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大学の講義棟における災害時避難に関する一考察 ... - 日本地震工学会

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人 外 へ 出 ることができるという 利 点 があまり 活 かされていない。また、グラフが 各 期 間 ごとにほぼ 線 形 になっていることより、 出 口 を 通 過 するのに 要 する 時 間 がわかれば、 避 難 完 了 時 間 がわかる。 本 シミュレーションの 対 象 建 物 のような 単 純 な 構 造 において、 階 段 や 廊下 等 で 混 雑 が 発 生 する 状 況 では、 避 難 完 了 時 間 は 出 口 の 通 過 時 間 にほぼ 支 配 されるものと 考 えられる。出 口 を 通 過 するのに 要 する 時 間 は、 人 が 動 く 速 度 ( 本 計 算 では1.2~1.5m/s)と 出 口 を 通 過 するために 歩く 長 さ( 本 計 算 では2m)から、ほぼ 計 算 できることになる。Ⅰ 期 、Ⅱ 期 、Ⅲ 期 のうち、Ⅱ 期 が 最 も 時 間 のかかる 結 果 となっている。またⅢ 期 は 出 口 Bからしか 避難 していない。このため、すべての 出 口 からの 避 難 を 均 等 にし、すべての 出 口 からの 避 難 をほぼ 同 時 に完 了 させⅢ 期 をなくす、Ⅰ 期 を 短 くし1 階 の 人 を 早 く 避 難 させる、Ⅱ 期 を 短 くし2、3 階 の 人 を 早 く 避 難 させることが 改 善 案 として 効 果 的 であると 考 えられる。 経 過 時 間 と 避 難 完 了 人 数 の 関 係 を 示 したグラフの傾 きを 大 きくすることが、 短 時 間 で 多 くの 人 数 を 救 えることになり、グラフの 傾 きを 大 きくできるような 改 善 案 が 必 要 になってくる。特 にⅡ 期 でグラフの 傾 きが 小 さいのは、 階 段 や 踊 り 場 で 人 が 密 集 しており、スムーズに 避 難 することができていないためである。 火 災 の 場 合 は 煙 の 充 満 、また 地 震 の 場 合 は 余 震 の 恐 れもあり、できるだけ早 くてスムーズな 避 難 行 動 が 必 要 になってくる。また、 避 難 完 了 時 間 は 出 口 Bでの 避 難 完 了 で 決 まっているため、 出 口 Bの 改 善 や、 出 口 Bに 避 難 している 人 を 出 口 Aに 誘 導 することが 有 効 であるとも 考 えられる。なお、 広 域 を 対 象 とした 避 難 の 場 合 には、Ⅰ 期 の 前 半 にもう 少 し 傾 きが 小 さい 時 間 がしばらく 見 られる例 えば18) 。 最 初 の 人 が 避 難 完 了 するまでに 時 間 がかかり、その 後 もしばらくは 足 の 速 い 少 人 数 しか 避 難完 了 しないという 時 間 が 存 在 するためである。しかし 本 対 象 講 義 棟 の 場 合 、 講 義 室 から 出 口 までの 距 離が 短 いため、 本 シミュレーションではそのような 時 間 がほとんど 存 在 せず、 最 初 から 出 口 で 混 雑 が 発 生する 結 果 となっており、これは 大 学 施 設 を 対 象 としたシミュレーション 結 果 の 特 徴 の 一 つと 言 える。4. 避 難 誘 導 効 果 に 関 する 検 討次 に、 前 章 の 結 果 を 改 善 するため、 避 難 誘 導 の 効 果 について 検 証 することとした。 出 口 Bに 避 難 している 人 を、 広 い 方 の 出 口 Aへ 誘 導 することで、どの 程 度 結 果 が 改 善 できるか 検 討 した。 前 章 に 示 した 学生 へのアンケート 結 果 でも、2 階 と3 階 の 中 央 の 部 屋 からは、メインストリート 側 の 出 口 Aへ 逃 げると 回答 した 学 生 が 多 かった。よって、2 階 と3 階 の 中 央 の 部 屋 からは、 何 かあれば 出 口 Aへ 逃 げるようにという 指 示 を 普 段 からしておくことにより、 非 常 時 にも 出 口 Aから 逃 げるように 誘 導 することは 実 現 性 が 高い 手 段 であると 考 えられる。そこで、2 階 と3 階 の 中 央 の 部 屋 からは、 半 分 ずつ 出 口 Aと 出 口 Bに 向 かっていた 現 状 ケースに 対 し、すべて 出 口 Aに 向 かうよう 誘 導 したケースのシミュレーションを 行 った。 人 数は、 現 状 ケースと 同 じにした。その 結 果 の 避 難 完 了 率 を、 現 状 ケースと 比 較 したグラフを 図 7に 示 す。 誘 導 することによって、Ⅱ 期 を短 くすることはできたが、かえってⅢ 期 が 長 くなって 最 終 的 な 避 難 完 了 までは 時 間 がかかる 結 果 となった。 誘 導 したケースの 詳 細 を 図 8で 見 てみると、 約 16 分 で 出 口 Bの 避 難 が 先 に 完 了 し、 現 状 ケースとは 逆に 出 口 Aからの 避 難 が 最 後 まで 続 く。 教 室 の 使 用 状 況 は 曜 日 や 時 間 ごとに 変 化 することもあり、この 誘導 方 法 が 効 果 のある 場 合 もあると 考 えられる。しかし、このように 逆 効 果 になることもあるため、 前 もって 避 難 方 向 を 決 めておくことが 有 効 だとは 言 えない 結 果 となった。今 回 使 用 したソフトウェアでは、 最 初 に 設 定 した 出 口 に 向 かって 避 難 するアルゴリズムになっているため、 出 口 Bの 方 がすいている 場 合 にも、 出 口 Aでの 混 雑 は 解 消 されないところに、このシミュレーションの 限 界 があるのも 事 実 である。しかしながら、 非 常 時 に 他 方 の 出 口 の 混 雑 状 況 はわかりにくいことも考 えられるため、 避 難 誘 導 に 対 する 過 度 の 期 待 はできないということは 言 える。よって 次 に、 出 口 での混 雑 改 善 について 物 理 的 な 対 策 を 検 討 することとした。なお、 出 口 の 途 中 変 更 による 影 響 は、 混 雑 の 偏 在 を 緩 和 するという 長 所 と、 新 たな 避 難 の 流 れを 生 じさせるという 短 所 がある。 前 者 については、 本 シミュレーション 結 果 を 基 に 考 えておけば 安 全 側 の 評 価となる。 後 者 については、 新 たな 人 の 流 れがスムーズな 避 難 を 妨 げかねないことが 懸 念 される。 今 後 、他 の 手 法 によるシミュレーションも 検 討 したい。- 76 -

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