 6で40 分 まで)が 続 くので、これをⅡ 期 とした。 最 後 の 数 分 はもっとも 傾 きが 小 さく、これをⅢ 期 とした。- 74 -

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