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11 - 日本地震工学会

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代 後 半 からシステム 設 計 などと 組 み 合 わせ、 最 適 化 問 題 の 解 法 としての 可 能 性 が 検 討 されてきた。この 方 法は、 地 震 学 での 逆 解 析 問 題 にも 広 く 利 用 されており、 山 中 ・ 石 田 (1995) 7) はこの 方 法 を 用 いて 微 動 などの 位相 速 度 データから S 波 速 度 構 造 を 同 定 している。 本 論 文 では、 野 口 ・ 笹 谷 (2004) 8) による 遺 伝 的 アルゴリズムと 一 次 元 重 複 反 射 理 論 を 組 み 合 わせ、 観 測 スペクトル 比 と 理 論 スペクトル 比 の 差 を 最 小 とする S 波 速 度 構造 と Q 値 を 同 定 した。S 波 構 造 モデルの 同 定 では、Q 値 を 暫 定 的 に 固 定 して GA を 用 いて 層 厚 と S 波 速 度 を同 定 し、 次 に、 得 られた 最 適 な 速 度 構 造 モデルを 用 いて 再 び GA で Q 値 パラメータを 同 定 した。このような2 段 階 評 価 方 法 は、 速 度 構 造 と Q 値 を 一 度 に 同 定 すると 自 由 度 が 高 すぎて 結 果 が 安 定 しないためである。また、Q 値 の 場 合 は、Q=Q 0 ・f n (f: 周 波 数 (Hz))として、Q 0 と n のトレードオフを 避 けるため、n=0.5, 0.6, 0.7に 固 定 して Q 0 を 同 定 した。地 盤 モデルの 同 定 に 用 いた 地 震 は、S 波 の 鉛 直 入 射 の 仮 定 を 満 たすために、 震 源 の 深 さが 50km 以 深 で、 震央 距 離 が 震 源 深 さの 2 倍 以 内 の 図 4 に 示 す 22 地 震 とした。これらの 地 震 の 観 測 波 形 よりトランスバース 成 分を 抽 出 し、S 波 主 要 動 部 を 約 10 秒 間 切 り 出 した。その 波 形 の 両 端 に 10%のコサインテーパーをかけ、それぞれのフーリエスペクトルを 算 出 し 地 表 / 地 中 のスペクトル 比 を 求 めた。 図 5 に 示 すように 算 出 したスペクトル 比 からその 相 乗 平 均 を 求 め、それを 地 盤 モデルの 同 定 に 用 いるターゲットスペクトル 比 とした。なお、このスペクトル 比 は、 地 表 地 震 計 の 設 置 方 向 が+40 度 ずれていることが 判 明 しているためそれを 補 正 している( 前 田 ほか (2005) 9) )。GA を 用 いた 速 度 構 造 の 同 定 は、 次 の 拘 束 条 件 を 用 いた。まず 理 論 スペクトル 比 (R cal )と 観 測 スペクトル 比 (R obs )の 差 を misfit として 式 (1)のように 定 義 した。1⎡logR( f ) − log R( f) ⎤Nobs ical imisfit = ∑N⎢+0.5if⎥=1i⎣⎦Tdiff(1)この 中 で T diff は、 仮 定 した 速 度 モデルの 地 中 から 地 表 までの S 波 の 片 道 走 時 が 観 測 された 0.41~0.42 秒 以 外 の場 合 に 加 算 されるペナルティである。 計 算 は 乱 数 の 種 を 変 えて 5 回 行 い、その 中 の 最 小 の misfit のモデルを 最適 解 とした。 次 に、この 最 適 な 構 造 を 基 にして Q 値 を 推 定 した。Q 値 の 同 定 解 析 における misfit には 式 (2)を用 いた。 第 2 項 の W は 重 み 関 数 で、ある 層 の Q 0 がそのすぐ 上 の 層 の Q 0 より 小 さい 場 合 にのみ、その 上 の 層との 差 を misfit に 加 算 することを 示 している。misfit =1NN∑i=1log Robs( f ) − log Rical( f )i+ Wnl∑K = 2Q0k− Q0k−1(2)GA を 用 いて TKCH07( 豊 頃 ) 観 測 点 の 地 盤 モデルを 同 定 した 結 果 を 図 6 に 示 した。この 結 果 は、 清 水 ・ 高井 ・ 笹 谷 (2005) 10) による 豊 頃 町 中 央 若 葉 地 区 (WKB; TKCH07 を 含 む)の 地 震 記 録 および 微 動 探 査 により 求 められた 速 度 構 造 モデル( 深 さ 400m)の 浅 部 をさらに 再 解 析 したものである。 図 6 には、ターゲットスペクトル 比 、GA により 同 定 した 速 度 層 構 造 から 求 めた 理 論 スペクトル 比 および PS 検 層 による 速 度 層 構 造 から 求 めた 理 論 スペクトル 比 を 示 している。GA により 同 定 した 理 論 スペクトル 比 は、ターゲットスペクトル 比 と 比 べて、 第 4 次 ピークまでよく 一 致 している。しかし、5Hz よりも 高 周 波 数 側 では、 若 干 の 過 大 評 価 となっている。これは、 式 (1)の misfit の 評 価 を 低 周 波 数 側 に 重 みを 置 いた 結 果 である。 一 方 、PS 検 層 の 速 度 層 構 造 から 求 めた 理 論 スペクトル 比 は、 第 4 次 ピークが 大 きくずれていることがわかる。 表 1 に 同 定 解 析 から 得 られた 速 度層 構 造 および Q 値 を 示 した。また、 図 7 には 同 定 した 速 度 層 構 造 を 示 した。Q 値 については、Q=Q 0 ・f n の 指 数 値 (n)を 0.7, 0.6, 0.5 に 固 定 して、GA による Q 0 の 同 定 を 行 った。 表 1 により、 第 1 層 ~ 第 4 層 までは、n=0.7~0.5 と 変 化 してもそれほど 定 数 値 (Q 0 )に 変 化 がなく、 第 5 層 と 第 6 層 の 変化 が 大 きいことがわかる。また、n=0.7, 0.6, 0.5 の 同 定 解 析 の misfit は、n=0.5 の 場 合 が 一 番 小 さな 値 となった。-147-

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