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大学の講義棟における災害時避難に関する一考察 ... - 日本地震工学会

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モデル 図 であり、 図 11(a)の 現 状 モデルでは1つの 赤 いノードからしか 外 へ 出 られなかったものを、 図 11(b)のように、3つの 赤 いノードから 外 へ 出 られるように 設 定 した。 出 口 Aと 出 口 Bも 同 様 である。シミュレーションの 人 数 、 使 用 教 室 、 避 難 方 向 は 現 状 の 避 難 シミュレーションと 同 じとする。図 12にシミュレーション 結 果 を 示 す。 避 難 完 了 時 間 は23 分 から12 分 へと 半 減 した。このことから、 出口 や 内 扉 で 同 時 に 外 へ 出 られる 人 数 を3 倍 にしても、グラフの 傾 きは 単 純 に3 倍 にならず、 完 了 時 間 も1/3ではなく1/2にしかならないことがわかった。これは 階 段 や 踊 り 場 、 扉 に 向 かう 廊 下 で 混 雑 が 発 生 し、スムーズに 扉 までたどり 着 けていないためである。Ⅰ 期 は 約 3 倍 の 傾 きになるが、Ⅱ 期 が3 倍 にならない。これは3 章 で 述 べた 状 況 と 同 じ 理 由 からである。ともあれ、 前 章 の 避 難 誘 導 対 策 と 比 べると 有 効 性 は 高 く、このような 単 純 な 形 状 の 建 物 の 避 難 対 策 を 考 える 場 合 、まずは 物 理 的 な 対 策 を 考 えることが 優 先 されるべきであることが 明 らかとなった。6. まとめ本 報 告 は、 大 学 キャンパスの 講 義 棟 から 災 害 時 に 避 難 する 場 合 の 状 況 について、シミュレーションにより 基 礎 的 な 検 証 を 行 ったものである。 本 研 究 で 得 られた 結 果 は 以 下 の 通 りである。1) 避 難 は 効 率 の 変 化 から 大 きくⅠ 期 、Ⅱ 期 、Ⅲ 期 に 分 けることができた。 避 難 効 率 を 向 上 させるためには、すべての 出 口 からの 避 難 を 均 等 にし、すべての 出 口 からの 避 難 をほぼ 同 時 に 完 了 させⅢ 期 をなくす、Ⅰ 期 を 短 くして1 階 の 人 を 早 く 避 難 させる、Ⅱ 期 を 短 くして 上 階 の 人 を 早 く 避 難 させることが 改善 案 として 効 果 的 であると 考 えられる。2) 本 研 究 で 扱 った 講 義 棟 のように 単 純 な 形 状 の 建 物 では、 前 もって 避 難 方 向 を 決 めておくなどの 誘 導 対策 はさほど 効 果 がないことが 明 らかとなった。 講 義 棟 は 曜 日 や 時 間 によって 使 用 される 教 室 や 人 数 が異 なることもあり、 過 度 に 避 難 誘 導 に 頼 った 対 策 は 慎 重 にすべきである。3) 両 開 き 扉 の 全 開 放 といった 対 策 は、 結 果 として 同 時 に 外 へ 出 られる 人 数 を3 倍 に 増 やしても、 避 難 完了 時 間 は1/3にはならないものの、その 効 果 は 有 効 である。さらに 効 率 を 上 げるためには、 建 物 全 体の 避 難 ルートの 拡 幅 など 大 規 模 な 改 変 が 必 要 となることが 明 らかとなった。本 検 討 は、 比 較 的 単 純 な 形 状 の 講 義 棟 に 対 する 基 礎 的 な 検 討 であり、 今 後 、より 大 規 模 な 講 義 棟 からの 避 難 について 検 討 を 進 めていき、 大 学 キャンパス 全 体 の 災 害 安 全 性 向 上 を 図 っていきたいと 考 えている。 各 教 室 棟 の 最 適 な 人 数 規 模 の 検 討 も 必 要 である。謝 辞本 研 究 の 一 部 の 実 施 にあたっては、 科 学 研 究 費 ・ 基 盤 研 究 (B)(22310114)および 財 団 法 人 鹿 島 学 術 振興 財 団 研 究 助 成 金 の 助 成 を 受 けた。参 考 文 献1) 松 田 泰 治 , 大 塚 久 哲 , 樗 木 武 , 内 田 広 明 :セルオートマトン 法 を 用 いた 地 下 街 の 避 難 行 動 シミュレーションに 関 する 一 考 察 , 地 域 安 全 学 会 論 文 集 ,No. 2,2000 年 11 月 ,pp. 95-100.2) 辻 原 治 , 今 北 智 基 , 松 川 知 憲 , 澤 田 勉 : 避 難 訓 練 の 調 査 とCAに 基 づく 避 難 行 動 シミュレーション,土 木 学 会 地 震 工 学 論 文 集 ,Vol. 28,2005 年 8 月 , 論 文 No. 150,10 pages.3) 小 久 保 聡 , 山 本 和 弘 , 山 下 博 史 :セルオートマトンによる 火 災 時 の 避 難 行 動 のシミュレーション,日 本 機 械 学 會 論 文 集 ,B 編 ,Vol. 74,No. 748,2008 年 12 月 ,pp. 2724-2730.4) 清 野 純 史 , 土 岐 憲 三 , 犬 飼 信 広 , 竹 内 徹 : 避 難 行 動 シミュレーションに 基 づく 地 下 街 の 安 全 性 評 価 ,土 木 学 会 論 文 集 ,No. 689/I-57,2001 年 10 月 ,pp. 31-43.5) 瀧 本 浩 一 : 個 別 要 素 法 を 用 いたシミュレーションによる 避 難 時 の 車 椅 子 使 用 者 と 他 の 避 難 者 との 影響 に 関 する 一 考 察 , 日 本 建 築 学 会 環 境 系 論 文 集 , 第 566 号 ,2003 年 4 月 ,pp. 9-15.6) 杉 本 太 一 , 目 黒 公 郎 : 楕 円 形 個 別 要 素 法 を 用 いた 避 難 行 動 解 析 に 関 する 基 礎 的 研 究 , 土 木 学 会 地 震工 学 論 文 集 ,Vol. 27,2003 年 12 月 , 論 文 No. 135,4 pages.7) 西 野 智 研 , 円 谷 信 一 , 樋 本 圭 佑 , 田 中 哮 義 : 関 東 大 震 災 における 東 京 市 住 民 避 難 性 状 の 推 定 に 関 す- 78 -

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