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我が国におけるウェブアーカイブ構築の意義および諸課題 - 日本学術会議

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力 向 上 に 貢 献 できると 考 えられる 事 柄 や、 企 業 が 証 拠 として 第 三 者 による 保 存 を 希 望 する 情 報 に 関 しては、 国 やその 他 の 第 三 者 機 関 としての 対 応 が 望 まれる。例 えば、 経 済 分 野 のウェブアーカイブについて、 企 業 独 自 の 努 力 にのみ 頼 った 場 合 、次 にあげるような 問 題 が 発 生 すると 思 われる。• 企 業 や 国 家 組 織 が 存 続 している 間 は、 内 部 統 制 からもほぼ 確 実 に 自 社 組 織 内で 必 要 な 情 報 を 蓄 積 し 管 理 し 続 けられるが、 組 織 の 統 廃 合 にともない、 蓄 積主 体 が 消 えてしまうと、 企 業 情 報 の 継 承 ができない。 統 廃 合 の 変 遷 も 包 含 できるような 統 合 管 理 をおこなうことはできないか。• 意 義 の 項 で 述 べたように、 日 本 企 業 の 国 際 競 争 力 を 向 上 するため、 各 国 地 域の 法 律 や 知 的 財 産 権 の 扱 いなどの 時 系 列 変 化 を 蓄 積 し、 各 社 共 通 に 検 索 や 分析 ができるような、グローバル 経 済 活 動 を 下 支 えするインフラ 的 なシステム構 築 をできないものか。経 済 分 野 において、 国 やその 他 の 第 三 者 機 関 と 企 業 の 役 割 分 担 を 明 確 に 引 くことは 非常 に 難 しいことではある。いずれの 事 例 においても、 極 めて 限 られた 範 囲 であれば 企 業努 力 でカバーし 得 ると 考 えられる。しかしながら、 経 済 活 動 全 体 がグローバル 化 している 現 在 、まずは、 日 本 企 業 の 国 際 競 争 力 を 強 化 するという 観 点 から、 国 のインフラとして 持 つべきウェブアーカイブの 範 囲 や、 産 官 学 や 中 央 ・ 地 方 など、 各 種 組 織 間 でどう 連携 するかについて 議 論 することは、 非 常 に 意 味 のあることと 思 われる。5.おわりに本 記 録 では, 学 術 の 新 たな 情 報 基 盤 となりうるウェブアーカイブ 構 築 の 動 向 、ウェブアーカイブの 意 義 を 明 らかにするとともに、その 実 現 に 向 けた 具 体 的 な 課 題 についても取 りまとめた。ウェブは 新 しいメディアであるが、 急 速 に、かつ、 広 範 に 広 がりつつあり、 今 や、 重要 な 社 会 情 報 基 盤 の 位 置 を 占 めつつある。その 範 囲 は、 学 術 活 動 の 情 報 基 盤 のみならず、国 家 、 文 化 、 社 会 、 国 民 生 活 、 経 済 活 動 など 広 範 囲 に 及 び、 過 去 に 発 信 されたウェブ 情報 を、その 同 一 性 を 保 証 しつつ 収 集 ・ 保 存 するウェブアーカイブの 構 築 の 重 要 性 および緊 急 性 は 論 を 待 たない。ボーンデジタルな 情 報 を 発 信 するウェブは、ボーンデジタルであるが 故 に 利 活 用 が 容 易 である 反 面 、 過 去 のウェブ 情 報 は 消 滅 しやすいという 特 性 を 併せ 持 っているからである。ウェブアーカイブの 構 築 を 行 うことの 意 義 は 大 きいが、 一 方 、以 下 に 述 べるように 解 決 すべき 課 題 も 山 積 している。ウェブアーカイブに 関 する 学 術 的 な 観 点 からの 課 題 は、 学 術 分 野 においてはその 収 集保 存 範 囲 が 我 が 国 に 閉 じていないこと、 言 語 の 壁 、 国 立 研 究 機 関 や 学 会 などの 収 集 保 存主 体 の 連 携 をいかにして 行 うかなどである。また、ウェブというメディア 自 体 が 依 然 発展 途 上 にあるため、ウェブアーカイブの 構 築 およびその 検 索 ・ 利 活 用 のための 技 術 研 究開 発 が 重 要 であるが、これをどのように 推 進 するかも 最 重 要 課 題 の 一 つであろう。11

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